がんばれラグビー日本代表! それと同じぐらい気になる時計「チューダー」の売れ行き

 ラグビーワールドカップ(以下、RWC)の日本対南アフリカ戦がまもなくキックオフとなる。2015年にイングランドで開催された、前回大会の“奇跡”の再現を望むファンが多いだろう。高校ラグビーにとっての甲子園である“花園”に14大会連続49度目の出場を目指す山梨県立日川高等学校出身の僕も気が気でないが、「WWDジャパン」の時計担当としてはもう一つ気になることがある。それがオフィシャル・タイムキーパーを務める「チューダー(TUDOR)」への好影響だ。

 「チューダー」は18年に日本ロレックスによる展開がスタートし、19年9月には銀座・並木通り沿いに日本初の路面旗艦店をオープンしている。

 テレビの前で日本代表に声援を送っている人なら、得点表示の下に“TUDOR”の盾のロゴを見ているはずで、熱戦をさばくレフェリーが試合中に身に着けているのも「チューダー」の“ブラックベイ クロノ(BLACK BAY CHRONO)”だ。特別にラバーストラップ仕様にしたもので、裏蓋にはRWCのロゴをエングレービングしている。非売品で、23人のレフェリーのみに提供された。

 露出も注目度も抜群。では実際、売り上げに変化はあるのだろうか。渡辺尚有「チューダー」ブランドマネージャーは、「RWCの開幕と『チューダー』銀座店のオープンのニュースが時を同じくしており、どちらの効果が大きいかは測りかねるが好影響は出ている。このタイミングで“初めての機械式時計”を購入するお客さまが増えている。今の市場は“Substantially Valuable(実質的に価値のあるもの)”に優位性を認めており、その中で『チューダー』が選ばれていることは光栄だ」と話す。

 「チューダー」は1926年にスイス・ジュネーブで創業。“時計の王様”である「ロレックス(ROLEX)」の弟ブランドにあたる。2017年に、ラグビーワールドカップを主催する国際競技連盟・ワールドラグビーと7年間の契約を締結した。19年および23年のRWC、21年の女子RWC、18年と22年のRWCセブンズ大会、毎年開催されるワールドラグビーU20チャンピオンシップでオフィシャル・タイムキーパーを務める。“オールブラックス(ALL BLACKS )”の愛称で知られる、ニュージーランド代表とも17年からパートナーシップを結んでいる。

 “一生、高級時計とは縁がない”――そんな人が大勢を占めるはずだ。僕も時計担当にならなければ、その一人だったかもしれない。僕を含む、にわかラグビーファンによる熱狂の中で「チューダー」を知り、少しでも興味を持つ人がいれば、それはブランドマーケティングとして大成功だ。高額商品の購入には背中を押す“何か”が必要で、アジア初開催となった今回のRWCは打ってつけと言える。シンプルだけどエモーショナルな戦略にまんまと乗り、僕も“ブラックベイ クロノ”に次のボーナスを捧げてもいいかもしれない……と思案中だ。

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「ここに行く理由がある空間を」  佐藤可士和が手掛けた“美”のスタジオが完成

 ヘアサロン専売品などを取り扱うヘアケアメーカーのビューティーエクスペリエンスは10月7日、美容師の作品撮りなどのために提供する4拠点目のスタジオとして、大阪市中央区に「ビューティーエクスペリエンス 大阪スタジオ」をリニューアルオープンした。これにより東京、名古屋、福岡スタジオに続いて、最後の大阪スタジオのリニューアルが完了したことになる。全スタジオのスペースデザインをはじめ、同社の新ミッションの策定や社名およびロゴの刷新など全てを手掛けたのは、クリエイティブスタジオSAMURAIの佐藤可士和クリエイティブディレクターだ。ここでは、佐藤クリエイティブディレクターと福井敏浩ビューティーエクスペリエンス社長が、大阪スタジオの魅力と、美の体験を発信する全スタジオの総括に関して熱いトークを交わした。

WWD:今回のスタジオのデザインコンセプトを教えてください。

佐藤クリエイティブディレクター(以下、佐藤):“美”という漢字をもとにデザインしたビューティーエクスペリエンスのロゴを軸に考えて、空間に配置しました。細長いスペースを最大限に生かしつつ、あると便利な収納やシンクをそのままアートにできたらいいなと思ったんです。ここはショップではありませんが、最近は何でもネットで買えるのでお店に行く理由がなくなりつつあります。そこで“ここに行く理由がある空間”を作ることが大事だと考えました。

福井社長(以下、福井):なるほど。ビューティーエクスペリエンスの世界観が、東京、名古屋、福岡、大阪と全て異なるデザインで表現されているのですが、決してバラバラではないというのがすごいですね。毎回驚きです。

佐藤:同じものを作るのではなく、毎回違うエクスペリエンスを作ることが重要なんです。

福井:シャンプー台の前には撮影用のホリゾント(舞台やスタジオで使われる背景用の幕または壁)もあるんですね。

佐藤:美容師の方が撮影をされる場所であることを踏まえ、奥のシャンプースペースとの仕切りを普通の壁にするより、ホリゾントの方が使いやすいのではないかと。また入口から見たときに、普通の壁で仕切ると空間がそこで終わりに見えてしまうので、空間の広がりを見せるのにもいいと思いました。

WWD:活用法はいろいろありそうですね。

福井:美容業界以外のことにも使えそうだなと考えています。さまざまな企業とコラボして、ここを発信の場にするのも面白いかなと思います。

佐藤:それはすごく重要なことですね。せっかくこういうスペースを作ったのでどんどん活用して、美容業界だけでなくいろいろな方が訪れる場にすることが大事だと思います。

福井:そうですね。大きな収納棚はオープンキッチンのようにも見えます(笑)。

佐藤:ここには冷蔵庫も備え付けられていますし、かなりの収納力があります。セミナーにも使えますし、新製品をディスプレーするなどさまざまに活用していただくために、オブジェでありつつ使い勝手のいいものにしています。

福井:一般の方向けにも何かできたらいいなと思っています。福岡スタジオはヨガを行うなどしているようです。

佐藤:そうなんですね。週末限定で社員食堂を一般開放している会社もありますね。

福井:面白い取り組みですね。大阪はアジアの玄関口でもあるので、そういう視点でも何か考えたいです。

WWD:4カ所のリニューアルが終了しました。今、どのような思いですか。

福井:私は当初から、他社のスタジオと同じようなものは作りたくないなと考えていました。可士和さんのおかげでそれが実現できました。これで一通りのリニューアルが完了し、4拠点全てにおいて世界観を統一できたと思います。

佐藤:最初は東京からでしたね。社名やロゴなど全部を一貫してやらせていただいたので、うまくできたのだと思います。これがもしスタジオだけ手掛けるということだったら、

こういう風にはできなかったかもしれません。プロジェクトの最初から関わらせていただいているので、ロゴをベースに、それをどこまで崩してデザインしてもいいか、などの加減が僕には分かっていますから。

福井:確かに。スタジオのデザインだけ別の方に頼んだら、大事な部分が崩れてしまったかもしれません。

佐藤:グラデーションの色の選び方ひとつにしても、考えに考えてデザインしています。一色ではないけれどイメージに合うもの、全スタジオのトータルイメージで考えました。

福井:なるほど。おかげさまで、スタジオに来てくださったたくさんの美容師さまが喜んでくださっています。スタジオで撮影をした画像をインスタに上げている美容師さまも多いのですが、うちのどこのスタジオかすぐに分かります。

佐藤:まさにそういうことも狙いのひとつです。このスタジオも見てすぐに分かると思います。SNSには莫大な情報量があるので、そこにちょっと写っているだけでも、たくさん拡散したときに大きな効果を生むんです。

WWD:お二人は出会ってからどれくらいになりますか?

福井:社名を変更した2015年よりも前ですから、初めてお会いしたのは5~6年前でしょうか。

佐藤:そうですね。モルトベーネからビューティーエクスペリエンスに社名を変えたのは、イメージ通りでしたか?このようなスタジオができることは想像されていましたか?

福井:いえ、全然。ここまで変わるとは思っていなかったです。当初は社名を変えようとも、オフィスを移転しようとも思っていませんでしたから。まず私自身がやりたいことをミッションにし、それが空間(オフィスやスタジオ)になりました。可士和さんから学んだところが多く、製品ブランドなども取捨選択してスリム化しました。1つの山を登り切った感じです。するとまた次の山が見えてくるので、今後もいろいろなことが変わっていく可能性があるかもしれません。

佐藤:オフィスを移転したときがターニングポイントだったのかなと思いますが、いかがですか?

福井:そうですね。会社全体の一体感が出ました。

佐藤:空間のインパクトは大きいですよね。働く場所が変わると、社員の方の気持ちも変わるのだと思います。

福井:それら全てを同じタイミングでできたのはよかったですね。

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3人の東コレ担当記者が選ぶ最終日の“私的BEST LOOK”

 楽天を初の冠スポンサーに迎えた2020年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が10月19日に閉幕した。14日からの6日間で、非公式スケジュールを含めると50近いブランドがランウエイショーやイベントを行い、1000近いルックが披露された。しかし、よほどのことがない限り全てのルックをチェックするのは難しい。

 そこで「RFWT」を取材する3人の「WWDジャパン」記者が、各日の“私的BEST LOOK”をご紹介。東コレを4年連続で取材する30代男性記者K.O、海外コレクションの取材経験も豊富な女性記者M.O、東コレにはスナップカメラマンとして参加していた20代男性記者R.Oという、偶然にもファミリーネームが「O」縛りの3人が選ぶルックとは?5〜6日目に登場した「ダイエットブッチャースリムスキン(DIET BUTCHER SLIM SKIN)」「ミスター・ジェントルマン(MISTERGENTLEMAN)」「ミツル オカザキ(MITSURU OKAZAKI)」「ヨハン・クー ゴールド レーベル(JOHAN KU GOLD LABEL)」「アールエービーディー(RABD)」「ガッツダイナマイトキャバレーズ(GUT'S DYNAMITE CABARETS)」「ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)」の7ブランドから3ルックをピックアップしお届けする。


男性記者K.O
DIET BUTCHER SLIM SKIN / LOOK 1

 ブランド設立は2002年、ショー開催は12年ぶり。ベテランの「ダイエットブッチャースリムスキン」が東コレに初参加するだけでも驚きなのですが、ショーを見てさらにビックリ。少し前まではパンチの効いたブランド名の通り、ロックをベースにしたエッジィなスタイルだったのが、大人のリラックステーラードに一変していたのです。ダッドシューズが流行する前から提案していたアイコニックな大きいスニーカーも出てこなければ、パンツのバリエーションが豊かになっていたり、アクセ感覚のミニバッグに「かわいい」と小声が漏れたりと、快活なコレクションを見せてくれました。とはいえ、ただ大人しくなったわけではありません。グラフィックデザイナーの河村康輔とGUCCIMAZEという旬のアーティストと協業し、「彼らの作品を生かす服作りにこだわった」と深民尚デザイナー。照明で服がちょっと見づらかったのは残念でしたが、新生「ダイエットブッチャー」のアピールには成功したのではないでしょうか。パイセン、これからも東京を盛り上げてください!


女性記者M.O
GUT’S DYNAMITE CABARETS / LOOK 40

 今季の東コレのトリは7年ぶりにショーを披露した「ガッツダイナマイトキャバレーズ」でした。プロレス界のスーパースターの武藤敬司や神取忍、清宮海斗らが登場し、プロレスはあまり詳しくない私でもワクワクしました。レスラーたちが着たのは新ライン“GCGX”。幅広い年代に向けたユニセックスのストリートウエアです。でも彼らを差し置いて衝撃だったのは、御年70歳のモデルで歌手の秀香さん!ミニのフリルドレスを見事に着こなし、美脚を披露しました。踊りながらのウォーキングに、会場からは大歓声。最後にファッションショーのライブ感をしっかり味わうことができました。


男性記者R.O
MISTERGENTLEMAN / LOOK 47

 5日目のトリを飾った「ミスター・ジェントルマン」は、定番アイテムをはじめとした10ブランド以上とのコラボを詰め込んだボリューミーなコレクションを発表しました。中でも梶谷好孝が手掛けるアクセサリーブランド「ヨシコ クリエーション パリ(YOSHIKO CREATION PARIS)」とは、Tシャツの襟元やトレンチコートの背面などにビジューをあしらったアイテムをいくつも発表。「ミスター・ジェントルマン」ではあまり見ないポイントの効かせ方で、新鮮な仕上がりになっていました。ラストには「これぞ『ミスター・ジェントルマン』!」と言わんばかりの毒っ気のないパステルカラーのタイダイ柄ルック20体が次々登場。なんでも先日の台風19号の被害が残る中でのショーということで、「ファッションでしか表現することができないポジティブなパワーを伝えたかった」と予定していたフィナーレを変更してのものだったそうです。その心意気からラストルックをセレクトしました!

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「ドリス ヴァン ノッテン」から「グッチ」コスメ、目も癒したステーキまで 「WWDジャパン」編集部員らの2020年春夏コレクション期間のベストバイ!

 毎月お届けする「WWDジャパン」「WWDビューティ」擁するINFASパブリケーションズのベストバイ。第二回は、2020年春夏コレクションシーズンに、コレクション記者が現地で買った一品をお届けします。ショーの合間に見つけたものから、激務を癒した食べ物まで登場しました。

寒かったパリで駆け込んだ「ドリス ヴァン ノッテン」のパンツスーツ

 9月に取材でパリに到着したら予想以上に寒く、慌ててホテルから徒歩5分の「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」に駆け込みました。各百貨店も「ドリス」を扱っているけど、迷わず直営店に向かったのは3畳ほどある広いフィッティングでゆっくり試着をしたかったから。それにここの店員さんのフランクでプロフェショナルな接客が好きです。 探していたパンツスーツと出合えたので即決。 ざっくり着たかったのでワンサイズ上を選びました。(WWDジャパン編集長 向千鶴)

ブロードウェイ・ミュージカル「オクラホマ!」の“OK!”トート

 「人生で一番パトリオット(愛国的)なコレクション」というアメリカらしいポジティブ・マインドに溢れた2020年春夏を発表した「マイケル・コース(Michael Kors)」のインスピレーション源の1つとなったブロードウェイ・ミュージカルを満喫。6度目のリバイバルで脚本や歌詞はそのまま、なのに古臭くて排他的な愛国心が滲む原作にアンチを唱えた作品に感動し、後輩に「買い忘れたから、買ってきて!!」と依頼したデニムのトートバッグ(25ドル、2700円)です。ちなみに「OK」は、オクラホマ(OKLAHOMA)州を表現する2文字のイニシャル。ニューヨークは「NY」、カリフォルニアは「CA」、オクラホマは「OK」なのです。ミュージカルを知っていても知らなくても、誰かが「OK!」って書いてあるトートバッグを持っていたら、「そうか、『OK!』なのか。よく分かんないけど(笑)」って少しだけハッピーになれる気がしませんか(笑)?エコバッグとして使おうか、ジムグッズを入れようか迷っています。(WWDJAPAN.com編集長 村上要)

入稿後、行列に並んで食べたリブアイステーキ

 パリコレ期間中はショーやら原稿やらで時間がなく、正直なところ日本から持参したレトルトカレーなどを食べていたのですが、入稿が一段落したらそんなシャビーな毎日とはオサラバ!せっかく花の都パリに、しかもサンジェルマン デ プレ(サルトルとかも集った意識高い系エリア)に滞在しているんだからと、大好物のアントレコート(リブアイステーキのこと)を食べに行きました。この店「ル・ルレ・ドゥ・ラントルコート」、昼夜共にパリっ子が行列を作る人気店。席に着くと焼き具合のみ聞かれます。なぜならこの店、メニューはアントレコート1択だから!お肉&フレンチフライにかかった、ハーブたっぷりの特製ソースが超美味!ちなみに写真は半量で、これを食べ終わるとわんこ蕎麦的にもう半量がサーブされます。30〜40ユーロ(3600〜4800円)。(WWDジャパン編集部ニュースデスク 五十君花実)

「パット マクグラス ラボ」と「グッチ」のコスメ

 ロンドン&ミラノコレに行ってきたので、気になっていた化粧品をご褒美として購入しました。ロンドンでは大御所メイクアップアーティストのパット・マクグラス(Pat McGrath)のメイクアップブランド「パット マクグラス ラボ(PAT McGRATH LABS)」のリップスティック、ミラノでは「グッチ(GUCCI)」のリップスティックを3種類をゲット。両ブランドとも見た目が可愛くて、フォトジェニックなパッケージなので、持っているだけで気分が上がります。 「パット マクグラス ラボ」(右端)は、ラメ入りの”ブリッツトランス(BLITZTRANCE)”シリーズから”フレッシュ ファタール(Flesh Fatale)”という細かいラメがぎっしり詰まったローズピンクを選びました。塗り心地はドライですが、発色もよくしっかりとラメがのります。ケースの唇マークに引かれたのですが、キャップが少々緩く、ポーチの中で外れてしまい危ない思いを何度かしました(汗)。「グッチ」のリップスティックは来年日本での発売が予定されていますが、一足お先に入手してきました。ブルーのケースは“バーム ア レーブル(baume a levres)”というリップバームのシリーズで、購入した“ジョスリン クレア(Joslyn Clair)”は今季の「グッチ」のショーでも使用されていたそう。サラッとした塗り心地ですが、艶々とした潤いが出るので気に入っています。各約4500円。(WWDジャパン編集部 大杉真心)

NYでカラーアイライナーを爆買いして目元が多彩に

 デビュー以来、ずっと気になっていた「グロシエ(GLOSSIER)」の新ブランド「グロシエ プレイ(GLOSSIER PLAY)」をついにゲット!コレクション終了後にNYのチャイナタウン近くの旗艦店に行き、(当初は触ってみる程度の予定だったのですが)実際に製品をスワッチしてみると、まるで色鉛筆のようなカラーバリエーションについテンションが上がってしまい、7本を爆買い…….。ここ数シーズンのバックステージ取材で多く見たカラフルなアイライナー(15ドル、1620円)使いがカワイイなぁと思っていたので、イエローやグリーン、オレンジなど奇抜な色ばかりを買ってしまいました。単色で使っても、組み合わせてもカワイイので見た目は大満足なのですが、色によって鉛筆の芯の硬さが異なりすぐに折れてしまうものがあったり、何より削らなければならないことがネックかな、と正直思いました。そして「グロシエ」を買ったので満足したかと思いきや、後日セフォラ(SEPHORA)で「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」のパープルとネイビーのアイライナー(25ドル、2700円)、「ウズ(UZU)」のイエローとオレンジのリキッドライナー(1500円)も衝動買い…….。今までカラーアイライナーは派手だと思っていたのですが、意外にさりげなく入れるとカワイイですし、何より毎日のメイクが楽しい!(若干会社で視線を感じることがありますが、全く気にしません(笑)。ビューティ記者は、自由にメイクを楽しんでいいと思うんです)帰国後も毎日、いろいろな色でメイクを実験中です。(WWDビューティ編集部 北坂映梨)

「カート ジェイガー」のツイードサンダル

 コレクション期間中、意気込みはあったものの忙しくて何も買えずに帰国してしまったので、事前に買って良かったものを紹介します。渡航の1カ月前、滑って派手に転び足の指の骨にヒビが入るというハプニングに見舞われました。病院に行くと全治1ヶ月とのことでしたが、3週間経っても治る気配がなく、このまま渡航しなければいけないかもとハラハラ。当初骨を固定するために包帯で指をぐるぐる巻きにしていたため靴をはけず、緊急でドンキで1000円で買ったサンダルをはいていたのですが、流石にこれでファッションショーに行くわけにはいかない。と、思っていたところに、英メディア「フー ワット ウエア(Who What Wear)」のエディターがこのサンダルをはいてロンドンコレに参加しているのをインスタで発見。ツイード素材でなんだかお高く見えるのにお値段150ポンド(2万850円)。早速ポチってパリのホテルで受け取りました。結局足は無事回復したのであまり出番はなかったのですが、パリでもっと重症な怪我をした人にお会いしました。スナップでお世話になったフォトグラファーの平野功二さんです。ロンドンで階段で転倒したそうで杖とギプス姿なのに、たくさんのショーのスナップを撮影して下さいました。本当にありがとうございます。そんなタフな平野さんが撮影したスナップは是非こちらからチェックを!(デジタルマーケティング部 丸山瑠璃)

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「オンワードはDXの目的を明確に」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。

今日のニュース:P.4「オンワード、事業モデルを大転換」

読み解きポイント「DXの波に乗って人材の新陳代謝を」

ニュースのポイント

 オンワードホールディングスが国内外で展開する約3000店舗のうち2割に相当する600店舗前後を閉め、大規模な構造改革に乗り出す。改革策は「オープニングセレモニー(OPENING CEREMONY)」など不採算事業からの撤退、韓国法人の清算や中国市場におけるライセンス展開への切り替えなど。一方で成長戦略としては「デジタル」「カスタマイズ」「ライフスタイル」を3本軸に置き、経営資源を重点的に投じる。百貨店を中心に店舗を拡大・維持をすることで成長してきた従来の方法を改め、デジタルで消費者のニーズを掘り起こす企業への転換に挑む。

Azuはこう読む!

 ITの力によってビジネスプロセスを改革したり経営手法を刷新したりする「デジタルトランスフォーメーション=DX」は、もはや構造改革の必須ワードになっています。この記事の小見出しには「デジタルシフトを加速」とあります。オンワードのEC化率13%のうち8割は、自社ECモール「オンワードクローゼット」といいます。収益性や顧客データの活用という面に注目しているようです。

 確かに、百貨店ビジネスに依存していたオールドリテールなあり方からの大転換となると、ECに注力というのがわかりやすいシフトの形です。もちろんこれから先を考えるとECのテコ入れもマストですが、それだけで劇的な構造改革と言えるのか、というのが少し疑問でした。

 もう一つのキーワード「カスタマイズ」の中にもデジタルの概念が含まれると思うのですが、既存のビジネスモデルの一部をデジタルに置き換えただけの「デジタライゼーション」では、サービスが簡単・便利になっただけで終わってしまいます。デジタル化を掲げると、それ自体が目標になってしまいがちですが、大切なのは「何のために」デジタル化するのかということと、それを理解し柔軟に使いこなせる人材です。

 資本力があるところは、おそらくハード面のIT化は容易でしょうが、何より難しいのはITについていくための既存の人材への教育と、新規人材の確保。オンワードに限らず大手アパレルがこぞって「デジタルシフト」に舵を切ったことで、アパレルとIT両方に強い人材や両者をまたぐ教育の需要が今後急速に伸びていきます。考え方を変えると異業種からの転職や挑戦がしやすくなった、とも捉えられるので、この大改革の波に乗って業界全体の新陳代謝が起こることを期待しています。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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約40ブランドの香りの祭典「イセタン サロン ド パルファン」が20日開幕 今年の見どころは?

 10月20~23日に、伊勢丹新宿本店本館6階催物場で国内最大規模のフレグランスイベント「イセタン サロン ド パルファン」が開催されます。7回目となる今年は、会場を7階から6階に移して面積を拡大。昨年の6日間から4日間に期間を凝縮し、「23日に売り場面積を40%増に拡張してリモデルオープンする1階元売り場の先行発表会という位置づけ」(岡部麻衣・三越伊勢丹化粧品統括部 新宿化粧品営業部マーチャンダイザー)で行われるというもので、日本初上陸を含む初出展12ブランドをはじめ約40ブランドが一堂に会し、会場限定品や先行品も登場します。

 これまで6年続いた同イベントは、どちらかというと「フレグランスが好き」「ニッチフレグランスを探している」といったフレグランス上級者に向け、希少性や先進性のある品ぞろえに注力してコアなファンを増やしてきました。今年は「これから香水を試してみたい」といった香水初心者に訴えかける仕掛けも用意してさらに充実しているようです。

 初の試みとして、「ブランドミックスコンサルテーション」サービスがスタートします。完全予約制、所要時間約30分で、日本フレグランス協会のメンバーが香り選びをサポートしてくれます。ブランドの垣根を超えておすすめしてくれるという、どの香水を選んだらいいか分からない人には最適です。また、同協会の協力のもとに「イセタン フレグランス アワード」を初開催。売り上げと有識者の審査によりアワード対象を選定し、初日の20日に授賞式を開催するほか、会場で受賞商品を展示します。さらに、イベントを盛り上げるべく公式アンバサダーにアーティストでモデルの加治ひとみさんを起用しています。公認サポーターも用いてSNS投稿キャンペーンを実施し、若い人を巻き込みより幅広い年齢層が楽しめるイベントになりそうです。

 注目の日本初上陸ブランドは、“スローダウンフレグランス”を提唱する南仏発の「パルファム ドゥ ラ バスティード(PARFUM DE LA BASTIDE)」と、革新的なアルコールフリーフレグランスを発信する「エルメティカ(HERMETICA)」の2ブランド。初出展ブランドは「バイレード(BYREDO)」「フレデリック マル(FREDERIC MALLE)」「キリアン(KILIAN)」「フエギア 1833(FUEGUIA 1833)」「ココラックス(COCOLUX)」「イストワール ドゥ パルファン(HISTOIRES DE PARFUMS)」「クヴォン・デ・ミニム(LE COUVENT DES MINIMES)」「シロ(SHIRO)」「ソンボン(100BON)」「ナーズ(NARS)」の10ブランドで、ファッション感度の高い人の支持が厚いブランドから、人気化粧品ブランドのフレグランスまで、さまざまなタイプの人に合う香水がそろいます。

 毎年完売が出る会場限定品は、「ゲラン(GUERLAIN)」から人気の「アクアアレゴリア」シリーズの10mLサイズが登場。伊勢丹新宿本店限定品が「フレデリック マル」「キリアン」から発売されます。

 1階フレグランス売り場のリモデルで、常設にスライドするブランドもあるのでその予習として、またはイベントでしか出合えない商品を探しに、この機会にぜひ足を運んでみてください。

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「東コレに伝えたい」デザイナーたちの本音 連載Vol.6 「自国のファッションウィークを盛り上げることはデザイナーの社会的役割」

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏の「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月14〜19日に開催される。冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天に変わって初めてのファッション・ウイークとなるため、関係者からの注目は高い。しかし結局は、人を呼べるブランドが参加しないとファッション・ウイークは盛り上がらない。そこで、海外で活躍する日本人デザイナーや「RFWT」に参加するブランド、新進気鋭の若手らに「どんな東コレだったら参加したい?」というテーマでアンケートを実施した。「RFWT」開催期間中から10月28日の「WWDジャパン」東京ファッション・ウイーク特集発売の週まで、回答の一部を連載形式で紹介する。今回は20年春夏「RFWT」の大トリを飾る「ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)」と「ターク(TAAKK)」が登場。

DRESSEDUNDRESSED

北澤武志デザイナー

 2012年3月に東京のファッション・ウイークに参加し、現在まで発表を継続して今回で16シーズン目になります。コレクションの内容は冠スポンサーによって左右されるものではありません。大切なのは、クリエイションのベストを尽くすこと。自国のファッション・ウイークを盛り上げることもデザイナーの社会的役割の一つであると考えています。

TAAKK

森川拓野デザイナー

 過去に東コレに参加し、PRやセールス面でいい効果がありました。しかし海外のメンズ・コレクションは1月に秋冬、6月に春夏シーズンの発表があり、納品時期も年々早まっています。東コレ開催中の3月(秋冬)と10月(春夏)は量産期間と重なるため、参加するのは現実的に難しいです。

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東コレ映像ダイジェストDAY5 「ミキオサカベ」がゲームセンターでショーを行った理由など

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月19日まで開催されている。今季から、冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天になり、どのような変化が起きるのか注目される中、バイヤーやプレス、招待客しか入れない「RFWT」を映像で追いかける。毎日、見所をダイジェスト形式でお届け。

 10月18日は、「WWDジャパン」編集長の向(むこう)の前振りからスタート。久しぶりにショーを行った「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」では、ゲームセンターでショーを行った理由などを坂部三樹郎デザイナーに聞いた。そのほかにも、花柄のトイレットペーパーでできたドレスを披露した「ジェニー ファックス(JENNY FAX)」やリラックスした服を作りたかったという「ダイエットブッチャースリムスキン(DIET BUTCHER SLIM SKIN)」「ミスター・ジェントルマン(MISTERGENTLEMAN)」の様子をとらえた。

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きっかけは「ベントウ」? 日本人女性が手掛けるNY発D2Cブランド急成長の理由

 ワーキングウーマン向けのアパレルD2Cブランド「エムエムラフルアー(M.M. LAFLEUR)」は、2013年にニューヨークで設立された。同ブランドを率いるのは金融業界出身のラフルアー宮澤沙羅・最高経営責任者(CEO)と、NYのデザイナーズブランドで経験を積んだ中村美也子チーフ クリエイティブ オフィサー(CCO)だ。日本素材を使用した機能性や幅広いサイズ展開、忙しい女性のためのライフスタイルに即したサービス提供などで、NYのキャリアウーマンたちの心をつかんでいる。10月には官民ファンドのクールジャパン機構から20億円の資金を調達したと発表した。「女性の尊重なくして会社は成り立たない」と語る2人に、ブランドの設立から今後までを聞いた。

WWD:ブランド立ち上げの経緯は?

ラフルアー宮澤沙羅CEO(以下、宮澤):私はもともと金融業界で働いていたのですが、ビジネスウーマン向けの服を探すのが難しく、あったとしても質があまり良くないという悩みがありました。母がかつて森英恵先生のところで働いていたこともあり、“いい服”がどのように作られているのかも教わっていました。その目線で見ると、当時のキャリア服はありえないと感じていて。だからブランドを始めようと決意しました。私にはアパレルの経験がなかったので、誰かリュクスの世界で働いている人と組みたいと考え、NYのヘッドハンターを通じて(中村)美也子と出会いました。

WWD:中村CCOは宮澤CEOに出会い、どのように感じた?

中村美也子CCO(以下、中村):率直に、この人がやりたいことって面白いなと思いました。あと、沙羅が考えていたプロジェクトは、ターゲットが非常に明確だったんですよね。私はNYのデザイナーズブランドで働いていたのですが「なぜ、こんなにも着ている人の顔が見えないんだろう?」と疑問に思っていました。その疑問を沙羅のプロジェクトが解消できるのではないかと。実際にプロジェクトが始まってすぐに沙羅の友人を紹介され、彼女たちがどういった服が欲しいかを“教育”されました。それまではオフィスで働く女性がどういう条件や気持ちで服を探しているのか全く知らなかったので、作り方や観点を変え、最初の商品を作りました。

WWD:具体的にはどのように変えた?

中村:その服が最終的に何のために存在するのかを考え、作る上で売ることも意識するようになりました。これまではファッション業界の最先端とは何かを重視していましたが、今はその考え方を理解した上で、どうマスマーケットに響かせるかを意識しています。最初のころは素材について、紆余曲折ありましたけど(笑)。

宮澤:とにかく洗濯できる生地を探してくれと最初に言ったんですが、美也子的にはありえないと思ったみたいですね。

中村:普通はウールかシルクでしょ?と思っていたので、ポリエステルで作る服なんて、とちょっと驚きました。でも、普通の女性は素材ではなく、着心地が良く、綺麗に見えて、洗濯可能、そしてシワにならないといったことを重視していた。そこを抑えつつ、ハイエンドなファッションのデザインを取り込んだんです。

新サービス「ベントウ」で業績好調に転じる

WWD:ブランドを立ち上げて以降、業績は順調だった?

宮澤:正直に言うと、13年の立ち上げ当初は全然売れませんでした。というのも、うちの服って全然安くないんですよ。同時期に立ち上がったD2Cブランドの「エバーレーン(EVERLANE)」や「ワービー・パーカー(WARBY PARKER)」は価格が非常にリーズナブルなのに対して、私たちの服はアメリカのOLに人気の「J. クルー(J.CREW)」や「バナナ・リパブリック(BANANA REPUBLIC)」などよりも高い。それに加え、着てもらえれば商品の良さは分かるけれど、デザインもシンプルなので、EC上では高い理由が伝わらない。最初の2年間はなかなか売れず、苦しい時期でしたね。

WWD:業績が好調に転じたきっかけは?

宮澤:大きな要因としては、14年の終わり頃に始めた「ベントウ ボックス(BENTO BOX)」というサービスですね。お客さまへのアンケートをもとに、当社のスタイリストが服をセレクトして送る仕組みです。先ほども言ったように、うちの商品の良さは着てもらえれば分かる。まずは着てもらうために、お客さまに服を箱に詰めて送ってみようと考えました。当時のお客さま約1000人にメールでヒアリングをしたところ、18%ほどが「送ってもいいよ」と言ってくれました。そこで送ってみたところ、売り上げが大きく伸びたので、ちゃんとサービスとして展開しようと。結果的に15年から業績が伸び始めました。近々、「ベントウ」の進化版として「オマカセ(OMAKASE)」というサービスをスタートする予定です。「出張に行くならこの5点」といった形で、商品を送る仕組みです。

WWD:そういったアイデアを考えるのは宮澤CEO?それとも中村CCO?

中村:まずは「こういうサービスが欲しい」「システム上のここがうまくいっていない」といった情報をいろいろなところから吸い上げ、最終的には沙羅が取りまとめています。

宮澤:美也子のすごいところは、「数字のことは分からない」と言いつつも、ちゃんとビジネスが分かっていること。彼女が好きなアイテムがあっても、「消化率が悪いから量産はできない」と伝えればすぐに納得してくれる。

中村:逆に消化率が悪くても、デザインやほかのアイテムとの組み合わせの観点から重要なんだということを沙羅は理解してくれる。いろいろな点で意気投合できることは非常にラッキーだったなと思っています。

プラスサイズ商品や実店舗での工夫とは?

WWD:商品のサイズバリエーションも豊富だ。

宮澤:全部で15サイズほどあります。アメリカ人女性の平均サイズが12なのですが、一般的なブランドのサイズは12までしかない。言ってしまえば、半分以上を除外するような形を取っているんです。私たちは女性の尊重を最も重視していて、その考えなくして会社は成立しなかった。より多くの女性のために豊富なサイズを用意することは当然の流れです。さらにプラスサイズの服と通常サイズの服でデザインのディテールを変えているのもポイントです。これは美也子のアイデアで実現しました。

中村:一般的なプラスサイズの服って、通常のモノと同じ形にすることが多いんですが、原型に縛られてしまったら最高なモノにはたどり着けないと思って。ネックが少し小さくしたり、袖をもう少し長くしたりといった工夫を取り入れています。

WWD:現在は実店舗も構えている。

宮澤:全米に8店舗あります。予約制ではないのですが、多くのお客さまが予約を取って来店されますね。いずれの店舗にも在庫は置かず、在中のスタイリストたちがお客さまに合う服を取り寄せて、1時間ほどいろいろと試してもらうようにしています。仕事で忙しい女性をターゲットにしているからこそ、貴重な1時間を無駄にしないよう、効率のいいショッピングを楽しんでもらいたいと考えています。

WWD:現在の売り上げ規模は?

宮澤:公表はしていませんが、昨年から4割増と、ECを中心に堅調に伸びています。購入者数は20万人ほどですね。

WWD:今後、人材的に強化したい分野は?

宮澤:少し変に聞こえるかもしれませんが、普通のアパレル業界にいる人をもっと採用したいと考えています。これまでは従来のアパレル業界を古いとみなし、テクノロジーに投資を行ってきましたが、今は店舗に注力したいです。そのため、アパレルの基礎が分かっている人を重視しています。あとはデジタル・マーケティング領域の人材も探しています。なかなか集めるのが難しいのですが、目まぐるしく法則が変わるマーケティング領域に対応できないと、生き残れないと考えています。

WWD:クールジャパン機構から20億円の資金調達を行った発表した。具体的にはどういったことに資金を使っていくつもりか?

中村:すでに日本の生地屋や加工屋、縫製工場などをクールジャパンに紹介してもらっています。日本素材を中心に使った、売れ筋である“コア”商品の拡充や、日本の素材、特性を生かした商品の開発を行っていくつもりです。

宮澤:クールジャパンにはアパレルの専門家もおり、非常に力になってくれています。また、日本に拠点がない中で、クールジャパンを通じて日本の生産拠点とのやり取りなどをできることは心強い。来年にはカナダやイギリス、オーストラリアへもECを通じて商品を販売していく予定で、日本への進出も検討しています。私たちの女性の地位を向上させたいという意思も理解してもらっているので、しっかりと成功させたいです。

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デザインとアートの祭典「デザイナート」が開幕 今年の見どころは?

 デザインとアートの祭典「デザイナート トーキョー 2019(DESIGNART TOKYO 2019、以下デザイナート2019)」が10月18日開幕した。「デザイナート2019」では東京各所でアートやデザイン関連のイベントや展示が行われる。今年で3回目を迎え、エリアを銀座や新宿まで拡大し、インテリア、ファッション、デザイン、テクノロジーなどジャンルの枠を超えたバラエティー豊かな展示に注目だ。ここでは、「デザイナート2019」の見どころを紹介する。

北青山にアジアの若い才能が集結

 今年のメーンイベントはワールド北青山ビルの「1%フォーアート」をテーマにした展示だ。「1%フォーアート」とは公共建築費の1%をアートの費用に充てる文化制度で、世界各国で取り組みが行われている。この展示は香港を拠点に活動するキュレーションチームのデザインピア(DESIGN PIER)が手掛けた。デザインピアはアジアのデザインにフォーカスし、日本をはじめ、中国やシンガポールやインドネシア、パキスタン、オーストラリアのデザイナーによる作品を紹介。椅子やテーブルなどのインテリアから、なでると「ミャー」と鳴くネコのオブジェまでさまざまだ。

 デザインピアの設立者のゾフィア・イロスヴァイ(Zsofia Ilosvai)は、「以前はアジアのデザインは保守的だったが、若いデザイナーは伝統をモダンに再解釈して表現している。ここに来ればアジアのデザインに何が起こっているか分かる」とコメントした。ここで展示されている作品は購入も可能だ。

グーグルが考える日常とテクノロジーの関係

 グーグル デザイン スタジオ(GOOGLE DESIGN STUDIO)は六本木の21_21デザインサイト(21_21 DESIGN SIGHT)ギャラリー3で「カンマ(COMMA)」というインスタレーションを開催。「カンマ」とは「間」のこと。トレンド予測のパイオニアであるリドヴィッチ・エデルコート(Lidewij Edelkoort)が東京、米ニューヨーク、スウェーデン・ストックホルム3都市からセレクトした家具や日常品、おもちゃを「グーグル」のスピーカーやイヤフォンなどの新製品と展示している。

 グーグルのハードウエアデザイン部門のアイビー・ロス(Ivy Ross)=バイスプレジデントは、「日常にあるテクノロジーは、せわしない日常でスローダウンする手段にもなる。その関連性を探った展示だ」と語った。エデルコートは、「テクノロジーによって全てが加速しているが、現実は昔も今も変わっていない。人は時間を求めているということだ。道具の使い方次第でゆったりした時間を過ごすことができる」とコメント。グーグル製品に使用されているリサイクルテキスタイルに着目し、オランダ人デザイナーが手掛けたアンティークの壁掛けも展示されている。

「ホンダ」が未来の自由運転をシュミレーション

 「ホンダ(HONDA)」は本田技術研究所でデザインエンジニアの山中俊治とと共に開発した未来の“自由運転”を体感できるシュミレーターを展示している。自動運転の時代が到来し、将来的には自由運転が可能になった時の自動車をデザイン。自由運転とは、自動運転でありながら、人が運転に介入できるというものだ。シュミレーターにはペダルがなく、ステアリングウィールより小ぶりの円形のハンドルで操作するようになっている。そのハンドルをたたいたり、押したり、引いたりすることで運転に介入できるが、よそ見をしたりコミュニケーションを取りたい時は自動運転になる。まるで人が散歩をするかのように車を用いて移動することができるというものだ。目の前には高速道路や海辺の道などのヴァーチャルなイメージが広がり、未来の自由運転を体感できるようになっている。

「ラリック」銀座店で出合うダミアン・ハースト

 「デザイナート2019」の新たなエリアに加わった銀座。「ラリック(LALIQUE)」銀座店では、ダミアン・ハースト(Damien Hirst)とコラボレーションしたアートピースを展示している。“生命の循環”を象徴するさまざまなモチーフをクリスタルで表現した“エターナル”コレクションが勢ぞろいし、日本初公開作品も含まれている。ハーストが愛してやまない“科学”“宗教”“生命”“死”というテーマを「ラリック」が持つ高度なクラフツマンシップが表現。スカルや十字架といったおなじみのモチーフを用いた作品やナイフが貫いた牛の心臓にハトの羽が生えた「エターナル イマキュレート(ETERNAL IMACULATE)」などを見ることができる。

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小島健輔リポート 東コレへの提言 クリエイションは創る側と使う側が分かち合うもの

 ファッションビジネスのコンサルタントとして業界をリードする小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する不定期連載をスタート。今回は開催中の「楽天 ファッション ウィーク東京」、いわゆる東コレ(東京コレクション)について提言する。

 スポンサーがアマゾンから代わって初めての「楽天 ファッション ウィーク東京」(東コレ)が「ヨシキモノ(YOSHIKIMONO)」を皮切りに10月14日から始まったが、世界のコレクションシーンにおける存在感の低下は否めない。トーキョーのアイデンティティーを打ち立て、グローバルなポジションを確立するにはどうすればいいのだろうか。

ポスト「ファッションシステム」のクリエイション

 ファッションマーケットは長らく、ブランドとファッションジャーナリズムが連携して一般消費者との情報格差を仕掛けて高付加価値を実現する、古典的なファッションシステムが支配してきた。それがSNSによる情報民主化の奔流に「ノームコア」を宣言して屈服したのが2014年。以降は過剰なデザイン性は抑制されシンプルな服を「ウエアリング」(着こなし、着回し)で楽しむ傾向が強まっていった。

 ブレグジット(英国のEU離脱問題)やトランプ大統領就任など分断と対立の社会潮流がファッションにも波及してか、17年以降は世界各国でローカルなファッションやブランドが盛り返し、グローバルなモードトレンドが勢いを失ってグローバル展開のアパレルチェーンやブランドが次々と店を閉め撤退している。

 アパレルはもともとローカルなもので、エスニックマーケティングとローカルフィットが欠かせない。08年から8年間のグローバリゼーションの奔流下では、そんな現実を無視したグローバル展開が押し進められたが、マーケットが正気に返ったとき、逆流も激しかった。

 アパレルの世界的な過剰供給で需給のギャップが広がり、企画先行のプロダクトアウト型ブランドも大量生産の売り減らし型SPAも壁にぶつかった。一方で、IoTによるデジタル企画〜生産が刻々と広がってC2Mのビジネスモデルが次々と離陸し、服飾雑貨などでは3Dプリンタによる即時生産販売さえ現実味を帯びている。そんな中、クリエイションも創り手側が完成させたスタイリングの発信から使い手側の「ウエアリング」を誘発する再構成可能な提案に、半年以上もタイムラグがあるコレクション受注生産から実需に即応するC2M生産に転換する必要がある。

 成功しているかに見えるラグジュアリーブランドとて、グローバル統一の流通体制を確立しているのはごくわずかで、各国現地法人のコレクション発注による計画生産では期中の在庫融通もなく(ローカルフィットの壁もある)、在庫回転は最良でも2回転に届かない。2回転以上しているのはOEM(相手先ブランドの生産)調達による雑貨類だけではないか。非効率なビジネスのコストを法外な値付けで顧客に転嫁し、利益をむさぼっているのが現実だ。

 欧米型のコレクション受注生産体制を志向してトーキョーのスケジュールを前倒ししようという声もある。だが、それではかえってトーキョーのアイデンティティーは見えなくなる。デザインから生産まで一貫するデジタル化でリードタイムを極小化し、ストリートの熱気をタイムラグなく商品化してこそ、トーキョーはグローバルなポジションを得られるのではないか。

※C2M(Consumer to Manufacturer)…IoT仕掛けのデジタル生産でパーソナル対応と無在庫販売を実現するビジネスモデルで、短納期パーソナルオーダーや店頭3Dプリンタ出力販売などが挙げられる

トーキョーストリートの「ウエアリング」

 世界のモードトレンドは長年、アングロサクソン系とラテン系の欧米コレクションシーンがリードしてきたが、近年はモンゴロイド系のグレーターチャイナ圏(中華圏)ストリートにお株を奪われた感があるし、ネグロイド系やアラブ系がモードを主導する日が来るかもしれない。

 今やトーキョー〜ソウル〜台北とつながるグレーターチャイナ圏ストリートは欧米のコレクションシーンがとうてい及ばない熱気を帯び、欧米のデザイナーもアイデアソースを求めて毎シーズンのように訪れる。ハラジュクでも最先端はアジアの若者が闊歩するスニーカー通りであり、表参道はブランド礼賛のお金持ち観光客、キャットストリートの千駄ヶ谷側はユーズド志向のローカルな若者、キャットストリートの渋谷側や明治通りは外国人観光客や関東圏の一般客が訪れる。

 そんなトーキョーストリートの旬の「ウエアリング」をトーキョーのランウエイがキャッチしているかというと、多くは服の造形とスタイリング提案に終始するだけで「ウエアリング」を競ってはいない。欧米モードの文法に沿うか文法の破壊を試みるだけで、「ウエアリング」をクリエイションしているのはごく一部の人気ブランドに限られる。

 創り手が「スタイリング」をクリエイションするように、使い手にも「ウエアリング」のクリエイションがある。トーキョーデザイナーのクリエイションには、それを誘発する再構成可能な仕掛けが求められているのではないか。

欧米モードの限界とジャポニスム

 人体賛美のフェティシズムが通底する欧米モードは、「服」の完成度を追ってトワルを詰めていくからボディーコンシャスな造形に流れがちで、着崩したり気回したりする余地が限られる。キモノのように「布」を自在にまとう着る側のクリエイションを想定していないのだ。キモノの世界では創り手のクリエイションは「布」で終わり、「ウエアリング」のクリエイションは使い手に委ねられるが、モードの世界ではスタイリングまで創り手が完成させてしまう。

 オートクチュール系のプレタポルテなど、創り手が想定したプロポーションまで使い手に強いてしまう。欧米モードのコレクションシーンを見るたびに、ランウエイを闊歩するモデルたちが規定されたプロポーションとスタイリングを忠実に表現するアンドロイドに見えてしまう。そこには使い手側のクリエイションはみじんも見られない。

 そんな欧米モードの堅苦しさを逃れようと、使い手側のクリエイションが楽しめるキモノへの憧れは19世紀のアールヌーボー初期から見られ、浮世絵に触発された多くの画家がキモノを描き、服飾デザイナーも中世から続くローブの緩いデザインに取り入れた。70年代に日本人デザイナーがパレコレに進出して高い評価を得たのは異国趣味などではなく、アールヌーボー期以来のジャポニスム、とりわけキモノへの憧れが根底にあったからではないか。

「現代キモノ」が損なった使い手のクリエイション

 「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」や「サカイ(SACAI)」のクリエイションは、創る側のリメークと着る側のリメークの境がなく、時に分割や合体など“洗い張り”感覚の着崩し着回しまで着る側に委ねられる。そこに通底するのは「現代キモノ」によって着こなしが規格化される以前の、おそらく明治・大正・戦前昭和期のキモノ文化ではなかろうか。

 創り手のクリエイションがテキスタイルに終わるキモノの世界では「ウエアリング」のクリエイションは使い手に委ねられるから、江戸時代には歌舞伎役者や花魁、芸妓はもちろん、茶屋娘や町娘、大通や若旦那、遊び人や職人までさまざまに装いを工夫し、ストリートのウエアリング文化が花開いた。

 キモノは基本的にジェンダーレスだから、花魁と遊客、彼氏と彼女がキモノを交換して着るなど日常的なことだったし、庶民のキモノはほとんど古着かリメークだったから、新品と中古の境のないサステイナブル市場だった。それは明治・大正・戦前昭和期でも同様で、洋服が権力機構によって規定される一方、花柳界からカフェの女給まで、高等遊民から車夫までキモノは創造性に満ちていた。

 帯板や詰め物、何本もの紐で縛って無理やり整形する「現代キモノ」が着る側の創造余地を限定して、「ウエアリング」の楽しみどころか機能性も着こなしの幅も損なって、マーケットを7分の1に萎縮させた過ちを対岸の火事と見てはなるまい。洋服のクリエイションとて、創り手と使い手が分かち合ってこそ盛り上がるのではないか。

 東コレの再興をファッションシステムや欧米コレクションビジネスの枠組みに求めるのは間違っている。それらはとっくに役割を終えた“遺構”であり、トーキョーのクリエイションはグレーターチャイナ圏ストリートの若者たちの熱気が生み出す「ウエアリング」をデジタルなIoTサプライで“旬”のままグローバルに問うのが正解だと思う。

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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3人の東コレ担当記者が選ぶ5日目の“私的BEST LOOK”

 10月14日から19日までの6日間、楽天を初の冠スポンサーに迎えた2020年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が開催される。期間中は、非公式スケジュールを含めると50近いブランドがランウエイショーやイベントを行い、合計すると1000近いルックが披露される。しかし、よほどのことがない限り全てのルックをチェックするのは難しい。

 そこで「RFWT」を取材する3人の「WWDジャパン」記者が、各日の“私的BEST LOOK”をご紹介。東コレを4年連続で取材する30代男性記者K.O、海外コレクションの取材経験も豊富な女性記者M.O、東コレにはスナップカメラマンとして参加していた20代男性記者R.Oという、偶然にもファミリーネームが「O」縛りの3人が選ぶルックとは?5日目に登場した「ウィシャラウィッシュ(WISHARAWISH)」「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」「ジェニーファックス(JENNY FAX)」「ショーヘイ(SHOHEI)」「ディーベック(D-VEC)」「タエ アシダ(TAE ASHIDA)」「リト(RITO)」の7ブランドから3ルックをピックアップしお届けする。


男性記者K.O
TAE ASHIDA / LOOK 26

 前シーズンに東コレを取材した男性若手記者が“衝撃”という見出しをつけて記事化した「タエ アシダ」のメンズコレクションデビュー。後輩の興奮した様子にずっと気にはなっていたのですが、2シーズン目でようやく生で見ることができました。ひと言でいうと、超贅沢。シャープなテーラードやスクールライクなブルゾン、ストリートムードの巨大カーディガンなどアイテムは一見すると普遍的なメンズウエアなのですが、よく見ると刺しゅうや装飾のきめ細かさがドレスウエアのようで、ジャパニーズメゾンの意地と底力を見ました。長い歴史をもつ会社なのに、伝統を守ることだけに固執せず、変化を恐れないでチャレンジする姿勢には、同じ業界で働く身として刺激を受けます。僕と同じかもっと若い世代の男性にはあまりなじみがなかった世界かもしれませんが、だからといって壁を作らず、この勇敢なチャレンジ精神と本気のモノ作りを一度は目撃すべし!です。


女性記者M.O
JENNY FAX / LOOK 21

 「ジェニー ファックス」と「ミキオサカベ」が高田馬場のゲームセンターで発表しました。1回50円でプレイできる古い対戦ゲーム械が並ぶ、1980〜90年代から時間が止まっているような懐かしい空間です。「ジェニー ファックス」は今季も「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のスタイリングでおなじみのロッタ・ヴォルコヴァ(Lotta Volkova)をスタイリストに起用。ブランドの安定的な“レトロガーリー感”はそのままに、スカートから“パンチラ”させるなどロッタによるアレンジが加わって、ドキッとする着こなしが多かったです。中でも一番びっくりしたのは、ショーツに合わせた花柄のトイレットペーパーでできたドレスです。デザイナーのジェンファンいわく今回のコレクションには「身の回りの小さいものでも、宝物のような存在になる」という思いを込めたそう。日常に密接なものですが、水に溶ける繊細なトイレットペーパーを可憐なドレスに変えてしまうアイデアは痛快でした。


男性記者R.O
D-VEC / LOOK 16

 釣りの文化をライフスタイルに根付かせるべく、釣り用品メーカーのダイワ(DAIWA)が手掛けているのが「ディーベック」です。アウトドアカルチャーを背景に持つだけありアイテムの多くが機能的なウエアで、都市部はもちろん釣りの際にも問題なく着用できるという優れもの。街着のまま釣りに行けるというのは、釣り好きの1人としてたまりません。特にこのルックは“ルック買い”したいくらいドンピシャ。釣りをしていると地面に膝をつくことがよくあるのですが、膝パッドが入っているのは流石の目の付け所。シリンダー式の鍵をモチーフとしたベルトも可愛いです。男女問わず何か新しいことに挑戦する際、「適した服がない」というのは大きな障壁です。特に釣りはオシャレというイメージが正直なく、見た目を気にする人にとっては始めづらいですが、「ディーベック」はそんな人たちにもってこいだと改めて思いました。

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「プラダ」2020年春夏のヘアメイク No.1コンビが生み出す個性を生かしたスタイルのポイントは?

 「プラダ(PRADA)」2020年春夏コレクションのキーワードとなったのは、「複雑さに対する解毒」。キッドモヘアを用いたジャケットやコート、素朴な風合いのコットンリネンを用いたサマードレスやスカート、リブ編みのニットポロなど、種類を絞りつつタイムレスなアイテムをそろえた。ボタニカルなモチーフや1970年代調のパターンをあしらったものもある。そんなアイテムをコーディネートしたルックに合わせるヘアメイクには、シンプルでありながらクラシックなムードが漂う。

 パット・マクグラス(Pat McGrath)がリードを務めたメイクアップは、他ブランドでも多く見られたヌーディーでナチュラルな仕上がり。眉の形やそばかす、肌の色など、モデルの生まれ持った個性を生かしている。ただし、その中で7人には、眉をブリーチして、目のすぐ上に筆で描いたような部分的にかすれた黒の太いラインをプラス。その強い印象に負けないよう、口元は鮮やかな赤のマットなリップを指で塗り仕上げた。

 ヘアのリードアーティストは、グイド・パラウ(Guido Palau)。まず、ジェルを使ってトップから綺麗なサイドパートを作り、「レッドケン(REDKEN)」の“フォースフル23(FORCEFUL 23)”ヘアスプレーで光沢を出しながらコームとドライヤーでタイトにまとめた。ポイントは、ボーイッシュな雰囲気を表現するため、左もみあげ部分に施したカール。固めすぎずに柔らかなニュアンスを残した。

 ヘアスタイルのインスピレーションについて、「少し1920年代の雰囲気を取り入れた。クラシックで、少しボーイッシュなイメージだ。シンプルでありながら、それをまた新しく感じられるところが気に入っている」とパラウ。「ミウッチャ・プラダはある意味、常にボーイッシュな世界をモダンに感じさせてくれる人。彼女と共にルックを作り上げていく中で、ボーイッシュでいい意味で少しスノッブというイメージを共有していた」と続ける。また、トレンドについては、「トレンドという概念は、オールド・ファッションだと思う。強いて挙げるとしたら“自分らしさ”で、あらゆるタイプの女性を含むダイバーシティー&インクルージョンを意味している」と話した。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める

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週末お出掛けスポット 「エルメス」や「ヴォーグ」で活躍するジャン・ジュリアンの個展などアート5選

 週末にオシャレして出掛けたいアートスポットをお届け。今週は個人宅にある美術作品と所有者に光をあてた展覧会や現代美術作家の「エルメス」や「ヴォーグ」などで活躍するジャン・ジュリアンの個展や中国の水墨画の伝統と現代美術を融合させるアーティストの展覧会など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(10月19、20日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【アート5選】

【イベント】

ガチャガチャカプセルからコーヒー豆!? 遊び心も味わいも満点なセルフカフェを体験

「リモワ」がストリート誌と企画展 過去のアーカイブからアーティストの作品まで

伝説的デザイナーによる“元祖ストリートコラボ” パリのアライア展が語ること

ディーゼル アート ギャラリーでマッド・ドッグ・ジョーンズが世界初となる個展を開催

写真家の立木義浩がライカギャラリーで作品展を開催

「スター・ウォーズ」の世界を体感 200点以上の衣装や小道具を集めた展覧会を開催

日本初のバスキア大規模展 前澤ZOZO前社長が所有する作品も

「シャネル」の香水の世界観を堪能できるアフタヌーンティーが登場

【ポップアップ】

パリ発「モロー・パリ」がギンザ シックスでポップアップストア開催

仏老舗ニット「メゾン モンタギュ」が表参道ヒルズで初のポップアップショップをオープン

NY発の「オーバーコート」がポップアップストアをオープン 特別に制作したインスタレーションを用意

「ディオール」が伊勢丹でタータンチェックの限定コレクションを発売

仏老舗ニット「メゾン モンタギュ」が表参道ヒルズで初のポップアップショップをオープン

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「見終わったら若返っているかもしれないよ」 カルティエCEOに最新展覧会の見所と狙いを直撃

 「カルティエ(CARTIER)」は12月16日まで、東京・六本木の国立新美術館で開催中の展覧会「カルティエ、時の結晶」(主催は日本経済新聞と国立新美術館)にメゾンもしくは顧客が所有するハイジュエリーを一堂に並べている。今月初旬のオープニングには、フランスからシリル・ヴィニュロン(Cyrille Vigneron)=カルティエインターナショナル最高経営責任者(CEO)も来日した。写真を交えながら、シリルCEOに展覧会の見所はもちろん、皆が買えるわけではないハイジュエリーを広く公開する意義などを聞いた。

WWD:単刀直入に、今回の展覧会で見せたかったのは、何?来場者に何を感じてもらいたい?

シリル・ヴィニュロン=カルティエインターナショナル最高経営責任者(以下、シリルCEO):非常に多くのハイジュエリーが一堂に会するが、この規模感は「日本初」というワケではない。加えて私たちは今夏、中国・北京でも大規模な展覧会を開催したばかりだ。だから「カルティエ、時の結晶」では、時系列にハイジュエリーを並べるような、一般的なキュレーションとは違う試みに挑戦したかった。

WWD:それでも展覧会の主題は、「時」だ。

シリルCEO:時系列に並べたから「時」ではなく、石に着目したから「時」なんだ。石は太古の時代から存在しており、比すれば私たち人類の歴史なんてちっぽけなものだ。今回は19世紀のアーカイブから、1970年代以降に私たちが販売したプライベート・コレクション、世に送り出してわずか1、2年の時計やジュエリーが混在しているが、メゾンの百数十年の歴史なんて、石と比べればほんの一瞬。石にしてみれば1分、いや1秒くらい刹那な時間かもしれない。そう考えたら、時系列にこだわらなくても良いんだと勇気がもてた。また、ジュエリーの地金に用いるプラチナやゴールドは、隕石の衝突によって舞い上がったホコリやチリが長い時間をかけて変容したものと言われている。貴石・半貴石もそれぞれの歴史を有しているし、そんな石を用いたジュエリーには数奇な運命を過ごしたものもある。会場のディスプレーに用いた火山岩も神秘的な過程を経て今、こんな大都会に鎮座しているのだろう。石は、ある一時をその石ならではの特徴に留めながら、時代を超越するんだ。だから展覧会を見に行けば、きっとあなたも時代を超越できる。会場を出たら、ちょっと若返っているかもしれないよ(笑)。

WWD:会場のディスプレーの話をすれば、火山岩はもちろん、屋久島の杉の一枚板や掛け軸、器など、現代美術家の杉本博司と建築家の榊田倫之が主宰する新素材研究所の収蔵物との陳列もユニークだ。

シリルCEO:「悠久」という言葉に代表されるように、かつての日本にはゆったりとした「時」の流れが存在したのに、現代の東京は何もかもがスピードアップしている。ヨーロッパがまだまだのんびりしているのに比べると、驚異的だ。だからこそ、「悠久」の時代のアンティークを使うことに意義がある。「カルティエ」のコンテンポラリーな作品と、1000年も昔のアンティーク。コンテンポラリーとトラディショナルの融合は「時」を考える契機になるだろうし、「カルティエ」のジュエリーがタイムレスであることを証明するだろう。日本のアンティークと、西洋のジュエリーを1つの空間で見せることは、ダイバーシティー(多様性)の表現方法とも解釈できる。

WWD:会場に並ぶハイジュエリーは、誰もが買える代物ではない。それでも、それを広く公開することに意味がある?

シリルCEO:ハイジュエリーの展覧会は、来場者にネックレスを販売するという直接的な目的のためだけに行っているワケではない。私たち「カルティエ」は、さまざまな角度から皆さんにアプローチできるブランドだと思っている。美しいジュエリーに魅了されるお客さまもいれば、メゾンの歴史に興味を持つ方もいるだろう。レッドカーペットのセレブから「カルティエ」の名前を聞く人もいれば、友達のデイリーユースの時計やジュエリーからブランドを知る人もいる。「カルティエ」は20世紀には国際的なメゾンへと成長を遂げ、世紀を超えて世界中の人と時代を歩み、時代を目撃している。さまざまなイベントを開くのは多様な人とつながるため。「カルティエ」のコミュニティーをもっと大きく、人々との絆をもっと深くするためだ。今回のイベントも同じ。ビジネスに大きなインパクトを与えるというより、消費者一人ひとりの感情にインパクトを与えることを願っている。

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「越えてはいけない一線」に気付くための訓練 ファッション専門職大学が「法学入門」を選択科目に

 「専門職大学」とは、文部科学省が55年ぶりに設けた新たな大学制度だ。大まかに言えば、実習や実技の時間を多く設けて学位も取得できる、大学と専門学校を足して二で割ったような学校だ。2019年4月から始まったこの制度で誕生した専門職大学は2校。そのうちの1校がファッションとビジネスを学ぶ「国際ファッション専門職大学」だ。

 同大学では、1年生の選択科目に「法学入門」を設けている。9月から週に1度開講し、全15回を予定している。知的財産権法だけでなく、憲法や消費者法、独占禁止法といった法分野も取り扱う。ファッションの専門学校などでは“特別授業”として法律に触れる機会を設けることもあるようだが、あくまで“触れる”だけだ。実習に重きを置くファッション関連の教育機関で法学を“科目”として設ける学校は珍しいのではないだろうか。

 筆者が聴講した10月10日の講義では「ファッションロー」を取り上げた。この日はゲスト講師としてファッションローに詳しい関真也弁護士が登壇し、20人弱の学生が出席した。まだ履修を本決定しなくてよい期間のため、“お試し”で出席した学生も多かったのだろうが、同大学の東京キャンパスの入学者は120人だから、“法学”というファッションとは縁遠い科目にしては関心が集まっているといえるのではないだろうか。

 出席していたファッションビジネス学科に所属する黄紳達さんは、将来はプロデューサーとしてファッションビジネスに携わりたいと話す。「将来のことを考えると法律は知っていた方がいいと思った。ネットで調べることもできるが、プロの話を聞きたかった」と話す。他の学生たちも「ファッションビジネスに携わるときに法律は重要だと認識している」と口をそろえる。また、SNSでしばしば炎上する模倣問題に対する関心も高いようだ。

 その一方で、ほぼ全員が講義は「難しかった」と口にする。その内容というよりも、条文や法律用語を知らないためそこで思考がストップしてしまい、結果として内容全体を「難しい」と感じてしまうようだった。法律用語は日常生活で使用することも少なく、ましてや学生の会話に上ることはない。そのため、専門用語が頻出する法学の授業はケーススタディーであっても“自分ゴト化”して咀嚼し理解を深めることが難しいのだろう。

 関弁護士の講義を聴きながら、筆者が大学で初めて法学の授業を受けたときのことを約15年ぶりに思い出していた。法学部だったため、当然だがそのほとんどが法律に関する授業だ。だからこそ大学4年間をかけて用語の意味や条文解釈、なぜそのような判決になったのかというプロセスをゆっくりと学ぶことができる。それでも学問全体に対する理解度は数パーセント程度だろう。それを例え広く浅くであっても「全15回でなんとなく理解する」ことは不可能だろう。

 では、同大学における「法学入門」という講座の目的は何か。担当する弁理士の西村雅子教授は、「まずは、事案に対して『感覚的にどう思うか』『どちらが正しいと思うか』を考え、なぜそう考えるのかを説明できるようになってほしい。この講義は思考訓練を積む場にしたい」と説明する。

 大企業に入れば法務部という専門部隊がいるから自分で考える機会も必要性も減るが、ファッション業界では法務部がない企業やブランドはざらだ。自分たちで考えて判断する場面が多々ある。ファッションを専門に教える学校では、服の作り方は教えてくれても法的な思考訓練はしてくれない。こうして訓練を経ていない人たちが“法的に越えてはいけない一線”に気づかず、あるいは越えることを躊躇しなかった結果、トラブルを招き、あるいはトラブルに巻き込まれてしまう。その意味では学生のうちに少しでも法律に触れる機会を増やし、「これはもしかすると越えてはいけない一線かもしれない」となんとなく感じられるようにする訓練は意味のあることだと言える。また、この回に登壇した関弁護士も、「ファッション業界の人は法律が身近でない分、トラブルになったときの動き方や相談する相手が分からない人が多い。講義を通して少しでも身近に感じてくれるとうれしい」と語るように、困ったとき、ピンと来たときに相談できる相手をつくるという意味でもこうした機会は有効だろう。

 とはいえ、まだ開講して3回を終えたばかり。学校側にとってもレベル設定や内容の最適化は課題だろう。こうした取り組みを実施する学校は多くないため、ファッション業界で働く人の法に対する関心や知識を高めるにはまだまだ時間がかかりそうだ。しかし全体のリテラシーを底上げするためには、学生への教育は必要なことだと感じる。他校を含め、教育現場におけるファッションローの動向を今後も注視していきたい。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中

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東コレ映像ダイジェストDAY4 志鎌英明デザイナー自身が解説する「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス」など

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月19日まで開催されている。今季から、冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天になり、どのような変化が起きるのか注目される中、バイヤーやプレス、招待客しか入れないその“裏側”まで映像で追いかける。毎日、見所をダイジェスト形式でお届け。

 10月16日は、ビンテージのテキスタイルをパッチワークしたルックを披露した「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(CHILDREN OF THE DISCORDANCE)」のショーと共に、志鎌英明デザイナー自身が見所を語ってくれたほか、“歌舞伎”のプリントや下駄など日本文化にフォーカスした「ハレ(HARE)」の様子をとらえた。

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「クレ・ド・ポー ボーテ」がKIMONOに包まれる! ホリデーコレクションの発売でイベント開催

 資生堂のハイプレステージブランド「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」は、10月21日のホリデーコレクションの発売を記念し、コレクションのテーマである“KIMONO DREAM”を体感できるイベントを原宿・明治神宮前のjing(ジング)で18~20日に開催しています。会場では発売に先駆けてメイクアップアーティストによるタッチアップが実施されるほか、デジタルアートを用いたコレクションの世界が繰り広げると言います。開催に先駆けて17日にプレス向け内覧会があったので、その世界観に浸って来ました。

 ホリデーコレクションは、京友禅の伝統技法である摺型友禅と日本画とのコラボレーションで美しいアイテムに昇華しています。摺型友禅という技法で、大胆かつ繊細な着物作りをする「多ち花」によってオリジナルで制作された着物を、パッケージやケースのデザインに使用しています。また、各アイテムは「情熱」「強さ」「可憐」「優しさ」を表現しており、パッケージの内側にはアーティストの大竹彩名が描いた美人画がそれぞれ現れるという、隅々まで繊細な仕様に会場でうっとり見つめました。

 会場は2フロア構成で、2階は「情熱」「強さ」「可憐」「優しさ」の世界を最新のデジタルアート技術を用いて表現した空間が広がります。作品に手をかざしたり息を吹きかけたりすると、4つの世界をより楽しめます。例えば「情熱」は、口紅『ルージュアレーブル カシミア レッドパッション』に息を吹きかけると、吹きかけた速度や強さに合わせてデジタルアートの桜吹雪が舞い上がります。

 1階は同コレクションのために制作されたオリジナルの着物の展示や製品のタッチアップコーナーです。コレクションを試してみたのですが、いつもリップを塗るときに気分が上がるのですが、今コレクションは手に持った瞬間からさらにワクワク。バッグにしのばせたら、絶対誰かに見せたくなるだろうな、と思いました。

 今回のコレクションについて資生堂ジャパンの唐川舞奈プレステージマーケティング部クレ・ド・ポー ボーテ グループ ブランドアソシエイトは、「原点回帰と2020年に向けてテーマを“KIMONO DREAM”に設定し、会場内に展示された着物の鮮やかな朱色は、コレクションの口紅『ルージュアレーブル カシミア レッドパッション』と同色にするなどブランド独自の“日本美”を追求しています。今イベントで、ブランドの認知拡大と新客さまの獲得を目指し、技術力やパッケージデザインなどブランドのこだわりを20~40代の幅広いお客さまに向けて発信します」と語ってくれました。

 イベント期間中は、ベーシックスキンケア「キーラディアンスケア」の1DAYサンプルなども用意され、SNS投稿を行った人には数量限定でブランドオリジナルきんちゃく袋に入ったプレゼントも配布するということです。イベントは毎日11~20時まで開催。この機会に「クレ・ド・ポー ボーテ」の魅力にはまってみませんか。

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ノイズキャンセリング付きヘッドホン ソニーなど、おしゃれモデルの使いこなし術とは?

 家電女優の奈津子です。iPhoneからイヤホンジャックが消えたことが後押しとなり、ワイヤレス型のヘッドホン市場が好調です。中でも伸びているのがノイズキャンセリング機能付きの製品と言います。ヘッドホンに搭載されたマイクが周囲の騒音を拾い、逆位相の音波を発することで雑音を低減させるという機能なんですが、音質がクリアに楽しめるうえに雑音が減り、自分の世界に没入できるため仕事や個人作業がめちゃくちゃはかどるので病み付きに。一度使ったらもう普通のヘッドホンには戻れませんよ!

 今回は基本性能のほかに、特徴的なデザイン性を切り口に、仕事編・休日編・デート編とそれぞれのモード別におすすめの3製品をご紹介します。

(仕事編)通勤スタイルに合うソニーはズバ抜けた賢さ

 一つ目はソニー(SONY)の「ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット WH-1000XM2」。マット加工されているイヤーカップ部は丸みを持たせず、あえてズバっと切りとられたブロックのような施しがされています。頭にかかるヘッドバンドの太さは他機種よりもやや細めのシルエットで、全体的にインダストリアルな印象。主張しすぎないのでシンプルな通勤スタイルにさらっとなじみます。音質は、個人的には中〜高音域が綺麗なので女性ボーカルの曲やバラード、エレクトロニックな曲にマッチしている印象です。尚、「NCオプティマイザー」機能によってユーザーの、髪型やメガネの有無、装着ズレなどの個人差を数秒で検出し、最適なノイズキャンセリング性能を発揮するのだそう。うーん、スマート♡

 また右手をヘッドホンの右側に添えると一時的に音楽の音量を絞って周囲の音を聴けるようにする「クイックアテンションモード」が搭載されているため電車やバスでの乗り過ごしを防止でき、とっさの会話時にも便利。専用のアプリと連携させれば、ペアリングしているスマホの加速度センサーにより、ユーザーが止まっているのか・歩いているのか・走っているのか・乗り物に乗っているのかを検出し、あらかじめ各パターンで設定しておいたノイズキャンセリングや外音取り込みのモードに自動で切り替えてくれます。価格は2万8800円(編集部調べ)。仕事で屋内と屋外の両方を行き来する人や、シンプルなデザインのモデルを探している方におすすめ。

 個人的には、変形デザインのインナーにぴたっとしたシルエットのタイトスカートを合わせてスマートに装着することをオススメします。

 ちなみに現在は同様の機能を引き継ぎながら、ノイズキャンセリング性能をより強化した後継機種「WH-1000XM3」(実勢価格3万9880円)も発売されています。

(デート編)柔らかいデザインのパナは装着感がダントツ

 パナソニック(PANASONIC)の「ワイヤレスステレオヘッドホンRP-HD600N」はありそうでなかった絶妙なオリーブグリーンの色みがポイント。イヤーパッドの装着感が快適で、長時間つけていてむれづらいので、汗っかきの方でも安心して付けられます。イヤーカップの表側は先ほどのソニーとは一転、ゆるやかなラウンド型をした優しいフォルムで、太めのヘッドバンドにはたっぷりとしたクッション加工がされています。全体的には良い意味でメカっぽさがないので、カジュアルな装いにもフォーマルな装いにも程よくアクセントになります。

 私はこれ、夫ともよく共用するんですが頭蓋骨の大きさが全然違う男女でもヘッドバンドを調節するだけで装着感がとても良い万能な設計ってスゴくないですか……?

 音質は全体的なバランスが非常に良く、J-POPから洋楽、クラシックまで幅広い曲を楽しめる印象ノイズキャンセリング機能では前述のソニー同様、右側のイヤーカップ部に触れると一時的に音楽のボリュームを絞り、外音を取り込める「ボイススルー機能」があります。このモードでは他機種以上に外部の“人間の声”がしっかりと聞けるように思います。

 価格は2万円(編集部調べ)。普段から色んなジャンルの服装を着るという方、何よりも装着時の快適性を求めるという方におすすめです。

 私はこれ、あえてラグジュアリーなワンピースと合わせて「大人の抜け感」を演出する着こなしを勧めたいですね。

(休日編)紛失しても探せる!スカルキャンディーは音楽を体感できる

 最後は、スカルキャンディー(Skullcandy)の新作「Crusher ANC サブウーファー搭載ノイズキャンセリングヘッドホン」。同社は全米売り上げ数量No.1のオーディオブランドです。カシスの果汁を彷佛とさせる深いレッドと整ったフォルムは大人セクシーな印象です。

 白Tにデニムと合わせてももちろん可愛いのですが、コートや小物を同系色でまとめると華やかさがUP。同社では「史上最高の没頭体験」をテーマとしていて、重低音は鳥肌がたつレベルでダイナミック。個人的にはこれで聴くヒップホップ、ロック、R&B、ジャズは最高です。しかも!よく持ち物を紛失してしまうという人のために、本体には紛失防止タグ「Tile」機能を搭載。おかげでいざという時スマートフォンでヘッドホンの場所を探しだすことが可能なのです!あ〜助かる!

 内部には音に合わせて振動するセンサリーベースを搭載。この機能は曲に合わせてハウジング部分がブルブルブルっと振動し、骨に届くような振動を感じられるというもの。そのため、音楽を聴いているというよりも“体感している”という表現のほうがぴったりです(オフにすることも可能)。さらに「パーソナルサウンド機能」では、専用アプリでユーザーの聴力測定をし、サウンドプロファイルを作るため左右で微妙に違う聴こえ方も微調整して音を鳴らすようにしてくれます。このおかげで、これまで拾いきれていなかった音までしっかりと聴こえるようになるので、ヘビロテしていたお気に入りの曲でも新しい発見があってビックリ。音楽への没入感の度合いで言うとこのモデルが一番かもしれません。

 価格は3万6300円。ヘッドホンによってコーデに華やかさを足したい方、新しい音楽体験をしてみたいという方はぜひ使ってみてくださいね。

 それでは皆さま、ステキなヘッドホンライフを!

奈津子(家電女優):ドラマ「野ブタをプロデュース」で女優デビュー。その後SDN48でアイドルとして活動し、卒業後に家電アドバイザーGOLD等級を取得。現在はテレビ東京系列「なんでも鑑定団」、東京FM「スカイロケットカンパニー」出演中。インスタグラム「natsuko_kaden」では愛用の家電を紹介中

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「オープニングセレモニー」がオンワードと提携解消しジャパン社設立 創業者が語る日本上陸10年目での決断

 ウンベルト・レオン(Humberto Leon)とキャロル・リム(Carol Lim)が手掛けるセレクトショップ兼ブランド「オープニングセレモニー」(OPENING CEREMONY、以下OC)は、日本事業を担ったオンワードとのパートナーシップを解消し、今後はジャパン社を設立してダイレクトに日本でのビジネスを行う。同ブランドはさまざまな国が一斉にそろうオリンピックのオープニングセレモニーのように世界各国のファッションやカルチャーを集め、2002年にニューヨーク・ソーホーに1号店をオープンし、09年に日本上陸から今年で10年を迎えた。

 10周年では、これまでブランドと親交があった水原希子やクロエ・セヴィニー(Chloe Sevigny)、「Jプレス(J.PRESS)」「スーパーラバーズ ×リトルサニーバイト(SUPER LOVERS × LITTLE SUNNY BITE)」「ブラックアイパッチ × ウィムジー(BLACKEYEPATCH × WHIMSY)」とコラボした5つの限定コレクションを発売しキャッチーなアイテムで次へのステップをスタートさせた。

 6月に「ケンゾー(KENZO)」のクリエイティブ・ディレクターを退任し、これから日本事業において新たな章を開く2人にこれまでの10年と、今後について聞いた。

WWD:日本上陸10周年、おめでとうございます。日本で10年、本国では17年も「OC」が支持される理由は?

ウンベルト・レオン(以下、レオン):2002年に始めたときは、世界中を旅しながら(若手のブランドなど)新たな発見を、世界中に届けるというミッションを掲げた。17年後、今もその信念は変わらずに続けている。例えば昨年は1年間メキシコのデザイナーやクリエイターにフォーカスした。特に今アメリカ(の移民問題)を見ていると、メキシコのクリエイターに光を当てなければならないと強く思ったからね。

他のブランドにないわれわれの強さは、やっぱり若いうちから有望なブランドを見つけだす発見力だと思う。今も毎シーズン100ブランド前後がルックブックを持ち込んでくるけど、しっかりしたストーリーがあって、共感できるミッションがあれば、どんなに無名なブランドであっても取り扱うことが多い。でも、若手ブランドは正直ビジネスについての知識が浅いことも多いから、適正な価格設定や生地の調達などについてアドバイスをして、メンターのような役割も担っている。イエール賞やLVMHプライズ、日本のファッションプライズに選ばれる若手ブランドの8割は「OC」に出店経験があるほどだよ。ある程度成功してからではなく、デビューシーズンから扱うブランドもたくさんあるし、ここまでオープンドア(受け入れる)なお店はないんじゃないかな。今は有名な「ジェイダブルーアンダーソン(JW ANDERSON)」や「アレキサンダーワン(ALEXANDER WANG)」も若いうちからOCで取り扱ったからね。

WWD:新規ブランドを発掘する基準は?

キャロル・リム(以下、リム):「OC」は昔からファッションだけでなく、食や音楽、アートなどカルチャー全般を扱ってきた。ただの洋服店ではなく、さまざまな人が自由にカルチャーについて触れ、語り合う“町の広場”のようなスペースを目指してきた。だからプロダクトを扱ったり、コラボする相手は必ずしもファッションデザイナーではないわ。デザイナーにしろクリエイターにしろ、プロダクトのクオリティーはもちろん、共感できるストーリー、われわれが一緒に協業したいと思わせるパッションがあることは必須ね。

レオン:われわれが興味を持っていることのうち、ファッションはわずか10%くらいにしか値しない。ファッション以外にもアートだったり、音楽、食などのカルチャーにも興味があるし、アクティビストや学者からも刺激を受ける。行動力があって、環境問題や政治、ビジネスについて真剣に向き合い、新しいアイデアを生み出す人に引かれる。この間も環境アクティビストとコラボしたし、メキシカンコミュニティーをここ1年でサポートしてきたのもその一環。それ以外にもLGBTQ+やアジアンコミュニティーも支援してきた。ファッションというプラットホームを生かして、こういったマイノリティーグループをサポートしたり、社会問題について考えるきっかけを作るのも「OC」のミッションだよ。サポートの仕方も彼らが作る製品を扱ったり、はたまたコラボ製品の売り上げの一部を慈善団体に寄付したり、その方法もさまざま。真面目なトピックスだけれど、ファッションを通じてだったらみんな手軽にサポートできるだろう?そいうのも、今まで洋服店では珍しかったことだから、ここまで成長できたのだと思う。

WWD:EC市場も拡大し、過去10年でかなりファッション市場も変化してきたと思うが、どのように対応してきたのか?

レオン:1年に一度、“リフレッシュボタン”を設けるようにしているよ。市場は常に進化していくものだし、その変わり方は消費者が直接的にも間接的にも教えてくれるものだと思う。だから毎年、自分たちのビジネスの仕方について改めて考え直す期間を作っている。時には大きな変革が必要なこともあると思うし、今回の日本ビジネスについてもそう。「OC」でも「ケンゾー」でもメインとプレ・コレクションを1月と6月に発表すると決めたのも、今のファッションシステムはサステイナブルでないと考えたから。それはブランドでもあり、リテーラーでもあるからこそ、製品の生産から販売までには6カ月が必要だって分かっているからでもあるね。いつまでもやり方や考え方を変えないブランドは、置いてけぼりになってしまう。昔は「毎年ロゴを変える!」なんてことも言い出したけど、流石にそれはサステイナブルでないし、ちょっとやりすぎだと気付いたよ(笑)。

リム:よくオンラインとオフラインのバランスは?と聞かれるけど、正直バランスなんて意識していない。オフラインのセレクトショップとしてスタートしたけど、今はオンラインもビジネスの大きな柱になっている。そして「そのうち全ての店がオンラインのみになるでしょう?」と聞かれたこともあるけれど、われわれはそうは思わない。やっぱり製品を実際に手にとってから購入したいと思う人も多いし、店頭で人と人とのつながりも求める消費者もまだまだたくさんいる。2つはそれぞれ異なる役割とポテンシャルを持つし、どちらもそれぞれなりに成長しているわ。

WWD:10年前、数多くある国の中から、日本に出店しようと思ったきっかけは?

リム:ちょうど当時日本を取り上げていた時で、リサーチのために何度も日本に足を運んだ。日本の店も数多く回ったけど、「OC」のようなコンセプトの店がなかったことと、アメリカーナへの憧れが洋服に反映されていたことも多かったことから、チャンスがあるのではと思ったのがきっかけかな。この10年で本当にたくさんのブランドとコラボし、今はみんな「OC」コミュニティーの一員として大切な友人。水原希子が初めて洋服のコラボレーションをしたのも「OC」だったしね。

WWD:今後はジャパン社を設立するというが、これから日本のビジネスはどう変化するか?

レオン:オンワードはこれまで素晴らしいパートナーとしてビジネスを支えてくれたけど、お互いの合意のもと、リレーションシップを解消することになった。今後はダイレクトにビジネスをコントロールできるから、ファッションを通じてのマイノリティーグループのサポートやカルチャーの紹介など、われわれが今までずっと掲げてきたメッセージを色濃く出せるようになる。そして市場の変化にもより俊敏に対応できるようになると思う。まだ具体的には話せないけれど、今までにない面白いプロジェクトをたくさん計画しているから楽しみにしていてほしい。

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シャネルの買収で「黒字倒産」に危機感 ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.7「シャネルが専門アトリエ3社の少数株式取得」

読み解きポイント 代表者の高齢化、後継者不足、黒字廃業の状況に向き合う

ニュースのポイント

 シャネル(CHANEL)は、以前から取引のある会社、伊レナート・コルティ(RENATO CORTI)の40%、伊マビ(MABI)の同じく40%、仏グランディス(GRANDIS)の34%の株式を取得。投資合計は1億6900万ドル(約179億円)。3社はオーナーが引退を考えており、新たな投資先を探していた。シャネルの狙いは「優良なサプライヤーを存続させ守ること」。今後も、買収や特定の調達契約を講じて、対応することを視野に入れる。

CKRはこう読む!

 「50.5%」。国内で黒字廃業した企業の割合です。中小企業白書(2016年度)によると、休廃業・解散した企業6450社を対象に売上高経常利益率を調査したところ、半数以上が黒字でした。また、18年に休廃業・解散した企業の代表者年齢を調べると、60代が29.0%、70代が37.5%、80代以上が17.2%で、60代以上の代表者が83%を占めています。

 そして今、多くの企業は後継者不足という課題を抱えています。日本企業の後継者不在率は66.4%(帝国データバンク調査:2018年)。3社に2社は、後継者問題を抱えているということです。日本国内でも業績が優れているにも関わらず、代表者の高齢化、後継者不足により、廃業・解散せざるを得ない企業が多く存在しています。

 本記事のインタビューで、シャネル・ファッション部門のプレジデントは「ツイードを生産する会社がなくなってしまったら『シャネル』のシグネチャーであるツイードが作れなくなってしまう」と話しています。こうした状況は、決して対岸の火事とは言えないかもしれません。

 衣料品の国産比率は、数量ベースで3%程度(金額ベースだと26%程度)と言われており、国内生産は縮小傾向です。大量消費社会に対する問題意識が向上し、社会の持続的な発展が叫ばれています。バリューチェーンとしてのサステイナブルを掲げ、優良な製造技術をもつサプライヤーと統合・提携する企業の話は、今後、増えてくるかもしれませんね。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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「東コレに伝えたい」デザイナーたちの本音 連載Vol.5 「ショーの費用がオーダーにつながらないと継続しづらい」

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏の「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月14〜19日に開催される。冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天に変わって初めてのファッション・ウイークとなるため、関係者からの注目は高い。しかし結局は、人を呼べるブランドが参加しないとファッション・ウイークは盛り上がらない。そこで、海外で活躍する日本人デザイナーや「RFWT」に参加するブランド、新進気鋭の若手らに「どんな東コレだったら参加したい?」というテーマでアンケートを実施した。「RFWT」開催期間中から10月28日の「WWDジャパン」東京ファッション・ウイーク特集発売の週まで、回答の一部を連載形式で紹介する。今回はブランド設立から17年目のベテランで、満を持して東コレに初参加する「ダイエットブッチャースリムスキン(DIET BUTCHER SLIM SKIN)」が登場。

DIET BUTCHER SLIM SKIN

深民尚デザイナー

東コレには今回初めて参加しますが、ランウエイショーにかける費用がオーダーにしっかりとつながるようなシステムにならないと継続して参加しづらいです。バイヤーの買い付け予算がまだ十分にあるタイミングに開催時期を早めるのが本当は望ましいですね。

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ファッション通信簿Vol.34 “チキンカツレツ”などの痛烈ワードで米「WWD」がハリウッドスターをめった切り

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第34回は、アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)、ジュリア・ロバーツ(Julia Roberts)、クリスティーナ・アギレラ(Christina Aguilera)、シャーリーズ・セロン(Charlize Theron)、シャイア・ラブーフ(Shia LeBeouf)、ウィル・スミス(Will Smith)、ジェイデン・スミス(Jaden Smith)、エディ・レッドメイン(Eddie Redmayne)が登場。ハリウッドの大御所にも容赦ない評価コメントが炸裂!

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3人の東コレ担当記者が選ぶ4日目の“私的BEST LOOK”

 10月14日から19日までの6日間、楽天を初の冠スポンサーに迎えた2020年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が開催される。期間中は、非公式スケジュールを含めると50近いブランドがランウエイショーやイベントを行い、合計すると1000近いルックが披露される。しかし、よほどのことがない限り全てのルックをチェックするのは難しい。

 そこで「RFWT」を取材する3人の「WWDジャパン」記者が、各日の“私的BEST LOOK”をご紹介。東コレを4年連続で取材する30代男性記者K.O、海外コレクションの取材経験も豊富な女性記者M.O、東コレにはスナップカメラマンとして参加していた20代男性記者R.Oという、偶然にもファミリーネームが「O」縛りの3人が選ぶルックとは?3〜4日目に登場した「FACE.A-Jプロジェクト(FASHION AND CULTURE EXCHANGE. AFRICA-JAPAN PROJECT)」「トクコ・プルミエヴォル(TOKUKO 1ER VOL)」「グローバル ファッション コレクティブ(GLOBAL FASHION COLLECTIVE)」「シンヤ コヅカ(SHINYA KOZUKA)」「メルシーボークー、(MERCIBEAUCOUP,)」「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(CHILDREN OF THE DISCORDANCE)」「グローバル ファッション コレクティブ(GLOBAL FASHION COLLECTIVE)」「ハレ(HARE)」「ユキ トリヰ インターナショナル(YUKI TORII INTERNATIONAL)」の9ブランドから3ルックをピックアップしお届けする。


男性記者K.O
FACE.A-J / LOOK 31

 アフリカと日本のブランドが参加したイベント「フェイス.A-J」は、色とパッションに溢れてとにかく楽しかった!現場にいた人も僕と同じように、アフリカンファッションの高いポテンシャルと今後の可能性を感じたことでしょう。ゲストで登場した民謡クルセイダーズのメンバーが着用していたのは、ナイジェリアの「ケネス イズ(KENNETH IZE)」が作ったプレイフルなテキスタイルを日本の「サルバム(SULVAM)」が硬派なジャケットに仕立てたコラボレーションです。国境を越えたクリエーションの競演を目の当たりにし、胸が熱くなりました。安易なコラボが乱発している時代だからこそ、今回のように互いの感性が衝突し、共鳴し合う協業に心を奪われました。文句なしのベストルックです。


女性記者M.O
MERCIBEAUCOUP, / LOOK 22

 5年ぶりに「メルシーボークー、」が東コレに帰ってきました!宇津木えりデザイナーは久しぶりにショーを行った理由を「新しい服を作ったから見て欲しかった」と言っていました。ここ数シーズンは、もともと強みにしていたアニマルモチーフを控えめにして、幅広い客層にリーチを目指している変革期であり、環境に配慮したモノづくりへと舵を切っています。それが、宇津木デザイナーの言う“新しい服”です。ファーストルックからビビットなピンクのドレスが出てきましたが、草木染めと、1%の化学染料を使用しているというから驚き。今日選んだルックは多国籍ロックバンドALIでMCを務めているラッパーのJUAがパフォーマンスを披露してるところ。半纏風のガウンをまとっていましたが、この黒も草木染めです。JUAはブランドのために8曲も書き下ろしていて、意外性のあるコラボは新鮮で、純粋にかっこよかった。ブランドの優しくふわっとした雰囲気から、クールで意思のあるイメージへの刷新を伝える術としてもしっかりと“メルシーの進化”を感じました。


男性記者R.O
CHILDREN OF THE DISCORDANCE / LOOK 1

 東コレには3回目の参加となる「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス」に本気を見ました。モデルはストリートキャスティングにこだわって半年を費やし、ビンテージのテキスタイルは納得がいくまで収集した結果、2年掛かった壮大なコレクション。アイコニックなペイズリー柄のバンダナとパッチワークは健在で、今季はそこに「ブランド名でもある“DIscordance(非調和)”に立ち返った」と志鎌英明デザイナー。子どもの頃から好きだったという龍の刺しゅうなどのディテールを組み合わせ、よりブランドらしい“調和された非調和”を魅せてくれました。「『ナイキ(NIKE)』とのコラボ!?」かと思われたスニーカーは、加水分解などで履けなくなったものをスニーカーカスタムショップのリクチュール(RECOUTURE)とのコラボで復活させたワンオフだそう。欲しい……。

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インスタ「#足元倶楽部」の仕掛人に聞く、“SNS世代”流ビジネス

 インスタグラム上で「#足元倶楽部」というハッシュタグと共に、靴を履いた足元の写真が投稿されるのを見たことがあるだろうか。現在、投稿数が200万件を超えているこのハッシュタグの考案者が、株式会社いいねの小林稜社長だ。小林社長は2014年にスニーカー特化型のキュレーションメディアとして「足元倶楽部」をスタート。インスタグラム上で「#足元倶楽部」と投稿されたスニーカーの情報発信を始めた。17年にはSNSコンテンツに特化した企業、いいねを設立。19年8月にはキュレートした写真を雑誌のように加工したファッションメディア「SNS世代」を立ち上げた。SNS領域での事業を拡大している同社の小林社長に「足元倶楽部」誕生秘話から“SNS世代”の価値観までを聞いた。

WWD:「足元倶楽部」をスタートした経緯は?

小林稜いいね社長(以下、小林):学生時代からファッションに興味があったのですが、雑誌を読んでも、僕自身太ってるので全く参考にならず(笑)、唯一読んでいたのが「オーシャンズ(OCEANS)」のスナップ企画“街角パパラッチ”でした。その中には自分と同じ体格の人もちらほらいて、リアルで共感できたんですよね。次第にこの人たちは普段、他にどんなスタイリングをしているのか興味が湧いて、スナップ内に出てくる人の名前をSNSで検索するというネットストーカー的なことをして(笑)、すると意外にもヒットして沢山の情報が得られました。このことをキッカケにSNSの楽しさというか可能性を感じたんです。そこから“体形に縛られない”、“身近で男女共に楽しめる”スニーカーに特化した足元倶楽部をスタートしました。

WWD:そこからキュレーション型のメディアに進路変更した理由は?

小林:まずコンテンツを作るために、スナップ撮影を原宿で行っていたのですが、思いのほか撮れ高が悪くて。そこで目を付けたのがインスタグラムでした。インスタグラムの根底には「周りから評価されたい」「いいねされたい」「取り上げてほしい」といった承認欲求や自己顕示欲があると考えています。みんなが投稿している写真をキュレートすることを思いつきました。当時から発売されたばかりのスニーカーを購入した人が即日SNSに写真を上げていたので片っ端から声をかけて写真を募りました。そこから効率化を測るために“#足元倶楽部”を作り、ハッシュタグを付けてくれた人の中から抽選で掲載する“当選”のような仕組みを作りました。

WWD:なぜ、「足元倶楽部」という名前にしたのか?

小林:正直、カッコ良くはないですよね(笑)ただ個人的に重要視していたのは、文字のインパクト。当時は今ほどハッシュタグが浸透していなくて、付けても英語やカタカナがほとんどだった。そういった中で漢字のハッシュタグは目立つし、覚えやすいだろうなと思ったんです。

WWD:「足元倶楽部」がメディアとして成長したきっかけは?

小林:弊社以外にも「~~部」というタグが徐々に生まれていた時期で、テレビやメディアで取り上げられたこともあり、バズったんです。その他にもスニーカーセレクトショップやスニーカー専門誌との合同キャンペーンも次々とやることになりました。気が付けばスニーカー業界の人やスニーカーヘッズがこぞって「#足元倶楽部」を付けて投稿してくれるようになりました。

WWD:17年には企業を設立した。どういった事業を行っているのか?また、業績は順調か?

小林: SNS領域に特化したマーケティングコンサルタント事業やメディア運営、モデル・インフルエンサーのマネジメント、キャスティング事業です。まだ3期目ですが、業績は順調に伸び続けています。

WWD:主なクライアントは?

小林:主にアパレルからスポーツブランドまでジャンルにとらわれず、SNSに力を入れている企業様とお取り組みしております。

WWD:現在の社員数は?

小林:業務の大半は正規雇用ではなく20代の若手を中心にフルリモート、フルフレックスで運営しています。

WWD:小林社長も含め、10代から20代のメンバーが中心となって進めているいいねの事業において、重視していることは?

小林:メンバーたちの声を吸い上げ、それを臆せず、クライアントにちゃんと伝えることですね。クライアントにそのまま言っても大丈夫かなと悩んだ時期もありましたが、“SNS世代”の僕たちだからこそ感じることもあるし、時には正しいこともある。その意見にどれだけ柔軟に向き合えるのかを大切にしています。クライアントに応えるのが僕たちの仕事ですが、「その商材はインスタでヒットしない」など思った事はしっかりと伝えて、クライアントと話し合いながら、より良いSNS戦略を常に考えています。

WWD:若者たちの働き方や、仕事に対する意識などをどのように捉えている?

小林:僕自身もそうですが、インターネットのおかげで好きなこと、得意なことを仕事をしている人が増えている。これもSNSのおかげで、会社に雇われるのではなく、個々として活躍できる環境が増えてきているので、働き方や在り方もいい意味で変わってきていると感じています。

WWD:今年の8月にはファッション領域での新たなキュレーションメディア「SNS世代」をインスタグラム上で立ち上げた。現状の手応えは?

小林:順調ですね。ローンチ2カ月で1万フォロワーを突破し、現在は1日300~400フォロワー増えています。ファッションのキュレーションメディアですが、SNS上に投稿される写真のクオリティーが高いのでコンテンツも一定に保てています。またコンテンツのディレクションには、インフルエンサーの高島涼さんに携わってもらっており、インサイトを最大限活用してユーザーの動向を追い続けることで需要のあるコンテンツを配信しています。

WWD:インスタグラムが先日、いいね数を非表示にした。ビジネスに支障はあるか?

小林:元々、フォロワー数やいいね数よりも、保存件数やインプレッション数、リーチ数、ハッシュタグからの流入数などを元に運営していたのであまり不便さは感じません。ただインフルエンサーの間でいいねを獲得するために頑張っていた人たちのモチベーションが下がっているのは事実ですね。

WWD:自社運営のメディアはどうマネタイズするつもりか?

小林:現段階では主に広告ですが、今後はD2Cブランドの立ち上げなども視野に入れています。

WWD:今後の計画は?

小林:「足元倶楽部」や「SNS世代」に続くメディアをこれからも増やしていくつもりです。可能性を秘めた若い世代が輝けるインフラを作り続けたいです。

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読者が注目した今週の新作 「ユニクロ」×「ジェイ ダブリュー アンダーソン」など(10月18〜24日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」別にまとめてお届け。読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ファッション部門」では「ユニクロ」×「ジェイ ダブリュー アンダーソン」の2019-20年秋冬コレクションが最も注目され、「ビューティ部門」では「ディオール」のクリスマス限定パレットが1位に輝いた。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】

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「シャネル」が開催する「マドモアゼル プリヴェ展」を一足早くリポート 香水瓶装飾などのワークショップも

 「シャネル(CHANEL)」は10月19日~12月1日、巡回展「マドモアゼル プリヴェ/ガブリエル シャネルの世界へ(MADEMOISELLE PRIVE TOKYO 以下、マドモアゼル プリヴェ)」を東京・天王洲アイルのB & Cホールで開催する。「マドモアゼル プリヴェ」とは、パリのカンボン通り31番地4階にあるガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)のアトリエの入り口に掲げられた言葉で、展覧会ではオートクチュール、フレグランス、ハイジュエリーの世界を巡るものになっています。今回、開催に先駆けて中の様子をリポートします!

 天王洲運河に面した会場はパリにあるアトリエをイメージし、外壁・内装含め全てパリから職人が来日して仕上げたもの。会場はパリのアパルトマンからインスパイアされ、メゾンにとってゆかりのある5つの色をイメージした5つのゾーンに分かれています。中に入ってまず客を迎えるのは、大きな階段です。実際の階段はまっすぐ立っていますが、ある位置に立つと、壁に描かれたイラストがパリのアトリエにある螺旋階段に見える仕組みになっています。その階段を上がると、今回のメインテーマでもあるアトリエの扉が登場。この扉、目を凝らしてみると、実は全て細かなビーズを刺しゅうして作っているのです!「シャネル」はアトリエ ルサージュ(ATELIER LESAGE)とアトリエ モンテックス(ATELIER MONTEX)と2つの刺しゅう工場を抱えており、ルサージュは伝統的な刺しゅう、モンテックスは立体的な刺しゅうを得意とするそうです。今回の展覧会では、この2つの工場が作るオートクチュールピースも数多く登場します。

 1つ目の部屋は白の部屋。ガブリエルが好んだ色の一つであるホワイトはフレグランス「シャネル ナンバー5」の外箱にも採用されています。部屋にはカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が手掛けた2018-19年秋冬オートクチュールコレクションのエレガントなガウンやコートなどが展示されています。そして今回の展覧会のために特別に製作したビーズを刺しゅうしたマスクも見所です!この巡回展は過去にロンドンや香港でも開催されていますが、クチュールの職人技が光るマスクは東京でのみ展示するそう。各部屋にそれぞれのテーマに合わせたマスクが展示してあるので、ぜひ探してみてください……!また、同じ部屋には1932年にガブリエルが唯一発表したハイジュエリーコレクション「ビジュー ドゥ ディアモン(ダイヤモンドジュエリー)」とともに「ナンバー5」の900mLサイズボトルが飾られています。

 次はベージュの部屋。ガブリエルが休暇を過ごしたリゾートのビーチの砂を思い起こさせるサンドベージュのナチュラルな色調も彼女のお気に入りだったそう。メゾンを代表するツイードのセットアップやイブニングガウンが上品で柔らかなベージュカラーに染まっています。ドレスには木製のビーズとクリスタルが細かく刺しゅうしてあり、間近でみるとその美しさに思わずうっとりしてしまいそうです……!ちなみに全ての部屋にもダイヤモンドのネックレスと「ナンバー5」が登場します。

 1階に降りると、黒い部屋に進みます。ここで注目なのは、製作になんと1245時間を費やしたブラックのツイードセットアップです!一体何日かかったのだろう?少なくとも2〜3年以上かかったと思うのですが、そんな貴重なピースも間近で見ることができるのです。今回の展示ではジュエリー以外は全てガラスのケースに入っておらず、普段はなかなか目にすることのないオートクチュールのディテールを観察できるのもぜいたくですね。その次の赤い部屋では、6月に発表されたばかりの2019-20年秋冬オートクチュールコレクションにも登場した、レースとボレロにメタリックペイントしたドレスや、花を象ったピースを1つずつ手作りで縫い上げた華やかなドレスが登場します。最後のゴールドの部屋には、ゴールドのラメが煌びやかに光るツイードのセットアップや花飾りとスパンコールの刺しゅうが施されたレースのロングドレスに注目です。

 全ての部屋を回った後には、今回の展覧会のスケッチやインスピレーション源となった写真が壁一面に飾ってあり、製作工程を垣間見ることができます。そしてその壁の裏には、目玉の一つでもあるワークショップスペースが広がります。展覧会自体も無料で踊りきましたが、オートクチュールの刺しゅうやハイジュエリーにちなんだ金箔貼り、フレグランスのボトルのボードリュシャージュ(密封作業)体験もなんと無料で(申し込み制)できるそうです!しかもパリ本場から職人が来日して直接丁寧に教えてくれるという、なんともぜいたくな経験ができるという。すでに応募がかなり集まっているそうなので、体験したい人は早めに申し込むことをオススメします!また、来場者全員には、キャンバス制のポーチと、今回の展覧会の概要を載せたブックをプレゼントしています。

 以上、駆け足でのリポートとなりましたが、いかがでしたでしょうか?オートクチュールのピースを間近で見ることができるのはなかなかないですし、ましてや世界トップのメゾンが誇る技術が見れるのは貴重な経験かと思います。会場にはQRコードを読み込んで音声ガイドを聴くことができるので、ぜひ会場に足を運んでもっと詳しく「シャネル」のオートクチュール、ハイジュエリー、そしてフレグランスの世界に触れてみるのはいかがでしょうか?

■マドモアゼル プリヴェ展 / ガブリエル シャネルの世界へ
日程:10月19日~12月1日
会場:B & Cホール-天王洲アイル
住所:東京都品川区東品川2-1-3
時間:11:00-20:00 (最終入場19:30) 入場無料

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東コレ映像ダイジェストDAY3 けみおも来場した「トモ コイズミ」や栗野宏文上級顧問が仕掛けるショーなど

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月19日まで開催されている。今季から、冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天になり、どのような変化が起きるのか注目される中、バイヤーやプレス、招待客しか入れないその“裏側”まで映像で追いかける。毎日、見所をダイジェスト形式でお届け。

 10月16日は、「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」に来場したけみおを突撃。スモーキーな色合いに花柄などの綺麗なトーンを差し込んだ「レインメーカー(RAINMAKER)」や上品かつリラックスなフレンチスタイルのルックを披露した「チノ(CINOH)」をとらえた。日本とアフリカのファッションをつなぐプロジェクト「フェイス.A-J(FACE.A-J)」は、プロジェクトディレクターを務めた栗野宏文ユナイテッドアローズ上級顧問クリエイティブディレクション担当に見所を聞いた。モードに代わりうる美意識として“知性”と“カルチャー”と答えた栗野さんの仕掛けるショーとは?

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メンズメイクの現在地と未来とは? 見えてきた2つの販売戦略

 「WWDビューティ」10月17日号“メンズメイク特集”の取材で印象的だったのは、どの取材先でもインタビュー中に「シャネル(CHANEL)」と「ファイブイズム バイ スリー(FIVEISM × THREE)」の名前が出たことだ。前者は著名なラグジュアリーブランドが参入したことに、後者は色展開だけで100SKUという“本気度”にインパクトがあったからだろう。

 また、メンズメイクの新製品は最近多く発売され始めているものの、販売戦略においてはまだまだ“手探り状態”であることも分かり、だからこそ先行する上記2つのブランドに注目が集まったともいえる。取材先で「〇〇の新製品を試してみました」とか「〇〇のサロンに行ったことあります」など、他のメンズメイクブランドの製品やサービスをリサーチしているという話題になることが多かったからだ。もちろん、同業他社をリサーチするのは当たり前だが、今回ほど熱心に語られたことはこれまでになく、各社が他社の動向から何かを得ようとしていることが判明した。

 同カテゴリーのトップランナーの1つである「ファイブイズム バイ スリー」に至っても「パイオニアであるだけに、どんなプロモーションが良いのか本当に手探り状態。でもメンズビューティはスピード感が命なので、今は走り続けるつもり」(森田由美「ファイブイズム バイ スリー」ゼネラルマネージャー)と話している。

“タッチアップ”を中心としたプロモーション

 実際に取材をしてみると、販売戦略に関して2つのメソッドが主流になりつつあることが分かった。1つは“タッチアップ戦略”だ。“男性は女性以上に体験から学ぶ”ということを理解し、販売戦略の最優先事項に“タッチアップの機会を作る”ことを挙げる取材先が目立った。女性は中学生くらいからメイクに触れるが、男性は今初めてという30~40代も多いだろう。だから女性以上に、というのには納得する。特に「ファイブイズム バイ スリー」はイベントの規模の大小にかかわらず、“アーティストがレクチャーした上でのタッチアップ”にこだわり、ブランドのローンチから1年間継続してきたという。男性でもタッチアップしてもらうと気分がアガる。これは筆者も同感だ。

 もう1つは、いわゆる“スーパーナチュラルメイク戦略”だ。「メンズには“やりました感”のするメイクはNG」というのが各社の共通認識となっているようだ。ある意味当然とも思うが、長く業界にいる筆者でもさすがにバッチリメイクはしたいと思わず……。「しっかりカバーしているのに何もしていないように見えるメイク」、つまりスーパーナチュラルメイクが主流で、それならばスキンケアも知らない男性もメイクからスタートできるだろう。

 「ファイブイズム バイ スリー」は“ステルスメイク”や、イケメン製作所は“ロジカルメイク”という言葉を発信しており、スーパーナチュラルメイクに独自の色を加え、分かりやすくネーミングしたのも面白い。しかし実はスーパーナチュラルメイクは、通常のメイク以上に高度なテクニックを必要とするもの。それを手軽に提供できるメソッドの確立に、各社が試行錯誤を繰り返しているのもうなずける。

まずはスキンケアのステップアップを訴求

 一方、販売戦略以外にもう1つ、各社で認識が共通していたことがある。それはメイクも大事だがその前の“スキンケアの普及も重要”ということだ。「イベントで20人近くの男性を集めたところ、その全員がローションを使っていた、ということがあった。既にローションはそこまで浸透しているが、2ステップ目の“乳液”の使用率となるとガクンと下がる。乳液まで使ってくれれば『次はメイク』となるので、当ブランドでは乳液の訴求にも注力していきたい」(森田「ファイブイズム バイ スリー」ゼネラルマネージャー)。実は保湿が大事というのを、この業界に入り学んだ。今まさに男性が化粧を勉強しているのだろう。

 化粧品を何も使っていない状態から、1品使ってもらう状態まで持っていくには大きな壁があるというが、1品使いから複数使いに持っていくにも実は同様に大きな壁がある。しかし、2ステップまで持っていければ、メイクに手を出すまでの壁は低いという心理は十分に理解できる。“2ステップ目のスキンケアの普及”が、メンズメイクカテゴリー伸長の鍵にもなっているようだ。

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ステラ・マッカートニーと二階堂ふみがトークショー 「サステイナビリティーはセクシーに」

 ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)が16日、大阪の阪急うめだ本店の9階ホールで二階堂ふみとトークイベントを開催した。これは1階コトコトステージ11で22日まで開く2019-20年秋冬コレクションをそろえたポップアップストアと、同店9階ギャラリーで28日まで開かれるステラの母リンダ・マッカートニー(Linda McCartney、1941~98年)の日本初の写真展のオープニングに合わせたもの。

「サステイナビリティーはセクシーに」

 登壇したステラは「こんにちは」と日本語であいさつし、まず「台風で大変多くの方が被災して心を痛めております。ヨーロッパから愛を送ります」と語り、トークショーではステラがなぜ責任のあるファッションの重要性や、サステイナビリティーに取り組むことになったのか、幼少期にオーガニック農場で“変化を起こすこと”を重視していた両親の下で動物とともに季節の移り変わりを感じながら育ったこと、7歳のころにはファッション業界で働こうと決めていたこと、そして、自分のポリシー(動物愛護)と革や毛皮を用いるファッション業界の通例とが対極にあったというエピソードなどを交えて話した。

 「私たちはいろんな現実に直面している。それは誰も地球の環境を悪くしようと思っていたわけではなく、よりよくしようと思ってこれまで取り組んできた結果、今がある。子どもたちの将来を考えたときに、何かアクションを起こさなきゃいけないときに来ている。ファッション業界はこれまでずっと変わらずにいた。そして環境負荷が大きい産業でもある。今こそチャレンジが必要なとき。クリエイティブな挑戦であり、私はビジネスウーマンでもあり4人の子どもの母親でもある。倫理観を持って新しい方法でよりよいモノ作りをしていくことが大切だと思う。今、サステイナビリティーはトレンディーな会話になっているけれど、そこで終わらせずに持続しなければいけない。私は、サステイナビリティーは楽しくセクシーに、そしてクールでファッショナブルに、それが当たり前になることが重要だと思っている。今あるものの代わりになるものを作って、クリエイティブな解決策を提案したいし、それがとても重要だと思っている」。

 加えて、「通訳を通すことで深刻に聞こえているのかも。シリアスになりがちなテーマだからか、ほら、みんなの眉間にしわが寄っちゃってる。今あるものと違うものを作ることを楽しい方法でやっていきたいと思っているわ。それをセクシーにラグジュアリーに表現することこそが、唯一変化を起こせることだと思っている」とステラらしいユーモアを交えながら語ると会場の雰囲気が和んだ。

「ステラに影響を受け続けている」

 一方、二階堂ふみは動物愛護の視点を持つようになってステラに興味を持ったという。少し緊張気味に、丁寧に語る姿が印象的で、「“ファーフリーファー”やレザーを使わない『ステラ』の商品は心から気持ちよく持てるし、それが『ステラ』の魅力でもある。私は『ステラ』の服を着ることで影響を受け続けている」と話す。

 また、サステイナビリティーが日本でトレンドになっているかと尋ねられると、「きっと徐々になっているところ。気づいている方は多いと思う。自分の生活とどれだけ密接かをわれわれは知らなければいけない。海外に行くと、当たり前のように商品には認証マークが付いたモノが売られていて、日本は意識が高い人しか見ていないけど、そこに対して世代を超えて話し合える環境になることが必要なのでは」と語った。

 サステイナビリティーの先導者であるステラの来店は、阪急うめだ本店が16日から行っているサステイナブルブランドの取り組みやアイテムを紹介するフェア「グッド フォー ザ フューチャー」の一環で、同店が今後もサステイナビリティーに力を入れていくという意志の表れでもある。

 トークショーの観覧チケットは事前にインターネットで応募を受け付けたというが、募集開始から9分で定員に達するなど、注目が集まっていた。約400人が詰めかけた会場には若い世代の姿が目立ち、その関心の高さがうかがえた。

 来店したある母娘は、上京して暮らす娘がステラのファンで、トークショーのためにとんぼ返りで参加したという。娘さんは、今回のポップアップストアの目玉商品である「アディダス(ADIDAS)」とコラボレーションしたベジタリアンレザーの“ステラ#スタンスミス”に、ステラ・マッカートニーとスタン・スミス(Stan Smith)の直筆サインを入れたモデルを購入してトークショーに臨んだ。

 “サステイナブル”をテーマにした「ステラ マッカートニー」のポップアップストアには開店前に約50人が列を作り、その後も行列が絶えなかった。特に“ステラ#スタンスミス”はメンズサイズから売り切れとなり、用意された半分以上が13時の時点で完売。そのほか、先行発売した人工ファーの“ファーフリーファー”を用いたアイコンバッグ“ファラベラ”が人気を集めた。

 リンダ・マッカートニーの写真展は、ドイツの出版社タッシェン(TASCHEN)から「リンダ・マッカートニー:ザ ポラロイド ダイアリーズ」が9月に刊行されたことを記念したもので、約250点のポラロイド写真を展示。ステラはトークショーで写真集と展示についても触れ、「出来上がった本を初めて見たときとてもエモーショナルな気分になった。とてもパーソナルな瞬間をとらえていたから。動物や家族に対する温かみや愛情を感じてもらえると思う」と語った。

 展覧会場には、ミュージシャンや料理研究家、写真家として活躍したリンダの実験的な視点や色彩感覚を映像で見ることができるスペースや、写真展の世界観を体験できるフォトブースなども設けられており、多角的な展示から、動物愛護の思想を持つステラ・マッカートニーの生き方の原点をも感じることができる。

 なお、阪急うめだ本店のコンコースの7カ所のウインドーも「ステラ マッカートニー」に染まっている。

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「独立して見たい景色を目指して。人を想い、なりたい私をぶっ放す」Vol.1 会社辞めちゃいました

 「会社辞めちゃいました。税務署行っちゃいました。独立しちゃいました」。

 この新連載を、そして私の新たな人生の幕開けを、こんな言葉で始めてみたっていいと思うのです。だってファッション業界だもの。

 ハッピーなファッション・マインドを持ち続けたいと思うし、それ無くしてお洋服を商売にしてはいけないと思うのです。

 セレクトショップを全国展開する某大手アパレル企業を今年8月に退社し、13年間担ってきたバイヤー職とその味わい深い重圧、楽しみきれなかった会社生活を全部やめました。

 理由はカンタン。刺激もなくなり、つまらなくなったから。

 こんな事を言い出せば多くの人に怒られそうですが、もっと楽しくお洋服に触れていたいし、余計な事情を抱えるあまり、より良いものに目をつぶることはしたくないんだよと。

 バイヤーは、バイヤー自身の審美眼といつも戦っていて、誰かと相対する時はいつも真剣勝負なんだよと。事業上の簡単な言葉一つで、作り手の想いや世の中に聞いてほしい意志はお客様に伝わらないのよ。これらを大切にできなきゃ、自動販売機で十分なんじゃないかと……なんて(笑)。そんなイロイロな事情もあったりで、「喜び」がファッションなんだと信じる方を選んでみました。

 でも結局は大きな感謝しかないのだけれど。

 バイイングのことなんて右も左も分からなかった私に会社は、当時誰もやりたくなかった大御所の後釜を担当させてくれました(笑)。いつもとんでもないプレッシャーを抱えていたけれど、大きなセレクトの名を背負わせていただいて、それなりには人のために、少しくらいはお取引ブランドのために、何よりもお客様のために、昼も夜も走り回った時間は格別で、今もなお充足感があり、人とは違う日常でありました(笑)。買い付けに関わる業務事、ブランドの諸先輩方の熱いお話、知識や経験、新しい情報など、多くの社外の方々にお世話になり、今があることは疑いの余地などありません(「WWD JAPAN.com」の要編集長もその1人なのですww)。

 この恩をできる限り多く返していきたいと、それには私自身の環境を変えることから始めたいと、独立して地に足つけて頑張りたいと。そんなハッピーな風景と人を想って、なりたいようにやりたい。子どものようかもしれないけれど、一生懸命にやりたいって想いなんですよね。

 ですからこの連載では、ファッションに携わる方々とのあれやこれ、ファッション・ウイークの風景と想うこと、新しく始めていくプロジェクトなんかの日常、この業界にいる人間との全力の遊びも含めて発信していきます。

 とは言いつつも、せっかく独立するんだから「週休3日制」を貫くと周囲に豪語している私としては、若い世代がワクワクするような本気の遊びを通してファッションを感じ取ってほしいとも願っているので、シャレた人たちが持っている“遊びの中の本気”を数多く寄稿しますのでお楽しみに~。

 そんな訳で、辞めてすぐに税務署いっちゃいました~。

 まずは個人事業主となるべく江東西税務署へ、見た目いかついファットバイクなる電動自転車で乗り付け。派手めな格好でカッチカチな建物へ入り、スマホカメラをカウンターへ向け、すぐに注意を受けました(笑)。

 当然のことですが、館内は撮影NGなので皆様ご注意くださいwww。

 事前に用意していた開業届を担当窓口で提出。紙ペラ1枚提出して、ハイお終いです(笑)。個人情報と事業内容を明記し、個人事業に使用する「屋号」を決めて押印するだけ。会社設立とは違い、あくまで個人で事業開始します宣言なので費用もかからずスタートです。「こんなに簡単で良いの?」って思うくらいの5分間。私の「屋号」は10年程前から心にしていたので躊躇なく決まりました。その名前が他社様と被っていないことを事前に調べてから記入しておきましょう。

 さて、こんな風に適当に思われそうな感じで始まった独立ですが、実はずっと考えていたことであり、本人は真剣であります。その決意と私にとっては普遍的とも言える想いを、そのままタイトルとしたのが「屋号」。「1H basix(ワンエイチ ベイシックス)」というのがその名前です。

 と、ここまでを蔵前にあるオサレカフェのNuiで書いたところでまさかの大御所登場(笑)。ミハラヤスヒロ先生が突然目の前に現れ、急遽、赤のグラスからの焼肉になりました~ww。というわけでこの続きは次回に持ち越します(笑)。

 次回は勝手ながらこの「屋号」への想いについて発信しようと思います。できる限り毎週寄稿しますので宜しくお願い致します。

井上智和:1981年生まれ。東京生まれ東京育ちのCITY BOY。中央大学商学部を卒業後、三陽商会に入社し、店頭研修後に「バーバリー・ブラックレーベル」で販売トレーナー及びVMDを担当。3年目の終わりに「ラブレス」に異動しバイヤーに。国内外ブランドの開拓・買い付けをしながらセレクトショップの運営を学び、直近はバイヤーの他にプレス・販促・販売の長を兼務しながらリテール事業を経験。15年在籍の後に退社し、現在は「1H basix(ワンエイチ ベイシックス)」の名を冠して独立。ファッション・ライフスタイル領域のセレクトにて、アドバイジングやディレクション、買い付けを行なう傍ら、大人の本気遊びを体現し記事執筆を行う

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「ステイプル」。モノは言いようを斜に構えて見ちゃいます ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。

今日のニュース:P.8-9「ステイプル商材でムダを削減」

読み解きポイント「モノは言いよう、考えよう!」

ニュースのポイント

 ニューヨーク・コレクションで顕在化した「タイムレスなスタイル」はミラノで「ステイプルなアイテム」へと進化した。ステイプル(staple)とは「主要な」「重要な」という意味の英単語で、ブランドを象徴する定番商品と解釈できる。コーディネートを工夫しタイムレスなアイテムでブランドらしさを表現した「プラダ(PRADA)」や、構築的なジャケットと生地感たっぷりの女神風ドレスで新しい「ステイプル」を表現した「ジル サンダー(JIL SANDER)」など、各ブランドがそれぞれの方法で流行に消費されないスタイルを打ち出すことに挑戦した。

Azuはこう読む!

 ここ数回はファッションウイーク特集なので必然的に「サステイナブル」の話題が多くなっています。前々回はパリコレ速報に関して「それぞれができるサステイナブル」について言及しましたが、ミラノでは新たに「ステイプル」というキーワードが出てきました。

 これがなぜサステイナブルと繋がっているかというと、端的に言えば「流行に左右されない主要=定番商品なので長く使えるから」ということでしょうか。「プラダ」を筆頭に、今までのストリートやその反動の盛りのエレガンスという流れをリセットするかのように、シンプルかつタイムレスなルックが多く見られました。

 この解釈を記事で見たときに真っ先に思ったのは、「モノは言いようだな」ということ。同じ洋服を何回か使い回したり、トレンド感の無いクラシカルなスタイルが多く並べば、今までだったら「つまらない」「パッとしない」とメディアに叩かれていたかもしれないけれど、今回は「サステイナブル」という言葉で表現することによって、一気にプラスの解釈になっています。実際、海外インフルエンサーがブランドに対して「この半年間何をしていたの⁉︎」と発言していたり。それは思考が浅すぎると思ったけど。

 何度か書いているように、この連載の目的は「一つのニュースをもさまざまな視点から読み解けば見え方が異なる」ことの“一例”を提示すること。「ステイプル商材でムダを削減」という素晴らしいニュースに対しても、私はメディアに対して「今までなら、つまらないって言ってただろうに(笑)」という斜に構えた捉えかたをしています。

 特にネットだとすぐに言葉尻を捕えてあーだこーだ言う人がいるので、ニュースに対して自分の意見を述べたり、時にはNOを突き付けたりするのは勇気がいることだと思いますが、「私はこう思ったよ」というのを優しく交換し合える場所があると良いなぁと、交換ノート生まれ前略・アメブロ育ちの92年女子は、最近ふわふわ思います。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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「東コレに伝えたい」デザイナーたちの本音 連載Vol.4 「東コレに参加したら国外からも反響があった」

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏の「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月14〜19日に開催される。冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天に変わって初めてのファッション・ウイークとなるため、関係者からの注目は高い。しかし結局は、人を呼べるブランドが参加しないとファッション・ウイークは盛り上がらない。そこで、海外で活躍する日本人デザイナーや「RFWT」に参加するブランド、新進気鋭の若手らに「どんな東コレだったら参加したい?」というテーマでアンケートを実施した。「RFWT」開催期間中から10月28日の「WWDジャパン」東京ファッション・ウイーク特集発売の週まで、回答の一部を連載形式で紹介する。今回は海外でのセールスも伸ばしている「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(CHILDREN OF THE DISCORDANCE)」が登場。

CHILDREN OF THE DISCORDANCE
志鎌英明デザイナー

 ここ3年は海外のセールスに力を入れてきましたが、国内での取り扱いも本格的に広げたいタイミングで東コレに参加してランウエイショーを行いました。結果、国外からも反響があったので継続しています。開催時期を見直してニューヨーク・コレクションのすぐ後に行うなどし、海外で活躍している日本人デザイナーが積極的に参加したくなるような仕組みを作れば東コレも盛り上がるのではないでしょうか。今は日本のファッションのリアルなシーンを東コレで表現しきれていないのが残念です。とはいえ、自分たちは今回も頑張ります!

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3人の東コレ担当記者が選ぶ3日目の“私的BEST LOOK”

 10月14日から19日までの6日間、楽天を初の冠スポンサーに迎えた2020年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が開催される。期間中は、非公式スケジュールを含めると50近いブランドがランウエイショーやイベントを行い、合計すると1000近いルックが披露される。しかし、よほどのことがない限り全てのルックをチェックするのは難しい。

 そこで「RFWT」を取材する3人の「WWDジャパン」記者が、各日の“私的BEST LOOK”をご紹介。東コレを4年連続で取材する30代男性記者K.O、海外コレクションの取材経験も豊富な女性記者M.O、東コレにはスナップカメラマンとして参加していた20代男性記者R.Oという、偶然にもファミリーネームが「O」縛りの3人が選ぶルックとは?3日目に登場した「レインメーカー(RAINMAKER)」「ノブユキマツイ(NOBUYUKI MATSUI)」「スリュー(THE SREU)」「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」「チノ(CINOH)」「コウザブロウ(KOZABURO)」「ランドロード ニューヨーク(LANDLORD NEW YORK)」「FACE.A-Jプロジェクト(FASHION AND CULTURE EXCHANGE. AFRICA-JAPAN PROJECT)」の8ブランドから3ルックをピックアップしお届けする。


男性記者K.O
KOZABURO / LOOK 8

 今日は「レインメーカー」や「チノ」が快活で心地いいコレクションを見せてくれたのでベストルックも爽やか気分だったのに、「コウザブロウ」と「ランドロード ニューヨーク」の合同ショーで一気にストリートに叩きつけられました。コレですよ、コレ。この勢い溢れる疾走感が東コレには必要なんです。個人的な注目は、初のランウエイショーを行った「コウザブロウ」。雰囲気が独特すぎてこれまでちょっと近寄りがたかったのですが、初のランウエイショーを見てその印象が一変!しませんでした(笑)。むしろ気持ちいいぐらい突き放された。悪そうだけど知的、ラフに見えて繊細なクリエイションを間近で見られて、ポテンシャルの高さを実感しました。コミカルになるスレスレのラインでかっこよさを保てるのは、刺し子やインディゴ染めのパイル地など、素材使いに真面目さがにじみ出ているから。このスーパーハイウエストの“コウザブロウ パンツ”は、自分でもいつか履いてみたい!


女性記者M.O
THE SREU / LOOK 27

 古着リメイクを中心にしていた「フルギニレース」が「スリュー」としてリニューアルし、初のショーを開催しました。私が数年前始めて合同展示会で「フルギニレース」を見たときのこと、鮮明に覚えています。ブランド名の通り、古着を解体してレースを加えただけなのですが、ひねりが利いていているのに、とてもリアルでかわいかったんです。他のブランドでも多くの古着リメイクを見てきましたが、何かが違う!と。今日のショーでは、さらに洗練されていて驚きました。ロゴ入りのスエットやTシャツを用いながらも黒を基調にしてドレッシーになっていました。レースの力だけでなく、コラージュで再構築したり、シャツ生地をハイブリッドしたりと、テクニックも面白い。メンズも登場して、ますますパワーアップした「スリュー」、とてもよかったです。


男性記者R.O
CINOH / LOOK 26

 上品かつリラックスなフレンチスタイルのコレクションを披露した「チノ」から、トリコロールのシャツが目を引いたこちらのルックをピックアップ。右、中央、左と大胆に染め上げているのが印象的で、着心地も良さそう。同様の染めを施したワンピースも登場していたのですが、こちらにもグッときました。フランスつながり(?)で、ショーBGMが仏アーティストのFKJ縛りだったのも個人的に◎。ちなみにFKJはフレンチ・キウイ・ジュース(French Kiwi Juice)の略で、フランスとニュージーランド(キウイ)に自身の由来(血=ジュース)があることから名乗っているそうです。

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若手美容家 松下侑衣花が「週刊プレイボーイ」でグラビア初披露 “脱げる美容家”の腹のうち

美容誌やウェブメディアへの寄稿、ビューティイベントへの出演、マンツーマンのメイクレッスンなど多岐にわたる活躍を見せる美容家の松下侑衣花。美容ライターからキャリアをスタートさせた彼女は、今や20代の若手美容家として取材を受けることも多く「WWD ビューティ」紙面にもしばしば登場する。そんな注目の美容家が、10月12日発売の「週刊プレイボーイ(PLAYBOY」で、“脱げる美容家”として袋とじのグラビアを披露した。美容家としてキャリアを重ねる彼女が、センセーショナルな挑戦をするに至った本音に迫る。

WWD:美容を仕事にしたきっかけは?

松下侑衣花(以下、松下):幼い頃からコスメに興味を持っていて、大学に進学してからも漠然と美容業界で働きたいと考えていました。化粧品会社への入社を夢見て就職活動をしましたが、「会社に入り一社の製品に深く関わることは、いろいろなブランドのコスメが好きな私には向いていない」と感じたんです。ある化粧品会社の面接では、「新卒は皆、販売員として売り場で数年経験を積みます。その後、何人かは本社に異動となることもありますよ」と説明を受けました。美容の楽しさを自分の言葉でいち早く広く伝えたい、という気持ちが強過ぎた私には、このステップを待つことができないと確信しました(笑)。ちょうどその頃にフェイスブックでたまたま見かけた、“美容ライターのアシスタント募集”という投稿を見て、すぐに応募をしたんです。

就職活動はやめて、大学4年の6月から美容ライターのアシスタントとして活動し始めました。ありがたいことに、比較的すぐに自分の記事を書かせてもらえるようになりました。

SNSがくれたチャンス

WWD:フリーのライターとして軌道に乗るのは簡単なことではなさそうだが。

松下:そうですね。読書も苦手な方でしたし、文章の組み立て方も理解できていませんでした。ブランドから送っていただく新商品のプレスリリース(メディア向け資料)を読んでも、この成分がなぜ肌によくて、どんな悩みに作用するのか、といったことも分からなくて……。見かねた師匠からは、「月に5冊は本を読んで、感想文を送って」と言われていましたね(苦笑)。200字の文章を6時間もかけて書き上げて、師匠にチェックしてもらうと「はい、もう一度!」と。書き直しで5往復なんていうこともありました。

化粧品について勉強をしながら量をこなすという毎日で、1カ月で100記事ほど書くことで、なんとか食べていけるという生活でした。しんどかったけれど、記事を多く書くことで自信がつきましたし、タイトルの付け方や切り口でPV(ページビュー)数がこれだけ変わる、という“成績”が目に見えるのも楽しかった。やがて、「ヴォーチェ(VoCE)」や「アンアン(anan)」といった雑誌での仕事もいただくようになり、ツイッターとインスタグラムのアカウントも開設しました。SNSでコツコツとおすすめのコスメを紹介するうちに、「#美金」「#ゆいコス」というハッシュタグが拡散するように。すると、自分が取材を“する側”から“される側”になる機会が増えて、2〜3年前から「美容家」とメディアで紹介いただけるようになりました。

WWD:取材される側になり、活動の幅が広がっている。

松下:取材して書くということに加えて、イベント登壇やインタビューなど、美容について発信をする引き出しが加わったのはうれしかったですね。ただ、インターネットでの風当たりが強かった。「20代の美容家なんて信用できない」といった内容の掲示板ができていたり、SNSのコメント欄やダイレクトメッセージでの誹謗中傷もありました。正直、今も批判はゼロではありません。ただ、対処法は結果を出していくことしかないですから。純粋に「可愛くなりたい」「きれいになりたい」と思っている女性に向けて、少しでも有益な情報を発信したいと思います。

WWD:それほどまでに美容への思い入れを強くするきっかけがあったのか?

松下:実は中学生の頃、周囲となじめなかったんです。仲間外れにも遭いましたし、朝教室に入ると、私の机の上にだけ絵の具のチューブが散乱していたこともありました。相談できる友人もいませんでしたし、親にも話しませんでした。心配をかけたくなかったんですね。自分に自信がなく、落ち込みがちな毎日の中でふと、色付きのリップクリームをつけるだけで「頑張ってみるか!」と学校に向かえたことがあったんです。記憶をさかのぼると、幼稚園児の頃に、祖母のメイクボックスから口紅を取り出して見よう見まねで塗ってみたり、小学校低学年の頃にはマニキュアに凝ったり……。初めて彼氏ができたときや大学進学で上京したとき、お守りのように自信をくれたのが、私の場合コスメだったんです。

グラビアは美容の楽しさを男性にも伝える一つの手段

WWD:「週刊プレイボーイ」の話はどのように?

松下:知人を通じて、今年の6月に話があったんです。表参道にあるオーガニックカフェで同誌の編集担当の人から話を伺いました。まさか自分がグラビアに出る日が来るなんて想像はしていなかったけれど、「来月が撮影になりますが、どこまで脱げますか?」と聞かれ、とっさに「3点隠しならいけます!」と答えていました。もちろん、美容家がグラビアに?というような世間の目と、体作りへの不安はありました。けれど周りにどう思われるかよりも、自分がどうしたいかということを大切にしたいと思ったんですよね。美容家で今まで誰も挑戦していないことに挑戦できるんだ、という楽しみな気持ちの方が強かったんだと思います。賛否両論あって当然。コンディションも撮影までにどうにかすればいいか!と腹をくくりました。

WWD:女性向けのグラビアでなく、男性向けの本格的なグラビア誌に出たいと思えたのは?

松下:最近はコスメブランド各社がメンズ用コスメを発売していますよね。同世代の友人を見ていても、スキンケアだけでなく、コンシーラーやファンデーションといったメイクアップをしている男性が増えているという実感があります。「美容って楽しい」ということを、自分の体をもって男性にも伝えたかったんです。男性ファンを増やしたいというより、「美容家でこんな人がいるんだ」ということをきっかけにして、多くの人にもっと美容に興味を持ってほしいと考えています。私にとってのグラビアは、美容のよさを広げるための一つの手段だったんです。

美容って、肌やメイクの美しさにフォーカスされがちですが、「私が理想とするきれいな人って?」と考えたときに、頭のてっぺんから足のつま先まで美しい人だ、と気づきました。ボディーはお化粧をしない分、取り繕えないですしね。私自身、日々ボディーケアをすることで肌質やボディーラインの変化を実感してきました。お手入れをすることで、肌見せのファッションに挑戦したくなったり、パートナーとのスキンシップに自信を持てるかもしれない。モデルでもない私がケアを重ねて作った体だからこそ、こうしたメッセージをもっと発信できると思っています。

WWD:撮影にはどんな気持ちで臨んだのか。

松下:楽しかったですね。1泊2日で伊豆大島にロケということ自体、新鮮でした。美容ページの撮影はほぼスタジオで、外には出ませんから。キメ顔をしようとする前に、どんどんシャッターが切られるので自然と素の表情になりましたし、「レンズをレンズと思わない、これは彼氏だ」と自分に暗示をかけました(笑)。森の中で寝そべる私のすぐ横をアリやムカデがはっていたり、カに20カ所くらい刺されたことも含めて、いい思い出です。

WWD:活躍の場が広がり、美容家としての手応えを感じているか。

松下:手応えは、まだないですね。本当にまだまだです。でも、「美容を伝えたい」という気持ちはますます強くなっています。今春スタートしたマンツーマンのメイクレッスンと16タイプパーソナルカラー診断を多い時は週10人以上に行っていて、すでに100を超える人に体験いただいています。レッスンの生徒さんやイベントで出会う女性から聞こえてくるのは、「誰かになりたい」ではなく「自分に似合うメイクを知りたい」「自分史上で一番かわいくなりたい」という声。一方的に情報を発信するのではなく、隣に寄り添って美容を伝えられるような存在になっていきたいです。

※生まれ持った色(髪・瞳・肌)と雰囲気が調和する似合う色を導き出すメソッド。16タイプパーソナルカラー診断は、春夏秋冬の4つの季節に分類するカラー診断に色のトーンを加え、4シーズンをそれぞれ4タイプ(計16タイプ)に細分化したカラーシステム

WWD:今後の目標は?

松下:美容は、仕事や恋愛に作用してその先の幸せにつながると信じています。美容を知ったら人生が変わる、ということをたくさんの人に知ってもらいたいですね。今回のグラビアで、美容の楽しさを届けられる層が広がるといいなと思っています。コスメの力で前向きになれた、中学時代の私が原点ですね。
もうすぐ28歳になりますが、30代を想像するのは楽しみです。年齢を重ねて、シワやたるみといったエイジングの悩みも自分が経験してゆくことで、発信する情報に説得力が増しますしね。いつか、美容メソッドをまとめた著書を出せたらいいですね。奥行きのある美容情報を発信できるように頑張ります。

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コスメ事業本格参入のサザビーリーグ 立役者3人が語る、大人が輝くビューティブランドとは?

 サザビーリーグがオリジナルコスメ「グリッド(GRID)」をスタートした。10月1日からセレクトショップのロンハーマン各店とECサイト「エルショップ(ELLE SHOP)」、ヘアサロン「ハプス(HAPP’S)」で先行販売し、11月20日には伊勢丹新宿本店本館1階化粧品売り場のリモデルに合わせて1号店をオープンする。常設店デビューが百貨店化粧品1番店という華々しいデビューを飾る。

 同ブランドは、中嶋竜司ヘアメイクアップアーティストが監修し、「年齢を重ねてもなお魅力的に輝きたい」と願う大人の女性に向けて開発。メイクアイテム10品11種(価格は3500~6800円)をそろえた。

 ファッション業界をけん引してきた同社がビューティ事業に本腰を入れる今回、中嶋ヘアメイクアップアーティスト、根岸由香里サザビーリーグ リトルリーグカンパニー カンパニーオフィサー ロンハーマン事業部長 兼 ロンハーマン ウィメンズ クリエイティブ ディレクター、八木亮代サザビーリーグ リトルリーグカンパニー グリッド ディレクターの3人に参入の狙いとブランドに込めた思いを聞いた。

WWD:オリジナルコスメを立ち上げた理由を教えてください。

根岸由香里ロンハーマン事業部長 兼 ロンハーマン ウィメンズ クリエイティブ ディレクター(以下、根岸):リトルリーグは洋服に限らず面白いことをやっていこうという考え方で動いていて、さまざまなカテゴリーに広がる中、弊社が運営するリラクゼーションサロン「センスロンハーマン(Sense Ron Herman)」の責任者である八木と、ヘアメイクアップアーティストの中嶋竜司さんとの出会いから始まりました。竜司さんは長年メイク業界で活躍しキャリアを積み、次は積み上げてきたものをプロダクトに落とし込んで、世の中の女性をハッピーにしたいと考えていました。そうした竜司さんの考えと、リトルリーグの考え方とがフィットしてプロジェクトがスタートしました。

WWD:具体的には?

根岸:ロンハーマンでスタッフに言ってきたのは、ファッションやコーディネートは洋服だけではないということ。素敵なコーディネートをしたお客さまにより素敵になってもらうためには、メイクやヘアのアドバイスまで提案できたら最高だよねと話していました。私たちがしたいのは、メイク感ゼロだけど洋服が素敵に見える、ファッションに合うメイク。そうした思いを話す中で、竜司さんが提案してくれたメイクを形にしたのが「グリッド」です。世の中の一般的なメイクは、まず下地を塗ってその上にファンデーションをしっかり塗って重ねていくものですよね。私たちは撮影現場で竜司さんやプロのヘアメイクさんの技を目にする機会があるので、ファンデーションを使わずにその人の美しさを引き出すメイクがあるということを知りました。ただ、それを簡単にできるコスメが世の中にはない。だったら自分たちで作ろうということになりました。竜司さんが提案する、その人自身が魅力的になるようなメイク、隠すのではなく素を引き出すメイクはリトルリーグの考え方とマッチしています。ヘルシーでナチュラル。私たちが10年やってきたほかの事業と同じでした。

WWD:ナチュラルメイクやすっぴん風メイクとは違うのでしょうか?

根岸:どんなに薄づきのファンデーションでも膜感がありますよね。そうした“膜”や“覆う”のではなく、艶を与えて肌をイキイキと見せるメイクです。ビンテージデニムに白いTシャツみたいなカジュアルの王道を着たいときに、マットなファンデーションは似合いません。「グリッド」のメイクは気になるところは隠すけれど素肌のよう。似ているようで全然違うというのが自分で試してみた感想です。

ファッションに合う、素肌のような艶のある肌作りが鍵

WWD:それを可能にするキーアイテムが「スキンベール」ですか?「スキンベール」とはそもそもベースですか?ファンデーションですか?

八木亮代グリッド ディレクター(以下、八木):「スキンベール」は、ファンデーションではないし下地でもない新カテゴリーです。このアイテムがすごいのは、色展開はなく1種類のみなのですが、日焼けをしている人や色黒の人、色白の人もカバーするところ。それがファンデーションと違うところです。偏光パールでアラを飛ばしながら、加齢によって失われていく艶や透明感をうまく出してくれます。そうした視覚効果と11種の美容成分を配合したスキンケア効果も兼ね備えています。

中嶋竜司ヘアメイクアップアーティスト(以下、中嶋):どんな肌色にも合う不思議なものを作りたかったんです。「スキンベール」は日焼けしている人が顔に塗っても、首から下の肌色と違ってしまうなんていうこともありません。メーカーをいろいろと探して、100近く試作品を作って出来上がった商品です。

八木:大人の女性に向けて開発をしたので、エイジングケアができて顔がくすんで見えない、明るく見えるための成分にこだわりました。抗酸化、抗糖化力のあるものやアンチポリューションに働くものですね。30代後半から女性はホルモンバランスが変わるので、肌も若い頃よりデリケートになります。その点でも「スキンベール」にはなるべく天然由来の成分を多くして、刺激が少ないものを選んでいます。

WWD:「スキンベール」1本で肌作りは完了するのでしょうか?

八木:年齢を重ねた肌は「スキンベール」だけでは足りない部分が出てきます。そのためシミ、そばかす、ニキビなどの赤みなどをカバーする、厳選した3色のコンシーラーパレットを作りました。カバー力があるものを全体に塗るのではなく、必要なところに塗るだけで、仕上がりが全然違うものになります。さらに、粒子の細かいマットルースパウダーで微妙に艶を調整します。両方を使うことで「グリッド」の肌が完成します。

中嶋:パフにもすごくこだわっていて、今は化学繊維のパフが多いですがコットンのパフにしています。化学繊維は粉がパフの中に入っていかなくて表面にべたっとつく。コットンは粉が中に入り込んで必要な分しか出てこないので、微量を調整しながらつけることができます。10品のメイクアイテムは必要最低限、これだけあれば大丈夫というものを作りました。

八木:リップペンシルは2色、アイブロウマスカラは1色、チークも1色しかありませんが、これさえあればどんな肌色の人にも合います。チークは茶色やピンクが入ったテラコッタカラーで、軽く上気したような顔色のいい表情に仕上がります。

ビジネスにおいて大事なのは関わる人の情熱や強い思い

WWD:ファッション業界発信のコスメで成功しているブランドはなかなか少ないですが、成功していくためにはどういった展開が必要でしょうか?

根岸:そこは簡単ではないと思っています。ロンハーマンではスキンケアやボディーケア、ヘアケアの取り扱いはありますが、メイクアップを扱うのはこの10年で初めてのこと。ロンハーマンなのか、ほかの洋服のセレクトショップなのか、あまりがちがちに考えずに、「グリッド」の考え方に賛同してくださるところと取り組みたいと考えています。今は新業態が次々に生まれて、化粧品を売る場所も広がり一昔前とは違っています。価値観がつながっていけば成功すると思うので、通常のコスメブランドの戦略とは違うと思っています。王道は百貨店にたくさん出店して、毎シーズン新作を発売するとういのがセオリーだと思いますが、「グリッド」はそういうブランドではなく、新作はゆっくり時間をかけて出せばいいと思っています。すぐに利益を出すのは難しいでしょうが、リトルリーグ内、サザビーリーグ内全体で考えて、ゴールを急がず徐々に育てていきたいと思っています。

WWD:接客もファッションとは大きく違います。他業界からの参入はそこでつまずいていると感じます。

根岸:この商品はお客さまにしっかりと使い方を理解してもらうことが大切だと考えていて、一番いい形で使っていただかないと、リピートしていただけない。使い方やよさが伝わるプロモーションについては考えていて、そこには投資していかないとだめだと話しています。

WWD:ビューティ業界から入るスタッフはいますか?

根岸:リトルリーグにはもともと美容業界や異業種から来た人がいます。今後の広がりとしては、経験者だけではなく同じ考え方を持って伝えていける人、という点を重視します。結局は人柄だと思っているので、絶対にビューティ業界出身でなければというわけではありません。メイクのバックグラウンドがある人を拠点に1人は立てて、スタッフの勉強会やお客さまへのリタッチといったサービスの提供はしていく予定です。

WWD:「グリッド」の今後の展開と将来像を教えてください。

根岸:伊勢丹新宿本店でのショップオープンを皮切りに、いい場所があれば広げていきたいと考えています。ブランドとして単体で一人歩きさせていく計画です。今の時代、そぎ落としていく、大事なモノだけにフォーカスしていこうという流れもあり、「グリッド」は誕生しました。弊社がビジネスにおいて大事にしているのは、関わっている人の情熱や強い思い。それが強いほど成功しています。新しい挑戦ではありますが、コスメ業界の枠にとらわれすぎずに、新しい道を模索していきたいです。

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東コレ映像ダイジェスト 2日目はランウエイど真ん中でそうめんをすする「ネグレクト」やアディダスコラボ発表の「ハイク」など

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月19日まで開催されている。今季から、冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天になり、どのような変化が起きるのか注目される中、バイヤーやプレス、招待客しか入れないその“裏側”まで映像で追いかける。毎日、見所をダイジェスト形式でお届け。

 10月15日は「ネグレクトアダルトペイシェンツ(NEGLECT ADULT PATIENTS)」のランウエイのど真ん中でそうめんをすする様子からスタート。2016-17年秋冬ぶりにアディダス(ADIDAS)とのコラボを発表した「ハイク(HYKE)」や“愛の戦士”がテーマの「ノントーキョー(NON TOKYO)」などをとらえた。

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「さりげなく」生活・洋服に溶け込むテクノロジーに勝機 ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.3「EDITOR’S VIEW 『AKIRA』と『ブレードランナー』の2019年」

読み解きポイント:テクノロジーを見えなくして、生活に溶け込む

ニュースのポイント

 2019年は、未来のテクノロジーと主人公の人間臭いリアリティーを内包した、マンガ「AKIRA」とSF映画「ブレードランナー」の舞台となった年だ。10月5日、「リーバイス(LEVI’S)」は導電性繊維を組み込んだトラッカージャケットを発売した。最大のポイントは、テクノロジーを見えなくすること。現代人が中毒状態のスマートフォンから目を離し、世界にもっと目を向けさせるためのものであると「リーバイス」のバイス・プレジデントは語る。

CKRはこう読む!

 「Ubiquitous Computing(ユビキタス・コンピューティング)」。パロアルト研究所の技術主任であった「マーク・ワイザー(Mark Weiser)」が1988年発表した「The Computer for the 21st Century」の中で使い始めた言葉です。

 グーグルで「Ubiquitous」と画像検索してみると、「IoT」や「さまざまな端末がネットワークを通じて繋がるイラスト」が表示されます。どのイラストもコンピューターが溢れかえっている様相です。マーク・ワイザーが、ユビキタスコンピューティングの中で強調していたことは、「Invisible(見えない)」。のちに「Calm Technology」としてコンセプト化されました。コンピューターが溢れかえる様子とは真逆の、コンピューターが環境に溶け込み、さりげなく人の活動を支えることを示唆しています。

 コラムにもある「テクノロジーを見えなくすること」は、サービスをデザインする上で最終形の一つかもしれません。例えば電気をつけるとき、私たちは電力技術についてほとんど考えないですよね。この場合のテクノロジーは意識するものではなく、当たり前のインフラとして生活の中に溶け込んでいるからです。

 スマートフォンも、パソコンが生活に溶け込んだ一つの形です。中身はパソコンそのものですが、「Phone(フォン)」という名前をつけたことで当時、多くの人に行き渡っていた携帯電話の代わりと認識され、一気に普及しました。○○コンピューターという名前だったら、一部のマニア向けの製品になったかもしれません。

 「リーバイス」のジャケットも、今はスマートフォンを操作するためのインターフェイスとしての機能が中心ですが、直接ネットワークに繋がるようになると、さらに利用シーンが広がる可能性があります。服は、身体の一番近いところにあります。今後は、さりげなく身体状態をモニタリングして、人の健康を支えるためのインフラとして溶け込んでいくかもしれませんね。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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連載「東コレに伝えたい」デザイナーたちの本音 Vol.3 「アジア勢が力をつけている中、日本としてできることは何かを見つめ直すべき」

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏の「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月14〜19日に開催される。冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天に変わって初めてのファッション・ウイークとなるため、関係者からの注目は高い。しかし結局は、人を呼べるブランドが参加しないとファッション・ウイークは盛り上がらない。そこで、海外で活躍する日本人デザイナーや「RFWT」に参加するブランド、新進気鋭の若手らに「どんな東コレだったら参加したい?」というテーマでアンケートを実施した。「RFWT」開催期間中から10月28日の「WWDジャパン」東京ファッション・ウイーク特集発売の週まで、回答の一部を連載形式で紹介する。今回は東京都と繊維ファッション産業協議会、ファッション・ウィーク推進機構が共催する「東京ファッションアワード 2019(TOKYO FASHION AWARD 2019)」を受賞した「チノ(CINOH)」「レインメーカー(RAINMAKER)」「ノブユキマツイ(NOBUYUKI MATSUI)」の3ブランドと、「2019年度Tokyo新人デザイナーファッション大賞 プロ部門」で東京都知事賞を受賞した「ポートヴェル(PORTVEL)」の4ブランドが登場。

CINOH
茅野誉之デザイナー

 現在も参加はしていますが、開催時期がBtoBの展示会が終わった後のスケジュールのため、PRやBtoC(即売)を目的にしています。直近のビジネスを行いたいブランドには効果が薄い時期ではあります。

RAINMAKER
渡部宏一デザイナー

 東コレに参加したことで、今までリーチできていなかった国外バイヤーからアプローチが来たり、お客さまの問い合わせや来店が増えたりしました。何よりずっと応援してくれていた顧客が喜んでくれたのが、参加してよかったと思える一番の理由です。ただ海外での展示会にも挑戦し始めており、商品の納期を考えると現在の開催時期には量産の準備に取り掛からなければならず、ランウエイショーを展示会受注の販促として活用することはできません。

NOBUYUKI MATSUI
松井信之デザイナー

 アジアでは上海などの有力ブランドが支援により力をつけており、他の国に取材陣などが分散しています。東コレが海外からも注目してもらうためには、日本のファッション・ウイークとしてできることは何かをもう一度見つめ直し、今本当に必要な“コト”を独自の文化として発信していくべき。それは私たちの課題でもあります。

PORTVEL
濱田博昭デザイナー

 現在の東コレはビジネスと連動しづらいため、参加したいとは思いません。

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「オールドネイビー」分社化は吉と出るか凶と出るか 鈴木敏仁のUSリポート

 アメリカ在住30年の鈴木敏仁氏が現地のファッション&ビューティの最新ニュースを解説する連載の第2回目は、米ギャップからの分社化が発表された「オールドネイビー」の戦略を掘り下げる。そもそもなぜ分社化の道を選んだのか。

 ロサンゼルスのわが家の近隣にローカルコミュニティーにしては若干大きめのショッピングセンターがある。スーパーマーケットとドラッグストアが核なのだが、さらにもう一区画分のスペースがあって、衣料やビューティといった専門店チェーンやディスカウントチェーンが複数入居している。そのうちの一つが数年前に破綻して退店した後がしばらく空きスペースになっていた。このご時世だからテナントも見つかりづらいのだろうと推測していたのだが、数週間前から工事が始まり、サインが立てかけられて分かったのは「オールドネイビー(OLD NAVY)」の新規出店なのである。

 米ギャップ(GAP)は9月上旬、これから「オールドネイビー」で800店舗を新規出店すると発表した。そのほとんどは通常プロトタイプよりも小さく衣料リテーラーが少ない商圏を狙っていくとも説明していた。わが家の近くの出店予定地は、なるほどその通りの立地だった。ただ、細かい話は省略するが私が住む商圏で衣料は難しいと考えていて、クエスチョンマークが頭をよぎった。ひょっとすると出店戦略ありきで決めたのではないか――などとうがったことも考えてしまった。

「ギャップ」とは異なる戦略と戦術

 米ギャップが「オールドネイビー」のスピンオフ(分社化)を発表したのは2月のことである。

 「オールドネイビー」のスタートは1994年にさかのぼるので、すでに25年を経た中堅フォーマットだ。当時、小売業大手のターゲット(TARGET)の親会社だったデイトンハドソン(DAYTON HUDSON)が、「ギャップ」の廉価版のようなブランドを開発した。ギャップは対抗するために倉庫スタイルの店舗デザインで売る「ギャップ・ウェアハウス(GAP WAREHOUSE)」という実験店舗を作った。これを発展させたのが「オールドネイビー」である。ギャップを大企業へと成長させた中興の祖、ミラード・ドレクスラー(Millard Drexle)がパリのバーで見た看板に印象を受けて命名したことはよく知られている。

 その後の成長については省略するが、2018年度末の時点で売上高は約79億ドル(約8056億円)で、同社の連結総売上高165億8000万ドル(約1兆7574億円)の48%を占めるに至っている。「オールドネイビー」の成長と「ギャップ」の縮小を年々続けてきた結果だ。「ギャップ」単体の売上高は公表されておらず、「バナナ・リパブリック(BANANA REPUBLIC)」といった他のフォーマットと合算した数字しか発表されていない。「ギャップ」と「オールドネイビー」の単体同士を比較すると、「オールドネイビー」の方がすでに売上高は多いかもしれない。

 端的に多角化目的で作った事業が本体よりも大きくなってきたので分離するということなのだが、こういう場合の最大の動機は機関投資家による圧力である。事業ごとの成績が混在して株価に反映されるので、これをすっきりさせないと投資効果が低くなるからだ。最悪の場合でも好調事業を分離しておけばケガも小さくてすむのである。

 経営陣は、双方の戦略がまったく異なるからだと説明する。モールへの出店戦略を柱にしてきた「ギャップ」に対し、モール外に出店するのが「オールドネイビー」。前者がECに注力しリアル店舗はこれからも縮小傾向となるのに対して、冒頭で書いたように後者はリアル出店を主軸に据えている。また前者の中価格帯に対して、後者は低価格帯であり、価格戦略も異なっている。

 どうやら組織文化も異なるようだ。こういった違いを背景として、分離した方が戦略・戦術的にプラスになると判断したとしている。

出店拡大で生じるジレンマ

 ただし、ことはそう簡単ではないだろう。もともと双方は売り上げを食い合う関係にあるのだが、これからマーチャンダイジング(MD)をきっちり分けるのは容易ではないし、なによりお客の認識はそう簡単に変わらない。わが家の近隣にも出店するように、これからあちこちに「オールドネイビー」がさらに増える。そうすると「ギャップ」で買う動機はますます低くなってしまうことだろう。こういうケースでは低価格帯フォーマットの方が強いのだ。

 また両社が共有していた機能を分離することによる相互マイナス効果(アナジー)が発生する。「オールドネイビー」は1億5000万~1億7500万ドル(約159億〜約185億円)、「ギャップ」は2億2500万~2億5000万ドル(約238億〜265億円)、加えて7億ドル(約742億円)の分離費用がかかると説明されている。これは過去の分離案件でもトップクラスのマイナス効果だとするアナリストがいる。

 また18年度決算までの3年間、「オールドネイビー」の既存店成長率は、16年が1%増、17年が6%増、18年が3%増とプラス傾向が続いていた。ところが分離を発表した直後から、今年の第1四半期が1%減、第2四半期が5%減と、突然マイナスへと落ち込み始めている。これが長期傾向なのか突発的なマイナスなのかは不明だが、「オールドネイビー」自体も強気の出店戦略とは裏腹に業績が良いとは決していえない。スピンオフの実施は来年だ。吉と出るのか凶と出るのかーー経営陣のお手並み拝見といったところである。

鈴木敏仁(すずき・としひと):東京都北区生まれ、早大法学部卒、西武百貨店を経て渡米、在米年数は30年以上。業界メディアへの執筆、流通企業やメーカーによる米国視察の企画、セミナー講演が主要業務。年間のべ店舗訪問数は600店舗超、製配販にわたる幅広い業界知識と現場の事実に基づいた分析による情報提供がモットー

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3人の東コレ担当記者が選ぶ2日目の“私的BEST LOOK”

 10月14日から19日までの6日間、楽天を初の冠スポンサーに迎えた2020年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が開催される。期間中は、非公式スケジュールを含めると50近いブランドがランウエイショーやイベントを行い、合計すると1000近いルックが披露される。しかし、よほどのことがない限り全てのルックをチェックするのは難しい。

 そこで「RFWT」を取材する3人の「WWDジャパン」記者が、各日の“私的BEST LOOK”をご紹介。東コレを4年連続で取材する30代男性記者K.O、海外コレクションの取材経験も豊富な女性記者M.O、東コレにはスナップカメラマンとして参加していた20代男性記者R.Oという、偶然にもファミリーネームが「O」縛りの3人が選ぶルックとは?2日目に登場した「ノントーキョー(NON TOKYO)」「アジアンファッションミーツトーキョー フィリピン(ASIAN FASHION MEETS TOKYO PHILIPPINES)」「ヒロココシノ(HIROKO KOSHINO)」「ボディソング(BODYSONG.)」「ステア(STAIR)」「イル イット(ILL IT)」「バルムング(BALMUNG)」「ネグレクトアダルトペイシェンツ(NEGLECT ADULT PATIENTS)」「ハイク(HYKE)」の9ブランドから3ルックをピックアップしお届けする。


男性記者K.O
NON TOKYO / LOOK 15

 東コレに毎シーズン設けられているパルコが支援する参加枠は個人的にいいブランドがそろっている印象で、2日目トップバッターの「ノントーキョー 」も例に漏れずかわいかった。朝から元気をたっぷりもらいました。ギャザーでモコモコ、レースでフリフリなガーリーの要素もありつつ、ミリタリーウエアのディテールやカモフラ柄を勢いよくミックスして東コレという“戦い”に挑む姿勢がかっこよかった。それもそのはず、今シーズンのテーマはズバリ“愛の戦士”。BGMにはセーラームーンのイントロが流れ、反応するか否かで世代が分かるのもちょっと面白かったです。照明が独特なのでちょっとダークに見えるかもしれませんが、服からはハッピーなムードがしっかり伝わってきましたよ。中でも、わかりやすいハイブリッドのこのルックが今日イチです。


女性記者M.O
HIROKO KOSHINO / LOOK 1

 「ヒロココシノ」は今季、長年ショーを披露してきた東京・恵比寿の会場を離れて、江東区の東京都現代美術館で発表しました。自然光が降り注ぐ、明るい会場でのショーは服も細部までよく見えましたし、光のエネルギーを感じました。コレクションは音楽から着想を得ていて、ランウエイではピアニストの演奏が披露されました。ルックで最も特徴的だったのは、柄使い。幾何学柄はバイオリンの曲線、ストライプはピアノの鍵盤をイメージしているようです。ペールトーンのブルーやベージュの色合いは、奏でられた旋律にぴったりでやさしいハーモニーを感じました。


男性記者R.O
HYKE / LOOK 42

 惜しまれながらも先シーズン限りで「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」との協業を終了した「ハイク」ですが、16-17年秋冬ぶりにアディダス(ADIDAS)とのコラボレーションが帰ってきました。ランウエイではルックが現れた瞬間、来場者の多くがカメラを構えるほど人気が高いこのコラボ。以前までは「アディダス オリジナルス(ADIDAS ORIGINALS)」とでしたが、今回は「アディダス」がパートナーということで、ロゴもトレフォイルではなくパフォーマンスという点がポイントでしょう。来シーズンも展開され詳細は1月に発表とのことですが、どんなアイテムが展開されるのか待ちきれません!

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2019年ハロウィン グーグルで最も検索されたコスチュームは?

 2019年のハロウィン・コスチュームのトレンドは、ポップカルチャーの影響が大きいようだ。

 グーグルで19年の個人用ハロウィン衣装として最も検索されたコスチュームは、日本では11月1日に公開予定のビル・スカルスガルド(Bill Skarsgard)出演の映画「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。(It Chapter Two)」に登場する殺人ピエロ、ペニーワイズだった。

 それに続いたのがおなじみの魔女のコスチューム、そしてここ1年で公開された映画「アベンジャーズ/エンドゲーム(Avengers: Endgame)」「スパイダーマン: ファー・フロム・ホーム(Spider-Man: Far From Home)」「スパイダーマン: スパイダーバース(Spider-Man: Into the Spider-Verse)」などに登場するスーパーヒーロー、スパイダーマンだ。

 個人用コスチュームのアイデア・リストにはその他のポップカルチャーのキャラクターも含まれており、ネットフリックス(NETFLIX)のTVドラマ「ストレンジャー・シングス(Stranger Things)」、ビデオゲーム「フォートナイト(Fortnite)」、

 そして16年に公開された映画「スーサイド・スクワッド(Suicide Squad)」で女優のマーゴット・ロビー(Margot Robbie)が演じたことで復活したDCコミックス(DC Comics)のキャラクター、“ハーレイ・クイン”などがある。

 またグーグルでは、過去1年間で人気が上昇した多くの新たなポップカルチャーに影響を受けたハロウィン・コスチュームも見られた。「ハードセルツァー」(アルコール入りの炭酸水)のホワイトクロー(White Claw)を模したコスチュームの検索は14倍もの劇的な増加を見せた。今年公開されて大ヒットとなった映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」からも、クリス・ヘムズワース(Chris Hemsworth)演じる“おデブのソー”のコスチュームの検索が46倍も増加した。

 今夏にシーズン3が放送されたネットフリックスの「ストレンジャー・シングス」も今年ウィン・コスチュームのトレンドに影響を与えており、特にジョー・キーリー(Joe Keery)演じるスティーブとマヤ・ホーク(Maya Hawke)演じるロビンがアイスクリームショップ「Scoop Ahoy」で働いていたときに着ていた制服が人気だ。劇中に登場する怪物、デモゴルゴンの検索も3倍増加している。

 一方カップル用コスチュームの検索トレンドは、漫画や古典映画のキャラクターがいまだに人気だ。最も検索されたカップル用コスチュームはディズニー・チャンネル(THE DISNEY CHANNEL)の「リロ・アンド・スティッチ(Lilo and Stitch)」、続いて「俺たちに明日はない(Bonnie and Clyde)」、そしてニコロデオン(NICKELODEON)の子ども向け番組「Oops!フェアリーペアレンツ(Fairly OddParents)」のコスモとワンダだ。

 グループ用コスチュームでは、ディズニー映画「ディセンダント(Descendants)」が検索トレンドのトップだった。そしてビデオゲーム「フォートナイト」、ネットフリックスの「ストレンジャー・シングス」と続く。「トイ・ストーリー(Toy Story)」「パワーパフガールズ(The Powerpuff Girls)」「モンスターズ・インク(Monsters Inc.)」など多くの漫画作品や、80年代、90年代作品のコスチュームも多く検索されている。

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「ギャルソン」のショーも手掛けるジュリアン・ディスが参加 「マルニ」2020年春夏は花とクレイで作るアートなヘア

 ミラノ・ファッション・ウイークで発表された「マルニ(MARNI)」の2020年春夏コレクションは、ハンドペイントや刺しゅうなどで花をあしらった色とりどりのウエアをそろえ、環境問題に向き合う“花の戦士”を表現した。

 そんなメッセージ性の強いコレクションを語る上で欠かせないのが、ヘアアーティストのジュリアン・ディス(Julien d’Ys)の手掛けたヘアだ。芸術性の高いスタイルで知られる彼は今回、3色のクレイを使用。オールバックでまとめたモデルの髪にクレイをたっぷりと塗り、ドライヤーとスプレーで固めた。そして、そこに生花や大きな葉、ドライフラワー、ラフィアなどを自由に組み込み、一人一人異なるスタイルを作り上げることで、さながらアート作品のヘアを完成させた。

 「コンセプトは“saving the planet(地球を救うこと)”。ジャングルで暮らす強くワイルドな女性が現れたようなイメージだ。彼女たちはあらゆることにクレイを使う。それが、今回クレイを使った理由だ」とディス。「ブラジルのアマゾンが燃えていたりと世界で今起こっていることや地球をケアしなければいけないという強い思いが、花に溢れたコレクションを生み出した。そして、1960年代の権利を求め抗議運動をする強い女性たちや、(「武器ではなく花を」)という反戦のメッセージにつながった。だから、私は花や植物を取り入れたんだ。ただし、トライバルではなく、オーガニックな“生き物”のように仕上げることを意識した」とこだわりを語る。

 また、「いつもは『コム デ ギャルソン』のショーしか手掛けない」という彼が今回「マルニ」に参加したのは、フランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)=クリエイティブ・ディレクターのクリエイションに共感したから。「フランチェスコは夢にあふれた人で、彼がやっていることを見てきた。一緒に仕事をするのは初めてだったが、とても嬉しかったよ。今回のコレクションには、私がふさわしかったのだと思う。ノーマルであることは嫌いじゃないが、つまらないものに興味はないので、私は何かが起こるようなショーだけを手掛けている」。ミラノでは今季、「マルニ」に加え、ピカソの作品から着想を得た「モスキーノ(MOSCHINO)」のヘアも担当した。

 メイクのリードを務めたのは、ニューヨークを拠点に活躍するメイクアップアーティストのカブキ(Kabuki)。パウダーの印象も感じさせないような完璧でミニマルなルックを目指した。全体的に色味を使わずナチュラルに仕上げているが、運動後のアスリートの頬が少し赤らんだ状態をイメージしたチーク使いがポイントになっている。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める

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東コレ映像ダイジェスト 初日はYOSHIKIへのインタビューなど

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月19日まで開催されている。今季から、冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天に変わり、どのような変化が起きるのか注目される中、バイヤーやプレス、招待客しか入れないその“裏側”まで映像で追いかける。毎日、見所をダイジェスト形式でお届け。

 10月14日は「WWDジャパン.com」編集長のムラカミの前振りからスタート。YOSHIKI「ヨシキモノ(YOSHIKIMONO)」デザイナーへのインタビューや、「ティート トウキョウ(TIIT TOKYO)」「アクオド バイ チャヌ(ACUOD BY CHANU)」などをとらえた。

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東コレ映像ダイジェスト 初日はYOSHIKIへのインタビューなど

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月19日まで開催されている。今季から、冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天に変わり、どのような変化が起きるのか注目される中、バイヤーやプレス、招待客しか入れないその“裏側”まで映像で追いかける。毎日、見所をダイジェスト形式でお届け。

 10月14日は「WWDジャパン.com」編集長のムラカミの前振りからスタート。YOSHIKI「ヨシキモノ(YOSHIKIMONO)」デザイナーへのインタビューや、「ティート トウキョウ(TIIT TOKYO)」「アクオド バイ チャヌ(ACUOD BY CHANU)」などをとらえた。

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個性派メイクはスパークルアイから挑戦 ファッションフリークOL「WWDビューティ」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のビューティ週刊紙「WWDビューティ」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。

今日のニュース:P.6-7「個性に合わせた多彩なヘアメイクこそが多様性」

読み解きポイント「自由なので!ランウエイメイクも日常に落とし込む」

ニュースのポイント

 他の都市に先駆けいち早くダイバーシティーを訴えたニューヨークのデザイナーたち。ファッションと連動するようにビューティも多様な肌・髪質、骨格への対応が必要で、そのままの素材を生かすスーパーナチュラルルックや、画一的なヘアメイクではなく、モデルそれぞれの個性を生かした複数のヘアメイクを施すショーが増加した。2020年春夏コレクションでは61人のモデル全員に異なるヘアメイクを施した「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」を筆頭に、各々の個性を生かす自由なメイクがトレンドになった。

Azuはこう読む!

 来季のトレンドは?いま、ファッションが私たちに訴えかけるものは何かしら?ピュアに胸が高鳴る洋服は……?という観点でファッションウイーク眺めるのに加え、最近はビューティ沼にもハマり始めているのでランウエイメイクにも興味津々。今までは「そんな派手なメイク、日常で真似できるかーい!」と思っていたのですが(笑)、要素をピックアップしてミニマルに変換すれば、意外とデイリーにも応用できるのでバックステージのレポートもチェックが欠かせません。

 今回NYコレクションを眺めていて一番ときめいたのが、「マーク ジェイコブス」も手がけるヘアメイクアップアーティスト、パット・マクグラス(Pat McGrath)による「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」のギラギラスパークルメイク!あの夢のラッフルドレスの迫力にも負けないくらいのド派手メイクです。レッドブラウン、パープル、ピンク、シルバーのグリッターで眉まで覆ったアイメイク、そして耳を丸ごと&顔の輪郭を縁取りするように塗られたグリッターが、とにかくファビュラスでクール!中性的で力強い顔立ちのモデルが放つエレガンスを見事に引き出していました。

 日常でまるっと真似することは難しいですが、洋服と合わせた色使いやマットなリップ&スキンとスパークルな目元で作る面白いバランス感など、参考にできる箇所はたくさんあります。しかも使用したコスメは彼女のオリジナルブランド「パット マクグラス ラボ(PAT McGRATH LABS)」の製品なので、実際に購入できるのです。公式インスタグラム( @patmcgrathreal )ではショーのルックにしっかりショップナウ導線をつけているのでついチェックしてしまうのですが、「トモ コイズミ」で使われた10色入りのアイシャドウパレット「MothershipVI : Midnight Sun」は、お値段1万4000円。しかも日本へのシッピングがフリー……。はい、カゴまでは入れました。

 コスメは実物を見てから買いたい派なのでパリの「セフォラ(SEPHORA)」で買おう!と意気込んでいたのですが、どうやらパリでの取り扱いは無いようで落胆。とはいえECにはさまざまな肌色で試した画像や動画が豊富に掲載されているので十分分かりやすく、とりあえずミニパレットを注文しようかなと思っています。

 日本でキラキラ派手なメイクをするとヴィジュアル系?と言われそうですが(顔立ち的に無理ですが)、この秋冬はファッションの楽しみ方と同じように、自分の個性を無理なく際立たせるメイクをキラキラスパークルなアイシャドウで挑戦します。まずはアイブロウにラメをほんのり足すところから!

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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ガチャガチャカプセルからコーヒー豆!? 遊び心も味わいも満点なセルフカフェを体験

 都内屈指の絶景スポットで知られる六本木ヒルズ展望台。その「東京シティビュー」一角に、デザイナーの佐藤オオキ率いるネンド(NENDO)がプロデュースした日本初のコンセプトカフェ「ガチャガチャコーヒー(GACHA GACHA COFFEE)」が10月4日オープンした。その名の通り、ガチャガチャから出てきたコーヒー豆をグラインドからドリップまでセルフで楽しめるという、遊び心満載のコーヒーショップを実際に体験、レポートする。

 大手コーヒーチェーン店の仕事から請け負う仕事も多いという佐藤氏は、コーヒー店全体が抱える人手不足問題をデザインで課題解決できないか考えていたという。「コーヒーショップのスタッフは日々の業務に加え、覚えるべきことが山積み。美味しいコーヒーを提供するにはどうしても時間も要してしまうので、それがストレスに感じられるお客さまがいることも事実。お客さまにもスタッフにも心地よい時間を過ごしてもらうにはどうしたらいいか考えた結果、思いついたのがガチャガチャ。子どものころに感じたワクワク感を大人のカフェに生かせるのではないかと思った」と佐藤氏。懇意にしていた丸山珈琲に提案してみたところ、そのユニークなアイデアに賛同を得て監修が決まり、プロジェクトが動き出した。

 「ガチャガチャコーヒー」のステップは下記の通りだ。

コーヒー豆をワンコイン購入 気分で選べる5種+希少豆!

 コーヒー豆は全6種類。マットブラックとコッパーカラーの組み合わせが目を惹く。ガチャガチャには01~05の数字がナンバリングされ、気分や好みに応じてコーヒー豆を選べる。「?」のマークの入ったマシンには希少性の高いシークレットの豆が入る。豆の特徴は、苦味・酸味・香り・ボディの各項目を5段階評価で表示。コーヒー初心者であっても、自分好みのローストを選べるよう、スムーズに誘導してもらえるのが嬉しい。

01.ニエリ・ヒル(NYERI HILL):ピーチ、オレンジ、グレープの風味、華やかでジューシーな味わい。

02.キム・ジュン・ハン(KIM JUNG HAN):アップル、ブラウンシュガー、アーモンドの風味。バランスの良い味わい。

03.タイピプラヤ(TAYPIPLAYA):ダークチョコレート、ダークチェリーの風味。きめ細やかな質感。

04.オスカー・エルナンデス(ÓSCAR HERNÁNDEZ):ダークチョコレート、ブラックベリーの風味。重厚感のある味わいと長い余韻。

05.フェルナンド・リマ(FERNANDO LIMA):ダークチョコレート、アーモンドの風味。バランスの良い味わい。

セットするだけでカンタン豆挽き

 好みの豆が入ったカプセルを手に入れたら、次はコーヒーを挽く作業に。挽いた豆はグラインドカウンターの下にセットされたドリッパーに直接落ちていくのでとてもスムーズ。挽き終わりは取り出し口のライトがサインとなり知らせてくれる。

すっきり派?深煎り派?抽出方法も選べる

 ドリッパーごと取り出したら、グラインドカウンターの後ろに配置されたドリップカウンターへ。豆が入っているドリッパーを定位置にセットし、カップをフィルターの下に置けば準備完了。手元にあるタッチパネルで、軽くすっきりとした味わいに仕上がる「エクスプレス」と、甘みとコクの奥深い味わいが楽しめる「リッチ」の2種類から抽出方法が選べる。抽出時間は「エクスプレス」なら1分30秒、「リッチ」でも3分。コーヒーの香りに包まれ、待つ時間も楽しい。そして完成したコーヒーはもちろん挽き立て、淹れたてで、思わず「美味しい」と声が漏れるほどの、本格的な味わいだ。

アナログ感と分かりやすさを両立する店舗デザイン

 デザインコンセプトとして、「アナログ感を大事にしつつも、間違えてしまうことがないよう、誰にも伝わりやすい表現を心がけた」という佐藤氏。その言葉通り、初めてでも全ての過程はスムーズに進み、おいしいコーヒーと共に心地よい高揚感も味わうことができた。「今日体験した方から、『自分でコーヒーを淹れる過程で、気持ちが整っていく感じがした』と早速嬉しい感想をいただいた。新たなコーヒー体験を提供できたら」と語った。

 最高のクオリティーのコーヒーを、セルフのイメージを覆すユニークなアプローチで提供するコンセプトショップ「ガチャガチャコーヒー」。コーヒー豆から入れる楽しさと、本格派の味わいの両方を手軽に味わえて、ビギナーからコーヒー通まで楽しめる新しいシステムだと感じた。「東京シティビュー」で11月中旬まで開催した後、どう展開するかは未定だというが、引く手あまたになりそうな予感だ。

■ガチャガチャコーヒー
期間:10月4日~11月中旬予定
場所:六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー スカイギャラリー3
時間:10:00~22:00

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旭化成アドバンスとセーレンが受賞 下着の素材見本市「アンテルフィリエール 上海」リポート<前編> 

 9月26~27日の2日間、中国・上海展覧センターで「アンテルフィリエール上海(INTERFILIERE SHANG HAI)」が開催された。15の国と地域から集まった下着や水着、アクティブウエアの素材メーカーのほか、OEMやODMのメーカーなど約150社が出展して商談が行われた。日本からは旭化成アドバンス、セーレン、ヴィオレッタの3社が参加した。来場者の国別入場者ランキングでは中国、香港に次いで日本は3位、4位は韓国、5位は台湾と続いた。

 同展は「パリ国際ランジェリー展(SALON INTERNATIONAL DE LA LINGERIE)」や「アンテルフィリエール パリ」と同じユーロヴェット(EUROVET)の主催。会場内にはコンセプト パリ(CONCEPT PARIS)による2021年春夏のトレンドフォーラムが設けられ、現在のアジア市場に関する数々のセミナーが催された。オーガナイザーであるイベット・フー(Yvette Hu)=ユーロヴェット アジア マネージングディレクターは、来場者が昨年に比べ15%増加したことから「アジアで最もプロフェッショナルで質の高いBtoBのネットワーキングの場であることを証明した」と自信を見せた。

 3月に開催された「アンテルフィリエール 香港」同様、キーワードとなるのは“サステイナビリティー(持続可能)”や“サーキュラリティー(循環)”、“イノベーション(革新)”。主催者も出展社の53%はサステイナブルな製品を展開していることを強調し、サステイナブルな取り組みをするメーカーを紹介する「グリーンビレッジ(THE GREEN VILLEGE)」というコーナーを新設した。革新的な技術で環境保全に貢献することの重要性や、快適でありながらもボディーを美しく整える機能が求められる時代であることを強く印象付けた。

 また、同展では“レース”“ナチュラル”“ソリューション・デザイン”“サーフェス・デコレーション”“シェイプウエア”“審査員特別賞”の6つのカテゴリーで、革新的な製品を展開するメーカーに対しアンテルフィリエール賞が授与された。そのうちナチュラル賞を旭化成アドバンスが、ソリューション・デザイン賞をセーレンが受賞し、初日には授賞式が行われた。

 旭化成アドバンスの受賞の理由は、本来繊維として使用されないコットンの種のうぶ毛を原料とする再生繊維の「ベンベルグ(BEMBERG)」と、工場内で発生した不使用糸などを原料とするリサイクル型ポリウレタン弾性繊維の「ロイカEF(ROICA EF)」がサステイナブルな素材として高く評価されたため。ベンベルグはその質感と光沢感からヨーロッパで“ビーガンシルク”と呼ばれ、あらためて注目を集めている。

 セーレンは、体形補正のための着圧性と通気性を兼ね備えた「ビスコマジック(VISCOMAGIC)」と、高い伸縮性と反動性を持ち切りっぱなしにしてもほつないニット素材の「フレックスムーブ(FLEXMOVE)」という最先端の技術でボディーファッションに進化をもたらし、また同時に意匠性の高さも兼ね備えている点が高評価につながった。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

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編集長は先週何した? 「グッチ」の球根を育て、「バーバリー」の店長会に出席、メガネ大賞授賞式で重責を思う

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向(むこう)です。台風19号は恐ろしかったですね。被害に遭われた皆さまに謹んでお見舞い申し上げます。そして一日でも早く平穏な日常に戻れますよう、心からお祈り申し上げます。

 先週はパリコレ情報のアウトプットや年末年始の特集の打ち合わせなど内勤が多く、写真に残したネタは少なめでした。会議ばかりしていたらあっという間に年末が来そうです。さあ、今週は「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week Tokyo)」です!

10月6日(日)
帰国をしたら「グッチ」が
次の芽を出していた

 パリから帰国した翌日。ベランダに放置していた植木鉢に芽が出ていました(写真5枚目)。枯れてしまったと思っていたからその生命力に驚きです。

 植えていたのは、以前「グッチ(GUCCI)」からもらった球根(写真1枚目)でした。何の球根か説明がなかったのでまずはネットで調べておおよそ識別(写真2枚目)。それぞれに育て方があるのでしょうが、絵のように“咲き乱れ”させたいというエゴを優先し今春、やや強引に一つの鉢に植えました。結果、ヒヤシンスなどがきれいに咲いて(写真3、4枚目)万々歳でしたが、予想と違ったのは“ひとつの花が咲き終わる頃に次の花が咲く”という現実。「グッチ」の“フローラ” のように“咲き乱れる”のは理想の姿でした。

 それにしても球根は大切に扱うと繰り返し花を咲かせるのですね。今季の「グッチ」が見せたサステイナビリティーのメッセージが頭をよぎります。繰り返し咲かせることができたらアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)「GUCCI」クリエイティブ・ディレクターに報告しようと思います。

10月8日(火)
メガネ大賞授賞式で重責を思う

 国際メガネ展IOFT内で開かれた「メガネ大賞2020」の授与式に審査委員として出席しました。応募製品と真剣に向き合い選びましたが、受賞で喜ぶ方の笑顔や、逆にグランプリを逃してがっかりする人の声を聞くと責任の重さを感じます。一つの製品には長い時間をかけた開発やデザインのこだわりが詰まっているのだから当然ですよね。隣に座った海外からの受賞者の方はグランプリを逃したことが本当に悔しそうで、通訳の方に他社製品の特長を事細かに聞いていました。こうやって研究のきっかけになるのもアワードの意義ですよね。

 IOFTはアジア最大のメガネの国際商談展で、会場は東京ビッグサイト内に新しく完成した南棟でした。東京ビッグサイトは2020年東京オリンピック・パラリンピックでメディアセンターとして活用されることから、一部はすでに準備工事に入っています。南棟へ向かう歩道からは東京湾が臨めて開放的です。

 主催社であるリード エグジビジョン ジャパンの皆さんはいつ何時もやる気に満ち満ちていて営業力が高く関心していますが、それを象徴するのが会場入り口にドカンと張られている「次回出展申込受付中」パネルだと思います。文字通り、次回のIOFTの予約を受け付けるマップで、予約が入った場所がマークされています。迫力あります。ストレートで分かりやすい訴求って大事です。

10月8日(火)
タクシーに乗ったら!

 タクシーに乗ったら「WWD JAPAN.com」の記事が流れてきたので慌てて連写。突然のシャッター音に運転手さんがビク~ッ!!としていました。ごめんなさい。外で自社の広告を見るのってソワソワします。外出先で家族と会うと照れ臭い感じとでもいいましょうか。タクシー内の広告は、業務効率化のCMが多いからいい意味で目立ってよい感じ。今秋から10都市で流しており、都内は9200台が該当します。当たったらラッキーと思ってくださいね!

10月9日(水)
「バーバリー」店長会で饒舌になる

 「バーバリー(BURBERRY)」の店長会に呼んでいただき、ラグジュアリービジネスの傾向やその中での「バーバリー」の位置づけについてなど、話をしました。人前での話は慣れている方ですが、「バーバリー」を熟知している人たちの前で「バーバリー」について語るのはさすがに少し緊張します。

 こういった登壇の場で自分に言い聞かせているのは「日頃考えていること以上は話せないのだから無理して良い事を言おうとしない」と「目の前にいる人たちと対話をしながら話す」です。こちらからの一方的な話であっても、聞き手の空気は十分伝わってくるので、その空気を受け止めながら「ん?通じてない?」と思ったら言葉を代えて言い直したり、聞き手に助言を求めたりしながら場を作り上げるようにしています。店長の皆さんに伝わっていますように!

 終わってから、バーバリー・ジャパンの皆さんと記念撮影。左から、山口エマ=マーケティング&コミュニケーション ディレクター、自分、小田切賢太郎社長、吉場拓リテールトレーニング&エデュケーションシニア マネージャー。トーマス・バーバリーのTBポーズを教わりましたが、私だけできてないみたいです。

10月10日(木)
最新号「ミラノ詳報」の責了と
本日のおやつ

 サステイナビリティーに関するアクションは2020年春夏コレクション全体を通じての大きなテーマとなりました。ミラノ・コレクションはそこにどのような答えを出したのか!?特集をぜひご覧ください。おやつは寒くなると食べたくなるスターバックスのこれ。

10月14日(月)
乳がんと闘う女性たちと
学生のコラボ

 乳がんを経験した女性たちと学生との協業によるファッションショーのキックオフミーティングに参加しました。ショーの舞台は、セレクトショップのイザ(IZA)が毎年開催しているチャリティーイベント「イザ ピンク クリスマス(IZA PINK CHRISTMAS)」。このイベントは、乳がん検診の重要さを啓もうするのだ!同時にファッションの楽しさ美しさを伝えるのだ!!その2つは相反しないのである!!!という強い信念を持つイザの田中タキ代表のパッションと行動力から生まれたもので、その主旨に賛同して私も毎年参加しています。

 学生は大阪文化服装学院のスタイリストマスター科の皆さん。モデルとなる女性たちの中には乳房を全摘出している方もいます。でも大事なのは、そこだけではありません。それは彼女たちのひとつの側面。乳がん(も)経験した女性たちの人生を丸っと輝かせるスタイリングができるのか。学生たちの聞き出し引き出す力と、本人の予想を上回るような提案力が問われます。さてどんな仕上がりになるのか。楽しみです。

 ミーティングの後はプロのモデル園田マイコさんによるウォーキングレッスンも。歩き方が変わると皆、グイっときれいになります。

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連載「東コレに伝えたい」デザイナーたちの本音 Vol.2 「新たな東京カルチャーの一端を担うイベントになってほしい」

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏の「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月14〜19日に開催される。冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天に変わって初めてのファッション・ウイークとなるため、関係者からの注目は高い。しかし結局は、人を呼べるブランドが参加しないとファッション・ウイークは盛り上がらない。そこで、海外で活躍する日本人デザイナーや「RFWT」に参加するブランド、新進気鋭の若手らに「どんな東コレだったら参加したい?」というテーマでアンケートを実施した。「RFWT」開催期間中から10月28日の「WWDジャパン」東京ファッション・ウイーク特集発売の週まで、回答の一部を連載形式で紹介する。今回は、東コレに初めて参加する「ノントーキョー(NON TOKYO)」の市毛綾乃デザイナーが登場。

NON TOKYO
市毛綾乃デザイナー

 世界で認知されている東京のストリートカルチャーと東コレの距離が今よりもっと近づいてほしいなと夢見ています。ファッションが好きなさまざまな人が参加でき、新たな東京カルチャーの一端を担うイベントになれば素敵ですね。

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「成熟した女性のイメージを、ずっと追い続けている。22歳の時にもらった「ディオール」の香水に、大人の女のイキさを感じて以来ずっと」 by コシノヒロコ

コシノヒロコ 「ヒロココシノ」デザイナー

 成熟した女性のイメージを、ずっと追い続けている。22歳の時にもらった「ディオール」の香水に、大人の女のイキさを感じて以来ずっと。(Vol.119 1983年10月10日)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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3人の東コレ担当記者が選ぶ1日目の“私的BEST LOOK”

 10月14日から19日までの6日間、楽天を初の冠スポンサーに迎えた2020年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が開催される。期間中は、非公式スケジュールを含めると50近いブランドがランウエイショーやイベントを行い、合計すると1000近いルックが披露される。しかし、よっぽどのことがない限り全てのルックをチェックするのは難しい。

 そこで「RFWT」を取材する3人の「WWDジャパン」記者が、各日の“私的BEST LOOK”をご紹介。東コレを4年連続で取材する30代男性記者K.O、海外コレクションの取材経験も豊富な女性記者M.O、東コレにはスナップカメラマンとして参加していた20代男性記者R.Oという、偶然にもファミリーネームが「O」縛りの3人が選ぶルックとは?初日に登場した「ヨシキモノ(YOSHIKIMONO)」「ディスカバード(DISCOVERED)」「ティート トウキョウ(TIIT TOKYO)」「タチアナ・パルフェノワ(TATYANA PARFIONOVA)」「アクオド バイ チャヌ(ACUOD BY CHANU)」の5ブランドから3ルックをピックアップしお届けする。


男性記者K.O
TIIT TOKYO / LOOK 23

 カラーリングが鮮やかな印象があった「ティート トウキョウ」ですが、今シーズンはなんだかグレイッシュで落ち着いたトーン。途中までは正直、(あれ?ちょっと物足りないぞ)と感じていたのですが、岩田翔デザイナーの「雨の都市を表現した」という理由を聞いて納得。曇天好きの僕は一気に共感しました。単純ですね。素材の切り替えでメリハリをつけたり、細かい刺しゅうで市松模様を描いたりするテクニックよりも、渋い色使いだからこそより際立った心地よさそうな素材感のこのルックが今日イチでグッときました。リアルクローズに徹したメンズも捨てがたかったのですが、欲をいえばウィメンズのキャッチーさを取り入れたメンズも次回は見てみたいです。


女性記者M.O
TATYANA PARFIONOVA / LOOL 11

 ロシア・サンクトペテルブルク出身のベテランデザイナーが、東京で初のショーを行いました。画家の家系ということもあり、絵画を繊細な刺しゅうで再現し、アートとファッションの融合を試みているようです。テーマに掲げた“黒いとんぼ”は、チュールを重ねた装飾から羽根の透け感をイメージできます。クロード・モネの「睡蓮」を彷ふつとさせる刺しゅうからは、職人技のすごさがダイレクトに伝わってきました。


男性記者R.O
YOSHIKIMONO / LOOK 30

 実は呉服屋の子どもというバックグラウンドを持つYOSHIKIが、3年ぶり3度目となる「ヨシキモノ」のショーを披露しました。これまでのショーも観てきたのですが、毎回着物への造詣の深さと伝統を重んじているからこそのYOSHIKIらしい柔軟な発想には驚かされます。特に今回は、若者にも親しみやすいようにメタリックな素材を採用したり、自身が主人公でスタン・リー(Stan Lee)原作の「ブラッド・レッド・ドラゴン(Blood Red Dragon)」と「進撃の巨人」を着物に落とし込んだりと離れ業を披露。「着物にアニメなんて!」と考える方もいるかもしれませんが、今やアニメは着物と同じく日本を代表する文化の一つ。賛否両論があるかもしれませんが、「進撃の『ヨシキモノ』」。僕は好きです。

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「ヨシキモノ」ショー後のYOSHIKIに一問一答 着物に「進撃の巨人」のプリント、「スパイダーマン」の父へのオマージュも

 X JAPANのYOSHIKIは10月14日、自身の着物ブランド「ヨシキモノ(YOSHIKIMONO)」の2020年春夏コレクションを「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」で披露した。3度目のファッションショーとなった今回も、「伝統と革新の融合」をテーマに京都の老舗織物メーカーのスコープココとの協業で制作。

 ショーの序盤はドレス風にスタイリングした着物、終盤には本人のピアノ演奏とともにアニメ「進撃の巨人」などのプリントを用いた着物を発表した。ショー終了後に囲み取材に登場したYOSHIKIの回答を一問一答形式で公開する。

―今日のファッションショーを終えた感想を教えてください。

YOSHIKI:もともと僕は呉服屋の長男だったんですが、ミュージシャンの道に進みました。ずっと日本の着物文化を広めたいという思いがあった中で、今日伝統的な着物と冒険的な着物の両方をショーで見せることができてうれしく思っています。

―日本の着物を世界へ紹介していきたいという思いを持っているが、特に若い世代へはどのように訴求したいか?

YOSHIKI:着物産業はこの10年以上低迷していて、業界の方達と一緒にどう復活させることができるかを考えてきました。若い人たちに興味を持ってもらえるように刺激を与えられる、ロックンロールのテイストや、アニメを融合しました。それにより伝統的な着物と、革新的な「ヨシキモノ」の両方を日本だけでなく、世界の人々に広められると思っています。いずれも従来の着物としても、ドレスとしても着ることができるもの。これは挑戦的ではありますが、20〜30年前には僕がXジャパンとして日本にロックンロールを広めようと活動して、それを浸透させることができたように、着物の産業を広めていきたいです。

―ショーの演出でこだわった部分は?コラボレーションしたアニメについても詳しく教えてください。

YOSHIKI:私が手掛ける着物のショーも、クラシックのショーも、ロックのショーも全てにおいて、お客さまには何かしらの刺激を持って帰っていただきたいと思っています。良くても悪くても何かを考えさせられるものにしたい。こだわっている点として、今回はサステイナビリティーを意識して、化学染料を一切使用しない藍染の着物も出しています。僕は1年間の8割は日本以外の国にいるほど海外での活動が多いですが、海外でではアニメのファンに会うことが多く、日本のアニメーションの素晴らしさを感じることがよくあります。アニメでは、僕が主題歌を手掛けたこともある「進撃の巨人」や、「スパイダーマン(Spider Man)」などで知られる米マーベル・コミック(MARVEL COMICS)のスタン・リー(Stan Lee)が描いた「ブラッド・レッド・ドラゴン(Blood Red Dragon)」の絵を取り入れています。「ブラッド・レッド・ドラゴン」は実は僕が主人公になっているんです(笑)。スタンは昨年亡くなってしまいましたが、その追悼の意味も込めて作りました。僕みたいなファッション業界では駆け出しの者がこんな冒険的なものを出していいのか迷いましたが、周りに「YOSHIKIさんならやっていいんじゃないですか」と背中を押してもらいました。ショーの中で披露した曲は少しEDMっぽくエッジの利いたものを選び、モデルもアジア人だけでなくさまざまな人種を起用して、着てもらうことを考えました。

―12、13日と大きな台風が日本に上陸し、甚大な被害を受けた人も多い。9月の台風14号のときには実際にボランティアも行なったが?

YOSHIKI:僕はチャリティー活動を長く行って来ました。これまで寄付は頻繁に行ってきましたが、9月には初めてボランティア活動として現地に足を運び、自分の目で見てきました。最初の1時間は誰かに気付かれているんじゃないかと思うこともありましたけど、一緒に必死でボランティア活動に勤しむ人たちの姿に心を打たれて、(YOSHIKIだと思われてもどうでもいい。このミッションを果たすんだ)という思いが込み上げてきました。今回の台風でもできることは全力で尽くしたい。僕自身の人生も父親を亡くしたり、バンドメンバーを失ったりとしたとき、ファンの皆さんに助けられて生きてきたので、恩返しをしたいんです。今回被害に遭われた方には1日でも早い復興をお祈りしております。

―ファンの皆さんに一言お願いします。

YOSHIKI:今日のファッションショーは、僕だけではなく素晴らしいチームの方が集まってできました。この17分のために数百人の方が関わってくださったことに感激しております。台風の影響もありますが、僕もほぼ48時間徹夜をしています。今日はこれから幕張でのフェスティバルにも出る予定なのですが、まずこのショーが無事に終わってよかった。あまりにも寝ていなかったので、ショーのフィナーレで花吹雪が出てきたときには「僕は夢を見ているのかな?これは現実かな?」と幻想的な世界に入ってしまいました(笑)。ファッション業界の中ではまだまだ学ばなければいけないことがたくさんありますが、僕はある種の固定観念を破壊しながら、日本の着物を広く伝えていきたいと思っています。

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初の「楽天 ファッション ウィーク東京」が開幕 X JAPANのYOSHIKIによる「ヨシキモノ」がトップバッターを飾る

 楽天が初の冠スポンサーを務める2020年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が、公式会場の渋谷ヒカリエで10月14日に開幕した。19日までの期間中、約40ブランドがランウエイショーやイベントを行い最新コレクションを披露する。

 記念すべき初の「RFWT」のオープニングを飾ったのは、3年ぶり3度目のランウエイショーとなったX JAPANのYOSHIKIによる着物ブランド「ヨシキモノ(YOSHIKIMONO)」。ショーは予想を超える人数が駆けつけたこともあり、30分押しでのスタートとなった。

 伝統的な着物にリスペクトしながら、前半では「ヨシキモノ」が得意とする着物をオフショルダーのドレスとして提案。後半はスタン・リー(Stan Lee)原作の漫画でYOSHIKIが主役の「ブラッド・レッド・ドラゴン(Blood Red Dragon)」や「進撃の巨人」をプリントした着物が登場した。「日本や世界の若い人たちに着物のよさを伝え興味を持ってもらえるようロックンロールやアニメの要素を取り入れたが、冒険だった」とYOSHIKI。素材でもメタリックなものを採用するなど、エッジの利いたYOSHIKI流“ロックンロールな着物”を披露した。

 またサステイナビリティー(持続可能性)を意識し、化学染料を一切使用していない藍染の着物が登場したほか、「いろいろな人種の人に着て欲しかった」との思いでブランド初となる黒人モデルがランウエイを歩いた。

 フィナーレでは、ランウエイ中央に置かれた特製のクリスタルグランドピアノでYOSHIKIが生演奏を披露し、天井からはバラの花びらが舞い落ちる華やかな幕切れとなった。

 初日はこの後、4シーズンぶりの東コレ復帰となる「ディスカバード(DISCOVERED)」がインスタレーションを披露するほか、初参加の「タチアナ・パルフェノワ(TATYANA PARFIONOVA)」や「ティート トウキョウ(TIIT TOKYO)」がランウエイショーを行う。

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ファッション通信簿Vol.33 2020年春夏ファッション・ウイークに現れたセレブたちのスタイルを米「WWD」がめった切り

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第33回は、パリ、ミラノ、ロンドンの2020年春夏シーズンのファッション・ウイークから、リタ・オラ(Rita Ora)、イリーナ・シェイク(Irina Shayk)、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)、カーディ・B(Cardi B)、ベラ・ハディッド(Bella Hadid)、カイア・ガーバー(Kaia Gerber)、ジジ・ハディッド(Gigi Hadid)、ケイト・モス(Kate Moss)が登場。世界中からファッショニスタたちが集うファッション・ウイーク――コレクション期間中のセレブたちに下された評価とは⁈

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ファッション通信簿Vol.33 2020年春夏ファッション・ウイークに現れたセレブたちのスタイルを米「WWD」がめった切り

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第33回は、パリ、ミラノ、ロンドンの2020年春夏シーズンのファッション・ウイークから、リタ・オラ(Rita Ora)、イリーナ・シェイク(Irina Shayk)、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)、カーディ・B(Cardi B)、ベラ・ハディッド(Bella Hadid)、カイア・ガーバー(Kaia Gerber)、ジジ・ハディッド(Gigi Hadid)、ケイト・モス(Kate Moss)が登場。世界中からファッショニスタたちが集うファッション・ウイーク――コレクション期間中のセレブたちに下された評価とは⁈

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連載「東コレに伝えたい」デザイナーたちの本音 Vol.1 「東コレを『ダサい』で終わらせている時点でブランドにそれ以上の伸び代なし」

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏の「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月14〜19日に開催される。冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天に変わって初めてのファッション・ウイークとなるため、関係者からの注目は高い。しかし結局は、人を呼べるブランドが参加しないとファッション・ウイークは盛り上がらない。そこで、海外で活躍する日本人デザイナーや「RFWT」に参加するブランド、新進気鋭の若手らに「どんな東コレだったら参加したい?」というテーマでアンケートを実施した。「RFWT」開催期間中から10月28日の「WWDジャパン」東京ファッション・ウイーク特集発売の週まで、回答の一部を連載形式で紹介する。今回は、10月11日にオフスケジュールでショーを行った「マラミュート(MALAMUTE)」の小高真理デザイナーと、東京から海外に飛躍した「ファセッタズム(FACETASM)」の落合宏理デザイナーが登場。

MALAMUTE
小高真理デザイナー

 東コレに参加し、ブランドの認知度向上やイメージの確立に役立ちました。ただせっかく参加するのならば、ブランド単体では借りることが出来ない東京ならではの建造物など、メイン会場以外の提案もほしいです。またオーダーの締めや生産、納期のことを考えると少しでも早い方がより参加しやすくなります。

FACETASM
落合宏理デザイナー

 東コレに参加したことで、国内外のさまざまな人に見ていただくことが増え、認知度が上がったことが世界でデビューするきっかけとなりました。中でも、東コレを介してジョルジオ・アルマーニさんの目に留まり、ミラノメンズの公式スケジュールでショーを発表する機会を頂いたことはブランドにとって大きな転機になりました。だから東京でファッションを発表できることは、本当に貴重なこと。ブランドが表現したいことが明確であれば、やり方次第で東京から世界に面白い発信はいくらでもできます。東コレを「盛り上がっていない」や「ダサい」などで終わっている時点で、ブランドにそれ以上の伸び代はないんじゃないかな。

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 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が運営する2020年春夏の「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月14〜19日に開催される。冠スポンサーがアマゾン ファッションから楽天に変わって初めてのファッション・ウイークとなるため、関係者からの注目は高い。しかし結局は、人を呼べるブランドが参加しないとファッション・ウイークは盛り上がらない。そこで、海外で活躍する日本人デザイナーや「RFWT」に参加するブランド、新進気鋭の若手らに「どんな東コレだったら参加したい?」というテーマでアンケートを実施した。「RFWT」開催期間中から10月28日の「WWDジャパン」東京ファッション・ウイーク特集発売の週まで、回答の一部を連載形式で紹介する。今回は、10月11日にオフスケジュールでショーを行った「マラミュート(MALAMUTE)」の小高真理デザイナーと、東京から海外に飛躍した「ファセッタズム(FACETASM)」の落合宏理デザイナーが登場。

MALAMUTE
小高真理デザイナー

 東コレに参加し、ブランドの認知度向上やイメージの確立に役立ちました。ただせっかく参加するのならば、ブランド単体では借りることが出来ない東京ならではの建造物など、メイン会場以外の提案もほしいです。またオーダーの締めや生産、納期のことを考えると少しでも早い方がより参加しやすくなります。

FACETASM
落合宏理デザイナー

 東コレに参加したことで、国内外のさまざまな人に見ていただくことが増え、認知度が上がったことが世界でデビューするきっかけとなりました。中でも、東コレを介してジョルジオ・アルマーニさんの目に留まり、ミラノメンズの公式スケジュールでショーを発表する機会を頂いたことはブランドにとって大きな転機になりました。だから東京でファッションを発表できることは、本当に貴重なこと。ブランドが表現したいことが明確であれば、やり方次第で東京から世界に面白い発信はいくらでもできます。東コレを「盛り上がっていない」や「ダサい」などで終わっている時点で、ブランドにそれ以上の伸び代はないんじゃないかな。

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チョコレート業界はこの時季からが勝負  スペイン王室御用達ショコラティエ「カカオサンパカ」の新作は?

 チョコレート業界は、残暑が終わり涼しくなってきた10月からクリスマスやバレンタインに向けて本格的な商戦がスタートする。そのハイシーズンに向け、今から新作発表が行われる。日本に輸入される海外ブランドのチョコレートは多数あれど、“スペイン王室御用達”をうたい格の高さで知られるのが「カカオサンパカ(CACAO SAMPAKA)」だ。同ショコラティエでは毎年10月1日に新作を発表している。東京・丸の内本店で開かれた「2020年 新作発表会」の模様をレポートする。

 「カカオンサンパカ」は、スペイン・バルセロナで1920年に創業した歴史あるチョコレートブランド。実はスペインはチョコレート文化発祥の地ともいわれ、バルセロナには名店がそろう。その中でも一つ頭が抜けた存在の「カカオンサンパカ」は、かつてアフリカにあった世界最高峰のカカオ農園の名前を冠し、カカオの文化と歴史を伝える役目を担っている。植物油脂を一切用いず、カカオバターを高配合することでベタつきのないすっきりとした甘さを実現。コーヒーだけでなくワインやラム、シャンパン等との相性もよく、丸の内本店には男性客も多く訪れるという。

 ブランドを代表するのが、常時35〜40種類ラインアップするというタブレットシリーズ“ラジョラス”だ。割りやすさと口溶けのよさを考えた厚さ5mmのタブレットは、目を引くスタイリッシュなルックスが特徴的で、ホワイトデー需要ナンバーワンというのも納得だ。タブレットシリーズの中での一番人気は、“ロサス イ フレサス(バラ&いちご)”。華やかな香りがふわっと広がり、サクサクとした食感と共に自然な甘さが口の中に広がる。白とピンクがかわいらしく、そしてホワイトチョコレート特有の強い甘さがないため、幅広い層からの支持を集めているという。

 同シリーズは常時全種類が試食可能ということもあって、おすすめを試食してみた。「王のカカオ」と呼ばれるショコヌスコを配合した“ショコヌスコ カカオ70%”は、口に入れると類い稀な香りと味わいが広がる隠れた人気商品。ダーク系ながらも重くなく、カカオの味わいをじっくりと楽しめるバランスのよさが魅力だ。

 続いて試食した“メキシコカカオ100%”は、上級者向きと思いきや、味わい深い苦味が病みつきになりそう。「その年ならではの味わいが楽しめると、カカオ高配合のチョコほどリピーターが多い傾向。楽しみながらポリフェノールも摂れるので健康志向の男性にもよく売れている。タブレットシリーズはすべて試食可能なので、今の気分に合う一つをゆっくり選んでほしい」と大橋なみか・営業企画部担当。まるでワインや香水のように、マニアックに掘り下げたくなる世界が広がっている。

 スタイリッシュでクールな印象の「カカオサンパカ」だが、クリスマスシーズンにはベアをかたどった愛らしいチョコが登場する。昨年限定で発売したところ好評を博し、今年は2サイズ、各3種、計6種を発売。チョコレートには7mmの厚さがあり、食べ応えも十分だ。価格も大きいサイズで1万円前後、小さいサイズで2916円とあって、人とはちょっと差をつけたいギフトとして最適だ。

 「カカオサンパカ」は、来年が創業100周年のメモリアルイヤー。伝統と革新を重んじながら独自の世界観を確立するショコラィエの次なる展開に注目だ。

CACAO SAMPAKA(カカオサンパカ)
住所:東京都千代田区丸の内2-6-1丸の内ブリックスクエア1F
TEL:03-3283-2238
営業時間:11:00~20:00

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金色の輝きからピカチュウまで 今年もクリスマスコフレの季節到来

 今年もクリスマスコフレの季節が到来した。赤や金色のキラキラが輝くアイテムから、白鳥のモチーフやヒョウ柄、さらにはピカチュウまで今年は例年に増して華やか。限定カラーや特別仕様のパッケージ、オリジナルのポーチなど、注目したいブランドのホリデーコレクションをお届け。発売・予約スケジュールも要チェックだ。

ブランド別【A〜F】

ブランド別【G〜N】

ブランド別【P〜Y】

予約・発売スケジュール

10月18日(金)発売
・「ジバンシイ」のクリスマスコレクション(予約受付中)
・「ディオール」のクリスマスルック第1弾
・「ボビイ ブラウン」のホリデーコレクション第1弾

10月21日(月)発売
・「クレ・ド・ポー ボーテ」のホリデーコレクション(予約受付中)

10月23日(水)発売
・「クリスチャン ルブタン」のホリデーコレクション
・「ロクシタン」のホリデーコレクション第1弾(予約受付中)

10月25日(金)発売
・「エスティ ローダー」のホリデーコレクション第1弾
・「M・A・C」のホリデーコレクション第1弾(10月18日から予約受付)

11月1日(金)発売
・「RMK」のホリデーコレクション第1弾(10月18日から予約受付)
・「イヴ・サンローラン」のノエルコレクション第1弾
・「エスティ ローダー」のホリデーコレクション第2弾
・「サボン」ホリデーコレクション第1弾
・「SHISEIDO」のホリデーコレクション
・「ジルスチュアート」のホリデーコレクション(10月18日から予約受付)
・「シャネル」のホリデーコレクション
・「ジョー マローン ロンドン」のホリデーコレクション第1弾
・「シュウ ウエムラ」のホリデーコレクション第1弾(10月25日から予約受付)
・「スック」のホリデーコレクション第1弾(10月25日から予約受付)
・「ディオール」のクリスマスルック第2弾
・「NARS」のホリデーコレクション第1弾(10月18日から予約受付)
・「ニールズヤード」のホリデーコレクション第1弾
・「フローラノーティス ジルスチュアート」のホリデーコレクション
・「ポール & ジョー ボーテ」のクリスマスコレクション(10月18日から予約受付)
・「ボビイ ブラウン」のホリデーコレクション第2弾
・「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ」のホリデーコレクション(10月25日から予約受付)

11月7日(木)発売
・「ニックス プロフェッショナル メイクアップ」のホリデーコレクション

11月8日(金)発売
・「M・A・C」のホリデーコレクション第2弾

11月15日(月)発売
・「エスティ ローダー」のホリデーコレクション第3弾
・「RMK」のホリデーコレクション第2弾
・「シュウ ウエムラ」のホリデーコレクション第3弾(11月1日から予約受付)

11月20日(水)発売
・「ドルチェ&ガッバーナ ビューティ」のホリデーコレクション
・「ニールズヤード」のホリデーコレクション第2弾
・「ロクシタン」のホリデーコレクション第2弾(10月23日から予約受付)

11月21日(木)発売
・「サボン」ホリデーコレクション第2弾

11月22日(金)発売
・「NARS」のホリデーコレクション第2弾(11月1日から予約受付)

11月29日(金)発売
・「ボビイ ブラウン」のホリデーコレクション第3弾
・「M・A・C」のホリデーコレクション第3弾

12月1日(日)発売
・「RMK」のホリデーコレクション第3弾
・「イヴ・サンローラン」のノエルコレクション第2弾
・「スック」のホリデーコレクション第2弾(11月24日から予約受付)

12月4日(水)発売
・「エスティ ローダー」のホリデーコレクション第4弾

12月11日(水)発売
・「ロクシタン」のホリデーコレクション第3弾(11月20日から予約受付)

2019年クリスマスコフレの最新情報はこちらから

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「世界平和は服でできるんじゃないか」 「マトフ」デザイナーと哲学者が語る服の可能性

 7月に刊行された堀畑裕之「マトフ(MATOHU)」デザイナーによるエッセイ集「言葉の服 おしゃれと気づきの哲学」の刊行記念イベント「日本の眼(美意識)を生活にどう活かすか?」が代官山蔦屋書店で開催された。

 イベントには堀畑デザイナーと、民藝研究などを専門とする哲学者の鞍田崇・明治大学理工学部准教授が登壇。同志社大学大学院哲学専攻修士課程を修了した堀畑デザイナーは、哲学的な視点をどう結びつけて服作りに取り組んでいるのか。また、民藝を専門とする研究者から「マトフ」の服作りはどのように見えているのかを知りたくイベントに参加した。

日本独自の美意識とは何か?

 トーク前半では、「マトフ」が2010年秋冬から18年秋冬までの17のコレクションでテーマとしてきた“日本の眼”シリーズから4シーズンを取り上げて解説。各テーマのモチーフやアイテムを堀畑デザイナーが紹介しつつ、鞍田准教授がそれぞれの言葉の語源やそれにまつわるエピソードを挿入しながら、そこから得られる美意識を暮らしに生かす方法が語られた。

 この“日本の眼”という言葉は民藝運動の主導者である柳宗悦による同名評論文から取ったという。「近代化で失われた美意識とは何か?という柳の問題意識を継承しつつ、文化が均質化したグローバル社会における日本独自の美意識とは何か?という問いを加えてコレクションを発表してきた」という言葉から、“日本の美意識が通底する新しい服の創造”をコンセプトに掲げる「マトフ」の独自性を感じた。

 「風土に根差した美意識を客観的に見るだけではなく、“自分ごと”として新しい見方を身につけるということをしたい。日本人は日本の美意識に対してほとんど外国人みたいなものです。ほぼ完全に西洋化の中にあるので、それを今から変えることはできないですけれども、せめて美意識を変えていくことはできるんじゃないかなと思っています」(堀畑)。

「マトフ」2020年春夏コレクションのテーマは“藍の源流”。19年春夏から風土に根差したものづくりに着目した“手のひらの旅”というシリーズを始めている。今シーズンでは日本古来の天然染料である藍に注目していた

「作ることは汚すことです」

 ここで印象的だったのは、“ふきよせ”のモチーフの一例として紹介した人間国宝である染織家の志村ふくみ氏に関する話題。鞍田准教授は過去に志村氏と共に登壇したイベントを回想する。

 「ふくみさんは『作ることは汚すことです。もともと自然にあるものはそのままの姿で美しいはずなのに、人が手を加えるということは汚すことなんだと自分は常々思っている』と言ったんです。天然素材で草木染めをされている方が自分の仕事を否定的な言質で語られるとは思ってもいなかった。謙虚に自然に向かっている姿勢があることを思い知らされてグサリときました」(鞍田)。

 たとえ天然素材を使っているとしても、ものを作るということは環境になんらかの影響をもたらす――本題から逸れた余談の場面ではあったのだが、昨今話題となるサステイナビリティーの考えにも通ずる含蓄ある話に思えた。

服から始まる世界平和

 「“日本の眼”とは遠くの完璧な美からではなく、身近な自然や生き方の中に美しさの水源を見つけることです。それは日本人にしか分からないというわけではなく、日常性を土台にしているからこそ国境や人種を超えて分かり合える可能性があるのではないかと考えています」(堀畑)。

 鞍田准教授は「マトフ」の姿勢を「日本独自の地域性や個別性というフィルターを通して普遍的なものを追求している」と評価し、民藝に通じる価値観を見出したようだ。

 着物を着たときの洋服とは違う身体感覚に驚き、その経験をきっかけに日本のアイディンティティーへの探求心が芽生えて「マトフ」を設立することになったと話す堀畑デザイナー。京都で着物を着て楽しむ外国人旅行客を例に、地域の風土から生まれる衣服を着ることで、身体的に他の文化や思想を分かりあうことができるのではと主張する。

 さらに発展してこう話す――「世界平和は服でできるんじゃないか」。

 「服を着るという体を通したコミュニケーションから、すこしの『いいな』がちょっとずつでも広がれば、その人個人の中だけでも違う意識が出てくるんじゃないかなと思いますね。壊れかかっている世界の調和みたいなものに、本当にすこしかもしれないけれども、なにか貢献できることがあるんじゃないか――そういう気持ちで服を作っています」。堀畑デザイナーが自身の服作りへの壮大な思いを語り、トークイベントは終了した。

 一度立ち止まって、慣れ親しんだ身の回りの世界を丁寧に見渡すこと。大きな主語に依ることも、ありものの美辞麗句を借りることもせず、自分なりの言葉を紡いでみること。そのような姿勢があれば、堀畑デザイナーが言うように世界平和は実現できるのかもしれない。

 終始平易な言葉を使っていた2人の議論は、衣服という日常にありふれたものから世界を語るところまで発展した。哲学は単にアカデミックな場にのみ存在しているわけではなく、日常生活の中から始めることができるものだと感じられたイベントだった。

 「哲学とは、ある天才の思想でも学説でもなく、悟りや人生論でもない。私たちが日々のささいなことに驚き、問いに気づくことだ。そして、それを自分なりの言葉にしてみることであり、そのプロセスを無償で愛することなのだ」(「言葉の服」P.171)。

秋吉成紀(あきよしなるき):1994年生まれ。2018年1月から「WWDジャパン」でアルバイト中。

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夏の疲れを解放する、バスタイムの活用術4選プラス、快適睡眠術1選

 今年の夏も暑かったですね。終わりが見えたのも束の間、10月に入っても30度を超える日もあって、とにかく長かったです。厳しい暑さに冷房、高い湿度……。過酷な夏は体力を蝕み、外的環境によるストレスで自律神経の機能をも狂わせる場合すらあります。“夏バテ”という言葉がありますが、夏の疲れが出やすくなるのは、夏だけに限らず、季節の変わり目でも多く出ます。

 そこで、頼りにしたいのが入浴です。入浴によって得られる温熱、水圧、浮力の作用は夏の疲れや冷えだけでなく、ストレスの解消も導いてくれます。バスタイムを利用したリフレッシュ法は、手軽に取り入れやすいところでしょう。

 都市生活研究所内にある風呂文化研究会によると、気持ちを鎮めながら緊張を緩和させる、バスによるリラクセーションのポイントは5つあり、温湯・湯量・時間・室温・姿勢と言います。要は体に負担を与えずに芯から温まるぬるめの湯で、体に無理のない、みぞおちほどの浅い湯量に、できるだけ手足を伸ばした姿勢をとりながら20~30分かけてゆっくり浸かること。これがベストなリラクセーション方法のようです。そんなバスタイムでのリラックスをさらにランクアップさせるのが、入浴剤などのアイテム。多忙な中でもベストなコンディションに手軽に整えられるバスタイムを彩る、最新アイテムをご紹介します。

一日の疲れを取り払い、
リフレッシュさせてくれる
「クナイプ」のバスソルト

 19世紀末にドイツのセバスチャン・クナイプ神父が植物や水などの自然の生命力に着目して誕生した、ハーバルブランド 「クナイプ(KNEIPP)」。以来、植物(ハーブ)の力を最大限に活かした商品づくりを貫いている老舗ブランドです。最新作のバスソルトにも2億5000万年前の古代海水と独自の伝統的な製法で精製した天然岩塩をベースに、ローズマリーとタイムから抽出した天然植物成分を配合していて、爽やかな香りで包み込んでくれます。バスソルトをバスタブに入れると、瞬時にグリーンへと変化し、そのカラー変化にもバスタイムの気分が上がります。

爽快な香りで
心身をリフレッシュ! 
「ヴェレダ」のボディーウォッシュ

 しっとりとした洗い上がりが乾燥の進む季節に嬉しい、「ヴェレダ(WELEDA)」のクリーミーボディーウォッシュシリーズ。その肌を優しく洗い上げる処方はそのままに、冬季限定の香りが限定で登場します。植物由来の低刺激洗浄成分をベースに、ピュアなオーガニックゴマ油を約11%配合していて、100%天然由来成分だけで構成するモイストリッチ処方を採用し、肌の潤いを逃さずしっかり洗浄してくれます。香りは、静謐なヨーロッパの森に漂う清らかなモミに、軽やかなラベンダーをブレンドしていて癒し気分が満載。バスタイムに広がるフレッシュな香りは、清新な気を吹き込んでくれるかのようです。

「メルヴィータ」から
睡眠中にボディーケアする、
新発想のシリーズが登場

 日本は、睡眠時間が世界で少ない国の一つと言われています。「メルヴィータ(MELVITA)」の新発想シリーズは、眠り始めの90分に深く眠ることに着目。“寝ている間に痩せやすい体をつくる”をコンセプトにしたボディーケア シリーズで、3アイテムが11月と来年1月に発売されます。穏やかな眠りへと働くオーガニックのラベンダーオイルに、筋肉の炎症を緩和させるアルニカオイル、アーユルベーダでは浄化作用に期待するセサミオイルの3種を共通成分として配合しており、最初に発売する「リラクセサンス バスオイル」は、さらに体を温めることで代謝アップを狙い、心身の緊張を解放するという。38~40度のぬる目の湯を張ったバスタブに10~20分ほど体を沈めるのが効果的。人生の3分の1をも占めると言われる睡眠は、休息するためのものだけでなく美を育む時間でもあり、その前の入浴の質はその睡眠の質を高めてくれそうです。

バスタイムを長く
楽しむための切り札
「ディアマユコ」のバスピロー

 「もちもちでふわふわ」、これが私の第一印象。心地よさを追求した「ディアマユコ(DEAR MAYUKO)」の人気アイテム、バスピローに新柄3種が登場します。ストローのような細かいパルプ素材のソフティルを、ストレッチ素材で包み込んだバスピローは程よい弾力を持ち、水切れの良さや抗菌効果も配慮されています。使い方は簡単で、バスタブの縁に置き、頭や首周りに当てるだけ。湯を吸ったバスピローは、程よい暖かさと重さになることで、快適なバスタイムが過ごせます。使用後は、水気を十分絞り、風通しの良いところに干すだけでOK!この手軽さも魅力です。

バスタイムだけじゃない、就寝時は
「ザ パブリック オーガニック」
ファブリックミストをひと吹き

 夜の入浴後、ほとんどの人が次に行うことと言えば就寝だと思います。入浴で高めた質が、睡眠にも大きく影響しそうですよね。そこでさらに睡眠の質を高めてくれるアイテムが登場しました。カラーズが手掛ける「ザ パブリック オーガニック(THE PUBLIC ORGANIC)」の新シリーズ、寝具用ファブリックミストです。同シリーズは、専門医の白濱龍太郎による睡眠の分析、専門家の塩田清二が香気成分の選定と効果測定をそれぞれ行い、カラーズの植物療法士が精油ブレンドを担当した“本気”のミストです。心に作用することに考慮した全5種には、鎮静作用のあるAOP認証を取得したトゥルーラベンダーと、睡眠誘発作用を示す屋久島産スギ精油を配合しています。中でも、「スーパーディープナイト ホリスティック精油ピローミスト レストフルスリープ」は、疲れの出やすい季節の変わり目はもちろん、眠っても疲れがとれないという時にも頼りにしたいアイテムで、ベルガモットとユーカリの2種の精油をブレンドした、爽快さのある香りで疲れた心身をレリーフしてくれます。

渡部玲:女性誌編集部と美容専門の編集プロダクションに勤めた後、独立。2004年よりフリーランスの編集者・ライターとして雑誌やウェブなどの媒体を中心に活動。目下、朝晩のシートマスクを美容習慣にして肌状態の改善を目指している

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東コレ開幕直前 「アキコアオキ」「マラミュート」など“前倒し”ブランドを一挙振り返り

 2020年春夏の東京のファッション・ウイーク、「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」がいよいよ始まります。ですが、実は今シーズンは、東京のいくつかのデザイナーズブランドがショーや展示会のスケジュールを前倒しし、ニューヨークコレクションが始まる前の8月下旬や9月上旬に新作を発表していました。これまでも早めのスケジュールで発表するブランドはありましたが、今季はいっそう増えていた印象です。それらのブランドのショーや展示会を、2人の女性記者による対談形式で振り返ります。

五十君:今シーズンの東京は、発表を前倒しするブランドがこれまで以上に増えましたね。みんな「今発表しておかないと、生地の作り込みや生産が間に合わない(注:春夏物は、一般的に秋冬物よりも生産のタイムスパンが短くなりがち)ので、前倒しした」と言っていました。ニューヨークやロンドン、ミラノ、パリといった海外のショーで出てきたものを見て、そこからトレンド分析して作って東京の展示会で見せる、みたいな手法は本当に過去のものになっていますね。トレンドを追うことよりも、ブランドらしさをシーズン毎にどうアップデートするかの方が重要です。

大杉:そうですね。今までメンズ・コレクション時期にウィメンズのプレ・コレクションを出していたブランドも減りました。最近は年4回のメインとプレコレの体制(プレ・スプリング、春夏、プレ・フォール、秋冬)よりも、年2回のメインに集中して商品数を拡大するブランドが多い傾向ですよね。長い期間セールスもできて一石二鳥だと思います。さて、前倒しでショーをしたブランド群の中のトップバッターは「アキコアオキ(AKIKO AOKI)」でした。小規模のショーを撮影スタジオで開催したのですが、手作りの歪んだ鏡を無数に配置して、別次元に入り込んだような空気感が出せていて素敵でした。ウエアはブランドのアイデンティティーである制服をもとに、 東洋の文化を合わせてドレスに昇華するという内容でしたが、コレクションピースとして強いドレスがありながらも、実際に一般の女性たちが日常着として着用できるワンピースやトレンチコートもあって間口が広がったように思います。メイクアップブランドの「RMK」協力のメイクも透明感があって麗しかったです。また、小高真理さんによる「マラミュート(MALAMUTE)」は雨降る京都造形芸術大学の外苑前キャンパス内でショーを行いました。映画や小説から着想を得ていることが多いですが、今回はデザイナーの日常の感覚が反映されていて、いつもと違ったアプローチが新鮮でした。それも “そわそわする” 環境問題に対して、「出来ることからやろう」と考え、カットロスを減らすことができる無縫製のニットも数型提案していて、東京のデザイナーズブランドからはあまり聞かない “サステイナビリティー”への考えが出ていたところもよかったと思います。またグリーンやナチュラルカラーを使った“ネイチャー フィーリング”を感じさせるカラーパレットもグローバルトレンドともマッチしていたと感じます。

五十君:私も「アキコアオキ」を展示会で見ましたが、強いピースもありつつ、ニットやカットソートップで着やすそうな、言い換えると売りやすそうなアイテムもしっかりそろえていたのが好印象でした。前シーズンからセールスエージェントが付いたことも影響しているのか、MD面もどんどん前進していますね。「エズミ(EZUMI)」のショーも見ました。JALの新制服を手掛けるということもあり、久々のショーで話題性もあったけど、どう思いました?バイヤーさんがほしいと感じるだろうなと思うアイテムが多かった半面、ちょっと何かに似過ぎているような感じも受けましたが。

大杉:そうですね。あのダイナミックなハイブリッドは、どうしても既視感が否めません。海外を見据えているのであれば、もっと「エズミ」らしさを全面に出してもすてきなショーになるんじゃないかな、と私も思いました。会場も広くて、著名な女優やインフルエンサー、編集長が多く集まっていて、注目度の高さを感じたので期待している人は多いと思います。

五十君:大杉さんはもうロンドンコレクションに旅立っていたから見ていませんが、「サポートサーフェス(SUPPORT SURFACE)」も9月にショーをしていました。今シーズンも研壁(宣男)さんらしいカッティングで、安心して見られるショーでした。注目ポイントは足元が全部スニーカーだったこと。今はコラボでスニーカーを出すブランドが多いけど、ここのブランドは紳士靴の工場で、1つ1つ職人がソールから作っているそうです。そういう“いぶし銀”な感じはこのブランドならでは。さて。展示会で見たブランドはどうでした?

大杉:竹内美彩さんによる「フォトコピュー(PHOTOCOPIEU)」は、2シーズン目とは思えない完成度の高さですね。ゆるやかに誇張した肩シルエットなど強さが程よくて、シルクやオーガニックコットンなど天然素材を使用しているところも現在女性たちに寄り添っています。今季はロックT風のプリントも登場していましたが遊び心もあって、ほかのアイテムとのギャップにひかれました。「コトナ(KOTONA)」は、シーズンを重ねるごとに洗練されていっています。レイヤード風のパイル地スリーブのジャケットなど、新たなテーラードの挑戦は新鮮でした。「ミスターイット(MISTER IT.)」はシャツを中心にストイックに作ったコレクションでした。毎シーズン、しっかりと1着1着にストーリーが込められていて面白いのですが、若干マニアックな方向に加速しているようにも感じました。

五十君:私は「ニアーニッポン(NEAR.NIPPON)」「サカヨリ(SAKAYORI)」「ロキト(LOKTHO)」も印象的でした。今シーズンの海外コレクションではサステイナビリティーに対する向き合い方が一大潮流になっていますが、「ニアーニッポン」では「ずっと取っておきたいと思うスペシャルな服を作ることがエコ」という話になって。このブランドは、大人の女性が職場に着ていくことができて、でも色合いや素材がほかとはちょっと違う、というデザインが本当に上手。あと、「来年は7月下旬からの東京五輪でホテル代が高騰するから、地方のバイヤーさんのためにも展示会はそれまでに終わらせる」とも話していました。こういう風に考えているブランド、他にもあるかもしれませんね。「サカヨリ」は、オパール加工やトーションレースで見せる凝った服作りがパワフルでした。日常着ラインの“ジードット(G.)”ができたことで、「サカヨリ」ではより強いものを出せているのかも。渋谷パルコにオープンする初の直営店も楽しみです。オリジナル素材の作り込みを好んできた「ロキト」は、インポート素材も取り入れるようになったことでエレガントな表情も強まり、ブランドの幅が広がりました。

大杉:ショーや展示会ではなく、ポップアップイベントでも面白い発見がありました。「ミヤオ(MIYAO)」の宮尾史郎デザイナーはニューヨークに住んでいたときに出会ったというイラストレーターの山本周司さんとのコラボレーションショップを東京と大阪で開いたんですが、それが楽しくて。エジプトの神話にも出てくるスカラベ(フンコロガシ)のかわいいイラストのアップリケをたくさん付けたチュールドレスなどを展示していました。スカラベは丸いフンを運ぶから、地球を運ぶ、みたいなイメージも感じます。そこに世界平和みたいなメッセージもあったんじゃないかな。イラストを使ったTシャツやバッグ、ステッカーから、コラボレーションのアート作品まで販売していて、“すぐ欲しい!”がかなういい企画でした。

五十君:本格的な東コレは10月14日からですね。今回からスポンサー変わって話題ですが、大杉さん的に注目ポイントは?

大杉:初めての「楽天 ファッション ウィーク東京」で、楽天のお手並み拝見と言いたいところなのですが、確かアマゾンがスポンサーに就いた最初の東コレは、まだ何ができるのか模索している状態だったので、今回の楽天もまだ100%の変化は起こせないのではないかと思います。XジャパンのYOSHIKIさんが久しぶりに着物ブランド「ヨシキモノ(YOSHIKIMONO)」のショーを行いますが、YOSHIKIは楽天モバイルのイメージキャラクターなので、きっと楽天と何かスペシャルなことをやるのではないか!と期待しています。また、世界から注目が集まる「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」や、ニューヨークを拠点にする赤坂公三郎さんの「コウザブロウ(KOZABURO)」、川西遼平さんのメンズブランド「ランドロード ニューヨーク(LANDLORD NEW YORK)」の合同ショーも目玉になると思っています。ユナイテッドアローズによる日本とアフリカの次世代デザイナーを支援するプログラムでは、今年のLVMHプライズで優勝した南アフリカ出身の「テーベ マググ(THEBE MAGUGU)」も来日ショーを行うので話題になりそうですね。そして、運営側の日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)も新たに就任した30代の今城薫ディレクターによる新体制。前シーズン、今城ディレクターが「アフリカを巻き込みたい」と話していたんですが、それをすぐに実現していて驚きました。

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写真家・桑島智輝はなぜ安達祐実を撮り続けるのか 「自分を知りたいから撮影する」と語るその真意とは

 ポートレートを中心に広告や写真集、雑誌の分野で活躍する写真家の桑島智輝。新境地ともなる写真集「我我(がが)」を今年の9月14日青幻舎から出版した。桑島は妻である俳優の安達祐実を毎日撮り続けており、「我我」にはそこからセレクトされた写真が文章と共に掲載されている。「夫婦間では、写真を撮ることが一つのコミュニケーションになっている」と語る桑島に、「我我」に込めた思いを聞いた。

WWD:はじめに写真集「我我」を出そうと思ったきっかけを教えてください?

桑島智輝(以下、桑島):前回の写真集「私生活」(集英社)を2013年に出版したんですが、それ以降も安達さんを撮影し続けていて、どこかのタイミングで写真集を出そうとずっと思っていました。具体的な話になったのは2年ほど前からです。今回のアートディレクターを務めてくれた町口景(まちぐち・ひかり)さんに撮った写真を見せて相談をするようになり、そこからですね。

WWD:このタイミングで出版に至ったのは?

桑島:出版日の9月14日は、安達さんの誕生日なんです。今回の写真集は日付が重要で、日付が入っている写真も多いです。基本的に写真は時系列で並んでいて、15年11月13日の結婚記念日のトンネルの写真から始まり、終わりは19年8月15日の終戦記念日です。

WWD:どのくらいの期間、安達さんを撮り続けているんですか?

桑島:8年ほど撮り続けています。最初は前回の写真集を出すための企画だったんですが、撮り終わって写真集ができるまでの過程もずっと撮っていて、そのうちに安達さんと付き合うようになって、結婚して。そうすると自然と毎日撮影していますね。安達さんを撮ることが楽しいです。

WWD:例えばケンカをした日も撮影するんですか?

桑島:そんな日もあります。でもこれは安達さんの度量の広さだと思うんですが、写真を撮ることに対しては怒らない。夫婦のルールとして、何をしていても撮影してOKということになっています。だからすごく怒っている写真もあります。正直、相手が怒っているときに撮影するのって恐いし、勇気がいること。でもそこで撮ることが重要で、「そこで撮らないんだったら、やめちまえよ」って安達さんは思うはず。だからある意味、そういったときは僕と安達さんとの闘いでもあります。

WWD:お互いに認め合っているということなんでしょうね。

桑島:写真が介在しないと成り立たないという変わった夫婦関係なんです。撮るのが愛かというとそれだけではないけど、興味があるという意思表示にはなるので、写真を撮ることがコミュニケーションの一つになっています。撮った写真は定期的に見せていて、それは夫婦の記録であり、自分たちがどういう風に生きてきたかの確認作業でもあります。

“安達さんはからっぽ”だから撮り続けていられる

WWD:桑島さんはいろいろな女優を撮影していますが、その中で安達さんの魅力は?

桑島:安達さんは中身がからっぽなんです。それは俳優の特性なのかなと思っていて、自分を“依り代”にして、役が降りてくる。そういうのをすごく感じるんです。安達さんがそこにいるけど、いない感じがして。からっぽだからこそ、撮っても撮っても撮り切れない。そして結果、空っぽの人を撮り続けるとことで、自分自身が見えてくるんです。だから何で安達さんを撮り続けるのかっていうと、楽しいからだし、夫婦の記録としても撮っているのももちろんあるけど、結局は自分を知りたいから撮影するのだと思います。写真を撮ることで、被写体を介して自分自身が現れてくるんです。

WWD:具体的にはどういった写真にそれを感じていますか?

桑島:大きな構成でいうと、「我我」は出産前と出産後になっています。出産前の写真は何だか硬くて、“私写真とはこういう風に撮らないといけない”というのが強く出過ぎていて、打算的な写真が多い。例えば、“安達祐実がこういうことをしたらおもしろいな”っていう狙いが見えすぎる。出産を機に、もしかしたら自分に男としての自信がでてきたのか、そういうことを考えなくなって、いいなと思ったら撮影するようになりました。写真の雰囲気もリラックスした感じになりました。

WWD:写真集のあとがきには写真家の平間至さんの文章も掲載されていますね。

桑島:この平間さんの文章はすごく核になっています。被写体が強烈だと、撮影者はその被写体を超えられない。なぜなら写真が全てその人の写真になってしまうからです。それは僕の課題でした。ともすれば、今回の写真集も安達祐実の私生活を撮影した写真集になってしまいがちですが、結果としてそうはなっていなくて、それはなぜかというのを書いてくれたんです。今までの、よくわからないけど撮り続けるという行為に対して、全肯定をしてくれている。このあとがきを読んで、布団の中で号泣しました。

夫婦って一番近い他人同士 だからこその喜びもある

WWD:タイトルの「我我」にはどういった意味が込められている?

桑島:現在「クイックジャパン」(太田出版)で“はじまりの一枚”という写真と文の連載をしていて、そこでは自分たちのことを「我々」と表記することが多くて、「我々」っていいなと思っていたんです。でも「我々」と書くよりは、ちゃんと一対一が伝わる「我我」の方がいいなとデザイナーの町口さんに相談したんです、そこで読み方は「われわれ」よりも「がが」の方がいいってことになって。それで「我我(がが)」になりました。

WWD:装丁にもこだわっている。

桑島:カバーに使っている紙は、シワがあってあまり写真を印刷することがないらしいです。僕も最初見たときには、少し怖く見えたんです。それでデザイナーの町口さんに言ったら、「これは昼に安達さんが『この野郎』と怒ってくしゃくしゃにした写真を、夜に桑島君がリビングで伸ばした感じをイメージしている」という説明を受けて、それがすごく納得できたんです。それでこの紙でいくこと決めました。

WWD:表紙の1枚はすぐ決まった?

桑島:最初はモノクロ写真も考えていたんですが、カラーの方がポップだし、なるべく多くの人に見てもらいたいと思ったのでこの写真にしました。判型も手に取りやすいように、このサイズにしています。

WWD:ここまで見せるんだという写真もありますね。

桑島:本当に彼女自身が無防備で、何もしないからそういう感じが出せているんだと思います。

WWD:写真集では、写真と共に、桑島さんと安達さんのコメントも添えられている。

桑島:相手が何を書いているか分からないようにして、お互いに自分が思ったことを書いているので、たまに真逆のことを書いたりしています(笑)。

WWD:どんな人にこの写真を見てもらいたいですか?

桑島:夫婦って大変なんです。一番近い他人だし、正直、他人のことって分からない。でもその中で夫婦なりのルールを決めたり、夫婦なりの喜びがあったりする。写真家と俳優というと特別な感じはするけど、ベースは同じ。これを見て、どこの夫婦も一緒なんだなと思ってもらえるといいですね。

WWD:今後も撮影は続ける?

桑島:続けていきますし、今後も定期的に写真集は出版していきたいと思っています。

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VERDYとNAOTOが到達した“今までにないコラボの形”

 アーティストのVERDYが10月13、14日の2日間、さまざまなブランドやアーティストをコラボレーターに招いたイベント「VERDY HARAJUKU DAY」を開催する。本来は12日から3日間の開催予定だったが、台風19号の接近に伴い規模を収縮する形となってしまった。しかし、「ナイキ SB(NIKE SB)」から「ヒューマンメイド(R)(HUMAN MADE(R))」「マジックスティック(MAGIC STICK)」、村上隆、KYNE、河村康輔、Creative Drug Store、tokyovitaminまで、30組以上の豪華コラボレーターが参加する“お祭り”であることに変わりはない。

 そして、EXILEや三代目J Soul Brothersでパフォーマーを務めるNAOTOが手掛ける「スタジオ セブン(STUDIO SEVEN)」のディフュージョンライン「オネストボーイ(HONESTBOY)」も、コラボレーターのうちの1つとして参加している。開催直前、東京・中目黒にある「スタジオ セブン」旗艦店で、「VERDY HARAJUKU DAY」の開催理由やコラボに至った経緯、“HONEST DELI”と名付けられたコレクション名の由来まで、2人に話を聞いた。

WWD:「VERDY HARAJUKU DAY」の開催理由を教えてください。

VERDY:ここ数年、ファッションウイーク期間中のパリや「コーチェラ(Coachella)」のタイミングのロサンゼルスなど、その土地が世界的に盛り上がるタイミングで訪れていたんです。そこではショーをやるブランドもいれば、ショーはやらないけどイベントやパーティーを開いていたり、とにかく人が集まっていたんです。日本にもストリートカルチャーが好きなアーティストやデザイナーたちが毎年のように来日しますけど、それは全部バラバラのタイミング。だから決まったタイミングでみんなが来日する日があればと思ったのがきっかけです。東京ファッションウイークはストリートと少し離れていると感じるし、「ファッションズ・ナイト・アウト(FNO)」も個々で盛り上がってる気がしていたので。

WWD:東京を盛り上げようと?

VERDY:そうですね、自分がどうにかして東京を盛り上げられないかなという感じです。世界は近いはずなのにまだ壁があるんですよ。日本では人気だけど海外ではあまり知られてないブランドがあれば、LAで人気でも日本人が知らないブランドもたくさんある。音楽も今勢いのある若い子たちがたくさん東京にいるけど、アメリカでライブはしない。だから「ビーツ(BEATS)」にサポートしてもらってアーティストやDJを呼んだイベントを行います。あとは、もともとアートを作っていたので村上隆さんやKYNEくんたちアート関係の人々にも声をかけて参加してもらいました。

WWD:コラボレーターのジャンルの幅が広いのが印象的です。

VERDY:ストリートが好きなので大枠はストリートなんですけど、一つのジャンルに偏ると僕が思っているようなおもしろいことが起きないと思ったからです。僕が誰かと一緒に何かやる時は、自分でできることはやらないようにしていて、一緒にやるからこそおもしろいアイデアが出るんですよね。

WWD:コラボレーターには何かしらの共通項があると思いますが、それは?

VERDY:“人を知っている”、ですね。有名だからとか全く知らないけどコラボするというのは絶対にないです。人と知り合って話をして、関係性を育みいいと思ったら一緒に何かをやる。それがストリートカルチャーなんじゃないかなって。

WWD:NAOTOさんはVERDYさんと初コラボですが、いつから関係があったのでしょうか?

NAOTO:3年前の「コンプレックスコン(ComplexCon)」ですね。「スタジオ セブン」を取り扱っているLAのセレクトショップ、ジャスト ワン アイ(Just One Eye)でパーティーをやっていたらVERDYが遊びに来たんです。

VERDY:その日、友達のDJがパーティーに出るって言うから遊びに行ったら、それが「スタジオ セブン」のパーティーで(笑)。それから展示会や店舗に行ったり、NAOTOくんがポップアップに来てくれたり、ちょっとずつコラボの話を進めてたんです。NAOTOくんとはグラフィックのデザインなどですごい共通するものを感じたし、単純にコラボしたらおもしろい化学反応が起きるんじゃないかって感じたんですよね。

NAOTO:VERDYとは同世代で、好きなものや影響を受けてきたものがほとんど一緒なんですよ。でも僕とVERDYはそれぞれ違った角度で見てきて、今こうして一緒にコラボできたことは不思議だけど自然だと思うし、最高なものを作ることができました。

WWD:コラボコレクション“HONEST DELI”の名前の由来は?

NAOTO:もともと僕がNAOTOとは別に、名前を英語に変えたHONESTBOYとしてNIGO(R)さんやPOGGYさんとコラボしたりブランドを持っていて、そこから派生する形で生まれました。それでVERDYと“HONEST”の後ろにつける言葉を考えている中で、一番しっくりきたのが“DELI”だったんです。

VERDY:“HONEST DELI”の名前が決まったのは2年前くらいで、それからお互いがいろいろ行ったり見たりするから会うたびに新しいアイデアがどんどん重なって、今ようやく落ち着いて発売を迎えました。

WWD:メインカラーを赤色とした理由は?

NAOTO:特に意識はしていないんですが、「赤色は食欲をそそる」という話を聞いたことがあったので自然とそうなったんだと思います。

WWD:「スタジオ セブン」の店内にはショップインショップのような什器を設置していますね。

NAOTO:最初に“HONEST DELI”のイメージを共有したのがお店だったんで設置しました。

VERDY:什器が設置できなければ販売しないことも考えたくらい、什器ありきのコレクションなんです(笑)。最初は移動車で販売することも考えたんですが、実現可能なレベルとしてショップインショップになりました。

WWD:小物類を中心に型数がかなり多い印象です。

VERDY:コレクションは、アメリカにある架空のフードカーやキオスクのグッズみたいなノリなんです。だからいつも作っているTシャツやフーディーとは別に、コンセプトに寄せた普段作らないものを作りたかったんですよね。ただ無理に作ろうとはせず、「このグッズがあったらいいよね」と自然に決定しました。だからボリュームも意識せずに、気付いたら型数が増えていた感じです。

NAOTO:“DELI”なので、フードと絡めたグラスやトレイなどあんまり見ないアイテムが出来上がりましたね。

WWD:だからキャンディやチョコレートなどの食べ物もあるんですね。

NAOTO:最初はホットドックなどを提供することも考えたんですけど、コンセプトに立ち返りアメリカっぽいお菓子のキャンディとチョコレートを用意しました。チョコレートはエテ(ete)さんにお願いしたもので、“HONEST DELI”を通して日本の素晴らしい食を、知って食べて身近に感じてもらうというのが自分の中で裏テーマとしてあります。

WWD:キーホルダーは今ではあまり見ない形ですが。

NAOTO:このキーホルダーは僕らの世代だからこそのもので、小学生の時にあったJリーグのキーホルダーに質感などを似せてるんです。

VERDY:今まで作ってきたキーホルダーはラバーが多く、こういったキーホルダーは最近見ないので作ってみました。

WWD:梱包にもこだわっていますね。

VERDY:Tシャツは海外のシリアルボックスをイメージしました。これをもらったら自分でもうれしいし、“HONEST DELI”ではワクワクするものを作りたかったんです。

NAOTO:僕自身も箱入りのTシャツを部屋に飾っていたり、こういった売り方って男心をくすぐるんですよね。

WWD:今後も“HONEST DELI”は継続していくんでしょうか?

NAOTO:当初は「あなたの街まで“HONEST DELI”が!」のような移動車のイメージだったので、いつかは作りたいですね。移動販売飯屋はよくありますけど、移動販売服屋はあまりないので。

VERDY:高速を走っていたら「あ、“HONEST DELI”の車だ」みたいになってほしいです(笑)。移動車のほかにもレストランとしてやっていけるポテンシャルもあるだろうし、可能性が無限にあるプロジェクトだと思っています。次にいつやるかもこれっきりなのかも決まっていませんが、すごくいいプロジェクトがスタートしたと思っています。

WWD:お互い初めて一緒に仕事してどうでしたか?。

NAOTO:VERDYとは波長が合うというか、モノ作りに対しての思いや製作過程で共感できる部分がすごいあったし、こだわりや姿勢の面は勉強になりました。お互いがこだわる部分に頑なにこだわったからこそ、本当に納得のいくものができたと思っています。準備期間が2年って聞くと長いですが、今考えると2年は必要な時間だったと思いますね。いきなりのコラボだったら今回の“HONEST DELI”は絶対に生まれなかったはずです。

VERDY:NAOTOくんと仕事することで、“HONEST DELI”をきっかけに僕のことを知ってくれる人もいるだろうし、逆に「スタジオ セブン」を知る人もいる。だからこそコラボすること自体がおもしろいと思ったし、中途半端なものを出したくなかった。名前も、アイテムも、売り方も、見せ方も、NAOTOくんとだからこそ全てにこだわることができました。

NAOTO:“HONEST DELI”は普通のコラボと違う、「こんなコラボもあるんだ」って思ってもらえるものが作りたかったし、できたと思っています。

VERDY:NAOTOくんの言う通りで、コラボなんですけどコラボというよりも一つのものを一緒に作った、っていう方が“HONEST DELI”に関しては近いですね。お互いがスマイルマークをモチーフとして使っているので、それを合体させたグラフィックも実際に作って「これいいじゃん」みたいになったんですけど、僕らが目指していたのはそれじゃないネクストレベル。“HONEST DELI”はお互いのブランドにも良い影響を与えただろうし、今までにないコラボの形なのかなって思ってます。

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パリで見た「それぞれのサステイナブル」を目指したい ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。

今日のニュース:P.10「それぞれの立場・考えで取り組むサステナ」

読み解きポイント:「資源じゃなく、経済の視点で考えるサステナ」

ニュースのポイント

 2020年春夏のファッションウイークは「サステイナブル」が大きなキーワードとなった。パリも他の都市同様、各ブランドが企業規模やクリエイションに合わせた答えを用意した。社会的責任の大きいメゾンブランドから、資金力はなくともアイデアで勝負する若手まで、それぞれが考える「サステイナブル」で未来を提案する。

AZUはこう読む!

 ここ数年は「多様性」をキーワードに、ファッションウイークの舞台でもさまざまな取り組みがなされてきました。そして今季はこれに加えて「サステイナブル」がより濃く、そして、それこそ多様性をもって提案されていた模様です。

 「ディオール(DIOR)」や「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、服作りではなくショー空間からサステイナブルへアプローチ。若手の「マリーン セル(MARINE SERRE)」はテーブルクロスやカーテンを再利用した生地を生かし、「クレージュ(COURREGES)」はプラスチックを9割削減した素材でアイコニックなビニール素材のアイテムを見事にアップデート。それぞれが「自分ができること」からこの課題に向き合っていました。

 環境を汚さない生産や廃棄を出さない流通、古着やヴィンテージ生地のアップサイクル。動物愛護に沿ったモノづくりや最新の科学技術を用いたエコ素材の開発。できることはたくさんあります。「エコファーは化学繊維を使っているから環境に悪いのでは?」と言い始めたら息をするだけで罪になってしまうので、「できることをまずやる」という意思の表明が大切だと思っています。

 ファッションウイークが街全体を盛り上げる一方で、パリの老舗百貨店ギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)は「モードの変革」というタイトルで、サステイナブルな要素を含んだアイテムを打ち出す企画に全館をあげて取り組んでいました。雑貨から衣類まで、環境に配慮したアイテムを揃えたポップアップも展開し、今の時代を読んだイケてる古着が売られていました。

 合言葉は「GO FOR GOOD」。各階にはコーデ買いしたいくらいおしゃれなマネキンがずらりと並びます。「GO FOR GOOD」の札が付いているアイテムは、オーガニックコットンやリサイクル素材、古着、国産の生地などを使用して作られたもの。日本ではこの考えをあまり見かけないけれど、「メイド・イン・フランス」は元々の「持続可能な」という意味と、雇用の創造の観点からサステイナブルの概念に含まれているのです。

 日本でも多くのアパレル企業がオーガニックコットンやエコファーの使用などサステイナブルに対して動き始めていますが、パリで各ブランドや百貨店が提案したそれぞれの方法のように、柔軟なプランで実行できたら、もっと消費者も気軽にサステイナブルを意識できるのかな、と思いました。

 先日、「アース ミュージック&エコロジー(EARTH MUSIC&ECOLOGY)」が洋服の生産量を今期20%削減し、生産量を適正化していくというニュースがありました。素人目線に戻ってみると「そもそも今まで、なぜ供給が需要を上回り続けていたのだろう」とツッコミを入れたいところですが、売上減というリスクを背負っての挑戦に拍手を送ります!ぱちぱち。

 必ずしも環境に配慮した素材を使わずとも、過剰に生産せず、利益率を上げ安定した雇用を生み出すこともアパレルにできるサステイナブルの一手だと思うのです。当たり前の理論で、とても難しいことだけれど。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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展示に隠された裏ドレスコード? 企画担当者が「ドレス・コード?」展を解説

 ファッションスタディーズ(fashion studies)が10月5日、トークイベント「Think of Fashion 062 『ドレス・コード?』展を読み解く―『ステレオタイプ』を中心に」をスパイラルルームで開催しました。

 「ドレス・コード?―着る人たちのゲーム」(以下、「ドレス・コード?」展)は、京都国立近代美術館で10月14日まで開催の展覧会です。同展の企画を担当した小形道正・京都服飾文化研究財団(KCI)アシスタント・キュレーターを招いて企画設定の背景や展示内容の解説をするとのことだったので、同展の趣旨をより深く理解するため、そして感じたことを質問するために参加してきました。

人物像の判断基準 
“ステレオタイプ”

 小形アシスタント・キュレーターは同展を企画するにあたり、ファッションを「自己と他者の視る/視られる相互行為の中に成り立つ現象」であると捉えたと言います。曰く、展示された衣装やアート作品は、“ステレオタイプ”“脱ステレオタイプ”“原ステレオタイプ”の3つの文脈に整理できるそうです。

 まず、“ステレオタイプ”が視る/視られるの関係を構築すると言います。たいていの人は、着ている服に備わるイメージをもとに人物像を判断する/されるはずで、同時にそれは、“ステレオタイプ”を逆手に取って自己像をコントロールするような振る舞いを可能にすると語りました。

 「謝罪会見でスーツを着る男性アイドル」を例に解説していましたが、これはスーツに宿る“社会的責任能力を持つ誠意ある大人”という“ステレオタイプ”を用いたイメージコントロールの実践と見ることができます。ほかにも、同展展示作品であるマームとジプシーの作品「ひびのAtoZ」や「ヴェトモン(VETEMENTS)」2017-18年秋冬コレクション、あるいはロバートの秋山竜次による「クリエイターズ・ファイル」は、“ステレオタイプ”を表現した事例だと話していました。

ステレオタイプをテーマにした「ヴェトモン」2017-18年秋冬コレクション。“ミス・ナンバー5”や“ノミネート女優”“年金受給者”“オタク”“隣人”などが登場する 「ヴェトモン」の公式ユーチューブチャンネルから

選択の自由/不自由 
“脱ステレオタイプ”

 ジーンズは炭鉱から、トレンチコートは戦場から離れ、いまではありふれた定番アイテムになっています。このような衣服が持っていた本来の用途や文脈・意味から逸れていくことを、小形アシスタント・キュレーターは“脱ステレオタイプ”と表現していました。

 “脱ステレオタイプ”は衣服の選択の自由を押し広げることで、多様なバリエーションのアイテムと自由な着こなしを生み出してきました。しかし一方で、誰もが安定した“ステレオタイプ”に収まり続けることができず、常に選択を強いられる状況を生み出したと見ることもできます。

 こうなると幅広い選択肢があるにもかかわらず、安定を求めるあまり逆説的に似たような着こなしに落ち着いていくということも時として見られます。“脱ステレオタイプ”がもたらしたこの選択の自由/不自由は、バリエーション豊かな迷彩柄の衣装や写真家ハンス・エイケルブーム(Hans Eijkelboom)による「フォトノート(Photo Notes)」シリーズなどからうかがい知ることができると語りました。

天衣無縫にファッションを楽しむ 
“原ステレオタイプ”

 “ステレオタイプ”から“脱ステレオタイプ”へ。その先には“原ステレオタイプ”というものがあるそうです。同展カタログの中で、“原ステレオタイプ”を「あらゆるものが既視感に溢れたなかで、それでも生み出されつづける、微かな違和感であり、循環からのズレであり、特異な世界観を有する潜在的なファッション」(「ドレス・コード?」展カタログより「ファッションをめぐる相互行為―ステレオタイプ論序説」、小形道正、P.272)だと言っています。

 小形アシスタント・キュレーターは、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)「グッチ(GUCCI)」クリエイティブ・ディレクターらデザイナーのクリエイションに、あるいは異色肌ギャルや奥信濃で暮らす老人など服を着る人たちの実践に、“原ステレオタイプ”を見出します。どちらにせよ天衣無縫にファッションを楽しむ態度の中で生まれるものだと話しました。

 そして、これらはやがて一つの“ステレオタイプ”になり、ファッションシステムに組み込まれ次のサイクルが生まれる――この循環構造を展示のコンセプトに考えていたと語り企画コンセプトの原案解説をまとめました。単純化してしまうことになるかもしれませんが、“ステレオタイプ”“脱ステレオタイプ”“原ステレオタイプ”の循環構造は芸道における“守破離”に通じるように思えました。

ブランドの意向に従わなくてはならない?

 せっかくの機会なので、展覧会を見て感じた疑問を小形アシスタント・キュレーターに直接聞いてみました。

 “視る/視られる”というテーマを見たときに、自分はSNSを取り巻く現象を思い浮かべていました。若い人の間ではSNSでの“映え”を軸とした服の選択が行われているともいわれる中、SNSをテーマにした展示が少なかったような気がします。

 その点について聞くと、「SNSを議題として前面に押し出したときになにが言えるのかが問題だと思います。SNSというと承認欲求の話になりがちですが、研究データが明確に出ているわけでもないし安直な気がする。これはもう少し考えなくてはいけない課題です。全く扱っていないわけではなく、ジェレミー・スコット(Jeremy Scott)による 「モスキーノ(MOSCHINO)」のコレクションなどで表現されているはず。展覧会ではSNS上で参加型のキャンペーンを実施していたのですが、投稿は少なかった。どこまでSNSという現象に重きを置くべきなのかと思っているところがある」という回答を得ました。

 また、同展内の撮影可能エリアの少なさにも疑問がありました。撮影が許可されているのは、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARGONS)」2018年春夏コレクションの一部、坂本眞一による18世紀パリを舞台にした歴史漫画「イノサン Rouge」とのコラボ展示、マームとジプシーによる「ひびのAtoZ」、編集者の都築響一がセレクトしたポートレート作品の4カ所のみ。この件についても質問しました。

 「権利上の問題で難しいです。現実的な問題として、企画側の文脈で展示する展覧会ではブランドの意図と異なる形で展示することがあり、それを嫌うところも少なくない。もちろんもっと写真を撮ってほしいが、各ブランドに許可を得ていくプロセスを考えると難しい。そこはちょっとごめんなさいというところです」(小形)。

 この件は単に法的な権利保護の問題だからと終わらせることもできるのですが、「衣服の扱い方は、ブランドの手を離れた先でもブランド側の意思に従う必要がある」という捉え方もできる気がします。「ドレス・コード?」展は13のドレスコードを切り口に、ファッションを取り巻くルールを明るみに出すことで批判的な検討を促した展覧会です。それでもなお展示の中で明言されることのなかったブランドの権利やイメージにまつわるコードが、展示物撮影不可という状況に表れているように思えます。

 踏み込んで言えば、「ブランドの意向に従わなくてはならない?」という裏ドレスコード。ブランディングに反することを許さないブランドの権威性を読み取ることができるのではないでしょうか?私見に過ぎませんが、個人的にそのように解釈しました。

 「ドレス・コード?」展の京都での開催は10月14日まで。19年12月8日~20年2月23日には熊本市現代美術館でも、一部展示内容を変更して開かれます。

■「ドレス・コード?―着る人たちのゲーム」京都展
日程:8月9日~10月14日
時間:9:30~17:00(毎週金曜日、土曜日は21:00まで開館 入館はいずれも閉館の30分前まで)
場所:京都国立近代美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
休館日:毎週月曜日(10月14日は開館)
入場料:一般1300円 / 大学生900円 / 高校生500円 / 中学生以下無料

■「ドレス・コード?―着る人たちのゲーム」熊本展
日程:12月8日~2020年2月23日
時間:10:00~20:00
場所:熊本市現代美術館
住所:熊本県熊本市中央区上通町2-3
休館日: 毎週火曜日(ただし2月11日は開館、12月29日~1月3日、2月12日は休館)
入場料:一般1100円 / シニア900円 / 学生600円 / 中学生以下無料

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“冬でもダイバーズウオッチ”の波に乗り遅れるな!

 ダイバーズウオッチは夏に海辺のリゾートで、それこそダイビングの時に着けるもの――そう思う人がほとんどかもしれない。ネーミングゆえに仕方のないこととも言えるが、さにあらず!例えば「セイコープロスペックス(SEIKO PROSPEX)」はメンズファッション誌の「オーシャンズ(OCEANS)」(10月25日発売の12月号)と組んで、“冬こそダイバーズ”というキャンペーンを行う。また1951年デビューの日本の機械式時計ブランド「オリエントスター(ORIENT STAR)」も、2019-20年秋冬の新作として“ダイバー”を発売した。「オリエントスター」の村内徹マネジャーは「ダイバーズウオッチは“夏のアイテム”から、時計の定番カテゴリーの一つになった」と言い、「セイコープロスペックス」の有馬広智・広報担当は「ダイバーズウオッチを夏だけのものにしているのは、もったいない!」と話す。

 ダイビングは“かつて”夏のスポーツだった。夏以外に海に潜るなんて寒すぎて無理だったからだ。しかし断熱性に優れたドライスーツの普及により、水温の低い春や秋冬でも楽しめるようになった。ベテランダイバーの中には、水の透明度が格段に上がることから「冬こそダイビング」と言う人も多い。

 またダイバーズウオッチは、タフネスにおいて最強の時計とも言える。高い水圧に耐えるケースや厚い風防、ねじ込み式のりゅうずはマリンスポーツはもちろん、キャンプやサファリツアー、さらには登山や極地探検まで過酷なフィールドワークに対応する。つまりダイバーズウオッチ=アドベンチャー時計なのだ。実際、日本の南極観測隊は1965年にセイコー(現セイコーウオッチ)が開発・寄贈した国産初のダイバーズウオッチを装備品として使っていたし、冒険家の植村直己が70年に日本山岳会の隊員としてエベレストに登頂した際、同社のダイバーズウオッチを着用したのは有名な話だ。

 その上、昨今のダイバーズウオッチはファッション性にも優れる。ハイスペックなのに薄くて着けやすく、文字盤のカラーバリエーションも豊富だ。ビジネススタイルにマッチするモデルもある。ホリデーシーズンに向け、“冬でもダイバーズウオッチ”の波に乗ってみてはいかがだろう?

渋谷ヤスヒト/オフィス・ノマド代表:1962年、埼玉県生まれ。大学卒業後、徳間書店に入社。文芸編集部を経て、「グッズプレス」編集部に配属。表紙撮影で出合った「ブライトリング」の“コスモノート”を購入したことをきっかけに時計にはまり、95年からスイス2大時計フェアや時計ファクトリーの取材を開始。2002年に同社を退社し、「エスクァイア日本版」の編集者などを経てオフィス・ノマドを設立。時計ジャーナリスト、モノジャーナリスト、編集者としての顔を持つ。趣味は料理

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「デシグアル」が原宿の旗艦店をリニューアル 多様なアーティストとコラボし、ブランドDNAを体現

 スペイン・バルセロナ発のファッションブランド「デシグアル(DESIGUAL)」は9月、リブランディングの一環として東京・原宿の旗艦店をリニューアルオープンした。2010年に日本上陸を果たし、国内35以上の直営店、100以上の卸先を持つまでに成長した同ブランドは、日本市場をどう捉え、生まれ変わった旗艦店に何を期待するのか。アジア太平洋のマーケットを統括するバラッシュ・クリザニック(Balazs Krizsanyk)「デシグアル」ジャパン&アジア太平洋カントリーマネージャーに、それらについて語ってもらった。

WWDジャパン(以下、WWD):アジアで最初のリブランディングを東京・原宿の旗艦店で実施した理由は?

バラッシュ・クリザニック「デシグアル」ジャパン&アジア太平洋カントリーマネージャー(以下、クリザニック):日本が世界で最も重要なマーケットの一つだからだ。日本の消費者は非常に感度が高く、ニーズに応えるのは容易ではない。だからこそチャレンジするのが楽しい市場であり、消費者の反応をデザインやMDにフィードバックすることも多い。規模としては世界で5番目だが、日本の市場が他国に及ぼす影響力は大きい。そんな日本での旗艦店リニューアルは、われわれがリブランディングにかける思いの強さを表すものだ。

WWD:リニューアル後の旗艦店は、3階をエクスペリエンス・フロアと名付けて、カスタマイズサービスを提供するカウンターやアーティストの作品などを展示するギャラリーを設置した。

クリザニック:それらに加えて、来店客がくつろぐラウンジ機能も備えている。このフロアを利用してさまざまな手法で顧客とのコニュニケーションをとり、ブランドの世界観を発信する。ギャラリーでは、国内外のアーティストの作品の展示や、このスペースを利用したコラボレーションを行う。ブランドの拠点であるスペイン・バルセロナはアートが根付いた街で、アートはブランドに欠かせない要素の一つだ。日本でも、有名・無名問わず多様なアーティストを起用する予定で、彼ら・彼女らにとってのプラットフォーム的存在になってほしい。

WWD:同フロアで行う第1弾の取り組みとして、日本人アーティストのとんだ林蘭氏による展覧会を開催中だ。とんだ林氏は同店のファサードデザインも手掛けているが、どのような経緯でコラボに至った?

クリザニック:彼女に声をかけたのは、彼女の超現実的かつ明確なアートスタイルに共感を覚えたからだ。リニューアルを決めたときからファサードデザインに日本人アーティストを起用することは構想していて、最初はファサードデザインのみ依頼する予定だった。しかし、打ち合わせを重ねるうちに話がどんどん広がり、コラボ作品の販売や展覧会を実施するまでにプロジェクトが発展した。

WWD:ほかにコラボが決定しているアーティストは?

クリザニック:スペイン人のストリートアーティスト、オクダ・サン・ミゲル(Okuda San Miguel)とのコラボレーションアイテムを発売する。カラフルな色使いと幾何学模様を取り入れた作風で知られる彼と共に、ブランドを代表するアイテム“アイコニックジャケット”(ビンテージデニムをパッチワークしたジャケットで、同ブランドが誕生するきっかけとなったアイテム)を製作した。ほかにも、歌手とタッグを組んでフォトブックを作るなど、幅広いアプローチでコラボレーションを行いたい。

WWD:アーティストにとってブランドとのコラボレーションは、自分の名を広める機会であると同時に、自分たちのクリエイションが制限される取り組みでもある。

クリザニック:そういった制限は最小限に抑え、アーティストに大きな裁量を与える。その方が健全な関係を構築できるし、結果として素晴らしい作品が出来上がる。今回のとんだ林さんとのコラボレーションもまさにそうだ。

WWD:この秋には名古屋に旗艦店をオープンする。東京に次いで名古屋に旗艦店を構える理由は?

クリザニック:名古屋のチャネルは、セレクトショップや百貨店などに限られていた。同エリアの消費者にブランドの世界観をより効果的に発信するため、旗艦店の出店を決めた。名古屋はEC売上高が東京に次ぐ2番目のエリアで、日本市場の成長に欠かせない都市の一つ。他の都市にはない独特のカルチャーもあり、どんな関係を構築できるか今からとても楽しみだ。

WWD:来春には銀座への新規出店も決まっている。所在地はどこになる?

クリニザック:中央通り沿いだ。銀座への出店も日本でのブランド運営において大きな意義を持つ。

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「外部からの野次ではなく東京のために動きます」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。

今日のニュース:P.4-5「デザイナー54人が考える理想の東コレ」

読み解きポイント:「『やり方次第で』光は見えてくるはず」

ニュースのポイント

 冠スポンサーが楽天に変わって初めての東コレ「楽天 ファッション ウィーク東京(RFWT)」が10月14〜19日に開催される。スポンサー決定後間もない開催となったため、今シーズンは「アット トウキョウ」のような大きな取り組みは今のところ見られない。海外で活躍するブランドを中心に、「どんな東コレだったら参加したい?」というテーマで54ブランドにアンケートを実施したところ、「開催時期が遅い」「バイヤーの誘致が足りない」などの答えが返ってきた。

Azuはこう読む!

 この企画、とても読み応えありました!東コレについての意見をデザイナーさんが公の場で語ることはなかなかないので、本音!という感じで面白かったです。それゆえに辛辣な意見も多く、「東京の未来とは……」と落ち込んでしまったのがこちらの本音ですが(笑)。

 54ブランドのアンケートで一番多かった回答は、ずっと前から指摘されている「開催時期」について。現在のパリコレ後のスケジュールだとバイヤーのバジェット(予算)がないから「ショーや展示会を開いても買い付けにつながらない」「生産のスケジュールがきつい」など何度も聞いた言葉が並びました。これを聞くたびに、「ニューヨーク前に開催時期を前倒したり、他のファッション・ウイークとぶつけたところで、果たしてバイヤーが来て買い付けをするのだろうか?東京と時期が被るソウルや上海の実績はどうなんだろうか?」と思います。例えばですが、JFWによる「東コレ」の枠にとらわれず、ブランドみんなで結託してファッション・ウイークを勝手に前倒してみたらどうかしら、なんて考えたりします。一度限りなら話題性があるのでは……(笑)?

 このインタビューで一番ぐさりと刺さったのは「ファセッタズム(FACETASM)」の落合さんの言葉。「ブランドが表現したいことが明確であれば、やり方次第で東京から世界に面白い発信はいくらでもできます。東コレを『盛り上がっていない』や『ダサい』などで終わらせている時点で、ブランドにそれ以上の伸び代はないんじゃないかな」。

 ファッション・ウイークの話題に限らず、自分を取り巻く体制に不満を持つ全ての人に対して刺さりそうな言葉で、実際いろいろなことに言い訳をして挑戦に二の足を踏んでいた私にも、ガツンと一撃が入りました。

 来週から開催されるRFWTは初回ということで様子見の回になりそうですが、ファッション・ウイークに魅了されて業界に来た身としては、厳しい目線と祝福の目線の両方を持って見たいと思います。そして「つまらない」と外部から野次を飛ばして終わらせるだけではなく、「やり方次第で」光は見えてくることを信じて、東京の未来のために動き出します。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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「日本社会の特性である“楽天主義”を実現して、みんながハッピーになれるプラットフォームを提供できればと思っている」 by 三木谷浩史

三木谷浩史・楽天会長兼社長

日本社会の特性である“楽天主義”を実現して、みんながハッピーになれるプラットフォームを提供できればと思っています。(2019年8月9日掲載、楽天の三木谷会長、小山薫堂、佐藤可士和が語る「世界で戦うための日本型ブランド戦略」から)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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小松菜奈やBLACKPINKのJENNIE、カロリーヌ・ド・メグレらミューズが語る「シャネル」2020年春夏コレクション

 「シャネル(CHANEL)」は10月1日、グラン・パレ(Grand Palais)で2020年春夏コレクションのランウエイショーを開催した。屋根が連なるパリの街並みを舞台に、故カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)の跡を継いだヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)による初のレディ・トゥ・ウエアコレクションが披露された。

 そんな晴れの舞台のフロントローを飾ったのは、カーディ・B(Cardi B)ら、「シャネル」のアイテムをまとった豪華なゲストたち。中でも会場で注目を浴びていた小松菜奈、BLACKPINKのジェニー(JENNIE)、カロリーヌ・ド・メグレ(Caroline de Maigret)、パク・スジュ(Soo Joo Park)に、ショーの感想や「シャネル」が好きな理由、ヴィルジニー・ヴィアールによる「シャネル」に期待することなどを聞いた。

小松菜奈

WWD:ショーはどうだった?

小松菜奈(以下、小松):今回のショーも本当に素敵で、グラン・パレの中にトタン屋根のパリの風景があって。映画で見るパリのトタン屋根には憧れがあったので、その中に入っている感じがしました。そこの中に今回の新しいコレクションがカラフルだったりモノトーンだったり本当に素敵で、すごく興奮しました。

WWD:コレクションで一番気になったピースは?

小松:今回最初のほうがカラフルだったんですけど、途中のデニムの生地のセットアップがショートパンツでそこに抜け感がありながら、ボーイッシュだし、ボリュームもあってビンテージっぽさもあり、キメすぎてない。でもおしゃれな感じがあって、すごく私は好きでどストライクでした。

WWD:「シャネル」のどこが好き?

小松:ブレない強さがすごく好きで、かっこよさもあるけど、すごく柔軟さもあって。どんどん『シャネル』の魅力を更新している感じがします。だからすごく好きです。

JENNIE

WWD:ショーはどうだった?

ジェニー:楽しくて素晴らしいショーだった。

WWD:コレクションで一番気に入ったピースは?

ジェニー:今すぐお気に入りのピースを1つなんて決められない。全部美しかったと思う。

カトリーヌ・ド・メグレ

WWD:ショーはどうだった?

カトリーヌ・ド・メグレ(以下、メグレ):ショーは素晴らしかった。とてもフェミニンでライト。少しヌーヴェルヴァーグ的な雰囲気もあって、ノンシャランなモデルたちがパリの街の屋根の上を歩いていく。本当に素敵だった。

WWD:コレクションで一番気に入ったピースは?

メグレ:ロング丈のシルバーのドレス。とてもシックでエレガントだけど同時にすごくクールで、虜になった。

WWD:ヴィルジニー・ヴィアールによる「シャネル」に期待することは?

メグレ:私が彼女のコレクションでとにかく好きなのは、エレガンスに加えられたフェミニティー。とてもオーセンティックでナチュラル。シルバーのカッティングや組み合わせ方、素材も本当に美しい。でも、そのフェミニティーにもう少しクールな要素を加えることができたら……将来がとても楽しみね。

パク・スジュ

WWD:コレクションで一番気に入ったピースは?

パク・スジュ(以下、スジュ):たくさんあるけど、ナイロンがツイードにミックスされたジャンプスーツが気に入った。コンテンポラリーだけどすごくクラシックで、「シャネル」らしいと思った。

WWD:「シャネル」が好きな理由は?

スジュ:「シャネル」が好きなのは、女性が創業し、女性をサポートし、女性のエンパワメントに貢献しているから。それにヴィルジニーが率いるようになった今、とても現代の女性らしくなったと思う。テイラーリングにクオリティ、ブランドイメージもすごく強いし、好きにならないわけない。

WWD:ヴィルジニー・ヴィアールによる「シャネル」に期待することは?

スジュ:ヴィルジニーによる新生「シャネル」には、モダンでフェミニンなエネルギーを期待しているわ。

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読者が注目した今週の新作 「ユニクロ」×「エンジニアド ガーメンツ」など(10月11〜17日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。「ファッション部門」と「ビューティ部門」は読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ファッション部門」では「ユニクロ アンド エンジニアド ガーメンツ(UNIQLO AND ENGINEERED GARMENTS)」の第2弾が最も注目され、「ビューティ部門」では「ディオール(DIOR)」のクリスマスルック「ハッピー 2020」が1位に輝いた。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


【スニーカー部門】

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新米男性記者のためのビューティ講座 スキンケア編

 新卒で入社して3年目、4月にWWDビューティ編集部に異動となり、メンズコスメを担当しています。ビューティ記者としての一歩を踏み出したものの、分からないことだらけで勉強の日々が続いているのですが、見かねたベテラン先輩記者が業界ビギナーの僕にビューティの基本を教える、そんな連載をスタートさせました。

 第2回目は、スキンケア編。メンズコスメ市場が過熱する昨今、男性がコスメなんて……という時代ではなくなってきています。企業が大学生や社会人に向けてスキンケアセミナーを開催するなど、就職・転職活動の場でも肌は第一印象を左右する要因の一つといわれていますが、それは女性に限ったことではありません。しかしながら一言でスキンケアといっても化粧水にはじまり美容液や乳液、はたまた目元用、鼻用保湿クリームなどのパーツケアまで、製品のジャンルは多岐にわたります。僕も毎日スキンケアをしていますが、実際のところ何が正しい用法なのか、そして何が売れているのか……。男性は特に知る機会は少ないですよね。今回の講座であらためて知識を整理していきたいと思います。

先輩F:Kは、ビューティ編集部に異動するまでそもそも“スキンケア”ってなんだと思っていた?

後輩K:なんだと思っていた?う~ん、肌をきれいにすることですか?例えば、肌が乾燥しないように化粧水をつけたり、潤すために乳液をつけたりすることですかね。ビューティ業界に足を踏み入れてから、そのほかにもスキンケア製品には種類がたくさんあるんだと知りました。

先輩F:スキンケアの基本は、洗顔した後に化粧水、そして乳液かクリームがミニマム。少し大人になってきたら美容液はマストかも。美容液の中にも化粧水の前の導入美容液から、目元用、口元用、最近では鼻用の美容液なんてものあったりするの。

後輩K:フェイス用美容液を使うだけで目や口元はケアできないんですか?

先輩F:一般的にフェイス用美容液は、目元や口元などの皮膚が薄く敏感なところは避けて使うようにってなっていて、だからパーツケア用の美容液やクリームがあるのよ。

後輩K:初歩的なことですが、例えば目元に塗るとどういう効果があるんですか?

先輩F:シワが出やすいところだから、そこに効果が期待できたり、目元のくすみやクマのケアにも働きかけてくれるよ。

後輩K:導入美容液ってなぜ使うんですか?

先輩F:その後に使う化粧水の肌への浸透力を高めてくれるんだけど「ランコム(LANCOME)」の「ジェニフィック アドバンストN」はその先駆けかも。でも「WWDビューティ」の百貨店売り上げランキングの常連でもある「コスメデコルテ(DECORTE)」の「モイスチュア リポソーム」もずっと売れているよ!人気の「ソフィーナ IP(SOFINA IP)」の「ベースケアエッセンス」は"土台美容液"という名前で定着したよね。

後輩K:なるほど。一言でスキンケアといっても肌をきれいにするだけではなくて、その後に使う化粧品の効果を高めたり、目や口元などのエイジングケアも含まれるんですね。

先輩F:そう。それらもスキンケアの一つ。季節によって使うものも違って、年末ぐらいから美白用の製品の発売が増えて、春先に乾燥が気になり始めると敏感肌用の物が登場したりするの。冬は保湿に特化した製品と、傾向が異なるのもスキンケアの面白いところかな。季節の変わり目は肌のコンディションが不安定になりやすいしね。

後輩K:ファッションみたいにSS/AW(春夏/秋冬)って分かれているんですね。

先輩F:SS/AWっていうよりは、季節に合わせてさらに細分化されているのがスキンケアって感じかな。

後輩K:なるほど。少し話が戻りますがエイジングケアっていつから始めるべきなんでしょうか。最近、エイジングケアブランドの「アスタリフト(ASTALIFT)」から男性用スキンケアシリーズ「アスタリフト メン」が登場しましたけど、今年26歳になる僕も使用した方がいいんでしょうか?最近眉間のシワが気になり始めまして……。まだ若いうちからエイジングケアをした方がいいのかなって。

先輩F:個人的な意見として、20代でそこまで意識しなくていいと思うの。若いうちは肌のターンオーバーがしっかりしているから、そこに頼ればいいと思っているんだけど。ただ何もケアをしないのはダメだから、保湿はしっかりした方がいいかなぁ。高価なものがいいのかといわれるとそうではない気がする。年齢に合ったもの、20代の人向けを使えばいいのでは。例えば「SK-II」の「フェイシャルトリートメントエッセンス」は、昔は30〜40代以上の人をターゲットにしていたと思う。でも約10年前に当時20代の綾瀬はるかさんをブランドアンバサダーに起用して20代の顧客も増えているよね。「若い時からケアしましょう」っていう戦略。でも実際、「SK-II」は秋田10年肌研究という調査を行っていて、秋田に住む100人以上の女性を対象に20代から何十年も追いかけて肌を見つめているんだけど、明らかに同社の「フェイシャルトリートメントエッセンス」を使っている人の肌の方が美しいの。それを見ると若い頃からきちんとスキンケアはした方がいいんだろうなと思いますよ。

後輩K:何事も継続が大事なんですね。

先輩F:スキンケア製品の特徴って一度使って気に入ったらなかなか変えられないというのが面白いよね。自分に合う製品を見つけるまで“スキンケアジプシー”っていわれるぐらいいろいろ試すけどだいたい3カ月で消費する量だから、スキンケアは3カ月に1度また購入するというサイクル。売り上げのベースが分かるから、コアとなるスキンケア製品を持つと強いよね。

後輩K:売り上げの土台がしっかりするわけですね。、

先輩F:「ポーラ(POLA)」の「リンクルショット メディカル セラム」が爆発的に売れたときは“シワ改善”がトレンドになり、スキンケアの一つとして定着したのよ。これが既存のスキンケアにプラスオンされ売り上げにつながっていくという、面白いところだと思う。

後輩K:固定収入みたいなことですね。3カ月ごとに買うのなら、早めに若いお客さんを獲得したほうが長い期間、売り上げが立ちますね。

先輩F:3カ月に1回、10~20年ずっと買ってくれる人をつかんでいられたらブランドにとってはとてもうれしいことよね。そういうプロモーションも「SK-II」はすごく上手だと思う。人気女優の綾瀬さんを起用したこともそうだし、商品でも何年か前から限定パッケージを出すようになって、新鮮なデザインがリピーターにもつながって、さらに新客も獲得している。コーセーの「ミラノコレクション」みたいにパッケージデザインで買う人もいるよ。あと化粧品のプロモーションの特徴で面白いと思うのが、ロングセラー商品にフォーカスすること。ファッションは新鮮な商品を中心にプロモーションをするけど、ビューティは「アルビオン(ALBION)」の「薬用スキンコンディショナー」や「エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)」の「ダブルウェア」など、ロングセラーの打ち出しを強めることがある。ロングセラーといっても、まだ商品を知らない人にもアプローチして、買ってもらってさらにロングセラーになっていく。

後輩K:男性が始めるならどんなスキンケアがいいと思いますか?

先輩F:男性用といえば「シセイドウ メン(SHISEIDO MEN)」や「アラミス(ARAMIS)」の「ラボ シリーズ(LAB SERIES)」それから「クラランス メン(CLARINS MEN)」などがあって、「イソップ(AESOP)」や「オルタナ(OLTANA)」なども人気よ。デザイン的にもすごくウケている。意外なところでは、「イプサ(IPSA)」も人気で、シンプルで使いやすいだろうなと思うしパッケージ的にもいいんでしょうね。

後輩K:今、旬なスキンケアトレンドは何でしょうか?

先輩F:最近よく聞くのは“発酵”かな。もちろん「SK-II」の化粧水「フェイシャル トリートメント エッセンス」は米発酵エキスのピテラが配合されていてロングセラーだけど、「アルビオン」が第二の「薬用スキンコンディショナー」として大型スキンケア「フローラドリップ」を出したり、「ハッチ(HACCI)」の新スキンケアライン“HACCI 発酵液”などが登場したよ。

ベスコス本命からプチプラまで、今「発酵コスメ」がアツい理由とは?!

後輩K:発酵をキーワードにした製品は最近多いですよね。発酵は肌にいい?

先輩F:いいと思う。米は国を代表する食べものだし、日本には発酵食品もたくさんあるからね。健康にも肌にもいいと思う。

後輩K:あと、今ってシートマスクも人気があるじゃないですか。これもスキンケアですよね。

先輩F:以前はマスクといえばスキンケアのスペシャルケアで、週に1~2回使用するのが一般的だったけど「サボリーノ」とかが出てきて毎日使うアイテムに定着しつつあるよね。大容量の「ルルルン」や「肌ラボ」の「極潤3Dパーフェクトマスク」とか1枚あたりのコストも低くなって使いやすくなった。「サボリーノ」みたいなものは現代社会で重宝するアイテム。毎日ものすごくいそがしいし、目まぐるしい世の中になったからこそ出てきたのかもって思う。

後輩K:時短アイテムですね。マスクを貼れば、化粧水、美容液、乳液まで完成。「サボリーノ」は洗顔もですよね。洗浄してなおかつ潤すってどういう仕組みなんでしょうか。

先輩F:そのうえ下地の機能のあるものもあって。オールインワンクリームのマスク版みたいなものかな。でもオールインワンだと洗顔はできないからね。すごい仕組みだよね。

後輩K:一度つけたらそれでスキンケアが完結しますもんね。メンズコスメでも最近はよく見ます。洗顔までしてくれるマスクもありますけど、やっぱりスキンケアの前に洗顔をしないと始まらないですよね。

先輩F:ということで、次回は洗顔について話そう。

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「アンダーアーマー」の好調EC、「アマゾン ペイ」が新規顧客の獲得を強力サポート


 全国に強力な大型店を持つブランドにとって、ECサイトの使い勝手の良さは重要だ。ECサイトがロイヤルティーの高い顧客の受け皿になるのに加え、たまたま店舗を訪れたライトユーザーを新しいロイヤルカスタマーへと変える重要な販売チャネルにもなり得るからだ。そうした意味で、商品購入の最終段階である決済の簡易化や使いやすさは、ECサイトだけでなくブランド全体の底上げにもつながる。
 世界的なスポーツブランドとして急成長を続ける「アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)」の日本総代理店であるドームは、昨年8月にECサイトの大幅リニューアルを行った。コーポレートサイトとECサイトを統合し、新たに決済サービスの「アマゾン ペイ(Amazon Pay)」も導入した。「アマゾン ペイ」は想定以上の威力を発揮し、ECサイト全体の成長を後押しした。その理由は何か?ドームのEコマース部の輿石ゆうり氏に話を聞いた。

グローバル基準の
新システムを導入
ECサイトを大幅刷新

 「アンダーアーマー」のECサイトの今期の売り上げは現在、前年同期比2桁増で推移している。好調な要因は既存顧客の深掘りと新規顧客の取り込みがバランスよく増えているからだという。ただ、昨年8月のリニューアル直後は、デザインや仕様の変更が既存顧客に少なからず影響を与えたという。「システムをグローバル基準のセールスフォース(Salesforce)のコマースクラウド(Commerce Cloud)に変更し、コーポ―レートサイトとECサイトを統合したため、既存顧客にとっては使い勝手がかなり変わってしまった」と輿石氏は振り返る。どんなECサイトでも大幅な刷新後は、細かい修正を根気強く長い時間をかけて行う必要がある。中長期的な成長を考えれば、グローバル基準の最新システムは必須。「アンダーアーマー」も半年をかけて修正を積み重ねる必要があった。

最短2クリックの
「アマゾン ペイ」
新規顧客の取り込みを
強力バックアップ

 そこで強力な威力を発揮したのが「アマゾン ペイ」だった。「システムの刷新の一環として『アマゾン ペイ』を導入した。「ゲスト購入」というオプションをマーケティング観点から設けておらず、それが新規購入者獲得のハードルになっていた。『アマゾン ペイ』の導入はそのハードルを下げるという目的があった」。だが、結果として想定以上の結果をもたらす。導入後「アマゾン ペイ」での決済はいきなり全体の2割を占めるに至ったのだ。「直近1年で『アマゾン ペイ』とそれ以外の決済方法を比較すると、『アマゾン ペイ』の方が決済完了率は45%も高い」という。

 「アマゾン ペイ」の強みは、最短2クリックで購入完了に繋げられること。煩雑な手間を省けるだけでなく、世界水準のセキュリティが適用されており、新規顧客の心理的なハードルも下げられる。「実際に『アマゾン ペイ』の利用者は、購入実績のなかった新規顧客が8割もある。『アマゾン ペイ』による新規顧客の取り込み効果があるおかげで、既存顧客のためのリニューアル後の修正に必要なリソースを配分ことができた」という。

「アマゾン ペイ」の効果を
さらに積極活用
今後はリアル店舗との連携も

 現在好調に推移する「アンダーアーマー」のECサイトだが、「アマゾン ペイ」が支えた新規顧客の獲得効果をより効果的なものにすべく、今後は新規顧客の拡大に向けた施策を本格的に実行する。「直近の数カ月は既存顧客のコンバージョンも、サイトのリニューアル前を超えるようになってきた。リニューアルにより、以前に比べてより細かく顧客データを分析できるようになり、ECサイトの利用者の多くは『アンダーアーマー』のコアなファンが多いことがわかってきた。リアル店舗で『アンダーアーマー』を知った顧客をよりロイヤルティーの高い顧客へとつなげるためにはリアル店舗との連携が欠かせない。そのためにも『アマゾン ペイ』を会員登録の簡素化にも活用するなどの仕様変更も検討している」。


問い合わせ先
アマゾン ペイ事業本部

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“セクシーで疲れない”ハイヒール 星あやが提案する「イエロ」

 モデルの星あやによる「イエロ(YELLO)」は、スニーカーブームの中でもハイヒールを売れ筋にするシューズのD2Cブランドだ。2万〜3万円の価格帯で、“日本にないデザイン性”と“日本が得意とする履き心地”を掛け合わせたハイヒールが好評。愛用者には、浜崎あゆみや夏木マリ、韓国の人気アイドルBLACKPINKなど、アーティストや女優などが幅広く名を連ねる。カタログやビジュアルでは、個性、人種、性別の異なるモデルを起用して、“みんな違ってみんな美しい”という多様性を反映しているのもブランドの魅力になっている。

「イエロ」は2017年6月にECで販売を開始。スタイリストからの好評やインスタグラムでの注目を受け、全国の百貨店にポップアップストアも多数出店してきた。10月18日には初の実店舗となるフィッティングサロンを渋谷・神宮前にオープンする。ディレクションから経営までを担う星あやに、立ち上げた理由やブランドを通して伝えたいストーリーを語ってもらった。

WWD:ブランドをスタートさせた理由を教えてください。

星あや:17歳の高校生の頃から雑誌「ブレンダ(BLENDA)」でモデルの仕事をしてきたのですが、月刊誌の仕事を終えてからは旅行好きが高じ海外放浪をするようになりました。ジプシーの感覚で、好きなように世界を遊び歩いていました。アメリカのマイアミやヨーロッパなど、なるべく日本人の少ないところで新しい友達を作ろうと⻑期滞在用のマンションを借りて、地元の人や、近くの店の人たちとも仲良くなっていきました。ラテン系の文化が根付くマイアミは、アメリカの都市の中で最南端にありアメリカの南米と呼ばれているんです。皆が日中のビーチからナイトアウトまでゴージャスに、キメキメのファッションを楽しんでいるところ。女性がセクシーなアウトフィットで、ジュエリーも沢山つけて、ハイヒールを履いて、ウィッグをつけて葉巻をくわえて踊っている。男性もムキムキしていて、ギラギラした目で女性たちを見つめているんです。そういう欲望強めで、自分の性を楽しんでいる姿に衝撃を覚えたんです。

WWD:ブランドの出発点は海外で見たパワフルなファッションだったんですね。

星あや:海外の情熱的な女性たちを見て、「日本で彼女たちのスタイルを表現できるようなことを何かやりたい」と思いました。もともと、私自身の私服はシンプルなものが多く、服よりもシューズやコスメにこだわりがありました。しかし、日本では欲しいものが見つからなくて、海外で購入することが多かったんです。特にハイブランドではハイヒールはそろっているんですが、それ以外の価格帯のブランドだといいものが見つからない。だから、私が本当に欲しいハイヒールを作ろうと思ったんです。

WWD:ハイヒールへのこだわりは?

星あや:日本にないデザインと、日本で企画された低反発インソールの履き心地を合わせることです。日本には“かわいい靴”はあったけれど、“美人な靴”がなかったんです。ハイブランドでは“美人な靴”はありますが、値段も高いし、履くと痛いんです。車文化ではない日本では、やっぱり履き心地は重要です。デザインは海外のトレンドをとにかく意識し、日本の流行は無視してます。ヒールの角度は⻩金比のシルエットにたどり着きました。そこに日本特有の低反発のインソールをドッキングさせれば唯一無二になれるのではないかと考えました。

作りたかったのは“ストリートでがんがん履ける痛くないハイヒール”

WWD:スニーカーブームの中、ハイヒールにあえて挑戦した。

星あや:最初周りの大人たちの反応は冷ややかで、「売れるはずがない」とも言われました(笑)。「セクシーなスタイルは日本文化には絶対合わない」ということも。でも果たしてそうかな?と思っていました。欲しかったけど今までなかった、ドレスに合わせるオケージョン用ではなくって、普段からストリートでがんがん履ける痛くないハイヒールを作りたかったんです。

WWD:シューズのデザインはどのように行なっている?

星あや:私は実家がゲームセンターで、漫画やゲームはずっと好きです。ファッションに興味がなかったら多分オタクになっていたタイプでした(笑)。だから漫画からインスピレーションを受けているものも多いです。また、“ファウンデーションパンプス”では、日本にも近年いろんな国籍の子がいっぱいいるのでヌードカラーを1色にするのはおかしいと思って、4つの異なるスキンカラーを表現して、「これら全てがヌードカラーだよ」っていうのを世の中に見せるべく作りました。名前もただベージュではなく、ネイキッド、サンキスト、ブラウンシュガー、チャイなどキュートなネーミングにしていて、「イエロ」の全てのシューズに愛のある名前を付けています。

WWD:リリース後の反応は?

星あや:最初の展示会でたくさんの人にいい反響をいただけました。噂を聞き付けたスタイリストさんたちが「こういうのが欲しかった」って言ってくださり、私が欲しかったものってみんな欲しかったんだっていう答え合わせができました。現在、購入者のお客さまの平均年齢は32歳。幅広い年齢層の方に愛用いただいているんです。XLサイズとして26.0cmまで用意があるので、ニューハーフの方たちにも気に入って履いていただいています。多様性のあるブランドにすることは立ち上げる時から自分の中で自然と決まっていました。

WWD:多様性の表現はどのように行なっている?

星あや:デビューシーズンのビジュアルでは、“みんな違ってみんないい”という私が思う美の多様性を見せました。これが「イエロ」が発信したい一番の思いだからです。体形も肌の色も、目の形も異なる子たちが「イエロ」のブーツを履いて、みんながゴージャスであることを強調したかった。プラスサイズの子、アフリカ系アメリカ人とロシアと日本のミックスの子、一重のアジアンビューティーな子、みんな違ってみんな美しい。しかも、合わせたT シャツは、あえて4枚1200円のパックTシャツで、それぞれ個性の異なる美しい女の子たちが「イエロ」の靴を履けば300円ぐらいのTシャツさえもゴージャスに見せることができるということを実証したかったんです。

異なる美しさを肯定することが人生をかけたミッション

WWD:ポップアップストアで採用するスタッフも印象的だ。

星あや:店舗のスタッフのことを“イエロ ドールズ(YELLO DOLLS)”と呼んでいます。2週間のポップアップのために募集をかけると、90人ほどエントリーが来ることがあります。体形も国籍にもとらわれないように採用をしています、自分のコンプレックスを克服して、それをポジティブな気持ちで味方につけた子に美しさや、パワーを感じます。心と体が健康的な彼女たちを「イエロ」の店内での代表として選ぶことにより、共感を得ています。スタッフにはレズビアンの子、ゲイの子、ニューハーフの子もいます。

WWD:“イエロ ドールズ”のスタイルにはこだわりがある。

星あや:自分のアイカラーと自分の髪の毛の色を大事にしてる子こそ、パパとママのDNAと神さまがつくってくれた色を生かしていると思います。なので、基本的にカラーコンタクトはNGで、髪の毛も染めないでほしいと思っています。その代わり、メーキャップはゴージャスにっていうのがポイント。眉毛をぼかしたりせずにきりっと描いて。お客さまにハッキリ接客をし明確に意思を伝えられる顔であってほしい。健康的でセクシーで、意志の強い顔を、モデルもうちのスタッフも作るようにしてもらっています。

WWD:スタッフの人間性や多様性もブランドの表現の一つ。

星あや:私は靴を売るだけではなく、商品、スタッフ、モデルを通して、メッセージを提示したいと思っています。女の子は子どものときに容姿について言われたことをずっと覚えています。例えば、目が細いとか、肌が黒いとか、デブとか、言われたことが根深くずっとトラウマになっていると思うんです。子どもたちっていろんなことを悪気なく言うんですけど、何十年経っても覚えてることがたくさんあって。そういったネガティブな言葉を「『イエロ』を履いて、それもいいじゃない。人はそれぞれの美を持って生まれてきたのだから」と言いたいんです。このブランドで異なる美しさを肯定したいって思っているんです。もちろん、怠けて見た目が悪いのはよくないことだと思うんですが、自分自身の生まれ持ったもので、何か人に虐げられるのはすごく寂しいことですよね。それを肯定するのが私のこのブランドをやりながらの、人生を懸けたミッションだと思っているんです。

一人一人のお客さまにブランドの魅力と感謝を伝えたい

WWD:星さんも店頭で接客をすることがある?

星あや:私は日によって立っていることもあります。でも、デザイナー来店イベントや握手会などは「イエロ」がやるべきことではないと思っています。私はディレクターであり、デザイナーで経営者でもある。できるならば受け身ではなく、一人一人のお客さまにご挨拶をして、シューズの魅力を伝えたいという気持ちが強いんです。お客さまが望まれたら写真も撮りますが、何より「ありがとうございます」ということを伝えたい。“イエロ ドールズ”たちにも背中を見せるような感じで、私もしっかりとお客さまに向き合って接客をします。

WWD:会社はアパレル企業と組むのではなく、自分で会社を立ち上げている?

星あや:「イエロ」を始めるために10代からの友人と2人で会社をスタートさせました。私はモノ作りで、友人は経営を担当しています。ずっとファッション業界にいる人だったので理解もありながら、役割がしっかり違う2人で運営しています。

WWD:ECを中心にしたビジネスにしていますね。

星あや:パッケージにもこだわっているんです。クリアのボックスに入れて、箱に入っているだけでアートのように見えるようにしました。発送時には季節のお手紙とともに梱包しています。その手紙は私が日本語と英語で全部書いていて、書いている時間はすごく幸せなんです。私があったらいいなと思っていたことを「イエロ」で実現しています。世界中のお客さまからの声もいただいているので、今後は海外発送にも対応したいと考えています。

WWD:実店舗を開く予定は?

星あや:フィッティングサロンを表参道に開きます。実際に「イエロ」のシューズを試せて、世界観を感じていただけるスペースになる予定です。

■YELLO FITTING SALON
オープン日:10月18日
営業時間:12:00〜20:00
住所:東京都渋谷区神宮前6-8-5 AIビル2階

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百貨店不在&ファッション不況で生まれたエアポケット 「アットコスメ」が原宿に路面店を出す“必然”

 アイスタイルは12月下旬に、「アットコスメ」の旗艦店「アットコスメ トーキョー」を東京・原宿にオープンする。原宿駅を出て目の前のビル1棟を丸ごと使い、店舗総面積約1983平方メートル、売り場面積約1322平方メートル、全3フロアで展開する。同社の「アットコスメ ストア」は国内外に33店舗を構えているが、どれも商業施設内のテナントであり、路面店は初となる。原宿は長年“ファッションのトレンド発信拠点”といわれ、多くのブランドがこの地から成長していったが、ビューティ系の大型ショップが今、この地に降り立つことは“必然”ともいえる。

 原宿エリアには修学旅行客や10〜20代が多く訪れるため化粧品も若年層が手軽に買える価格帯のブランドが多く、原宿駅から明治通り沿いまでのエリアから抽出すると、「スタイルナンダ(STYLENANDA)」「イニスフリー(INNISFREE)」「ラリン(LALINE)」「ラッシュ(LUSH)」「ボタニスト(BOTANIST)」の路面店があるほか、ドラッグストアは「マツモトキヨシ」が2店舗、原宿クエストには「アインズ&トルペ」などの店舗が存在する。

 また2010年代からは、 “高感度な消費者”にアプローチする中〜高価格帯ブランドの出店も増えており、ビューティを強化するラフォーレ原宿には「コスメキッチン」「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ(LES MERVEILLEUSES LADUREE)」などが、12年にオープンした東急プラザ原宿表参道には「イセタンミラー」「ジルスチュアート ビューティアンドパーティ(JILL STUART BEAUTY & PARTY)」「ニックス プロフェッショナル メイクアップ(NYX PROFESSIONAL MAKEUP)」などが出店している。

 「アットコスメ ストア」はドラッグストアやバラエティーストアのコスメから百貨店ブランドまで“チャネル横断型”の品ぞろえに注力しており、既存店にはドラック&バラエティーストアでおなじみのブランドのほか、「SHISEIDO」「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」「アルビオン(ALBION)」「ランコム(LANCOME)」「クリニーク(CLINIQUE)」「ジョルジオ アルマーニ ビューティ(GIORGIO ARMANI BEAUTY)」「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」「M・A・C」「ボビイ ブラウン(BOBBI BROWN)」などの百貨店ブランドを取り扱っている店舗もある。

 このチャネル横断施策でネックになるのがエリア競合で、周辺に百貨店があると出店計画の都合で取り組みを見合わせるラグジュアリーブランドが出てくる。しかし原宿には、大型商業施設はあるものの百貨店はないためブランド側も参加しやすく、今回の旗艦店でも「ディオール(DIOR)」「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」「トゥー フェイスド(TOO FACED)」「KANEBO」「アユーラ(AYURA)」「ルナソル(LUNASOL)」「アディクション(ADDICTION)」といったこれまでも取り組みがあった人気ブランドのほか、「クラランス(CLARINS)」「ジバンシイ(GIVENCHY)」「トム フォード ビューティ(TOM FORD BEAUTY)」など多数の百貨店ブランドを初めて取り扱うことになった。

 ビューティ業界が好調であることも原宿出店への大きな弾みとなっている。同旗艦店は今年5月7日に閉店した「ギャップ(GAP)」の旗艦店「ギャップフラッグシップ原宿」があった建物だ。「ギャップ」閉店の前日には神宮前交差点付近の「ウィゴー(WEGO)」原宿本店も15年の歴史に幕を下ろした。2008年9月に華々しくオープンし、開店当日には1200人が列を作った「フォーエバー21(FOREVER 21)」も業績悪化に伴い17年5月に閉店している。

 オンラインショッピングの隆盛や価値観の変化などにより、ファッション業界、特に若年層向けのブランドが苦戦を強いられている今、大型であればあるほど店舗の維持が難しい。その一方で、ビューティ業界はSNSで製品や使い方紹介を行う“ビューティインフルエンサー”によるクチコミ人気やリップやアイシャドウなどのカラーメイクブーム、百貨店ブランドを多数セレクトしているセミセルフ業態店の浸透などもあり、若年層のラグジュアリーブランドファンが増えている状況がある。

 セミセルフ業態でラグジュアリーブランドからプチプラコスメまで取り扱う「アットコスメ ストア」は、幅広い世代が気軽に訪れやすい。また、台湾や香港、タイなどにも出店しているためアジアのコスメファンにも知られた存在である上に、欧米では保湿を重視するスキンケアが見直されており、良質なスキンケアブランドが多い“Jビューティ”への関心も高いため、「ヴィセ(VISEE)」「キュレル(CUREL)」「雪肌精」「コスメデコルテ(DECORTE)」「ファンケル(FANCL)」などのインバウンド需要の高いブランドも豊富にそろっていることも、訪日客が多い原宿にはプラスに働くだろう。

 また、アイスタイルにとっては原宿への出店のみならず、路面店を出すことにも大きな意味がある。吉松徹郎アイスタイル社長は「新しい決済のテクノロジーやネットワークされた什器など、実現していきたいことはあったが、商業施設の一テナントでは難しかった。路面店ならば実現してみたい“新しいリテールテック”の挑戦もできる。ブランドが試してみたかったデジタルサイネージやバーチャルメイク、肌診断などのビューティテックにも、什器ごとに柔軟に対応が可能だ」と、旗艦店のメリットについて語る。ブランドなどと連動した実店舗でのイベント企画なども提供できるイベントフロアも設けるほか、2階の外壁面は全面にデジタルサイネージを施してブランドのプロモーションも行う予定だ。

 20年にはいよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催され、世界各国から多くのツーリストが訪れる。国内外のブランドが多数そろうビューティの大型店が駅前にオープンすることは、ビューティ業界にとっても大きな意味があるはずだ。ファッション業界が元気のない今、ビューティが原宿を盛り上げることを期待したい。

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百貨店不在&ファッション不況で生まれたエアポケット 「アットコスメ」が原宿に路面店を出す“必然”

 アイスタイルは12月下旬に、「アットコスメ」の旗艦店「アットコスメ トーキョー」を東京・原宿にオープンする。原宿駅を出て目の前のビル1棟を丸ごと使い、店舗総面積約1983平方メートル、売り場面積約1322平方メートル、全3フロアで展開する。同社の「アットコスメ ストア」は国内外に33店舗を構えているが、どれも商業施設内のテナントであり、路面店は初となる。原宿は長年“ファッションのトレンド発信拠点”といわれ、多くのブランドがこの地から成長していったが、ビューティ系の大型ショップが今、この地に降り立つことは“必然”ともいえる。

 原宿エリアには修学旅行客や10〜20代が多く訪れるため化粧品も若年層が手軽に買える価格帯のブランドが多く、原宿駅から明治通り沿いまでのエリアから抽出すると、「スタイルナンダ(STYLENANDA)」「イニスフリー(INNISFREE)」「ラリン(LALINE)」「ラッシュ(LUSH)」「ボタニスト(BOTANIST)」の路面店があるほか、ドラッグストアは「マツモトキヨシ」が2店舗、原宿クエストには「アインズ&トルペ」などの店舗が存在する。

 また2010年代からは、 “高感度な消費者”にアプローチする中〜高価格帯ブランドの出店も増えており、ビューティを強化するラフォーレ原宿には「コスメキッチン」「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ(LES MERVEILLEUSES LADUREE)」などが、12年にオープンした東急プラザ原宿表参道には「イセタンミラー」「ジルスチュアート ビューティアンドパーティ(JILL STUART BEAUTY & PARTY)」「ニックス プロフェッショナル メイクアップ(NYX PROFESSIONAL MAKEUP)」などが出店している。

 「アットコスメ ストア」はドラッグストアやバラエティーストアのコスメから百貨店ブランドまで“チャネル横断型”の品ぞろえに注力しており、既存店にはドラック&バラエティーストアでおなじみのブランドのほか、「SHISEIDO」「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」「アルビオン(ALBION)」「ランコム(LANCOME)」「クリニーク(CLINIQUE)」「ジョルジオ アルマーニ ビューティ(GIORGIO ARMANI BEAUTY)」「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」「M・A・C」「ボビイ ブラウン(BOBBI BROWN)」などの百貨店ブランドを取り扱っている店舗もある。

 このチャネル横断施策でネックになるのがエリア競合で、周辺に百貨店があると出店計画の都合で取り組みを見合わせるラグジュアリーブランドが出てくる。しかし原宿には、大型商業施設はあるものの百貨店はないためブランド側も参加しやすく、今回の旗艦店でも「ディオール(DIOR)」「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」「トゥー フェイスド(TOO FACED)」「KANEBO」「アユーラ(AYURA)」「ルナソル(LUNASOL)」「アディクション(ADDICTION)」といったこれまでも取り組みがあった人気ブランドのほか、「クラランス(CLARINS)」「ジバンシイ(GIVENCHY)」「トム フォード ビューティ(TOM FORD BEAUTY)」など多数の百貨店ブランドを初めて取り扱うことになった。

 ビューティ業界が好調であることも原宿出店への大きな弾みとなっている。同旗艦店は今年5月7日に閉店した「ギャップ(GAP)」の旗艦店「ギャップフラッグシップ原宿」があった建物だ。「ギャップ」閉店の前日には神宮前交差点付近の「ウィゴー(WEGO)」原宿本店も15年の歴史に幕を下ろした。2008年9月に華々しくオープンし、開店当日には1200人が列を作った「フォーエバー21(FOREVER 21)」も業績悪化に伴い17年5月に閉店している。

 オンラインショッピングの隆盛や価値観の変化などにより、ファッション業界、特に若年層向けのブランドが苦戦を強いられている今、大型であればあるほど店舗の維持が難しい。その一方で、ビューティ業界はSNSで製品や使い方紹介を行う“ビューティインフルエンサー”によるクチコミ人気やリップやアイシャドウなどのカラーメイクブーム、百貨店ブランドを多数セレクトしているセミセルフ業態店の浸透などもあり、若年層のラグジュアリーブランドファンが増えている状況がある。

 セミセルフ業態でラグジュアリーブランドからプチプラコスメまで取り扱う「アットコスメ ストア」は、幅広い世代が気軽に訪れやすい。また、台湾や香港、タイなどにも出店しているためアジアのコスメファンにも知られた存在である上に、欧米では保湿を重視するスキンケアが見直されており、良質なスキンケアブランドが多い“Jビューティ”への関心も高いため、「ヴィセ(VISEE)」「キュレル(CUREL)」「雪肌精」「コスメデコルテ(DECORTE)」「ファンケル(FANCL)」などのインバウンド需要の高いブランドも豊富にそろっていることも、訪日客が多い原宿にはプラスに働くだろう。

 また、アイスタイルにとっては原宿への出店のみならず、路面店を出すことにも大きな意味がある。吉松徹郎アイスタイル社長は「新しい決済のテクノロジーやネットワークされた什器など、実現していきたいことはあったが、商業施設の一テナントでは難しかった。路面店ならば実現してみたい“新しいリテールテック”の挑戦もできる。ブランドが試してみたかったデジタルサイネージやバーチャルメイク、肌診断などのビューティテックにも、什器ごとに柔軟に対応が可能だ」と、旗艦店のメリットについて語る。ブランドなどと連動した実店舗でのイベント企画なども提供できるイベントフロアも設けるほか、2階の外壁面は全面にデジタルサイネージを施してブランドのプロモーションも行う予定だ。

 20年にはいよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催され、世界各国から多くのツーリストが訪れる。国内外のブランドが多数そろうビューティの大型店が駅前にオープンすることは、ビューティ業界にとっても大きな意味があるはずだ。ファッション業界が元気のない今、ビューティが原宿を盛り上げることを期待したい。

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百貨店にも続々出店 米ファッション2次流通大手のトップが語る資金調達と拡大戦略

 リセールサイトを運営する米スレッドアップ(THREDUP)が大きな注目を集めている。8月に1億7500万ドル(約185億円)の資金調達と、新プラットフォーム「リセール・アズ・ア・サービス(Resale-as-a-Service)」のローンチを発表。さらにメイシーズ(MACY’S)やJ.C.ペニー(J.C. PENNEY CO. INC.)に続々出店しており、ファッション業界におけるキープレーヤーとして今後も拡大しそうだ。

 ジェームス・ラインハルト(James Reinhart)=スレッドアップ最高経営責任者(CEO)は、米「WWD」の独占インタビューに対し、「今回のビッグニュースは資金調達の発表であり、メイシーズとJ.C.ペニーの件はまだ公表するつもりがなかった」とコメント。「8月の時点ではメイシーズ40店とJ.C.ペニー30店だけで、彼らの幅広い店舗ネットワークを考えればほんの一部に過ぎない。だから、われわれは試験導入用のパイロット版として考えていた。顧客にとって完璧なものにするにはまだまだ終わらせなければいけない業務や共同作業が山ほどあり、時期尚早だと思っていたが、数多くのニュースで取り上げられ、正直驚いた。その一方で、人々がつながり始めているという大きな流れの前兆になっているように感じた」と明かす。

 今回の資金調達に関しては、パークウエスト・アセット・マネジメント(PARK WEST ASSET MANAGEMENT)とアーヴィング・インベスターズ(IRVING INVESTORS)が投資を主導し、すでに同社への投資を行っているゴールドマン・サックス・インベストメント・パートナーズ(GOLDMAN SACHS INVESTMENT PARTNERS)、アップフロント・ベンチャーズ(UPFRONT VENTURES)、ハイランド・キャピタル・パートナーズ(HIGHLAND CAPITAL PARTNERS)、レッドポイント・ベンチャーズ(REDPOINT VENTURES)も参加した。スレッドアップの資金総調達額は、昨年未公開だった7500万ドル(約79億円)を含めると、3億ドル(約318億円)を超える。

リセールショップと百貨店の組み合わせのメリットとデメリット

 グローバルデータ(GLOBALDATA)のニール・サンダース(Neil Saunders)=マネジング・ディレクターは、「確かにスレッドアップにとっては露出が増えるので、この提携は非常にメリットがあるだろう」と認める。一方で、「メイシーズとJ.C.ペニーにとっては、わずかに役立つだけだろう。パートナーシップは彼らのビジネスにおける他の問題を解決することにはならず、彼らの財務を一変させるわけでもない。彼らが既存のシステムに囚われずに考えているのは素晴らしいが、両社ともに安定した状態になるまでにやるべきことはたくさんある」と指摘する。

 加えて、メイシーズのプライベートブランド「INC インターナショナル・コンセプト(INC INTERNATIONAL CONCEPT以下、INC)」の古着に対するスレッドアップの低い価格設定がどのように受け取られるか、そして、「INC」の新商品の価値を落とさないのかという疑問がある。メイシーズが自社ECで3000点弱の「INC」の商品しか扱っていない中、スレッドアップが定価との価格差がより大きい商品を含む8000点近い「INC」のアイテムを扱っているという、提携における皮肉を無視することはできない。

 サンダースは「スレッドアップはとても身近なプラットフォームで、大衆受けする。これこそがメインストリームの百貨店でうまく機能しうる理由の一つだ」とし、次のように語る。「スレッドアップが各店舗に合わせて品ぞろえを調整するため、商品ラインアップはそれぞれの客層に適したものになり、購買体験全体を損なうことなく価値を加えることになる。ただ、メイシーズのプライベートブランドやその他の取り扱いブランドとの“食い合い”を止める手立てはない。これが提携関係において乗り越えなければいけない問題であり、そのため、両百貨店は消費者にとってさらに魅力的になるように店舗で扱う商品を見直す必要がある」。

 さらに、リセールはミレニアル世代やZ世代の心を捉えているようだ。彼らは、ショッピングへのよりサステイナブルなアプローチに関心を抱くだけでなく、両親の持っている古い服に対する嫌悪感を持っていない。「グッチ(GUCCI)」や「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「シャネル(CHANEL)」「エルメス(HERMES)」などの伝統あるブランドの大ヒットアイテムを、デザインと価格の面で再評価する流れも強まっている。

 そして、ラインハルトCEOは今後さらに多くの店舗を開くことに興味を示している。「ベイエリアでのオペレーションは、われわれがポップアップショップの展開方法を考えるとともに、J.C.ペニーとメイシーズへの出店がリセールショップを実現する方法を理解するのに役立った。時が経つにつれて、私は小売店について非常に強気になり、われわれは数多くの小売店を勧誘して回っている。現在はパートナーシップを組んでいる店舗によりいっそう注力し、百貨店のステージ(STAGE)、メイシーズ、J.C.ペニーの店舗網の中で、100以上のポップアップショップを開く計画だ。2020年には、われわれ独自の店舗について考え始めたい」。

 また、スレッドアップが小売店に提供するもう一つのサービスに、専用キットを用いたアパレルのリサイクルがある。提携ブランドの顧客がキットを使ってスレッドアップに古着を発送すると、そのブランドで新たな服の購入に使えるショッピングクレジットを獲得できるというものだ。 現在は、「リフォーメーション(REFORMATION)」や「クヤナ(CUYANA)」などが、サステイナブルなロイヤルティープログラムのためにスレッドアップとタッグを組んでいる。「このサービスは大成功を収め、これから3カ月の間にさらに増える予定だ」とラインハルトCEO。「われわれは顧客が自身のクローゼットを片付けることを助けるとともに、小売店が顧客との結びつきを強めることに役立っている。例えば、『クヤナ』は意識の高い消費主義にほかならない。今後、より幅広い小売店でわれわれのサービスを見るようになるだろう」と話す。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める

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「アイウエアは聴覚にもアプローチ」 ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のビューティ週刊紙「WWDビューティ」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:アイウエア別冊P.3「次世代のアイウエアビジネスを進化させるクロスドメイン」

読み解きポイント「アイウエア(眼鏡)は視覚だけでなく、聴覚にもアプローチする時代」

ニュースのポイント

 アイウエアがここ数年、視力矯正器具というイメージを脱し、おしゃれを楽しむアイテムとして定着してきている。モノ作り、店作りの面でも、さまざまなカルチャーとの融合やクリエイターとのコラボレーションで新しい可能性が広がっている。デジタル化や高齢化により、目の健康に対する消費者意識が高まる中、アイウエアの使命はさらに高い重要性を帯びている。

CKRはこう読む!

 「2042年、65歳以上の国内人口が3935万人となりピークを迎える」。内閣府が発行する高齢社会白書による推計です。今後20年、高齢者と言われる市場が、絶対数として拡大します。65歳以上の人の事故発生場所は77.1%が住宅で、中でも居室が45.0%ともっとも高いそうです。何かにぶつかる、転倒するといった事故であることが想像されます。年齢を重ねると、視力や聴力が低下することも多く、今後、健康に対する意識が高まることは間違いありません。

 「WWDジャパン」にはぜひ、中長期トレンドとして拡大する「シニア市場特集」などを組んでもらいたいと思います。

 最近私が気になったアイウエアは「ボーズ フレーム(BOSE FRAMES)」。オーディオ業界という異業種から参入です。左右両方のつるの内部に極小の指向性スピーカーを搭載し、ユーザーにしか聞こえないサウンドを再生できます。マイクも搭載されており、AIアシスタントの起動も行えます。耳をふさがないため、外部の音が遮断されることもありません。また、ユーザーの位置や向きを自動的に検知し、音声で情報を提供できるため、歩行ナビなどシニア市場の開拓につながるかもしれません。

 アマゾン(AMAZON)も「ボーズ」同様、マイクとスピーカー機能を搭載したアイウエア「エコー フレーム(ECHO FRAMES)」を発売しました。ちなみに重さは「ボーズ」が45グラムに対して、「エコー」は31グラム!!)。狙いは「アレクサ」の利用シーンを広げることにあると思われます。

 アイウエアは視覚だけでなく、聴覚にもアプローチする可能性を多く秘めていそうですね。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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バイヤーが語る2020年春夏のリアルトレンドVOL.2 バーニーズ ニューヨーク鈴木春編 「エディ『セリーヌ』の影響力強し」

 2020年春夏ウィメンズの海外コレクションが終了した。“ネイチャー”や“セブンティーズ”など、さまざまな要素がシーズントレンドとして浮上したが、実際に日本の街で広がりそうなスタイリングやアイテムはどんなもの?日本市場を熟知した百貨店やセレクトショップのバイヤー、ディレクターに、20年春夏をどう捉えたかを聞いた。

WWD:2020年春夏の海外コレクションではどんな点に注目した?

鈴木春バーニーズ ニューヨーク ウィメンズファッションディレクター(以下、鈴木):ストリートファッションのトレンドによって、ここ数年は着崩すスタイリングが中心でしたが、“ちゃんと着る”という気分が強まってきています。その流れでジャケットやボタンダウンシャツが広がっているし、シューズでもスニーカーではないフラットシューズが出てきています。うちの店では買い付けてはいませんが、ウィメンズもメンズも「セリーヌ(CELINE)」の影響は非常に強いと感じます。デニムパンツにも紺のブレザーを羽織ったり、ボタンダウンのシャツを合わせたりといった「セリーヌ」のムードは、市場全体に影響を与えています。

「セリーヌ」が19-20年秋冬で出していたキュロットと同じ気分のアイテムは、既に今秋冬の店頭で動いています。背が低めのお客さまには「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」のひざ丈キュロット、高伸長の方には「ザ ロウ(THE ROW)」の短め丈といった具合に、各ブランドがさまざまなデザインを出していて、ニーズをとらえています。20年春夏では、「マディソンブルー(MADISON BLUE)」「オーラリー(AURALEE)」などの日本ブランドからもキュロットが出ていたので、いっそう広がりそうです。

WWD:色や柄などで注目しているのは?

鈴木:麻やローシルクの生成りやベージュなど、素材そのものを感じさせる色がベースになりそうです。色もマゼンダ(赤紫)やピンク、グリーンなどが出てきていますが、今シーズンはポイントとしてそういったカラーを使うというよりも、全身を同系色でそろえるのが気分です。グリーンを取り入れるならカーキを合わせるといった具合にトーンを統一した方が決まります。柄では小花などが広がっていますが、正直あまり気になっていない。それよりもレースやメッシュなど、質感が分かる素材が気分です。

ブランドとして印象に残っているのは、店頭でも好評な「ザ ロウ」「ドリス ヴァン ノッテン」などの他、若手ではパリの「ロック(ROKH)」が新鮮でした。

WWD:今季はこれまで以上にサステイナビリティーにフォーカスが当たっています。実際、店頭ではサステナイナビリティーを意識した商品が売れるのでしょうか?

鈴木:売れるかどうかというより、そもそも今の時代はサステイナビリティーを考えずしてブランドを運営することはできないんだと思います。SDGs(国連による持続可能な開発目標)も17もの項目があるから、この業界で働いていたら必ず何かしら関わってきます。20年春夏はバーニーズ ニューヨークとしても、長期的にサステイナビリティー関連の施策をしていきます。既に、一部店舗では着なくなった商品の回収を試験的に始めました。

(女性がより活躍できるように、生きやすくなるようにといった視点では)職場でのハイヒール強制に疑念を呈す#KuTooのムーブメントが広がったことを受けて、履きやすくておしゃれな靴を探したり、フラットシューズでの上手なスタイリングを提案するための女性だけのプロジェクトチームを発足しました。徐々に世の中にプロジェクトの成果を伝えていければと思っています。

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年間売り上げ1億円、月間最高売り上げ1300万円 「アフロート」のNo.1美容師・伊輪宣幸が語る“売れる秘訣”

 「WWDビューティ」2019年9月26日号に登場した人気美容師の伊輪宣幸「アフロート ジャパン」トップスタイリストは、月間最高売り上げ1300万円、個人年間総売り上げ1億円を達成するなど、日本でもトップクラスの売り上げを誇る。「売り上げは一番のモチベーション」と語るほど、そこへのこだわりは強い。そんな伊輪トップスタイリストに売り上げを伸ばす秘訣を聞いた。

WWD:伊輪さんの売り上げは日本でもトップクラス。売り上げを伸ばすために心掛けていることは?

伊輪宣幸(以下、伊輪):“その時代にあった一番の集客方法を徹底的にやること”です。僕がスタイリストになった時はウェブサイトの「らしさ」が流行っていて、そこでどんなヘアスタイルを打ち出したら集客できるかを徹底的に分析しました。そして、「らしさ」の次に「ホットペッパービューティー」がきて、今はインスタグラムがトレンドとなっています。それぞれのメディアでどういった打ち出しをすれば、集客につながるかを考えています。

美容師は技術やヘアデザインを一番に考えがちですが、売り上げを伸ばしたいのであれば、まずは集客の意識が一番必要だと思います。ヘアデザインがうまくても、技術があっても、集客できない人もいる。売り上げを伸ばすために何が重要かを考えたら、一番は集客方法で、どうやったらお客さまに来てもらえるか、それを徹底的に考えること。それで技術力も高くて、接客も上手だったら絶対に売り上げは伸びると思います。

WWD:伊輪さんはそれぞれのメディアでどういったスタイルを打ち出してきた?

伊輪:僕が得意なスタイルはショートヘア、SNSやウェブで打ち出すスタイルも、来店するお客さまが希望するスタイルもほとんどがショートヘアです。僕がスタイリストになったときは、『アフロート』といえばミディアムやロングでフェミニンなスタイルが流行っていて、そこで勝負してもライバルが多く勝てないと思いました。だったらライバルが少ないショートを徹底的にやろうと決めました。今はインスタグラムでもショートに特化した打ち出しをしていて、独自に考案した“ミニーショート”が人気です。

WWD:打ち出しは何かに特化している方がいい?

伊輪:今は情報が多く、美容師も何かに特化した打ち出しをしないと指名に至らないです。以前は“「アフロート」にいけばかわいくなれる”だったのが、“「アフロート」の伊輪さんを指名すればかわいくなれる”になり、今は“「アフロート」の伊輪さんにショートスタイルをお願いすればかわいくなれる”まで絞られている。「この人を指名しないと希望のイメージになれない」と思わせることが大切で、何でもやりますだと今の時代売れにくくなっています。

任せられる部分は徹底的に任せる

WWD:現在、1日で何人くらいを担当するのか?

伊輪:1日40人ほどのお客さまを担当します。専属のアシスタントは5人で、かなりの部分をアシスタントに任せていますね。カットとパーマの巻き(一部)、スタイリングは僕で、それ以外はアシスタントが行います。特にヘアカラーに関してはカウンセリングから全てをカラーが得意なアシスタントが担当しているので、仕上がってから「こんな色になったんだ」と知ることもあります(笑)。接客もほとんどしません。基本的にお客さまが求めるヘアを提供することに専念していて、カット中もほとんど会話をしないし、カット時間もタイマーで計って管理しています。

WWD:接客をまったくしないというのはすごい。

伊輪:月の売り上げが500万円くらいまでは、接客にはかなり力を入れていました。カルテもしっかりと書いて、その日来店されるお客さまとどんな会話をしようかまで考えていた。でも500万円以上の売り上げを目指すと決めたら、お客さまと接する時間がない。接客はアシスタントに任せて、提供するヘアスタイルで納得してもらうようにシフトしました。それまで技術と接客の割合を5対5で考えていたのが、9対1になりました。正直それまで来てくれていたお客さまの8割ほどはいなくなったと思います。でも次のステージに行くにはそうするしかなかった。今では接客を求めず、いいヘアにしてくれることだけを求めてやってくるお客さまがほとんどです。

WWD:今後の目標は?

伊輪:月間最高売り上げ1500万円が目標です。ただ1500万円という金額にはそれほどこだわりはなく、目標を決めることで向上心が出てくることの方が重要だと考えています。これが、現状維持でいいとなったら技術もうまくならなし、SNSもそこまで力を入れなくなる。そうすると自分が衰退していってしまうんです。1500万円を目指すならもっと技術も集客もチーム力も高めていかないといけない。だから目標を立てることが必要なんです。

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「シャネル」も注目する“パイナップルから作るレザー”、ロンドンのスタートアップ創業者が語るその意義

 パイナップルの葉の繊維からレザーに似たテキスタイルができることをご存知だろうか。英国ロンドンを拠点とするスタートアップ企業のアナナス・アナム(ANANAS ANAM)が開発した“ピニャテックス(Pinatex)”は、環境負荷が極めて低い天然由来素材だ。「シャネル(CHANEL)」が先日、帽子に用いたことでも注目を集めている。また、これまで「H&M」はジャケットを、ヒューゴ ボス(HUGO BOSS)はスニーカーで商品化している。

 “ピニャテックス”は廃棄物同然のパイナップルの葉を原料に、水や薬品をほぼ用いずに作られる。開発したカルメン・ヒホサ(Carmen Hijosa)=アナナス・アナム創設者は、もともとラグジュアリーブランド向けにレザーグッズを作っていたというが、なぜ彼女は“パイナップルレザー”に取り組むに至ったのか。9月17~19日にフランス・パリで開催されたファッション素材見本市「プルミエール・ヴィジョン(PREMIERE VISION)」でヒホサ創設者に話を聞いた。

WWD:“ピニャテックス”開発に取り組む前は、レザーグッズのデザインや製造に携わっていたとか。

カルメン・ヒホサ=アナナス・アナム創設者(以下、ヒホサ):もともとレザーグッズの中でもラグジュアリーブランド向けのハンドバッグを作っていました。レザーグッズを手掛ける中でコンサルティングも行うようになり、サプライチェーン全体を理解することが必要だと考えました。そうして、原料を調達していた南米やフィリピンを訪れたのが1990年代のこと。そのときに非常にショックを受けました……。ラグジュアリーグッズを作る原点があまりにひどかったからです。臭いもひどければ、水の汚染もひどい。そのように環境に悪い影響を与えているだけでなく、働く人々が病気になっていました。レザーはサステイナブルではないと肌で感じたのです。

フィリピン政府からの依頼で同国での産業を考える

WWD:どうやってパイナップルに行き着いたのですか?

カルメン:90年代後半の頃は世界銀行のコンサルタントをしていました。そのときにレザーの知識が買われて、フィリピンのアートやクラフトをサポートする組合から、同国で何か産業を起こせないかという依頼がありました。国にある資源を生かすことを考え、また、伝統的な手法でナチュラルな糸を用いたモノ作りができないかと考えました。しかしながら当時の私にはテキスタイルの知識が乏しかったので、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(Royal College of Art)で学ぶことにしました。

WWD:一からテキスタイルを学んだということ?

ヒホサ:ええ。博士号まで取りました。そうして考えついたのは、繊細な繊維でメッシュが作れないか――ということ。それをコーティングすればレザーのようなものができるのではないかと考えました。パイナップルの葉は強くて、なめらかさや柔らかさもある。繊維も細くできる。いろんなリサーチを経て最もパイナップルが最適だと行き着きました。

WWD:フィリピンはパイナップルの産地でもある。

ヒホサ:フィリピンには300年前からパイナップル繊維を使った編み物があることは知っていました。その歴史ある産業をどう発展させるかをも考えていました。パイナップルの葉は繊維として用いられてきたもののその量は少なく、多くは焼却処分されていました。肥料としても一部使っていたようですが、繊維が硬いので分解に時間がかかり、あまり有用ではなかったのです。

WWD:あの硬い葉っぱからどのように作るのですか?

ヒホサ:まず、フィリピンの伝統的な機械を用いて葉っぱから繊維を引っ張り出します。その後、繊維を水で洗います。この時点で繊維は緑色をしていますが、天日干しすると白くなります。その後、(糊のようにねばねばした)ガミング成分があるのでバクテリアに食べさせます。ここからが特別なプロセス。たくさんの繊維を並べ何千本もの針を当ててフェルト状にします。このニードルパンチの工程まではフィリピンで行い、その後スペインでコーティングとタンブラー乾燥といった2次加工を行います。この2次加工においては水は使いません。普通の染料ではなく、レジン(樹脂)にピグメント(色素)パウダーを加えたものに繊維を浸したらそれでおしまい。あっという間に繊維に染み込みます。水を使うのは、葉っぱから引っ張り出した繊維を洗うときと、機械を洗うときのみ。製品1平方メートルあたりに使うのは約480枚の葉で、パイナップル16~26本分です。

WWD:開発に7年かかったとか?

ヒホサ:いいえ、約10年かかりました。アイデアを形に変えるのは容易ではありませんでしたね。当初は賛同してくれる方もいませんでしたし。さまざまな人を説得するのに時間がかかりました。

「一人一人が日々の選択を全力で行うこと」

WWD:「シャネル」との取り組みで販路は広がっていますか?

ヒホサ:ええ、売り上げは伸びています。今、生産量を増やすために設備を整えているところです。ファッション製品だけではなく、インテリアや車のシートにも用いることができますから。それから、強度や燃えにくさなどの改良もさらに進めています。

WWD:現在の生産量は?

ヒホサ:155cm幅のものが月産で2000~2500mです。

WWD:ファッション業界はどうあるべきだと考えますか?

ヒホサ:今、サステイナビリティーは言葉が一人歩きして、トレンドのようになっていると感じます。まず企業がやるべきは、工程などを透明化することでしょう。正直であるべきです。そしてサプライチェーン全体に責任を持つこと。

それから、ファッションだけではなくてすべてにおいて、誰もが一人の人間として、根本から見直して意識を変えていくことが大切ですね。一人一人が日々の選択を全力で行うこと。一人の力、一人の強さを認識してほしいです。10枚買うのか1枚買うのか、どういった原料でどのように作られているかを深く考えて選択してほしい。地球が悲鳴を上げている今、そうしないと変わらないし、向き合わなければ、結局私たちとその子どもたちに返ってきます。より人間らしさを追求すべきなのではないでしょうか。

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「情報はグローバル、商品はローカルの時代到来?」 ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のビューティ週刊紙「WWDビューティ」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

本日のニュース:P.25「アトモス社長・本明秀文のスニーカーライフ Vol.38 若者の価値観」

読み解きポイント:地域限定の企画・生産でグローバル流通の課題を解決

ニュースのポイント

 来店する16〜17歳ぐらいの高校生は、スニーカーを買う前に必ずメルカリで値段を確認をしている。今はモノの価値が「定価ー(マイナス)リセール価格」の時代。価値観がリセールマーケットの中にある。同じモデルのスニーカーが海外で先行発売されると、リセール市場で実勢価格が決まってしまう。そのためショップでの販売前に商品の運命が決まってしまう課題も存在している。

CKRはこう読む!

 「Gross Domestic Product」。社会の教科書で見たことある国内総生産(一定期間内に国内で生み出された付加価値総額)のことですが、10月1日、ロンドン郊外にアーティストのバンクシー(Banksy)がオープンしたショップの名前でもあります。このショップは店内に入ることができず、ショーウィンドウから眺めることしかできません。商品は手頃な10ポンド(約1310円)〜。すべてにリサイクル素材を使用し、英国内で手作りされています。数量限定、公式オンラインストアで販売予定とのことです。欧州連合(EU)からの離脱期限が10月31日に迫る中、面白い仕掛けだなぁと思います。

 今回は「情報流通はグローバル全体で即時化するから、商品の企画・生産は地域限定が進むだろう」という点について考察したいと思います。

 英国のEU離脱という政治領域だけでなく、米中相互で通信機器の禁輸が始まるIT領域や、GDPR(一般データ保護規則)適用によるEU域内の個人情報保護という制度・法務領域でも、国や地域の分断が進んでいます。

 2020年春夏ニューヨーク・コレクションで、ネクストキーワードとして「パトリオット(愛国)」が顕在化した点や、バンクシーのショップ名に「ドメスティック(国内)」というワードが含まれる点からも、「その国らしさ」というのが時代の空気感なのかもしれません。

 記事の中にある、スニーカーの発売時期が国毎にずれることで生じる課題(遅れて発売となる国での運命が、発売前に決まってしまう課題)についても、地域や国毎にスニーカーのモデルを変えることで、解決できるかもしれません。

 情報流通とリセール市場が発達した今は、地域限定で企画・生産した方が、販売店や物流の事情、国の状況、法制度、時代の空気感の面から、合理的と言えるのではないでしょうか。たとえ企画・生産を地域限定にしても、ネットを通じて、世界中どこからでも買うことのできる時代です。また実際、その地域に行って実物を目にしたときは、リアルらしい楽しい体験にもつながります。

 バンクシーのショップは、そのあたりを体現した、一歩先の仕掛けなのかもしれませんね。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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小島健輔リポート オンワードはルビコンを渡った 巨額損失と大量閉店の真実

 ファッションビジネスのコンサルタントとして業界をリードする小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する不定期連載をスタート。今回はオンワードホールディングスが発表した構造改革の真の狙いを読み解く。

 600店の閉鎖と250億円の特別損失という突然の発表で業界を震撼させたオンワードホールディングス(HD)だが、実は600店の閉鎖は250億円の特別損失とは無関係で、600店の閉鎖による損失はこれから発生することになる。巨大アパレル企業のドラスティックな構造改革シナリオを明らかにしたい。

600店閉鎖は
巨額特損の元凶ではない

 オンワードHDは10月4日、2020年2月中間期(19年3〜8月)に特別損失252億8600万円を計上するとともに、20年2月通期の連結業績予想を下方修正した。

 売り上げは従来予想2560億円を据え置いたが、営業利益は43億2000万円引き下げて12億円、経常利益は45億5000万円引き下げて11億円5000万円、最終損益は295億円引き下げて240億円の赤字になると発表した。最終損益が赤字になるのは、リーマンショックに直撃されて2期で売り上げが18%も減少した09年2月期の308億9500万円以来11年ぶりだ。

 中間期に計上した特別損失252億8600万円の内訳は、事業整理損が31億1700万円、減損損失が221億円3900万円。分野別では、キャラクターグッズからリゾート事業まで22社と多岐にわたる「ライフスタイル関連事業」が57億3300万円、ラグジュアリーブランドなど「海外アパレル関連事業」が50億700万円と大半を占め、「600店を閉鎖」と特損の元凶のように報道された「国内アパレル関連事業」は5億200万円でしかない。

 600店の閉鎖でいくら減損が生じるかについては推測の域を出ないが、地方や郊外の百貨店インショップが大半だとしても70億〜90億円ほど要するし、「オープニングセレモニー」など大型店や海外店舗も含まれると100億円を大きく超えてしまう。今中間期に行われたのはごく一部に過ぎず、大半は今後に発生するはずで、今中間期の巨額の特損とは無関係だ。

 では巨額減損の本当の元凶は何か。BS(貸借対照表)を見ると、流動資産には若干の貸し倒れが推察されるだけで異常値はなく、有形固定資産(土地・建物)の105億4000万円、無形固定資産(のれん代)の40億3300万円、投資有価証券の73億300万円の減少が特筆される。BSに計上された無形固定資産の減少とは一致しないが、中間期決算短信には「のれんの金額の重要な変動」として108億9500万円の減損計上を注記している。

 巨額減損のほとんどは「ライフスタイル関連事業」と「海外アパレル関連事業」で発生した土地・建物、のれん代、投資有価証券の損失で、「国内アパレル関連事業」の構造改革とは無関係と見るべきだ。ECシフトとデジタル化を軸とした抜本的構造改革を進めるべく、過去の試行錯誤のツケを清算したのが今回の巨額減損の実態ではなかったか。

 となれば、600店を閉鎖する減損は下期以降に発生することになるが、20年2月期連結業績予想には中間期で計上した以上の減損は見込まれていない。600店の閉鎖は来期以降の課題であり、実行段階では再び少なからぬ減損が発生することになる。

リアル店舗を閉鎖して
ECを拡大する必然

 600店の閉鎖は来期以降に持ち越されるとしても、回避するのは困難だ。なぜならEC(ネット通販)が拡大する一方で店舗売り上げ、とりわけ地方・郊外百貨店の売り上げ減少は深刻で、採算割れ店舗が急増しているからだ。

 オンワードHDのEC売り上げは(1)「HD+オンワード樫山」、(2)「オンワードグループ国内」、(3)「オンワードグループ全体」とあって分かりづらいが、直近の19年2月期では(1)が193.34億円(EC比率14.02%)、(2)が238.45億円(同12.39%)、(3)が255.00億円(同10.18%)だった。今中間期も(3)で前年比34%増の153億円と好調で、20年2月期通期は同37%増の350億円を予想しているが、16年2月期決算発表時に公表した中期3カ年計画の「19年2月期で360億円」には1年強、遅れている。

 600店の閉鎖には海外店舗も含まれるが、国内販売と直結するのは(2)「オンワードグループ国内」EC売り上げで、16年2月期の113.5億円から年々急拡大して19年2月期には238.5億円と3期で2.1倍に伸びる一方、百貨店売り上げは16年2月期の1045.6億円から19年2月期は906.3億円と13.3%の減少、SC(ショッピングセンター)など商業施設売り上げも同266.0億円から192.1億円と27.8%も減少している。

 この間、百貨店の売り場面積は11.8%減少しても販売効率は255.8万円/年坪から同251.4万円と1.7%、商業施設も売り場面積が27.0%減少しても販売効率は同101.8万円から100.8万円と1.0%しか落ちていないから、不採算店を閉めて好採算店に集約していったことが分かる。

 さらにさかのぼってリーマンショック前の08年2月期と比較すれば、百貨店の売り上げは61掛けに、売り場面積は68掛けに減少しているが、オンワード単体売り上げに占める百貨店シェアは75.2%から65.7%と9.5ポイントしか落ちていない。SCなど商業施設の売り上げも減少し、百貨店売り上げの減少がそのまま国内売り上げの減少につながっているのが現実で、ECに突破口を求めるは必然の選択だ。

オンワードは
「スマートアパレル」を目指す

 それは収益面も同様で、歩率と人件費の負担が重い百貨店取引は小売売り上げ対比50%前後も経費がかかるのに加え、消化仕入れで全国の多店舗に在庫が分散するから振り回しの物流コストと値引きロスも嵩む。販売効率の低い地方店や郊外店は在庫が消化できず人件費も補えないから採算が取れないし、販売効率の高い都心店は相応に歩率がかさむから売れても利益は薄い。

 対してECはDC※1に在庫を集中して全国をカバーできるから在庫が分散せず、自社運営なら宅配外注費など物流費の負担は大きくても販売人件費も法外な歩率も不要だから、200億円も売れば百貨店取引のほぼ半分までコストが下がる。小売売り上げ対比の経費率をざっくり比較すれば、百貨店が50%前後、SCや駅ビルが36〜38%、ZOZOなどフルフィル型ECモールがSCや駅ビルとほぼ同率(手数料以外の自社経費含む)であるのに対し、自社運営ECはシステム投資や販促費を除けば年間取扱高100億円で25%、1000億円で15%までコストが低減する。オンワードグループ自社運営ECの売上規模は前期で194億円に達しており、今期は280億円前後が見込まれるから、システム投資が一巡すれば「百貨店取引の半分以下」と言う革命的コスト削減が現実になる。

 自社EC体制を拡充するオンワードの自社運営売り上げ比率はグループ全体で76%、オンワード樫山本体では85%に達しており、すでに265万人の会員を獲得しているからECモールに依存して顧客を広げる必要性も低い。在庫運用の物理的一元化を徹底するにもD2C※2のネットワークを確立するにも、早々に100%にしてしまうべきだろう。

 自社運営ECなら顧客とダイレクトにつながってさまざまなD2Cマーケティングや、さらにはC2M※3の在庫レス販売さえ可能になる。すでにオーダースーツ業態の「カシヤマ・ザ・スマートテーラー(KASHIYAMA THE SMART TAILOR)」でC2M事業の離陸を果たしており、自社ECと企画〜生産〜物流〜販売のサプライチェーンを一貫するデジタル化で顧客と生産をダイレクトにつなぐ「スマートアパレル」への変貌を着々と進めている。

 「22年2月期にEC売り上げを500億円に倍増し、30年をメドにEC比率を50%に高める」という構想は決して荒唐無稽ではなく、オンワードにとっては手の届く“リアル”であり、非効率な店舗網の整理撤収は必然だ。転換局面では巨額の減損が発生するとしても、「スマートアパレル」に生まれ変われば格段の収益力と成長力が手に入る。店舗販売からECとデジタル生産の「スマートアパレル」へ“ルビコン”を渡ったのはさかのぼる1年半前であり、今さら後戻りなどできるはずもない。

※1.DC(Distribution Center)…商品を棚入れ保管し、注文に応じてピッキングして出荷する物流倉庫。棚入れ保管せず、物流加工・仕分けだけでスルーさせるTC(Transfer Center)と対比される。

※2.D2C(Direct to Consumer)…小売業者や直営店舗を通さず顧客に直販するECなどのビジネスモデル

※3.C2M(Consumer to Manufacture)…一歩進んでIoTな無在庫サプライに踏み込むビジネスモデルで、短納期パーソナルオーダーや店頭3Dプリンター出力販売などが挙げられる。

ロジスティクスは支店軸からEC軸へ

 15年3月に保元道宣氏がHDの社長に就任して以降、オンワードはEC軸のデジタルシフトを着々と準備し、18年3月以降、一気に実行に移した。

 社内にシステムエンジニアを抱えて自社EC体制を拡充する一方、18年3月には支店に分散していた在庫をブランド軸で集約して物流拠点を11から4(既存の芝浦、大阪、名古屋と新設の千葉)に集約し、RFIDタグ(電子タグ)を全面導入した。8月にはEC在庫と店舗向け在庫を統合して一元化を完了し、支店軸からEC軸へロジスティクス体制の転換を“断行”した。“断行”と書いたのは、それがEC軸の在庫一元化にとどまらず、80年代以来のオンワードの営業体制と収益構造を抜本から転換する敵前大回頭だったからだ。

 80年代前半に百貨店が委託取引に転ずるとともに確立されたオンワードの支店営業体制は90年代に消化取引に転じ、00年7月のそごう破綻時の損失も最小にとどめた。その「支店営業体制」とは、以下のような仕組みだった。

1. 毎シーズンの展示会で支店のブランド担当営業がエリア内百貨店の必要な商品を百貨店バイヤーに代わって数入れ発注し、本社はその合計を計画生産して生産部が利益を確定する。

2. 支店は販売状況に即してエリア内の百貨店間で在庫を振り回し支店倉庫の在庫を補給して消化を進め、期末に消化し切れない在庫は支店の倉庫などで開催するファミリーセールで売り切る。

3. 在庫の消化責任は一切が支店にあって消化の良し悪しが支店のボーナスに反映され、本社の収益は原則、支店の消化状況に左右されない。

 「委託取引」では在庫は百貨店側の所有となって、移動には百貨店側の了解と伝票手続きが必要で迅速さを欠く。だが、所有権が販売時点まで百貨店側に移動しない「消化取引」では了解も伝票手続きも不要で機動的な在庫運用が可能だ。百貨店に倒産が迫っても「委託取引」では在庫の回収は困難だが、「消化取引」なら回収を強行できる。

 そんな支店営業の仕組みも、百貨店の衣料品売り上げが年々減少し地方や郊外の百貨店が次々と閉店していくにつれほころびていった。支店管轄内で販売力のある有力百貨店が減って在庫を振り回しても消化しきれなくなり、売り上げ規模も萎縮して支店の運営コストを吸収できなくなったのだ。

 この状況下の選択肢は、(A)他社の商品もオンワードの支店営業体制に乗せて売り上げ規模を回復し採算を図る、(B)在庫を本部のDCに集中してEC向けと一元化したEC軸の事業体制に転換する、という2つだった。

(A)という選択も残存者利益を囲い込むメリットと、地方百貨店と地方営業体制を維持できなくなった他社アパレルの救済という大義があったが、先々の衰退を考えれば(B)に勝るものではなかった。

“ウェブルーミング・サロン”
の布陣が急がれる

 「スマートアパレル」へ戦略的確信を持って転換するオンワードはよいとしても、切り捨てられる地方や郊外の百貨店と難民化するブランド顧客の課題は残る。

 600店の不採算店を閉鎖すれば、地方や郊外の百貨店は衣料品売り場の中核を失い、定期借家契約のテナントに依存する“ハイブリッド百貨店”への転換を余儀なくされる。オンワードが引かなくても、販売効率の限界的低下で消化仕入れの百貨店商法は継続が困難になっていたとはいえ、最後の堰(せき)を崩す引き金となりかねない。旧態たる商法に依存してきた百貨店は自業自得としても、三陽商会やレナウンなど“百貨店アパレル”も一蓮托生となることを回避すべく、オンワードが部分的にでも支店営業体制を残して他の百貨店アパレルも乗せるプラットフォームとなる選択もあったのではないか。

 購入の場を失う自社ブランド顧客はECで吸収する方針だと思われるが、短期的にはともかく長いレンジで見ればトレンドも移り変わり、“お試し”の接客が必要になる。ECだけでは“返品自由”を謳っても限界があるし、接客によるフィッティングとお直しの利便性は望むべくもない。加えて、ヤマトが引き金になった宅配料金の大幅値上げは倉庫運営人件費の高騰と相まってEC事業の採算を少なからず悪化させており、有力チェーンは顧客に最近接店舗の在庫を引き当てて店で渡したり店から出荷するC&C(クリック&コレクト)※4へのシフトを急いでいる。

 お試しとお直しはもちろん、コーディネイトなどパーソナルなサービスを提供してブランドの顧客を広げるには、やはりアナログな接客の場が不可欠だ。米百貨店ノードストロム(NORDSTROM)による「ノードストロム・ローカル」のようなECを背景としたお取り寄せ・受け取り・お試し・採寸・お直しの“ウェブルーミング※5・サロン”がブランド難民の受け皿となるのではないか。オンワードもデジタルシフトと大量閉店の一方で、ローカル顧客の利便に応える “ウェブルーミング・サロン”の布陣を急ぐべきだろう。

※4.クリック&コレクト(CLICK&COLLECT、C&C)…オンライン(自社ECサイト)で発注したり取り置いた商品を宅配ではなく、客の都合のよい店舗で受け取ったり試したりする提供方法

※5.ウェブルーミング…ECサイトやSNSで情報収集を行った上で実店舗を選択し、店舗で商品を試して購入する消費者行動

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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パリの国際眼鏡展「シルモ」に見るアイウエアの未来 コラボや3Dプリンター、バーチャルショップに注目

 ヨーロッパ最大級のアイウエア国際展示会「シルモ(SILMO)」が9月27日から4日間、パリ・ノール見本市会場で開催された。1967年にスタートして52回目の今年は970社が出展し、約3万6000人が来場した。

ファッションブランドとのコラボが話題

 今年の「シルモ」はパリ・ファッション・ウイークと同時期の開催で、それと呼応するかのようにファッションブランドとのコラボモデルが続々と登場した。例えば、ドイツの「マイキータ(MYKITA)」と「ヘルムート ラング(HELMUT LANG)」、アメリカの「ジャックマリーマージュ(JACQUESMARIEMAGE)」と「オリヴィエ・ティスケンス(OLIVIER THEYSKENS)」、日本の「ネイティブ サンズ(NATIVE SONS)」と「サカイ(SACAI)」などが挙げられる。

 「ジャックマリーマージュ」は、ほかにも「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド (THE VELVET UNDERGROUND)」とのコラボモデルを発表。創造的で革新的な製品に贈られるアワード、「シルモドール(SILMO D’OR)」の審査員特別賞も受賞するなど、注目度が増している。また、「ネイティブサンズ」のデザイナーであるタミー・オガラ(Tommy O’Gara)は、9月30日に行われた「サカイ」のランウエイにも同席して最終のフィッテングなどを行なった。「今回のコラボは同じマインド、同じパッションの仲間とやっているので、すべてがスムーズに進んだ」と話した。

日本からは26社が出展

 日本からは福井県の大手企業シャルマンをはじめ、海外企業との共同出展社を含む26社が出展。アイウエアメーカーのアイヴァン、増永眼鏡、ブランドの「イエローズプラス(YELLOWS PLUS)」「ユウイチトヤマ.(YUICHI TOYAMA.)」は昨年よりもブースを拡張し、ヨーロッパでの足場を着実に固めている。また、2018年に続いて「シルモドール」にノミネートされた「ファクトリーキュウヒャク(FACTORY900)」は、連日ブースに人だかりができる盛況ぶり。青山嘉道デザイナーは、「ビジネスとしては2日目で昨年の数字を超えて、これまでで一番手応えがあった。今年で14回目の出展になるが、長く続けてきたことが信頼につながった」と感想を述べた。今までは品質で良しあしを語られることが多かった日本ブランドだが、ここにきてデザインも高い評価を得ているようだ。

3Dプリンターやフレックスヒンジの新技術

 トレンドの流れとしては、“クラシック”をベースにしつつ、より線の細いモダンなデザインに移行しつつある。だが、ウエリントンやラウンド、キャットアイ、コンビネーション、メタルフレームとあらゆるクラシックフレームのバリエーションが出そろった観があり、全体としては大きな変化はなかった。そんななか、3Dプリンター製やフレックスヒンジ、スクリューレス構造など、新素材や機能を打ち出した独立系ブランドの存在感が増している。例えば、ドイツの「ヴォ―ユー(VOYOU)」やフランスの「バーズ アイウエア(BAARS EYEWEAR)」、スペインの「ロウル アイウエア(LOOL EYEWEAR)」など。これらは大きな潮流とはいえないが、新しいものを積極的に取り入れるヨーロッパの物づくりの在り方が感じとることができる。

ARを活用したバーチャル眼鏡店?

 今回は「シルモネクスト(SILMO NEXT)」と題した、アイウエアの未来を予測する新たなスペースが設けられ、専門家によるハッカソンやスタートアップ企業などによるプレゼンテーションも行われた。イギリスのFUEL3D社は、バーチャルショップのアプリ「FITSYOU」を発表。これは、顔の形や奥行きをスキャニングし、サイズを合わせた多彩なフレームから好きなものを選ぶと、AR(拡張現実)で眼鏡を掛けた顔が表示されるというもの。正面だけでなく、斜めや横向きと角度を変えてフレームが表示されるので、思いのほかリアルだ。ほかにも3Dプリンターを活用してビスポークで眼鏡を作る取り組みを発表する会社もあった。

 「これから20〜30年後の眼鏡業界はどうなっていくのか、新しい製品や流通のサービスによってどんな改革が起こるのか。それをみなさんに体感してほしい」と「シルモ」のアメリー・モレル(Amelie Morel)会長は話す。

 2019年の「シルモ」は最先端のデザインや革新的技術、未来のサービスなどが集結した刺激的な展示会となった。そこから見えるビジョンは、モレル会長が開会の挨拶で語った言葉に集約されている。

 「アイウエア業界の未来は明るい」。

藤井たかの(ふじい・たかの)/メガネライター:1976年、大阪府生まれ。大学卒業後、出版社や編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。年間1000本以上のアイウエアに触れ、雑誌や広告、ウエブなどで企画・編集・執筆を担当する。最近はジンバル片手に眼鏡の現場を動画で取材

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仕事が絶えないあの人の、“こうしてきたから、こうなった” 早坂香須子編

 転職はもちろん、本業を持ちながら第二のキャリアを築くパラレルキャリアや副業も一般化し始め、働き方も多様化しています。だからこそ働き方に関する悩みや課題は、就職を控える学生のみならず、社会人になっても人それぞれに持っているはず。

 そこでこの連載では、他業界から転身して活躍するファッション&ビューティ業界人にインタビュー。今に至るまでの道のりやエピソードの中に、これからの働き方へのヒントがある(?)かもしれません。

 第3回目は、ビューティディレクター、メイクアップアーティストとして活躍する早坂香須子氏が登場。インスタグラムなどで発信されるヘルシーなライフスタイルや社会問題と真摯に向き合う姿勢にファンも多い早坂氏。看護師からメイクアップアーティストに転身し「今や“早坂香須子屋”よ」と自身を語る、彼女の仕事変遷に迫ります。

WWD:以前は看護師をされていたのですね。

早坂香須子(以下、早坂):中学時代の仲のいい友人が「看護師になる!」と話すのを聞いて、素直にかっこいいと思いました。ほかに夢がなかった私は、彼女を追いかけて看護師を目指すことに。地元である山形県内の看護専門学校に通って国家資格を取り、東京を勤務地として志望しました。雑誌「オリーブ(Olive)」が大好きで、「東京に住みたい!」というミーハー心が大きかったですね。

晴れて上京し、大学病院の外科系病棟で働き始めました。オペや患者対応で立て込んでも、日勤・準夜勤・深夜勤という交代勤務時間の中で決まった数の点滴を用意したり引き継ぎをしたり……。その日に終わらせなければならない仕事が山ほどあり、毎日が時間との闘い。そんな中でも、窓の向こうに見える上野の不忍池を眺めて「私、今東京で働いているんだなぁ」という喜びもありました。仲の良い同期や尊敬できる先輩にも恵まれていました。

WWD:いそがしくとも充実していたのですね。

早坂:それが 2年も過ぎてくると、仕事もルーティン化してきたように思います。ナースコールが何度も鳴っていた深夜勤務でのことでした。点滴の準備をしようとしたタイミングでナースコールが鳴り始め、「忙しいのに……」と私は舌打ちしてしまったんです。また鳴ってる、またこの人(患者)だ、と。病室へ駆けつけると「足をさすってほしい」。末期がんで闘病中の初老の男性患者さんに、そう言われました。私のチーム担当の部屋ではなかったこともあり詳しい病状を知らなかったとはいえ、そんなことで、というのが正直な気持ちでした。言われた通りしましたが、1分も経たないうちに「お前はもういい!」と……。暗い部屋に響いたのは、断固とした拒絶の声。なぜなのか分からないまま先輩ナースに交代してもらいました。それからしばらく経っても帰って来ないことを心配してそっと病室をのぞくと、患者さんの顔を見ながら優しく足をさすっている先輩の姿がありました。

業務のことで頭がいっぱいで目の前にいる患者さんの表情すら、ろくに見ていなかった自分にハッとしました。その4時間後、容体が急変した患者さんは息を引き取られました。男性はモルヒネで痛みを緩和していたのですが、意識はおぼろげでも私の心のない手に触られ、心底嫌な感触だったろうと思います。申し訳なさと悔しさでいっぱいになりました。私はここにいちゃいけない人間だ。看護師を辞める、そう心に決めました。

WWD:そんなことがあったのですね。

早坂:そもそも看護師を目指したのは、友人の夢を目指す姿がまぶしかったから。それに看護師になれば親も安心するだろう、という全く自主性のない選択だったんです。人って、本当に好きなことをしていないと人に優しくできないのかもしれない、じゃあ私の本当に好きなことって……?退職を決め、自分自身を見つめ直しました。

頭に浮かんだのは、小学生の頃に母親のメイクボックスを触るのが大好きだったということ。母の留守中に、口紅やファンデーションをそっと出しては塗って落として、きちんと元通りにするという一人遊びを数え切れないほどしていましたね。4〜5年生の頃には、どうやったら肌が美しく見えるのか?といった質感のことを考えていたように思います。

WWD:すでにハイレベルですね!

早坂:肌づくりが好きな私の原点ですね(笑)。看護師を辞め、渡辺サブロオ※1さんが主宰するメイクスクールに通い始めました。技術はもちろん、年代別のファッションやカルチャー、映画、そして時代別の女性像について貪るように学びました。カリキュラムは、メイクとヘアがそれぞれ半年ごと。課題提出前には原宿のラフォーレ前でモデルをハントして、ウイッグやビンテージドレスまで用意することもありました。メイククラスなので顔だけ仕上げればよいのだけれど、世界観から丸ごと表現して完成させることに夢中でした。それが下半期になり、ヘアの授業が始まると全然楽しくないんですよ。課題提出では先生から失笑を買うほどでした(苦笑)。

当時はヘアとメイクアップを1人で行うヘアメイクアーティストとしての仕事が主流で、セパレートでの仕事というのはほとんどなかったように思います。ヘアとメイクって、まるで次元が違うくらいに考え方も道具も違うのにヘアメイクしか道はないのか……。そんな思いを抱えたまま、スクールを卒業しました。

※1.日本におけるヘア&メイクアップアーティストの先駆者として地位を確立する。1985年にメイクアップスクール「SASHU W・3260 STUDIO」を開校(現在は休校)

WWD:卒業後はどのような仕事を?

早坂:月に1〜2回、メイクの仕事で声がかかる以外は看護師の派遣バイトをしていました。そんな日々が1年続いた頃、パリから帰国したばかりのメイクアップアーティストyUKIさんがアシスタントを募集していることを知り、すぐに書類を送りました。「アシスタント代は出せないから、アルバイトをしながら来てね」ということだったので、仕事とアルバイトの調整をしながらの生活がスタートしました。もちろん経済的には楽ではなかったけれど、時代の最先端をつくる現場にいられることが何よりも嬉しかったですね。

WWD:その頃のメイクについて教えていただけますか?

早坂:今でこそ艶肌が主流ですが、当時のベースメイクはとにかく粉がメインでしたね。艶感を出す場合は、しっかりお粉で仕上げた上に水スプレーでフィックスするというやり方。一方、師匠のメイクはクリームでしっかりマッサージをしてからファンデーションブラシでファンデをごくごく薄く筆で塗っていき、粉を一切使わない。それで完成するモデルの肌は、まるで水の膜が張ったように艶やかなんです。首やデコルテはもちろん、文字通り足のつま先の先にまで丁寧に艶を仕込むことでメイクとファッションが完成し、最高の写真になるんだということを学びました。yUKIさんの提案からその日の撮影の流れが決まる、ということも何度も目の当たりにしました。そんな師匠の隣にいることで、メイクアップアーティストという仕事に誇りを感じましたね。

1年で独立、順調に見えたが……

WWD:独立までの道のりはいかがでしたか?

早坂:アシスタントとして師匠のサポートはよくできていたみたいです。看護師だったからか、オペ(手術)のように師匠が次にほしいと思うアイテムをタイミングよく渡すことができていたんですね。1年経ったところで卒業し、独立することになりました。順調だったように見えますが1年のアシスタント期間なんて、やっと現場に慣れたという程度。横のつながりもない、仕事もない、という現実を突きつけられました。雑誌編集部に営業に行っても、仕事にはなかなか直結しませんでした。

20代後半の今なら、助産師の資格を取って医療の現場に戻れるかも。きっと親も安心するはず。そう悩んだ末、師匠に思いを打ち明けました。「いいんじゃない。看護師は素晴らしい仕事だよ。でもね、将来、雑誌で後輩が活躍しているのを見つけた時に『悔しい』って思わないならやめてもいいと思う」。そう言われた瞬間に「悔しいです!」と涙が溢れていました。

その頃の私はプライドばかり高くて、好きなことを仕事にするという覚悟が足りなかったんです。看護師に戻るのではなくあえて助産師の資格を、と考えたのも、頑張ったのにダメだったと思われたくなくて他の道を用意しようとしただけ。メイクアップアーティストになる!と、迷いが消えた私は仲間たちと毎週のように作品撮り※2をするように。そこで出会ったカメラマンやスタイリストの紹介で徐々に仕事が増えていき、営業をしなくても気づけばメイクの仕事だけで食べていけるようになっていました。

※2.カメラマン、メイクアップアーティスト、ヘアメイク、スタイリストなどが自分の仕事をPRすることを目的として行う撮影

WWD:その頃、特に手応えを感じた撮影はありますか。

早坂: 2001年の雑誌「スウィート(sweet)」ですね。佐田真由美さんら、当時アップカミングなモデルや女優を8人ほど起用したページがありました。彼女たちが普段仕事でするフルメイクではなく、師匠仕込みの薄膜肌と赤リップのみ、カラーアイラインのみなど、ワンポイントで仕上げてみるとそれぞれのモデルが持つ個性がぐっと引き立ったんです。モデルからは「自分の顔が新鮮!おしゃれ!」「こんなに軽い肌は初めて!」と驚きの声が上がり、読者からも大きな反響がありました。外国人モデルのような抜け感のあるメイクを、日本人女性に似合うやり方で再現できた瞬間でした。私の生きる道は、ここにある。そう心から思えた印象深い撮影です。その頃から「テレビに出ている顔とはちょっと違う面を見せたいから、かずちゃんにお願いしたい」と、女優のメイクアップや雑誌の表紙撮影の仕事が増えていきました。

WWD:メイクの枠を超え、内面の美容についても積極的に発信されています。それを意識するきっかけがあったのでしょうか。

早坂:もともとアトピー持ちで、看護師を辞めた頃はひどい肌荒れに悩んでいました。そこで食べ物を見直してみたんです。菜食かつ糖質抜きの食生活で、主食は小松菜やホウレン草などの葉物です。ストイックな食事療法だったけれど、私の体質と食の好みに合っていました。1年半ほど続けると肌荒れは姿を消していて、精神的にもエネルギーに溢れるように。メイクスクールには毎日、大きなタッパーにサラダを詰めて持って行っていたので友人から「青虫」って呼ばれていました(笑)。植物ってすごい……!それを体で実感できたんです。アシスタントになってからは、仕事と並行してアロマテラピーの勉強を始めました。独立後はますますハーブや植物そのものへの興味が広がり、個人の先生のもとで勉強するために仕事の休みを取って沖縄まで行ったこともあります。最近では植物療法士・森田敦子さん主宰のスクールでフィトテラピー(植物療法)を学び、フィトセラピストとしてもデビューしました。

WWD:2016年にはスキンケアブランド「ネロリラ ボタニカ(NEROLILA BOTANICA)」を立ち上げられました。

早坂:表参道にあるオーガニックアロマスパ「シンシア・ガーデン(SINCERE GARDEN)」と一緒につくりました。私だけだったら、自分がメイクする女性たちがさらにきれいになってくれたら嬉しい、というパーソナルなところで止まっていたと思うのですが、オーガニックコスメのノウハウと農家さんや地方自治体とのつながりを持つ企業と組むことで、ブランドの存在=社会的なベネフィットになれると感じたんです。「ネロリラボタニカ」の製品は、耕作放棄地(後継者がいなくて放棄された土地)を畑にして、そこで自然農法や有機農法で育てたオーガニック植物エキスから作られています。ブランドを始めて間もない頃は、こうしたことを語るのは押し付けだと考えていました。でも、ブランドの1周年イベントで土壌再生の話をしていたら何人ものお客さまが涙を流して耳を傾けてくださったんです。自分が使っているコスメが実は環境にいい、という奥ゆかしさより、このブランドを使うことが社会貢献の一環になる、ということを堂々と発信していかなくちゃという責任を感じるようになりました。そして、売れるということももちろん大事。それは人に認められたという証しですし、持続可能な取り組みには不可欠な要素ですから。

“早坂香須子屋”でありたい

WWD:仕事の幅が広がっていく中で心境の変化はありますか?

早坂:20〜30代前半までは“メイクアップアーティストの早坂香須子”であることにものすごくこだわっていました。「ヘアメイクさんじゃないです!メイクアップアーティストですから!」みたいな(笑)。メイクだけでは美しさは語れないと実感するようになった今、求められることがあればなんでもやります!という気持ちです。“早坂香須子屋”という感じかな。

挫折や嬉しいことも含めて経験を重ねることで、自信を持てるようになってきたのだと思います。私にできないことも、もちろんあります。それを認めて興味のあることに素直に飛び込んでいったら、いつのまにか自分の色と呼べるものが出てきたように思います。若い頃は、やりたいメイクをモデルさんに押し付けていたこともありました。今は、その人がどうしたら一番輝けるかが最優先。撮影現場では(私は)いるだけでいいんだ、と。そう肩の力が抜けるようになりました。

WWD:今後の展望や夢はありますか?

早坂:食べることも買い物も大好きなんです。その際に何を選ぶかという基準は、環境に負荷をかけ過ぎないか、世界の反対側の労働力を搾取していないか、ということ。自宅のマンションも100% 自然エネルギーで賄っています。自分だけが幸せならそれでいい、ではなくてできるだけ多くの人が幸せになる方法に意識を巡らせたい。私、100歳まで仕事したいんです。仕事が大好きなんですよね。とはいえ、おばあちゃんになってもどこかキラキラとして輝いていないと、誰も見向きもしてくれないはず。体のメンテナンスに気を配りながら学び続けたいし、発信し続けたいですね。

WWD:最後に、ビューティ業界を目指す人へエールをお願いします。

早坂:「やる!」と腹で決めたことは必ずうまくいきます。決めるか決めないか、それだけなんです。時間やお金がない、子どもがいるから無理……。それは不安があるから自分にダメ出しをしているだけかもしれません。まずは決めること。どうなりたいかのビジョンを明確に持つこと。そうすれば物事は自ずと動き出しますから。

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アマゾンによるインフルエンサーのファッションD2C事業 初の日本人参加者、鈴木えみに聞く製作秘話

 アマゾン(AMAZON)が主催する、世界各国のインフルエンサーが手掛けたコレクションをゲリラ販売するファッションD2Cプロジェクト「ザ・ドロップ(THE DROP)」。同社のファッション分野では初となるグローバル規模の本プロジェクトでは、アイテムは全て受注生産。新アイテム公開後30時間限定で注文を受け付ける。そんな「ザ・ドロップ」から9人目にして初の日本人インフルエンサー、鈴木えみが手掛けたコレクションが10月9日に発売される。自身のブランド「ラウタシー(LAUTASHI)」のデザイナーも務める彼女だが、今回は鈴木えみ個人として手掛けたコレクションだ。彼女が今回のコレクションに込めた思い、そして自身やブランドの今後についてを探るインタビューを行った。

WWD:「ザ・ドロップ」への参加が決まった際、どのような気持ちだった?

鈴木えみ(以下、鈴木):率直に「また面白いことをやるんだな」と思いました。「ザ・ドロップ」はアマゾン本社が主導で行う企画のため、初めてグローバルチームと連絡を取り合って。とても新鮮な気持ちでしたね。

WWD:鈴木さんは「ザ・ドロップ」参加インフルエンサーとしては初の日本人。コレクションで意識したことは?

鈴木:アマゾン側からは「“日本の今”を反映したコレクションにして欲しい」と言われました。私のコレクションを見て、世界各国が「コレが日本のトレンドだ」と捉えると。でも、日本のファッションは、一つのスタイルに集中しているというよりも、さまざまなモノが入り混じって多様化している。だから都会的なアイテムに、「ラウタシー」ではあまり出さないロマンチックな要素を取り入れつつ、知的でエレガントなアイテムを作ろうと考えました。

WWD:発売するアイテムの詳細は?

鈴木:全部で8型を各1万円前後で販売する予定です。ハリ感のある生地を使ったドレスを中心に作りました。個人的にドレスが好きということもありますが、1つのアイテムでコーディネートの主役となるようなモノを作りたかったので。柄やディテールなど、和の要素もありつつ、洋の要素も入っているアイテムになりました。

WWD:今回は「ラウタシー」のデザイナーとしてではなく、鈴木えみ個人として手掛けたコレクションとのことだが、デザインのプロセスも大きく違った?

鈴木:「ラウタシー」では私がデザイン画を描いて進めていくのですが、「ザ・ドロップ」では私はムードボードで作りたいモノのイメージを共有し、それに沿ってミーティングを行いながら、デザインチームがデザイン画を提案してくれるという流れでした。最初に上がってくる60型ほどのデザイン提案の中から、色や丈感の変更などを話し合って20型ほどのサンプルを作り、最終的に8型にまで絞りました。「ザ・ドロップ」に関しては、私の役割はデザイナーというよりも、ディレクターの要素が大きいですね。

WWD:初めての経験も多かった?

鈴木:そうですね。過去にも他社ブランドとのコラボレーションという形で、アイテムの生地や色を変えたりしたことはあったのですが、型数は1型などだったので、今回とは全然違いました。ムードボードだけでデザインチームの方に作りたいモノを伝えるのに最初は苦労もしました。ただ、今回のプロジェクトは私以外にも関わっているたくさんの人のアイデアが入ってくるので、どんなデザイン画が上がってくるのか、カチッとした線で描かれたデザイン画が実際にサンプルとして製作された時に、どのようなシルエットになるのかなど非常に楽しみでした。例えば今回販売するアイテムのパフスリーブのパフの大きさやフリルの大きさなど、すごい大胆なんですよ。そういった点にグローバル感を感じていて、個人的には気に入っています。

WWD:「ザ・ドロップ」はモバイル端末のみで、30時間限定の完全受注生産方式で販売するというユニークな手法を取っている。こういった売り方についてどのように思っている?

鈴木:素直に上手だな、と。事前にどういったインフルエンサーが参加するのかや、アイテムの情報などを小出しにしてファンの気持ちを高めながら登録をしてもらい、注文の受付は30時間のみ、となったら多くの人が買いますよね。作り手側から見れば、使える生地や作れるアイテムなどに制約はありますが、注文したモノが2週間ほどで届くというのもアマゾンならでは。こういった販売方法は「ラウタシー」ではできないので、すごいことだなと思います。

WWD:「ラウタシー」でも取り入れられるような販売方法で、注目している売り方などはある?

鈴木:うーん……手売りとかですかね(笑)。「ラウタシー」は小規模で運営しているので、お客さまとの距離を密にしていきたいと考えています。そのために、アポイント制で私自身が接客をする販売会などの機会も毎シーズン設けています。個人的にはお買い物自体を一つの思い出にして欲しいと思っていて。せっかくお金を出して買ってださっているので、買い物自体に思い出が残り、買ったモノを大切に着ていただけたら作り手としても非常にうれしい。そういった思い出づくりを今後もずっと続けていくつもりです。

WWD:最後に鈴木えみ個人として、そして「ラウタシー」のデザイナーとしての今後の目標は?

鈴木:個人としてはこれ以上できないくらい、いろいろなことをやらせていただいているので、それぞれの分野をしっかりと深めていきたいですね。ほかには、今マネジャーに提案しているのですが、私の親戚や妹などの設定で、ヴァーチャルモデルとかも出したら面白いかなと思っています。

「ラウタシー」としては良いモノを作り、それを喜んで着ていただくことでビジネスが成り立てばいいなと思っているので、今後も良いモノが作れるように、自分自身も成長したいです。さらに先ほども言ったようなお客さまとの関係性を密にするという点で、一緒に工場見学に行くなど、服作りの工程をみんなに見せたいですね。生産背景を知ることで、服を選ぶ基準が変わったり、大事にしたいモノが見えてきたりするのではないかと考えています。そういったことを実践し、コミュニティーを作っていければいいなと思っています。

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カチューシャ復活 ロンドンコレで見つけた2019-20年秋冬リアルトレンドは“ニュークラシック”

 2020年春夏のロンドン・ファッション・ウイーク(19年9月開催)のショー会場に現れたファッショニスタたちの着こなしで目立ったのは、レディーライクなムードでした。毎シーズンのトレンドを先取りして会場に現れる彼女たちの装いは、そのまま“的中率高めのファッション流行予報”。特に目を引いた小物が、髪飾りの“カチューシャ”です。今回はショー会場周辺という“リアルランウエイ”でキャッチしたカチューシャレディーたちのスタイリング技をご紹介します。

 カチューシャ復活のきっかけを作ったのは、19年春夏コレクションの「プラダ(PRADA)」でしょう。極太のカチューシャが話題をさらいました。最近では、歌手のアリアナ・グランデが着けた、レジン加工パールとクリスタルで華やかにしたカチューシャが「ジバンシィ(GIVENCHY)」から“アリアナ・ヘッドバンド”として商品化され脚光を浴びました。このように、カチューシャ人気はジワジワと浸透していき、バリエーションも拡大しています。

 ロンドン女子には歴史的に古着やストリートのイメージがありますが、今回の来場者たちはより古風なテイストをミックス。主要ブランドからはヴィクトリアンのムードが提案され、英国趣味とクラシカルはさらに加速しそうな気配です。こうした流れにノスタルジックな気分のカチューシャはなじみます。カチューシャを使って、“ニュークラシック”にアレンジするコーディネート技に注目してみました。

◆お嬢さまムードにあえてマニッシュをミックス

 
 カチューシャにはお嬢さまなムードがあるので、服はマニッシュなものを合わせると程よいミックス具合に仕上がります。写真の女性は、白シャツの上からミリタリー由来のCPOジャケットを羽織って、メンズっぽさを投入。ボトムスはミニスカートにして若々しく。また、足元にはボリュームシューズを合わせて脚をスレンダーに演出しています。メンズ(ジャケットと靴)とウィメンズ(カチューシャとミニスカート)の交差を意識すると、このような着映えになります。

◆“プレッピー”をはずすラブリー仕掛け

 アメリカの名門校に通う男子学生のファッションに由来する“プレッピー”に復活の兆しがありますが、その源流にあたるロンドンでは、早くも来場者の間でプレッピーを取り入れる動きが広がっていました。ボーイッシュなところのあるプレッピーだけに、ラブリーなパウダーピンクのカチューシャを使った“ずらし”が効果的。甘いピンクのカチューシャもこのようにシャツと合わせれば取り入れやすそう。足元をハイカットスニーカーではずすのがいかにもロンドン流です。

◆“ヴィンテージ×ロマンティック”の懐かしげコーデ

 クラシックな装いが盛り上がる中、カチューシャはクラシックと相性抜群なヘッドアクセサリーです。写真の女性は、ビンテージ風のフラワープリントを彩ったワンピースにパウダーピンクのカチューシャを添えて、懐かしげなたたずまいに。シャンデリアのような大ぶりイヤリングも貴族感を漂わせます。これだけ盛ってもロマンティックになりすぎていないのは、白ブーツで軽やかに引き締めたおかげです。

◆ヴィクトリアンを現代的にアップデート

 今回のロンドンコレクションでは、ヴィクトリアンテイストのトレンドが勢いづきました。来場者もいち早く“オールド英国感”を取り入れていました。でも、当時そのままではなく、モダンにアップデートすることが重要です。ふかふかした台にビジューをあしらったゴージャス系カチューシャは、ロイヤルな気分を帯びています。ラッフルをたくさん飾ったドレスはゆったりシルエットで、気負わないブルジョワ淑女のたたずまい。カチューシャがムードメーカーになっているのは言うまでもありません。

 ヘアピンやヘッドアクセサリー、ヘッドスカーフなど、“頭を飾る”アイテムが数シーズン前から関心を集めていますが、今回は、さらにエレガントなカチューシャがキーピースとして浮上しました。極太やデコラティブなど、提案されているデザインもさまざまで、普段の装いに加えるだけでムードが様変わりしそう。スカーフやヘアピンより手軽に着脱できるので、自在に扱いやすいのも長所です。秋冬の装いにレディーなムードを加えたかったら、今季はカチューシャを試してみては。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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ボーダーレス化が進むフレグランス市場

 「WWDビューティ」10月3日号ではフレグランスを特集しました。これまで2013年以降、10月1日の「フレグランスの日」に前後して、毎年1回フレグランス特集を行っており、ラグジュアリーブランドを中心にその動向を追ってきました。今年は、フレグランスの輸入・販売を行う専門商社、メーカー、小売りを横断して商況を取材。これまでの百貨店チャネルだけではなく、バラエティーショップやドラッグストアまでを対象に、広く“香り”市場の現状を探りました。

 矢野経済研究所の「化粧品市場に関する調査(2018年)」によると、17年度の国内化粧品市場は前年比3%増の2兆5450億円で、そのうちフレグランスの構成比は1.2%の303億円だったといいます。これは前年比2ケタ伸長を示す数字で、ここ数年の化粧品市場全体の成長率3~4%を大きく上回っています。

フレグランス製品の品目が増加し裾野が広がる

 今回の取材を通して小売りバイヤーが一様に指摘していたのは、フレグランス関連の品目が増えたことが購入層の裾野を広げているという点です。柔軟剤の香り提案をきっかけに香りへの抵抗感が薄れた結果、ディフューザーやルームスプレー、キャンドルなどのインテリアフレグランスから、ヘアミストやボディーミストなどのボディーケアまで香りをうたった商品が増え、エントリー層も手に取りやすく、新客の取り込みにつながっているようです。また、最近はビューティでもファッションでもライフスタイルを切り口にしたブランド展開や訴求が増え、そうしたブランドにとっても香りを使った提案は欠かせないものになっており、消費者が香りに触れる機会は格段に増えています。

 供給側でも間口を広げる動きは活発で、例えば日本のフレグランス市場のリーディングカンパニーであるブルーベル・ジャパンは、今秋からルームスプレーなども展開するメゾンブランド「パルファム ドゥ ラ バスティード(PARFUME DE LA BASTIDE)」の取り扱いを開始し、さらに、このブランドでセミセルフ市場に本格進出するといいます。またブランド側でも、価格帯が比較的高いメゾンブランドがミニサイズを発売したり、ライトな香り立ちの製品をそろえたりしています。海外香水は日本市場に向けて作られたものではありませんが、こうしたトレンドも好材料になっているように感じます。

カテゴリーの垣根が低くなり市場が活性化

 バラエティーショップやドラッグストアチャネルでは、スティック形状の練香水やメンズフレグランスといった新興カテゴリーが伸長しました。ウィメンズでは携帯性や若年層向けの“モテ香水”といった切り口など、分かりやすさや実用面での訴求が奏功。メンズカテゴリーでは、臭いケアに加えて、みだしなみの延長線上で香りを楽しむ人が増えているといいます。

 今回の特集では、新客との接点が増えていることに加えて、製品やブランドのカテゴリーやチャネルの垣根が低くなっている様子が見られ、そのことがフレグランス市場の活性化につながっていると感じました。市場の活性化がわかる一方で、構成比1.2%というのはまだまだ伸び代があるということ。各社の次の一手に注目です。

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「僕たちの考える新しいラグジュアリーとは、関わる人すべてが幸せになることだと考えている」 by 井上聡

井上聡「THE INOUE BROTHERS...」デザイナー

 僕たちの考える新しいラグジュアリーとは、作る人、売る人、着る人、関わる人すべてが幸せになることだと考えている。どこかで誰かが苦しまなければいけないビジネスは本質ではない。(2018年5月9日掲載、「着る人、作る人、売る人、すべてを幸せにしたい」 「ザ・イノウエ・ブラザーズ」の挑戦から)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

【井上聡の考えを知る】

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バイヤーが語る2020年春夏のリアルトレンドVOL.1 松屋・関本美弥子編 「“野の花”プリントのドレスがヒットの予感」

 2020年春夏ウィメンズの海外コレクションが終了した。“ネイチャー”や“セブンティーズ”など、さまざまな要素がシーズントレンドとして浮上したが、実際に日本の街で広がりそうなスタイリングやアイテムはどんなもの?日本市場を熟知した百貨店やセレクトショップのバイヤー、ディレクターに、20年春夏をどう捉えたかを聞いた。

WWD:2020年春夏のファッション・ウイークで、すばり気になった傾向は?

関本美弥子・松屋ファッションディレクター(以下、関本):今シーズンはロンドン、ミラノ、パリを周りましたが、気になったテーマはとにかく“ネイチャー”。ミラノでは「ジル サンダー(JIL SANDER)」や「ファビアナフィリッピ(FABIANA FILIPPI)」がショーやプレゼンテーションに砂を使っていましたし、パリでは初日の「ディオール(DIOR)」がロンシャン競馬場に設置したテント内に森を再現していました。世の中に地球環境に対する危惧が広がっていて、その気分が市場にまで下りてきているということを感じさせるショーが多かったと思います。

そういった危機意識に対して各ブランドはさまざまなアクションを行っていますが、ファッションとしては、“ネイチャー”由来でフラワープリントが広がっています。といっても、花柄はここ数年、継続的に市場に出ています。今季は華やかな真っ赤なバラなどではなく、野の花や草原の中の草花といったモチーフで、同じ花柄でも新鮮さを出しています。また、綿や麻などの天然素材や、天然素材“風”の合繊の使用も多いです。雑貨では、ラフィアのバッグやシューズが非常によく出ています。色では、ピンク、赤、グリーンが継続で出ていますが、新鮮なのはアップルグリーンです。

WWD:アイテムやスタイリングとしては、どういったものが日本市場に広がりそうですか?

関本:スタイリングを貫くムードはフェミニンです。(ストリートの時代を経て、フィービー・ファイロ=Phoebe Philoの「セリーヌ=CELINE」がけん引したような)“エフォートレス”のムードが戻ってきているといった声もありますが、当時のような非常にリラックスしたシルエットというよりも、フェミニンで優しく着られるアイテムながら、ウエストはしっかりマークする、といった着こなしが目立っています。そういった流れでアイテムとしてはドレスに注目しており、テントラインのロングドレスや裾がラッフルになったドレスなど、さまざまなデザインが出ています。

19-20年秋冬に続き、ブラウスも売れそうです。今秋冬もボウブラウスは好調で、特に「セリーヌ」の店頭ではボウブラウスとキュロットのスタイリングがヒットしており、キュロットはサイズによっては既に欠品も出ています。20年春夏で気になるブラウスは、フロントはシンプルでバックにボウを垂らしたデザインなど。テーラードジャケットもクラシック回帰の中でここ何シーズンか出ていますが、現状ではなかなかリアルマーケットまでは落ちていない。野の花プリントのドレスにジャケットを羽織るスタイルなどを提案していきたいと思います。

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伊勢丹でポップアップ開催 エルバス、「トッズ」とのコラボスニーカーを語る

 東京・伊勢丹新宿本店1階ザ・ステージで10月9日から、ポップアップイベント「トッズ ハッピーモーメンツ バイ アルベール・エルバス(TOD’S HAPPY MOMENTS BY ALBER ELBAS)」がスタートする(15日まで)。このコラボレーションは7月に仏パリで披露され、世界の都市を巡回しているもので、「ランバン(LANVIN)」のアーティスティック・ディレクターを務めたアルベール・エルバスのハッピーな世界観が反映されたシューズやバッグを販売している。このコラボや「ランバン」を退任してからの活動についてエルバスに聞いた。

WWD:「トッズ」とコラボした感想は?

アルベール・エルバス(以下、エルバス):ディエゴ・デッラ・ヴァッレ(Diego Della Valle)=トッズ会長兼最高経営責任者をはじめ、トッズファミリーとのコラボはとても楽しかった。すてきなシューズを作るだけでなく、人に関する美しいストーリーを描くことができた。このコラボは単に製品のことだけではなく、人々を感動させる、またハッピーにさせるストーリーなんだ。私は人々をハッピーにするシューズを作りたかった。このコレクションはハッピーそのものを表している。

WWD:このコラボで楽しかったことと、難しかったことは?

エルバス:スニーカーのデザインだよ。なぜって、市場はスニーカーであふれかえっていてこのコレクションでさらにスニーカーを提案するのは意味ないってディエゴに言ったんだけど、どうしてもと言われてデザインしたんだ。快適なソールはそのままに、上部にはモカシンをくっつけたんだ。「トッズ」のDNAと空気力学的なデザインを組み合わせてみた。「トッズ」の魂はそのままに形を変えたんだ。

WWD:洋服のデザインとバッグやシューズなどのアクセサリーのデザインの違いは?

エルバス:ファッションは、単にドレスの前と後ろのことではない。それを着る女性のことだ。シューズは単なるシューズではなく全体のイメージを変えるものだ。そういう意味で髪型と同じようなもの。

WWD:“ハッピー モーメンツ”というコレクションだが、あなたの日常における幸せな時とは?

エルバス:人生には少しでも幸せが必要。現代では、それは今まで以上に必要だ。でもいつも幸せでいられるとは限らない。幸せとはいつも大きな箱で運ばれてくるものではなく、滴のように小さなこともある。幸せな時が来たら、それがどんなに小さくても喜んで迎え入れ、大切にして覚えておくべき。それが私にとっての幸せな時だ。

WWD:「トッズ」や「コンバース(CONVERSE)」などとのコラボの他に何をしていたか?

エルバス:「ランバン」を去ったときは、もうファッションには関わりたくないと思った。スケッチもしたくなかったし、素材にも触れたくなかった。気の向くままに世界を旅することにしたんだ。そして、ファッションがどのような方向に向かっているか、次のファッションは何かを知りたかったからマスタークラスを受けたよ。それ以上に、若い世代から学ぶという意味で教えたいと思った。「フレデリック マル(FREDERIC MALLE)」から香水を出して以降、絶え間なくさまざまなプロジェクトに携わっているよ。「トッズ」とのコラボが発表されたときには、SNSを通じて人々の興奮が伝わってきた。皆、私が仕事をしてないと心配していたみたいだね。

WWD:最近のファッションで面白いと思うブランドは?

エルバス:さまざまな理由から面白いと思うファッションブランドはたくさんあるよ。まず創造性が感じられるものが好きだけど、需要だけでなく、着る人のために新鮮でよく考えられた製品もいいと思う。

WWD:あなたにとってモードとは?

エルバス:モードとは関係性のこと。ここ数年感じているのは、ファッション業界では同じような人ばかりが集まってチームをつくるという大きな間違いを犯しているということ。年齢や性別、国籍などもっと多様性を持ったチームが必要だ。そうでないと、単なる独り言になってしまうから。モードには対話が必要。同じテーブルで話し合うことが大事。なぜならモードとは、自分とそれを着る女性との関係を示すものだから。

WWD:尊敬するデザイナーは?

エルバス:たくさんいすぎて一人だけ名前を挙げることはできない。

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初心者におすすめする韓国コスメ ファンデーション&リップ編

 日本でも若者を中心に人気で需要の高い韓国コスメ。最近は発売をSNSからオンタイムでチェックでき、発売直後に日本でもオンラインで製品を買えるようになりました。ただ、ブランドも製品の種類も多い韓国コスメは、何から始めたらいいのか悩んでいる人も多いはず。ここでは韓国コスメ初心者におすすめしたい製品をご紹介します。

 まずはベースとなるファンデーションのおすすめ。韓国は艶肌派とマット肌派に分かれます。日本は韓国より湿度が高いので、マットなベースを使っても乾燥が少なくちょうどいいのかもしれません。使いやすく、どんな人にもなじみがよいベースはこの3つ。

①バニラ コ(BANILA CO)「 カバーリシャスパワーフィットファンデーション」(2990円)

 高い密着力と高いカバー力、崩れにくいファンデーションとして人気の「バニラコ」の新作ファンデーション。ファンデーションの中に入っている微細粒子が肌に密着してベースメイクを長持ちさせます。薄くつけてもカバー力はあり、ナチュラルで軽めのメイク好きにおすすめ。日本では、楽天にオープンした「オリーブヤング(OLIVE YOUNG)」公式ページで購入が可能です。

②イーグリップス(EGLIPS) 「ブラーウェアリングファンデーション」(1280円)

 韓国ではプチプラコスメでも有名な「イーグリップス」。肌の欠点をカバーし、フィルターをかけたような肌に仕上げてくれるファンデーション。ふんわりしたエアリーなつけ心地とセミマットのテクスチャーが特徴で、しっとりした肌が好みの人におすすめ。こちらもカバー力は高めなのでコンシーラー不要です。Qoo10にある公式ショップで購入可能。

③ラカ(LAKA)「シンスティーラUVファンデーション」(3万ウォン、約3000円)

 軽いつけ心地と高い密着力、自然な肌の光沢が魅力の「ラカ」。ユニセックスなイメージで話題のブランドで、最近はファッションとビューティに関心の高い韓国男子にも愛用者が増えています。カラーは8種類あり、自分にぴったりのスキントーンを探すことができます。メイク崩れも少なく自然な艶感を演出できるので、自然で健康な肌表現が好きな人におすすめ。

 次は韓国コスメでも一番手の届きやすいリップ。リキッド、スティック、ティントと形状だけでなくマットや艶など仕上がりも多様なリップは選ぶのに迷うかもしれません。そしてリップは、同時に韓国のビューティトレンドをいち早くチェックできるアイテムでもあります。ベーシックに使えるマット、セミマット、艶感のあるリップを紹介します。

①ムーンショット(MOONSHOT) 「クリームペイントティントフィット」(2228円)

 秋になると新作リップで溢れる韓国コスメですが、今シーズンの一推しマットリップは「ムーンショット」の「クリームペイントティントフィット」。名前通りティントだけどクリーミー、乾燥も少なく少量でも伸びがよい。フルリップ、グラデーションリップどちらにも最適で初心者でも使えるはずです。ティントなのでもちろん持続力もポイント。ビビッドなカラーではなく、柔らかなピンク、オレンジ、レッドカラーがそろうので手持ちのコスメと合わせやすく、韓国ティント特有の強い色が苦手な人も気持ちよく使えるはずです。楽天の公式ショップで購入が可能。

②エスポワール(ESPOIR) 「リップアップ」(1950円)

 果汁溢れるジューシーな唇を演出するリップ。リキッドリップながらも、ルージュのような深みと艶を唇に添えます。重すぎず、潤いと存在感あるカラーは秋冬の定番リップになること間違いなし。手持ちのリップと合わせて重ねづけしてもいいでしょう。グラマラスでボリューミーリップを目指す人におすすめ。アモーレパシフィック(AMOREPACIFIC)公式サイトで購入可能です。

③ロムアンド(ROM&AND)「sunset edition ゼログラムマットリップスティック」(1万5000ウォン、約1500円)

 韓国でも人気の高い「ロムアンド」の「ゼログラムリップ」。その中でも独特なカラーを展開しているのがこの「サンセットエディション」です。夕焼けの空をイメージし、絶妙なニュアンスの入ったカラーをそろえています。色だけではなく商品自体も高品質で、韓国国内の評判も高いリップです。製品名の「ゼログラムリップ」は、フォーミュラが軽く密着することに由来。ベルベットより軽い風合いで発色も美しく、唇の輪郭までしっかり色をのせても強くなりすぎず、毎日使っても飽きない優秀なリップです。

 今回は、韓国コスメになじみはあるけれどまだ使ったことがないという韓国コスメ初心者に向けて、手持ちのコスメや普段のデイリーメイクに合わせて使いたいものをいくつか紹介してみました。韓国コスメのよいところは高品質なのにプチプラであること。最近は手軽にオンラインで注文できるので、いろいろ試してみてはいかがでしょうか?秋冬のデイリーメイクに欠かせないアイテムにきっと出合えるはずです。

MIN/韓国出身・韓国在住のITマーケッター兼エディター : 日本に合わせて11年間の在住経験も。大学で美術を専攻し、舞台衣装の仕事、ドメスティックコレクションブランドのPRを経て現在はソウルに戻り韓国のIT企業に勤務。 普段はファッション・ビューティ・EC複合アプリサービスづくりとエディターをしつつ、ツイッター(@minsan_cosme)では韓国通販とコスメやトレンドについてつぶやいている

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日本撤退の「フォーエバー 21」には「ありがとう」の気持ちも ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuがリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきます。

今日のニュース:P.4「低価格ファッション 明暗のワケ」

読み解きポイント「ファッションの民主化を進めてくれてありがとう」

ニュースのポイント

 米国発のファストファッションブランドの「フォーエバー 21(FOREVER 21)」の日本撤退が決まった。10月末に全14店舗と自社ECを閉鎖する。1号店が原宿・明治通り沿いにオープンしたのは2009年4月。「安くておしゃれなアイテムが揃う」と若者層に支持されたが、品質の良い国内低価格衣料ブランドやD2C系ブランド、韓国系ブランドの台頭、トレンドの変化、消費者のサステイナビリティー意識の高まりなど、ここ数年で環境が一変したことで業績が悪化。日本に本社機能を置かなかったことにより、ビジネスモデルをローカライズできなかったことも原因の一つだ。ブームをけん引した同ブランドの撤退は、ファストファッションというビジネスモデルの過渡期を表している。

Azuはこう読む!

 「フォーエバー 21」が日本に上陸した時、私は高校3年生でした。バイト禁止の学校だったので使えるお金は月数千円程度しかなく、「フォーエバー 21」ですら高いと感じていた気がします。初めて購入したのはおそらく大学生になってからで、その後すぐにデザイナーズブランドの魅力にハマってしまったので、正直あまり購入したことはありません。

 サステイナビリティーという側面で色々思う節はあるし、悲しくも大人の疲れた肌質(笑)では耐えられない生地感なので、撤退の理由も理解できます。でもそれは一旦おいといて、トレンドの服が安く手に入り、金銭的にも精神的にもおしゃれを楽しむハードルがぐっと下がったという意味で「ファッションの民主化」を進めてくれたので、「たくさんの人がおしゃれを楽しめる環境を作りたい」と思っている身としては感謝の気持ちもあります。

 上陸からたった10年での撤退となりましたが、大衆の洋服の消費方法、ファッションと向き合うマインドを変えたという意味でひとつの重要な時代を築いたブランドです。私はこの10年の間で消費者側からファッションの魅力をさまざまな方法で伝える立場になれたので、大きな節目となるこの瞬間に、ファッション業界に携われて良かったなと思っています。

 大量生産・大量消費の時代が終わり、おしゃれな服を着ることだけがファッションではなくなった時代。私たちができることは、わかりやすいトレンドを作り消費者を踊らせることではなく、自分自身が消費者であるという気持ちを思い出しながらファッションを楽しむことなのだなと思っています。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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8万通り以上のパーソナルスキンケアの資生堂「オプチューン」を編集部が試してみた 実践編

 資生堂が同社初のサブスクリプションサービスとしてスキンケアのパーソナライゼーションを実現する「オプチューン(OPTUNE)」を本格スタートさせた。一人一人の肌環境に合わせたケアを専用マシンが提供するIoTスキンケアシステムで、8万通り以上のお手入れアルゴリズムから最適なスキンケアを提供するという、業界的にも画期的なこのサブスクサービス。月額1万円で利用できます。どんなものか体感したいということで、「WWDビューティ」編集部の20、30、40代を代表する記者3人が個人的に申し込み、3カ月間実際に試して肌の状態がどのように変化するかをリポートします。

男性記者K:メンズコスメや小売りなどの担当記者
女性記者N:国内メーカー担当記者
女性記者M:国内メーカー担当、「WWDビューティ」マネジングエディター

攻略法を見つけたり! カメラ計測のパーソナル診断(20代男性記者K)

 男性のスキンケア製品の場合、「オプチューン」の処方のようにオールインワンで使用できる製品ってまだまだ少ない印象です。個人的には、使ってみても効果が実感できる製品に中々合えず、何が自分の肌に合っているのかもイマイチ分かりませんでした。その点、「オプチューン」は肌を計測したその日の状態だけでなく気温、紫外線量まで読み取り、その時々の最適な処方してくれるので現在の状態に対して最善のスキンケアができると言えます。夏は皮脂や紫外線で肌の状態も乱れがちですが、それも踏まえて診断してくれるので、テクノロジーの進歩を文字通り肌で感じています。肌の計測にはアプリを起動してiPhoneの外付けカメラを利用するんですが、この診断機能がすごいんです。鮮明に肌表面の状態を読み取ってくれるので初めて計測した画像を見た時は鮮明すぎる自分の肌状態にもう見たくない(笑)という気持ちになりました。

 実は、このカメラでの読み取りにも最初は苦戦しました。肌に直接外付けカメラのレンズを当てて徐々に遠ざけていくのですが、なにせ画面が見えてない分どこに焦点が合っているのか分かりずらく……。まっすぐ離さないとエラーや計測不能になってしまうので計測の度に何度もやり直して、忙しい朝は肌診断もおざなりになっていました。でも、ある日、鏡の前で試行錯誤していた時に気づいたんです。鏡越しに移る画面を見ながら計測すれば真っすぐに遠ざけられて計測も容易だと!「オプチューン」を実践しているほかの編集部員にも教えてあげようと少し得意げになった日の朝の計測結果です。ハリや水分量は問題なさそうです。同日の深夜に改めて計測してみても結果はあまり変わりませんでした。一歩ずつですが、毎日使い続けることで見えてくる変化もあると思うので毎日使い続けようと思います。

その日の肌コンディションがグラフで一目瞭然(30代女性記者N)

 すでに「オプチューン」生活は約1カ月半が経過。今回は約2週間続けた結果を報告します。使用には肌診断のための撮影が必要ですが、これは必ずしも毎回しなければいけないというわけではないのです。もちろん、使うたびに撮影すれば正確な情報を得ることができますが、私の場合は比較的時間のある平日夜と休日朝の使用時に撮影すると決めています。最初は必ず毎日測定しないといけないと思い込んでいて、そこにストレス感じていたのでですが、こんな風に自分のライフスタイルに合わせてルーティンを決められるところは使い勝手が良いと思いました。

 毎日のスキンケアは、アプリ上でDAY・WEEK・MONTH別に管理されています。WEEKでは、肌のキメや水分、皮脂、毛穴がグラフで表れるので日々の変化が一目瞭然。例えば8月のとある1週間では、極端にグラフが下がっている日が。これは飲み会が続いた時の肌診断結果。その日のコンディションがダイレクトに肌に表れています……。グラフが表示されていない日は、お恥ずかしながらサボってしまった日です。過去の肌診断結果や処方された内容はいつでも振り返ることができるので、こうして辛い結果も見返しています……(笑)。

遅ればせながらスタート地点に(40代女性記者M)

 前回は設定がきちんとできず、コールセンターに助けを求めたところで終わりましたが、今回はその後の状況から。お盆明け早々に連絡をもらったところ、前回色々対処法を試してもうまく起動しなかったため本体の交換を提案されました。新しい本体が届き、再び設定にチャレンジ!今度はスムーズに設定が完了し、早速使用することに。まずはスマートフォンで肌測定から。初回の肌状態は調子がよかったものの、キメや水分、皮脂、毛穴ともほどほどの結果に……。

 「水分が少なめな肌状態です」とのコメントにより、肌の潤いを守るための成分が多めに抽出され、まさにカスタマイズされたスキンケアができます。ただ、気になるのは成分の抽出量。普段ありがたいことに多くの化粧品サンプルを頂くことから、化粧水や美容液をぜいたくなほどの量を使わせてもらっています。それに比べると500円玉大の抽出量では物足りなさが否めないのです。それを資生堂の広報の方に伝えると、元々オプチューンは仕事や家事でスキンケアに時間をとれない女性(または男性)におすすめする時短コスメの役割も果たしているとのことだっただので、しっかりスキンケアをしている私には物足りなさがあるのも納得です。「オプチューン」の肌実感を得るために1週間使い続けると、不思議と物足りなさがなくなっていきました。この500円大の量が私には最適なんだということも分かりました。

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銀座2店舗体制で新顧客獲得に成功 ヴァン クリーフ&アーペル社長に聞く好調の理由

 「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS以下、ヴァン クリーフ)」のハイジュエリー発表受注会が9月第1週に都内ホテルで開催された。昨年7月にパリで発表されたグリム童話をテーマにした一点物からメゾンのシグニチャーであるハイジュエリーまでが約100点集結。日本市場におけるハイジュエリーの需要の高まりを感じさせるラインアップとなった。秋は多くのジュエラーがハイジュエリーの受注会を行うが、いち早く受注会を開催したアルバン・ベロワー(Alban Belloir)=ヴァン クリーフ&アーペル ジャパンプレジデントに話を聞いた。

WWD:今回日本に来ているハイジュエリーの数と内容は?このタイミングで受注会を行う理由は?

アルバン・ベロワー=ヴァン クリーフ&アーペル ジャパン プレジデント(以下、べロワー):約100点のハイジュエリーをそろえた。グリム童話の中から4つの話に着想を得た新ハイジュエリーコレクション“キャトル コントゥ ド グリム(以下、グリム)”は、メゾンのアイデンティティーを象徴するマスターピースぞろいだ。それ以外にも、クラシックなものから抽象的なデザインのものまで幅広いハイジュエリーをそろえた。「ヴァン クリーフ」は設立当時から、自然をはじめ女性らしさやポエティックなストーリーをインスピレーション源にしてきた。グリム童話をテーマにしたコレクションは、モザンビーク産ルビーやコロンビアやブラジル産のエメラルド、ミャンマーやスリランカ産のサファイアなど貴石の原産地や品質にこだわったものをそろえ、メゾンの知見と技術の全てを発揮したこまやかな作品になっている。“グリム”コレクションの一つ“12人の踊る王女”コレクションから3点の王女のクリップ(ブローチ)が来ているが、1940年代から製作しているバレリーナやフェアリーのクリップを新たな技巧を施して表現している。メゾンの過去、現在、未来を表現したアイテムだ。

WWD:このタイミングでハイジュエリーの発表を行う理由は?

ベロワー:インターナショナル、各地域、各国のイベントカレンダーとのバランスを見ながらスケジュールを組む。インターナショナルのスケジュールは今年2月にタイでルビーにフォーカスしたイベントを開催し、7月にはパリで新コレクション“ロメオとジュリエット”を発表した。グリム童話をテーマにしたコレクションは昨年6月のオーストリア・ウイーンと翌月パリでの発表を経て、世界各国を回って日本に来た。9月は(夏休みが終わり、ビジネスが再開するので)顧客が動きやすいということもあり、ハイジュエリーの受注会には理想的な時期。11月末から2月にかけてはクリスマスに向けてダイヤモンドにフォーカスしたジュエリー商材をプッシュするため、9月に色石にフォーカスしたコレクション受注会を行うのは正しいタイミングだ。

WWD:日本におけるハイジュエリー市場の商況は?

ベロワー:今年はハイジュエリーの新規顧客の取り込みに成功し、この分野におけるメゾンの認知度がアップしていると感じている。もちろん、メゾンのシグニチャーを知っている長年にわたる顧客はハイジュエリーのイベントを楽しみにしており、毎回来てくれる。全体的にハイジュエリーのイベントへの興味が高まっている。われわれは戦略的に数年前から、銀座本店をはじめ、各地のブティックでも年間を通して需要に応えるべくダイヤモンド中心のハイジュエリーの露出を増やしており、それが売り上げアップにつながっている。1000万~5000万円が中心価格帯。ハイジュエリーの価格には上限はないが、5000万円以上のものも動く。日本における売れ筋は、自然や花などメゾンの世界観表れたアイコニックなデザインやクラシックなもので、身に着けやすいダイヤモンドが人気だ。これらのハイジュエリーを常に露出することで新顧客の獲得につながり、ハイジュエリーを日常的に着ける傾向が生まれてきている。一方で、グリム童話をテーマにした一点物に関しては、「ヴァン クリーフ」の世界観をよく知っている昔からの固定客が特別な時に着用する目的で、または投資対象として購入するケースが多い。一点物は希少性の高い石を使用しているため、価値が下がることはまずない。

WWD:ブライダル市場に関しては?

ベロワー:エンゲージメントリングが好調だ。中心価格帯は100万~2000万円。日本におけるブライダル市場は成長しているとは思えないが、メゾンの認知度がアップしており、マーケットシェアが伸びていると感じている。エンゲージメントリングの用途が結婚だけでなく、日常的に使用する目的で購入する顧客もいる。その用途の広がりも伸長の理由だ。1カラット以上のユニークソリテールリングも堅調で、石にこだわった顧客による購入が見られる。価格帯は1000万~4000万円とハイジュエリーと同等の価格帯だ。

WWD:一般的に令和婚によるブライダルの需要の高まりが見られるようだが?

ベロワー:その影響があるかもしれないが、われわれの主要顧客とは違う顧客カテゴリーによる動きのように思われる。令和婚需要は一生に一度の買い物的なカップルによるもので、主力商品は低価格帯のものが中心だ。マリッジリングに関しては、デザインが似たり寄ったりで差別化しにくいため、ブランドの認知度と価格が決め手になる。エントリー価格帯の商材であり、緩やかな伸びは見られる。

WWD:インバウンド需要は?銀座は2店舗体制だが、どのような効果が出ているか?

ベロワー:ここ数年絶好調だ。8月半ばから円高の影響で鈍化しているが、それでも伸長している。訪日旅行客の多い銀座2店舗および大阪・心斎橋店の存在が認知度アップにつながり客数が伸びている。売れ筋は世界共通で“アルハンブラ”や“ぺルレ”。ハイジュエリーも好調だ。ブライダルは国内客が中心でインバウンド客による需要は少ない。ウオッチは“ミッドナイト プラネタリウム”などのポエティック コンプリケーション(複雑時計)がよく動く。国籍は中国がいまも多いが、韓国、香港、台湾などの近隣アジア圏以外に東南アジア、欧米、中東、ロシアと多様化が見られる。ショッピングモールであるギンザ シックスに出店して以来、ファッション好きの新規顧客や「ヴァン クリーフ」を知らなかった新客の獲得に成功している。銀座3丁目の本店に関しては、ジュエラーが軒を連ねるジュエリー通りということもあって昔からの顧客が多く、ギンザ シックス店とは客層が異なる。

WWD:百貨店の外商とはどのように連携を取って販売をしているか?

ベロワー:日本における百貨店の存在は極めて重要で、協業がよい結果を生んでいる。外商は顧客とコンタクトを密にとっているため、顧客のニーズに合った商材やサービスをきっちりと取り込める。

WWD:“アルハンブラ”がロングセラーであり続ける理由は?新規商材投入の予定は?

ベロワー:“アルハンブラ”は誕生して約50年経つ、「ヴァン クリーフ」のアイコンでありタイムレスなコレクションだ。メゾンのDNAである幸運、愛、富といった人生におけるプラスの要素を表現していると同時に、20~80代と年代を問わないデザインがロングセラーである理由だ。新商材は“アルハンブラ”“ペルレ”“フリヴォル”という3つを柱として投入していく。

WWD:日本国内で好調な地域は?

ベロワー:札幌、東京、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡に直営店があるが、全て好調。特に心斎橋店は関西の需要を取り込むのに成功している。

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「オリバーピープルズ」の新しいビンテージ美学に注目

 アメリカ・ロサンゼルス発のラグジュアリーアイウエア「オリバーピープルズ(OLIVER PEOPLES)」が、2019年のキャンペーン「Who is Oliver?(オリバーの正体とは?)」の発表とともに新作モデル「オリバー(OLIVER)」を発売した。「オリバー」は1960年代のビンテージ美学と、カリフォルニアのカジュアルでリラックスした空気感を吹き込んだデザインが特徴で、「オリバーピープルズ」の象徴であるビンテージアイウエアとブランド発祥の原点を盛り込んでいる。ほどよいラグジュアリー感、上品なデザイン性だけでなく、テンプル中芯にフィリグリー(金銀線細工)を施したパームスプリング柄を採用するなど、随所に高いクラフツマンシップも感じさせる。

南カリフォルニアの
ライフスタイルがDNA

 「オリバーピープルズ」は1987年、アメリカ・カリフォルニア州ウエストハリウッドの中心に位置するサンセット・ブルーバードでスタートした。地元ロサンゼルス特有の文化を形成するファッションや映画、アートなど南カリフォルニアに根付くライフスタイルがDNAだ。先ごろ発表した、ハリウッドを代表する往年の名優ケーリー・グラント(「ケーリー・グラント・エステート」)と、オルセン姉妹が手掛けるニューヨークのファッションブランド「ザ ロウ(THE ROW)」とのコラボレーションなど、「オリバーピープルズ」に新たなエッセンスを加えたシリーズとなっている。ブランド創設以来、今のアイウエアデザインのスタンダードとなっているクラシックスタイルをリードし、30年以上の間に数多くのヒットモデルを生み出した。そのディテールやテクニックを現代に引き継ぎアップデートしながら、時代に左右されない確固たるスタイルを築いている。
 
 アメリカンビンテージのスピリットを継承し、繊細なバランス感やサイズを備えて幅広い層とつながることを目的とした「オリバー」は、さらに新しいファンを獲得している。「オリバーの正体とは?」という問いに対して、「ブランド名を冠とした『オリバー』を掛けた人は誰でも『オリバー』である」という答えは斬新だ。

 「オリバーピープルズ」は、世界最大のアイウエア企業であるイタリアのルックスオティカ(LUXOTTICA)が世界60カ国以上で販売している。昨年、アメリカ・ダラス、香港、ベルリン、ロンドンにショップをオープン、世界に30の直営店を構える。

「オリバー」の正体とは?
「Who is Oliver?」キャンペーン展開中

 「オリバーピープルズ」がキャンペーン「Who is Oliver?(オリバーの正体とは?)」のムービーを製作。ニューヨークを舞台に、「オリバー」をかけたさまざまな人が行き来する。「オリバー」をかける人、その周りの人すべてとつながり、物語の主人公にするというメッセージを投げかけている。


問い合わせ先
ルックスオティカジャパン
カスタマーサービス
0120-990-307

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「ポリス」のアンバサダーにプロサッカー選手の槙野智章選手が就任

 イタリアの大手眼鏡企業デリーゴのハウスブランド「ポリス(POLICE)」のアンバサダーに、プロサッカー選手の槙野智章選手が就任した。

シックでシャープなサングラス

 イメージビジュアルで槙野選手が着用する新作は、メタルとアセテートのベーシックなスクエアシェイプ、メタルのヘキサゴンシェイプ、そしてナローなフロントシェイプのサングラス3型。さらにシックなブラックと、シャープなブロータイプの眼鏡フレーム2型。価格は1万8000~2万円で、11月末に発売予定だ。

槙野選手が考える
アイウエア観は?

 槙野選手はふだんのアイウエア使いについて、「サングラスは好きで、チームで移動する際の飛行機やバス、公共交通機関などで使用している。プライベートでも、車を運転するときやスーツを着ているときなど、また用途に合わせて使い分けている。掛けることで自分の中でスイッチが入る。それから、“ここぞ!”というときにつける。そのようなときはサングラスも気合を入れて選んでいる。視力はいいからファッションとして使用している。眼鏡の大きさ、色、シェイプはTPOに合わせて使い分けている」と話す。

 サッカーにおける目の大切さについては、「サッカーは視力が非常に大事。360度常に周りを見渡し、ボールが来る前には最低でも3つの選択肢を持つようにしなければならない。周りの状況を把握するという意味でも、目は大切だ。個人的には、目のトレーニングとして練習や試合前に、目の前に両指を立てて左右に動かし、両目でどこまで広げても見えるかというトレーニングをして臨むようにしている」という。

 「ポリス」については、「どちらかというと、ヨーロッパや南米のイケイケの男性がかけているイメージがある。今回アンバサダーに就任させていただいたことで、日本人の男性にも手に取っていただき、日常でもつけられるようにイメージを変えていきたい」と抱負を語った。

 「ポリス」は1983年のスタート以来、洗練されたカジュアルなデザインが受け入れられ、ライフスタイルブランドとしてアイウエアのほかフレグランス、ウオッチ、ジュエリー、革小物などアイテムを広げて、独自の世界観を築いている。東京・渋谷のファイヤー通りに世界唯一の路面店がある日本は、「ポリス」の売り上げが世界2位の重要市場だ。


問い合わせ先
デリーゴジャパン
03-6661-9266

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