JASPAにビューティ業界から初の理事誕生 美容部員の地位向上のために必要なこととは

 訪日外国人客が年々増加し、お客のニーズが多様化する昨今。プロフェッショナルな販売員・美容部員の重要性はさらに増していく一方で、販売員・美容部員への理解不足からネガティブなイメージが持たれるのも否定できない。そんな状況を改善しようと、ファッション販売員の地位とスキルの向上を目的に2016年に設立されたのが、一般社団法人日本プロフェッショナル販売員協会(JAPAN SALES PROFESSIONALS ASSOCIATION 以下、JASPA)だ。今年は、ビューティ業界から初の理事として日本ロレアルのフィリップ・アルシャンボー副社長が就任した。これにより、JASPAはファッションの販売員だけでなく美容部員と相互に地位を高めるサポートに注力していく。

WWD BEAUTY(以下、WWD):ビューティ業界から初の理事に就任した経緯について

フィリップ・アルシャンボー理事(以下、フィリップ):日本のビューティ市場やラグジュアリーファッション市場は今、とても盛り上がっている状態だ。しかし高齢化社会により働き手となる若年層は減る一方。そんな中、JASPAのように販売員の教育をサポートする機関があることはとても重要だ。日本ロレアルでは、4年前にビューティアドバイザーラブアンドケアプログラムを立ち上げ、美容部員の地位向上のために給料アップや福利厚生の改善のほか、労働環境改善を進めてワークライフバランスを保たれるようにしている。これにより、退職率も下がってきているという結果につながった。JASPAとは考え方や施策などが、ロレアルが掲げているものに共通している部分が多かった。これからはファッション、ビューティの店頭スタッフが相互にメリットとなるような関係を構築していきたい。

WWD:互いにどんな点が生かせると考えているか。

フィリップ:ビューティは圧倒的にお客さまの人数が多く、忙しいお客さまだと20分ほど、タッチアップをしても長くて45分ほどの接客だろう。美容部員から販売員が学べることは忙しいときに効率よくマネジメントを行えることだ。一方で、ファッション業界はストーリーテリングにとても優れている。ランウエイではデザイナーの込めた思いや情熱を伝えることができる。ビューティは製品数が多いため、ブランドストーリーよりも製品よりになってしまう。百貨店のラグジュアリーブランドで化粧品を購入するお客さまは、製品の良さはもちろんブランドストーリーにも憧れている部分もある。世界観をしっかり伝えることを販売員から学べるのではないか。

WWD:理想とする美容部員・販売員像について。

フィリップ:基本的なことだが製品知識があることは大事。今はインターネット上でさまざまな情報が流れているが、必ずしも正しいものだとは限らない。プロとして正確な製品や肌の知識を持つことが必要である。日本ロレアルでも共感できる接客を大切にしており、オンラインでは手に入れられないようなプラスアルファの価値を提供できる接客に注力している。お客さまに本当は何が必要なのかを分析する力が重要である。

WWD:日本と海外との美容部員・販売員の違いについて。

フィリップ:日本の接客はコンビニでもホテルでもどこでも、素晴らしいおもてなしが大前提にある。例えばフランスでは、場所によってサービスのレベルが極端に変化する。しかし、お客さまと一定の距離感を超えてはいけないという日本のマニュアル的な接客に比べ、フランスはパーソナルな接客が得意であり、距離の近い接客ができる。距離が近い分、記憶に残る接客が可能だ。日本ロレアルでは今年からサービスリテールアカデミーを行っており、おもてなし精神を守りつつも自分らしい個性を出した接客に挑んでいる。

WWD:理事としてこれから取り組んでいきたいことや意気込みは。

フィリップ:ロレアルとしてはどのブランドにも共通して、今の時代に合ったトレーニングを提供することが大事だろう。JASPAでは、論文や推薦状の書類審査や適性検査のある販売員のための新資格制度を来年から始める。ビューティでも、クオリティーの高い美容部員に対する独自の資格制度を設けることが役割だと考えている。そのためにも、ビューティ業界からJASPAの参加者を増やしていきたい。会社やブランドの顔である美容部員を支えていくことにこれからも注力する。

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ティーンの人気を集める高校生モデル・よしあきが初のエッセー本を出版 「友達ゼロで不登校だった僕が世界一ハッピーな高校生になれたわけ」

 「グッチ(GUCCI)」や「バーバリー(BURBERRY)」のオープニングパーティーに来場し、「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」のミレニアルズ向けのショーや東京ガールズコレクションのランウエイを歩く高校生モデルのよしあきが12月26日、初のエッセー本「友達ゼロで不登校だった僕が世界一ハッピーな高校生になれたわけ」(KADOKAWA)を出版した。本の中では、中性的な言動がいじめの対象となり不登校だった過去を告白。その後、台湾での療養生活や帰国後のフリースクールでの恩師との出会い、原宿デビューなどを経て“世界一ハッピーな高校生”と思えるようになるまでの歩みをつづった。そんなよしあきに本の出版や現在の活動について話を聞いた。

WWD:今回の出版の経緯は?

よしあき:数年前にもお話をいただいていましたが、“暗い過去を売りにしたかわいそうな子”という目では見られたくなくて、保留にしていました。その後、自分と似たような経験をした子が悲しい結末で終わるニュースを目にする機会があり、僕がこんなに元気になれたんだから少しでも希望を届けられればと思い、もう一度お声が掛かったタイミングで出版を決めました。

WWD:不登校になったきっかけは?

よしあき:自分では最初はいじめだと思っていなかったんです。小学生の頃からサッカーよりおままごとが好きで、「女っぽい」とからかわれたことから、ちょっかいがどんどんエスカレートして、同級生から暴力を受けることもありました。深く傷ついていましたが、当時は誰にも話すことができませんでした。お母さんや姉のミチとも仲は良かったけれど、家では強がっていたのかもしれません。僕がキャパオーバーになり学校へ行けなくなって初めて、家族がいじめの事情を知りました。

WWD:本の中では家庭内暴力や自殺未遂などの過去についても赤裸々に語った。“ハッピー”と思えるようになるまでにはどんなことがあったか?

よしあき:不登校の時期には精神的に不安定になり、家庭で暴れてしまうこともありました。ミチが受験を控えていたことから、11歳のときに生まれの地である台湾に移住しました。日本の社会や人間関係からくるプレッシャーがなくなり、少しずつ元気になっていくのを感じました。一方でそのときにSNSで見た原宿のポップなファッションに憧れを感じて、帰国したら原宿に行くことを夢見るように。当時流行していたスキニーパンツがはきたくてダイエットもしたんです。

昔は悪目立ちをしないようにしていた自分が派手なファッションを楽しむようになった

WWD:13歳で帰国し、すぐに原宿へ行った?

よしあき:家族や親戚としか話さない日々が何年か続いていたので勇気が必要でした。お母さんたちが探してくれたフリースクールに通い、そこで恩師の先生との出会いがありました。恩師をはじめ仲間や人と関わることに慣れていったんです。そしてやっとミチに原宿に連れて行ってもらい、竹下通りを歩きました。はじめは緊張したんですが、髪の毛を緑に染めたり、ケミカルウオッシュのデニムにタイダイ柄のTシャツを合わせたり、ミチとおそろいのコーディネートをしたりと、だんだんと派手なファッションを楽しめるようになりました。昔は悪目立ちをしないようにしていた自分が、まさかこんな派手な格好して自信が持てるようになるなんて、ファッションの力って本当にすごいと思います。そんな中、街頭でテレビのインタビューを受け、そこから徐々にモデルの活動をさせていただくようになりました。

WWD:若者マーケティング研究機関「シブヤイチマルキューラボ(SHIBUYA109 lab.)」が発表した「トレンド大賞2019」のヒト部門では1位によしあき&ミチが選ばれた。

よしあき:2人ですごく喜びました!ミチは「わたしはずっと、遊びでも球拾いしかやらせてもらえない子どもだった」と言っていて、僕もなかなか仲間に入れてもらえない子でした。そんな僕にイベントでファンの子が「会えてうれしい」って涙を流してくれたりするんです。全てにおいて不正解の人間だと思っていましたが、今まで自分がやってきたことは間違ってなかったのかもって思えるようになりました。

WWD:現在インスタグラムのフォロワー数は36万を超える。ファンを獲得するために何か工夫していることはあるか?

よしあき:僕たちは人並みにしかやってないです。ただ、SNSでは悲しいことや暗いことは発信しないようにしています。もちろん落ち込むこともありますが、そんなときは大好きな酢豚定食を食べたり(笑)、友達に話したりしてストレスを解消しています。不登校やいじめを経て、ため込まないようにしようと決めたんです。ため込んで人に物事を伝えなかったのでいじめがエスカレートしたんだと思います。

僕の人生は誰にもあげたくない

WWD:過去に戻ってやり直したいと思うことはあるか?

よしあき:やり直したいとは思いません。もし普通の学校生活を送っていたら今の僕になれていないかもしれない。過去があったから今の僕があるんだと思います。フリースクールで恩師に会えたこと、家族が支えてくれたこと、モデルの仕事に出合えたことなどいろんな奇跡が起こったので、僕の人生は誰にもあげたくないです。

WWD:今回出版する本はどんな人に読んでもらいたい?

よしあき:人間関係で困っている人や不登校になってしまった子に読んでもらいたいです。僕のお母さんのインタビューも掲載しているので、同じような境遇のお母さんにも読んでほしいです。本を作る過程で、僕とお母さんの間には当時すれ違いがあったことを知りました。僕は「もっと構ってほしい」とか「お母さんにそんなに好かれていないかも」と思っていたら、お母さんはカウンセリングに通ったり学校を探していたりと、僕のためにいそがしくしてくれていたんです。本当に今が幸せすぎて過去を肯定できるようになったので、僕の経験を通してどんなにつらいことも絶対に超なんとかなるって、伝えられたらうれしいです。

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時計担当が選ぶ超私的な今年の1本 2019年に一番激しく光り輝いたのは?

 時計担当になって1年半。今年は、1月に“世界一ラグジュアリー”な時計見本市「S.I.H.H.(サロン・インターナショナル・オート・オルロジュリ)」、3月に世界最大の時計見本市「バーゼル・ワールド(BASEL WORLD)」を取材するため、2度スイスに飛びました。スイスに行くのも、時計見本市を体験するのも初めて。世界最大の時計企業スウォッチ グループ(SWATCH GROUP)が去った「バーゼル・ワールド」の凋落ぶりと、噂通り絢爛豪華な「S.I.H.H.」とのコントラストが印象的でした。そして「S.I.H.H.」では、“時計が宇宙(=浪漫)”であることを再認識しました。

※10月に「ウオッチ&ワンダー ジュネーブ(WATCHES & WONDERS GENEVA)」に名称変更

 「バーゼル・ワールド」で扱われるアイテムは実用を意識した数十万円のものが主であるのに対して、「S.I.H.H.」では数千万円、中には数億円の時計も珍しくありません。そんな浮世離れした世界で、オールドルーキーな時計担当のハートをつかんだのが、「エルメス(HERMES)」の“アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ アベンチュリン”(320万円)でした。

 “アルソー(ARCEAU)”は、1978 年にデザイナーのアンリ・ドリニー(Henri d'Origny)が生み出した時計。実は、78年は僕の生まれ年でもあります。この時点でかなり運命感じちゃってます(笑)。

 “アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ アベンチュリン”は、北半球と南半球のムーンフェイズを同時に表現します。2 つのスモールダイヤルがダイヤルの中を1周し、その動きによってマザーオブパール製の月が満ち欠けする斬新なデザインと機構なんです。ちなみに文字盤に使われているアベンチュリンとは、微細な結晶を内包するガラスや鉱石の総称で、これ自体が無数の星がまたたく宇宙を表しています。“腕に小さな宇宙を”とは、時計業界でしばしば用いられる表現ですが、まさにその極み!はっきり言って浪漫しか感じません。

 ちなみに同モデルには、文字盤をメテオライトにした“アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ メテオライト”(320万円)もあります。メテオライトとは隕石のこと。そう、素材そのものに宇宙(の石)を使ってしまっているんです。

 「エルメス」のブースでは、“ギャロップ ドゥ エルメス”にも「かわいい!」を連発してしまいました。馬具の鐙(あぶみ)にインスピレーションを得たものですが、おにぎり型のフォームがラブリーで、価格も41万7000円から。カラー&素材が豊富な点も女子受けしそうでした。

 正直な話、「S.I.H.H.」訪問前は「エルメス」に時計のイメージを持っていませんでした。でもその後の1年間で数百本の時計をタッチ&フィールさせてもらい、あらためてジュネーブで見た“アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌ アベンチュリン”が僕の心の中で一番激しく光り輝いているなと感じています。

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ファッション業界が意外と知らないビューティ2019年トレンド5選

 ファッションとビューティは近くて遠い!?ファッションをこだわる人はあまり化粧に興味がなかったり、逆に化粧にこだわる人はファッショントレンドには敏感ではなかったりして、首から上と下では実はこだわる人が違っている。それは業界人でも同じかも、と思ったのは、弊社のファッションとビューティ、両編集部を見ていたとき。両編集部は隣り合わせの島で仕事をしているにも関わらず、化粧品業界のトレンドを、ファッションチームは全然分かってないことが判明。そこで、ファッション業界の人が知らないであろう、ビューティ業界の2019年のトレンドを5選、紹介する。

クリーンビューティ

 ビューティ編集部に行くと、しばしば聞かれた「クリーンビューティ」。きれいなビューティ?と思っていたが、自然・天然成分を原料に用いており、体に害となるような成分を含んでいないというもので、環境に配慮したサステナブルな製品である。というのが大まかな定義とされるが、実際のところきちんと決まった定義はなく、かなりあいまい。ナチュラルブランドとの違いが難しいところだが、「環境に配慮」がポイントのようだ。クリーンビューティブランドとうたう代表的なブランドは「ベアミネラル(BAREMINERALS)」「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」などだ。

“第2の皮膚”戦争

 テレビCMでも流れているので知っている人も多いと思うが、19年は化粧品業界にとって“第2の皮膚”もしくは“セカンドスキン”という言葉が飛び交った。代表的なところでは、花王とコーセー。ただ、この2社の機能が違うというのを知っている人は少ないだろう。花王が12月4日に発売した「エスト(EST)」と「センサイ(SENSAI)」の“第2の皮膚”はスキンケアであるということ。ファインファイバー技術(積層型極薄膜形成技術)を具現化した高性能小型ディフューザーに化粧液を入れて夜、肌に吹き付けて就寝。翌朝、そのベール(膜)をはがすと美肌力がアップするものだ。

 一方のコーセーが20年からサービスを実施するパナソニックとの協業による「スノービューティーミラー」は、肌のシミなどを“隠す”シートだ。鏡の前で顔表面の色、状態を分析することで極薄膜のカスタマイズシートを作る。つけた後、自身の肌と同化しどこに貼ったかは全然分からないのが特徴で、話したり笑ったりしても寄れたりせず、貼っていることを忘れるぐらい自然だという。将来的に皮膚疾患の人に向けた医療領域もカバーする予定だ。

CBD化粧品

 「CBD」は、大麻に含まれる成分カンナビジオールの略称で、抗炎症効果やリラックス効果が期待できるもので、多くの化粧品に配合され話題だ。アメリカでは賛否がありながらも市場は活況。18年には高級専門店からマス市場にまで広がっている。日本ではマリファナの有効成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)が0.01%でも含まれていると取り扱えないが、THCが一切残留しない製品も作られており、スキンケアオイルやクリームなどが輸入されたり、日本でも製品化が進んでいたり、ヘアサロンでも使用されている。ただ最近では、配合内容の見直しから発売中止を余儀なくされた例もあるなど、今後はその動向に注意が必要だ。

ミニサイズコスメ

 19年、多くのブランドがミニサイズを発売した。資生堂が18年に若年層に向けミニサイズで価格を抑えて提案するシリーズ、その名も「SHISEIDO ピコ」を発売。ドラック・バラエティーショップブランド「フジコ」や「アネッサ(ANESSA)」といった日焼け止めでもミニサイズが誕生した。今年は「M・A・C」や「スック(SUQQU)」「ジョルジオ アルマーニ ビューティ(GIORGIO ARMANI BEAUTY)」「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(OFFICINE UNIVERSELLE BULY)」など多くのブランドがコフレにミニサイズを入れて訴求。ミニサイズにすることで、化粧品の問題点だった使い切りがしやすいという利点が。また、価格も抑えられており人気が集まった。

元美容部員 和田さん。

 「元美容部員 和田さん。(以下、和田さん。)」は、元美容部員で、美容系ユーチューバーとして91万以上のチャンネル登録数、インスタグラムのフォロワー数は19万(2019年12月24日現在)を誇る。18年8月の取材で29万チャンネル登録数、インスタグラム4万5000とあるので、1年で3、4倍の伸びだ。的確なメイク術と分かりやすさが幅広い女性から支持を集めている。PRではなく、彼女が紹介した商品は爆発的に売れて、ブランドの認知度もアップ。ブランド側も「なぜこの商品が売れたのか追跡すると、和田さん。に行き着いた。嬉しい限り」と語る。12月には和田さん。初のプロデュース商品であるカラコンが発売になった。現在はCチャネルから独立し個人事務所を設立している。

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「グレタ たったひとりのストライキ」 両親が見つめ続けた真実

 16歳で米誌「タイム(TIME)」が選ぶ2019年の「今年の人」と、科学界で話題になった「今年の10人」に選出されたグレタ・トゥーンベリ(Greta Thunberg)。地球温暖化対策の強化を求めるスウェーデンの環境活動家として、9月にニューヨークで開催された国連気候行動サミットで、各国の首脳そして世界の大人たちに温暖化対策の行動に出るよう強く訴え、ときに怒りをにじませながら話すその姿は日本のメディアでも取り上げられ、彼女の名前を多くの人たちが知ったのだと思います。

 その彼女の強い意志、そしてエネルギーの源になっているのは何なのか、私はメディアに映し出される一部の言動のみしか知らなかったので、それを知りたくて一冊の本を手にしました。そこに書かれていたのは、想像をはるかに超えたものでした。

 本書「グレタ たったひとりのストライキ」は有名オペラ歌手であるグレタの母マレーナ・エルンマン(Malena Ernman)が、俳優で夫のスヴェンテ(Svante Thunberg)、妹のベアタ(Beata Ernman)、そしてグレタと共に書き上げた本であり、母親の目線で書かれています。

すべては授業で観た映画が始まりだった

 18年に、スウェーデンの国会議事堂の前で地球温暖化に対するストライキを一人で始めたことをきっかけに、世界に知られるようになったグレタですが、「すべては、11歳の時にグレタが授業で世界中の海に浮遊する大量のごみに関する映画を観たことから始まった」とあります。その映画を観ている間、彼女は泣き続け、南大西洋では浮遊プラスチックごみが集まり、その面積がメキシコよりも大きい島を作っていることにショックを受けたといいます。

 5年生になった当時、毎晩寝つくまで泣き、登校しながら泣き、授業中でも休み時間でも泣き通し、教師たちはほぼ毎日電話をかけ、そのたびに主夫になった父が彼女を連れて帰っていたそうです。

 グレタは摂食障害になって10キロ痩せ、家族以外とは話さなくなり、うつ、アスペルガー症候群(自閉症に含まれるひとつのタイプ)、選択性かんもく症(家庭で家族が相手であれば自由に話せるにもかかわらず、学校や幼稚園など、家族以外の人が相手の場合に話せなくなる疾患)と診断されたのでした。今となっては多くの子どもや若者に影響を与え、大人をも動かす彼女が、それまで他人と話をせず食事もとれない日々が続いていたのです。そして専門家の話を聞いたり、書物を読むなどして独学で気候問題を学んだというのです。

「才能があるのに繊細すぎる少女」

 「暗闇の中に隠れ、あらゆる意欲を失った」というグレタと、その彼女を支え、ときに葛藤する家族の姿がそこにはありました。会話を交えながら、隠すことなくありのままの姿が淡々と書かれているので、その状況がストーリーとして入ってきます。両親がグレタの世話にかかりきりになっていたころに、妹のベアタのアンガーアタック(怒り発作)が増え、「パパもママもグレタのことばかり心配して、私のことはほったらかし。ママなんか大嫌い」と本棚からあらゆるDVDを投げつけるシーンには、読みながら胸が締め付けられるような思いでした。ベアタもまたADHD(注意欠如・多動症)、アスペルガー症候群、強迫性障害、反抗挑戦性障害の傾向があると診断された両親の当時の心境は、私たちの想像を絶するものだったのだと思います。

 そのような過酷な状況の中から現在に至るまでの道のりが、家族の前で語られるグレタの言葉と両親の思いと共につづられています。そして彼女の言葉によって家族も影響されていきます。気候問題や地球温暖化を中心とした環境問題の話は、ときに数字や専門用語の羅列で難しく感じてしまいますが、彼女から発せられることばは、とても現実的で身の回りに起こっている事実であり、理解しやすいことばで語られています。

「あのとき、彼女は見えない境界線を越えた」

 グレタがたった一人でストライキをすると計画し、自転車で国会議事堂へ向かう背中を見送りながら、「あのとき、彼女は見えない境界線を越えた。あと戻りすることも、取り消すこともできない境界線を」と語った父親のそのときの気持ちが、ありありと伝わってくるようでした。本音を言えば、両親はストライキをしてほしくなかったといいます。グレタは多くの批判を受けることも覚悟の上だとはいえ、両親として娘を守りたいと思うのは当然のことでしょう。一方で、家族以外の人と話すことができなかった娘が、大勢の前ではっきりと自分の考えを述べる姿をまるで奇跡のように感じていたのでしょう。

 その後のグレタの活動は多くの人に知られることになり、日々注目を集める存在になりました。本の中でとても印象的だったのは、空き時間にこっそり勉強を教えてくれたグレタの先生のことばです。「私はこれまで、才能があるのに繊細すぎる少女が精神的に壊れてしまう例を、たくさん見てきました。もうたくさんです。私の方が限界なんです」と言って彼女を助けていたことでした。世の中の問題の大小にかかわらず、それを自分ゴトとして捉え発信していくことに、大人も子どもも関係ないのだということです。私たちはまず現実を知ることだと16歳の少女に教わりました。本書はそれを知る第一歩になると思います。

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よく観られたパリコレ動画 Part1 イッセイ、セリーヌのリサ、マルジェラ、ギャルソン

 2020年春夏パリコレ中に自分で撮影・掲載した55本の動画の中からアクセス数が良かった14本を2回に分けて発表します。Part1の7つは、いずれも個性が強いブランドばかり。ファッションショーは新しい服の色や形を見るだけではなくデザイナーたちの魂に触れる場でもあるから、こういった映像が支持されることは記者としても嬉しいです。ちなみに、1位の「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」の再生回数は2位以下の8倍強とダントツでした。確かに繰り返し見たくなる、非常にエモーショナルなシーンです。

空から服が降ってきた「イッセイ ミヤケ」

 「イッセイ ミヤケ」の新デザイナー、近藤悟史さんのデビューショーは成功だと私は思います。モデルが手をつないでクルクル回るフィナーレなどから、1980~90年代の「イッセイ ミヤケ」がフラッシュバックし、そこから同社における三宅一生さんの存在感の大きさを痛感します。だからと言って古く見えるわけじゃない。あの頃イッセイさんが見せていた“手をつないでひとつに”の世界観は今こそ必要なのだと思います。近藤さんの色のセンスが若々しくて◎。中でも天井から服が降りてくるこのシーンは印象的でした。

「セリーヌ」でLISAを追え!

 この弊社のソーシャルエディターの情報の取り方は私とは全然違います。隣にいても謎ですがソーシャル上で起きている波を常時キャッチしており、“〇〇のコミュニティーで、この波来ています”と教えてくれます。まさにサーファーが波をキャッチするがごとく。「セリーヌ」でも、BLACKPINKのLISAが来場することを、それこそLISAが韓国を出国する段階からキャッチしていました。会場前にもその情報をキャッチしたファンが大勢!まさに熱波がそこにある、という感じです。ぜひLISAが会場を去る時の動画でその熱狂をご確認ください。

「メゾン マルジェラ」でモード注入

 「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」は全ルックの熱量が高く、見るだけで“モード注入完了!”というテンションに。穴が開いた服だからといって、“抜け感がある”とは大違いで、むしろその逆です。モデルも前のめりで速足。特に一番後ろを歩いているハイヒールブーツをはいた彼は、一人で登場した時も凄い迫力で思わず前のめりに。情熱は人を巻き込むのです!

ギャルソンで17歳の自分に戻る

 「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」のショーでは派手な格好をした大人が世界中から集まり、“17歳の自分”に戻ったみたいな神妙な表情をしているのを見るのが好きです。パリコレはまぎれもなくビジネスの場ですし、競争の場でもありますが、この20分間だけは特別。なぜ自分がこの仕事をしているのかを再確認させてもらいます。

 川久保さんは今冬、ウィーン国立歌劇場で上映されるオペラ「オーランドー」の衣装を手掛けました。先に発表したメンズと今回のウィメンズはオペラで完成するいわば3部作の一部だとか。ちなみに、このオペラを見たさに12月に休みを取った業界関係者を私は2人知っています。

「ジュンヤ」は
トレンチコートを再構築

 “このブランドの店に行けば〇〇があるのではないか”と、特定のアイテムを想像できるブランドは強いと思います。“人とは違ったトレンチコートかデニムがほしい”と思ったら、私なら「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARCONS)」に行きます。今季もトレンチ、デニム、白いシャツ&Tシャツといったスタンダードアイテムをベースに、ウエストラインをきれいにたたんだり、プリーツを加えたり形を再構築したアイテムがそろいます。

「ヨウジヤマモト」で神田川を聴く

 最近の「ヨウジ」のショーで気になるのがBGMの一部が耀司さん自身の歌声だということ。その声は少年のように優しいです。さらに今回は「神田川」も流れました。ファッションショーのBGMに「あなたは、もう、忘れたかしら~」なんて聞いたことありません!服がエレガントなだけにそのギャップが日本人的にはツボ。ニヤニヤするな、という方が無理な話です。

人気者「マリーン セル」でemmaと朝の挨拶

 この日は一日中、「マリーン セル」の三日月プリントを着ている人を見かけて人気ぶりがうかがえました。モデルのemmaさん、元2NE1のダラさんも来場。似合っています。会場では黒のスタッフコートが気になりました。「あれが欲しい」という声、多そうです。

 自然を生かした演出の全貌を知りたくて、ライブ配信を片手にショーを見たのですが、映画のワンシーンみたいですね~。地球の環境破壊が進み地下で生き延びた種族の物語だとかで、デザイナーの妄想力とそれを具現化する力が半端ない!ショーを見て頭に浮かんだのは、「エルメス(HERMES)」+「プラダ(PRADA)」÷2という計算式です。有名ブランドの真似、という意味では決してなく、「エルメス」から受け取る自然を大切にする大らかなメッセージと、「プラダ」が得意とするユーティリティーの両方をそこに見たからです。まだ若いのに、スケールが大きいデザイナーです。

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華奢なホースビットがポイント 「グッチ」2020年春夏バッグ&シューズ

 動植物のモチーフや華やかな装飾を盛り込んだジェンダーレスなスタイルで一時代を築いたアレッサンドロ・ミケーレによる「グッチ(GUCCI)」だが、2020年春夏コレクションは一転。装飾を抑えるとともに、ランジェリーのようなディテールや深いスリットなど“いわゆるセクシーな美しさ”を取り入れたウエアを披露した。そこに合わせたアクセサリーも、金具など装飾が控えめになった19-20年秋冬シーズンからの流れを踏襲。リップスティックホルダー付きの手袋やミニバッグ、ラテックスのグローブ、レザーケース入りの扇子、乗馬用のムチなどのアクセサリーはフェティッシュなムードを醸し出すが、バッグとシューズはコーディネートに取り入れやすそうなアイテムがそろう。

 バッグとシューズ共通のポイントとなるのは、ホースビットモチーフのきゃしゃなメタルパーツだ。バッグは、20年クルーズ・コレクションでフラップ型ショルダーバッグなどがデビューした“グッチ 1955 ホースビット”シリーズに、ブガッティスタイルのハンドバッグ(3サイズ展開)やバックパック、大きなトラベルバッグが仲間入り。ハンドバッグは、スムースレザーやポルカドット柄のプリントレザー、エキゾチックスキン、キャンバスなどバリエーション豊富で、中には今季のキーメッセージである“Gucci Orgasmique”をあしらったモデルもある。また、同ショルダーバッグには、赤、緑、青のストライプ柄ベルベットでクラシックな雰囲気に仕上げたデザインが新登場。その他、“ディオニュソス”や“グッチ ズゥミ”などの既存モデルは、幾何学柄のエキゾチックスキンなどでアップデートした。

 足元は、特にかかと部分を折り込んでスリッパスタイルでも履けるポインテッドトーのシューズに注目。フラットソールでありながらデザイン性も高く、大ヒットしたファーライニングのスリッパ“プリンスタウン”に続くオシャレかつ快適なシューズとして人気を集めそうだ。また、ストラップサンダルやローファーパンプス、キューバンヒールのブーツなどにも、ホースビットがあしらわれている。スニーカーの新作は、左右で色の異なるデザインで提案。鮮やかな色のスエードやミラーのようなヒールを用いたプラットフォーム×チャンキーヒールのブーツも目を引く。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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華奢なホースビットがポイント 「グッチ」2020年春夏バッグ&シューズ

 動植物のモチーフや華やかな装飾を盛り込んだジェンダーレスなスタイルで一時代を築いたアレッサンドロ・ミケーレによる「グッチ(GUCCI)」だが、2020年春夏コレクションは一転。装飾を抑えるとともに、ランジェリーのようなディテールや深いスリットなど“いわゆるセクシーな美しさ”を取り入れたウエアを披露した。そこに合わせたアクセサリーも、金具など装飾が控えめになった19-20年秋冬シーズンからの流れを踏襲。リップスティックホルダー付きの手袋やミニバッグ、ラテックスのグローブ、レザーケース入りの扇子、乗馬用のムチなどのアクセサリーはフェティッシュなムードを醸し出すが、バッグとシューズはコーディネートに取り入れやすそうなアイテムがそろう。

 バッグとシューズ共通のポイントとなるのは、ホースビットモチーフのきゃしゃなメタルパーツだ。バッグは、20年クルーズ・コレクションでフラップ型ショルダーバッグなどがデビューした“グッチ 1955 ホースビット”シリーズに、ブガッティスタイルのハンドバッグ(3サイズ展開)やバックパック、大きなトラベルバッグが仲間入り。ハンドバッグは、スムースレザーやポルカドット柄のプリントレザー、エキゾチックスキン、キャンバスなどバリエーション豊富で、中には今季のキーメッセージである“Gucci Orgasmique”をあしらったモデルもある。また、同ショルダーバッグには、赤、緑、青のストライプ柄ベルベットでクラシックな雰囲気に仕上げたデザインが新登場。その他、“ディオニュソス”や“グッチ ズゥミ”などの既存モデルは、幾何学柄のエキゾチックスキンなどでアップデートした。

 足元は、特にかかと部分を折り込んでスリッパスタイルでも履けるポインテッドトーのシューズに注目。フラットソールでありながらデザイン性も高く、大ヒットしたファーライニングのスリッパ“プリンスタウン”に続くオシャレかつ快適なシューズとして人気を集めそうだ。また、ストラップサンダルやローファーパンプス、キューバンヒールのブーツなどにも、ホースビットがあしらわれている。スニーカーの新作は、左右で色の異なるデザインで提案。鮮やかな色のスエードやミラーのようなヒールを用いたプラットフォーム×チャンキーヒールのブーツも目を引く。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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ニュースはみんなのもの、臆せず発信し続けます ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.14『編集部年末座談会“記者魂を揺さぶったアノ話”』

読み解きポイント:「ニュースは誰のもの?」

ニュースのポイント

 「WWDジャパン」の新人記者が、2019年の締めくくりということで先輩記者16人が何を感じ、何を考えたかを知るべく、突撃座談会を敢行。「19年に記者魂を揺さぶったトッピクスは?」をテーマに1年を振り返った。「シャネル(CHANEL)」「フェンディ(FENDI)」を率いていたカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)の死去や、デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)の「ヴェトモン(VETEMENTS)」退任といったデザイナー関連のニュース、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)の「キモノ(KIMONO)」やラグジュアリーブランドの相次ぐ人種差別による炎上騒動、ヤフーによるZOZO買収や「フォーエバー21(FOREVER21)」の日本撤退といったビジネスニュースなど、さまざまな話題が19年を彩った。

Azuはこう読む!

 この連載を始めたのは7月末だったのですが、座談会で話題に上がったテーマは半分以上書いた気がします。ニュースを読んで、自分の意見を考えることを繰り返していくうちに、小さなニュース一つも「自分ならどう受け止めるだろう?他の角度だったら?」と考える癖がつくようになりました。

 例えばキム・カーダシアンによる補正下着ブランド「キモノ」が日本の着物文化を侮辱する名前だとして猛抗議を受けたあの事件。日本人だけではなく日本文化を愛する外国人までもが「それは違う!」とSNSで声をあげ、割と早い段階でブランド名変更にまで至りました。

 当時は連載をしていなかったので、「あらキム、また炎上したのね」くらいにしか思っていなかったのですが(笑)、もしあの時このネタを書くとしたら「下着って嫌なものだっけ?」と提示したでしょう。思い返すとあの騒動抱いた違和感はSNSでの極論と突発的な熱。「下着ブランドに着物の名前をつけるなんて」という声がそこそこあって、「いや、下着は悪くないだろ」と思ったり、そもそもの「さまざまな体型や肌色の女性に合わせた補正下着」という割と素晴らしいコンセプトをすっ飛ばしてボコ殴りされているのをみて、「ちょっとキムの気持ちも考えなよ……」と勝手に幼馴染の感覚になったりもしました。基本的に炎上案件を見ると、救いの道を見出したくなるのです……。

 ブランド名を「スキムス ソリューションウエア(SKIMS SOLUTIONWEAR」に改名した結果、「キモノ」時代の廃棄分など含めて損失額は1000万ドル(約10億9千万円)に登ると明かしていましたが、発売後数分で200万ドル(約2億1千8百万円)売るお化けブランドなのできっと痛くも痒くもないのでしょう。実際にサイト上で商品を見てみると、(日本ではあまりシチュエーションが想像できないものもありますが)「天才なの?その形絶妙すぎない?」というアイテムや9色5サイズというよりどりみどりのラインナップに商才を感じざるを得ません。もちろんだからと言って文化的な差別や多くの人が不快に思うことをして良いわけではありませんが。

 この連載を通して、「私はこう思うけど、みなさんはどうですか?」と投げかけてきたつもりです。正直一人でブツブツつぶやくより圧倒的に多くの方に見ていただいているので、「こんなこと言って良いのだろうか」と怖くなることもありますが、ニュースは誰かの所有物ではなく全員のものなので、臆せず思考し言葉を紡いでいきます。

 ということで2019年に魂を揺さぶったニュースは「全部!」でした。正確なニュースをいち早く届けてくれる記者の皆さま、お疲れ様でした!

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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ジェニファー・ロペスにティモシー・シャラメまで 2019年にバズったセレブのファッション12選をプレーバック

 2019年は多くのセレブたちがレッドカーペットでハイファッションを披露し、人々の注目を大きく集めるファッションのオンパレードだった。

 「ティエリー・ミュグレー(THIERRY MUGLER)」のビンテージを着用したカーディ・B(Cardi B)やキム・カーダシアン(Kim Kardashian)、そして1990~2000年代初頭の「ヴェルサーチェ(VERSACE)」のビンテージドレスとその最新版の両方を着用したエリザベス・ハーレイ(Elizabeth Hurley)やジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)など、セレブの間でのビンテージ人気は健在だ。

 ティモシー・シャラメ(Timothee Chalamet)が着用したサテンのシルバースーツやケイティ・ホームズ(Katie Holmes)のブラにカーディガンを合わせたスタイルなど、19年に注目を集めたセレブのファッションを紹介する。

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米「WWD」の2019年度ベストコスメアワードが発表 ブランド部門は「トム フォード」などが入賞

 米「WWD」のビューティ別冊「ビューティ インク(BEAUTY INC)」が毎年恒例の「ビューティ インク アワード」を発表した。ビューティ業界で今年ヒットした商品やブランド、そして活躍し た人物をたたえる賞で、日本からは「今年最も革新的だったM&A」部門で資生堂の「ドランク エレファント」買収がランクインした。ここでは、各部門のトップを飾った製品やブランドを紹介する。

商品部門(プレステージ)

 クリーンビューティをいち早くうたったプレス テージヘアケアブランド「ブリジオ(BRIGEO)」は「ビー ジェントル、ビー カインド」シリーズにココナツ やバナナなどのスーパーフルーツを配合したラインを発売し、1週間でセフォラの全カテゴリー の中でのベストセラーポジションを獲得。メイクアップアーティスト、パット・マクグラス(Pat McGrath)の新 ベースメイクは下地、ファンデーション、パウダー、ブラシをそろえ高い評価を得た。「キールズ(KIEHL'S)」 の定番クリームはパラベンやカルバミド、トリエタノールアミンを含まないフォーミュラを作るために114回の試作を経てリニューアル。「ランコム(LANCOME)」のフレグランスはエシカルな調達にこだわったローズを用い、若年層にアピール。

商品部門(マス)

 レブロン(REVLON)傘下の「オルメイ(ALMAY)」は8月に100%バイオディグレーダブル(再生可能)な繊維で作られたクレンジングシートを発売し、サステナビリティを訴求。もともと低刺激処方にこだわっていた同ブランドだが、今後は肌への優しさだけでなく環境にも配慮し、“クリーンビューティ”をうたう。マスメイク市場が苦戦する中、「アーデル(ARDELL)」の磁石式のつけまつげが大ヒット。メイクやヘアサービスを行う「グラムスクワッド(GLAMSQUAD)」はドラッグストア「CVS」と協業し、プロ仕様のヘアケア製品を平均価格7.99ドル(約870円)で提供。パリス・ヒルトン(Paris Hilton)の香水は今も年間1億ドル(約109億円)を売り上げ、04年のローンチ以来25億ドル(約2725億円)を突破。秋には25作目をローンチした。

ブランド部門(プレステージ)

 今年、スキンケアライン「トム フォード リサーチ」を導入した「トム フォード ビューティ」の売り上げは10億ドル(約1090億円)を突破したとされており、世界的なブランドランキングでは過去5年で40位も上昇するほどの飛躍を遂げている。新スキンケアラインは中国市場を意識したもの。現在中国のトラベルリテールの売り上げではアイカテゴリーで3位、フレグランスで9位、リップで1位のポジションで、今後もさらに同市場を強化する狙いだ。

ブランド部門(マス)

 “SNS”時代において最も成功したメイクアップブランドの1つに成長した「モルフィー」。ブレットマン・ロック(Bretman Rock)やジェフリー・スター(Jeffree Star)などのビューティインフルエンサーとのコラボ製品を連発し、若年層の支持を獲得。2018年の売り上げは3億5000万ドル(約381億円)ほどで、D2Cから、最近はリテールにも進出。8月には投資会社のジェネラル アトランティック(GENERAL ATLANTIC)が60 %の株式(22億ドル、約2300億円の価値)を取得。

ローンチ部門(スペシャルティー)

 「ストレンジャー・シングス」の15歳の女優、ミリー・ボビー・ブラウン(Millie Bobby Brown)がジェネレーションZ 向けにスタートしたスキンケア・メイクライン。化粧水ミストやファンデーションなどをそろえ、全てがクルエルティーフリー(動物実験を行わない)でビーガン処方。価格は10〜34ドル(約1000〜3700円)。

ローンチ部門(プレステージ)

 デザイナーがアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)になってからメイクアップラインも彼の世界観を反映してリニューアル。デビュー作の58種のリップスティックは発売1カ月で100万本以上、約3800万ドル(約41億円)を売り上げるほどの爆発的なヒットを記録。アジアのとある店舗では1日で3万3000本を販売したという。

インフルエンサー部門

 バーチャルモデルのミケイラ・ソーサ(Miquela Sosa、通称リルミケイラ LilMiquela)は今年もSNS 界で活躍。ブラジル系アメリカ人という設定で、現在 170万フォロワーを抱える。ファッションとビューティとも協業し、「パット マクグラス ラボ」のミューズにも抜擢された。

その他

小売り部門:シャネル アトリエ ボーテ

ウエルネス部門:ルルレモン(LULULEMON)「セルフケア」

ニュースメーカー部門:ナチュラ(NATURA)

ブランドビルダー部門:イラリア・レスタ(Ilaria Resta)=プロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER&GAMBLE)ビューティ北米ヘアケアバイスプレジデント

創業者部門:ミシェル・ファイファー(Michelle Pfeiffer)「ヘンリー ローズ(HENRY ROSE)」創業者

CSR部門:セフォラ(SEPHORA)

マーケティングキャンペーン部門:ダヴ(DOVE)「ダヴ ザ クラウン」

デジタル革新部門:「バイオサンス フォー クリーン アカデミー(BIOSSANCE FOR CLEAN ACADEMY)」

インディーズ部門:「コサス(KOSAS)」

M&A部門:資生堂の「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」買収

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控えめだけじゃない自然派コスメに拍手 ファッションフリークOL「WWDビューティ」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDビューティ」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.5『オーガニック・ナチュラル化粧品 20年春夏商材は機能性アイテムが拡充』

読み解きポイント:「優しさと効能、どちらも選べる未来に拍手!」

ニュースのポイント

 オーガニック・ナチュラル化粧品市場は、化粧品に対する安全・安心、サステナブルやエコなど環境を意識したライフスタイルを志向する消費者と、敏感肌を自覚する女性の増加を背景に拡大を続けている。需要拡大に伴い、一般化粧品に求められる機能性を付加した商品の訴求が強まっている。マッシュビューティーラボのオリジナルナチュラルコスメブランド「トーン(TO/ONE)」は自然由来の成分を使用したバーム状美容液を、国産のミネラルコスメブランド「MIMC」は昨年即完売した化粧下地にコントロールカラー機能を加えた新製品を発売。“機能性”や“エビデンス”による商品訴求は今後さらに広がっていくとみられる。

Azuはこう読む!

 平日はほぼフルメイクをしているので、肌への負担は心配になりつつも、次から次へと現れる魅力的な新製品の誘惑に負け、次から次へとコスメをそろえてしまいます。新しいものはすぐに試したい派なので、あれを試してこれを試して、肌を休める時間がどんどんなくなっていたことに気がついたのは最近のこと。

 肌は強い方なので、化粧品でかぶれたり赤みが出たりすることはありません。とはいえ、10代のフレッシュスキンではないので(笑)、ストレスは明らかに肌に出てしまうし、朝まで化粧をしていた日には吹き出物が日の出とともに現れます。

 そんな中で、今年からようやく肌につけるものに対する刺激について気にするようになりました。とはいえ、一気に「あれもダメ、これもダメ、オーガニックしかダメ!」としたら窮屈になってしまうので、できるところから始めることに。

 記事中にもある「MIMC」はファンデーション、アイシャドウを愛用しているのですが、「石けんで落とせる」という特徴からも分かるように、ミネラルで作られているため肌への負担を気にせず使うことができます。「今日は肌の調子が悪いからあまり負荷をかけたくないな(とはいえすっぴんではいられない)」という時に迷わず使えるので、かなり重宝しています。

 どうしてもオーガニックやナチュラルと聞くと効能が弱かったり、色も地味なイメージがあったりしますが、そこは企業努力の賜物!「MIMC」の2020年春夏は目にも鮮やかなオレンジやピンクがキーカラーだったり、自然派だからといって「地味」なんてことは決してないんです。オーガニックやナチュラル志向でも色や効能を選択できるのは素晴らしいですよね。

 今気になっている自然派ブランドは、今年日本に上陸したフランス発リップブランドの「ラ ブーシュ ルージュ(LA BOUCHE ROUGE)」。防腐剤や動物性油脂、口紅に通常使用されているマイクロプラスチックなどを一切使用していないんです。これを聞いた時に「プラスチック食べてるのか、普段」と思い、ちょっと衝撃でした。

 自分の今の選択が未来の肌を作るので、肌の声を丁寧に聞きながら肌につけるものを選びたいなと思います。その前にお菓子の量を減らすべきなんですけどね。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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コミュ力最強! アダストリア最年少取締役“世界のキタムラ”が語る上海店の展望

 12月21日に中国・上海にグランドオープンしたアダストリア「ニコアンド(NIKO AND…)」は、「オープン以来連日3万人の客が訪れている」(広報担当者)といい、オープン記念で企画したスエットトップス3000着が初日に完売した。同事業を指揮しているのが、北村嘉輝・取締役営業統括本部長だ。北村取締役は、上海店開業のために2019年6月から現地に駐在。現地で何をしているかというと、コミュニティー作りが任務の1つ。「上海市内を車で通っていたら、明らかにKOL(キー オピニオン リーダー、いわゆるインフルエンサー)が集まっているお茶の店を見付けたので引き返して訪問。オーナーと仲良くなりその場でウィーチャット(WeChat)を交換した」「仲良くなった現地セレクトショップ店主にメーカーの人を紹介してもらった」等のエピソードに事欠かず、それをコラボレーション企画につなげている。現地スタッフからは愛称“世界のキタムラ”で呼ばれているというコミュニケーション力の鬼、北村取締役に、上海店の展望を一問一答で聞いた。

――ずばり、上海店の勝算は?

北村取締役(以下、北村):初年度からしっかり利益も出していけると思っているし、ゆくゆくは東京・原宿の旗艦店よりも大きな売り上げを取れると考えている。日本のファッションブランドは中国に出尽くしていて中国発のブランドも非常に増えているが、それはアパレルだけのブランドの話。「ニコアンド」のような、雑貨も豊富なライフスタイル提案型のブランドはまだそんなに多くない。こちらではライフスタイル提案といえば「無印良品」のイメージが強いので、一等地の路面店で「ニコアンド」をまずはアピールして、現地の人に知ってもらう。上海店で取り扱っているのは約3000型で、SKUだと7万型。ほぼ雑貨だ。

――「無印良品」の他、中国の雑貨業態だと「メイソウ(MINISO)」なども膨大な店舗数だが、どう差別化していく?

北村:「ニコアンド」の雑貨は、いい意味で無駄なものが多い。遊び心のある雑貨はわれわれに強みがあると思う。準備期間に上海の雑貨屋も結構まわってみたが、いいなと思う商品は日本製だったりする。中国はEC大国。ECは一般的に目的買いが中心だが、そうではなくて、新しいものを発見する楽しさを伝えていければと思っている。

――米中貿易摩擦などを背景に、中国の景気は大幅にブレーキがかかっている。なぜこのタイミングで出店した?

北村:僕は日本の方が市況は厳しいと思っている。「今さら中国出店は遅くない?」ともよく言われるけど、そうはいっても中国のGDP成長率は6.0%前後。日本は伸びていないし、なかでもアパレル売り上げは特に厳しい。それを考えると、この時点での中国出店は決してマイナストレンドではない。

――かつて「コレクトポイント(COLLECT POINT)」業態で中国に30~40店出店していた時期もある。当時のビジネスは何が難しかった?

北村:「コレクトポイント」は中国で10年やった。直営店、代理商によるフランチャイズ含め商売がうまくいっている時期ももちろんあったが、19年9月までに全て閉めた。10年を振り返ると、スマートフォンの普及以降、直近の数年間で一気に中国経済が成長する中で、その流れに対応できていなかった。単純にモノを買うだけの店を出していたのが間違いだった。それで、「ニコアンド」上海店はワークショップを充実したり、3階にフードホールを設けるなどしている。中国は変化のスピードが速い。僕らの店も来年も同じ店のままでいいとは思っていない。どんどん変わっていかないといけない。

――中国といえば“ニューリテール”の国。「ニコアンド」では、テクノロジー×小売りに関し、どんなことに取り組む?

北村:20年の2~3月から、「ウィーチャット」上のミニプログラムを使ってのECをスタートする。これで購買行動のデータが得られるので、消費の分析はしていきたい。「Tモール」には現時点ではまだ出店予定はない。話はいただいているが、「Tモール」はブランド数が多すぎるのでとりあえず様子見だ。

――中国も人件費が上がってアパレル産業には人が集まらないと聞くが?

北村:物販で50人、飲食で30人に働いてもらっているが、集めるのは正直大変だった。各セクションのリーダーは原宿の店舗で研修もしたし、10月の愛知・名古屋のモゾ ワンダーシティ出店の際にオープニング作業も経験してもらった。以前は「中国のスタッフはすぐ辞めてしまう」「すぐ給料のいいところに転職する」と思っていた日系アパレル企業は多いと思う。ただ、当たり前のことを言うようだが、ちゃんとブランドのことを愛してもらえるようにコミュニケーションを深めていけばそんなことはないと改めて思う。

――「ニコアンド」の売上高(19年2月期)は309億円だが、「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」は408億円とさらに規模が大きい。「グローバルワーク」の海外展開の予定は?

北村:今中国などに持ってくることは考えていない。(アイデンティティーの)強いものでないと勝てない。今は勝てると思えるタイミングではない。「ニコアンド」は2店舗目以降の出店も考えていくが、まだ具体的な計画はない。売上高を作るために、安い家賃のモールに出店するという逃げを打つとブランド価値が下がる。それよりも、ECを含めて「ニコアンド」の世界を打ち出していく。

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ファッションラバーもハマる女の「サ道」Vol.3 年末復活の「サ道」を思いサウナイベントへGO

 空前のサウナブームに沸く日本列島。いまや、おじさんだけでなく若者にもサウナ文化が定着し、女性サウナーの存在もチラホラ。その背景には、タナカカツキによる伝説の漫画「サ道」のドラマ化や、「湯遊ワンダーランド」「極上! サウナめし」などが大きく影響しているのだとか。ビジネスマンからファッションラバーまで、慌ただしい日常に癒しを求めサウナに集まる人たち。人はいったいどんなきっかけでサウナにハマり、何を得るのだろうか。

 日に日に寒さが増すこの時期、サウナ愛好家はもちろん、そうでない人にとってもサウナを楽しめるベストシーズンがやってきました。ヘビーユーザーのわたしは、サウナの歴史ロマンを巡るべく、今年は東北から九州まで約50の温浴施設に足を運びました。当然のことながら、サウナーにとって何を優先順位に置くかは人それぞれ。サウナ室の温度、水風呂の水温、外気浴スペース、マナーが悪い人の有無、最終的に“ととのう”かどうか、がゴールになってきます。身体を火照らせながら己の煩悩と向き合うことが真の“サウナ道”なのだと。でも、何かひとつ物足りない……、もしかしてサウナに対するマンネリ化が原因なのではないか……。

 その悩みをあっさり解決してくれたのが、サウナーによる数々のコミュニティーでした。この1年、“サ活”を通して人見知りのわたしにも遂に新しいサウナ友達ができたのです!最近は大自然に恵まれた環境でサウナを楽しむイベントが増えており、関連企業が一挙に集結する「SAUNA FES JAPAN/サウナ フェス ジャパン」をはじめ、デザイナーや映像作家、イラストレーター、プログラマーによって結成された「TENT SAUNA PARTY/テント サウナパーティ」など、これまでとは一味違うアウトドアスタイルがブームに。開放的な空間でフレッシュな汗を流しながら、ひたすら互いのサウナ愛について語りあいます。仲間がいるだけでモチベーションが上がり、いつもは10分で燃え尽きるところ、気がつけば12分もサウナ室に!なんてことも。結果、効率よく汗を流し“ととのう”ことができたのです。

 まさに、それを体現しているのが、ドラマ「サ道」でした。特筆すべきは第10話。会社でも家庭でも居場所のない男、荒川良々演じる村田が主役の物語で、「サウナの話をする友達もいない」と嘆く彼に、はじめてサウナ友達ができた瞬間を描いたものでした。そんなサウナ界を熱くさせたドラマ「サ道」が、お茶の間に戻ってきます。12月28日(土曜日)放送予定の「年末SP 北の聖地でととのう」は、北海道・上富良野町が舞台に。原田泰造演じるナカタはどんな出会いを経て、新たな“ととのう”を得られるのでしょうか?

 番組に先駆けて12月25日まで、東京スカイツリータウン4階のスカイアリーナで、ドラマ「サ道」とコラボレーションした、ミライ型サウナエンターテインメント「SKYTREE SAUNA(スカイツリーサウナ)」が開かれました。番組同様、レギュラーメンバーの人数にあわせ、1枠3人限定の貸切・事前予約制(一組9000円)で、友達や家族と一緒に水着でサウナに入りながら、スカイツリーを目の前に極上の“ととのい”を堪能することができます。同イベントでは、テクノロジー × サウナをテーマに各パートナー企業の協力のもと、サウナの未来予想図も提案。AI水循環システムを用いた「ウォータ(WOTA)」は、98%以上を再利用できる水循環システムを導入し、アウトドアサウナをはじめ、水道インフラが困難なシチュエーションにも貢献。なんと100リットルの水で、約100人がシャワーを利用できそう。スマホ充電器サービス「チャージスポット(CHARGE SPOT)」は、温浴施設でモバイルバッテリーをレンタルし、他の施設でも返却できるというもので、サウナ巡業にピッタリなサービスです。また、クラウド型予約管理システムを提供する「テーブルチェック(TABLE CHECK)」は、オンラインで温浴施設の事前予約がスマートに。独創的な照明をプロデュースする「エアスター(AIRSTAR)」は、ライティングファニチャーを提供。フードコートではドラマに登場した、上野・サウナ北欧の「北欧カレー」を堪能することも。イベントをプロデュースした「ティーティーエヌイー」のサウナ師匠こと、秋山大輔は「未来を象徴する東京スカイツリーの下で、新しいサウナの提案・可能性を引き出したかった。あくまで3人一組というのもドラマの世界観を楽しめるキモになっている。また、最新テクノロジーを導入することでエントリー層にもサウナの多様性をアピールしたかった。サウナのエンタメ化によって女性も楽しめる空間を演出している。最終的には減少し続ける銭湯施設の貢献につながれば」と熱い想いを語ってくれました。

 サウナカルチャーはファッション業界にも既に浸透しており、東京発の人気ブランドやクリエイターが集結した期間限定イベント「ザ・サウナ テン」がつい先日開催されたばかり。第一弾となる今回は、「ノン トーキョー(NON TOKYO)」「ベンチ(BENCH)」「サウナボーイ」「ゆにいく」、「スーベニア(SAUVENIR)」の5ブランドがサウナグッズを販売。アーティストのイシバシユミによるシルクスクリーン作品の展示など、サウナをインスピレーション源にしたスペシャツなコンテンツをお披露目しました。“ととのいスポット”では記念撮影ができたり、自分の好きなサウナスポットをステッカーに書き記したマイフェイバリットサウナコーナーも常設。レセプションではサウナ飯と題して、「麺散」の出汁巻きドッグや「トゥエンティ フォー ミルクコーヒー(TWENTY FOR GOOD MILK COFFE)」のオリジナルコーヒー牛乳が振るまわれ、風呂上りの一杯を堪能すべく、腰に手を当ててグイッと飲み干す来場者も。メーンビジュアルは渋谷・改良湯で撮影したのだとか。「サウナの入り方や愛し方、表現方法は人それぞれ。ここはあくまで自由にサウナ愛を語る場所。第一弾は単純にサウナを愛している人たちと一緒に楽しい催しを提案したかった。同イベントを通してコミュニティーの輪をさらに広げていきたい。第二弾も予定している」と主催者のサウナ愛もひとしおです。

 熱い箱のなかでは、それぞれのバックグラウンドなんてどうだっていい。一人サウナ巡業を楽しむのも良いけれど、ときには誰かと語りあいたいときもある。わたしにとってサウナは、今や人見知りという心の壁をも取っ払ってくれる場所に変わりつつあります。さらに、サウナーとのコミュニティーによって新しい時代におけるインプットとアウトプットの学びを得られることも。“サウナは一日にしてならず”というのは大袈裟かもしれませんが、冬休みを利用して温泉に行くも良し、近所の銭湯でたっぷり汗を流すも良し、肉体と精神の浄化とともに2020年に向け、サウナで新しい出会いと学びのヒントを見つけてみてはいかがでしょうか?

尾竹めぐみ:ファッション・エディター、ライター。大学卒業後、ボストンへ留学。帰国後はファッション誌「オーリーガールズ」編集部で、ストリートスナップを担当。2005年からリットーミュージックが発行するファッション&クラブカルチャー誌「ルイール」で、海外アーティストの取材やセレブゴシップ特集に力を入れる。12年、INFASパブリケーションズに入社し、季刊誌「WWD マガジン」、ファッション週刊紙「WWD ジャパン」で経験を積む。現在、フリーランスとしてファッションウェブ媒体を中心にエディトリアルからライティングまでを手掛ける。趣味はネットフリックスと日本全国のスーパー銭湯めぐり

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汗をかいて素直に。だからスポーツブランドが売れている エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年8月16日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

汗をかいて素直に。だからスポーツブランドが売れている

 体を動かすのが好きで最近はほぼ毎日ジムに通っていますが、こんなに足繁く出向くようになったのは、実に単純「ジムにいる、みんながスキ」だからでもあります。飲みにも行くし、キャンプにだって行っちゃいます(異常、ですか?)。ズバッと言いますが、「あんまり表裏がなくてラク」なんです(笑)。

 この春、インクルージョンとダイバーシティーについて取材した「ルルレモン(LULULEMON)」は重要なミーティングの前、出席者は皆一緒にヨガをするそうです。理由は単純、「人は、汗をかくとウソをつかないから」。確かに、だからジムのオジさんや“おねえさん”(笑)とのお付き合いは、ラクなんだと実感します。

 「ホカ オネオネ(HOKA ONE ONE)」をはじめとするスポーツブランドの台頭は、消費者の健康志向の高まりゆえですが、突き詰めると皆、汗をかくことで手に入れられる“素直になれるコミュニケーション”を求めている気がします。もちろん仕事でも素直でありたいし(私は、だいぶ素直です。「良くも悪くも」と自覚していますがw)あるべきと思いますが、時には“駆け引き”が必要。特にインスタグラムでは“飾った自分”をアピールしたい思いは根強く、結果“SNS疲れ”なんて言葉も生まれました。そんな中、スポーツは、素直になれる。そんな人間らしい原点を求めているフシがあるように思います。

 ニューヨークの五番街は、百貨店やラグジュアリー・ブランドの撤退が相次ぎ、それに代わりに「ナイキ(NIKE)」や「アディダス(ADIDAS)」が存在感を増しています。ブームはだいぶ落ち着きましたが、だからと言ってスニーカーが売れなくなることはないでしょう。健康志向以上に、素直なコミュニケーション志向。そう考えると、スポーツブランドではなくても、消費者を魅了できるチャンスはまだまだたくさんありそうです。

 とはいえ、ジムの世界に“争い”が全くないかと言えば、そんなことはありません。特にスタジオレッスンでは、インストラクターのすぐ後ろ、この世界で「右大臣」「左大臣」と呼ばれるポジションに陣取るのは、大変なコトです。何も知らない新参者が「右大臣」「左大臣」のポジションを陣取ると、後ろから見ている僕はドキドキ・ハラハラしてしまいます(笑)。

 ファッションショーの世界も、スタジオレッスンの世界も、「一列目」を陣取るまでの道のりは、決してラクではないのです(笑)。

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伊勢丹新宿本店約40年振りの大改装 化粧品売り場のデジタル施策を市川渚が体験 前編

 三越伊勢丹は11月20日、伊勢丹新宿本店本館の化粧品フロアのリモデル第2弾として、1階化粧品売り場をグランドオープンした。“セルフプロデュース”をコンセプトに、外側から自身を美しく彩るメイクアップとフレグランスをゾーニングする。「RMK」や「シュウ ウエムラ(SYU UEMURA)」などを集める「アーティストメイクゾーン」では常駐するメイクアップアーティストによるタッチアップの様子を記録し動画として持ち帰れるサービスなど、顧客自らが“美”を追求できる施策を提案する。

 1階では化粧品売り場のグランドオープンに先駆けて10月23日にリニューアルオープンしたフレグランス売り場もオリジナリティーのあるサービスが特徴だ。売り場面積が約1.5倍になり、ゆったりとしたスペースでコンサルテーションが受けられるほか、エングレービングやラッピングサービスなどパーソナルな施策を用意している。

 今回、ファッションやデジタルの業界で活動するクリエイティブ・コンサルタントの市川渚氏に同店のデジタル施策を同売り場を体験してもらった。

 1階では、バーチャルメイクアプリ「ユーカムメイク(YOUCAM MAKEUP)」を活用した「NARS」のメイクアップサービスと日本初「ゲラン(GUERLAIN)」のフレグランスのみを取り扱う店舗「ゲラン パフューマー」の、脳波で好みの香りを診断するパーソナライゼーションサービスにフォーカスした。

 「NARS」が展開するデジタルツールを用いたメイクアップサービスは、AR(拡張現実)によるコスメのシミュレーションで、リップやファンデーションなどの質感の違いやさまざまな色味の組み合わせなども自由に試すことができるのが特徴だ。同サービスを利用した市川氏は「使用している『NARS』のリップをこのサービスで試しても、全く同じ色味で正確性に驚きました。例えば少し派手な色味のコスメを試したときには一度唇につけると、オフしても次の色を付けても色味が分かりにくい。こういったサービスはすごく便利でコスメ選びの失敗が少なくなると思います。ARの利点を生かした、コスメと相性の良いサービスだと実感しました」とコメントした。その後、メイクアップアーティストがメイクを指南、市川氏自分でメイクを施す横でアドバイス、それを動画で撮影しているので、後で市川氏の携帯に送れるというものだ。「NARS」などを集めた「アーティストメイクゾーン」では、これまでイベント時のみにいた各ブランドのメイクアップアーティストがブティックに常駐ようになったため、顧客自らが“美”を追求できる環境を強化した。

 次は、日本初の店舗「ゲラン パフューマー」では、脳波の動きで100種類以上の中から本能的に好みの香りを発見する「ゲラン」が世界で初めて導入したデジタルコンサルテーション “マインドセント”を実施する。ボトルデザインや香料など視覚的な情報や先入観に左右されずに、感情と嗅覚の揺れを読み取り、同ブランドが掲げる、自身の“象徴(シグネチャー) ”となる香りを提案する。
 
 新サービス“マインドセント”はシトラス、フローラル、オリエンタル、シプレ―の4つの香りをそれぞれ15秒ずつ試し、脳波がどう反応したかを専用のヘッドギアで読み取る。

 その後診断によっては質問に回答し、よりパーソナルな結果に導いていく。市川氏の診断結果はフローラルな香りのものだった。
 
 市川氏は「普段はフローラルなものよりもウッディーな香りを選びがち。これまで香水はブランドやストーリー、ボトルデザイン、香りなどをもとに選んでいましたが、このサービスは、自分の好みや経験などがもたらす認知の偏りを取り払い、自分の本能的な反応をベースにして商品をおすすめしてくれる。まったく新しいアプローチで香りに出合えるところがユニークですね」と興奮気味にコメントした。

 後編は、リモデル第1弾として、「IPSA」「SK-Ⅱ」など約40ブランドを導入した2階のスキンケアゾーンで、顧客自身が商品を調べることができるデジタルツールやスキンケアのコンサルテーション体験をリポートする。

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伊高級チョコレート「ヴェンキ」が銀座に出店 人気の理由は“ホンモノ”にこだわる店作り

 チョコレートの激戦区・銀座で、12日にオープンしたイタリアのチョコレート専門店「ヴェンキ(VENCHI)」の1号店がにぎわいを見せている。オープン初日は約650人、週末の15日までには約2600人が来店した。最大の特徴は、イタリアン・ライフスタイルを体現したという、細部まで凝った内装。まるでイタリアにいるような世界観の中、本場のチョコレートやジェラートをほおばれる。そんな他にはない体験価値を与えてくれる店作りが人気を呼んでいるようだ。

 1878年にイタリア・トリノで生まれた「ヴェンキ」は、創業141年の歴史を持つ老舗のチョコレートブランド。現在では世界各国に100を超える直営店を持つ、イタリアを代表するチョコレートブランドだ。小﨑正貴ヴェンキ・ジャパン社長は、「『ヴェンキ』は、本当の“イタリアン・ライフスタイル”を届けるということに重きをおいている。イタリアへ旅行に行ったような気分を味わってもらえるよう、パッケージデザインや内装に至るまで本国と同じものを採用している」と語る。


 その言葉通り、店内外の壁面には本国が手掛けたパターンが施されている。これは、18世紀イタリアの絵画技法で描いた自然物や、自社広告などのコラージュなどを重ねた一つのアート作品。遠目から見ると花・葉・鳥のモチーフなのだが、近づくと小さなスプーンで描かれていることが分かり、さらに小さなスプーンの中を覗き込むとビンテージのコサージュが見える……という見るものを楽しませる仕掛けとなっている。


 店の奥に進めば、壁面を覆いつくすかのように、カラフルなパッケージのチョコレートが陳列している。銀座店では、90種類以上のチョコレートを取りそろえ、内43種類は量り売り形式で購入が可能。キャビアのように細かいチョコをまぶしたひと口サイズの“キュボット チョキャビア”(1グラム約17円)や、ローストしたピエモンテ特産ヘーゼルナッツとカカオを組み合わせた伝統的な“ジャンドゥイオット”(同)、3層から成る四角い“クレミノ”(同)などを1粒から気軽に楽しむことができる。天然の素材を中心に作られたチョコレートはコーヒーはもちろん、アルコール類にもマッチ。伝統的なレシピと斬新なフレーバーの食べ比べも楽しそうだ。


 なお、エントランス近くにはジェラートラボもあり、ダークチョコレートの「クオール ディ カカオ」、「ピスタチオ」等のイタリアらしい16種類のフレーバーを楽しむことができる。合成香料、フルーツアロマ、着色料、添加物の使用を抑え、鮮度にこだわったジェラートは、コーンやカップにトッピングが可能。ラズベリー、チョキャビア、ヌガティーヌの中から好きなものをたっぷり添えることができる。


 また、その他にも40種類以上もの詰め合わせボックス、ココアパウダー、スプレッド等を多数ラインアップ。丹念に選ばれた天然のものを中心に作られたチョコレートは、ギフトにも最適だ。

 2020年春には直営店および、首都圏百貨店や商業施設内にショップインショップを出店。2021年以降は年に4、5店舗のペースで大都市圏への出店を計画する。日本のチョコレート市場に新たな風を起こしそうだ。

■ヴェンキ 銀座店
住所:東京都中央区銀座4-3-2
営業時間:9:00~21:00

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2019年閉店を振り返る 大手ブランドの日本撤退や苦境の百貨店

 「アメリカンイーグル(AMERICAN EAGLE)」や「フォーエバー21(FOREVER 21)」など大手海外ブランドの日本撤退が相次ぎ発表された2019年。今年は、東京・渋谷エリアの大規模都市開発による開業ラッシュで都心部は華々しくにぎわう一方で、長年地域に愛された地方・郊外百貨店が売り上げの低迷によって多く閉店した。国内企業のブランド休止や破産も目立ち、名所とされた店舗は惜しまれながらも街から姿を消している。19年に閉店あるいは閉店を発表した路面店や商業施設を、企業動向とともにあらためて振り返る。

【大手海外ブランドの日本撤退】

【苦境の百貨店やショッピングセンター】

【ブランド路面店相次ぐ】

【ブランド・事業終了】

【有名店の経営破綻】

【事業再編のため、大量閉店】

【若者に愛された名店も】

秋吉成紀(あきよしなるき):1994年生まれ。2018年1月から「WWDジャパン」でアルバイト中。

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新米男性記者のためのビューティ講座 コレクションメイク編・ビジネス視点も考えられている

コレクションメイクとトレンドメイクの違いとは

 新卒で入社して3年目、4月に「WWDビューティ」編集部に異動となり、メンズコスメを担当しています。ビューティ記者としての一歩を踏み出したものの、分からないことだらけで勉強の日々が続いているのですが、見かねたベテラン先輩記者が業界ビギナーの僕にビューティの基本を教える、そんな連載をスタートさせました。

 第4回目は、コレクションメイク編。パリやミラノなどに代表されるファッション・ウイークのコレクションでは服以外にメイクにも注目が集まります。メイクもルックの一部としてブランドのコンセプトを明確に表現する役割を果たしています。今回の講座では、10月に開催された「楽天 ファッション ウイーク東京(以下、RFWT)」でバックステージを始めて取材した後輩Kが、そもそもバックステージとは?というところから取材時に感じた疑問などを、17年秋冬シーズンからニューヨーク・ファッション・ウイークのバックステージ取材を担当している先輩記者Kに教えてもらいました。

先輩K:今年の10月に行われた「RFWT」のバックステージ取材に初めて入ったんでしょ?どうだった?

後輩K:実は「WWD ビューティ」編集部に異動する以前からコレクションのヘアメイクに関心があったので、ついに取材できたなと!多忙な1週間でしたが、学ぶことばかりですごく刺激的でした。

先輩K:バックステージにはいろいろな発見があると思う。いつも思うのは、ショーは5分ほどの短さで終わってしまうけれど、その裏側ではたくさんの人がショーの始まる何時間も前から一生懸命準備している。だいたい4~5時間ぐらい前に集合しているよね。私たちもショーの開始2~3時間前には取材に入っているし。準備を見られるのは貴重だしバックステージの魅力でもあると思う。

後輩K:デザイナーはもちろんのことヘアメイクアップアーティストやモデル、フィッター、カメラマン、ショーの運営スタッフなどたくさんの人が一つのショーの裏側で尽力していて、その熱量を最前線で感られたことが、バックステージを取材して一番貴重な経験になりました。

先輩K:あるカメラマンが始めて東コレの撮影に入ったときの話なんだけど、その一体感に圧倒されて、ショーが終わったあと「感動しました!」ってバックステージに戻ってみんなが抱き合ってお互いを称えている様子まで撮ってたよ(笑)

後輩K:僕もバックステージを取材した後にショー本番も見ましたが、拍手が止まらなくて本当に感動しました。今回の「RFWT」も多種多様なヘアメイクでしたが、誰がバックステージの指揮を執っているんですか?

先輩K:ヘア・メイク・ネイリストのそれぞれのリードアーティストって呼ばれる人がいるの。そういった役割の人たちが全体のヘアメイクを統率していて、他のアーティストにも指示をしているの。

後輩K:なるほど……。今回の東コレだと「ヨシキモノ(YOSHKIMONO)」には「ナーズ(NARS)」グローバルアーティストリーディレクターの伊藤貞文さん、「ボディソング(BODYSONG.)」では「M・A・C」シニアアーティストの池田ハリス留美子さんがリードを務めていましたね。

先輩K:そういった人たちがモデルに施しているメイクを見て、疑問に思ったことを聞きに行くのがバックステージを取材するときの必須事項。例えば「デザイナーからどんな要望があったのか?」とか「なんでリップを2種類使ってるのか?」とかね。

後輩K:海外のコレクションのバックステージだと、どういった人がリードアーティストを務めているんですか?

先輩K: いくつものメゾンブランドでリードを務めているパット・マクグラス(Pat McGrath)やダイアン・ケンダル(Diane Kendal)、グイド・パラウ(Guido Palau)などの大御所アーティストはよくバックステージで取材するよ。

後輩K:なるほど。そういったひとたちがバックステージを統率しているんですね。今回「スリュー(SREU)」では「RMK」の上荒磯(かみあらいそ)秀俊メイクアップアーティストがリードアーティストを務めていましたが、使用しているアイテムを尋ねたところまだ発売されていない製品でした。そういったことってよくあるんですか?

先輩K:コレクションショーはメイクアップブランドにとってもブランドのコンセプトを伝えられる大事な場所。先んじて発売前の製品を使用することで、実際に売り場に並ぶときにもプロモーションになるしね。ファッションショーといっても、 “売れない”ものを見せる訳ではないから、サポートするブランドもビジネスとしての視点も持ち合わせているのよ。一般でも売れるかなと考えて作っていると思う。

後輩K:ビジネス面でもコレクション自体に大事な役割があるんですね。先輩Kはショーやバックステージはどんなポイントに気をつけて見ていますか?

先輩K:まず、コレクションってあくまで服が主役だからヘアメイクは、デザイナーがどういったコンセプトで服を作って、それらを通してどういったイメージを伝えたいかというのを演出する役目だよね。バックステージを取材しているからメイクはもちろんのこと、ファッションも理解していないとトレンドを見出せない。だからバックステージ取材に行くときはルックを見ることが基本中の基本かな。バックステージって画像や映像で見るのと実際に現場で見るのとでは印象が違わなかった?

後輩K:なるほど。ショーのリハーサルや本番も出来る限り見るっておっしゃっていましたもんね。バックステージはブランドによってはゆったりした雰囲気のところもあって少し意外でした。取材に入るまでは慌ただしくバタバタしているのが当たり前と思っていたので、今回バックテージに入ってみて印象が少し変わりました。今季は比較的ナチュラルメイクのブランドが多かったようでしたが、海外でもそうなんでしょうか?

先輩K:私がこれまで東京ファッション・ウイーク(東コレ)のバックステージを取材してきて、たまに派手なヘアメイクのブランドもあるけど、基本ナチュラルメイクが多い印象かな。東京以外の都市のコレクションもナチュラルメイクの傾向だと感じていて。私が昔見ていたブランドのコレクションを久々に見直したら、モデルやメイクの雰囲気が全然違うの。みんな同じようなヘアメイクだったし、黒人モデルは今と違って、ほとんどいなかった。でも今は時代の流れもあって、ダイバーシティーの価値観が世界的に浸透してきているから、当時のようにみんなを同じメイクにする必要がなくなって、ナチュラルメイクになったのが要因かなって思う。何シーズンか前の「マイケル・コース コレクション(MICHAEL KORS COLLECTION)」のバックステージ取材に入ったときは、「メイクはしない」って言われちゃって(笑)。理由は「シミやそばかすなども個性だから」ってことだった。

後輩K:でも、ナチュラルメイクはモデルの個性が際立ちますよね。ヘアだと特に顕著に表れていて、今回の「RFWT」でも縮毛やくせ毛、髪の長さなどに無理に手を加えるのではなくモデルの個性を生かしているブランドもありました。だからこそヘアメイクを単体で見ても楽しいんだと思います。

先輩K:私がコレクションショーを見始めたのは高校生のときだったかな。当時はすごく遠い存在で、謎に包まれた華やかな世界って感じだったけど、今はショーがブランド公式サイトやSNSなどでライブ配信されていて、バックステージも見られるようになった。ヘアメイクも昔のフルメイク!派手!というよりも、今はどこか引き算していないと消費者がついてこないと思うの。昔はブランドがトレンドを生み出していたけれど、今は消費者から上がってくるトレンドも多い。そういった動きで消費者とブランドの双方からトレンドが生み出されて、みんながその輪に入れるようになっている。ナチュラルメイクがはやっている背景には一般の消費者も取り入れやすいメイクを意識していることがあると思う。

後輩K:消費者もきちんと視野に入れてビジネスとしてクリエイションを演出しているんですね。先輩Kはコレクションを見ていて、このメイクは自分にも応用できるかなと思って見ていたりしますか?赤リップや艶感のある肌、ウエットなヘアスタイルなどはかわいいなって思います。

北坂:私、今季の「アナ スイ(ANNA SUI)」と「マックスマーラ(MAX MARA)」のヘアメイクはめちゃくちゃ可愛いと思う!

後輩K:僕は昔から少し長めのヘアスタイルが好きで、女性誌のヘアカタログのページを読んだり、コレクションのヘアメイクも参考にしています。カーリーなふわふわヘアやウェットでピチッとタイトに仕上げたヘアはまねしやすいですよね。でも今回、バックステージでブいくつもランドを取材していても、どこもコンセプトがばらばらでメイクトレンドがあまり把握できなかったです……次回はメイクトレンドについても教えてください、先輩!

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通勤のお供におススメのエッセイ「男子観察録」 エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月1日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

通勤のお供におススメのエッセイ「男子観察録」

 ヤマザキマリさんのエッセイ「男子観察録」(幻冬社文庫)がおススメです。映画「テルマエ・ロマエ」の原作者であるヤマザキさんの文章は、深い知識に裏打ちされていてかつ、軽妙。その人間観察力やどんなテーマもユーモアに昇華する語り口が素晴らしく、スマホ疲れした通勤のお供にぴったりです。

 同書では古今東西の男性25人を取り上げ、その魅力を解説しています。家の近所の書店を巡回中に思わず手に取ったのは、表紙にキューバの革命家チェ・ゲバラ(Che Guevara)のイラストが載っていたから。さらに目次に十八代目中村勘三郎とスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)、サンドロ・ボッティチェリ(Sandro Botticelli)と山下達郎、加えてマルコ少年と並んでノッポさんなどの名前を確認して迷うことなく会計に向かいました。

 くしくも先週、「WWDジャパン」7月1日号を校正中に、「マルニ(MARNI)」2020年春夏メンズ・コレクションのインスピレーションがチェ・ゲバラであると知りました。赤ペンを片手に若手記者に「チェ・ゲバラって何した人かわかって校正している?」と先輩風を吹かせましたが、かくいう自分が一度もゲバラを通っておらず、「大して語れないわ」と自戒していた矢先に書店で例のベレー帽を前後ろに被ったイラストのチェ・ゲバラと目が合ったというわけです。そしてヤマザキさんが書く、「Tシャツで有名なアイコンの人」というツカみから始まり、「文章や絵や音楽と同じく、自らの思想で群衆を動かす事もいわばひとつの表現だ」と着地するゲバラ評にしごく納得したのでした。

 「マルニ」のクリエイティブ・ディレクターであるフランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)は、チューリップハットをかぶっている姿がNHK教育テレビの工作番組に登場するノッポさんに似てなくもないし、ヤマザキさんと気が合うかも。2人の対談が実現したら面白いかもしれません。  
メンズファッションのアイコンは個人的に、見るからに“イケメン”であること以上に、このエッセイに登場するような人たち、つまりバランスを崩しかねないほどに何かに熱中したり、偏っている嗜好・志向・思考を持っていたりする人が気になります。そうやってじりじりと命を燃やしている人たちからにじみ出る強さがスタイルとなり人を惹きつけると思うからです。ジェントルマンの権化みたいな英国ウィンザー公爵も、多趣味・多恋愛が独特なスタイルの礎になったと聞きます 。

 そう言えば、スティーブ・ジョブズがインスピレーション源のコレクションって見たことがないですね。ヤマザキさんの文章を通じてジョブズの魅力を再発見し、ジョブズの生き方にオマージュを捧げるコレクションを見てみたいと思いました。

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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ハイジュエリーが急成長の「ブルガリ」トップに聞く好調の理由

 創造力と知性に溢れる輝く女性たちをたたえる「ブルガリ アウローラ アワード 2019 (BVLGARI AVRORA AWARD 2019)」の表彰式が12月10日、千葉・舞浜アンフィシアターで開催された。同アワードは16年にスタートし、今年で4度目。女優の小雪や小説家の川上未映子、現代アーティストの塩田千春らが受賞した。表彰式のために来日したジャン・クリストフ・ババン(Jean Christophe Babin)=ブルガリグループ最高経営責任者(CEO)にビジネスについて話を聞いた。

WWD:「ブルガリ」のジュエリー、ウオッチ、レザーグッズの売り上げ比率と年商の前年比は?

ジャン・クリストフ・ババンCEO(以下、ババン):全体の売上高の3分2がジュエリー、残りがウオッチとアクセサリーだ。年商の前年比は2ケタに近い1ケタ増。「ブルガリ」ではジュエリー、特にハイジュエリーが急成長しており、それが他のカテゴリーを形作っている。だから、これからもジュエリーに投資をしていくつもりだ。

WWD:2019年の各カテゴリーにおける動向は?

“セルペンティ” “ディーヴァ”といったアイコン商品に加え、“フィオレヴァー”が好調。色石で知られる「ブルガリ」だが、“フィオレヴァー”はダイヤモンドを使用したクラシックなデザイン。大きなセンターストーンを取り巻く花びらはかすかに動くようになっており、ブライダルの代替品として購入されるケースもある。ウオッチでは、ウオッチとジュエリーの間のような存在だった“ブガス”を日常的に使えるデザインに進化させた“セルペンティ セドゥットーリ”が登場。日本では藤原ヒロシとのアクセサリーのコラボレーションが成功し、来年春には第2弾が登場する。

WWD:日本市場の状況は?

ババン:中国からの訪日客はもちろんのこと、日本人客の売り上げも好調。日本と中国は「ブルガリ」にとって最優先の重要な市場だ。

WWD:各カテゴリーにおける課題と戦略は?

ババン:全カテゴリーに共通することは、「ブルガリ」というブランドをさらに高めること。現代の顧客にアピールするクリエイティビティーとクラフツマンシップに裏付けされた商品はもとより、ブティックやウェブサイト上での体験を向上させる。ブティックでは、商品に秘められたストーリーやクラフツマンシップ、インスピレーションなどを伝える。若い世代は、商品がどのようにデザインされ製造されたかに高い関心があるから。ECはブランドを発見するプラットフォームであり、オンライン上でのアポイントメントなどを通して店舗へ送客する役割も果たす。店舗とECを結び付けたオムニチャネルのショッピング体験を提供する。22年には東京にも「ブルガリ ホテル」ができるが、ホテルを通してユニークな体験を提供する。ホテルは、ロビーやレストラン、客室、サービスなどあらゆるエモーションに訴えかける要素を持っている。ある意味、各国における「ブルガリ」の大使館的な役割を果たすものだ。

WWD:独自でハイジュエリーの発表を行っているが、その効果は?

ババン:以前は多くのジュエラーが「パリ・アンティーク・ビエンナーレ(LA BIENNALE PARIS)」で新作を発表していたが、今はどのブランドも出展していない。それが効果的だと思わないからだ。多くのブランドの中の一つとして新作発表するよりは、「ブルガリ」単独でイベントを開催する方が好ましい。われわれ独自で開催するイベントで数日間顧客と友好的な時間を過ごすことで、、商業的な意味を超えた親密な関係を築くことができる。ハイジュエリーの販売には時間がかかる。まず、顧客との信頼関係を築き、年々それを深めていくことが重要だ。われわれにとってハイジュエリーは急速に成長しているビジネスだ。「ブルガリ」は、ジェットセットや社交界の人々に支持されるイタリアの“甘い生活”を象徴するブランド。イベントでは、新旧の顧客の交流も生まれる。もちろん各国でハイジュエリーのイベントを開催し、日本では百貨店の外商と組んで販売をしている。

WWD:日本企画でアクセサリーのコラボレーションを行ったがその成果は?

ババン:日本では特に、日本人のアーティストなど地域性が反映されたコラボレーションの人気が高く好調だ。日本国内限定ということで、欧米からの訪日客による購入も見られる。他の市場からもコラボレーションをしてほしいという声がある。

WWD:各カテゴリーの売れ筋アイテムと中心価格帯は?

ババン:アクセサリーは“セルペンティ”バッグが人気で、中心価格帯は2000ユーロ(24万2000円)程度。ジュエリーは、“ディーヴァ”“セルペンティ”“フィオレヴァー”と“ビー・ゼロワン”で3000ユーロ(36万3000円)程度。今年誕生20周年だった“ビー・ゼロワン”の売り上げが絶好調だった。ウオッチは“ブルガリブルガリ”や“セルペンティ”。メンズでは“オクト”が好調で、ウオッチの中心価格は8000ユーロ(96万8000円)程度。

WWD:LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(MOET HENNESY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の傘下に「ティファニー(TIFFANY&CO.)」が入るが、それに対する見解は?

ババン:「ティファニー」はアメリカのラグジュアリーブランドでブライダルが強い。「ブルガリ」は色石が強く、特にアジア市場で人気が高い。2つともメジャーなジュエラーだが、顧客が異なるので競合にはならない。LVMHにとっては、イタリアの「ブルガリ」、フランスの「ショーメ(CHAUMET)」などにアメリカの「ティファニー」が加わることでブランドのポートフォリオが強化されるはずだ。

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年末年始の新作まとめ 「ディオール」の新リップ「ディオール アディクト リップ グロウ オイル」など(12月27日〜1月9日)

 「WWD JAPAN.com」が2019-20年の年末年始発売の新商品を「ビューティ」「ファッション」「スニーカー」別にまとめてお届け。「ビューティ部門」では読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今回は「ディオール(DIOR)」からティントタイプの新リップ「ディオール アディクト リップ グロウ オイル」が最も注目された。

【ビューティ部門】


【ファッション部門】


【スニーカー部門】

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SNSで「ベストコスメ」についてアンケート調査 支持を集めるのは消費者の声!?

 美容ジャーナリストや美容誌・女性誌の編集長、エディター、ライター、メイクアップアーティスト、百貨店バイヤーなど総勢54人の協力を得て行った、恒例企画の「WWDビューティ」の「ベストコスメ」。「WWD ビューティ」では「WWD」の公式インスタグラム・ツイッターでフォロワーの方にベストコスメについて意識調査を実施した。

 「美容メディアの『ベストコスメ』を参考にして商品を購入したことはありますか?」という質問にインスタグラムとツイッターで約6割のユーザーが「ある」と回答し、「ベストコスメ」が今だも影響力を持っていることが分かった。参考にする人の意見として「美容の専門家が選ぶ製品だから信用できる」「大勢の人が評価する製品だから買って失敗するリスクが少ない」など「ベストコスメ」に対する信頼の声が目立った。

 またインスタグラムで行った、「『ベストコスメ』マークを店頭で見て購入したことがありますか?」という問いでは、「ある」と答えたユーザーは4割となった。店頭で購入に至らない理由として、「他人のベストが自分にとって最良とは限らない」「敏感肌のため自分に合うか分からない」「『ベストコスメ』というだけでは購入する理由にならない」という意見が挙がった。事前の下調べとして各誌・メディアの「ベストコスメ」を利用しているユーザーが多いのではないだろうか。

 次に「どの『ベストコスメ』を参考にしたことがありますか?」という問いには、美容3誌を上回ってユーザーが参考にしたのが、アイスタイルが運営するコスメ・美容の総合サイト「アットコスメ(@COSME)」だった。美容業界関係者が選出する他メディアとは異なり、一般ユーザーも多く利用する同サイトの口コミをもとにした「アットコスメ」の「ベストコスメ」は、消費者のよりリアルな声が製品に対する親和性や信頼につながっているのではないだろうか。

 続いて「『ベストコスメ』を参考にしてがっかりした経験はありますか?」という問いには、63%のユーザーが「ある」と回答。多数の美容のプロの評価をもとに「ベストコスメ」に選出された商品でも、実際に使用してみて“がっかり”したことがあるという回答が半数以上だった。また「リピート買いしたいと思いますか?」という問いには「いいえ」と答えたユーザーは約7割に上った。

 スキンケアやメイクアップ製品などは実際に肌に使ってみないと効果や使用感は分からないものだが、一方で「ベストコスメ」を参考にする層も一定数いることが今回のアンケート結果からあらためて明らかになった。コスメはブランドによって代表的なアイテムも違い、選択肢も多数あることから美容のプロが選出する「ベストコスメ」は購入する際の指標になっているようだ。

 一方でSNSでは製品の紹介や使用感を発信する“美容アカウント”と呼ばれる、個人アカウントが多く存在する。それらのアカウントのフォロワーは情報や口コミを参考にする程度で、それぞれが自身に合ったコスメを試した上で、判断して購入しているのではないだろうか。「ベストコスメ」に限らず、大多数の意見が自分に当てはまらないことはままあること。特にコスメともなれば、たとえ1位に選ばれた製品でも、肌質によって合わないものもあれば、メーカーがうたう発色や質感がしっくりこず、今回のアンケートのように「がっかり」することもあるだろう。肌質も価値観も人それぞであり、商品の評価も異なるはず。今後大事になってくるのは、「何が人気なのか」ではなく、「何が自分に合っているか」を知るすべなのではないだろうか。

 なお、美容ジャーナリストや美容誌編集長などが選出した19年下半期(7~12月)発売製品の全18部門ベストコスメは、「WWDビューティ」2019年12月26&20年1月2日合併号をチェック!

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「ストリートウエアに未来はない」 ヴァージル・アブローが「デイズド」に語る

 ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)は、英雑誌「デイズド(DAZED)」が近年のトッププレーヤーを特集するシリーズのインタビューで、「ストリートウエアはこの先10年のうちに廃れる」と予測し、今後は「消費者がファッションの知識や個人のスタイルをビンテージで表現するとても素晴らしい状態になっていくだろう」と語った。

 アブローはインタビューで、「思うに、いったいどれだけのTシャツ、パーカ、スニーカーを身につけられるというのか。ビンテージショップにはクールな洋服が山ほどあるのだから、ただそれを着ればいい。これからは新しいものを買うよりも、そういう流れが強くなっていくと思う。ちょっと、自分のアーカイブをチェックするよ、みたいな感じになるだろう」とコメントしている。

 しかし、アブローのこのインタビューはストリートウエア界で大きな反感を買った。

 「ブロークン プロミシーズ(BROKEN PROMISES)」のデザイナーのマンディ・ベンス(Mandee Bence)は、「ストリートウエアがハイファッションの新たな分野として認識されたのはアブローの影響によるところも大きい。今はラグジュアリーと言えばスニーカーにTシャツだというのに。アブローの発言は、偉大なラッパーが『ヒップホップは死んだ。今後は違う音楽を作る』と言うのと同じこと。アブローは先へ行き過ぎて何かを見失っただけだ」とコメントした。

 カッパ ノース アメリカ(KAPPA NORTH AMERICA)のドレ・ヘイズ(Dre Hayes)社長は、「ヴァージルの興味深い考えをリスペクトしているけど、ストリートウエアに未来はないという彼の発言には同意できない。人びとはパーカやTシャツ、スニーカーを着用することをやめはしない。しかも、ストリートウエアはすでにビンテージ化している。スニーカーと衣類のリセール市場はストリートウエアにとってなくてはならない部分だ。人びとはすでに毎日アーカイブから選んで服を着ているよ」とコメントした。

 11月に開催された「コンプレックスコン(Complex Con)」で行われた“ストリートウエアの未来”についてのパネルディスカッションには、デザイナーのドン・C(Don C)やエブ・ブラバド(Ev Bravado)などアブローに近いメンバーが多数参加していたが、誰一人としてストリートウエアが廃れるとは考えていない。

 「ダイヤモンド サプライ カンパニー(DIAMOND SUPPLY CO.)」創業者のニック・ダイヤモンド(Nick Diamond)は、「ハイファッション界におけるストリートウエアのコンセプトは、ラグジュアリー志向の消費者とブランドの中でのトレンドにすぎないから、人気が衰えていくのは分かる。彼の考えは、ビンテージの素晴らしさだけでなく環境保護の観点からも評価したい。衣服の製造量が減ることは地球環境にとってよいこと。しかし、ストリートウエアやスケーターファッションはブランドやデザイナーが独創性を発揮できる分野でもあるし、価格もまだ手頃だ。Tシャツ、パーカ、スニーカーなどのスケーターファッションがなくなることはない。ストリート出身の若くて独創性のある新しいデザイナーが存在する限り、ストリートウエアが廃れることはない」と話した。

 「BTFL」創業者兼デザイナーのアリハンドロ・ロドリゲス(Alejandro Rodriguez)も、「注目すべきは1980~90年代のアイテムが現在ビンテージ品として認識されていること、そして今の若者はそのビンテージ品を当時の映画やアーティストと関連付けて身近に感じているということだ。だから、ビンテージ品は確実に多くの注目を集めるだろう。しかし、ファッション界でストリートウエアのカテゴリーはすでに確立されているから、消え去ることはないだろう」と語っている。

 アブローはインタビューの中で2009年ごろの出来事を振り返り、「当時、記者はあのようなデザインをただ“ストリートウエア”とだけカテゴライズした。デザイナーとしての私は、今の時代に存在するどうすることもできない用語に直面している。フラストレーションを感じた経験から、もし“ストリートウエア”が時代の流れであるならば、それに定義付けされるのではなく、自分が定義付けしてやろうと決めたのだ。“ストリートウエア”とは何であるかを示すためにショーをしなければならない、しかも急いで。分かるだろう?」と語っている。

 しかし、アブローは一人でストリートウエアを確立したわけではない。「パーム エンジェルス(PALM ANGELS)」や「ヘロン・プレストン(HERON PRESTON)」など、ブランドやデザイナーたちの尽力によるところも大きいし、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」と「シュプリーム(SUPREME)」のコラボなどの影響も確実に存在する。事実、18年の「CFDAアワード(CFDA Awards)」では「シュプリーム」創業者のジェームス・ジェビア(James Jebbia)がメンズウエアのデザイナー・オブ・ザ・イヤーに選出されている。

 アブローには、ストリートウエアの発展に貢献し、メンズウエアを席巻してきた功績がある。しかしまだ終わりではないはずだ。アブローは12月18日、「ルイ・ヴィトン」の2020年カプセル・コレクションのパートナーとして、「ア ベイシング エイプ(R)(A BATHING APE(R))」と「ヒューマン メイド(HUMAN MADE)」を手掛けるNIGO(R)とのコラボレーションを発表したばかりだ。

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動画:WWDJAPAN ENGLISH Vol.2 「艶」!?「ヨレ」??肌状態を英語で言おう

 「WWDJAPAN ENGLISH」は、世界に羽ばたきたい業界人に向けた英会話番組です。「WWD JAPAN.com」にアップした記事をRIZAP ENGLISH(https://www.rizap-english.jp/)に英訳していただき、そこから「こんなコトが英語で言えたら!!」「あの時、フレーズが浮かばなかった!!」という、業界人なら誰もが知りたいワンポイント英語を学びます。2回目は、日本語メインの初級編。「シャネル(CHANEL)」の華やかなホリデーコスメの記事から、メイクや肌状態の表現を学びます。動画の下には、番組中に読み上げた英語を掲載します。

Chanel’s Holiday Collection

Chanel’s 2019 holiday collection is inspired by Gabrielle Chanel’s love for ornaments, with the rich colors and lacquered gold of the ornaments displayed in her own apartment. The collection, to be released November 1st, consists of a total of eight products including new lipstick shades and eyeshadow palettes.

An exclusive eyeshadow palette and a single-shade eyeshadow will be released, both embossed with an ornamental motif inspired by a vintage Chanel button. The limited-edition palette features four rich shades: dark khaki, soft peach, bronze khaki and chocolate, while the single-shade eye shadow is available in two limited-edition colors.

The exclusive highlighter “Ecla Mane de Du Chanel” creates a brilliant, lit-from-within glow as well as adding a three-dimensional effect. The limited-edition nail polish comes in two colors: deep green and brownish red.

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リカルド・ティッシやカニエ・ウェストとも働いたバッグデザイナー、ヤス・ミチノが語るパリで成功を手にするまでの道

 インターネットやテクノロジーが発達し、仕事やライフスタイルへの意識が変わりゆく中、働き方は多様化している。働く場所だって、必ずしも日本というわけではなく海外を拠点に選ぶ人もいる。大切なのは、一度きりの自分の人生をどう生きたいかということ。もちろん自身の揺るぎない意思や目標にたどり着くための努力、自分の考えを表現する語学力などは必要だが、可能性は世界に広がっている。ここでは、ヨーロッパに身を置き、自身のブランドを手掛けている日本人デザイナーをピックアップ。その場所を選んだ理由から、海外をベースにする魅力や難しさまでを探る。

 第3回に取り上げるのは、フランス・パリでバッグブランド「ミチノ(MICHINO)」を手掛けるヤス・ミチノ(Yasu Michino)=デザイナー。自身のブランドだけでなく、フリーランスで数々のメゾンのバッグ制作にも携わる彼に、国際的な感覚を培った背景やバッグデザイナーになった理由、今後の展望などを聞いた。

−国際的な感覚をお持ちですが、どんな環境で生まれ育ったのですか?

ヤス・ミチノ「ミチノ 」デザイナー(以下、ミチノ):生まれは東京ですが、9カ月の時に父の仕事の関係で中国に引っ越しました。その後、3歳から6歳までは日本、6歳から11歳までは再び中国で過ごしました。そして、今度は香港に移り3年間生活。アメリカの学校に進学するために渡米して、大学卒業までニューヨークにいました。

−いろいろな国や環境の中で育ったんですね。その中で印象深い思い出はありますか?

ミチノ:最近仕事で中国に行った時に、幼少期に中国で暮らしていたことは自分に大きく影響していたと改めて実感しました。というのも、僕が暮らしていたのは1980年代。ブランド品はもちろん、輸入品さえほぼない時代でした。そして8歳の時に、家族旅行で初めてパリに行き、色にあふれた環境やその美しさに憧れを抱きました。日本やアメリカからパリに行ったら、そこまで違いを感じなかったかもしれないですが、当時の自分には全くの別世界で。その格差にショックを受けたんですよね。だから、小さい頃に閉鎖された環境にいたということは、今の自分のエネルギーというかハングリー精神につながっていると思います。そして、パリでデザイン性の高いものに触れ、いい生活には美しいデザインが必要だなと感じました。もう一つは、香港での生活です。当時の香港は、僕からするとブランドもデパートも全てがそろっている大都会。そこで、ファッションの商業的な面により興味を持つようになりました。

−なるほど。それがデザイナーを目指す原点にもなったんですね。ファッションデザインの勉強はニューヨークで?

ミチノ:いいえ。通っていたニューヨーク大学では、美術史とフランス文学を専攻していました。その当時からデザイナーになる夢もパリに行きたいという思いもあったので、そのためになりそうなことを学んでいました。そして、通常4年間かかるところを3年間で卒業。パリに渡り、スタジオ・ベルソー(Studio Bercot)でファッションデザインを専門的に学びました。

­−数ある学校の中でスタジオ・ベルソーを選んだ理由は?

ミチノ:すでに大学を卒業していたので、ファッション業界で長年の経験がある人のもとで自由に学びたいと考えました。校長であるマリー・ルキー(Marie Ruckie)さんは、クチュールの時代からプレタポルテへの移り変わりまでを知るファッションの生き字引のような人。彼女との出会いは、自分にとってかけがえのないものとなりました。アメリカから来てファッションのことを何も分かっていなかった僕に彼女が教えてくれたのは、いわばファッションのメンタリティー。具体的には、彼女の考え方や哲学、ファッションの見方を学びました。特にパリのファッション業界では仕組みや感覚などが分かっていなければメゾンで働くのは難しい。働き始めてから教わったことが生かされていると実感しましたね。

−例えば、どんなことですか?

ミチノ :ベルソーは学校ではあるけれど、メゾンのやり方を実践しているようなところなんです。言うなれば、ルキーさんは先生ではなくメゾンを率いるアーティスティック・ディレクターで、生徒はデザインチームのメンバー。提出したデザインに対して彼女が良し悪しを言うのですが、同じデザインでも見せる日によって評価や言っていることが全然違うんですよね。その中で理解したのは、自分のデザインに対する信念や価値観をしっかり持つのが大事だということ。実際、メゾンでもよく起こることなので、ベルソーで慣れていた分、スムーズに働き始めることができました。

偶然の巡り合わせでバッグデザイナーの道へ

−ファッションの中でも
バッグデザイナーを志したきっかけは?

ミチノ :ベルソーでは、2週間ごとにウィメンズとメンズのウエアからバッグやシューズ、ランジェリーまでいろいろなプロジェクトに取り組んでいましたが、もともとバッグデザイナーを目指していたわけではありませんでした。最初のきっかけになったのは、「ソニア リキエル(SONIA RYKIEL)」でのスタージュ(インターンシップ)。初日に行ったら、ウィメンズウエア部門で研修するはずが急きょ変更になり、バッグ部門に配属されちゃって。特にこだわりがあったわけではなかったし、やってみたら評価されたので、自信が湧いてきました。その後は「ジバンシィ(GIVENCHY)」でスタージュをしたのですが、当時はちょうどリカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)のアーティスティック・ディレクター就任直後。チームにバッグ専門のデザイナーがいなかったので、スタージュ生でありながら、リカルドと一緒にレザーグッズのデザインをさせてもらいました。工場に行ったり、素材を選んだり、普通ならあり得ない経験だったと思いますし、本当に恵まれていましたね。ただ、学生ビザから就労ビザに切り替える必要があり、早く自立もしたかったので迷っている暇はなく、募集があった「イヴ サンローラン」のジュニアバッグデザイナーとして就職しました。僕は物事を割り切って考えるプラグマチックな性格。その時にある選択肢の中で自分のやるべきことを選ぶので、そういう巡り合わせでバッグデザイナーになりました。結果的に、そんな性格はデザイン性だけでなく実用的であることを求められるバッグに合っていたと思います。

−その後、さまざまなブランドでキャリアを磨いていくんですね。

ミチノ:「イヴ サンローラン」で1年働いた後、「ジバンシィ」からオファーがあり、戻ることにしました。当時、バッグはウィメンズ、メンズ、クチュールに加え、アジア向けのライセンスもやっていて。やることは山積みでしたが楽しくて、仕事に没頭していましたね。勤めていた5年間、イタリア、フランス、スペイン、中国などいろいろな国の工場に行くことも多く、そこでモノ作りの知識やノウハウを培いました。そして、「ジバンシィ」を辞めた後、2012年にカニエ・ウェスト(Kanye West)から声を掛けられ、彼のプロジェクトに携わるのを機にフリーランスデザイナーになることに。最初のプロジェクトは、3カ月という限られた期間で50個のバッグのデザインから製作までを一人で手掛けました。結果、カニエにも喜んでもらえましたし、フリーランスでやっていく自信につながりました。それからカニエとは「イージー(YEEZY)」も含め5年ほど一緒に仕事をしてきたのですが、それと同時に「デルヴォー(DELVAUX)」や「ニナ リッチ(NINA RICCI)」など他のブランドの仕事も受け始め、自分の会社の設立準備も進めていきました。

パリを拠点にしている理由

−そして、14年に自身のブランド「ミチノ」を設立したと。パリを拠点に選んだ理由は?

ミチノ:パリで学び、すでにパリでキャリアを積んでいたので、自分にとってはここを拠点にするのが自然なことでした。仕事面でも、パリにはフリーランスで働けるクライアントがたくさんあるし、多くのバッグ工場があるイタリアにも近い。このアドバンテージは大きいですね。そして、パリは建築などに一貫性があり、ハーモニーを感じる街。世界を代表する美術館が多く、イベントも常に行われているので、さまざまなインスピレーションを得ることができます。

−自分のブランドとフリーランスの仕事を両立させる上で難しいところは?

ミチノ:難しいのは、タイム・マネジメント。フリーランスの仕事は、ブランドによってコレクションのペースも違うし、毎日オフィスに行くわけではないので、自分で計画的にきちんと進めていくことが重要です。

−逆に良かったと感じることはありますか?

ミチノ:自分のブランドはまだ小さく、幅広いスタイルを提案すると軸がぶれてしまうので、フォーカスする必要があります。なのでフリーランスの仕事を通して、デザイナーとしての自分が持つ他の引き出しや側面を表現することができるのは、良いところです。そして、他のブランドで働くことによって、それぞれのブランドが持つ異なる価値観から自分のやっていることを客観視できるというのもメリットですね。

−「ミチノ」は徐々に国内外での販路やメディア露出を増やしていますが、今後の目標は?

ミチノ :「ミチノ」は、僕にとってパーソナルなブランド。なので、今まで自分が生きてきた日本、中国、アメリカ、フランスで成功したいという気持ちがあります。それは、その国で暮らして現地の人と接してきたからこそ生まれるデザインだと思っているから。そして、時代に適したものを作りながら、自分を表現していきたいと考えています。

−では、フリーランスのデザイナーとして目指していることや、今後一緒に仕事をしてみたいブランドはありますか?

ミチノ :フリーランスとして目指しているのは、クライアントがハッピーであることと、自分のデザインしたものが多くの人から支持してもらえること。一緒に仕事をしたいのは、「モワナ(MOYNAT)」と「ユニクロ(UNIQLO)」です。「モワナ」はレザーを使ったモノ作りへの情熱が素晴らしいし、「ユニクロ」はバッグのカテゴリーを確立できるポテンシャルがあると思うので、そういうところで自分の強みを生かしたバッグを作れたらいいなと思っています。また、今はメゾンのデザインチームの一員として名前を出さずに働いていますが、将来的には自分のブランドを手掛けつつ、バッグブランドのクリエイティブ・ディレクターとしても働きたいです。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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想像の楽しさを教えてくれる「刺繍小説」という新しいジャンル

 これは小説なのか、それとも刺しゅうを教えてくれる本なのか。「刺繍小説」という言葉の羅列を見るだけでは判然としないだろう。「想像する楽しさを伝えたいんです」と話す、著者で美術家の神尾茉利さんが仕掛ける“遊び”は本を開く前の表紙から始まっている。

 「『刺繍小説』という一つのジャンルをつくりたくて」とタイトルに込めた思いを打ち明ける神尾さんに、本書が完成するまでの背景について話を聞いた。

 序章から終章まで駆け抜けるように進む物語は、現実と想像の世界を行ったり来たりする。「刺繍小説とは、刺繍描写のある小説のこと」と冒頭に記されている通り、神尾さんが読み親しんだ小説の中にある刺しゅうのシーンを抜粋し、実際に図案化して制作し、その写真とともに制作中に感じた思いをテキストとして添えるという、ブックガイドとしても楽しめる内容だ。「あのシーン」と題した第2章では、刺しゅう描写はないものの、その物語の余白に神尾さんが「あったかもしれない」と想像して刺しゅうを施したブラウスやワンピースなど9つの作品を紹介する。どのようにして構成を決めていったのだろうか。

 「一般的な手芸本とは違い、刺しゅうをしない人が読んでも楽しめるような本にしたいと思っていて、刺しゅうと何かを掛け合わせた内容にできないかというところから始まりました。編集者さんとそんな話をしているときに、刺しゅうが登場する小説はないだろうかとふと思ったんです」。

 料理や編み物のシーンが描かれるものは浮かんだものの、刺しゅうが登場する小説の記憶はなかったという。しかし探し始めると次々と見つかり、その小説内の描写から想像して刺しゅうを施したものが第1章で紹介されている。制作を続けるうちに先述した第2章「あのシーン」のアイデアが浮かび、まずは作品を全て仕上げた。その後、本書のアートディレクションを手掛けた柿木原政広さんに「作品はできているのですが、どのようにして本にしていくべきか分からないので協力してもらえませんか?」と相談した。

 「手芸本によくあるような事例の反対のことをしていきたいという思いがありました」と神尾さんが話す通り、刺しゅうの図案ページにも神尾さんらしさが光る。いわゆる実用本だと、まず刺しゅうの方法を分かりやすく説明していく。しかし本書は、まるでそばにいて優しく教えてくれる友人のような語り口だ。「刺繍糸売場へ足を運んでみてはいかがでしょう」と誘いかけてくれ、「ザクザク刺すだけで意外と様になるのは、刺繍する人の『表現』が真っ直ぐに表れるからかもしれません」と背中を押してくれる。そして、かける音楽やつまめる甘いものもあるとベターだと、刺しゅう環境を整えることの提案まである。イラストのみで説明としては不十分なものもあるが、それは作り手が自由に楽しめるようにという配慮なのだと思う。

 「柿木原さんともう一人、デザイナーとして渡部沙織さんも加わり、みんなで会話を何度も重ねながら作品がどんどん本として形になっていきました」。

 写真は柿木原さんの紹介で、神尾さんと同世代でもあるナオミサーカスさんが担当。ナオミさんは全ての小説を読んでから撮影に臨み、撮影場所やアングル、雰囲気などを自ら提案してくれたという。「全員がいなければこの形にはなりませんでした。約3年をかけて一つのチームで本を制作していった感じです」。

 今までとは違う本の作り方だったからこそ、デザイナーの熱意をより強く感じられたのだという。「最初はできないだろうと思っていた、全体の流れを持たせる構成ができることに途中で気づき、それには細かな文章が必要だと思ったんです」と振り返り、刺繍小説に出合ったときのことをつづり、足していった。その出合いの衝動が短い文章に見事に収まっている。一冊の本を読んで感じることは、読む人の数だけあるだろう。「きっとみんな、聞いてみたら自分なりの変わった本の読み方をしていると思うんですよね。私が“刺繍”を意識していなかったら読み流していたのと同じだと思います。そんな風に読み方を提案する本でもあるのかなと」。

 本を読む楽しさとは、想像の世界を広げることだと神尾さんは教えてくれる。「想像するときは、誰にも何も言われない自分だけの世界。それってすごいことだと思うんです。私は今回『刺繍小説』を提案しましたが、別の『○○小説』が生まれていったらいいなと思っています。自分なりの読み方をみんなでシェアするようなイベントもやってみたいですね」と話す神尾さんの想像は、こうしてどんどんその先に広がっていく。それは本があるからこそ、広がっていく世界なのだと思う。

高山かおり(たかやま・かおり):独断と偏見で選ぶ国内外のマニアックな雑誌に特化したオンラインストア、「マガジンイズントデッド(Magazine isn’t dead. )」主宰。ライター、編集者としても活動している。北海道生まれ。北海道ドレスメーカー学院卒業後、セレクトショップの「アクアガール(AQUAGIRL)」で販売員として勤務。在職中にルミネストシルバー賞を受賞。その後4歳からの雑誌好きが高じて都内の書店へ転職し、6年間雑誌担当を務める。18年3月に退社、現在に至る

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想像の楽しさを教えてくれる「刺繍小説」という新しいジャンル

 これは小説なのか、それとも刺しゅうを教えてくれる本なのか。「刺繍小説」という言葉の羅列を見るだけでは判然としないだろう。「想像する楽しさを伝えたいんです」と話す、著者で美術家の神尾茉利さんが仕掛ける“遊び”は本を開く前の表紙から始まっている。

 「『刺繍小説』という一つのジャンルをつくりたくて」とタイトルに込めた思いを打ち明ける神尾さんに、本書が完成するまでの背景について話を聞いた。

 序章から終章まで駆け抜けるように進む物語は、現実と想像の世界を行ったり来たりする。「刺繍小説とは、刺繍描写のある小説のこと」と冒頭に記されている通り、神尾さんが読み親しんだ小説の中にある刺しゅうのシーンを抜粋し、実際に図案化して制作し、その写真とともに制作中に感じた思いをテキストとして添えるという、ブックガイドとしても楽しめる内容だ。「あのシーン」と題した第2章では、刺しゅう描写はないものの、その物語の余白に神尾さんが「あったかもしれない」と想像して刺しゅうを施したブラウスやワンピースなど9つの作品を紹介する。どのようにして構成を決めていったのだろうか。

 「一般的な手芸本とは違い、刺しゅうをしない人が読んでも楽しめるような本にしたいと思っていて、刺しゅうと何かを掛け合わせた内容にできないかというところから始まりました。編集者さんとそんな話をしているときに、刺しゅうが登場する小説はないだろうかとふと思ったんです」。

 料理や編み物のシーンが描かれるものは浮かんだものの、刺しゅうが登場する小説の記憶はなかったという。しかし探し始めると次々と見つかり、その小説内の描写から想像して刺しゅうを施したものが第1章で紹介されている。制作を続けるうちに先述した第2章「あのシーン」のアイデアが浮かび、まずは作品を全て仕上げた。その後、本書のアートディレクションを手掛けた柿木原政広さんに「作品はできているのですが、どのようにして本にしていくべきか分からないので協力してもらえませんか?」と相談した。

 「手芸本によくあるような事例の反対のことをしていきたいという思いがありました」と神尾さんが話す通り、刺しゅうの図案ページにも神尾さんらしさが光る。いわゆる実用本だと、まず刺しゅうの方法を分かりやすく説明していく。しかし本書は、まるでそばにいて優しく教えてくれる友人のような語り口だ。「刺繍糸売場へ足を運んでみてはいかがでしょう」と誘いかけてくれ、「ザクザク刺すだけで意外と様になるのは、刺繍する人の『表現』が真っ直ぐに表れるからかもしれません」と背中を押してくれる。そして、かける音楽やつまめる甘いものもあるとベターだと、刺しゅう環境を整えることの提案まである。イラストのみで説明としては不十分なものもあるが、それは作り手が自由に楽しめるようにという配慮なのだと思う。

 「柿木原さんともう一人、デザイナーとして渡部沙織さんも加わり、みんなで会話を何度も重ねながら作品がどんどん本として形になっていきました」。

 写真は柿木原さんの紹介で、神尾さんと同世代でもあるナオミサーカスさんが担当。ナオミさんは全ての小説を読んでから撮影に臨み、撮影場所やアングル、雰囲気などを自ら提案してくれたという。「全員がいなければこの形にはなりませんでした。約3年をかけて一つのチームで本を制作していった感じです」。

 今までとは違う本の作り方だったからこそ、デザイナーの熱意をより強く感じられたのだという。「最初はできないだろうと思っていた、全体の流れを持たせる構成ができることに途中で気づき、それには細かな文章が必要だと思ったんです」と振り返り、刺繍小説に出合ったときのことをつづり、足していった。その出合いの衝動が短い文章に見事に収まっている。一冊の本を読んで感じることは、読む人の数だけあるだろう。「きっとみんな、聞いてみたら自分なりの変わった本の読み方をしていると思うんですよね。私が“刺繍”を意識していなかったら読み流していたのと同じだと思います。そんな風に読み方を提案する本でもあるのかなと」。

 本を読む楽しさとは、想像の世界を広げることだと神尾さんは教えてくれる。「想像するときは、誰にも何も言われない自分だけの世界。それってすごいことだと思うんです。私は今回『刺繍小説』を提案しましたが、別の『○○小説』が生まれていったらいいなと思っています。自分なりの読み方をみんなでシェアするようなイベントもやってみたいですね」と話す神尾さんの想像は、こうしてどんどんその先に広がっていく。それは本があるからこそ、広がっていく世界なのだと思う。

高山かおり(たかやま・かおり):独断と偏見で選ぶ国内外のマニアックな雑誌に特化したオンラインストア、「マガジンイズントデッド(Magazine isn’t dead. )」主宰。ライター、編集者としても活動している。北海道生まれ。北海道ドレスメーカー学院卒業後、セレクトショップの「アクアガール(AQUAGIRL)」で販売員として勤務。在職中にルミネストシルバー賞を受賞。その後4歳からの雑誌好きが高じて都内の書店へ転職し、6年間雑誌担当を務める。18年3月に退社、現在に至る

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#敦子スメの「新月・満月」ノート 今回の新月(12月26日)は2020年によいスタートを切るための助走に! 

 オーガニックコスメとの出合いや、コスメキッチン在籍中に占い師・ジョニー楓さんのイベントを担当したのをきっかけに星占いに興味を持ち、独学しました。現代では占いとしてこれはラッキー、アンラッキーという区別に使われることもありますが、良い悪いではなく自然の流れとしての月の動きに、地球上で生活しているわたしたちは知らずに影響を受けています。この連載では、月の動きの中で活用できるものを知り、うまく生かしてもらえるための、おすすめな付き合い方をお伝えしていきたいと思います。新月・満月の流れを最大限に引き出すためのサポートをしてくれるコスメやインナーケアアイテムも紹介していきます。第1回は12月26日の新月とおすすめコスメについてお伝えします。

そもそも月の動きと生活って
関係あるの?

 月は私たちの身近な生活に影響する身近な天体といわれています。例えば満月の日に出産が多いといわれたり、潮の満ち引きに影響したり、敏感な人は満月の日は気が高ぶりやすいとされるなど、自然界を通して日常生活や人の気分に作用するといわれています。

新月とは?&ビジネスに使える
新月アクション

 新月は簡単に言うと太陽と月が同じ星座に位置する日。満月がフルパワーになるのに対して新月はゼロの状態、スタート、リフレッシュなど新たに何かを始めるのに適した日と言われています。今年の12月の新月は1年の幸運を示す星、木星の近くで起こります。ここから1年間で達成したいことや、新たなプロジェクトの計画などを、紙に書いておく、来年も一緒にやっていきたい人にメールをしておくなど、何かしら「始める」という行動をするのがおすすめです。仕事納めのタイミングでもありますが、来年やりたいこと、積み重ねたいことを胸に抱きつつ、1年の締めへ向かう、という流れを起こしてみてもいいかもしれません。ちなみに、新月は環境をきれいにしたり、クリーンに整えたりするのにもおすすめな日。冬休みに入る前に、デスクの周りをきれいにするなどのアクションもおすすめ。

オーガニックコスメとの関係は?

 オーガニックコスメで用いられる植物によく使われる農法に「バイオダイナミック農法」というものがあります。この農法の一部に、月の動きに沿って種まきや、収穫などの農作業を設定する動きがあります。
 
 今回は、「シゲタ(SHIGETA)」のルナバスソルト(3700円)を紹介します。女性の体と月のサイクルは密接に関係するという考えを受けて作られたもので、新月・上弦の月・満月と、月の動きに合わせて使えて、アロマのいい香りと塩のリフレッシュ感が楽しめます。

福本敦子(ふくもと・あつこ)/フリーランスPR・美容コラムニスト:「コスメキッチン」に14年間勤務後、現在はフリーランスPRのほか、ビューティコラムニストとしてイベント、SNSなど多方面で活躍。オーガニックに精通した知識を武器に、ライフスタイルに寄り添った独自のオーガニック美容論が、著名人やエディターをはじめ各方面から大人気。「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と多くの反響を呼び、欠品や完売商品も多数。2019年秋、初の書籍となる「今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by敦子スメ」(光文社)を出版。発売前に増刷が決まるなど話題を読んでいる。旅を愛し、占星術にも精通 instagram:@uoza_26

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「NARS」のクッションファンデとリップスティックが「WWDビューティ」のベストコスメ賞2冠達成

 「WWDビューティ」は2019年12月26日・20年1月2日合併号にて、19年下半期のベストコスメを発表した。化粧品業界で活躍するプロフェッショナルが選んだ製品が多数そろう中で、「NARS」の「ナチュラルラディアント ロングウェア クッションファンデーション SPF50/PA+++」はベースメイク部門の1位に、「リップスティック」がポイントメイク・リップ部門の1位に輝いた。どちらの製品も仕上がりの美しさと高い機能性を兼ね備え、業界人のみならず一般消費者からも高い支持を得ている。その実力とともに、今回は「WWDビューティ」のベストコスメ特集に協力いただいた美容賢者のコメントを紹介する。

完璧な艶、ハリ、透明感、
潤みをかなえる
“圧倒的美肌ファンデーション”

 完璧な艶、ハリ、透明感、潤い。そしてその美しさが重なり合うバランス。初めてこの肌を体感したときの感動は忘れられない。カバー力がありながらも、素肌を感じさせる絶妙な肌色と透け感も言うことなし。「簡単だから」「時短だから」と、どこか二番手のような存在だったクッションファンデーションの立ち位置を見事に生まれ変わらせた“圧倒的美肌ファンデーション”。ナチュラルやカバー力高めといった説明が要らなくなるほどのいい肌具合に導き、服やメイクさえもしゃれてみせてくれる。そんな不思議なバランスをかなえるだけでなく、シミやムラは隠すのに肌の奥まで透き通り、深く潤む艶肌を演出。使うほどとりこになるクッションファンデーションは、手放せそうにない。(神崎恵/美容家)

 環境汚染が進むにつれ、紫外線だけでなくPM2.5やほこりなどさまざまな環境ストレスから肌を守る必要が増えてきた。今までは日焼け止めが主にそういった外的刺激をブロックする役目を果たしていたが、「NARS」から今夏、肌をフレッシュに仕上げながら環境ストレスから守るクッションファンデーションが登場した。「ナチュラルラディアント ロングウェア クッションファンデーション SPF50/PA+++」は空気中のちりやほこりなどの微粒子、紫外線などの環境ダメージを受けた肌をサポートする「パワフル プロテクション コンプレックス」を開発し、フォーミュラに配合した。同時にラズベリーやアップル、スイカエキスなどをブレンドし、肌にハリや輝きを与え、なめらかな肌へと導く。さらに柔軟性に優れた軽いポリマーがまるでつけていないかのような軽やかなつけ心地を実現。肌の水分保持をサポートし、自然な艶をもたらす「モイスチャライジングナイロンパウダー」を配合。デイタイムスキンケアと呼べるほどスキンケア成分をたっぷり含み、つけているだけで美しい肌に導く。発売時から何度も品切れを繰り返すほどの人気を得ている同クッション。肌を強力にプロテクトするサポート力はもちろん、美しい艶と高いカバー力を両立した最強クッションファンデーションとしてファンを獲得している。

おしゃれ魂くすぐる72色
新しいメイクに
挑戦したくなるリップが登場

 私の中に潜むオシャレ魂がくすぐられた72色のラインアップ。テクスチャーの一つ、MUST-HAVE MATTEは、クリアな発色の中に、濃密な奥行きのある仕上がり。SENSUAL SATINは、とろっとしたツヤがなんとも魅惑的。SEDUCTIVE SHEERは、カジュアルすぎない軽やかさと抜け感。普段の私ならつけないダークカラーも、計算された絶妙な色と質感により、洗練された印象に仕上がるからびっくり。今までのマットやシアーとは、一味違うところが、さすが「NARS」! 軽やかに伸び、唇が乾かない快適なつけ心地と、マットでミニマルなデザインもお気に入り。新しいメイクに挑戦したい!そんな気持ちがむくむくと目覚めるアイテム。(倉田真由美/美容ジャーナリスト)

 「NARS」のブランドスタートのきっかけになったアイコニックなリップスティック。ブランド誕生25周年を記念し、全72色と圧巻のカラーバリエーションで刷新した。アーティストブランドとして無限のアーティストリーと自己表現を可能にすべく、マット、サテン、シアーの3つのテクスチャーがそろう。シアーで艶やかな仕上がりの「セダクティブ シアー」、サテンの官能的な光沢が特徴の「センシュアル サテン」、鮮やかな発色とベルベットのような上品な質感の「マスト-ハブ マット」の3種は、幅広い色とテクスチャーで多様なメイクアップルックをかなえる。リップスティックは軽いテクスチャーで長時間快適なつけ心地を実現。パッションフルーツシードオイルが唇に活力を与え、モリンガシードオイルが発色を高める。濃密なカラーがなめらかに唇の上に伸び広がり、唇を色鮮やかに彩る。

PHOTO : KOICHI IMAI

問い合わせ先
NARSジャパン
0120-356-686

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“日本発を世界に発信できるコングロマリット集団を目指す”TOKYO BASE谷正人

 「WWDジャパン」は2017年から、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた特集「ネクストリーダー」を実施している。対象はファッションビジネスにかかわるあらゆる分野の若きリーダーたち。この特集を始めたのは、情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進む若いリーダーたちを応援したいから。それぞれに専門分野があり、ネットワークと情報を持つ「WWDジャパン」の記者が日ごろの取材で出会い、応援したいと考えるネクストリーダーを推薦する。第1回目の「ネクストリーダー 2018」では14人を選定した。(この記事はWWDジャパン2017年11月7日号からの抜粋です)

谷正人 TOKYOBASE代表取締役CEO

WWDジャパン:将来の「野望」は?

谷正人:海外出店やEC、M&Aを強化する。世界に日本のクリエイションを流通させ、日本のファッションをグローバル規模で変えていきたい。売上高ミニマム1000億円、日本発を世界に発信できるコングリマリット集団を目指す。

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“情報もスピード感も国内外を意識する時代じゃない”「アンブッシュ」YOON

 「WWDジャパン」は2017年から、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた特集「ネクストリーダー」を実施している。対象はファッションビジネスにかかわるあらゆる分野の若きリーダーたち。この特集を始めたのは、情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進む若いリーダーたちを応援したいから。それぞれに専門分野があり、ネットワークと情報を持つ「WWDジャパン」の記者が日ごろの取材で出会い、応援したいと考えるネクストリーダーを推薦する。第1回目の「ネクストリーダー 2018」では14人を選定した。(この記事はWWDジャパン2017年11月7日号からの抜粋です)

YOON 「アンブッシュ」デザイナー

WWDジャパン:将来の「野望」は?

YOON:情報もスピード感も国内外を意識する時代ではない。ブランドはロゴだけでもプロダクトだけでもないと思う。それ以外で会社として、ブランドとして、お客さまに何を感じてもらえるかが重要。カルチャーの一部になれれば。

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“渋谷の一等地で非現実的なビジネスを続けて、若者のエネルギーを後押ししたい”フェイクトーキョー伊藤雄相 / 柳翔吾

 「WWDジャパン」は2017年から、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた特集「ネクストリーダー」を実施している。対象はファッションビジネスにかかわるあらゆる分野の若きリーダーたち。この特集を始めたのは、情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進む若いリーダーたちを応援したいから。それぞれに専門分野があり、ネットワークと情報を持つ「WWDジャパン」の記者が日ごろの取材で出会い、応援したいと考えるネクストリーダーを推薦する。第1回目の「ネクストリーダー 2018」では14人を選定した。(この記事は2017年12月13日に掲載した「WWD JAPAN.com」からの抜粋です)

伊藤雄相フェイク トーキョー代表取締役&柳翔吾フェイクトーキョーチーフディレクター、MATT.マネージャー

WWD:伊藤さん、フェイク トーキョーを立ち上げたきっかけは?

伊藤雄相(以下、伊藤):大学在学中に入社したキャンディーと、ウィメンズのシスターの事業を譲り受ける形でスタートしました。当時国内には、自分がおもしろいと感じるセレクトショップがありませんでした。大衆的に売れるブランドではなく、アンダーグラウンドの面白いブランドだけを集めて発信していくことは、一般的に考えれば非現実的なことですが、それを継続していくことで、ファッションにも夢があると若い世代に思ってもらえる存在でありたいと思い、立ち上げを決めました。

WWD:では、柳さんがフェイク トーキョーに関わるようになったきっかけは?

柳:友人でもあった現フェイク トーキョー代表の伊藤に、セレクトショップのキャンディー(CANDY)のリニューアルオープンの手伝いをしないかと誘われて、キャンディーで働き始めたのがきっかけです。その後伊藤が発起人となり、キャンディーと同じくセレクトショップのシスターを統合したフェイク トーキョーを立ち上げることになりました。

WWD:フェイク トーキョーを立ち上げてからこれまでのターニングポイントは?

伊藤:新宿2丁目から、渋谷に移転した時です。これまで自分たちがやってきたことをより多くの人に知ってもらういい機会になりました。渋谷の宇田川町で4年ほど営業をして、今年2月に神宮前6丁目の今の場所に移ったことも同じくターニングポイントです。場所を移すにはそれなりのリスクがあり、僕たちにとっての挑戦と言えます。

柳:関わったことすべてがターニングポイントです。誰に教わるわけでもなく、自分たちで試行錯誤しながら今まで進んできました。立ち上げ、バイイング、PR、ウェブサイトの立ち上げ、ショールームの立ち上げ、MATT.の立ち上げ、移転など、その時々で考え方も変わり、システムを変えてみたり、さまざまな方にサポートしていただいたり、ご迷惑をおかけしてしまったり、数えきれないほどのターニングポイントがありました。

WWD:今後の目標、夢、野望などを聞かせてください。

伊藤:ファッションのエネルギーはやはり若い世代から生まれてくるもので、そこを後押ししていく存在が必要ですし、そういう存在になれたらと思っています。ビジネス的にはまだまだ不十分ですが、社会貢献できなければ存在価値はないと思うので、今やっていることが少しでも世の中のためになればと考えています。

柳:フェイク トーキョーは店舗でもあり、会社でもあります。店舗としては、東京のセレクトショップの代表としてのイメージを作っていけるように頑張りたいです。国内外を問わず、「東京に来たら行くべきお店」としてお客さまが自信を持って人に紹介できるようなお店にしていきたいです。そして会社としては、従来のショップ業態だけでなく、時代の変化の流れをいち早くキャッチし、一歩先のファッション的なアプローチを、ファッション業界だけにとどまらず、さまざまな分野にアプローチできるような集団として、フェイク トーキョーに関わる人(スタッフ、取り扱いブランド、お客さま)と共に時代を作っていけたらと思っています。

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“いつの時代も色あせない服作りが目標”「アンスクリア」岡ゆみか

 「WWDジャパン」は2017年から、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた特集「ネクストリーダー」を実施している。対象はファッションビジネスにかかわるあらゆる分野の若きリーダーたち。この特集を始めたのは、情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進む若いリーダーたちを応援したいから。それぞれに専門分野があり、ネットワークと情報を持つ「WWDジャパン」の記者が日ごろの取材で出会い、応援したいと考えるネクストリーダーを推薦する。第1回目の「ネクストリーダー 2018」では14人を選定した。(この記事はWWDジャパン2017年11月7日号からの抜粋です)

岡ゆみか 「アンスクリア」デザイナー

WWDジャパン:将来の「野望」は?

岡ゆみか:洋服をよく知っている大人の女性に素敵だなと思ってもらえたり、若い女性に憧れてもらえる、それぞれの着方でいろんな世代に受け入れられる服を作りたい。いつの時代も色あせない服作りが目標。

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“衣装を通して誰かがエネルギーを得られたり、幸せな気分になってもらえたら”「トモ コイズミ」小泉智貴

 「WWDジャパン」は2017年から、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた特集「ネクストリーダー」を実施している。対象はファッションビジネスにかかわるあらゆる分野の若きリーダーたち。この特集を始めたのは、情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進む若いリーダーたちを応援したいから。それぞれに専門分野があり、ネットワークと情報を持つ「WWDジャパン」の記者が日ごろの取材で出会い、応援したいと考えるネクストリーダーを推薦する。第1回目の「ネクストリーダー 2018」では14人を選定した。(この記事は2017年12月13日に掲載した「WWD JAPAN.com」からの抜粋です)

小泉智貴/コスチュームデザイナー、「トモ コイズミ」デザイナー

WWDジャパン(以下、WWD):衣装デザイナーになったきっかけは?

小泉智貴(以下、小泉):幼少期から母親の影響でファッションに興味を持っていました。中学時代からしばらくはジョン・ガリアーノ(John Galliano)のデザインに夢中でした。彼の作るファンタジーの世界に感動して、自分も感動を与えられるモノ作りをしたいと決心しました。中学生の時にクリスマスプレゼントにミシンを買ってもらって独学で縫製を始め、高校時代も文化祭でファッションショーを企画したり、デザインコンテストに入賞したこともあります。当時はファッションデザインとファッションマガジンの両方に興味があったので、どちらも学べる美術系の学部に進学しました。

WWD:ブランドを立ち上げた経緯は?

小泉:大学在学中はファッション系のサークルに所属して、年に数回ショーや展示会で作品を発表しました。スタイリストの北村道子さんなど、さまざまな方の現場にお手伝いにも行きました。就職活動を始める頃にリーマンショックが起こって、「大手企業でも安定しないなら、やりたいことをやろう」とスタイリスト兼衣装デザイナーになることを決めました。大学4年の時に、自分がデザインした服を着てクラブに遊びに行った時にスナップサイトに掲載され、「ザナドゥトウキョウ(XANADU TOKYO)」の本橋達郎オーナーから連絡をいただき、取り扱い開始と同時にブランドを立ち上げました。もともとシニカルなデザインが好きだったので、ブランド立ち上げからまもなく女優や歌手の方に着用していただいたり、雑誌で取り上げていただけるようになって、カスタムメードの衣装のオーダーをいただくことが多くなり、主な仕事になっています。

WWD:衣装デザイナーになってからのターニングポイントは?

小泉:1つ目は、大学在学中にPerfumeの衣装を作れたことです。初めてのアーティストの衣装デザインがPerfumeさんでした。自分のデザインが憧れているアーティストの方々に使ってもらえる喜びは大きな自信につながりました。2つ目は、2016年にレディー・ガガ(Lady Gaga)が来日した際に衣装を着用してくれたことです。その後、アジア圏やヨーロッパからの注文が入るようになって、反響の大きさにとても驚きました。

WWD:今後の目標、夢、野望などを聞かせてください。

小泉:ドレスのデザインが大好きなので、ブライダル業界で力を発揮できたらいいなと考えています。特別な日に、特別なドレスを着る幸せを提供できたら最高ですね。あとは来年30歳という節目を迎えるので、自分へのバースデープレゼントのような、新しいコレクションを発表予定です。自分は、マルチにデザインし活躍できるデザイナーだとは思っていません。ですが、作った物で人の気持ちを明るく楽しくすることができると思っています。たとえそれが日常的に簡単に着られるものでなかったとしても、写真や展示、衣装を着用したパフォーマンスなど、見て楽しむことができます。そして、それによってエネルギーを得て、幸せな気分になってもらえたら、それが自分の幸せにもつながります。たくさんの人の幸せにつながる、ロマンチックでドラマチックなモノ作りをこれからもしていきたいです。

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“自分らしいスタイルでもっと自由に写真を撮る”フォトグラファー成尾和見

「WWDジャパン」は2017年から、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた特集「ネクストリーダー」を実施している。対象はファッションビジネスにかかわるあらゆる分野の若きリーダーたち。この特集を始めたのは、情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進む若いリーダーたちを応援したいから。それぞれに専門分野があり、ネットワークと情報を持つ「WWDジャパン」の記者が日ごろの取材で出会い、応援したいと考えるネクストリーダーを推薦する。第1回目の「ネクストリーダー 2018」では14人を選定した。(この記事はWWDジャパン2017年11月7日号からの抜粋です)

成尾和見 フォトグラファー

WWDジャパン:将来の「野望」は?

成尾和見:原点に戻って、自分らしいスタイルで、もっと自由に写真を撮ること。例えば女性であれば、自信があり、エレガント、人にこびていない、私の考えているいい女の条件を引き出せるような、そんな写真を撮りたい。

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「WWDビューティ」の「2019年下半期ベストコスメ」からスキンケアやベースメイクなど5部門を紹介 

 「WWDビューティ」2019年12月26日・2020年1月6日合併号は、恒例企画の「ベストコスメ」特集。美容ジャーナリストや美容誌・女性誌の編集長、エディター、ライター、メイクアップアーティスト、百貨店バイヤーなど総勢54人の協力を得て、19年下半期(7~12月)に発売した製品を対象に全18部門のベストコスメを選出した。

 同記事では、その中でもコスメの基本ともいえるスキンケアやベースメイクなどに加えて、企業努力の賜物ともいえる新知見部門の計5部門を紹介する。

【スキンケア部門】

 資生堂のハイプレステージブランド「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE」の新ベーシックスキンケア「キーラディアンスケア」から美容液「ル・セラム」が1位に選出された。6年ぶりに成分をリニューアルした「ランコム(LANCOME)」の「ジェニフィック アドバンスト N」、第2の“スキコン”を目指す「アルビオン(ALBION)」の「フローラドリップ」は新製品ではなく既存品の高機能版や成分をリニューアルしたもの。スキンケア部門ではアップデートした既存品が多く受賞した。

【ベースメイク部門】

 下半期も多くのブランドがベースメイクにフォーカスした製品を提案していた中で、1位となった「NARS」の「ナチュラルラディアント ロングウェア クッションファンデーション」。アジア限定で発売した同製品は16時間持続する高いカバー力と空気中のちりやほこり、微粒子、紫外線によるダメージ、乾燥などによる環境ストレスから肌を守る処方が特徴だ。また。アジア人のメイク習慣にフォーカスし、重ねづけしても重くならない点も評価につながった。

【ポイントメイク・目元部門】

 「スック(SUQQU)」がブランド誕生以来10年以上ぶりに発売した単色アイシャドウ「トーン タッチ アイズ」は漆(うるし)に着目し、黒みを帯びた朱色である“うるみ色”を追求したみずみずしさとくすみをまとうカラーを展開する。「アンプリチュード(AMPLITUDE)」の「コンスピキュアス ダブルアイズ」も黒をベースとした配色で同ブランドの新たなカラー提案に支持が集まった。上位3製品に共通して“他ブランドにはない発色”と“絶妙な配色”というコメントが寄せられた。

【ポイントメイク・リップ部門】

 ブランド誕生25周年を迎えてリニューアルした「NARS」の「リップスティック」が首位にランクインした。新たに60色を追加した同製品は、鮮やかな発色で大胆なカラーから、デイリーユースに適したヌードカラーまでをそろえた豊富なカラー展開が幅広い層に支持された。次点にラグジュアリーブランド「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」と「シャネル(CHANEL)」がランクインした。

【新知見部門】

 それぞれの企業がさまざまな視点で研究を続けるこの部門では、好奇心が脳を活性化、肌にも作用するというポーラの独自理論を元に開発された「ポーラ(POLA)」の高付加価値美容液「グランラグゼⅢ(ザ サード)」が首位を獲得した。スキンケア部門でも選出された「ジェニフィック アドバンスト N」と「フローラドリップ」もランクインした。

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“どんなカタチでもファッションに関わる仕事につなげたい”「スタイル&エディット」長尾悦美

 「WWDジャパン」は2017年から、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた特集「ネクストリーダー」を実施している。対象はファッションビジネスにかかわるあらゆる分野の若きリーダーたち。この特集を始めたのは、情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進む若いリーダーたちを応援したいから。それぞれに専門分野があり、ネットワークと情報を持つ「WWDジャパン」の記者が日ごろの取材で出会い、応援したいと考えるネクストリーダーを推薦する。第1回目の「ネクストリーダー 2018」では14人を選定した。(この記事は2017年12月11日に掲載した「WWD JAPAN.com」からの抜粋です)

長尾悦美/高島屋 スタイル&エディットバイヤー

WWD:スタイル&エディットバイヤーになった経緯は?

長尾:前職で販売員をしてた時にお客さまのご縁でスタイル&エディットを知り、転職しました。

WWD:バイヤーになってからこれまでのターニングポイントは?

長尾:バイヤーになってから1年ぐらい経って、スタイル&エディットのPRも兼ねて個人のインスグラムを本格的にスタートしたころです。

WWD:今後の目標、夢、野望などは?

長尾:好きなファッションを着て、どんなカタチでもファッションに関わる仕事につなげて行けたら幸せです。いつか小さな自分のお店を持ちたい。

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“多くのクリエイターの頭の中にある靴を具現化したい”靴職人 五宝賢太郎

 「WWDジャパン」は2017年から、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた特集「ネクストリーダー」を実施している。対象はファッションビジネスにかかわるあらゆる分野の若きリーダーたち。この特集を始めたのは、情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進む若いリーダーたちを応援したいから。それぞれに専門分野があり、ネットワークと情報を持つ「WWDジャパン」の記者が日ごろの取材で出会い、応援したいと考えるネクストリーダーを推薦する。第1回目の「ネクストリーダー 2018」では14人を選定した。(この記事は2017年12月13日に掲載した「WWD JAPAN.com」からの抜粋です)

五宝賢太郎/靴職人

WWD:靴職人になったきっかけは?

五宝:幼い頃からティッシュケースの箱に足を入れてはハサミでくり抜いたり、紐を通してみたりと靴らしいものを作って遊んでいました。茨城大学の生活用品デザイン学科に進学し、卒業制作で靴を制作発表しました。在学中に埼玉県蕨市の靴匠、稲村有好氏に弟子入りしました。

WWD:靴職人としてのターニングポイントは?

五宝:25歳のとき、師匠である稲村有好氏が他界して、彼の仕事と工房を引き継ぐことになったときです。稲村氏は多くのブランドのサンプル製作を手掛けていたため、引き継いだ当初から大きな責任と高いクオリティーが求められました。今日まで成長してこられたのは、そんな自分を支えてくれた多くのクライアントの方々のおかげです。

WWD:今後の目標、夢、野望などを聞かせてください。

五宝:靴を通じてさまざまな人たちと出会うことで人生を豊かにしていきたいです。私は、スニーカー、パンプス、サンダル、ブーツ、トラディショナルシューズなど、何でも1~2日あればイメージを形にすることができるので、多くのデザイナー、クリエイターの頭の中にある靴を具体化し、またデザインソースとして活用してもらえたら、いろんなカタチでいろんな人たちとコラボレーションできると思っています。この先の出会いも楽しみでいっぱいです。靴職人という仕事を介して、(陶芸家として高名な)北大路魯山人(ろさんじん)みたいな生き方ができればいいですね(笑)。

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“取引先店舗と一緒に考えみんなが楽しめる。それがリアルだと思う”「ダブレット」井野将之

 「WWDジャパン」は2017年から、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた特集「ネクストリーダー」を実施している。対象はファッションビジネスにかかわるあらゆる分野の若きリーダーたち。この特集を始めたのは、情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進む若いリーダーたちを応援したいから。それぞれに専門分野があり、ネットワークと情報を持つ「WWDジャパン」の記者が日ごろの取材で出会い、応援したいと考えるネクストリーダーを推薦する。第1回目の「ネクストリーダー 2018」では14人を選定した。(この記事は2017年12月11日に掲載した「WWD JAPAN.com」からの抜粋です)

井野将之/「ダブレット」デザイナー

WWD:「ダブレット」立ち上げの経緯は?

井野:高校生の時からずっとファッションデザイナーになりたいと思ってきました。「ミハラヤスヒロ(MIHARAYASUHIRO)」の三原康裕さんは、一から仕事のやり方を叩き込んでくれた師匠で本当に感謝しています。在職中は当たり前ですがデザインの最終ジャッジは三原さんであり、自分の企画が通らなかった時に徐々に徐々に、そのアイデアを世に出したい、という気持ちが強くなりました。良くも悪くも自身で最終ジャッジし、モノ作りをしたいという気持ちが強くなり、自分のブランドを持ちたいと高校生の頃に熱く思っていた気持ちを思い出しました。在職の時は靴・小物のみの企画生産管理で、靴のブランドを立ち上げるのではミハラヤスヒロの二番煎じのブランドにしかならないと思っていた時に、パタンナーである村上高士が賛同し関わってくれたことにより、学生時代しか洋服作成の経験のない自分が、トータルアイテムの「ダブレット」を立ち上げることができました。

WWD:立ち上げからこれまでターニングポイントは?

井野:2016-17年秋冬コレクションです。このシーズンはただただ良くも悪くも出し切ろうと思い、自分が培ってきた経験をドロッと思い切り出そうと自分の青春時代の経験を元にデザインしました。これがダメだったら何をデザインしてもダメでは、というくらいの覚悟をした“博打”的なシーズンでした。このシーズンでパリのコレット(COLETTE)との取引が決まり、17年春夏パリ・メンズ。ファッション・ウイーク中にコレットのウインドーディスプレーを飾ってもらえたおかげで、海外からの問い合わせが来るようになりました。しかしその時、日本展示会スパンでやっていたため海外から、「今パリなんだけどどこの展示会場で17年春夏コレクションを見られる?」と問い合わせが来ても、「まだサンプル作っています」という状態でした。興味を持った人に見てもらうことすらできないということが悔しく、「次の17年秋冬シーズンは絶対にパリで展示会をやろう」と思い、それを実現できたことがターニングポイントだと思います。

WWD:今後の目標、夢、野望など、ファッションでどうしていきたいか、を教えてください。

井野:この1年は、海外ではロサンゼルスのブランド「424」とのコラボレーションや、ニューヨーク、ロンドンのドーバーストリートマーケット(DOVER STREET MARKET)でのインスタレーション、台湾のワンフィフティーン(ONEFIFTEEN)でのポップアップ。日本ではウィズム(WISM)でのインスタレーションや、ミッドウェスト(MIDWEST)とのポップアップなど、国内海外問わず取引先と一緒にイベントができたということはとても良い経験でした。ブランドとして僕たちにできることは商品を作ることだけではなく、その商品を店の先にいるお客さまにどう届けることが喜んでもらえることなのかを、学べました。僕らは、直営店を持っていませんし、直営店を出すつもりもありません。取引先の店と一緒に考え、協力し、打ち出し、みんなが楽しめる、それがリアルなことだと思っています。今後もお店と取り組むイベントを継続し、拡大していきたいと考えています。いつかは全世界の取引店舗で地域に合わせた全て内容の違う「ダブレット」のコレクションを一斉に発売する、とかやってみたいです。ファッションでどうしていきたいか、というかファッションというツールを使って取引先と一緒に何ができるのか、を日々考えています。まだまだ全然できていないのですが……(苦笑)。目標です!

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“何かを壊さないと新しいモノは生まれない。今がそのタイミング”スタイリスト遠藤彩香

 「WWDジャパン」は2017年から、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた特集「ネクストリーダー」を実施している。対象はファッションビジネスにかかわるあらゆる分野の若きリーダーたち。この特集を始めたのは、情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進む若いリーダーたちを応援したいから。それぞれに専門分野があり、ネットワークと情報を持つ「WWDジャパン」の記者が日ごろの取材で出会い、応援したいと考えるネクストリーダーを推薦する。第1回目の「ネクストリーダー 2018」では14人を選定した。(この記事はWWDジャパン2017年11月7日号からの抜粋です)

遠藤彩香 スタイリスト

WWDジャパン:将来の「野望」は?

遠藤彩香:海外のクリエイターとも同じ環境やレベルで仕事がしたい。インターナショナル誌のスタイリングをするために、来夏からまず1年渡英する。何かを壊さないと新しいモノは生まれないと思っているから、今がそのタイミング。

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“スタイルを身につける楽しさを伝えることには自信がある”UA小木“POGGY”基史

 「WWDジャパン」は2017年から、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた特集「ネクストリーダー」を実施している。対象はファッションビジネスにかかわるあらゆる分野の若きリーダーたち。この特集を始めたのは、情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進む若いリーダーたちを応援したいから。それぞれに専門分野があり、ネットワークと情報を持つ「WWDジャパン」の記者が日ごろの取材で出会い、応援したいと考えるネクストリーダーを推薦する。第1回目の「ネクストリーダー 2018」では14人を選定した。(この記事は2017年12月11日に掲載した「WWD JAPAN.com」からの抜粋です)

小木“POGGY”基史/ユナイテッドアローズ&サンズ、ユナイテッドアローズ原宿本店ディレクター

WWDジャパン(以下、WWD):これまでのターニングポイントは?

小木:3点ターニングポイントがある。2002年ごろ、ショップスタッフからカジュアル担当のPRになった時。2点目は、06年にUAからヒップホップとトラッドをミックスするスタイルを提案するリカー、ウーマン&ティアーズ(LIQUOR,WOMAN & TEARS)をディレクターとして立ち上げ、そのころから海外のストリートスナップに掲載されるようになったこと。3点目が、10年にUA本体のドレス部門に移りUA&サンズをスタートした時です。

WWD:今後の目標、夢、野望など、将来ファッション業界でどうしていきたいか?

小木:今、SNSを通じて世界のファッションが同質化して来ていると思います。セレクトショップで学び、世界の良いものや、歴史、それぞれの良い部分を踏まえながらの日本独自のスタイルある(変わった?)着こなしがこれからもっと重要になってくると思います。僕は自分のことをオシャレだと思ったことはありません。ただ、ファッションを通じてスタイルを突き詰め、スタイルを身につけることの楽しさを伝えることには自信があります。それを世界に伝えていくことが出来たらと思っています。半年ごとの流行を楽しむのがファッション(モード)、何を着て何を聞く、何を着て何を食べに行く、何を着て何に乗るなどをずっと繰り返し。Tシャツを着てもスーツを着てもその人らしく見える、というのがスタイルだと思います。個からにじみ出るものというのでしょうか。いくら洋服を買ってもスタイルを身につけられない人もいますし、スタイルはお金では買えないものです。

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“伝統や技術を守っていけるようなブランドになりたい”「マメ」黒河内真衣子

 「WWDジャパン」は2017年から、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた特集「ネクストリーダー」を実施している。対象はファッションビジネスにかかわるあらゆる分野の若きリーダーたち。この特集を始めたのは、情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進む若いリーダーたちを応援したいから。それぞれに専門分野があり、ネットワークと情報を持つ「WWDジャパン」の記者が日ごろの取材で出会い、応援したいと考えるネクストリーダーを推薦する。第1回目の「ネクストリーダー 2018」では14人を選定した。

黒河内真衣子 「マメ」デザイナー

 「長くお客さまに愛されるブランドにすること。そして、日本の技術を伝えられる工場を作ること。高齢化と後継者不足は深刻で、辞めてしまう工場や職人も多い。でもインターネットの普及で地方と都市の差は全くなく、だからこそ、地方でモノづくりをすることは面白いと思っている。実際のところは、工場なのか、アトリエなのかカタチは分からないけど、伝統や技術を守っていけるようなブランドになりたい。それが生涯の課題」

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伝統工芸の真髄 西陣織の改革者、細尾12代目細尾真孝

 「WWDジャパン」は2017年から、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた特集「ネクストリーダー」を実施している。対象はファッションビジネスにかかわるあらゆる分野の若きリーダーたち。この特集を始めたのは、情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進む若いリーダーたちを応援したいから。それぞれに専門分野があり、ネットワークと情報を持つ「WWDジャパン」の記者が日ごろの取材で出会い、応援したいと考えるネクストリーダーを推薦する。第2回目の「ネクストリーダー 2019」では10組11人を選定した。

細尾真孝 細尾・常務取締役

 建築家のピーター・マリノから、「インテリアファブリックができないか」と話が来たのが2008年。西陣織は通常32cm幅だが、約1年をかけて150cm幅の織機を作り、インテリアファブリックとして「シャネル」「ディオール」「エルメス」「カルティエ」といったラグジュアリー・ブランドやザ・リッツ・カールトンなどの5つ星ホテルに供給してきた。19年は京都に旗艦店を開き、消費者向けビジネスに乗り出す。西陣織を一般家庭で使えるものにしたい。また、月旅行の実現や火星移住計画が生まれる中、ゆくゆくは西陣織の美をキープしながら、テクノロジーを織り込み宇宙にも対応できる布を作りたい。自由自在に形を変えられる布の特性を生かして、漫画「ドラゴンボール」に出てくる、あらゆる物質を小さなカプセルに収納した“ホイポイカプセル”のような、家になる布も作りたい。西陣織は世界一複雑な織り物で、9000本の経(たて)糸を1本1本コントロールでき、最大25層を重ね、その中に最先端の糸を織り込むことができるのが強み。現在、マサチューセッツ工科大学(MIT)や東京大学などと研究開発を進めているが、布の構造を西陣織で進化させる。

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若手写真家の急先鋒 フォトグラファー石田真澄

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石田真澄 フォトグラファー

 中学校に入学したタイミングでカメラ付き携帯を手に入れてから、写真の楽しさに目覚めた。それ以来ずっと携帯や一眼レフなどデジタルで撮影していたが、高校生のときにふと「写ルンです」を思い出して撮影をしてみた。デジタルとは違い、現像までに時間がかかるなど手間も多かったが、出来上がった写真を見たときに、記憶を再確認するような感覚が湧いた。その懐かしさにとても安心感を抱いてからフィルムで撮るようになった。今までは趣味として撮影してきたので、仕事として写真を始めてからはまだ1年ほどしかたっていない。だから10年後の自分の姿を予想できるような経験も、結果もなく、何が起きるかはまだ自分でも想像がつかない。ただ、その日限りの刹那的な現場が多い中、今年の夏に2カ月かけて撮影した「カロリーメイト」の仕事では、長期間にわたっていろいろな人と一緒に働く楽しさを知った。また、憧れていたファッション写真の世界に、ようやく一歩踏み込むことができた一年でもあった。2019年はそういった仕事を増やし、いつか未来の自分を描くことができるように、経験を増やす一年にしたい。

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ランウエイ登場数がシーズン世界1位に 21歳の日本人モデルKOHEI

 「WWDジャパン」は2017年から、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた特集「ネクストリーダー」を実施している。対象はファッションビジネスにかかわるあらゆる分野の若きリーダーたち。この特集を始めたのは、情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進む若いリーダーたちを応援したいから。それぞれに専門分野があり、ネットワークと情報を持つ「WWDジャパン」の記者が日ごろの取材で出会い、応援したいと考えるネクストリーダーを推薦する。第2回目の「ネクストリーダー 2019」では10組11人を選定した。

KOHEI モデル

 2018年は空港や飛行機の中で過ごした時間、仕事の待機時間が長く、何かを待ち続けた1年だった(笑)。バックステージや撮影現場では、モデル仲間やスタイリスト、メイクさんたちとたくさん話し、人の話を聞くことがモデルの仕事で大切だと気付いた。いろんな人から意見をもらい、それを自分で考えながら取り入れることで学びにつながり、海外では英語力が役立って、言われたことをすぐに理解できた。大御所と呼ばれる人たちとの仕事は、初めは緊張したが、今ではリスペクトをしつつ自然にこなせるようになったと思う。撮影も数多く経験したが、やはりファッション・ウイーク中が一番楽しい。ショーでは自然とアドレナリンが出る。直近の目標は、来シーズン(19-20年秋冬)も「プラダ」や「ラフ・シモンズ」など、これまで出演することができたブランドに選ばれ続けることと、これまで出ることができなかった新規ブランドにも選ばれるようになること。将来的にはCHIHARUさんのように“日本人といえばこのモデル”と世界中のファッション関係者が考えるようなモデルになりたい。

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日本から世界へ 次世代に新たな道筋を示すスタイリスト服部昌孝

 「WWDジャパン」は2017年から、ファッション界の次世代を担う人に光を当てた特集「ネクストリーダー」を実施している。対象はファッションビジネスにかかわるあらゆる分野の若きリーダーたち。この特集を始めたのは、情熱と才能を持ち、強い信念で前へ進む若いリーダーたちを応援したいから。それぞれに専門分野があり、ネットワークと情報を持つ「WWDジャパン」の記者が日ごろの取材で出会い、応援したいと考えるネクストリーダーを推薦する。第2回目の「ネクストリーダー 2019」では10組11人を選定した。

服部昌孝 スタイリスト

 アシスタント時代に、師匠がイメージするビジュアルを具現化するための道具仕込みをしてきた経験が生きて、自分がスタイリングする際にも空間全体を考えた“強い”ビジュアル作りができるようになった。現在の仕事は多岐にわたっているものの、ファッションという意味では全て同じ。「メンズだから」「アーティストだから」といったことは関係ない。独立当時から変わらず守り続けたのは、常に自分らしくあること。その結果、当時は異例だったモードとストリートのミックスや、ファッションビジュアルで若手俳優をモデルに起用するなど、今では当たり前になっていることを自分が先陣を切ってやってきた。今後のビジョンは日本に拠点を置きながら、5年以内にメゾンブランドのランウエイのスタイリングをすること。今やSNSの普及で、世界とつながるのは簡単になっている。2016年に東京で行った「ウミット・ベナン」のランウエイショーのスタイリングを担当したときも、デザイナー本人からインスタグラムで依頼が来たことが始まりだった。これからも視線は常に世に向け、いつの時代においても必要とされるスタイリストでありたい。
PROFILE:1985年生まれ。スタイリストの猪塚慶太に約5年間師事し、2012年に独立。ブランドのビジュアルやエディトリアル、ランウエイ、アーティストなどさまざまなジャンルのスタイリングをメンズ・ウィメンズ問わず手掛けており、若手ブランドや後輩スタイリストらからの信頼も厚い。近年ではミュージック・ビデオなど映像関連の仕事を手掛けるなど、活躍の場を広げている。海外からの仕事の依頼も増えており、現在月に1回は渡航している

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小島健輔リポート 百貨店からアパレルが消えていく 迫り来る決別の時

 ファッションビジネスのコンサルタントとして業界をリードする小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。今回は、2019年に閉店が相次いだ百貨店とそこを主戦場にしてきたアパレルの動向を深掘りする。

 2019年は百貨店と百貨店を主戦場とするアパレルにとって、過去の清算を迫られたカタルシスの年となった。地方店や郊外店の閉店が相次ぎ、都心店さえ「ハイブリッド化」と称する不動産業化が進んで自営の売り場が大きく削られ、売り場の減少と採算の悪化でブランドや人員を整理したり巨額の特損を計上するアパレルも相次いだ。このまま百貨店流通は崩壊し、百貨店アパレルは絶滅してしまうのだろうか。

閉店とハイブリッド化で
売場が消えていく

 店舗数のピークである1999年には331店もあった百貨店も2000年のそごう倒産を契機に減少に転じ、リーマンショック以降は閉店が加速して17年は8店、18年は7店、19年も伊勢丹の府中店と相模原店など9店が閉店して212店まで減った。20年も公表されているだけで3月に新潟三越、東急東横店、8月に高島屋の港南台店、西武の大津店と岡崎店、そごうの徳島店と西神店の7店が閉店する。21年も2月末にそごう川口店の閉店が決まっており、地方店や郊外店中心に閉店が続いて200店舗を割り込むのは確実だ。

 閉店しないまでも家電や家具の量販店、低価格大型衣料店などをテナント導入して自営の売り場を圧縮する動きは、地方店や郊外店にとどまらず都心店にも広がっている。

 松坂屋銀座店などの跡地に17年4月開業した「ギンザ シックス」は、大丸松坂屋百貨店が直営する売り場は2階の「シジェーム ギンザ」だけで大半がテナント構成という“不動産事業”だ。また9月20日に再建築して開業した大丸心斎橋本館は65%がテナント構成で、百貨店型の自営売り場は35%にとどまる。東急東横店(東館)の跡地に開発された渋谷スクランブルスクエア(東棟)はもとより“百貨店”を名乗っておらず、東急百貨店が運営する百貨店型の売り場は6階の「プラスク・ビューティー」(化粧品)、5階の婦人靴・ハンドバッグ、4階の「428-224」(婦人服セレクトショップ)など計3610平方メートル(全体の売り場面積の11.3%)に過ぎない。「ハイブリッド化」といえば聞こえはいいが、自前の商売を圧縮して不動産業化しているのに他ならない。

 ハイブリッド化で生き延びられるのは自前の店舗だけで、賃借店舗は採算割れが続けば閉めざるを得ない。損益分岐点が高い賃借店舗はハイブリッド化しても延命は難しく、ハイブリッド化の勝ち組とされるマルイでも販売不振の京都店を20年5月に閉店する。

 そごうや西武、伊勢丹の閉店が相次ぐ一方、高島屋は港南台店やサテライトの海老名店ぐらいしか閉めていないのは所有している店舗が多いからで、新宿店(帳簿価額2054億円)や立川店(同127億円)は巨費を投じて購入している。そんな高島屋でも泉北店、堺店、岡山店、岐阜店、港南台店や海外店舗は賃借だから、港南台店のように採算割れが続けば閉店するしかなくなる。

縮小が続く
衣料品フロアと衣料品売り場

 閉店やハイブリッド化に加え、衣料品売り場の縮小も百貨店アパレルを追い詰めている。インバウンドの追い風もあって化粧品の売り上げが拡大し、デパ地下人気にも衣料品のような陰りは見られないから、リニューアルの度に両者の売り場が増えて衣料品売り場が縮小している。

 百貨店総売り上げはピーク時の91年から2018年は60.6%に減少しているが、衣料品トータルは45.1%に、紳士服・洋品は38.7%に、ピークが98年だった婦人服・洋品も同年から49.7%に減少している。デパ地下が元気な食料品もピークの99年から78.3%に減少しているが、化粧品だけは2006年から18年で164.8%と急拡大している。

 百貨店売り上げに占めるシェアも衣料品はピークの1998年の41.2%から2018年は30.1%まで落ち、19年も11月までで29.8%とさらに落ちているが、化粧品は06年の4.4%が18年には9.5%に、19年も11月までで10.2%と伸び続けている。食料品も衣料品の売り上げが落ちた分、1991年の19.9%から近年は28%前後までシェアを伸ばしている。

 衣料品の売り上げがそれだけ落ちているのに、ほんの2〜3年前まで都市百貨店は婦人服と身の回り品で3.5フロアを構成し、紳士服とスポーツを合わせて衣料品が4.5フロアを占める一方、化粧品は半フロアに甘んじて繁忙時には混雑を極めていた。インバウンドの押し上げと駅ビルなどとのせめぎ合いで遅ればせながら化粧品売り場の拡大に転じ、最新店舗では婦人服と身の回り品の2.5フロアに対して化粧品と美容サービスで1フロアというバランスに変化している。

 衣料品売り上げが萎縮する中、婦人服、紳士服といった部門の壁も崩れて客層別やライフスタイル別のフロア編成に変化し、「婦人服フロア」と言っても身の回り品はもちろん、化粧品や美容サービス、カフェなども組み込まれるようになり、衣料品の売り場は一段と狭まっている。ワンフロアを維持している「紳士服とスポーツのフロア」にしても、そのバランスはスポーツとユニセックスにシフトしており、従来の紳士服売り場はじりじりと圧縮されている。

ブランドと人員の整理
の果てに絶滅するのか

 
 閉店とハイブリッド化に衣料品売り場の縮小が重なれば、効率と採算性の低いブランドからはじき出されていくが、百貨店とアパレルの立場は微妙に異なる。

 2000年のそごう倒産を契機に委託取引に代わって主流となった消化取引では、百貨店側は「販売効率×歩率」、アパレル側は「販売効率×(粗利益率-歩率)」が採算ラインを割れば売り場を維持できなくなる。百貨店側は在庫を抱えないから売り上げだけ追求すればよく、採算ラインを割ればブランドを入れ替えたり定期借家契約(定借)テナントに切り替えたりする手があるが、アパレル側は売れ残り在庫の処分ロスまで抱えるから、不採算売り場は早々に撤収しないと屋台骨に響く。駅ビルなどの定借店舗に比べれば内装投資も軽く撤退減損は知れているし、駅ビルやショッピングセンター(SC)のようにペナルティーを要求されることもないから、引くのに躊躇はいらない。

 売れる百貨店がいくつもあった往時はともかく、今日では好採算が期待できる百貨店などほとんど存在しない。販売効率が低くては損益が苦しく在庫も回らないし、販売効率の高い都心店は歩率が法外に高く、売っても売ってもスズメの涙しか残らない。不採算店を撤収して好採算店に入れ替えるのは困難で、不採算店の撤収が店舗網の萎縮に直結してしまうのが実情だ。

 店舗網が萎縮して商品開発部門の人件費など本部の固定費を補えなくなれば、ブランドの廃止と人員整理が必至となる。三陽商会やレナウンに見るごとく、百貨店アパレルはそうして業容をシュリンクさせてきたし、破綻に至った企業もある。もはや百貨店販路に見切りをつけるしかないが、組織コストが高い百貨店アパレルは駅ビルやSCでは採算が採れず店舗網が広がらなかったし、法外な歩率負担を前提とした割高な百貨店ブランドではECの拡大にも限界がある。

 巨額ののれん償却や事業整理、600店もの閉鎖やブランド整理に踏み切る一方、「半分はECで売る」と宣言してデジタルシフトとC2M事業開発※1を加速するオンワードホールディングスなどは例外的に体力がある企業であって、そんな体力が残っているアパレル企業はもはや限られる。オンワードが百貨店から引いていけば地方店や郊外店は衣料品フロアの維持さえ困難になり、売り場の圧縮と定借テナントの拡大、店舗閉鎖が一段と加速するから、百貨店アパレルの販路は一段とシュリンクしていく。大半の百貨店アパレルは売り上げ減少とブランド廃止、希望退職を繰り返して絶滅していくしかないのが現実だ。

※1.オンワードのD2C事業とC2M事業…D2C事業は自社ECの「オンワードクローゼット」、C2M事業は子会社のオンワードパーソナルスタイルが手がける「カシヤマ・ザ・スマートテーラー」や「オーダーメイドイメンズシューズ」

凋落した百貨店アパレルと業績打開の正解

 
 百貨店アパレルにまだ勢いがあった1997年と、2019年のアパレル企業売り上げランキングを比較してみると、百貨店アパレルの凋落は目を覆うばかりだ。

 オンワード樫山(現オンワードホールディングス)こそ国内ユニクロ事業とワールドに抜かれて2位から3位に落ちただけだが、本体のアパレル事業だけ見れば6掛け近くに減少しているし、1位だったレナウンは19位だったダーバンを再統合しても売り上げが4分の1近くまで減少して19位に落ちている。

 6位だった三陽商会は「バーバリー(BARBERRY)」を失ったことも響いて売り上げが半分以下になって圏外に落ち、東京スタイルはTSIホールディングスとなった後、サンエーインターナショナルに吸収され、14位だった小杉産業は破綻している。16位だったレナウンルックは内外のブランドビジネスを統括するルックホールディングスとなって百貨店依存を脱したが、売り上げ規模は当時の8掛けにとどまる。

 百貨店と専門店卸、SPA(製造小売り)事業を並行して5位に位置していたワールドはMBO(経営陣が買収)による上場廃止と再上場を経て、ブランド事業、デジタル事業、プラットフォーム事業、投資事業を展開する持ち株会社になって2位に上昇したが、いまだブランド事業が2007億円と売り上げの8割を占める。1997年当時はワールドをしのいで4位に位置していたイトキンは業績が悪化して投資会社のインテグラルに買収され再建を図っているが、売り上げは当時の3分の1に減少して圏外に落ちている。

 こうして見ると、百貨店依存の高かった企業ほど凋落が激しく、百貨店離れを進めた企業もアパレルだけでは業容を維持できていない。百貨店も斜陽だがアパレルも厳しく、デジタルシフトやプラットフォーム事業、さらには資本力と企業力を生かした投資事業を広げないと拡大は望めないという構図が見て取れる。その意味では、再上場してホールディングビジネスとなったワールド、過去を大胆に清算してデジタルトランスフォーメーションとC2Mに懸けるオンワードホールディングスに正解を見出すべきだろう。

 かつて百貨店の販売低迷と合併ラッシュに直面した米国大手アパレルの正解が、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「ヴァンズ(VANS)」「ディッキーズ(DICKIES)」を買収してジーンズからアウトドア&アクションスポーツにドメインを転換したVFコーポや、昨年来陰りが見えるとはいえ「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」「トミーヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」の買収で躍進したPVHコープだったとすれば、ITとECが席巻して投資ファンドが暗躍する今日のわが国大手アパレルが置かれた状況は格段に複雑かつ深刻で、確実な正解を求めるのは難しい。

 ワールドやオンワード、小粒だがルックホールディングスなどの業績を注視したいが、それらの全てに共通するのが百貨店との決別であることは明らかだ。

百貨店と決別するしか生き残る道はない

 百貨店衣料品と百貨店アパレルが絶滅に瀕するに至った要因は(1)好調時に肥大した組織コストを引きずった、(2)2度の堕落で商品のお値打ちが半減し顧客が離れた、の2点に尽きる。ならば、百貨店アパレルが生き残るには、この2点を根源から清算するしかない。それは百貨店と決別して「百貨店アパレル」という看板を捨て去ることでしか実現できないのではないか。

 百貨店は84年頃の買い取りから委託へのシフトと92〜98年の12ポイントもの納入掛け率切り下げで原価率を半減させてお値打ちを切り下げてしまったため、まだしも不動産コストの低い駅ビルやSCに顧客も取引先も逃げ出し、近年はさらにコストが低いECに逃げ出している。これほど顧客を裏切る暴挙を断行した百貨店業界の殿様体質は常人の理解を超え、それを受け入れたアパレル業界の楽観主義も度を越して、百貨店と百貨店アパレルの未来を閉ざす致命傷となった。

 その後、2000年3月の定借導入と6月の大店立地法施行でアパレル流通の主戦場は駅ビルとSCに移り、7月のそごう倒産を契機に百貨店は斜陽産業に転じた。08年のリーマンショックは百貨店を支えてきた中産階級の崩壊を加速し、同年のiPhone 3Gの発売はモバイルショッピングとショールーミング/ウェブルーミングの扉を開いて、かたくなに対応を拒む百貨店の没落を決定的なものにした。

 それから11年、駅ビルやSCに加えてECにも顧客を奪われるまま無為無策に時は過ぎ、「ハイブリッド化」というランティエ※2に甘んじる3度目の堕落に陥り、百貨店アパレル流通は破綻の瀬戸際まで追い詰められている。百貨店自体がハイブリッド化で「百貨店」を放棄するに至っては、もはやアパレル事業者が百貨店を見切っても誰も責めることはできないのではないか。

 百貨店の法外な歩率を引きずっては顧客に受け入れられる「お値打ち」は実現できないし、百貨店取引を前提とした高コストな組織体質を引きずっては新規事業のハードルも高くなる。百貨店と決別して組織コストを落とし、百貨店では売らないお値打ちなD2Cブランドや無在庫C2M事業に活路を見出さない限り、百貨店ブランドの絶滅が会社の消滅に直結してしまう。

 第三者として状況を俯瞰するなら当然の結論だが、当事者としては正面切っての公言ははばかられるのかもしれない。公言するもしないも百貨店と決別しないと会社が存続し得なくなるとしたら、もはや遠慮も躊躇も無用ではなかろうか。

※2ランティエ…金利で生計を立てている人を指すフランス語

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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ノードストロムのNY新店が示すリアル店舗のあり方(後編) 鈴木敏仁のUSリポート

 アメリカ在住30年の鈴木敏仁氏が現地のファッション&ビューティの最新ニュースを解説する。米大手百貨店ノードストロム(NORDSTROM)がニューヨークに出店した新タイプの店舗を前編・後編の2回にわたってリポートする後編。この店の最大の面白さは飲食などのホスピタリティーにあるという。(前編はこちら

 ノードストロムのフラッグシップ店舗で飲食できるレストランやバーは全部で7つ。日本でいうレストラン街のようなフロアを作らず、各階に分散させている。最も目立つのは地下1階の靴フロアのど真ん中に置かれた「シューバー」と名付けられた本格的なバーだ。私は2度訪れたがいずれも酒を飲んでいるお客がいて人気のほどがうかがえた。

 これがなかなか格好よいのである。商品をブラブラと選びながら、飽きたのでバーで一休みし、売り場の環境でお酒を1杯飲みながらバーテンダーと世間話をして、またブラブラと買い物に出る−−といったなかなか楽しそうな経験ができるのだ。

 さらに面白いのは、売り場のどこでも飲み食いしていいというルールと、お客の希望により売り場に出前するというサービスだ。私が訪れたときは、バーで買ったワインを売り場に置かれたテーブルにボトルごと置いてグラス片手に話し込んでいる女性2人組がいたり、ソファで談笑しているグループにハンバーガーが出前されたりと、そんな光景を目のあたりにした。

 デパートメントストアによる“店内どこでも飲食可”は業界初の試みである。

 同社の飲食に対する考え方は、もうけを前提とせず滞在時間を長くすることにあり、値段も高く設定していない。全店舗で飲食を強化しており、全トランザクション(取り扱い)の25%が飲食となっているそうだ。

 オープニング時のメディアの取材に対して幹部が、“帰りたくならない、一日中でも滞在したくなる店舗”を目指しているという趣旨の発言をしていた。店舗の隅々までをホスピタリティー化することで、これを実現しようとしているのである。

 ついでながらもう一つ、同社はこのフラッグシップ店舗に先立ってECで注文した商品の受け取りや返品が行える「ノードストロム ローカル(NORDSTROM LOCAL)」という超小型店舗をマンハッタンに2店舗オープンさせている。ネット販売のピックアップ、お直し、靴の修理、ギフトラッピング、衣料の寄付、返品、そしてスタイリストによるアドバイス、といったサービスのみというユニークな業態である。ニューヨークの2店舗の他には、実験を開始したロサンゼルスに3店舗あるのみ。

 「面で考えており、もうけは度外視で、コミュニティーのサービスハブとする」と幹部がコメントしていて、モール内の大型店舗ではできない顧客との新たな接点を作ることを目的にしている。大型店舗が入り込めないような商圏に出店してサポートする役割である。メンズ、ウィメンズ、ローカルと立て続けに作ったことからもNYマンハッタンへの本気度がうかがえるのである。

業績好転への起爆剤になるか

 NYマンハッタンからは、百貨店のロード&テイラー(LORD & TAYLOR)、ヘンリ・ベンデル(HENRI BENDEL)、セレクトショップのバーニーズ(BARNEYS)といった古い企業の撤退や破綻が続いている。今回のノードストロムによる進出はNY小売市場の入れ替わりの象徴と言えそうだ。

 同社は2017年に、22年までの目標として売上高を毎年3~4%伸ばす計画を発表しているのだが、昨年度は目標未達に終わり、今年は2%減になるという予測数値を明らかにしている。17年に設定した計画は2年連続で達成できないようだ。

 一方、数年にわたってノードストロム一族はバイアウトを企画してきたのだが、資金が集まらず昨年断念している。非上場となって機関投資家の監視下から逃れて長期的な視点で自由にやりたいということなのだろうが、資金が集まらないということが意味する事態は容易に想像がつく。

 こういった環境下でのNY新店への大きな投資に対しては、ギャンブルだという批判的な意見が金融メディアや証券アナリストからは出ている。この全く新しいコンセプトを持った店舗が業績好転への起爆剤になるのかどうかが今後の焦点だ。

鈴木敏仁(すずき・としひと):東京都北区生まれ、早大法学部卒、西武百貨店を経て渡米、在米年数は30年以上。業界メディアへの執筆、流通企業やメーカーによる米国視察の企画、セミナー講演が主要業務。年間のべ店舗訪問数は600店舗超、製配販にわたる幅広い業界知識と現場の事実に基づいた分析による情報提供がモットー

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「“地獄”を見てもそれに対処できる精神力のある経営者が重要」 by 百合本安彦

百合本安彦グローバル・ブレイン代表取締役社長

 ベンチャー企業は初めに作った事業計画で運営を続けることはほぼない。サービスやプロダクトの方向転換を行う“ピボット”を繰り返し、ビジネスモデルを作り上げていくのが基本だ。しかし、事業がうまくいかないとすぐに辞めてしまう経営者もいる。われわれは出資先の領域を定めず、ある意味貪欲に投資に取り組んでいるが、預かっているお金を運用する責務がある身としては、“地獄”を見てもそれに対処できる精神力のある経営者が重要だ。(「WWD JAPAN.com」2019年11月8日公開、「“地獄”に対処できるか」 有力投資会社の代表に聞く、起業家に必要な“経営者の資質”から)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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末恐ろしいスポティファイ育ち世代 エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年6月25日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

末恐ろしいスポティファイ育ち世代

 皆さんは、音楽は何で聴いていますか?私は一時期ユーチューブ漬けでしたが、今はどっぷりスポティファイ(Spotify)派。回し者ではありませんが、一歩オフィスを出たら、寝る時と取材の時以外はイヤホンを耳に入れっぱなしでまさに“No Sportify No Life”。飛行機に乗る前日はその時の気分の曲を大量にダウンロードしています。

 携帯電話はiPhoneなのでアップルミュージック(Apple Music)でもよかったのでしょうが、スポティファイ派になった理由は、吉井雄一・巴里屋社長のプレーリスト(選曲集)が欲しかったから。吉井さんが関わる「ミスター・ジェントルマン(MISTERGENTLEMAN)」のショーの選曲が好きで、さかのぼると「フェノメノン(PHENOMENON)」時代の選曲も好きでした。2012年春夏コレクションで、山下達郎がかかった時の透明感ある光景は目に焼き付いています。音楽はその場の空気を明らかに変えますよね。その吉井さんからスポティファイにプレーリストを出していると聞いて即ダウンロードしました。

 使い始めて思うのは、「ストリーミング世代は感性の育ち方も違うんだろうな」ということ。ファッション関係者の多くは音楽から影響を受けていますが、ストリーミング以前と以後では影響の受け方は全然違うと思います。レコード&CDを所有する行為は、好きな音楽を自分で“掘り集める”感覚でした。でもストリーミングだと、アルゴリズムに基づくおススメが勝手に編集されて次々と届き、 “気がつくとそこにいた”感覚で新しい曲に触れている。ロック、ヒップポップ、ジャズ、EDMといったジャンルや年代を軽々と超えているのに、超えているという感覚すらなく、それが心地よい。これはレコード生まれのCD育ちからすると、ものすごいカルチャーショックであり同時に快感です。

 そうやって出合ってハマっているミュージシャンが、ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)です。村上隆とコラボしたり、モード雑誌の表紙を飾ったり、「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」の広告キャンペーンに参加したりと、すでに何かと話題の17歳。ささやくような歌声はそれこそ何系とカテゴライズできませんが、脳内に響いて残ります。

 と!この原稿を書いていたら原宿のセレクトショップ、グレイト(GR8)が、ビリーとの限定コラボコレクションを6月23日から販売中との記事が上がりました。さすがグレイト、速いです。それにしても記事に使用している写真が斬新です。ビリーがホテルか何かのバスルームで鏡を使って自撮りしています。

 ビリーと同世代がまもなくファッションビジネスシーンにも登場してきますが、きっと彼らが作る服は、それ以前の世代が作る服とは何かが違うはずです。アプリで音楽を作り、レーベルに属さずネットを介してファンに直接届けるストリーミング世代のミュージシャンと同じく、服の作り方や売り方も変わってくるはずですし、すでにそうなりつつあります。

 そういえば、LVMHプライズの取材で知り合った新進ブランド「カイダン・エディションズ(KWAIDAN EDITIONS)」のデザイナーデュオは、自分たちを“根無し草(フローティング)”と表現していました。夫のハン・ラー(Hung La)はベトナム系アメリカ人で妻のレア・ディックリー(Lea Dickely)はフランス人。働く場所はパリ。カテゴリーに収めたくなるのが取材する側の心理ですが、彼らのルーツもクリエイションも“何系”と収めようとするのは無理があります。魅力を感じたらカテゴライズせず、あるがまま受け入れるべしなんだ……。そう思います。

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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ドレスからテレビ、青汁、生理ショーツまで 2019年「WWDジャパン」スタッフのベストバイ!

 2019年がまもなく終わります。今年は何を買いましたか?ファッション、ビューティに携わる弊社スタッフも多くのお買い物をしたようです。ファッション関係者らしく、素敵なドレスからアクセサリー、ビューティ関係者らしくドライヤーや青汁も出ました。特筆すべきは、テレビ離れが進む若者(といっても30歳ではありますが)からテレビのベストバイが上がったこと。そのほか、今話題の生理ショーツやあったかソックス、青汁など幅広いお買い物リストがそろいました。

昨今流行りの「自分へのクリスマスプレゼント」として、ついに買いました。

 タクーン・パニクガル(Thakoon Panichgul)デザインで、牙が特徴の「タサキ(TASAKI)」の“デインジャー”は、「男子が着けてもヘンじゃないパール」と勝手に思い込んで、発表になった時から「いつ買おう?何を買おう?」と迷い続けていましたが、年末、伊勢丹新宿本店のザ・ステージで商品を見て(何度目だよw?)、「来年、値上がりするんです……」と聞いてしまい、2分後にはカードを出していました。ピアスは絶対なくすから、1万円以上のモノは着けないと決めていたのに、最近はマイルールを破っていたんです。それが、ついに、この価格帯。マジで無くさない!!と言いながら、寝るときも、お風呂でも、ジムでも“付けっぱ”なのが男子らしいと思っています(苦笑)。(「WWD JAPAN.com」編集部編集長 村上要)

スポーティーとエレガンスを一度にかなえる理想のドレス

 「サカイ(SACAI)」のグリーンのマキシドレス(13万9000円)は見た瞬間ひとめぼれしました。首元にはバイカラーのリブ、袖部分とフロント&バッグにはフリルが施され、そこに程よいシースルーがプラスされていて、スポーティーとエレガンスのバランスがとにかく絶妙。スニーカーでカジュアルダウンしたり、ヒールと合わせてきちんと感を演出したりと、この1年シーンを選ばず大活躍してくれました。(「WWDジャパン」編集部 皆合友紀子)

おばあちゃんになっても着たいワンピース

 「マメ(MAME KUROGOUCHI)」 2019年秋冬のシルクレースプリントスリーブドレス(6万8000円)は、袖口のカフスデザインと配色に一目惚れしました。ストンとしたシルエットはスタイリング次第でカジュアルに着られるのもうれしい。繊細で美しいレースに心が踊る1枚は、おばあちゃんになるまで大切に着ていたいです。(編集制作部 八木由希乃)

汎用性が高すぎるハンティングジャケット

 フラリと寄った某セレクトショップで購入した「アンユーズド」2019年春夏のハンティングジャケット(5万5000円)は、身幅が非常に広く、着丈は短めのシルエット。普通に羽織るのはもちろん、冬はロングコートの上から着ることもでき(誰もそういう着方はしませんが)、恐らく今年イチ着てる気がします。面構えはけっこう武骨ですが、ポケットが左右2つずつ、そして背中に大きめのポケット1つの計5つでかなり機能的です。手ぶら至上主義の僕としては、背中のポケットにiPadを入れ、そのまま取材に行けるのもうれしい。取材なのにコイツ手ぶらで来ちゃったよ!と思われた方、安心してください、身に着けてますよ。(「WWDジャパン」編集部 石塚振)

男なら一度は憧れるライダースジャケットをゲット

 男性なら、一度はライダースジャケットに憧れたことがあるはず。それもダブルで、牛革がいい。だけど、ディテール満載でイカついものは気が引ける...。そんな僕がこの秋冬に出合ったのが、東京ブランド「ユハ(JUHA)」の一着。ミニマルな見た目、ゆとりある形で今っぽく着られる。腑抜けな僕を少しだけ格好よく見せてくれます。千歳船橋のセレクトショップ「ライクル(LICLE)」で購入。約15万円でしたが、有名ブランドと同じ工場と作っていると聞いて納得。「ユハ」は全体的にコスパ高くオススメです。(「WWDジャパン」編集部 本橋涼介)

“帽子男子”始めました!宣言

 帽子が好きです。でも帽子は僕のことが好きではないようで、頭が大きくてフィットするアイテムが少ないんです……。そして妻は、帽子をかぶった僕のことが嫌いです。だから帽子をかぶれません。でも7月に数年ぶりに取材で訪れたロサンゼルスであまりの日差しにやられて、メンズセレクトショップのストロングホールド(THE STRONGHOLD)で購入しました。それが1865年創業の米国のヘッドウエアブランド「ステットソン(STETSON)」の“オープンロード(OPEN ROAD)”(95ドル、約1万350円)です。すっかり開眼してしまい、冬用に購入したのが最高級素材ビーバーフェルト製の“ウィペット(WHIPPET)”(8万円)です。11月20日に東京・日本橋に移転リニューアルした「ステットソン」の直営店「ジョンBステットソン東京」で購入しました。これで一年中、“帽子男子”できそうです。(「WWDジャパン」編集部 三澤和也)

新生「バーバリー」に一目ぼれ

 決済はほぼSuicaアプリもしくはLINEペイ→お財布小さくなる→カバンも小さくなる。最近こういう人多いと思いますが、私もすっかりミニバッグしか使わなくなりました。以前「クロエ(CHLOE)」の“ナイル”バッグに一目ぼれし、発売したらすぐに購入したのですが通勤にはさすがにちょっとサイズが足りず(iPhoneXプラスは入らない) 、ミニサイズながらもある程度収納力もあるバッグを探していました。ピンとくるものがない限り新しいバッグは買わない派ですが、「バーバリー(BURBERRY)」の新しくなったロゴのバッグを見つけ、運よくハロッズ(HARRODS)がセールをしていたので思わずポチッ。シンプルすぎるかなと思いつつ、どんなシーンや洋服にも合うし、中に仕切りがたくさんあって使いやすい!スマホ、お財布、日焼け止めスティック、鍵、リップ(数本)、香水、ワイヤレスイヤホンを入れていますが、それでも余裕なくらいです(意外と入る)。シンプルだけどおしゃれなロゴが気に入り、その後空港でロゴのカードケースも購入し、名刺入れとして使っています。(「WWDビューティ」編集部 北坂映梨)

ずっと欲しかった“タビ”ブーツ、このギミックすがどストライク

 「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA以下、マルジェラ)」“タビ”ブーツが欲しい!と思い始めてからかれこれ数年。永遠の定番だからこそ「またお金あるときでいいか」とこれまで後回しにしがちでした。しかし、2019年春夏に出たこの“タビ”ブーツは、見る角度によってヒール部分に施されたロゴと22番が見え隠れするデザイン。このギミックがどストライクで思わずポチりました。もちろんホワイトステッチだけのシンプルな定番デザインも欲しかったのですが、このデザインは今季しか売らないかもしれないという焦りが背中を後押しし、無事(財布は無事じゃないですが……)念願の人生初“タビ”ゲットです。(デジタルマーケテイング部 丸山瑠璃)

オジさんなりのメンズジュエリー、ポケットウオッチとウオッチチェーン

 メンズジュエリーがまたアツいと噂に聞いて気にはなっていた。そんな時、若手男性記者たちの手元にもさりげなくもセンスの良いリングなどを見かけるようになり、いよいよ自分も何か欲しい……と思っていたところで見つけたのが、「ポータークラシック(PORTER CLASSIC)」のポケットウオッチ(9万円)とウオッチチェーン(8万円)。トレンドを追いかけたくはないけれど、置いてけぼりは寂しい40代オジさんなりのメンズジュエリーとして、毎日愛用しています。(デジタルマーケティング部 櫻井雅弘)

澄んだ空気感をまとう「石田真澄」のphotograph.

 2年半前の初個展が気になりふらりと訪れ、しばらく余韻さめず、ふわふわしていました。名は体を表す、澄んだ空気感をまとう作品の数々。純粋に心に響き、不在廊だったので名刺に一言添えたのがきっかけです。後日連絡をいただいて、応援したい思いでオーダーするも2年も迷い……。「いつかお仕事一緒に出来たらいいな」と思いをはせていたら、2019年「WWDジャパン」ネクストリーダーを受賞されてとても嬉しかったです。(販売部 田中実佳)

洗濯2回も素敵な音楽を届けてくれるタフな相棒

 ワイヤレスイヤホン、発売当初は絶対落として無くすと小馬鹿にしてすらしていましたが、その頃の自分は愚かでした。いざ購入してみると、耳にフィットし外れることなく、着用をうっすら忘れてしまうくらいで毎日の“お供に”。でもその存在の薄さから、耳から外しパンツのポケットに入れ、そのまま洗濯してしまったことが2回も……。それでも変わらずに素敵な音楽を届けてくれるタフさも気に入っています。(デザイン部 長橋優)

“たとえ火の中水の中草の中”一緒のスマホケース

 「今年もたくさん買い物したな~。ベストバイ、なんだろうな~」を考えながらもまさに手にしていたスマートフォン。いつ何時でも手放さず、そばにいるスマホを守ってくれたケースが私のベストバイです。気分で変えたり、落として割って変えたりしていたけど、「ヴェトモン(VETEMENTS)」や「サカイ(SACAI)」ともコラボしていて周りでも使っている人が多い「ケースティファイ(CASETIFY)」に変えてからすっかり定着!これはポケモン(POKEMON)コラボで、発売開始から72時間で完売したというもの。友達とおそろいでこれにしたのですが、「ポケモン好きなの?」は今年1、はじめましての人との会話のきっかけにもなりました。(編集制作部 福本沙耶)

最高の画質と音に寒い冬も快適!

 前に使っていたテレビが古く、買い替えを考えていた時、WWEネットワークに登録したので綺麗な画質で見たい、と思って夏のボーナスで購入。値段の割に画質も綺麗で、ネットがつながっていることにも興奮。リモコンにアマゾンプライムとNetflixのボタンまで完備されている!WWEもDAZNもアマゾンプライムもアプリ内蔵で引きこもりがちに。さらに、テレビを買ったからどうせなら臨場感のある音響で見たいとサウンドバーも購入。電気屋でYAMAHAに一目ぼれ。でも音が良すぎて一人暮らしのマンションでは近所迷惑だと断念……同じYAMAHAの違うタイプに落ち着きました。十分の音量、しっかりした低音で聞き取りやすいサウンドに満足。寒い冬、部屋で快適に過ごせそうです。(デザイン部 岡本和樹)

銭湯で出合った「ナノケアドライヤー」

 サウナ、銭湯マニアの私が週3で通う銭湯「小杉湯」。アーバンリサーチともコラボしていて、マニアの間では交互浴の聖地と言われているこの銭湯は、アメニティーがなかなか充実しているのも人気の理由の一つ。3分20円の貸し出しドライヤーとして新たに導入されたのがこの「ナノケア」(2万5000円)。速乾なのに髪に潤いを与える使用感に感動!思わず自宅用にも購入してしまいました。(デザイン部 吉田亜沙美)

なかなかない乳酸菌入りでお得感もある青汁

 健康のことを考えて何かしたいと思った時、野菜から1日分の栄養を摂取するのは難しい……ならば青汁でと思った時にであった「Be」の「ライズストア グリーン(RISE STORE GREEN)」。飲み始めたら腸や肌の調子が良くなった気がします。この青汁、ほかにはあまりないと思われる乳酸菌が入っていてなんだかお得。苦くてまずいイメージだった青汁だけど、苦くも甘くもないところが飲みやすくて続けられます。豆乳やヨーグルトに混ぜるのもおすすめです。(ビジネスプランニング部 泉淳子)

ナプキンいらずの“生理ショーツ”との衝撃の出合い

 今年はフェミニズムやフェムテックなどを取材して、生理について改めて考えた一年でした。特に“経血吸水ショーツ”との出合いは驚きでした。ナプキンやタンポンいらずで快適にはける上、洗って繰り返し使えるので経済的で環境にも優しいんです。人に下着を紹介するのは少し恥ずかしさがありますが、革新的な一品なのでいろんな人に知って欲しいという思いもあります。「シンクス(THINX)」のショーツ(約4000円)はオーガニックコットンを用いたものや、デザイン性の高いものがありオススメです。(「WWDジャパン」編集部 大杉真心)

これでもう冷え知らず! 縁の下の力持ちソックス

 末端冷え性持ちの者にとって、冬とは足の指先が冷え固まることが当たり前の季節……と長年思っていましたが、ふとドラッグストアのレジ横で目に入ったこのインナーソックスがすごかった!今まで試した靴下に貼るカイロは、室内だと暑すぎるなど温度調節ができないことが難点でしたが、このソックスは室内でも屋外でも、快適な温度で指先を守り続けてくれます。靴下の中に履くタイプなので、普段の着こなしにはまったく響かないお守り感もポイントです。(ビジネスプランニング部 鈴木萌子)

【番外編】
癒しのスペシャリスト現わる

 セキセイインコが家族に仲間入りしました。毎朝晩、戯れる時間をもうけているのですが、すぐに頭や肩に乗ってくるなど、かなり人なっつこくて可愛さにメロメロです。また、インコへの毎朝の餌やりのおかげで早起きになり、心なしかストレスも緩和された気がします(笑)。(ビジネスプランニング部 工藤寿志)

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「セリーヌ」新店に見るエディのセンス エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年6月18日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「セリーヌ」新店に見るエディのセンス

 上から目線な表現になりますが、こう言いたい。“やはりエディ・スリマン(Hedi Slimane)のセンスはいけている”と。「セリーヌ(CELINE)」がこのほどパリにオープンした新店の写真を見て思いました。

 記事にはその特徴について「20世紀の建築様式のブルータリズム、モダニズム、バウハウス、オランダの芸術運動デ・スティル、それぞれの要素が掛け合わされたデザイン」とあります。難解な呪文のようですが、大胆に解釈すると「洗練されたむき出し感、機能的で厳格、同時に温かみもあるモンドリアン的構成の空間」ということでしょうか。違いますでしょうか。とにかく写真を見る限りカッコいい。

 店内の彫刻などは4人の女性アーティストによるものだそうです。ティンカ・ボック(Katinka Bock)、フー・シャオユアン(Hu Xiaoyuan)、ジョージア・ディッキー(Georgia Dickie)、ロシェル・ゴールドバーグ(Rochelle Goldberg)。勉強不足ですみません、と思いながらインスタグラムでハッシュタグ検索してみるとその数は数百から多くて1500と、世にはまだあまり知られていないアーティストたちのようです(ちなみに#KAWSは103万)。無名ではありますが、いずれの現代アートもインスタ上の写真を見るだけで心地よいものでした。

 ここで思い出すのが、エディ・スリマンが得意とするショーモデルのストリートハントです。エディが作るショー(キャンペーンも)は、モデルが非常に重要で、その多くが若く、無名ながら個性的な顔や態度が印象に残る人が多い。新しい価値観を表現するのに不可欠な存在です。

 新しい店を装飾するのに選ばれた4人の女性アーティストたちの考え方も、モデルのキャスティングの考え方に通じるものがあります。今の「セリーヌ」の「態度」を決定づける存在として厳選したのでしょう。

 デザイナーの仕事は、大きくは「クチュリエ(服を作る人)」と「スタイリスト(スタイルを作る人)」に分かれるかと思いますが、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)が前者ならイヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)は後者、アルベール・エルバス(Alber Elbaz)が前者ならエディ・スリマンは後者。極論すれば前者は着る人が主役のオートクチュールやテーラーが頂点であり、後者の主役はスタイル自体と言えるでしょう。ディオールやエルバスの服は着る人を包み込むような優しさがあり、サンローランやエディが作る服は自分の個性を押し殺してでも着てみたい欲望を喚起させる力があります。当時、70歳近かったカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)がエディの服を着たくて大幅ダイエットに成功したのは有名な話です。

 「セリーヌ」就任時には危ぶまれた(私が危ぶんだ)、50歳を超えたエディ・スリマンのセンスの進化はどうやら止まっていない。直線好き(!?)のエディが、存在感あるらせん階段を選んでいるのを見てそう思いました。 “みんな違ってみんな良い”時代ではありますが、ファッション界にはやはり圧倒的にイケていて先を行くリーダーもまた必要なのです。さて、3シーズン目はそのセンスが服にどう反映されるのか、楽しみです。

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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「第3回 ライフスタイル Week 春」が開催 ファッション、インテリア、ビューティ商材など世界35カ国から1万4000点が集結

 リード エグジビション ジャパンは2020年1月20~22日、世界中のライフスタイル商材が一堂に会するバイヤー向けの国際商談展「第3回 ライフスタイル Week 春」を幕張メッセで開催する。今回はファッションやビューティ、生活雑貨、インテリアなどに加え、新たに文房具と花の展示会を新設。日本の伝統的な技術を用いたメード・イン・ジャパン製品や世界的に注目を集めるサステナブル製品をはじめ、同時開催の化粧品展を含め、世界35カ国から1万4000点のライフスタイル商材が集結する。併催されるビームス役員やワークマン専務などの業界のキーパーソンたちによる無料セミナー(事前申込制)も目玉の一つだ。本記事では、メード・イン・ジャパンとサステナブル分野の知っておきたい出展製品や、今聞いておきたい話題のセミナーを紹介する。

世界で評価を高める
日本の伝統技術が集結

 世界からの評価を高めている、日本各地の伝統的な素材や技術を用いて作られた製品が全国から集まる。燕三条の包丁やモダンデザインの有田焼、特殊な加工を施した和紙からできたクッション、地域をまたいだコラボレーションにより生まれた急須などを通じて、伝統的でありながら、革新的な匠の技を垣間見ることができるだろう。

日々の生活を持続可能に
サステナブル製品

 ファッション業界のみならず、さまざまな領域で注目を集めるサステナブルな製品も集結。環境的に持続可能な暮らしを取り入れるため、作り方や素材を見直したファッション小物や生活雑貨がそろう。

売り方からSNS戦略まで
学べる無料セミナー

 ファッション業界やライフスタイル業界の一線で活躍するキーパーソンたちによる無料セミナーも同時開催(事前申込制)。売り場作りやSNS戦略、ブランディング戦略など、さまざまな視点からヒントを得ることができる。


INFORMATION
第3回 ライフスタイル Week 春

構成展示会:雑貨EXPO、ベビー&キッズEXPO、ファッション雑貨EXPO、
テーブル&キッチンウェアEXPO 、インテリア&家具EXPO、
ヘルス&ビューティグッズEXPO、フラワー&プランツEXPO、文具・紙製品展
日程:2020年1月20〜22日
時間:10:00〜18:00(最終日のみ17:00終了)
会場:幕張メッセ
住所:千葉市美浜区中瀬2-1
入場料:招待券持参者は無料(招待券がない場合は5000円)

問い合わせ先
ライフスタイル Week 事務局
(リード エグジビション ジャパン)
03-5324-1093

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これからの美容室は高齢社会の社交場だ ITのプロ「WWDビューティ」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、先週号のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.5「美容室が初めて25万軒を突破 倒産件数も過去最多を超える見込み」

読み解きポイント:社交場としての美容室について考える

ニュースのポイント

 厚生労働省によると、2018年度末、美容室が全国で25万1140施設、美容師数は53万3814人と過去最高を記録した。なお理容室は11万9053施設と、前年度に比べ1912減少となった。また、美容室は19年1〜10月累計で92件倒産し、休廃業・解散も年間200件を越えるなど増加傾向にある(東京商工リサーチ調べ)。異業種から参入するサロンもあり、新たな経営手法を模索する時期が来ているのかもしれない。

CKRはこう読む!

 信号機の数よりも多いと言われる美容室。それでも増え続ける理由は、地域に根付いた社交場(サロン)としての役割があるからではないでしょうか?倒産件数も過去最高とありますが、休廃業・解散を合わせて300件/年程度。それほど多くありません。美容師の新規免許登録数は、05年度をピークに毎年減少しています。ところが美容師数は、この20年で1.6倍増え、約53万人となりました。引退せず、美容師を長く続ける方が、全国にはたくさんいると言えそうです(美容師免許を持ちながら、就労していない休眠美容師が全国に推計75万人いるのも事実です)。

 全国理美容製造者協会の調査によると、年代別の平均利用回数は、60代が6.9回/年とトップで、年代が若くなるほど回数は減少します。また女性は、どの年代も8〜9割が美容室を利用しており、お店選びの理由1位は「行きやすい場所にある」です(男性40代以上は、8〜9割がクイックカットサービス店か、理容室を利用しています)。このあたりから考えても、住宅街に昔ながらのアットホームな美容室が、「地域の社交場」の役割を果たしていると思われます。

 しかし今後、美容師も高齢となり休廃業が増えると、「社交場ロス」することになります。そして実は、背後に差し迫っている、この課題に向き合うことが大切だと思うのです。施術スキルを確保し、リーズナブルな料金でサービスを提供することは、もちろん大切です。しかし、幅広い年代の方とのコミュニケーション力や、地域に貢献する活動も、応援される美容室として見逃してはなりません。“粋”な美容室なら、値段は少々高くても、お金を払いたいと思う方もいらっしゃるはずです。心地よい場所で、元気がもらえるなら、何度も通う人もいるでしょう。訪問美容という新しい形が増える可能性もあります。

 「高齢社会における社交場としての美容室」、注目したいテーマの一つです。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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まだ、あなたが知らないニューヨーク最新トレンド WANGHONG and Chinese Power:“ワンホン”を制するものがマーケットを制する

 ニューヨークで活躍する名物クリエイティブ・ディレクター、メイ(May)と、仕事仲間でファッションエディターのスティービー(Stevie)による連載第3回。月に1、2度はお気に入りのレストランでランチをしながら情報交換するのが楽しみな2人。“You’d Better Be Handsome”は、2人がときにゲストを交え、ニューヨークのトレンドや新常識について雑談するコラム 。Vol.3となる今回は、どこに行っても影響力のあるチャイニーズパワーを分析。知らないでは済まされない“ワンホン(WANGHONG)”の重要性についてトーク。

 チャイナタウンを一歩出ると、中華料理店がそんなにないのがニューヨークの実情。特にゆっくりできる空間がないなか、トライベッカの外れにある「チャイナブルー(CHINA BLUE)」はコロニアル時代の上海風な内装で、ゆっくりおしゃべりが楽しめる。夏になると、窓が全開されて気持ちがいい。ニューヨークでは珍しく静かなエリアなのも◎。点心も充実、ランチセットは12〜15ドル(約1300~1600円)。CHINA BLUE, 135 Watts Street, 973 860 3865

メイ:ロンドン、パリ、ソウル、上海、東京を回って先日戻ってきたばかり。

スティービー:上海にも行ってきたのに、上海風チャイニーズで大丈夫だった?

メイ:ニューヨークのチャイニーズって、そんな繊細じゃないから別物(笑)。

スティービー:確かに。でも「チャイナブルー」って随分前からあるけれど、味付けも優しいし、寒いときには熱々のスープが体に沁みるよね。ところでどの都市がいちばん元気があった?

メイ:どこもそれなりに元気だったけど、共通しているのは、どこの国でも中国人が大活躍ということ。買い物をしている人という意味だけではなく、情報発信源として。韓国でも、ビューティブランドのマーケティング部が考えているのは“ワンホン”のことばかり。パリのビューティ発表会でも、やっぱり“ワンホン”が主役のようだし。

スティービー:“ワンホン”?

メイ:あっ、ここにも“ワンホン”を知らない人が!でも、日本でこの話をしたときも、 知らない人が多くてびっくりした。お隣りの韓国では、そのことばっかり話しているというのに。

スティービー:インフルエンサーのこと?

メイ:アメリカで言うならばYouTube Starかな。ただご存知だろうけど、中国ではYouTubeやインスタグラムといったアメリカのSNS にアクセスできない。だから彼ら独自のプラットフォームが生まれたりする。ウェイボー(微博、WEIBO)、タオバオ(TOBAO)、ティックトック(TIK TOK)などなど。そこで大活躍する“ワンホン”は、直訳すると“インターネット有名人”という意味らしい。専門知識を持ったKOL(キーピニオンリーダー)もインフルエンサーだけど、“ワンホン”は動画を活用することが大前提。

スティービー:中国は人数が多いうえに、購買欲があるから強いよね。

メイ:例えばニューヨークで新しい香水を発表するとき、中国本土からエディターを招くのではなくて、PRはニューヨークに住んでいて英語も普通に話せる“ワンホン”を招待するのが普通。この人たちに宣伝してもらうことで、売れるかどうかが決まるから。ビューティやファッションはもちろん、車専門、テクノロジー専門の“ワンホン”も重宝されている。

スティービー:そういえば、先日出席した新商品発表会でも、最前列に座っていた中国人らしき人たちは、ライブで発表会の様子を伝えていた。次々とコメントが携帯のモニターに出てきて驚いた。それにお互いが助け合っている風で、とても効率よくオーガナイズされていて、無駄がなかった。世界中にいるチャイニーズとコミュニケーションを取っているのかも?想像をはるかに超えるすごい人数なのかも。

メイ:“ワンホン”も人気が上がったり下がったり激しいみたいで、人気をキープするには、独自の視点と商品知識が大事。それに企業からお金もらってPRしている感が出てくると、一気にリスペクトがなくなるみたい。

スティービー:そこはインスタグラマーと同じなんだね。でも彼らの収入源は、インセンティブとか広告料だろうから難しそうだけど。

メイ:だからこそ提携するときは、商品を細かくチェックしているみたいだよ。

スティービー:“ワンホン”だけじゃなくても、長く仕事を続けてリスペクトを維持していくためには、基本中の基本だね。

メイ:それにしても、中国人の勢力というか威力は年々強くなっていくのをニューヨークにもいても感じる。

スティービー:中国人のカルチャーを維持しながらも、その地域で根を張っていく。そういえば3年くらい前からニューヨークの公立学校では、中国人が多いからだろうけど旧正月は祝日扱いになったときは驚いた。まだまだユダヤ教関連の休みの方が多いけれど。

メイ:私がニューヨークで小中学校に通っていた頃には、想像もつかなかった事態!大学生の頃は、当時はフランス語、スペイン語に続いて日本語がある学校もちらほらあったけど、今では日本語はほぼ消滅。公立の高校でもスペイン語の次に中国語のクラスがあったりするくらいだから。

スティービー:そういえば、トム・クルーズ(Tom Cruise)とケイティ・ホームズ(Katie Holmes)の娘スリ(Suri Cruise)ちゃんも、中国語教育を推進する私立に小さい時から通っているし。普通にマンダリン語を話せたりして?

メイ:そういえば、この秋にはアンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)の息子マドックス(Maddox Jolie Pitt)君がソウルのトップの大学に入学して韓国中がわいていたよね。

スティービー:噂によると、ほかにもイギリスやアメリカのトップ大学が決まっていたらしいけど、Kポップ好きが高じて韓国の大学を選んだらしい。アンジェリーナ自身もソウルに行ったり。Kポップの影響力って計り知れない。

メイ:日本の大学にハリウッドスターの子どもたちが来ることはなさそうだね。ジャニーズ好きなアメリカ人とかあんまり聞いたことがないし。授業料も良心的で穴場かもしれないのにね。

スティービー:どちらにせよ、アメリカ人が中国語をマスターする前に、その何万倍の中国人が英語をマスターしていくんだろうね。実際、ニューヨークのトップと言われる公立高校は70%近くがアジア人だから。アジア人枠の中でも、やっぱり中国人がダントツ多い。

メイ:70%?じゃ、アジア人がマジョリティーってこと?とうとうそういう時代に入ったってことか。

スティービー:いや、けっこう前からすでにそうなっていたらしいけど、 僕も最近気づいたよ。黒人1%、ヒスパニック3%という学校もあって、社会問題になっているくらいだから。

メイ:とはいえ、高級ブランドをいちばん買っているのはアメリカ人らしいけど!

スティービー:2020年はいったいどんな展開になるんだろう。どちらにしても中国人パワーから見習うことはまだまだありそう。

メイ/クリエイティブディレクター:ファッションやビューティの広告キャンペーンやブランドコンサルティングを手掛ける。トップクリエイティブエージェンシーで経験を積んだ後、独立。自分のエージェンシーを経営する。仕事で海外、特にアジアに頻繁に足を運ぶ。オフィスから徒歩3分、トライベッカのロフトに暮らす

スティービー/ファッションエディター:アメリカを代表する某ファッション誌の有名編集長のもとでキャリアをスタート。ファッションおよびビューティエディトリアルのディレクションを行うほか、広告キャンペーンにも積極的に参加。10年前にチェルシーを引き上げ、現在はブルックリンのフォートグリーン在住

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ノードストロムのNY新店が示すリアル店舗のあり方(前編) 鈴木敏仁のUSリポート

 アメリカ在住30年の鈴木敏仁氏が現地のファッション&ビューティの最新ニュースを解説する。今回は米大手百貨店ノードストロム(NORDSTROM)がニューヨークに出店した新タイプの店舗を前編・後編の2回にわたってリポートする。世界の小売業者が注目するこの店は何が画期的なのか。

 ノードストロムがニューヨークのマンハッタンに新店舗をオープンした。グランドオープニングは10月24日。場所はセントラルパークの西南の角にあるコロンバスサークルから2ブロックほど北側の57番ストリート沿い、セントラル・パーク・タワーという7月に完成したばかりの有名な住居用高層ビルの足下に立地している。このマンションは高さ472m・131階建てで、世界で最も高い住居用ビルだ。

 立地が立地だけに住んでいるのは超富裕層ばかり。リッチな顧客層を頭上に頂いての新店舗ということになる。

 シアトルに本社を置く同社は現在米国内にデパートメントストアを110店舗展開している。主要な大都市圏にはほぼ出店しており、NYにも店舗を持っているのだが、マンハッタン内には店舗がなかった。唯一出店しているのは

 アウトレット業態「ノードストロム ラック(NORDSTROM RACK)」と、昨年この新店の隣にオープンさせたメンズ、ECで注文した商品の受け取りや返品が行える「ノードストロム ローカル(NORDSTROM LOCAL)」だけで、フルラインの通常店舗では初出店なのである。

 そのためオープニング時には、ニューヨーカーにとっては待ちに待った店舗という文脈でメディアに報じられていた。

 ちなみに新規の出店スペースがかなり限られるマンハッタン内において、メンズと隣り合わせて出店するのはかなり難しいことは容易に想像できる。おそらく相当前から綿密に計画していたのだろう。

 店舗面積は32万スクエアフィート(約3万平方メートル)で、同社にとっては最大の店舗面積となっている。フロアは地上5階から地下2階の計7フロア。通常店舗は高くても3階なので今回はフロア数が多い。隣にメンズストアがあるため品ぞろえは女性専用となっていて、同社による正式な名称も「ウィメンズストアNYC」である。公式のステートメントでは、靴とバッグに力を入れて、靴は10万足(デザイナーブランドは50)、ハンドバッグは1万個(デザイナーブランドは3000)、ジーンズは6000本をそろえていると発表している。

 ここで特徴をまず3つ挙げてみる。

1. ビューティ

 ビューティ売り場が3つに分けらている。1階(740平方メートル)の化粧品売り場は、「サンローラン(SANT LAURENT)」など大きなブランドとそれ以外のブランドの2つに別れていて、さらに2階(560平方メートル)がスキンケアとサービスになっている。変則的なレイアウトとなっているのは、おそらく建物の構造上こうせざるを得なかったのだろう。建物の構造をゼロからやり直すのが難しいケースがマンハッタンには多く、変則レイアウトは普通のことである。

 新しいのは2階のスキンケアのフロアだ。エレベーター(または階段)を出ると目の前で待ち受けるのが“ビューティヘブン”と名付けられたカウンターで、常駐しているコンシェルジュが案内や予約といった顧客サポートを提供している。ここからスキンケア売り場が始まるのだが、目を引くのは隣接しているサービスである。フェイスマッサージ、ネイル、ヘアスタイリングといったサービスを提供するテナントが売り場の隣に並んでいる。提供しているメニューの数をトータルすると100を超えるーーをうたい文句としている。

 スキンケア売り場とビューティ関連サービスを隣接させる考え方は、例えば食品分野で物販と飲食を混在させるグローサラントと同じである。ECの時代に“それでもお客が来店する店作り”を考えるときに、ビューティ分野ではこういうアプローチがこれから必要になってくることだろう。

2. 物販以外の多数のサービス

 スニーカーのクリーニング、靴の修理、「コンバース(CONVERSE)」とのコラボによるカスタムデコレーション、服のお直し、ギフトラッピング、パーソナライゼーション・スタジオなど物販以外のサービス売り場もあちこちに多数散在している。中でも私の興味を引いたのはパーソナライゼーション・スタジオだ。購入した商品にオリジナルの刺繍を施すといった特注品にするサービスである。

 前述のビューティサービスや後編で説明する飲食など、人的サービスの多さがこの新店の特徴である。

3. 売り場とマーチャンダイジング

 ノードストロム×ナイキ(NIKE)の店内コラボストア、バーバリー(BURBERRY)によるポップアップストア、伸び始めている新興ブランドを集めた「スペースブティック(SPACE BOUTIQUE)」、初回の「エバーレーン(EVERLANE)」を手始めに特定ブランドを短期間取り扱う「ポップイン@ノードスロロム(POP-IN@NORDSTROM)」ーー。この4つが特筆しておきたい売り場だが、後の2つは他の店舗でもすでに展開を始めており、この店舗のみのスペシャルは前の2つである。双方ともにデザインが奇抜で、路面に面しているため外側に向かって存在感をアピールしている。

 さて、以上はごく一般的に認識されるこの新店のハイライトなのだが、本当のおもしろさは実は飲食、英語で言うところのホスピタリティー分野にある。

(12月26日の後編に続く)

鈴木敏仁(すずき・としひと):東京都北区生まれ、早大法学部卒、西武百貨店を経て渡米、在米年数は30年以上。業界メディアへの執筆、流通企業やメーカーによる米国視察の企画、セミナー講演が主要業務。年間のべ店舗訪問数は600店舗超、製配販にわたる幅広い業界知識と現場の事実に基づいた分析による情報提供がモットー

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ユニクロなども導入する身体採寸技術「ボディグラム」がフィットネス領域に参入 その理由は?

 独自AIを活用した身体採寸テクノロジー「ボディグラム(BODYGRAM)」が、フィットネス領域への参入を発表した。これに伴い、競泳オリンピックメダリストで、現在はスポーツジム「クロスフィット(CROSSFIT)」のトレーナーとして活動する松田丈志氏が同社の公式アンバサダーに就任。今後は松田氏と共に、新たなトレーニングメニューや商品の開発など、フィットネスジムへの導入を想定したデータの活用方法を模索してくという。「ユニクロ(UNIQLO)」やファッションEC「ショップリスト(SHOPLIST)」などでも導入されている「ボディグラム」は、フィットネス領域への参入で何を目指すのか。ジン・コー(Jin Koh)ボディグラム・ジャパンCEOと松田氏の2人に聞いた。

WWD:「ボディグラム」が身体採寸を行う仕組みは?

ジン・コー=ボディグラム・ジャパンCEO(以下、ジン):使い方は非常に簡単で、スマートフォンで正面と側面からの全身写真を撮影し、いくつかの数値を入力するだけ。特別な洋服に着替える必要も、撮影する際の背景に気を使う必要もない。これは、われわれが独自に開発したAIが可能にしている。ボディグラム社のミッションは、最高の身体測定機械をポケットサイズにし、世界中の人に使ってもらうこと。ユーザーが究極的に簡単に使えることを重視している。

WWD:現在、どういったところで使われている?

ジン:アパレル業界では、「ユニクロ」が提供しているアプリの「マイサイズ カメラ(MYSIZE CAMERA)」や「ショップリスト」、ライフスタイル領域では寝具メーカーのエアウィーブなどに導入されている。エアウィーブに関しては、2020年の東京オリンピックに向けて、来日するアスリートに向けたカスタムマットレスの開発用のデータを得られればと考えている。そのほか、まだ発表はできないがヘルスケア領域で複数の会社と話している。

WWD:フィットネス領域への参入を決めた経緯は?

ジン:松田さんの存在が大きい。彼とはエアウィーブのイベントで出会い、ランチをしたのだが、その際に体型のことや、デジタルを活用したフィットネスの話で意気投合した。私個人としてももちろん、ボディグラム社としても彼のインサイトが非常に魅力的に映り、フィットネスの分野で何か一緒にできないかという話になった。今後、トップアスリートでありトレーナーとしても長く活動している松田さんにはアーリーアダプターとして、われわれにフィードバックをしてもらえればと思っている。アパレルよりもフィットネスの方が計測データの精度に対する要件は厳しいため、さらにブラッシュアップできるはずだ。

松田丈志(以下、松田):ジンCEOと話す中で、「ボディグラム」はフィットネス領域で非常に大きい可能性があると感じました。僕が現役の競泳選手だった時、全身のデータを取るためには大掛かりな3Dスキャナーで、専用のスーツを着て測定する必要がったのですが、時間と場所の制約から、年に1、2回程度しか使えなかった。結局、一番日常的に使っていたのは体重計だったんです。「ボディグラム」は体重計よりも取れるデータが多く、かつ日常的に使用できる。個人的には、アスリートを見ていく指標の一つとして、「ボディグラム」が体重計を超えることができればと考えています。僕自身、今後はアンバサダーとして「ボディグラム」でデータ計測しながら自分の体を見ていくつもりです。

WWD:松田氏は「ボディグラム」が体重計を超えるために必要な要素は何だと考えている?

松田:計測の簡便化は既にできているので、取得したデータで何が分かるのかをユーザーにどう伝えるかが重要だと考えています。「ボディグラム」ではいろいろなポイントのデータが取れるので、それをもとに、ユーザーにどんな傾向があるのかなどを導き出せるようになると、有益性が増すと思います。

中見出し:「ボディグラム」はフィットネスでどう活用できる?

WWD:具体的には「ボディグラム」のデータを活用し、どのようなトレーニングメニューやフィットネス製品などの開発を考えている?

ジン:私はトレーニングに関しては素人なので(笑)、松田さんのフィードバックを受けて学んでいくつもりだ。ただ、素人目線で見るとサービスにおいて大事なのはモチベーション(動機づけ)とエンゲージメント(持続性)。この2つを成立させるには、ユーザーが自身の進化を常に感じ続けられることが必要だと考えている。

松田:トレーニングメニューに関しては、古いモノから新しいモノまで無限にあり、トレーナーはユーザーやアスリートの目的に応じたトレーニングを組み合わせて処方しています。例えばヒップラインを綺麗に見せたいとか、特定の筋肉を特化して鍛えたいとかですね。「ボディグラム」では、その目的を明確にしながら、サポートができると考えています。アスリートの研究データと組み合わせればより詳しい提案ができるようになるなど、可能性はさらに広がるはず。製品に関しても、「ボディグラム」が蓄積したデータとメーカーが持っている製品のデータがクロスオーバーすれば、ユーザーがフィットネスをする際に最適な製品の選択や開発ができると思います。

WWD:「ボディグラム」を通じて今後、目指すものとは?

ジン:われわれはヒューマンセントリック(人間中心、の意)のサービスとして、使いやすさや精度、セキュリティーを徹底し、「ボディグラム」をより多くの人に使ってもらえるようにしていきたい。そういった中でフィットネスは非常に大きい可能性を秘めている。今後はヘルスケアや保険、ライフスタイルなどに広がっていくかもしれない。「ボディグラム」というサービスがいろいろなところでつながり、世界的に普及していってほしいと考えている。

松田:僕の中での一番大きなテーマは、スポーツを通じて社会に貢献すること。より多くの人に普段から体を動かしたり、運動習慣を身に付けたりしてほしいと考えています。それが結果的に、健康的な時間を伸ばす。「ボディグラム」のテクノロジーを使えば、運動への志向がさらに進むと思います。先ほどジンCEOが言ったように、最終的にはいろいろな分野に波及し、人々に貢献できる一つの技術となれるのではないか、と期待しています。

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私のサステナビリティ ゲランの北元志保マーケティング&コミュニケーション本部ディレクターは食品用ラップの使用を削減

 私の個人的な取り組みはまだまだ足りないと思っていますが、食品用ラップから保存容器や保存袋などに切り替えるよう意識しています。蜜ろうでできていて繰り返し使える「ハニーラップ」も取り入れていて、ミツバチとの縁を感じます。

 そのほか、不要になった衣類は寄付しています。20代の頃、知り合いのフィリピン人の方が国にいる家族に洋服を送っていると聞いて、私も不要になった服を捨てずに寄付するようになりました。

 また、普段着として着物を着ています。もともとは祖母の着物を譲り受けたことがきっかけ。九州なので大島紬が多いため普段着としてしか着られないのですが、週末のオシャレを着物にする機会が増えると洋服は仕事用のみしか買わなくなり、不用意な買い物が減りました。売るときも買うときもリサイクルショップなどを活用していますが、着物は使い捨てではなく、次の世代に受け継ぐことができる点が魅力的。大切に着て次の方にも着ていただける、日本ならではのサステナブルアクションだと感じています。

 ゲランは2007年から、サステナブルの取り組みへのコミットメント「イン ザ ネーム オブ ビューティ - 美の名において」をメゾンのビジネス戦略の要と位置づけていて、主に4つの取り組み“生物多様性の保全”“エコデザイン””気候変動の対策 ”“社会的責任”において活動をしています。その中でも、生物多様性の保全であるミツバチの保護は活動の大きな軸となっています。

私のサステナビリティ
 ファッション業界にとって加速して取り組まなければいけない課題の“サステナビリティ”。企業として大きく舵を切ることはもちろん、個々の意識も重要です。そこで個人的に行なっているサステナビリティについて聞きました。

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スニーカーに合わせる“不朽のスーツ” イタリア発「アニオナ」の新ライン

 最上級品質の素材使いで知られるイタリアブランド「アニオナ(AGNONA)」は2019-20年秋冬シーズン、新ライン“エターナル(ETERNALS)”をスタートした。

 クリエイティブ・ディレクターのサイモン・ホロウェイ(Simon Holloway)による同コレクションは、女性の仕事やプライベートの両方のシーンに対応するジャケットやパンツ、スカートのセットアップなどの定番品を、流行に左右されないタイムレスなデザインで提案している。色はブラック、グレー、ネイビー、キャメル、ローズウッドの5色を基調に、高級生地メーカーとしてスタートした「アニオナ」らしい上質素材を使用する。価格帯は、ジャケット26万5000~49万円、パンツ13万9000~14万9000円、カシミヤコートが49万~59万円など、従来の「アニオナ」のコレクションよりも手頃な価格に設定した。

 アレッサンドラ・カッラ(Alessandra Carra)=アニオナ最高経営責任者(CEO)は、「1シーズン(半年)以上活躍する女性のための“ステイプルアイテム(寿命の長い重要商品)”を作りたかった。仕事やプライベート、旅行先でも着心地よく、どんなオケージョンにも適したリアルな日常着を作ることは難しいことだったが、サイモンが細部に気を配りながら時間を掛けて作り上げた」と語る。

上質スーツを
エレガントに着崩す新提案

 “エターナル”はスタイリング提案も魅力の一つ。イメージビジュアルでは、英国女優ポピー・デルヴィーニュ(Poppy Delevingne)がスーツにスニーカーを合わせて着こなしている。「“エターナル”コレクションは、ハイヒールを履いたビジネスウーマンの”パワースーツ”ではなく、スーツをエレガントに着崩す提案をしたかった。ルールはないけれど、新しい提案として見せたかった」とカッラCEO。

 ブランド初のスニーカー“220”は、“エターナル”ラインではなく、通常のコレクションラインで19-20年秋冬から登場したもの。デザインはカシミアソックスをベースにしており、“220”という名前は使用しているカシミアの220番手の極細糸が由来になっている。サイモンは、過去に「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」でデザイナーを務めていた経験からシューズデザインが得意。今後もブランドらしい上質素材を用いたシューズの展開に期待したい。

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シェア自転車ブームは過去のもの?完全キャッシュレスを体験! 1年3カ月振りの上海出張をプレイバック

 12月19~21日、中国・上海に出張してきました。上海は2018年9月の出張以来ですが、そもそも中国本土に降り立つこと自体今回でようやく2回目の初心者です。景気はかなり減速しているとはいえ、日本に比べたら成長著しい中国だけに、この1年3カ月の間にも上海の景色は結構変わっていてビックリ。そして、「今更かよ!」といわれそうですが「この街、面白い!」「一回住んでみたい!」とも思ったり。というわけで、刺激いっぱいだった上海出張中のできごとを徒然にプレイバック!

もはや
東京よりも断然都会?な上海

 そもそも、今回の出張はアダストリアのライフスタイルブランド、「ニコアンド(NIKO AND…)」が中国本土に初出店するというので、その取材がメインでした。詳細はこの記事を参照いただきたいですが、上海に駐在して同事業を指揮しているアダストリアの北村嘉輝取締役は、住んでみて「上海のイメージがかなり変わった」そう。「上海は東京より断然都会だと思う。(富裕層からその日暮らしの人まで)こっちはピンキリですが、(ターゲットとする層の)生活水準は日本より高いのでは」と話していたのが印象的です。「ニコアンド」上海店は、グランドオープンの21日は開店前に約200人が行列するなど、上々のスタートを切ったよう。ちなみに、コミュ力最強の北村取締役は現地スタッフから「世界のキタムラ(笑)」と呼ばれ、慕われているようです。

放置自転車激減 
変化スピードにおののく

 昨年9月に上海を訪れた際は自転車のシェアサービスが乱立しまくっていました。パイを奪うために各社とにかく自転車を投入し、それゆえ道に放置自転車があふれまくって歩けない!というレベルだったのですが、今回はかなりスッキリ。東京のシェア自転車くらいの見え方に落ち着いていました。「おお、敗者は市場から退場し、勝者だけが残って秩序が生まれたのだな」と思いきや、駐在の方いわく「全プレーヤー共倒れ」だそうで。いわく「とにかく競合他社に先んじてパイを獲るため、豊富な資金調達を背景に各社爆安でサービスを提供した結果、どこも利益が出せる構造にならず、ダメになった」。なんと……。中国市場の変化のスピードの速さをまざまざと感じた事例でした。

現金は1度も使わず! 
キャッシュレスを堪能

 「アリペイ(ALIPAY)」がとうとう旅行者にも開放されました!昨年9月は中国に銀行口座がある人しか「アリペイ」も「ウィーチャットペイ(WeChat Pay)」も使えなかったんですが、この秋から旅行者にも限定的に開放さています。その恩恵にあずかり、今回の出張では1度も現金を使っていません(クレジットカードは一回使った)。路上のおじさんから傘を買う際にも、おじさんが持っているアリペイのQRコードをスキャンすればいいだけなので超ラクチン!しかし、これは旅行者ゆえですが手持ちのWi-Fiルーターの調子が悪く、支払いをしたい時にWi-Fiがつながっていなくて焦るというケースも。便利な反面、もうスマホを忘れたり、なくしたりしたら生きていけない世界なのだと実感。

「ステュディオス」で
出会った野心溢れる若者たち

 今年の8月に、ステュディオスは中国本土初の店舗を上海にオープンしています。場所は上海における青山(だと私は思っている)新天地。お店に入ると、「いらっしゃいませ」の声。私が日本人だと分かったから日本語なのかしら?と思いきや、日本発のセレクトショップとして、どのお客さまにも「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」を徹底しているのだとか。こちらの店の尹天沢(イン・テンタク)店長は、「青年よ、大志を抱け」を地で行く青島出身の27歳。18年度の「ステュディオス」MVP販売員でもあります。彼のいい意味でギラギラした姿勢、とても面白くて刺激的だったのでまた後日インタビューとしてご紹介します。

“ニューリテール”は
皆がやってるわけじゃない…?

 先日、ストライプインターナショナルの「アース ミュージック&エコロジー(EARTH MUSIC & ECOLOGY以下、アース)」を日本で取材した際、上海・中山公園にある大型店で行っているニューリテール(小売り×テクノロジー)施策を紹介されました。「店内にカメラを30台導入し、顔認証でVIP客を特定。VIP客は店に入った瞬間に店長のスマホに連絡がいき、奥のVIPスペースでもてなす」とのこと(詳しくはこの記事参照)。その店舗を訪問してみたところ、確かにカメラが天井のそこかしこに設置してあります。奥のVIPスペースには日本の雑誌が豊富です。こういうニューリテールな売り方、中国ではどこもやっているんだろうと思ってモール内にあった他店も見てみましたが、あれ?意外とカメラを設置してる店って少なくない?特に現地のブランドって、あんまり設置してないな……。というわけで現地に詳しい某駐在員さんに聞いたところ、「ニューリテールは小売りの未来の1つを指し示すものではあるが、現地の大多数の企業は取り組んでいませんよ。もしくはやれていない」とのことでした。拍子抜け!

アリババのスーパーは
カエルやスッポンもフレッシュ!

 現地企業はあまりやっていないとなると、「じゃあニューリテールって何なんだよ」というややガッカリな気分になりますが、今更ながら今回ようやく訪問したアリババの生鮮スーパー「盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)」は刺激的でした!このスーパー、生鮮というECのブルーオーシャンにアリババが満を持して飛び込み、「ニューリテールという概念でわれわれはこんな価値を提供していきます!」というのを体現している(そもそも、ニューリテールはアリババが提唱した言葉)業態です。ネット注文から30分以内で商品が自宅に届く、買い物客の頭上をEC用のお買い物袋がレールで運ばれていくというこちらの店の感想はまた改めて書きますが、このスーパー、店頭でカエルとかスッポンも売ってまして。めっちゃ元気なので水槽から飛び出してこないかとヒヤヒヤしました(水槽に蓋はない)が、いやー、カエル、スッポンに限らず、生鮮品をフレッシュに保つために猛烈なサプライチェーン改善の努力があり、それとニューリテールは混然一体なんだなと思いを馳せた次第です。

広大な国土が生む
ダイナミックさに体力を奪われる

 先ほどから何度も出ている「現地に詳しい駐在員さん」とは、大丸松坂屋から上海の新世界大丸百貨に駐在されている洞本宗和マーケティング部部長のこと。今回お時間をいただき、中国の小売り事情についていろいろお話うかがってきましたので、そちらも追ってインタビューとして記事化します。ここでは洞本さんが働いている新世界大丸百貨をご紹介。外灘(ワイタン)という、租界時代のレトロなビルが立ち並ぶ上海きっての観光地にあるんですが、とにかく建物が大きい。そして驚いたのはガラス張りになった天井を見上げるとそこにLEDビジョンが付いている。同店に限ったことではありませんが、上海の建物は概して天井が高く広く、駅も広いから乗り換えが超大変。何もかもを大きくすることで威厳を出しているみたいな部分もあるんだと思いますが、国土が広いとあらゆる発想がダイナミックになるんだな、コンパクトな都市設計に慣れた身には堪えるな…としみじみ。

フードデリバリーサービスが
発達しすぎて大変

 「ニコアンド」のお店の向かいに、「ヘイティー(HEYTEA)」というチーズティーで有名なお茶屋さんがありました。混んでなさそうだし、せっかくだから飲んでみようかなと思って注文。「一番人気のお茶ください」と英語で伝えたのですが、注文後、待てども待てども私のお茶が出てこない。こちら、店頭は空いていたんですが、日本でいうところのウーバーイーツ(Uber EATS)的サービスのバイクライダーさんがひっきりなしに取りに来るんです。しまった……と思いつつ、原稿を書きながら待つことなんと1時間。商品を取りに行くとそこにはチーズティーとは全く違うグレープフルーツ×ジャスミンな飲み物が。美味しかったからメニューが違うことはもういいんですが、1時間待ちって厳しいなと。私もアプリから注文すればよかったんでしょうが、そのためにアプリをダウンロードするのはハードルが高い。そしてダウンロードしたとしても中国語というさらに高いハードルが……。この街をエンジョイするには、中国語が必須です。英語じゃダメ。

世界で2店舗目の「ナイキ」
ショップの人気っぷりに酔う

 「ナイキ(NIKE)」がニューヨークに次いで世界で2番目に作ったという、デジタルとリアルの融合店舗「ナイキ ハウス オブ イノベーション(NIKE House of Innovation)」にも行ってみました。場所は人民広場という、上海における(私が思うに)原宿・竹下通り的な場所。上でご紹介した、新世界大丸百貨がある外灘の隣駅です。幅広い商品をそろえるとともに、スニーカーをカスタマイズできるコーナーなどがあるんですが、こちら金曜の20時過ぎに訪れたところバーゲンセール並みの混雑っぷり。特に3階のスニーカーコーナーは自分のサイズを出してもらうのにも一苦労で、残念ながらデジタルとリアルの融合を体感するまでに至らず。混雑に酔ってそそくさと退散しました。空いてそうな時間に行くのがオススメです!

「ジーユー」新ラインは
KOLを獲得できるか

 出張と同じタイミングで、「ジーユー(GU)」も陸家嘴(ルージャーズイ)に出店していたのでそちらの店も訪問。陸家嘴は川を挟んで外灘の向かい側、あの球体モチーフが特徴的なテレビ塔のふもとの街です。「ジーユー」は20年春、18~24歳向けの新ライン“ミックスマニア”を立ち上げるんですが、こちらは「アジア地区のKOL(キー オピニオン リーダー いわゆるインフルエンサー)の獲得」も狙ったラインです。それゆえ、日本に先駆けて上海で売り出すというので店頭の雰囲気をチェック。「ジーユー」の中国本土への出店はこちらで13店舗目といい、ここは特段大きな店舗というわけではないですが、“ミックスマニア”は店頭の一画にしっかり陳列されていました。ちなみに上海への出店は1年1カ月振りだそう。

「シュプリーム」の
ニセモノショップが一等地に…

 「ニコアンド」が出店したのは、上海における新宿もしくは渋谷(だと私は思っている)淮海中路(ワイハイジョンルー)。「ユニクロ(UNIQLO)」と「ジーユー」の複合旗艦店や「無印良品」大型店などもある商業一等地です。同地域を歩いていると、道沿いに「シュプリーム(SUPREME)」を発見!……しかしなんだかおかしい。「シュプリーム」なのにセールをしている。中国の転売ヤーは「シュプリーム」を買うために渋谷の店舗で警備員を殴ってニュースになったりもしているのに、なぜ上海ではセールするほどモノが余っているんだ……?と思っていたら、他紙の上海駐在員さんに「あの店はニセモノだよ」と教えてもらいました。どうりで店先に、「シュプリーム」っぽくない超ファンシーなクリスマスデコレーションとか貼っているわけですね!いつ通っても空いていたので、現地の方にも「ニセモノ」だとすっかり浸透しているように見受けられました。

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UAウィメンズの好調を支える自社レーベル戦略 次なる注目はジュエリーの「プリーク」

 ユナイテッドアローズ(UA)が堅調です。2020年3月期上期(2019年4~9月)を振り返ると、小売り+ECの既存店売上高が前年実績を割り込んだのは、低気温だった4月と7月のみ(4月に割り込む前は14カ月連続前年実績超え)。上期累計では前年同期比3.5%増でした。今秋冬は大型台風、増税、暖冬というトリプルショックで「リーマンショック並みの苦戦」といった声も業界では聞こえてきますが、UAは増税直後の10月に同8.0%減と大きく落としたものの、11月には同1.6%増と持ち直し、市況全般に比べたら健闘しているといえると思います。

 UAは今秋、ECのシステム構築をこれまで委託していたZOZO傘下のアラタナから、内製に切り替えると発表していました。しかしやはり自社では手に負えず、再度アラタナに委託することになったのは既報の通り。この顛末についてはいろいろと厳しい意見が飛び交いましたが、見方を変えれば、そんな風に大きな変革にチャレンジしようとできたのは、店頭が好調だからこそだともいえます。

 では何がUAの好調を支えているのかというと、それはウィメンズです。この一年を振り返っても、「ウィメンズはオンとオフ、どちらのシーンでも着られる提案が支持されていてずっといいですね」といった話が広報さんにヒアリングしている際によく出ました。ウィメンズ好調の背景には、ここ数年行ってきたMDスケジュールの再編・細分化が大きくあるようです(細分化で夏商戦を強化したことで、実際に8月の小売り+ECの既存店売上高は同12.3%増と大きな伸びでした。昨年8月も一昨年に比べて11.7%増と2ケタ増だったのにも関わらず!です)。それと同時に忘れちゃいけないのが、前述の広報さんの言葉にもある「オン、オフどちらのシーンでも着られる提案が支持されている」ということ。

 UAって、基本はメンズもウィメンズもトラッドです。それは創業当時からトラッドのスタイルだけでなくその精神性(みたいなもの)も掲げてきた会社ゆえなんですが、ウィメンズの場合、すごく雑に言うとトラッドってブレザーにキルトスカートみたいな恰好です。正直、こういう着こなしって今の時代の多くの女性にとってはリアルじゃないですよね。オフィスに着て行ったら、大半の人は「そんなにカッチリした格好で、今日何かあるの?」って周りに言われちゃう。そこに対応すべく、UAはこのところ、ウィメンズのオリジナルで“今っぽい”感じの、肩の力の抜けたレーベルを次々開発しています。

トラッド提案ではつかめない層を獲得

 UAの竹田光広社長は2019年4〜6月期の決算会見で、「男性のオフィスの着こなしがカジュアル化しているのと同様に、女性もどんどんカジュアル化している(なんなら女性のカジュアル化は男性よりも随分先行して進んできました)。そこにマッチするようなレーベルを開発しているし、その手法が当たっている」といったことを話されていました。

 19年春夏に立ち上げた「イウエン マトフ(AEWEN MATOPH)」はまさにそんなオリジナルレーベルの1つ。ディレクターは、かつてマーキュリーデザインで「バナーバレット(BANNER BARRETT)」「アミウ(AMIW)」を手掛けてきた二ノ宮和佳子さんです。彼女はまさにUA的なトラッドの文脈ではなく、ガールズマーケットの文脈でやってきた方。20年春夏の「イウエン マトフ」も、きれいな色使いで女性の「ほしい!」を刺激する商品をそろえていました。二ノ宮さん自身が元モデルで非常にフォトジェニックなのもポイントです。

 そしてもう一つは、「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ(BEAUTY & YOUTH UNITED ARROWS以下、B&Y)」業態から19年秋に立ち上げた「ロエフ(LOEFF)」。元々「B&Y」の企画チームにいた鈴木里香さんがディレクターの「ロエフ」は、「イウエン マトフ」とは違ってメンズウエアがベース。ただし、UA元来のトラッド的なメンズライクではなく、リラックス感があるところが今っぽい。

新人デザイナーの登竜門でファイナリストに

 さて、以上でご紹介したオリジナルレーベルに続く存在になるかもしれないのが、UAとしては初のジュエリー・アクセサリーのオリジナルレーベルだという「プリーク(PREEK)」です。18年に立ち上げて、これまでは東京・青山の「H ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ」や名古屋や広島の「UA」店舗など計9店で扱ってきたそう。20年春からは他社への卸も開始し、飛躍を目指します。今週から、ラフォーレ原宿内のカルトショップ「GR8」でも販売を始めたそうですよ。

 こちらのブランド、立ち上げに至ったストーリーがとても面白いのでご紹介させてください。ディレクターの芦沢佳澄さんは、「B&Y」の企画として09年にUAに入社。「本当はファッション専門学校時代に留学したかったけど、かなわなくて。でも、海外のコンペに応募するという夢が諦められなかった」と、会社員をしながら山縣良和さん主宰のファッションスクール、ここのがっこうに入学。そこで「芦沢はなんかジュエリーが向いていそう」という坂部三樹郎さんの謎の(?)託宣を受けてジュエリーデザインを開始。12年に若手デザイナーの登竜門であるイタリアのコンクール「イッツ(ITS)」に応募し、ファイナリストに選出されました。今でこそ、ここのがっこうは「イッツ」入賞者を毎年輩出していますが、当時はまだまだ入賞者が少なかったころです。

 その後もUAで働きながらジュエリー作りを継続。ただし、「UAは副業が禁止なので作っても売ることはできず、ディスプレー用に使ってもらうぐらいに活動は留まっていました」と芦沢さん。そんな状況を変えたのがUAの栗野宏文上級顧問クリエイティブディレクターです。ここのがっこうの活動もサポートする栗野さんが、「自分のジュエリーを(副業などにするのではなく)会社の中で事業として売れる体制を作らなきゃダメだ」と芦沢さんにアドバイスし、竹田社長など経営陣にプレゼンする機会もセッティングしてくれたんだとか。「そこから1年かけて、山梨・甲府(日本一のジュエリー産地)や浅草のジュエリー工場などに生産のためのネットワークを広げて、18年のブランド立ち上げにこぎつけた」んだそうです。

 UA入社前は「ニートだった時期もあるんですよ」と話す芦沢さん。チャンスをつかんだことを祝福すると同時に、UAにとっても、こういったパッションあるクリエイターが社内から出てきたことはすごく幸せなことだなと思います。同質化激しい今のファッション市場をサバイブしていくためには、結局はこういう情熱ある新しい芽をいかに育成するか、もしくは呼び込むかに企業の命運がかかっている。ベイクルーズグループが、社内のパッション溢れる20代を集めて「オリエンス ジャーナルスタンダード(ORIENS JOURNAL STANDARD)」を20年春から新たに始めるというのも、この話と同じ文脈だなと思った次第です。

 というわけで、UAのウィメンズは20年春夏も引き続き要チェック!です。

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ジャーナルスタンダード2020年春夏 チャイナ、デニム、タイダイでキャッチーなテイストミックス

 ベイクルーズグループのジャーナルスタンダード(JOURNAL STANDARD)の2020年春夏は、“リラクシングマニッシュ”をテーマに、チャイナカラーのウエア、ワンピース、ブルーデニムなど、さまざまなテイストをミックスして打ち出す。

 春の立ち上がりはペールグリーンやイエローをベースに、薄手のジャケットやスラックスパンツなどを提案。ゼブラやチェック柄を合わせて、「全体をキャッチーな雰囲気にまとめた」と市川祥子プレスは語る。夏に向けて一枚でさらりと着られる「ブラック クレーン(BLACK CRANE)」のワンピースや、刺しゅうで柄を表現した「ノーマ ティーディー(NOMA T.D.)」のアロハシャツなど、リラックス感のあるアイテムも加わる。

 イチ推しブランドは、2018-19年春夏にスタートしたチャイナテイストの「ヤンヤン(YANYAN)」。別注アイテムを含めてチャイナカラーのニットウエアとセットアップで着られる同素材のスカートなどを並べる。

 新規導入のブルックリンのジュエリー&ウエアブランド「スーベニア(SVNR)」では、タイダイ柄のシルク調キャミソールワンピースなどを買い付けた。

 雑貨は、スクエアトウのサンダルを華奢なストラップや編み目のディテールなどのデザインで提案。「今まであまり打ち出してこなかったデザイン。取り入れるだけでトレンド感を出せる」と市川プレス。

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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「いいね」の非表示で“映え狙い”がインスタからツイッターに? ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、先週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P21「『いいね』の非表示でKPIも変わりそう!?」

読み解きポイント:「生きやすくなったインスタ、インスタ化するツイッター」

ニュースのポイント

 「WWD JAPAN.com」とリデルが今年3月から共同で運営しているインスタグラムアカウントを通して、インスタグラム全盛期を攻略する知見を学んでいく連載。現在はフォロワー3000人以上を抱えクールな世界観を築きあげるKEIさんがアカウントをテイクオーバー中。「いいね数」が非表示になった影響でユーザーの「いいね」に対するアクションが停滞気味になり、「いいね数」をKPIに設定しづらくなった今、保存数やシェア数が増加傾向にある。「いいね数」が多い投稿に対する挨拶としての「いいね」がなくなり、発信者は本当に自分の好きなものを投稿しようというムードにつながっているという。

Azuはこう読む!

 ブランドやショップでインスタグラムを運用している皆さん、「いいね数」非表示の影響ってどれくらいあったでしょうか?私は業務としてインスタグラムの運用代行を行っているのでさまざまな業種のアカウントを見ていますが、影響は……そこまでなかったように思います。月間総合「いいね数」は若干落ちたけど、KPIに設定しているのが他の数字なので特に問題ありませんでした。

 いわゆるインフルエンサーとして活動する友人やキャスティングを担当する人からは「いいね数がわかりやすい指標だったから、色々面倒だな……」的な声が聞こえてきましたが、実際に困っているのって見せかけの数字だけでなんとかやってたアカウントなのかなと思います。フォロワーもいいねも、コメントだって買える時代ですからね……目に見えるものだけが真実とは限らない……。

 そもそも「いいね数」を気にしてSNSを使ったことが一切ないので、個人的には全く影響ありませんでしたが、「いいね数」に縛られて自分らしい投稿ができなかった人にとっては良い流れだったのでしょう(PCから見たらいいね数見えちゃうんですけどね……。)

 一方で「なんだかにおうぞ……」と感じたのは、ツイッターです。ファッションブランドや企業は親和性を感じないからかあまりツイッターを活用していないので、今回はあくまで個人の運用の話にはなりますが、最近のツイッターってなんだか「いいね数」が表示されていた頃の「映え命」なインスタっぽくないですか?

 「いいね」を狙ったインスタ映えがラグジュアリーな日常や美男美女の戯れ、自然光たっぷりのジューシーな写真だとしたら、同じくツイッター映えは、誰でも理解できる(チープな)共感、特定の人物や事象を攻撃する(チープな)批判、それっぽい感じに当たり前のことしか言ってない(これまたチープな)説教など。ツイッターは今のインスタより拡散力があり、言語で発信範囲が絞られ、数字が可視化されるので、小さなコミュニティで承認欲求を満たすにはもってこいなんです。

 実際にインスタの「いいね数」非表示とツイッターに「いいねおばけ」が増えたことの因果関係があるかどうかはわかりません。しかし、なんとなーく「いいね数」に必死になっている人を見るとインスタで「いいね」を稼ぎたいがために危険な撮影をして命を落とした事件と寓話「オオカミ少年」を思い出してしまうのでした。

 今、全てのSNSから「いいね」が消えたら、誰の言うことを信じますか?

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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編集長は先週何した? 「サカイ」のボウリング大会、マッシュで癒し猫、伊藤忠商事から新国立競技場を眺める

 皆さん、こんにちは。「WWDジャパン」編集長、向(むこう)千鶴です。先週は福岡、大阪といった国内出張が多く、行く先々での乾杯は(弊社忘年会を含む)合計7回でした。ホントいよいよ顔がパンパンでマズイです。が、結局こうやって人と会って話をするのが自分は好きだし仕事にしたいんだと再認識もする毎日でした。

12月16日(月)
「サカイ」のボウリング大会で優勝!

 「サカイ(SACAI)」主催のボウリング大会に参加し、皆さんの足を引っ張りつつ見事チーム優勝を果たしました。やったね!これは「サカイ」が12月21日に映画「ビッグ・リボウスキ(The Big Lebowski)」とのコラボアイテムを発売することを記念してのもの。デザイナーの阿部千登勢さんをはじめ、メディアの編集長やインフルエンサーの皆さんが超真剣に興じていました。球をまっすぐ引いて、まっすぐ投げるだけなのに、ボウリングってなんて難しいの!

12月17日(火)
マッシュHDの猫たちに癒される

 2020年1月27日号の「CEO特集」に向けて、各社トップに来年の方針を取材して回っております。この日はマッシュホールディングスの近藤広幸社長の取材へ。すると……何ということでしょう!フワフワの猫が2匹おりました。最近、近藤社長の部屋へやってきたそうです。スコティッシュフォールドのマシュマロとマンチカンのポテトです。もう、メロメロです。ちなみに服についた毛を取るコロコロがちゃんとおしゃれでサスガ、でした。

12月19日(木)
大阪でパッションさく裂。
「イザ ピンク クリスマス」

 セレクトショップのイザ(IZA)の、チャリティーイベント「イザ ピンク クリスマス(IZA PINK CHRISTMAS)」に毎年参加しています。取材ではあるけれど気分はほぼスタッフ。 “乳がん検診を啓もうしたい”“同時に本物のファッションを伝えたい”という、田中タキ=イザ代表の思いから始まった同イベントは、彼女の情熱の渦に巻き込まれて参加者たちがどんどん主体的になり、規模を年々拡大しています。このイベントに参加すると「自分も誰か、何かの役に立ちたい」と強く思うようになるんですよね。

 今年は「ニナリッチ(NINA RICCI)」「ヌメロ ヴェントゥーノ(N°21)」「セルフ ポートレート(SELF PORTRAIT)」のランウエイショーを行い、冨永愛さん、福士リナさん、橋爪愛さん、SHENさんなどのトップモデルが登場しました。

 ぜひ見ていただきたいのは、乳がんを経験した女性がモデルを務めるショー。顔を上げて笑顔で歩く彼女たちの表情を見ていると勇気をもらいます。そしてDJのシャーリー富岡さんによる選曲がいいんです。今回はアンドレア・ボチェッリ(Andrea Bocelli)feat.エリー・ゴールディング(Ellie Goulding)の「リターン・トゥ・ラブ」。最後を歩く女性がステージから家族を振り返るシーンにキュンとします。

12月19日(木)
最新(12月23日)号
「2019年重大ニュースを深掘る!特集」校了と今日のおやつ

 2019年最終号では、今年の重大ニュースを記者たちが深く解説してます。年末年始のお供にぜひ。おやつは弊社スタッフのご実家が送ってくれた温州みかん「南柑20号」。甘くてジューシーです

12月20日(金)
弊社若手がほれる
「ピーター ドゥー」

 ニューヨーク発「ピーター ドゥ(PETER DO)」のインスタレーションを見にセレクトショップ、アデライデ(ADELAIDE)へ。最近、編集部の若手記者たちがこぞってその魅力を語っており、気になっていました。手に取ると独特の生地・色使いなどクセの強さと着る人に寄り添う優しさが共存しておりました。“ザ・モード”とでも言いましょうか、なんだか久しぶりにピュアなファッションの感覚を受け取り、うまく言えないのですがすごくリラックスしました。行ってよかった。

12月22日(月)伊藤忠商事IP会

 本連載はこれが年内最後の更新になります。ので、フライング(?)で今週の取材から一つ。伊藤忠商事が専門紙を対象に行っている懇親会、通称「IP会」に参加しました。お弁当をいただきつつ、諸藤雅浩・常務執行役員繊維カンパニープレジデントをはじめ、各部門長の話を聞きます。皆さん、お弁当を食べるのがめっちゃ速く、参加を始めた当初は戸惑いましたが、すっかり慣れました。印象に残ったキーワードは「売るモノを供給」から「企業の課題の解決」へ。ビジネスの構造自体を大きく変えようとしています。面白くなりそうです。

【先週美味しかったもの】

 先週食したあれこれから、おいしかったものをいくつか写真で紹介します。

(本連載の次回更新は1月14日を予定しています)

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時代を象徴するデザイナーたちの貴重なアーカイブ写真35選 1960年代から現代まで

 米「WWD」のアーカイブから、時代を象徴するデザイナーたちの貴重な過去の写真35枚を厳選。1960年代のオスカー・デ・ラ・レンタ(Oscar de la Renta)や、エマニュエル・ウンガロ(Emanuel Ungaro)から、70年代の高田賢三やイヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)、ダイアン・フォン・ファステンバーグ(Diane von Furstenberg)、80年代のヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)やユーベル・ド・ジバンシィ(Hubert de Givenchy)、90年代のアナ・スイ(Anna Sui)やマーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)、アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)、そして2000年代のアレキサンダー・ワン(Alexander Wang)まで、デザイナーの懐かしの写真を時系列順にお届けする。

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GUのさらなる値下げの必要性こそ知りたい ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、先週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.6『ジーユーが重点商品を値下げ』

読み解きポイント「消費者が求めるのは低価格?」

ニュースのポイント

 ジーユーは2020年春夏発表会で今後の成長戦略重点ポイントについて会見を行い、生活者・生産者・地球(環境)への意識をいかにビジネスに生かしていくかといった「3つのコネクト宣言」を発表した。「生活者のコネクト」としては、トレンド分析は生活者が最前線になっているとし、自社アプリ会員やインフルエンサー、ECサイト上の口コミ、店頭から吸収する声をどのように製品開発に生かしているかを紹介。客からの要望を受け2020年春にはエッジの効いたトレンドラインとローティーン向けのラインを新設する。

 「生産者へのコネクト」としては品質と価格のバランス追求のために行っている取り組みを紹介。工場と徹底的に話し合い生産スケジュールを組むことで、重点商品の価格値下げを実現した。

Azuはこう読む!

 このニュース、皆さんはどう思いますか?「値下げして嬉しい!」「企業努力がすごい!」という感想ももちろんあるかと思いますが、私はまず「そんなに値下げする必要ある?」と思ってしまいました。

 春夏に値下げするのはスエット素材のイージーパンツ。従来の1990円から990円に、なんとほぼ半額の値下げです。他にも、Aラインのカットソーワンピース、ブロードシャツ、クロップドレギンスなどを重点商品と位置付け、価格を990円にするそう。

 記事中には工場の集約や閑散期を使った生産計画、一部の素材生産の東南アジア移転など、さまざまな努力によって品質と価格のバランスを追求したと書かれていますが、なぜ価格を下げる必要があるのかも知りたいなと思いました。価格競争力を強化するためというのは当たり前にあると思いますが、さらなる低価格が消費者に求められていたのか?とも気になります。

 先日の「自社都合でなぜまた不要なブランドを増やす?」の記事にも書きましたが、その施策は消費者が求めているものなのか?と疑問になるときがたまにあります。インターネットの世界だけでしかウケないようなド派手な広告施策など、それはアパレルに限らずですが……。

 いつでも・どこでも・誰でも買えて楽しめるブランドを提供していることは本当に素晴らしいと思いますが、「3つのコネクト宣言」の中にある「地球(環境)への配慮」という部分が、生産過程や素材面のアプローチだけでなく、大企業だからこそできる廃棄の出ない生産計画にまで及んでいたら良いなと思っています。

 そう考えた時に、環境への配慮と「いつでも・どこでも・誰でも買える世界」との両立ってかなり難しくなると思っていて、「エキゾチックレザー製品はエシカルに反するか」という議論や「サブスクリプションはサステナブルか」という議論もあったり。あまりのややこしさに考えるのを放棄したくなりますが、消費者に誠実であるためには、いま避けては通れない「エシカル/サステナブル」というワードにどういうスタンスで向き合っていくのかを明確にすることが欠かせません。

 話は逸れましたが、1000円の値下げがどこかの新たな消耗戦にならなければ良いなぁ、と思います。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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ファッションがAirPods Proに学ぶこととは? ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、先週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.3「クローゼットから考える」

読み解きポイント:最適化するだけでなく、プラスアルファの新体験こそ、Spark joy!

ニュースのポイント

 消費者のクローゼットは服で溢れている。店頭に新作を並べて、「買ってください」では対応できない状況だ。例えば、ザラ(ZARA)は、誰もが持つベーシックな服に、追加で流行を取り入れる提案に長けている。ワールド傘下のラクサスは、一般家庭に眠るバッグ(総額3兆円)を仕入れ、流通させることを狙っている。クローゼット起点のビジネスは、まだ緒についたばかりである。

CKRはこう読む!

 「溢れかえったクローゼットを最適化する」。たしかに大切な視点です。ザラが「ベーシック+α(アルファ)」で提案する上手さも納得です。ただ考えるべきは、「最適化の先にある、もう一手」なのではないでしょうか。そこに顧客が体験したことのない感動、“Spark joy”があると思うのです。

 今、入荷1カ月待ちで、フリマ価格が新品価格を上回る商品があります。「AirPods Pro」、10月30日に発売されたばかりのワイヤレスイヤホンです。100万台/月の生産では、需要に追いつかない状況です。

「ケースを開けたら、自動で接続する」

「耳から落ちず、装着の違和感もない」

「音質にクセがなく、満足できる」

「ノイズキャンセリングで、騒音が消える」

「外音も自然に取り込める」

 一つひとつの特徴を見ると、他にも優れいているイヤホンはあります。しかし、トータルバランスが良いのです。そのため同種の商品が溢れる中、「迷ったらAirPods Pro」というポジションを作ってしまいました。

 バランス良く最適化された先にある、「もう一手」が「一日中、着けていたい」と思える点です。音楽を聴いてリラックス。そのまま仕事に集中したくなれば、本体の軸をつまむだけ。すると一瞬にして静寂の世界が広がります。イヤホンをつけるだけで、気分の高揚、意識の集中、周囲の状況確認、さまざまな世界を行き来できることに、人は感動するのです。

 近い将来、Appleは「人の耳」という場所を押さえてしまう可能性があります。また音は、さりげなく重畳して人の時間を奪う特長があります。音楽を「聴きながら」料理をするようにです。

 可処分時間が限られる中、Appleにとって顧客接点を深める一手でもあるのです。

 今、ファッション業界に求められているのは、AirPods Pro的な視点なのかもしれません。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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ダウンアウターはフェミニンに着る “アンチカジュアル”が新しい

 真冬に欠かせないのが、軽くて暖かいダウンや中綿入りのアウターです。近頃はボリュームたっぷりのパフィタイプや、カラフルな色・柄など、デザインも豊富に。従来の防寒・カジュアルイメージを裏切る新顔が登場。コーディネートの選択肢も広がってきました。

 こちらの写真の2人は、2月にミラノで開催された、「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」のプレゼンテーション会場に現れた、オリヴィア・パレルモ(Olivia Palermo)とヨハネス・ヒューブル(Johannes Huebl)夫妻。オリヴィアのように、たおやかなスカートで合わせるのが、トレンドを映すアレンジ。今回は、ダウンアウターをフェミニンにまとうコーデ技をお伝えします。

派手めのスカートで“カオス系”のミックスコーデに

 ダウンジャケットはカジュアルな表情を帯びている分、派手めのボトムスで合わせても、全体のバランスを整えやすいのがうれしいところ。重たく見えがちな冬コーデでも、差の付く着方に仕上げられます。ミリタリー系のメンズライクなダウンアウターに合わせたのは、パープルのチェック柄スカート。赤白バイカラーのインパクト強めソックスと、ヒールが面白い白シューズで、華やかな足元に。寒い冬をカラフルに乗り切るコーデです。

 写真2枚目は、真っ赤なダウンジャケットが主役。パフがしっかり効いていて、ファニーな着映え。ボトムスに迎えたパッチワークスカートは、この上なくプレイフル。レオパード柄×フラワー柄のモチーフミックスがハッピー感を呼び込んでいます。さらに、スウエットパーカでスポーティ感も上乗せ。「フェンディ(FENDI)」のロングブーツで合わせて、おしゃれ度をアップ。“カオス(混沌)系”ミックスコーデのお手本です。

きれいめセットアップに重ねて、“足し算”のコーデに

 人気の続くセットアップは、オン・オフ兼用で使えるだけに、着回しパターンの開拓が欠かせません。上下がそろっているから、ムードをずらす“プラス1”の単品投入がバリエーションを広げます。冬はパフィアウターで合わせれば、着こなしの鮮度がアップ。ブラウスとスカートの共通柄セットアップに、メタリックな量感アウターをオン。パープルメタリックのグリッターが、セットアップの統一感を適度に揺さぶりました。襟、バッグ、ロングブーツのグリーン系合わせも、着姿をナチュラルに彩っています。

 上下をニットで構成するニットアップはやわらかい見え具合と着心地が支持を広げています。お仕事コーデに生かすなら、テーラードジャケットを羽織って、きちんと感をプラス。デイリーに着こなしたければ、写真2枚目のように、パフィジャケットを重ねて。ニット特有のほっこりムードを宿しているので、アウターを使って、主張を強めたり、モード感を出したりといった“足し算”のスタイリングが楽しめそうです。

ワンピース感覚のくるまれコーデで、着やせ効果を発揮

 ふんわりしたシルエットのダウンアウターを主役に据えれば、ワンピースライクに着こなせます。ボリュームを逆手に取って、冬にうれしい着やせ効果も期待できそう。着方のポイントは、内側に着込んだ服を、完全にアウターで覆い隠してしまうこと。アウターの印象が引き立ちます。黒一色のつやめいたダウンコートは、前を閉じてもこもこフォルムを強調。コートの裾下から素足がのぞいて、伸びやかな見え具合に。ミニバッグがボリュームコントラストを際立たせています。

 防寒重視の冬ルックは見た目がかさばりがちですが、直線的な柄入りを選べば、ふんわりしたダウンアウターにも細感を寄り添わせてくれます。たとえばチェック柄。コンパクトな着映えを印象づけられます。写真2枚目のように、前を開けて、ミニボトムスとの“丈違いレイヤード”を見せ付けるのがコーデのポイント。シンプルな黒のミニボトムスが量感の格差を強調しています。ハイソックスと白スニーカーが若々しいレッグラインを描き出しました。

 ダウンやパフィウエアは進化がめざましいアイテムです。これまでは防寒ツールのイメージが強かったのですが、デザイン性の高いアウターが増えて、冬ルックでの存在感もアップ。ファーに代わるポジションを獲得しつつあるようです。一方で、薄く軽いタイプは、インナー使いもしやすくなってきて、ロングシーズン着られる通年アイテムに発展。出番が増えたから、スタイリング技も磨きがいがあります。従来のカジュアルイメージを覆すフェミニン服や華やかアイテム、きれいめウエアなどと組み合わせて、“アンチカジュアル”コーデでアレンジの幅を広げてみては。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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女性ブランドプロデューサー育成プロジェクトの優勝者が決定 シー、シタテルなど4社が総合サポート

 ミレニアル世代の女性に向けたライフコーチングスクール「シーライクス(SHELIKES)」を運営するシー(SHE)は12月15日、女性のブランド立ち上げを支援するプロジェクト「ニュー エラ ブランド チャレンジ(NEW ERA BRAND CHALLENGE)」の最終審査会を開催した。審査員は、山賀琴子「エネルシア(ENELSIA)」クリエイティブ・ディレクター、ハヤカワ五味・ウツワ代表取締役、阿部成美・タミー(TUMMY)代表取締役CEO、YOPPY「6カリー(6CURRY)」デザイナー、岸裕一郎・ポーラ・オルビス・ホールディングス・コーポレートベンチャーキャピタル担当、菅原健一・マンショット(MOONSHOT)代表取締役CEOの6人が務めた。

 シー、ストアーズ・ドット・ジェーピー、シタテル、キャンプファイヤーの4社協業で始まった同プロジェクトはブランドプロデューサー育成を目的としたもので、審査で選ばれた優勝者の衣服の生産から販売までを総合的にプロデュースする。

 最終審査会では200人を超える応募の中からファイナリストに選ばれた4人がそれぞれプレゼンテーションを行なった。今回グランプリを受賞したのは、“女性の意思を鼓舞する相棒服”を提案した上平田蓉子氏だ。広告代理店でデータサイエンティストとしてキャリアを積んできた上平田氏は、さまざまな場面で女性として働くことの大変さを実感してきた。そこで、ブランド事業を通して「軸を持ち、“自分が主役”の人生を歩む女性」を応援することを決めた。

 デザイン案では、希望の象徴である“虹”をモチーフにしたアイテムを提案した。アイテムの細部には“NO RAIN NO RAINBOW I’m always with you”というメッセージを忍ばせる。

 特筆すべきは、販売にとどまらず購入者同士のコミュニティ形成を試みる点だ。上平田氏は自身のインスタグラムアカウントを通して、同プロジェクト参加中に感じた気持ちを赤裸々に発信してきた。そこでの言葉が共感を呼び、人々とのつながりが生まれたことにヒントを得て、今後もブランド主催のイベントなどを企画していく。

 審査員の菅原は「現在成功しているD2Cブランドの特徴は、共感できる強いストーリーを持っていることだ。上平田さんのブランドもそのストーリーの強さに惹かれた。SNSを通して自ら周りとつながろうとする姿勢も評価できた」とコメントした。ハヤカワは「裏地だけでなく着るときに上を向かなければいけないアイテムなど、前向きになれるアクション自体をデザインしても面白いと思う」とアドバイスした。

 上平田氏は「やっとスタート地点に立てた。私のブランド事業を通して、みんながもっと素直に好きなことに挑戦できる世界を作りたい。私も一人の挑戦者として、等身大でメッセージを送っていきたい」と展望を語った。

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電撃退社の前取締役、ティファニーとブルガリの売却を語る

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」などを擁するLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)がティファニー(TIFFANY & CO.)を162億ドル(約1兆7658億円)超相当で買収すると11月25日に発表し、ラグジュアリー業界に激震が走ったことは記憶に新しい。その数日後にティファニーを離れたことで話題となったフランチェスコ・トラーパニ(Francesco Trapani)前取締役が、伊紙「コリエーレ・デラ・セラ(CORRIERE DELLA SERA)」が12月12日にミラノで開催したイベントに登壇した。

 トラーパニ=ティファニー前取締役は発言の冒頭で、「一般論として、最高経営責任者(CEO)は65歳までだと思う。もちろん個人差はあるが、CEO職はプロのアスリートのようなもので、長年にわたって続けられるものではない。それほど厳しくてストレスの多い仕事だ」と語った。

 同氏は1957年生まれで、現在62歳。ブルガリ(BVLGARI)の創業者であるソティリオ・ブルガリ(Sotirio Bulgari)のひ孫にあたる。84年からブルガリのCEOを務め、2011年にLVMHがおよそ52億ドル(約5668億円)で同社を傘下に収めた際にLVMHウォッチ&ジュエリー部門の会長兼CEOに就任。16年までLVMHの取締役を務めた後、17年3月にティファニーの取締役に就任した。これは“もの言う投資家”のジェナ パートナーズ(JANA PARTNERS)と合わせてティファニーの株式を5.1%保有していたことによる。なお、アレッサンドロ・ボリオーロ(Alessandro Bogliolo)=ティファニーCEOもブルガリの最高執行責任者とジュエリーやウオッチ、アクセサリー部門の上級副社長などを含む要職を1996年から2012年まで務めている。

 トラーパニ=ティファニー前取締役はティファニーを離れた理由について、「ティファニーの経営に関して意見の相違があるわけではなく、米上場企業のルール上、買収後は個人的なプロジェクトなどができなくなるため退任した。LVMHには私の一族が130年にわたって経営してきたブルガリを売却しているし、友人も多くいる。私はLVMHの株主でもあるし、悪感情は全くない」と説明した。また、LVMHを率いるベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼CEOについても高く評価しているという。「私はLVMHを比類のない素晴らしいパートナーだと考えているが、それはベルナールがいるからだ。同社は長期的な戦略を立て、ゆっくりと時間をかけてブランド価値を築いていくことに長けている。ティファニーのCEOを務めているアレッサンドロは、クリエイティブ面で新風を吹き込んで同社の事業をさらに発展させるべく2年前に同職に任命されたが、LVMHは彼が進めている改革の後押しをしてくれるだろう」。ちなみに、アルノーLVMH会長兼CEOは1949年生まれの70歳だ。

 ブルガリとティファニーという、欧米を代表するラグジュアリーブランドの売却を経験したトラーパニ=ティファニー前取締役だが、それぞれの機会で異なった感慨を抱いたようだ。「ブルガリを売却した際、最後は朝の4時半まで悩み、もはや何も考えられない状態だった。結果として取引は大成功を収めた。私は深い満足感とともに言いようのない寂しさも感じたが、ティファニーに関してそうした寂しさはない。LVMHという信頼できる会社に買収されたことを、株主としてうれしく思う」と述べた。

 同氏によれば、LVMHに売却する何年も前にブルガリはほかのイタリアのラグジュアリーブランドとの合併を検討していたが、話がうまくまとまらなかったという。これはフランスとイタリアの企業文化の違いも一因ではないかと同氏は分析する。「フランスにはラグジュアリーブランドのコングロマリットが存在するが、これはブランドが創業家の手を離れているケースが多いからだと思う。一方、イタリアでは家族経営を続けている場合が多いので、コングロマリットになりにくいのではないか。もっとも、偶発的な要素があることも否めない。買収を繰り返すアグレッシブな起業家がたまたまフランスに存在していたためにそうなった、という見方もできるだろう」。

 ラグジュアリー市場そのものも、以前とはかなり異なっていると同氏は語る。「私が若かった頃、ラグジュアリーブランドは今よりも小規模で数も少なく、ごく一部の富裕層に向けて非常に高価な品を作っていた。市場は基本的にヨーロッパと米国しかなく、やや遅れてそこに日本が加わった程度だった。現在はグローバルな産業に成長しており、上場企業も珍しくない。世界中に顧客がいるし、特にアジアでの増加が著しい」。

 今やラグジュアリーブランドにとって中国は最も重要な市場の一つだが、今後は逆に中国発のラグジュアリーブランドが出てくると思うかという質問に対しては、「ラグジュアリーブランドの顧客は、“ラグジュアリー”とは何か、またそれを提供してきた歴史がある国はどこかについてはっきりとした意見を持っていることが多い」と答えるにとどめた。

 では、ラグジュアリーとは何なのだろうか。同氏は、「財力があれば、高価な物を買うのは簡単だ。問題はハイエンドなサービスを受けられるかどうかだろう。ラグジュアリーブランドにとって、サービスは非常に重要なものだ。製品の質を管理することはさほど難しくないが、ブランドにふさわしいレベルのサービスを提供することは難しい。だからこそ、ラグジュアリーブランドは販売員のトレーニングに多大な投資をする」と語った。

 近年はラグジュアリーブランドの事業形態もより複雑になっており、CEOに求められる資質も変化している。トラーパニ=ティファニー前取締役は、「まず、戦略を立てる能力に優れていること。企業は膨大な数の製品を取り扱っており、複数のチャネルや市場で事業を展開している。その中で自社の強みを見つけ、そこに注力できるのが優れたCEOだ。多くの経営陣は、全てを満遍なくやろうとして平凡な結果となってしまう。2番目に重要なのは、強いリーダーシップがあること。優秀な社員は野心的で転職をためらわない。CEOは、そうした社員にインスピレーションを与える存在でなくてはならない。そして最後に、国際的な知識や経験があること。さまざまな文化や考え方を持つ社員をまとめ、率いていかなくてはならないからだ」とその要件を上げた。

 最も好きなジュエリーは何かという質問には、「『ブルガリ』の“ビー・ゼロワン(B.ZERO1)”だ。大ヒット商品となり、当時CEOだった私は大いに助けられたからね」と笑顔で答えた。ほかにも、往年の大女優である故エリザベス・テーラー(Elizabeth Taylor)が愛用したことで知られる、ヘビをモチーフとした同“セルペンティ(SERPENTI)”シリーズも気に入っていると話した。

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ビューティ業界の次なるトレンド、“クリーンビューティ”って何?ポジティブなイメージの裏に潜む懸念も

 ビューティ業界では最近、国内外で“クリーンビューティ”という言葉を耳にすることが増えています。特に海外では次なるトレンドとして大きな話題になっており、メディアがクリーンビューティ特集を組んだり、クリーンビューティとうたうブランドが次々と登場しています。直近では資生堂傘下の「ベアミネラル(BAREMINERALS)」が今年“クリーンビューティ” ブランドとしてリブランディングしたほか、同じく資生堂が10月にクリーンビューティスキンケアブランド「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」を買収しました。大手化粧品専門店の「セフォラ(SEPHORA)」も昨年からクリーンビューティブランドを積極的に取り扱うようになりました。

 では、いったい“クリーンビューティ”とはいったいどのようなものなのでしょうか?決まった概念がないのでここからは、あくまでも私個人の見解として読んで頂けると幸いです。クリーンビューティはいくつかの要素があるとされますが、ざっくり言うと(1)体に害となるような成分を含んでいない、(2)自然・天然の原料を用いている、(3)環境に配慮している。これらを満たしている化粧品のことを指します。

 「クリーン」は直訳すると「清潔」を意味するので、元々は汚れたもの、つまりは「体に害となるもの」を含まないという(1)の概念を指すことが多い印象です。体に害を及ぼす可能性があるもの(賛否両論ありますが)で主流なのは、パラベンやシリコーン、フタル酸エステル、人工香料、防腐剤などですね。こういった成分が着目されたのは、ジムに通ったり、食事にこだわったり、健康に気を使う人が増える中で、肌に直接塗布する化粧品の成分にもこだわる人が増えたことが背景にあります。その影響もありケミカル=体に悪いと言うイメージが広まってしまい、その結果(2)植物性や天然の原料を用いることが増えていきました。だからクリーンビューティブランドとうたうブランドは、自然の恵みを生かした製品を作っている印象がありますね。(もちろん、最初から植物に着目したブランドも多くあります)

 そこからさらに進み、体に“優しい”処方であっても、環境に“優しくない”処方は、今の消費者はネガティブに捉えます。だから最近は(1)と(2)に加え、サステナビリティに配慮することもクリーンビューティの一部と捉えることが増えています。それはパッケージにプラスチックを使わない、もしくはリサイクル可能な素材を使うということだけでなく、製品を世に送り出すまでのプロセスだったり、使い終わった後のことも考えることです。例えば製品を作る工程で水の量をなるべく少なくしたり、使い終わった製品はレフィルする・空容器を回収するなど、その関わり方は多岐に渡ります。また、クルエルティーフリー(動物実験を行わない)だったり、ビーガン処方にもこだわるブランドもあります。

ナチュラルビューティとの違いは?

 ちなみに、ナチュラルビューティとクリーンビューティは何が違うのでしょうか?繰り返しになりますがどちらも決まった概念がないので、解釈は人それぞれです。私が個人的に思うのは、ナチュラルな化粧品は自然・天然由来成分を用いている化粧品のことで、その中でも厳しい基準を満たし認証を得たものがオーガニック化粧品です。でもそうすると天然由来成分を少量使い、そこに大量にケミカルを混ぜてもナチュラルと言えてしまいます。それに消費者が気づき始めたこと、また中身(つまり、成分)だけでなくパッケージや製造工程などにおいてサステナビリティを求めるようになり、クリーンビューティという概念が生まれたのでは、と思うのです。

 もちろん、(ナチュラルと一緒で)クリーンビューティの決まった定義はないので、(1)(2)(3)全てをクリアしなくともクリーンビューティと訴求するブランドもありますし、(1)→(2)→(3)の順で取り入れているとは限りません。レギュレーションや認証などがない分、ちょっとでも(1)(2)(3)を取り入れていたら、クリーンビューティと言ってしまえるのです。

 でもそれって、ちょっと危険な気がしてなりません。なぜなら、ブームに乗っかり、マーケティングのためだけに“クリーンビューティ”を乱用するブランドも多くあるからです。いわゆるグリーンウオッシングです。そこまで一般消費者は見分けられない、という意見もありますが、化粧品に興味がない人はそうかもしれません。でも、少しでも美容に関心があり、コスメが好きな人はこれからどんどん敏感になっていくと思うのです。今は手持ちの化粧品の全成分について解説してくれるアプリやサイトがあり、例えば韓国で有名なアプリ「ファへ」は成分の危険性などをランクづけており、それが一覧ですぐに見ることができます。そんな「ファへ」は圧倒的な支持を得ていて、アプリ上で危険な成分が多く含まれているとされてしまった化粧品は、びっくりするほど売れないらしいのです。だから企業も「ファへ」の評価にとても敏感になっていて、製品開発に生かしていると聞いたことがあります。もちろんこういったアプリも個々の責任で信用する必要があると思いますが、成分アプリを当たり前のように一般消費者が参考するようになったら、見分けもできてしまうのではないでしょうか。だからこそ真剣にクリーンビューティに取り組んでいる企業はその姿勢を積極的にアピールしています。

クリーンビューティ以外は悪なの?

 また、もう一つ懸念するのは、“クリーン”という言葉がポジティブな意味合いが強いこと。そうすると、クリーンビューティとは捉えないブランドは全て悪なのか?という疑問が浮かびます。もちろん、そうではありませんよね。天然素材=安全、ケミカル=危険といったイメージをさらに定着させてしまう気がするのです。ノンシリコーンシャンプーがはやったのも、シリコーンに対するネガティブなイメージが広まったからですよね。サステナビリティなどは今の時代どこのブランドも取り組むべきことだと思います。ただ、ケミカルでも安全な成分はたくさんありますし、強い刺激で働きかける植物成分だってあります。肌がそれを刺激として捉えるかは、人それぞれ。結局は自分の肌に合うかが一番なのだと思います。

 クリーンビューティという言葉や製品が出始めたばかりですので、これから定義が固まってきたり、レギュレーションもできたりするのかもしれません。それまでは、消費者が個人の責任としてブランドや製品について知った上で選ぶことが必要なのではないでしょうか。また、ブランド側も積極的に「どのようにクリーンなのか」をアピールするのもいいのかもしれません。先日「ベアミネラル」の発表会に伺ったのですが、彼らのクリーンビューティに対するスタンスはとても分かりやすく、素晴らしかったです。そのメッセージは店頭でも分かりやすく提示しているようで、お客からも質問されることが多いとのこと。また、セフォラは独自に設定した“クリーンビューティ”基準を設けており、それをクリアするブランドのみがセフォラの“クリーン”認証を得られるそう。メーカー、消費者、どちらにも責任がありそうです。

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高級時計は“トキ消費” 激レア体験付きが密かに流行中

 イタリア海軍きっての精鋭、特殊部隊コムスビンの隊員たちは日々苛酷な訓練を行っている。潜水具を装着しての水中演習や、軍用ヘリコプターからのロープ降下。さらに崖と崖の間をロープで渡ったり、ほふく前進で障害物を突破して進軍する訓練だってある。

 イタリアの時計ブランド「オフィチーネ パネライ(OFFICINE PANERAI以下、パネライ)」が、2019年1月にジュネーブで開催された2大時計見本市の一つ「S.I.H.H.(サロン・インターナショナル・オート・オルロジュリ」で発表した“サブマーシブル マリーナミリターレ カーボテック リミテッド エディション”は、この訓練体験を特典に付けて話題となった。

※10月に「ウオッチ&ワンダー ジュネーブ(WATCHES & WONDERS GENEVA)」に名称変更

 「パネライ」は同時に、冒険家のマイク・ホーン(Mike Horn)と北極体験ができる特典や、フリーダイバーのギヨーム・ネリー(Guillaume Nery)と仏領ポリネシアのモーレア島でダイビングできる特典を付けたモデルも発表した。

 “買って終わり”ではなく、参加可能なイベントや体験などのコトが付いた商品を求める声が高まり、“コト消費”という言葉が使われ始めたのは2000年ごろのことだ。それから約20年――高級時計の世界でも、コト消費のニーズに応えるモデルが限定的ではあるが定番化しつつある。今回「パネライ」が注目されたのは、特典があまりにも特別で、コト消費の上を行く“トキ(時)消費”だったからだろう。

 カーデザイナーのアレクサンドル・メイエー(Alexandre Meyer)と時計師のシルヴァン・ヌリッソン(Sylvain Nourisson)が、17年に設立したフランスの時計ブランド「フェノメン(PHENOMEN)」も特別な体験を時計に付けた。

 19年から同ブランドの日本正規代理店を務めるオールージュはドライバーズウオッチ“アクシオム”のプロモーションのため、「ピレリスーパー耐久シリーズ2019」に参戦するアウディ・チーム・マーズのメインスポンサーとなり、同モデルの購入者にレーシングカーでのサーキットドライブを提供する。助手席に座るのではなく、自分で運転できるというのは画期的。ちなみにオールージュの社長を務めるのは、元レーシングドライバーの下山征人だ。

 サーキットドライブといえば、平均単価2000万円超の超高級時計ブランド「リシャール・ミル(RICHARD MILLE)」も毎年サーキット走行会を主催し、時計オーナーたちを招待している。また個人時計師や小規模なブランドは、購入者を工房に招いての見学会や時計製作体験会、オーナー同士の交流会などを開催している。

 高級時計は長く付き合うもの。それだけに、特别な思い入れや愛着を持つきっかけとなるトキ消費付きの商品が今後ますます増えていくだろう。

渋谷ヤスヒト/オフィス・ノマド代表:1962年、埼玉県生まれ。大学卒業後、徳間書店に入社。文芸編集部を経て、「グッズプレス」編集部に配属。表紙撮影で出合った「ブライトリング」の“コスモノート”を購入したことをきっかけに時計にはまり、95年からスイス2大時計フェアや時計ファクトリーの取材を開始。2002年に同社を退社し、「エスクァイア日本版」の編集者などを経てオフィス・ノマドを設立。時計ジャーナリスト、モノジャーナリスト、編集者としての顔を持つ。趣味は料理 

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“オシャレは我慢!”はもう古い? 特集担当が語る2020年春夏の注目シューズ

 「WWDジャパン」11月18日号の「2020年春夏バッグ&シューズ特集」では、パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークのファッション・ウイーク取材で見えてきたシーズントレンドに焦点を当て、新作のキーワード別解説に加え、有力バイヤーのイチ押しブランドを紹介しました。最新のバッグ&シューズトレンドについては紙面をご確認いただくとして、ウェブでは同特集の担当者2人による編集後記としてこぼれ話をお届けします。今回取り上げるのは、シューズ。日本では今年、職場でのヒールシューズの着用義務付けに抗議する運動「#KuToo」が大きな話題となりましたが、海外のコレクションでも増加傾向にあるオシャレで快適な足元の提案について語り合います。

対談の登場人物

藪野淳:ドイツ・ベルリン在住のファッションジャーナリスト。17年まで「WWDジャパン」編集部で海外のファッション・ウイークやデザイナーズブランドの取材を担当。その後も継続してバッグ&シューズ特集の制作に携わっている。最近気になっているのは、今さらながら「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」の“タビ”ブーツ

大杉真心:「WWDジャパン」記者。これまで婦人服やデザイナーズブランドを中心に取材をしてきたが、20年春夏シーズンからバッグ&シューズ担当となる。「セリーヌ(CELINE)」が19-20年秋冬に提案したニーハイブーツの影響からか、久しぶりにロングブーツが履きたい気分

デザイン性と快適さを兼ね備えるシューズが求められる背景

藪野: 「2020年春夏のバッグ&シューズ特集」では、デザイン性と快適さを兼ね備えたシューズを取り上げました。普段から国内も取材している大杉さんは、この流れをどのように感じましたか?

大杉:やはり昨今のパンプス離れの影響が大きいと思います。ここ数年のブームでスニーカーが定番化したのと、職場のカジュアル化も進んでいるので、ビジネスシーンでもフラットシューズを履く人が増えています。百貨店やメーカーへの取材でも、パンプスやハイヒールのシューズの売り上げシェアが落ちていると聞きますし、通勤中の電車や街中でもヒールを履いている人は以前より少ない印象です。特に今年は「#KuToo」の影響もあったことから、世の中の人たちが靴についてあらためて考える一年になったと思います。ちなみに「#KuToo」は、流行語大賞のトップ10にもランクインしましたね。

藪野:たしかに日本では「#KuToo」が大きな話題になっていましたね。欧米でも過去にそういう事例はあったみたいですが、そもそもどんな靴を履くかは自分で選択できるべきだし、強要されるなんてもってのほかだと思います。ちなみに、今住んでいるドイツでは、普段から仕事のときにパンプスやヒールシューズを履いている女性は少なく、特にハイヒールは特別なオケージョンや車で移動する人のためのモノというイメージ。それにスニーカーの快適さに一度慣れてしまって、ヒールの高い靴に戻れなくなったという声も多いですよね。ミラノ・ファッション・ウイークでもここ数シーズン、スティレット(ピンヒール)を強みにしていた「ジュゼッペ ザノッティ(GIUSEPPE ZANOTTI)」や「ジャンヴィト ロッシ(GIANVITO ROSSI)」がミドルヒール〜キトゥンヒールやフラット、フラットフォームソール(つま先からかかとまで厚みのあるソール)など安定感のあるシューズまで提案の幅を広げているのが印象的。海外でも1日を通して履ける靴のニーズは高まっていると感じます。それにハイヒールじゃなくても華やかでエレガントなデザインの選択肢が増えるのはいいことですよね。自分で履かないのでハイヒールの辛さは分からないのですが、大杉さんは靴を選ぶとき、どんな点を重視していますか?

大杉: 私はフラットもヒールも履きますが、その日の予定に合わせて靴を選んでいます。外出が少ない日は自由ですが、ファッション・ウイーク中や展示会シーズンで一日に取材先を何件も回る日には、できるだけフラットかローヒールシューズを履くようにしています。一時期はスニーカーの楽さに慣れてしまって、パンプスを履くのをためらうこともありましたが、ちょっとずつリハビリして(笑)今は8cmヒールまでなら通勤で履くことはできます。それ以上ではプラットフォームでない限り電車に乗る勇気はありませんね……。ヒール靴でもチャンキーヒールだとなおよしです。最近はローファーやカッターシューズ(1〜2センチヒールのパンプス)、柔らかいインソールのシューズなどスマートに見えるローヒールシューズのバリエーションが広くて選ぶのが楽しいです。今回のバッグ&シューズ特集でも「“オシャレは我慢!”は古い」と打ち出しましたよね。

特集担当が注目した新作は?

藪野:ファッションには身に着けることで、気分を上げてくれたり、気持ちを引き締めてくれたりする力があると思うのですが、“無理”や“我慢”をしてまで……というのは、もう違うんじゃないかなと。歩き方や健康面に直結する靴に関しては、なおさらですよね。何よりハイヒールやスティレット以外で、キチンと見えするアイテムが増えたことが大きかった。今シーズンでいうと、ポインテッドトーにアップデートされた「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」のアイコン“ヴァラ(VARA)”や、かかとを折り畳んでバックレスでも履ける「グッチ(GUCCI)」の新作フラットシューズ、「ロエベ(LOEWE)」に見られたローファーデザインの多彩なアレンジが、個人的には気になりました。大杉さんは?

大杉:コンフォートとデザイン性のバランスをとったアイテムも増えていて、消費者目線でも欲しいものがたくさんあったシーズンでした。今シーズンは多く登場した華奢なストラップのベアサンダルはピンヒールも多かったのですが、「ジャンニコ(GIANNICO)」はスワロフスキークリスタル付きのフラットサンダルは上品かつ履きやすそう。また「フェンディ(FENDI)」では、全都市を通して豊作だったウエッジソールやフラットフォームソールのスタイルや台形のチャンキーヒールシリーズが、安定感もあって気になりました。それから「ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」のおもちゃのような色合いのクロッグも印象的でしたね。また、トレンドセッターになった「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」のシューズも個性的なデザインがそろっていて、見逃せません。モチモチした質感の“イントレチャート”(編み込み技法)のサンダルや、ウエットスーツのようにピタッと密着するパンプスなどが新鮮で魅力的でした。

藪野:ダニエル・リー(Daniel Lee)による新生「ボッテガ・ヴェネタ」はデビューからまだ1年ですが、英国ファッション評議会(BFC)主催の「ザ・ファッション・アワード(THE FASHION AWARDS)」で年間アクセサリー・デザイナー賞をはじめ4冠に輝いたり、他のアクセサリーブランドのデザインに大きな影響を与えたりと、今のバッグ&シューズを語る上で欠かせない存在になりましたね。“イントレチャート”を大胆に再解釈したアイテムはユニークで魅力的。つい数日前に発表された2020年プレ・フォール・コレクションでも新しいスタイルが出ていて、今後さらにバリエーションが増えていきそうなので注目です。それにしても大杉さん、次の春夏は欲しいアイテムがたくさんあって大変そうだね(笑)。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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“オシャレは我慢!”はもう古い? 特集担当が語る2020年春夏の注目シューズ

 「WWDジャパン」11月18日号の「2020年春夏バッグ&シューズ特集」では、パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークのファッション・ウイーク取材で見えてきたシーズントレンドに焦点を当て、新作のキーワード別解説に加え、有力バイヤーのイチ押しブランドを紹介しました。最新のバッグ&シューズトレンドについては紙面をご確認いただくとして、ウェブでは同特集の担当者2人による編集後記としてこぼれ話をお届けします。今回取り上げるのは、シューズ。日本では今年、職場でのヒールシューズの着用義務付けに抗議する運動「#KuToo」が大きな話題となりましたが、海外のコレクションでも増加傾向にあるオシャレで快適な足元の提案について語り合います。

対談の登場人物

藪野淳:ドイツ・ベルリン在住のファッションジャーナリスト。17年まで「WWDジャパン」編集部で海外のファッション・ウイークやデザイナーズブランドの取材を担当。その後も継続してバッグ&シューズ特集の制作に携わっている。最近気になっているのは、今さらながら「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」の“タビ”ブーツ

大杉真心:「WWDジャパン」記者。これまで婦人服やデザイナーズブランドを中心に取材をしてきたが、20年春夏シーズンからバッグ&シューズ担当となる。「セリーヌ(CELINE)」が19-20年秋冬に提案したニーハイブーツの影響からか、久しぶりにロングブーツが履きたい気分

デザイン性と快適さを兼ね備えるシューズが求められる背景

藪野: 「2020年春夏のバッグ&シューズ特集」では、デザイン性と快適さを兼ね備えたシューズを取り上げました。普段から国内も取材している大杉さんは、この流れをどのように感じましたか?

大杉:やはり昨今のパンプス離れの影響が大きいと思います。ここ数年のブームでスニーカーが定番化したのと、職場のカジュアル化も進んでいるので、ビジネスシーンでもフラットシューズを履く人が増えています。百貨店やメーカーへの取材でも、パンプスやハイヒールのシューズの売り上げシェアが落ちていると聞きますし、通勤中の電車や街中でもヒールを履いている人は以前より少ない印象です。特に今年は「#KuToo」の影響もあったことから、世の中の人たちが靴についてあらためて考える一年になったと思います。ちなみに「#KuToo」は、流行語大賞のトップ10にもランクインしましたね。

藪野:たしかに日本では「#KuToo」が大きな話題になっていましたね。欧米でも過去にそういう事例はあったみたいですが、そもそもどんな靴を履くかは自分で選択できるべきだし、強要されるなんてもってのほかだと思います。ちなみに、今住んでいるドイツでは、普段から仕事のときにパンプスやヒールシューズを履いている女性は少なく、特にハイヒールは特別なオケージョンや車で移動する人のためのモノというイメージ。それにスニーカーの快適さに一度慣れてしまって、ヒールの高い靴に戻れなくなったという声も多いですよね。ミラノ・ファッション・ウイークでもここ数シーズン、スティレット(ピンヒール)を強みにしていた「ジュゼッペ ザノッティ(GIUSEPPE ZANOTTI)」や「ジャンヴィト ロッシ(GIANVITO ROSSI)」がミドルヒール〜キトゥンヒールやフラット、フラットフォームソール(つま先からかかとまで厚みのあるソール)など安定感のあるシューズまで提案の幅を広げているのが印象的。海外でも1日を通して履ける靴のニーズは高まっていると感じます。それにハイヒールじゃなくても華やかでエレガントなデザインの選択肢が増えるのはいいことですよね。自分で履かないのでハイヒールの辛さは分からないのですが、大杉さんは靴を選ぶとき、どんな点を重視していますか?

大杉: 私はフラットもヒールも履きますが、その日の予定に合わせて靴を選んでいます。外出が少ない日は自由ですが、ファッション・ウイーク中や展示会シーズンで一日に取材先を何件も回る日には、できるだけフラットかローヒールシューズを履くようにしています。一時期はスニーカーの楽さに慣れてしまって、パンプスを履くのをためらうこともありましたが、ちょっとずつリハビリして(笑)今は8cmヒールまでなら通勤で履くことはできます。それ以上ではプラットフォームでない限り電車に乗る勇気はありませんね……。ヒール靴でもチャンキーヒールだとなおよしです。最近はローファーやカッターシューズ(1〜2センチヒールのパンプス)、柔らかいインソールのシューズなどスマートに見えるローヒールシューズのバリエーションが広くて選ぶのが楽しいです。今回のバッグ&シューズ特集でも「“オシャレは我慢!”は古い」と打ち出しましたよね。

特集担当が注目した新作は?

藪野:ファッションには身に着けることで、気分を上げてくれたり、気持ちを引き締めてくれたりする力があると思うのですが、“無理”や“我慢”をしてまで……というのは、もう違うんじゃないかなと。歩き方や健康面に直結する靴に関しては、なおさらですよね。何よりハイヒールやスティレット以外で、キチンと見えするアイテムが増えたことが大きかった。今シーズンでいうと、ポインテッドトーにアップデートされた「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」のアイコン“ヴァラ(VARA)”や、かかとを折り畳んでバックレスでも履ける「グッチ(GUCCI)」の新作フラットシューズ、「ロエベ(LOEWE)」に見られたローファーデザインの多彩なアレンジが、個人的には気になりました。大杉さんは?

大杉:コンフォートとデザイン性のバランスをとったアイテムも増えていて、消費者目線でも欲しいものがたくさんあったシーズンでした。今シーズンは多く登場した華奢なストラップのベアサンダルはピンヒールも多かったのですが、「ジャンニコ(GIANNICO)」はスワロフスキークリスタル付きのフラットサンダルは上品かつ履きやすそう。また「フェンディ(FENDI)」では、全都市を通して豊作だったウエッジソールやフラットフォームソールのスタイルや台形のチャンキーヒールシリーズが、安定感もあって気になりました。それから「ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」のおもちゃのような色合いのクロッグも印象的でしたね。また、トレンドセッターになった「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」のシューズも個性的なデザインがそろっていて、見逃せません。モチモチした質感の“イントレチャート”(編み込み技法)のサンダルや、ウエットスーツのようにピタッと密着するパンプスなどが新鮮で魅力的でした。

藪野:ダニエル・リー(Daniel Lee)による新生「ボッテガ・ヴェネタ」はデビューからまだ1年ですが、英国ファッション評議会(BFC)主催の「ザ・ファッション・アワード(THE FASHION AWARDS)」で年間アクセサリー・デザイナー賞をはじめ4冠に輝いたり、他のアクセサリーブランドのデザインに大きな影響を与えたりと、今のバッグ&シューズを語る上で欠かせない存在になりましたね。“イントレチャート”を大胆に再解釈したアイテムはユニークで魅力的。つい数日前に発表された2020年プレ・フォール・コレクションでも新しいスタイルが出ていて、今後さらにバリエーションが増えていきそうなので注目です。それにしても大杉さん、次の春夏は欲しいアイテムがたくさんあって大変そうだね(笑)。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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世界最大のLVMHが埋もれた人財発掘プログラム開催 仕掛けた女性初の執行役員の想いは?

 LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)はこのほど、組織内の人材発掘や起業家マインドの醸成などを目的としたプログラム「DARE」の6回目となるプログラムを日本で開催した。「DARE」とは、破壊「Disrupt」、行動「Action」、冒険「Risk」、そして起業家精神「Entrepreneur」の頭文字を連ねたものであり、同時に「勇気を持って、〜〜する」を意味する動詞でもある。

 全3日間のイベントは、「リテールのイノベーション」がテーマ。さまざまなブランド、さまざまな職種で働くことでLVMHを支えるアジアの管理職から選ばれた約60人が参加した。各自はまず、自分のアイデアを英語でプレゼン。投票により60から12に絞った後は、チームに分かれ、残り2日をかけてアイデアを練り上げた。アイデアは、外部の起業家を中心とするメンターにより問題点などを指摘され、ブラッシュアップされる。煮詰まり、対立し、ケンカまで勃発する光景は、ハッカソンのように刺激的だ。

 LVMHはなぜ、「DARE」を開くのか?グループ初の女性執行役員で、「DARE」の陣頭指揮を執るシャンタル・ガンペルレ(Chantal Gaemperle)LVMH 人事&シナジー担当上級副社長に話を聞いた。

WWD:「DARE」の目的は?

シャンタル・ガンペルレLVMH 人事&シナジー担当上級副社長(以下、ガンペルレ上級副社長):目的は、いくつもあるの。まずは、今なお成長を続ける巨大企業の中で、新しいタレントを見つけること。LVMHの社員は、現在およそ16万5000人。日本だけで7000人。そして毎年、4000人がグループに仲間入りしている。そんな拡大する企業の中で、埋もれかねない「人財」を発掘したい。2つ目の目的は、その中でインスピレーションを見つけ、創造性を養うこと。理想的なのは、アイデアの波に常に飲まれているような会社に進化することね。3つ目は、アントレプレナー(起業家)マインドを養うこと。2つ目のインスピレーションの話とリンクするけれど、イノベーションは、各ブランドの経営陣やクリエイティブ・ディレクターだけが生み出すものじゃない。イノベーションはどこにも、日々の生活の中にも潜んでいる。それを見つけ、育み、自分たちでブランドや会社を大きくするマインドを醸成したい。そして最後は、未来を夢想すること。「DARE」は、タレント(人財)とイノベーションの交差点。今回はAPAC(アジア環太平洋地域)の6000人の管理職からアイデアを募り、寄せられた250のアイデアから選んだ60の発案者が来日し、3日間のプログラムに取り組んだ。60はさらに絞られ、12に。そして皆がチームに分かれる。知らない人に向かってプレゼンし、投票し、チームに編成され、そこで“マジック”を生み出す。私たちは、その過程でタレントを発見し、未知なる人財のワンダフルなアイデアに出合うの。どんな組織でも、切実な問題を認識しているのは、組織を根底で支えている人たち。でも多くの組織は、そんな人の意見に耳を傾けようとしない。だから私たちは、メッセージを発信できる環境、メッセージを理解する風土を整えたかった。それがイノベーションのスタートだと思う。だから「DARE」では、いきなりアイデアをピッチさせ、それを皆が聞くところからスタートし、同じようなプレゼンで終了する。最終的には優れたアイデアを表彰するけれど、「DARE」には勝者も敗者もない。それは、社内も同じね。

WWD:いくつかの目的を話してくれたが、裏を返せば、これまでのLVMHには起業家マインドが根付いていないなどの問題点があった?

ガンペルレ上級副社長:特別大きな問題に直面していたとは思わない。でもグループは成長を続けているし、何より世界がオープンになって、私たちの働き方も変わってきた。そこにデジタルが加わって、ますます複雑な世の中になっている。74のブランドを抱える私たちはこれまで、垂直的な組織を複数有する企業体だった。それぞれのブランドには、個々の文化と目的があるから、個々が独立した組織である必然性もあった。でも、そろそろ文化的な革命が必要。垂直的な組織を越境できるようになったら、スタッフの働き方はもちろん、モチベーションは明らかに変化する。「DARE」は、その起爆剤なの。

WWD:日本での開催前に、すでに5回の「DARE」に取り組んでいる。手応えは?

ガンペルレ上級副社長:2017年にスタートして以降、ポジティブなサプライズの連続よ。たくさんの反応が寄せられ、生まれたアイデアもビジネスに近づいている。小さなアイデアじゃないの。すごく大きなアイデアよ!

WWD:今回は日本の他、中国、オーストラリアとニュージランド、シンガポールなどのスタッフが参加した。日本のスタッフからのアイデアは、物流なども意識した現実的なもの。中国人スタッフによるアイデアは、はやりのKOL(Key Opinion Leader、日本で言うインフルエンサーのようなもの)。そして南半球のアイデアは、サステナブル。各国の特徴が面白かった。

ガンペルレ上級副社長:確かに地域ごとの傾向はあるし、現実的な戦略から途方もない夢まで、さまざまなアイデアが飛び出してくる。でも、それが大事。日本人らしい手堅さも必要だし、一方でクレイジーも大事。でもアイデアの多くは今、ダイバーシティー(多様性)とサステナビリティー(持続可能性)の2つと密接に関わっている。特に日本での「DARE」は、リテールにおけるイノベーションを考えた。今のビジネスを将来も価値あるものに、そう考えるとダイバーシティーとサステナビリティーにたどり着くのは、当然のことだと思う。

WWD:「DARE」で生まれたアイデアの中で、実際ビジネスに結びつきそうなものはある?

ガンペルレ上級副社長:例えばかつての「DARE」では、ブドウの皮や種を使ったスキンケアプロダクトのアイデアがあった。私たちはたくさんのシャンパンブランドを有しているから、ブトウの皮を利用することができたら、グループにとって大きなシナジーになると思う。他にも、近々に発表できそうなアイデアがいくつかあるわ。そして嬉しいのは、この「DARE」に似たプログラムを、各国、各ブランドがローカライズして、自分たちの組織をブラッシュアップしようとしてくれていること。日本では「タグ・ホイヤー(TAG HEUER)」や「ロロ・ピアーナ(LORO PIANA)」が皆で集まって、創造性を高めようとしているわ。最終的には、私たちが主導しなくても「DARE」スピリットが勝手に進化して、広がっていくことが望ましい。

WWD:今後のプログラムの予定は?

ガンペルレ上級副社長:まずは、「DARE」を世界各地に広げること。アメリカの西海岸や、東南アジアでも挑戦したいわ。卒業パーティーね。「DARE」 卒業生が再会できる場所を提供できれば、組織もアイデアもさらにブラッシュアップできると思う。

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週末お出かけスポット 蜷川実花や「アンリアレイジ」デザイナーら全10組のグループ展など5選

 週末にオシャレして出掛けたいスポットをお届け。今週は、蜷川実花や「アンリアレイジ(ANREALAGE)」デザイナーら全10組のグループ展や若手写真家のヨシノハナの個展など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(12月21、22日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【イベント】

展覧会「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」が東京都現代美術館で開催

日本を代表するテキスタイルデザイナー須藤玲子が香港で大規模個展

「シャネル」のスノードームが渋谷に出現!ホリデーキャンペーンを実施

フォトスポット満載「ティファニー@キャットストリート」で一足早いクリスマス気分を

西武池袋本店に30メートルのグラフィティーアートが出現 4人のアーティストがクリスマスをテーマに

【ポップアップ】

渋谷パルコの「ポップ バイ ジュン」が藤原ヒロシに続く第2弾コンテンツ発表 とんだ林蘭と

新ライン「ザ マーク ジェイコブス」が大阪でスヌーピーコラボのポップアップ

「マルニ」 × 「ポーター」第14弾 クリスマスシーズンに向けた全7型

バーニーズが「スター・ウォーズ」新作公開を記念して期間限定ストアをオープン

「ヴァレンティノ」メンズと「レッド ヴァレンティノ」がポップアップストア開催

山口一郎のDJパフォーマンスにお手頃価格のアイテムも 「モンクレール ジーニアス」の限定ストア「ハウス オブ ジーニアス」がオープン

ビームスがノードストロムの北米8店舗でポップアップ

パーソナライズヘアケア「メデュラ」が店頭で購入できる体験型店舗を有楽町マルイに期間限定でオープン

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スニーカーショップの黒船「SNS」が代官山にアジア初出店 共同経営者2人は“モノを売らずに商品を売る”

 12月14日、スウェーデン発のスニーカーショップ「スニーカーズエンスタッフ(SNEAKERSNSTUFF以下、SNS)」が世界7店舗目となる東京店を代官山にオープンした。アジアでの出店はこれが初めて。場所は東京・代官山の「フレッド シーガル(FRED SEGAL)」跡地を含むログロード代官山の3棟(2〜4号棟)で、オープン初日には数百人以上のスニーカーギーク(オタク)たちが列を成す盛況ぶりを見せた。

 「SNS」は、もともと熱狂的なスニーカーギークだったエリック・ファーガリンド(Erik Fagerlind)とペーター・ヨンソン(Peter Jansson)が、1999年に1号店となるストックホルム店をオープン。一時はスウェーデン内で複数の店舗を運営していたが、現在はストックホルム店のほかに、ロンドン、パリ、ベルリン、ニューヨークとロサンゼルス、そして東京店と、世界の主要都市に絞った7店舗体制で売り上げは好調のようだ。その背景には、他のスニーカーショップと一線を画す空間づくりにある。それぞれの店舗がその土地の風土や文化にスウェーデンやスカンジナビアの歴史をミックスしたデザインで、東京店も店内に入るとすぐに什器の異質さやディスプレーなど、「SNS」独自の世界観を堪能することができる。

 創業から20年という節目で東京店を開いた理由や、1つの国に複数の店舗を持たない訳、人生の“ベストスニーカー”など、オープンに合わせて来日したエリックとペーターの2人に話を聞いた。

設立のきっかけは趣味のスニーカー収集

WWD:「SNS」を立ち上げる以前は何を?

ペーター:私たちが若い頃のスウェーデンにはスニーカーショップというものが存在せず、スニーカーに関わる仕事がしたければスニーカーも扱っているような一般的なスポーツショップで働くしかなかったから、そこで働いていた。

エリック:私は子どもの頃からバスケットボールが好きで、“人生丸ごとバスケ”というぐらい今でも大好き。だから自然とナイキ(NIKE)のコマーシャルに洗脳されるような形でスニーカーにハマった(笑)。16歳の高校生のときに、週に2日間だけの職業体験の授業があったからスポーツショップを選び、その期間が終了した後に「週末だけでも働きたい」と頼み込んで働くことになった。

WWD:2人の出会いは?

エリック:スニーカーには、「もっと深く知りたい」と男心をくすぐらせる何かがあり、スニーカーが好きな人はどこかオタクっぽく、大っぴらに自慢するわけではないが静かに張り合う感じで互いに知識を競い合ったりする(笑)。そうやって私も知識を披露していたら、「君みたいなギークがストックホルムの北にいる」と教えられた。私は南の出身なんだが、「俺みたいなオタクがもう1人?そんなのいるわけないだろ」って半信半疑だったんだが、それがペーターだった。それから一緒にスニーカーを探しにニューヨークに行ったりするようになり、1999年に「SNS」を立ち上げることになった。

ペーター:「SNS」を立ち上げる前は、自分たちのためにスニーカーをただ収集していただけだった。それを知った友人や友人の知り合いが、「手数料を払うからこれを探してきてくれないか」と依頼をしてくるようになり、そうこうしているうちに気が付いたらという感じだ。

WWD:ということは、ショップを立ち上げるためのビジネス的なことは学んでいない?

エリック:ビジネス面での教育は受けていないが、そういう学校を出たプロから現場でいろいろ教えてもらったから問題ない(笑)。「SNS」の歴史を振り返ると、3つの時期に分けることができる。第1期は、いいスニーカーを見つけては売ってということの繰り返し。事業と呼べるようなものではないお粗末なもので、あるのは情熱だけだった。だが続けていくうちに、出費に売り上げが追いつかず、仕入先のブランドに支払いができない状態が続いてしまった。これが第2期だ。ここでようやく、スニーカーナードのためだけではない大きなビジネスであることに気付き、同時にブランド側は金銭的な面だけでないさまざまな理由で「SNS」と取り引きしていることを知ったーーつまり、ブランドからすれば「SNS」に卸す分は大した売り上げではないのだが、「SNS」で取り扱われているということが一種のステータスになっていた。

第3期は出店に関することだ。99年に1号店をストックホルムに出店するまではよかったが、スウェーデンのほかの街にも出店したところうまくいかなかった。需要の高い都市部でない限り国内では成功しないと分かり、自然と海外に目を向けることになった。ただ私たち2人にはそうした経験がなかったから、パートナーを探してビジネスのノウハウを学んだ。ここまでの12年間は紆余曲折あったが、今日までは順調に歩めている。

WWD:先ほど、ギーク同士でつながったことが「SNS」の立ち上げに関係していると言ったが、90年代後半の日本では“エア マックス 95(AIR MAX 95)”を例に空前のスニーカーブームが起きていたのでナード同士は簡単につながることができた。ストックホルムではそうしたブームはなかった?

ペーター:スウェーデンでも似たような動きがあったといえばあったが、ストックホルムには200万人ほどしか住んでいないので、東京に比べれば規模は小さなものだった。

エリック:話が少しずれるが、昔は大きなスニーカーブームの波がスウェーデンに遅れてきていたように、20年前の世界は今よりもっと広かった。だが十数年前から、みんなが同じようなモデルを履いている。現在はさらにその動きが加速していて、誰もがインターネットで同じサイトを見て、生み出す側も着想源が同じだから、世界中で波が同時に起きている。地域ごとに多少の違いはあるかもしれないが、トレンドは大体同じで動きが速い。どこかで「あのスニーカーがクールだ」と盛り上がれば、世界中でそのスニーカーがクールということになる。20年前はそうじゃなかった。

憧れの地・東京への出店

WWD:日本出店の経緯とアジア戦略は?

エリック:11年ごろに世界中の顧客が同じようなものを求めていると分かり、「SNS」をグローバル展開することを決めた。ただ事業を拡大させたい半面、いわゆる“企業”にはなりたくなかった。この2つを両立させるには、1つの都市に20も30も出店するのではなく、各国もしくは各地域に1店舗だけ出店すればいいと考えた。全体で見れば大きな規模の事業だが、どの国でも大量出店はしていない。

そして、グローバル展開するならばアジア地域は欠かせない。私たちは長年にわたり東京からいろいろとインスパイアを受け、大いに敬意や憧れを抱いている。だからこそ東京に出店するのは逆に抵抗があり、最初はソウルを検討していた(笑)。しかし、ナイキやアディダスに相談したところ東京への出店を勧めてくれたし、やはり東京は私たちに最も影響を与えたアジアの街で、一番長い時間を過ごしている場所。来年にはオリンピック・パラリンピックも控えているので、これ以上の機会はなかった。もちろん、アジアの他の地域でもそれぞれに独自のカルチャーがあり、重要な市場だと認識しているので出店は計画中だ。

WWD:スニーカーカルチャーが根付く渋谷・原宿エリアではなく、代官山に出店した理由は?

ペーター:ほかが出店している場所は避けたい上に、原宿にこれ以上スニーカーショップはいらない。そもそも代官山は、どこかクリエイティブな街なので前から好きだった。「SNS」の近くにハンドボール専門店があるように、競技人口の少ない店があってギークを受け入れてくれる雰囲気も街にあるなと(笑)。出店した代官山ログロードは、もともと「こういう場所がいい」と参考にしている店舗だったので、空いたと分かった瞬間に飛びついた。

エリック:ストックホルム店も住宅街にあり、周りにほかのスニーカーショップがない場所だ。ただこれは当時、都市部に出店する資金がなかったからなんだが、結局それが「SNS」らしさにつながった。このような“らしさ”を維持することは大事だと思っていて、パリではマレ地区、ニューヨークではソーホーではなく、わざわざ足を運んで「SNS」の店舗を探さなくてはいけないような場所に出店している。だから東京店もこれまでに出店してきた場所と同じく、みんながその土地に持つイメージとは正反対の場所に出店し、「SNS」がその街(代官山)を訪れるきっかけになってほしい。

「SNS」の売り上げは主にオンラインなんだが、店舗がこうした離れた場所にあることによって訪れる人が少なくなり、「SNS」について聞いたことはあるけれど見たことはない、空想上の存在のようになる。だからわざわざ足を運んで訪れてくれた人たちには、素晴らしい体験をしてもらいたいと考えて店づくりをしている。

成功の秘訣は“体験”

WWD:「SNS」は内装や外装に力を入れることで知られているが、東京店のポイントは?

エリック:第一に、「SNS」自体はスウェーデンらしさを大切にし、各店舗はそれぞれの街に敬意を払いローカルな要素と交じり合ったものにすることを心掛けている。私たちが解釈した“東京”は、積み重ねてきた豊かな歴史や伝統的な職人の手作業、細部へのこだわり、ロボットや自動洗浄式のトイレといったテクノロジーなどの未来的なものが融合している街。店舗にもそれが反映されていて、テーブルを3Dプリンターで作ったり、「ゴジラ」や「鉄腕アトム」などのアニメを着想源としたテクニカルで人工的な部分もあったりする一方で、随所に伝統的なクラフツマンシップを生かしている。また、侍などの日本の歴史上で重要な存在も取り入れるなど、店内にはオリジナルのアートピースや什器が70以上ある。もちろん、これらは全て私たちのレンズを通して見た日本なので、「これが日本だ!」なんてことを言うつもりはなく、ただ日本の豊かな伝統や文化に敬意を払ってオマージュを捧げたかったということ。

最近の小売り業界ではとにかく“体験”が重視されていて、ただ商品が陳列されているだけでは十分ではなく、顧客やカルチャーと深く結びつき、より多くのものをギブバックする必要がある。だから店舗ではアートの展示やワークショップ、音楽イベントなどを開催し、積極的に子どもたちも招待することでカルチャーが交わる場所になってほしいという思いがある。そうした場所にはカフェとギフトショップがつきものなので、スニーカーショップの隣に併設する予定だ(2020年2月オープン予定)。

WWD:「SNS」限定アイテムなどはどれぐらいの頻度で用意していく?

ペーター:「SNS」のオリジナルアパレルは2カ月に1度のペースで新作をリリースする予定だが、スニーカーとなると正確な数字を出すのは難しい。オープン時には「SNS」限定じゃないのも含めると50以上を用意した。ただ「SNS」では、毎週10~15のスニーカーが抽選販売されているので、単純にこれだけで週に10アイテムは必ず入れ替わっている計算になる。

WWD:東京店の売り上げ目標と、現在の全体での売り上げは?

エリック:今年は全体で1億ドル(約109億円)を見込んでいる。東京店の売り上げ目標も一応設定しているが、今はどれだけの顧客が店舗に訪れかに重点を置いていて、シビアに店舗を運営するつもりは全くない。例えば、東京店で年間1000万ドル(約10億9000万円)を売り上げようとすると、毎日人がすし詰めになるほど訪れない限り無理なのでクレイジーな話だ(笑)。オンラインで利益を上げる方が効率的だが、売り上げやサイトアクセスがいくらあっても盛り上がっている様子は見えづらく、インディペンデントな印象になってしまう。だからこそ「SNS」は体験のための投資をしている。顧客に楽しい時間を提供すればオンライン上でも話題となり、結果としてECでの売り上げが上がる。

ペーター:「昨日の夜、『SNS』の楽しいパーティーに参加してきたんだ!」という誰かの投稿がオンラインで話題になれば、大勢の人が「SNS」を検索してオンラインで買い物をしてくれる仕組み、これが成功の秘訣だ。

エリック:つまりは、“モノを売らずに商品を売る”という手法で、商品じゃない部分に力を入れて、後は商品が購入されるのを願い待っている(笑)。

プロが見る今のスニーカーシーン

WWD:スニーカーのプロである2人は、2次流通市場での高騰をはじめ異常な盛り上がりとなっている昨今のスニーカーシーンをどう見る?

ペーター:2次流通市場そのものを嫌う人もいるかもしれないが、史上最高の盛り上がりであることは間違いない。最近は10歳の子どもでもスニーカーにハマっていたりと、スニーカー市場そのものが大きくなっていることを実感する。こんなことは20年前にはなかった。手に入れることが難しくなったと文句を言う中高年層もいるが、とても面白い状況ではあることに間違いない。

WWD:ラグジュアリーブランドのスニーカーシーンへの参入も目立っている。しかし、スポーツブランドほどのスニーカーギークはいない。これをどう考える?

ペーター:例えば特定のデザイナーやラグジュアリーブランドが好きということがあっても、ファッションの流行で好きなデザイナーも変化する。キム・ジョーンズ(Kim Jones)が「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」から「ディオール(DIOR)」に移ったが、今後別のブランドに移ればファンも一緒に移っていくだろう。このように特定のデザイナーにフォロワーがつくことが、ラグジュアリーブランドのスニーカーギークが生まれにくい理由なのではないだろうか。

エリック:ペーターの言う通りだ。デザイナーやブランドにはフォロワーがいるが、彼らは流行やデザイナーの移り変わりと共に移動していくもので、スニーカーギークはただスニーカーだけが好きだから、その間に交流はないんだと思う。スニーカーブランドは、基本的にスポーツシーンに根差している。だから生み出されるスニーカーは用途がはっきりしている。それに対してラグジュアリーブランドの作るスニーカーはデザイン性が重視され、最悪の場合、機能性が全く考慮されていないように見えるモデルがある。ギークの多くは日常で履きたがるので、これも大きいだろう。

WWD:最後に、2019年は時代の区切りだが、人生の“ベストスニーカー”は?

ペーター:レコードショップの店員に「一番好きな曲は?」と聞くような難しい質問だ。“今週のベストスニーカー”なら、今私が履いている「SNS」と「アディダス」のコラボ“スタンスミス(STAN SMITH)”を挙げる(笑)。

エリック:こういった質問はよくされるんだが毎回困る(笑)。なぜなら、これまで3000足以上は履いてきたが、もしどこかで“ベストスニーカー”というものに出合っていたら、そこでスニーカーへの愛は終わっているだろうから。これがスニーカーの素晴らしいところで、毎日のように素敵な1足が現れるたびにエキサイトする。そして私にとってスニーカーは、単なるプロダクトとしてだけでなく、音楽や匂いのように五感に訴えてくるもので、思い出や記憶と結び付いている。“ジョーダン フライ(JORDAN FLY)”を見ると、「ああ、このシューズを見て“ジョーダン”と恋に落ちたんだ」と記憶がよみがえるんだ。クッキーの匂いを嗅ぐと、母親が子どもの私にクッキーを焼いてくれていたことを思い出すようにね。とにかく私たちは、40歳を超えても旅行の際に下着より多くのスニーカーをバッグに詰めこむ、いつまでたってもスニーカーギークなんだよ(笑)。

ペーター:ランチ前はこれを履いてランチ後はこれ履く、なんてザラにあるさ。

エリック:おかしいことは自覚しているが、いつ何を履きたくなるか分からないから仕方がない。税関を通るときにはすごく不審そうな顔をされるがね(笑)。

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「ディーゼル レッド タグ」と「ア コールド ウォール」 飽食の時代に突きつけたコラボレーションの真価

 情報過多の現代のファッションシーンにおいて、優れたデザインや高い品質はただの前提条件でしかない。だからこそ、多くのブランドは成功の決め手となる話題性を求め、コラボレーションを仕掛ける。先ごろ発表された「ディーゼル レッド タグ(DIESEL RED TAG)」プロジェクトと「ア コールド ウォール(A-COLD-WALL以下、ACW)」のジョイントのニュースを耳にして、トピック性の高さゆえにそうしたコマーシャルなイメージを抱く人も少なくないだろう。しかし、そこには確かに互いへの敬意と、モノ作りの本質が息づいている。表面的なコラボが台頭している今こそ際立つ、強力な個性たちの出合いとその必然とは。

互いの垣根を超えた
強力コラボレーションがついに実現

 12月10日の東京湾岸、東雲の倉庫街。普段は閑静なエリアだが、この日は国内外で活躍するファッショニスタやセレブリティたちが一堂に会した。その場所は、「ディーゼル レッドタグ」と「ACW」によるカプセルコレクションのプレゼンテーションイベントが行われる巨大なアートスペース、TOLOT。ストリートとラグジュアリーの蜜月を象徴する英国の気鋭ブランドと、イタリアンプレミアムカジュアルウエアの名門とによる共作というだけあって、その関心の高さにもうなずける。エレベーターで上がり、ホワイトキューブが並ぶエントランスを抜けると、そこにはマットブラックの鉄パイプが縦横に走る広大な空間が広がる。その中に浮かぶようにディスプレーされたウエアの数々が、今回のコレクションだ。

洒落者たちを沸かせ続けた、
一夜だけの異空間

 まるで大理石のようにランダムなコントラストが目を引くデニムや、形状記憶のナイロンをメインマテリアルに据えた今回の試み。そんな展示空間からさらに奥へ歩を進めると黒山の人だかりが目に入る。Thom Yorkeのプレイリストにも抜擢されたMars89、新世代のガールズアイコン、ZOMBIE-CHANGや飛び入りでマイクを握ったラッパーのHIYADAM、UKの有力レーベル、BONE SODAからはSKINNY MACHOらがフロアを沸かせる。この日の来場者にはアーティストやモデル、クリエイターらが多数名を連ね、「ア コールド ウォール」のデザイナー、サミュエル・ロス(Samuel Ross)とかねてから親交の深い佐野玲於(GENERATIONS from EXILE TRIBE)が激励に駆けつける一幕もあった。

実験的コラボプロジェクト、
その系譜と新たな一手

 そもそも「ディーゼル レッド タグ」とは、世界各地の有力デザイナーやブランドを招き、「ディーゼル」のブランド哲学を彼らがそれぞれ再解釈して独立コレクションとして具現化するというプロジェクト。これまでには、かつて「フッド バイ エア(HOOD BY AIR)」を展開していたシェーン・オリバー(Shayne Oliver)や「ワイプロジェクト(Y/PROJECT)」のグレン・マーティンス(Glenn Martens)、ゴーシャ・ラブチンスキー(Gosha Rubchinskiy)による「GR ユニフォーマ(GR-UNIFORMA)」らとタッグを組み、その第4弾として白羽の矢が立ったのが「ACW」というわけだ。変則的なパターンワークによる洗練されたシルエットや、植物染料を用いたアイコニックな柄の表現、先述のデニムとナイロンに象徴されるハイブリッドな素材使いーーひとつひとつのピースだけを取っても特別感と特異性が実感できるアイテムがラインアップされている。

キーマンが語る、
コラボレーションの
ビハインド ザ シーン

 「『ディーゼル』は僕の育ったイングランドのカルチャーに深く根ざしていて、みんな当たり前のように『ディーゼル』を着ていた。だから、言ってしまえば民主的なブランドだと思っている」。目を見据えながら、サミュエル・ロスはそう言い切る。そんなブランドのヒストリーに彼はどんな1ページを加えたのか。

WWD:今回のコレクションを作る上で意識したことは?

サミュエル・ロス(以下、サミュエル):まず「両者の共通項は何か」を考えました。そうして出た答えが、テクノロジーやエンジニアリングだったんです。例えば「ディーゼル」はデニムに関する深い造詣や素材加工のノウハウを持っていますよね。「ACW」で言えば、ナイロンやテック素材がそれにあたるのかなと思ったんです。どちらもアクセントの利いたブランドなので、いかにブランドの哲学や精神を融合させていくかをずっと考えてきました。その象徴として服がある、という風にしたかったんです。

WWD:今回のコレクションのキーアイテムは?

サミュエル:ジレがまさにそれですね。デニムという「ディーゼル」を象徴する素材を使った、脱構築的かつ実験的な一着で、今回の取り組みをもっとも象徴していると思っています。

WWD:「ACW」が多用するダメージ加工やエージングと、このジレに施されたブリーチ、アプローチの視点は異なるか?

サミュエル:一見するとブリーチに見えますが、実はあの柄は植物由来の染料を使って表現しているんです。染料を3層構造にしたことでブリーチのように見えているんですね。デニムは生きている素材ですし、同様に各素材も使い込んでいくうちに表情が変わっていく。一度作ったらずっとそのままの状態という、いかにも人為的なものではなく、商品とともに思い出が育っていったり、経年によって劣化するのではなく味となるような商品を作りたいといつも思っています。

WWD:今回のプロジェクトで学んだことは?

サミュエル:正直、世の中には単なるロゴやイメージを共有しただけのコラボレーションが多くありますよね。だけど、個人的にはコラボはチャレンジであるべきだと思いますし、実際に今回は「ACW」にとってまさにそうだったと思います。グローバルでリーチも大きい「ディーゼル」に対して「ACW」はすごくニッチなブランドで、言ってみれば近しい人に話しかけるような感覚で発信しているわけです。だから、そこにはメッセージの規模に大きなギャップがありました。今後「ACW」がグローバルな方向を目指す上で、その発信の仕方がどう変わっていくか、今回はそのよい予行演習になったし、「ディーゼル」に学ばせてもらったと思っています。

WWD:あなたやヴァージルのように、モードとストリート、両方の言語を持っている人がシーンをけん引している現状をどう見ているか?

サミュエル:そういったデザイナーの多くに共通しているのは、ファッションではなくデザインの学校を卒業していること。建築やプロダクトデザイン、グラフィックデザインといったように。手法として記号論やビジュアルコミュニケーション、エンジニアリングというようなものがあって、ファッションの学校を出た人たちは一着の服を作るときに目指すべきゴールへの行き方を知っているので、たいてまっすぐ向かうんですが、僕たちはそういった教育を受けていないから、回り道をしたり抽象的な行き方をすることがよくあるんです。その分、モードやストリートの度合いについて、バランスやさじ加減をどのように測るのか、感覚が身についているんだと思います。リトマス紙みたいなものですね。コミュニケーション戦略や商品の打ち出し方についてもプロダクトデザインと同じくらいの時間をかけて考えているので、世の中から見たら独自のものに見えているのかも知れません。

WWD:今回のコラボレーションも含めて多忙さが伝わってくるが、余暇はどんな風に過ごしているか?

サミュエル:読書ですね。特に文学が好きで、だいたい3、4冊の本を並行して読んでいます。スピリチュアルなものから、生物が今後進化してAIとどのように融合されていくのかというものまで、いろいろと。

WWD:あなたにとってのバイブルは?

サミュエル:2015年に発刊された「サピ・エンス(Sapiens): A Brief History of Humankind」という本です。人類の生誕から現在までの軌跡と、今後人類がどんな方向に向かっていくのかというのをまとめたものです。あとは旧約聖書にも、今の世の中にも通じるような記述がある章があって、かなり影響を受けています。

WWD:最後に、今回のコラボレーションやあなたの活動を目で追っている人たちへメッセージを。

サミュエル:見てくれた方が作品から何かのインスピレーションを得たり、自由であることの価値を感じたりしながら、心に残ったことを周りにシェアして、広めていってくれたらうれしいです。

PHOTO:TAKAKI IWATA(EVENT) , RYO KUZUMA(INTERVIEW)

TEXT:RUI KONNO

問い合わせ先
ディーゼルジャパン
0120-55-1978

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銀行強盗とアルマーニに教わった「流儀」 エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年6月11日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

銀行強盗とアルマーニに教わった「流儀」

 海外出張が多いことの利点は映画をたくさん見られることです。自宅だと思わず携帯をいじってしまう時間も電波が通じない機上での10時間超の移動では2~3本ずつ映画を見るから、今は自分史上最高に映画通(ただし、アクションを除く)です。

 昨年は「ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody)」「アリー/スター誕生(A Star Is Born)」「グレイテスト・ショーマン(The Greatest Showman)」、そして「メリー・ポピンズ リターンズ(Mary Poppins Returns)」「グリーンブック(Green Book)」と、主人公が自分を鼓舞するように歌い上げる映画が多く、勇気をもらい、飛行機を降りる時は意気揚々としていました。

 今春は、50代後半の女性(ジュリアン・ムーア)が再び恋をする「グロリア・ベル(Gloria Bell)」、有能だけど学歴がない女性(ジェニファー・ロペス)が経歴を偽って大企業に採用されて活躍する「セカンド・アクト(Second Act)」、銀行強盗の未亡人たち(ヴィオラ・デイヴィス)が犯罪チームを結成して夫たちがやり残した仕事にとりかかる「ロスト・マネー(WIDOWS)」など、人生後半を迎え悩み、前へ進もうとする女性を題材にした作品が印象的でした。

 同じく人生後半が主題ですが、主役が男性なのが「さらば愛しきアウトロー(The Old Man & the Gun)」です。実在した銀行強盗役を演じる82歳のロバート・レッドフォード(Robert Redford)が最高にかっこいい!これはオススメです。レッドフォード演じる、立ち振る舞いが紳士的な銀行強盗フォレスト・タッカーは終始スーツ姿で、それも見どころですがセリフもいい。ある場面でタッカーが「それがスタイルだからさ」と言うのですが、日本語字幕ではスタイルを「流儀」と訳していて、ツボでした。最近あまり使わない言葉「流儀」ですが、ファッションが提案できるのも、実用やトレンド以上にこの「流儀」だったはず。スーツとセリフからそんなことを考えました。

 「流儀」といえば、5月末に来日したデザイナーのジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)は記者会見で、その「流儀」をまざまざと見せつけました。会見に来ていたメディアは幅広く、「婦人画報」「フィガロジャポン(madame FIGARO japon)」「エスクァイア(Esquire)」「センス(SENSE)」「日本経済新聞」など各誌紙が自分たちの「流儀」に合わせた質問をするのですが、アルマーニ氏はどの質問にも名答を返してくるのです。中でも印象的だったのは、「メンズ・イーエックス(MEN'S EX)」からの「スーツを着る男性のエレガンスとは?」という質問への答えです。いわく「コーディネートではなく、身のこなしが大切。骨格をエレガントに見せ、落ち着いた話し方をすること」と。「骨格をエレガントに見せ」とは!!予想の斜め上を行く回答です。

 タッカーは、「楽に生きるなんてどうでもいい、楽しく生きたい」と語るのですが、たぶんこれがこの銀行強盗の「流儀」の源。「流儀」を確立しつつ、人生を楽しみ、前を見続ける人が一番強い……80歳を超えたレッドフォードとアルマーニの2人に教わりました。レッドフォードの俳優引退作になるといわれている「さらば愛しきアウトロー」は7月12日日本公開です。

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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世界の最新ビューティが一堂に会する「COSME TOKYO 2020」開催 日本初上陸コスメが多数登場

 リード エグジビション ジャパンは2020年1月20~22日に、千葉の幕張メッセで、「COSME TOKYO 2020(国際化粧品展)」を開催する。同イベントは、世界各国の最新コスメが集まる日本最大の化粧品専門展。バイヤーやディーラーが多数来場し、仕入れに関する打ち合せを行う国際商談展だ。また、原料や容器・パッケージに関する「化粧品開発展」、サプリメントや健康食品を扱う「美容・健康商品 EXPO」も同時開催する。

2万6000点を超える
最新コスメを展示

 8回目の今回は前回を上回る世界30カ国から340社が出展し、最新コスメなど2万6000点以上を展示する。新製品も多数登場し、ヒト幹細胞を使用したコスメやCBD(カンナビジオール)オイルのほか、乳酸菌のヘアケアや塗る脂肪溶解注射など、最新技術を用いたコスメに注目だ。

世界各国のパビリオンを展開

 同イベントは海外からの出展が多いのも特徴で、アジアだけでなく中東や欧州など国際色豊かなコスメを展示する。また、アメリカ、イタリア、フランス、カナダ、ポーランド、タイ、台湾、中国のパビリオンを設け、各国の特色が表れるビューティトレンドをいち早く発信する。

注目の日本初上陸コスメ

最も注目すべきは、日本に初上陸するユニークなコスメの数々。バナナ抽出エキスを配合したポーランドのルースパウダーや、頭皮ケアに着目したタイのオーガニックシャンプーなどナチュラルな素材にこだわったものから、フレグランス付きのイタリアのボディークリームなどをそろえる。世界各国のコスメを実際に手に取って体験できる数少ない機会を創出する。

最新事例を学べる
セミナーを開催

 3日間で全15講演行われるセミナーは、化粧品業界の最前線で活躍する人物や企業を講師に招き、販売戦略や化粧品トレンドをテーマにした講演のほか、サロン向けの講演も行う。特別講演には、三越伊勢丹の小宮仁奈子・執行役員MD統括部化粧品MD統括部長や、日本スキンケア協会の小野浩二代表理事が登壇する。

INFORMATION
国際化粧品展(国際ビューティ&ヘルス Week 2020)

期間:2020年1月20~22日
時間:10:00〜18:00(22日のみ〜17:00)
会場:幕張メッセ
住所:千葉県千葉市美浜区中瀬2-1
入場料:招待券持参者は無料(招待券がない場合は5000円)


問い合わせ先
リード エグジビション ジャパン
03-3349-8587

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テックパジャマもようやくスマートに!? ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.22 『豊島がスマートパジャマで質の高い睡眠をサポート』

読み解きポイント:「テクノロジーとファッションがスマートに混じり合ってきた」

ニュースのポイント

 繊維商社の豊島による国内外のファッションテック企業との協業が成果を見せ始めた。スマートアパレル「イースキン(E-SKIN)」を展開するIT企業ゼノマと開発したのは、睡眠の質を向上させるスマートパジャマ。アーバンリサーチとも協業して開発中の製品は、上衣にセンサーを配し、ポケット内でデバイスを接続して、睡眠時の寝床内の変化を計測。スマートリモコンで操作して、エアコンなどの家電の制御にも利用する。

 パジャマのリリースにあたり、アーバンリサーチらしいファッション性も意識して機能性とデザイン性のバランスにこだわった。来年春の販売予定で、価格は未定。ゼノマが開発した伸縮性と耐久性を兼ね備えた電子回路を布状に形成する技術を用いた「イースキン」は、動きと同時にさまざまな身体データを取得できる。さらなる新しいプロダクトやサービスへの発展が期待される。

Azuはこう読む!

 ITベンチャーの良いところは自由に働けるところなんですが、それゆえ無謀な働き方になることもしばしば。仕事のパフォーマンスを上げるには質の良い睡眠が欠かせないことは百も承知なのですが、ついつい表面的な異常が現われない程度の短睡眠になりがちです。結果、夕方のコスパが悪いんですけども……。

 長く寝れば良いワケではなく、それぞれの体にあった睡眠環境を整えるのがベストだと思うので、スマートデバイスを使った環境改善にはかなり興味があります。記事中で言及されていたのは、家電の制御や起床の規則性、中途覚醒、睡眠時間、寝付き、深い睡眠の5つの指標での評価といったこと。家電の制御はかなりありがたいなと思っています。今の時期だと「おやすみモード」にしても室内が暑すぎたり、かといってタイマーだと寝つきか寝起きのどちらかしか選べないし、なかなか快適な睡眠環境を整えるって難しいですよね。

 あと、美肌に欠かせない保湿は、加湿器と連動して、お肌に最も良い湿度に保ってくれる機能なんかがあったら最高だなと思いました。って考えると、睡眠周りだけでもかなりいろいろな切り口で応用できそうですよね。デザインもアーバンリサーチさんが協業とのことで、シックなホテルウエアのようで素敵!

 睡眠をサポートするスマートデバイスはいろいろ出ていますが、個人的には寝る時にアクセサリーの類をつけたくないので、試せないままでした。でもパジャマそのものがデバイスとして機能するなら、なんのストレスもないですよね。ぜひ発売されたら触りに行ってみようと思います。

 ファッションテックという言葉が出てきて久しいですが、こうしてIT企業とアパレル企業がタッグを組み製品を開発する流れがだんだんと定着しつつあります。この言葉が出てきたばかりの時は商品もサービスもなんだか堅い感じがしていて「デザイン性もあと一歩……」というものが正直多かったですが、ようやくスマートに混じり合ってきたのだな、と感じました。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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グリーンレーベル リラクシングの2020年春夏 初夏まで着られるジャケット&シャツ

 ユナイテッドアローズが手掛ける「グリーンレーベル リラクシング(GREEN LABEL RELAXING)」の2020年春夏は、薄手のシャツやブラウス、カジュアルなジャケット、ワンピースなど、シーズン立ち上がりから初夏までシーズンレスで着られるアイテムを強化する。

 今季のテーマを“クール&クリア”“モロッココーリング”の2軸で構成し、前者では素材のコントラストを楽しむワントーンのスタイリングを打ち出し、微光沢のあるベージュのセットアップや、差し色にライトパープルのロングワンピースなどをそろえた。

 後者では、アースカラーでまとめたサファリジャケット&ワンピース、モロッコ・フェズの青い街並みをイメージしたシャツ&スカートなどを提案。19-20年秋冬にインポート素材のアウターが好調だったことから、今季はイタリアの「ナリア(NALYA)」や「ファブリカ(FABRICA)」、インドの「ミロ(MILO)」などの生地を使用したシャツをバリエーション豊富に並べる。昨年好評だった体形カバーができるスイムウエアは、ラッシュガードやショートパンツも含めて型数を増やした。

 さらに人気のオリジナルデニムを新たなシルエットにして、2月から店頭で販売。前モデルのボーイフレンドデニムは約1万2000本が売れ、田中安由美ファッションディレクターはその要因を「適度な色落ち感はあるけれど古着ではないデニムが、自社のお客さまの好みにフィットしている」と分析。今季はトラウザー、ワイドストレート、フレアワイドなどフィット感にバリエーションのあるパンツとGジャンの4型を大きく打ち出す。

 またサステナブルの取り組みとして、トレーサブルな素材を使用するアイテムには、今季から白いFSC認証のタグを付けて販売する。

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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「従来の古いやり方を新しく変えていくことが必要」 by ステラ・マッカートニー

Stella McCartney

 従来の古いやり方を新しく変えていくことが必要。(「WWD JAPAN.com」2019年7月15日公開、ステラ・マッカートニーが本音で語る 究極のサステナ世界と今日からできることから)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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読者が注目した今週の新作 「UT」 × 「フォートナイト」など(12月20〜26日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。「ファッション部門」では読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週はユニクロ(UNIQLO)の「UT」 × 人気ゲーム「フォートナイト(FORTNITE)」のコラボアイテムが最も注目された。

【ファッション部門】


【スニーカー部門】

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コフレから、さよなら「キッカ」、男性グルーミングまで 「WWDジャパン」編集部員らの「秋のコスメ」ベストバイ!

 毎月お届けする「WWDジャパン」「WWDビューティ」擁するINFASパブリケーションズのベストバイ。第四回は、ビューティアイテム。コフレを中心に発売が増える秋のシーズン。コフレは意外と売り切れ続出で買えずじまいという声が多数。あんなにビューティブランドからお試しのアイテムが送られてくる「WWDビューティ」編集部でも、みんな1つや2つは自分で購入しているもんです。ビューティ編集部以外からも上がりました!ベストバイのコスメ編をお届けします。

増税1時間半前に滑り込み購入! さよなら「キッカ」のファンデーション

 2016年の登場時、まるで素肌そのものがきれいだったかのように錯覚する艶や透明感のある仕上がりに驚きました。当時は4個ほどリピートし続けたのですが、その後、ついほかのファンデーションに“浮気”しちゃったり……。ずっと気になっていたので、消費税増税になる前に購入を決意。校了作業真っ最中だった9月30日22時半に、思わずAmazonで滑り込み購入!仕事柄、ありがたいことに化粧品はいただけることが多かったため、ビューティ編集部に入ってから初めて購入した化粧品がこれ。今年で「キッカ」ブランドはなくなるので、感謝の意味も込めて……。「キッカ(CHICCA)」の「フローレスグロウ ソリッドファンデーション」大好きです。(WWDビューティ編集部 中出若菜)

可愛いのに
“甘くなりすぎない”
ピンクパレットを大人買い

 ずっと苦手だったハイライトを克服してくれた「THREE」の「シマリング グロー デュオ」。なんと言ってもその魅力は、大雑把に塗っても、のっぺり顔を超自然に立体顔にしてくれること。10年前、ブランドデビューと共に発売され、代表格として愛されてきた(愛用してきた)のですが、今回アニバーサリーを祝した“ピンク系仕立て”のパレット(3種、各6500円)が発売されると聞き、予約開始日、仕事帰りに百貨店にダッシュで駆け込みました。

 こちらのパレット、ピンクと言っても、「THREE」のピンクですから、甘くなりすぎず、ジュワッと発光&上気したようなおしゃれ頬に仕上げてくれるのです。悩みに悩みつつ、BAさんの「2つ購入されるお客さまもいますよ〜」の後押しもあり、初めて化粧品を予約購入するという興奮も相まって、色違いで購入を決意。限定品なので定番化を願いつつ、毎日ちびちびと大切に使っています。(デジタルマーケティング部 新関瑠里)

“髪を傷めない”カールアイロン 
ついに5万円の高級タイプに
グレードアップ

 4年間愛用した「ヘアビューロン」がある日突然電源が入らなくなり、カールアイロン難民に。私の髪は細く、スーパーロングのためにダメージも受けやすい。しかも最近黒く染めたので、スタイリングしないとちょっと魔女っぽくなってしまい(苦笑)、カールアイロンは必須アイテムなんです。次は違うメーカーのを試してみよう!と思っていたのですが、高温で巻いても髪がパリパリにならず、柔らかく巻ける「ヘアビューロン」が気に入ってしまい、結局最新の「ヘアビューロン4Dプラス」を購入してしまいました。

 名前からしてずいぶんパワーアップしてそう!なんて思いながら使ってみると、前のよりだいぶ重い!その重さに最初はちょっとびっくりしたのですが、使いやすさはやっぱり変わらないですね。「ヘアビューロン」は独自の“バイオプログラミング”技術により、髪を高温で巻いても内部のタンパク質が変質せずダメージを受けないらしいのですが、前のは少しカールがとれやすい(私の髪が直毛ということもある)と思うことがあったのに対し、「4Dプラス」は一日中カールがキープできていいですね。税込で5万円近くと高額でしたが、毎日使うものだし、ダメージを受けてトリートメントにお金をたくさんかけるくらいだったら、いいお買い物になったと思います。(「WWDビューティ」編集部 北坂映梨)

「もし、ミロのヴィーナスが街を歩いていたら」のコンセプトの香りに引かれて

 冬に合う香りを求めてフレグランスをあれこれ試していたときに「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(OFFICINE UNIVERSELLE BULY)」で運命の出合いが。ルーブル美術館とコラボレーションした限定フレグランスコレクションの「ミロのヴィーナス」からインスパイアされた香りに“ひと嗅ぎ惚れ”。 「もし、ミロのヴィーナスが街を歩いていたら」というコンセプトで作られたんだそう。みずみずしいマンダリンとジャスミン、そして温かなアンバーとウッディー……、魅了されないはずがないではありませんか。「オー・トリプル“ミロのヴィーナス”」(70mL、2万1000円)(WWDビューティ編集部 浅野ひかる)

やっぱり
ベーシックなカラーが欲しい!

 10月下旬ごろからビューティは春夏コレクションの発表会ラッシュ。カラフルなアイシャドウや、アイライナーを見ているとときめくものの、やっぱりデイリー使いにベーシックなカラーが欲しい!ということで、購入したのが「ディオール バックステージ アイ パレット 002」。ニュートラルなカラーからダークなブラウンまでそろっているのでナチュラルアイもスモーキーアイもこのパレット1つで作れるのが嬉しい。5500円で8色のアイシャドウと、ベースも入っているのでコスパも◎。(WWDビューティ編集部 米山奈津美)

旅先で出会った新しい香り

 先月、初めて屋久島を訪れた際に雑貨店「日具」で購入したボディーミスト。鳥取県に拠点を置くオーガニックブランド「フロート(Float)」のミストで、衣類や空間にも使えます。アロマをベースとした自然の香りが特徴で、爽やかなトップノートから少し甘めのラストノートまで、全ての香りがとにかく心地良いいんです。旅先ではついつい財布の紐が緩んでしまい散財してしまって後悔もする私ですが、このボディーミストは買って正解でした。(販売部 山脇佳那子)

いつでもカリフォルニアを
感じていたいから……

 カリフォルニアのメンズグルーミングブランド「バクスター オブ カリフォルニア(BAXTER OF CALIFORNIA以下、バクスター)」との出合いは、2007年の夏にまでさかのぼります。当時、僕はフリーランスのライターで、「ブルータス」(マガジンハウス)の取材でエディフィス渋谷店(現アンド エディフィス)を訪れていました。輸入代理店のアントレックスによるイベントが催され、ヒゲデザインのプロパフォーマンス集団「ヒゲ倶楽部」によるデモンストレーションが行われていました。僕も「バクスター」のシェービングクリームやアフターシェーブローションを使って、ヒゲ倶楽部にヒゲを剃ってもらい、すっかり魅了されました。以後、なが~いお付き合いが始まりました。とんとアメリカ取材の機会は減ってしまったけれど……、少しでもカリフォルニアを感じられるよう使い続けています。(「WWDジャパン」編集部 三澤和也)

オンとオフがオーガニックで
かなうから最高です

 もう何年も、ずっと肩こりがひどくてある意味、その状態が普通の毎日……。どうしても辛い日に気持ちが落ち着いてなんだか肩もリラックスしていられる気分になれるアイテムに出合いました。それがこのハーブティー。「ジンジャーウォーミング」(1400円)は、ジンジャーが温め効果が期待でき、ジュニパーで溜め込みやすいむくみにいい感じ。リコリスがやさしい甘さで「ほっ」とするのです。この「ほっ」とする瞬間が「あ〜幸せ〜」。その至福の時間から、次に向かうとき使うのが、このロールオンパフューム「アロマパルススタディ」(1800円)。すっきりとしたスパイシーハーブの香りで手首や首筋に塗ると集中力にスイッチ!このオンとオフがオーガニックでかなえられて最高です。(WWD JAPAN.com編集部 福崎明子)

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WWDJAPAN ENGLISH Vol.1 こんなに違う!!日本語・英語のブランドの発音

 「WWDJAPAN ENGLISH」は、世界に羽ばたきたい業界人に向けた英会話番組です。「WWD JAPAN.com」にアップした記事をRIZAP ENGLISH(https://www.rizap-english.jp/)に英訳していただき、そこから「こんなコトが英語で言えたら!!」「あの時、フレーズが浮かばなかった!!」という、業界人なら誰もが知りたいワンポイント英語を学びます。第一回は、新人モデル美佳の活躍から学ぶ、日本語と英語のブランドの発音について。動画の下には、動画の中で読み上げた英語を掲載しています。

18-year-old model, Mika, is the breakout star of Paris Fashion Week, modeling for 10 of the topmost brands including Louis Vuitton and Chanel.

Mika, the 18 year old half-Japanese, half-French model, walked for a total of 10 brands during both Milan and Paris Fashion Week in spring and summer of 2020. Only 2 months into her career, she has modelled for top brands such as Prada and Louis Vuitton, already making a mark in her first Fashion Week.

After debuting with Prada in Milan and passing the audition for Saint Laurent’s Paris Collection, she appeared in the shows for Lanvin and Paco Rabanne the very next day. She also walked the runway for Sacai, a brand managed by Chitose Abe.

Mika was born in Paris, France in 2001 and is 178cm tall. With a French father and Japanese mother, she grew up between Japan, France, Russia, and India. Since July, she has been affiliated with the Japanese modeling agency, Image. She has also signed with The Society Management in New York, and Elite in Paris, Milan, and Barcelona. She will be based in Tokyo beginning in October of this year.

Advertising campaigns and magazine editorials will be on the lookout for her scheduled shows for the upcoming season.

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アナタの知らない時計専門店Vol.01 表参道のど真ん中のぜいたくな時計空間

 “時計専門店”という言葉を聞いたことがありますか?――答えは「NO」で構いません(笑)。かくいう僕も、時計担当を拝命した1年半前までは聞いたことがありませんでした。つまりは“時計”を“専門”に売る“店”のことなんですが、具体的に想像しづらいですよね……?時計の販路は百貨店やセレクトショップ、家電量販店などいくつかありますが、その一つが時計専門店です。時計しか売っていないので専門性はとても高く、結果としてよく“予習”した男性客が多いです。つまり女性や一見さんには、なかなかにハードルの高い存在でもあります。でも「こんなぜいたくな空間を知らないなんてもったいない!」――そんな素直な思いが本連載スタートのきっかけでした。「気負わず、ふらっとのぞいてください」、店舗スタッフはやさしく微笑みますが、「そうですか、じゃあ……」と言える(僕のような)図々しさを持った人は多くないはず。そこで本連載なんです!高級時計の世界に、ほんの少し早く入ったオールドルーキーの僕が素直な感想とともに伝えるので、近くにあるのに遠い存在の時計専門店を少しでも身近に感じてもらえたらと思います。

 時計専門店は地域ごとに有力店があります。大都市の東京には複数ありますが、その一つが2006年にオープンしたイシダ表参道です。表参道のど真ん中、ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)表参道の地下にあります。取り扱いブランド数は約30で、常時約1500本の時計が店頭に並びます。経営母体は1979年創業のベスト販売。ほかにベスト新宿本店や札幌のイシダ・ノース・フォーティスリー・ディグリーズなどの時計専門店を持ち、スイスの時計ブランド「ブライトリング(BREITLING)」銀座店も運営しています。

 連載第1回で紹介したいイシダ表参道は1フロア構成で、売り場面積は約600平方メートル。都内最大級で、1ブランドあたりのコーナーが広いのが特徴です。2018年12月のリニューアルで「グランドセイコー(GRAND SEIKO)」や「ラドー(RADO)」など8ブランドが新たにラインアップに加わりました。今年の12月6日には「トム フォード タイムピース(TOM FORD TIMEPIECES)」の世界初となるコーナーもできました。鈴木一弘店長に聞きます。

WWD:イシダ表参道の客層は?

鈴木一弘店長(以下、鈴木):男女比は7:3です。30代後半から40代後半がコアで、半数を占めます。土地柄、クリエイティブな職種の方が多いですね。そのためデザイン性の高いアイテムが売れています。

WWD:女性比率が意外と高い印象です。

鈴木:「カルティエ(CARTIER)」「フランク ミュラー(FRANCK MULLER)」「ショパール(CHOPARD)」などが女性の心をつかんでいます。ちなみにインバウンド客は1割以下です。

WWD:売り上げベスト3ブランドは?

鈴木:1位が「カルティエ」、2位が「IWC シャフハウゼン(IWC SCHAFFHAUSEN)」、3位が「ブライトリング」です。

WWD:2位、3位は男性ファンの多い時計ブランドですね。イシダ表参道には1万円台の「G-SHOCK」から2000万円の「A.ランゲ & ゾーネ(A.LANGE & SOHNE)」までありますが、一番売れる価格帯は?

鈴木:約80万円です。ちょうどインポートブランドの中心価格帯と重なります。

WWD:一つには絞りづらいでしょうが、現在の“推しブランド”は?

鈴木:本当にお答えするのが難しい質問ですが、どうしてもと言われれば……「オメガ(OMEGA)」でしょうか。30代半ば~50代男性を中心に支持されています。19年は月面着陸50周年で、20年2月には007シリーズの25作品目となる「ノー・タイム・トゥ・ダイ(NO TIME TO DIE)」で俳優のダニエル・クレイグ(Daniel Craig)扮するジェームズ・ボンドが着用する“シーマスター(SEAMASTER)ダイバー300M 007エディション”も発売になります。それになんといっても、7〜9月には「オメガ」がオフィシャルタイムキーパーを務める東京オリンピック・パラリンピックが控えています。売り上げ的にも、ますますの盛り上がりが期待できます。

※アポロ11号のクルーが「オメガ」の“スピードマスター(SPEEDMASTER)”を着用

「オメガ」の“シーマスター ダイバー300M 007エディション”

 いかがでしたか?なるべく端的かつ分かりやすくお伝えしたつもりですが、時計専門店の片鱗をつかんでもらえたでしょうか?付け加えるなら、「とにかく一度行ってみて」です。以下は鈴木店長には怒られてしまうかもしれませんが……、1.知る人ぞ知るショップなので若年層に人気の「G-SHOCK」のレアモデルの在庫がまだあるかも!?、2.イシダ表参道の入るビルの地下1階にはとてもきれいな隠れ家的トイレがあります。

 時計をより多くの顧客(候補)に見せることは、時計専門店の仕事です。つまり堂々と訪れていいんです!「『WWD JAPAN.com』にそそのかされて……」と僕のせいにしてもらって構いませんので(笑)、ぜひ体験してみてください。

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鋭才プロデューサー、ムラ・マサ 2ndアルバム「R.Y.C」に込めた想いとゲストに迎えたい日本人とは?

 イギリス海峡に浮かぶ孤島・ガーンジー出身の若き天才プロデューサーのムラ・マサ(Mura Masa)が、待望のセカンドアルバム「R.Y.C」を来年1月17日にリリースする。

 現在23歳のムラ・マサは、15歳の頃から自室のベッドルームをスタジオに曲作りをスタート。すると、そのキャッチーでメロウかつ先鋭的なサウンドが早くから国内外で好意的な評価を受け、20歳で発表したデビューアルバム「MURA MASA」には、エイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)やゴリラズ(Gorillaz)のデーモン・アルバーン(Damon Albarn)ら彼のサウンドに魅了されたさまざまなジャンルの豪華アーティストがゲストとして参加し、世界的なセンセーションを巻き起こした。

 衝撃のデビューアルバム発表から2年以上を費やして制作されたセカンドアルバム「R.Y.C」は、前作よりもバンド色が濃くなっている。はたしてムラ・マサのクリエイションや心境にはどんな変化があったのか?先日行われた東京公演の直前に話を聞いた。

WWD:デビューアルバムでは自身の名前を冠していましたが、セカンドアルバムを「R.Y.C」と名付けた理由は?

ムラ・マサ:「R.Y.C」は「Raw Youth Collage」の略で、子どもの頃の記憶や体験、ストーリーなどがコラージュされたノスタルジアを感じられるアルバムにしたくて、歌詞もアルバムを通してそうした内容が中心になっているからさ。「R.Y.C」にしたのは、単純に言いやすくしたくて(笑)。

WWD:デビューアルバムのアートワークはグラミー賞で「最優秀レコーディング・パッケージ賞」にノミネートされるほどデザイン性の高いものでしたが、「R.Y.C」はとてもシンプルですね。

ムラ・マサ:表現したかった音楽性が前作とは正反対だから、アートワークもそれに合わせたんだよ。前面をグレーでただ塗りつぶすことで、現代社会というか政治的にも社会的にもつまらない今の時代を表していて、スマイルマークはその陰から覗いている幸せだった頃の記憶やノスタルジアを表現しているんだ。スマイルマークは、子どもの頃からテレビゲームをたくさんプレーして育ったからテレビゲームのようなピクセルアートで描いていて、よく見ると右目が「Raw」、左目が「Youth」、口が「Collage」になっているんだよ。

「R.Y.C」収録曲でスロータイを迎えた「Deal Wiv It」

WWD:音楽性の話があがりましたが、「R.Y.C」にはウルフ・アリス(Wolf Alice、ロンドンのロックバンド)のエリー・ロウセル(Ellie Rowsell)や、スロータイ(Slowthai、ノーサンプトンのグライムMC)が参加していたりと、前作よりもバンドやパンクサウンドの色が強い印象です。

ムラ・マサ:最初にノスタルジアを感じられるアルバムにしたいって話をしたけど、僕は幼い頃にいろいろなパンクバンドやロックバンドを聴いて、そうしたバンドサウンドを実際に演奏することでアーティストとしてスキルアップしてきた。だから今作ではそういったジャンルの要素を音楽的に取り入れることで、僕のノスタルジアを表現しているんだ。それと同時に今の音楽シーンを見ていると、来年あたりに同様のジャンルがすごく重要になり、ポップミュージックでまたギターサウンドが盛大にカムバックする気配を感じているから。「R.Y.C」がその燃料になればいいなという気持ちと、そういった動きがあることを示したかったーー“ツァイトガイスト(Zeitgeist、ドイツ語で時代精神)”って感じだね。

ファーストアルバムは、幅広い意味でのポップミュージックを作りたかったからいろんなサウンドをたくさん取り込んで、ゲストアーティストにも好きなように歌詞を書いてもらった自由でオープンな作品。でも今回のアルバムは、1つのテーマに沿ってゲストアーティストにはそのテーマで歌詞を書いてもらうようにお願いしたから、よりコンセプトに基づいてキュレーションされた感じの作品。だから当然、サウンドもかなり違うものに仕上がったね。

WWD:前作から制作期間中によく聴くアーティストなどは変わりましたか?

ムラ・マサ:ファーストの頃に何を聴いていたのかもう覚えていないや(笑)。今回は、トーキング・ヘッズ(Talking Heads、アメリカのロックバンド)を1番よく聴いて、あとはジョイ・ディヴィジョン(Joy Division、マンチェスターのロックバンド)やザ・キュアー(The Cure、クローリーのロックバンド)、ノイ!(NEU!、旧西ドイツのロックバンド)だね。

WWD:ベッドルームで音楽を制作していた頃は自分と向き合う時間が十二分にあったかと思いますが、ファーストアルバムの大ヒットで世界を飛び回るようになったことでそうした時間を取りづらくなったかと思います。そういった環境の変化は音楽性に影響しましたか?

ムラ・マサ:そうしたことになるべく影響されないように生活していたよ。ガーンジーというとても小さな島で生まれ育ったアウトサイダーだから、この独自の視点を失いたくないと思っているからね。でも、世界中をツアーで回るようになってオーディエンスの反応を必然的に目にすることが多くなったから、作る音楽に彼らの反応が影響することはあるかな。「この曲はライブでやったときにみんな盛り上がってくれるかな」とか「どういう風に聴いてくれるのかな」って考えながら制作することは、ガーンジーの時なら考えもしなかったからね。

2014年発表のミニアルバム「SOUNDTRACK TO A DEATH」に収録されている「Shibuya」

WWD:世界を飛び回るという点でいうと、この1年だけでも3度の来日公演を行っていますね。過去に「Shibuya」という楽曲を発表するなど“日本好き”を公言してきたあなただからこそ、また日本をテーマにした作品を発表するんじゃないかと期待してしまいます。

ムラ・マサ:「Shibuya」が収録されているミニアルバム「SOUNDTRACK TO A DEATH」(2014年発表)には「¥」っていう曲もあるくらい、ムラ・マサとして活動し始めた初期の頃は訪れたことがない憧れの地である日本の音楽やアートに興味があったんだ。当時は健全じゃなかったというか……なんて言えばいいかわからないんだけど、ある意味で日本をフェティシズムの対象にしていたのかも。その後、実際にこうして日本に来れるようになったからこそ、心のどこかで直接的に言及したくなくなったのかもしれないね。僕が日本に抱いていたファンタジーに対して、実際に訪れていろいろと体験してみると想像と違ったというか。もちろん想像を上回るという意味でね!(笑)。だから以前ほどではないけど、今でも日本の音楽からインスピレーションは受けているよ。坂本龍一には本当に影響されたし、ゲームが大好きだから小島秀夫にもインスパイアされているし、池田亮司も好き。挙げ始めたら長くなっちゃうからこのへんにしておくけど(笑)。

WWD:まだ日本人をゲストアーティストとして迎えたことがありませんが、もし迎えるなら誰を?

ムラ・マサ:やっぱりKOHHとは一緒に何かやってみたいね。あとは初音ミクときゃりーぱみゅぱみゅかな。

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「ターク」が初のパリコレへ 破天荒なモノ作りで「王道にかみつく」

 森川拓野のメンズブランド「ターク(TAAKK)」は、2020年1月に開かれる20-21年秋冬シーズンのパリ・メンズ・ファッション・ウイークに参加し、現地時間16日にプレゼンテーション形式でコレクションを発表する。同ブランドのパリ進出は、東京都と繊維ファッション産学協議会が主催するファッションコンペ「ファッション プライズ オブ トウキョウ(FPT)」受賞によるもので、20年1月と6月のパリメンズ期間中にコレクションを発表するための資金援助を得た。現在は国内の30アカウント、海外の12アカウントに卸し、年間売上高は約1億円。これまで「FPT」に選出された「マメ(MAME KUROGOUCHI)」や「オーラリー(AURALEE)」に比べて知名度やビジネスの規模は発展途上だ。しかし裏を返せば、「ターク」の選出はクリエイション面での期待が大きいあらわれといえるだろう。アクが強いオリジナルのテキスタイルや大胆なアイデアで、世界を驚かせるポテンシャルは十分に持っている。東京・鷹番の自宅兼アトリエで、破天荒なクリエイションのルーツや大舞台にかける思いを聞いた。

「FPT」審査会前に
サンプル紛失の大ピンチ

WWD:「FPT」に応募したきっかけは?

森川拓野「ターク」デザイナー(以下、森川):世界の市場で本格的に戦っていくきっかけがほしかったから。16年の「東京ファッションアワード」受賞を機に、イギリスの百貨店セルフリッジ(SELFRIDGES)やミラノのディエチコルソコモ(10 CORSO COMO)、アメリカのオープニングセレモニー(OPENING CEREMONY)などいい店で取り扱いが始まった。最近は海外のラッパーやセレブリティーが着用してくれる機会も増えた。でも、世界の市場で戦うにはまだまだスタートに立ったとは言えない状況だ。ブランドを長く続けていくためには、海外市場開拓は必要不可欠。だから本格的に世界の市場に出るために、「FPT」はぴったりのアワードだった。

WWD:複数ブランドからの応募があった中で、「FPT」を勝ち取った要因は?

森川:服だけではなく、大きなルック写真を使った空間作りやクリエイションの過程の伝え方など、多面的な作り込みが評価されたのかなと思う。実は航空便のアクシデントで「FPT」の審査で見せるはずだった2020年春夏シーズンのコレクションの半分以上を失ってしまい、イメージボードや資料をたくさん使ってプレゼンするしかなかった(笑)。もしかするとそれがよかったのかもしれないけれど、サンプルは今だに行方不明……。

WWD:イメージボードを起点にする作り方はいつから実践している?

森川:ブランドを立ち上げた時からずっと続けている。僕はパターンメイキングから制作をスタートするデザイナーじゃなく、まずはイメージから作り始める。今の自分は何が気になっていて、それをどう考え、なぜ作りたいかなどを視覚化して頭の中を整理するためのイメージボードだ。パソコンで集めた資料は意識的に見にいかないと見ないけど、ボードを作っておくとデスクに座った瞬間に目に入ってくるから、一つのアイデアを深く掘り下げる意識に自然となれる。デジタルの技術がどれだけ発達しても、ハサミで資料を切って、貼り付けるというアナログな作業は僕のクリエイションには欠かせない。「ターク」は5人ぐらいでチームを組んでいるので、ほかのメンバーにも自分の考えを伝えやすい。この作り方は、イッセイ ミヤケ時代に学んだこと。

WWD:なぜイッセイ ミヤケを選び、前職の経験が現在にどう生かされているのか?

森川:文化服装学院の1年生だった2000年のころ、学校で基礎的な作図などの細かい技術を学んでいた。そんな時に東京都現代美術館で行われていた「ISSEY MIYAKE MAKING THINGS」展を見る機会があり、あまりにも自由で面白いモノ作りが強烈で、すぐに入社したいと思った。就職してからの7年間は、企画デザインから和紙すきや稲刈りまで本当に何でもやったけれど(笑)、それら全てが現在に生かされている。ものの考え方や作り方、リサーチのやり方、パタンナーや工場との付き合い方、電話での伝え方一つとっても服作りだということを教わった。時には、工場に複雑な加工やタイトな納期などで無理をお願いすることもある。ここぞという勝負時には職人に電話で謝り倒したり、直筆で手紙を書いて素材に対する強い思いを伝えたりもする。「ターク」の服には強いテキスタイルが欠かせないから、材料を作るための信頼関係を築くのもモノ作りの一環。協力してくれる工場や機屋あるから、僕がある。

パリでは
「挑戦者として、下っ端として」

WWD:これまで「FPT」を受賞した「マメ」や「オーラリー」とはかなり毛色が異なるが?

森川:選ばれてみて、大変な舞台で勝負できるチケットをもらったんだなと改めて実感している。「マメ」や「オーラリー」は本当にすごいなと(笑)。でも、僕は僕の服作りを貫くだけ。「ターク」の服はクセが強いから、決して万人受けするとは思っていない。でも王道からはズレた違和感を海外の人たちが面白がってくれて、実際に買い付けにもつながってきた。だから根底の部分はブラさず、挑戦者として、下っ端としてパリコレという王道にいかにかみつき、痕跡を残せるかが大事。日本人と違って海外の人は「FPT」に選出されてパリに来ているなんて知らないから、大舞台で正々堂々と勝負できるように準備するだけ。

WWD:ショーの構想は?

森川:演出は、東京やニューヨークでショーをした時から組んでいるプロデュース会社のクロコ(KuRoKo)チームに任せている。スタイリングやキャスティングは、ニューヨークで出会った外国人のチームに力を借りる予定だ。ただ大前提として、まずはどのようにして多くの人に見てもらえる環境を作るかを考えないといけない。たとえそれがゲリラ的なショーだったとしても、見てもらわないと何も始まらない立ち位置のブランドだということは自覚しているので。

WWD:パリコレを経て思い描くブランドの将来は?

森川:とにかくパリでのショーを継続していくことが目標。すごく大変なことなので、基盤をしっかり固めたい。ブランドを大きくしたい思いもあるけれど、全てのアイテムに自分の目が行き届く規模感は維持したい。青山にきれいなアトリエを構えるよりも、下町で信頼できるチームとワイワイモノ作りを続けていくのが自分には合っている。

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儲ける、生き残るためのI&D エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年6月5日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

儲ける、生き残るためのI&D

 6月10日号の「WWDジャパン」は、インクルージョン&ダイバーシティー(以下、I&D)特集。今まさにI&Dな国スウェーデンに拠点を構える、だからこそI&Dでもあるイケア(IKEA)で取材に勤しんでいます。先週は同じくI&Dな街、カナダ・トロントに。もちろん、日本の企業も取材しています。

 皆さん、I&Dは、なぜ必要だと思いますか?CSR(企業の社会的責任)の一環だから?もしアナタがそう思っているなら、そしてそう考えるアナタが経営者や事業部長級の幹部職だったら、多分そのI&Dな取り組み、失敗します。

 個人的に興味があるので、今までに数多く、本当に数多くの企業を見てきました。そんな企業の共通点は、I&Dのミッションを託された社員だけが一人悩み、孤立し、I&Dとは対極の状態に陥ってしまうという悲しい結果。そんな状況に陥らないためには、どうすべきでしょうか?

 答えは、I&Dは、儲かるため、生き残るために必要だと訴えることです。するとみんな、「それは頑張らなくっちゃ」と関心が高まります。

 I&Dは、本当に儲かるため、生き残るために必要なのです。これほどまでに多様化した時代、企業が多様化するには従業員、従業員の働き方も多様化しなければならず、I&D施策はそのために必要なのです。理想は、「みんな、会社のことが大好き。でも愛の表現方法や、愛しているがゆえに会社に貢献する術は違うよね」という状態でしょう。

SOCIAL & INFLUENTIAL:社会情勢によって変化するファッション&ビューティ業界を見つめます。インクルージョン(包摂性)&ダイバーシティー(多様性)な時代のファッション&ビューティから、社会に届けたい業界人のオピニオンまで。ジャーナリズムを重んじる「WWD JAPAN.com」ならではのメルマガです。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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スタイリストデビュー初月は売り上げ160万円 「アルバム」金内柊真のスター美容師への道 Vol.1

 ツイッターのフォロワー数14万超え、インスタグラムのフォロワー数10万超えの美容師・金内柊真。かつては芸能活動を行い、昨年8月にはアシスタントながら自身の著書「才能がなければその分努力すればいい」を出版するなど、美容師の枠におさまらない存在として注目を集めている。以前の取材では、「日本一の美容師を目指したい」と語っていた彼が11月にスタイリストデビューを果たした。今連載では、毎月彼の売り上げとともに、売り上げを伸ばすために何をやってきたか、また新人スタイリストならではの苦労などを紹介していく。1回目は160万円を達成したデビュー初月を振り返ってもらった。

WWD:まずは11月にスタイリストデビューして初月の売り上げはどれくらいだった?

金内:デビュー初月の売り上げは160万円でした。目標は110万円だったので、それを大幅に上回ってクリアできたのでよかったです。「アルバム」の中でも初月売り上げの歴代記録を更新できたのもうれしかったです。

WWD:デビュー初月で100万円を超えるのはかなりすごい。実際に客数は何人だった?

金内:指名のみで140人でした。デビュー初月だったので、アシスタントはつかず1人で全ての施術を担当していました。

WWD:予約はすぐに埋まった?

金内:スタイリストデビューが決まって、10月21日の20時にウェブ予約の受け付けを開始しました。うれしいことにカット&カラーの枠は3時間で埋まり、翌日の朝にはカットのみの枠も埋まりました。予想よりも早く埋まってしまったので、「どうしてもやってほしい」という友だちは休日にカットしていました。

WWD:昨年10月に取材したときは、もうすぐスタイリストになるかもという話だったが、少し時間が掛かった。

金内:そうですね。デビューチェックのテストに3回落ちてしまって、4回目にようやく受かってスタイリストになりました。当初の予定より半年ほど延びてしまいました。試験に落ちたときは悔しかったです。今思うと当然のことしか言われていなかったんですが、チェックのたびに“審査が厳しくなった”と感じて、「なんでそこまで求められるんだ」という思いと、「見返してやろう」という気持ちがありました。でもデビューして感じるのは、先輩たちは僕のことを思って言ってくれていたんだという感謝しかなくて、今は早く売り上げを伸ばして恩返ししたいという気持ちが強いです。

WWD:お客はやはりSNSのフォロワーが多い?

金内:そうですね。ほとんどのお客さまがインスタグラムを見てくれています。11月は7割ほどが新規のお客さまで、3割ほどはアシスタント時代から僕のことを知ってくれている人でした。

WWD:インスタグラムで意識していることは?

金内:一般の人に向けて発信することです。美容師なら知っていて当然の「ブリーチって何?」とか、そういうことを分かりやすく投稿しています。そういうのはインスタグラムの質問とかでもよくいただくので、そうした質問に答える投稿は意識しています。僕の場合は、ブリーチしてオンカラーする人が多いので、そういった人がもっと増えるように、初心者向けの動画を、IGTVを使ってアップしていきたい。ていねいに説明することで、信頼にもつながるのかなと思っています。

WWD:インスタグラムのインサイト(アクセス解析機能)は分析している?

金内:平均“いいね”数を下回る投稿は時間が立てばアーカイブに入れたりしています。またそれと似たような投稿もしないようにしています。

WWD:どういった投稿が“いいね”数が少なかった?

金内:投稿時間帯が悪かったとか、ヘアカラーの色があまり受けなかったとか。あと見せ方も、ヘア全部を見せるよりも部分的に見せた方がいいとか、動きをつけた方がいいとか、いろいろありますね。一日の投稿数は決めていませんが、フィード投稿が難しい場合はストーリーズで何かしら投稿をするようにしています。本当はフィード投稿も1投稿以上はした方がいいと思うのですが、まだスタイリストになったばかりでなかなか思うようにできないことも多くて……。

WWD:「アルバム」ではスタイリストにインスタグラムへの投稿のノルマもあるとか?

金内:そうですね。「アルバム」では、月に動画は10本以上、ヘアスタイルの画像は3人撮影して、それぞれ3スタイル以上の計9スタイル以上の投稿がノルマとなっています。僕は、11月は動画12本、モデルも9人の撮影をしました。基本は営業前か休日を使って撮影をしています。

WWD:では11月はほとんど休めなかった?

金内:それでも2~3日は休めました。でも休憩も大事だなと思いましたね。やはりスタイリスト1カ月目は初めての体験も多く、体だけではなく、精神的にも疲れました。新規のお客さまも多かったので、限られた時間の中で、いかに満足してもらうか、すごく考えてやりました。お客さまは1日平均6人くらいでした。

WWD:12月の予約も埋まってきている?

金内:「アルバム」では毎月15日に翌月分の予約受け付けが開始されるのですが、12月の予約もすぐに埋まってしまいましたので、会社と相談して予約枠を2倍にしてもらいました。

WWD:12月からトップスタイリストと銀座店の副店長に就任した。

金内:そうですね。専属のアシスタントも1人つけてもらいました。でもアシスタントとどう連携してお客さまを待たせずにやっていくか、それはまだまだで、もっと余裕で対応できるようになりたいです。副店長に関しては、「アルバム」は中途採用の人も多いので、新卒で入社した僕は社歴が長い方になるんです。だから店舗管理に関しても、僕だから分かるということも多くて、それで副店長になりました。

WWD:12月の売り上げ目標は?

金内:220万円はいきたいです。12月上旬の時点で予約数が225人なので、順調にいけば達成できると思います。客単価は9000円くらいなので、カット&カラーのお客さまを増やしたり、店販を高めて1万円を目指したいです。12月は時期的にも繁忙期で、ありがたいことに多くの予約が入っていますが、1月以降が正念場になると思います。「ホットペッパービューティー」などの口コミはチェックして、自分の強みを確認しながら、伸ばしていきたいと思っています。

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ビューティ&ユース ユナイテッドアローズの2020年春夏 アイシーな色柄素材で、見た目から“ひんやり”を演出

 ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ(BEAUTY & YOUTH UNITED ARROWS)の2020年春夏は、タイダイ染めをぼかしたようなプリントシャツや、アウターとしても使える薄手のワンピース、同素材や柄のセットアップ、淡いトーンのワークアイテムなどを打ち出す。

 特に19年の夏は、「シーズンレスで着られる透けるアイテムの提案が薄く、店舗からもリクエストがあった」と小沼悠子ファッションディレクター。それを踏まえて今季は、5月からの実需のタイミングを狙い、透け感がポイントのアイテムを強化する。さらにワークアイテムは、「ラングラー(WRANGLER)」とのコラボや、「フィーニー(PHEENY)」と「ディッキーズ(DICKIES)」とのトリプルコラボで、きれいめに着られるジャケット&パンツなどを並べる。

 カラーはホワイトをベースに、アイシーなグリーンやイエロー、ブルーなどを提案。“ミネラル感”をキーワードにしたクリーンな色味と、前述した透ける素材との相乗効果で、見た目から“ひんやり”と感じるアイテムやスタイリングにこだわった。

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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ポーラ・オルビスHDが美容以外にも投資をする理由は? 28歳の新たな挑戦に迫る

 ポーラ・オルビスホールディングス(以下、ポーラ・オルビスHD)がコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)事業をスタートさせたのが2018年2月。現在までに10社に出資をしているが、その出資先はビューティ企業だけではなく、アパレルやフィットネス、スクールなど多岐にわたっている。そもそもなぜポーラ・オルビスHDがCVCを始めたのか。またなぜ美容系以外にも投資するのか。現在、同社のCVC事業を担当する岸裕一郎氏に話を聞いた。

WWD:ポーラ・オルビスがCVCを始めたきっかけは?

岸裕一郎(以下、岸):弊社には社内ベンチャー制度があって、個人的にやってみたかったCVC事業も含めて4案を提案しました。その中で、このCVC事業の案が選ばれて、実際にやることになりました。正直、個人的には一番採用されないだろうなと思っていた案だったのでびっくりしました。今入社6年目なのですが、3年目の終わりからCVC事業に関わるようになりました。それで18年2月から本格的にスタートし、今年10月にポーラ・オルビス キャピタルという名称を掲げるようになりました。今は2人体制で僕はD2Cをメインに、もう1人はリテールや海外ブランドを中心にみています。

WWD:岸さんはもともと投資の経験はあった?

岸:全くなかったので、先輩の投資家に話を聞いたり、自分で調べたりしています。それこそ、最初はどうやって投資先を見つければいいのかも分からなかったので、先輩投資家やベンチャーキャピタル(VC)から投資先を紹介してもらうことも多いです。

WWD:ポーラ・オルビスHDのCVCとして美容系の企業に出資するのは分かるが、アパレルやスクール事業に投資する理由は?

岸:最初は“女性起業家の支援”ということを掲げてスタートしました。それで投資1社目はミレニアル世代の女性に向けたキャリアスクール事業「シーライクス(SHElikes)」を運営するシー(SHE)でした。ちょうどシーも立ち上がったばかりのころで、私たちの考えとも一致したんです。今「シーライクス」には多くの人が参加していて、その熱狂度も高いコミュニティーができていて、ここから新たなブランドが出てくる可能性もあります。その後、女性起業家ではなく、カテゴリーでくくった方が投資先を選定しやすいということで、今は“D2C”“ビューティテック”“リテールテック”に絞っています。弊社はもともと“美を中心に世界中の人々のライフスタイルを彩る”ということを目指していて、美容をメインにしつつ、それだけではなく、ライフスタイルに関わる企業には投資を検討しています。基本は1億円以下で“シード”から“アーリー”が中心で、今は“D2C”がメインで5割、それ以外で5割といった感じです。なるべくスピーディーにやっていきたいと思っていて、年間10社前後への投資を考えています。

WWD:具体的にはどういった企業に出資している?

岸:今は10社に出資しています。先ほどのシー以外には、スマートミラーや肌診断アプリ「ビューティ(Viewty)」を開発しているノベラ(NOVERA)、子どものためのオンラインスクールを運営するハグカム(HUGCOME)、D2Cアパレルブランド「ソージュ(SOEJU)」を運営するモデラート、インバウンドプラットフォーム事業を運営するワメイジング(WAMAZING)、オンラインフィットネス事業を運営するソエル(SOELU)、デリケートゾーンケアブランド「アイムラフロリア(I‘M LA FLORIA)」を運営するメリア(MELLIA)、メディアやD2Cコスメブランド「フィービービューティーアップ(PHOEBE BEAUTY UP)」を運営するディネット(DINETTE)、インフルエンサーブランドの企画・販売などを行うパトラ(PATRA)、D2Cカスタマイズサプリ「フジミ(FUJIMI)」を運営するトリコ(TRICOT)です。

WWD:起業家は男性が多い?

岸:スタートアップ全体だとやはり男性が多いです。ただD2Cだと女性も多く、特に化粧品は自身の悩みや要望からブランドをつくる女性が増えています。

WWD:投資先はどう選んでいる?

岸:基本的には僕が選んだものを、上司と相談して実際に投資するかどうかを決めます。最近は「出資してほしい」という相談もよく受けるようになりました。投資先のコンセプトがかぶらないようには気をつけていますが、コンセプトが違っていれば美容系でも数社に出資しています。10年ほどの長期視点で、弊社グループにインパクトを与えられるような企業を考えています。

WWD:出資先のサポートなども行うのか?

岸:弊社が持っている技術や知見といったリソースを活用してもらえればとは考えていて、サポートは少しずつ始めています。あと僕個人としては、一緒にブランドを育てていく気持ちを持っていて、必要な場合はメディアPRなど全力でサポートするようにしています。

WWD:今後はどういった企業に出資を考えている?

岸:直近ではD2Cのコスメやアパレルに投資してきたので、今後は“ビューティテック”の領域にも期待しています。IoTで行動データなどが取れるようになると、チャレンジできることがかなり増えると思うので。あと、食やヘルスケア、エステの領域、海外だと韓国や東南アジア、ヨーロッパの企業にも興味があります。

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攻める巨人、ウォルマート エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月10日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

攻める巨人、ウォルマート

 なんていうか、もはやスケールが違いますよね、ウォルマート(WALMART)。年商55兆円、米国内に約4800店舗、泣く子も黙る世界ナンバーワンの小売企業です。アマゾン(AMAZON)に代表されるECの台頭により窮地に追い込まれましたが、2016年にEC界の奇才マーク・ロア(Marc Lore)を“acqu-hire(人材買収)”するなどデジタル化を急速に進めており、最近では生鮮品を顧客の冷蔵庫に直接配達するというかなり画期的な新サービスを発表するなど、ものすごい勢いで進化しています。同じ小売業や百貨店、モールがオンライン化の波に飲まれて衰退する中、一時大量閉店はしましたが、今は米国中にある店舗網を生かし、むしろ攻めに転じている観も。なんと申しますか、やはり小売りの王者だなと、感心します。

 米国内におけるアマゾンとの覇権争いは、互いにあらゆる角度から消費者の生活の一部となるべく、あの手この手を繰り出しており、結構ドラマチック。二大勢力争いの構図って分かりやすくて好きです(笑)。

 そんな攻防を米国で繰り広げつつ、今回の中国への投資です。この後もウォルマートが成長を続けていくためには、米国外での市場を獲得しなくてはなりません。その上で、巨大市場である中国とインドは外せないでしょう。中国ではまだ400店超ですから、ウォルマート的にも中国という市場規模的にもまだまだ序の口です。進出してすでに20年余り。中国2位のEC企業JDドットコム(JD.COM)との連携で未来が見えたということでしょうか。米中貿易戦争であらゆる米国企業が中国から生産拠点を移そうとしているタイミングで、追加関税の見送りが決まった直後の投資宣言――鮮やかです。

 中国といえば、もはや生活インフラ企業になっているアリババ(ALIBABA)が展開するスーパーマーケット「フレシッポ(旧フーマーフレッシュ)」などオンライン発がオフラインとの融合を加速しています。アマゾンはアリババの牙城を崩せず、中国国内向けのマーケットプレイス事業を7月18日までに閉鎖します。いろいろな意味でホットな中国市場をウォルマートがどう攻略していくのか、注視していきたいです。

VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。

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「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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他人本位な長期休みの狙い エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年8月5日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

他人本位な夏休みの狙い

 突然ですが「本日から1週間、夏休みをいただきます!」。というコトで、僕からのエディターズレターは、しばらくお休み。次回は8月14日のお届けになりますので、あらかじめご了承くださいませ。

 皆さん、夏休みや年末年始は、どう過ごしていますか?「コレだけは、絶対やるんだ!」というプランはあるものでしょうか?

 僕は最近、「丸々一日を、誰かにそっくり預けてみる」という実に他人本位な時間の過ごし方が面白いな、と思っています。今年は地元のジムで仲良しの“有閑マダム”とランチ&ディナーです。どこに行くのか?合間には何をするのか?楽しみです。ちなみに年末年始は、歴史オタクの案内で戦争博物館に行きました。異様な外観にビビりましたが、戦争を淡々と伝える、驚愕の個人博物館でした。

 他人本位な休日を過ごすのには、ワケがあります。自分とは違う誰かの、ゆえに自分では絶対に出合えないコミュニティーを覗き見したいのです。そう思い始めたのは、もう10年近く前のこと。今なおハマっている「ステップ」というジムでのスタジオエクササイズに、かなり独特の“ドレスコード”があることを知ったからです。

 「ステップ」の世界では、それにハマっている人を“ステッパー”と呼びます。そして上級“ステッパー”は、その多く(大半と言っても良いでしょう)がおんなじスタイル。頭にはタオルを巻いて、上半身はチームTシャツやタンクトップ、ボトムスは「ボルコム(VOLCOM)」とか「リアルビーボイス(REAL BVOICE)」などの“ムラスポ”系サーフショーツで、足元は「ナイキ(NIKE)」の“エア マックス(AIR MAX)”です。コレが「ナイキ」の“エアマ”じゃなかったら、「アラ、まだ『ステップ』歴、浅いのかしら(笑)?」なんて思われちゃいます。僕は、別にそう思われても構わないし、むしろそんな画一的ルールには縛られたくないので、そんなレッスンに“アディダス バイ カラー(ADIDAS BY KOLOR)”や“アディダス バイ ステラ マッカートニー(ADIDAS BY STELLA McCARTNEY)”「アイビー パーク(IVY PARK)」のトレーニングウエアを着て、「アディダス」の“ブースト(BOOST)”や「リーボック」の“ポンプ フューリー(PUMP FURY)”を履いて乗り込んでいますが、その時の気分は軽い“道場破り”です(笑)。

 染まる・染まらないは別として(だから、他人に委ねる時間は1日くらいがベストです)、そんな独特のコミュニティーを垣間見て「こんな世界もあるんだ!!」というカルチャーショックを味わうのは良いものです。ネットとSNSの時代、「未知」に出合うことは難しくなっていますからね。皆さん忘れているのは、ネットやSNSは「既知」の世界を深めたり、「既知」な世界の隣を知ったりするには最高ですが、「未知」に出合うのは難しいツールであるということ。「未知」のモノは、そもそもどんな言葉を入力して検索したら出合えるかも分からないし、そのアルゴリズムゆえ自分のタイムラインにはなかなか現れないからです。

 「未知」に出合うには、今なお、思い切ってダイブするのが一番なのです。さぁ、海やプールだけでなく、みなさんも新しい世界に飛び込みましょう!

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「冬のママアウター問題」優先するのはデザイン・機能性・価格のどれ? 働くママのざっくばらん“本音”トークVol.1 ファッション編

 「おしゃれで、価格が“ちょうどいい”ママアイテムが想像以上に少ない」。連載のきっかけはママになった元「WWDジャパン」記者の2人が、こんな共通意見を持ったことだった。中でも避けて通れなかったのが「冬のアウター問題」。抱っこしている子どもが快適で、見た目を妥協せず、かつ短期間で役目を終えるなら極力出費は抑えたい……。ママ連載第1回では、抱っこした子どもごと羽織れるママ(マタニティー)コートについて対談。自分一人で消化もしくはモヤモヤしてしまいがちな育児に関するあれこれを、これから冷静かつ率直な意見を持って議論します。

なかなか発見できない
“価格×見た目”両立のコート

一井智香子(以下、ちかこ):記念すべき第1回のテーマは「冬のアウター」問題。そもそもなぜ取り上げようと思ったのか、きっかけから説明する必要があるよね。

村上杏理(以下、あんり):この壁にぶち当たったのはちょうど1年前。子どもが生後6カ月を迎えた頃に、東北で冬を過ごしていて。手持ちのコートがどれもオーバーサイズだったので、ブランケットを抱っこ紐の上からかけて乗り切ろうと思っていたけど、耐えられないほど寒い!11月下旬から、さらにオーバーサイズのコートを探したけれど、“子どもの保温性”と“スマートな見た目”を考慮するとピンとくるものがなくて。結局、家からあまり出なくなっちゃって(笑)。

ちかこ:私は臨月が冬だったので、お腹が大きいときに着られる服がなかった。しかも妊娠期間中に16キロ太って、人よりお腹が出ていたので、それはもう苦しくて(笑)。自由に身動きがとれなかった。その頃からもう重い洋服は着られないと悟ったよ‥‥‥。

あんり:ただのデブじゃん(笑)。でも私も妊娠期間中に同じくらい太った。

ママになって知った
“ママコート”の衝撃

ちかこ:妊娠中の体型は一時的。せっかくなら子どもが生まれてからも着られるモノが欲しいし、実際にどんな機能が必要か、イメージが湧かないから洋服が買えなかった。その頃に“ママコート”の存在を知ったよ。

あんり:私は妊娠後期から実家がある北海道で過ごしていて、外は極寒だから徒歩3分以上の場所は車移動。少しの寒さは気合と根性で耐えてて。

ちかこ:それ、あなただからだよ(笑)。根性論とか、今のご時世気安く言うと炎上しちゃうよ。そんなあんりちゃんはいつ“ママコート”の存在を知ったの?

あんり:子どもが生まれてから。街で着ている人を見かけて、斬新なデザインとシルエットに激震が走ったの。思わずグーグルで検索したほど。抱っこしている赤ちゃんごと包み込めるダウンコートの前身ごろに、“ダッカー”と呼ばれる着脱可能な布がついている!

ちかこ:字面だけ見ると機能的で快適そうなダウンコートだよね。でも劇的にダサいんだなこれが。

あんり:でも普通のコートだと、前が閉まらないから寒い……。

ちかこ:だからといって、すぐ着られなくなる可能性が高いコートは買いたくない。妊娠中は、「ユニクロ(UNIQLO)」の「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」のダウンジャケットを買ってしのいだよ。子どもが生まれてからは、「ナゴンスタンス(NAGONSTANS)」でコートを購入。もこもこボアで大きくて雪男の"イエティ“みたいになれるからお気に入り。息子を抱っこ紐ごとすっぽり覆うことができて、何より温かい!クリエイティブ・ディレクターの植田みずきさんに後日そのことを話したら、このアウターはママ人気が高いと言っていたの。ご本人も持ってるらしい。でもこれ、すべてはオーバーサイズがトレンドだから成り立ってますよね。ひと昔前ならピンとくるモノは探せなかったかも。

“ママコート”を実際に試してみた

あんり:実は子どもが生まれてから、親戚にもらった“ママコート”のお下がりがあって、久々に出してみたの。このコートを含め定価1万5000円前後で購入できるモノは価格は合格でも、見た目や機能は納得がいかない。

ちかこ:このコート、普通の手持ちのダウンと比べても全然温かくないね。ポリエステル100%で、裏地はついているけど絶妙なピンク色!(白目)

あんり:しかも裾についているインナーギャザーに子どもの脚が引っかかって、自分の首を苦しめられる。

ちかこ:危ないね、それは。子どもにとっても引っかかりはストレスのはず。そして今年もやってきた「冬のコート問題」。もううちの巨大児は、ついに抱っこ紐におさまらなくなっちゃった。すぐ走って外に出ちゃうから、今年はパッと取れてパッと羽織れる上着がマストだと痛感。

あんり:ママになるまで、“動きやすい”ことがなぜ重要か、私はイマイチ分かっていなかったけれど、外出先で着にくい=子どもの面倒をすぐに見られないことは、大げさに言うと見失ったり事故につながったりする。2歳前後の今は、もたつかずに着られることは重要。

「ザ・ノース・フェイス」のママダウン、8万円は高い?安い?

ちかこ:ところで「ザ・ノース・フェイス」からマタニティーラインが発表された時、すぐあんりちゃんに連絡したよね。

あんり:そこからすぐにプレスルームに取材のアポを入れた。

ちかこ:元「WWDジャパン」記者として、「巷で話題になっているけれど、実際のところどうなの?」っていうスタンスで取材に挑んだのに、結論から言うと‥‥‥良かったよね。

あんり:スポーツウエア由来のマタニティーはありそうでなかったよね。双子のママでもあるキッズMDの女性がこの企画の発端。ダウンを試着して思ったのは、着丈のバランス、脚当たり、前身ごろだけ余裕を持たせた立体裁断など、よく考えられている。私たちは子どもの代わりにパックパックを抱いてダウンを着てみたけれど、スッキリ見える。

ちかこ:お腹が大きくない状態で着てもシルエットがキレイなのは、ポイントが高い。6月のプレス展でお披露目したときには、社内のママスタッフとママ編集者からの反響がすごかったらしいよ。10月7日に発売して11月中旬の取材時に消化率は80%弱。注目度の高さを感じるよね。次の春夏には第2弾も発売するらしい。

あんり:でも7万8000円という価格をどう捉えるか。10万円のコートをすんなり買える業界人は手が伸びるけど、一般的には高いんじゃないかな?

ちかこ:“ママダウン”だと思うと高い!でも、「ザ・ノース・フェイス」は通常のダウンコートが4万~5万円代。ゴアテックスを使っていること、付属品としてダッカーが付いていることを考えたら、お得かも。でも個人的にはまだロングダウンを着こなせる自信がなくて、買うのを躊躇してしまったよ。

あんり:体型が戻った後もスマートなダウンコートとして着られて、ダッカーはベビーカーにも取り付けられる。オシャレをしたいけど、着にくいものは嫌な子育て真っ最中のママたちの購買意欲をくすぐるポイントが満載だね。

ちかこ:実際、ファッション業界で働くママに聞いてみると、マタニティーアイテムを買っている人ってすごく少ない。みんな手持ちの服で間に合わせているってことは、思うところが一緒なんじゃないかな。

あんり:もちろんスマートなマタニティーウエアはたくさんあるけれど、ママ向けの通販サイトを見るとその半数はまだパステルカラーの野暮ったいウエア。男女平等や多様性が謳われているのに、そこだけ“良い母親像”とか“自己犠牲”とか、ひと昔前のイメージで止まっているような気がするのは私だけ!?

ちかこ:落ち着いてあんりちゃん!深く考えすぎじゃない。で結局、今年の冬はどうするの?

あんり:コートの立ち上がりに出遅れちゃって。来年までまたじっくり考えようと思う(笑)。

一井智香子/(いちのい・ちかこ)1986年神奈川・逗子生まれ。慶應義塾大学商学部を卒業後、三越伊勢丹に入社。伊勢丹新宿本店メンズ館1階の紳士雑貨でアシスタントバイヤーを務めた後、2011年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、主にメンズファッションを担当。ピッティ、ミラノ、パリメンズコレクション取材を始め、セレクトショップや百貨店、ファッションビルのビジネス動向を取材。現在はフリーランスとして、ファッションやライフスタイル系の記事執筆を手がける。1男児の母

村上杏理/(むらかみ・あんり):1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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自社都合で「なぜまた不要なブランドを増やす?」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.7『ポジショニングマップ、やめませんか?』

読み解きポイント:「その服、どのお店で買ったか覚えてる?」

ニュースのポイント

 新ブランドの発表会などの際に渡される「ポジショニングマップ」は本当に必要なのだろうか?このマップは価格の高低やコンサバかカジュアルかと言ったテイストの度合い、出店先立地などを縦軸、横軸で表現した資料で、ブランドの立ち位置を明確にするものでもある。しかし、近しい価格やテイスト、販路のブランドがすでに市場にあるなら、わざわざ新しいブランドを作る必要はあるだろうか?ファッション業界が「大量廃棄を長年繰り返してきた悪の産業」と見られる傾向が強まっている中、「自社がこのマーケット向けのブランドを持っていない」という理由だけで似たようなブランドを作ることは、罪作りにはならないだろうか。

Azuはこう読む!

 今自分が着ている服、どのお店で買ったか覚えていますか?「WWD ジャパン」を読んでいるファッション業界や洋服好きの方なら覚えているかもしれませんが、業界以外の友人に聞いてみると「ルミネに入ってたどこかかな......?」など、記憶があやふやで答えられないことも多いのです。試しに周りの人に聞いてみてください。

 業界の端くれの私ですら、「あのブランドってあの会社だよね。あ、違うか似てる別のところだったわ...」なんてことが良くあるので(それは社会人としてダメなんですけども笑)、消費者から見たら正直AもBも区別がつかない、なんてことは多いのではないでしょうか。

 だって商業施設は2館も回ればお腹いっぱいです。トレンドや売れ筋がすぐにわかるのは良いことですが、言い換えてみれば同じような商品やいい感じのお洒落な雰囲気のお店が並んでいるだけ。もちろん各ショップやブランドごとにテーマや世界観が設計されているのはわかりますが、一般消費者がどこまで読み取っているのかを、果たして気にかけているんだろうか?と疑問にならざるをえないブランドづくりが多い気がします。

 これだけサステナビリティと謳っているのに、「なぜまたブランドを増やす??」と疑問になることもしばしば。これは極論にはなりますが、サステナビリティが「無駄なものを作らず、消費せず」なのだとしたら、やるべきことはブランドの乱立ではなく精査ではないでしょうか。

 ポジショニングマップ上で見ると、ブランド数が少ないとどうしても狙えるマーケットが小さく見えがちですが、例えば「大人の女性のため」という燃えに燃えたレッドオーシャンに今更飛び込んで行くのって、なぜなんでしょう……?「大人の女性も、働く女性も、多様化しすぎていて括れなくない?そして多面性を持つ女性のため…ってのも逃げになってない!?」と、ちょっと厳しく見てしまいます。だったら「デスクワークでも圧倒的存在感を放ちたい女性のための服」ぐらいニッチでぶっ飛んだテーマがありつつ、サイドには「絶対に外したくない商談用の好感度セットアップ」「夕方まで座りっぱなしでもシワにならない金夜デートワンピ」など汎用性のある(?)商品を置くくらいの方がインパクトあって良いのかなと…完全に素人発想ですけども……(誰か作りませんか……。)

 ベンチャーは澄み切ったブルーオーシャンを見つけて開拓することに価値を見い出すので、正直アパレルのレッドオーシャン開拓はどんな意志ゆえの行動なのか知りたいところです。記事中にあるように、「自社のブランドポートフォリオの隙間を埋めるため」という理由が少しでもあるなら、それって全然消費者のことを考えてないですよね、とツッコミたくなります。なぜ自分都合を理由に、消費者には必要とされてないブランドを増やすのだと。

 D2Cやインフルエンサー起用で成功しているブランドは、ここが違うと思うのです。自分都合じゃなくてファン都合で商品やブランドを作っている。でも背景にある思想やストーリーは絶対にブラさないからこそ他と差別化ができ、「あのブランドで買った」と消費者に認知してもらえるんだと思います。

 今回はだいぶ嫌われそうな意見を書いてしまいましたが、ファッション業界に近いからとか関係なしに、イチ消費者としてお店を見渡した時に感じる率直な意見でした。なぜ「大人の女性のため」が乱立するのかをマーケター的視点で語れる人がいたら、ぜひ教えてください。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。番外編 スウェーデン・ファッション・カウンシルがファッション・ウイークをやめた理由

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探った。今回は番外編として、環境先進国のスウェーデンにあるファッション機関、スウェーデン・ファッション・カウンシル(Swedish Fashion Council、以下SFC)に話を聞いた。SFCは今年8月に開催を予定していたストックホルム・ファッション・ウイークを、「未来のために(due to the future)」として中止した。

WWD:改めてファッション・ウイークをやめた理由を教えてほしい。

ジェニー・ローセン(Jennie Rosen)=スウェーデン・ファッション・カウンシルCEO(以下、ローセン):現在、さまざまな産業が気候危機に対して迅速な行動が求められており、消費者意識も大きな転換期を迎えている。そこでわれわれは、従来のファッション・ウイークの形式にとらわれない別の方法を探すことにした。サステナブルな産業に生まれ変わるためには、まず自分たちが変わらなければいけないと思った。

WWD:従来のファッション・ウイークの問題点は何だったのか?

ローセン:ファッション・ウイークが取り立てて環境負荷が高いわけではないが、あのような短期間に世界中からバイヤーやプレス、インフルエンサーらを呼び寄せて行うよりも、もっとサステナブルで先進的な方法があるのではないかと思った。デジタルテクノロジーがいたるところで導入されている昨今、ファッションショーをデジタル化するアイデアも聞こえてきていた。われわれもファッション・ウイークに代わるデジタルプラットフォームを開設していく意向だ。

WWD:ファッション・ウイーク中止を求める社会的な圧力があったのか?

ローセン:消費者は抜本的な改革を怠っているファッション業界の現状にうんざりしていた。研究者たちが気候危機に関して警鐘を鳴らし続けていたが、業界の人々は「われわれは問題を理解している」と言いながら、これまでのビジネスのやり方を続けていた。それでは変化は生まれないことに人々は気が付いていたと思う。

WWD:ファッションショー中止に対してはどんな反応があった?

ローセン:決断した当初はどんな反応があるのか予想できなかった。しかし、いざ中止を発表すると業界内外に大きな影響を与えたようだった。海外のジャーナリストらは、今回の発表に加えて、スウェーデンがどれだけ環境先進国であるかを熱心に報道した。ストックホルム・ファッション・ウイークがここまで注目を浴びたことはこれまでなかっただろう。この注目度の高さは、今回の決断が正しかったことを示している。このような大きな決断に対しては否定的な反応も予想していたが、ファッション業界に関係のない消費者や企業もこの問題に対して高い関心を持っていることが分かった。これは、皆で解決策を模索するための大きな一歩になった。

WWD:他の国も続いてほしいか?

ローセン:気候危機はグローバル規模の協力なしに解決できる問題ではない。他の国でもわれわれの決断に賛同するような動きがある。近い将来、ファッション・ウイークをデジタル化する国も出てくるだろう。ほかにも、大量生産の規模を縮小するためのサブスクリプションサービスの開発や他業種との協業を進めていかなければいけない。

WWD:今、スウェーデンで注目の取り組みを教えて欲しい。

ローセン:今スウェーデンのテキスタイル産業と森林産業の間で、環境問題を解決するためのイノベーションがたくさん行われている。例えば、森林組合のソドラ(SODRA)は、循環型ファッション実現のため、もっとも一般的なテキスタイルであるコットンとポリエステルの混紡素材を分離するテクノロジーを開発し、産業レベルでのリサイクルを可能にした。また、リニューセル(RE:NEWCELL)はコットンの古着からビスコースレーヨン原料を再生する技術を開発した。業界の主要プレーヤーである「H&M」や「イケア(IKEA)」も、再生素材会社のストラ・エンソ(STORA ENZO)と協業して、よりサステナブルなビスコースの生産などに取り組んでいる。サステナビリティはスウェーデンの人々のDNAに組み込まれているが、それでもまだやるべきことはたくさんある。グレタ・トゥーンベリ(Greta Thunberg)は多くの人の目を覚ました。彼女の影響で、ファッション業界に影響を及ぼす環境保護団体エクスティンクション・レベリオン(Extinction Rebellion)のような団体も誕生した。トゥーンベリが一人で始めた「フライデー・フォー・フューチャー」の活動では、今も国会議事堂の前で毎週デモが行われている。彼らの活動は私たちを正しい方向に導いてくれる原動力になっている。

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エストネーションの2020年春夏 カットソードレスで猛暑に向けた新提案

 エストネーション(ESTNATION)は2020年春夏で、シーズンの立ち上がりの1~2月は“グッドガール”をテーマに、ジャケットのバリエーションを強化する。それに合わせるボウタイブラウスやワンピースなども打ち出す。

 さらに夏に向けて3月は“フォークロア”をキーワードに、シャーリングブラウスや柄モノのオールインワンなどを提案。4月は“マラケシュのミステリアスな夜”をイメージして、シアー感のあるサマードレスや艶感のあるトップスなど、“土っぽさ”をエレガントに落とし込んだアイテムを並べる。長引く夏の施策として昨年も提案したサマードレスは、カットソーやメッシュなど、さらに涼しげに着られる素材やデザインでラインアップする。

 また藤井かんなウィメンズ・ディレクターが「急に気温が変わることが多く、通年でライトなアウターが必要になってきた」と言う今季は、薄手のアウターや羽織りにもなるブラウスなどが充実している。

 カラーは、春先はブラックやネイビーをベースに、ピンクやグリーンのパステルカラーを加えて提案。夏に向けてはオレンジやパープルなどの鮮やかなカラーと、ブラックやベージュなどの落ち着きのあるカラーでアイテムをそろえる。

 雑貨のイチ推しは、繊細な装飾が入ったカゴバッグやスクエアトウのサンダルやシューズなど。ポルトガルの伝統的な手法を用いてバッグを作る「ヘイマ
ット アトランティカ(HEIMAT ATLANTICA)」では、エストネーション限定の黒のカゴバッグなどを買い付けた。

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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