「LV」に激怒し「ドリス」に感涙 海外メディアのパリコレ賛否両論

 2020年春夏パリ・ファッション・ウイークは、ここ数年重要視されるようになったサステナブルやエシカルのムードがさらに強まり、大きな地殻変動が起きたように感じた。8月末にフランスで開催されたG7サミットでケリング(KERING)が環境負担減を目的とした「ファッション協定(The Fashion Pact)」を発表すると、パリコレ会期中の9月25日にはLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が環境とサステナビリティに関する新たな指針を表明した。ラグジュアリーファッション市場の二大巨頭の動きは、彼らが保有するブランドのクリエーションにも影響を与えたのだ。しかし、環境問題に対する真摯な姿勢が共感を得たとしても、必ずしもコレクション自体が評価されるとは限らない。

DIOR
「繰り返しに感じ退屈」
「チームは見事な仕事をした」

 パリコレ初日、「ディオール(DIOR)」は森を再現したショー会場で、ムッシュ・ディオールの妹で庭師だったカトリーヌ・ディオール(Catherine Dior)が着想源となったコレクションを披露した。マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)がアーティスティック・ディレクターに就任して以来ミレニアル世代を引き付けて商業的に成長を続けてきたものの、今季はジャーナリストから少々厳しい評価を受けたようだ。仏ウェブメディア「ファッション・ネットワーク(FASHION NETWORK)」のゴドフリー・ディーニー(Godfrey Deeny)は「ショーは、特にメッシュ素材によって、少し繰り返しているように感じ途中で退屈してしまった。それでもなお、サステナブルの宣言は、キウリとメゾンが正しい方向を向いていると保証するものである」とコメント。

 「ヴォーグ(VOGUE)」の名物ジャーナリストであるスージー・メンケス(Suzy Menkes)は、「ディオール」のクチュール級の手仕事の素晴らしさを詳しく綴った上で「実際のショーでは、作品は緻密だが出来栄えは微妙」と辛口だ。「キウリの大掛かりなショーで頻繁に見られるのは、独創的なシルエットのウエアをベースに、素材を変えるという手法。少し粗雑に言えば、今回は独創性は少し弱く感じ、ウエラブルで売り易いアイテムの存在感が強かった」と続ける。それでも「ストローサンダルからガーデニングハットに至るまで、チーム・ディオールは見事な仕事をしている」とたたえ、バランスがとれたクリエイションを評価。「私たち見る側は“インスタ映え”する写真をスマートフォンに収めることに慣れ過ぎた。ファッションは顧客に向けてデザインされていたことを思い出すのには時間がかかるから」とコメント。豪華で見栄えが良く、演出的に優れたショーがたとえSNSでバズったとしても、肝心なのはコレクションの独創性とコマーシャルのバランスであるというメンケスの意見に筆者は賛成である。

LOUIS VUITTON
「一歩先を行き過ぎている」
「顧客のニーズや
時代性を捉えていない」

 この2人のジャーナリストは、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」でも同じような見解を述べた。ルーブル美術館での巨大スクリーンを用いた大規模なショーは、客席に使用した木材を全て再利用するというサステナブルの姿勢を見せた。ディーニーはさまざまな素材とプリントを使った巧みな組み合わせとニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)のユーモアを評価しつつも「ほとんど全てのルックが一歩先を行き過ぎている。専属スタイリストさえも必要としない、映画スターのためにデザインされた衣装のようだ。彼が『バレンシアガ(BALENCIAGA)』を率いていたころはパリで最も重要な人物の1人だったが、今は違う」と述べ、フィナーレで長いキャットウォークを歩いて聴衆の拍手に満足気だったジェスキエールに対し「エリートによる自己満足の雰囲気は、ショーが終わった後でさえ残った」と続ける。ここまで辛らつになる理由の一つは、ディーニーが雨をしのげる地下道を“VIP専用”として通ることを許されず、雨が降りしきる中で屋外へと続く出口へと追いやられたからだという。最後は「高ぶりは滅びに先立ち、誇る心は倒れに先立つ」と、聖書の言葉で締めくくった。

 メンケスは、ジェスキールが同ブランドを率いてきた6年間でアクセサリー、特にバッグをアイコニックに昇華させたことを称えつつも、顧客のニーズや時代性を捉えていないことを指摘した。「ジェスキエールはモード史において深い知識を持つデザイナーだ。しかし今の『ルイ・ヴィトン』は、モード界に大きな影響を与えていない。コレクションを遠く離れたところから見ていると、何も意味を持たない物に見えた。近くで見てみると、靴やバッグは目を引くものだったけれど、ただ単純に美しい衣服とバッグというだけだ」。その他のジャーナリストにとっても「バレンシアガ」時代のジェスキエールの作品を想起させたようだが、逆にそのせいで「あの時は良かったのに」と物足りなさを感じさせてしまう結果となってしまったようだ。

LANVIN
「女性像が軽薄」
「ロールモデルは
エルバスにすべき」

 今季「ディオール」と「ルイ・ヴィトン」以上に辛らつな批評を受けたのは「ランバン(LINVIN)」だ。ブルーノ・シアレッリ(Bruno Sialleli)がクリエイティブ・ディレクターに就任してから2シーズン目のウィメンズ・コレクションとなった。メンケスやディーニー、仏新聞「ル・モンド(LE MONDE)」のカリーヌ・ビゼ(CARINE BIZET)、仏新聞「ル フィガロ(LE FIGARO)」のエレーヌ・ギヨーム(Helene Guillaume)らジャーナリストは、シアレッリがかつてトップデザイナーとして勤めていた「ロエベ(LOEWE)」を連想させると口をそろえた。ギヨームは「コレクションはもっと編集されるべきあり、『ランバン』の女性像が軽薄である」と指摘。ビゼも同じく「シアレッリが『ランバン』をどの方向へ導いていきたいのか、指針が不明」とコメントした。メンケスも同様の見解を述べたうえで「ロールモデルにすべきは『ロエベ』ではなく、14年間『ランバン』を率いたアルベール・エルバス(Alber Elbaz)である。素晴らしい技術でさまざまな女性に多彩なスタイルを捧げたエルバスのクリエーションに従事する方が賢明だ」と助言した。一方で、シルエットやカッティング、スタイリングにおいては評価されている。この秋冬から彼のファーストシーズンが店頭に並んでいるため、この後の展開は売り上げの数字次第といったところだろう。

LOEWE
「優雅な夢のよう」
「貯金箱を壊してでも着たい」

 一方で、シアレッリの古巣である「ロエベ」は相変わらず評価が高い。今季は16〜17世紀の女性の寝具や下着から着想を得て、レースを多用した繊細でロマンチック、それでいて現代性を持ち合わせたコレクションを披露した。「ル モンド」でビゼは「優雅で夢のようなコレクションは、古く陳腐な平凡さから逃れたいという女性の欲求を見事にかなえる」と表現した。「ル モンド」のギヨームは独自の見解を示した。「衣服は、インスタグラムのフォロワーを養うために、一日に何回も頭の先からつま先まで着替えるインフルエンサーのためにあるものではない。前世紀では、例えばオペラ座へ行くための正装、ドレスルームで長時間費やすタフタドレス、(ほぼ)一生大切に着るケープ——今日、ラグジュアリーと称される多くの衣服は、目新しさと経済循環の犠牲になってきた。感情的な結びつきよりも、投機的な関係を優先してモードに置き換えられた。しかし『ロエベ』のコレクションの前では、誰もが貯金箱を壊してでもジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)のコレクションを着用したいという欲求を引き出す。それは他人や自分自身の虚飾さえも調和させるのだ」。時代を超越して長く着られる、また着たいと思わせる衣服こそがラグジュアリーであり、持続可能な社会を実現するサステナブルな方法の一つだと「ロエベ」は訴えてくるようだ。「ヴァレンティノ(VALENTINO)」「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)」「エルメス(HERMES)」に対するレビューでも、多くのジャーナリストが同様の考えを述べていた。

CHANEL
「ソウルやウィットは欠落」
「非常に説得力のある
コレクション」

 「シャネル(CHANEL)」で故カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)の跡を継いだヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)は、初のプレタ・ポルテコレクションで合格点は獲得したようだ。キウリとジェスキエールに厳しかったディーニーは「謙虚な彼女はメディアが熱狂するロックスター的なデザイナーではないかもしれない。しかし印象的な仕事を成し遂げ、非常に説得力のあるコレクションを作った。ラガーフェルドも承認したはず」とコメント。一方で米新聞「ニューヨーク・タイムズ(THE NEW YORK TIMENS)」のヴァネッサ・フリードマン(Vanessa Friedman)は「若々しくて楽しく、新たな提案はあったが、勢いはなかった。創業者ココからラガーフェルドへ受け継がれたソウルやウィットは欠落している」と評価した。ユーチューバーによる乱入事件で予期せぬ注目を集めてしまったが、「シャネル」のスタイルは確かにヴィアールによって存続しており、多くの顧客は一旦胸をなでおろし安心したのではないだろうか。なにより、彼女が大切な師を失うという失意と計り知れない重圧の中でも、オートクチュールを含め一度もショーをキャンセルしなかったことは凄いことだ。フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)やアルベール・エルバスなど後任の噂は絶えないが、チーム・シャネルと信頼関係を築き、真面目な人柄で知られるヴィアールによる「シャネル」に筆者は期待したい。

SACAI
「軽快で明瞭で、美しい旋律」

 日本ブランドでは「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」に対しては文句のつけようがないと絶賛するようなレビューが多かった。新デザイナーを迎えた「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」と「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」として注目を浴びた「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の評価も上々だった。中でも「サカイ(SACAI)」は特に好評で、阿部千登勢デザイナーの才能が再評価された。辛口で知られる米新聞「ワシントン ポスト(THE WASHINGTON POST)」のロビン・ジバン(Robin Givhan)も「阿部デザイナーが作る衣服は、プロポーションとシルエットを確実に思慮深く考慮しなければならない。時に、彼女の知的エネルギーが衣服に痕跡を残し過ぎるあまりに重荷になることもある。しかし今季はシンプルに、陽気でクールであった。軽快で明瞭で、美しい旋律のような感じもした。一言で言えば、今までよりもファンキーでイカしている」と絶賛だ。

DRIES VAN NOTEN
「このショーを毎晩、
死ぬまで見たい」

 「ロエベ」や「シャネル」以上に今季ジャーナリストが最も歓喜したのは「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」だ。協業にクリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)を迎え、情熱的で麗しく、荘厳なショーを行った。メンケスは「モード史に残る有意義なコレクション」と評価し、「ニューヨーク・タイムズ」のフリードマンは「最も純粋で創造的なコラボレーションは、目と心の出会いであることを再認識させてくれる」と述べた。仏新聞「ロブ(L’OBS)」のソフィー・フォンタネル(Sophie Fontanel)は思わず涙を流し「このショーを毎晩、死ぬまで毎日見たい」と話し感動に浸っていた。会場に豪華なセットは設けず衣服だけでこれだけの感動を与えたコレクションは、二人の才能への敬意とともに、ファッションの夢や力強さといったポジティブな側面を改めて感じられる内容である。ギャラリー ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)やプランタン(PRITEMPS)のバイヤーは「ショーを見て“売れる”商品があるか不安に感じたが、ショールームへ行くとコマーシャルピースもバランス良くそろっており、セレクションには苦労しなかった」と話した。

 ジャーナリストとしての経験は浅いながらも、ここ数年さまざまな都市へ出向きファッションを体感してきた筆者にとって、今季のパリコレのサステナブルに対する姿勢は非常に共感できるものであった。正直、これまではサステナブルという名目の下で正義の押し売りをされているような、窮屈さを感じることも少なくなかった。もちろん、地球環境に負担が少なく、動物の被害もなく、生産過程において発展途上国の人々の犠牲のない業界へと改善してほしいし、自分もそういう選択をしたいと思い、可能な限り行動に移している。しかしサステナブルであることは、あくまでブランドにとって過程であり、目的にすべきではない。最もサステナブルなのは、そのブランドが存在せずに物を生み出さないことなのだから。一着一着に重みがあり、意味があり、長く着ることでさらに深みを増していく——筆者にとってそんな衣服こそサステナブルであり、真のラグジュアリーだ。特に、純度の高い創造性と情熱によって紡がれたラクロワとの協業による「ドリス ヴァン ノッテン」の衣服とは一生の付き合いになりそうだと、早くも胸を踊らせている。時代とともに変遷するデザイナーが多い中で、純粋さと信念を揺るがずに保ち続け、自分自身の中にある自由な魂を押し殺さずに解放できるドリスの仕事に対する姿勢を見習いたい。おそらく今季のコレクションが筆者のクローゼットに加わったら「世間の目を気にし過ぎていないか?忖度し過ぎていないか?誠実であるか?」そんな風に筆者を戒めてくれる、特別な一着となりそうだ。決して大げさではなく、衣服は人よってさまざまな意味を持つのだから。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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新生・渋谷パルコの制服を手掛けた「カラー」 「思い出の場所」とデザイナーの阿部潤一

 「カラー(KOLOR)」が渋谷パルコに4店舗目となる直営店をオープンした。メタリックなグレーを基調に「カラー」らしいダルブルーのアクセントウォールを差し込んだ店内には、限定商品を含むメンズとウィメンズの商品をラインアップ。商業施設のグランドオープンに際しては、パルコ社員用のユニフォームも手掛けた。出店から制服デザインまで一連のラブコールを快諾した阿部潤一デザイナーにとって、渋谷パルコは青春時代から思い入れのある場所という。

WWDジャパン(以下、WWD):渋谷パルコに出店しようと思ったのはなぜ?

阿部潤一「カラー」デザイナー:パルコからオファーをもらった時、話を聞いて素直に「面白そう」と思った。ハイファッションと「ニンテンドートウキョウ」が一緒だったり、上層階には劇場があったり。渋谷パルコは、僕らの世代にとって思い入れの強い場所。期待が膨らんだ。

WWD:渋谷パルコの思い出は?

阿部デザイナー:山形から上京して新宿の専門学校に通っていた頃、洋服やレコードなどの買い物をするのは渋谷だった。渋谷パルコに行けば音楽も、ファッションも、すべて最先端の文化が揃った。「アキラ」の映画が公開になった頃、主人公の金田(正太郎)が劇中で乗っていたバイクの展示を見て、驚いたのを覚えている。今回のリニューアルの構想を聞いた時も、あの頃と変わらず「ここを拠点にあらゆる文化が雑多にまざりあう」空間のイメージが湧いてワクワクした。

WWD:ショップ作りでこだわったところは?

阿部デザイナー:南青山やドーバー ストリート マーケット・ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA)の店舗とは異なる内装デザインを変えた。コントラストをほぼつけずにグレーで統一感を持たせ、洋服が浮き立つようなイメージに。壁は、職人がアルミテープを1枚1枚手作業でランダムにトップまで貼り付け、その後、わざとキズをつけて汚れたニュアンスを加えている。

WWD:今回の改装に合わせて、渋谷パルコの社員用ユニフォームも手掛けた。

阿部デザイナー:オファーをいただき、コレクションのフーデッドコートをアレンジした。背中には、「グランドオープンの日にちを入れて欲しい」というリクエストをもらい、ロゴのコラージュと一緒にのせた。ネオンオレンジのライナーなど、ディテールにも力を入れて、正直、かなりこだわった(笑)。納品した日、パルコの担当スタッフから「皆、大喜びでテンション上がってます!」とすぐに連絡をもらって嬉しかった。

WWD:渋谷への出店で、期待することは?

阿部デザイナー:最近の渋谷の街は子どもっぽくなっていた印象で、足が遠のいていた。でもパルコがオープンしたことで、また色々な年代の人たちが戻ってきそう。館内には大人向けの店も多いし、会社帰りにふらっと立ち寄りたくなる場所になることを期待したい。「アキラ」のバイクのように、自分が学生時代に「えー!嘘でしょ!?」と驚かされたワクワクするイベントを、これからも常に仕掛けてくれそうだ。

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美容クリニック情報の信頼性、どう高める? ITのプロ「WWDビューティ」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.4「ホットペッパービューティー」が来春 美容クリニックの情報提供開始

読み解きのポイント:爆走する中国スタートアップを横目にサービスを開始。質の高い情報を提供できるか?

ニュースのポイント

 国内最大級サロン検索・予約サービス「ホットペッパービューティー」が来春、クリニック情報の提供を開始する。医院・クリニック情報は横断的にまとまっているサイトがなく、口コミ情報も少ないため、比較しづらいことが課題。「悩みから探す」など、ユーザーが探しやすい検索メニューも用意し、業界全体の活性化の役割も期待されている。

CKRはこう読む!

 「美容医療は、成長市場。しかし、安心便利な情報サービスが少ないのは、なぜか?」。

 口コミするインセンティブが働きづらいことに加え、情報の質を高めるエコシステムが確立していないところに、原因があるかもしれません。

 医療は、人の生命・身体に関わるサービスです。内容も専門的で、判断が難しく、患者への影響も大きいため、広告が規制されています。18年6月の医療法改正によって、看板、チラシ、テレビCMを対象とした規制の範囲が、医療機関のウェブサイトにまで広がりました。その結果、医療機関のウェブサイトからは主観表現である体験談や、説明なしのビフォア・アフター写真は削除されました。

 根拠が乏しく誤解を招く広告は、規制すべきです。しかし、体験を記した口コミも減ることによって、利用者が判断する手段の一つを失い、情報難民になる可能性もあります。

 もちろん口コミは、さまざまな動機から投稿されてます。そのため数よりも質を高めて、利用者一人ひとりに有益な情報として、更新し続けることが重要です。「実体験した人のみ投稿できる」「クリニックも、コメントを返すことができる」「他の信頼できる情報と紐づける」など、質を高める工夫がどのように講じられるのか注目したいところです。

 リクルートライフスタイルのプレスリリースには、「保険診療に該当する診療、切除を伴うレーザー、リフト、メス・外科手術全般は対象外となります」と記載されています。

 今回提供される情報は、医療法に抵触しない、比較的ライトなクリニックメニューを対象にしていることが読み取れます。公平なポジションに徹し、質の高い情報を提供することで、利用者が安心して行動できる仕組み作りをすることが、プラットフォームそのものの評判を高め、業界を活性化するのではないでしょうか?

 ところで、中国では、Tencent(騰訊)が支援する美容整形アプリ「So-Young(新氧)」が2019年6月、NASDAQに上場しました。時価総額は、11月末時点で12億1000万ドルドル(約1325億円)です。クリニック予約と広告が収益源で、2018年の総収益は約6億2000万元(約96億円)、純利益約5500万元(約8億5000万円)と、急成長しています。

 アプリを開くと、体験談や施術写真がタイムラインのように流れてきます。トップ画面にある「面部轮廓」メニューを選択すると、スマホカメラが起動し「顔の輪郭(りんかく)」診断もできます。医師ごとの情報や評価も掲載されており、ポータルとしての機能を果たしていそうです。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。 連載Vol.16ロンドンの人気デザイナーに聞く “ファッションブランドで実践できるサステナビリティ”

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探った。目の集まるイギリス人ファッションデザイナー、フィービー・イングリッシュ(Phoebe English)に“インディペンデントデザイナーができるサステナブルなアクション”について聞く。

「知らないでは済まされない。現実への責任を感じて」

―2011年にブランドをスタートさせ、その当初から“メイド・イン・イングランド”にこだわっていたが、サステナビリティは最初から視野にあったのか?

フィービー・イングリッシュ=デザイナー(以下、イングリッシュ):ブランド設立当初から、アイテムを生産する工程での運搬を最小限に抑えることで二酸化炭素排出量をできる限り少なくすることを重視してきた。製作や素材の仕入れもなるべくローカルで、という思いは始めからあった。

―サステナビリティを本格的に実行しようと思ったきっかけは?

イングリッシュ:ビジネスを進めていく中で、さまざまな記事やTV番組を通じて、ファッション産業が与える地球環境へのダメージの大きさに気付いた。人間の活動によって排出される二酸化炭素量の10%がファッション産業によるものであること、こうして話をしているいまこの瞬間にも、廃棄処分で埋め立て地へと運ばれている洋服――知ってしまった以上は「知らない」では済まされない。服を生産する立場にいる者の責任として、持ち得る知識を活用して、できることから行動しようと考えた。

ファッションとは時代を反映する鏡。21世紀に入ったというのに、ファッション産業の動き方が過去の方法から全く更新されていないのは、はたしてどうなのか。地球環境が危機的状況にある中、それにどう対処していくのか――私たちが直面している状況を考えたときにごく自然に出た答えだった。

―具体的にはいつ頃から?

イングリッシュ:本格的に取り入れられたのは約1年半前。いまはサステナビリティをきちんと知ること、学ぶこと、そして行動に移していくことが大事だと捉えている。まずは自分たちで着実にできることを、小さくても実践しながら進化を続ける。試行錯誤を繰り返し、更新しつつ、日々学び続けている。

―実践しているサステナビリティの例として、ビジネスに必要な物資は可能な限り、半径10~15マイル(約16~24km)近隣で整え、商品や素材の運搬時にはプラスチックを極力排除しているとホームページにあるが、手がかかることではないのか。

イングリッシュ: サステナビリティを実践していないブランドと比べるとどの工程においても3倍くらいは手間がかかっているが、スタッフ全員が当然の流れであり必要なことと捉えているからこそ実践できている。

―具体的にはどのような形で実践を?

イングリッシュ:“No fabric waste, no synthetics, no plastic buttons and zips”(生地を無駄にしない、合成繊維を使わない、プラスチックのボタンとジッパーは使わない)。素材は可能な限り国内でそろえている。 廃材に関しては、通常は廃棄される切れ端などを回収して活用しているほかにも、ストッキングを回収する北欧の会社から素材を受け入れていたり、取引のある工場から出る他ブランドの廃材もそのブランドの承諾を得た上で引き取っている。

運送では、梱包材からプラスチック製品を排除したかったので、 一般的に使用されているハンギング式ではなくダンボールの中にきれいに折り畳む形で運搬している。また、自社オンライン販売の配送では、再生紙と、イギリス国内で探すのは本当に難しいが紙製のマスキングテープ、そして紙のハンガーを使用している。

―アイテムでは?

イングリッシュ:例えば最新の2020年春夏コレクションでは、かつて使用した自社ブランドの洗濯表示タグをアップサイクルする形でアイテムに取り入れた。それ以外でも、ボタンにはプラスチックではなくミルクプロテインから作られたボタンを使用している。小さいことに思えるかもしれないけれど、まずは身の回りでできることから始めて、それが続けられることが何よりも大切。

―各所からの反響が大きいと思うが、いまのような反響は予想していたか?

イングリッシュ: 反響がほしくて実行していたわけではなく、ただ単純に必要性を感じて行ってきたことだったので取り立てて公言はしていなかったが、自分たちでできることをコツコツと実践していたら自然と取材や講義の依頼が増えてきた。こうして日本のメディアからも取材が来たのよ!結果として本来の仕事以外の部分もいそがしくなってしまってはいるが、それはうれしいこと。

「利益重視の時代は終わり。いかに環境を保持していくか、全ての産業においてそれが課題」

―他誌のインタビュー記事の中で「他のデザイナーはライバルではあるけれど、そういった考え方や壁は取り払って、サステナブルな考えや技術を他のデザイナーとも共有していきたい」と話していた。

イングリッシュ:私たちが得た知識や実践していることを独占するつもりはない。皆で共有すべきこと。私たちには、“少しでも地球環境を良くしたい”という考えがベースにある。私たちの持つ情報が私たちにとって生き残るための手助けになる情報だというのなら、それは分かち合うべきだと思うし、それが使命だと感じている。

―たとえそれが1ピースからでも?

イングリッシュ:ええ。サステナビリティに関して私たちの知識が役に立つのであれば、どんどんシェアしていきたい。サステナブルであることとは、“サステナブルな企業とそうでない企業”のようにくくられるべきことではなく、企業の一部として自然に存在していくべきこと。例えば素材一つからのスタートでもいい、それが先々での学びに繋がるのですから。

―寛大だ。

イングリッシュ:競争相手などとくくってしまうのは論外。そんな小さなことを取り払ってでも取り組まなければならないほど、事態(地球の環境問題)は急を要している。互いに協力し合って、一丸となって対応すべき緊急課題が目の前にある。一人で抱えるようなスタイルでビジネスを進めていく方法は最良とは言えない。

―これから動こうと思っているブランドには頼もしい言葉だ。

イングリッシュ:私たち人類はあまりにも長い間、利益重視の生活をしてきてしまった。結果として、地球が対応できる限度をはるかに超えてしまった中で生きている。全ての物はつながっている。さまざまな産業でビジネスの進め方や働き方、個人の消費など、私たちの生活を築いているありとあらゆることを見直さなければ、環境を保持していくことはできないし、私たちに未来はないのだから、長期的な展望が重要。だからこそ、私たちの持つ知識やサプライヤーなど、よい情報に関して共有する準備はできている。もしも具体的にビジネスに取り込みたいと思っているのであればいつでも連絡してほしい。

―メールでも?

イングリッシュ:電話でもメールでも、手段は何でも。メールは……山ほど来ていて正直大変だけれど、それは私たちから学びたい、アイデアを聞きたいというたくさんの人からのメール。同じ考えの人がいるということは、共に歩み、大きなうねりになると信じて進む力にもなる。

―エクスティンクション・リベリオン(Extinction Rebellion:英国を中心に起きている気候変動に抗議する非暴力行動。以下、XR)がファッション・ウイークにデモを行ったりと、反ファッションの矛先がその象徴であるファッション・ウイークに向いている。

イングリッシュ:XRが短期間で英国政府やジャーナリストを巻き込んだことと、彼らの活動を通して地球の危機を広く一般に広めた業績は素晴らしい成果。彼らの活動は私が信じている考えそのものと言える。サステナブルなことをビジネスの中で発展させるためには、常に自分のことを客観視しなくてはならないが、彼らのしていることは多くの点において、いまの時代を生き抜くための重要な鏡になっていると思う。何が悪い点なのか、どのように改善していくべきなのかと立ち止まって考える機会をくれる。そういった意味でも、XRのような団体とコミュニケーションを取ることは重要だと思っている。

―でもファッション・ウイークには参加し続ける?

イングリッシュ:問題への解決策を提示し、表現していく場所としてファッション・ウイークに関わり、活用している。ただし、XRがファッション・ウイークの中止を呼びかけていることは理解できるし敬意も抱いている。注意したいのは、環境に悪いことをしている会社とそうでない会社を明確に区別すること。ひとくくりに「ファッションが悪い」と言われてしまうのは残念だが、 XRの発するメッセージは正しい。

「いまだかつてなく重要な局面に来ている」

―ファッション業界の問題点はどこにあると捉えている?

イングリッシュ:“Culture of excess(過剰な文化)“。これはファッション業界だけの問題ではなく消費者側の問題でもある。ファッション業界が次から次へと大量に商品を供給してきてしまったために、消費者がその速度と量に慣れてしまい、そのレベルを期待するようになってしまった。これが最大の問題点。デザイナーがシーズンごとに発表する型数も多すぎる。60型、80型……本当にそんなに必要?そういった数々の疑問に対して向き合い、適量のデザインを機能させていくとことが、いま緊急に求められている。具体的にはサプライチェーン、生産量、ショーの回数、購入の数など、再度見直して再構築できる点はたくさんある。

―今後ファッション業界はどう進むべきか?

イングリッシュ:お互いにオープンに話すことから全てが始まる。アイデアや供給先、解決策を共有すること、生産の過程や消費により生じる“ファッション業界の無駄”を再考すること、生産量や洋服を生み出す過程――“始まり・中間・終わり”という3つのステップーーについて責任を持って再考すること。現在のファッション業界は“始まり”(素材を含む生産過程)への意識は低く、“終わり”(売れ残りや着なくなった物の行き先)に関してなどまるで考えていない。“中間”(販売)のみに注力してしまっている企業が大半。工場を一歩出てしまえば、お店から売れてしまえば、生産側の責任ではないという現状がある。「フィービー イングリッシュ」では、アトリエの中にある物全てについて私たちに責任があるのと同時に、アトリエから出てもその責任は続くと捉えている。私たちが売る物にはブランドのタグが付いている。私の名前が載っているのよ、そこに私の責任がなくてどうするの。例えばどのように洗濯してケアすべきかをラベルに表示することはもちろん、(ネットを使用するなどの)プラスチック繊維を水に流出させない洗濯方法の提案、商品をより長く使用してもらうために修理を奨励したり、どのような素材を使っているか等の工程をオープンにしている。

“直線”ではなく“円状(循環型)”になるよう、“終わり”を“始まり”につなげることこそが本当の問題解決だと言えるのではないか。なぜなら「物」は消滅したりはしないし、どこかに押しやって終わりということにはできないからだ。

―そう考えるとファッションの問題は、あなたが過去のインタビューで例えていた、飲食産業で起こった革新的変化(オーガニック食材が注目・奨励され、生産者が開示された製品が増え、消費者が選択をして買物できる状況になったこと)ととても似ている――「このキュウリはAさんの畑で、Bという肥料をごくわずかに使って育てられ、ハイブリッド車で配送され、家庭で堆肥にされました」といったことと似ているのではないかと。

イングリッシュ:そう!まさにその通り!農業の流れととても似ている。だって、私たちの身に着ける物も全て“Earth(地表)”にある物、もしくは地中にある物でできていて、最終的には“Earth(土)”に還って行くのだから。

「将来的には、卸売りはせずに100%レンタルのビジネスにしたい」

―ホームページにはレンタルもしているとあったが、それはどのような考え方で?

イングリッシュ:自分のアトリエでは受け付けていないが、レンタル会社にいくつかのアイテムを預けている。将来的には小売りは全くせずに、100%レンタルにできるビジネススタイルを目指したい。

―驚きました。全く販売をしないと?

イングリッシュ:販売するのであれば、できれば消費者からの直接のオーダーに対してアイテムを作るという方向。現在は卸先店舗からの受注という形で商品を生産している訳だが、自分たちの手を離れてしまった後は、各店頭でどのように扱われているのか、商品が売れたのか、はたまた廃棄されてしまったのか、商品の行き先について全く見えない状態だ。しかしレンタルにすれば、何度も身に着けてもらえることになる。それは、そのアイテムを作る過程で使った水や排出した二酸化炭素を無駄にしないということにもつながり、かつ洋服としての寿命を最大限に生かすことにもつながる。

―なるほど。

イングリッシュ:また、レンタルされるアイテムを生産するということは、それぞれのアイテムに耐久性が要求される。短期間で仕上げるひどいデザインの商品ではなく、より強固に丁寧にしっかりとした商品を作らねばならないと叱咤されることにもなるので、デザイナーとしても技能が発揮できるし、やりがいのある生産方法になるのではないかと考えている。

「小さくてもよい。前進するために、アパレル業界の中のビジネスモデルになれたら」

―今後のプランは?

イングリッシュ:今できることに注力していきたい。強いて挙げるのであれば、いま行っていることを素材・製作・システム等それぞれの行程において、より環境によい方法へと1つずつ改善・進歩させていくこと。学び続け、よりよい方向へと向かうこと。まだ最善で完璧と言える段階ではないし、完璧と呼べるレベルが存在するとは思っていないのだけれど、そのレベルに近いところを目指して進んでいくことが目標ね。その姿を見せて、証明していくことが大切だと思うから。

Shiho Koike Stitson:アパレルの営業職、PR、スタイリストのアシスタントなどを経て2004年にバーニーズ ジャパンに入社。ウィメンズPRとしてアパレルやアクセサリーをメインに、ビューティやブライダル、インテリアまで幅広いジャンルのPRを経験し、結婚を機に同社を退職。英国に移住し、フリーランスとしてPR、通訳、コーディネーターなどをしながら目下子育てにいそしむ。出産をきっかけに興味が高まったオーガニックな物やサステナブルなことをロンドンで探究中

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編集長は先週何した? 「エルメス」初の円いスカーフ、スカート750枚完売、原宿に食の新スポット

 こんにちは、「WWDジャパン」編集長の向(むこう)千鶴です。なんと!12月に入りましたね。令和元年も残すところ1カ月。取材で千駄ヶ谷を訪れた際に、完成したばかりの新国立競技場の前を通り、その迫力にオリンピックイヤー到来をひしひしと感じました。

11月26日(火)
「エルメス」初の円いスカーフ

 「エルメス(HERMES)」の東京での展示会は、パリコレには出てこない定番アイテムの新作がたくさん登場するので見応えがあります。まんまるやリバーシブルのスカーフなど初めて見る技術やデザインもたくさん。数ある新作から個人的に気になった(物欲をそそられた)アイテムを写真と共に紹介します。

 リバーシブルのスカーフはぜひ動画で見てください。裏に柄が透けない技術に驚きます。価格は6万9000円。90㎝のスカーフは5万2000円だから2枚買ったと思えばお得です。

11月26日(火)
チュールスカートが750枚完売した理由

 ヒット商品の裏側を知るのって楽しいですよね。誰がどうやって仕掛けたのか、その過程を取材するのが好きです。インポーターのアオイの展示会ではイタリアブランド「ファビアナフィリッピ(FABIANA FILIPPI)」のチュールスカート(10万9000円)が750枚売れた(すごッ!)裏側を聞きました。

11月27日(水)
2足のわらじの法律担当記者と
弁護士取材

 12月9日号の「ファッションと法律(仮)」特集に向けて弁護士取材が続いています。本特集の担当は写真左の平川記者。きれいな靴が大好きでハードなパリコレ取材もハイヒールでガンガン歩き回っていた平川記者は、現在フリーランスとして「WWDジャパン」に記事を書きながら法律事務所のPRマネージャーも務めています。これぞ二足のわらじ、いや、彼女の場合は二足のハイヒールか!?ファッションと法律の2つの世界をつなぐ肝が据わった彼女がいることで、おもしろい特集ができあがりつつあります。乞うご期待!

11月27日(水)
ジャイルの4階に
新しい食のスペース誕生

 表参道の商業施設ジャイル(GYRE)の4階レストランフロアがガラリと変わりました。ジャングルみたいにグリーンがあふれる“ジャイルフード”のコンセプトを手掛けたのは料理人、野村友里さん。古民家を再利用した原宿のレストラン「イートリップ」で知られる方ですね。ほかにもユニークな人たちが集まっています。空間は建築家の田根剛さん、ディレクションは田中開さん、シェフは信太竜馬さん。“循環”をテーマに食材は肥料となり施設内の畑で土に生まれ変わるそう。なんとチャレンジングな!応援したいし楽しみたいと思わされる空間です。

11月28日(木)
何の柄かわかりますか?

 毎週火曜日朝に“レター”と呼ぶメルマガを配信しております(ぜひご登録ください!)。で、11月19日に“大人の女たちよ、笑いを取りに行こう”と題したレターを書いたところ、読者の方から“おもしろいブランドがあるからぜひ見に来て”とメールをいただき展示会へ。ストックマンが扱うイタリア・フィレンツェ発の「オットダム(OTTOD’AME)」です。確かに!このワンピースよ~く見てください。おっぱいです。ん??と思った方は2枚目の写真をぜひ。8人の女性が手掛けるブランドだそうで、女性の裸体などフェミニズムにもつながるメッセージが毎シーズンどこかに入っています。シャレが利いてるわ~。

11月28日(木)
最新(12月2日)号「SNS世代を大解剖」特集と
今日のおやつ

 最新号は10代後半から20代前半にかけての1600人へのアンケートをもとに作った特集です。彼らより少し先輩である20代の記者が中心となって編みました。若者心理を知りたい皆さん!ぜひお読みください。役立ちますよ。今週は、アイウエアの別冊もつきます。カバーオンカバーは「ランドローバー」。そして今日のおやつは、ペットボトルを止めてから必須のティーパック。今はコーン茶にハマってます。

【先週美味しかったもの】

 先週いただいた中で忘れられないのがアルマーニ リストランテ銀座のイタリアン。最高でした。写真は全てルマーニ リストランテ銀座から。

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SNS世代1600人を徹底調査 好きなデザイナーTOP10

 「WWDジャパン」12月2日号は“SNS世代”特集。全国の服飾専門学校生約1600人にアンケート調査を行い、好きなデザイナー・ブランド・インフルエンサーから環境への問題意識まで、彼・彼女たちのファッション観に迫りました。ウェブではアンケート結果の一部を紹介します。初回は「好きなデザイナー」部門トップ10をランキング形式で発表!

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「思い出は消えない」けれど「アナ スイ」は継続して欲しい ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.8「三越伊勢丹HDが『アナ スイ』事業を終了」

読み解きポイント:「ちょっと大人」になりたかったあの時の私に贈る「アナ スイ」

ニュースのポイント

 三越伊勢丹ホールディングスは「アナ スイ(ANNA SUI)」事業を2020年3月末で終了する。同社は1996年に米アナ スイ社とのライセンス契約を締結。2018年3月の運営子会社マミーナの清算に伴い本体に事業を移管したが、主力の婦人服が苦戦し、売り上げはピーク時の07年の半分程度に落ちていた。同社広報によると国内のライセンシー15社との契約が見直される可能性もあるという。事業終了後も自社とは別のライセンス会社が展開する「アナ スイ」商材については、三越伊勢丹各店舗での取り扱い継続を検討していくとしている。

AZUはこう読む!

 「アナ スイ」は、とにかく中学・高校時代に憧れたブランドでした。友達の誕生日プレゼントにはミニタオルや手鏡を贈るのが定番。キラキラやピンク、キャラものの幼い雑貨からちょっと距離を置きたくなるおませな時期にはぴったりの「大人の」ブランドに見えました。カバンの中にあのゴシック調のデザインや蝶のモチーフ、独特の鮮やかな紫が見えると心が躍ったものです。

 当時はライセンスの仕組みなんて知らなかったので、デパートの一階で買うミニタオルや定期入れも、全部ひっくるめて「アナ スイ」だと思っていました(もちろんそれも間違っていないのですが)。大人になりライセンスというビジネスモデルを知って「『アナ スイ』とかのことかぁ」と、あの頃夢中になった雑貨やコスメに想いを馳せました。

 「アナ スイ」にはプレゼント交換以外にも特別な思い出があります。1999年に発売された最初の香水「アナ スイ」は”ザ・アナ スイ!”というパッケージで、持っているだけで魔女っ子ゴコロをくすぐられるようなデザイン。それは、亡き母がよくつけていた香水でした。小さな頃は濃くて甘ったるくて苦手だった、あのミステリアスな香り。高校生の私には早すぎるくらい大人な香りに感じたけれど、残していったボトルを抱きしめ、香りを纏うことで、まだそばにいてくれるような気になれたのです。

 10年以上が経った今でも、その香りとすれ違うとドキッとします。香りは本当に一瞬で記憶を連れ戻すので、たまにちょっと困っちゃう。そしてその香りと一生すれ違えなくなってしまうのはもっと困ってしまうので、なんとか継続してほしいです。

 「アナ スイ」に限ったことではありませんが、長く続くブランドや商品にはそのひとつひとつに何千ものストーリーがあります。作られた背景という意味ではなく、手にした人、ひとりひとりの。だからもし事業が継続されずに商品がなくなったとしても、思い出は一生消えないから大丈夫。でも、「アナ スイ」のネイルが買えなくなるのは大丈夫じゃないかも……!

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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ブランド設立25周年の英「オールセインツ」 「今後5年でアジア売り上げを全体の3割にまで高める」

 「オールセインツ(ALLSAINTS)」は、1994年に英国でスタートしたファッションブランド。日本には2016年春に本格上陸し、現在は東京・神宮前の路面店や百貨店インショップなど、直営店を14(期間限定店含む)運営。アウトレット3店とオンラインストアを含めると、販路は18にまで広がった。9月に三越銀座店でウィメンズのポップアップストアを開催したのに続き、12月4~10日には六本木のイセタンサローネでもポップアップストアを開くなど、日本ではこのところ積極的に次なるステップを探している。来日したピーター・ウッド(Peter Wood)最高経営責任者(CEO)に、ビジネスの今後を聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):改めて、「オールセインツ」とはどういうブランドか?

ピーター・ウッドCEO(以下、ウッドCEO):1994年にスタートし、今年で25周年を迎えた。お客さまは男女半々ずつで、年齢層も幅広い。収入レベルも多岐に渡る。2018年のグローバルでの売り上げは約331万ポンド(約4億6600万円)だった。英国内とそれ以外の売り上げは半分ずつだ。ブランドとしては25年の歴史があるが、米国やカナダなど、英国外に事業を広げたのは9年前。アジアでもビジネスを始めたのは6年前だ。現在は26の国と地域で255店を運営している。

WWD:日本やアジアでの売り上げ推移は?

ウッドCEO:日本での売り上げは公表していないが、2ケタ成長を続けている。アジアの売り上げは全体の約1割だ。これを、今後5年以内に3割にまで高めたい。アジアは日本の他、韓国、台湾しか進出していない。他国や他地域からも出店依頼は多数届いているので、5年以内にアジア売り上げを全体の3割にまで高めるという目標は達成可能だ。日本は上陸してまだ3年しか歴史がないが、とてもうまくいっている。

WWD:日本での今後の出店計画は?

ウッドCEO:今まさに計画策定中であり、日本での具体的な出店プランは明かせない。しかし、5年以内にアジア売り上げを全体の3割へという目標のもとで、日本が大きな役割を果たすことは間違いない。現在、(日本では)百貨店インショップなどを中心に出店しているが、空港内の免税店など、幅広い販路に広げていく。一般的に言って、免税店はアジアが先行しているチャネルでもある。また、グローバルでは売り上げの男女比は半々だが、日本ではウィメンズの売り上げの方が大きい。今後は、メンズでもより多くのお客さまにアプローチしていきたいと考えている。バッグやシューズのみの店も日本国内に3店あるが、そうした形での出店も継続していく。

WWD:日本でもグローバルでも売り上げ好調ということだが、成長の原動力は何なのか?

ウッドCEO:(レザージャケットがブランドアイコンとして定着しているが)昨年はドレスの売り上げがアジア地域で一昨年の1.4倍に、グローバルで同じく1.5倍に伸びた。「オールセインツ」はレザージャケットだけのブランドではない。われわれにはパワフルなデザインチームがロンドンにいて、店でかける音楽から店頭ビジュアル、什器まで全て製作している。新カテゴリーとしては、今秋にはメンズウオッチをローンチ、ジュエリーも英国など一部でスタートした。

WWD:2000年代初頭にECにチャレンジするなど、デジタルの取り組みも早くから行ってきた。

ウッドCEO:ECももちろん社内のチームで構築している。ただ、各国向けのECサイトは国ごとにベンダーと取り組んでいる。「オールセインツ」には全世界で3000人以上の従業員がいて、平均25歳。われわれはグーグルのプラットフォームで社内の情報共有を行っていて、3000人から常に新しいアイデアや意見が上がってくる。それが、会社として新しいことに早くから取り組めている秘けつの1つだ。そのプラットフォーム上で僕は3カ月戦略も動画などでシェアしている。社員は常に何が起こっているか把握できる環境で、プラットフォーム経由で僕にアドバイスもできる。「オールセインツ」は、グーグルのプラットフォームをいち早く取り入れたファッションブランドだ。

WWD:今後、目標を遂行していく上で重視していくことは。

ウッドCEO:最も大切にしているのは商品だ。そして、人や、人を通したコミュニケーション。従業員3000人は、彼らがそのままインフルエンサーでもある。重要なのは、3000人が楽しく仕事をできるかどうか。何年以内に何店出店するといったようなことはわれわれのKPIではない。3000人の社員の中には、毎日SNSに自発的にブランドの商品をアップしてくれている人もいる。売り上げの数字だけを追いかけるような働き方はしてほしくない。気分よく働いて、自社の商品を愛してお客さまに届けるというのを続けていれば、自然と売り上げはついてくるはずだ。

WWD:サステナビリティについての考え方は?世の中には、「レザーを使わないことがサステナビリティ」だとする見方をする人もいるが。

ウッドCEO:サステナビリティについてはさまざまな定義があるが、私の考え方はとてもシンプルだ。モノがどこでどのように作られているのかを自分たちがしっかり認識して、それをお客さまに伝えること。それこそがサステナビリティだと考えており、それについてもう少し詳しく説明するタグを、来年から商品には付けていく計画だ。これも若い社員たちが自発的に考えて生み出したもの。生産については、家族のようなサプライヤー(工場)と組んでいるので、誇りを持ってわれわれの製品を作ってくれている。

WWD:日本市場では、「フォーエバー21(FOREVER21)」や「アメリカンイーグル アウトフィッターズ(AMERICAN EAGLE OUTFITTERS)」など、外資ブランドの撤退が相次いでいる。

ウッドCEO:撤退するブランドがあればそれはわれわれにとっていい機会にもなると捉えている。リスクは常にチャンスでもある。日本市場は引き続きわれわれにとって重要な市場だ。

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世界ブランド「ダフニ」が日本人向けに“超進化”

 世界25カ国に展開しているスタイリングヒートブラシ「ダフニ」。髪を数回とかすだけで、ヘアサロンで仕上げたような艶やかで自由なスタイリングを実現するツールだ。2017年の日本発売以来、使用した美容師が次々とハウツー動画をSNSに投稿し、その動画が“バズった”ことで大ヒットアイテムとなっている。その「ダフニ」が今秋、日本人のために進化した「ダフニ ミューズ」(1万8000円)を発売した。

ショートスタイル&前髪の
スタイリングに
より適した形状に

 進化したポイントは主に3つ。最も大きな変化は、ブラシ部分(1)の幅が細くなったことだ。これまでは“ショートスタイルや前髪のスタイリングが難しい”という意見もあったが、ボディーの細さとより進化した“髪のキャッチ力”で短い髪も逃さず“かむ”ことができ、小回りがきいて前髪など顔周りのスタイリングも手早くできる。前髪のスタイリングに関しては、本体の先端(2)に持ち手となるスペースができたので、熱を気にせず手を添えて髪の巻き付けがよりスムーズにできるように進化した。安全面にも配慮し、電源ボタン(3)はスイッチオンの10分後には自動でオフになるように設計している。

 ブラシですくった髪に熱が均一に行き渡る設計、キューティクルが美しく見える温度設計など、従来からの特徴はそのままに進化した「ダフニ ミューズ」。今後、またSNSを中心に市場を賑わせる存在になりそうだ。

ショートヘアもミディアムヘアも
1台で簡単アレンジ

人気美容師が実感した
「ダフニ ミューズ」の性能とは?

HOW TO STYLING


PHOTOS : HIROKI WATANABE

問い合わせ先
ヤーマン
0120-776-282

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。 連載Vol.15 世界50億人が製品を使うP&Gはビジネスにしてこその循環・継続

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探る。今回は世界最大の日用消費財メーカーであるプロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(以下P&G)の今瀬友佳・広報渉外本部マネージャーに環境負荷を最小限にする取り組みを聞く。

WWD:世界の50億人近い人々に向けて製品とサービスを届けている中で、「企業理念と責任」を基盤にさまざまなことに取り組んでいる。

今瀬友佳プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン広報渉外本部マネージャー(以下、今瀬):当社は世界最大の日用消費財メーカーです。一つ一つの製品が環境に与える影響は小さくても、世界規模で使われればその影響は計り知れないほど大きい。その責任と果たしうる貢献とに鑑みて、さまざまな取り組みを行っているところです。現在は、「社会貢献」「ダイバーシティー&インクルージョン(以下D&I )」「性別による差別の排除」「環境サステイナビリティ」を重点項目として活動しており、それはSDGs(持続可能な開発目標)とも一致しています。

WWD:日本でフォーカスする項目は?

今瀬:「D&I」と「環境サステイナビリティ」ですね。「D&I」においては、昨年話題となった“家事分担をJOBからJOYへ”をテーマとしたメッセージ動画が記憶に新しいですが、社内においてもさまざまな人材が集まることで、多様なお客さまのニーズを理解することにつながります。そこからイノベーションが生まれ、新しい製品やサービスの提供につながることが重要なんです。また、当社は社内で培ったノウハウを300以上の企業・団体に提供し、現場でD&Iを推進するための合同研修会も開催しています。

「『SK-Ⅱ』の滋賀工場は1日最大200トンを節水」

WWD:環境については海洋プラスチックによる汚染対策を講じている。

今瀬:「環境サステイナビリティ」においては、世界的な環境問題である海洋プラスチックの削減にもグローバルで取り組み、すでに海洋プラスチックからリサイクルした素材を25%利用した容器がヘアケア製品「h&s(エイチアンドエス)」で採用されています。日本においても、国内3拠点の工場を筆頭に環境負荷の低減に取り組んでいます。例えば、当社ブランドで世界中に出荷されているほぼ全ての「SK-Ⅱ」を製造している滋賀工場は、今春に新棟を建設しました。ここでは高効率純粋装置を導入したことにより、旧来のシステムに比べ1日最大200トンの節水を実現できました。また、使用電力が少ない最新の高効率ポンプを採用するほか、近々再生可能エネルギーへ切り替える予定です。これらの取り組みも、環境保全を目標とするだけでなく持続していくためには、ビジネスにいかに落とし込むかが大切なんですよね。「D&I」にしても「環境サステイナビリティ」にしても、ビジネスとして成立してこそ循環・継続して、携わる人々のやりがいにもなるわけですから。

「日本の海岸で回収したプラスチックごみをボトル原料にした『JOY』」

WWD:11月にも廃棄プラスチックを活用した製品を発売した。

今瀬:日本国内の海岸で回収されたプラスチックごみをボトルの原料に使用し、台所用洗剤「ジョイ(JOY)」から「ジョイ オーシャン プラスチック」を11月上旬に発売しています。使用した再生海洋プラスチックは、台所用洗剤のボトルとしての耐久性を担保できる最大量である全体比約25%を使用し、ごみ回収からボトルの製造までの全工程を日本国内で行っています。55万本を発売しますが、一つの国で海洋プラスチックを使用する製品としては最大規模の生産量です。

WWD:国際オリンピック協会のワールドワイドオリンピックパートナーであり、東京2020パラリンピックのゴールドパートナーでもありますよね。リサイクル素材で製作する表彰台が話題を集めている。

今瀬:東京2020組織委員会が主催する「みんなの表彰台プロジェクト」に参画しています。6月19日より全国のイオングループ2000店舗で当社のヘアケア「パンテーン(PANTENE)」や衣料用洗剤「アリエール(ARIEL)」「JOY」のほか、詰め替え用製品、他社の同種の使用済み製品のプラスチック容器を回収しています。回収したプラスチック素材で東京2020大会の表彰台製作に再生利用します。SDGsに貢献する大会として注目される2020年をきっかけに、消費者の意識が変わり、新たな習慣がつくられ、それが当たり前になってほしいですね。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

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「仮面ライダージオウ」のヒロイン役で注目度アップ ブレイクが期待される女優・大幡しえり

 2018年9月から19年8月まで放送されたテレビドラマ「仮面ライダージオウ」(テレビ朝日系)に、ヒロインのツクヨミ役で出演して、注目を集める女優の大幡しえり。12月21日から公開される映画「仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション」にも出演するなど、今後のブレイクが期待される彼女に “これまで”と“これから”の話を聞いた。

WWD:大幡さんが芸能界に入ったきっかけは?

大幡しえり(以下、大幡):進学しようかどうか迷っていた高校3年生のときに、今の事務所にスカウトされたのがきっかけです。それまでは芸能界に強い憧れはなく、まさか自分が女優という職業に就くとは思ってもみませんでした。事務所に入った当初は「モデルになりたい」という気持ちもあったんですが、演技のレッスンを受けているうちに、演技の奥深さにはまって、それから女優としてやっていきたいと思うようになりました。

WWD:これまでで印象に残っている仕事は?

大幡:1年間という長い期間やらせていただいた「仮面ライダージオウ」です。その期間は初めて一人暮らししたり、アクションにも挑戦したりと、いろいろなことを経験させていただき、すごく成長させてもらいました。演技に関しても現場でセリフが変わることも多くて、事前にきっちりと演技を決め過ぎるよりも、ある程度準備していきつつ、現場では柔軟に対応できるようにする方がいいなと実感しました。共演者も同年代の人が多く、仲良くなれたのもうれしかったです。あと「仮面ライダージオウ」に出演して、子どもだけでなくその親の方だったり、同世代のファンの方も増えたのはびっくりしました。いろいろな年代の人に愛されていた作品なんだと実感しました。

WWD:インスタグラムのフォロワー数は13万1000超えと人気。どんなことを意識している?

大幡:仕事では見れないよりプライベートな部分を発信できればといいなと思っています。ありがたいことに「仮面ライダージオウ」に出演させてもらって、フォロワーさんもすごく増えました。オムライスが好きなので、今後はおいしいオムライス店の情報なんかも発信していきたいですね(笑)。

WWD:ファッションでこだわっていることは?

大幡:上下でコーディネートを考えるのが苦手で、1着でちゃんと見えるワンピースが多いですね(笑)。仕事でいろいろな衣装を着られるのも楽しいです。普段は暗めな色の服を着ることが多いので、今回の撮影できたような赤は新鮮でした。

WWD:美容に関して気をつけていることは?

大幡:基本的なことですがスキンケアでは毎日保湿をしっかりとするように心掛けていて、今はお仕事でいただいた「ライスフォース(RICE FORCE)」を使っています。メイクだと「シャネル(CHANEL)」や「M・A・C」がお気に入りです。

WWD:ヘアスタイルはクールな役柄に合わせて黒髪のロングなのか?

大幡:そんなことはなくて、ずっと黒髪のロングで、ぱっつん前髪でした。まだヘアカラーはしたことがないので、役柄で機会があれば染めてみたいです。あとヘアケアには気をつけていて、サロンでトリートメントしたり、家でもブローする前にヘアミストをつけたり、しっかりとケアするように心掛けています。

WWD:憧れている人は?

大幡:ドラマ「監獄のお姫さま」で共演した満島ひかりさんです。演技の幅も広くて、芯がしっかりとあり、女優としても人としてもすごく尊敬しています。私自身がもっと成長して、また一緒に演技したいです。

WWD:現在21歳になったばかり。20歳を超えて感じたことは?

大幡:自分が思い描いていた20歳のイメージよりも大人っぽくなれていなかったので、少し悲しかったです(笑)。でも20歳の1年間は「仮面ライダージオウ」をやらせてもらって、すごく充実していました。今後はもっといろいろな作品に携われるように、演技力をさらに高めていきたいです。

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“真”のインフルエンサーをデータ解析するマーケティング企業が、ファッション業界で目指すもの

 「WWDジャパン」12月2日号の特集では、10~20代前半の“SNS世代”の意識を調査した。巻頭企画として行った全国の服飾専門学校生役1600人へのアンケート調査内での「気になるインフルエンサー」項目では、1位に動画クリエイターのけみお、2位に姉弟インフルエンサー、よしあき&ミチのミチ、3位に渡辺直美らが名を連ねた。しかし、学生たちに選ばれた彼ら(彼女ら)はSNS世代に本当に影響力を与えているのか?そんな疑問を明らかにするため、本特集では、SNS上のデータ解析を通じて、インフルエンサーの調査や企業・ブランドのPR・マーケティングにおけるマネジメントやコンサルティングなどを行う企業、アンドオブの塩原宣章マーケティングPR、ディレクターに「SNS世代に真に影響を与えることのできるインフルエンサー」の調査を依頼。結果を紙面に掲載した。そもそもアンドオブはなぜ、生まれたのか。解析を通じて得たデータをどのように用いているのか。塩原ディレクターに聞いた。

 塩原ディレクターの経歴は多岐にわたる。IT系の企業を経て立ち上げ期の「クリスチャン ダダ(CHRISTIAN DADA)」(2020年1月に休止を発表)の取締役に就任。東京の気鋭セレクトショップなどにも在籍し、その後は大手芸能事務所のアミューズに入社。同社の子会社であるトランスプラスの役員として、グッズなどのモノ作りや新規事業などに関わってきた。それ以外にも、キャンプファイヤーにも参画するなど、数々の企業に在籍していたが、彼がSNS解析を行い始めたきっかけはアパレル業界にいた際のとある体験が大きい。「ファッション業界で働き始めたのは31歳とかなり遅く、周囲との関係値が全くなかった。特にPRには興味があったが、上の世代の人たちは自分が築いた人脈をほかの人に解放したがらない。師弟関係のようなものがPR界の間にはできていて、あとから参入してもなかなか上にいけなかった。一種の不条理を感じていて、その不条理を否定したいと考えていた」と塩原ディレクター。

 そんな業界の不条理を感じていた彼がSNS領域での可能性に気づいたのは、アミューズにいた際の出来事だ。「ONE OK ROCKのメンバーが作っていたモノを買ってくれ、その際のSNSを見て、翌日から彼らが買ったものと同じものを購入したいという声が殺到した。アーティストをスタイリングして、雑誌に掲載すれば売れるという従来の流れではなく、アーティスト個人のSNSを通じて、ファンを動かすことができると強く感じた。ビジネスをする上でわれわれは、ファンに負けないくらいに敏感であるべきで、それを数字で示したかった」と当時を振り返る。後に、キャンプファイヤーで企業がSNSを駆使し、コミュニティーを作ることで多額の資金を調達する事例などを見て、SNSの力を再認識。18年にアンドオブを設立し、SNSのデータ解析を始める。

 当初は芸能事務所に所属するアーティストの公式SNSのデータを定点観測する業務などを請け負っていたアンドオブだが、徐々に解析データを用いてPR・マーケティングのほか、新照院開発などにおけるコンサルティング業務を行うようになる。同社の本格的なサービス運用事例の第一号となるのが、3ミニッツが運営するウィメンズブランド「エトレ トウキョウ(ETRE TOKYO)」だ。「『エトレ』はインフルエンサーのJUNNAさんをクリエイティブ・デイレクターの起用した、インフルエンサー活用型のブランドビジネスだったため、PR・マーケティングにおいてどのようなインフルエンサーと相性がいいのかを非常に気にしていた。運用後はフォロワーの伸び率や売り上げが10倍になるなど、一定の効果は上がった」と話す。アンドオブが行うSNS解析はファッション業界外でも活用できるという。「例えば、高校生に対して、伊右衛門のお茶をどう売るかといった施策であれば、伊右衛門のSNSアカウントと、高校生に人気のインフルエンサーのアカウントを解析し、両アカウントの相違点、もしくは共通点から施策を考えるなどもできる。そのほか、地域活性化などもSNSを通じてできると考えている」。

 アンドオブの事業を通じて、既存のPR業界を覆そうとしている塩原ディレクターは今後、何を目指すのか。「感覚を論理的に説明できるような環境を作りたい。特にファッション業界では、感覚が重用されてしまっているが、外の人に説明ができない。例えばブランドの営業の間には、さまざまな戦略があるが、PRには論理的な戦略がなく、どの雑誌に掲載してもらえればイメージがいいか、といったことを感覚で話してしまっている。実際に社内でもPRが何をしているのかが他部署からはよくわからず、PRのマネジメントの依頼を当社が受けることもある。既存のPRのあり方を否定しようとしているので、トラブルは非常に多いが(笑)、感覚を言語化する仕組みを作ることで、PRと連携した戦略的なビジネスを立案できるようにしたい」。

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。番外編 飛行機を使わずに世界を旅するモデル・小野りりあん

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探る。今回は番外編として、「ミントデザインズ(MINTDESIGNS)」や「ケイタ マルヤマ(KEITA MARUYAMA)」など、東京コレクションでもおなじみのモデル、小野りりあんにスカイプで話を聞いた。彼女は、環境問題に関する情報発信を行うウェブメディア「スパイラルクラブ(SPIRAL CLUB)」の立ち上げメンバーでもあり、現在飛行機を使わずに世界中を旅している。

CO2を出さない旅とは
どんなものか体験してみたかった

WWD:現在はモデル業を休止して世界を旅していると聞いた。

小野りりあん(以下、小野):今は飛行機を使わずに世界の環境活動家や専門家に会いに行く旅をしているところなんです。昨日まではベルリンにいて「フライデー・フォー・フューチャー」の活動をしている子たちと出会い、そのツテをたどり今はハンブルクにいます。CO2を出さない旅とはどんなものか体験してみたくて始めました。出発点は東京で、東京から鳥取まで夜行バスで行き、そこからフェリーでモスクワまで10日間かけて行きました。

WWD:環境のためにアクションを起こそうと思ったきっかけは?

小野:北海道の自然が身近に感じられる環境で育ったことは大きいですが、一番はデンマークの教育機関フォルケホイスコーレで学んだことですね。そこで同年代の子たちがいろいろ考えて行動を起こそうとしているのを見ました。日本でも同じように問題意識を持って行動している子たちに会いたいと思い、NGO団体の350.orgに入りました。そこで、「スパイラルクラブ」代表の清水いあんと出会ったんです。

WWD:自分が生まれ育った土地の自然が壊れ始めていると感じる?

小野:それはひしひしと感じています。気温や空気も変化しているなと。私が子どもの頃は、北海道に梅雨はなかったのですが、今はあります。最近では農家の人から作物が育たなくなったと聞きますが、それも気候変動の影響なのだろうと思います。日本でもちょうど大きな台風が来ましたが、今は世界各地で森林火災や大洪水などが起きています。子どもの頃にそんな未来が来たらどうしようと不安に思っていた未来が、もうすでに来てしまった感じがします。

“環境について話そう!”をテーマに掲げたオープンコミュニティー
「スパイラルクラブ」

WWD:立ち上げに関わっている「スパイラルクラブ」について教えてほしい。

小野:「スパイラルクラブ」は、“環境について話そう!”をテーマに掲げたオープンコミュニティーです。環境に関心のある友人たちと、もっとみんなが自由に話ができる場を作りたいなと思って始めました。編集長の役職はあえて作らず、23人のメンバーそれぞれが、誰かとシェアしたい環境にまつわる情報を自由にアウトプットしています。

WWD:小野さんはどういうコンテンツを発信してきたのか?

小野:個人の生活レベルで、いかに環境に配慮したライフスタイルに変えていけるのかを中心に発信しています。これまでには、「ゼロウエイストピクニックやってみた」や「温暖化解決に向けて、私がやっている5つ以上のこと」といった記事を書きました。

WWD:「スパイラルクラブ」が毎月開催しているオープンミーティングとは?

小野:「スパイラルクラブ」が主催する誰でも参加できるミーティングです。毎回、その月の担当者が関心のあることをテーマにしています。これまでは、環境に配慮した歯磨き粉を作るワークショップをやったり、食の生産に関する動画を見てディスカッションをしたり。ちょうどアマゾンの森林火災が話題になったときには、その問題の背景についてみんなで話し合いました。自分たちが好きな本を紹介し合うこともありますよ。

WWD:どんな人たちが集まっている?

小野:だいたい20人くらいが集まっていて、平均年齢は20代前半くらい。もっと若い子もいれば親世代の人も来てくれます。日本で勉強している留学生のなかには、日本にいながら環境問題について活動したいと思う人たちが結構いて、そんな人たちが「スパイラルクラブ」に来てくれることもあります。けれど、最近は日本の大学生が増えている感じがします。ラジオ番組のJ−WAVEで紹介されることがあり、それを聴いて応援しようと思って来てくれる大人も多いです。

現状を変えていこうと
努力する人たちと一緒に働きたい

WWD:モデル業をやりながら、ファッション業界に対してどんな思いを抱えていた?

小野:モデルをやっていますが、正直現在のファッション業界のあり方には賛同できていません。ファッションとは自己表現の一部であるし、アートでもある。楽しいものであり続けていいはずだけれど、私たちはもう十分なほど生産しました。あり余って捨てるものばかりになったいま、すでにあるものでファッションを楽しむことはできると思います。

WWD:モデルの仕事をしていることに抵抗を覚えたことはある?

小野:最近は特にありますね。一緒に働いている人たちのことはとても好きで、一緒にクリエイティブなものを作ることも楽しい。けれど実際自分がやっていることは、本当は人々に必要のないものを要るように思わせる作業だったから、心が痛くなるときもありました。そこに対して疑問を持っていない人たちとコミュケーションを取る難しさも感じています。みんなを嫌な気持ちにしたいわけではないから、相手を否定せずに「ノー」と言うにはどうしたらいいのだろうと悩んだりもします。

WWD:洋服はどれくらい購入する?

小野:旅先の古着店や友達の展示会で買うことはありますが、あまり新しいものは買いません。自分が欲しいと思う最低限のモノしか持っていないです。

WWD:捨てることもない?

小野:基本的には周りの友達にあげています。フリマに出すこともありますね。環境活動に関わっていた母から“無駄にしない精神”を受け継いでいるのだと思います。

WWD:海外と比較して、環境問題に対する日本の人々の意識をどう見ている?

小野:最近は、エシカル消費やプラスチック問題に関する問題意識が高まってきていますね。若い子たちの間では、環境に配慮しているモノがあるのならばそちらを選びたいと思っている子たちが増えていると思います。日本がよく環境意識が低いと言われる原因は、情報の少なさにあります。やはり、英語がわかると環境問題に関する情報が毎日入ってきますが、日本語だと同じ情報が少ない。環境を気にしていないのではなく、ただ知らないだけ。情報があって知っていたら、今の状況にはなっていないと思います。だから私は、この旅を通して見たことや聞いたことをできるだけ日本語で伝えていきたいと考えています。

WWD:旅を終えた後のプランは?

小野:この問題に対して何かアクションを起こしたいと思っている老若男女をつなげ、ムーブメントを作っていきたいです。日本でも問題意識を持っている人たちを多く知っているけれど、彼ら・彼女たちが一緒になって動けていない現状があります。正直、消費に興味はないけれど、コミュニティーになるようなゼロウエイストショップを作ることも考えています。ただ、これまでモデルをやってきたことにで、ある意味人に見てもらえる立場にいて。「スパイラルクラブ」のオープンミーティングにも、私のインスタグラムを見て参加してくれている子もいます。今の自分の影響力を生かさずに、裏方に回るのはもったいない気もするので、自分のインフルエンサーとしての価値をうまく活用していきたいなといろいろ考え中です。

WWD:「WWD ジャパン」の読者には、ファッション業界に携わる人も多い。そんな読者に向けて伝えたいことはある?

小野:消費を楽しむ時代はこのままいけば終わってしまいます。それは誰も望んでいません。サステナビリティを語る上で絶対見逃してはならないのは、CO2の排出量です。自分の製品の排出量、そして国内外の輸送を含めて、遅くても「2050年までにCO2排出量をゼロにする」ことを一番の目標にしない限り、業界も社会も持続できません。これは科学的に証明されています。企業やブランドはまだ見ぬ技術が開発されることを待たずに、生産面、輸送面、販売面の全ての面でどうやったらCO2ゼロにつながるかを軸に考えてみてほしいです。もちろん、障壁はあるだろうけれど私はその変化のお手伝いをしていきたいです。変えていこうと努力する人たちと一緒に働きたいです。

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ニューヨークのフィフスアベニューを彩るクリスマスウィンドーが華やか!

 クリスマスシーズンに突入するこの季節のニューヨーク・マンハッタンでは、フィフスアベニューを彩るウィンドーディスプレーが豪華で見ごたえバッチリ。

 百貨店のサックス・フィフス・アベニュー(SAKS FIFTH AVENUE)のクリスマスウィンドーは、映画「アナと雪の女王2(Frozen 2)」がテーマ。ビル全体もイルミネーションで彩られるなど、幻想的で華やかな仕上がりになっている。

 ブルーミングデールズ(BLOOMINGDALE'S)のクリスマスウィンドーはお披露目に歌手のジョン・レジェンド(John Legend)が登場し、若者たちの合唱やパフォーマンスなども行われた。人類の月面着陸から50年を数える今年のテーマは“Out of This World”(この世界の外へ)。ディスプレーで宇宙旅行を表現した。

 毎年気合の入ったウィンドーディスプレーが有名な百貨店、バーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)では、アーティスティックな雰囲気の動物園やピンボール、お洒落なチェスなど、細部にこだわった素晴らしい装飾のクリスマスウィンドーが披露されている。

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週末お出かけスポット 村上隆 × 「ドラえもん」新作の展覧会「スーパーフラットドラえもん」などアート5選

 週末にオシャレして出掛けたいスポットをお届け。今週は、村上隆 × 「ドラえもん」新作の展覧会や大友克洋「AKIRA」の展覧会など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(11月30、12月1日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【イベント】

伝説的デザイナーによる“元祖ストリートコラボ” パリのアライア展が語ること

「スター・ウォーズ」の世界を体感 200点以上の衣装や小道具を集めた展覧会を開催

写真家の立木義浩がライカギャラリーで作品展を開催

「カルティエ、時の結晶」展がスタート 意表を突く会場構成と逸品の数々の競演

ガチャガチャカプセルからコーヒー豆!? 遊び心も味わいも満点なセルフカフェを体験

「シャネル」の香水の世界観を堪能できるアフタヌーンティーが登場

ガブリエル・シャネルの伝説に触れる巡回展「マドモアゼル プリヴェ」が東京に

展覧会「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」が東京都現代美術館で開催

写真家の細倉真弓が個展「あたらしい肌」、清澄白河のmumeiで

吉田ユニの大型個展、ラフォーレミュージアムでスタート

「メゾン マルジェラ」がジョン・ガリアーノによるアーティザナルの企画展 恵比寿の店舗をミュージアム化

作品のルーツから仕事術まで 個展開催中の吉田ユニに15の質問/a>

「リモワ」がストリート誌と企画展 過去のアーカイブからアーティストの作品まで/a>

【ポップアップ】

キム・ジョーンズに直撃! 渋谷パルコで発売の「ディオール」 × 「リモワ」

「ヴァレンティノ」メンズと「レッド ヴァレンティノ」がポップアップストア開催

「ポーター」が「ミナ ペルホネン」とコラボしたイベントを開催

島根県が足湯付きのタピオカ店を表参道に限定オープン 「美肌NO.1」を活用して観光促進狙う

山口一郎のDJパフォーマンスにお手頃価格のアイテムも 「モンクレール ジーニアス」の限定ストア「ハウス オブ ジーニアス」がオープン

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3人の若き靴職人が挑戦した「J.M. ウエストン」の交換留学プログラム

 フランスの老舗シューズブランド「J.M. ウエストン(J.M. WESTON)」は2017年から、若き職人の支援を目的に日仏間のインターンシップに取り組んでいる。今年も日本から2人、フランスからも2人の若き職人が参加した。

 日本からの2人(うち1人は、体調不良により途中帰国)は「J.M. ウエストン」の古里フランスのリモージュへ。フランスの2人は来日し、「スコッチグレイン(SCOTCH GRAIN)」を手掛けるヒロカワ製靴と、ビスポーク職人の福田洋平のアトリエで、量産と一点モノという異なる性格を有する靴づくりを学んだ。

 交換留学プログラムを修了したのは、フランスに渡ったリー・センファ(LeeSenghuat)と、来日したジュスティーヌ・ギネスト(Justine Gineste)とララ・センリー(Lara Cenry)の3人。いずれも23〜30歳という、未来ある若者だ。3人に交換留学の感想を聞いた。

ララ・センリー
「日本の職人は、働きすぎよ!!」

 最初は日本に行こうなんて思ってなかったけれど、交換留学は大きなチャンスだと思ったの。言葉の壁は高い。けれど皆、親切に教えてくれるし、靴作りへのパッションは共通だからから続けられた。フランスでは、シューズのデザインを手掛けていたから、ヒロカワ製靴のような工場で働くのは新鮮で、正直、イロイロびっくりした。でも、1日になんども同じ作業を繰り返すと、手が仕事を覚えてくれた。

 スピードは、日本の方が早いのに丁寧。同じグッドイヤー製法でも、フランスは正直適当な部分が多い。でも、日本でのONは丁寧すぎて時間がかかりすぎているかもしれない。そもそも日本の職人は、働きすぎ。いつも笑顔なのは、素敵だけどね(笑)。

ジュスティーヌ・ギネスト
「素敵な乗馬ブーツを作りたい」

 福田さんのアトリエで作ったのは、靴に秋の花が咲き乱れる“フラワーシューズ”。個々のテクニックは知っていたけれど、日本人の作業は本当に丁寧。ゆっくり時間をかけて靴を作ることで、別の価値が生まれることを学んだ。

 こうやって一足一足靴を生み出して行くとしたら、今、私に必要なのはフィニッシングのテクニックかな?将来は、自分のブランドを立ち上げたい。素敵な乗馬ブーツを作るのが夢なの。

リー・センファ
「形あるものを生み出したくて
靴の世界に飛び込んだ」

 IT企業から靴作りの世界に飛び込んだ。形のないモノを扱い続けていたら、形あるものを生み出したくなったのが一番の理由。今年30歳と決して若くないけれど、念願叶って、来年には日本の靴企業で働き始めることが決まってワクワクしている。

 リモージュでは、特別に渡仏前に靴作りを学んでいたイタリアのレザーを使って、ローファーを作らせてもらった。手の脂もシミになってしまいそうな繊細なレザーだから、このローファーは履けない観賞用(笑)。そんなレザーを使って靴を作らせてくれたことに感謝しているし、いつもと異なるレザーでも美しいローファーに仕上がるブランドの技術力に感心した。

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ロングブーツがいよいよ復活! ロングスカートやブーツインで細長シルエットに

 久しぶりにロングブーツが冬シューズの主役に返り咲きそうです。ブームが続いたスニーカーから、ロングブーツに履き替えるだけで、スタイリッシュなムードに様変わり。着丈が長めのジャケットや膝下レングスのロングスカートと組み合わせる“ロング×ロング”の組み合わせが落ち感を際立たせてくれます。

 ロングブーツ復活の火付け役となったのは、2019-20年秋冬パリ・ファッション・ウイークで「セリーヌ(CELINE)」が披露したルックと言えるでしょう。アニマル柄のワンピースに、端正なテーラードジャケットをオン。クールな装いの決め手は足元です。ロングワンピースとロングブーツを交わらせて、ブルジョワシック(淑女・貴族風)な着映えに仕上げました。

 ストリート気分が一段落したこともあって、レディーライクなアイテムが浮上し、スニーカーからの乗り換え先としてロングブーツも再評価された格好です。ヨーロッパブランドから飛び火する形で、日本ブランドからも相次いで提案されています。今回は、すぐに取り入れられる、リアルなロングブーツのスタイリングプランをご紹介します。

◆フェミニンなワンピースに
スパイスを少々

 やわらかい表情を帯びたワンピースとのコーディネートは、ロングブーツのスタイリッシュな持ち味を引き立てます。「アングリッド(UNGRID)」はカーキのワンピースに、明るいブラウン系ロングブーツを合わせました。カラートーンが違っているおかげで、脚が引き締まって見えます。目を引く色をブーツに生かすと、印象的な足元に。ワンピースの裾がアシンメトリー感を加えました。カーディガンを羽織って、全体に落ち感を漂わせています。

 オレンジ系のワンピースに、ベージュ系ロングブーツをマッチさせたのは「ラグナムーン(LAGUNAMOON)」(写真2枚目)。トーンが似通ったコンビネーションは、落ち着いた着映えに導いてくれます。ベージュのロングブーツはまるで生足のようにヌーディーな見え具合。色味の異なるコートもロング丈なので、“ロング×3”の相乗効果でストンとしたシルエットに仕上がりました。

◆薄手スカートとのコンビで
風合いコントラスト

 同系色が響き合う“ワントーン”のコーデは、秋冬らしいシックな装いにまとめられます。「バナーバレット(BANNER BARRETT)」はチョコレートカラーを軸に、上から下まで近い色味でそろえました。シフォン生地のロング丈プリーツスカートと、わずかにトーンが濃いロングブーツでセット。細いプリーツのイメージが効いて、スッキリした印象が強まっています。

 ワントーンのまとめ方とは反対に、スカートとブーツの色や柄をずらす組み合わせ方も使えます。「ミディウミソリッド(MIDIUMISOLID)」(2枚目)はシフォン素材の総柄スカートに、黒いロングブーツを合わせ、質感のコントラストを際立たせました。薄手のシフォンが一段と軽やかに見えるのは、ダークでマットなブーツのおかげ。ゆるっとしたニットトップスも風合い違いのコーデに深みを与えています。

◆パンツをブーツインで
“エエかっこ”レッグに

 パンツルックを一段とすっきり見せる小技に、パンツ裾をブーツに収める“ブーツイン”があります。「エヴリス(EVRIS)」のコーデではブラックパンツとブラウンブーツのバイカラー(2色使い)でレッグラインを強調。パンツのたるみがドレープになってニュアンスを帯びました。量感のたっぷりしたマントを羽織って、ブーツインとのボリューム格差を印象づけています。

 ブーツインの強みであるほっそりイメージを強調するには、ベルトやハーネスも使えます。「スエサダ(SUESADA)」はスキニーパンツの裾をブーツイン。スティックライクな脚を描き出しました。レギンスやスリムジーンズにも応用できるアレンジです。同時に、上半身でもゆったりしたカットソーの上から、ハーネス風にベルトでボディを締めました。トップスとの丈違いレイヤードも縦長イメージを強めています。

 ぬくもりを保ちやすいロングブーツは、冬本番の強力なパートナー。でも、防寒だけではなく、冬ルックのかさばりを遠ざける切り札ピースにもなってくれるのがうれしいところ。ロング丈ウエアと組み合わせるほか、風合いずらし、ブーツインなどのコーデ技を取り入れれば、細長いシルエットが手に入ります。レディーライク、“強い女”風、ロック系など、思い通りの着こなしが割と簡単に決まるから、わがままアレンジの試し甲斐があります。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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萩花が着ける「BABY-G」の上位ライン“G-MS”とは?

 カシオ計算機の「G-SHOCK」の女性版「BABY-G」は、“Gブランド”らしい耐衝撃性はそのままに、サイズやデザインをアレンジしてアクティブな女性たちにアプローチしている。その「BABY-G」の上位ラインが“G-MS(ジーミズ)”だ。今季は元人気グループのメンバーの萩花をモデルに起用し、SNSでも話題だ。クリスマス商戦にはダイヤモンド付き限定モデルを発売して、「BABY-G」25周年の2019年を締めくくる。

ギフトにぴったりの
ダイヤモンド付きモデル

 「BABY-G」は25周年の今年、9種類のアニバーサリーモデルを発売。“MSG-W325CGD-1AJR”はその掉尾を飾るものだ。最大の特徴は、12・6・9時位置にセットしたダイヤモンド。イエローゴールドのIP加工を施したステンレススチールケースを、軽量化にも貢献する樹脂バンドの黒が引き締める。“最も硬い貴石”であるダイヤモンドは、“Gブランド”の“壊れにくい”というスピリットにふさわしい。ダイヤモンド柄をデザインしたスペシャルパッケージもギフトムードを高める。カシオ計算機の上間卓・時計プロモーション部部長は、「日常からバケーションまでさまざまなシーンにフィットする“G-MS”は、気取らない贈り物としても人気。“いつまでも壊れない愛”というイメージから、ペアでの購入も増えている」と言う。

上品さとタフネスを併せ持つ
大人ラインの“G-MS”

  “大人の女性に向けた洗練”を標ぼうする“G-MS”は1998年に誕生。上間部長は、「働く女性のための『BABY-G』という位置づけでファンを増やしてきた」と振り返る。2019年秋冬の新作の特徴は、1.小型・軽量化、2.アナログ秒針による視認性の向上、3.耐衝撃構造と10気圧防水が生むタフネス、4.電波ソーラーによる高精度の4つだ。

 小型・軽量化は、見た目のエレガンスを大きく特徴づける。ケース幅は38.4㎜から34.4㎜、ケース厚も12.2㎜から10.8㎜に改良した。重量も67gから50gに軽量化し、着用感もアップした。それでも“Gブランド”らしさを失わないのは、幅広のベゼルやシャープな形状などのデザインコードを踏襲しているためだ。
※大きさと重さは18年と19年のメイン商材を比較

 視認性については、液晶デジタルの秒表示が大半だった“G-MS”に久しぶりにアナログ秒針を備えた。「“G-MS”ユーザーの声に応える形で生まれたディテールだ。看護師やCAなど秒単位の視認性が求められる職業の女性や、小さな子どもを持つ主婦にも好評」だという。

 タフネスと精度は、“Gブランド”のDNA。大人の女性の着用を意識しながら、「機能面に一切の妥協はない」。10気圧防水はスキンダイビングやサーフィンなどにも対応し、上間部長は「落としたり、ぶつけたりしても壊れにくい当社独自の耐衝撃構造は、年末年始の旅行にも最適」と太鼓判を押す。さらに「日本と中国の2拠点で標準電波を受信し、同電波受信エリア内であれば時刻調整は不要。太陽光はもちろん、蛍光灯などのわずかな光も動力にするタフソーラーは、忙しい現代女性のニーズにも合っている」と続ける。

“G-MS”限定のギフトキャンペーン

 11月30日から“G-MS”キャンペーン実施店舗で、特製ギフトショッパーが用意され、“G-MS”購入者にプレゼントされる。リボンのカラーは2種類。キャンペーンはショッパーがなくなり次第終了となる。

※主なキャンペーン実施店舗
・タイムステーションNEO
・ザ・クロックハウス
・タイムタイム
キャンペーン実施の有無は店舗に問い合わせください

萩花が出演するスペシャルムービー

 今季のモデルには、同世代の女性から人気の高い萩花を起用した。萩花は“G-MS”の新作について、「以前はパフォーマンス中心の生活で、時計を着ける機会はそれほどなかったけれど、上品な時計の似合う女性への憧れがずっとあった。“G-MS”は衝撃に強く防水性も高いうえ、スタイリッシュで女性らしい。アクティブな女性に、ファッションの一部として楽しんでほしい」と話す。

TEXT : MASASHI TAKAMURA

問い合わせ先
カシオ計算機 お客様相談室
03-5334-4869

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。 連載Vol.14 コンサルが語るESG投資台頭の背景とESG経営の重要性

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探る。今回はPwCサステナビリティの磯貝友紀パートナーに、ESG(Environment・環境、Social・社会、Governance・ガバナンス)投資の盛り上がりとESG経営がますます重要性を帯びる理由を聞いた。

「短期的な利益だけを追い求める
会社は短期に死に絶えていくと
考える人が増えた」

―企業経営や事業のサステナビリティ(持続可能性)を評価して投資をする「ESG投資」に注目が集まっている。その背景とは?

磯貝友紀パートナー(以下、磯貝):ESG投資はサステナビリティ投資、責任投資などいろいろな呼び方があるが、「社会や環境に配慮した事業が長期的には勝つ」ことを信じる投資家が増え、短期的な利益だけを追い求めていく会社は短期に死に絶えていくと考える人が増えているからだ。ESG投資は環境や社会に配慮した企業にお金を流していく動きで、世界的に大きく動いている。2016年にJBIC(ジェイビック=国際協力銀行)とグローバルのサステナビリティ・ファイナンスに関する調査を実施したが、最初にサステナビリティ投資に動いたのは巨大な富裕層で、次に巨大な年金基金や学校の基金、たとえばハーバード大学(Harvard University)の基金など。その後に一般の投資家や個人という広がり方だった。なぜ最初に動いたのが超富裕層だったのか。1つは、自分たちのお金を子孫が代々継いでいくので長期的な運用という目線が非常に強いためだ。もう1つは自分たちが豊かになり社会に対する意識が高まった、という2つの側面がある。日本は15年のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のPRI(国連責任投資原則)署名をきっかけに、ESG投資に大きく動き出した。

―なぜこれほどまでにESG経営、ESG投資の重要性が高まっているのか?

磯貝:危機が本当に迫っているからだ。いろいろなビジネス業界を巡り、「GPIFが署名したからアセットマネジャーが動き始めた」などといった小さなドライバーは個別にたくさんあるが、長期的に見たときに一番根底にある大きなトレンドに対する危機感が強まっているからだ。人口の急増も大きな要因だ。2050年に向けて100億人になるといわれているが、「今のままでは全然資源が足りない」「ビジネス・アズ・ユージュアル(従来通りのやり方)では持たない」という考えが強まり、とくに欧州の経営層を中心に本当に危機感が高まっている。

―サステナビリティやESGに対して、海外のラグジュアリー企業やアパレル・小売業のほうが進んでいるが、日本企業の現状をどうとらえている?

磯貝:多くの日本の小売企業・ファッション企業が、「ヨーロッパほどサステナブルを意識したレスポンシブル・コンシューマーはいないのではないか」「だから日本ではそこまで対応する必要がないのではないか」「お客さまに響かないんじゃないか」と思っているようだが、それは間違いだ。ただ、サステナビリティに対するコンシューマーの意識、とくにミレニアル世代以降の若い人たちの意識を日本単体できちんと調査したリポートがまだない状態だ。そこで当社は、コンシューマーの意識調査をお客さま企業何社かと一緒に行う計画をしている。世界に比べたら割合は低いかもしれないが、若い世代ほど意識は高まっているはず。今後、経年でどう変化していくのかにも注目したい。12月に着手し、来年の3月までには公開する予定なので、ぜひ皆さんのお役に立てていただければと思う。

―ファッション・アパレル系企業のESG経営や取り組みについて思うことは?

磯貝:個人的な見解だが、今は暮らし方が大きく変わっていく転換期だ。これまでのファッションは、次々と新しい流行を生み出し、まだ着られるものがあっても、「かっこいいから次のものを買う」というような、どんどん入れ替えてどんどん買わせることがビジネスの中心にあったと思う。けれどもこれからはそういう価値観を持たない層が出てくる可能性がある。「よりいいもの」、つまり、「環境にも社会にもよくてとても質のいいものを数点所有し、それを長く使うのがいい」という層が出てくると思う。その層にどう応えていくのか。逆に、どんどん売り続けていくならば、「どう環境負荷を減らしたものを提供し、環境負荷をゼロに近づけるか」を真剣に考えるべき。「長く着られる質のいいものを少なく提供する」か、「環境負荷を減らしたものを提供していく」のか――流れは2つありそうだ。

「“リーダーシップ”と
“一貫性”が重要」

―ESG経営がうまくいっている企業の傾向や特筆ポイントは?

磯貝:共通項として強く感じるのは、“リーダーシップ”と“一貫性”だ。ポイントでいい取り組みをやっている企業はあるし、むしろいい取り組みをしていない会社はない。でもポイントだけではダメ。リーダーが「本気でやらないといけない」と理解して、全社の取り組みを全てその方向にもっていくことが重要だ。経営の意思決定時に相反するものから答えを出さなければならないことは往々にしてある。環境問題と売り上げやコストなどいろいろあるが、そこで目先の利益を選んでしまったらせっかくのよいメッセージも空虚なものになり、スタッフは「あれはあれ、これはこれ。通常のビジネス判断はコスト優先でやっていくんだな」と受け取ってしまう。ESG経営では、環境配慮とコストなど相反するものを両立させるためにはどうすべきか考え、そのためのイノベーションを起こすことが重要だ。トップの意識が変わり、会社の隅々にまで浸透するには3~5年はかかるし、時間がかかるが、そこに経営者がどれだけ本質的に、そして本気でコミットしているのかが大事だと思う。

「社会構造の変化は
消費者の変化。それを
経営者がどれだけ理解するか」

―上場企業はもちろんだが、非上場企業も取り組んでいくべき?

磯貝:非上場企業は外圧が少ないだろうが、非上場だからこそ長期的に考えて、自分たちの課題は何なのか、そこにどう投資していくのか――など、もっとやれることがたくさんあると思う。社会構造の変化は、イコール、消費者の変化。それを経営者がどれだけ理解し、どういう時間軸で、どう応えていくのか、どういうブランドをつくっていくのか。それを考える必要があるのは、上場企業も非上場企業も変わらないと思う。

―ESGは情報開示も重要な事項だ。報告書やリポート、「EP&L(環境損益計算)」など、どこから手をつけていいのかわからないという企業も多い。

磯貝:負担も大きいので、まず本当に答えるべき格付け会社かどうかを見極め、自分たちの投資家がどの格付けを見ているのかを考えなければいけない。格付け会社よりも、実は長期的な投資家に対して個別に関わっていくほうがよっぽど効率的かもしれない。彼らが何を考えているのか、何を求めているのかをきちんと経営に取り入れ、定期的にコミュニケーションをとっていけばよいのではないかと思う。サステナビリティの分散している情報を整理・開示するプロセスやその工程表などについては、われわれのようなコンサルタントに依頼していただくのが一番早くて、むしろ安上がりだと思う。本質的に何が重要か、機関投資家側にも事業側にもサービスを提供し、両者にどういうミスコミュニケーション(食い違い)があるのか分かっているのも強みだ。ぜひ相談に来てほしい。

―理解を深めるために参考になるセミナーや書籍などがあれば教えてほしい。

磯貝:サステナビリティについて書かれたものを読むよりも、むしろ社会学や哲学などを学んだほうがいいかも。示唆に富んでいたのはマルケス・ガブリエルだ(1980年生まれのドイツの哲学者。代表著書は「なぜ世界は存在しないのか」。新実在論を提唱)。最近の若い人たちの社会主義化が進んでいるのはなぜなのか、といったことを理解するほうが大事だと思う。また、手前みそだが、私たちが主催している会員制のフォーラム「ストラテジック・サステナビリティ&イノベーション・フォーラム」はおすすめだ。5年前に開始したが、海外から毎回スピーカーを呼んで、会員の日本の経営者の人たちが本質的な問題に向き合う場を、サステナビリティやESGといった意識がなかったころから先進的に提供してきた。CEOの会を立ち上げる予定もある。サステナビリティはCEOが旗振りをしてトップのリーダーシップで変えていかないと進めない分野。ヨーロッパと日本との大きな違いは、経営者の理解と納得の度合いだ。また、サステナビリティは1社でやることと、業界でやること、業界や産業を超えて取り組むべきことなどがある。ファッション業界でもグループができて、産業全体で取り組めるとよいと思う。

松下久美:ファッション週刊紙「WWDジャパン」のデスク、シニアエディター、「日本繊維新聞」の小売り・流通記者として、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)

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「企業理念と一緒に成長してきました」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.3『アナタは自社ロゴを身にまとえるか?』

読み解きポイント「企業理念と自分のライフプランは隣り合わせ」

ニュースのポイント

 「アナタはなぜ、今の会社で働いているの?」この質問につまらず答えられる業界人はどれだけいるだろうか。テック系やベンチャー企業などは自社のプロダクトやサービスで実現したい社会を明確に描けていて、それに基づいた企業理念を必ず簡潔に掲げている。一方ファッション企業はというと、サイトを見ても企業理念がすぐわかるような設計にはなっておらず、存在しないところすらある。IT企業が作る自社ロゴ入りのグッズを「ダサい」と笑うのは大きな間違いで、彼らは企業理念に惚れ込み、身にまとうことを積極的に選んでいるのだ。

AZUはこう読む!

 はい、確かにうちにもキャッチコピーが存在します。「未来の購買体験を創造する Create Future Shopping Experience」という分かりやすい言葉で表現しており、自社プロダクトに携わる時は必ず思い出すようにしています。「いまやろうとしていることはユーザー中心に考えた設計になっているか?」「買い物をより楽しく、便利に、今までなかったような体験を作れているか?」と、単純な一文からだけでも、仕事における行動指針を作り出せています。ざっくりとしているからこそ、応用が利いて良いのです。

 思い返せば新卒で入社したセレクトショップもそうでした。フランス留学から帰国してぼんやりと「日本ブランドを世界に発信するお手伝いがしたい」と思っていた私にとって、ドンズバに刺さる企業理念を掲げていたから入社を決めました。旧渋谷パルコをふらふらと歩いていた時、そのショップの壁面に大きく掲げられたその文に惚れ込み「絶対ここだ!」と思うほどビビビと来てしまって、面接は他を受けなかったくらいです。面接開始時間になぜか駅のホームにいたり、パリコレの日程と被っているからとパスしたり、単純に他を受け損ねたということもありますが(笑)。

 自分が何をしたくてその会社を選んだのか。会社が目指す方向と自分が作りたい未来は一致しているか。大企業の10倍速くらいで会社が変化していくベンチャー企業だからこそ、常にそういったことを考えながら、目の前にある仕事と自分のライフプランを隣り合わせにして生きてきました。自分で言うのはだいぶおこがましいですが、明確な企業理念があると、それに沿った考えで、良い意味で会社を利用して一緒に成長しようという意欲のある人材が集まります。ベンチャーの持つ独特の勢いとか、謎の自信(笑)といった空気感は、そうした個人のマインドから生まれていると思うのです。生きていくために仕事をするのではなく、仕事をするために生きていきたいので、会社が私を選んだのではなく、私が会社を選んだのだ、という姿勢は常に保っておきたいところです。

 ちなみに私のお気に入り企業ロゴアイテムはTwitterのマグカップとボールペンです。以前老舗のショップを取材した時にそのペンを出したら「ショボいペン使ってるとその程度だと思われるよ。ちゃんとした高いペンを使わないと」というありがたいお言葉をいただいたのですが、個人的には1万円の万年筆よりTwitterのロゴ入りボールペンの方が話のネタになると思っているので右から左へ聞き流しました。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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まだ、あなたが知らないニューヨーク最新トレンド 「ヴィクトリアズ・シークレット」にみる、ダイバーシティー時代の勝敗

 ニューヨークに拠点を置くクリエイティブエージェンシー兼コンサルティング会社のスタジオハンサム(STUDIO HANDSOME)による新連載“You’d Better Be Handsome”がスタート。

 名物クリエイティブディレクター、メイ(May)と、仕事仲間でファッションエディターのスティービー(Stevie)が、月1、2回お気に入りのレストランでランチをしながら、ニューヨークのトレンドやニュース、そして新常識についてトークを繰り広げ、ときにゲストを交えて、 最近聞いたことや見たあれこれについて語り合う。連載タイトル“You’d Better Be Handsome”にもなっている“ハンサム”とは、見た目はもちろん、洗練されたテイストがあること、丁寧に心を込めて作られていることを指す。初回はファッション業界の未来がかかっている、ダイバーシティーについてトークが盛り上がった。

 すでに雪が散らつくニューヨーク。今月は、「バルタザール(BALTHAZAR)」のシェフが昨年オープンし、すでにトライベッカの名店となったレストラン「フレンチェッテ(FRENCHETTE)」でランチ。メインのほか、ナチュラルワインとチョコレートムース、そしてエスプレッソが付く“ロケット”ランチセットがおすすめ。FRENCHETTE, 241 West Broadway, 212.334.3883

メイ:オープンから1年ちょっと過ぎて、ようやく普通に予約が入れられるようになってきたよね。

スティービー:新しい店もたまにはいいけど、間違いがない店というのが少ないニューヨークで「フレンチェッテ」は大事な一軒。メイのオフィスからも近いしね。

メイ:ファッション・ウイークのときは、「WWDジャパン」のチームともここでディナーをしたよね。みんなでがっつり食べたステーキも何もかもがパーフェクトだった。

スティービー:でもオススメは、“ダックコンフィ”がメインのときの“ロケット”ランチセットだけど。

メイ:ところで最近、本当にダイバーシティーに関する価値観が変わってきているなぁって実感することが多いけど、なかでもランジェリーブランド「ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA'S SECRET以下、VS)」のイメージ急降下には驚かされるよね。

スティービー:細い白人モデルを中心とする、今となっては偏った“美しさ”を追求したのが長過ぎて、ダイバーシティーの時代に完全に乗り遅れてしまった感じ。つい先日、定例のショーを中止することを決定したね。例の派手なショーをテレビ放映しないだけでも大きなニュースだったのに。

メイ:スタジオハンサムでも、「VS」のランウエイに出ているモデルをランジェリーキャンペーンで過去に何度か起用しているけれど、年々“エンジェル”の格が落ちていくのを感じる。

スティービー:「VS」エンジェルは、他のランジェリーブランドのモデルはできないんじゃなかったっけ?

メイ:これまではそうだったけど、「VS」の社会的位置付けが危ういので、モデルエージェントはアジアや南米など異なるテリトリーの契約は維持しようということらしい。「VS」は絶対的だった時代もあるのにね。

スティービー:最近はアジアやヨーロッパでショーをやっていたから行けてないけど、過去の「VS」のショーにはリアーナ(Rihanna)やジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)、テイラー・スウィフト(Taylor Swift)らの豪華なエンターテインメント付きだったから、あれがなくなるのも寂しいけど。

メイ:ニューヨークの秋の風物詩だったからね(笑)。あのチケットを入手するために、大金を払った人々の話とかもよく聞いたよね。

スティービー:そんな時代もあったってことだね。今回のニューヨーク・ファッション・ウイークも、ダイバーシティーを体現するようなショーが目立った。ハーレムのアポロシアターで開催された「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」のランウエイはほぼ全員が黒人モデルだったし、堂々としたプラスサイズモデルも数名出ていたのが印象的。

メイ:ニューヨークのトップモデルエージェンシー、IMGのホームページも、最近大々的にリニューアルされているのに気づいた?プラスサイズモデルも増えているけれど、彼女たちは別枠ではなくWOMENのセクションにミックスされて並んでいる。黒人モデルも豊富にそろっているし、その堂々とした感じがクール。

スティービー:エディトリアルの撮影のときも、フォトグラファーやスタイリストも意識的に個性的なモデル、いわゆるきれいな白人モデルじゃないモデルを起用しようとしている。これは気のせいじゃなくて本当に実感しているよ。「バレンシアガ(BALENCIAGA)」がその先駆者。年齢の枠も広がっている。

メイ:需要に合わせて供給が増えているってことか。

スティービー:ダイバーシティーって皮膚の色だけの話じゃなくて、 セクシャリティーの枠にまで及んでいる。 そういえば、「VS」の広告にもとうとうトランスジェンダーやプラスサイズが出ることになったようで。

メイ:遅過ぎる気もするけど。行動しないと、責められる一方だからね。

スティービー:それとドラァグクイーンの位置付けも急上昇中。今回のショーで確信したけど、いまどきドラァグクイーンをフロントローに呼ばないショーはない。「シャネル(CHANEL)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「ディオール(DIOR)」といったビッグメゾンも例外じゃなかった。

メイ:もうメインストリーム、という位置付け。

スティービー:ファッションやビューティのキャンペーンにもドラァグクイーンが起用されているのは日常的。彼女たちの美意識からは学ぶものは多いから。

メイ:実際に今のティーンエイジャーなんて、地方の子たちもドラァグクイーンのチュートリアル(動画)を見てメイクを練習しているからね。例えばユーチューバーのジェフリー・スター(Jeffree Star)も、化粧品メーカーがどうやっても売れないような数のプロダクトを一瞬にして売ってしまうほどの人気だし。YouTubeからの収入を合わせると年間200億円以上はあるらしい。

スティービー:そういえば、「VOGUE.COM」の人気ビデオシリーズ、“Beauty Secrets”にも、ルポール(RePaul)をはじめとするドラァグクイーンの大スターたちが登場しているよね。

メイ:最近ドラァグクイーンのようになっているマーク・ジェイコブス(Marc Jcobs)も出てた!

スティービー:本来の自分を出して、自由に生きる。個性の多様化もここまでくると、トレンドを読むのがますます難しくなっていくのかな。

メイ/クリエイティブディレクター:ファッションやビューティの広告キャンペーンやブランドコンサルティングを手掛ける。トップクリエイティブエージェンシーで経験を積んだ後、独立。自分のエージェンシーを経営する。仕事で海外、特にアジアに頻繁に足を運ぶ。オフィスから徒歩3分、トライベッカのロフトに暮らす

スティービー/ファッションエディター:アメリカを代表する某ファッション誌の有名編集長のもとでキャリアをスタート。ファッションおよびビューティエディトリアルのディレクションを行うほか、広告キャンペーンにも積極的に参加。10年前にチェルシーを引き上げ、現在はブルックリンのフォートグリーン在住

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まだ、あなたが知らないニューヨーク最新トレンド 「ヴィクトリアズ・シークレット」にみる、ダイバーシティー時代の勝敗

 ニューヨークに拠点を置くクリエイティブエージェンシー兼コンサルティング会社のスタジオハンサム(STUDIO HANDSOME)による新連載“You’d Better Be Handsome”がスタート。

 名物クリエイティブディレクター、メイ(May)と、仕事仲間でファッションエディターのスティービー(Stevie)が、月1、2回お気に入りのレストランでランチをしながら、ニューヨークのトレンドやニュース、そして新常識についてトークを繰り広げ、ときにゲストを交えて、 最近聞いたことや見たあれこれについて語り合う。連載タイトル“You’d Better Be Handsome”にもなっている“ハンサム”とは、見た目はもちろん、洗練されたテイストがあること、丁寧に心を込めて作られていることを指す。初回はファッション業界の未来がかかっている、ダイバーシティーについてトークが盛り上がった。

 すでに雪が散らつくニューヨーク。今月は、「バルタザール(BALTHAZAR)」のシェフが昨年オープンし、すでにトライベッカの名店となったレストラン「フレンチェッテ(FRENCHETTE)」でランチ。メインのほか、ナチュラルワインとチョコレートムース、そしてエスプレッソが付く“ロケット”ランチセットがおすすめ。FRENCHETTE, 241 West Broadway, 212.334.3883

メイ:オープンから1年ちょっと過ぎて、ようやく普通に予約が入れられるようになってきたよね。

スティービー:新しい店もたまにはいいけど、間違いがない店というのが少ないニューヨークで「フレンチェッテ」は大事な一軒。メイのオフィスからも近いしね。

メイ:ファッション・ウイークのときは、「WWDジャパン」のチームともここでディナーをしたよね。みんなでがっつり食べたステーキも何もかもがパーフェクトだった。

スティービー:でもオススメは、“ダックコンフィ”がメインのときの“ロケット”ランチセットだけど。

メイ:ところで最近、本当にダイバーシティーに関する価値観が変わってきているなぁって実感することが多いけど、なかでもランジェリーブランド「ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA'S SECRET以下、VS)」のイメージ急降下には驚かされるよね。

スティービー:細い白人モデルを中心とする、今となっては偏った“美しさ”を追求したのが長過ぎて、ダイバーシティーの時代に完全に乗り遅れてしまった感じ。つい先日、定例のショーを中止することを決定したね。例の派手なショーをテレビ放映しないだけでも大きなニュースだったのに。

メイ:スタジオハンサムでも、「VS」のランウエイに出ているモデルをランジェリーキャンペーンで過去に何度か起用しているけれど、年々“エンジェル”の格が落ちていくのを感じる。

スティービー:「VS」エンジェルは、他のランジェリーブランドのモデルはできないんじゃなかったっけ?

メイ:これまではそうだったけど、「VS」の社会的位置付けが危ういので、モデルエージェントはアジアや南米など異なるテリトリーの契約は維持しようということらしい。「VS」は絶対的だった時代もあるのにね。

スティービー:最近はアジアやヨーロッパでショーをやっていたから行けてないけど、過去の「VS」のショーにはリアーナ(Rihanna)やジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)、テイラー・スウィフト(Taylor Swift)らの豪華なエンターテインメント付きだったから、あれがなくなるのも寂しいけど。

メイ:ニューヨークの秋の風物詩だったからね(笑)。あのチケットを入手するために、大金を払った人々の話とかもよく聞いたよね。

スティービー:そんな時代もあったってことだね。今回のニューヨーク・ファッション・ウイークも、ダイバーシティーを体現するようなショーが目立った。ハーレムのアポロシアターで開催された「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」のランウエイはほぼ全員が黒人モデルだったし、堂々としたプラスサイズモデルも数名出ていたのが印象的。

メイ:ニューヨークのトップモデルエージェンシー、IMGのホームページも、最近大々的にリニューアルされているのに気づいた?プラスサイズモデルも増えているけれど、彼女たちは別枠ではなくWOMENのセクションにミックスされて並んでいる。黒人モデルも豊富にそろっているし、その堂々とした感じがクール。

スティービー:エディトリアルの撮影のときも、フォトグラファーやスタイリストも意識的に個性的なモデル、いわゆるきれいな白人モデルじゃないモデルを起用しようとしている。これは気のせいじゃなくて本当に実感しているよ。「バレンシアガ(BALENCIAGA)」がその先駆者。年齢の枠も広がっている。

メイ:需要に合わせて供給が増えているってことか。

スティービー:ダイバーシティーって皮膚の色だけの話じゃなくて、 セクシャリティーの枠にまで及んでいる。 そういえば、「VS」の広告にもとうとうトランスジェンダーやプラスサイズが出ることになったようで。

メイ:遅過ぎる気もするけど。行動しないと、責められる一方だからね。

スティービー:それとドラァグクイーンの位置付けも急上昇中。今回のショーで確信したけど、いまどきドラァグクイーンをフロントローに呼ばないショーはない。「シャネル(CHANEL)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「ディオール(DIOR)」といったビッグメゾンも例外じゃなかった。

メイ:もうメインストリーム、という位置付け。

スティービー:ファッションやビューティのキャンペーンにもドラァグクイーンが起用されているのは日常的。彼女たちの美意識からは学ぶものは多いから。

メイ:実際に今のティーンエイジャーなんて、地方の子たちもドラァグクイーンのチュートリアル(動画)を見てメイクを練習しているからね。例えばユーチューバーのジェフリー・スター(Jeffree Star)も、化粧品メーカーがどうやっても売れないような数のプロダクトを一瞬にして売ってしまうほどの人気だし。YouTubeからの収入を合わせると年間200億円以上はあるらしい。

スティービー:そういえば、「VOGUE.COM」の人気ビデオシリーズ、“Beauty Secrets”にも、ルポール(RePaul)をはじめとするドラァグクイーンの大スターたちが登場しているよね。

メイ:最近ドラァグクイーンのようになっているマーク・ジェイコブス(Marc Jcobs)も出てた!

スティービー:本来の自分を出して、自由に生きる。個性の多様化もここまでくると、トレンドを読むのがますます難しくなっていくのかな。

メイ/クリエイティブディレクター:ファッションやビューティの広告キャンペーンやブランドコンサルティングを手掛ける。トップクリエイティブエージェンシーで経験を積んだ後、独立。自分のエージェンシーを経営する。仕事で海外、特にアジアに頻繁に足を運ぶ。オフィスから徒歩3分、トライベッカのロフトに暮らす

スティービー/ファッションエディター:アメリカを代表する某ファッション誌の有名編集長のもとでキャリアをスタート。ファッションおよびビューティエディトリアルのディレクションを行うほか、広告キャンペーンにも積極的に参加。10年前にチェルシーを引き上げ、現在はブルックリンのフォートグリーン在住

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スマート体型がサカゼンで買い物⁉︎ エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月16日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

スマート体型がサカゼンで買い物⁉︎

 舞台は伊勢丹新宿本店メンズ館。モードのメッカではありますが、その中では比較的地味な印象の7階、ビッグサイズフロアのお話をさせていただこうと思います。

 ビッグサイズフロア、正直、無縁です。身長166cmという“リリパッド族”の僕には、正直敷居も高く、改装後のメンズ館は上層階も面白くなりましたが、それでもこのフロアはスルーでした。しかし、それでも売り場があったということは、僕とは正反対の、ロイヤリティーの高いお客さんもいらっしゃるということ。実際ビッグサイズは外商の次くらいに、特定のお客様に強く強く愛されているフロアであり、ビジネスなんだそうです。

 聞くと、彼は普通体型ながらビッグサイズフロアで洋服を買い、昨今のオーバーサイズブームを楽しんでいるというのです。

 マジで⁉︎斬新!

 いや、僕だってこのブームにはハマっていて、最近買うのは“リリパッド族”ながらMやLサイズも多数。「ユニクロ(UNIQLO)」と「エンジニアド ガーメンツ(ENGINEERED GARMENTS)」のコラボでは3XLのポロシャツをポチりましたが、ビッグサイズフロアまでは考えが及びませんでした。さすが伊勢丹バイヤー。自店を上手に使ってらっしゃる(笑)。

 「コレは面白い」と思って翌日、たまたま通りかかったサカゼンで店員さんに話を聞いてみると、「Tシャツやポロシャツは、細い人も買っていきますよ。今、流行ってるんですよね?」と言います。あ、みんなやってんのね。早っ!

 消費者の創意工夫、素晴らしいですね。この話を聞いて、改めて「ヤングとか、ミセスとか分ける売り場って、もうダメなんだろうな」とか「精度の高い計測が、オールマイティーでもないんだろうな」と思ったのでした。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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小島健輔リポート 「アメリカンイーグル」も撤退 外資アパレルチェーンが消えていく

 ファッションビジネスのコンサルタントとして業界をリードする小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。紳士服大手の青山商事はこのほど「アメリカンイーグル」の事業終了を発表した。相次ぐ低価格の欧米カジュアルブランドの撤退の背景は何か。

 10月末で全14店舗を閉めて撤退した「フォーエバー21(FOREVER21)」に続き、「アメリカンイーグル アウトフッターズ(AMERICAN EAGLE OUTFITTERS)」まで年内に全33店を閉めて撤退すると発表されるに及び、外資アパレルチェーンが出店している商業施設デベロッパーは少なからず衝撃を受けている。撤退しないまでも不採算店舗の閉店を計画しているチェーンは少なからず、外資アパレルチェーンは総崩れの状況を呈している。

米国AEO社への事業譲渡ならず事業清算へ

 青山商事が米国アメリカンイーグルアウトフィッターズ社(AEO社)とのフランチャイズ契約を2022年2月の期限を待たず解消して「アメリカンイーグル」事業から撤退することは6月7日には発表されていたが、その段階では米国AEO社への事業譲渡交渉が進展していて、主力店舗は営業を継続するとみられていた。それが11月8日の発表では一転して全33店を閉店することになった。以下に「アメリカンイーグル」事業撤退に関わる特別損失を開示した青山商事のプレスリリースを掲示する。

日本におけるアメリカンイーグル事業について、当社連結子会社である(株)イーグルリテイリング は、2019年12月末日をもって事業を終了する予定でありますが、現在、米国 American Eagle Outfitters, Inc.との間で、2019年6月7日付「連結子会社の事業譲渡検討等に係る基本合意書締結に関するお知らせ」にてお知らせいたしましたとおり、事業譲渡にむけての交渉を進めております。
交渉の過程で、一部譲渡予定であった店舗の譲渡が見込めなくなったこと(EC事業については譲渡予定)などにより、2020年3月期第2四半期累計期間の連結業績に、事業整理損失69億98百万円(内56億22百万円は第1四半期会計期間に計上済)を計上いたしました。
あわせて、2020年3月期通期の個別業績に、上記事業整理損失に関連投資不動産の減損損失等を加えた78億90百万円を特別損失として計上する見込みとなりましたのでお知らせいたします。
なお、事業譲渡にむけての交渉は継続中であり、内容が確定し開示が必要な場合には、改めてお知 らせいたします。

 2010年に青山商事90%、住金物産(現・日鉄物産)10%の合弁で設立したイーグルリテイリングが米AEO社のフランチャイジーとなり、12年4月に東急プラザ表参道原宿の明治通り路面に「アメリカンイーグル」1号店を開設した。ピーク時の17年3月期には34店舗を展開して148億円を売り上げても営業損益は15億円の赤字で、国内カジュアルチェーンとの競合で18年3月期には既存店売上が2ケタ減に陥った。19年3月期も既存店売り上げが89.8%と低迷し、売り上げが123億円まで減少して営業損益で13億円の赤字を計上していた。

 青山商事が17年3月期にイーグルリテイリングの株式評価損8900万円、同社への貸付金貸し倒れ引当金37億2100万円、計38億1000万円の特別損失を計上した段階で撤退は時間の問題とみられていたが、米国AEO社への事業譲渡を含め、損失を最小化する撤退方法が模索されていたようだ。

 米国AEO社への事業譲渡交渉が行き詰まって全店閉鎖に追い込まれ、もはやこれまでと20年3月中間期に69億9800万円、20年2月期通期では78億9000万円の特別損失を計上することになったが、17年3月期に計上した特別損失とこれまでの累積赤字を合わせれば170億円近い資本が浪費されたことになる。

なぜ「アメリカンイーグル」は
日本市場に根付かなかったのか

 「アメリカンイーグル」が販売不振で撤退することになった要因はさまざまな関係者が指摘しているが、共通しているのは「ユニクロの壁」と「アメカジの時代ずれ」だろう。

 「ユニクロ(UNIQLO)」の品質と価格がデフェクトスタンダードとなって久しいわが国のカジュアル市場では、その水準に届かない外資ブランドが市場に根付くのは難しく、「アメリカンイーグル」の薄っぺらい品質感とそれに比しての割高な価格は到底、通用しなかった。米国ではキャンパスインナー&ルームウエアブランド「エアリー(AERIE)」の人気もあって、本家「アメリカンイーグル」は好調を継続しているが、アスレカジュアルのゆる抜けたウエアリングが一般化して「ワークマンプラス(WORKMAN PLUS)」がブレイクする高感度なわが国カジュアル市場では、「アメリカンイーグル」のふた昔も前の古典的な「アメカジ」が受け入れられるはずもなかった。それは前世紀の古びた「ジーンズとアメカジ」に固執する「ライトオン(RIGHT-ON)」の絶不調を見ても明らかだ。

 加えて、米国AEO社のフランチャイズ展開ゆえシーズンMD展開が日本市場と噛み合わず、日本市場独自のゆる抜けたフィットに対応できなかったことも業績の足を引っ張った。せめてディスプレイだけでも今風なゆる抜けスタイリングを表現できていれば、もう少しは顧客を惹きつけられたのではないか。同じジーンズショップでも、古典的なフィットの「ライトオン」と今風にゆる抜けたフィットの「ボーンフリー(BORN FREE)」では天と地ほどの鮮度感の差がある。

 少子高齢化による社会負担増と経済の停滞、女性の社会戦力化で“お洒落文化”が衰退しTPOが崩れて衣料消費が萎縮していくわが国だが、それに逆比例するように消費者の着こなし着崩し感度は加速度的に進化している。そんな日本市場でグローバル一律なスタイリングを押し付ける外資アパレルチェーンが売り上げを伸ばすのは極めて困難で、生き残ることさえ難しくなっている。

外資アパレルチェーンは風前の灯

 リーマンショックから数年間は一世を風靡した外資アパレルチェーンも一転して逆風にさらされ、閉店や撤退が相次いでいる。

 外資アパレルチェーン主要5社合計の日本国内売り上げは10年の1372億円からピークの15年は2626億円と倍近くに伸びたが、17年1月の「オールドネイビー(OLD NAVY)」全店撤退を契機に減少に転じた。同年5月には「ギャップ(GAP)」が渋谷店を閉店、「フォーエバー21」もららぽーとTOKYO-BAY店、ダイバーシティ東京プラザ店、イオンモールの和歌山店/各務原店を閉め、10月には日本上陸1号店の原宿旗艦店も閉店している。18年7月には「H&M」も同じく日本上陸1号店の銀座店を閉店。19年に入っては5月に「ギャップ」が原宿店を閉店、10月末には「フォーエバー21」が全店を閉めて撤退し、「アメリカンイーグル」も年内で全店を閉めて撤退する。

 まさに雪崩打つような閉店と撤退のラッシュで、19年の主要5社合計の日本国内売り上げはピークの8掛けの2090億円前後まで急落し、20年には残る3社合計で1860億円前後まで落ちると推計される。インディテックス日本法人、H&Mジャパン、ギャップジャパンの外資大手3社を束ねても、伸び悩んでいるとはいえ8730億円(19年8月期)に達する「ユニクロ」国内売り上げの2割強でしかない現実が日本市場の難しさを浮き彫りにしている。

アパレル市場は
ローカル回帰している

 グローバル展開のアパレルチェーンが失速しているのは日本市場に限ったことではない。「ユニクロ」と「ザラ(ZARA)」こそ伸び続けているが「H&M」は15年で頭を打ち、「フォーエバー21」は破綻寸前だ。

 グローバル化がトレンドだったのはリーマンショック対策の過剰資金が途上国に流れて市場化が急進した08〜15年で、16年のブリグジット決定とトランプ当選を契機に世界はローカル回帰と分断に転じ、アパレル消費もローカルに回帰して米国でも日本でもローカルブランドが復調している。日本では苦戦して撤退する米国のローカルアメカジ「アメリカンイーグル」にしても米国では好調だし、日本のローカルギャルカジュアルの“聖地”渋谷109も10年ぶりの活況を呈している。「リーバイス(LEVIS)」の地域別売り上げの推移を見れば、ローカル回帰の流れが克明に解るが、転換点はやはり16年だった。

 世界のアパレル市場はアングロサクソン系とラテン系の欧米市場、ツングース系と漢民族系のアジア市場、勃興しつつあるネグロイド系のアフリカ市場などからなるが、トレンドもともかくフィットが根本的に違う。同じ欧米市場でもアングロサクソン系(「H&M」)とラテン系(「ザラ」)、アジア市場でもツングース系(華北市場)と漢民族系(華南市場)で少なからず異なる。ゆえに、グローバルなアパレルブランドは異なる市場にはローカルフィットで対応しており、一定の売上規模を獲得できないと市場に定着できない。

 わが国にブランドのジャパン社や正規代理店によって欧米から輸入されるアパレル商品の多くはジャパンフィットで別注生産されているが、売上規模の小さなブランドや百貨店の直買付け品はジャパンフィットになっていない。アパレルチェーンでも、本国でエスニックマーケティングに習熟していた「ギャップ」などはジャパンフィット(多分、アジア共通の華南フィット)で対応しているが、欧州系のアパレルチェーンはローカルフィットに消極的だ。

 欧米のトレンドとわが国のトレンドが接近していた08〜15年はそれでも済んだが、日本市場のローカル回帰が強まり、欧米市場とかけ離れたゆる抜けフィットやオーバーサイジングが一般化するに及んで差が大きくなり、日本市場向けのローカル企画やジャパンフィットに取り組まないと売り上げを維持できなくなったのではないか。ローカル化は日本市場だけでなく世界的な潮流だから、各国市場に対応する手間とコストを割けず閉店や撤退を選択するチェーン(当然ブランドも)が続出していると捉えるべきだ。

外資アパレルの撤退は止まらない

 「フォーエバー21」に続く「アメリカンイーグル」の撤退で商業施設デベロッパーは少なからず困惑していると思われるが、外資アパレルチェーンの閉店や撤退はこれで終わりそうもない。

 販売不振に加えてオリンピックを控えたインバウンド需要による繁華街の家賃高騰が旗艦店の採算を圧迫しており、ECシフトによる旗艦店の役割の低下もあって閉店を決断するチェーンが増えている。まだ表面化していないが、すでに定期借家契約更新の断念を申し入れている旗艦店も少なくないと聞く。

 それはお手頃なアパレルチェーンに限らず、日本市場にマッチせずローカルフィット可能な売り上げ規模に届かなかった外資アパレルブランドにも波及するだろう。一握りのスーパーブランドの陰で大多数の外資アパレルブランドは苦戦を強いられており、ジャパン社の採算が取れず代理店流通に回帰したり、不採算店を大規模に整理したり、日本市場に見切りをつけて撤退するブランドが続出するのではないか。商業施設デベロッパーのみならず百貨店も覚悟を決めた方が良いだろう。

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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作品のルーツから仕事術まで 個展開催中の吉田ユニに15の質問

 ラフォーレミュージアム原宿は12月1日まで、アートディレクター吉田ユニの個展を開催中している。5年ぶりとなる今回の個展では、このために制作したキービジュアルをはじめ、ミュージシャンのチャラ(Chara)や星野源のCDジャケット、「装苑」(文化出版局)での連載といった作品に加えて、メーキング映像や実際に使用した小道具も展示。制作の裏側にも触れることができるまたとない機会だ。

 個展の開催に合わせて、展示に込めた思いやイマジネーションの源泉、日々の息抜きまで、15の質問を吉田ユニにぶつけた。

WWD:個展のタイトル「ダイナログ(DINALOG)」の意味は?

吉田ユニ(以下、吉田):“対話”を意味する“ダイアログ”と、手仕事の“アナログ”をかけ合わせた造語です。わたしの作品は実際に手を動かしてアナログに作っていく部分が多いのですが、その中での対話やコミュニケーションから着想しました。

WWD:展示の見どころは?

吉田:ウェブでも見ることができる作品も大きなサイズで展示することで、普段気付けない細かい部分が見える楽しさがあると思います。また、作品の“断面”を見てもらえたらと思い、前回の個展でも好評だったメーキング部分を増やしました。見せる前提で作っていないものもあってちょっと恥ずかしかったのですが、前回すごく喜んでもらえたので。

WWD:今回展示されている作品の中で、記憶に残るエピソードは?

吉田:どの作品も手の込んだものばかりで思い入れがあるのですが、実は生のフルーツを使う作品がなかなか難しいんです。ワコールの「アンフィ フルフル(AMPHI FUL FRU)」のビジュアルではさまざまなフルーツをカットしてランジェリーに見立てたのですが、すぐに切り口が変色してしまうのでスピードが大切。一発勝負の中、美しいバランスを実現するために急いで作業しました。

WWD:多忙な毎日に、ユニークな発想はどこから生まれている?

吉田:実は自分でもわからないところがあって……。意識的にインプットしているというよりは、日々の生活から吸収したものを絞り出しているような感じかもしれません。

WWD:“チャーミングな中に違和感がある”作品のルーツは?

吉田:子どものころに大好きで買ってもらった図鑑や、顕微鏡で見たものの記憶が大きいと思います。図鑑の中の虫や動物、菌類が整然と並ぶ姿や、細密画が美しくて。リアルなものが好きで、歴史や伝記もよく読んでいました。

WWD:仕事中のBGMは?

吉田:AMラジオです。「オードリーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)、「バナナマンのバナナムーンゴールド」(TBSラジオ)、「ハライチのターン!」(同)などが好き。「爆笑問題カーボーイ」(同)は20年以上聞いていて、歴代のハガキ職人が集まる企画がすごくうれしかったです(笑)。

WWD:仕事の依頼が絶えない吉田さんのリフレッシュ方法は?

吉田:トランプとゲーム。手を動かしていないときでも常に企画について考えているので、没頭できるものがあるとリフレッシュになりますね。好きなトランプゲームは神経衰弱。結局考えるのが好きみたいです……。

WWD:身の回りのものを選ぶとき、大切にしているポイントは?

吉田:直感です。ピンとくるものってなかなかないので、かわいい!と思ったらすぐ決めます。最近はクリスマスツリーに飾る動物モチーフのオーナメントをたくさん買いました。

WWD:自身の作品とクラアントワークに違いはある?

吉田:違いはそれほどないです。もともとお題に向かって作るのが好きなので、自分の作品でもお題をつくっています。「何でも自由に」というよりは、制約の中で精一杯伝えるのが好きで、謎解きやクイズの答えを考える感じですね。

WWD:お題に対する答えを出すプロセスは?

吉田:お題について考えているときに、キーワードが点で頭の中に浮かんできます。そのいくつかがピシッと線になるときが“思いついたとき”。例えば星野源さんの「ポップ・ウィルス(POP VIRUS)」のCDジャケットでは、「美しいけれどグロテスクなもの」というお題をいただき、ウイルスが感染していく様子を「種から芽が出て、花になって、広がっていく」というストーリーで表現しました。一見植物のかたまりに見えるモチーフは、実は心臓もイメージしていて、入り交じる茎や赤と青の色で動脈と静脈を表しているんです。

WWD:制作中、ボルテージの上がる瞬間は?

吉田:2回あります。1回目は、アイデアを思いついた瞬間。2回目は、撮影のときにイメージが形になった瞬間。

WWD:吉田さんの作品に生き物や果物、花が繰り返し登場する理由は?

吉田:人間もそうですが、生き物にすごく魅力を感じるんです。果物や花が作品に入ることで、命の温度感を表現できるところが好き。ちなみに、最近実家で犬を飼い始めました。4歳のメスのトイプードルで、ファムといいます。わたし自身もすごく癒されて、ストレスが減ったかもと感じるほど。

WWD:アートディレクターとして大切にしていることは?

吉田:心掛けているのは、目的がブレないようにすること。アートディレクターがしっかりと芯を持っていないと、企画がどんどんブレてしまうので。たくさんの人が関わる仕事では特にそうですね。

WWD:たくさんの人と関わる仕事をうまくまとめる秘訣は?

吉田:コミュニケーションを大切にしています。それぞれの意見が集まってきたときに、「どうしてそうしたいのか」をきちんと聞いて、さらに良い提案をできるようにしています。アートディレクターは最初から最後まで企画に携わるので、関わる皆が良い結果だと感じられるよう、積極的に話をします。クライアント、私、完成したものを買ってくれる人の全員が喜べる仕上がりにならないと意味がないので、全員がうれしくなれる“小さな点”のようなポイントをずっと探しています。

WWD:最後に、今後やってみたいことは?

吉田:海外にも活動の幅を広げたいです。展示も海外に持って行きたいし、アジアはもちろんヨーロッパでも仕事をしたいですね。表現手法が多様化する中、動画を制作することもありますが、やはりグラフィックが好き。一枚の絵に込めたいという気持ちがありますね。

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パナソニックやMTG、ダイソンなど、3万円以上の高級ドライヤーが人気の理由

 「WWDビューティ」11月28日号の特集では、最新美容機器をテーマに、メーカー10社に今年の一押し製品とそのプロモーション戦略を聞いた。プロモーションに戦略ついては紙面で掲載し、ここでは一押し製品に見られた傾向について紹介する。10社のうち4社が3万円以上のドライヤーを挙げたのだ。価格は、パナソニック「ヘアードライヤー ナノケア EH-NA0B」は3万円前後(編集部調べ)、MTG「リファビューテック ドライヤー」は3万3000円、「ダイソン スーパーソニック イオニック ヘアードライヤー」は4万5000円(編集部調べ)、シャープ「プラズマクラスタードレープフロードライヤー」は3万3000円(編集部調べ)。数年前では3000~1万5000円が主流だったのを考えると、かなり高価格帯のニーズが高まっているのが分かる。そこには、ドライヤーそのものに対する見方の変化があった。

 なぜここまで高級ヘアドライヤーが人気なのか。2015年にリュミエリーナが「ヘアビューザー(R) エクセレミアム 2D Plus プロフェッショナル」(3万3000円)が登場して以降、ヘアドライヤーがただ髪を乾かすツールからヘアケアアイテムへと進化したことが理由に挙げられる。かつてのヘアドライヤーは温風で髪を乾かすことが主で、その熱によって髪を傷めるものが多かった。しかしここ4~5年で機能が進化し、使うことで髪の潤いがアップするなどといったヘアケア効果をうたう製品が増えた(中にはスキンケアをうたう製品も登場している)。例えばパナソニックの「ヘアードライヤー ナノケア EH-NA0B」は、高浸透“ナノイー”デバイスを搭載することで、“ナノイー”水分発生量が従来品と比べて18倍に増加し、それによって髪の内部に“ナノイー”が浸透しやすくなり、毛髪の水分増加量1.9倍を実現した。

 また「ダイソン」やシャープ「プラズマクラスタードレープフロードライヤー」のように“熱ではなく風力で乾かす”をコンセプトに、低温にすることで熱による髪へのダメージを軽減させる製品も登場した。そうした風力を売りにした製品は速乾性も高く、いそがしく働く人にとっては“時短アイテム”にもなっている。

 加えてヘアドライヤーは基本的には毎日使用でき、家族も使えるので、「少し高くてもいいものを買おう」といった選択にもつながりやすい。ただ乾かすから美しさも追及できるアイテムへ。高級ヘアドライヤー志向はまだまだ続きそうだ。

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設立2年目で大躍進 VERDYともコラボした「チェリーロサンゼルス」とは?

 米「チェリー ロサンゼルス(CHERRY LOS ANGELES以下、チェリー)」はこのほど、グラフィックアーティストのVERDYがさまざまなアーティストやブランドとコラボしたイベント「VERDY HARAJUKU DAY(ヴェルディ原宿デイ)」に参加し、コラボアイテムを「ユナイテッドアローズ&サンズ(UNITED ARROWS & SONS)」で販売した。原宿の同店前は限定アイテムを求める人でごった返し、即完売。同ブランドは2017年12月の立ち上げ以降、メキメキと存在感を増している。

 「チェリー」は、ジョセフ・ペレ(Joseph Perez)とデイビッド・リービ(David Levy)の2人がデザイナーを務めるストリートブランドだ。ブランド名の“チェリー”は、2人で手掛けていることを意味する。リービ=デザイナーは「僕らは長年の知り合いで、いつか洋服のブランドを始めたいと話していた。チェリーは2つの果実が1つの柄でつながっているし、僕らの関係にも似ている。あとは全く違う2つの個性という意味もあり、バランス感覚はブランドとしてもっとも大事にしている」と説明する。ジャケットの裏地を総柄にしたりロゴをあえてシンプルにしたり、見えないところにこだわるモノ作りが「チェリー」の特徴だ。「2人とも両親がアパレル関係で働いていたから、縫製や生地などクオリティーへの関心が高く、生産者とも直接コネクトできる。素材もアメリカで調達できるもので、生産も僕らの住んでいるカリフォルニアに限定している」とペレ=デザイナー。

 VERDYとは、昨年の10月に開催された「ハイプフェスト(HYPE FEST)」で出会ったという。「ハイプフェスト」とはオンラインメディア「ハイプビースト(HYPE BEAST)」が主催するファッションコンベンション。同メディアのCEO(最高経営責任者)であるケヴィン・マ(Kevin Ma)にコレクションを見せたところ「ぜひ出展してほしい」とラブコールを受けたそうだ。「『VERDY HARAJUKU DAY』のように街全体をコンベンションの会場に見立てることは、アメリカでは絶対できないことだし、初めて見た企画だったので驚いた。僕たちのアイテムにも行列ができるなんて想像できなかったし、ブランドを始めてから一番うれしかったことかも知れない」と2人は口をそろえる。さらに、「コラボレーションは、僕らのビジネスをやっていく上ですごく大事なこと。VERDYとのコラボレーションはパーフェクトだった。僕らには新しい空気感を生み出すことができる。大事なのはコラボレーションを通して、両者にメリットがあるかどうか。お互いのファンが楽しめないと意味がない」と続けた。

 今後の目標を問うと「とにかくビジネス規模を大きくすること。そして新しいことにどんどんチャレンジすること。僕らのブランドをファンが楽しんでくれるかどうかが大事だ」と力強く答えた。

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読者が注目した今週の新作 「プラダ」 × 「アディダス」など(11月29日〜12月5日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。「ファッション部門」と「ビューティ部門」では読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ファッション部門」では「プラダ(PRADA)」 × 「アディダス(ADIDAS)」のコラボアイテムが最も注目され、「ビューティ部門」では花王のスキンケアアイテムが1番だった。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


【スニーカー部門】

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エプソンが作る時計「トゥルーム」 3年目の課題

 セイコーエプソン(長野県諏訪市、碓井稔社長)が作る時計ブランド「トゥルーム(TRUME)」をご存知だろうか。エプソンと聞くとプリンターやスキャナーを想像するが、2017年7月にスタートした時計ブランドだ。

 時計業界は、ファッション以上に新ブランドの立ち上げが難しい。それは時計が精密機械であり、“オリジナル”と名乗るには独自の技術が欠かせないからだ。また時計ブランドは、技術・イメージ・ブランド名が根底でしっかり結び付いているのも特徴だ。しかしセイコーエプソンは、“最先端技術でアナログウオッチを極めるブランド”をうたって、この市場に参入した。

 セイコーエプソンの歴史は第2次大戦中に創業した大和工業から始まり、その後、第二精工舎(現セイコーインスツル)と共に、セイコーブランドの時計の開発・製造を一貫して担当してきた。つまり技術面においては非の打ち所がない。

 ただし、セイコーエプソンの時計関連部門の売上高は約500億円で、同社の約5%に過ぎない。さらに約500億円のうち、半分以上がセイコーウオッチ関連事業だ。GPSソーラー時計の「セイコー アストロン(SEIKO ASTRON)」や「グランドセイコー(GRAND SEIKO)」のクオーツモデルやスプリングドライブモデルなどの開発・製造を担っている。17年当時、「この状況で、セイコーホールディングスの商品と競合しかねないGPSソーラー時計に参入?しかもハードルの高いオリジナルブランドで?」と、時計関係者の多くが思ったはずだ。

 吉田和司セイコーエプソン営業本部 副本部長兼ウエアラブル機器事業部 WP戦略企画部 部長は、「われわれの時計事業には、まだまだ大きな可能性がある。『トゥルーム』はまだ成功しているとまでは言えないが、17年の4月に買収した『オリエント(ORIENT)』や『オリエントスター(ORIENT STAR)』を含めると、当初予想はクリアしている。販売数も伸びている」と話す。

 吉田副本部長がセイコーエプソンに入社したのは18年3月。「トゥルーム」の立ち上げには関わっていないが、「『トゥルーム』は『セイコー アストロン』とは競合せず、同ブランドが獲得できていない“ちょっと派手めな休日ウオッチ”の分野を、セイコーエプソン独自の技術であるセンサーを付加して狙ったもの。オリジナルブランドの設立は、セイコーブランドだけでなく、時計作りの“出口”をもう一つ作るためだったと聞いている」と答えた。

 吉田副本部長の言葉通り、新ブランド設立のハードルは高く、現時点で「トゥルーム」が成功を収めているとは言えない。そこで同社は時計事業全体の改革を進めている。

 「これまでは裏方に徹してきたが、セイコーエプソンには77年の時計作りの歴史がある。またセンサーのみならず、クオーツを開発した企業として、キネティック(自動巻き発電クオーツ)など、現時点であまり活用されていないさまざまな資産がある。『オリエント』にも69年の歴史があり、1960~70年代に一世を風靡したカラフルダイヤルをはじめとするデザイン資産がある」と述べ、こうした技術や資産を結集して活用するために吉田副本部長の指揮の下、技術・企画・デザインなど部門を超えた新体制を整え、時計作りに取り組んでいる。

 「詳細はまだ語れないが、これまでのセイコーエプソンにはない“突き抜けた世界観”を構築したい。現在の『トゥルーム』の購買層は40〜50代だが、5〜10歳引き下げ、さらに多くの人に楽しんでもらえるブランドにしたい。ブランドイメージを確立できれば、海外展開も可能になるだろう」と続けた。

 20年からは、徐々に新戦略下で企画・開発されたモデルが登場するという。

渋谷ヤスヒト/オフィス・ノマド代表:1962年、埼玉県生まれ。大学卒業後、徳間書店に入社。文芸編集部を経て、「グッズプレス」編集部に配属。表紙撮影で出合った「ブライトリング」の“コスモノート”を購入したことをきっかけに時計にはまり、95年からスイス2大時計フェアや時計ファクトリーの取材を開始。2002年に同社を退社し、「エスクァイア日本版」の編集者などを経てオフィス・ノマドを設立。時計ジャーナリスト、モノジャーナリスト、編集者としての顔を持つ。趣味は料理

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ロート製薬がヘアサロン市場に参入 その理由はサロンビジネスの根幹にかかわるものだった

 ロート製薬は社内ベンチャーとして、ヘアサロン向けのヘアケア事業をスタートさせた。いわゆるパーソナライズヘアケアを提案する新ブランド「コンステラ(COSTELLA)」を立ち上げ、同社の事業戦略室がAIベンチャーと共に新会社アノマリーを設立し運用している。

 パーソナライズヘアケアは、一般市場では「メデュラ」「ミクス」「ボタニスト」など数ブランドが既に事業展開をスタートさせ、徐々に認知度を上げてきている。しかし「コンステラ」はそれらの後追いではなく、“CO-CREATION(共創)”という全く異なるコンセプトで展開していくという。ロート製薬といえば目薬や薬などのイメージが強いが、実はビューティシェアも高く、スキンケアブランド「オバジ」や「肌ラボ」、「エピステーム」などが人気。そうした企業が、新ジャンル開拓に向けて掲げた“共創”というコンセプトとは――。ロート製薬の平澤伸浩・事業戦略室長に新ビジネスの概要とビジョンを聞いた。

WWD:ヘアサロン市場に参入した理由は?

平澤室長(以下、平澤):私が室長を務める事業戦略室は、ロート製薬の本業とは異なるカテゴリーで、新規事業を立ち上げる部署です。新ビジネスを模索する中で、最近登場し始めたパーソナライズシャンプーが、とても面白いビジネスモデルだと感じました。ただ一般市場においては、既にいくつかのブランドが展開しているので、あえて参入する魅力は感じませんでした。そこでヘアサロン市場をリサーチしていく中で、いくつもの発見があったんです。中でも興味深かったのが、“スタイリストと顧客の関係”が他に類を見ないほど強く、信頼により結ばれていること。そしてその関係は、スタイリストそれぞれの裁量によって培われていて、システマチックなサポートがなされていないケースが多いことです。そこでパーソナライズヘアケアと、アノマリーが得意とするAIを組み合わせたサービスで、そのサポートをすることに大きな魅力を感じたんです。

WWD:そうして立ち上げたパーソナライズヘアケアブランド「コンステラ」の特徴は?

平澤:主に3つあります。1つはヘアサロン市場で展開し、サービスの提供において必ず美容師を介するビジネスモデルであるという点です。ヘアサロンでお客さまはまず、専用の問診プログラムを使って頭皮や髪質、髪の状態や生活習慣に関する質問項目に答えます。次に美容師がヘアケアのプロの目で髪を診断し、お客さまの問診データを補正していく。診断結果に興味を持ったらブランドサイトへ行き、美容師と一緒に香りを選ぶ、というプロセスでカスタマイズしていきます。「コンステラ」のテーマは“旅”ですので、“レイトチェックアウト”“寺院へと続く道”“予期せぬ出逢い”といった、旅を通じて出合うシーンから着想した個性ある香りを用意しています。

WWD:その場で買わなければいけない?

平澤:診断結果が出ても、その場で購入を決める必要はなく、帰宅後にカウンセリング内容をマイページで確認してから購入することもできます。その場合でも利益が美容師に行く仕組みを整えているため、美容室は在庫を抱えることなくビジネスができる。また、お客さまが製品をリピートする場合は自宅からの購入が可能ですが、その際も美容師との簡単なカウンセリングを介してからの購入となります。あえて手間暇かけたオーダー方法にすることで、信頼できる美容師とのコラボレーティブ製品を、大切に作っていく感覚を強く感じられるサービスになっているんです。また、自宅からの購入の場合でも美容師に利益が入るようになっています。

WWD:2つ目の特徴は?

平澤:2つ目は、AIが一人一人のお客さまにより適した処方を学習していくという点です。カスタマイズのプロセスにおいて、お客さまが髪の状態などを自己診断した後に、担当スタイリストが診断していくことは先述しました。データを蓄積することで、自己診断とプロによる診断の“差異”をAIが認識し、お客さまの現在の髪の状態と、なりたい髪質との差異を分析して処方を割り出すようにしていく。AIはこのプロセスを繰り返すことによって、よりニーズに合ったものに進化していくんです。

WWD:AIの登場とは新しいですね。

平澤:AIはヘアケア製品の処方のみに留まらず、スタイリストがお客さまを知るためのあらゆるデータを蓄積・分析できる可能性を秘めています。実はここが「コンステラ」の核となる部分で、ヘアサロン独自の価値である“スタイリストと顧客の関係”をより深めるサポートをするビジネスで、パーソナライズヘアケアはその1つでもあるんです。

WWD:3つ目の特徴は?

平澤:3つ目は製品そのものの性能です。アイテムはシャンプーとトリートメントで、9600通りの組み合わせからAIが処方したベースに加え、効果成分である2つのインフュージョン(添加剤)が付いてきます。それをお客さまが使用前に調合することで、より細かなパーソナルニーズに応えられるよう設計しています。そういう意味で、私たちは「コンステラ」は“パーソナライズヘアケア”というより“CO-CREATION(共創)ヘアケア”と考えています。

WWD:自分の手でさらにカスタマイズできるところが面白いですね。今回、ロート製薬という一般的な知名度の高い企業がヘアサロン業界に参入したこと自体が大きなニュースですが、“スタイリストと顧客の関係”というヘアサロンビジネスの“核”に着目した点も新しいと感じます。

平澤:パーソナライズヘアケアは私たちの目指す事業の第一歩であり、今後も“スタイリストと顧客の関係”のさらなる構築をサポートしていきたいです。

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「ユニクロ」20年春夏の注目ポイント(後編) 「ユニクロ ユー」の全身デニム、「イネス」ラインは1924年パリ五輪にフォーカス

 「ユニクロ(UNIQLO)」の2020年春夏は、“LIVABLE CITIES(リバブル・シティーズ/豊かで心地よい暮らしのために)”がコンセプト。「都市空間でのライフスタイルをより快適に、さらに豊かにするために必要なもの」を探求したというコレクションがそろう。クリストフ・ルメール(Christophe Lemaire)による「ユニクロ ユー(UNIQLO U)」では、引き続き、黄色やテラコッタといったあせたパステルトーンのきれいな色使いがポイント。ウィメンズ、メンズ共に、今季はデニムを推している。

 デニムシャツとデニムパンツ、デニムジャケットなどを組み合わせた、デニム・オン・デニムの着こなしが男女どちらもキーになる。ウィメンズでは、プルオーバートップスやワンピースなどもデニム地で企画。メンズでは、キューバシャツ(3990円)がルメールの今季一番のお気に入りという。開襟シャツに細かなステッチを効かせたデザインがポイントだ。また、従来は機能素材の“ブロックテック”で提案していたようなユーティリティーコートをコットン地で企画し、これまでとは微妙に異なるシルエットで見せる。

 「ユニクロ ユー」の夏の定番ヒットアイテムとなっているTシャツは、引き続き、Tシャツ(1000円)、Tシャツワンピをそろえる。加えて、今季から新たに、より体にフィットするシルエットで丈の短いデザイン(1500円)も企画した。

 スイムウエアも、引き続き渋い色味が大人っぽいセパレート、ワンピースを提案する。雑貨では、草履とスポーツサンダルをドッキングしたような鼻緒付きサンダル(3990円)がヒットしそうだ。

 フランスの元祖スーパーモデルであるイネス・イネス・ド・ラ・フレサンジュ(Ines de la Fressange)と「ユニクロ」とのコラボラインは、ジャージースーツなども取り入れており、いつも以上にスポーティーだ。パリ五輪が開かれた1924年をシーズンテーマとしている。とはいっても、スポーツ直球ではなくしっかりエスプリが効いているのが「イネス」ラインならでは。ワッシャー加工のボタニカル柄プリントドレスや、ポルカドットのカシュクールドレスなどがそろう。クラシカルチェックのテーラードジャケットなどは、南フランスのカウボーイ(ガーディアン)風にシックに。

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ティファニーを買収した「ルイ・ヴィトン」親会社のアルノー会長インタビュー 「私はティファニーを深く敬愛している」

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」などを擁するLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)がティファニー(TIFFANY & CO.)を162億ドル(約1兆7496億円)で買収した件について、ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者(CEO)が米「WWD」の取材に応じた。

 買収が合意に至ったことが正式に発表された11月25日に、アルノー会長兼CEOはティファニーのおよそ1万4200人の従業員に対して、「われわれの目標は『ティファニー』がさらに成長できる理想的な環境を用意することであり、そのために長期的に投資する。ブランドの豊かなヘリテージや個性を尊重しながら、いっそう発展させていきたい」とメッセージを送ったと語る。

 同氏は、「私は『ティファニー』を深く敬愛している。長い歴史を誇るアメリカのラグジュアリーブランドであり、そうした意味では唯一ともいえる存在だ。ブランドを次世代に向けて磨き上げるのは時間が掛かるものだが、米国で上場していると短期的に利益を出すことを強く求められる。もちろん私も利益を上げたいと思っているが、ブランドの魅力を最大限に引き出すには長期的な視点が必要だ。10年後にブランドがさらに発展しているようにするには何をするべきなのか。それをしっかり考えて行動すれば、利益は後からついてくる。経済的な成功はあくまでも結果であり、それが目標ではない」と話し、LVMHの傘下となったことで短期的な利益を求める投資家からのプレッシャーに晒されなくなるという利点があることを説明した。

 LVMHによる買収手続きが完了するのは2020年半ば頃だと見られているが、ティファニーの経営陣に変更があるのかどうかについて現段階では発表されていない。ジャン・ジャック・ギヨニー(Jean-Jacques Guiony)LVMH最高財務責任者が、「穏当かつ論理的な戦略でいく」とアナリスト向けの発表会で述べているのみだ。今回の取材でも、この点については明かされなかった。

 クリエイティブ面での方向性についても、アルノー会長兼CEOは、「『ティファニー』の既存コレクションをまだ全て見ていないし、クリエイティブチームとも会っていないので、詳細について話すのは時期尚早だろう」と述べるにとどめた。しかしLVMHは、「ティファニー」のジュエリーコレクションに注力し、既存のスタイルを生かしつつ新たなものも提案していくという計画を立てているようだ。中でも、鍵をモチーフにした“ティファニー キー”シリーズや、6つの小さな爪でダイヤモンドを支える“ティファニーセッティング”の婚約指輪、そしてモダンな“ティファニー T”コレクションなどは今後も力を入れていくと思われる。なお、“ティファニー T”コレクションはフランチェスカ・アムフィテアトロフ(Francesca Amfitheatrof)前「ティファニー」デザイン・ディレクターが15年に発表したものだが、同氏は18年4月に「ルイ・ヴィトン」ウオッチ&ジュエリー・アーティスティック・ディレクターに就任している。

 ニューヨーク5番街にある「ティファニー」本店は現在改装中で、21年に新装オープンする予定だ。アルノー会長兼CEOは、「米国内のほかの店舗も改装したほうがいいかもしれない。どのブランドもそうだが、『ティファニー』にも改善すべきところがたくさんある。当社が擁する『ブルガリ(BVLGARI)』も全面的に改装して、以前よりもずっと魅力的になった。われわれは、こうしてブランドをいっそう輝かせることができる」と話した。

 ちなみに、17年に新装オープンした「ブルガリ」ニューヨーク5番街旗艦店は57丁目と交差する角にあり、道路を挟んだ隣には「ティファニー」5番街本店が、斜め向かいには「ルイ・ヴィトン」5番街旗艦店が建っている。世界に冠たる高級ショッピングエリアの中心地にある交差点の角のうち3つをLVMH傘下のブランドが占める格好となったわけだが、残り1つの角には米老舗百貨店バーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)がある。この交差点を完全に独占したいと思うかと問いかけると、アルノー会長兼CEOは、「フランスには“二度あることは三度ある”という言葉はあるが、“三度あることは四度ある”という言葉はない」と笑顔で答え、バーグドルフ・グッドマンを買収するつもりはないことを示唆した。

 「ティファニー」は世界におよそ320の直営店を構えており、その93店が米国内にある。欧州を本拠地とするLVMHにとって北米市場を強化できる機会ではあるが、同市場では苦戦も経験している。LVMHは01年に「DKNY」の親会社ダナ キャラン インターナショナルを買収したものの、業績が振るわない年が続き、16年にG-IIIアパレル グループ(G-III APPAREL GROUP)に売却した。アルノー会長兼CEOは、「『DKNY』はアメリカの素晴らしいスポーツウエアブランドだが、ヨーロッパのラグジュアリーとはかけ離れている。当社が得意とする分野とは違っていたかもしれない。しかし、『ルイ・ヴィトン』などのブランドでは現地チームが米国での経験を積んでおり、最近はテキサス州に米国で3カ所目の工房をオープンした」と成果を披露した。

 LVMHの19年7~9月期決算の売上高は、前年同期比17.0%増の133億1600万ユーロ(約1兆5846億円)と上期に引き続き増収だった。こうした業績の好調ぶりを背景に、今回はアメリカを代表するラグジュアリーブランドであるティファニーを傘下に収めたが、今後もラグジュアリー業界の世界的なリーダーとしてたゆむことなく進んでいくと同氏。ファンであり、いい友人でもあるというテニス選手のロジャー・フェデラー(Roger Federer)を引き合いに出し、「彼は世界をリードしているが、さらに進化するべくトレーニングを怠らない。私も同じだ」と締めくくった。

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ITでは情報も循環、ファッションも資産をリサイクルせよ ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.12「理想は廃棄ゼロ 新基準は循環型ファッション」

読み解きポイント:ファッションは価値ある資産と考えることが出発点

ニュースのポイント

 地球環境への負荷を減らし、循環型ファッションを実現するために、製造段階から廃棄物を減らすこと、商品寿命を伸ばすこと、修理、レンタル、リセールなど含めたビジネスモデルを考える必要がある。そこに新しいビジネスチャンスが眠っている。また、法規制のある「回収」も課題であり、廃棄物でなく資源として扱う必要もある。デザイナーは製品だけでなく、仕組みも含めデザインする必要があり、役割の幅が広がってきている。

CKRはこう読む!

 「ファッションは、価値ある資産である」ということ。循環型ファッションに向き合う際、初めに考えるべきことではないでしょうか。

 IT業界にいるとよく耳にする言葉が、「情報」は「ヒト」「モノ」「カネ」に続く、第四の経営資源である、ということです。

 そのため、サービスやシステムを設計する際、必ず情報資産の規定を行います。「取り扱う情報」をすべて洗い出し、「情報一つひとつのオーナー」を明らかにした上で、資産の重要度をラベル付けします。

 次に、情報には「生成」「利用」「保存」「廃棄」と循環するライフサイクルがあると考えます。それぞれの過程で、安全かつ使い勝手よく、資産価値を維持できるよう、設計を行います。企画、開発の段階で、廃棄まで見通して「資産である情報を、どのように取り扱うか」のデザインを求められるということです。ITは、情報という物理的実体のないものを取り扱うため、アパレルと違う側面もあります。しかし、「取り扱うものが、価値ある資産である」という前提に立つからこそ、循環型プロセスに向き合うことができるのではないでしょうか。

 ユニクロ(UNIQLO)のように、企画、製造、流通、販売すべてのプロセスを一社で担っていない場合、仕組みまでデザインすることは難しいと思うかもしれません。ITの場合も、各プロセス、別々の会社と協力しながら、サービスやシステムを作り上げることは多々あります。その際、「信頼性」を確保するため、管理プロセスを認証された企業と取引を行ったり、取引先が委託する会社まで含めた形で、情報管理を規定することもあります。

 また、活動が閉鎖的になって生産性が低下しないよう、たとえばプロジェクトに途中から参加する人にとっても、オープンな環境を整備しておくことも大切です。循環型が叫ばれる今、ファッション業界でも、ITのフレームワークを取り入れるところが増えてくるかもしれません。

 「貨幣、お金」という経営資源を通じて向き合ってきた「経済活動」を、もう一段広げ、自分たちが関わるさまざまな資産、資源を通じて、人間、社会、地球について、尊重と信頼感をもって向き合うことが、今という時代感なのかもしれませんね。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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米投資家は新旧ファッション小売りをどう見ている?

 社会が急激に変化する中、消費者の動向も以前とは変わってきている。百貨店が直面している苦難やECの隆盛など小売業界の動きを投資家はどう見ているのか、米投資銀行コーウェン・アンド・カンパニー(COWEN AND COMPANY)のジョン・カーナン(John Kernan)小売り・消費財担当マネジング・ディレクターに米「ソーシング・ジャーナル(SOURCING JOURNAL)」が話を聞いた。

ソーシング・ジャーナル(以下、SJ):アパレルブランドに投資する際のポイントは?

カーナン小売り・消費財担当マネジング・ディレクター(以下、カーナン):まず見るべきは経営陣だ。優れた経営陣も多いとはいえ、アパレル業界がここ3年で急激に進化していることを念頭に評価するべきだろう。次に見るべきは会社の成長性とブランド力だ。ほかには収益性を細かく見ていき、会社の潜在能力を確かめる。これらが最も重要なポイントだ。

SJ:基準がそれほどはっきりしているなら、なぜ企業価値の評価がバラバラなのか?

カーナン:アパレルやバッグなどのアクセサリー類は百貨店が重要な販売チャネルとなっているが、百貨店はとにかく在庫回転率が低い。ただでさえ資本効率が悪いところに、最近は年を追うごとにそれが悪化しているような状況だ。余剰在庫を大量に抱えてしまった場合は値下げせざるを得ず、キャッシュフローや資本利益率に悪影響を与える。例えば、ナイキ(NIKE)、アディダス(ADIDAS)、ルルレモン・アスレティカ(LULULEMON ATHLETICA INC.)や、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「ティンバーランド(TIMBERLAND)」「ヴァンズ(VANS)」などのブランドを擁するVFコープ(VF CORP)は投資家から非常に高い企業価値があると見なされており、株価もそれにふさわしいものとなっている。一方で、そこまで高値で取引されていない中堅ブランドを見てみると、主要な販売チャネルが百貨店やアウトレットであることが多い。

SJ:最初から実店舗を持たないECブランドの場合は?

カーナン:ITの発展によってECが台頭し、アパレル業界に参入しやすくなったので、D2Cブランドが急激に増加した。しかし、利益を上げられているブランドはまだそれほど多くないだろう。D2Cブランドは顧客獲得(カスタマー・アクイジョン)コストが非常に多くかかるが、その分ブランドへの忠誠心が強い顧客が多く、着実にマーケットシェアを拡大している。最近の消費者は、「すぐに捨ててしまうような安い服を買いすぎて、クローゼットがパンパンだ。こんなにたくさん要らない」という考えになってきている。半額セールをすることが前提の大量生産モデルは通用しなくなるだろう。

SJ:最近は従来の小売店なども、顧客の忠誠心を得るべくメンバーズプログラムなどを改善している。それについてどう思うか。

カーナン:従来の小売店やブランドの多くは、「これを買えばさらに25%オフ」などのお得感を強調しているが、これは顧客の忠誠心を育てるには間違った方法だ。もっと誠実に本心からのアプローチをしなくてはならないし、値引きやポイントカードでは本物の忠誠心を得ることはできない。それはただのプロモーションだ。「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」などのラグジュアリーブランドを見ると分かりやすいが、信じられないほど高い値段を払ってでもその製品が欲しいという熱狂的な顧客がいる。そうした熱意こそが忠誠心で、それはお得なポイントカードでは獲得できないものだ。

SJ:5年後、投資指標はどうなっていると思うか。

カーナン:アパレル業界への参入が容易になったので、投資家は事業が継続する会社はどこかを見極めようとしているが、どうすればいいのか分からない状態だ。小売りで完全に予測できることなどないし、今後もそれは変わらないだろう。新たな形態のECやリセールが登場するとは思うが、それがどれほど続くかは分からない。投資家は収益構造がしっかりとした会社を探している。

SJ:伝統的な小売りやブランドの今後について。

カーナン:ブランドが今後も卸を必要とすることは間違いないだろう。しかし卸先である百貨店などは、在庫回転率を上げるなど何らかの方法でより効率よく運転資本を回し、持続可能な資本構造にする必要がある。これからも新しい業態がいろいろと登場するだろうし、小売りはいっそう進化していくと思う。ECの台頭によって小売業界は変化を余儀なくされ、消費者が期待するものも大きく変わった。そうした変化の波に対応するべく、どの企業も生まれ変わろうと模索しているところだ。

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ファッション通信簿Vol.39 限界を超えてきた意外性が逆にいい?米「WWD」がセレブのレッドカーペットファッションを辛口ジャッジ!

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第39回は、ケイシー・マスグレイヴス(Kacey Musgraves)、ダニエル・クレイグ(Daniel Craig)、ダニエル・カルーヤ(Daniel Kaluuya)、ジョナサン・グロフ(Jonathan Groff)、オリヴィア・コールマン(Olivia Colman)、セリーヌ・ディオン(Celine Dion)、リアーナ(Rihanna)、トレーシー・エリス・ロス(Tracee Ellis Ross)が登場。「テイクアウェイのブリトー」など、相変わらず皮肉たっぷりな米「WWD」――今回の高評価は一体誰の手に?

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キャミソールから本まで 「WWDジャパン」編集部員らの「○○の秋」ベストバイ!

 毎月お届けする「WWDジャパン」「WWDビューティ」擁するINFASパブリケーションズのベストバイ。第三回は、「○○の秋」と題して購入したモノをお届けします。「スポーツの秋」「食欲の秋」はもちろんですが、「物欲の秋」も!? そう言ってしまったら何でもありかも……。ですが、バラエティーなアイテムがそろいました。

見た目で気分が上がる
ピラティスで着るキャミソール

 「普段、取材や通勤でかなり歩いているからプラスアルファで運動しなくてもいいや」と自分自身に思い込ませて(!?)早10年(笑)。とくにこれといって運動をしてこなかった私ですが、肩こりからくる頭痛などから、やっぱり血流を良くしないとダメだなと思い、「スポーツの秋」ということで重い腰をやっとの思いで上げて、週末ピラティスに通い始めました。

 ピラティスを始めるとワイヤーブラでは動きにくいので、ノンワイヤーでカップ付きのウエアを探していました。それでゲットしたのがこの2枚です。「チャコット(CHACOTT)」は背中でクロスするデザインがかわいくて即決しました。もう一枚の“エス バイ スロギー”のシルエット トップも背中が2本のストラップがクロスしていて、これも見た目で即決しました(笑)。ウエアで気分が上がると俄然モチベーションがアップする、分かりやすい性格です(笑)。(WWDJAPAN.comデジタルデスク 紀本知惠子)

ありそうでなかったMIXデザインと
“冬でも着られるレザー”に引かれて

 一年のうちでレザーが最も活躍する季節の到来です。男心をくすぐる素材であり、触覚がついついぴくぴく動きがちです。そんな折に見つけたのが、アメリカのバイクカルチャーをファッションとして提案する日本ブランド「ヘッドウェイズ(HEADWAYZ)」のアウターです。

 なんといってもポイントは、ライダースジャケットとコーチジャケットをミックスしたデザイン。袖にはバッファローレザーを使用しており使い込むごとに体になじむだけでなく、一度茶に染色してから黒を顔料染めした“茶芯”なので、経年とともに下地の茶色が現れてなんともビンテージライクな一枚に育ってくれそうなのです! 武骨に見えて、高機能中綿素材のシンサレートを採用しているから保温性もばっちり。これだけあれこれ詰め込んで2万9000円という価格設定も素晴らしいです。(WWDジャパン編集部 三澤和也)

高校生以来の
ダッフルコートはどうだろう

 今季スタートした「カリマー(KARRIMOR)」のファッションレーベル“アスパイア(ASPIRE)”の“コーデュラ 3L ダッフルコート(CORDURA 3L DUFFLE COAT)”です。年々増えていくアウターの中で、コートもダウンも一通り買いそろえてしまったという人も多いと思います。僕もその一人で、今年は何を買うべきか毎年悩むのですが、このダッフル素敵じゃないですか?

 これまで、ダッフルって正直ダサいと思っていました。それ、多分高校生の時に通学で着ていたからだと思います。「ソフ(SOPH)」の清永さんの言葉を借りるなら「子どもの頃着ていたモノを大人になって着たいと思わない」的な。でもこれ、定番のダッフルにはないきれいなオーバーシルエットで、裾とウエストがドローコードになっていてどこかフツウじゃないしかわいいです。僕もやっとダッフルが似合う年頃になってきたかなと思って、「カリマー」の公式オンラインショップを見ると、めっちゃくちゃ可愛いルックが載っています。モデルはティーンかな。残念ながら完売みたいですが、要するにおじさんもおばさんも若者もこのダッフルいかがでしょう。(WWDジャパン編集部 小池裕貴)

難しそうなタイトル
にも好奇心くすぐられて

 弊社が入るビルの1階にある本屋で購入しました。原著は1997年に出版され、ピュリッツァー賞や朝日新聞「ゼロ年代の50冊」第1位を受賞した作品。アメリカ大陸の先住民がなぜ旧大陸の人間に征服されたのか、なぜその逆が起こらなかったのかというテーマを1万3000年に渡る人類史を見渡して追求していきます。思わず手が伸びたタイトル「銃・病原菌・鉄」は現在の世界の格差の「直接的な原因」と著者が言っているものです。では、「根本的な原因」は何なのでしょうか?文庫版上下巻でおよそ800ページにのぼる大作ですが、この答えは前半部で明かされるのでご安心を。それでも気が重ければ目次を眺めてみてください。「毒のないアーモンドのつくり方」「なぜシマウマは家畜にならなかったのか」といったタイトルにきっと好奇心をくすぐられることでしょう。「読書の秋」に、意外と眠気に襲われない一冊です○。(デジタルマーケティング部 江上真希)

海外限定!
と思って飛びついた
「アシックス」のスニーカー

 パリのセレクトショップ「ザ・ブロークン・アーム(The Broken Arm)」のオンラインストアで発見した“ゲル カヤノ 5 360(GEL-KAYANO 5 360)”。見たことのないカラーリングから「海外限定品だ!」と思い込んで即購入し、週3で愛用しています。ところが先日、「アシックス」の日本サイトをのぞいていたら、なんと同じカラーリングを目撃……。肌寒い秋の気候とあいまって、無性に切ない気分になりました。(WWDジャパン編集部 美濃島匡)

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「ユニクロ」20年春夏展の注目ポイント(前編) より薄手の“ブロックテック”が登場、「UT」は「アナ スイ」とコラボ

 「ユニクロ(UNIQLO)」の2020年春夏は、“LIVABLE CITIES(リバブル・シティーズ/豊かで心地よい暮らしのために)”がコンセプト。「都市空間でのライフスタイルをより快適に、さらに豊かにするために必要なもの」を探求したというコレクションがそろう。展示会で発表した「ユニクロ」本ライン、クリストフ・ルメール(Christophe Lemaire)による「ユニクロ ユー(UNIQLO U)」、グラフィックTシャツがメインの「UT」、イネス・ド・ラ・フレサンジュ(Ines de la Fressange)とのコラボラインなどのうち、ここでは「ユニクロ」本ラインと「UT」を紹介する。

 「ユニクロ」本ラインは、商品を3つの要素で構成。“ワーク&クラフト”“アウトドア”“アート&デザイン”の3つで、いずれも19-20年秋冬からの継続要素だ。機能性とデザインの融合がいっそうすすみ、「服を通じて人々の暮らしをより豊かにする」という“LifeWear”の考え方を凝縮したアイテムがそろった。

 「本質への回帰」をうたう“ワーク&クラフト”のカテゴリーでフォーカスしているのは、「アーバンファームの拡大」「地産地消への積極的な取り組み」といったキーワード。実際に販売する商品として、注目はデニムパンツのバリエーションだ。

 デニムパンツは、ウィメンズでは3つの新型を企画した。ハイウエストのスーパーワイドタイプは、非常に薄く、スカートのような感覚ではける。他は、ゆったりとした腰周りからきれいなラインを描くスラウチテーパードタイプ、ベルト付きでタックプリーツを効かせたタイプ。いずれも、米ロサンゼルスの同社のデニムイノベーションセンターで開発しており、サステナブルな生産を追求したもの。メンズの新型デニムパンツは、股下にはぎを入れて3D設計にしている。東レとカイハラと共同開発したという。メンズでは、きれいなシルエットのジョガーパンツも充実するする。

 「都市と自然の調和」を意識したという“アウトドア”のカテゴリーでは、防水、防風、透湿を打ち出した機能素材“ブロックテック”で、より薄手で軽い“ライト ブロックテック”を新たに開発した。ウィメンズ、メンズでコート(各6990円)などを企画。“ライト ブロックテック”はUVカット機能も搭載している。他に、薄い中綿入りで家での洗濯も可能な防水のパデッドパーカ、オーバーサイズのアノラックパーカなどを新型として企画した。

 ミニマルなシルエットで機能美を追求する“アート&デザイン”のカテゴリーでは、19年春夏も非常に好調だったという“エアリズム”や“感動パンツ”のシリーズをシックなスタイリングの中に落とし込んでいる。“感動パンツ”は、軽量で速乾、高い伸縮性といった持ち味はそのままに、今季はカーキを新色として投入。“感動パンツ”と同素材で“感動ジャケット”も作っており、セットアップで着ればオフィスや食事会などのシーンもカバーする。ウィメンズではシームのない3Dニットをプルオーバーとサーキュラースカートのセットアップで提案する。

「UT」ではフーディーも豊富に提案

 「UT」では、「シーズンで70以上のコンテンツを企画している」といい、展示会では話題性の高い6コンテンツにフォーカス。デザイナーブランドとのコラボレーションでは、「アナ スイ(ANNA SUI)」と組んで商品を企画したのがニュース。カットソー地のトップス(1500円)に加え、布帛のブラウス(2990円)やワンピース(4990円)など、「アナ スイ」らしいボヘミアンムードのアイテムがそろう。淡い色使いなどで、幅広い層に支持されるよう工夫している。

 他は、フィンランドの老舗テキスタイルメーカー、フィンレイソン(FINLAYSON)との協業や、吉田ユニがディレクションするサンリオキャラクター、オーストラリア・メルボルンで12月1日から開催されるというキース・へリング(Keith Haring)とジャン=ミシェル・バスキア(Jean-Michael Baquiat)の合同展覧会を記念したグラフィティTシャツ、フューチュラ(FUTURA)やアンドレ(Andre)などのストリートグラフィティを生かしたフィーディーやビッグサイズTシャツなどがそろう。

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コム デ ギャルソンが話題のDJとコラボ、に思う エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年5月21日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Edito's Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

コム デ ギャルソンが話題のDJとコラボ、に思う

 「WWDジャパン」は1月14日号の特集「“ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)”という男」の中で、時代の寵児であるヴァージルのロングインタビューを掲載しました。ビジネスヒントにつながる名言のオンパレードでしたが、中でも印象に残ったのは「おそらくDJはベストな副業だ」という言葉です。

 「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「ナイキ(NIKE)」など、複数のブランドに携わり多忙を極めるヴァージルですが、今でもそれらの仕事とは別に世界各地のさまざまなイベントでDJを行っているそうです。それは「デザイナーとブランドが現地の消費者と交流するのと同じだと考えている」から。「だから17歳から続けてきた20年のDJ経験は自分の基盤になっている」と言います。

 私はDJをしたことがないのでわかりませんが、言葉が通じない国で見知らぬ人たちが自分の選曲に体を揺らしたり盛り上がったりしたら嬉しくて快感だろうし、言葉は通じずとも人々が今何を求めているのかを体感できるはず。トップダウンではなく、世界同時進行で広がる情報や感性の渦の中から新しいムーブメントが生まれる今、鋭いアンテナを持つヴァージルのようなDJがファッションと関係を深くするのはごく自然のことだと思います。

 だから、先週「WWD JAPAN.com」が配信した「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)と人気DJのハニー・ディジョン(Honey Dijon)が新ブランド設立 DJバッグなどを発売」のニュースには至極納得しました。トランスジェンダーであり黒人であるディジョンは、「ルイ・ヴィトン」のメンズのショーの音楽などでも活躍しています。インスタグラムに上げている自身のDJとそれに盛り上がる観客たちの様子から、このブランドが国籍やジェンダーを超えて盛り上がる様子が想像できます。

 ドーバー ストリート マーケット ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA)は4月に世界中からデザイナーやアーティストを集めて顧客と交流する1日限りのイベントを開催しました。店舗で好きなデザイナーに会える、ファンに嬉しい“オフ会”です。その取材中にエイドリアン・ジョフィ(Adrian Joffe)=コム デ ギャルソン インターナショナル最高経営責任者(CEO)が「これはコラボというより、コミュニティー」と短く話してくれました。ハニーとのブランドも同じくコミュニティーが大切だと言えるでしょう。

 ユーミンはファミレスでの若い女性たちの会話からヒントを得て歌詞を書いていたというウワサはあくまでウワサであり都市伝説の域のようですが、ユーミンのような女性の心を代弁するヒットメーカーが“そうしていたんじゃないか”とウワサが立つのもわかります。そして、ファッションとDJの関係もこの話に通じるものがあると思います。

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。 連載Vol.13 非財務面の戦略も最重要課題とする花王のESG活動とは

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探る。今回は化粧品業界のみならず日本の企業の中でも先進的な取り組みを行っている花王の大谷純子ESGコミュニケーション担当部長に、本格稼働するESG活動を聞く。

WWD:サステナビリティへの取り組みの内容は?

大谷純子花王ESGコミュニケーション担当部長(以下、大谷):弊社は、非財務面での戦略や取り組みも経営上の最重要課題と位置付け、「キレイ アクション」と名付けたESG(環境、社会、ガバナンス)活動を本格始動するため、2018年7月にESG部門を立ち上げました。現在、「サスティナビリティは未来への投資」としてSDGsで掲げられた社会的課題と真摯に向き合い、環境法規制の強化や消費者のエシカルな動きなどを受け止めて、花王らしいアプローチで取り組んでいます。弊社では、消費者ニーズが高まっている持続可能な暮らしを「キレイ ライフスタイル」とし、それを実現するためのESG戦略「キレイ ライフスタイル プラン」を策定していますが、日本語の「きれい」という言葉は、「美しさ」や「清潔」という意味だけでなく、心の状態や生きる姿勢も含まれていると考え、「キレイ」のままグローバルで使用しています。

「包装容器の世界を根本から刷新」

WWD:具体的にはどんな取り組みを行っていますか?

大谷:「商品を販売して終わりではなく、最後の処理のところまで責任を持って考える」ことを使命としており、その一つをよりわかりやすく表現した「私たちのプラスチック包装宣言」を公表しています。包装容器の世界を根本から革新することを目指し、下記の4Rの視点から推進しています。

1. Reduce(減らす) 包装容器を薄くしたり、軽量化したりするとともに、製品を凝縮して容器そのものをコンパクト化することで、プラチック使用量を削減する。
2. Replace(置き換える) 石油由来のプラスチックから、より低炭素で再生可能な植物由来など、持続可能な原料への転換を図っていく。
3. Reuse(再利用する) 生活者が本体容器を繰り返し使用できるよう、詰め替え・付け替え用製品などの新しいタイプの包装容器を開発していく。
4. Recycle(リサイクルする) プラスチック包装容器に再生樹脂を積極的に導入するとともに、暮らしの中でリサイクルしやすい包装容器の開発に取り組んでいく。

ただこれらの問題は弊社単独でできることでも、一朝一夕にできることでもないため、問題解決に向けた取り組みを、同じ考えを持つ企業や団体と共に進めていきたいと考えています。

「より良い暮らしの選択が、環境負荷の軽減に」

WWD:海洋プラスチックゴミが問題視されているが?

大谷:弊社も製品ライフサイクル全体で環境負荷を低減できるよう、海洋プラスチックゴミを含むプラスチックの廃棄問題に取り組んでおり、このプラスチックの包装容器を通した環境負荷の低減に対してはすでに数々の実績があります。その代表が、1991年に販売が始まった詰め替え用製品を生活習慣として定着させたことでしょう。日本では詰め替え用製品の販売比率が約8割となっており、仮に全てが本体容器だった場合と比べると、プラスチック使用量は約70%も削減できていることになります。

ただ、定着したのは「環境保全になるから」と啓発した結果ではなく、消費者が、使った方が便利、使った方が経済的、と思えるような製品を開発した結果。より良い暮らしを送るための消費者の選択が、結果的に環境負荷の軽減につながっているということです。16年には、誰もが詰め替えやすく、環境負荷も低減する「ラクラクecoパック」を発売し、17年には詰め替え用製品が本体そのものとして使用できるスマートホルダーを発売(オンライン限定)するなど、その取り組みはさらに進化しています。現在、100%リサイクル可能なフィルム包装容器の開発・普及を目指すほか、弊社の全拠点から排出されるリサイクルされない廃棄物量をゼロにするといった活動も行なっています。こうした取り組みが評価され、弊社は世界の代表的な社会的責任投資(SRI)指標である「Dow Jones Sustainability World Index」に6年連続で選定されています。

「攻めのESG戦略がカギ」

WWD:ユニバーサルデザインも花王は進んでいますね。

大谷:1970年には、片手で開けられる押し上げ式のキャップをシャンプーで採用し、91年には触るだけでシャンプーとリンスを区別できる“きざみ”を業界で初めてボトルの側面につけました。より世間に広めるために権利を主張せず、“きざみ”は業界標準となり、後に日本主導で国際規格となって世に広まりました。2013年には「プリマヴィスタ ディア」で 細部まで大きく見えるように鏡が拡大鏡になっているファンデーションコンパクトを発売するなど、人に優しいモノ作りに積極的に取り組んでいます。

WWD:サステナブルな製品作りや取り組みをさらに広げていくために、やるべきことは?

大谷: 攻めのESG戦略、花王らしいESG戦略が、グローバルに貢献することにつながると考えています。ビジョンだけではビジネスは成り立ちませんし、ビジネスにつなげるためには社員の新しい発想が必要となります。そのためには、ESG戦略に対する社員一人一人の理解を深めるために顔を合わせたコミュニケーションを重視し、社員が一番のアンバサダーと位置づけて堅実に取り組みを広げていきます。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

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米国発時計デジタルメディアの「ホディンキー」日本版がデビュー 創設者と編集長に聞く

undefined 関口優「ホディンキー・ジャパン」編集長(左)とベンジャミン・クライマー「ホディンキー」創設者兼CEO PHOTO : KAZUO YOSHIDA

 2008年にスタートした米国のデジタルメディア兼ECサイト「ホディンキー(HODINKEE)」は、ハースト婦人画報社とライセンス契約を結び、11月18日に初の国外版となる「ホディンキー・ジャパン」をスタートさせた。「ホディンキー」の革新性は、他の多くの時計メディアが機構など技術面にフォーカスする中、ビンテージウオッチを積極的に取り上げるなどスタイルを提案している点にある。来日したベンジャミン・クライマー(Benjamin Clymer)「ホディンキー」創設者兼最高経営責任者(以下、CEO)と、関口優「ホディンキー・ジャパン」編集長に話を聞いた。

WWD:初の国外版となるが、日本という選択、そしてタイミングはベストだった?

ベンジャミン・クライマー「ホディンキー」創設者兼CEO(以下、クライマー):日本のマーケットは成熟し、チャンスにあふれている。熱を感じるし、コレクターも多い。それになんといってもハースト婦人画報社と素晴らしいパートナーシップを結ぶことができた。タイミングについても今ほどの好機はなかった。

WWD:ハースト婦人画報社は最良の相手だった?

クライマー:もちろんだ。ハースト・コーポレーション(HEARST CORPORATION)は世界最大級のメディアグループだ。“新聞王”とも呼ばれた創業者のウィリアム・ランドルフ・ハースト(William Randolph Hearst)は、アメリカの成功者の象徴でもある。

WWD:「ホディンキー・ジャパン」のスタートまでには、どれくらいの準備期間が必要だった?

クライマー:ニコラ・フロケ(Nicolas Floquet)=ハースト婦人画報社社長と初めて会ったのは1年半前だ。それからメールで交渉を重ねた。

関口優「ホディンキー・ジャパン」編集長(以下、関口):日本版「ホディンキー」をハースト婦人画報社が手掛けることは、6月に情報配信で知った。

WWD:その際に編集長就任の打診があった?

関口:いや、ぜんぜん(笑)。むしろ「ウォッチナビ」(学研プラス)編集長として、そのニュースを脅威に感じ、6月は必死に「ホディンキー」対抗策を練っていたくらいだ。ハースト婦人画報社から話をもらったのは、それからひと月半ほど後のこと。公開日時は決定していたので、まさに激動の年だった。

WWD:本人を前に言いにくいかもしれないが、日本版の編集長にはどんな人物が適任と考えていた?

クライマー:若くてスタイルのある人。そして商品の持つ雰囲気を理解し、それを感覚的に伝えられる人。その点、関口編集長は最適だった。

WWD:日本版の編集長に就任する前の「ホディンキー」の印象は?

関口:時計業界のゲームチェンジャー。時計業界に、日本を含む既存メディアとは違うアプローチで迫っている。「時計のストーリーを語る」とベン(クライマー「ホディンキー」創設者兼CEO)は言うが、それこそ最大の魅力だと思う。

WWD:日本の既存メディアに限界を感じていた?

関口:紙からスタートした日本のメディアが新たに読者を獲得するのは難しい。もちろん、その中での改善策を考えていたが。

WWD:「ホディンキー」を立ち上げた経緯について、あらためて聞きたい。

クライマー:関口編集長が話す、マーケットが時計コレクター以外に広がりにくいという閉塞感はアメリカにも存在する。機構など技術にフォーカスしたメディアばかりで、スタイルについて言及するものは皆無だったからだと思う。だから「ホディンキー」を作った。とにかくおもしろいことをやりたくて、既存メディアが敬遠していたビンテージも推した。僕らは新たなスタイルを提案する。それが最大の違いだ。2009年に俳優のスティーブ・マックイーン(Steve McQueen)の私物の「ロレックス(ROLEX)」“サブマリーナ”がオークションに掛けられたとき、既存メディアは見向きもせず、「ホディンキー」だけが記事にした。機能はもちろん、時計さえ無視してマックイーンにフォーカスし、「この時計があるから、こういうスタイルが構築できる」と訴えた。これが「ホディンキー」ブレークのきっかけだった。

WWD:そういった革新的な試みが、コンサバな時計業界や市場に受け入れられるまでには大変な苦労があったのでは?

クライマー:いまでも大変だ(笑)。当初、時計の本場スイスからはまったく理解されなかった。取材を申請しても断られることもあった。彼らはビンテージにもネットやSNSにも興味がなかった。むしろ僕らの動きに恐怖すら感じているようだった。長い時間が掛かったが、「ホディンキー」が売り上げに貢献していることが分かってから彼らの見方も変わった。平均年齢65歳ともいわれる時計業界に、「ホディンキー」が新たな読者、新たな購入者をもたらしている。今、「ホディンキー」読者の平均年齢は35歳だ。

WWD:“黒船来航”を日本の時計業界はどう見ている?

関口:「待望のメディアが上陸した!」と皆に言ってもらえている。今の業界に限界を感じていた証しだろう。プロモーションに関しても、本国版という完成されたプラットフォームがあり、説明が不要な点も大きい。

WWD:本国版に付帯するECサービスの実装もある?

関口:いずれは実現したい。ただ、それより前になすべきことがある。まずは20年に雑誌版を作る。ウェブでは動画企画のリクエストも受けているので、それにも応えたい。

WWD:本国版の記事の流用は、全体の何割くらいになる?

関口:8割ほどだ。残りの2割が日本のオリジナル記事となる。編集部員は僕を含めて2人で、そこに外部ライターが加わる。ベンも当初2人体制だったと聞いて、不思議な縁を感じた。

WWD:日本のオリジナル記事の内容は?

関口:本国版でも人気の時計レビューを実施したい。われわれが1週間着用した感想をまとめるものだ。ほかには、日本人時計愛好家の動画インタビューなどを企画している。

WWD:「ホディンキー・ジャパン」をスタートさせて一段落だろうが、本国版は今後どう成長させる?

クライマー:「ホディンキー」は、「オメガ(OMEGA)」や「ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)」など14の時計ブランドの公認を得てECを運営している。コラボレーションにも積極的で、最近のヒットは150ドル(約1万6200円)で販売した「スウォッチ(SWATCH)」との協業モデルだ。コレクターはもちろん、若い層にも時計の魅力を伝えている。

WWD:日本でもコラボレーションはある?

関口:セイコーウオッチや「G-SHOCK」とのコラボを考えている。

WWD:「ホディンキー・ジャパン」ができたことで、今後はより立体的な施策も実現可能だと思う。具体的なプランは?

クライマー:マンハッタンのバーで、時計愛好家がスタイルを語り合うイベントを開いている。日本でも開催したい。また、ソーホーの「シュプリーム(SUPREME)」跡にサロンを常設する準備を進めている。店内にビンテージカーを入れてギターを置くなど、こだわりを詰め込んだ空間にしたい。3~4月をめどにオープンする。

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“元祖オルチャン”ホン・ヨンギのコスメブランド「ミルクタッチ」が日本上陸 実業家としての一面に見るこだわり

 韓国語で美女や美男子を指す造語である“オルチャン”。“元祖オルチャン”と呼ばれ、日本でも人気を集めるインフルエンサー、ホン・ヨンギが来日した。プロデュースするコスメブランド「ミルクタッチ(MILK TOUCH)」が4月に韓国でデビューし11月から日本でもECサイトで販売する。日本で販売展開を行うのは、アジアトレンドに特化した日本のマーケティング会社Coogee(鈴木ヒロユキCEO)。

 ホン・ヨンギのインスタグラムは約74万フォロワーを超え、インフルエンサーとして活動するかたわら、ECサイトをプロデュースするなど実業家としての一面も持つ。韓国国内のみならず、日本の若年層にも影響力を持つホン・ヨンギがコスメブランドを立ち上げた経緯や、今後の展開にいて聞いた。

WWD:「ミルクタッチ」を立ち上げたきっかけは?

ホン・ヨンギ(以下、ヨンギ):基本的には私が使いたいものを作りたい、ということから始まりました。あと、私だけじゃなく家族や知人が安心して使えるようにと思って作りました。仕事柄、化粧品関係の方と接することが多く、その中には「自分が使うものじゃないからお金だけ稼げればいい」という考えで作っている人もいて……。そういうものは安心できないので、成分などにもこだわり、「私が作ったものだから安心して使っていいよ」と。

WWD:「ミルクタッチ」のターゲットは?

ヨンギ:トレンドに敏感で、かわいいものが好きな20代女性をイメージしています。でも私もそろそろ30代になるので、年齢は関係ないと思っています。

WWD:ブランド名の由来は?

ヨンギ:ブランドを立ち上げるときに、どうしても“ミルク”という言葉を入れたかったんです。私にとってミルクって、純粋できれいなものイメージなので。社内でたくさんアイデアをもらった中で「ミルクタッチってどうですか?」と提案がありました。ミルクっていう純粋なものにタッチして、ミルクみたいな肌を作る、という意味でその名前になりました。

WWD:「ミルクタッチ」のアイテムを作る上でこだわった点は?

ヨンギ:私たちのブランドにはメイクアップのラインとスキンケアのラインがあります。スキンケアのラインは直接肌に使うので、成分が大事なのは当たり前ですが、私たちはそこからもっと発展させて、メイクアップのラインでも成分にこだわっています。

WWD:メイクアップラインの特徴は?

ヨンギ:例えばチークですが、色味にこだわると肌に負担がかかる成分を入れざるを得ません。しかし、「タッチ マイ チーク」は肌に優しい成分で、発色にもこだわった処方にしています。あと、ファンデーションは肌に負担がかかるイメージがありますが、「マシュマロ ファンデーション」は使い続けるほどに肌のコンディションがよくなります。肌なじみも自然です。

WWD:一番のお気に入りアイテムは?

ヨンギ:私が一番おすすめするのは「グロッシー モイスチャー パッド」です。拭き取りタイプのスキンケアアイテムなのですが、韓国ではこのパッドがすごく流行っていて、いろんなコスメブランドが出しています。クレンジングの後にこのアイテムで拭き取ると、クレンジングで落としきれなかった汚れをきれいにオフでき、肌の調子がよくなります。また、刺激がないので肌荒れしているときに使えるのもポイントです。さらにこだわったのはクーリング効果。肌に熱があると化粧のりが悪くなるので、メイク前にどれだけクーリングできるかが大切です。拭き取った後はひんやりとした効果が続き、角質除去の効果も期待できるため、とても化粧のりがよくなります。ほかにも肌荒れに効果がある成分を配合し、低刺激だけど美肌効果も。パックみたいに使うこともできます。

WWD:今後、日本での展開は?

ヨンギ:韓国では4月に発売して、いろんな商品を段階的に展開しています。日本は11月から自社ECで販売を開始し、その後ポップアップストアなどで展開していきたいと考えています。

WWD:今の韓国メイクのトレンドは?

ヨンギ:少し前までは平行眉が流行っていましたが、最近はアーチ型の眉がトレンドです。あと、MLBBです。“My Lips But Better”の頭文字をとったもので、私のリップがより自然に美しく、という意味です。自然な発色で肌になじむ色が好まれています。その理由として、韓国ではマイカラーが流行っていることが挙げられます。日本でいうブルべ、イエベなどのパーソナルカラーみたいなもので、韓国ではクールトーンとウォームトーンとに分けます。その中でもいろいろな種類があって、それをさらに四季に例えます。春のウォームトーンや、夏のクールトーンといったように。みんなマイカラーを基準にリップやチークなどを選びます。

WWD:最近日本でもメンズビューティが広がってきているが、まだまだハードルが高い印象。韓国では?

ヨンギ:たぶん割合でいうと10人に2人くらいはメイクをしていると思います。男性用のリップティントもすごく人気があるし、アイドルやテレビに出る人たちがメイクしているので、韓国では男性がメイクをしたり、自分を着飾ることに違和感が少ないのだと思います。逆にあまりしないことに違和感があるくらい(笑)。メイクをしている男性はまだ多くはありませんが、スキンケアはすでに当たり前です。

WWD:実業家、インフルエンサーなどさまざまな面を持っているが、今後どういった活動を行っていく?

ホン・ヨンギ:今は「ミルクタッチ」が始まったばかりなので、モデルとして私の名前を全面に出しています。信頼してもらうためにはそれが必要だし、批判も含めてすべて受け入れるべきだと思います。しかし、「ミルクタッチ」を韓国の中で終わらせるのではなく、世界中の人に楽しんで使ってもらいたいという夢があります。世界に流通させるために、ゆくゆくはモデルよりも実業家としての立場に注力し、ブランドをサポートしてきたいと考えています。

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そのパッケージが機会損失?と疑え エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月12日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

そのパッケージが機会損失?と疑え

 「THREE」からデリケートゾーン関連商品がデビューするそうです。「THREE」ユーザーに男性も多いのは、コンセプトや使用感、香りはもちろん、シンプリシティーに徹したパッケージゆえ、でもあります。きっとデリケートゾーン関連商材もステキなパッケージ、ポーチからポロッと落ちてしまっても安心なデザインになることでしょう。

 デリケートゾーン関連ニュースで思い出すのは、ハヤカワ五味ちゃん。中核を担うプロジェクト「イルミネート(ILLUMINATE)」は、バラエティーに富んだオシャレ生理用品を提案するなど、選択の自由を増やすことを目指し活動しています。僕は実際使うことのない商材ですが、「選択の自由を増やす」のコンセプト、ものすごーく共感します。だって生理用品を含むドラッグストア系商材って、マジで似たようなデザインばっかりでイヤになりませんか?

 その代表例は、殺虫剤。「ゴキブリが嫌いだから殺虫剤を買うのに、なぜ、そのパッケージにこんなに写実的なゴキブリを?」と思うのです。万が一のために買うけれど、本当なら売り場に行くのもイヤ。手に取るのもイヤ。買い物袋に入れて持ち帰るのもイヤ。部屋に置くのもイヤ。見える範囲に置くのがイヤだから隠すと肝心なタイミングでとっさに取り出せず役に立ってくれません(泣)。最近、キンチョーがようやくシンプルデザインにしてくれましたね。キンチョー!エラい!その意欲に感動し、蚊取り線香まで買いましたよ(笑)。別に絶対必要じゃなかったけど。

 他にも、「そのパッケージが“ガンコな汚れ”みたいだよ!」と絶叫したくなる浴室、シンク、パイプ周りの強力な洗剤のパッケージも、どーにかならないですかね?だから「フロッシュ(FROSCH)」から離れられません。この辺の商品、パッケージを変えるだけでビジネスチャンスが広がると思っているのは、僕だけですか?

 ドラッグストア系商材の“主張しすぎるパッケージ”問題みたいな不満って、いろんなところに潜んでいる気がします。洋裁品店の“ファンシー押し売り”問題とか(笑)。花柄の入っていない裁縫箱やアイロン台を買わせてください。最大公約数を狙ったマーケティングの結果の同質化であり、店内の棚で少しでも目立つための当たり前なのでしょうが、そろそろ、そこから脱却して良い時代なのでは?と思います。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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ストライプインターナショナルが設置したSDGs推進室 具体的に何を行う部署?どんな成果があった?

 1年を振り返るにはまだ少し早いが、2019年のファッション業界で、急激に存在感を増したのが“サステナビリティ”の意識だ。「持続可能な産業であるために何ができるか」ということを、さまざまな企業がそれぞれの立場から考えるようになっており、そうした姿勢を持たなければ、産業としていよいよ立ち行かなくなるという危機意識も強まっている。こうした潮流を受けて、「WWDジャパン」11月25日号でも、「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」という特集を組んでいる。ここでは、本紙では紹介しきれなかった、ストライプインターナショナルのサステナビリティ戦略を紹介する。

 ストライプインターナショナルは石川康晴社長の号令のもと、20年1月期の経営戦略として、エシカルやウェルネスを掲げている。それに伴い、19年2月1日の組織改編で、SDGs(国連が30年に向けて設定した持続可能な採択目標のこと)推進室を設置し、SDGsに積極的に取り組む企業というイメージを社内外に発信してきた。初代SDGs推進室の室長に就いたのは、それまで社内でダイバーシティー推進の旗振り役を担ってきた二宮朋子氏だ。

 「われわれの役割は、『SDGsとは何か』という意識の種を社内にまいて、社員それぞれが『自分たちの業務では何ができるか』を自発的に考えるようになるための土壌を作ること。意識の芽が生まれ際には、それを事業部を超えた取り組みにできるよう仕切ることも推進室の役目」と二宮推進室室長は話す。推進室設置から約10カ月が経ったが、この期間でまず行ったのは、ショッピングバッグの有料化(5月1日開始)だった。

ショッピングバッグ有料化を推進

 ショッピングバッグ有料化の動きは、3月にリニューアルした「アース ミュージック&エコロジー(EARTH MUSIC&ECOLOGY)」東京ソラマチ店で“エシカル”を打ち出したことが始まり。「(有料化は)最初は同店のみの期間限定の取り組みだったが、いいことだから全社で実施しようと推進室が全体の動きをまとめた」のだという。続いて、8月には使い捨てショッピングバッグの代替案の1つとして、オーガニックコットンを使ったエコバッグをブランド横断で企画。直近では、「コエ(KOE)」の事業部から声があがった「グリーン ダウン プロジェクト」に全社で賛同し、ダウンの回収ボックスを店頭に設置するように話をまとめたという。

 SDGs推進にあたって、プロジェクトによっては「実施するかどうか葛藤があった」と二宮推進室室長が話すものもある。SNS上などで、衣服の生産者と消費者やブランドとをつなぐ「ファッションレボリューション」の活動への賛同がそれだ。同活動は、「#whomademyclothes(私の服は誰が作ったの?)」というハッシュタグと共に消費者やブランドが衣服の写真をSNS上で発信し、縫製工場の生産者などがそれに応えて、「#imadeyourclothes(あなたの服を作ったのは私)」のハッシュタグで生産風景を発信するというもの。13年にバングラデシュで発生し、多数の死者を出した縫製工場崩落事故から生まれた活動だという。

 元々は、「レベッカ ブティック(LEBECCA BOUTIQUE)」事業部から「ファッションレボリューション」に賛同し、SNS上で「#whomademyclothes」と共に自社の商品を公開し、工場とつながりたいとの声があがった。しかし、「そもそも服を作って売っている企業として、どんな工場でどのように作られているのかを把握していないということをウェブ上で発信してしまうのはどうなのか。当然知っているものだとお客さまは思っているのではないか」と二宮推進室室長は逡巡した。しかし、最終的には、事業部の意志を汲んで賛同を決めたという。

社内の全ゴミ箱撤去も実施

 9月には、社内からゴミ箱を全てなくすという「ゴミ箱ゼロチャレンジ」を実施。「意義は分かるがあまりにも不便だ」といった意見も出たが、「このチャレンジを行うことで、毎月6000本ものペットボトルを社内ゴミとして廃棄しているということを社内に啓もうし、意識改革することはできた。チャレンジは期間限定だったので今は実施していないが、近日中にまた行いたいと思っている」という。

 サステナビリティ推進は、「ここまでやれば終わり」「これさえ達成すればもう大丈夫」といった類のものではなく、長期的な視点に立ってその時できることを常に行っていかなければならない。だから難しいし、SDGs推進室にも当然ゴールはない。「何か事業を行う際に、『どんな手法だとよりSDGsにかなっているか』を社員一人一人が考えるようになっていかなければならない。同じトップスを企画するにしても、SDGsというフレームワーク(思考法)が頭の中にあるとないとではアウトプットは変わってくるはず」と二宮推進室室長。ファッション業界は生産工程が細かく分断されていることで、サプライチェーン全体のサステナビリティの推進が難しいともよく言われるが、それらを変えていくためにも、第一歩として一人一人の意識改革が重要だと強調する。

 二宮推進室室長は、地元宮崎県の放送局などでアナウンサーとして活躍した後、11年にストライプインターナショナル(当時はクロスカンパニー)に中途入社。12年より人事課長として新卒採用・教育を担当してきた。15年に産休・育休を取得した際には、早稲田大学大学院でMBA(経営学修士号)も取ったというガッツの持ち主。その意欲を買われ、16年に職務に復帰する際にダイバーシティー推進室の旗振り役に就いたという経歴の持ち主。

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ラフ・シモンズが語る、ファッション業界の裏話とアントワープ愛 「私はただ服が作りたかっただけ」

 ラフ・シモンズ(Raf Simons)が11月21日にアントワープで開催されたイベント「ファッション・トーク(Fashion Talks)」に登壇し、ファッション業界の現状や自身のブランドが独立していることの重要性、有名ブランドで仕事をすることの難しさなどについて語った。

 ラフは1968年1月12日にベルギーのネールペルト郊外で生まれ、現在51歳。大学で工業デザインを学び、“アントワープシックス(Antwerp Six)”の一人であるウォルター・ヴァン・ベイレンドンク(Walter Van Beirendonck)の下でインテリアデザイナーとしてキャリアをスタートさせた。95年に自身の名を冠したメンズウエアブランドを設立。2005年に「ジル・サンダー(JIL SANDER)」のクリエイティブ・ディレクターに、12年には「ディオール(DIOR)」のアーティスティック・ディレクターに就任した。16年に「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」のチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任したが、18年12月に退任。親会社であるPVHコープ(PVH CORP)との対立が原因だといわれており、「ラフ・シモンズ」で参加した20年春夏パリ・メンズ・コレクションではアメリカに対する怒りを表現したとも解釈できる作品を発表している。

 今回のイベントでも、ラフは「カルバン・クライン」の名前こそ出さなかったものの、「メジャーブランドや大企業で仕事をすることなど考えたこともなかった。アントワープにいるデザイナーたちのように、私はただ服を作りたいだけだ」と話すなど、「カルバン・クライン」時代の体験に基づいていると思われる発言がいくつも飛び出した。「メジャーブランドの場合、誰がデザイナーに就任しようとブランドはその後もずっと続いていく。そうしたブランドの多くではマーケティングや事業の成長率が重視されるが、デザインに加えてそれらの分野も得意だというデザイナーはまれだし、少なくとも私は得意ではない。デザイナーにとっては誰と一緒に仕事をするのかも重要なことなのに、メジャーブランドでは選べないことも多い」。

 クリエイティブ・ディレクターに就任した場合、事態はさらに難しく複雑だという。「私はいくつかのメジャーブランドでクリエイティブ・ディレクターを務めたが、マーチャンダイジングや営業部門のチーム編成にまで関わらなくてはならないこともある。一方で、何もかもがきっちり決まっている中に入っていって、いきなりコレクション作りをしなければならないこともある。私の場合、自分に合っていないチームだと感じることもあった」と明かした。また、大企業の傘下に入ることの危険性についても言及。「自分のブランドの独立性を維持することは非常に重要だ。ジョン・ガリアーノ(John Galliano)の件は忘れることができない」と話した。これは、ガリアーノ自身のブランドがLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の傘下となった後に、ガリアーノが同じくLVMH傘下の「ジバンシィ(GIVENCHY)」や「ディオール(DIOR)」のチーフ・デザイナーに起用されたものの、不祥事を起こして「ディオール」を解雇された際に、自身のブランドのデザイナー職もLVMHによって解任されたことを指している。

 そうした“独立していること”を重視する姿勢は、自身がベルギー出身であることに関係しているとラフは分析する。「若い頃、私はLVMHが多数のメジャーブランドを擁していることや、そうしたブランドにクリエイティブ・ディレクター職があることなど知らなかった。ベルギー生まれの私は、ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク、アン・ドゥムルメステール(Ann Demeulemeester)、ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)、ダーク・ヴァン・セーヌ(Dirk Van Saene)、 そしてマルタン・マルジェラ(Martin Margiela)が自分のブランドを立ち上げて自由に制作するさまを目の当たりにしてきたし、彼らのようになりたいと思っていた。ドリスとウォルターが同じビルにアトリエを構え、それぞれ全く違う作風でありながらも、デザイナー同士としてコミュニケーションを取っていたことを覚えている。当時はそうしたコミュニティーがあって、あれはとてもいいものだったと思う。私は今でも、自分のブランドのスタッフをファミリーだと思っている」と述べた。

 デザイナーは“ブランドの顔”として表に出ることも多い。これについては、「『ディオール』にいた頃、スタジオでデザインやフィッティングをしている私の様子を取材したい、同席したいという外部からのプレッシャーがとても大きかった。そしてショーの前後にも取材に応じなくてはならない。私はこれが本当に嫌だった。とあるデザイナーがこうしたことを全く苦にしなかったから、それが当たり前のごとく求められるようになってしまった。それを好むデザイナーを批判するつもりはないが、同じことを全員に求めるのもどうかと思う」と、常にメディアの注目を浴びながらもそれを意に介さなかった“モード界の皇帝”こと故カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)氏をほのめかすような発言をした。

 最近のファッション業界については、「成功の定義が“いかに事業を成長させたか”という経済的な視点ばかりになってしまった。とてもいら立たしいし、ひどい話だと思う。クリエイティブな人間を、ブランドの店舗数や売り上げ、会社の成長率などで測るべきではない。クリエイティブ面ではひどい出来のコレクションなのに、売り上げがいいからと称賛されるのは間違っている。とはいえ、褒めるところがないから売り上げを褒めているのかもしれないが」と歯に衣着せぬ意見を述べ、観衆から大きな拍手を受ける場面もあった。

 ほかに印象的な発言をいくつか紹介する。「私がキャリアをスタートさせた当時、マルタン・マルジェラ、ヘルムート・ラング(Helmut Lang)、川久保玲がアバンギャルドで新しい作品を次々に発表していた。最近はファッション業界でそうした新しい風を感じることがなくて寂しく思う。むしろ、映画やテレビドラマなどで挑戦的なテーマの作品が増えていて、スタッフと毎日ドラマについて話している」。

 「私がアントワープに越したとき、例の6人(アントワープシックス)のうち一人は私の活躍を恐れるあまり、私がこの街に来たことを怒っていた。しかし、一人は私を心から歓迎してサポートしてくれた。若者は挑戦することを恐れないでほしいし、デザイナーは若い世代の登場を恐れないでほしいと思う。私たちの年代は、若者のせいで時代遅れの間抜けに見えることになるのかもしれないが、そういうものだしね。マルタンとドリスの登場によって、ティエリー・ミュグレー(Thierry Mugler)やジャン・ポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)が市場から蹴り出されてしまったのと同じことだよ」。

 「私は昔から、ブランドとつながりたいという気持ちが強かった。デザイナーに会いたいという意味ではなく、その世界観の一部だと感じられるブランドが好きで、たとえ買えなくても感情的なつながりを感じていた。もし金銭的に可能だったら、私は『ヘルムート ラング』しか着なかったと思う。私が女性だったら、『マルタン・マルジェラ』ばかり着ていただろう。その他のブランドはバイヤー的な視点で興味を引かれても、“私のブランド”ではなかった。そのブランドのファンであることを“ギャング”と言ったりもするが、昔はショーを見に行くとその周辺に熱心なファンが集まっていて、『マルタン族だな』とか『ゴルチエ族だな』とすぐに分かったものだ。最近はそうした光景があまり見られなくなったし、たとえ熱烈な『セリーヌ(CELINE)』ファンでもほかのブランドのバッグや靴も持っている。それが悪いことだというわけではなく、時代が変わったのだろう」。

 「私は精神的にいつまでも若々しくありたい。最初はとても面白かったのに、いつの間にか商業主義に染まってしまい、とがった部分がなくなるようなブランドにはしたくない。私は感情を揺さぶるようなものを作りたいと思うし、そうすると(ブランド側が)受け入れる準備ができてない作品になることもある。しかし、そうした作品は変化の波を生み出すだろうし、未来を予兆させるものであるはずだ」。

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本当の美とはどんなもの? 最新のオーラルケアアイテムから考える

 歯磨きは、だれもが毎日の習慣にしているケアで、オーラルケア製品はずっと以前からありますよね。しかし昨今の、いわゆるボタニカルのコスメブランドから発表される新作の数からは、時代の潮流を感じずにはいられません。5月にライフスタイルライン「エムアイエムシー ワン(MIMC ONE)」を新発売した、MiMCの北島寿・開発者兼代表は「オーラルケアは化粧品と食品の間。アイテムは化粧品ですが、口腔内の粘膜に密着する形で使用するので、両方を満たしていることが大切と考えて商品化しています」という。セルフケアを意識する傾向が強まり、消化器官を司る口腔ケアアイテムには一層注意して選んでいる人も少なくないはずです。
 
 私自身、加速する高齢化社会の「8020運動」も理由の一つとしてあるのではないかと、まず考えました。しかし、それだけではないことが、新製品を発売した各社の開発担当者からいただいたコメントから分かってきました。高倉健たかくら新産業代表は、「オーラルケアは、口の中だけでなく、体全体の健康を考える上でも非常に重要なケアになります」と言います。美とは、ホリスティックケアによって生まれるものだと改めて気づかせてくれます。ここでは、健康を意識したオーラルケア新製品5選をお伝えします。

サーカディアンリズムを考え続ける「THREE」のトゥースペースト

 ブランド誕生から10周年を迎えた「THREE」から、初めてのオーラルケアアイテムが12月4日発売されます。ティートリー油やローズマリー油などの精油に、ミルラエキス、化石サンゴパウダーなどを配合。チューブに入ったペースト状のトゥースペースト(70g、2200円)は、歯を痛めないように配慮されています。「交感神経と副交感神経のスイッチのオンオフを、毎日の習慣をうまく使って切り替えられないか、と考えました。ライフスタイル提案型の商品MDとしては、開発優先順位は高い商品ではありました」とは高橋佐恵子「THREE」ホリスティックケア商品開発担当 シニアマネージャーの言葉。歯磨きをすることでオンオフのスイッチにもなるトゥースペーストは、歯磨きをしている最中からリフレッシュできるのがわかるはず。「朝の目覚めのスイッチ。会議前の眠気覚まし、気分をrefreshさせたいとき、就寝の少し前にオフモードにスムーズに切り替える前の歯磨きなど、一日何回でも気分転換のアイテムとして使用いただきたいです。オンオフの切り替え、メリハリがあると睡眠の質も良くなって目覚めもすっきりしますよ」。

独自の“ココロとカラダの浄化”のテーマを貫く「おいせさん」

 「神社でお参りをする際には、手水舎(ちょうずや)で、必ず口を漱ぎ浄めます。「歯磨き」という時間に、口内をきれいにするだけでなく、心も浄めてもらうものとして発売しました」と岸野一雄マルチニーク代表。古来よりお祓いなどに用いられている塩に、ペパーミントのフレッシュさを与える「お浄め塩歯磨き粉」(100g、1500円)は、心と口内をすっきりと“浄め”てくれます。一方の「お浄め恋歯磨き粉」(100g、1600円)は、人を魅了しながら邪気をも払えるよう、自然由来の成分をベースにローズの香りを付与。他にはないユニークさの光る「おいせさん」。「浄められた口元は健康のためだけでなく、幸せを招く入り口。オーラルケアは、「おいせさん」にとっても日々の生活のなかで大切なケアと考えています」。12月14日発売。

オールジェンダーに向けて生まれた「エムアイエムシー ワン」が歯と歯茎を考えた

 “からだのバランス”に注目して5月にデビューした、「エムアイエムシー」の新しいライフスタイルブランドは、ナチュラルなオーラルケアを提案。「過去に、『エムアイエムシー』の店舗がある所でも災害があり、水道や電気が使えないという声を聞いたことがきっかけです。水なし、子どもでも使えるものを自然の素材を使って、歯科医師に監修してもらえるような製品を作りたいと考えました」という北島寿MIMC開発者兼代表。チンピやカンゾウ根エキスなどの保湿に優れたハーブと、透明度の高い与論島の塩をベストなバランスで構成したジェルタイプのトゥースペイスト(70g、1800円)が歯茎や口内環境を健やかに保持します。泡立ちもわずかに感じられる使用感で、磨くたびに歯を白くする働きもプラス。水を使用できない非常時にも使えるように考えられた処方は、このブランドならでは。

“口腔内フローラ”に着目。パワーアップして進化した「メイド オブ オーガニクス」の人気作

 「メイド オブ オーガニクス(MADE OF ORGANICS)」の人気オーラルケアシリーズが、12月1日にパワフルな処方で生まれ変わります。今回のアップグレードリニューアルについて、高倉健・たかくら新産業 代表取締役は「昨今、口腔内フローラが健康に非常に重要であることが分かってきました。腸内フローラが免疫機能を高めるための要であることは広く知られていることですが、腸内に行きつく前に、まず食べものを取り入れる口の中の口腔内フローラを整えることが必要で、それが腸の中の健康に導くのです」と話します。近年、私たちは酸性に傾いた食事を多く摂っていることから、口腔内のバランスが乱れがちになっているのだそう。「清潔に保ち、バランスを整えるためには、なるべく化学成分などの余分なものは使わず、食品に近いグレードのオーガニック・ナチュラル成分を配合することにこだわりたいという思いから」。3種、各25g、800円と100g、1600円。コスメキッチン(COSMEKITCHEN)およびビープル バイ コスメキッチン(BIOPLE BY COSMEKITCHEN)で先行発売中。

話題の腸活で簡単オーラルケアをも可能にする「発酵マメ子」

 口内環境を整えるためにはまずは健康が重要。そう、改めて考えさせてくれるサプリが「発酵マメ子」から11月に誕生しました。今を忙しく暮らす現代人に寄り添うことに考慮し、簡単に摂取することで超活へと導くタブレットタイプは、継続しやすいよう注力されています。一般的な腸活と大きく異なるのは、乳酸菌生産物質に21種のビフィズス菌・乳酸菌=プロバイオティクス、発酵させたダイズオリゴ糖・食物繊維=プレバイオティクスから成る「トリプル・シンバイオティクス」の採用。便秘の改善やダイエット、肌質改善といった作用はもちろん、口臭対策にも期待できます。使用される大豆は有機農法された国産100パーセントで、タンパク質や植物繊維を豊富に含んでいるそう。直径1.5cmのサイズはそのまま摂取でき、甘いヨーグルト菓子を思い出させる味で飲みやすいのも嬉しい。30粒、2709円。

渡部玲:女性誌編集部と美容専門の編集プロダクションに勤めた後、独立。2004年よりフリーランスの編集者・ライターとして雑誌やウェブなどの媒体を中心に活動。目下、朝晩のシートマスクを美容習慣にして肌状態の改善を目指している

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動画追加:「ミナ ペルホネン」の“1シーズンで役目を終えない服” 25年間のコレクションをミックスしたショーを開催

 2020年に25周年を迎える「ミナ ペルホネン(MINA PERHONEN)」は11月25日、“TIME ・ME・IT”と題したファッションショーを東京都現代美術館で行った。20年2月16日まで開催中の展覧会「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」を記念したもの。創業した1995年頃の初期のコレクションから最新の2020年春夏までを、時空を超えたミックスコーディネートで披露した。スタイリングは大森伃佑子、音楽は千葉広樹、演出は遠藤豊が担当した。

 ショーに登場した52体のルックは、いずれも一過性のトレンドに左右されない普遍的な価値を持つ。熱心なブランドファンでない限りは「どれが新しくて、古いのか」を言い当てることはもはや不可能だろう。ドットのサークル柄“タンバリン”や森を描いたレースの“フォレストパレード”など馴染みのモチーフをはじめ、鳥をかたどった人気バッグの“トリバッグ”などブランドを代表するアイテムだけでなく、一部ショーのために制作したウエアもあった。

 デザイナーの皆川明はブランド設立から「1シーズンで役目を終える服ではなく、長く着続けていただけるように」という思いを込めて服作りを続けてきた。アイデンティティーであるテキスタイルはオリジナルでデザインし、日本各地の生地産地とコミュニケーションを重ねながら丁寧に作り上げている。直営店ではセールを行わず、残った商品はアーカイブ品として販売しており、「ミナ ペルホネン」の服はシーズンを超えても価値が変わることはない。開催中の展覧会はこれまでのアーカイブを展示するだけでなく、実際にブランド愛用者が着用している動画作品を見せたり、実際の購入者から服を借りて服と着用者のエピソードを紹介したりと、クリエイションのその後までを考察している。

 今回のショータイトルの“TIME ・ME・IT”について皆川は、「時間(TIME)は “私(ME)”と“それ(IT)”からできている」と説明する。「私たちの日々は時の中で心の中と外の世界との対話でつむがれている。空想はカタチとなり、カタチは記憶を宿し、その記憶は次の空想の種となり、作り手へと還っていく。その循環を私たちはこれからも続けて未来を見つめたい」。

 皆川が「せめて100年つづくブランドに」とブランドを開始して四半世紀を迎えた。ランウエイショーは08年春夏パリでのショー以来で、日本での本格的なショーの開催は今回が初。ブランドの顧客を含む約300人を招待し、今後も“つづく”ブランドのモノ作りと、客との関係をつなぐショーとなった。

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写真で見る渋谷パルコ

 渋谷パルコが11月22日にオープンした。19日の関係者内覧会や開業日、24日に行われたシークレットライブなど、「WWDジャパン」が撮影してきた写真を公開する。

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覚悟ありの大丸の「生理バッジ」を評価する ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.24『あなたの知らないTENGAの世界』

読み解きポイント:
「論点はどこ?冷静になって考えて。」

ニュースのポイント

 TENGAが手掛ける男性向けセックストイ「テンガ(TENGA)」は国内外で男性から絶大な支持を受けている。「ヴァンキッシュ(VANQUISH)」や「リップンディップ(RIPINDIP)」など人気ブランドともコラボしており、阪急メンズ東京には初の店舗を出店、最近は女性向けのセルフプレジャー アイテム「イロハ(IROHA)」にも注力中だ。

AZUはこう読む!

 今回はニュースから少し飛躍します。「セルフケアの一環として、女性が使いやすいアイテムを」というビジョンの「イロハ」が、初の店舗を大阪の大丸梅田店にオープンしました。その「イロハ」がオープンしたのは、“月のみちかけのように、あなたのリズムに寄り添う”をコンセプトにした新しいゾーン「ミチカケ(MICHIKAKE)」内です。「ミチカケ」は「イロハ」の他にもフェムテック専門店「ムーンド バイ エルピーシー(MOOND BY LPC)」や“女性の生理周期に寄りそうライフデザイン”をテーマにした「エミリーウィーク(EMILY WEEK)」など、生理や女性の性にまつわる雑貨からコスメ、衣類までさまざまなブランドを集めています。

 「WWD JAPAN.com」のニュース記事からネットで話題になったのは、「ミチカケ」で試験的に導入された「生理バッジ」についてでした。

 とにかくSNS、いや、ツイッターが荒れたこの話題。みなさん、タイムラインで見かけましたでしょうか?そもそもツイッターをやっていなかったら、この騒動すら知らないかもしれません。現にインスタグラムで「#ミチカケ」「#michikake」を見ると、批判の声は見当たりません。ネットの世界はとても狭く、分け隔てられていて、偏っているのが事実です。それを踏まえてご覧ください。今から記すのは「ツイッター」での炎上について。あなたがツイッターを開かない地球人だとしたら、月の世界の話です。

 今回炎上の火種となったのは、「ミチカケ」が考案した「生理バッジ」。これは生理中であることを示すバッジで、名札にかけるフロアバッジの裏側に、「ミチカケ」とコラボしている漫画「生理ちゃん」のキャラクターが印刷されています。これを表にすることによって「生理中」を表現し、社内のコミュニケーションのきっかけにしよう、というものです。

 まず、以下3点が前提としてあります。

①バッジに着用義務はない
②この施策は「ミチカケ」のゾーンのみで試験的に導入している
③「ミチカケ」は生理用品から下着、サプリまで「生理に関連したアイテム」が多く並んでいるゾーンのこと

 「生理バッジ」の着用に関してはさまざまな議論を呼んでいますが、大半が「女性をバカにしている」「人権侵害」「気持ち悪い」というもの。特に話題になった批判を4つに整理して考えます。

①生理中に働かせるのではなく、
辛ければ休める環境を作るべきだ。

 「生理バッジを付けることは、生理中でも無理して働かせることになるのでは?」という意見。これは、生理の重さは人ぞれぞれで「普通」がなく、必ずしも全員が「生理中だから動けない」、「貧血で辛い」というわけではありません。もちろん、全く仕事にならないくらい症状が重い人もいます。

 症状が重い人は、バッジをつけてまで売り場に立つ必要はありません。もちろんそれを強制しているバッジでもありません。辛いなら生理休暇を取れば良いんです。と、簡単に言いますが、業務内容やスケジュールによっては休みが取れない人もいるでしょう。私も先週、体調が悪いのに絶対に動かせない締め切りがあり、休めませんでした。そういう人が休めるように替えのきく組織を作るのは会社の役割です。

 この論点に関しては、辛い生理中に働かせることを義務化しているバッジではないので、生理バッジの批判にはなりません。どちらかというと会社組織に対して。大丸さんが休暇を取りやすい企業かどうかは知らないし、批判をしている人も内情を知っているかどうか定かではありません。

②生理を公表することを
「強制」するなんてパワハラだ。

 「強制されてかわいそう」「義務じゃないにしても同調圧力を感じるのでは」この意見もかなり見ましたが、この施策に関しては強制しておらず、着用は任意です。そこでカウンター意見として出たのが「強制されていなくても選択肢として出てきたら、つけなきゃいけないと感じるのが普通。女性社員がかわいそう」という声。

 これは、特定の企業を名指しで批判するのではなく、同調圧力が蔓延する労働環境に原因があります。こうして「選択肢」が「強制」や「同調圧力」に変換され燃えていくこと自体が、「それらに苦しむ人が多いという現実」を如実に表していると、勢いのある批判の数々を見て感じました。

 もし②に同意したなら、自分が働く環境を想像してください。選択肢を提示された時、同調圧力を感じますか?それはその選択肢が悪いのではなく、圧力をかける環境が悪いのではないでしょうか。現に私は働いていて、任意参加の施策やイベントがあるときに同調圧力を感じたことは一切ありません。これは性格もだいぶ影響しそうですが。

③こんなことを
考えたのは男性だろう。

 「女性のことがわかってない。考えたのどうせ男性でしょ?」という声。この意見もかなり見ましたが、本当に残念でした。記事では誰が発案したかは書いてありません。しかし「こうしたことを考えるのは男性に決まっている」という先入観での批判なのでしょう。この意見こそ、ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包摂・包括性)を目指すご時世に真っ向から対立する声。女性の敵は男性と決め込み、当事者になれずとも理解しようと努力する男性を排除する言動です。と、偉そうに書きましたが私も内情を知らずそう思うことがあるので、とても反省しています……。

④さまざまな理由で生理がこない人
に対する配慮が足りていない。

 こちらは闇雲に批判しているというより、真っ当な意見だと思いました。事実として、病気などにより生理がこない人もいるし、それを本当に辛く思う人もいます。もしも従業員の中にそういう人がいて、見るたびに「つける資格が無い」と落ち込んだり、お客さまに辛いことを思い出させるきっかけになったりするのなら、やめた方が良いかもしれません。ただ、これも想定されることではあるのですが、実際はどうなのかわかりません。スタッフとお客さまの声を聞いて、今後の方針を決めていくべきです。だってこの施策はまだ「試験的」なのですから。

 何故誰も疑問を感じずに実行したのか、という意見もたくさんありました。果たして本当に誰も疑問を抱かず、議論を巻き起こすことが見えていなかったのでしょうか?

 「ミチカケ」ウェブサイトのコラムにはこう記してあります。

 「こんな時代に、わたしたち大丸梅田店は、『従来通りのアイテムを取り扱うだけで、これからもお客さまのお役に立つことができるのだろうか?くらしの中の“晴れの日”だけでなく、“雨の日”も正面から見つめることで、みなさまに寄り添えるのではないか?』と、議論を重ねてまいりました。」

 「日本では、女性の性や生理は「隠すべきこと」「恥ずかしいこと」とされてきました。そのため、必ずしも肯定的な反応ばかりではないことを覚悟しています。」
本来なら明記するまでもないことですが、議論と覚悟があった上での発信です。もちろん批判がある以上、全ての人に穏やかに受け入れられたとは言い難く、嵐のスタートになってしまいました。

 しかし、ここで「大変申し訳ございませんでした。」と頭を下げてほしくありません。大企業が行動を起こすのは「選択肢を増やす」「社会への問題提起」という意味で、とても有意義です。個が活躍する時代といわれ久しいですが、影響力を持つ個人の声高な発信と、人格を持たない企業の発信とでは、意味も役割も規模も違います。

 女性の身体に関するテーマはある種トレンドとなっていますが、正直まだまだ企業のテーマとしては炎上リスク等で荷が重く、個人の意見として受け入れられている段階だと思います。取り上げられるニュースなどを見ても、タイトルにはオピニオンリーダー的な個人名が踊っています。

 そのフェーズを抜け、誰もが自由に語れる(語らない選択肢も含めた)時代になるには、新しい挑戦は必要不可欠です。頭ごなしに批判したり、きりのない揚げ足を取ったりするのではなく、冷静に議論し、問題点はその都度改善していくしかありません。一発で世界を変えるのは暴力だけだし、一回で完璧な正解を出せる人はいないから。

 以上、月の世界で起きた炎上の話でした。地球人にとっては何を言ってるの?という説明のくどさだと思いますが、こんなことが日常茶飯事で起きている世界も一つあるのだと知っていただければ幸いです。

 バッジの話ばかりでしたが、売り場コンセプトや集まっているショップの取り組みは本当に素晴らしいです。扱っているのは生理や性にまつわる商材だけではなく、コスメや漢方、ナイトウェア、アクセサリーなどもあります。そうした「ライフスタイル」と括られる商品たちと同じ並びで、今までタブー視されてきたコンテンツがあるだけ。だってそれも、表舞台には出てこなかったものの、ライフスタイルの中にあるじゃないですか。服を着たり、食事をしたり、くつろいだり、そうした日々の行動の中に。

 「ミチカケ」では、今まで気になりつつも話題に出せないことや、知るきっかけがないことを、誰でもアクセスできる場所で展開しています。そしてこうした売り場を作ろうと覚悟を決めた大丸を評価すべきだと、思います。トレンドだから作ろう、的な規模感ではないことは、説明しなくても良いですよね。

 バッジに関しては試験的な導入ならば期間を決め、実際に従業員やお客さまにアンケートを取り、「本当のところどうだったのか?」を確かめる。そしてここまで議論を呼んだということは皆が気になっているはずなので、結果を公表し、次のステップに進んでいけば良いのかなと思います。
 
 「あるニュースに対する批判的な意見」に対しての考察意見でした。私の考察に対してもさまざまな意見が出てくると思うので、みんなで考えましょう。なぜ良くてダメなのか、ならばどうするべきなのかを。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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「ファッション業界は地球の汚染者」 「ハンター」のアラスディア・ウィリスが語るサステナビリティとブランドの可能性

 英国発「ハンター(HUNTER)」は、日本での売上高が3年前に比べ500%と大きく伸長する。2016年にオープンした東京・銀座の東急プラザ銀座の旗艦店を発信源に、レインブーツの「ハンター」にとどまらず、アウターウエアからバッグまでそろえるライフスタイルブランド「ハンター」へと進化し幅広いファンを獲得する。その立役者が、6年前にクリエイティブ・ディレクターに就任したアラスディア・ウィリス(Alasdhair Willis)氏だ。就任後、何を行い、何を行わなかったのか――2年ぶりに来日したウィリス・クリエイティブ・ディレクターに、その答えと、ブランドとしての信念、世界が直面しているサステナビリティ、そして妻ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)について聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):日本は上陸以来、APAC(アジア太平洋地域)をけん引する売上高を誇り、過去3年でも500%の伸びを記録する。その要因は?

アラスディア・ウィリス(以下、ウィリス):日本はアメリカ、イギリスに次ぐ3番目の市場で約19%の売り上げシェアとなるが、その拡大スピードは最も速い。そこで何より注目すべきは、日本の売り上げの45%がアウターウエアやバッグなど、フットウエア以外で占めている点で、まさに注力してきたことだ。私が「ハンター」に参加し“ハンター オリジナル”を立ち上げた理由は、レインブーツという単一のビジネスから、アウターウエアやバッグなど複数のカテゴリーを展開するファッション&ライフスタイルビジネスへと転換させるためだ。中核であるフットウエアビジネスを継続的に拡大しつつ、新しいカテゴリーをプラスオンとしてうまく機能させる。日本ではまさにそれが機能しており、うれしく思っている。

WWD:服やバッグのカテゴリーは、当然だが多くの競合がいた。その中でどのように差別化しブランドを確立していったのか?

ウィリス:新しいカテゴリーで成功するために重要なのは、従来のコアな商品に対して顧客が持つ愛着や親しみを、新設のカテゴリーにも移していくこと。「レインブーツを求めてハンターへ行く」のではなく、「自分の生活の中にハンターが欲しいから行く」というエモーショナルなつながりが大切だ。

WWD:そのエモーショナルなつながりとは?

ウィリス:カテゴリーを増やす中で、顧客の生活に寄り添った打ち出しを行なっている。「ハンター」のレインブーツが生活の一部になり、そこに思い出や記憶がある。例えば、このブーツがいかに濡れないかという機能面ではなく、「フェスで好きなバンドの音楽を聴いたときに履いていた」などだ。店頭では自分たちの生活や思い出と一緒に「ハンター」の話で盛り上がる。私自身もクリエイティブ・ディレクターを要請されたとき、真っ先に自分の子ども時代を思い出した。ハンターブーツを履いて小屋の外に立っていて、2人の姉妹が乗馬をしていたシーンがよみがえった。これはレインブーツにとどまらず、全てのアイテムでも同じ。これが顧客の広がりにつながっている。

WWD:「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」をはじめ、「ディズニー(DISNEY)」、アメリカの大手量販店「ターゲット(TARGET)」などさまざまなブランドとコラボレーションしているのが印象的だが。

ウィリス:実はクリエイティブディレクターに就任後、3年間はコラボレーションを一切やめた。アウターウエアやバッグなどの新しいカテゴリーをローンチするにあたり、各カテゴリーのパーソナリティーや「ハンター」というブランドをしっかり確立することが重要と考えたからだ。その後再開したが、想像以上に多くのブランドからコラボレーションの提案をもらっている。「ハンター」はハイファッションから手頃な価格帯、子どもまでリーチできる独特なポジションを持っている。

WWD:2020年春夏コレクションではサステナビリティが一番の話題だった。「ハンター」も9月に、この分野で先駆的存在であるブランド「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」とのコラボブーツを発表するなど、サステナビリティを推進する。ブランドとしてどう対応している?

ウィリス:専任のサステナビリティチームがあり、3つの側面からアプローチしている。1つ目は人権・職場・環境基準を満たす世界中の工場と提携するなどの社会的サステナビリティ、2つ目は人権・動物愛護・環境に配慮した素材を使用し、責任を持って調達する製品的サステナビリティ、3つ目はアジアにあるゴムのプランテーションや輸送、梱包など、製品開発における二酸化炭素排出量の測定・分析を行うなどの環境的サステナビリティだ。

妻のステラとは普段からサステナビリティについてよく話す。ベジタリアン一家で、虐待とみなされる活動はサポートしないことにしている。ただ、グローバルビジネスに携わっている以上そのバランスが難しいが、地球温暖化に最も関与しているのは食品業界とファッション業界と思っており、我々は地球の汚染者。その業界に携わる者として責任を負うべきだ。

WWD:日本のファッション企業も何かやらなければいけないことは分かっているが、どうすべきか分からず悩んでいるようだ。

ウィリス:大企業がこの問題を真剣に捉えれば状況は変わる。大企業がサステナビリティを最重要課題と考えて、変革は可能なのだと信じる必要がある。それが今まで起こらなかったこと自体が問題だが、ようやく動き始めた。でももっとスピードアップしなければならない。私とステラも中国のパートナーとミーティングを設け、環境におけるメッセージを伝えようと計画している。地球上の問題は私たちの手にかかっている。

WWD:「ハンター」の今後の目標は?

ウィリス:これまで同様に、サステナブルを意識・活動することを根底に、消費者のライフスタイルに寄り添えるブランドとして発信し、“会話”を増やしていく。売り上げでいえば、昨年の売上高は1億5000万ポンド(約210億円)だったが、3年以内に5億ポンド(約700億円)の規模にしたい。そしてグローバル市場でのeコマースの割合を36%から50%にすることが目標だ。アメリカやイギリス、日本市場の基盤を固めたら、次は中国に注力していく。

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香りは言語化が難しいからこそ世界観 ITのプロ「WWDビューティ」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDビューティ」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日にニュース:P.3「ファッションメゾンが次々とフレグランスに参入」

読み解きのポイント:フレグランスは、世界目線。世界観あるメゾンの参入は当然。

ニュースのポイント

 2016年に「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」、17年には「ティファニー(TIFFANY & CO.)」、今年は「トム ブラウン(THOM BROWNE)」「トリー バーチ(TORY BURCH)」などがフレグランス事業のスタートを発表。フレグランス市場は、17年の3740億ドル(約4480億円)から、23年には6460億ドル(約7750億円)へ拡大すると英国の市場調査会社は予想する。消費者の目も肥え、参入ブランドは、モノ作りをアピール。いくつかのメゾンでは、フレグランスから化粧品事業を本格始動させており、高価格ウエアやアクセサリーとは違う、単価の低いエントリー商材として、顧客層の拡大を狙っている。

CKRはこう読む!

 「1万円以上のフレグランスって、そんなに売れるの?」。この疑問に答えるには、日本市場だけでなく、海外、特に欧米市場の状況を踏まえる必要があります。

 Euromonitor International(2017年度版)によると、20年予測、国内化粧品市場1.6兆円のうち、フレグランスが占める割合はわずか3%。それに比して、4.1兆円市場の欧州において、フレグランスが占める割合は49%、同じく米国(3.9兆円市場)では32%と非常に高く、ケタが違います。1.6兆円市場の中国では7%、APAC(1.6兆円市場)では16%と、日本より、やや大きい割合です。

 日本では、スキンケアが67%、メイクアップが30%を占めており、アジア全般ではスキンケアの割合が高いのが特徴です。

 ファッションメゾンにとって、フレグランスは、ウエア、バッグ&シューズ、ジュエリーに続く一手。規模の大きい欧州、成長が期待されるアジアを中心に参入すべきではないでしょうか。流行り廃りが少なく、パッケージも小さく、一度ポジションを獲得すると継続利用も見込まれる商材です。

 もう一つ注目すべき点は、香りは「正確に特徴表現するための言語化が難しい」ということです。「柑橘系」のように類似性で表現するか、「甘い」といった味覚で表現するしかありません。

 新規参入する場合、商品特徴をズバリ言葉だけで想起させることは難しく、すでに一定の世界観やイメージを持つブランドに、アドバンテージがあると言えそうです。

 世界の2大香料メーカーの一つである、スイスのフィルメニッヒ(FIRMENICH)が2019年9月、上海にフレグランス体験館を開設しました。中国、アジアに眠る潜在需要への期待の表れかもしれません。

 フレグランス市場に新規参入するファッションメゾンは、欧米中心にアイコンとなる商品を確立し、拡大が見込まれるアジア市場へ参入して、世界全体で、継続的に収益化できるビジネスを目指すのではないでしょうか。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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編集長は先週何した? カオスの渋谷パルコで見たもの、アレクサ・チャンと背比べ、「メゾン マルジェラ」でパフェ!

 こんにちは、「WWDジャパン」編集長の向(むこう)千鶴です。先週の業界の話題は何といっても渋谷パルコのオープニングでした。ほかにも「ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」の展示会や「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」の企画展などイベント多数。「ミュウミュウ(MIU MIU)」ではアレクサ・チャン(Alexa Chung)と会いました。今週から“美味しかった物”をまとめて紹介していますので一番下までスクロールにお付き合いください!

11月18日(月)
「ロジェ ヴィヴィエ」の
ユーモアのセンス

 何かと窮屈なご時世だから定期的に胸いっぱいにユーモアを吸いたくなりますね。「ロジェ ヴィヴィエ」のプレゼンはユーモアたっぷりで突っ込みどころ満載、夢満載。だって会場にオスカルがいました(笑)。ゲラルド・フェローニ(Gherardo Felloni)=クリエイティブ・ディレクター(写真左)いわく、「ベルサイユのばら」はイタリアでも有名で、タイトルは「レディ オスカル」と訳されているそうです。

11月19日(火)
渋谷パルコ内覧会は
全世代がはしゃいでいた

 次々と新しい商業施設がオープンしている渋谷ですが、先にオープンした渋谷スクランブルスクエアと渋谷パルコを比べると、おもしろさという面では圧倒的にパルコに軍配が上がるでしょう。どのフロアも混とんとしていて、リーシングにかけた執念がすごい。内覧会で印象的だったのは、どの世代も自分の居場所を見つけてはしゃいでいて、なおかつ共存していること。私と同世代の声をざっくりまとめると「やっぱりファッションが好き。新しいことをもう一回本気でやるぞー」と燃えている感じ。いいぞ!!

こちらの写真は内覧で会った皆さん

こちらの写真は内覧会で目についたあれこれ

11月19日(火)
弁護士はトラブル前に味方にせよ

 12月の特集に向けて弁護士事務所への取材を進めています。弁護士との関係はコピーされたり、訴えられたりとトラブルになってから始まるイメージがありますが、彼らの話を聞くうちに“そうじゃない”、“それだけじゃない”、“もっと日常からコミュニケーションをするといいことあるぞ”、と発見多数です。特集を乞うご期待!

11月21日(木)
最新号「サステナビリティ特集」の
校了と今日のおやつ

 記者たちには「“自分は今ここにあり”と爪痕を残すような思い入れたっぷりの、業界に役立つ特集を作ってくれ」と伝えています。今回は、サステナビリティ担当の廣田記者による渾身の一冊です。カバーオンカバーは「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」からデビューしたラグジュアリーライン“ジ・オニツカ(THE ONITSUKA)”。そしておやつは渋谷パルコの内覧会で「サカヨリ(SAKAYORI)」でもらったお茶です。環境に優しいこのパッケージはお湯を注ぐと簡易ポットになります。凄くないですか?

11月22日(金)
「ミュウ ミュウ」で
アレクサ・チャンと背比べ

 「ミュウミュウ」は同ブランドの新作コレクションからアレクサ・チャンがセレクトしたアイテムを青山店でお披露目をしました。一緒に写真を撮ろうとしたらなぜか背比べに(笑)。

11月22日(金)
「メゾン マルジェラ」で
ガリアーノの頭の中をのぞく

 一週間の最後にたどり着いたのがメゾン マルジェラ トウキョウで開幕した “アーティザナル(ARTISANAL)” コレクションの企画展です。雨音が響く店内でシャンパン片手に一人でゆっくり、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)の頭の中に入り込むのは、う~ん、控え目に言って幸せ。“青い色のプードルなんて存在しないけれど、ピンクのプードルならギリギリ存在しそうでしょう?”など、ガリアーノが投げかけてくる禅問答みたいなメッセージを頭に反芻させながら0から1を創り出すデザイナーの思考の跡を辿ります。

【先週美味しかったもの】

 先週食したあれこれから美味しかったものをいくつか写真で紹介します。

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。番外編 世界が注目の環境保護団体エクスティンクション・レベリオンが訴える もう新品の服はいらない

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探る。今回は番外編として、今世界で注目を浴びている英国発の環境保護団体エクスティンクション・レベリオン(Extinction Rebellion以下、XR)のスポークスパーソン、サラ・アーノルド(Sara Arnold)とローラ・クラルプ・フランセン(Laura Krarup Frandsen)に話を聞いた。

72カ国に拡大するXRとは?

 2019年9月のロンドン・ファッション・ウイーク期間中、ロンドン中心部で「ロンドン・ファッション・ウィーク:安らかに眠れ」と書かれたプラカードを掲げた集団による大規模デモが行われた。この集団を率いたのがXRだ。同団体は18年4月に発足し、環境問題の危機を訴える集団デモを各地で行なっている。交通機関を麻痺させて逮捕者が出るなど過激な行動が賛否を呼んでいるが、現在72カ国で485の支部が存在し、その影響力は拡大中だ。

 XRにはファッション産業や音楽産業といった特定の文化産業をターゲットにした部門が存在する。ファッション部門のXRボイコットファッション(XR BOYCOTT FASHION)は、1年間新品の服を買わない#BOYCOTT FASHIONキャンペーンを行い、現在2526人が参加している。メンバーには、ファッションの専門学生やファッション業界に携わる人々も多い。

WWD:まず、あなた自身について教えて欲しい。

サラ・アーノルド(以下、アーノルド):現在33歳で、主な仕事はファッション・レンタルサービスのハイアースタジオ(HIGHER STUDIO)の運営だ。18年にXRが設立されてから、ファッション部門のコーディネーターとして関わっている。学生時代は、セント・マーチン美術大学(Central Saint Martins)でファッションデザインとマーケティングを勉強していた。当時は今ほど社会のサステナビリティへの関心は高まっていなかったが、在学中からファッション産業が環境にかける負荷に関心があった。自分のファッションブランドを持つことが夢だったが、サステナブルなやり方が見つからず、大学卒業後さらにインペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)でビジネスを勉強した。そこで循環型経済に興味を持ち、ファッションのレンタルサービスに行き着いた。

ローラ・クラルプ・フランセン(以下、フランセン):私は今年の7月にロンドン芸術大学(University of the Arts London)を卒業し、ウィメンズウエア科の修士号を取ったところだ。今はXRのコーディネーターとして活動している。

WWD:環境問題に関心を持ったきっかけは?

アーノルド:正直、何か大きなきっかけがあったわけではない。思いつくのは、小さい頃宇宙飛行士になりたかったこと。いつも地球を一つの星として捉えていて、地球の大気が特別なものだと気がついていた。インドネシアで生まれて、海の近くで育ったことも影響しているかもしれない。小さい頃から学校では地球温暖化について教えられていて、私にとってはいつも大きな関心事だった。

WWD:今のファッション産業の問題は何だと考える?

アーノルド:まず、大量生産。企業は広告を使って、必要のないものをいると思わせている。今持っているものを捨てて新しいものを買わせるトレンドのシステムにも関係している。もう一つの問題は、服の生産におけるコストの問題だ。労働もそうだが、海に流れ出るマイクロプラスチックや汚染水など、環境にさまざまなかたちで負担をかけている。経済や社会のシステムも関係している。私たちの生活はこのシステムの上に成り立っているために、カタストロフィーを引き起こしているのにもかかわらず、なかなか抜け出せなくなってしまった。

XRが提示する3つの要求

WWD:XRのゴールは何か?

アーノルド:私たちには3つの要求がある。1つ目は、政府が”気候と生態系の危機”を宣言すること。2つ目は25年までに温室効果ガスの排出量ゼロを達成すること。30年にデッドラインを設定している国もあるが、イギリスは歴史的に見て今の環境問題を引き起こした国でもあるので、この動きをリードする責任がある。3つ目は気候と生態系に関する市民会議を発足させること。

WWD:XRボイコットファッションのゴールは?

アーノルド:ファッションの分野からこれら3つの要求を達成する手助けをすること。XRでは、政府への働きかけだけでなく、ファッションやアートなどのカルチャーにおけるアプローチも重要だと考えている。

WWD:XRのメンバーは何人?

フランセン:これはムーブメントなので明確な数字は分からない。もしXRの活動に賛同しているのであればXRのメンバーと言ってよいと思う。ただ、プロテストを行うたびにその規模は拡大している。

WWD:#BOYCOTT FASHIONキャンペーンを始めた理由は?

アーノルド:地球温暖化の現状の深刻さを理解する必要があると思ったからだ。地球の平均気温は上昇していて、この先予想されている1.5度から2度上昇してしまえば悲劇的な現実が待っている。これ以上二酸化炭素の排出量を増やすことはできない限界にきている。そこで私たちがすべきことは、環境を再生し、温暖化の速度をできるだけ遅らせることだ。一部の国では、温暖化の影響で十分な食べ物を作るための土地がなくなっているのにもかかわらず、その貴重な土地を洋服の生産に使っている。このキャンペーンは、ファッション業界にもう限界がきていることを知らせるためのものだ。また、私たちは膨大な数の服を生産していて、もう十分に持っているということを人々に気がついてほしかった。すでに生産をしたものを循環させれば、もう私たちに新しい服はいらないはずだ。

求められているのは新品の服ではなく、緊急処置

WWD:あなたたち2人は、ファッションを勉強していたというのだからファッションを愛していると思う。以前はどれくらい新品の服を買っていた?

フランセン:もちろん、ファッションは大好き。確かにもうすでにたくさん服は持っているけど、ここ3年半以上は新しい服を買っていない。このボイコットキャンペーンに参加する前から、同じことをやっていたことになる。服を買うとしたらチャリティーショップや古着店だけ。

アーノルド:私も服を持ちすぎている自覚はある。ワードローブを見直したら、冬のコートはこの先一生買わなくてもいいくらい持っている。私にとって最も特別なのは「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」で、買いたくても1年に2〜3着くらいしか買えなかった。10代の頃はファストファッションをよく買っていたけれど、18歳になった頃から買い方を変えた。ドーバー ストリート マーケット(DOVER STREET MARKET)で働いていたこともあって、本当に好きだと思えるものだけを買うようになった。今は服を着たいとは思うけど、所有したいとは思わなくなった。だから、自分でファッションレンタルサービスを始めた。

WWD:いらなくなった服はどう処分している?

アーノルド:適切に処分するのは本当に難しい。個人的には、友だちへの寄付が一番多い。イギリスではチャリティーショップに寄付するのが一般的だけど、実際はチャリティーショップに寄付された古着のうち12%しか売られていない。残りはアフリカなど他の国に送られて、現地のテキスタイル産業を脅かしている。例えばエチオピアはコットンの産地で、コットンをイギリスに輸出している。イギリスは服を作り、いらなくなった服をまたエチオピアに送り返している。おかしな話だ。私たちが服を処分するときには、最終的にそれらがどこに行くのかをよく考えなければいけないと思う。

フランセン:私は極力処分をしない。私のワードローブは決まっていて黒しか着ない。スタイルが決まっているから、破れたりしない限りは処分しない。チャリティーショップでも買うけれど、あまり寄付はしないようにしている。

WWD:トレンドは全く気にしない?

フランセン:トレンドは最も避けるべきこと。

アーノルド:私が「コム デ ギャルソン」を好きな理由は、トレンドに左右されないから。デザイナーの川久保玲はファッションそのものや身体にアプローチしているから、彼女のアイテムを着るとトレンドなんか気にするなと教えられている気になる。

WWD:「コム デ ギャルソン」も毎シーズン新しいコレクションを発表している。新作が欲しくなることはない?

アーノルド:私もこれまでは、徐々にファッション業界が変わってくれればそれでよいと思っていた。けれどIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の「1.5度特別報告書」が発表されて、本当に緊急事態なのだと気がついた。緩やかな変化ではなく緊急処置が必要なのだ。例えばあなたの家が火事になったら、窓ガラスを割って逃げ出すことをまず考えるだろう。ファッション業界は、これまでのルールを破ることも犠牲を伴うこともためらってはいけない。「コム デ ギャルソン」のショーを初めて見たとき、感動のあまり涙したことを覚えている。しかし、これは緊急事態なのだ。私たちが今必要なのはラグジュアリーファッションではない。

ファッションをコミュニケーションのツールとして使ってほしい

WWD:ロンドン・ファッション・ウイーク中に行ったデモの反響は?

フランセン:私たちは「ファッション・ウイークを中止せよ」と呼びかけた。ネガティブとは言わないまでも、ショックを受けた人は多かったようだ。ファッション業界の人たちからは行きすぎた主張だと思われた。けれど、確実に議論を巻き起こしたと思う。

アーノルド:抜本的な改革を求めたから確かに批判はあった。でもその後メディアはファッション・ウイークに代わるものは何か、どうやったらシステムを変えられるのかについて取材を始めて、みんなが考え始めた。ファッション・ウイークの中止自体に賛成してくれなくてもよい。一度立ち止まって考えてくれさえすれば。

WWD:最近では、ファストファッション企業もサステナビリティへの取り組みを始めている。それについてはどう思うか?

アーノルド:サステナビリティをどう定義するかによると思う。ファストファッションブランドがオーガニックコットンを使用したからといってサステナブルではないと思う。XRとしては、地球上の生き物を維持することが大事だと考えている。サステナビリティとは、いかに地球を次世代に残すかということ。今ファストファッションブランドは、私たちに地球を残す手助けをしているのか?その逆だろう。サステナビリティとはどんな素材を使うかだけではない。持っている影響力そのものを、いかに地球を守るために使うかだ。

WWD:一部ではXRの活動が過激すぎるとの批判もあるが、それについてはどう思うか?

アーノルド:過激な手段で訴えるしかないほど事態は切迫している。この30年間、意味のある取り組みを行ってこなかったつけが回ってきている。このままでは自分や自分の子どもが生きている間に悲劇は起こる。

WWD:ファッション業界に何を期待する?

アーノルド:今あるもので間に合わせること。ファッションをコミュニケーションのツールとして使うこと。緊急事態なのだというメッセージをファッション通じて多くの人に伝えてほしい。

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大友克洋と河村康輔に「AKIRA」のアートウォールから「シュプリーム」コラボまでを聞く

 先日3年ぶりに再開業した渋谷パルコは「WWDジャパン」11月25日号でも詳細をリポートしたように、日本の新たなカルチャーの震源地として注目を集めている。中でも地下1階のギャラリーX(GALLERY X)と4階のパルコ ミュージアム トウキョウ(PARCO MUSEUM TOKYO)は、旬のアーティストによる展示を定期的に行う予定で、記念すべきオープニングエキシビションとして漫画家・映画監督の大友克洋とグラフィックアーティストの河村康輔による「AKIRA ART OF WALL Katsuhiro Otomo × Kosuke Kawamura AKIRA ART EXHIBITION」が12月16日まで開催されている。

 同エキシビションは、2017年から開業直前まで3度にわたって渋谷パルコの工事仮囲いに掲示されていた「AKIRA ART OF WALL」の集大成として位置付けられるものだ。パルコ ミュージアム トウキョウにはアートウォールの実物や「AKIRA」の原画、河村康輔のコラージュ作品などが展示されているほか、物販エリアも設けられ「レディメイド(READYMADE)」とのTシャツや、「ナナナナ(NANA-NANA)」とのPVCバッグなどのコラボアイテムが並ぶ。さらには大友克洋の私物を集めたという「アキラ キオスク(AKIRA KIOSK)」も設置されるなど、「AKIRA」ファンにはたまらない空間になっている。

 そんなパルコ ミュージアム トウキョウで、アートウォールのスタートのきっかけから、世界中で話題となった「シュプリーム(SUPREME)」とのコラボについてまでを、大友克洋と河村康輔の2人に短い時間だが話を聞くことができた。

WWD:今回の展示のきっかけになった「AKIRA ART OF WALL」について教えてください。

大友:昔から壁に絵を描いていたんですけどね。パルコから話があり、河村君と2人でやることになったんですよ。特に僕の方から企画を持ち込んだわけではないです。

河村:2015年くらいに最初に僕に話が来たんですけど、そもそも企画をいただいた時点から「2人で」というものだったので、大友さんに僕から話をしました。

大友:あくまで公共物だから、そこの確認なども含めると準備段階で半年から1年くらい掛かって、かなり長期的なプロジェクトになりましたね。

WWD:「2人で」ということですが、以前から交流はあったんでしょうか?

河村:12年に開催された「大友克洋GENGA展」(「AKIRA」の全原稿を含む約3000枚の原画が展示された大規模かつ初の原画展)で僕がメインビジュアルをやらせてもらってからですかね。

WWD:企画の段階から全3回にわたり期間を区切って展示内容を変えることは構想されていたんですか?

大友:展示の方法は最初から決まっていたわけではなくて、いろんな案がありました。大きなものを掲示するのではなく、漫画のコマを抽出して毎月張り替えるなどの意見もあったんです。でも、それでは面白くないと思ったのでコマを全て外して、河村君がコラージュしていく方向になったんです。

WWD:漫画はページ内でのコマ割りや流れが重要ですが、そのコマを抽出して並び替え、新たな作品を生み出す上で難しかったことはありますか?

河村:例えば使いたいコマがあっても頭や肩がコマの枠で切れているなど、全身が描いてあるコマって意外と少ないんですよね。でもその足りない部分を僕が描こうにも描けないし、かといって大友さんに描いてもらうわけにはいかないじゃないですか(笑)。だからつなぎ目をビルで隠そうとするんですけど、人物の横にいきなりビルが並んでも変なので、違和感をなくすためだけのコマを探すこともあり、漫画として全体を読むというよりも1コマずつの作品を絵画として見ていく感じです。「AKIRA」は全2500〜2600ページなんですけど、僕の場合はコマで読んでいたので、5倍の1万枚くらいの作品を隅々まで見る感じでしたね。

「AKIRA ART OF WALL」にはビルの崩壊シーンがあるんですけど、実は1つのコマをただ使っているわけではなくて、いろいろなシーンのビルや瓦礫を組み合わせて作っているんです。大友さんの1コマにはいろいろなものが凝縮されていて、何をどこに使えるかはその都度変わってくる。だから瓦礫の一つ一つも「これはきれいに使えるかも」って見ていました。

WWD:大友さん的に使ってほしいコマなどはあったんでしょうか?

大友:「これがいいんじゃないの」くらいのアドバイスは出しましたよ。さすがに自分で描いているから覚えているので(笑)。

河村:それが本当にすごくて、だいたい覚えてるんですよ。僕も1万枚の絵を何十回も見ているのに「確か●巻の●ページあたりにこういう絵があるから」ってピンポイントで教えてくれたら実際にあるんです(笑)。

WWD:おふたりにとって今回の作品がご自身で最も大きい作品でしょうか?

河村:そうかもしれません。

大友:仙台空港にある原画の巨大レリーフ作品も大きいですけど、横の長さでいったら今回のパルコが1番大きいですね。

WWD:今回のように、2人のアーティストによるコラボプロジェクトはあまり見られませんよね。

大友:そうですね。だからこそほかの人もこういう機会がもしあれば、パクリとは言わないのでやるべきだと思います。

WWD:最後に「シュプリーム」とのコラボはどういった流れで決定したんでしょうか?

大友:あれは河村君が持ってきてくれた仕事なんですよ。僕の窓口をやってくれているので(笑)。

河村:僕に話が来て、大友さんに「やりましょうよ」ってずっと言ってたらOKが出たんです。

大友:あれも発売まで長かったね。「AKIRA」のTシャツなんて作りたくないって言ってたから。

河村:2年かかって説得したら「じゃあデザインして」って言ってもらえて、発売まで1年くらいかかったから実質3年かかりましたね。

WWD:「シュプリーム」とのコラボがファッションブランドとの初めてのコラボだったんですよね?

大友:そうですね。でも前に「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」との仕事でDMに「AKIRA」のイラストを提供したことがあったんですが、実はそのときにもTシャツを作る話があったんですよ。でもいろいろあって実現には至らず、残念でしたね。

■AKIRA ART OF WALL Katsuhiro Otomo × Kosuke Kawamura AKIRA ART EXHIBITION
日程:11月22日〜12月16日
時間:10:00〜21:00
会場:渋谷パルコ4階 パルコ ミュージアム トウキョウ

日程:11月22日〜12月8日
時間:11:00〜21:00
会場:渋谷パルコ地下1階 ギャラリーX
入場料:1000円(共通)

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私のサステナビリティ 犬塚景子エコー・ジャパン社長は車を手放し「エコー」のシューズで徒歩、自転車、または公共交通機関を利用

 大きなことでなくても、持続可能な社会の一員として一人ひとりができることをコツコツ行うことが大切だと思います。私が個人的に行っているのは、フィルター使用の水を飲み、ペットボトルの水を買わないこと。自宅では、節水トイレやLED照明をはじめ、節電家電を使用しています。窓を開けるなどして、エアコンの使用もできる限り控えるようにしています。また自家用車を手放して、「エコー(ECCO)」のシューズをはいて徒歩か自転車で移動するようにしています。遠距離の場合は、電車かタクシーを使います。

 友人でもあるフラワーアーティストのニコライ・バーグマン(Nicolai Bergmann)が運営しているフェアトレードのチョコレート「サマーバード オーガニック(SUMMERBIRD ORGANIC)」など、できるだけエシカルかつオーガニックなものを購入するように心がけています。

 これからは、実体験に基づく口コミほど強いものはないと「エコー」の活動を通して実感しているので、被災者と被災地の“応援消費”とサステナビリティ体験のシェアをしてみたいです。

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古着 & 靴好きの時計担当が見た渋谷パルコ

 「WWDジャパン」11月25日号は、22日にオープンしたばかりの渋谷パルコを4ページにわたって取り上げています。時計担当で古着、靴好きの“四十路男子”の僕も内覧会受付開始の9時半には集合し、次の取材までの1時間、しっかり内覧させてもらいました。

 まず向かったのは4階の「リストック」です。渋谷のスニーカーカスタムショップ「リクチュール」と、パルコの子会社ヌーヴ・エイの協業による館内唯一のリペアショップです。売り場面積は約46平方メートルで、店内に“オープンファクトリー”とも言うべき、見せる工房を備えています。スニーカーはもちろん、服やiPhone、ヌーヴ・エイが5階に出店する時計専門店「チックタック」のノウハウを生かした時計の修理も受け付けます。リクチュールの廣瀬瞬オーナーとは、靴好きコミュニティー“Jの会”を構成する仲。リクチュールの前身である「国分寺シューズ」時代からの付き合いで、靴のことならなんでも相談する間柄ですが、国分寺から渋谷、そしてパルコに駆け上がる姿に目を細めていました。ちなみに内覧会当日は、廣瀬オーナーのまさかの出張で会えず。「行くね」ってメッセージしたのに、ブツブツブツ……。

 2軒目は、3階の「セイコーブティック」。ギンザ・シックス、グランフロント大阪に続く3店舗目です。てっきり、8月にパルコ隣の「ホテル コエ トーキョー」でプロスケーターを招き「セイコーらしからぬ」(セイコーウオッチ関係者談)イベントを行った「セイコー 5スポーツ」を推してくるのかと思っていましたが、メインは「グランドセイコー」と「セイコープロスペックス」。「グランドセイコー」の平均価格帯は50万〜60万円で、「渋谷的若者が買うには、ちと高いのでは?」と聞くと、「“時間を知るのはスマホでOK”ではなく、“きちんと時計を着けよう”というムードが若年層にも広がりつつあります。彼らに“本格派”の時計を提案したい」との回答。一方で「セイコープロスペックス」は、その若年層に人気のダイバーズウオッチをしっかり打ち出します。ほかにも「プレザージュ」の、ダイヤルにほうろうや有田焼を使ったモデルはインバウンド客向け。カオスな雰囲気の渋谷パルコの中で、高級時計が本当に売れるのか?数カ月後に“結果”を確認しに行きたいと思いました。

 最後は、今や世界中から注目される古着店の「ベルベルジン」です。でも3階のフロアガイドをしっかり見たのに、たどり着けないんです……。それもそのはず、一度大きく重いガラス戸を開け、ウッドデッキの共有通路を渡り、再び室内に入る必要があるんですもの。僕の“フントニモー!”をよそに、山田和俊オーナーは「この立地が気に入ったんだ」と笑います。店内には「20代や外国人客に人気」だというバンドTシャツが500枚以上。ほかにも渋谷パルコ店のオープンに合わせて発売する、オリジナルブランド「トゥービーアナウンスド(TOBEANNOUNCED)」のウエスタンシャツやニットカーディガン、コーデュロイパンツが並びます。価格は1万9000~4万8000円。「スーパービンテージはないんですか?」と聞くと、「あるよ」と見せてくれたのは1950年代製の“501XX(レザーパッチ)”(98万円)。ハイ、目の保養になります。

 デニム担当でもある僕は、ルックホールディングスが10月に日本法人の株式譲渡を発表した3階の「デンハム(DENHAM)」や、ドラァグクイーンがずらりと並んだ地下1階の「キャンピーバー」も気になりましたが、とにかく時間がなくて……。今度は子どもと一緒に、6階の「ポケモンセンターシブヤ」や「ニンテンドートウキョウ」もゆっくり訪れたいと思います。

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“イースト東京”にクリエイターが集うホテルが開業 老舗問屋がビジネスホテルを全面改装

 11月15日、東京・日本橋馬喰町に「さまざまなクリエイターが集まる個の集合体」を目指す“コレクティブ・ホテル”、「DDDホテル」がグランドオープンした。同地で運営していた創業37年のビジネスホテルをリノベーションしており、客室は180超から122へと大胆に削減。その分、1室あたりの面積を一部拡大、アートギャラリーや注目若手シェフによるレストランなどの客室以外のスペースを増やしている。同ホテルを手掛けているのは衣料品の老舗現金問屋の丸太屋。リノベーションを指揮したのは、丸太屋の後継者であり、子会社ログズの社長を務める武田悠太だ。

 日本橋馬喰町や隣接する日本橋横山町は、昔から現金問屋が集まる繊維の街。かつては全国からファッションの小売店関係者が買い付けに集まったが、浅草や東京スカイツリーなどの観光スポットからも近く、現在では海外観光客が多数集まるようになっている。DDDホテルの前身もベッドとユニットバスのみのコンパクトな客室が並ぶビジネスホテルだったが、設計事務所ケース・リアルを率いる二俣公一を空間設計に起用し、フルリノベーションを実施した。

 ユニットバスは全室で廃止し、水回り設備を充実。「配管工事などが非常に煩雑なため、通常、ホテル客室の区割りを変えることはあまり行われない」(武田ログズ社長)というが、一部客室は区割りを変えて拡大、過ごしやすさを追求している。宿泊料金は1人あたり7000~8000円。スイートルームは1室で3~4万円だ。

 “コレクティブ・ホテル”を標榜する通り、各分野の面白いクリエイターをホテルに引き込んでいる点がポイントだ。立体駐車場だった場所はアートギャラリーの「パーセル」に変更し、現代美術やストリートアートを中心に展示。ギャラリーの企画やコーディネーションとして、アーティストの高須咲恵とアートコンサルタントの佐藤拓と組んでいる。ホテルのグランドオープンに合わせて、12月22日までは、アーティスト角田純の展覧会を実施している。

 ギャラリー横の1階に設けたのは、最大8席のフレンチレストラン「ノル」。若手料理人集団の「実験的キッチン空間」だといい、「日本のフランス料理界として、(勤務していたレストランで当時29歳という)最年少でミシュラン2つ星を獲得した」というシェフの厚東創がディレクターを務める。不定期にディナーイベントを開催し、ケータリングやフードアートなどの活動にも取り組む。

 2階のフロントデスク横には、カフェ兼バーの「アブノ」を設けた。武田社長が好きでよく通っていたという池尻大橋にあった「P.N.B.コーヒー」のオーナーバリスタ、ピーター・ブル(Peter Buhl)がバリスタを務める。

 ログズは、山縣良和が手掛けるファッションの学校「ここのがっこう」に開催場所を提供していることもあって、武田社長は若手デザイナーとの親交も深い。ホテル従業員のユニフォームデザインは「アキコアオキ(AKIKO AOKI)」の青木明子が、客室用ウエアは「ハトラ(HATRA)」の長見佳祐が担当するなど、若手デザイナーのインキュベーションとしての顔も、DDDホテルは持ち合わせている。

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河北裕介がオンラインサロンを開設 コラボ終了やオリジナルコスメについても語る

 雑誌やTV、化粧品のプロデュースなど活躍の幅を広げているヘア&メイクアップアーティストの河北裕介がDMMオンラインサロンで「河北メイク塾」を開設した。SNSやユーチューブが主流の中、なぜ今オンラインサロンを開設したのか。その理由と思いに迫る。

WWD:オンラインサロンを始めようと思ったきっかけは?

河北裕介(以下、河北):年間を通じてメイクショーやトークイベントをたくさんやっていますが、東京や大阪などの都市部になりがちです。でも、もっと簡単にメイクはできる、簡単にキレイになれることを地方の方を含めもっと多くの人に伝えたくてオンラインサロンを始めました。ユーチューブという方法もありますが、コミュニティーとしてみんなでメイクを楽しくしていきたいという思いがあって、オンラインサロンを選択しました。会費はありますが、クオリティーの高い動画やコンテンツを提供するためでもあり、入会するだけの価値があるものを提供したいと思っています。ビューティを動画で見せるって大変なことで、カラーを調整して色をきちんと見せて……、ものすごくコストがかかるので(笑)。

WWD:どんな情報を発信していく?

河北:僕が現場で経験してきたことや知識、テクニックなどは全てお見せしたいと思っています。まず、基本のステップから発信していく予定です。今は情報が多すぎる。情報の多い状況を僕らが作っている面もあるけど、「自分の顔を肯定しよう」ってみんなが思わなくなってきた。雑誌などのモデルのメイクをまねして、その顔になりたいと思っている……。そうじゃないでしょう、と。あなたの顔には、あなたにしかない色っぽさがあったり、良さがあったりするわけだし。基本中の基本だけど、まずマッサージしないとダメ。みんな先にテクニックに走りすぎなんですよね。これは僕が常々思っていること。それは女優さんもそうで、僕らがいくらキレイだって言っても、コンプレックスがたくさんある。その中で一番いいパフォーマンスをするからキレイに見えてくる。僕らのやるマッサージもパフォーマンスを上げるためのもの。まずはそこから始めましょう、という思いがありました。

WWD:あらためて基本に立ち返るということ?

河北:「顔のマッサージはしなきゃダメだ」って言ってきたけど、それは「逃げないで自分の顔をみてください」ということ。自分の顔は自分で責任を持つしかなくて、自分がどう感じるかを大事にしてほしい。僕のメイク塾は“塾”って付けているだけあって、考えてほしいんです。誰かに教えてもらうだけじゃなく、自分で感じて「私こうだったんだ」って気付くことでひとつ自分が好きになれる。そうやって“好き”を増やしてほしい。自分のこれが嫌だ、だからこうしようって考えて行動してみてほしいんです。

WWD:すでにオンラインサロンの入会が始まっているが、反響は?

河北:募集開始から 10日で1000人の枠が埋まって、すぐに増員しました。多くの反響があり、キレイになるためのメッセージをたくさん発信していきたいですね。

WWD:オフ会などの参加型のコンテンツも行いたいとのことですが、今後の予定は?

河北:もちろんやっていきたいです。もしやるとしたら東京が中心になりますが、会員数が増えてランニングコストが下がっていけば、いろんな所でできるようになるかもしれない。大阪、福岡、北海道など地方都市も視野に入れています。オフ会でコミュニケーションをとったり、メイクの技を見せたり、立食パーティーみたいな形でラフに話せる機会をつくりたい。境界をつくらず、みんなで楽しむ場にしたいと思っています。たまたま僕がリーダーだけど、みんなでコミュニティーを作っていけたら最高だと思っています。

WWD:「エトヴォス」とのコラボ終了と発表されたが、反響は?

河北:コラボって一生のものではないんですよね。基本的には短期間で終了するものを約4年半やってきました。ニュースになって反響があるのはうれしい反面、申し訳ないとも思っています。でも、やっぱりコラボだから終わりはあるんですよね。決してネガティブな終了ではありません。コラボ製品がここまで大きくなれたことについて、お客さまへの感謝しかないです。

WWD:今後は自身がプロデュースする「アンドビー」に注力する?

河北:そうですね。これまでスキンケア、最近はアイブロウ、アイライナー、マスカラなどを発売しましたが、今後はベースやメイクアップアイテムも増やしていきます。2020年からいろいろなアイテムの発売を予定しているので、期待していてほしいですね。

WWD:製品にかなりこだわっているが、「アンドビー(&BE)」を立ち上げたきっかけは?

河北:化粧品の成分などに対して思うところがあったのも一つだけど、子どもが生まれたことも大きな転機でした。洗濯、掃除、お風呂、幼稚園の用意が僕の係で、世の中のお母さんってこんなに大変なんだってことがわかって。そんな中で子どもと一緒に使えて、簡単にケアできる製品があったらいいなと思ったんです。あと、自分の肌がとても弱くて使えない製品も多かったんですが、ヘアメイクという仕事柄、モデルやタレントにも安心して使えるものを作りたかったというのもあります。

WWD:今後、ヘアメイクアップアーティストとして、プロデュースする側として挑戦していきたいことは?

河北:生活の中で「こうしたらいいんだ」って思うことがどんどん出てくるんですよ。それを形にした商品を作っていきたいと思っています。みんなの生活にフィットしたところからヒット商品が生まれてくる。だから、オンラインサロンの意見もすごく大事にしています。そこで「なるほど」と思うこともたくさんあって、消費者の目で見た意見からすごく発見があります。今後、オンラインサロンを通じて新しいアイテムを出していくこともあると思います。

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試したコスメは10万点以上 美容家の立花ゆうりが支持される理由 

 SNSやユーチューブなど誰でも情報発信ができるプラットフォームの登場により、多くのインフルエンサーが活躍している。今や雑誌やテレビ、ウェブメディアなどの媒体以上に影響力を持つ存在と言えるだろう。次々と新しいインフルエンサーが登場する中で、インスタグラムで約5万フォロワーを抱え、雑誌やテレビ出演など活躍の場を広げ支持され続けているのが美容家の立花ゆうりだ。

 立花ゆうりは、コスメコンシェルジュやJMAメイクアップアドバイザー、化粧品成分検定など16種の美容系資格を持ち、試したコスメは10万点以上にのぼるという。11月21日号「WWDビューティ」で展開している連載「デジタルPR講座」でもインスタグラムの活用方法を紹介しているが、その豊富な知識と共に投稿されるインスタグラムでは、熱狂的なファンからのコメントが絶えない。また、ウェブや雑誌などで美容ライターとして執筆するほか、TV出演やコスメブランド「K-パレット」とコラボレーションを行うなど、その活動は多岐にわたる。支持され続ける理由、美容家としてのこだわりを聞いた。

WWD:美容家として大切にしていることは?

立花ゆうり(以下、立花):自信をなくしてしまっている人や、年齢などを理由に「私なんか……」とキレイになることを諦めてしまっている人に、もっと女性としてキレイになることを楽しんでほしと思っています。メイクや美容でキレイになる楽しさを知ってほしい、そんな思いを大切にしインスタグラムで情報を発信しています。メイクはパワーをくれるものだと思っていて、リップひとつで自信が湧いたり、コンプレックスを克服できたりします。メイクや美容によって自信がつけばポジティブになれると思うんです。そんな人を一人でも増やしたいです。あとは、気になったものは全部試すことを大事にしています。とりあえずやってみること。自分が試してみないと伝えられないので。なんとなく「おすすめです」って言うことは簡単ですが、それって本当に美容家として正しいのかな?と思うんです。情報を発信する立場として、嘘をつかないことを大切にしています。

WWD:今注目しているビューティトレンドは?

立花:私自身がエイジングの悩みが気になり始めたので、最新技術の登場に注目していますね。最近だと「ポーラ」の新美容液「グランラグゼⅢ(ザ サード)」!好奇心が脳を活性化して、肌にも作用するという考えのもとに開発された美容液なんですが、私も脳と肌はつながっていると考えていたので、この製品を知ったときはとてもうれしかったんです。キレイになりたいというポジティブな気持ちって肌に表れると思うんです。そういった脳と肌の関係を解明したこの美容液にとても期待しています。

WWD:今後どんなものが流行すると思いますか?

立花: ミニサイズコスメですね。ミニバッグがトレンドだし、持ち歩きに便利なミニサイズは需要があると思います。それで言うと、韓国コスメでは定番の一体型コスメなどにも注目しています。ハンドクリームのフタのところにリップ&チークが付いてたり、アイシャドウとチークがコンパクトなケースにセットになっていたりと、持ち歩きに本当に便利。日本でもブームになりそうですね。

WWD:メンズメイクが注目を集めていますが、どう思いますか?

立花:男性のメイク、大賛成です!いきなりフルメイクは難しいでしょうが、眉を少し描き足すだけでもすごく凛とした印象になります。就活やビジネスシーンでも、好印象になると思うんですよね。あと、眉の色をアイブロウマスカラで明るくするだけでもぐっとあか抜けるし、

まずは眉メイクから入ってみて、メイクでこんなにも変わるっていうことを体験してほしいです。それに、世の中にイケメンが増えたら女性だってうれしいですよね(笑)。

WWD:今後どういった活動を行っていきたいですか?

立花:雑誌やテレビ、セミナーなど、さまざまなジャンルに挑戦している最中なんですが、その中で求められているもの、私に合っているものを見つけていきたいです。

そして女性が美を諦めることなく、もっともっと美しくなれるようにメディアやSNSを使って情報発信を続けていきます。あと、男性にも美容の楽しさを知ってもらえるように今後企画してみたいです。男女でメイクやコスメの話が共有できるようになったら楽しいですよね。

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今、手に入れるべきジュエリーはこれ! 「ブシュロン」のウィッシュリスト

 街がにぎやかになり、いそがしさとともに心が浮き立つホリデーシーズン。自分へのご褒美に、2020年の願掛けに、今こそ欲しいジュエリーとは?後悔しない、今、手に入れるべきジュエリーをウィッシュリストでご紹介。

WISH LIST 1

自分だけのお守りジュエリー

 スネークをモチーフにした「ブシュロン(BOUCHERON)」を代表するアイコニックな“セルパンボエム(SERPENT BOHEME)”。創業者フレデリック・ブシュロン(FREDERIC BOUCHERON)が妻ガブリエルにお守りとして贈ったというスネークモチーフのジュエリーに由来する人気のコレクションだ。今シーズンの新作は、深いレッドから光によってはオレンジ色を帯びたりと表情豊かなカーネリアンを用いた。スネークのダブルヘッドのリングやペンダントはいつでもあなたのことを守ってくれるはず。他にピアス、そしてダイヤモンドをはじめさまざまなストーンの展開も。

WISH LIST 2

気分を上げる、ごほうびジュエリー

 モダンでクールな表情の“キャトル(QUATRE)”コレクションに今年加わったのは、情熱的な赤が印象的な“キャトル レッド”。レッドセラミックと好相性のPG、そしてダイヤモンドやYG、WGなどと組み合せたリングがラインアップ。大胆な赤色を指先に見つけるたびに気分を上げてくれること間違いなしの、自分へのご褒美にぴったりのリングだ。ゴールドとダイヤモンドでまばゆいばかりの輝きに満ちた“キャトル ラディアント”のリングは、グラフィカルな透かし細工が見事。どちらも新しい時代の幕開けにぴったりなリングだ。

WISH LIST 3

やっぱり欲しい。
憧れの定番ジュエリー

 「ブシュロン」を代表する“キャトル”は、フランス語で“4”を意味する言葉。クチュールに由来するグログラン、特別なセッティングできらめきを強めた“ダイヤモンド、ヴァンドーム広場の石畳を表すクル ド パリ、そして19世紀から「ブシュロン」に伝わる縞模様ゴドロンという、4層からなるこのコレクションは、ファッション関係者にもファンが多いスタイリッシュなライン。シングルモチーフや素材違いなど豊富なラインアップも魅力。ストラップ(別売り)を替えられる“リフレ”ウオッチとのコーディネートを楽みたい。

※YG=イエローゴールド、WG=ホワイトゴールド、PG=ピンクゴールド、PVD=PVDコーティング、SS=ステンレススティールを表します

ABOUT BOUCHERON

ブシュロンの歴史

 パリ、ヴァンドーム広場にブティックをオープンした最初のハイジュエラーであり、最も日当たりのよい26番地にブティックを構える「ブシュロン」。160年以上の歴史を誇り、エレガンスと大胆な創造性、伝統と現代の精神が共存するコレクションは世界の名だたる顧客たちを魅了し続けている。毎年発表されるハイジュエリーはもちろん、人気の“セルパンボエム”や“キャトル”コレクションにも、メゾンに伝わる自由で大胆な精神が宿っている。

PHOTOS:SHINMEI(SEPT)
STYLING:MASUMI YAKUZAWA
MANICURE:AYAKA TANAKA(SALON N)
MODEL:KANAKO HIYOSHI(PRESTIGE)
(写真上から)ドレス参考商品、ドレス3万8000円、シャツワンピース参考商品/以上、アデリー(オフィス サプライズ03-6228-6477)

問い合わせ先
ブシュロン クライアントサービス
0120-230-441

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快進撃を続ける「モンクレール」 会長兼CEOが語る革新の哲学

 「モンクレール(MONCLER)」の快進撃が止まらない。それを支えているのは、2018年2月にスタートした複数のデザイナーとの継続的な協業に取り組むプロジェクト「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」だ。その好調な滑り出しにより、2018年12月期は売上高が前年同期比18.9%増の14億2007万ユーロ(約1704億円)、純利益が同33.1%増の3億3249万ユーロ(約390億円)と増収増益を記録。毎月新しいコレクションを店頭に投入するという販売方法も定着させた。そして現在は昨年に続き、全コレクションが一堂に会する期間限定コンセプトストア「ハウス オブ ジーニアス(HOUSE OF GENIUS)」を東京、ミラノ、パリに構えている。

期間限定店を開く理由

 その指揮を執るレモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「ハウス オブ ジーニアス」について「プロジェクトを始動した頃から、私の中にはすでに“強固なアイデンティティーを持ったポップアップストア”というアイデアがあった。それは、『モンクレール』の『ハウス オブ ジーニアス』の哲学を反映できるようなダイナミックな期間限定店というイメージ。つまり、全てのコレクションを集結させ、デザイナーたちによるアーティスティックな才能の表現をまとめて披露する空間だ。そして、これはプロダクトからコンテンツへの旅の始まりでもある」と説明。「昨年10月にニューヨークや東京、そして同時に世界の百貨店や直営店に開いた期間限定店のコンセプトは、ブランドに対するたくさんのエネルギーを生み出し、成功したといえる。だからこそ、今年も昨年に続き、東京の原宿という魅力的なエリア、ミラノを象徴するヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア、そしてパリのシャンゼリゼ通りに出店した」と話す。

新たに加わった2人の才能

 同店で取り扱っている19-20年秋冬コレクションからは、新たなコラボレーターとして「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」のマシュー・ウィリアムズ(Matthew Williams)と、自身の名を冠したブランドを手掛けるリチャード・クイン(Richard Quinn)が参加した。藤原ヒロシやピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)ら既存のメンバーも含めると、クチュールからストリートまで、そして、ベテランから若手までをそろえる人選は、多岐にわたるクリエイティビティーや多様性を称える“1つのメゾン、異なるボイス”というモットーに基づいている。「『モンクレール ジーニアスでは、各デザイナーがブランドのヘリテージやDNAを真摯に向き合いつつ、それぞれの解釈による『モンクレール』を表現したコレクションを提案している。私はマシューとリチャードのクリエイティビティーや彼ら自身のコレクションが大好きで、彼らは他者と全く異なる存在だ。だからこそ、『モンクレール ジーニアス』のチームに加わるのにふさわしい。リチャードの作り出すシェイプやボリュームとプリントの扱い方は素晴らしく、とても洗練されている。マシューについても、斬新なファブリックの使い方やハードウエアとの組み合わせ方を高く評価している」。

 そんな個性豊かなデザイナーたちとコラボレーションする「モンクレール ジーニアス」により「ブランドにとってのエネルギーを生み出し、バズを巻き起こすということ」を目指していたというルッフィーニ会長兼CEOは、社内にも大きな影響があったことを明かす。「インターナルなカルチャーにも強いインパクトがもたらされたことは隠すことができないし、非常に誇り高く感じている。このプロジェクトを遂行していくことは複雑であり、大きな組織としてや、経営面、ロジスティック面で大変な努力を必要とする。社内にとっては、新たな働き方、組織、そして新たなリーダーシップのスタイルと言い換えられるだろう。このプロジェクトによって、組織としてさらに柔軟なキャパシティーを持ち、クリエイティブな姿勢に磨きをかけた」。

 それだけでなく、「モンクレール」は革新的なアイデアを出し合う社内イベントのハッカソンを開催するなど、従来のファッションブランドや企業という枠を打ち砕く取り組みを積極的に行なっている。そこには、どんな意図があるのか?「常に心掛けているのは、イノベーションにおける強固なカルチャーを作り出すということ。私にとってイノベーションとは、自然な姿勢であるとともに、それを自由に表現できるベストな環境を会社が提供することだと考えている。全てのレベルにおいて、それぞれが日々のイノベーションを担っているということを感じてほしい。『モンクレール』では、自分たちは常にスタートアップという感覚でいる。そして、スタートアップとしてフットワークを軽く、いつだって新たな挑戦を求め、われわれのユニークさにひもづくスピリットの探求を続けていく」。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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私のサステナビリティ 黒木麻里子「アドーア」&「ル フィル」ディレクターは「“豊かさ”を考えることが第一歩」

 私は、日常生活では添加物の多いものを摂取しない、白砂糖をあまりとらないなど、地球の環境のためというよりも、「まずは自分を大切にすることから」という気持ちでサステナブル・アクションを始めています。

 来年の春からは主人とともに自然の豊かな場所に行って、グランピングもしてみようと思っています。旬の採れたての食材を使った料理を食べたり、緑に囲まれてハンモックで寝てみたり……。忙しない日々を過ごしているからこそ、そういうことをしてみたい。高価なモノに囲まれたり、たくさん何かを消費したりする生活が、必ずしも「豊か」とは限りませんよね。

 私がディレクターを務める「ル フィル(LE PHIL)」(サンエー・インターナショナル)も、「女性の本当の豊かさってなんだろう?」という問いから昨年スタートしたブランド。店舗や展示会では、コレクションのテーマカラーとリンクさせて、自分でセレクトしたお花や果物などを店内に散りばめています。什器を使えば簡単に華やかに見せることはできるのですが、中には会期が終われば捨ててしまうものもあります。お花や果物でしたら持ち帰ることもできますし、自然に還すこともできるんです。

 肩肘を張ってサステナビリティに取り組むことって、とっても難しいことだと思います。だから、まずは自分が「豊か」だと思うこと、足元でできる地道なことをたくさん見つけて素直にコミットしていけば、自然とサステナブルなアクションにつながっていくんじゃないかな、と思っています。

私のサステナビリティ
 ファッション業界にとって加速して取り組まなければいけない課題の“サステナビリティ”。企業として大きく舵を切ることはもちろん、個々の意識も重要です。そこで個人的に行なっているサステナビリティについて聞きました。

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秋カラーのスリーピースでトルコ人の度肝を抜く!

 「WWDジャパン」11月25日号は、サステナビリティ特集です。僕は同特集の取材で、繊維商社の豊島の担当者とトルコに飛びました。棉(めん)花農場や紡績工場を訪れたのですが、そちらの詳細はぜひ本紙をご覧ください。トルコは、ずっと行きたかった国で、実はハネムーンの目的地だったんですが諸事情で断念していました……。出張取材を伝えると当然、妻からは特大の嫉妬を頂戴しました。海外出張準備にかこつけて大きな買い物をするというのが僕の戦法ですが、今回ばかりはそれもはばかられるくらい。でも、もちろん初志貫徹です!トルコ人の度肝を抜くべくセレクトしたのは、日本ブランド「アジャスタブル・コスチューム(ADJUSTABLE COSTUME)」の秋カラーのスリーピースです。

 小高一樹デザイナーは、ドン小西の「フィッチェ・ウォーモ(FICCE UOMO)」やアメカジブランドの「ザ・リアルマッコイズ(THE REAL MCCOY'S)」「フェローズ(PHERROW‘S)」などを経て、2011年に「アジャスタブル・コスチューム」をスタートさせました。1920~40年代のアメリカのビンテージスタイルをモダナイズしたアイテムを作っています。

 「このスリーピースは生地選びからこだわりました」と小高デザイナー。なるほど、コーデュロイの上にヘリンボーン柄をプリントした生地は、なかなかにユニークです。ジャケットのデザインは30年代の資料から着想したそうで、後ろ身頃にウエストベルトを備えてピンチバック仕様にしています。ベストはラペル付きだから単独で着用しても様になります。パンツはゆったりシルエット。僕は裾を5cm幅のダブルにし、ノーブレークで仕上げました。価格はジャケットが5万1800円、ベストが3万1800円、パンツが2万9800円。ハイ、妻には絶対この記事を見せられません……。

 でも、新たなスリーピースに合わせる小物も欲しい……。特にナットボタン付きのパンツにはサスペンダーが必須で、「アジャスタブル・コスチューム」が1820年創業の英国のサスペンダー専業ブランド「アルバートサーストン(ALBERT THURSTON)」に別注した品をチョイスしました(2万4800円)。なんといっても英国人デザイナー、ウィリアム・モリス(William Morris)の“いちご泥棒”柄ですからね。もう、ここまで来たら後戻りはできません。「同柄のネクタイ(1万2800円)もください!」です。しめて15万円オーバー……。

 トルコではイスタンブールと西部のイズミルに滞在したのですが、いずれも東京より気温が3~4度高く、特にイズミルでは皆Tシャツ姿で、コーデュロイのスリーピースを着た東洋人は僕1人。いいんです、ファッションは痩せ我慢ですもんね(笑)。おかげでたくさんのトルコ人から、「いいね!」をいただきました。本当に親日家ばかりで、イスタンブールでは日本語を話す人も多いんです。「一緒に写真撮ってよ」とも言われ、秋カラーのスリーピースのおかげですっかり異文化交流できました。15万円の価値はあったと確信しています!全員ヒゲ面のおっさんで女子はゼロでしたが……。

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創業25年目で3店舗目の出店 美容室「ダブ」が銀座に進出した狙いとは?

 1995年に東京・代官山に1店舗目を出店し、99年に表参道に2店舗目を出店。その後拡張を続けながら、両エリアを代表する美容室となった「ダブ(DaB)」は創業25年目を迎え、今年10月に3店舗目となる「ダブ ギンザ(DaB GINZA)」をオープンした。なぜこのタイミングで銀座に進出したのか――八木岡聡「ダブ」代表にその真意を聞いた。

WWD:これまで表参道と代官山の2エリアでやってきて、どうしてこのタイミングで銀座に出店したのか?

八木岡聡代表(以下、八木岡):以前から3店舗目の出店は計画していて、銀座も候補の一つとして考えていた。ただいい物件になかなか出合えずに、出店にまで至っていなかった。今回、縁があって銀座4丁目の交差点近くに位置するこの店舗に出合えたのと、現在銀座店のディレクターを務める山口大仁からも銀座でやりたいという意見があり出店を決めた。物件を決めてから出店までは半年もかかっておらず、「ダブ」としてもスピード出店だった。

WWD:この10年ほどで多くの美容室が銀座に進出している。その中で「ダブ」ならではの強みとは?

八木岡:やはりデザイン力と技術の高さだと考えている。「ダブ」は今年で25年目となるが、その長い歴史の中で多くのお客さまに支持され、常にトップサロンであり続けることができた。その中で培ってきたデザイン力と技術力は他のサロンに負けないと考えている。

WWD:ヘアサロン業界では、長らくトレンドの発信は原宿、青山、渋谷とされてきたが、銀座もトレンド発信地となり得るか?

八木岡:銀座は流行よりも文化的な側面の方が大きく、ここからヘアのデザイン的なトレンドがたくさん生まれていくかというと、そこは懐疑的で、デザイン性の高いヘアよりもコンサバティブなヘアが好まれるのではないかと感じている。だからといって、「ダブ」は銀座に合わせてコンサバティブにするのではなく、表参道や代官山と変わらず“クール・クチュール”というテーマでデザイン性の高いヘアを打ち出していく。ある意味で挑戦でもある。大げさかもしれないが、「ヘアデザインを通して、銀座の街をオシャレに変えていきたい」と考えている。

WWD:銀座店のオープニングスタッフは何人か?

八木岡:約115平方メートルとコンパクトな店なので、オープニングは10人。そのうちスタイリストは4人で、キャリアのあるベテランスタイリスト2人と若手スタイリスト2人という構成だ。銀座といえば“大人”のイメージもあるが、最近は若い人も増えており、ベテランと若手が協調することで、幅広いお客さまに対応できるようにしている。銀座店は、これまで「ダブ」に通ってくださっていたお客さまはもとより、これまでアプローチしにくかった東東京や千葉といったエリアの新規客も獲得できればと考えている。

WWD:25年目で3店舗というと出店数が少ない印象もあるが?

八木岡:3店舗というと少なく聞こえるが、常に拡張やリニューアルを行ってきていて、表参道店は約495平方メートル、代官山店は約330平方メートルとそれぞれのエリアでは最大級の広さ。消費者のテイストが多様化する中で、多ブランド化を進める美容室もあるが、「ダブ」は店舗数を増やすのではなく、1店舗の濃度が高い状態でありたいと考えている。それが「ダブ」の強みとなっており、多店舗化することでそれが薄れるのはブランディングにも大きく影響してしまう。イメージとしては“大学病院”のような存在で、それぞれのエキスパートが集まったサロンでありたい。今後も多店舗化を進めるというよりは、まずは銀座店を拡大していくことに注力していくつもりだ。

長く活躍し続けるには、フレッシュであるべき

WWD:八木岡さんは長く美容師をやってきて、今の美容師に何が必要だと感じている?

八木岡:集客方法や自己プロデュース方法などは時代やツールの誕生とともに変わってきた。今の瞬間だけをとらえるなら、SNSでフォロワーを増やして新規客をたくさん呼ぶということが重要だ。ただ、“ヘアデザインを通して顧客を増やす”といった、美容師という職業の根本的な部分は変わっていない。今の時代だからこそ、その本質を忘れてはならない。長く美容師を続けるなら、“美容師としての魅力”も必要で、センスや技術、コミュニケーション力なども求められる。仕事は生ものと一緒で鮮度が落ちたらダメ。常にフレッシュであり続けなければ飽きられてしまい、お客さまも離れていってしまう。

WWD:美容師は30~40代が売り上げのピークといった意見もあるが、八木岡さんは月800万円近く売り上げがある。その秘訣は?

八木岡:美容師の場合、「お客さまと共に年を重ねていく」といった意見もあるが、それだけだと顧客の数は減っていってしまう。先ほども言ったように、自分自身が常にフレッシュであれば、それが刺激となって、新規のお客さまもの獲得にもつながる。私の場合も、「会うと元気がもらえる」と言ってもらうことが多く、そうやって人にパワーを与えられる人は支持もされる。現状維持でいいと思っていると、それ以上成長しなくなってしまう。現在、サロンワークは水~土曜日の週4日で1日35~40人を担当している。予約も常に3カ月先まで埋まっている。どこまで現役美容師として活躍できるか、スタッフたちに見せていきたい。

■DaB GINZA
時間:月~金曜日 11:00〜21:00 / 土曜日 10:00~20:00/日・祝日 10:00〜19:00
定休日:火曜日
住所:東京都中央区銀座5-7-6 大黒屋ビルジング5F

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カニエ・ウェストが語る、大統領選出馬と長者番付と宗教観 「人間は神が創ったiPhoneだ」

 カニエ・ウェスト(Kanye West)は11月7日、米ビジネス誌「ファスト・カンパニー(Fast Company)」主催のイベント「ファスト・カンパニーズ・イノベーション・フェスティバル(Fast Company’s Innovation Festival)」にサプライズゲストとして登壇した。会場の最前列には、イベントが始まる直前に席に着いた妻のキム・カーダシアン(Kim Kardashian)の姿も見られた。

 アディダス(ADIDAS)と手掛ける「イージー(YEEZY)」のスティーブン・スミス(Steven Smith)=フットウエアデザイナーと共に登場したカニエは、2024年の米大統領選挙に立候補する意向であることをあらためて表明した。カニエは以前からドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領を支持していることを力説し、15年には20年の、18年には24年の米大統領選に出馬すると発言するなど、政界への関心をたびたび示してきた。このイベントでは、ほかにもヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)との友情やアディダスとの協業について、雇用や人種差別問題についてなど幅広く語っている。その中からいくつか興味深い発言を紹介する。

・ 「イージー」と雇用について

「『イージー』はアパレル業界のアップル(APPLE)社だ。今まで、アパレル業界にアップルのような会社はなかった。『イージー』は人生を“イージー(容易)”にしてくれる。俺は米国の雇用を拡大したい。手始めに『イージー』の本社をワイオミング州に移す。生産も米国内で行い、雇用を生み出す」

 なお、カニエは9月にワイオミング州にある広さ1600ヘクタールの牧場を1400万ドル(約15億円)で購入している。また、「俺は『イージー』を100%所有している」という発言もあったが、これについてアディダスのコメントは得られなかった。

・ 子ども時代について

「母親は座り込みのデモをして、俺が6歳のときに逮捕された。父親はブラックパンサー党(1960~70年代に米国で黒人解放闘争を展開していた政治組織)の一員で、俺たちは教会で育った。16歳になって『ギャップ(GAP)』で販売員のアルバイトをしたが、万引きでクビになった。『アバクロンビー&フィッチ(ABERCROMBIE & FITCH)』は高くて買えなかったが、『ポロ ラルフ ローレン(POLO RALPH LAUREN)』なら買えた。TJマックス(TJ MAXX)などのオフプライスストアで売っていて安かったんだ」

・ 小売り環境の変化について

「『オールバーズ(ALLBIRDS)』の創業者らが買い物体験について語ったことに感銘を受けた。前回ニューヨークを訪れた際、妻と共にドーバー ストリート マーケット(DOVER STREET MARKET)に行ったし、ジュエラーの『ジェイコブ(JACOB & CO.)』にも行ったんだが、本当に素晴らしい体験だった。世の中はすっかりD2Cやオンラインショッピングに席巻されているが、実際の店舗に行き、誰かが美しく並べてくれた商品を見ると心が癒される。だから、ファッション業界にいる全員が重要なんだ。バイヤーも、買い物客も、そして販売員もね」

・ ヴァージル・アブローについて

「俺とヴァージルは、服に関する意見を述べる機会がほしいと思っていた。アメリカの黒人デザイナーは意見に耳を傾けてもらえない。黒人は消費者にしかなれないというわけだ。会社の取締役会に顔を出すようになって知ったが、偉いやつらは俺たちを“黒人層”という枠に押し込めてしまう。ヴァージルはアフリカにルーツを持っている。俺とヴァージルは肌の色に左右されずに行動する」

・ ほかのデザイナーについて

「『バレンシアガ(BALENCIAGA)』を率いるデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)と俺は、同じスピリットを持っている。だから、どっちが早くこのアイデアを具体化して世の中に出せるか、という感じなんだ」

・ 「フォーブス(FORBES)」誌が毎年発表している「世界長者番付」にランクインしなかったことについて

「発表後に『フォーブス』の連中と会ったときに8億9000万ドル(約961億円)の領収書を見せたが、それでも俺が億万長者だと認めなかった。自分を億万長者だと称するのは品がないとみんな言うが、構うものか。俺が実際にそうなんだと伝わるまで、1年ぐらい名前を“クリスチャン・ジーニアス(天才)・ビリオネア(億万長者)・カニエ・ウェスト”に変えてやろうかと思う」

 なお、「フォーブス」誌はこの発言を受けて、「当誌の調べでは、『世界長者番付』の準備をしていた19年初めの段階でカニエ・ウェストの資産は2億4000万ドル(約259億円)程度だったためランクインしていない。やや低めに見積もっているが、それはどの候補者に対しても同様だ。その後、8月号の巻頭特集のためにカニエにインタビューをしているが、そのような領収書は見ていないし、その領収書だけでは億万長者と認めることはできない」とする記事を掲載している。

・ 人種差別とアディダスについて

「黒人に対して言いたいのは、『黒人という枠に押し込められるな』ということだ。個人のパワーを自覚してほしい。(一般に多くの黒人が支持するとされる)民主党に投票するだけではパワーを行使したことにならない。それは言われたことをやっているだけだ。俺はアディダスが理不尽なことを言ってきた際に、弁護士に相談した。そして大人らしくトレンチコートを着て、『工場をアメリカに移す。これは決定事項だ』とアディダスに言ってやったんだ。これがパワーだ。ちなみに、その後は良好な関係が続いているよ」

・ 宗教について

「人間は神が創ったiPhoneだ。神が創った機械だ」

・ 将来について

「俺は何かを願ったりしない。行動あるのみ」

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トルコ屈指の紡績グループいわく 「自然災害大国の日本よ、もっとサステナビリティに関心を持て」

 トルコ西部の都市イズミルにある紡績グループのウチャク(UCAK)は取扱量の約7割をオーガニックコットンが占める、トルコ最大のサプライヤーだ。1975年にフセイン・ウチャク(Huseyin Ucak)が創業し、95年には紡績をスタートさせた。紡績工場は往々にして縫製やニッティングなど川下に進出するが、ウチャクは川上に向かった。棉(めん)農場を自社運営し、トレーサビリティーを突き詰めるためだ。これに目を付けた繊維商社の豊島は、2019年3月にオーガニックコットン糸の独占契約を締結。これによりウチャクは日本市場に本格的に乗り出す。パートナーシップの詳細については、「WWDジャパン」11月25日号にまとめた。ここではフセインの孫であるオヌール・ウチャク(Onur Ucak)=ウチャク マネージングディレクターに、日本のサステナビリティについて聞いた。

※繊維業界では、農作物として取引を行う状態を“棉”、棉を加工して工業製品となったものを“綿”と呼ぶ

WWD:“トレーサビリティー”はウチャクのアイデンティティーだと聞いた。

オヌール・ウチャク=ウチャク マネージングディレクター(以下、オヌール):2002年頃、世界中が温暖化など地球環境を問題視し始めた。しかしファッション業界は反応できておらず、それはサステナビリティ先進エリアであるヨーロッパも同じだった。加えて、その頃のオーガニックコットンのメインプレーヤーはインドであり、今もそれは変わらない。われわれが棉農場の運営を始めたのは12年のことだ。そこが起点と言える。

WWD:19年3月には日本の繊維商社、豊島とオーガニックコットン糸の独占契約を結んだ。

オヌール:豊島とは15年に綿、17年に糸の取引をそれぞれスタートさせた。担当者が、0泊3日の強行軍も含めて年に3~4度イズミルに来てくれた。彼らとの会話を通じて豊島の歴史を学び、オーガニックコットン普及プロジェクト「オーガビッツ(ORGABITS)」の存在も知った。豊島は日本でオーガニックレストランを経営し、ウチャクはトルコでオーガニックホテルを運営している。共通点も多く、サステナビリティについての考え方も一致していることから独占契約締結に至った。豊島は、ウチャク製のオーガニックコットン糸を“トレーサブル・オーガニックコットン糸”として売り出す。

WWD:豊島としても天然繊維の独占契約は初とのこと。中長期的なプランは?

オヌール:まずはウチャクのオーガニックコットン生産量を3年以内に1.5倍にする。そのうえで豊島との糸の取引量も3年で2倍、6年で4倍にしたい。

WWD:日本のモノ作りも遅まきながらサステナビリティを意識するようになった。何を期待する?

オヌール:日本は最も成熟した国の一つだ。同時に地震や津波、台風などの自然災害も多い。これらにも地球温暖化の影響があると思うが、それにもかかわらず日本にはオーガニックなものを選択する積極性は感じられない。本来であれば、日本人ほどその理解が深い国民はいないはずだ。もっと関心を持ってほしい。

WWD:確かに自然災害はわれわれにとって“当たり前のこと”になってしまっているのかもしれない。それではサステナビリティとデザインの融合はありえるか?

オヌール:各企業、各ブランドがいっそうサステナビリティのプロモーションを行うべきだ。企業としては利益を上げることも重要だが、あくまで環境ファーストであるべきで、サステナビリティは金もうけの手段ではない。10~20代の若い世代は50~60代に比べて環境負荷への責任を感じている。だから彼らに人気のファストファッションや大手SPAは、率先してサステナビリティに取り組んでほしい。

WWD:ウチャクが行うサステイナブルな取り組みについて教えてほしい。

オヌール:13年に第1工場にソーラーパネルを取り入れ、電力の10~15%をまかなっている。20年には第2工場にも導入する。言わずもがなだが、目標は100%の達成だ。豊島との独占契約はもちろん、ヨーロッパのビッグブランドからもオーガニックコットンの問い合わせは増えている。これに応えるために第3工場を建設予定だ。

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。連載Vol.12 循環型社会へのシフト、カギは「正しいを楽しく」 日本環境設計・岩元会長

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――と言われる一方で具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探る。今回は、ケミカルリサイクル技術をコアとしながら、伊藤忠や三菱商事、豊島などの商社からも資金を集め、循環する仕組み作りに邁進する日本環境設計の岩元美智彦取締役会長に聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):アパレル産業が循環型社会にシフトするカギとは?

岩元美智彦取締役会長(以下、岩元):日本では年100万トンとも言われる大量の衣類ゴミが出ている。これはアパレル製品なんかよりずっと重い工業製品である冷蔵庫や洗濯機などの家電ゴミの合計した数量よりも多い。でも服なんて、ポリエステルなんかは技術的にはケミカルリサイクル(編集部注:廃棄物から原料段階まで溶かして再生すること。石油から作るものとほぼ同等のポリエステルが再生できる)技術がほぼ確立されているから、本当はもう石油を使う必要なんてないんですよ。だけど難しいのは、回収する仕組みづくり。

WWD:技術があっても、回収ができないと?

岩元:集める仕組みって難しいんですよ。売るのだって難しいけど、回収するのはそれ以上です。環境のために協力してくれる人ももちろんいます。でもそういった人たちって色んな所にばらばらと薄く広がっていて、回収を呼びかけても非常に効率が悪い。例えば「環境のためにみんな協力してよ」って言ってもまとまった量を集めるのがとても難しいんですよ。だからポイントは「正しいを楽しく」。例えば「デロリアン動かすのに要らない服を持ってきてください、持ってくると乗れて写真が撮れますよ」なんて呼びかけると、1時間とか2時間待ちになるくらい人が集まる。

WWD:1時間、2時間待ってもらうときに環境問題について説明すれば、問題への理解も深まりますね。

岩元:その通りです。参加すると、リサイクルへの意識が高くなるし、参加者は自分たちの持ってきた廃棄物の一部が原材料になって素敵な商品になったら、それを買いたくなるし、楽しい気持ちにもなる。そうなると好循環ですよね。

WWD:仕組みづくりが大事だと。

岩元:それもありますが、ハブになる存在が必要なんです。循環するための設計をまず作って、立ち上げて、回す。小さくてもいい。ケミカルリサイクルの技術もそうですが、一個一個はできるんだけども、結局回らない。糸から服、そして物流まで、アパレルのサプライチェーンって非常に長いので、どこか一つでも欠けるとうまく回らない。だから誰かがハブになって業界とかいろんな所を調整をして、条件を整えて、一回ぐるっと回す。でも一回ぐるっと回せば、次には速く大きく高く回る。うまく回りだすと経済、つまりお金にもなってくる。

WWD:日本環境設計には、出資者には伊藤忠商事と三菱商事、豊島などの本来はライバルであるはずの企業が並んでいる。

岩元:僕たちがハブになるためには、いろんな接点が必要になる。そのため商社の持つサプライチェーンは非常に重要です。商社が参加することで、取り組みの幅は確実に広がっています。

WWD:岩元会長から見て、サステナビリティの実現のカギになる技術は?

岩元:ケミカルリサイクル技術だと思います。作った製品を回収して、それを原材料にしてまた、製品にするのが、僕は本流だと思います。ペットボトルはペットメーカーが売って回収して、ペットボトルにしていかないとバランスが崩れるじゃないですか。アパレルに関して言えば、理想はポリエステルをベースに循環するのが一番理想に近い。ある意味でアパレル素材の中で完全循環のできる原材料はポリエステルが一番効率がいいし、実際にポリエステルのケミカルリサイクルはCO2の排出量も低い。ポリエステルは加工しやすく、いろんな機能を付加もできる。

WWD:循環型社会が実現すると、何が変わるのでしょう?

岩元:最終的には戦争やテロをなくすことができる。戦争の本質的な原因って、石油などの地下資源の争いですからね。僕らは廃棄物を地上資源と呼んでいる。廃棄物を資源として循環する仕組みを作れば、子どもたちが笑顔取り戻せるんですよ。

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香港で胎動する“文化産業” 【高橋瑞木の香港アート&テキスタイル 連載vol.1 】

 水戸芸術館現代美術センターのキュレーター時代に「拡張するファッション」(2013)などの展覧会を手掛け、現在は香港のCHAT (Centre for Heritage, Arts and Textile)で共同ディレクターを務める高橋瑞木氏が、“アジアのアートハブ”香港発のアートやテキスタイルの新潮流をリポートする。第1回目は香港とテキスタイル、そしてアートについて。

 日本ではもっぱらデモのニュースばかりになってしまった香港だが、世界でもっとも権威のある現代アートフェア「アートバーゼル香港(Art Bsel HongKong)」が開催され、ガゴシアン(GAGOSIAN)やハウザー&ワース(HAUSER & WIRTH)といった国際的なギャラリーが軒を連ねるアートハブでもある。2018 年には香港島の中環(セントラル)にある、19世紀に建てられたコロニアル様式の警察本部をリノベーションした敷地内に、ヘルツォーク&ド・ムーロン(Herzog & de Meuron)設計の現代アートセンター、大館コンテンポラリーがオープンし、村上隆の大型個展が開催されて話題になった。

 私が16年から関わっているCHATも、そんな香港で近年にわかに盛んになってきたカルチュラルインダストリー(文化産業)の産物だ。CHATは、南豊集団という香港の大手デベロッパーの前身である南豊テキスタイルが、九龍半島の荃湾(チュンワン)に所有していた3つの工場をリノベーションした建物、The Millsの中に開館した非営利のアートセンターだ。元テキスタイル工場という歴史に敬意を払いながらも、従来のテキスタイル美術館とは異なる、全く新しいコンセプトのアートセンターとして19年3月にオープンした。

 現在では国際的な金融都市のイメージが強い香港だが、ほんのすこし前までは世界中にMade in Hong Kongが溢れるくらい製造業が盛んだった。とりわけテキスタイルと衣料産業は、1950年代から80年代にかけて香港の経済発展に大いに貢献した重要な産業だった。第二次世界大戦後、中国本土で共産党と国民党が覇権を争い、共産党が中華人民共和国の成立を宣言(1949年)する頃、 当時イギリスの植民地であった香港に大陸から多くの人々が移住した。その中には、テキスタイル産業が盛んだった上海からの資産家や、 テキスタイル産業に従事していた職人たちも含まれていた。彼らが中心となって 香港でテキスタイル産業がおこされたのだった。香港のテキスタイル産業は、こうした中国からの移民たちの労働力をエンジンに発展してゆく。70年代に世界を席巻した若者たちのデニムブームが、香港のテキスタイル・衣料産業の興隆に拍車をかけた。例えば、80年代に製造された「リーバイス(LEVI’S)」や「ギャップ(GAP)」のジーンズのタグを見てみると、Made in Hong Kongと書かれているものがけっこう見つかる。

 ちなみに日本との関連でいえば、かつて香港には大丸や伊勢丹、松坂屋、三越、東急、西武といった日系のデパートが多く進出しており(今はそごうのみ残っているが、経営は香港の資本)、その丁寧なサービスと豪華なインテリアで香港人に大人気だった。こうした日系のデパートで販売されていたワコールの下着は、香港で生産されていた。ピーク時には香港の労働人口の3分の1が従事していたというテキスタイル・衣料産業だが、中国共産党が経済と産業の「改革開放」路線を打ち出して以降、労働者賃金と工場用地が安価な中国本土へと移転していく。香港の製造業は1990年代には斜陽を迎え、唯一稼働していた紡績工場も16年に閉じられた。

 CHATの常設展示室では、短い期間ながらも香港の経済・社会発展に大いに寄与した香港のテキスタイル産業について紹介している。展示デザインは、イギリスの権威ある現代美術アーティストの登竜門「ターナー賞(TURNER PRIZE)」を15年に受賞した建築・デザインのコレクティブ、アセンブル(Assemble)によるものだ。紡績産業が華やかなりし時代の写真や糸のラベル、機械、香港製のビンテージアイテムが並ぶ展示室の中央には、来館者が糸の手つむぎやラベルのデザインを楽しむことができるワークショップテーブルが設置されている。展示されているMade in Hong Kongのビンテージアイテムの中には、赤や青の原色に色鮮やかな花模様の「これぞ香港!」といった趣のプリントのテキスタイルもあれば、ブルース・リー愛用として知られる良質な綿を使った香港製のシャツなどがある。

 CHATの入り口のすぐ横にはオランダのデジタルクリエイティブ集団によるVRステーションが設けられている。「未来の紡績機」をテーマにデザインされたブースに座り、ゴーグルとヘッドフォンを着けると、70年前の香港にタイムスリップできる。海を渡って香港に到着したテキスタイル産業が、どのように発展し、CHATのフロアはかつてどのような工場だったのか、立体映像と音で体験できる仕掛けだ。

 企画展示室では、年に3本の展覧会が開催される。春は「アートバーゼル香港」の開催に合わせて、時代の先端をゆく現代美術アーティストたちによるグループ展、夏は世界的に著名な実力派現代美術アーティストによる個展が、そして冬はテキスタイルやファッションデザイン、イノベーションやテクノロジーに焦点を当てた展覧会が企画されている。

 現在CHATは、11月23日にオープンする「須藤玲子の仕事-NUNOのテキスタイルができるまで」展(20年2月23日まで)の準備の真っ最中だ。日本屈指のテキスタイルデザイナー集団であるNUNO、その集団をディレクターとして率いる須藤は、日本全国にちらばる中小規模の織りや染め、加工工場と共同で独創的かつ美しい布をデザインしてきた。今回は創造のインスピレーションから完成までをつまびらかにする最大級の展覧会となる。展覧会の実現にあたって、須藤がタッグを組んだのは、これまでもテキスタイルができる過程を詩的な映像で表現してきたライゾマティクス・アーキテクチャー代表の齋藤精一と、パリや日本で須藤と共にこいのぼりのインスタレーションデザインを手がけてきたアドリアン・ガルデールの2人。

 「折り紙織」「アマテ」「クリスクロス」といった、テキスタイル製造の新技術、異素材との組み合わせ、廃棄素材のリサイクルといった、須藤のクリエイションの工夫を示す代表的なテキスタイルデザインのオリジナルスケッチの展示から、ミニマルなかたちで表現されたテキスタイル製造・加工のマシンによる音と光、映像のパフォーマンス的なインスタレーション、NUNOのテキスタイルで飾られた空間デザインと、見どころが盛りだくさんだ。また、ガラスに囲まれたメインホールには、NUNOのテキスタイルで作られた100匹のこいのぼりが空中に浮かぶドラマチックなインスタレーションが展示される。

 今回の展覧会を企画するにあたって、須藤のテキスタイルの製作を請け負う工場をいくつか見学させてもらった。どの工場も素晴らしい技術を備えているが、経営者、技術者の高齢化と後継者不足に悩んでいる。美大のテキスタイル学科との連携などは考えられないのか?と尋ねてみたが、意外なことにテキスタイル学科の教授たちはこうした工場での手仕事にはあまり関心がないとのことだった。しかし、もの作りに関心のある若い人がテキスタイル作りのプロセスが版画やドローイング、ペインティングの製作に近いことを知れば、テキスタイル作りにも興味を持つのではないかと思う。

 香港市内では、デモやプロテストの殺伐としたニュースが連日続くが、NUNOの色とりどりの美しいテキスタイルの展示が、少しでも人々の心に安らぎや喜びをもたらしてくれたらと思う。良いデザインとは、日常に生き生きとした輝きを与えてくれるだけでなく、それを慈しむ感情を回復させてくれるものだと信じている。

高橋瑞木(たかはし・みずき)/CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)共同ディレクター:ロンドン大学東洋アフリカ学学院MAを修了後、森美術館開設準備室、水戸芸術館現代美術センターで学芸員を務め、2016年4月CHAT開設のため香港に移住。17年3月末から現職。主な国内外の企画として「Beuys in Japan:ボイスがいた8日間」(2009)「新次元:マンガ表現の現在」(2010)「クワイエット・アテンションズ 彼女からの出発」(2011)「高嶺格のクールジャパン」(2012)、「拡張するファッション」(2013、以上は水戸芸術館)「Ariadne`s Thread」(2016)「(In)tangible Reminiscence」(2017、以上はCHAT)など

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服作りのイノベーションはレガシーにあり クリエイティブの祭典で語られた「着るの未来」

 未来を語ろうとするとき、未来志向になりきれない自分たちを責めたり後ろめたく感じたりしてしまうのは、日本のファッション業界の悪い癖かもしれません。クリエイティブの祭典「Any Tokyo2019」のプログラムの一環として開催されたトークセッション「着るの未来」では、バイオアーティストの福原志保、ファッションデザイン/デザインリサーチコレクティブSynflux(シンフラックス)主宰の川崎和也スペキュラティヴ・ファッションデザイナーが登壇。司会進行を村上要「WWD JAPAN.com」編集長が務め、ファッション業界が持つポジティブなレガシー(遺産)の可能性について語り合いました。

プロトタイプとバージョンという発想

 先端テクノロジー領域に詳しい2人の視点を、「ファッション業界が抱える閉塞感や停滞感を打破するヒントにしたい」という村上。ファッション業界はどうすれば変われるのかと聞くと、川崎氏は、ダイバーシティーやサステナビリティなどのビジョンは浸透・確立されつつ、ファッション業界はそれを実現・実践するフェーズへの過渡期であり、今まさに変わっている途中ではないかと言います。

 川崎氏はビジョンを実現するために、ファッションにプロトタイプとバージョンの概念を導入すべきだと話します。「環境問題をはじめとする社会問題やテクノロジーの応用は短期的なサイクルでは解決できません。そのためにプロトタイプをアップデートしていく技術開発のような考え方で、長期的に取り組む必要があると思います。毎回同じテーマに取り組み続けるため、ユーザーにとっても作り手にとっても、『変わらない』ことや『一貫すること』を受け入れる文化的な土壌が重要になると思います」(川崎)。

 これに対して村上は、各ブランドが持つ「ステイプル(ブランドを象徴する定番商品)」を評価するようになったコレクション動向を例に、ファッション&ビューティ業界も、少しずつブラッシュアップする姿勢に価値を見出せるようになっていると応じました。製品やサービスの成長過程を楽しむ仕組みやマインドは、クラウドファンディングなどの共感投資型の消費動向に見られる通り、一定の市場を形成し始めています。他分野の事例を考えると、これまで完成された結果のみを見せてきたランウエイさえ、ブラッシュアップの道程を示すものと捉える考え方が必要なのかもしれません。

「イノベーションなくして、レガシーなし」

 「イノベーションとは積み重なってきたもののこと、つまりレガシーです。イノベーションなくしてレガシーはありえません。伝統と呼ばれるものは、革新的に変化してきたから生き残っています」――プロトタイプやステイプルの話を受けて福原氏は、環境負荷や効率性に課題があったサンドブラッシュやストーンウオッシュを控えてレーザー加工を導入した「リーバイス(LEVI’S)」を挙げながら、素材や加工のイノベーションがデニムというレガシーを生んできた道のりを説明します。

 続けて、人の情緒的な側面に寄り添ったクリエイションを生み出してきた伝統工芸やクラフトの歴史はテクノロジー領域にとっても学びが多いと話し、川崎氏もこれに同調。身体知として蓄積されてきた職人の技術の履歴をデータとして残す重要性を説きます。その上で、その履歴を応用してクラフトの現場で行われてきたような試行錯誤やチャレンジングな遊びを実践することが、ファッションの可能性を広げるのではないかと提言しました。

 「人のエモーショナルな部分を美しくドライブすることは、ファッション業界が一番得意としてきたことだと自負しています。話を聞いて、ファッション業界がなしてきた歴史を再確認しました。個人的にもその面を押し出して異業種とタッグを組んでいきたい」(村上)。

過去に対する正しい評価を

 イベントが始まるまでは、「死んだ」「殺す」「サバイバル」などの物騒な言葉が並ぶ近年のファッション関連書籍よろしく、未来に向けて負のレガシーをいかに改善するかという議論が進むと予想していたのですが、意外にもレガシーをポジティブに評価する論調のまま閉幕したのは正直驚きでした。

 あまりにネガティブな面が顕在化し過ぎているためついつい見落としてしまいますが、ファッション業界には積み上げてきた技術とクリエイションの歴史と伝統があります。今回のトークセッションではこれからのクリエイションの可能性が焦点となりましたが、ファッション業界は変化の要因を外部に求めるだけでなく、積み上げてきたものの価値を今一度評価する必要がありそうです。

 今回語られたようなレガシーは、国内繊維産業の衰退につれて現在消失の危機に晒されています。残すべきレガシーの再評価とともに、負のレガシーを見極めて改善することにも取り組まなくてはいけません。革新的なアイデアを外部に求めて焦ってしまう気持ちを抑え、まずはレガシーと向き合うことでファッションの未来は描かれるのかもしれません。

 同トークセッションを企画したクリエイティブの祭典「Any Tokyo2019」の会期は11月24日まで。会場には川崎氏主宰のSynfluxによる作品や、福原氏が参加するHUMAN AWESOME ERROR(ヒューマン オーサム エラー)による作品など、幅広い領域からの作品が展示されています。未来を考えるために、足を運んでみてはいかがでしょうか。

■Any Tokyo2019
日程:11月16~24日
時間:11:00~20:00 (最終日のみ11:00~19:00)
場所:kudan house
住所:東京都千代田区九段北1-15-9
入場料:一般 1000円 / 学生 500円
出展者:脇田玲 / 鈴木啓太[PRODUCT DESIGN CENTER] / HUMAN AWESOME ERROR / ゴールデンピン デザイン アワード / 八木夕菜 / Synflux [川崎和也+佐野虎太郎+清水快+藤平祐輔] / 田中義久 + 大原大次郎 / YOY / mmm + Kenta Tanaka / サクマカイト バティック / ni-wa / 平川紀道 / 大城健作 / 井上嗣也 x 新良太 x 西村裕介 x 吉田多麻希 / echo project / TAKT PROJECT / 岩本幸一郎 / 松山祥樹 / alamak! project 2019 / 立石従寛 / 高島マキコ

秋吉成紀(あきよしなるき):1994年生まれ。2018年1月から「WWDジャパン」でアルバイト中。

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私のサステナビリティ ストライプの二宮朋子SDGs推進室室長は「収入の5%を寄付にまわす」がポリシー

 ストライプインターナショナルは、2019年の経営戦略にエシカル、ウェルネスを掲げ、2月にSDGs推進室を設けました。私はその室長として、社内に「SDGsとは何か」の種をまき、木になるように育てています。

 私生活では社会人になって以来、収入の5%を寄付にまわすことを続けています。新卒では地元の九州の会社に就職したので、実家暮らしで物価も安かった。余裕があるなら自分ができる範囲の社会貢献をすべきだなと思ったんです。幼いころから「窓際のトットちゃん」が好きで、(社会貢献に積極的な)黒柳徹子さんの生き方に感銘を受けた部分もあります。寄付する団体は、寄付金がどう使われるのかを精査して決めています。私自身、女性だからという理由で以前の職場で非正規雇用だった経験があるので、女児の強制労働や児童労働の削減に取り組む団体に寄付することは多いです。

 日々の暮らしの中では、母親や祖母の着物をよく着ます。着物って“究極のサステナブル”。他にも、義母のお下がりのイヤリングに、マイボトルやマイバッグ、ペーパータオルの使用を減らすハンカチ、購入金額の一部が寄付される“ドネーション巾着”などを日々愛用しています。

私のサステナビリティ
 ファッション業界にとって加速して取り組まなければいけない課題の“サステナビリティ”。企業として大きく舵を切ることはもちろん、個々の意識も重要です。そこで個人的に行なっているサステナビリティについて聞きました。

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週末お出かけスポット デザインの過程をたどる展覧会「マル秘展」などアート5選

 週末にオシャレして出掛けたいスポットをお届け。今週は、デザインの過程をたどる展覧会「マル秘展 めったに見られないデザイナー達の原画」や中国出身アーティスト、へ・シャンユ(He Xiangyu)の個展など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(11月23、24日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【イベント】

吉田ユニの大型個展、ラフォーレミュージアムでスタート

ガブリエル・シャネルの伝説に触れる巡回展「マドモアゼル プリヴェ」が東京に

「カルティエ、時の結晶」展がスタート 意表を突く会場構成と逸品の数々の競演

ガチャガチャカプセルからコーヒー豆!? 遊び心も味わいも満点なセルフカフェを体験

写真家の立木義浩がライカギャラリーで作品展を開催

伝説的デザイナーによる“元祖ストリートコラボ” パリのアライア展が語ること

「スター・ウォーズ」の世界を体感 200点以上の衣装や小道具を集めた展覧会を開催

島根県が足湯付きのタピオカ店を表参道に限定オープン 「美肌NO.1」を活用して観光促進狙う

「ポーター」が「ミナ ペルホネン」とコラボしたイベントを開催

「ブルガリ」と「ドン ペリニヨン」のマリアージュ ブルガリ銀座タワーの最上階に

「MCM」がサステナをテーマに展示会開催 未使用バッグをドレスにアップサイクル

「リモワ」がストリート誌と企画展 過去のアーカイブからアーティストの作品まで

生に挑み続ける現代美術家クリスチャン・ボルタンスキーの死者と魂の物語

「シャネル」の香水の世界観を堪能できるアフタヌーンティーが登場

【ポップアップ】

キム・ジョーンズに直撃! 渋谷パルコで発売の「ディオール」 × 「リモワ」

「エムエム6 メゾン マルジェラ」が全国でポップアップ パディングされたファブリックで包む幻想的な空間

仏老舗ニット「メゾン モンタギュ」が表参道ヒルズで初のポップアップショップをオープン

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動画追加:22日オープン「渋谷パルコ」の全193テナントの見どころ ラグジュアリーからポケモンセンターまで、限定商品も一挙公開

 11月22日、新生「渋谷パルコ」がオープンした。地下1階から地上10階の一部までの商業面積4万2000平方メートルに193店舗が出店する。雑多で多彩な店舗を集め、まるで路地裏のような雰囲気の飲食店フロアやラグジュアリーからストリート、コスメなどを集積した1階、モードからリアルクローズ、東京ブランドを集積した2〜4階のファッションフロア、ARやショールーミングストアなどのテクノロジーを駆使した5階、「ポケモンセンターシブヤ」や国内初出店となる「ニンテンドートウキョウ(NINTENDO TOKYO)」などが出店するゲーム・カルチャーフロアなど多彩なテナントをミックスした。注目テナントと限定・先行販売品を紹介する。

【地下1階】
「カオスキッチン」

 193のテナント中、飲食店は全37店舗。「そこに集まり、コミュニティーを形成し、空間と時をともに楽しめるような場所」をコンセプトに編集されている。レストランフロアとしては、まるで路地裏のような雰囲気の地下1階「カオスキッチン(CHAOS KITCHEN)」と7階の「レストラン セブン(RESTAURANT SEVEN)」に加え、各フロアコンセプトに合った飲食店をラインアップ。ジャンルをミックスすることで、互いの魅力を引き出すのが狙いだ。「カオスキッチン」は、“食・音楽・カルチャー”をコンセプトにした飲食店と物販店が混在したレストランフロア。同フロアの環境デザインは建築家の藤本壮介氏が担当。天井・床に鏡面素材を使い、そこにショップのファサードが映り込むことで、非現実的な空間を演出している。オープン前からSNSでも話題の「米とサーカス」では、栄養価の高さと環境負荷の低さから“世界を救う食材”として注目されている昆虫料理や野生鳥獣を、ちょっと怪しげなムードが漂う非現実的な空間で楽しむことができる。


【1階】
「グッチ」

 1階のメインエントランス奥には「グッチ(GUCCI)」が出店。伝統的な日本の文化と渋谷のポップカルチャーにインスパイアされたという店内は、壁から吊り下げられたチューブ状のライトが渋谷の無数のネオンに溶け込むように夕方にかけてホワイトからピンクへと変化し、常に新しい表情を見せる。

「コム デ ギャルソン ガール」

 単独での店舗は今回が初となる1階の「コム デ ギャルソン ガール(COMME DES GARCONS GIRL)」は「面白いことが好きな女の子をふり向かせる」のコンセプト通り、乙女心をくすぐるアイテムが多数そろう。

「ポップ バイ ジュン」

 ジュンはポップアップスペース「ポップ バイ ジュン(POP BY JUN)」をオープンした。コミュニケーションデザインにスタイリストの山本康一郎を招へいし、毎回異なる実験的なコンテンツを期間限定で展開。第1弾は、藤原ヒロシがディレクションする。12月8日まで。「フラグメントデザイン(FRAGMENT DESIGN)」とさまざまなブランドとのコラボレーションアイテムを発売する。

 「ポップ バイ ジュン」の“POP”とは、Place(場所)+Occasion(機会)+Person(人)に由来する。汎用性に優れた“クリアファイル”をテーマに、コンテンツに合わせて商品から内装まで、店舗を丸ごとディレクションしていく。内装は建築家の荒木信雄が手掛けた。今回ウィンドーには、渋谷パルコの建て替えの際に出たゴミや残骸をディスプレーする。

ポップアップスペース「GATE」

 群馬県桐生市を拠点にするエスティーカンパニー(ST COMPANY)は、ポップアップスペース「GATE」に第1弾として出店した。期間は12月3日まで。同社は1978年桐生市に創業。セレクトショップの「ペニーレイン」を展開し、地元で高い人気を誇る。2018年に屋号を「ペニーレイン」から「エスティーカンパニー」に変更し、現在は桐生と高崎にショップを構える。東京への進出は今回が初めてとなる。ポップアップでは全6ブランドとコラボレーションした別注アイテムを発売する。

<1階の限定・先行販売品>

 ラグジュアリーブランドがそろう1階に出店している、「グッチ」「ロエベ(LOEWE)」「コム デ ギャルソン ガール(COMME DES GARCONS GIRL)」「ディオール ビューティ シブヤ(DIOR BEAUTY SHIBUYA)」「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT BEAUTE)」「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」「イプサ(IPSA)」の限定品や先行販売品を紹介。


【2階】
「2G」

 ギャラリー併設のセレクトショップ「2G(ツージー)」はギャラリーのナンヅカ(NANZUKA)、「ベアブリック(BE@BRICK)」などで有名なメディコム・トイ(MEDICOM TOY)、フリークス ストア(FREAK'S STORE)などを運営するデイトナ・インターナショナル(以下、デイトナ)と小木“POGGY”基史が協業。「2G」というショップ名は、パルコ創業時から携わっていた故・増田通二(ますだ・つうじ)から着想した。ロゴはナンヅカに所属するアーティスト、空山基が描き下ろし、内装デザインはアーティストのダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)率いるNYのデザインチーム、スナーキテクチャー(SNARKITECTURE)が手掛けた。アーティストを主体としたコラボレーションを軸に、それと連動したファッションやトイを発売する。第1弾のコラボレーション展は、アーティストの空山とアーシャムをピックアップする。会期は2020年1月8日まで。

「アレキサンダー ワン」

 ロゴがリニューアルされて以来、初の新店舗となる2階の「アレキサンダー ワン(ALEXANDER WANG)」は、黒を基調とした従来のクールな印象からガラリと雰囲気を変え、エレガントでクリーンな店内。

<2階の限定・先行販売品>

 2階に出店している「トーガ(TOGA)」「イッセイ ミヤケ シブヤ(ISSEY MIYAKE SHIBUYA)」「ビューティフルピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」「グラウンド ワイ(GROUND Y)」「アレキサンダー ワン」の限定品や先行販売品を紹介。


【3階】
「アンリアレイジ」

 森永邦彦がデザインする「アンリアレイジ(ANREALAGE)」は“インサイド アンド アウトサイド”をテーマとしたショップを出店。店舗は19-20年秋冬のパリ・コレクションで打ち出した巨大マネキンが主張し、什器がコンパスのように動く楽しい作りになっている。オープン前の11月20日には、渋谷パルコ館内でメンズウエアの無観客ショーを行った。ショーの映像は21日22時に渋谷パルコ10階ガーデンステージの大型ビジョンなどで配信した。発表したルックの一部は、渋谷パルコ店舗で復刻販売する。

「オニツカ」

 「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」は新たなラグジュアリーライン“ジ・オニツカ(THE ONITSUKA)”を発表した。また、渋谷パルコの3階に初のコンセプトストア、オニツカ渋谷パルコストアをオープンする。同ラインは同22日からオニツカ渋谷パルコストアと公式ECサイトで取り扱う。オニツカ渋谷パルコストアでは、同ラインのキーカラーであるホワイト、チャコールブラック、レッドの3色を基調に、モダンで洗練された世界観を表現した。

<3階の限定・先行販売品>

 3階に出店している「チノ(CINOH)」「ファン(FAN)」「ベルベルジン(BERBERJIN)」「ベストパッキングストア(BEST PACKING STORE)」の限定品や先行販売品を紹介。


【4階】
「パルコ ミュージアム
トウキョウ」

 渋谷パルコの建て替え工事の仮囲いを演出した、大友克洋・原作のSF漫画「AKIRA」とコラージュアーティストの河村康輔との共同作品アートウォールを再構築して展示する「AKIRA ART OF WALL Katsuhiro Otomo × Kosuke Kawamura AKIRA ART EXHIBITION」を4階の「パルコ ミュージアム トウキョウ」と地下1階の「ギャラリー エックス(GALLERY X)」で開催中。

「パルコ ミュージアム トウキョウ」では、アートウォールを再度巨大コラージュ作品として展示。当時の貴重な原画やポスター、「AKIRA」の作中に登場するオブジェをリアルに再現する。

 地下1階の「ギャラリー エックス」では巨大立体物を展示するインスタレーションを実施。展覧会記念商品や、「ナナナナ(NANA-NANA)」「レディメイド(READYMADE)」などのコラボ商品を販売する。

<4階の限定・先行販売品>

 4階に出店している「U バイ スピック&スパン(U BY SPIC&SPAN)」「ファーファー(FURFUR)」「クラランス(CLARINS)」「ラブルケット(L:A BRUKET)」の限定品や先行販売品を紹介。


【5階】
<5階の限定・先行販売品>

 5階に出店している「チックタック アップデート(TICTAC UPDATE)」「エチュードハウス(ETUDE HOUSE)」、パルコキューブ内の「にゃーSHOP」「シャルル シャトン(CHARLES CHATON)」の限定品や先行販売品を紹介。


【6階】
「ニンテンドートウキョウ」

 インバウンド効果も狙った「ニンテンドートウキョウ」「ポケモンセンターシブヤ」が出店。国内初出店となる「ニンテンドートウキョウ」で注目は、“スーパーマリオ”、“ゼルダの伝説”、“どうぶつの森”、“スプラトゥーン(SPLATOON)”など、任天堂のキャラクターが一堂に会したシリーズだ。ロゴTシャツやトートバッグ、ポーチ、クッキー缶、文具品などバラエティーも豊富。商品数は約1000点、大スクリーンでゲームを体験できるスペースも設ける。

「ポケモンセンターシブヤ」

 通路を挟んで向かいに位置する「ポケモンセンターシブヤ」のコンセプトは「新しいことへのチャレンジ」。入口にはポケモンの人気キャラクターの“ミュウツー”が、アニマトロニクスという技法によるリアルな動きや質感でお目見えし、ゲストを出迎える。オープン記念のグッズは、日本を代表するグラフィックアーティストであるナンバーD(Number-D)によるグラフィティーを総柄にしたぬいぐるみやマスコット、Tシャツ、キャップをはじめ、「スワロフスキー(SWAROVSKI)」とコラボレーションした、ゴージャスなiPhoneケースやバッグチャームなど。

<6階の限定・先行販売品>

 6階に出店している「ニンテンドートウキョウ」「ポケモンセンターシブヤ」の限定品や先行販売品を紹介。


【7階】
「レストランセブン」

 「レストランセブン」では、回転寿司店「金沢まいもん寿司」や、焼肉店「渋谷焼肉 KINTAN」、ラーメン店「中華そば専門 田中そば店」などの日本食や、ヴィーガン料理専門店「ファラフェルブラザーズ(FALAFEL BROTHERS)」など7店のレストランがオープン。今後もますます増える海外観光客も楽しめるラインアップとなり、メニューの外国語対応も進めている。

<7階の限定・先行販売品>

 7階に出店している「エムアイユー(M.I.U.)」の限定品や先行販売品を紹介。

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。 連載Vol.11 丸井が考えるESG経営の本質

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのかわからないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探る。今回は丸井グループの関崎陽子サステナビリティ部長にESG経営(環境、社会、ガバナンスを重視した会社運営)やビジョン策定のプロセスを聞く。

CSRからサステナビリティへ。「本業を通じて社会貢献したい」

―時代と共に求められる経営や社会とのつながり方が変わる中で、丸井グループがESG経営に取り組もうとしたきっかけは?

関崎陽子サステナビリティ部長(以下、関崎):今所属しているサステナビリティ部は、もともとCSR推進部としてスタートしました。CSRは「企業が社会に対して責任を持っている」ことにフォーカスできるよいキーワードでしたが、経営陣を含めて、「本業とは別の」とか、「本業プラスアルファ」という位置付けである印象が否めませんでした。丸井グループは「本業を通じて社会貢献したい」という考えがあったので、違和感もありました。

ちょうどそのころ、ESGが潮流として出てくる中で、その考え方が自分たちがやりたい「本業を通じて社会に役立つ」ことととてもリンクするものでした。ESGの本質は「サステナビリティの実現を目指す」ことであり、自分たちの目指しているものとしっくりきました。そこで部の名前もサステナビリティ部に変え、「CSRリポート」も「共創サステナビリティリポート」へと改称しました。単に名称を変えたのではなく、「本質を考えた」ということ。

―SDGs(持続可能な開発目標)が2015年に国連で採択されてから、流れが大きく変わった。

関崎:SDGsはよいきっかけで、「SDGsの軸でわれわれのビジネスを見たときに、課題が整理できるのではないか」と、SDGsの開発目標やターゲットを活用しました。でも、「SDGsのこれをこうやっています」というだけでは足りません。SDGsの目指すところは「誰ひとり取り残さない」こと。私たちも「ダイバーシティ&インクルージョン」「包摂」を掲げていたので、ここが一番合致しました。そこで、4つの重点テーマ「お客さまのダイバーシティ&インクルージョン」「ワーキング・インクルージョン」「エコロジカル・インクルージョン」「共創経営のガバナンス」を16年11月に策定しました。

―とくにESG経営に舵を切る中で、どのようなステップで体系づくりを進めたのか?

関崎:17年ごろ、投資家の皆さんから「『インクルージョン』という共創理念の浸透や事業戦略の実施は素晴らしいが、もう少し長い展望で長期ビジョンや実現に向けた長期目標を示してほしい」「長期目標の達成に向けてどういうKPI(重要業績評価指標)でどのように取り組んでいくのか、進捗状況を定量的に示してほしい」という要望がありました。それをきっかけに「ビジョン2050」の策定に乗り出しました。

自ら手を挙げて集まった社員たちを起点に、17年に「サステナビリティプロジェクト」が発足。約1年かけて、社員、執行役員、外部有識者が対話を重ねながら策定しました。「2050年の未来」をゴールとしたバックキャスト手法で、目指す未来を共に考えました。そうありたい姿を考える「未来創造ワークショップ」を通じて、グローバルなメガトレンドからミクロなトレンドまで外部環境を分析し、未来を予測。「ありたい姿としての2050年ビジョン」を描き、実現に向けた長期目標やKPIも立てました。

関わった社員は約700人で、とくに実際にその時代を生きることになる若手世代の声を最も重視しました。そして、ビジョンの実現のために、「世代間をつなぐビジネス」と「共創ビジネス」「ファイナンシャルインクルージョン」という大きな3つのビジネスを行っていくことを決め、それぞれにKPIを立て、全てにESGやサステナビリティの視点を保ちながら実行していこうと定めました。「ビジョン2050」ができたことで、本格的にESG経営に踏み出しました。

手を挙げる文化が根付き、ビジョン策定でも花が咲いた

―「サステナビリティプロジェクト」に参加したのは、主に自ら手を挙げた社員であり、ボトムアップの力が際立っていたと思う。また、「人材育成」をサステナビリティと一緒に語っているのが独創的だ。

関崎:この文化をつくるのに10年ぐらいかかっていると思う。「手挙げ」と呼んでいるが、いわゆるダイバーシティで、いろいろな人が交ざり合わないと成長していかないし、イノベーションも起きないという課題認識の中から生まれました。たとえば会議に出ます、とか、社内のプロジェクトメンバーを募集するとか、こういう研修があるといった際に、指名制でやるのが一般的ですが、それをガラっと変えて、やりたい人がやるようにしています。

まさにそれ自体が人材教育というか、指名されて出させられる研修よりも、自分からモチベーションがあって行ったほうが、臨む姿勢も違うし、得るものも違うし、その後の波及力も違う。周りに「こんないいことを学んできた」「こんなことがわかった」など、まさに、持続可能な「人」創りという面で、すごく寄与していると思います。

最初はみんなおっかなビックリだったし、一気に手が挙がったわけではないのですが、手を挙げて行った人間が職場に戻ってきて、喜々として話をする。周りも「えっ、あいつ、楽しそうに帰ってきたけど、自分も次は行ってみようかな」と好循環が生まれるなど、いろいろな意味の波及効果があり今日に至っています。突然みんながどんどん手を挙げるようになったわけではありません。

トップのコミットメントはサステナビリティ、ESG経営推進に重要

―かなりボトムアップ型、全員参加型のプロジェクトだと感じるが、ESGやサステナビリティは、トップのリーダーシップや相当なコミットメントがないと進まないとも聞く。

関崎:私も他社のCSRやサステナビリティ関連の仕事をされている方と話す中で、トップの理解や経営陣の理解にとても苦労をされている企業が多いと感じました。弊社の場合、社長の青井浩がサステナビリティやESGに対してどんどん考え方が進化し、自ら前に進んで考え、示唆を与えてもらえました。トップのコミットメントは携わる社員にもとても励みになります。また、当社では「2項対立」と呼んでいるのですが、「ROE(自己資本利益率)とESG」「リスクとチャンス」など、相反することを乗り越えるために考えたり意思決定する際にも役立っていると思います。

「取り組み」と「開示」はニワトリとタマゴ。ステークホルダーに丸井の取り組みをしっかりと伝えたい

―ブルームバーグの「ESG開示ランキング」では世界の小売業でも、国内企業でも1位を獲得。「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インディシーズ」では世界の小売業で4位、日本企業で7位など、ESG経営について、海外機関などからも高い評価を受けている理由は何だと考えるか?

関崎:弊社の共創サステナビリティリポート「VISION BOOK 2050」(英語版)が、世界最大のアニュアルリポートコンペティションである「インターナショナルARC アワード2019」の スペシャライズ・アニュアルリポート部門におけるサステナビリティ・リポートアジア太平洋カテゴリーで銀賞を受賞しました。確かに海外の評価機関から高い評価をいただいて驚きもありますが、「開示しないと評価もしていただけないので、しっかり伝える」スタンスをとってきました。日本企業は奥ゆかしいのかなかなか開示されないのですが、アピールするという意味ではなく、「ステークホルダーの皆さんにグループがやっていることをしっかりとお伝えしよう」という姿勢が、評価機関の方々からすると、丸井の取り組みがすごく進んでいるように見えての評価だという気がしています。

一方で、伝えるためには、伝えるものがないといけないので、今まで出していなかった指標を出したり、今まであまり関心を持っていなかったことも数値化しています。「伝えることがあるからリポーティングする。リポーティングしたいから取り組みをする」というニワトリとタマゴのようなところもありますね。ちなみに、TCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)で、気候変動に対する影響を財務的に開示しようという動きがあり、弊社はそれを有価証券報告書に載せたところ、「ある意味、不確実性があるかもしれないことを載せたのはすごい」と驚かれました。会社としてお伝えできることを率直にお伝えしたことがよかったようです。

環境対策は「グリーンビジネス」。まずは再生エネルギー100%に

―とくにE(環境)についてフォーカスしている取り組みは?

関崎:環境については「グリーンビジネス」と呼び、「環境負荷の低減」と「サーキュラー」をキーワードにしています。環境負荷低減ではエネルギーと廃棄物の2つの要素があり、まずはエネルギーから着手しました。というのは、丸井グループのGHG(温室効果ガス)排出量の84%は電力です。店舗の照明、空調、保冷ケースなど、小売りは電力をすごく食う業種。省エネでは足りません。そこで30年までに再生可能エネルギー化を100%にする目標を掲げています。今年度で23%ぐらいなので野心的な目標だといわれますが、グループで連携しながら取り組んでいるところです。廃棄物に関しては、来年7月にレジ袋を有料化するなど、外圧によってやらざるを得ないこともたくさんありますが、店舗の視点では、店内で出るゴミと、お客さまにお渡しした後にゴミになるであろう部分を両方解決していかなければなりません。当然、出店していただいているテナントの皆さまにも協力していただかないといけないし、お客さまにゴミを渡さない方法を考えなければならなりません。ショッパーも、持って歩いてもらうことで販促的な位置づけもありますが、根底から考え直していきたいですね。

「モノを売らない」ことで、「無駄なものを買わせない」「ゴミにしない」提案も

―「モノを売らない」売り場も増えているが、サーキュラーエコノミーやシェアリングなどの施策もユニークだ。

関崎:D2Cやシェアリングの部分は「お客さまに無駄なものを売らない、買わせない」ということが本質で、それがサーキュラーであり、リデュース(削減)に近いものだと考えています。例えば、細かくサイズ対応している“ラクチンきれいパンプス”は結果的に「履けない靴をお客さまに買わせない」ことで、捨てない、履かない靴を持たない、が実現できます。自前でできないところはファブリックトウキョウのようなスタートアップ企業に投資するなどして、外部企業と一緒に手掛けていきます。「売らないお店」は「無駄なものを買わせないお店」であり、これから私たちが一番力を入れてやっていく部分だと考えています。

―「共創サステナビリティリポート」のタイトル「この指とまれ」というのは?

関崎:いろいろな可能性や課題がある中で、丸井グループに対してお客さまがどういうことを求めていらっしゃるかを、お客さまの声を聞きながらお客さまと「共創」していきたいと考えています。私たちの考え方に共感していただけるお取引先さまやお客さま、学生さんなどと一緒に価値をつくっていくことが、サステナビリティに寄与することにつながると考えています。なので、「本当にお客さまが望んでいることをやろう!」という言葉が、チームの中でも飛び交っていますし、経営陣からも言われています。

―再生可能エネルギーはまだ日本では料金が高く、コストアップになるが?

関崎:いわゆる電力代自体は上がっています。当然、そこを理解したうえで経営としても進めていますが、このままではずっと調達コスト増で、ある意味、リスクになります。一方、それを機会ととらえれば、再生可能エネルギーをお客さまにおすすめし、エポスカードでお支払いいたけるようになれば収益にもつながります。リスクと機会を両方見たら、機会のほうが規模的には大きい――だからグリーンビジネスが成り立つ、というような発想をしています。
ESGでは、その機会にフォーカスして、そこになにか新しいビジネスチャンスがあるかもしれない、そこから何か新しいものを生み出していくことができれば、それは企業価値の向上につながっていくよねと――それが丸井グループがやりたいサステナビリティ経営なんです。

未来の価値を創る「将来世代」とつながり、社会に役に立てるビジネスを一緒に共創する

―未来の価値を創る「将来世代」とどうつながっていくかも課題だ。

関崎:持続可能性は、若い世代のほうが切実ですよね。それに、先日の台風19号の際には、他の小売店と同様、関東近辺のお店を休業にしました。まさか営業ができない気候変動にさらされるなんて思いもしませんでしたが、「何十年かに1度の台風」がこれから毎年来るとしたら、まだ間に合うんだったら対策をしないと私たちはそもそも商売ができなくなるのではないかということを本当に感じました。そして、将来世代とのつながりとして、11月15日には、中学生・高校生が参加する IT 教育プログラム「Life is Tech ! 」を運営するライフイズテックと資本業務提携を発表しました。サステナビリティの根底には「持続可能な地球を残す」ことが含まれているので、私たちにとっては将来世代もステークホルダーです。どうやってビジネスを創っていくかを一緒に考えていきたいと思っています。私たち世代より今の小・中・高生のほうが環境やSDGsのことをよく知っています。彼らが持つアイデアや彼らが求めることを、丸井グループの経営資源と共に生かして、ビジネスにして社会のお役に立てるようになればいいなと思っています。

松下久美:ファッション週刊紙「WWDジャパン」のデスク、シニアエディター、「日本繊維新聞」の小売り・流通記者として、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。連載Vol.10 サステナブルファッション研究の第一人者が指南 「業績拡大の論理から脱却すべし」

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探る。今回はサステナブルファッション研究の第一人者であるケイト・フレッチャー(Kate Fletcher)=ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション サステナブルファッションセンター教授に聞く。

WWD:サステナブルファッションを定義すると?

ケイト・フレッチャー(以下、フレッチャー):生態学的な環境保護を基本にしたファッションのこと。地球なしではファッション業界も存在しないことを認識し、生物物理学上の限界や地球の可能性を念頭に置きながらファッションのあるべき姿や表現を考えること。

WWD:ファッション産業の問題点と解決策は?

フレッチャー:第一の問題は、業界が“業績拡大の論理”に基づいていること。現在のシステムは、コミュニティーや土壌、労働者の健康ではなく、業績を伸ばすことに最適化されている。この単一の論理に基づいたシステムを、ほかに優先すべきことや注目すべき点などを加えたものに置き換える必要がある。それでも産業や資本主義は残るけれど、そればかりが優先されることはなくなるだろう。

WWD:サステナビリティに関してどのような企業を評価するか。

フレッチャー:地球を元に戻すための手段として事業を考えている企業を評価する。自然を身近なものにし、人々のつながりを深くして、私たちをより人間的にしてくれるから。

WWD:学生たちは何に関心を持っているか。

フレッチャー:英国の学生たちは、エクスティンクション・レベリオン活動(Extinction Rebellion:気候変動に抗議する非暴力行動)にとても関心を持っている。彼らは気候変動や生物多様性が失われることについて情熱を持って学んでいる。自分たちの未来を危惧しているから。

WWD:デザイナーの役割がプロダクトをデザインするだけではなくなっているが、今、デザイナーに求められることは?

フレッチャー:産業として新製品を作るだけでは不十分。デザイナーはもっと新しいことができるはず。例えば、人間以外の生き物を含めた他者との共生を目指して行動するとか。そうした方法を学ぶことは、デザイナーにとってもはや不可欠になっている。

WWD:今後、ファッション業界はどうなると思うか?

フレッチャー:より少ないモノで、より多くの喜びを得られるようになるといい。

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開発から営業、数字にも責任の強さ ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.5「スノーピークが本気の海外進出へ」

読み解きポイント:「自らもユーザーとなり、誰よりも自分が欲しいもの」を作り続ける強さ

ニュースのポイント

 スノーピーク(Snow Peak)が2020年4月、米国ポートランドに大型店を開く。19年10月にもロンドンに直営店を構え、現在19%の海外売上高比率を、21年までに23%へ伸ばすことを計画。「物販に加え、飲食、宿泊ができる体験型店舗をグローバルで増やしていきたい」と山井副社長は意気込む。現在、売上高の83%はアウトドア製品である中、アパレルは12%。アパレル事業は数字以上に「アウトドア経験のない若年層」という顧客獲得に貢献しており、海外事業においても、幅広い客層にアプローチするカギとしての期待が高い。

CKRはこう読む!

 「人生に野遊びを。」。新潟県三条市の山間、約5万坪のキャンプフィールドに本社、直営店、生産工場を構える姿勢は、「野遊び」というコーポレートスローガンそのものを体現しているように感じます。またスノーピークは社会的使命として「人間性の回復」を掲げています。「文明進化によるストレス増大」を社会的課題と捉え、「自然と人、人と人とのつながり」により、その解決を目指していることがトップのメッセージから伝わってきます。

 15年に78億5000円だった売上高は、18年に120億7000万円へと大きく拡大しました。矢野経済研究所の調べによると、16年4422億円だった国内アウトドア市場は、18年に5230億円へと拡大。スノーピークの主軸であるアウトドア事業は、市場拡大の波にうまく乗ってきたことがわかります。

 記事にもある通り、「東京デザインスタジオとのアパレル協業」「隈研吾氏との木製モバイルハウス共同制作」など、異業種とのコラボレーションも積極的です。17年には、地方自治体向けのコンサルティング会社も立ち上げ、施設集客への支援にも乗り出しました。自社製品やアウトドア事業領域だけにこだわらず、ビジョンに共感する周囲の力を借りて、社会的使命を果たそうとするところに、スノーピークの強さを感じます。

 創業者の山井幸雄氏は、登山や釣り道具に不満を持ち、自分が欲しいものを作り出し、社長の山井太氏は、欲しいキャンプ道具を作り、オートキャンプ市場を牽引しました。現在、副社長の山井梨沙氏は、欲しいアパレルを作り、アウトドアを超えた市場開拓を行っています。「誰よりも自分が欲しいものを作る」「開発から営業まで自ら行い、数字にも責任を持つ」。言葉で書くと簡単ですが、企画開発、生産、販売すべてのノウハウを身につけるには、それなりの時間を要します。人こそが財産と考え、時間をかけててでも、人財育成を行い、ユーザー視点に基づくサービス開発を続けるスノーピークの製品には、オリジナリティが宿るのかもしれません。

 自分が欲しくて作り出したものだからこそ、セールストークも弾みます。逆に、耳を塞ぎたくなるような、顧客からの不満も「自分ごと」として真摯に受け止めることもできるでしょう。

 国内と需要が異なる海外市場での成功は、容易ではありません。国内のヒット商品をそのまま販売しても、上手くいかないことも多々あります。しかし、海外でも同じように、自らが現地市場でユーザーとなり、誰よりも欲しくなるものを作り、ビジョンに共感する仲間の力を借りることができれば、製品やサービスに、スノーピークらしい世界観が宿り、顧客の心を掴むことができるのではないでしょうか。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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10周年を迎えた「THREE」が11年目を迎え、旗艦店刷新や中国本土の販売スタートで次のステージへ

 今年9月に10周年を迎えた「THREE」が、11年のスタートに大きく動き出している。2013年にオープンした「THREE」のフラッグシップショップ「THREE AOYAMA(THREE青山)」を刷新し、内容を一新してよりパーソナルを重視した施設へと生まれ変わった。国内の百貨店をはじめとした店舗には11月から新コンセプトのカウンターを順次導入する。海外に目を向けると10月にアジア最大の市場である中国本土での販売が始まった。

 「THREE」の2018年12月期の売上高は、5年前の13年に比べると500%を超える増加。翌年14年に当時社長だった石橋寧会長は「10周年には売上高100億円を見据えている」と語っており、実際の売上高は100億円規模になっているようだ。ブランド飛躍の“立役者の一人”であるのが、13年にオープンした旗艦店「THREE 青山」だ。当時、カフェを併設するビューティブランドは珍しく、さらにはショップのオープン時間といえば、表参道界隈では11時、12時スタートが一般的である中、朝の8時台からオープンし、“朝活”を推進。先駆けでもあった同店舗は、じわじわとファッション関係者を中心に話題となり、カフェは朝からミーティングなどでも活用されるようになるなど、表参道の人気スポットとして注目を集めた。

 その旗艦店が10周年を機にリニューアルした。そのリニューアルでは時代を反映し、パーソナルな提案を特徴とした。新コンセプトは“PERSPECTIVE FOR ACTION(多角的な視野)”で、訪れる人が五感を通じていつもとは異なった視点から物事を見つめることができるような、パーソナルな体験ができる場を提供。空間デザインとコンテンツを一新した。これまで植物を使用したナチュラルなイメージから、石を基調としたデザインに変更。コミュニケーションテーブルを中央に配置し、定期的にセミナーなどを行う予定だ。さらに、よりパーソナルなカウンセリングをかなえるコンテンツとしてホリスティックケア、メイクアップそれぞれのスペシャリストをそろえるプログラムを展開する。

 1階カフェ・レストランは、平日の朝から日中にかけてはカフェラテとのペアリングに最適な料理やビーガンやグルテンフリーなどにも対応したメニューを用意する「リバイブキッチン」、ディナータイムは新たに「レストランRK」として季節の食材を用いた野菜中心のコースメニューを提供する。2階の「リズム スパ」は、03年のオープンから確実に顧客を獲得しリピート率も高い。今回、“感性を楽しむ場所”として初めて利用する人に向けたエントリーメニューをはじめ年4回の季節限定メニューなどを提案する。

 国内の店舗の新コンセプトのカウンターは、その旗艦店との連動感を持たせる。アクロの御後章社長は、「新カウンターは、旗艦店のように石と水平を生かした存在感のあるものになる。大阪高島屋を皮切りに伊勢丹新宿本店、名古屋高島屋と順次切り替えていく」と語り、進化した「THREE」の世界観が広がるだろう。

 海外戦略は、13年のタイへの進出をスタートに、台湾、インドネシア、マレーシア、香港、韓国、シンガポールへと広げ、10月からアジア市場最大の中国本土に上陸し、現在68店舗まで拡大する。中国では、9月25日にオープンしたばかりの北京大興国際空港に免税店を出店。北京大興国際空港は、既存の北京首都国際空港と合わせ、旅客数を25年までに約1億5000万人と5割増やす予定で、18年の都市別の空港旅客数で計算すると、ニューヨーク、東京を抜いて世界2位に浮上する規模となる。その地への進出は、「日本発グローバルブランド」を目指す「THREE」にとって、大きな一歩になるだろう。

 御後章・社長は「現在、国内売り上げは前年を下回っているが、海外では中国人客を中心に拡大している。中国人はタイの各店舗や韓国の免税店などさまざまなエリアで購入する傾向にあり、そういった広範囲での購買に対応できるよう世界中に店舗を広げていきたい」とコメント。グローバルブランドを目指す上で、将来的には欧米に広げていくことは容易に想像でき、10周年は一つの通過点に過ぎず、11年目にアクセルを踏む「THREE」に注目したい。

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「ジバンシイ」ノワール・イベントに鈴木えみ、GENKING、西内まりや、加治ひとみ、久間田琳加らが来場

 日に日に空気も澄んできて、ホリデーシーズンに向けて気分も高まり始めた11月11日、「ジバンシイ(GIVENCHY)」のリップスティック「ルージュ・ジバンシイ・ノワール」をテーマにしたパーティーが開催された。「ナイト・ノワール・ホリデー」と題されたスペシャルイベントには12人のゲストが来場し、“ノワール・ホリデー”をテーマにした夜を楽しんだ。

“ノワール”尽くしの特別な一夜

 「ルージュ・ジバンシイ・ノワール」は、夜空のようなきらめきを唇に宿す、ホリデーシーズンに活躍すること間違いなしのリップスティック。その人自身が持つ魅力を最大限に生かす究極のリップスティック「ルージュ・ジバンシイ」の中でも、夜空のように深いブラックテクスチャーが魅力のシリーズだ。

 この夜、ゲストたちは「ルージュ・ジバンシイ・ノワール」の中からそれぞれお気に入りの1本を選んで全員での撮影に臨んだほか、6本のラインアップを思い思いにタッチアップしたり、“ノワール(黒)”をテーマに彩られた食事を楽しんだ。

自分だけのカラーを楽しむ
ノワールに彩られたゲスト

口紅を超えた
クチュール・アクセサリー

LE ROUGE NIGHT NOIR

 クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)による「ジバンシィ」の最初のコレクションから名付けられた「ルージュ・ジバンシイ・ノワール」。唇のpHに反応して自分だけのカラーに変化するダークなブラックテクスチャーは、さながらクチュールドレスのような美しさを生み出す。それぞれに異なる色のマザーオブパールが配合され、光を受けるたびにさまざまな輝きを放つ6色展開。まばゆい輝きを放つ繊細なグリッターがちりばめられたケースも気分を盛り上げてくれる。

PHOTOS:KAZUMA TAKIGAWA(PERLE)[MODEL], HIROKI WATANABE[STILL]
STYLING:TAKAYUKI SEKIYA
HAIR & MAKEUP:KIKA, KATSUYOSHI KOJIMA, AKIHIRO MOTOOKA, KEN NAGASAKA, ERIKO YAMAGUCHI

問い合わせ先
パルファム ジバンシイ[LVMHフレグランスブランズ]
03-3264-3941

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さまざまな職を経て「生涯現役ショップスタッフの道」を行く ヴェルメイユ パー イエナ佐藤美穂

 ショップスタッフは若い人だけの職業なのだろうか?

 服を買いに店へ行き、ショップスタッフと会話していると、自分の要望が伝わらず、ニュアンスの違いを感じることがある。特に同世代にしか分からない“悩み”の様なものが伝わらず、購入の決め手に欠けてしまい一時退散することもしばしば。業界内に限らず、日本では「販売員は若い人たちの仕事」という考え方が根強くあり、それが30~40代のショップスタッフが少ない要因ではないかと思うことがある。そこで他業界やメーカーでの営業職など、幅広い経験を積み、現在はショップスタッフを務め、ヴェルメイユ パー イエナ(VERMEIL PAR IENA)日本橋高島屋S.C.店(12月から新たにオープンする青山店に異動)の佐藤美穂店長に販売職の魅力を聞いた。

―ファッションの原点は何ですか?

佐藤美穂さん(以下、佐藤):私が10代の頃はファッションと音楽が結びついていた時代で、ディスコが“クラブ”に変わるころでした。「スーパーラバーズ(SUPER LOVERS)」や「ヴィヴィアン・ウエストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)」「ヒステリックグラマー(HYSTERIC GLAMOUR)」が全盛期で、おしゃれしてクラブへ遊びに行くことが面白かった時代です。“月一ヴィヴィアン”と称して、毎月、アルバイト代を握りしめてお買い物しにいくことを生きがいにしていました。

その頃から母親世代の服装を見ていて「私もこの歳になったら、こういう服を着るしかないのか?着たい服がなくなる!」という不安のようなものを抱えていました。海外のファッション雑誌を見ると、そこには年齢を重ねてもおしゃれを楽しんでいるマダムの姿があって「何で日本とは違うのだろう?」と疑問を持つようになり、「それなら自分が変えてやる!」と勝手に熱くなっていました(笑)。なので、そのころから人生のモットーは「人は棺桶に入るまでオシャレでいるべき!」。まずは自分が率先してそういう大人になろうと(笑)。

―同世代なので、とても共感します。私も当時“月一ヒステリックグラマー”をやっていました。それに母親や祖母世代の服装へのジレンマも感じていました。

佐藤:時代ですよね。だから今はお客さまも巻き込んでオシャレを楽しもうと励んでいます。そういう気持ちで日々を過ごすと、街中で「その服はどちらで買われました?」と声をかけていただくようになるので、そのまま店にお連れすることもあります。

―どこで誰が見ているか分からないから、販売員はオシャレでないといけませんね。ところでベイクルーズに入社されたのが5年前だそうですが、それまではどんな仕事をされてきたのですか?

佐藤:いろんなことをしてきました。出版社勤務を経て、リフレクソロジーの資格を取得してサロン勤務もし、そこでお客さまだったOEM会社の社長に「服が好きならうちの会社で働いてみないか」とお誘いいただいて、本格的にこの業界へ入りました。その会社が小売りに挑戦するということで、ブランド立ち上げに関わりつつ店頭にも立つようになり、そこで販売職の面白さに気づきました。その後、販売を極めようとSPAメーカーへ転職し、IT業界を経て、40代手前でギャル系ブランドへ移り、5年前にベイクルーズで働いていた友人から相談を受けて、今に至ります。ギャルブランド時代は店長兼マネジャーとして渋谷109の店頭にもいましたので“マルキューの主”と呼ばれていました(笑)。

――多彩な経験ですね。その経験は販売職に生かされていますか?

佐藤さん:正直、経験を気にしたことがありません。洋服が好きだから販売しているだけなので、自分にとってこの仕事は天職だと思っています。でも、自分が「イイ!」と思ったものを伝えたい性分なので、勉強さえすれば鍋でも家でも売る自信はありますよ。

―販売を極めたいと転職されましたが、この仕事の面白さや魅力とは?

佐藤:洋服の販売は特殊です。飲食や化粧品は必要性があり、目的を持って来られる方が多いですが、洋服は目的買いの方もいますが、ほとんどが衝動買いです。中には「私に似合うものない?」といきなり言われる方もいます。いろんなお客さまがいて、一人ひとりの要望を汲み取って似合うコーディネートを組むというのはプロのスタイリストと同じで、ある意味“専門職”だと思うのです。入店した瞬間から「最後には素敵になってもらいたい」という気持ちでお客さまに接し、服を選んでいますが、正解がないから面白い。毎日ライブ感があります。

―元気のないこの業界において、佐藤さんのバイタリティーの源は何でしょうか?

佐藤:新しい服を着るとめちゃくちゃテンション上がりますよね。それだけです。例えば、その日のコーディネートがイマイチだとすぐにでも着替えたい気分にもなるし、ばっちり決まると一日のモチベーションも上がる。お薦めした服を試着したら素敵に似合うだけでお客さまも私もテンション上がるし、うれしくなります。その気持ちを私たちが失っていてはいけないのです。ギャルブランド時代のことですが、いつも来られる客層より少し大人な印象のお客さまがいらして、いつも通りのテンションで接客をしたのです。もう、これで決まりかと思っていたらお客さまに「お姉さんのテンションが低いから買うのやめます」と言われたのです。これはもう本当に雷に打たれたような衝撃でした。

―それは衝撃的!背中を押す何かを求めていたのですね。

佐藤:はい。自分が“月一ヴィヴィアン”と言いながら、靴下くらいしか買えなくてもワクワクして買い物に行った気持ちを忘れてはいけないことを痛感しました。今は仕事として毎日店頭に立っていると新鮮味が薄れて、売り上げが心配になることもありますが、お客さま側にすれば数カ月に1度しかショップには行けないから、全てが新鮮に見えるのです。この店に来るお客さまも「また、変わっている!」と喜んでくれます。その気持ちに私たちが寄り添って洋服を紹介できないといけません。とはいえ、全てのお客さまがそういう接客を求めているわけではないので、どんなテンションがいいかを見極める力も必要です。いろんな接客パターンを自分の中に用意しておくことも大事ですね。

―まさに販売は専門職ということですね。

佐藤:でも、この仕事をしていると親から「いつまで(販売員)やっているの?」と言われて、実際に退職する子もいます。私の両親もそんな時期がありましたが、今ではリスペクトしてくれています。だからこの仕事に誇りを持ってほしいし、販売が社会の末端のようになっている意識を変えたいです。洋服が販売できたら、どんなものでも売れると思うのです。スタッフにも「手に職だよ」と伝えています。

―私も販売は年齢無制限でいくつになってもできる仕事だと思います。

佐藤:私もそう思います。誰が若い子の仕事だって決めたんですか?(笑)。最近、社内でもキャリアのある販売員が店頭に立ち続けられるような取り組みができてきているので、その先頭に立ちたいと思っています。良いモデルケースとなり「定年まで現役販売員でいられる」ということを伝えていきたいです。

苫米地香織(とまべち・かおり):服が作れて、グラフィックデザインができて、写真が撮れるファッションビジネスライター。高校でインテリア、専門学校で服飾を学び、販売員として働き始める。その後、アパレル企画会社へ転職し、商品企画、デザイン、マーケティング、業界誌への執筆などに携わる。自他ともに認める“日本で一番アパレル販売員を取材しているライター”

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「常に変わり続けるファッションに対し、『ストーンアイランド』は変わらないことが強みだ」 by カルロ・リヴェッティ

カルロ・リヴェッティ=ストーンアイランド会長兼クリエイティブ・ディレクター

 常に変わり続けるファッションに対し、「ストーンアイランド」は変わらないことが強みだ(2018年9月22日掲載、「ストーンアイランド」会長が語る絶好調の理由 「“変わらずとも好かれる”ことが大切」から)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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22日オープン、新生「渋谷パルコ」の限定・先行販売品を一挙公開 ビューティ編

 11月22日、新生「渋谷パルコ」がグランドオープンする。再開発が進む渋谷エリアで、多彩なテナントをミックスした“次世代ファッションビル”はオープン前から話題を集めている。出店ブランドはオープンを記念した限定品や先行発売品をそろえ、来店者を出迎える。今回はビューティ編。

「ディオール ビューティ シブヤ(DIOR BEAUTY SHIBUYA)」

同店限定色のリキッドルージュとアイシャドウ

 渋谷エリア初のフレグランス「メゾン クリスチャン ディオール」のコーナーをはじめ、メイクアップ、スキンケアまでトータルビューティを提案する。店舗限定アイテムは、同店限定色の「ルージュ ディオール ウルトラ リキッド」(4200円)とアイシャドウ「サンク クルール」(7600円)をそろえる。1階にオープン。

「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」

ユニコーンモチーフの刻印サービス

 “Shu experience”をテーマにした体験型ショップを1階にオープン。メイクレッスンはもちろん、魅力的なプログラムやワークショップを用意する。リップ刻印サービスは同店限定でユニコーンモチーフをそろえる。また、6000円以上の購入者にメッシュのエコバッグをプレゼントする。

「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT BEAUTE)」

ギターをモチーフにした限定リップ

 メイクと音楽が楽しめる体験型ショップ“DARE TO STAGE”を1階にオープン。メイクアップの仕上がりやお気に入りのアイテムを撮影し、自分のSNSにアップしたりプリントアウトしたりできる「レコーディングスタジオ」は同店が初。同店限定で「ルージュ ピュールクチュール ヴェルニ」からギターをモチーフにしたパッケージが登場。限定3色で各4100円。

「イプサ(IPSA)」

男性も入りやすい店舗を訴求 一定額購入でポーチをゲット

 「グッチ(GUCCI)」や「トム ブラウン(THOM BROWNE)」などと同じ1階にオープンしたビューティブランド「イプサ」。これまでの青と白を基調にしたショップから一変、フロアにマッチする黒をベースにゆったりとした空間を演出。男性にもアピールする。オープンでは、一定額購入でポーチをプレゼント。

「クラランス(CLARINS)」

メイクアップのスターターキットを販売

 4階にオープンした「クラランス」は、そごう横浜店、そごう大宮店に次ぎ、国内3店舗目のオープンスパを併設。通常展開する個室での1時間以上掛けて展開するスパに比べ、オープンスパでは、フェイス&ハンドトリートメントを30分、5000円で提供。短時間で手頃な施術料ということから、子ども連れの母親や仕事帰りの近隣オフィスで働く女性を取り込む。同店限定で、フィックス メイクアップ ドゥ(50mL)と、コンフォートリップオイル02ラズベリー・03レッドベリー(各2.6g)、オリジナルポーチをセットにした、メイクアップ スターターキット(6050円)を販売する。

「ラブルケット(L:A BRUKET)」

五感からリラックスするセットを提案

 スウェーデン発ライフスタイルオーガニックブランド「ラ・ブルケット」が国内3号店を、「クラランス」向かいにオープン。スウェーデン流リラクゼーションを感じられるユニセックスコスメを提案する。オープンを記念して、ハンド&ボディウォッシュとボディローションセット(各50mL、3500円)とシャンプー&コンディショナーセット(各50mL、3500円)を発売する。

「エチュードハウス(ETUDE HOUSE)」

秋のカラーで提案するオープニングセット

 韓国の人気コスメブランドが原宿・竹下通り本店に次ぐ広さのショップを5階にオープン。“House of Color Play”をテーマに、さまざまな色を目で見て楽しむだけでなく体験できるショップが特徴だ。オープン記念で、「ロマンチックオータムオープニングセット」(3000円)をそろえる。

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22日オープン、「新生渋谷パルコ」の限定・先行販売品を一挙公開 3〜7階編

 11月22日、「新生渋谷パルコ」がグランドオープンする。再開発が進む渋谷エリアで、多彩なテナントをミックスした“次世代ファッションビル”はオープン前から話題を集めている。出店ブランドはオープンを記念した限定品や先行発売品をそろえ、来店者を出迎える。今回は3〜7階からピックアップ。

「チノ(CINOH)」

ダブルフェイスのコートやクルーネックニットを用意

 ブランド定番型のコートを、バージンウールのスーパー160(極細糸)をダブルフェイスで仕立てた限定アイテム、ダブルフェイスノーカラーコート(11万円)を用意。ネイビー、ブルー、ブラウンの3色をラインアップする。クルーネックニット(2万8000円)は、シルクカシミヤ混のウールを使用。襟と背中に配色ラインを入れた。色はネイビー×レッド、ライトグレー×イエローの2種をそろえる。3階にオープン。

「ベルベルジン(BERBERJIN)」

オープンに合わせたオリジナルブランド

 古着専門店「ベルベルジン」(3階)はオープンに合わせて、オリジナルブランド「トゥービーアナウンスド(TOBEANNOUNCED)」を発売する。ウエスタンシャツやニットカーディガン、コーデュロイパンツなど5型をそろえ、価格は1万9000~4万8000円。

「ベストパッキングストア(BEST PACKING STORE)」

「オンファッド」×「アデュー」レインソックスとブーツ

 プロダクトブランド「オンファッド(ONFADD)」の“レインソック(RAIN SOCKS)”とパリ発のシューズブランド「アデュー(ADIEU)」のブーツをセット。「アデュー」は防水に優れたブーツは、白と黒のアウトドアテイストのシューレースを付属した別注モデルだ。「オンファッド」の靴の上からかぶせるゴム製のカバー“レインソック”はデザイナーのベンジャミンとイザベルの直筆サイン入り。3階に出店。

「ファン(FAN)」

相手をもてなす座布団

 3階にオープンした、ストリートブランドや古着を取り扱うセレクトショップの「ファン」は、大阪発のブランド「ザ モンゴリアンチョップス」とコラボレーションした座布団(1万円)を用意。水や汚れを弾き、耐摩耗性にも優れているコーデュラナイロンを使用した、老舗の座布団職人による手作りを30枚限定で販売する。ショップのコンセプト“roots & development(起源と発展)”を体現しており、相手を敬いもてなすという意味もある座布団にフォーカスした。

「U バイ スピック&スパン(U BY SPIC&SPAN)」

ヘアメイクアップアーティストとコラボワンピース

 新宿ルミネ2に続く2号店を4階に出店。既存の「スピック&スパン」の顧客層よりも若い20代後半を狙う。ヘアメイクアップアーティスト松田未来さんとコラボレーションしたフェミニンなワンピース5型(1万1000〜1万6000円)を限定商品として打ち出す。

「ファーファー(FURFUR)」

映画「シャイニング」とコラボTシャツ

 4階に登場した「ファーファー」。11月29日に続編「ドクター・スリープ」が公開となることで再注目されているサイコスリラー映画「シャイニング」。作中に登場し、観衆を恐怖に陥れた双子がプリントされたグラフィックTシャツを限定販売する。コラボTシャツ(9000円)。

「にゃーSHOP」

にゃーとパルコががっちゃんこ

 5階のパルコキューブ内に出店している。注目は、渋谷という文字を入れたTシャツ(5500円)や、にゃーとパルコを組み合わせた「NYARCO」のロゴ入りiPhoneケース(3700円)。にゃーがパルコのPの字を持っているイラストもキュート。

「シャルル シャトン(CHARLES CHATON)」

「クリーミィマミ」、DJ Night Tempoとのトリプルコラボグッズ

 5階に入った「シャルル シャトン」は、80年代を代表するアニメ「魔法天使 クリーミィマミ」と、同年代のシティポップや昭和歌謡などを再構築したフューチャー・ファンクを生み出す韓国人プロデューサーのDJ Night Tempoとのトリプルコラボアイテムを提案。今回のために特別描き下ろしの長袖Tシャツ(7000円)、パーカ(9000円)、ステッカー(600円)を用意する。

「チックタック アップデート(TICTAC UPDATE)」

「ストーヴァ」に別注で30本限定

 時計専門店のチックタック アップデートは5階にオープン。ドイツの時計ブランド「ストーヴァ(STOWA)」に別注した“フリーガー・ウェールス40”を30本限定で発売する。インデックスや針をオールブラックにしたダイヤルが特徴で、価格は12万円。

「ニンテンドー トウキョウ(NINTENDO TOKYO)」

マリオやゼルダなどがTシャツに

 6階に国内初出店。「ニンテンドー トウキョウ」は、任天堂の人気ゲームシリーズである“マリオ”“ゼルダの伝説”“どうぶつの森”“スプラトゥーン(SPLATOON)"が一堂に集まったシリーズ(全22種類あるので一部抜粋)で、ロゴTシャツ(4800円)、フローティングペン(1000円)、ペンケース(1400円)などをそろえる。

「ポケモンセンターシブヤ(POKEMONCENTERSHIBUYA)」

スーパーマリオとコラボのクッションなど登場

 「ニンテンドー トウキョウ」と向かい合わせでオープンした「ポケモンセンターシブヤ」では、スーパーマリオの内側にポケモンの世界観が描かれている「ポケモン x スーパーマリオ」コラボアイテムを発売。ダイカットクッション(全6種類)は3000円、クッキー缶は1200円。

「エムアイユー(M.I.U.)」

”F”のコーチジャケット&スラックスのセットアップ

 「ソーイ」の伊藤壮一郎による中目黒のコンセプトストアの2店舗目。7階にオープンした。オープン記念の商品に「ファセッタズム」の落合宏理が手掛けるエクスクルーシブレーベル”F”のコーチジャケット&スラックスのセットアップを用意している。素材にはウールフランネル用いていて、スリーブにFマークを入れているのがポイント。ウールフラネル コーチジャケットは3万8000円、スラックスは3万4000円。

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リック・オウエンス、16年ぶりに帰郷 「未完成の自分を思い出すから避けていた」

 リック・オウエンス(Rick Owens)が、ビジュアルブック「レガスピ(LEGASPI)」と写真集「リック・オウエンス フォトグラフド・バイ・ダニエル・レヴィット(RICK OWENS PHOTOGRAPHED BY DANIELLE LEVITT)」の発売を記念したサイン会を、「リック・オウエンス」のロサンゼルス旗艦店で11月18日に行った。2003年にパリに居を移して以来、実に16年ぶりの帰郷となったそうだが、サイン会を終えたらすぐにパリに戻るという。なお、4年前にオープンした同旗艦店を訪れたのもこれが初めてだ。

 リックは、「気に入らない髪型をした自分の写真を見るような気分になるので、ロサンゼルスに来るのを避けていた部分がある。未完成の自分を思い出すから」と語った。

 カリフォルニア州で生まれ育ったリックは、ニューヨーク・コレクションでデザイナーとしてのデビューを飾ったが、「ニッチ向けの服を作る変なやつ」で終わってしまうのではないかと恐れ、パートナーであるミシェル・ラミー(Michele Lamy)と共にパリに移ることを決意したという。今やパリコレの常連として独自のポジションを築き、熱烈なファンが多いことでも知られるリックは、今回の一時帰国でも多忙なスケジュールだった。しかし、若かりし頃に住んでいたというホテル「シャトー・マーモント(The Chateau Marmont)」にミシェルと宿泊し、当時借りていたスタジオに赴き、フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)が設計した「ホリホックハウス(Hollyhock House)」を訪問するなど、短いながらも滞在を楽しんだようだ。「ホリホックハウス」はユネスコの世界遺産に登録されているため、見学に当たってはリックもそのシグネチャーとなった厚底シューズに白いカバーをかけているのが微笑ましい。

 今回の旅にも同行しているミシェルは、カニエ・ウェスト(Kanye West)が毎週日曜日に聖歌隊や打楽器隊などと共に自身の楽曲をゴスペル風にアレンジして歌うコンサート「サンデーサービス(Sunday Service)」のファンで、米国に来たからにはリックにも体験してほしいのだという。しかし、残念ながら今回は時間がないとリックは語る。「またロサンゼルスに来る機会があるだろうし、いつかこの街でファッションショーをやるかもしれない。例えば60歳の誕生日にね」と、サイン会当日に58歳を迎えたリックは2年後の展望について楽しげに話した。

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22日オープン、新生「渋谷パルコ」の限定・先行販売品を一挙公開 1〜2階編

 11月22日、新生「渋谷パルコ」がグランドオープンする。再開発が進む渋谷エリアで、多彩なテナントをミックスした“次世代ファッションビル”はオープン前から話題を集めている。出店ブランドはオープンを記念した限定品や先行発売品をそろえ、来店者を出迎える。今回はラグジュアリーブランドがそろう1〜2階をフォーカス。

「グッチ(GUCCI)」

国内の限定&先行販売品は計33点を用意

 メンズとウィメンズのウエアからバッグ、シューズ、ハット、ストールまで31点の国内限定品と2点の国内先行販売商品を用意した。メンズのモカシンシューズ(9万円)をはじめ、光沢感のあるショルダーバッグ(20万円)、赤いパイピングが特徴的な“グッチ 1955 ホースビット”シリーズのショルダーバッグ(24万円)などをラインアップする。

「ロエベ(LOEWE)」

若年層に入門編の価格帯アイテム

 1階の「ロエベ」は、アーツ&クラフツ運動時代のアーティスト、ウィリアム・ド・モーガン(William Frend De Morgan)から着想したクリスマス向けのカプセルコレクションで、先行販売商品を投入。ドードー鳥やリンクス(ヤマネコ)の柄を象嵌したレザーポーチやチャーム、セーターをそろえている。ポーチが8万6000円、チャームが4万2000円と、若い客層にとって入門編となる価格もポイント。

「コム デ ギャルソン ガール(COMME DES GARCONS GIRL)」

初の単独店に盛りだくさんの限定品

 初の単独店を1階に出店。限定商品も盛りだくさんだ。「コム デ ギャルソン」といえばの「ルイス レザー(LEWIS LEATHERS)」との協業ライダースジャケット(24万円)は、鮮やかなピンクと赤でガール仕様に。ほかにも、「コンバース(CONVERSE)」の“オールスター”やディズニー社とコラボしたシャツなどを企画。“社内コラボ”として、「CDG」との協業フーディーや「プレイ コム デ ギャルソン(PLAY COMME DES GARCONS)」との協業ポロワンピースもあり。「コム デ ギャルソン」で人気のクリアなビニールトートバッグも、ハンドルをピンクと赤にしてガーリーさ全開。

「トーガ(TOGA)」

過去の人気商品を復刻

 男女複合店を2階に出店した。人気のシューズやバッグも充実している。同店限定商品として、過去に人気があったポーチ(2万7000円)やミニバッグなどの復刻商品をそろえる。メンズで企画していたデザインを、ウィメンズサイズに落とし込んだシューズも。台湾のレコードショップ、パーストアと協業した、ゆるいイラストがかわいいTシャツなども販売する。

「アレキサンダー ワン(ALEXANDER WANG)」

新ロゴを重ねて星条旗モチーフTシャツ

 2018年6月のロゴ変更以降では、渋谷パルコの2階が全世界で初めての出店という。同店限定商品は、新ロゴを連ねて星条旗のモチーフを表現したワンポイントプリントが載ったスエットトップス(4万円)やTシャツ。バックスタイルでは逆さにした「shibuya」ロゴが主張する。

「イッセイ ミヤケ シブヤ(ISSEY MIYAKE SHIBUYA)」

エネルギッシュなピンクな先行品

 商業施設内では初となる自社ブランドの複合ショップを2階に出店。「オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE)」と「バオバオ イッセイ ミヤケ(BAOBAO ISSEY MIYAKE)」などを軸に、メンズアイテム中心にそろえている。エネルギッシュなピンク色の「オム プリッセ」のプリーツジャケットやパンツなどを先行販売する。

「ビューティフルピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」

キッズサイズは白のトートバッグを用意

 ブランドのアイコニックなキッズサイズのライダースキッズジャケットをバッグにしたシリーズから、渋谷パルコ限定色として無垢な白を限定販売(ホワイトライダースキッズトート6万円)。内装の無機質な空間に合わせた真っ白なチェーンバッグ(クリーンホワイトダブルチェーンバッグ3万6000円)のほか、ネームタグまで真っ白にしたシンプルな小物入れ(ホワイトスモールケース5000円)は、コインケースやジュエリーケースなど使い方いろいろ。2階にオープン。

「グラウンド ワイ(GROUND Y)」

BABYMETALと協業でスエットトップス

 「ブラックスキャンダル ヨウジヤマモト(BLACK SCANDAL YOHJI YAMAMOTO)」との複合で2階に出店。音楽グループ、BABYMETALと協業したアイテムでパルコ先行発売商品を企画。カットジャカードでフリンジ状にロゴを表現したスエットトップスは3万8000円。

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ロンドンの注目ショップをリポート 次世代の才能が集う複合店や絶品中国料理店など

 9月に開催された2020年春夏シーズンのロンドン・ファッション・ウイーク(LONDON FASHION WEEK以下、LFW)に参加してきました。16年に実施された、イギリスの欧州連合離脱の是非を問う国民投票でEU離脱が決まって以来、明るいニュースに乏しいロンドンですが、街は相変わらず活気に溢れています!トレンドに敏感なロンドンは、行くたびに新たな発見をもたらしてくれる街。取材の合間に足を運んだファッションやビューティ、フード関連のお店をご紹介します。

ファッション編
異業種が集合した“小さな村”

 ロンドンの中心地ベルグレヴィア地区に昨年春にオープンした「50m」は、新たな形態のコンセプトストアです。ブランドは月額賃貸料を支払うことでショップ内に独自のスペースをレンタルでき、自分で商品を選んで陳列し、委託販売で売り上げに基づいた手数料を「50m」に支払う仕組みです。コワーキングスペースも併設されており、アトリエも設けられます。敷地内にはレストラン、美容室、ヨガスタジオなども構えており、まるで小さな村のようです。なかには洋服とコスメの販売スペースと美容院が一体になった面白いショップも。仕掛け人は、コミュニティースペースの「メーカーバーシティー(Makerversity)」、フード業界人のための共有ワークショップスペースの「ミッション キッチン(Mission Kitchen)」など、数々の話題スポットをロンドンで生み出してきた集団、サムシング アンド サン(Something & Son)です。

 「50m」は現在「べサニー ウィリアムズ(BETHANY WILLIAMS)」「ライアン ロー(RYAN LO)」などメンズ、ウィメンズのファッションブランドのほかにジュエリーや陶芸、キャンドルなどアート作品を含め約50ブランドが出店しています。若手デザイナーの才能を育むことを主な目的に掲げており、頻繁にイベントを開催してデザイナーと顧客の交流にも力を入れています。コワーキングスペースにはクリエイターだけでなく弁護士や会計士も多く、交流会を通じてブランド成長に必要なビジネスの知識も共有しているのです。英新聞「ザ・ガーディアン(The Guardian)」の取材にサムシング アンド サンの共同創始者ポール・スマイス(Paul Smyth)は、「小規模なブランドが小売店を開けない大きな要因の一つは急騰する家賃。ロンドンの賃貸料は、ショップを持つという夢を手の届かないものにしてしまう。『50m』は若手デザイナーが売り上げに対する圧力を感じることなく、創造性とビジネスの両面で成長できる一つのプラットフォームだ」と説明しています。「バーバリー(BURBERRY)」が世界各国の一部店舗を閉鎖するなど、ビッグメゾンでさえ実店舗で利益を得るのに苦労している時代に、共同ファッションスペースは新たな才能を育む先駆的なコンセプトストアとして、大きな可能性を秘めていると感じました。

ビューティ編
心身をサポートする
アロマやハーブティー

 ロンドンに行くと必ず立ち寄るのがウエルネスブティックの「アナトミー(Anatome)」です。心身両面の健康をサポートするウエルネスアイテムを展開するブランドで、常駐する栄養士さんが悩みに合わせた商品を提案してくれます。ビタミンやプロテインなどのサプリメントのほか、アロマやエッセンシャルオイル、ハーブティーなどオリジナル商品がそろいます。私は月経前症候群に効果的なホルモンバランスを整えるサプリメントとエッセンシャルオイル、ハーブティーを試しました。特に効果を感じたエッセンシャルオイルは、香りと心理の関係を研究する専門家たちが開発したもの。癒し効果の高い“療養+保護”“バランス+安定”や気分を上げてくれる“表現+自信”、集中力をアップする“フォーカス+集中”など8種類あります。私は安眠に特化した“睡眠+回復”を愛用中です。世界的に健康ブームで、ヘルス関係のショップはロンドンや私が暮らすパリにも増えていますが、特にメンタル面をサポートするアイテムを販売し、かつオシャレなブティックというのが意外にありませんでした。ここ数年でインナービューティの分野が成長しているため、今後も新たな広がりを見せそうな予感です!

レストラン編1
プリプリ海老の
“チョンファン”が絶品

 ロンドンを訪れるとき、最も気を配るのはレストラン選びです。以前、フードライターの方に「イギリスにはかつて食事にこだわるのは下品という考え方があり、特権階級の人々が食を軽視していたために食文化が発展しなかった」と聞きました。しかしそれも昔の話。1990年代以降に海外のレストランで腕を磨いたシェフがイギリスで活躍し始め、それから食が格段に進歩し、現在では美味しい料理を楽しむことができます。ちゃんと事前にリサーチして狙ったレストランに行けば失敗が少ないと、私も身をもって学びました。

 ロンドンに行くと必ず立ち寄るのが、飲茶を中心とした中国料理店「ヤウアチャ(Yauatcha)」です。ロンドンでは中国料理店として初めてミシュランの星を獲得した「ハッカサン(Hakkasan)」をはじめ、世界各国で数々の有名店のプロデュースを手掛けるアラン・ヤウ(Alan Yau)によるレストランです。2004年に開業した「ヤウアチャ」も、翌年にミシュラン一つ星を獲得しました(ヤウ氏は08年に同レストランを売却)。34種類の飲茶とお肉料理で、海鮮料理、麺類、ご飯類、スープ類とメニューも豊富です。LWF最終日のディナーに、「WWDジャパン」の大杉記者と私の腹ペコ女子2人はまず、定番の海老と湯葉の“チョンファン”と野菜の蒸し餃子、ホタテ貝の蒸し焼売ときのこのスープをオーダー。私はこの“チョンファン”が大好物で、ロンドンに来る一つの楽しみでもあります。大ぶりの海老を揚げた湯葉とチョンファン(米粉麺)で巻いており、蒸した状態でテーブルに運ばれてくるとウエイターが醤油ベースのソースをかけてくれます。シルクのように滑らかでプルっとしたチョンファンにクリスピーな揚げ湯葉、そしてプリプリの海老の食感のバランスは文句のつけようがありません!“チョンファン”自体にあまりなじみがなかった私は、これを食べてとりこになりました。ホタテ貝の蒸し焼売は貝柱がそのままゴロンと入ったぜいたくな感じで、野菜の蒸し餃子は野菜とキノコの出汁がしっかり効いていて、どちらも美味しかったです。スープはサンラータンのような甘酸っぱい味。まだお腹に余裕があるということで、締めにクリスピーダックとチャーハンを追加オーダーしました。さすがに注文し過ぎましたが、どのメニューも美味しくて大満足!ちなみに、ヤウ氏が手掛ける日本初出店の点心専門店「ヤウメイ(Yaumay)」が東京・丸の内の二重橋スクエアに昨年オープンし、海老と湯葉の“チョンファン”が提供されているのでぜひご賞味あれ。

レストラン編2
ペロリと完食した
ラザニアフリッター

 ロンドンには10年にモルトビー・ストリート・マーケット(Maltby Street Market)、16年にフラット・アイアン・スクエア(Flat Iron Square)、今年春にヴィネガー・ヤード(Vinegar Yard)などのストリートフードやバー、ビンテージマーケットが一体となった複合施設が続々と誕生しています。レストランの料金が高いロンドンで、安い早い美味いのストリートフードはグルメなロンドナーの間でブームなのです。

 中でも、昨年春にオープンした「ブライト(Bright)」が友人のオススメということで行ってみましたが、このチョイスが大正解でした!丁寧に作られた料理とワインバーが一体となった“バーラヴァン(Bar a Vin)”という形態のレストランで、パリでは数年前からこの手のレストランが一気に増えています。同店は自然派ワインのセレクションと、イギリス料理とフランス料理をミックスしたようなモダンブリティッシュを提供しています。絶品だったのは前菜メニューのラザニアフリッター。「揚げたラザニアが前菜って、結構重たいかも」と思いましたが、ほとんど塩こしょうだけのシンプルな味付けで、お肉の味を引き出したラザニアがザクザクとした衣に包まれており、ペロリと食べられました。メインは、カレイのグリルに野菜の付け合わせをオーダー。カレイは焼き加減があまり好みではなかったのですが、付け合わせはナスをピューレしたタプナード風で、野菜の自然な甘みがとても美味しかったです。旬の食材を使った日替わりメニューを提供しているため、私の「また訪れたいお気に入りレストランリスト」に追加しました。

ベーカリー編
女性を応援するベーカリー

 大杉記者のリサーチによると、世界的に強まっているフェミニズムの流れでロンドンには女性エンパワーメントがコンセプトになったお店が増えているとのこと。そこで私は「ルミナリー ベーカリー(Luminary Bakery)」へ行ってみました。同店は貧困やホームレス、性的搾取を目的とした人身売買や家庭内暴力と闘った経験のある女性たちを積極的に雇用し、刑務所で服役中の女性たちにお菓子作りを教える社会活動に取り組んでいます。14年にケータリングサービス専門店としてスタートし、17年にロンドン東部ハックニーにカフェをオープン。今年10月にはカムデン地区に2店舗目を開きました。また、今年8月4日のメーガン・マークル(Meghan Markle)=サセックス公爵夫人のバースデーケーキとして、同店の特製キャロットケーキが選ばれたことがイギリスで話題になったようです。店内は白が基調の清潔感のあるかわいい雰囲気。平日午前9時ごろに行ってイートインしていると、子どもを学校へ送る途中らしき親子がひっきりなしに訪れます。住宅街ということもあって周辺は穏やかで、心をホッと落ち着かせることができるカフェです。一番人気だというシナモンロールは無糖コーヒーがないと食べられないくらい甘かったのですが、おかげで血糖値が上がり、その後の仕事にしっかり集中できました(笑)。パリでも女性エンパワーメントがコンセプトのお店の話題を耳にすることが多いので、また別の機会にご紹介したいと思います。

 今回の滞在中、現地に暮らす人々と話す機会がたくさんありました。EU離脱問題については交渉が長引き複雑化し過ぎているため、国民はもはやそのニュースにあまり関心がないような印象を受けました。EU離脱が正しい決断か否かは結果論でしか分からないことで、もがいても仕方がない、受け入れるしかないといった感じでしょうか。私が出会った人たちは決して未来を悲観しているわけではなく、むしろ気持ちに区切りをつけて前を向いている“良い諦め”のように感じられました。結果がどう転ぼうとも、ロンドンの街はこれからも進化を続けるはずです。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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私のサステナビリティ ジュン「アダムエロペ」の楠原愛PRマネージャーは環境や人体に影響が少ない日用品を選ぶ

 環境に対してはもちろんですが、なるべく人体にも影響のないものを選んで使うようにしています。たとえば、会社にランチを持参するときには、環境や健康に有害な物質が含まれていないBPAフリーの容器を選んで使っています。レンジでチンするときに溶出する物質が人体にかなり害があると聞いて、危機感を覚えました。タッパーも消耗品なので、捨てたときに環境に有害なプラスチックのものはなるべく買わないということも心がけています。また割り箸ではなく、マイ箸を使っています。

 ジュンで私が担当するセレクトショップ「ビオトープ(BIOTOP)」は、2010年の1号店オープン以降、売上高の1%を音楽家の坂本龍一さんが代表を務める森林保全団体「モア・トゥリーズ(MORE TREES)」に寄付しています。植物は「ビオトープ」のコンセプトとして切り離せないもの。一過性でなく継続して取り込むことに意味があると思っています。

私のサステナビリティ
 ファッション業界にとって加速して取り組まなければいけない課題の“サステナビリティ”。企業として大きく舵を切ることはもちろん、個々の意識も重要です。そこで個人的に行なっているサステナビリティについて聞きました。

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読者が注目した今週の新作 「フラグメント」 × 「ジョン スメドレー」など(11月22〜28日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。「ファッション部門」では読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ファッション部門」では藤原ヒロシの「フラグメント デザイン(FRAGMENT DESIGN)」と英ニットウエアブランド「ジョン スメドレー(JOHN SMEDLEY)」のコラボニットウエアが1位に輝いた。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


【スニーカー部門】

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「ディオール」コラボなどでトレンドセッターを目指す 「リモワ」の若きCEOがビジョンを語る

 「ディオール(DIOR)」は11月22日、同日リニューアルオープンする渋谷パルコの1階にメンズのポップアップストアをオープン。2020年春夏メンズのランウエイで発表した「リモワ(RIMOWA)」とのコラボレーションを発売する。ポップアップでは、「リモワ」の定番“キャビン”と“トランク”、ランウエイではモデルが小脇に抱えていた“ハンドケース”を販売。クロスボディーの“パーソナル”は、軽量のアルミニウムケースで携帯性も高い。

 「リモワ」のアレクサンドル・アルノー(Alexandre Arnault)最高経営責任者(CEO)に、コラボレーションの狙いや、ブランドの今後などを聞いた。

WWD:今回はなぜ「ディオール」とコラボレーションしたのか?

アレクサンドル・アルノー=リモワCEO(以下、アレクサンドルCEO):2つのメゾンがそれぞれの得意技を披露できる協業ができたら、とても光栄だと考えた。そこで「ディオール」、特にキム(・ジョーンズ(Kim Jones)「ディオール」メンズ アーティスティック ディレクター)と一緒なら、「リモワ」の限界を突破し、新たな世界に導いてくれるのでは?とオファーした。「リモワ」のノウハウが詰まった商品を、最高峰のファッションの世界で見せたかったんだ。

WWD:キムは今年、「リモワ」のキャンペーン・ビジュアルにも登場している。彼を広告塔に選んだのは、なぜ?

アレクサンドルCEO:友人の1人で、「リモワ」ユーザーの1人だからだ。特に彼は旅への思い入れが強く、それがクリエイションの源にもなっている。ブランドにとって、最高のアンバサダーだ。

WWD:最近は、コラボレーションに活発だ。

アレクサンドルCEO:「リモワ」は、すでに旅の世界ではトップブランドの1つ。この世界でリードしながら、これまでスーツケースをスタイルと切り離していた人の考えを改めたい。コラボレーションはやり過ぎず、深い絆で結ばれることが大事。絆があれば、結果は保証されるものだ。

WWD:新たな挑戦をしなくても、順調な成長を続けられそうなブランドだが。

アレクサンドルCEO:持続的な成長ではなく、新たな成長の原動力を手に入れたい。今は、これまで探求してこなかった世界に足を踏み入れ、新たな挑戦を探しているイメージ。そして消費者は、消費し所有することから、経験することに価値を置き始めている。何より、歴史あるブランドでありながら、消費者の文化的な文脈にも登場したい。「リモワ」はマーケットリーダーではなく、トレンドセッターを目指すんだ。

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新生「渋谷パルコ」は個性派飲食店37店で日本の“食カルチャー”を発信

 11月22日に新生「渋谷パルコ」がオープンする。先駆けて開催されたプレス内覧会で話題だったのは、まるで路地裏のような雰囲気の飲食店フロア「カオス キッチン(CHAOS KITCHEN)」だ。「渋谷パルコ」が食をどう捉え、世界に向けどう発信するのか。新業態を中心に注目テナントを紹介する。

 新生・渋谷パルコには192のテナントが入っており、内、飲食店は全37店舗。「そこに集まり、コミュニティーを形成し、空間と時をともに楽しめるような場所」をコンセプトに編集されている。レストランフロアとして、地下1階「カオスキッチン」、7階「レストラン セブン(RESTAURANT SEVEN)」に加え、各フロアコンセプトに合った飲食店をラインアップ。ジャンルをミックスさせることで、互いの魅力を引き出すのが狙いだ。

個性派21店舗がひしめく
「カオスキッチン」

 地下1階の「カオスキッチン」は、“食・音楽・カルチャー”をコンセプトにした飲食店と物販店が混在したレストランフロア。環境デザインを建築家の藤本壮介氏が担当。天井・床に鏡面素材を使い、そこにショップのファザードが映り込むことで、非現実的な空間を演出している。

【米とサーカス】

 和食ベースの獣肉(ジビエ)と昆虫料理を提供する東京・高田馬場の居酒屋が出店。栄養価と環境の負荷の低さから“世界を救う食材”として注目されている昆虫料理や野生鳥獣を、ちょっと怪しげなムードが漂う非現実的な空間で楽しむことができる。スイーツでは“虫パフェ”や“虫だんご”などを提供する。

【はまの屋パーラー/キャンピーバー】

 昭和の雰囲気が漂う、創業53年の日本式純喫茶「はまの屋パーラー」と新宿2丁目の性別を超えたミックスバー「キャンピーバー(CAMPY! BAR)」が同テナントで昼と夜に入れ替わるかたちで営業。同フロアのテナントの多くが閉店した23時以降はカラオケも導入し、女装ウエイトレスと共に29時まで渋谷の夜を楽しむことができる。

【未来日本酒店&SAKE BAR】

 AI味覚判定サービス「YUMMY SAKE」が自分好みの日本酒を見つけてくれる、未来型日本酒バー。日本酒「久保田」とコラボレートし、併設する「KUBOTA SAKE BAR」ではセミナーやイベントも開催。日本酒入門者から上級者まで楽しむことができる。

【ジカセイ メンショウ】

 ミシュランを始めとするグルメガイド常連のラーメン店、「メンショウ(MENSHO)」が新業態で出店。サンフランシスコのTwitter本社で提供しているというカップ型のワンハンドスタイルのオリジナル器を採用し、見た目もぐっとクールに。店内はDJ須永達夫氏が手掛ける音楽が流れ、今までにないラーメン体験が楽しめる。

【デリファシャス】

 鮨屋が作るフィッシュバーガー専門店として、中目黒で人気を博した「デリファシャス(DELI FU CIOUS)」が出店。昆布じめフィッシュバーガーや漬けマグロチーズバーガー、しめ鯖のわさびバーガーなど、和食の技を生かしているのが特徴。オーダーが入ってから調理するため、作りたてを楽しむことができる。

【うどん おにやんま】

 立ち食いうどんの名店として知られる「おにやんま」が商業施設出店。エッジィなラインアップの中にあって、ホッとできるオアシス的存在だ。日本が誇る最強のファストフードをコンセプトに、美味しくて早くて安いを実現。海外客はもちろん、近隣のオフィスワーカーから人気を集めそうだ。

【クアトロラボ】

 3000枚を超えるアナログレコードのコレクションをハンドメイドの大型スピーカーを含むハイエンドなオーディオシステムで楽しめるミュージック・カフェ&バー。シックな内装の店内で、じっくり音楽と飲食を楽しめる大人の空間だ。

 この他にも、代官山「Ata」の新業態となる渋谷系ビストロ「アタズ(Ata’s)」や、東京初上陸となるハンバーグ屋「極味や」など、計21の飲食店をラインアップ。飲食フロアでありながら、レコードショップ「ユニオンレコード」 やフェスグッズショップ「GAN-BAN/岩盤」、占いコーナーなども並び、業種もミックスさせることでカオス的な空間に仕上がっている。他に類を見ないアトラクション的要素の強い飲食フロアだ。

7階「レストランセブン」は海外観光客
ニーズに応える7店舗を厳選

 7階の「レストランセブン」では、回転寿司店「金沢まいもん寿司」や、焼肉店「渋谷焼肉 KINTAN」、ラーメン店「中華そば専門 田中そば店」などの日本食や、ヴィーガン料理専門店「ファラフェルブラザーズ(FALAFEL BROTHERS)」などが7店舗のレストランがオープン。今後ますます増えていく渋谷へ来街する海外観光客も楽しめるラインアップとなり、メニューの外国語対応も進めている。

各フロアにもコンセプトに合った
飲食店をラインアップ

 4階には、実力派シェフとして知られる森枝幹氏が手掛けるタイ料理レストラン「チョンプー(CHOMPOO)」がオープン。フレッシュハーブをふんだんに用い、体が喜ぶしみじみおいしいタイ料理を提案。“スパイシーなだけではない”タイ料理を味わいたい。

【エディターズ・チェック】
「カオスキッチン」と「レストランセブン」のコンセプトやムードは違えど、共に食を日本の大切なカルチャーと捉え、世界に発信していこうという新生「渋谷パルコ」の決意と意気込みが感じられるラインアップだ。ますます増えるであろう外国人観光客のニーズにしっかりと応えながら、渋谷という街の中で熟成され、どう進化していくのかに期待したい。

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一つの世界観で次の時代へと向かう「ランバン」

 今年130周年を迎えた「ランバン(LANVIN)」は、1月にブルーノ・シアレッリ(Bruno Sialelli)=クリエイティブ・ディレクターを迎え、次の時代への歩みを進めている。その軸となるのは、ウィメンズとメンズのウエアからアクセサリーまでを一つの世界観の中で表現すること。創業者であるジャンヌ・ランバン(Jeanne Lanvin)のルーツや長い歴史の中で築かれてきたヘリテージを大切にしながらも、新しさを探求している。

2020年春夏コレクションは
夢の国から広がるストーリー

 2020年春夏コレクションのタイトルは、「夢の国」。パリにあるケ・ブランリ美術館の緑が生い茂る庭園を舞台に、幻想的なストーリーを描いた。着想源の一つは、1900年代初めにウィンザー・マッケイ(Winsor McCay)が発表し、「ニューヨーク・ヘラルド(The New York Herald)」紙に連載されていたコミックストリップ「夢の国のリトル・ニモ(Little Nemo in Slumberland)」。少年の夢の中での冒険を、デザイナー自身の幼少期の記憶や「ランバン」の歴史と重ね合わせた。コレクションの軸となるのは、パステルカラーやベージュなどの優しい色合いと、ゆったりとしたシルエット。コクーンシルエットのスーツや流れるようなイブニングドレスから、カジュアルなデニムやコミックプリントのアイテムまでをそろえ、エフォートレスなスタイルを提案する。そこにアクセントに加えるのは、メゾンのルーツでもあるハットとコンテンポラリーなアクセサリー。ショーには、世界観を共有するメンズのルックも登場した。

新たなシグネチャー
“フック”バッグに注目

 “フック”バッグは、シアレッリ=クリエイティブ・ディレクターが手掛けた初のシグネチャーバッグ。半分はすっきりとシャープ、もう半分は丸みを帯びた形状が特徴で、それが釣り針を想起させることから名付けられた。素材は柔らかなカーフレザーを使用。収納力と軽やかさを兼ね備え、デイリーユースに最適なアイテムに仕上げられている。3サイズ展開で、単色からバイカラーやプリントミックスまでをラインアップ。また、チェーンバッグタイプの“フック チェーン”も提案する。

“「ランバン」にふさわしい
新しさの探求を続けていく”

 新しい「ランバン」確立のカギを握るのは、シアレッリ=クリエイティブ・ディレクターだ。「難しいと感じたのは、同じメゾンでありながらメンズとウィメンズが全く異なるコンセプトやメッセージを持っていたこと」と就任当時を振り返る彼は、ブランドのアーカイブを研究。「子ども服からウエアに進出した創業者にとって重要だった“ノスタルジー”や“イノセンス”といった要素に、幼少期の記憶を大切にする自分のクリエイションとの共通点を見出した。そこにさまざまな時代に築かれてきた『ランバン』らしさやアーカイブを織り交ぜている」と明かす。コレクションでイメージしているのは「それぞれが異なる個性や役割を持っていながらも同じ価値観を共有しているグループ」。インクルーシブ(包括的)であることを目指し、アイテムの幅も広げている。「現代の女性はカクテルドレスも毎日着られるようなウエアも両方必要。そのバランスがポイントだ。ただし、全てが同じ世界観のもとで提案されているということは欠かせない」という。そして、今後については、「店舗での体験も含め、軽やかさや楽しさをもたらすことで変えていきたい。方程式には頼らず、チームと共に『ランバン』にふさわしい新しさの探求を続けていく」と話す。

エディター&バイヤーが語る
新しい「ランバン」

 どうしてもアルベール・エルバスを含む前任者と比べて考えてしまうので、アルベールが夢のある服作りだったことをふまえると、ブルーノは完全にリアルクローズの人だと思います。でも、今の風潮としてはそれが正解でもあり、色や柄、ちょっとしたディテールなどで今着たいと思わせる服が多い。メンズとウィメンズ一つの世界観の中でそういう服を作ることが彼の使命であり、「ランバン」再生のカギに他ならないと思います。2020年春夏はやりたいことがセグメントできていたし、テーラードやコミックプリントのアイテムがいいなと感じました。 (上野ルミ/「フィガロジャポン」編集長)

 第一印象は、まさにフレッシュ!ブルーノのアイデンティティーが込められたコレクションだと感じました。その一方で、エレガントシックを貫いていたこれまでのブランドイメージから、お客さまが定着するまでには少し時間を要するかと思いました。今季は大人の女性が持つ夢見がちな乙女心をくすぐられるコレクションというイメージで、今後の進化に注目しています。また、ブランドビジネスを構築する上でバッグやシューズも重要な要素なので、よりデザインと価格のバランスがとれたコレクションになることを期待しています。 (中尾有里/バーニーズ ニューヨークMDウィメンズバイヤー)

 前シーズンに比べ、新たな「ランバン」のイメージが融合され進化していたので、これからがますます楽しみです。20年春夏は、懐かしさと新しさのミックス感や、ジャケットやスーツといった今の時代感を捉えた要素と柔らかさを合わせたエレガンスが表現されたルックが目を引きました。そして、綺麗な色合いが多いのも好印象でした。バッグやシューズ、アクセサリーといった雑貨も今後、ブランドのアイコンとなるアイテムになっていけば、新客にも響きやすくなると思います。(濵田尚子/阪急阪神百貨店第1店舗グループ モードファッション商品統括部モード商品部シニアバイヤー)

TEXT:JUN YABUNO

問い合わせ先
コロネット
03-5216-6518

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ミズノが仕掛けるスニーカーのコラボプロジェクト「KAZOKU」 全21モデルを振り返る

 1906年に大阪で水野利八が創業して以来、日本が世界に誇る総合スポーツ用品メーカーとして100年以上の歴史を持つミズノ(MIZUNO)。サッカーの本田圭佑選手や中島翔哉選手ら多くのトップアスリートたちの足元を支えていることで知られているが、その一方でここ1〜2年、ライフスタイルのシーンにおいてもその存在感を強めている。

 と言ってもミズノはこれまで、1970年代初頭に誕生したサイドのMマークが特徴的な“Mライン(M-LINE)”をはじめ、82年の発表後そのアイコニックなマークから企業ロゴになった“ランバード(RUNBIRD)”、97年に生まれた「ミズノウエーブ」と呼ばれる波形のプレートを搭載した“ウエーブ ライダー(WAVE RIDER)”、空洞のソールが印象的な2007年の“ウェーブクリエーション(WAVE CREATION)”など、各年代ごとに象徴的なオリジナルシューズをいくつも発表してきてたのは言わずもがな。そして昨年、歴代スニーカーを新たに生まれ変わらせるべく、世界中のブランドやショップをパートナーに迎え、家族のように手を取ってコラボレーションするというプロジェクト「KAZOKU」をスタートさせたのだ。

 「KAZOKU」の名の下に発表されたのは全21モデルで、シリーズはそれぞれのパートナーのエッセンスを注ぎ込んだコラボモデルと、ミズノが彼らから得た知見をもとに現代版へとアップデートしたオリジナルモデルから構成されている。単純計算で1カ月毎近い驚異的なスピード感で発表しており、来週には第22弾目となるモデルの発売が控えるなど、よほどのスニーカー好きではない限り全モデルを把握している人は多くないだろう。そこで今回は、スニーカーシーンに満を持して参戦した「ミズノ」の「KAZOKU」の軌跡を振り返りたい。

第1弾
MITA SNEAKERS
“WAVE RIDER 1 NO BORDER MITA SNEAKERS 「KAZOKU」”

 記念すべき第1弾は、1997年発売のパフォーマンスシューズ“ウエーブライダー 1”を復刻し「KAZOKU」始動のきっかけになった、国井栄之率いるミタスニーカーズとコラボした。履かれる環境が競技トラックからストリートへと変わったものの、どちらの環境にもブルー(競技場のトラック、路上の標識)とホワイト(白線)があることから、アッパー全体をブルーに染め上げトウ部分にホワイトラインを走らせた。ミッドソールのマーブル柄は、アスファルトをイメージしたものだとか。

第2弾
ORIGINAL
“WAVE RIDER 1 OG”

 前月にミタスニーカーズと復刻させた“ウエーブライダー 1”のオリジナルモデルを忠実に再現。全体のボリューム感やアウトソールのディテールにこだわりながら、軽量化とフィット感、安定感を持たせた。前作に引き続き、シュータンには今では使われなくなった“ワードM”のロゴがあしらわれたファンにはうれしい一足に。

第3弾
HIGHSNOBIETY
“WAVE RIDER 1 PHOENIX”

 第3弾では、ドイツ・ベルリンを拠点とするウェブメディア「ハイスノバイエティー」とのコラボという意外性のあるモデル。“ウエーブライダー 1”をベースモデルに、ディレクションはベルリンの人気スニーカーショップ、ソールボックス(SOLE BOX)の創設者でスニーカーデザイナーのヒクメット・スガー(Hikmet Sugoer)が担当。“REBIRTH”をテーマに、不滅や再生の象徴であるフェニックスをイメージしたカラーリングに仕上げた。

第4弾
LA MJC
“WAVE RIDER 1 LAMJC”

 年1回刊行のストリートカルチャー誌「オール ゴーン(ALL GONE)」で編集長を務めるマイケル・デュポイ(Michael Dupouy)が主宰するパリのクリエイティブ・エージェンシーLa MJCとのコラボでも、“ウエーブライダー 1”がベースモデルに採用された。芸術家デイヴィッド・ハモンズ(David Hammons)の代表作「African American Flag」をインスピレーション源に、アフリカ諸国の国旗でたびたび使用されるレッドとグリーン、そしてブラックという大胆な色使いが目を引くモデルが生まれた。

第5弾
CLUB75
“COURT SELECT CLUB75”

 第4弾のパートナーであるマイケル・デュポイが手掛けるフランスのブランド「クラブ75」を第5弾のパートナーに迎えた。ベースとなったのは1993〜94年にヨーロッパ限定で展開されていたバレーボールシューズ“コートセレクト”で、差し色のピンクとパープルから爽やかさとどこか懐かしさが感じられる。ピッグスエードのヒールには、「クラブ75」のブランドロゴがエンボス加工であしらわれた。

第6弾
PATTA
“SKY MEDAL PATTA”

 1990年代に販売されていたランニングのトレーニング用シューズ“スカイメダル TR”を復刻し、オランダを代表するストリートブランド「パタ(PATTA)」とコラボした。サイドの“ランバード”とシュータンのロゴが「パタ」らしいオレンジに変更されており、どこかレトロな雰囲気が漂う。復刻と合わせてクッショニングシステム“トランスタブ(TRANSTAB)”をアップデートし、履き心地も快適に。

第7弾
ORIGINAL
“SKY MEDAL OG”

 「パタ」とのコラボでベースになった“スカイメダル TR”を、オリジナルカラーで復刻。“スカイメダル TR”は1990年代の発売当時、シュータンと履き口を一体とすることで足全体のフィット感を高める“インターナルソックフィットシステム”などで人気を集めたモデル。“ランバード”のグラデーションが美しい一足だ。

第8弾
ORIGINAL
“COURT SELECT OG”

 第5弾の「クラブ75」とのコラボでベースになった“コートセレクト”を、アッパー全体に天然皮革を使用するなど素材も再現してオリジナルカラーで復刻した。“ウエーブライダー 1”と“スカイメダル TR”同様、名のあるパートナーとコラボモデルを発売した直後にそのオリジナルを復刻するという、ミズノのマーケティングのうまさが光る。

第9弾
BEAMS
“SKYMEDAL BEAMS”

 ビームスとの“スカイメダル TR”は、シュータン上部に日の丸を連想させる夕日を、中部に旧社名の美津濃の“美”をあしらうという、日本を代表するブランドとセレクトショップの協業にふさわしい和のテイストあふれるモデルとなった。インソールがオレンジ一色であるのもビームスならではだろう。

第10弾
24 KILATES
“KING KOBRA WAVE RIDER 1”

 記念すべき「KAZOKU」の第10弾は、スペイン・バルセロナとタイ・バンコクを拠点にするスニーカーショップの24キラテス(24 Kilates)をパートナーに迎えた“ウエーブライダー 1”だ。タイで神聖な動物とされているキングコブラをテーマに、アッパーの大半にエンボス加工されたスネーク柄の素材を使用し、シュータンにはキングコブラのイラストをあしらうなど、「KAZOKU」の中でもひときわゴージャスなデザインとなった。

第11弾
ORIGINAL
“WAVE RIDER 1 OG 2ND COLOR”

 第10弾までの「KAZOKU」の5モデルに採用されてきた“ウエーブライダー 1”だが、オリジナルモデルのセカンドカラーが第11弾で復刻された。ホワイト × イエロー × ブルーのカラーリングにどこか懐かしさを覚える一方で、ダッドスニーカーの“ダサさ”も取り入れて今っぽい出来栄えに。もちろん、シュータンには“ワードM”のロゴが光る。

第12弾
MITA SNEAKERS & WHIZ LIMITED
“SKY MEDAL GREYSCALE WHIZ LIMITED x MITA SNEAKERS "LIMITED EDITION FOR KAZOKU"”

 これまで数々のスニーカーを生み出してきた下野宏明率いる「ウィズ リミテッド(WHIZ LIMITED)」とミタスニーカーズという名コンビを迎え、トリプルコラボの“スカイメダル TR”を製作した。特徴はトーンの異なるグレーとブラック、ホワイトの3色からなるカラーリングの妙。「ウィズ リミテッド」のアイコン“ハートビート(heartbeat)”がさりげなくシュータンに刺しゅうされているのもポイントだ。

第13弾
ORIGINAL
“CITY WIND OG”

 2019年に入ってからの1作目となった第13弾は、人工芝からハードコートまでどんなコートでもプレーできるオールコート用テニスシューズとして1989年に誕生した“シティウィンド”を復刻。スムースレザーのホワイトアッパーにブラックの“ランバード”というシンプルな姿に懐かしさを覚える人も多いのではないだろうか。

第14弾
SAYHELLO
“COURT SELECT SAYHELLO”

 「KAZOKU」シリーズ初となる2色展開となった東京発グラフィックレーベル「セイハロー」とのコラボでは、“コートセレクト”をベースに採用した。「セイハロー」感のあるカラーリングのアッパーにスエードとヌバック素材を使用することで、いい意味での野暮ったさを演出。アウトソールをクリアラバーに変更しているのも彼ららしい。

第15弾
AFEW STORE
“SKY MEDAL HEIMAT”

 第15弾ではなんと、ドイツ・デュッセルドルフのスニーカーショップAFEWと、同街を拠点とするフットボールクラブのフォルトゥナ・デュッセルドルフ(Dusseldorfer Turn- und Sportverein Fortuna)を迎えた異色のコラボ。AFEWの「地元を表現する1足を作りたい」という考えから、クラブカラーを用いた“スカイメダル TR”が誕生したそうだ。

第16弾
FUTUR
“WAVE EMPEROR FUTUR”

 パリ発ストリートブランド「フューチャー」は上級者ランナー向けのランニングシューズ“ウエーブエンペラー”をベースに、「セイハロー」に続いて2色のモデルを展開した。ベースとなるスニーカー選びだけでなく、カラー別に素材を変更し、ミズノが長年改良を続けてきたラスト(足型)をもとにフィット感を追求するなど、とにかくこだわりが凝縮されている。非常に歩きやすく個人的に愛用しているスニーカーの1つ。

第17弾
FOOTPATROL
“SKY MEDAL FOOTPATROL”

 ガスマスクのロゴで知られるロンドン発スニーカーショップの名店フットパトロールはこれまで、世界屈指のショップとして数多くのブランドとコラボを行ってきたが、ミズノとはこれが初めて。パープルとゴールドの斬新な組み合わせは、“スカイメダル TR”が生まれた1990年代のスポーツショップでよく見られたカラーリングをイメージ。素材も2つのスエードとメッシュを組み合わせることで当時のムードを再現している。

第18弾
ORIGINAL
“WAVE EMPEROR TECH”

 “ウエーブエンペラー”のシリーズ最新作“ウエーブエンペラー テック”が第18弾として登場。アッパーにリアルレザーとシンセティックスエード、網目の異なる2つのメッシュ生地を使用し、ブラックのワントーンで統一することでクリーンかつモードな表情を持つ一足になっている。さらに、夜間での視認性に配慮してミッドソールにはリフレクティブペイントが施され、シューレースにはリフレクター素材が用いられている。

第19弾
ORIGINAL
“MONDO CONTROL OG 1ST COLOR”

 1990年代に販売されていたランニングシューズ“モンド”シリーズの1つとして95年に登場した“モンドコントロール”をオリジナルカラーで復刻した。トレンドのボリュームあるソールながらどこかスマートさを感じさせるシルエットが特徴で、パープルをアクセントとしたカラーリングがレトロ感をさらに強調している。

第20弾
MITA SNEAKERS
“MONDO CONTROL MITA SNEAKERS”

 第20弾は初心に返り、第1弾でパートナーとして迎えたミタスニーカーズとの再コラボとなった。第19弾で復刻した“モンドコントロール”をベースに、サイドの“ランバード”を取り外して別カラーに変更できるベルクロ仕様とし、ミッドソールにはクッション性の高い最新のフォームを用いるなどして大幅にアップデートした。

第21弾
ORIGINAL
“MONDO CONTROL OG 2ND COLOR”

 「KAZOKU」ではさまざまな過去モデルが復刻されてきたが、第21弾では淡いグリーンのメッシュ素材とオレンジの“MIZUNO”ロゴが映える“モンドコントロール”のセカンドカラーが復刻された。オリジナルのデザインを細部まで再現しながらも、機能面を大幅にアップデートしてよみがえった。

 以上全21モデルを紹介したが、デザインや機能性はもちろんのこと全てのモデルが2万円以下というお手頃プライスなのがうれしい。すでに「KAZOKU」に参加済みのいくつかのブランドやデザイナーたちは、インスタグラムにネクストスニーカーらしきものをたびたびチラ見せしており、今後もしばらくはミズノと「KAZOKU」の関係が続いていくようだ。

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「シーバイクロエ」がホリデーカプセルコレクション発売を記念し、抽選でスペシャルイベントに招待

 「シーバイクロエ(SEE BY CHLOE)」はゴールドやレッドのアクセントが印象的なホリデーカプセルコレクションを発売する。コレクションの発売を記念し、12月7日からクリスマスまでの毎週土曜に東京・銀座のギンザ シックス(GINZA SIX)店にゲストを招き、「シーバイクロエ」の世界観と共にトークやフォトセッションなどスペシャルな”MEET UP”を行う「“TOKYO IT GIRLS” MEET UP Event」を実施する。ファッションだけでなくカルチャーやアートにもアンテナを張り、個性豊かで感受性を持った女性たちのワードローブとして支持される「シーバイクロエ」ならではのイベントに抽選で一般客を招待する。

ゴールドのディテールが輝く
ホリデーカプセルコレクション

 コンパクトなボディーにメタルパーツを組み合わせた“ジョアン(JOAN)”のミニサイズ、2019年秋冬にデビューした“エミー(EMY)”などブランドを代表するバッグがホリデーカプセルコレクション限定のカラーリングで登場するほか、“ジョイライダー(JOY RIDER)”の発売10周年を記念して当時、人気を博したシープモチーフのキーリングが復活する。バッグに加え、「シーバイクロエ」を象徴するウオレット“ロジータ(ROSITA)”と“ウラ(AURA)”もゴールドやレッドなど華やかなカラーリングに。さらにはライオン、ドッグをモチーフにしたキーリングやスマートフォンケースなどプレイフルかつフェミニンなアイテムが新しく加わり、ホリデームードを盛り上げてくれそうだ。

#1
MEET UP with 古川 優香

 イベント第1弾には読者モデル、ユーチューバーとしてミレニアル世代からの絶大な人気を誇る古川優香を迎えて、「シーバイクロエ」のホリデーカプセルコレクションやウインターファッションをテーマにしたトークショー、古川とのツーショットが撮れるフォトセッションを開催する。

#2
MEET UP with 濱本 愛弓

 第2弾に登場するのは様々なモード誌でスタイリングを手掛け、等身大のファッションリーダーとして活躍する濱本愛弓。ホリデーカプセルコレクションをベースに“冬の着こなし”をメインテーマにトークセッションを開催する。参加ゲスト各々へのスタイリングを濱本が提案するスペシャルなセッションも予定している。

#3
MEET UP with Chocomoo

 イベントのラストを飾るのは、国内外の幅広いシーンで活動し、ポップで独創的なモノトーン作品が特徴のイラストレーターChocomoo。ファッションやアートにまつわるトークに加え、当日参加するゲストに贈られる「シーバイクロエ」のオリジナルトートバッグにChocomooがその場でワンポイントを描き加える特別なアートセッションを開催する。

INFORMATION
■「シーバイクロエ」
“TOKYO IT GIRLS” MEET UP Event

場所:ギンザ シックス3階 「シーバイクロエ」店内
住所:東京都中央区銀座6-10-1

#1 MEET UP with 古川優香
日程:12月7日
時間:14:00~16:00
招待人数:20組40名

#2 MEET UP with 濱本愛弓
日程:12月14日
時間:14:00~16:00
招待人数:20組40名

#3 MEET UP with Chocomoo
日程:12月21日
時間:14:00~16:00
招待人数:15組30名


問い合わせ先
クロエ カスタマーリレーションズ
03-4335-1750

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。 連載Vol.8 ファッションデザイナーの未来は発電すること!?

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――と言われる一方で具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探る。今回は水野大二郎・京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab特任教授に聞いた。

“人間中心”からの脱却

WWD:サステナブルファッションとはどういうものだと思いますか?

水野大二郎・京都工芸繊維大学特任教授(以下、水野):サステナブルファッションはすごく広い範ちゅうを指す言葉です。“エコファション”“エシカルファッション”などの呼ばれ方もありますが、21世紀に入ってからはいろんな研究者や実務家が実践しています。CSR(企業の社会的責任)や一過性のブームと捉えている人は少なくないですが、現在、政治や経済にまでインパクトを持つ動きになりつつあり、「ファッション協定(The Fashion Pact)」など組織的規模の動きも顕著な一方で、企業だけではなくステラ・マッカートニー(Stella McCartney)などデザイナー個人の活動も目立ってきています。彼/彼女らはファッションの表層的ではない価値創出に向かっています。

しかしそこでは、“産地を守る、産地の維持可能性を守る、伝統文化を守る”という話と、“環境負荷を下げるために新しいデザインを考える”という話が同列で語られています。混同しているのか、ただ並列化しているのかはわかりませんが、何をサステナブルとするかはものすごく難しい。

世界的には、人間中心で維持可能性を考えるデザインから、地球中心で維持可能性を考える“脱人間中心”のデザインに向かっています。“人間中心”ということは人間のニーズやエゴに応えるということ。例えば、プラスチックは非常に効率的に作れるしリサイクル性が高い素材にもかかわらず、現在プラスチックを使わない、作らない路線で考え直そうとしている。人間を中心とした合理性や効率性、経済性を踏まえない方法を考えようとしている点で、人間にとってある種非合理的です。

WWD:地球中心で経済活動などを考えるべきだということですか?

水野:従来の経済活動とは異なる新しい経済の生態系をつくり出すことを主眼に、新しい文化や技術を応用して、何らかの人工物をデザインとして成立させていく動向全般を指して、サステナブルファッションと呼ぶのではないでしょうか?

20世紀型の優れた美しい製品を生み出すことでも、21世紀初頭に流行った目の前の問題を解決することでもなく、地球規模の複雑で巨大な問題に対するアプローチを考えること。それはファッション業界が今まで踏み込んでこなかった領域で、少なくともファッションデザイナーとして教育を受けて業界で働いた人がこの領域に入っていくには、勇気や知的体力が大いに求められます。なので、積極的に踏み込んでいける道筋をつくる、あるいは身をもって示していかなくてはならないのかもしれません。

リペアサービスと二次流通サービス

WWD:こういった話題は若い世代には比較的アプローチしやすいのかもしれませんが、すでに産業の中心にいる業界の大人、企業のトップを巻き込むのは難しいように思えます。

水野:リペア(修理・修復)などの廃れたサービスを復活させることも、ビジネスとしての可能性は大いに考えられます。例えば「バブアー(BARBOUR)」では、オイルドジャケットの油を塗り直す“リプルーフ”というアフターサービスやパッチワークサービスがあります。

面白いのは、リペアされていること自体がファッションの価値要素として中古市場でも評価されている点。修理することで価値付けられるのは理想的ですが、価値が付かないにしても修理することでモノとして維持される状態、製品寿命が長くなるのはいいことだと思います。使用感に価値があるジャンルの服としてはデニムなどもありますが、リペアサービスを価値創造の手段と考えて、ビジネスとして真剣に取り組むのも面白いのではないでしょうか。

WWD:メルカリなどの二次流通サービスも製品寿命を伸ばしているように思えます。

水野:クラシックな製造業モデルとしてのファッションは、消費者の手に渡った後のアフターサービスはほぼないも同然で、中古市場の覇権を取ることはあまりしてきていません。従来の製造業からIT系のサービス・デザインを学んで組み込んでいくことができれば利益は見込めるはず。新しいものを作って売ることだけに囚われず、そこに重点を置くのも面白いと思います。

WWD:そのようなプラットフォームができると小さいブランドでも巻きこめる可能性があります。

水野:大きい規模であらゆるブランドを巻き込むプラットフォームがあればいいですが¬¬¬¬¬¬、製造業のサービス化はファッション産業外ではずっと言われていたことで、自動車業界ではすでにウーバー(UBER)などがサービス産業として成立していて一般的な認知度も高い。日本は製造業で成長してきた国ですが、サービス産業がここまで前景化しており、ファッションも遅かれ早かれそうなると思います。そこで、どんなビジネスモデルをブッこみますかという話です。

エネルギーリソースから考えるファッションデザイン

WWD:リペアサービスや二次流通サービスで対応できない下着などはどうすればいいのでしょうか。

水野:リセール価値がないゴミになるものは、捨て方から逆算して考えるのがいいと思います。モノマテリアル(単一素材)であれば捨て方の問題は少なくなります。素材調達、加工方法、使用動向を踏まえて、捨て方のデザインが重要になってきます。

WWD:それはどのように実現できると思いますか?

水野:捨てやすさを考えると、応用可能性があるシルクに注目しています。糸やボタン、裏地、芯地、プリント、染色もすべてシルクで製造することは技術的には不可能ではありません。遺伝子操作をすると価格の問題や産業上・倫理上さまざまな問題が発生しますが、いくつかの課題を解決できるかもしれない。シルクに関して国内には研究基盤と産地復興の基盤があるため、古いリソースに新しいテクノロジーを加えて復興させることは面白いと思います。同じようなタンパク質ベースの素材はほかにもありますが、エネルギーリソースの問題が発生します。循環型素材も溶かして新しいものに作り替えるためにはエネルギーが必要になるので、環境コストは高くなります。

WWD:自然エネルギーで賄えるなら使用してもいいのでは?

水野:未来のファッションデザイナーは発電方法まで考える必要があると言って学生に苦笑されたことがありますが、いつかエネルギーリソースという根源的な問題にたどり着くと思います。しかし、そこまでファッションデザインが拡張していくと、素敵な服を作って売って着るのが好きな人がモチベーションを保ちづらくなる。ロジックとしては理解できるが、自分がやりたいことはこれか?と疑問を持つ人が出てくるはずです。エネルギーのデザインまで拡張できるデザイナーをいかに育てるのかは難しい課題です。

サステナブルに消費する文化をサステインすること

WWD:課題が壮大過ぎて、気持ちがついていきません。小さなことから始めるしかないけれど、そのスピード感で間に合うのかという気持ちになります。不安をあおりすぎるのは良くないと思う一方で、それを認識しないと行動に移せない――そのさじ加減が難しい。

水野:エネルギーとまではいかないまでも、もう少しだけ拡張して考えるのでもいいのではないでしょうか。環境負荷の低いバイオマテリアルの開発・研究に踏み込んでいる企業も日本ではまだ少ないですが、ヨーロッパなどでは着実に増えています。バイオテクノロジーの研究開発をもう少し推進すると面白い結果が出るのかもしれません。

しかし現実的に、バイオマテリアルの研究開発はその規模の投資でどうにかなるものではなく、多くの研究資金や開発時間がかかるし、より多くの知見も必要になります。可能性はあるので、少しずつ実験を重ねてバイオテクノロジーの民主化を目指さないと発展していきません。大企業による大型投資に期待するのか、実験的な実践を支援する草の根運動から始めるのか。様子を見ないとわかりませんが、世界的な潮流になるという実感はあります。

WWD:売り方については成熟しつつあります。

水野:予約注文販売やクラウドファンディング(CF)などの共感投資型、定員に達しないと製品を作らないという共同購入型などバリエーションは出そろいつつあります。CFは有効な手段なので、実験的な新しい技術や小さな生態系でのモノを作りの仕組みは十分回るのではないでしょうか。

WWD:どのような方法論が考えられると思いますか?

水野:インターネットの世界の楽観的な見方ですが、自社開発のプログラム機能を無償公開するAPI(アプリケーションプログラミング・インターフェイス)のような考え方があってもいいかもしれません。作り方などを公開していけば利用者は一気に増える。コア技術だけ守りつつ開放できる範囲をオープンにして仲間を増やす――このオープン&クローズ戦略でビジネスを展開できるのではないかと考えています。

課題は、日本ではこの問題に対しての切迫感を全く感じられないこと。サステナブルマテリアル、サステナブルファッションをサステナブルに消費する文化をサステインすることを、ロジカルな部分を超えて示さないとピンときません。

つまり、デザインする対象が服でもサービスでもなく文化になりつつあるということです。サステナブルな服を着て、自分の態度や思想を示すことがよいことだとされる文化をつくらないとピンとこないのでは。製品やサービスだけだと利益誘導型でしか考えられないので、上位の文化から考えることが必要です。

いかに文化を作り出すのか

WWD:その文化をつくることができる人とは?

水野:グローバル企業のトップが音頭を取るのか、はたまたユーチューバーなのかわかりませんが、最近はファッションデザイナーの力をあまり感じられません。文化をつくる人は育つのか、別の領域から連れてこないといけないのかはまだわからないのが現状。いずれにせよ、あらゆる世代に浸透させていくことを考えるのが重要で、理詰めで語っているだけでは通用しないと思います。

WWD:他の分野を参考にする手段も考えられます。

水野:例えば食に関して言えば、ライフスタイルや文化を変えないままだとコンビニ飯やファストフードでいいという考えになってしまう。ローカルフード・地産地消など、食べ物はわかりやすいですが、ファッションで地産地消と言われてもピンとこない。ローカルにサステナブルな生態系をつくることは面白いけれど、ファッションにおいては食文化のように限られた地域でエコシステムを閉じることは難しいと思います。

先日の台風被害に顕著ですが、モノを捨てられないという状況に陥って初めて都市部の生態系が脆弱であることが見えてきました。廃棄はいままでは海外に依存していましたが、対外的な法的制限が各国で設けられ始めているため、国内で解決しなくてはならない状況になりつつあります。製品寿命を伸ばす方法や、商品としてリユース可能な状態で回していくセカンドハンド市場やサブスク市場を開拓していくことは、インフラが脆弱な都市部にこそ有効なのかもしれません。

法律や経済、あるいはデザインで対応するなど、あらゆる領域の活動を動員しないといけないのがサステナブルファッション。人の行動を抑制・促進することは、最後は文化をデザインすることにつながります。現状のファッション業界からどのように働きかけることができるのかは見えてきませんが、サービスのデザインをファッション産業の人がうまく応用できるようになればいいのではないでしょうか。

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メディアの行方 エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年5月15日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

メディアの行方

 デジタル化が進み、オンオフあらゆる場面で地殻変動が起きています。素材開発から生産・物流、売り方まで、ファッション業界に携わる皆さんも、まさに「今が変革期だ」と実感しているのではないでしょうか?

 メディアで働く私たちも例外ではありません。紙とウェブ。どのコンテンツをどの形態で読者へ届けるのが最適か、有料であるべきか、無料であるべきか。これだけ情報があふれる時代に、どう記事に目を留めてもらうか。私たちも目まぐるしい環境の変化にさらされながら、常に検討・模索しています。

 そんな中、飛び込んできた「ヴォーグ(VOGUE)」擁する名門出版社、コンデナスト(CONDENAST)の新グローバルCEOが音楽配信会社出身者だというニュース。「これは、英断だな〜」と感じました。

 新CEOに就任したロジャー・リンチ(Roger Lynch)氏は米音楽配信サービス、パンドラ(PANDORA)のほかにも、テレビのストリーミングサービスのスリングTV(SLING TV)でCEO、衛星放送のディッシュ・ネットワーク(DISH NETWORK)で要職を務めてきた、いわばオンラインサービス業のプロ。これまでアメリカとその他の国で経営が分かれていたコンデナストの統合とデジタル化の推進、米社の黒字化という“大手術”は、内部の人材では不可能だという判断です。

 異業種出身のトップによる変革は、“出版”を守り続けてきた幹部からの抵抗も大きいかもしれません。しかし、もはや待ったなしの状況でもあります。出版の経験がないリンチ氏だからこそ、「ヴォーグ」や「GQ」「ワイアード(WIRED)」「ザ・ニューヨーカー(THE NEW YORKER)」などを抱え、100年以上の歴史がある出版社を、サービスに富んだ21世紀型のメディア企業へとドラスティックに転換させるかもしれません。

 業界に絶大な影響力を誇る米「ヴォーグ」編集長、アナ・ウィンター(Anna Wintour)女史とはウマが合うのだろうか?そんな野次馬な興味もしのばせつつ、リンチ氏の改革でコンデナストがどう変わるのか。注視していきたいと思います。

VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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「生活の中にサステナブルを実現するヒントはある」大量廃棄社会にどう向き合うか ファッションスタディーズがトークイベント

 ファッションスタディーズとワールドは11月7日、トークイベントシリーズ「さすてなぶるファッション」の第7回、「大量廃棄社会にどうファッション産業は向き合っていくのか?を考えたい」を開催した。登壇者には朝日新聞記者で書籍「大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実」(光文社新書)の著者、仲村和代と藤田さつきを迎え、モデレーターを山口大人が務めた。まず第1部では、仲村記者と藤田記者が同著執筆に至るまでの経緯や取材の裏話について語った。続いて第2部では、アパレル関係者から専門学生など幅広い年齢層の参加者から寄せられたコメントをもとにディスカッションが行われた。

第1部 “1年間に廃棄される新品の服約10億点”にたどり着くまで

藤田さつき(以下、藤田):まず私たち2人から書籍について話したいと思います。私たちは2017年から「2030 SDGsで変える」というキャンペーン報道を始めました。食品ロスの問題やジェンダー問題など、読者の方が自分ごと化しやすいトピックを取り上げ、これまでに80本ほどの課題解決型の記事を書きました。

仲村和代(以下、仲村):SDGs(持続可能な開発目標)の認知を広げていくために、できるだけ読者が暮らしの中で感じていることを拾い上げるような企画にしようと思いました。そこで出てきたのがアパレルの問題です。アパレル廃棄問題は以前から耳にしていましたが、実態の報道はされていない印象があったので取材を始めました。

藤田:私たちは18年7月に「新品の服、売れずに廃棄『年10億点』 人気ブランドも」という記事を一面に報じたんです。ここでは、大量廃棄の裏にある労働問題にも踏み込んで取材しています。

仲村:それをさらに深掘りして書いたのが「大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実」なんです。

藤田:実はこの10億着という数字を出すまでにも多くの壁があったんです。まず、国や業界による公式な統計が全くなかった……。断片的な情報を頼りに廃棄の現場を訪ねても、「それについては知りませんね」と回答されるような状況が続いて。取材に協力してくれたリサイクル業者の方に取引先を聞いても、「契約で厳しく守秘義務が課せられているからそれは絶対に言えません」と断られました。なぜここまで廃棄の実態が隠されているのだろう、これはいろんな意味で“不都合な真実”なのだなと思いました。そこでわれわれは、服の供給量と消費量から独自で廃棄量10億着の数字にたどり着いたのです。

仲村:10億というのは多すぎるのではないかと私たちも驚いた数字です。きちんと統計がないものを新聞の一面に出してもいいのだろうかと最後の最後まで悩みましたが、アパレル関係者の方々に伺うと現場感覚としては全然ズレていないと言われ、やはり事実なんだと思いました。

大量生産の裏に隠された縫製工場における深刻な労働問題

藤田:なぜこのようなことが起こるかというと、供給量がバブル期の倍に増えているのに対し、消費量がほぼ横ばい。消費しきれない大量の余剰が廃棄されているのです。売れる分だけ作ればいいと考える方も多いと思いますが、安さを実現するためには拠点を海外へ移し、安い単価で大量に作る必要があったのだと思います。この大規模な生産のもう一つの問題が、縫製工場における労働問題です。

仲村:いくら服の値段を安くするからといっても、洋服の複雑な工程自体を省くことはできません。バングラデシュでは、誰でも作業に入れるように工程を極力細分化・単純化し、安い単価で多くの人を雇用しています。発注側は、初めから半分くらいは売れないだろうなと思ってもコストとしてはそちらの方が抑えられる。現地では主に農村出身者の女性たちが月給4000~5000円(賃金はアジア最安水準)で働いています。縫製業によって雇用が増えたこと自体は評価できるものの、労働環境は決して芳しくない。また、作業が簡易的なためにキャリアアップも望めません。13年のラナプラザ事件では、縫製工場が崩壊し1000人以上が亡くなりました。このときは世界的に大きく報道されましたが、現地を知っている人によればこのような事故は決して珍しくないそうです。そして、現在もそのような事故が続いていると聞きます。

藤田:それは海外だけでなく、日本でも起きていることなんです。そこで、岐阜や愛知などの縫製工場で働くベトナム出身の技能実習生の女性を取材することにしたんです。取材したベトナム女性は、日本に来て縫製の技術を身につけたあと、ベトナムに帰って自分で商売を起こすことを目指していました。日本に来るときには約70万円の保証金を求められたそうです。この保証金とは、厳しい労働環境から逃げられないようにするために技能実習の期間を満了したときに返却するというものです。彼女らは借金をしてそのお金を作ったといいます。日本で働き始めればすぐ返せるだろうと思ったからです。けれども、実際は土日もなく深夜まで働く日々が続いたとか。それにもかかわらず時給が240円足らず。しかも、その給料も払われないまま会社がつぶれてしまったそうです。中には2回会社がつぶれ、3回も勤務先を変更している人もいました。技能実習生を雇っている工場には零細な工場が多く、厳しい経営状況に置かれています。メーカーなどの発注主も、このような状況を知らずに発注を続けている。これは、アパレル業界全体の構造的な問題なのだと思いました。

地に足のついた生活の中にサステナビリティを実現するヒントがある

仲村:本を出したあと多くの方から反響がありました。現場の方々は今まで問題に気付いていても、なかなか方策が見出せなかったのだと思います。また食品に比べて、アパレルの廃棄に関してはもったいないという感覚を持てる人と持てない人の差が大きいと思います。

藤田:リサイクルされているからいいじゃないかという意見もあり、リサイクルが免罪符のようになっているとも感じました。実際にリサイクル工場に取材に行くと、そこでは処理しきれない量の服が積まれていました。最近増えている化学繊維が交ざった服はリサイクルが難しく、ウエス(雑巾)としても使えない。リサイクルできない服は工場側がさらにお金を払ってRPF化(廃棄物固形燃料化)していました。こんな商売はうまくいかないと現場の人が嘆いていたのが印象的です。

仲村:古着を海外に売るという手段もありますが、それが現地の産業を圧迫している現状もあります。古着の輸入を規制する動きも始まっています。

藤田:私たちが10億着廃棄を報道した半月後、「バーバリー(BURBERRY)」の廃棄問題が明るみになりました。それ以降、世界中で問題意識が高まっています。フランスは今年6月、衣料や家電の廃棄を禁止する法律を再来年までに施行すると表明しました。しかし、高級ブランド品には特別措置が適用されるなどの話もあり、引き続き状況を見ていく必要があると感じています。

仲村:私が今日履いている靴下は2000円ほどの少し値段の張るものなのですが、破れたら交換ができる“永久交換保証”をうたうものです。東京・上野に店を構えるこの靴下店はたくさんの商品を置かずセールをしない。1年かけて売り切ることを徹底していて、商品が品薄になった8月には従業員たちの夏休みを設けたそうです。たくさん売ることを目的としないこの靴下店のやり方に、今後業界が目指すべきヒントがあると思いました。ここ20年新聞記者として社会を見てきて、豊かさのためにみんなすごく頑張って働いて疲れ切っていました。これではいけないとわかっていても正解が見えないという悪循環を見ているような気分でした。地に足のついた生活の中にサステナブルを実現するヒントはあると思います。

第2部 参加者と考える、私たちにできることは何か

山口大人(以下山口):ここからは参加者の方からのコメントをもとに、会場のみなさんと一緒に私たちにできることは何か考えたいと思います。お二人は参加者からのコメントで何か気になるものはありましたか?

仲村:買う側もみんなが高品質・高価格なものを買えるわけではない、という問題提起があります。その通りだなと思います。以前講演をしたときに、非正規雇用で働く人から「生活が苦しい私にできることは何でしょうか?」と聞かれました。そのように声を上げてくださることに意味があると思います。生活が苦しい理由は必ずしも、当事者に責任があるわけではありません。周りの人がそのことに気がつくために、消費者も作り手も自分の話には価値がないと思わずに発信することが大切だと思います。

山口:僕が気になったのは、「このようなファッションの悪循環は誰が動けば変わると思いますか?」というコメントです。お2人はどうお考えですか?

藤田:この問題はアパレル企業だけ、消費者だけという“どこかだけ”では解決できないと思います。制度が変わることによって意識が変わることも、その逆もあります。消費者の力も決して弱くはありません。消費者として何かがおかしいと思ったら、企業や行政に働きかけることも変化の一歩になります。

仲村:本の後半ではコンビニの問題に言及しています。最近ではSNSなどの消費者の力によってこれまで全く見向きもされなかった問題が注目されるようになりました。メディアの力を後押ししているのも消費者の方々です。私が個人的に実践していることは、いいなと思ったことを発信することです。いいなと思った企業に電話をかけたり、SNSを使って発信するなどポジティブなやり方で変化をもたらせたらいいなと願っています。

山口:僕は“ローカル”がキーワードになると思います。例えば、縫製業の女性の平均給料は年間202万円程度。男女比では92.4%が女性です。低所得の女性が地方で働いて暮らしていく現状に向き合い、アパレル産業だけでなく土地の自治体を含めた他の産業も巻き込んだ動きが必要だと思います。最後に一言ずつお願いします。

仲村:今回は参加者のみなさんの思いに圧倒されました。このようにたくさんの人と問題意識を共有した先に答えはあるのではないかと思います。

藤田:問題は全てつながっています。みなさん一人一人が何かができると思って、行動し始めていただけたらうれしいなと思います。

 ファッションスタディーズはさまざまな角度からサステナブルなファッション産業のあり方を考える場を提供している。次回の「さすてなぶるファッション」第8回は12月19日、「ファッション産業のロスをどう解決するのか?」をテーマに、オフプライスストアの可能性について取り上げる予定だ。

◾️さすてなぶるファッション第8回 「ファッション産業のロスをどう解決するのか? 『オフプライスストア』の可能性」
日程:12月19日
時間:19:00〜21:00
場所:ワールド北青山ビル2階
住所:東京都港区北青山3-5-10

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アーティストの伊藤千晃が自身のブランド「キキ アンド デイズ」をスタート そこに込めた思いとは?

 アーティストの伊藤千晃がプロデュースするライフスタイルブランド「キキ アンド デイズ(KIKI AND DAYS)」が11月20日に本格始動した。同ブランドは、アパレルやコスメ、雑貨など幅広いアイテムをそろえる。公式ECをベースにしながら、ポップアップショップなどのリアルなイベントも行っていくという。どんな思いを込めてこのブランドをスタートさせたのか。彼女に聞いた。

WWD:「キキ アンド デイズ」をプロデュースするようになった経緯は?

伊藤千晃(以下、伊藤):これまでもさまざまなブランドとコラボさせていただき、商品開発に関わらせてもらっていました。そうした経験を経て、いつか自分でもゼロからブランドをつくってみたいという思いが強くなりました。「いつかはブランドを作れたら素敵だよね」と周りのスタッフに言っていたら、「プロデュースしませんか」というお話をいただいて、今回ブランドをプロデュースすることになりました。

WWD:どのくらいから前から進めていた?

伊藤:ブランドプロデュースは1年ほど前から進めていました。試行錯誤を繰り返しながらようやく完成したのですごくうれしいです。製品作りは簡単なことではありませんでしたが、スタッフにサポートしてもらいながら楽しんでやれました。

WWD:ブランド名の「キキ アンド デイズ」の由来は?

伊藤:キキは私が飼っている愛犬の名前なのですが、キキを飼ってから私の生活が本当に豊かになって、たくさんの幸せを運んできてくれる大切な家族だったんです。そんなキキみたいに愛しい存在になってもらえるようにという思いで“キキ”にしました。そこに、生活に寄り添えるようにという気持ちを込めて“アンド デイズ”とつけました。

WWD:ライフスタイルブランドということで、アパレルからコスメ、歯磨き粉、キャンドル、タオルと幅広いラインアップだが?

伊藤:これでもすごく絞ったんです(笑)。本当に私が生活の中で“これがあったら便利”と思うものをそろえました。ここからさらにラインアップも増やしていく予定です。

WWD:ブランドのコンセプトは?

伊藤:“BESIDE YOU, BESIDE ME.(いつでもあなたのそばに、いつでもわたしのそばに)”がコンセプト。ギフトにも力を入れていきたいと思っていて、商品を誰かのために選ぶのもよし、自分のために買うもよし。ターゲットは特に考えていなくて、自分が欲しいと思ったものを作りました。価格も1000円台からあり、なるべく多くの人に手に取ってもらいたいと思っています。雑貨やコスメが1000~5000円ほどで、アパレルは1万~2万円になります。

WWD:パッケージデザインのこだわりは?

伊藤: 自分の好きなデザインを集めて、そのイメージを組み合わせながら作っていきました。フォントの種類や箱の形状、色など、けっこう細かく詰めました。女性らしいものが好きなので、どこかフェミニンさが感じられてその上でナチュラルなデザインにしています。ポジティブな女性の雰囲気が好きなので、それをパッケージでも表現しました。

WWD:色使いも白と黒などシンプルだが。

伊藤:実は「キキ アンド デイズ」はイメージカラーがモーブなんです。だから白に見えるかもしれませんが、よく見ると薄く色がついているんです。そういう微妙な感じが好きで、ちゃんと商品を手に取ったからこそ分かる喜びを感じてもらいたいです。イメージカラーの候補はたくさんありましたが、その中でどの色に絞るかがすごく悩みました。パッケージはさらに濃さも調整して、決めるまでに時間がかかりました。

「生活に寄り添うブランドを目指す」

WWD:アパレルでこだわった点は?

伊藤:日常で着られて、シンプルだけど、オシャレで上品に見えるようなデザインやシルエット、素材にこだわりました。その上で、手元や首回りなどディテールにもこだわりました。“ノーメイクで着てもOK”というくらい気軽に着てほしいです。

WWD:リップティントやネイルポリッシュなどコスメもある。

伊藤:もともとコスメは大好きで、昔からコラボやプロデュースをさせてもらってきたので、自信作を届けられると思います。リップなどはメインカラーがモーブなので、最初はそこから外れないような3色で作りました。今後はシーズンに合わせた色の展開も考えています。「絶妙だよね、この色」って言ってもらいたいですね(笑)。

WWD:ディフューザーやキャンドル、ファブリックミストなど香りのアイテムも多い。

伊藤:私が20代の頃に支えられた“レモングラス“と“ベビーローズ”で、元気なときもつらいときもこの香りでよりハッピーになってほしいです。

WWD:販売はECがメイン?

伊藤:今のところEC販売をメインに考えていますが、ポップアップやイベントなど、実際にお客さんとコミュニケーションをとれるようにも考えています。

WWD:今後の目標は?

伊藤:とにかく立ち上げたばかりなので、まずは土台をきっちりと固めていきたいです。家の中にあるアイテムをベースに作っているので、家に帰ったら「キキ アンド デイズ」があってほっとする、まさにその人に“寄り添う”――そんな存在のブランドにしていきたいです。

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私のサステナビリティ モデルのNatsukoは姿勢に賛同できる企業を選択 月経カップも始めました

 日々の生活は無意識にルーティン化しやすいので、たまに立ち止まって、よりサステナブルに環境に配慮するにはどうしたらよいか見直すようにしています。とはいえ、ルーティンはそう簡単に変えられるものでもないので、オートマチックにお金を払うことに対して見直すようにしています。

 例えば電力会社。2016年の電力自由化に伴い、今までエリアごとに決められていた電力会社以外からも自由に選べるようになり、替えました。いろいろ調べていると、自然エネルギーや再生エネルギーを中心に扱う会社(GREENaでんき、Looopでんき、自然電力……)がいくつもあります。携帯からでも5分ほどで契約でき、今契約している電力会社の解約も自動的に行われます。その上料金が安くなる場合も。

 私は1年の半分をデンマーク・コペンハーゲンで過ごしていますが、デンマークでは会社の活動のよいことも悪いことも明確に開示されています。なので友人と会うと、そういったことについての情報交換が頻繁に行われます。その情報をもとに契約する銀行を選んだり、足を運ぶ音楽イベントを選んだり。最近は携帯電話のSIMの会社をグリーンスピーク(GREENSPEAK)に替えたのですが、この会社はCEOを含む全ての社員がデンマークの平均月給ほどの給料しか取らず、残りの収益は全てあらゆるボランティア団体に寄付するという活動をしています。もちろんSIMの月額も他の会社と同じで、番号もそのままで乗り換えられます。

 また、最近新たに始めたのは月経カップ。デンマークで長年使っている人の話を聞いて、意外と効率がいいのかも?と思い使い始めました。おそらく最初は自分に合うサイズや硬さを見つける必要がありそうですが、思っていたより取り扱いが簡単です。月経カップはシリコン製で一生使えるので、体と環境にも優しいです。月経カップと布ナプキンの組み合わせで、もうナプキンやタンポンを買う必要がなくなるので、生涯で考えると相当な節約にもつながります。

私のサステナビリティ
 ファッション業界にとって加速して取り組まなければいけない課題の“サステナビリティ”。企業として大きく舵を切ることはもちろん、個々の意識も重要です。そこで個人的に行なっているサステナビリティについて聞きました。

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香港I.Tがアイウエア事業を本格化 「ユウイチトヤマ」を日本ブランドとして初導入の理由は?

 香港のファッション企業I.Tリミテッドが今年、新会社アイ チーム オプティカルを立ち上げてスタートさせたアイウエア事業「ネイス(NEITH)」の出店が加速している。香港の商業地区コーズウェイベイにある大型店などの6コーナーに展開しているほか、中国・北京と上海の百貨店型モール「ギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)」や成都に続々と出店している。

 主に世界のラグジュアリーブランドのアイウエアを販売している高感度なショップだが、その中で唯一セレクトされている日本ブランドが、外山雄一デザイナーによる「ユウイチトヤマ(YUICHI TOYAMA)」だ。アイ チーム オプティカルは今年から香港、マカオ、中国における「ユウイチトヤマ」の販売代理店業務の契約も結んでいる。11月6日から3日間行われた「香港オプティカルフェア」で、「ユウイチトヤマ」のブースを訪れた同社のボビー・チュウ(Boby Chu)=ディレクターは「ユウイチトヤマ」の魅力について、「日本の伝統や技術とヨーロッパ的な感覚のフュージョンは他にないスタイルだ。ローカルなデザインではなく、グローバルに通用するブランドだ」と評する。香港オプティカルフェア終了後、チュウ=ディレクターは外山デザイナーと共に、北京と上海のショップでイベント開催や現地メディアの取材を受けた。外山デザイナーは「現地の若者のファッションに対するアグレッシブさは日本人以上で驚いた。現地メディアは、伝統と革新の融合という『ユウイチトヤマ』のコンセプトやメイド・イン・ジャパンのモノ作りに関心を持ったようだ。ブランドに対する反響を予想以上に感じた」と話した。外山は、ミラノの「ミド(MIDO)」やパリの「シルモ(SILMO)」など海外の有力な国際眼鏡展にも参加しビジネスのグローバル化に積極的だが、「今後はアジア市場だけでなく、フランスの販売代理店を中心にヨーロッパ市場を拡大する計画で、体制を整備している」と話した。

 I.Tは、「ア ベイシング エイプ(R)(A BATHINGAPE)」を手掛けるノーウェアを2011年に買収しており、同ブランドのアイウエアも手掛けている。

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三越伊勢丹には「コスメミュージアム」的ECを目指して ファッションフリークOL「WWDビューティ」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.4「三越伊勢丹 化粧品オンラインストアでバラエティーコスメも販売」

読み解きポイント:「デパコスもプチプラも越境して買えるEC」

ニュースのポイント

 三越伊勢丹は11月15日、化粧品オンラインストアの「ミーコ(MEECO)」からプチプラコスメを中心に扱うオンラインサイト「ミーコ バラエティ(MEECO VARIETY)」を稼働した。「ミーコ(MEECO)」は今年2月に開設した化粧品専門オンラインストア。百貨店コスメなど約230ブランド取り扱っており、「ミーコ バラエティ(MEECO VARIETY)」の開始により「キャンメイク(CANMAKE)」や「セザンヌ(CEZANNE)」「3CE」などバラエティーコスメ約80ブランドも追加。商品総数は約1万2300品に上る。肌チェックアプリ「フェイス ロゴ」との連携で肌解析データに基づいた商品が探せたり決済手段が新たに追加されたり、利便性の向上も図った。

AZUはこう読む!

 「ミーコ(MEECO)」は以前「NARS」のオーガズムの限定セットを購入した時に使いました。カテゴリー、ブランドといった分け方はもちろん、予約・発売日がわかるカレンダーやアラート機能など、お買い物計画を立てるのにぴったりな仕組みがあるので、それ以来ちょろちょろと覗いています。

 とはいえデパコスは額も額なので、毎月いくつも買えません。あれもこれもと悩みはするのですが、コスメは服よりも発売頻度が多く、まとまっていないので気をぬくと湯水のようにお金を注ぎ込んでしまう。

 そこで味方になるのが、コスパの神、プチプラコスメたち!ドラッグストアやバラエティーショップに行くとついついビューティコーナーを見てしまうのは、なんの呪いでしょうか?フェイスマスクなどの消費系は「どうせなくなるし」と都度買い込んでしまいます。最近のお気に入りは蒸気でホットアイマスクのバニラ。至高です。

 ここで大事なのが「分け隔てなく欲しいものは欲しいです」ということ。洋服だと高い服(という分け方はあまり適切ではありませんが)を着る人は高い服ばかり買うし、プチプラ好きはプチプラでまとめてる。もちろんミックスはしますが、どちらに比重を置くかはっきり分かれている気がします。

 一方コスメは、本紙の通り「多くの女性は百貨店コスメとバラエティーコスメなどを併用している」ような気がします。スキンケアは肌質に合うから「イプサ(IPSA)」をずっと買ってるけど、コスメは「セザンヌ(CEZANNE)」とか「マジョマジョ(マジョリカ マジョルカ、MAJOLICA MAJORCA)」、でもチークは色が気に入ってるから「シャネル(CHANEL)」、とか。フリークになればなるほど「色々試してベストを見つけたい」という探究心からか、気になったものは片っ端から試す!というストイックさを発揮します。

 「ミーコ(MEECO)」はデパコス、「ミーコ バラエティ(MEECO VARIETY)」はプチプラコスメを取り扱っていて、それぞれドメインは別なものの、カートは同じなのでデパコス/プチプラを越境しながらお買い物が可能。発表会レポートや使用レビュー、モデルを使った特集記事などのコンテンツもあるので、メディアとして楽しめます。

 コスメ選びの楽しさはオタク的な比較検討にあり。「ミーコ(MEECO)」は雑誌的な「ミーコ バラエティ(MEECO VARIETY)」はSNS的な住み分けがベストだと思いますが、今後コンテンツをより充実させて、「コスメミュージアム」も目指して欲しいです。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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私のサステナビリティ 近藤美鈴 資生堂次世代事業開発部デジタルフューチャーグループは一個全体を意識した食事を心がける

 食材は一個全体を意識して料理をしています。丸ごと食べられるモノの食材レシピをチェックし、なるべく食材を捨てないように心がけていますね。例えば大根の煮物を作るときは、皮を厚めにむいてそれを千切りに。細かく切った葉も一緒に一晩ポン酢に漬けておくと食事前のよいおつまみになるんですよ。カブの葉をお味噌汁に入れることもします。ニンジンも洗えば皮をむかずに使えますしね。買い物時にエコバッグを使用するのは当然のこと。環境に関する情報を目にする機会が増えたので、できる範囲から取り入れています。

私のサステナビリティ
 ファッション業界にとって加速して取り組まなければいけない課題の“サステナビリティ”。企業として大きく舵を切ることはもちろん、個々の意識も重要です。そこで個人的に行なっているサステナビリティについて聞きました。

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私のサステナビリティ 近藤美鈴 資生堂次世代事業開発部デジタルフューチャーグループは一個全体を意識した食事を心がける

 食材は一個全体を意識して料理をしています。丸ごと食べられるモノの食材レシピをチェックし、なるべく食材を捨てないように心がけていますね。例えば大根の煮物を作るときは、皮を厚めにむいてそれを千切りに。細かく切った葉も一緒に一晩ポン酢に漬けておくと食事前のよいおつまみになるんですよ。カブの葉をお味噌汁に入れることもします。ニンジンも洗えば皮をむかずに使えますしね。買い物時にエコバッグを使用するのは当然のこと。環境に関する情報を目にする機会が増えたので、できる範囲から取り入れています。

私のサステナビリティ
 ファッション業界にとって加速して取り組まなければいけない課題の“サステナビリティ”。企業として大きく舵を切ることはもちろん、個々の意識も重要です。そこで個人的に行なっているサステナビリティについて聞きました。

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「マーガレット・ハウエル」運営企業がECに直結しないメディアを立ち上げた理由 「社員の“好き”を承認したい」

 「マーガレット・ハウエル(MARGARETE HOWELL)」を手掛けるアングローバルは、オウンドメディア「アングローバル コミュニティ マート(ACM)」を10月25日に立ち上げた。同社社員のさまざまな興味関心を取り上げ、社員の夢の実現を会社が後押しするようなコンテンツを発信。「多彩な才能を持った社員が多い会社だからこそ、彼らの好きなことを会社が承認する場を作りたい」(中田浩史取締役)との思いが背景にはある。ACMを手掛ける中田取締役と、実質的なACM編集長である及川壮也マーケティング部コミュニティ マート セクション長に聞いた。

 そもそも、アングローバルは2012~13年に、「MHL」のプロモーションの一環として、「コミュニティ マート」と名付けたリアルイベントを東京・神南で行っていた。取引先などが出展する“フェス”のような形で、現在ジュンやベイクルーズグループが行っているフェス型イベントの先駆けともいえるものだった。「売ること優先のイベントではなかったが、いい雰囲気を作ることができ、売り上げもついてきていた」(中田取締役)という。しかし、会場が閉鎖されたこともあって休止。数年を経て、改めてアングローバルとして「コミュニティ マート」と冠した企画を立ち上げることになった。

 「以前行っていた『コミュニティ マート』は取引先などの外部との交流に焦点を当てていた。今ももちろん外部との交流は大切だが、今回ACMで起点としたのは社員。そこが以前とは異なるポイントだ」と中田取締役は話す。「ACMの立ち上げは半分は(お客さんなど)社外のため。残りの半分は社員のため。われわれは社員を愛せる会社でありたい。社員の興味関心がファッション以外に変わったことで、アングローバルから転職していってしまうというのではさみしい。(本業とは関係ないものであっても)社員の“好き”を発信する場を作りたかった。それに、SNS時代にはそういった“個”が立ったコンテンツを消費者も求めている」と分析する。

 社員一人一人に光を当てるといっても、それが可能なのは個性的で粒ぞろいのメンバーがそろっていてこそだ。その点、アングローバルは、独自の興味関心を徹底的に掘り下げるタイプの社員を豊富に抱えている。例えば、「マーガレット・ハウエル」のカフェでキッチン業務を担当する女性。彼女は今年の夏休みに、米カリフォルニアのヨセミテ国立公園を起点とする約340キロメートルのトレイルの旅を行った。ACMでは準備段階から彼女に密着し、旅をコンテンツ化している。

 米国へ出発する前には、彼女と編集者、カメラマンとで、彼女の憧れの人だという行動食に詳しい料理研究家にも会いに行った。「社員に焦点を当てつつ、社員の会いたい人である“その道のプロ”も取り上げるよう意識している。社員の夢をかなえると共に、社員自身がプロになっていくきっかけ作りをACMが担っていければ」と、及川セクション長は話す。読者の立場としても、社員の話だけでなく、プロの意見や視点を知ることができるコンテンツの方が面白い。

 他に企画しているコンテンツは、各店舗の販売員による街の飲食店や名所の案内など。現在は吉祥寺編を掲載している。「販売員がどういったことを考えながら働いているかには寄り添っていたいし、うちの販売員は街のコンシェルジュだということに気付いた」と中田取締役。どの記事も製作はスタッフ自身がブログのように行うのではなく、契約している編集プロダクションの編集者やライターが担当し、クオリティを担保する。また、吉本ばなななどの作家によるエッセイやアート批評なども掲載し、より目の肥えた読者も楽しめるようにした。

 まずはウェブサイトとしてスタートしたが、「コンテンツを積み重ねていって、リアルイベントにも適宜発展させていければ」(及川セクション長)と考えている。サイト内にECサイトへの導線もないわけではないが、決して目立たない作り。「SPAブランドをやっている会社で(EC)カートのないホームページを作るなんてバカじゃないのかとも思われるかもしれないが、それが許されるのがアングローバルだ」(中田取締役)。

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