2019年に最も検索されたレッドカーペットのスターは誰? トップ10をご紹介

 今年もセレブリティーのレッドカーペットファションは多くの人びとの注目を集めてきた。グーグル(GOOGLE)で2019年に最も検索されたレッドカーペットのスターランキングには、レディー・ガガ(Lady Gaga)からカーディ・B(Cardi B)までさまざまなセレブが名を連ねているが、トップを飾ったのは毎度目を引く衣装で登場するビリー・ポーター(Billy Porter)だった。やはり、ポーターのドラマチックでインパクト大なファッションが気になる人は多いようだ。

 グーグルの検索ランキングは、2019年に一定期間を通じて数多く検索されたワードやトピックを昨年と比較して示すことができるトレンド検索と、1年間に世界中で行われた膨大な数の検索を集計して決定される。

 それでは、2019年に最も検索されたレッドカーペットのスター10人を一挙にご紹介する。

1. Billy Porter

 ビリー・ポーターはレッドカーペットでの印象の残し方を分かっている。2019年だけでも「クリスチャン・シリアノ(CHRISTIAN SIRIANO)」の黒いベルベットのタキシードドレスを着て登場した「第91回アカデミー賞(91st Academy Awards)」の授賞式や、映画「クレオパトラ(Cleopatra)」に着想を得て「ザ ブロンズ(THE BLONDS)」のジャンプスーツに大きなゴールドの天使の羽を生やした衣装で登場した「メットガラ(MET GALA)」など、他とは一線を画すファッションのオンパレードだった。

 しかも驚くことに、ポーター自身はファッションアイコンの座を狙っているわけではないという。インタビューでポーターは自身をファッションアイコンと呼ぶことを拒み、「ほかの人に私のことをそう呼んでもらうよ。ショービジネスは難しいだろう?自信と傲慢の境界線に立っているようなものだから、私は自信の方に立とうと思っている」と語っている。

2. Cardi B

 2019年「グラミー賞(Grammy Awards)」で、女性のソロアーティストとしては初となる「ベスト・ラップアルバム賞(Best Rap Album)」を受賞したカーディ・Bだが、授賞式で1995年の「ティエリー・ミュグレー(THIERRY MUGLER)」の貝殻を思わせるビンテージドレスを着用した姿はSNS上でも大きな話題となった。

 カーディ・Bによるこのドレスの着用は、スタイリストのコリン・カーター(Kollin Carter)が授賞式の4カ月ほど前に「ミュグレー」にインスタグラムでDMを送ったことがきっかけで、カーターとカーディ・Bが「ミュグレー」のアーカイブに招かれて実現した。

 カーターはインタビューで、「どうしても欲しい一着があったから、彼らを悩ませ続けてしまった。それがあのレッドカーペットのドレスだよ。あのドレスを見た瞬間、これは物議を醸すだろうと思った。好き嫌いが分かれるだろうと思ったけど、ファッションはそれが全て。議論が生まれるようになっているのさ」と語っている。

3. Lady Gaga

 レディー・ガガはレッドカーペットで話題をさらうセレブの常連だ。あの不評だった“肉ドレス”を覚えているだろうか?2019年もガガのファッションは注目の的だった。

 1月に行われた「ゴールデン・グローブ賞(Golden Globes)」の授賞式でパウダーブルーの「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のドレスを着用したガガは、自身が出演した映画「アリー/スター誕生(A Star is Born)」の原作でもある1954年の映画「スタア誕生(A Star is Born)」で好演したジュディ・ガーランド(Judy Garland)も納得の華やかさだった。

 続いて2月に行われた「アカデミー賞」の授賞式では、「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」のカスタムドレスに「ティファニー(TIFFANY & CO.)」の128カラットのイエローダイヤモンドのネックレスを着用。このネックレスの推定額は3000万ドル(約32億7000万円)ともいわれている。

 そして、“キャンプ”がテーマの2019年「メットガラ」では脱衣ショーを開催。共同ホストを務めたガガは、「ブランドン マックスウェル(BRANDON MAXWELL)」のホットピンクのボールガウンドレスでレッドカーペットに登場し、クリスタルが散りばめられたアンダーウエアになるまで、衣装を脱ぎ続けて4ルックを披露した。

4. Chris Fischer

 読者は驚くかもしれないが、レッドカーペットの検索ランキングで4位にランクインしたのはシェフのクリス・フィッシャー(Chris Fischer)だ。フィッシャーは2018年にコメディアンのエイミー・シューマー(Amy Schumer)と結婚し、今年初めには第1子となるジーン・アッテル・フィッシャー(Gene Attell Fischer)が誕生した。

 2人は11月に行われたシャーリーズ・セロン(Charlize Theron)による「アフリカ・アウトリーチ・プロジェクト(Africa Outreach Project)」のイベントや、昨年の「トニー賞(Tony Awards)」など、数々のレッドカーペットに夫婦で出席している。

5. Jenny McCarthy

 5位にランクインしたのは、9月に開催された「エミー賞(Emmy Awards)」でホストを務めた女優のジェニー・マッカーシー(Jenny McCarthy)だ。FOXによってテレビ中継が行われたが、SNS上ではマッカーシーのひどいインタビューの話題でもちきりだった。

 一例を挙げると、主演女優賞に3度もノミネートされた経験のあるクリスティナ・アップルゲイト(Christina Applegate)に向かってマッカーシーが「初めて主演女優賞にノミネートされた気分はどう?」と尋ねたり、マッカーシーより1歳だけ年上のアップルゲイトに「大きくなったらアップルゲイトみたいになりたいと思っていたのよ」と発言してインタビューを締めくくるなど、失礼としか言いようがないインタビューが繰り広げられた。

6. BTS

 K-POPを代表する男性グループのBTSは、過去数年間で特にアメリカのファンからの人気が急上昇している。

 BTSのレッドカーペットのファッションは一体感があることで知られており、今年2月の「グラミー賞」や、5月の「ビルボード ミュージック アワード(Billboard Music Awards)」、12月に開催された米雑誌「バラエティー(VARIETY)」が主催する「バラエティーズ・ヒットメーカーズ・ブランチ(Variety’s Hitmakers Brunch)」などでは、メンバー7人が調和の取れたスーツ姿で登場した。

7. Caitlyn Jenner

 今年のケイトリン・ジェンナー(Caitlyn Jenner)も数々のレッドカーペットに登場したが、中でも注目を集めたのは大胆なスリットの入った「ラミ・カディ(RAMI KADI)」のドレスを着用した娘のケンダル・ジェンナー(Kendall Jenner)と共に出席した「ヴァニティ・フェア(VANITY FAIR)」誌主催の「アカデミー賞」のアフターパーティーだろう。

8. Richard Madden

 リチャード・マッデン(Richard Madden)は、英TVドラマシリーズの「ボディガード―守るべきもの―(Bodyguard)」の出演で数々の賞にノミネートされ、またエルトン・ジョン(Elton John)の半生を描いた映画「ロケットマン(Rocketman)」のプレミアもあったりと、今年はレッドカーペットに出ずっぱりだった。

9. Brie Larson

 ブリー・ラーソン(Brie Larson)は、大ヒット映画「キャプテン・マーベル(Captain Marvel)」や「アベンジャーズ/エンドゲーム(Avengers: Endgame)」でスーパーヒーローの役柄を好演し、レッドカーペットでも存在感を放っていた。

 最も注目を集めたのは、「セリーヌ(CELINE)」のライラック色のカスタムドレスと、映画にも登場するあの“インフィニティ・ガントレット”(手にはめる架空の道具)に似せた「アイリーン ニューワース(IRENE NEUWIRTH)」のカスタムブレスレットとリングを身に着けて登場した「アベンジャーズ/エンドゲーム」のプレミアだろう。

10. “Brienne of Tarth”

 ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ(Game Of Thrones)」のファンなら、グウェンドリン・クリスティー(Gwendoline Christie)演じるタースのブライエニー(Brienne of Tarth)のレッドカーペットファッションを検索するのに夢中だっただろう。

 シーズン8のプレミアでは「イリス ヴァン ヘルペン(IRIS VAN HERPEN)」の雲がプリントされたドレスに身を包んで登場するなど、今年のクリスティーのレッドカーペットファッションは傑出していた。また、9月に行われた「エミー賞」の授賞式では「グッチ(GUCCI)」のドレスのようなローブを着て登場し話題をさらった。

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2019年に最も検索されたレッドカーペットのスターは誰? トップ10をご紹介

 今年もセレブリティーのレッドカーペットファションは多くの人びとの注目を集めてきた。グーグル(GOOGLE)で2019年に最も検索されたレッドカーペットのスターランキングには、レディー・ガガ(Lady Gaga)からカーディ・B(Cardi B)までさまざまなセレブが名を連ねているが、トップを飾ったのは毎度目を引く衣装で登場するビリー・ポーター(Billy Porter)だった。やはり、ポーターのドラマチックでインパクト大なファッションが気になる人は多いようだ。

 グーグルの検索ランキングは、2019年に一定期間を通じて数多く検索されたワードやトピックを昨年と比較して示すことができるトレンド検索と、1年間に世界中で行われた膨大な数の検索を集計して決定される。

 それでは、2019年に最も検索されたレッドカーペットのスター10人を一挙にご紹介する。

1. Billy Porter

 ビリー・ポーターはレッドカーペットでの印象の残し方を分かっている。2019年だけでも「クリスチャン・シリアノ(CHRISTIAN SIRIANO)」の黒いベルベットのタキシードドレスを着て登場した「第91回アカデミー賞(91st Academy Awards)」の授賞式や、映画「クレオパトラ(Cleopatra)」に着想を得て「ザ ブロンズ(THE BLONDS)」のジャンプスーツに大きなゴールドの天使の羽を生やした衣装で登場した「メットガラ(MET GALA)」など、他とは一線を画すファッションのオンパレードだった。

 しかも驚くことに、ポーター自身はファッションアイコンの座を狙っているわけではないという。インタビューでポーターは自身をファッションアイコンと呼ぶことを拒み、「ほかの人に私のことをそう呼んでもらうよ。ショービジネスは難しいだろう?自信と傲慢の境界線に立っているようなものだから、私は自信の方に立とうと思っている」と語っている。

2. Cardi B

 2019年「グラミー賞(Grammy Awards)」で、女性のソロアーティストとしては初となる「ベスト・ラップアルバム賞(Best Rap Album)」を受賞したカーディ・Bだが、授賞式で1995年の「ティエリー・ミュグレー(THIERRY MUGLER)」の貝殻を思わせるビンテージドレスを着用した姿はSNS上でも大きな話題となった。

 カーディ・Bによるこのドレスの着用は、スタイリストのコリン・カーター(Kollin Carter)が授賞式の4カ月ほど前に「ミュグレー」にインスタグラムでDMを送ったことがきっかけで、カーターとカーディ・Bが「ミュグレー」のアーカイブに招かれて実現した。

 カーターはインタビューで、「どうしても欲しい一着があったから、彼らを悩ませ続けてしまった。それがあのレッドカーペットのドレスだよ。あのドレスを見た瞬間、これは物議を醸すだろうと思った。好き嫌いが分かれるだろうと思ったけど、ファッションはそれが全て。議論が生まれるようになっているのさ」と語っている。

3. Lady Gaga

 レディー・ガガはレッドカーペットで話題をさらうセレブの常連だ。あの不評だった“肉ドレス”を覚えているだろうか?2019年もガガのファッションは注目の的だった。

 1月に行われた「ゴールデン・グローブ賞(Golden Globes)」の授賞式でパウダーブルーの「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のドレスを着用したガガは、自身が出演した映画「アリー/スター誕生(A Star is Born)」の原作でもある1954年の映画「スタア誕生(A Star is Born)」で好演したジュディ・ガーランド(Judy Garland)も納得の華やかさだった。

 続いて2月に行われた「アカデミー賞」の授賞式では、「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」のカスタムドレスに「ティファニー(TIFFANY & CO.)」の128カラットのイエローダイヤモンドのネックレスを着用。このネックレスの推定額は3000万ドル(約32億7000万円)ともいわれている。

 そして、“キャンプ”がテーマの2019年「メットガラ」では脱衣ショーを開催。共同ホストを務めたガガは、「ブランドン マックスウェル(BRANDON MAXWELL)」のホットピンクのボールガウンドレスでレッドカーペットに登場し、クリスタルが散りばめられたアンダーウエアになるまで、衣装を脱ぎ続けて4ルックを披露した。

4. Chris Fischer

 読者は驚くかもしれないが、レッドカーペットの検索ランキングで4位にランクインしたのはシェフのクリス・フィッシャー(Chris Fischer)だ。フィッシャーは2018年にコメディアンのエイミー・シューマー(Amy Schumer)と結婚し、今年初めには第1子となるジーン・アッテル・フィッシャー(Gene Attell Fischer)が誕生した。

 2人は11月に行われたシャーリーズ・セロン(Charlize Theron)による「アフリカ・アウトリーチ・プロジェクト(Africa Outreach Project)」のイベントや、昨年の「トニー賞(Tony Awards)」など、数々のレッドカーペットに夫婦で出席している。

5. Jenny McCarthy

 5位にランクインしたのは、9月に開催された「エミー賞(Emmy Awards)」でホストを務めた女優のジェニー・マッカーシー(Jenny McCarthy)だ。FOXによってテレビ中継が行われたが、SNS上ではマッカーシーのひどいインタビューの話題でもちきりだった。

 一例を挙げると、主演女優賞に3度もノミネートされた経験のあるクリスティナ・アップルゲイト(Christina Applegate)に向かってマッカーシーが「初めて主演女優賞にノミネートされた気分はどう?」と尋ねたり、マッカーシーより1歳だけ年上のアップルゲイトに「大きくなったらアップルゲイトみたいになりたいと思っていたのよ」と発言してインタビューを締めくくるなど、失礼としか言いようがないインタビューが繰り広げられた。

6. BTS

 K-POPを代表する男性グループのBTSは、過去数年間で特にアメリカのファンからの人気が急上昇している。

 BTSのレッドカーペットのファッションは一体感があることで知られており、今年2月の「グラミー賞」や、5月の「ビルボード ミュージック アワード(Billboard Music Awards)」、12月に開催された米雑誌「バラエティー(VARIETY)」が主催する「バラエティーズ・ヒットメーカーズ・ブランチ(Variety’s Hitmakers Brunch)」などでは、メンバー7人が調和の取れたスーツ姿で登場した。

7. Caitlyn Jenner

 今年のケイトリン・ジェンナー(Caitlyn Jenner)も数々のレッドカーペットに登場したが、中でも注目を集めたのは大胆なスリットの入った「ラミ・カディ(RAMI KADI)」のドレスを着用した娘のケンダル・ジェンナー(Kendall Jenner)と共に出席した「ヴァニティ・フェア(VANITY FAIR)」誌主催の「アカデミー賞」のアフターパーティーだろう。

8. Richard Madden

 リチャード・マッデン(Richard Madden)は、英TVドラマシリーズの「ボディガード―守るべきもの―(Bodyguard)」の出演で数々の賞にノミネートされ、またエルトン・ジョン(Elton John)の半生を描いた映画「ロケットマン(Rocketman)」のプレミアもあったりと、今年はレッドカーペットに出ずっぱりだった。

9. Brie Larson

 ブリー・ラーソン(Brie Larson)は、大ヒット映画「キャプテン・マーベル(Captain Marvel)」や「アベンジャーズ/エンドゲーム(Avengers: Endgame)」でスーパーヒーローの役柄を好演し、レッドカーペットでも存在感を放っていた。

 最も注目を集めたのは、「セリーヌ(CELINE)」のライラック色のカスタムドレスと、映画にも登場するあの“インフィニティ・ガントレット”(手にはめる架空の道具)に似せた「アイリーン ニューワース(IRENE NEUWIRTH)」のカスタムブレスレットとリングを身に着けて登場した「アベンジャーズ/エンドゲーム」のプレミアだろう。

10. “Brienne of Tarth”

 ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ(Game Of Thrones)」のファンなら、グウェンドリン・クリスティー(Gwendoline Christie)演じるタースのブライエニー(Brienne of Tarth)のレッドカーペットファッションを検索するのに夢中だっただろう。

 シーズン8のプレミアでは「イリス ヴァン ヘルペン(IRIS VAN HERPEN)」の雲がプリントされたドレスに身を包んで登場するなど、今年のクリスティーのレッドカーペットファッションは傑出していた。また、9月に行われた「エミー賞」の授賞式では「グッチ(GUCCI)」のドレスのようなローブを着て登場し話題をさらった。

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大人気「カナダグース」を仕掛けたサザビーリーグの次なるブランド 類似品続出の「マーレット」とは?

 サザビーリーグのリトルリーグカンパニーといえば、好調セレクトショップ、ロンハーマン(RON HERMAN)の運営元。ただし、同社はセレクトショップの運営だけでなく、海外ブランドを引っ張ってくる(輸入代理する)ことにも長けている。例えば大人気ダウンの「カナダグース(CANADA GOOSE)」や、類似品を多数見かけるネオプレン素材のバッグ「ステート オブ エスケープ(STATE OF ESCAPE)」も同社が輸入代理を手掛けている。そんな目利きの同社は2020年春夏から、ニューヨーク発のウィメンズブランド「マーレット(MERLETTE)」の輸入代理を開始する。ヒット確実と期待される「マーレット」とは一体どんなブランド?

 「マーレット」は、オーストラリア・シドニー生まれで、パリとロンドンでファッションの仕事をしていたというマリーナ・コートバゥイ(Maria Cortbawi)が16年に立ち上げたブランド。段々切り替えにのティアードドレスがアイコンで、価格は4万~6万円台が中心だ。

 先ほど「ヒット確実」と書いたが、実はこれは間違い。なぜなら、既に日本市場で結構売れているからだ。ロンハーマンの他、トゥモローランド(TOMORROWLAND)、ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)などが同ブランドのドレスをここ数年販売しており、記者自身、この夏に渋谷などの街で何度か「マーレット」のドレス姿の女性を見かけた。ファッション業界の常として、類似品も多数出ている。大手SPAなどは今夏、恐らく「マーレット」にインスパイアされたであろうティアードドレスを、その10分の1以下の価格で販売していた。そうした類似品と「マーレット」で一番違うのはそのシルエット。「これだけ生地分量をたっぷり使っているから、ティアードのラインがきれいなんですよ」と同社の広報担当者。

 同社が輸入代理を手掛けるようになったことで、20年春夏の日本国内の卸先はこれまでの倍の44社に広がった。とはいえ無理な拡販はせず、ブランドらしさを保ちつつビジネスを進めていくという。そういうさじ加減が同社は本当にうまい。そういった勘所を知りたいと思っている同業他社は多いだろう。

 ただし、それもこれも「ロンハーマン」という人気セレクトショップがあるからこそ可能ともいえる。「ロンハーマン」で仕入れてみて、「いい!」と判断したブランドは輸入代理契約に切り替える。そして、他社に卸すと共にいつまでも「ロンハーマン」で大切に売り続ける。「ロンハーマン」で売り続けている以上、ブランドイメージは下がらない。ティアードドレスのデザインを真似することはできても、こうしたビジネスモデル自体は、一朝一夕で他社が真似できるものではなさそうだ。

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「エルメス」の“休んで攻める”戦略 エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年6月12日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「エルメス」の“休んで攻める”戦略

 久々に胸熱なニュースでした。「エルメス(HERMES)」の米国法人が全米の従業員750人を集めて懇親会って、すごくないですか?何がすごいって従業員をニューヨークに集めるために全米の店舗を3日間も休業したということです。

 店舗を全店3日間休業するって、これは一大事ですよ。非常事態。マディソンアベニュー店やミートパッキングの新コンセプトショップはもちろん、シカゴ、マイアミ、ロデオドライブなど、あらゆる「エルメス」がお休み。地元の人はともかく、店を訪れることを楽しみにしていた旅行者にとっては、まさかの休業だったことでしょう。

 2018年度決算では南北アメリカ大陸でしか売上高が出ていませんが、店舗数からざっと計算すると米国売上高は「エルメス」全体の約12%です。単純に日割りで計算すると3日間の売上高は7億円強。なかなかのロスです。

 加えて750人の従業員のニューヨークまでの渡航費や宿泊費はもちろん会社持ち。費用も莫大でしょう。記事にもありますが、社員のモチベーションと結束力を上げるのに大いに役立つことは間違いありません。

 アメリカでの「エルメス」はほとんど路面店だからこそできたことであるとも思います。日本だったら、主要な百貨店や商業施設内の1階に構えている店が多いので、どう考えても全取引先の理解を得るなんて難しいでしょうね……。

 奇しくもほぼ同じタイミングで、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」が同じニューヨークの名建築TWAフライトセンターで世界中のセレブやプレスを集めて華々しくクルーズのショーを発表していたわけですが、お金の使い方が極めて対照的だなぁと感じました。

 米国では特にこうした休業は社員を大切にするブランドの姿勢の表れとして受け入れられる土壌ができてきているように感じます。従業員を大切にする「エルメス」で買い物することに満足を感じる人もきっと多いはず。“休んで攻める”「エルメス」の戦略、あっぱれです。

VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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ユナイテッドアローズの2020年春夏 暑さを我慢しない!上品な“肌見せ”スタイル

 ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)は2020年春夏、“都心のバカンス”をイメージして、ベースになる“トラッド”を着崩すようなシャツやワンピース、カットソーをバリエーション豊富に用意する。

 春の立ち上がりは、オリジナルの紺色のブレザーや「ハイク(HYKE)」の黒い薄手のコートなど、ベーシックカラーのアイテムを軸に、チェックやボーダー、ドットなどの柄物でモダンにアレンジする。高窪まさみファッションディレクターは“フランス人のファッションの遊びをトラッドに取り入れたらどうなるか”というキーワードから、今季のスタイリングのイメージを広げたという。

 夏場は、昨年キャミソールのワンピースが好調だったことから、ノースリーブのワンピースや、羽織りものとして使えるシースルーのシャツ、さらに水着の上から着るようなカフタンドレスやリラックス感のあるワイドパンツなどを提案。これらをスペインのリゾート地を連想する鮮やかで赤や緑、夏のエネルギーを感じるような大胆な柄で取りそろえる。

 「袖のないアイテムが動くなど、お客さまは肌を見せることに抵抗がなくなっている。“透ける”提案は次のステップに入ってきた」と高窪ファッションディレクター。暑さを我慢せず上品に肌を露出できるウエアが並んだ。

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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コレクションをファッション『だけ』の参考にするのは勿体無い ファッションフリークOL「WWDビューティ」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDビューティ」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.6 『サステナマインドはバックステージでも台頭』

読み解きポイント:「コーディネートはヘアメイクまで!」

ニュースのポイント

 2020年春夏コレクションは環境問題に対するメッセージの発信や問題意識の喚起が多かった。ジャングルプリントや花柄を施したり、自然素材を用いたりの直接的な表現もあれば、ショー会場の小道具を再利用できるように工夫したり。それに合わせてヘアメイクでも生花や植物を用いる「ネイチャールック」が多出。そして大量生産・大量消費に危機感を覚える若者が増え、映えるデザインの勢いが落ち込むと同時に「ミニマリスティック」というトレンドに移行。さらに、「タイムレスな服こそ長く着られる」というサステナブルの視点から「エレガント」というキーワードも出ている。「ネイチャー」「ミニマリスティック」「エレガント」「ポジティブ」という4つのファッションキーワードをもとに、サステナマインドをビューティ目線で読み解く。

Azuはこう読む!

 コレクションルックやショー映像を見ていて楽しいのは、非現実的なコーディネートやヘアメイクがたくさん出てくるから。「絶対真似できない(笑)」というものも登場しますが、色使いやアイテムの合わせ方だったり、どこか削ぎ落としたり抜いたりすれば意外と着こなしのヒントになることも多いのです。

 ヘアメイクも同じで、「前髪に蛍光ピンクのフェザーなんて!可愛すぎるだろう!でも、できるかーー!(「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)2020年春夏コレクションを参照)」と思うのですが、その蛍光ピンクのフワフワ感をアイメイクに落とし込んだり、顔まわりのアクセサリーにしてみたり、エッセンスを工夫すれば日常生活に取り入れることができます。それをどうアレンジしようか考える時間も楽しい。

 そう考えるとコレクションルックやビジュアルを見た時にファッション「だけ」を参考にするのってちょっともったいなくて、「ヘアメイクもコーディネートの延長線上で考えたら、もっと楽しめる幅が広がるのでは?」と思い、この2年ほどはそういう観点でもコレクションを観察しています。

 今回の特集は、実際にコレクション取材をしたファッション担当の記者さんが分析した2020年春夏のキーワードに沿ってヘアメイクをピックアップしたもので、「は〜ん、なるほど!ミニマリスティックはアクセサリーにつながるのね!」と新鮮な視点でコレクションを見ることができます。

 個人的には、良いものを長く着ることでサステナビリティを実現する「ミニマリスティック」を際立たせてくれる「クリアスキン」にフォーカスしていきたいので、春に向けてライトな肌作りに勤しみます。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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編集長は先週何した? 「ブルガリ」の授賞式、伊勢丹新宿はパンプスを年5万足、「ザ・ノース・フェイス」で女が動く!

 みなさん、こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向(むこう)千鶴です。寒い国ほどクリスマスが盛り上がるのは理屈にかなっていると思います。イルミネーションが灯ってクリスマスソングが流れると心なしか温度が上がる気がしますから。先週はいろいろな世代の女性のポジティブな生き方に触れる機会があり触発されました。今年も残すところ2週間。駆け抜けますよ!

12月10日(火)
「ブルガリ」のパーティーは
今年一番の華やかさ

 今年のパーティーを振り返るとゲストの華やかさで言えばこちら、「ブルガリ アウローラ アワード2019(BVLGARI AVRORA AWARDS2018)」が一番だったかも。ドレスコードがブラックタイなので、会場にフルレングスの女性が続々と集まり圧巻でした。

 女性の功績と生き方をたたえるこのアワードがユニークなのは、推薦者と受賞者がペアで登場するところ。活躍のフィールドは多岐にわたっていて肩書は音楽家、小説家、芸術家、弁護士、アスリートなどさまざまです。正直言うとここで初めてお名前を知る方もいますが、ステージ上でのスピーチを通して彼女たちの生き方に触発されることがたびたび。自分の足でしっかりと立っている女性は、どんな立場であれ魅力があるなと思います。

 その一人、ローラの登場シーンがこちら。鍛えたボディーに大胆なドレスが似合います。ローラのウオーキングを動画でご覧ください。

12月10日(火)
「ジーユー」で
980円のワンピース

 「ジーユー(GU)」の展示会へ。980円のワンピースに触りました。恐るべし!クオリティー高し。しっかりした生地でトロみもあります。その価格の背景にある戦略は下記の五十君記者の記事からどうぞ。このクオリティーと対抗できるのは、もはや「ユニクロ」しかないかと。サステナビリティを考慮したアイテムも登場しました。

12月12月(木)
「ルミネ」でセミナー開催し
夏を思う

 年に2回、「ルミネ」に入るお店の方たちの前でトレンドセミナーを担当しております。今日は2020年春夏について。MDカレンダーをもとに「7月は〜」などと話していると、オリンピックをヒリヒリと肌で感じます。ホント、どんな夏になるのだろうか!?

12月12月(木)
最新(12月16日)号
「2020年春夏売れるトレンド特集」
と今日のおやつ

 特集の副題は「長い春夏商戦を乗り切るヒント」。あの暑~い夏がまたやってくることを前提に各社の取り組みにもフォーカスしています。おやつはいただいた岐阜県・中津川の銘菓、松月堂の栗焼。栗そのものを食べているみたいで優しいお味です。

12月13日(金)
伊勢丹新宿本店は
パンプスを年間5万足売る

 伊勢丹新宿本店の婦人靴の展示会で打ち出されていたのは、3つ。白いスニーカーと足に優しいパンプス、それとローファーです。同店では年間、白いスニーカーを5000足、パンプスを5万足売るそうです。数を売るということはそれだけデーターを得られるということ。服以上にサイズが課題の靴ビジネスにとってこのデーターは有効ですよね。ちなみに3D計測器を使った靴のマッチングサービスは8月末に導入してから2200人が利用したそうです。

12月14日(土)
「ザ・ノース・フェイス」
自分が動けば山が動く!

 「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」が先週末に渋谷で女性の生き方にフォーカスしたイベントを開催しました。キャッチコピー「#シー ムーブズ マウンテンズ エキシビション(#SHEMOVESMOUNTAINS EXHIBITION)」は自分が動けば山(動かざる〇〇や困難や固定観念などなど)が動く、というポジティブなメッセージです。

 2日間で8組開いたトークショーの人選に、担当者の時代を見る目と編集力、何より実現にこぎつけるガッツを見てそそられ、スタイリストの北村道子さんと写真家の鈴木親さんが「服の力」をテーマにした会に参加しました。

 人前に出ることが少ない北村さんの歯に衣着せぬ話を聞ける機会は貴重。鈴木さんがその北村さんの魅力をぐいぐいと引き出し、大勢の人が熱心に聞き入っていました。多くの著名人のスタイリングも手掛けている北村さんはスタイリングの仕事について、“人の本質を見る”ことだと言います。「誰でもひとつはいいものを持っている。70歳も過ぎると会った瞬間にそれが分かっちゃう」だそう。名文句です。

【先週美味しかったもの】

 先週食したあれこれから、おいしかったものをいくつか写真で紹介します。

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スノーピークの“3代目”副社長が語る体験事業強化の理由 「野生を取り戻したい」

 スノーピークは1958年の創業以来、アウトドア用品の開発を中心に行ってきた。創業者の息子である山井太(現社長 CEO)がキャンプ用品を開発し、車を拠点にキャンプを楽しむ“オートキャンプ”ブームをけん引してビジネスを一気に拡大する。そしてさらなる新規顧客獲得を目指し、“3代目”の山井梨沙副社長 CDOが14年にアパレル事業を立ち上げた。同氏はもともとファッション業界を志していたものの、「洋服で文化を作りたい」という思いで2012年に同社に加わった。アパレル事業立ち上げ後も、地方産地にフォーカスしたアパレルライン“ローカル ウェア”や宿泊イベント“ローカルウエアツーリズム”などを新たな企画を立ち上げ、服を通じてさまざまな“体験”を提供している。それらの企画を通じて「人間の野生を取り戻したい」と語る山井副社長の目的とは。スノーピークの今後を担うキーマンに直撃した。

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スノーピークの“3代目”副社長が語る体験事業強化の理由 「野生を取り戻したい」

 スノーピークは1958年の創業以来、アウトドア用品の開発を中心に行ってきた。創業者の息子である山井太(現社長 CEO)がキャンプ用品を開発し、車を拠点にキャンプを楽しむ“オートキャンプ”ブームをけん引してビジネスを一気に拡大する。そしてさらなる新規顧客獲得を目指し、“3代目”の山井梨沙副社長 CDOが14年にアパレル事業を立ち上げた。同氏はもともとファッション業界を志していたものの、「洋服で文化を作りたい」という思いで2012年に同社に加わった。アパレル事業立ち上げ後も、地方産地にフォーカスしたアパレルライン“ローカル ウェア”や宿泊イベント“ローカルウエアツーリズム”などを新たな企画を立ち上げ、服を通じてさまざまな“体験”を提供している。それらの企画を通じて「人間の野生を取り戻したい」と語る山井副社長の目的とは。スノーピークの今後を担うキーマンに直撃した。

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SNS世代へのアンケート、大人の期待と違って面白い ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.10 『変化するファッション観、SNS世代1600人の本音』

読み解きポイント:「好きなブランドがファストファッション。それは絶望か希望か。」

ニュースのポイント

 インターネットやSNSの普及により情報の発信や受け取り方が激変し、若年層のファッションに対する意識が劇的に変化している。10〜20代前半のSNS世代は手の届かないカリスマへの憧れよりも、友人感覚で親しめるインフルエンサーに共感している。SNS世代のファッション系専門学校生1600人にアンケートを実施したところ、好きなデザイナーからよく利用するショップ、インフルエンサー、転売、サステナビリティまであらゆる分野に興味関心を示す答えが返ってきた。

Azuはこう読む!

 この手のアンケート、いつも大人が期待する結果と全く異なっているので、見ていて面白く、大好きです。「好きなファッションデザイナーは?」の答えは山本耀司、川久保玲、アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)、阿部千登勢など、だいたい知名度に応じた結果になるのですが、「好きなブランドは?」の答えは時代を表しているから必見です。本紙では7年前の結果と比較しているので、いかに学生が興味を示す/実際に買っているブランドが変化したのかがわかりますよ。

 今年の結果は、1位「ザラ(ZARA)」、2位「ジーユー(GU)」、3位「ユニクロ(UNIQLO)」、4位「H&M」/「ベルシュカ(BERSHKA)」、5位「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」というラインナップ。これだけ見ると「ファッション業界を志している学生がファストファッション推しなんて……」とがっくりしてしまう大人が多そうですが、これは果たして絶望なのでしょうか?

 現役の専門学校生と触れ合っているわけではないので実際の温度感はわかりませんが、好きなブランド≒よく買うブランドと考えたら納得です。だってただでさえ学生だからそんなにお金がない上に課題への出費が多いとなると、下手したら一般の大学生よりも洋服にかけられるお金が少ないのでは?と思います。

 で、この結果にがっくりきている大人は「ファッション業界はラグジュアリーコレクション/ブランドがヒエラルキーのトップにあり、ブランドの価値は価格によって決まる」と思っているのかな?と毎回不思議になります。もはや「ブランド」という定義がこの世代とは異なっているのだということを、アンケート結果から読み取るくらいで良いのになぁと。

 例えば超絶技術のある優秀な学生がいたとして、今までだったらその学生は「海外留学→ラグジュアリーメゾンのインターン→就職→帰国・独立」という流れだったかもしれませんが、ファストファッションを見て着て育った超絶優秀な学生が就職先にファストファッションを選んだり、誰でもアクセスできる価格帯のブランドを選ぶことは何ら不思議ではないと思うのです。それは彼らにとってそれがファッションであり、例えば社会貢献を考えたい学生がいたとしたら小さなコレクションブランドより社会的・経済的にインパクトのある大手アパレルを選んでそこで革新を目指す、というのも考えられます。

 「良いものを着たことがないのに良い服を作れるわけがない」そういう声も聞こえてきますが、これには私も同意見です。ただやはり、学生の頃なんて「良い服」はなかなか着れませんでした。自分の学生時代を思い返すとまだ「メルカリ(MERUCARI)」がなく、ブランド古着を買うなら「ラグタグ(RAGTAG)」をディグルのが手っ取り早かったのでそうしていましたが、きっと今の学生さんは「メルカリ」でチャチャっと売買をしているのでしょうね……。

 と、思ったら「よく利用するショップは?」の答えの4位に「メルカリ」が。その他は上から「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)/「ザラ」/「ユニクロ」でした。業界人的には「ダサい……」と言われている「楽天市場」もランクイン。コメントの中に「中古のアイテムがある」とありましたが、私も「楽天」ディグリ隊のひとりです。国内の古着屋が数多く出店しているので、ブランド古着をリサーチ&ゲットするにはここが一番なのです。「楽天はダサいから出品したくない」なんて言ってる業界人は、一度自分のブランドがどういった価値で二次流通しているか、現実を見に行った方が良いかと思います。

 そして最後にこの手のアンケートに対して物申したいことが一つ。自分が一般大学出身だから“やっかみ”もあるんですが(笑)、「なぜ業界の未来は専門学生にしか託さないのか!」ということ。いつもアンケートは専門学生が対象なので、正直未来のファッション業界を構成する人々の何パーセントなんだろう?と疑問に思うのです。例えば都内の大学にも服を作ったり雑誌を作ったりするファッション系サークルが数多くあります。私もその中にいたのですが、そこを卒業した人たちはデザイナーになる人もいれば(「ケイスケ ヨシダ(KEISUKE YOSHIDA)」の吉田さんとか)私のようにITだったり、ファッションメディアに就職したり、商社に行ったり、様々な立場でファッション業界を支える人材になっています。

 そうした人たちの声も拾うと、また違った未来が見えてくるのでは?と思うので、ぜひ次回のアンケートはもう少し母数を拡大して欲しいです。後輩学生へのバトンは私が渡します。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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シリコンバレーで人気の火がついたシューズ「オールバーズ」が日本上陸

 2016年創業のフットウエアブランド「オールバーズ(ALLBIRDS)」は2020年1月10日、日本に初上陸する。元プロサッカー選手のティム・ブラウン(Tim Brown)が再生可能エネルギーの専門家、ジョーイ・ズウィリンガー(Joey Zwillinger)とサンフランシスコで立ち上げたブランドで、履き心地のよさとミニマルなデザイン、そしてサステナブルなモノ作りに注目が集まり、シリコンバレーで人気に火が付いた。クラウドファンディングで12万ドル(約1296万円)を集め起業した、今最も勢いのあるフットウエアスタートアップの魅力に迫る。

 「オールバーズ」は、創業者の一人、ティム・ブラウンがプロサッカー選手時代に感じた“違和感”から生まれたブランドだ。ニュージーランド代表としてキャプテンを務めたこともあるティムには、大手のスポーツブランドがスポンサーに付いていたため、彼が身に着けるフットウエアには大きなブランドロゴがあしらわれ、派手な色使いのものも多く、大学時代にデザインを専攻していたティムの美学とは合致しなかったという。選手引退後に通ったビジネススクール在学中、ニュージーランド出身ということも手伝い、ティムの中に“メリノウールでミニマルなデザインの靴を作る”というアイデアが生まれた。そこでクラウドファンディングを通じて資金を集め「オールバーズ」を起業し、アッパーにメリノウールを使用した“ウールランナー”を発表した。定番アイテムとなったこのフットウエアは、発売から3年間で約30回も改良され、タイム誌に「世界で最も快適な靴」と称されるまでになった。

看板商品“ウールランナー”と
“ツリーランナー”

100%カーボンニュートラルを
達成

2020年1月に日本初上陸
その勝算は?

 「オールバーズ」は現在アメリカ、ヨーロッパ、アジア太平洋地域に14店舗を構えている。日本初上陸に向けて、日本法人を立ち上げてチームビルディングを進めており、出店場所はJR原宿駅の目の前の商業施設を選んだ。原宿の都会的でトレンドに敏感でクールな点がブランドイメージと共通する。また、グローバルな場所でもあり感度の高い消費者が世界中からやってくる場所でもある。

 カラフルで大きなロゴのスニーカーを好む日本人が一定数いることも否定できないが、本来、ミニマルで洗練されたデザインを好む。だからこそシンプルな「オールバーズ」のスニーカーは日本の消費者にも受け入れられると考えている。

 また、現在はまだサステナビリティが購入動機として働くことは少ないが、環境への配慮を意識する消費者は増えているし、自分が着るものや履くものが何で作られているか、どう作られているかを意識するようになっている。この意識は日本の、特に若い日本人の消費者の中でも高まっているため、ブランドにとって追い風だと考える。

TEXT:YU HIRAKAWA

問い合わせ先
オールバーズ

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カシオの「G-SHOCK」が“CMF力”で切り開く未来

 カシオ計算機の「G-SHOCK」は“落としても壊れない丈夫な時計”という画期的なコンセプトの下、1983年に誕生した。2018年には35周年を記念してニューヨークをはじめ、世界各地でビッグイベントを開催し、多くのスペシャルモデルを発売した。その結果、第1次ブームを知る40代はもちろん、第2次ブームが20代にも波及している。「G-SHOCK」のアイデンティティーといえば“タフネス”だが、モノ作りの最前線では別のキーワードが合言葉になっている。それが“CMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)”だ。同ブランドの開発拠点である東京都羽村市の羽村技術センターを訪れ、キーマンに話を聞いた。「G-SHOCK」が40周年に向けて見る未来とは?

“タフネス”だけじゃない
「G-SHOCK」の魅力

 “タフネス”は「G-SHOCK」のアイデンティティーだ。しかし、赤城貴康カシオ計算機羽村技術センター 開発本部 時計企画統轄部 第一デザイン企画部 11デザイン室 リーダーは、「“『G-SHOCK』らしさ”を形成するものはそれだけではない。“CMF”も重要なエンジンの一つだ」と話す。

 Cは色(カラー)、Mは素材(マテリアル)、Fは仕上げ(フィニッシュ)を指し、同社は3つの柱をそれぞれ充実させることで「G-SHOCK」の各シリーズを進化させている。そしてCMF力の強化に欠かせないのがデザイナーとエンジニアの密な協力体制であり、その最前線が羽村技術センターだ。「ここでは日々、CMF関連の新しい技術が開発されている。そのたびにわれわれデザイナーは、エンジニアからプレゼンテーションを受けている。両者は常に『この技術が何に役立つか、何に使えるか』を議論しており、このコミュニケーションがあるからこそCMF力が増幅できる」。最近の新作には、このCMF力の充実・進化から生まれた、これまでにない魅力を持つ「G-SHOCK」がいくつもある。

 例えば、樹脂とメタルを組み合わせた“大人のための「G-SHOCK」”である“MT-G”シリーズの20周年記念モデル“MTG-B1000RB”は、カラーの成功例の一つだろう。今年3月にスイスで行われた、世界最大級の時計・宝飾見本市「バーゼル・ワールド(BASEL WORLD)」で発表された同モデルは、ドイツの19年度iFデザイン賞を受賞した18年発売の“MTG-B1000”をベースにしており、ステンレススチール製ベゼルに新開発のレインボーIP(イオンプレーティング)加工を施している。「夜間にまれに月の光で発生する虹、月虹(げっこう)を表現するため、この技術を採用した」と述べ、ダイバーシティー(多様性)も表現するレインボーカラーの“MTG-B1000RB”は世界中のファンに受け入れられ、「G-SHOCK」の新たな扉を開けた。

 マテリアルの進化としては、2つの具体例がある。1つ目は“DW-5000C”から35年を経て18年に発売した、フルメタルモデルの“GMW-B5000D-1JF”だ。「“GMW-B5000D-1JF”は、15年の『バーゼル・ワールド』で市場ニーズを探るために一部の関係者にのみ公開した18金製モデルのプロトタイプがきっかけで誕生した。同見本市で高い評価を得たため、『G-SHOCK』35周年の最後を飾るアニバーサリーモデルとしてプロジェクトが正式にスタートした。その過程で、スクエア型のベゼルとケースの間に衝撃を吸収する樹脂を挟むという新たな耐衝撃構造が開発された。この技術を転用したステンレススチール製のフルメタルモデルが、18金製モデルより先に製品化された」。実はフルメタル化のアイデアは過去に何度か同社内で提案されてきたが、耐衝撃構造の壁が超えられず何度も頓挫したという。「金というマテリアルへの挑戦が、長年のアイデアを結実させた。18金製モデルの製作は、CMF化による製品開発の有効性を再認識させた、『G-SHOCK』にとって転機となった出来事だった」。2つ目は、今年10月に登場した“MTG-B1000XBD-1AJF”だ。ステンレススチールに代え、積層部にアクセントカラーを利かせたカーボンファイバーを“MT-G”シリーズで初めてベゼルに採用した。これにより疾走感のあるスポーティーなイメージが実現した。

 フィニッシュの代表例は11月に発売した、ステンレススチール製のケース&バンドにカモフラージュ柄を加えた“GMW-B5000TCM-1JR”だ。硬度や耐久性を向上させるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)加工を施した表面に、大きさの異なる3つのドットをレーザー照射してカモフラージュ柄を表現した。塗装とは違って、劣化しにくいのが特徴だ。「売れ行きは上々だと報告を受けている。この技術は今後さらに活用していく予定だ」という。

羽村技術センターには
実験室もある

 “タフネス”がコンセプトの「G-SHOCK」にとって、製品開発に欠かせないのが、プロトタイプ段階での独自基準による徹底したテストだ。羽村技術センターには、このテストのための特別な部屋“時計部門・品質保証実験室”がある。190項目もの評価基準があり、1モデルにつき平均約100項目のテストが行われる。「G-SHOCK」に求められる基準をクリアするため、テスト装置の多くは社内で開発・製造したものだ。

東京・羽村生まれのアイデアを
形にする山形工場

 「G-SHOCK」をはじめとするカシオ計算機の時計の開発は、全て羽村技術センターで行われる。そしてフラッグシップモデルの製造を担当するのが、サクランボの産地としても有名な山形県東根市にある、山形カシオだ。ここでムーブメントなど多くの部品を生産している。注目すべきは、“メダリスト”と呼ばれる資格を持つ全社でわずか十数名の熟練工が、時計の最終組み立てを行う“プレミアム・プロダクション・ライン(PPL)”だ。“人とテクノロジーの融合”を目標とし、“メダリスト”と独自開発の機械が協力して時計の組み立てを一つ一つ行っている。時計の組み立てラインとして、世界有数の精度が自慢だ。

カシオは「G-SHOCK」のみならず!
「オシアナス」もCMF

 羽村技術センターでのCMF力強化によって、自身の殻を破る製品開発に取り組んでいるのは「G-SHOCK」だけではない。2004年にスタートし、“最先端技術とアナログ時計の魅力をミックスした時計を作る”をモットーとする「オシアナス」も同様だ。ただし「オシアナス」が目指すのは“絶対的な精度”と“時計としての美しさ”だ。そして美しさに関してカラーとマテリアルの追究から生まれた最新モデルが、琥珀色と青という2つの色を蒸着したサファイアクリスタルベゼルに、江戸切子の職人技を組み合わせた“OCW-S5000D-1AJF”だ。

 最後に赤城リーダーに「G-SHOCK」の、ひいてはカシオ計算機の未来について聞くと、「タフネスとCMF力を動力に、2020年には今までにない画期的なもの、より面白いものをお見せできる予定だ。期待してほしい」と力強く答えた。

PHOTO : NORIHITO SUZUKI,
TEXT : YASUHITO SHIBUYA(OFFICE NOMAD)

問い合わせ先
カシオ計算機 お客様相談室
03-5334-4869

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若き才能が芽吹くロシア 一般客に開かれたファッション・ウイークをリポート

 10月に開催されたメルセデス・ベンツ・ファッション・ウイーク・ロシア(MERCEDES-BENZ FASHION WEEK RUSSIA)に参加するため、ロシアの首都モスクワへ初めて足を運びました。今季、主催者側から招待を受けて世界から訪れたゲストはピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)のディレクターや、イタリア版「ヴォーグ(Vogue)」をはじめ、オーストラリア版「GQ」、中国版「エル(Elle)」、米経済誌「フォーブス(Forbes)」、インディペンデント雑誌「インディ(Indie)」の編集者のほか、ストリートフォトグラファーやインフルエンサーにプレス関係者を加えた約60人で、日本からは私一人でした。滞在したホテルは5つ星の「メトロポール(Metropol)」で、過去にマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)や各国首脳が滞在したこともあるそうです。観光名所の赤の広場や聖ワシリイ大聖堂などが目と鼻の先に位置しています。

きらびやかすぎる超豪華ホテル

 5日間の滞在中は、オーガナイザーによって組まれたスケジュール通りにほかのゲストと一緒に行動します。「メトロポール」の朝食は今まで泊まったホテルの中で最もゴージャスで、朝から優雅な気分に浸りました。舞踏会が開催されるようなきらびやかな内装で、ステージ上ではハープの生演奏がスタート。ビュッフェ形式の朝食は洋食と少しの和食が並び、ロシアの名産物であるキャビアやイクラ、さらにシャンパンまで並んでいました。

 ファッションショーが始まるのは16時からとゆっくりなので、ショーが始まるまでにプーシキン美術館(Pushkin Museum of Fine Arts)や、現代芸術美術館(Museum of Modern Arts)などの美術館や蚤の市ヴェルニサージュを訪れるスケジュールをオーガナイザーが立ててくれました。ランチタイムの後は、いよいよショー会場へ。移動はもちろん、スポンサーのメルセデス・ベンツの車です。

一般客も入れるコレクション会場

 ロシアのファッション・ウイークはほかの都市と違い、プレスやバイヤーといった業界関係者だけでなく、登録すれば一般客も参加可能です。一般客向けのショーのシートは有料で、ブランドによって料金は異なりますがだいたい5000ルーブル(約8500円)ほど。ロンドン・ファッション・ウイーク(LONDON FASHION WEEK)で初めて行われた一般入場可能なパブリックショー(Public Show)が135ポンド(約1万7700円)〜という料金設定だったので、ロンドンに比べると安価です。会場には、この時とばかりに着飾る一般客の若者が集結し、ファッションへの熱狂ぶりをひしひしと感じました。

 会場内1階には大きなホールがあり、フォトスポットやDJブース、化粧品ブランドのポップアップと飲食スペースが設けられ、それらを抜けた一番奥にショーやプレゼンテーションが行われる約350人収容可能なショー会場があります。バイヤー向けの合同展示会はなく、地下に設けられた受注会兼ポップアップショップで、一般客向けに商品販売が行われます。ロシアのファッション・ウイークはブランドや業界関係者のためのビジネスの場というよりも、一種のお祭りのように認識されているようでした。若手ブランドはオンラインショップで販売するか、独自ルートで国外にセールスする方法しか今のところないようで、ファッション・ウイークに参加することで認知度向上を目指します。ショーを行い、バイヤーなどから連絡が来るのを期待するのだそうです。

ショーは全て同じ会場で爆音BGMと映像が変わるだけ

 会期中は70ブランドがコレクションを披露しました。全て同じ会場で、ブランドによってスクリーンの映像とBGMが変わるのみ。16〜22時で1時間ごとにショーが行われるのですが、待ち時間にも大音量の音楽が流れるナイトクラブのような会場内で半日を過ごすのは、正直かなりぐったり……。パリの自宅に帰宅した後は体調を崩しました(苦笑)。

 ブランドの傾向は、ロシアのアイコン的存在である「ゴーシャ ラブチンスキー(GOSHA RUBCHINSKIY)」のようなカルチャー色強めのストリートスタイルが多かったようです。特に印象に残っているのは、SF映画「ストーカー(Stalker)」から着想を得て未知の地に住む宇宙人の世界を描いた「クルゾフ(KRUZHOK)」や、世界で最も寒い定住地ヤクーツク出身のデザイナーが手掛ける「ザザ(ZA_ZA)」、デザイナー自身が脱毛症を患っていることから脱毛症患者をモデルに起用して話題を呼んだ「マッド デイジー(MAD DAISY)」です。注目ブランドについての詳細は別記事をご覧ください。

 各日18〜21時には地下のスペースでトークショーやワークショップも開催されました。今季は、ロシアと東欧のユニセックスブランドを集めた原宿のキャットストリートのショップ「バンカートーキョー(BUNKER TOKYO)」のディレクター兼リバーヘッドショールーム代表の森一馬さんと、「サカイ(SACAI)」「ジャックムス(JACQUEMUS)」などをクライアントに持つパリの大手PR会社ルシアン パージュ(LUCIEN PAGES)代表のルシアン・パージュ、ストリートフォトグラファーのアダム・カッツ・シンディング(Adam Katz Sinding)とスタイル・ディレクターのジャン・ミカエル・クアミー(Jen-Michael Quammie)によるトークセッションが催されました。

若手支援の具体的な中身は

 最終日に、今回が2度目の参加という森さんとお話しする機会がありました。「前シーズンはコンサバティブなブランドが多かったけれど、今回は挑戦的な若手のよいデザイナーが増えています」と満足気な様子。「特に『ローマ ウバロフ(ROMA UVAROV)』と『ザザ』はロシア・アヴァンギャルド(1910〜30年代初頭、戦争と革命のさなかに生まれた前衛芸術運動)をしっかり表現していました。旧ソビエトの歴史をコレクションに落とし込み、裏に隠された意味を持たせるのがロシアブランドの特徴です。今季は国外の若手デザイナーも参加する“グローバル・タレント(Global Talent)”枠の質が高く、ベルリンが拠点の『ソージ ソラリン(SOJI SOLARIN)』や中国人デザイナーの『リーフ シア(LEAF XIA)』にも引かれました」。トークショーではパージュさんやクアミーさんも森さんの意見と同じで、2人は「現在はブランドと物に溢れているため、デザイナーはストーリーテラーとなり、差別化を図ることが成功のカギ」と若手デザイナーにエールを送っていました。森さんが語る“グローバル・タレント”は、若手支援に力を入れる同ファッション・ウイークが今年始めた若手支援プロジェクトです。オンラインでエントリーが可能で、サラ・ソッツァーニ・マイノ(Sara Sozzani Maino)伊「ヴォーグ」シニアエディターを含む審査員が全世界から10ブランド前後を選出。選ばれたブランドはモスクワで単独ショーを行う権利を得て、経費や渡航費の全面サポートが受けられます。審査員を務める森さんは「アジア各国からのエントリーは多いけど、日本からは極端に少ない。挑戦してみてほしい!」と語っていました。

 初めてロシアを訪れて感じたのは、豊かな歴史があることと、ロシア芸術の深みです。まだファッションの文脈でそれらを十分に語ることはできてはいないものの、発展途上である産業が成長し、さらに国外に出る若手が増えてくると、「ゴーシャ ラブチンスキー」をもしのぐスターデザイナーが生まれる可能性は十分にあると思いました。私が今回の渡航で感じたロシアの魅力については、また別記事で詳しくご紹介します。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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2020年春夏トレンドのダークホースは? つなぎ風ジャンプスーツに注目

 12月16日発売の「WWDジャパン」は「2020年春夏 売れるトレンド」特集です。編集部員3人で、合計48のセレクトショップやブランドの20年春夏ウィメンズ展示会を取材しました。そこから浮かび上がったヒット確実なアイテムや要素を5つに分類し、紙面で紹介しています。ここでは、5分類からは漏れたものの、有力店が推していた気になるトピックスをこぼれ話的に紹介します。

あのブランドもジャンプスーツ推し

 20年春夏の本命ヒットアイテムとして各社が企画していたのは断トツでワンピースでした。暑い夏に、ばさっとかぶって着る涼しげなサックドレス、去年の夏もかなり売れましたもんね。ですがここで注目したいのはジャンプスーツ。おしゃれさんには既になじみ深いジャンプスーツですが、それが来春夏はもっと多くの人に広がるのでは?そんな風に思ったのは、「ジーユー(GU)」展示会にジャンプスーツのコーナーがあったからです。

 ルミネなどのファッションビルで人気の「アルアバイル(ALLUREVILLE)」でも、ジャンプスーツは目立っていました。セットアップのトップスの裾をパンツにインして、ジャンプスーツ風に見せるという着こなしも。ジャンプスーツといっても、ワンピースにも見えるフェミニンなデザインからつなぎ風まで幅広いわけですが、同ブランドの広報いわく、「つなぎ風デザインの方がより新鮮だし、気になる」。確かに、「フレームワーク(FRAMEWORK)」の展示会でもつなぎ風ジャンプスーツがど真ん中に飾ってありました!

新鮮!キュロットパンツ

 エディ・スリマン(Hedi Slimane)の「セリーヌ(CELINE)」効果もあって、今秋冬も一部からキュロットパンツが売れているという声があがっていますが、20年春夏展示会でもキュロット、たくさん見かけました。百貨店に入っているエレガンスブランド「アナイ(ANAYI)」は、サファリジャケットにボリュームたっぷりのキュロットをコーディネート。このところ、ボトムスではプリーツスカート人気が続いていますが、このシルエットならキュロットであってもスカート感覚ではけそう。プリーツスカートの次のアイテムとして期待できそうです。

 エレガンス回帰の流れで、ジャケット×パンツというスーツの提案も多かったのが今シーズンの特徴ですが、スーツのボトムをキュロットにするという提案も「ジーユー」「ガリャルダガランテ(GALLARDAGALANTE)」はじめ、よく見かけました。

たまごイエローが気になる

 ここ数年続いている傾向ではありますが、20年春夏も色の提案は重要です。ピンク、ミントグリーン、ラベンダーを本命カラーとして推す店が多数だったのですが、ちらほら出ていて気になったのがイエロー。特に、パステルトーンのイエローを「エストネーション(ESTNATION)」「グリーンレーベル リラクシング(GREEN LABEL RELAXING)」「イレーヴ(YLEVE)」「ユニクロ(UNIQLO)」などで見かけました。

 こうしたトーンの黄色って、確か「クロエ(CHLOE)」がアイコン的に得意としている色です。“エッグイエロー”などと表現されることが多いかも。実際の卵の黄身ってもっと濃い色なような気もしますが、それはそれ。エッグイエロー、名称もチャーミングなので要チェック!

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「共感してもらうことでファンを獲得」 ヘアサロン「ガーデン」の人気美容師Momoの集客法

 インスタグラムのフォロワー数2万4000超え、月間最高売り上げ330万円を超えるヘアサロン「ガーデン オモテサンドウ(GARDEN omotesando)」の人気美容師、Momoトップスタイリスト。人気インフルエンサーや人気美容師のインスタグラムを研究し、自身で実践し続ける彼女に売り上げを伸ばす秘訣を聞いた。

WWD:Momoさんが福岡の美容専門学校卒業後、東京の「ガーデン」を志望した理由は?

Momo:美容学校に通っているうちに雑誌に出ている美容師に憧れるようになり、それなら東京に行こうと思って、月に1回上京して、当時雑誌によく出ていたサロンを30店ほど回ったんです。その中で「ガーデン」はスタッフの対応もよくて、そこで自分が働くことがイメージできたので、志望しました。

WWD:スタイリストデビューにはどれくらいかかった?

Momo:3年2カ月ほどです。同期の中では2番目のデビューでした。

WWD:アシスタント時代に意識していたことはある?

Momo:売り上げの高い先輩のアシスタントについていたので、その先輩よりもお客さまと接する時間が長く、その人を「自分のお客さまにしよう」という思いでやっていました。そのおかげか、多くのお客さまがスタイリストに早くなれるように応援してくれて、それがすごく励みになりました。

WWD:スタイリストデビューしてから売り上げは順調に伸びた。

Momo:デビュー初月はありがたいことにカットモデルや先輩のお客さまだった人がお祝いで来てくれて、売り上げ100万円を達成できました。そこから少し伸び悩んでいた時期もあったので、インスタグラムでの集客を意識するようになり、人気の美容師さんや人気のインスタグラマーさんのインスタグラムを見て、どういったヘアスタイルや見せ方が“いいね”やフォローにつながるのか、かなり研究しました。それでいいと思ったことを自分でも実践し、去年の秋くらいにフォロワー数が1万を超えてから徐々に新規のお客さまが増えて、売り上げも伸びていきました。今は新規で月100~150人ほどお客さまが来てくれています。

WWD:インスタグラムではどのようなことを意識している?

Momo:これはインスタグラムに限らないのですが、自分のファンを増やすことは意識しています。その上でインスタグラムでは、“女性に共感してもらえること”を意識しています。ヘアスタイルの画像だけではなく、私の人柄や好きなものが伝わるように、私自身のファッションやメイク、プライベートなことも投稿しています。そうするとその雰囲気が好きな人が共感してくれて、来てくれるようになりました。ストーリーズでも、プライベートで行った場所やアシスタントのことなど、お客さまが来店したときに話題にしやすいことを投稿するようにしています。ヘアも美容師が見て“クリエイティブ”と思うものよりも、お客さま目線でかわいいスタイルを投稿するようにしています。

WWD:投稿の頻度は?

Momo:1日1~6投稿です。営業前にモデルを呼んで撮影を行い、1回の撮影で3パターンほど撮影して、インスタグラムの投稿用にコンテンツ作りをしています。

WWD:最近は動画をアップする人も多いが、動画はアップしない?

Momo:動画もアップしていった方がいいとは思うんですが、面倒だと続かなくて。それならできることをやっていこうという考えです。画像に文字を入れるのも流行っていますが、それだと“集客のため”というのが強くなりすぎるので、やらないです。

WWD:SNS以外で売り上げを伸ばすために意識したことは?

Momo:リピートしてもらうために、次回提案は必ずするように心掛けました。

WWD:今後の目標は?

Momo:売り上げでは年内に月350万円が目標です。それ以上だとお客さまと接する時間も短くなるし、私が理想とする美容師ではなくなってしまう――それは嫌なので。あとは雑誌の撮影など外の仕事もどんどんやっていきたいです。

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犯罪多発地区から旬なスポットに ロンドンのペッカムが面白い

 ロンドンはここ10年イーストエンドのショーディッチが流行の発信地として若者やスタイリッシュな人々が集まる場所へと進化し続けてきました。ファッション関連のショーやイベントもショーディッチを会場とすることが多いです。しかし、人が集まり人気を博すようになると、観光地化して地元民の足は遠ざかるというのが通例。そうしているうちに地価や物価の低い新しいエリアがにぎわうという繰り返しです。高騰する家賃によってショーディッチから追いやられた感度の高いクリエイターやデザイナーたちは今、ロンドンの南東に位置するペッカムに集まりつつあります。1980年代にはロンドンで最も貧困なエリアといわれ、犯罪が多発する治安が悪いエリアでした。変化し始めたのは、2001年に政府によって再建プロジェクトを立ち上げられてからです。100年以上の歴史を持つ地元の美術大学カンパーウェル・カレッジ・オブ・アーツ(Camberwell College of Arts)の卒業生らがギャラリーやデザインスタジオを構え、アーティストが手掛けた壁画や街灯を設置して街中を明るく活気づけました。

 ロンドン中心地から電車に揺られて30分。ペッカム・レイ駅周辺は、かつてはスラム街だった面影はなく、多くの人でにぎわっていました。まずはロンドンの有名レストランで修行したシェフがオープンした精肉店フロック・アンド・ハード(Flock & Herd)へ。精肉だけでなく、パッケージがかわいいいイギリス産のマスタードやオリーブオイルなどの調理料も販売していて、お土産品を購入しました。すぐ近くには多くのメディアで取り上げられているタイ料理レストラン「ベギング・ボウル(Begging Bowl)」があります。この日はランチ営業をしていなかったため、残念ながら入店はできず。

コワーキングビルに
個性的な店が集合

 前回訪れた時は立体駐車場で、屋上がルーフトップバーとしてにぎわっていた建物が、ペッカム・レベルズ(Peckham Levels)という名称のコワーキングビルに変貌していました。内装は駐車場をそのまま生かし、1~4階がオフィス、5階と6階にヨガスタジオや美容院、バーやレストランが並び、一般向けにも開放されています。ワークショップ、映画上映、音楽フェスなどほぼ毎日のようにイベントを開催しており、ペッカムのコミュニティー形成の役割を担っているようです。

外観に引かれた多国籍料理店

 ギャラリーが併設された裏庭の庭園カフェ、クレーンズ・キッチン(Crane’s Kitchen)やイギリスでいくつもの受賞経験のあるベーカリーのブリック・ハウス(Brick House)、数種類のバオと小皿料理が楽しめる中華料理店ミスター バオ(Mr.Bao)など、ペッカムにはおいしくおしゃれなレストランも続々増えています。事前にリサーチして候補店を頭の中に入れ、その日の気分でレストランを決めようと思っていたのですが、駅前に出来た新店レバン(Levan)の店構えに引かれ、導かれるように入店しました。今年初めにオープンした同店は、イギリス産の食材を用いて、世界各国の調理法を掛け合わせた多国籍料理を提供します。店内は藍色の壁に、自然派ワインとレコードが飾られ、奥にはカウンター席とオープンキッチンがあり、気取らないカジュアルな雰囲気です。メニューには“出汁で煮付けたマトウダイ”“ポークラグのパッパルデッレ(平たいパスタ)”“カラフルなトマトと梅干しをイチジクの葉で巻いた煮込み”などの創作料理が並びます。一番気になったのは“味噌とホワイトチョコレートのブリオッシュパン”。味噌とホワイトチョコレートの組み合わせをトライしてみたかったですが、朝食メニューのためランチタイムにはありませんでした。結局、フレンドリーな店員さんオススメの日替わりメニュー“レバン流ブーダンノワール”をオーダーしました。ブーダンノワールはフランスの一般的な肉製品の一つで、豚の血と脂の腸詰をニンニク、タマネギ、パセリと柑橘類の香料で味付けした料理です。普通はソースなどを付けずそのまま食べますが、レバンではキャラメリゼした甘辛いソースがかかって出てきました。パンと赤ワインに合いそうな重めの味ですが、どこか和の要素も感じたので尋ねると「カツオと昆布の合わせ出汁が隠し味」とのこと!ブーダンノワールはパリでよく食べますが、このようにアレンジした食べ方は見たことがなく、全く違う食べ物のような新たな食体験でした。お皿に残ったソースにパンを付けて、最後まで美味しくいただきました。デザートにはさっぱりとした“ヨーグルトソルベとベリーソース”で後味よく完食です。

移民系地元民とクリエイターが共存

 ペッカムへ行くのは約1年ぶりでしたが、前回よりも建設中の建築物や新たなショップが増えていて、ますます発展していると肌で感じました。特に駅前に建設中のコワーキングビル、マーケット(Market)はペッカムを今度さらに活気づけそうな予感がします。エドワード朝の6階建てビルには、コワーキングスペースのほかにライブスペースや自転車屋、ワークショップ、食品売り場、ラーメン店、バー、屋上にはルーフトップバーと菜園といったさまざまなスペースが併設予定。さらにそのすぐ近くには、吹き抜けで廊下や階段の踊り場がない特殊な仕様のアパートメントが建設中です。

 犯罪多発地区からホットなエリアへと、ペッカムの風向きは確実に変わっています。ナイジェリアやイランの食料品店や八百屋など、この土地ならではの個人商店も立ち並び、歴史の名残も感じられます。古くから住む移民系地元民と、最近引っ越してきたロンドンのクリエイターらが共存する街。ロンドンの新たな魅力に触れて、“今”を感じられる場所として一見の価値ありです。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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インディテックス CEOの交代について エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年5月29日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

インディテックス CEOの交代について

 今回はインディテックス(INDITEX)の最高経営責任者(CEO)の交代についてです。インディテックスはご存知でしょうか?

 社名はあまりなじみがないかもしれませんが、簡単に言えば「ザラ(ZARA)」の会社です。売上高は、企画から生産、販売まで一気通貫で行うアパレルSPA企業の中ではナンバーワン。1963年にスペイン北西部コルーニャでドレスメーカーとしてアマンシオ・オルテガ(Amancio Ortega)が創業。75年に最初の小売店舗として「ザラ」を開店という私と同じ年(!)の企業で、2019年1月期の売上高は261億ユーロで優に3兆円を超えます。

 H&Mやファーストリティリングよりも規模も利益率も高い優良企業ですが、「ザラ」だけで2兆円を超えるので、ブランド規模としては「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「グッチ(GUCCI)」よりも上です。そのすごさについては「ユニクロ対ザラ」(日本経済新聞社)の著者、齊藤孝浩氏の「WWDジャパン」紙面での連載などが詳しいのでここでは触れませんが、インディテックス のCEO職を創業者から05年に引き継ぎ、14年間けん引してきたのがパブロ・イスラ(Pablo Isla)会長兼CEOです。

 この間、インディテックスは毎年ほぼ10%の売り上げ成長をキープしてきました。19年1月期も為替の影響を加味しなければ10%に近い成長率をキープしています。イスラ氏は「ハーバード・ビジネス・レビュー(HARVARD BUSINESS REVIEW)」誌による“優秀なCEOトップ100”で17年、18年と2年連続首位を獲得しており、経営者としても高い評価を得ています。

 このたび、そのイスラ氏の後任となる次期CEOが発表されたわけですが、最高執行責任者(COO)の昇格という、なんとも安定感のある異動!インディテックスほどの大企業になると必ず派生するトップの後任問題ですが、指名されたカルロス・クレスポ(Carlos Crespo)氏(48)は01年にインディテックスの財務部門に入社。すでに20年近くインディテックスで働いており、その成長を支えてきた人物です。就任1カ月前のアナウンスに見られるように、きっとなんの混乱も引き起こさずに、インディテックスの成長を維持するのではないでしょうか。

 そして、イスラ氏も会長職を継続します。なんなのでしょうか、この盤石感……。個人的に、成長させてきた企業をスムーズに後任につないでこそ、本当に優秀な経営者だと思っています。

 リリースベースのあっさりしたニュースでしたが、インディテックスの強さを見たような気がします。新CEOがどんな手腕を振るうのか、とても楽しみです。

VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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初心者におすすめする韓国コスメ クッションファンデ&秋冬スキンケア編

 「韓国コスメは良いとよく聞くけど、実際何から使い始めたらいいのだろう?」、そんな疑問を抱いている読者のために、韓国在住のライターである私が初心者でも使いやすい韓国コスメをおすすめします。今回は、日本でも人気が高いクッションファンデーションとスキンケアを紹介します。特にこの2つはカラーコスメに比べて質問をいただくことが多いのですが、ここでは秋冬向けのクッションファンデと基礎スキンケア品をピックアップします。

ムーンショット(MOONSHOT)「マイクロコレクトフィットクッションファンデ」(2万8000ウォン、約2800円)

 「ムーンショット」はクッションファンデがとても評判が高いブランドです。現在4種類のクッションファンデがある中、こちらのクッションは最新のもの。カバー力と保湿力が高くて人気です。脂性肌の人は少し崩れる可能性がありますが、その崩れ方がきれいと評価する人が多く、メイク直し用として使う人がとても多いアイテム。気温や風で乾燥しやすくなる秋冬にはちょうどいいくらいです。

ジョンセンムル(JUNG SAEM MOOL)「エッセンシャル スキン ヌーダー クッション」(4582円、税込)

 韓国で今一番有名なメイクアップアーティストのジョンセンムルのコスメブランドはスキンケアとべースメイクアイテムが人気です。中でもこのクッションは長く愛されているベストセラーアイテムで、アイドルや女優も愛用してることで知られています。しっとりさせながら肌をしっかりカバーし、重すぎず肌にぴったり密着するのが特徴。マット肌よりは自然な光沢のある健康的な肌を作りたい人におすすめです。

ロムアンド(ROMAND)「ゼロクッション」(2600円)

 口コミで広がり、今は日本でも愛用者が多い「ロムアンド」。個人的にもいち推しブランドで、まだ知名度が低かったときにツイッターでこのクッションをおすすめしたら、「買ってみたらとてもよかった」とDMやコメントを一番多くもらったアイテムです。少しパウダリーな感じがあるのでマット肌でふんわりした表現が好きな人なら気に入るはずです!カバー力があり夏でも崩れにくいのですが、実はおすすめは秋冬に使うことです。韓国コスメ初心者なので失敗したくない!という人にはぜひ使っていただきたいですね。

 次はツイッターやインスタグラムでたくさんの人から定期的に質問される韓国のスキンケアについて紹介します。韓国コスメの中で一番買ってみたいけど、何を買えばいいのか分からない、という悩みが一番多いようです。今回は分かりやすく、秋冬向けの保湿におすすめな基礎化粧品について紹介します。

ラネージュ(LANEIGE)「クリームスキン」 (2700円)

 発売時から乾燥肌や敏感肌の人にとても人気で、リピーターが多いことでも有名な「クリームスキン」はクリームを特殊な技法で化粧水状にしたというもの。化粧水なのにクリーム並みの保湿力で、低刺激で肌に優しい。季節の変わり目に揺いだ肌や乾燥で荒れてしまった肌をしっとりと潤いで包みます。液状なのでコットンに染み込ませてパックをするのがおすすめです。これから乾燥が進む季節にはぴったりだと思います。

ハンユル(HANYUL)「若ヨモギ水分鎮静クリーム」 (2880円)

 韓国を代表するドラックストア「オリーブヤング」が扱うスキンケアの中で人気の高い「ハンユル」。さまざまな自然由来成分を用いたスキンケアを提供していて、特に「若ヨモギライン」が人気です。トラブルを抑えて肌を鎮静させるヨモギを配合し、ニキビや肌荒れが気になる人におすすめです。

コスアールエックス(COSRX)「ハイドリウム モイスチャー パワー エンリッチ クリーム」 (2万3000ウォン、約2300円)

 韓国では、コットンにふき取り化粧水を染み込ませたコットンパッドが人気です。その中でも有名な「コスアールエックス」から登場した水分クリームです。寝ている間に肌を潤すスリーピングパックとしても使える優れものです。クリームなのに油分感が少なく、さっぱりとした軽いつけ心地が特徴です。韓国では季節の変わり目の肌が疲れたときに夜たっぷりめに塗って寝たり、朝は軽く塗ってメイク前の肌を整えたりする人が多いようです。

グーダル(GOODAL)「青いミカン ビタC クリーム」(1980円)

 韓国旅行に来る日本人に人気のスキンケアブランド「グーダル」。ビタミンCを高配合した青みかんラインは美容液が人気ですが、今秋冬はこのクリームをおすすめします。私は、なんとなく肌が疲れて調子が悪いなと思ったときにこのクリームを使っています。さっぱりしているので秋冬はこっくりしたクリームと混ぜるのがいいかもしれません。使い続けると肌の調子が整い、自然にトーンアップするように感じました。

MIN/韓国出身・韓国在住のITマーケッター兼エディター : 日本には、合わせて11年間の在住経験も。大学で美術を専攻し、舞台衣装の仕事、ドメスティックコレクションブランドのPRを経て現在はソウルに戻り韓国のIT企業に勤務。 普段はファッション・ビューティ・EC複合アプリサービスづくりとエディターをしつつ、ツイッター(@minsan_cosme)では韓国通販とコスメやトレンドについてつぶやいている

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私のサステナビリティ 「ラ ブーシュ ルージュ」のニコラス・ジェルリエ創業者は家族全員で脱プラ

 私は買うもの全てに対し「どこで生産されたのか、どのような条件で誰が作っているのか」を考えてから購入を決めます。その結果、オーガニックや季節の野菜を買い、加工食品を制限し、さらになるべく地元で消費しようとしています。また、日常的にボトル、コップ、ストロー、家具、小物、包装などでプラスティックを使いません。

 そしてもっとサステナブルな生活を送るための行動はたくさんあります。例えば車の利用を制限して公共の交通機関を使ったり、ごみをリサイクルしたり、食品の廃棄を減らしたり、水の使用を最小限にしたり。もちろん完璧ではありませんが、子どもが3人いるためファミリープロジェクトして真剣に考えています。プロとして、個人として日常生活の全てを改善しようと心掛けています!環境への影響を認識しながら子どもを将来の市民として育てたいと考えています。

 「ラ ブーシュ ルージュ(LA BOUCHE ROUGE)」は私のこだわりが詰まったサステナブルなビューティブランドです。私たちのサステナビリティの旅の始まりは、再利用可能なメタルの金型を作ったことです。従来はシリコーンを使用することが多いのですが、私たちは使いまわせる金属の型を採用することによってシリコーン型の廃棄を減らし、さらに型は水を使わないドライクリーニング方法を採用しています。また、リップを作るにあたっては、毎週のごみを最小限に抑えています。研究所では、1週間分のごみを小さいダンボール1箱に収めるように心掛けています。

 また、全てが完全にリサイクルされ、廃棄物管理がとても注意深く処理されるビルにアトリエを設けました。屋根からも太陽エネルギーが供給され、水の使用を最小限に抑えるべく、アトリエの機械もドライクリーニング方法を取り入れています。もちろんアトリエの従業員の間でもプラスチックボトルを禁止し、再利用できるコーヒーマグを使っています。ランチもプラスチック皿は決して使いません!印刷は最小限にとどめ、配送で使ったダンボールをリサイクルしています。

私のサステナビリティ
 ファッション業界にとって加速して取り組まなければいけない課題の“サステナビリティ”。企業として大きく舵を切ることはもちろん、個々の意識も重要です。そこで個人的に行なっているサステナビリティについて聞きました。

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週末お出かけスポット 人とロボティクスの共生を表現するソニーの展覧会など5選

 週末にオシャレして出掛けたいスポットをお届け。今週は、人とロボティクスの共生を表現するソニーの展覧会や渋谷パルコでオートモアイの個展など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(12月14、15日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【イベント】

「カルティエ、時の結晶」展がスタート 意表を突く会場構成と逸品の数々の競演

展覧会「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」が東京都現代美術館で開催

日本を代表するテキスタイルデザイナー須藤玲子が香港で大規模個展

写真家の細倉真弓が個展「あたらしい肌」、清澄白河のmumeiで

「シャネル」のスノードームが渋谷に出現!ホリデーキャンペーンを実施

フォトスポット満載「ティファニー@キャットストリート」で一足早いクリスマス気分を

西武池袋本店に30メートルのグラフィティーアートが出現 4人のアーティストがクリスマスをテーマに

【ポップアップ】

新ライン「ザ マーク ジェイコブス」が大阪でスヌーピーコラボのポップアップ

「マルニ」 × 「ポーター」第14弾 クリスマスシーズンに向けた全7型

バーニーズが「スター・ウォーズ」新作公開を記念して期間限定ストアをオープン

NY発ジュエリー「ミラモア」が渋谷パルコ1階でポップアップストアをオープン

「ヴァレンティノ」メンズと「レッド ヴァレンティノ」がポップアップストア開催

山口一郎のDJパフォーマンスにお手頃価格のアイテムも 「モンクレール ジーニアス」の限定ストア「ハウス オブ ジーニアス」がオープン

ビームスがノードストロムの北米8店舗でポップアップ

KANDYTOWNが渋谷の「パルプ」で2ndアルバム「ADVISORY」のポップアップを開催

パーソナライズヘアケア「メデュラ」が店頭で購入できる体験型店舗を有楽町マルイに期間限定でオープン

NY発ジュエリー「ミラモア」が渋谷パルコ1階でポップアップストアをオープン

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ビームス社長 × 渋谷区長は街の再開発について何を思う? 「ビームス ジャパン 渋谷」開業で聞いた

 「ビームス ジャパン(BEAMS JAPAN)」は新宿に続く2号店を東急プラザ渋谷2階にオープンした。ビームスならではのブランド力を武器に、渋谷をはじめとする日本各地の企業や自治体、国内ブランドなどとコラボレーションし、ここでしか買えない多くの「お土産」をそろえる。12月5日の開業日には、長谷部健・渋谷区長がビームス ジャパン 渋谷を訪れ、ビームスの設楽洋社長が迎えた。2人が思う渋谷の街とは?

WWD:渋谷駅周辺の再開発が進む中で、東急プラザ渋谷はどういった存在であり、商圏にどういった影響を与えると捉えているか?

長谷部健・渋谷区長(以下、長谷部):渋谷は“若者の街”というイメージがある中で、だいぶ大人に振ってくれた。リーシングに対して僕が言うべきではないが、お店もそうだし、建物の中の内装もとても意識している。もっと多様な人たちにこの街を好きになって楽しんでもらいたいというのが渋谷区の目指す姿。そこに対する大きな布石を打ってくれた。この先の桜ケ丘エリアの開発への窓口にもなるので、代官山・恵比寿につながる入り口として、大人を意識してくれたのはありがたい。

WWD:「ビームス ジャパン」を渋谷に出店する理由は?

設楽洋ビームス社長(以下、設楽):ビームスは渋谷区とのパートナー企業でもあり、43年前に原宿、渋谷で産声を上げた会社でもある。渋谷には最先端のIT企業が集まったり、LGBTへの取り組みが進んでいたり、さまざまな日本の将来の形を凝縮している街。ストリートカルチャーやユースカルチャーなど、いろんな文化のごった煮の街でもある。そんな街で「ビームス ジャパン」がどう受け入れられるのか、試してみたいと思った。

WWD:長谷部区長は「ビームス ジャパン渋谷」にどのような期待を抱いているか?

長谷部:この街にはこれだけ観光客がいるのに“お土産”がない。兼ねてからお土産を見つけられればいい商売になるなとは思っていたが、それもなかなか難しい。「ビームス ジャパン」は渋谷を舞台にお土産という視点で商品を集めているので、この街の新しいお土産が生まれる場所になるのではないか。

WWD:ビームスとして、旗艦店である「ビームス ジャパン新宿」の世界観をSC内でどう発揮する?

設楽:渋谷を皮切りに来年京都にも渋谷同様の“小さな衛生”を出店する。「ビームス ジャパン 新宿」を旗艦店として、われわれはそれを“離れ”と呼んでいるが、それぞれの都市をフューチャーしたモノをそれぞれが発信する。新宿においては期間限定で各地方を取り上げてきたが、離れではその地区とのコラボレーションを中心に伝えていく。

WWD:渋谷区で生まれ育った長谷部区長にとってのビームスとは?

長谷部:ビームスは創業43年、私はもうすぐ48歳。ほとんど物心ついたときから、側にビームスがあった。自分で洋服を買いに行くようになった小学生高学年ぐらいから通っていた。今日も全身ビームスだし、街の成長を40年間同じ目線で見ていると思う。世代的にも常に影響を受けて育んでもらった。

WWD:長谷部区長は以前の弊紙の取材で「カルチャーはストリートから生まれる」と答えていた。渋谷に関してはどうか?

長谷部:今特に渋谷では大きいビルができ、ビルの上の方で新しいカルチャーが生まれてきている。それはそれで、非常に素晴らしいことだが、この街の強みはストリートのカルチャー。そこでさまざまな人たちが出会い、認め合い、混じり合いながら新しい文化や価値が生まれてきたので、両方大切にしていかなければならない。ユニークネスなことも許される街なので、例えば「アロープロジェクト」という非難所に向けたアートの矢印を街中に増やすというプロジェクトもある。そういった行政ではできないプロジェクトをビームスのような仲間がたくさんいる企業と一緒にできればいいと思っている。

WWD:設楽社長は、渋谷区周辺の再開発にどのような印象を持っているか?

設楽:2027年の完成が楽しみだ。ただ近代的にするだけじゃなく、この街のストリートの文化、そして神社や公園、自然などと、一方ではITの進化など、そういった両面を大事にしていきたい。上から降りてくる文化と街から上がってくる文化、それによってまた新しい価値が生まれる。ダイバーシティのまぜこぜ文化が花開く街になればいい。

WWD:改めて、今後の渋谷像とは?

長谷部:区としては「違いを力に変える街」を目標にしており、ダイバーシティ、インクルーシブを意識している。これからもさまざま人がお互いを認め合い、混じり合っていけばいい。そうすれば見える形は変わっていきつつも、しっかりとその意志が受け継がれていくような街づくりができる。ロンドン、パリ、ニューヨーク、渋谷区という大風呂敷を広げているが、自然とそういう街になるのではないか。

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23~26歳の若手社員4人を抜てき ベイクルーズがZ世代に向けた新ブランド「オリエンス」を発表

 ベイクルーズ グループは2020年春に23~26歳の若手社員4人で手掛ける新ブランド「オリエンス ジャーナルスタンダード(ORIENS JOURNAL STANDARD)」を立ち上げる。メンバーはコンセプターの櫻井花ノ子(24)、プレスの大澤萌夏(25)、MDの長谷川アルファ(23)、VMDの五月女翔(26)で、それぞれが入社1~3年目で抜擢された。全員が仕入れから販売までを行い、ミレニアル世代やZ世代に向けた等身大のファッションを提案する。来年3月にはジャーナルスタンダード神南坂を業態転換し、2層のうちの地下1階の半分を4人のオフィスにする計画。古峯正佳上席取締役副社長は「ミレニアル世代やZ世代に向けたブランド開発が急務だった。僕らがブランドを立ち上げてきたころは、25歳ぐらいで最前線に立っていたのに、今は新卒で入社して、店頭で経験を積んでいたらすぐに30歳代になってしまう。だから経験は浅くてもファッションが本当に好きだという若い人材を引っ張り上げ、自分たちの好きな世界観でブランドを立ち上げてもらう。その熱量さえあればブランドはできるはずだ」と語り、未来を見据える。非公開としながらも、初年度売上高数億円を目指し、ゆくゆくは商業施設にも出店、拡大する計画だという。大澤プレスにブランドの全貌を聞いた。

WWD:どんなブランドになる?

大澤萌夏プレス(以下、大澤):テーマは“自分たちのお気に入りのビンテージ”です。23~26歳のメンバーの特性を生かしてコンセプター、プレス、MD、VMDをそれぞれ務めますが、全員がバイヤー。ターゲットは21~25歳の自分たちの年齢です。

WWD:「ジャーナルスタンダード」とはどうすみ分ける?

大澤:いくつかありますが、一番大きいところで春夏はインポート品の価格を3万円台までと決めてバイイングしました。若い子ってかわいくても高いモノは買えないし、頑張って買うって時代でもないので、“着て欲しい買えるモノ”を提供したいという思いで決めました。私たちも例えば3万8000円ですごく欲しかったら頑張って買う。「カード2回払い」で生活できる価格帯なので、金銭感覚はお客さまに寄り添っています。

WWD:仕入れ品のラインアップは?

大澤:6割がインポートを含む仕入れ、4割がオリジナル商品です。私自身がニューヨーク、ロサンゼルス、パリ、ニューヨーク(2回目)、ロサンゼルス(2回目)にバイイングに行きました。インポートでも値段に見合うブランドやアイテムをピックアップしています。NYの「タイラー マック ギリバリー(TYLER MC GILLIVARY)」やLAの「323(サン ニー サン)」は、私たちがインスタグラムでフォローしていたブランド。若者ってインスタをすごく使っているので、インスタのアカウントをちゃんと持っているブランドで、デザイナーとも相互フォローしあうっていう密な関係性です。「オリエンス」のコンセプトでもある“好きなものを、好きなように、好きなだけ”にもつながるのですが、今の若い子たちには「私はモード系、私はカジュアル系」みたいなものはありません。真っ黒な日もあればカラフルな日もあるし、系統も無い。だから、いろんなシンプルなモノから派手なモノまで、自分の好きな派手さにできるようにバリエーションを見せます。あとは、「ジャーナルスタンダード」よりもサイジングが小さいです。パンツだと34~36で、「ジャーナルスタンダード」でいうXS、S、Mで展開します。サイズで悩んでいる子が結構多くて。今のセレクトショップのオリジナルって大きめが多くて、身体にフィットしない。だからサイジングも買い付けにいった際に古着を買って、それをベースにパターンに起こしています。

WWD:メンバーにはどんな人が選ばれた?

大澤:トップダウンというのもありますが、単純に選ばれました。私は3カ月だけ「ジャーナルスタンダード」のプレスをやっていて、その前は販売でした。メンバーの五月女君は「同期でおもろ白い子はいるか」と聞かれ、推薦したんです。今日(取材時)もパーカをちゃんと着ないでラベンダーにピンクを合わせちゃうところとか。そういう感性って守りに入るとできないので大事ですよね。

WWD:3月には神南坂にオフィスの入った店舗を構えることになった。

大澤:そうなんです。私たちは店舗にいて、交代制でリアルに販売もします。これまではバイヤーが買ったモノを何人かを介して、最終的に店舗で販売するという感じでしたが、どうしても熱量が冷めちゃうところがあると思うので、その熱量もお客さまに伝えたいと思っています。

WWD:アパレル業界に対してはどう思う?

大澤:なんでこんなに価格戦略ばっかりになっちゃうのかなって思っています。アクティブだからお酒を飲みに行ったりもするけど、そのお酒を飲みに行く場所もインスタのせいで、いい場所が見つかる時代なので。ちょっと高くても映えるために行こうとなると、どうしてもファッションに使えるお金が減る。生活がSNSベースになっているからだと思っています。

WWD:今後はどうしていきたい?

大澤:若い子がどうしてもインスタベースで買い物をしているので、実店舗に来る喜びをもう一度取り戻したいのと、ファッション業界とお客さまの距離感を埋めたいと思っています。今は離れすぎていると感じていて、アパレル側が歩み寄らないといけないと思います。お客さまとの年齢が近いのを武器に、やるからにはやり切りたいです。

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まだ、あなたが知らないニューヨーク最新トレンド DECODE Z : 人口もダントツのジェネレーションZこそ、トレンドセッター

 ニューヨークで活躍する名物クリエイティブ・ディレクター、メイ(May)と、仕事仲間でファッションエディターのスティービー(Stevie)による連載第2回。月に1、2度はお気に入りのレストランでランチをしながらトレンド話に花が咲く2人。“You’d Better Be Handsome”では、2人がときにゲストを交え、ニューヨークのトレンドや新常識について雑談する 。今回はファッション業界の未来を背負う、ジェネレーションZにフォーカス。日本と違って、人口も多いこの世代の価値観、興味の対象、分からないことだらけだが、実にダイナミック!

 シカゴ発祥のバーガーレストラン「オーシェヴァル(AU CHEVAL)」がトライベッカに進出したのは、今年の春。トライベッカからチャイナタウンに抜ける道を1本入った小径に位置し、隠れ家的。重厚な内装で落ち着ける インテリアに、ウォールストリート系の人々の姿も多い。地下にはバー、1階には日本人バリスタによるシカゴ発「サワダコーヒー SAWADA COFFEE」もある。AU CHEVAL, 33 Cortland Alley

メイ:ここはオフィスから近いからか何度か来ているけれど、シカゴのバーガーって何が違うのか、いまだによく分からない。でも、テーブルもシートもシカゴサイズだから、ゆったり落ち着く。

スティービー:シカゴといえば、オバマ元大統領の本拠地だし、カニエ・ウェスト(Kanye West)の故郷というイメージだったけど、最近はシカゴ大学のニュースに驚かされたよね。

メイ:というと??

スティービー:アメリカの大学の学費が高いのはみんな承知だと思うけど、2025年には、なんと年間10万ドル(約1090万円)を超える大学が登場するらしい。その第1号がシカゴ大学なんだって。そのあとに、コロンビア大学などが続く予定と書いてあった。

メイ:一流大学とはいえ、高過ぎるよね。住居とかも入れると今でも年間6万ドル(約654万円)くらいなのに。5年後にそこまで上がるって……。今の大学生、そしてこれから大学に行くジェネレーションZたちは大変だ。

スティービー:ジェネレーションZって、最近よく耳にするけど、年齢でいうとミレニアルズよりは下だから、いまの20代前半以下?

メイ:そう。「ビジネスインサイダー(BUSINESS INSIDER)」によると1997〜2010年に生まれた子たち、だから今の10〜23歳が、ジェネレーションZのことだね。分け方は、いろいろな説があるみたいだけど。

スティービー:ミレニアルズは、すでに研究され尽くした感があるけど、ジェネレーションZはまだまだ未知数。生まれたときから、または物心がついた頃には、すでにスマートフォンが存在して、YouTubeと共に育った子たちだから。そして大学の授業料が10万ドル台の!

メイ:米国では5人に1人がジェネレーションZで、20年には8500万人に達するらしい。この世代の考えや行動パターンを把握できないと、今後のマーケティングを制することはできなくなる。

ジェネレーションZの代表格は?

スティービー:ジェネレーションZの代表って誰だろう?

メイ:思い浮かぶのは、カイリー・ジェンナー(Kylie Janner)かな。1997年生まれ、現在22歳。

スティービー:確かに。それでいて、すでにビリオネア!

メイ:11月にコティ(COTY)がカイリー・コスメティクス(KYLIE COSMETICS)の株を51%取得したのは記憶に新しいね。

スティービー:6億ドル(約650億円)でね。

メイ:なにしろあのコスメブランドは、いま1.2ビリオンダラー(約1300億円)の価値があるらしいから。もう子どももいるし、スピード感がすごすぎる。

スティービー:ほんの数年前までは、雑誌のカバーにカイリーはどうか?と何度か名前があがっても、気が乗らないでパスしていたら、その後すごい勢いで人気が上がって、今では雲の上の人になってしまったよね(笑)。

メイ:確かに最初はキワモノだった気がするけど、今はメインストリーム。スーパーモデルの姉ケンダル・ジェンナー(Kendall Jenner)も、ファッション界では最頂点にいるはずなのに、収入がカイリーの50分の1くらいらしいし。ちょっと悲しいような。

スティービー:うちのティーンエージャーの娘もカイリーを崇拝している。というか、カーダシアンから環境問題に至るまですごい物知り風だけれど、全部YouTubeから学んでいるというのもこの世代の特徴かな 。いちばん不思議なのは、友だちといつも一緒にいなくてもさほど寂しくないらしい。ネットでつながっているからなのか?

メイ:私たちがティーンだったときって、一人でいるとなんだか孤独な気がしたけれど、あの感覚ってティーンエージャー特有のものじゃなくて、もしかしたら世代特有のものだったのか?

スティービー:まったく違う感覚だから。郊外だと、もっと友だち同士で時間を過ごしているかもしれないが、ニューヨークの子どもたちは何かと忙しそうだし。

アメリカで話題のテレビドラマ
「ユーフォリア」

メイ:郊外とジェネレーションZのコンビといえば、最近話題のHBOテレビドラマシリーズ「ユーフォリア(EUPHORIA)」って観てる?

スティービー:ディズニーあがりのゼンデイヤ(Zendaya)主演の話題作か。ドラッグ中毒の中高生は観ていて楽しくないけど、あのドラマはファッションとビューティにすごい影響力あるよ。髪がピンクで、 ラメ入りの青や緑のアイシャドウがたっぷり塗られている、みたいな。

メイ:そうそう。撮影でもよく話に出てくる。特にメイクはインパクトあるから。

スティービー:最近かかわったビューティ撮影2本とも、「これはすごく『ユーフォリア』っぽい」とか、「『ユーフォリア』な気分で」みたいな会話が飛び交ってたよ。

メイ:あのドラマを観ると、ジェネレーションZのファッションも分かりやすい。

スティービー:基本はストリートっぽいけど、なんていうかエレクトロ的な要素とかもミックスされている。ドラマの中では、一人の女の子のスタイルを、「セーラームーンに影響されている」と説明されていたけど、確かに日本のアニメの影響もあるかも?

メイ:ジェネレーションZのファッションって、名称はあったりするの?

スティービー:これも娘に教えてもらったけど、e Girlとかe Boyというスタイルが人気らしい。要するにティックトック(TikTok)で人気の子たちの格好がそういう系。 スケボーっぽい格好をベースに、ゴス的な要素が加わっている、というか。言葉にすると不思議だけれど、90年代の匂いがする。

メイ:ブランドでいうと?

スティービー:「シュプリーム(SUPREME)」みたいなストリートブランドもまだ人気だけれど、ジェネレーションZを狙ったブランドも登場していてユニーク。例えば「ユニフ(UNIF)」とかは、90年代にこういう格好していた人いたっていうルックが陳列されている。レトロでテクノ。わざとダサさを残しているような。「ドールズ キル(DOLLS KILL)」とかも人気らしい。これもテクノとゴス、それにヒップホップの粉をかけた、みたいな。

ティックトックの新星、
ノエン・ユバンクスって?

メイ:おしゃれリーダーはどういう人たち?

スティービー:ティックトック上では、ノエン・ユバンクス(Noen Eubanks)。

メイ:ま、まったく分からない……。

スティービー:18歳のかわいい男の子で、よくアイメイクもしたりする。フォロワーが750万人いる。例えば、 ミレニアルズの代表、現在25歳のジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)はかわいい顔だけど、メイクする感じではなかったし、どちらかと言えば全身タトゥーを入れて、途中からは男っぽさをがんがんアピールしていたよね。

メイ:ジェネレーションZは、自分のセクシャリティーは自分で選ぶ、みたいなスタンスだから、そういうジェンダーを越えることが自然にできる世代なのかも。自分が気に入れば、他人の意見は大事じゃない、という、その自信はうらやましい限り。

スティービー:ミレニアルズやその上の世代のように、セクシャリティーがパッと見て分からないのも、Z世代の特徴。

メイ:確かに、最近初めて聞くようなパンセクシュアルとか、カテゴリーもたくさんあるから、分からないじゃ済まされないし。セクシャリティーとジェンダーをミックスしたら、怒られるし。ちょっと前まで普通に使われていた言葉が差別用語になっていたり!

スティービー:この分野に関しては、常にアップデートが求められるよね。ところで、2年に1度行われる高校生の健康を対象にしたアンケート調査、YOUTH RISK BEHAVIOR SURVEYの17年度の報告によると、全体の23.6%の約4人に1人は、自分のことを「ゲイまたはレズビアン(3.1%)、バイセクシャル(7.6%)、分からない(3.8%)、どれにも当てはまらない(9.1%)」のカテゴリーに位置付けているらしい。

メイ:今どきの高校生というか、ジェネレーションZが、セクシャリティーについてのボキャブラリーをよく理解していて、ストレート以外のチョイスがあることを小さな頃から知っている、という証し。

スティービー:考えてみたら、この世代が生まれた頃にはすでにiPhoneがあって、上の世代がものすごく努力して手に入れた黒人大統領や同性愛結婚が現実になっていたわけだから、感覚が違って当たり前かも。

メイ:ウィスパー(WHISPER)みたいに、アカウントを作らなくても完全匿名でつぶやけるアプリが普通な時代の子どもたちだからね。

スティービー:この世代がこれからのトレンドをつくっていくわけだから、彼らの思考や行動から目は離せない。

メイ:またいろいろリポートしてね!

メイ/クリエイティブディレクター:ファッションやビューティの広告キャンペーンやブランドコンサルティングを手掛ける。トップクリエイティブエージェンシーで経験を積んだ後、独立。自分のエージェンシーを経営する。仕事で海外、特にアジアに頻繁に足を運ぶ。オフィスから徒歩3分、トライベッカのロフトに暮らす

スティービー/ファッションエディター:アメリカを代表する某ファッション誌の有名編集長のもとでキャリアをスタート。ファッションおよびビューティエディトリアルのディレクションを行うほか、広告キャンペーンにも積極的に参加。10年前にチェルシーを引き上げ、現在はブルックリンのフォートグリーン在住

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。連載Vol.21 ファーストリテイリング「ユニクロ」の流儀

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探った。今回は「ユニクロ」を擁するファーストリテイリングの新田幸弘グループ執行役員に、取り組みのスタンスや同社ならではの考え方などを聞いた。

「ビジネスとしてサステナビリティを取り込んでいくこと」

―10月の決算発表時に、柳井正社長が「サステナブルであることはすべてに優先する」と「サステナビリティ宣言」を行った。この発言に至った背景とは?

新田幸弘グループ執行役員(以下、新田):もともと当社はCSR(企業の社会的責任)としてコミュニティー支援やサプライチェーンの人権問題など「人」の部分を中心に取り組んできた。グレタ・トゥーンベリ(Greta Thunberg)さんの行動でも注目されているが、ここにきて「気候変動」や「循環型社会」などサステナビリティに対する社会からの要望や意識が高まってきた。そこで部の名称も2年前からCSR部からサステナビリティ部に変更した。大切なのは、単に環境対応や社会貢献をするのではなく、「ビジネスとしてサステナビリティを取り込んでいくこと」であり「サステナビリティをビジネスの中核に位置付けていくこと」。地球環境や社会、人が、健全で平和でサステナブルにならないと自分たちのビジネスの将来もない。そういう考えがあの発言につながったと思う。

―サステナビリティで先を行くヨーロッパを含めて、グローバル展開の加速が取り組みを後押ししている?

新田:そうだ。最近、柳井が言っていたのは、「グローバル企業として多国籍で展開することで、チャンスもチャレンジもある。社会の期待も大きくなる中で、気候変動や循環型社会、地域貢献や難民など、いろいろな問題がよりクリアになってきた」ということ。

確かに欧米で先進的な議論や取り組みが行われているが、「環境問題や人権問題など、大きな問題はアジアで起こっている。われわれはアジアを代表する企業としてチャレンジし、解決に貢献していこう」と社内で議論をしている。

「一番のステークホルダーはお客さま」

―ESG投資が盛んになり、情報開示を求められたり、いろいろなインデックスやスコアなどで企業が評価されるようになってきている。その実感や対応策は?

新田:2年ぐらい前から投資家のESGに対する関心が高まってきた。IR担当者などが投資家の方々と直に接する中で、「環境対応や社会・人権対応をどう考えているのか」と聞かれることも増えた。遅ればせながらわが社も、情報開示と取り組みの両面を充実させてきた。

世界的な業界団体であるサステイナブル・アパレル連合の「HIGG Index(ヒグ・インデックス)」という環境サステナビリティに関する評価ツールを活用したり、サステナビリティに関する国際的ガイドライン「GRIスタンダード」対照表などを活用したりもしている。

投資家の方々からの資金調達などファイナンス的な側面もあるが、われわれの場合、一番のステークホルダーはお客さまだ。とくに若い人を中心に、商品の製造過程や原材料、ビジネス自体がどうサステナブルなのかや、気候変動対応や廃棄物、プラスチック問題などにも関心が高い方が増えている。きちんと向き合い、売り上げを立てていかないと市場が創出できない。お客さまの期待、社会の期待に応えられるようなことをどんどんやっていきたい。

―取り組むべきサステナビリティ活動について、以前は6つの重点領域( 1. 商品と販売を通じた新たな価値創造、2. サプライチェーンの人権・労働環境の尊重、3. 環境への配慮、4. コミュニティーとの共存・共栄、5. 従業員の幸せ、6. 正しい経営)を設定していたが?

新田:「ピープル」「プラネット」「コミュニティー」の3つに再編した。プラネットでは、気候変動に向けた取り組みや目標をしっかりと決めないといけない。サプライチェーンと原料の部分でどれだけCO2を削減するか。これは自分たちだけで決めるのではなく、お客さまや社会の支持が必要だ。最終的な商品やサービスの完成度にもよるが、売れないと意味がない。制約要因になることは事実だが、お客さまや社会の状況を見ながら、品質やプライスはお客さまの期待に沿いながら、よりよい商品やサービスを提供することによって会社として目標が達成でき、お客さまも参加できるというビジネスモデルにしていきたい。

―気候変動に関しては、目標や期限の設定も求められている。

新田:2015年に国連気候変動枠組条約として「パリ協定」が策定されたが、私たちも今年2月、その目標「世界的な平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2度未満(可能な限り1.5度未満)に抑えること」に基づき、温室効果ガス排出量削減目標SBT(Science-Based Targets)を2年以内に策定することにして 計画を精緻化しようとしている。

スコープ1、スコープ2といわれるオフィスや店舗など、直接的にオペレーションするところの省エネルギー化は着々と推進している。中国・深センの店舗を皮切りに再生可能エネルギーを利用する店舗の開発も進んでいる。

ただ、アパレルの場合、スコープ3の原材料工場や物流などのサプライチェーンの部分で温室効果ガスの排出が多い。野心的なストラテジーが必要になるが、実態調査を進め、グローバル企業としてふさわしく社会に貢献できるような計画をまとめようとしている。再生エネルギーの導入や、バージン素材よりも地球環境負荷やCO2排出量が少ないリサイクル素材による循環型の商品開発などにも取り組んでいく。

―ケリングが主導して今年8月にスタートした「ファッション協定」に署名しなかったのはなぜ?

新田:気候変動と海洋汚染、生物多様性は全部つながってきており、ケリングとも話して同じ方向性であることは確認している。だが、パリ協定のSBTにコミットしているが目標を出す前で、できることとできないことがあるので、現時点では参加しない。将来参加するのか、自分たちで独自のものを打ち出すのかは分からない。ただし、われわれはやるとコミットメントしたものについては最後までやりきる。最初は慎重に、確信が持てればインパクトのある形で、お客さまや社会を巻き込み、賛同をいただきながら進めていくのがわれわれのやり方だ。

―リサイクルやバイオマスといった素材や新しい製法など、テクノロジーの力でサステナブルな商品開発が進んでいる。

新田:テクノロジーでいえば、「ユニクロ」からスタートした水使用料を平均で90%、最大99%削減するウオーターカットデニムが商品化されている。「GU」を含め、将来的には全ブランランドの全商品に広げる。来年からは、戦略的パートナーである東レと組んだリサイクルペットボトル由来のドライEX商品や、古着を回収したウルトラライトダウンによるリサイクル商材も発売する。さまざまな方面からリサイクルテクノロジーの提案はある。その中で、リサイクルするだけでなく、CO2を吸収したり蓄積したりするような技術もある。理論的にCO2排出をゼロ、さらにはマイナスにするものもあるので、そういったことも今後は検討しなければならないと思う。「こんな技術の商品を出します!」と発表して終わり、とか、ほんの少量だけ販売するような打ち上げ花火的な打ち出し方でお客さまや社会の期待を裏切るのはよくない。「3~5年以内に量産化して、このアイテムは全量を切り替えます!」など、大きな効果やインパクトがあるものを開発したい。商品についても、慎重に、でも、決まったら大胆に展開したい。

―3D-CADを使ったデジタルデザインによるサンプルの削減や、AIによる需要予測の精度向上による過剰生産の抑制など、ものの作り方改革については?

新田:それは僕が答えるよりも有明プロジェクトの責任者のほうがいいかも。ちなみに、誤解されやすいがわれわれはファストファッションではない。長く着ていただける商品を提供しているし、商品も売り切っていくので廃棄はない。今後さらにAIなどで需要予測し、お客さまが本当に求める商品が店舗やECサイトにいつでもある状況にする。それが売り上げにもつながるし、値引きもなくなり粗利益率もとれる。何よりもお客さまの満足につながる。小売業の宿命だが、当たり前のことを当たり前にやることが重要だ。

―スタートアップ企業への投資などは?

新田:今はないが考えていきたい。H&Mなどはすでにされている。うちにも持ち込み案件はものすごく多い。素材関係や、気候変動に対応した技術や機械化投資、新設工場への投資など、いろいろある。そこで競争優位性が出てくる可能性があるので、戦略的パートナーの東レを中心としながら、個別案件も検討していきたい。世界中の新しい技術を持っている企業や起業家を支援しながら、自分たちの商品やサービスに取り組んでいく方向性はありだと思う。

―サステナビリティは教育や啓発活動も重要だ。FRでは小・中学校などで社員が授業や講演を行う活動を推進している。

新田:店舗スタッフを含めた当社の従業員が、年間400校ぐらいで難民問題の教育と子ども服の回収を行っている。一緒に活動するユネスコ・スクールもいろいろな問題を扱いたいというので、地球環境問題なども含めてテーマも広げていければと思う。従業員の理解や意識を高めることが、会社や仕事へのコミットメントや働く誇りになり、いい会社につながると思う。この活動をグローバルで実施していきたい。サステナビリティは日本だけでなく、グローバルの全ブランド・全エリア・地域で全員経営で取り組んでいく。

外部団体との連携による環境活動の推進

サステナブル・アパレル連合(SAC)
加盟時期:2014年9月
ミッション:アパレルやフットウエア、テキスタイル業界の主要企業が、環境・社会的課題に共同で取り組む団体。アパレルやフットウエア、テキスタイル業界のサプライチェーンにおける環境負荷を低減し、生産活動に関わる人々やコミュニティの発展に貢献する。
組織の主な活動内容:サプライチェーンの環境負荷・社会的影響を測定する業界共通ツール(HIGGインデックス)を開発・普及させること。

テキスタイル・エクスチェンジ
加盟時期:2017年8月
ミッション:繊維業界のバリューチェーンにおいて、持続可能性を推進する世界的な非営利団体。世界の繊維産業による負荷を最小限に抑え、良い影響を最大化することで、環境の保護・回復および人々の生活の向上に取り組む。
組織の主な活動内容:学習機会、ツール、基準、データなどの提供や、一企業では解決が難しい業界全体の課題に取り組むためのコミュニティの構築により、持続可能な繊維および素材分野におけるリーダーを育成すること。

ベター・コットン・イニシアティブ(BCI)
加盟時期:2018年1月
ミッション:世界中の綿花生産者、綿花が育つ環境、綿花産業の未来のために、綿花生産をより良くする。
組織の主な活動内容:農地から店舗まで、セクターを超えて人々と組織をつなぎ、環境、農業コミュニティ、綿花生産地域の経済面で、測定可能かつ継続的な改善を促進すること。

危険化学物質排出ゼロ(ZDHC)グループ
加盟時期:2019年3月
ミッション:テキスタイル、レザー、フットウエアのバリューチェーンにおける危険化学物質の排出ゼロに向けて取り組む。
組織の主な活動内容:制限物質の特定や準拠、排水検査、監査、調査、情報公開、トレーニングなどにおいて、業界共通の基準や手法の開発・普及を促進すること。

マイクロファイバーコンソーシアム
加盟時期:2019年9月
ミッション:テキスタイルの製造と製品ライフサイクルからマイクロファイバーの環境への放出を最小限に抑えるため、テキスタイル産業向けの実用的なソリューションの開発を促進する、業界横断型の会員制非営利団体。
組織の主な活動内容:「テキスタイルから環境へのマイクロファイバーの放出が適正に管理されている未来」をビジョンに掲げ、学術的研究結果の生産プロセスでの実践を支援し、生態系を守るための具体的なソリューションをブランド、小売、サプライヤーに提供すること。

クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)
加盟時期:2019年10月
ミッション:地球環境の新たな課題である海洋プラスチックごみの問題解決に向けて、プラスチック製品の持続可能な使用や代替素材の開発・導入を推進し、官民連携を通してイノベーションを加速させる。
組織の主な活動内容:プラスチックごみの問題解決に向けて、以下を推進する。①素材の提供側と利用側企業の技術・ビジネスマッチングや先行事例の情報発信を通じた情報の共有、②研究機関との交流やセミナーによる最新技術動向の把握、③国際機関、海外研究機関との連携や発展途上国への情報発信などの国際連携、④プラスチック製品の有効利用に関わる企業間連携の促進について検討。


ステークホルダーとの連携

バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定(通称:アコード)
加盟時期:2013年8月
ミッション:アコードは、バングラデシュの縫製工場の安全性確保のために複数のブランド、労働組合が創設した協定で、法的拘束力がある。防火・安全対策により、工場従業員が火事や建物の倒壊などの事故に巻き込まれないこと、安全な労働環境を実現することを目的としている。
組織の主な活動内容:縫製工場の防火・電気保安・建物安全性検査の実施、職業安全衛生委員会など工場の管理体制強化支援を行う。工場従業員が安全性の問題を通報できるホットラインの運営や、工場従業員に対する防火・建物安全のトレーニングも実施している。

サステナブル・アパレル連合(SAC)
加盟時期:2014年9月
ミッション:アパレルやフットウエア、テキスタイル業界の主要企業が地球環境や社会的課題に共同で取り組む連合。アパレルやフットウエア、テキスタイル業界のサプライチェーンにおける環境負荷を低減し、生産活動に関わる人々やコミュニティの発展に貢献することを目的としている。
組織の主な活動内容:サプライチェーンの環境負荷・社会的影響を測定する業界共通ツール(HIGGインデックス)を開発・普及させる。

公正労働協会(FLA)
加盟時期:2015年7月
ミッション:企業、市民団体、大学などの協働により、労働者の権利を保護し、労働環境を国際標準に適合するよう改善することを目的としている。
組織の主な活動内容:加盟ブランドおよび工場に対し、サプライチェーン全体にわたりFLAの労働環境基準を導入するための支援を行う。加盟ブランドおよび工場の労働環境モニタリングを評価し、改善のための指摘を行う。また、労働環境の課題解決に向け、加盟ブランドや工場と市民団体など、さまざまなステークホルダーとの連携を促進する。

ベターワーク
加盟時期:2015年12月
ミッション:国際労働機関(ILO)と世界銀行グループの国際金融公社(IFC)の共同プログラムで、政府、グローバルブランド、工場経営者、労働組合や工場従業員など、さまざまな企業や団体、人々と協働し、アパレル、フットウエア業界のサプライチェーンの安定性や競争力を高め、工場労働者の権利向上や労働環境の改善を実現する。
組織の主な活動内容:加盟工場に独自の監査、トレーニングや改善提案を行い、労働環境管理の方針や体制の強化を促進する。また、各国における現地活動で得た知見を活用し、各国政府に対する政策策定や計画立案なども支援する。

国連女性機関(UN Women)
加盟時期:2019年5月
ミッション:ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための機関で、2010年7月の国連総会決議により、世界全域で女性と女児のニーズに応じた変化をさらに加速させるために、関連する4つの国連機関を統合して創設された。
組織の主な活動内容:国連加盟国がジェンダー平等の達成をめざし、国際基準を策定する支援を行う。また、こうした基準を履行し、世界中の女性と女児が真に恩恵を受けるための法律、政策、プログラム、サービスなどの企画立案を政府や市民社会と協力して行う。持続可能な開発目標のビジョンを女性と女児にとって現実のものとするために世界全域で活動し、「女性のリーダーシップの向上と参画の増加」「女性に対する暴力の撤廃」「平和と安全保障のあらゆる局面における女性の関与」「女性の経済的エンパワーメントの推進」「国家の開発計画と予算におけるジェンダー平等の反映」の5つの活動領域に優先的な取り組みを行って、あらゆる分野における女性の平等な参画を支援する。

国際労働機関(ILO)
加盟時期:2019年9月
ミッション:国際労働機関(ILO)は、幅広い労働の問題に取り組む国際連合の専門機関。
組織の主な活動内容:仕事の創出、社会的保護の拡充、社会対話の推進、仕事における権利の保障の4つの主要戦略目標に基づき、ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する。

松下久美:ファッション週刊紙「WWDジャパン」のデスク、シニアエディター、「日本繊維新聞」の小売り・流通記者として、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)

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小島健輔リポート SPAはアパレル流通を効率化したか

 ファッションビジネスのコンサルタントとして業界をリードする小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。今回は改めてSPA(製造小売り)というビジネスモデルの本質に迫る。

 SPAがアパレル流通の主流となって久しいが、かつて期待されたほど効率的な流通とはならなかった。SPA化が進むほど過剰供給となって消化率が低下し、今や衣料品の最終消化率は半分にも満たない。SPAがアパレル流通を効率化できなかった理由を知れば突破口も見えてくるのではないか。

需給バランスは大きく崩れた

 アパレル業界が売れ残り在庫に苦しむ要因は過剰供給と需給ギャップで、適時・適品・適量の需給調整機能がアパレル流通から失われたことが大きい。その根源は1990年代以降に急進した垂直分業から水平分業への転換だったと思われる。

 垂直分業とは卸流通、水平分業とはSPA流通を指す。卸流通が大勢だった頃はシーズンに先立つ展示会やサンプル営業の受注次第で生産が調整される需給調整機能が働いていた。しかしシーズンの何カ月も前に発注して一括買い取りするSPA流通では需給調整が効かず、売れるものは売れ、売れないものは残り、売れるものさえ多数の業者が類似品を投入して過剰供給になれば残品の山を築くことになる。

 衣料品の需給ギャップは生産のリードタイムとロットに比例して大きくなるが、SPA化と両輪で進行した低価格化は生産ロットの膨張と生産地の遠隔化によるリードタイムの長期化をもたらし、最終消化率の低下を加速させた。低価格化要求は販売力を超えた生産ロットを常態化させ、購入数量は28年間で18%しか伸びなかったのに業界の供給数量は同期間に2.42倍に激増したから、過半が売れ残るのは必然だった。SPA流通がいかに需給を無視した一方通行であったか、結果が証明している。

 SPA流通が大量の売れ残り在庫をもたらした元凶であることの証拠が二つある。一つはW/R比率、一つは大手SPA事業者の在庫回転だ。

W/R比率の低下とともに最終消化率も低下

 流通の効率を図る指標に「W/R比率」というのがある。Wとはホールセール(B2B)売り上げ、Rとはリテール(B2C)売り上げを言い、業界のホールセール売上総額をリテール売上総額で割った係数が小さいほど中間流通が少ない効率的な流通とされる。

 90年の織物・衣服・身の回り品流通のW/R比率は2.54と、中間流通が小売りの2.5倍もあった。これが2000年には1.84に圧縮され、18年には0.65と1.00を大きく割り込んでいる。OEM/ODM(相手先ブランドの生産/相手先ブランドの企画・生産)の一般化で「誰でもSPA時代」となってSPA化が加速度的に進み、1.00を割り込むという中間流通外しが実現したが、かえって需給ギャップが拡大してアパレルの流通効率は悪化してしまった。それは「W/R比率」と「最終消化率」が相関して下がっていることで実感されよう。

 中間流通外しはリスクもチャンスもSPA事業者に集中させただけで、それらの垂直的分散による需給調整のメカニズムが失われ、かえって流通は非効率化してしまった。それは後述する大手SPA事業者の在庫回転にも表れている。

 SPA化の急進によるW/R比率の低下は08年までで、リーマンショック以降は衣料品に対する価格感覚が一段と落ち、SPA商品に比べて高価な卸流通ブランドの消費がさらに萎縮してW/R比率の低下が加速した。大多数の消費者にとって衣料品は生活のためのコモディティと化し、「お洒落」に余分なお金をかける消費者は少数派となる一方、一部のファンやマニアがブランド消費を支えるという偏った二極化が進行している。

大手SPAの在庫回転は極端に低い

 大成功している大手SPA事業者の在庫回転にしても、決算書から表面的に見える数値と実態はかけ離れている。決算書の在庫は原価計上されているから、在庫回転は期初/期末在庫の平均を原価率で除して売価還元し、期間売り上げを割って算出する。国内ユニクロの18年8月期決算では在庫計上基準の変更もあって在庫回転が前期の5.01回から3.10回に急落したが、19年8月期は期末在庫を圧縮しても同様の計算では期初在庫が響いて2.43回転まで落ちる。

 18年8月期の商品回転の急落は商社に管理させていた国内倉庫在庫を自社計上に改めた結果で、これが実態に近い。生産地の倉庫に積み上げたシーズン前の製品在庫はいまだ商社の管理下にあるから、それまで加えれば2回転に限りなく近いのではないか。

 「無印良品」の良品計画も似たようなもので、19年2月期の商品回転が単体では4.95回なのに連結では2.44回に落ちるのは、ソーシング(調達)を担う連結子会社が補給在庫を倉庫に積み上げているからで、生産商社やベンダーが抱えているシーズン前の製品在庫や仕掛り在庫まで加えれば、やはり2回転に近いのではないか。

 SPAという以上は工場から製品が出荷された段階から自社在庫に計上すべきだが、商社やソーシング子会社が流通段階の製品在庫を問屋のように抱えているのが実態で、良品計画の一部カテゴリーについてはVMI※1が活用されていると推察される。

 コレクション受注の卸流通に依存するラグジュアリーブランドの在庫回転も衣料品では2回転に届かないが(独資現地法人もコレクション発注する直営販社に過ぎない)、自社工場生産か外注工場の工賃払い調達で商社の介在は例外的だから、大手SPA事業者の在庫回転と大差はない。大規模SPAの流通効率に優位性を見いだすのは難しいのが現実だ。

※1.VMI(Vendor Managed Inventory)…あらかじめ定めた棚割に基づいて納入業者に補給と在庫管理を委託すること

SPAの組織的限界をどう突破するか

 大規模SPAの流通効率が低いのには他にも理由がある。多店舗展開による在庫の分散と個店対応のDB(ディストリビューション※2)がマス・デメリットとなって、調達のマス・メリットを食い潰してしまうからだ。

 多店舗化とともに調達規模が大きくなってマス・メリットは増大するが、多店舗の需給ギャップによるロスも肥大し、それを回避せんとすれば物流コストも配分・補給のDB組織も肥大し、中央集権のCMI※3に偏って店舗現場から乖離していく。DB組織の負担を軽減し配分・補給を最適化せんとするPOSやアルゴリズムAIも本部依存を加速し、店舗現場の活力とスキルを削いで業績を悪化させることも少なくない。

 POSやAIに依存するほどDBは単品(SKU)軸の個別最適に流れ、個別店舗の品ぞろえバランスを崩して好調店と不調店の格差が開いていく。それを補正するDBスキルを駆使しても単品個別最適のスタンスは出られず、個別店舗の品ぞろえ最適化は限界がある。

 この難題を根本的に解決するのが少数のDC※4で全国をカバーできるECだが、出店モール別に在庫を割り振って一元運用をなし崩しにしてはメリットが薄れてしまう。EC向けに在庫を振り分ければ店舗在庫も薄くなるから、店舗販売の足も引っ張ってしまう。

 「ザラ(ZARA)」が決断したように、EC向けのDC在庫は持たず、オムニなエリアマーケティングに基づいて店舗在庫を厚くし、EC注文品を店舗で受け渡したり、店舗から近距離出荷するC&C(クリック&コレクト)※5が、在庫効率でもコストでも顧客利便でも最善の解だと思われる。

 ローカル化どころかテロワール※6化が進むわが国のファッションマーケットではエリアマーケティングが要で(欧米でもエスニックマーケティングが要だが)、エリアの需要に店舗とECが一体となって応える必要がある。その拠点が店舗だとすれば、多店舗運営のDBは根本から変える必要がある。オムニなエリアマーケティングに基づくC&Cとテザリング※7に店舗軸の品ぞろえと運用スキルが加われば、SPAの効率のハードルも少しは低くなるかもしれない。その突破口は「ザラ」のようなSMI※8、あるいはウォルマートのようなVMIとSMIの組み合わせなのではないか。

※2.ディストリビューション…一般には「物流」を意味するが、多店舗運営では各店舗への適正な配分・補給・在庫コントロールのインベントリー業務をいう

※3.CMI(Central Managed Inventory)…小売業者の本部が品ぞろえと補給、在庫管理を行うこと

※4.DC(Distribution Center)…商品を棚入れして保管し、受注に即してピッキング・仕分けして出荷する倉庫。棚入れしないで振り分けて出荷するだけの倉庫はTC(Transfer Center)として区別する

※5.クリック&コレクト(CLICK&COLLECT、C&C)…ECで注文したり取り置いた商品を店舗や受け渡し所など都合のよい場所で受け取ったり試したりする提供方法。自社ECでは店舗から近距離出荷することも含む

※6.テロワール…ワインやコーヒーの世界で畑ごとに土壌も地形も気候も違う農地の特性をいう

※7.テザリング・・・母店や地域デポから周辺の衛星店舗に補給するローカルサプライ

※8. SMI(Store Managed Inventory)…各店の仕入れ、または本部の品ぞろえを店舗が選択して数量を決めること

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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元E-girlsの藤井萩花が「ロールモデル」を始動 ジュエリーに込めた思いを語る

 元ダンス&ボーカルグループE-girlsのメンバーであった藤井萩花は12月5日、自己資金で立ち上げた自身のブランド「ロールモデル(ROLE MODEL)」の発表イベントを東京・表参道で開催した。

 藤井がプロデュースする10金やシルバーを使用したリングやピアス、ネックレスなどのジュエリーは価格が2万~5万円程度で、来年春から販売をスタートさせる。いずれもユニセックスで着用できるシンプルなデザイン。ボックスはフック付きで、ジュエリーをディスプレーできるようになっている。キャンペーンビジュアルにモデルとしても登場している藤井に話を聞いた。

WWD:ジュエリーブランドを立ち上げたきっかけは?

藤井萩花(以下、藤井):ジュエリーを作りたかったわけではなく、ゼロからモノ作りをしたいと思った。毎日身に着けるものは何かと考えたら、ジュエリーだった。私は、ピアスやリングなど外さず、ずっと着けているタイプ。“自分らしさ”からインスピレーションを受けてシンプルで、毎日着けられるジュエリーをデザインした。キャンペーンビジュアルの撮影も、ありのままの自分を表現したつもりだ。

WWD:最初のコレクションのテーマは?

藤井:自分や今までの経験、思ったことを見つめ、商品につなげたいと思った。ジュエリーを通して何かを感じてもらいたい。

WWD:「ロールモデル」というブランド名にした理由は?

藤井:“ロールモデル”とはその人の役割だったり意味を表すもので、映画やビデオのあこがれの登場人物や影響を受けた人やキャラクターだったりする。私自身、そういう存在になりたいという思いもあるからだ。

WWD:ターゲットは?

藤井:20~50代の幅広い女性や男性にも着けてもらいたい。

WWD:どのようにデザインしたか?

藤井:“アイビー”ピアスとリングは、どこにでもある“しがらみ”や“しばり”を立体的に表現している。環境が変わって複雑な気持ちになったりするような、自分が感じたことを表現したつもりだ。単に、かわいく、かっこよくという理由でデザインしたわけではなく、ジュエリーを通して何かを感じ取ってもらいたいという気持ちを込めている。

WWD:“スポットライト”というリングに込めた思いは?

藤井:細くてシンプルなリングで毎日着けられるデザイン。私は、ステージでのパフォーマンスなど特別な経験をさせてもらった。でも他の世界も同じで、人それぞれに役割があって、日々輝いてほしいという思いを込めた。それぞれのステージでやりたい事をやるといった自分の意思も表している。

WWD:“ドギー”チェーンは?

藤井:犬のチェーンがモチーフで、それぞれの感性に合わせて着けられる。女性に強く生きてほしいと思うし、自分もそうありたい。自分が主導権を握って行動する、そんな強い女性像を思い描いた。

WWD:今後どのようにブランドを発展させたい?

藤井:毎回テーマを設けて、ジュエリーにこだわらず、ジャンルを問わず表現できたらと思う。周囲に支えられ、クリエイションを楽しみながら、手に取る人に感じてもらえるモノ作りをしていきたいと思う。

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ZOZOが再びの中国進出 その勝算は?

 ZOZOは12月10日、中国版「ゾゾタウン」である「ZOZO」のサービス提供を開始した。現在、「ゾゾタウン」の中から177ショップが出店、今後も随時出店者を増やしていく。“ファッションメディアEC”をコンセプトに、商品の販売に限らず、コーディネート情報や日本のファッション文化の発信を行うという。

 配送は日本の物流拠点「ZOZOBASE」から行う。そのほか通関や一連のフルフィルメント業務、メディアの編集や翻訳、カスタマーサポートなどの業務は中国に設立した法人「上海走走信息科技」が行う。

 ZOZOは2011年10月にも中国へ進出するも、13年1月にサイトをクローズしており、一度失敗している。その中で今回の進出はどこに勝算を感じているのか、また、日本からの配送に伴う送料や返品・返金対応などはどのように行うのか。ZOZOの担当者に聞いた。

WWD:中国版の「ZOZO」はウェブサイトとアプリでのサービス提供か、それともいずれかのみなのか。

ZOZO担当者(以下、担当者):現在提供しているサービスは、アプリでのサービス提供のみとなります。中国の「ZOZO」アプリでは、当社が運営するファッションコーディネートアプリ「WEAR」の機能を活かし、「WEAR」上に蓄積されたユーザーによる等身大のコーディネート投稿や、トレンドショップニュース、着こなしのコツなどのファッション情報を発信する"ファッションメディアEC"というコンセプトで展開しています。ひとつのアプリ内で、コーデ情報を見ることができ、かつ商品も購入できるアプリというイメージです。日本のファッション文化やファッションの楽しみ方を紹介しながら、商品の購入ならびに日中のファッション交流のプラットフォームを目指します。ただし現状、コーディネート投稿の機能は中国の「ZOZO」にはありません。

WWD:中国の「ZOZO」の価格は、どのように決めている?

担当者: こちらについては非公開としています。

WWD:日本の「ゾゾタウン」では、購入者は送料を200円支払う形となっている。日本国内の「ZOZOBASE」からの配送ということは、購入者の送料負担の額は大きくなるのか?

担当者:送料について、中国の購入者が負担する送料はありません。また、出店ブランドさま側としても、越境発送のための業務は、すべて当社が請け負うため、発送コストや業務が追加で生じることはありません。

WWD:返品・返金対応についてはどのような手はずになっているのか。

担当者:返品・返金の手はずについては、購入頂いた商品を現地法人に返送して頂き、商品の状態を確認後、返金する流れとなっております。

WWD:いずれ中国の現地にも物流拠点を置くつもりか。

担当者:サービスの成長に合わせて検討してまいります。

WWD:ZOZOは2011年に中国に進出し、一度撤退している。前回と今回の進出では何が違うと考えているのか。

担当者:初めて進出した当時は、ファション消費が今ほど大きくなく、日本から進出するブランドも多くありませんでした。それから約7年を経て、現在の中国市場はファッション消費額が高くなったほか、日本からの進出ブランドも増えています。また、EC化率も日本を超え、ファッション消費額についても6年前の約4倍になるなどの変化が見られます。こうした市場に再度進出し、ZOZOの強みである良質な商品やコンテンツを、中国ファッションや消費行動を理解した現地メンバーが提供する事で、中国ユーザーが日中の垣根なくファッションを楽しめるサービスを目指していきたいと考えています。

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読者が注目した今週の新作 「スニーカーズアンスタッフ」の“エア ジョーダン”など(12月13〜19日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「スニーカー部門」「ファッション部門」「ビューティ部門」別にまとめてお届け。「スニーカー部門」では読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週は「スニーカーズアンスタッフ(SNEAKERSNSTUFF)」の日本初出店を記念した“エア ジョーダン(AIR JORDAN)”が最も注目された。

【スニーカー部門】

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


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スカッと&モヤっとな2つの新サービス エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年8月2日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

スカッと&モヤっとな2つの新サービス

 スポティファイ(SPOTIFY)とイープラスの提携、昨日試しましたが、めちゃくちゃ便利です。スポティファイで音楽を聞いているとアーティスト情報ページにライブ情報が現れ、シームレスに、音楽はそのままでチケットが買えちゃいます。好きなアーティストの音楽を聞いているとライブ情報が届いて、そのチケットが手に入ると分かったら……。BLACKPINKとかポチってしまいそうで恐ろしいです(笑)。

 このサービスを体感した時、ファボとリツイートのスゴさゆえ僕のタイムラインにも現れる、新興IT系エグゼクティブが発しそうなコメントを思い出しました。「ビジネスチャンスは、既存のサービスを利用しない消費者に、どうしたら利用してもらえるか考えると成功する」的な発言です。一昨日もクラシコムの青木耕平代表が「僕が新しいプラットフォームを使おうとする時、一貫しているスタンスは、今そのプラットフォームで受けるやり方は何かを考えるのではなく、そこをあまり使っていない人はなぜ使わないのかを考えてその人たちに支持される、僕らきっかけで使ってくれるようになるにはどうしたら良いかを考えている」とツイート。IT系エグゼクティブって「革新的」というイメージが先行しますが、「何を、どうしたら、既存のサービスに満足できないユーザーを満足させられるか?」と、さすが現実的に物事を考えているワケです。

 その意味で、スポティファイとイープラスの提携は、ビジネスマンがツイッター上で賞賛しそうな、スカッとするサービスですね。僕自身、今まで音楽はアップル(APPLE)かアマゾン(AMAZON)のサブスクがメイン。正直スポティファイに優位性を感じる機会は少なかったのですが、これにより確固たるメリットが誕生しました。既存のスポティファイには満足していなかったけれど、提携により新たなサービスを付したことがきっかけで、スポティファイを使うようになっちゃうかもしれません。少ない投資で、盤石、ヘビーユーザーでなくても使い方くらいは分かっている既存のサービスに導き、新たなファンを獲得したり既存顧客のロイヤルティーを高めたりする好例と感じました。

 一方、こちらも同じく昨日試しましたが、三陽商会の新ブランド「キャスト:(CAST:)」。どうでしょうか?ツイッターを見る限り、否定的、ないしは共感しづらそうなコメントが目立ちますが、それらはいずれも的を得ている気がします。実際30分間、スマホで映画を見ながら画面下部のECへの動線をタップしたりしてみましたが、映画の登場人物の衣装を買うという行為が未知なせいか、スポティファイのような気分の高揚は経験できませんでした。

 映画はなかなか本格的だし、ECに至るまでのシステムも「操作の手軽さ」「機能の豊富さ」という本来の意味のユーザビリティーにおいては悪くありません。でも映画とECを同時に楽しみたいと思ったことがないし、ゆえに未知・未体験なサービスに興味を抱くほど超・革新的なワケでもない。実際、本当に商品を買うときは映画から離れてしまうことも手伝い、なんだかモヤっとするんです。映画という作品、ユーザビリティーの高いシステムなど開発費は莫大だったハズですが、そもそもサービス自体がユーザーの求めるものだったのでしょうか?そして30分のムービー、今後もリアル店舗を運営しながら、リリースし続けるのでしょうか?なかなか大変そうです。

 とはいえ、新たな一歩を踏み出した勇気は素敵なこと。組織にいくばくかの風穴も開けたことでしょう。コレは愛ある批評と受け止めていただき、今後に注目したいと思います。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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スカッと&モヤっとな2つの新サービス エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年8月2日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

スカッと&モヤっとな2つの新サービス

 スポティファイ(SPOTIFY)とイープラスの提携、昨日試しましたが、めちゃくちゃ便利です。スポティファイで音楽を聞いているとアーティスト情報ページにライブ情報が現れ、シームレスに、音楽はそのままでチケットが買えちゃいます。好きなアーティストの音楽を聞いているとライブ情報が届いて、そのチケットが手に入ると分かったら……。BLACKPINKとかポチってしまいそうで恐ろしいです(笑)。

 このサービスを体感した時、ファボとリツイートのスゴさゆえ僕のタイムラインにも現れる、新興IT系エグゼクティブが発しそうなコメントを思い出しました。「ビジネスチャンスは、既存のサービスを利用しない消費者に、どうしたら利用してもらえるか考えると成功する」的な発言です。一昨日もクラシコムの青木耕平代表が「僕が新しいプラットフォームを使おうとする時、一貫しているスタンスは、今そのプラットフォームで受けるやり方は何かを考えるのではなく、そこをあまり使っていない人はなぜ使わないのかを考えてその人たちに支持される、僕らきっかけで使ってくれるようになるにはどうしたら良いかを考えている」とツイート。IT系エグゼクティブって「革新的」というイメージが先行しますが、「何を、どうしたら、既存のサービスに満足できないユーザーを満足させられるか?」と、さすが現実的に物事を考えているワケです。

 その意味で、スポティファイとイープラスの提携は、ビジネスマンがツイッター上で賞賛しそうな、スカッとするサービスですね。僕自身、今まで音楽はアップル(APPLE)かアマゾン(AMAZON)のサブスクがメイン。正直スポティファイに優位性を感じる機会は少なかったのですが、これにより確固たるメリットが誕生しました。既存のスポティファイには満足していなかったけれど、提携により新たなサービスを付したことがきっかけで、スポティファイを使うようになっちゃうかもしれません。少ない投資で、盤石、ヘビーユーザーでなくても使い方くらいは分かっている既存のサービスに導き、新たなファンを獲得したり既存顧客のロイヤルティーを高めたりする好例と感じました。

 一方、こちらも同じく昨日試しましたが、三陽商会の新ブランド「キャスト:(CAST:)」。どうでしょうか?ツイッターを見る限り、否定的、ないしは共感しづらそうなコメントが目立ちますが、それらはいずれも的を得ている気がします。実際30分間、スマホで映画を見ながら画面下部のECへの動線をタップしたりしてみましたが、映画の登場人物の衣装を買うという行為が未知なせいか、スポティファイのような気分の高揚は経験できませんでした。

 映画はなかなか本格的だし、ECに至るまでのシステムも「操作の手軽さ」「機能の豊富さ」という本来の意味のユーザビリティーにおいては悪くありません。でも映画とECを同時に楽しみたいと思ったことがないし、ゆえに未知・未体験なサービスに興味を抱くほど超・革新的なワケでもない。実際、本当に商品を買うときは映画から離れてしまうことも手伝い、なんだかモヤっとするんです。映画という作品、ユーザビリティーの高いシステムなど開発費は莫大だったハズですが、そもそもサービス自体がユーザーの求めるものだったのでしょうか?そして30分のムービー、今後もリアル店舗を運営しながら、リリースし続けるのでしょうか?なかなか大変そうです。

 とはいえ、新たな一歩を踏み出した勇気は素敵なこと。組織にいくばくかの風穴も開けたことでしょう。コレは愛ある批評と受け止めていただき、今後に注目したいと思います。

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「ラデュレ」の渋谷新店は松濤マダムを狙い撃ち!優雅なマカロン&ティータイムを毎日楽しめるサブスクを導入

 ベイクルーズグループのラデュレ ジャポンは、渋谷エリア初の直営店「ラデュレ 渋谷松濤店」を、東急グループが運営する文化複合施設「Bunkamura」内に6日オープンした。物販カウンターにサロン・ド・テ(喫茶店)を併設した店内は、ブランドを象徴するミントグリーンを基調とした、格式高い松濤の街並みにもなじむ上質な空間。松濤エリアに住むマダムも納得の限定メニューに加えて、注目は「ラデュレ(LADUREE)」のカフェでは初導入の、“マカロンを片手にティータイムを毎日楽しめる”というユニークなサブスクリプションサービスだ。

 愛らしいマカロンで知られる「ラデュレ」は、1862年創業にしたフランスの名洋菓店。ソフィア・コッポラが監督を務めた映画「マリー・アントワネット」のスイーツを手掛けたことでも知られ、少女の夢を具現化したようなファンシーな世界観の虜になる女性ファンも多い。

 オープン前日の内覧会で渡邊勝・ラデュレ ジャポン上席執行役員は、「パリ発祥の『サロン・ド・テ』は、女性が安心して情報交換できる場を作ろうという思いから生まれたもの。松濤店では原点に立ち返り、ゆったりとした空間にこだわった」と話した。店内22席に加え、テラス席24席も用意し、肌寒い季節はストーブで暖をとりながらゆったりとした時間を楽しめる。オスマニアン建築の漆喰のバラ窓に着想を得た天井には、数多くの照明が取り付けられ、ロマンティックな雰囲気を演出する。

 ラデュレ初のサブスクリプションサービスは、サロン・ド・テで紅茶(またはコーヒー)を1カ月間何度でも楽しめるチケットを1万円で、マカロン2個付きを2万円で販売する。「満40歳以上」かつ「午前10時半から12時まで」と条件は限られるが、近隣住民や一息つきたいオフィスワーカーには嬉しいサービスだろう。人気のマカロンにも新作“ミエル”が登場。アカシアのハチミツとミモザの花の香りが溶け合うリッチな味わいは、コクのある紅茶とよく合う。

 そのほか、「Bunkamura」のイメージを オペラの名作と楽譜で表現した限定マカロンボックス“オペラ”を先行発売。観劇の前後の限られた時間で楽しめるコースメニュー「シアターメニュー」(3600円と5500円の2コース)は同店ならではだ。店舗限定パティスリーとして、「ラデュレ」初となるロールケーキの“ロール・ケーク・ローズ・エ・フレーズ”(2400円)も提供する。ローズ風味のイチゴムースとイチゴの果実を、さらに柔らかなローズのジェノワーズ生地で包んだスイーツで、華やかな見た目はもちろん、口に含めば芳醇な香りと甘酸っぱいフレーバーを楽しめる。

 渋谷松濤店は、銀座・青山・京都に次ぐ4号店。ラデュレ ジャポンは、来年関西に2店舗、関東に2店舗を出店し、12店舗体制とする計画。同店をモデルケースに、華やかなフランスの世界観と地域特性を掛け合わせた店舗作りを進める考えだ。「それぞれの土地に合った内装やサービスを考えているので、楽しみにしていてほしい」(渡邊上席執行役員)。

■ラデュレ渋谷松濤店
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura3F
電話:03-3477-9044
営業時間:10:30~19:30(L.O.18:30)
定休日:不定休

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。連載Vol.20 世界初、バイオデザイン修士課程で何を学べる? 企業や政府との実践的な取り組みも

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探った。今回は9月にセント・マーチン美術大学(Central Saint Martins, UAL)でスタートしたバイオデザインの修士課程ナンシー・ディニーズ(Nancy Diniz)主任教授に聞く。

ゴールは生物学とデザイン学のハイブリッド

WWD:バイオデザイン修士課程では何を教えるのか。

ナンシー・ディニーズ(以下、ディニーズ):私たちのゴールは生物学とデザイン学のハイブリッドで、週に1回、バイオラボで生物学者と共に生物学とデザインについての実習も行う。マスターコースでバイオデザインを集中的に学べるのは世界初のこと。

WWD:学部では何を学んだ学生が多い?

ディニーズ:ファッション、テキスタイル、プロダクト、インダストリアルデザイン、建築など多分野にわたる。中でもファッションとプロダクトデザイン学生からの関心が高い。

バイオ素材はもちろん環境コンサルから生命倫理学まで

WWD:具体的に何を学ぶ?

ディニーズ:いわゆるデザイン学校で習わないスキルを教える。これまでデザインのワークフローは限られていた。私たちはどうやって新しいバイオ素材(生物資源から作られた素材)を作るか、腐敗をどう理解するかなど、ラボの規模からスケールアップすることを念頭に企業とコラボレーションしながら取り組んでいく。これからの技術であるバイオテクノロジーを実用化するためのギャップを埋めることも重要だと考える。

具体的には、1年目は学生にいろいろな方法を知ってもらい、与えられた課題に取り組む。2年目は自分が選んだ課題に取り組む。課題はフレキシブルで、例えばバイオエシックス(生命倫理学)もその一つ。新しい分野なのでニッチではあるが、これから先、法律から変わる可能性もある分野だ。多くの会社は今、サステナビリティ部門を開設しているけれど、これからは生命倫理学の部門もできるかもしれない。学生は環境コンサルティングやバイオレメディエーション(bioremediation、生物学的環境修復:微生物や菌類や植物などの酵素を用いて、有害物質で汚染された自然環境をもとの状態に戻す処理のこと)なども学ぶ。

課題に関しては、2つのインダストリーパートナーが決まっていて、1つ目は人工レザーを作る素材メーカーで、最近はバイオレザーも作っていて、バクテリアなどによる染色や表面加工に取り組む。

2つ目はモルディブ島のサステナビリティ企画。モルディブ島の環境変化に対して、モルディブ政府がサポートして5~10年計画で取り組むもので、私たちとは漁業・食品加工業による廃棄物に関するプロジェクトを始める。骨や貝、昆布やココナッツ、竹の使われない部分などを何かの素材に使えないかを考える。そのほか洪水による海岸線の変化や浸食、クリーンエネルギーや下水の処理などさまざまにある。モルディブはマサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)などともコラボしている。

また、バイオ素材だけではなく、サービスデザインや建築のシステムなどにも取り組む。例えば外壁などに埋め込むシステムなどだ。

WWD:バイオ素材の実用化が進んでいるが、バイオベース100%でないものも多い。その場合リサイクルできないものもあったりして、何を持ってサステナブルとするかの判断も難しい。

ディニーズ:今は時代が変わるとき。そして新しい素材は認定されなくてはいけない。今企業にできることは真剣に変わろうとしていることを素直に伝えること。いきなり100%生分解するなんて約束できるはずがない。ただ、その進捗状況を公開して透明であるべきだと思う。

科学に基づいた教育を

WWD:何に注力していくか。

ディニーズ:私は科学に基づいた教育に変えていきたい。これからのデザイナーには意識の高いデザインが求められる。環境にどういう影響を与えるかについて、リサーチを徹底的にすること。生産するのにいくらかかるかだけではなく、環境にどれだけのコストがかかるか、生態系にどういう影響を及ぼすのか――そういったことを考えられるデザイナーを育てていきたい。

WWD:そもそもあなたの専門は?

ディニーズ:バイオテクノロジー、バイオデザイン、バイオマテリアル。このエリアでは貢献できる。例えば廃棄物のみを使用したバイオマス繊維のプロトタイプの進め方などだ。それと計算(computational)によるデジタル製造、バイオ製造、それからシミュレーションも専門にしてきた。例えば生態系や行動の計算シミュレーション、パフォーマンスの効率化など。

過去には、音響を良よくするだけではなく、空気の改善も行う建築用アコースティックパネルを作った。菌糸体(mycelium)を培養した糊状のものを乾かして使った。菌糸体を培養して使うことは個人的にリサーチしている。

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主戦場のカスタマーセンターに投資した「グッチ」を考える ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.6「『グッチ』カスタマセンターの全貌」

読み解きポイント:会社の顔のカスタマーセンターをビジネスの表舞台に

ニュースのポイント

 「グッチ(GUCCI)」は、北米向けの新たなカスタマーサービスセンター「グッチ9 ハドソン」を設立した。「美しいものに囲まれると、人は自然と笑顔になる」との考えでデザインした内装は、ショールームのよう。オペレーターが笑顔で電話応対することで、顧客満足を最大化することを期待しての空間だ。棚には新製品やベストセラーが店舗のように陳列され、商品に触れながら、わかりやすい説明をすることも推奨されている。また、EC上の顧客の動きをリアルタイムにモニタリングする技術や、音声をテキストに変換する技術なども、積極的に採用している。

CKRはこう読む!

 「人の力を最大限に引き出すカスタマーセンター」をアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)がデザイン!新時代の幕開けです。ビジネスデザイナーとしてのセンスにも驚きです。

 カスタマーサービスは今後、あらゆる業界で、戦略的な投資領域となるのではないでしょうか?その理由は2つあります。

 1つは、「ビジネスをドライブする要」だからです。「モノからサービス売りへ」「サービス価値は、ライフタイムバリューの最大化で決まる」がトレンドの一つです。例えば、毎月課金するサブスクリプション成功のカギは何でしょう?「サービスを進化させ続け、より長くサービスを使ってもらうこと」です。顧客接点を積極的に作り、サービス改善の中心にいるのが、「カスタマーセンター」です。今後は、カスタマーサービスの特徴こそが、サービス価値を決めるのではないでしょうか。

 もう1つは、「テクノロジーによってアップデートできる領域が多い」からです。AIやロボット技術の進展により、人がやるべきことと、テクノロジーに任せることの判断を迫られる場面が増えています。マニュアルやデータ、人の知見やコミュニケーションの集積で作りあげられたカスタマーセンターは、まさに主戦場。快適な空間と最新技術を融合した「グッチ9 ハドソン」は今後、他業界からの研究対象になるかもしれません。

 ミケーレのように人間中心に設計されたカスタマーセンターには、人がワクワクする仕掛けが、ふんだんに取り入れられています。その魅力に取り憑かれる人も多いはずです。カスタマーセンターのオペレーター向けに、表現力向上を目的としたボイストレーニングも実施しており、まるで声優やナレーターを育成しているようにも感じます。カスタマーセンターは、縁の下の力持ちというより、ビジネスの表舞台そのものと言えるのではないでしょうか?

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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そうか、「グッチ」ミケーレはローマ人なのだ エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年6月4日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Edito's Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

そうか、「グッチ」ミケーレはローマ人なのだ

 先週はローマに出張し、「グッチ(GUCCI)」の2020年プレ・スプリング・コレクションを取材しました。街中に古代ローマ時代の遺跡が点在するローマという街は、車で走り回るだけで時空のひずみに飛び込むようで、非現実的な光景の連続にゾクっとします。

 ショーの前に、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)「グッチ」クリエイティブ・ディレクターの着想源をひも解くべく、いくつかの場所を訪ねたのですが、多くに “ヨーロッパ最古”や“世界最古”といった解説がつきます。そもそもショー会場となったカピトリーノ美術館は市民に公開された世界最古の美術館です。回廊からは紀元前に造られたフォロ・ロマーノ遺跡が見渡せ、その光景には思わず『テルマエ・ロマエ』……」とつぶやきます。招待状の受け渡し場所となった本屋もヨーロッパ最古の本屋で、さながら映画のセットです。

 帰国後、実家の母を訪ねてそれらの写真を見せたところ、「観光で行くと“そうかそうか”と感心するばかりだけど、あなたの仕事は過去と今を結びつけながら歴史を見るのね、おもしろいわね」と言いました。我の母ながら、的を得たり。その視点は今のラグジュアリー・ブランドの魅力であり、戦略のひとつです。

 特にここ数年、ラグジュアリー・ブランドが5~6月にプレ・スプリング・コレクション(クルーズ)のショーを世界各地で開催するようになってからその傾向は顕著です。せわしいパリコレと違い、プレ・スプリングではファッションのファンタジーの側面が重んじられ、自社ブランドの歴史と開催都市の歴史とを紐づけて世界観が作り上げられます。

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」が5月にニューヨークのジョン・F・ケネディ空港内にオープンしたTWAフライトセンターで行ったショーもまさにそう。「LV=トラベル=空港=NY=JFK」と連想ゲームはつながり、ジェット機時代到来に沸いた1960年代当時のアメリカの熱気さえショーのイメージに吹き込まれます。

 こう考えるとデザイナーの仕事も大変。服作り以外に色々なことを知っている必要があります。「グッチ」というブランドが壮大な歴史を持つローマの街と違和感なくつながって見えたのは、ディレクションするアレッサンドロ・ミケーレがローマの生まれであり、美術館を遊び場に育ち、今もローマに暮らすから、という理由は大きいでしょう。彼にとってあの街は、決して「非現実的な光景」や「映画のセット」ではなく、まぎれもない「今」なんですよね。

 今回のショーでは、人工妊娠中絶制限の合法化にノーを唱える“My Body My Choice”のスローガンを掲げましたが、カトリックの聖地であるバチカンのすぐ近くでそんな社会的メッセージを掲げることができるのもローマ人ならではとも言えます。歴史と今をつなぐファッションデザイナーの仕事の奥深さを知り、ブランドビジネスのおもしろさを改めて知った旅でした。

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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楽天初スポンサーの2020年春夏東コレランウエイを最も歩いたモデルTOP3は?

 楽天が冠スポンサーとして初めての「楽天 ファッション ウィーク東京(以下、RFWT)」が10月に開催された。モデル事務所のトゥモロートウキョウ(TOMORROW TOKYO)は、公式スケジュールで発表された全42ブランドにおけるモデルの出演数を調査した。対象は海外から招いたモデルを除いた女性モデル。今シーズンのトップはアンノウンモデルマネージメント(UNKNOWNMODELMANAGEMENT)所属のTSUKINAで、5ブランドのランウエイを歩いた。TSUKINAに続くトップ3、計15人を紹介、ブランドのルックと共に振り返る。

1位(5ブランド):

TSUKINA

アンノウンモデルマネージメント所属。身長177cm。RFWTでランウエイを歩いたブランドは「タチアナ・パルフェノワ(TATYANA PARFIONOVA)」「アジアンファッションミーツトーキョー フィリピン(ASIAN FASHION MEETS TOKYO PHILIPPINES)」「フェイス.A-J(FACE.A-J)」「メルシーボークー、(MERCIBEAUCOUP,)」「ショーヘイ(SHOHEI)」の計5ブランド。

2位(4ブランド):

AIKA

アンノウンモデルマネージメント所属。身長176cm。RFWTでランウエイを歩いたブランドは「タチアナ・パルフェノワ」「アジアンファッションミーツトーキョー フィリピン」「ウィシャラウィッシュ(WISHARAWISH)」「ショーヘイ」の計4ブランド。

AMANE

アンノウンモデルマネージメント所属。身長178cm。RFWTでランウエイを歩いたブランドは「タチアナ・パルフェノワ」「アジアンファッションミーツトーキョー フィリピン」「フェイス.A-J」「ショーヘイ」の計4ブランド。

TSUGUMI

ドンナ(DONNA)所属。身長176cm。RFWTでランウエイを歩いたブランドは「ティート トウキョウ(TIIT TOKYO)」「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」「ハレ(HARE)」「ディーベック(D-VEC)」の計4ブランド。

長田侑子

ホリデイ マネジメント(HOLIDAY)所属。身長173cm。RFWTでランウエイを歩いたブランドは「ティート トウキョウ」「アジアンファッションミーツトーキョー フィリピン」「ネグレクトアダルトペイシェンツ(NEGLECT ADULT PATIENTS)」「フェイス.A-J」の計4ブランド。

福士リナ

イプシロン(IPSILON)所属。身長176cm。RFWTでランウエイを歩いたブランドは「ヨシキモノ(YOSHIKIMONO)」「トモ コイズミ」「ユキ トリヰ インターナショナル(YUKI TORII INTERNATIONAL)」「タエ アシダ(TAE ASHIDA)」の計4ブランド。

3位(3ブランド):

浅川ありあ

メタリンク(METALINK)所属。身長175cm。RFWTでランウエイを歩いたブランドは「アジアンファッションミーツトーキョー フィリピン」「フェイス.A-J」「ディーベック」の計3ブランド。

太田莉菜

エイジアクロス(ASIA CROSS)所属。身長170cm。RFWTでランウエイを歩いたブランドは「ノントーキョー(NON TOKYO)」「ボディソング(BODYSONG.)」「バルムング(BALMUNG)」の計3ブランド。

MIKI EHARA

ドンナ所属。身長177cm。RFWTでランウエイを歩いたブランドは「ヨシキモノ」「トモ コイズミ」「タエ アシダ」の計3ブランド。

ENYA

オレンジ(ORANGE)所属。身長175cm。RFWTでランウエイを歩いたブランドは「アジアンファッションミーツトーキョー フィリピン」「フェイス.A-J」「ショーヘイ」の計3ブランド。

佳野

ビーナチュラル(BE NATURAL)所属。身長175cm。RFWTでランウエイを歩いたブランドは「アジアンファッションミーツトーキョー フィリピン」「フェイス.A-J」「タエ アシダ」の計3ブランド。

SHEN

イマージュ(IMAGE)所属。身長177cm。RFWTでランウエイを歩いたブランドは「ノントーキョー」「フェイス.A-J」「ディーベック」の計3ブランド。

橘モニカ

イマージュ所属。身長174cm。RFWTでランウエイを歩いたブランドは「ノントーキョー」「フェイス.A-J」「ジェニー ファックス(JENNY FAX)」の計3ブランド。

丹保ふぶき

イプシロン所属。身長178cm。RFWTでランウエイを歩いたブランドは「タチアナ・パルフェノワ」「フェイス.A-J」「ウィシャラウィッシュ」の計3ブランド。

矢野ディアラ

ディヴァイン(DIVINE)所属。身長173cm。RFWTでランウエイを歩いたブランドは「スリュー(SREU)」「フェイス.A-J」「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」の計3ブランド。

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多様性の時代に「みんな同じヘアメイク」は通じない!2020年春夏バックステージトレンド

 2020年春夏コレクションは、多くのデザイナーがファッションを通じて環境問題に対する問題提起を行った。アマゾンの森林火災をはじめ、16歳の環境活動家のグレタ・トゥーンベリ(Greta Thunberg)による演説や世界中の若者が参加したグローバル気候マーチが続いたこともあり、デザイナーはジャングルプリントや花柄などを洋服に施したり、ラフィア(ヤシの繊維)などのナチュラルな素材を用いたりした。それに合わせ、「WWDビューティ」12月5日号でも解説しているのが、メイクでも生の花や植物をヘアやメイクの表現として用いる“ネイチャー”ルックが 浮上した。

 また、ルックのトレンドではないものの、重要なトピックスとして注目すべきはダイバーシティー(多様性)の表現だ。弊紙でもコレクションにおけるダイバーシティーは毎シーズン取り上げてきたが、一つのショーの中にもモデルの個性に合わせてヘアメイクが複数あることががぜん増えている。特にニューヨークでは61人のモデル全員に異なるヘア、メイク、ネイルを手掛けた「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」(詳しくは「WWDビューティ」10月10日号を参照)が大きな話題を呼んだが、ヨーロッパの都市でも一つのヘアメイクアップルックにとらわれず、自由にモデルや洋服に合わせて変えている。「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」は前髪に見立てた羽根の色を変えたり、リップとアイメイクの組み合わせを変えたりと、9種のルックを手掛けた。また、「サカイ(SACAI)」のように一部のモデルはロックでセンシュアルなスモーキーアイ、残りのモデルはスーパーナチュラルといったように相反するルックが混在することも珍しいことではなくなった。

 その背景には、モデル起用の多様化がある。10年ほど前は、ヨーロッパを中心とした白人モデルがランウエイを独占していたため、みんな同じヘアメイクが主流だった。だが時代はダイバーシティ&インクルージョン。さまざまな人種のモデルを迎えていることでそれだけ多様な肌色・肌質、髪色・髪質に対応しなければならなくなった。加えて宗教やセクシュアリティーの垣根を越え、例えばムスリムのモデルはヒジャブを着用するためヘアには手を加えないなど、一つのメイクルックを全員同じように施すことが難しくなっている。実際ヘアメイクアップアーティストやネイリストにインタビューをしても、ルックについて「モデルの個性を生かしている」「モデルの個性に合わせて変えている」と答えることが本当に多く、すっかり聞き慣れた回答にもなっているほどだ。

 最近は皮膚疾患や障害があるモデルのほか、妊婦やトランスジェンダーモデルなどもランウエイを歩くようになり、多様性の幅も広がる一方だ。男女混合のショーも増える中で、多様なヘアメイクが存在することはもはや当たり前かもしれない。さらに若年層に絶大な影響力を発揮するリアーナ(Rihanna)が自身のコスメブランド「フェンティ ビューティ バイ リアーナ(FENTY BEAUTY BY RIHANNA)」を立ち上げた際、多様な肌色に対応するファンデーションを出したことで大きな話題を呼んだ。このようにランウエイのヘアメイクのダイバーシティーの流れは確実に商品へと落とされてきている。今後売り場にもこの流れが広く浸透することで消費者が当たり前に商品を選べる時代が来ることに期待したい。

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写真で見る「ラフォーレ・プライベート・パーティ」

 ラフォーレ原宿は12月6日、顧客を招待して行うナイトショッピングイベント「ラフォーレ・プライベート・パーティ(LAFORET PRIVATE PARTY)」を行った。通常の営業時間を短縮し、19時〜22時まで出店者の130店舗が限定商品や先行受注の販売を行った。「プライベート・パーティはテナントにとって、今や名物セールイベント“グランバザール”に次ぐショッピングイベントになっている」と村田裕介ラフォーレ原宿館長。29回目を迎えた同イベントを写真で紹介する。(PHOTOS:HIRONORI SAKUNAGA)

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北欧コスメ&ウエルネスブランドを集めた展示会「第1回スウェーディッシュビューティフェスティバル」開催

 スウェーデン発のビューティや食などを集めたイベント「第1回スウェーディッシュビューティフェスティバル」が12月6日にスウェーデン大使館で開催された。9ブランドが出展し、トークショーや新製品プレゼンなどを実施。当日はメディア関係者やバイヤー、モデル、インスタグラマーなど計282人が来場し盛況のうちに幕を閉じた。

 同イベントは長年、北欧のビューティについて研究し精通する北欧美容研究家・佐藤ニーフェラ史枝が主催。開催意図について、「スウェーデンでは年々オーガニックコスメの需要が高まっている。2018年度のオーガニックコスメの売上高は前年度比26%増で、25年までに毎年15〜20%のペースで増え続けると予想されている。今回の展示会では5Sをキーワードとし、Safety(安全性)、Sustainable(持続可能な)、Simple(シンプル)、Stylish(スタイリッシュ)、Scandinavian(スカンジナビア)発の5Sを満たす注目ブランドを集めた。日本市場で、スカンジナビア発ブランドの認知と販売拡大を目指す」と佐藤氏は語った。

 ビューティ関連では、フリーサンズビオが輸入するスウェーデン生まれのスキンケアブランド「ブーミングボブ(BOOMING BOB」が日本初披露となった。フェイスオイルは、有機栽培された植物からコールドプレス抽出し、保存料も天然のビタミンEやローズマリーエキスを使用。フェイスオイルは計3種(各3980円)を展開し、ジェンダーレスなシェアドコスメとして提案する。クロスフィールドが販売する「テペグッド(TEPE GOOD)」は、スウェーデンで親しまれる歯ブラシ。ハンドル部分は96%再生可能なサトウキビ由来のバイオベースポリエチレン、フィラメントは100%再生可能なヒマシ油由来のポリアミドからできており、歯ブラシの焼却時に排出されるCO2を抑えた設計が特徴だ。

 また、女性来場者から注目が高かったのがデリケートゾーンケアアイテム。リンガホーが展開する「リップ インティメイトケア(LIP INTIMATE CARE)」のクレンジング モイスチャライジングオイル(3200円)は、オーガニック植物オイルとエキスを配合したデリケートゾーンオイル。「100%ナチュラルで100%ビーガンなオイルは珍しい。デリケートゾーン以外にも使える」とハンス・ウォルバーグ=リンガホー社長は述べ、汎用性の高さをアピールした。そのほか、電動洗顔ブラシ「フォレオ(FOREO)」やスウェーデン製花粉エキス食品「ポーレン リフ(POLLEN RIFF)」、「ノックス オーガニック(NOX ORGANICS)」のプレミアムオーガニックチョコレートが注目を集めた。

 イベントでは、スウェーデン美容ジャーナリストのマリア・アールグレーン(Maria Ahlgren)と北欧美容研究家・佐藤ニーフェラ史枝によるトークショーも実施。アールグレーンの著書「Beauty Food~輝く肌を手にいれるための85のレシピ」(日本未発売)も紹介された。

小竹美沙:1984年生まれ。女性誌やウェブマガジンにて、ナチュラル&オーガニック&サステナブルなコト、モノ、人びとについて取材&発信中。2009年から恵比寿のファッションスクールのオフィシャルライターとして広報資料のライティングにも携わる

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今さら聞けない“D2C”と“通販”の違いとは? バルクオムの野口卓也代表に聞いてみた

 ここ1~2年で頻繁に聞くようになった“D2C”という言葉。今さら言うまでもないのだが、D2Cは「Direct to Consumer」の略で、”消費者に対して製品を直接的に販売する”というビジネスモデルのことだ。ただその言葉の意味においては、「これまでも多くの存在していた通販ブランドも当てはまるのでは」といった疑問も浮かんでくる。D2Cという言葉がここまで広まってしまって、今さら聞けない「D2C」と「通販」の違いを、D2Cメンズコスメの先駆者である野口卓也バルクオム代表に聞いた。

WWD:最近はD2Cというのがトレンドワードになっています。正直、これまでの “通販”との違いはどこにあるんでしょうか?

野口卓也代表(以下、野口):D2Cブランドと通販ブランドの一番の大きな違いは、D2Cはブランドサイトの立ち上げから顧客への情報発信、広告、マーケティング、購入まで全てがデジタルで完結している点だと思います。立ち上がったブランドに関しては、O2O(Online to Offline)のようにリアル店舗への送客も見られますが、あくまでD2Cというトレンドが発生した本質は、これまで消費者はテレビCMや新聞、雑誌などで情報を得ていたのが、スマホの登場以降、SNSやウェブなど全てデジタルで情報を収集するようになり、それが一般化してきたことで、デジタルだけで完結するようになったところにあります。またD2Cブランドは、創業者の強い思いから製品を作っている企業がほとんどで、製品の品質はもちろん、どのように広告を展開し、販売していくのがいいかなど、デジタルマーケティングにも創業者が大きく関わっている点も特徴です。

WWD:「バルクオム(BULK HOMME)」は2013年からスタートしました。当時はまだD2Cという言葉も一般的ではありませんでした。

野口:そうですね。だから「D2Cブランドを作ろう」と思ってスタートしたのではなく、続けていたらD2Cブランドと言われるようになった感じです(笑)。日本で18年からすごくD2Cのスタートアップ企業が増えました。

WWD:日本でもそうしたD2Cブランドが増えた要因はどこにあると思いますか?

野口:まわりに20代の起業家が多いのですが、彼らには「メディアってもう一巡したよね」という思いがあって、次に何をしようか考えていたら、そこにD2Cというトレンドがきて、「自分が好きなものを作って普通に売ってもスタートアップとして認められるんだ」という気づきがあったと思うんです。加えて、デジタルマーケティング次第では、スタートアップでも大手企業に勝てる可能性があるのもD2Cの魅力的なところだと思います。

WWD:資金も集まりやすくなっているんでしょうか?

野口:メディアと違って、「製品を作るのにお金が掛かる」というのが分かりやすく、投資家だけではなく、クラウドファンディングも含めて、資金が集まりやすくなっています。またD2Cがトレンドとなったことで、投資家の注目度も高まり、これまで個人投資家が多かったのが、最近はベンチャーキャピタルなども出資するようになって、5億円、10億円といった資金調達もかなりできるようになったと思います。また資金だけではなく、マーケターや営業でも優秀な人材がこの分野に入ってくるようになりました。

WWD:たしかにひと昔前だとスタートアップというと「MERY」のようなキュレーションメディアが多かった印象です。

野口:まさにそうで、大学生から20代半ばまでの、資金と経験はないけどいくらでも働けますといった人たちが始めやすかったんです。そこから“モノづくり”に移行する人がかなり増えました。一方で、インターネットサービスを主とする起業家もまだまだ多くいます。

WWD:今後はさらにD2Cブランドは増えると思いますか?

野口:まだまだ増えると思います。7割ほどは女性向けの化粧品やアパレルのブランドだと思います。それと同時に女性の起業家も増えてくると思います。その中でマスを狙ったり、よりニッチな方を狙ったり、それはさまざまだと思います。でも、みんな信念を持ってやっていますよね。例えば30年以上も続いている大手企業と比べて、広告運用だけではなく、インスタグラムのアカウント運用でもタグ付けしてくれたら“いいね”を押しにいくといった、大手企業だとそこまでやらないような細かいことを積み重ねていかないと勝てない。そういった感覚はデジタルネイティブの起業家だから持ちやすいんだと思います。

WWD:D2Cブランドだと初期段階では店舗を持たないことで費用が抑えられたりしますか?

野口:それは関係ありません。D2Cはメーカー業なので、どこかに卸せば自前の店舗は不要ですが、むしろ最初の頃は思った以上に費用が掛かると思います。ただD2Cの方法論だと、ユーザーの意見を聞いてすぐに商品と(ウェブ上の)売り場の改善ができるのが、従来のメーカー業と違って有利な点です。

WWD:D2Cブランドだと顧客のデータを活用して製品開発をしているのでしょうか?

野口:顧客データを一番活用するのはマーケティングです。製品開発に関しては、したりしなかったりとバラバラだと思います。弊社の「バルクオム(BULK HOMME)」の場合は、ずっとグローバルで成功するブランドを目指してやっているので、日本人の顧客データを活用して製品開発をしてもグローバルで勝てるブランドにはならない。自分たちが本当にいいと思うものを信じて製品は開発しています。

WWD:野口さんが注目しているD2Cブランドは?

野口:ドッグフードのD2Cブランド「ココグルメ(COCO GOURMET)」です。この分野では「ココグルメ」以外に、デジタルマーケティングをしっかりと行っている会社が見当たらないし、製品の品質もかなりシビアにこだわっています。これは大手だとできないだろうなというやり方を徹底してやっているので、さらに伸びていくと思います。あとは僕も投資しているD2Cコスメ「フィービービューティーアップ(PHOEBE BEAUTY UP)」やカスタマイズサプリ「フジミ(FUJIMI)」などは女性起業家の思いが詰まっているブランドで、今後が楽しみです。

WWD:最近はメンズコスメのD2Cブランドも増えていますが、意識はしていますか?

野口:先ほども言ったように、僕たちの目標はグローバルで成功することなので、日本の他のメンズコスメブランドを意識することはありません。でもそうしたブランドが増えることで、メンズコスメ業界にも注目が集まるし活性化していくので、いいことだと思っています。

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「ジーユー」2020年春夏はワンピースとセットアップがキーアイテム アジア市場を狙う2つの新ラインも発表

 「ジーユー(GU)」の2020年春夏は、“ライトネス”がテーマ。鮮やかな色や軽やかな素材、着心地のよいシルエットなどで、明るいムードを打ち出す。キーとなるアイテムはワンピースやセットアップ、ジャンプスーツだ。また、20年春から、ヤング向けとローティーン向けの2つの新ラインを立ち上げる。

 春の立ち上がりでは、淡いベージュやパステルピンク、ラベンダー、ミントグリーンなどの色を提案する。サファリジャケットとシフォンワンピースなどの甘辛ミックススタイルもポイント。夏に向けては、ワンピースを豊富なデザインバリエーションでそろえる。1枚での着こなしだけでなく、パンツとのレイヤードや、シャツワンピースの羽織りとしての提案など、さまざまなスタイリングで見せる。

 セットアップとして企画しているのは、シアーなドット柄ブラウスとミディー丈スカートや、麻調のテーラードジャケットとショーツなど。そのような文字通りのセットアップの他に、異素材のアイテムを同色でそろえてスタイリングする着こなしもセットアップ提案の一環として打ち出す。ボトムでは、腰から足首にかけてカーブしたラインを描くコクーンシルエットのパンツも推す。

よりエッジの効いた新ライン登場

 20年春に立ち上げる新ラインは、18~24歳が中心対象の“ミックス マニア”と、小学校高学年~中学生向けの“アンド ラブリー”の2つ。“ミックス マニア”は「一人十色」がコンセプト。「『ジーユー』は便利で使いやすいけど、ベーシックなアイテムが中心」という声がこれまで多かったことを受けて、よりエッジの効いたファッションアイテムを提案。K-POPファッション好きな層にも受け入れられそうなイメージだ。「ジーユー」として初めて企画したというキングサイズのスエットトップス(2490円)やグラフィックロゴ入りのミニスカートなどがそろう。国内大型店とECで20年1月から販売する他、「アジアのKOL(キー・オピニオン・リーダーの略)にも支持されそう」(広報担当者)として、日本に先駆けて12月に香港と上海の店舗で販売を開始する。

 “アンド ラブリー”は、中心対象であるローティーンの声を生かし、友達とのリンクコーデなども楽しめるカジュアルアイテムを140~160センチ中心に企画。子どもを心配する親世代の声もしっかり反映し、ミニスカートにはキュロットパンツを内蔵するなどしている。チェック柄のワンピースで2490円。こちらも国内大型店とECで20年2月から販売すると共に、海外でも販売する。

 メンズは、ネイチャーやストリート、アーバンなどのテーマで商品を企画。開襟シャツをジャケット代わりに羽織ったレイヤードスタイルを押す。

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仕事が絶えないあの人の、“こうしてきたから、こうなった” 橋本宗樹「カラーズ」代表編

 転職はもちろん、本業を持ちながら第二のキャリアを築くパラレルキャリアや副業も一般化し始め、働き方も多様化しています。だからこそ働き方に関する悩みや課題は、就職を控える学生のみならず、社会人も人それぞれに持っているはず。

 そこでこの連載では、他業界から転身して活躍するファッション&ビューティ業界人にインタビュー。今に至るまでの道のりやエピソードの中に、これからの働き方へのヒントがある(?)かもしれません。

 連載第5回目に登場するのは、東京発のオーガニック・ナチュラルコスメメーカー「カラーズ」の橋本宗樹代表です。「マツモトキヨシ(以下、マツキヨ)」のプライベートブランド(以下、PB)「アルジェラン(ARGELAN)」、自社ブランド「ザ パブリック オーガニック(THE PUBLIC ORGANIC)」を中心に企画開発から販売までを手がける同社は、群雄割拠の自然派コスメ市場にあってひときわ存在感を放っています。マーケティングや広告制作に携わった後に化粧品業界に転身し、いまや“マスマーケットにオーガニックコスメを浸透させた革命児”とも形容される橋本社長の仕事変遷と美学に耳を傾けました。

WWD:以前はマーケティングやプロダクションに関わるお仕事をされていたのですね。

橋本宗樹代表(以下、橋本):2000年の「カラーズ」設立時は、プロダクション業務として主にイベントや広告制作を手がけていました。海外アーティストを招いての音楽イベントや、クリエイターやアーティストの展示会などに携わることも多かったですね。イギリスの「スリンキー(SLINKY)」というクラブを3カ月限定で芝浦に再現するというプロジェクトも担当しました。本家と同じ音響を用意し、バーテンダーもわざわざフランスから来てもらいました。その期間、月曜から金曜の昼間はオフィスに、日が暮れると仕事を兼ねてクラブへ通うという毎日でした。カルチャー系のクリエイターと仕事でも遊びでも時間を共にしていました。愛読誌は「スタジオボイス(STUDIO VOICE)」「流行通信」「トキオン(TOKION)」「スペクテイター(SPECTATOR)」など。この時代に得た気づきや発見は、コスメブランドを立ち上げる際に役立ちました。企画やクリエイティブ、プロモーションの手法は、プロダクション時代のノウハウがそのまま生きています。

WWD:アーティストと企業の間に立って仕事する中で、苦労したことはありますか。

橋本:クラブのレセプションパーティーでのこと。海外の某人気DJをブッキングしていたんですが、時間になっても来なかったんです。連絡をしてみたら、出国さえしていなくて……。(来られない)理由を尋ねると、「彼女が風邪を引いたから」と(苦笑)。

急きょ代役を探しまわり、なんとかその日を乗り切りました。海外アーティスト、しかもアンダーグラウンドなカルチャーと、協賛してくださる国内企業の常識をすり合わせするのは気苦労の連続でしたね。そもそも企業の方々にしてみれば、海外DJのバリューは理解しづらい。そんなときは「野球で言うと、清原(和博)やノリ(中村紀洋)と同じぐらい力のある人なんです」と説明することもありました。アーティストのドタキャンを含め、さまざまな経験を積ませてもらいました。20代半ばから30代頭の頃ですね。

WWD:そこから、どのようにコスメを手掛けるようになったのでしょうか。

橋本:当時キャンペーンビジュアルの制作やノベルティの制作をさせていただいていたマツキヨから、PBのコスメ開発をご依頼いただいたことがきっかけです。あくまで個人的な見解ですが、カルチャーやクリエイティブのトレンドを発信する僕らの仕事を見て、時代に合うおしゃれなものを作ってくれそうだと考えてくれたのかもしれません。とはいえ、化粧品については全く分からない。とにかく“いいもの”を作るんだ!という志が先行した、手探りでのスタートでした。

最初は、OEM(相手先ブランド生産)企業に話を聞いてもらおうとしても門前払いでした。ドラッグストア大手であるマツキヨのPBとはいえ、OEM企業側にしてみたらこういった問い合わせは山ほどありますから。加えて、コスメ業界で経験のない僕たちはなかなか信用してもらえない。市場や化粧品成分について勉強をしながら工場へ足しげく通い、ただ誠意を見せていくしかありませんでした。

なんとかパートナーとなってくださったOEM企業と試作品を作る過程でも、壁にぶつかりました。僕らがイメージする使用感を情緒的に表現できても、それを改良指示として的確な言葉にすることができないんです。「このようなテクスチャーにしたいです」というこちらのリクエストに対して、「この成分はどう?」と提案していただくわけですが、その成分の特徴が分からないので、調べて理解するのにもまた時間がかかりました。それでも根気よくお付き合いいただいたOEM企業の方々には、感謝の気持ちしかないですね。構想から約2年をかけ、08年にデビューしたのがヘアケアブランド「ルンタ(LUNG TA)」です。ふたを開けてみれば、マツキヨ担当者も驚くぐらいのヒットブランドとなりました。サロン品質のような仕上がりと即効性を感じるアイテムをドラッグストアで購入できる、という点が受け入れられたのかと思います。

WWD:「ルンタ」の次はオーガニックコスメを作ろう、という思いがあったのでしょうか。

橋本:いいえ、当時からオーガニックを意識していたわけではありませんでした。もともと、作家の落合信彦さんや映画「009」のような“真実を暴く!”的な世界観や、ジャーナリスティックな思想に憧れがあって(笑)。コスメの生産や流通に携わる中で、農薬や環境破壊、労働搾取といったモノ作りの暗い陰の部分を知りました。オーガニックコスメに目を向けると、肌や環境に優しいといった側面だけでなく、人生における哲学や奥深いストーリーに溢れていると気づきました。イギリスの自然派コスメブランド「ザ・ボディショップ(THE BODY SHOP)」の創業者アニータ・ロディックの姿勢にも共感していました。フェアトレードの取り組みや、HIV/エイズ啓発、DV(ドメスティックバイオレンス)根絶キャンペーンといった社会的なメッセージを発信する彼女のスタイルに、「009」に通じる反骨精神を感じたんです。こうした社会的に意味のあるコスメを国内で作りたいという思いから、オーガニックコスメの世界に足を踏み入れることになりました。

WWD:なるほど。まずはどういったことをしたのですか?

橋本:08年から12年にかけて、ミラノ、ローマ、フィレンツェ、パリ、マルセイユ、グラースなど色々な都市で市場調査をしていたのですが、小さな町の薬局からセフォラ(SEPHORA)にいたるまで、オーガニック認証のコスメが置かれていることに驚いたんです。日本と比べるとずっと、オーガニックが生活の一部としてなじんでいるように感じました。その頃はまだ、国内のドラッグストアでオーガニックコスメを見かけることはなかったと思います。オーガニックは少し高価で敷居の高いもの、という印象を僕自身も感じていました。

オーガニックコスメの理念や考え方をもっと広めるならマスマーケットで発信していくのが早いはずと、企画をまとめてマツキヨへ提案に行きました。すると、(当時の)商品部長がその場で即決。「大々的にやろう!」と、「アルジェラン」の開発がスタートしました。デビューアイテムのシャンプーとトリートメントは、マツキヨのPBの中でも記録的に売れ続けています。

“オーガニック”に甘んじない

WWD:勝因についてどのように分析されていますか。

橋本:さまざまな要素が絡み合っているので、これ!というのは言えませんが、気をつけているのは、“オーガニックであることに甘んじない”ということ。「オーガニックだから使用感がイマイチでも仕方がない」「オーガニックだから値段が高い」というのが、これまでの定説だったかもしれません。でも「そうじゃないでしょう」という意識が根底にあります。

手に取りやすい価格であることに加えて、「使ってみたら実はオーガニックだった」という満足感が、選んでいただけている理由の一つなのかな、と考えています。例えばもともとオーガニックコスメ好きではない人が、うちの化粧水を使った時に「いいじゃん、この化粧水!」と思ってもらえる、そんな製品を目指しています。

あとは、パッケージでしょうか。多種多様なアイテムが所狭しに並ぶドラッグストアの陳列棚は、カラフルなパッケージも多いですよね。だからこそ、「アルジェラン」はミニマルなデザインで洗練感を強く意識しました。マスマーケットにおけるプロダクトデザインの新しい方向性を切り開けたのかなという自負はありますね。

WWD:続く16年デビューの「ザ パブリック オーガニック」は独自のブランドです。どのようなことを意識したのでしょうか。

橋本:“東京だからできる”“東京だから作るべき”オーガニックアイテムを作ろう、という気持ちを形にしたブランドです。現在は、ヘアシャンプー&トリートメント、カラーリップクリーム、快適な睡眠のための精油ディフューザーやピローミストなどをそろえています。東京はメトロシティーであり、最新のテクノロジーに囲まれている。とても便利な一方で、ストレスフルな環境でもありますよね。東京に限らず、忙しい現代人は自律神経やホルモンバランスの乱れによって不調を抱えやすいと思います。精油の力を借りてストレスをケアすること」­——。それこそが僕らの今後の使命として、“心と体に働きかけるホリスティック精油美容”をテーマに据えました。

ブランド立ち上げの準備をする中で、植物療法士の森田敦子さんが主宰するスクールに通い、AMPP認定メディカルフィトテラピストの資格を取得しました。フィトテラピー、つまり植物療法の本場フランスでの研究や知見、ノウハウを受け継いだカリキュラムを基に、薬草と精油の科学的・化学的な知識を深めることができました。社員にもこの資格の取得を積極的に推進しています。

WWD:精油について本格的に学ぶことで製品作りへの変化はありましたか?

橋本:「精油=ただ香りが良くて癒やされる、どころじゃない!」と、肌と心に対する植物の作用にあらためて驚かされました。授業の中では、人間の細胞や女性の体の仕組みについても学びました。この精油が体のどの器官に作用して、どのような心の変化があるのかということを知れば知るほど、嗅覚からストレスを解消できると確信しました。この頃にはすでにマスマーケットでも、オーガニックコスメと呼ばれる製品が勢いを増していました。ただ、100%天然精油にこだわったブランドは希少な存在だったと思います。

WWD:厳選した原料や製法ということだけではなく、エビデンス(科学的根拠)へのこだわりや専門家とタッグを組んだ論理的なアプローチも際立っています。

橋本:そうですね。現在「ザ パブリック オーガニック」の取り扱いは7000店舗以上です。マスマーケットの中にあって大多数のお客さまに製品の魅力を伝えるためにも、データは大きな武器になると思っています。オフィスと併設したこのラボも16年にオープンしました。ここでデータを集積し、処方から開発までを行っています。研究員が企画や広報に携わるスタッフと近い距離にいることで、コミュニケーションからアイデアが生まれ、より良いものがスピーディーにできると考えています。

WWD: 「ザ パブリック オーガニック」のヘアケアはベストコスメ 1位を多数獲得するなど絶好調に見えますが、これまでにピンチはありましたか?

橋本:ありますよ。小さな失敗は数え切れないほどあります。でも、すぐに忘れるんです(笑)。最初の「ルンタ」の立ち上げ時は、なにしろお金がなかったですね。マツキヨからの支払いを最速にしていただき、OEMへの支払いを最大限待ってもらわなくてはならない。頭を下げ続ける日々でした。

独立当時、社員は僕を含めて2人。渋谷の南平台にあるマンションの一室がオフィスで、友人のデザイン事務所を間借りしていました。販売元として製品ラベルに会社の住所を書かなきゃならない、となったときのこと。「マツキヨのPB製品の販売元が、〇〇ハイツ〇〇号室だなんてヤバいだろう」と、“背伸びをして”なんとか格好が付きそうな南青山のマンションへ引っ越しをしました。広告ビジュアルを作るにもお金がなくて、撮影は自宅で敢行。プロのモデルさんにオファーをする余裕もないので、ヘアカタログを見て、サロン経由でモデルさんをお願いしました。カメラマンもヘアメイクも友人たちの手を借りました。でも、販売元として記載する住所には、建物名も号室も書かなくても問題はないということを最近知ったんですけどね(笑)。

※19年上半期ヘアケア部門

WWD:17年にはフレグランス「トバリ(TOBALI)」をフランス・パリでローンチされました。

橋本:「トバリ」は、日本の誇るべき香り文化を世界に発信したいという思いで始めました。パリでのデビューの翌年2月より国内販売を始めています。歴史をさかのぼると、平安時代には天皇や貴族たちが自己表現として競って香りを作っていました。西洋では調香師が行うことを、当時の日本人は自らのレシピによって嗜んでいたのです。それには財力に加え、知性や芸術性も求められます。こうした香りの文化を持っていたのは日本だけだと思います。白のボトルデザインは、御神酒(おみき)をイメージしています。「世界のフレグランス市場の中で、日本の香りここにあり」」——そんな存在になれたらいいですね。

100点より目指すのは200点

WWD:ブランドも増え仕事の幅もますます広がっていますが、仕事をする上でのマイルールはありますか。

橋本:常に新しいことにアンテナを張り、これまで世の中になかったものやアプローチを生み出したい、という姿勢はずっと変わっていません。その中で自分の感覚を信じて核心を突き詰めることを大切にしています。何かのまねをしたり、100点を目指せば70点や80点止まりかもしれないけれど、200点を目指していたら150点が取れることもあるんです。「100点を目指すな。その上を目指そう」——。これは社員にも伝えていますね。

WWD:今後の目標について教えていただけますか。

橋本:長期的な目標は持続可能なプロジェクトを拡大していくこと。農家があり、植物があり、精油があることで心と体をケアすることができる。こうした循環を国内でもっとできたらいいですね。フランスなどでは地域や組合が蒸留器を持ち、畑を共有していたりします。国内で足りないのは、精油を作る環境と人です。地方では特に耕作放棄地という問題もあります。精油を作り、きちんと消費していく。そこでビジネスが成立して拡大していくこと。その先頭に立って、自分たちがやるべき方法で社会に貢献できればと考えています。

WWD:橋本さんにとって仕事とは何でしょうか。

橋本:情熱の源です。そして人生の最も大きなパートの一つです。人生って、夢に向かってどれだけ情熱を燃やせるかだと考えています。仕事はその情熱を燃やすことのできる最も身近なものだと考えています。

そして、倒れるときは前のめり。これまでも壁に直面するたびに、やらないで後ろ向きに倒れることはしませんでした。チャレンジして失敗した方が自分の糧になる。その時はつらくても、きっと目指す場所への近道になるはずです。

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「メットガラ」は、ただの仮装パーティじゃない エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年5月17日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「メットガラ」は、ただの仮装パーティじゃない

 エディターズレター「SOCIAL & INFLUENTIAL」は毎回、特に社会との関連性が高いファッション&ビューティニュースをピックアップしてお送りします。

 今回は、レディー・ガガ(Lady Gaga)の“生着替え”が話題になった「メットガラ(MET GALA)」について。ここ数年、「メットガラ」の豪華絢爛、でもちょっぴり奇抜な洋服とセレブが世界的注目を集めています。特に今年は、悪趣味すれすれの美学を指す「Camp: Notes on Fashion(キャンプ:ファッションについてのノート)」がテーマだけあって、セレブの衣装は、まるで仮装大賞。でも、このテーマもまた社会と密接にリンクしています。

 今、時代はインクルージョン「包摂・包括性」&ダイバーシティー(多様性)の時代。個々の個性を認め合い、その上で仲間として巻き込もうという価値観が顕在化しています。下のリンクをクリックしていただければと思いますが、2019年春夏、19-20年秋冬のコレクションは、まさにインクルージョン&ダイバーシティー。19年春夏の「ルイ・ヴィトン」はレインボーカラーに包まれ、19-20年秋冬の「マイケル・コース コレクション」は個性豊かなスタイルで盛り上がったNYの伝説的ディスコ「スタジオ 54」とコラボレーションしています。

 今年の「メットガラ」は、19年プレ・フォールの「プラダ(PRADA)」に近い感覚なのでは?と思います。このシーズン、「プラダ」はフランケンシュタインをキーモチーフに選び、おどろおどろしい顔や手、雷鳴をプリントした洋服を発表しました。ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)は、フランケンシュタインのような影の存在を表に引っ張り出し、それを洋服に堂々とのせることで、インクルージョン&ダイバーシティーを表現したのです。「メットガラ」も、まさに同じ。「ギョッ」とするくらいの“悪趣味”はまさに個性で、それをセレブが堂々着こなし表舞台に引っ張り出すことで多様な価値観の存在を知らしめています。

SOCIAL & INFLUENTIAL:社会情勢によって変化するファッション&ビューティ業界を見つめます。インクルージョン(包摂性)&ダイバーシティー(多様性)な時代のファッション&ビューティから、社会に届けたい業界人のオピニオンまで。ジャーナリズムを重んじる「WWD JAPAN.com」ならではのメルマガです。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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動画追加:「アナ スイ」事業撤退も化粧品は継続販売 来夏にはスキンケアも復活

 三越伊勢丹ホ―ルディングスが2020年3月末で「アナ スイ(ANNA SUI)」事業を終了するというニュースの余波が広がっている。婦人衣料および雑貨のマスターライセンサーとしてのブランドライセンス事業、輸入販売、卸事業から撤退するが、これまでサブライセンスとして販売していた化粧品やバッグ、財布、アクセサリーなども終了になるという噂がSNSを中心に行き交っている。実際のところは、アメリカ本国のアナ スイ社とサブライセンシーが個々に契約を結びというもの。アルビオンが展開する化粧品「アナ スイ コスメティックス(ANNA SUI COSMETICS)」も直接契約し来年以降も継続する。来年度には十数年ぶりにスキンケアを復活させるなど新たな挑戦にも乗り出す。そこであらためて化粧品の取り組みを、アルビオンの小林勇介常務国際事業本部本部長に聞いた。

WWD:三越伊勢丹HDによる「アナ スイ」事業から撤退のニュースを聞いたのは?

小林勇介アルビオン 常務 国際事業本部本部長(以下小林):1年程前に話を聞いていましたが、そもそも「アナ スイ コスメティックス」は三越伊勢丹グループのためだけに作られたブランドではないため、ブランドの世界観を大切に今後も継続していく思いは変わらなかったですね。むしろ、ブランドが持つ個性や独自性はもっと広げていけると感じています。

WWD:今後の契約形態はどのような形になるのか。

小林:「アナ スイ コスメティックス」の売り上げ構成比は国内が30~40%、海外が50~60%です。これまで、国内は三越伊勢丹HDとのサブライセンス契約でしたが、海外で展開するものに関しては本国との直接契約で行っていました。今後は国内も本国との直接契約になるため、当社としては契約先が集約されてよりスムーズに事業が進められるようになります。

「店舗のない地方で
ポップアップイベントを実施」

WWD:来年以降、取り扱い店舗に変更はあるのか。

小林:現在は百貨店を中心に販売網が広がっていて、百貨店が20店舗、化粧品専門店が11店舗あります。来年以降、伊勢丹が運営する「アナ スイ ブティック」を数店舗程度引き継ぎ、化粧品を中心とした雑貨やファッションなどをそろえたコンセプトショップを運営する予定です。当社以外のサブライセンス企業と連携を取りながら新しいブランドの形を表現できたらいいですね。店舗のない地方では、ポップアップイベントなどを実施してブランドとの接点を広げてファンを獲得していきたいです。

WWD:化粧品は1997年に誕生して以来、ブランドの軸をぶらすことなく、多くの女性を魅了している。

小林:ブランドカラーの黒と紫、ブランドシンボルである蝶とバラによって独特な世界観を持つ、デザイン性の高いブランドという認識が今もありますよね。それは裏を返せばデザイン性が高いだけのブランドというイメージともいえます。今後は百貨店で展開する高級化粧品を手掛けるアルビオンが開発・販売している高品質なブランドという印象を強めていく準備をしているところです。2018年に20周年を迎え、それを記念して東京・六本木ヒルズで化粧品とファッションのアーカイブを集めた展示「THE WORLD OF ANNA SUI」を1カ月開催しました。歴代の化粧品に加え、約100点のファッションも陳列したのですが、会期中に1万人以上の入場がありブランドのポテンシャルが高いとあらためて実感しました。ブランドにまだまだ伸びしろがあると分かりました。

「スキンケアが17年ぶりに復活」

WWD:来年には話題となる製品が続々と誕生する。

小林:ブランド誕生の翌年に投入したスキンケアを17年ぶりに復活させます。ボトルから中身の色まで当時を再現した5種の化粧水を20年4月に販売する予定です。時代に合わせ5種にはそれぞれ、お茶や海藻、漢方などを配合し、肌悩みに対応した商品となります。そのほか、クレンジングや美容液、クリームまでフルラインを扱います。8月にはメイクラインの大規模なリニューアルを考えているところです。

WWD:化粧品の攻勢が始まる。

小林:デビュー当時はネイルがパワーアイテムでしたが、現代のパワーアイテムを早期に作り上げたいですね。ブランドの認知度は高いですし、お客さまにワクワクして選んでもらえる商品もそろえていますから。また、若い世代のブランドととらえられがちですが、以前愛用してもらっていた30~40代の女性が戻りたくなるような存在でありたいですね。そのためには、商品や空間づくりが今以上に求められるので、それに真摯に応えていきます。もう一度新しいブランドづくりをする感覚ですし、原点に立ち戻ったようで当社も今後の取り組みに意気が上がっています。

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韓国と日本のメイクのいいとこ取り“ハニルメイク”が「ブレイク必至」といわれる理由

 石川ユウキ・ヘア&メイクアップアーティストは11月、メイク本「HANIL MAKE-UP BOOK〜ハニルメイクって知ってる?」(メタ・ブレーン)を刊行した。“ハニル”とは“日本と韓国”の意味で、“ハニルメイク”は韓国メイクを日本人向けにアレンジしたメイクのこと。つまり、日本と韓国の“かわいい”の要素をいいとこ取りしたメイクともいえ、今若者の間でバズり始めている。その考案者として話題の石川ヘア&メイクアップアーティストに、“ハニルメイク”の真価と可能性を聞いた。

WWD:韓国メイクに興味を持つようになったきっかけは?

石川ヘア&メイクアップアーティスト(以下、石川):以前の私がコンセプトにしていたメイクは、自分に自信のない女の子の“鼻をできるだけ高く見せたい”とか“彫りを深くしたい”といった願いをかなえて、勇気や自信をつけてあげるメイクでした。いわば“魔法をかけるメイク”とか“すっぴん風だけど詐欺れるメイク”ですね。あるときタレントの方から「石川さんのメイクって本当に鼻が高く見えるし、タレ目でかわいくなるから、韓国っぽい顔になる」と言われたんです。それで、当時人気が出始めていた韓国アイドルグループのメンバーのメイクをよく見たところ、「僕のやっているメイクに似ている!」と思ったんです。たまたま自宅から新大久保が近かったこともあり、そのときから韓国メイクを勉強し始めて、はまっていきました。そのときまで韓国は全く意識していなかったので、まさにそのタレントの方の一言がきっかけですね。

WWD:今SNSで話題の“ハニルメイク”が生まれたきっかけは?

石川:3~4年前に新大久保で、真っ白でお面みたいな肌を作った女の子が、赤リップをして極太眉で歩いているのを見たことがきっかけですね。おそらく韓国アーティストのメイクをそのままマネしたものなんですが、それを見て「違和感はあるけど、なんかかわいいし楽しそう」って思ったんです。そのときに「韓国メイクをもっと日本人向けにアレンジできないかな」と考え始めたことがきっかけでした。

WWD:“ハニルメイク”って具体的にどんなメイク?

石川:日本と韓国の“かわいい”の要素をいいとこ取りしたメイクです。“ハニルメイク”の“メイク”にはもちろんメイクアップの意味もあるけど、“メイキング”の意味もあって、ヘアとメイクとファッションの全てが合わさって韓国風になるんです。メイクだけでいうと、太眉にしたり、鼻を高く見せたりすることが特徴的ですね。一般的に、韓国の女の子はおでこが丸くて、鼻がスッと通っていて顎がシャープなのが好きなんです。あと陶器のような白い肌とかきりっとした目元、カラコンとかも好きですね。

WWD:“ハニルメイク”を象徴するヘアは?

石川:基本的に艶髪で、エクステスタイルも象徴的ですね。韓国の女の子はボリュームを出してふわっとさせることが好きで、“盛ってなんぼ”という意識が強いんです。もともと毛量のある人が多いのに、さらにボリュームを出すために根元パーマとかも一般的です。根元を上げるだけでヘアのバランスが一気に良くなるので、「日本でももっと需要があっていいのに」って思います。

WWD:いろいろとポイントがあるんですね。ちなみに“韓国メイクを日本人向けにアレンジする”イメージを簡単に言うと?

石川:すごくざっくり言うと“濃い塗り絵を薄くして1カ所だけ濃くする”感じです(笑)。骨格が異なるので、韓国のメイクを日本人がそのままやると、舞台メイクみたいになってしまうケースが少なくないです。濃度を薄くして、薄いだけだとぼやけてしまうので、どこか足すことがポイントですね。ただ“ハニルメイク”の神髄は、“韓国っぽいか日本ぽいか”といった定義にこだわらず、“なんか韓国っぽくてかわいい”を楽しむことなんです。楽しむポイントをまとめたのが、先日刊行した著書「HANIL MAKE-UP BOOK〜ハニルメイクって知ってる?」になります。

WWD:とてもシンプルで分かりやすい本ですね。

石川:“小学校のドリル”くらいシンプルにしたかったんです。“難しく考え過ぎないでほしい”というのが僕のメイクのコンセプトの中にあって、それを好きなように表現させてもらいました。女の子ってわりと堅い考えの子も多くて、“モデルがかわいいから(自分とは違う)”“道具がないから”“解説がいっぱい書いてあって分からないから”といった理由で、新しいメイクにチャレンジしない人が多い。だからもっと視覚的に“かわいい”と思ってもらって、簡単で分かりやすいテキストが添えてあることで“やってみようかな”って気持ちになってもらえる本を作りたいと考えました。そういったコンセプトから、本の中ではできる限り“デパコス”よりも“プチプラ”を使うようにしました。

WWD:今後の展開は?

石川:今の“ハニルメイク”は若年層向けなのですが、今後は30~40代向けの“ハニルメイク”も面白いと思います。僕は30代向けのメイクはあまり得意ではないと思っていたのですが、最近その年代の方からのオファーが増えたんです。「何で僕のメイクなんですか?」と聞くと、「ケバくならずに顔がはっきりして彫りができるから」という答えが返ってきました。よく考えてみると、それは“ハニルメイク”のコンセプトの一つで、“ハニルメイク”は若さを追求したメイクでもあるんです。ですので“韓国メイクのパーツで学ぶ大人のハニルメイク”といったテーマを“ハニルメイク”の第二幕にしたいですね。

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読者の代わりにkemioへ3つの質問 回答を動画で公開!

 「WWDジャパン」12月2日号“SNS世代”特集では、10〜20代のSNS世代から絶大な支持を得る動画クリエイター、kemioに取材を敢行。弊紙のインスタグラムで読者からの質問も募集し、「ファッションアイコンは?」「好きなブランドは?」「ランウエイデビューした感想は?」という3つを投げかけました。それらへの回答を動画でお届けします!

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レザーバッグのD2Cが市川渚と共に“ドローン専用バッグ”を作った理由

 “イノベーターのためのワードローブ”をコンセプトに、バッグなどのレザー製品を販売するD2Cブランド「オブジェクツアイオー(OBJCTS.IO以下、オブジェクツ)」が、ドローンメーカー大手、DJI社の製品“マヴィック エア(MAVIC AIR)”専用のバッグ(5万円)を発売した。同ブランドが新たにスタートしたコラボレーション・プロジェクト“コ・プロトタイピング(Co-Prototyping)”の第一弾として、ファッションやデジタルの業界で活動するクリエイティブ・コンサルタントの市川渚氏とタッグを組み、製作したモノだ。「オブジェクツ」は2018年のスタート以降、顧客のフィードバックを受けながらiPadやMacBookなどのガジェットに対応したレザー製品を数多く開発してきたが、なぜ今回“ドローン専用”というニッチなアイテムを作り出したのか。同ブランドの角森智至・製品開発責任者兼デザイナーと市川氏に聞いた。

WWD:新プロジェクトの“コ・プロトタイピング”をスタートした理由は?

角森智至「オブジェクツアイオー」製品開発責任者兼デザイナー(以下、角森):独自の価値観や感性を持っているイノベーターの方と協業することで、より尖ったプロダクトを作れるのではと考えたからです。「オブジェクツ」は普段から、“プロトタイピング”として、製品開発の初期段階で作った試作品を、実際に理想の顧客に近い周囲の方々に使ってもらい、フィードバックを得ながらクオリティーを上げていく手法を取っています。“コ・プロトタイピング”はさらに一歩進み、僕らが持っていない知識や経験、感性を持っている人に製品企画の段階から参加してもらう。それにより、一緒にプロダクトを作ったイノベーターの方とその周囲の方に刺激を与えることができるのでは、と考えました。

WWD:新プロジェクトの第一弾の相手に、市川氏を選んだ経緯は?

角森:ファッションとデジタルの領域で活動していて、ガジェットにも詳しい渚さんとはどこかでお会いしてみたいな、と考えていました。ただ、最初に渚さんとお会いした時は、コラボレーションしようといった話にはなりませんでしたよね。

市川渚(以下、市川):そうでしたね。共通の知人を介して集まりましたが、最初はD2Cブランドの話だったり、モノ作りの話だったりをして。そこから「オブジェクツ」がもともと作っていたバックパックを貸していただけることになりました。

角森:先ほどお話した“プロトタイピング”の一環でした。その後、貸したバッグの返却の際に、渚さんが僕たちのショールームを遊びに来てくれたのですが、別カラーの白いバックパックを見て、「使ってみたい」と言ってくれたんですよね。渚さんは僕と同じ文化服装学院出身でモノ作りについて共感できる点が多かったこともあって、そこから徐々に話が広がっていき、“コ・プロトタイピング”として一緒にプロダクトを作ろうという話になりました。

WWD:最初からドローン専用バッグを作ろうと考えていた?

市川:色はホワイトで作ることは決まっていたんですけど、どのようなバッグにするかはいろいろと違う案も出ていました。結果的にカメラのレンズ専用のケースとドローンバッグにまで絞り込み、最終的に私が撮影の時に使用する、“マヴィック エア”専用のバッグにしました。

ドローン専用バッグはどのようにして作られた?

WWD:コラボレーターである市川氏の知識や経験は、具体的に製品のどういった点に生かされている?

角森:基本的には、渚さんがドローンを使って撮影する際のスタイルや要件などをいろいろとヒアリングしてデザインの骨組みを作っていきました。まず、渚さんがドローンを使う際に持っていくモノが全て入り、かつ機動力を失わないようにボディーバッグ型にしました。あとは、バッグの開閉部分もあえて全部開ききることがないようにしたり、ドローン本体が体側になるような設計にしたり。「オブジェクツ」では通常、製品化するまでにサンプルを何度も作って詳細を詰めていくことが多いのですが、今回に関しては最初のサンプルの段階でかなり詳細まで作り込めました。恐らく渚さんから聞いた要件がとても良かったからだと思います。

市川:ドローンを使った撮影時の動きのデモンストレーションとかもしましたよね。多分、ドローンのためのバッグってかなりニッチなので、その分要件が詳細になったんだと思います。結果的には私がお願いしたポイントがほぼ抑えられているモノができた。ガジェット用のバッグって、機能偏重なイメージが強いけれど、今回は機能要件を満たしつつ、洗練されたデザイン性を持っているという、「オブジェクツ」らしさを出したモノになったな、と。実際に中国にあるDJI本社でも話題で、私の身の回りでドローンを使っている人たちからも好反応でした。

角森:嬉しいです。ほかのプロダクトに関してもそうですが、一カ所でも手を抜くと、見た目が一気にチープになってしまうんですよね。例えば今回のバッグに関しても、渚さんの服装とかを見てスクエア型にしたんですけど、“箱感”が強くならないよう、ショルダーの形を変えたり、それぞれに使うレザーのパーツに厚みを持たせたり。金具も機能とデザインが両立できるよう、コブラバックルにしました。ディテールに関しては話し始めるとキリがないです(笑)。

WWD:今回の“コ・プロトタイピング”を通じて、「オブジェクツ」の既存の商品にも生かせるようなフィードバックなども得られた?

角森:定番製品にはない驚きや製品への周囲の反応、そして一緒にモノ作りをするコラボレーターの方の意見を通じて自分たちの可能性をさらに拡張できると感じました。今回使ったシルエットを出すための芯材構造を、直近にリリースしたトートバッグにそのまま応用するなど、今後のモノ作りにおいて新たな気づきを得ることができましたね。今回はドローン専用でしたが、同じ型で、中を変えて別の使用用途にすることも考えています。実際に渚さんもドローン以外を入れて使っていることもありましたよね。

市川:レンズを付けたカメラがちゃんと入るので、たまにそういった使い方もしています。形としては、かなり汎用性があると思います。

角森:僕らもドローン用に設計はしたけれど、別の使い方をしていただいても面白いなと考えています。実際に渚さん以外の方がどのような使い方をするのか、反応が楽しみです。

WWD:今後も“コ・プロトタイピング”として、ほかのイノベーターとのコラボレーションは続ける予定か?

角森:渚さんとも継続的に作っていきたいし、ほかの方とも協業するつもりです。カメラ領域や、音楽領域などでプロダクトを作ってみたいですね。あと、定番製品ではより高級な製品や、高機能で軽い山登りとか音楽フェスなどにも使えるような高機能製品など、シリーズを増やしていきたいです。

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ネオンカラーのハイネックトップスが便利過ぎる! 1点投入で冬でもホットな着こなしに

 沈んだ色になりがちな冬ルックに、ネオン発色のビタミンカラーが軽やかさを注入しています。独特の蛍光トーンを生かしやすいウエアの一つがハイネックのトップス。顔周りを明るく華やかにしてくれます。ケミカルな高発色が装いに意外感をプラス。いつもの普段着に、1点投入するだけで、冬のコーディネートがホットに。スポーティーな気分も加わります。

 蛍光カラーのハイネックトップスは、2019年から海外有力ブランドのランウエイで登場し始めていて、ファッション・ウイークの来場者も早速、取り入れています。ハイネックは冬ルックでも首周りが隠れにくいから、貴重なアクセントになってくれます。写真で取り上げた女性はピンクのニットにフリンジたっぷりのマスタード色のジャケットでインパクトのある着映えに。「ネオンの達人」たちのコーディネートから、着こなしのポイントをつかんでいきましょう。

◆“トーン・オン・トーン”
でソフトになじませて

 いかにも蛍光色のチカチカ系ネオンカラー以外にも、カラーバリエーションが広がってきました。近い色で合わせる“トーン・オン・トーン”に組み込めば、ハイネックで迎えても、きつく見えにくくなります。濃いネオンピンクのタートルネックは、淡いピンクのジャケットを上から羽織って、トーンの違いを際立たせました。同系色を添えると、ネオンの強さをやわらげる効果が生まれます。さらに、ベージュのムートンを羽織って、ふんわりとやさしげに。ボトムスは同じ赤系で、色の濃いボルドーのパンツで渋く締めています。

 蛍光ペンでもおなじみのイエローは、ネオンカラーの代表選手とも呼べそうな色です。パンチが効いているから、差し色的な使い方に向いています。ネオンイエローのハイネックと、ネイビージャケットのコンビネーションはシャープな色バランス。チェック柄のワイドパンツにも一部にイエローが交じっているから、弱い“トーン・オン・トーン”効果が働いて、全体の色なじみがよくなっています。

◆アウターを重ねて、
適度な“差し色”使いに

 ネオンカラーは色味が強いので、見せる面積を抑えるほうが、さりげない差し色効果を発揮させやすくなります。たとえば、ジャケットの前を閉じて、見え具合をコントロールするのは、取り入れやすいアレンジ。ネオンイエローのトップスに、刺しゅうが印象的なテーラードジャケットを重ねました。白いワイドパンツもジェンダーレスなムード。ジャケットの袖口と正面裾からも、イエローをチラリとのぞかせています。

 冬はコートを重ねて、ネオンカラーの印象を抑えるレイヤードが使えます。千鳥格子のロングコートを、ネオンカラー(蛍光グリーン)のハイネックにオン。夕暮れ時とあって、きれいに蛍光が発色しています。冬は夜が長いから、ネオンカラーはしっかり主張してくれそう。ネオンはカジュアル感やスポーティー気分を帯びていますが、ブリティッシュテイストのチェック柄アウターはバランスを整えるうえで、いい仕事をしてくれています。

◆上下サンドイッチで縦長ルックに

 ネオンカラーを効果的に取り入れるには、ハイネックトップスのほかに、ソックスや靴にあしらうのが賢いアレンジです。トップスと足首という“上下”に同じ蛍光色を配すと、色が響き合って、縦に長い印象が強まります。ネオンオレンジのハイネックをキーピースに据えて、白いアウターと白パンツで、バイカラー(2色使い)にまとめました。ネオンは強めの色ですが、白で整えると、きれいめのコーデに仕上がります。

 ネオンピンクのタートルネックは、顔周りにポジティブな雰囲気を呼び込んでくれます。コートの内側から、差し色としてチラ見せするだけで、装いのフェミニン度が急上昇。コーデのポイントは、正統派テイストのアウターに合わせる点です。ネオンピンのタイツとブーツを引き合わせて、上下で同系色サンドイッチに。ピンクの靴を持っていない場合は、コートのボタン色に合わせて、黒ブーツで引き締める手も使えます。

 ネオンカラーのハイネックトップスは、冬ルックの“体温”を高めてくれる点で、かなり便利な色です。きちんと感の高い羽織り物、きれいめのパンツなどと合わせるのは、上手な取り入れ方のコツ。大人っぽいオーソドックス服に合わせて、ネオン特有のストリート感を薄めると、幅広いシーンで着こなしやすくなります。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。連載Vol.19 英国ファッション教育最前線「デザインやクリエイティビティーの在り方を再考」

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探った。今回は、この夏までロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(LONDON COLLEGE OF FASHION, UAL、以下LCF)で学長を務め、今秋からゴールドスミス大学(GOLDSMITHS)で副学長に就いたフランシス・コーナー(Frances Corner)教授に聞く。

WWD:なぜこの1~2年でサステナビリティは大きなムーブメントになっているのか。

フランシス・コーナー教授(以下、コーナー):簡単にいえば自覚し始めているから。また、環境保護団体エクスティンクション・レベリオン(Extinction Rebellion)のデモや16歳の環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)らの影響は大きいわね。今の学生は以前に比べてさまざまな情報を得やすくなっているので環境問題にも詳しい。そんな彼らが今本当に真剣に考えていて、チャレンジしている。

 私たちは今、余裕がある生活を送っていると思っているけれど、実はそうではない。環境、資源、人権など全てはつながっていてさまざまな問題が起こっている。例えば、気候変動の深刻化で農業への影響が大きくなっているし、移住せざるを得ない人々も増えている。自力で生活できなくなっている人もいる。ファッションはその中で大きな役割がある。

WWD:学生はどういうことに興味を持っているのか。

コーナー:ファッションが大好きであることは間違いなく、地球に対して責任あるファッションに興味がある。例えばLCFを卒業したベサニー・ウィリアムズ(Bethany Williams)やセント・マーチン美術大学(Central Saint Martins, UAL)出身のフィービー・イングリッシュ(Phoebe English)はまさにこの問題に取り組んでいる。彼らだけではなく、多くの若手デザイナーはサステナビリティを念頭に置いてモノ作りをしている。先日会ったパキスタンやコロンビア、パレスチナ、ジンバブエのデザイナーたちもそう。彼らは、ファッション産業の大きな課題の一つである廃棄に取り組んでいて、彼らの母国の技術を生かした廃棄を出さないデザインに取り組んでいる。

 今、東京、ロンドン、香港、ニューヨーク、パリ――どの都市でも同じ「シャネル(CHANEL)」や「プラダ(PRADA)」が売られているけれど、私はこの面でもサステナビリティという概念を生かせないか考えている。例えばそれぞれの国の技術や文化を生かして、ローカルで生産を行えないかとね。

「今、重要なことは循環型ファッションに乗り出すこと」

WWD:ファッション業界が取り組むべきことは?

コーナー:技術で解決できることは増えてきたけれど、そのボリュームが足りていない。また、一つのことではなく全体を考えなくてはならない。単純に一つの回答なんてあるわけない。

 ただ、どの企業も取り組むべきことは、商品をどのように作り、どう廃棄するか――どのようにしたら循環できるかを本気で考えること。つまり、処理方法を考えながらデザインを進めなければいけない。

 そして私たち消費者はどこから責任を負うかを考えなければならない。どれだけ買うのか、どのように使うのか、そのアイテムはどこから来たのか。

 業界の挑戦は、消費者がとっかえひっかえ新しい服を買わなくてもファッションへの感動や愛情をどうやったらキープできるかを考えることね。今はたくさん作ってたくさん買わせているけれど、消費者は責任を感じてこの仕組みに違和感を覚え始めている。ファション業界はクリエイティブな解決策を見つけなければいけない。

 私がLCFからゴールドスミスに移った理由は、ここにはファッションやアート、デザインだけではなく、心理学、政治学、法学など幅広い学部があるから。それらすべての分野で、私たちは人権や環境問題と積極的に向き合っていかなければならない。そして、仕組みから考え直して改善策を提案できるような学生を育てて、新しい技術や方法を求めている企業に送り込む――これが私の出したソリューションよ。

「教育には人間を変える力がある」

WWD:教育から変えていくと。

コーナー:ええ。私自身は人間にとても興味があり、刑務所やコミュニティーグループで働いたことがあるけれど、教育には人間を変える力があると実感した。

 ブレグジットの話はしたくないけれど、それが起こった理由の一つが、社会が平等ではなくなってきているからで、その背景にはグローバライゼーションや産業技術の変化などいろいろある。社会全体を持ち上げていかなくてはならないけれど、どのように解決していくのか――ゴールドスミスはそうした(アカデミックな)分野に強い。今、デザインプロセスを考え直している教授は、神経科学や心理学の研究者と協力し合いながらクリエイティビティとは何かを問うリサーチを行っている。それをどうビジネスに役立てるのかが重要ね。

 私たちはなぜファッションが好きなのか。何かを消費することだけではないはずで、それについても研究している。ゴールドスミスはアイデアの発達プロセスを重視しているし、そのアイデア自体に責任感を持つことも大切にしている。人間をテーマとして、社会の中での人間を研究している。

「自分の廃棄物は自分で処理することに取り組むべき」

WWD:消費者も変わらなければいけない。

コーナー:私にとって消費者というテーマは、やはり教育と知識につながる。細かいところまで自分が買ったもののインパクトが分かれば、きっと消費も変わるはずだ。チャリティーショップに持って行った服がアフリカでさらに安く売られてローカルの企業に悪影響を及ぼしていたら、どうだろう。今、ルワンダではもう受け取らないと言い出している。インドネシアに送られるプラスチックの山と同様に「要らないものを送るな」とね。中国も断った。

 自分の廃棄物は自分で処理しましょうという当たり前のことに取り組むべき。考えて購入して処理も自分でできるようにすること。重要なのは、私たち消費者がどうするか。

WWD:注目している企業は?

コーナー:ケリング(KERING)のフランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)は考えが明確で、地球上の人間のためにどうすべきかを考えている。プロダクトの影響だけではなくて、サプライチェーンを考え直したり、女性のための基金を立ち上げたりしている。雇用条件はもちろんだし、関連企業も搾取しないし、サプライチェーンへはその教育から始めている。

WWD:あなた個人について教えてほしい。どんな服を着ていて、どのようなことを日々行っている?

コーナー:いつも「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」を着ている。「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」も着るけど「ヨウジ」は欠かせないわね。あまり買わずに古いものをキープしている。15年前の服も着ているけど、今でも「かっこいいね!」と言われることがある。値段は高かったかもしれないけど何度着用していたかを考えたら高くないわよね。今日もコートとトラウザーは「ヨウジ」でシャツは「ブラック・コム デ ギャルソン(BLACK COMME DES GARCONS)」。

 使い捨てのプラスチックは使わないようにしている。お肉はもう長いこと食べてないわね。お魚は少々食べるけど。他の環境への害も減らす努力をしている。

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編集長は先週何した? 「キャデラック」の迫力、大丸梅田ミチカケ視察、来年のラッキーカラーのミニ財布

 こんにちは、「WWDジャパン」編集長の向(むこう)千鶴です。マドリッドにCOP25(気候変動問題を議論する国連の会合)の取材に行っている知人から「現地の人たちの環境意識の高さに圧倒されている」とメールをもらいましたが、日本のメディアからはその熱が伝わってこないですね。おかしいな……。こちらから情報を取りにいかないと重要なことをキャッチし損ねそうです。

12月3日(火)
松屋150周年を
デザイナーたちと祝う

 百貨店の松屋が150周年記念の会場に選んだのは、東京・六本木のデザインミュージアム21_21 DESIGN SIGHTでした。「松屋はデザインを大切にしている」メッセージが伝わってきますね。会場で撮影したこちらの写真、ぜひ拡大してご覧ください。日本を代表するグラフィックやプロダクトのデザイナー、建築家の名前がずらりと並び勉強になります。

 松屋銀座7階の「デザインコレクション」はデザインを切り口にしたインテリア雑貨などを扱う売り場でオープンは1953年。それゆえ、セレクトショップの草分け的存在といわれています。そこに関わったのがこの表に登場する日本デザインコミッティーのデザイナーたちです。

 21_21 DESIGN SIGHTでは今、深澤直人さんや原研哉さんらコミッティーメンバーのスケッチや図面を展示する企画展を開催中です。つまり、デザイナーたちの頭の中を少しのぞけるわけです。おもしろいですよ。

12月3日(火)
これぞアメリカン・ラグジュアリー
な「キャデラック」

 この日は「キャデラック(CADILLAC)」のSUV“XT6プラチナム”の発表会でした。デッカイ!!キャデラックは映画によく登場しますが、今年のヒット映画「グリーンブック」でも重要な役を担っていましたね。舞台は1960年代のアメリカ。天才黒人ピアニストが、がさつなイタリア系用心棒兼ドライバー雇って差別が色濃い南部をコンサートツアーする、実話に基づく話です。ロードムービーですから車が準主役的存在。田舎道を走り抜けるターコイズグリーンの「キャデラック」が粋でした(音楽も最高!!)。

 ちなみに今年初めのニュースで「米国のミレニアル世代のうち14%がアフリカ系。彼らは消費に意欲的で米国のカルチャーに大きな影響力がある。自動車では、57%が『キャデラック』に乗りたいと答えた」といった趣旨の記事がありました。大統領専用車でもある「キャデラック」はアメリカにとってやっぱり特別なんだな、と思うニュースでした。

12月4日(水)
行ってきました、
大丸梅田店のミチカケ

 百聞は一見にしかず。大阪出張の合間に大丸梅田店5階の新しい売り場、ミチカケを見てきました。「生理バッチ」の是非がクロースアップされたこともあり、私自身も“よし、見てみるぞー”と勇んで向かったのですが、これが拍子抜け。いい意味で。フツーに居心地がよく、フツーに欲しいものがある売り場でした。生理によって揺れる女性の体調やメンタルに寄り添うことをコンセプトにしているので当たり前なのですが……。

 足を運ぶ前のミチカケに関する私の知識は、ツイッターなど文字からのみであり、さらに言えば誰かの意見や感想を通じて得たものでした。そのことが足を運ぶきっかけになったのでいいのですが、やはり自分で見て感じるに勝る情報はナシ。

 言葉のトゲは、放った側が想像する以上に放たれた人の心に深く刺さるものです。今回の騒動で売り場の皆さんも複雑な心境かもしれませんが、どうぞ!自信を持ってこの売り場を育ててください。女性の多くは生理不順の対策を後回しにしがち。この売り場は、女性が自分を省みて大切にするきっかけになると思います。

12月5日(木)
ステディ スタディの展示会で
新作パトロール

 PR会社ステディ スタディは旬なブランドの取り扱いが多いのでオープンハウスをしっかり取材すると1時間半コースになります。中でも思わずカメラを向けたくなったアイテムを紹介します。

12月5日(木)
モリリンの展示会は
サステナビリティ全開

 こちらの写真、おもしろいです。繊維商社のモリリンの展示会場に貼られていたもので、来場者は一人一枚、シールを貼ります。青(20-35歳)、赤(36-45歳)、黄緑(46歳以上)で、「自分自身が服を買うときに意識すること」に答えます。縦軸がクオリティーとトレンドで、横軸がエコとプライス。3世代ともクオリティとプライスを重視する傾向がわかりますね。

 モリリンは展示会でサステナビリティへの取り組みを全面的に打ち出していました。会場全体の熱量が高く、業界の関心が一気に高まっている感じです。そして最後に用意されていたのがこちらのコーナーでした。仕事ではサステナビリティを連呼しているけれど自分事化してみたらエコよりプライスを選ぶ自分がいた。シールを貼るという行為を経て、そう気づく人も多そうです。本当に推進するにはきれいごとではなく、自分事。そのきっかけとなる面白い取り組みです。

12月5日(木)
最新(12月9日)号
「ファッションロー特集
業界にまつわる18の法律相談」と
今日のおやつ

 「WWDジャパン」史上初となる、法律特集です。企業から実際に寄せられた法律絡みの相談に4人の弁護士に答えてもらうという内容で、読み応えたっぷりです。カバーオンカバーは「アウディ(AUDI)」。新車にも採用されているこの黄色と似合う赤いリンゴはお歳暮でいただいた千疋屋のもの。こちらは蜜がたっぷりでした。なお、1月には法律セミナーを開催しますのでぜひ!

12月6日(金)
アナログ写真が届き、眺める

 デジタル写真に慣れている分、郵便で写真はがきが届くと思わず仕事の手を止めて眺めてしまいます。11月末に開かれたデイトナ・インターナショナルの年末謝恩会に出席したのですが、その数日後にこちらのハガキをいただきました。お見事な記念撮影!センターの白いスーツの男性が同社の鹿島研社長です。

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「ファッションとは“服と人の物語”であり、その人が着るから物語が生まれ、その分人生が豊かになる」 by 新谷学

新谷学「週刊文春」編集局長

 ファッションとは“服と人の物語”であり、その人が着るから物語が生まれ、その分人生が豊かになる(Vol.2109 2019年11月4日)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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世界一ピュアなラグジュアリージン ”アークティック ブルー ジン”が日本上陸!

 今、スピリットの世界で最も注目されているのがフィンランド発のジン“アークティック ブルー ジン(以下、ABG)”だ。“ABG”は、2018年の「世界スピリッツアワード」で2つの金賞を受賞して一躍脚光を集めているのだ。

 “ABG”を創ろうと考えたのは2人のフィンランドの若者、ミコ・スプーフ(Mikko Spoof)とキモ・コイヴィッコ(Kimmo Koivikko)だ。2人のコンセプトは「フィンランドの自然を閉じ込めた世界一のジン」。そのきっかけになったのは、ミコが機内で見かけた年々急増するフィンランドの観光客に関する記事。「その自然に触れるために毎年何百万人の人々がフィンランドにやってくるのだから、ユネスコが世界で最も美しいと認めているその水と空気を閉じ込めたジンを作れば、これは素晴らしいことになるのではないか?」という思いが出発点だった。2016年春から世界一のジンを作る試みがフィンランドのカレリア地方の北部イロマンスティで行われることになった。

 原材料は、北極地方の雪解け水、そして凍土から生え出てくるワイルドブルーベリー(ビルベリー)をベースにした、ビルベリーの葉、ジュニパー、スプルース、カルダモン、コリアンダーの種子、フェンネルの種子、そしてもう一つ独自の成分が加えられた。

 ミコとコイヴィッコに加えて、料理人のジャッコ・ソルサ(Jaakko Sorsa)と蒸留業者のアスコ・リナネン(Asko Ryynanen)もメンバーに加わった。4人は「世界一のジンという称号を得るまでは販売はしない」という誓いを立てた。

 「なぜ、ジンだったのか?」という問いには、「他のスピリッツに比べて、ジンのゾーンに突出した存在がないように思ったから」とミコ。「しかしその考えは間違っていたね。そんな簡単なことではなかった」とミコは苦笑いする。試作は1200回を超え、3回ほど倒産しそうになったという。

 「2017年の春に蒸留法の間違いに気が付いた。アルコール臭を取り除く凍結濾過蒸留の過程で素晴らしい香りも取り除いていたのだ。それでアメリカ、デンマーク、ドイツの蒸留学者を招き対策をしていくうちに全く新しい凍結しないで蒸留する方法に辿りついた」とミコ。「完成したABGがいかにピュアな存在であるかをワールドスピリットコンペティションアワードの事務局に説明しても信じてもらえなかったのでサンプルを送ったら、それがヨーロッパのホワイトスピリットとしては初の金賞の授賞につながった。

 すでに“ABG”は欧米を中心に販売されており、すでに生産本数も年間200万本に迫る勢いだという。「年間600万本は見えている。工場を増設しないといけない。将来的には2000万本までいくのではないか」とミコ。

 コンセプトが強固だと、ラグジュアリーなブランドが短期間に誕生するという稀有の例かもしれない。フィンランドのブランドといえば、携帯電話の「ノキア(NOKIA)」、ファッションの「マリメッコ(MARIMEKKO)」が日本では有名だが、ずばりフィンランドそのものの「アークティック ブルー ジン」もその仲間入りをするのではないだろうか。

 さて日本での販売は、恵比寿の三ツ星シャトーレストラン「ジョエル・ロブション」の「ルージュ・バー」での提供を皮切りにラグジュアリーなレストランやセレクトストアで販売される予定だ。販売代理店は株式会社ルイRだ。“ABG”(アルコール度数46.2%、税込小売価格6000円税込)のほかに、“アークティック ブルー ジン ネイビー ストレングス”(アルコール度数58.5%、税込小売価格7400円)がある。

 また来年のオリンピック期間中に東京のフィンランド大使館の敷地内にフィンランドの魅力を伝えるために設けられるパビリオンにて“ABG”のバーがオープンする予定だ。

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ストライプが中国で進める“ニューリテール”の実態を公開 4~6級都市ではフランチャイズ出店を加速

 ストライプインターナショナルは、中国法人ストライプチャイナの陶源(タオ・ユアン)総経理による、「ストライプの中国における成長戦略」と題したメディア向け説明会を行った。副題は「ニューリテールの実態」。実店舗にカメラやセンサーを設置し、オンラインとオフライン(実店舗)をつなぐ中国の“ニューリテール”の在り方は日本でも既によく知られてはいるが、説明会では同社がアリババやJDドットコムといった中国ウェブサービス大手と組み、どんなデータをどのように生かしているのかを赤裸々に公表。また、人口100万人クラスの4~6級都市でフランチャイズ(FC)出店を強化する計画も明かした。

 ストライプインターナショナルは2018年にアリババの日本法人と戦略的パートナーシップを締結。以来、ニューリテールについて共同研究を重ねてきた。具体的には、アリババのクラウドや社内業務効率化アプリ“DingTalk”を導入し、オンラインとオフラインのデータ融合を推進してきた。

 アリババとの取り組みにおいて「最も重要なポイントは、(データを)オンラインからオフラインにスイッチできること」と陶総経理は話す。例えば、アリババのECモール「タオバオ」アプリの「アース ミュージック&エコロジー(EARTH MUSIC & ECOLOGY以下、アース)」の画面から、顧客はすぐに実店舗の販売員にチャットで問い合わせが可能。優良顧客から順に、商品の試着予約や取り置きに応じている。チャットは“DingTalk”と連携しており、空き時間の販売員などに自動転送され、繁忙期で販売員が答えられない際は、一定時間でコールセンターや、本部に転送される。

 そうした仕組みによって、19年2~7月はアリババでのEC売り上げが前年同期の2倍に、既存店売り上げが同1.5倍になったという。

優良顧客を顔認証で割り出しVIPサービス

 このように、アリババとの取り組みでは「オンラインからオフラインへの送客には手応えがあったが、まだ実店舗での顧客行動のデータ化ができていなかった」。そこで、アリババに次ぐ中国EC大手のJDドットコムと組み、実店舗にカメラやセンサーを設置しての顧客情報の収集を19年4月に開始。10月に上海の「アース」最大店にカメラを導入したことで、ストライプチャイナが運営する13店全てにカメラを導入し終えた。「『アース』最大店は35台のカメラを設置し、同時に200人までデータを収集できる」という。

 説明会では、カメラやセンサーを使って集めたデータの数々を公表。例えば、店舗俯瞰図にサーモセンサーによる温度マップを重ねたデータは、店内のどの位置に重点的に客が集まるのかを示したものだ。これによって、「どんな商品陳列をすれば売り上げが伸びるかを、1週間ずつテストすることができる」。このようなVMDへのデータ活用は日本にも応用できそうだが、日本と大きく違うのは、データの中で客の個人情報が完全に特定されていること。「政府機関が使っているのと同じ精度」のカメラで顔写真から個人を割り出す。それにより優良顧客が店内に入れば、即座に店長にアプリで知らせが届く。店内奥のVIPルームでケーキや雑誌でもてなすのだという。

 ただし、そのような顔認証については、会員登録の際に了承を得た客のみに実施しているという。これらの店頭データは本部にも即時共有され、遠方の店などは本部から指示を出す。20年2~7月のうちに、商品自体にもブルートゥースセンサーかRFID(電子タグ)を導入し、更なるデータの精度向上を目指す。

中国政府の「大衆による起業」政策に呼応

 出店先を考えるにあたっても、JDドットコムから共有される各地のショッピングモールの客層データを活用する。客層の年齢、性別だけでなく、学歴、職業まで全てデータ化されており、職業は「高級サラリーマン」「中~下級サラリーマン」まで細かく分かれる。陶総経理によれば、「中国人は、食べるもの、買うもの、住む場所のレベルが連動している。どれか一点だけ背伸びして消費するということがない」ことから、そのショッピングモールの飲食店の平均客単価や、周辺地域のマンションの区画単価などから、出店するべきモールかどうかを割り出すという。「以前は、出店は勘に頼るか、マーケティングリサーチ会社からデータを買うしかなかった。それが、JDドットコムのデータを元に考えられるようになった」。

 ストライプチャイナは今後、中国政府が進める「大衆創業、万衆創新(大衆による起業)」政策に沿って、4~6級都市でのフランチャイズ(FC)出店を進める。「20年に、FCは少なくとも50店出店する」考えだ。4~6級都市といっても、中国だけに人口は100万人規模。「アパレルビジネスに参入したいが、経験もチームも商品もないというオーナーをパッケージでストライプが支援する。黒字化したタイミングでFCオーナーに引き渡す。既に実施しており、これまで早くて1カ月、遅くて半年で黒字化した」という。「アパレルビジネスには明るくなくても、地元の有力ショッピングモールには顔がきくというオーナーもいる」。そういった層をFCとして取り込めば、モールの家賃も下がり、「われわれにもメリットがある」。実際に、昆明などでそういったケースがあったという。

 陶総経理は、コンピューターメーカーのデルの北アジア担当、日本トイザらスのEC本部長、ドイツ拠点のスーパー、メトロの中国法人でEC事業本部総経理などを経てストライプチャイナに2018年3月入社。日本語も堪能だ。

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「ディオール」メゾンコード研究 最終回 23歳のムッシュ・ディオールは裏路地に小さなギャラリーを開いた

 歴史あるブランドはアイコンと呼ばれるアイテムや意匠を持ち、引き継ぐ者はそれを時代に合わせて再解釈・デザインする。アイコン誕生の背景をひもとけば、才能ある作り手たちの頭の中をのぞき、歴史を知ることができる。この連載では1946年創業の「ディオール(DIOR)」が持つ数々のアイコンを一つずつひもといてゆく。奥が深いファッションの旅へようこそ!

 1年間続いた本連載も今回が最終回。トリはやはり“レディ ディオール”に飾ってもらおう。なぜならこのアイコンバッグには「ディオール」が大切にするコアバリューが詰まっているからだ。普遍性、エレガンス、職人の仕事、そしてアートとのつながり。今回は特にアートとのつながりについて掘り下げる。

 「ディオール」を創業する前の1928年、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)は23歳の時に友人たちと小さなアートギャラリーをパリの裏路地に開き、ギャラリストとして活動していた。若手起業家であるムッシュ・ディオールは、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)などすでに有名だった大御所画家たちの作品に加え、サルバドール・ダリ(Salvador Dali)やアルベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti)など当時は駆け出しの芸術家たちの作品を扱っていた。そして彼らの存在を世に知らせるベく、奔走していたという。父親からの反対を押し切ってその仕事を選んだという若きクリスチャン・ディオールの理想に燃える姿が目に浮かぶようだ。ムッシュ・ディオールにとって芸術は資産価値や投資対象ではなく、時代を読み解き、新しい価値を生み出す一つのコミュニケーションであり自己表現だったのだ。

 46年に「ディオール」を創業した後もムッシュ・ディオールは、ファッションとアートのつながりを大切にしてきた。芸術と表裏一体の関係性はメゾンの基本姿勢であり、歴代のデザイナーたちもその精神を受け継いできた。だから、95年に誕生した“レディ ディオール”そのものにもアートの要素が見て取れる。

 そして2019年の今、アーティストが再解釈しデザインする“ディオール レディ アート”というプロジェクトが続いている。“レディ ディオール”を題材に世界の芸術家が自由に表現し商品として販売するもので、4回目の今回は11人が参加。日本からは名和晃平が参加している。本連載ではそのうち、9つの作品を紹介しているが、実用品でもあるハンドバッグ上での表現というある種の制約は、芸術家たちのクリエイティビティを刺激するようで、実にユニークな作品がそろっている。ファッションを通じて芸術家を刺激し、彼らの存在を世に知らせてゆく。このプロジェクトはまさにギャラリストでありクチュリエであったムッシュ・ディオールの姿勢を体現しているといえるだろう。同プロジェクトは12月17日より国内ではハウス オブ ディオール銀座で発売される。(本連載終了)

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ケミオが東京モード学園に登場! 表紙撮影のメイキング動画公開

 「WWDジャパン」12月2日号“SNS世代”特集の表紙は、10〜20代のSNS世代から絶大な支持を得る動画クリエイター、ケミオ!アンケートに協力いただいた東京モード学園の学生をエキストラとして起用し、SNS世代の和気あいあいとした姿を切り取りました。今回は、撮影本番から舞台裏までをまとめたメイキング動画を公開します!

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大丸梅田ミチカケ炎上から考えた「メディアがすべきこと」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.7『生理に焦点を当てた大丸梅田店の覚悟』

読み解きポイント:「選択肢が多い時代に、メディアは何を担うか?」

ニュースのポイント

 大丸梅田店が11月22日に開いた“女性のリズムに寄り添う”新ゾーン「ミチカケ(MICHIKAKE)」が注目を集めている。これまでタブーとされてきた“女性の性と生理”に焦点を当て、ランジェリーや生理用品、ハーブティーからサプリ、セルフプレジャーアイテムまで取り扱っている。社内コミュニケーションのために企画された“生理バッジ”が賛否を呼んだが、商品ラインナップは消費者からの共感を得ておりオープンからの1週間は好調な出だしだという。

Azuはこう読む!

 この話題に関しては以前も書きましたが、今回は施策に関してではなく報じられ方について、ちょっと個人的にモヤっとしてしまった「メディアの在り方」について書ければと思います。

 最初の報道から一気にTwitter上で火が付き、思わぬ方向へ議論が進んでしまったこの話題。ただのフロアオープンのニュースとそれに付随する施策というライトな発信だったにも関わらず、それを受け取った人が一部のみを切り取り、それがまた切り取られ、誤解を生み……というのがネットの炎上の正体です。

 炎上は正直防ぎようがありません。どんなニュースに対しても十人十色の意見があるし、同じ言葉でも読み取り方は人によってかなり差があるからです(この連載もその一種です)。じゃあこの大炎上時代にメディアがすべきことは何か、というのを考えなければと思いました。

 前回は批判されているポイントをまとめましたが、多くは事実が正しく伝えられていないことによる誤解が原因です。対メディアの初動のコミュニケーションが少しずれただけで「こんなにも趣旨とかけ離れた認識になってしまうのだなーー」と傍観していたのですが、ふと自分が「伝える側」だったらどう対応すべきだろう?と思い、モヤっとしてしまったのです。

 炎上を見るたびに思うのが、はたして炎上させたのは誰なのか?ということ。一度炎上してしまうと、「ネタ元が仕込んだ炎上商法だ」とありもしないことを必ず言われ、誹謗中傷までされてしまいます。取材対象が語った本来の意図と、読者の認識が大幅にずれた場合、“媒介者”であるメディアはそれを修正する責任があると思っています。

 今回は炎上からの後追い取材、そこからの再燃といった綺麗なネット炎上コースでしたが、最もモヤっとしたのが「後追い取材」の部分です。すでに話題になっているネタだからPVを稼げるのがわかっていたのだろうけど、「その見出しはミスリードでしょう」というタイトルをいくつか見かけた上に、「他メディアからの情報を拾っただけで、担当者への直接的な取材がないまま掲載したな?」と思ってしまうような薄っぺらい記事も見かけました。

 ウェブメディアはクリックを導くタイトルが命です。字数制限があるため簡潔に書かなければいけません。そしてタイトルだけを見て本文を読まない人がかなりの数いることは、SNSのリーチや拡散などのアクションと、記事のクリックやPV数を比較すればすぐわかります。数字は嘘をつきません。

 記者とSNS運用者は違う場合がほとんどかと思いますが、少なくともウェブ記事を書く人は、書いたら終わりの時代ではないことは知っているはずです。その記事をいかに届けるか、そして読者に考えてもらうか。問題提起なら誰でもできるこの時代に、メディアとしてそこまで考えられた記事がどれだけあるのか、ちょっと頭を抱えてしまいました。

 最近「選択肢」という言葉をよく耳にします。「ダイバーシティー」をかなえる上で選択肢を増やすことは欠かせない行動の一つですが、人間って、選択肢が多ければ選べるというものではないんですよね。

 極端な話、選択肢が増えることで困る人もいます。「Cという選択肢が気に食わない」とか、「多くて選べない」とか。だからまずは、選択肢の必要性だったり、一つ一つの理解や存在そのものだったり、選ぶ判断基準を培う土壌などは、大勢の人に情報を発信できるメディアが提供しなければと思うのです。だけど今、この状況でそれができる気が全くしません。

 選択肢を増やそうと努力する企業や個人がたくさん出てきている中で、メディアがすべきことは何でしょうか。その選択肢を広めることだけではなく、どう選べば良いのか?なぜ選ぶ必要があるのか?を分かりやすく伝えることだと思います。

 考えることを放棄した人たちを、数字を取るために利用し、扇動している。メディアがどうしてもそう見えてしまう時がある。もちろん記者たちが信念を基に取材して、接続詞の一つにまで気を配らせた素晴らしい記事も存在する。だから余計に悲しいのです。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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「ミュベール」中山路子の隠れ家「エム」、日台シンガポールの女性デザイナーで広げる共感の輪

 「ミュベール(MUVEIL)」の中山路子が手掛ける「エム(M)」の東京・神田明神境内店舗で11月、台湾のプロダクト「キム デザイン(KIMU DESIGN以下、キム)」とシンガポールと東京を拠点にするジュエリー「ユミコ ルカウ(YUMIKO LUCAU以下、ユミコ)」との合同展「皇帝のトレジャーボックスとジュエリー」を開催した。「キム」とは中山がビジネスで頻繁に訪れる台湾で、「ユミコ」のジュエリーとは、同ブランドがとある百貨店で開催していたポップアップショップで出合ったという。ファッション、プロダクト、ジュエリーと異なるジャンルの女性クリエイター3人に話を聞いた。

 中山が「エム」を立ち上げたのは約2年前。衣服の持つ“間接的影響力”をテーマにした「ミュベール」とは正反対の物作りで、彼女自身の思いが詰まったブランドだ。中山は、「展覧会や食事会など自分が主役ではないシーンがある。個を持ちつつ“他人”を引き立てられるモノ作りをしたいと思った」と話す。2017年6月に神田明神境内に「エム」の旗艦店をオープン。同店は「エム」の販売だけでなく、作家の作品展示を行うなどギャラリー的な存在でもあり、コミュニティーづくりの場所でもある。「点ではなく、線や面でつながるようなシンプルで長く寄り添える洋服を作りたい。そのため、物作りにもこだわっているので大量生産はできない」という。そのため、販売は旗艦店及び自社ECサイト、限られた取引先で行っている。店舗の営業時間も、金、土、日、月の13~19時半。事前予約制ではないが、来店客とは会話やお茶を楽しみながらゆったりとした時間を過ごしてもらっているそうだ。

 「キム」のプロダクトに関しては、「一つ一つが際立ちながらも和洋両方になじんで引き立てるデザインが、『エム』の目指す物作りと似ていると思った」と中山。この秋に登場したらせん階段のような形の“リベールコンテナ”は清王朝の宝箱からインスピレーションを得た収納ツールで、その中に「ユミコ」のジュエリーが飾られている。「キム」は、台湾人女性2人と男性1人のデザイントリオ。今回の展示のために来日したケリー・リン(Kelly Lin)は、「私たちのプロダクトと『エム』の洋服、『ユミコ』のジュエリーには共通点がある。デザインに遊びがあるため、使う人が使い方を決めることができる」とコメント。新作の収納ボックスは360度好きな角度で開けるので、さまざまな飾り方ができる。

 「ユミコ」のデザイナーのルカウ優美子はシンガポールと東京を拠点に活動している。彼女はニューヨークの金融機関に勤めながら彫金を学んでいたが、アメリカ人の夫のアジア転勤を機に、本当にやりたいことを始めようと自身のジュエリーブランドをスタートさせた。ルカウは「自分が欲しいと思うジュエリーを作りたかった。それを他の人にも届けたいと思ったのがブランド立ち上げのきっかけ。『エム』とは出合った時から相思相愛だった」と話す。「エム」とのコラボは今回で3回目だ。ルカウがデザインしたジュエリーは日本の職人と二人三脚で仕上げ、百貨店などのポップアップショップを中心に販売。中山は、「『ユミコ』は自立した自由な女性のためのジュエリーで、それは『エム』が描く女性像と共通している。『ユミコ』も『キム』も哲学が込められたブランドでシンパシーを感じる」と言う。

 これら3人の女性クリエイターの共感により、ファッション、ジュエリー、プロダクトという異なるジャンルが融合した空間は新鮮だった。「女性の方がライフステージの変化から受けるインパクトが大きく、男性より感性がこまやか。だから、女性同士の方が共感したり、刺激を受けたりしやすいのだと思う」とルカウ。

 これからも「エム」では、中山が共感したクリエイターや作家たちとのコラボレーションが見られることだろう。

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私のサステナビリティ ブリアン・ウエスト「エティーク」創業者は“地球環境”を広い意味でとらえる

 「エティーク(ETHIQUE)」は私がまだ学生だった2012年に、海洋汚染の状況に心を痛め、ニュージーランドで設立したビューティバーブランドです。ビューティバーとは、シャンプーなどプラスチック容器を必要としていた液体製品を、必要成分を濃縮するというシンプルな方法で固形化したもの。それによりプラスチックボトルを排除でき、サステナブルでありながらきちんと結果を出すことのできる製品を市場に届けてきました。

 一般的に“企業の成長とエシカルは相容れない”とする見方もありますが、「エティーク」は“製品が売れれば売れるほどエシカルが世界に広まる”ブランドだと信じてやってきたため、アメリカやヨーロッパ、そして日本にまでブランドのフィロソフィーを広めることができました。

 サステナビリティに関して、企業としての今後の目標は“25年までに1000万本の廃棄されるプラスチックボトルを削減すること”に据えています。個人としては、肉食をやめました。「肉食とサステナビリティって関係あるの?」とよく聞かれますが、“地球環境”の中にはもちろん動物も含まれるので、結果的に環境を守ることにつながっていると考えています。

私のサステナビリティ
 ファッション業界にとって加速して取り組まなければいけない課題の“サステナビリティ”。企業として大きく舵を切ることはもちろん、個々の意識も重要です。そこで個人的に行なっているサステナビリティについて聞きました。

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インターナショナルギャラリー ビームスの2020年春夏 天然素材&仕立てのよさが光るクチュールライクなウエア

 インターナショナルギャラリー ビームス(INTERNATIONAL GALLERY BEAMS)の2020年春夏は、ワンピースやセットアップを多くそろえた。

 テラコッタやベージュなど乾いたイメージのアースカラーや淡いグリーンなどのボタニカルカラーに、素材はリネンを中心に暑い時期を快適に過ごせるドライタッチの天然繊維を提案する。

 片桐恵利佳ディレクターは「今季はナチュラルなトーンの服に“出会う”ことが多かった」ことから、「フランスの写真家ジャック・アンリ・ラルティーグ(Jacques-Henri Lartigue)の作品や、アメリカの芸術家ジョージア・オキーフ(Georgia O'Keeffe)が着ていた服からイメージを膨らませた」と語る。なかでもインターナショナルギャラリー ビームス“らしさ”を表現できる「クチュールの要素や、素材や仕立てのよさを感じるアイテムを買い付けた」という。

 イチ推しブランドの「ドゥ ボキー(DOU MOCHI)」は、「エルメス(HERMES)」などでアートディレクターを務めたエリック・ベルジェール(Eric Bergere)が手掛けるフランスのブランド。片桐ディレクターは、「ナチュラルかつモードなデザインの落とし込みが魅力」と評価し、3~4万円代のリネンドレスを買い付けた。

 さらに「レンリスー(RENLI SU)」は、中国で美術、ロンドンで服飾を学んだデザイナーが、中国のシルクやビンテージシルクを用いてコレクションを製作している。「気持ちよく着られるほどよい透け感がリアル」と片桐恵利佳ディレクター。ヴィクトリア朝時代にスカートの骨組みとして使われたクリノリンのシルエットを落とし込んだ、クチュールライクなドレスなどを提案する。

 ウエア同様、ナチュラルな素材が目を引く雑貨のイチ推しは、日本初上陸で元古着店オーナーの女性デザイナーが手掛ける「レ バカンス ディリーナ(LES VACANCES D'IRINA」。“地中海でのバケーション”をコンセプトにしたブランドで、ラフィアより軽いキャットテイルの草を編んだカゴバッグや、セーラーカラーのリネンウエアなどを導入する。特にシグネチャーのカゴバッグは、ルーマニアの職人のクラフツマンシップを感じる」と言う。

 さらに2019-20年秋冬にスタートした「シノナグモ(SHINONAGUMO)」のリボン付きのストローハットや、トルコの「メヘリー ムー(MEHRY MU)」の別注ラタンバッグなども買い付けた。

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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クリスマスギフト&自分へのご褒美にイチオシ華やかスマートウオッチ2019

 家電女優の奈津子です。当初はマニア向けの印象が強かったスマートウオッチですが、今では「エルメス(HERMES)」や「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「グッチ(GUCCI)」などのラグジュアリーブランドも手掛けるほど、どんどんオシャレになってきています。クリスマス間近になった今回は、大切な人への贈り物&自分へのご褒美に最適な価格帯(数千円〜5万円台まで)のスマートウオッチをご紹介します。

フィットネスユーザー&ズバ抜けたデザイン性重視なら「GARMIN」

 フィットネスユーザーからの支持が特に熱い「ガーミン(GARMIN)」の「ヴィヴォムーブスタイル(VIVOMOVE STYLE)」は、時計針によるアナログ感を持ちながらも文字盤にタッチスクリーンを搭載し、さまざまな機能を利用できるハイブリッドスマートウオッチです。カジュアルな装いにもフォーマルな装いにもマッチするデザインで、とにかく見た目がズバ抜けてカワイイ。装着していると必ず「それ、どこの?」と感度の高めな人から尋ねられます(笑)。

 見た目の良さだけでなく、防水機能を備えているのでランニングや筋トレ、水泳などでログを残すこともでき、着信・メール・カレンダーなどの通知機能、睡眠モニター、生理周期のトラッキング、本体のバッテリー確認やタイマー機能などができます。「ガーミン ペイ」を使えば出先でも支払いもOK。

 個人的にはストレスレベルを計測する感度がかなり優秀だと感じていて、緊張する仕事の直前や睡眠不足が続いた時に、必ず短い“呼吸のアクティビティー”を行なうように表示してくれるのが助かっています。睡眠の質もそうですが、自身の体の状態をしっかりと把握することって、意外と難しいんですよね。それを認知できるのは、より健やかに生きていくために大切なのだと再認識しました。

 バッテリーの持ち時間はスマートモードで最大4日間、時計モードで最大7日間とスマートウオッチの中では比較的長寿命なので充電を頻繁にしなくても大丈夫。軽くて、装着感が快適なのも高ポイントです。価格は3万6000円(編集部調べ)。「デザインのオシャレ度」「着け心地の良さ」「フィットネスユーザー」の方にはダントツでイチオシです。

行動を「スマート化」するなら王道の「APPLE WATCH」

 スマートウオッチを語る上で欠かせないのが「アップル ウォッチ(APPLE WATCH)」。今年発売の“シリーズ 5”は前シリーズと比べてディスプレーが30%以上大きくなった上に、時計の表示が常時できるようになりました。これにより、いざ時計を確認したい時にスリープ状態やディスプレーがオフになってしまう煩わしさがなくなったんです。細かい変更点に感じるかもしれませんが、これが実は革命的な進化なんですよ。あとは、何と言っても便利なのが「モバイルSuica機能」。改札やタクシー、自販機に手首をかざすだけで利用できることに慣れてしまうと、もう元には戻れません。

 そのほかにもメールの通知や返信、電話、睡眠の計測、活動量の記録、音楽の再生やマップ機能、Siriでの検索、計算機やボイスメモが使えるのも便利。「ガーミン」同様に防水仕様なので運動中や水泳時にも使用できます。ただ私の手首の形状では、汗をかきすぎた時にはちょと蒸れる時があるので気がついた時に空気を通すようにしています。

 個人的には自宅の鍵をスマートキーにしたんですけど、改札だけでなく自宅の鍵も「アップルウォッチ」をかざすだけで開閉できるようになったのが感動的!バッテリーの稼働時間は約18時間なので、朝からがっつり使用して睡眠の計測もしたい場合には夕飯時と入浴中にしっかりと充電させておくのをオススメします。私は単体でも通信機能を持つセルラーモデル5万3800円(編集部調べ)を使用していますが、基本的にiphoneは常に持っているという方はGPSモデルの4万2800円(編集部調べ)でも十分だと思います。「行動のスマート化」「多機能さ」を求めるのならば、これ一択でしょう。

アナログ時計をスマートウオッチに変身させられる!

 最後は変わり種の「ソニー(SONY)」の“ウェナリスト(WENA WRIST)”シリーズをご紹介。「ウェナリストレザー」はご覧の通り文字盤のないレザーベルト単体ですが内部にフェリカ モジュールを搭載し、楽天エディーの電子マネー機能が使えます。

 そのため手持ちのアナログ時計をスマートウオッチに変身させることができるのです!スマホとの連携や充電を必要とせず、生活防水のため湿気や雨にも強い仕上がりになっています。本革の中でも最高級のカーフ皮を採用し、一つ一つが手作業で仕上げられているので高級感があります。価格は8380円(編集部調べ)とお手頃なのでクリスマスの贈り物にする場合にはシャンパンやワインを付け加えても良さそう。

 もう少し色んな機能を使いたい方には、より高機能なステンレス製のバンド「WN—WB01S」を搭載し、「スワロフスキー(SWAROVSKI)」とコラボしたブレスレットを付属する「WN-WT12S」がオススメ。もう、手元の華やかさがダントツですよね。

 単体でも販売しているステンレス製のバンド「WN—WB01S」では、アクティビティーログ機能・電子マネー通知・スマホの通知機能を搭載していて専用アプリと連携すれば1日の合計歩数や電話やメール、SNSからの通知を確認できます。前述の「ウェナリストレザー」よりも使える電子マネー機能の数が多く、楽天エディーのほかにもID、ANA、クイックペイ、dポイント、ヨドバシカメラの電子マネーに対応しています。価格は4万8380円(編集部調べ)です。

 皆さま、どうぞ良きスマートウオッチライフ&クリスマスをお過ごしくださいね!

奈津子(家電女優):ドラマ「野ブタをプロデュース」で女優デビュー。その後SDN48でアイドルとして活動し、卒業後に家電アドバイザーGOLD等級を取得。現在はテレビ東京系列「なんでも鑑定団」、東京FM「スカイロケットカンパニー」出演中。インスタグラム「natsuko_kaden」では愛用の家電を紹介中

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ファッション通信簿Vol.40 2019年「アメリカン・ミュージック・アワード」授賞式のレッドカーペットを米「WWD」がめった切り

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第40回は、米ロサンゼルスで11月24日に行われた2019年度の「アメリカン・ミュージック・アワード(American Music Awards、AMA)」授賞式のレッドカーペットから、ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)、クリスティーナ・アギレラ(Christina Aguilera)、ショーン・メンデス(Shawn Mendes)、ホールジー(Halsey)、ディプロ(Diplo)、リゾ(Lizzo)、ビリー・ポーター(Billy Porter)、リル・ナズ・X(Lil Nas X)が登場。今回はオレンジのドレスに身を包んだリゾが褒められる一方で、久しぶりのFAIL(失格)判定を下された人も。

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渋谷の隠れ家美容室「テトロ」にはなぜミュージシャンやクリエイターが集うのか?

 俳優の高良健吾やモデルの琉花、バンドD.A.N.(ダン)やnever young beach(ネバーヤングビーチ)の安部勇磨や鈴木健人、ミュージシャンのヤン・メイリン、映像クリエイターの山田健人、写真家の草野庸子など、ミュージシャンやクリエイターが集う美容室「テトロ(TETRO)」は、渋谷と代官山の間くらいの、それほど人通りが多くない場所にある。必ずしも行きやすいともいえないその場所に多くのクリエイターがなぜ通うのか。カルチャーメディア「EYESCREAM」で自身の対談連載を持ち、ヘアメイクアップアーティストとしても活躍する「テトロ」の森田康平ヘアスタイリストに話を聞いた。

WWD:森田さんのもとには俳優やモデル、ミュージシャンが多く通っている。どのようなきっかけで通うようになったのか?

森田康平(以下、森田):何人かのミュージシャンに関しては、もともと僕自身が音楽好きで、いろいろなライブを観に行っていて、「いい音楽やっているから、ヘアスタイルもイケてる方がいいでしょ」と思って声をかけたんです。それでお店に来てくれるようになり、そこから口コミや紹介でまた新しいミュージシャンが来てくれるといった感じで広がっていきました。今はnever young beachの安部君や鈴木君、D.A.N.のメンバー、ZOMBIE-CHANGとして活躍するメイリンさん、踊ってばかりの国の下津(光史)君などが来てくれています。俳優やモデルは、ヘアメイクの仕事で出会ってお客として店に来てくれるようになった人が多いです。僕以外のスタッフもヘアメイクとして活動していて、お店としてもミュージシャンをはじめ写真家や映像作家などクリエイターのお客さまが多いです。

WWD:「テトロ」はオープンしてどれくらい経つ?

森田:約4年です。以前、一緒の美容室で働いていた6人でスタートして、全員がスタイリストで、最初から最後まで1人で担当します。スタッフはみんな音楽や映画、アートが好きで、「自分たちでやりたいことをやろう」ということで「テトロ」を立ち上げました。もともと美容師ってファッションや音楽好きな人が多いのに、ファッションや音楽の業界と全然つながっていないし、むしろ離れてしまっている。美容師の業界ってある意味では閉鎖的なところもあって、業界誌で美容師が個性的なヘアデザインをつくったりしているけど、僕自身はまったくそこには興味がなく、“美容師はアーティストではなくあくまで職人”という考え。その人の個性が際立つように、自然な感じを意識してヘアデザインはしています。そこがミュージシャンをはじめ、クリエイターたちに支持されているのかなと思います。

WWD:「テトロ」では写真集なども積極的に制作している。

森田:そうですね。集客サイトはやっていないので、その分の予算を使って1年に1冊のペースで写真集を作っています。それこそ自分たちがやりたいからやっていること。これまで3冊作っていて、1冊目はタカコ・ノエルさん、2冊目は草野庸子さん、3冊目は嶌村吉祥丸さんという人気の若手フォトグラファーにお願いしました。それぞれに1冊目はCD、2冊目はレコード、3冊目はカセットを付けました。曲はお客さまとして来てくれている人たちにお願いしています。次は、「テトロ」に来てくれているアーティストの書き下ろしの曲を集めてコンピレーションを作ろうと考えています。

WWD:場所的には渋谷と代官山の間で閑静な場所だが、この場所はすぐ決まった?

森田:僕らはあまりにぎやかな場所が好きではなくて、このあたりは渋谷だけど人通りも少ない。代表の舞人とも「この辺っていいよね」って話していて、見つかったのがこの場所です。近くにあまり美容室がないことも気に入っています。

WWD:「EYESCREAM」では自身の連載を持っているが、そのきっかけは?

森田:何度かヘアメイクとして関わっていて、最初は冗談のつもりで「うちに来ている人たちと対談をやったらおもしろいと思いますよ」って提案したら、そこから連載が始まりました。

WWD:2店舗目も考えている?

森田:僕らは少ない人数で意思疎通がしっかりと取れているのが強みで、「よくないことはよくない」と何でも言える関係。それが店舗を増やすことで薄れるのが嫌で、今のところ大きくしようとは考えていません。

WWD:今後やっていきたいことは?

森田:僕らの友だちとかお客さまにはすごく才能を持ったクリエイターたちが多くいて、そういった人たちと何か大きなムーブメントを起こしていきたいですね。そこに裏方として関わっていければと思っています。

■TETRO
時間:月~金曜日 11:00〜20:00 / 土・日・祝日 10:00〜19:00
住所:東京都渋谷区鶯谷町4-1 アバヴ渋谷 3F

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私のサステナビリティ 「フリーダ」の小笠原希帆は廃棄されるモノをリサイクル

 かわいいと思って手に取った洋服が実はサステナブルだったっていうのが1番スマートだと思っています。だから「サステナです」っていう接客とか、サステナブルコーナーとかを作って売るのは全然粋じゃないですね。古着の卸もずっと売れなかったモノは廃棄するんです。そういう廃棄されるはずだったモノを使うのは、いろんな会社がいろんな形でやるべきだと思います。

 「フリーダ」では、廃棄されるはずだった古着を新しい商品として生まれ変わらせて販売しています。例えばデニム。“501”の女の子がはくような28~32インチは、日本では争奪戦で全然ないけど、大きいサイズのデニムは人気がなくて、最終的には廃棄されてしまいます。それを集めて解体して、日本人の女の子がはけるサイズにリメイクしました。日本の工場の職人が一点一点ハンドペイントを施したりして付加価値を付けて、2万9800円までちゃんと値段も上げて売ります。ペンキが落ちてくると表情も変わって面白いから、1シーズンで終わるデニムじゃなくて、ずっとはいて欲しい。ワンピースにも古着のスカーフを620枚使っています。今の若い子たちには、スカーフを首に巻く文化がないですよね。だから価値をちょっと変えてみるっていうのも必要なこと。

 ただ、リメイクすると逆に値段が高くなってしまうから、サステナブルでもうけようと思うと大変なんです。高くても買ってもらえる価値をつけて、丁寧に売ることが大切ですね。

私のサステナビリティ
 ファッション業界にとって加速して取り組まなければいけない課題の“サステナビリティ”。企業として大きく舵を切ることはもちろん、個々の意識も重要です。そこで個人的に行なっているサステナビリティについて聞きました。

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ロンハーマンの2020年春夏 サマーニットやブラックドレスで楽しむ“大人の透け感”

 「春夏らしい色モノは豊富にそろえるが、今季は新たにモノトーンの提案をプラスする」と語るのは福田円バイヤー。ロンハーマンの2020年春夏は、少し褪せたようなブルーのグラデーションやミントグリーン、レモンイエロー、ラベンダー、ピンクなどをキーカラーに、ブラック&ホワイトのアイテムでアクセントを加えたスタイルを提案する。

 キー素材はリネンで、ドレスからデニム、Tシャツ、コートまで幅広く提案。キーアイテムはシアーなニットやブラックドレス、張り感のある白いパンツで、「子どもっぽくなりがちなプリントTシャツにシアーなニットを重ねて白いペインターパンツを合わせたり、ブラックドレスは、ノースリーブやシアーな素材と組み合わせたりするなどして、見た目も涼しげな“大人の透け感”を楽しんでもらいたい」と言う。

 さらに昨年売れ行きが好調だった白Tシャツは、型数、枚数ともに増やし強化する。“パーフェクトTシャツ”と題して、「ユニオンランチ(UNION LAUNCH)」や「オーラリー(AURALEE)」「エブール(EBURE)」などのブランドが“完璧”だと考える白Tシャツを別注で販売する。

 柄はさまざまなピッチのストライプをキーに、動植物のモダンなプリント、花柄などを並べる。雑貨は、バケットハットやフラットサンダル、大ぶりなトートバッグ、カラーローファー、リゾートサンダルなどをそろえる。

 18-19年秋冬から始めた「世界の銘品」の20年初夏は、イギリスを拠点にインドのブロックプリントを用いた「エスゼット ブロックプリント(SZ BLOCKPRINTS)」のカラフルなドレスや雑貨、シャツに特化したナポリ発の「モンテックス(MONTEX)」のサファリジャケットなどをラインアップ。さらに、「デミリ―(DEMYLEE)」のニットやバッグにイニシャル刺しゅうを入れることができるイベントを2020年2月に全店舗で開催する。

 ウェブの人気ビンテージショップ「ウィッティ ヴィンテージ(WITTY VINTAGE)」が無償で提供したビブフロントのドレスシャツに、クリエイター18人が自由にデザインを加えたアイテムをオークション形式で販売する。売り上げの全額を認定NPO法人「フローレンス」に寄付し、障害のある子どもたちへの支援金に充てる。

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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世界のプロが注目するジョージア発ブランド4選 最高評価は「シチュエーショニスト」

 10月31〜11月4日にジョージアの首都トビリシで「メルセデス・ベンツ・ファッション・ウイーク・トビリシ(MERCEDES-BENZ FASHION WEEK TBILISI)」が開催された。今季は2015年にスタートしてから10シーズン目の節目を迎えた。資源が少ないことや国自体の経済的な問題から生地や縫製の質にはやや難はあるが、独自の美意識から生まれる創造性は多くの人を魅了していた。世界中から来場した約100人の招待者の中から、複数のバイヤーとプレスに注目ブランドについて聞いた。

SITUATIONIST
「抜きん出た独自性」と絶賛

 数シーズン前にショールームのトゥモロー(TOMORROW)と契約した「シチュエーショニスト(SITUATIONIST)」と「マテリアル(MATERIAL)」は、世界中にアカウント数を一気に増やして消化率も好調のようだ。特に「シチュエーショニスト」は、今季インターナショナルゲストから最も高い評価を得た。イタリア版「ヴォーグ(VOGUE)」の編集者リカルド・テルツォ(Riccardo Terzo)は「トビリシで最も良質なブランド」と称した。「ジョージアの歴史と遺産を、完璧にウエアラブルな衣服に転換できる唯一のブランドだ。1990年代の『ヘルムート ラング(HELMUT LANG)』っぽいミニマルなアプローチと、くすんだカーキやサンドといった色彩も毎シーズン非常に効果的である。アクセサリーやスタイリングが十分ではないが、今季も一番クールなコレクションだった」とコメントした。

 柴田麻衣子リステア(RESTIR)クリエイティブ・ディレクターも同ブランドに高評価をつけた。「デザインから生産までを全てジョージアで行っていることが本当にすごいと感心したし、第三国の商品には見えないほど品質も高い。(資源が少なく選択肢が限られていることから)ジョージア発ブランドの世界観は似通ってしまうものだが、『シチュエーショニスト』は抜きん出て独自性が明確だ」と説明した。日本ではカシヤマ ダイカンヤマ(KASHIYAMA DAIKANYAMA)で販売するほか、伊勢丹での取り扱いも決まっているという。

TAMRA
高いセンスは評価されるも品質が課題

 スケートカルチャーがベースのストリートウエア「タムラ(TAMRA)」は2シーズンぶりにショーを行った。ホテル「スタンバ(Stamba)」のインダストリアルな雰囲気の地下スペースを会場に、回転する丸いボードの上に順にモデルが乗るといった突飛な演出だ。解体した古着の布を使った衣服と、ワークウエアやジャケット、スキーウエアなどを無作為に組み合わせたルックがコレクションを飾った。筆者にとっては今季最も印象に残ったショーで、中国版「エル(ELLE)」やポーランド版「ヴォーグ」などプレスからは注目を集めた。柴田氏に感想を求めると「演出や音楽、キャスティングがほかと違うアプローチでセンスが良い。『タムラ』に限らずほかのブランドも、トビリシという独特の雰囲気の中で見ると、まるで魔法がかかったのように素敵に映ることがある。しかし、商品を店頭に並べただけだと高円寺っぽい古着感も否めない。冷静になって考えると、買い付けにまでは至れないケースが多々ある」とバイヤーらしい視点を述べた。

BABUKHADIA
時代感を捉えた品の良いモノ作り

 「タムラ」とは全く異なる毛色ながら、筆者の印象に残っているのは「バブカディア(BABUKHADIA)」だ。ショーで見たルックからは、新生「ボッテガ ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」をほうふつとさせる、エレガントで程よく肩の力が抜けた都会的な女性像が浮かんだ。凝ったディテールや洗練された雰囲気、レザーと刺しゅうの上質さは格別。パリのコンセプトストア、トム グレイハウンド(TOM GREYHOUND)のバイヤーを務めるエカテリーナ・グラズノヴァ(Ekaterina Glazunova)も気に入った様子で、実際にショールームでサンプルを試着しながら細部をチェックしていた。「イタリア産の上質なレザーと絶妙なニュアンスカラーが美しい。ボタンやベルトの付け替えによって、シェイプやデザインを何通りにも変えることが出来るディテールも気に入った」とかなりの高評価だったが、オーダーまでには至らなかったという。「価格帯が高過ぎた。コートで約20万円だと、『ジル サンダー(JIL SANDER)』『ロエベ(LOEWE)』『マルニ(MARNI)』と同じフロアに陳列することになる。たとえ品質が高くても、顧客は知名度の高いブランドと比較して『バブカディア』に手を伸ばすことは少ないだろう。トビリシを過去数シーズン訪れて素敵なブランドをいくつか見つけたが、高い価格帯が買い付けへのネックになっている。マーケティングを強化し、税金や配送料も考慮した上で価格帯を見直すべき」と語った。

INGROKVA
メンズ誌編集長が目をつけた注目株

 世界中から訪れた招待客はウィメンズ担当のプレスやバイヤーが多い中で、メンズ雑誌「ファッキン ヤング(Fucking Young)」の編集長アドリアーノ・バティスタ(Adoriano Batista)はメンズブランドに注目。彼が評価したのは「シチュエーショニスト」と「インゴロヴァ(INGROKVA)」だ。ウィメンズブランドとしてスタートした「インゴロヴァ」は、ジジ・ハディッド(Gigi Hadid)やレディ・ガガ(Lady Gaga)といった著名人が着用したことでメディアでの露出が増え、19-20年秋冬からはドーバー ストリート マーケット ロンドン(DOVER STREET MARKET LONDON)で取り扱いが始まった勢いのあるブランドである。今季のショーではメンズモデルを起用し、ユニセックスとしてのイメージを打ち出した。バティスタは「将来的にメンズラインを展開していく場合、今季提示したルックはとても良い出発点となるだろう。潜在的な可能性を感じた」と述べた。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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ジェネレーションギャップさく裂! “SNS世代”特集を担当した若手と先輩の座談会

 「WWDジャパン」12月2日号は“SNS世代”特集と題し、好きなデザイナーから服に使う金額、環境問題の意識まで、服飾専門学校生のファッション観に迫った。では、SNS世代の実情を知った編集部はどんな感想を抱いたのか?意識のギャップはあったのか?リアルな反応を記録するため、若手記者2人と先輩記者による座談会を実施した。

【座談会参加者】
大塚千践:「WWDジャパン」ニュースデスク。37歳男性。特集全体を統括した。中高生時代の勝負服は「20471120」のピタピタジーンズや「コージ クガ(KOJI KUGA)」のシューズなどで初デートの女性にドン引きされた経験あり。雑誌「ゲット オン(GET ON!)」(学研)や「スマート(SMART)」(宝島社)でファッションを学んだ。

美濃島匡:入社2年目の「WWDジャパン」記者。24歳男性。特集で動画クリエイター、ケミオの取材とアンケート調査を担当した。学生時代は「ヘルムート ラング(HELMUT LANG)」に傾倒。今気になるブランドは「ピーター ドゥ(PETOR DO)」とモード系に憧れる反面、ケミオに真っ先に2ショットを依頼するなどミーハーな一面も。

等々力稜:入社2年目、編集制作部所属。25歳男性。今号の表紙撮影を担当し、写真家の新田桂一氏やスタッフを仕切るという大役をやりとげた。好きなデザイナーは阿部千登勢、好きなブランドも「サカイ(SACAI)」。

座談会スタート!

大塚:アンケートを担当した美濃島くんは、調査結果を見てどう思った?

美濃島:1カ月に服に使う金額が意外と低いと感じました。「3万円以上」が2~3割にのぼると予想していましたが、実際は1割のみ。代わりに「5000〜1万5000円」が約半数でした。服飾専門学校生でもあまりお金は使わないんですね。

等々力:専門学校生はバイトの時間が限られているから妥当じゃない?僕は学生時代に毎月3万~5万円くらい使っていたけど、かなり少数派でした。大塚さんはどれくらい使っていましたか?

大塚:僕が20歳前後だったときはエディ・スリマン(Hedi Slimane)による「ディオール オム(DIOR HOMME)」が全盛期。ランチを我慢して服代10万円近く使っていました。自己表現のツールがファッションしかなかったから、投資が集中していたんだよね。

美濃島:僕らはカッコつけるとき、インスタグラムで旅行の写真を上げたり、 自分の部屋をおしゃれに彩って投稿したりと、服以外でもアピールしますよ。

等々力:実際に会う時間よりSNSでやりとりする時間の方が長いから、“SNSを制するものがモテを制する”といっても過言じゃないよね。僕は食べ物を頻繁に投稿するから、イケてるレストランを必死になって探してる。毎日食べログとにらめっこです(笑)。

大塚:僕は学生時代にカップ麺しか食べてなかったから、今じゃ絶対モテないね(笑)。特集で取り上げた「フーフー(FOU FOU)」の高坂マール・デザイナーも話していたけど、「SNSが浸透したことで衣食住全てが自己表現の対象になり、お金の使い道が増えた」。その結果、相対的に服に使う金額が減ったんだね。

美濃島:でも広い意味でのファッション熱は、決して冷めていません。むしろSNSによって服に気を使う人はずっと増えたと思います。

SPA人気の立役者は「ポパイ」?
 D2Cブランドは
作り手自身の“強烈な個性”が必須

大塚:インスタグラムが「好きなメディア・雑誌」部門1位にランクインしているけど、2人もよく使う?

等々力:めちゃくちゃ見ます。新しいブランドは基本インスタで発見するし、コレクションもチェックします。でも中高生のころは「メンズノンノ(MEN’S NON-NO)」(集英社)がおしゃれの教科書でした。

美濃島:僕が服にハマったきっかけも「メンズノンノ」だった。服に無頓着な僕を見かねた母親が、「コレを読んで少しは勉強しなさい!」と買って来たんです(笑)。あとはリニューアル後の「ポパイ(POPEYE)」にも影響を受けたかな。オックスフォードのシャツに太いチノパンから白ソックスのチラ見せ。何の変哲もないアメトラなのかもしれないけど、デザイナーズばかり見ていた僕たちにとってはすごく衝撃でした。

大塚:僕は少し上の世代がアメトラを着ていたから、それほど新鮮味はなかったな。でも、そのスタイルがもっと若い世代で大流行するんだから、ファッションってやっぱり面白いね。SPAブランドの人気が拡大したのは、ベーシックアイテムをおしゃれに着る「ポパイ」発のシティボーイ像が支持されたのが一因かも。アンケートではD2Cブランドについても質問したけど、2人は利用してる?

等々力:よく使っています。作り手のこだわりが詰まっているのに、とにかく買いやすい。ECがメイン販路なのも便利ですね。少量しか受注していないので人気ブランドは売り切ればかりですが、その特別感が購買意欲を高めるのかもしれません。

大塚:僕らの世代はECに抵抗を覚える人が未だにいる。D2Cのビジネスが成り立つのは、SNS世代のおかげだよね。ベーシックなD2Cブランドってどこも同じように見えてしまいがちだけど、SNS世代はどうやって区別してるの?

等々力:ブランドそのものより、作り手の姿勢に共感できるかどうかで選んでいます。デザイナーの個性が強く、好きな世界観が確立されているから、細かなクリエイションに差が出るんです。

美濃島:「フーフー」の高坂デザイナーもすごくキャラが立っていました。普通を売りにするD2Cブランドが生き残るには、作り手の強い個性がにじみ出るもの作りが必要かもしれません。

実はそこまで高くない? 
SNS世代の環境意識

大塚:僕の学生時代はモノに溢れていて、環境問題には全く関心がなかった。でも今回のアンケートの結果は「関心がある」と答えた人が4割以上。時代の変化を強く感じました。

美濃島:サステナビリティへの意識があるのは当然です。小学生のときから「地球がヤバイ」と口すっぱく言われて来ましたからね。でも、環境のために自分の欲しいものを我慢するかと言われるとそうではない。優先順位は意外とまだ低いかも。

等々力:同感です。サステナビリティがある種のムーブメントのように見えるから、表面的に感じてしまうんですよね。アンケートで「関心がある」と答えた人も同じで、あくまで“関心がある”レベルなんじゃないかな。

大塚:メディアの取り上げ方がそれを助長しているかも。古着のリメイクや自然由来の染料などは昔から存在したのに、最近になって「サステナブルだ!」と言いたいがために誘導するような質問をする取材現場も何度か見ました。これではサステナビリティの取り組みが表面的に見えてしまうのも無理はないよね。自戒も込めて。SNS世代が環境問題を自分ゴト化するきっかけはなんだと思う?

等々力:SNS世代はどんな情報でも簡単にアクセスできる環境が当たり前で育ってきたから、信念のない表面的なものは意外と冷静に見てると思いますよ。逆に言えば、本物は全力で応援する。

美濃島:サステナビリティを真剣に考える同世代のデザイナーが現れたら、意識が変わるかもしれません。上から言われるよりもずっと説得力があるし、「自分もやらなきゃ」という気持ちになりそうです。

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「リステア」創業者の高下氏が語る、創業から辞任までの舞台裏

 「平成に最も輝いたラグジュアリー・セレクトショップ」といえば「リステア(RESTIR)」、ということに当時を知る業界関係者なら誰もが異論はないだろう。そのリステアを率いた高下浩明氏が4月28日付で社長を辞め、会社にも別れを告げた。2015年4月28日にトゥモローランドが筆頭株主になってからちょうど4年の月日がたっていた。来年の再始動を前に、当時のリステアが輝いていた理由や目指していたビジネスモデル、今後の展望などを聞いた。

―なぜ創業したリステアを辞めたのか?

高下浩明(以下、高下):平成に入る直前に始めたビジネスだったので、31年経ち、平成が終わるタイミングで辞めることを決めた。

高下氏は1987年に婦人服専門店「ルシェルブルー」を神戸でスタート。1990年代にセレクトショップにオリジナル商品をミックスしたセレクトSPA型にシフトすることで一気に業容を拡大した。そうした中、2000年にスタートした、大型セレクトショップ事業が「リステア」だった。第1号店は神戸だった。

―当時なぜ大型のセレクトショップを?

高下:ファッションを中心に世界中から新しいものを集めてお客さまを感動させたい!という思いがあった。

翌年の01年に銀座に路面店を出店すると、欧米のラグジュアリーブランドとの取引きが本格化。05年には社名をリステアに変更した。グッチ(GUCCI)グループ(現ケリング)とバレンシアガ・ジャパン(BALENCIAGA JAPAN)を設立したり、ゴールドマンサックスと合弁会社も設立するなど、ラグジュアリーを起点に事業の多角化を推し進めた。

07年3月、東京ミッドタウンに2フロア1000平方メートルの旗艦店をオープン。立ち上げ時に「シャネル(CHANEL)」のポップアップストアを仕掛け、一大センセーションを巻き起こした。今は「イセタンサローネ」になっている場所だ。

―「シャネル」との取り組みの背景は?

高下:「シャネル」との取り組みは1本のメールから始まった。注目を浴びる商業施設のオープニングなので、一緒に面白いことを仕掛けませんかと、自分からメールを送った。そこからジャパン社のリシャール・コラス(Richard Collasse)社長(当時)と意気投合し、パリ本国も大いに乗り気になってくれた。

 当時、銀座や表参道にはラグジュアリーブランドの旗艦店がたくさんあったが、六本木には六本木ヒルズにいくつか出店している他はほぼ空白地だった。しかも、渋谷・新宿・東京・品川といった東京の大ターミナル駅のどこからも同じくらいの距離感で、いわゆる東京の真ん中にあるのが六本木だった。そこに「リステア」はラグジュアリーブランドを集積し、いわゆるセレブが買い物できる空間を創った。こうした鋭い嗅覚は高下氏ならではのものだ。

ー「リステア」は黒を基調とした内装で、VIPルームでは女優やスポーツ選手、アーティストなどのセレブがくつろいだり、盛り上がっていたりしたのが懐かしいですね。

高下:お客さまが目立ないよう暗い店にして、あえて普通の人が入りづらくした。そのビジョンが時代のニーズと合致した。当時のお客さまは、入店してわずか10分で「ここからここまで」みたいなラック買いをされたり、一度に1000万円以上買われるお客さまもいらっしゃって。店やイベントに相当お金をかけたのだけど、お客さまも喜ばれて。「シャネル」の後も、フェラーリやランボルギーニ、アウディのローンチパーティなど、一緒にプロモーションを手伝った。その度にセレブもメディアも集まってくれて。リステアの顧客に価値があった。そしてブランドの方々は、そのお客さまとつながりたいという思いがあった。そこをうまくつなげるのがリステアでありわれわれのビジネスの重要なポイントだった。

―「お客さまを選ぶ」というのは、アンディ・ウォーホルやセレブが集った、ニューヨークの伝説的クラブ「スタジオ54」のようだ。

高下:そう、「リステア」はまさに「スタジオ54」がコンセプトだった。「シャネル」との取り組みは米国の「WWD-NY」にも取り上げられたことで、海外のラグジュアリーブランドの見方も変わっていった。バブルだったのかもしれないが、店も事業も本当に好調だった。ピーク時はミッドタウンの1店舗だけで20億円ぐらい売り上げがあった。ただ僕の考えではセレクトショップの究極的なゴールは、バレンシアガジャパンのように、海外ブランドの日本法人を設立して、日本ビジネス、さらにはアジアの窓口となることだった。だから「リステア」は儲けることよりも、その窓口的なショールームであり、楽しんで興奮してもらう場所であることが大切だった。当時はひたすら、「赤字を出せ」「売れるものを仕入れるな」「エッジの利いたものを買え」「タグの値段は見るな」「ブランドのジャパン社になろう」と言い続けていた。バイヤーは本当に楽しかったと思う。あのままうまくいけばよかったが、すべて08年のリーマン・ショックで計画がストップしてしまった。ちょうどリステアをホールディング会社化し、これから子会社が伸びていくというタイミングで、とんでもなく大きな事件だった。

―リーマン・ショックによって高額品を含めて消費が一気に冷え込んでしまった?

高下:それ以上に、ゴールドマンサックスとのジョイントベンチャーが痛かった。設立したリステアインベストメントを通じて不動産ビジネスに参入しようと資金も調達していた。初めて話すが、実はミッドタウンのリステアを芝浦に移転させようと計画していた。お客さまの多くは車かタクシーで来られるので、都心のど真ん中の家賃が高い場所にお店がある必然性がなかった。土地が安い場所に店を移し、人を呼び、“平成のゴールド(昭和に人気だったディスコ)”にしようと考えていた。ゴールドマンサックスからはトータルで18億円出資してもらい、金融機関からも数百億円調達して、土地を買い、開発したり、余った土地は売却して利益を再投資しようとプランニングしていた。けれども、6人いたゴールドマンサックスのリステア担当者が1週間でみんな解雇され、担当者もいなくなってしまって。合弁会社をどう解消するのか、弁護士を交えて相当揉めた。その後2年間ぐらいは本当に大変だった。契約書に地雷が埋め込まれていたり、個人宛にも内容証明が来たり。ゴールドマンサックス関連の借金は30億円に膨らんでいて、8つの銀行から借りてなんとか返済できた。バレンシアガジャパンはグッチグループが好意的に収めてくれて提携を解消した。けれども、その最中の11年の東日本大震災で今度は銀行から返済の督促が始まった。

―ミッドタウンからの移転は?

高下:違約金や原状復帰で3億円ぐらいかかるため、出ていくことも新たに攻めることもできなかった。結局、13年に婦人服専門店のスタニングルアー社を瀧定大阪に売却、その資金で借金を返済するとともに、14年にはミッドタウンを出て、篠山紀信さんのスタジオ跡地に店を移転することができた。

―トゥモローランドに傘下入りした理由は?

高下:借金は返せたが、売上高25億円、営業利益率25%という稼ぎ頭のスタニングルアーを失い、翌年には収益が真っ赤っかになってしまった。自力では間に合わないと、佐々木啓之会長率いるトゥモローランドに第三者割当増資をしてもらった上、自分の株も買い取ってもらった。同じセレクト業態で、欧米ブランドと提携してブランドビジネスもしていたし、ニューヨークに出店するなど、グローバル企業になろうとしていたタイミングだった。われわれが持っている海外ブランドのネットワークが生かせる点や、カルチャーが大きく異なる点などを評価してもらえてのことだった。

―なぜ、辞任することに?

高下:残念ながら1年ほどで方針が変わってしまった。提携していたブランドと次々と契約を終了したり、デザイナーズブランドの取り扱いを大幅に減らしてオリジナルに集中したり。対話もできなくなってしまった。ちょうどロックアップ期間が終わり、平成も終わるタイミングで、辞任することを決めた。でも、佐々木さんには感謝しています。

―リーマン・ショックの影響がこんなにも大きかったとは…。リステアをこれからも担っていくスタッフたちへのメッセージは?

高下:株式公開を目指していたので、リーマン・ショックがなかったら、リステアもまったく違う形になっていたと思う。銀行出身で投資会社を手がけていた吉川(稔・現東邦レオ社長)さんに副社長を務めてもらったのも上場を見越してのことだった。好きな子たちに好きなことをさせ、それをどうディレクションするかが自分の腕の見せ所で。けったいな人間ばかりで、本当に面白い店だった。残ったスタッフたちには、「長いものに巻かれず、がんばれ!」と伝えたい。

―では、次のビジネスの構想は?

高下:今は完全に“空中戦”の時代。スタンスはいままでと変わらず、けれども、従来型のビジネスを全否定しながら、今の時代に合わせた、どことも敵対しないECとリアル店舗を手がけたい。ECは移動中や、くつろいでいるとき、寝る前など、気楽にスマホを見ながら簡単に買い物ができるものにしたい。最近、「卸したい店がない」と困っているブランドも多いと聞く。アパレルの比率は10%に満たないかもしれないが、“ファッション”を軸にしながら、メディア型のストアを創りたい。リアル店舗にはそもそもレジがあってはダメ。「その場で販売しない」カッコイイ店にしたい。退店ラッシュで都心にも空き物件が増えているし、東京オリンピック後にはさらに賃料も下がりそう。商業施設もネタ不足で新しいコンテンツには興味を持ってもらいやすい。良い場所に良い物件を探すにはチャンスだ。青山あたりに話題性の高い旗艦店が作れれば。面白い仲間やブランドやクリエイターと令和の時代に新しい挑戦をしたい。

松下久美:ファッション週刊紙「WWDジャパン」のデスク、シニアエディター、「日本繊維新聞」の小売り・流通記者として、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)

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産んだタマゴを温める エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月31日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

産んだタマゴを温める

 前回の「エディターズ レター」でご紹介した松坂屋静岡店からは配信当日、メールを頂戴しました。また、その前に募集した「『WWDジャパン』のコンテンツをコンテクスト化してくれる男性ビジネスパーソン」という“緩募”にも当日、ITのプロから連絡を頂戴し、本日から連載がスタートします(わ〜い)!!手掛けるメディアに格納したコンテンツを広めるという、「コミュニケーション・デザイン」が少しずつ機能しているようでウキウキしちゃう今日この頃です。

 ECを特集した「WWDジャパン」の7月29日号も、コンテンツについてはな〜んにも力になれませんでしたが(苦笑)、「コミュニケーション・デザイン」には思いを馳せました。日進月歩の業界はニュースだらけ。ゆえに業界自体はマニアックにもなりつつあり、僕のような門外漢には、その世界をチラリと覗くことさえ腰が重くなりがちです。業界同様、EC特集自体の敷居も高くなっており、2年ほど前からは「さぁ、読むぞ!気合いだ×3〜!!」とアニマル浜口並みの決意でページを開いておりました。「有益な情報ばかりなのに、読まれないなんてモッタイナイ!!」。そう思って、特集担当チームには「『お悩み解決』みたいな体裁なら読めそう」「事前に読者が知りたいことを募ってほしい。案外、みんなが“当たり前”と思っている最初の一歩でつまずいている」「イベントは、紙面でお悩みを解決してくれた人に直接会える機会がいい」と勝手にリクエスト(笑)。結果、有益なコンテンツを、極力ハードルを感じさせず、SNSから紙面、オフラインにいたるまで一気通貫で届けられている気がします。社内に刷り上がりが届いた当日、担当記者以外の多くが「あ、ちょっと話題になってたEC特集だ。今回の紙面は、読みやすそう」と興味を持ってくれたのが、担当記者の努力の証だと思います。

 取材してアウトプットする。この仕事は、大昔から変わっていません。けれど、それをどう発信・拡散すべきか?については、新たな挑戦が求められる時代になりました。もはや発信・拡散力なきコンテンツは、埋もれるだけ。結果、無価値です。産んだタマゴを温める力が、タマゴを産む行為同様、重要です。

 ただ社内でそれに気づき、アクションできている記者が多いかと言われれば、正直、そんなことはありません。読者からのリアクションが薄いと、むしろ問題は発信・拡散なのにコンテンツに不備があると反省してしまい、以降前進が止まってしまう人もいます。彼らの背中を押すには、何をすれば良いのでしょう?マネージャーとしての悩みは最近、「良い記事を書いてもらう」から「良いコンテンツを広める」にシフトし始めました。

 同じ悩み、業界人の多くが抱えている気がします。モノは悪くないのに、売り方がマズい。伝え方においては、努力さえできていない。なのにモノを疑い、結果ますますこじれていく。そんな状況を避けるには、今、どこで何につまずいているのか、客観的に振り返る作業が必要ですね。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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産んだタマゴを温める エディターズレターバックナンバー

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 ECを特集した「WWDジャパン」の7月29日号も、コンテンツについてはな〜んにも力になれませんでしたが(苦笑)、「コミュニケーション・デザイン」には思いを馳せました。日進月歩の業界はニュースだらけ。ゆえに業界自体はマニアックにもなりつつあり、僕のような門外漢には、その世界をチラリと覗くことさえ腰が重くなりがちです。業界同様、EC特集自体の敷居も高くなっており、2年ほど前からは「さぁ、読むぞ!気合いだ×3〜!!」とアニマル浜口並みの決意でページを開いておりました。「有益な情報ばかりなのに、読まれないなんてモッタイナイ!!」。そう思って、特集担当チームには「『お悩み解決』みたいな体裁なら読めそう」「事前に読者が知りたいことを募ってほしい。案外、みんなが“当たり前”と思っている最初の一歩でつまずいている」「イベントは、紙面でお悩みを解決してくれた人に直接会える機会がいい」と勝手にリクエスト(笑)。結果、有益なコンテンツを、極力ハードルを感じさせず、SNSから紙面、オフラインにいたるまで一気通貫で届けられている気がします。社内に刷り上がりが届いた当日、担当記者以外の多くが「あ、ちょっと話題になってたEC特集だ。今回の紙面は、読みやすそう」と興味を持ってくれたのが、担当記者の努力の証だと思います。

 取材してアウトプットする。この仕事は、大昔から変わっていません。けれど、それをどう発信・拡散すべきか?については、新たな挑戦が求められる時代になりました。もはや発信・拡散力なきコンテンツは、埋もれるだけ。結果、無価値です。産んだタマゴを温める力が、タマゴを産む行為同様、重要です。

 ただ社内でそれに気づき、アクションできている記者が多いかと言われれば、正直、そんなことはありません。読者からのリアクションが薄いと、むしろ問題は発信・拡散なのにコンテンツに不備があると反省してしまい、以降前進が止まってしまう人もいます。彼らの背中を押すには、何をすれば良いのでしょう?マネージャーとしての悩みは最近、「良い記事を書いてもらう」から「良いコンテンツを広める」にシフトし始めました。

 同じ悩み、業界人の多くが抱えている気がします。モノは悪くないのに、売り方がマズい。伝え方においては、努力さえできていない。なのにモノを疑い、結果ますますこじれていく。そんな状況を避けるには、今、どこで何につまずいているのか、客観的に振り返る作業が必要ですね。

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みんなの疑問に弁護士がスッキリ回答 ファッション業界にまつわる法律相談~番外編~

 「WWDジャパン」12月9日号ではみんなの疑問・不安に4人の弁護士がスッキリ回答 業界にまつわる18の法律相談」と題したファッションロー特集です。ファッション業界から集めた50以上の疑問やお悩みを、ファッションビジネスに精通した弁護士4人が分かりやすく回答しました。

 本記事では、“よくある質問”と、紙面で紹介しきれなかったそのほかの質問を一挙に公開します。

【“よくある質問”編】

Q:トレンドを追うと、どうしても他ブランドと類似してしまうことがあります。模倣品と呼ばれないためには何ヵ所変えればセーフ?

海老澤美幸・弁護士(以下、海老澤):「〇カ所変えればセーフ」が都市伝説です!

ちまたでは「〇カ所変えればセーフ」というルールが出回っているようですが、都市伝説です!海外でも「5カ所」とか「7カ所」とか言われているという話を聞きますが、何の根拠もありません。模倣品かどうかの判断は、「その服の最も特徴のある部分がどの程度似ているか」ということがポイントなので、それ以外の部分を3カ所変えても5カ所変えても意味がない可能性もあります。

Q:SNSが炎上してしまったらどうしたらいい?

小松隼也・弁護士(以下、小松):PRと法務がタッグを組んで対応にあたるべし。

内容にもよりますが、最近は法的に問題がなくても炎上してしまうケースの方が多い印象です。法務担当者としては、なるべく自社に法的な責任がないなら認めたり謝罪したりしたくないものですが、「法律違反ではないからうちは悪くありません」というリリースを発表しても消費者を納得させられないどころか火に油を注ぐ事態に発展しかねません。たとえ裁判になって企業側が勝ったとしても、それまでに消費者に与えたマイナスイメージを回復するのは難しいので、結果としてブランドがダメージを負います。

だからこそPRや法律家、法務が一丸となってリリースの文言を一言一句検討するなどPR戦略を考えることで企業がダメージを負わないように事態を収束させることが重要です。このように専門家同士が協力してチームを組む方法は海外では浸透していますが、日本で実践できているところはわずかなのでもっと広がってほしいですね。法律論だけを企業に伝えても、担当者がそれをうまく咀嚼して成果物を作成できないと意味がないので、一緒に対応方法を検討することが大事だなと感じています。

【紙面で紹介できなかったその他の質問】

Q:ウェブサイトのキャプチャーや、セレブのSNSをキャプチャーして使用するのはNG?

池村聡・弁護士(以下、池村):トリミングには要注意!

“引用”という整理で使用できる場合もあるでしょう。その場合は出典の明記が必須です。SNSの場合は最低でもアカウント名は明記しましょう。
また、キャプチャーの問題で最近気を付けた方がよいのはトリミングの問題です。2018年に、画像付きのツイートをツイッターのリツイート機能を使用してリツイートしたところ、画像の上下がトリミングされて表示されたことに対して、その画像を撮影したフォトグラファーが無断で画像を改変されたから著作権侵害だと主張し、裁判所がその主張を認めるという衝撃的な判決がありました(リツイート事件)。この判決に対しては、本当にそれでいいのかという議論が起きていて著作権業界はざわついているんですよね。

これは極端な例ですが、写真を“引用”する際に、中心だけ切り取るとか、特定の人物だけを切り取るとか、そういうのはアウト(著作権侵害)ですので、改変をしないよう注意が必要ですね。

Q:転売禁止のファミリーセールで買った商品が転売されていた。防止策はある?

関真也・弁護士(以下、関):チケット転売事件を参考に転売防止策を検討しましょう。

この場合は真正品なので、B品や端材のように商標権侵害で対応するのは難しいです。なぜなら真正品をいったん売ると、その物に対する知的財産権は“消尽した”ため、これ以上行使できないという原則があるためです。

ここで参考になるのは、チケット転売が詐欺事件になったケースです。この場合は、チケットを購入する際に「転売の意思はありません」という項目に了承しないと購入手続きに進めないようになっていましたが、転売するつもりだったのにそれを隠して了承し、いわば騙して自分に販売させたため詐欺事件として立件されました。どこまで真剣に対応するか次第ですが、ファミリーセールなども転売防止のために同じ対策をとることは可能です。

Q:知り合いのタレントにイベント来場を直接依頼した。お車代を渡したり衣装提供したりする場合、闇営業に該当する?

海老澤:マネジメントを介すことでトラブル回避につながります。

最終的にはそのタレントさんと事務所が交わしている契約の内容によります。もし契約的に問題がある場合、タレントさんと事務所の間で無用なトラブルが発生するリスクがあるため、必ずマネジメントを通してやり取りすることをオススメします。

Q:ギフティングの法的注意点は?

小松:賃金は現物支給できないことに注意しましょう。

ギャラとして金銭を支払った上でギフティングするのは問題ありません。ですが、ギフティングのみでインフルエンサーに仕事をさせることは注意が必要です。ニューヨークでは15年ごろからギフティングだけでインフルエンサーに仕事をさせてはいけないという業界ルールができました。ギフティングが欲しいからという理由だけで仕事を受けてしまう若いインフルエンサーが続出して、最低賃金や労務環境の観点から問題となりました。

インターンの問題と近いものがありますね。ファッションブランドがインターンと称して若者に倉庫管理やタグ付け、PRの仕事を無償でやらせていたことが大問題になって、ブランド側が裁判で負けるケースが続きました。

日本ではインターンの問題はそれほどないですが、ギフティングをボーナスとするのはありか、という質問は多いですね。現物支給のみはダメです。

Q:「数量限定アイテム」と謳う場合、実際の数量は公開義務がある?

関:あります。悪質な場合は企業名を公表される場合も。

景品表示法の5条3号で「おとり広告に関する表示」というのが指定されていて、供給量が著しく限定されているにもかかわらずその限定の内容が明瞭に記載されていない広告は景表法違反です。悪質な場合は、企業名を公表されたり、措置命令を受けたりすることがあります。

実際には多くの人が購入できない数量しか用意していないのに魅力的な文言を使って消費者を呼び寄せようとするのがいけないことなので、その文言につられて来店するであろう消費者全員に対応できる購買数量の半数にも満たない数量に絞っている場合は、具体的な数量の明示が必要です。

Q:歴史上の人物をデザインとして使っても問題ない?

池村:海外では死者のパブリシティー権が認められているのでトラブルになる恐れも。

①第三者が描いた歴史上の人物の写真やイラストを使う場合と、②歴史上の人物を新たにイラスト化して使用する場合で考え方が異なります。前者の場合、既存の写真なりイラストなりを使うので、歴史上の人物自体の権利の問題以前に、写真等の著作権者の許可が通常必要です。

他方、例えば、「聖徳太子のイラストを自分で描いてTシャツにプリントをする」ということであれば、聖徳太子のことだけ考えればいいですよね。有名芸能人やスポーツ選手の肖像にはパブリシティー権という権利がありますので、無断でTシャツにプリントしたらNGですが、聖徳太子ほど昔の人になるとパブリシティー権はなく、TシャツにプリントしてもOKという結論になります。

“歴史上の人物”の法的な定義はないので線引きが難しいですが、没後、まだそんなに年月が経過していない著名人の場合は、無断で肖像をデザインとして使うと遺族や財団からクレームが来るケースもあるので注意が必要ですし、特に、アメリカの一部の州などでは死者のパブリシティー権が認められているので、著名外国人の場合、きちんと権利処理をして使用しないとトラブルになりがちです。

なお、日本では死者のパブリシティー権が認められるかどうかは見解が分かれていますが、芸能プロダクションなどは、権利が認められるんだという前提の下で主張をしてくる場合があり、最終的に裁判でどう判断されるかは別として、クレームリスクはついて回ります。

Q:デッドコピー商品のタグを見ると製造は中国で行われているようだ。どう追求していくべき?

関:国内から対応するなら警察や税関と連携を!

中国製と書いてはあるけど具体的にどこが製造しているか分からないという状況ですね。その場合は、中国の弁護士や知り合いの流通経路を使って情報収集するというのが一つ目の手段です。それ以外で日本国内から取れる法的な手段は2つあります。一つは刑事事件にして警察に調べてもらい、流通経路を割り出してもらう方法です。もう一つは、税関に協力してもらう方法です。

知的財産権侵害の物品が海外から日本に入ってくると、必ず税関が内容を確認します。その際に侵害品の場合は「こういう物が出てきたんですけど、御社のニセモノじゃないですか」と連絡してくれますし、通関書類などから流通経路や生産者が分かる場合は情報を提供してくれます。そういった情報を蓄積しておくと、中国での流通経路の解明に役立つと思います。そのために、積極的に輸入差止申立てをするなどして、税関との良好な協力関係を築くことが大切です。

 

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中

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私のサステナビリティ ドーメル・ジャポン会長「サステナブルであることこそがエレガント」

 サステナビリティとは“持続可能性”と日本語に置き換えられていますが、難しく考え、背伸びしてハードルの高いことをしようとすると、表層的なものになってしまうと思います。日々の生活の中で、私たちの住んでいるこの地球に感謝する気持ちを忘れずに、そして次の世代に良い環境でバトンタッチすることが、サステナビリティを個人的に実践する上で大事なことだと私は考えています。

 私が日々心掛けていることは、極めて単純なことです。食事をする時に「いただきます」の精神を忘れずに残さず食べる。食べきれない時には可能な限りお店の人に頼んで持ち帰るようにしています。買い物をする時には、本当に必要なものかを購入前によく考える。プラスチックの使用を避け、紙パックとペットボトルがあったら、紙パックを選びます。お味噌も量り売りの浅草の味噌屋「万久」で購入しています。自ら意識して選択したことで、ブレンドして自分好みの味噌を作る、という新しい発見にもつながりました。買ったものはエコバッグにいれて持ち帰ります。サステナビリティを個人的に実践する中で楽しみを見つけていくことで、“特別なこと”ではなくなり、自分のライフスタイルの中に自然に入り込んでいきました。

 ドーメル本社のオフィスではペットボトルでの飲料を禁止し、食事用ナプキンとハンドタオルの支給をしています。ドーメル・ジャポンも本社にならう予定です。また、ドーメルでは毎シーズンの生地サンプルをショールームに展示していますが、シーズンが終わったら保管されるだけだったので、生地でエコバッグを作り、11月に開催した展示会にいらっしゃったお客さまとスタッフに配りました。

 ドーメル青山店では、ダウンジャケットのドゥミ・メジュール(カスタムオーダー)を開始しました。オーダーなので無駄がなく、ダウンにリサイクルの「グリーンダウン」を採用しています。リサイクルダウンを製品に使用するだけでなく、プロジェクトに協力するために羽毛布団の回収もお店で受けたまわっています。

 ファッションの世界では毎日サステナビリティという言葉が目から耳から入ってきます。ファッションは環境を汚染している大きな産業の一つであることを認識しなければいけないと思いますし、単なるトレンドであってはいけないと思います。現代のファッションでは、サステナブルであることこそがエレガントなのです。そのマインド無くしてエレガントではありえないと思っています。

私のサステナビリティ
 ファッション業界にとって加速して取り組まなければいけない課題の“サステナビリティ”。企業として大きく舵を切ることはもちろん、個々の意識も重要です。そこで個人的に行なっているサステナビリティについて聞きました。

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週末お出かけスポット トイレに展示される浅野忠信のアート作品など5選

 週末にオシャレして出掛けたいスポットをお届け。今週は、トイレに展示される俳優・浅野忠信のアート作品や「ギャルソン」のアート制作を手掛けた山瀬まゆみら3人のグールプ展など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(12月7、8日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【イベント】

「カルティエ、時の結晶」展がスタート 意表を突く会場構成と逸品の数々の競演

ガチャガチャカプセルからコーヒー豆!? 遊び心も味わいも満点なセルフカフェを体験

展覧会「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」が東京都現代美術館で開催

「ピエール・ジャンヌレの家具とアートのある暮らし」が開催 「チャンディーガル都市計画」の復刻家具や手工芸品などを展示販売

日本を代表するテキスタイルデザイナー須藤玲子が香港で大規模個展

写真家の細倉真弓が個展「あたらしい肌」、清澄白河のmumeiで

「メゾン マルジェラ」がジョン・ガリアーノによるアーティザナルの企画展 恵比寿の店舗をミュージアム化

「ブルガリ」と「ドン ペリニヨン」のマリアージュ ブルガリ銀座タワーの最上階に

【ポップアップ】

KANDYTOWNが渋谷の「パルプ」で2ndアルバム「ADVISORY」のポップアップを開催

「マルニ」 × 「ポーター」第14弾 クリスマスシーズンに向けた全7型

バーニーズが「スター・ウォーズ」新作公開を記念して期間限定ストアをオープン

「シャネル」のジュエリーと時計の期間限定店「シャネル スイート」が表参道に

ブランド設立25周年の英「オールセインツ」 「今後5年でアジア売り上げを全体の3割にまで高める」

ゴールドウインが保温素材“光電子”を使用したブランケットを1000人にプレゼント 石田真澄らアーティストとコラボ

山口一郎のDJパフォーマンスにお手頃価格のアイテムも 「モンクレール ジーニアス」の限定ストア「ハウス オブ ジーニアス」がオープン

パーソナライズヘアケア「メデュラ」が店頭で購入できる体験型店舗を有楽町マルイに期間限定でオープン

NY発ジュエリー「ミラモア」が渋谷パルコ1階でポップアップストアをオープン

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SNS世代1600人を徹底調査 「ファッションが環境に及ぼす影響を考えていますか?」

 「WWDジャパン」12月2日号は“SNS世代”特集。全国の服飾専門学校生約1600人にアンケート調査を行い、好きなデザイナー・ブランド・インフルエンサーから環境への問題意識まで、彼・彼女たちのファッション観に迫りました。ウェブではアンケート結果の一部を紹介します。最終回は「ファッションが環境に及ぼす影響を考えていますか?」への回答を発表!

【関心がある】46%

理由:ローラや海外モデルなどがSNSで問題提起しているから/メゾンブランドの大量廃棄問題が考えるきっかけになった/リサイクル品を買うといいことをしている気分になる/環境に配慮した素材やモノ作りを目にする機会が増えたから/エコファーって本当にエコなの?と考える/最近のファッションは“使い捨て感”がある/環境保護はファッションよりも重要だから/クリエイターには社会的責任がある

【関心がない】54%

理由:ファッションが環境負担を生むのは仕方ない/難しい言葉ばかりでよく分からない/自分たちではどうしようもない/物心がついたころから当たり前のように服を着ていたので、環境との関係性など考えたことがない/好きな服のことしか考えていない/商品背景にいくらサステナビリティがあっても、デザインや金額が優先だから/個人が考えたところで日本や世界は変わらないと思う

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「アミ」のウィメンズが日本上陸 デザイナーの思い、CEOの狙い

 「アミ アレクサンドル マテュッシ(AMI ALEXANDRE MATTIUSSI以下、アミ)」は、2019-20年秋冬コレクションからウィメンズ・コレクションを本格始動し、店頭販売を開始した。そのプロモーションも兼ねて、中国と韓国、最後に日本を巡るアジアツアーを今秋行い、各都市でランウエイショーやパーティーを開催。東京でのイベントには、ウィメンズコレクションをまとったインフルエンサーやモデルをはじめ、メディア関係者らが200人以上も訪れて大盛況だった。ビジネスも好調という「アミ」が愛される理由とは?また20年春夏コレクションでシャープに変化したクリエイションの先に、どのような未来を描いているのか?クリエイション面をデザイナーのアレクサンドル・マテュッシ、ビジネス面をニコラス・サンティ・ウェイル(Nicolas Santi-Weil)CEOに聞いた。

デザイナーの思い
「スタイルを貫くこと。そして
誰に届けたいかを常に考えること」

WWD:ウィメンズは2019年春夏シーズンにパリのみで試験的に発売した後、翌シーズンから日本を含む世界でも販売を開始した。その意図は?

アレクサンドル・マテュッシ=デザイナー(以下、アレクサンドル):自分自身で納得できるウィメンズのコレクションを作るには時間が必要だったからなんだ。それとパリの店舗に絞って販売することで顧客と対話することができ、実際に購入してくれた客層やニーズをリサーチできたのもよかった。19-20年秋冬からは世界でも販売を始めたけれど、その姿勢は継続したいから一部の都市に販路を絞っている。一気に拡大するのではなく、ニーズがある顧客に確実に届けたいからね。

WWD:ウィメンズをデザインするときは、メンズと何が異なる?

アレクサンドル:基本的なことは変わらない。というよりも、変えていないという方が正しいかな。ブランドとしての一貫性を大切にしているから、同じ素材やモチーフを使うように意識している。これまで培ってきたメンズウエアの基礎的な部分はあえて崩さず、女性の体型に合わせて袖丈や肩幅を調整しているんだ。東京で販売しているのは15型程度とコレクションとしてはまだ大きくないけれど、将来的には拡大してきたい。近い将来、ウィメンズの世界観を表現できる店舗を東京に開きたいと思っているよ。

WWD:女性客に届けたい、「アミ」の一貫性とは?

アレクサンドル:エレガントでシック、いい生地を使って洗練されていること。そして、パリらしくあること。特定の女性像は描いてないけれど、デザインはシンプルだから、スタイルが確立されている女性のワードローブに取り入れてもらいやすいような服を作りたい。たとえば19-20年秋冬コレクションでは、テーラードやシャツ、スーツなどベーシックな服が中心だけど、ディテールやフォームにヒネリを加えて味のあり仕上がりを意識した。

WWD:2020年春夏のコレクションでは、これまで一貫していたフレンチベースのカジュアルからシャープなフォーマルに変化したように感じたが?

アレクサンドル:どう?好きだった?20年春夏は習慣化していたデザインを一度封印し、シャープでクラシックなテーラリングを提案してメンズウエアの原点を探求したかった。同じモノは作り続けたくないし、自分自身も新鮮な気持ちで仕事に取り組めたよ。とはいえ、シルエットやフィット感などから醸し出すムードはこれまでと同じさ。次のコレクションでは、新旧のクリエイションを融合したスタイルを見せられると思うよ。

WWD:クリエイションの変化は、世界的なフォーマル回帰も影響している?

アレクサンドル:それはあまり関係ないかな。あくまで、自分の考えや気分でたどり着いたスタイルさ。ストリートウエアの流行やフォーマル回帰、何色が流行るといったトレンド考察はあるけれど、広い視野で見ればどんなスタイルや色だって存在している。ピンポイントでコレと決まったものって本来はないと思うんだ。だから僕たちはシックであり、クールなスタイルを今度も貫くだけ。そして、誰に届けたいかを常に考えながらね。

CEOの狙い
「土台はできた。次は
さらに認知を広げていく段階」

WWD:現職に就任した経緯は?

ニコラス・サンティ・ウェイルCEO(以下、ウェイルCEO):前職はパリのファッションブランド「クープルズ(THE KOOPLES)」の共同創設者として経営などに携わっていた。2012年に投資家の友人から「あるファッションブランドに投資したいから見てきてほしい」と連絡があり、それが「アミ」だった。パリの百貨店ボン・マルシェ(LE BON MARCHE)とプランタン(PRINTEMPS)にちょうど店を開いたタイミングだったので、ランチタイムに視察に行くことにした。店を訪れると服はもちろん、スタッフの接客も熱心でとても気持ちよく、すぐにファンになった。友人にすぐ連絡し、「デザイナーに会いたい」と自分から頼んだ。アレクサンドルのポジティブな性格やビジョンにも共感し、現職へのオファーに快諾したのを今でも覚えている。

WWD:ブランドのビジネスの現状をどう見ている?

ウェイルCEO:順調に成長している。売上高は公表できないが、昨年は前年比25%増で今年は同35〜40%増を見込んでいる。急激に伸びているわけではないし、ゆっくりでもないバランスがとれたペースだ。家に例えると、少なくともメンズに関しては土台が完成したところ。でも僕たちが描く「アミ」という家にはまだ2階もなければ屋根もない。いずれは庭やプールや作りたいけど、全く焦ってはいない。

WWD:では現在の重要課題は?

ウェイルCEO:土台はできたので、次はさらにブランド認知を広げていく段階。今は音楽や映画などのカルチャーが好きな高感度の層には知られているが、より広げたいと考えている。ただし、「アミ」らしいパリのムードは一貫させ、友達の輪を広げていくイメージ。現在の直営店舗はパリに3店、ロンドンと東京、香港、北京、成都に1店舗ずつ構えている。だから、アメリカに出店することが次の大きな目標だ。客層を広げるためにはオンラインも重要で、各都市で順次開設した公式ECも好調だ。オンラインやオフライン、創業地パリだけではなくそれ以外の都市、コアなファンと新規顧客の売り上げなど、全てにおいて偏りがないバランス感を意識していきたい。

WWD:バランスと繰り返しているが、現在の売上比率も狙い通りなのか?

ウェイルCEO:今の売り上げ比率は卸が50%で、直営店が30%、ECが20%と狙い通りだ。ウィメンズを始めたことで、今後は売上高自体がさらに伸びると期待している。実はウィメンズを始める前から、30〜40%の売り上げは女性客によるものだった。だから新しく女性客を獲得することができれば、数字だけではなく知名度も自然な形で広まっていくと考えている。出店もウィメンズの販路も、急激に増やすことではない。前職では3年間で300店舗をヨーロッパだけで出店するというクレイジーな経験をしてきた(笑)。だからこそバランスを常に意識し、それが奏功している。バランスの良さこそ、「アミ」の土台を築いてきたものだから。

WWD:CEOとして、デザイナーのアレクサンドルに今度何を期待したい?

ウェイルCEO:彼はクリエイティブを担うブランドのパイロットだとすると、僕はビジネスを担う副操縦士。役割は異なるけれど、店を出店したり、ECを開設したりなど何かを決断するときはお互いが納得したものだけを進めてきた。だから今後も互いに本音をぶつけ合っていきたい。彼と話すと分かると思うけど、本当に素直な性格で考えをそのまま伝えてくれる。彼に何かを期待するというよりも、自分がその気持ちに応えるためにはっきりとした意見を持ち続けたい。

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クチュール感覚の逸品「トレフル」 美しさと自信が満ちていくランジェリー

 1977年のデビュー以来、世界から選び抜かれた素材を用いた品格あるデザインを発信しているワコールのブランド「トレフル」は、美しいランジェリーで女性に自信をもたらし、内面から輝かせてきた。その美しさの秘密を探るとともに、美しいランジェリーとは、女性にとってどのような存在か、そして特別なランジェリーをまとうことで得られるものとは何か、美を知る3人に語ってもらった。

クラフツマンシップが支える
“美しさの芸術”

 ワコール初のブランドとして1977年に誕生した「トレフル」。同社が培ってきたクラフツマンシップを生かした細部へのこだわりが、人の心を動かす美しさを生み出している。「トレフル」の素材は特に美しく繊細なため、同ブランド独自の縫製ルールがある。 例えば、通常のワコール製品と比べると縫い目の幅は約1/2、針目の数は1.4〜1.75倍だ。また、上のスリップにも施されている立体感のある花のアップリケは「トレフル」のシグニチャーとも言えるディテールだが、このアップリケ上の針目を小さくすることで、存在感がありながらもベースのレースとの一体感が生まれている。一見気づかない細かいルールだが、ランジェリーの縫製ではそのこだわりの積み重ねが美しさを左右する。「トレフル」のブランドコンセプトは“美しさの芸術” だ。細かい手仕事から生まれるその芸術をドレスではなく、あえて人の目に触れないランジェリーでまとう贅沢。それは、本当に良いものを知る大人の女性だけが理解できる美学でもあり、その隠された贅沢が女性をよりいっそう輝かせる。

美を知る3人の女性が語る
ランジェリーの魅力

ワコールクオリティから生まれる
プレステージブランド

 さまざまな年齢層や嗜好に合わせたブランドを展開するワコールの中で、“美しいランジェリーを身にまとうことで、女性の心をときめかせ、情緒的価値を提供する”存在が「トレフル」「スタディオファイブ」「ワコール ディア」のプレステージブランドだ。いずれのブランドも、異なるテイストのファッション性の高いデザイン。熟練した職人の技がちりばめられているのが特徴だ。


問い合わせ先
ワコールお客様センター
0120-307-056

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デザイナーズブランドの強い味方 ファッションロー弁護士が提案する“リーガル・ディレクター”としての役割

 「WWDジャパン」12月9日号では、ファッション業界から集めた法律問題や悩みを弁護士4人が回答する「ファッションロー特集」を予定している。回答者の一人、三村小松法律事務所の小松隼也・弁護士は、弁護士のほかに“リーガル・ディレクター”を名乗る型破りな人物だ。

 何が“型破り”なのかを知るためには、“弁護士”や“弁護士業界”を取り巻く環境を知ることが必要だ。

 弁護士は悩めるクライアントの味方であることは間違いない。しかし、企業の担当者からすれば、高い専門性を持つ弁護士は敷居が高く気軽にコミュニケーションをとれる相手ではない。また、日本弁護士連合会の会則で広告宣伝が制限されていた時代があったり、そもそも弁護士の人数が少なかった時代は自ら営業しなくても仕事があったため、積極的に企業に働きかけるというマインドが弁護士業界に醸成されてこなかったことも手伝い、弁護士と企業の間には少なからず壁があると言える。

 中には例外的な弁護士もいるため一概には言えないが、一般的な印象はこんなところだろう。しかし、弁護士の人数が増えたことや、すでにどの企業も決まった法律事務所に仕事を依頼している状況ができあがっていることで、中堅・若手弁護士が新規のクライアントを獲得することが困難な時代になっている。

 そんな弁護士業界の中でもスタートアップやイノベーション分野など、時代の移り変わりに伴い新たに出てきた分野に特化することで注目を浴びる弁護士や新興の法律事務所が、ここ数年の間で増えてきている。その中でファッション業界を舞台に“リーガル・ディレクター”という新しい関わり方を提案することで注目されているのが小松弁護士だ。

 リーガル・ディレクターとは、「一言で説明すると、ビジネスにおける戦略をクライアントと共に考えるパートナーだ」と小松弁護士は言う。「例えば、ビジネスを立ち上げて最初の投資の段階から、商標登録、さまざまな協業先との契約、M&Aによる事業譲渡までビジネスに一貫して関わることで、『株式はこういう条件がいいよね』とか、『中国ではすぐに商標を取ろう』『工場さんと仕事するときは、これだけはメールで決めておいた方がいいよ』とか、コレクションの内容について『この国は法律が厳しいからパロディーはここまでにしておこう』とか、雇用に関しても『労働基準監督署はこういう考え方をするので、業務委託の内容はこうしよう』といったように、プロジェクトが始まる前からタッグを組んで一緒に考えることで、先の予測を立てることができます。何か起きてから対応することも弁護士にとって大切な仕事ですが、戦略を組める弁護士の方がトラブルを未然に防げますし、ビジネスに新たな選択肢を追加してもらうことができると思っています」。

 ファッション業界では、社長を兼任するデザイナーと片手で足りるくらいのスタッフでビジネスを始めるブランドも多い。その場合、法務の機能は持たずにスタートするため、企画段階から法務が関わることはないばかりか、トラブルが起きるまで後回しにされることもざらだ。「デザイナー=社長のようなブランドだと経営や法律が得意というわけではないので、『いざ条件交渉を始めるといっても何を決めなきゃいけないかが分からない』という相談も多いです」と小松弁護士も語る。「自分に相談をしてもらえたら、『パーセンテージ、納期、費用負担、それから型数をまずは決めましょう。次に販売する国、知財の取り扱い……』といったように、これまで培ってきたノウハウを生かして法律以外の部分もアドバイスできるんです。このように、契約やトラブル解決の知識を生かして戦略を含めたアドバイスをするのがリーガル・ディレクターの役割です」。

 つまり、言われるままに契約してしまって後でトラブルに発展するといった悲劇を、契約交渉の段階からアドバイスするなどして未然に防ぐのもリーガル・ディレクターの役割だ。弁護士が納期や型数などに口出しするのは、“専門外の人間のお節介”に思えるかもしれない。しかし、小松弁護士のように特定の産業のクライアントを多く抱える弁護士のところには他社の情報やノウハウが蓄積されるため、ビジネス面でも有効なアドバイスをすることができるのだ。

 中小企業の多いファッション産業においてはコストの面も気になるところだ。ただでさえ弁護士に頼むのは費用面がネックになるところを、ビジネス面までアドバイスを受けるとなると依頼したくても難しいこともあると思う人もいるだろう。これに対して「むしろトラブルになってから依頼される方が余計にコストがかかることも多いです。例えば『毎月月額2万5000~5万円で合計1~3時間までならどんな相談にでも乗る』といった形でご依頼いただければ、ビジネスの幅を拡げる選択肢を提案しつつ、無用なトラブルを未然に防ぐこともできるため、トータルでみればコストは抑えられるはずです」と説明する。

 “リーガル・ディレクター”を名乗っていなくても、同様の役割を果たしている弁護士は一定数いるし、コンセプト自体は決して新しいものではない。しかし、弁護士の業務内容に“リーガル・ディレクション”という名前を付けることで、依頼者側の心的ハードルを下げることが小松弁護士の狙いであり、事実、それは成功しているといえる。

 「プロジェクトの完成間近で相談に来られても『これはアウト』としか言えないこともありますが、企画段階から相談してもらうことで自由度が増して、とてもおもしろいコレクションに仕上がったこともあります。『弁護士に相談してできることが広がった』と言われるのが一番うれしいですね」と小松弁護士。ファッション業界にとって強い味方が誕生した。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中

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サステナビリティって何?専門家が答えます。 Vol. 18 毎年10億本が廃棄 「ラ ブーシュ ルージュ」が目指した真にサステナブルなリップ

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探った。今回はジュンとタッグを組み日本に上陸した「ラ ブーシュ ルージュ(LA BOUCHE ROUGE)」のニコラス・ジェルリエ (Nicolas Gerlier)創業者兼クリエイティブ・ディレクターに、業界初のマイクロプラスチック不使用のリップスティックの誕生秘話と、化粧品業界におけるサステナビリティについて聞く。

WWD:なぜ「ラ ブーシュ ルージュ」を立ち上げたのか?

ニコラス・ジェルリエ「ラ ブーシュ ルージュ」創業者兼クリエイティブ・ディレクター(以下、ジェルリエ):化粧品業界が環境にもたらしている悪影響は多大で、中でもプラスチックの量が凄まじいことが問題になっている。マイクロプラスチックの排出量は、タイヤ、ファッション、化粧品が最も多いと言われているくらい。私はもともと大手化粧品メーカーでのキャリアが長く、この現実をよく知っている。そこで1日でも早く市場にサステナブルな化粧品を出さなければという使命感と責任感を感じ、「ラ ブーシュ ルージュ」を立ち上げた。

WWD:サステナビリティを意識したブランドは最近増えているが、「ラ ブーシュ ルージュ」はほかとどう違うのか?

ジェルリエ:まず、マイクロプラスチックを一切使用しないことに徹底的にこだわった。化粧品を大量生産しようと思うと、コストを抑えたり、処方を安定させるためにもマイクロプラスチックを配合することが多い。現代人は一週間にクレジットカード1枚ほどの量のプラスチックを摂取しているという調査も出ているが、口紅は直接唇に塗布するものだし、絶対に入れてはならないと思った。ほかにも水を使用していないので防腐剤も入れていないし、絶滅が危惧されるミツバチのミツロウも用いていない。そんな特殊なフォーミュラは開発に2年かかった。また、レフィルを開発し、使い終わったレフィルを店頭に持ってきてもらいリサイクルしてる。

現在、マイクロプラスチックは地球の水の約85%を汚染していると言われている。でもプラスチックは増えるばかり。その状況が続いたら、どうなると思う?恐ろしいだろう?だからわれわれのプラスチックを使用しないポリシーは中身だけで終わらない。リップスティックを作り、流通し、販売するところまで、全てのプロセスにおいてプラスチックを排除している。例えばリップスティックを作るとき、シリコーンの型に処方を流して作ることが多いが、われわれは全て金属の型を使用し、パッケージも金属とレザーのケースを採用している。伊勢丹新宿本店に日本1号店をオープンしたが、店頭の什器も金属や石を選んだ。

WWD:リップにこだわったのは?

ジェルリエ:リップスティックは女性のハンドバッグに必ず入っているから。メイクアップの中では手を出しやすいアイテムでもあるしね。リップスティックを通じて環境問題への問題意識を喚起するのがミッション。だから私にとって、このリップスティックは“マニフェスト”なんだ。

クラフツマンシップで“一生物リップ”を目指す

WWD:化粧品は消費期限があるため、リサイクルが難しい。ゴミを減らすためには?

ジェルリエ:世界で毎年約10億本のリップスティックが廃棄されていると言われている。その生産には 3億個の型が処分されている。これを変えるためには、そもそもの消費の仕方を変える必要がある。そこで私が注目したのは、クラフツマンシップ。例えば優秀な職人が作ったラグジュアリーなバッグやジュエリーは、何世代にわたって受け継がれたりするでしょう?それは商品のクオリティーはもちろん、「ずっと使い続けたい」と思う価値があるから。サステナブルやナチュラルな化粧品は今まで地味なイメージを持たれることも多かったと思うが、われわれはラグジュアリーでありながらスタイリッシュなパッケージにもこだわった。レザーのケースはラグジュアリーブランドのバッグも作っている工場から余ったレザーを買い取り、それを使って作っている。イニシャルを入れてパーソナライズできるようにしているから、“自分だけの一生物リップ”として使ってもらいたい。直近だと「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」とコラボし、紙製パッケージのリップも販売中だ。またわれわれはまだ会社の規模も小さく、大量に生産できないから、余分な在庫を抱えることもない。

WWD:動物愛護の視点からするとレザーに抵抗感を感じる人もいるのでは?

ジェルリエ:いいポイントだね。デザイナーのステラ・マッカートニー(Stella McCartney)は友人の一人だけど、彼女は一切動物由来のものを使用しないポリシーを掲げている。彼女とはよくサステナビリティについて話し合うことが多いけど、人工レザーもマイクロプラスチックを使用しているものが多いから、ビーガンだから環境にいいとも言い切れない。また、工場で余ったレザーを捨ててしまうのも動物がかわいそうなので、私はそっちを減らすことに着目した。でも、もちろんビーガンの消費者もいるので、ステラと協業して100%プラスチック不使用のビーガンケースも作って販売している。

サステナブルビューティを“アクセシブル”に

WWD:リップスティック一本が1万8100円〜は高価なイメージもある。

ジェルリエ:他社製品に比べたらもちろん値段は張ると思う。でも、1回ケース付きで買ってしまえば、以降はレフィル(4600円)を買えばいいから、そこまで変わらないのでは?また、この値段にはプラスチックを使用していなかったり、上質なレザーを使用していたり、環境に配慮していたり、それだけの価値があると信じている。それをいかに消費者に伝えるか。われわれはまだ設立2年目と小さなブランドで、大型のプロモーションもできない。今はインスタグラムを大きな情報発信ツールとして、リップが作られる裏側からパッケージのこだわりなどを分かりやすく伝えている。もちろん、それを淡々と語っても興味持ってもらえないので、「ラ ブーシュ ルージュ」のミッションに共感してくれるアーティストやフォトグラファーとコラボし、スタイリッシュな方法で日々発信しているよ。

WWD:化粧品企業として、一番の責任は?

ジェルリエ:いくらサステナブルで環境に配慮している製品を作っても、消費者が魅力に感じなければビジネスは成り立たないし、与えられる影響も大きくはない。だから消費者に、いかにサステナビリティを“アクセシブル”にするかが重要。われわれはクラフツマンシップを通してラグジュアリとサステナビリティーを共存させているが、今後もそのポリシーを守り続ける。より幅広い人にサステナブルなビューティを“アクセシブル”にしたい。

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地元の百貨店が教えてくれた「あたらしい幸せ」 エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月29日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

地元の百貨店が教えてくれた「あたらしい幸せ」

 静岡出身の僕にとって、J.フロント リテイリングの社内コンペ「JFR発明アワード2019」で松坂屋静岡店がグランプリに輝いたのは、大きな喜びでした。同店は「くらしの『あたらしい幸せ』を発明」すべく、バスをイメージした循環型物流システムを提案。商品の受け渡し場所としてのバス停のコミュニティー・スポット化を図りつつ、地元の新鮮な農産物を街の人に、デパ地下グルメを過疎地に届けたいと願います。

 首都圏で暮らすようになって以降、帰省するたび「おっ、静岡にもコレが出来たんだ」と「あぁ、ついにアレなくなったんだ」という発見を繰り返し、結果、おらが街も“東京っぽく”なっている気がします。地域の独自性が失われることを悲しく思う一方、それは都会に住む人間のエゴであり、「静岡の人だって、東京とかで話題のお店、行きたいよね」と思うと異論なんて挟めません。自分だって静岡でも「スターバックス」でコーヒーを飲んでいます。

 そう考えると、松坂屋静岡店の提案って、素晴らしい。買い物弱者がデパ地下グルメを楽しめるのです。百貨店のおじさん(別に“おじさん”じゃなくても良いのですがw)がバスから現れ、まるでサンタさんみたいにデパ地下グルメをクーラーボックスから取り出し、バス停で待っていたおばあちゃんがそれを受け取る。次のバスまで、2人はちょっとおしゃべり。そして、空っぽになったクーラーボックスにはおばあちゃんが育てた野菜を詰め込んで、おじさんはまたバスに。そんな買い物体験とコミュニティーが形成できたら、地方はもうちょっと頑張れるかもしれません。

 「2027年にリニアが開業して東京と名古屋が40分で行き来できるようになったら、中間の静岡は素通り。結果、埋没するだろう」。今年、在日経験をお持ちのラグジュアリー・ブランドのCEOに予告され少なからずショックを受けましたが、こんな提案が実現したら、静岡は静岡らしく頑張れるのではないか?静岡新聞という地方紙で記者をしていた過去も手伝い、このニュースを読み、地元を思い、松坂屋静岡店の素敵なアイデアに“ほっこり”しました。提案の段階で、「くらしのあたらしい『幸せ』」を授けてくれた気がします。

 街のシンボルだった百貨店には、地元に添い遂げる義務さえある、そうおっしゃる方もいます。僕は正直そこまで主張できませんが、それでも百貨店が地元に寄り添おうとする姿勢はやっぱり嬉しくなるのです。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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SNS世代1600人を徹底調査 好きなユーチューバー&インフルエンサーTOP5

 「WWDジャパン」12月2日号は“SNS世代”特集。全国の服飾専門学校生約1600人にアンケート調査を行い、好きなデザイナー・ブランド・インフルエンサーから環境への問題意識まで、彼・彼女たちのファッション観に迫りました。ウェブではアンケート結果の一部を紹介します。第4回は「気になるユーチューバー」「好きなインフルエンサー」部門のトップ5をランキング形式でそれぞれ発表!

【インフルエンサー部門】

【1位】kemio

理由:前向きな姿勢が好き/キャラが親しみやすい/生き方が格好よくて尊敬できる/若者言葉をたくさん使っていて面白い/インスタライブで日常を発信してくれる/自分の意見をはっきり言うところがいい

【2位】ミチ

理由:自分の世界を大切にしている/かわいくておしゃれなだけじゃなく、面白い/気取っていないから親しみがわく/弟のよしあきとの絡みが面白い/友達になりたい/天真爛漫な性格が好き

【3位】渡辺直美

理由:体型を気にせずおしゃれを楽しんでいる/派手な服が似合うのがすごい/自分のブランドがかわいい/英語が上手で多才/インスタが面白い

【4位】AMIAYA

理由:日本人らしくない独特の世界観がいい/昔から好き。夢を実現している姿を見て、自分も頑張ろうと思える/DJや服のデザインなどいろんなことに挑戦していてすごい

【5位】ローラ

理由:日本だけじゃなくハリウッドで活躍しているのがすてき/環境問題の意識の高さに共感が持てる/見た目だけじゃなく、中身も格好いい

【ファッションユーチューバー部門】

【1位】なかむ

理由:服が好きなことが動画を通して伝わってくる/知らないブランドを紹介してくれる/情報量がすごい/解説が詳しく、分かりやすい/モードを教えてくれる

【2位】kemio

理由:ファッションがすてき/とにかく面白すぎる/見ていて元気が出る/招待されたコレクションの現場を見せてくれる/ミチ&よしとの絡みが最高

【3位】げんじ

理由:メンズとウィメンズの両方詳しいので参考になる/トレンド解説の要点が絞られていて分かりやすい/古着の着回しがうまい

【4位】リョウマツモト

理由:自分の意見をしっかり発信している/マイナーブランドにも詳しい/面白くて役立つ情報が多い/知識・経験・実績を兼ね備えているから

【5位】あさぎーにょ

理由:色彩が鮮やかで、見ていて楽しい/買いやすいアイテムのおしゃれな取り入れ方を紹介してくれるから/まねしたいプチプラコーデが好き

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プロだから信頼できて「美が1日にして“なった”」 ファッションフリークOL「WWDビューティ」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDビューティ」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.6『高価格ドライヤーが人気“プロの信頼”がポイント』

読み解きポイント:「高い買い物には“納得”が必要」

ニュースのポイント

 製品ラインアップの増加やインバウンド需要などで売り上げが伸びている美容機器市場。特に3万円以上の高額ヘアドライヤーに注目が集まっており、「リュミエリーナ(LUMIELINA)の「ヘアビューザー」やダイソン(DYSON)を筆頭に一般消費者にも認知されている。ECでの購買も増加傾向で、メーカー各社はハウツー動画の制作やタッチアップ機会の創出など、リアルとデジタルの両施策に力を入れている。

AZUはこう読む!

 私も現在愛用してます、「ダイソン」ヘアドライヤー!まさしくデジタル&リアルを攻める戦略にはまってしまった一人です。新製品発表会等でのインフルエンサー(美容・ファッションだけではなくテック系がいたのも面白かった)による情報拡散で知り、ヘアサロンで体験したのがきっかけなのですが、旅先にも持って行きたいくらい欠かせないヘアケアアイテムになっています。私の場合は記事中にもある“プロの信頼”というのが何よりの安心ポイントでした。家電量販店であれこれ試しても結局分からなかったけど、美容・ヘアのプロである美容師さんのリアルな感想こそ、説得力があってよかったのです。

 3万円以上だと美顔器も買えるくらいのお値段なので、髪にお金をかけるか肌にかけるか悩むところです。でも「髪がパサパサだとせっかく肌が綺麗でもプラスマイナスゼロになっちゃうよ」と、いつかどこかの厳しい美容師さんに言われたので、普段ヘアオイルを塗ったりちょっと良いシャンプーを使ったりするくらいの簡単なケアになりがちな髪に重点をおいてみました。

 「美は1日にしてならず」とは髪でも同じです。ドライヤーを変えただけでは、翌日にツヤッツヤにはなりません。と、思っていたのですが、美容師さんに説明された通りに時間をかけて丁寧にブローをしたら、本当に翌日、寝癖がつかない艶々の髪に……!ブリーチ済みのカラーしまくりロングヘアだったのに!

 という実体験から周りに勧めまくり、実際に3人くらいに買わせています(笑)。これを言ったら教えてくれた美容師さんへの裏切りになってしまうのですが、月に一回美容院でヘアトリートメントをするくらいなら、毎日丁寧に髪を乾かしてブローをした方が良いよと言って回っています。美容師さんごめんなさい、ヘアサロンで綺麗になれる体験もドキドキなので、あくまで土台作りとしての自宅ケアということで……!
 
 本紙で紹介していた他のドライヤーも気になっているので、体験できるところがあれば行ってみようと思います。特に「リファ(REFA)」や「シックスパッド(SIXPAD)」を手掛けるMTGが10月に発表した「リファビューティーテック ドライヤー」は全国の20以上の美容室と共同で開発したとのことで、こちらも信頼できそう。長年愛用していた「リファ」定番の美顔ローラーがパリで空き巣被害にあった時に盗まれてしまったという悲しい思い出があるのですが、そんなの吹き飛ばすくらい気になっています(笑)。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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お仕事バッグの譲れないポイント バッグ担当が語る2020年春夏に欲しいバッグ

 「WWDジャパン」11月18日号は、毎シーズン恒例の「2020年春夏バッグ&シューズ」特集です。2020年春夏シーズンのコレクション取材から見えてきたトレンドに焦点を当て、新作アイテムのキーワード別で解説するほか、有力バイヤーのイチ押しブランドを紹介しています。最新のバッグ&シューズトレンドについては紙面をご確認いただきたいですが、ウェブでは同特集の担当者2人による編集後記としてこぼれ話をお送りします。2人が気になったアイテムや理想の仕事バッグについて語ります。

対談の登場人物

藪野淳:ドイツ・ベルリン在住のファッションジャーナリスト。17年まで「WWDジャパン」編集部でデザイナーズブランドやバッグブランドの取材を担当。その後も継続してバッグ&シューズ特集の制作に携わっている。無類のバッグ好きで、メンズ・ウィメンズ問わずさまざまなアイテムを愛用

大杉真心:「WWDジャパン」記者。これまで婦人服やデザイナーズブランドを中心に取材をしてきたが、20年春夏シーズンからバッグ&シューズ担当となる。入社前はバッグを主力にするセレクトショップで働いた経験あり

トレンドを兼ね備えたお仕事バッグを発見!

大杉:特集ではトレンドにフォーカスしましたが、藪野さんは取材を通してリアルにお仕事でも使えそうなバッグはありましたか?見た目はかわいいけど実用的なバッグはあまり見つからないですよね。

藪野:今回はミラノとパリを取材して印象的だったのは、クラッチとバケツバッグの復活。個人的に一番欲しいと思ったのは「ロエベ(LOEWE)」の新作“バルーン”でした。ただ仕事用となると、A4サイズの紙やMacBook が入ったり、上部が閉じられるようになっていたりという要素が欲しくなりますよね。大杉さんは、お仕事バッグで譲れないポイントあります?

大杉:記者の仕事柄、展示会や内覧会を取材するときはノートとペン、カメラを持って歩き回るため、両手があくバッグを重視しています。藪野さんと一緒で、A4サイズの資料やノートPCも持ち歩くため、マチがあって、軽くて耐久性があるものが理想ですね。今季はホーボーバッグも一部ブランドで出ていて、特に「クロエ(CHLOE)」のストラップの長さを調節できる新作バッグ”ダリル”はクロスボディーとしても使用できそうで、気になりました。

藪野:確かに肩に掛けられたり、クロスボディーで持てたりするのは大事ですね。「クロエ」の新作は、サイドに編み込みのようなディテールが施されていて、トレンド感もありました。大杉さんのニーズだと、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のショーに登場したビデオカセットテープのグラフィックが可愛いモノグラムトートや、「ピエール アルディ(PIERRE HARDY)」の長さの違うハンドルとドローストリングが付いたレザートートもいいかもしれません。

旅行バッグとして重視する点は?

大杉:かわいいですね!ほかにも「ディオール(DIOR)」の“ブックトート”が火付け役となり、シンプルな形のビッグトートが増えていたのも今季注目したい点でした。たくさん物が入りそうで旅行や通勤バッグとしても活躍しそうです。藪野さんはドイツ在住でヨーロッパ中を旅する機会が多いと思いますが、旅行バッグで重視したい点はありますか?

藪野:トートはトレンドというよりもはや定番になったけれど、これまで多かった柔らかなレザータイプに対して、「ディオール」の“ブックトート”は新たなトートのスタイルを提案しましたよね。今シーズンは、コレクションのムードに合ったガーデニングバッグも出ていましたが、メンズにも人気が出そうだなと感じました。軽さという意味では、やはりキャンバスやナイロンなどの素材が有利。特に旅行のとき、僕は荷物が大量なので(苦笑)。ただ、旅行にしても仕事用にしても、海外でオープントップのアイテムを使うのはちょっと不安。なので、上にファスナーやボタンなどが付いているものを選んでいます。

大杉:口の開いたバッグは盗難に遭いやすかったり、荷物棚から取り出そうとしたときに中身が溢れ出てしまったりと海外では何かと危険ですよね。私は2度スリに遭った経験があるので、セキュリティー面から開きにくいバッグをあえて選んでいたこともありました。結局、使い勝手の悪さから出番が少なくなってしまうのですが……。その点ファスナーはないけれど、持つときに中身が見えない構造になっている「MM6 メゾン マルジェラ(MM6 MAISON MARGIELA)」の定番トート”ジャパニーズ”はお仕事バッグにも、旅行時にもおすすめです。

藪野:今シーズンのトレンドに挙げたバケツバッグもオープントップのデザインが非常に多かったですが、実際にはバッグインバッグや巾着が必要になると思うし、お店ではバッグと合わせて提案するのがいいのでは?と感じました。コレクション中、大杉さんも「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」のバケツバッグを使っていましたが、中に何個も巾着を入れていたよね(笑)。

大杉:見られていましたか(笑)。シューズや革小物を購入したときに付いてくる巾着を再利用して、財布やパスポート、化粧品など分けるのに便利で使っています。日本でも今フェイクファーやボアなどの巾着バッグがヒット中ですが、20年春夏に「エトロ(ETRO)」などが提案するビーズ刺しゅう入りの巾着バッグもステキでした。バッグインバッグとして仕事バッグに忍ばせて、いざという時にはパーティーにも活躍しそうです。

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「シュプリーム」の元ディレクター、アンジェロ・バク 「平凡な10型のTシャツより、喉から手が出る3型のTシャツを作る方がクールだろ?」

 世界中にストリートブランドは数あれど、1994年にジェームス・ジェビア(James Jebbia)が立ち上げた「シュプリーム(SUPREME)」を超えるストリートアイコンはいまやないだろう。そんな世界トップのブランドをディレクターとして率いた経験を持つアンジェロ・バク(Angelo Baque)が主宰するブランドが、「アウェイク ニューヨーク(AWAKE NY)」だ。

 「アウェイク ニューヨーク」はその名の通り、2012年にニューヨークで立ち上がったストリートブランドで、インスピレーション源はバクが住んでいたアッパー・ウエスト・サイド地区におけるさまざまなカルチャー。現地のカルチャーとムードにバクの感性をミックスしたアイテムは、ストリートとスポーツの絶妙なバランス感を持ちながら洗練された雰囲気があり、感度の高い人々から支持を集めている。

 10月、「アウェイク」と「カッパ(KAPPA)」のコラボコレクションがドーバー ストリート マーケット ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA以下、DSMG)で世界先行販売されるタイミングで、バクが久々の来日を果たした。「アウェイク ニューヨーク」についてはもちろん、表に立たず影の立役者として時代を築き上げた「シュプリーム」から離れた理由、そして世界を熱狂させた「シュプリーム」と「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の歴史的協業の渦中にいた彼だからこそ思うコラボが蔓延する現在のファッションシーンについて話を聞いた。

WWD:「アウェイク ニューヨーク」を立ち上げた経緯から教えてください。

バク:「シュプリーム」で働いていたときにサイドプロジェクトとして始めたんだが、動機は単純で欲しいけど見つからない洋服を自分で作ろうと思ったから。その頃の俺は「シュプリーム」はもちろんだけど「アーペーセー(A.P.C.)」も着るようになったり、心境やスタイルに変化が表れ始めていた頃だったんだ。

WWD:では、もともとは自分のためのブランドだったということでしょうか?

バク:最初は自分のことだけを考えて立ち上げたけど、今は着てくれるみんなのためーー特に若者やスケーターに向けて作っている。当初はロゴをあしらったシンプルなものを中心に作っていたが、最近は俺のルーツの1つでもあるグラフィックにフォーカスしたアイテムも出すようになったよ。

WWD:ブランド名の由来は?

バク:「AWAKE」という単語を雑誌で見かけて、そこに「NEW YORK」を足しただけ。なんの雑誌だったかは覚えていないんだ。

WWD:ロゴにストリートブランドであまり見られない飾りのあるスクリプト書体(筆記体)を採用していますが、その理由は?

バク:どこか洗練されている感じにしたかったし、1980年代の本のタイトルみたいな見た目にしたくてね。俺はマンハッタンのアッパー・ウエスト・サイドに13〜14年くらい住んでいて、その間にスタイルや音楽などいろんなことに大きな影響を受けた。それで俺に関する物語の本がもしあったとしたら、その本のタイトルはどんな見た目で、フォントやタイポグラフィーはどんなものになるだろうかと考えたんだ。

WWD:自分の原体験をもとにデザインしたんですね。

バク:その通り!ロゴは友だちと一緒にデザインしたよ。このロゴを見れば、メトロポリタン美術館だったりカッツ・デリカテッセン(Katz's Delicatessen)だったり、いかにもニューヨークという場所を思い出す、そういうものにしたかったのさ。

WWD:ファッションスクールでデザインを学んだ経験は?

バク:通ってはいたけど中退したし、写真学科だったよ。だから「シュプリーム」でも画作りを担当していたのさ。

WWD:先ほどグラフィックがルーツの1つと話していましたが、あなたにとって洋服にグラフィックを落とし込むというのはどんな意味なんでしょうか?

バク:インテリジェンス(知性)のあるものにしたいから。というのも、「シュプリーム」で学んだことの1つに、“キッズのインテリジェンスを過小評価するな”というのがある。俺は1990年代初頭のファッションにとても影響を受けているんだが、最近はそういったストリートウエアが無くなってきていると思っているんだ。分かりやすく言い換えると、“服を教育のプラットフォームとして使う手法”がなくなってしまっているということ。クールな服であると同時に、そこから情報を得ることができたり教育的な効果があるものにしたいという意味を込めているんだ。

WWD:「アウェイク」のインスタグラムを見ていると、時折歴史上の人物や名作映画を紹介するストーリーを上げますよね?あれは「アウェイク」なりの教育の一環ですか?

バク:そうだ。この間はちょうど、アメリカが「ヒスパニック文化遺産月間(National Hispanic Heritage Month)」(※9月15日~10月15日)だったからラテン系やヒスパニック系の発明家や俳優、政治家などを紹介することで、顧客を啓発しようと思ったのさ。

WWD:SNSはブランドにとって重要なツールのようですね。

バク:そもそもSNSがなければ「アウェイク」は存在し得なかったくらい重要なもの。というか、今のブランドはSNSがないと無理なんじゃないか?SNSがブランドのマーケティングを担っている、それが現実だよ。

WWD:Tシャツやキャップなどで原色を多用しているイメージです。

バク:俺にとってTシャツはキャンバスなんだ。グラフィックのデザインやTシャツのデザインを考えるとき、まずTシャツをキャンバスに見立てる。だから色は原色が多くて、ロゴはそのアクセント。Tシャツやキャップで原色の生地を使用しているのは偶然ではないんだ。

WWD:型数をベーシックなアイテムだけに絞っている印象ですが、トレンドやニーズは気にしないんでしょうか?

バク:それは“Less is more(少ないほうが豊か)”だから。作るアイテム全てを最高なものにしたい。平凡なTシャツを10型作るよりも、喉から手が出るような本当にいいTシャツを3型作る方がクールだろ?

WWD:無駄なデザインを生み出さないということでしょうか?

バク:ビジョンを薄めたくない、という言い方が正しいかもしれない。例えばDSMに行くと全てが素晴らしいほどにキュレーションされているが、置いてあるアイテムは各ブランドやデザイナーが作った中の一部なわけだ。それを「アウェイク」は自分たちで完結していると思ってくれればいい。

WWD:DSMGで「カッパ」とのコラボアイテムを世界先行販売していましたが、コラボのきっかけは?

バク:2年ほど前に「カッパ」のほうからアプローチしてきたんだ。ジャージーに“2018”の文字があるのはそれが理由。

WWD:デザインに力を入れたからこそ、発売までに時間がかかったんでしょうか?

バク:それは相手がイタリア人だから、というのは冗談(笑)。単純にいいものを作るには時間がかかるからさ。

WWD:DSMGで先行販売したものの、オンラインでの販売を店頭よりも2週間以上遅らせていました。その理由は?

バク:とにかく日本に来たかったからだから、理由を聞かれると困るな(笑)。まぁ東京で何か特別なことをしたかったし、DSMとはずっと前から良好な関係にあるから、「アウェイク」とDSMのタッグの次の章をスタートさせたかった感じさ。オンラインを遅らせたのは、DSMGを訪れて洋服を直接見て触れてほしかったからだ。

WWD:確かに実際に手に取って初めて、ジャージーに写っている「日清カップヌードル」の文字が「AWAKE」になっていることや素材感に気づくことがありました。

バク:まさにそういうことなんだよ。店頭での販売に限定にすることで顧客は店を訪れる必要があって、服に触れて対話することになる。それに俺としてはDSMをサポートしたい気持ちがあった。お互いをサポートし合うのはとても大切なことだからな。「アウェイク」はまだまだ小規模なものだし実店舗もないから、DSMをサポートすることは俺にとっても意義があることなんだよ。

WWD:店舗を設ける予定は?

バク:できれば来年、ニューヨークに旗艦店をオープンしたいと思っているけどまだ分からない。

WWD:「カッパ」とのコラボと同じタイミングでVERDYとのコラボも発表していましたが、彼とはどういう関係ですか?

バク:1年前に彼のビジネスパートナーのパウロ・ケイル(Paulo Calle)から、ビジネス上のアドバイスがほしいという連絡が来たんだ。俺が彼のメンターのような立場で関係が始まって、あるときVERDYとのコラボの話を持ちかけられたのさ。

WWD:最近はどのブランドもコラボを発表するようになっていますが、コラボそのものについてはどう思いますか?

バク:よく知っている相手かどうかは大事なポイントで、俺の場合はコラボする前に相手のことをよく知りたいと思うんだ。先に友だちになって本当の友情を築いてからやるかどうかを考えたいんだよ。そのほうが絶対にいいものができると信じているから。DSMともただコラボしているわけではなくて、その先にあるつながりや絆が大事だと思っている。これは今のキッズになら伝わると思うんだ。だって彼らにとってコラボはもう何も特別なものじゃないから、買うかどうかの条件に入ってこない。だから自然と関係がつながっていったチーム感やファミリー感のあるコラボのほうが特別感があるし、キッズもそれを感じるから欲しいと思うはずさ。

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読者が注目した今週の新作 「マルニ」 × 「ポーター」など(12月6〜12日)

「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。「ファッション部門」では読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ファッション部門」では「マルニ(MARNI)」 × 「ポーター(PORTER)」のコラボアイテム第14弾が最も注目された。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


【スニーカー部門】

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中古品をプレゼントされるのはアリ? アメリカ人の5人中3人がアリと回答

 プレゼントに中古品を贈ることはもはやタブーではなく、実際にはむしろ喜ばれるかもしれないという結果が報告された。

 市場調査・データ分析会社のユーガブ(YOUGOV)による1276人のアメリカ人を対象にした最近の世論調査によると、5人中3人(61%)の調査対象者が中古品をプレゼントされることを肯定的に捉えており、その傾向は特に限定品やレアアイテムの場合に強まるという。なお、「中古品をプレゼントされたくない」と回答した人は全体の4%にとどまった。

 年齢別で見ると18~34歳の約半数(49%)が「中古品をプレゼントにすることもあり得る」と回答したが、55歳以上で同じ回答をした人は38%にとどまった。現在のリセール市場は主にミレニアル世代やZ世代の若者たちからの支持で盛り上がりを見せているため、若年層の方が中高年世代よりも中古の贈答品に対する順応性が高いことは当然といえる。

 中古品をプレゼントされた場合の反応について男女間に大きな差は見られず、63%の女性が「よい気分だ」と回答。同意見の男性は59%だった。

 今回の調査の依頼者であるフリマアプリを運営するメルカリ(MERCARI)によると、この結果はリセール市場が大きく拡大している現在の状況にぴったり当てはまるものだという。自社サービスを“インターネット上で最大の委託販売・中古品販売サイト”と銘打つリセールサイトのスレッドアップ(THREDUP)は、「メイドウェル(MADEWELL)」や「リフォーメーション(REFORMATION)」など多くの話題性のあるブランドと提携し、メイシーズ(MACY’S)やJ.C.ペニー(J.C. PENNEY)のような百貨店で中古のアパレル商品を販売している。

 リセール市場が拡大している理由のひとつに、不透明な景気が続く中での節約志向が挙げられる。そしてもうひとつの理由が、消費者による環境や社会への配慮の高まりだ。

 アクセンチュア(ACCENTURE)の10月のリポートによると、1500人のアメリ人のうち45%が「ビジネスや職場環境を通じて社会問題に対する取り組みを幅広く行っている小売業者から購入したい」と回答しているなど、“責任あるリテール”がトレンドとして急浮上している。

 このような背景を見ると、リセール市場の成長がすぐに止まることはないと言える。調査会社のグローバルデータ(GLOBALDATA)がスレッドアップの依頼で行った分析結果によると、アパレルのリセール市場は通常の小売市場に比べて過去3年の間に21倍の速度で膨れ上がっているという。また、2023年にはリセールの市場規模が現在の240億ドル(約2兆6160億円)から倍以上の510億ドル(5兆5590億円)にまで成長すると考えられている。

 ジョン・ラーゲリン(John Lagerling)=メルカリ最高経営責任者は「プレゼントの購入者たちは、リセールを利用することで周りと差をつけられるだろう」と語っており、「普通の店舗だと商品のラインアップが限られており、ありきたりでノーブランドなプレゼントになってしまう。メルカリでプレゼントを購入する人は他とは違う商品を求めており、出品者たちは日々15万点以上のアイテムを掲載している。全てのカテゴリーでバラエティーに富んだアイテムが販売されており価格も魅力的だ」とコメントしている。

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「メチャカリ」は「自分へのご褒美」も39円 ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.7「メチャカリ」月額39円の勝算

読み解きポイント:メチャカリは、新しいショッピング体験。ストレス発散市場を開拓。

ニュースのポイント

 ストライプインターナショナルのファッションサブスクリプションサービス「メチャカリ(MECHAKARI)」が、新規会員向けに月額利用料39円になるキャンペーンを実施(期間:‪10月25日〜12月10日‬)。キャンペーン開始から会員は約8000人増え、2万人を突破した。39円の期間を3カ月とすることによって、何度か借りる体験を促進し、定着率を高めるのが狙いとのこと。現在60社150ブランドをそろえ、将来は300ブランドに拡大する予定。

CKRはこう読む!

 「服が欲しくなるタイミングで、新しいショッピング体験を提供する」。メチャカリの販売戦略のうまさは、ここにあると思います。

 今回のキャンペーン期間は、気温が日に日に下がって「服がもう一枚欲しくなる」季節です。冬服は、夏服と比べ単価も高く、39円のお得感が際立ちます。しかも新作が登場となると、ファッションフリークだけではなく、オシャレに受け身だった人も始めてみようと思うのではないでしょうか。

 また、メチャカリの服は新品です。スマホアプリから、コーデ、アイテム、ランキングなどをたどって、自由に選ぶことができます。レンタルですが、ネットで妄想しながら擬似ショッピングできる。実はここが大事だと思うのです。

 ストレスが溜まって、気分転換にショッピング。「お金使いすぎたかも」と少し罪悪感にかられながら、「頑張った自分にご褒美」と言い訳する経験。誰しもあると思います。

 メチャカリは、それが「定額」なんです。「ストレス発散のためのショッピング」を定額化でできるところに、新たな価値を感じます。

 もちろん、SNSで一度アップした服を、もう一度使うのは気が引ける。だから定額レンタルがリーズナブル、というシーンもあるでしょう。しかし、幅広いマスマーケットを考えると、「定額でストレス発散できる市場」の大きさは、どんなに強調してもしすぎることはありません。

 服を自社生産するストライプインターナショナルからみたメチャカリは、在庫共有されたECによる販売形態の一つです。「新品で売り切りるか」「メチャカリでレンタルするか」「メチャカリ返却分を新古・中古として売り切りるか」。同じ服でも、販売形態によって商品価格を変えているとも言えます。顧客接点となる販売バリエーションが増えたことで、一人ひとりに最適な購買体験を提供し、より多くの顧客とエンゲージメント強化できるところが特徴です。また、外部にキャッシュアウトが発生する物流費は、返却手数料「380円/回」を利用者が負担することで、コストを抑える工夫をしてます。

 次にマス全体で「新しい服」の需要が発生するのは、4月。入学、入社のシーズンです。このあたりで、もう一度キャンペーンを実施し、さらなる会員拡大を狙ってくるかもしれません。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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“ガーランド ドゥ カルティエ”に新作“ナノ”が登場

 今年デビューした“ガーランド ドゥ カルティエ(GUIRLANDE DE CARTIER)”に今秋、ナノサイズが登場。「カルティエ(CARTIER)」のジュエリーボックスにインスパイアされた、オーセンティックながらも“今”の気分が詰め込まれた新作“ナノ”バッグに注目!

ファッション・ラバーが注目する
ナノバッグが日本上陸

 「カルティエ」のジュエリーボックスから着想を得たバッグ“ガーランド ドゥ カルティエ”に、ナノサイズのバッグが新たに加わった。世界のファッション・ラバーから熱い視線を浴びるナノバッグは、ジュエリーボックスを思わせる小さな八角形で、ストラップを付けて斜めがけにしたり、ストラップをはずしてクラッチバッグとしても活躍する2WAY。普段のコーディネートに合わせてカジュアルに持つのも、ドレスアップしたフォーマルな場面に合わせるのも、もちろん2個持ちするのも自由!メゾンに伝わるゴールドのガーランドモチーフが施され、オーセンティックでありながらモダンな印象なので、どんな時にもコーディネートを格上げしてくれる。お財布とスマートフォン、それにリップをひとつ入れるのにぴったりの、使い勝手のよさもうれしいポイントだ。

ホリデーシーズンに新調したい
スモールレザーグッズ

 メゾンの真髄が詰まった“ガーランド ドゥ カルティエ”シリーズには、スモールレザーグッズの展開も。ナノサイズのバッグにぴったりのミニ財布をはじめ、ジップタイプと二つ折りの長財布、定期券入れにも使えるカードホルダー、名刺入れなどさまざまなアイテムがそろう。ホリデーシーズンの自分へのごほうびとして、2020年の幕開けに気分も新たに、スモールレザーグッズに注目したい。

“ガーランド ドゥ カルティエ”の
バッグコレクション

INFORMATION
■特別メッセージサイト
「Cartier WISH」がオープン

大切な人へ贈る“想い”をテーマに、ホリデーシーズン限定のメッセージサイト「Cartier WISH」がオープン。メッセージを入力すると、「カルティエ」のページボーイがオリジナルのタイポグラフィーを使って特別なメッセージを創作。その様子をショートムービーとして大切な人に贈ることができる。

PHOTOS:AKIHIRO SAKAI(SEPT)

問い合わせ先
カルティエ カスタマー サービスセンター
0120-301-757

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8万通り以上のパーソナルスキンケアの資生堂「オプチューン」を編集部が試してみた 途中経過編

 資生堂が同社初のサブスクリプションサービスとしてスキンケアのパーソナライゼーションを実現する「オプチューン(OPTUNE)」を本格スタートさせました。一人一人の肌環境に合わせたケアを専用マシンが提供するIoTスキンケアシステムで、8万通り以上のお手入れアルゴリズムから最適なスキンケアを提供するという、業界的にも画期的なこのサブスクサービス。月額1万円で利用できます。どんなものか体感したいということで、「WWDビューティ」編集部の20、30、40代を代表する記者3人が個人的に申し込み、3カ月間実際に試して肌の状態がどのように変化するかをリポートします。

男性記者K:メンズコスメや小売りなどの担当記者
女性記者N:国内メーカー担当記者
女性記者M:国内メーカー担当、「WWDビューティ」マネジングエディター

良質な睡眠もスキンケアの一部 
目指せ睡眠不足からの脱却
(20代男性記者K)

 新卒でこの業界に入り大きく変化したことの一つは睡眠時間が減少した事です。時期によっては夜遅くに帰宅する日が続くこともあり、不足しがちです。そんな折に開始した「オプチューン」。なんとアプリで睡眠時間を管理してくれて、そのデータも処方に反映されるんです。アプリ内にこんな機能があるとは知らず、これから活用したいと思います。僕がそれまで使用していた睡眠管理アプリでは、先月の平均睡眠時間は5時間39分でした。休日も含んでいるので平日は、恐らく平均を下回る睡眠時間です。

 やはり「睡眠不足はお肌の大敵!」です。見事に先月から肌が不調で、良質な睡眠もスキンケアの一部という事が分かりました。肌のターンオーバーは睡眠中に活発化すると言われていますから、睡眠が不足するとそのサイクルが乱れがちになり肌荒れを引き起こしやすくなります。しかし、肌の状態と睡眠を同時に管理できるってこれまであるようでなかった事なんじゃないでしょうか。これを機に「オプチューン」で睡眠時間を管理して、よりパーソナルな処方で肌を改善したいと思います。最近の肌状態は寒さがグッと厳しくなり、乾燥しがちです。水分量も過去の数値と比較するとやや低下しています。「オプチューン」はこういった季節の変わり目での肌の変化も読み取ってくれるので保湿用の製品を買い足す必要はなさそうです。

カートリッジ交換は意外と待ってくれる!しかしそれにおごらないこと(30代女性記者N)

 「オプチューン」を使用して約3カ月が経過。夏季休暇や連休のたびに実家へ帰省するなど家を不在にすることが多いとはいえ、カートリッジ(美容液)は確実に減っていきます。それを見越して、なくなる前に新しいカートリッジが自宅に配送されますが、離島など配送に時間がかかる地域に合わせて出荷されるため、都内在住者はかなり早めに届くそう。私も新しいカートリッジが届いてから、交換するまでに約3週間分はまだマシン内に残量が残っていました。カートリッジは、24センチ×26センチ×9センチの箱に1個ずつ厳重に梱包されて届きます。交換にはアプリの起動が必須。一つ一つ分かりやすく説明してくれるので、初めてで3~5分ほどで完了しました。

 カートリッジ交換時の注意点といえば、一度に2本以上交換する場合はマシンに挿入する順番があること。アプリ画面を見ていればちゃんと指示してくれているので間違えることはないですが、慣れてくるとつい流れ作業になりがちに……。ちなみに、残量が不足すると「カートリッジを交換してください」とスマホにお知らせが来ますが、物ぐさな私はついついスルーしていました。しかも2~3週間ほど。「意外となくならないものだな~」と思いながら過ごしていたある朝、急にマシンが静かに……!限界が来たようです。カートリッジを交換しようにも、時間のない朝のめちゃくちゃ急いでいるタイミング。なんとか「ベネフィーク」で乗り切りました。こんな顛末にならないよう、お知らせにはしっかり向き合いましょう。肌の調子は、キメ、水分量、皮脂、毛穴の目立ちいずれも良好で、日々の温度差が激しい季節の変わり目でも揺らぎを感じることなく過ごせています

習慣になっていたオプチューン生活が旅行を機に縁遠くなる……
(40代女性記者M)

 朝晩のオプチューンでのケアに慣れてきたころ、遅い夏休みで8日間ほど海外旅行に行ってきました。当然ながら旅行中はオプチューンでのケアはできず、浴びるようなぜいたく使いのスキンケアに戻っていました。帰国後、再び使い始めようとしたのですが、旅前に習慣になっていた携帯との連動がなぜか億劫に感じてしまい……。オプチューン生活に戻るのにしばらく時間がかかってしまいました。簡易版オプチューンとでいいましょうか、持ち運びが可能なタイプも欲しいと思った瞬間でした(開発者の方よろしくお願いします!)。

 再び習慣になりつつなったときに、季節が変わって寒暖差が激しくなり、肌が激しい乾燥についていけずボロボロに。年に1度は訪れる肌ダメージ期が到来してしまいました……。こうなると普段のスキンケアアイテムを一切受け付けなくなるので、ミストとバームのみというシンプルケアに徹します。1週間ほどこのケアを続けると大概復活するのも慣れたものです。落ち着き始めたところで、オプチューンも復活!しかし乾燥が激しい日々が続くため、やはり500円玉大の量では物足りなさを感じて。しかし、資生堂のオプチューン担当からスキンケアの量を調整できると聞き、早速チャレンジ。念のため手持ちの化粧水もプラスしてのスキンケア生活にしたら大分肌も元気になってきました。ほっと一安心の日々を過ごしています。

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8万通り以上のパーソナルスキンケアの資生堂「オプチューン」を編集部が試してみた 途中経過編

 資生堂が同社初のサブスクリプションサービスとしてスキンケアのパーソナライゼーションを実現する「オプチューン(OPTUNE)」を本格スタートさせました。一人一人の肌環境に合わせたケアを専用マシンが提供するIoTスキンケアシステムで、8万通り以上のお手入れアルゴリズムから最適なスキンケアを提供するという、業界的にも画期的なこのサブスクサービス。月額1万円で利用できます。どんなものか体感したいということで、「WWDビューティ」編集部の20、30、40代を代表する記者3人が個人的に申し込み、3カ月間実際に試して肌の状態がどのように変化するかをリポートします。

男性記者K:メンズコスメや小売りなどの担当記者
女性記者N:国内メーカー担当記者
女性記者M:国内メーカー担当、「WWDビューティ」マネジングエディター

良質な睡眠もスキンケアの一部 
目指せ睡眠不足からの脱却
(20代男性記者K)

 新卒でこの業界に入り大きく変化したことの一つは睡眠時間が減少した事です。時期によっては夜遅くに帰宅する日が続くこともあり、不足しがちです。そんな折に開始した「オプチューン」。なんとアプリで睡眠時間を管理してくれて、そのデータも処方に反映されるんです。アプリ内にこんな機能があるとは知らず、これから活用したいと思います。僕がそれまで使用していた睡眠管理アプリでは、先月の平均睡眠時間は5時間39分でした。休日も含んでいるので平日は、恐らく平均を下回る睡眠時間です。

 やはり「睡眠不足はお肌の大敵!」です。見事に先月から肌が不調で、良質な睡眠もスキンケアの一部という事が分かりました。肌のターンオーバーは睡眠中に活発化すると言われていますから、睡眠が不足するとそのサイクルが乱れがちになり肌荒れを引き起こしやすくなります。しかし、肌の状態と睡眠を同時に管理できるってこれまであるようでなかった事なんじゃないでしょうか。これを機に「オプチューン」で睡眠時間を管理して、よりパーソナルな処方で肌を改善したいと思います。最近の肌状態は寒さがグッと厳しくなり、乾燥しがちです。水分量も過去の数値と比較するとやや低下しています。「オプチューン」はこういった季節の変わり目での肌の変化も読み取ってくれるので保湿用の製品を買い足す必要はなさそうです。

カートリッジ交換は意外と待ってくれる!しかしそれにおごらないこと(30代女性記者N)

 「オプチューン」を使用して約3カ月が経過。夏季休暇や連休のたびに実家へ帰省するなど家を不在にすることが多いとはいえ、カートリッジ(美容液)は確実に減っていきます。それを見越して、なくなる前に新しいカートリッジが自宅に配送されますが、離島など配送に時間がかかる地域に合わせて出荷されるため、都内在住者はかなり早めに届くそう。私も新しいカートリッジが届いてから、交換するまでに約3週間分はまだマシン内に残量が残っていました。カートリッジは、24センチ×26センチ×9センチの箱に1個ずつ厳重に梱包されて届きます。交換にはアプリの起動が必須。一つ一つ分かりやすく説明してくれるので、初めてで3~5分ほどで完了しました。

 カートリッジ交換時の注意点といえば、一度に2本以上交換する場合はマシンに挿入する順番があること。アプリ画面を見ていればちゃんと指示してくれているので間違えることはないですが、慣れてくるとつい流れ作業になりがちに……。ちなみに、残量が不足すると「カートリッジを交換してください」とスマホにお知らせが来ますが、物ぐさな私はついついスルーしていました。しかも2~3週間ほど。「意外となくならないものだな~」と思いながら過ごしていたある朝、急にマシンが静かに……!限界が来たようです。カートリッジを交換しようにも、時間のない朝のめちゃくちゃ急いでいるタイミング。なんとか「ベネフィーク」で乗り切りました。こんな顛末にならないよう、お知らせにはしっかり向き合いましょう。肌の調子は、キメ、水分量、皮脂、毛穴の目立ちいずれも良好で、日々の温度差が激しい季節の変わり目でも揺らぎを感じることなく過ごせています

習慣になっていたオプチューン生活が旅行を機に縁遠くなる……
(40代女性記者M)

 朝晩のオプチューンでのケアに慣れてきたころ、遅い夏休みで8日間ほど海外旅行に行ってきました。当然ながら旅行中はオプチューンでのケアはできず、浴びるようなぜいたく使いのスキンケアに戻っていました。帰国後、再び使い始めようとしたのですが、旅前に習慣になっていた携帯との連動がなぜか億劫に感じてしまい……。オプチューン生活に戻るのにしばらく時間がかかってしまいました。簡易版オプチューンとでいいましょうか、持ち運びが可能なタイプも欲しいと思った瞬間でした(開発者の方よろしくお願いします!)。

 再び習慣になりつつなったときに、季節が変わって寒暖差が激しくなり、肌が激しい乾燥についていけずボロボロに。年に1度は訪れる肌ダメージ期が到来してしまいました……。こうなると普段のスキンケアアイテムを一切受け付けなくなるので、ミストとバームのみというシンプルケアに徹します。1週間ほどこのケアを続けると大概復活するのも慣れたものです。落ち着き始めたところで、オプチューンも復活!しかし乾燥が激しい日々が続くため、やはり500円玉大の量では物足りなさを感じて。しかし、資生堂のオプチューン担当からスキンケアの量を調整できると聞き、早速チャレンジ。念のため手持ちの化粧水もプラスしてのスキンケア生活にしたら大分肌も元気になってきました。ほっと一安心の日々を過ごしています。

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私のサステナビリティ 「アミ」はエコなショー演出で地球の未来を考える

 6月にパリで行った「アミ アレクサンドル マテュッシ(AMI ALEXANDRE MATTIUSSI)」2020年春夏コレクションの会場には、とても広いグラン・パレ(Grand Palais)を選んだんだ。でも、演出は極力シンプルにしたかった。だって、大きなセットを作ってもショーの後には廃棄してしまうことになるからね。ほかにも、最近は可能な限り天然素材にこだわったり、環境に配慮した生地を選んだりしている。まだまだ小さな一歩だけど、ファッション産業はさまざまなエネルギーを消費しているという自覚はブランド設立者として当然持っている。地球の将来のためにも、ファッション業界が行ってきた当たり前を変えていきたいんだ。うちのオフィスではすでにプラスチックはほぼ使用禁止にしているよ。

私のサステナビリティ
 ファッション業界にとって加速して取り組まなければいけない課題の“サステナビリティ”。企業として大きく舵を切ることはもちろん、個々の意識も重要です。そこで個人的に行なっているサステナビリティについて聞きました。

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コンテンツのコンテクスト化を紹介しましょう エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月24日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

コンテンツのコンテクスト化を紹介しましょう

 「WWD JAPAN.com」で新しい連載をスタートしました!! ECベンチャーで働く1990年代生まれのファッションフリークOL、Azuによる、ファッション週刊紙「WWDジャパン」の読み解き連載です。彼女にはまぁまぁの負担を強いて恐縮ですが、これから週3回、「WWDジャパン」最新号のニュースと特集、連載から「おっ!」と思った記事を選んでもらい、そのダイジェストとともに、思ったことをざっくばらんに寄稿してもらおうと思っています。

 この連載をスタートしたのは、Azuがインスタグラムのストーリーズにアップしていた、同僚向けの“「WWDジャパン」読み解き解説”を目にしたのがきっかけです。聞けばECベンチャーで働く同僚には、定期購読中の「WWDジャパン」はボリューミーだし難しく、正直読みこなせないから活用できていないとのこと(そうだろうと思いますw)。そこでファッションフリークのAzuが「コレ、知ってた方が良いよ!」というポイントを解説することにしたのだそうです。

 Azu様、なんてありがたいんでしょう!ウチの販売部にスカウトしたいくらいです(笑)。

 Azu連載の狙いでもあるし、実は、このエディターズレターにも同じ役割を期待しているのですが、こうやって「コンテンツをコンテクスト化する」プロセスをご覧いただき、皆さんには溢れるニュースをご自身なりに消化していただきたいと思っています。私たちが提供するコンテンツは、ハッキリ言えばどう解釈してくださっても構いません。

 例えば、ファストリの謝罪に関する記事。僕はぶっちゃけ「え!コレって、ファストリ悪いの?言葉狩りじゃん!」って思いつつ、「明日は我が身」と身が引き締まりました。同様に思う方もいるでしょうし、それでもなおファストリに「もっとセンシティブになれたのでは?」と思う方もいるでしょう。もしくは「ここまでセンシティブにならざるを得ないほど、2国間の関係性は悪化してるんだ」と解釈した方もいれば、「ファストリにとって、それだけ韓国ビジネスは大きいんだ」と理解した方もいるハズ。それぞれの立場や年齢、信条、価値観などにより「コンテンツを、どんな文脈(コンテクスト)に落とし込むか」は、バラバラです。

 コンテンツをコンテクストに落とし込み“自分ごと”化することで、ニュースは初めてユーザーにとって価値を帯びると思っています。そこでAzuやエディターズレターには、みなさんが「コンテンツをコンテクスト化する」一助、その具体例の1つとして機能するコトを期待しているのです。

 連載の初回でAzuがピックアップしたニュース記事「楽天が東コレのメインスポンサーへ」も、僕と彼女のコンテクスト化は大きく異なりました。僕は、「アマゾンに続き楽天かぁ。ECにとってアパレルは、軽くて、配送が簡単なのに高単価だから儲かるんだろうな。イメージアップに繋がるかもしれないし、逆を言えばまだまだ小さな存在なのね」と(一応)ビジネス風に解釈しました。けれどAzuは、「アマゾンに続き楽天かぁ」までは同じでしたが、「今度こそ、楽天で洋服、買えるんですよね?」と、エンドユーザーに近い感覚に基づきECベンチャーで働く女子っぽくコンテクスト化。その双方が、正しいのです。

 というコトで「WWDジャパン」は引き続き、いろんな方のご意見をお待ちしております。直近、マジで思っているのは「男性ビジネスマン(できればAzuの対極に位置する業界人。ベテランの、エグゼクティブ層がいいかな〜と思っています)で、Azuみたいに記事のコンテクスト化を教えてくれる人はいないだろうか?」というコト。

 販売部長にも適任を探してもらっておりますが、「我こそは!」と思う方はぜひ、メールにてご連絡ください。もちろんギャラ、お支払いしますよ(笑)。

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「『ヴェルサーチェ』を着こなすには18歳のスキニーガールである必要はないのよ」 by ドナテラ・ヴェルサーチェ

Donatella Versace 「ヴェルサーチェ」デザイナー

 「ヴェルサーチェ」を着こなすには18歳のスキニーガールである必要はないのよ。(Vol. 1403 2007年1月22日)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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「ヨウジヤマモト」の服は手ぶらが似合う エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年5月28日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Edito's Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「ヨウジヤマモト」の服は手ぶらが似合う

 「ワイズ(Y’S)」がアルカンターラ(ALCANTARA)とコラボレーションし、5年ぶりのショーを5月25日の土曜日に開きました。日中の用事を済ませて一度帰宅をし、一杯入れつつ「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」の服に着替えて表参道ヒルズへ。バッグは持たずにポケットには名刺入れとスマホだけ。その名刺入れにはカード2枚と鍵も入れて荷物は以上、手ぶらです。何という開放感!訪日観光客でごった返す表参道の人込みも手ぶらなら気にならず、ケヤキ並木の新緑が心なしかきれいに見えました。

 バッグを持たないということは、リップやら充電器やらノートやらを諦めるということですが、それでも手ぶらにしたのはその方が「ヨウジヤマモト」の服を楽しめるからです。これを言うとヨウジヤマモト社のM木さんあたりから突っ込みが入りそうですが、「ヨウジヤマモト」の服はバッグを持たない方が断然きれいに見えると思います。所在ない手はポケットに突っ込んで、ゆっくりと歩くべし。

 聞きかじった話ですが、縄文時代の女たちは山菜を採取し木の実を拾うことが仕事のひとつであり、大切な収穫物を持ち帰るためにカゴや器を使っていたそうです。そのDNAが今に引き継がれているから女性はバッグが好きだし、大切にするのだとか。真偽はさておき、もっともらしい話ですよね。

 「ヨウジヤマモト」を着る縄文人の女性がいたなら、彼女はどうしていたでしょうか?器は持ち歩かずに木の実は今日明日食べる分だけ拾い、時には男たちの狩りに同行しているのでしょうか?

 「ワイズ」ブランドにおける耀司さんの立場は監修であり、実際のデザインは同社のネクストリーダーたちが行っています。今回のショーで見た彼らが作る「ワイズ」も「ヨウジヤマモト」と同様、いわゆるハンドバッグは似合いません。良い意味で。ショーに登場した武具みたいなボディーバッグなら別ですけどね。そういった意味でも、山本耀司のDNAは同社の中でしっかり引き継がれていると再確認しました。

【追記 2019年12月4日】
こちらのレター(メルマガ)を書いたのは今年の5月でした。その後、9月に「ヨウジヤマモト」2020年春夏コレクションを見て、前言撤回。フィナーレ近くに登場したバッグは服と着る人と馴染むデザインで、「ヨウジヤマモト」のスタイルを奪うことなく存在していました。

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SNS世代1600人を徹底調査 よく利用するショップTOP10

 「WWDジャパン」12月2日号は“SNS世代”特集。全国の服飾専門学校生約1600人にアンケート調査を行い、好きなデザイナー・ブランド・インフルエンサーから環境への問題意識まで、彼・彼女たちのファッション観に迫りました。ウェブではアンケート結果の一部を紹介します。第3回は「よく利用するショップ」部門トップ10をランキング形式で発表!

【1位】ゾゾタウン

理由:ツケ払いを利用すればお金を貯める前に欲しいものが買える/色や柄でアイテムを絞り込めるから欲しいものが見つかりやすい/たくさんのブランドを比較できる/すぐに 届くからうれしい

【2位】「ザラ(ZARA)」

理由:マネキンのコーディネートがおしゃれで参考になる/ECサイトが直感的に操作できる

【3位】「ユニクロ(UNIQLO)」

理由:どんな場所にも店舗があるから欲しいものがいつでも手に入る/ネットで買っても店舗で受け取れるのが便利

【4位】メルカリ

理由:欲しいものが安く手に入るのがうれしい/昔のコレクションや思わぬ掘り出し物に出合える

【5位】「ジーユー(GU)」

理由: Tシャツのデザインが豊富で選ぶのが楽しい/男女問わずアイテムが豊富だからデートにも利用できる/ 安いから奇抜なデザインにチャレンジしやすい

【6位】楽天市場

理由:国内外たくさんのブランドがある/ポイントが貯まるのがうれしい/中古のアイテムがある

【7位】ルミネ

理由:駅チカや駅ナカにあってアクセスがいい/おしゃれな店がたくさん入っている

【8位】古着店

理由:ブランドに関係なくアイテムを選ぶからセンスが磨かれる/新品にはない出合いがある

【9位】伊勢丹

理由:最新ブランドが集まっている/親と一緒に買い物が楽しめる/接客が最高級

【10位】バイマ

理由:海外ブランドが安く買える/お気に入りのバイヤーがいる

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M/Mパリスの2人が語る「渋谷パルコと新タイポグラフィー論」

 11月22日に開業した新生・渋谷パルコ(PARCO)は、いつもは辛口の小島健輔先生も「奇跡の最高傑作だ!」と評するほど、ユニークなファッションビルに仕上がった。新たなシンボルとなるロゴのデザインやオープニングの広告ビジュアルを担い、個性をさらに色濃く表現する役割を担ったのが、マティアス・オグスティニアック(Mathias Augustyniak)とミカエル・アムザラグ(Michael Amzalag)の2人によるクリエイティブユニット「M/M(Paris)(エムエムパリス)」だ。今回パルコに出店した「ロエベ(LOEWE)」や「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」をはじめ、「プラダ(PRADA)「や「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」、ビョーク(Bjork)やマドンナ(Madonna)など多くのメゾンやデザイナー、クリエイターたちとコラボレーションし、シーズンビジュアルやロゴデザイン、雑誌制作などを手掛けてきた。最近オープンしたパリ・シャンゼリゼの「ギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)」のグラフィックデザインも彼らによるもの。独特のイラストやタイプフェイスに見覚えがある人も多いはずだ。新生・渋谷パルコのオープンに合わせて来日したマティアスとミカエルに、今回のアートワークのストーリーや着想源を聞いた。

―出来上がった新生・パルコを回遊した感想は?

マティアス・オグスティニアック(以下、マティアス):とてもいい店だ。コンセプチュアルさと小売りとしてのリアリティーを融合し、すごくミックス感があるのによくキュレーションされていてクリエイティブだ。グランドフロアが開放的で、いろいろなところからアクセスできるし、外と中がうまくつながっている。壁面に沿ったプロムナードも良い感じだ。中に入るとバーティカル(垂直)に空間や店が広がっていて、ファッションだけでなく上層階のニンテンドートウキョウやポケモンセンター、地下の大阪の商店街のようなカオスなフードフロアなど、知的な部分とノイズが混ざっていて面白い。

ミカエル・アムザラグ(以下、ミカエル):とてもクリエイティブでオプティミスティック(楽観的)な環境だよね。

―今回、新たなロゴや、ビジュアル3部作(シーズン広告、ティザー編、オープン編)を制作した。どのように着想し形づくっていったのか?

マティアス:生まれ変わる渋谷パルコのオープンをビジュアルで祝福するとともに、「これがパルコのアイデンティティーだ」という新しい「パルコ・カルチャー」や「パルコ・ワールド」を築き上げるストーリーを創った。私たちは2014年秋冬シーズンから4年間、パルコの広告を手掛けてきたが、シーズン広告以上に新店舗のオープンは非常に重要なものだと感じていた。渋谷パルコは単なる商業施設ではなく、人々が集い、ファッションやカルチャーやインスピレーションなど、何かを感じたり考えられる場所にしたかった。

新しいロゴは、パルコの5つの文字(P・A・R・C・O)からインスパイアされたもの。新生パルコは「ファッション」「エンターテインメント」「アート」「フード」「テクノロジー」の5本柱で構成するため、P=FASHION、A=ENTERTAINMENT、R=ART、C=FOOD、O=TECHNOLOGYと、5つの要素を表現することにした。バウハウス(BAUHAUS)のモダニズムを参考にしつつ、日本のビジュアルブックなどを見ながらアプローチし、四角と三角、丸を組み合わせたシンプルでベーシックな要素でロゴをデザインした。

ミカエル:コンセプトを聞き、建築中のパルコを見たその日に、スポンテニアス(自然発生的)に大枠が決まったんだ。

―広告ビジュアルでは、ロゴを擬人化しているのもユニークだ。

マティアス:大切にしたのは、新しさと伝統の融合だ。ロゴは新生・渋谷パルコの新しい象徴であり、伝統的なものと人間味を感じさせるものを表現するために、平面だけでなく立体化し、擬人化した。さっき、「渋谷パルコのオープンをビジュアルで祝福する」と話したが、「伝統的なお祝い」といえば、「フェスティバル」「お祭り」だ。その地域にまつわる神の化身や妖精などいろいろなキャラクターが登場するよね。だからこれもお祭りに出てきそうなキャラクターにした。「P」は「ファッション」なので、ドレスをまとったモデルによって表現。他の文字もビッグシルエットのコスチュームを身にまとったパフォーマーたちがそれぞれの意味を演じるようにした。僕らにとっては新しいフォークロア(民俗伝承)の表現でもある。

―広告ビジュアルの撮影場所は? 自然の中のようだが、水辺や、真っ白な雪景色、地層など、背景も印象的だった。

マティアス:とにかく大きな地平線のある風景の中で撮りたかった。もう一つ、日本に似た場所を探したかった。それで選んだのは、自然公園としても知られるカマルグだ。塩の産地として有名だが、フランス有数の米の産地であり、日本との共通点があった。だから、あれは雪じゃなくて塩田なんだ。収穫物である塩や米、それらを生み出す海や大地など、祝福するのにもピッタリの場所だった。新しいパルコのコンセプチュアルな部分と、人間的な部分を、訪れるみんながダイレクトに感じられて祝福を受けられるように、フォトグラファーのヴィヴィアン・サッセン(Viviane Sassen)が解釈して撮影してくれた。シンプルな図形を組み合わせて3Dに立体化した構築的なロゴは硬さがあったけれども、そこにヴィヴィアンや衣装デザイナーが人間的な温かい質感を加えてくれた。ブランドのドレスなどではなくコスチュームにしたのは、単純にファッションを表現するものではなくて、「ファッションとファッションの間」に意味を持たせたかったから。渋谷パルコは垂直に伸びるバーティカルシティであり、そこにはフードコートやファッション、シアター、ガーデンなどが積み重なっている。そんな重層的なパルコを表現したかった。

ミカエル:リアリティーがありつつ幻想的で、自己表現とセンス、ナチュラルとテクノロジーなど、いろいろなものの間で遊ぶ感覚を大切にしたかったんだよね。

―M/Mはドローイングとデジタルとを早い時代から融合させて作品を作ってきた。世の中にもコンピューターグラフィック(CG)などによるデジタル作品などが増えているが、どう感じている?

マティアス:CGは、ニュー・リアリティーであり、クリエイティブのストラテジーとしても使用するし、作品作りには欠かせないし有用だ。だけど、どうしても冷たい感じがする。AI(人工知能)もクールだが、人間的なものに変換させて、デザインを常に進化させ続けながら、もっとエモーショナルなものにしたり、温かみを持たせたい。それによって、イマジネーションと真のリアリティーを表現したい。

―M/Mが2014年に広告ビジュアルを創り始めたころから、「パルコがまた面白くなってきた」と感じる人が増えたように思える。そんな実感はあるか?

ミカエル:学生時代からパルコのクリエイティブのファンで、いつかパルコの広告を手掛けたいと熱望していたので、5年前に協業が決まったときはとてもうれしかった。最初の2回は直観的で自由に創らせてもらった。ファッションも面白く演劇的でドラマチックなものを創った。クリエイティブとしてはイノセンスで天真爛漫でもあったけど、いまひとつリアリティーがなかったかもしれないね。それがだんだんとお互いの信頼関係や基盤ができて、クリエイティブな方向性も確立されてきたところで今回の取り組みに至った。

マティアス:最初は小さくスタートして、それがどんどん大きくなった。日欧の協働プロジェクトで距離的な遠さはあったけれども、仕事というよりも、文化的なコラボレーションができた。アーティスティックな広告ビジュアル作りから始まり、カルチャーチェンジにまで携われた。これだけの規模のことを手掛けたのは初めてのことだ。“ニュー・パルコ”はパルコにとっての大冒険であり、僕たちもパルコと一緒に新しいものを作り上げようとエネルギーを注いだ。

―パルコもM/Mも海外からの評価も高まっている。

マティアス: パルコは日本のエクストリーム的な存在なのだから、もっとインターナショナルに海外に向けても発信すべきだと考えた。だからこそ日本、そして東京を深掘りすることが大事だと考え、それを中心に据えた。パルコの「イメージ戦略に投資をする」という姿勢も素晴らしかった。広告とは未来につながるメッセージであり、コミュニケーションとはブランドを知る手段でもあるからだ。

われわれもいろいろな広告・デザイン関連の賞をもらってきたが、パルコとのクリエイティブでアジアでの受賞が増え、アジアのグラフィックデザインやアート・カルチャーと交わる機会が増えた。AGI(国際グラフィック連盟)のメンバーにも招かれた。パルコとの協業の大テーマは“カルチャー・エクスチェンジ(文化的な対話)”だった。芸術的な対話が新たな展開につながったことと、協業がその場限りのものではなく過去が評価され未来につながったという2つの意味で重要なものだった。仕事自体はとてもローカルなものだけれど、世界に扉が開いた。16世紀にポルトガルから西洋文化が日本に伝わったり、日本の浮世絵がポール・ゴーギャン(Paul Gauguin)の絵画に影響を与えたように、文化の交流によってクリエイションが進化したのと同じような感覚だ。

―では、次にチャレンジしてみたいことは?

マティアス:日本でまた新しいことに挑戦してみたいね。

ミカエル:ソニー(SONY)がいい!ティーンエイジャーのころからソニーが好きで、80年代にウォークマンや、子ども向けのポップなオーディオビジュアルシリーズ「マイ・ファースト・ソニー」などを通じて音楽やカルチャーや日本にアクセスしてきた。僕にとってソニーはユートピアみたいなブランドなんだ。実はPARCOのO=テクノロジーのロゴは、ソニーのポータブルスピーカーから着想しているんだよ。いつか協業できたらいいなぁ。

松下久美:ファッション週刊紙「WWDジャパン」のデスク、シニアエディター、「日本繊維新聞」の小売り・流通記者として、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)

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「必要な法律を必要な部分だけ習得する」という考え方 米国で生まれた概念“ファッションロー”とは?

 「WWDジャパン」12月9日号では、「みんなの疑問・不安に4人の弁護士が答えるファッションロー特集」を予定している。“ファッションロー”とは、“民法”や“労働法”など、個別の法律を指す言葉ではなく、ファッション産業に関係するあらゆる法律の総称だ。言い換えるなら、“民法”の中でファッション産業に関係する部分も、“労働法”でファッション産業に関係する部分も全て“ファッションローの一部”ということになる。

 とはいっても具体的なイメージを持ちにくい“ファッションロー”について、その成り立ちや誕生の背景をファッション・ロー・インスティテュート・ジャパン(FASHION LAW INSTITUTE JAPAN以下、FLIJ)の創設者、金井倫之・弁理士兼ニューヨーク州弁護士に聞いた。

WWD:ずばり、ファッションローとは?

金井倫之・弁理士兼ニューヨーク州弁護士(以下、金井):それぞれの法律を縦串とするならば、ファッション産業という横串を刺したときに引っ掛かってくる部分を“ファッションロー”と呼びます。アメリカでは“エンターテインメントロー”や“スポーツロー”、“フード&ベバレッジロー”など、産業ごとに分類することはよくあります。

WWD:横断的に習得するということは、それぞれの法律の全体像や深い部分は見過ごされることになる。横断的に学ぶことのメリットは?

金井:基本的には、「〇〇法の全てを学ぶより、産業にとって必要なところだけを横串で勉強した方が効率的だ」という発想なのでしょう。産業ごとによく使う法律は違いますから。米国はファッションデザインの保護制度が遅れているといわれています。日本では不正競争防止法で守れるようなものも米国には類似の法律はありませんし、意匠法だけで完璧に保護しようと思っても厳しい。こうなると横断的に必要な法律の必要な部分を学んで組み合わせて使っていく必要あるわけです。弁護士などの法律家は体系的に学ぶ必要があるかもしれませんが、デザイナーや企業の実務担当者にとっては実務に必要な法律だけを勉強すればよいと思いますし、そういう意味では産業ごとに横串で学ぶことには意味があると思います。

WWD:“ファッションロー”という考え方はどのようにしてできた?

金井:ニューヨークにあるフォーダム大学(Fordham University)の教授、スーザン・スキャフィディ(Susan Scafidi)が2010年にアメリカファッション協議会(CFDA)から100万ドル(約1億900万円)の援助を受けて大学内にNPO法人「ファッション・ロー・インスティテュート(以下、FLI)」を立ち上げたことが始まりです。フォーダム法科大学院ではファッションローの講義も開かれています。

WWD:フォーダムの講義ではどんなことを学ぶ?

金井:私は14年に「ファッション・ロー・ブート・キャンプ」という集中講座を取り、そこでは知財のほかに、モデルの人権や独占禁止法、税関対策などを学びました。このときは50人ほどが参加していて、デザイナーとアパレル企業の実務担当者と弁護士などの法律家がそれぞれ3分の1ぐらいずつでした。

WWD:金井さんは「FLIJ」を立ち上げているが、ここではどんな活動をしている?

金井:メンバーと3カ月に1度のペースで勉強会を開いたり、ニュースレターを通じて情報提供したり、専門学校などでファッションローの授業をしたりしています。ロビーイング活動などもやります。

WWD:会員数と勉強会の内容は?

金井:会員企業数は9社です。勉強会では、「こういうことに困っている」といった相談や、「こういうことがありました」という情報共有です。法律論などを話し合ったり、海外の判例研究も行います。1回の勉強会に参加するのは多くて20人ほどです。自社のことも相談するので、人を増やしすぎると相談しにくくなったり情報が漏れる心配もありますから、あまりオープンな会にしていないのが現状です。

WWD:FLIJを立ち上げた背景や思いは?

金井:14年にフォーダムの講義を受けて、日本でもFLIのような機関があったらおもしろいかなと思い立ち上げました。ファッション業界では法務が後回しになりがちですよね。「問題が起きたときに考えよう」という企業も多い。日本でも訴訟が増えてきたこともあって、ファッションローを考える場所だったり、デザイナーさんが困ったときの駆け込み寺だったり、そんな“場”になるといいなと考えています。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中

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「独立して見たい景色を目指して。人を想い、なりたい私をぶっ放す」 Vol.4会社を辞めたんだから、やりたい事を、やりたい人と

 ようやく、今やらせてもらっているお仕事のこと、話せるタイミングきました~。

 なんか引っ張っててごめんなさい(笑)。「WWD JAPAN.com」の村上編集長にも、「Vol.4までは、仕事の話は出さないで」って言われてたもんで(笑)。とはいえ、「結局、いま何してんの??」って聞かれて久しいので、少し出してみようかと思います。

 当然ながらファッション業界にいるわけだけど、カンタンに言えばショップ運営や商品仕入、宣伝販促・マーケティングなんかのコンサルティング、アドバイジング、ブランドディレクション、バイヤー、それにこの「WWD JAPAN.COM」でコラム書いてたり、人材育成したりかな。なんて聞こえはいいのだけれど、実は、これまでやってきた事と大して変わらないのかも(笑)。今までの経験を基にしてて、それを必要としてくれるご契約先様が手を握ってくれているってことよね。

 でも、「以前とは、大きく違うこともかなりあるんだよな~」と思うところもあって。

 今の方が「好きなんだよこのブランドが!」って熱量や、お互いの信頼、行動の早さ、明るく前向きな姿勢なんかがビシビシ伝わってくる環境なのかも。特に比較的若いメンバーが真剣な話に興味を持って聞いてくれて、それを機に行動がすぐ変わるのを見て取れる事は、何かしらの可能性しか感じないんだよね。もうさ、こうなると一生懸命になりたくなっちゃうじゃん!「一生懸命」に、なんだよ。「全力」で、じゃないんだよ。これが大切なんだよって想うのです。

 「全力」って、なんだか瞬間的な気合いやパワーが前に行っているカンジで、自らが決めることでしょ。じゃなくて、「一生懸命」。心持ちを切らさず、前向きに持続するエネルギーで、周囲が感じて決めることなんじゃないかな~って。「こうなりたいんだよな~~」って。「これがまた、苦手なんだよな~」ってね(笑)。

 ハイ、またすぐ脱線しました。てなワケで、職種は「なんでも屋」みたいになってますね……。って、チガイマス。

 セレクトショップ事業に参加させて頂いているのは、実店舗の「アイデア バイ ソスウ(IDEA BY SOSU)」とECの「サファリラウンジ(SAFARI LOUNGE)」の2社です。アドバイジングやバイイングでご一緒しながら、業績向上をミッションとしております。まだ始めたばかりですが、若くて優秀なキーマンが社内にいて、伸びしろ十分、エネルギー十二分といったところなんですよ。可能性に溢れてて、お仕事するのが楽しい毎日なんですよ(偉そうな言い方になっちゃってゴメンナサイ……)!たかが私でもやれることがたくさんあって嬉しいのです。これまで多くを教えていただいた諸先輩方や上司には、感謝の念が溢れております!!

 それぞれのお仕事については、社外秘情報なので表には出せませんけど、一緒にショップを運営して、買い付けして、新しいプロジェクト考えて、計数を追ってといったところ。だからね、これまで通りパリにも行くし、国内の展示会も回るし、ショップにも行くわよ。表参道や銀座のウインドーも見て回って、お茶しながらいろいろ想像して、商品ネタ考えて、お洋服以外の面白いプロダクトを探してる。いろんなところに溢れているアイデアで勉強させてもらって、「コレ、いいな」ってやつは写真撮りまくって。毎回、iPhone11 proの威力にホレボレしてさ(笑)。バイヤー業のイチバン楽しいやつね。

 それからそれから、某ブランドのディレクションも始めます。洋服でもないし、ファッション領域でもないブランドなのよ、これが!これは、話せる時が来たら改めてね。興味あればインスタグラムでも追いかけてもらって、そのうちにチラ見せしたら感じ取ってくださいませ(笑)。

 さて、いくつかのお仕事を同時にやらせて頂ける日常になって、ここ最近で個人的に「いいな~、好きだな~、たまんないな~!!」ってワクワクしたことをご紹介!と言ってもこの1カ月でかなりたくさんあったので、次回Vol.5とVol.6でお話します。ホント私見なので、文句は受け付けませんから(笑)。

井上智和:1981年東京生まれ、東京育ち。アイデア バイ ソスウ、サファリラウンジのアドバイザー/バイヤー。中央大学商学部を卒業後、三陽商会に入社し、店頭研修後に「バーバリー・ブラックレーベル」で販売トレーナー及びVMDを担当。3年目の終わりに「ラブレス」に異動しバイヤーに。国内外ブランドの開拓・買い付けをしながらセレクトショップの運営を学び、直近はバイヤーの他にプレス・販促・販売の長を兼務しながらリテール事業を経験。15年在籍の後に退社し、現在は「1H basix(ワンエイチ ベイシックス)」の名を冠して独立。ファッション・ライフスタイル領域のセレクトにて、アドバイジングやディレクション、買い付けを行なう傍ら、大人の本気遊びを体現し記事執筆を行う

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「ジュエリーは女性と共犯関係」 「ポメラート」のクリエイティブ・トップが語るジュエリーの誘惑

 イタリア発「ポメラート(POMELLATO)」のクリエイティブ・ディレクターであるヴィンチェンツォ・カスタルド(Vincenzo Castaldo)が来日した。来日の目的はポメラートブティック銀座店の視察とインスピレーションを得るため。プライベートも兼ねての来日で、東京・表参道や中目黒などでの散策も楽しんだようだ2002年にポメラートに参加し、長年「ポメラート」のクリエイションに関わってきたカスタルドに話を聞いた。

WWD:ファッション業界からジュエリー業界にキャリア転換を図ったのは?

ヴィンチェンツォ・カスタルド「ポメラート」クリエイティブ・ディレクター(以下、カスタルド):ある意味、運命的だったのかもしれない。「ポメラート」に出合い、ジュエリー業界に移るべきだとサインを感じた。17年間デザインを手掛けているが、今でもワクワクし、初日と変わらない情熱を持っている。

WWD:ファッションとジュエリーの関係についてどう思うか?

カスタルド:両方ともクリエイティビティーを表現する手段であることには違いはないが、ファッションの方が驚かせる要素が大きく、スピーディー。6カ月ごとにストーリーも変わる。ジュエリーの場合は伝統を踏襲しながら印象付けるクリエイションだ。また希少性が高く、寿命が長く引き継がれていくもの。

WWD:「ポメラート」はジュエリー業界にプレタポルテの概念をもたらしが、プレタポルテ・ジュエリーであるために必要な要素は?

カスタルド:日常使いできる着け心地のよさと、一生大切にしてもらえるようなデザイン。だから、伝統を守りながら新しい美しさを提案するために、既成概念を破るべき。女性と共犯関係が持てるジュエリーでなければならない。なぜなら、ジュエリーは誘惑する武器の一つだから。

WWD:クリエイションのインスピレーション源は?一番のこだわりは?

カスタルド:さまざまなものからインスピレーションを受ける。理論では説明できない。アート、デジタルデザインの色や動き、インダストリアルデザインのフォーム、インテリアなど。イタリア人デザイナーのジオ・ポンティ(Gio Ponti)は大好きだ。美術学校で全体のバランスなどをよく観察することが大切だと学んだ。例えば、この花びらの角度がどのように全体に調和をもたらしているかを、じっくり観察する。日本の生け花などは、おのずと洗練された調和が生まれる最たるものだと思う。観察することがデザインに役立っている。

WWD:「ポメラート」が掲げる“ニュープレシャス”とは?

カスタルド:“ニュープレシャス”とは、伝統的なジュエラーとは違う軸のクリエイションを提供すること。勇気がいるよ。「ポメラート」は以前使われていなかったセミプレシャスストーンをいち早く採用し、その使い方によって価値を上げたんだ。今ではどのジュエラーもセミプレシャスストーンを使い始めた。

WWD:「ポメラート」が他のジュエラーと違う点は?

カスタルド:ジュエリーの基本は踏まえつつ、チャレンジングなクラフツマンシップに挑む点。ジュエラーとしての安全地帯にとどまらず、いろいろなことに挑んでいるよ。クラシックのピアニストが突然、即興の演奏をするイメージだ。アトリエには優秀な職人がいるから、日々、楽しみながらお互いにチャレンジをしている。デザインは頭の中で描くものだけど、それを形にするのが職人だからね。彼らはまさににアーティスト。芸術的な手を持っている。

WWD:「ポメラート」は多くの色石を使用しているが、それらの調達方法は?

カスタルド:ジェムマスターという石の専門家がいて、世界中の市場をモニタリングし、鉱山から直接優れた原石を買い付けてカットしている。パヴェセッティング用の石や特別なもの以外は、“ヌード”や“カプリ”をはじめ全て「ポメラート」のオリジナルカットだ。石はその性質を十分に理解してカットしないと美しさが損なわれるから、専門家が関わっている。オリジナルカットを生み出すという点も“ニュープレシャスのコンセプト”の一つだ。

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。連載Vol.17 タンパク質で何でも作れる!? スパイバーの関山代表が語るその可能性

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探った。今回は人工構造タンパク質素材を開発するバイオテックベンチャーとして世界から注目を集めるスパイバーの、関山和秀取締役兼代表執行役に聞く。

 スパイバーは、遺伝子工学を駆使して合成したタンパク質を微生物による発酵プロセスで製造した“ブリュード・プロテイン”を開発し、すでにナイロンのような長繊維やカシミヤ風の原毛、さらには自動車のドアパネルやクッションシート、人工毛髪やスケートボードの試作品を提案してきた。そして8月には、ゴールドウインと共同開発した“ムーンパーカ”を50着限定で販売。この人工構造タンパク質素材は山形県鶴岡市のパイロットプラントで生産されたもので量産には至っていないが、21年にはタイにプラントが完成して商業生産が可能になる。“ブリュード・プロテイン”はどれだけサステナブルなのか。

化石資源に頼らない
循環するモノ作り

WWD:なぜ人工構造タンパク質なのか?

関山和秀取締役兼代表執行役(以下、関山):当社が開発する人工構造タンパク質素材は、ニーズに応じて特長を分子レベルでデザインできるので、将来的にはナイロン調やポリエステル調のようなさまざまな素材が作れるようになるので、原料を石油などの化石資源に頼らない新しい素材としてサステナブルな社会の実現に向けて貢献できると確信している。そして、人間の産業や社会も地球規模で見ると生態系の一部であり、物質が自然の生態系の中で循環していく仕組みを作るのが合理的。なので、地球上の生態系のバランスに即して循環できるサイクルの中で、化石資源に頼らずモノ作りをすることは必然かつ必要なことだと考える。

そして、できるだけいいエネルギー効率やいい調達方法を考えるのが人類や社会全体のサステナビリティにつながる。サトウキビから採れる糖分などを原料として使い、タンパク質を微生物で精製することはエネルギー効率の面から見ると非常に優れていると考える。

地球の生態系のバランスは、重さでいうと82.5%が植物、17%が微生物、残りの0.5%が動物とされている。植物は太陽エネルギーを用いていろいろな有機物を作り、植物が作った有機物を微生物などが食べて自分の栄養にしている。なので、エネルギー効率が高いのはまず植物で、その次が微生物、動物は個体が増えるのも維持するのも効率が悪いということになる。つまり、タンパク質を使いこなすことが必要であり、それを動物から採取するのではなく、地球上により多く存在しエネルギー効率のよい微生物を使って生産することは生態系のバランスにも即し、非常に有効かつ合理的だ。

WWD:スパイバーが製造に成功した“ブリュード・プロテイン”は、遺伝子工学などを駆使して合成タンパク質を微生物の発酵プロセスで作ったものだそうだが。

関山:タンパク質は20種類あるアミノ酸の組み合わせでできており、当社はニーズに応じてその配列をデザインする技術を駆使し、ナイロンのような長繊維からカシミヤ風のソフトタッチの繊維、石油由来ではない樹脂(プラスチック)やフィルムなどを作ることができる。

WWD:既存の製品と環境負荷を比べると?

関山:例えばウールやカシミヤのセーター1枚作るために、羊やヤギの毛が3~4頭分程度必要。理論上“ブリュード・プロテイン”では、微生物発酵させた培養液が風呂おけ1杯分あれば、1時間程度でセーター1枚分に必要なタンパク質ができるので生産効率が非常に高いといえる。ヤギや羊を飼育するのには、土地と水が必要だし草なども食べる。メタンガスも出す。一頭一頭では少なく見えても、数百万頭というスケールになると実は温室効果ガスへのインパクトは非常に大きい。

「人工構造タンパク質の魅力は
多彩な素材や製品を
作ることが可能な点」

WWD:原材料の生産が製品の環境負荷全体の7割を占めるといわれているし、人口増加や気候変動で土地が足りなくなるという問題も出てくる。そうはいっても全ては置き換えられない。残すべき仕組みや素材は?

関山:われわれは糸までしか作らない。できるだけ既存のサプライチェーンの加工技術や生産技術を用いるに越したことはないからだ。設備を新設するのは環境負荷もかかるしもったいない。ポリエステルは使い勝手がいいし、安い。製造プロセスも超合理化されている。これを今からゼロにするのは非現実的だしその必要もない。肌着だってやっぱりコットンやシルクなどの天然素材がいい。問題はいろんな材料を混ぜて使うとリサイクルしにくくなること。同じタンパク質から多彩な素材や製品を作ることが可能な点も人工構造タンパク質の魅力だ。

「使い終わった後の再資源化も
中長期的には可能」

WWD:少し気が早いが、商品を使い終わった後のことについて教えてほしい。“ブリュード・プロテイン”製の製品はどのように捨てるのがベストか?また、ケミカルリサイクルなどで再資源化することは可能か?

関山:ブリュード・プロテイン自体は次の発酵プロセス用に再資源化することは中長期的にはできるようになると考えている。その場合、他の材料、特に石油系の合成繊維と混ぜると分離するのにコストがかかる。ゆくゆくは再資源化に向けた技術や仕組み、施設などの整備が不可欠になるだろう。

一方で、今、ようやくTシャツや“ムーンパーカ”になって少量が提供できるようになったが、誤差のような小さな規模感。たとえタイのプラントが完成してもそれは同じで、この規模感でリサイクル技術の開発に投資しても対費用効果が合わない。

WWD:自動車のドアパネルにも用いているものは複合素材だ。

関山:アパレルと自動車では考え方が違う。輸送機器として使われた後にどうリサイクルされるかよりも、車が走り続けるために必要なエネルギーの方がライフサイクルで考えると大きい。例えば、われわれの材料を少量変換することで自動車一台の何%かは軽量化できる。自動車が1%軽量化されると、1%燃費がよくなるといわれている。自動車のドアを鉄から繊維強化プラスチックに変えることができれば10~20%軽量化でき、これが実現すればかなりのインパクトになる。
今、全産業の温室効果ガス排出量をセクター別に見ると、輸送が3分の1以上で一番大きく、その大半が自動車。自動車は動かすにもエネルギーがたくさん必要だから、少しでも軽くできるとインパクトは大きい。トータルのCO2をどれだけ削減できるかの方が、再資源化や資源循環の課題よりも大きな効果をもたらす。

スパイバーの第2フェーズは
セルロース生産

WWD:以前、30年後に繊維の約15%(現在の1年間の生産量は約9000万t)をタンパク質に置き換えたいと言っていたが、その目標は現実的?

関山:確約はできないが、できるかもしれない。素材の重さベースで換算すると、1000万tの規模になる。ただこれを作るとなると、モノにもよるが糖は人工構造タンパク質の約6倍必要になる。そのため、1000万tでは6000万tの糖が必要となる。現在の世界の穀物生産量は25~26億万tで、6000万tとなると約40分の1が必要。これを食糧でなくここに回すのは現実的ではない。今後は、食糧生産には向かない場所で、海水を用いてセルロース生産をすることも視野に入れていきたい。
コットンやリネン、ユーカリやパルプから作られているビスコースレーヨンはこういった環境で生産したセルロースに置き換える。セルロースだけでは対応できない材料は、そういったセルロースを分解してグルコースにして、人工構造タンパク質の微生物の発酵プロセスの栄養源にする。

WWD:セルロースの基礎研究はいつから始めた?

関山:この3年だ。セルロースはやってみないとわからないし、スパイバーの研究を始めたときのような気持ちだが、人のレベルやリソース、ネットワークも当時と全然違う。ロケットスタートを切れるような準備はできているが、超長期的な30年くらいかかる研究テーマだと考えている。
われわれが人工構造タンパク質の研究を始めて15年くらいになる。これから数千t、数万tの規模になるのには5~10年かかる。大規模で普及するには20~25年かかるだろう。

WWD:ゆくゆくはセルロースとタンパク質を“操る”と。

関山:最終的にはセルロースとタンパク質を一番効率よく作り上げて、メインはセルロースを使っていきたい。

WWD:50年後の世界は?

関山:今化学繊維が使われているところは、どんどんタンパク質に置き換わっていく。建物などにもだ。タンパク質と聞いて素材を思い浮かべる人は少ないけれど、30年後はナイロンやポリエステルのように、いろいろな場所に使われているものとしてタンパク質を思い浮かべるようになっているのでは?

WWD:大手からスタートアップまでが人工構造タンパク質に取り組んできたが、他は成功できていない。なぜ、スパイバーが成功できたのか。

関山:技術の成熟期だったことと、日本で始められたから。東レ、旭化成、帝人、クラレなどの繊維メーカーや発酵メーカーの味の素など、世界トップメーカーで開発に携わっていたOB20人近くにアドバイザーとしてお世話になっている。企業の発展を支えた第1世代の彼らが存命で、初期から助言をいただいている。これがアメリカだと第1世代が亡くなっている。

WWD:世界中から人がスパイバーに集まっている。

関山:ここ数年でこの分野ではトップレベルになり、地球規模で“人工構造タンパク質なら鶴岡だ!”というようになってきた。本質的に世の中の役に立つテーマだから、集まっているのだと思う。

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。連載Vol.17 タンパク質で何でも作れる!? スパイバーの関山代表が語るその可能性

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探った。今回は人工構造タンパク質素材を開発するバイオテックベンチャーとして世界から注目を集めるスパイバーの、関山和秀取締役兼代表執行役に聞く。

 スパイバーは、遺伝子工学を駆使して合成したタンパク質を微生物による発酵プロセスで製造した“ブリュード・プロテイン”を開発し、すでにナイロンのような長繊維やカシミヤ風の原毛、さらには自動車のドアパネルやクッションシート、人工毛髪やスケートボードの試作品を提案してきた。そして8月には、ゴールドウインと共同開発した“ムーンパーカ”を50着限定で販売。この人工構造タンパク質素材は山形県鶴岡市のパイロットプラントで生産されたもので量産には至っていないが、21年にはタイにプラントが完成して商業生産が可能になる。“ブリュード・プロテイン”はどれだけサステナブルなのか。

化石資源に頼らない
循環するモノ作り

WWD:なぜ人工構造タンパク質なのか?

関山和秀取締役兼代表執行役(以下、関山):当社が開発する人工構造タンパク質素材は、ニーズに応じて特長を分子レベルでデザインできるので、将来的にはナイロン調やポリエステル調のようなさまざまな素材が作れるようになるので、原料を石油などの化石資源に頼らない新しい素材としてサステナブルな社会の実現に向けて貢献できると確信している。そして、人間の産業や社会も地球規模で見ると生態系の一部であり、物質が自然の生態系の中で循環していく仕組みを作るのが合理的。なので、地球上の生態系のバランスに即して循環できるサイクルの中で、化石資源に頼らずモノ作りをすることは必然かつ必要なことだと考える。

そして、できるだけいいエネルギー効率やいい調達方法を考えるのが人類や社会全体のサステナビリティにつながる。サトウキビから採れる糖分などを原料として使い、タンパク質を微生物で精製することはエネルギー効率の面から見ると非常に優れていると考える。

地球の生態系のバランスは、重さでいうと82.5%が植物、17%が微生物、残りの0.5%が動物とされている。植物は太陽エネルギーを用いていろいろな有機物を作り、植物が作った有機物を微生物などが食べて自分の栄養にしている。なので、エネルギー効率が高いのはまず植物で、その次が微生物、動物は個体が増えるのも維持するのも効率が悪いということになる。つまり、タンパク質を使いこなすことが必要であり、それを動物から採取するのではなく、地球上により多く存在しエネルギー効率のよい微生物を使って生産することは生態系のバランスにも即し、非常に有効かつ合理的だ。

WWD:スパイバーが製造に成功した“ブリュード・プロテイン”は、遺伝子工学などを駆使して合成タンパク質を微生物の発酵プロセスで作ったものだそうだが。

関山:タンパク質は20種類あるアミノ酸の組み合わせでできており、当社はニーズに応じてその配列をデザインする技術を駆使し、ナイロンのような長繊維からカシミヤ風のソフトタッチの繊維、石油由来ではない樹脂(プラスチック)やフィルムなどを作ることができる。

WWD:既存の製品と環境負荷を比べると?

関山:例えばウールやカシミヤのセーター1枚作るために、羊やヤギの毛が3~4頭分程度必要。理論上“ブリュード・プロテイン”では、微生物発酵させた培養液が風呂おけ1杯分あれば、1時間程度でセーター1枚分に必要なタンパク質ができるので生産効率が非常に高いといえる。ヤギや羊を飼育するのには、土地と水が必要だし草なども食べる。メタンガスも出す。一頭一頭では少なく見えても、数百万頭というスケールになると実は温室効果ガスへのインパクトは非常に大きい。

「人工構造タンパク質の魅力は
多彩な素材や製品を
作ることが可能な点」

WWD:原材料の生産が製品の環境負荷全体の7割を占めるといわれているし、人口増加や気候変動で土地が足りなくなるという問題も出てくる。そうはいっても全ては置き換えられない。残すべき仕組みや素材は?

関山:われわれは糸までしか作らない。できるだけ既存のサプライチェーンの加工技術や生産技術を用いるに越したことはないからだ。設備を新設するのは環境負荷もかかるしもったいない。ポリエステルは使い勝手がいいし、安い。製造プロセスも超合理化されている。これを今からゼロにするのは非現実的だしその必要もない。肌着だってやっぱりコットンやシルクなどの天然素材がいい。問題はいろんな材料を混ぜて使うとリサイクルしにくくなること。同じタンパク質から多彩な素材や製品を作ることが可能な点も人工構造タンパク質の魅力だ。

「使い終わった後の再資源化も
中長期的には可能」

WWD:少し気が早いが、商品を使い終わった後のことについて教えてほしい。“ブリュード・プロテイン”製の製品はどのように捨てるのがベストか?また、ケミカルリサイクルなどで再資源化することは可能か?

関山:ブリュード・プロテイン自体は次の発酵プロセス用に再資源化することは中長期的にはできるようになると考えている。その場合、他の材料、特に石油系の合成繊維と混ぜると分離するのにコストがかかる。ゆくゆくは再資源化に向けた技術や仕組み、施設などの整備が不可欠になるだろう。

一方で、今、ようやくTシャツや“ムーンパーカ”になって少量が提供できるようになったが、誤差のような小さな規模感。たとえタイのプラントが完成してもそれは同じで、この規模感でリサイクル技術の開発に投資しても対費用効果が合わない。

WWD:自動車のドアパネルにも用いているものは複合素材だ。

関山:アパレルと自動車では考え方が違う。輸送機器として使われた後にどうリサイクルされるかよりも、車が走り続けるために必要なエネルギーの方がライフサイクルで考えると大きい。例えば、われわれの材料を少量変換することで自動車一台の何%かは軽量化できる。自動車が1%軽量化されると、1%燃費がよくなるといわれている。自動車のドアを鉄から繊維強化プラスチックに変えることができれば10~20%軽量化でき、これが実現すればかなりのインパクトになる。
今、全産業の温室効果ガス排出量をセクター別に見ると、輸送が3分の1以上で一番大きく、その大半が自動車。自動車は動かすにもエネルギーがたくさん必要だから、少しでも軽くできるとインパクトは大きい。トータルのCO2をどれだけ削減できるかの方が、再資源化や資源循環の課題よりも大きな効果をもたらす。

スパイバーの第2フェーズは
セルロース生産

WWD:以前、30年後に繊維の約15%(現在の1年間の生産量は約9000万t)をタンパク質に置き換えたいと言っていたが、その目標は現実的?

関山:確約はできないが、できるかもしれない。素材の重さベースで換算すると、1000万tの規模になる。ただこれを作るとなると、モノにもよるが糖は人工構造タンパク質の約6倍必要になる。そのため、1000万tでは6000万tの糖が必要となる。現在の世界の穀物生産量は25~26億万tで、6000万tとなると約40分の1が必要。これを食糧でなくここに回すのは現実的ではない。今後は、食糧生産には向かない場所で、海水を用いてセルロース生産をすることも視野に入れていきたい。
コットンやリネン、ユーカリやパルプから作られているビスコースレーヨンはこういった環境で生産したセルロースに置き換える。セルロースだけでは対応できない材料は、そういったセルロースを分解してグルコースにして、人工構造タンパク質の微生物の発酵プロセスの栄養源にする。

WWD:セルロースの基礎研究はいつから始めた?

関山:この3年だ。セルロースはやってみないとわからないし、スパイバーの研究を始めたときのような気持ちだが、人のレベルやリソース、ネットワークも当時と全然違う。ロケットスタートを切れるような準備はできているが、超長期的な30年くらいかかる研究テーマだと考えている。
われわれが人工構造タンパク質の研究を始めて15年くらいになる。これから数千t、数万tの規模になるのには5~10年かかる。大規模で普及するには20~25年かかるだろう。

WWD:ゆくゆくはセルロースとタンパク質を“操る”と。

関山:最終的にはセルロースとタンパク質を一番効率よく作り上げて、メインはセルロースを使っていきたい。

WWD:50年後の世界は?

関山:今化学繊維が使われているところは、どんどんタンパク質に置き換わっていく。建物などにもだ。タンパク質と聞いて素材を思い浮かべる人は少ないけれど、30年後はナイロンやポリエステルのように、いろいろな場所に使われているものとしてタンパク質を思い浮かべるようになっているのでは?

WWD:大手からスタートアップまでが人工構造タンパク質に取り組んできたが、他は成功できていない。なぜ、スパイバーが成功できたのか。

関山:技術の成熟期だったことと、日本で始められたから。東レ、旭化成、帝人、クラレなどの繊維メーカーや発酵メーカーの味の素など、世界トップメーカーで開発に携わっていたOB20人近くにアドバイザーとしてお世話になっている。企業の発展を支えた第1世代の彼らが存命で、初期から助言をいただいている。これがアメリカだと第1世代が亡くなっている。

WWD:世界中から人がスパイバーに集まっている。

関山:ここ数年でこの分野ではトップレベルになり、地球規模で“人工構造タンパク質なら鶴岡だ!”というようになってきた。本質的に世の中の役に立つテーマだから、集まっているのだと思う。

The post サステナビリティって何? 専門家が答えます。連載Vol.17 タンパク質で何でも作れる!? スパイバーの関山代表が語るその可能性 appeared first on WWD JAPAN.com.

SNS世代1600人を徹底調査 好きなブランドTOP10

 「WWDジャパン」12月2日号は“SNS世代”特集。全国の服飾専門学校生約1600人にアンケート調査を行い、好きなデザイナー・ブランド・インフルエンサーから環境への問題意識まで、彼・彼女たちのファッション観に迫りました。ウェブではアンケート結果の一部を紹介します。第2回は「好きなブランド」部門トップ10をランキング形式で発表!

【1位】「ザラ(ZARA)」

理由:SPAブランドで一番おしゃれ/すてきなコラボが多い/先輩がうまく着こなしているのを見て好きになった

【2位】「ジーユー(GU)」

理由:とにかく安い/ユニクロよりも攻めたアイテムがある/女子ウケがいい/オーバーサイズで今っぽい服が置いてある/キム・ジョーンズ(Kim Jones)とのコラボが良かった

【3位】「ユニクロ(UNIQLO)」

理由:シンプルだから長く使える/カジュアルで普段着に最適/“ユニクロユー”が特に好き/ハイブランドばかりを 着てもダサい。インナーは「ユニクロ」がちょうどいい

【4位】「H&M」「ベルシュカ」

理由:リングやネックレスなどアクセントになる小物が豊富/手軽にファッションを楽しめる(H&M)
理由:海外っぽいデザインが好み/「ザラ」よりプチプラだけど高級感はある(ベルシュカ)

【5位】「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」

理由:デザインがモード/シルエットが独特/ハカマパンツがおしゃれ

【6位】「マウジー(MOUSSY)」

理由:スタッフがおしゃれで接客の質も高い/デニムのシルエットがきれい

【7位】「ハレ(HARE)」「ナイスクラップ(NICE CLAUP)」

理由:無難な服からトレンド感があるものまでたくさんある/店員のアドバイスが的確(ハレ)
理由:柔らかな雰囲気が好き/ほかにはない女の子らしいアイテムがある(ナイスクラップ)

【8位】「メリージェニー(MERRY JENNY)」「スライ(SLY)」

理由:古着に合わせやすい(メリージェニー)
理由:シンプルで合わせやすい/セクシーさを出せる(スライ)

【9位】「ジュエティ(JOUETIE)」

理由:手掛けているアミアヤを応援している/デザイン性が高い

【10位】「ビームス(BEAMS)」

理由:オリジナルアイテムがおしゃれ/スタッフの着こなしが参考になる

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私たちは購うことでYES/NOを ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.8「理想は廃棄ゼロ 新基準は循環型ファッション」

読み解きポイント:「それぞれの切り口で廃棄ゼロを実現!」

ニュースのポイント

 「サステナブル」が目指す「循環型」とは、素材を有効活用する廃棄ゼロのクローズドループを作ること。そこでは再生やリサイクルを前提としたモノづくりや、製造段階から廃棄物を減らして地球環境への負荷を減らすことが求められている。それだけではなく商品寿命を伸ばすことも視野に入れ、販売だけではなく修理やレンタル、リセールなどのサービスも含めたビジネスモデルを考える必要がある。100%リサイクル可能なランニングシューズの第二世代を発表した「アディダス(ADIDAS)」や、古着回収やレンタル、リセールに力を入れている「H&M」など、多くの大手アパレルが循環型経済に向けた様々な施策を講じている。

Azuはこう読む!

 今年に入り、ファッション業界で一気に耳にするようになったワード「サステナブル」。メディアに取り上げられたり、他企業が高らかに宣言したりする以前から地道に取り組んできた企業も多いかと思いますが、これだけ言葉が普及すること自体はとても良いことだと思っています。

 先日、ノルウェー大使館で開催された、日本のファッション業界とノルウェーブランドをつなぐ交流会「N5_2019」に参加してきました。昨年から続く3カ年プロジェクトで、ノルウェーブランドの成長を継続して見ることができます。

 話をしていると、どのブランドからもあたりまえのように「環境への配慮」といったキーワードは出てきますが、メンズウエアブランド「フラム(FRAM)」もそのひとつ。ノルウェー語で「前進」を意味する「フラム」は、ノルウェーの探検家・天候科学者・神経生物学教授、そしてノーベル平和賞受賞者でもあるフリチョフ・ナンセン(Fridtjof Nansen)の活動にインスパイアされたブランド。「前進への唯一の方法は、過去を認め尊重することだ」という彼の信念を掲げています。

 ワークウエアとストリートがハイブリッドされた洋服たちは、スマートでクリーンな印象。トゥーマッチではない機能性やデザインの削ぎ落とし方など、常に厳しい自然と隣り合わせのライフスタイルを送る彼らだからこそ、それらがナチュラルにできているのだなと思いました。

 そして「サステナブル」に関しても捉え方はさまざま。例えば地産地製(という造語)。「アトリエのすぐ近くで作っている生地なんだ。そこで買ってここで縫うの」といって見せてくれたシャツや、地元のウールで作られたニットなど、安定して商品が作れるように生産者の顔が見える距離でのモノづくりを心がけているそう。そしてデザインも「サステナブル」。春夏・秋冬で明確に差があるわけではなく、シーズンをまたいでも自然に着られるようなタイムレス・シーズンレスなデザインや色使いが特徴です。こうした「ロングラスティング」な視線は素材にも向けていて「耐久性のある素材を使うと何年も着ることができるから、それが結局『消費しない』という行動につながるのでサステナブルなんだ」と語ってくれました。

 まさにこれは廃棄ゼロに向けた行動で、正直ブランド的には長く着られたら買い換えてもらえないマイナスの側面もあるのに、そこを言い切ってしまうのは本当にかっこいい。

 そして「前進への唯一の方法は過去を認め尊重することだ」という言葉も心に刻みました。と同時に、こんな話を思い出しました。「すでに毛皮に加工されているリアルファーが『環境に配慮していない』と嫌厭されて売れ残る現実は、サステナブルと言えるのか?」という話。ミスター・ナンセンの言葉を借りるなら、それは過去を認めていない、前進とは言い難い行為なのではないでしょうか。「サステナブルな素材を使いたいのに、金銭面や他企業の買い占めなどで調達が難しい」という話も聞きます。

 大手企業・中小・若手、それぞれできるサステナブルへのアプローチは異なってくるので、廃棄ゼロの循環型ファッションを業界全体で目指すべく、できることからコツコツと続けていきたいですね。そしてこうした企業の行動を支持するのは消費者なので、私たちは購買行動でYES/NOを示していきましょう。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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