2020年春夏トレンド分析Vol.6 輝きをシンプルにまとう

 スパンコールやメタリックなど、光沢感のあるドレスやスーツも2020年春夏トレンドのキールックだ。「リック・オウエンス(RICK OWENS)」や「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」「ヴァレンティノ(VALENTINO)」などは、シルエットと輝きに焦点を当て、単色でシンプルにその華やかさを強調した。

 「エコーズ ラッタ(ECKHAUS LATTA)」のデザイナーデュオ、マイク・エコーズ(Mike Eckhaus)とゾーイ・ラッタ(Zoe Latta)は、フルレングスとミニ丈という異なるアプローチによる2種類のドレスを同色で製作し、カジュアルでミニマリスティックな雰囲気を最大限に見せた。

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「奇跡的な運の良さ」をモノにした靴下ブランド「ソックスソックス」

 靴下ブランド「ソックスソックス(S○XSOCKS)」は、2018年に設立された靴下ブランドだ。コンセプトは、“少しイキってるアメリカの太った小学生みたいな感じのソックスブランド”。ブランドのオンラインストアを見ると、商品名には商品説明欄には、ギャルのような言葉遣いや絵文字を多用されている。見れば見るほど謎が深まるが、アダルトコンテンツ流通大手のソフト・オン・デマンド(以下、SOD)が初となるアパレルコラボレーションの相手に抜てきするなど、注目度は高まっているようだ。同ブランドを手掛ける明石泰士氏と竹中重康氏に、ブランドの創業から今後までを聞いた。

WWD:「ソックスソックス」とはどのようなブランド?

明石泰士(以下、明石):“少しイキってるアメリカの太った小学生みたいな感じのソックスブランド”をコンセプトに、現在は靴下のほか、アパレルも販売しています。メンバーは僕と竹中の2人で、普段は僕がとあるセレクトショップのバイヤーやスタイリストをしていて、竹中はブランドのデザイナーをしています。

WWD:ブランド設立の経緯は?

明石:最初は僕1人で始めました。小売りとしてアパレル業界に10年間ほど関わる中で、業界の常識と世間一般の感覚のギャップがすごく大きくなっているような気がしていて。片手間でもいいから、業界の常識を覆すような、自分で自由にコントロールできるふざけたブランドを始めたら面白いかもな、と考えたのがきっかけですね。お金も無いので広告費とかは出せないけど、誰かの目に留まればいいと思って徹底的にふざけてきました。結果的にソフト・オン・デマンドに初のアパレルブランドとのコラボ相手として選んでいただいたり、「アンフォロー ジャーナル スタンダード(UNFOLLOW JOURNAL STANDARD)」のような店舗にポップアップストアを出させていただいたりといったことがしばしばあります。ブランドとしてはまだまだですが、狙っているところは大きくは間違っていないのかな、と考えています。

WWD:2人はどのように出会った?

明石:2人とも文化服装学院出身で、顔見知りでした。一緒に仕事をすることになったきっかけは、ラフォーレ原宿にポップアップストアを出店した時ですね。もともとは竹中が出店することが決まっていて、僕にも出店の話を持ち掛けてくれました。

竹中重康(以下、竹中):僕は「キャトルズ(QUATORZE)」というブランドのデザイナーをしていて、たまたまラフォーレに出店しないか、という話をいただいていました。ただ、ブランドとしてはまだまだ未熟で、値段もそう安くはなかったので、単体で出店してもあまり売れるとは思えなかった。そんな時に明石がちょっと変わったブランドをやっていると知っていたので、一緒に出ないか、と誘いました。

明石:当時は「ソックスソックス」も靴下1型しか商品がなかったので、コラボという体でウエアなども一緒に作りました。最初は一緒に出店して、それで関係が終わってしまう予定だったのですが、「ソックスソックス」のふざけるという方針に乗ってくれたノリの良さなどから一緒にブランドを手掛けていく形になりましたね。

WWD:商品名や商品説明欄の文章が独特だが、どういった気持ちで書いている?

明石:正直に言うと、めちゃくちゃ真面目に書いています。お客さんの反応を見ながら、こういう絵文字は使ってもいいかな、とかここに句読点を打った方が分かりやすいかな、とかを考えています。よく「普段の連絡でもこんな感じなの?」と聞かれますが、いたって普通です(笑)。

WWD:“少しイキってるアメリカの太った小学生みたいな感じのソックスブランド”というコンセプトの由来は?

明石:アメリカの太った小学生ってやんちゃで、わんぱくで、生意気そうだけど、どこか憎めないところがあると思っているんですよね。ブランドとしても同じように、商品をちゃんと説明していないし、やっていることは意味が分からないけど、何か可愛いから買ってしまうようなブランドにしたいと考えています。

WWD:ブランドのターゲット層は?

明石:結果的には20代前半の、ストリートブランドが好きな女性に売れていますが、ブランド側からターゲットを絞り込まないようにしています。僕たちとしては、着ているモノを見て、そのTシャツ何?と聞かれて異性と話すきっかけになったり、何かしら人の意識に留まったりするようなデザインを意識していますね。今はSNSで映えれば拡散されやすいなど、モノの売れ方も変わっているので、今の時代とある程度マッチはしているのかな、と思います。

WWD:CEOの淳子さんとは?

明石:簡単に言うとブランドのアイコンですが、詳細は非公表とさせてください。

WWD:ブランドとして成長したきっかけなどはある?

明石:先ほども話した、ラフォーレ原宿でのポップアップですね。「ソックスソックス」でもコラボしている、ピーター・ドロウ(Peter Draw)というシンガポール出身のアーティストに出会えたことが大きかったです。シンガポールの「ユニクロ(UNIQLO)」などでもイラストを提供している彼が、ポップアップ期間中にたまたまラフォーレの前を通りかかって、誰かも分からずに声をかけたんです。

竹中:当時は客寄せのために、通りかかった外国人に片っ端から声をかけていて、そのうちの1人がたまたまピーターでした。

明石:で、話しかけたら「俺は別の店に用事がある」と言われたんですが、「まずはウチの商品を見てくれ」と身振り手振りで半ば強引に勧誘しました。そうしたら、「お前ら、面白いな。今度ライセンスビジネスの展示会に出るから、一緒に出ないか」と誘われたんですよ。よく分からずに行ったら、「IFFマジック」という、業界の中でも最大級のイベント内での展示で、しかも値段的にも一番高い出展料のブースだった。アリババ・グループのトップ陣など、大御所がいっぱい来て本当にビビりました。SODの方にも「IFFマジック」で出会い、コラボに至りました。今話していても、本当に奇跡的な出会いの連続でしたね。

WWD:ブランドの売り上げとしては伸びている?

明石:伸びてはいますが、爆発的に伸びているわけではないですよ。企画やポップアップを出す場所などにも売り上げは左右されます。ブランドとしてはまだまだ小規模なので、とりあえず認知を広められるよう、採算は度外視でさまざまな場所にポップアップを出しています。

竹中:認知を広めるという意味では、インスタやティックトックなど、各SNSで若いインフルエンサーの方とつながり、教えてもらいながらどのように投稿に影響力を持たせるのか、研究していますね。僕はティックトック担当なんですけど、分からないことだらけで苦労することも多いです(笑)。

明石:僕らみたいなスモールブランドは、努力を惜しんだら負けてしまう。お金に執着してしまっても良くないかなと思っています。2人とも本業で給料をもらっていることもあり、現状は「ソックスソックス」の売り上げ金はずっと貯めているんです。利益は雑誌やカタログの制作に使うこともあります。寝れない時もありますが、純粋に楽しいですね。大喜利みたいなモノです(笑)。

WWD:SODやピーター・ドロウをはじめ、狩野英孝などともコラボした。今後、コラボしてみたいブランドはある?

明石:ファッションブランドに限らず、いろいろなところとコラボはしたいですね。直近では、11月に秋葉原のメイドカフェとコラボする予定です。

竹中:タピオカ店とかともコラボできたら面白いな、と思っています。

明石:ファッションブランドだと、「FR2」とコラボしてみたいんですよね。僕らみたいな存在からするとおこがましいかもしれませんが……。全然意識はしていなかったんですけど、周りから「FR2」っぽいよね、と「ソックスソックス」について言われることがあって、いろいろと調べていたら運営会社せーのの石川(涼・代表)さんにハマってしまいました。彼の考えが僕らが思っていることのさらに先を言っていて、純粋に尊敬しています。もはやファンと言ってもいいくらい(笑)。アイテムとしてのコラボはもちろんのこと、何か一緒に取り組めたらいいなと思っています。

WWD:今後の目標は?

明石:時間はかかると思いますが、ゆくゆくは「ソックスソックス」というブランドをエンタメにするのが理想です。服はあくまで1つのアウトプット。「ふざけること」を軸にして、さまざまな人・コト・モノを巻き込んでいきたいです。

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「パリコレ学」に2期連続で出演した門田怜が自力でパリコレに挑戦 その理由とこれからを聞く

 モデルの大舞台、パリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)に今季、人知れず自力で挑戦した16歳の日本人モデルがいた。毎日放送制作・TBS系列のTV番組「林先生の初耳学」内のコーナー「アンミカ先生が教えるパリコレ学(以下、パリコレ学)」に出演した門田怜だ。「パリコレ学」はパリコレに挑戦するというたった1枚の切符を懸けて、学院生と呼ばれるモデルの卵たちが元パリコレモデルのアンミカの指導の下、切磋琢磨する模様を約半年にわたって追う人気企画で、2018年からスタートした同コーナーに門田は1期生として参加していた。

 1期では惜しくもパリコレへの切符は逃したものの、番組に手紙を書いて思いを伝え、19年にスタートした同企画のシーズン2である「パリコレ学2」に再び参加を果たした。努力家で誰よりもパリコレへの執念を見せた彼女だが、10月27日の放送回で選ばれたのは、彼女ではなかった。そこで門田がとった行動とは、番組としてではなく単独・自費でパリコレに挑戦するという決断だ。番組に選ばれた平田かのんがパリコレで活躍した模様は11月3日の放送で視聴者に届けられたが、その裏で努力を重ねた門田は、世界的なモデルの基準で言えば身長が比較的低いというハンデがありながら現地のモデル事務所の面接をいくつか受けることに成功し、非公式スケジュールではあるがドイツの老舗ジュエリーブランド「グロッセ(GROSSE)」のショーに、アジア人枠は1人しかない中で出演を果たした。そんな彼女にパリコレに単独で挑戦した理由やこれからを聞いた。

WWD:パリコレ学で選ばれなくても単独でパリコレに行くことは最初から決めていた?

門田怜(以下、門田):もちろんパリコレ学で行くぞという気持ちはありました。でも次のシーズンからパリコレでは18歳以下のモデルが起用されにくくなるので、私が18歳になるのを待ってからではその期間を無駄にしてしまうと思い、どんな形になっても行ったほうがいいと思って行きました。

WWD:実際行ってみて、パリコレの厳しさを感じたか?

門田:はい、まず身長の面でなかなか現地の事務所に会わせてもらえませんでした。事務所に入れないとショーにも行けないので……。私の身長は174cmですが、一応175〜176cmがファッションショーに出るためにマストな身長の目安なんだそうです。もちろん身長だけが全てではないので、面接に行くことができた事務所もいくつかありましたが、世界を舞台にすると身長だけで相手にされなかったりするので、それが悔しかったです。

WWD:世界の壁は厳しいですね。他に難しいと感じたことは?

門田:パリに行くのはすごくお金がかかることなので、ショーにたくさん出てその費用を自分で稼がないといけません。周りに迷惑をかけないように、お金の面で自立することが難しいと思いました。

WWD:渡航費や滞在費は自費でまかなった?家族は同行したのですか?

門田:はい、自費というよりは母のお金になってしまうのですが、でもこれは母に借りた形で、今後ちゃんと返していこうと思っています。滞在は2週間ほどで、母も一緒に行きました。一人で行こうと思ったのですが、未成年だとやはりパリは安全面などで厳しいところが多くて。

WWD:お母さんは門田さんをよくサポートしてくれているのですね。

門田:はい、母も元モデルで東コレなどにも出ていたので、そのへんの厳しさをよく分かっているといます。厳しい状況の中で甘い言葉をかけてくれるというより、「頑張りなさい」と言われたりします。少し突き放したようにも聞こえたりするのですが、励みになっています。

WWD:モデルを志したのは、お母さんの影響?お母さんからはモデルになることを期待されていたのですか?

門田:いえ、子どもの頃からモデルになりたいとは思っていたのですが、幼いころは体ががっしりしていてモデルという感じではなかったので、母に最近「将来モデルになりたいと言ったら全力で止めようと思っていた」と言われてショックでした(笑)。モデルを志したのは母の影響というより、使命感というか、惹かれるものがあったからです。

WWD:実際にパリコレのオーディションに行ってみてどうだでした?

門田:モデルは本当にみんなコレクションに出たくて、その日を勝負と思って来ているので、そのエネルギーや、スタッフさんのエネルギーを感じて、現場の真剣さが伝わってきました。冷たい態度に悲しくなるときもありましたが、それは仕事に対しての真剣さからと理解しました。オーディション自体は何十秒で終わってしまうのですが、歩いているときにいかに集中できるかが重要なんだなと後になって思いました。モデルはみんなそれぞれエネルギーを持っているので、その強さ、濃さを伝えられないといけないなと思いました。

WWD:「グロッセ」のショーに出演しましたが、オーディションで受かるために意識したことやアピールしたことがあれば教えてください。

門田:きちんと挨拶をして、意志をしっかり持つことです。「グロッセ」のスタッフの方にも、目や私自身から強い意志が伝わってきたと言われました。

WWD:合格したと聞いたときはどんな気持ちでしたか?

門田:ショーに出るのが夢だったので本当にうれしくて、次の日くらいまで信じられないという気持ちでした。

WWD:ショー自体に出るのは初めて?

門田:その前に2019-20年秋冬の東コレで「サポート サーフェス(SUPPORT SURFACE)」と「アクオド バイ チャヌ(ACUOD BY CHANU)」のショーに出演させていただきました。でもパリは世界一のファッションの街でずっと憧れていた場所なので、気持ち的にはとても大きかったです。

WWD:札幌出身とのことですが、今後拠点は東京に?

門田:今札幌の高校に通っているのですが、せっか東京の事務所(イマージュ)に所属できたので、正直なところ札幌にいてはもったいないと思っています。家族とも相談して東京の高校に編入することなども考えています。

WWD:高校卒業を待ってからではなく、今東京に出たい理由は?

門田:常に自分のベストを尽くしたいので、高校を卒業するまでの2年間を無駄にしていたら、せっかく将来の夢であるモデルの道が開けてきたのに、将来の夢を見つける高校で夢をつぶしたら意味ないなと思っています。今のうちから自分の夢を追って頑張りたいと思います。

WWD:こうなりたいと思うモデルは?

門田:冨永愛さんです。冨永さんの姿を見ているとやっぱり胸に迫るものがあって、私もそのようになりたいと思っています。番組で冨永さんから「その年齢でその表現力があるというのは才能だと思う」と言っていただけたことは、すごくうれしかったです。

WWD:好きなブランドや好きなスタイルがあれば教えてください。

門田:ブランドは「シャネル(CHANEL)」や「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」「サンローラン(SAINTLAURENT)」などが憧れで、将来こうしたブランドのランウエイを歩いたり、着させていただけるようなモデルになりたいです。普段は、黒や白でまとめたスタイルが好きで、ストリート系も着ます。

WWD:今後、モデルとしての目標は?

門田:将来は撮影やショーで世界を駆け巡るようなモデルになりたいです。そうなるためにはまず日本でキャリアを積んで、日本で1番と言われるくらいのモデルにならないといけないと思っています。

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意志の強さでパリコレの切符を勝ち取った平田かのん 「パリコレ学」の舞台裏と将来を語る

 毎日放送制作・TBS系列のTV番組「林先生の初耳学」内のコーナー「アンミカ先生が教えるパリコレ学(以下、パリコレ学)」は、モデルの大舞台、パリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)に挑戦するというたった1枚の切符を懸けて、学院生と呼ばれるモデルの卵たちが元パリコレモデルのアンミカの指導の下、切磋琢磨する模様を追った人気企画だ。1期目の反響を受けてスタートした2期「パリコレ学2」で、約半年間にわたるレッスンを経て8人の中から選ばれ、今季パリコレに挑戦したのは平田かのんだった。16歳で、あどけなさを残しながらも凛とした雰囲気と強い意志を持つ彼女は、番組内でも高評価を得た。パリコレでも、初挑戦ながら公式スケジュールでは「レオナール(LEONARD)」と「アフターホームワーク(AFTERHOMEWORK)」、非公式スケジュールでは「ポール&ジョー(PAUL & JOE)」「リウ リジ(LIU LISI)」の4ブランドのショーを歩いた。「レオナール」のショーを歩いた直後の彼女に直撃インタビューし、パリコレ学でパリへの切符を勝ち取った感想やショーに出る前の心構え、パリコレモデルになるために必要だと感じたことなどを聞いた。

WWD:まず番組でパリコレへの切符を勝ち取った感想を教えてください。

平田かのん(以下、平田):もともとこの番組に出たときに、絶対最後の一人に残ると決めていました。でも本当に残るとは思っていなかったからびっくりしたし、うれしかったけれど、自分はこうであるべきだということが分かってほっとしました。

WWD:まだ16歳とのことですが、すごく大人びていますよね。その自信はどこから来るのですか?

平田:本当ですか!でも今回は大人の人ばかりとパリに来たから、自分では子どもだなと思う場面が結構ありました。カフェに入ってもコーヒーが飲めなかったりとか(笑)。それに、自分にすごく自信があるというわけではないんです。ただ、一番輝いて見える人は堂々としている人だと思うので、少しでも自分が輝けるように自分自身を強く持つことは意識しています。

WWD:パリコレ学に出演しているときの周りの反応はどうでしたか?

平田:学校でもみんな応援してくれていて、中には感想を言ってくれる友だちもいました。特にレスリー・キー(Leslie Kee)さんの回(レスリー・キーの撮影による台湾版「ヴォーグ(VOGUE)」の掲載を懸けて選考が行われた回では、1位を獲得して見開きページを飾った)の反響がすごくて、クラスで雑誌を買おうって盛り上がりました。

WWD:パリコレでは非公式スケジュールのブランドを含めオーディションはどのくらい受けたのですか。

平田:今のところ10は受けたと思います。

WWD:ここまでで何が一番大変でしたか。

平田:やっぱり自分の言語能力がまだまだだと痛感しました。それと、一日にいくつか受けたオーディションに全部受からないといった停滞期もありました。そのときはどうしたらいいんだろうと少し悩みました。悔しかったし、テレビの撮影もあるから撮れ高なかったらどうしようと不安になりました(笑)。でも冨永愛さんも言っていたように一喜一憂するのではなく、ブランドに合う合わないはあるから切り替えないといけないなと思いました。だから気持ちを切り替えてまっさらな気持ちで挑むように心掛けていました。

WWD:その中で公式スケジュールでは「レオナール」と「アフターホームワーク」、非公式では「リウ リジ」「ポール&ジョー」に選ばれた。受かった理由はなんだと思いますか。

平田:「レオナール」のディレクターには、「幼さもあるけど、同時に気品や強さにも溢れていて、服も上手に見せることができている」と言われました。「レオナール」とはそういった雰囲気やフィーリングが合ったんじゃないかなと思います。

WWD:実際にショーの舞台裏を体験してみて、どうでしたか。

平田:バックステージはにぎやかだったのですが、「レオナール」はキャリアのあるスタッフの方が多かったからか、余裕のあるにぎやかさという感じで、音楽がかかったら軽く踊り始める人もいました。私は精神統一していたので参加しなかったのですが(笑)。

WWD:精神統一!それがランウエイをうまく歩くコツなのでしょうか?

平田:そうですね、今回に限ったことではないのですが、どんな本番前でも最後は自分の中で気持ちを整えてから出ることはルーティーンになっています。一度頭の中で自分がどう歩くかをしっかり考えて、後は何も考えない。自分がすることやどう見せるかといったことは考えるのですが、最終的に自分の体に任せるのが一番だと思っています。最後はある意味無になって、ランウエイを歩きます。

WWD:パリコレモデルになるために必要だと思うことは何ですか?

平田:自分が何をすべきかをしっかり考えて、なるべく早く判断して、行動に移すことが一番大切だと思います。

WWD:パリコレのランウエイを歩き、一つの夢はかなえたと思いますが、今後の目標は?

平田:そうですね、でもまだまだこれからがスタートです。パリでも数本ショーに出ただけだったらお金もままにならないし、技術を上げて、たくさんショーに出たい。ビッグメゾンのショーにも出たいし、ミラノやニューヨーク、ロンドンの4大都市のコレクションのショーは回れるくらい、世界的に活躍したいです。

「ポール&ジョー」2020年春夏コレクションのランウエイを歩く平田かのん

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読者注目の2020年春夏ベスト10ブランド ニューヨーク編

 2020年春夏ニューヨーク・コレクションが9月11日に閉幕した。「WWD JAPAN.com」読者はどのブランドに興味を持ったのか?公式スケジュールブランドをルック掲載から24時間以内のセッション数(訪問数)が多かった順でランキング。公式スケジュールで発表したのは全74ブランド。その中で上位10位にランクインしたブランドはこれだ!

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2020年春夏トレンド分析Vol.5 肩の力が抜けたエレガンス

 カジュアルからエレガントなスタイルへと回帰した2020年春夏コレクションでは、肩の力が抜けたリラックスムードのアイテムやセットアップが多数登場した。装飾の代わりにウエストタッキングやアシンメトリー、ボーダーといった、繊細なカッティングやディテールを駆使したアイテムが多かった。

 今季もクラフツマンシップに焦点を当てた「ロエベ(LOEWE)」は、機能的なセーターやスカートにロマンチックなニュアンスを加えた。「3.1 フィリップ リム(3.1 PHILLIP LIM)」や「ロクサンダ(ROKSANDA)」は、ボタンやジッパーを極力少なくしたシンプルなジャンプスーツを提案した。モノトーンやアースカラーを基調に、シンプルかつシックなスタイルが目立った。

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“全てのお客さまがVIP” 星あやの「イエロ」のフィッティングサロンがオープン

 モデルの星あやによるシューズブランド「イエロ(YELLO)」は10月18日、渋谷・神宮前に初の実店舗となるイエロ フィッティングサロン(YELLO FITTING SALON)を開いた。場所は原宿キャットストリートの小道を抜けた先で、明治神宮前駅から徒歩約3分の建物の2階。店内にはクリーンな白いタイルの床、美容室のように並んだ鏡台と、穏やかな水の音がするウォーターカーテンが設置されている。

 こだわりは、「全てのお客さまがVIP」をコンセプトにする徹底したおもてなし接客だ。個性豊かな販売スタッフ“イエロドールズ”によるマンツーマンの接客をはじめ、ドリンクサービス、フリーWiFiも用意。ショールーミング型店舗として、試着して、決済した後は、都内の倉庫から商品を自宅へ発送するため、購入客は手ぶらで帰ることができる。送料はブランドが負担。決済方法は現金やクレジットカードに加え、交通系ICカード、アプリ決済などのキャッシュレスに対応している。

 ブランドのディレクションから経営までを担う星あやに、開店直後のサロンについて話を聞いた。

WWD:なぜ神宮前に開いたのか?

星あや:この場所は原宿駅と表参道駅の中間に当たり、ハイファッションもストリートファッションの店舗も点在するエリアです。「イエロ」はストリートにもハイブランドにも合わせられ、真ん中のポジショニングにあるブランドでもあるのでぴったりだと思いました。

WWD:店舗名をショップではなくフィッティングサロンにした理由は?

星あや:私たちは靴をたくさん売る場所ということよりも、靴を通してメッセージをしっかり体現する場所にしたいと考えたからです。「お客さまがVIP」ということをコンセプトにホスピタリティーを大切にしながら、イエロドールズたちが一対一で接客し、お出迎えからお見送りまでします。これまでのポップアップストアでの出店では、音楽にもこだわり、BGMイメージを大切にしていたのですが、フィッティングサロンでは水の音でリラックスできる真逆のアプローチでリラックスして優雅にお買い物を楽しんでいたけるスペースを目指しました。お客さまにはゆっくり試着をしていただいて、気に入ったデザイン、ぴったりのサイズを納得して購入していただきたいです。

“清潔感を保つことこそが最高のラグジュアリー”

WWD:ドリンクサービスにもこだわった。

星あや:現在はシチリアンレモネード、季節のフレーバーウォーター、グリーンティー、コーヒーなどから選ぶことができます。レモネードは私の大好物で、暑い日はコールドで、寒くなってきたらホットで提供したいと考えています。ハイブランドでは当たり前ですが、この価格帯(1万〜2万円台)のブランドでは今までになかったサービスだと思います。

WWD:内装について教えてほしい。

星あや:高級感のある空間を考えたときにクリーンであることだと思いました。でも、クリーンというのは簡単なようで難しい。タイルは汚れやすくデリケートですが、あえて時間とお金をかけてキレイにしていくこと、清潔感を保つことこそが最高のラグジュアリーだと考えました。鏡やガラスの什器もオリジナルで。ウォーターカーテンの水の音とハイヒールの音はエレガントで癒されますし、普遍的な美しさがあると思います。

WWD:オンラインと異なるサービスは何か?

星あや:お客さまに荷物を持ってお帰りいただく事はVIP対応ではないと考え、こちらで送料を負担して購入いただいた商品をこちらの送料負担で翌日配送します。(商品により)決済でもお客さまを煩わせないよう、現金やクレジットカードだけでなく、全国の交通系ICカード、アプリ決済までご利用いただける最新の決済システムを取り入れています。また店舗用とは別に、お客さま用のWiFiも完備しています。

■YELLO FITTING SALON
営業時間:12:00~20:00
住所:東京都渋谷区神宮前6-8-5 AIビル2階

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個人的「かわいい」ヘアメイクをピックアップ 担当記者で2020年春夏コレクションヘアメイク座談会

 「WWDビューティ」10月24&31日号は、2020年春夏パリ・ミラノ・ロンドンヘア&メイク特集です。特徴だったのは、数シーズン続くナチュラルメイクがさらに個性を際立たせるナチュラルに進化しており、ミニマルなメイクアップが多く見られた点です。今回、この特集を担当した記者と、ニューヨークのコレクション取材を担当した記者に、NYと東京を含めたコレクションのヘアメイクを語ってもらいました。記者独自の目線で“かわいい”と思ったブランドをお届けします。(ちなみに、2020年春夏NYコレクションビューティトレンド号は、10月10日号に掲載しています)。

鼎談参加者
北坂映梨:「WWDビューティ」記者。NYコレクション取材は5回目
浅野ひかる:「WWDビューティ」記者。今回の特集を担当
福崎明子:「WWD JAPAN.com」デジタルデスク。司会進行

福崎明子(以下、福崎):まずは北坂さん、NYコレクションも含めどのブランドのヘアメイクが一番印象的だった?

北坂映梨(以下、北坂):好きだったのは、数々ありますが、やっぱり10月10号の表紙にした「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」だと思います。これまでNYに5回行っていて、何回“ダイバーシティー”って書いたんだろうと思うぐらい書いてきて……。今回、その勢いが落ちることなく増している感じでした。それが表現されていたのが、61人全員が違うヘアメイクをしていた「マーク ジェイコブス」です。広い会場の奥から61人がわーって歩いてきた時は、えっ、何が起きたの?って思ったんですけど、本当に本当に感動でした。

福崎:画像だけでもすごい迫力だったけど、実際見てどうだった?

北坂:「WWDジャパン」のコレクション号を振り返っても、ファッションの世界では多様性、ダイバーシティーの表現は多くで見られていたんだけど、ビューティではどう表現するのか?疑問だったんです。これまで個性を出すために、一つのブランドの中で、この3人のモデルはこのヘアメイク、4人はこのヘアメイクでというのはありましたが、でも実際たとえ同じ人種のモデルだったとしても、髪質も長さも肌色も体型も一人一人違うわけで。同じメイクでは似合わないと思うんですが、全員違うのは手間も掛かるだろうし、見たことなかったんです。だから「マーク ジェイコブス」の全員違うヘアメイクは圧巻でした。

浅野ひかる(以下、浅野):これって何人ぐらいのヘアメイクさんが入っているんですか?

北坂:たぶん、ヘア、メイクそれぞれ60人ぐらいいたと思います。夜の6時、7時からのショーでモデルの方の入り時間は早朝4時ぐらいだったと聞きました。

浅野:早い!

福崎:それはすごいね!その中でも、このメイクが好きとか、個性があったな、とかある?

北坂:個人的にはカラフルなメイクが好きだから、ジジ・ハディッド(Gigi Hadid)とか、ほか髪の毛が半分茶髪、半分金髪の子や、この坊主の子もかわいい。

浅野:確かに印象的。坊主の子はヨーロッパのコレクションのショーでも出てましたよね。

福崎:こういう青い目元のラインは、日本人でも真似できそうかな?全部はできなくても目尻に少しだけ入れるとか。

浅野:今、ここまではっきりとした色を使うって、日本でも違和感ないのかもしれないと思っています。以前、あるブランドの人が、「若い人はみんなすごい冒険していて、色を使うのに抵抗がないと思います。コンサバって言葉は死語かも」っておっしゃっていて。あえてこれぐらい大胆なメイクは日本でもいけるかもですね。

北坂:最近、日本でもカラフルなメイクが多くなってきたと思います。リニューアルした「ルナソル(LUNASOL)」やKANAKO新ディレクターが手掛ける「アディクション(ADDICTION)」は、鮮やかな色が印象的で、リアルなブランドでも普通に出てきていますよね。

浅野:これまで日本の百貨店の化粧品フロアに、あれだけの色が並んでいるってことがあまりなかったから、楽しくなりますね。

福崎:確かに。新しいトレンドが出てくると売り上げにもつながりそう。それでほかNYではどれが好き?

北坂:「アナスイ(ANNA SUI)」が超かわいかった。

浅野:私も思った!

北坂:羽が出てきてて、一つは蛍光っぽいピンクをぼかした上に羽を白いラインで書いて、目の下に星のグリッターをつけて。あと黄色いマットの真ん中にすっごいラメのシルバーのラインを走らせたりしていて。あと、目の下だけに星を付けたり。髪の毛も、これまで「アナスイ」の洋服って黒、紫みたいなイメージだったのが、淡いピンクのネグリジェみたいなアイテムが登場していて。だから髪の毛も寝起きのグチャっとした感じ、寝起きの少女のようなメイクでめちゃくちゃかわいかった。

福崎:全部はできなくても、小さな星とかつけるのマネできそうだね。

浅野:東京コレクションで入っていた「M・A・C」が目頭にハートつけてて。すっごくかわいかった(「ノントーキョー(NON TOKYO)」)。

北坂:あと、「オスカー デ ラ レンタ(OSCAR DE LA RENTA)」もピンクと緑でかわいかった。これもモデルによって違うんですよ。超ナチュラルな子もいれば、ちゃんとメイクしてる子もいて。

浅野:これまでの個性を生かすっていうのは、ただナチュラル、ある意味何もしないっていうのだったけど、今はメイクで個性を出すって感じですよね。

北坂:そうかもしれないですね。ヘアも結んでいる子もいれば、そのままの子もいたし。

福崎:浅野さんは、特集を担当したんだよね。ロンドン、ミラノ、パリをまとめてみてどうだった?好きなメイクは?

浅野:「ミュウミュウ(MIUMIU)」がすごくかわいかった。ちょっとエッジの効いたかわいさがあると思うけど、今季はさらに個性的というか。スマッジした汚したアイラインとか、髪型も言い方は変かもですが“スケバン”みたいというか。前にボリュームがある雰囲気が好き。あとモード好きだから、「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」「サカイ(SACAI)」「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」が好きでしたね。

福崎:目元フォーカスって続いているよね。

北坂:目元フォーカスはずっと続いてますが、それ以前は口元だったし、目元か口元かどっちかにフォーカスされることが多い印象ですよね。今まではランウエイはすごい超遠い存在で、舞台メイクに近くてリアルに落とし込めなかったけど、最近はインスタで見れるようになってるからか、こういうのでインスピレーション源にする若い子も増えていると思います。だからか、どこかにリアリティーがないといけないから、目を強くするなら、肌はそのままとか口元はナチュラルにとかになるのかもしれないですね。

福崎:しばらく目元が続いているから、そろそろ口元にフォーカスが戻ってくるかもかな。北坂さんはそのほか、どれが好き?

北坂:「シャネル(CHANEL)」ですね。

浅野:かわいかった!そのままマネできちゃうメイクだなって。

福崎:デザイナーが変わったこともあるのかな?

北坂:大御所のメイクアップアーティストのパット・マグラス(Pat McGrath)が好きだから「ヴァレンティノ(VALENTINO)」も派手だけどかわいかったです。

あとは、ヘアは太めのヘッドバンドをコレクション会場でもみんなつけてました。

福崎:ライターの宮田理江さんのコラムでも、カチューシャがはやるって書いてありましたね。

北坂:ヘアアクセサリーは大きなヘアピンやヘッドバンドとかがでていましたが、多様性だからか、髪の長さがどうだとか、ストレートがどうだとかはトレンドとしてなかったかもですね。

浅野:バズカット(「サンローラン(SAINT LAURENT)」)とかスキンヘッド(「ヨウジヤマモト」)の子もいたし。

福崎:自分ではどのヘアスタイルしたい?

北坂:超ピタっていうのかわいい(「エルメス(HERMES)」)。バックステージ入る度に思うのは、自分のメイクが濃いいなあってこと。もっと減らそう減らそうと思うんですよ(笑)。個人的にはこのショートボブのパッツン(「サカイ」)とした感じが好き。これ似合ったらかっこいいと思う。

浅野:サイドパーツのピチッとしたのは象徴的で結構多かったなあって思って。私は派手なものに目がいってしまうけど、これとか(「アンリアレイジ(ANREALAGE)」)、クルってなっててかわいいですよね。

福崎:なるほど。本当にヘアメイクもダイバーシティーだね。個性の発信に、自分なりのヘアメイクにチャレンジしてみてほしいですね。

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地域イベントで顧客とスタッフの体験格差を解消 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。

今日のニュース:P.6「小売店に“体験”が必要な理由」

読み解きポイント「お客様だけではなく、スタッフだって体験したい」

ニュースのポイント

 ファッション業界が直面している課題は、若者の可処分所得の低下、商品の同質化、人材不足など多岐にわたる。消費の傾向が「モノからコトへ」と言われて久しいが、小売り各社が今、目を向けていることはLTV(顧客生涯価値)の創造や人材確保といった長期的なビジョンだ。地方スタッフのやりがいを高める「フェス」を開催するベイクルーズや、自分たちが保有する施設でモノと絡めて体験を提供するアーバンリサーチなど、各社がさまざまな方法で課題と向き合っている。

Azuはこう読む!

 「もはやモノだけで勝負する方が斬新なのでは⁉︎」というくらい当たり前になった「コト消費」という言葉。ここ数年で活性化しているポップアップストアや店頭イベントの需要が、「体験ありきの購入」が求められていることを物語っています。

 本紙ではベイクルーズやアーバンリサーチのフェス、ナイキ(NIKE)と協業したビームスのキャンプ、ジュンの縁日をピックアップしていますが、私はベイクルーズの「各地のスタッフを巻き込む」という施策がとても素敵だと思いました。

 8〜10月にかけて名古屋、京都、仙台、福岡の4都市で「ベイクルーズフェス」を開催。音楽やファッションなど、開催地ごとにテーマが異なる点も面白いのですが、何より各都市で働く現地スタッフを中心に企画立案、というところに胸が熱くなりました……!

 こうしたイベントって大体東京で開催されるので、地方勤務のスタッフはなかなか参加できないのが現状だと思います。でも、消費者がイベントで得た体験を購入まで繋げ、LTVを上げるための細かなケアを継続するのは、他でもない店頭のスタッフです。事後報告で「イベントはこんな感じでした。それについて聞かれたらこう対応してください」と伝えるだけだと、消費者とスタッフの「体験格差」が出てしまうので、せっかく体験してもらった熱も冷めやすいのではと思っています。

 各地のスタッフを主要メンバーとした地域密着型のイベントなら「体験格差」がそこまで生じないので、熱しやすく冷めやすい「イベントでの体験」をうまく店頭につなげられるのではないでしょうか。そして何より「一体感が生まれた」とのコメントのように、社員のモチベーション向上にもつながるので内外ともにハッピーな施策だなぁと思いました。私もファッション業界のレペゼン川崎を目指しているので、地域密着型の消費を生み出す施策で地元に貢献したいです。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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フリーランス化が進むヘアサロン業界の新風となるか 完全個室型美容室モール「ザ サロンズ」

 美容師の離職率の高さや、年間の開業軒数に対する廃業軒数の多さなど、ヘアサロン業界を取り巻く環境にはたくさんのマイナス要素が転がっている。またアシスタントからスタイリストへと経験を重ね満を持して独立しても、技術力の高さや顧客の多さと経営者としての手腕とは一致せず、独立して間もなく廃業に追い込まれるというのも往々にしてある話だ。また近年働き方改革の流れや、独立のリスクを避けて、フリーランス美容師としてシェアサロンで働く人も増えている。今では、美容学校を卒業後すぐにシェアサロンで働くことを選択する人もいるほどだ。それでも「自分の城を持つことが夢」と語る美容師も多い。

 このような状況中で、シェアサロンともこれまでの独立とも異なる、“完全個室型美容室モール”という業態をとる「ザ サロンズ(THE SALONS)」が今年5月に東京・表参道にオープンした。ワンフロアに11部屋(各部屋15~16.5㎡)が設けられ、それぞれにサロンが出店する。美容師のオーナーから「ザ サロンズ」への支払いは月の利用料(26万5000円~)のみで、これには水道光熱費や300枚までのレンタルタオル代が含まれる。都内に店舗を持つ美容室オーナーによると、表参道という立地であれば毎月の家賃だけでも20万円ほどは必要だという。シェアサロンよりも自由度が高く、独立店舗よりも出店リスクの低い同サロンは、表参道店のオープンから約半年たった今、出店率は100%で全店舗が定着している。「ザ サロンズ」はヘアサロン業界における新風となるのか、清水秀仁代表取締役と窪島剣璽取締役に話を聞いた。

WWD:まず「ザ サロンズ」がとっているモール型サロンという業態について教えてください。

清水秀仁代表取締役(以下、清水):商業ビルのワンフロアを借り切りそれを個室に区切って、一つの個室につきシャンプー台1台とセット面2面を備えて提供しています。ワンフロアにはだいたい10店舗ほどヘアやエステ、ネイルなどのサロンが入っています。月額の利用料には、家賃と光熱費、300枚のレンタルタオル代も含まれているので、すぐに開店することが可能です。

WWD:これまでにない業態だと思いますが、考えたきっかけは。

清水:現在アメリカではこのビジネスモデルがヘアサロン業界を席巻しています。この業態でトップシェアを持つ「ソラ サロン(SOLA SALON)」は全米ですでに1000店舗を展開し、定着率がよく退店率は10%以下です。退店する場合も、自らが出店するといった前向きな理由がほとんどだそうです。日本の美容業界にも革命をもたらすべくこのアメリカのビジネスモデルの視察・研究を重ね、日本向けにブラッシュアップして展開を始めました。日本では5月に1号店の表参道店をオープンし、11室を設け10店舗が営業しています。部屋を区切っている壁は取り外すことも可能なので2室分を1サロンにして、セット面を3つ、シャンプー台を2台にしているサロンがあり全て埋まっています。

WWD:「ザ サロンズ」の特徴はどのような点ですか。

清水:シェアサロンでは、顧客が増えると席の確保の難しさに直面すると思います。さらに利用料に加え技術売り上げから1~3割をシェアサロンに収める形をとっていることが多く、売り上げの上限が見えてしまい、フリーランスの美容師で活動することが次第に難しくなると思います。そういった人のための次のステップとしてイメージしてもらいたいです。われわれは企業理念に“美容師ファースト”を掲げて、使用料以外は美容師もしくは店舗の収益になるというモデルにしています。最低限の賃料収入は得ていますが、売り上げ手数料など美容師からお金を取るモデルは考えていません。今後拡大していくにあたり、ECや広告などのビジネスモデルを構築し、美容師へフィードバックができ、持続可能なプラットフォームの構築を目指します。今後はアプリ開発などを行っていく予定です。

WWD:出店するメリットはどのような点ですか。

窪島剣璽取締役(以下、窪島):フリーランスの場合は個人事業主となるが、「ザ サロンズ」への出店は各自で営業許可を取って店舗登録を行い、1店舗として扱われるので、銀行や公庫に売上高などの決算を出すことができます。つまり店舗の売り上げとして計上することができるので、ゆくゆくは自分で出店しようとしたときに社会的な信用を得ることができます。フリーランスは決して悪いことではありませんが、将来的に自ら店舗をもちたいという思いがあるのであれば、ファイナンスの面も考慮する必要があります。たいてい出店する際には少なくとも1000万円ほどの資金が必要になってきます。大金を借り入れながら経営経験なく独立することが業界の当たり前になっていますが、このようなリスクを取りたくないと考える人も今では増えてきました。だからフリーランスで活動したり、独立をあきらめる人も多いと思います。それがこの業態では大きな借金をせずに出店できます。顧客がいるので自分でブランディングをしたい人や、独立するには資金面が間に合わない人、独立に向けて勉強したい人など前向きな気持ちで出店する人が多いです。

WWD:リスク少なく出店でき、さらに自分の店舗をつくるためのステップにもなりますね。

清水:今までは一か八かで出店をしてしまう人もいたと思います。この業態での出店を経験することで、“自分の店を持つ”という夢がより現実的になると思います。ここで力をつけて経営者としての能力があるのであればあらためて自分の店を持つという、養成所に近い役割を果たせると考えています。

WWD:今後の展開について教えてください。

窪島:12月に銀座店を出店します。銀座は地代が高く、なかなか個人で出店するには難しいエリアなので、すでに多くの出店の問い合わせをもらっています。また今後はフランチャイズ化をしながら店舗を増やして100店を目指しています。

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六本木ヒルズ「メトロハット」がレストランゾーンをリニューアル 手頃に専門店ならではの美味しさを

 10月29日、六本木ヒルズのハリウッドプラザ地下2階に位置する「メトロハット」がリニューアルオープンした。「ミシュラン東京」に掲載されたラーメン店のほか、焼鳥の名店など専門性の高い7店舗を集める。開業15周年を迎えた六本木ヒルズのリニューアルの意図について、森ビルの穐山壮志・営業本部 商業施設事業部 運営部 部長に聞いた。

 「今回のリニューアルは、全館で掲げる“ヒルズクオリティー”をなかえるための施策の一つ。10周年には5階のレストランゾーンを港区の方々が日常使いできるようにリニューアルし、15周年はここメトロハットの見直しとった」と穐山部長。駅からのアクセスもよいメトロハットは、六本木ヒルズの中にあってもトラフィックが多い場所。昼でも夜でもお手頃な価格で満足できる店舗にこだわったという。

 選び抜いた7店舗について共通しているのは、専門性の高さだ。新店舗では「銀座 篝(かがり)」「焼鳥 ここりこ庵」「鐡ちゃん」が入り、業態を変える形で「ぴんとこな」がリニューアルオープン。また、六本木ヒルズ内の別エリアに出店して人気を博していた「AFURI」「とんかつ豚組食堂」「霞町 蕎麦処 ますだ屋」もこちらに移転オープンし、新店との相乗効果を狙う。「例えばお寿司の『ぴんとこな』は、今までの回転寿司からカウンターに変更した。ネタの質もランクを上げてもらったが、それでいて手頃な価格帯をキープしている。焼鳥に関しても毎朝店内で鶏をさばくというこだわりよう。客単価は昼1000円、夜は3000円前後を想定しているので、いろいろなシチュエーションで気軽に活用してほしい」と穐山・部長は語る。

 2020年春には「ノースタワー」をスイーツ中心の食品販売エリアとしてリニューアルすることで、食のリニューアルは完了予定。時代の流れをいち早く読み取り、進化し続ける六本木ヒルズの食のカテゴリーに注目だ。

【銀座 篝】NEW

 2013年のオープン以来、行列が絶えないことで知られる「銀座 篝(かがり)」が待望の2号店をオープン。看板商品の“鶏白湯Soba”は、丸鶏・鶏ガラを大量に使用した濃厚で繊細な味わいのスープが特徴。「ミシュラン東京」にも掲載されているため、外国人観光客からも人気を集めそうだ。

【焼鳥 ここりこ庵】NEW

 新しいテイストの焼鳥と、東京では珍しい鶏皮鍋が楽しめる名店。伝統のタレや塩のほか、バルサミコ酢やハーブビネガー等も使用しており、日本酒やワインとの相性もバッチリ。鶏は店内で朝さばいたものを使い、ワンランク上の焼鳥を提供する。

【鐡ちゃん】NEW

 五島列島の最上級のマグロを一尾仕入れ、余すところなくさまざまな調理法で提供するマグロ料理専門店。刺身はもちろん、“焼”や“煮”のほか、中華料理やイタリア料理のメニューもラインアップ。小上がりの席もあり、ゆっくりと楽しむことができる。

【ぴんとこな】新業態

 回転寿司を提供していた寿司店がカウンターになってリニューアルオープン。江戸時代からの人々のファストフードを今に伝えるべく、安くて美味しいを実現。店内は隣の「鐡ちゃん」とつながっており、両方のメニューを楽しむことができる。

【AFURI】移転オープン

 透き通ったスープの“ゆず塩ラーメン”に女性ファンも多い「AFURI」が移転オープン。天然水を用い、厳選された鶏ガラや香味野菜、昆布や鰹節などを加えて仕上げたスープは、最後の一滴まで飲み干したくなる美味しさ。サイドメニューの充実も魅力だ。

【とんかつ豚組食堂】移転オープン

 究極のとんかつを追求する西麻布の名店「豚組」がプロデュース。豚肉は千葉県産椿ポークをはじめ、いも豚や松坂ポークを使用。衣から揚げ油までこだわり抜いたとんかつは、豚肉の旨味が凝縮。軽やかな口当たりなので、揚げ物は苦手という女性にもぜひおすすめしたい。

【霞町 蕎麦処 ますだ屋】移転オープン

 味・香りともに抜群の福井県産そば粉を石臼でひいて店内で打ち、出来立てを提供する。温冷さまざまなそばメニューのほか、揚げたての天ぷらた丼物、酒の肴もバラエティー豊かにラインアップ。江戸の粋を気軽に楽しみたい。

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ファンを抱える個々の集合体でありたい エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年6月28日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

ファンを抱える個々の集合体でありたい

 「WWDビューティ」の26歳新人記者が、頑張りました!!僕に比べれば、写真映りがまだまだカタイのですが(笑)、“すっぴん”を晒し(←別に大丈夫ですねw)、メンズメイクの体験取材に初トライです。 彼と働いて数年が経ちましたが、人見知りで奥手、正直、人前に立つことは苦手な後輩です。そんな彼が記事にもある通り、まだまだ“気恥ずかしさ”を抱かずにはいられないメンズメイクの体験記事を書いてくれるとは。ワタクシ、記事より勇気に感動してしまい、昨日はパリ・ボンマルシェのセールをグルグルしながら、一人“ムネアツ”でした。もちろん一読した後、「どんな場面かわかんないから、写真にキャプション入れてね」とリクエストするのは忘れませんでしたが(笑)。

 彼にはこれからも体験記事、自分の感情を前面に出したり匂わせたりするコンテンツを書き、彼自身のファンを獲得して欲しいな、と思います。究極、「WWDビューティ」でも「WWD JAPAN.com」でもなく、「記者 川井康平」のファンが増えれば、それで良いと思っています。その上で「WWD JAPAN.com」は、川井のように個々のファンを抱えた、個性豊かな人間の集合体でありたい。だからこそ僕も、日本ではエクササイズの体験取材、メンズ・コレクションでは日記、ランウエイでは後輩との対談記事にトライしたのです。対談については、「『WWDジャパン』なのに、“チャラい”」という批判もあります。もちろん、真面目なレビューにも価値はあります。でもそれは、プロフェッショナルメディアのファッション週刊紙「WWDジャパン」で書きたい。それより裾野の広い「WWD JAPAN.com」ではむしろ、(ある程度)本音をぶちまけ、自撮りまでアップして(照)、「ファッションを心から楽しむ自分」の姿を見ていただくことで「ファッションって、本当に楽しそう」って思っていただき、重たい扉を開けて欲しいのです。

  6月24日発売の「WWDジャパン」販売員特集を担当した“おじさん”が書いた、「“おじさんが憧れるおじさん”」の記事も嬉しい一本です。ありがたいことに取材させていただいた“おじさん”、ビームスの和田健二郎スタイリングディレクターには、弊社の“おじさん”の記事をインスタにアップしていただきました。和田さんのフォロワー数は6月27日現在7451。うちの“おじさん”のファンになった“おじさん”が、7451人の皆さんにわれわれを紹介してくれたのです。個々にファンを抱える記者の集合体であることは、その魅力を多面的・多角的・同時多発的に発信する上で効果的ですね。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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週末お出掛けスポット 架空の三流画家ユアサエボシの個展などアート5選

 週末にオシャレして出掛けたいアートスポットをお届け。今週は架空の三流画家ユアサエボシの個展「侵入するスペクトル」や空箱からアート作品を作る空箱職人はるきるの展覧会など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(11月2〜4日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【アート5選】

【イベント】

ガチャガチャカプセルからコーヒー豆!? 遊び心も味わいも満点なセルフカフェを体験

瀬戸内の本島(ほんじま)に「フリッツ・ハンセン庵」が登場

ガブリエル・シャネルの伝説に触れる巡回展「マドモアゼル プリヴェ」が東京に

「カルティエ、時の結晶」展がスタート 意表を突く会場構成と逸品の数々の競演

「シャネル」の香水の世界観を堪能できるアフタヌーンティーが登場

「リモワ」がストリート誌と企画展 過去のアーカイブからアーティストの作品まで

伝説的デザイナーによる“元祖ストリートコラボ” パリのアライア展が語ること

「スター・ウォーズ」の世界を体感 200点以上の衣装や小道具を集めた展覧会を開催

ディーゼル アート ギャラリーでマッド・ドッグ・ジョーンズが世界初となる個展を開催

日本初のバスキア大規模展 前澤ZOZO前社長が所有する作品も

【ポップアップ】

「エムエム6 メゾン マルジェラ」が全国でポップアップ パディングされたファブリックで包む幻想的な空間

「ブルガリ」と「ドン ペリニヨン」のマリアージュ ブルガリ銀座タワーの最上階に

辺見えみりの「アウターサンセット」が東京・南青山に路面店

NY発の「オーバーコート」がポップアップストアをオープン 特別に制作したインスタレーションを用意

「ディオール」が伊勢丹でタータンチェックの限定コレクションを発売

仏老舗ニット「メゾン モンタギュ」が表参道ヒルズで初のポップアップショップをオープン

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天候不良で売上減、インフラ不安も ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.18「アトモス社長・本明秀文のスニーカーライフ」

読み解きポイント:悪天候による売上減。安心、安全な社会インフラについても考える

ニュースのポイント

 2019年8月期の売上高が170億円(昨年は145億円)を突破したアトモス。売り上げの核となっている東京エリアで雨が続くと2〜3割売り上げに影響があるとのこと。自分が知っていても、周囲は知らないという前提で認知向上、PRに努めることがスニーカーを販売する上で、非常に重要。また、ロゴやブランドでなく、モノを紹介する人のスタイルへの共感から売れる点も見逃がしてはならない。

CKRはこう読む!

 「2019年7月、東京の平均気温24.1度」。前年同月よりも4.2度、平年よりも1.7度低く、梅雨明けは昨年より1カ月ほど遅れました。また、9月の台風15号、10月の台風19号による被害も記憶に新しいです。

 7月の長雨により、スーパー、百貨店、専門店とも売り上げ減となりました。同月は、全国スーパーが前年同月比7.1%減(日本チェーンストア協会発表)、全国百貨店が同2.9%減(日本百貨店業界発表)、ファーストリテイリングは国内ユニクロ事業の既存店(728店)とEコマースの売上高で同10.0%減。

 ビジネス面の影響だけではなく、最近の被害から社会インフラに不安を感じる人も多いのではないでしょうか。

 今年8月末、「修繕が必要な橋やトンネル 7割が未着手」というニュースがありました。国土交通省の呼びかけによって進められた点検によって、5年以内に修繕が必要な7万3000カ所余りのうち、5万6000カ所余りで修繕に着手できていないことが分かりました。交付金・補助事業に引き続き力を入れて必要な修繕は進めるようですが、費用確保の難しさや、専門的な技術者不足という課題もあるようです。

 修繕タイミングを知るということについては、近年、技術活用も進んでいます。例えば、東京都江東区若洲と大田区城南島を結ぶ東京ゲートブリッジでは、光ファイバーセンサーを用いて、ひずみのリアルタイムモニタリングを行なっています。投資コストも考慮する必要はありますが、今後は、技術を活用した効率的な監視へシフトしていくことにも期待したいです。

 「スニーカーライフ」という表題とは違う話へ飛んでしまいました。。今年の夏は、自然の脅威について、多く考えさせられました。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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「東コレに伝えたい」デザイナーたちの本音 連載Vol.14 「マンガやアートと協業して東京らしいコンテンツになれば盛り上がる」

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏の「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月14〜19日に開催された。冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天にかわって初めてのファッション・ウイークとなるため、関係者からの注目は高い。しかし結局は、人を呼べるブランドが参加しないとファッション・ウイークは盛り上がらない。そこで、海外で活躍する日本人デザイナーや「RFWT」に参加するブランド、新進気鋭の若手らに「どんな東コレだったら参加したい?」というテーマで「RFWT」開催前にアンケートを実施した。10月28日の「WWDジャパン」東京ファッション・ウイーク特集発売の週まで、回答の一部を連載形式で紹介する。最終回は「ユウミアリア(YUUMIARIA)」「アンデコレイテッド(UNDECORATED)」「アンバー(UMBER)」「カズキ ナガヤマ(KAZUKI NAGAYAMA)」「カイコー(KAIKO)」が登場。

YUUMIARIA
鈴木ゆうみデザイナー

 東コレには参加したいですが、参加費が改善すればより参加しやすくなります。いろいろな基準があるとは思いますが、小さいブランドでもチャンスがあれば参加したいのです。

UNDECORATED
河野貴之デザイナー

 商品のデリバリーのことを考えると、東コレ開催時期から納品までのスケジュールがやはりタイトです。またショー会場は日本を象徴する建築物など、海外からも注目を集めそうなロケーションでショーを行うブランドが増えれば、さらに魅力的なファッション・ウイークになると思います。

UMBER
藤岡裕睦デザイナー

 東コレの伝統と格式は守るべきです。その上で来場者やそれ以外の方にも響くリアリティーのあるプロモーションやイベントを、私たちブランドも含めて提案する流れができれば、今以上に参加したくなります。

KAZUKI NAGAYAMA
長山和樹デザイナー

 メディアなどでもよく見る学生や一般招待企画も素晴らしい取り組みだとは思いますが、デザイナーの立場からするとやはりバイヤーの誘致に力を入れていただきたいのが正直なところ。参加するからにはビジネスとして結果を残さないといけないので、そういった環境を整えてもらえるならぜひ参加したいです。

KAIKO
吉田拓ディレクター

 日本と世界では人口推移でギャップがあるため、日本のブランドやメーカーは今後輸出を強化する必要があります。日本のファッション業界全体の最重要課題は、海外へのアピールです。しかし最近はパリやミラノ、ニューヨーク以外にも世界各国で新しいファッション・ウイークが開かれており、その中では東コレにしかない特徴が見えづらくなっている。しかも、ファッション・ウイークが世界的にコモディティ化が進行しています。だから東コレはファッションだけではなく、テクノロジーやマンガ、アニメ、アートなどと協業して付加価値を加え、コレクションでもマーケットでも東京らしいガラパゴス化したコンテンツになれば、さらに盛り上がるのではないでしょうか。

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ブランド名を本名にする覚悟 「ザ・ダラス」終了で新ブランド「フミエ タナカ」をスタート

 デザイナーの田中文江は、自身の名前を冠したファッションブランド「フミエ タナカ(FUMIE TANAKA)」を2020年春夏シーズンにスタートさせる。これまで手掛けてきたウィメンズブランドの「ザ・ダラス(THE DALLAS)」は現在店頭で販売中の2019-20年秋冬をもって終了する。

 前身「ザ・ダラス」では15〜19年の4年間で、女性の気分に寄り添うエキゾチックな色柄使いや、クラフト感のあるレザーやメタルパーツを使ったアクセサリーが人気となり、東京でのファッショショーやプレゼンテーションでも着実にファンを獲得してきた。日本では有力セレクトショップを含む約60アカウント での取り扱いがあるが、海外ビジネスでは苦戦を強いられてきた。新ブランド「フミエ タナカ」では来シーズン(20-21秋冬)にメンズも発表する。先日「東京ファッションアワード 2020(TOKYO FASHION AWARD 2020)」を受賞したことで、受賞特典としてピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)とパリ・メンズ・ファッション・ウイークでの海外展示会支援を受けることになった。メンズから海外での卸先を開拓する計画だ。田中に、新ブランドでウィメンズだけでなくメンズもスタートする理由や今後の目標を聞いた。

WWD:「フミエ タナカ」をスタートさせる理由は?

田中文江デザイナー(以下、田中):「ザ・ダラス」のラストコレクションとなった19-20年秋冬の制作時に、一つのブランドとして完成したように感じました。モノづくりに対して真剣に取り組んでいることはスタート当初から変わりませんが、もう少し自然体な自分らしさを出してもいいのではないかと思うようになったんです。自分のクリエイションを「ザ・ダラス」のフィルターを通して出していくことが、ブランド名を盾にしている”ような気がして、違和感を覚えるようになっていました。自分の名前を出すことで責任の大きさも変わってきますし、ちゃんと個を出して面白いことを発信していけると思いました。また、「ザ・ダラス」という名前はとても気に入っていたのですが、海外に出たときに“日本ブランドなのにアメリカの地名をつけている意味”を問われてしまうこともありシンプルにしたいと考えたのも理由の一つです。

WWD:ブランドロゴは“FUMIE=TANAKA”と名前の間にイコールが入るのはなぜ?

田中:最初は「フミエ」という案もあったのですが、このブランドは私1人ではなく夫と2人で作り上げたブランド。フミエとタナカは一緒という意味があり、互いの覚悟でもあると思います。

“特別な日の服”よりも
“毎日着たい服”の強化

WWD:ブランド名を改称するのではなく、新ブランドとして再出発する。これまでの「ザ・ダラス」と「フミエ タナカ」」の違いは?

田中:今までも全力で服作りをしてきたので、これからも洋服に対する考え方は変わることはありません。「ザ・ダラス」でやってきたことが間違いだったとは感じていないので、大きな方向転換はないと思います。人気定番だった葉っぱのモチーフのアクセサリーや革小物、メンズらしいメタルパーツ使いなども継続したいと思っています。でも、一つ挙げるとしたら「フミエ タナカ」では“毎日着たい服”をしっかり打ち出していきます。「ザ・ダラス」の商品は “特別な日の服”とよくお客さまから言っていただけることが多かったのですが、これからはもっと日常的にコーディネートに取り入れられていただけるような服を作りたい。

WWD:「フミエ タナカ」デビューコレクションとなる20年春夏で“ヌード”をテーマにした理由は?

田中:裸という意味ですが、ブランドを1からスタートさせるのに自分をさらけ出すという考えです。それに、単純に今私が着たいものがベージュや自然のイメージということもありデザイン的にもふさわしいと思いました。一方でヌードというと、女性のセクシーなイメージもあっていろんな意味が込められています。

WWD:20-21年秋冬からメンズをスタートさせる予定だが、なぜ?

田中:前回のショー(19-20年秋冬)の後にルックを客観的に見て、「ここに男性像が入れば表現が深まるのではないか」と感じたこととや、男性バイヤーやお客さまから「この服のメンズが欲しい」と言っていただけることがあり、“メンズを作りたい”という思いが高まっていました。私は「ザ・ダラス」を始める前にもともとメンズブランドでの経験があったので、初めてメンズをデザインするわけではないのですが、昨今女性デザイナーがメンズをスタートさせるという話はあまり聞かないので挑戦してみたいという思いもありました。

WWD:「フミエ タナカ」のメンズのイメージは?

田中:私が知るおしゃれが好きな男性は、いろんなファッションを試した後1周回って、結局自分の居心地のいいスタイルを見つけています。そういう人たちが着るファッションを作りたいと思っています。ウィメンズの場合はトレンドやその時の気分によってスタイルの変化が早いですが、男性は“長く着られるもの”を探しているように思えます。女性名のタグが付いた洋服を男性が着ることは勇気がいることだとは思いますが、素材にこだわりながら、トレンドを強く意識しない安心できる“いいもの”を作っていきたいですね。

“日本には素敵なウィメンズブランド
があるのに海外ビジネスを広げる
支援体制がないのはなぜ?”

WWD:東京ファッションアワードを受賞したが、応募した理由は?

田中:アワードを受賞させていただいたことは本当に光栄なのですが、賞をいただくということよりも、受賞特典である海外での展示会発表のサポートでしっかり海外でのビジネスを開拓したいという思いがありました。これまでも「ザ・ダラス」で海外を見据えていましたが、ビジネスに結びつけることの難しさを痛感していて、もしこのアワードの支援がウィメンズ・コレクションの時期を対象にしていたら、もっと前に応募していたと思います。今回はメンズのスタートに合わせてエントリーしました。

WWD:海外で苦戦した理由は?

田中:まず有力なショールームの方に洋服を見てもらいたいと何度もアプローチをしましたが、言葉の壁もありビジネスにつなげることができませんでした。簡単な言葉で説明はできるですが、通訳がいなかったということもあり深い話が一切できなかった。相手は本気のビジネスで時間をとっているのに、私たちの勉強不足でどうしたらいいのか分からず、対応力が欠けていました。現在も海外卸先は決まっておらず、このアワードの受賞をきっかけに行動を起こして、今回はしっかりと取引先を獲得したいと思っています。

WWD:海外ではウィメンズも一緒に見せるのか?

田中:展示会はピッティ(・イマージネ・ウオモ)とパリ・メンズ・ファッション・ウイークで開かれるため、メンズを中心にして、少しだけウィメンズも見せられたらと考えています。女性の作るメンズ服は海外がどう評価されるのか挑戦したいという気持ちがありますが、本音を言えばウィメンズでもチャレンジしたい複雑な思いもあります。日本には素敵なウィメンズブランドがあり、女性デザイナーもたくさんいますが、海外に出て行くためのサポート体制がありません。それがずっと疑問でもったいないと感じていました。あったら、すごく夢のあることだし、もっと市場も活気づくと思います。

WWD:今後の目標は?

田中:まずこの新ブランドでメンズとウィメンズの両方のイメージをしっかり確立することです。次の秋冬では男性のお客さまに認知してもらえるようすることが目標。また「ザ・ダラス」ではできなかったような異業種との取り組みも行なっていきたいと思っています。実は先日、プロバスケットボールチームの川崎ブレイブサンダースを応援するチアリーダーたちのユニホームのデザインを担当しました。9月から着用していただいていて、多くの人に「これまでなかったアイデアだね」と言っていただけて嬉しかった。本業のファッションもしっかりやりながらも、美容や飲食にも興味があるので、一つ一つできることに挑戦していきたいと思っています。そして、社内のチーム体制をしっかりと整えたいという目標もあります。今のスタッフは基本的に私と夫の2人で、アルバイトさん1人と営業さん1人に協力いただいているところ。ずっと人手不足で、もう一人自分がいたら……と思うこともよくあります(笑)。特に今は生産管理の経験者を募集中で、行動力がある方と一緒に働きたいです。

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ロンドンで見つけた次世代スターモデル 世界が注目する17歳から39歳の2児の母まで

 スーパーモデルのケイト・モス(Kate Moss)やナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)、カーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)といった時代を彩るスーパーモデルを多く輩出してきたのがイギリスです。昨今は世界的に二世モデルの活躍が目立ちますが、2020年春夏シーズンのロンドンは少し違った傾向が見られました。ケンダル・ジェンナー(Kendall Jenner)やジジ・ハディッド(Gigi Hadid)らセレブリティーを起用したのは「バーバリー(BURBERRY)」ぐらいで、メトロポリタンなロンドンという街を象徴するかのようにモデルの顔ぶれは多様性に満ちていたのです。そして、各ブランドの確立したいイメージやターゲット層などの狙いもモデル選びに現れていました。今回のバックステージを取材した4ブランドで見つけた、注目美女モデルをご紹介します!

SIMONE ROCHA
“今っぽい”人選に共感

 私が最も共感し、現代らしいキャスティングだと思ったのは「シモーネ ロシャ」です。昨シーズンから幅広い年代の女性やプラスサイズモデルを起用しており、デザイナーのシモーネ・ロシャはかつてキャスティングについて「Anybody, Any body(全ての人、全ての体形)」とコメントしています。アイルランドの伝統行事をテーマに掲げた今季は、アイルランド出身の女性も数名起用していました。アイルランド人の女優兼映画監督オルウェン・フエレ(Olwen Fouere)は、長い芸能生活の中でランウエイを歩いたのは初めての経験だったそうです。2019年プレ・フォール・コレクションのキャンペーンに起用された南スーダン出身のアドゥ・アケチ(Adut Akech)をはじめ、2000年代初頭に活躍し現在は2児の母である39歳のカレン・エルソン(Karen Elson)や、今季がモデルデビューで初のランウエイだというサーラ(Xara)ら、キャリアや人種も多種多様なモデルをそろえていました。

JW ANDERSON
モデルの審美眼はピカイチのジョナサン

 最もアップカミングなモデルを起用していたのは「ジェイ ダブリュー アンダーソン」です。旬のモデルとして華々しい活躍を見せているのは、昨シーズン41ブランドのランウエイを歩いた19歳のジゼル・ノーマン(Giselle Norman)です。イギリス人の彼女は、個性的な顔立ちというよりも変幻自在のカメレオン系。昨シーズンの彼女を見ると「シャネル(CHANEL)」ではエレガントに、「クロエ(CHLOE)」ではガーリッシュに、「サンローラン(SAINT LAUREN)」ではセクシーに、「ディオール(DIOR)」ではクールにと全く異なる印象を見せています。「ジェイ ダブリュー アンダーソン」のバックステージではモデル仲間と楽しくダンスをしたりスタッフと笑い合ったりと、お茶目で明るい性格が見て取れました。2018-19年秋冬シーズンにモデルデビューした彼女の初ランウエイは「ジェイ ダブリュー アンダーソン」だったそうで、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)の審美眼はさすがと言うべきでしょう。

 そんなアンダーソンが今季起用したモデルの中で目を引いたのは、各都市で大活躍中の17歳、モナ・トーガード(Mona Tougaard)です。デンマーク出身の彼女は、15歳の時に大手モデル事務所「エリート(Elite)」のコンペティションで優勝し、昨シーズンにランウエイデビューを果たしました。初シーズンで「ルイ・ヴィトン(LOUISE VUITTON)」「プラダ(PRADA)」「シャネル」などそうそうたるメゾンに起用され、今季も「シモーネ ロシャ」「バーバリー」、ミラノでは「ヴェルサーチェ(VERSACE)」「フェンディ(FENDI)」も歩いて大いそがし。20年春夏シーズンのパリ・メンズ・ファッション・ウイークで人気が出そうなメンズモデルとして紹介したジーヌ・マハデヴァン(Jeenu Mahadevan)と共通する、南アジアっぽいダークトーンの肌色にエキゾチックな顔つきが印象的です。ショーだけでなくキャンペーンモデルとしても、今後どんなブランドに起用されるのか要注目です。

REJINA PYO
175cm超の長身ぞろい

 「レジーナ ピョウ」のコレクションは、クラシックなアイテムに色使いやシルエット、ボリューム感、素材感、スタイリングなどで少しひねりを加えた合理的なデザインが「北欧っぽいなぁ」といつも感じています。コペンハーゲン・ファッション・ウイークに参加したとき、実際に来場者の着用率が高かったブランドでした。今季のバックステージで見かけたモデルは、私のそんな印象をさらに強めるかのように北欧系美女が多く見られました。その代表格がオランダ出身の2人ヴェラ・ヴァン・エープ(Vera Van Erp)とドゥミ・デ・ヴリース(Demy de Vries)です。どちらもエラが張ったベース型の輪郭に頬骨が少し出ていて、彫りが深いわけではないのに目力がある顔つきです。そしてジャケッタ・ウィラー(Jacquetta Wheeler)とクレア・コリンズ(Claire Collins)の二人はイギリス出身ですが、系統的には同じ北欧系美女。可愛いというよりもクールでキレイ、そしてとにかく背が高い!175cm前後の美女に囲まれ、152cmの私はすっぽり埋もれてしまいました。ただし、北欧系美女が多かったというだけでランウエイにはほかにもアフリカ系やアジア系モデルも登場していて、“多様性”を主張しています。

TOGA
女子校でモテそうな“イケメン”美女

 個性的なモデルが多かったのは「トーガ」です。肌色だけでなく、顔立ちも雰囲気もそれぞれ異なり、「トーガ」の衣服をまとってさらに個性が際立っていました。今季はショートヘア率が高く、やんちゃなトムボーイっぽい雰囲気のモデルに目を引かれました。天然パーマのカイラ(Kayla)とラクエル(Raquel)、前髪パッツンのメイジー・ダンロップ(Maisie Dunlop)とキアラ・ルナ(Chiara Luna)のほか、男前美女のアゴスティーナ・マーティネス(Agostina Martinez)とサラ・ブルサン(Sarah Boursin)は美しさとカッコよさを兼ね備えており、女子校にいたら絶対にモテそう。ファビエンヌ・ドーバ(Fabienne Dobbe)とポピー・マイルズ(Poppy Miles)は、そばかすがとってもキュート!美を再定義する個性派ビューティぞろいで、“みんな違って、みんないい”——そんなメッセージが感じられる顔ぶれでした。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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ワールドトレンドを網羅した「渋谷スクランブルスクエア」の食の見どころは? レストランフロア編

 11月1日、渋谷の新ランドマークとなる駅直結の複合施設「渋谷スクランブルスクエア」がオープンする。食・ファッション・交流の“世界最旬宣言”をテーマに掲げ、いずれのカテゴリーもワンランク上の“本物”を数多くラインアップ。12、13階のレストランフロア「フーディーズ スクランブル」に出店する国内外のえりすぐりの17店から注目の店舗をレポートする。

渋谷スクランブルスクエアの12階と13階には、世界中から最先端の食のトレンドが集まるカフェ・レストランフロア「フーディーズ スクランブル」が設けられている。また、12階には吹き抜けになったイベントスペース「Scene12」もあり、今後さまざまなイベントに活用される予定だ。

12階はワールドトレンドをおさえた
えりすぐりの9店舗が集結

【カールヴァーン・トウキョウ】

 12階のセンターに大きく出店したのは、地中海・アラビア料理レストラン「カールヴァーン・トウキョウ(CARVAAN TOKYO)」。明治時代の洋館とアラビア建築を合わせた空間は、エキゾチックなムード漂う大人の社交場だ。メニューはひよこ豆のペースト“フムス”やレバノンの素揚げ料理“ファラフェル”など、好奇心と五感を刺激するラインアップ。合わせるドリンクは、スペルト小麦を使う“スペルト・ヴァイツェン”やワインのように長期熟成して造る同店限定の“バーレーワイン”、ジョージア伝統の手法で造られたオレンジワインなどがそろい、料理とのマリアージュを自由に楽しめる。

【すし 松栄】

 
 目利きが厳選した旬の新鮮な食材はもちろんのこと、ネタの温度や順番にまで細かな心配りをした恵比寿の老舗寿司店が出店。素材を見極め、丁寧な仕事で握られる寿司は上質そのもの。刺身や焼き物など旬のつまみが楽しめるおまかせコースをはじめ、お手頃なランチコースもあり、シーンによって使い分けたい。

【もへじ】

 月島の人気もんじゃ専門店「月島もんじゃ もへじ」が新業態店で出店。“イカ墨もんじゃ”など、進化系スタイルのもんじゃはここでしか味わえない一品。伝統的なもんじゃにフレンチテイストを取り入れた進化系スタイルの“もんじゃ”はぜひ味わいたい一品。落ち着きのあるシックな内装で、大人もゆっくり楽しめる。

【しゃぶしゃぶ つかだ】

 「しゃぶしゃぶ つかだ」は、塚田農場を運営するエー・ピーカンパニーと、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏がタッグを組んだ新業態店舗の第2弾として登場。“一人一鍋”というコンセプトのもと、カウンターで一人ゆっくりしゃぶしゃぶを楽しむことができる。肉の特徴を生かす厚さにスライスされたA4、A5ランクの牛肉を心ゆくまで堪能したい。

【ビステッカ・アラゴスタ】

 牛肉とオマール海老の美味しさを最大限に引き出すというコンセプトのイタリアンレストラン。厳選された食材による最高のイタリア料理を、イタリアワインと合わせて楽しむことができる。

13階は広々とした粋な空間に
8店舗が出店

【立呑み天ぷら喜久や】

 天麩羅とシャンパン、ワインのマリアージュが楽しめる粋な立呑み処が登場。良質な衣と油を使った天麩羅はカリッと軽やかで風味も豊か。大根、万願寺、牡蠣、ウニ、アボカド、パクチーのかき揚げなどといった、同店ならではのユニークな天麩羅は体験する価値あり。自分ペースで楽しめるので、待ち合わせスポットとしても活用したい。

【ホセ・ルイス】

 スパニッシュレストラン「ホセ・ルイス(JOSE LUIS)」が日本に初出店。1957年の創業当時から愛され続けているレシピを忠実に再現し、その個性を生かしながら日本ならではのスタイルにアレンジ。日本の料理技法で進化させた限定“トルティージャ(オムレツ)”をはじめ、サングリアやスペインワインとマッチするメニューを取りそろえる。伝統と革新を大事にしたスペイン料理は、初めての食体験となりそうだ。

【お好み たまちゃん】

 お好み焼きの聖地、大阪・堀江で絶大な人気を誇る「お好み焼き たまちゃん」が出店。名物“鉄板ホルモン焼き”のほか、具材全部入り“たまちゃんデラックス焼き”“トマトチーズ焼き”など、何人かでシェアしていろいろな味を楽しみたい。限定メニューとしては、お好み焼き+人気のラクレットチーズをかけた“たまちゃん de カケレット”が登場。五感を刺激して心をも満たしてくれそうだ。

【エディターズ・チェック】今回は初出店・新業態を中心にピックアップしたが、17店舗の中には、「もつ鍋 蟻月」「鼎泰豊」「つるとんたん」など、これまでにも数々の商業施設で成功を収めているおなじみの人気店も出店。ワールドトレンドをおさえたエッジィな店舗とのバランスも良く、どんなシーンやメンバーでも応えてくれる懐の広さが魅力だ。また特筆すべきは、一人でも楽しめる工夫が充実していること。客足が落ちそうな平日の夜にも、高い需要をキープできそうだ。

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「アディクション」の新クリエイティブディレクター、KANAKOがブランド愛を語る

 今年、ブランド誕生10周年を迎えた「アディクション(ADDICTION)」の新クリエイティブディレクターに就任したKANAKOメイクアップアーティスト。オファーがあった際に「私を選ぶなんてとても勇気があるな(笑)」と思ったという彼女がブランドに対する思いを語った。

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読者が注目した今週の新作 「シュウ ウエムラ」 × 「ポケモン」など(11月1〜7日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ビューティ部門」「ファッション部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。「ビューティ部門」では読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ビューティ部門」では「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」 × 「ポケモン」のホリデーコレクションが最も注目され、1位に輝いた。

【ビューティ部門】


【ファッション部門】


【スニーカー部門】

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「トモ コイズミ」デザイナーが、大人になって「レゴ」遊び 世界3人のクリエイターに選出

 ブリック(ブロック)の「レゴ(LEGO)」はこのほど、小泉智貴「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」デザイナーを、さまざまなカルチャーを代表し想像力と遊びの大切さを伝えるカルチャークリエイターに起用し、オリジナルビデオを作成した。カルチャークリエイターは、ミュージシャンのマーク・ロンソン(Mark Ronson)と体操選手のシモーネ・バイルズ(Simone Biles)、それに小泉の3人だ。

 オリジナルビデオの撮影について小泉は、「こんなにたくさんの色と形があることに驚いた。蛍光色やパステルカラー、透明のブロックは、僕が作るドレスの色に通じるところがあって、即興の人形作りも楽しかった」と話す。レゴとの思い出、ドレス作りとの共通点、そして、子ども時代について聞いた。

WWD:大人になって、改めて「レゴ」のブリックに触れてどうだった?

小泉智貴「トモ コイズミ」デザイナー(以下、小泉):触って、色で分けて、繋げて、作って、壊して、また作ってのプロセスが楽しかった。「作って、壊して」は「レゴ」の醍醐味。それは、カラフルなオーガンジーのパーツをたくさん作って組み合わせる、自分のドレス作りに似ている。どの色をどこに配置して、どんな3次元のシェイプを作るかは「トモ コイズミ」も「レゴ」も同じ。今回NYで発表したコレクションは、”おもちゃっぽい空気感”を取り入れたので、なおさら。実は「レゴ」は、NYでのプレゼンテーションをサポートしてくれた。収録の時に手渡された「レゴ」は、ジャーの中にいろんなピースがあって、好きなものを自由に作るカンジ。正直、その方が好き。もちろん、お城や戦車、恐竜など「コレを作る」という「レゴ」も楽しそうだけれど、完成形は自分で決めたい。使う・使わないを探りながら決めるのは、力が問われることだと思う。

WWD:子ども時代は、何で遊んでいた?

小泉:折り紙が大好きだった。折って何かを作るのではなく、集めて、色を眺めるのが好きだった。色は、昔から好き。開封したばかりの折り紙のグラデーションは、調和が取れていて、眺めるのが楽しかった。もちろん紙を折って、何かを作るのも楽しい。平面を立体にすることで養われた感覚は、今にも生きている。大学では美術教育を専攻し教員免許を取得するために教育実習も受けたが、そこでも「立体の力」を学んだ。幼い頃から、この力を養うのは大事なこと。

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2020年春夏トレンド分析Vol.3 ひねりを利かせたクラシック

 “クラシックなスポーツウエアの再考”は、2020年春夏シーズンの重要なキーワードだ。キーアイテムは数え切れないほどのランウエイに登場したデニム。そのスタイルは、スタンダードなラインから「バルマン(BALMAIN)」のカラフルなスーツ、「ヴェルサーチェ(VERSACE)」のパワーショルダー、「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」の斜めにストライプが走ったジーンズまでさまざまだ。

 また、白のタンクトップも注目を集めた。「パイヤー モス(PYER MOSS)」のカービー・ジャン・レイモンド(Kerby Jean-Raymond)は再利用のポリエステルを使い、タンクトップをジャンプスーツとして再生。一方、オートクチュール・デザイナーのクリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)をゲストに迎えた「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」はタンクトップをコレクションのベースとし、スエットシャツやパーカを製作した。「マイケル コース(MICHAEL KORS)」では、赤、白、青の3色のプルオーバーや“HATE”の文字に取り消し線を引いたセーターなどが見られた。

 そして、20年春夏コレクションの中でひねりの利いたクラシックをうまく表現していたブランドといえば、今年の第6回「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE)」のファイナリストに選ばれた「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の森永邦彦デザイナーだろう。胸元の大きく開いたブレザーやシャツなど、ちょっとした発想の転換によってユニークなコレクションを作り上げていた。

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まさか人力車までオーダーできるなんて! 「エルメス」の「夢のかたち」展は楽しいサプライズがいっぱい

 「エルメス(HERMES)」は11月1日から17日まで、東京・六本木の六本木ヒルズノースタワー1、2階で、展覧会「夢のかたち Hermes Bespoke Object」を開催します。展覧会名に“Bespoke”と入っているころからお気づきの方も多いかもしれませんが、この展示では、「エルメス」の顧客が同ブランドに特別にオーダーしたアイテムばかりを集めています。そう聞いて「人気バッグの“ケリー”や“バーキン”の素材別注や色別注が展示してあるのかな?」と思ったそこのアナタ!甘いです。「よもやこんなオーダーが可能だなんて……!」「『エルメス』って、こんなオーダーも叶えてくれるんだ!」というサプライズにあふれたアイテムばかりが集まっており、「私だったらこんなオーダーがしてみたい」と夢が広がる展覧会になっています。

 入り口そばのスペースに展示してあったのは、愛猫と旅するためのバッグの製作風景や、和楽器の鼓(つづみ)用のケース、レコードバッグなど。会場内を奥に進んでいくと、さらに驚きにあふれたオーダー品が並びます。私が個人的に「こんなオーダーがあるのか!」と最もびっくりしたのは、マス釣り用の釣り竿とフライ(疑似餌)、そして釣り上げたマスを入れるためのバスケットのセット。こちら、愛知・名古屋の顧客の方からのスペシャルオーダーということでしたが、よく晴れた初夏の日に、緑に囲まれた清流でこのセットを使って魚釣りをするというすてきな情景が脳裏に浮かびます。いいなぁ。

 この展覧会は見ていて楽しいというだけでなく、メゾンのアイデンティティーである精緻な職人技を感じる場でもあります。マス釣りセットのバスケットは柳の枝を非常に細かく編んだもので、全てを編み上げるのに20時間がかかったそう。フライに使われた鳥の羽根も色合わせや組み合わせがとても繊細です。聞けば、こうしたスペシャルオーダー品の多くは、“その道のプロ”のメーカーなり職人なりと協業して作り上げるものだそう。例えば、釣り竿は釣り具のプロと組んで作ることで、美しさだけでなく、機能面もしっかり担保しています。

 他にも驚きのオーダーが続きます。部分的に使ったレザーが非常におしゃれなカヌーは、木製の骨組みが半透明のボディーから透けて見え、素人目にもこだわりを感じるもの。「エルメス」の代名詞、“カレ”(スカーフ)の模様を描いたサーフボードに、アイスホッケーのスティック、ボクシンググローブ、スケートボードにローラースケート、そしてジュークボックス。

 ここまでくるとちょっとやそっとではなかなか驚かなくなってきますが、もう一度たまげたのが人力車です。京都や浅草の街で今も見かけるあの人力車を柳細工とレザーで表現しており、とてもエレガント。「エルメス」の京都店に来店する際に人力車に乗ったマダムがそれを気に入り、オーダーしたそうです。乗り物は特別オーダーにおける“鉄板”のようで、他にも豪華クルーザー、オートバイ、自転車、クラシックカーなどがありました。

 展示してある商品はどれもこれも、誰かの「こんなことがしてみたい」といった夢のストーリーを感じるもの。人力車に代表されるように、自分では思いもしなかったような夢が多くて刺激的ですし、イマジネーションが広がります。同時に、驚きいっぱいの夢を具現化できるのは「エルメス」社内や協業先の職人あってこそ。そんなことを感じる展覧会です。

■「夢のかたち Hermes Bespoke Objects」
開催期間:11月1日~17日
場所:六本木ヒルズノースタワー1、2階
住所:東京都港区六本木6-2-31
入場料:無料

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ロンドンコレのケータリング事情は“プレ飯”が独占 予想外の結果に驚き

 パリ・メンズ・ファッション・ウイークで過去に2回実施してきたケータリング調査が好評なため、今回はロンドンで初のウィメンズ・コレクションでの実施!ということで、9月に開催された2020年春夏シーズンのロンドン・ファッション・ウイーク(LONDON FASHION WEEK、以下LFW)のバックステージに潜入してきました。ロンドンにはケータリング会社がたくさんあるようなので“パリとロンドンでどんな違いが見られるかなぁ”“ウィメンズだからメンズよりヘルシーなのかなぁ”“パリにはないチェーン店やレストランのケータリングが食べられちゃったりして”など、出発前からワクワクしっぱなし。しかし、結果はなんとも言えない感じでした……。とある理由からランク付けには苦戦しましたが、抜き打ち調査した4ブランドのケータリングを紹介します。

4位:REJINA PYO
あれ?想像と違う……

 実は私が最も期待していたのが「レジーナ ピョウ(REJINA PYO)」でした。だってデザイナーのレジーナ・ピョウの旦那さまはシェフで、インスタグラムの個人アカウントでは美味しそうな料理を頻繁に披露しているんですよ。旦那さまの料理か、もしくは韓国出身である彼女のソウルフードが並ぶのでは——と期待は高まる一方だったのですが、現実は理想とは大きく違いました。そこにはチェーン店「プレタ マンジェ(Pret a Manger)」のサンドイッチとラップサンド、サラダなどの軽食が並ぶのみ。味がどうこうというわけではありません。ただ、あまりにも期待しすぎたんです……。そして今回取材した他ブランドに比べて、ドリンクとスイーツが極端に少なかったこともあり、残念ながら最下位に。集合時刻はおやつタイムの午後3時だったので、スイーツやスナック系のバリエーションを増やしてくれるといいなと思いました。

第3位:TOGA
普通で無難に平均点

 これまでの経験では日本ブランドは高ランクという印象でしたが、「トーガ」は第3位とさせていただきます。ケータリング内容は「プレタ マンジェ」の軽食と、ブラウニーやチョコレートなどの甘い系。「レジーナ ピョウ」に比べてスイーツ類が多かったということで少しポイントアップしました。一般的なケータリングの内容で、何も文句はありません!けれど一方で、いいところを見つけるのも難しく、無難に平均点でした。

第2位:SIMONE ROCHA
ドリンクのチョイスが巧み

 1位とは僅差の2位が「シモーネ ロシャ」です。「プレタ マンジェ」のサンドイッチとパン数種類のほかに、スナック類が豊富に並んでいました。私が特に注目したのはドリンク類です。白い缶に入ったミネラルウオーター「カノ ウォーター(Cano Water)」は、永久に再生利用可能なアルミニウム缶を使用したエコフレンドリーなブランド。イギリスでは高級百貨店や大型スーパーで販売されています。ほかにもインド産オーガニック茶葉を使用した「エタニティー(ETERNITEA)」のお茶が2種類が置かれていました。ザクロ味とユズ味のヘルシーなドリンクで、ロンドンのオーガニックスーパーなどで購入できるようです。女性デザイナーならではの美容・健康・環境に配慮した内容が高印象でした!

第1位:JW ANDERSON
時間帯まで考慮した豊富な種類に拍手

 接戦を制したのは「ジェイ ダブリュー アンダーソン」です(パチパチパチ)。「プレタ マンジェ」のサンドイッチやクロワッサン、マフィン、ヨーグルト、フルーツと最も幅広いバリエーションでした。コールタイムが午前9時半ということで、朝食にぴったりです。ドリンクもフルーツジュースやココナツウオーターなど多数。「シモーネ ロシャ」にも置かれていたスナック菓子はLFWのスポンサーである「プロパーコーン(Propercorn)」のポップコーンや「ベップス(Bepps)」のポテトチップス、「ヒッピーズ(Hippeas)」のひよこ豆スナックといった、オーガニック系の健康的なメーカーが並びました。

 さて、すでにお気づきでしょうか?今回潜入した4ブランド全ての供給元が「プレタ マンジェ」だったことを。イギリス発のサンドイッチが豊富なカフェチェーン「プレタ マンジェ」は、イギリスに300店舗近く、パリにも10店舗を構えています。日本にも2001年に進出したものの、10年には完全撤退したようです。イギリスには「カフェ ネロ(Caffe Nero)」「コスタ(Costa)」や和食「イツ(itsu)」「ワサビ(Wasabi)」とチェーン店や小規模な独立系のケータリング会社がたくさんあるにもかかわらず、全ブランドが「プレタ マンジェ」だったことに驚き!同じ店ということで味に差異がなくランク付けに苦戦しましたが、逆に各ブランドのスタッフへの気遣いが分かりやすかったのも事実です。中でも「ジェイ ダブリュー アンダーソン」は軽食からスイーツ、ドリンク類までがバランスよくそろいバリエーションも豊かだったため、20年春夏シーズンのLFWベストケータリング賞を贈呈します!

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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英国No.1の男性スキンケアブランド『ブルドッグ』から竹を用いた環境にやさしいシェーバーが登場!

 2007年にイギリスで創設した「ブルドッグ」。創設者の一人で最高経営責任者のサイモン・ダフィーが、天然由来成分配合のスキンケアを好む男性に向けたメンズブランドの選択肢が少ないことに着目して立ち上げたブランドだ。イギリスでは、売り上げ1位(Nielsen調べ 2016/09-2017/08 Waitroseで販売金額実績第1位の男性スキンケアブランド)を獲得するなど、支持を集めている。日本には2018年に上陸し、アマゾンやロハコ、全国のロフト、東急ハンズで販売しており、世界30カ国、約6万店舗で取り扱われている。パッケージや容器にサステナブル素材を使用し、成分も天然由来にこだわるなど、メンズスキンケアブランドとしては珍しい取り組みを続けている。創設者のサイモン・ダフィーに「ブルドッグ」の製品へのこだわりや魅力について聞いた。

 メンズスキンケアは女性用に比べて種類が少なく、製品の大半が女性向けブランドから派生したもの。選択肢が少ない男性のために、男性の肌質に合ったブランドを一から立ち上げようと思ったのが創設のきっかけだ。「ブルドッグ」は環境・身体に優しい素材にこだわり、全製品が人工着色料、合成着色料、動物由来成分不使用でクルエルティフリー(動物実験をしていない)な処方。ビ―ガンやベジタリアンにも適した仕様だ。天然由来成分を多分に含んだ製品は、普通肌用・敏感肌用・脂性肌用で成分を替えていて、それぞれの肌質に合わせてアプローチできるのも魅力だ。

 製品のパフォーマンスは妥協せず、またサステナブルなパッケージ素材を使用するなどエシカルな製品作りも心掛けている。チューブ容器の原材料にはサトウキビから精製したプラスチックを使用しており、メンズスキンケアブランドとして世界初の試みだ。サトウキビ由来のプラスチックは100%再利用可能で、通常のプラスチックを焼却処理する際に発生する二酸化炭素の排出量削減にも取り組んでいる。また、8月に発売した「バンブーホルダー」を契機にシェーバー市場にも参入した。一般的なシェーバーよりも環境によい製品を作りたく、「ブルドッグ」の価値をより高める製品にしなければならなかった。だから製品のパッケージもこれまで同様に、リサイクル素材を使用し、無駄な装飾も省いた。通常は、プラスチックや金属が使われているシェーバー本体の持ち手部分を竹で作った。竹は成長が早く、普通の木よりも多く酸素を作り出す環境に優しい植物だ。さらに、水に強くお風呂場に置いても問題ないこともシェーバーの素材として適している。またスタイリッシュなデザインも多くの男性から好評だ。日本の男性にも、環境や身体に配慮したスキンケア習慣を広めたい。

竹を用いたスタイリッシュで
サステナブルなシェーバー

サイモンが日本人にオススメする
アイテム

問い合わせ先
シック・ジャパン お客様相談室
03-5487-6801

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「メゾン エウレカ」中津由利加デザイナーが語る ベルリンでの暮らしとクリエイションの関係性

 インターネットやテクノロジーが発達し、仕事やライフスタイルへの意識が変わりゆく中、働き方は多様化している。働く場所だって、必ずしも日本というわけではなく海外を拠点に選ぶ人もいる。大切なのは、一度きりの自分の人生をどう生きたいかということ。もちろん揺るぎない意思や目標にたどり着くための努力、自分の考えを表現する語学力などは必要だが、可能性は世界に広がっている。ここでは、ヨーロッパに身を置き、自身のブランドを手掛けている日本人デザイナーをピックアップ。その場所を選んだ理由から、海外をベースにする魅力や難しさまでを探る。

 第2回に取り上げるのは、ドイツ・ベルリンで「メゾン エウレカ(MAISON EUREKA)」を手掛ける中津由利加デザイナー。コレクション制作にとどまらず、新プロジェクト「カウフハウス(KAUFHAUS)」でビンテージ雑貨の買い付け・販売も行う彼女に、ベルリンでの暮らしがクリエイションや働き方に与えた影響を尋ねた。

過去のインタビューでこれまでのキャリアについては語られていますが、あらためて海外に拠点を移そうと思ったきっかけは?

中津由利加「メゾン エウレカ」デザイナー(以下、中津):日本でシューズブランド「デュルブイ(DURBUY)」を手掛けていた時はデザインから営業やPRまで全てを自分一人でやっていたのですが、雑務に追われてクリエイティブな部分に集中できないということがストレスでした。そして、過去に留学していたロンドンでまた暮らしたいという強い気持ちもあり、会社と話し合ってデザイナーとディレクターだけに専念できることになったのを機に、イギリスに拠点を移しました。その後、ワーキングホリデービザで2年間滞在したのですが、イギリスでは就労ビザの取得が難しく、2013年にベルリンに移住しました。

-そして、ベルリンへの移住を機に、自身のブランド「メゾン エウレカ」を立ち上げたと。

中津:ロンドンにいた時から、いつか自分で何かをやりたいという思いはありました。でも、ベルリンに移った頃から本格的に考え始め、自分の中で“自分がいいと思うものを集める”というコンセプトが固まったので、立ち上げました。「メゾン エウレカ」は、私のパーソナルな部分を表現するブランド。それまでは企業に雇われている以上、利益をもたらすことを求められることも多かったけれど、自分でやるなら “楽しく仕事をすること”を念頭に、売り上げを作ることが全てではないモノづくりをしようと思いました。これまでの経験からMDなどは自然に考えるようになっていますが、そこに縛られることなく自分の作りたいものを作っています。

-移住のタイミングでブランド設立を本格的に考えたのには、何かきっかけや理由があったんですか?

中津:自分の生活環境の変化が大きかったと思います。ロンドンではフラットシェアをしないと住めないくらい家賃が高く、部屋も狭かったのですが、それに比べるとベルリンではそれなりの広さがある物件を借りて暮らすことができます。それが気持ちの余裕につながり、仕事も生活もしやすくなりました。それにヨーロッパの主要都市にしては物価も安いので、自然と生活の質も上がりましたね。

-ベルリンに住んでもう5年が経ちます。中津さんにとって、ベルリンとはどんな街ですか?

中津:一言で言えば、変わった街です。首都だとは思い難いほどリラックスした雰囲気で、人も少ない。歴史的なものと現代的なものが交ざり合っていますが、ある意味、時代が止まっているような感じで、退廃的なところが魅力だと思います。先進国の首都でこんな場所はほかにないですよね。そして、アーティストやクリエイターが多く、エッジの利いた人も多い。規模は違うけれど、昔のロンドンと少し重なる雰囲気があると感じています。

働く上で時差や距離はメリットでもある

-ベルリンで暮らしながら、コレクションの生産は日本で行なっていますが、海外から遠隔でモノ作りをすることのメリットとデメリットは?

中津:時差や距離はデメリットと捉えられがちですが、メリットでもあります。それによって仕事にメリハリをつけることができているので。私はもともと期待されたり求められたりするとそれに応えたいと思う性格なので、自分がボロボロになってしまうまで頑張ってしまう。かといって、自分でコントロールするのも下手で、日本で働いていたときは一息つくことができなかったので、時差や距離があることが自分には合っていると思います。例えば、お昼を過ぎると日本は夜になるので連絡も減り、クリエイティブなことに時間を充てることができますね。逆に遠隔で進めている業務が多い分、どうすれば自分の考えがきちんと伝わるかは人一倍深く考えていて、取引先や業者の方々とのコミュニケーションをとても大事にしています。生地見本を航空便で送ってもらったり、工場や業者にスカイプをダウンロードしてもらったりと、いろいろな方の協力なしでは成り立たないので、人に恵まれていることに感謝しています。

-年2回はコレクション制作の最終段階と展示会に合わせて日本に帰国されていますよね。定期的に2カ国を行き来していて感じる、ベルリンの好きなところ、嫌いなところは?

中津:ベルリンで好きなのは、個人主義なところ。皆、他人の目を気にしていなくて、社会に適応するために時には自分を偽らなければいけない日本とは真逆のように感じます。ベルリンではアンダーグラウンドなイベントが年中行われていて、人から評価されることよりも自ら行動を起こすことが大事ということもここに住み始めて自然と学びましたし、リラックスしてクリエイションに取り組める環境です。そして、東京よりも、ロンドンよりも、ベルリンに住む人はライフスタイルを大事にしています。もちろん仕事も重要ですが、仕事に追われてプライベートをおそろかにするようなことはないですね。その一方で嫌いな部分は、お金に余裕がなくてもなんとか生きていけるという考えの人が多いからか、向上心のある人が少ないこと。街にそういうムードがあるのは事実だから、自分自身が染まってしまわないように意識しています。そして、年2回帰国することが私にとってはすごく刺激的で、忘れかけていた大切なことを思い出させてくれるんです。例えば、自分が昔描いていた“何歳になったらこうなりたい”という理想像。日本には今でも憧れさせてくれるようなカッコいい先輩たちがいるので、目指す姿を忘れずにいられます。

-確かにベルリンはきちんと自分の意思を持っていないと流されてしまいがちな街でもありますね。一時帰国することがモチベーションを思い出させてくれるというのも納得です。ほかに離れてみて分かった日本のよさや残念なところはありますか?

中津:よいのは、ご飯が美味しいところ(笑)。何を食べても全体的にレベルが高いと思います。その一方で、情報があふれていて、とても誘惑が多いですよね。その中で自分に本当に必要なものを見極めるのは難しいですし、日本人は人の意見に左右されやすいイメージがあるので、自分の好きなものに正直になりにくい環境だと感じます。それから、東京は商業都市だから、本当の意味でのクリエイションは難しいのかもしれないなと。アバンギャルドな人もあまりいませんし、モノづくりにおいても質は高くプロダクトとしては完成されているけど、ムードを作り出すのが上手い人は少ないと感じます。

念願の「カウフハウス」を始動

-今年は、ブランドのEC機能も兼ねた新プロジェクト「カウフハウス」(ドイツ語で百貨店の意)をスタートさせました。いつ頃から構想していたのですか?

中津:実は「メゾン エウレカ」を始めるもっと前から、日本とヨーロッパの素敵なものを紹介する店をやりたいなと漠然と考えていたんです。その取っ掛かりとして、すでに経験のある服や靴のモノづくりから始めるのがいいとは思ったのですが、当初からファッションブランドだけで終わりたくないという気持ちはありました。だから、「メゾン エウレカ」は架空のデパートメントストアのオリジナル商品というイメージ。そんな考えもあって、多くの商品にオマケとして付けているタイベック素材のコンビニ袋風バッグにも最初から“KAUFHAUS”と入れています。それが、やっと形になったという感じです。

-「カウフハウス」では、ヨーロッパのビンテージ雑貨を取り扱っていますが、その理由は?ビンテージに興味を持ったきっかけを教えてください。

中津:もともと「メゾン エウレカ」でも“使い捨てにならない”ということを大切にしていて、そんな思いで作った自分の商品と一緒に並べるのであれば、すでに歳月を経てきたモノを置きたかったというのが理由です。「メゾン エウレカ」のアイテムも将来、古着屋さんで扱われていたらうれしいですし、今の時代のモノはこれから長い年月が経った後に残っていくかどうか分かりませんから。ただ、ビンテージへの興味が強くなったきっかけと言えば、ベルリンに移住したことがやはり大きかったですね。イギリスに住んでいた時は家具付きの物件が多かったのですが、ベルリンでは一からそろえることになり、どうせ買うならこだわりたいなと。それからインテリアの本もよく見るようになりましたし、蚤の市にも頻繁に足を運ぶようになりました。テイスト的にも、ミッドセンチュリーの家具やインダストリアル系のアイテムがそろうドイツのビンテージの方が惹かれるモノが多かったですね。

-ビンテージを買い付ける上でも、ヨーロッパに住んでいることがメリットになっていますね。5月には、福岡に「カウフハウス」の拠点となるアポイントメント制のプライベートサロンをオープンされましたが、なぜ福岡だったんですか?

中津:自分がもし東京に住んでいたら、東京に開いていたかもしれません。ただ、取り扱っている商品のサイズや物量的にもある程度広いスペースが必要でしたし、福岡にECの拠点にする上で協力してくれるスタッフがいたということもありました。あくまでもサロンであり、ショップのように集客することは考えていなかったので、いろんな意味で好都合なロケーションでした。東京では、「カウフハウス」をスタートさせるときに世界観を表現したポップアップストアを中目黒に開き、その後、エディションと伊勢丹新宿本店でも同様のイベントを行いました。次に東京でやるときは、自分が日本にいるタイミングで開ければと考えています。

-日本国内では数多くのセレクトショップや百貨店で取り扱われ、念願の「カウフハウス」もスタートし、着実に夢を実現しているように感じます。今後、やりたいことは?

中津:絵を描いたり、作家活動をしたいです。生き方としての理想は、商業から離れていくこと。暮らしていくためにビジネスは必要ですが、ただお金を稼ぐためにブランドビジネスを大きくしていくつもりはなく、自分の内面と向き合っていきたい。常に自分が純粋に楽しいと思えることをしたいですし、「メゾン エウレカ」は皆がワクワクするようなブランドであり続けたいと考えています。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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「メゾン エウレカ」中津由利加デザイナーが語る ベルリンでの暮らしとクリエイションの関係性

 インターネットやテクノロジーが発達し、仕事やライフスタイルへの意識が変わりゆく中、働き方は多様化している。働く場所だって、必ずしも日本というわけではなく海外を拠点に選ぶ人もいる。大切なのは、一度きりの自分の人生をどう生きたいかということ。もちろん揺るぎない意思や目標にたどり着くための努力、自分の考えを表現する語学力などは必要だが、可能性は世界に広がっている。ここでは、ヨーロッパに身を置き、自身のブランドを手掛けている日本人デザイナーをピックアップ。その場所を選んだ理由から、海外をベースにする魅力や難しさまでを探る。

 第2回に取り上げるのは、ドイツ・ベルリンで「メゾン エウレカ(MAISON EUREKA)」を手掛ける中津由利加デザイナー。コレクション制作にとどまらず、新プロジェクト「カウフハウス(KAUFHAUS)」でビンテージ雑貨の買い付け・販売も行う彼女に、ベルリンでの暮らしがクリエイションや働き方に与えた影響を尋ねた。

過去のインタビューでこれまでのキャリアについては語られていますが、あらためて海外に拠点を移そうと思ったきっかけは?

中津由利加「メゾン エウレカ」デザイナー(以下、中津):日本でシューズブランド「デュルブイ(DURBUY)」を手掛けていた時はデザインから営業やPRまで全てを自分一人でやっていたのですが、雑務に追われてクリエイティブな部分に集中できないということがストレスでした。そして、過去に留学していたロンドンでまた暮らしたいという強い気持ちもあり、会社と話し合ってデザイナーとディレクターだけに専念できることになったのを機に、イギリスに拠点を移しました。その後、ワーキングホリデービザで2年間滞在したのですが、イギリスでは就労ビザの取得が難しく、2013年にベルリンに移住しました。

-そして、ベルリンへの移住を機に、自身のブランド「メゾン エウレカ」を立ち上げたと。

中津:ロンドンにいた時から、いつか自分で何かをやりたいという思いはありました。でも、ベルリンに移った頃から本格的に考え始め、自分の中で“自分がいいと思うものを集める”というコンセプトが固まったので、立ち上げました。「メゾン エウレカ」は、私のパーソナルな部分を表現するブランド。それまでは企業に雇われている以上、利益をもたらすことを求められることも多かったけれど、自分でやるなら “楽しく仕事をすること”を念頭に、売り上げを作ることが全てではないモノづくりをしようと思いました。これまでの経験からMDなどは自然に考えるようになっていますが、そこに縛られることなく自分の作りたいものを作っています。

-移住のタイミングでブランド設立を本格的に考えたのには、何かきっかけや理由があったんですか?

中津:自分の生活環境の変化が大きかったと思います。ロンドンではフラットシェアをしないと住めないくらい家賃が高く、部屋も狭かったのですが、それに比べるとベルリンではそれなりの広さがある物件を借りて暮らすことができます。それが気持ちの余裕につながり、仕事も生活もしやすくなりました。それにヨーロッパの主要都市にしては物価も安いので、自然と生活の質も上がりましたね。

-ベルリンに住んでもう5年が経ちます。中津さんにとって、ベルリンとはどんな街ですか?

中津:一言で言えば、変わった街です。首都だとは思い難いほどリラックスした雰囲気で、人も少ない。歴史的なものと現代的なものが交ざり合っていますが、ある意味、時代が止まっているような感じで、退廃的なところが魅力だと思います。先進国の首都でこんな場所はほかにないですよね。そして、アーティストやクリエイターが多く、エッジの利いた人も多い。規模は違うけれど、昔のロンドンと少し重なる雰囲気があると感じています。

働く上で時差や距離はメリットでもある

-ベルリンで暮らしながら、コレクションの生産は日本で行なっていますが、海外から遠隔でモノ作りをすることのメリットとデメリットは?

中津:時差や距離はデメリットと捉えられがちですが、メリットでもあります。それによって仕事にメリハリをつけることができているので。私はもともと期待されたり求められたりするとそれに応えたいと思う性格なので、自分がボロボロになってしまうまで頑張ってしまう。かといって、自分でコントロールするのも下手で、日本で働いていたときは一息つくことができなかったので、時差や距離があることが自分には合っていると思います。例えば、お昼を過ぎると日本は夜になるので連絡も減り、クリエイティブなことに時間を充てることができますね。逆に遠隔で進めている業務が多い分、どうすれば自分の考えがきちんと伝わるかは人一倍深く考えていて、取引先や業者の方々とのコミュニケーションをとても大事にしています。生地見本を航空便で送ってもらったり、工場や業者にスカイプをダウンロードしてもらったりと、いろいろな方の協力なしでは成り立たないので、人に恵まれていることに感謝しています。

-年2回はコレクション制作の最終段階と展示会に合わせて日本に帰国されていますよね。定期的に2カ国を行き来していて感じる、ベルリンの好きなところ、嫌いなところは?

中津:ベルリンで好きなのは、個人主義なところ。皆、他人の目を気にしていなくて、社会に適応するために時には自分を偽らなければいけない日本とは真逆のように感じます。ベルリンではアンダーグラウンドなイベントが年中行われていて、人から評価されることよりも自ら行動を起こすことが大事ということもここに住み始めて自然と学びましたし、リラックスしてクリエイションに取り組める環境です。そして、東京よりも、ロンドンよりも、ベルリンに住む人はライフスタイルを大事にしています。もちろん仕事も重要ですが、仕事に追われてプライベートをおそろかにするようなことはないですね。その一方で嫌いな部分は、お金に余裕がなくてもなんとか生きていけるという考えの人が多いからか、向上心のある人が少ないこと。街にそういうムードがあるのは事実だから、自分自身が染まってしまわないように意識しています。そして、年2回帰国することが私にとってはすごく刺激的で、忘れかけていた大切なことを思い出させてくれるんです。例えば、自分が昔描いていた“何歳になったらこうなりたい”という理想像。日本には今でも憧れさせてくれるようなカッコいい先輩たちがいるので、目指す姿を忘れずにいられます。

-確かにベルリンはきちんと自分の意思を持っていないと流されてしまいがちな街でもありますね。一時帰国することがモチベーションを思い出させてくれるというのも納得です。ほかに離れてみて分かった日本のよさや残念なところはありますか?

中津:よいのは、ご飯が美味しいところ(笑)。何を食べても全体的にレベルが高いと思います。その一方で、情報があふれていて、とても誘惑が多いですよね。その中で自分に本当に必要なものを見極めるのは難しいですし、日本人は人の意見に左右されやすいイメージがあるので、自分の好きなものに正直になりにくい環境だと感じます。それから、東京は商業都市だから、本当の意味でのクリエイションは難しいのかもしれないなと。アバンギャルドな人もあまりいませんし、モノづくりにおいても質は高くプロダクトとしては完成されているけど、ムードを作り出すのが上手い人は少ないと感じます。

念願の「カウフハウス」を始動

-今年は、ブランドのEC機能も兼ねた新プロジェクト「カウフハウス」(ドイツ語で百貨店の意)をスタートさせました。いつ頃から構想していたのですか?

中津:実は「メゾン エウレカ」を始めるもっと前から、日本とヨーロッパの素敵なものを紹介する店をやりたいなと漠然と考えていたんです。その取っ掛かりとして、すでに経験のある服や靴のモノづくりから始めるのがいいとは思ったのですが、当初からファッションブランドだけで終わりたくないという気持ちはありました。だから、「メゾン エウレカ」は架空のデパートメントストアのオリジナル商品というイメージ。そんな考えもあって、多くの商品にオマケとして付けているタイベック素材のコンビニ袋風バッグにも最初から“KAUFHAUS”と入れています。それが、やっと形になったという感じです。

-「カウフハウス」では、ヨーロッパのビンテージ雑貨を取り扱っていますが、その理由は?ビンテージに興味を持ったきっかけを教えてください。

中津:もともと「メゾン エウレカ」でも“使い捨てにならない”ということを大切にしていて、そんな思いで作った自分の商品と一緒に並べるのであれば、すでに歳月を経てきたモノを置きたかったというのが理由です。「メゾン エウレカ」のアイテムも将来、古着屋さんで扱われていたらうれしいですし、今の時代のモノはこれから長い年月が経った後に残っていくかどうか分かりませんから。ただ、ビンテージへの興味が強くなったきっかけと言えば、ベルリンに移住したことがやはり大きかったですね。イギリスに住んでいた時は家具付きの物件が多かったのですが、ベルリンでは一からそろえることになり、どうせ買うならこだわりたいなと。それからインテリアの本もよく見るようになりましたし、蚤の市にも頻繁に足を運ぶようになりました。テイスト的にも、ミッドセンチュリーの家具やインダストリアル系のアイテムがそろうドイツのビンテージの方が惹かれるモノが多かったですね。

-ビンテージを買い付ける上でも、ヨーロッパに住んでいることがメリットになっていますね。5月には、福岡に「カウフハウス」の拠点となるアポイントメント制のプライベートサロンをオープンされましたが、なぜ福岡だったんですか?

中津:自分がもし東京に住んでいたら、東京に開いていたかもしれません。ただ、取り扱っている商品のサイズや物量的にもある程度広いスペースが必要でしたし、福岡にECの拠点にする上で協力してくれるスタッフがいたということもありました。あくまでもサロンであり、ショップのように集客することは考えていなかったので、いろんな意味で好都合なロケーションでした。東京では、「カウフハウス」をスタートさせるときに世界観を表現したポップアップストアを中目黒に開き、その後、エディションと伊勢丹新宿本店でも同様のイベントを行いました。次に東京でやるときは、自分が日本にいるタイミングで開ければと考えています。

-日本国内では数多くのセレクトショップや百貨店で取り扱われ、念願の「カウフハウス」もスタートし、着実に夢を実現しているように感じます。今後、やりたいことは?

中津:絵を描いたり、作家活動をしたいです。生き方としての理想は、商業から離れていくこと。暮らしていくためにビジネスは必要ですが、ただお金を稼ぐためにブランドビジネスを大きくしていくつもりはなく、自分の内面と向き合っていきたい。常に自分が純粋に楽しいと思えることをしたいですし、「メゾン エウレカ」は皆がワクワクするようなブランドであり続けたいと考えています。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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「買い物がちょっと楽しい渋谷スクランブルスクエア」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。

今日のニュース:P.5「渋谷駅直結の渋スク、“高級駅ビル”の勝算」

読み解きポイント:「渋谷OL的には最高のちょい寄りスポット」

ニュースのポイント

 2019年11月1日にいよいよ開業する「渋谷スクランブルスクエア」は、100年に一度と言われる27年までの渋谷駅再開発プロジェクトの前半最大のハイライトとも言える。東急、JR東日本、東京メトロ3社による大型プロジェクトで、東京が一望できる展望台を含む47階建ての超高層ビルにはオフィス、商業エリアが入る。JR直結の3階には「バレンシアガ(BALENCIAGA)」や「サンローラン(SAINT LAURENT)」などラグジュアリーブランドが集まり、地下鉄直結の地下フロアには最大の集客コンテンツである「東急フードショー」の新業態やJR東日本エキュートの新業態「エキュート エディション(ECUTE EDITION)」を導入。来年にかけ新たな商業施設のオープンラッシュとなる渋谷を、先陣切って盛り上げていく。

AZUはこう読む!

 待ってました、この瞬間を!一足先に内覧会でお邪魔してきたのですが、期待通りの面白さ&便利さで、開業が待ちきれません。まず印象に残ったのは、一店舗ずつの面積が広く、天井が高く開放感があること。もしかしたら他の商業施設とそこまで変わらないのかもしれませんが、ミラノ発ラグジュアリーカフェ「コヴァ(COVA)」(パネトーネと付け合せのソースが美味しい!)や「シェアラウンジ」を併設したTSUTAYAの新業態「ツタヤ ブックストア(TSUTAYA BOOKSTORE)」(見晴らしが良く一人作業にもってこい!)など、片面がガラス張りのテナントも多く、そこから入る自然光なども関係しているのかも。

 何度か書いていますが、幼い頃から商業施設に通いつめるのが趣味だった人間なので、旅先では必ず主要な百貨店やSCに立ち寄ります。国内外問わず「居心地が良い」と感じるのは、天井の高さや開放感があるところ。渋谷スクランブルスクエアはワンフロアの面積は決して大きくないものの、窮屈さを感じず落ち着いてお買い物が楽しめるのかな、と思いました。

 ITOL的注目ポイントは、新しい売り方に挑戦しているショップです。東急百貨店がプロデュースするファッションフロア「428-224(シブヤ224)」に入る「ハッピープラス(HAPPY PLUS)」は集英社が手がける新型コマースメディア。店頭に並ぶアイテムは雑誌の企画と連動しており、誌面掲載アイテムがその場で試着・購入できます。さらにECとも連動しており、ウェブで予約販売しているアイテムは店頭に試着サンプルを用意し、その場で試着・決済可能。手ぶらでお買い物ができるという、なんともイマっぽいお店!このスキーム自体はさまざまなところで試されていますが、百貨店管轄のフロアに導入というのが未来への一歩だなぁと思いました。

 店頭の商品をQRコードでスキャンすればいつでも店員とチャットしながらお買い物「エディフィス(EDIFICE)」やボディクリームや香水が買える自販機を設けた「ティファニー(TIFFANY& CO.)」など、いつものショッピングがちょっと便利で楽しくなる仕掛けがたくさん!駅直結という立地を生かし、サッと寄ってコンパクトに楽しめる施設になりそうです。

 本当は日本初出店の「モリ ヨシダ(MORI YOSHIDA)」(目がハート)やテイクアウトが嬉しい「ル・ショコラ・アランデュカス(LE CHOCOLAT ALAIN DUCASSE)」(カカオ中毒確定)など、スイーツについても書きたいことがあるのですが(笑)、これ以上雑多になるとただのOL日記になりそうなので続きは個人的に呟きます。通勤路ゆえ週5通いが確定しているので、ファッションニュースについて議論したいときはぜひ渋谷SSで待ち合わせしましょう。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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「東コレに伝えたい」デザイナーたちの本音 連載Vol.13 「開催時期が早い、遅いの問題ではない」

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏の「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月14〜19日に開催された。冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天にかわって初めてのファッション・ウイークとなるため、関係者からの注目は高い。しかし結局は、人を呼べるブランドが参加しないとファッション・ウイークは盛り上がらない。そこで、海外で活躍する日本人デザイナーや「RFWT」に参加するブランド、新進気鋭の若手らに「どんな東コレだったら参加したい?」というテーマで「RFWT」開催前にアンケートを実施した。10月28日の「WWDジャパン」東京ファッション・ウイーク特集発売の週まで、回答の一部を連載形式で紹介する。。今回は「ジュン オカモト(JUN OKAMOTO)」「モトヒロタンジ(MOTOHIRO TANJI)」「ユハ(JUHA)」「ユウキ ハシモト(YUKI HASHIMOTO)」「ナンバー(NO.)」が登場。

JUN OKAMOTO
岡本順デザイナー

 過去に東コレに参加し、多くの方に見てもらえてブランドの世界観を知ってもらえたところはよかったです。しかし現在は展示会を早めるブランドが国内で大半を占めてきており、現在のスケジュールのままで参加するのは難しいかなと思います。

MOTOHIRO TANJI
丹治基浩デザイナー

 東コレでショー形式の発表をし、PR効果はありました。開催時期や参加費、取材メディアの質やバイヤー誘致などで改善は必要ですが、また参加したいとは考えています。

JUHA
武長遼デザイナー

 今後は海外展開を進めるためにスケジュールの前倒しがブランドとして必要になります。現在の東コレの開催スケジュールでは、仮に参加してもバイヤーに展示会でアイテムを先に見せてから、ショーを行う順番になってしまいます。ブランドの提案をより強く伝えるためには、ショーを見てから展示会に来てもらう日程が理想です。

YUKI HASHIMOTO
橋本祐樹デザイナー

 東コレには参加したいです。しかし日本に帰国して間もないので、ショーを行うために必要な演出家やクリエイターにまだ出会えていないません。これからブランドが成長するとともにさまざまな人と仕事をする機会も増えていくはずなので、ショーのビジョンが具体的に見えてきたら東京でランウエイショーを開きたいです。

NO.
一宮武史ディレクター

 ファッション業界で目まぐるしく変化していく中で、東コレの開催時期が早い、遅いの問題ではなく、従来通りのスケジュールから変わろうとする姿勢がないことが問題。また渋谷ヒカリエなどショーに不向きな場所が公式会場ではブランドの個性が出せないのでは。

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バイヤーが語る2020年春夏のリアルトレンドVOL.4 リステア柴田麻衣子編 「“第3国”のバッグブランドがアツい!」

 2020年春夏ウィメンズの買い付けが一段落する時期を迎えている。海外コレクションでは、“ネイチャー”や“セブンティーズ”などの要素がシーズントレンドとして浮上したが、実際に日本の街で広がりそうなスタイリングやアイテムはどんなもの?連載最終回となる4回目は、リステアのクリエイティブディレクターであり、独自のスタイルに海外からも注目が集まる柴田麻衣子に聞いた。

WWD:20年春夏シーズンの買い付けを終えて、気になった要素や傾向は?

柴田麻衣子リステア クリエイティブディレクター(以下、柴田):“バック・トゥ・ザ・ルーツ”のムードが気になりました。ここ数年、ストリートの方向に振れていた「ヴァレンティノ(VALENTINO)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」などが、ブランド本来の強みであるエレガンスに立ち返っています。「バレンシアガ」のラストのクリノリンドレス、(ボーンを入れたままだと)座れないし車も乗れないのでリステアでは買いませんでしたが、価格は130万円前後と意外とリアリティーがある。「バレンシアガ」は3D計測を駆使したモノ作りなどもしていますし、原点に戻るとはいっても、ただ古いというのではない点がポイントです。「ヴァレンティノ」は、シャツ生地でクチュールのように繊細なプリーツやラッフルを表現していましたが、実はあの商品、コットン地なので価格は抑えめなんです。実際に売る商品はボリュームも少し抑えていました。そういった戦略もとてもうまいと感じます。“1970年代調”“フレンチシック”など、さまざまなトレンド要素はありますが、全体的にオリジンに立ち返るというムードを強く感じましたし、注目しています。

WWD:ストリートからのエレガンスへの回帰はここ数シーズンいわれている。実際に店頭でもそういった動きはあるか。

柴田:まだ過渡期だとは思います。(エレガンス回帰を象徴する)パンツスーツは、感度の高い層には既にストリートブームの頃のスニーカーやスエットトップスのような勢いで売れています。とはいえ、多くのお客さまにはまだまだこれから。パンツスーツを提案をし続けてはや数シーズン経ちますが、ようやくその流れがきそうだと感じています。パリコレなどの会場でも、スーツや三つぞろいなど、“きちんと服を着る”というムードが広がっていました。

WWD:印象的だったブランドは?

柴田:「飛び抜けてこのブランドに勢いを感じた、すばらしかった」というよりも、「いいブランドがたくさんあった」という印象のシーズンです。前述の「バレンシアガ」「ヴァレンティノ」もよかったですし、LVMHと提携して初めてのショーだった「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」の、“ブランド史上最高にサステナブル”なコレクションもよかったです。若手だと、「ロク(ROKH)」は成熟とブランドのオリジナリティーの両方を感じて印象に残っています。

WWD:バッグやシューズの傾向は?

柴田:バッグは“第3国”のブランドが面白いです。“第3国”という表現が正しいかは分かりませんが、フランスやイタリア、ニューヨークなどのファッションキャピタル発のブランドではなく、北欧やオランダなどのブランド。スウェーデンの「リトル リフナー(LITTLE LIFFNER)」のビッグトートやオランダ発の「ワンドラー(WANDLER)」のバッグはパリコレ中に非常によく見かけました。(消費者は、ラグジュアリーブランドなどがインフルエンサーに対して行う)あからさまなバッグのギフティングにもうへきえきしているんじゃないですか?それで、遊びがあって価格は4万円前後、高くても10万円で、さらにサステナブルという、こうしたブランドを求める傾向が強まっているんだと思います。以前は、これらのブランドはラグジュアリーを好む人には品質的に物足りない部分もありましたが、今はそんなこともありません。デザインでいえば、バッグは超ミニサイズと超ビッグサイズの二極化が引き続き進行中。シューズはスクエアトウが広がっています。

WWD:北欧はサステナビリティ先進国でもある。

柴田:例えば、デンマーク発のトータルブランド「ガンニ(GANNI)」を19-20年秋冬からリステアで販売していますが、すごく売れています。買いやす価格なうえにサステナブルな点が支持されている。サステナビリティに関してはラグジュアリーブランドもいろいろと仕掛けていますが、その下のゾーンの「ガンニ」のようなブランドも戦略を持ち、SNSなどを駆使しながら市場を広げています。いわゆるコンテンポラリーのゾーンを、こうしたブランドがどんどん取っていっている。サステナビリティに関しては私自身も初心者ですが、お客さまに(サステナビリティを)無理に強いるのではなく、選択肢として提示したいと考えていますし、お客さまも2つあるなら罪悪感の少ない方を選ぶ、といった傾向になっていると思います。

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最旬の惣菜&スイーツが集結した「渋谷スクランブルスクエア」の食の見どころは? テイクアウト編

 11月1日に、渋谷の新ランドマークとなる駅直結の複合施設「渋谷スクランブルスクエア」がオープンする。食・ファッション・交流の“世界最旬宣言”をテーマに掲げ、いずれのカテゴリーもワンランク上の“本物”を数多くラインアップ。地下2階にデリ、ベーカリー、イートインからなる約1240平方メートルの食のエンターテインメント空間を、1階に最旬のスイーツを集めた「スイーツパビリオン」を設けた。話題の施設の食の見どころをレポートする。

 一日に約330万人もの乗降客が利用する駅に直結する「渋谷スクランブルスクエア」は、近隣の住民やオフィスワーカーはもちろん、国内外の観光客をも満足させるバリエーションに富んだ食をそろえた。テイクアウトの惣菜&スイーツが集結した地下1、2階「東急フードショーエッジ」においても、前身のフードショーで培ったノウハウとバイヤーの手腕が光っている。

地下2階は世界に開かれた
食のエンターテインメント空間を実現

【参和院】

 台湾で人気の創作レストランが、テイクアウト専門店として日本初出店。胡麻ペースト餡を包んだ“パオ・パンダ”や、チャーシューがたっぷり入った“パオ・ハリネズミ”、紫芋の餡に香ばしい胡桃を入れた“パオ・ピンクきのこ”など、目にも楽しいオリジナル包子がそろう。

【ピースカフェ ハワイ】

 日本人が選ぶハワイのカフェランキングで1位を獲得し、地元のグルメ誌でも高い評価を受けているヴィーガンカフェがデリの業態で日本初出店。“美味しい!楽しい!ヘルシー!”をコンセプトに、ハワイ×和食料理人の感性と技術を生かしたハワイアン精進料理を提供。お惣菜のほか、カスタマイズできる弁当やスムージーなども楽しめる。

【ティエリー マルクス ラ ブーランジェリー】

 パリのミシュラン2つ星レストラン「シュール ムジュール パール ティエリー・マルクス(SUR MESURE PAR THIERRY MARX)」のティエリー・マルクス総料理長監修のベーカリーが日本初出店。親日家である同氏が日本の巻き寿司からヒントを得たというロールサンドや特大ブリオッシュ“ブリオッシュ フィユテ”など、目にも楽しい商品が並ぶ。

【金粂】

 豊洲市場仲卸「尾粂」の強みを生かした「金粂」の新業態も出店。新鮮な食材を用いた魚食の惣菜、弁当を提供する。テイクアウトのほかに、イートインも併設。せいろ飯は、オリジナル出汁をかけてお茶漬けとしても楽しむことができる。

1階スイーツゾーンは
流行・話題性、上質・本物を追求

【モリ・ヨシダ・パリ】

 世界中から注目を集める日本人パティシエ、吉田守秀が手掛ける「モリ・ヨシダ・パリ(MORI YOSHIDA PARIS)」が日本初出店。美しいドレープを描く“クレームモンブラン(918円税込)”を始め、メイプルシロップが口の中に広がる“ケークエラブル”、レモンの香りと生地の食感が特徴の“ケークシトロン”などを取りそろえる。

【ル・ショコラ・アラン・デュカス】

 数多あるショコラティエの中でも高い支持を集める「ル・ショコラ・アラン・デュカス(LE CHOCOLAT ALAIN DUCASSE )」が出店。世界12の産地のカカオを使った人気のタブレットやボンボンショコラ、ソフトクリームのほか、「渋谷スクランブルスクエア」限定のケーキなどを提供する。

【エシレ・パティスリー オ ブール】

 フランス産発酵バター・エシレを使った焼菓子が楽しめる「エシレ・パティスリー オ ブール(ECHIRE PATISSERIE AU BEURRE)」が、伊勢丹新宿本店に続きオープン。キッチンスペースを併設し、焼きたての商品も提供する。ここだけでしか買えないカヌレには、一般的なカヌレの3倍ものバターを贅沢に使用。ワンランク上のお土産として人気を集めそうだ。

【エディターズ チェック】
消費税率の10%への引き上げに伴い軽減税率制度も導入され、テイクアウトもその対象に。日本初出店、新業態などがひしめく食品売り場からは、テイクアウトに対する意気込みが強く感じられた。地下1階には「紀ノ国屋(KINOKUNIYA)」が入店しており、生鮮食材や調味料、アルコール類もそろうため、「渋谷スクランブルスクエア」内で買い物を完結させることも可能だ。上質にこだわりつつも、コロッケや唐揚げなど、日常の食卓を彩ってくれる惣菜店も充実しているのがうれしいところ。渋谷の新たな胃袋として、特別な日と日常の両方を満たしてくれる食品ゾーンの展開に注目したい。

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2020年春夏トレンド分析Vol.2 ピエロルックが台頭の兆し

 トレンドのメインストリームである“ボリューム感”からの自然な流れなのか。もしくは、デザイナーたちは、映画「ジョーカー」の世界的大ヒットを予想していたのか。

 2020年春夏コレクションでは、ダークなコメディー的要素がデザイナーたちのクリエイションを再び刺激したようだ。「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」のシックなピエロから、「ニナ リッチ(NINA RICCI)」のアイコニックな特大ハット&襟元、「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」の幾重にも重ねた繊細で軽やかなチュールストール、「アティコ(ATTICO)」のカラフルなスパンコールドレスまで。ピエロ風ルックは20年春夏コレクションの至るところに見られた。

 このスタイルが気になる人は、“Harlequin Hadid”と入力して検索してみるといい。ジェレミー・スコット(Jeremy Scott)が画家パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)の名画にインスピレーションを受けたという「モスキーノ(MOSCHINO)」のピエロルックをまとい、完璧なまでの美しさを披露しているベラ・ハディッド(Bella Hadid)の姿を見ることができるだろう。

 春は気分も上向く季節。スタイルにも遊び心を取り入れて街に繰り出したい。

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モナコ王室御用達ジュエラー「レポシ」3代目が語る「ジュエリーとサステナビリティ」

 モナコ王室御用達ジュエラー「レポシ(REPOSSI)」のアーティスティック クリエイティブディレクターであるガイア・レポシ(Gaia Repossi)が来日した。同ブランドは1920年にイタリアのトリノで創業。ガイアは創業者の孫になる。77年にモナコ・モンテカルロに旗艦店をオープンし、86年にモナコ王室御用達のジュエラーになった。2015年にはLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESY LOUIS VUITTON)とパートナーシップを結び、グローバル展開を加速し、19年に同グループ傘下に入った。今年8月には伊勢丹新宿本店4階にショップをオープン。来日したガイア・レポシにブランドやクリエイションについて聞いた。

WWD:「レポシ」はイタリア・トリノ発のジュエラーだが、モナコ発の印象が強い理由は?

ガイア・レポシ(以下、レポシ):レポシ家はカーラ・ブルーニ(Carla Bruni)のテデスキ (Tedeschi) 家やフィアット(FIAT)を所有するアニエッリ(Agnelli)家と同様、トリノが本拠地でブランドは私の祖父がトリノで1920年にアトリエを開設したのが始まり。その後、トリノに出店したけど、78年にモナコ・モンテカルロに、85年にフランス・パリに出店したからモンテカルとパリで育った。だから、モンテカルロにはとても愛着があるし、私たち一族はモナコの王室ともとても深い関係がある。

WWD:伊勢丹新宿本店にショップがオープンし、日本でも本格的な展開が始まった。日本市場に期待することは?

レポシ:日本市場はとても成熟していて、エレガントで洗練されている。日本の生活様式やデザインなどに見られる審美眼は私のデザインに共通するところがある。日本のイメージはモダンで革新的。消費者は教養があり文化的なことにも関心が高いので、私のシンプルで革新的なデザインを楽しんでもらえると思う。

WWD:「レポシ」が他のジュエラーと違う点は?

レポシ:洗練度の高さと美的な強いメッセージがある。未来のジュエリーを打ち出している点。多くのブランドは表面的すぎる。

WWD:「レポシ」のブランド哲学は?

レポシ:嘘がないこと。未来のジュエリーを正確に、直接的に作品で表現している。サステナビリティという繊細な価値も必要になってきているし、今はメディアやブランドが多いので強いメッセージの発信が必須だと思う。

WWD:ジュエリーをデザインする際のインスピレーション源は?

レポシ:あらゆることからインスピレーションを得ている。写真や絵画などのビジュアルアーツから常にインスパイアされるし、小さなオブジェのこともある。それ以外でも女性だったり、ストリートだったり、日本だったり。素材を集めて、それから言語を組み立てるようなもの。難しいのは、それを技術的に可能にすること。新しいサンプルを見るときが一番ワクワクする。

WWD:ファッションとジュエリーの関係についてどう思うか?

レポシ:ジュエリーはファッショナブルであるべき。そして、未来を見る目に応えるべきもの。そして、決して安っぽくてはならない。最近ではサステナブルかどうかという問いが多い。ジュエリーはコスチュームジュエリーと比べると確実に長持ちする。ジュエラーは生態学者にならなきゃ。鉱物を枯らさないためにも鉱山をやたら掘り返すのはよくない。サステナビリティは新しいトピックで、動物や環境などさまざまな項目があるけど、LVMHが解決策を練っているはずよ。サステナビリティに関する期待は高いけど、必ず犠牲は伴うもの。

WWD:競合ブランドは?

レポシ:ないわ。「レポシ」はものすごくユニークなブランド。クラシックなジュエラーとは違うわ。

WWD:生産はどこで行っているか?

レポシ:100%ヨーロッパで生産している。80%は今でもイタリアで生産しているし、その中には祖父が作ったアトリエもある。イタリアの職人はゴールドの加工が得意だから。一方でハイジュエリーは全てフランスの職人が手仕事で仕上げる。彼らはまるで彫刻家のよう。私は考古学を学んだから、フランスの職人が持つ文化的財産を守るべきだと思う。私の使命は、歴史を保ちつつ常に未来を見ること。

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「MSGM」の2020年春夏はブランドのDNAを凝縮 10周年を祝うカラフルでエネルギッシュなコレクション

 マッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Giorgetti)=クリエイティブ・ディレクターが2009年に立ち上げた「MSGM」は、今年10周年を迎えた。ミラノ・ファッション・ウイークで発表された2020年春夏ウィメンズ・コレクションは、それを記念したもの。ファッションショーで使われるのは初めてだというトリエンナーレ・デザイン美術館の庭園を会場に、暖かな日差しが降り注ぐ中、カラフルでエネルギッシュなショーを見せた。

回顧的ではなく
未来を見据えたコレクション

 ショー直前のバックステージで、数多くのメディアからの取材に対応するマッシモは、「10周年を迎えることができて、とても嬉しいし、誇らしい。このコレクションは10年間を称えるようなもので、一つ一つのルックから『MSGM』のDNAを感じてもらえると思う。ボウ(リボン)やラッフル、フリンジといったディテールから、ツイードやレース、フラワープリント、タイダイなどの素材、そして鮮やかな色使いまで、ブランドのシグネチャー的な要素をちりばめているからね。ただ、回顧的なものではなく、未来を見据えている」と話した。

 その言葉通り、コレクションは「MSGM」らしいポップでガーリーな雰囲気を漂わせつつも、その女性像が10年を経て成長してきたようにも感じさせるものだった。ショーは、チェックツイードのコートに大きなボウタイ付きのポプリンシャツを組み合わせたルックからスタート。その後も、透け感のあるシルクオーガンジーのドレスと素朴さを感じさせるローゲージニットを重ねたり、フェミニンなラッフルとパフスリーブを配したトップスにサイクルパンツにタイトなデニムショーツを合わせたり。ラストには、総レースで仕立てたテーラードルックと、裾をフリンジ状に仕上げたツイードのドレスやコートを披露し、大人の階段を上る「MSGM」ガールのイメージを際立たせた。

 ゼロからミラノ・ファッション・ウイークに欠かせないブランドを確立したマッシモは、10年の間に「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」のクリエイティブ・ディレクターを経験。さまざまなコラボレーションを手掛け、今年5月には個人のプロジェクトとしてアートの支援活動もスタートさせるなど、彼自身も成熟してきた。正直なところ、近年は少し難解で共感しづらいコレクションもあったが、今シーズンは昔からのファンが求めるような「MSGM」らしさ満開。「これまでで初めて、映画や音楽、アート作品といった具体的なインスピレーションがないシーズンなんだ。考えたのは、純粋に『MSGM』らしいということだけ」と語るように、その潔さが魅力的なコレクションを生み出したのだろう。

ウエアにリンクする
印象的なアイメイク

 コレクションを最大限に引き立てるヘアメイクを担当したのは、メイクアップアーティストのリンジー・アレキサンダー(Lynsey Alexander)とヘアスタイリストのジャワラ(Jawara)だ。メイクのキーワードは、「ヤング&フレッシュ」「コンテンポラリー」「ロースキン」。「M・A・C」の“ストロボクリーム”で若々しく透明感のある肌を作り、クリームアイシャドウ“ペイント ポット”をチークとして使うことで立体感を加えた。そこにアクセントを加えるのは、ウエアにリンクする鮮やかなカラーのアイメイク。赤や黄色、ピンク、青、黒などのジェルクリームアイライナー“クロマライン(CHLOMALINE)”を使い、まぶたにブロックのようなラインを描いた。

 一方、ヘアのインスピレーションは、寝過ごした時のようなスタイル。ヘアアイロンで作るゆるいウェーブをベースに、前髪はそれぞれのモデルの個性を生かした。マッシモからのリクエストは、「エフォートレスで完璧過ぎないヘア」とジャワラ。「1週間くらい洗っていないようなクールな光沢が特徴。動きがあって、少しグリーシーな雰囲気のルックに仕上げた」という。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める

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2020年春夏の新トレンド“ヴィクトリアン”を先取り! “姫ワンピース”はロンドン女子がお手本

 古風な英国“ヴィクトリアン”のムードが盛り上がったのは、2020年春夏ロンドン・ファッション・ウイークの目立った新傾向でした。ショー会場に現れたファッショニスタたちもこの動きを先取り。フリルやロング丈が特徴の“姫ワンピース”をまとっていました。英国から火がついたヴィクトリアンは、来春夏の大きなトレンドに育ちそうな予感があります。

 英国ブランドの「アーデム(ERDEM)」は2020年春夏のショーで、クラシックなワンピースを繰り返し披露しました。レディーライクがトレンドの今、その起源を時代的にさかのぼるのは自然な流れです。ヴィクトリアンはヴィクトリア女王が在位した1837~1901年当時のファッションを指します。フリルや刺しゅう、レースを施した装飾のほか、コルセットで絞ったウエスト、腰周りを膨らませたロングスカートなどが象徴的で、現代のゴシックロリータに通じる装いです。

 でも、当時の装飾性をそのままワンピースに落とし込むのでは、リアリティーがありません。フェミニンが過剰になるのを避けて、ヴィクトリアンをモダンにアレンジするのが20年春夏の着こなし方です。一足早くヴィクトリアンを自分流にスタイリングしていた来場者のコーディネートには、ロンドンらしいウィットがあふれていました。トレンドを先取りの彼女たちのスタイルを見ていきましょう。

お嬢さまとダンディーを
クロスオーバー

 襟や裾をフリルやラッフルで飾るのは、ヴィクトリアンの象徴的な演出です。ロマンティックな花柄で彩られたマキシ丈ワンピース、その上からダブルブレストのテーラードジャケットを羽織ってマニッシュに締めるのは、鉄板の合わせ技です。姫ワンピースを自分のものにするには、まずこのコーディネートが入門編として取り入れやすいでしょう。写真の女性はヘアピンを添えてトレンド感をアップ。足元にはトラッドなローファーを合わせて、お嬢さまテイストをハズすのが今の気分です。

前開けと袖まくりで“こなれ感”演出

 布をたっぷり使ったマキシ丈ワンピースは“姫感”もマックス。シャツワンピースは正面を全部開けられるので、この写真の女性のようなスリット風の見せ方も可能です。堂々とした脚見せは、凜々しいワンピース姿に導いてくれます。裾からのぞかせたのは、レースアップのコンバットブーツ。さらにテーラードジャケットを重ねることで、女っぽさを薄めています。たくし上げたジャケットの袖先からワンピースの袖を見せて、ラフに着崩しました。華やかなドレスをデイリー使いするときのお手本になりそうです。

ジャケット × ブーツで凜々しく

 ヴィクトリアンムードを取り入れるときは、ロマンティックになり過ぎないよう、ジャケットとブーツといったクールなアイテムで全体を整えるのがこなれた雰囲気に仕上げるコツです。この写真の女性はロング丈のブラウスとスカートのコーディネートですが、ワンピースのようにも見える着こなしです。これはワンピース見えするセットアップなどでも使える手です。ノーカラーのジャケットを重ねることで、きりっと感をプラス。ロングブーツで脚を隠す小技は今秋冬にヒットする兆しが見えています。

紳士とストリートの逆ムードを
サンドイッチ

 裾のフリルが愛らしいコットンワンピースは、ノスタルジックな雰囲気です。淡いグリーンも夢見心地の甘口テイスト。だから、スイートになり過ぎないよう、チェック柄のジャケットで英国トラッド調のスパイスを投入しました。さらに、ダッドスニーカーでストリートテイストもミックス。服のボリュームとスニーカーの量感は、チラリとのぞく足首を細く見せてくれる効果も発揮しています。甘め服にはこのような“上下サンドイッチ技”を使うと、狙い通りに印象をコントロールできます。

CPOジャケットとアウトドア靴で
甘さダウン

 ミリタリー由来の“CPOジャケット”をスタイリングに取り入れる、おしゃれ上手な女性が街に急増中です。CPOジャケットはシャツとジャケットの長所を兼ね備えているため、“シャケット”とも呼ばれています。ざっくりラフに着られるうえに、ちょっとした温度調節にも便利なアイテムです。風をはらむ薄手ワンピースははかなげなムードを帯びるので、過剰なガーリー感を遠ざけるうえでは“CPOジャケット”のようなミリタリー系ウエアとのマッチングが効果的。ごつめのトレッキングブーツもワンピースの甘さをトーンダウンしています。

 ヴィクトリアンな姫系ワンピースは、ロリータ感があって着るのをためらいがちですが、ロンドン女子を見習って異なるテイストをミックスすれば、大人も着こなしに取り入れやすくなります。クラシックの流れは20年春夏に向けてさらに勢いづいているので、姫系ワンピースもこれからどんどん人気が広がる気配。ロンドン流のテイストミックスで、着こなしレパートリーに加えてみては?

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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渋谷スクランブルスクエアの展望スポットは財布のヒモ緩む ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

P.4:「渋谷駅直結の渋スク、『高級駅ビル』の勝算」

読み解きポイント:観光で必ず立ち寄りたくなる展望スポットは、集客と収益のドライバー

ニュースのポイント

 2027年まで続く渋谷再開発プロジェクトにおける前半最大のハイライト「渋谷スクランブルスクエア 東棟」が‪11月1日‬に開業。高さ230m・47階建手のビルはオフィス、商業エリアで構成。屋上展望台は、ライゾマティクスがインタラクティブな空間を演出。ターゲットは、訪日客・観光客、オフィスワーカー、周辺の富裕層など幅広い。

CKRはこう読む!

 「屋上展望台:入場料2000円、年100万人の来場を見込む」。集客と収益のドライバーとなる展望デッキは、優良な観光資源ですね。私も観光に出かけると、必ず展望台に登ってしまいます。街の風景を高いところから一望したくなる人は、多いのではないでしょうか。

 そういえば、海外で登った展望台やクーポラの入場料、まったく覚えていません。財布の紐が勝手に緩んでいます。ということで、今回は、日本と世界の展望スポットの入場料について、調べてみました。

 ドバイのブルジュ・ハリファは、入場料370ディルハム(約1万900円)、高さ828メートルと、料金も、建物の高さもケタ外れですね。

 渋スクは、スカイデッキとして、料金、高さの面で、マリーナ・ベイ・サンズ(入場料は23シンガポールドル(約1800円)、高さ200メートル)と肩を並べそうです。国内だけでなく、世界の観光客がターゲットである渋谷のランドマークとなる渋スクは、「スクランブル交差点を見下ろすことのできる絶景スポット」「映像と音響で高揚するエレベーターでの移動体験」「230m上空でハンモックに寝そべりながら空を見上げることのできる空間」であることを考えると、財布の紐が緩む観光客をターゲットにした場合、今後、さらに強気なプライシングという可能性もありそうですね。

世界の展望スポット(料金順)

■ブルジュ・ハリファ/148階(UAE/ドバイ):入場料(370ディルハム、約1万900円)、高さ(828m)
■上海タワー/126階(中国):入場料(360元、約5500円)、高さ(632m)
■OUEスカイスペース(米国):入場料/滑り台(42ドル、約4500円)、高さ(300m)
■エッフェル塔(フランス):入場料(25.5ユーロ、約3000円)、高さ(276m)
■フィレンツェ・ドゥオーモ・クーポラ(イタリア):入場料(20ユーロ、約2400円)、高さ(107m)
■自由の女神(米国):入場料(21.5ドル、約2300円)、高さ(80m)
■ブリティッシュエアウェイズi360(英国):入場料(16ポンド、約2200円)、高さ(162m)
■ピサの斜塔(イタリア):入場料(18ユーロ、約2100円)、高さ(55.86m)
■台北101(台湾):入場料(600台湾ドル、約2100円)、高さ(382m)
■ペトロナス・ツインタワー(マレーシア):入場料(80リンギッド、約2000円)、高さ(370m)
■オスタンキノ・タワー(ロシア):入場料(1200ルーブル、約2000円)、高さ(337m)
●渋谷スクランブルスクエア(日本):入場料(2000円)、高さ(230m)
■マリーナ・ベイ・サンズ(シンガポール):入場料(23シンガポールドル、約1800円)、高さ(200m)
■凱旋門(フランス):入場料(12ユーロ、約1400円)

日本の展望スポット(料金順)

■東京スカイツリー/展望デッキ/展望回廊:入場料(3100円)、高さ(450m)
■東京タワー/トップデッキ:入場料(3000円)、高さ(250m)
■東京シティビュー/スカイデッキ:入場料(2300円)、高さ(238m)
●渋谷スクランブルスクエア(日本):入場料(2000円)、高さ(230m)
■清水寺:拝観料(400円)、高さ(12m)
■東京都庁舎/展望室:入場料(無料)、高さ(202m)

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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「東コレに伝えたい」デザイナーたちの本音 連載Vol.12 「参加ブランドの新陳代謝を図る施策に期待」

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏の「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月14〜19日に開催された。冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天にかわって初めてのファッション・ウイークとなるため、関係者からの注目は高い。しかし結局は、人を呼べるブランドが参加しないとファッション・ウイークは盛り上がらない。そこで、海外で活躍する日本人デザイナーや「RFWT」に参加するブランド、新進気鋭の若手らに「どんな東コレだったら参加したい?」というテーマで「RFWT」開催前にアンケートを実施した。10月28日の「WWDジャパン」東京ファッション・ウイーク特集発売の週まで、回答の一部を連載形式で紹介する。今回は「ロキト(LOKITHO)」「ニアーニッポン(NEAR.NIPPON)」「フミク(FUMIKU)」「アモク(AMOK)」「リベルム(LIBERUM)」が登場。

LOKITHO
木村晶彦デザイナー

 開催時期が3月はいいとしても、10月は遅すぎる。公式会場はもう少し趣のある場所か、もしくはテントでもいいかと思います。

NEAR.NIPPON
深山拓也デザイナー

 現在の開催時期では、売り上げがしっかり取れる展示会時期と合いません。バイヤーもすでに取り引きがあるバイヤーしか来ていない印象があります。

FUMIKU
林史佳デザイナー

 ブランドのファーストコレクションで参加し、知名度が上がりました。東コレを通じてたくさんの方と知り合えたことが私にとって大きな財産です。

AMOK
大嶋祐輝デザイナー

 まだ参加したことはありませんが、東コレでたくさんの先輩を見てこの世界に入ったので思い入れは強いです。ファッションの歴史は更新されていくもの。次の世代が盛り上げ、多種多様な新しい表現を見せてまた次の世代につながないといけません。もし「アモク」が東コレに参加する機会があるならば、そんな役割を担う表現に挑戦したいです。

LIBERUM
光岡慎介デザイナー

 同じ会場ばかりで行われるショーは味気がないです。人気ブランドやアップカミングなブランドがもっとたくさん参加すればバイヤーも来場し、自ずと後継は続くはず。そういう意味で、ブランドの新陳代謝を図る施策に期待しています。

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バイヤーが語る2020年春夏のリアルトレンドVOL.3 ファッションディレクター中島英恵編 「進化形トレンチコートがヒットの予感」

 2020年春夏ウィメンズの買い付けが一段落する時期を迎えている。海外コレクションでは、“ネイチャー”や“セブンティーズ”などの要素がシーズントレンドとして浮上したが、実際に日本の街で広がりそうなスタイリングやアイテムはどんなもの?連載3回目は、阪急うめだ本店の自主編集売り場であるDラボ、Dエディットのアドバイザーや、ECストライプデパートメントのバイヤーを務めるファッションディレクター、中島英恵に聞いた。

WWD:2020年春夏の海外コレクションではどういった傾向やスタイルに注目したか。

中島英恵(以下、中島):全体的にエレガントになっています。ナチュラルムードのリラックススタイルが広がりましたが、エフォートレス(肩の力の抜けた雰囲気)というのではなく、あくまでエレガントで女性らしいのが来春夏の傾向です。「ジル サンダー(JIL SANDER)」「クロエ(CHLOE)」「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」などがナチュラルなエレガンスの代表格。色は白が基調となりますが、小花柄などは地をダークトーンにすることで甘さや子どもっぽさを抑えています。ナチュラルと共にもう一つ気になったのが、1970年代のムード。フレンチシックを進化させたきれいめのセブンティーズが広がっています。柄では「セリーヌ(CELINE)」で出ていたような花柄が支持されそうです。

WWD:実際に店頭でヒットしそうなのはどんなアイテムか。

中島:前述したナチュラルとトラッド(70年代調)の2軸を組み合わせて、モダンにこなすスタイリングが主軸になりそうです。アイテムでは、テーラードジャケットや進化形トレンチコート、サファリ調のディテールが気になっています。フェミニンなスタイルには欠かせないドレスも継続。ボウタイやラッフル、ギャザーなどをポイントにしたブラウスのバリエーションも売れそうです。ジャケットとゆるやかなドレスのコーディネートや、フェミニンなブラウスとサファリ調アイテムの組み合わせなどが広がりそうです。ジャケットは着こなすのが難しいという声もありますが、ワントーンのスタイリングにジャケットを羽織るなどして、バランスを意識して提案するのがカギになります。

WWD:特に注目したブランドは?

中島:若手で良かったのは「ロク(ROKH)」。ブランドのアイコンのトレンチコートにレザーパッチなどを合わせて、エレガントで強いスタイルを提案していました。「マリーン セル(MARINE SERRE)」「キムへキム(KIMHEKIM)」なども含め、ファッションを楽しんでいる感じが強く出ている若手に期待しています。一方で、ベテランの「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」は独自路線を突き進んでいて非常にパワフルでしたし、展示会に行くとリアリティーがあって売れそうなアイテムもたくさんありました。ベテランでは「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」なども良かったです。

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小島健輔リポート ECサイト停止で露呈した「リスク管理能力なき拡大」の危うさ

 ファッションビジネスのコンサルタントとして業界をリードする小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。システムの不具合でECサイトを一時休止する動きが相次いだが、その背景には何があるのか。

 不正アクセス防止のめどが立たず3カ月で廃止されたセブン&アイ ホールディングスのスマホ決済サービス「セブンペイ(7PAY)」の衝撃も収まらないうちに、ユナイテッドアローズが公式ECサイトの自社管理への切り替えに行き詰まって利用停止に追い込まれ、元の委託先であるZOZO傘下のアラタナに再委託を頼み込んだ。小売業やアパレルのECはこのまま拡大して大丈夫なのか、リスク管理能力はあるのか、という懸念を抱かざるを得ない。

丸投げ外注・委託でリスク管理できるはずがない

 「セブンペイ」でも指摘されたが、大手小売業やアパレルのシステム開発・運営は外部委託がほとんどで、運営要員まで丸ごと開発会社からの出向というケースも少なくない。システム部隊の管理職は社員でもエンジニアは出向か派遣で、管理職社員もERP(管理会計統合システム)畑の人ばかりだから、ECとのトランザクション(デジタルの一連の処理)に明るいわけがない。ましてや、その管理職社員が提出する計画や報告を理解しリスクを管理する能力が経営陣にあるかというと、これらの迷走を見る限り相当に疑わしい。

 昨今は数字と人事だけでスマートに管理して現場を見ない経営陣も多く、ECに限らず実務に通じていなくても泳いでいけそうだが、何かを大きく変えようとすると事態は一変する。

 どの分野でも、アウトソーシングを続けると内部の機能が衰えて自分ではできなくなり、経営陣も業務の詳細は分からなくなっていく。商品の開発・生産や物流を商社など外部に依存してきた製品仕入調達(対極は工賃払い調達)のアパレルなど、モノ作りのプロセスも自社倉庫に入るまでの物流も見えてはいない。ましてや社内で内製・運営したことのないECシステムの実態など分かるはずもなく、大きく変えるとなると委託先に運命を託すしかない。ブラックボックスのリスク管理には限界がある。

 東京・二子玉川の楽天本社に行くとインド人エンジニアの大群に度肝を抜かれるが、大手の小売業やアパレルでそんなシーンは見たことがない。長期間のサイト停止など現場の技術と経営陣のリテラシーの欠如を露呈した会社には、もちろんエンジニアチームなど存在しない。今回、ECサイト停止を余儀なくされたユナイテッドアローズとて、それは同様だ。

 そんな脆弱な外部依存体制のまま、公式サイトの運営を自主“管理”(自社開発・直接運営なんてエンジニアチームを抱えないままでは絶対に無理)に切り替えようとして行き詰まったのが今回のケースで、その計画段階から私をはじめ外部の専門家は実現をいぶかっていた。

もとより計画が甘すぎた

 ユナイテッドアローズの基幹システムはアクセンチュアだから、システム連携を重視して今回の公式サイト「ユナイテッドアローズ オンラインストア(UNITED ARROWS LTD. ONLINE STORE)」のECシステムのリプレースも同社にプロジェクトを任せ、その管理下でエスキュービズムが「ECオレンジ」をベースに開発を進めていたと聞いている。現システムからのデータ移管や店舗販売との連携などさまざまな要求を盛り込もうとして開発作業の遅延を重ね、公開稼働のめどが立たなくなったのだろう。

 サイトを停止した9月12日はアラタナとの運営委託契約の終了日で、当初は10月中には新システムが稼働して再開できると見て一時停止に踏み切った。しかしその後も遅延は解消できず、停止期間が2カ月半に及んで背に腹は代えられなくなり、一度は契約を切ったアラタナに頭を下げて再開にこぎ着けた。

 実際、ユナイテッドアローズの前期(2019年3月期)EC売り上げは12%増の263億3600万円とその比率は単体売り上げの20%に達し、直近4〜6月期も14.5%増でEC比率は同20.8%に上昇している。今期(20年3月期)も前期並みの伸び率で295億円、うまくいけば300億円の大台を狙えたはずだが、自主管理への移行による一時停止や混乱を織り込んで7.6%増の283億4100万円と低めの伸びを想定していた。

 それが、想定を超えた遅延でEC売り上げの27%を占める(直近4〜6月期実績)公式サイトの停止期間が3カ月に迫り、「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」などモールサイトにEC在庫を振り向けてカバーしたものの、単純計算で20億円近い売り上げが失われかねない状況を放置できなくなった。

 加えて近年の衣料品購入は、ネットで情報を得て店舗に取り置いたり店舗で購入するウェブルーミングや、店舗で興味を持った商品の情報をネットで見たりネットで購入するショールーミングが一般化している。自社公式サイトが機能しないとこの仕組みが使えず、停止が長引けば店舗売り上げにも響いてくる。実際、同社の9月店舗売り上げは他社が消費増税前の駆け込みで売り上げを伸ばす中も2.2%減少している。

 もとより100億円級から先々500億円級への拡大を図るユナイテットアローズの公式サイトを、中小サイトでも使われている「ECオレンジ」をベースに構築することを危惧する声はあった。それが決定された経緯にも経営陣のリスク管理能力が疑われるが、その採算計画にも無理があったのではないか。

 「ゾゾタウン」黎明期から有力セレクトショップ企業は格別に優遇されてきた。ユナイテッドアローズの「ゾゾタウン」店舗も後発出店企業に比べれば格段に低い手数料率だが、公式サイトの受託手数料はもう一回り低率で、アラタナ(ZOZO)にとってはほとんど出血サービスだった。それを自主管理に切り替えて宅配出荷も自社物流施設で行うようにした場合、果たして採算はとれるのか。

 公式サイトの売り上げは前期で67億円だったと見られるが、「楽天ブランドアベニュー」や「アマゾン(AMAZON)」の売り上げをドロップシッピングで自社出荷するなら今期で117億円ほどの扱い高になる。アパレル小売業ECの損益事例から推察する限り、この取り扱い規模では運営経費率を23%ほどに抑えるのが限界で、20%を下回るには売り上げを300億円近くまで伸ばさねばならない。なのに、切り替え初年度からアラタナ委託より採算が改善されるという計画で踏み切っているから、その採算計画自体が甘かったといわれても仕方ないだろう。

 ユナイテッドアローズの契約打ち切り、そして再契約の懇願という迷走を見て、アラタナ(ZOZO)ははらわたが煮えくり返る思いだったと推察されるが、そんなユナイテッドアローズが売り上げに占めるEC比率を2割、3割と増やしていってよいものだろうか。それに見合うリスク管理能力はあるのだろうか。

ケイパビリティーが問われる

 ユナイテッドアローズの迷走を同業のEC責任者たちはどう見ているのだろうか。「明日はわが身かも」と冷や汗をかいているのが本音だろうが、異口同音に指摘しているのがエンジニアチームの不在とケイパビリティーの欠落だ。

 ケイパビリティー(capability)とは「organizational capabilities」の略で、組織の全体的能力をいう。この場合は、組織内部に問題処理能力があるか、経営陣が内部と外部の連携課題を理解してリスクを管理する能力があるか、という使われ方になる。「リテラシー」が理解や認識を意味するのに比べると、もっと実務スキル寄りの概念で、「組織総体でやり切る力量」と捉えられる。

 近年のシステム構築はプログラムを逐一書いてスクラッチするのではなく、オープンソースの構築システムをベースに多様なアプリケーションユニットを組み込むのが主流だから、エンジニアにも各ユニットの機能やファイル構造をつかんで繋ぎ込んでいくスキルが問われる。それだけに、エンジニアのキャリアやスキルを熟知してチームをどう構成するかで「ケイパビリティー」も決まってしまう。採用や待遇も含め、エンジニアチームを組織してマネジメントする企業力の勝負になる。

 8月9日から9月12日まで34日間の停止に追い込まれたアダストリアの自社ECサイト「ドットエスティ(.ST)」の場合、内部にITに通じたシステムインテグレーターチームがいても、システム改修を委託した外部との連携に齟齬が生じたのが原因だが、ユナイテッドアローズの場合はどこまで管理できていたのだろうか。

 自社EC比率の高さや売り上げ規模を誇るアパレル事業者のほとんどは、公式サイトのシステム開発と運営を外部委託しており、ECモール出店より一回り高い利益率を享受していても、今回のような事態を回避するリスク管理能力はない。私の知る限り、内部にエンジニアチームを抱えてシステムの改修やメンテナンスができる(それでも大規模再構築には外部のエンジニアリングが必要)のは数社しかない。

 小売企業が「ECを本業にする」とか「ECで半分を売る」とか豪語するのなら、拡大したECのシステムリスクを担保する「ケイパビリティー」が問われて当然だ。「セブンペイ」の廃止に追い込まれたセブン&アイを笑えるはずもなく、リスク管理の能力も体制もないままEC比率を高めていくのは危ういと言わざるを得ない。

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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三陽商会が組むサステナブルブランド「エコアルフ」社長が語る 「大事なのはビジネスよりも哲学を貫くこと」

 三陽商会は29日、2020年春夏から販売開始するスペイン発のサステナブルブランド「エコアルフ(ECOALF)」の事業戦略説明会を開いた。来春に東京・渋谷に旗艦店となる1号店を出店するのを皮切りに、初年度は20店舗を出店し、5年で売り上げ60億円を目指す。

 同社は「エコアルフ」をグローバル展開するエコアルフ リサイクルド ファブリックス(以下、エコアルフ社)と共に合弁会社エコアルフ・ジャパンを9月に設立した。日本での初シーズンとなる20年春夏はメンズ・ウィメンズアパレルとシューズ・バッグを輸入販売し、将来的にはキッズ商材への拡大も計画する。「将来的には日本国内で調達した素材で、日本企画の商品を作る仕組みを整えていきたい」と慎正宗エコアルフ・ジャパン社長。商品はカジュアルテイストが中心で、価格はアウター類で2万~3万円、Tシャツやスエットなどで1万円前後。

 エコアルフ社は09年創業。ペットボトルやタイヤなどの廃棄ゴミから作るリサイクルファブリックを研究開発し、それらを使用したアパレルや雑貨などを製造・販売する。「アップサイクリング・オーシャン」を掲げて、各地の漁師の協力を得て、漁網にかかった海洋ゴミを回収・分別・再生し、製品化するプロジェクトを進めている。現在はスペインをはじめドイツ、オーストリアなど欧米6カ国に直営店と卸事業を展開し、19年12月期の売上高は2000万ユーロ(日本円で約25億円)を予想する。

 慎社長は、「新しい自然原料を使わなくても、服を作ることができるという考え方が新しい。ファッションという限られた範囲にとどまらず、日本人の消費行動そのものを変えられるよう、他とは圧倒的に差別化されたブランドにしたい」と期待を寄せる。この日来日した、エコアルフ社のハビエル・ゴジェネーチェ(Javier Goyeneche)・エコアルフ社長に、ブランドの哲学から日本事業の今後の展望について聞いた。

WWD:まず、「エコアルフ」の哲学について教えて下さい。

ハビエル:“There is no planet”だ。僕たちは、2つとないこの地球に生きている。実は雑誌を読んでいるとき、偶然思いついたスローガンなんだけど(笑)、力強いメッセージだろう?このスローガンに、「エコアルフ」の全てが詰まっている。実は以前にもアパレル企業を経営していたんだけれど、毎年同じようなことが繰り返しのファッションにはもう飽き飽きして、2008年に売却したんだ。「エコアルフ」で今、僕たちがやっているのは全く新しいこと。ファッション業界だけじゃなく、世界中の人々のマインドを変えることにつながっていくと考えているよ。

WWD:商品はシンプルなものが多いですね。

ハビエル:トレンドファッションの寿命は5カ月で終わってしまう。飽きずに、できるだけ長く使ってもらいたいからね。

WWD:独特の色味も特徴的ですね。

ハビエル:天然素材で作ったテキスタイルの染色には大量の水を消費する。これは大きな問題だ。君たちが今着ているパーカーの色を出すためにも、何リットルもの水を消費しているはず。だが、海に眠るゴミを使えば、水は一切使わなくて済むんだ。僕たちのリサイクルファブリックは、原料となる廃棄物を色ごとに分別して分解し、糸にして再生ポリエステルやナイロンを作るから、商品が原料そのものの色に仕上がる。現在、スペインでは3000人以上の漁師たちが僕たちに協力してくれていて、漁網にかかったゴミを回収してくれているよ。

WWD:日本では機能性の高い衣料がどんどん増えています。

ハビエル:「エコアルフ」でも2時間雨に打たれても大丈夫な商品も存在するし、もっと高い機能を持たせるのは、実はカンタンだ。でも大事なのはそこじゃない。高機能なものほど、ケミカルな処理を何層にも重ねて出来上がっている。それをやることは、僕たちの哲学に反している。今、僕の情熱のベクトルは、全く水を使わず生産できるリサイクルコットンの研究開発に向いているよ。

WWD:日本の消費者は、品質に対する目が厳しいと言われている。

ハビエル:そうだね。でも、同じく目が肥えているといわれているドイツでも、私たちの商品がとてもよく受け入れられている。19年12月期の売上高は前期比6倍に伸びる見込みだ。商品の素材で言えば、ナイロンやポリエステル素材に関しては、すでに非再生素材のものと遜色ないクオリティーを実現できている。ペットボトルから再生したスニーカーは大人気だ。一方で、綿に関してはもう一歩だね。Tシャツやスエットみたいなカジュアルなアイテムには全く問題ないレベルだけど、繊細なテイストを求めると、耐久性が足りなくなってしまうんだ。

WWD:日本では大量のアパレルが廃棄されています。生産量の半分以上が廃棄されていると分析しているデータもあります。

ハビエル:驚いたよ。在庫に対する意識も、私たちは他とは違う。全てのアイテム品番の内、在庫をストックしておくのは売れ筋の20%だけで、あとは売り切れ御免だ。売り上げを求めて在庫を積むようなことはしないし、“ブラックフライデー”(米国の11月の一大セールイベント)にも参加しない。15年から販売しているフリースは、最近、家庭洗濯をする際にマイクロプラスチックゴミを排出してしまうことが分かったんだ。このフリースはトップ5に入る売れ筋品番だったんだけど、もう作るのをやめる。ビジネスとしては賢くないかもしれないけれど、目先の売上よりも、大事にしなきゃいけないのは自分たちの哲学なんだ。

WWD:地球上からゴミがなくなれば、「エコアルフ」のビジネスも成り立たなくなる?

ハビエル:そうなったらすごいことだ!そうなったら、引退してサーフィンでもするよ(笑)。でも残念ながら、それは現実的じゃない。人口が減り続けている日本にいると分からないかもしれないけど、例えばインドでは毎年6500万人も増えていて、僕の母国のスペインが、毎年新しく生まれてるようなものなんだ。人が増えれば、ゴミも増えるのは必然。だから皆、今すぐにでもアクションを起こさなきゃいけないんだ。

WWD:三陽商会と日本で目指すゴールは?

ハビエル:まずは、僕たちのビジョンがクールだという感覚を根付かせたいね。日本は伝統的なクラフトマンシップを大事にする文化がある。渋谷の店は、「エコアルフ」の哲学と、日本の伝統が融合したお店にするって決めているんだ。僕たちのやっていることが今までにないことなんだから、今までにない空間を作るのさ。グローバルでは、作って、売って、再利用するというサイクルを、完全にクローズなものにすることを目指していく。自分たちが売った商品を100%回収するためには、もっと店を作って、回収のためのハブを作っていかなくてはいけないね。

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モデルのお気に入りスポットを調査! フレンチレストランから美術館まで

 ニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリで開催されるファッション・ウイークには、世界中からモデルが集結します。ダイバーシティー(多様性)&インクルージョン(包括性)が当たり前になりつつある現在、多くのブランドが人種も個性もさまざまな顔ぶれを起用。デビューしたての新人からブランドに直接ブッキングされるトップモデルまでがそろいます。ランウエイでは凛とした姿を見せる彼女たちですが、プライベートではどんな生活を送っているでしょう?そのライフスタイルを探るため、ショー前のバックステージでそれぞれが暮らす街のお気に入り&オススメスポットを聞いてみました。

Mika

 美佳は2020年春夏シーズン、ミラノの「プラダ(PRADA)」でデビューした後、パリで「サンローラン(SAINT LAURENT)」や「ロエベ(LOEWE)」「サカイ(SACAI)」「シャネル(CHANEL)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」など有力ブランドのショーに次々と抜てきされたパリ生まれの18歳。10月から東京に拠点を移しましたが、もともとは南インドのポンディシェリーにある学校に通っていたそうです。かつてはフランス領であり、今なおフランス文化が残る町で彼女がオススメするのは、ホワイトタウン地区のショップ「ラ メゾン ローズ(LA MAISON ROSE)」に併設された「コロマンデル カフェ(COROMANDEL CAFE)」と、ホテル「ラ ヴィッラ(LA VILLA)」内のフレンチレストラン。「美味しくて、ベジタリアンメニューもあります。私自身はベジタリアンではないですが、インドで初めてその美味しさを知りました」。

Sculy Mejia

 美佳と同じく「プラダ」でランウェイデビューを果たした17歳のスクリー・メジア(Sculy Mejia)は、パリでも「ランバン(LANVIN)」のファーストルックをはじめ、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」から「ヴァレンティノ(VALENTINO)」や「ミュウミュウ(MIU MIU)」まで11ブランドのショーに起用されました。ドミニカ共和国北部にある海辺の街リオ・サン・ファンで暮らす彼女が好きなのは、プラヤ・ロス・ミノ(PLAYA LOS MINO)という透き通った水ときめ細かな砂に恵まれたビーチ。「時間があるときは、よくビーチに行きます。中でも、ここはすごく特別な場所です」。

Veronika Kunz

 「ヌメロ ヴェントゥーノ(N21)」のバックステージでリメイクの着物を取り入れた着こなしが目を引いたヴェロニカ・クンツ(Veronika Kunz)は、ボーイッシュな雰囲気が魅力的なスイス出身の26歳。好きなブランドは数え切れないほどあるけれど、実際に着るものはビンテージが多いそう。そんな彼女が暮らすのは、スイス北西部にあり、街中をライン川が流れるバーゼルです。そんな土地柄もあって薦めてくれたのは、ハーバー。「夏にはオープンエアのカフェやバーがたくさんオープンするの。そこで音楽を楽しんだり、友達と過ごしたりするのが好き」。そのほかには、さまざまなジャンルのライブ演奏を楽しめるバー「レネ(RENEE)」がオススメとのこと。

Sasha Knysh

 ウクライナ出身のサシャ・ナイシュ(Sasha Knysh)は今季、ニューヨークからパリまで4都市のファッション・ウイークに挑戦し、「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」「アーデム(ERDEM)」「プラダ」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」などのショーに登場しました。現在拠点としているのは、ニューヨーク。趣味で写真を撮ったり、絵を描いたりとアーティスティックな一面も持つ彼女のお気に入りは、“MoMA”として知られるニューヨーク近代美術館だそう。「現代アートが大好き。特にMoMAは、クールな企画展をたくさんやっているから。ミラノだったら、プラダ財団も素晴らしいと思うわ」。

Lea Julian

 フランス出身でモデル歴4年になるレア・ジュリアン(Lea Julian)は、「シャネル」や「ジバンシィ」「サカイ」「モスキーノ(MOSCHINO)」のランウエイショーの常連で、今シーズンも約20ブランドに起用されました。パリで暮らす彼女がオススメするのは、3区にある「ラブ ジュース バー(LOVE JUICE BAR)」、1区と6区に店を構える「コダワリ ラーメン(KODAWARI RAMEN)」、シェフの関根拓が手掛ける19区にあるアジア食堂「シュヴァル ドール(CHEVAL D’OR)」、終日朝食メニューを楽しめる9区のコーヒーハウス&レストラン「パピーユ(PAPILLES)」。「アジア料理とヘルシー志向のコーヒーショップが大好きなの」。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める

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米国靴「ソレル」が日米で初のショー開催 ファッション化をアピール

 「ソレル(SOREL)」は、1962年にカナダ中東部のオンタリオ州で創業したウインターブーツブランドだ。72年に誕生したアイコンモデルの“カリブー(CARIBOU)”は、メンズファッションのワードローブとして定着している。しかしこの動きは「日本に限ったものだ」と、2000年に同ブランドを傘下に収めたコロンビアスポーツウェア(COLUMBIA SPORTSWEAR)の日本法人コロンビアスポーツウェアジャパンのマッスィモ・ラッザリ(Massimo Lazzari)社長は言う。北米ではヒール付きシューズなどが主に女性にファッションとして受け入れられており、日本も「大きくファッション化に舵を切ろうとしている」。それを強く印象付けるために、10月にニューヨークと東京で初めてのランウエイショーが開催された。

NYで働く100人の女性が
1マイルを行進

 先行してショーを開催したのはニューヨークだ。10月2日にミートパッキング地区で、リアルタイムに2019-20年秋冬のシューズを購入できる“シーナウ・バイナウ(SEE NOW, BUY NOW)”スタイルでショーを行った。ミートパッキング地区はその名の通り精肉工場跡地で、再開発に伴いスタイリッシュなレストランやセレクトショップが進出。一方で昔ながらの石畳が残り、鉄道の高架部分を生かした空中庭園“ハイライン”はローカルにも観光客にも愛されている。そしてミートパッキング地区には「ソレル」の旗艦店がある。このニューヨークを象徴するエリアで、100人の女性が1マイル(約1.6km)を練り歩いた。「ザ・マイルロング・ランウエイ」と名付けられたショーでは、モデルではなくニューヨークで働く一般の女性たちを起用した。人種も年齢も体形もさまざまで、起業家からクリエイターまで職種も多様だ。ダイバーシティーを表現するとともに、彼女たちが屋内ではなく公道を歩くことで「ソレル」がファッションと実用を融合することを示した。

ショーのスタイリングは
ケイト・ヤングが担当


キャットウオークを歩いた女性たちは、そのまま街に飛び出した。ミートパッキング地区に設定されたコースは石畳や階段、水の流れなど変化に富み、「ソレル」の歩きやすさをニューヨーカーにアピールしながら1マイルを行進した

 スタイリングを担当したのはトップスタイリストのケイト・ヤング(Kate Young)だ。ヤングは女優のナタリー・ポートマン(Natalie Portman)やセレーナ・ゴメス(Selena Gomez)らハリウッドスターを何人も担当している。服は、百貨店ノードストローム(NORDSTROM)傘下のオンライン・パーソナル・ショッピングサービス「トランク・クラブ(TRUNK CLUB)」が提供した。ヤングは、「ブランド初のショーに関われたことは名誉であり、100人の女性それぞれを『ソレル』の新作シューズを起点にスタイリングした。皆が自信を持って『ザ・マイルロング・ランウエイ』を歩けるよう、ライフスタイルや好みを聞き取ることから始めた。一般的なショーとは大きく異なるスタイルだったが、何カ月もかけて準備してきたことが結実して感無量だ」とコメントした。モノトーン中心のコーディネートは、彼女たちの私服に見えるほどなじんでいた。

ファッション化により
売り上げは約1.7倍に

 マーク・ニナウ(Mark Nenow)=ソレル社長は、「『ソレル』は50年以上の歴史を持ち、かつてはウインターブーツブランドとして知られていたが、いまやファッションショーを行うに至った。この変革をとても喜んでいる」と述べた。今回のショーを総指揮したナタリー・ヘイズ(Natalie Hayes)=マーケティング・ディレクターは企画意図について、「モデルではなく働くニューヨーカーが歩くことで、『ソレル』がリアルな女性たちに寄り添うブランドであることを打ち出した。1マイルのコースは、どんなに長い道のりでも快適に歩ける『ソレル』の機能性を見せるためのものだ」と話した。

 「ソレル」変革のきっかけは、00年のコロンビアスポーツウェアによる買収だった。ニナウ=ソレル社長は「その後、10年間かけてファッション化を進めた」と振り返る。同ブランドは11年にウエッジソールブーツを発売し、これが北米で女性に支持された。続けて14年にニューヨークに旗艦店をオープン。17年春夏にはサンダルを発売し、18-19年秋冬にはスニーカーラインをローンチした。これに合わせて売り上げも伸長し、18年度はグローバルで約2億6000万ドル(約280億円)を記録した。これは11年度の約1.7倍の数字だ。

NYに続いて東京でもショーを開催

 日本では10月9日に恵比寿のガーデンルームでショーを行った。ステージには階段を5つ設けて、モデルがそれを上り下りすることで「ソレル」のファッション性と機能性をアピールした。またステージには3つのモニターを置いて、モデルと映像をシンクロさせる演出も見られた。ショー後に、ラッザリ=コロンビアスポーツウェアジャパン社長に今後の日本での展開について聞くと、「セレクトショップや百貨店など、ファッションアカウントを開拓したい。一方で、単独店を21年までに作りたい。現在はポップアップストアなどで“ファッションの「ソレル」”の認知向上に努めている」と述べた。

INFORMATION
【「ソレル」ポップアップストアの予定】

ルミネ新宿 9月3日〜1月31日
東京ソラマチ 10月10日〜1月29日
二子玉川ライズ 11月8日〜1月26日

問い合わせ先
コロンビアスポーツウェアジャパン
0120-193-803

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新生パルコに次世代型ショールーム これからのクリエイターに求められるものとは?

 デジタルハリウッド大学大学院のファッションテックラボ(Fashion Tech Lab)が、オープンラボ「渋谷PARCOのAIショールーム『BOOSTER STUDIO』とファッションテック、新しいクリエイターと新しい売り方」を開催した。

 イベントには、ファッションテックラボ主宰でファッションテックデザイナーのOlga(オルガ)デジタルハリウッド大学大学院助教授兼ish(イッシュ)代表と佐藤貞行パルコ コラボレーションビジネス企画室ソーシャルイノベーション事業部部長が登壇。11月22日に開業する渋谷パルコの1階にパルコとキャンプファイヤーが共同で出店する「ブースタースタジオ バイ キャンプファイヤー(BOOSTER STUDIO by CAMPFIRE以下、ブースタースタジオ)」の紹介とあわせて、これからのクリエイターに求められるものと新しい売り場のあり方について語った。

 イベント冒頭ではOlga助教授がファッションテックの実践とファッションテックラボの活動を紹介。ファッションテックラボを「鬼のように最先端に頭から突っ込むラボ」と話し、衣服とテクノロジーが接続するあらゆる領域を横断しながら産学協働で実践していくと語った。

 続けて、佐藤部長が「ブースタースタジオ」の詳細を解説した。「ブースタースタジオ」は、パルコとキャンプファイヤーが共同で手掛けるクラウドファンディングプラットフォーム「ブースター(BOOSTER)」と連携したPoC(概念実証)ショールーム。より早い段階からの製品の市場調査を目的としていて、企画開発段階のプロトタイプや製品化以前のアイデアのテストマーケティングのサポートを目指す。

 店内に設置したカメラやセンサーを使って店舗を訪れた人の行動データをAI解析し、デジタル上で行われているトラッキング(行動記録・分析)をフィジカルな空間で再現。計測したデータは出品者にフィードバックされるため、製品化や展示内容の調整などに活用できるという。また、渋谷パルコというあらゆる業種が入る施設の1階に出店することで、幅広い客層との接点を生むきっかけをつくれると「ブースタースタジオ」の強みを語った。

 佐藤部長は、「パルコのスピリットは、小さな営みをお互い汗をかいて大きくしていくこと」だという。クリエイターの活動支援に消費行為を通じて充足感を覚える人が肌感覚的に増えていると話し、「ブースタースタジオ」などの施策を通してあらゆる人と協同でクリエイティビティーを発揮できる場をつくり、クリエイターを応援していきたいと語った。

 Olga助教授はパルコの挑戦的な姿勢を評価しつつ、「パルコがこれだけの場を用意してくれているのに、中のプレーヤーがスキル的に追いつけずにスベり倒したものを出したらサムい。他の専門学校では自分の学生時代と同じ内容の講義をやっているので、このままだとファッションはまじで終わるなと思う。自分のスペシャリティーを考えて、やろうとしていることの中に何か新しいことがあるかどうかを意識する必要がある。『難しそう』や『実現できるの?』と言われるくらいがちょうどいい」と語り、現状のファッション教育を批判しながら、講義に参加した学生たちにハッパをかけた。

 佐藤部長は、テクノロジーの発展によるマイクロビジネスの潮流に触れながら、売り場のあり方について「トレンドやマスのマーケットよりもクリエイターの信条がこもったモノ作りを応援し、それをてらいなく発信することを大切にしていきたい」と話した。

 これからのクリエイターやデザイナーに求められることについてOlga助教授は「自分の“ファッションテックデザイナー”という肩書きも仮称みたいなものなので変わるかもしれない。自分も新しいクリエイター像を知りたいので、精神論みたいなことを言っちゃうけれども、『これだ!』というものをめちゃくちゃ追いかけるしかない。それがどんなジャンルであれ振り切って走り切るみたいな。それを実現させるためのスキルを鬼のように習得することが必要。上から言われたようなことだけやっていると結構スベる。私も授業などで話してしまうけれど、それに対してもっとかみついてきてほしい」と、再度学生に向けてメッセージを送り、会を締めくくった。

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開幕前に3万人が予約 「シャネル」のファッション部門トップが語る「マドモアゼル プリヴェ」展

 「シャネル(CHANEL)」の巡回展「マドモアゼル プリヴェ(MADEMOISELLE PRIVE)」が東京・天王洲アイルで開催中だ。「シャネル」の3つの柱であるオートクチュール、ハイジュエリー、香水にフォーカスし、カラー別にエリアに分けた展示で「シャネル」の世界観を一般に発信するイベントだ。同展のオープニングに合わせて来日したブルーノ・パブロフスキー(Bruno Pavlovsky)=シャネル ファッション部門グローバルプレジデントに話を聞いた。

WWD:東京で「マドモアゼル プリヴェ」展を開催する意義と同展から期待することは?

 ブルーノ・パブロフスキー=シャネル ファッション部門グローバルプレジデント(以下、パブロフスキー):日本の顧客や消費者に今日の「シャネル」を知ってもらい、メゾンを理解してもらうため。オートクチュールと1932年にガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)が手掛けたハイジュエリー、そして「シャネル ナンバー5(CHANEL NO.5)」という3つのアイコンは、「シャネル」が他のブランドとは違うルーツで、パワーを持つブランドだということが分かる。これらのルーツが、今でもモダンなアプローチで現在のクリエイションにも生かされている。この展示では過去と未来の会話をもたらすと同時に、「シャネル」がどれだけモダンなブランドかということが感じられるはずだ。

WWD:このような啓発的な展覧会の開催はビジネスにどのような影響をもたらすか?

パブロフスキー:若い消費者に「シャネル」を知ってもらえるチャンスだ。「シャネル」のDNAであるユニークなストーリーに触れれば、なぜ、「シャネル」が他のブランドと違うか分かるはず。それで来場者が「シャネル」に関心を持つか持たないかは、彼らの自由。われわれは伝統とクラフツマンシップに裏付けされたフランスのラグジュアリーブランドであり、シャネルからカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)、そして、ヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)に引き継がれ、時代が変わっても一貫した価値を提供している。

WWD:同展は一般に開放された展覧会だが反応は?

パブロフスキー:開幕前にすでに3万人から来場の予約があったから手ごたえは十分だ。

WWD:日本では閉店が続くなど百貨店事情が変化しているが、日本における百貨店の課題は?

パブロフスキー:日本では約30年にわたり百貨店と取り組みをしている。百貨店の販路は必須だ。消費者には百貨店を通じて体験を提供している。

WWD:ブティックや百貨店のない地方都市の消費者をどのように取り込むか?

パブロフスキー:ウェブサイトやアプリ、SNSなどデジタルツールを使用したコミュニケーションを通じて来店してもらうようにしている。写真よりは、実際商品に触れたり試着してもらうことがなんといっても重要だ。

WWD:ミラノやパリのファッション・ウイークでサステイナブルなショーが多く見られたが、「シャネル」におけるサステイナビリティーの最優先事項は?

パブロフスキー:長年サステイナビリティーの取り組みを行ってきて、われわれの価値の一部になっている。今後は今まで以上に注力する必要があるし、ビジョンの実践もしていかなければならない。ことさらに“サステイナブル”とショーでアピールするよりも、われわれは実際にサステイナブルな取り組みを行っている。新世代のスタッフや顧客たちからのプレッシャーもある。最高のクリエイションには必須の要素だと思っている。

■マドモアゼル プリヴェ展 / ガブリエル シャネルの世界へ
日程:10月19日~12月1日
会場:B & Cホール-天王洲アイル
住所:東京都品川区東品川2-1-3
時間:11:00-20:00 (最終入場19:30)
料金:入場無料

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「東コレに伝えたい」デザイナーたちの本音 連載Vol.11 「日本のファッション・ウイークもメンズとウィメンズに分ければよいのでは」

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏の「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月14〜19日に開催された。冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天にかわって初めてのファッション・ウイークとなるため、関係者からの注目は高い。しかし結局は、人を呼べるブランドが参加しないとファッション・ウイークは盛り上がらない。そこで、海外で活躍する日本人デザイナーや「RFWT」に参加するブランド、新進気鋭の若手らに「どんな東コレだったら参加したい?」というテーマで「RFWT」開催前にアンケートを実施した。10月28日の「WWDジャパン」東京ファッション・ウイーク特集発売の週まで、回答の一部を連載形式で紹介する。今回は「クードス(KUDOS)」「ダイリク(DAIRIKU)」「ジエダ(JIEDA)」「ヨーク(YOKE)」「ブラン ワイエム(BLANC YM)」の新進気鋭5ブランドが登場。

KUDOS
工藤司デザイナー

 会場が基本的にヒカリエであるという時点で、もしショーを行うことになってもそれぞれの個性がうまく打ちだせないかもしれません。また参加費が高額なので、若いブランドは何らかのサポートがない限り参加することは現実的ではありません。ただファッション・ウイークという性質上、誰もが参加できるわけではないという敷居の高さは必要だとも思います。

DAIRIKU
岡本大陸デザイナー

 東コレの公式会場であるヒカリエのブラックボックスでショーを行うことに魅力を感じません。ショーで世界感を出すには自分で場所を選び、ブランドの世界感とシーズンの雰囲気をしっかりと伝えたいと僕は思います。

JIEDA
藤田宏行デザイナー

 現在はパリ・メンズに合わせて展示会を開いているため、東コレの時期にはオーダーを締めています。参加しても、お披露目だけのプレゼンテーションになってしまう。日本のファッション・ウイークもメンズとウィメンズに分けて、時期もパリのスケジュールに近くすればよいのでは。

YOKE
寺田典夫デザイナー

 ショー会場がいつも同じヒカリエでは新鮮さが感じられず、どのコレクションも同じように見えてしまいます。例えば美術館や博物館など、ブランドの個性が表現できるような会場をもっと自由に使用できるようにしてほしいです。また東コレは海外への影響力が弱く、国内だけで終わっているイメージ。ビジネスにつながる海外バイヤーや影響力のあるメディアを招待し、東コレに参加すれば海外にもブランドが広まるようなイメージを作ってもらいたいです。

BLANC YM
宮内祐太郎デザイナー

 今の東コレは開催時期が遅く、参加費用が高いため参加は考えていません。他国のファッション・ウイークと比較しても、参加する意味を見出しにくいです。

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「僕が『ランバン』でやりたいのはクチュール精神はそのままの、インダストリアルなアプローチ」 by アルベール・エルバス

Alber Elbaz 元「LANVIN」デザイナー

 僕が「ランバン」でやりたいのはクチュール精神はそのままの、インダストリアルなアプローチ。フランス料理のレシピを使いながら、でもバターはほどほどに、というのが僕のやり方。(Vol.1186 2003年4月14日)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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パリコレ後、自らに課した3つの課題 エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年6月26日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

パリコレ後、自らに課した3つの課題

 2020年パリ・メンズ・コレクションが終了。毎日のドタバタも少し落ち着き、残り数日となったパリ滞在は、朝起きて原稿を書いて、昼間は展示会回り、夜は会食して、ホテルに戻ってもう一回原稿を書くというサイクルになりました。パリとは言え、日本の日常と大差ない穏やかモードに突入です。

 時間と心に余裕が生まれる帰国前の数日は、自分に3つの課題を課しています。1つは「食事も妥協しないこと(だから積極的に会食します)」、2つめは「なるべく多くの洋服に袖を通すこと」、そして3つめは「それをインスタグラムにアップして、みんながどう反応するか眺めてみること」です。

 1つめは、「高級品じゃなきゃダメ!!」というワケではありません。「郷に入れば郷に従え」という言葉がある通り、なるべく「現地でなきゃ食べられないもの、現地で食べることに意味があるもの」を選ぶようにしています。昨日は、パリにもようやくオープンした「イータリー(EATALY)」でランチ。週末、行列がスゴかったのを思い出し、「パリっ子も好きなのか?なぜ?」と思い、体感したくなったのです。パリの「イータリー」もピザや生ハム、チーズのショップを周囲に配したフードコート。中央には大きな庭があり、“コミュニティー”感抜群です。「パリっ子も、“コミュニティー”好きなんだ。NYみたいに小さなショップを周囲に配して、中央にフードコートを設ける“コミュニティー・モール”が成功しそう」。オペラ座の近くでラーメンを食べるよりは(いや、それも捨てがたいのですがw)、新しい発見、新たなアイデアに出合えます。

 2つめは、案外実践する編集者が少ない印象です。いろんな服を取っ替え引っ替えしていると「本当にいろんな服、試着されますね」と言っていただくことがしばしばです。でもハンガーにかかった洋服を眺め、ちょっと触るくらいでは、その魅力なんてわからないでしょう?腕を袖に通すときの感触、着てみて鏡の前に立ったときの高揚感、そこから(買ってもいないのに)考える着まわし……。全ては消費者にとって洋服を購入するに際して当然の行為であり、買うか否かはその経験次第です。究極、コレをやらない限り、消費者に寄り添うことは難しいのでは?と思います。エディターも、バイヤーも、メーカーも、案外目の前の洋服、着ていないんじゃないですか?着るだけで開ける世界もあるハズです。

 そして最後は、「せっかく着たならインスタに投稿しちゃえ」と安直に始めたのですが(笑)、案外「いいね!」の数やインプレッションがバラけ、ごくごく狭いコミュニティーではありますが、その反応をダイレクトに見ることができて面白いんです。ハッシュタグを考える訓練にもなりますよ(笑)。 皆さんもぜひ、その場でしか体感できないことには積極的にトライし、少しでも多くの洋服に袖を通し、そこで得たエモーションを周囲に伝えてみてはいかがでしょう?

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若者を中心に起こるミラノの食革命

 世界でも有数のファッション都市であり、食の街であるミラノに新たな食の革命が起こっている。インターネットが普及し、各種格安チケットにまつわる情報が飛び交うようになって、それまで好んで国内に閉じこもっていたイタリア人も、頻繁に海外を旅するようになった。それにより食についての直接情報が増え、異文化の食事に接する機会が拡大。イタリア料理一辺倒だった食生活は大きく変化した。

 2015年の食をテーマにしたミラノ万博は、その傾向に拍車をかけた。若者のみならず、海外には全く関心のなかった中高年も異なる食文化の存在に触れ、弾けるように外国料理のレストランを探すようになったのである。街中にはすでにシリア、ベトナム、ペルー、日本、韓国、ブラジル、タイ、インド料理などなどが点在。特にダイエットと寿司・刺身とはうまく結びついて、「寿司屋=日本食レストラン」と短絡化し、中国人も、ブラジル人も、こぞって寿司屋を開業した。寿司で痩せた人、痩せようとする人の数は今なお、少なくない。

 食事は自宅で調理して、という従来の習慣も変化してきた。各国料理屋の登場によって外食やそれらの宅配サービスに依存する人々の数が増えてきていることも確かだ。若者はジムに通い、正しい適量の食事を心掛け体型維持に努めているが、最近のラーメンや餃子、ポケ(ごま油と醤油漬けのマグロやアボカド、トマトをご飯の上にのせた丼)、テイクアウトの寿司、ピザ、ピアディーナ(生ハムや野菜、チーズを挟んだ無酵母パン)、ハンバーガーなど、ファストフードの人気上昇という現実との間には大きな矛盾がある。

本物の食こそがオシャレ ファッションが提案する食は下火

 ミラノには20年位前から、市中にファッションブランドが経営するレストランやカフェが登場し始めた。「ディースクエアード(DSQUARED2)」の“チェレジオ7(CERESIO7)”、「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」のレストラン、「トラサルディ(TRUSSARDI)」のカフェレストラン、「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」のレストランとカフェ。「プラダ(PRADA)」は菓子店のマルケージ(MARCHESI)を買収し、2年前にプラダ財団(Fondazione Prada)にレストランもオープン。ミシュランのシェフを信ずる人も増えた。

 若者たちは一時、プール付きのテラスを持つ“チェレジオ7”やパリ風の雰囲気を持つマルケージに好んで通ったが、異国情緒が心踊る体験となる各国料理のレストランが巷に溢れ、ファッションブランドのレストランは下火になりつつある。

 ミラノにオープンしたばかりの「ユニクロ(UNIQLO)」で珍しいグラフィックのTシャツを山のように買う人が溢れているのと同様に、人気のレストランは飾り気のないところが多い。バルバッソ(Bar Basso)やドライ(Dry)といったアペリティフ(食前酒)の店や、ヴェトナム料理のサイゴン(Saigon)やヴェトナムモナムール(VietnaMonAmour)、日本料理のJ’sHIRO,イタリア料理のラッテリア(La Latteria)、ラーメンのカザラーメン、中華料理のマンダリン2(Mandarin 2)などは常に、若者で賑わっている。

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制作段階をインスタで発信、出版前に重版決定! 福本敦子・美容コラムニストが初の著書を出版

 個性ある視点と切り口でオーガニックコスメをインスタグラムで紹介する「#敦子スメ」が、20~30代の女性を中心に高い支持を得ている福本敦子フリーPR・美容コラムニスト。3.8万フォロワーを持つインスタグラムを中心に発信するその情報は「読んだ瞬間試したくなる」と言われ、数多くの完売や品切れを生むなど大きな反響を呼んでいる。そして10月28日には、オーガニックコスメ黎明期から店頭で接客してきたその知識に加え、月や星の動きにも着目した独自の美容論を一冊にまとめた初の著書「今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本」(光文社)が発売された。発売前に重版が決まるなど、滑り出しも上々の初の著書発刊に至る経緯や、そこに込められた思いについて聞いた。

WWD:初の著書を出版するに至った経緯は?

福本敦子フリーPR・美容コラムニスト(以下、福本):2018年1月からフリーランスのPR、美容コラムニストとして活動するようになり、雑誌やウェブで取材して頂いたり、連載を持ったりして自分の知識を伝えてきたのですが、今年に入ったころから「その知識を、近くに置いて見られるもの、触れられるものにまとめたい」という気持ちが膨らんでいきました。それが本であるとは思っていましたが、どうすれば形になるのかわからないまま時間が過ぎ、ある時、出版社にPRする商品を持ち込んだことがきっかけで運良く編集者(通称、ミスターD)に「本作りたい時って誰に言えばいいですか?」と口にしてみたことが大きなきっかけに。その後もさまざまな人の協力を得て、発刊することができました。

WWD:本のコンセプトは?

福本:タイトルに「今より全部良くなりたい」とあるように、この本に関わる全ての人が良くなる本にしたいと思いました。本を作る過程で、編集者、デザイナー、フォトグラファー、印刷会社や本の中で紹介したメーカーの人たち、みなさんが気分よく本に携わってくれることが大事だと。私に近い関係の人たちの気持ちが本を介して伝わると思ったし、買ってくれた方がそばに置いてくれたら運気が上がるような本を作りたかったので、それはすごく気をつけました。

WWD:初めてご自身の本を作ってみていかがでしたか?

福本:ライターを入れずに自分で書いたので、作業が思ったより多かったですね。約250点の商品を紹介しているので、その全ての説明やコラムなどかなりの文字量がありましたから。書くこと自体は楽しかったのですが、毎日ひたすら書かなければならなかったので、外に出られないことがストレスだったかな(笑)。ただ「福本さんの言葉を生かしたい」というミスターDの意向もありでライターを入れなかった代わりに、文章表現にNGがなく、普段インスタグラムで書いているような文章をそのまま掲載させてもらえました。本を作る全体の流れなどわからないことも多々ありましたが、クリエイティブなことは編集のミスターDを信頼してお願いできました。

WWD:美容本でありながら、スピリチュアルや旅の話なども含めた面白い章立てですが、どのように内容は決めたのですか?

福本:まず、私が何を伝えたいかを付箋に書いて並べ、「ビューティ」「スピリチュアリティ」「ヘルシー」「ライフスタイル」「トラベル」「パーソナリティー」と章を分けて、ミスターDと相談しながらその付箋を振り分けていきました。タイトルは、こんな本にしたいと思って並べていた言葉をミスターDが「これ、いいですね」とピックアップして決まりました。最終的には画数なども調べて決定したんですよ。

WWD:制作の段階からSNSでそのプロセスを紹介するなど、プロモーションの仕方も福本さんらしい方法でしたね。

福本:どういう風に本ができるのか制作の裏側を見せることで、みんなが一緒に作っている気持ちになってもらえればうれしいと思っていました。「#敦子スメの福本さんが本を作っているエンタメ」を演者の私と観客のみんなが一体となって楽しむ、ライブのような感じです。具体的には、インスタグラムで発信するほか、7月31日から新月と満月に配信するポッドキャスト「1mile TALK #敦子スメwith D」をミスターDとスタートさせました。発売前日の10月27日には伊勢丹新宿本店ビューティアポセカリーで先行発売&刊行記念イベントを行ったのですが、おかげさまで立ち見が出るほどたくさんの方に来場していただきました。私からアシスタントバイヤーさんに直接電話して決めてもらったイベントなのでよかったです。今後も、11月2日にソープトピア・ロンハーマン福岡店、4日にソープトピア・ロンハーマン京都店、9日にアルジタル 表参道店、24日に梅田 蔦屋書店とイベントが続きます。

WWD:これから新しく始めることはありますか。

福本:これまでインスタグラムやユーチューブなどで発信してきましたが、新しいメディア、スタイルでもビューティを伝えていこうと思います。その一つがラジオ番組で、10月18日からスタンドエフエムで「#敦子スメとのなんだかクセになるおしゃべり」が始まり、近々、毎月ゲストを招いて対談する「福本敦子の今日、ひま?』がスタートします。1回目のゲストは渡邉香織さんです。モデルの大屋夏南さんのYoutubeチャンネルでやっているオーガニックコスメ対談を観て「声が好き、話し方が好き」と言ってくださるフォロワーさんがいて、褒められたことは可能性があると思うし、私自身も前からラジオで話すことに興味があったのでやってみることにしました。ただ、新しいことをやるのが重要なのではなく、自分自身が楽しくて、相手も喜んでくれることが大切。これが何をやる場合にも私の鉄則です。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

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渋谷スクランブルスクエアのラグジュアリーフロアを大解剖 「サカイ」のダウンなど限定商品をチェック!

 11月1日に、渋谷の新ランドマークとなる駅直結の複合施設「渋谷スクランブルスクエア」がオープンする。同施設の商業エリアにどんなテナントが入るかは開発が決まった数年前から話題になっており、11月末にリニューアルオープンする渋谷パルコ、2020年に三井不動産が宮下公園跡地に開業する新商業施設との三つ巴での“有力テナントの引っ張り合い”が水面下で繰り広げられてきた。なかでも熾烈な戦いがウワサされていたのが、商業施設の顔ともいえるラグジュアリーフロアだ。果たして、渋スクのラグジュアリーフロアにはどんなブランドが出店しているのか。各ブランドの限定商品なども含め、一挙紹介!

 渋スクのラグジュアリーフロアのメインは、駅の改札階である3階だ。そう聞いても「ふーん、そうなんだ」程度に思う人が大多数だろうが、一般的に百貨店などで大型のラグジュアリーブランドが入るのは1階。ゆえに、いくら駅直結とはいえ3階にラグジュアリーブランドを招くためには、なかなかタフな交渉があったという話も聞く。

 駅の改札口から続く出入口すぐの場所にまずあるのが「サカイ(SACAI)」。ここ数年のジェンダーレスなファッション傾向を反映し、男女複合でショップ展開するブランドがこの間増えているが、「サカイ」も男女複合での出店だ。複合店は、国内では青山の路面旗艦店に続きここが2店舗目となる。内装はこれまでのショップと同様、コラージュ/DIYアーティスト集団のGELCHOPが内装を手掛けており、ビンテージの木製のイスやカーペットなどと、無機質なスチール、ミラー、コンクリートなどとの組み合わせがポイント。「サカイ」ならではの“ハイブリッド”の美学を内装でも表現する。ヒット間違いなしなのが、同店限定商品のダウンジャケット。デニム素材を組み合わせたデザインで、ウィメンズが12万9000円(税込み)、メンズ14万3000円。

 同じく入り口すぐにあるのが「バレンシアガ(BALENCIAGA)」だ。メンズ・ウィメンズの複合ショップで、ウエアから人気のスニーカー、ミニ財布などの革小物までフルアイテムがそろう。内装はスチールなどを多用したインダストリアルなムード。スニーカーやロゴ入りキャップなどでここ数年は20代客を開拓してきたが、特に若い層を狙うという狙いではないという。渋谷地区では、西武渋谷店にも男女複合ショップを構えている。

 2階からのエスカレーター前にあるのは「ジバンシィ(GIVENCHY)」。常設店ながら“ポップアップ”をコンセプトとしており、シーズンごとにインテリアを変えていくという。オープン時に打ち出すのは、ブランドのシグネチャーである白と黒を主役にした内装。クチュールを顧客に納品する際に使われるという大型ギフトボックスをイメージした什器もポイントだ。商品は、スエットトップスやナイロンバッグ、スニーカー、可愛らしい動物モチーフの革小物など、若い層にも支持されそうな商品や限定商品を充実している。オープン時の限定商品は、世界中で同店でしか買えないというチェーン柄を配したスエットトップス13万8000円(本体)。

 「ヴァレンティノ(VALENTINO)」は、バッグ、シューズ、革小物、サングラス、香水など、ウィメンズのアクセサリーのみに絞って出店。人気の“ロックスタッズ”のバッグやパンプスなど、定番とも呼べる商品が充実している。オープン時に同店限定カラーで打ち出すのは、ラズベリーピンクの“ロックスタッズ”のショルダーバッグ。価格は14万7000円と、同ブランドの中では若年層にも買いやすい。他は、新作として押しているVのロゴが入ったハンドバッグやスニーカーなどがそろう

 「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」は、ウィメンズ、メンズの複合で出店。複合店は都内では青山の路面旗艦店に次いで2店舗目。同ブランドといえばサステイナビリティーの先駆者だが、壁面に備えられている棚がハンガーラックとしても使えるなど、工事を伴わずに内装を変えられるという点もサステイナブルだ。内装全体としては、ステラが子どもの頃に遊んだという公園のイメージ。オープン時の目玉商品は、“ファーフリーファー”を使った日本限定の“ファラベラ”のミニバッグ(13万5000円から)や、ステラの夫、アラスデア・ウィリス(Alasdhair Willis)がクリエイティブ・ディレクターを務める「ハンター(HUNTER)」とのコラボレーションブーツなど。

 3階は他に、男女複合の「サンローラン(SAINT LAURENT)」、ジュエリーの「ブルガリ(BVLGARI)」「ティファニー(TIFFANY)」、スニーカーなどのメンズ商品も充実する「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」、コスメの「ディオール バックステージ ストゥーディオ(DIOR BACKSTAGE STUDIO)」など。

 4階にもラグジュアリーブランドが出店している。「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」は、世界初のコンセプトショップ、「エンポリオ アルマーニ サテライト(EMPORIO ARMANI SATTELITE)」を出店した。オープン時は“旅”をテーマにしており、ポップな色調の什器や空港にありそうなイスなどを配した内装がポイント。内装と共に注目したいのが、11月7日から世界10都市のみで販売するというカプセルコレクションの“エンポリウム”。日本では同店のみで扱う。BICとコラボレーションしたボールペン、ポラロイドとコラボしたカメラなど、その道のプロのメーカーと組んだ200以上のアイテムがそろう。他に、サッカーボールやフリスビー、ペット用品、iPhoneケースなど。

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2020-21年秋冬トレンド 要注目はコーデュロイと再びチェック

 世界で最も影響力があるといわれるファッション素材見本市「プルミエール・ヴィジョン(PREMIERE VISION、以下PV)が9月17~19日に開催された。今回大きく打ち出したのは“環境への責任”だ。48カ国2056社が2020-21年秋冬向けのテキスタイルを中心に糸、レザー、資材、図案などを提案した。テキスタイルのイチ押しはコーデュロイ、柄はチェックだ。

KEY WORD_1
構築的なテーラリングに移行、快適さを備えることがポイントに

 ファッショントレンドがフェミニン傾向へ、ビッグシルエットからコンパクトシルエットに移行しているが、次の秋冬シーズンはコンパクトなシルエットのテーラリングに注目が集まりそうだ。その素材は硬すぎず柔らか過ぎず、快適性も備えるもの。例えばカシミヤのウール地を加工して張りを出したり、伸縮性のある“段ボールニット”素材だったり。テーラリング素材、ポンチニット系、フェルト素材、中肉高密度ストレッチなど幅広く並んだ。

KEY WORD_2
地表や皮膚を想起させる凹凸感のあるニュースキン

 2020年春夏向けでもしぼしぼとしたシアサッカー調は注目を集めていたが、テクスチャーを楽しむ流れはさらに広がる。楊柳、シアサッカー調、細かな凹凸感の表層、膨れジャカード、プリーツ、キルティングなど表情豊かな素材がそろう。特に地表や動物の皮膚をイメージさせるような色とテクスチャーが多い。

KEY WORD_3
ミステリアスな光沢とダークさは不安の表れ

 「不安を受け入れなければならない」――パスカリーヌ・ウィルヘルム(Pascaline Wilhelm)=PVファッションディレクターが語った言葉だ。その不安を表現したようなダークカラーやミステリアスな光沢の素材が目立った。シャンブレー、マーブル、レザーライクのぬめっとした艶感、濃い色のラメ光沢、イレギュラーな彩度の花柄、パイソン柄などがそろう。

KEY WORD_4
イチ押しはコーデュロイ光沢感と流麗感が鍵

 秋冬の定番素材であるコーデュロイやベルベット、フリース風やスエードタッチは、今シーズンは縦ラインのコーデュロイに注目だ。ベルベットもコーデュロイ風の縦ラインのものが多くそろった。いずれもゴワゴワっとした触感ではなく、ビスコース100%やシルク混など滑らかなタッチのものが多い。光沢感と流麗感がポイントで、スカートやドレスを仕立てるのによさそうだ。

KEY WORD_5
柄の大本命は再びチェック

 この数シーズン続くチェック人気はまだまだ続きそうだ。正直既視感はあるものの、特に落ち着いたカラーパレットで描く少しやぼったいチェック柄が多く、ノスタルジックなスタイルが増えそうだ。またチェック組織に見えるリップストップに注目したい。ますます曖昧になるスポーツウエアと日常着、いずれの表現にも一役買いそうな素材である。

KEY WORD_6
自己表現のための目立つ装飾

 PVでエコと並んでキーワードに挙がったのが“エゴ”だ。近年、政治も企業も個人においても自己愛を強く感じることが多いが、そうした時代を反映するかのような素材が並んだ。テキスタイルでいうと、手の込んだ強いデザインのもの、少量生産前提の特別なアイテムのためのものなど。カットジャーカード、フリンジ、ファージャカード、人物などを描いた強い柄、コントラストが強めのリバーシブル素材などだ。

KEY WORD_7
昔のインテリア装飾のようなクラシックな柄が新鮮

 柄の本命は王道のチェックだが、ぜひ注目したいのが、昔インテリア装飾で用いられていたようなオーナメント柄、ダマスク柄、オリエンタル柄、パッチワーク柄、小花柄といったクラシックな柄だ。暗めのトーンで構成された柄が多く、シャツやワンピース、スカートなどで取り入れていきたい。

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“ロイヤル オーク”ファンは当初否定 「オーデマ ピゲ」の新作が市場に受け入れられたわけ

 スイスの時計ブランド「オーデマ ピゲ(AUDEMARS PIGUET)」は、10月19日から11月4日まで東京ミッドタウンで開催中の「東京ミッドタウン デザインタッチ(TOKYO MIDTOWN DESIGN TOUCH)で「時計以上の何か」展を催している。時計の文字盤をイメージした12の部屋で、アーティスト池田亮司の動画作品やスイスから来日した時計師の作業と共に、1875年に創業者の一人ジュール・ルイ・オーデマ(Jules-Louis Audemars)が時計学校の卒業制作で作った懐中時計から、2019年に発売した“コード11.59 バイ オーデマ ピゲ(CODE 11.59 BY AUDEMARS PIGUET)”まで150本以上の時計を展示する。オリヴィア・ジウンティーニ(Olivia Giuntini)=チーフブランドオフィサー(以下、CBO)に話を聞いた。

WWD:12時位置から6時位置にかけてアーチ状のカーブを描くサファイアクリスタル製の風防や、ギリギリまで幅が絞り込まれたベゼルなど新作“コード11.59 バイ オーデマ ピゲ”は独創的なデザインやディテールを多数持つ。市場にはどう受け入れられた?

オリヴィア・ジウンティーニ オーデマ ピゲCBO(以下、ジウンティーニ):賛否両論があった。もともとの「オーデマ ピゲ」好きやアイコンモデルである“ロイヤル オーク(ROYAL OAK)のファン、さらには時計業界は否定的だった。ただ、それは1972年に“ロイヤル オーク”を発表したときと同じ。そもそも市場は、“ロイヤル オーク”のような基幹モデルが発表されるとは思っておらず、そこにわれわれは13モデルを一気に投入した。それにより“ざわめき”が起きたが、「オーデマ ピゲ」は“新しい家族”が生まれたことを高らかに宣言したかった。

WWD:その後の市場の動きは?

ジウンティーニ:好転した。客が買い、身に着けてSNSなどで「すばらしい時計だ!」と拡散してくれた。つまり“コード11.59 バイ オーデマ ピゲ”は市場に歓迎された。

WWD:“ロイヤルオーク”や、同じくアイコンモデルの“ミレネリー(MILLENARY)”に代わる存在となりうるか?

ジウンティーニ:第3のモデルとして、これまで「オーデマ ピゲ」が獲得できなかった層にリーチできている。実際、購入者の6割が新客で、これは当初の見込み以上の結果だ。現状は8割が男性客だが、新たにレザーストラップモデルも投入したので、今後は女性客も増えるだろう。それに購入者が男性であるというだけで、それは女性へのプレゼントかもしれない。

WWD:“コード11.59 バイ オーデマ ピゲ”はどんな人に支持されている?

ジウンティーニ:“伝統的でシンプルなラウンド型のデザインだが、内に秘めたストーリーを持つ”、そんなユニークな時計を求める人が購入している。彼らは既成概念にとらわれることなく、新しいものを求めている。

WWD:日本では高級時計が売れており、中でも40代のキャリア女性がそれらを選択するケースが増えている。「オーデマ ピゲ」は彼女たちにどんなアプローチをする?

ジウンティーニ:対象が女性だからといって、アプローチの方法を変えることはない。ただし「オーデマ ピゲ」には、女性にアピールできるモデルがたくさんある。例えば、2019年9月に発売した単針(針を1本しか持たない)モデルの“ミレネリー・フロステッドゴールド・フィロソフィーク(MILLENARY FROSTED GOLD PHILOSOPHIQUE)”は新ムーブメントを搭載しており、槌(つち)目を思わせるハンドメードダイヤルの美しさも特徴だが、「現代人にとって時間とは?」とあらためて考えるきっかけを与えてくれる。

WWD:非常にコンセプチュアルだ。

ジウンティーニ:問題は、そのコンセプトがしっかりとユーザーに伝わるかどうかだ。だから今回の「時計以上の何か」展のように、幅広い層に「オーデマ ピゲ」を知ってもらう機会を増やしたい。

WWD:そのために、大掛かりな展示であるにもかかわらず無料開放している?

ジウンティーニ:その通りだ。

WWD:20年4月、「オーデマ ピゲ」不在の「S.I.H.H.(サロン・インターナショナル・オート・オルロジュリ)※」が開催される。「S.I.H.H.」を撤退した「オーデマ ピゲ」は今後、どのように消費者やメディアと接していくのか?

※コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)が1991年にスタートした、ラグジュアリーに特化した国際時計見本市。毎年1月にスイス・ジュネーブで開催され、リシュモン傘下の「カルティエ(CARTIER)」「ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)」「A.ランゲ&ゾーネ(A. LANGE & SOHNE)」のほか、ケリング(KERING)傘下の「ユリス ナルダン(ULYSSE NARDIN)」や「ジラール・ペルゴ(GIRARD-PERREGAUX)」なども参加する。10月16日に、名称を「S.I.H.H.」から「ウオッチ&ワンダー ジュネーブ(WATCHES & WONDERS GENEVA)」に変更することが発表された

ジウンティーニ:「S.I.H.H.」撤退の理由は、いっそう顧客と寄り添うためだ。1月に「S.I.H.H.」で新作を発表しても、実際の発売は夏。このタイムラグが問題だった。今後はネットやSNSを活用して、またこれまで通り雑誌やウェブサイトとも連携しながら、発表した新作はすぐに店頭で触れられるようにする。見聞きする→興味を持つ→購入する、というステップを凝縮する。また「時計以上の何か」展で「東京ミッドタウン デザインタッチ」と協業したように、「オーデマ ピゲ」はデザインやアートと積極的にリンクしている。3月に香港、6月にスイス・バーゼル、12月にマイアミで開催される世界最大級の現代アートフェア「アート・バーゼル(ART BASEL)」にも出展しており、こういった形でもタッチポイントを増やしていくつもりだ。

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編集長は先週何した? アクリスCEOと女性リーダーを語り、「オニツカタイガー」で走り、原宿発のオークションに興味津々

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向(むこう)千鶴です。食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋を実感する1週間でした。紅葉は桜と同じかそれ以上に訪日外国人に人気だそうで、どこに行っても外国人がいっぱい。彼らの目線を通じて日本文化を再発見する機会が年々増えています。

10月19日(土)
土曜日の午後をドーバー ギンザで
過ごして笑う

 “土曜日だし、疲れているし、がっつり取材というよりちょっとのぞきに行こう”と思ったのに結果的には館内をくまなく歩きまわったのが、「ドーバー ストリート マーケット ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA)」のイベント“オープンハウス”です。5歩歩くと面白い商品があり、8歩歩くとその商品を作ったデザイナーがいて、10歩歩くと家族連れで遊びに来ている知り合いと会い、全然前に進めないから(笑)。40組の国内外のクリエイターがこのために来店しているのだからにぎやかです。ポイントは“笑える”モノが多いこと。“笑える”の意味はもちろん、“バカにする”ではなく“ウィットがある”の意味です。

 「ダブレット(DOUBLET)」のおぞましい血まみれのシロクマ(写真1枚目)に想像力を掻き立てられたり(温暖化で北極を追われたシロクマが人間を食い殺す、というストーリーを私は想像しました)、「クボラム(KUBORAUM)」のサングラス(写真2・3枚目)はぶっ飛んだデザインの背景にイタリアの職人技が背景にあることを知ったり、3Dスキャンで作るジュエリーブランド「オールブルース(ALL BLUES)」(写真9枚目・動画下)のサンプルのモチーフがデザイナーのおじいちゃんとおばあちゃんでほっこりしたりと、頭の中に“!”や“?”が浮かぶモノが多いのです。「エヴァン キノリ(EVAN KINORI)」(動画上)のようにデザイナーが物作りの背景を直接語るのも魅力です。

10月23日(水)
アクリスCEOとランチで
女性リーダーについて語る

 「アクリス(AKRIS)」のメリッサ・ベステ(Melissa Beste)グローバルCEOと銀座の吉祥でランチ。サックス・フィフス・アベニュー(SAKS FIFTH AVENUE)やニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)の要職を経て現職についたメリッサーは、パンツスーツが似合うルックスも思慮深い言動も絵にかいたような“デキる”リーダーです。

 2時間の話の中身の大部分は、「アクリス」が掲げるメッセージ“women with purpose”について。ファッションを通じて女性を勇気づける方法とは?そのメッセージを伝えるための手段とは? からの、なぜ日本には女性のリーダーが少ないか問題について……。エキサイティング!ちなみに「アクリス」は、メリッサだけではなくジャパン社も女性である井野智恵子氏が社長です。メリッサがその穏やかさを保つ秘密は1日1回の瞑想だそうで、「NYの地下鉄の中でもできちゃう」そうです。

10月23日(水)
「オニツカタイガー」のイベントに
遅れそうになり走る

 「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」の2020年春夏コレクションを見に東京・新豊洲Brilliaランニングスタジアムへ。空き地に忽然とあらわれる大きなスタジアムは元プロ陸上選手の為末大さんが館長を務め、ファッション関連のイベントで使われるのは初だそう。到着した!と思ったら入り口が真逆でぐるりと回りこむこと数百メートル。期せずして走りましたが「オニツカタイガー」と「ジバンシィ(GIGENCHY)」のコラボスニーカーを履いていたので楽勝、でもないけど息切れぎれで間に合いました。

 ショーは全長60メートルのトラックに、ラート(鉄の輪を2本つないだ器具の中に人が入り回して演技をするアレです)やマーチングバンドが登場してスタート。1949の文字が70周年であることを伝えます。戦後間もない日本でスポーツシューズを作ろうと思い立ち今に至る。その理念と継続に頭が下がります。歴史は積み重ねでしか作れないですし、世界へ出てゆくときの大きな武器になりますから。ショーの後は、なんとバーベキューでパーティー。夜風が最高に気持ちよかったし、久しぶりの知人との再会がいくつもありうれしい夜に。伊藤忠商事に戻り調査・情報部 海外調査・情報室という壮大な名前の部署で働く信田阿芸子さん(7枚目の写真の右から2番目)からは担当エリアであるアフリカの話を聞いて夢が広がりました。

10月23日(水)
「オニツカタイガー」のランチで
車のデザインを学ぶ

 「オニツカタイガー」のショーには海外のジャーナリストが多く招かれており、この日はホテル雅叙園東京で秋の味覚のランチ。1枚目の写真はオニツカタイガーカンパニーの正田良二・代表(左)と、アンドレア・ポンピリオ(ANDREA POMPILIO)=「オニツカタイガー」クリエイティブ・ディレクター。お2人、似てませんか?似てますよね。4枚目の車の絵はお隣になった鈴木正文「GQジャパン(GQ JAPAN)」編集長が描いてくれました。アンドレアがビンテージカー好き、という話から広がり「なぜ車のデザインはおもしろいか」についてレクチャーをもらいました。おもしろかった!

10月23日(木)
「原宿オークション」に
新しいムーブメントの予感

 原宿カルチャーと密接なアートを取り扱う「原宿オークション(HARAJUKU AUCTION)」のレセプションに行ってきました。キース・へリング(Keith Haring)、ラメルジー(Rammellzee)、村上隆、五木田智央などの作品が211そろい、モダンアートの小さな美術館みたい。カウズ(KAWS)が一番目立っていたかな。90年代の裏原にルーツを持つ原宿カルチャーは次のステージに来ており、新しいムーブメントとビジネスを生み出していますね。めちゃくちゃ興味深いです。

10月23日(木)
最新号「東京コレクション」特集と
本日のおやつ

 手厳しいタイトルの表紙ですが、こういった問題提起も「WWDジャパン」の役割。東京ファッションがわれわれの起点でありますから。本日のおやつはトーヨーキッチンスタイル(TOYO KITCHEN STYLE)さんからいただいた緑屋老舗の栗金飩(くりきんとん)。栗そのものを味わうような優しい甘さが体にじんわり届きます。

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「ジバンシィ」が渋谷スクランブルスクエアに新コンセプトストアをオープン オープン前にティザームービーを公開

 「ジバンシィ(GIVENCHY)」は、11月1日に開業する渋谷スクランブルスクエア3階に新コンセプトショップをオープンする。東京でも特に注目されるエリアに誕生する同店では、シーズンごとに内装が変わるだけでなく、オープン直後は、クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)=アーティスティック・ディレクターが手掛ける2019年秋のコレクションから厳選した、エクスクルーシブな“Winter of Eden Capsule”コレクションを販売する。

「ジバンシィ」と渋谷が舞台の
ティザームービー

 11月1日オープンを前に、ティザームービーが公開された。ノイズや16mmビデオのような“今”を象徴するアナログのエフェクトで、リアルなストリートを表現。「ジバンシィ」のエレガンスと渋谷のストリートいうコントラストを生かした作品に仕上がっている。渋谷の街で偶然に出会った男女。渋谷スクランブルへと急ぐ2人のスマホに現れる“11月1日10時”が意味するものとは何か? 当日に何が起きるのか?

Exclusive Collection
“Winter of Eden Capsule”
for Women

Exclusive Collection
“Winter of Eden Capsule”
for Men

 ラインアップはプリーツスカートや“4Gエンブレム”のニット、カーディガンなどの他、大きなリボンを象ったアイコニックな新作“ボウバッグ(Bow Bag)”が登場。通常展開の黒と白だけでなく、花柄も限定販売する。その他にもコインケースや、ロゴ入りの黒いゴムバンドが特徴の白いギピュールレースのスリッポン、テニススニーカーといったアクセサリーも豊富にそろえる。

「ジバンシィ」のアイデンティティーが
感じられるストアデザイン

 店内は「ジバンシィ」のパリジャン・シックの精神に満ちている。明るく軽やかな光とくつろいだ雰囲気が調和した空間で、中でも装飾を削ぎ落とした白黒のインテリアがブランドの新たな感性を表現している。またネオンやチェーンロゴ、LEDライトによる“GIVENCHY”ロゴなどの都会的でポップな要素や、モールドで複製した“ボウバッグ”のディスプレーがアクセントになっている。

INFORMATION
■「ジバンシィ」渋谷スクランブルスクエア店

11月1日に渋谷スクランブル3階にオープン
オープン日:11月1日
時間:10:00〜21:00
場所:場所:渋谷スクランブルスクエアショップ&レストラン3階
住所:東京都東京都渋谷区渋谷2-24-12

問い合わせ先
ジバンシィ・ジャパン
03-5786-0961

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「買えないコフレを意図的にバズらせていいの?」 ファッションフリークOL「WWDビューティ」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のビューティ週刊紙「WWDビューティ」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。

今日のニュース:P.14「編集部が選ぶ新商品情報」

読み解きポイント:「クリスマスコフレ争奪戦!バズらせたいのはわかるけど、本当に欲しいのは誰?」

ニュースのポイント

 今週の「WWDビューティ」編集部が選ぶ新商品情報は、ホリデー特集。毎年この時期になると「クリスマスコフレ」の話題でもちきり。パーティー用バッグにベストセラーシェードと限定版のリップを6本詰めた「ディオール(DIOR)」、人気のミニプロダクトが入ったアドベントカレンダーは「サボン(SABON)」、ミニサイズのベースメイクアイテムとブラシがおしゃれなバニティバッグに入った「アンプリチュード(AMPLITUDE)」、万華鏡のように輝く限定シェードが入ったアイシャドウパレットを出す「ボビイ ブラウン(BOBBI BROWN)」。クリスマスコフレでしか手に入らないアイテムが入っていたり、いつもより格段にお得だったりセットも多く、毎年争奪戦必須。

Azuはこう読む!

 クリスマスコフレが私のデパコスデビューでした。あれは確か高校3年生。化粧禁止の高校だったので眉毛の描き方すら知らない女の子でしたが、「アナスイ(ANNA SUI)」や「ポール&ジョー(PAUL & JOE)」など、見た目の可愛さだけで憧れていました。

 当時はネット注文できなかった気がするので、ドキドキしながら予約受付開始時間に電話をして無事予約。普段は買わない美容誌のクリスマスコフレ特集を見てたくさん悩んで買った「ジルスチュアート(JILLSTUART)」のコフレは、ショートケーキのようなバニティケースにまばゆいアイシャドウ、そしてふわふわフェザーでできたつけまつ毛(時代を感じますね)が入っていました。アイシャドウすらまともに塗ったことなかったのですが、ただひたすらに「持っているだけで気分が上がる、可愛い」という理由で買った、私の初めてのデパコスです。

 時は流れ、今では立派なコスメ好きに成長しました。服に合わせて肌質を変えたりメイクのカラーをリンクさせたり、ファッションフリークとしてのアプローチでビューティを楽しんでいます。

 美容情報はSNSでもチェックするのですが、先日こんなツイートが流れてきました。「バズらせたい気持ちはわかるけど、みんな命がけで買おうとしてるのだから、クリスマスコフレはインフルエンサーに配っちゃダメだと思う。買えない人も出てくるのにブランドが意図的にバズらせるのは違うと思う」という意見です。このあとに、インフルエンサー自身を否定しているわけではなく、そういう状態を作り出すブランド側に憤っていると付け足していました。

 「コフレ インフルエンサー」などで検索すると、こうした憤りの声が出てきます。中には、まだ発売前のコフレがフリマアプリに定価の倍額で出品されているとのツイートも……。さすがにこれは怒りますよね。だってその商品が本当に欲しくてシフトをずらして発売日に並んだり、PCの前にかじりついたり、普通は買うための努力をするんですから。

 とはいえ、発信してくれる人がいないとコスメ戦国時代では生き残れないというジレンマもあります。雑誌に載れば必ず知ってもらえるという時代ではないし、どこもファンを飽きさせない趣向を凝らした商品を毎年提案するので、コフレ戦争は一層激しくなるばかり。多くのフォロワーを抱えているインフルエンサーにPRやギフティングによる任意の宣伝をしてもらうのも、広報手段の一つであることは確かです。

 でも、熱い想いを持つ消費者は、(言い方は悪いけれど)単純な情報拡散に騙されたりはしません。むしろその方法を誤ると「信頼してたのに裏切られた」と感じてしまい一気に熱が冷めてしまいます。私もいち消費者としてがっかりすることがよくあります。

 今回のプチ炎上は、もしかしたらブランド側には届かないくらいの火かもしれませんが、確実に消費者の印象は悪くなっています。せっかくみんなに年に一度のサプライズと幸せを届ける「クリスマスコフレ商戦」、後味もよろしく、もう少しシンプルにPRできませんか?

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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ステラ・マッカートニー × 二階堂ふみ ディープなサステイナビリティー対談

 ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)は10月16日、阪急うめだ本店で女優の二階堂ふみを迎えてサステイナビリティーをテーマにトークイベントを行った。司会を務めたのはタレントのハリー杉山。3人のセッションのハイライトを紹介する。

「”変化を起こす“ことを考えていた両親のもと、農場の近くで育った」

ハリー杉山(以下、杉山):「ステラ マッカートニー」ブランドをはじめるきっかけは?また、サステイナビリティーとの関係性は?

ステラ・マッカートニー(以下、ステラ):“何かを変える、変化を起こす”ことを考えていた両親のもと、オーガニックファームのそばで育ちました。私はベジタリアンで、自然、動物、季節などを非常に敏感に感じながら過ごしました。7~8歳のころにはファッション業界で働くことを決めていましたが、そうは言っても、ファッション産業は革や毛皮を使うことが通例。自分のポリシーに反するものでした。そんな中でも自分のポリシーを持ち、最も自然環境に害を与えてしまうと言われているファッション産業にいながら、素材に注意を払い、環境に配慮したモノ作りを実践しています。

二階堂ふみ(以下、二階堂):ステラさんの作る毛皮やレザーを使用していないものを持つことや、身に着けることが心から気持ち良く、快適に感じています。いったいどのようなモチベーションで、ステラ・マッカートニーというご自身の名前で発信し続けているのですか?

「ノーと言われたらイエスの方法を見つけていく」

ステラ:私は何事においても他に追従していくことが好きではないんです。ノーと言われたら、とにかくイエスの方法を見つけていく。常にチャレンジの姿勢で今まで仕事をしてきました。ファッション業界は同じやり方で今まで来たけれど、今、業界そのものにチャレンジが必要だと思います。

チャレンジには、もちろんクリエイティブな意味もありますが、私はビジネスウーマンであり、4人の子どもの母親でもある。だから、よりよい倫理観を持ち、新しい方法でモノ作りに取り組まなきゃいけないと思っています。

今、サステイナビリティーは、とてもトレンディーな会話になっているけれど、そこで終わらせてしまうのではなくずっと続けなければいけないこと。だから、サステイナビリティーは、セクシーでクール、ファッショナブルに表現されるべきで、これが当たり前になっていくことがとても重要だと思います。

「自分の生活とどれだけ密接なのかをもっと知らなきゃいけない」

杉山:サステイナビリティーがトレンディーになっているとありましたが、二階堂さんは実感はありますか?

二階堂:きっと今、徐々にサステイナブルな行動をとろうとしているところで、気付いている方がたくさんいるからこそ、こうやって皆さんとお会いできたと思います。(サステイナビリティーが)自分の生活とどれだけ密接なのかを、われわれはもっと知らなきゃいけない。海外に行くと、商品の裏に「動物実験をしていません」とか「環境に配慮しています」というマークがあるものが多いんですが、日本では意識が高い方しか日常的に目に触れる機会はないのかなとも思います。そういうところから少しオープンマインドになり、世代を超えてちゃんと話し合いができる環境になればと感じています。

杉山:プロセスは始まっているけど、何をしたらいいのかという明確なアイデアが生まれてこないですよね。

二階堂:そうですね。だから、ステラさんにはまず何ができるのかもお聞きしたいですね。

ステラ:みんな「ステラ」で買い物して(笑)。

今、多くの方が昔に比べて、自分の人生についてたくさん考える時代になっている。例えば「何を食べるべきか」「エクササイズをしなければいけない」「どこへ旅行しようか」といったことをもしかしたら皆さんのほうがファッション業界の人よりもいろいろなことを考えているのかもしれない。そんな時代だから、私たちは消費者にたくさんの情報を発信していかなければいけないと思っているし、もっといろんなことが見えるようにしなければいけない。政府の政策も変わっていかなければいけないと思います。

ファッション製品において大事なのは原材料。どこで調達しているか、どこからその原料が来ているのか、などをよく考えなければいけない。私たちが調達している60%は環境にプラスになるものですが、常にそうしたモノ作りを心掛けています。

例えば、ファッションでよく用いられるビスコースは、1年におよそ1億5000万本の木を倒してしまっている。私はサステイナブルな方法でこのビスコースを作っていますが、それをしているのが私だけ。クリエイティブにチャレンジをしながら、オープンマインドで、自分が例となって主導していきたいと思っています。

消費者は知りたいという気持ちを持たなければいけない。これをやらなければいけないというプレッシャーではなくて、興味を持つことで変化が生まれると思います。例えば、お肉の量を少し減らすことでもずいぶんプラスのインパクトがあります。ファストファッションは大きなマイナスのインパクトがあるということを心に留めながら、毎日いろんな問い掛けをしていただくことが必要です。また、服の不十分な活用とリサイクル欠如により、年間5000億ドル(約54兆円)が喪失することを考えることも大切よね。

「アクションを起こす重要な瞬間にいる」

二階堂:私は今、保護猫や保護犬の活動を始めようと情報を集めています。また、そういう子を家族に迎え入れて少しずつ勉強しています。世代や宗教などとさまざまな考えがある人々がこの地球上に生きている中で、どうやったら人間と人間、人間と動物とがうまく共存しながら持続可能な暮らしをしていけるのか考えるようになりました。

ステラ:まさに今、私たちはその現実に直面していると思います。現在の地球は私たちが両親から受け取ったもので、その両親はさらにその前の世代から受け取っています。誰も意図的に破壊しようと思ったわけじゃなくて、生活をよりよくしようとここまで来たわけなんです。

今、若い人たちが、自分たちの将来や自分たちの子どもの将来を考えて、声を大にして何かアクションを起こさなければいけない非常に重要な瞬間に来ていると感じます。今までは、親(大人)が子どもに教えてきた時代だったけれど、理解していない世代に向けて、子どもが声を上げて親に教えていかなければいけなくなっている。

だからこそ、上がっている声に耳を傾けてほしいし、その発言に対して敬意を持って聞いてほしい。それがうまくいけば、違う世代が一つになり素晴らしいものを一緒に生み出すことができると思うから。

「楽しくセクシーに表現すること。それが唯一の変化を起こせる方法」

杉山:僕が個人的にどうしても聞きたかったのは動物福祉についてです。きっかけは?

ステラ:本当に単純です。私は子どもの頃からたくさんの動物がいる農場でたくさんの時間を過ごしたので、その自分の周りにいる動物と同じ動物の肉を食べることができなかった。生きている動物は友だちという感覚が自然にありましたから。だから、革や毛皮を使わないのも自然に生まれた考えなんです。革や毛皮を使うのは、必ずしも誇らしいことではないと思います。武器に対しても同じように感じます。

今、さまざまな技術が生まれたことにより、肉の代用となる食べ物も作れるようになったり、毛皮や革の代替品も作れるようになった。それは急成長している産業にもなっています。

おやおや――通訳の方の訳し方で深刻に聞こえてしまっているのかしら。皆さん、ちょっとだんだんこの辺に(眉間を指さして)シワが……(会場が和む)。

今あるものに代わるものを作り出して提案したい。それを本当に楽しくセクシーで、ファッショナブルで、ラグジュアリーに。それが唯一の変化を起こせる方法だと思っています。

二階堂:すてきなものをどんどん広めさせたいというステラさんのマインドを、「ステラ」のお洋服を着ることで、影響を受け続けていると感じます。私は写真を撮るのが好きで、さっき、ステラさんのお母さまのリンダ・マッカートニー(Linda McCartney)さんの写真展も拝見したんですけれども、被写体がすごく生き生きとしてて、心から楽しんでいる姿と、すごくナチュラルな家族の姿が見ることができました。こういうところからステラさんはいろんなものを感じて、「ステラ マッカートニー」というブランドがあるんだなと感じました。

ステラ:何年にもわたって彼女が撮り続けてきたポラロイドをもとに本を作りました。とてもパーソナルなものです。私もこの本を初めて目にしたとき、感情的にとてもぐっときました。私は、両親が非常に有名だったこともあり、いろんな所から離れて、とても保護された環境で育ちました。もしかしたら、本を見るとそういうことが伝わるかもしれません。

作品を見ていただくと、私の母が本当に素晴らしい才能を持った写真家だったことを分かっていただけると思います。全部ポラロイドで撮ったものですが、とても質は高いものです。

今は手軽に写真が撮れてしまうけれど、ポラロイドで撮ったこの彼女の写真とつながるところがあると思います。また、写真から温かみや動物への愛情、家族に対する愛情を感じていただけるのではないかと思います。

二階堂:本当に贅沢な時間でした。ステラさんに伝えたいのは、ステラさんに共感して、学びたいと思っていて、サステイナビリティーを探求して広めたいと思っている方々が私も含めてたくさんいるということです。またぜひ日本に来ていただけたらうれしいです。

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そろそろインフルエンサーにちゃんと言ってあげましょう エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年6月19日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

そろそろインフルエンサーにちゃんと言ってあげましょう

 現在取材中のメンズ・コレクションでは、各会場にはさまざまな中国人芸能人がやってきます。現段階で一番大きな、女性の“黄色い声援(絶叫w?)”を聞いたのは、「トッズ(TOD’S)」のプレゼン会場。俳優のリウ・ハオラン(Liu Haoran)が来場した時でした。現在21歳の彼は、映画「Detective Chinatown 2」で妻夫木聡と共演したそうなので、知っている方もいるかもしれません。

 彼を含め中国人芸能人の多くは、自前の撮影クルーを従えてファッションウイークに参戦します。芸能人はおろかインフルエンサーでさえ、自前のカメラマンを連れてくることは珍しくありません。それはダサいこと?それとも賢い戦略?解釈はさまざまでしょうが、それにより存在感が増しているのは事実。一方日本の芸能人&インフルエンサーは、露出はメディア頼みだし、そのメディアは(自分も時々) “乗り気”でないことが多いので、セレブ戦略は不発に終わることもしばしば。インフルエンサー戦略も同様です。ハッキリ言えば、誰かを起用した「だけ」でモノが飛ぶように売れた、なんて話は幻想です(もちろん工夫次第ではブランド認知を高めたり、その存在を「認知」から「興味」というステージに引き上げたり、コスメを中心に手頃な商材はいくらか売れたりの結果を得ることは可能だし、それについては戦略的な考え方が存在します)。

 この効果を上げるには、どうしたらいいのでしょうか?正しいKPIの設定や、戦略的な企画立案、中でも “インフルエンサーを健全な形で束ねている企業”とのお付き合いが大事ですが、一方でそろそろインフルエンサーに直接語りかけるのはいかがでしょうか?中国人インフルエンサーのようにセルフプロデュース術を磨くのも一手、“憧れ”から“参考”のツールに変容したインスタグラムの世界で生きるなら発信力を身につけるのも一手、彼女たちに「アナタはこれから、どんな形でファッション&ビューティの世界に貢献してくれるの?」とメッセージを投げかけましょう。

 ちゃんとしたインフルエンサーは、われわれメディアさえ脱帽するくらい時流を素早く読み取り、立ち居振る舞いを進化させています。一方で努力を怠り、“あぐら”をかいている人たちも大勢います。私たちは、後者になんか仕事をお願いしなくていいんです。それは、一緒に頑張れない相手を取引先に選ばないのと同じこと。言ってダメなら、取引しなくて良いんです。

 芸能人、インフルエンサーとの仕事は、多くの企業人にとって不慣れな企業対個人の関係性の基に成り立っています。だから対等な関係性を築けない企業があまりに多い。それは逆に、芸能人やインフルエンサーを悪い意味で特別視していることでもあります。 企業対企業同様の関係性を築けばいいんです。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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世界規模エクササイズ「レズミルズ」で実感 信者になれば、コミュニティーの仲間になればなんでもできる

 編集部員さえ驚く(!?)ファッション・ヴィクティムで、ここ数年は、これまた呆(あき)れられるくらい(!!)ジムホリック(ジム中毒)な「WWD JAPAN.com」編集長ムラカミが、オシャレに変貌するエクササイズ業界に潜入!カラダを張って最新エクササイズを体験レポートし、長年の経験からオシャレ度をジャッジします。

 突然ですが、かつて消しゴム版画家として一斉を風靡しつつ急逝した、ナンシー関の名著「信仰の現場」はご存知でしょうか?これは彼女による、「普段は社会に順応しておとなしく生きている人でも、同志が集まる空間、つまり自分も信じる“ある信仰”が絶対的に普及していると確信できる空間では“心のタガ”を外し、その本性を見せるのではないか?」という仮説を検証すべく、例えば矢沢永吉コンサート(普段はフツーなのに、この日だけはリーゼントヘアの“永ちゃんスタイル”で、大きなタオルをみんなと一緒に空中に放り投げている人が多いと予想される空間)などに赴き、その様子を観察するという、人間の欲望や欲求、本能に関する示唆に富んだ本です。

 ナゼいきなり、もはや数十年のレベルの昔の書籍についてお話したかと申し上げますと、このフィットネス連載で今回体験したエクササイズが、まさにそんな「信仰の現場」だったから。今日は、同志が集ったがゆえにパワー全開!!だからこそ初参加の僕は、トレーニングプログラム的にも精神的にも序盤はキリキリマイだった(笑)、「レズミルズ」というエクササイズのメガイベントに潜入してまいりました。

 さて、まずはこの「レズミルズ」について簡単にお話しなければ、なのですが、ニュージーランド発祥のグループフィットネスプログラム。現在では112の国や地域、1万5000ものフィットネスクラブで楽しまれているそうで、インストラクターだけで10万人、参加者は100万人以上の人に及ぶとのことなのです。日本では、「リーボック(REEBOK)」が普及に一役買っております。

イベント会場だから仕方なし。
シャワーもなくてちょっぴり不満

評価 ★★
 

 で、やって来たのは秋になろうかというとある日曜日の夕暮れの、正直ちょっと遠く離れた湾岸エリアの有明。時刻は午後6時過ぎ。フツーの人なら「ちびまる子ちゃん」とか「サザエさん」を見ながら晩御飯を食べ始め、「あぁ、また明日から会社だねぇ」なんて言ってる時間帯です。そんな時間に会場まで来てみれば、湾岸エリア広しと言えど、ここだけスゲェ人、人、人。ざっと300人くらいはいらっしゃるでしょうか?今日はここで、朝から晩まで「レズミルズ」のプログラムが延々と開かれているそうで、僕は最後の2コマを体験です。

 会場は、いわゆる普通のイベントスペース。彩られてはいるものの、設備的にはスポーツフレンドリーではありません。床はありがちなカーペットだし、更衣室は折りたたみテーブルが並ぶだけの間仕切りされた空間でロッカーなんてナシ。もちろんシャワーもありません。ぶっちゃければ、「ちょっとイヤ」です。

 でも、ここに朝から晩まで常時数百人がいらっしゃって、エクササイズをして、汗ダラダラになって、ボディシートで身体を拭くくらいで帰っているのだと思うと、それだけで参加者の「レズミルズ愛」が伺えます。スタッフに話を伺えば、会場の最前列でエクササイズを受けるためのチケットのお値段は、なんと1時間で1万5000円!!高っ!!!!それでも「お一人様、●レッスンまで」という制限を設けないと大勢の「レズミルズ」ファンにイベントに参加してもらえないという悩みを抱えているらしく、さすが、おそらく世界で一番普及しているトレーニングプログラムの底力を感じさせます。

イベント限定タンクトップは、
まだちょっぴり恥ずかしい(照)

評価 ★★★
 

 今回は、会場で販売している「レズミルズ」ウエア、そして「リーボック」のスニーカーに着替えてチャレンジです。正直、いまの僕にはロゴ入りタンクトップは恥ずかしい(苦笑)!!でもストリートブランドの“ドロップ”しかり、コンサートのツアーグッズしかり、その時・その場でしか買えないアイテムは羨望の眼差しを浴びるワケで、見渡せば来場者の多くが同じタンクトップでした(笑)。

 さぁ、着替えも終わり、会場入り。まだ「レズミルズ」コミュニティーの一員とは言い難い僕は、恐れをなし、一番端っこに陣取らせていただきました(苦笑)。スタート前は、皆さん写真撮りまくりで、この情景もまた「スゲェな、『レズミルズ』」感を醸し出します。

ハマらなきゃ乗り切れない!
日曜夜の壮絶レッスン

評価 ★★★★
 

 最初の「レズミルズ」は、ボディアタック。ステージにはスペシャルゲストの来日インストラクター(!!)と、おそらく国内のフィットネス施設で「レズミルズ」を教えている精鋭インストラクターの皆さんが登場し、音楽スタートです。ちなみにメインインストラクターが、「音楽は、アレです!!」的なコメントを発したら、皆さん「ウォ〜」って盛り上がってました。門外漢にはマジで意味不明(笑)。でも、血中「レズミルズ」濃度が高い“信者”の皆様は、「アレ」をご存知なのでしょう。

 プログラムは、テンション上がってないと、タイヘンです(笑)。マジでキツい。繰り返しますが、世間一般は夕ご飯を食べている日曜日の夜7時ごろ。「レズミルズ」愛がなければ、「なんで俺、こんな時間に、こんなトコロで、こんなコトしてるんだろう?」と後悔せずにはいられないキツさです。有酸素だけじゃない、筋トレだけでもない、その交互が間髪入れずに訪れ続けます。

 「こ、これは、このままだと60分乗り切れない」。そう思った僕は、「信仰の現場」の傍観者から、「信仰の現場」の信者になるべくモードチェンジ。「こうなったら、周りの人に負けないくらい、やってやろうじゃないか!!」そんなカンジです。

コミュニティーにジョイン。
信者になったら楽しさ百倍

評価 ★★★★★
 

 とマインドセットを変えてみたら、人間やれるものですね(笑)。周りの人とハイタッチをすれば心が通っているように思えるし、皆さん頑張ってるから、止められない(苦笑)。モードチェンジ前は「元気なオッさんだなぁ」なんて“あちらの世界の人”くらいに思っていた方を「スゲェ!俺も頑張らなきゃ」って憧れの対象くらいに捉える始末です。ナンシー関が言うところの“心のタガ”を外すと、この「レズミルズ」一色の空間、最高にグルービーです(笑)。そして汗は、“心のタガ”を外すのに、一役買ってくれますね。「汗をかくと、人間は素直になるから」と考え、重要なミーティングの前には必ず皆が一緒に汗をかくという「ルルレモン(LULULEMON)」の名言を思い出しました。

 あの時、特に終盤はまぁまぁトランス状態でしたので思い起こすのが難しいのですが(苦笑)、プログラムや演出について回想してみますと、音楽やライティングは、さすがイベント。大迫力でクラブ感高めです。ボディアタックは、2レッスン目のボディコンバットに比べると移動量も多く、飽きません。壇上のインストラクターは、来日ゲストも、国内のジムから選ばれし精鋭も、さすがです。見惚れる体、キレのある躍動、そして、滴るどころか飛び散る、いや飛び散りまくる汗。いずれもカッコ良いし、盛り上げ上手です。来日ゲストの「今日は、息子もここにいるの。みんなと一緒にレッスンを受けているわ」の一言には、勝手にムネアツになりました。もはや立派なコミュニティー・メンバーです。

 2つのプログラムが終わったのは、午後9時前。撤収作業が始まっている会場で慌てて着替えていると、血中「レズミルズ」濃度が極めて高い方々は、「今日は泊まりだから」とか「急がないと最終が」なんて話しています。「うわぁ、この人たち、そんな遠くからいらっしゃってるんだ」。心の中で驚愕です。そういえばイベントの最中、MCの方が「次は沖縄で〜す」なんて話していたっけ。きっとこの人たちは、わざわざ汗をかくために、自分の身体を追い込むために沖縄まで行くんでしょう(笑)。

 エクササイズの世界にもコミュニティーは複数存在しており、どこかに属している人には別のコミュニティーが異質に見えるし、そんなコミュニティーに属していない人にはいずれも「一歩を踏み出し難い敷居」になっていると思います。エアロビやステップなどスタジオで有酸素のレッスンプログラムを受けている人にはフリーウエイトエリアは近いのに遠い世界だし、彼らからしてみればスタジオでクルクル回っている人たちは“違う”人たちです。でも、いずれのコミュニティーもどっぷり浸かれば楽しいし、趣味の世界ならそれが許されます。加えてコミュニティーが普段の仕事とは全く違うものなら、“新たな気づき”を得るきっかけになったりもします。

 仕事でファッションとビューティそしてデジタル、プライベートではエクササイズ。いくつかの世界を覗き見し、タイプの違う人たちと交流することが新たな気づきやバランスの維持に役立っていると実感する僕にとって、今回の「レスミルズ」は、改めてコミュニティーの大切さを実感する機会だったし、交流をしている方々を羨ましく思うイベントでした。

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11月1日開業の渋谷スクランブルスクエア、ビューティ見どころ

 11月1日に開業する複合施設「渋谷スクランブルスクエア」では、渋谷エリア最大級となる42のビューティブランドがそろった。

 渋谷スクランブルスクエアの“顔”となるメインフロアの3階に、「サカイ(SACAI)」や「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」などのラグジュアリーファッションブランドと並んで「ディオール バックステージ ストゥーディオ(DIOR BACKSTAGE STUDIO)」が出店する。「ディオール」のメイクアップの世界観を体験できる店舗で、約45平方メートルの広さに8席を設ける。同店舗で先行発売するアイテムやリップの刻印サービスなどをそろえ、若年層を中心とするメイク好きの男女の取り込みが期待できる。2階のファッションフロアには「イソップ(AESOP)」が入り、同施設のすぐそばを流れる渋谷川の堤防をイメージしたというコンクリート作りのシンクを設置した。

 6階は東急百貨店がテナントとして運営する、コスメ40ブランドを集積した「プラスク(+Q) ビューティー」フロアで、約1490平方メートルの面積にエリア初出店の「トゥー フェイスド(TOO FACED)」「イトリン(ITRIM)」「アンプリチュード(AMPLITUDE)」「トム フォード ビューティ(TOM FORD BEAUTY)」など、「若年層向けからクラス感のあるブランドまで幅広くカバーする」(吉田薫・東急百貨店 ファッション・雑貨統括部 第二ショップMD部化粧品担当)ブランドを集めた。

 メイクのシェアが高い渋谷エリアの特性を反映して、また2020年3月末で閉店する東急東横店のブランドを引き継いでメイクアップブランドを主力に据えて中央ゾーンで展開。それを囲むように壁面にスキンケア中心のカウンセリングブランドやラグジュアリーブランドを配置した。「低層階に価格帯の高いファッションブランドを積極的に誘致しているが、化粧品売り場でこれまで取りきれていなかった、ラグジュアリーな生活シーンを想定するお客さまをしっかり取り込んでいく」。スキンケアのカウンセリングニーズに応えるブランド共有のキャビン(個室)を設けて、クローズドイベントなどの実施も予定する。またメイクを切り口としたライフスタイル提案に注力するため、イベントスペースをフロア内の5カ所に設置し、常設ブランド以外の紹介も含めて積極的に活用していく。オープン時は「ユアンジュ(YOUANGE)」「シゲタ(SHIGETA)」「キュアバザー(KURE BAZAAR)」などのポップアップを行う。

 環境面では「フロア全体にわたってデジタルサイネージを多用し、渋谷のスクランブル交差点のようなイメージで“渋谷らしさ”を表現した。メイン動線とブランド区画の境界を緩やかにすることで間口を広げ、回遊性を上げる設計」を採用した。

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11月1日開業の渋谷スクランブルスクエア、ビューティ見どころ

 11月1日に開業する複合施設「渋谷スクランブルスクエア」では、渋谷エリア最大級となる42のビューティブランドがそろった。

 渋谷スクランブルスクエアの“顔”となるメインフロアの3階に、「サカイ(SACAI)」や「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」などのラグジュアリーファッションブランドと並んで「ディオール バックステージ ストゥーディオ(DIOR BACKSTAGE STUDIO)」が出店する。「ディオール」のメイクアップの世界観を体験できる店舗で、約45平方メートルの広さに8席を設ける。同店舗で先行発売するアイテムやリップの刻印サービスなどをそろえ、若年層を中心とするメイク好きの男女の取り込みが期待できる。2階のファッションフロアには「イソップ(AESOP)」が入り、同施設のすぐそばを流れる渋谷川の堤防をイメージしたというコンクリート作りのシンクを設置した。

 6階は東急百貨店がテナントとして運営する、コスメ40ブランドを集積した「プラスク(+Q) ビューティー」フロアで、約1490平方メートルの面積にエリア初出店の「トゥー フェイスド(TOO FACED)」「イトリン(ITRIM)」「アンプリチュード(AMPLITUDE)」「トム フォード ビューティ(TOM FORD BEAUTY)」など、「若年層向けからクラス感のあるブランドまで幅広くカバーする」(吉田薫・東急百貨店 ファッション・雑貨統括部 第二ショップMD部化粧品担当)ブランドを集めた。

 メイクのシェアが高い渋谷エリアの特性を反映して、また2020年3月末で閉店する東急東横店のブランドを引き継いでメイクアップブランドを主力に据えて中央ゾーンで展開。それを囲むように壁面にスキンケア中心のカウンセリングブランドやラグジュアリーブランドを配置した。「低層階に価格帯の高いファッションブランドを積極的に誘致しているが、化粧品売り場でこれまで取りきれていなかった、ラグジュアリーな生活シーンを想定するお客さまをしっかり取り込んでいく」。スキンケアのカウンセリングニーズに応えるブランド共有のキャビン(個室)を設けて、クローズドイベントなどの実施も予定する。またメイクを切り口としたライフスタイル提案に注力するため、イベントスペースをフロア内の5カ所に設置し、常設ブランド以外の紹介も含めて積極的に活用していく。オープン時は「ユアンジュ(YOUANGE)」「シゲタ(SHIGETA)」「キュアバザー(KURE BAZAAR)」などのポップアップを行う。

 環境面では「フロア全体にわたってデジタルサイネージを多用し、渋谷のスクランブル交差点のようなイメージで“渋谷らしさ”を表現した。メイン動線とブランド区画の境界を緩やかにすることで間口を広げ、回遊性を上げる設計」を採用した。

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「東コレに伝えたい」デザイナーたちの本音 連載Vol.10 「海外はみんなでファッション・ウイークを盛り上げていこうという空気感がある」

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏の「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月14〜19日に開催された。冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天に変わって初めてのファッション・ウイークとなるため、関係者からの注目は高い。しかし結局は、人を呼べるブランドが参加しないとファッション・ウイークは盛り上がらない。そこで、海外で活躍する日本人デザイナーや「RFWT」に参加するブランド、新進気鋭の若手らに「どんな東コレだったら参加したい?」というテーマで「RFWT」開催前にアンケートを実施した。10月28日の「WWDジャパン」東京ファッション・ウイーク特集発売の週まで、回答の一部を連載形式で紹介する。今回は「ミントデザインズ(MINTDESIGNS)」「モトナリ オノ(MOTONARI ONO)」「ミューラル(MURRAL)」「エフィレボル(EFILEVOL)」「アズマ(AZUMA.)」の5ブランドが登場。

MINTDESIGNS
勝井北斗、八木奈央デザイナー

 若いブランドにとっては国内の一般客をつかめるという点、仕組みを経験できるという点で、東コレはいい機会です。ただ海外に対しての影響力はあまり無いように感じます。自分たちの企画に合う時はぜひとも参加したいです。

MOTONARI ONO
小野原誠デザイナー

 東コレに初めて参加したのが2008-09年秋冬シーズンからでした。当時はデビュー組がたくさんいたり、メディアが前日のコレクション速報を紙面で出したり、盛大なレセプションやアフターパーティーがあったりとお祭りのような感じで、今よりもっと熱量がありました。現在はSNSやネット環境が普及し、コレクションの発表の仕方や発信の仕方が多様化したため、デザイナーも既存のやり方にとらわれない発表方法を模索している最中だと思います。海外のファッションウイークにも何回か参加しましたが、デザイナーやお客さま、メディアも含めてみんなで盛り上げていこうという空気感が日本よりもありました。これからデザイナーを目指したいと思う若者たちが参加したくなるような、ワクワクする雰囲気をみんなで作り出していけたらもっともっとよくなるはず。

MURRAL
村松祐輔デザイナー

 初参加の際には支援枠だったので、会場は無料提供で大変助かりました。ですが、支援枠は当時10時30分ショー開始という時間帯の縛りがあり、一般顧客の誘致など外部へのアプローチに苦労しました。また参加登録料を支払った順番から優先的に希望の発表時間をリクエストできるという仕組みも少し疑問です。参加登録料は少ない金額ではないので、時期やタイミングによっては支払いが難しいブランドもあると思います。先着順ではなくヒアリングを重ねて、そのブランドにあった希望の時間帯、または適正な時間帯を運営側と共に探っていくことも大事なのではないでしょうか。ヒカリエ以外の会場に関しても、選択肢がもう少し増えるとさらにいいと思います。

EFILEVOL
飛世拓哉デザイナー

 参加しない理由は展示会と東コレ開催時期に差がありすぎますし、業界の中にいても東コレ期間中と忘れるほど存在感が薄いからです。

AZUMA.
東研吾デザイナー

 ショーの参加費や会場代などもろもろの費用を考えると、出費に見合った回収が見込めないと考えるブランドが現状はほとんどのはず。将来東コレ参加を目指す若いデザイナーのためにも、クオリティーまでオーガナイズされた支援枠を作ってほしいです。

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レチノールに代わる植物性のエイジングケア成分「バクチオール」が海外でブーム そのメリットは?

 最近アメリカでは、「バクチオール(Bakuchiol)」という成分に注目が集まっている。オランダビユ(マメ科の植物)から取れる植物性成分で、働き方がレチノールに似ていることで知られる。レチノールはエイジングケア効果が期待され化粧品にも多く含まれてきたが、刺激を与える可能性があることから使用後は紫外線を浴びないなど、取り扱いに注意が必要とされてきた。

 一方でバクチオールは、肌への刺激が低く、敏感肌の人でも使える成分として話題だ。抗炎症や抗酸化、抗菌作用が期待でき、コラーゲンの生成を促すとされるほか、日中も使用できるのも大きなポイントだ。

 また、バクチオールがはやっている背景には、レチノールやレーザーといった従来のエイジングケア治療にも抵抗があることから、より肌に負担のない方法も取り入れたいというのもあるようだ。米「WWD」によると、年齢に争わず、シワやたるみなどを受け入れる人が増えているのと、ナチュラルブームの影響が大きいという。レーザーなどで肌を傷め、肌の修復力で若々しい印象にする“ダメージアプローチ”から、そもそもの肌を健康的に強化する“ウエルネスアプローチ”にシフトしていて、結果、肌バリアを強化するコスメが増えたり、内側から肌をケアするサプリメントなども人気が出ていたりする。オランダビユ自体はアーユルヴェーダや中国医学で昔から使用されてきたが、植物性で副作用が少ないということが近年のナチュラルトレンドと相まって人気で、バクチオールを取り入れるブランドが急増しているという。

 実際にニューヨークのセフォラ(SEPHORA)やナチュラルコスメを扱うクリード ビューティ(CREDO BEAUTY)に行くと、バクチオール入りの美容液やクリームが棚いっぱいに並んでいた。価格帯もバラバラで、1000円代〜1万円代まで、幅広い年齢層・消費者層が使える印象だった。

 一方で日本では、5月に上陸したイギリス発スキンケアブランド「オスキア(OSKIA)」がバクチオール入りの「16セラム」(30mL、1万9000円)を販売し、エストネーション(ESTNATION)などで購入が可能だ。また、アメリカで人気の「ハービヴォア ボタニカルズ(HERBIVORE BOTANICALS)」の「バクチオール レチノール オルターナティブ セラム」はメリーゴーランド(MERRY-GO-ROUND)が輸入販売し、2020年に上陸する予定だという。日本でもナチュラル市場が拡大する中、敏感肌の人でも安心して使える成分として流行るのか、注目したい。

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2020年春夏「ヨウジヤマモト」を徹底解説 山本耀司が背中で語った“NO FUTURE”の意味から本人の曲を含むBGMまで

 「WWDジャパン」10月21日号は、2020年春夏パリ・ファッション・ウイークの特集第2弾を掲載している。世代が異なる3人が見たパリの新潮流とそこから得られるビジネスのヒントを9つのトピックにわたって紹介し、「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」はそのうちの1つのトピックス、「コミュニティー」の形成が上手いブランドとして取り上げた。9月27日にパリで開催されたショーはファンがうなる仕掛けが盛りだくさん。ここでは、そんな20年春夏コレクションを展示会で取材した追加情報も加え、5つのポイントで解説する。

ブランドタブーへの挑戦

 今季「ヨウジヤマモト」は、無駄を削ぎ落とした美を追求する同ブランドだからこそタブーとしてきた2つのことに挑戦した。1つめはビーズとレースなどをふんだんに使った装飾、2つめはフラワーモチーフだ。これらをどうしたら「ヨウジヤマモト」らしく取り入れることができるかに挑戦したという。まず装飾部分は、手描きのペイントと手作業で施された刺しゅう、そしてビーズの3重構造という手の込んだクチュールワークとなっている。ただし、レースなどをギザギザにカットすることでブランドらしい不規則性を見せる。またこれだけ手が込んだ装飾を前面に見せるのではなく、シャツドレスの内側に施して歩くたびに見え隠れするようにしたのもブランドらしい。

 フラワーモチーフは、アーティストの朝倉優佳とのコラボレーションの中で表現した。朝倉は16年の「画と機」の展覧会以来、同ブランドとコラボレーションを続けているが、今回彼女が頼まれたのは“beautiful but crazy(美しくも狂気的)”な挑戦的で毒気のある花を描くことだったという。「コレクションで見せたドレスは毒々しい花々を全面に描いていましたが、最初は花と花の間にすき間がある絵を描いていました。ですが、より毒気や花のエネルギーを出すために隙間を埋めるように花を足していきました。実在する花もあれば、想像上の花も描いています」と朝倉は制作の裏側を語る。かわいらしさや可憐さを表現するために使われることが多いフラワーモチーフだが、毒々しい花でブランドらしさを表現することで「耀司さんは服飾史の中の“花”(という概念)に挑戦したのだと思う」という。

マグネットの招待状の意味

 「ヨウジヤマモト」の今季の招待状はマグネットで、その一つ一つにブランドのロゴや会場の住所がプリントされていた。「なぜマグネット?」と疑問に思ったが、展示会でその理由が明らかになった。ワンピースの布地につけられていた円のモチーフは、実は強力なマグネットで、布地に留め合わせてボタンのように見せたり、布地を手繰り寄せて美しいドレープを生みだしていた。ちなみにマグネットにのせられた絵の具は、山本耀司の直筆だという。

シューズは台湾ブランドとのコラボ

 ショーではクリノリンを用いたエレガントなドレスやクチュールワークが美しいドレスに、キャンバススニーカーを合わせてストリート感を取り入れていた。このスニーカーは実は台湾のアイドルグループF4のメンバー、ヴァネス・ウー(Vanness Wu)が立ち上げたファッションブランド「Xヴェセル(XVESSEL)」とのコラボだ。同ブランドのアイテムの中でも特に脱構築したソールデザインで人気を集めるスニーカー“G.O.P.”をピックアップし、ソール部分は「Xヴェセル」のデザインを生かしつつ、アッパー部分にレザーを取り入れるなどして「ヨウジヤマモト」流に仕上げた。ローカットはホワイトとブラックの2色、ハイカットはホワイト、ブラック、レッドの3色を用意する。

“NO FUTURE”の意味

 フィナーレに登場した山本耀司デザイナーが着用していたコートの背中には、“NO FUTURE”の文字があった。日本語で「未来はない」の意味だが、いったいそのこころとは?誰の「未来」がなぜ「ない」というのか。展示会会場に山本耀司の姿はなく直接聞くことはできなかったが、その真意とは、深刻化する地球環境に警鐘を鳴らし、このままでは「未来はない」という意味だったという。コレクションも、温暖化で気温上昇が著しい夏でも快適に過ごせるようにと、今季は麻やリネンなどの素材を多用した。また服の一部を円や三角形の形にカットアウトし、素肌を見せるディテールも通気性を配慮してのことだという。20年春夏はパリだけでなく、各都市のコレクションでサステイナビリティーが一大潮流となっており、ショーで使用した機材の再利用やアップサイクリングを打ち出すブランドが多かったが、「ヨウジヤマモト」の場合、山本耀司本人の言葉が一番人々の心に響きそうだ。

BGMは本人の歌声!「神田川」も流れる

 コレクションの制作からスタイリング、キャスティング、出番表、ヘアメイクまで、ショーの過程を全て監督しているという山本耀司だが、ショーのBGMまで自身で制作してしまうのは衝撃だった。曲を作るのはショーの直前、コレクションなど全てが整った後に、イメージを形にして即興レコーディングするのだという。今回のショーでは「Notebook」と名付けられた曲を披露。他にもショーではかぐや姫の「神田川」などが流れた。是非動画でショーのBGMとともに「ヨウジヤマモト」の世界に浸ってほしい。

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週末お出掛けスポット シャネルのアパルトマンをとらえた写真展などアート5選

 週末にオシャレして出掛けたいアートスポットをお届け。今週はガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)のアパルトマンをとらえた写真展や安藤忠雄のポートフォリオ最新作の展覧会など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(10月26、27日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【アート5選】

【イベント】

ガブリエル・シャネルの伝説に触れる巡回展「マドモアゼル プリヴェ」が東京に

「カルティエ、時の結晶」展がスタート 意表を突く会場構成と逸品の数々の競演

新宿や銀座にエリアを拡大 デザインとアートの祭典「デザイナート・トーキョー 2019」が10月に開催

「シャネル」の香水の世界観を堪能できるアフタヌーンティーが登場

「リモワ」がストリート誌と企画展 過去のアーカイブからアーティストの作品まで

伝説的デザイナーによる“元祖ストリートコラボ” パリのアライア展が語ること

「スター・ウォーズ」の世界を体感 200点以上の衣装や小道具を集めた展覧会を開催

ディーゼル アート ギャラリーでマッド・ドッグ・ジョーンズが世界初となる個展を開催

日本初のバスキア大規模展 前澤ZOZO前社長が所有する作品も

【ポップアップ】

日本初上陸!韓国発パウチコスメ「スティモン」がポップアップを開催

「カラー」が盛りだくさんの限定商品と共に3都市を巡るポップアップツアー

「ブルガリ」と「ドン ペリニヨン」のマリアージュ ブルガリ銀座タワーの最上階に

辺見えみりの「アウターサンセット」が東京・南青山に路面店

パリ発「モロー・パリ」がギンザ シックスでポップアップストア開催

NY発の「オーバーコート」がポップアップストアをオープン 特別に制作したインスタレーションを用意

「ディオール」が伊勢丹でタータンチェックの限定コレクションを発売

仏老舗ニット「メゾン モンタギュ」が表参道ヒルズで初のポップアップショップをオープン

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素材サンプルのデジタル化で輸送費1億円節約! 素材メーカーもブランドも恩恵

 ファッション業界でもデザインやサプライチェーンなど生産工程のデジタル化が急激に進んでいるが、テキスタイルや素材メーカーは依然としてサンプルの実物を取引先に送る必要があった。輸送費用がかさむだけではなく、二酸化炭素排出量の増加などサステイナビリティーの観点からも望ましくないが、ファブリックのサプライチェーン・プラットフォームを提供する米フロンティア(FRONTIER)の“オンラインデータベース”によってそうした問題が解決できるという。

 フロンティアの親会社であるエスメテックス(ESMETEX)のロバート・ライアン(Robert Ryan)は、「オンライン上のデータベースなので、テキスタイルメーカーはほぼ無制限にサンプルをアップロードすることができるし、より多くのブランドに見てもらうことができる。ブランド側としても、従来よりも気軽に多くのサンプルを見て注文できる」と語った。

 使い方は、ファブリックをスキャンした画像をアップロードして情報を入力するだけと簡単だ。画像はスマートフォンで撮影したものでも構わないという。フロンティアのAI(人工知能)が色味などを調整し、いくつかの条件に従って分類する。デザイナーやブランド側は、色、パターン、テクスチャー、原材料などで検索し、同データベース上でそのままサンプルや実物を注文することが可能だ。

 また、同データベースは一般的なデザイン用ソフトウェアの多くに対応しているため、デザイン画などにサンプルを適用して仕上がりを見ることもできる。サンプルの画像は3Dにすることも可能で、手触りもイメージしやすいという。このデータベースは2019年4月に公開されたばかりだが、すでにインドなどアジアのテキスタイルメーカーが25社登録しており、およそ2万種類のサンプルが提供されている。

 現在のところ、「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」や「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」を擁するPVHコープ(PVH CORP)などがユーザーだ。ライアンは、「PVHコープのとある部門は、ファブリックのサンプルなどの輸送費をたったワンシーズンで100万ドル(約1億800万円)節約できた」とその効果を説明した。

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コラボサロン「ゲーム」 “同年代集客”で快進撃が続く

 ヘアサロンの「ガーデン(GARDEN)」と「マジコ(magico)」がサロンの垣根を超えてコラボレートし、今年2月にスタートさせたヘアサロンブランド「ゲーム(GAME)」。その第2弾となる美容室「ゲーム ヨコハマ」が8月に横浜市西区にオープンした。どちらの店舗も好調で、その成功要因は独自のスタッフ採用および集客の方針にあるようだ。

WWD:「ゲーム」のコンセプトは?

上原潤一郎「マジコ」代表(以下、上原):「マジコ」が得意とするユースカルチャーから影響を受けたヘアデザインと、「ガーデン」がニューヨークで培ってきたヘアデザインをミックスした“原宿ユースカルチャー”を日本から世界へ発信していくことです。

WWD:2店舗目をオープンしたが、コンセプトは同じなのか。

上原:第1弾の美容室「ゲーム バイ アランスミシー(GAME by Alan Smithee)」は東京・原宿にオープンし、原宿カルチャーのトレンドセッターたちの“なりたいヘアデザイン”をかなえてきました。第2弾はそのコンセプトを横浜に移し、横浜でおしゃれを楽しむ10~20代を集客しています。横浜は原宿と同様に、駅周辺におしゃれな若者の数が多く、当サロンとの親和性が高い。「ゲーム バイ アランスミシー」がディズニーランドなら、「ゲーム ヨコハマ」はディズニーシーのイメージで考えています。2月のオープン以来、「ゲーム バイ アランスミシー」は毎月約1000人の新客が来店するほど好調なので、「ゲーム ヨコハマ」のスタッフ採用や集客などは同様の方針を採用しているんです。

WWD:その方針とは?

上原:スタッフ採用と集客を連係させて考えるのが「ゲーム」の特徴で、キーワードは“同年代”。美容師はどんなに技術が高くても、お客さまと年齢が離れると、“かわいい”と感じるニュアンスというか感覚が、どうしてもズレてしまうと思っているんです。お客さま側からいうと、同年代で自分と似た感性を持つスタッフに担当してもらうのが一番安心できる。美容師側からいっても、作品で自分の感性を伝えて、それに共感してくれる同年代のお客さまを担当したいと考えている人が、特に若い美容師の中に多い。双方のニーズをマッチングさせたのが「ゲーム」のスタッフ採用と集客の特徴で、自分のインスタグラムなどのSNSを使って自由に集客できることを売りにスタッフ募集をかけるんです。そうするとSNSに自信のある若いスタッフが入ってくれて、一人一人が同年代のお客さまを呼んでくれる。そうした感度の高いお客さまはSNSを使いこなしているケースが多いので、そこからまた拡散してくれる。この一連の流れが「ゲーム バイ アランスミシー」の好調の要因だと考えています。

WWD:インスタグラムは予約や集客に活用できる?

上原:予約に関しては、最終的には「ホットペッパービューティー」から行う人が多いですが、「ホットペッパービューティー」のギャラリーの作品を見て美容師を選んでいる若年層のお客さまは少ないと分析しています。美容師個人のインスタグラムを見て選んでいる人が圧倒的に多いので、インスタは集客ツールとして活用できますね。

韓国風デザインカラーに着目

WWD:SNSにはどういったものを投稿している?

上原:SNSにアップする作品で、特にこだわっているのがカラーデザインです。今の10代~20代前半の感度の高いお客さまは、カットのディテールなどにはほとんどこだわっていないんです。熱く注目しているのがカラーデザインで、できれば毎日メイクを変えるような感覚で、髪色も変えたいと考えている。実際、ブリーチやダブルカラーの作品をアップすると反応がいいですし、カラーをオーダーするお客さまの7~8割がダブルカラーを希望しています。彼女たちがイメージしているのは韓国系アーティストのカラーデザインで、オレンジやピンク、イエロー系の人気が高いですね。「ゲーム ヨコハマ」のイメージビジュアルでも、韓国っぽいカラーデザインを前面に打ち出しているほか、トリートメントでも韓国発のものがよく売れています。SNS集客に対する需要や韓国スタイルの人気などは、これまでも何となくは認知されてきましたが、コンセプトに明確に取り入れたサロンは珍しいと思います。

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「ザ・ノース・フェイス」が「プリマロフト」を選ぶわけ

 ファッションも機能性やサステイナビリティーを追求する傾向の中で存在感を高めているのが、ポリエステルを主原料とする“化繊綿(わた)”だ。中でも三井物産アイ・ファッションが扱う「プリマロフト(PRIMALOFT)」は、日本におけるブランド化繊綿のトップシェアを占める。「プリマロフト」を20年以上にわたって使用するアウトドアブランド「ザ・ノース・フェイス」の大坪岳人ディレクターにそのわけを聞いた。

機能的かつサステイナブル、
さらにイージーケア

 本格派アウトドアブランドで、ファッションとしても幅広い層に受け入れられている「ザ・ノース・フェイス」は1990 年代から「プリマロフト」を採用している。大坪岳人「ザ・ノース・フェイス」ディレクターは、「化繊綿は、もともとはダウンの代替品として生まれたが、われわれは化繊綿とダウンを全くの“別物”と捉えている」と話す。ダウンはロフト(かさ高)があり、コンパクトに畳んでも復元力が高い。しかし、水濡れや汚れによって重くなり、保温性が損なわれるのが弱点だ。

 また偏りを防ぐためにバッフルと呼ばれる隔壁が必要で、デザインも制限される。一方、化繊綿は保温性などをキープしながら薄く仕上げることができ、デザインへの対応力が高い。ダウンほどではないがかさを出すこともでき、何といっても家庭で洗濯できるのが特徴だ。「商品設計上、中綿に採用すべきはダウンなのか化繊綿なのか、アイテムごとに考えている」という。

 多くの化繊綿ブランドの中で「プリマロフト」を指名し続ける理由については、「最大の魅力は、ダウン以上の柔軟性だ。体に“追従してくる”着心地は、ほかの化繊綿ブランドにはない個性と言える。われわれが求めるロフトをクリアしてくれるので、バッフルなしのデザインに使うことが多い」と答えた。シーズン商品であるダウンウエアは、夏の間コンパクトに畳めて収納できることも大事な要素だ。ダウンは収納時に湿気を含んでロフトが失われることがあるが、「『プリマロフト』は、すぐにかさが回復する。そもそもほかの化繊綿ブランドはコンパクトに畳むこともできない」と述べた。

 2019-20年秋冬シーズン、「ザ・ノース・フェイス」はブランドのアイデンティティーとも言える“キャンプシエラ”シリーズに“プリマロフト ゴールド インシュレーションラックス エコ(以下、プリマロフトラックス)”を採用した。“プリマロフトラックス”は軽量性、保温性、はっ水性、通気性、柔軟性などに優れた「プリマロフト」の最高峰アイテムで、リサイクルポリエステルを100%使用したサステイナブル素材でもある。大坪ディレクターは、「“シエラパーカ”はダウンウエアのオリジンとも呼ばれる、『ザ・ノース・フェイス』の最重要アイテムだ。そのアイコンに再生素材の“プリマロフトラックス”を採用することで、ブランドが今何を大事に考えているかを表現したかった」と説明する。実際、「ザ・ノース・フェイス」はダウンを回収、洗浄、再販売して循環させる「グリーンダウンプロジェクト」など、サステイナブルな試みを多数実践している。

知ってるつもりの
「プリマロフト」とは?

 「プリマロフト」は、アメリカのプリマロフト社が開発・製造する化繊綿ブランドだ。最近では軽さや保温性、はっ水性など化繊綿の持つさまざまな機能が認知され、そのリーディングブランドである「プリマロフト」を店頭で指名買いする客が増えている。“PRIMALOFT”と書かれた赤い逆三角形のロゴを、中綿入り衣料のタグなどで見かける機会も増えた。プリマロフト事業は1983年、当時の最先端素材メーカーであった前身のオルバニー インターナショナル(ALBANY INTERNATIONAL)社によってスタートした。米陸軍の「ダウンに変わる新素材を」というリクエストに完璧に応え、その高い品質が世に知られることになった。

「デザイン面では
産みの苦しみもあった」

 企画・開発を統括する大坪ディレクターは「デザイン面では産みの苦しみもあった」と言う。“シエラパーカ”はダウンのためにデザインされたアイテムであり、「それを化繊綿用にリデザインする際、チーム内でかんかんがくがくの議論があった。しかし機能性に優れ、質が高い“プリマロフトラックス”の存在が追い風になった。『プリマロフト』は今や、『ザ・ノース・フェイス』を作る上で欠かせないブランドになっている」。

プリマロフトの副社長
が語る未来

 機能的でサステイナブルな新素材を開発し続けるプリマロフト社のヨッヘン・ラゲマン(Jochen Lagemann)副社長に、同社が考える未来について聞いた。「化繊綿の技術競争はハイレベルだが、『プリマロフト』はその中で最も軽量で保温性に優れた素材として認知されている。ダウンは断熱材として魅力的だが、水濡れなどの弱点があることは確か。化繊綿はそのソリューションの一つだ。またダウンは、動物愛護の観点からエシカルな素材とは言えない。サステイナビリティーを追求する当社としては、再生ポリエステルや生分解性原料などを使用したクリーンな化繊綿の開発に、いっそうまい進する。現在、世界中の800を超えるブランドが『プリマロフト』を採用しており、アジアでのファッションおよびライフスタイル需要も着実に伸びている。われわれの武器は83年以来培ってきた開発力だ。これを将来的にも維持し、各ブランドひいてはエンドユーザーに快適さを提供し続けたい。より多角的に答えを示せるよう、さまざまな業界とパートナーシップを結ぶ必要もあるだろう。そして、その準備をしている」。

 アウトドアブランドを中心に、ライフスタイルブランドにも浸透している「プリマロフト」。ダウンの代替品という枠を超え、「プリマロフト」独自の価値を生み出している。

PHOTO : KAZUO YOSHIDA, TEXT : MASASHI TAKAMURA

問い合わせ先
三井物産アイ・ファッション 機能テキスタイル事業部
06-6226-3532

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「エアクロは上場で私たちの希望に」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。

今日のニュース:P.4「服レンタルのエアクロ、上場視野に」

読み解きポイント:「元祖ファッションテック企業はみんなの希望となるか」

ニュースのポイント

 女性向けファッションレンタルサービスのエアークローゼットが、株式の新規上場の準備を着々と進めている。すでに具体的な段階に入っており、1〜2年をかけて上場する準備に入った。会員数は現在20万人を超え、上期の売り上げは15億円。会員数、売り上げともに前年比約60%増と着実に成長している。今年に入りL〜3Lの大きいサイズ対象の「プラスサイズプラン」を開始したり、手持ちの服をエアークローゼットのスタイリストに共有できる「Myクローゼット機能」を追加したり、新サービスのリリースも相次いだ。多くのブランドから「エアークローゼットのプラットフォームを利用してレンタルサービスを行えないか」という問い合わせもあり、外部ブランドへのシステム開放が今後の成長の鍵となる。

Azuはこう読む!

 エアークローゼットがサービスを開始したのは2015年2月。まさに日本で「ファッションテック」という言葉が出始めた「ファッションテック元年」だと記憶していますが、とうとう上場準備を開始と……!私もファッションテックと括られる分野でほぼ新卒時代からキャリアを積んでいるので、なんだか勝手に感慨深い気持ちになりました……。憧れていた親戚のお兄ちゃんが、結婚して遠い街に引っ越してしまうという噂を聞いた時のような……。

 ベンチャー企業にとって、上場はひとつのゴールでありスタート地点ですが、それを叶えるのはジェットコースターに乗りながら針の穴に糸を通すより難しいことです。特に起業のハードルが低くなり投資を受けやすいベンチャーバブルと呼ばれる今、流星のように生まれては消えていく会社をいくつ見てきたことか……。若手ブランドも……。そう考えると「色々あったけど4年も続いていてすごいなー、弊社」など思います。だってそれはもう馬車馬のように……(略)。

 という自社の自慢はさておき、このニュースがかつて「ファッションテック」と呼ばれたわれわれファッション系ベンチャーの希望となってくれるのは間違いありません。ここに上がった数字以外を見るなど、読み方によっていくらでも粗は探せるかもしれませんが、ファッションの課題をITの力で解決する会社の成功例として突き進んでほしいです!

 ちなみに私は、ファッションレンタルサービスを使ったことがありません。題にあるようにファッションフリーク女子としてやらせていただいてるので、着る服は呆れるほどあるからです。ただ先日の東コレ取材では、「あえてめちゃくちゃOLな服を着てフロントローに座ったら、どういう気持ちになるのか?」という謎の実験を試みたくなったので、エアークローゼットのサイトを開いてプランまで閲覧したのは事実です。派手な服を着るファッションフリークOLが綺麗めコンサバOLとして一週間過ごしたら、どんな心情の変化が起きるのか?サービス利用の感想とともに、この連載で綴る日も近いかもしれません。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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ピッティで聞いた「日本、負けてる! 」という話 エディターズレターバックナンバー

※この記事は6月17日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

ピッティで聞いた「日本、負けてる! 」という話

  「日本、負けてる!」。

 海外コレクションの取材に赴くと、度々そう感じます。「負けてる!」と思う相手は、中国そして韓国です。

 最初にそう感じたのは、もう10年以上前のこと。市場が拡大し、結果大勢にランウエイショーのチケットが届き始め、存在感は増すばかりの中国・韓国勢のスタイルを見て、「プレスもバイヤーもなんて華やかで、オシャレを楽しんでいるんだろう。それに比べ、日本は……」と思った時でした。中国・韓国勢は色とりどり、そして若い。比して“チーム日本”は今だってダークトーンで、若手はまだまだ少ない。下記リンクのロンドンスナップでも、日本人の登場回数はアジア勢よりはるかに少ないのです。そう感じた時、「せめて一矢報いたい」と勝手にライバル心をメラメラと燃やし、結果、今のスタイルにたどり着きました(笑)。

 ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)のメインゲストを務めた「ジバンシィ(GIVENCHY)」のショー会場でも、「日本、負けてる!」と思ったエピソードを聞きました。ラフォーレ原宿のセレクトショップ、グレイト(GR8)の久保光博代表から、「ここ数日、ロンドンブランドの売り上げが急伸している。『クレイグ グリーン(CRAIG GREEN)』なんて先週までは全然だったのに、今はバカ売れ。アジアからのインバウンドの売り上げが凄まじい」という話を聞いたのです。

 数日前まで、ロンドンではメンズ・コレクションが開かれていました。さまざまなブランドの最新コレクションは世界各国のメディアが取り上げていますし、イベントも多彩でした。グレイトを訪れるアジアの顧客は、それらをしっかりチェック。例えばロンドンメンズの主催団体らが開催したコンテストでグランプリを受賞した「ア コールド ウォール(A-COLD-WALL)」の売り上げは、“大フィーバー”中なんだそうです。

 もちろんそんな消費者はごく一部でしょうが、私たちの国は、ここまで熱量のあるファンを育成できているでしょうか?むしろファンを減らしてないでしょうか?「悔しい」。久保代表の話を聞いてそう思い、「5年後には、グレイトと『WWDジャパン』で、エンドユーザーをドライブするプライズを開催しましょう!」と半分ヤケクソで夢を語り、握手した次第です。

 ピッティでは「日本のお客様は、新しいスタイルを想像するのが苦手なので……」なんて話を聞く機会が増えています。幸い欧米人の多くは未だ、「日本はファッション先進国」と信じてくれていますが、このままではヤバい。私たちの国はここ数年で、ファッション・フォワードな国から“転落”し、コンサバティブな国になってしまったとさえ思います。このままで良いのか?一矢報いることはできないのか?そのために、自分は何ができるのか?私はメディアを通して知的好奇心を喚起するコンテンツを提供しつつ、草の根レベルでは派手な服装で「よくわかんないけど、ファッションって楽しそうだね」と思ってもらうことが自分の役割だと(勝手に)信じ、その信念に従い、(賛否両論なのは知っていますが)突き進んでいます。

 皆さんは、何ができますか?

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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老舗ジュエラー6代目が語る合成ダイヤの可能性 「シンカ」銀座店がオープン

 合成ダイヤモンドに特化した「シンカ(SHINCA)」の店舗が10月、東京・銀座にオープンした。同ブランドは、京都の老舗ジュエラーである今与が手掛けている。地上1階約56平方メートルの店舗では、合成ダイヤモンドを使用したリングやピアス、ネックレスなどを販売。価格は2万円台からと手頃だ。同ブランドを立ち上げて約1年。日本における合成ダイヤモンドの現状について今与の今西信隆・社長に話を聞いた。

 合成ダイヤモンドとは人工的に製造されるが天然ダイヤモンドと同じ科学組成、結晶構造、物理的特性を持つ。そのため熟練した宝石商や鑑定士でも目視だけで区別できず、特別の機械が必要。見た目は天然と全く同じ。合成ダイヤモンドの主要な製造法はCVD(CHEMICAL VAPORDEPOSITION)と呼ばれる化学気相蒸着法とHPHT(HIGH PRESSURE AND HIGH TEMPERATURE)と呼ばれる高温高圧法の2種類ある。

WWD:合成ダイヤモンドのブランドをいち早く立ち上げたきっかけは?

今西信隆・今与社長(以下、今西):私自身、一般社団法人日本ジュエリー協会の常任理事をしていることもあり、2015年ごろに合成ダイヤモンドが天然ダイヤモンドに混入してジュエリーに使用されているという問題が出たときからその対応策を考えてきた。実際、合成ダイヤモンドを見た際に天然と比べてそん色ないと思った。テクノロジーの進化は止められないし、合成ダイヤモンドとどう向き合うべきか考えた。世の中の流れを見て、やるべきだと考えて天然と区別する意味で新ブランドとしてスタートさせた。

WWD:「シンカ」を立ち上げた目的は?

今西:今与は1861年に創業し、当初はかんざしや帯留めなどの装飾品を販売していた。戦後からジュエラーになったわけだが、本物を提供することで人の心を豊かにしたいという思いを創業当時から大切にしている。だから、ダイヤモンドに手が届かない層に合成ダイヤモンドを提供することでダイヤモンド市場の裾野を広げたいと思った。天然と合成を共存させるのが目的だ。

WWD:鑑定書を付けて販売する理由は?

今西:デビアス(DEBEERS)の合成ダイヤモンドブランドである「ライトボックス・ジュエリー(LIGHT BOX JEWELRY以下、ライトボックス)」はミレニアル世代をターゲットにしたアクセサリーブランドだが、われわれは合成ダイヤモンドの市場においてトップラインを提供したいので鑑定書を付けている。カラーはI以上、クラリティーはSI2(スライトリー・インクルーデッド)以上、カットはエクセレントのものに18金やプラチナを組み合わせたジュエリーだ。

WWD:販売する合成ダイヤモンドのカラット数は?また価格設定はどのようにしているか?

今西:0.2~1カラットが中心。ブランドとして価格における信頼性はとても重要なので、価格設定は正直、悩ましい。ブランドを立ち上げた1年前は天然ダイヤモンドの上代の50%の値付けだったが、1年間客観的に価格を見てきて銀座店オープンを機に3分1に設定した。

WWD:ターゲット層と中心価格帯は?

今西:ターゲットは幅広い。シンプルなデザインなので、シンプル志向の消費者から支持されている。ダイヤモンドには手が届かないミレニアル世代から、ずっと1カラットが欲しかったという年配の消費者、また、本物を持っている富裕層からも関心が寄せられる。中心価格帯は4万5000~9万円程度だ。

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「東コレに伝えたい」デザイナーたちの本音 連載Vol.9 「メディアも含め来る人が毎回同じで、PR面でプラスの効果なし」

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏の「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月14〜19日に開催された。冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天に変わって初めてのファッション・ウイークとなるため、関係者からの注目は高い。しかし結局は、人を呼べるブランドが参加しないとファッション・ウイークは盛り上がらない。そこで、海外で活躍する日本人デザイナーや「RFWT」に参加するブランド、新進気鋭の若手らに「どんな東コレだったら参加したい?」というテーマで「RFWT」開催前にアンケートを実施した。10月28日の「WWDジャパン」東京ファッション・ウイーク特集発売の週まで、回答の一部を連載形式で紹介する。今回は、東コレを経て現在は海外でショーやプレゼンテーション、展示会を継続する「ヨシオ クボ(YOSHIO KUBO)」「ダブレット(DOUBLET)」「エトセンス(ETHOSENS)」「キディル(KIDILL)」が登場。

YOSHIO KUBO
久保嘉男デザイナー

 参加したい気持ちはありますが、よく言われている開催スケジュールの変更は現実的に難しいはずなので、海外で発表するわれわれがブランドとしてどのように関われるかを考えています。例えばファッションショー本来の目的に戻り、ただ見るだけではなく、来場者がオーダーしてブランドが受注生産していくなど、そういったコレクションをシーズン毎のショーとは別に発表してもいいのかもしれません。

DOUBLET
井野将之デザイナー

 「トウキョウ ファッション アワード」受賞によるサポートがあり、1度だけ東コレに参加しましたが、人生のハイライトベスト5に入るほど充実した出来事でした。ブランドとしてのシーズンテーマがランウエイショーの方が伝わりやすいと思ったシーズンには、ぜひまた参加したいです。

ETHOSENS
橋本唯デザイナー

 過去に東コレに参加してビジネスとPR面共にプラスの効果があり、エンドユーザーからの反響もありました。ただ開催時期から商品立ち上がりの期間が短いため生産が厳しいことと、東コレに参加することでいかにブランドの付加価値を付けるかが難しく、現在は参加していません。

KIDILL
末安弘明デザイナー

 過去に数回参加してヒカリエ以外の会場でショーを行いましたが、誘致しているはずの海外バイヤーやメディアが、実際にショーを見てくれたのかどうかすらわからず、展示会に来てくれたこともない。来てくれる人はメディアも含め毎回同じで、PR面でプラスの効果を感じたことは正直、あまりなかったです。何百万円も予算をかけた割に、参加して終わるだけのお祭りのように感じることもありました。会場選びも、東京都が管理している施設はいくつもあるので、運営側からの提案もしてほしいです。またビジネスにつなげるのであれば、海外バイヤーに予算をもたせる契約をしてから呼んだり、もしそれが時期的に難しくても、世界で影響力のあるメディアを呼んだりすることもできるのでは。国内の合同展でも海外バイヤーを呼んでビジネスにつなげている事例も出てきているので、東コレだって絶対にできるはず。

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短期で結果が欲しい女性たちへ、進化する「時短ケア」最前線

 社会で活躍する多忙な女性が増え、「時短」という言葉は今やすっかり定着している。勤務形態に加え、効率良く家事を行う家電製品や、美容のお手入れに対しても「時短」というワードが頻繁に使われている。

 「30~40代の女性にインタビューすると、必ずといって良いほどあがるのは“自分の時間がない”という言葉です」とは、吉安可那子・花王ソフィーナ事業部商品担当。30代の場合は乳幼児や学童期児童の子育てに追われ、40代に入ると子供の受験や親の介護問題が生じてくる。「年代ごとに忙しさの理由は変わりますが、独身・既婚にかかわらず“働きながら、家族やパートナーとの関係も、自分自身の趣味や人生も大切にしたい”と願う女性が増えています」。

 これだけ聞くと少々欲張りにも思えるが、男性に比べて女性のライフステージは複雑に分岐していく。仕事、妻、母と1人でいくつもの役割を担いながら「全てをきちんとこなしたい」と願うとしたら、そこには日本女性の生真面目さが現れているようにも思う。そんな多忙な生活を反映して、実は過去10年で女性の「美容行動」が変化しているのだ。

 「花王の調査によると、2008年において、スキンケアの中で最も使用率が高いのは化粧水の90.2%、続く2位が乳液で58.8%。スキンケアの基本は、化粧水と乳液によるお手入れでした。ところが18年になると、化粧水の使用率は82.3%、乳液は43.6%に低下し、美容液が44%と、直近では乳液の使用率を越えています。新たなアイテムとしてパックの使用率が15.8%から21.6%へ伸長しました」(吉安商品担当)。

 この10年で「時短ケア」がブームとなり、洗顔後1品でスキンケアが完了する「オールインワン」や、化粧水代わりに毎日使える「大容量パック」が続々登場してきた。これらの時短アイテムは「1品で何役も兼ねる多機能性」が特徴でその分、誕生当初は、複数のステップを重ねるお手入れより、使い心地が少々物足りない面が否めなかった(そして当時はどこか手抜きなイメージも……)。しかし19年現在、時短ケアは新たなステージへと進化している。「現代の女性たちは情報感度が高く、口コミなどを参考にして、新しいものを取り入れることに抵抗がありません。最も重視するのは“パフォーマンス”です」と、吉安商品担当は語る。

花王が目指したのは「3日で肌に結果を出す」

 花王(KAO)から11月9日に登場する「ソフィーナiP」は、美容液2品によって肌へのパフォーマンスを追求する、究極のシンプルケアだ。目指したのは、「3日で肌に結果を出すこと」。肌の生まれ変わりには通常約1カ月を要するが、時間に追われる女性たちは、そんなには待っていられない。肌質が改善する“理想の期間”を聞いたところ、「3日から1週間以内」という回答が最も多かったそう。そこで「ソフィーナiP」では、洗顔後の肌に高濃度の炭酸泡を用いた「ベースケア セラム(土台美容液)」を使用。泡状のテクスチャーが化粧水のようにみずみずしい感触に変化し、瞬時に浸透していく。潤いの力で肌をやわらげ、巡りを促したところで、使用するのは「インターリンクセラム」。花王の得意とするセラミドを補給し水分保持能を高めると同時に、肌表面に“疑似的な角層”を形成するという。血流、潤い、シールド膜に注目した、肌のポテンシャルを効率良く高める処方だ。

 「形状はユニークですが、奇をてらったわけではありません。“短期間で結果を実感するにはどうしたらいいか”を突き詰めた結果、誕生した形状です。なぜ美容液2品なのかというのも、化粧水とも乳液とも違い、機能性を考え合わせた結果“美容液”という表現にたどり着きました」(吉安商品担当)。

リアルな視点から誕生した「サボリーノ」は販売4億枚超え

 花王が緻密なマーケティングを元に時短ケアを追求する一方で、「自分たちが欲しいもの」というリアルな視点から生まれたのが、BCLカンパニー(BCL COMPANY)の「サボリーノ」シリーズだ。「もともと『サボリーノ』シリーズは、13年に社長直轄のプロジェクトとして発足した“女子開発ラボ”から生まれた製品です」とはBCLカンパニー宣伝本部の御殿谷りえPR担当。「メンバーは企画、販促、PRなど部門を越えた20代後半~30代の女性のみ。世代も同じ働く女性たちが、日常的に感じていることを話し合いました」という。

 例えば「これから人と会うのに朝は顔がむくむ」「そういえば、朝用のマスクは市場に存在していないのでは?」という風に、1つ1つは些細なことでも、素朴な疑問を積み重ねた結果、女性のリアルな視点で欲しいものを製品化できたという。15年発売の「朝用マスク サボリーノ 目ざまシート」は、忙しい朝に、1品で洗顔・スキンケア・下地までをかなえる多機能マスク。現在に至るまで、累計4億枚越えの販売実績を誇るヒット製品となった。

 「プロジェクト発足から5年が経過。メンバーもそれぞれ年齢を重ね、結婚や出産を経験しました。ライフステージが変化し、エイジングサインが気になる世代となって、今回は“忙しい大人の肌に必要なものとは何か?”を突き詰めていったんです」と、御殿谷PR担当。たどりついたコンセプトは“夜60秒でかなうエイジングケア”。ここでもこだわったのは“肌へのパフォーマンス”だ。

 「この秋登場した『サボリーノ オトナプラス 夜用チャージフルマスク』は、リポソーム化したビタミンCとビタミンE を配合しています。バラエティーの価格帯では珍しい処方ですが、“きちんと肌に成分を届け、結果を出したい”という思いを込めています。マスクというアイテムにこだわったのは、家事をしながらでもお手入れができること。そして化粧水や乳液のようにキャップを開け閉めしたり、使用量を間違うこともなく、貼るだけで適切なお手入れができるからです」(御殿谷PR担当)と自信を見せる。

 ムダを徹底的に省いて効率を重視、そして何より結果を実感できること。花王にもBCLカンパニーにも共通するのは、時短だけではないすぐれたパフォーマンスだ。これまでスキンケアは、肌と向き合いゆっくりていねいに行うことが推奨されてきたけれど(もちろん今も基本的には変わらないけれど)、社会で活躍する女性にとって「そうもいっていられない」ライフステージが存在するのも事実。そしてそんな働く女性たちは、日常的に効率を追求し結果を出すことに慣れており、「結果が出るなら既存の方法にはこだわらず、フレキシブルにアイテムを試す」傾向もありそうだ。新たなステージに進化した時短ケア、今後忙しい女性たちにどのような評価を得るのか興味深い。

宇野ナミコ:美容ライター。1972年静岡生まれ。日本大学芸術学部卒業後、女性誌の美容班アシスタントを経て独立。雑誌、広告、ウェブなどで美容の記事を執筆。スキンケアを中心に、メイクアップ、ヘアケア、フレグランス、美容医療まで担当分野は幅広く、美容のトレンドを発信する一方で丹念な取材をもとにしたインタビュー記事も手掛ける

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「スニーカーは機械で大量生産され、われわれの靴は手作業で生み出される。少し値は張っても良質なものを長く履くムーブメントが定着しつつある」 by マーティン・メイソン

MARTIN MASON トリッカーズ最高経営責任者(CEO)

 スニーカーは機械で大量生産され、われわれの靴は手作業で生み出される。グッドイヤーウェルト製法による「トリッカーズ(TRICKER'S)」の靴は、アウトソールを替えれば何十年も履くことができる。実際、今日私が履いている“ストウ”も10年以上物だ。英国の職人が、英国の素材を使って作るわれわれの靴はとてもサステイナブルだ。“サステイナブル”は今、最も重要なキーワードであり、少し値は張っても良質なものを選択して長く履く(着る)ムーブメントが定着しつつある。(2019年4月26日掲載、ブーツ不況の中 英「トリッカーズ」が青山店オープンで日本市場にあらためての船出から)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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「オニツカタイガー」が60mのトラックでショー開催 70周年のオマージュを幻想的に表現

 今年70周年を迎えた「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」は10月23日、2020年春夏コレクションショーを東京・新豊洲Brilliaランニングスタジアムで開催した。アンドレア・ポンピリオ(ANDREA POMPILIO)=「オニツカタイガー」クリエイティブ・ディレクターは、創設者の鬼塚喜八郎にオマージュを捧げ、ファッションとスポーツ、ヘリテージ(伝統)とイノベーション(革新)の融合という「オニツカタイガー」のコンセプトを作品と演出で鮮明に表現した。

 幻想的なブルーの光で近未来的に演出された60mのトラックをランウエイとして行われたショーは、マーチングバンドの演奏と共に、アクロバティックなラートやトリッキングといったアーバンスポーツのパフォーマンスで幕を開けた。同コレクションのデザインは、さまざまなスポーツのユニホームからインスピレーションを得ている。バスケットボールのユニホームのメッシュ素材からインスパイアされたタンクトップとショートパンツのほか、デニムのカーゴパンツはクライミング、フィット感のあるマルチカラーのTシャツはレーシング、中綿入りのジャケットは馬術、透明な素材を用いたコートはセーリング、そしてフェミニンで華やかなサテンのイブニングドレスはボクシングローブから着想を得るなどスポーツの多彩な表現に約450人のゲストが拍手を送った。

 ポンピリオ=クリエイティブ・ディレクターは、「『オニツカタイガー』の原点でもあるスポーツのさまざまな要素をミックスした。スポーツの機能があるわけではないが、若々しい躍動感のあるシックでリラックスした新感覚のカジュアルだ。今年から来年にかけてスポーツの国際的な一大イベントが相次いで行われる日本は、スポーツに対する関心が高まっている。人を魅了するスポーツは重要なトレンドになると思う」と話した。2013年から協業している「オニツカタイガー」の今後については、「世界をリードするグローバルなファッションブランドにすることだ。来年は私の地元であるイタリア・ミラノに出店を計画している。私はエキサイティングな挑戦が好きだ。既存店とは違う、『オニツカタイガー』を代表するグローバルな旗艦店としたい」と意気込みを語った。

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読者が注目した今週の新作 「ガンダム」 × 「ポーター」など(10月25〜31日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。「ファッション」部門と「ビューティ部門」では読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ファッション」部門では「ポーター(PORTER)」 × 「機動戦士ガンダム」のコラボレーションアイテムが最も注目され、「ビューティ部門」では「M・A・C」の2019年ホリデーコレクションが1位に輝いた。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


【スニーカー部門】

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クリスマスや忘年会、自分へのご褒美など 冬のギフトは「パナソニック」の美容家電がおすすめ

 冬といえばクリスマスプレゼントや忘年会の景品、一年間がんばった自分への“ご褒美”など、何かとギフト需要が高まる季節だ。パナソニックが20~40代の男女500人に行った調査によると、「女性は欲しいのに、男性は女性が喜ぶと思わない」という男女間のギャップが一番大きかったギフトは、美容家電だった。パナソニックはそうしたギャップを埋めるべく、かわいくて高級感もあるゴールド色を使用した美容家電「スチーマー 温感かっさセット」「RF美顔器 ウォータークリアジェル2本セット」「フェリエ まつげくるんセット」を11月1日から数量限定で販売する。また男性の中にはどんな美容家電を贈ればいいか迷う人も多く、そういった人に向けては、ウェブコンテンツ「ギフトレシピメーカー」が便利。同コンテンツは質問に答えると、どの美容家電が自分や贈りたい人に合っているかを診断してくれるので、製品も選びやすくなっている。この冬はぜひ、ギフトに美容家電を贈ってみては。

ゴールドを基調にした
高級感のある限定セット

人気ヘアメイクの
小田切ヒロ氏による
独自のかっさメソッド

 “小顔の伝道師”とも呼ばれているヘアメイクアップアーティスの小田切ヒロ氏による「ドレナージュ 美顔器 温感かっさ」を使用した独自のメソッドを、ユーチューブのパナソニック公式チェンネルで公開中。あらためて盛り上がりをみせているかっさ美容。使う前の準備から、耳周り、首、そして鎖骨にかけての3ステップを中心に動かし方のポイントを分かりやすくアドバイスしてくれる。

おすすめの製品を診断してくれる
「ギフトレシピメーカー」

 パナソニックビューティのウェブサイトでは、「相手のパーツで魅力的だと感じるところは?」「いま、ケアしたいパーツは?」などの、いつくつかの質問に答えるだけで、ギフトを贈る相手にぴったりの美容家電が見つかるコンテンツ「ギフトレシピメーカー」の提供を開始した。美容家電を贈りたいがどれを選べばいいか分からないという人は、ぜひこの「ギフトレシピメーカー」を使用してみてほしい。

パナソニックビューティの魅力

 “忙しいひとを、美しいひとへ。”をコンセプトに、フェイスケア、ヘアケア、ボディーケアといった美容家電を展開している。イメージキャラクターには水原希子を起用し、幅広い世代から支持を得ている。電車の車内ビジョンなども積極的に行っている。

 

 

問い合わせ先
パナソニック

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ひっそりと“買えるファッション・ウイーク”になっていた!! ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。

今日のニュース:P.4「楽天がファッションの有識者会」

読み解きポイント「RAKUTENでSEE NOWできます(!?)ランウエイルック!」

ニュースのポイント

 2020年春夏から東京のファッションウイークのスポンサーを務める楽天が、ファッション領域強化のための有識者会を11月1日に設立する。目的はファッションアイテムに特化したサイト「Rakuten Fashion」のサイトデザインやユーザーコミュニケーションの強化。中島敏子「ギンザ(GINZA)」元編集長をエグゼクティブ ファッション クリエイティブディレクターに据え、アドバイザーに田中杏子「ヌメロ トウキョウ(NUMERO TOKYO)」編集長、スタイリストの熊谷隆志を迎えた。10月1日にはすでに中島ディレクターら監修のもと、旧「楽天ブランドアベニュー」を「Rakuten Fashion」にリニューアルし、サイトのUI/UXを刷新している。

AZUはこう読む!

 等身大OLと書いておきながら、東京の素敵なブランドを勝手に広めることを趣味にしているため、学生時代を含めると東コレに通い始めて早6年。スポンサーが変わるのを2度見届け、「自分もそろそろ新人とは名乗れないな……」と、謎の落ち着きをもって取材しています。いや、今回も新入り時代と変わらず、ひとり隅っこで笑って、泣いて、震えて感動していたのですが。

 OL連載の初回で取り上げたのが、愛すべき「東コレ」の話題でした。国内外のファッションウイークに感化され業界に飛び込んだ身としては、どんなに門前払いされても首を突っ込まないわけにはいかないのです。本当は色々めげてしまって前回で切り上げようと思っていたのですが、「スポンサーが変わるなら、きっと何か変化があるはず!」と、また区切りをつけられずに足を運んでしまいました。

 「シンプルに“買えるファッションウイーク”が見てみたい!」初回の私、こんな偉そうなことを書いています。楽天サイト内でランウエイに出た商品が買えるようになったらいいな〜と思っていたのですが、スポンサー就任からたったの2カ月半で(もちろんその前から準備があったとは思いますが)買えるサイトができている!

 リニューアルした「Rakuten Fashion」では、「スリュー(SREU)」や「バルムング(BALMUNG)」「ディスカバード(DISCOVERED)」など、東コレに参加したブランドの20年春夏アイテムの予約販売が行われています。よく見てみると、販売しているのはコレクションブランドの新作を発表直後に予約購入できるオンラインショップ「SEENOWTOKYO」でした。See Now Buy Now(シーナウバイナウ。見て、すぐ買えるコレクション)が盛り上がっていた17年に始動したサービスで、その後もファッションウイークで若手ブランドのショーや予約販売をサポートしたり、百貨店などでポップアップを開催したり、ブランドと消費者をつなぐ貴重な存在として活動しています。

 前回はSEENOWTOKYOが表立ってショーを開催していたので「今回は何もしないのかな?」と思っていたらこの形で参加していたので、「もっとメディア露出してよ〜!もったいないよ〜!」と思いました。せっかく買おうと思えば買える場所があるのに、それを買いたい人に情報として届けなくてどうする!毎度現場の苦労を知らずに書いて恐縮ですが、学生さんや熱心なファンも見にきているショー会場でチラシを配るとか、各ブランドがSNSで告知をするとか(見た限りSEENOWTOKYO以外のインスタでの告知はありませんでした)、もう少し情報拡散の面で出来ることはあったんじゃないかなと思います。そしてこれはSEENOWTOKYOが、というより「Rakuten Fashion」が告知すべき話題なのでは。もしくはファッションウイークのひとつの重要な動きとしてメディアが伝えるべきでは?

 さて、この辺りはおそらく来季に向けてガツっと改善されていくと思いますが、有識者会でどういった「サイトデザインやユーザーコミュニケーション等のさらなる強化」について議論されるのか、とても気になります。今の段階ではかなり雑誌寄りの人選で、ファッション領域としては確かに最強な雰囲気がありますが、今後はある程度ファッション業界に明るくサイトのUI/UXやウェブとリアル(店舗というより東コレといったイベント)をつなぐ設計に関しての有識者も参加するのでしょうか?楽天のプレスリリースに記載された図を見る限り、もう複数人登用されそうな感じですが……。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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中国は工場から世界の市場に 下着注目ブランドは「内外(ネイワイ)」「アンテルフィリエール 上海」リポート<後編>

 9月26~27日に開催された下着や水着、アクティブウエアの素材見本市「アンテルフィリエール(INTERFILIERE)上海」で、「ヤングレーベルアワード」が発表された。同賞は昨年から設けられたもので、デビュー10年未満のアジア太平洋地域の有望なブランドに与えられる。下着、水着、アクティブウエアのカテゴリーから13ブランドがファイナリストに選出され、日本の下着ブランドである「マイミア(MAIMIA)」が3位を受賞した。1位は中国の下着ブランド「ザ ブレンダー(THE BLENDER)」が、2位は同じく中国の「ヤランカ ニューライフ(YALANKA NEWLIFE)」が受賞。素材展の初日に授賞式が行われた。

 3位に選ばれた「マイミア」は昨年デビューしたばかりのブランドで、自社オンラインショップや原宿のランジェリーセレクトショップ「イルフェリーノ(IL FELINO)」で販売しているほか、百貨店などでポップアップショップを開催している。色鮮やかなサテン地にフレンチリバーレースを配した繊細なデザインと独特のカラーコントラストを特徴とする独自の世界観を築いている。審査員からはそのブランディング力が評価された。デザイナーの神成は、「昨年5月にブランドを設立したばかりだが、世界中から集まった審査員に評価してもらい、とても驚いている。『マイミア』は純粋に自分の“欲しい”“好き”から生まれたブランド。国やバックグラウンドが違う人々に共感してもらい心からうれしい」と語った。同ブランドには副賞として、来年6月に開催される「ユニーク バイ モードシティ(UNIQUE BY MODE CITY)」への出展権が授与される。神成は「(それを)一つの目標として今後商品構成も充実させ、さらに多くの人にブランドを知ってもらえるよう準備する」と言う。

 また同展では、主催者のユーロヴェット(EUROVET)がセレクトした5 つの中国ブランドを紹介するエリア「ジ エッセンス(THE ESSENCE)」が設けられた。中国はここ数年で、世界の工場から世界で最も急速に発展している市場へと変化した。このような状況下で生まれた中国ブランドは強いアイデンティティーと共に国際的な舞台に進出しようとしている。「ジ エッセンス」は、それらブランドに機会を提供するのが目的だ。5つのブランドの中で、洗練されたデザインと品質や規模で群を抜いているのが、2012年に創業し現在中国国内で55店舗を展開する「ネイワイ(NEIWAI)」だ。漢字では「内外」と書き、下着、パジャマ、部屋着、アクティブウエアを展開している。リュウ・シャオルー(Liu Xiaolou)最高経営責任者(CEO)は、同展でもトークショーに登壇するなど注目される存在だ。同ブランドは「パリ国際ランジェリー展(SALON INTERNATIONAL DE LA LINGERIE)」にも出展しており海外進出にも意欲的だ。もちろんすべての中国ブランドが「ネイワイ」に準ずるとは言い難いが、そのクリエイティビティーが日本に比べ遅れているという先入観は捨てるべきだろう。生産力と開発力を武器に世界へと飛躍するであろう中国ブランドに注目したい。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

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「ヴィクトリアズ・シークレット」の牙城を崩す いま知っておくべき米下着ブランド10選

 米大手ランジェリーブランド「ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA'S SECRET)」がプラスサイズモデルを起用して大きな話題になっているが、多くの下着ブランドが何年も前からダイバーシティーへの取り組みを行っている。

 ダイバーシティーの流れをけん引してきた下着ブランドを紹介する。

1. AERIE

 アメリカンイーグル アウトフィッターズ(AMERICAN EAGLE OUTFITTERS)の姉妹ブランド「エアリー(AERIE)」は、“リアルな女性像”を打ち出してファンを獲得したパイオニア的ブランドの一つだ。2014年にはSNS上で「#AerieReal」キャンペーンを実施。同ブランドの水着や下着などの商品を身につけた無加工の写真をハッシュタグとともに投稿することを促した。また、広告でもデジタル加工を施していない写真を使用している。

 同ブランドを代表するロールモデルに、イギリス人モデルのイスクラ・ローレンス(Iskra Lawrence)、体操選手のアリー・レイズマン(Aly Raisman)、女優のヤラ・シャヒディ(Yara Shahidi)、レイチェル・プラッテン(Rachel Platten)の4人を起用。加えて、女優のビジー・フィリップス(Busy Philipps)、義足のスノーボード選手のブレナ・ハッカビー(Brenna Huckaby)らを起用し、さらに幅を広げている。

 ジェニファー・フォイル(Jennifer Foyle)=グローバルブランド部門プレジデントは、「『#AerieReal』のプラットフォームは、私たちのリアルな女性たちにスポットライトを当てたいという取り組みのもとに誕生した。この情熱が他のブランドも巻き込み、人々のリアルな姿を写すことやセルフラブのムーブメントを支持する勢いを生み出した」と語った。

 同ブランドの2〜4月期の既存店売上高は前年同期比16%増。それに加えて、5〜7月期も同27%増と継続して伸びている。アメリカンイーグル アウトフィッターズのロバート・マドアー(Robert Madore)最高財務責任者兼副社長は6月、来年または18カ月以内に10億ドル(約1085億円)の売り上げ規模に達する可能性があると予測した。さらに他の小売業者の閉店が続くなか、同ブランドは来年に60〜70の新規店舗オープンを予定している。

2. SOMA INTIMATES / TELLTALE

 チコズ FAS(CHICO’S FAS INC.)の「ソーマ インティメイツ(Soma Intimates以下、ソーマ)」は、プラスサイズモデルやさまざまな年代のモデルの起用を続けている。同社が今年4月に立ち上げたミレニアル世代に向けたD2Cブランドの「テルテール(TELLTALE)」も同様の方針をとっている。

 多様性の潮流が追い風となり、チコズ FASの株価が前年比56%減であるのに対し、「ソーマ」の第2四半期における既存店売上高は10.9%増加した。

3. WACOAL

 ワコール アメリカ(WACOAL AMERICA)は1985年以来、サイズAAからIまでのブラジャーを販売している。ボブ・ヴィターレ(Bob Vitale)最高経営責任者(CEO)は「必ずしも変化に目を向ける必要はない。重要なことは、インクルージョン(包摂・包括性)と誰が顧客であるのかを受け入れることだ。私たちはあらゆるタイプの体形、サイズの女性に最適で快適な製品を提供することに着実に取り組んできた」とコメントした。

 同社はこの7月、ダイバーシティーを打ち出すスタートアップブランドの「ライブリー(LIVELY)」を買収した。

4. SAVAGE X FENTY

 歌手リアーナ(Rihanna)によるランジェリーブランド「サベージ×フェンティ(SAVAGE X FENTY)」は、9月に開催されたニューヨーク・ファッション・ウイークでさまざまな体格やサイズのモデルを起用したショーを行い称賛を浴びた。ショーでは、トランスジェンダーモデルのラバーン・コックス(Laverne Cox)や義足を着けたモデルらが登場した。

 リアーナは「キャスティングはブランドが何を支持しているかを表現するためにとても重要なことよ。私たちが支持しているのはインクルーシビティー。私たちはどんな体形の女性もサイズを理由に疎外感を覚える必要はないことを伝えるために、たくさんのサイズを展開しているわ。全ての女性に自身をセクシーだと感じてほしい」と語っている。

5. PLAYFUL PROMISES

 下着と水着を展開するイギリス発の「プレイフルプロミス(PLAYFUL PROMISES)」は、多様性が注目される以前からプラスサイズモデルやトランスジェンダーモデルを起用している。

 同ブランドのキャンペーンでは、プラスサイズモデルのハンター・マクグラディ(Hunter McGrady)やガビ・フレッシュ(Gabi Fresh)らが登場するほか、6月の15周年記念コレクションではトランスジェンダー女優でモデルのレイナ・ブルーム(Leyna Bloom)が登場した。

 エマ・パーカー(Emma Parker)創立者兼CEOは「いつの日か、トランスジェンダーであるかどうかすら語られなくなる日がくると良い」と語る。

6. THIRDLOVE

 「ヴィクトリアズ・シークレット」へのアンチテーゼを掲げる「サードラブ(THIRDLOVE)」は、年配の女性や傷跡のあるモデルなど多様なモデルを起用する。

 公式サイトではプラスサイズ用のカテゴリーを設けず、サイズにかかわらず全てのブラジャーを同じ値段で提供している。

7. KNIX

 トロントを拠点とする「ニックス(KNIX)」は2013年にインクルージョンを掲げたオンラインブランドとして誕生した。これまでに、生理用ショーツや水着、最近ではマタニティーコレクションを発表して幅広いサイズを展開している。

8. VIVA VOLUPTUOUS

 イギリス発のオンラインブランド「ビバ・ボラプチャス(VIVA VOLUPTUOUS)」は、プラスサイズの女性たちに向けた商品を提供している。「プラスサイズのほとんどのアイテムはベージュで可愛いデザインのものが少なかった。私たちはプラスサイズモデルにもセクシーでかわいく、美しいアイテムを提供したいと思った」とリズ・ウィルズ(Liz Wills)社長。ブラバンドのサイズは40まで、カップのサイズはNまでを展開する。

9. TOMBOYX

 シアトルを拠点とするスタートアップ企業の「トムボーイX(TOMBOYX)」は、2012年にフラン・ダナウェイ(Fran Dunaway)とその妻のナオミ・ゴンザレス(Naomi Gonzalez)が設立。小売業の経験がない2人だったが、それまでなかったジェンダーニュートラルなアイテムを打ち出し人気を博した。同ブランドは、エクストラスモールから4Xまでのサイズを全て同じ価格で提供している。

 ダナウェイは「私たちは全ての体形のためのブランドだ。異なる体形を持つ人がウェブサイトを訪れた時に、サイズのせいで多く払わなければいけなかったり、特別なセクションに移動しなければならないことは一種の侮辱だと思っている」。

 同ブランドはサイズだけでなく、民族においても多様なモデルを起用している。

10. ADORE ME

 ニューヨーク発の「アドア・ミー(ADORE ME)」は2012年にオンラインで誕生。スモールサイズからプラスサイズまでを扱う。ロマン・ロワ(Romain Loit)最高執行責任者は「私たちはさまざまな形の美しさを売っていく必要がある。私たちが他と違うところは、全ての人の美しさが平等であることに加えて、自信の源泉となるようなアイデアを伝えていることだ」とコメントしている。

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「ベイクルーズフェス京都」は5000人が来場 寺の境内での大胆ファッションショーに老若男女が熱狂

 ベイクルーズグループは創業40周年を記念した野外イベント「ベイクルーズフェス京都」を10月5日に嵐山の法輪寺で開催した。8月の名古屋に続く同イベントは、開催地ごとに異なるテーマを設け、各都市で働くスタッフが中心となって企画を立案する。京都では“ファッション”をテーマに、京都エリアの13店舗が一体となって取り組んだ。

 法輪寺は嵐山の麓から長い石段を上った中腹にあり、京都の街並みを見下ろせる地でもある。この日は午前11時の開場前に、メイン会場となった寺の横の広場入り口から石段の下まで行列ができた。会場は、DJブースを囲むようにベイクルーズグループによるマーケットプレイスや飲食ブースが並ぶ。Tシャツや提灯のワークショップ、「ボナム(BONUM)」による古着の即興リメイク、小物からアウターまで豪華景品が当たる射的、「ジャーナルスタンダードファニチャー(JOURNAL STANDARD FURNITURE)」による家具のオークションなど、テーマでもあるファッション要素が充実。来場者は、ファッション好きが多いからか装いも晴れやか。ハイライトは陽が落ちてから行われたファッションショーだ。参道をランウエイに見立て、比留川游や沙羅マリーらモデル30人が寺の境内に並んだ光景は圧巻。観客は老若男女、なかなか体験できないファッションショーを目にして興奮気味だった。来場者の一人は「ベイクルーズフェス名古屋にも家族で参加した。それぞれ違った面白さがある。次回も参加したい」と話した。

 「ベイクルーズフェス京都」の実行委員長を務めた水野弘之ジャーナルスタンダード神戸店店長は「京都地区の店長ら13人全員一致でやりたかったことが、お寺でのファッションショーだ。店のお客さま以外もたくさん足を運んでくださり、正直ビックリしている。女性が多いかと思っていたが男性も多く、メンズマーケットもまだまだいけるなと思った」と手応えを語った。また「これまでは(京都エリアの)各店で仲間意識みたいなものがなかった。『ベイクルーズフェス』に共同で取り組み、一体感が生まれた」という。

 「ベイクルーズフェス」の発起人である本間利絵執行役員と飯高宏ジョイントワークスカンパニー長は、「地方の販売員のキャリアプランを考えたときに、副店長や店長以外の職種となるとなかなか難しく、以前からの課題でもあった。当然、バイヤーやプレスとして上京する者もいるが、家庭の事情でそれができない人もいる。一方で10年や20年といった社歴が長いのも地方ならでは。そうなったときに副店長や店長だけじゃないキャリアの積み方を考えていかなければならない。『ベイクルーズフェス』は、もともとエリアの店長同士がグループの他のブランドのこともお客さまに知ってほしいと考え、合同で受注会を開けないかという提案があり、そこから話が大きくなったもの。本社のスタッフだけでなく、もっとやりたいことが実現できる会社でありたい」(本間)ときっかけを話す。また、「地方は限られた商圏の中で、お客さまの獲得が難しいのも事実。横串でいろんなブランドが連動することによって、お客さまへの認知も広がり、グループの相乗効果を出せる。短期的にはもうからないが、その先のビジョンを見据えている」と飯高カンパニー長。40周年が落ち着く次年度からは、年に1~2度の開催ペースで継続していきたいといい、目標は認知度として“サマーソニックを超える”ことだ。

 「ベイクルーズフェス名古屋」では1万1000人を動員し、同京都は会場が半分以下の広さではあったが5000人が来場した。マーケットプレイスは身動きがとれないほどで、飲食ブースには行列が途絶えないなど、終始盛り上がった。

 次回は11月2日、仙台・楽天生命パーク宮城 スマイルグリコパークで開催される。

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東コレ映像ダイジェスト・バックステージ 各ブランドのリードメイクアップアーティストが語るポイント

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月19日まで開催された。今季から、冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天になり、どのような変化が起きるのか注目される中、バイヤーやプレス、招待客しか入れない「RFWT」を映像で追いかける。最後は、バックステージに潜入してヘアメイクをクローズアップ。多くの化粧品ブランドがサポートするRFWT。今回は「ネグレクトアダルトペイシェンツ(NEGLECT ADULT PATIENTS)」を手掛けた「SHISEIDO」、「ノントーキョー(NON TOKYO)」の「M・A・C」、「ステア(STAIR)」の「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」のリードメイクアップアーティストに、ポイントを聞いた。

NEGLECT ADULT PATIENTS

 「ネグレクトアダルトペイシェンツ」は、「SHISEIDO」の豊田健治ヘアメイクアップアーティストが手掛けた。デザイナーの渡辺淳之介の若い頃インスピーション源だった、映画や音楽からさまざまなキャラクターをヘアメイクで演出。パンキッシュや音楽の匂いを誇張したメイクを披露した。

NON TOKYO

 「ノントーキョー」は、池田ハリス留美子「M・A・C」シニアアーティストがリードに入った。メイクは、アニメからインスパイアされたガーリーなイメージと、その中にどう強さを出すかがポイント。ブラックや赤みのない茶色などをメインカラーに、艶感のあるものなどを取り入れた。

STAIR

 「ステア」は打出角康「シュウ ウエムラ」インターナショナル アーティスティック ディレクターが手掛けた。完璧に作りすぎないメイクがポイント。中でも目にポイントを置き、きちんと描かずに荒さを残す、ちゃんと囲まず囲まないところも作るなどで表現している。

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シャネルからH&Mまでが署名する環境保護の協定 主動するケリングピノー会長に聞く

 「グッチ(GUCCI)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」などを擁するケリング(KERING)は、サステイナビリティーに取り組む先進的企業だ。トップのフランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)会長兼最高経営責任者は自ら旗振り役となり、企業の枠を超えて気候変動、生物多様性、海洋保護の3分野で実践的目標を達成する「ファッション協定」を主導する。同協定はシャネル、エルメス、ナイキ、アディダス、「ザラ」を擁するインディテックス、H&Mヘネス・アンド・マウリッツグループなど主要企業32社から始まり現在は150社が署名する。中国本土のサステイナブルなイノベーションを表彰する「Kジェネレーション アワード」のために上海を訪れたピノー会長兼CEOが、グループインタビューで語った内容からファッション協定について紹介する。

――ファッション協定を主導することになったきっかけは?

フランソワ・アンリ・ピノー=ケリング会長兼最高経営責任者(以下、ピノ―会長):ファッション協定は、2019年4月にエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領が私に依頼をしたところから始まった。大統領はフランスの企業があまりサステイナビリティーに積極的ではないことを懸念しており、またアメリカがパリ協定から脱退したこともあり、サステイナビリティーに向けた取り組みが想定よりも進んでいないことに少しフラストレーションを感じているようだった。そこで大統領は8月にフランスで開催されるG7サミットで、業界を挙げて結束すればこんなことができるというところを他国の首脳に見せたかったのだと思う。それで私に連絡がきて、ファッション業界を中心とした協定を策定してほしいと依頼された。私はある程度の規模があって影響力を持つブランドや企業に声をかけ、最初の32社が集まって署名をした。

――多くのアパレル会社が参加するよう働きかけているが、順守必須の規制ではない。将来的にこれが必須のものとなるのか?

ピノー会長:ファッション協定は、かなり野心的な目標値を設定してそれを達成するためのものだ。3つの分野で目標値を設定している。

1つ目は気候変動の危機に関するもので、現在から2100年までの気温上昇を1.5度未満に抑えるため、50年までに温室効果ガス排出量ゼロの実現を掲げている。署名した企業はそのためのアクションプランを作成し実践する。つまり、参加企業はそれぞれカーボンフットプリント(二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量)を削減しつつ、次のステップとして再生可能エネルギーに切り替えていくことになる。

2つ目の生物多様性については、エコシステムと多様な種の保存に対して、署名した参加企業はそれぞれ生物多様性に関する具体的な戦略を策定する必要があるが、素材をどこで調達しているかなどのビジネスモデルや、会社の立地条件などによって各社で異なるものになるだろう。

3つ目は海洋保護に関するもので、使い捨てプラスチックの使用を段階的に廃止したり、洗濯の際に抜け落ちて海を汚染する極小の布地粒子、マイクロファイバーの問題に取り組んだりすることで、ファッション産業が海洋に与える悪影響を削減するものだ。

ファッション協定は、これらの問題について参加企業がそれぞれ取り組んでいくものだ。

――ファッション協定の意義は?

ピノー会長:環境保護は、なかなか状況が進んでいないように思えることもある。こうしてたくさんの企業が同じ目標に向かって同時に行動すれば、より大きな影響を及ぼすことができるというのがファッション協定の利点のひとつだ。まずはそれぞれの企業が、それぞれにできることをする。それが合わさることで大きく前進できるというのが、私のビジョンだ。参加企業のCEO全員と会ったが、みんな例外なく、とても熱心な活動家ばかりだった。10月24日にはパリで初の会合がある。そこでは、ガバナンスや前述の3項目において行動計画を策定する。話すだけではなく、実践に移せるように行動計画を策定し、目標を達成するためのものだ。

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「独立して見たい景色を目指して。人を想い、なりたい私をぶっ放す」 Vol.2「自分、不器用じゃないですから(笑)」

 さてVol.2は、前回から持ち越した私の「屋号」についてを恥じらい全開でいっちゃいます!と、その前に、ちょっと挟みたい話がありますの~w。

 「なぜ、ファッション業界を選んだの?」。

 そんな楽しい問いの掛け合いを今まで何度もしてきました。その答えはそれぞれが持っていて、私自身と近い考えの人もいれば、全く想像しなかった理由なんてのもありました。

 それは当然ながらデザイナーやMD、プレスにエディター、セールス、バイヤー、販売スタッフまで、担っている領域が違えば、それぞれに想い描いている仕事がありますから。

 そして担当領域が違う人ほど、「どうして~?なんでなんで~?何それ教えて~!」なんて話が盛り上がって、時間を忘れちゃって、終電逃したことは数えたらキリがありません。

 きっと誰もに何か特別な心持ちがあって、目指すものもボンヤリと、またはハッキリと頭の中にはあるんだと感じてきました。それがもしかしたら、他者とは全く別なのかもしれないって思うとワクワクしませんか?

 でも、ほとんどの人が口にする言葉っていうのもあるんです。「○○好きなんだよ」「○○はイヤなんだよ」「○○したいんだよ」「○○って思うんだよ」「○○になったら最高よね」とか。でその後には大概、「だから今、○○してるのよ」って話が続きます。何年もお付き合いさせてもらった大先輩方は、そんな信念みたいなものをかならず持っていました。

 やっぱりね、自分の意見を自分の言葉で表現している人、その意見を自分の行動で体現している人は、カッコいいし、何より〝強い〟。

 だからいつまで経っても心揺さぶられちゃうし、憧れちゃう。「もう何なんだよ。結局は大好きなんだっての~」って反省しながら、膝抱えて、始発にさんざん乗らせていただきました(笑)。

 一方で、それよりも数多く聞かれ続けてきたことがありますの。

 「どうやってバイヤーになったの?」。

 いろんな思惑の中でコレ聞かれるの、まぁシンドイところがあるんですよね(笑)。きっと想うところがあって、興味も少し手伝って問いかけてくれるんですが……。

 ある日呼び出されてね、異動になってね、突然バイヤーになったんですもの。ほかに何にもないのよ(笑)。それくらいしか答えられないことが多々ありましたね。アシスタント経験もない、セレクトショップ経験もない、ましてバイヤー業務も何も知らない状態ですよ(笑)。カッコよくて、経験十分で、人となりがわかるようなバックボーンがあるわけではなかったので、相手にとっては期待外れなところばかりだったかもしれないですね。イロイロ辛い経験もあるけれど、やるしかなかったからね、当時の私は。きっと辞令をお決めになったボスには意図があり、さまざまをガマンしながらもその期待を成果として上げられる人間がボクだったんだと、勝手に思い込むようにしてました。

 百戦錬磨の諸先輩方に追い付けはしなくとも、少しでも距離を縮めるにはどうしたらいいんだーーー⁉︎ってテンパっておりました。結果、皆が寝静まる時間に新しいことを学ぼうと見切り発車しまして、「寝る前に自分の知らないことを1つ覚える」ルールは、13年目に突入しております。

 前置きが長くてすいません(笑)。

 今回は「屋号」についての話でした。「1H basix(ワンエイチ ベイシックス)」って言うんだけど、コレ、前述の若いころに想っていたことの呼称なんです。たいそうなことではないのだけれど、私にとっては普遍的な意味合いもあり、10年以上守ってきた事です。

 まず1H(ワンエイチ)は、【まず第一にHappyであること】【自分が先陣を切って1番に、Happyでいること】。ファッションって、お洋服って、すべて人が創るモノでしょ。好き・嫌いの選択とその喜び、なりたい自分になって人に見られ、褒められ、喜び、感じて。だからまず、ファッションのお仕事をしている人間がHappyじゃなきゃいけないし、自分がそれナシでお洋服を触っちゃいけない。楽しく生きたいと想うのです。だってさ、半分くらいは未来のお仕事でしょ?半年前には来シーズンを考えて、近い未来のお仕事をしてるんだもの。例えば、「来シーズンはどんなクリエイションで、どんなルックがかわいいかな~」って。クリエイターはその創造がすごいですよね~。

 次に、basix (ベイシックス)は、【 Fashion mind、Friendship、Freedom 、Funny、Functions、Footwork 】という“6つのF”を自分のベーシックとしてきたのでベイシックス。自分のルールというか、スタンスというか。「なんだ~、くっつけただけかよ~」って声が聞こえますが、小ダサい感はお許しください(笑)。

 ファッション業界にいて甘っちょろくHappyを掲げるには、かなりのエネルギーと覚悟が必要なのでした。。。常に何を見て、感じて、選んで、私生活においても全てにFashion mindで臨み、多くの人とテンション高く、楽しく、Friendshipを持って、誰をも好き嫌いで仕分けなんかしないで興味を持って多くを共有し、自分のキャパシティーの外側を教えてもらって。自由な発想と意見を意志を持って発し、会社員だとしてもFreedomな視点と方法論でチャレンジする。頭の中にはいつも疑問符を持ってFreedomに想像してみるんだよ。でもファッションやるなら、Funnyが人にもお洋服にも、なんなら会議にもなきゃダメなんだって。じゃなきゃつまんないじゃんね!お客さまをワクワクさせられないよ~って!そんで関わっている仕事や人により良く作用(Function)できて、お洋服だって効用(Function)を持てて、今、そこにいる誰もが代わりの利かない“1”なんだって。気に入って買ったそのお洋服だって、代わりの利かないピースなんだって。

 プロフェッショナルなんだって、いつかなりたいよね。ホントにHappyじゃん。

 それにはまず私自身の行動から、地に足つけてFootworkを俊敏に持ち、basixを体現し続けることを大事にしたいんだよね。行動で体現しなくては、いくら想うことあっても明日は何も変化しないじゃん。

 なんてね、お恥ずかしい話でした~(笑)。

 なんか長ったらしく、暑苦しく、ガタガタと筆圧強めで勝手なお話でしたけど、ホントにずっとこれらは大切にしてきたはずなのです。決して変えたくないし、信じているわけです。

 ファッションの持つエネルギーの大きさはたくさん教えてもらったし、実際に肌がピリつくほど体感もした。本気の現場では目が血走るほどの熱い視線と、「本気の好き」がほとばしる会話があって、その渦中に私たちもいるんだとカラダに力が入って自覚するのよ。

 ファッションに携わる一生懸命な真剣さっていつ何時も胸熱なのです‼

 国家資格か何かを持たなきゃやれない業界ではないしね、腕一本勝負だからね、私たちが圧倒的なエネルギーで圧倒的なコミュニケーション能力で、いつのシーズンも人をワクワクさせてHappyにしてみせるのよ。

 百戦錬磨の諸先輩方に負けないほど、1H basixを体現して恩返しをぶっ放してやるっていう覚悟の表明でございましたm(-_-)m。

井上智和:1981年生まれ。東京生まれ東京育ちのCITY BOY。中央大学商学部を卒業後、三陽商会に入社し、店頭研修後に「バーバリー・ブラックレーベル」で販売トレーナー及びVMDを担当。3年目の終わりに「ラブレス」に異動しバイヤーに。国内外ブランドの開拓・買い付けをしながらセレクトショップの運営を学び、直近はバイヤーの他にプレス・販促・販売の長を兼務しながらリテール事業を経験。15年在籍の後に退社し、現在は「1H basix(ワンエイチ ベイシックス)」の名を冠して独立。ファッション・ライフスタイル領域のセレクトにて、アドバイジングやディレクション、買い付けを行なう傍ら、大人の本気遊びを体現し記事執筆を行う

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TPOに合わせた時計選びは成長戦略に繋がる? ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.17「新連載 あの女性キャリアのタイムマネジメント」

解きポイント:生産性向上のカギは、遊び心をもって、付加価値の高いビジネスを創造すること

ニュースのポイント

 「時短」「生産性向上」「働き方改革」が叫ばれる中、女性管理職はどのように仕事のタイムマネジメントを行なっているのか。今回は、バンダイナムコエンターテインメント 常務取締役 宇田川南欧氏にフォーカス。「これまでと同じ仕事をしているようではダメ!」と危機感を持ち、旗振り役として組織を牽引。また日々、身につけているのは「文字盤が大きく、視認性の高い時計」とのこと。最近は、パーティ用、海外出張用、スポーツ用の時計が気になっている。

CKRはこう読む!

 「1721時間」。厚生労働省が発表する2017年の年間総労働時間です。1995年の1910時間からは大きく減っているものの、その要因は年間労働時間が1100時間前後と比較的少ないパートタイム労働者が増えたことにあります(パートタイム労働者比率は95年の14.5%から17年に30.8%に増加)。一方、一般労働者の労働時間はこの20年、2000時間程度と、ほぼ横ばいです。しかも現金給与総額の平均伸び率は、この20年でマイナス0.7%と減っています。本当に労働生産性は向上し、新しい価値は生み出されているのでしょうか。

 労働生産性は、「アウトプット(成果・付加価値) / インプット(労働投入量[時間・人数])」で規定されます。生産性を向上させるには、付加価値の高い領域でビジネスをするか、労働投入量を最小化する必要があるのです。また、インプットとアウトプットのバランスも重要です。例えば「残業廃止」により投入する労働時間を減らしたとしても、成果が大きく減ってしまえば、本末転倒です。

 上記の状況から過去20年は、賃金を上げず、パートタイム労働者を増やすという、インプット側の投入資源調整を中心に生産性という数値を改善してきたと言えそうです。

 今後大切なのは、「本当の意味で、一人ひとりの時間当たりのアウトプット・生産性を上げること」と「成果が出やすい事業領域へ舵を切ること」なのではないでしょうか。

 「1.01と0.99の法則」。楽天の三木谷浩史社長が執筆した「成功のコンセプト -Principles for Success-」でも引用され話題となった、毎日のちょっとした努力や怠惰によって、1年後のパフォーマンスが大きく変わるという話です(1.01の365乗=37.8。0.99の365乗=0.026)。

 宇田川氏も「資料の検索時間を省くための文書管理法」など、時間あたりの生産性向上を意識した心掛けを日々徹底しているようです。また、TPOに合わせて時計を着け替えたいという言葉から、次なる成長領域を見極めるために必要な「遊び心」を生活シーンの中で培っていることも伝わってきました。

 インプットの調整ではなくアウトプットに目を向け、遊び心をもって、付加価値の高いビジネスに舵を切ることが、生産性向上を実現する上で重要なことなのかもしれませんね。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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「東コレに伝えたい」デザイナーたちの本音 連載Vol.8 「ショーを行う目的が多様化しているため、全ての面で改革が必要」

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏の「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月14〜19日に開催された。冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天に変わって初めてのファッション・ウイークとなるため、関係者からの注目は高い。しかし結局は、人を呼べるブランドが参加しないとファッション・ウイークは盛り上がらない。そこで、海外で活躍する日本人デザイナーや「RFWT」に参加するブランド、新進気鋭の若手らに「どんな東コレだったら参加したい?」というテーマで「RFWT」開催前にアンケートを実施した。10月28日の「WWDジャパン」東京ファッション・ウイーク特集発売の週まで、回答の一部を連載形式で紹介する。今回はパリのファッション・ウイークに参加している「ビューティフルピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」「オーラリー (AURALEE)」に加え、「アキラ ナカ(AKIRA NAKA)」が登場。

BEAUTIFUL PEOPLE
熊切秀典デザイナー

 東コレに何度か参加した感想は、集客面では十分機能しつつも、世界への発信やバイヤー数などを考えると難しい問題もあるという印象です。日本のブランドは、東京で発信することで最大限のビジネスの効果が生まれれば費用対効果も含めてベストではありますが、参加ブランドがショーを行う目的も現在は多様化しているので、全ての面で改革が必要なのかもしれません。

AKIRA NAKA
ナカアキラ=デザイナー

 デビュー後すぐに東コレに参加したため、ブランド認知を高めることができました。その一方、セールス機能を持っていなかったために売り上げにつなげることができず、大きな機会をロスしていたと今は思います。もう少し準備をしてから参加すべきでした。現在は国内でターゲットリテールにほぼつながることができたため、参加したいとは思いません。展示会ベースで買い付けにつなげることもできているので、プロモーションをショーを通じて行う価値を見出せません。

AURALEE
岩井良太デザイナー

 現在は展示会のタイミングと時期が離れすぎているため、現状は参加を検討しづらいです。

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世代の異なる3人の記者が見た2020年春夏パリコレ 紙面に書ききれなかったこぼれ話を紹介!

 10月21日号の「WWDジャパン」は、2020年春夏パリ・ファッション・ウィーク(以下、パリコレ)特集第2弾です。今回「WWDジャパン」編集部は、編集長、中堅デスク、フレッシュな若手の3人で取材チームを編成しました。本紙では、「サステイナビリティー」「コミュニティーの作り方」「インフルエンサー活用法」「注目若手ブランド」など、3人がパリで感じた9つの潮流について鼎談形式で掘り下げています。ここでは、本紙掲載からは漏れてしまったおもしろトピックスを紹介。「パリコレのことがもっと知りたい!」と思った方は、「WWDジャパン」本紙をチェック!(ちなみに、パリコレ特集第1弾は10月7日号に掲載しています)

鼎談参加者
向千鶴:「WWDジャパン」編集長。パリコレ取材歴は15年以上にわたるベテラン
五十君花実:パリコレ取材は5年振りのデスク。普段はSPAや百貨店の取材も担当
丸山瑠璃:パリコレ初参戦の24歳ソーシャルエディター。SNSスキルは編集部内でもピカいち

TOPICS1
招待状から感じる時代の波

向千鶴(以下、向):招待状がどんなデザインだったかを知りたいといった声を読者の方から時々聞くんだけど、今回本紙では招待状に触れていません。2人は招待状で何か気になる傾向はあった?

五十君花実(以下、五十君):10月21日号で、若手ブランドの注目株「ロク(ROKH)」のことや、その“エモい”クリエイションについて触れていますが、「ロク」の招待状はデザイナー自身が10歳の頃に家族でロードトリップした時の家族写真のポジフィルムで、まさに“エモ”かったですね。

丸山瑠璃(以下、丸山):「マリーン セル(MARINE SERRE)」の折り畳み傘の招待状は当日の小雨の中で使えたし、本当に嬉しかったです。黒地だからあまり目立たないんですが、ちゃんとアイコンの三日月プリントも入っていたし!ショー中にみんながあの傘をさしていたのは、演出にもなっていいなと思いました。

向:今季はサステイナビリティーにいかに取り組むかがパリコレでも一大潮流になっていたけど、私が意外だったのは「リック オウエンス(RICK OWENS)」です。大きなプラスチックの招待状だったんだけど、よく見ると“100%リサイクルプラスチック”って書いてあったんだよね。あまりサステイナブルのイメージはないブランドだけど、各ブランドがそれぞれのスタンスでサステイナビリティーに取り組んでいる、ということの好例だったと思います。好感度が上がりました。

五十君:「セリーヌ(CELINE)」のエディさまの写真集みたいな招待状も嬉しかったですよね。正直、全部の招待状は日本に持ち帰ってきていませんが、あの写真集はきっちり持って帰ってきました。数年後に価値が上がりそうだなと思って。とは言え、もちろん売る気はないですよ!そこは誤解のないよう。

丸山:私は招待状をほぼ持ち帰ってきたので、帰りの飛行機で重量オーバーしちゃって荷物を詰め替えるのに苦労しました……。

向:エライ!その努力がこの記事を支えています!

TOPICS2
服だけじゃない!演出も含めて
心をつかんだブランドはココだ

向:パリコレという場が、次にはやるトレンドを提示する場というよりも、ブランディングの場、イメージメイキングの場になっているということを本紙10月7日号、10月21日号の両方で伝えてきましたよね。

五十君:はい。単にトレンドをきれいにまとめて出してくるブランドにはもう心は動かない。ショーを通して発信するストーリーがますます重要になっている、という話ですね。

丸山:サステイナビリティーも、そうやって打ち出されたストーリーの1つとも言えますもんね。

向:というわけで、演出面含めてストーリー作りがうまいと思ったのはどこだった?

五十君:印象的なブランドが多くて絞るのは難しいですけど、「サンローラン(SAINT LAURENT)」はかっこよかったですね。エッフェル塔を借景にして、光の柱の中をモデルが歩いてくるという、ブランドがこの間続けている王道中の王道な演出でしたけど、王道にはやっぱり説得力があるな~。くやしいけどガッチリ心をつかまれました。

エッフェル塔を借景にした「サンローラン」

丸山:空を突き刺すライトとエッフェル塔のライトが呼応しているようで、すてきでしたよね。会場は半屋外だったので、街行く人も立ち止まって興味津々で見上げていて、パリジャン&パリジェンヌに息づくブランドなんだということを実感しました。演出もBGMもダイナミックだったので、公式のショー動画を見ると、まるで映画みたいですよ!

向:私が印象的だったのは「マリーン セル」と「ディオール(DIOR)」かな。「マリーン セル」は屋外の自然をそのまま生かした演出で、小雨も心地よかったよね。サステイナビリティーとも縁深いブランドだからリンクしていたし。「ディオール」は“森の再生”をテーマにした演出でしたが、今季とこれからのファッションビジネスを象徴するショーだったと感じます。

自然の中でショーをした「マリーン セル」

“森の再生”をテーマにした演出の「ディオール」

TOPICS3
自分ごと化する
サステイナビリティー

五十君:招待状、演出とここまで話してきましたが、やはりサステイナビリティーにいかに取り組むか、ということが大きなテーマになっていましたね。

向:ブランドの規模によってもサステイナビリティーに関してどんなことができるかは違ってくるけど、恐れずに、自分ができることからまずやってみるという姿勢は今季いろんなデザイナーから感じました。2人は、自分でも取り入れているサステイナブルな取り組みはある?私はバックステージ撮影をお願いしているフォトグラファーの影山郁さんが「ブリタ(BRITA)」の浄水機能付き水筒を持ち歩いていたのに触発されて、帰国してすぐに同じものを買いました。パリコレ以降、ペットボトルはまだ1本も買っていませんよ!

五十君:すごい!ちゃんとしてる!!私はまだそこまでの行動には至っていないですが、コンビニや自動販売機で毎日のようにペットボトルを買うことには罪悪感を抱くようになりました。その感覚は日に日に強まっています。

丸山:私はパリの街に広がっていた「ライム(Lime)」が印象的でした。電動キックボードのシェアサービスなんですが、エコだし楽しいしで展示会を周るのにすごく重宝しました。この楽しさを伝えたくて、乗っている時の動画を撮ったので是非ご覧ください!

五十君:私も「ライム」は丸山さんと挑戦してみましたが、確かに楽しかったです。ただ、体幹を鍛えていない私は何度もコケそうになって、かなりビビりながら乗っていました。そんな時も丸山さんは車の間を縫ってスイスイ行っちゃうので、「ライム」に対する圧倒的な才能の差を感じました……。

丸山:「ライム」は渋滞に巻き込まれないので、車や電車よりも早く着くんですよ!これはもう乗るしかないですよね。一般的に、サステイナブルを目指すとコストや手間がかかるものですが、「ライム」みたいなサービスをどこかが導入すれば、みんな楽しく、低コストでサステイナブルを実践できていいのにな~と感じました。

向:2人とも、本当にケガだけはしないでね。私はそれにひやひやしていたよ。

「ライム」に乗っている時の気分を動画でお楽しみください

番外編
パリのおみやげはこれがオススメ

五十君:入稿がひと段落した最終日近くに、皆で空き時間を見付けて百貨店のボン・マルシェ(LE BON MARCHE)食品館で買い物をしたのが楽しかったです。向さんが大量に「エシレ(ECHIRE)」バターを買い込んでいた姿が目に焼き付いています。

向:買い過ぎて、よく「バイヤーなの?」とからかわれるけど、「エシレ」は毎シーズン最低5個は購入します。帰国したら即冷凍して、パンに塗るのにもソテーにも何にでも使います。いろんなバターを試したけど、やっぱりこれが一番おいしいんだよね。これなしには生きられないかも。日本で買うと高いし。あとは、「アルジアーリ(ALZIARI)」のオリーブオイルと「ブレイズ(BLAZE)」のバルサミコクリームも必須!私は五十君さんの買っているものを見て、「酒のツマミみたいなものばっかりだな」と思っていたよ。

五十君:……確かに、サラミや生ハムは部屋で食べる用にスーパーで買い込んでいましたし、ボンマルシェではボッタルガ(からすみ)パウダーを大量に買いましたが、私は今回の出張中、自分の部屋では1滴もお酒飲んでないですから!ちなみにサラミやハム類は日本国内には持ち込み禁止です。読者の皆さん、ご注意ください。

丸山:私は果物が新鮮でおいしくて感動しました!特にブドウがおいしくて、3回以上スーパーでリピート買いしたかも。10月21日号の「インフルエンサーとの上手な付き合い方」記事の中でも紹介した、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」が招待していたアメリカ人の脱力系ユーチューバー、エマ・チェンバレン(Emma Chamberlain)は、初めてのパリに興奮して、「なんでこんなにミントがおいしいの!」って、食事の飾りについていたミントまで激賞する動画をあげていましたが、気持ちは分かります。

向:なんか、買う物にはその人らしさが出るから面白いなって、改めて思うパリ出張だったよ。

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「ディオール」メゾンコード研究 第10回 キム・ジョーンズが提案する新しいテーラリング

 歴史あるブランドはアイコンと呼ばれるアイテムや意匠を持ち、引き継ぐ者はそれを時代に合わせて再解釈・デザインする。アイコン誕生の背景をひもとけば、才能ある作り手たちの頭の中をのぞき、歴史を知ることができる。この連載では1946年創業の「ディオール(DIOR)」が持つ数々のアイコンを一つずつひもといてゆく。奥が深いファッションの旅へようこそ!

 連載10回目の今回は、キム・ジョーンズ(Kim Jones)「ディオール」メンズ アーティスティック・ディレクターが提案する新しいテーラリングにフォーカスする。2018年6月に発表したキムによる「ディオール」メンズのデビューコレクションは、エレガントなテーラードスタイルが核となり、それは二つの意味でインパクトがあった。一つは、ストリートからフォーマルへトレンドがシフトする決定打となったこと。キムが時流をつかむ才気あるデザイナーであることを改めて証明した。もう一つのインパクトは、キムが参考にした「ディオール」のアーカイヴが歴代のメンズ・コレクションではなく、ムッシュ・ディオール時代のオートクチュールのドレスやコートだったことだ。キムはそこに時代を経ても色あせないメゾンコードの革新性と普遍性を見いだし、クチュールメゾンが作るメンズの可能性を示した。

 キムが手掛けるテーラリングの中でも象徴的なのが、「ディオール」メンズの2019年サマーコレクションで発表した“タイユール オブリーク”スタイルだ。斜めのラインの打ち合わせが印象的だが、これは1950-51年秋冬のオートクチュールで発表した“オブリーク ライン”に由来している。“オブリーク ライン”は絞ったウエストや斜めのライン、なだらかなショルダーが特徴で、当時はコートやジャケット、ドレスなどさまざまなアイテムに取り入れられた。キムはこの独創的なラインを取り入れ、ダブルのジャケットをベースにしつつ、前立てを斜めのラインとし、ボタンを一つだけ付けた。エレガントかつ現代的な新しい、男性のためのテーラードの誕生だ。そもそも、アイテムや柄ではなく、“ライン”そのものがメゾンコードとなり得るのは、「ディオール」がクチュールメゾンであるから。微差の違いを生み出すアトリエの職人の手仕事なしには継承できないものだ。

 これらの話は、“タイユール オブリーク”に限った話ではない。バリエーション豊富なメンズのテーラードスーツは、いずれもフルキャンバス仕立てで、袖部分のライニングにはサテンストライプのキュプラを配し、ウエストバンドを内側に配するなど、英国サヴィル・ロウ(Savile Row)の伝統に基づきつつ、新解釈のシルエットを職人の手仕事により加えている。また、ディテールも重要だ。ラベルは全て「ディオール」を象徴するグレーに統一され、ラぺル部分には手縫いのボタンホールが配されさりげなく職人技を表している。そして、ハウンドトゥース、プリンスオブウェールスズといった英国調のファブリックが多いのは、ムッシュ自身が好んで度々用いていたことから。キムの“もしムッシュが今、メンズをデザインしたならば......”という視点は、このように一つ一つの選択に反映されているのだ。

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皇后雅子さまが愛用する「コンテス」ってどんなブランド? 26年前のご成婚時にタイムスリップ!

 10月22日には、天皇陛下が国内外に即位を宣言する「即位礼正殿の儀」が行われます。こんな時、ファッション業界紙として気になるのはやはり皇族の皆さまのファッションのこと。英国王室などは、キャサリン妃やメーガン妃がパーティーや外遊でどこのブランドのドレスを着用したかがタブロイド紙で取り上げられ、それが経済効果にもつながっていますが、日本ではそういったことはあまり話題になりません。皇室御用達ブランドであっても、ブランド側はそれを発信することを控えるケースが多く、皇族の皆さまも、上質で控えめな、一見しただけではどこのブランドとは分からない商品を選ばれる傾向が強いからです。

 そんな中にあって、「WWDジャパン」が7月に全国約50の百貨店を対象に2019年春夏の商況アンケートを実施したところ、松坂屋名古屋店の特選売り場からこんな興味深い声が届きました。「改元にあたり、新皇后雅子妃にゆかりのある『コンテス(COMTESSE)』のハンドバッグ“プリンセス”の期間限定催事を行ったところ、ブレイクした」というのです。一体「コンテス」ってどんなブランド?雅子さまゆかりのバッグってどんなデザイン?気になったので、「コンテス」に問い合わせてみました。

 「コンテス」の広報担当者によると、1993年6月15日、当時皇太子であった天皇陛下と雅子さまのご成婚の際に、「宮中饗宴の儀」に向かう雅子さまが同ブランドのワンハンドルのハンドバッグを持っていらしたそう。それを記念し、同ブランドはそのバッグを“プリンセス”と名付けたといいます。松坂屋名古屋店で売れていたバッグはまさにこれのことですね。

 この“プリンセス”バッグ、サイズの違いなどで価格は微妙に異なりますが、約40万円ほど。ロゴなどが一切入っていない、控えめなエレガンスはまさに皇室のイメージです。注目はその素材で、馬の尾の毛を使った織り地“ホースヘア”が同ブランドのアイコンだといいます。「約200年前の織機を使い、当時と同じ手法で“ホースヘア”を織っているため、生地は1日に1メートルほどしか織ることができない。尾の毛をカットできるのは馬の生涯で5~8回のみのため、希少性も非常に高い」のだそう。また、尾の毛は生きている馬から採取できるものなので、アニマルフレンドリーでもあります。“ホースヘア”素材で70~100個のパーツを作り、それを工房で職人が1つ1つ、手作業で組み立ててハンドバッグにしているそうですよ。

 「コンテス」は1929年にドイツ・フランクフルト近郊で設立。近年はスイス発の、こちらもロゴなどが主張しない上質エレガンスを代表するブランド「アクリス(AKRIS)」と同じグループになっています。これもブランド側が大きくうたっているわけでは決してないですが「アクリス」もまた、皇族の皆さまのご愛用ブランドとして知る人ぞ知る存在です。

 2019年は「コンテス」にとって設立90周年の節目の年。また、令和改元とも重なったことから、祝賀ムードを込めた記念商品として、パールやクリスタルビジューを“ホースヘア”に刺しゅうした“プリンセス”バッグ(57万4000円)も今春から販売しているそうです。

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「好かれるか、嫌われるか。それでいいの」 エディターズレターバックナンバー

※この記事は5月31日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「好かれるか、嫌われるか。それでいいの」

 2020年プレ・スプリング・コレクションのランウエイショーは終盤戦。「グッチ(GUCCI)」のアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)が、物議を醸しそうなコレクションを発表しました。人工中絶に対するスタンスを問うたのです。 “女性の産まない権利”を擁護するスタンスであり、オピニオンを表明したミケーレ。「固有の人種・民族における伝統的な衣装を揶揄しているのでは?」という“炎上”が続く中、これほどまでにセンシティブなトピックスに足を突っ込んだ勇気に拍手を送ります。

 「好かれるか、嫌われるかのどちらか。それでいいの」――。そんな“覚悟”を持った経営者・クリエイターが増えています。先日このニュースレターでもお届けした「テンデンス(TENDENCE)」の創業者がそうでしたし、大阪に出張した昨日はリシュモン傘下の時計ブランド「ロジェ・デュブイ(ROGER DUBUIS)」の女性ディレクターが、全く同じ言葉を発しました。「ロジェ・デュブイ」は、Dare to be Rare(独特であるため、大胆であれ)がコアバリュー。彼女自身はとても優雅で物腰の柔らかい女性でしたが、「一番怖いのは、無反応。好きでも嫌いでもエモーションが喚起できれば」との言葉には強さが滲んでいました。

 このニュースレターはまだまだヨチヨチ歩きですが、なぜこんなパーソナルな“お手紙”を送ってみようかと決意したかと言えば、まさに「エモーションを喚起したい」からです。もはやモノでの差別化は難しい時代、おそらく唯一の方法は、そこに感情を込め、共感を誘えるか否かであり、こんなパーソナルな“お手紙”は詰め込んだ感情を知っていただく上での動線になるのでは?と考えたからです。その意味でこの“お手紙”は、通常の記事よりさらに1歩、僕の場合はデジタル編集者としてファッション&ビューティ業界の最前線を覗き続けたいと願う自分のエモーションを押し出しています。正直、“お手紙”から得るファクトは少ないでしょう。押し出すエモーションの結果嫌われるかもしれないし、反論もあるでしょう。でも、それで良いし、そうあって欲しい。そのフィードバックをいただき前に進むことで、私たちは、今まで以上に皆さんと強い絆で結ばれたいのです。「好かれても、嫌われてもいいの」という首脳たちの思いと同じです。

 その意味において「エモーション」を喚起する魅力的な人が続々出てくる今を、非常にエキサイティングに楽しんでいます。SNS、特にnoteにはエモーションを喚起するオピニオンが渦巻いており、気づくと1、‪2時‬間読みふけってしまいます。デジタルデバイスから得る感情は、はるか大昔、図書館で借りた本に没頭したあの時と同じです。

 ツールは変われど、本質は変わらず。世の中は劇的に変化し右往左往してしまいがちですが、根元はほとんど変わらない。そう考えると、なんとなく苦手意識を抱いてしまうSNSやECも“自分ごと化”できるのではないでしょうか?

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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エアークローゼットは2つのサブスクで成長か? ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.4「服のレンタルエアクロ、上場視野に」

読み解きポイント コンシューマ向け&エンタープライズ向け、2つのサブスクリプションビジネスで成長にアクセルか

ニュースのポイント

 女性向けファッションレンタルサービスのエアークローゼットが、株式の新規上場の準備を着々と進めている模様。会員数、売り上げ共に前年比約60%増と堅調。今後の成長を支えるカギの一つが、レンタルサービスの外部ブランドへの開放。別途システム開発が必要となるため、まずは各ブランドからアイテムを預かり、委託としてレンタル事業を展開。従来の来店でなく、レンタルを通じた試着体験を増やすことで、各ブランドとのパートナリング強化を行なっている。

CKRはこう読む!

 「新しいモノや自分に出合えるコンシューマ向けサービス」と「エンタープライズ向けのレンタルプラットフォーム提供」。異なる2つサービスで、さらなる成長を予感させるエアークローゼット。それぞれのサービスには、サブスクリプションモデルならではの魅力が詰まっていそうです。

 コンシューマ向けサービスにおいては、同社所属のスタイリストが選んだ服をレンタルすることで、新たな着こなしや服に出合い、気軽なファッション体験を楽しめます。また利用者からのフィードバックによりミスマッチが修正され、長く使えば使うほど最適化されるのは、サブスクリプションサービスならではの特長です。利用者と良好な関係を継続することで、ビジネスとしても安定した収益化が可能になります。ネットフリックス(Netflix)やスポティファイ(Spotify)もまさに、そうですよね。

 顧客とのエンゲージメント強化や、サステイナブルが叫ばれる今、さまざまなファッションブランドが、新たな顧客体験の創造の場として、エアークローゼットのレンタルプラットフォームに注目しているのではないでしょうか。

 一方、今後期待の高まるレンタルプラットフォーム開放において重要なのは、利便性が高くデファクト化されたシステムを、毎月リーズナブルな価格で費用化できると、利用企業に感じさせることかもしれません。アドビシステムズ(Adobe Systems)のAdobe Creative Cloudや、マイクロソフト(Microsoft)のOffice365は、アプリケーションがデファクト化しており、「製品売り切り」から「サブスクリプション型」に移行しても顧客離れを起こさず、上手に収益化できました。レンタルプラットフォームを利用企業の業務プロセスに組み込むことができれば、中長期に渡って収益化できるビジネスとして期待できそうです。

 一方レンタルプラットフォームを利用する各ブランド企業は、自社の特長を理解し、何のために実施するのか考える必要があります。仕組みとしてのレンタルとサブスクリプションを導入すれば、新たなビジネスを創造できるという単純なものではないからです。

 ファンエンゲージメントが高いブランドなら、自社ブランドの商品ラインナップだけで顧客満足を高められるかもしれません。しかしレンタル試着を通じてブランドのファンを増やしたい場合は、すでに顧客ベースのあるエアークローゼットのレンタルサービスに商品提供する方が得策かもしれません。

 売ったら終わりでなく、使ってもらうのが始まりという空気が広がる中、今後のエアークローゼットの動きに注目したいですね。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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「僕の家の近くにコインランドリーがあり、一日中動いている。これからはあそこで洗われていく服も作っていく」 by 三宅一生

三宅一生

 僕の家の近くにコインランドリーがあり、一日中動いている。これからはあそこで洗われていく服も作っていく。(Vol.69 1981年10月26日)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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ドーバーストリートマーケットに学ぶコミュニティーの作り方 ランウエイの熱を店頭にまでつなぐには?

ヴァウズのライブ

 「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」の川久保玲がディレクションするコンセプトストア、ドーバー ストリート マーケット ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA、以下DSMG)は10月19日、2019-20年秋冬の“オープンハウス”を開催しました。“オープンハウス”は19年春夏シーズンにスタートしたイベントで、同店で商品を取り扱うデザイナーや関連するクリエイターが来場し、店頭での接客や限定品の販売などを行うものです。2回目の開催となる今季は前回よりもさらにパワーアップし、40組以上のデザイナーやアーティストが集結。それを目当てに顧客だけでなく新規客も集い、非常に賑やかな1日となりました。

 “オープンハウス”開催の意図を、エイドリアン・ジョフィ(Adrian Joffe)ドーバー ストリート マーケット最高経営責任者(CEO)兼コム デ ギャルソン インターナショナルCEOは、「キーワードはコミュニティー。この場のエネルギーを感じてほしい」と前シーズンに語っています。当日は、同店とは直接関係のない業界関係者も客として多数駆け付けており、店内のそこかしこから「久しぶり!」「元気?」といった挨拶が聞こえてきました。もはや、人に会い過ぎてなかなか前に進めないほどの状態です。こんなたとえ方はDSMGに失礼かもしれませんが、ワイワイした雰囲気は学生時代の文化祭にも通じるものを感じます。

 イベントのハイライトは、米国ロサンゼルスを拠点にするデスポップデュオ、VOWWS(ヴァウズ)のライブ。デスポップって何?という方も多いと思いますが、同デュオは、ゴスなムードを打ち出していた19-20年秋冬の「コム デ ギャルソン・オム プリュス(COMME DES GARCONS HOMME PLUS、以下オム プリュス)」のショーでも音楽を担当し、ライブを披露していました。ライブ会場となったDSMG5階には「オム プリュス」の売り場があり、ライブ直前まで、そこではフィンランド・ヘルシンキ発のファッション&アートマガジン「SSAWマガジン」がサイン会を実施。同誌は今秋冬号で「オム プリュス」を特集しており、サイン会を行っていたのはクリス・ヴィダル・テノマ(Chris Vidal Tenomma)編集長、トーマス・ライトネン(Tuomas Laitinen)ファッションディレクター、そして同特集を撮影し、19-20年秋冬の「オム プリュス」にも影響を与えたというゴススタイルの写真家、ジョーダン・ヘミングウェイ(Jordan Hemingway)さんの3人です。

 その光景を見て感じたのは、ランウエイショーから店頭までがしっかりつながるようにイベントが設計されているということ。「オム プリュス」のファンなら(いや、ファンならずとも)、シーズンのクリエイションの背景に一体どんなストーリーがあるのかを知りたいですよね。それが叶うのがまさにこの場というわけです。ファンはブランドのインスピレーション源であるヘミングウェイさんから直接話を聞き、耳と目でライブを楽しみ、ブランドが今何を面白いと思っていて、どうしてこういった商品を作っているのかを知ることができます。それにより、これまで以上にブランドに興味が沸くという仕掛けです。私も「この特集ではプロのモデルだけでなく、本物のゴスも起用しているんだ」などといった彼らの真摯な話しぶりや、ヘミングウェイさんの独特の色気にすっかり引き込まれてしまいました。

 SNSが発達し、いつでもどこでも写真が見られるようになったことで、昔に比べてランウエイショーそのものに興味を抱く人は減っています。ショーの写真をパーッと見る人の数は増えているのかもしれませんが、「どんなショーだったかを知りたい」と強く思っている人は確実に減っている。自身の媒体の読者動向からもそんな風に感じています。「オム プリュス」は熱狂的なファンがいるブランドなのでそれは当てはまらないのかもしれませんが、ランウエイへの興味が薄まっている今のような時代には、こうやってショーの熱を店頭にまでつなげて、消費者の興味を湧き立たせていくことが非常に重要だなと改めて感じました。「オム プリュス」に限らず、“オープンハウス”の取り組み全体がまさにそれを意図したものですよね。

 とは言え、同様のことを他の百貨店やセレクトショップがやろうとしても、それは難しいと思います。川久保玲がディレクションするDSMGだからこそ世界中から有力なデザイナーやアーティストが集まるし、ジョフィCEOが持つ国際的なネットワークによってこそ、これだけ面白いメンバーをブッキングできる。ですから、そっくりそのままは参考にできないにしても、コミュニティーの作り方という点で他社にとっても参考になる事例にあふれているなと感じたDSMGの“オープンハウス”でした。来シーズンはどんな風にパワーアップするんだろうかと、今から既に楽しみです。

【“オープンハウス”に参加していた主なデザイナーやアーティスト、ブランドはこちら】

シハラ

 取材班がまず出会ったのが、1階で扱う日本発のジュエリーブランド「シハラ(SHIHARA)」の石原勇太。販売していた数字の“7”をかたどったピアスなどの説明をしてくれましたが、人の良さから担当者不在だった同フロアの別ブランドの商品概要まで教えてくれました。相変わらずイイ感じに脱力感があってすてきな人です。本人は顔出しNGのため、着用していたジュエリーを撮影

クボラム&インナーラム

 「今DSMGで最も売れているブランドの1つ」と同店PRに紹介された「クボラム(KUBORAUM)」は、ベルリン発のサングラスブランド。スタッズなどを埋め込んだスペシャルなサングラスは、まるでアイウエアのオートクチュール!「“ジャングル”っていう、1990年代にロンドンで流行っていたアフリカンとエレクトロの融合みたいな音楽からイメージしたカプセルコレクションだよ」とデザイナーの2人は教えてくれました。売り場向いには2人が手掛けるバッグブランド「インナーラム(INNERRAUM)」も

ダブレット

 DSMGを後にしようとしていた「ダブレット(DOUBLET)」井野将之デザイナーを強引にキャッチ。同ブランドのDSMGの売り場といえば、今季はB級ホラー映画風なゲームセンターの演出でおなじみ。設置してあるUFOキャッチャーのゲーム機の中には、血しぶきを浴びた白熊と食いちぎられた(?)生首や腕(注:マネキン)が……!なんでも、“オープンハウス”の目玉商品である白熊風モコモコアウターとかけたスペシャルVMDだったそうですが、残念ながら取材時には既にアウターは完売!さすがです

エヴァン キノリ

 「シーズンのテーマは特に決めていなくて、プロダクトを作るように服を作っているんだ。イタリアで、1つ1つの工程を別の職人がそれぞれの家で作っているんだよ」と教えてくれたのは、高感度メンズに人気のブランド「エヴァン キノリ(EVAN KINORI)」のデザイナー。シャイな感じが非常にチャーミングな人で、ところどころ差しはさむ日本語も味があってすてき。「もともと自分が着る服を作るためにパターンを少しずつ学びだして、数年経った頃に『それがほしい』と言われて服を売り始めたんだ」とのこと

Y/プロジェクト

 「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」の売り場は、当日の朝3時までデザイナーのグレン・マーティンス(Glenn Martens)が作り込んでいたという力作!「ちょっとホテルで休んできたからもう大丈夫!」と午後の取材では元気いっぱいでした。売り場のメインは映像だったのですが、この映像、マネキンたちがあんなコトやこんなコトをしているというなかなかに刺激的な内容。「センシュアルな感じと機械仕掛けの無機質な感じ」のミックスが独特で、折衷主義や脱構築を標榜するブランドらしさ全開。

デラックス×ペンドルトン

 日本のメンズブランド「デラックス(DELUXE)」と「ペンドルトン(PENDLETON)」のコラボでは、キャンペーン写真を撮影したマイケル・アヴェドン(Michael Avedon)に遭遇。言わずと知れた伝説のフォトグラファー、リチャード・アヴェドン(Richard Avedon)のお孫さんです。「意識したのは『ペンドルトン』の伝統を革新すること。撮影対象を決める時に重要なのはエモーションを喚起されるかどうかだね」とアヴェドンさん。「ペンドルトン」はアメリカ西部開拓時代のいわば白人文化にルーツがあるブランドですが、「デラックス」とのコラボでは黒人カルチャーとの融合で多様性を意識したと、「デラックス」のHUEデザイナーは語っていました。

オールブルース

 スウェーデン発のジュエリーブランド「オールブルース(ALL BLUES)」は、その場で3Dスキャンしてペンダントヘッドや文鎮を作ってくれるというサービスを実施。「これは僕の友人を象ったペンダントトップで、こっちは僕のおじいちゃんとおばあちゃんをスキャンして作った文鎮だよ」とチャーミングに紹介してくれたのはファウンダーのヤコブ・スクラゲ(Jacob Skragge)。取材班もスキャンしていただきました!6週間後以降に商品は届くそう

ランドロード

 DSMGにチーマー(死語)がいる……!と思ったら、「楽天 ファッション ウィーク東京」にも参加していた「ランドロード(LANDLORD)」の川西遼平デザイナーでした!“オープンハウス”に合わせ、ブランドデビュー時からのアーカイブを1990年代の東京のイメージで再編集して売り場で表現。「僕は地元の鳥取にいたから当時の東京のことは知らないけど、あの頃、東京にこういうイメージを抱いていたんだよね。僕の服に赤いペイントが飛んでいるのは、商品ラックに飾ってるクマと戦って返り血を浴びたっていう設定だから」とのこと。チーマーファッションも90年代ゆえ……!?

アルテック

 フィンランドの家具ブランド「アルテック(ARTEK)」では、アーティストデュオのアワレガシー(OUR LEGACY)と組み、その場でイスに絵を描いてくれるというサービスを実施。ちょうど飼い犬の絵を描いてもらっていた男性客がいたので話を聞くと「最近フィンランドと仕事をすることが多くて、『アルテック』がこんなイベントをしているとSNSで知って見に来たんだよね。買うつもりはなかったんだけど、イラスト込みでも3万円台と買いやすいし、思わず買っちゃった!」とのこと

バイボレー

 「バイボレー(BYBORRE)」はオランダのニッティングラボによるニットウエアブランド。編み方を独自にプログラミングし、編み機に読み込ませることで、刺し子のようなタッチなどを編み立てで表現。生地名も“8ビット”“3D”などテクノロジーを感じさせて楽しい。CEOが“オープンハウス”特別商品のマフラーを巻いて写真撮影に応じてくれました

平野啓一郎

 著書「マチネの終わりに」が福山雅治主演で映画化もされ、ヒット中の小説家、平野啓一郎さんにも館内で遭遇。当日は菅付雅信さん率いる出版社United Vagabondsが実施した7階ローズベーカリー&ブックスペース“BIBLIOTHECA”でのトークイベントに登壇されていました。DSMGは「ラフ・シモンズ(Raf Simmons)が手掛けていた時の『カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)』が好きでよく見に来ていましたね」とのこと

オフ‐ホワイト c/o ヴァージル アブロー

 「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」の売り場では残念ながら誰にも会えませんでしたが、今夏~秋にシカゴ美術館で開催されたヴァージルの個展オフィシャルカタログのスペシャル版を展示・予約受付をしていました

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元「シマ」の人気美容師が手掛けるヘアメディア「ララ」が成功している理由は?

 人気美容室「シマ(SHIMA)」に11年間勤務し、在籍中には売り上げNo.1を獲得。「シマ ギンザ アネックス(SHIMA GINZA ANNEX)」のオープニングではディレクターを務めるなど、美容師としての成功を手にしていた下川直人LALA代表。そんな彼が美容師を辞めて2018年2月に自身で始めたのが、“運命の美容師に出会える”ウェブメディア「ララ(LALA)」だ。現在、インスタグラムのフォロワー数は22万を超え、ウェブサイトの月間PV数は120万超えと多くのファンを獲得している。まったくの素人が作った「ララ」がなぜ人気となったのか、下川代表にその理由を聞いた。

WWD:どうして「ララ」を始めようと思ったのか。

下川直人(以下、下川):「シマ」に在籍していたときから美容師検索サイトはいくつかあったんですが、ほとんどが掲載料や広告費を払えば載れるもので、一般の消費者の満足度を最優先に考えているサイトはあまりないのではないか――ということを常々感じていました。それなら自分でウェブサイトを作ろうと思ったのがきっかけです。

WWD:現在、美容師はやっていない?

下川:今はやっていません。「シマ」の中で目標としていた売り上げNo.1を獲得した後、以前から興味を持っていたウェブメディアに専念しようと決意し、退社してから独学でウェブサイトの作り方を勉強しました。

WWD:「ララ」の特徴は?

下川:既存の美容師検索サイトとは違って、美容師から掲載料などはもらわず、自社編集のメディアであること。加えて元「シマ」の美容師だった僕が、プロの目線と消費者目線で本当にいいと思う美容師を厳選して掲載しているのが特徴です。

WWD:たしかに元「シマ」のNo.1美容師が厳選しているというのは、かなりの強みになる。

下川:“運命の美容師に出会える”をコンセプトにしていて、このメディアを通して、一般の消費者がいい美容師に出会えることを目標としています。クオリティーを保つために、オフィシャルサイトにはこちらが厳選した“オフィシャルスタイリスト”のヘアのみを掲載しています。掲載させてほしい美容師には、こちらから声をかけさせています。それ以外の人は、公式インスタグラム(@lala__hair)のアカウントにタグ付けしてもらえれば、こちらでピックアップすることもあります。「ララ」オフィシャルサイトでは消費者自身が選べるよう、ヘアスタイルの画像に加えて料金、時間、スタイリング剤、美容師の紹介動画も掲載しています。

WWD:「掲載してほしい」という美容師も多いのでは?

下川:そうですね。ただクオリティーを保つために厳選しているので、そこは慎重に審査させてもらっています。非公表ですが掲載基準もあります。掲載に関しては、サロン単位ではなくスタイリスト単位になっていて、肩書きや経歴なども関係なく選んでいますので、同じヘアサロンでもこの人はOKでこの人はNGというケースもあります。

SNSをきっかけにメディアが成長

WWD:「ララ」は最初から順調だった?

下川:全然でした。最初の10カ月はかなり苦戦していて、正直もうやめようかと思った時期もありましたね。そうするうちに、昨年末あたりからインスタグラム経由で広まって、成果が出始めました。

WWD:インスタグラムはサイトのスタートと一緒に始めた?

下川:そうですね。美容師のときにインスタグラムを活用していたので、インスタグラムは重要だなと感じていました。今は「ララ ヘア」「ララ ヘアアレンジ」「ララ ビューティ」の3つのアカウントを運営しています。フォロワー数は「ヘア」が22万超え、「ヘアアレンジ」が15万超え、「ビューティ」が2万7000超え。一方でインスタグラム以外にもピンタレストも人気で、月間閲覧者数178万ほどでそこからの流入も多いですね。サイトの方は月間のPV数は120万まで成長しました。

WWD:インスタグラムのフォロワー数は一気に伸びた?

下川:緩やかに伸びたという感じですね。毎日500~600人ほど増えていきました。最初の頃は1日4投稿と決めて、毎日投稿していました。そこから少し絞ってブランディングしていきたいと考え、今は1日1投稿になっています。

WWD:マネタイズはどのようにしている?

下川:メーカーとのタイアップ広告と、サイト内のスポンサーリンク、製品のアフィリエイトなど分散して収益があるように考えています。基本的に美容師を応援することを目的としているので、今後も美容師、美容室から広告費をもらうことは考えていません。

WWD:「ララ」ではどんなヘアが人気なのか。傾向はある?

下川:ヘアカラーだと“ロートーン”や“オレンジベージュ”、ヘアスタイルなら“マッシュショート”“ハンサムショート”“切りっぱなしボブ”などのキーワードは人気です。掲載するヘアスタイルに関しては、先ほども言いましたが、美容師ではなく一般女性が見て「かわいい」と思えて、自分でもやってみたいと思えるヘアを意識しています。だから画像も作品ではなく、スナップに近い感じのヘアを紹介しています。

WWD:「ララ」の目標は?

下川:“本当にいい美容師が掲載されている美容師検索サイト”としてのポジションを確立したいですね。それができれば、もっと美容師をサポートできると思います。

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編集長は先週何した? 「トモ コイズミ」でKoki,をカメラに収め、「シャネル」の展覧会を見尽くし、「ヒロココシノ」の後に深川丼!

 こんにちは。日を追うごとに台風19号の被害の大きさか明らかになる中、身近な方が被災された方も多いと思います。改めて心よりお見舞い申し上げます。

 縫製やニットなどアパレル関連の工場も多く被害を受けていると聞きます。その中、東京では先週「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」が開かれました。こういう時、歩みを止めないことの大切さは東日本大震災の時に学びました。あの時も翌々週にファッションウイークを控え、デザイナーたちは「こんな時にファッションショーでよいのか」と悩みながら実施を決めました。今回も悩みながらショーや展示会、イベントを開いた関係者が多いようですが、「それでよかった」と私は思います。ファッションを通じてポジティブなメッセージを伝えると同時に、工場の再稼働を後押しする受注をガンガンとっていきましょう。そう伝えたいです。

10/15(火)
「ヒロココシノ」からの深川丼

 コシノヒロコさんは今年82歳です。年齢は関係ないことはない、と私は思います。このショーを見て、自分が82歳になった時にヒロコさんほどのパワーを持てるだろうか、と考えると疑問です。会場は東京都現代美術館。太陽光がたっぷり注ぐ会場は温かく美しく、言葉を替えるとすべてを白日にさらします。実際、素材もディテールも全てがはっきりと見えました。音楽は前回に続いてピアニスト横山幸雄さんによる生演奏。光と音と服が刻々と変わってゆく、ライブでしか作れない30分は「見よ、これが『ヒロココシノ(HIROKO KOSHINO)』だ」と言わんばかりの力強く美しい時間でした。

 会場までは遠かったけれど、途中で深川丼にありつけて幸せ。食べても食べてもあさりが出てくる、は本当でした。

10月16日(水)
Tokyo 新人デザイナー
ファッション大賞

 プロ部門の審査を担当している「2019 Tokyo 新人デザイナーファッション大賞」のショーと表彰式に出席しました。プロ部門は「ポートヴェル(PORTVEL)」が東京都知事賞を受賞(写真)。デザイナーの濵田博昭さん、おめでとうございます!動画は、アマチュア部門で大賞を受賞したエスモードジャポンの田村奈々さんの作品です。「女性のための女性服」というテーマについて詳しく聞いてみたいという好奇心を掻き立てられます。

 同賞とは関係ないのですが、渋谷ヒカリエで開かれるショーは始まりを待つ間の照明が真っ暗であることが多いです。この日もそう。ランウエイの反対側の人の顔も識別できないほどの暗い照明は異様。ブランドの世界観の演出なら理解できますが、そうとも限りません。ショーを待つ間に「あ、あの人が来ている!」とあいさつに動いたり、来場者のファッションを眺めたり、リリースに目を通したりするのもファッションウィーク中の大切な時間ですからそれができない暗い照明は機会損失につながっています。JFW事務局には何度か進言しているのですが、改めて改善を期待します!

10月16日(水)
夢見る「トモ コイズミ」

 「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」のショーのドリーミーだったこと!ファーストルックの美佳、続くKoki,、福士リナ、フィナーレの冨永愛。豪華なモデルが一人ずつ、ゆっくりと登場し、そのたびに照明と曲が変わり、同じ「トモ コイズミ」でもそれぞれに別の個性が宿ります。桁外れのボリューム感と華やかな色。下手をしたら“おもしろい” に着地するデザインですが、突き抜けた美しさに着地していてかつ楽観的。写真はドレスでぎゅうぎゅうのバックステージでデザイナーの小泉智貴さんとKoki,さん、動画はフィナーレの様子です。

10月17日(木)
「シャネル」の展覧会を
とことん見る

 「シャネル(CHANEL)」のクリエイションの背景を伝える展覧会「マドモアゼル プリヴェ/ガブリエル シャネルの世界へ(MADEMOISELLE PRIVE TOKYO)」のプレビューへ。1時間以上、じっくりと見ました。2枚目の写真を目を凝らして見てください。これ、刺しゅうなのです!すご!手間!これが象徴しているように、オートクチュールメゾンである「シャネル」にとって手仕事を担う職人は、ガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)が残した価値を形にするために絶対に必要な存在。だからこそ、アトリエ ルサージュ(ATELIER LESAGE)やアトリエ モンテックス(ATELIER MONTEX)といった工房を大切にするし、最近ニュースになったように取引きがあるメーカーの株式取得も進めているわけです。

 また、この展覧会ではパリ・カンボン通り31番地にあるココ・シャネルのアトリエの螺旋階段がフィーチャーされています。ガブリエル・シャネルとそのスピリットを引き継ぐアトリエにとって、建物や場がいかに大切な存在であったかを知ります。そして「あ~、自分の日常の場をもっと丁寧に見直したいな」と思いました。もちろん、ガブリエル・シャネルのアトリエと自分の仕事場は比べ物にはなりませんが、そもそも比べる物ではなく、過ごす場を大切にするスピリット自体を見習いたいと思うのです。

 ソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)が手掛けたムービーや職人たちと対話しながら参加できるワークショップなど見どころは他にもたくさんあります。そしてパーティーはファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)のライブで大盛り上がり!最前列をキープしちゃいました。面白い人たちにもたくさん会えました。

10月17日(木)
最新号「パリコレ特集第2弾」
責了と本日のおやつ

 表紙は「ロエベ(LOEWE)」のバックステージでの美佳。「トモ コイズミ」のオープニングも飾った注目新人モデルです。ホントかわいい!本日の、というよりほぼ毎日駅の売店で買ってしまうおやつはこれです。

10月18日(金)
「リト」で長谷川親子と会う

 初めてショー形式で発表した「リト(RITO)」は、気心地の良さそうな素材使いに加え、不思議とウエストや肩といったパーツに目が向くデザイン。シンプルだけどスタイルをよく見せてくれそうです。PRを担当しているザ・ウォールの長谷川真美子&左希子の親子はいつも250%全力投球です。たまには自分をいたわってね。

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プロサッカー選手からアパレル販売員へ「アスリートもショップスタッフも、プロの本質は人間力」 トゥモローランド廣瀬智靖

 クラレが毎年発表する「新小学校1年生の将来就きたい職業」ランキングで21年間にわたって1位に輝いているのが「スポーツ選手」。その中でもサッカー選手は、男子児童にとって特に憧れの職業だろう。そんな子どもたちの憧れであるプロサッカー選手として8年間活躍し、現在はファッション業界にフィールドを替え店頭で見事な接客を見せているのが、トゥモローランド日本橋高島屋S.C.店ショップスタッフの廣瀬智靖さんだ。全く異なる業界に移るきっかけや理由、異業種で活躍したからこそ見えるファッション業界の魅力を語ってもらった。

―最初にファッションに興味を持ったきっかけは?

廣瀬智靖さん(以下、廣瀬):学生時代まではサッカーが中心で、プロになってから先輩に服やファッションを教えてもらいました。他のチームを見ても、プロ選手はおしゃれな方が多いので影響は受けました。特に活躍している選手は見られるのも仕事だと考えているので、ファッションにも気を使っている選手が多いです。自分もそういう選手になりたいと。その上、プロになると毎日サッカー漬けになるので、ファッションが休日の息抜きになっていました。

―確かにサッカー選手はおしゃれな方が多いように感じます。ファッションに興味を持つようになり、セカンドキャリアとしてこの業界を選ばれたのはなぜですか?

廣瀬:自分の中でサッカーをやり切ることができたら新しいチャレンジをしたいと考えていて、新たなステージとしてファッション業界を選びました。自分の性格的に好きなことしか仕事にできないと分かっていたのと、ファッションを楽しむことで気持ちが救われることもあったので、次はこの業界に進もうと。そんな頃に知人に紹介されたのがトランクスブランド「ナルトトランクス(NALUTO TRUNKS)」の山口輝陽志代表でした。

山口さんに「サッカーを辞めたらファッション業界に行きたいです」とお伝えしたら、「それならトゥモローランドに行きなさい。この会社ならファッションのいろんなことを学べるし、働いている人もいい人が多いから」と教えていただいたのです。それにファッショ業界に飛び込むとしても、私は服の基礎も知らないし、お客さまのことも知らない。販売員を選んだのは、基本である販売から学びたいと思っったからです。

―実際にショップスタッフとして働き始めてみてどうでしたか?

廣瀬:人との距離感やコミュニケーションが大事という点では、サッカーと同じ。近いものがありました。でも、初めて店頭に立ったときは緊張しました。試合でピッチに出たときと同じ感覚でした(笑)。何も知らないし、経験もなく店頭に出て緊張する中、今の時間で自分にできることを考え、整理し、繰り返していくことで慣れていきました。あとは一緒に働くスタッフがやさしい方ばかりで救われましたね。

振り返ってみると、お客さまに育てていただいたと感じています。入社して1カ月した頃に接客させていただいて、今でも定期的に買い物に来られる顧客さまがいるのですが「今だから言うけど、当時は本当にヤバかった」と笑いながら言われました。ですが、その方から店長宛てに「廣瀬さんのおかげで買い物が楽しくなった。いつも感謝しています」と直筆の手紙が届いたときは、本当に嬉しかったですね。

―それは販売員冥利に尽きますね。

廣瀬:本当に感謝しています。ほかにも現役の時に一緒にプレーしていた選手やサポーターも買いに来てくれます。ネットでモノが買える時代に、お客さまが店に来ていただいていること自体に感謝です。だからこそ、ショップスタッフとしてその時間を無駄にしないよう、想像を超えるような接客を心掛けています。

―今の仕事でプロサッカー選手時代の経験が生かされていることはありますか?

廣瀬:プロのアスリートというのは一握りの存在なので、その中で生活してきたことが最大の勉強でした。常に自分と向き合い、自分を高めていくことが普通という環境でしたので、そういうすごい方たちと一緒に生活してきたことは、ショップスタッフも変わりません。今は、素晴らしいショップスタッフや社内のトップセラーたちから毎日のように学んでいます。業界は違っても優秀な方は“人間力”が高いです。

―販売職の良いところは何でしょう?

廣瀬:人としての基本が培われ、人としての幅が広がる仕事だと思います。中にはやりがいを感じていない方もいるかもしれませんが、お客さまと接することで、人として成長し、救われることも多い。普段は出会えない方とお会いして話をして、いろんな方とコミュニケーションを積み重ねていくことは、人を成長させるのではないでしょうか。“人間力”が上がる仕事として、販売はもっと認められて注目されてもいい、素晴らしい仕事だと感じています。

―これからやってみたいことはありますか?

廣瀬:サッカー界(スポーツ業界)とファッション業界に恩返ししたいですね。アスリートのセカンドキャリアに関することや、販売職などにやりがいを感じられない若い子たちに向けて何かを伝えたり、行動していきたいと思っています。

苫米地香織:服が作れて、グラフィックデザインができて、写真が撮れるファッションビジネスライター。高校でインテリア、専門学校で服飾を学び、販売員として働き始める。その後、アパレル企画会社へ転職し、商品企画、デザイン、マーケティング、業界誌への執筆などに携わる。自他ともに認める“日本で一番アパレル販売員を取材しているライター”

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「東コレに伝えたい」デザイナーたちの本音 連載Vol.7 「今の東コレは海外のバイヤーが新しいブランドを探しに足を運ぶレベルではなくなった」

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏の「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月14〜19日に開催される。冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天に変わって初めてのファッション・ウイークとなるため、関係者からの注目は高い。しかし結局は、人を呼べるブランドが参加しないとファッション・ウイークは盛り上がらない。そこで、海外で活躍する日本人デザイナーや「RFWT」に参加するブランド、新進気鋭の若手らに「どんな東コレだったら参加したい?」というテーマでアンケートを実施した。「RFWT」開催期間中から10月28日の「WWDジャパン」東京ファッション・ウイーク特集発売の週まで、回答の一部を連載形式で紹介する。今回は海外のメンズ・ファッション・ウイークで活躍する「N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)」「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」「ベッドフォード(BED J.W. FORD)」「サルバム(SULVAM)」が登場。それぞれの現在の立ち位置から、今の東コレを冷静に分析する。

N.HOOLYWOOD
尾花大輔デザイナー

 過去に東京のファッションウイークに参加した経験が、今の私たちの礎になっています。ですが、今また参加したいかと聞かれると答えはいいえです。当時から、われわれの環境も変わりました。現在の東京のファッション・ウイークに当てはまることが特にないというのが現状です。

WHITE MOUNTAINEERING
相澤陽介デザイナー

 われわれは現在、パリ・ファッション・ウイークでショーを行っており、春夏シーズンは6月、秋冬シーズンは1月に展示会も含めて開催しています。日本以外のオーダーはその時に締めますので、現実的に9月や10月開催のファッション・ウイークに参加することはビジネス的に非常に厳しいです。また製品の量産期間が短いために、クオリティーの高い商品を作り出すことが困難ではないかと考えています。ただし東京は会場なども含めて自由度が高いイベントなので、面白いとは思います。

BED J.W. FORD
山岸慎平デザイナー

 東コレに参加し、ビジネスやPR効果はもちろん、何よりも身の周りの方々が喜んでくれたことが嬉しかった。支えてもらっているという事を強く実感できました。今は発表の場を海外に移したので、現状の東コレのスケジュールだと量産時期と重なり、最終的に工場にしわ寄せがいってしまいます。

SULVAM
藤田哲平デザイナー

 立ち上げから3シーズン目で東コレに参加し、ブランドの認知度が国内で上がったのは事実です。国内のPR効果としてはよかった。ただしビジネス面では展示会をパリのファッション・ウイークに合わせて開催し、展示会を終えていた状況だったのであまり影響はありませんでした。今の東京は、開催時期が年に2回ですし、前倒しを求める意見も当然あると思います。もしパリメンズ後の7月上〜中旬や2月上〜中旬に前倒しが実現すれば、とも思いますが、ニューヨークの時期とも重なってくるので現実には厳しい。となると、海外のバイヤーがビジネス目的で来るメリットがないので、ブランドとしても参加は難しいです。そして「サルバム 」はパリで発表をしているので、一番問題なのは参加費です。海外でもランウエイやプレゼンテーションで費用をかけていますが、ビジネスにつなげるためのPR費と考えて投資し続けています。今後、国内のみに向けて発表する方向性に切り替えない限り、東コレに参加することは無駄な投資になってしまいます。でも、先輩デザイナーや自分と同世代のデザイナーが海外に発表の舞台を移す中、東コレが縮小せずに、若手デザイナーがどんどん出てきているのは素晴らしいこと。とはいえ、海外のバイヤーが新しいブランドを探しにお金を出してまで、東コレに足を運ぶというレベルではなくなった。そう感じている人も少なくないのではないのでしょうか?楽天がもし本当に長期にわたって冠スポンサーを続けてくれるのなら、先を見越して仕組みを考え直していけるようになればいいなと思います。「サルバム」としても、機会があればぜひやりたい気持ちはあります。職人さんや友人、家族、これから業界を担う学生やファッション好きの若い世代に見てほしい気持ちは常に持っているので。

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川上未映子のエッセー集など 2019年8~9月出版のファッション関連書籍

 2019年8~9月に出版されたファッション関連書籍の新刊情報を紹介する。8~9月出版のファッション関連書籍の中から、島精機製作所の創業者の足跡を迫ったビジネス書や小説家の川上未映子によるファッションエッセー集、「リクルートスーツ」を取り巻く社会現象を分析した書籍など7冊を紹介する。それぞれの書籍ごとに関連性の高いニュースやコラム情報を添えてあるので、紹介した書籍とあわせて読んでいただきたい。

「つながる力 世紀の発明家・島正博の源流と哲学」
(合田周平、PHP研究所)

 無縫製ニット機“ホールガーメント(WHOLEGARMENT)”を生み出し、国内外のさまざまなアパレルメーカーから高く評価されているニット機メーカー島精機製作所(以下、島精機)。本書では、その創業者である島正博・島精機会長の生い立ちから現在までをドラマチックに描き出し、発明家/実業家としての生涯をつぶさにたどる。筆者は島精機の根底に島会長の「発明哲学」が流れているという。島精機の経営理念でもある“愛・創造・氣”“Ever Onward―限りなき前進”など、島会長の思想を読み解くことで島精機の成功要因が見えてくるのかも知れない。もの作りのトップランナーから学べることは少なくないはず。

「Third Way 第3の道のつくり方」
(山口絵理子、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 社会性とビジネス、大量生産と手仕事、個人と組織、グローバルとローカル……。“途上国から世界に通用するブランドをつくる”をコンセプトに掲げるマザーハウス(MOTHERHOUSE)が目指すのは、相反する2つの概念を高い次元で統合する第3の道=サードウェイだと山口絵理子・社長兼チーフデザイナーは語る。デザイナーと経営者の二足のわらじを履く自身の経験に基づいた、マザーハウスのサードウェイ的な実践を紹介。本書を読むと、アパレル・ファッション企業が直面する一見矛盾しているように思える課題は、決して一方を犠牲にせずとも解決することができるのではないかと思えてくる。

「学びなおす力 新時代を勝ち抜く『理論とアート』」
(石川康晴、PHP研究所)

 会社経営のかたわら京都大学大学院でMBAを取得した石川康晴ストライプインターナショナル社長が「学びなおし」をキーワードに学び続けることの重要性を説く。これからの時代のビジネスを成功させるためには、経営学などの理論的枠組みと同等に発想力を高めるアートの教養が役立つという。ビジネスの場面で応用できる考え方やヒントを丁寧に解説。学ぶことの価値やアートの意義がわからないと悩む人にとっては、目からうろこの内容かもしれない。章末のチェックリストは読み直す際に有用。業界を問わず、ビジネスの世界で活躍するために必要な素養が見えてくるのでは。

「片山正通教授の『仕事』の『ルール』のつくり方(instigator 4)」
(片山正通、マガジンハウス)

 武蔵野美術大学教授でインテリアデザイナーの片山正通ワンダーウォール代表が同大学で開催している特別講義の講義録第4弾。編集者の都築響一、ウルフルズのトータス松本、猪子寿之チームラボ(TEAMLAB)代表、映画監督の是枝裕和、写真家のホンマタカシ――5人のインスティゲーター(instigator=扇動者)の言葉は、既成の概念にとらわれない自由に生きる術を教えてくれる。自分なりのルールのあり方について考えさせられる本書、ジャンル問わず創作の現場に身を置く彼らからファッションの世界にも応用しうる考え方が掴めるのではないだろうか。

「弱いから、好き。」
(長沢節、草思社文庫)

 セツ・モードセミナーの創業者であり日本のファッション・イラストレーターの第一人者、長沢節氏のエッセー集を約30年ぶりに文庫化。署名にも使われているエッセー「弱いから、好き」のほか32編を収録する。「マイナスとマイナスがふと引き合う時にこそ美しく、真の優しさが生まれるのではないだろうか」(P.64)。長沢氏が語る人間像には現在にも通用する普遍性がある。長沢氏が描いたイラストを随所に使用。儚さをはらんだ線で描かれたドローイングに、長沢氏が本書内で書き記した「弱さ」への哲学が感じられる。

「おめかしの引力」
(川上未映子、朝日文庫)

 「おめかしの喜びとは、トライ&エラーの果てにやってくる、『つかのまの完璧なフィット感』なのかもしれません。ときどきすごく疲れるし、憂うつになるし、失敗も多くてイヤになるけど、でもそんな瞬間があるから、やめられない」(P.169)。軽やかな語りの中にふと真理のようなものが顔を出す、小説家・川上未映子によるファッションエッセー集。同名書籍の文庫版で、新規エッセーやインタビューが加わっている。時折吹き出してしまうような「おめかし」にまつわる魅力溢れた文章が満載。「ファッションの価値ほど人によるものはないですよ。それは物ひとつひとつにストーリーが密着しているから」(P.310)。ついつい自分のクローゼットを開いてみたくなる一冊。

「リクルートスーツの社会史」
(田中里尚、青土社)

 季節の風物詩ともなったリクルートスーツ。その存在に対して違和感を覚えながらも、なぜなおも存在し続けるのかを誰もよく知らない。本書では、このリクルートスーツという不思議な“現象”を、時代、文化、価値観の変遷と照らし合わせながら読み解いていく。読めば、多くの人が袖を通したであろうリクルートスーツの意義が見えてくるはず。豊富な資料研究に基づいた精緻な分析からは、その背景にある制度や言説の構造が浮かび上がってくる。リクルートスーツほど、社会的な制度や規範との関係が強く表れている衣服はないのかもしれない。

秋吉成紀(あきよしなるき):1994年生まれ。2018年1月から「WWDジャパン」でアルバイト中。

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日本人が眠れるのは“ふとん”より“うどん” 衝撃の新製品が発売1カ月で2億円のヒット

 約10分で眠らせる頭ほぐしで、その快感から現在約49万人が予約待ちに並ぶ無水ヘッドスパ専門店「悟空のきもち」を運営するゴールデンフィールドが、“布団の全てを否定する”「睡眠用うどん」(価格は1万6800円)を発売した。発売初月に2億円の売り上げを叩き出し、さまざまなメディアでも取り上げられている。そのヒットにはち密に計算されたモノ作りがあった。

 製品の見た目は、巨大なうどんを数本並べて作ったような布団だ。同社によると“布団”と呼ぶのはNGとのこと、あくまで“うどん”なのだ。開発のきっかけは、ざるうどんを食べながら「この中で寝たい」と言った同社スタッフの声。そこから「悟空のきもち」が企画し、伊勢丹新宿本店の意見協力のもと、深部体温と睡眠の深さを追求。約1年の研究開発期間を経て、世界初の睡眠に特化した「睡眠用うどん」の完成に至った。

 「睡眠用うどん」を使用するメリットは3つありそうだ。1つは、寝姿がいつでも自由でいられるという点。掛け布団のように使う“掛けうどんモード”を基本とし、“抱き枕モード”“足枕モード”“包まれモード”など麺を動かすことで自在な寝姿を作ることができる。麺を動かすという発想、それを可能にするモノ作りがキモだ。2つ目は、温度調整機能に優れているという点だ。うどんの麺の開閉を寝ながら自在に行えることで、夏はタオルケットより涼しく、冬は内部空気量が高いことから毛布1枚掛けただけで防寒布団より暖かくなるという。

 3つ目は、入眠・睡眠に適切な深部体温の切り替えを促すという点。すぐ眠るために必要な温かさと、深部体温を下げて深い眠りを作る施術メソットを応用。眠る前・寝た後の最適な温度変化をもたらすという。単なる見た目の面白さだけではない科学が、この“うどん”には秘められている。外部試験機関で「睡眠用うどん」で寝たときと普通の掛け布団で寝たときの脳波を比較する科学的検証を実施。その結果、日本人の被験者6人の平均値で、掛け布団に比べて「睡眠用うどん」は、リラックスを表すα波が4.3%増加、緊張感を表すβ波が6.2%減少したことが分かった。6人が多いか少ないかは分からないが、リラックスできることは確かなようだ。

ゴールデンフィールドのヒットを生み出す力

 そうしたメリットを踏まえ、同社は「入眠や睡眠中、起床後の爽快感など、どの側面で見ても“ふとん”より“うどん”が優れている」と考え、“布団の全てを否定するうどん”として展開した。発売開始直後から寝心地の良さで話題となり、発売1カ月の時点で約1万4000個を受注し、売り上げは2億3000万円に到達した。

 12月からは、生産を当初の20倍規模の月1万個体制まで増強。今後エビデンスを重ねていき、来年からは中国やアメリカへの輸出も計画しているというから“うどん”は世界に羽ばたくことになる。

 そもそも同社が展開する「悟空のきもち」は、4店舗全て3カ月満席、それに加え48万6098人(8月集計数)がキャンセル待ちに並ぶ人気のヘッドスパ。そして今回発売した「睡眠用うどん」も、早くも大ヒットしていることからも、同社は“気持ちいい”“癒し”の請負人か。

 それらのヒットの要因は、キャッチコピーのセンスもある。「悟空のきもち」は“眠くない大人でも約10分で寝落ちさせる”、「睡眠用うどん」は“眠れるうどん”というキャッチコピーで展開していて、どちらも耳にした人に「え!?」と思わせる力を持っている。これが“睡眠導入効果のあるヘッドスパ”“新発想の布団”といったインパクト薄めのキャッチコピーであったら、ここまでのヒットにつながったか疑問に思える。

 さらに前者は世界中のマッサージメソッドを調査・研究することで、後者は科学的検証も含めた睡眠メカニズムの研究で、キャッチコピーの通りの効果を実現した。柔軟で豊かな発想力とブレイクスルーをもたらす研究開発力を併せ持った同社の、次の新作はどんなキャッチコピーで“癒し”を請け負ってくれるのか期待したい。

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ファッションラバーもハマる女の「サ道」 Vol.3 “ととのう”ためのファッションブランドとは?全国オススメサウナも紹介

 空前のサウナブームに沸く日本列島。いまや、おじさんだけでなく若者にもサウナ文化が定着し、女性サウナーの存在もチラホラ。その背景には、タナカカツキ氏による伝説の漫画『サ道』のドラマ化や、『湯遊ワンダーランド』、『極上! サウナめし』などが大きく影響しているのだとか。ビジネスマンからファッションラバーまで、慌ただしい日常に癒しを求めサウナに集まる人たち。人はいったいどんなきっかけでサウナにハマり、何を得るのだろうか。

 サウナーの間ではすでに定番のファッションブランド「ティーティーエヌイー(TTNE)」をご存知ですか?このアルファベット、よーく見ると……。“ととのえ”と読むことができるような、できないような。

 同ブランドは、フィットネスクラブを経営するTTNEの松尾大と、イベントプロデュースを手掛ける秋山大輔の二人による、「サウナーによる、サウナーのためのブランド」だそうです。タウンユースとして使用できる「saunner」ボックスロゴTやパーカをはじめ、専用ハットなどスタイリッシュなラインナップ展開です。サウナ&ファッションを愛する人には、ぜひともチェックしてほしいもの。経験の浅いビギナーは、スタイルから入るのもオススメです。

 お気に入りのサウナーファッションに身を包んだら、次はどの施設に行こうか頭をフル回転させます。前回の連載で「サウナは男性社会」と申しましたが、女性陣も負けてはいられません。近年オシャレな施設が増えたことで、女性同士でサウナを楽しむ姿をよく見かけるようになりました。女性人気ナンバーワンの施設といえば、やはり歌舞伎町の「テルマー湯」でしょうか。伊勢丹新宿本店から徒歩5分程度という立地が影響しているのか、エントランス付近にはファッショナブルな20~30代が多い印象。女性はファッション誌でたとえると「ジゼル(GISELe)」系、男性はスーツ姿がサマになる「ウオモ(UOMO)」系といったところ。ここはフリーWi-Fiが強力なので、汗をかいたあと爽快な気分で仕事するのも可能です。女性浴室には、ドライサウナ以外にミストサウナもあり、ミネラル入りの泥パックは付け放題。サウナとの相乗効果で肌がツルピカになること間違いなしです!

 ホテルのようなラウンジでゆっくりくつろぐなら、池袋の「タイムズスパ レスタ」もおさえておくべき。白を基調とした浴室には、クリアミストサウナ。ドライサウナより湿度が低いので、蒸気が肌に柔らかくまとわりつきます。

 新感覚のサウナで最高の癒やしを体験したい人は昨年、名古屋にオープンした「サウナラボ」へ足を運んでみては?この施設はなんと、女性のみ利用可能なエリアがあり、とにかくオシャレすぎる!ドラマ「サ道」でも紹介されていましたよね。オーガニックコスメやアロマも充実しており、北欧をイメージしたサウナハットやグッズも販売しています。本場、フィンランドをイメージした山小屋風の店内は、数種類のサウナとリビングで構成されており、メディテーション(瞑想)にも向いています。体を芯まで温めたあとは摂氏0度のアイスサウナで心ゆくまでクールダウンすれば、肌が引き締まって美容効果も期待できそう。まだまだ紹介したい施設はたくさんありますが、キリがないのでこのへんで。

【今日のサウナ用語集】

おかわり
アウフグースやロウリュの虜になった人は、熱風の一撃を何度も受けることが可能。これを“おかわり”と言います。物足りないな、と思ったら「おかわりください!」と速やかに手をあげること。スウィングの力は担当によって異なるので、プロサウナーともなるとお目当てのスタッフのスケジュールにあわせて通うこともしばしば。

ヴィヒタ
白樺の葉を束ねたもので、パンパンと体に叩きつけながらマッサージすることで血行を促進します。香りも心地よく、森林浴をしているようなリラックス効果もあるのだとか。

熱波師
タオルやウチワで熱風を送る人のこと。彼らにはエンターテインメント力が試されます。タオル一枚で上質な熱風を送ることができるほか、見事なタオルさばきと巧みな話術でサウナーたちの心を一瞬でワシ掴みに。たとえ5分であっても息苦しいのに、彼らの技と特徴的なパフォーマンスによって、あっという間に10~15分が経過します。

尾竹めぐみ:ファッション・エディター、ライター。大学卒業後、ボストンへ留学。帰国後はファッション誌「オーリーガールズ」編集部で、ストリートスナップを担当。2005年からリットーミュージックが発行するファッション&クラブカルチャー誌「ルイール」で、海外アーティストの取材やセレブゴシップ特集に力を入れる。12年、INFASパブリケーションズに入社し、季刊誌「WWD マガジン」、ファッション週刊紙「WWD ジャパン」で経験を積む。現在、フリーランスとしてファッションウェブ媒体を中心にエディトリアルからライティングまでを手掛ける。趣味はネットフリックスと日本全国のスーパー銭湯めぐり

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東コレ映像ダイジェストDAY6 「RFWT」初参加のこじはるのポップアップやプロレスラーの武藤敬司が歩いた「ガッツダイナマイトキャバレーズ」など

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月19日まで開催された。今季から、冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天になり、どのような変化が起きるのか注目される中、バイヤーやプレス、招待客しか入れない「RFWT」を映像で追いかける。見所をダイジェスト形式でお届け。

 最終日の10月19日は、「ハーリップトゥ(HER LIP TO)」のポップアップストアで「RFWT」に初参加した小嶋陽菜の前振りでスタート。武藤敬司らのプロレスラーがランウエイを歩いた「ガッツダイナマイトキャバレーズ(GUT’S DYNAMITE CABARETS)」「ミツル オカザキ(MITSURU OKAZAKI)」のショーの様子をとらえた。これまでに「マメ(MAME KUROGOUCHI)」や「オーラリー(AURALEE)」が受賞した「ファッション プライズ オブ トウキョウ」などのアワードもお届けする。

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