サステナビリティって何? 専門家が答えます。連載Vol.7 ファッションの名門セント・マーチンの教授に聞く“未来の素材”

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探る。今回は名門セント・マーチン美術大学(Central Saint Martins)マテリアル・フューチャーズ学科のキーラン・ジョーンズ(KIERAN JONES)=主任教授に“未来の素材”を問う。

「重視しているのは、最新技術を
どう産業に組み込むか」

WWD:修了生の就職先はナイキ(NIKE)のような人気企業から、バイオテクノロジーの有力スタートアップ、モダンメドウ(MODERN MEDOW)まで幅広いが、いずれも分野のトップ企業ばかりだ。企業ですぐに活躍できる学生を送り出しているが、マテリアル・フューチャーズ学科の強みは?

キーラン・ジョーンズ=マテリアル・フューチャーズ学科主任教授(以下、ジョーンズ):学生は自らセルロースなどを培養していて、そうした最新技術を身に付けながら、その素材をどう生産工程に組み込んでいくか、どうスケールアップしていくかを重視している。サンプルを意味あるモノに変えていくことが重要だからね。この9月から学内にバイオラボを開設して専門家2人が常駐することになったのも、そうした考えからだ。

10年前は、私たちがやっていることはクレイジーだと不思議がられた。けれど今は真逆で、さまざまな分野の人たちが訪ねてくる。専門知識を求めてね。例えば「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」やLVMHもそう。

WWD:学生はほかにどういうところに就職するのか。

ジョーンズ:例えば、菌やバクテリアなど微生物のセルロースでスニーカーを編み上げるバイオ編機を開発したジェン・キーン(Jen keane)は、ちょっとした競争入札になって、ナイキ、アディダス(ADIDAS)、プーマ(PUMA)が争っていた。パイナップルの葉の繊維から織物を作る技術を開発したナタリー・スペンサー(Nathalie Spencer)はパイナップルの葉の繊維からレザー風の素材を作るアナナス・アナム(ANANAS ANAM)に行った。

「学生たちは自然を操れる力があると信じている。想像もできなかったことが起きているから」

WWD:学生が就職したいと思う企業も変わっている?

ジョーンズ:ファッション学科全体では、現在のメインはクチュールハウスだろう。しかし、これから大学に入る若い世代は企業に変化を求めているし、彼らは全く新しい道を選ぶだろう。

だから、変化できない企業は大きなリスクを背負うことになる。5年先は大丈夫かもしれないが、その後は絶望的なトラブルに見舞われるだろう。

われわれが教える学生たちは産業に合わせるのではなく、積極的に改善し、産業を破壊するのではなくリードして新しい方向に導く人物だ。

WWD:今学生たちが一番面白いと感じていることは?

ジョーンズ:間違いなくバイオデザインだ。特にラボで育てる菌糸体、バクテリア、キノコ類、粘菌などがそう。新しい分野であり、錬金術のような魔法みたいなところがあるから。プラスチックを食べる酵素が開発されたりと、遠い未来に起こると思われたことが今起こっている。そして今の学生たちは、自然を操れる力があると信じている。2年前に想像できなかったことが目の前で起こっているから。

「デザインは強いツールだが、今までとは異なるアプローチが求められる」

WWD:なぜ今、サステナビリティがかつてないほど大きなトピックになっているのか。

ジョーンズ:人類の歴史上、今ほど変わらなければいけないという証拠がそろっていることはないから。エクスティンクション・リベリオン(Extinction Rebellion:英国を中心に起きている気候変動に抗議する非暴力行動)やグレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg:スウェーデン出身の環境活動家)を見ていたらそれが分かる。けれど、(抗議活動ばかりが報道されていて)それらは問題の本質から目をそらせてしまっているのも事実。国連のSDGs(持続可能な開発目標)やどの信頼できるレポートを見てもどれも同じことを言っている。これから10年、20年、30年後、具体的な数字は定かではないが、今までのようにはやっていけないということは明らかだ。

私たちはこれまで、モノを作ることを学んできた。特に売れるモノをね。だけどこれからの学生たちは、“デザインとは何か”を考え直さなければならない。デザインは本当に強いツールであり、私たちが持っている最も魅力的でパワフルな道具だけど、今までとは異なるアプローチが求められる。

WWD:デザインを根本的に変えなければいけないのはなぜ?

ジョーンズ:ファッション、デザイン、アート、建築は実はとても破壊的なんだ。特にファッションは廃棄物が多い産業トップ3に入る。英国におけるファッション産業の環境への負荷は輸送産業よりもひどいと言われている。そう考えるとショックだよね。

素材でいうと、1950~60年代は合成繊維の開発に突っ走っていたけど、それ以降、技術的進歩はあまり見られなかった。それよりもトレンドやデザインといった見た目を重視していたから。でも今はまた素材に関心が戻ってきていて、面白いことができるようになっている。

「問題は山積み。
状況に合うパズルを見つけて
はめ込むイメージで取り組むこと」

WWD:ファッション産業の問題点は?

ジョーンズ:全て。何かに限定できない。一つ一つの問題に関して深く考えていくことが必要だ。例えば、循環型の仕組みにはまらない合成繊維を使うべきではないのは明らかだけれど、天然繊維だったとしても、コットンの栽培には水が大量に必要だし、農地も必要でしょう。ほとんどが農薬も肥料も使う。モノによっては合成繊維よりも環境に悪い可能性もある。仕組みや状況に合うパズルを見つけてうまくはめていくイメージで取り組むことが必要だね。

WWD:今、循環型の考え方が重視されている。

ジョーンズ:循環型の考え方は絶対に必要だ。素材や仕組みから考えなければいけないけれど、今ある仕組みに適応できなかったら意味がない。今のベストは、すでにある合成繊維や山ほど捨てられているものを再利用して新しい服を作ること。そのプロセスも最低限のエネルギー使用にとどめて、染料の使用も控えて永遠にリサイクルすること。そして、素材をミックスするのをやめて単一素材に替え、解体できるデザインにする。素材の構成はもちろん、どう回収するかまで考えなければならない。

WWD:単一素材だと面白味がなくなるかも。

ジョーンズ:単一素材か、もしくは簡単に分解できる構成素材ならばよし。循環型の生産をするには、法律を変える必要があるかもしれない。各企業が分解できるもののみの生産を許されるなどね。

WWD:今後ファッション業界はどうなると思う?

ジョーンズ:ファッションのぜいたくなところはなくならないと思う。ファッションは退廃的で、だからこそ好きだし遊び心があると感じる。それはたぶん誰も失いたくない点だろう。一番変わるのは消費者が服とどうつながるかだと思う。

私たちは今、目に見えるデザインが気に入ったから購入するという習慣だけど、これからはブランドが取り組むサステナビリティのここが好き、と選ぶことになると思う。一つの会社が全部をカバーするのは無理だからね。例えば、循環型、バイオマテリアル、生分解性、山林破壊をしていない、節水、汚水を出さないなど、全ての要素をカバーできるわけがない。だから企業はよく考えて、サステナビリティの何にフォーカスするのかを決めなければいけない。

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ファストリ倉庫業務の完全自動化目指す ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.7「ファストリが倉庫自動化を加速」

読み解きポイント:Amazon、Shopifyにもない「完全自動化の倉庫」。提携企業MUJINにも注目。

ニュースのポイント

 ファーストリテイリングは有明プロジェクトの一環として、新たに、物流倉庫内ピッキング作業の自動化を担うMUJIN、Exotec Solutionsの2社とグローバルパートナーシップ契約を締結した。すでにパートナーシップを結んでいる、マハテン機器、ダイフクとも連携し、倉庫の自動化を加速する。通常、5年以上かかるサプライチェーンの改革を、3~5年のうちに達成すると柳井正社長兼会長は話す。

CKRはこう読む!

 「倉庫業務の完全自動化」。MUJIN、Exotec Solutionsとの提携の狙いはここにあります。倉庫内で商品の搬入、保管、出荷をするためには、棚の出し入れや、商品のピッキングを行う必要があります。

 EC大手のアマゾン(Amazon)では、自社倉庫でAmazon Robotics(元々は7億7500万ドル(約852億円)で買収したKiba Systems(キバ・システムズ))を活用し、作業の自動化を図っています。ロボットが可動式商品棚を作業員の前まで運び、作業員は歩くことなく、商品のピックアップを行います。つまり、最後のピッキングは、人を介しているということです。

 ECプラットフォーム構築大手のショッピファイ(Shopify)は、4億5000万ドル(約495億円)で買収した倉庫自動化企業「6 River Systems(シックス リバーシステムズ)」を活用し、作業の効率化を図っていますが、これもAmazonと同じく、商品のピッキングは人が行っています。

 ファーストリテイリングは今回の提携により、商品のピッキングまでロボットによる自動化を目指すことになります。

 提携したMUJINは、2011年創業の日本発ロボットコントローラーメーカーです。コントローラーという名前の通り、ロボットというハードウエアではなく、動作を制御するソフトウエアを開発、販売しています。通常、ロボットはあらかじめ教え込まれたプログラムに基づく動作しかできません。普段、人が行っている、重さや固さ、大きさなどを確認してから、その特性に応じて「ものをピックアップする」という動作は、ロボットとって難しいということです。MUJINは、ピックアップするものを都度画像認識し、最適な動作方法を瞬時に計算し命令することで、「柔軟なピックアップ」という知能をロボットに吹き込みます。「ユニクロ(UNIQLO)」が扱う服は、素材が柔らかく、大きさもさまざま。しかもECのように、都度異なるリクエストに応えるためには、人によるピッキングオペレーションに頼るしかないと考えていたところ、革新的な技術に出合い、提携に至ったのではないでしょうか(MUJINの技術は、すでに国内で14年からアスクル、PALTACなどで採用されいています)。

 ユニクロによる倉庫業務の完全自動化という点だけではなく、ビッグネームとの提携により知名度が上がった、MUJINの今後の動向にも注目です。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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個性なきキャラは、デジタルでは瞬時に忘れる エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月10日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

個性なきキャラは、デジタルでは瞬時に忘れる

 バーチャルモデル、イロイロ登場してはいるものの、イマイチ盛り上がっていないような気がしますが、キャッチアップできてないだけでしょうか?僕がインスタグラムで注目する“100%ツクリモノ”のキャラクターと言えば、エイリアンのlilmayoくらい。正直、あとは物珍しさから1カ月くらい動向を見守ることはありますが、あっという間に忘れます(苦笑)。「グッチ(GUCCI)」や「バレンシアガ(BALENCIAGA)」に囲まれラッパー風に気取るlilmayoを見ると「アホだなぁ」とエモーションが掻き立てられますが、正直、ほかのバーチャルモデルには今のところ何の感情も沸きません。イマイチ盛り上がらないのは、きっとそれが理由でしょう。振り返ればリアルモデルだって、ケイト・モス(Kate Moss)やナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)はもちろん、ジェマ・ワード(Gemma Ward)やサーシャ・ピヴォヴァロヴァ(Sasha Pivovarova)だって、美しいのみならず個性に惹かれ、トップに君臨したワケですからね。その意味で時の人、yutoriの片石代表が送り出すバーチャルモデルは、どうなるでしょう?発する言葉からすると、彼女は相当な個性をもっていそう。今後の活躍が楽しみです。

 参加した5人はいずれも目標を達成できませんでしたが、その過程を随時「WWD JAPAN.com」でレポートした、フォロワー1万人を目指したインフルエンサー育成企画ではまず、「あなたは何者で、何を、誰にインフルエンスしたいのか?インフルエンスしたいほど情熱を持つモノはあるのか?」を徹底的に考え、アカウントのアイデンティティーを確立するよう教えられました。振り返れば5人はこの段階で早くもつまづき、以降フォロワーを伸ばすことができなかったように思います。

 ツイッターでは、素性が明らかだったり、運営主のパーソナリティーが“中の人”として垣間見えたりのアカウントが人気を集めています。正直ツイッターでは、素性が明らかではない人の発言は「戯言」と認識するようになり、惑わされないようになりました。

 TikTokやnoteなどの新SNSは、フザけたダンスや、長文さえ厭わない意志の表明がパーソナリティーをあぶり出しているからこそ、台頭し、メジャーになる勢いです。逆にメッセージを匿名でやり取りできるSarahahは、彗星の如く現れ、あっという間に消えて行きました。

 デジタルだからこそパーソナリティーが大事、なんでしょうね。情報も、コメントも、アカウントも、キャラクターも無数に存在するデジタルの世界では、パーソナリティー無きモノは無価値だし、パーソナリティーがなければ気付けないことも多いのかもしれません。アナタは日々、感情を抱きながらスマホの画面に向かっているでしょうか?

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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レザーブランド「創悦」が描く日本の伝統文化と皮革の融合

 「創悦(そうえつ)」というブランドがある。日本皮革デザイン促進委員会のブランドだ。このブランドは、経済産業省の事業の一環として、日本の皮革製品の充実と海外市場開拓を目的にしている。日本のバッグメーカーのクイーポを中心に、2016年から北斎などの日本の伝統文化をテーマにした商品を発表している。

 今回発表された2020年春夏商品は、「葛飾北斎とスポーツがテーマ。東京オリンピックの年2020年らしくその33の競技を北斎の作品で表現した。北斎漫画と漢字で描かれたスポーツは外国人にウケそうだし、卓球、ボクシング、水泳、陸上などのスポーツからインスパイアされたルックをレザーで表現した商品はなかなか独創的だ。来年3月末からクイーポのオンラインショップ、百貨店、空港などで販売される予定だ。

 漢字をブランド名にしたものとしては、オンワード樫山の「組曲」「23区」「自由区」「五大陸」、今回の「創悦」を手掛けているクイーポの「原点」などが挙げられるが、ジャパネスク・ブームが盛り上がっている現在、ブランドネームだけでなく、企画にも「北斎」を取り入れた「創悦」は注目される存在だ。

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私のサステナビリティ 「パーミニット」の半澤デザイナーは土に返るキュプラをドレスに採用

 再生繊維のコットンリンターを原料とすることから、土に返る素材としても知られるキュプラ。ジャケットやコートの裏地として用いられることが多い素材ですが、「パーミニット(PERMINUTE)」ではドレスにも積極的に取り入れています。2020年春夏コレクションでは、環境にやさしい草木染めキュプラをメイン生地に使用しました。

私のサステナビリティ
 ファッション業界にとって加速して取り組まなければいけない課題の“サステナビリティ”。企業として大きく舵を切ることはもちろん、個々の意識も重要です。そこで個人的に行なっているサステナビリティについて聞きました。

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万博開催に向けて再開発が進む大阪・梅田 街作りの仕掛け人3人が考えるコミュニティー構築

 2025年に万博開催を控える大阪では、現在、梅田地区で「うめきた2期」(1期では13年にグランフロント大阪が開業)と呼ばれる再開発が進められている。その一環として、梅田とその周辺エリアを対象とした未来のための街作りプロジェクト「クリエイティブ オクトーバー ウメダ」が19年10月に始動。第1回目のイベントが、10月25日〜11月3日の10日間、梅田とその近隣の中津、中崎町で開催された。

 「クリエイティブ オクトーバー ウメダ」は、ファッション、クリエイティブ、アート、グルメなどのコンテンツが溶け合う梅田の街の魅力を伝える5つのプロジェクトの総称だ。アート、ファッション、フードのお祭り「イコール=フェスティバル イン 中崎町」、アジアの次世代クリエイターが集まる新感覚のアートフェア「アンノウン アジア アート エクスチェンジ オオサカ」、ニューヨークのブルックリンで話題のフードマーケットと提携した「スモーガスバーグ大阪」、街を舞台にしたコンセプチュアルアートのイベント「ザ シティ――社会を彫刻せよ――」の各プロジェクトが、会期を合わせることで国内外から梅田エリアへの人の呼び込みを狙った。阪急阪神不動産と共にプロジェクトを仕掛けたのは、PRやイベント制作等を主な業容とするワンオーと、オフィスの緑化などグリーンインフラ事業を手掛ける東邦レオ。各社の担当者に、梅田と周辺エリアの今後や具体的な取り組みについて聞いた。

鼎談参加者

谷口丹彦/阪急阪神不動産開発事業本部うめきた事業部長兼都市マネジメント事業部部長(以下、谷口)

松井智則/ワンオー社長(以下、松井)

久米昌彦/東邦レオ グリーンディベロップメント担当(以下、久米)

――既存の5つのプロジェクトをまとめて、今回「クリエイティブ オクトーバー ウメダ」を立ち上げた背景は。

松井:これまでは5つがそれぞれにイベントを開催していたが、ミラノサローネのようにひとつの大きな枠のなかで時期を合わせて開催したほうが広く集客できる。そんなイベントを梅田でやろうと、主催者全員で話し合って決めたのが、「クリエイティブ オクトーバー ウメダ」だ。

――ワンオーは梅田の隣の中崎町で、東邦レオも同じく隣の中津でこれまでイベントを企画していたが、それぞれに阪急阪神不動産とつながりがあった。そもそも、どんなきっかけで知り合ったのか。

谷口:阪急阪神不動産は梅田などに所有する資産を活用して街作りを手がけ、大阪を盛り上げていくのが役割だ。これまで、梅田の中心部でオフィスや商業施設などの開発を手掛けてきたが、(オフィス、商業施設ばかりでそこに住んでいる)生活者がいない梅田の街は、世界から見ると全くおもしろくない。梅田が世界から注目される魅力的な都市になるには、周辺も含めた広域で魅力を創出する必要がある。また、サステナブルな成長のためにも、周辺の活性化は重要な課題だという認識があった。中津と中崎町は個人的におもしろいと感じた町。建物の再開発だけではなく、コミュニティーの活性化によって、(大阪を盛り上げるという)目標を達成できると思った。ワンオーが東京・渋谷で行ってきた街のイベント「シブヤ ファッションフェスティバル」の話を聞いて、それをぜひ大阪でもやってほしいというところから、ワンオーの中崎町のイベントはスタートした。

松井:梅田には他の都市にはない雑多な雰囲気がある。周辺エリアを含めて梅田全体として魅力を創出すれば、よりおもしろいのでは思った。中崎町は、(近代的な)梅田のすぐ隣に、(昭和にタイムスリップしたようなレトロな雰囲気のまま)存在するからこそおもしろい。梅田を訪れる人たちのムードもこの20年間で大きく変わっている。古着店やカフェ、雑貨店が多い中崎町にアートを持ち込んで、梅田の中心部とつなげようということを意図した。

――具体的には。

松井:中崎町にはおもしろい才能の持ち主が大勢いるのに、発表の場が自分の店しかなかった。1店舗だけが話題になったとしても、ムーブメントは起こりにくい。そこで、広く中崎町に人を集客できるプラットフォームとして、約80店舗が参加するイベント「イコール=フェス」を立ち上げた。ただ、東京の会社が突然やってきてフェスに参加してほしいと呼びかけても信用されない。われわれは約2年前に中崎町に店舗を開設し、街の人とのネットワークを築き、コミュニケーションを大切にしてきた。

谷口:当社も水面下でそのお手伝いをしていた。一方、中津ではニューヨークのブルックリンで支持されている食のイベント「スモーガスバーグ」を阪急電鉄主催で行っている。今回で3回目の開催だ。中津をどうおもしろくするかについては、東邦レオにもご協力いただいている。中津は現在、JRの線路で町が分断されている。ただ、線路が地下化されると街がひとつになり、グリーンインフラ事業を手がける東邦レオにとって有望なエリアになると考えた。

久米:われわれも中津(の街おこしプロジェクト)に入るなら拠点を持ちたかったので、ビルの一室を借りることにした。そこが吉本興業が11月にオープンする芸人・クリエイターのためのコワーキングスペース、「ラフアウト中津」に発展した。同スペースが入る築50年のビルは、梅田初の高級賃貸マンションだといい、かつては西川ヘレンさんも住んでいたそうだ。ビルの持ち主の企業も、地域にもっと溶け込まないといけないという思いが強く、中津をよくしていこうと意気投合した。

谷口:そのように、(ビルの持ち主などの)地域をサポートする人たちと、(東邦レオやワンオーなどの)仕掛ける人たちが融和するだけでも、梅田は新たな魅力を持ち始めていると思う。「スモーガスバーグ」開催を機に気づいたことは、大阪の料理の質やセンス、クリエイティビティがあまり知られていないこと。そこで、中津は食をキーワードにプロの料理人や料理人をめざす人が集まる場所にしていきたいと考えている。

――街作りは、外から人を呼び込むだけでなく、街の中で働く人たちの仕事が成り立つ環境作りも重要だということか。

松井:個人が家賃5〜20万円の物件を借りて古着屋をしたり、自分の作品を発表したりしているだけでは(ビジネスとして)厳しい。エリア内外から人が集まるプラットフォームを作り、そこに参加するアーティストを増やしていくことで、その土地ならではのビジネス環境を作ることができる。「イコール=フェス」では、大阪のアーティストが多数参加し、その人たちが注目される環境作りを目指してきた。

久米:東邦レオグループが中津で行っているイベント「ザ シティ」は、コミュニティーディベロップメントが目的だ。人が日常的に集う生き物みたいな場の創出は絶対必要。そのために、ぼくらは黒子に徹し、街の人を主役にしている。ただ、元々そこにいる人たちだけだと固まってしまうので、僕らは新しい風を起こす役割を担っている。商店街には昔ながらの営みが残っているので、それらを残しながら街を魅力的に変えていくためにはどうすればいいのかを、問いかけながら進めている。そうしたコミュニティー作りの活動そのものが、「社会彫刻」という(芸術の)分野になる。

――そうは言っても、活動に理解がある人ばかりではないのでは。

久米:衝突もありだと思う。衝突することで家族みたいな関係が築かれる。そのためにも定期的に話し合うことは必要だ。ただ、中津の人たちは寛容性がすごく高い。

谷口:開発といっても、昨今は単純に建物を(壊して建て直すという)再開発をする時代ではなくなってきている。一方で、古い建物がいくらレトロで雰囲気がいいからといって、残し続けることが絶対だとも限らない。われわれが関与することで、むしろ、地域の人たち自身が後押しされながら自発的に街を変えていく。いわゆる市民参加型の街作りの方が、サステナブルな成長を続けられると確信している。ワンオー、東邦レオ、阪急阪神不動産の三社は同じ思いで一致している。今後、梅田がグローバルに発展していくためには、重層的で多層的な魅力ある街でないといけない。中心部だけでなく、周辺エリアにも暮らしがあり、スモールビジネスで働く人たちがいることが都市の魅力につながる。そのプラットフォームを作るのが当社の役割だ。

――今後やりたいことや課題は。

久米:大阪万博が開催される25年に、中津万博をしたい。世界唯一の「社会彫刻」の聖地としての中津で、世界中から集まったアーティストたちによるアートイベントを考えている。もちろん、街の人と協力しながら、街をよくする活動にアートの手法で寄与していきたい。

松井:これまで“点”で行ってきたイベントが面に広がりそうな気がしている。今後注力していきたいのは、海外への広報活動。弊社のパリオフィスで、梅田の魅力を発信するイベントを企画してみてもおもしろいかもしれない。

谷口:海外観光客を呼び込む活動は、グランフロント大阪の開業時から梅田でも取り組んできた。今後は、ビジネスインバウンド(ビジネスの海外からの呼び込み)がターゲットになる。そのためには、働きやすいだけでなく住みやすく、外国人にも溶け込めるコミュニティーの機能が街に求められる。個人事業者や中堅クラスの企業を大阪に誘致することも必要になるだろう。

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リアルとデジタルの融合で納得の靴選び ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.7『オンワード、婦人靴でカスタムオーダー』

読み解きポイント:「リアルとデジタルの体験をシームレスに描ければ勝ち」

ニュースのポイント

 オンワード 傘下のオーダーメイド業態「カシヤマ ザ・スマートテーラー」が東京・表参道と大阪・本町の店舗で婦人靴の新ラインを開始した。20〜30代の働く女性をメインターゲットとし、店舗ではフィッターによる採寸をもとにデザインとサイズ、あわせて30万通りのパターンでパンプスを提供する。国内の工場から直送することで最短1週間の納期を可能にし、価格も9900〜2万2000円と値頃に抑えた。

AZUはこう読む!

 服以上に精度が求められる靴のサイズ。「ちょっとオーバーサイズでも可愛いからいっか」とはいかないので、悩みは一生尽きません。デザインを選べばサイズが合わず、快適さを選べば気分が乗らず……分刻みのスケジュールをこなさなければいけない日の快適シューズも、車移動マストな子鹿ハイヒールも、可愛いものは可愛いし、必要なものは必要だし、欲しいものは欲しいんです。

 先日、こちらの表参道店に伺いました。キッチリとした格好をしなければいけない場面も増えてきて、気合いを入れたスーツに合うパンプスを手に入れなければ、と思っていたタイミングでした。

 身長165cm、足のサイズは24〜24.5cm。今流行りの骨格診断でいうと、おそらくストレート。特にサイズに関して困ったことはないので靴も表記通りに選んでいましたが、お店でフィッティングしてもらったら意外なサイズに驚きました。

 ここでは21.5〜26cmの足長に加え、足幅もS、M、Lの3種類から選ぶことができます。よく「日本人は足幅が広いからインポートシューズは合いにくい」と言うので私も広い方だと思っていたのですが、実際フィッターさんにお勧めしてもらったSサイズを試してみると、自分で選んだMよりぴったり!びっくり!シンデレラ!Mと比べるとフィット感や正面から見たときの収まりの良さは一目瞭然。最初はきついかな?と思っていたのですが、足幅が合うことでハイヒールでも前に詰まらなくなり、踵が浮かないので安心して歩けます。これならパーティー会場まで走れそう。逆にLだと同じ24.5cmでも踵が浮いてしまうので、「足幅のサイズってかなり重要!」と改めて実感しました。

 カスタム系サービスはここ数年で一気に増えましたが、ネットだけで完結するのではなく、実際にプロの手によってお勧めすることで、納得できる商品を選ぶ体験を提供できるか、がキーになっています。デザインだけのカスタムならネット上の方がシュミレーションしやすく簡単便利かもしれませんが、「何度も継続して買ってもらう」ということを考えると「このブランドならこのサイズでOK」という安心感は欠かせません。

 今は店舗でのオーダーのみ受け付けていますが、今後はECも開設予定とのこと。まずは店頭でプロのレコメンドをもとに自分にあったサイズを決め、2足目以降はネットで気軽にリピート買い、というスムーズな流れが実現しそうです。しかも「店舗でオーダー受け付け→工場で製造・梱包 →消費者に配送」という製造・流通の中間を省いた設計で、カスタムオーダーのネックである「購入から手に取るまでのタイムラグ」が最小限なのも嬉しいポイント。
 
 「これは何か裏があるぞ!もしや……」と思い、「とはいえ、あらかじめ売れそうなデザインやサイズに目星をつけて在庫積んだりしてません?」と聞いてしまったのですが、「そっちの方がコストかかりますよ」と笑顔で返されたので、その場で謝罪しました。

 さて、冒頭で「気合いを入れたスーツに合うパンプスを手に入れなければ」とカッコつけたのですが、実際にオーダーしたのはキラキラシルバーのハイヒールです。どう考えてもファッションに振りすぎてしまったのですが、フリークなのでお許しを。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。 連載Vol.6 元祖行動するデザイナーのキャサリン・ハムネットがファッション業界での孤独な闘いを語る

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのかわからないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探る。今回はファッションデザイナーのキャサリン・ハムネットに話を聞く。

WWD:今回イベントのための来日をキャンセルしたのはなぜ?

キャサリン・ハムネット(以下、ハムネット):来日をキャンセルしたことに関して、大変申し訳ないと思っている。日本の台風による災害をはじめ、深刻な気候変動を目の前にサステナビリティを語るために飛行機に乗り、1.5トンもの二酸化炭素をまき散らして日本に向かうことはできなかった。その行動自体がサステナブルではなく、解決すべき問題を自ら遅らせることになる。それは、偽善者のすることで正当化できないと思ったから。

WWD:自身が環境問題をはじめ社会問題に対する意識を持ち始めたきっかけは?

ハムネット:セントマーチンズ美術大学(CENTRAL SAINT MARTINS)でファッションを学んだ後、ビジネスをスタートさせた。世界で一番のファッションデザイナーになりたいと思い、それを実現させた。それが正しいことであるという確信を得たいと、1989年にアパレルや繊維業界が環境・社会に与えている影響をリサーチした。その結果、悪夢のような状況だと分かった。ファッションという巨大産業が地球上の全ての生命を脅かすことが分かったのだ。

WWD:サステナビリティに関するファッション業界の問題は何か?

ハムネット:コットンやポリエステル、ナイロン、アクリル、デニム、PVCなど、あらゆる素材の製造や加工がもたらす環境や生態系へのダメージ。サステナブルと言われているビスコースもレンチング社以外のものは環境破壊をもたらす。発展途上国の衣料生産労働や綿花栽培農家などは業界における奴隷のようなものだ。

WWD:持続可能なファッションとは?

ハムネット:ファッションは常に私たちと共にある。なぜなら、それは人間的な活動だから。ファッションは自分が誰であるかを表すと同時に、仲間を引き付けるものでもある。ファッションは地球上で最も大きな産業の一つだが、私たちが知っているこの世界が存続するためには今までとは違う方法を取るしかない。あらゆる生き物に害を与えない産業になるべきだ。

WWD:何年も前からエシカル、サステナブルを打ち出しているファッションブランドがあるが、一般に広がらない理由は?

ハムネット:商品自体に魅力がないことと、劣悪な労働環境で作られたファストファッションとの競争が理由だと思う。

WWD:サステナブルな活動をしているブランドやデザイナーで注目しているのは?

ハムネット:「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」はもちろんだけど、彼女に続くデザイナーが各地にいる。ニュージーランドの「マギー マリリン(MAGGIE MARYLIN)」やロンドンの「フィービー イングリッシュ(PHOEBE ENGLISH)」「リチャード マローン(RICHARD MALONE)」「クリストファー レイバーン(CHRISTOPHER RAEBURN)」「アルワイヤ(AHLUWALIA)」、ニューヨークの「マラ ホフマン(MARA HOFFMAN)」、シューズはフランスの「ヴェジャ(VEJA)」。

WWD:サステナビリティの鍵となることは何か?

ハムネット:サステナブルを促進するか、この地球を失うか……。一人ひとりがどのように消費するかの判断が地球の未来を左右する。現代の消費者は、より意識を持った消費をするようになった。生物が存在する地球の未来を私たち人間が背負っているとしたら、消費者は自分の消費がどのような結果や変化をもたらすか意識せざるを得ない。

WWD:自分が生活する上でサステナビリティに関して気にかけていることは?

ハムネット:ハイブリッドカーを運転し、歩いて仕事に行き、オーガニック食品を食べ、リサイクルし、サステナビリティという言葉を広げること。

WWD:日本におけるサステナビリティは、欧米に比べるとかなり遅れている。情報が少ないのはメディアの責任でもあるが、消費者の意識が低い。消費者の意識を変えるには何をするべきか?

ハムネット:われわれが愛している今の生活と世界は、私たちが正しい決断を下せるかどうかに懸かっているということを伝える必要がある。私たちの消費の仕方が、地球の未来を決めるのだ。

WWD:究極のサステナビリティとは?

ハムネット:消費や行いが、あらゆる生き物に一切害を与えないこと。

キャサリン・ハムネットによるビデオメッセージ

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編集長は先週何した? 「プラダ」の花束、「ロエベ」と「バーバリー」の銀座新店、ベイクルーズ発のレモンケーキ

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向(むこう)千鶴です。毎週どこかでセミナーをしておりますが、これは自分にとって重要な時間。誰かに伝えて理解を得ようと必死に話すことで自分の頭の中が整理されるからです。サステナビリティの話題は特にそう。多くの人がそうだろうから、集まって話す場を作りたいな、と考えております。

11月11日(月)
専門学校でアツめにトーク

 名古屋から名鉄線に乗って知立(ちりゅう)へ。中部ファッション専門学校で春夏トレンドセミナーを行いました。こちらの学校にはなんともう15年近く、定期的におじゃましています。最初に会った学生さんは30代になっているのか…。頑張って仕事しているかな?

 トレンドセミナーと言っても今シーズンの話題はサステナビリティが中心。それがいかにファッションビジネスと深くつながっているか、について力説しました。小難しい話も多いので伝わるかな?と手探りで、反応を確かめながら話していたことが伝わったみたいで、最後に一人の学生さんが「私たちそれぞれに考えています」とまっすぐこちらを見て言いました。とても優しい口調で。そうか、そうだよね。大人より若い皆の方が環境問題や服の廃棄問題などについて考えているくらいだよね。話してよかった!

11月12日(火)
サステナビリティのセミナーへ

 サステイナブル・アパレル連合、通称SAC(Sustainable Apparel Coalition)が行うセミナーに参加しました。SACは米国で発足した団体で、メーカーや縫製工場、素材メーカーなどが加盟しています。今回は、SACが作った「ヒグ・インデックス」という環境や労働に関する企業の取り組みを数値化する指標とツールについてのレクチャーでした。

 ポイントは「透明性」。水の使用や廃棄物管理、エネルギー使用、温室効果ガス排出などに関して数値化し、公表してゆくとはまさに言うはやすし。でも、やらねば。皆で実行しようよ!と、というお話です。私たち地球の住人は、もう後戻りはできませんからね。SACのマリアナ・シェンさんは何度も「ジャーニー」と言う言葉を使っていました。まさに終わりなきジャーニーです。

 事例紹介ではアシックスとファーストリテイリングの2社の話も聞きました。グローバルに展開(販売も生産拠点も)することは、指標の統一と言う点から見てもとても大変です。でも登壇する皆さんはとてもポジティブ。新しい価値を作るって人をポジティブにさせると、サステナビリティの取材をするたびに思います。

11月12日(火)
ベイクルーズの皆さんと会食

 ベイクルーズの方たちとの会食へ。楽しくディープに話し込んだ後にほっこりするお土産をいただきました。「瀬戸内レモンケーキ ボン ヴィヴァン」。ふわふわのスポンジの中に甘酸っぱいレモンのジュレが入っています。奇をてらわない素直な味が好きです。イラストの箱も可愛くてお持たせによいですね。12月から渋谷ブールアンジュで発売するそうです。

11月14日(木)
YKKにファッションロー取材

 12月にファッションと法律に関する特集を組む予定で、この日は担当の平川記者とYKKへ。模倣品との戦いを取材しました。世界に通用するブランドを作り、守るってこういうことなのだ、と学びました。特集、おもしろくなりそうです。

11月14日(木)
「ロエベ」の新しい銀座店
オープニング

 銀座に新たにオープンした「ロエベ(LOEWE)」の旗艦店のオープニングへ。「カサ ロエベ 東京(CASA LOEWE TOKYO)」という名前の通り、(超おしゃれな)友人の家に遊びに来たみたいな気分になる店です。ぬくもりのあるラグやタイル、クラフトの籠の中に飾られた植物、少々グロテスクな大きいカエルや鳥の置物などの装飾と、商品である服やバッグがリンクして独特の世界を作り上げています。自分が10代だったらこの空間にハートを鷲づかみにされて憧れ、貯金をして頑張って買い物をしたくなっていたと思います。帰り道に並木通りで空を見上げるとすっかり冬空でした。

11月14日(木)
最新号と今日のおやつ


 
 11月18日号は「バッグ&シューズ特集」。素材も色も柄も、自然を感じるデザインがあふれるアクセサリーの傾向を分析しています。カバーオンカバーは「ランバン(LANVIN)」。ブルーノ・シアレッリ(Bruno Sialelli)へのインタビューが読み応えあります。おやつは副編集長からもらったベトナムコーヒー。体重増加中なのでスイーツはなしです。

11月14日(木)
「プラダ」の花束を持って帰る

 「プラダ(PRADA)」がプレ・スプリング・コレクションの一環として青山店で期間限定のフラワー・スタンドをオープンする(18日で終了)とのリリースが紫色のチューリップの花束とともに届きました。無造作にくるんだペーパーがおしゃれだからそのまま抱えて帰りました。いろいろあっても(なくても)、でっかい花束を抱えて帰ればオールオッケー!ですね。

11月15日(金)
「バーバリー」銀座店の
移転改装オープンへ

 「バーバリー(BURBERRY)」の銀座店が移転リニューアルオープンしました。リカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)による新コンセプトを導入したアジアの一号店で、外装も内装もピスタチオグリーン。さらに、銀座の中央通りのフラッグも、銀座駅の柱回りも、銀座松屋の外壁一面も全部、この「バーバリー」のピスタチオグリーンで模様替えしており、まさに銀座ジャックです。

 ピスタチオグリーンも、他店舗でキーカラーに採用しているピンクも可愛いだけではなく、「バーバリー」のトレンチコートが映える色。よく考えられています。店にはいたるところにティッシが好きな大きな瞳のバンビがいます。う~~、連れて帰りたい……。

 ちなみに、正式オープン日が17日なのは、ティッシのラッキーナンバーが17だから。さらにちなみに、ティッシが「バーバリー」デビューをした時のショーの日時も17日で、同日にスタートしたポップアップも17時スタートでした。イタリアの人は縁起を担ぐと聞きますが、ビジネスを左右するショーやショップのスケジュールにも反映するとは徹底しています。

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「サステナビリティはオプションではない。必須事項だ」 by フランソワ・アンリ・ピノー

フランソワ・アンリ・ピノー=ケリング会長兼最高経営責任者

 サステナビリティはオプションではない。必須事項だ。(Vol.2107 2019年10月28日号)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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ファッション通信簿Vol.38 セレブの残念な花嫁姿を米「WWD」がめった切り

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第38回は、ストーム・レイド(Storm Reid)、シャーリーズ・セロン(Charlize Theron)、アシュリン・ハリス(Ashlyn Harris)、‪T-ペイン(T-Pain)、ゼンデイヤ(Zendaya)、ケルシー・バレリーニ(Kelsea Ballerini)、KJ・アパ(KJ Apa)、グウェン・ステファニー(Gwen Stefani)が登場。「花嫁姿は冗談のつもり?」など、今回も米「WWD」の辛口コメントが炸裂する!

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マルタン・マルジェラのドキュメンタリー映画が公開 本人が語ったこととは?

 マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)本人を題材にしたドキュメンタリー映画、「Martin Margiela in His Own Words」のプレミア上映が11月8日に「ニューヨーク・ドキュメンタリー映画祭」で行われた。監督のライナー・ホルツェマー(Reiner Holzemer)は、17年に公開された映画「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男(Dries)」でも監督を務めている。

 およそ90分の映画ではマルジェラのファッションの軌跡が描かれており、本人の回想を中心に、多くの関係者へのインタビューも収録されている。マルジェラは自身の顔をはっきり写さないことを条件に作品に協力したため、劇中で話をする際に本人とわかるような撮影は行われていない。

 マルジェラは映画の冒頭で「セレブリティーにはなりたくない。一般人と同じようであるためにも、私にとって公の場に姿を現さないことは非常に重要だ。マルタン・マルジェラの名は、私の顔ではなく私の作品とリンクしていてほしい」と、素性を明かさない方針を語っている。映画ではマルジェラの子ども時代にも軽く触れられており、ドレスメーカーだった祖母のことを「人生で最も重要な人物」だと明かしている。

 取材陣に対して話をしないことで有名だったマルジェラは、公の場に姿を見せることもなければファッション以外でセルフブランディングもしなかった。カメラを避け、自身が手掛けるショーであっても挨拶に立つことはなかった。

 最後まで創造性に溢れ、新たな方向へと活動を展開する気概のあったマルジェラだが、「いくら新鮮なエネルギーに満ち溢れた新しい方向へ向かったとしても、ファッション業界には長らくの間、とても不快な何かが存在していた。私の場合、ショーが開催された同日のうちにインターネットにも対応しなければならなくなった頃にそう感じるようになった」と、ファッションの組織や体制に対する不快感を率直に述べながら、悲しみをあらわにしている。

 そして、「すこし自分を見失うような感覚があり、さらなる悲しみを感じるようになった。ファッションの世界には別のニーズが生まれてきていて、自分はそれに応じることができるどうかわからないと感じるようになった」とも語っている。

 マルジェラと、マルジェラの友人であり「メゾン マルタン マルジェラ(MAISON MARTIN MARGIELA)」の共同創設者でもあるジェニー・メレンズ(Jenny Meirens)は、ブランドを大きくしていくために外部資金の調達の必要性を感じていた。しかし、「ビジネスプランが実行されて以降、メレンズの創作意欲が落ちていった。なぜなら、彼女は創作活動の時間を持つことができなくなったからだ」とマルジェラは語っている。

 「最終的に私は自分の会社のアーティスティック・ディレクターに就任したが、その役割には悩まされた。なぜなら、私はファッションデザイナー以外の何者でもないからだ。私は創作活動を行うデザイナーなのであって、アシスタントたちを管理するただのクリエイティブ・ディレクターではない」と、悲しそうに回想している。

 ブランドを去ることにした当時の様子については、「大きなショックを回避したかった経営陣の意向もあり、最後のショーの夜に、誰にも告げずにブランドを去らなければならなかったことはいまだに後悔している。チームのメンバーにはとても感謝していたから、別れの挨拶をできなかったのは本当につらかった。彼らはとてもよくやってくれたし、あんな別れ方は不本意だった」と語っている。

 「ファッション業界の流れは速く、有名になるのも忘れられるのも一瞬のことだ。私の功績をこのように評価してもらえるとは思ってもいなかったから、本当にうれしいサプライズだ」という発言には、マルジェラは注目されることを常に避けながらも、プロフェッショナルとして認められている事実に対しては感謝の念を抱いていることがわかる。

 本人の希望により、この映画では彼の現在の活動については触れられていない。映画の最後にホルツェマー監督がマルジェラに「ファッションについて語らなければいけないことは全て話したか?」と尋ねると、マルジェラは一言「いいえ」と答えた。

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マルタン・マルジェラのドキュメンタリー映画が公開 本人が語ったこととは?

 マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)本人を題材にしたドキュメンタリー映画、「Martin Margiela in His Own Words」のプレミア上映が11月8日に「ニューヨーク・ドキュメンタリー映画祭」で行われた。監督のライナー・ホルツェマー(Reiner Holzemer)は、17年に公開された映画「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男(Dries)」でも監督を務めている。

 およそ90分の映画ではマルジェラのファッションの軌跡が描かれており、本人の回想を中心に、多くの関係者へのインタビューも収録されている。マルジェラは自身の顔をはっきり写さないことを条件に作品に協力したため、劇中で話をする際に本人とわかるような撮影は行われていない。

 マルジェラは映画の冒頭で「セレブリティーにはなりたくない。一般人と同じようであるためにも、私にとって公の場に姿を現さないことは非常に重要だ。マルタン・マルジェラの名は、私の顔ではなく私の作品とリンクしていてほしい」と、素性を明かさない方針を語っている。映画ではマルジェラの子ども時代にも軽く触れられており、ドレスメーカーだった祖母のことを「人生で最も重要な人物」だと明かしている。

 取材陣に対して話をしないことで有名だったマルジェラは、公の場に姿を見せることもなければファッション以外でセルフブランディングもしなかった。カメラを避け、自身が手掛けるショーであっても挨拶に立つことはなかった。

 最後まで創造性に溢れ、新たな方向へと活動を展開する気概のあったマルジェラだが、「いくら新鮮なエネルギーに満ち溢れた新しい方向へ向かったとしても、ファッション業界には長らくの間、とても不快な何かが存在していた。私の場合、ショーが開催された同日のうちにインターネットにも対応しなければならなくなった頃にそう感じるようになった」と、ファッションの組織や体制に対する不快感を率直に述べながら、悲しみをあらわにしている。

 そして、「すこし自分を見失うような感覚があり、さらなる悲しみを感じるようになった。ファッションの世界には別のニーズが生まれてきていて、自分はそれに応じることができるどうかわからないと感じるようになった」とも語っている。

 マルジェラと、マルジェラの友人であり「メゾン マルタン マルジェラ(MAISON MARTIN MARGIELA)」の共同創設者でもあるジェニー・メレンズ(Jenny Meirens)は、ブランドを大きくしていくために外部資金の調達の必要性を感じていた。しかし、「ビジネスプランが実行されて以降、メレンズの創作意欲が落ちていった。なぜなら、彼女は創作活動の時間を持つことができなくなったからだ」とマルジェラは語っている。

 「最終的に私は自分の会社のアーティスティック・ディレクターに就任したが、その役割には悩まされた。なぜなら、私はファッションデザイナー以外の何者でもないからだ。私は創作活動を行うデザイナーなのであって、アシスタントたちを管理するただのクリエイティブ・ディレクターではない」と、悲しそうに回想している。

 ブランドを去ることにした当時の様子については、「大きなショックを回避したかった経営陣の意向もあり、最後のショーの夜に、誰にも告げずにブランドを去らなければならなかったことはいまだに後悔している。チームのメンバーにはとても感謝していたから、別れの挨拶をできなかったのは本当につらかった。彼らはとてもよくやってくれたし、あんな別れ方は不本意だった」と語っている。

 「ファッション業界の流れは速く、有名になるのも忘れられるのも一瞬のことだ。私の功績をこのように評価してもらえるとは思ってもいなかったから、本当にうれしいサプライズだ」という発言には、マルジェラは注目されることを常に避けながらも、プロフェッショナルとして認められている事実に対しては感謝の念を抱いていることがわかる。

 本人の希望により、この映画では彼の現在の活動については触れられていない。映画の最後にホルツェマー監督がマルジェラに「ファッションについて語らなければいけないことは全て話したか?」と尋ねると、マルジェラは一言「いいえ」と答えた。

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2020年春夏は透ける素材と“変化球袖”がトレンドに 新顔の“ジゴ袖”って一体何?

 

 2020年春夏の「楽天 ファッション ウィーク東京」(東京コレクション)で目立ったのは、透ける素材と“変化球袖”です。オーガンジーやシフォンなどの透ける素材は、ミニマルなシルエットに、軽やかさをまとわせました。一方、“変化球袖”は、過去数シーズンで広がった“袖コンシャス”のトレンドが進化したもの。中でも、ひじから先を絞った“ジゴ袖”はクラシックな新顔です。

 「ハイク(HYKE)」はネックの詰まったTシャツとつやめいた白系レギンスというスポーティな組み合わせに、テーラードジャケットをオン。さらに、その上から透けるプリーツスカートをエプロンのように巻いて、入り組んだレイヤードに仕上げました。一見、シンプルに見えて、実はひねりを効かせたアレンジは、20年春夏の着こなしキーワード「ツイスト(ひねり)」に通じています。今回は透ける素材と変化球袖の2つにフォーカスし、東コレ参加ブランドの提案を見ていきましょう。

「透ける×つやめき」フェミニン素材のダブル使い

 まずは透ける素材の新提案を見ていきましょう。「ステア(STAIR)」はビスチェの上に、透ける素材のハイネックトップを重ねました。透ける素材を重ねれば、肌見せをさりげなくコントロールできます。ボトムスのほうも、透け感を生かし、フィルムのようなラミネート素材のラップスカートを巻いて、見え具合を抑えています。程よいシースルーのおかげで、軽やかさとフェミニン感が両立しました。

 光沢を帯びた生地は、透ける演出との相性に優れています。「ハレ(HARE)」(写真2枚目)はパンツの上から、つやめくスカートをかぶせました。オーバーサイズのシースルートップスも重ねて、異素材ミックスのレイヤードに。光沢のあるスカートに、ダークカラーの透かしトーンが融合し、3Dのような効果を発揮。装いに深みが加わりました。このように“光る×透ける”の重ね使いは、ニュアンスのあるフェミニンコーデに導いてくれます。

カジュアル服を透け感でワンランクアップ

 チュールに代表される、上品なムードの透け素材を使うと、着姿をぐっと大人っぽく変えられます。リメイク風の提案で見せた「スリュー(SREU)」(写真1枚目)は、古着やストリートを思わせるウエアの袖や裾に、チュール素材をあしらって、全体のフェミニン濃度をアップ。夏に重たく見えがちなブラックコーデですが、シースルーのおかげで、涼やかに見えています。黒ならではのミステリアスな雰囲気を強めるうえでも、透ける素材は有効です。

 黒と同じく、白も、透ける素材と相性のよい色です。写真2枚目の「バルムング(BALMUNG)」は白いオーバーサイズのレーストップスを重ねて、かげろうのような立体フォルムを描き出しました。来春夏にも勢いが続きそうなオールホワイトのコーデに生かしやすいスタイリングです。同じホワイト系でも、微妙に色味の異なる白同士を引き合わせれば、装いに奥行きを出せます。

クラシックとロマンティックが交差 新顔ジゴ袖で華奢見えも

 ここからは“変化球袖”に移ります。来季の目玉は古風なジゴ(gigot)袖。フランス語の「gigot」は「羊の脚」という意味です。その名前が示す通り、まるで羊の脚のように、ひじから上に膨らみを持たせる一方、ひじから先は肌にぴったりした細い袖になった、「太>細」のボリューム変化が面白い袖です。

 膨らんだ部分に19世紀風のロマンティックで貴族的なムードがあります。引き締まった部分には、緊張感やほっそりイメージが備わっていて、袖全体で気品や華奢感を印象づけやすいデザインです。少し時代が下ったヴィクトリアン時代のテイストが来春夏に盛り上がる気配があり、ジゴ袖もクラシックトレンドの流れに組み込めます。

 「ティート トウキョウ(TIIT TOKYO)」のワンピースは、ロマンティックで優しげなジゴ袖を提案。肩口から二の腕にかけては、パフスリーブ風にたっぷり。ひじでいったん、絞っていますが、ひじから先は腕を締め付けすぎず、細感だけを巧みに引き出しました。パンツと組み合わせて、落ち感の高いコーデに整えたのも今のムードにはまります。

 「ノントーキョー(NON TOKYO)」(2枚目)は、二の腕ゾーンを大胆に膨らませました。そして、ひじのあたりで一回、ギュッと絞りを加えています。そして、袖先に向かっては再びベルスリーブ状に広がるという、新たな解釈でジゴ袖を披露。思い切った量感のおかげで、小顔や着痩せの効果まで期待できそうです。

「ドラマティック×エレガント」を両立 優美なルックがかなう

 ダイナミックなジゴ袖を、エレガントに変形させる試みも広がっています。「ヒロココシノ(HIROKO KOSHINO)」のシャツは、ひじから手首にかけてを優美に膨らませました。逆に、二の腕とカフスは絞って、袖フォルムにメリハリを加えています。ドロップショルダーの伸びやかなシルエットも、穏やかなたたずまい。片側の肩だけからの吊りスカートで、きちんと見えと華やかアシンメトリーを、ダブルでかなえています。

 品格ドレスに組み込んで、袖を主役級に見せる演出も提案されました。「タエ アシダ(TAE ASHIDA)」(写真2枚目)のドレスは、ワンショルダーからつながった袖を、たおやかに膨らませています。透ける素材のおかげで、涼やかな見え具合に。光沢を帯びたグレーシルバー系の色も、リュクスな雰囲気を呼び込みました。縦に流れ落ちるようなシルエットと、生地の細い縦縞が調和して、流麗な着映えに仕上がっています。

 装いの基本線がシンプル志向へと移り変わる気配が見えてきました。ただし、ミニマルに削り込みすぎないで、程よい主張を素材感やディテールで盛り込むのが、新しい流れに。クラシックムードが続くこともあって、透け素材とジゴ袖は貴重な“スパイス”になってくれます。軽やかさやメリハリが欲しくなる秋冬コーデにも応用が利くから、今シーズンから取り入れて、早めに手なずけてしまう選択肢もありでしょう。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。連載Vol.5 専門誌編集長が断言「サステナビリティなくして企業に未来はない」

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのかわからないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞いてその解決策を探る。今回は日本経済新聞社時代に日本初のサステナビリティ記事を執筆し、2007年には環境とCSR(企業の社会的責任)と“志”のビジネス情報誌「オルタナ(alterna)」創刊した森摂・編集長に、サステナビリティの本質と企業の取り組み方について話を聞く。

WWD:世界中でサステナビリティへの関心が高まっている。ここに至るまで、どのような時代の流れがあったのか。

森摂編集長(以下、森):振り返れば、80年代にグローバリゼーションが進んだことで、負の側面が出てきたという背景がある。その中で、サステナビリティ社を立ち上げたジョン・エルキントン(John Elkington)氏が“トリプルボトムライン”という言葉を1994年に提唱した。ここで、企業を財務面だけではなく、環境的側面、社会的側面、経済的側面の3つから複合的に評価すべきだという概念が提示された。その後、サステナビリティの普及にもっとも貢献した人物は(前国連事務総長の)コフィ・アナン(Kofi Annan)だと考えている。

WWD:それはなぜか。

森:コフィ・アナンはわれわれに“3つの贈りもの”を残した。99年のスイス・ダボス会議での演説の中で彼は「人権問題や貧困の解決のため、国連だけではなく、経営者の力を使ってほしい」と語った。翌年には「MDGs(ミレニアム開発目標)」が生まれたが、これが現在の「SDGs(持続可能な開発目標)」につながった1つ目の贈りもの。2つ目は「MDGs」を推進するために生まれた企業組織「グローバル・コンパクト(The global Compact)」だ。ちなみに、ここには日本企業が今もほとんど参加していない。最後が2006年にできた「PRI(国連責任投資原則)」。企業に投資する側もサステナビリティに着目すべきだという原則だ。これによってお金の流れが変わり、サステナブルでない会社には投資を控えよう(=ダイベストメント)という潮流が出てきた。

WWD:なるほど。

森:一方で、個人の流れも大きい。今後の消費の中心を担うミレニアル世代やZ世代がサステナブル思考を持っており、彼らに受け入れられる事業をしなければいけないという時代が来ている。これは、国連という世界規模の組織とは真逆に位置する個人単位からも、企業に対してプレッシャーがかかっているということを意味する。

WWD:国家レベルと個人、両方からのプレッシャーがあったと。

森:そうだ。まとめると、企業を動かすステークホルダーとして、ミレニアル世代やZ世代などの若い世代と投資家、そして国連やNPO、NGOなどの存在があるということだ。

WWD:国連だけでなく、NPOやNGOの存在も重要か。

森:欧米では特にNGOに対する信頼は厚い。エデルマン(EDELMAN)というPRとマーケティング、コンサルティングを行う会社が出している信用スコアによれば、グローバルで政府、NGO、メディア、企業のうち、もっとも信頼されているのがNGOという結果だ。一方で、日本ではトップが企業。ここでも意識の差は大きい。

WWD:日本市場の動向はどうか。

森:15年に「SDGs」が採択され、4年経った今、日本にもようやく波が来ていると感じる。環境などに配慮した投資のことを「ESC投資」と呼ぶが、日本では全体に占める「ESC投資」の割合がここ数年で急増している。業界ごとの進捗はまだら模様だが、サステナビリティへの関心が早かったのはコピー機業界。組み立て産業であるため、CO2削減に取り組みやすかったからだ。実際にリコー(RICOH)は90年代からに環境経営を打ち出し、環境負荷を減らしながら売り上げを伸ばせることを実証している。

企業がサステナビリティに取り組むにはどうすればいい?

WWD:企業がサステナビリティに取り組む意義は?

森:ユニリーバ(UNILEVER)のポール・ポールマン(Paulus Polman)前CEOはかつて「世界で展開する400ブランドのうち、サステナブルを掲げた28ブランドが他ブランドよりも47%早い成長を見せた」と発表した。また、前述のエデルマンによれば「社会問題に取り組む企業の社員の方が、そうでない企業よりも高いモチベーションで働ける」ことが分かっている。つまり、企業にとってもあらゆる面でサステナビリティによるメリットを享受できるだけでなく、それに取り組まない企業の価値は相対的に下がっていくものだと思われる。

WWD:サステナビリティへの取り組みに成功した企業事例は?

森:パームオイルへの反感が高まった際のユニリーバや(パームオイルを用いたことで)「キットカット」不買運動が起こった時のネスレ(NESTLE)などは、社会の動きにすぐに対応してみせた。意見をすぐに聞きいれる姿勢は企業にとってとても重要だ。

WWD:これからサステナビリティに取り組みたい企業はどうすればいいのか。

森:最近は「法令遵守」の“守り”のCSRから「社会貢献」のための“攻め”のCSRへと企業動向が変わってきた。アウトサイド・イン アプローチといって、顧客課題よりも先にある社会課題に対して価値創造ができる事業に取り組むことが必要だといわれている。ただ、いろんな事例を挙げたが、全ての取り組みがパーフェクトだと言える会社はまだない。

WWD:アウトサイド・イン アプローチの具体例は?

森:社会課題や社会的ニーズに対応できるビジネスの実例としては、京都議定書採択の時期にあわせて誕生したトヨタ(TOYOTA)のハイブリッドカー“プリウス”がもっとも有名だろう。そのほか、途上国での認知度拡大に成功したリクシル(LIXIL)の“2ドルトイレ”、地域問題を解決するために放置竹林の竹を使ってノートなどを製品化した中越パルプ工業、廃プラスチックから生まれた「アディダス(ADIDAS)」の“ウルトラブーストパーレイ”など、アウトサイド・イン思考で生まれた製品は数多く存在する。ただ、企業ごとにこのアウトサイド・インの方法は異なるため、明確な正攻法がないこともサステナビリティの現実である。

WWD:森編集長としては今、サステナビリティでどんな分野に関心を抱いているか?

森:ファッションにも大きく関わる分野だが、「アニマルウェルフェア」に着目している。近々「オルタナ」でも特集を組む予定だ。ミュールシング(寄生虫を防ぐための羊への処置)の問題やモヘア使用禁止など、世の中が大きく動いている。フランスでは国を挙げてオーガニックに取り組んでいるし、これからの時代に堂々と毛皮を使うことはできないだろう。ファッション企業としても、消費者の声を聴きながら、先のリスクを見据えた行動を心がける必要があるはずだ。

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。連載Vol.5 専門誌編集長が断言「サステナビリティなくして企業に未来はない」

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのかわからないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞いてその解決策を探る。今回は日本経済新聞社時代に日本初のサステナビリティ記事を執筆し、2007年には環境とCSR(企業の社会的責任)と“志”のビジネス情報誌「オルタナ(alterna)」創刊した森摂・編集長に、サステナビリティの本質と企業の取り組み方について話を聞く。

WWD:世界中でサステナビリティへの関心が高まっている。ここに至るまで、どのような時代の流れがあったのか。

森摂編集長(以下、森):振り返れば、80年代にグローバリゼーションが進んだことで、負の側面が出てきたという背景がある。その中で、サステナビリティ社を立ち上げたジョン・エルキントン(John Elkington)氏が“トリプルボトムライン”という言葉を1994年に提唱した。ここで、企業を財務面だけではなく、環境的側面、社会的側面、経済的側面の3つから複合的に評価すべきだという概念が提示された。その後、サステナビリティの普及にもっとも貢献した人物は(前国連事務総長の)コフィ・アナン(Kofi Annan)だと考えている。

WWD:それはなぜか。

森:コフィ・アナンはわれわれに“3つの贈りもの”を残した。99年のスイス・ダボス会議での演説の中で彼は「人権問題や貧困の解決のため、国連だけではなく、経営者の力を使ってほしい」と語った。翌年には「MDGs(ミレニアム開発目標)」が生まれたが、これが現在の「SDGs(持続可能な開発目標)」につながった1つ目の贈りもの。2つ目は「MDGs」を推進するために生まれた企業組織「グローバル・コンパクト(The global Compact)」だ。ちなみに、ここには日本企業が今もほとんど参加していない。最後が2006年にできた「PRI(国連責任投資原則)」。企業に投資する側もサステナビリティに着目すべきだという原則だ。これによってお金の流れが変わり、サステナブルでない会社には投資を控えよう(=ダイベストメント)という潮流が出てきた。

WWD:なるほど。

森:一方で、個人の流れも大きい。今後の消費の中心を担うミレニアル世代やZ世代がサステナブル思考を持っており、彼らに受け入れられる事業をしなければいけないという時代が来ている。これは、国連という世界規模の組織とは真逆に位置する個人単位からも、企業に対してプレッシャーがかかっているということを意味する。

WWD:国家レベルと個人、両方からのプレッシャーがあったと。

森:そうだ。まとめると、企業を動かすステークホルダーとして、ミレニアル世代やZ世代などの若い世代と投資家、そして国連やNPO、NGOなどの存在があるということだ。

WWD:国連だけでなく、NPOやNGOの存在も重要か。

森:欧米では特にNGOに対する信頼は厚い。エデルマン(EDELMAN)というPRとマーケティング、コンサルティングを行う会社が出している信用スコアによれば、グローバルで政府、NGO、メディア、企業のうち、もっとも信頼されているのがNGOという結果だ。一方で、日本ではトップが企業。ここでも意識の差は大きい。

WWD:日本市場の動向はどうか。

森:15年に「SDGs」が採択され、4年経った今、日本にもようやく波が来ていると感じる。環境などに配慮した投資のことを「ESC投資」と呼ぶが、日本では全体に占める「ESC投資」の割合がここ数年で急増している。業界ごとの進捗はまだら模様だが、サステナビリティへの関心が早かったのはコピー機業界。組み立て産業であるため、CO2削減に取り組みやすかったからだ。実際にリコー(RICOH)は90年代からに環境経営を打ち出し、環境負荷を減らしながら売り上げを伸ばせることを実証している。

企業がサステナビリティに取り組むにはどうすればいい?

WWD:企業がサステナビリティに取り組む意義は?

森:ユニリーバ(UNILEVER)のポール・ポールマン(Paulus Polman)前CEOはかつて「世界で展開する400ブランドのうち、サステナブルを掲げた28ブランドが他ブランドよりも47%早い成長を見せた」と発表した。また、前述のエデルマンによれば「社会問題に取り組む企業の社員の方が、そうでない企業よりも高いモチベーションで働ける」ことが分かっている。つまり、企業にとってもあらゆる面でサステナビリティによるメリットを享受できるだけでなく、それに取り組まない企業の価値は相対的に下がっていくものだと思われる。

WWD:サステナビリティへの取り組みに成功した企業事例は?

森:パームオイルへの反感が高まった際のユニリーバや(パームオイルを用いたことで)「キットカット」不買運動が起こった時のネスレ(NESTLE)などは、社会の動きにすぐに対応してみせた。意見をすぐに聞きいれる姿勢は企業にとってとても重要だ。

WWD:これからサステナビリティに取り組みたい企業はどうすればいいのか。

森:最近は「法令遵守」の“守り”のCSRから「社会貢献」のための“攻め”のCSRへと企業動向が変わってきた。アウトサイド・イン アプローチといって、顧客課題よりも先にある社会課題に対して価値創造ができる事業に取り組むことが必要だといわれている。ただ、いろんな事例を挙げたが、全ての取り組みがパーフェクトだと言える会社はまだない。

WWD:アウトサイド・イン アプローチの具体例は?

森:社会課題や社会的ニーズに対応できるビジネスの実例としては、京都議定書採択の時期にあわせて誕生したトヨタ(TOYOTA)のハイブリッドカー“プリウス”がもっとも有名だろう。そのほか、途上国での認知度拡大に成功したリクシル(LIXIL)の“2ドルトイレ”、地域問題を解決するために放置竹林の竹を使ってノートなどを製品化した中越パルプ工業、廃プラスチックから生まれた「アディダス(ADIDAS)」の“ウルトラブーストパーレイ”など、アウトサイド・イン思考で生まれた製品は数多く存在する。ただ、企業ごとにこのアウトサイド・インの方法は異なるため、明確な正攻法がないこともサステナビリティの現実である。

WWD:森編集長としては今、サステナビリティでどんな分野に関心を抱いているか?

森:ファッションにも大きく関わる分野だが、「アニマルウェルフェア」に着目している。近々「オルタナ」でも特集を組む予定だ。ミュールシング(寄生虫を防ぐための羊への処置)の問題やモヘア使用禁止など、世の中が大きく動いている。フランスでは国を挙げてオーガニックに取り組んでいるし、これからの時代に堂々と毛皮を使うことはできないだろう。ファッション企業としても、消費者の声を聴きながら、先のリスクを見据えた行動を心がける必要があるはずだ。

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小島健輔リポート 紳士服チェーンが軒並み赤字転落 スーツビジネスに未来はあるのか

 ファッションビジネスのコンサルタントとして業界をリードする小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。仕事着のカジュアル化によってスーツ離れが進んでいる。これからスーツビジネスはどう再編されるのか。

 ビジネスマンのスーツ離れが加速する中、紳士服チェーンの業績が一段と落ち込み、末期症状を呈している。大手各社は成長分野の若向けパターンオーダー(PO)や婦人向けビジネスウエアに注力したり、リサイクル店や百円ショップから飲食サービスまで企業フランチャイズ(FC)を広げて紳士服の低迷をカバーしているが、もはや本業の落ち込みを支えきれなくなっている。スーツビジネスは衰退してしまうのだろうか、短納期POなどによる突破口はあるのだろうか。

紳士服チェーン大手4社が赤字転落

 直近決算では、はるやまホールディングスの9月中間期が前年同期に続いて8億5000万円の経常赤字となり、コナカも9月期本決算の最終損益が53億円の赤字と前期の4億9300万円の赤字から11倍近く肥大。前年9月中間期はほぼ半減ながら5億3300万円の黒字を保ったAOKIホールディングスも今9月中間期は4億9600万円の経常赤字に転落。業界首位の青山商事も今9月中間期で11億5800万円の経常損失に転落し(前年中間期は15億8600万円の経常黒字)、アメリカンイーグル事業撤退に伴う69億9800万円の特損計上で純損失が前年同期の1億2300万円から64億6900万円に肥大。20年3月期決算見通しの最終損益も前期の57億円の黒字から20億円の赤字に転落する。

 青山商事の最終損益が赤字となるのは1964年の創業以来で、紳士服市場の衰退がのっぴきならないところまできたことを印象付ける。

ピーク時の3掛け以下に
激減した紳士スーツ市場

 「紳士スーツ市場」の凋落を考えるには、まず「紳士服市場」と分けて見なければならない。紳士服チェーンの売り上げに占める紳士スーツの割合は30%前後で、他はジャケットやコートなどのアウター、シャツやニットなどの単品、靴・バッグなど服飾雑貨、そして近年力を入れている婦人服は17〜18%も占める。メンズウエアの主流はカジュアルやスポーツ&アウトドアで「紳士服」そのものがマイナーなのに、さらにその紳士服の中で紳士スーツが占める割合は25%にも満たないのが現実なのだ。

 百貨店の紳士服・洋品の売り上げのピークは1991年、紳士服チェーンの売り上げのピークは94年だったから、バブル崩壊で高価な百貨店からリーズナブルな紳士服チェーンに需要が移ったことが分かる。

 その後はデフレの進行とカジュアルシフトでどちらも縮小を続け、2011年には百貨店の紳士服・洋品がピーク時の42.6%、紳士服チェーンが同58.4%で底を打ち、14年には景気の回復で再拡大に転じた紳士服チェーンが百貨店の紳士服・洋品を抜き、直近の18年では百貨店の紳士服・洋品が3859億円に落ち込んだのに対し、紳士服チェーンは4478億円と健闘していた。

 しかるに、18年の秋口からかげり始めた景気が19年に入って低迷を深め、紳士服チェーンの業績も暗転して大手全社が赤字となった。

 紳士スーツ市場全体のピークは92年で、購入単価5万7300円(家計調査)×1350万着で7750億円ほどの規模があったとされる。大底の11年では購入単価3万2548円(家計調査)×670万着弱で2100億円台まで落ち、その後の景気回復で18年には購入単価が3万7600円まで戻して市場規模も2350億円ほどまで回復したが、19年は2200億円余、630万着まで落ちると推計される。

 市場規模でピーク時の28.4%、着数で同47%ほどに激減した背景は何だったのだろうか。

ビジネスマンが
スーツを着なくなった背景

 もとよりスーツは組織人としての階級を表す武士の裃(かみしも)か軍服みたいなものだから、サラリーマンじゃない自由業者は必要としない。米国のビジネス社会では「スーツ」「セールスマン」「オフィサー」「ワーカー」と服装の階級が明確で、エグゼクティブ階級の「スーツ」はピッタリ仕立てたオーダースーツ、あるいは高級ブランドの既製スーツをジャストにフィッティング、中間管理職階級の「オフィサー」はセンタープレスパンツにジャケットというビジカジスタイル、現場の「ワーカー」階級はワークパンツやトラックパンツにブルゾンというカジビジスタイル(キレイ目なカジュアルに過ぎないが)、「セールスマン」階級はフィットの緩い安手の既製スーツというのがお決まりだ。

 だからこそ、成功したベンチャー経営者は超高級なオーダースーツで地位を誇示するか、著名デザイナーにロットで特注したTシャツやトレーナーで既製秩序の超越を主張する。それは日本でも同様だ。

 中産階級の崩壊とデジタル化による中間管理職層の圧縮でジャケット軸のビジカジが衰退し、機能的でTPOレスなアスレジャーの蔓延によってカジビジが主流となりオフィサーとワーカーの垣根が崩れる一方、貧富の差の拡大でエグゼクティブ階級は高級オーダーに流れ、上昇志向の若者はエグゼクティブ階級を夢見て手頃なパターンオーダーに流れ、機能性と低価格を必要とするセールスマンは合繊のアクティブスーツに流れ、既製スーツ市場は急速に縮小していった。

 それを後押ししたのが「スニーカー革命」と、行政による「スニーカー通勤」推進だったことは特筆しておきたい。

 移動に社用車が使えるエグゼクティブ階級はともかく、自分の足で動かねばならないセールスマン階級にとって革靴は苦痛だったが、勤労女性のパンプス拒絶に先立ち、見かけはビジネス革靴でもゴムソールのビジネススニーカーが一般化した。17年10月から始まったスポーツ庁による「スニーカー通勤」推進を契機にオフィサー階級にも波及してモードスニーカーがトレンドとなり、前後して売り出されたアクティブスーツが紳士服チェーンや百貨店にも広がって既製スーツ市場から需要が移動していった。

流通の無駄も
既製スーツ市場を潰した

 既製スーツ特有の流通事情も、この流れを加速した。既製スーツは縦(身長)・横(ドロップ)のサイズに加えて、トラッド、コンチネンタル、ブリティッシュ、クラシコイタリアなどテイストでパターンが異なり、無地から織り柄・プリントまで生地のバラエティーも求められる。そのため紳士服チェーンでは1500ほどの組み合わせ(=在庫)が必要になる。しかも、低コストに抑えるため半年以上も前から海外工場で作りためて、半年かけて売り減らしているのが実情だ。それゆえ在庫は年に2回転もせず(既製スーツだけなら1.4回転ぐらい)、期末には3割前後が売れ残る。それにテイストやサイズ、生地の差異を新規商品で継ぎ足して次シーズンの品ぞろえを構成するのが業界慣習だ。まるで鰻屋のタレのような話だが、本当だから仕方がない。

 こんな非効率な商売だから利幅がないとやっていけない。法外な歩率を取られる百貨店ブランドなら小売価格の18%以下、リーズナブルな紳士服チェーンでも30%までに原価を抑えないと利益が残らない。ロットの格差もあり、同クラス品質の商品なら百貨店ブランドと紳士服チェーンで価格が倍違うというのは本当なのだ。

 在庫負担が重い既製スーツビジネスに見切りをつけ、回転の早いアクティブスーツや、受注先行で在庫負担のないパターンオーダーにシフトしたいのは業界側とて山々だった。ゆえに、お手軽なアクティブスーツやデジタル仕掛けの短納期パターンオーダーが業界のブームとなって、既製スーツ市場の縮小に拍車をかけている。

既製スーツからパタンオーダーと
アクティブスーツへ

 需要が減って業界も見切りをつけた既製スーツの縮小はもう止まらないが、組織のリーダーが階級を誇示したり成功者がリッチなお洒落を主張したりするオーダースーツは絶対数量は限られても、女性エグゼクティブも取り込んで存在感を増していく。一方で、実用的ビジネスウエアとしてのアクティブスーツはお洒落と低価格の両方に広がってビジネススーツの本流となるだろう。

 その隙間で動向が注目されるのが、素材やサイズの品ぞろえが限られる既製スーツからジャストな好みとサイズを求めて移行するパターンオーダーだ。リッチなお洒落を求めるオーダースーツなら職人の手縫いを楽しみに待つかもしれないが、既製スーツから移行するパターンオーダーでは既製スーツの修理加工期間と納期を競うことになる。オンワードホールディングスの「カシヤマ・ザ・スマートテーラー(KASHIYAMA THE SMART TAILOR)」が実現した、中国・大連工場生産でメジャー・トゥ・ウェアが1週間というスピードがデファクトスタンダードとなり、国内工場生産なら4〜5日が競われるようになるやも知れない。

 サイズデータをオンラインでマーキングCAD&カッティングCAMに送ればその日のうちに仕立てに移れるから、足掛け3日でプレス成形まで終わり、遠隔地でも翌々日には届く。デジタル生産ならメジャー・トゥ・ウエアが4〜5日というのも誇張ではないのだ。

 肝心の市場規模だが、ざっくりとした概算で現状は既製スーツ510万着強、パターンオーダースーツ110万着弱、フルオーダースーツ10万着弱の計630万着前後と推計される。これには「セットアップ」に分類されるアクティブスーツは入っていない。これが5年後にどうなるのか。

 既製スーツは市場の縮小が生地やサイズの選択肢を狭めて減少が加速し、パターンオーダーやアクティブスーツに流れて400万着を割り込む一方、エグゼクティブ階級ライクなスマートフィットを求めるビジネスマンにも限界があるからパターンオーダーも120万着程度で頭を打ち、フルオーダースーツは「オートクチュール」化して高額化すれど男性向け着数が伸びるとは思えない。今日のような戦争のない資本主義社会が続くとしても、スーツ市場は合計530万着程度まで縮小するのではないか。

女性向けスーツ市場に期待

 これらの数値は男性向けスーツに限ったもので、女性向けスーツの数量はカウントしていない。紳士服チェーンでは女性向けが売り上げの2割に迫るから、単純計算で120万着近いマーケットが存在しているはずで、男性向けとは逆に急ピッチで拡大している。それとは別に営業ウーマン向けにネット通販などには1万円以下の低価格マーケットが存在するが、その多くはアクティブスーツに移行していくだろう。

 女性向けスーツも既製スーツには男性向け同様の限界があるが、エグゼクティブ向けのオートクチュール的フルオーダー、キャリア向けの短納期パターンオーダー、営業ウーマン向けのアクティブスーツは急速な拡大が見込まれる。女性就業率が米国を抜いて70%の大台に乗り、北欧並みの80%へと加速するこの日本で、スーツビジネスの未来は女性市場が担うと期待される。

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。 番外編 二階堂ふみがサステナビリティに興味を持った理由

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――とはいうものの、具体的に何をどうしたらいいのかわからないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞いてその解決策を探る。今回は番外編。ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)とサステナビリティをテーマに対談を行った女優の二階堂ふみに、ステラのファンになったきっかけと、なぜサステナビリティに関心を持ったのかを聞く。

WWD:ステラと会った感想は?

二階堂ふみ(以下、二階堂):彼女自身がまだ完成形ではなく、どんどん進化している女性だと感じました。次から次へと伝えたいことが溢れ出ているようでした。私自身「ステラ」ブランドを通じて知ったことがたくさんあったので、その取り組みへの信念や気持ちをあらためて確認することができて、より魅了されました。

以前、ステラがインタビューで「私が引退するのは、自分がやってきたことが次の世代に伝わって、やる必要がなくなったら」というようなことを言っていましたが、私もステラの考え方や行動に続いていけたらいいなと思います。

WWD:サステナビリティに興味を持ったきっかけは?

二階堂:もともとは、動物愛護の観点からステラに共感するものがありました。保護猫や保護犬を引き取って今家に6匹の動物がいて、彼らから教わることがたくさんあります。そうして、自分の生き方やライフスタイルの価値観がどんどん変わり、ファッションに対しても疑問を持つようになりました。

きっかけは動物愛護ですが、どんどん環境への興味が広がりました。持続可能性は、私たちがこの地球に生まれた限りは、蓋をするのではなく考え続けなければいけないことだと思います。

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忙しい年末のパーティー準備をワンストップで解決! 「ディーン&デルーカ」のホリデーコレクション

 ハロウィンが終わると、飲食業界は一気に年末年始の「ホリデーモード」に突入。今年は消費増税もあり、消費者の財布のヒモも引き締まる中で、業界で注目を集めるのは軽減税率制が適用されるテイクアウト食品です。各社は例年以上に同カテゴリーの強化に力を入れています。

 年末年始は、自宅で過ごしたいという人も多いはず。ウエルカムが運営する食のセレクトショップ「ディーン&デルーカ(DEAN & DELUCA)」はこのほど、年末年始のための特別なフードメニューを集めた「ホリデーコレクション」をメディア向けに披露しました。今年の同コレクションのキーワードは、“ホームパーティー”。慌ただしい年末でも家族や友人とのひとときを存分に楽しめるよう、家で作るにはちょっとハードルの高いようなプリペアードフードやワイン、パーティーを彩るオーナメントまでが一同にそろいました。

 アメリカ南部の伝統料理“バターミルクチキン”(2800 円)、900gのボリュームが嬉しい“ダブルパウンドステーキ”(7800円)、国産地鶏をジューシーに焼き上げた“ホリデーローストチキン”(5000円)などをメインに、それらを引き立てる前菜や副菜、デザートをラインナップ。メニューを考えたり、食材をそろえたりの負担もなし。ホームパーティーをもっと気軽に開催したくなるような工夫が詰まっています。

 お皿に盛り付けるだけですぐに食べられるシャルキュトリーやチーズ、こだわりの調味料やワイン、保存がきくパスタソースなどは手土産に最適。「どんなメンバーが、何人集まるか分からない」。そんな場合にも対応できるアイテムがそろうのが嬉しいですよね。たとえ余ったとしても、ホストが独り占めできますしね(笑)。

 そしてクリスマスの主役といえば、ケーキを筆頭としたスイーツたち。予約必至のホールケーキから、伝統的なレシピに忠実に作られたシュトーレンやイタリア菓子のパネトーネまでバリエーション豊富。

 パーティーにはギフトも欠かせません。ツリーに飾って楽しむオーナメントや愛らしいジンジャーマンクッキーなどは、子どもたちへのプレゼントにもおすすめ。華やかで愛らしいでデコレーショングッズが、パーティムードを盛り上げてくれます。毎年人気のアドベントカレンダーは、来年も使うことができます。

 食のみならず、クリスマスのオーナメントや飾り付け、ギフトといったアイテムまでそろう「ディーン&デルーカ」なら、ホームパーティーのお買い物もワントップ完結。寒い中重い荷物を持ってお店をはしごするなんてことも必要なくなります。ホリデーコレクションは直営店とオンラインで予約をスタートしています。

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「第二の皮膚」が商品化! 花王バイオミメシスヴェールを1カ月使ってみた

 2018年11月の技術発表後、大反響を呼んだ花王の「ファインファイバー テクノロジー」。化粧用のポリマー溶液を1マイクロメートルの極細線維として肌に噴射し、一枚の薄いベールを形成する技術だ。塗布した時、違和感のない「第二の皮膚」として、話題を呼んだこの技術を搭載した第一弾製品が、いよいよ12月4日から発売される。製品のスペックや花王の販売戦略は本誌に任せるとして今回、発売を前にお試しできる機会をいただいたので「いち女性の視点で、実際に使ってみた」感想を記したい。

それは「ひと晩中貼っておける湿潤マスク」

 ファインファイバー テクノロジー搭載の第一弾製品とは、美容液「エスト バイオミメシス ヴェールエフェクター」(以下、エフェクター)と、ファインファイバーを肌に塗布する「バイオミメシス ヴェール ディフューザー」(以下ディフューザー)だ。開発段階では「人工皮膚?」「メイク製品?」など、さまざまな憶測を呼んだが、この製品を一言で表すなら「ひと晩中貼っておける湿潤マスク」が最も近いと思う。

 使い方は、普段のスキンケアの最後に専用美容液のエフェクターを塗布し、その後にデュフューザーで、ファインファイバーの薄膜ベールを形成する。そのまま一晩就寝し、翌朝にはがすというステップだ。今回花王が注目したのは、医療分野における「湿潤療法」。肌を理想的な湿潤環境に導くことで、バリア機能をサポートするという。

使いこなすまでには、少々慣れが必要

 まず、製品を使用する前に、一度カウンターなどできちんとレクチャーを受けることを強くオススメしたい(特に、私のような機械操作やマニュアルを読むのが苦手な方はぜひ)。カートリッジのセット方法や、使用前に毎回必ずスイッチをしずく型の部分に合わせ、水滴を出す(ファイバーを正しい方向に均一に噴射するために必要)、保存時には必ずキャップをカチッと音がするまで閉める(きちんと閉めないとまれに液漏れすることも)など、使用の際にいくつかポイントがあるからだ。

 噴射の方法も、少々慣れが必要だと思う。ディフューザーと肌との距離は、グーを握った拳1つ分くらい。スイッチを押しながらゆっくりと本体を動かすと、まるで蜘蛛の糸(もしくは綿)のようなファイバーが肌を覆っていく。本体と肌の距離が適切でなかったり、早く動かし過ぎたり、塗布するファイバーの量が少ないと、均一な「一枚膜」が形成できないことがある。コツをつかむと簡単で、1分程度で均一に塗布できるようになる。

見た目もつけた感じも違和感のない「究極の一体感」

 実際に塗布してみよう。極細線維を噴射し、重なり合った綿のような状態を、そっと指の腹で押さえると……? 写真のように透明な一枚のヴェールに変わり、ピタッとフィットする。見た目にも分からず、つけている違和感もない(厳密には、布直後は肌がピンと引っ張られる感じがするが、すぐに気にならなくなる)。これは正直、驚きの体験だった。

 表情の動きにもついてくる究極の肌との一体感は、まさに「第二の皮膚」と呼ぶにふさわしく、感動を覚えずにはいられない。そして、閉塞感を感じないのも特徴の1つ。これは1マイクロメートルという極細線維が折り重なって1枚の膜を形成するため、通気性に優れているからだという。シールド感がありつつ、息苦しさを感じない、既存のシート状マスクやクリーム等の保湿材とは全く違う使用感だ。

 既存のシート状マスクには、不織布に美容液を浸透させたもの、美容液をゼリーのように固めたものなどがある。いずれも乾くと浮いてきたり、下を向くと落ちてきたりする。これらとファインファイバーのベールが最も違う点は、「一晩中貼っておけること」だろう。うっかりシート状マスクをつけたまま寝てしまうと、シートが乾いて逆に肌の水分が奪われることがある(忙しい女性は、1度くらい経験があるのでは…?)。ファインファーバーの薄膜ベールは、一晩中肌に寄り添い、「理想的な湿潤環境」に保ってくれるのだ。

翌朝の肌の質感は、かつてない感動体験

 翌朝起きたら、一晩塗布した薄膜ベールをピリピリとはがし、いつものように洗顔を行う。この剥がしたあとの「肌感覚」に、正直とても驚いた。しっとりと潤いで満たされ、表面は実に滑らか。キメがきちんと整っている感じがする。夜に濃密なクリームで保湿すると、翌朝はベタついたり脂が浮いてくることもあるが、あと肌がロウのように滑らかで、つるんと整っている。感覚的な表現で恐縮だが、「本来の潤いを過不足なく保持している」「バリア機能があるべき状態に整っている」というのが近い。

 仕事柄、これまでさまざまな保湿アイテムを使ってきたが、確かにこの肌感覚は過去に経験がなく、既存の保湿アイテムとは一線を画すと言っていい。たった1回の使用でこの保湿感が実感できるのも感動的だ。数日間継続して使うと、さらに表面が滑らかに整い、毛穴の引き締め感が増していくように思う。試していたのは寒さが増していく初冬の時期だが、乾燥して粉を吹くような状態に陥らなかった。花王は毎日の使用を推奨しているが、最初に集中して使い、ある程度肌状態が整ったら、乾燥がひどい時など週2~3回の使用でも良いかもしれない。

専用の美容液は併用しないとダメなのか?

 一方で、使っていて気になった点もいくつかあった。まず最初の頃は、一枚膜の均一なベールを形成するのが難しく、翌朝はがす時にポロポロと破けてしまったこと。花王に問い合わせてみると、ディフューザー本体と肌の距離が適切でない可能性や、噴射量が少ない可能性があるという。白い綿のようにファインファイバーが肌を覆うまできちんと噴射すると、確かに一枚膜ではがれるようになった。

 また、素朴な疑問として、「専用美容液の『エフェクター』は、必ず併用しなくてはいけないのか?」ということもある。スキンケアの最後にクリームを使用する場合、エフェクターのほうが、テクスチャーが軽く浸透していく感じがしないこと。あとは単純に「クリームの上にそのままファイバーを噴射し、ベールで覆ってはダメなのか」という疑問も。

 この問いに対する花王の回答は「専用のエフェクターは併用して欲しい」だった。なぜなら、エフェクターとファインファイバーのベールがセットとなった時、最も理想的な湿潤環境が整うからだ。今回の製品はベールの薄膜感、肌との一体感ばかりが注目されがちだが、ファインファイバーの優れた特徴の1つは、極細線維の「毛細管現象」(液体に細い管を入れると、液体を引き込む力のこと)にある。肌の上に張り巡らされた極細線維の膜に、このエフェクターを効率良く毛細管現象によって引き込み、湿潤環境を整えるよう設計されている。もちろん、クリームの上にファイバーのベールを塗布しても毛細管現象は発揮されるが、「最も理想的な湿潤環境」をかなえるのは、エフェクターであるという。ちなみにこの湿潤環境実現のために、花王は100以上の処方を検討し、現在のエフェクターにたどり着いた。

 それを聞いて、クリームや乳液など、色々なアイテムの上にベールを重ねてみたが、確かにエフェクター使用時が最も膜感が均一で、翌朝の保湿感もバランスが良かったように思う。一方で、使い続ける場合は、消耗品としてのコストを考慮しないといけない。エフェクターは約3カ月分、本体にセットするファイバーのポーションは1カ月半分とのこと。個人的には、これらのランニングコストが、もう少し手の届きやすい価格だとありがたく思う。

メイクや医療分野への応用に期待!

 前述のように、使用法やコストの課題はありつつ、花王のファインファイバー テクノロジーが、かつてない技術であることは間違いない。今回は健常肌の人に向けた製品だが、個人的には、バリア機能が低下した肌(たとえばアトピー症状の肌など)にこそ、シールド膜として役立つのではないかと思う。さらに一歩進んで、寝たきりの方の褥瘡や、傷跡の治療など、「医療分野」への応用にも可能性を秘めている。これらを実現するためには、薬剤の開発や安全性の確認など、さらなる研究及び知見の集積が必要だが、現代特有の皮膚疾患や高齢化社会への貢献が期待できる。

 そして、一女性としては、いずれ「メイク分野」への進出も、期待せずにはいられない。朝シューッと噴射して、見た目には分からない均一な肌を演出し(まさに疑似皮膚として!)、夜帰宅したらはがすだけ、というメイクが実現したらどんなにいいか……!花王も今回は「第一弾」と称しているように、現在もファインファイバーを応用した製品の開発が進んでいるそう。新たな製品の登場に、心から期待したい。

宇野ナミコ:美容ライター。1972年静岡生まれ。日本大学芸術学部卒業後、女性誌の美容班アシスタントを経て独立。雑誌、広告、ウェブなどで美容の記事を執筆。スキンケアを中心に、メイクアップ、ヘアケア、フレグランス、美容医療まで担当分野は幅広く、美容のトレンドを発信する一方で丹念な取材をもとにしたインタビュー記事も手掛ける

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ダイバーシティーなモノブランド エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月5日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

ダイバーシティーなモノブランド

 「モンクレール(MONCLER)」は、(もちろん、いろんなアイテムがありますが)ダウンブランド。売り上げの大半をダウンが支えているのは間違いないし、ブランド自体もキーアイテムの売り上げが全体の半分を下回るなんてありえない、と思っているであろうくらいダウンアウターに注力しています。しかしながらこのブランドは、実にダイバーシティー(多様性)に富んでいて面白い。その象徴は、複数のクリエイターが参画するコラボプロジェクト「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」です。

 2020年春夏のミラノメンズ期間中、「モンクレール ジーニアス」を構成するラインの1つ、「パーム エンジェルス(PALM ANGELS)」とのコラボコレクションのお披露目のパーティーに伺いました。ストリートでもあるダウンブランドの顧客には当初から若年層が少なくありませんが、パーティー会場のゲストの若いこと!!「パーム エンジェルス」が繋がるヒップホップ・カルチャーの住人も多く、黒人も大勢です。応対する「モンクレール」のスタッフは、普段と違うムードに明らかに戸惑っていました(笑)。

 そんな「モンクレール」の売り上げは、国内・国外ともに今も好調です。正直小売店からは、「『モンクレール ジーニアス』の売り上げは、マチマチ」との声も聞こえますが、藤原ヒロシとのコラボラインを筆頭に既存とは異なる消費者を獲得しているのは事実。複数のラインを定期的に“ドロップ”したり関連イベントを開いたりしてるため、SNSでのビジビリティーはバツグン。若年層における知名度をさらに高めています。

 そして注目すべきは、既存顧客や高感度層が、自分たちとは全く異なる新客の流入を歓迎していることです。ダイバーシティーなブランドのファンの“元祖”であること、新客の流入が絶えない“イケてる”ブランドを昔から知っていたこと、若者と同じブランドのファンというある種のコミュニティーに加わっていることに喜びや誇りさえ感じている。さまざまなSNSで「#moncler」と検索すると、時々、そんなコメントに出合えます。

 女性の登用などを支援する企業のトップに「なぜ、ダイバーシティーなんですか?」と話を聞くと、「儲かるから。逆に、それをしなければ儲からず、ビジネスが続かないから」と断言されたことがあります。「モンクレール」のショップを訪れると、いつも彼の言葉を思い出すんです。モノブランドなのに、ダイバーシティー。不思議なブランドです。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
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ウールマーク・プライズを勝ち取った「エドワード クラッチリー」 キム・ジョーンズを陰で支える実力者

 ザ・ウールマーク・カンパニー(THE WOOLMARK COMPANY)が主催する「2019 インターナショナル・ウールマークプライズ(IWP)」のグランプリに、英国発の「エドワード クラッチリー(EDWARD CRUTCHLEY)」が選出された。さらにイノベーション・アワードも獲得するというダブル受賞を達成し、実力の高さを世界に示した。ブランド設立は2015年だが、1980年生まれのクラッチリーは若い頃からさまざまなキャリアを積んできた実力者だ。セント・マーチン美術大学(Central Saint Martins BA)卒業後、テキスタイルの審美眼を買われてカニエ・ウェスト(Kanye West)や「ジバンシィ(GIVENCHY)」のクリエイティブ・ディレクターを務めるクレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)らと協業。さらに「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」でメンズのテキスタイル・コンサルタントを務める中で、同ブランドのメンズを当時率いてきたキム・ジョーンズ(Kim Jones)の信頼を得た。キムが2018年4月に「ディオール(DIOR)」のアーティスティック ディレクターに就くとクラッチリーも同ブランドに移り、現在はメンズのテキスタイルとグラフィック部門のディレクターという立場からキムのクリエイションを支えている。

 素材に対する強いこだわりは、自身のブランドにも表れている。ストリートウエアと東洋のムードを融合したロンドンのデザイナーらしい独創性に加え、素材は一目見て上質だと分かる高級感を備える。クリエイションのみに偏りがちなブランドが多いロンドン・メンズ・コレクションにおいて、そのモノ作りは異彩を放つ。「ロンドンでコレクションを発表し続けて、最近は注目度も上がっている。ブランドをさらに成長させるなら今だと思い『IWP』にエントリーしたんだ」とクラッチリー。オーストラリアのメリノウールのみを使用したウエアのアイデアやテクニック、ポリエステルやコットンを使わず天然素材のウールのみにこだわった姿勢が評価され、グランプリを勝ち取った。受賞したコレクションに使用した生地の多くは日本で製作したものだ。「テキスタイルのデザインを10年以上行ってきたので、今では日本や欧州のさまざまな技術者とつながることができた。今回もウールで何ができるのかイメージを膨らませ、日本の工場と一緒に形にしていった」。

サステナビリティは「バランスが大事」

 さまざまなキャリアを通じて素材や生地に接してきたからこそ、世界中で強まるサステナビリティの流れにも独自の考えを持つ。「自分のブランドでは、可能な限り天然素材を使うことを心掛けている。ここ4シーズンは、その割合も段階的に増やしてきた。でも、サステナビリティだけを意識してモノ作りしているわけじゃない。環境問題と向き合うには、ただ天然素材やリサイクル素材を使えばいいというような単純なものではないから。例えばポリエステルを再利用しようとすると、新しく生産するよりも3倍のエネルギーがかかる。モノ作りはバランスが大事なんだ」。クラッチリーは、ファッションで地球環境と向き合うための要素として3つを挙げる。「環境、社会、技術の3つのバランスがとれてこそ、地球環境に配慮したモノ作りができる。最も大事なのは技術だ。日本の伝統工芸である絞り染めの技術と、現代のテクノロジーを生かしたジャカードのデザインを融合し、天然素材を形にしていく。そのバランスこそが、サステナビリティにつながると僕は信じている」。

 「IWP」を受賞し、20万豪ドル(約1560万円)の賞金も得た。今後は日本や中国など東アジアをはじめ、インドネシアやブラジル、インドなどの新興国にも販路を広げていきたいという。しかし「エドワード クラッチリー」の10万円以上のシャツや20万円以上のジャケットは、誰もが手を出せる価格帯やデザインではないだろう。それでも、素材や技術に対するこだわりを貫く姿勢がブランドの個性を育み、ビジネスにつながるとクラッチリーは信じている。「今回の賞金をすぐに施設や人件費に投資することは考えていない。もっと長期的にビジネスプランを組み、オペレーションを改善して創造性を発揮できる環境を整えたい。自分たちのやり方を長く続けていけば、売り上げや認知度は上がっていくはずだ」。最後に、同氏のモノ作りに欠かせない日本についても聞くと意外な答えが返ってきた。「来日はもう17回目になる。それでも行きたい場所が多すぎて、一つに絞れないんだ。これまで京都や茨城でさまざまな伝統技術を学び、コレクションに生かしてきた。ただ、日本に来て一番楽しみなのは“ポカリスエット”を飲むことだけど(笑)」。

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。 連載 番外編「WWD JAPAN.com」読者に環境意識をSNS調査

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――とはいうものの、具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探る。今回は番外編として、「WWD JAPAN.com」の読者がどれほどこのトピックを身近に捉えているのかを知るべく、公式インスタグラムとツイッターを通してアンケートを行った。

 世界各国で記録的な熱波やハリケーンによる甚大な被害がもたらされている。日本でも今年10月には大型台風19号が関東を直撃し、甚大な被害をもたらした。これらは私たちが直面している気候変動の深刻さを物語っている。そこでまず、「自分の生活が気候変動に影響していると感じる?」という質問を投げかけたところ、6割が「はい」と回答。半数以上が自分の消費行動が今まさに起こっている気候変動につながっていると危機感を持っているようだ。

 ツイッターでは主に読者の消費行動に関する質問を投げかけた。すると7割以上が、ファッショングッズを半年に6アイテム以上購入し、半数以上が5万円以上消費しているという。やはり、「WWD JAPAN.com」の読者はファッション消費に積極的な人たちが多いことが分かった。

 実際にファッション製品購入時に環境に配慮されている商品であるかどうかを考えたことがある読者は4割弱(38%)だった。最近、さまざまなブランドがリサイクル繊維を用いた商品や水の使用量を減らした商品を打ち出しているが、そのような取り組みに共感する消費者は着実に増えているようだ。

 アパレル産業が環境負荷が高いといわれる理由の一つに廃棄問題が挙げられる。1年間に廃棄される服の量は100万トンを超えるといわれている。アパレルメーカーの廃棄はもちろんだが、使い捨てのように服を消費することも問題になっている。読者はいらなくなった服をどうしているのだろうか。もっともメジャーだったのは、「メルカリ・古着屋などの2次流通」(57%)だった。残念ながら、次に多かったのが「ゴミ箱へ」(24%)という意見だった。

 ファーストリテイリングやワールドなど大手アパレル企業はこの廃棄問題に対して、古着回収ボックスを設置するなどの取り組みを始めているが、アンケートで回収ボックスを選択した割合は5%にとどまった。インスタグラムで「いらなくなった服を回収ボックスに入れてファッション製品をリサイクルしたことがありますか?」と問いかけてみたところ、使ったことがある人は3割強(36%)。回収ボックスは重い古着を持っていかなければいけないという不便さがあるため、より多くの人に利用してもらうためには運営側の工夫も求められる。

 2次流通をはじめ、リメークや寄付など、私たちにはただゴミ箱に捨てる以外の選択肢も多く提示されている。「一番楽な方法」ではなく、「一番服が長生きする方法」を選びたい。

 また、「注目しているサステナブル企業やデザイナーは?」という質問では、ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)がダントツの1位だった。「ステラがサステナビリティという言葉を知ったきっかけになった」という意見も聞かれた。続いて2位が「パタゴニア(PATAGONIA)」、3位が「ユニクロ(UNIQLO)」、4位が「アディダス(ADIDAS)」、5位が「ザラ(ZARA)」という結果になった。「ユニクロ」や「ザラ」は、これまで大量生産・大量廃棄の代名詞のように扱われていたファストファッションとは別のサステナブルな企業イメージを持たれているようだ。そのほか、アクティビストとしても知られるデザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)やサスティナブルブランドの「カーサフライン(CASA FLINE)」が挙げられた。

 最後に、読者が日常生活で実践しているサステナブルな活動を聞いた。そこではエコバッグや水筒の使用がもっとも多く挙げられた。マイストローやマイ箸などを用意して、これまで何気なく使用していた使い捨てアイテムを見直している人も見られた。そのほか「物が壊れても修理して使う」や「長く着られるものを買う」など、大量消費社会では忘れがちな1つのモノを大切にすることを心掛けている人もいた。

 今回のアンケートでは、読者のリアルな意見を聞くことができた。サステナビリティは今だけのトレンドでも、企業側が選択するオプションでもない。持続可能な方法を探っていくことは、アパレル産業が存続していくために避けては通れない課題だ。アパレル企業は今後どのように消費者を巻き込んでこの問題に取り組んでいくのかを真剣に考える時が来ている。

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ファッション通信簿Vol.37 魔法の杖でマシなドレスに作り変えなさい!米「WWD」がセレブのファッションをめった切り

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第37回は、ダコタ・ジョンソン(Dakota Johnson)、ロザリア(Rosalia)、ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)、ブリー・ラーソン(Brie Larson)、ニコール・キッドマン(Nicole Kidman)、ローラ・ダーン(Laura Dern)、デュア・リパ(Dua Lipa)、シンシア・エリボ(Cynthia Erivo)が登場。今週のセレブたちのファッションに米「WWD」が下した評価とは⁈

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トレンドのスーツで“なりたい私”に ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」(今回は「WWDビューティ」)で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャーに勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、様々な記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P12「ストリートから占う20年春夏トレンド」

読み解きポイント:「ミーハー万歳!ハンサムになりたいお年頃」

ニュースのポイント

 おしゃれ上手がファッション・ウイーク中に見せる“オフランウエイ”の着こなしはますます重要になっている。今回は2020年春夏のオフランウエイの動向から、リアル市場に影響を与えそうな5要素に着目。花柄ドレス、スーツ、ボウタイorジゴ袖ブラウス、キュロット、オールホワイトの5つのアイテムは、はたして来季のトレンドとなるか。

Azuはこう読む!

 まず前提をお話しさせていただくと、ちょうどたまたま本当にうっかりの偶然なんですけども、パリコレ期間中は休みをとってパリ旅行を楽しんでおりました。せっかく同じ時期に行っているのだから!と会場を巡ってオフランウエイの様子を観察!トレンドを汲みつつ自分らしく着こなしたい自律型ミーハー思考なので、おしゃれ業界人たちが世界中から集うパリコレのオフランウエイは毎回とても刺激的です。だいたいファッションウイーク後半になるとトレンドが見えてくるので、それを基にお買い物計画を立て、新品古着問わずしこたま買い込んで帰国します。

 今回真っ先に「買わねば春を迎えられぬ」と思ったのが、5要素の1つ「スーツ」です。以前から店頭でも見かけていますが、オフランウエイでは「レディライク」というよりハンサムな着こなしが多く、パンツはシンプルな太め、ジャケットは丈やベルトで一癖つけた組み合わせにキュンキュンでした。「西洋人とは体型が違うからスナップは参考にならないよ〜」という方はMytheresaのファッション・バイイング・ディレクター Tiffany Hsu( @handinfire )の着こなしをご覧ください。台湾にルーツを持つ彼女の着こなしは嫌味なくクールでハンサム、時にセクシー。なんのためらいもなく明日にでも転生したい。

 「みんな着ていてかっこいい!」というトレンドとしてスーツが気になってはいますが、「なぜ今これが着たいんだろう?」と深く考えてみると、潜在的な欲求というか「自分が今どう見せたいか/見られたいか」を紐解けるので面白いです。私の理由は単純で、かっこよくなりたいから。仕事の場で若い女の子というラベルを貼られたくないし、喋り方がゆるいのでなめられるので、見た目だけでも意図的に威圧的に仕上げたいんです、今は。

 ということですでに帰国してからシンプルなハンサムスーツを購入し、来季は「ファイブノット(5-knot)」の超ストレッチセットアップ(茶)をオーダーしたので春に向けてハンサム化計画が着々と進行中です。一方でボウタイやジゴ袖ブラウスのクラシカルガーリーなテイストも大好物なので、なりたい性格によってスタイルも変える予定。ちなみに個人的に気になったのは①スーツ、②くしゅくしゅ太ブーツ、③アクセサリーバッグでした!

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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キム・ジョーンズに直撃! 渋谷パルコで発売の「ディオール」 × 「リモワ」

 「ディオール(DIOR)」は11月22日、同日リニューアルオープンする渋谷パルコの1階にメンズのポップアップストアをオープンする。2020年1月21日まで。販売するのは、20年春夏メンズのランウエイで発表し、話題となった「リモワ(RIMOWA)」とのコラボレーションと、メンズの定番アイテムを揃える「ディオール エッセンシャル」だ。同ポップアップはその後、北京、米マイアミ、ドバイ、香港と世界を巡回する。

 ポップアップでは、「リモワ」の定番“キャビン”と“トランク”、ランウエイではモデルが小脇に抱えていた“ハンドケース”を販売。いずれもシルバーとマットブラック、グラデーションブルーに染まり、メゾンにとってのアイコン柄「ディオール オブリーク」に彩られる。クロスボディの“パーソナル”は、軽量のアルミニウムケースで携帯性も高く、ピンクも販売。ブルーとピンクは、20年春夏のコレクションの制作にあたって協業した色覚異常のアーティスト、ダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)の色の世界だ。ダニエルはもともと、色がほとんど識別できないが、最近は医学の進歩により誕生した特殊なコンタクトレンズを装着すると、モノトーンの世界に淡いピンクとブルーが現れるという。

 コレクションについて、メンズのアーティスティック ディレクターを務めるキム・ジョーンズ(Kim Jones)に聞いた。

WWD:今回のコラボレーションでは、どんなアイテムを作りたかった?

キム・ジョーンズ(以下、キム):「ディオール」にとっては機能的なトラベルアイテム、「リモワ」にとっては普段使いのアクセサリーという、2つのメゾンにとって新しい挑戦となるプロダクトが作りたかった。そこに財布やスマートフォンなど、みんなにとって大事なアイテムを入れて欲しい。

WWD:「リモワ」と言えば、ラゲージのイメージ。キムにとってのブランドイメージは、それとは異なっている?

キム:僕にとっての「リモワ」は、忙しい人に寄り添うライフスタイルブランド。そこにシャンパンケースなど、既成概念を超越するラグジュアリー・アイテムを加えることで、ブランドイメージを広げてみたかった。

WWD:コラボレーションに先駆けて、今年は「リモワ」の広告塔も務めたが、感想は?正直、キムはシャイだから、勇気のいる仕事だったと思う。

キム:そうだね。僕は生来の人見知りだけれど、そのせいか皆が褒めてくれたし、いろんな反響をもらったよ。巨大なビルボードに映る自分の姿を見たときは、なんだかヘンな感じだったけれど、一生に一度の思い出だね。

WWD:広告塔を務め、さらに一緒にコレクションを作ったことで改めて気づいた「リモワ」の魅力は?

キム:最高の機能性を誇るブランドで、改めて、もっともっと大きなグローバルブランドになれると実感したよ。アレクサンドル(・アルノー(Alexandre Arnault)=リモワ共同最高経営責任者(CEO))は大きな野望を抱えているけれど、きっと実現できると思う。

WWD:キムは「餅は餅屋」、信頼し、得意な人にある程度を任せるチームワークを信条としているけれど、今回のコラボレーションでも「リモワ」のスタッフに助けられた?

キム:「リモワ」の商品づくりは、とってもインダストリアル。可能・不可能を知るベテランとの協業は欠かせないし、自然な選択だった。

WWD:ブルーやピンクは、ダニエルの色の世界だが、彼はコラボ・コレクションの制作にも参画している?

キム:20年の春夏コレクションをベースに、2人で色を選んだんだ。だから、ダニエルはコラボコレクションにも欠かせない存在。ブルーやピンクは、ダニエルの色。そのほかの色は、とっても「ディオール」だ。

WWD:「ディオール」でのキムは常に、エレガントな洋服にストリートライクなアクセサリーを組み合わせ、遊び心を表現しているように見える。

キム:アクセサリーは、楽しい存在であるべきだと思っている。機能的で、毎日の生活に欠かせないものだけれど、同時に個々が自由奔放に組み合わせて自分らしさを表現できるアイテムでもある。僕は、そんなアイテムを提案して、みんなの工夫したスタイリングを見るのが大好きなんだ。

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週末お出かけスポット 200組以上の出店者が集結するフリマ「第16回 東京蚤の市」など5選

 週末にオシャレして出掛けたいスポットをお届け。今週は都内美術館で初の「ミナ ペルホネン(MINA PERHONEN)」の展覧会や200組以上の出店者が集結する「第16回 東京蚤の市」など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(11月16、17日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【イベント】

ガブリエル・シャネルの伝説に触れる巡回展「マドモアゼル プリヴェ」が東京に

「カルティエ、時の結晶」展がスタート 意表を突く会場構成と逸品の数々の競演

ガチャガチャカプセルからコーヒー豆!? 遊び心も味わいも満点なセルフカフェを体験

日本初のバスキア大規模展 前澤ZOZO前社長が所有する作品も

写真家の立木義浩がライカギャラリーで作品展を開催

伝説的デザイナーによる“元祖ストリートコラボ” パリのアライア展が語ること

「スター・ウォーズ」の世界を体感 200点以上の衣装や小道具を集めた展覧会を開催

「プラダ」2020年プレ・スプリング・コレクションキャンペーン 世界7都市にフラワースタンドが登場

島根県が足湯付きのタピオカ店を表参道に限定オープン 「美肌NO.1」を活用して観光促進狙う

まさか人力車までオーダーできるなんて! 「エルメス」の「夢のかたち」展は楽しいサプライズがいっぱい

「ポーター」が「ミナ ペルホネン」とコラボしたイベントを開催

「ブルガリ」と「ドン ペリニヨン」のマリアージュ ブルガリ銀座タワーの最上階に

「MCM」がサステナをテーマに展示会開催 未使用バッグをドレスにアップサイクル

「リモワ」がストリート誌と企画展 過去のアーカイブからアーティストの作品まで

生に挑み続ける現代美術家クリスチャン・ボルタンスキーの死者と魂の物語

「シャネル」の香水の世界観を堪能できるアフタヌーンティーが登場

【ポップアップ】

「エムエム6 メゾン マルジェラ」が全国でポップアップ パディングされたファブリックで包む幻想的な空間

「ゲラン」が銀座に「高級クラブ みつこ」を限定オープン 世界唯一168万円の限定ボトルも

「全然違う暖かさ」と冨永愛も絶賛 「ロロ・ピアーナ」が伊勢丹でポップアップ

仏老舗ニット「メゾン モンタギュ」が表参道ヒルズで初のポップアップショップをオープン

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佐藤裕介 × 光本勇介 2人の起業家が語る「ネット時代の起業マインド」

 若くして2社を上場に導いた佐藤裕介氏と、質屋アプリ「CASH」など話題のサービスを次々と生み出す光本勇介氏らが率いるヘイ(hey)は、インターネット時代のスモールビジネスを支援するための企業と言える。同社は2018年2月に端末一つで簡単に決済できるキャッシュレス決済サービス「コイニー」と、最短2分で誰もがオンラインストアを開設できるサービス「STORES.jp」の2つの事業を傘下に収める形で誕生した。若きシリアルアントレプレナーである2人は、ネット時代の起業やその未来をどのように見えているのか。彼らの考えに迫った。

WWD:2人がヘイとして一緒に事業を行うことになった経緯は?

光本勇介ヘイ取締役ストアーズ・ドット・ジェイピー取締役(以下、光本):きっかけは佐藤(裕介)君の一言でしたね。もともと「STORES.jp」側としては、サービスを通じてスモールビジネスを手掛けている人がオンラインでモノを販売する機会をできるだけ多く作ってきたいと考えて経営してきました。一方で「コイニー」の(佐俣)奈緒子ちゃんも、同じ観点からオフラインの決済を提供してきた。そういった中で、佐藤君がツイッターか何かで「コイニーとストアーズの両方をまとめて展開できるようなビジネスができたら面白そう」と言っていて。もともと3人とも友人関係にあったこともあり、実現できたら面白いよね、と3人でカジュアルに話し合ううちにどんどんと進んでいきました。

WWD:もともとフリークアウトで広告系の事業を手掛けてきた佐藤社長にとって、スモールビジネスの支援は一見無縁のようにも思えるが?

佐藤:今まで手掛けてきた事業を見ると、あまり関係が無いように見えるかもしれませんが、僕の根底には個人をインターネットの力でエンパワメントしたいという感覚があります。そもそも、僕がインターネットの仕事をしようと決めたのは、僕みたいな何者でもない存在に力を与えてくれた経験があったからなんですよね。高校生の時はアプリケーションを自分で書いたり、ネット掲示板で知らない人とコミュニケーションを取ったりしていました。さらには、大学生の時には“ウェブ2.0”的なムーブメントがあり、インターネットが個人の力を強めるという言説も出てきた。ただ、結局は実現せず、グーグルなどの大きい企業がさらに大きくなるだけだった。「インターネットにそこまでの力はなかった」と当時は思ってしまって、僕自身違うことをするようになりました。それが徐々に変わり始めたなと気づいたのは2016年ごろ。光本君とかと比べるとかなり遅いけど、先日上場したBASEや「STORES.jp」の流通総額とかを見ていると、思っているよりもかなり大きく、昔自分が期待していた世界が実現しているなと。

佐藤裕介・社長の原点は「中二病」

WWD:それが今のヘイに至っている。

佐藤:そうですね。僕は完ぺきに中学生の時にこじらせていて、文化に対する過度な信望と、マイナーなことに対する過剰な評価という、ちょっと知恵を付けた中学生によくある病気、いわゆる中二病に陥っていました(笑)。今は割と“治療”が進んでいますが、個人が巨大なモノに勝つことがかっこいいと感じる根底は今も変わっていません。

WWD:光本取締役は12年に「STORES.jp」を立ち上げてから多くのスモールビジネスの立ち上がりを見てきたかと思うが、創業時と今では環境は変わってきている?

光本:かなり変わってきてますね。環境はもちろん、消費者の理解も価値観も全てが違います。「STORES.jp」の創業当時はツイッターやインスタ、フェイスブックなんかが生まれて、個が力を持ち始めていた。ただ、当時はお金という軸で力を持つことはあまりなかった。名刺に個人のツイッターアカウントとかを入れる人がちらほらと出てきていたんですけど、だったら名刺に自分のオンラインストアのURLを入れられるような世界を作れたら面白いな、と思ったのが「STORES.jp」の創業経緯です。そして、キャンプファイヤーだったり、クラウドワークスだったりの誕生で、今や実際にお金の軸で個が力を持つ時代になってきている。この世界はもっと広げていけると思っています。

WWD:2人はエンジェル投資家としても知られているが、出資先を見ていると単に資産を増やすのが目的ではないように見える。2人が投資を行う目的や意義は?

佐藤:投資を通じて起業においてハードルが下がることは、結果的にチャレンジ数も増えていくのでいいことだと思っています。ただ、慈善的に投資を行っているわけではないです。これは「STORES.jp」や「BASE」の出店者とも同じですが、何か大切にしたいものや芯のある人が生き残っている。

光本:新しいビジネスへのチャレンジを見たり聞いたりすることができるのも楽しいですよね。個人的にも新しい事業を考えるのがすごく好きなのですが、僕一人で何でもやることはもちろん不可能。出資をすることでそのチャレンジを覗かせてもらったり、一部に参加させてもらったりするのは勉強にもなります。

佐藤:一種のエンタメのようなものなのかも。人が真剣に取り組んでいるところを見せてもらえる機会ってそうそう無いですよ。映画よりも映画みたいなことがたくさん起きている。起業家たちがやりたいと思っていることが実現できれば社会はもちろん便利に、かつ楽しくなるし、それを見せてもらうこと自体に価値がある。出資を受けて企業を経営している僕にも、そういったオーディエンスが恐らくいると思います。

起業はほぼノーリスク
「挑戦しない方がもったいない」

WWD:「STORES.jp」と「BASE」が共同で立ち上げた資金調達サービス「NO CAPITAL」もスタートし、個人でビジネスを起こすことがより容易になっている。起業家として数々の事業を手掛けてきた2人から、起業を志す個人にアドバイスをするとしたら?

佐藤:自分が過去の常識に捉われていないか、考えた方がいいと思います。障壁は下がっていて「ビジネスのために命をかける」といった気持ちは不要になっているはずなのに、「失敗したら崖から落ちて死ぬ」みたいな10年、20年前の前提がまだ脳内にへばりついている人がけっこう多い。現実的には心意気と、ビジネスをする上での一定の領域があればほぼノーリスクでできるんですよ。

光本:本当に、めちゃくちゃいい時代だと思いますよ。僕が最初に起業した08年のころは、ベンチャーキャピタルや個人の投資家の数が少なかった。結果的に資金調達をせずに来たわけですが、それは単に“できなかった”から。今はリスクやコストをかけず何にでもチャレンジできるわけだから、挑戦しない方がもったいない。

佐藤:ファッション分野で言うと、従来のクリエイティブ重視の観点以外で考えた方がいいのかなと個人的には思っています。今の若いクリエイターの方で、「サカイ(SACAI)」のようなこれまでのファッション文脈で成功している事例に希望を持ってしまいがちな人も多いですが、クリエイティブの領域は主観に左右されやすく、打率や生存率は非常に低い。「STORES.jp」のようなプラットフォーム内には、ファッション業界のトラディショナルな文脈では評価されないけど、規模的に「サカイ」などを狙えるようなブランドがたくさんある。もう少し視座を変えることで、新しい成功事例を立ち上げることができるかもしれません。

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私のサステナビリティ ハンター」のアラスディア・ウィリスはベジタリアンで動物に関するモノを家に持ち込まない

 妻のステラ・マッカートニー(Stella McCartney)をはじめ、子どもを含めて家族全員、ベジタリアンだ。動物を食さないというのはもちろんだが、動物に関するモノ、毛皮なども家に持ち込まないことにしている。動物の虐待につながる活動に関してもサポートしない。ただ、グローバルビジネスに携わっている以上、飛行機にも乗らなければいけないしそのバランスが難しい。温暖化に起因しているファッション業界に従事している以上、責任を追わなければいけないと思う。「ハンター(HUNTER)」としても、3つの側面からサステナビリティにアプローチしている。それは、1つに人権・職場・環境基準を満たす世界中の工場と提携するなどの社会的サステナビリティ、2つ目に製品の全ての素材を人権・動物・環境を尊重し責任を持って調達する製品的サステナビリティ、3つ目に自社事業および製品開発における二酸化炭素排出量の測定・分析を行うなど環境的サステナビリティだ。

私のサステナビリティ
 ファッション業界にとって加速して取り組まなければいけない課題の“サステナビリティ”。企業として大きく舵を切ることはもちろん、個々の意識も重要です。そこで個人的に行なっているサステナビリティについて聞きました。

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。番外編 サステナブルファッションの最先端教育の現場、ロンドン

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのかわからないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞いてその解決策を探る。本特集では、旬のデザイナーを生み続けているロンドンのファッション教育にも目を向けた。なぜなら、サステナビリティが必須になる今、次のデザインの潮流が見えると考えたからだ。

 名門セント・マーチン美術大学(CENTRAL SAINT MARTINS)からは、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)やアレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)、ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)や、「クロエ(CHLOE)」「セリーヌ(CELINE)」を人気ブランドに押し上げたフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)、クリストファー・ケイン(Christopher Kane)らが、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(London College of Fashion)からは、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)らが輩出している。多くの時代の寵児を生んできたロンドンの教育現場で今何が起きているのか。

マテリアルフューチャーズ学科と
バイオデザイン学科って何?

 セント・マーチン美術大学のMAコース(修士課程)にマテリアルフューチャーズという学科がある。多くの有力企業が新しいアイデアを探しに訪れ、修了生はトップ企業に就職している。

 有力企業が注目するのは、同学科がサステナビリティを念頭に置いた素材作りに取り組んでいるからだ。服ができるまでの環境負荷を数値化した場合、素材がその6~7割を占めるといわれており、サステナブルな素材開発は今最もホットな話題になっている。

 2019年に修了した学生の作品には、植物由来のスパンコールやイカの脚の吸盤にある歯から抽出したタンパク質を培養して作ったプリーツ用ののり(90度でアイロンをかければプリーツが完全に取れて生地がフラットになるため再利用しやすい。イカは殺さずに作れる)など、ユニークな研究成果が並ぶ。

 同学科では、さまざまなアプローチでサステナブルな素材を研究しているが、そんな中でも特に学生の人気を集めているのがバイオデザインだ。同大学ではこの9月からバイオデザインに特化した学科が新たにスタートした。それぞれの主任教授のインタビューは連載で追って紹介するが、非常に興味深い内容なので乞うご期待だ。

教育だけではない
若手のサポートシステム

 教育はもちろん重要だが、さらに発表の場としても、若手サポートに手厚いロンドン・ファッション・ウイークがある。ファッション・ウイーク以外でも卒業作品や修了作品を発表する場があり、メディアや企業が注目している点も強みだ。

 前述のマテリアルフューチャーズ学科は企業とも取り組んでおり(バイオデザイン学科も同様)、研究成果が認められ、「ナイキ(NIKE)」「アディダス(ADIDAS)」「プーマ(PUMA)」からラブコールが送られた学生もいたという。大学が最新技術を生む場所になり、有力企業が在学中からその技術開発を注視する――大学と企業が密につながっている点も、ロンドンのファッション教育が“旬”であり続けている理由だろう。

デザインプロセスを再考しながら
クリエイティブとは何かを研究

 8月にゴールドスミス大学(GOLDSMITHS)の副学長に就任したフランシス・コーナー(Frances Corner)教授にも会いに行った。コーナー教授は、直近ではロンドン・カレッジ・オブ・ファッションの学部長を務めており、ロンドンファッションを語る上で欠かせない人物だ。「より幅広い学科があるところで異なる視点を取り入れることが重要だった」とコーナー教授は言う。ゴールドスミスには、神経科学部や心理学部と共同で、デザインプロセスを見直しながらクリエイティビティーとは何かを研究している教授がいるという。学部を超えて研究が行われており、それをカリキュラムに取り込もうというのだ。「ゴールドスミスは、人間とは何か、そして社会の中における人間のあり方を追究している点が興味深い」と話す。

 ゴールドスミスは、セント・マーチンやカレッジ・オブ・ファッションと比べると、より理論に強くアカデミックな大学だ。ダミアン・ハースト(Damien Hirst)ら7人の卒業生がターナー賞を受賞するなど現代美術でも知られるが、実は政治学や社会学、心理学やメディア研究などでもよく知られるファッションデザイナーでは、マリー・クワント(Mary Quant)やマーガレット・ハウエル(Margaret Howell)がいる。

企業との取り組みと
新カリキュラムの導入

 セント・マーチンとゴールドスミス、それぞれの特徴を生かしたアプローチで、今、必要とされる教育が行われており、ロンドンのファッション教育の厚みを感じた。

 デザイナーはサステナビリティの鍵を握る。素材選びや生産工程ばかりではなく、売り方や捨て方までをデザインすることができるからだ。今、ロンドンでは、環境負荷が低い革新的な素材開発と、デザインプロセス自体の見直しが着々と行われている。

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「失敗しないように」なシューカツからの脱却 エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月3日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「失敗しないように」なシューカツからの脱却

 メンズ・コレクションの長期出張を終え1カ月ぶりに出社すると、新卒採用の面接官という仕事が待っていました。昨年以降、会社説明会も担当させていただいており、見覚えのある顔もチラホラ。「あの説明を聞いて、選考に臨んでくれたんだな」と嬉しくなりますが、無論 “えこひいき”はしておりません(笑)。

 振り返れば、僕の就職活動は、実に自分本位でした。地方の旧帝国大学で同級生の大半は、国家・地方公務員試験や教員採用試験、大学院への進学試験などに挑戦。一学年80人という小さな学部の中で一般企業に就職したのはたった3人(マジで)という環境だったので、就職活動というモノがよく分かっていなかったんです(笑)。受験した企業は、たった3社。1社目の一次面接で隣の受験生から「シューカツ」という言葉を初めて聞き「ツウな略語だなぁ」と感心し、2社目の最終面接では「東京まで10回も通いました。これで不採用だったらキライになります」と眼前の社長に宣言し、結局お世話になった会社の最終選考では隣の受験生との雑談が盛り上がり過ぎて人事部長に「うるさい!」と怒鳴られる始末(汗)。無知とは、恐ろしいものです。

 だからこそ、でしょうか?今の「シューカツ」生を見ていると、時々胸が締め付けられます。石田衣良の「シューカツ!」を読むと、涙さえ出てきます。皆「怒られない」ように必死で、「褒められたい」とか「良いところを見てもらいたい」というスタンスで「シューカツ」戦線に臨めていないように思え、不憫なんです。

 今の「シューカツ」って、受験生の自信をどんどん奪っていくシステムです。エントリーは簡単。だから皆、何十社もの選考にエントリーしています。それだけ受験すれば、当然「不採用」の通知を目にする回数も増えるでしょう。「不採用」って大人は「自分と、会社の相性が合わないだけ」と割り切れますが、そんなの彼らにはそんなの絶対ムリ。「不採用」=「不適格」です。そうなると人は、真面目であればあるほど「何が悪かったんだろう?」「どこで失敗したんだろう?」と反省し、「“ボロ”を出さないよう」萎縮していきます。そんな彼らが不憫なんです。今SNSには、「バブルの頃の赤文字系雑誌のシューカツファッションが、今よりずっとぶっ飛んでいた」なんて投稿が時々現れます。多様性の時代なのに、シューカツ戦線は昔より画一的なのです。

 そう思ってからは、彼らに「良いところを見てもらいたい」というスタンスでシューカツに臨んでもらうべく、「自分には何ができるだろう?」と考えます。会社説明会に登壇するのも、それゆえ。仕事柄、専門学校に伺ったりSNSで「シューカツ」生と交流したりする時は、「こんな(カッコ)でも、編集長になれるみたいだよ(笑)」というムードを醸し出しています。自分を見て、肩の力を抜いてくれればと思う次第です。

 目標設定は、ボール投げに例えられます。ゴールに向かって放つボールは、大抵その手前で落ちてしまうものです。だからこそ目標は、たとえ到達できなくても一定の成果を得られるよう、高めに設定すべきと言われます。となると「失敗しないように」を目標にシューカツ戦線に臨んでいる人は、なんだか先々が心配です。

 「良いところを見せたい」と思って頑張る人が、結果「失敗はしなかった」という地点に着地するくらいが人間ってモンでしょう。そう考えるとオトナは、彼らに「失敗しないように」と思わせてはいけない。「良いところを見せたい」と張り切ることができる環境を整えるべきです。

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バーバリーが古着EC企業と手を組んだ背景 鈴木敏仁のUSリポート

 アメリカ在住30年の鈴木敏仁氏が現地のファッション&ビューティの最新ニュースを解説する連載の第3回目は、バーバリーと提携した古着ECのザ・リアルリアルとの提携。消費者のサステナビリティの高まりを背景に、かつては考えられなかった合従連衡が進んでいる。

 高級中古ファッション商品のEC企業、ザ・リアルリアル(THE REALREAL)が英バーバリー(BURBERRY)と提携した。バーバリーで購入した商品をザ・リアルリアルで売ることをお客に勧め、その見返りとしてバーバリーが店舗でパーソナルなサービスをお客に提供するとしている。

 バーバリーは昨年、売れ残った2860万ポンド(約40億円)相当の商品を焼却処分していたことがメディアに報じられて大きな批判を浴びた。バッシングの後、今後処分はしないと発表したもののブランドイメージが悪化しており、ザ・リアルリアルとの提携はイメージ回復を狙ったものと推測できる。見返りとしてのパーソナルなサービスがいったいどれだけお客にアピールするかは分からないが、循環型経済に参加するという意思表明はしたといったところだろう。

百貨店との関係深める古着D2C

 このザ・リアルリアルは6月に上場している。本稿執筆時点における市場総額は18億ドル(約1962億円)で、アバクロンビー&フィッチ(ABERCROMBIE & FITCH)の10億ドル(約1090億円)を超えてしまっている。証券取引所に提出された資料によると、昨年度の総取扱額は7億1100万ドル(約774億円)、売上高は2億700万ドル(約225億円)で、売上高に比して市場総額が大きく、ウォール街からの期待がいかに大きいかが分かる。

 ネットオンリーのD2C企業なのだが、商品鑑定をするオフィスを9カ所オープンさせていて、そのうちの3カ所は商品を並べて売る店舗も兼ねている。私はニューヨークのソーホー店舗を9月に訪問した。店内はお客でごった返していて、中古市場の勢いというものを肌で感じることができた。有名ブランドの衣料品、ハンドバッグ、アクセサリー、宝石などの商品が並び、一見すると高級ブティック的なおもむきだ。しかし商品を子細に見ると、とりわけバッグ類は中古感を醸し出していて、普通とは違うのだなということに気づく、そんな店である。

 ザ・リアルリアルだけではない。スレッドアップ(THREDUP)、ポッシュマ(POSHMARK)、ファッションファイル(FASHION PHILE)など有名ブランドの中古を取り扱うEC企業は数多く生まれ、存在感を増している。

 このうちスレッドアップは百貨店のメイシーズ(MACY'S)とJ.Cペニー(J.C. PENNY)の2社と提携し、専用の売場を確保することを発表している。ファッションファイルに投資したのが高級百貨店のニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)で、年末までに売場を導入するとしている。

 アメリカの百貨店はどこも業績が長らく低迷しており、売り場をどう活性化するかは悩みの種でとうとう中古にまで手を出したといったところなのだが、主要大企業が来店客数アップに利用するほど中古EC企業がメジャーになりつつあるのだ。

若年層のエコ意識が地殻変動に

 アメリカにはガレージセールという習慣があり、また寄付が税控除となることから不必要なものを寄付する人が多い。その寄付を再販売するサルベーションアーミー(THE SALVATION ARMY)やグッドウィル(GOODWILL)という団体が各地にたくさん店を展開していて、古いものが市場で流通する循環型経済がもともと存在している。また個人間売買のプラットフォームとしてイーベイ(E BAY)という大きな存在もある。

 中古品の売買が普通の生活に溶け込んでいることが中古EC市場のここ数年の急速な伸長の土台となっていそうなのだが、一般的には若年層の強いエコ意識が市場の成長を支えていると説明されている。

 例えばフォーエバー21(FOREVER21)の破綻の理由について、創業一族による閉鎖的な経営方式や急速なグローバル展開にマネジメントが追いつかなかったことだけでなく、サステナビリティに対する取り組みに鈍感だったことで若年層が離れたことも一因と説明するアナリストがいて目を引いた。こういう論調が出るほどアメリカの若年層の意識はエコに向いていて、新興のD2C企業のほとんどが何らかのサステナブルな取り組みを企業活動に取り込んでいるといっても過言ではないほどだ。

 大量生産と大量消費で、ガソリンをばらまいて走る大型車を乗り回す、これがアメリカ人のライフスタイルの昔のステロタイプだった。しかし、この10年ほどで大きく様変わりしたと私は思っている。アメリカで生まれ育った私の若い娘たちの言動を客観的に観察している私は、それを目のあたりにしている。サステナビリティやクリーンといった言葉が彼らに刺さるのである。

 調査企業によると中古品流通市場は2023年までに510億ドル(約5兆5590億円)規模になるだろうと予測されている。そのうちの中古衣料市場に関しては10年以内にファストファッションを超えるだろうという予測もある。裏方のような存在ではもはやなくなりつつあるのがアメリカの中古品市場なのだ。

鈴木敏仁(すずき・としひと):東京都北区生まれ、早大法学部卒、西武百貨店を経て渡米、在米年数は30年以上。業界メディアへの執筆、流通企業やメーカーによる米国視察の企画、セミナー講演が主要業務。年間のべ店舗訪問数は600店舗超、製配販にわたる幅広い業界知識と現場の事実に基づいた分析による情報提供がモットー

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「単純に自分のコアだから洋服に現れる。それだけだ」 by アレキサンダー・ワン

アレキサンダー・ワン「ALEXANDER WANG」デザイナー

 アジア系とか、そうじゃないとかは重要じゃない。単純に自分のコアだから洋服に現れる。それだけだ。(2019年5月26日掲載、リブランディングから1年 アレキサンダー・ワンが両親・中国・ビジネスを語るから)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

【「アレキサンダー ワン」のコラボ製品を知る】

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読者が注目した今週の新作 「シュプリーム」 × 「リモワ」など(11月15〜21日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ファッション部門」では「シュプリーム(SUPREME)」 × 「リモワ(RIMOWA)」が最も注目され、「ビューティ部門」では「ディオール(DIOR)」の新アイシャドウパレット、「スニーカー部門」では「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」 × 「ファセッタズム(FACETASM)」が1位に輝いた。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


【スニーカー部門】

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【私のサステナビリティ】 安島正二「コパノ86」パタンナーは“銘仙のリメーク”に夢中

安島正二「コパノ86」パタンナー

 大正から昭和初期にかけて生産された銘仙(めいせん)をリメークしてシャツやブルゾン、コートを作っています。銘仙はシルク100%製ながら、大衆着として愛されました。このざらっとした質感と柄の個性に魅了されています。骨董市で1枚3500円ほどで売られているものを「10枚買うから」と値切って、1枚当たり1500~2000円で仕入れています。一度バラして生地にしてから、女性物をメンズに再生します。全8型でトップスのみ。耐久性がないのでパンツには向かないんです。6月にパリで行われた合同展示会「トラノイ(TRANOI)」に初出展しました。評判は上々。今後はアメリカにも進出したいですね。一点モノで手間ばかり掛かるのでもうからないんですが(笑)。

※江戸時代後期に起源を持つ、先染めの平織物。たて糸とよこ糸の色をあえてずらすことで柄の境界をぼかすのが特徴

私のサステナビリティ
 ファッション業界にとって加速して取り組まなければいけない課題の“サステナビリティ”。企業として大きく舵を切ることはもちろん、個々の意識も重要です。そこで個人的に行なっているサステナビリティについて聞きました。

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ネクスト「ゴーシャ」を探せ  ロシアで見つけた新進気鋭の3ブランド

 メルセデス・ベンツ・ファッション・ウイーク・ロシア(MERCEDES-BENZ FASHION WEEK RUSSIA)が10月15〜19日に開催された。首都モスクワの中心地にある、19世紀に馬術学校として造られ現在イベント会場として利用されているマネージュ(Manege)をメイン会場に、5日間で70ブランドがショーやプレゼンテーションを行った。ロシア発のブランドといえば「ヴィカ ガジンスカヤ(VIKA GAZINSKAYA)」や「ウォーク オブ シェイム(WALK OF SHAME)」などが日本でも人気だが、同ファッション・ウイークに参加した若手ブランドの多くは「ゴーシャ ラブチンスキー(GOSHA RUBCHINSKIY)」にかなり影響を受けているようだ。同ブランドのようなストリートとアンダーグラウンドの雰囲気をベースに、原色を多用する特徴的な色彩とシンプルな幾何学図形、20世紀初頭のロシア構成主義(工業的な実用物を使って抽象的で力学的な美を表現する美術様式)を掛け合わせたようなコレクションが多数見られた。ソビエト連邦崩壊後に生まれた“ポストソビエト・ユース”と呼ばれる若手デザイナーが中心で、粗削りながらエッジの利いた実験的なショーが多かった。今季の同ファッション・ウイークに参加したデザイナーの中で、評価の高かった注目3ブランドを紹介する。

ROMA UVAROV

ドラマチックすぎる「ベルばら」の世界

 コレクションの完成度が最も高いと評されたのは、ローマ・ウバロフ(Roma Uvarov)による自身の名を冠したブランドだ。“意見を持つクレイジーな衣服”をコンセプトに掲げるウィメンズブランドで、シーズンごとにストーリー性のあるコレクションを披露している。今季はイタリア・ローマの伝統的な結婚式から着想を得て、ダイナミックで華々しい内容だった。序盤はシャツドレスやブラウスといったリアルクローズに始まり、徐々に赤のフラワープリントやゴールドのアップリケなどを用いたルックと共に華やかさが増していく。終盤は黒と深紅色のバラで不気味さと情熱が入り混じり、最後は白のウエディングドレスを着用する男性モデルのルックで締めくくられた。漫画「ベルサイユのバラ」を想起させるドラマチックなコレクションは、アクがあるゴールドやクリスタルのジュエリーとボールドカラー、西ヨーロッパ発祥ながらロシアで長く愛されているプチポワン刺しゅうといった、ロシア独自の美意識が感じられた。パリにショールームを構える「ノブ エージェンシー(Nob Agency)」に所属しているため国外からのゲストの多くがすでに同ブランドを認識しており、今季の目玉だったといえる。会期中、最も多くの来場者がつめかけた満員の会場で、期待を裏切ることのないショーを行った。

KRUZHOK

超濃厚なカルチャー系ストリート

 ロシアのアンダーグラウンド・カルチャーをテーマにした書籍を出版し、フォトジャーナリストとして2015年にキャリアをスタートさせたスタス・ファルコフ(Stas Falkov)は、その後17年にユニセックスのストリートウエアブランド「クルゾフ」を立ち上げた。彼はロシアの都市景観や旧ソビエト連邦時代のリゾート地などの写真から影響を受け、さまざまなモチーフを衣服に描いてきた。今季は20世紀に活躍したロシア人映画監督アンドレイ・タルコフスキー(Andrei Tarkovski)のSF映画「ストーカー(Stalker)」にインスパイアされて、宇宙人の雰囲気を放つ不可思議なコレクションに仕上げた。オーバーオールやカーゴパンツなどの工業用衣類をベースに、グリーンとグレーの暗いカラーパレットでテクニカルな素材をディテールに多用した。“工業的経済発展こそが社会的進歩だ”としたロシア構成主義の美術に見られる、工業的な実用物を使ったルックがランウエイ上に続いた。モデルには幅広い世代の一般人を起用し、プラスチックのバケツをかぶせたり、車椅子で登場させたりするなど、映画の世界観を強く意識する演出だ。個々の商品だけを見ると世界で戦えるほどの独創性には欠けるものの、コレクションの構成力やユーモアのあるショー演出には見るべきものがあり、ストーリーテラーのセンスがある。今後の可能性を秘めたブランドだと感じた。

LEAF XIA

メルヘン盛り盛りの“カワイイ”系

 ロシア人デザイナー以外による“グローバル・タレント(Global Talent)”枠で参加したリーフ・シア(Leaf Xia)は、まるできゃりーぱみゅぱみゅの衣装のようにポップでアニメチックなコレクションで会場をメルヘンの世界へと塗り替えた。2015年にニューヨークのパーソンズ美術大学(Parsons School of Design)を卒業し、これまでニューヨーク・ファッション・ウイークとロンドン・ファッション・ウイークでショーを開催した経験もある。原色のダウンやファーコートには惑星、動物、記号、ハローキティの柄やアップリケで乙女心を存分に表現する。アウターの中からのぞくのは、チュールのドレスや柄物のストッキング、足元は派手な装飾を施したシューズと、可能な限り盛りに盛って盛りまくる“原宿カワイイ”スタイルだ。ストリートウエアやダークな雰囲気のショーが多かった中で、ひと際印象に残るショーであった。ショーの後にショーピースを実際に手に取って見ると、パターンや縫製などの質が高く、モノ作りに真摯に取り組んでいるのが分かった。ニッチではあっても、確実に一定層のファンを増やしていきそうだ。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。 化粧品業界のリーダーの役割とは 連載Vol.4 日本ロレアル

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探る。今回はビューティ業界の雄、日本ロレアルの船津利佐コーポレート・コミュニケーション本部シニアマネージャーに聞く。

WWD:ロレアルグループではサステナブルな活動に2013年から本腰を入れていますね。

船津利佐日本ロレアルコーポレート・コミュニケーション本部シニアマネージャー(以下船津):当グループは、世界的な課題である地球温暖化をはじめ、貧困、男女格差などの社会的課題に対して、化粧品業界のリーダーとしていち早く施策を講じるため13年に、20年に向けてよりよい環境や社会の持続的発展のためのコミットメント「SHARING BEAUTY WITH ALL(シェアリング ビューティ ウィズ オール)―美のすべてを、共に次世代へ―」を発表しました。これを策定するにあたり、世界中の200以上のNPOなどの組織と社会的な課題について議論を行いました。また、継続して毎年、150以上の組織と意見交換を実施しているんですよ。

「4つの柱でプロジェクトを推進」

WWD:具体的にはどのような取り組みがありますか?

船津:4つの柱(イノベーションにおける持続的発展、暮らしにおける持続的発展、生産における持続的発展、社員・サプライヤー・コミュニティーにおける持続的発展)に基づき、さまざまなプロジェクトを推進しています。一例を挙げると、生産における持続的発展において、生産活動で排出するCO2の量、水消費量および産業廃棄物量を20年までに05年対比で60%削減することをグループ全体の目標に掲げています。静岡県御殿場市にある製造工場のコスメロールでは、アジア太平洋地域における当グループの工場として唯一ラグジュアリー製品を生産しているのですが、燃焼効率に優れたボイラーの導入や蒸気滅菌の活用など、環境負荷の削減活動に早くから着手し、15年末にグローバル目標であるCO2排出量および水消費量の60%削減を早々に達成。日本をはじめ各国の取り組みにより、当グループの18年は05年比で工場・流通センターのCO2排出量を77%削減する一方で、生産量の38%増を達成しています。

イノベーションにおける持続的発展の柱においては、18年にグループが投入した製品のうち、79%の製品は環境への負荷を低減した処方を採用。例えば、原料とパッケージ(容器・包装)については、環境への負荷を最小限にするため、「ランコム(LANCOME)」の「レネルジー」シリーズでブランドの世界観を維持しつつ、リサイクルガラスを25%使用。「ケラスターゼ(KERASTASE)」の「バン オーラボタニカ」は、リサイクルPETを 100%使用した容器が採用され、処方と共に環境負荷低減に寄与します。原料では生分解性原料が95%採用され、そのうちの35%はグリーンケミストリーによって製造されているんですよ。今後は、20年までにPETをグループ全体で60%以上、25年までには化石原料を使用しない容器の割合を50%まで引き上げることを目指した取り組みも進めています。さらに、20年からはPCR(ポストコンシューマーリサイクル材料)比率を75%にまで高めたリサイクルガラスを導入する予定です。どのカテゴリーにおいてもレフィルまたはリチャージができるような容器開発も加速していきます。

「日本では20以上のプロジェクトを実施」

WWD:日本独自の活動も推進していますよね。

船津:日本では、NPOや教育機関などと協力し20以上のプロジェクトを実施中です。その一つであるシングルマザーキャリア支援プログラム「未来への扉」は、日本におけるシングルマザー家庭の平均就労年収は181万円と大変厳しい状況にあることから、そういう女性たちが美容部員やプロジェクトリーダー職、オフィスワーク職に就くための5カ月間のビジネススキルアップ共通講座や、美容部員、オフィスワーク養成講座を提供しています。10月末に第5期を終え、これまでに120人以上のシングルマザーが講座を修了し、56%(第1~4期生)が収入増を実現し、経済的安定とキャリアアップにつなげました。

ブランド別では、「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」が児童養護施設などから巣立つ若者がメイクアップ アーティストや美容師になる夢を支援する「ラーニング アトリエ スカラーシップ」プログラムを17年4月からスタート。メイクアップスクールに通う2~3年間の奨学金を給付(返金不要)するのですが、19年に入学した若者を含め、合計6人がメイクアップやヘアケアを学んでいる状況です。「キールズ(KIEHL'S SINCE 1851)」は、15年から日本の化粧品会社として初めて民間リサイクル事業のテラサイクル社の協力のもと、「キールズ」全店舗で使用済み製品容器を回収し、再利用する独自のリサイクルシステムを導入しました。これまでに110万個以上のスキンケア容器を回収し、スパチュラなどお客さまへのギフトとして還元するなど、日常で活用できるグッズに生まれ変わり(アップサイクル)再利用しています。

「パリ協定の目標に向け新たな指標を策定」

WWD:サステナブルな取り組みが今後、御社ならびに化粧品業界にどう影響をもたらすでしょうか。

船津:15年に制定されたパリ協定は、全体目標として掲げられている「世界の平均気温上昇を2度未満に抑えること」に向けて、世界全体で人間活動による温室効果ガス排出量を実質的にゼロにしていく方向を打ち出しています。これを受けて化粧品業界のリーダーである当グループもSDGs(持続可能な開発目標)の課題にいち早く取り組むべく、製品開発、製造、流通、店頭から消費者へのコミュニケーションにいたる全ての過程において、イノベーションやデジタルを積極的に活用して施策を講じています。当グループではパリ協定の目標値の実現に向けて、CO2排出量の削減に関する新たな目標を設定しました。30年までに16年比でCO2排出量を25%削減する目標を掲げています。工場、流通、グリーンムーヴ(Green Move: たとえば、出張において飛行機による移動手段の代わりにビデオ・電話会議を使用するなどデジタルツールの活用)、エコPOS、サステナブルな製品を消費者に提供していくなど、消費者とともにより良い環境への理解を醸成していきます。

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アディダスの“循環スニーカー”が1回目のリサイクル成功 2021年には一般販売へ

 アディダス(ADIDAS)はこのほど、100%リサイクル可能なランニングシューズ“フューチャークラフト.ループ(FUTURECRAFT.LOOP)”の “第2世代”を発表した。 “第1世代”は今年4月に発表し、同社が“クリエイター”と呼ぶ世界各国の200人に配って、それらを回収・リサイクルしたものを“第2世代”と呼ぶ。外見が真っ白だった“第1世代”と比べて、“第2世代”は少し青くなって戻ってきた。リサイクルを終えて見えた課題とは?2021年春夏に予定している一般販売に向けての戦略を含めて、同社のジェームス・カーンズ(James Carnes)グローバル ブランド戦略バイスプレジデントに話を聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):4月にニューヨークで発表会を開き、“リーディング クリエイター”と呼ぶ200人のランナーやジャーナリスト、インフルエンサーを招いて製品を配った。その後5月10日までに回収したと聞く。そもそも全員から回収はできたのか?

ジェームス・カーンズ=グローバル ブランド戦略バイスプレジデン(以下、カーンズ):実は全員ではない。コレクターアイテムとして手元に置きたいと思った人や、履き続けたいと思った人もいたからだ。ただしこの結果は予想していたことなので、全員からは返却がなくても次の生産にインパクトが出ないよう、社内でもサンプルを配って同様のテストを行っていた。

WWD:回収・再生産する過程で、想定外だったことは?

カーンズ:予期しなかったことは、200人のクリエイターたちによる使われ方が多様だったこと。走り込んだ人もいれば、希少だからと履かないまま戻してきた人もいる。ジーンズに合わせて履いていたためはき口が青くなっているスニーカーもあった。

WWD:それにより変更を余儀なくされた技術もあるのか?

カーンズ:ある。むしろ、予期しない使い方が出てこないとダメだった。使い方に合わせた生産工程の見直しや新しい技術開発をそこから行うからだ。例えば石などが入り込み非常に汚れて戻ってきたものもあった。水を極力使わずにそれを洗浄するにはどうしたらよいか、リサイクル後の素材に汚染物質が残らないようにするためにはどうしたらよいか、など予期しなかったことがプロセスやテクノロジーを作り上げてゆく。

WWD:ジェネレーション1で使ったTPU(100%再利用可能な熱可塑性ポリウレタン)はジェネレーション2にどのくらい含有されているか?

カーンズ:ジェネレーション1のTPUを100%投入したが、テクノロジーの限界上他のTPUを混ぜている。現在のテクノロジーでは200足から200足を作ることはできないので、ここの精度は上げてゆく必要がある。つまり現時点では1足から新しい1足を作るまでにはいたっていないということだ。

WWD:“ジェネレーション2”はどうして青いのか?色はリサイクルプロセスに影響する?

カーンズ:“ジェネレーション1”の段階で青と赤を使ったアッパーはできていた。消費者に選択肢を提供できることがビジネス上重要となるため、さまざまな色を継続的に実験してゆく。リサイクルプロセスは、アウトプットする原材料の色とその濃淡に影響される。色についてはまだ学んでいる過程で、完全に理解するために懸命に取り組んでいる。

WWD:2021年には一般向け販売を予定している。ビジネスとして成立するためにクリアすべき課題とは?

カーンズ:3点ある。1点目は量産するための素材生産技術の拡大だ。TPUのヤーンの生産量を拡大するための技術や、接着剤を使用しない組み立てのプロセスの技術を向上させ、スケールアップする必要がある。2点目はどのような流通システムを作るか。購入した消費者をトラッキングして回収できるシステムが必要だ。3点目は回収拠点をしっかり設けること。リサイクルできる靴を作ってもそれが捨てられてしまっては意味がない。戻ってくる場所を作ること、つまりリサイクルインフラが重要だ。そのためには行政との取り組みも必要になる。

WWD:販売チャネルはどうなる?

カーンズ:非常に重要なのは、商品が今どこにあるのかトラッキングすること。だから主要チャネルは直営オンラインとなる。メンバーシップ制「クリエイターズクラブ」を用意して登録していただき、オンラインで販売するプランを検討している。そうすることで関係性を維持し、フィードバックを得ることができる。どういう履き方をしたのか、なぜ返却しようと思ったのか、などについてだ。

WWD:サブスクリプション(定額制)モデルなど新しいビジネスモデルも考えられるか?

長期的にはサブスクリプションモデルも検討している。同じ素材を繰り返し使うことによって持続可能なループを完成させることに参加してもらい、消費者にもメリットを感じてもらいたい。

【エディターズ・チェック】
“フューチャークラフト.ループ”は、海洋プラスチック汚染問題をきっかけに開発を始め、10年の歳月をかけて今春“第1世代”が完成した。今回の発表では、「シューズからのリサイクル材料を用いて、アスリートの使用にも耐えうるパフォーマンスシューズを初めて作ることができた」点がポイントだ。2021年の一般販売に向けては、リサイクル技術の向上に加え、「消費者からいかに回収するか」が課題。スポーツを軸にした大小のコミュニティーを持つ点が同社の強みだから、それらや行政を巻き込んだ仕組み作りがポイントとなりそうだ。

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「ディオール」メゾンコード研究 第11回 ムッシュ・ディオールがハウンドトゥースを好んだワケ

 歴史あるブランドはアイコンと呼ばれるアイテムや意匠を持ち、引き継ぐ者はそれを時代に合わせて再解釈・デザインする。アイコン誕生の背景をひもとけば、才能ある作り手たちの頭の中をのぞき、歴史を知ることができる。この連載では1946年創業の「ディオール(DIOR)」が持つ数々のアイコンを一つずつひもといてゆく。奥が深いファッションの旅へようこそ!

 ハウンドトゥースはスコットランドにルーツを持つ織り柄で、名前の由来はその白黒の柄が猟犬(ハウンド)の牙(トゥース)のように見えるからといわれている。1920年代には希代のしゃれ男で狩猟も好んだ趣味人、英国ウィンザー公がこの柄を着用したことで紳士たちの間で人気に火がついた。ちなみにこの柄が日本語で「千鳥格子」と呼ばれるのは、千鳥が飛ぶ様に似ていることから。いずれにしても野性味溢れる、男性的な印象を与える柄である。

 この柄を女性の洋服に用いて一般的にしたのはムッシュ・ディオールだといわれている。ムッシュ・ディオールは幼少期をフランスの海辺の街、グランヴィルで過ごし、海を挟んだ対岸の国であるイギリスへの憧れを抱いて育った。大人になっても習慣や伝統を重んじる英国のカルチャーに愛着を持ち、メゾンを創立する前の1938年、ロベール・ピゲのもとで働いていた時にすでにハウンドトゥースを使った最初のドレスを制作している。

 そして自身のメゾンを立ち上げた後の47年、「ディオール」の初コレクションでもハウンドトゥースを大胆に使ったルックを複数発表している。ムッシュがこの柄に引かれた理由は大きく2つあったと推察できる。一つは、黒と白の規則正しいコントラストが生む視覚効果だ。それがアートに精通したムッシュの感性を刺激したことは想像に難くない。もう一つは、男性向けの生地を女性の服に仕立てるというアイデア。時は第2次世界大戦後間もないころ。時代の転換期とはいえまだ保守の力も強い時代に、紳士服の定番ファブリックをドレスやコートに仕立てる発想は画期的である。そんなムッシュ・ディオールの提案は、先見の明がある女性たちから賞賛をもって受け入れられた。実は同時期に発表されたフレグランス「ミス ディオール」のボトルデザインにもハウンドトゥースが使用されている。白と黒のマスキュリンなパッケージを開けると、中にはリボンで飾ったハウンドトゥース柄のガラス瓶の香水。その洗練されたデザインは今見ても新しくエレガントだ。

 歴代の「ディオール」のアーティスティック・ディレクターたちも、ムッシュ・ディオールの精神を受け継ぎ、この柄をデザインに取り入れてきた。現在のアーティスティック・テディレクターであるマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)は2020年春夏コレクションで、千鳥格子を編んだラフィアを織り込んだファブリックを使ったセットアップのルックを複数発表している。また、アイコニックでタイムレスなアイテムをそろえるライン“トロント モンテーニュ”では人気のバッグ“ブックトート”にこの柄を使用している。

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西内まりやが20年春夏東京コレクションを取材 ユーチューブチャンネルを開始

2020年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(以下RFWT)」が終わりました。今回も「WWDビューティ」編集部は総出でバックステージに入り、コレクションを支えるヘア&メイクアップアーティストに直撃しました。そのときの様子は「WWDビューティ」11月14日号を見てほしいのですが、ここでは同号のビューティパトロール面でも登場するモデルで女優、アーティスト活動もこなす西内まりやにフォーカス。彼女は11月15日から自身のユーチューブチャンネルをスタートするが、発信する内容は主にビューティ&ファッションになる予定だという。以前からモードへの関心が高く、NYや韓国などのコレクションを観賞(韓国ではモデルとしても参加)してきたが、今回チャンネルの開設を前に初めてRFWTのバックステージにも入り取材したという。西内まりや流のRFWTの見方と、スタート間近のユーチューブチャンネルについて聞きました。

WWD:2020年春夏のRFWTを見た感想は?

西内まりや(以下、西内):NYや韓国以上に、繊細な空気を感じました。例えばリハーサルのときなどにはいい緊張感があって、リハーサル時のライティングに合わせて本番のモデルの肌感を変えるなど、日本人ならではの繊細なバランス感覚を感じました。あと「ボディソング(BODYSONG.)」のバックステージで「M・A・C」シニアアーティストの池田ハリス留美子さんとお話しできたのですが、一つのショーにかける思いに刺激を受けました。

WWD:コレクションを見るのは好き?

西内:好きです。モデルさんが服を着て、前後左右から動いている姿を見られるのが醍醐味ですね。服が風に揺れているときの質感やシルエットが素敵とか、後ろ姿がかっこいいとか、そんなふうに思いながら楽しんでいます。ちなみに、私は人が着ている服を見るのが好きで、普段も街で歩いている人を見てしまうんです。海外では逆に、すれ違う人に「その服どこの?」とか聞かれることが多い。ファッションに対して貪欲というか、楽しみ方を知っているというか、日本もそうなればいいのにと思います。

WWD:今回のRFWTで気になった服やヘアメイクは?

西内:「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」のふわっとしたドレスは、私生活では難しいけど、いつかステージ衣装として着たいですね。「ボディソング」の羽根のようなヘッドピースは、パーティーなどでウイッグと組み合わせて取り入れたい。私はウイッグが好きで、普段から1日だけショートスタイルにしたりオレンジ色にしたりして楽しんでいるんです。そうやって気分次第で髪型を変えるアイデアの一つとして、日常に落とし込みたいと考えています。

WWD:ユーチューブチャンネルを開設するそうですが、その理由は?

西内:私は13歳の頃からファッション誌のモデルの仕事をしてきたのですが、実は当時からユーチューブもやっていて、「足痩せマッサージやります」とか「すっぴんからメイクやります」とか、ビューティ&ファッションの情報をアップしていました。なので、一番“自分らしく発信できる場所”という印象があるんです。私にとってはプライベートと仕事の中間というか、ちょうどいいバランスのメディアですね。モデルという仕事からか、私はクールでツンツンしたイメージを持たれているらしく、よく初対面の人に「思っていたよりぜんぜん気さくですね」とか「そんな感じだったんですね(笑)」とか言われるんです。そうした“リアル”な私も含めて、ビューティ&ファッションの現場の裏側の情報などを発信していく場として、ユーチューブは最適だと考えています。あと、発信した情報が流されて消えていくだけでなく、アーカイブとして残っていくことにも魅力を感じます。

WWD:ビューティ&ファッションのどんな情報を発信していきたい?

西内:今はモード関連の仕事が多く、仕事以外でも“モテ”を意識しない自分らしいスタイルが好きなのですが、中学生の頃から皆がかわいいと思うファッションやヘアメイクを追求してきた経験があります。モードだけだと日常的に使いづらかったり真似しにくかったりするので、そうした経験を生かしてモードからどう日常に落とし込むかを、かみ砕いて伝えるような情報を中心に発信できればと考えています。今日はモテメイク、次は個性的なかっこいいメイクをやってみるなど、ユーザーの興味を探りながら、一緒に楽しんでいきたいですね。

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個人&小規模企業も増加中 異業種企業のビューティ参入に必要なことって何?

 「WWDビューティ」11月7日号では、異業種企業のビューティ参入を特集しました。2005年に改正薬事法施行により市場参入の規制緩和が行われてもうすぐ15年。これまでにもさまざまな企業がビューティ市場に進出しているため、今さら?と思うかもしれません。今特集では原料生産を行う中で自社ブランド立ち上げに至ったり、新たな顧客獲得のためにビューティに着目したりといった大手企業を中心に取り上げましたが、近年は異業種を手掛けるスタートアップ企業からも目立ちます。

ビューティ参入は
大手から個人へ変化

 その変化をいち早く察知しているのが、化粧品製造を手掛けるOEM企業です。1999年に創業し、異業種参入企業と個人の起業家のブランドビジネス立ち上げを支援してきたサティス製薬は、「2000年頃と比べると相談件数は100倍以上増えている。一時は大企業の金余りの運用ターゲットとして、化粧品ビジネスに白羽の矢が立てられていたが、ここ3年ほどは個人やスモールチームのスタートアップがとても増えている」と語ります。その要因として、化粧品ブランドの立ち上げコストが下がったことや、ウェブサイトやSNSなどによる、D2Cのインフラが増えていることが挙げられそうです。

 スタートアップ企業がビューティ市場に参入し、D2C戦略で成功を収めた近年の代表例といえば、ITベンチャーや飲食店の創業を経験した野口卓也社長が2013年に立ち上げた「バルクオム(BULK HOMME)」が挙げられるでしょう。洗練された世界観と巧みなマーケティングで“メンズ×美容”をいち早く体現して人気ブランドへと成長し、近年ではホテルアメニティー事業にも本格参入するなど、事業拡大にも力を入れています。米国発の「グロシエ(GLOSSIER)」は、ミレニアル世代からカルト的な人気を誇り、LAとNYにある旗艦店にも多くのファンが押し寄せています。異業種からというわけではありませんが、ブログを起点にブランドがスタートしてインスタグラムなどのSNSでの口コミで人気が広がり成功を収めており、今後もD2Cを視野に入れて立ち上げるブランドは増えていくでしょう。

ブランド数増加により
生き残りも熾烈に

 しかし、新規参入の増加はそのままブランド数の増加につながるため、勝ち残るのは至難の技です。以前取材でお会いしたアパレル企業の方からは「機能や結果が重視される製品やサービスは、プロモーションが洗練されていないことがある。その傾向が強い市場には、世界観や洗練されたコンセプトを持ち込むことで一定の注目を浴びることができるが、化粧品は各社が品質と世界観をセットでマーケティングを行っているので入り込む隙がなく、新参者にはハードルが高く感じる」とビューティ業界参入の難しさを語ってくれました。金脈を探すフロンティア精神だけでは生き残れないビューティ業界。参入し生き残るにはどうすべきなのでしょうか。

 その成功のヒントをつかむべく、今回の特集ではすでにビューティ市場に参入して一定の成果を収めている大手企業を中心に、成功の要因や現在感じている課題などを聞いています。例えば、キャラクタービジネスにコスメを掛け合わせたバンダイは、ターゲット層に合わせて製品の価格帯と販売チャネルを使い分けて成功を収めていますが、事業立ち上げ当初から「キャラクターだけに頼らない、化粧品の機能でも認められる製品作り」を肝としているそうです。特集で取材した各社に共通して見られるのは、自社の得意とするジャンルを最大限に生かすことと、また、製品開発やマーケティングも本業のメイン消費者にリンクさせつつ新規開拓を狙う緻密な戦略を立てていることです。

新規参入企業は
何を重視すべきなのか

 新規参入で必要なこととは何でしょうか。サティス製薬は、「委託する製造会社の選択」「ブランドの思想(コンセプト)と顧客体験(プロダクト)を一致させ、その関係をストーリー化すること」「KPIマネジメントに徹すること」の3つをあげます。また、ユーザーが共感するコンセプトは欠かせないものの、それに製品が伴わないとビジネスにはならないため、コンセプト開発とプロダクト開発はセットで考え、プロモーションはコンセプトとプロダクトをストーリーで繋ぐための施策として考えることが大切です。「初期段階でSKUを複数にするのはリスクがあるので、まず1SKUに絞ってスタートさせる」(サティス製薬)といった戦略も重要です。

 群雄割拠のビューティ市場はヒラメキや個人の知名度だけで生き残れる世界ではありませんが、異業種だからこその視点が新しい風をもたらし、業界を盛り上げることがあるはずです。「こんなコンセプト&コンセプトは今までなかった!」と叫ばずにはいられない、そんな企業やブランドが登場する日を毎日楽しみに待っています。

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。 連載Vol.3 「2050年の需要に応えるには地球2.3個分の資源が必要」H&Mが推進する循環型戦略

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――といわれる一方で、具体的に何をどうしたらいいのかわからないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞いてその解決策を探る。今回はH&Mヘネス・アンド・マウリッツで100%循環型戦略をけん引するセシリア・ストロンブラド・ブランステン(Cecilia Brannsten)=環境サステナビリティ・マネジャー兼サーキュラーエコノミー・リードに聞く。

「唯一の解決策は循環型ビジネスの確立」

WWD:H&Mがサステナビリティに取り組んだきっかけは?

セシリア・ストロンブラド・ブランステン=H&Mヘネス・アンド・マウリッツ環境サステナビリティ・マネジャー兼サーキュラーエコノミー・リード(以下、ブランステン):私たちのビジネスコンセプトは“ファッションとクオリティーを最良の価格で提供する”です。これまで私たちが果たしてきた役割はファッションを民主化することで、今日、その役割はファッションを持続可能にすることに広がっています。なぜならそれはファッションを楽しみ続けるための唯一の方法だからです。

このまま人口増加が進めば、世界で販売される衣料品の量は2050年までに3倍になり、この需要に対応するためには地球2~3個分の資源が必要といわれています。

私たちは、唯一の解決策は産業全体が直線型から循環型へとビジネスモデルを転換させることだと考えます。循環型モデルでは資源が最大限に活用され、それが新たな製品や素材に生まれ変わるため、廃棄物やマイナスの影響の削減へとつながるからです。

私たちのビジョンは企業のサイズと規模を有効に利用し、テクノロジーとイノベーションの助けを借り、ファッション産業を公正平等でありながら循環型でクライメット・ポジティブ(気候に対してプラスの影響を創出する)へと導くこと。その責任があると考えています。

WWD:循環型のアプローチで必要になるのは?

ブランステン:高品質で耐久性があって安全な素材の選択と、再利用とリサイクルの可能性を確保した製品デザインでしょう。それをバリューチェーン全体へと適用します。私たちは衣料品の手入れと修繕、再利用とリサイクルを通して製品寿命を最大化するさまざまな方法を模索したいと考えています。

また、100%再生可能エネルギーによる自社運営に向けて今取り組んでおり、40年までにクライメット・ポジティブなバリューチェーンを完成させることを目指しています。

WWD;循環型実現のための課題は?

ブランステン:リサイクル技術の欠如、回収されたリサイクル可能な素材の限定的な利用、トレーサビリティーなどがあります。課題解決にはテクノロジーとイノベーションが必須で、そのために投資と支援をしています。

WWD:具体的に投資している企業は?

ブランステン:ワーン アゲイン(WORN AGAIN)やリニューセル(RE:NEWCELL)、H&Mファンデーション主催の「グローバル チェンジ アワード(Global Change Award)」を受賞したモラル ファイバー(MORAL FIBER)に投資をしています。また、アンバーサイクル(AMBERCYCLE)とインフィニテッドファイバーズ(INFINITED FIBERS)は最近取り組みを始めました。いずれもリサイクル繊維に取り組むイノベーション企業です。どれもまだ実用化できるほどになっていませんが、技術が完成すれば、素材において大きな変化を起こせると自信を持っています。また、持続可能な森林原料の調達を行うツリー トゥ テキスタイル(TREETOTEXTILE)やアルゴリズムを利用したパーソナライゼーションに取り組むスレッド(THREAD)、リセールのプラットフォームのセルピィ(SELLPY)などです。

「重要なのはデータ解析とAIで過剰生産を回避すること」

WWD:サステナビリティと頻繁に投入されるたくさんの商品――矛盾をはらんでいるが、この早いファッションサイクルに関してサステナビリティの観点からどのように考えるか?ファッションシステムの功罪をどう考えるか?

ブランステン:生産と消費者の需要をどのように管理するかを再考し、また最新テクノロジーと革新的なビジネスモデルを利用するチャンスが私たちにはあります。“循環性(サーキュラリティー)”とは究極的には資源を持続可能な方法で利用することであり、その中心となるのは過剰生産しないこと。データ解析技術とAIの手助けにより、需要と供給の足並みをより正確に合わせることができます。これによりエネルギー、輸送、そして資源を節約することができます。

WWD:あなたが考える理想的でサステナブルなファッション産業とは?

(アンナ・ゲッダ(Anna Gedda)=サステナビリティ統括責任者との共同回答)

ブランステン&ゲッダ:真の循環型の確立。つまり、素材や資源がゴミにならず、またお客さまが自分の衣服を愛して手入れをし、そして衣服も長く利用されて、さらに再利用やリサイクルを介し新たな繊維へと生まれ変われるようにデザインされていること。全ての衣料品がリサイクルもしくはサステナブルな素材で、再生可能エネルギーによって生産されていること。

私たちのビジネスにかかわる全ての人が公正平等な取り扱いを受けられるに値すると考えています。H&Mにおける100%公正平等とは、自社内と私たちのサプライチェーン全体で価値観を共有して人権を尊重することです。公正な雇用を提供して多様性を支援し、なおかつそれらを受容しながらビジネスを成長させることによって、私たちは公正で平等な社会に向けて貢献できると考えています。

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残業のご褒美はコンビニスイーツからエステへ!? ファッションフリークOL「WWDビューティ」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDビューティ」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。

今日のニュース:P.18「大阪・心斎橋に24時間営業の定額制セルフエステがオープン」

読み解きポイント:「深夜残業後のご褒美は、コンビニスイーツではなくエステの時代へ!」

ニュースのポイント

 大阪を拠点にセルフエステ事業を展開する美TOBEが、セルフエステサロン「ビートゥービーラボ 心斎橋店」を11月11日にオープン。同サロンは24時間営業を実現し、全室完全個室で各個室に独自開発のエステマシンを導入した。セルフサービス方式でフェイシャルから全身までの施術をすることが可能。全身を3Dスキャナーで測定し専用アプリで管理することで、過去データとの比較が容易になる。料金体系は月額9800円からで、利用可能時間によってプランを選択できる。

AZUはこう読む!

 ファッションフリークと自称させていただいていますが、洋服に熱を注ぐあまりその他の部分がかなりズボラです。というか言い訳をさせていただくと、自分のお手入れを頑張る時間と余裕がありません。何かのついでにネットや薬局、百貨店にフラッと寄ってコスメを買ったり家でメイクをしたりは好きだけれど、時間を作ってエステに行ったりヘアサロンに行ったりはあまりしないんです。

 そこにお金をかけるなら服を一着買いたい、と思ってしまうのもありますが、そもそも営業時間内に予約して、時間通りに行くというハードルが高すぎます。脱毛サロンは予約が全く取れずに諦めました。平日は仕事のスケジュールが不安定なので時間が読めないし、休日はできるだけ休むか調べ物をしていたい……。なぜか私の中でエステやジムなどは平日に済ませたい義務のような感覚なので、休日に行こうと思わないのです(笑)。

 だから24時間営業でひとりで落ち着いて施術ができるエステなんて、まさに私のような忙しい(というか営業時間内の予約に対して不安意識のある)ズボラOLにはもってこいのシステム!!「今日この仕事を終わらせれば明日が楽だ」と、ついうっかり深夜までノリノリで残業してしまう自主社畜タイプの人間なので、残業後のご褒美としてコンビニスイーツではなくエステの選択肢、大いにアリです。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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光脱毛美容器「スムーズスキン ベア」がパワーアップして新登場 モニター使用した人の約9割が効果を実感

 光脱毛美容器のパイオニアであるイギリス発サイデン社は、自宅でサロンクオリティーのケアを可能にした家庭用光脱毛美容器ブランド「スムーズスキン」の人気アイテム「ベア」をリニューアルし、新たに「ベア プラス」を発売した。使いやすさとコンパクトなサイズはそのままに、光エネルギーをアップ。面倒なムダ毛のケアを快適にし、より効果実感の高いセルフケアを提案する。

「スムーズスキン ベア プラス」の
特徴

 従来の機器より光エネルギーが30%アップし、1回のケアでより効率的にムダ毛にアプローチすることが可能になった。効果を実感しにくい細い毛にもパワフルに働きかけ、滑らかな肌へと導く。顔やビキニラインなどのデリケートな部分を含めて全身に使用できる。

 従来品にも使われていたが、今回のリニューアルでスキントーンセンサーの感度がアップした。機器をあてるだけで肌の色を感知し、使用可能な場合のみ照射できる。肌への負担を抑えて安全にケアが行える。

 また、照射面を肌にあててボタンを押すだけというシンプルな操作性で、誰でも簡単に使用できる。1回0.6秒、1分間に約100回の照射が可能で、コンパクトなサイズで細かい部分も照射しやすく全身のケアが約10分で完了する。ケアは週1回、4週間の使用で肌の変化を感じることができる。

※ワキ、ビキニライン、脚のケアをした場合。個人差があります。
カラーは3色をラインアップ

 カラーは好みで選べる3色をラインアップする。スタイリッシュなデザインで、男性にもおすすめだ。 

約9割の人が変化を実感

 約1カ月間、30人の女性を対象に新製品「ベア プラス」のモニター調査を実施した。使用後のアンケートでは、約9割の人が効果を実感したと回答し、同製品の高いクオリティーに対する感想が多く寄せられた。

「サロンに行くのが苦手で脱毛は諦めていましたが、これはいいです!ムダ毛が伸びるのが早いのですが、伸びるスピードがすごく遅くなりました。これからも使い続けたいです(33歳・フリーランスPR)」

「毛の量がもともと少ないこともあり、この製品を使用してからは全く剃ることをしなくなりました。このまま使い続ければ自宅にいながら全身脱毛が完了してしまうので、わざわざサロンに通う必要もなくなります(33歳・インスタグラマー)」

問い合わせ先
スムーズスキン カスタマーサポート
0120-791-355

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。 連載Vol.2「もはや企業の義務」ケリングの責任者が語る基本のキ

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――とはいうものの、具体的に何をどうしたらいいのかわからないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探る。今回はサステナビリティに取り組む先進企業である「グッチ(GUCCI)」を擁するケリング(KERING)の、マリー・クレール・ダヴー(Marie-Claire Daveu)=ケリング チーフ・サステナビリティ・オフィサー兼国際機関渉外担当責任者に聞く。

「そもそもサステナビリティとコストは天秤にかけるものではない」

WWD:サステナビリティにこれから取り組もうとする企業から、「何から手を付けるべきか、コストはどの程度かかるのか」と聞かれることがあります。

マリー・クレール・ダヴー=ケリング チーフ・サステナビリティ・オフィサー兼国際機関渉外担当責任者(以下、ダヴー):まず理解してほしいのは、サステナビリティはもはやオプションではなく、必須のものであり、ビジネスに関わる人にとって義務であるということ。そもそもサステナビリティとコストとは天秤にかけるものではなく、360度全方位的に問題に取り組んでいかなければいけないことです。けれど、思っているほど複雑でもなく、難しいことでもない。コストも想像しているほどかかるものでもないでしょう。

WWD:具体的に何から始めましょうか。

ダヴー:例えば原材料はできるだけ低負荷でトレースできるものを選ぶこと。オーガニックが好ましいけれど、そうでなくても、できるだけサステナブルなものを選ぶようにする。工程については、環境に負荷のある化学物質や重金属を使わず、水の使用も減らすことが好ましいでしょう。電力に関しても、店舗の省エネ化を進めたり、製品の輸送にはできるだけ効率のいい方法を選び、エネルギーはできるだけ再生エネルギーを使う。製品についてもリサイクルやアップサイクルすることを考慮すべきでしょう。

WWD:何がよくて何がダメなのかなど、正しい情報をどこから得るべきかも聞かれます。

ダヴー:サステナビリティについての知識が必要であれば、私たちは18年2月にロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(London College of Fashion)と共同で「ファッション&サステナビリティ:変化する世界のラグジュアリー・ファッションを学ぶ」というMOOC(ムーク:Massive Open Online Couse:無料オンライン講座)を開設しました。サステナビリティに関するさまざまなことを無料でオンラインで学ぶことができるコースで、毎週3時間、6週間のコースです。

「ノウハウを無料開放するのは
よりよい将来のため」

WWD:環境負荷を計測するEP&Lや動物福祉などのガイドラインを無償で公開しているが、教育についても力を入れていたとは知らなったです。

ダヴー:私たちは無償で情報を提供しています。EP&Lをはじめ、原材料の生産や製造工程、動物福祉について基準を設けた“ケリングスタンダード”もそうです。例えば、革のなめし工程で重金属を使わずに省エネで行える方法もオープンソース化しています。それは、他社に比べて優位性を高めるために行っているのではなく、よりよい将来のために行っているのです。

WWD:今、サステナビリティに取り組むときに、国際的な認証が重要になっていますが、それについてどう思いますか?先日取材した素材見本市「プルミエール・ヴィジョン(PREMIERE VISION)」で、あるテキスタイルメーカーは、あるブランドから「認証がないと今後買わない」と言われたといいます。一方、「ケリングは独自の基準はあるけど、それに完全に適合していなくても、ほかの工程でどのような努力をしているかなど聞く耳がある」と聞きました。

ダヴー:私たちはサプライヤーと緊密な関係を築こうとしています。サプライヤーの多くはイタリアを中心とした欧州にあり、長い付き合いです。一方で、カシミアやコットンといった原材料は中国を中心にアジアが多い。

認証はいいか悪いではなく、求められる要件が違うということ。コットンの場合、オーガニックの認証GOTSでは化学物質の使用は禁止されているけれど、一方で、BCI(ベターコットンイニシアチブ)はある程度農薬や化学肥料の使用を認めるものもある。つまり、取り組む側がどこまで環境負荷を軽減することにコミットするかによって異なる。第三者機関が必要であることも確かで、そういう機関が関わることで信頼性が高まることもあります。

また地域によって判定基準が異なります。そのためサプライヤーと契約を交わすにあたっては、各地域の基準を確認しながら、必要に応じて要件を追加しています。ケリングスタンダードは、認証を補う役割があります。例えば動物福祉は、時に規制が十分でないところがあり、基準を追加する必要があります。もちろん基準や認証のほうが厳しいこともあります。カシミアは生物多様性や社会状況も検討し、考慮しながら契約に盛り込んでいます。

「生産プロセスの効率化と
循環型の仕組み作りが急務」

WWD:企業がサステナビリティに取り組む心得は?

ダブー:サステナビリティは長い旅のようなもの。だから段階を踏んで取り組むことが重要です。例えばコットンは、オーガニック100%がもちろんベストだけど、繊維の品質や求められる長さによって、時には現実的なアプローチを取っていくことも必要になります。ブランドがしなければいけないことは、サステナビリティに関する目標を提示すること、毎年良くなっていることをしっかり伝えること、そして、サプライヤーを励まして共にいい方向に進むことです。

WWD:最近ファッションサイクルがどんどん早くなると感じます。新しい商品を作って投入していき、在庫も増えるし、廃棄も増える。こういう現状をサステナビリティの観点からどのように考えますか。

ダヴー:ファッション産業全体で見れば確かにそうですね。ラグジュアリーブランドは作る量が限られているし、顧客は長い間使うからサステナブルだけれど。産業全体では確かに年々作られる量が増えています。どう対処すべきか――1つ目は生産プロセスの効率化でしょう。2つ目は循環型社会の促進。簡単に言えばリサイクルですが、繊維レベルのリサイクル、つまりケミカルリサイクルが重要でしょう。私たちはH&Mとともに15年から、ケミカルリサイクルの開発をしているワーン アゲイン(WORN AGAIN)に投資して、コットンとポリステルの混紡素材をセルロースとポリエステルのポリマーに分ける技術開発のサポートをしています。これができるようになれば、環境負荷を下げることができるし、お客さまにも新製品の提案ができます。

WWD:ワーン アゲインの開発状況は?

ダヴー:イノベーションが必要で、小さなサンプルでは成功していますが、量産化にはもう少し時間がかかりそうです。でもできるだけ早く実現したいですね。

WWD:ほかにもそうしたイノベーティブな企業に投資していますか?

ダヴー:ええ。破壊的なイノベーションが必要で、こうした企業に目を向けていて欧米のスタートアップに投資しています。こうしたイノベーションに取り組む企業の多くは、スタートアップで資金を必要としているから。もちろん日本やアジアでも探していますよ。

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食でわざわざ足を運ぶ「MUJI」を作る ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.4「無印良品」が百貨店の後継に名乗り

読み解きポイント:アマゾン、アリババグループの盒馬鮮生(フーマー・フレッシュ)の隙を突く、地域特性を生かした食品戦略

ニュースのポイント

 良品計画は、2021年8月期までに、売り場面積1650平方メートル級の大型店を国内100店に増やす目標を掲げている。出店については、大型ショッピングセンターだけでなく、閉店が相次ぐ地方・郊外の百貨店、GMS(総合スーパー)の跡地も有力候補だ。また、売上高構成比7.8%(2018年度実績)の食品を30年度までに30%へ高めることも表明。地域密着を徹底するため「コミュニティマネージャー」を配置することで、全国圴一の売り場を見直し、その地域ならではの店に育てる。

CKRはこう読む!

 「生鮮食品と地域特性を生かした店舗戦略」。シンプルで良質な世界観を持つ「無印良品」が世界に先駆けて進める、新たな小売戦略になるかもしれません。

 小売店舗における大きな課題の一つは、いかに来店、来客の数を増やすかです。1日24時間という制約がある中、顧客の心を掴み、「来店」というアクションを起こしてもらうには工夫が必要です。まずは多くの人が「毎日関心のあること」にフォーカスする必要があります。生鮮食品は毎日入れ替わるため、週に何回かの来店を促すきっかけになります。「毎日使うものを便利に。」というテーマを掲げる「無印良品」の他商品との親和性も高そうです。来店により、購入機会を増やし、ついで買いによる販売数量をあげることは、ここ数年、衣料、食器などを中心に値下げを進めてきた良品計画の戦略であり、来店促進につながる生鮮食品は、新たな起爆剤になりそうです。「食品のみ」「衣料品のみ」に固執せず、それぞれの商品特性を組み合わせて、「MUJI」という一つの世界観を軸に、商品横断で売上増、利益確保が狙えるところに無印良品の強さがあります。

 クリック一つで、商品がその日のうちに届く時代の今は、他社との差別化を図る必要もあります。EC大手であるアマゾン(AMAZON)が提供する「Amazonフレッシュ」は、配達エリアが限られ、置き配・宅配ボックス利用・再配達も行なわれていません。現在のところ生鮮食品は、アマゾンも深く攻め込ていない領域です。「無印良品」のように実店舗がある場合はスーパーのように、一定時間が経過した生鮮食品を惣菜に加工するなど柔軟な対応も可能です。EC専業にはない強みになります。

 地域特性を生かした店舗戦略は、他国でも成長戦略のカギになっています。ニューリテールの象徴である、中国の小売大手アリババグループ(ALIBABA)の「フーマー(HEMA)」。上海や深センなどの大都市中心に出店し、店内では生簀(いけす)で高級鮮魚を販売。店舗から3km以内なら30分以内に配達します。EC、リアル店舗の販売状況を分析し、ダイナミックに商品ラインナップや価格を最適化する仕組みがあるのも特長です。今まで統一フォーマットで出店拡大していた「フーマー」が今年に入り、地域の属性に沿った店舗に変える戦略へと舵を切り始めました。高齢者の多い地域と、若い会社員の多い地域では、ラインナップする商品やサービス内容を変える模様です。

 無印良品は、すでに地域ごとの状況に合わせた、店舗デザインと出店を進めています。18年3月には大阪府堺市に、地元漁港で水揚げされた鮮魚を並べるスーパーマーケット型の店舗を開設。今年4月には石川県のロードサイドに2000平方メートルの店舗を出店し、子ども服やマタニティウェアを充実させています。地域の企業や生産者と連携し、独自の世界観でセレクトした地元商材を取り扱う。標準品とは違う商品ラインナップでわざわざお店に足を運ぶ理由を作る「無印良品」は、世界の中でもオリジナリティに溢れた小売企業と言えるのではないでしょうか。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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編集長は先週何した? 「アウディ」の新車発表、真っ暗な「アディダス」本社、アラン・デュカスと日本酒の饗宴!

 こんにちは。今週から記事の配信を火曜日午前中に変更しました。通勤・通学中に気軽に読んでもらえる日記を目指しておりますのでこれからもどうぞよろしくお願いします!先週はタイトルの内容に加えて、毎日ファッション大賞の授賞式や「ハウス オブ ジーニアス」のオープニング、「リトゥンアフターワーズ」の
ショーなどを取材しました。

11月1日(金)
「アウディ」の新車発表会

 「アウディ(AUDI)」の発表会は8年ぶりにフルモデルチェンジした “アウディA1スポーツバック(AUDI A1 SPORTBACK)”でした。運転しやすそうなサイズで、中は思ったより広い。車に“かわいさ”は不要、と思う女性は多いのでは?私もこの位、スポーティーな方がしっくりきます。

 すごッ、と思ったオプションは、「バング&オルフセン(BANG & OLUFSEN)」の11個のスピーカーを使う音響システムです。一人で運転しながら大声で歌うのって楽しいですからね!ちなみに私、なぜか“運転しなそう”と言われるのですが、車の運転は好きです。営業職時代に、サンプルをかついでの営業回りや売掛金回収などに車が必須で運転技術を鍛えられたおかげです。

 発表会に話を戻すと、登壇したフィリップ・ノアック(Philipp Noack)=アウディ ジャパン社長の横のパネルに投影されているキーワードがファッションビジネスもまさにこれ!であります。扱う商品は違っても見えている世界は同じですね。

11月5日(火)
真っ暗なアディダス本社から見る
極上の東京タワー

 アディダス・ジャパン本社で打ち合わせ中、20時になったと同時に会社全体が消灯されて、“うわッ!”と声が出ました。使用中の場所はもちろん明かりがつきますが、ロビーなどの共用スペースはこんな感じで真っ暗。そもそもこの時間に打ち合わせをしている人はほとんどいません(自分は時差がある海外とのスカイプ打ち合わせだったのでこの時間でした)。

 サステナビリティを推進している同社なので、ペットボトルはゼロ。皆さん手元に水筒やマグを置いています。社内には靴や衣料のリサイクルボックスが設置されているそうです。徹底していますね。それにしても暗い室内から見る東京タワー(写真2枚目)がきれい!

11月14日(木)
それぞれのフォーマル。
毎日ファッション大賞授賞式

「オーラリー」2020年春夏コレクションをショー形式で披露した

 歴史ある「毎日ファッション大賞」の選考委員を務めていること、光栄です。選考委員特設賞を受賞した、「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」の小泉智貴さんは会場にお母さまを招待しており、控え目ながら嬉しそうなお母さまの姿が印象的でした。自分がお母さんだったら息子が招待してくれた、そのこと自体が一番うれしいだろうな~。

 受賞者それぞれのフォーマルも見どころですね。大賞を受賞した「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の森永邦彦さんはバリっとしたタキシード。この日のために自分で仕立てたそうで、よく見ると小さなパーツをチクチクとつなぎ合わせた“ザ・アンリアレイジ”なデザインです。これ、商品にしたらよいのに!

 新人賞・資生堂奨励賞を受賞しショーも披露した「オーラリー(AURALEE)」の岩井良太さんはカジュアルなトップスですがその選択が一層、彼のポリシーである上質素材使いを伝えています。無印良品 銀座で話題賞を受賞した良品計画の金井政明・代表取締役会長もおしゃれ。無印良品の商品に民族衣装を合わせる、というウワサを聞いたことがあるのでお尋ねするとこの日はそこに「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」を合わせたそうです。

11月7日(木)
1月末までの期間限定東京名所が
誕生

 「モンクレール(MONCLER)」の期間限定コンセプトストア「ハウス オブ ジーニアス(HOUSE OF GENIUS)」が11月7日に、東京とミラノ、パリにオープンしました。東京の会場は神宮前のB-SIDE(3月までスターバックスだったところですね)とバツアートギャラリー(BA-TSU ART GALLERY)。ポップアップといっても、「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」が一堂にそろうのでドカンと大きく、店内にデジタル&アナログな仕掛けもいっぱいでギャラリーみたいです。あちらこちらに置いてある大きい口を開けて笑っている人形の“ミスター クレイジー”に癒されます。

 アジアではここ東京だけにある店ですから、海外から来たファッション好きの知人に「今、東京ではどこに行ったらいい?」と聞かれたらオススメしたい。ジクソーパズルやAirPods、鉛筆やUSBなどお土産によさそうなコラボグッズも満載です。

11月7日(木)
最新号「全国30社のバイヤーに聞く2020年春夏トレンド」校了と
今日のおやつ

 全国の個性豊かなバイヤーに2020春夏トレンドを語ってもらった“読む”トレンド特集に加えて、2020年春夏ロンドンコレクション特集も掲載しています。カバーオンカバーは今週末に新たな銀座店をオープンする「バーバリー」です。ピスタチオグリーンがきれいですね。そしておやつはコンプレックコン取材から帰国した記者からもらったザ・アメリカンなチョコレートとサステナビリティ担当記者からもらった癒しの「パッカ(PUKKA)」ティー。このコントラストが「WWDジャパン」です。

11月8日(金)
フレンチと日本酒の
究極のコラボレーション

 フランス料理の巨匠、アラン・デュカス(Alain Ducasse)は、世界各国に自身の名前を関したレストランを有しています。この日は、アラン・デュカスの名を冠するモナコとパリ、ロンドン、東京にあるレストランから集まった5人のシェフが腕を振るうランチをいただきました。しかも5つの皿それぞれに日本各地から取り寄せた日本酒がペアリングされるというもの。なんとぜいたくな!!

 会場は、「シャネル(CHANEL)」とアラン・デュカスがコラボレーションをしている銀座のフレンチ「ベージュ アラン・デュカス 東京」。日本酒は、山梨の山梨銘醸「七賢」、金沢の中村酒造「日榮」、山口の旭酒造「獺祭」。美術館のような空間で、一皿・一杯、それぞれの誕生秘話を聞きながらいただきます。

 素材調達と調理方法にシェフの知識と経験とアイデアとネットワークが詰まった一皿と、蔵元のこだわりから生まれる一杯は大げさでなくアートの域です。個人的ベストはモナコのドミニック・ロリー(Dominique Lory)総料理長による「トリュフ産地の小麦を使ったパンのミジョテと野生茸、オゼイユ(写真3枚目)」と「日榮」。パンはなんとレストランで前日残ったパンを使うそうです。

 この日はテーブルの塩、バター、それに水もこだわり満載で、「塩麴でマリネしたクエの炭火焼、フヌイユとミカン」とのペアは七賢の「絹の味」に加えてなんと同社の銘水「仕込み水」でした(写真5枚目)。

 最近、富裕層の間では服やバッグやジュエリーと同じくらい、もしかしたらそれ以上にレストランで供される料理の価値が高まっています。フツウに飽き足らない彼らが飛行機に乗ってでも「一皿」との一期一会を求めて向かうのは、それだけの価値があるから。この流れは加速しそうです。

11月9日(土)
上野公園に
「リトゥンアフターワーズ」現れる

 天気に恵まれた土曜日は上野公園で開かれた「リトゥンアフターワーズ(WRITTENAFTERWARDS)」のショーへ。上野公園ではこの週末、日比野克彦さん総合プロデュース、「リトゥン」のデザイナー山縣良和さんディレクションのアートイベント「UENOYES2019“FLOATING NOMAD”」が開かれていて、ショーもその一環でした。親子連れなど大勢の一般の人に見守られ、月明かりの下でのショーはドラマチックでした。

 始まりのシーンは赤い照明が照らす噴水の中を靴を濡らしながら無言で歩いてゆく人の縦列。不気味だけど目が離せません。こうやって我々は山縣マジックにかかってゆくのです(笑)。続くルックは、赤と白、時々黒の “カワイイ”リトゥン。過剰なフリルやよれたチェックなど、ヘタウマ感はありますが子供っぽさやチープには着地しない。そこが「リトゥン」の大きなポイントだと思います。

 インビテーションには「After All」とあります。あらゆるボーダーレスが進むと同時に、内向きになりがちなこの時代にノマドは結局、どこへ?答えが用意されている訳ではありませんが、私は「カワイイは正義。アイデンティティーを持ち、堂々と根なし草でいるべし」と受け取りました。

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「スパイバーのやっていることをすごく平たく言えば、平和維持活動なんです」 by 関山和秀

関山和秀スパイバー取締役兼代表執行役

 スパイバーのやっていることをすごく平たく言えば、平和維持活動なんです。これは冗談ではなく、本気でそう考えています。先進国だけでなく、発展途上国も含め、世界で食料や実用品、衣料品などの消費が飛躍的に増加しています。そうしたことを賄うために、家畜や工業製品、畑が必要になり、温室効果ガスの排出量が増加したり、地球が汚染され、絶滅する動物や生物が増加したりと、エシカルやサステイナブルでない状況が生まれています。実際にモノが足りなくなり、奪い合うことにつながる、こうした状況こそが、地球の環境問題の本質だと考えています。僕らは軍事的なアプローチでは全く無いけど、そうした問題を解決することで、将来の平和を維持したい。だからこそ、スパイバーは本気で地球規模で、この技術をスケールアップすることを目指しています。(2017年12月15日掲載、人工クモの糸で160億円を調達したベンチャー、スパイバーの世界を変える素材革命

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

【関山和秀の考えを知る】

【スパイバーのコラボ製品を知る】

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「コルソ コモ」創業者が72歳の挑戦 パリに新たなギャラリー開き「文化的な貢献したい」

 ミラノのセレクトショップ「ディエチ コルソ コモ(10 CORSO COMO)」創業者兼ディレクターのカルラ・ソッツァーニ(Carla Sozzani)が、ギャラリー「ソッツァーニ財団(Fondazione Sozzani)」をパリにオープンした。ソッツァーニは伊「ヴォーグ(VOGUE)」や「エル(ELLE)」などの編集者として活躍した後、ファッションやフード、音楽、アート、ライフスタイル、デザイングッズなどをまるで雑誌編集するかのように集めた「ディエチ コルソ コモ」を1990年に創業した。同店にはギャラリー「ガレリア・カルラ・ソッツァーニ(Galleria Carla Sozzani)」が隣接しており、30年近くに渡ってキュレーターとして多くの展覧会を開催してきた。さらに、長年の友人であった故アズディン・アライア(Azzedin Alaia)の遺志を継ぎ、彼の生涯のパートナーで画家のクリストフ・フォン・ウェイエ(Christophe von Weyhe)と共に「アズディン・アライア財団(Fondation Azzedin Alaia)」を昨年パリに創設し、「アズディン アライア」に関する展覧会を開いている。

 新たに構えた「ソッツァーニ財団」が位置するのは、アフリカとアラブ系移民が多いパリ北東の18区。ギャラリーは約1000平方メートルの広々としたスペースと高い天井を持つ建物で、19世紀には倉庫として利用されていた。ファッションウイーク中には「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」や「ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)」がショールームとして利用していたこともある。初の展覧会はソッツァーニのパートナーであり、クリエイティブ面での右腕でもあるアーティストのクリス・ルース(Kris Ruhs)の作品を集めた「創造言語(Creation Language)」が10月15〜20日に開催された。ルースは1952年にニューヨークで生まれ、96年よりイタリアを拠点に絵画やコラージュ、陶器、彫刻を制作するビジュアル・アーティストとして活動している。同展覧会では縦4メートル、横9メートルの大きなキャンバスに木の彫刻や鉄の鍛造、紙クズなどを用いた複数の作品を披露した。写真で見ると完全な平面に見えるが、実際には三次元の立体的な構造である。本来はゴミとして捨てられる廃棄物を収集してキャンパスの上で再構成し、「見る者の視覚によって特定の存在を超えたコミュニケーションツールとして創造すること」を探求したという。

「“ギブ”の精神を持ち続ける」

 初日前夜に催されたオープニングには、ジャーナリストのスージー・メンケス(Suzy Menkes)やエマニュエル・アルト(Emmanuelle Alt)仏「ヴォーグ」編集長などと談笑するソッツァーニの姿があった。「30年近く前にミラノでギャラリーを開いてから、もう一つ別の形で新たに発信できる場を作りたかった。私にとっては、文化的な旅を拡大するチャレンジでもある」とソッツァーニはパリに新たに同財団を構えた理由について語った。72歳にして新たにチャレンジする彼女の目は輝いている。今後はミラノとパリ両都市で写真や芸術品の展覧会を定期的に開くほか、本のプレゼンテーションや講演、文化イベントを開催する予定だという。「私にとってギャラリーでの展覧会は、作品を通して多くの人々や社会とコミュニケーションを取る一つの方法。コミュニケーションは“ギブ・アンド・テイク”というより“ギブ”の精神を根底に持ち続け、文化的なフィールドで何か貢献したい」とソッツァーニは優しい笑顔で話した。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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「バレンシアガ」出身のパリコレの新星「キムへキム」 賛否両論を呼んだ点滴や自撮り棒の意味とは

 注目の若手ブランド「キムへキム(KIMHEKIM)」が2020年春夏シーズンのパリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)の公式スケジュールに初参加した。韓国出身デザイナーのキミンテ・キムへキム(Kiminte Kimhekim)は、ニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)時代の「バレンシアガ(BALENCIAGA)」で経験を積み、2014年に同ブランドをスタート。「バレンシアガ」時代に培ったテーラーリング技術と、韓服をモダンに解釈して融合したデザインで人気を集め、大ぶりのパールでドレープを作ったデザインの“ヴィーナス(VENUS)”シリーズや、韓服にも使われるオーガンザを使ったアイテム、大ぶりのリボンなど、ブランドのアイコンとなるデザインを生み出し、成長を続けてきた。

 パリコレデビューを果たした2020年春夏コレクションは、人気の“ヴィーナス”テーラードジャケットやオーガンザのトレンチコートなど人気デザインのアイテムも登場した。その一方で、超ビッグシルエットのテーラードジャケットをはじめ、点滴や自撮り棒を持ったモデルも登場し、シニカルな一面を見せたが、“SICK(病気)”とプリントされたTシャツを着たモデルに点滴を持たせたことは、SNSを中心に賛否両論を巻き起こし「病気をファッションやトレンドにするな」といった声も寄せられた。

 とはいえ、このパフォーマンスで多く露出を確保できたのは事実だ。そのSNSでのバズらせ方にはニコラの「バレンシアガ」というより、現「バレンシアガ」を率いるデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)の影を感じる。「僕にとってショーはショー、コレクションはコレクションなんだ」と語るキムへキムに、モデルに点滴や自撮り棒を持たせた理由をはじめ、パリコレデビューまでの過程やショーで伝えたかったことなどを聞いた。

WWD:まず自身のファッションのバックグラウンドを教えて。特に「バレンシアガ」では何を学んだ?

キミンテ・キムへキム(以下、キムへキム):21歳のときにパリに来てエスモード パリ(ESMODE PARIS)でファッションデザインを学んだ。それで十分かと思ったけど、卒業してまだ勉強し足りないと思ったからステュディオ ベルソー(Studio Bercot)に1年通って卒業したんだ。その後すぐ、幸運なことに当時ニコラ・ジェスキエールが率いていた「バレンシアガ」で働けることになった。

「バレンシアガ」には2年間在籍したんだけど、大きなメゾンだからアトリエには50人くらいのアーティジャンがで働いていて、実験的なピースを作ったり、適切な生地を探したりというプロセスを見ることができた。そこで情熱をアートピースに変える方法を学んだんだ。ただ着るだけじゃなく、着る人にエネルギーを与える服を作る方法をね。

その後「イヴ サロモン(YVES SALOMON)」や「ウーヨンミ(WOOYOUNGMI)」といったブランドと働く過程を経て自分のブランドを立ち上げたい、自分を表現したいと考えるようになって、2014年に「キムへキム」を立ち上げたんだ。

WWD:立ち上げからパリコレの公式スケジュールに参加するようになるまで、どうブランドを成長させた?

キムへキム:ブランドを設立した年に、マレ地区の花屋でファースト・コレクションのプレゼンテーションをしたんだ。コレクションのコンセプトは“ペルス ネージュ(Perce Neige)”。意味は“雪の花”で、雪が降り積もっても成長し花を咲かせる花のこと。パリで暮らすシャイなアジア人でちっぽけな僕だけど、成長して花を咲かせられることを見せたかった。コレクションの結果は良かった。有名なプレスはいなかったけど、イタリアのあるスタイリストが気に入ってくれて、アイテムを送ったんだ。そこからビジネスがうまく行き始めた。

16年にはセールスを担当してくれるイギリスのエージェントと出会い、コレクションをコマーシャル的な形で変化させることができた。コレクションはパリで作りつつ、生産はソウルでやっているんだ。パリにもいい工場はたくさんあるんだけど、もう手が埋まっていて生産をハンドリングできないし、韓国には服作りのノウハウがあるから、韓国で生産するのもいいと思った。結果韓国での生産はうまくいって、現在世界50店舗で取り扱いがある。多くないけれど、ビジネスを続けられることができる数だ。その過程で(パリコレを主催する)サンディカが興味を持ってくれて、今季から公式スケジュールに参加したんだ。

WWD:「キムへキム」は若いブランドながら“ヴィーナス”シーリーズや巨大なリボン、オーガンザなどアイコニックなアイテムやデザインが多くある。それぞれはどうやって生まれた?

キムへキム:“ヴィーナス”シリーズは、自分が持っているフォーマルなジャケットをフェミニンにしたいと思って生まれたんだ。それで大きなパールのボタンでドレープを作ったんだけど、メンズのジャケットとドレープのコントラストが面白いと思った。“ヴィーナス”と名付けたのはボッティチェリ(Botticelli)の“ヴィーナスの誕生”にインスパイアされたんだ。絵の中で季節の女神のホーラがヴィーナスに布を持って来ているから、そう名付けた。“ヴィーナス”シリーズは世界中でベストセラーで、“ヴィーナス”シリーズがあったからこそブランドを成長させることができた。今も種類を増やそうとしているよ。

リボンは、ギャザーをたっぷりときかせたフランス流のリボンじゃなくて、僕なりの方法でリボンを作ろうとして生まれた。実はこれは韓服の胸元を留めるリボンからインスパイアされていて、だからこそシワがなく、まっすぐでシンプルなんだ。

オーガンザのアイテムは、インスタグラムのフォロワーに人気なんだけど、僕もオーガンザは大好き。8、9歳とか子どもの頃に祖母からオーガンザを使った韓服の作り方を教えてもらい、一緒に作っていたから。あの頃のオーガンザの香りはまだ覚えているし、オーガンザは透け感があるからどんな色や素材にも合う。だから今でもオーガンザをスペシャルラインのアイテムに使っているんだ。

WWD:今ブランドのラインはいくつあるの?それぞれの違いは?

キムへキム:今あるラインは4つ。1つめは“BUY IT IF YOU CAN”で、その名の通り挑発的なラインで、超巨大なジャケットやネクタイなどがある。ウエアラブルじゃないけれど、実験的なことがしたかったんだ。それで「買えるものなら買えよ」という名前にした。

2つめは“MY UNIFORM”で、大好きだから制服のように毎日着るという意味を込めた。Tシャツやシャツなどで、「キムへキム」のロゴを入れている。高校生の制服みたいだけど、これは韓国で過ごした高校時代は僕にとってすごく大きな経験だったから。高校ではみんな同じ制服を着ていたけど、自分なりの着方を見つけて、それぞれ違う風に見える。これをこのラインでも表現しているんだ。

3つめは、“TONIGHT”。“ヴィーナス”ジャケットやスーツをそろえている。ナイトパーティーやカクテルパーティーで特別な気分になれるようにという意味も込めてこの名前をつけたんだ。

4つめは“KIMINTE KIMHEKIM”で、僕の名前をつけた。このラインは韓服の要素を取り入れたラインで、ほぼチマそのままのものもある。だけど、正しいアーティジャンを見つけ、正しい素材と、正しい色を見つけることが重要で、過去のものを再解釈して新しく現代の人々にプレゼンテーションしているんだ。

“「キムへキム」が注目を浴びるための理由でありたい”

WWD:2020年春夏のコレクションについて教えて。このコレクションを通して人々に伝えたかったことは?

キムへキム:コンセプトは、“Attention Seekers”で、注目を浴びたい女の子が療養所で過ごす夏休みを表現したんだ。病院じゃなくて療養所というところがポイントで、休んだりもできるけど「キムへキム」流に遊ぶこともできる。注目を浴びたいと思うことは、僕は全く悪いことじゃないと思っている。特にSNS時代の今は、みんなどこかで注目を浴びたがっているんだ。だから僕が伝えたかったのは、注目を浴びたいということを認めて、正しいやり方、つまり「キムへキム」流で注目を浴びようとしてほしいということ。「キムへキム」を着ればエレガントにもなれるし、プレイフルにもなれる。「キムへキム」が注目を浴びるための理由でありたい。注目を浴びるために、SNSで人を侮辱したり、攻撃的になる必要はないんだ。

「別に注目を浴びたいわけじゃないんだけど」と主張する人もいるかもしれないけど、そんな人には「とにかく認めなよ」って言いたい。コレクションの名前は“ME”にしたけど、これは僕もファッションデザイナーという“Attention Seekers”だから。でも、僕なりの方法で注目を浴びたいんだ。物議を醸すようなことはしたくないけど、プレイフルなコレクションを見せることによって注目を浴びたい。これがこのコレクションの意図だよ。

WWD:なるほど、だからモデルに自撮り棒を持たせたの?

キムへキム:そう、自撮り棒を持たせたのは現代の人々を表現したかったから。みんなどこにでも自撮り棒を持って行って自分たちを撮っているけど、彼らが本当にしたいのは、ほかの人から見られたいということ。つまりここでの自撮り棒は、彼らを見るであろう“他人”を表しているんだ。SNSに何かを投稿するとき、どこかでたくさん「いいね!」がもらえることやいい反応やコメントがもらえることを期待しているけど、そんなそぶりは見せないようにしてるのを皮肉ったんだ。でもこういう行動は僕は全然普通のこと、当然のことだと思っている。みんな好きな人たちから好かれたいんだ。

WWD:点滴を持って登場したモデルもいたけど、これはどういう意味?ブランドのインスタグラムには怒りのコメントも寄せられているけれど。

キムへキム:点滴袋の中身は薬じゃなくてビタミンという設定なんだよ。「キムへキム」はみんなにエネルギーを与えるビタミンでありたいと思っている。ファーストルックのビタミン袋をつけたモデルはすごくパワフルに歩いていて、自信に満ちていたでしょ?彼女はほかの人からの注目はいらないんだ。だって「キムへキム」のエネルギーをもらっているからね。

「キムへキム」のインスタグラムにアップしたこのルックの画像はすごく注目を浴びていて、コメント欄は賛否両論だけど、この反応は予想してた。“SICK”と書かれたTシャツを快く思わなかった人も何人かいたけど、これは“病気”という意味の“シック”と、クールという意味の“chic(シック)”とかけたんだ。彼女は病気でもなんでもなくて、「キムへキム」のビタミンをもらっているから、“chic”だし点滴も持ち上げさせてパワフルに歩いてもらった。だから病気の人を傷つけようとしたつもりは全くなくて、ただ単にエネルギーをあげようとしたんだ。

“ショーはショー、コレクションはコレクション”

WWD:インスタグラムでのコレクションの見せ方と、ショーでの見せ方でギャップがあったように感じる。

キムへキム:ショーをやるときは強くいきたいんだ。それがショーだと思うから。見る価値があるショーだと思ってもらいたい。「キムへキム」が好きな人は特にブランドのテーラーリングが好きな人が多いんだけど、今回はビッグシルエットで隠れていたかもね。でもディテールを見れば、ブランドのDNAを感じることができると思う。でも新しいショーの見せ方を試してみたかったんだ。ショーに来る人に「キムへキム」のショーは行く価値があるものだと思ってもらいたくて、次は何が見れるのか楽しみにしていてもらいたいから。僕にとってショーはショー、コレクションはコレクションなんだ。

WWD:コレクションにはSNS時代だからこそのアイロニーが多く登場したけど、ブランドのインスタグラムのコミュニケーションや運営で何か秘訣や気をつけていることはある?

キムへキム:秘訣というまでもないかもしれないけれど、可能な限り正直であるようにしている。以前はショーの前はコレクションのメインとなるデザインを隠してたんだけど、今は制作の過程を見せていて、今回も超ビッグシルエットのジャケットの、コレクションで一番強烈なルックをショーの前にインスタグラムに投稿した。今あるものを隠さずにシェアして、みんなに何がショーで見れるのか知らせるんだ。でもショーではまた別のサプライズも用意している。みんな今この瞬間にサプライズされたがっているんだ。だから隠さず、持っている情報を可能な限りシェアしようとしてる。

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サステナビリティって何? 専門家が答えます。 連載Vol.1 ステラ・マッカートニーに聞くファッションショーの是非

 サステナビリティに取り組まない企業は存続できない――とはいうものの、具体的に何をどうしたらいいのか分からないという声も聞く。そこで「WWDジャパン」11月25日号では、特集「サステナビリティ推進か、ビジネスを失うか」を企画し、経営者やデザイナー、学者に話を聞きその解決策を探る。今回はステラ・マッカートニー(Stella McCartney)にファッションショーの是非を聞く。

WWD:ショーは必要だと思う?1回限りのショーのために大がかりなセットを作り、そのために多くの人が飛行機に乗ってやってくる。環境負荷が高いとして反対運動も起こっている。またスウェーデン・ファッション・カウンシルは「未来のために(due to the future)」としてファション・ウイークをキャンセルした。

ステラ・マッカートニー(以下、ステラ):まさにそれを自問自答しているわ。ショーには目的があるから必要性はあると思う。直接見るという経験はすばらしいことだし、ファッションには夢があってショーの演出は絵になるから。

WWD:サステナビリティの視点からもそう思う?

ステラ:サステナビリティという観点から見れば、必ずしも必要だとは思わない。でもショーのやり方はいろいろあるし、経験としては楽しめる場所だと思うの。20年春夏の「ステラ マッカートニー」のショーはサステナビリティを全面に打ち出したのだけど、ショーは私にとってメッセージを発信することができる場でもあり、多くの人に直接伝えられるからショーは重要なの。

WWD:ではファッションサイクルが早くなっていることについてどう思う?かつては年2回のコレクションだったのが今は4回になり、加えてカプセルコレクションまである。

ステラ:モノが多過ぎるし、人もモノも溢れている。みんな不安を抱えているし、ストレスもプレッシャーも増えているのに木が足りなくなっているし、地球を守ろうとしている人はいるけれど、それに対して政府の政策が十分ではない。多くの動物が殺されて、いろいろなものが“エクストリーム(極度)”になっているわよね。

でも今、子どもたちがこの危機に対して声を上げている。彼らの声に対して、「ステラ マッカートニー」ブランドとしての回答をコレクションを通して伝えたていきたい。それと同時にサステナブルな価値観を共有したいと思っているわ。私たちは動物を使ったモノを作っていないし、木も倒していない。それは「ステラ マッカートニー」を通して、サステイナブルな答えを出しているということ。

WWD:もちろん「ステラ マッカートニー」の製品自体はすごくサステナブルになっている。でも今のファッション業界の仕組みがサステナブルとは思えないのだけど。

ステラ:確かにファッションの構造は変わっていないわね。素材が製品になるまでに1年半から2年くらいかかるのでそんなに急には変わらない。さまざまな人がやっとそのことに気づき始めているけれど、実践している人は少ない。ファッションはさまざまな産業の中でも特に地球に害を与えている産業だから、願わくはそういう結果が出ないように私たちは努力をしなければいけないけど、“本物”を実践している人は少ないわね。

WWD:LVMHモエ・ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)と組むことになったが、現状と今後の目標は?

ステラ:とても可能性があると思うし、ファッション業界に対してさまざまなシステムを提案できると思う。LVMHはやっと(サステナビリティに関して)可能性のあるブランド(「ステラ マッカートニー」)を見つけてくれた。LVMHにもそういう時代が来たんだと思った。

私は同社のアドバイザーも務めるから、これまでの経験を通して社内のコンディションを整え、さまざまなことを変えていければと思っているわ。

【エディターズ・チェック】
ショーはその派手さゆえ、今やり玉に挙がり始めているが、それが動物愛護団体の“反毛皮”アピールと重なる。象徴的だが絶対的必要性が低く、畜産全体での割合も小さいからだ。2年前に岡田千尋・認定NPO法人アニマルライツセンター代表理事に取材したときに「毛皮の運動が象徴的に扱われているが、実は、畜産に多くの時間を費やしている。毛皮は必要ないと考える人も増えてきたが、肉はというと難しい。そのため、畜産において動物福祉を目指している」と話していた。衣類の消費者に届くまでの環境負荷を数値化した場合、約9割がサプライチェーンが占め、ブランドが行うファッションショーや店舗運営、輸送などは全体の1割程度。だが、ファッション業界自体の変革が求められている今、その象徴であるファッション・ウイークやショーの在り方は今後さらに問われることになるのではないか。

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インスタグラムのフォロワー数12万超え 「アルバム」の人気美容師NATSUMIのインスタ集客方法

 人気ヘアサロン「アルバム(ALBUM)」渋谷店のNATSUMIディレクターは、月間最高売り上げ482万円で、インスタグラムのフォロワー数は12万5000超え。現在はインスタグラムでの多くの集客を行っているという彼女にその活用法を聞いた。

WWD:もともと他の美容室で働いていたNATSUMIさんが「アルバム」に入社した経緯は?

NATSUMI:前の美容室にいた頃にインスタグラムで「アルバム」を知り、興味があったので、NOBU(「アルバム」プロデューサー)さんのところにお客として行きました。そのときにいろいろと話を聞かせてもらい、すごく将来性を感じて入社しました。それから約1年間NOBUさんのアシスタントをして、2016年5月にスタイリストデビューしました。

WWD:スタイリストデビューしてからは順調だった?

NATSUMI:デビューに向けてインスタグラムのフォロワーを増やしていたので、デビュー初月からある程度のファンを獲得できていました。もともと「アルバム」に入る前からインスタグラムはやっていたのですが、今考えるとその頃は、集客は意識せずに何となくやっていただけで、プライベートもヘアも同じように投稿してしまっていました。それで「アルバム」に入社してからNOBUさんからもすごくダメ出しされて、アカウントも作り直しました。デビューしたときのフォロワー数は3000ほどで、1年後に6万3000になり、2年後に10万を超えました。今は12万5000ほどまで増えました。

WWD:フォロワー数が伸びた理由は?

NATSUMI:最初は私自身がショートヘアだったこともあり、ショートのアレンジ動画を投稿していたらそれがヒットして、そこからキュレーションメディアの「メリー(MERY)」や「ロカリ(LOCARI)」にピックアップされるようになって一気に増えました。当時はショートのアレンジを打ち出している人が少なかったので、それがよかったんだと思います。やっぱりその人なりの強みがあるとフォロワー数も伸びますよね。その後、2ウエイバングも人気となって、それ以来ショートアレンジ、2ウエイバングを中心に投稿して、フォロワー数を伸ばしました。また投稿は3回に1回は動画をアップするなど、規則性を持たせています。最近は人柄を伝えられる動画やIGTVにも力を入れています。

WWD:IGTVではどのような投稿をしている?

NATSUMI:私の場合、一見クールに思われがちなので、IGTVでは親近感を持ってもらえるような人となりが分かるようなコンテンツを心掛けています。アシスタントと一緒に鼻毛ワックスなどを試してみたり、セルフカット、セルフアレンジなどの動画をアップしています。

WWD:フォロワーが伸びない人の共通点は?

NATSUMI:インスタグラムは美容師にとって名刺と同じで、どういうヘアが得意か分かることが重要だと思います。また女性だと“共感”が大切になってくるので、その人柄が分かるようなコンテンツを発信していくことも必要です。

WWD:インスタグラムを見て、新規で来る人も多いと思うが、リピートにつなげる秘訣は?

NATSUMI:カウンセリングでお客さまの悩みをしっかりと聞き出し、次につながる提案をするようにしています。当たり前のことなのですが、意外とできていない人が多いんです。新規で来てくれたのは、きっと何かを変えたいと思っているからで、それをお客さまが言う前に言い当てることを意識しています。そうすると「何で分かるんですか?」って会話の掴みになって、お客さまも話しやすくなるんです。そうすると悩みも言いやすくなるので、その悩みを解決すれば、信頼度もぐっと高まります。

WWD:今後の目標は?

NATSUMI:個人目標は月間最高売り上げ500万円の達成。またディレクターとしてお店全体の売り上げも伸ばしていきたいですね。あと昨年結婚したので、ワークライフバランスも考えて、プライベートも充実させたいです。

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ファッション通信簿Vol.36 ぴかぴかスーツの着用は慎重に 米「WWD」がセレブのファッションを辛口ジャッジ!

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第36回は、ジェイソン・モモア(Jason Momoa)、ニーナ・ドブレフ(Nina Dobrev)、ジェニファー・ガーナー(Jennifer Garner)、ハンター・シェーファー(Hunter Schafer)、アマンドラ・ステンバーグ(Amandla Stenberg)、クリスティー・ターリントン・バーンズ(Christy Turlington Burns)、ビル・ヘイダー(Bill Hader)、マイケル・シャノン(Michael Shannon)が登場。「悪夢を見そう」「変態的」など、今回も痛烈ワードのオンパレード!

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「アグ」のトップが激白 「私たちが西海岸セレブな広告をやめた理由」

 デッカーズ アウトドア コーポレーション(DECKERS OUTDOOR CORP.)傘下の「アグ(UGG)」は最近、ダイバーシティー(多様性)に富んだインフルエンサーを広告ビジュアルに起用するなどして、年齢や性差、スタイル、バックグラウンドにとらわれない人々や自己表現をサポートしている。特に広告ビジュアルは、数年前までの“西海岸セレブ”なムードから一変。今シーズンは、モデルであり母親だが、かつてはドラッグ中毒に苦しんだスリック・ウッズ(Slick Woods)とその息子など、支え合い、高め合い、インスピレーションを与え合う、さまざまな世代の二人にフォーカスした。

 キャンペーンを発表したロサンゼルスのイベント会場で、ブランドプレジデントのアンドレア・オドネル(Andrea O'Donnell)にコミュニケーション刷新の理由を聞いた。

WWD:かつての“西海岸セレブ”なキャンペーンを一新した理由は?

アンドレア:繰り返しはイヤだったし、私がトップに就任した時、「アグ」に必要なのはエキサイトメントだった。正直、カリフォルニアのライフスタイルというイメージに依存しすぎていたと思う。もちろん、カリフォルニアのイメージを打ち出すことには、意味があったのよ。私たちはカリフォルニア生まれのブランドだし、オフィスは今もロサンゼルスに構えているから。そんな時、社会全体でダイバーシティー(多様性)が重要な価値観として台頭し始めて、ブランドコミュニケーションも一方的な発信から消費者との対話型に進化し始めた。そこで、「大きなマーケットを抱える『アグ』こそ、ダイバーシティーなブランドだわ!!」って再認識したの。だって、マドンナ(Madonna)さえ「アグ」の愛用者なのよ(笑)!!「モデルには、世界中の『アグ』ユーザーを代弁する人々を起用したい」。そう考えて3年前、“西海岸セレブ”な広告をやめたの。

WWD:新たな方向性のコミュニケーションで一番気を使っているのは?

アンドレア:「アグ」は世界的なブランドではあるけれど、残念ながらそうそうたるラグジュアリーブランドのように莫大な予算は持っていない(笑)。そこで、本当にユニークな人たちを見つけて、彼女たちの本質やストーリーに迫ることで“ヒーロー”にすることを目指したの。一番気を使ったのは、彼女たちを「今っぽい、面白い人たち」と持ち上げたのに、次のシーズンには無視するような“ポイ捨て”をしないこと。特に困難な過去を乗り越えてきた人たちと仕事をするには、心から信頼し合うことが大事。

WWD:かつてはドラッグ中毒に苦しんだスリック・ウッドのように、辛い過去を持つ人物を広告塔として起用するのは、勇気がいることだ。

アンドレア:面白い質問だわ。でも、結果的にその勇気は広告ビジュアルに必要で、「アグ」らしくもあるセンセーションをかき立てたと思う。「アグ」のブーツはクラシックだけれどセンセーショナルでもあるから、今まで生き残ってこれた。だって数年前に大ブームになった時さえ、セレブリティーのパパラッチっていう、これ以上ないくらいセンセーショナルな露出がきっかけだったでしょう?「アグ」はリスクを恐れないの。失うものは、何もないわ。

WWD:新キャンペーンの反響は?

アンドレア:もちろんキャンペーン自体は賛否両論だったし、以降のビジネスだって調子が良いときも悪いときもある。でも確かなのは、人々が「アグ」をリアルだと思い始めてくれたこと。セレブに依存しすぎた時は、虚構のイメージを退屈に感じたり、不信感を抱かせてしまったりしていたのかもしれない。そのイメージは、払拭されたと思う。

WWD:今回、親子や兄弟などカップルにフォーカスしたのは?

アンドレア:当初は別に想定していなかったの。でも今回はユニークな人たちにアプローチしたら、本人はもちろん彼女たちをサポートしている人々も魅力的だって気づいたの。新しい「アグ」のキャンペーンは、「みんなの生き方を祝福すること」。だったら、アンバサダーを支える仲間も、一緒に祝福すればいいと考えた。みんな、家族や仲間の幸せを願っているし、彼らが何かを達成したらお祝いするでしょう?それと同じ。皆で“「アグ」ファミリー”をお祝いしたかった。

WWD:広告キャンペーン同様、今はさまざまなブランドともコラボレーションしている。

アンドレア:さまざまなコラボレーションの狙いは、私たちのクリエイティビティーをファッションの世界に知らしめるため。だからニューヨークやミラノ、ロンドン、パリで活躍しているデザイナーを選んで、彼らにクリエイションの自由を提供し、新しいプロダクトを生み出してもらっている。ビジネス的に言えば、「アグ」におけるメンズビジネスはまだまだ小さい。だからストリートマインドを持っている「ヘロン プレストン(HERON PRESTON)」や「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」「マスター・マインド(MASTER MIND)」にアプローチしたの。クラシックブーツを再解釈してもらうことは、社内のデザインチームを盛り上げる上でも役立った。正直に言えば、「アグ」が属しているコンテンポラリー・マーケットでクリエイティブであり続けることは難しい。最終的に商品を適正価格で提供しなくてはならないから。さまざまなデザイナーとのコラボレーションは、そんな制約の中でも可能性は無限にあることを教えてくれた。

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「失敗せずにECで買う」と割り切ったリアル店舗の可能性 ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.6「ノードストロムのNY攻略法」

読み解きポイント:忙しいニューヨーカーの時間をどれだけ確保できるのか?

ニュースのポイント

 米百貨店のノードストロムが、メンズ館に続き10月24日、ウィメンズ館をマンハッタン旗艦店としてオープンした。他百貨店との差別化の手段は、ラインナップではなく、利便性の高い顧客サービス。米国はホリデーシーズンに販売された商品のうち、10兆円分相当が返品される返品大国。即日配達、店舗受け取りに加え、ECで購入した商品は、面倒な書類記入なしで、店内のどのレジからも返却できる。9月にオープンした小型サービス店舗「ノードストロム ローカル」は裾上げ、スタイリストとのワードローブ相談、リサイクル衣料の回収なども行なっている。

CKRはこう読む!

 「顧客接点の数と深さ」。企業価値を評価する上で、今後ますます重要な指標になるのではないでしょうか。

 本号「ファッションEC戦国時代 勝ち抜くのはどこだ?」という特集の中では、EC売上高、EC流通額、EC化率によって各社の状況が比較されています。これらの指標は、ビジネス上、重要であることは間違いありません。OMO(Online Merges with Offline)が叫ばれる中、ECだけを切り口に企業価値を評価するのはどうなのかな?と思うところありますが、ECにフォーカスした場合、サイトの滞在時間やアクセス回数を評価指標にすることも忘れてはなりません。人が平等にもつ、1日24時間という制約の中、どれだけ心を奪うことができたかということの重要性は、どんなに強調してもしすぎることはありません。例えば、ZOZOから送られてきた割引クーポンをきっかけに、通勤電車の中でアプリを立ち上げ、好きなブランドアイテムを眺めながら、想像を膨らませているうちに30分が過ぎてしまったというシーン。ファッションには人の心を惹きつけ、時間を消費してしまう、メディアコンテンツとしての力もあります。

 本題ノードストロムのサービスは、「顧客接点を多く作る」という視点で設計されていることを強く感じます。EC化率(売上高ベース)は30%に達しており、「忙しいニューヨーカーのみなさま!欲しいものは、隙間時間にネットで選んでください」と半ば割り切り、「失敗しない、安心できる」ことをリアル店舗のサービスで補完しているようにも見えます。

 またベビーカーのクリーニングや地域住民ミーティングスペースなど、ちょっと立ち寄ってみようかなと思える仕掛けが用意され、顧客の滞在時間をうまく確保しようとしている取り組みも見逃せません。顧客がリアル店舗の中で過ごす行動履歴を分析し、サービスにフィードバック、改善していくことも視野に入れているでしょう。

 一人ひとりの顧客を理解し、EC、リアル店舗問わず、体験価値をあげていく。それがノードストロムのNY攻略法なのかもしれません。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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ファッション通信簿Vol.35 リスクを冒して成功したのは誰? 美女たちのレッドカーペットファッションを米「WWD」がめった切り

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第35回は、アンドレア・ライズボロー(Andrea Riseborough)、ゼンデイヤ(Zendaya)、シャーリーズ・セロン(Charlize Theron)、カーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)、グウィネス・パルトロウ(Gwyneth Paltrow)、ジャミーラ・ジャミル(Jameela Jamil)、ジョーイ・キング(Joey King)、ゾーイ・ドゥイッチ(Zoey Deutch)が登場。美女だからといって容赦しないのが米「WWD」流ファッションチェック。今回の評価はいかに?

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“アラウンド3万円の機械式時計”は次なるブームになるか?

 3万円前後の手頃な機械式時計を目にする機会が増えた。新進ブランドから、国産のセイコーウオッチやシチズン時計まで続々と発売している。“機械式時計=30万円以上”という常識が覆されている。

 輸入代理店のウエニ貿易は2019年10月1日からイタリアブランド「スピニカー(SPINNAKER)」の日本での取り扱いを開始した。2シリーズ全8型を3万~3万2000円で販売する。中田俊介プレス担当は、「ひと月足らずの間に、自社ECのみで約200本を売った。手ごたえを感じている」と話す。ほかにもビームスなどのセレクトショップや、大丸など百貨店にも卸す。また輸入代理店ユーロパッションのオリジナルブランド「アルカフトゥーラ(ARCA FUTURA)」は中国製ムーブメントながら、2万円台前半の機械式時計を発売している。

 ステータスシンボルとして時計を着用する場合、機械式時計は高価だから意味がある。富裕層の間では、1本数千万円もするモデルが人気だ。しかし日常使いのアイテムなら、30万円以上の時計は安くはない。だから、「時計の心臓部であるムーブメントはクオーツ(電池式)で十分」「わざわざ高額な機械式を選ぶ理由はない」という意見が当然だった。

 しかし機械式にはクオーツにはない特別な魅力、面白さがある。例えば、流れるような秒針の動き、時を刻むかすかな音、りゅうずを回して時刻を合わせる操作感などだ。裏蓋がシースルーなら、“小宇宙”とも例えられる複雑な構造を楽しめる。さらにクオーツ式はパワーが弱いため太くて厚い針は動かせないが、機械式なら可能だ。これによりデザインの幅も広がる。

 価格は10分の1になったが、ムーブメントのクオリティーはむしろ向上している。前述の「スピニカー」は盛岡セイコー工業の日本製自動巻きムーブメント“NH35”を搭載し、セイコーウオッチの「プレザージュ(PRESAGE)」や、シチズン時計の「シチズンコレクション(CITIZEN COLLECTION)」も自社製の新世代ムーブメント内蔵モデルを発売している。この背景には、1990年代から続いてきた機械式時計ブームが曲がり角に来たという事情がある。

 職人技の塊のような機械式時計の可能性を80年代の終わりにいち早く再発見したのは、ラグジュアリーグループや投資家たちだ。100年以上の歴史を持つ名門ブランドを買収して投資することで、次々に機械式時計を発売した。これによって現在まで続く世界的な時計ブームが生まれ、スイス時計の輸出額はこの25年間で約4倍に拡大した。その結果、1本1億円を超えるモデルも珍しくない超高級時計市場が成立した。

 市場の拡大で機械式ムーブメントは枯渇し、時計業界ではグループ間の対立や開発競争が起きた。このあたりは11月11日号の紙面で細かく解説するが、この10年間で機械式ムーブメントは世代交代を果たし、生産量も増えた。

 今秋の“アラウンド3万円の機械式時計”は、20年近く続いた“ムーブメント戦争”の恩恵とも言える。自社でムーブメントを開発・製造するブランドが増え、世界最大の時計企業であるスウォッチ グループ(SWATCH GROUP)傘下の専門企業がほぼ独占していた機械式ムーブメントに別の選択肢が現れるなど、高品質で低価格な新世代ムーブメントが豊富に生産・供給されるようになった。価格で断念したり、別世界のものだと考えていた人たちにも機械式時計は気軽に体験できるようになった。


「スピニカー」の“ブラッドナー”

渋谷ヤスヒト/オフィス・ノマド代表:1962年、埼玉県生まれ。大学卒業後、徳間書店に入社。文芸編集部を経て、「グッズプレス」編集部に配属。表紙撮影で出合った「ブライトリング」の“コスモノート”を購入したことをきっかけに時計にはまり、95年からスイス2大時計フェアや時計ファクトリーの取材を開始。2002年に同社を退社し、「エスクァイア日本版」の編集者などを経てオフィス・ノマドを設立。時計ジャーナリスト、モノジャーナリスト、編集者としての顔を持つ。趣味は料理

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「独立して見たい景色を目指して。人を想い、なりたい私をぶっ放す」  Vol.3 最果てのセレクトで体感した本気で遊ぶ大切さ

 そんなわけで、これからもちゃんと決めずに退社したわけですが、楽観的だったことが功を奏し、想像もしない場所でファッションと新たなつながりを持つことができました。

 東京から1950kmも離れた場所、すぐそこは台湾という沖縄県石垣島と周辺の離島です。退社後のしばしの休息であり夏を謳歌していた頃、東京の業界の友人3人に突然誘われ、何の説明もないままに早朝の羽田から石垣島へ飛びましたwww。着替え以外は何も持たず、日程すらよく分かっていない。でも予感はあったんです。「きっと何かあるな」っていう。結局10日間ほど滞在し、石垣島、波照間島、西表島、小浜島を旅して最高な時間だったわけ。でもちゃんと目的もやっぱりあったのよね。

 まず初日は、石垣島の流れ星の丘で開催された「CAMPING EARTH 2019」。星空保護区の星と大地と音の祭典。沖縄県最大規模のキャンプフェスだそうです。ここは一言、サイコーです!!SalyuやOAUなんて有名アーティストが参加していたし、お酒と音と風と人すべてが心地よくて、全身の力が抜けてく感じ。みんな、来年は絶対に行ったほうがいいよ~。ローカルなファッションカテゴリーも多くのブースを出していて驚きです。

 でも1番「いいな~」と感じたことはね、こんなに多くの人達が心許してつながっていて、みんな人生を楽しんでいて、それぞれが思い思いの格好をして音楽に揺れてんのよ。忘れていた大事なマインドを想い出させてもらったし、「羨望の眼差し」を向けずにはいられなかったよね。そうそう。ファッションマインドって、コレがすごく大切なんだよね。自分が好きに思う、大切に思う、外になびかずに守りたいと心にある、「らしさ」を追求するマインド。初めてお会いした方ばかりだったけど、みんながみんな素敵すぎました。この高揚感やワナビーを抱くような非日常的な湧き上がる感情って、なくしちゃいけないヤツなのよ。

 時を経て本島では、琉球の魂宿る首里城が、とても悲しい事態になってしまって言葉も出ません。

 さてそんなメロウな時間の中で、友人がワークショップを行うというので石垣島にあるセレクトショップへ。え?石垣島にセレクトショップがあるの!?って思うでしょ?セレクトをずっとやってきた身としてはドキドキしてきちゃって。まさかでしょ。

 その名は「MAHINA MELE / Lino Coffee & Espresso」。八重山諸島・石垣島という、ショッピングは通販に頼りがちな離島でリアルなショッピングを提案する島内初のセレクトショップなのだそう。そして13年目とのこと。2年前にはカフェを新設して、ヒトやモノ、カルチャーが交差する場所として存在してます!!って、当然、前述のCAMPING EARTHにも出店されてたわけですが、滞在中に何度かお店を訪れるたびに、その極上フェスで知り合ったオシャレ先輩方、西表でガイドしてもらったイケ兄などなどが皆、来るんですよ。ほんとカッコいい兄さん・姉さんがいつもいるんですよ。こんなカッコいい日常、ずるくねww?って思うやつです。ハイ。

 カフェでは「オニバスコーヒー(ONIBUS COFFEE)」の高品質なスペシャルティコーヒー豆を使用。浅煎りフルーティーなコーヒーを、オーナーが丁寧に入れてくれる癒しの香り。当然、ビールをはじめ、お酒も堪能できますよ~~。交差する人が皆素敵だし、海だけじゃない、リゾートなんかじゃ味わえない石垣の魅力の一つですね~。

 そんな方々やお客さまをお呼びしてのワークショップは、「アナソルール(ANASOLULE)」というブランドがお客さまと一緒にTシャツにタイダイ染めするイベントでした。みんな楽しそうに自分だけの色柄を作っていて、ファッション業界にいる身としては本当に嬉しかった。多くの先輩方に教わってきたのも、コレなんだよ。僕らがこの大きなエネルギーをもっと持って、一緒にハッピーを生み出さなくちゃいかんのだよね。楽しいし、好きだし、好きになってもらいたいから、モノづくりしてるはずなの。

 なんかね、こっそりやる気出ちゃったんだよね。離島でさ。

 本気で遊ばせてもらって、ローカルでリアルな体感させてもらって、重要なことを再確認させてもらったお話でした~。で??東京に戻って、今は何してるわけ?って多くの人に聞かれ始めたので(笑)、2019-20年秋冬シーズンも始まっているわけだし、そろそろ私も次回以降は本気の日常を紹介しようと思います。

井上智和:1981年生まれ。東京生まれ東京育ちのCITY BOY。中央大学商学部を卒業後、三陽商会に入社し、店頭研修後に「バーバリー・ブラックレーベル」で販売トレーナー及びVMDを担当。3年目の終わりに「ラブレス」に異動しバイヤーに。国内外ブランドの開拓・買い付けをしながらセレクトショップの運営を学び、直近はバイヤーの他にプレス・販促・販売の長を兼務しながらリテール事業を経験。15年在籍の後に退社し、現在は「1H basix(ワンエイチ ベイシックス)」の名を冠して独立。ファッション・ライフスタイル領域のセレクトにて、アドバイジングやディレクション、買い付けを行なう傍ら、大人の本気遊びを体現し記事執筆を行う

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マーティン・ローズの“ちょっと変な日常着” 「バレンシアガ」でデムナを支えたクリエイションのルーツ

 英ロンドン発の「マーティン ローズ(MARTINE ROSE)」は、誰のクローゼットにでもあるような日常着をベースに、ディテールを誇張したり、シルエットを膨らませたりひねったりする違和感のあるクリエイションが人気だ。デザイナーのマーティン・ローズの一風変わったクリエイションに「バレンシアガ(BALENCIAGA)」を率いるデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)が惚れ込み、同ブランドのメンズのディレクションを担っていた経歴もある。「ナイキ(NIKE)」や「ナパピリ(NAPAPIJRI)」といった歴史あるブランドとの協業も成功させ、昨今は知名度をさらに上げている。現在の卸先は約100アカウント。日本でもアディッション アデライデ(ADDITION ADELAIDE)やリステア(RESTIR)などの有力店を含む約20アカウントで取り扱われている。そんな彼女が、初めて日本を訪れた。何がきっかけでメンズウエアを作り、現在の“ちょっと変な日常着”のスタイルを確立したのか。目まぐるしく変わる街、渋谷で話を聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):「マーティン ローズ」を立ち上げた経緯は?

マーティン・ローズ(以下、ローズ):ミドルセックスユニバーシティー(Middlesex University、ロンドン北部に位置する国立大学)で服づくりを学んだ後、友人と一緒にTシャツ専門の小さなレーベル「エルエムエヌオーピー(LMNOP)」を立ち上げました。そこで服をつくるうちに自分が表現したいスタイルが明確になり、2007年に「マーティン ローズ」を立ち上げました。当初はメンズのTシャツとシャツのみの小さなコレクションでしたが、徐々に拡大してジャケットやパンツなども手掛けるようになりました。

WWD:メンズウエアをデザインする理由は?

ローズ:小さなころから兄弟や親戚のスタイルを見ていたから、メンズウエアは私にとってすごく身近な存在だったんです。男性の服を着たり、男の子っぽく着こなしたりするのがずっと好きで、大学ではメンズの服を着ながらウィメンズの服づくりを学んでいました(笑)。

WWD:あなたのデザインは、肩が張り出したジャケットや極端なバギーシルエットのパンツなど“違和感のある日常着”がベースとなっているが、このルーツは?。

ローズ:当たり前のように見慣れているや見慣れた服を、いかに新鮮に見せるかを常に意識してデザインしています。服の新しいアイデアは、古着屋で買ったアイテムを切り貼りして遊んでいるときに思いつくことが多いですね。この遊びは学生のころからやっていて、それが今のクリエイションに通じています。

WWD:今のブランドスタイルはいつから確立した?

ローズ: 2013-14年秋冬コレクションと14-15年秋冬コレクションだと思います。このころは、見慣れたもの同士を組み合わせて服を新鮮に見せることに挑戦していました。14-15年秋冬コレクションは、アーティストのスティーブ・テリー(Steve Terry)と一緒に制作したクラブのフライヤー風プリントをジャケットなどに施し、パンクカルチャーに着想を得て、ビールの銘柄がプリントされたタオル(英のパブでよく扱われる)をジーンズにパッチワークすることにもトライしました。

コラボで知名度拡大
「クリエイションにもポジティブに作用」

WWD:「ナイキ」や「ナパピリ」との協業は自身のブランドに役立ったか?

ローズ:両ブランドとのコラボレーションによって、ブランドの認知度が向上しました。「ナイキ」では靴、「ナパピリ」ではスキーウエアなど、自分が踏み込んでいなかった領域の知識と経験が得られたので、「マーティン ローズ」のクリエイションにもポジティブに作用していますね。

WWD:「ナパピリ」とのコラボで意識した点は?

ローズ:「ナパピリ」は「マーティン ローズ」とは絶対的に異なるブランド。色使いや形に対する考え方はかなり違うし、「ナパピリ」のアイテムにはどこか“楽しさ”があります。コラボレーションでは、その“楽しさ”を自分なりに表現することを強く意識し、ビビットなカラーリングで表現しました。

WWD:ビジュアルメイキングも特徴的だが?

ローズ:ファーストコレクションでキャンペーンビジュアルを発表したときに大きな反響を得たので、それ以降も継続しています。初期段階からビジュアルメイキングの案があったわけではなく、コラボレーションで何を行うべきかを模索する中で、コミュニケーションの一つとして考案されました。

WWD:「マーティン ローズ」の20年春夏のビジュアルもユニークだったが、その経験を発展させたもの?

ローズ:ビジュアルづくりはもともと好きでしたが、「ナパピリ」とのコラボを経て、より一層注力するようになりました。「マーティン ローズ」の20年春夏のマッチョな男性をそろえたビジュアルは、フォトグラファーのディック・ジョー(Dick Joe)のアイデアです。彼は撮影が決まった当初から「アマチュアのボディビルダーを使いたい!」と言っていました。モデルたちには撮影内容を知らせていなかったようで、現場に来た彼らは「女の子を持ち上げるなんて聞いてねえよ!」と驚いていた様子でした(笑)。椅子が壊れるアクシデントにも見舞われてなかなか大変な撮影でしたが、素晴らしいイメージが出来上がりました。

デムナとの交友、
ブランドのこれから

WWD:デムナ・ヴァザリアと親交が深いと聞いているが?

ローズ:彼が「ヴェトモン(VETEMENTS)」を始める前から付き合いがあります。ある日、「あなたのブランドの大ファンです」という一通のメールが届き、それがデムナでした。フォトグラファーとして活動する共通の知り合いがいて、彼が私の連絡先をデムナに教えたそうです。

WWD:「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のクリエイションに参加した経緯は?

ローズ:デムナが「バレンシアガ」のクリエイティブ・ディレクターに就いたとき、「メンズウエアをもっと拡大したい。パリに来て、僕たちと一緒に仕事をしないか?」と声をかけられました。当時の「バレンシアガ」はメンズの規模が小さくショーすら開催していなかった。でも、「デムナのような才能ある人と一緒にできるなら」と、快諾しました。デムナのデビューコレクションから、5シーズンほどメンズチームのディレクションを担当しました。

WWD:今後また、歴史あるメゾンで仕事をしたいと思うか?

ローズ:特に望んではいません。「バレンシアガ」に参画したのは、デムナとの素晴らしい関係があったから。彼のように昔から付き合いのある人に誘われたら考えるかもしれませんが、大きなブランドはいろいろとスゴいですからね(笑)

WWD:最後に、これから挑戦したいことを教えてください。

ローズ:デザイナーにとって最も重要なことは、純粋な姿勢を保つことです。チームが大きくなると、クリエイションの背後にビジネスがちらついて、自分たちが本当に好きなことにフォーカスするのが難しくなります。「マーティン ローズ」は今、8人のチームで運営しています。今後チームがどれだけ大きくなっても、自分たちが愛するモノ・コトを愛し続けて、純粋にクリエイションを楽しみたいです。

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「女性」の冠なしに「経営者」「投資家」を名乗りたい ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。

今日のニュース:P.13「投資家の世界にも多様性が必要だ」

読み解きポイント:「多様性という言葉がなくなる日を目指して」

ニュースのポイント

 テクノロジーによって女性の課題解決を図る“フェムテック”をはじめ、女性起業家によるベンチャー企業が増えている。一方で、女性が抱えるさまざまな問題を当事者として理解できる女性投資家が少ないこともあり、他の企業と比べ資金調達が難航することも。独立系ベンチャーキャピタルにおける日本初の女性パートナーとして第一線で活躍するiSGCインベストメントワークスの佐藤真希子代表パートナーに、なぜ女性投資家が少ないのか、現状のVC業界について聞いた。

AZUはこう読む!

 サイバーエージェントでキャリアを築いた佐藤さんが、投資の世界に足を踏み入れたのは2006年。国内企業への投資を9年間行い、独立してからはさまざまな分野の企業に投資。うち4分の1は女性経営者の企業なのだそう。佐藤さんが投資に関わりはじめた頃、女性起業家や投資家はまだまだ少なく、その数が増えてきたのは14年頃から。状況は変わってきたといえども、「多様性が必要」という言葉は重たいものです。

 ベンチャー企業でも女性がたくさん活躍しているのは確かです。しかし経営者、投資家になるとどうでしょう。まだまだ女性が少ないのは、ピッチコンテスト出場者や起業・資金調達のニュースなどを見れば明らか。女性が活躍するにはまだまだ厳しい環境だな、と思わされることも多々あります。

 ファッションに限らず同世代の女性経営者と話す機会が多いのですが、彼女たちから聞く話は、ほか男性経営者から聞く「資金調達がうまくいかなくて」という苦労話とは少し方向が違います。地道にやってきたのに「バックに誰がいるの?」と冗談まじりに言われたり、「前に出て若さを武器にした方が良い」といらぬ助言をされたり、挙げ句の果てには「リスクを冒して売名行為をすべき」など……。もちろんこれはごく一部の声であり、全ての女性経営者がこうした経験をしているわけではないでしょう。ないと信じたいものです。

 正当に結果を出しても「女性枠でしょ」と勝手に下駄を履かされ、誰かと仲良くすると「媚びている」とあらぬ噂を立てられる。一挙手一投足に神経を使わないといけないなんて、いったいどれだけの精神力が必要なのだろう、と思う時があります。特に経営者でもなくフロントに立つ機会が少ない私ですら、そういった言動や態度を受けることがあるので、彼女たちなら尚更でしょう。

 「エンジェル投資家になりたい」と話す女性経営者もいます。それは自分が受けてきた経験や苦しんだ環境を変えるには、そこにいくしかない、という覚悟があるから。本来つける必要がない「女性」という冠を使わず「経営者」「投資家」とシンプルに使えるようになる日を、未来を作ると同時に投資するマインドをもつ私たちが作り上げていかねば、と思う次第です。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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ギャルと決別した「セシルマクビー」が目指す先

 ジャパンイマジネーションの「セシルマクビー(CECIL MCBEE)」は、2019年秋からリブランディングを進めている。1番店の渋谷109店を9日にリニューアルオープンする。新コンセプト「今の時代にちょうどいい」を掲げて、商品全般をガーリーテイストにトレンド感を加味したデザインに一新。店内もより明るく、親しみやすい雰囲気に変える。

 1985年にスタートした同ブランドは、「セクシーカジュアル」をコンセプトに2000年代の渋谷のギャル文化をけん引し、00年~13年まで同館の売り上げナンバーワンの座に君臨。しかしギャルブームの衰退に伴い、次第に苦戦を強いられるようになる。17年には「モテ服ナンバーワン」をテーマに、従来のセクシーカジュアル路線から大胆にフェミニン路線へ変更。だが2年で今回のリブランディングに踏み切った。

 かつて大流行した、ブランドショッパーに踊ったブランドロゴも、モダンなサンセリフ体に変え、旧来のブランドイメージからの決別を強調する。「セシル」はギャルを捨て、どこへ向かっているのか。ギャルブームの全盛期に渋谷109店で店長を務め、現在はブランドを統括する手塚邦洋営業統括リーダーに聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):エッジィなスタイルでギャルトレンドを引っ張ってきたイメージ。だが、今回のリブランディングで「今の時代にちょうどいい」を掲げた。理由は?

手塚邦洋「セシルマクビー」営業統括リーダー(以下、手塚):創業から34年がたち、若い女性のライフスタイルも変化している。ギャルブーム(2000年代)当時の若い女性は、「右へならえ」のようにメディアから発信されるトレンドを追い求めていた。だが今はテレビを見ず、コスメやファッションの情報はインスタグラムから仕入れ、SNS投稿のために多くの時間を費やしている。いたずらに露出はせず、でもインスタで映えるようなデザイン性はあって、他の女の子と同調できるような、自然なかわいらしさのある服が“今”求められている。

WWD:「ギャル」を捨てる?

手塚:キラキラのネイルに、眩しいくらいの金髪をなびかせていたギャルは、スタッフにすらもうほとんどいない。女性のスタイルも多様化し、うちが得意としてきた「こうするのがイケてる」という方程式のような着こなしを提案するやり方も通用しなくなっている。17年には、乃木坂46の白石麻衣をブランドアイコンに立てて“モテ服ナンバーワン”を掲げてフェミニン路線へ大胆にモデルチェンジしたが、少しやりすぎだったかもと反省している(笑)。現在も館の年間売り上げ5位以内にはランクインしているが、店の面積(115平方メートル)から考えてももっと売れるはずだと考え、さらなるテコ入れに踏み切った。

WWD:ヤングカジュアル市場では、男性に媚びない魅力や自立した女性の強さにフォーカスしたブランドが多い。そういったポジションを狙う?

手塚:真逆だ。むしろ、回りの目を気にして、SNS投稿で「いいね」をもらえることに喜びを感じるような、等身大の女の子がターゲット。想定の客層は従来どおり10代から20代前半までだが、金髪のギャルではない。ペルソナは川崎、もしくは横浜の公立高校に通う17歳の女子高校生で、名前はメルちゃん。好きなブランドも特にないおしゃれ初心者で、自分探し中の“平均JK”だ。創業当時からの強みであるワンピースも、露出を強調するのではなく、ガーリーな長丈のものも増やす。売上構成比を現状の30%から40%まで引き上げたい。

WWD:トレンドに寄せるあまり、デザインが同質化してしまう恐れはないか?

手塚:OEM・ODM生産が強みになる。「セシル」は安価なSPAブランドが競合となるゾーンで、うちのようなビジネスモデルは後ろ向きの文脈で語られがちだが、デザイン面で彼らにはない強みを生み出せる。ブランドの34年の歴史の中で、取引先とは長く太い関係を構築してきた。われわれと同じくらい「セシル」を愛し、「セシル」のことを理解してくれている同志だ。通常、取引先は1ブランド1人の企画担当者が通常だが、うちに5人も割いてくれる取引先もある。今後も膝をつきあわせながら、面白いものを作っていきたい。

WWD:時代にあわせて、今後もブランドは変化していく?

手塚:木村(達央社長)の言葉を借りれば、「われわれはアパレルではなく小売業」。消費者が何を求めるかによって、大胆に変えていくこともありえる。ただ、スタート当時から変わらないもの、変えてはならないものは当然ある。それはブランドへの愛だ。僕が「セシル」が最も勢いのあった00年代後半に店長をしていた当時は、日サロで焼けた身体に、「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」のスーツを羽織り、「ヴェルサーチェ(VERSACE)」のネクタイを締めて店頭に立ち、常に20~30人の行列ができているレジをさばいた。この格好で汗まみれになりながら、バックヤードと店を往復し、それでも在庫が足りなければ、レンタカーで倉庫まで行った。「僕の彼女だったらこれを着てほしいな」という接客の口説き文句で成約率は4割ほどで、「プロ野球なら首位打者だ」と自慢して回った。ほかのスタッフも金髪で魔女のようなネイルをして、接客マニュアルもない無法地帯だったが、体力と情熱、何よりブランドが好きだから乗り越えられた。

WWD:生まれ変わった渋谷109店の目標は?

手塚:バカ売れしていたころの経験を、今の若いスタッフにも伝えて「自分たちでもやれる」というモチベーションを引き出したい。今も、「セシル」で働きたいという男の子からの応募がある。こういう情熱のあるスタッフを何より大切にしていかなければならない。新しい渋谷109の店は、リニューアル前から売上高20%増を目指す。生まれ変わった「セシル」で、もう一度渋谷の台風の目になる気概でやっていく。

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読者注目の2020年春夏ベスト10ブランド 東京編

 2020年春夏東京コレクションが10月18日に閉幕した。「WWD JAPAN.com」読者はどのブランドに興味を持ったのか?公式スケジュールブランドをルック掲載から24時間以内のセッション数(訪問数)が多かった順でランキング。公式スケジュールで発表したのは全42ブランド。その中で上位10位にランクインしたブランドはこれだ!

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週末お出掛けスポット “見えないを価値に”がテーマのARアート展覧会などアート5選

 週末にオシャレして出掛けたいアートスポットをお届け。今週は“見えないを価値に”がテーマのARアート展覧会や窓をめぐるアートと建築作品の展覧会など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(11月9、10日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【イベント】

写真家の立木義浩がライカギャラリーで作品展を開催

ガチャガチャカプセルからコーヒー豆!? 遊び心も味わいも満点なセルフカフェを体験

ガブリエル・シャネルの伝説に触れる巡回展「マドモアゼル プリヴェ」が東京に

「カルティエ、時の結晶」展がスタート 意表を突く会場構成と逸品の数々の競演

「シャネル」の香水の世界観を堪能できるアフタヌーンティーが登場

「リモワ」がストリート誌と企画展 過去のアーカイブからアーティストの作品まで

伝説的デザイナーによる“元祖ストリートコラボ” パリのアライア展が語ること

「スター・ウォーズ」の世界を体感 200点以上の衣装や小道具を集めた展覧会を開催

ディーゼル アート ギャラリーでマッド・ドッグ・ジョーンズが世界初となる個展を開催

日本初のバスキア大規模展 前澤ZOZO前社長が所有する作品も

「MCM」がサステナをテーマに展示会開催 未使用バッグをドレスにアップサイクル

【ポップアップ】

日本のW杯ラグビーはまだ終わらない 次は「チューダー」が表参道で?

「エムエム6 メゾン マルジェラ」が全国でポップアップ パディングされたファブリックで包む幻想的な空間

「フェンディ」が窪塚洋介と提案する“楽しむフォーマル” 伊勢丹メンズでポップアップ開催

「ゲラン」が銀座に「高級クラブ みつこ」を限定オープン 世界唯一168万円の限定ボトルも

「ブルガリ」と「ドン ペリニヨン」のマリアージュ ブルガリ銀座タワーの最上階に

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アパレルECの実力者が新会社 D2Cブランド立ち上げより、支援する側を選んだワケ

 インフルエンサーやクリエイターが自らブランドを運営するD2Cブランドが増えている。ECシステムとしてもBASEやSTORES.jp、クラウドファンディングなどが登場し、ブランドの運営や起業のためのハードルは確実に下がっている。その一方で、ある一定以上の規模を超えると途端に使えるツールが限られてくる。アパレルECのベンダーは少なくないが、その多くは既存の大手企業向けに最適化されているからだ。

 動画配信のプラットフォーマー大手CANDEEでコマース部門を率いていた鍛冶良紀氏は9月、そうしたD2Cブランドを支援するため、同社をスピンアウトし、新会社ブランディット(BRADIT)を設立した。同社はCANDEEの出資を受けつつ、鍛冶氏自身がCANDEE時代に立ち上げた、インフルエンサー佐野真依子のD2Cブランド「トランク88(TRUNC88)」を切り出し、新事業としてD2Cブランドを、生産から物流までをワンストップで提供するBtoB向けのソリューション事業を来春にもスタートする。

 もともと鍛冶氏は、インフルエンサーを駆使したファッションビジネスに最も精通したプロデューサーの一人だ。サイバーエージェントなどを経て、2013〜15年に在籍したマークスタイラーではEC部門を率いた後、多数のインフルエンサーを抱えるデジタルマーケティング部門を切り出した別会社タイムズ・トランジットでトップを務めた。当時のマークスタイラーは「エモダ(EMODA)」「ムルーア(MURUA)」などの若い女性に人気の多数のブランドとインフルエンサーも抱えながら、ブログや自社メディアなどを組み合わせたデジタルマーケティングを駆使して、リアル店舗とECを同時に成長させた、デジタル先進企業だった。

 16年からはスマホ時代の新たなプラットフォーマーとして起業したばかりのCANDEEのライブコマース部門の責任者に転じた。インフルエンサー発のファッションビジネスに関して裏も表も知り尽くした鍛冶CEOがなぜいま、ECのシステム会社なのか。「この分野のマーケットは今後大きく成長する。これからは一つのブランドが100億円、200億円になる時代じゃない。もしかしたら50億円を超えることも難しいかもしれない。そういった中で一人で立ち上げられるブランドの数には限りがある。ビジネス的に見れば、ソリューションの提供の方がずっとビジネスチャンスが大きい」と分析する。

 実際にブランディットは9月の設立後、わずか2カ月でベンチャーキャピタル(VC)のドリームインキュベーターからの資金調達に成功した。金額は非公開ながらシードラウンドで数千万円規模と見られる。「10数年前に自分が起業したころに比べると隔世の感があるが、それ以上にファッション×ITに大きな期待を寄せられていているということ」。

 佐野真依子がクリエイティブディレクターを務めるD2Cブランド「トランク88」は年商こそ非公開だが、鍛冶CEOとクリエイティブディレクターの佐野真依子、4人の社員を抱えていながらも月間ベースで黒字化しているという。そのため「調達した資金はすべてソリューション事業のために開発中のECシステムにつぎ込む。このECシステムは日々の売り上げを管理できるだけでなく、消化率に応じて1アイテムあたりの黒字と赤字がひと目でわかるようなものになる」。

 D2C支援事業のターゲットは月商400万〜4000万円のブランド。生産から在庫管理、EC販売、物流までをワンストップで提供することで、小ロット生産にも対応し、しかも使いやすいものにするという。「これまで多くのインフルエンサー発ブランドに関わってきたが、月商400万円を超えたあたりから、ECシステムや物流などの面で、それまでのやり方では追いつかなくなってくる。例えばそれまでは韓国から仕入れて、インスタライブで商品をPRし、商品は自分たちのオフィスから発送するといったやり方だ。たとえ売り上げは増えても、生産や配送のミスが発生しやすくなり、在庫だって管理できなくなる。にもかかわらず、よりアップグレードした統合パッケージの多くは、年商数十億円以上で最適化されている。生産、EC、物流、それぞれのツールならピッタリなものがあっても分断されていて、それらを個別に管理・運営する手間や人材は必要になる。そうしたことがD2Cブランドの成長を阻害する最大の要因になっている」。

 ブランディットにとって自社ブランド『TRUNC88』はリスクを取って仮説を検証するための存在にもなる。「『TRUNC88』とクリエイティブディレクターの佐野真依子からは今も多くのことを学ばしてもらっているが、この部分がソリューション事業の基盤にもなる。僕らはたとえば生産だったら1アイテムあたり15点から受注できる。普通に考えればそれだけだと利益は出ない。けどトータルパッケージで使ってもらい、売り上げの15〜20%を手数料としてもらえれば、ブランドと僕らでウィンウィンの関係になるはずだ」。

 鍛冶氏にとって最も重要なのは、ブランド側からきちんと顧客が見える、つまり”本当の自社EC”のためのシステムであることだ。「簡易型のものも含め、ほとんどのECシステムは顧客の購買データがブランドの手元に残らない。ブランドが成長していく上で最も重要なデータがきちんとブランド側に残るシステムが必要だから」。

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「“地獄”に対処できるか」 有力投資会社の代表に聞く、起業家に必要な“経営者の資質”

 「WWDジャパン」11月4日号の特集では、ベンチャーキャピタル(VC)であるグローバル・ブレインの百合本安彦・代表取締役社長とその出資先で現在成長中のアパレルD2Cプラットフォーム、PATRAの海鋒健太代表取締役との対談を行った。エンジェル投資家やVCの数が増えてきている現在、出資を受けるスタートアップにとっては資金調達が容易になり、起業の障壁が下がっているとも言える。そんな中でVCはスタートアップのどこを重視し、投資しているのか。先日上場したBASEやメルカリといったベンチャー企業にいち早く目を付け、投資を行ってきた百合本社長の言葉から、現代の起業家に求められる“経営者の資質”について探る。

 グローバル・ブレインは1998年に設立。これまでに累計1000億円を超えるファンドを運用しており、現在は社内でチームを組んで投資を実施。百合本社長本人も投資に関わっている。国内外から年間で約3500社のスタートアップに出資の相談を受けているというが、そのうち出資をするのは50社ほどとかなり少ない。出資を決める際の決め手について百合本社長は「経営者を重視している」と語る。「ベンチャー企業は初めに作った事業計画で運営を続けることはほぼない。サービスやプロダクトの方向転換を行う“ピボット”を繰り返し、ビジネスモデルを作り上げていくのが基本だ。しかし、事業がうまくいかないとすぐに辞めてしまう経営者もいる。われわれは出資先の領域を定めず、ある意味貪欲に投資に取り組んでいるが、預かっているお金を運用する責務がある身としては、“地獄”を見てもそれに対処できる精神力のある経営者が重要だと考えている」と説明する。

 同社はベンチャー企業に早い段階で大きな資金を投じ、出資先の経営者と伴走する“リード”と呼ばれる存在になることが多い。そういった“リード”の中でも、銀行から融資を受ける際の準備やKPIの管理など、デイリーベースで出資先の相談に乗っているのが特徴的だ。「日々企業の相談に乗る“リード”のVCは珍しいと思う。当社の社員は50人超と比較的大所帯だが、これはスタートアップを徹底的に支援するために、広報部門や人材採用子会社などを抱えているためだ」と百合本社長。そのほか、サンフランシスコやイギリス、韓国・ソウル、インドネシアなどにも法人を持ち、企業の海外進出を支援したり、スタートアップと大企業のマッチングイベントを開催したりもしている。

 同社からさまざまな支援を受けることで成長し、上場にまでこぎつけた出資先も多い。そうして上場したベンチャー企業を見て起業を志す者も増えており、百合本社長の目から見ても年々起業家のクオリティーは上がっているという。「例えば、先日のBASE上場で、代表の鶴岡(裕太)さんを目標にする起業家も増えるだろう。そういった歴史の繰り返しだ」。

 事業の成功事例もあり、創業間もないスタートアップに投資するエンジェル投資家やVCも増えた。起業の障壁は以前に比べて下がっているが、百合本社長は「だからこそ、経営者の資質が求められる」と再度説く。「今や情報は大量にある。例えば海外の事例を研究し、日本でビジネスを起こすのは難しくない。つまり、“そこそこ”だったら誰にでもできる。しかし競争が激しくなった今、“そこそこ”では勝てない。起業家としての本質が問われる時代になっている」と語る。起業家の本質の一例として、百合本社長は「組織作りの力」を上げる。「海外ではある程度企業規模が大きくなると、外部からCEOを連れてくるが、日本では基本的に上場時のCEOは創業者であることが多い。つまり、日本においてはCEOの器量が会社に影響を与える。組織が作れなければ、どんなにいい事業領域や発想でも持続するのは難しい。そのほか、精神面や事業構想を作る力など、あらゆる面で“突き抜ける力”が今の起業家には必要だ」。

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男心をくすぐる謎多き「アフィックス」 中心人物ステファンとタロウに設立経緯やアシックスとのコラボを聞く

 アシックス(ASICS)は10月、2006年に登場したランニングシューズ“ゲルキンセイ(GEL-KINSEI)”をベースに、どこかインダストリアルなムードが特徴のメンズブランド「アフィックス(AFFIX)」とコラボレーションしたモデルを発売した。

 「アフィックス」とはもともと、ロンドンの新鋭デザイナーのキコ・コスタディノフ(Kiko Kostadinov)や、「ギミーファイブ(GIMME FIVE)」設立者でUKストリートシーンの雄として知られるマイケル・コッペルマン(Michael Kopelman)、スタイリスト兼クリエイティブ・コンサルタントのステファン・マン(Stephen Mann)、“マッキントッシュ 0001(MACKINTOSH 0001)”でヘッド・デザイナーを務めるタロウ・レイ(Taro Ray)という強力な面々が2016年に結成したクリエイティブチームだ。「シュプリーム(SUPREME)」クルーのエーロン・ボンダロフ(Aaron Bondaroff)が主宰するインターネットラジオ「ノー ウェーブ(Know Wave)」内の一つの番組としてスタートし、18年にブランドを設立。アパレルから小物まで、シンプルでありながらどこか男心をくすぐるアイテムが発売直後から話題となり、今年6月にはアシックスと初コラボを果たして、今回早くも2作目を送り出すこととなった。

 コラボスニーカーの発売に合わせて東京でローンチイベントを行うため、ステファンとタロウが来日。スニーカーについてはもちろん、アイコニックなロゴについてまで話を聞いた。

WWD:まずはブランドの設立経緯と、日本語を含む4つの言語から成るロゴについて教えていただけますか?

タロウ:「アフィックス」の中心人物4人がそれぞれ、個別ないしは一緒にプロジェクトをやっていて、もし全員で意見を交換できる場があれば素晴らしいものができるかもしれないと思ったのが始まり。全員が共通してユーティリティーウエア(作業服)のデザインやアイデアが好きだったから、それをどう生まれ変わらせて新世代に“ユーティリティー(活用性)”とは何かを表現できるかに興味があって、アパレルを始めたんだ。

4つの言語は、日本語、英語、ドイツ語、ブルガリア語を使っている。僕がイギリスと日本のハーフで、ステファンはイギリス人、マイケル・コッペルマンはドイツにルーツがあって、キコ・コスタディノフがブルガリア人だからさ。みんなブルガリア語をロシア語だと思って、「つづりが間違ってるよ」ってよく言ってくるから困ってるんだけどね(笑)。

WWD:ブランド名の由来は?

タロウ:“アフィックス”は言葉の前や後につける接辞で、例えば“ポストモダン”だと“ポスト”が接辞にあたるんだけど、それをつけることによって“モダン”から“ポストモダン”という別の意味になる。同じように“既存のアイデアに新たな解釈を与えたい”とか“新たな意味を加えたい”という意味を込めて決めたんだ。

WWD:ユーティリティーウエアから着想しているだけあり、もし“〇〇系”のようにカテゴライズするなら“インダストリアル系ブランド”が正しい?

ステファン:僕らは何系だって構わないよ。もしどうしてもカテゴライズしたいのであれば、受け手が好きに判断してくれたらいいと思っている。小売店でラグジュアリーからカジュアルまで取り扱っているように、以前と比べてブランドをカテゴライズすることにあまり意味がなくなってきているからね。それよりも今はカテゴライズされるジャンルではなく、作り出すアイテムやコンテンツがいかに本物だと感じられるかどうかの方が重要になってきているんじゃないかな。

WWD:それでは今回の「アシックス」とのコラボスニーカーについて教えてください。

タロウ:まず最初に、これまでの“ゲルキンセイ”にはない機能を加えることができたら面白いと思った。といっても、そもそもロードランニング用だから無駄な機能なんて必要なかったんだけど(笑)。でも僕らがやるからにはスタイリッシュで機能的なものにしたかったから、「ゴアテックス(GORE-TEX)」を用いることで防水性と通気性を加えたんだ。

ステファン:ロードランニング用に防水性は必要ないと思われがちだけど、例えば東京の街中で走っていて雨が降ってきたときに防水だったらうれしいよね?防水性は最優先じゃないけど、日常的に履くことを考えるとあったらうれしい機能なんだ。今までなかった機能を付け足すという点は、まさに“アフィックス”なアイデア。どんなときでも毎日履ける、成熟したタウン用スニーカーになったんじゃないかな。

WWD:トレンドとしての機能性を意識したというよりも、日常使いを想定した結果、機能性に行き着いたということでしょうか?

タロウ:そうだね。ランニング用はランニングという特定の用途のために作られているけど、防水性を追加するだけでより幅広いシーンで多目的に使用できるという、汎用性の高さを考えた結果だね。

WWD:先ほどからロードランやトレランの話が出ていますが、お二人がスポーツをやっているからこそ今回のアイデアが生まれたというのはありますか?

タロウ:うーん、どうなんだろう。ステファンは毎朝走ってるよ。僕は違うけど(笑)。

WWD:ちなみに、このスニーカーでランニングは可能ですか?

ステファン:もちろんさ。“ゲルキンセイ”は発売当時、最高クラスにあったランニングシューズで、それをベースに再解釈するというのが今回の面白さの一つだったからね。

WWD:カラーリングがいかにも「アフィックス」らしいですね。

ステファン:「アフィックス」の今季のシーズンカラーの一部なんだけど、僕たちはいつも工場やその周りのものを着想源にしていて、今回のカラーは工場地帯にある看板の色合いをまねしているんだ。

タロウ:工場といっても現代的な工場で、普段は機械やパイプや作業服が着想源となることが多いね。

ステファン:5年ぐらい前にタロウにあげたジャケットが、ちょうどこのスニーカーと同じような色だったことを思い出したよ。僕らはずっとこんな色味が好きみたいだね(笑)。

WWD:日本で世界先行販売し、イベントまで行った理由は?

ステファン:アシックスは言うまでもなく日本のブランドだし、日本は今年ラグビーのワールドカップがあって、来年にはオリンピックが開催されるから、これまでよりもさらに世界的に注目されている。それにタロウは半分日本の血が流れているし、僕は旅行で何回も訪れてるし、僕たちと日本は何かと縁があるのさ。

タロウ:僕らは日本のブランドやファッションを見て育ったから、日本は僕たちのアイデンティティーの一部と言ってもいいくらいブランドの立ち上げ当初から関係が深い国なんだ。

ステファン:あとは、スニーカーに「ゴアテックス」を使用しているという特徴を説明するのに東京が最適な場所だと思ったのもあるね。東京と言えば誰しもが都会を想像すると思うんだけど、「都会で防水性なんているの?」という問いに「東京はたくさん雨が降るんだ」と説明したらわかってもらいやすいだろ?

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「コンプレックスコン」がカオスからの成長の果てに見たモノ

 世界一“ハイプ”なストリートの祭典「コンプレックスコン(ComplexCon)」が11月2、3日にロサンゼルスのロングビーチにあるコンベンションセンターで開催された。ハイプとは熱狂を意味し、“ハイプビースト”と呼ばれるストリートファッションを好む若者らが限定アイテムを求めて来場。残念ながら今回、ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)はアドバイザーを辞退してしまったが、村上隆が変わらずアートディレクターとして参加し、ファッションやアート、フード、音楽ライブなど多彩なコンテンツが集結した。前回の入場者数は6万人。詳細はこちらから。

 熱狂に混乱や暴動はつきものだ。しかし、シカゴ開催を経て5回目を迎えた今回は、それらに真っ向からNOを突き立てた。会場の至る所に「ノーシガレット、ノーベイプ(電子タバコ)、ノーマリファナ(カリフォルニア州は合法)、その他あらゆる煙が出るモノ禁止」の看板を立て、外部のセキュリティー会社を導入するなど、これまで以上に安全面を強化した。開場前の行列もこれまでは4日前から並ぶ人がいたが、「当日の6時から」とルールを変更し、徹底的に混乱の芽を排除した。列の横入りやICリストバンド(チケットの代わりに入場者が着用するもので、エキジビターやメディア、ゲスト、ハンディキャップなどさまざまな種類がある)の不正売買を問題視したためか、VIP(648ドル、約7万円)の入場時間を一般よりも2時間早く、メディアやゲスト、一部のエキジビターなどよりも1時間早い9時からに設定。激しい争奪戦が繰り広げられていた前回までとは異なり、“ゆっくり”と買い物が楽しめる時間をつくった。混乱や暴動とはほど遠い、いつになくクリーンでヘルシーな「コンプレックスコン」に生まれ変わった。

 だが、例年を知る人は物足りなさを感じたのも事実だ。原因の一つは、売り上げの半分を占めていた「ナイキ(NIKE)」と「アディダス(ADIDAS)」の不参加だろう(両ブランドが参加した2017年のイベント全体の商品売り上げは約22億~28億円だった)。日本限定のスニーカーを発売した「アトモス(ATMOS)」は例年通り健闘したが、成果としてはそれが唯一といっていい。「コンプレックスコン」のコアにあるスニーカーが激減し、レアものを求めるスニーカーヘッズの来場が減った。一方で、「24カラッツ(24KARATS)」や「オールウェイズ アウト オブ ストック(ALWAYS OUT OF STOCK)」「チェリー福岡(CHERRY FUKUOKA)」「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」「トウキョウビタミン(TOKYO VITAMIN)」「ウィンダンシー(WIND AND SEA)」「エックスガール(X-GIRL)」「エクストララージ(XLARGE)」などのほか、アニメ「ワンピース(ONE PIECE)」や「ゴジラ」といった日本ブランドや企業による出店ブースが増えたのも今回の特徴だ。だが、前回のように隅から隅までなんでも“食い尽くす”客層とは異なり、行列ができるまでとはならなかった。最低でも7000ドル(約75万6000円)と言われるブースの賃料(さらに内装費やスタッフの渡航費なども必要)を考えると、プロモーション費にしては少々高過ぎた印象だ。

 しかし、新たな可能性も見えた。VERDYがキャラクターデザインを担当した初のキッズパーク「プチュウ(PUCHU!)」は、キッズやファミリーの憩いの場となっていたし、何よりもクリーンでヘルシーというポジティブな印象を芽生えさせた。「暴動を助長するような限定商品の発売が行われる場所には出店できない」と言って遠ざかってしまったナショナルブランドの再招致に、一役買ってくれるかも知れない。また、例年通り、村上隆のサイン会やフォトセッションは終始盛り上がっており、カイカイキキのブースも列が途切れなかった。カイカイキキに所属するMADSAKIやフューチュラ(Futura)、VERDY、河村康輔らアート要素も増えた。さらに今回のライブステージでメインアクトを飾ったキッド・カディ(Kid Kudi)が1時間半近くパフォーマンスするなど、観客の満足度は高かったはずだ。

 主催側が行ったアンケートの集計によると、来場者が最も期待しているのはやはりマーケットプレースのようだ。今後も商品をどれだけこの2日間に合わせて仕込めるかが重要なポイントとなるが、「近年『ハイプフェスト(HYPE FEST)』など、さまざまなコンベンションが増え、商品を仕込むのが大変になってきている。オリンピックみたいに毎年一つだけと決まっていればいいのに」というジェフ・ステイプル(Jeff Staple)や「毎年出店するかしないかはギリギリになって決めるが、結果的に今年は商品が間に合わなかった」というクリス・ギブス(Chris Gibbs)「ユニオン(UNION)」オーナーらの難しさを嘆く声もある。

 客層もガラリと代わった今、マーケット以外でいかにハイプを起こせるかが今後の鍵となるだろう。「コンプレックスコン」を主催するコンプレックスメディアのニール・ライト(Niel Wright)=ディレクターは、「このイベントは常に進化している。今後は社会問題に関わるような出展も積極的に増やしていくつもりだ。イベント後に大量に出るゴミの処理など、環境問題も考えていかなければならない」と話す。“ストリート”を超えて、「コンプレックスコン」を含むコンベンションの真価が問われるのはこれからだ。

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「SHISEIDO」2019年秋冬ホリデーコレクションに人気アイテムが花をあしらった限定パッケージで登場

 資生堂は、世界85の国と地域で展開する「SHISEIDO」から毎年好評の2019年秋冬ホリデーコレクションを11月1日から世界各国で順次販売している。数量限定で、日本では全国の百貨店など約380店舗とブランド公式サイト、同社の総合美容サイト「ワタシプラス」で展開中だ。今季のホリデーコレクションのテーマは、“BEAUTY BLOSSOMS”。特別な季節に、溢れるような美しさをかなえていくことを咲き誇る花々で表現した。パッケージを担当した稲葉秀樹=映像作家・グラフィックデザイナーは、ひとりの美しさがダイナミックに街を変えていくように次々と花が咲くデザインを施したという。

ラージサイズの限定品も

 ホリデーコレクションを象徴するアイテムの口紅「ホリデーカラーズ ミニリップブーケ」は、「モダンマット パウダー リップスティック」のミニサイズ5色をセットしたもの。 人気3色と限定2色を組み合わせ、稲葉=映像作家・グラフィックデザイナーが手掛けたボックスが製品を際立たせている。そのほか、同ブランドのスターアイテムである美容液「アルティミューン™ パワライジング コンセントレート N」のラージサイズ(75mL)を限定パッケージで販売する。シワ改善と美白のダブル効果の高機能クリーム「バイタルパーフェクション リンクルリフト ディープレチノホワイト4」もラージサイズを数量限定で展開中だ。

肌なじみ抜群の計算された色味

 ホリデーコレクションのイメージ動画に起用された双子モデル・歌手のAMIAYAが「ホリデーカラーズ ミニリップブーケ」を唇に施した印象などを語った。「すごい色が綺麗ですよね。テクスチャーも軽くて長時間つけてても、つけているのを忘れるくらい。だけど色はちゃんとビビッドに出るのですごくよい!お気に入りはピンク(518)とレッド(591)。ピンクベージュ(590)っぽいのもいつもと違う大人の雰囲気になれそう」(AMI)。「5色それぞれの色の個性があって、全部使いやすそうな色ですね。色味も計算されて作られているのが分かるし、肌なじみも抜群。パーティーのときとか、朱赤(509)とかはすごい映えそう。洋服によって変えるのも楽しいかも」(AYA)。

ホリデーコレクションを動画で表現


ブランド公式サイトなどで公開されているAMIAYAが起用されたホリデーコレクションの動画

 ホリデーコレクションのテーマであるBEAUTY BLOSSOMSを視覚化した動画がブランド公式サイトなどで公開されている。商品パッケージ同様に赤やオレンジ、黄色といった色鮮やかな花々に囲まれた着物姿のAMIAYAが数量限定の口紅「ホリデーカラーズ ミニリップブーケ」をつけて世界観を表現。華やかさの中に日本のわびさびを感じられるようなシーンの数々は必見だ。

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資生堂インターナショナル
0120-587-289

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仕事が絶えないあの人の、“こうしてきたから、こうなった” 嶋崎周治「コンティニュエ」代表編

 転職はもちろん、本業を持ちながら第二のキャリアを築くパラレルキャリアや副業も一般化し始め、働き方も多様化しています。だからこそ働き方に関する悩みや課題は、就職を控える学生のみならず、社会人も人それぞれに持っているはず。

 そこでこの連載では、他業界から転身して活躍するファッション&ビューティ業界人にインタビュー。今に至るまでの道のりやエピソードの中に、これからの働き方へのヒントがある(?)かもしれません。

 連載第4回目のために訪れたのは、恵比寿のアイウエアセレクトショップ「コンティニュエ(Continuer)」。眼鏡好きはもちろん、アーティストやスタイリストなど業界関係者からの信頼も厚い同店ですが、隣接する「コンティニュエ エクストラ・スペース」ではスラックス専業ブランド「ニート(NEAT)」のアイテムやビンテージウオッチを扱い、ブランドやクリエイターに関連したイベントも開催しています。そんな多様なカルチャーが交じり合うショップを率いるのは、嶋崎周治代表。某有名料理研究家のマネジメントを経て独立開業をした嶋崎代表は、「異なるジャンルの中に共通する構造を見いだして、それをヒントに自分なりの仮説を立てる過程が楽しい」と話します。アカデミックな思考と仕事変遷に耳を傾けました。

WWD:前職では料理研究家のマネジメントをされていたのですね。

嶋崎周治代表(以下、嶋崎):大学では数学を専攻していたのですが、就職するより研究者になれたらいいなとぼんやり考えているうちに卒業間近になってしまって。「ブラブラしているなら、うちに来ない?」と、そこで働いていた学生時代の友人に声をかけてもらったことがきっかけです。

WWD:どういったお仕事内容だったのでしょうか。

嶋崎:主に広告代理店や企画会社とのやりとりで、広告出演や商品開発といった依頼の窓口業務ですね。クライアントのニーズを聞いた上で、本人(料理研究家)の価値観とブランディングなどを踏まえて、企画内容の調整や契約条件の交渉をするという日々でした。他の企画とのコンペを経て仕事が決まるということも多いので、“たられば”の問い合わせも山ほど来るんです。僕が入る以前は、料理スタッフが兼任して対応をしていました。僕は料理もできないし業界のことはよく知らなかったのですが、企業やメディアが求めることの背景を構造的に理解しニーズに応えるという観点では、数学の勉強が役立っていたように思います。

働き始めて2年が過ぎた頃、マッキンゼー・アンド・カンパニー出身者によるビジネス本に出合いました。経営学部などで勉強してきた人にとっては当たり前かもしれませんが、当時の僕にとってはビジネスの世界にアカデミックなアプローチがあるということ自体が大きな気づきでした。理論を仕事で生かすためのスキルを磨きたいと、仕事をしながらグロービス・マネジメント・スクール※1で単価授業を受けることにしました。肩を並べて学んでいたのは、自分よりも社会人経験豊富な商社や企業の方々。僕は年少者だったことを大いに生かして(笑)、社会人の先輩たちに「会議ってどうやってやるんですか?」「稟議はどうやって通すんですか?」といった素朴な疑問をぶつけて教えてもらうこともありました。マーケティング、アカウンティング、ネゴシエーションといった科目を2年半ほどかけて受講しながら、おぼろげながらビジネスというものの全体的な枠組みを捉えていきました。

※1実践的経営やビジネススキルを学ぶ社会人向けビジネススクール

WWD:料理研究家の事務所の方々は、そんな嶋崎さんをどう見ていたのでしょうか。

嶋崎:事務所の中にいわゆるMBA的なビジネスの考え方がなかったので、会社の発展に寄与できた部分は好ましく受け取ってもらえたと思うのですが「この会社のビジョンはなんですか?」みたいな質問によって、先生を困らせることもありました(笑)。そんな中で、自分だったらこうする、こうやってみたい、と感じることが増えていきました。ならば自分でリスクをとってやってみるべきという思いが募り、独立することを決めました。

目指したのは、サロンのような“場”

WWD:なぜ眼鏡だったのでしょうか。

嶋崎:会社を共に立ち上げた「コンティニュエ」の初代店長とは、もともと彼が眼鏡店のスタッフで僕が客という関係でした。ですからそこにすごく意味があるように見えますが、そうではなくて、クリエイティブなことが好きな人が集まり、互いに刺激を受け、学ぶことができるようなサロンのような場をつくりたかったんです。じゃあ何をしよう、と二人で話しあった末に“1周回って”、「眼鏡店にしようか」と落ち着きました。

2002年に晴れて開業したわけですが、しばらくは料理研究家のマネジメントの仕事も続けていました。こんな人たちが集まってほしいなと、思い描いていたようなお客さまには足を運んでいただけていたのですが、なんせ絶対的な数が足りなかった(苦笑)。正直、仕入れ資金を調達することにも苦労したし、売り上げが軌道にのるには時間が掛かりましたね。 BtoBの場合は、キーマンがいてその一人のニーズを捉えることで見えることがたくさんあるのですが、小売りとなるとより多くのニーズを捉えていかなくてはならない。経験のストックがなかったので、自分の感覚を頼りに手探りでしたね。料理研究家のマネジメント業での収入をお店に投入するという期間が数年続きました。

WWD:その頃のメガネ業界に目を向けると、2001年に「ジンズ(JINS)」「ゾフ(ZOFF)」が1号店をオープンしています。

嶋崎:今後のメガネ業界はどうなっていくのか、ということは自分なりに分析を重ねましたね。けれど僕たちは、業界で優位だから店をやろう!と思ったわけではなく、やりたいことを形にしたくて始めました。じゃあ、サロン的な店を目指した自分たちが大切にすべきことは何かと考えてみると、それはショップに足を運んでくださるお客さまと友人たち。口コミの強さは実感していました。サロンって、主役はそこに集う“人”なんですね。

僕は、魅力的な人たちからいろいろな要素を自分に取り込みたいという思いが強かったのだと思います。実は、大学在学中にボクシング評論家のジョー小泉さん※2の下でアルバイトさせていただいたこともありました。バイトを始めた理由は、ボクシング観戦が好きだったことと、理系出身の小泉さんの理論的な解説に引き付けられたことも大きいですが、頭ばかり使う生活の中で、ボクシングというフィジカルな世界で生きる人たちから学びを得たかったんだと思います。料理研究家の世界に飛び込んでみようと思ったのも、ボクシングと料理という対比の中から学びがあるはずとの考えもありました。

※2ボクシング評論家兼マッチメーカー。年少時よりボクシングに携わり、17歳から米国「RING」誌の東洋地区通信員を務めるなど、ボクシングへの多大な功績が称えられてボクシング殿堂入り

WWD:性質の異なるものに引かれるということでしょうか。

嶋崎:これまでの経験と新しいジャンルとの間や、一見すると異質なもの同士の間の中に類似点を見いだし、その相違点も踏まえつつ自分なりに構造を捉えて新しい仮説を描いて試す、という過程が楽しいんです。中学時代の理科での仮説実験授業が、今の僕の原点かもしれないですね。

WWD:仮説実験……、ですか。

嶋崎:まず先生から基本的な概念などについての簡単な説明があり、それをもとに生徒たちがこれから行う実験の結果についてぞれぞれ考えます。考えた予想と理由、すなわち仮説について討論してから実験に臨むんです。その仮説と実際の実験結果を比較検討するというプロセスを通して、概念や法則を学んでいくという授業形態でした。結果として学び得たこと自体もそうですが、物事を捉えて行く方法論にも興味を持ちました。

大学には一浪して入っているんですが、浪人している最初の9カ月間は受験勉強法についての勉強をしていました(笑)。受験勉強のノウハウ本や塾の先生のアドバイスを自分なりにまとめて、自分で仮説を作り論理立ててまとめるという作業ですね。試験1カ月前になりさすがに「やばい!」と、いわゆる受験勉強を必死でやり何とか合格しました。

WWD:嶋崎さんの編み出した勉強法を駆使したわけですね!経営に関して、手応えを感じてきたのはいつ頃だったのでしょう。

嶋崎:「オリバーゴールドスミス(OLIVER GOLDSMITH)」の取り扱いをスタートした後の、5年目以降でしょうか。同ブランドは1920年代にロンドンで創業をしました。やがてヨーロッパファッション業界をけん引する存在となり、オードリー・ヘップバーン(Audrey Hepburn)やグレース・ケリー(Grace Kelly)といった時代を代表するような顧客も数多く抱えていました。90年代のブランクを経て、2005年に復活を果たしました。デザインに加え、こうしたストーリー性を持つ「オリバーゴールドスミス」には根強いファンも多くいます。国内ではトップクラスの品ぞろえができたこともあり、メディアを通してのPRがかみ合ったんだと思います。お客さまの数のうれしい変化は「ショップが認知されてきたのかな」と実感できた大きな出来事の一つでしたね。

前職で培われた客観性

WWD:姉妹店も増えさらに仕事が多岐にわたっています。

嶋崎:現在は4店舗ありますが、“コンティニュエさん”ならどうするだろうか?“パークサイドルーム(吉祥寺)さん”ならお客さまとこんなコミュニケーションをしてみるのはどうだろう?と、それぞれ個性の異なるショップをマネジメントしている感覚です。これは前職でのマネジメント経験で培われたと思います。自分が相手先の会社と交渉を重ね、ピカピカに磨き上げた企画書も料理研究家が首を横に振れば一瞬でボツになるという仕事だったので。客観的に分析して考えている分、出てきた結論に執着はしていないかもしれませんね。前提が変わればいくらでも結論は変わってきますし、その前提となる価値観はひとりひとり異なるものです。ましてや、自分の名前で仕事をしている人はそういうものを明確に持っていないと魅力がありません。ショップも同じように考えていますね。

WWD:今年4月には、オリジナルブランド「アーチ・オプティカル(ARCH OPTICAL)」をローンチされました。

嶋崎:オリジナルブランドをつくる、ということはチャレンジングなことでした。確実にうまくいくことをすれば、短期的な成功は得られると思うんです。でも、会社を経営する身としては一定のリスクを担保しつつ、挑戦もしていかないと学びがないし、長期的な発展にはつながらないと考えています。

「アーチ・オプティカル」で目指したのは、かさばり過ぎない存在感。フレームの枠の形はもちろんですが、ノーズパッドの色は何度も染め直して程よく存在感の出る暖色系のグレーにしました。多くの人の顔になじみやすいことを意識した上で、ちょっとした“違和感”を入れることで、かける人の個性を引き出せたらと考えています。

WWD:オーナーとして多数の取引先と関わる中で大切にしている思いはありますか。

嶋崎:相手の会社やブランドの発展につながるかどうかを考えた上で、こちらの要望を伝えるようにしています。今の時代、先が見えないので短期的な見方になりがちですが、「コンティニュエ」に関わる人、ブランド、会社、事柄について、なるべく長期的な視点を持つことを大切にしていますね。そうすることで小手先の思考がどこかへ行って、考えがより本質に向かうように思います。

取引のさまざまなシーンにおいては、分析を積み重ねた上で最後は感覚的に判断しています。それでしっくりくるかこないかが決め手ですね。理屈っぽい人間と思われがちですが(笑)、共感や信頼といった気持ちの部分にも重きを置いています。

WWD:嶋崎さんにとって仕事とは何でしょうか。

嶋崎:3歳半になる娘には、人は助け合って生きているということを伝えた上で、「人の役に立つ、人に喜んでもらうことが仕事だよ」と話しています。僕の人生のテーマは“学び”だと思っているのですが、仕事は多くの学びが得られる場ですよね。

ビジネスが順調なことは望ましいですが、うまくいかないことの中に学びがたくさんあるはずです。今はある程度ネットで情報を得られます。一昔前なら、優れたボクシング選手がこういう練習をしている、というのは限られた場で静かに伝えられてきたと思うんです。けれど今はSNSやユーチューブを見れば、子どもがすでに実践していたりする。情報はネットから無料で手に入れることができる時代になったからこそ、何に関心を向けるかが重要だし、関心を持って自分で行動して得た一次情報の価値はこれからますます高まると考えています。

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投資家がくれた薪をくべ火を高く熱く起こしたい ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。

今日にニュースP.8-9「有名個人投資家たちに聞く 僕らがファッションの市場に見出す投資価値」

読み解きポイント:「じゃあ、パリコレを目指すアパレルベンチャーって面白くない?」

ニュースのポイント

 可能性のある新しいビジネスに資金を投じるエンジェル投資家やベンチャーキャピタルなどは、インターネットを中心とするスタートアップ企業や若手起業家などと繋がりが深く、アパレルビジネスやファッションブランドとは縁がないと思うかもしれない。しかし、最近ではD2Cやカスタマイズ事業を展開するブランドなどに投資する事例が増えている。ファッションに投資する4人の有名エンジェル投資家に、理由や投資の際の決め手、現状のアパレルビジネスの課題点などを聞いた。

Azuはこう読む!

 単位は極力苦労せず効率良く取り、空いた時間でフリーペーパーを作るサークル活動とひと粒280円の高級マカロンを売るバイトに没頭、稼いだお金の全ては旅行と服に投じていた不真面目な学生時代。“投資家”と聞くと「起業だの何だの騒ぐ意識高い同級生がよく言ってる人たちだ。夢と若さを食い物にしてるんだ!」と、口をへの字にして大人には謎の警戒心をむき出しにしていました。起業系キラキラ学生とは異なる世界で生きていた文化構想系学生にとっては、危ない人にしか見えなかったのです(笑)。

 今となっては当時の私を引っ張り出して往復ビンタをしてやりたい。「夢を笑い可能性を潰すのは、お前のような自己完結型の人間だぞ」と。会社が生まれ、成長し、世の中にイノベーションを起こそうとしている渦のど真ん中にいる今、投資家という存在無しにビジネスが興らないことは、笑えないくらい身に染みて知っています。

 私がセレクトショップからベンチャー企業に飛び込んだのは、創業から3カ月の時。社員は共同創業者の2人しかおらず、他に学生エンジニアインターンや営業インターンがいたくらいでした。私も最初は無給のインターンです。読んだことも書いたこともない(笑)プレスリリースの執筆やユーザーイベントの企画、オウンドメディアの編集などからスタート。早朝のピッチコンテストに参加したり、寒空の下でアプリのダウンロードを促すホッカイロを配ったり、できることは何でもやりました。

 最初2人だった社員はポツポツと増え、とうとうシェアオフィスでは足らなくなり(共有スペースを使いすぎて怒られ、フリーの飴もめちゃくちゃ食べていました)単独オフィスを構えたのが創業から約1年後。その時は念願の庭付き戸建てを手に入れた時くらい感慨深かったです。買ったの、私じゃないけど。サービスを取り上げていただいた記事を読んで「賞賛するなら金をくれ!」と叫びたくなるときだってありましたが(失礼)、今は何とか30人超えの会社に成長しています。ただの平OLなのでファイナンスに関してはさっぱりですし、株は「どうぶつの森」のソレしかわからないのですが、我々が描く未来を面白がってくれた投資家やベンチャーキャピタルがいるからこそ、今があるのはまぎれも無い事実。私たちがすべきことは調達した薪をくべ、できる限り高く熱く火をおこし、闇夜の中で人々を導く光となり、新しい夜明けを迎えることなのです。ただし炎上だけは回避で。

 キャッシュレス還元の数%にしがみつく平OLには想像もつかない額が動く投資の世界ですが、倍返しを狙うマネーゲームをしているわけではなく、そこには「未来」への希望が込められています。だから紙面にもあるように「パリコレみたいなファッションの世界のど真ん中のコンテクストを重視する人」は、ビジネスモデル的に新しいことをしているわけではないので、投資の対象ではなかったりします。

 hey佐藤氏の「ユーザーが求めていても、トラディショナルな業界からは評価されないところを、適切に評価していきたい」という言葉、「アパレル一本で生きてきた人たちにどう響くのかな?」と思う一言でした。投資家たちがこぞって投資する(こぞりすぎだよ〜とちょっと妬む時もある)D2Cやサブスクリプション、カスタマイズ、美容系口コミ、インフルエンサーを活用したブランドビジネスなどは「アパレル的にどうなの?」というビジネスモデルやクリエーションのクオリティかもしれませんが、消費者が求めていれば、それは広げるべき未来なんです。そこにビジネスチャンスがあるし、大きなお金をリスクを背負って動かす意味がある。

 と、ここまで未来未来と言ってきていきなり逆張りするんですが、「投資家が投資したいと思わない〈パリコレみたいなファッションの世界のど真ん中のコンテクストを重視する人〉が、投資家をその気にさせてしまうアパレルビジネス」を見てみたくなりました。超絶クラシカルなヒエラルキーの頂点に君臨する「パリコレ」に新たなビジネスモデルで目指すアパレルベンチャーって、面白くないですか?

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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D2Cや靴、Vインフルエンサーなど 有力投資会社はファッション業界のココに注目している!

 「WWDジャパン」11月4日号の特集では、ファッション系スタートアップに投資している有力ベンチャーキャピタル(VC)9社にアンケートを行い、彼らが注目する企業やファッション業界の可能性を調査した。本記事では、そのアンケートの中から「ファッション分野で投資価値のある業態・ビジネスは?」という質問に対しての回答を抜粋してお届けする。

グロービス・キャピタル・パートナーズ
シューズ関連は、トレンドに大きく左右されず、靴のサイズ感や購入体験に付加価値を出せる可能性があるため注目している。そのほか、コーディネート系ビジネスや背が低い、体型などのコンプレックスを解消するファッション、サプリメントなどにも興味がある(渡邊佑規ディレクター)

ジャフコ
ユーザー側だけでなく、サプライヤー側も巻き込みコミュニティを生み出せるバランス感覚と、その上で生成されるテクノロジーが背景にあるブランドこそがファッションテックにおいて差別化要因・競争優位性になると考えている(担当者)

Wベンチャーズ
欧米でインフルエンサーやセレブらが新しいブランドを続々と生み出しており、日本においても同様の動きが生まれるかと、そういったインフルエンサーの中でもバーチャルインフルエンサーにも注目している。また、シェアリングエコノミ―が広がる中で、ファッション分野でも出資先のスニーカーのマーケットプレイスなどが流通を伸ばしており、特化型CtoCには注目中(東明宏・代表パートナー)

イースト・ベンチャーズ
水平的に裏方に回るモデルの事業者、もしくは取得した会員データをM&Aなどを通じて横展開して有効活用できる企業はスケールが見込みやすい(金子剛士パートナー)

KVP
動画コマースなどはZ世代に向けて適切なコンテンツを届けてコミュニティを形成し、その世代を代表するコンテンツ・コミュニティをベースにしたブランドが創出される可能性が高い(亀村悠真アソシエイト)

TLM
トレンドのD2Cはより広がると思うが、試着、レンタルなどの付加価値があったり、古着などのアーカイブや過去のシーズンのデータベースからの購買であったりを考慮すればECモール型にもまだまだまだ期待できる(木暮圭佑ジェネラルパートナー)

アプリコット・ベンチャーズ
データを用いたD2CモデルやD2Cを支えるシステム、パーソナライズ・美容整形などの成長市場において、カルチャーや技術の変革を捉えている企業には投資価値がある。また、労働人口の減少に伴い、AIなどの先端技術で業務を効果的・効率的に進められるサービスのニーズが高まっており、ファッション業界でも重要性が増すと予想している(白川智樹・代表)

Xtechベンチャーズ
マーケットプレイスという領域にポテンシャルを感じている。中でもバーティカルなC2Cのマーケットプレイスには可能性があり、投資価値があると思う(手嶋浩己・共同創業者兼ジェネラルパートナー)

DIMENSION
商品が売れた後も顧客とつながり続けることにより、集客コストが低減化、顧客単価の向上が仕組み化されているブランドには価値がある(担当者)

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「一歩先の“次の美しさ”で新しいビジョンを示すのが『アキラ ナカ』」 by ナカアキラ

ナカアキラ「AKIRA NAKA」デザイナー

 一歩先の“次の美しさ”で新しいビジョンを示すのが「アキラ ナカ」。(2019年5月11日掲載、「アキラ ナカ」がトビリシで8年ぶりのショー 現地取材で明かした好調の秘密

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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読者注目の2020年春夏ベスト15ブランド パリ編

 2020年春夏パリ・コレクションが10月1日に閉幕した。「WWD JAPAN.com」読者はどのブランドに興味を持ったのか?公式スケジュールブランドをルック掲載から24時間以内のセッション数(訪問数)が多かった順でランキング。公式スケジュールで発表したのは75ブランド以上。その中で上位15位にランクインしたブランドはこれだ!

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新米男性記者のためのビューティ講座 洗顔編・男性のゴシゴシ洗いはNG

 新卒で入社して3年目、4月に「WWDビューティ」編集部に異動となり、メンズコスメを担当しています。ビューティ記者としての一歩を踏み出したものの、分からないことだらけで勉強の日々が続いているのですが、見かねたベテラン先輩記者が業界ビギナーの僕にビューティの基本を教える、そんな連載をスタートさせました。

 第3回目は、スキンケアの最初のステップである洗顔編。UVケアに加えてメイクをする女性と比べると、男性の肌は紫外線や外気に直接さらされてダメージや汚れを受けやすいんじゃないかと思うんです。加えて皮脂の分泌量が女性よりも多く、きちんと落とさないと毛穴が詰まり黒ずみや肌荒れなど肌トラブルの原因になります。つまり男性こそ洗顔に気を使うべきなんです。今の時代、男性も洗顔ぐらいはやっているはず。でもその洗顔方法は正しいんでしょうか?今回の講座では、洗顔の大切さと今人気の洗顔アイテムを学びます。

先輩F:第2回で話した保湿する前に使う導入美容液やその後の化粧水などは、正しく洗顔ができてないとうまく機能しないから洗顔は重要よ。

後輩K:メンズコスメ市場が盛り上がりを見せてスキンケアに関心がある男性は増えてきましたが、まだ多くの男性は、洗顔はゴシゴシ洗うものというイメージを持っていると思うんです。そもそも僕は「こう洗わなきゃいけない」と意識して洗顔なんてしたこともないです……。

先輩F:ゴシゴシ洗うことで肌に必要な潤いが落ちて乾燥するし、肌のバリア機能が低下して、肌トラブルの原因になるの。

後輩K:以前、肌診断を受ける機会があったのですが、そこで「キメがない」と診断されてしまいました。それ以来スキンケアには気を使っているんですが、洗顔に関してはいったいどうしたらいいのか分からなくて……。

先輩F:洗い方でいうと、洗顔料のCMでたっぷり泡立てるシーンや、もちもちの泡で肌を優しく包んでいるシーンがあると思うけど、その泡に汚れを吸着させて洗い流すのよ。だから、ゴシゴシしなくても汚れが落とせるの。

後輩K:泡だと洗った実感がないのもあって、ほとんど泡立てずに使用していました。そういえば男性用の洗顔料でもプッシュしたらフォーム状で出てくる製品もありますね。

先輩F:洗顔料にはクリームやジェル、ミルクなどのタイプがあってね、メイクを落とすクレンジングにはオイルタイプもあるよ。メイクをする女性の場合は洗顔の前にクレンジングでメイクを落とさなきゃいけないんだけど、洗顔とクレンジングが一つでできるタイプは時短で人気があるよね。今はメンズコスメ市場が盛り上がってきて、今後化粧をする男性も増えてくると思うからクレンジングも大事になってくると思うわ。

後輩K:僕も発表会でメイクをしてもらう機会が増えてきて、最近では洗顔以外にクレンジングもしています。メイクをしない男性もクレンジングをしていいんですか?

先輩F:使うと逆に必要なものまで落としすぎて肌によくない場合もあるから、スキンケアを始める男性にとっては洗顔を正しく行うことが最初のステップだと思う。

後輩K:今どんなタイプの洗顔が人気なんでしょう。洗顔だったら「これ!」というブランドや商品はありますか?スキンケアは人それぞれ肌質に合わせて選ぶべきですが、洗顔も同様ですよね?

先輩F:「ヴォーチェ(VOCE)」(講談社)や「マキア(MAQUIA)」(集英社)などの美容誌が毎年発表しているベストコスメの2019年上半期の洗顔部門では「ルナソル(LUNASOL)」のジェル状の「スムージングジェルウォッシュ」(150g、3200円)や「ドクターシーラボ(DR.CI:LABO)」のフォーム状の「VC100ホットウォッシングフォーム」(120g、1900円)が人気だったね。洗顔料、クレンジングの価格はドラッグストア系だと1000円以下でも人気の商品があるし、いつだったか4~5年前に百貨店系のラグジュアリーブランドで1万円を超えるのが出てきたときはちょっとビックリしたよ。

後輩K:今は本当に価格帯が幅広いですよね。ほかには美容成分を配合した洗顔料も人気だと聞きますし、ただ洗浄力だけだと今はモノ足りないのかもしれませんね。男性向け製品は洗浄力や爽快感などをうたったプロモーションが多い印象です。

先輩F:洗顔料を中心に、男性用コスメはこれまでにも芸能人を起用することはあったけど、メンズコスメ市場が盛り上がってきてスキンケアまで展開するようになってきたよね。最近ではスポーツ選手を起用したプロモーションまでするようになったのが斬新で面白いと思うな。

後輩K:メンズスキンケアブランド「バルクオム(BULK HOMME)」のグローバルアンバサダーにはサッカーフランス代表のキリアン・ムバッペ(Kylian Mbappe)選手を起用していましたね。それはどういった変化なんでしょう。

先輩F:大手ブランドはプロモーションに予算を割けるからこれまでもそうしてきたけど、新興企業がというのは時代を感じる。男性用化粧品市場が好調な中でメンズコスメに需要を見出しているからなのかな。男性がビューティに興味を持ち始めている証しだね。

後輩K:メンズコスメ市場の規模は今後さらに拡大しそうですよね。洗顔、スキンケアだけでなくコスメのジャンルにも関心を示す男性が増えてきましたし。男性も美容に投資する時代ですね。

先輩F:昔は数字として表れないくらいのシェアしかなかったから、市場拡大の可能性は多分にあるよね。女性のコスメ市場はすでに成熟しているから、売り上げがここから急激に拡大するのは難しいだろうし。メンズコスメ市場は、2017年度の時点で市場規模は1658億円(出典:TPCマーケティングリサーチより)で前年比2.8%増。女性の市場は約2兆円だからその10%にも満たない。まだまだ伸びしろのある市場だと思う。男性は、コスメを何も使っていない人が多くてまず洗顔から始まるわけだから、初めての人が増えれば当然、売り上げが上乗せされる。

後輩K:そこから始まって男性自身がメンズメイクへの抵抗感がなくなれば市場もさらに大きくなりそうですね。僕もメンズメイクの体験をして以来、抵抗感がなくなってきました。

先輩F:そういえば、先日行われた「楽天 ファッション ウィーク東京」のバックステージ取材にも初めて入ったんだって?メイクをする男性モデルを見て刺激的だったんじゃない?

後輩K:率直な感想は、いそがしさも含めて刺激的で楽しかったですね。ファッションとビューティが相互的な関係にあることをあらためて肌で感じました。コレクションのヘアメイクもファッション同様にトレンドを打ち出していくわけで、取材後には、実際にどういった形で一般消費者に向けて落とし込まれるのかなと興味も持ちました。

先輩F:じゃあ次回の講座は「WWD ビューティ」のコレクション担当を交えて、コレクションメイクについて話しましょう。

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読者が注目した今週の新作 「ザ・ノース・フェイス パープルレーベル」×「ドクターマーチン」 など(11月8〜14日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」別にまとめてお届け。「ファッション部門」では読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ファッション部門」では「ザ・ノース・フェイス パープルレーベル(THE NORTH FACE PURPLE LABEL)」 と 「ドクターマーチン(DR.MARTENS)」がコラボしたワークブーツが最も注目された。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


【スニーカー部門】

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世界平和と笑顔を目指して アメリカ発ストールブランド「モンマルトル ニューヨーク」

 一辺倒なスタイルになりがちなこれからの季節、ストールを巻いたり垂らしたりするだけで見え方はガラリと変わる。しかし、「クールなストールはどこで買えるの?」という問いに即答できる人は多くないだろう。そんなストールを探している人にぜひともおすすめしたいのが、アメリカ発のストールブランド「モンマルトル ニューヨーク(MONTMARTRE NEW YORK)」だ。

 「モンマルトル ニューヨーク」は2018年に本格始動したばかりとまだまだ若い。手掛けているのは、“あのストリートブランド”でメンズウエアのデザインやグラフィックを手掛けていた日本人デザイナーのヤギ・ユウキ(Yuki Yagi、25)と、アメリカ人でデジタル・プロデューサーのヘイリー・シャンポー(Hayley Champoux、28)のデュオ。彼らが生み出すジャカード織りのストールは、今までありそうでなかったインパクト大のストリートマインドあふれるグラフィックが特徴だが、実はそれだけではない。

 というのもヤギ=デザイナーは、幼い頃に育ったニューヨークでの貧困問題や、10代の頃に見た紛争地帯でのリアルな惨状に強く影響を受けており、一つ一つのグラフィックにはそのときに感じた思いなど、ヤギ=デザイナーの社会問題に対する本気のメッセージも込められているのだ。

 昨今、多くのブランドがサステナビリティを謳っているが、「環境保護の前にまずは世界平和だ」と考え直すきっかけも与えてくれる「モンマルトル ニューヨーク」。ヤギ=デザイナーのパーソナルな部分を掘り下げつつ、ブランドを立ち上げたきっかけから“寄付ブランド”だと話す理由についてまで語ってもらった。

WWD:幼い頃から日本や世界を飛び回っていたそうですね。

ヤギ:生まれは鳥取で、すぐに引っ越して5歳まで京都で過ごし、それから14歳までニューヨークに住んでいました。日本に戻ってきてからは、古着の買い付けのアルバイトでオランダやパキスタン、フランスなどいろいろなところを高校生ながら行き来し、文化服装学院、アメリカのパーソンズ美術大学、ベルギーのアントワープ王立美術アカデミーに通いました。

WWD:高校生で海外へ古着の買い付けに行くのはすごい経験ですね。

ヤギ:高校時代はあまり学校に行っていなかったので、その当時お世話になっていた人づてで卸売の人から「高校に行かないんだったら、英語ができるんだし俺についてこい」って(笑)。古着のノウハウはそこで身につけましたね。

WWD:幼い頃から洋服が好きだったんですか?

ヤギ:小学5年生のときに「ア ベイシング エイプ(R)(A BATHING APE(R))」が流行っていたんですけど、Tシャツが70ドルくらいで高くて買えなかったんです。それで母親が代わりに「ステューシー(STUSSY)」に連れて行ってくれたら、同じくらいかっこいいTシャツが20~30ドルで売ってるのを見て一気に好きになりました。音楽的にはファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)のN.E.R.Dや50セント(50 Cent)らラッパーが活躍していて、特にファレルは着ていたブランドなんて関係なしにかっこいいと思うくらいリスペクトしていましたね。「あれを着ればラッパーになれるんだ!」みたいな(笑)。ただ、別にデザイナーになりたいとは全く考えてなかったです。

WWD:古着の買い付けから文化服装学院への入学を決めたきっかけは?

ヤギ:買い付けと同時に飲食店でもアルバイトをしていたんですけど、系列店がパリにもあり、18歳のときにオーナーの計らいでパリに行かせてもらったんです。現地でソシアルクラブ(Social Club、現在は閉店したクラブ)の人と仲良くなったら、その人が日本の名のあるデザイナーの方々と知り合いで。デザイナーの皆さんが口をそろえて「洋服を勉強するなら文化服装学院に行った方がいい」と言っていたので、入学を決めました。

WWD:服飾業界やデザイナーを志していない中でなぜ洋服の勉強を?

ヤギ:大学受験もせず将来に悩んでる時期で、とりあえず学校に入ればなんとかなるだろう、という考えで文化服装学院に入ったんです(笑)。ただ入学前の時期からなんとなく、「いつか自分のブランドを持ちたい」みたいな気持ちがオブラート越しにはありました。アルバイト先の飲食店がカウンターのお店だったので、目の前で提供したご飯を食べて幸せな表情になるお客さんの顔を間近で見られたんですよ。この経験から“自分が作ったもので人を幸せにしたい”という考えが芽生え、ブランドを立ち上げるまでに至りました。

WWD:文化服装学院からパーソンズ美術大学とアントワープ王立美術アカデミーに進学した理由は?

ヤギ:ビザの関係でアメリカに戻る必要があって文化服装学院を中退し、まだ勉強不足だったのでパーソンズ美術大学に通ったんですが、3年への進級試験に失敗したんです。それからアメリカ中の大学の編入試験を受けたんですけど落ちて、最後に生活費も物価も安いという理由でアントワープ王立美術アカデミーにダメ元で挑戦したら合格したんです(笑)。もし落ちていたら日本に帰ろうと思っていたので、人生のターニングポイントですね。

ただ、アントワープ王立美術アカデミーも1年くらいしか通っていません。というのも、在学中にいつか働いてみたいと思っていたニューヨークのストリートブランドから連絡が来て、「学校で自己満足の変な洋服を作っていてもコマーシャルにつながらないぞ」と言われたんです。考えてみたらファッション業界で働く全員がちゃんと学校を卒業しているわけでもないし、いつまでも学校で洋服を作る学生でいるよりも、社会に出て自分で稼いだお金で次のステップに進む経験を積んだ方がためになると思い、ニューヨークに戻りました。

WWD:なぜニューヨークのブランドからベルギーで学生だったヤギさんに声が掛かったんでしょうか?

ヤギ:20歳の誕生日をニューヨークのチャイナタウンにあるおかゆ屋さんで祝ってもらっていたんですが、トイレに行ったらそのブランドのデザイナーが入ってきたんです。ファンだったから声を掛けたら仲良くなり、連絡もとるようになってから1年後くらいに「デザインできる人を探している」とオファーをいただきました。彼がいなければ今の僕はいないーーそれくらい重要な存在です。

WWD:よくトイレの一瞬で仲良くなれましたね(笑)。

ヤギ:普通、用を足してる赤の他人に声なんて掛けないじゃないですか(笑)。

WWD:そのブランドでは具体的に何をしていたんですか?

ヤギ:数カ月ほどしか働いていないんですが、メンズウエアのデザインからグラフィック、生産まで全てやっていました。やっていたというよりも叩き込まれた感じで、すごく勉強になりましたね。「お前は無能だ」「いつでも帰っていいぞ」とかよく言われてましたけど(笑)。そのうちに他のブランドからオファーをいただいたのでそこに半年ほど在籍し、辞めた後はフリーランスでストリートを中心にメンズブランドを渡り歩きました。

WWD:学校を辞めた理由に社会経験を挙げていましたが。

ヤギ:チームでの動き方という面では非常に勉強になりましたね。やはり学校は個人プレーなので、デザインも自分がかっこいいと思うものを作ればいいというエゴの塊になってしまう。でも会社というのはチームで動くもので、ブランドもチームがあってのもの。一人じゃ絶対に何もできないし、責任感も違う。ブランドにはいろいろな人が関わっていることをあらためて知るいい機会でした。

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「カルティエ、時の結晶」に見る時代を超越したスタイル

Cartier, Crystallization of Time
1970 年以降の作品にフォーカス

 「カルティエ(CARTIER)」のハイジュエリーや時計を集めた展覧会「カルティエ、時の結晶」が東京の国立新美術館で開催中だ。同展では1970年以降に作られた現代の作品にフォーカス。展示されている約300点のうち約半数が70年以降の現代の作品で、ブランドヒストリーを振り返る回顧展とは異なった、縦横無尽に時空を結びつく構成がユニークだ。

Dynamic Presentation by N.M.R.L./
HIROSHI SUGIMOTO+TOMOYUKI SAKAKIDA
斬新な会場構成とハイジュエリーの競演

 新素材研究所/杉本博司+榊田倫之が手掛けた、チャプターごとに変化する斬新な会場構成も話題になっている。入り口には杉本博司の「逆光時計」が置かれ、序章「時の間」では日本古来の羅(ら)という薄織物で作られた幻想的な光の柱に出迎えられる。第1章「色と素材のトランスフォーメーション」では、“トゥッティフルッティ”と呼ばれる色とりどりの鮮やかな作品をヒノキの展示ケースで魅せている。大谷石をダイナミックに配置した第2章「フォルムとデザイン」の空間では、トリックアートのような視覚効果を持つ作品や偶然から生まれたユニークなフォームの作品を紹介している。第3章の「ユニヴァーサルな好奇心」では、彗星の軌道を形態化したような楕円の展示ケース内に、日本や中国、中東、エジプトからアフリカに至るまでのモチーフを巧みに取り入れた作品が並べられ、「カルティエ」のマルチカルチャーなインスピレーション源に触れることができる。トレジャーピースと古美術を配した空間も見どころだ。

Dialogue between the Old and the New
「カルティエ」スタイルの対話

 「カルティエ」のデザインは、いつも先進的であると同時にタイムレスでもある。冒頭に登場した“トゥッティフルッティ”スタイルのネックレスにも見られるように、時代と共に進化するデザインの対比が面白い。第2章で登場するベル・エポック様式が席巻していたさなかの1902年製で、アールデコの到来を先取りしたかのようなヘアオーナメントとその線や構造、ボリュームに焦点を当てモダンに進化させたのが、2018年製のブレスレットだ。また、アイコニックなパンテールも1914年に登場した際は平面的なヒョウ柄だったが、49年の“パンテール”クリップブローチではリアルな3Dに進化している。時代を超えた「カルティエ」スタイルの比較も展覧会の見どころの一つだ。

Rare Presentation of Private Collection
あまり目にすることのできない
個人の所蔵品を展示

 「カルティエ、時の結晶」は、「カルティエ」が時間をかけて世界各国のコレクターから借りた作品が全体の展示品の約半数という意欲的な展覧会だ。個人蔵の作品はなかなか目にする機会がなく、同展でしか見られないものが数多く含まれている。

INFORMATION
■「カルティエ、時の結晶」

場所:国立新美術館 企画展示室 2E
住所:〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
期間:12月16日まで
休館日:毎週火曜日(祝休日は翌平日)
開館時間:10:00~18:00(毎週金・土曜日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
観覧料(税込):一般1600円、大学生1200円、高校生800円、中学生以下無料


問い合わせ先
カルティエ
03-5777-8600(ハローダイヤル)

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銀座の穴場スポット「カフェ ディオール」で優雅なティータイムを

 「ディオール(DIOR)」は11月6日、東京・銀座のギンザ シックス(GINZA SIX)内ハウス オブ ディオール4階「カフェ ディオール バイ ピエール・エルメ(CAFÉ DIOR BY PIERRE HERME以下、カフェ ディオール)」で人気メニューのテイスティングイベントを開催した。

 4階は「カフェ ディオール」と「ディオール メゾン(DIOR MAISON)」のフロアになっており、ブティック1階または地下1階からのみのアクセスになり、ギンザ シックスの他のフロアから独立しているため、銀座の喧騒を離れてゆったり優雅な時間を過ごせるようになっている。

 「ピエール・エルメ・パリ(以下、エルメ)」というとマカロンをはじめスイーツのイメージが強いが、「カフェ ディオ―ル」では日本の食材を使用したデザートやランチなど軽食の季節限定メニューが味わえる。ランチにぴったりな“デフィレ ドゥ サヴール”はミニサイズのオープンサンドとサラダ、マカロンが付いて3100円。プロシュートとマッシュポテトなど、意外性のある食材や食感の組み合わせが新鮮だ。“アフタヌーンティーセット”は各種ケーキやマカロン、ボンボンショコラに加えサンドイッチやブリオッシュと紅茶で9500円(2人分)。紅茶は“イスパハン”をはじめ「エルメ」がブレンドしたものをポットでサービスし、スイーツは季節に合わせたフレーバーを提供する。

 ホリデーシーズンには“デセール デ フェットゥ”が12月1日に登場。価格は2900円で、金色の雪の結晶があしらわれた真紅の球体の中は、まるで宝石箱のよう。「エルメ」らしい“味覚、感性、歓喜の世界”が詰まっている。

 「エルメ」を運営するペーアッシュ パリ ジャポンのパイエルヌ・フランソワ(Payerne Francois)料飲部マネジャーは、「デザート同様に軽食でも食感や食材の組み合わせにこだわり、新しい発見があるようなメニューを開発している。オープンカウンターがあるので、デザートを作っているパティシエの写真を撮影したり質問したりすることも可能だ」とコメント。

 「カフェ ディオール」で使用するテーブルウエアは、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)が自らデザインして今日まで受け継がれる “ムッシュ ディオール”コレクションをはじめ、メゾンのコードの一つであるカナージュ(格子)柄のものなど。カトラリーにも、ムッシュ・ディオールがラッキーモチーフとして愛した星印が施されている。

 また、「カフェ ディオール」でしか購入できない「ディオール」のロゴ入りマカロンは3個入りが1700円、6個入りが3200円、10個入りが4700円で、カフェを使用しなくても購入可能だ。

 カフェの横では「ディオール メゾン」のホームコレクションが勢ぞろい。カフェで使用されている定番“ムッシュ ディオール”コレクションや“カナージュ”、クリスマスにぴったりのカプセルコレクション“チェックン ディオール”のテーブルウエアをはじめ、グラスウエア、フォトスタンド、オブジェなどがそろう。これらのホームコレクションは11月19日まで伊勢丹新宿本店5階で開催中のポップアップショップ後は、ハウス オブ ディオールのみでの取り扱いになる。

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「クリスチャンダダ」がブランド休止 「ダダという船での航海は終わった」

 森川マサノリが2010年に立ち上げた「クリスチャンダダ(CHRISTIAN DADA)」は、20年1月をもってブランドを休止する。04年から傘下に入っていたシンガポールの企業ディーリーグ(D’League)グループとのビジネスパートナーとしての契約解消によるもので、6月のパリ・メンズ・コレクションで発表した20年春夏コレクションは生産せず、東京・南青山の直営店を12月22日に閉店する。台北とシンガポールの直営店はディーリーグ グループが運営するため、閉店時期は未定。森川は20年1月で退社し、日本の13人の社員は解散する予定だ。新たな出資候補の企業との間でクリスチャンダダの株式譲渡の交渉中のため、ブランドが継続する可能性はあり、「早ければ21年春夏シーズンに復帰するかもしれない」と森川。しかし同氏はすでに新たにベンチャーキャピタル事業で11月に起業し、ほかにも新規事業で3社を立ち上げる準備を本格的に進めており「今の『クリスチャンダダ』でやり残したことはない」と述べる。

 同ブランドは14年に株式の51%を売却してディーリーグ グループの傘下に入り、パリ・メンズの公式スケジュールでショーを行うなど海外でのビジネス拡大を強化して、海外の販路を増やすとともにブランドの規模も大きくなっていった。東京と台北、シンガポールに直営店を開いたほか、19-20年秋冬シーズンの卸先は国内と海外共に約25アカウントで売上高は非公表ながら増えており、負債はないという。一ブランドのビジネスとしては深刻な状況ではないように思える。しかし森川は親会社への感謝を述べつつも、昨今のファッションビジネスの多様化に「卸主体のビジネスモデルに限界を感じていた」。さらにアジアで高級時計「リシャール・ミル(RICHARD MILLE)」やジュエリー「ブシュロン(BOUCHERON)」のマネジメントや小売りを担い、成功させてきたディーリーグ グループとは、ブランディングの方向性にズレが生じていた。両者が思い描く売り上げの規模にも差があったのかもしれない。「1年前から、『クリスチャンダダ』の体制からクリエイションまでを全面リブランディングする案は出ていた。ビジネスの方向性をより絞っていきたいディーリーグ グループに対し、自分自身は複数のブランドで新しいビジネスモデルに挑戦がしたかった。しかし契約上、1つのブランドしかデザインできなかった」。会社の体制はそのままに、リブランディングしてクリエイションの方向性の舵をきることは考えなかったという。「パリに出てメゾンと肩を並べたことで、今の『クリスチャンダダ』単体では限界を感じていた。メゾンが大河だとしたら僕たちはせせらぎ。1本のせせらぎを大河にすることは難しいけれど、たくさんのせせらぎを集めれば大河にできるかもしれない。だから10年という節目を機に『クリスチャンダダ』という船での航海は終わったという心境だ」。

自身が「ダダを着なくなっていた」

 25歳で立ち上げた「クリスチャンダダ」を自分自身が「以前よりも着なくなっていた」というクリエイションのギャップも、今回の決断に至った理由の一つだという。「レディー・ガガ(Lady Gaga)が着用してくれたこともあり、世間が抱くブランドのイメージは創作性。でも、35歳になった自分の今の服装はそうではない。自身のライフスタイルからにじむような服を作りたい欲求が高まっていった」。

 森川はすでに新規事業の準備を進めているものの、ブランドには「もちろん、愛情はある」。しかし最近ではメンズ80型、ウィメンズ50型を1シーズンごとに生産するほど規模が拡大しており、チームの成長と共に「全てのアイテムに自分の目が行き届いていない状態だった」と難しさを語る。ブランドが継続すれば規模や販売方法が変わる可能性があり、「アイテム一つ一つに目が届く範囲で、自分が愛せるものを作れる状態にできるのであればブランドを残したい」。

 現在準備を進めているD2Cモデルなどの新規事業の方向性は、有力企業の傘下に入ってパリのファッション・ウイークに参加するなど、既存のファッションビジネスのど真ん中に飛び込んだからこそ抱いた危機感から生まれたものだ。「利益が少ない卸メインのビジネスは、時代的にもう古いのかもしれない。多店舗展開して自社で小売りをしても在庫が過剰に出てしまい、サステナビリティ主流の時代とは逆行する。完全受注であれば別だが、既存のシステムでは限界がある。今後はこれまでになかったビジネスモデルや価値観を見つけて、そこに向かっていく時代。卸のシステムがなくなるとは思わないが、今はもうそれだけではない」。具体的な発表はこれからだが、「若手ブランドにも還元できるシステムを考えている」。

 森川自身が「スタッフをはじめ、ブランドのファンや関係者には申し訳ない」と語るように、現在取引のある工場や店舗、勤務するスタッフに及ぼす影響を考えると、今回の決断は決してきれい事だけで済むことではない。しかし同氏のように業界を俯瞰して見ることができ、かつ大胆な行動力があるデザイナーは多くはなく、15年春夏シーズンに29歳でパリ・メンズデビューした実績は、多くの若手ブランドに希望と海外進出への道筋を示したはずである。「クリスチャンダダ」という船での10年の航海で得た成功や失敗を次のステージに生かし、ファッション業界にまた新たな一石を投じてほしい。

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共感できるサステナブルには自分もできる未来がある ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.3「サステナビリティなしに未来はない」

読み解きポイント:サステナビリティへの取り組みは「目指す状況を保ち続けられるか」

ニュースのポイント

 2020年春夏ファッションウイークの一番の話題は、「サステナビリティ(持続可能性)」だった。ケリング(KERING)、LVMHモエ ヘネシー ルイ・ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)というコングロマリットから若手デザイナーまで、本気の姿勢を示している。行動に移す個人や企業が多いのは、「ESG投資(Environment、Social、Governance)」など、高まる外圧にビジネスが影響を受けるケースが増えているのではないか。サステナビリティへの取り組みについて、最大の課題は「知らないこと」。事業を本気で残したいと思うなら、今すぐアクションを起こす以外に道はない。

CKRはこう読む!

 最近、「サステナブルである」と語られるニュースを多く見かけます。言葉だけが一人歩きをして「企業内のチェックプロセスでしかないのでは?」「実現したいビジョンからかけ離れているのでは?」と感じる話もあります。

 サステナビリティへの取り組みで重要なのは、「人に気づきを与え、多くを巻き込む形で、目指す状況を保ち続ける」ということではないでしょうか。「WWDジャパン」には今後も、「気づきや行動のきっかけとなる記事」を届けていただくことを期待しています。

 「なるほど!」と思う企業の活動には、「じっくり取り組む姿勢がある」「自分も関われる」と思える要素が含まれていることが多いです。3年先、5年先の姿を想像でき、自分にもできることがあると思える話には心を奪われます。

 「都市鉱山から作る、みんなのメダルプロジェクト」。聞いたことがある方も多いと思います。東京2020オリンピック・パラリンピックのメダルを、回収した古い携帯電話やパソコンから採取した金銀銅で作るというプロジェクトです。金銀銅合わせて約5000個のメダルに必要な金属量の回収は、2017年4月から2年間の活動で達成しました。最終的には「1621自治体(全国自治体の約90%)」がプロジェクトに参加し、NTTドコモにより回収された携帯電話の数は、約621万台。多くの方を巻き込んだ活動であることが分かります。来年のオリンピック・パラリンピック開催時、プロジェクトの活動は世界中に報道され、目にするでしょう。その際、回収に携わった人、古い携帯電話を預けた人は、参加者の一人として改めてサステナビリティについて考えるかもしれません。また、他の国で活動を初めて知った人は、そこから行動を起こす可能性もあります。

 誰もが毎日触れる服を扱うファッション業界だからこそ、社会的課題とリンクさせることで、多くの人に気づきを与え、巻き込むことができるのではないでしょうか。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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スタートアップ & 投資の世界で知っておきたいキーワード9選

 「WWDジャパン」11月4日号の特集では、ファッション系の企業へ投資する投資家たちが注目する次世代のファッションビジネスを探った。特集の巻頭座談会では「MERY」創業者の中川綾太郎氏、「ペアーズ(Pairs)」などを開発するエウレカ創業者の赤坂優氏、元メルカリ幹部の松本龍祐氏、そしてフリークアウトホールディングスなどを創業し、上場に導いた佐藤裕介氏の4人が登場。個人投資家としても有名な彼らがファッション業界に投資する理由や、その可能性を聞いた。そんな彼らの会話で頻出した用語10個をピックアップ。スタートアップや投資の世界においては押さえておきたいキーワードだ。

エクイティ・ファイナンス
事業のために新たに株式を発行し、投資家などに売ることで資金を調達する方法。なお、銀行などの金融機関から借り入れを行って資金を得る方法をデット・ファイナンスと呼ぶ。

エンジェル投資家
創業間もなく、資金調達が難しい企業に資金を提供する個人投資家のこと。エンジェル投資家の多くが起業家でもあり、かつて立ち上げた事業を売却して得た資金を用いることが多い。

ベンチャーキャピタル
通称VC。未上場のベンチャー企業に資金を投下し、保有した株式を上場や売却の際に売って利益を得る企業。出資先の成長を促すために経営の支援などを行うVCもある。

デューデリジェンス
投資を行うに当たり、対象企業の価値や投資のリスクなどを調査すること。企業の財務を調べるのが一般的だが、事業や法務、人材などの観点から調査することもある。

ポーション
割り当ての意味。投資家は基本的に分散して投資を行うが、ある企業の投資において、運用している資金のうちどれだけの割り合いの金額をその企業に充てるかを指す。

リターン
投資した結果得られる収益や損失。株式などの値段の変動が大きいことはリスクと表現される。リスクの高い投資ほど、リターンも大きくなる一方で、リスクの低い投資はリターンも小さい。

イグジット
投資資金を回収することで、M&A(合併、買収)やIPO(株式の新規上場)などがある。企業はイグジットの時期や方法、どの程度の利益が生まれるかをプラン化しておくと出資を受けやすい。

バリューアウト
商品に新たな価値を付けること。商品などの開発の際、メーカー側の理論や計画を優先するプロダクトアウトの考えから、消費者のニーズを重視したマーケットイン思想へと変わり、バリューアウトに至る。

ラウンド
投資を受ける際の段階を指す。創業から事業の成長に合わせてシード、アーリー、シリーズA、B、Cと段階が上がっていく。資金調達額もラウンドが進むにつれて増える。

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2019年ハロウィン セレブたちの本気すぎるインスタグラム投稿25選

 セレブリティーたちがこぞって2019年のハロウィンの様子をアップしている。

 毎年本気すぎる衣装で有名なハイディ・クルム(Heidi Klum)は、今年で20度目となる自身のハロウィン・パーティーのコスチュームにサイボーグのようなエイリアン姿をチョイス。このコスチュームは夫のトム・カウリッツ(Tom Kaulitz)が所属するバンド、トキオ・ホテル(Tokio Hotel)からインスピレーションを受けたものだという。クルムはニューヨーク市内のアマゾン・ブックストアで人間からエイリアンに変身していく様子をガラス越しに一般公開し、念入りに施された全身の特殊メイクをインスタグラムにも投稿した。

 そのほかのセレブたちもさまざまなコスチュームを披露しており、カイリー・ジェンナー(Kylie Jenner)はディズニー(DISNEY)のアリエル、「プレイボーイ(PLAYBOY)」のバニーガールやマリリン・モンロー(Marilyn Monroe)に扮した複数の写真を投稿している。

 ジェンナーの娘のストーミー・ウェブスター(Stormi Webster)もライラック色のウイッグとフェザーのドレスに身を包み、今年の「メット・ガラ(MET GALA)」でのジェンナーのミニ版に扮してハロウィンを楽しんだ様子。

 キム・カーダシアン(Kim Kardashian)も映画、リーガルブロンド(Legally Blonde)のエル・ウッズ(Elle Woods)に扮した姿でSNSを沸かせた。カーダシアンは映画のシーンを再現した手の込んだビデオを投稿して周囲と差をつけていた。

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「葛藤や苦悩に寄り添う音楽を」 21歳のシンガーeillが放つあたたかい光

 15歳で楽曲制作をスタートし、19歳でデビューした新世代シンガーソングライターeill(エイル)。艶やかな歌声がジャズやR & B、ポップスなどさまざまなジャンルの要素をまとめ上げて楽曲へと昇華させる。彼女の音楽だけでなくファッションも同年代の女性から高い支持を得ている。11月6日には、若手ラッパーや気鋭のアーティストを迎えて製作した自身初のフルアルバム「SPOTLIGHT(スポットライト)」を発売するなど、今後の活躍が期待される存在だ。そんな彼女に、アルバムに込めた思いや、自身音楽のルーツ、デビューまでの苦悩など現在の“eill”に至るまでを語ってもらった。

WWD:音楽を始めたきっかけは?

eill:もともとは小学生の時にK-POPを好きになって、韓国のアイドルに憧れを抱くようになったのがきっかけです。それから私も踊って歌えるアーティストになりたいと思うようになりました。K-POPが好きすぎて、中学生までは本気で韓国でアーティストになりたいと思っていました。

WWD:K-POP以外に影響を受けた音楽は?

eill:K-POPから入ってだんだんと洋楽、ブラックミュージックも聴くようになりました。中でもビヨンセ(Beyonce)の出演している映画「ドリームガールズ(Dream Girls)」を観て、劇中歌の「LISTEN」にすごく衝撃を受けました。音楽ってこんなにパワーを持っているんだとその時に魅了されて、本格的に歌を歌いたいという気持ちになりました。また、母がモータウン(米国・デトロイト発祥のレコードレーベル。ニーヨ(NE-YO)やミーゴス(MIGOS)、エリカ・バドゥ(ERYKAH BADU)など多くの黒人アーティストが所属する)や1970~80年代のポップス、R & Bなどが好きで、私も聞いているうちにどんどんハマっていきました。K-POPやR & B、SOULなどの音楽が今の自分のルーツになっています。

WWD:歌を本格的に始めたとき、レッスンに通った?

eill:韓国人の先生のもとでスパルタレッスンを受けました。もともと、私自身とても音痴だったのですが、その先生が徹底的にきたえてくれました。ほとんど毎日通って「この子はやる」と思ってもらえたのか、夜10時くらいまでレッスンを受けて帰宅するというのを繰り返していました。レッスンは本当に怖くて、毎日怒られて泣きながら練習していました。

WWD:もともと音痴だと歌いたいという気持ちにならないような気がするが?

eill:K-POPから入ったので、アーティストという存在自体に憧れていて、音痴を気にするよりも、そういう存在になりたいという思いの方が強かったです。

WWD:本気でアーティストでやっていこうと決めたのはいつ?

eill:中学3年生です。毎日レッスンに通っていて寝る時間もあまりありませんでしたが、それだけ音楽が好きだったんです。だから音楽以外の道に進むことは考えていませんでした。ちょうどその頃に、両親に楽曲制作に必要な機材を一式買ってもらいました。それから独学で曲を作るようになりました。

自らの力で切り開いたアーティストとしての“MAKUAKE”

デビュー曲「MAKUAKE」のMV

WWD:もともと20歳までにデビューしたいという目標があったそうだが?

eill:高校一年生の時からジャズバーとかでライブ活動をしていたんですが、当時のライブはピアノの弾き語りで今とは異なるスタイルでした。それとは別に自分のやりたい曲があったので、デモ音源はずっと制作していました。ただ私自身や周りの人達が納得するようなものができずに、約2年間ずっとデビューにむけて準備していたけど、なかなか出せなくって……。曲を書いてはボツになっての繰り返しでした。それでこのままだと20歳までにデビューできないとすごく焦りました。それまで他の人と一緒に楽曲づくりをしていたんですが、誰かがいいじゃなく、自分がいいと思う曲を作ろうと思い、自分の人生を切り開くという意味を込めた「MAKUAKE」という曲を一人で作りました。その曲で2018年6月13日にデビューできました。私の誕生日が6月17日なので、ぎりぎり20歳までにデビューという目標がかなえられて本当によかったです。

WWD:デビューから1年が経過したが、変わったことは?

eill:正直変わったことだらけです。もちろん自分のCDが店頭に並ぶことも初めてですし、ワンマンライブも初めて。音楽に対する姿勢にも変化がありました。デビューするまで自分が歌う目的が正直まだ曖昧だったんです。例えば大きな会場でやりたいとか具体的なイメージがまったくなくて、ただ歌えればいいって気持ちでした。でもサポートメンバーや支えてくれるチームと一緒に音楽を作っていくうちに、自分の中で明確なビジョンや目標について考えるようになりました。本当に初めての体験が多かった1年間でした。

WWD:eillという名前の由来は?

eill:もともと別名義で活動していたんですが、新しく生まれ変わろうと決心してつけた名前が“eill(エイル)”です。北欧神話にエイルという体や心の傷、どんな病にも効く癒しの力を持つ女神がいて、そこに由来しています。その力が私にとっては音楽で、音楽で人を癒やしていきたいという思いからです。

ファーストアルバムのリード曲「SPOTLIGHT」MV

WWD:初のフルアルバムのタイトル「SPOTLIGHT」にはどういう意味が込められている?

eill:“舞台の上で光を浴びる”って意味ももちろんありますが、このタイトルの意味は、私自身に光を当てるという意味も込めました。周りの人だったり、舞台から出る光、演出のライトではなく、自分にとっての“スポットライト”の意味を表現したくてこのタイトルを付けました。

WWD:このアルバムを通して伝えたいことはある?

eill:私が作る曲に共通しているのは、“自分の人生の扉を少しずつ開けていくこと”で、女性の強さとかをテーマにして曲を書いています。この「SPOTLIGHT」というアルバムには私がデビューしてからの1年間がつまっています。自分を嫌いになったり、周りの人に助けてもらったり、葛藤だったり、本当にいろいろな出来事があった中で、最終的に自分が「何のために生きているのか」って明確にするために制作したものが「SPOTLIGHT」です。そして今までは自分のために歌っていたのですが、今回のアルバムでは誰かを励ましたり元気づけるために作った曲が多く、このアルバムを通して誰かに寄り添えたらいいなと思っています。

WWD:このアルバムではで気鋭の若手ラッパーKvi Baba(クヴィババ)や覆面アーティストのAmPm(アムパム)などのアーティストが参加しているが、その経緯は?

eill:Kvi Baba君は、曲を聞いて「かっこいいな」ってずっと気になっていました。ライブに足を運んで直接「お願いします!」って伝えたのがきっかけです。AmPmさんは、アルバムの2曲目に「この夜が明けるまで」という曲が収録されているんですが、この曲を全編英語でやったらかっこいいと思ったと同時にAmPmさんが思い浮かんだんです。それで完成したのがアルバム9曲目の「ONE LAST TIME(Prod.AmPm)」。制作に取り掛かる前から絶対いい曲が作れるって直感的に確信しました。

私の音楽が明日を生きる意味、頑張れる理由になれたら

WWD:11月に3都市(東京・名古屋・大阪)を周るツアーが始まるが、ツアータイトルの「BLUE ROSE」の意味は?

eill:昔、青いバラ(BLUE ROSE)は存在しておらず作れないものだと言われていました。だから花言葉も「Impossible(不可能)」。でも技術が進歩して青いバラも作れるようになり、花言葉も「Dream Come True(夢かなう)」に変わったんです。そういった背景がいいなと思って。私の夢とみんなの夢をかなえるツアーという意味で「BLUE ROSE」と名づけました。

WWD:ツアーへの意気込みは?

eill:私にとって初めてのツアーですし、ファーストアルバムの曲を始めて披露する貴重な場です。夢をかなえるって意味でも、ファーストフルアルバムを作ったことは自信につながりましたし、誰かに届けたいという気持ちが芽生えました。お客さんにとってライブに行く1秒前より、ライブに行った1秒後が明日を生きる意味、頑張れる理由になれたらいいなと思って、ツアーに臨みます。

WWD:今後の目標は?

eill:出来ることは全部やりたいっていうのが率直な気持ち。やっとたくさんの人に自分の音楽を届けたいって気持ちが芽生えたから、その衝動を大切にしたいです。イヤホンの向こうにいる人にも悲しかったり、楽しかったり、生きている中でたくさんの感情が巡っていると思うんです。私はジャンルにこだわらずダンスミュージック、バラード、J-POP、R & Bといろいろ歌う。そんな器用貧乏で悩んだこともあったけど、だからこそ聴く人のいろんな感情に寄り添える。私の音楽が少しでも多くのシーンでそういう人のそばで、友達のような存在でいられたらなというのが一番の目標です。

WWD:最後にeillさんにとって音楽とは?

eill:生きる意味。音楽がないと生きていけないし、楽しいことも、悲しいことも辛いことも日々の生活のなかで起きていること。そういった感情を曲にしているので、衣食住のように生活に必要不可欠なもの。一生一緒に生きていくものだと思っています。

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新たなコーヒー体験をかなえる「スターバックス・リザーブ・ロースタリー 東京」の新商品をチェック 初の日本発信のカクテルも

 「スターバックス・リザーブ・ロースタリー(STARBUCKS RESERVE ROASTERY)」とは、プレミアムクラスのコーヒーのみを提供する「スターバックス」の次世代店舗のこと。2014年にシアトルに第1号店がオープンし、日本には今年2月28日に初上陸。世界で5店舗目となる「スターバックス・リザーブ・ロースタリー 東京」の11月7日発売の新商品をいち早くレポートする。

 中目黒の川沿いに位置する「スターバックス・リザーブ・ロースタリー 東京」は、季節性を大切にし、新製品を発表するコンセプト店だ。強いこだわりと共に本物をさらに追求した商品を提案している。11月7日発売の新商品は、再販1製品を含む計7商品。同店らしいアイデアに溢れた、イノベーティブなラインアップだ。

バレルエイジド スチーマー/1200円

 人気を博した期間限定商品“バレルエイジド コールド ブリュー”の味わいを、寒い季節にも楽しんでほしいという思いからホットタイプが新登場。ウイスキー樽の中で熟成させたコーヒー豆をコールドブリュー(水出し)で抽出した後、スチームして生クリームをプラス。口の中に入れると温冷が心地よく混ざり合い、芳醇な香りが広がる。また、同時に“バレルエイジド コールド ブリュー”も定番メニューとして再登場する。

ナイトロ マサラ チャイ/900円

 2種類のティーと3種類のスパイスをブレンドしたチャイ。スパイスの香りとブラックティーの心地よい渋み、そしてハニーブッシュバニラの甘い香りが口の中で心地よく調和。窒素ガスを加えることで、ベルベットのようなやわらかな口当たりを実現している。

かぶせ玄米&カルダモンピーチ/850円

 玄米の香ばしさの後に、甘酸っぱいピーチビネガーとかぶせ茶の爽やかな甘みと渋みが感じられる新感覚のホットティー。甘み・酸味・渋みのバランスがよく、伝統的なお茶に新たなひねりを加えている。

ゆずすまし/1800円

 初の日本発信カクテルが登場。梅ヶ島煎茶のうま味とジン、爽やかなユズを加え、最後にレモンジュースで味を調え、おすましのような感覚で楽しむことができる。「全ての液体はカクテルにできるのではないかと日々考えている」とは、開発に当たったバーテンダーの言葉。味わいはもちろん、その見た目にも美学が詰まっている。

ウィンター フォレスト アメリカーノ/1800円

 温かいアメリカーノに、スモークしたウイスキーを注いで仕上げるカクテル。ウィスキーのほか、ワイン系リキュール、カシスのリキュール、黒蜜がブレンドされ、体を芯から温めてくれる深く優しい味わいだ。

 ドリンクの発売に合わせ、通常の“ミニパネトーネ”の9倍の大きさの“ホリデーパネトーネ”や、5種類のチーズが織りなす深い味わいが魅力の“フォカッチャ ピッツア チンクェ フォルマッジ”などコーヒーと楽しみたいフード類も新たに登場する。クリスマスシーズンを前に、東京の新たな観光スポットしてますます注目が集まりそうだ。

「スターバックス リザーブ ロースタリー 東京」
住所: 東京都目黒区青葉台2-19-23
営業時間:7:00~23:00

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伊勢丹新宿がフレグランスに本腰 名物催事の強化と1階売り場を拡張オープン

 伊勢丹新宿本店のフレグランス戦略が進んでいる。10月20~23日、第7回目となる香りの祭典「イセタン サロン ド パルファン(以下、サロン ド パルファン)」を開催して売り上げを拡大し、最終日の23日には1階フレグランス売り場面積を約1.5倍に広げてリニューアルオープンした。日本のビューティ市場ではまだまだ数パーセント規模のフレグランス市場だが、化粧品売り上げ中1~2番を争う同店舗のフレグランス強化は、業界内外に大きな存在感を示している。

 「サロン ド パルファン」は今年、会場をこれまでの7階から6階の催物場に移した。伊勢丹新宿本店の催事場と言えば6階が最大規模のスペースとなり、英国展やイタリア展など同店主要イベントは6階で行われている。「サロン ド パルファン」は過去6回は7階の催物場での開催だったが、年々来場者数が増加し売り上げも初回比で7回目は約4倍に増えており、見た目にも手狭感は否めなかった。今年は7階の改装もあることから6階の大きい催物場に満を持して移動し、売り場面積は約1.5倍となった。一方、開催期間は昨年の6日間から4日間に短縮した。これは1階のフレグランス売り場リニューアルオープンに向けた動線として1階への送客も積極的に行っており、リニューアルに弾みをつけるのが狙いだったのではないか。実際、会期は2日減でありながら売上高は前年比14%増、来店客数(購入客数)は同23%増と伸長した。

 今回のイベントでは、日本初上陸を含む初出展12ブランドをはじめ国内外の約40ブランドを集めた。日本フレグランス協会と協力し、ブランドを横断して香り選びをサポートするコンサルテーションや、有識者の審査と売り上げ実績で選ぶアワードの開催のほか、同店ではフレグランス“上級者”が顧客の中心であることから、若年層の獲得を目指し、アーティスト兼モデルで若い人からも支持が厚い加治ひとみをアンバサダーに起用。SNSを使ったキャペーンなどで盛り上げた。

 その結果として昨年を上回った売り上げをけん引したのがメゾンフレグランスで、ファッションフレグランスの動きが鈍く課題が残った格好だ。岡部麻衣・三越伊勢丹化粧品統括部 新宿化粧品営業部マーチャンダイザーによると、「フレグランスに関心の高いありとあらゆる層から来店があった」といい、「ゲラン(GUERLAIN)」「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」などの定番ブランド、初出展となる「フエギア1833(FUEGUIA 1833)」「エルメティカ(HERMETICA)」が売り上げ上位を占めた。そのほか「クヴォン・デ・ミニム(LE COUVENT DES MINIMES)」「トバリ(TOBALI)」「シロ(SHIRO)」などの中小規模のブランドも健闘した。同店は他の百貨店に先駆けて2007年からフレグランスに注力してきており、順調に顧客の育成が進んだことでメゾンフレグランスニーズが拡大し、エントリー層からの需要が比較的高いファッションフレグランスの伸びが鈍化した。狙いとする若年層も取り込めたが、それはフレグランス“マニア”に絞られたようで、若年層全般に広がるにはもう少し時間が掛かりそうだ。

 それでも1階フレグランス売り場の拡張は、イベントの売り上げ拡大で弾みがついた。リニューアルでは、「ブランドごとのストーリー性や世界観をより深く見せる」ことに注力。特に、メゾンフレグランスの打ち出しを強化した。例えばディフューザーやボディーケアなどライフスタイルをトータルで提案するブランドを“トータルメゾン”と位置付けて、「バイレード(BYREDO)」「ディプティック(DIPTYQUE)」「ジョー マローン ロンドン」の3ブランドを独立したショップとして展開。エングレービングやカスタマイズラッピングなどの販売サービスを充実させる。これらのブランドはフレグランス“初級者”にも入りやすく、裾野を広げる役割を担う。

 また、ブランドごとのコーナー展開エリアでは、壁面をブランドサインやキービジュアルで装飾する仕様に変更した。そのほか大型のプロモーション什器を導入したポップアップスペースを設け、これまで統一環境の中で同列に並べていたことで表現しきれていなかったブランドの世界観を大きく発信する。加えて、これまであまり紹介してこなかった海外の未上陸ブランドなど希少性の高いブランドを積極的に紹介していく。

 今回のリモデルにより、フレグランス売り場の売上高は既存部分で前年比20%増、増設部分(単独でショップ化した3ブランド)を含めると同40%増を目指すという。若年層まで広がるコアなファンを獲得する年に一度の「サロン ド パルファン」と、エントリー層から上級者までをカバーする1階に誕生した国内随一のフレグランス売り場との相乗効果でフレグランスの存在感を高めて、日本のフレグランス使用率向上に資することを期待したい。

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1999年からアディダスが手掛けるサッカー日本代表の歴代ユニホームを振り返る

 1999年にアディダス(ADIDAS)と日本サッカー協会がサプライヤー契約を締結して以降、11月6日に発表された迷彩柄が目を引く新ユニホームを含めこれまでに全12作のユニホームが発表されてきた。サッカー日本代表のユニホームは約2年に1度のペースで刷新されるごとに賛否両論を巻き起こしてきたが、果たして過去モデルのデザインはどうだったのか。全11作をそれぞれのコンセプトとともに振り返る。

― 1999〜2000 ―
コンセプト:機能美

 「アシックス(ASICS)」と「プーマ(PUMA)」とのサプライヤー契約の持ち回りを廃止し、「アディダス」と現在に至るまでの独占複数年契約が始まった初代ユニホーム。青色で“日本の国土とスピード感”、白色で“信頼とフェアプレー精神”を表現し、“風”のモデル名で愛された。このユニホームを着用していた当時のイレブンは、今なお“アジア最強チーム”との評価が高い。

― 2001 ―
コンセプト:フューチャー プログレス

 選手の動きが大胆に見えるようにと、首元から肩にかけて配された白のポイントと青色のボディーの対比から“コントラスト”モデルと呼ばれ、翌年に控えた自国開催のW杯を前に1年間限定で着用されたモデル。大きめの襟にクラシック感があり、このユニホームを最後に襟付きユニホームが発表されていないことからファンの間には根強い人気がある。

― 2002〜2003 ―
コンセプト:富士山

 前作と比べてかなりシンプルなデザインとなったこのモデルは“日本の美”を表現したというもので、自国開催のW杯で着用された記念すべき一着。左右の首元からそれぞれの袖口にかけて走る赤色のパイピングは、湖面に映る逆さ富士になぞらえたもの。高温多湿の日本の気候を考慮して裏地にメッシュ素材を使用した二重構造で、エンブレムをプリントするなど徹底的な軽量化も図られた。

― 2004〜2005 ―
コンセプト:ブループライド

 “経験と挑戦”を表現した濃淡の青色のグラデーションが、「アディダス」の“スリーストライプス”を想起させる。首回りには、日の丸をイメージしたという赤色がアクセントカラーとして採用された。ドイツW杯出場を世界最速で決めた試合で着用されていた。

― 2006〜2007 ―
コンセプト:刃文

 ドイツW杯を戦う日本代表のキャッチフレーズに“SAMURAI BLUE”が選ばれたこともあり、日本刀の刃文(刀身に見られる波模様)をモチーフに、これまでのユニホームのイメージから一新。両脇に何重にも重なる流線型のラインがあしらわれた、歴代ユニホームの中でも特異なデザインに仕上がった。いまだに2次流通市場で取引されている。

― 2008〜2009 ―
コンセプト:日本魂

 これまでのどのモデルよりも明るい青色のボディーに、黄色を随所に用いた珍しい配色で話題となった一着。前身頃の裾から胸元にかけて“飛躍”をイメージした放射状の黄色のラインがのびており、これが日の出を想起させることから“ご来光”モデルと呼ばれた。

― 2010〜2011 ―
コンセプト:革命に導く羽

 南アフリカW杯に向け、快適さを重視した従来型の“フォーモーション”と、運動能力を向上させるコンプレッションウエアとしての機能を持つ“テックフィット”という2タイプを、環境やコンディションに応じて選手自身が選ぶことができた“革命的”なモデル。前身頃にあしらわれた日本サッカー協会のシンボルマークにもなっている八咫烏(やたがらす)の羽のグラフィックが高い評価を受けたが、ファンの間で首元の大胆な赤色が「よだれかけ」「レッドカード」などと批判の的にもなった。しかし、男子はW杯で歴代最高成績タイとなるベスト16入りし、なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)はW杯を制したという歴史に残るモデルだ。

― 2012〜2013 ―
コンセプト:結束の一本線

 前年に発生した東日本大震災の復興をめざして一丸となる日本の姿に重ね、1本の線で日本人の結束を表現した。コンセプト通り、前身頃には1本の赤色のラインが走っているが、それを見た一部のファンから「むしろ分断されている」との声が上がった。また、肩部が異なる青色の切り替えになっていたりと、その斬新なデザインから前作に引き続き物議を醸したモデルに。

― 2014〜2015 ―
コンセプト:円陣

 ブラジルW杯に照準を合わせて製作されたモデルで、鮮やかな青色のボディーの背中に毛筆タッチでネオンピンクの一本線が横向きに描かれ、円陣を組んだイレブンを上から見ると大きな輪になるようにデザインされている。また、試合開始前の円陣後にピッチへと広がる選手から着想した、左胸のエンプレムを中心に広がる11本のラインも特徴的。当時の“「アディダス」史上最軽量のサッカーユニホーム”としても知られる。このユニホームは現在でも試合会場で頻繁に見かける人気モデルだ。

― 2016〜2017 ―
コンセプト:イレブンブルー

 鮮やかな前作から一転、ほぼ黒色ともいえる日本代表ユニホーム史上最も濃い青色を採用した。胸元の11本のボーダーから成るグラデーションで、“個性の異なる11人”を表現。その中央に走る12本目の赤色のラインは、12人目の選手とされるサポーターを表した。また、1999年から継続して配されていた肩のスリーストライプを初めて脇にあしらい、襟裏には八咫烏の羽のグラフィックをプリントするなど、真新しいデザインとなった。

― 2017〜2018 ―
コンセプト:勝色

 昨年のロシアW杯で着用されていたことからも記憶に新しいモデル。かつて武将が戦いに赴く際に身につけた鎧下と呼ばれる着物に使われる藍染めの生地の中で、最も深く濃い藍色とされていた“勝色”をコンセプトに採用。2018年がW杯初出場から20年という節目の年だったこともあり、20年分の思いを糸で紡ぐというイメージから前身頃の全面に刺し子柄を施した。さらに首元の内側には、過去に出場した5大会のW杯ユニホームの特徴的なデザインを組み合わせたロゴがあしらわれ、言葉そのままに歴史や経験を背負う意味が込められた。

 以上全11ユニホームを振り返ってみると、発表当時は受け入れにくかったモデルでも、いざ着用して戦うイレブンを見て気が変わったという人も多いだろう。ユニホームは単なる試合用ウエアである以上に、選手の闘争心や団結力を高めるなど精神機能性の役割も担っている。今回のユニホームで選手たちが好成績を残し、あわよくば東京オリンピックで金メダルを獲得することを一人のファンとして願う。

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オーガニック認証コスメの「メルヴィータ」 希少な「ローズオイル」を限定発売


 フランスのオーガニックコスメブランド「メルヴィータ(MELVITA)」は11月6日に、ブランドの人気No.1 ※1製品「ビオオイル アルガンオイル」にダマスクローズのエッセンシャルオイルを加えた「ビオオイル アルガンオイル ローズ」を数量限定で発売する。美容成分豊富なアルガンオイルと、華やかな芳香を放つダマスクローズのエッセンシャルオイルのブレンドオイルは、100%自然由来成分、99.2%オーガニック成分を使用し、コスモスオーガニック認証、コスメビオマークを取得。心地よい使用感で乾燥肌の悩みやエイジングケア※2にアプローチする。

※1 2018年1〜12月 「メルヴィータ」直営店売り上げによる
※2 年齢に応じたお手入れのこと

構想から8年、
ダマスクローズオイルを
アルガンオイルに配合

 強い芳香を持つダマスクローズは、女性ホルモンに働きかけてリラックス作用をもたらすことで知られる。不動のベストセラー「ビオオイル アルガンオイル」を持つ「メルヴィータ」でも、日本に上陸した2011年当初から「ローズのオイル製品が欲しい」という顧客の声が多くあった。しかし、原料を安定的に確保することが難しいことから長く製品化がかなわなかった。構想から8年、さまざまな課題を乗り越えて今年、アルガンと希少価値の高いブルガリア産のダマスクローズをブレンドしたオイルが誕生した。

化粧水を引き込む
アルガンオイルのパワーとは?

 「メルヴィータ」のアルガンオイルの原料は、フェアトレード認証済みのモロッコの契約農家で生産される。同地には、オーガニック認証を受けた汚染されていない“アルガンの森”が広がり、気温が50度以上にもなる雨がほとんど降らない過酷な環境下でアルガンツリーは生育する。そして完全に熟して自然落下した実だけを収穫し、殻を割り、果肉をむく工程までを一つ一つ丁寧に手作業で行う。アルガンオイルは肌にハリを与えるオレイン酸や必須脂肪酸のリノール酸、肌に柔らかさを与えてキメを整えるステロール、抗酸化力の高いビタミンEなどの美容成分を豊富に含み、乾燥によるダメージなどさまざまな肌の不調を整える。

“化粧水ごくごく”
ブースターオイルの使い方

問い合わせ先
メルヴィータジャポン カスタマーサービス
03-5210-5723

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「ヌメロ ヴェントゥーノ」初の男女合同ショー 透け透けブリーフを招待状にした理由をバックステージで直撃

 「ヌメロ ヴェントゥーノ(N°21)」は2020年春夏、ウィメンズとメンズの合同ショーでコレクションを発表した。10-11年秋冬にウィメンズウエアからスタートした同ブランドは、クリスタルやリボン、レース、サテンなどを多用したセンシュアルかつモダンなスタイルで人気を獲得。14-15年秋冬にメンズラインを始動した。これまでもウィメンズのショーに数人の男性モデルを登場させることやその逆はあったが、2つのコレクションを一緒に発表するのは、これが初めてだ。

 ショー前のバックステージで、アレッサンドロ・デラクア(Alessandro Dell’Acqua)=クリエイティブ・ディレクターは、「メンズとウィメンズで一貫したアティチュードを表現したかったので、今シーズンは一緒に見せるということが重要だった」とコメント。「共通の素材や柄を使った同じ服を、男女が異なる方法で着こなす。ジェンダーレスやジェンダーの流動性を意図しているわけではなく、それぞれのアイデンティティーを保つということがポイントだった」と続ける。

 中でも最も重要だと語るファーストルックには、ボーイッシュな雰囲気を持つ女性モデルの(Veronika Kunz)を起用。ウィメンズとメンズで同じデザインを展開するレトロな小花柄のテーラードスーツを、ハンサムに着こなした。その後もランウエイには、男女共通のアイテムが登場。重量感のあるニットに輝くクリスタルをちりばめたり、キャディーで仕立てたハイネックシャツの後ろに長いボウタイを加えたり、スポーティーなショートパンツをレザーやサテンで仕立てたり。一着の中でコントラストを描いているのが印象的だ。一方、ウィメンズのドレスは、上質な生地をたっぷりと使ったバルーンシェイプを描いたり、リボンモチーフのスパンコール刺しゅうを全面に施したりして、クチュールライクな雰囲気を演出した。

 また、着用者に着こなし方を委ねるようなディテールも多く見られた。例えば、ジャケットやシャツは脇にスリットを入れて腕を通せるように、ドレスは首元の片方から脇にかけてボタン開閉を配することでワンショルダーにアレンジできるデザインで提案。ファッションがジェンダーアイデンティーやそれぞれの個性を映し出すと考えるデラクアは、自由度の高いデザインで“着こなしにおける個性”を問いかけた。

透け透けブリーフに
込められた思いとは?

 今シーズンは、ヌードカラーのチュールで作ったメンズブリーフを招待状として使用。さらに、その下着を着た男性モデルの後ろ姿を捉えたビジュアルをミラノの街中に貼り、度肝を抜いた。その理由を尋ねると、「ただ単に挑発したかった。現代において政治的に正しいメッセージではないかもしれないが、今の社会はあらゆることに対してルールが多すぎて、寛容でなくなっているから。スキャンダルを生み出すことで、そこに異論を唱えたかった」とデラクア。そして、「今シーズンの出発点は、エロチシズム。それを招待状にも反映した」と付け加える。「解き放たれたエロチック・ムード」と題された同コレクションは、確かに肌が部分的にあらわになるデザインが目を引く。しかし、セクシャルではなくエレガントに着地させているのが、デラクアらしい。

ヘアメイクはフレッシュな印象に

 フレッシュでスポーティーなイメージを共有する男女のヘアメイクを担当したのは、ヘアスタイリストのホリー・スミス(Holli Smith)とメイクアップアーティストのローレン・パーソンズ(Lauren Parsons)だ。ヘアは、「シャワーから上がってブラッシングをしただけのようなウェットなルックをイメージ。モデルのヘアや服にマッチするヘッドバンドを使ったスポーティーなスタイルに仕上げた」とスミス。長髪から短髪まで、ストレートからカーリーまでさまざまな男女のモデルがいるので、それぞれに合わせたアプローチを用いているが、基本はオールバックのゆるくウェービーなスタイル。大半に「レベル メン」のスプレー状ジェルを使用し、ヘアクリームでツヤ感&束感を加えた。

 一方、メイクのキーワードは「フレッシュ&ゴージャス」。「キコ ミラノ(KIKO MILANO)」の保湿クリーム“ハイドラ プロ グロウ”とマット仕上げのジェルクリーム“セボ バランス クリーム”で肌を整えた後、チークと顎にハイライトを加えた。ウィメンズのポイントは、そこに花びらのような色を取り入れていること。まぶたにはアイシャドウの代わりに“3D ハイドラ リップグロス”をブラシでのせ、オレンジブロッサムやピオニーの色合いを表現。リップはダスティーなイングリッシュローズをイメージして、2色のカラーバームをミックスして仕上げた。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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2020年春夏トレンド分析Vol.8 リラックスムード漂うゆったりドレス

 ウエストを締めつけない、爽やかでゆったりとしたドレスルックがランウエイを彩った。「サカイ(SACAI)」を筆頭に、「ヴィクトリア ベッカム(VICTORIA BECKHAM)」や「オスカー デ ラ レンタ(OSCAR DE LA RENTA)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」などがビッグサイズのTシャツから手の込んだレイヤードまで、丈もフルレングスから膝丈までとバリエーション豊富にそろえた。

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2020年春夏トレンド分析Vol.8 リラックスムード漂うゆったりドレス

 ウエストを締めつけない、爽やかでゆったりとしたドレスルックがランウエイを彩った。「サカイ(SACAI)」を筆頭に、「ヴィクトリア ベッカム(VICTORIA BECKHAM)」や「オスカー デ ラ レンタ(OSCAR DE LA RENTA)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」などがビッグサイズのTシャツから手の込んだレイヤードまで、丈もフルレングスから膝丈までとバリエーション豊富にそろえた。

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「着る人の顔が浮かばないならショーをやる意味はない」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。

今日のニュース:P.8-9「楽天支援の東コレは何が変わった?」

読み解きポイント「何を見せたいかハッキリしていた“裏”東コレが面白かった!」

ニュースのポイント

 冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天に代わって初めての東コレ。準備期間が短かったとはいえ、Rakuten Fashionサイト内に導入した予約購入システムの告知が十分でなかったり、公式スケジュールのショーと同時に楽天が記者会見を行ったり、運営には疑問が残る初回となった。とはいえ盛り上がりに欠けたわけではなく、JFWOが「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」や「コウザブロウ(KOSABURO)」といった海外で活躍するブランドを招へいしたり、「ハイク(NYKE)」や「ミスタージェントルマン(MR. GENTLEMAN)」といったベテランが盛り上げた。

Azuはこう読む!

 すでにこの連載で東コレのことは何度か書いていますが、今まではファッションウイークの取り組みについて言及していました。そこで今回は、ブランドに着目したいと思います。とはいえ全てのショーを回ったわけではないので、あくまで見た範囲での意見です。

 今回、心に最も残ったのは東コレ“裏”の取り組みでした。この時点ですでに東コレへの意見ではなくなるのですが(笑)、ファッションウイークには公式スケジュールとオフスケジュールの2種類があり、公式は文字通りファッションウイークに正式に登録して参加しているところ。オフスケジュールというのは期間中にショーやインスタレーションを「非公式」で行うところです。

 非公式なので公式サイトにはのらないし、ブランドやプレスから案内がなければ知る由もありません。しかも公式スケジュールなら他のブランドのスケジュールやゲストの移動時間を考慮してくれますが、非公式は時間がぶつかろうが場所が遠かろうが関係ありません。もちろんメディア露出も確約されません。それでも、オフスケジュールが面白かった!

 2018年春夏の東コレ(公式)で衝撃のTバックジーンズを発表した「ティーボー(THIBAUT)」は、老舗アンティークショップ「THE GLOBE ANTIQUES」を舞台にインスタレーションを開催。店内に入ると順路通り進むように案内され、「この先でショーかな?」と思ったら目の前には骨董品に紛れてモデルが立っていました。インビテーションには「Human's market」の文字。「ティーボー」の大胆で無邪気な洋服を身にまとったモデルたちが、まるではく製のように佇んでいます。もちろん周りは実際に売られている骨董品で、目につく値札には「ティーボー」の札が重ねられている徹底ぶり。まるで密かに怪しい商売がなされる路地裏マーケットのような空間は、「ティーボー」が作る、自由気ままで少しの狂気を孕んだジプシーたちの世界。ランウエイで見せる躍動感も良いですが、施工したアンリアルな舞台上では演出しきれない物語もあるのです。

 もうひとつ、個人的“裏”東コレNo.1だったのがロンドンから帰国したばかりの「ユウショウコバヤシ(YUSHO KOBAYASHI)」のインスタレーションです。青山のスタジオに作ったのは、彼が過ごした数年間のヨーロッパの夏に想いを馳せて描いた小さな部屋のような空間。ほぼ定刻に登場したのは、ギターを抱えた一人の女性。バンド「羊文学」の塩塚モエカによる優しい弾き語りから始まったインスタレーションは、彼の脳裏に焼き付いた「あの夏」を短編ムービーで見ているような気分にさせられる、とても私的で詩的なものだったように感じます。この映画に登場するのは二人の女性、歌い手、そしてカメラマン。二人の女性は置いてある服を着て、撮られて、寛いで、脱いでをゆっくり繰り返します。そして彼女たちだけではなく、動画を撮影するカメラマンやスタッフもどこかに「ユウショウコバヤシ」の服や小物を身につけていて、役者だけが主役ではなく、舞台に“袖”はないのだと感じてちょっと涙ぐんでしまいました。

 彼はこのコレクションに添えた文章を「このファッションが、また誰かの生活へと続いていきますように。」と締めくくっています。私はこのインスタレーションを見て、この服がどんな人たちの生活を彩るのか、ふわりと想像することができました。

 ショーの意義とは、ファッションウイークに参加する意味とは、が議論されていましたが、彼らのようにシンプルに「どう見せたいか」「何を伝えたいか」を突き詰めた結果、変わった場所でショーをやるなり、あえて裏でやるなりの選択は自由です。バイヤーが来ないと嘆いているなら、そのお金で展示会の地方巡礼とかをすれば良い。伝えたいことや着る人の顔が明確に浮かばないのなら、ショーをやる意味は無いと思います。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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読者注目の2020年春夏ベスト10ブランド ミラノ編

 2020年春夏ミラノ・コレクションが9月23日に閉幕した。「WWD JAPAN.com」読者はどのブランドに興味を持ったのか?公式スケジュールブランドをルック掲載から24時間以内のセッション数(訪問数)が多かった順でランキング。公式スケジュールで発表したのは60ブランド以上。その中で上位10位にランクインしたブランドはこれだ!

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編集長は先週何した? SDGs勉強会、「週刊文春」編集局長取材、「ニナ リッチ」デザイナーと神楽坂、「カルティエ」展覧会へ

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向(むこう)千鶴です。最近、一日10回は「サステナビリティ」と連呼しており、ペットボトルはすっかり買わなくなりました。「ブリタ(BRITA)」の浄水機能付き水筒は便利ですね。でもデザイン、特に発色は改善の余地ありでは?ここは伸び代あるマーケットだな、と思います。

10月25日(金)
SDGsのレクチャーを受けてスッキリ

 専門家をお招きしてSDGsに関する社内勉強会を開きました。なぜなら最近がぜん、SDGs(Sustainable Development Goals・持続可能な開発目標)に関する取材が増えているから。講師は小原壮太郎さん。広告代理店勤務を経て、個人的な体験から有機農業の世界に入り、今は一般社団法人ジ・オーガニック代表理事であり、環境省の森里川海アンバサダーも務めている方です。

 最近の「WWDジャパン」はサステナビリティ、サステナビリティと連呼していますが、記者たるもの言葉の意味を知らずに記事を書いてはいけません。だけど、そもそもサステナビリティってどういう意味? SDGsはどんな背景で誕生したの?最近リリースでよく使われているアップサイクルとは?といった基本のキすら、いざ説明をしようとすると難しいものです。レクチャーでだいぶスッキリ!小原さんが話上手で頭にスルスルと入りました。しかし、まだまだ、まだまだ、まだまだ~勉強しないといけません。というか、学びもまさに持続が大前提。なんて書くと「サステナビリティガー」などウルサイ奴扱いされそうですが、全然OK。胸を張って言えます。未来に向けた学びは楽しいです!

10月29日(火)
初来日の「ニナ リッチ」デザイナー
と神楽坂でディープにカラオケ

 「ニナ リッチ(NINA RICCI)」のクリエイティブ・ディレクターデュオ、ルシェミー・ボッター(Rushemy Botter)とリジー・ヘレブラー(Lisi Herrebrugh)が来日して、神楽坂の一軒家ホテルでパーティーが開かれました。築70年の料亭を改装して作られた「トランク(ハウス)」は、2階建ての一軒家に靴を脱いで上がるシステムだからまさに誰かの家に遊びに来た感じ。夜風に当たりたくなったら縁側へ、なんて感じでリラックスできるから長居しちゃいます。

 完全防音のカラオケルームもあり日英韓のヒット曲の大合奏で超~盛り上がりましたが、照明が真っ赤だから写真を撮っても誰が誰だかわからず。3枚目の赤い写真の手前のシルエットが終始楽しそうだったルシェミーです(笑)。デザイナーの2人は初来日。次の日は渋谷のハロウィンに繰り出したそうで相当濃厚な滞在だったかと。次回のコレクションには日本からのインスピレーションが入っていそうです。

10月30日(水)
文春砲と言えばこの方。
「週刊文春」編集局長を取材

 「週刊文春」×「ビームス(BEAMS)」のムック本の取材のため文藝春秋社へ。このムック本を手掛けた「週刊文春」の新谷学編集局長を取材しました。このムック本、最高です。笑いと突っ込みどころが満載な上に「ジャーナリズム×ファッション」が成立しており個人的にかなりツボ。新谷さんは1990年代前半に文藝春秋社が発行していた伝説の月間誌「マルコポーロ」の撮影ページを担当していたそうで、それを聞いてピンときましたよ。あの雑誌は刺激的でしたから。また、新谷さんはジャケットが似合うおしゃれさんですが、今日は訳あってスエット姿です。なぜスエットなのかといった裏話やムック本の制作背景については「WWDジャパン」11月4日号に掲載している新谷さんへのインタビューをぜひお読みください。ウエブから単品購入もできますのでぜひぜひ。後悔させません!

 文藝春秋社の打ち合わせスペースには「文藝春秋」を創刊した菊池寛(敬称略)の胸像が鎮座しており、まじまじと拝見しました。菊池寛が同誌を創刊したのは「若い作家が書きたいことを書ける場がないなら自分で作ってしまえ」という思いからだったとか。そして創刊号の巻頭を飾ったのは親友の芥川龍之介だったそうです。彼らが2019年を生きていたらきっと自分たちでデジタルメディアを立ち上げたり、ZINEを発行したりしているのだろうな。

 帰り際、同社本館の前を通るとガラス張りの外観全面に「ビームス」ムック本のポスターを張っている最中で、販促活動の気合いも伝わってきます。販促活動と言えば、新谷さんがステッカーをくれました。名刺代わりにステッカーだなんてストリート界隈の人みたい(笑)。PCに貼ってみました。

10月31日(木)
台座も美しいカルティエ展

 オープニングレセプションはパリコレ中で行けなかったため、観に行ってきました「カルティエ(CARTIER)、時の結晶」展。噂には聞いていましたが圧巻!ジュエリーを展示する台座がすでにアート作品です。一番惹かれたのは、杉本博司さんと榊田倫之さんが主宰する新素材研究所による収蔵物とジュエリーをひとつにした陳列のゾーンでした。屋久島の杉の一枚板とジュエリーの展示は絶妙な間合いが心地よくてしばし動けず。写真はNGでしたが確かにあれはあの場で、あの空気の中で見るべし、です。

 会場で、展示ブース内の壁をしげしげと眺め感嘆し、その貼り方の美しさを語り合っている2人の男性がいました。おそらく演出や施工関係の方たちなのでしょう。「壁の作り方が美しいから光の回り方も美しい。なぜあの壁紙はあの角度であんなにピタッときれいに貼れるのだ」とかなんとか。よくは聞こえませんでしたが一般人は気が付かないところにもプロの仕事が行き渡っていることはわかりました。

10月31日(木)
最新号「投資家たちが注目する次世代のファッションビジネス」校了と
今日のおやつ

 11月4日号は「投資家たちが注目する次世代のファッションビジネス」特集。おもしろそうでしょう?必見ですよ。今週からカバーオンカバーも一緒にご紹介します。同号のカバーオンカバーは、絶好調の「MONCLER GENIUS(モンクレール ジーニアス)」です。そして本日のおやつは撮影チームが持ち帰ってきた「フーバープレッツェル」。ビールがほしくなる~。

11月1日(金)
渋谷の雑踏を「ジバンシィ」の
モデルたちが静かに歩く

 今日は渋谷スクランブルスクエアのオープン日。界隈は人でごった返していました。の、中をシュッとした男女が一列になって行進してきて周囲がざわつきました。渋谷スクランブルスクエア3階に新コンセプトショップをオープンした「ジバンシィ(GIVENCHY)」のプロモーションで、弊社の制作部がお手伝いしました。このために作られたカプセルコレクションの大きな“ボウ”バッグを背負い無言で足早に歩くモデルたちと渋谷の雑踏のコントラストがなんとも言えずドラマチック。もちろんのこと、“ナニコレ、すごい”と言ってカメラを向ける人が多数。私も思わず列の後ろについてしばらく追っかけました。晴れてよかった!

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2020年春夏トレンド分析Vol.7 白シャツが多彩なバリエーションでラインアップ

 白シャツは2020年の春夏コレクション全体に見られた。ベーシックなスタイルから、切りっ放しやストレッチなど、シャツのさらなる可能性を示した。

 白シャツといえば、「キャロリーナ ヘレラ(CAROLINA HERRERA)」の創業者に愛された定番スタイルだ。今季、クリエイティブ・ディレクターのウェス・ゴードン(Wes Gordon)はそれを大きなベルスリーブと3Dの刺しゅうを施したシャツにアップデートした。「ニナ リッチ(NINA RICCI)」は首から胸元までヒダを寄せたフェミニンな白シャツを、マニッシュなピンストライプのパンツでコーディネートしたルックで見せた。

 また、ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)による「ヴァレンティノ(VALENTINO)」は、バリエーション豊かな白いドレスのラインアップでゲストを魅了した。ピッチョーリは、米写真家のリチャード・アヴェドン(Richard Avedon)による白いシャツを着た被写体のポートレートを引用して、“白”が視覚的な魅力以上のものを私たちに与えていることを伝える。「形やカットを変えることで、全く違うデザインに作り上げるのが好きなんだ。人は、白を通して人間性の本質を感じるのだと思う。それは非常に重要なことだ」と述べた。

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「この街のカルチャーは民間の人が作ってきた。われわれ(行政)がカルチャーを作ってもサブいので、あくまで環境を整えることに徹するべきだ」 by 長谷部健

長谷部健・渋谷区長

 この街のカルチャーは民間の人が作ってきた。われわれ(行政)がカルチャーを作ってもサブいので、あくまで環境を整えることに徹するべきだ。(2019年4月26日掲載、渋谷区長に直撃取材、2020年を目前に再開発の進む渋谷はどんな街になる?から)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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読者注目の2020年春夏ベスト10ブランド ロンドン編

 2020年春夏ロンドン・コレクションが9月17日に閉幕した。「WWD JAPAN.com」読者はどのブランドに興味を持ったのか?公式スケジュールブランドをルック掲載から24時間以内のセッション数(訪問数)が多かった順でランキング。公式スケジュールで発表したのは全66ブランド。その中で上位10位にランクインしたブランドはこれだ!

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スナップ記事の楽しみ方 エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年7月1日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

スナップ記事の楽しみ方

 パリから戻ってまいりました(笑)!羽田に着いて飛び乗ったタクシーから、今このお手紙を書いています。

 機内はWi-fiが不安定なので「WWD JAPAN.com」がなかなか閲覧できず、いつも飛行機から降りて最初にするのは、サイトチェックになりました。メンズコレ終盤戦は、いわゆるスナップ、各都市のショー会場にやってきたおしゃれセレブやインフルエンサー、バイヤー&メディアのスタイルをパパラッチした記事のアップが続きます。1カ月ほど前、「WWDジャパン」の公式インスタグラムアカウントから「メンズコレ、何が知りたい?」という質問をストーリーズ投稿したところ、最もリクエストが多かったのが、このスナップ。私たちのサイトにおいても、常にPV絶好調の鉄板コンテンツです。

 皆さんは、このスナップコンテンツ、どう楽しんでいらっしゃいますか?「オシャレだなぁ」と憧れるも良し、「スゲェな」と半笑いするも良し、「あの人はいないかな?」と探すも良しと楽しみ方はイロイロですが、僕は「今、ゲストは何を着ているんだろう?」そして、「パパラッチは誰を選んだんだろう?」という視点でチェックしています。

 米「WWD」のパパラッチ担当は、この仕事を10年近く続けるベテランです。そして我が「WWDジャパン」は、後輩記者がファッション・ウイークを体感しながら次のムードを予測してカメラマンに指示出ししています。例えば今シーズン、彼は「『サカイ(SACAI)』の会場では、『ナイキ(NIKE)』とのコラボスニーカーを履いている人だけ撮影してください」と指示を出しました。本当に大勢がこのスニーカーを履いており、数多あるスニーカーの中でも頭一つ抜きん出た存在になったことを感じたからです。スナップは、闇雲じゃないんです。そこには編集・記者、カメラマンの視点が入っています。

 ゆえに、「皆が何を着て」「カメラマンが何を撮って」「それをメディアは、どういう順番で掲載しているのか?」は、すごく貴重な情報源。次のトレンドだって見えてきます。

 スナップコンテンツを彩ってきたブランドはこの15年で「プラダ(PRADA)」「グッチ」(GUCCI)「シュプリーム(SUPREME)」「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH」、そして「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」と「ディオール(DIOR)」と、めまぐるしく変わっています。次は、やっぱり「セリーヌ(CELINE)」が来そうな気配です。スナップは、今勢いがある、これからもっと来るブランドを知る手掛かりです。さらにパパラッチの目線、編集者の思惑を想像しながら見ると、このコンテンツ、数時間は楽しめますよ(笑)。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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英国発のカカオブランド「ホテルショコラ」が表参道にカフェ併設の路面店をオープン

 11月1日に英国カカオブランド「ホテルショコラ(HOTEL CHOCOLAT)」が東京・表参道に路面店をオープンした。2003年にチョコレートのオンラインショップとしてスタートした「ホテルショコラ」は、現在英国に100店舗以上ものチョコレートスクールを展開する国民的カカオブランド。カリブ海セントルシア島に1745年から続くカカオ農園を所有し、世界中のセレブリティーが訪れるホテルとレストランを擁するホテルショコラグループが経営するユニークなブランドだ。そのブランド名には、“まるでホテルで過ごす時間のように、現実からエスケープする体験を提供したい”という思いが込められており、表参道店はブランドの世界観を体感できる場所になっている。新店舗の様子と共に、「ホテルショコラ」のこだわりをリポートする。

ブランド理念は独創性・本物志向・エシカル

 「ホテルショコラ」は、昨年日本に上陸を果たし、埼玉県越谷の「イオンレイクタウン」と千葉県の「イオンモール成田」に出店。第3号店となる表参道店は初の路面店となる。木目を生かしたナチュラルでシックなムードの店舗では、チョコレートの販売のほか、2階にカフェスペースを設け、英国で人気の10種類以上のカカオドリンクや、48時間以上抽出したカカオニブとジャージーミルクを合わせたアイスクリームなどを提供。カカオから蒸留したジンを使ったカクテルやカカオビールなどのアルコールメニューもラインアップし、初めてのカカオ体験ができる空間となっている。

 オープンに合わせ、世界中で生産される量の10%しか取れない希少なファインカカオのみで作る12種のシングルビーンチョコレート“レア&ヴィンテージコレクション”を発売した。えりすぐりの7カ国のカカオ生産国で取れた12種類のカカオを使い、それぞれのカカオの個性を最大限に引き出すよう配合。ワインを産地で選ぶようにカカオの風味の違いを堪能できる、ブランドの理念である“独創性・本物志向”を象徴するコレクションだ。

 また、“エシカルであること”にこだわりを持つ同ブランドでは、取れたばかりの重いカカオポッドをそのままの状態で買い取ったり、カカオの品質に大きく関わる発酵、乾燥の工程を農園の人々に代わって請け負ったりするなど、さまざまな形で技術的・経済的支援を行っている。各産地のカカオ農園とのサステナブルな関係を築くことで、良質で安心できるチョコレートを提供している。「ホテルショコラ」では、チョコレートを贈る習慣が定着しているバレンタインのほか、クリスマスや母の日といった9つのシーズナルイベントに合わせて新製品を発売予定。ますます盛り上がりを見せる日本のチョコレート市場にどのように斬り込んでいくのか今後の展開に注目だ。

【店舗情報】
ホテルショコラ 表参道店
住所:東京都渋谷区神宮前 5-16-13
営業時間:11:00~20:00
座席数:17席
定休日:年末年始

■カフェメニュー例:
・ICE CREAM OF THE GODS 450円(税込)

■アルコールメニュー例:
・CACAO GIN BAR 各800円(税込)
・カカオブロンディ、カカオビール 各650円(税込)

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2020年春夏トレンド分析Vol.6 輝きをシンプルにまとう

 スパンコールやメタリックなど、光沢感のあるドレスやスーツも2020年春夏トレンドのキールックだ。「リック・オウエンス(RICK OWENS)」や「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」「ヴァレンティノ(VALENTINO)」などは、シルエットと輝きに焦点を当て、単色でシンプルにその華やかさを強調した。

 「エコーズ ラッタ(ECKHAUS LATTA)」のデザイナーデュオ、マイク・エコーズ(Mike Eckhaus)とゾーイ・ラッタ(Zoe Latta)は、フルレングスとミニ丈という異なるアプローチによる2種類のドレスを同色で製作し、カジュアルでミニマリスティックな雰囲気を最大限に見せた。

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