実店舗ベースのテック企業ならではのARリテールを考える ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャーに勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.4「ファーフェッチCEOが語る高級品リテールの未来」

読み解きポイント 「実店舗ベースだからこそできる『ストア・オブ・フューチャー』」

ニュースのポイント

 今や世界中のラグジュアリーブランドのアイテムが揃う巨大ECプラットフォームとなったファーフェッチ(FARFETCH)。著名ブランドを保有する会社を買収したり、売上高が前年比42.6%増を記録したり急成長を続ける一方で、決算発表後には株価が急落。来日したジョゼ・ネヴェス(Jose Neves)創業者兼最高経営責任者(CEO)にファーフェッチの今と目指すべきラグジュアリーリテールの未来を聞いた。

Azuはこう読む!

 「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」や「キリン バイ ペギー グー(KIRIN BY PEGGY GOU)」などの人気ブランドを傘下に持つニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP)を8月に買収し、今後はプラットフォーマーとしてだけではなくオリジナルブランドの開発など自社コンテンツの発信にも力を入れるファーフェッチ。ここで生きてくるのがプラットフォーマーだから持ち得る膨大な生データです。

 記事中ジョゼ・ネヴェスCEOが「ファーフェッチは、ラグジュアリーにおける消費者やリテールの動き、ブランドの考えを熟知した数少ないテックカンパニーだ」と語っているのが印象的でした。商材はファッションのラグジュアリーアイテムではあるものの、土台にあるのは圧倒的にテクノロジーなんです。

 7月には2017年に発表したリアル店舗のデジタル化プロジェクト「ストア・オブ・フューチャー」をパリの「シャネル(CHANEL)」旗艦店で実施(シャネルとは18年にデジタル戦略におけるパートナー契約を締結)。オンライン上で取得した顧客データと実店舗での行動データを分析、そして各店舗に提供することで店舗改善に活かすツールのようですが、これはまさに“実店舗ベース”のリテールテックカンパニー、ファーフェッチだからできること。自社で在庫を抱えるECプラットフォームが簡単にできることではありません。

 こうしたオンライン/オフラインの利点をミックスしたより快適な購買体験のことをファーフェッチは「AR(Augmented Retail)=拡張リテール」と呼んでいますが、中国発のニューリテールと同じような概念ですね。拡張現実と混ざってややこしいけれど、ARの方がカッコいいので、これからはこっちを使おうかな……。

 ちなみに、対比されがちですがファーフェッチは各店舗の在庫を利用するので、ZOZOやネッタポルテ(NET-A-PORTER)など自社で在庫を持つECとは戦う土壌が若干異なります。在庫の出所的に後者が実店舗の敵っぽく映るのに対し、前者は味方っぽく見えますが、そもそもどちらが良いか・悪いかという争いにはならないことを頭に入れておかないと、いつまでたってもオールド/ニューでリテールのあり方を隔ててしまうので、気をつけないといけないなーと思うのでした。

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実店舗ベースのテック企業ならではのARリテールを考える ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャーに勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.4「ファーフェッチCEOが語る高級品リテールの未来」

読み解きポイント 「実店舗ベースだからこそできる『ストア・オブ・フューチャー』」

ニュースのポイント

 今や世界中のラグジュアリーブランドのアイテムが揃う巨大ECプラットフォームとなったファーフェッチ(FARFETCH)。著名ブランドを保有する会社を買収したり、売上高が前年比42.6%増を記録したり急成長を続ける一方で、決算発表後には株価が急落。来日したジョゼ・ネヴェス(Jose Neves)創業者兼最高経営責任者(CEO)にファーフェッチの今と目指すべきラグジュアリーリテールの未来を聞いた。

Azuはこう読む!

 「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」や「キリン バイ ペギー グー(KIRIN BY PEGGY GOU)」などの人気ブランドを傘下に持つニューガーズグループ(NEW GUARDS GROUP)を8月に買収し、今後はプラットフォーマーとしてだけではなくオリジナルブランドの開発など自社コンテンツの発信にも力を入れるファーフェッチ。ここで生きてくるのがプラットフォーマーだから持ち得る膨大な生データです。

 記事中ジョゼ・ネヴェスCEOが「ファーフェッチは、ラグジュアリーにおける消費者やリテールの動き、ブランドの考えを熟知した数少ないテックカンパニーだ」と語っているのが印象的でした。商材はファッションのラグジュアリーアイテムではあるものの、土台にあるのは圧倒的にテクノロジーなんです。

 7月には2017年に発表したリアル店舗のデジタル化プロジェクト「ストア・オブ・フューチャー」をパリの「シャネル(CHANEL)」旗艦店で実施(シャネルとは18年にデジタル戦略におけるパートナー契約を締結)。オンライン上で取得した顧客データと実店舗での行動データを分析、そして各店舗に提供することで店舗改善に活かすツールのようですが、これはまさに“実店舗ベース”のリテールテックカンパニー、ファーフェッチだからできること。自社で在庫を抱えるECプラットフォームが簡単にできることではありません。

 こうしたオンライン/オフラインの利点をミックスしたより快適な購買体験のことをファーフェッチは「AR(Augmented Retail)=拡張リテール」と呼んでいますが、中国発のニューリテールと同じような概念ですね。拡張現実と混ざってややこしいけれど、ARの方がカッコいいので、これからはこっちを使おうかな……。

 ちなみに、対比されがちですがファーフェッチは各店舗の在庫を利用するので、ZOZOやネッタポルテ(NET-A-PORTER)など自社で在庫を持つECとは戦う土壌が若干異なります。在庫の出所的に後者が実店舗の敵っぽく映るのに対し、前者は味方っぽく見えますが、そもそもどちらが良いか・悪いかという争いにはならないことを頭に入れておかないと、いつまでたってもオールド/ニューでリテールのあり方を隔ててしまうので、気をつけないといけないなーと思うのでした。

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「ショーの日程はカブらない?」 アナタの疑問にNYから答えますVol.5

 ニューヨークからお送りしている「コレクションにまつわる、アナタの質問にお答えします」企画は、同行するビューティ担当記者の頑張りもありまして、早くも5回目です。本日は「ショーの開催日時は、カブらないようにお互い配慮しているのですか?」について、お答えしようと思います。

 この答えはズバリ、「メジャーなブランド同士、仲間のブランド同士はカブりません」。つまり、そうじゃないときは「カブる時もあります」です(笑)。そんな時、私たち取材陣は二手に分かれたり、断腸の思いでどちらかを諦めたりしています。

 そもそも上のリンクのように、アメリカ・ファッション評議会の会長に就任したトム・フォード(Tom Ford)が日程を大幅短縮したニューヨーク・コレクションは今回、スケジュールがパツパツ気味。スケジュールは短くなっても、参加ブランド数は変わりませんから、ショーの時間がカブるブランドが複数出てくるのは必然です。

 例えば今回は、9月7日の20:30から「クロマット(CHROMAT)」が、30分後の21:00から「ラルフ ローレン コレクション(RALPH LAUREN COLLECTION)」がそれぞれのショーを開催しました。2つの会場はそれほど離れていませんでしたが、「クロマット」はおよそ1時間、「ラルフ ローレン コレクション」は約40分遅れてのスタートでしたから、どちらもショーが始まったのは21:30ごろ。となると、両方見に行くのは不可能です。

 でも、正直コレで困るのは、「WWDジャパン」くらいで、ほかの皆さんには大きな影響がありません。理由は、「2つのブランドは違いすぎて、ゲストも全く異なるから」です。

 この2枚の写真を見ていただければ、その違いは歴然でしょう。「ラルフ ローレン コレクション」と「クロマット」の観客は、全然違います。取材するメディアも、洋服を買い付けるバイヤーも、顧客だって違います。だから2つのショーは、カブってもぶっちゃけ問題ないんです。

 とはいえメジャーなブランド同士は、お互いがカブらないよう配慮し合うし、最近はこうした有力ブランドがファッション・ウイークの最初から最後までまんべんなく散りばめられるよう、皆で相談し合っています。

 上のリンクはまもなく開幕するミラノ・コレクションのスケジュールに関する記事ですが、これによると「グッチ(GUCCI)」や「プラダ(PRADA)」「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」「マルニ(MARNI)」などのメジャーブランドは、会期中のある数日に集中しないよう、まんべんなく散りばめられました。理由は、「みんなに、なるべく長くミラノに滞在して欲しいから」です。

 メジャーブランドのショーが集中してしまうと、来場者は旅程を短縮しがち。すると若手ブランドのショーやプレゼンなどを訪れる時間がなくなってしまいます。ファッション・ウイークの主催者にとっては、憂慮すべき問題です。そこでニューヨークやミラノはメジャーブランドをまんべんなく散りばめ、来場者になるべく長く現地に滞在してもらう作戦を展開。合間に他のブランドも見てもらおうと画策しているのです。

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「ショーの日程はカブらない?」 アナタの疑問にNYから答えますVol.5

 ニューヨークからお送りしている「コレクションにまつわる、アナタの質問にお答えします」企画は、同行するビューティ担当記者の頑張りもありまして、早くも5回目です。本日は「ショーの開催日時は、カブらないようにお互い配慮しているのですか?」について、お答えしようと思います。

 この答えはズバリ、「メジャーなブランド同士、仲間のブランド同士はカブりません」。つまり、そうじゃないときは「カブる時もあります」です(笑)。そんな時、私たち取材陣は二手に分かれたり、断腸の思いでどちらかを諦めたりしています。

 そもそも上のリンクのように、アメリカ・ファッション評議会の会長に就任したトム・フォード(Tom Ford)が日程を大幅短縮したニューヨーク・コレクションは今回、スケジュールがパツパツ気味。スケジュールは短くなっても、参加ブランド数は変わりませんから、ショーの時間がカブるブランドが複数出てくるのは必然です。

 例えば今回は、9月7日の20:30から「クロマット(CHROMAT)」が、30分後の21:00から「ラルフ ローレン コレクション(RALPH LAUREN COLLECTION)」がそれぞれのショーを開催しました。2つの会場はそれほど離れていませんでしたが、「クロマット」はおよそ1時間、「ラルフ ローレン コレクション」は約40分遅れてのスタートでしたから、どちらもショーが始まったのは21:30ごろ。となると、両方見に行くのは不可能です。

 でも、正直コレで困るのは、「WWDジャパン」くらいで、ほかの皆さんには大きな影響がありません。理由は、「2つのブランドは違いすぎて、ゲストも全く異なるから」です。

 この2枚の写真を見ていただければ、その違いは歴然でしょう。「ラルフ ローレン コレクション」と「クロマット」の観客は、全然違います。取材するメディアも、洋服を買い付けるバイヤーも、顧客だって違います。だから2つのショーは、カブってもぶっちゃけ問題ないんです。

 とはいえメジャーなブランド同士は、お互いがカブらないよう配慮し合うし、最近はこうした有力ブランドがファッション・ウイークの最初から最後までまんべんなく散りばめられるよう、皆で相談し合っています。

 上のリンクはまもなく開幕するミラノ・コレクションのスケジュールに関する記事ですが、これによると「グッチ(GUCCI)」や「プラダ(PRADA)」「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」「マルニ(MARNI)」などのメジャーブランドは、会期中のある数日に集中しないよう、まんべんなく散りばめられました。理由は、「みんなに、なるべく長くミラノに滞在して欲しいから」です。

 メジャーブランドのショーが集中してしまうと、来場者は旅程を短縮しがち。すると若手ブランドのショーやプレゼンなどを訪れる時間がなくなってしまいます。ファッション・ウイークの主催者にとっては、憂慮すべき問題です。そこでニューヨークやミラノはメジャーブランドをまんべんなく散りばめ、来場者になるべく長く現地に滞在してもらう作戦を展開。合間に他のブランドも見てもらおうと画策しているのです。

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2020年春夏NYコレハイライトVol.2 「ラルフ」や「ロンシャン」etc. 序盤戦のベスト6を紹介

 2020年春夏ニューヨーク・コレクションの序盤戦から、6つのベストブランドをピックアップする。

ラルフ ローレン コレクション(RALPH LAUREN COLLECTION)

DESIGNER/ラルフ・ローレン

 金融街の会場に入ると、そこは大人の社交場だった。ジャズの生演奏をBGMに発表した2019-20年秋冬コレクションは、そんな社交場に集う男女のスタイル。マニッシュなパンツスーツ、シルクサテンのイヴニングドレス、そして、イヴニングシャツにチュールのスカート。総スパンコールのジャケット、原色のビビッドカラー、そして大胆なカットオフ。ドレスコードを遵守するというよりは、ドレスコードを自信満々に楽しむイメージで、フォーマルなイヴニングなのにエロスさえ感じるほどセクシーだ。

 フィナーレには、新世代の歌姫ジャネール・モネイ(Janelle Monae)が登場。歌い続けるとジャケットを脱ぎ捨て、セクシーなイヴニングシャツにチュールを重ねたボリュームスカート姿に変身。客席さえ縦横無尽に駆け巡り、大人の社交場とそこで生まれるコミュニケーションを若い世代に継承する重要性を訴える。

トリー バーチ(TORY BURCH)

DESIGNER/トリー・バーチ

 いわゆるダイアナ妃、ダイアナ・スペンサー(Diana Spencer)がインスピレーション源。皇室のマドンナでありながら人間性に富み、愛らしい笑顔を忘れなかった彼女の魅力をノスタルジックに描いた。

 イングリッシュガーデンに咲き誇る花々をのせたコレクションは、大きなリボンのブラウス、ふんわりとしたテーラードジャケットとフレアパンツ、袖にプリーツを刻むことでクラフツマンシップをアピールするドレスなどがキーアイテム。白をベースにラベンダーやレモンイエローを差すが、随所にレッドとブルー、そしてビビッドイエローを差し込み、大胆さも忘れない。バッグは、かっちりしたトップハンドル。一方で、そんなレザーバッグをPVCで覆ったり、大きなリボンをあしらったり、洋服同様の遊び心も健在だ。

ロンシャン(LONGCHAMP)

DESIGNER/ソフィー・ドゥラフォンテーヌ(Sophie Delafontaine)

 ニューヨーク・ファッション・ウイークでの発表が3度目となった今季、ソフィー・ドゥラフォンテーヌ=クリエイティブ・ディレクターは米女性アーティストでフェミニストとしても知られるジュディー・シカゴの作品から着想を得た。ジュディーの作風の一つでもあるグラデーションや鮮やかな色使いは、ピンクのグラデーションを作ったドレスやソフトなオレンジやコーラルピンクなどのトップスやスカートに反映された。ショートパンツは超ミニ丈、スカートも膝上のミニ丈で健康的な肌見せが印象的だったが、クリーンなシルエットとレザーやシルクなどの上質な素材で品のあるスタイルに仕上げた。ドローストリングのウィンドブレーカーはウエストを絞り、肩にボリュームを持たせた。スニーカーはロングのレザーブーツを模したデザイン。さらに、さりげないフリルのディテールなどをあしらい、全体的にフェミニンなムードは健在。素材使いといい、シルエットといい、ニューヨークのブランドにはないパリジェンヌなフェミニンらしさが際立った。

ラグ & ボーン(RAG & BONE)

DESIGNER/マーカス・ウェインライト(Markus Wainwright)

 久しぶりにランウエイ形式で発表した「ラグ & ボーン」は、「コントラストと視点」がテーマ。バンドとコーラスが演奏し、ダンサーが踊る中をモデルが歩き、同時にロボットがショーの様子を実写フィードと点群キャプチャ(コンピュータービジョン)を使用してキャプチャー。ロボットと人間という対照的なものの視点を同時に捉え、そのコントラストを捉えた演出が印象的だった。

 服はブランドが得意とするイギリス人が見たアメリカンクラシック(デザイナーのマーカスはイギリス出身)なスタイルが多出し、イギリスとアメリカの視点をミックス。英国スタイルのテーラリングをしっかり残しつつも、テーラードジャケットにトラックパンツやバーシティーニット、トレンチコートにスニーカーを合わせた。定番のアイテムを、丈や質感を混ぜながらレイヤリングしたコーディネートが目立った。

ティビ(TIBI)

DESIGNER/エイミー・スミロヴィック(Amy Smilovic)

 バックステージでデザイナーのエイミーがさらっと、「リスキーなプラクティカリティー(実用性)」がテーマと説明。大胆で一見リスキーなデザインを、実用的に、そしてエフォートレスに着られるような、絶妙なバランスに仕上げた。やり過ぎないけど印象に残るような袖のボリューム感、スカートのスリット、パンツの光沢感がポイント。多方面に活躍する現代女性をイメージし、オフィスでもパーティーでも、さらには休日にも着られるルックが多出した。上品なスカートやジャケットも多かったが、柔らかな素材やカラーを用いることによって肩の張らない、リラックスしたムードが漂う。そんなムードからは、しなやかで柔軟なエイミー自身の考えや姿勢が伝わった。

トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)

DESIGNER/トミー・ヒルフィガー(Tommy Hilfiger)

 黒人文化が花開くハーレム地域の由緒ある劇場、アポロシアターが会場だった今季は、黒人のダンサーやシンガーがノリノリでパフォーマンスしながらモデルが歩き、まるで1980年代のハーレムにタイムスリップしたかのようなエンターテイメントにあふれた演出!女優のゼンデイヤとの2回目のコラボとなった今回は、アフリカン・アメリカンカルチャーにオマージュを捧げ、1970〜80年代のスタイルを引用した。物クロマティックなカラーパレットをベースに、レトロなフレアパンツや千鳥柄のセットアップ、ポルカドット柄のワンピース、大きめの丸型サングラスなどが登場。さまざまな体型や年齢のモデルが音楽に合わせてノリノリでランウエイを歩き、会場は大盛り上がり。アフロやスモーキーアイ、リップライナーで輪郭を強調したリップなど、ビューティもレトロな雰囲気が漂った。

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NYコレもドタバタ日記3日目 トム・フォード会長が意地のスマッシュヒット!! 「アリス アンド オリビア」のガールズパワーに召天寸前!?

 9月9日のニューヨークは、今日も晴天。最高気温は26度。台風一過の日本に比べればマシですが、ニューヨークも暑いです。さぁ、今日も含めてファッション・ウイークは残り3日!!ラストスパートです。

11:40 ザ・ロウ

 今日の一発目は、「ザ・ロウ(THE ROW)」。予定開始時刻は、11:30です。

 いやぁー、昨日の「パイヤー モス(PYER MOSS)」が終わってUberで車を呼んで、ホテルに戻ったのが24:00。そこから原稿書き始めて、寝たのは2:30くらい。時差ボケも治らない42歳男子にとって、今日のスケジュールは実にありがたい!しかも「ザ・ロウ」はホテルから近いし、毎回ほとんど遅れないから時間も読めてなおさらありがたい(笑)。天気も良いし、ウキウキしながら向かったショーで、トレンドがいよいよ変わってきたことを感じます。

 「ザ ロウ」は、今までボリュームのブランドでした。ドレスは時にテントラインで、コートは軒並みコクーンシルエット、ジャケットもボックスシルエットが主流で、体を“なぞる”というよりは“覆う”ブランドでした。

 それが今シーズンは、なんということでしょう(「大改造!!劇的ビフォーアフター」風に)。ジャケットはショルダーラインがほぼ水平で力強く、ウエストは高めの位置でしっかりくびれています。ブルゾンは、スタンドカラーのジャストフィット。ドレスもボディコンとまではいかないものの、ストンと真下に落ちるシルエットが多く、ボリュームウエアとは一線を画しました。とはいえバイアスに裁った生地、ジャージー、リネン混のハイゲージニットが変わらぬリラックスムードを提供します。ごくごく淡いパステルカラーのシャツは、センスの良さだなぁ。

12:40 ディーゼル レッドタグ プロジェクト

 気持ちの良い天気の中、ソーホーまで歩いて拝見したのは、「ディーゼル(DIESEL)」のアーティストコラボプロジェクト「ディーゼル レッドタグ プロジェクト(DIESEL RED TAG PROJECT)」。今回は「ア コールド ウォール(A-COLD-WALL)」のサミュエル・ロス(Samuel Ross)とタッグを組み、12月4日にコレクション発売します。

 サミュエルらしい、近未来感漂うワーク、マルチポケットやファスナー使いが特徴のブルゾンやベストをペイントデニムで提案です。「ディーゼル」のレッドタグが付く洋服ですが、もちろん、このロゴも入ります。

13:20 アリス アンド オリビア

 さぁ、今日イチ気合いを要するプレゼンテーションの時間がやってまいりました。「アリス アンド オリビア(ALICE + OLIVIA)」です。

 「え、意外⁉︎」って思うかもしれませんが、このプレゼン、実に体力勝負なのです。

 というのも、まずはこの行列。毎回、オペレーション悪いですねぇ(笑)。会場のキャパシティーに対して、ゲストを呼びすぎじゃないかしら?まずはこの行列&会場の大混雑で、42歳男子は、魂を吸い取られるような感覚に陥るのです(笑)。

 そして昨日の「パイヤー モス」が「黒人の、黒人による、黒人のためのブランド」なら、「アリス + オリビア」は「女子の、女子による、女子のためのブランド」。42歳男子、これほど“アウェイ感”を覚えるプレゼンは、なかなかありません(苦笑)。今回は、「女子の夢の中のボヘミアン」的なコレクション。女の子の夢だから、色はパステル。何がなんでもパステル。そしてお花とフワフワ。「ラブ度」120%です。

 「インスタ映えするなぁ」。42歳男子は、このくらいの感覚でコレクションを見ていますが、隣のガールズ2人組は揉みくちゃにされながら「アタシ、あのドレス絶対買うの!」「え、丈長すぎるよ。もっとミニが良いって‼︎」とキャッキャしています。パワーあるなぁ(笑)。

 洋服にいろんな想いを散りばめるクリエイションもアリですが、本能的に「カワイイ!」っていう(だけの)コレクションもアリ。「アリス アンド オリビア」の洋服でキャッキャ言ってる女の子たちを見ると、ブランドが築くべきはコミュニティーなんだなぁと再認識します。

15:30 3.1 フィリップ リム

 お次はブルックリンに移動して「3.1 フィリップ リム(3.1 PHILLIP LIM)」。今回からメンズとウィメンズの合同ショー。昨日のインタビューでフィリップは、「一番サステイナブルなのは、いつまでも着られる洋服を提案すること。最新コレクションは、そのニュー・バージョンであることが望ましい」と話していましたが、その通りのコレクションでした。

 独特のシルエット、ドローコードやサッシュベルトによる自由自在なボリュームコントロール、タイムレスに着られることを約束するベーシックカラー。そこにシーズナルなレザースカーフや、着脱式のレザーラペルを組み合わせれば、2020年春夏バージョンに大変身です。独立系デザイナーとして、まさに独立独歩で大きくなったブランドは、クリエイションにブレがありません。ものすごく新しいかと問われたら、そうじゃない。でも、ピュアホワイトやコットンポプリンなど、20年春夏らしさはちゃんとある。そのバランス感覚を再発見しました。

 メイクは、今回も「UZU」がサポート。業界で話題の理系経営者、今村洋士さんにもご挨拶できて、大満足です。モデルのアイラインには今回、「UZU」のアイライナーがガッツリ入りました。

17:30 アナ スイ

 昔、大好きな安野モヨコのマンガ「ジェリー ビーンズ」の中で、パジャマみたいな洋服が「パジャミー」と表現されていて、「なんてカワイイ形容詞なんだ!」と思った記憶がありますが、「アナ スイ(ANNA SUI)」は、まさに「パジャミー」でした。

 パジャマシャツとパンツ、ネグリジェ、その上から羽織るスエットのカーディガン、そしてシーツをリメイクしたようなカフタンドレス。それらがレトロなパステルカラーと、小花柄やペイズリー、フリルとレースで彩られます。ヘアなんか、完全に寝起きです(笑)。

 余談ですが、安野モヨコは「寝起きも魅了的な女性」を「寝ぐさい女」と表現し、憧れていたように記憶しています。今回の「アナ スイ」のモデルは、「パジャミー」な洋服で、実に「寝ぐさい」。さては、読んだな、安野モヨコ(笑)!?

18:25 ジプシー スポーツ

 「ジプシー スポーツ(GYPSY SPORT)」は、な〜んにもお知らせしてくれなかったのに、入場にはIDがマスト。僕はその時、クレジットカードしか持っておらず、交渉しましたが屈強なガードマンはウンともスンとも言わず(苦笑)、後輩に託しました。

20:25 トム フォード

 さぁ、本日のラストは、アメリカ・ファッション評議会の会長に就任したトム様の「トム フォード(TOM FORD)」です。会場は、使われなくなった地下鉄のホーム!今回の招待客は、100人強かな(会長なのに!!)?非常にレアな会場の、貴重な機会にお招きいただきました。

 さすがは会長。スマッシュヒットでした。新しい!!スポーティなタンクトップに贅沢なシルクタフタのスカートから始まったコレクションは、サテンのような光沢素材をギャザリングするなど手仕事満載なのにジャンプスーツとか、生地をバイアスに断ったキュロットを軸にしたテディボーイスタイルなど、ミックステイスト半端なし。エレガントなのにスポーティーでリラックス。ストリートなのにラグジュアリー。フォーマルなのにセクシー。そしてレトロなのにビビッド。ビビッドカラーなサテンのパワフルジャケット、ソフトなキュロット、ピカピカレザーのブラトップ(いや、ブラジャー)、上質素材のタンクトップ、そしてマイクロミニのホットパンツ。こうした基幹アイテムを自由奔放に組み合わせると、こんなにいろんなスタイルが楽しめるのか!というコレクションです。「グッチ(GUCCI)」の頃のエロスとは全然違う、イケイケというよりは自然体のセクシー。

 フィナーレのトム様は、相変わらずサングラスでキメてましたが、かつてのアンタッチャブルというムードではありません。ゲストの数は少ないけれど、大きな拍手に囲まれて堂々のご挨拶でした。

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「どうしたらコレクションのヘアメイクアーティストになれるの?」 日本人アーティストを直撃してアナタの疑問にNYから答えますVol.4

 今回は、「どうしたらコレクションのヘア&メイクアップアーティストになれるの?」という質問にお答えしようと思います。ファッションとビューティが好きで、ランウエイショーにも興味があれば、一度はコレクションのバックステージに携わりたい、覗き見したいと思ったことがある人も多いのではないでしょうか?バックステージは、世界トップクラスのヘア、メイク、ネイルアーティストと仕事ができる貴重な機会です。

 では、どうしたらビューティ・アーティストとしてバックステージに携わることができるのか?お答えしたいところですが、私はアーティストではなく記者なので、今回は実際バックステージで活躍している日本人アーティストに突撃インタビューしてみました。「トリー バーチ(TORY BURCH)」のショーは、資生堂が協賛。日本人アーティストが多くいらっしゃるので、「どうしたらバックステージ・アーティストになれるの?」と聞いてみました。

 まずは資生堂のビューティクリエーション研究所に所属する渋沢知見ヘアメイクアップアーティストを紹介します。渋沢さんは2010年に資生堂入社。宣伝広告や広報活動のほか、ニューヨークとパリのコレクションで活躍してきました。彼女に直接聞いてみたので、動画をご覧ください。(バックステージで撮った動画のため、ガヤガヤしていたり、途中で人が通ったりします。ご了承ください!)

 続いて、同じく資生堂の伊藤礼子ヘアメイクアップアーティストにお話を聞きました。資生堂美容専門学校を卒業後、02年に資生堂に入社。現在は「SHISEIDO」ブランド担当でメイクアップアイテムの商品開発、広告撮影、トレーニングなど、アジアを中心に世界的で活躍されています。 ヘルシーだけどエッジの効いたメイクが得意で、コレクションシーズンにはメイクアップアーティストとしてリードを務めるなど、国内外のデザイナーから人気です。

 彼女は、「美容学校を出てから美容師を経て、メイクアップやヘアアーティストの道に進むのが一般的かなと思います。今は美容師免許を持っていなくともフリーのアーティストのアシスタントを務め、3〜4年間の修行を積んで独立される方も多いですね。コレクションのバックステージに入りたい場合は、やはりバックステージのアーティストにつくのが確実な道です」と話します。自身のキャリアについては「美容学校に2年間通い、美容師免許を取得してから6年ほどサロンワークを行いました。その傍ヘアメイクのお手伝いをして、ヘアメイクアップアーティストとしてコレクションや撮影に携わるようになりました。ショーに対する憧れが強く、バックステージに入りたいという思いもあって、コレクションを協賛している資生堂に入社しました。ショーに初めて入ったのは、24歳のころ。その時はモデルの爪にネイルを塗ったり、モデルをケアしたりするだけ。コツコツと経験を積みました」と続けます。「日本人でもバックステージで活躍するチャンスはありますか?」と聞くと「全然あります!今はSNSもあるし、コネクションの作り方も多様です。必ず何年間か修行しなければならない、なんて決まりもないし、本人のコミュニケーション力と熱い思いがあれば、チャンスはたくさんあると思います」と勇気づけてくれました。

 今度はフリーで活躍するKUMAメイクアップアーティストです。「メイベリン ニューヨーク(MAYBELLINE NEW YORK)」メイクアップディレクターのMIZUヘアメイクアップアーティストのアシスタントを経て、ニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリと各都市のコレクションでバックステージに参加。現在は広告やエディトリアル、ショーなどで活躍しています。彼も動画インタビューをしたので、ご覧ください。

 ダイアン・ケンダル(Diane Kendal)のチームで活躍中の山内啓人メイクアップアーティストは、「昔から海外でメイクをしたいという思いがあり、9年前に渡米を決断。ダイアンのチームに入りたくて、ひたすらメールを送ってアピールしました。その時は別のアーティストのアシスタントだったのですが、その方の所属エージェントが昔ダイアンのエージェントを務めていたこともあり、プッシュをしてもらい、チームに入ることができました。今は撮影のアシスタントもしています」と言います。

 どの仕事もそうですが、やはり積極的に色々な人にアプローチをし、コネクションを作ることが大事みたいです。今は仕事の依頼がSNSのダイレクトメールで届いたり、「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」のようにインスタグラムで発見されて海外デビューなんてケースもあるので、SNSは大きな武器の1つかもしれません。

 皆さんが一番心配している「英語はできないとダメですか?」という質問は、もちろんできれば有利なのは当たり前ですが、今回お話を伺った日本人アーティストは、全く英語ができないまま渡米された方がほとんどでした。現地に行けば、自然と英語力は身につくのでしょう。それよりも熱意とアピール力の方が大事な気がします。

 私もバックステージ取材を始めて2年強ですが、本当に多くの日本人アーティストが活躍しています。そして資生堂やコーセー、フローフシ(UZU)、「RMK」など、今は日本のメーカーの協賛も増えています。もちろん、「NARS」「M・A・C」「アヴェダ(AVEDA)」「エッシー(ESSIE)」などの外資系ブランドが協賛するバックステージでも、日本人アーティストを見かけます。「M・A・C」の池田ハリス留美子シニアアーティストは、店頭の美容部員からコレクションに参加するトップアーティストになりました。BAからコレクションアーティストに進む道だってあるのです。

 ファッションショーに行くとついデザイナーに目を向けがちですが、ビューティ担当記者としていつも思うのは、一つのコレクションを作り上げるには、本当に大勢の人の力が必要なこと。そして表舞台には出ないものの、バックステージで活躍されているアーティストは、皆同じ目標に向かって懸命に働きつつ、とても楽しそうです。言葉にはしないものの、バックステージのバタバタした雰囲気の中でも、プロフェッショナルとしての熱意は伝わります。そんな皆さんの輝いている姿を見て、私も活力をもらうことさえあります。読者の皆さんも、熱意を持って、チャレンジしてほしいと思います。

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2週間で初回生産分を全て出荷 “質感”を創る美髪コームドライヤー

 美容家電のヤーマンが5月に発売した美髪コームドライヤー「ヴェーダブライト BS for Salon」。低温短時間ドライや美顔器テクノロジーを応用し保湿機能を特徴とした同ドライヤーは、発売開始からわずか2週間で初回生産分をすべて出荷するなど、美容師はもちろん、一般女性からも注目を集めている。今回、東京・表参道にあるヘアサロン「シキ(SIKI)」の伊藤竜代表と、「アルバム原宿(ALBUM HARAJUKU)」の衣川光副店長、資生堂美容室の来住南淳・営業本部 営業企画チームに、「ヴェーダブライト BS for Salon」の魅力を語ってもらった。

人気美容師も満足する
使い心地のよさ

美顔器テクノロジーを応用した
美髪機能とは?

毎日肌を手入れするように、
髪も手入れを

 40年以上にわたって美容機器を研究し続けてきたヤーマンが「ヴェーダブライト BS for Salon」に搭載したのは、美顔器のために進化したテクノロジーの数々だ。美しい髪づくりには、肌と同様に十分な水分の保持が不可欠となる。同社はそこに着目し、同ドライヤーには独自技術のモイスチャーパルスを採用。付属のコーム型アタッチメント「イオンブライトコーム」で髪をとかすだけで、電気の力で表面の水分が髪に密着して一本一本の潤いが増し、トリートメントしたかのような艶と滑らかさのある質感に仕上がる。

PHOTO : YOHEI KICHIRAKU(伊藤竜「シキ」代表分)

 

 

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ヤーマン
0120-776-282

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日本最大級の国際メガネ展「iOFT2019」開催 最新サングラス・アイウエアを一挙公開

国際メガネ展「iOFT2019」(リード エグジビション ジャパン、福井県眼鏡協会主催)が10月8日から10日までの3日間、東京ビッグサイト南展示棟で開かれる。32回目を迎える今回は、世界20カ国から前回比50社増の370社が出展し、新作7万4000点が発表される。日本最大級の国際眼鏡展だ。

国際性を強める
一大アイウエアイベントに進化

 「iOFT」の魅力の一つは、ビジネス拡大の可能性が広がるグローバルな規模だ。日本の眼鏡フレームの95%以上を生産する福井県の有力メーカーをはじめとする国内企業と、イタリア、フランス、アメリカ、ドイツなどの海外企業から合わせて85のデザイナーズブランドが参加。また1万4000人の来場を見込むバイヤーの数も年々、アジアを中心に海外の割合が増えている。毎年オープニングでのテープカットに登壇する中国、韓国、台湾など有力眼鏡店のトップの顔ぶれを見てもわかる通り、「iOFT」は海外の眼鏡業界とのつながりも深い。海外の企業やブランドとの新しい出合いが期待できるだけでなく、世界から注目を集めている高品質なメード・イン・ジャパンのアイウエアのバイイングは、今後増加する訪日外国人客を意識した店作りにも役立つに違いない。

ファッションアイテムとして
注目のサングラスにフォーカス

 パリ、ミラノ、ニューヨークのファッション・ウイークのランウエイを見るとサングラスとのコーディネートが目立っており、トータルファッションにおけるサングラスはマストアイテムになっている。サングラスを掛けることに対して以前のような抵抗感はなくなり、アクセサリーとして積極的に取り入れる日本のユーザーも増えてきた。ファッション性の高まりを背景に、「iOFT」はサングラスを特集した特設エリアを設け、ファッション、スポーツ、偏光レンズ、遠近両用など、多彩な用途を持った世界の160ブランドを展開する。「iOFT」が発信するサングラスのトレンドにも注目だ。

今話題のテーマを集めた
多彩な21講座を開催

 「iOFT」は、ふだんの企業経営に役立ち、時代の変化について知識を深める講座やセミナーも充実している。店舗運営やレンズ、補聴器などアイウエアビジネス全般に関する知識や技術の習得に最適なセミナーはもとより、業界内外から講師を招く働き方改革やデジタル技術の活用など、今話題のテーマを集めた多彩な21のプログラムを用意している。

眼鏡が最も似合う著名人は?
「日本 メガネ ベスト ドレッサー賞」発表

 多くのメディアで取り上げられ、一般消費者の間でも話題となっているのが、眼鏡が最も似合う著名人に贈られる「日本 メガネ ベスト ドレッサー賞」だ。10月8日16時30分から展示会場において「お披露目式」が行われ、受賞者全員に会場で会うことができる。また、初日夜にはパーティーが開催され、その中で表彰式が行われる。

 視力矯正器具からファッションアイテムへという眼鏡に対する消費者意識の変化、目の負担が大きくなるデジタル化、視力の維持が困難になる高齢化など、アイウエアの重要性が増している今、「iOFT」は新しいビジネスチャンスと出合う場となりそうだ。

問い合わせ先
リード エグジビション ジャパン
03-3349-8508

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ZOZO VS ファーフェッチ 原価率&単価比較で考える ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.15「業界のミカタ ZOZOの決算書から学べること」

読み解きポイント 「この5年で、取り扱い商品の単価が3割下落したZOZO」
改めてブランドを立て直すのか、低単価でマスマーケット拡大を狙うかの分岐点。

<ニュースのポイント>

 企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている決算書を「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」の著者が解説。今回はZOZO。直近の課題は、1品単価が下がり、受託ビジネスの手数料収入が減っていること。粗利率の高いPB(プライベートブランド)に取り組むものの厳しい船出。出荷1件、会員1人あたりの数字をKPI化し、顧客にフォーカスした経営管理をしているのが特長。

<CKRはこう読む!>

 「85%」。売上高ベースでみたZOZOTOWN事業(受託ショップ、買取ショップ、ZOZOUSED)における、受託ショップビジネスの割合です。ZOZOの主軸である受託ビジネスは、販売手数料が収益となり、「販売単価×販売手数料率×販売量」によって数字が決まります。

 2014年度、5595円だった商品販売単価は、19年度第1四半期には3877円まで下落しました。低単価ショップが増えたこと、割引キャンペーンを実施したことが要因として考えられます。販売手数料率を上げることは、ショップ・ブランドの離散を誘引するため、容易ではありません。つまり販売量(一人あたりの購入数、もしくは顧客数)を増やすことが、今の受託ビジネスの成長には必要となります。

 今回は、以前紹介した、同じマーケットプレイス型ビジネスを主軸とするファーフェッチ(FARRETCH)の状況と比較しながら、ZOZOの今後について考察したいと思います。

 受託ビジネスは、モノ作りをせず在庫を持たないため、通常、売上原価率は低いです。ZOZOは、8.7%(約20億/260億円、2019年度第1四半期)ですが、ファーフェッチは49%です。ファーフェッチは、グローバルでビジネスを手掛けており、関税・配送料の負担が重いと思われます。

 ZOZOが顧客増を狙って、海外にビジネスを広げる場合、関税・配送料の負担を考えると、利益をしっかり稼ぐことは、簡単ではありません。また、一人あたりの購入数を一気に増やすことも難しく、ゆえに受託ビジネスではない、PBビジネスに乗り出したことは記憶に新しいところです。とはいえPBビジネスは、ショップやブランドからすると面白い話に見えないため、ショップの離散を招く可能性があります。

 本号別記事「ファーフェッチCEOが語る高級品リテールの未来」にもありますが、ファーフェッチの平均購入単価は、600ドル(約6万3600円)と非常に高いです(1オーダーあたりの平均単価なので、商品単価ではありません)。ファーフェッチは、ラグジュアリーブランドを揃えるプラットフォームとして一貫しており、出店ブランドにとっても相互送客できる顧客層のバランスが取れており、魅力があります。ニューガーズグループ(NGG)買収で話題性のあるブランド、クリエイターのラインナップも強化しました。高級ブランドの実店舗と顧客情報を連携し、ハイエンド顧客の体験をいかに高めるかという視点でパーソナル化戦略も進めています。

 安く服が買えるECのZOZOが、今後ブランドとしての世界観を作り直し、今までにない顧客体験を創造できるかが、さらなる成長のカギになるかもしれませんね。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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「“なんとなく”や“~っぽさ”の力は大きいと思います」by藤嶋陽子・ZOZO研究所リサーチサイエンティスト 連載「モードって何?」Vol.2

【#モードって何?】きっかけは読者から編集部に届いた質問「つまるところ、モードって何ですか?」だった。この素朴な疑問に答えを出すべく、「WWD ジャパン」9月16日号では特集「モードって何?」を企画し、デザイナーやバイヤー、経営者、学者など約30人にこの質問を投げかけた。答えは予想以上に多岐にわたり、各人のファッションに対する姿勢や思い、さらには現代社会とファッションの関係をも浮き彫りにするものとなっている。本ウエブ連載ではその一部を紹介。今回は藤嶋陽子・ZOZOテクノロジーズZOZO研究所リサーチサイエンティストに聞く。

共有しているルールのようなもの

WWD:“モード”とは何でしょうか?

藤嶋陽子・ZOZO研究所リサーチサイエンティスト(以下、藤嶋):“モード”はよく“流行”や“様式”と訳されますが、流行に関する単なる情報ではなく「こういうものを着るべきだ」や「こういう組み合わせが今風」など、決まり事のように感じさせる“共有しているルールのようなもの”という認識でいます。

WWD:共有はどこまでの範囲のことですか?

藤嶋:以前は雑誌や強烈なカリスマ的存在が、「いまこれがかっこいい」などを決めていましたが、最近の若い世代は自分が触れている範囲内の情報だけで解釈するようになっています。

WWD:カリスマ的存在がいた時代と比べてどう変化していますか?

藤嶋:今はその差が曖昧になっています。雑誌ごとにつくられるイメージはかなりわかりやすいものだったと思う。現在は「持っておくといいよ」くらいの曖昧なものになっているのかなと。

WWD:曖昧になっている理由とは?

藤嶋:似たようなものがたくさん出てきていて、そのコミュニティーに入ってみないと何が共有されているかわからない状態になっています。正直入っても、はっきりとはわからないですけれども。

この曖昧さはインターネットから情報を得るようになった影響だと思っています。雑誌だとある程度のセグメントがありますが、インスタグラムで情報を得る人は明確に分けることができない。だからどんどん差が曖昧になっています。

ユーザーと一緒に作り上げていく
ルール

WWD:現在の“モード”を反映しているクリエイターやブランドなどは?

藤嶋:最近一番面白いと思うのは、渡邉麻翔さんが編集長を務めるインスタグラムメディア「リリドットトーキョー(RiLi.tokyo以下、リリ)」です。オンラインサイトも運営していてユーザー投稿をキュレーションする媒体ですが、ネット上のコミュニティーになっています。

WWD:具体的に何が面白いと思いましたか?

「リリ」は浴衣の商品を企画した話が有名です。インスタユーザーは各投稿ごとのこだわりが強いのですが、フィードで見たときの色調にもこだわります。「リリ」ユーザーの投稿の調査で浴衣を着た投稿が少ないことを発見し、原因を調べたところ、一般的な浴衣の色合いがビビッドすぎることに問題があるとわかったそうです。そこで「リリ」は、ユーザーが好みそうな“リリっぽさ”のあるくすみ感が強い浴衣を発売しました。

この“リリっぽさ”は「リリ」側から発信しているというより、ユーザーが共有しているものでルールができている。以前イベントで渡邉さんは“リリっぽさ”を「リリ」側であまり決めすぎないようにしているとおっしゃっていました。押し付けるのではなく、ユーザーの行動やインスタグラムの時流を見て、ユーザーのことを想像しながら一緒に作っている。ユーザーと一緒にルールを作り上げていく感じがすごく今っぽいと思います。

WWD:そういったルールを一緒に作り上げていくには何が必要ですか?

藤嶋:コミュニケーションする場所のようなもの、たとえばコミュニティーなどのまとまりは必要だと思います。

WWD:それが今はインスタ?

藤嶋:インスタベースだと思いますが、それをさらに吸い上げるようなキュレーションメディアが強いと思います。

共有される
“なんとなく”や“~っぽさ”

WWD:若い人はどのように情報を選択しているのでしょうか?

藤嶋:インスタグラムも、アカウントを1つフォローすると似たようなアカウントが推奨されるじゃないですか。今は違うテイストや情報に触れることが難しくなっている、フィルターバブルが起きていると思います。

一方で、違うテイストとはどれくらい違うのだろう?とも思います。全部似ていて、ほかに全然違うスタイルがあるということを感じにくいのかなと。ファッションにおける差みたいなものがそもそも曖昧で小さくなっている。個人が触れている情報が狭くなっているのかもしれないけれど、そもそも選択肢としてあるもの自体が狭くなっている状況です。

WWD:そのなかでどのように服を選択しているのでしょうか?

藤嶋:例えば、若い人は肌触りをあまり重視していない気がします。写真を撮るかもしれない日に着る服と、普段着る服は違うと言っていた大学生がいました。大きなイベントレベルではなくてもインスタ映えするような、もしくはフィードに載せていない服を着て行く。前の投稿とは違う服を着るという観点もある。写真映えを考えた時には、着心地がイマイチでも映える服を優先する選び方が出てきています。

WWD:現在の共有するルールとはどのようなものですか?

藤嶋:“~っぽさ”だと思います。それってなんなの?と言われても誰も答えられないけれども、“なんとなく”みんなが思っているもの。この“なんとなく”や“~っぽさ”の力は大きいと思います。

WWD:“なんとなく”が共有されているってすごいですね。

藤嶋:情報が行き交う場があるからだと思います。世間一般で大ブームになっていなくても、一緒にいる友達のテイストや見ているタイムラインやフィードの傾向から共有する。それは、友達とSNS上で情報を交わしあうことの延長線上にあると思います。

「#モードって何?」をもっと見る

秋吉成紀(あきよしなるき):1994年生まれ。2018年1月から「WWDジャパン」でアルバイト中。

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「仕事以外の時間は何をしているか?仕事。それは僕のホビーだから」 by トム・フォード

Tom Ford 「トム・フォード」デザイナー

 仕事以外の時間は何をしているか?仕事。それは僕のホビーだから。(Vol.1079 2001年6月4日)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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ファッション通信簿Vol.31 世界三大映画祭のひとつ ベネチア国際映画祭のレッドカーペットを米「WWD」がめった切り

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第31回は、8月28日から11日間にわたって開催されたベネチア国際映画祭のレッドカーペットから、シエナ・ミラー(Sienna Miller)、ニコラス・ホルト(Nicholas Hoult)、リリー・ローズ・デップ(Lily-Rose Depp)、ティモシー・シャラメ(Timothee Chalamet)、クリステン・スチュワート(Kristen Stewart)、ザジー・ビーツ(Zazie Beetz)、ルーニー・マーラ(Rooney Mara)、ホアキン・フェニックス(Joaquin Phoenix)が登場。比較的高評価が目立った今回のファッション通信簿――世界三大映画祭の出席者たちに下された評価とは?

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ファッション通信簿Vol.31 世界三大映画祭のひとつ ベネチア国際映画祭のレッドカーペットを米「WWD」がめった切り

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第31回は、8月28日から11日間にわたって開催されたベネチア国際映画祭のレッドカーペットから、シエナ・ミラー(Sienna Miller)、ニコラス・ホルト(Nicholas Hoult)、リリー・ローズ・デップ(Lily-Rose Depp)、ティモシー・シャラメ(Timothee Chalamet)、クリステン・スチュワート(Kristen Stewart)、ザジー・ビーツ(Zazie Beetz)、ルーニー・マーラ(Rooney Mara)、ホアキン・フェニックス(Joaquin Phoenix)が登場。比較的高評価が目立った今回のファッション通信簿――世界三大映画祭の出席者たちに下された評価とは?

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2020年春夏NYコレハイライト Vol.1  「ケイト・スペード」「ヘルムート ラング」

 2020年春夏ニューヨーク・ファッション・ウイークは、9月4日に開幕。初日は中国勢が中心で、実質的なスタートは6日の夕方以降となった。

 ここでは6、7日のトップブランドを2つピックアップ!!

ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)

DESIGNER/ニコラ・グラス(Nicola Glass)

 会場は、土曜の太陽光がふんだんに降り注ぐ、マンハッタン・ノリータ地区のピースフルな庭園。コレクションも、全てが優しく穏やかだ。ハンカチーフのような純白のコットンポプリン、総レース、ボタニカルモチーフをプリントしたシャツドレスは、いつも以上にリラックスしたシルエットでストレスフリー。パフスリーブのブラウスに重ねたクロシェ編みのドレス、スキッパーポロタイプのリブ編みボーダーニットは、ブランドらしいキッチュと、ニコラ・グラスのレトロテイストの合作だ。シルバーを編み込んだサマーツイードのジャケットも、カーディガンのように羽織る感覚。肌寒い日の公園のお散歩にピッタリのトレンチコートやキルティングコートは、コットンギャバジンではなく、タフタやビスコースで柔らかく仕上げた。

 バッグは、定番ショルダーの素材をカゴに変換したクロスボディや、スペードを組み合わせて作った花柄が鮮やかな大容量トートなど。年齢、性的指向、体型を問わず、モデルに混じって親子や同性愛カップルを含む一般人が現れるインクルーシブ演出も心に染み入る。

ヘルムート ラング(HELMUT LANG)

DESIGNER/マーク・トーマス(Mark Thomas)&トーマス・カーソン(Thomas Cawson)

 デザイナーが代わって2シーズン目。引き続き、過去の迷走で揺らいだアイデンティティーを、再び強固なものにしようと原点に回帰する。ピュアホワイトからネオンまでのさまざまな色、パラシュートナイロンから大理石プリントをのせたシルバーレザーなど、さまざま素材。多様な色と素材で生み出したのは、クロップド丈のブルゾンやGジャンにスキニーパンツやシンプルなドレス主軸とするストイックでミニマル、シャープなスタイルだ。

 スタイルとシルエットは頑な。色と素材のバリエーションで魅せる。90年代の「ヘルムート ラング」の記憶が蘇る。次回はいよいよ、そこからの前進を期待したい。

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NYコレもドタバタ日記2日目 “おてんばお嬢様”から黒人カルチャーまでをブルックリンで堪能する

 9月8日のニューヨークは晴天。最高気温は25度。さぁ、街は穏やかな日曜日ですが、我々は今日もちょっとドタバタな1日の始まりです。

10:25 トリー バーチ

 早朝いきなりドタバタなのは、「トリー バーチ(TORY BURCH)」のショーが、まさかのブルックリンだからです。“おてんばお嬢様ブランド”の「トリー バーチ」が、ブルックリンでショーなんて!これはNYコレの常連にとって、ちょっとした驚きです。

 土地勘のない人に向けて、実に乱暴な説明をしますと、マンハッタンが東京の中央、千代田、港、渋谷、新宿区辺りだとしたら、ブルックリンは僕の中で世田谷区のイメージ。「トリー バーチ」の会場はブルックリン・ミュージアムでしたから、都心から砧の世田谷美術館に行く感覚でしょうか(笑)。そんなに近くないでしょう?実際、マンハッタンからは地下鉄に乗っておよそ30分という立地です。

 さて、そんな場所でのコレクション。日本からのセレブは、2000年生まれのダンサー、アオイヤマダです!斬新!そして「良き」。「トリー バーチ」の“おてんば”なところを、ダークサイド気味なニュアンスで独特に表現しています。このセレブ起用は新しいし、日本っぽくて良いわ~。正直普通じゃない彼女の起用は、英断だったと思います。

 コレクションは、いつも以上にリラックスムードなドレスが印象的でした。でも袖周りのギャザリングやプリーツはとても細かくて、クラス感はむしろ1年前よりアップ!!柔らかな素材で作るカッターシャツ、大きなリボン付きブラウス、そしてゴールドのメタルボタンをあしらったツイードのロングジャケットは、安心感満載でした。ケータリングのクレープをモグモグしながら、マンハッタンに戻ります。

11:30 フィリップ リム

 9日のショーに先立って、デザイナーをインタビュー。フィリップ流サステイナブルのススメに感銘を受けました。詳細は、また別の記事で~。

13:20 マンサー ガブリエル

 「見て、すぐ買えるコレクション」、いわゆる“See Now, Buy Now”の「マンサー ガブリエル(MANSUR GAVRIEL)」は、プリーツを寄せたパステルカラーの巾着バッグにぴったり、もしくはワニ柄を型押ししたキッチリバッグとコントラストを描く、淡い色のモコモコニットが盛りだくさん。でも会場にはココナッツやスイカ、ランブータンなど南国のフルーツが敷き詰められ、「スタイルは冬、会場は夏」というナゾな空間に仕上がりました。ゲストは、フルーツジュースで乾杯。オシャレガールたちが、なかなかサイズのスイカ、ココナッツ、パイナップルを片手に談笑……、不思議な光景です。

14:35 ティビ

 お次の「ティビ(TIBI)」は、ショー会場がシアター。モデルはステージを歩き、階段を上り下りして、と文字通り舞台を所狭しと駆け巡ります。

 ファーストルックは、デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)による「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のファーストメンズ、2017年春夏並みのスーパーパワーショルダーのセットアップ!「こ、これは……」と、しばし衝撃にペンが止まりましたが、その後はいつもの安定感。柔らかな素材、背面を中心にちょっと誇張したボリューム感、目に優しい1トーンコーディネートが復活です。ただ“パワショル”スタイルは、ニットなどでも時々登場。あの時の「バレンシアガ」も、今季の「ダブレット(DOUBLET)」も、今回の「ティビ(TIBI)」も、まだまだ驚き以外の感情を抱けない自分がいますが、慣れる時は来るのでしょうか?

15:40 シエス マルジャン

 ミッドタウンからダウンタウンに移動して「シエス マルジャン(SIES MARJAN)」。柔らかな素材と、強い色の魔術師です。今シーズンは、ネイルラッカー、つまりマニキュアがインスピレーション源。トップコートを塗った後のようにピカピカのレッド、グリーン、イエローなどは、下品ギリギリの強さです。そんな色をのせるのは、パテントレザーから肉厚のシルクタフタ、ピカピカのフィルム風素材までさまざまですが、ネイルラッカーを意識してか、いずれも光沢を放ちます。

 マニアックだし、正直着こなすのはカンタンじゃない。値段も決して安くない。でも独特の色彩感覚と素材使いは、大切にしたい存在です。とてもニッチなマーケットではありますが、40分待っても見たい(遅刻の常習犯であります)。遅れるとわかっていても、会場に向かう時は「間に合うかしら?」とソワソワして小走りになっちゃう。「シエス マルジャン」は、そんな期待の星なんです。

19:40 プラバル グルン

 お次は、ファッション界のアクティビスト「プラバル グルン(PRABAL GURUNG)」。今年でブランド設立10周年のアニバーサリー・コレクションです。

 フィリピンで生まれ、ネパールで育ち、インドやイギリス、オーストラリアを経て、移民としてアメリカに渡ったプラバルは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)が大統領に就任して以降、ずっと声を発し続けてきました。ある時は「私たちは皆、移民」というメッセージTシャツをモデルに着せ、メキシコ国境に壁を築こうとするトランプ大統領に反旗を翻したくらいです。

 そんな彼は今シーズン、今のアメリカを嘆くのではなく、理想像を描くことでトランプ大統領に警鐘を鳴らしました。アメリカンカルチャーのビューティ・ページェント、いわゆるミスコン(そもそもこれについて賛否両論あるでしょうが)に登場するようなドレスを、純白のコットンポプリン、タイダイ、スポーティなナイロンなどで描き、デニムと組み合わせます。何色にも染まる純白のコットン、さまざま色が混じり合うタイダイ、そしてアクティブウエアに使うナイロンは、いずれもアメリカのあるべき姿。そこにアメリカンなデニムを組み合わせたのです。

 随所に散りばめたのは、打ち上げて以降瞬く間にさまざまに色を変える花火のモチーフ。アメリカントラッドの象徴シアサッカーにはストライプ柄をのせました。加えてミスコンの象徴、バラの花です。正直テイストミックスはミスマッチ。融合は完璧ではなく、幾らかの違和感を残している。でも、それはワザと、な気がします。人は組織に完璧に馴染む必要なんかなくって、共生しつつも「個」として生きれば良いからです。プラバルの、そんな理想を垣間見た気がします。

20:55 トミー ヒルフィガー

 世界を巡業する「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」の“See Now, Buy Now”、「見て、すぐ買えるコレクション」。19-20年秋冬シーズンは、舞台にニューヨークをチョイスしました。会場は、ハーレム。黒人音楽の殿堂、アポロシアターです。今タッグを組む、黒人と白人の間に生まれた女優ゼンデイヤ(Zendaya)が選んだのかな?会場に入ると、記念のTシャツやスエットの売店がありました。

 会場は、昔のアメ車が並んでいたり、上を見上げると階段の踊り場に女性がたむろしていたり、ジャズ奏者が談笑していたり、古き良き60~70年代のブラックカルチャーのムード。次々現れるコレクションも、まさにそんな感じです。千鳥格子のコートやベルベットのジャケット、水玉のブラウスなど大人っぽい雰囲気は、前回のゼンデイヤとのコラボライン同様のレトロテイスト。彼女らしいセクシネスもギュッと詰め込みました。プラスサイズも含めた黒人モデルたちが、音楽に合わせて体を揺らしたり、両手を振ったり、ご自慢のアフロをアピールしてみたり。そんな一挙手一投足のたびに歓声が上がり、本当に50~60年前のハーレムにタイムスリップしたようです。

22:30 パイヤー モス

 さぁ、「トミー ヒルフィガー」のショーが終わったのは、21:15。でも今日は、まだもう一個あるのです。しかも会場は世田谷区、いやブルックリン(笑)。今いるハーレムは台東区くらいのイメージなので(笑)、この時間からニューヨークを大縦断&大横断です。

 本来のスタート時刻は、21:30。どう考えても間に合わず、「パイヤー モス(PYER MOSS)」が用意してくれた車に乗り込みましたが、到着したのは22:15でした。

 会場は、またもシアター。しかも、めちゃくちゃデカい箱です。これまでの「パイヤー モス」からは考えられない規模感に急成長しました。トム・フォード(Tom Ford)がCFDA(アメリカファッション協議会)のトップに就任して以降、「パイヤー モス」のデザイナー、ケルビー・ジャン・レイモンド(Kerby Jean Raymond)は、委員の1人を務めています。黒人デザイナーとして、アメリカン・ファッションをけん引する役割を託されたワケです。この急成長には、こんな事情が影響しているに違いない。注目度はメキメキ上昇か?事実、今回は日本メディアも勢ぞろいでした。

 ショーは、もはや牧師のような黒人による、400年前は奴隷だった黒人に贈る決起のメッセージから始まりました。ファッションショーというよりは、教会の日曜礼拝みたいなムードです。確かに、今日は日曜か(笑)。BGMは、オール黒人の聖歌隊のような合唱団の歌でした。

 洋服は、今黒人コミュニティーがけん引するストリートをベースとしながら、彼らが愛し続ける光沢素材、貧しい時代に“ハレ”の服として着用した自慢の一着を思わせるスーツやドレスも現れます。正直、日本人には難しい。でも登場するたび、そして合唱団の音楽が変わるたびに会場からは大きな歓声が沸き上がります。ゲストの3/4は、壇上の合唱団やモデルと同じ黒人。「パイヤー モス」はまさに、「黒人の、黒人による、黒人のための」でした。

 盛り上がるゲストの洋服を見ると、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」や「ア コールド ウォール(A-COLD-WALL)」「グッチ(GUCCI)」などもたくさん。およそ30分のショーを終えた直後の会話に聞き耳を立てると、「お腹すいたけど、この辺りだと『マクドナルド』や『KFC』しかやってないよね。移動しよっか?」なんて話していて、自分のアンコンシャス・バイアスが軽やかに裏切られます。黒人は、アメリカ社会で確実に存在感を増しています。購買力のある、次なるファッションをドライブする原動力として認識されるようになっているのです。NYコレ中盤の夜は、ハーレム、そしてブルックリンで、彼らの力を見せつけられました。

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「ショーに来るゲストの洋服は私物?それともプレゼント?」 アナタの疑問にNYから答えますVol.3

 さぁ、「NYから、アナタの質問に答えます」連載も3回目。今回は、ゲストの洋服についてお話ししましょう。インスタグラムで募集したアンケートで多かったのは、「ショーに招待されたら、そのブランドの洋服を身につけて行くのが常識?貸してくれる?自分で買う?」や「ゲストが着ているのは私物?プレゼント?人による?」などの質問でした。

1.一番気になるセレブの服は、私物?それともプレゼント?

 まず皆さんが気になっている、「セレブの洋服は私物?それともプレゼント?」という質問。答えは、「どっちもある」。中途半端な答えで恐縮です(笑)。

 でも、本当にそうだから仕方ありません。ただ強いて言えば、「結構有名なセレブでも、プレゼントは多分、案外多くない(バッグを除く)」。全身招かれたブランドの洋服というセレブでも、バッグはプレゼントかもしれませんが、洋服は要返却のサンプルというケースが大半です。洋服はそもそも貴重です。中でも“セレブ負け”しない一着、いわゆるランウエイに登場するコレクションラインは、生産数が少なく、ゆえに特に高価。なので全身、全アイテムをプレゼントしてもらうケースは、それほど多くないと認識しています。

2.一般ゲストの服装は?ブランドの洋服を着て行かないとダメですか?

 一方我々は、そんな風に洋服をいただいたり、ショーのためにお借りしたりはあまりなく、私物でショーに伺います。ほとんどの場合、ドレスコードはありません。特に「そのブランドの洋服を着て行かないと、会場に入れない」なんてことは絶対ありません(笑)。

 ただ個人的には好きなブランドのショーに行くなら、1点くらいは、そのブランドの洋服やバッグを身につけるとメチャクチャ楽しいと思います。着用アイテムがカブっちゃって違う国の業界人と「てへぺろ」するのも面白いし、ショー会場にいっぱいいるブランド関係者も優しく接してくれます。デザイナーにインタビューするなら、なおさら!!そして何より「あぁ自分は今、このコミュニティーに属しているんだな」と体感できるのは、目の前に現れる洋服を“自分ごと化”するために有効です。パパラッチに撮られる確率もアップするでしょう(笑)。

 ムスっとショーを眺め黙々と記事を書いても、お祭り感覚で楽しんで感じたムードを記事に忍ばせても、ファッション・ウィークは同じように過ぎ去っていきます。なら僕が選ぶのは、後者の楽しみ方。同じように考えるゲストは多く、結果、「トリー バーチ(TORY BURCH)」に行けば「トリー バーチ」の人、「ティビ(TIBI)」に行けば「ティビ」、「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」に行けば「トミー ヒルフィガー」の人が増えるのです。

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「ビューティのトレンドはどうおさえるの?」 NYからみんなの疑問にお答えします バックステージ編 Vol.2

 2020年春夏ウィメンズ・ファッション・ウイーク開幕を前に、インスタグラムで皆さんにコレクションに関する疑問を募集しました。そんな皆さんの疑問にお答えすべく、ニューヨーク・コレクション取材班が現地の写真を交えながらわかりやすく解説しようと思います!先日「WWD JAPAN.com」編集長が答えた「ファッションショーに入るには?」に続き、ビューティ編集部の記者は主にバックステージにまつわるお話をしようと思います。公開されておらず謎に包まれているバックステージの裏話や、行った人しか知らない本場の様子をお届けします!

 まず、「『WWD』はビューティトレンドをどうおさえるのか?」というご質問から簡単にお話しします。この質問は、私たちの取材の根本でもありますが、トレンドはヘアメイクさんの言葉だけではなく、本当にいろんなところから引用しているんです。会場の雰囲気だったり、バックステージに置いてあるプロダクトだったり、もちろん洋服からだったり、毎日色々な所に注目しています。

 そもそも、「バックステージの取材って具体的に何をするの?どういうスケジュールなの?」と思いませんか?私もビューティ記者になる前は、バックステージについてはヘアメイクの写真や動画しか見たことがなく、ナゾの場所でした。サクッと説明すると、メディアのコールタイム(取材のために呼び出される時間)は、だいたいショーの2〜3時間前です。ヘアメイクさんやモデルはさらに早く、4〜5時間前には会場入りするのが一般的。まずはチェックインするのですが、バックステージに入れるメディアやインフルエンサーはショー以上に少ないので、名前がリストにないと絶対に入れてもらえません。さらにバックステージは入れるエリアと撮影できるエリアが分かれていて、例えばヘアメイクの撮影と、ショー開始直前の洋服着た状態のモデルの撮影には違う許可が必要。それもまた厳しく管理されていて、私たちはスタッフから常に監視されています(笑)。

 パスを受け取って会場に入ったら、まず見るのがメイクアップのフェイスチャート(メイクを紙に起こしたもの)とヘアのサンプル写真です。そこで大まかにどんなヘアメイクをするのか把握した上で、以降はとにかく現場のヘアメイクさんの作業をみて、撮影して、使っている製品やテクニックを観察します。製品は色だけでなく、テクスチャー(クリーム、パウダー、リキッド、はたまたその間など)やブランド、ツール(メイクだったらブラシやスポンジ、ヘアだったらアイロンやヘアピンなど)、重ね方などを細かくチェックします。そうすると自然と「なんでマットなリップにしたんだろう?なんでクリームチークではなく、リップをチークに使ったんだろう?」など、さまざまな疑問が浮かぶのです。

 そこで隙を狙って(笑)、ヘアメイクそれぞれのリードアーティストに話を聞きに行きます。皆さんとにかく忙しく、私たちは仕事を邪魔してはならないので、タイミングを見計らうのがとても大切です!リードを務めるのはパット・マクグラス (Pat McGrath)やダイアン・ケンダル(Diane Kendal)、グイド・パラウ(Guido Palau)など、だいたい業界の大御所ですね。そしてメイクのコンセプト、使った製品、先ほど思い浮かんだ質問を聞くと、そのコレクションのコンセプトや全体のトレンドなどが少しずつ見えてくるのです。アーティストには必ずヘアメイクのポイントだけでなく、デザイナーからの要望や彼らとの会話についても聞くようにしています。なぜならコレクションはあくまでも洋服が主役で、ヘアメイクは洋服のコンセプトに合わせて作っているからです。ファッションありきの、ビューティなんです。だからビューティトレンドをおさえるには、そもそもファッショントレンドを理解していないといけません。バックステージにはルックの写真が一覧になっているボードが置いてあります。それも必ずチェックし、なるべくショーも見るようにしています。例えばスポーティなテイストの洋服が多かった時は、ヘアメイクも必然的にヘルシーでアクティブなものが頻出したように、2つは密接にリンクしているのです。

「トリー バーチ」2020年春夏コレクションのメイクについて説明するメイクアップアーティストのダイアン・ケンダル

 また、バックステージにはトレンドのヒントが色々転がっています。例えば今季の「セルフ-ポートレート(SELF PORTRAIT)」のバックステージは、普段はヘア、メイク、ドレッシング(着替え)の部屋に分かれていますが、今回はさらにスキンケア専用の部屋を設けていました。LED美顔器やフェイスマスクなどを持ち込み、モデルの肌を丁寧に仕込んでいました。近年のヘルシースキンといいトレンドを反映しています。かつてバックステージのメイクといえば、シミやソバカスなんて一つも残さない完璧なフルカバーが多かったのですが、最近は素肌を生かすナチュラルでリアルなメイクが主流。「もうファンデーションも使わない!」というブランドだって結構あります。スキンケアブームは全世界的で、ビューティ各社の決算でもスキンケア事業が伸びています。フィットネスやウエルネスブームの中、肌もケアしようという意識が高まっているのです。バックステージでは、こんなトレンドも感じることができるのです。

 さらにはバックステージに置いてあるケータリングからもトレンドを感じることがあります!例えば「スポーツ」「ストリート」「アクティブ」といったファッションキーワードが浮上した数シーズン前、「マイケル・コース コレクション(MICHAEL KORS COLLECTION)」のバックステージではフルーツや野菜をコールドプレスジュースにしてくれました。「ガブリエラ・ハースト(GABRIELA HEARST)」は、ヘルシーな料理ばかりでした。ケータリングも健康的だったんです。今季は、「ラグ & ボーン(RAG AND BONE)」がバックステージにCBD入りのドリンクを用意。今、特にアメリカで大ブーム中のCBD(ビューティ本紙でも何度か取り上げている、大麻を含む朝に含まれる有効成分です)がここにまで来たのか!と思ったくらいです。多忙な生活を送り、心身ともに疲れている現代人。メディテーションやヨガなどが流行るのは、体だけでなく精神も落ち着かせたいという思いがあるからです。それは服にも現れ、先シーズンはスーツでありながらゆったりとしたシルエットだったり、柔らかな素材で気を張らない、リラックスしたムード全開でした。ビューティに置き換えると、 “ヘルシー”とされるオーガニック・サステイナブルブランドをみる機会が増えました。

 今社会で起きていることや現代人が思っていること・ニーズなどは洋服に反映され、ビューティにも伝わり、結果、バックステージでもヘアメイク以外でちょっとしたヒントが発見できるのです。

 以上、少々長くなってしまいましたが、簡単にトレンドの見出しかたについて説明してみました。皆さんもコレクションのランウエイを見るだけでなく、ヘアメイクの写真だったり、ヘアメイクさんがSNSであげている動画だったり、さらには来場者のスナップなど意外なところからトレンドを見つけてみてはいかがですか?

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編集長は先週何した? 「ラジオエルメス」開局、7億円のハイジュエリー、さあ、20年春夏シーズンが始まった!

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向(むこう)千鶴です。この連載を始めて1カ月。「連載、見てますよ」と声をかけていただくことが増えてうれしいです。何歳になっても受け入れてもらったり、夢を見たりといった瞬間は必要ですよね!

8月30日(金)
皆の視線の先には……

 小雨の渋谷。皆のアツい視線が向かう先には……。って、2枚目の写真に答えがあるような書き出しなのに、裏切ってすみません。答えはここにはありません。なぜなら9月16日号用の撮影現場のため、内容はお楽しみとさせていただきたいから。カメラマンはなんと大御所の沢渡朔(さわたりはじめ)さん!スタイリストは福島アヤさん、ヘアメイクはKOUTAさん。最高の仕上がりになりそうです。

8月30日(金)
「アキコアオキ」で
2020年春夏始まる

 さあ、2020年春夏ウィメンズコレクションが始まりました。今季、最初のショーは六本木のスタジオで発表した「アキコアオキ(AKIKOAOKI)」。デザイナーの青木さん自身の人としての色気が魅力の「アキコアオキ」が新境地を開いた模様です。スーツと民族衣装(いずれも所属団体を表明する服ですね)の出合いがキーワードだそう。時にかっちり、時に華やかさが必要な自分の職業目線からも、裾がひらひらしたフレアパンツとジャケットのセットアップなど着たいと思いました。

8月31日(土)
「エルメス」のラジオ開局!?

 好きです、ラジオ。最近はSpotifyを聴くことが多いですが、DJに選曲をお任せしたい時はラジオに戻ります。だから、原宿に「ラジオエルメス」なるものが出現したと聞いて、見過ごせずに行ってきました。DJブースに加えて「エルメス(HERMES)」のメンズのスカーフ柄をジャケットにしたレコードが視聴できたりといろいろな仕掛けがあり、音楽好きな友人の家に遊びに来た感じ。先月に映画「天気の子」を見て以来ヘビロテ中(ミーハー過ぎるでしょうか……)のRADWIMPSの野田洋次郎さんのライブをVRで見られるなど嬉しい限りでしたよ!

9月2日(月)
日本環境設計というすごい会社

 日本環境設計という会社をご存じでしょうか?ファッションビジネスにおいてこの先存在感をどんどん高めてゆくこと間違いない会社です。壮大な名前だけど何をやっている会社なの?と思いますよね。なんと、本当に社名そのものの事業、つまり環境を設計している日本の会社なのです。従来廃棄されてきたモノを資源として活用し、新たなモノづくりへと循環させる消費者参加型の仕組みを作っています。サステイナブル特集に向けて、岩元美智彦・代表取締役会長に話を聞きました。理想高くアクションを起こし続ける岩元社長の話は説得力抜群です。「設計」という言葉、最近各所で聞き、使うようになりました。新たな設計が求められている時代なのですね。

9月2日(月)
「ヴァン クリーフ&アーペル」の
夢の国へ

 「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」のハイジュエリーのディナーは、テーマであるグリム童話の世界を再現した本当~にドリーミーな世界でした。思うのです。大人だって、いやいや、大人だからこそ物語が必要だと。テーブルに「ブレーメンの音楽隊」のワンシーンが刺しゅうされたナプキンを見つけて脳内は少女へトリップしました。展示されていたのは職人技から生まれる豪奢なジュエリーで、価格は7億円のバングルを筆頭にいずれも億を超える高額なものばかり。超富裕層の心理は本当のところは分かりませんが、富裕層だって、いや富裕層だからこそ物語が必要なのかもしれません。「12人の踊る王女」をモチーフにしたゴールドのネックレスが特にまぶしかったです。

9月4日(水)
毎週水曜朝は伊勢丹新宿へ

 ギョーカイの方ならご存じかと思いますが、伊勢丹のイベントの初日はたいがい水曜日です。秋の立ち上がりのこの時期は毎週水曜日に伊勢丹新宿本店に来ている気がします。この日もまずは1階のステージを中心に全館8カ所(!)で始まった「ディオール(DIOR)」のイベントを取材。新木優子さんの来場に早朝からTVを含むカメラがずらり、でした。2階では新しいビューティーフロアがオープンし、3階では「マルニ(MARNI)」のポップアップ“ムーン マーケット”がオープン。野崎萌香さんが手に持っているハンモックバッグ、売れそうです。

9月4日(水)
リシュモンジャパン三木社長を訪問

 こちら、リシュモンジャパンの三木均社長です。引き込まれる笑顔をありがとうございます。リシュモンジャパンは「カルティエ(CARTIER)」「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」「クロエ(CHLOE)」などを扱う会社です。三木社長は現職の前はクロエのフランス本社の営業トップを務めていました。日本人がラグジュアリーメゾンの本社の営業トップを務めることは珍しく、凄いことです。野球で言えばメジャーリーグの監督を務めるようなものでしょうか。仕事ができるだけではなく、人間力がないと務まりませんよね。そんな三木さんに「WWDジャパン」の連載に登場いただきたくお願いにあがり快諾いただきました。スタートは10月。パンチある言葉、飛び出しますよ~。

9月4日(水)
「サカイ」→パルコ
→「ヴォーグ ジャパン」

 

 9月16日号の特集「モードって何?」のため、この日の取材は豪華3本立て!「サカイ(SACAI)」の阿部千登勢さん→パルコの泉水隆・常務執行役→「ヴォーグ ジャパン」の渡辺美津子・編集長を訪ねました。各社での滞在時間は正味20分。短くもよい言葉をもらって特集の完成が見えてきました。「ヴォーグ ジャパン」ではシールをもらいましたよ。

9月5日(木)
ルームスのジョン・レノン的な
松井君

 やだ、この方日本のジョン・レノン?ですって?違いますよ、ワンオーの松井智則社長ですよ。なんて、グダグダな感じで絡みたくなるのも松井さんの人柄故です。合同展示会「ルームス」でカメラを向けるとササッとポーズをくれました。「ルームス」は次回、40回記念を迎えるとのことで1回目から取材をしている自分にびっくり。今回はサステイナブルのゾーンがさらに充実するなどディレクションには常に時代が反映されています。40回目以降も行けば気づきをもらえる展示会であってほしいと思います。

9月9日号「村上隆特集」の校了と
本日のおやつ

 我らながら最高の表紙、そして最高のインタビューになりました。村上隆さんに何度かお会いして思ったことは「この人、中2みたい」です。クリエイターとして持てる最大限のエネルギー発揮するために中2であり続け、ピュアであり続ける。そのために環境作りなどにでっかい努力をしている方でした。そのことが分かるインタビューは全クリエイターに読んでいただきたいです。特集に合わせて聴くオススメの曲は、カニエ・ウェスト(Kanye West)の「ストロンガー」からのビリー・アイリッシュ(Billie Eilish の「バッド・ガイ」。でも最後にはRADWIMPSの「愛にできることはまだあるかい」。この日のおやつはパンダクッキー。村上さんを追っかけて行った香港で出会った仕事のできる友人、塚ちゃんが校了日に来日してくれました。なんて偶然。刷り上がりを眺めながらいただく最高のおやつになりました。

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「ファッションは時代よりも遅れている」by蘆田裕史准教授 連載「モードって何?」Vol.1

【#モードって何?】きっかけは読者から編集部に届いた質問「つまるところ、モードって何ですか?」だった。この素朴な疑問に答えを出すべく、「WWD ジャパン」9月16日号では特集「モードって何?」を企画し、デザイナーやバイヤー、経営者、学者など約30人にこの質問を投げかけた。答えは予想以上に多岐にわたり、各人のファッションに対する姿勢や思い、さらには現代社会とファッションの関係をも浮き彫りにするものとなっている。本ウエブ連載ではその一部を紹介。トップバッターはファッションを俯瞰する研究者代表として、蘆田裕史・京都精華大学ポピュラーカルチャー学部ファッションコース准教授に登場いただく。

言葉の定義を考える

蘆田裕史・准教授(以下、蘆田):前提をお伺いしますが、今回あえて“モード”という言葉を取り上げたということは、「WWD ジャパン」としては“モード”=“ファッション”とは定義していないということですよね?

WWD:“モード”は“ファッション”に含まれるもので、“ファッション”の中でも「先進性がありギリギリのところ」という意味合いで使っています。

蘆田:1990年代頃を振り返ると、哲学者の鷲田清一さんにしても、京都服飾研究財団(KCI)にしても文章の中で“ファッション”と“モード”の両方を使っていてきちんと使い分けをしていません。僕も修士論文では2つの言葉を使い分けられず、一方に統一することしかできなかった。そこから、ずっと言葉の定義を考えています。漠然とした定義では世代間でイメージの共有ができないから、定義付けは重要だと思うんです。

WWD:では“ファッション”の定義とは?

蘆田: “ファッション”は、“服に関する文化の総体”という意味で使っています。 “ファッション”はもともと“作法”などを意味するフランス古語の“faceon”から来ていますから、本来は服だけではなくて、“身につけるもの”が“ファッション”の範疇であり、習慣や作法、言語も“ファッション”の一部ですが、便宜的に服のことを指すことが多いかなと。

近代から先に進めていない

WWD:では“モード”とは?

蘆田:“ファッション”が英語、“モード”はフランス語、と分けるだけでもいいのかもしれませんが、“モード”という言葉の特別な意味を考えるとすると、詩人のシャルル・ボードレール(Charles-Pierre Baudelaire)がメルクマール(指標)になると思っています。ボードレールは19世紀後半に美術批評を始めたときに、“モデルニテ”(英語では“モダニティー”、現代性あるいは近代性と訳される)を批評の一つの指標としていました。

WWD:“モード”は“モダン”の意味合いを含むと。

蘆田:もともとヨーロッパでは古いものの方が価値があると考えられていたけれども、ボードレールは新しさにも価値があると言い出した。これは近代の特徴とも言える価値観です。この価値観からは進歩史観的な考え方と、過去を否定する自己否定的な考え方が生まれますが、これはまさにファッションビジネスのシステムそのものだと思うんです。ボードレール自身はそこまでは言っていませんが、 “モード”とは“新しさを求めるもの、または求める行為”と言えると思います。

WWD:ファッションの世界では新しさを求めることが当たり前だと思ってきました。

蘆田:もしかしたら、ファッションビジネスもいつか新しさを求めないものになるかもしれないですよね。例えばパン屋さんのように。パン屋さんは必ずしも新しいパンを出すことを求めていないし、お客さんもそこに価値を見出さないじゃないですか。もちろん目新しさや人目をひく面白さは大事かもしれないけれども、少なくともパン屋さんにとっては新しさより美味しさが重要です。ファッションも新しさ以外に価値を見出すことができるはずだと思います。

“ファッション”の特殊な点は、ファッションショーに如実に表れていると思います。例えば好きな映画は何回も見るけれども、ファッションショーを繰り返し見ることは少なく、基本的に一回限りのものですよね。ブランド側が演劇のように何回も公演をすることもない。だって2回目は新しくないから。今回の主題から逸れますが、ファッションビジネスは新しさを追い求めることから脱却しないと、近代から先に進めないと思います。新しさを追い求めることを完全に捨て去っていいのかわかりませんが、新しいものだけを良しとする価値観だけなのもなにか違うよな、と。

新しいシステムを提示していく
必要がある

WWD:ファッションビジネスそのものを見直すタイミングだと。

蘆田: 新しいシステムを提示していく必要があると思います。ファッションショーは19世紀後半にチャールズ・フレデリック・ワース(Charles Frederick Worth、オートクチュールの祖といわれている)が始めてから150年くらい続けているシステムです。当時の衣服の構造上、人が着て歩く必然性はありましたが、現在においてその必然性があるとは考えられません。あとは、年に数回、同じスケジュールで新作を発表し続けるのも古くさいシステムだと思います。少なくとも選択肢として他のやり方もあってもいい。

WWD:そういった意味では、蘆田さんが考える2019年現在のモードを体現しているクリエイターは誰ですか?

蘆田: 現在のファッションビジネスのサイクルをどう書き換えていくか、システムをどう作り変えていくかを考えられる人たちが新しいと考えると、「フーフー(FOUFOU)」や村田明子さんの「MAデザビエ(MA DESHABILLE)」「サギョウ(SAGYO)」が挙げられます。逆に“パリをヒエラルキーの頂点とするファッションシステムを上り詰めていく”みたいな、旧来の価値観にのっとったブランドからは新しさを感じない。そもそも僕は新しいことがいいことだという考えに100%賛同はできません。

今のファッションは
時代よりも遅れている

WWD:独自の価値観やサイクルで動くブランドが増えていくと消費者側も細分化されて、他者と共通の時間軸がなくなっていくと思う。

蘆田:それはそうだと思います。近代は大きな物語、例えば大企業に入れば一生安泰みたいなことを信じてみんな生きてきた。最近、“多様性”という言葉がよく使われます。各人が自分の物語、自分の信念、価値観を持って生きていく――それこそが現代的だと思います。一つの価値観で縛られるのは近代的だなと。

WWD:“モード”自体なくなるのではなく、小さな“モード”が同時多発する?

蘆田:他の分野ではすでに、個人がそれぞれ異なる時間を生きている。例えば動画コンテンツでは、昔はテレビひとつだったものが、ユーチューブ(YouTube)やフールー(Hulu)、ネットフリックス(NETFLIX)の登場によって、細分化されている。かたやファッションは、スタイルに関してはすでに一つのカリスマだけを追い求めなくなっているけれどもシステムは大きくはまだ一つ。その意味ではファッションは遅れていると思います。

WWD:モードが“時代と社会を映す鏡”とした場合、現在の“モード”は社会の何を映していると考えますか?

蘆田:時代を“映す”ということは時代よりも遅れているということ。全てがファスト、インスタントになった現代では、ほかの分野の方が時代の先を行っている。いまのファッションは時代の後を行く、遅れて時代を映す鏡になってしまったと言えます。

WWD:なるほど、最先端の話をしようと思っていたら、実はそうでもなかったというオチですね。

蘆田:やっぱり僕自身はファッションが好きなので、どうにかできたらなとは思います。

秋吉成紀(あきよしなるき):1994年生まれ。2018年1月から「WWDジャパン」でアルバイト中。

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ファッション通信簿Vol.30 夏休み終了!セレブたちのサマースタイルを米「WWD」がめった切り

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第30回は、アシュレイ・ティスデイル(Ashley Tisdale)、キーファー・サザーランド(Kiefer Sutherland)、シャイア・ラブーフ(Shia LaBeouf)、ジジ・ハディッド(Gigi Hadid)、アーノルド・シュワルツェネッガー(Arnold Schwarzenegger)、ヘイリー・ビーバー(Hailey Bieber)とジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)夫妻、ダコタ・ジョンソン(Dakota Johnson)が登場。米「WWD」はセレブたちのサマースタイルにどのような評価を下すのか⁈

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「ル・ポールのドラァグ・レース」から10年 ドラァグクイーン美の“女王”へ

 コントゥアリング、セルフタンニング、そしてハイライト。ドラァグクイーン界は、メイクトレンドを発信し続けてきた。「ル・ポール(Ru Paul)のドラァグ・レース」の初回放送から10年。ドラァグクイーンたちは今、美の“女王”となりつつある。

 「この戦いに勝つには、ドナルド・トランプ(Donald Trump)以上に野心的で、オプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)より偉大で、タイラ・バンクス(Tyra Banks)よりセクシーでなきゃダメなの」。

 ル・ポールは10年前、自身のリアリティーショー、「ル・ポールのドラァグ・レース」シーズン1の出場者に向けて、こんなエールを贈った。この番組は選ばれたドラァグクイーンたちが「アメリカズ・ネクスト・ドラァグ・スーパースター」の称号をかけて競い合うもの。2009年2月にアメリカのLGBTQ向けのTVチャンネル、Logo TVで放送されて以来、ドラァグ界における文化的なタッチポイントとなり、最新のシーズン11の視聴者数は、各回平均92万6000人に及んだ。10月にはイギリス版が放送予定だ。

 “女王”たちのレースにより、世界のトップ・ドラァグクイーンが注目を集めている。同時にネット上ではLGBTQ文化を賛美する現象が広がり、YouTubeでは俳優のカミングアウト動画が何度も再生されている。ドラァグクイーンはニッチなコミュニティー以上の存在となり、ポップカルチャーに大きな影響を与え始めた。「ドラァグ・レース」のエグゼクティブ・プロデューサー、ランディー・バルバート(Randy Barbato)は、ドラァグクイーンを「新たなポップスター」と評する。「最初は映画スター、その後ロックスター、ラッパー、スーパーモデルが現れた。今、ドラァグクイーンは、彼らに匹敵するスターになったんだ」とバルバートは語る。「彼女たちは非常に優れたアーティストだ。ファッション、美容、あるいはコメディなど、多くの分野で人々に訴えかけることができる。視聴者がドラァグ・レースに注目するのは、ワイルドで、奇抜で、おもしろい“何か”が起こっていると考えるから。アーティストと心でつながっていると感じるから、視聴者は番組から目が離せないんだ」。

 ドラァグクイーンたちは、トレンドメイクの源流でもある。コントゥアリングやセルフタンニング、ハイライトといったメイクを、どのユーチューバーよりも、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)よりも早くに取り入れたのは、彼女たちだ。

 9月6日に始まったドラァグクイーンの祭典「第3回ル・ポールの“ドラァグコン”NYC」の来場者に美容関係者が多いのも納得だ。「ドラァグコンは、コスメブランドやウィッグ、宝飾品、アクセサリー業界から注目されている」とドラァグ・レースのエグゼクティブ・プロデューサー、フェントン・ベイリー(Fenton Bailey)は話す。「番組の視聴者が増えるに従い、ドラァグコンに参加するブランドが、コルセットなどのマニアックなブランドから、メジャーなブランドへと広がった」という。今回のドラァグコンNYCには「ウェット・アンド・ワイルド(WET‘N’WILD)」などのブランドが出展した。「かつてのドラァグコンは、ドラァグクイーンを見たいというニッチなファン向けだったが、今は美容やアクセサリー、ライフスタイルの大きなイベントになりつつある」との声もある。

 ブランドとドラァグクイーンのコラボレーションも活発だ。彼女たちは、誰よりも美容用品を使うのだ。

 例えばマリア・バレンシアガ(Mariah Balenciaga)は、フルメイクに少なくとも50種類の製品を使う。とりわけスキンケアとアンチエイジングには、当初から気を使ってきた。「エイジング対策は、若い頃から欠かさなかったわ。パフォーマーは、顔が”売り”だから」とバレンシアガ。「パーフェクトスキンのためにレーザー脱毛やケミカルピーリング、毛穴洗浄もやったわ。おかげでエイジングでは、みんなより先に進んでいるわね」。

 キャメロン・マイケルズ(Kameron Michaels)も少なくとも30種類の化粧品を駆使している。顔には4種類のファンデーション。メイクのきっかけは、若い時のひどいニキビという。「ママはコンシーラーを買うために、私を百貨店まで連れていってくれた。ニキビを隠すためにね。男の時は、自分のあごヒゲがお気に入り。ドラァグクイーンになるときだけヒゲを隠してくれる魔法のようなクリームがあったら素敵ね」とマイケルズ。

 メイヘム・ミラー(Mayhem Miller)が初めてメイクしたのは、10歳の頃。「みんな想像もできないくらい大きなニキビに悩んでいたの。ニキビは潰れると、我慢できないくらい痛い。それを見たママがファンデーションを塗ってくれたの。私はすごく興奮して、ファンデーションを落とさなかった。ボトックス、美容整形、性転換、そして、それらが与えてくれる自信、全てが素晴らしいわ。私は美容整形を受けていないけれど、たくさんの手術を経験したようなメイクするの。ビッチに見られるのは、楽しいわ。日焼けした肌も、ハイライトも、アイラッシュもみんな大好きよ。メイクオフには、食器用洗剤を使っているの。食器を洗う手に問題がなければ、メイク落としに使ったっていいはずよ(笑)」。

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【NYコレもドタバタ日記1日目】 庭園で愛全開の「ケイト・スペード」にほっこり 「ラルフ」の社交界にも潜入

 皆さん、こんにちは。2020年春夏ウィメンズ・コレクションが開幕しましたね!今回「WWD JAPAN.com」の編集長ムラカミは、ニューヨークとミラノ担当。メンズ・コレクション期間中には一部マニアの方に「こんなにドタバタなの?」とか「案外本音、ぶっちゃけてるね」と好評でした(多分)ドタバタ日記を2つの街でも繰り広げてみたいと思います。実はもうNYに滞在して3日目なんですが、昨日と一昨日は大してドタバタせず平穏に過ぎていきましたので、今日から本格スタートです!

10:25 セルフ ポートレート

 本日最初のショーは、日本での代理店も決まった「セルフ ポートレート(SELF PORTRAIT)」。このブランドと言えば、複雑に見えるアシンメトリーのドレス(案外お手頃)にフリルの装飾です。今季は、さわやかなコットンポプリンにレースを組み合わせた「夏、全開!」ドレスです。爽やか~。

 そんなアイテムに組み合わせたのは、出ました!2019-20年秋冬シーズンに「セリーヌ(CELINE)」のエディ・スリマン(Hedi Slimane)様が提案したキュロット!「セルフ ポートレート」は、レザーとレースを組み合わせ、サマードレスと同系色でまとめています。秋冬のキュロットはあまりに唐突な登場だったせいか、バイヤーを中心に「うむ……(沈黙)」的な反応もありましたが、トレンドはこうやって広がるのですね。

11:25 ケイト・スペード ニューヨーク

 お次は「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」。会場は屋外、ノリータの庭園です。「(クリエイティブ・ディレクターの)ニコラ(・グラス Nicola Glass)、晴れてよかったね!」と一声掛けたくなるほどのピーカンです。何せ昨日は、カテゴリー4の台風がニューヨークをかすめ、あいにくの天気で激寒でしたから。

 会場に入ると、ステキなバッグのプレゼント。ショーでも多くのモデルが、同じバッグを持っていました。

 ステキなガーデンパーティーのような会場は、ショーの後は一般開放。そこでは、ランウエイを彩った観葉植物を販売し、売り上げを庭園の維持費に寄付するそうです。なんかほっこりするし、「ケイト・スペード」っぽく「ラヴい」‼︎お隣が山田優さんで、カワイさ、さらに倍してドン!そんな空間です。

 そして、コレクションも「ラヴ」い!

 おばあちゃんから妊婦さん、レズビアンのカップルまでが登場したコレクションは、ボタニカル柄でストレスフリーのドレス、明るい色とラメでウキウキしちゃうツイードのジャケット、そして、ちょっぴり肌寒い時にサイコーなカーキ色のトレンチやキルティングコート(でも、素材は柔らか)など。バッグは、定番の素材をカゴに代えたり、なんでも入れられるビッグトートだったり。気取らないけど、フツーじゃない。オシャレだけど、頑張らなくて大丈夫。そんなマインドにあふれています。快晴のサタデーモーニングの庭園という会場の魅力も加わり、幸せな気分になりました。

12:00 大丸製作所2のポップアップ

 さぁ、近いのでセレクトショップの「トトカエロ(TOTOKAELO)」に行ってみましょう。ここでは、著名ブランドのコートを中心にパターンを手掛けるプロ集団、大丸製作所2が、オリジナルブランド「オーバーコート(OVERCOAT)」のポップアップ開いています。

 ソーホーのショップに入ると、出迎えてくれるのはPVCの自由の女神。洋服同様のクリエイションでオブジェができちゃうのは、さすが緻密な計算に長けたパターンの天才の才能です。

 あぁ、早くオーダーした秋冬を着るのが楽しみ。今回、鮮やかなオレンジのシャツをトランクに忍ばせてきたので、近々お披露目したいと思います。

13:25 アディアム

 さぁ、一瞬ホテルに戻って、荷物を入れ替え。お次は「アディアム(ADEAM)」です。得意の襟抜き、アシンメトリーとマリンを融合。前回より肩の力が抜け、全体的にクリーンなまま、でもシンプルじゃない洋服に仕上がっていました。前回より全然「良き」です。

14:35 ヘルムート ラング

 デザイナーが代わり、オリジンのシャープ&ミニマル路線に戻りつつある「ヘルムート ラング(HELMUT LANG)」。今シーズンも90年代を思わせるシンプリシティです。

 ごくごく薄いチュール、メタリック素材を編み込みほんのり光沢を放つリブニット、もっとビカビカなシルバーレザーに大理石プリント施したブルゾン、シリコンコートなど、さまざまな素材を使い、ピュアホワイトからカーキ、ネオンイエローやブルーのスタイルを提案します。なんだか“てんこ盛り”みたいに聞こえますが、クロップド丈のジャケットやブルゾン、スキニーパンツとスタイルはアイコニックに徹しているので、“とっ散らかってる”感は皆無です。本音を言えば、また「ラング」らしい衝撃的な新しさを目撃したいところですが、過去数年で揺らいでしまったアイデンティティーを取り戻すステージとしては、今回も十分合格点です。唯一過去に引きづられているのは、時間通りに来ないストリート世代、でしょうか(笑)。ここはソーホー。次は、アップタウン。結構遠いのに、アイツらのせいで押しちゃった。移動中、ソワソワする時間帯に突入です。

15:25 ロンシャン

パリのメゾンは、さすがであります。「ラング」で押した時間を、スムーズに、見事に取り戻しました(笑)。こちらの会場は、今季珍しいアップタウンのリンカーンセンター。またも屋外です。晴れてよかったね!

 これもエディ様の影響でしょう。今季は、なんだかボトムスを中心にコンパクトなシルエットが主流派になりそうです。「ロンシャン(LONGCHAMP)」も、その一例。エディ様がキュロットなら、ソフィ・ドゥラフォンテーヌ(Sophie Delafontaine)は、ブルマーです。若っ!

 「いや、コレはオトナにはムリだろう」と思ったアナタ。ご安心ください。ホッパン(ホットパンツ)&ブラトップの合間にはちゃんと、マキシのドレスも現れます。レースのアップリケの使い方、ボルドーを中心とするオトナなカラーパレットは、だいぶ「ロンシャン」のアイコンとして定着してきました。ミニなスタイルに呼応して、バッグもみんなミニサイズです。定番バッグの“ル・プリアージュ”も、レザーでちっちゃくなってました。値段が抑えられたら、これはヒットするかも!

16:30 クリスチャン シリアノ

17:45 エリア

 この辺りの新人組に行くべきか、いかざるべきか?それは常に「WWDジャパン」記者としての悩みどころです。「WWDジャパン」は、プロフェッショナル・メディア。ゆえにどんな媒体よりも多くのショーを取材したいところですが、そのせいで重要なショーに間に合わなくなるのは、本末転倒。そんな逡巡(しゅんじゅん)にさいなまれるのです。

 特に「クリスチャン シリアノ(CHRISTIAN SIRIANO)」は以前の経験から、洋服はそんなにイケてないことが予想できます(苦笑)。でもTV番組「プロジェクト・ランウェイ(PROJECT RUNWAY)」からデビューした彼は、ダイバーシティーな感覚に溢れるデザイナーゆえ、見ておきたい気持ちも。そこで今回は、拝見です。

 で結果は、正直失敗。クリエイションは引き続きイマイチだし、プラスサイズ&おばあちゃんモデル以外はそれほどダイバーシティーでもなく、オマケにメチャクチャ長い!

 30分に及んだショー会場をダッシュで去り、ミッドタウンからダウンタウンに。「エリア(AREA)」のショー会場に遅刻気味でたどり着くと、案の定、若手ブランドらしいオペレーションの悪さが露呈して、今シーズン初のカオスな混雑が待っていました。

 ヤバいよー。コレは……。ニューヨークでは「ジェレミー スコット(JEREMY SCOTT)」や「クロマット(CHROMAT)」「ジプシー スポーツ(GYPSY SPORTS)」あたりのブランドがこんなカオスをたびたび生み出し、「チケットがあるのに入れない」という悲惨な目に遭ったことさえ何度かあります。今回も、その予感が(苦笑)。

 そこで発動したのは、“コソ泥外国人”モード。行列の隙間を見つけたら、シレ~っと潜り込み、おしゃべりに夢中なアメリカ人グループがいたら黙って横入り、何か言われたら「はて、英語が分からなくて……」という顔でごまかすモードです(笑)。これにより大幅なカットインに成功し、自分のシートになんとか到着‼︎そんな努力の結果たどり着いた「エリア」は、洋服自体は凡庸でしたが、スワロフスキーのチェーン使いは新しい。ナチュラルメイクが当たり前の街において、これだけのガッツリメイクは可愛らしく、頑張った甲斐がありました(笑)。

18:30 R13

 このブランドは、もっと評価されて良いと思うのです。メチャクチャかわいいし、ニューヨークでは「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEWYORK)」や「バーグドルフ グッドマン(BERGDORF GOODMAN)」なんかが取り扱っているのに、日本人はほとんど来ない……。

 そんな「R13」のショーは、今回もギャンカワでした。レオパードやファイヤーモチーフのシャツに、ダメージデニム。そろいのバケットハットと厚底スニーカーも「良き」です。ただ、洋服がスゴいと言うよりは、スタイリングがイケてるブランド。何気ないシャツが1000ドル(約10万6000円)とかしちゃうから、どメジャーにはなれないかな。

21:45 ラルフ ローレン コレクション

 さぁ、今日の大トリは、ラルフさん!19-20年秋冬の「ラルフ ローレン コレクション(RALPH LAUREN COLLECTION)」です。

 今回の会場は、いわゆる金融街のファイナンシャル・ディストリクト。会場に入ると、そこはお金持ちの社交場のようになっておりました‼︎生バンドだし、スペシャルカクテル出てくるし、何よりみんなブラックフォーマルだし(思いっきりこの夏の「ポロ ラルフ ローレン」と「ビームス」のコラボキャップとショートパンツで来ちゃいました(汗))。でもこれが、アメリカン・ラグジュアリーを体現する「ラルフ ローレン コレクション」の世界です。

 コレクションは、そんな大人の社交場にピッタリな、マニッシュなセットアップからドレスまでイヴニングウエアが目白押しです。上質なサテンをたっぷり使いエレガンス全開ですが、ドレスの背中はバックリ空いていたり、スリットは深かったり、ドレスをレザーとレースで切り替えしたりとラルフさん、なかなか攻めています。扇情的でセクシーです。

 フィナーレには、新世代の歌姫、ジャネール・モネイ(Janelle Monae)が登場。彼女も19-20年秋冬のドレス&ジャケット姿でしたが、パフォーマンスが続くにつれてジャケットを脱ぎ捨て、背中が開いたノースリーブのイヴニングシャツにチュールスカートというセクシー・エレガントな姿に変身。彼女らしい若々しさにみなぎっています。なるほど、今回のイヴニングは、アクティブな新世代への贈り物でもあったんですね。

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「ファッションショーにはどうしたら入れるの?」 アナタの疑問にNYから答えますVol.1

 2020年春夏シーズンが開幕‼︎これから1カ月とちょっと、「WWDジャパン」と「WWDビューティ」それに「WWD JAPAN.com」は、コレクション一色に染まります。だからこそみなさんには、シーズンの序盤で「コレクションって、一体全体なんなのか?」を知っていただき、“ファッション界のお祭り月間”を楽しんでほしい!そう思い開幕直前、インスタグラムでショーにまつわる疑問を大募集しました。ファッションウイークのトップバッターを務めるニューヨークから、現地の写真を交えながら、アナタの疑問にお答えしたいと思います。

 さて初回は、皆さんが一番知りたがっていること。一番たくさん寄せられた質問「どうしたらファッションショーを見に行けますか?」にお答えしようと思います。

 ファッションショーを見るには、どうしたら良いのか?それは、単純明快。「ブランドにとって意味、そして価値のある人」になることです。ものすごい大金を費やし、なのにゲストを入場無料でご招待するのが、ファッションショー。ゆえにブランドは当然、“対価”であり、“見返り”を期待しています。

 では、一般的にブランドは、どんな人を招き、その人たちにどんな“対価”を期待しているのか?ゲストの種類別に紹介してみましょう。

1.パブリシティ、いわゆる“露出”が期待されるメディア&セレブ、インフルエンサー

 まず最も人数の多いゲストは、何かしらのメディアに属していたり関わっていたりする編集者や記者、スタイリスト、ライター、カメラマン、それにインフルエンサーでしょう。かく言う僕も、このグループに属する編集・記者です。

 メディアに属している編集者や、自身がメディアであるインフルエンサーが招かれるのは、ブランドが彼ら・彼女たちに「ファッションショーを伝えて欲しい」と願っているからです。編集・記者であれば、カメラマンが撮影した写真を使いながらショーの模様をレポート。スタイリストならその半年先、招待いただき拝見したコレクションの中から洋服を選んでシューティング。インフルエンサーならインスタグラムで即時発信。セレブリティーなら、最新コレクションに身を包んだ一挙手一投足が、メディアによって世界に伝わります。私たちは“露出”する術を有しているため、ファッションショーにご招待いただけるのです。

 誰を前方に、誰を後方にご案内するかは、ごくごく一般的にはメディアの影響力、ゲストの肩書きなどが関係します。

2.洋服を買い付けてくれるバイヤーおよび小売店関係者

 メディアに次いで多い来場者は、いわゆるバイヤー。ショーに出てくる洋服を買い付け、店頭で販売する人たちでしょう。ブランドが彼らに期待する“対価”は、これまた単純明快「ランウエイの商品を買ってくれること」です。

 多くのブランドはショーの前後で展示会を開催し、バイヤーのオーダーを受け付け、半年後に商品を納品します。バイヤーをショーに招くのは、実際、買ってもらう商品をどんな思いで作っているのか?モデルが着用して歩くとどう見えるのか?そんなことを知って欲しいからです。

 誰をフロントローに、誰をそれより後ろにご案内するかは、実際の取引額、出席する人の役職や肩書きなどが影響します。

3.招かれる人はトップ中のトップ。世界レベルの上顧客

 3番目の集団は、顧客です。ブランドにとって、一番大事な方々ですね。でも世界的なブランドは、顧客を各国に何人も抱えているのが当たり前。ゆえに一般的には数百人規模のファッションショーに招かれる顧客は、世界の中でも指折りのV.I.P.中のV.I.P.です。例えばラグジュアリーブランドなら、彼ら・彼女たちは年間に数千万円も洋服やバッグを買うような人たち(スゴい!)。ブランド側はそんな方々に、海外までの飛行機はもちろん(ビジネスクラス以上)、 現地のホテル、そこから会場までのハイヤーなどを用意することも珍しくありません。

 ニューヨークのブランドで上顧客を数多く招いているのは、「アナ スイ(ANNA SUI)」でしょうか?全身「アナ スイ」の女性たちは会場でとても目立っています。こんな場所に呼んでもらえたら、ファンとしては感無量ですよね。

4.ブランド関係者も社内外から大勢参加

 ランウエイショーを開催するには、いろんな人の力が必要です。外部PR、イベント会社、演出家、ヘア&メイクアップアーティスト、選曲家、舞台演出のプロフェッショナル、ショー自体で外部のアーティストなどとコラボレーションする場合はその関係者……。そんな人たちは準備を終えるとゲストとして、席に座っていることはよくあるケースです。

 と言うのが、ランウエイショーに招かれるゲストの大多数でしょうか?もちろん、専門学校生とかが勉強のためにショーを見ていることもあるし、顧客ではないファッショニスタが気合いで会場に潜入成功‼︎なんてケースも時々あります。でも、それは比較的珍しい話です。

 となると、特に海外のショーに招かれるには、「ブランドにとって意味・価値のある人」にならなければなりません。さぁ、「私もファッションショーに行ってみたい!」と思っているアナタ!アナタは、どうやって「ブランドにとって意味・価値のある人」になりますか?それを考え、目指し、動きだしてみてはいかがでしょうか?

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写真界の巨匠ピーター・リンドバーグが残した名作を振り返る

 写真家のピーター・リンドバーグ(Peter Lindbergh)氏が9月3日に74歳で死去した。リンドバーグの写真家としてのキャリアは30年以上におよび、20世紀において最も象徴的で礼賛されるファッション写真の数々を世に生み出した。リンドバーグの作品のスタイルにはナチュラルな傾向があり、ポーズを取らないありのままの姿をモノクロ撮影したものが多い。

 リンドバーグは、1980年代後半から90年代前半にかけて第一線で活躍したケイト・モス(Kate Moss)、リンダ・エヴァンジェリスタ(Linda Evangelista)、クリスティー・ターリントン(Christy Turlington)ら、スーパーモデルたちを撮影した作品で知られている。数々の有名ブランドとも仕事をしてきたリンドバーグ最後のプロジェクトのひとつが、英「ヴォーグ(VOGUE)」9月号のカバー撮影でサセックス公爵夫人メーガン・マークル(Meghan Markle)を写したものだ。

 リンドバーグは共に作品を作ってきたスーパーモデルたちからも尊敬と称賛を集めており、モデルたちのインスタグラムアカウントは彼の死を悼む投稿で溢れていた。ここで、リンドバーグが撮影した名作とともに巨匠の歴史を振り返りたい。

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「ディオール」が伊勢丹をジャック トレンドのチェック柄をまとった新木優子も来店

 「ディオール(DIOR)」は9月14日から、伊勢丹新宿本店への出店20周年を記念したポップアップストア「“チェックン ディオール” 20周年記念(ISETAN CHECK'N'DIOR 20-YEAR CELEBRATION)」を本館とメンズ館の8カ所で開いている。ウィメンズ4カ所(本館1〜3階)、メンズ2カ所(メンズ館1、3階)、ベビー(本館6階)、ホームコレクション(本館5階)のそれぞれのスペースで同店限定商品や先行販売アイテム、新作をそろえる。

 本館3階のセンターパークでは、伊勢丹の象徴的なタータンチェックのショッピングバッグに合わせて、「ディオール」がオリジナルのタータン柄を用いたカプセルコレクションを用意している。商品はキャンバスバッグの“ブック トート”(スモール28万5000円、ラージ32万円)やアノラックパーカ(32万円)、ハット(8万3000円)、パンプス(10万6000〜11万3000円)、スニーカー(10万5000円)、ブレスレットセット(4万6000円)などで、“ブックトート”は刺しゅうサービス「ABCDior」にも対応する。

 4日に行われたプレスプレビューには、タータンチェックの新作に身を包んだ新木優子が来店し、“YUKO”の刺しゅうが入ったタータンチェックの“ブックトート”を持ってポーズを取った。「トートバッグはパリで商品を見せてもらったときから欲しいと思っていました。洋服も赤色が好きなので着用できてうれしい。秋冬といえばチェック柄が注目なので、皆さんにもぜひチェックしてほしいです」とコメント。また、館内を回った新木は「ディオール」仕様のチェック柄にラッピングされたエスカレーターの手すりについて「とても感動しました。ほかにも『ディオール』の魅力が詰まった素敵なスポットがたくさんあるので、実際に見に来ていただきたいです」と話した。

ウィメンズアイテム

メンズアイテム

ファッションジュエリー

ホームコレクション

ベビー・キッズ

■ウィメンズバッグ、シューズなど
日程:9月4~10日
場所:本館1階=ザ・ステージ、本館2階=シューズ/プロモーション

■ウィメンズバッグ、レディ・トゥ・ウエアなど
日程:9月4~17日
場所:本館1階=ハンドバッグ/プロモーション、本館3階=センターパーク/プロモーション

■メンズ
日程:9月4~17日
場所:メンズ館1階=プロモーション・3階=メンズデザイナーズ/プロモーション

■ベビー・キッズ
日程:9月4~17日
場所:本館6階=インターナショナルラグジュアリー/ベビーディオール

■ホームコレクション "ディオール メゾン"
日程:9月7日~11月19日
場所:本館5階=ホームコレクション

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荏胡麻、亜麻仁に続くトレンドは? “オイルの祭典”で目撃したユニークなオイル

 良質なオイルの飲用も含め、広く知られるようになったオイルの力。代表的なオリーブオイルの市場規模は拡大を続け、2015年の325億円から18年は426億円まで増加。また、近年は荏胡麻オイルや亜麻仁オイルが人気を集めるなど、“トレンドオイル”も生まれている。次の注目オイルは何になるのか?そのヒントをつかむべく、9月6日に東京・代官山で開催されたオイルの祭典「オイル イン ライフ エキスポ(OIL IN LIFE EXPO)」を訪ね、まだ日本市場には広がっていないユニークなオイルを探してみた。

来年こそ日本でも?
世界で流行CBDオイル

 米国や欧州ではおなじみになりつつあるものの、日本ではまだまだ一部の製品、販路でしか取り扱いのないCBD(カンナビジオール)オイル。大麻草の芽と花から抽出したオイルで鎮痛やリラックス作用があるといわれており、海外では飲用リキッドやCBDを含んだスキンケア製品なども豊富だ。しかし、「日本ではマリファナの有効成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)が0.01%でも含まれていると取り扱えないので、市場拡大には時間がかかると思う」と関係者は語る。「それでも、日本市場にも対応した、THCが一切残留しない製品も海外では作られ始めている」とのことなので、店頭に並ぶ製品数が増えれば、日本でもCBDオイルブームが起こるかも!?

日本ならではの米油で温故知新美容

 日本では昔から米ぬかの美容作用が伝わっているが、その米ぬかから抽出した米油は、東京オリンピック・パラリンピックでツーリストが増える20年に、日本発のスーパーオイルとしてブレイクする可能性が。「0.6ライスブランオイル」は、飲むオイルとしてはもちろんのこと、肌に塗る美容オイルやバーム、リップクリームにも使われている。特に“飲むオイル““はスーパービタミンE”と呼ばれ、通常のビタミンEの40〜60倍の抗酸化作用があるγ-トコフェロールや、脂質代謝改善や血行促進などが期待されているγ-オリザノールが豊富に含まれている点が特徴。オイルの味はクセがなく、さらりと喉を通っていく感覚で、酸化しにくいので揚げ物や炒め物にもOKとのこと。

ペルシャの恵み!
ピスタチオ油&ザクロ油

 「オイル イン ライフ エキスポ」で日本初お披露目となったピスタチオ油は、オメガ3(リノレン酸)とオメガ6(リノール酸)のほか、オメガ7(パルミトレイン酸)、オメガ9(オレイン酸)、ビタミンEが豊富に含まれているオイル。野生のピスタチオが生い茂るイランの山奥では、美と健康のためにペルシャ時代からオイルを愛飲していたのだとか。かすかに香ばしさを感じる風味で、アイスクリームやヨーグルトにかけると相性がよさそう。このピスタチオ油を日本で取り扱うニニ社はほかにも、イランが原産地であるザクロの種子から抽出したオイルも取り扱う。クレオパトラも愛用したという言い伝えもあるザクロオイルは、女性ホルモンを助けるほか、高い抗酸化力を持つといわれるプニカ酸が多く含まれているそう。

南米のスーパーフード、サチャインチ油

 ペルーのアマゾン地域の原産で、「古代インカのピーナツ」と言われるサチャインチから抽出したオイルで、オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)が多く含まれているほか、γ-トコフェロールも豊富。葉野菜のような青みを感じる独特の風味が特徴で、同オイルを取り扱う研光通商によると、「加熱調理には向かないのでサラダにかけたりスムージーに入れたり、スパイスと混ぜてソースを作ったりするとよい」とのこと。2000年代半ばに日本でも取り扱いが始まったものの、まだまだ“知る人ぞ知るオイル”という存在だ。まずはサチャインチ自体の魅力を伝えることも大切かも!?

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週末お出掛けスポット 「イヴ・サンローラン」のビンテージが集結した展覧会などアート5選

 週末にオシャレして出掛けたいアートスポットをお届け。今週は、「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」のビンテージから“不変のエレガンス”を表現した展覧会や日本人で初めて“絵本の世界のノーベル賞”を受賞した絵本作家の個展など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(9月7、8日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【開催中イベント】

バーニーズ ニューヨークが神戸店、福岡店でバイヤー来店イベント 19-20年秋冬トレンドを直接紹介

日本上陸10周年の「カーハート」が各地でイベントを開催

「エルメス」の“ラジオ局”が原宿に出現 聴いて、見て、触れるメンズの世界観を体験してみた

そごう横浜店、ビューティフロアのリニューアルから1周年 「秋のBeauty祭」開催

「M・A・C」のビジュアルに超特急のカイが登場 本人来場のイベントも開催

「ブルガリ」と「ドン ペリニヨン」のマリアージュ ブルガリ銀座タワーの最上階に

「リモワ」がストリート誌と企画展 過去のアーカイブからアーティストの作品まで

「MCM」がサステナをテーマに展示会開催 未使用バッグをドレスにアップサイクル

松屋銀座が「美しくなるビアガーデン」開催 今年もクロスフィットトレーナーAYAとコラボ

【開催中ポップアップ】

「マルニ」が伊勢丹新宿本店で宇宙空間を表現したポップアップイベントを開催

「ファビアナフィリッピ」が阪急うめだ本店でポップアップストア開催 ミンクコレクションにフォーカス

「カラー」が盛りだくさんの限定商品と共に3都市を巡るポップアップツアー

元AKB48“こじまこ”がストライプの新ブランド「ハルヒロイン」をプロデュース

「マジックスティック」が代官山のエディとビンテージ小物のポップアップをオープン

創業130周年の「ランバン」がポップアップブティックをオープン

日本初上陸の英眼鏡「キュービッツ」がブリンク ベースでポップアップイベント開催

ビートたけしプロデュースの「キタノブルー」が初ポップアップストアをオープン

眼鏡ブランド「アヤメ」が263日間のポップアップストア 直営店オープンの布石

オーガニックブランド「ラ・ブルケット」が関西で初のポップアップストア

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東京ストリートの異端児「ネオンサイン」が10周年、富山の“不良”がデザイナーになるまで

 林飛鳥デザイナーの「ネオンサイン(NEON SIGN)」は、2009年のブランド立ち上げから今年で10周年を迎えた。東京・渋谷の「トランク ホテル(TRUNK HOTEL)」では節目を記念したポップアップショップを9月8日まで開き、限定品の販売も行っている。

 同ブランドはメンズウエアからスタートし、現在ではウィメンズ・コレクションも発表している。オーバーサイズやレイヤードを得意とすることから“ストリート系”とカテゴライズされがちだが、「ネオンサイン」の服はグラフィック頼みのブランドとは異なる奥行きがある。複雑な構造に挑戦しながら、それを難しく見せないキャッチーなムード、そして林デザイナーの自由な感覚やカルチャーを帯びたコレクションは若者を中心に支持が高く、現在の卸先はメンズとウィメンズ合わせて45アカウント。年間売上高は3億円を超え、クリエイションとビジネスの両面で着実に成長を続けている。そして10周年という節目に、林デザイナーは新たな野望をぶち上げた。婦人洋品店の息子が“不良”時代を経て若手を代表するデザイナーの一人になるまでの、たたき上げの歴史を本人に聞いた。

「高橋盾さんになりたい!」

 林デザイナーは富山の婦人洋品店の息子として育った。幼いころから母親が富裕層の顧客を相手に接客し、売り手と買い手の駆け引きをする目の当たりにしてきた。欲しい服は、ファッションに厳しい百戦錬磨の母親に“プレゼン”が必須だった。兄の影響で小学5年生から「アンダーカバー(UNDERCOVER)」を着始め、中学2年生でファッションの道で生きて行くことを決めた。「デザイナーというよりは、高橋盾さん(『アンダーカバー』デザイナー)になりたかった」と林デザイナーは当時を振り返る。夢への思いは日に日に強くなり、高校へは進学せずに高橋盾の母校である文化服装学院に入学することを決意する。だが、同学院入学のためには高卒以上の学歴が必要なことを当時の林デザイナーは知らなかった。「早く先生に相談すればよかったのに反抗期だったから黙っていて。卒業直前になって高卒以上が入学条件だと知り、焦って私立の高校に滑り込みました。でも気持ちは文化だったので、毎日朝までスケートしていましたね(笑)」。

 文字にできないほどの紆余曲折がありながらも高校を無事に卒業し、いよいよ上京して念願の文化服装学院に入学。“不良”だった高校時代からは一転し、服づくりやデザインに夢中になっていった。しかし「アンダーカバー」への就職はかなわず、07年に卒業後はメンズブランドに約1年間勤務後、「ネオンボーイズ」を掲げて服作りを始めた。「たまたま自分で作った服を原宿の『ア ストア ロボット(A STORE ROBOT)』に着て行ったら気に入ってくれて、委託で置いてもらえることになったんです。『ネオンボーイズ』は好きなパンクバンドに由来していて、服にマッキーで名前を手書きして売っていました」。パンク直系のクリエイションが都内セレクト店の目にも留まり、本格的な展示会の開催に合わせてブランド「ネオンサイン(NEONSIGN)」を09年に立ち上げた。「カラフルなネオンサインのガラス管が自分だとしたら、中のガスはクリエイション。何色にでもなれるけれど、出せない色もある。そこが何だか人間っぽくて好きなんです」。

苦境からの転機となった出会い

 「ネオンサイン」は、シャツから作り始めた。デザインや服作り、それを自ら手売りするなど全て1人で運営していたものの、最初から順風満帆とはいかなかった。ただひたすらアトリエにこもり、「作って作って作りまくっていました。おかしくなりそうだった」。立ち上げから約2年間は苦しいシーズンが続いたものの、12-13年秋冬シーズンに大きな転機が訪れる。スタイリスト、高橋ラムダとの出会いだった。ジャンルや既成概念にとらわれない高橋ラムダの感覚は、林デザイナーにも刺激を与えた。「知り合いの紹介でラムダさんにルックのスタイリングをお願いできることになったのであらためて気合が入り、アイテムをトータルで作り始めました。最初は鳴かず飛ばずだったけれど、少しずつ都内の有力店にも見てもらえるようになっていきました」。自由なアイデアから生み出されるトータルアイテムと高橋ラムダが手掛けるルックの独特なムードが徐々に注目を集め、「O 代官山」や「ザ・コンテンポラリー・フィックス」など卸先は全国に20アカウントまで広がっていった。

 その後もブランドの勢いは止まらず、16-17年秋冬コレクション“ゲットーチャイルド”は16年春夏シーズンよりも売上高が3倍にまで急成長し「正直、怖かった。自分でハンドリングできる規模ではなくなっていったから」。知名度が飛躍的に上がったためいったん冷静になり、増え続けていた供給量と卸先を少しずつ絞りながらウィメンズや新ラインを立ち上げた。「いろいろジャンルを切り分けてデザインしてみたけれど、しっくり来ませんでした。型にはまらないのが『ネオンサイン』だし、時代的にもメンズウィメンズの境界線はなくなりつつあります。だから19-20年秋冬シーズンでは“人”のためにデザインしたかったんです」。レインボーカラーに溢れた同シーズンはこれまで以上に性差やジャンルがフラットになり、服作りを純粋に楽しむ感情がにじみ出すコレクションとなった。「個人的には過去最高の出来栄え。でも同じことを繰り返したくないし、『ネオンサイン』を続けていく以上は、これまでと同様に新しいことをやり続けていきたい」。

 高橋盾に憧れてデザイナーになり、10年が経った。納得のいくコレクションが発表できた今、次なる野望は「アンダーカバー」も活躍するパリ進出だ。「自己資金でパリでのショーができるほど規模は大きくないので、ゲリラ的なことでもいい。ショーではなくても、昔みたいに手売りしても面白いかも(笑)」。海外進出は、当然ビジネスのためでもある。しかし林デザイナーの言葉からは、ただおもしろいことがしたいという強い思いを感じる。パリ進出がすぐに実現するかはまだ分からない。もしかするとショーの舞台は東京だったり、まったく違うことをしていたりするかもしれない。でもそんな予測不可能さが林飛鳥であり、「ネオンサイン」の魅力なのだ。何にもこびることなく、大好きなファッションを夢中で探求する素直な姿勢が人を引き付ける理由の一つであるのは間違いない。たとえ10年20年後にブランドを取り巻く環境が変化しても、それだけはきっと変わらないのだろう。

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デザイナーがお気に入りの着こなしを伝授 個性派ヘッドウエア「フラッパー」

 イタリアのヘッドウエアブランド「フラッパー(FLAPPER)」は、10日まで伊勢丹新宿本店本館3階でポップアップストアをオープンしている。“ハットドレス”と称するロングマント付きのキャップ、巨大なカチューシャ、まさにフラッパー(本来は1920年代、新時代を自由奔放に生きた女性のことを指す)のようにフリンジとビーズが揺れるニットピースなど、かなり個性的だが、デザイナーのジェネヴィエヴ・アイエ(Genevieve Xhaet)が身につけるとオシャレなムード満載。母国では、年齢を問わず「ストロングなインディペンデントウーマンに人気。私もその仲間でありたい」だそうだ。

 彼女に、お気に入りのヘッドピース身につけてもらいながら、ブランドについて尋ねた。

WWD:ブランド誕生した経緯は?

ジェネヴィエヴ・アイエ(以下、アイエ):それは、私がイタリアのハットファクトリー「バルビジオ(BARBISIO)」で働いていた頃までさかのぼるわ。建築家の作品集を眺めていた時、「昔のヘッドウエアは、機能より装飾優先。でも今のキャップやハットは、装飾よりも機能優先」という文言があったの。ベースボールキャップなどが代表例ね。そこで、「じゃあ、現代の女性にふさわしい装飾性と機能性を兼ね備えたヘッドウエアが作れないかしら?」って思い創業しました。昔は、「コルネッタ」、イタリアの乳母がよく被っていたシンプルなベールに魅了されたわ。あんな美しさと機能性が両立できないかと考えたの。

WWD:「帽子」「ヘッドピース」「ヘッドウエア」、あなたの商品はなんて呼んだら良い?

アイエ:厳密に言えば「ハット」と「ヘッドウエア」は違うもの。私の商品はヘッドウエアに近いかな。でも、「ヘッドウエア」という名前が気に入っているから、全ての商品をこう呼んでいるわ。

WWD:正直、日本人には馴染みの薄い商品も多い。

アイエ:あなたの装いのアクセントとして使ってくれればと思うの。例えば、普段はヘアバンドだけど、雨の日はナイロン製のターバン、冬はそれをカシミヤ製に変えたりとかね。「ジル サンダー(JIL SANDER)」で働いていたことがあるから、素材にはこだわっているわ。私のヘッドウエアは、前後自由に被ったり、裾を自由にアレンジしたり創意工夫次第よ。

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ニューヨークファッションウイークが開幕 今期の見どころとは

 9月5日、2019年春夏ニューヨーク・ファッション・ウイークが開幕しました。WWDJapan.comでは毎日コレクションの画像を含め現地でのレポートをアップする予定ですが、ここでは改めて今季の見どころ・注目ポイントを紹介します。

 まず一つ目に、今期は公式スケジュールが5日半とかなり短くなりました。ここ数シーズンは7日間強あったスケジュールが、かなりギュッと凝縮されました。トム・フォード(Tom Ford)がアメリカファッション協議会(COUNCIL OF FASHION DESIGNERS OF AMERICA、CFDA)の会長に就任してまず取り掛かったプロジェクトと言われています。メガブランドがニューヨークから離れたり、はたまた「アレキサンダー ワン(ALEXANDER WANG)」のように公式スケジュールとは違う時期に発表するブランドがあったりして、ニューヨーク・ファッション・ウイークに行くインターナショナルバイヤーやプレスが減っています。そんな業界人をニューヨーク・ファッション・ウイークに呼び戻そうと、より効率よくショーを回れるようにした仕組みです。1日のスケジュールが凝縮された分ドタバタしそうですが、頑張って取材してきます!

 続いて、前回華やかなデビューを飾った「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」が再びショーを行います。敏腕スタイリストのケイティ・グランド(Katie Grand)がインスタグラムで小泉智貴デザイナーを発見し、そこから急遽ニューヨーク・ファッション・ウイークでコレクションを発表することに。トップモデルやヘアスタイリストのグイド・パラウ(Guido Palau)、メイクアップアーティストのパット・マクグラス(Pat McGrath)が無償で協力したと聞いています。チュールを豪快に使ったコレクションはコマーシャルなショーが多いニューヨークではなんともドリーミーで華やかな印象でした。そんな夢のような話ですが、今回も同じ豪華メンバーでショーを行います。さらに前回同様に「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」の旗艦店で、プレゼンテーション形式での発表になるようですが、どのようにコレクションが進化しているのか、楽しみです。

 そのほか「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」が久々にニューヨークでコレクションを発表したり、「ラグ&ボーン(RAG &BONE)」も久しぶりにランウエイ形式でショーを行ったりなど、ニュースは盛りだくさんです。ファッションだけじゃなく、バックステージにも潜入しコレクションを盛り上げるビューティについても、現地からお届けする予定です。WWDJapan.comと各種SNSをチェックしてください!

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「O2Oの先に光るのは、『人の力』」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.8「セレクト最大手の基幹事業を支える2本柱」

読み解きポイント「ECの完全自前化で期待されることは?」

ニュースのポイント

 デジタル化や人材不足など、解決すべき課題が山積みのファッション業界の中で、堅調なのが有力セレクトショップだ。セレクト最大手のユナイテッドアローズはスモールビジネスの拡大、自社ECの自前化やブランド・事業群の再編などで成果を挙げている。

Azuはこう読む!

 ユナイテッドアローズは9月から、自社ECの運営をZOZOから自社主導に切り替えるということで、これからますますリアル店舗とECの互換性が高まりそうな予感。「オンラインとオフラインをつなぐ」はどの企業も提唱し始めてきた感がありますが、そもそも「つなぐ」ってなんでしょう?

 在庫の共有?運営元の一元化?やらならければいけないことは色々ありますが、最も肝心なのは「顧客・購買データの共有」です。本紙でもUAのキーマンが「一物二価はもう通らない」と語っているように、スマホさえあれば消費者は店頭とECを並列して見ることができるので、感覚的にはオンライン/オフラインの差はないようなもの。今すぐ欲しかったら店頭で買うし、綺麗な状態で欲しかったらECで買うし、めちゃくちゃ気持ち良い接客を受けたら店頭で買うし、購買手段をその時々の都合の良い方に合わせて変えているだけです。

 EC自前化の最大のメリットは、全データを手中に納められること。例えば店頭/ECどちらも活用する顧客に対してはECの閲覧履歴やお気に入りから「店頭接客だけでは掴み切れなかった趣味志向」を読み取って店頭で生かしたり、ECでしか買わないユーザーに対しては閲覧状況から好みを予測し「同じような好みを持つ実店舗ユーザーが信頼している販売員がいる最寄りの店舗」をレコメンドする、とか。できるかわからないですけど(笑)。

 こうしたことが「オンラインとオフラインをつなぐ」結果実現するようになれば、販売員に求められるのはSNSの活用といったデジタルコミュニケーション能力だけではなく、データの分析力と接客スキルを良い塩梅で掛け合わせるセンスになるのではないでしょうか。データの共有が進むと各ブランドごとにEC、店頭の役割がはっきりしてきます。そこから先は、インターネットでは絶対に再現し得ない「人の力」が光ってくるのだと思います。

セレクトショップ最新情報 5大セレクトの成長戦略を22人のキーマンに聞いた

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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「『俺らにしかできない』みたいな排他的な思想が苦手。僕たちは路上から上がっていって、グローバルにチャレンジできることを証明したい」 by 片石貴展

片石貴展yutori最高経営責任者

 そもそも「俺らにしかできない」みたいな排他的な思想が苦手で。これまでのブランド事業は人脈もお金もある人たちだけができる“富豪ビジネス”的な側面がありました。能力のある人が上から商品を落とすようなイメージが強くて。でも、僕たちは路上から上がっていって、グローバルにチャレンジできることを証明したいんです。巨額の資金調達をすることだけが起業ではありませんし、僕自身、小さな事業を成長させた父親の影響をかなり受けているんだと思います。(2018年11月2日掲載、インスタで20万フォロワーの「古着女子」を生んだスタートアップyutoriの“ミレニアル流”起業法

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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「サルバム」や「サカイ」など高額品に集中 「WWDジャパン」編集部員らの秋冬物ベストバイ!

 今月から毎月お届けする「WWDジャパン」「WWDビューティ」擁するINFASパブリケーションズのベストバイ。第一回目は、20代、30代、40代の男性スタッフのこの秋冬シーズンに向け購入した一品です。シーズン先物買いとあって、一人を除いてお値段が可愛くない(笑)のが共通点。ほか、ここでビンテージが2品も上がってきたのも時代を感じます。

ファッショニスタの心意気コート

 ファッション・ウイークを見据えて購入した“お祭り感全開”コートは、「サルバム(SULVAM)」。「そのまま座ったら、お尻痛いよ!!」ってくらいに打ち込んだパールまばゆいモッズコートです(笑)。ツボ押し効果に期待。(WWD JAPAN.com編集長 村上要)

全米最大級のフリマで買った
1950年代のジャケット

 7月に訪れた「ローズボウル(ROSE BOWL)」で購入した、1950年代製と思われるビンテージのストライプジャケットです。「ローズボウル」とは、毎月第2日曜日にロサンゼルス郊外の街パサデナで行われる全米最大級のビンテージフリーマーケットのこと。観光地化が進み強気な値付けが横行する中、こちらのジャケットには45ドル(約4700円)の控えめな値札が付いていました。そこをさらに値切って購入(笑)。高温多湿な日本の夏でも、Tシャツ一丁というわけにはいかないのがオトナというもの。袖を通さないまでもジャケットは必携がマナーかと。とはいえ重かったりかさばったりは困るわけで……。その点こちらは超軽量――というかペラペラで、それでいてインパクトは十分!レセプションに着て行けば心の底からのお祝いを表現できちゃうし、もちろん写真のようにアメリカ臭満点でコーディネートするのもアリ中のアリです!(WWDジャパン編集部 三澤和也)

南青山のマンホールで1950〜60年代の古着長袖シャツを購入

 8月下旬に東京・南青山に新しくできたセレクトショップ、マンホール(MANHOLE)で購入。この店、古着のチョイスが抜群です。「ポロ ラルフローレン(POLO RALPH LAUREN)」のナイロン素材でスポーティーな雰囲気のCPOシャツやら、「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」のイカついボアジャケットやらに目移りはしたものの、最終的に選んだのは出処不明なこの古着長袖シャツ。グレー味がかった鈍い光沢のあるボディーに細いグリーンのストライプと、現行品にはないシブい佇まいに惹かれました。最近気分なフレアパンツとも合いそうで楽しみです。店の新品のラインアップも「ニコラス デイリー(NICHOLAS DAILY)」「ナイスネス(NICENESS)」など玄人好みで、古着と組み合わせても楽しそう。マンホ―ル……ハマってしまいそうです(これが言いたかった)。(WWDジャパン編集部 本橋涼介)

365日履いていたい
「カルマンソロジー」の靴

 お披露目となる展示会で拝見してからずっと気になっていた「カルマンソロジー(CALMANTHOLOGY)」の靴。官能的なデザイン、そして日本人デザイナーが日本人の足に合うように考えつくされた細部に宿る優しさに心うたれました。9万8000円と、お財布事情もありましたが、少量生産が故に品薄でなかなか手に入らず、他のメンズファッション誌やスタイリストさんなどが紹介されているのを見る度に、物欲が抑えきれず購入しました。靴自体が輝きを放ち、かつ引き締めてくれるので、スーツスタイルだけじゃなく、休日の何もない日にデニムに合わせてさらっと履きこなしたい。365日履いていたいです(笑)。(ビジネスプランニング部 工藤寿志)

トレンドを取り入れたくて
「サカイ」のレオパードパンツ

 今季トレンドのレオパードをコーディネートに取り入れたくて購入しました。さまざまなブランドで展開していますが、サイドラインやタックインした時に見えるウエスト部分の切り返し、付属しているベルトなど「サカイ(SACAI)」らしさが詰まった1着で、普通のレオパードパンツで完結しないところが気に入っています。コレクションのルックを見た時から「これ欲しい、絶対買う」と思っていました。ですが、発売を前に違うアイテムを購入してしまう気の弱さ……。5万7000円という価格帯に、発売時には自分の財布と要相談状態。試着だけしようと思ったら、どこもかしこも売り切れ御免。意地になって探し、最後に行った阪急メンズでも店頭にはない。ダメ元で店員さんに尋ねるとバックヤードから出てきました!財布と相談する前に速攻買いました(笑)。(WWDジャパン編集部 大澤錬)

半年間狙っていた「トーガ ビリリース」のダブルジャケット

 毎シーズン楽しみにしている「トーガ ビリリース(TOGA VIRILIS)」の2019-20年秋冬新作が店頭に並んだ7月。「トーガ」信者の私は、コレクションで一目惚れしたこのジャケット(9万8000円)を半年間ずっと狙っていたので、すぐに原宿店に駆け込みました。毎年秋になるとジャケットを購入するのですが、選ぶのは黒色や紺色ばかり。今回は個人的に新鮮なグレーをセレクトしました。背の低い私でもサイズ感がぴったりなのも嬉しいポイントですが、1番の決め手は、ジャケットの裏のスカーフです。ジャケットの裏にスカーフが重なっており、付属のピンでジャケットをめくるとスカーフが見え、2WAYで着ることができます!即決でした。同素材のパンツもあるので、セットアップで購入を検討中です!お財布的に痛い値段でしたが、その分、大切に沢山着たいと思います。服に着られないように頑張ります!(デジタルマーケティング部 草野貴俊)

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東レが回収ペットボトルを原料にした繊維事業を本格化 “循環型”新ブランド「&+」立ち上げへ

 東レは9月5日、回収ペットボトルを繊維原料として再利用する取り組みを本格的に開始すると発表した。これは循環型社会実現に向けた取り組みで、そのために多様な品種と高い白度、トレーサビリティー(透明性)を実現したペットボトルリサイクル繊維の生産技術を開発。“Together, We are the New Green”をコンセプトにした繊維事業の新ブランド「&+(アンドプラス)」 を立ち上げた。2020年1月から本格的に糸、テキスタイル、縫製品など「&+」製品の販売を開始し、初年度の売上高は300億円、25年には500億円を計画する。

東レの技術力でバージン原料と同等の品質を担保

 これまでのペットボトルリサイクル繊維は、混入異物により特殊な断面や細さの繊維の生産が困難で、糸種が定番品に限られる点や、ペットボトルの劣化などによる黄ばみが原因となって、糸の白さが損なわれる点が課題だった。これに対して東レは、ペットボトルリサイクル原料に含まれる異物を除去する東レのフィルタリング技術と、ペットボトルの高度な洗浄技術を持つ共栄産業の技術を合わせることで、異物の黄ばみを除去した原料の供給安定化を実現。この原料と東レの技術を組み合わせることで、石油由来のバージン原料を使用した場合と同様の品質を担保できる。

 同ブランドはGRS(グローバル・リサイクル・スタンダード:リサイクル含有物、加工流通過程管理、社会および環境慣行、および化学規制の第三者認証の要件を設定する、国際的で自発的な完全製品基準)認証に基づき、回収ペットボトルの繊維原料の割合は20%以上で構成する。リサイクル原料100%でも同等の品質を担保できるというが、取引先の要望に合わせてリサイクル原料の配合率を変えていく。

狙うのは環境や社会問題に関心が高いジェネレーションZ

 舟橋輝郎ファイバー事業部門長は開発の背景について、「当社のペットボトルリサイクル繊維を介して、製品に関わる回収者・生産者・消費者が相互につながることを促進することで、ペットボトルリサイクルの活動を社会的なムーブメントに高め、循環型社会実現への貢献を目指したい。調査会社のニールセン(Nielsen)が15年に60カ国3万人を対象にしたオンライン調査によると、約66%の回答者がサステイナブルな商品により多くのお金を払いたいという結果がある。さらにその72%が信頼するブランドの商品を求めていることがわかった。われわれが狙うべきは、ジェネレーションZ(1995~2009年生まれ)。米国のジェネレーションZ世代の直接購買力は2000億ドル(約21兆2000億円)を超えており、20年までに世界最大の消費グループになると見込まれているからだ。また、彼らは環境や社会問題に関心が高く、それらの問題へ意見を表明するブランドを支持する傾向にある。本物を追求し、信頼性のあるもの、トレーサブルで環境や社会に配慮したものを好む」と語る。

 加えて、舟橋部門長は、日本のペットボトルリサイクルの現状を指摘する。「中国を皮切りに一部のアジアの国で廃プラゴミの輸入規制が始まった。そのため自国内での処理を進めることが重要になっているが、ゴミ処理施設が不足している。これまで輸出していたものを再利用して資源化することが重要だと考えた」と語る。

 実は、東レのペットボトルリサイクル繊維の生産量は多くなく、18年の売り上げは15億円程度だった。「決して大きくなかったが、市場の要求に応えると急拡大が必要だ。当社の革新技術と先端材料の提供によって、世界が直面する“発展”と“サステイナビリティー”の両立をめぐるさまざまな問題の解決に貢献していく」。

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読者が注目した今週の新作 「ナイキ」 × 「サカイ」など(9月6〜12日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。「ファッション部門」と「ビューティ部門」は読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ファッション部門」では「ナイキ(NIKE)」 × 「サカイ(SACAI)」が最も注目され、「ビューティ部門」では「アディクション(ADDICTION)」2019年秋冬メイクアップコレクションが1位に輝いた。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


【スニーカー部門】

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“自然体でキマッている”を作る 「エヌドット オム」の第2弾

 プロフェッショナルヘアメーカーのナプラは、「エヌドット オム」から第2弾となる「ジェルグリース」と「ロックヘアスプレー」を今秋に発売する(「ロックヘアスプレー」は8月28日に先行発売)。多様化するメンズスタイルに対応するラインアップと、毎日の身支度に手軽に取り入れることができるスタイリングのしやすさは同シリーズの特徴。今回の2アイテムの追加で、さらにスタイリングの幅が広がる。今回9月に新店「ゴールド(GOALD)」をオープンする中村トメ吉代表にこの2アイテムを使ってスタイリングしてもらった。

ランダムな束感で
きめすぎない“ツヤウエーブ”

 中村トメ吉ゴールド(GOALD)代表が、重めのマッシュ×パーマスタイルを「ジェルグリース」を使用してスタイリング。髪全体に手櫛でざっくりとかき上げるようにつけ、右目頭の延長線上に分け目を作るだけ。適度な艶感とランダムなウエーブが今っぽく仕上げるポイント。最後に「ロックヘアスプレー」を髪の根元に塗布。「ジェルグリース」の艶と柔らかさを損なわずに一日中スタイルをキープできる。

ウェットヘアを手軽に作れる
「ジェルグリース」と
スタイルを一日中キープする
「ロックヘアスプレー」

 「ジェルグリース」の適量は500円玉ぐらい。やや多めと思うぐらいがちょうどよい。手のひらと指の間までしっかりとなじませてから手櫛を通すように塗布する。仕上げには髪の根元を中心に「ロックヘアスプレー」を塗布。毛先についたジェルの重さにも負けないセット力の強さだ。

カット×パーマ×スタイリング剤で
気分に合わせた
スタイル作りを提案

 中村代表は新店舗「ゴールド」について「ターゲットは高校生から28歳ぐらいまで。提案したいのは“機能性”“再現性”“ナチュラル”の3点です。全体にスタイリング剤を手櫛で通すだけで完成する手軽さがこの年齢層には求められますし、時代的にもナチュラルさは必須です。だから『エヌドット オム』は艶が出てパリっともするけれど硬くなりすぎないので、新店舗で狙う層にも受けそう」と話す。

3月にデビューした
3品も人気を集める

 3月にデビューした「シアクリーム」は根元を立ち上げながらも毛先は自然な動きと質感に仕上げる。クリームワックスをベースにジェル基材を配合し扱いやすくした。「ジェルバーム」はジェルの艶感とワックスの扱いやすさを取り入れた新形態のジェル。「WWDビューティ」7月11日号「ヘアサロン版ベストコスメアワード 2019」のメンズ部門で1位にランクインした。「アクアグリース」は伸びがよく程よいセット力とウエット感を出し、グリースからイメージされるタイトなバーバースタイルだけでなくパーマスタイルに使用してカールを生かすことも可能なアイテム。

PHOTO : HIROKI WATANABE、[MODEL]TORU KOIKE

問い合わせ先
ナプラ
0120-189-720

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美容賢者から称賛の声続々! ゲラン、2つの名品

 「ゲラン」から今春デビューした「レソンシエル」は、20代という新たな客層からも支持を集める注目のファンデーション。「アベイユ ロイヤル ウォータリー オイル」は、エイジングケアシリーズ「アベイユ ロイヤル」の中でもベストセラーの美容液だ。数々のコスメに触れる識者たちから、この2つの名品に対するリアルな声が集まった。

識者の実感コメントから読み解く
ヒットアイテムの魅力

 “完璧な仕上がりでありながら、肌には優しく”という、現代女性が求めるニーズをかなえるファンデーションとして誕生した「レソンシエル」。レッド シーウィード※1、ホワイト ココアビーン エキス※2 など、天然由来成分97%※3配合で肌をみずみずしく保湿しながら、外部刺激やブルーライトからも素肌を守る。16時間のロングラスティング※4で、美しい仕上がりが続く。

●店頭ではサンプルをプレゼント中です。

※1整肌成分として
※2保湿成分として
※3自然由来指数97%(水50%含む)ISO16128準拠
※4 データ取得済み。ゲラン調べ。効果には個人差があります

 2017年にパワーアップをして発売以来、「一度使うと手放せなくなる!」とファンを増やし続けているヒット美容液。「アベイユ」とは、フランス語で蜜蜂の意。その名の通りハチミツ由来成分を凝縮させた美容液には、マイクロビーズ化されたボタニカルオイルが浮かぶ。肌の上に伸ばした瞬間にビーズが弾けて潤いを肌のすみずみにまで行き渡らせる。太陽を浴びた花の蜜を思わせる、フレッシュでありながら温かみのある香り。

●店頭ではサンプルをプレゼント中です。

PHOTO : AKIHIRO SAKAI(SEPT)

問い合わせ先
ゲランお客さま窓口
0120-140-677

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“反ダウン”を掲げる地球に優しいアニマルフリーの代替ダウン「セイブ・ザ・ダック」とは?

 「モンクレール(MONCLER)」や「カナダグース(CANADA GOOSE)」などのダウンジャケットやコートは、冬の定番アイテムして人気が高い。ダウンとは水鳥の羽毛のことで吸湿発散性に優れていることからダウンジャケットや羽毛布団に使用されるが、動物愛護の観点から、生きた水鳥から手で羽毛をむしる“ライブハンドプラッキング”が問題視されている。動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)によるダウン生産現場の映像では、羽毛をむしられ地面にうずくまる水鳥や、裂けた体を針と糸で縫われる水鳥(羽毛は6~7週間で生えそろうため繰り返しライブハンドプラッキングが行われる)の姿が映っており、業界内でも倫理的な原料調達をしようとする動きが広がっている。有力ブランドの多くは倫理的なダウン調達を証明する認証を取っているとはいえ、市場で出回っている多くのダウンジャケットが必ずしも倫理的な原料調達をしているとは限らない。

 このような流れを受けて2013年にイタリア・ミラノで誕生したアウターブランドが「セイブ・ザ・ダック(SAVE THE DUCK)」だ。その名もずばり、(羽毛を採取され続けている)“カモやアヒルを守れ”。ダウンの代わりに最先端のテクノロジーを駆使して開発されたリサイクルポリエステルの軽量素材プラムテック(PLUMTECH)を使用しており、豊富なカラーバリエーションと折り畳んでコンパクトに収納可能な実用性が特徴だ。プラムテックとは、次世代の微粒子ハイテク中綿のことで、ダウンに勝るとも劣らない柔らかさをはじめ、保温性、通気性、軽量を実現。また、外部の素材には通気性、防水性、摩擦抵抗性、耐湿・防カビ性に優れた光沢感のあるナイロン素材を使用している。

 「セイブ・ザ・ダック」は欧米で人気上昇中で、イタリア・ミラノのショッピングセンターであるブライアン&バリー(BRIAN & BARRY)で、は2016年秋冬には「モンクレール」や「カナダグース」「ヘルノ(HERNO)」などのダウンブランドを上回る数を販売したという。裏地には、“100%アニマルフリー”と記されたものもあり、室内でさりげなく動物愛護精神をアピールできるようになっている。

 日本では栄進物産が独占輸入販売しており、高島屋日本橋店や高島屋新宿店、伊勢丹新宿本店、松屋銀座本店、三越銀座店、阪急うめだ本店などで販売している。

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「専門店はアプリ?」東急百貨店の構造改革を考える ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.5「東横店閉店」から反転攻勢への準備

読み解きポイント:オーバーストアという課題の先にある「次の一手」

ニュースのポイント

 東急百貨店が、一番店である東横店閉店を機に、百貨店事業の構造改革を急いでいる。「東急フードショー」を始めとした食、化粧品、ファッションなどの専門店事業を自社の百貨店、東急沿線のショッピングセンターだけでなく、他沿線へ拡大することを計画。専門店事業も百貨店のマーチャンダイジング(MD)と定借で入るテナントのMDを融合させ、新しい顧客との接点を増やすことを狙っている。

CKRはこう読む!

「2割減」。この10年で失われた、全国の百貨店の総売り場面積です。

2008年、680万平方メートルだった総面積は、19年7月には540万平方メートルに減りました。今回は、百貨店が抱えるオーバーストア(店舗過剰)という課題に注目したいと思います。

もともと百貨店は、目利きした商材を通じて「素敵なライフスタイルとは、こういうことです」という、ワクワクする情報を発信するところに価値がありました。オーバーストアという状況は、旧来の情報発信の仕方に「No」がつきつけられたと言い換えられるのではないでしょうか。

07年からの10年間で、百貨店の売上高は、約8兆円から6兆円を割り込む水準まで縮小しました。リーマンショックや東日本大震災によるに消費の冷え込みもありますが、注目すべき出来事は、07年の「iPhone(スマートフォン)」の発売です。

スマホの出荷量と百貨店の売上高は、見事に逆相関しています。スマホを活用したECが、百貨店の売り上げを全て奪ったということではありません。消費者は、スマホで入手した情報を活用して、百貨店ショッピング以外のことを楽しんでいるということです。

それまでモバイル通信の主役だった携帯電話は、iモードなど通信キャリア毎に統制されたメニューによる情報流通が中心でした。スマホの登場によって、その統制が解き放たれ、ホーム画面のアプリを一人一人がカスタマイズし、世界中のリッチな情報へ、いつでもどこでもアクセスできるようになリました。

今回、東急百貨店が取り組む構造改革は、iモードのようにフォーマット化してきたビジネスから離れ、スマホのように専門店をアプリとして、オープンに消費者とつなげていく動きにも見えます。D2C(Direct to Consumer)というビジネスでブランドが直接顧客に寄り添い世界観を共有する時代に、遅すぎる改革かもしれませんが新しい一歩を踏み出したところに、東急百貨店の危機感が伝わってきます。

今回の「WWDジャパン」紙面で、隣にある記事は「ロンハーマン日本上陸10周年 サザビーリーグが本国事業を継承したワケ」です。「WWD」の記者の方には、ぜひこのタイミングで、元伊勢丹バイヤーのサザビーリーグ リトルリーグ カンパニープレジデント 三根弘毅氏に「今、百貨店の三越伊勢丹に戻ったら何をしますか?」と突っ込んだインタビューをして欲しかったです。

そこに今後の百貨店が手を打つべき、ヒントが隠されているかもしれないからです。

セレクトショップ最新情報 5大セレクトの成長戦略を22人のキーマンに聞いた

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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中川綾「コレニモ」ディレクターが語る ロンドンで働くこと、生きること

 インターネットやテクノロジーが発達し、仕事やライフスタイルへの意識が変わりゆく中、働き方もまた多様化している。働く場所だって、必ずしも日本というわけではなく海外を拠点に選ぶ人もいる。大切なのは、一度きりの自分の人生をどう生きたいかということ。もちろん自身の揺るぎない意思や目標にたどり着くための努力、自分の考えを表現する語学力などは必要だが、可能性は世界に広がっている。ここでは、ヨーロッパに身を置き、自身のブランドを手掛けているデザイナーをピックアップ。その場所を選んだ理由から、海外をベースにする魅力や難しさまでを聞いた。

 第1回に登場するのは、イギリス・ロンドンでウィメンズウエアブランド「コレニモ(COLENIMO)」を手掛ける中川綾ディレクター。日本のファッション専門学校で学び、アパレル企業でキャリアを積んだ彼女が渡英した理由は、実はファッションデザイナーという仕事から足を洗うためだった……。

-まずファッションデザイナーを志すと決めたのは、いつ頃でしたか?

中川綾「コレニモ」デザイナー(以下、中川):小さい頃から絵を描くのが好きで、ファッションドローイングも好きでした。でも、特にファッションデザイナーになりたいという強い思いはありませんでした。東京モード学園に入学したきっかけも、絵が描ける仕事をしたいと思っていたから。普通のイラストレーターでは潰しがきかないと思い、だったら洋服も好きだったので、ファッションとイラストを両立できるデザイナーかなというざっくりとした感じでしたね。ですが自分のブランドを手掛けるようになって振り返ると、パターンなど一通り全てを学んでよかったと思います。

-そして、卒業後はアパレル企業に就職。ここでもいろんな業務を経験されたそうですが。

中川:在籍していた8年の間に他社と合併して、私の退職時には200人以上の規模になっていたのですが、入社当時は6人体制の小さな会社でした。なので、デザインだけでなくプレスから販売、生産管理までに携わり、その後、一つのブランドを任されていました。そんなさまざまな業務の経験も今、自分のブランドに生かされています。

-会社を辞めて、渡英したきっかけは?

中川:会社面接の時から「いつかは海外に行きたい!」と言っていたみたいなので、もともと海外志向は強かったのかもしれません。旅行も好きでしたし、洋服に携わっているからにはいろんなカルチャーと交わっていきたいという思いもありました。一番のきっかけとなったのは、30歳を前にして、忙しさからデザインすることが好きなのかどうかさえ分からなくなり、流れ作業的で、モノ作りをしている感覚もなくなっていたこと。なので、実はファッションデザインから足を洗うつもりでロンドンに来ました。

-そうだったんですか。では、なぜ「コレニモ」を立ち上げたんですか?

中川:自分のブランドをやりたいという気持ちはそこまで強くありませんでしたがモノ作り自体は好きだったので、レザーアクセサリーのブランドをやろうかなとは考えていました。それで渡英してしばらく経ってから、自分の手で何も生み出していない状態を寂しく感じるようになって小物をデザインし始めたのですが、それほど刺激的に感じなかったんですよね。一方で、ちょうど「ルベックセン ヤマナカ(RUBECKSEN YAMANAKA)」でのインターンが決まり、アトリエで生地にハサミを入れた時、「コレだ!」という思いがこみ上げて来て。どういう形でも布に触る仕事にずっと携わりたいという気持ちがハッキリしました。それから、自分用のシャツやサンプルを作るようになり、6〜7型から「コレニモ」をスタートさせました。

-「コレニモ」という名前の由来とブランドのコンセプトは?

中川:「コレニモ」は、学生の頃から組んでいたバンド名でもあるのですが、「“これにも”足していく」という意味。誰かのクローゼットを想像しながら、そこにすでにあるアイテムにすっと馴染んでいくようなコレクションを作りたいという思いを込めて名付けました。コンセプトは、“タイムレスかつエレガントで上質な服”。母親のクローゼットから娘が「コレニモ」のコートを借りて着てくれるような、シンプルでありながら時代が変わっても色褪せないような服を作っていきたいと考えています。

-キーアイテムはありますか?

中川:1930年代からインスパイアされた“バックワーズ・セーラートップ”というトップスは8年ほどずっと作り続けているのですが、シルク 100%のものは永久定番です(笑)。少量生産ですが、同じ型でビンテージの生地や昔のリバティープリントや、リネンを使って作ったり。シンプルでありながら着るとエレガントなシルエットなので、素材違いで何枚もお持ちの方もいらっしゃいます。

-イギリス製の生地を中心に使い、イギリスで生産されているそうですが、そこにこだわる理由は?

中川:語学学校に通っていた時から、イギリスにいないとできないことをやりたいと考えていました。背景のあるモノづくりをしたいという気持ちも大きいですね。私の場合、デザインの出発点は常に生地。食事に例えるなら、いい食材が手に入ったから、あの料理を作ろうといった感覚です。なので、いい生地が見つからないとコレクション製作が進まないんですよ(笑)。イギリス製の生地は、ただ綺麗なだけではなく、完璧すぎない野暮ったさがある。人の匂いというか温かみを感じられるようなところが好きです。そんなイギリスのさまざまな生地に実際に触れ、その中から気に入ったものを選び、アイテムを作ることができる。それが、ロンドンを拠点にする一番の魅力です。それに、生地屋さんは通い続けているうちに仲良くなって、特別なものをキープしていてくれたり、私が好きそうなものを見つけたら連絡をくれたりします。企業で働いていたときは見えなかったものや築けなかった関係があり、それは自分で飛び込んで行ったからこそできたことだと思います。

-逆にイギリスでモノ作りを行う上で難しいと感じる点はありますか?

中川:いい加減なところでしょうか。仮押さえしていた生地が量産の段階で無くなっていたり、雨漏りで生地がダメになったり(笑)。昔は問い詰めたり怒ったりしていたけれど、相手に逃げ場を作ってあげないとダメだなと思い、今はある程度そんなミスを笑って許せるようになりました。人間だからミスもありますし、そういう関わり方をしていると自分のミスも許してもらえるようにもなりました。

-日本で住んでいた時と比べて、働き方や価値観はどのように変わりましたか?

中川:東京にいる時は、コーヒーを淹れる時間ももったいないと思うほど、効率的に動かないと仕事が回りませんでした。そう考えると、時間を贅沢に使うことに対して罪悪感がなくなったと感じます。そして、モノをとても大切にするようになりました。今はなんでも修理して使っていますが、自分で修理した跡も“個性”や“味”として認められるという、イギリス文化に根付いている古いモノを大切にする感覚があるからこそだと思います。

ショップ兼スタジオをロンドンに

-ロンドンに移られてもう15年が経ちます。中川さんにとってロンドンはどんな場所ですか?

中川:楽しいことは自分で作らなくてはいけない街。 楽しいことやユニークなことを発信していたら、皆が興味を持って寄ってきてくれるような優しい街だと思います。

-キャリアのターニングポイントは?

中川:5年ほど前に、雑誌「キンフォーク(KINFOLK)」の編集長であるネイサン・ウィリアムス(Nathan Williams) からウエアブランド「アウワー(OUUR)」の立ち上げに協力してほしいという依頼を受け、アメリカのポートランドに家族で移住するかもしれないということがありました。結局、夫の就労ビザの発給が難しく実現しなかったのですが、ロンドンからコンサルタントとして2シーズン携わりました。プレゼン力やストーリーの伝え方など学ぶことも多かったですし、何よりも自分がこれまで地道にやってきたことが認められたような気がしてうれしかったです。

-2019-20年秋冬シーズンを最後に、日本でのセールスとPRを約9年間委託していたエージェントから離れることを決めたそうですが、その理由は?

中川:きっかけは、末端のお客さままで見てみたいという気持ちだったかもしれません。セールスエージェントはほかにもクライアントを抱えていますので、コレクションごとのフィードバックはいただけても、なかなか末端のお客さまの声というのは拾いにくいし、タイムロスがあります。そんな中でSNSを通して世界中のお客さまのリアクションがダイレクトに聞ける、見えるということに魅力を感じました。小さい規模だからこそできるサービスや自ら「コレニモ」の魅力を伝える努力は、後々「コレニモ」のためにもなると考えています。

-新たな挑戦ですね。具体的には、今後どのようにブランドを手掛けていこうと考えていますか?

中川:日本での新しい販路は決まっていませんが、当面は自分で売ることになると思います。長く商いをされているお店などの場所をお借りしてコレクションを発表できたら「コレニモ」らしくて素敵だなとも考えています。モノ作りの態勢は今まで通りで変わりませんが、コレクションの型数は少し絞り、もっとその背景が見える、伝えていける方法を模索中です。その一環で、ブランド初のポップアップショップ「クラフテッド マターズ(CRAFTED MATTERS)」をパリで開くことになりました。“手から生み出されるモノ”をテーマにインディペンデントな4ブランドが集まり、アーティストなどが好んで住んでいるパリの北マレ地区にあるブリス・スタジオ(BLISS STUDIO)で9月5〜8日の4日間行います。

-それから、今インタビューを行っているスタジオ兼ショップも近々移転されるんですよね?

中川:ここクレーヴ・ワークショップス(Cleve Workshops)は歴史的にも価値の高い場所なのですが、実は今、再開発の波にさらされています。他のテナントやローカル紙と一緒に訴えてはいるのですが、やはり大きいデベロッパーを相手では時間も労力もかかりそうで……。そんな中、友人のツテで見つけたコロンビアロードの小さなショップが空くことになり、いろいろ悩んだ末にこのチャンスを掴むことにしました。コロンビアロードは、1869年から歴史あるマーケットで知られる通り。20世紀初頭から毎週日曜日にフラワーマーケットが始まり、切り花から鉢植えまで問屋の値段で買えることを強みにイーストロンドンで一番人気のマーケットの一つになりました。そんな古き良き英国の雰囲気が残り、インディペンデントなお店が連なる通りに新しいお店(110A Columbia Road E2 7RG)を構えます。オープンは10月6日の予定で、ブランドの世界観を伝えられるような空間を作っているところです。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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今秋のフレグランストレンドは“スイート”など3つ ブルーベル・ジャパンの展示会から見る

 近年、注目を集めているフレグランス市場。とりわけ昨年は、ローンチしたブランドも多くあったことに加え、ヘアミスト、ハンドクリームなどの選択肢も広がりを見せている。百貨店で毎年開催されている、秋のイベントも盛況という。百貨店を中心販路に、長年にわたってフレグランス市場をけん引する、香水の輸入販売大手のブルーベル・ジャパンは、シーズンごとにトレンドを分析し発表する。2019年秋は3つのキーワードから香りを演出。そのトレンドから見えてくる、“いま”のムードとはどんなものなのか?今秋の新作から探る。

KEYWORD1:ミレニアルズが好む“スイート”

 近年の大きな潮流に、ミレニアルズ、Z世代へのアピールは欠かせない。この世代に支持されているのが、「スイート」だという。甘美なその香りは、まるでスイートのよう。バニラやキャラメル、プラリネなどをキーに置き、甘く、やさしく包み込む。

ミュウ ミュウ(MIU MIU)

 ブランドの象徴、キルティングデザインの「マテラッセ」を想起させるボトルデザイン。今年の2月に発売されたばかりの新シリーズに新たな仲間が限定で加わる。ベルガモットとアップルブロッサムが弾ける序章から、ラストのシダーウッドへ向かう香りはスイートでハッピー。主題のピンクアンバーを効かせたフローラルアンバーに、眩しいほどの笑顔を見る。

グタール(GOUTAL)

 夜の帳が下りかかる、夕暮れどきから夜明けへと移りゆくころ。その、さまざまな表情を見せる夜に着想した新たな香りのシリーズ。「ナイトバード(特別な夜)」コレクションから新作「エトワール ドゥヌ ニュイ(夜の星)」を発表。この上なく柔らかで官能的なパウダリーがミステリアスな女性像を描く。

KEYWORD2:フローラルにフルーツの香りをプラス“ネオ・フルーティ フローラル”

 今春から多く見られるようになり、今シーズンも注目されているという、「ネオ・フルーティフローラル ノート」。フローラル ノートにあるフェミニンで優美な印象に、みずみずしさを与えるフルーツの香りをプラス。

ブルガリ(BVLGARI)

 大人の女性へと成長を遂げる若い女性の姿をみずみずしく表現する、「ローズ ゴルデア」シリーズの新作。大人の女性にある落ち着きや自信、時代を超越するエレガントな魅力を発信する、前作の「ローズ ゴルデア」に続く「ローズ ゴルデア ブロッサム ディライト」は、大胆なまでのポジティブなエネルギーを感じさせる。マスター調香師、アルベルト・モリヤスの愛するバラの香りが、トップからドライダウンまで貫く構成に自由なフレッシュで快活なスピリットを投影。

コーチ(COACH)

 クコの実とグレープフルーツが弾ける、フルーティ フローラル。その生き生きと描くトップノートに芳醇なピオニーが混じり合いながらピーチと共にまろやかに香る一本。ラストの繊細なホワイトウッドと官能的なムスクが力強く響き、柔らかくて深い香りで包む。

KEYWORD3:“ナチュラル ボーダレス”で多様性をフレグランスに

 ビューティやファッションをはじめ、あらゆる分野で注目されている“多様性”。その潮流はフレグランスにも感じられた今シーズン。シーンやライフスタイル、ジェンダーをも選ばずどこまでも自由に選ぶ楽しさ。この新しいフレグランスのトレンドが明るい未来を感じさせてくれる。

クリーン ビューティ コレクティブ(CLEAN BEAUTY COLLECTIVE)

 2003年のブランド誕生以来、清潔感を香りで独自に表現。18年の15周年を機に、ブランド名を「クリーン ビューティ コレクティブ」に刷新。コレクション名も「クリーン クラシック」へとチェンジした。SIMPLE(シンプル)、TRUSTED(信頼)、CONSCIOUS (配慮)の3つを軸にしたブランディングは、サステイナブルなビーガンブランドとしての哲学を反映。清潔感をシンプルに表現する「クリーン クラッシック」と、厳選した香料を用いる「クリーン リザーブ」の2つのコレクションを抱える。ブランドのデビュー時に発表された「クリーン クラシック オリジナル オードパルファム」が今回のリニューアルを機に、パワフルに進化して蘇った。

グッチ(GUCCI)

 ジェンダーレスで、個性を重んじた新作は、ローマンカモミールを主題にこれまでにない新たな提案「ミネラル アロマティック」を展開する。インド産コーラルジャスミンの花びらや、ムスクなどを溶け込ませた滋味深い一本。シダーウッドがふわりとほのかに香る上品なウッディノートの中で甘く広がるバニラ。古代の円柱を想起させる、アレッサンドロ・ミケーレが見つけた、「グッチ」ビンテージのフレグランスボトルに着想を得たデザインで息を呑むほどに美しい。

渡部玲:女性誌編集部と美容専門の編集プロダクションに勤めた後、独立。2004年よりフリーランスの編集者・ライターとして雑誌やウェブなどの媒体を中心に活動。目下、朝晩のシートマスクを美容習慣にして肌状態の改善を目指している

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新鋭のデザイナーや高品質な日本製ブランドなど特設エリアに注目集まる「ファッション ワールド 東京」

 バイヤーたちの商談・受注を目的とした日本最大級のファッション展示会「第10回 国際 ファッション ワールド 東京 秋」が10月2~4日、東京ビッグサイト 南展示棟で開催される。アパレルやバッグ、シューズ、アクセサリーなどあらゆるファッション商材が世界各国から集結する同展はスタート以降拡大を続けており、今回は過去最多となる世界35カ国から1050社が出展。日本国内の気鋭デザイナーズブランドや、高品質なメード・イン・ジャパンにこだわったブランドも多数出展している。同展開催に先駆け、日本の注目ブランドを抜粋して紹介する。

50人の新鋭デザイナーが集結
小ロット発注、
ポップアップ依頼も可

 来場バイヤーの「これからのファッション業界を担うデザイナーと直接出会える場を作ってほしい」という声を受けて創設されたデザイナーゾーンには、計50人のデザイナーが出展。ウエアからアクセサリー、小物など多様なジャンルのブランドがそろう。オーダーメードや小ロットでのオーダーが可能で、ポップアップ企画への参加希望デザイナーも多い。会場にいるデザイナーやクリエイターと直接対面した上で商談できるのが魅力だ。

有力産地から90社が出展
「メード・イン・ジャパン」の
特設ゾーン

 今年は新たに「メード・イン・ジャパンフェア」として、日本の有力産地からブランド90社が出展する特設ゾーンを設置。和歌山のカットソー、琉球藍染デニム、豊岡のバッグ、香川の手袋、播州の織物など、全国各地の素材や技術を用いて作られた高品質なアイテムが一堂に会している。また同エリア新設に伴い、日本の産地発のアイテムが世界で通用するためのヒントを得ることができるセミナーも同時開催する(聴講無料・事前申込制)。

INFORMATION
第10回 国際 ファッション ワールド 東京 秋

日程:10月2〜4日
時間:10:00~17:00
会場:東京ビッグサイト 南展示棟
住所:東京都江東区有明3-11-1
入場料:5000円(下記から申込みできる招待券持参で無料)


問い合わせ先
ファッション ワールド 事務局
03-6746-4938

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クリエイターたちのお仕事変遷 仕事が絶えないあの人の、“こうしてきたから、こうなった” 亀恭子編

 転職はもちろん、本業を持ちながら第二のキャリアを築くパラレルキャリアや副業も一般化し始め、働き方も多様化しています。だからこそ働き方に関する悩みや課題は、就職を控える学生のみならず、社会人になっても人それぞれに持っているはず。

 そこでこの連載では、他業界から転身して活躍するファッション&ビューティ業界人にインタビュー。今に至るまでの道のりやエピソードの中に、これからの働き方へのヒントがある(?)かもしれません。

 第2回目は、数々の女性ファッション誌で活躍するスタイリストの亀恭子氏が登場。1通の応募用紙をきっかけに、航空会社の会社員からスタイリストの道を歩むこととなった亀氏のストーリーを追いました。

WWD:短大卒業後は航空関連の会社へ就職されたのですね。学生時代からの夢だったのですか?

亀恭子(以下、亀):短大に進学する際、「航空会社や旅行会社っていいな」というふんわりとした憧れの気持ちから英語英文科を選びました。その思いのままJAL系列の航空会社に就職し、お客さまのフライトやホテルの手配をする仕事をしていました。

WWD:オフィスは私服でしたか?

亀:そうですね。ファッションに関しては比較的自由な職場でした。へそ出しやビーチサンダルはさずがにNGでしたが。「キャンキャン(CanCam)」や「JJ(ジェイジェイ)」などいわゆる赤文字系の雑誌が扱う、きれいめなファッションが好きでしたね。

WWD:スタイリストになるきっかけは何だったのでしょう。

亀:「キャンキャン」の巻末に付いていたスタッフ応募シートでした。「おしゃれのポリシー」とか「この秋、真っ先に買いたいもの」など、今考えると「ちょっと面倒」って思ってしまいそうなことも喜々として書いていましたね。「興味のある仕事の分野」という項目では、編集とライターアシスタント志望の箇所にチェックを付けました。確か、スタイリストには印は付けていなかったと思います。「スタイリストは体力もいるだろうし、大変そう」という勝手なイメージもありましたし。

しばらくして「読者参加型の企画に協力してもらえませんか?」と編集部から声を掛けてもらうようになりました。撮影現場に何回か足を運ぶようになった頃、のちに私の師匠となる渡辺佳恵さんから「スタイリスト、向いていると思うの。頑張ってみない?」と電話があったんです。渡辺さんはスタイリストではなく、当時「キャンキャン」などで活躍中のフリーライターで、その後ファッションディレクターとして雑誌全体を見る立場の人でした。「社会人を経験し、洋服が好きなあなたが作るスタイリングはきっとリアルで読者の共感を得られるし、説得力があると思う」。戸惑う私の背中をそう言って押してくれました。

実戦でのスタイリストデビュー

WWD:それからどのようにスタイリストとしてデビューを?

亀:いきなりの実戦デビューだったんです。今思うと、ものすごい“ばくち”ですよね。普通に考えれば服飾系の学校卒業者や、すでにスタイリストのアシスタントとして頑張っている若手を起用するかと思います。今でもスタイリストは師弟制度のような下積み時代を経てから独立するのが一般的ですしね。当時(2001年ごろ)の「キャンキャン」は、“エビちゃん・もえちゃんブーム”※1の少し前。メイン読者は大学生と社会人1〜2年目の女の子でした。赤文字系ではその頃「ジェイジェイ(JJ)」が一番売れていて、「キャンキャン」編集部としては新しい風を吹かせたかったのかもしれません。

※1.雑誌「キャンキャン」の専属モデル(当時)であった蛯原友里と押切もえがカリスマ的な人気となり、誌面で2人が着た服は飛ぶように売れ社会現象となった

WWD:会社員からスタイリストへ。大きな決断でしたよね。

亀:そうですね。「社会人3年目に転機を迎える」なんてよく言われますが、まんまと私にも(笑)「環境を変えたい」という気持ちがむくむくと湧き上がってきました。でも、その変えたい気持ちの先が何なのかは見えていませんでした。制度的に何かと守られている会社員を辞め、保証のないフリーランスの道を選ぶことにも大きな不安もありました。何度も迷いましたが、「やらずに後悔するくらいならやってから結論を出したい」——そう強く感じました。こうして、半年間は会社に所属しながら隔月でスタイリストの仕事をするという“二足のわらじ”スタイルでこの道に進むことに決めました。

WWD:最初に手がけたページはどのような内容だったのですか?

亀:2001年の夏の号で、赤色をテーマにした企画でしたね。ブランドへのアポ入れ※2からリース※3の仕方、撮影現場での振る舞いなど、すべて師匠にフォローしてもらいながら行いました。プレスの人からしてみたら「この子、誰?」という感じだったと思います。余裕はなかったけれど、何十体ものコーディネートをそのときは比較的すんなりと組むことができたんです。小泉里子さんや山田優さんなどキラキラとしたモデルたちに囲まれて、「大変だけど、楽しい!」と。高揚感に包まれてその日を終えました。

※2.企画に合う衣装があるかどうかを各ブランドに電話で確認をすること
※3.撮影の数日前から実際にプレスルームを回り必要な衣装を集めること

WWD:無事にデビューを飾ったのですね。

亀:でも、次の撮影から早速挫折。「キャンキャン」では一つの企画で30〜40体とコーディネートを組むわけですが、スタイリングはすべてやり直し。以降の仕事もダメ出しと直しを繰り返して、コーディネートのチェックが終わるのが撮影開始前ギリギリということもありました。心身ともにつらかったけれど「そんな簡単にいくはずないよね」と、どこか冷静な自分がいました。コーディネートが思うように組めないということに加え、人間関係でもつまずきましたね。編集部内でも撮影現場でも、冷たい視線を向けられることもありました。下積みもないポッと出の人がプロとして仕事しているわけですから。ゼロからというより、むしろマイナスからのスタートだと感じていました。このときの経験があるので、撮影現場で肩身の狭そうなアシスタントさんを見ると放っておけなくて、つい絡んじゃいます(笑)。

WWD:つらい環境でもスタイリストとしてやっていきたいと思えたのはなぜでしょうか。

亀:最初の撮影現場で感じた「楽しい」という気持ちが大きかったんです。それをまた味わいたかった。厳しい現場の中でも助けてくれるスタッフの方がたくさんいましたし、友人たちも応援してくれました。衝動的で思い切りのいい性格のように思われがちですが、実は慎重派です(笑)。人知れず悩んで、悩んで、悩み抜いた末、会社に辞表を出しました。「自分で選んだ」というこの経験は、つらいときの“踏ん張り”になっていたと思います。

ピンチ、のち独り立ち

WWD:晴れてスタイリスト一本でいく決意を固めたのですね。

亀:はい。デビューしてからずっと、師匠が編集を手がけるページのスタイリングを私が担当するという状況でした。師匠が仕事を振ってくれているから、私には仕事があったんです。さまざまな現場を経験させてもらいましたが「一人じゃ何もできないな」と感じていました。コーディネートもいつしか読者にではなく、師匠に気に入られるものを意識している自分がいました。そのことに薄々気づいていたけれど、どうすることもできずにいただいた仕事をこなすようになっていました。

こうして、スタイリストとして3年ほど経ったとき最大のピンチが訪れました。師匠とちょっとしたことでもめたことをきっかけに決別することになったんです。当然、私の仕事は文字通りゼロに。「辞めちゃおうかな」——そんな気持ちが何度も頭をよぎりました。でも、少しずつではありますが編集スタッフやお付き合いのあったブランドの方々が声をかけてくれるようになりました。「いただいた仕事を丁寧に全力でやっていくしかない」「どうせ辞めるなら惜しまれて辞めたい」——そう覚悟を決めました。

WWD:大きな転機ですね。

亀:これが本当の独り立ち、ある意味“親離れ”ですね。フリーでやっていくためには、ある程度“その人っぽさ”を売りにしないといけないと思うんです。でもそれまでの私には“らしさ”というものがなかった。組んだコーディネートを師匠に見てもらい、指摘されたことを足したり、引いたり……。結果として、スタイリングは師匠の色に染まっていたと思います。決別することはつらかったけれど、私にとって必要なターニングポイントでした。乗り越えることができて本当によかった——今はそう思えますね。

WWD:それからの仕事スタイルはどのように変わっていったのでしょう。

亀:「キャンキャン」を中心に「アネキャン(AneCan)」※4でもたくさんお仕事をさせてもらいました。どんどん人気者になってゆくモデルたちと雑誌を作る一部でいられたことは大きな喜びでしたし、刺激的でした。同時に、ブランドとのコラボレーションや百貨店のトークイベントなど、お仕事の幅も広がっていきました。

20代後半は毎日のように早朝から深夜まで働いていました。私自身、「20代での苦労は買ってでもしろ!」と思っていた節もあったんですよね。「マイナスからのスタートなんだから、人一倍頑張らなくちゃ!」と自分に言い聞かせていたようにも思います。でも今振り返ってみると、それは山のように仕事があったというよりも、仕事のこなし方や結果の出し方を分かっていなかっただけなんだと思います。

※4.「キャンキャン」の姉妹誌として2007年に創刊。現在は休刊

WWD:そうだったんですね。

亀:実は、29歳の時に体を壊したことがありました。当時はとにかく必死で、仕事はご飯を食べるための“ライスワーク(Rice-Work)”だと思っていました。でも体調を崩したことで、「なぜ働くのか?」ということを立ち止まって考えることができました。それで見つけた答えは「人生を豊かにするための一つのパーツとして、この仕事をずっと続けていきたい」ということ。“ライス”ではなくて、“ライフワーク(Lifework)”だな、と。それまでは、月の仕事の本数が少し減るだけで焦っていました。けれど、仕事はあくまで人生の一部であって全てではない——そう思えたら気持ちがずっと楽になりました。今は子どももいますから、仕事が緩やかな日があれば「息子とたくさん遊べる!」と気持ちを切り替えることができます。「がむしゃらに働く=いい結果」ではないということを、身をもって学べた気がしますね。

WWD:仕事への向き合い方やプライベートの変化がある中でキャリアを重ねてきましたが、ご自身の強みをどのように分析していますか?

亀:師匠からは何度も「亀ちゃんの強みはね、リアリティーよ」と言われました。「モードな世界ももちろん素敵。けれど、『実際にまねしたい!』と読者に思われるようなスタイリストであってほしい」と。モードなお洋服が1〜2歩先ならば、私が提案するスタイリングは半歩先。そのことを意識し続けていたら、それが個性になったのだと思います。リアリティーに飽きてしまって柄や色にハマった時期もありましたけどね。基本的にはミーハーですから(笑)。

WWD:亀さんがスタイリストを始めた頃に比べて、いま求められるスタイリスト像は変わってきていますか?

亀:雑誌がトレンドをけん引していた頃よりも、ファッションも考え方も多様化していますよね。年齢も経験も重ねてきたせいもあるかと思いますが、最近はより「亀さんなら何を選びますか?」といったパーソナルな部分を求められるようになっていると感じています。私の年齢やライフスタイルに近い企画をいただくことも多いですね。

WWD:今後、力を入れたいことはありますか?

亀:実はこれといった夢はないんです。目標を決めてしまうと、それがうまくいかなかったときに焦って空回りしてしまう自分の性格を自覚しています。それよりは、目の前に与えられたことを精一杯頑張ること。たまたまかもしれないけれど、そうしてお仕事に恵まれてきました。その時々にいただく仕事や出会う人が、自分にとって必要なものなんだと思うようにしているんです。私が転職した時代に比べて、最近は働き方も変化に富んでいますよね。今仕事で悩んでいる人は、逆にうらやましいと思っています。悩むということは“選択肢がある”ということですからね。

WWD:日によって変わると思いますが、一日の流れを教えていただけますか?

亀:午前中からリースに回り、夕方に打ち合わせをしコーディネートチェックをする日もあれば、早朝から撮影に出る日も多いです。早朝撮影でなければ6時半に起きます。息子の通う幼稚園は週に2回お弁当の日があるので、その日は6時起床です。昼過ぎに息子を迎えに行き、そこから今度はアフタースクールに送ります。夕方の迎え時間に私が間に合わないときは、義母やシッターさんにお願いをすることもありますね。

物事に順位はつけない

WWD:目まぐるしい毎日だと思いますが、エネルギーの源は何でしょう?

亀:私、物事に順位をつけないタイプなんです。もちろんその時々で優先順位は変わりますが、家族も友達も仕事も同じくらい大切に考えています。どれも諦めたくなくて、同じだけ熱量を注ぎたいんですね。それが私にはちょうどいいバランスなんだと思います。仕事ばかりしていた20代の頃は、仕事がうまくいかないとものすごく落ち込んでいました。それは仕事に100%懸けていたからだと思います。今は子育てもありますし、いい意味で分散できているんだと思います。

WWD:最後に、これからファッションの仕事を始めたいと思っている人へアドバイスをお願いします。

亀:「ファッションはパッション!だよね」と話している友人がいて、「本当にそうだな」と納得したことがあります。韻を踏んでいるから照れ臭いんですけど(笑)。ファッションって、好きという気持ちも含めてエネルギーの必要なジャンルだと思うんです。トレンドの移り変わりも早いですしね。仕事にするなら、洋服を見たときの「オシャレ!」「かわいい!」と感じた自分の心の動きに敏感でないといけない。でも逆に、情熱さえあれば壁にぶつかっても簡単にはへこたれないと思うんです。悩んでいるなら一回飛び込んでみるのはどうでしょう。ちゅうちょしている間にどんどん変化していってしまいますから。スタイリストの仕事に関していうと、「大変だけど、その分楽しいよ!」。そう伝えたいですね。

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大理石の扉が開くとそこには3億円のダイヤが! 改装した伊勢丹ジュエリー売り場が壮大過ぎる

 8月28日に、伊勢丹新宿本店(以下、伊勢丹)のジュエリー売り場が改装オープンしました。伊勢丹のジュエリー売り場と聞くと1階をイメージする方が多いと思いますが、今回改装したのは4階のジュエリー売り場。1階は比較的買いやすいファッションジュエリー(アクセサリー)も多数品ぞろえしているのに対し、4階はガチンコの“宝飾”売り場で、高額ジュエリーが充実しています。新しくなったこの売り場のプレス説明会にお邪魔したところ、純粋に「スゴイ……」と絶句してしまうような仕掛けが盛りだくさんだったので、その驚きを余すところなくお伝えします!

驚きポイント1
 “至宝”が買えてしまう売り場

 百貨店各社では近年、訪日外国人客(インバウンド)と国内富裕層に支えられ、高額品(ラグジュアリーブランドやジュエリー、高級時計など)販売が好調です。一方で、かつて百貨店の屋台骨だった婦人服の売り上げは低迷が続いており、その落ち込みを好調な高額品や化粧品で補う、というのが百貨店業界全体の潮流となっています。単館売り上げ(グループ全体ではなく1店のみでの売り上げ)日本一の伊勢丹もその傾向は同様で、だからこそ、今回のジュエリー売り場改装にかける伊勢丹の意気込みは並々ならぬものがあります。

 プレス発表会では、宝飾担当の市毛奈緒MDが改装の概要を紹介していましたが、その冒頭部分を聞いて私はまずたまげました。「“至宝”から買いやすいアイコン商品まで品ぞろえする」とサラッと話していたのです。アイコン商品というのは「このブランドと言えばコレ」的な、比較的買い求めやすい価格の商品のことを指しているんだと思いますが、気になるのはその前。……“至宝”ですよ?私、14年間ファッション業界紙の記者をしていますが、“至宝”という単語を店頭取材で聞いたのは初めてでした(展覧会の取材などでは聞いたことがあったかもしれませんが)。ジュエリーや高級時計の専門記者ならばもしかしたら聞きなれた言葉かもしれません。しかし、プレス発表会には一般紙の経済部記者も参加していたので、私を含め、皆さん市毛MDの発する「しほう」という言葉が「至宝」だと理解するのにしばらく時間がかかり、会場に一瞬「…四方?…至宝か!」といった間が生まれていました(そのように私は感じた)。

 では一体どんな“至宝”があるのかというと、まず前提として、「1000万円超えのハイジュエリーを多数そろえている」そうです。改装前から4階にあった「カルティエ(CARTIER)」「ショパール(CHOPARD)」「ブシュロン(BOUCHERON)」などと共に、「レポシ(REPOSSI)」「ウェレンドルフ(WELLENDORF)」といったジュエラーを今回新たに売り場に導入していましたが、各ブランドにしっかりハイジュエリーを品ぞろえするよう頼んでいるそう。そう書くと「なんだ、そんなことか」と思われてしまいそうですが、商品点数が世界でも限られている中、高額商品を確保するということは、ジュエラーの本店や他の百貨店との綱引きもあって非常に大変なのです。それを集めてきているというところに、単館売り上げ日本一に裏打ちされる伊勢丹のパワーを感じます。

 しかし、単に1000万円超えの商品というだけでは“至宝”とは呼びづらいですよね。「1000万円なんて、有り余る資産に対してどうってことない金額よ」というような富裕層も少なくないでしょうし、やはり“至宝”というからには、私個人の勝手な基準として「世の中に二つとなく、他の誰も持っていない」級のアイテムであってほしい。そんな商品が果たしてあるのか……!?というわけで、驚きポイント2に続きます。

驚きポイント2
 世界中を飛び回り、富裕層の「欲しい」に応える

 今回の改装では、ジュエリー売り場の入り口そばに、“アテンダントカウンター”というサービスデスクが設置されました。専任スタッフが常駐し、「彼女にプロポーズしたいんだけど、どんな指輪を渡したら喜ぶだろうか」「銀婚式に妻に記念となるジュエリーを贈りたい」といったロマンチックな相談に乗ってくれるそうです。すてきな話ですね。しかし同デスクでは、ロマンチックを飛び越えて「……そ、壮大過ぎる!!」と言いたくなるような相談にも乗ってくれるそうです。

 壮大過ぎる相談に乗ってくれるサービス、その名も“トレジャーハント(宝探し)”です。「某人気海賊漫画か!」と心の中で突っ込みを入れましたが、あの漫画並み、いやそれ以上にスケールは大きい。富裕層が繰り出す突拍子もない「アレが欲しい」に応えて、スタッフが世界を股にかけて要望に沿ったアイテムを探してくるんだそうです。実は、改装前から富裕層の要望に応じて同様のサービスは行っていたそうで、今までどんな要望が寄せられたのかを聞いてみました。個人情報なので詳しくは書けませんが、正直「そんなモノを欲しいと考える人がこの世にいるとは想像したことすらなかった」という内容。あれは確かに、いくらお金があっても、「どこで買えるのか」「誰に頼めば買えるのか」の見当が付かず、手に入れるのが難しいと思います。万人が欲しいと思うようなモノではなかった(と私は思う)ですが、依頼主にとってはまさに世界に二つとない“至宝”でしょう。

 “トレジャーハント”サービスの話を聞いて、「それって百貨店の外商サービスやクレジットカードの富裕層向けサービスでもやっていることだよね」と考える方もいるかもしれません。鋭い。確かに、「アメリカンエクスプレス(AMERICAN EXPRESS)」のブラックカード保持者などには、そういったサービスが提供されているのでしょうが、伊勢丹で驚くべきは、この“トレジャーハント”サービスを外商顧客やハウスカードの優良会員以外にも開放している点。極論、伊勢丹に足を踏み入れるのが初めてのお客さまでも、カウンターに行けば相談に乗ってくれます。もちろん冷やかしはダメですよ。

 百貨店、特に歴史の古い百貨店は、資産家を代々外商営業で囲い込み、一般客からは見えづらいところで富裕層ビジネスを行ってきました。しかし、伊勢丹に来るお金持ちはそういった旧来型の富裕層でなく、「まだリタイアしていない若年の新富裕層」(市毛MD)が多いんだとか。IT長者や人気ユーチューバー、仮装通貨で財を成した“億り人”などが当てはまるんだと思いますが、それもフレッシュなモードの館である伊勢丹を象徴していますよね。新富裕層は旧来型の外商営業にはなじまないので、“トレジャーハント”もそれ以外のアテンドサービスも、外商顧客以外に開放しているそうです。

 “トレジャーハント”はジュエリー売り場にカウンターがありますが、もちろんジュエリー以外も希望すれば探してきてくれます。「こういった内容のパーティーに行くので、それにふさわしいトータルコーディネートをそろえておいて」といった要望も想定しているとのこと。三越伊勢丹は2018年秋に改装オープンした三越日本橋本店を皮切りに、パーソナル接客を強化していますが、それの富裕層版のサービスデスクが4階ジュエリー売り場にある、という認識が正しいのかもしれません。

驚きポイント3
 気分はアラビアンナイト!?
 特別なおもてなしサロン

 “至宝”に関して、いよいよ真打ち登場となるお話がこちらです。今回のジュエリー売り場改装の注目点の一つは、売り場内にクローズドのサロンを設けたことです。「ジュエラーの本店にも入荷がないような、高額過ぎて店頭には出せない数千万円級の商品」(市毛MD)を富裕層に紹介するための特別なおもてなし空間です。

 こちらのサロンは売り場奥にありますが、一見、そこにサロンがあるとは気付かないような作り。読み取り機など何も付いていない大理石の壁に市毛MDがカードキーをさっとかざすと、同じく大理石でできた壁が左右に開きます。もはや気分は「開けゴマ!」のアラビアンナイト。扉の奥には「ミノッティ(MINOTTI)」の大きなソファが置かれたぜいたくな空間が広がり、さらに奥にはバーカウンターまで。壁には「京都の金糸織物(おそらく西陣織)で作った」という壁紙が使われていました。

 サロンに並ぶガラスケースに鎮座していたのは、「グラフ(GRAFF)」のダイヤモンドジュエリー。婚約指輪の憧れブランドとしても有名ですが、もちろん、ここに並ぶのはケタ外れのスペシャル商品です。高級一粒チョコ大(!)のダイヤモンドが付いた指輪やネックレスがうやうやしく並んでおり、その輝きに目がクラクラしましたが、価格を見て今度は頭がクラクラしました。私が確認した中で最も高額だったのは、3億7450万円の指輪。価格表示のゼロが多すぎて、数え間違いかと思ってしまいました。ボツワナ産の1109カラットのダイヤモンドを使っているそうですが、そもそも、そんなカラット数この世に存在するんですね。これぞまさに“至宝”と呼ぶにふさわしい逸品です。

 サロンには常に「グラフ」の商品があるというわけではなく、その時々によって商品は変わるそうです。また、“トレジャーハント”と同様に、要望を伝えればそれに沿ったジュエリーをサロンに集めてきてくれます。そしてこれも“トレジャーハント”と同様、外商顧客ではなくてもこちらのサロンでゆったりと商品を見ることは可能だそうです。もちろん、冷やかしはダメですよ。

モデレートゾーンの商品もあるので富裕層以外もご安心を

 以上が私がプレス発表会で聞いた新ジュエリー売り場の概要です。伊勢丹を含め、百貨店関係者からは「富裕層ビジネスとはこういうものであって、別段珍しい話ではない」という声も出そうですが、庶民代表としては驚きだらけの会見でした。「自分で買えそうな商品が何一つとしてない」なんて思う方も多いかもしれません。私も途中までそう思っていました。しかし、富裕層だけでなく「高感度な若年層も含め、全方位でお客さまを取り込む」(市毛MD)ために、モデレートゾーンのデザイナーズジュエリーも多数集積しているのでご安心ください。私にも買える商品がちゃんとありましたよ。

 話の方向性はやや変わりますが、ジュエリー売り場を訪れる客にはいろんなニーズがあるんだな、面白いなとしみじみと思ったのが、ルース(裸石)のコーナーです。指輪やネックレスなどにセッティングされていない、宝石そのもののことを業界用語でルースと呼ぶんですが、正直、ファッション脳に支配されていると「身に着けられない宝石を買ってどうするの?」と思いますよね。でも、「デザイン価値よりも、資産価値としてルースを求めるお客さま」(市毛MD)が実は少なくないんだそう。そんなお金持ちのために、今回の改装ではルースの集積コーナーを新設していました。同様に、資産として金(マネーでなくゴールド)を求める富裕層のために、金の量り売りコーナーも新設していました。金でできた新幹線の置き物や小判など、ザ・お金持ち的な商品が展示してあり、見るだけでも楽しいのでおすすめです。

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「スパイバーの人類平和は大げさじゃない」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、さまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.3:「『大量廃棄社会』の衝撃」P.5:「世界初、人工タンパク質素材の高機能ウエア完成 ゴールドウインとスパイバーが共同開発」

読み解きポイント「ハロー、人類平和。グッバイ、大量廃棄社会」

ニュースのポイント

 2015年の共同記者会見から4年。ゴールドウインとスパイバーは、人工タンパク質素材を使用した高機能ウエア“ムーン・パーカ”を世界で初めて販売すると発表。従来の合成繊維は石油を原料としていたが、“ブリュード・プロテイン(発酵タンパク質)”素材を使うことでエネルギー消費や環境負荷が圧倒的に少ない生産を可能にした。日本発の“循環型の究極のサステナブル素材”が世界で注目される一方で、国内ではアパレル産業の「大量廃棄」が問題になっている。

Azuはこう読む!

 数年前にスパイバーの存在を知った時は「クモの糸?強そう〜」程度の間抜けな感想しかなかったのですが、アパレルと他業界の間でウロウロしていると、彼らが最終目標に掲げる「人類平和」は、決して大げさなことではないのだと分かってきました。リテール系ITにいるとサステイナブル・エシカルといった言葉とは距離がありそうだと思われますが、購買行動のデザインという面で捉えると、私たちも決して蚊帳の外ではありません。なんなら「常識を変えてやろう!」という気概でやっています。繊維開発であれ、購買行動の革命であれ、企業としての目的の先に「人々の生活をより良くする」という包摂的な還元が必要とされる時代。だから「人類平和」は、ちっとも非現実的な目標ではないと思うのです。

 それなのに(と書き出すとスパイバーの素晴らしいニュースを足掛けにしたようで申し訳ないのですが)、アパレル産業は、目先の利益や体裁のために大量廃棄を続けていて、びっくりするほどかっこ悪い。

 本紙のEDITOR’S VIEWでも問題提起されている「大量廃棄社会」を目の当たりにしたのは、数年前にアパレル商材を扱う物流センターへ見学に行った時でした。そこで聞いたのは「この一角にある衣類は一度消費者の手に渡ってからまた戻ってきて、半数近くは再販されずに焼却処分される」という事実。まだ社会人2年目かそこらでアパレルとファッションに夢を抱いていた私は、やるせなさとシステムに対する怒りのあまり打ちひしがれたのを覚えています。その後「洋服の賞味期限って何?」という文章を書き、その中で「衝動」こそサステイナブルな感情なのだ、と綴りました。今見返すと、衝動で書きすぎてちょっと意味分からないですが(笑)。

 ゴミを出さない、消費の価値観を変えるなど、「脱・大量消費社会」(の先にある人類平和)に対してはそれぞれのアプローチ方法があると思うし、そのためなら「サステイナブル」や「エシカル」をマーケティング、PRツールの一つとして活用しても良いと思います。ただ、「SDGsが〜」と言っている企業が裏で大量廃棄していたとしたら、個人的不買運動に走ってしまうくらい、だいぶ興ざめなのですが。

セレクトショップ最新情報 5大セレクトの成長戦略を22人のキーマンに聞いた

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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ファッション通信簿Vol.29 「2019 MTV VMA」一大ミュージックイベントのレッドカーペットを米「WWD」がめった切り

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第29回は、ニュージャージー州のニューアークで8月26日に開催された「2019 MTVビデオ・ミュージック・アワード(2019 MTV VMAs)」のレッドカーペットから、ロザリア(Rosalia)、テイラー・スウィフト(Taylor Swift)、エイバ・マックス(Ava Max)、リゾ(Lizzo)、ノーマニ(Normani)、リル・ナズ・X(Lil Nas X)、カミラ・カベロ(Camila Cabello)、ショーン・メンデス(Shawn Mendes)が登場。ロザリアがグラマラスな大スターファッションで注目を集める中、スウィフトは想定内のファッションで登場。アメリカの一大ミュージックイベントで彼らに下された評価とは⁈

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8万通り以上のパーソナルスキンケアの資生堂「オプチューン」を編集部が試してみた まずは設定編

 資生堂が同社初のサブスクリプションサービスとしてスキンケアのパーソナライゼーションを実現する「オプチューン(OPTUNE)」を本格スタートさせた。一人一人の肌環境に合わせたケアを専用マシンが提供するIoTスキンケアシステムで、8万通り以上のお手入れアルゴリズムから最適なスキンケアを提供するという、業界的にも画期的なこのサブスクサービス。月額1万円で利用できます。どんなものか体感したいということで、「WWDビューティ」編集部の20、30、40代を代表する記者3人が個人的に申し込み、3カ月間実際に試して肌の状態がどのように変化するかをレポートします。

「オプチューン」の詳細はこちら

男性記者K:メンズコスメや小売りなどの担当記者
女性記者N:国内メーカー担当記者
女性記者M:国内メーカー担当、「WWDビューティ」マネジングエディター

男はつらいよ スキンケアってなんだっけ?(20代男性記者K)

 自宅にベッド以外の家具がないので、床に置くのを避けるべく送られてきた箱を机にして活用中です(笑)。新しい家電を買ったようで簡素な自宅もなんだか少し華やいだ気がします。終電で帰宅して25時過ぎから「オプチューン」の諸設定をスタート、終えて時計を見ると26時に。既にこの時点で肌とメンタルへの負担は相当なものだったように思えます。

 初回設定後、実際にスタートから掛かった時間は約1分。Wi-Fiに接続してアイフォンのアプリを起動して……。僕の普段のスキンケア方法はというと、洗顔後に手元に常備している化粧水を適当に付けるだけ。ものの5秒あればできることを1分とはいえ、こうも手間がかかってしまうと、習慣として取り入れるのは面倒くさがりの僕には少しハードルが高いように感じました。「スキンケアってなんだっけ?」と自問自答しながら「オプチューン」から出るショット(処方)を眺めていました。肌も自分自身では調子が良いと思っていたから、計測してみると予想に反して結果が悪くて一喜一憂したりと、「オプチューン」が生活の中心になりそうです……と、ここまで否定的なことばかりを書き連ねてしまいましたが、改めて考えると携帯のカメラで肌のキメや水分量まで診断ができて、しかも、その時々の結果に基づいて潤いや肌荒れをケアする成分を処方してくれるって凄くないですか?店頭で購入した商品だと、その時の諸症状を元に選ぶのでそうはいきません。この「オプチューン」は毎回、ユーザーの肌のコンディションを判断して処方を提案してくれるので、まさしくパーソナルなスキンケアサービスなわけです。とりあえず3カ月間続けることを当面の目標に頑張ります。

「いざ使用!」までの道のりは遠い 意外と手こずる設定問題(30代女性記者N)

 「オプチューン」との出合いは2017年11月。新発想のIoTスキンケアシステムを、18年の春にβ版のテスト販売を開始するという発表でした。まるで夢物語を聞いているようでしたが、まさか2年後に自身が体験することになるなんて。まずは「ワタシプラス」に登録して申し込み。その後、専用アプリで自身の肌悩みやなりたい肌を打ち込んで肌測定を行います(この肌測定の撮影も難しい。次回に詳しく)。初回設定はキメも水分も整った良好な結果となり、モニター定番の「ひどかった肌がこんなに良くなりました……!」という結末にはなりませんが悪しからず。肌結果を送信し、自身に届く予定のカートリッジが表示されて、やっと「オプチューン」の配送完了です。

 土曜日の正午、「オプチューン」が到着。「箱が、でかい……!」という第一印象。しかし中身は思いのほかコンパクトでした(それでも本体は想像より大きめでしたが)。そして初期設定を開始。機械には強い方だと思っていましたが、意外と手間取る。しっかり説明を読めばその通りできるはずですが、5本のカートリッジを充填する順番があったりWi-Fi接続がスムーズにいかなかったりだいたい30分ほど掛かりました。この先3カ月の体験に一抹の不安を覚えたところで、私の「オプチューン」生活がスタートしました。

スタートから前途多難 先端技術の難しさを痛感(40代女性記者M)

 8月のお盆期間中からスタートする予定で早速セットアップにすることに。まずは専用アプリを携帯電話にダウンロードし、カートリッジをセット。これで使用できると息巻いていたところ……。エラーマークが出ているではないですか。説明書を読むとカートリッジからお試し美容液が出てくるはずがうんともすんともいいません。

 何度かやり直してみたものの、エラーマークが消えることはありません。こうなったらコールセンターに助けを求めるしかないと、連絡してみました。丁寧に対処法を教えてくれるのですが一向に動きません。コールセンターの担当者と30分程悪戦苦闘したものの、その日は使用することを断念。さらに、「オプチューン」に詳しい担当者が夏季休暇で1週間お休みということで、お盆明けに連絡をくれることに。一人出遅れのスタート決定です……。ちなみに使用しないとときは棚のスペースにぴったり収まっています。そこまで“機械”という印象のデザインではないのでインテリアとして溶け込んでいます。

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本社内にカフェやホテルがある街を形成 独眼鏡「マルクスT」のユートピア的働き方改革

 ドイツのアイウエアブランド「マルクスT(MARKUS T)」は、特許素材TMiとチタンを使用した100%ドイツ製ハンドメードによる軽量の眼鏡フレームが有名だが、その会社経営もユニークだ。1988年に同ブランドを設立したマルクス・テミング(Markus Temming)社長は、西部ギュータースローに約9000平方メートルの土地を買収し、19世紀後半に建てられた古いレンガ造りの酒の醸造所を改装したオフィスと工場に加え、ホテル、ドイツ料理のレストラン、銀行、カフェも併設し、本社内に一つの街を形成している。

 「11月にイタリアンスタイルのカフェが開業すれば完成だ」と語るのは約7年ぶりに来日したテミング社長。それぞれの施設の建築や内装もテミング社長がデザインしている。「人が住み、生活し、愛され、24時間人が動く場所にしたいと思った。『マルクスT』の哲学をもとにして統一されたデザインの中で過ごすことにより、ゲストたちにブランド哲学の理解も深まればいい」と話した。ドイツ語で“パジャマ”を意味する「ポルティア(POLTER)」と名付けたホテルは内装のデザインだけでなく経営も同社が手掛け、約100人いる「マルクスT」の従業員の一部の希望者もカスタマーサービスやマーケティングに携わるという。「『マルクスT』は家族的で自由な会社だ。社員がやりたいことをかなえることで、人材を育てたい。新しい働き方を常に模索している」と、ユートピアを築くような企業づくりを目指す。ホテルは12部屋あり、宿泊料は150ユーロ(約1万7000円)から。

 現在、世界60カ国以上で販売されている「マルクスT」の売り上げの約40%を占めるドイツに次いで、約35%のアジアは重要市場だ。「日本は高い品質に対する理解度が高いお客さまが多い。少しずつ着実に成長している」と語った。日本の販売代理店はブリッジ。

 テミング社長は、日本に次いで、台湾、香港、タイを訪問した。

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「“がっかり”を減らした」ら大成功!! “ファースト・ラグジュアリー・ウオッチ”ヒットの理由は?

 コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)傘下の「ボーム&メルシエ(BAUME & MERCIER)」は昨年、ブランド初の自社開発キャリバーを搭載した機械式自動巻き時計“ボーマティック(BAUMATIC)”を発売した。①日常生活に潜む磁気に対する耐性(耐磁性)②120時間のパワーリザーブ③一日±5秒以内の精度④耐久性を兼ね備えながら、⑤スイスメードの機械式時計で30万円台という良心的な価格の時計は、初年度からヒット。正直、他のブランドに比べると知名度は劣るが、全国の百貨店で売れ筋上位に食い込んでいる。

 “ボーマティック”はなぜ生まれたのか?そして今後、どう広めるのか?同ブランドの最高執行責任者(COO)を務めるダニエル・ブレラード(DANIEL BRAILLARD)に聞いた。

WWD:改めてブランド初の自社開発キャリバーを搭載した“ボーマティック”は、どうして誕生したのか?

ダニエル・ブレラード「ボーム&メルシエ」最高執行責任者(以下、ダニエルCOO):私たちは、これまでも、これからも消費者にとっての“ファースト・ラグジュアリー・ウオッチ”ブランド。「ボーム&メルシエ」をきっかけに、素晴らしい時計の世界を楽しんでくれたらと思っている。時計をそれほど知らない消費者には、高級機械式時計の“当たり前”なんて通用しない。例えば携帯電話やバッグの留め金などの磁力が精度に影響を及ぼしたり、3年とか5年に1度はメンテナンスが必要で費用は決して安くないことを知ると、購入に二の足を踏んだり、時には「せっかく高い時計を買ったのに」と落胆することもあるだろう。5年前に“ボーマティック”の開発に着手したのは、そんな“がっかり”を減らしたかったから。初めての自社開発キャリバーでは、性能を追求したかった。「これだけの精度」「これだけのパワーリザーブ」と到達すべき目標を定め、「じゃあ、実現のためにキャリバーはどうする?」という話し合いをスタートした時、「パーツを自分たちで一つ一つ決めて、それを全て組み込むプロセスを経ないと達成できないね」という結論に達したんだ。

WWD:結果誕生した“ボーマティック”は業界の有識者からの評価が高く、店頭でも順調なスタートを切った印象だ。初年度の成果は?

ダニエルCOO:結果は「ベリー・ハッピー」。特に日本は、時計に対する要求が極めて高い国だがよく売れて、“ボーマティック”への自信を深めることができた。日本と香港、中国は、去年の4月に“ボーマティック”を最初に発売した国だ。買ってくれたのは、本当にさまざまなお客様だ。COSC(スイスの公式クロノメーターの検査機関)による認証を取得していることに価値を見出してくれた時計通の方から、美しい時計を探して“ボーマティック”にたどり着きCOSC認証は背中を押したくらいの方までバラバラだった。

直接見せず直感的に訴える 「ボーム&メルシエ」のショートムービー4連発

WWD:時計の発表に際して作ったショートムービーは、簡潔で、キュートで、時計通じゃなくても見てしまう内容だった。重厚な音楽にのせてムーブメントや文字盤、外装のアップを見せるありがち”な映像ではなく、数本のムービーを作った理由は?

ダニエルCOO:“ボーマティック”の利点を、テクニックやイノベーションを忘れ“ファニー”に伝えたかった。テクニックやプロセス、素材を語るのは、もはや“スペシャリスト”の視点。“ファースト・ラグジュアリー・ウオッチ”であるべき“ボーマティック”にふさわしいアプローチだと思えなかったんだ。「消費者にとっての“ボーマティック”って、何?」と考えると、その答えは「扱いやすいのに素敵な時計」。5日間のパワーリザーブやシリコン製のひげゼンマイなどを理解していただくことは、必ずしもマストではない。もちろん、興味があればしっかり説明するけどね(笑)。

WWD:今後の戦略は?

ダニエルCOO:“ボーマティック”は、私たちにとって大事な価値あるムーブメントだ。少しずつ搭載する商品を拡充したい。手始めにパーペチュアルカレンダー搭載モデルを発売したところ。他のファンクションを搭載したモデルにも、順次“ボーマティック”を使うつもりだ。

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「離職率は3%台」驚異の低さを誇るビームスで気になるのは? ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.6〜「セレクトショップの次世代を担うキーマンに成長戦略を聞く」

読み解きポイント:個性を生かすタレント事務所

<ニュースのポイント>

 課題が山積みのファッション業界の中で、セレクトショップの業績は好調だ。ビームス、ベイクルーズはすでに創業40年を超え、従業員も数千人単位で大企業化している。ITを活用した新たな購買体験、リアル店舗のあり方、組織再編などの課題に直面する中、次世代を担う各社のキーパーソンへ、自社の強み、新たな成長戦略などを聞いてみた。

<CKRはこう読む!>

 「3%台」。ここ数年のビームスの離職率です。厚生労働省が発表する、卸売業、小売業の離職率「14.5%(平成29年度)」、就職3年以内の離職率が40%前後であることを考えると、かなり低い水準であることが分かります。

 今回は、「セレクトショップの離職率は、なぜ低いのか?」という視点で、記事を考察してみたいと思います。

 ユナイテッドアローズの松崎善則氏、木村竜哉氏は共に、アルバイトとして入社し、正社員となり、現在取締役を務めています。両氏ともワクワクしながらセレクトショップの門を叩き、販売員としての実績を積み重ね、スタートアップ的なムードが残る中、この20年新しい事業開発を続けてきました。だからこそ、今いる社員にも、熱量を持って個性を発揮して欲しい、そのための環境を用意したいという想いが、強く伝わってきます。

 現在、セレクトショップは事業部制を引く大企業となり、ノリでなく制度として、一人一人の個性を引き出す仕組み作りの必要性に直面しています。

 本記事のインタビューの中にもある通り、各社「ジョブローテーション」「販売員向けの特別な給与体系」「副業の容認」といった施策を推進しているところですが、どれもどこかで聞いたことのある話です。

 そんな中、目を引かれたのが「ビームス事務所(仮称)」。個人指名でオファーをいただく社員、タレント事務所に所属していないアーティストなど、人に焦点を当てた、個性・才能を生かすための施策です。

 詳細は明らかにされていませんが、事務所の方針を実現するというトップダウン型ではなく、本人の活動をサポートする、裏方姿勢を軸にした施策です。事務所に所属する人にとっては、「個性発揮が前提のため居心地が良い」「手間のかかることを事務所にアウトソースできる」「本人に箔をつけるスポンサーとして活用できる」といったメリットがありそうです。

 組織が硬直化し、人財育成に悩む企業にとっても、参考となる施策かもしれません。

セレクトショップ最新情報 5大セレクトの成長戦略を22人のキーマンに聞いた

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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編集長は先週何した? 「シュプール」編集部で妄想、おススメのベビーギフト、WEGOでなりきり渡辺直美

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向(むこう)です。朝晩に秋の気配が漂い始めましたね。先週後半からイベントも増えて忙しくなってきました。

8月23日(金)
「シュプール」編集部で妄想談義

 編集者って妄想力が高い人が多いです。話す都度“おもしろい方だな~”と思うのが「シュプール(SPUR)」の五十嵐真奈編集長です。30周年を迎えた「シュプール」を取材に行ったのですが、話は「おしん」やら広島東洋カープやら消費増税やらに広がり止まらず。そんな視野の広さが今のモード誌には絶対必要だし、おもしろくなる秘訣なんだと思います。

 「シュプール」の編集長は代々そういう視点を持っています。おもしろがるのが集英社カルチャーなのかな?エレベーターホールには「シュプール」のポスターと並んで発売を控えた故・西城秀樹さんの写真集のポスターが貼られていました。西城秀樹さんって「エルメス(HERMES)」のスカーフでブラウスを作って衣装にしたり(しかも歌の途中で破く)と、ファッション好きな方だったんですよね。

8月24日(土)
学者・研究者たちとみっちりと

 9月16日号で「モードって何?」という特集を予定しており、いろいろな方に「モードって何?」と聞き回っております。「何その小難しい質問」とちょっと戸惑われながら(笑)。

 今日は京都で朝からみっちり、学者や教授の研究室などをハシゴしました。ファッション研究者はなぜか京都を拠点にされている方が多いのです。この日お会いした水野大二郎さん、蘆田裕史さん、成實弘至さんはいずれも社会学などの角度からファッションを扱っています。土曜日だし朝早いしで眠かったけど行ってよかった!日々のビジネスでは課題を近視眼的にとらえがち。鳥の目で見ることで気がつくことがありますね〜。ホント。

 この日の仕上げは京都国立近代美術館で開催中の「ドレス・コード?--着る人たちのゲーム」展へ。面白かった!最後の部屋で掲げられていた「ファッションは終わりのないゲームである?」という問いに皆さんはどう答えますか?私は終わりのないゲームだと、思います。

8月26日(月)
大井町の裏路地で最高の撮影

 念願叶って村上隆さんのインタビューが実現し、9月16日号で掲載予定です。今日はポートレートを撮りに大井町へ。もう!最高の一枚が撮れました。なぜこのシチュエーションかも含めて特集に乞うご期待です。世界をつかんだ芸術家の言葉、深いですよ。

8月27日(火)
ご意見番、栗野さんは凄いのです

 ユナイテッドアローズの栗野さんは、どんな質問にも具体的かつ前向きに答えてくれるご意見番です。「モードって何?」もうかがいに行きました。答はズバリ「モードは終わった」。うわ〜〜!!うわ〜〜!!ありがとうございます……。

 厳しい言葉ですがそこから未来を照らします。同行した若手記者の深いうなずきがその説得力の高さを物語っていました。

8月28日(水)
ベビーギフトにこれはおススメ

 近藤社長率いるマッシュスタイルラボがサステイナブルに舵をグイッと切りましたよ。この日は新宿に2つのショップをオープン。ニュウマン新宿店には、和紙から生まれた新ブランド「アンダーソン アンダーソン(UNDERSON UNDERSON)」の1号店がオープンしました。和紙繊維は実は超機能的とのことで、ならば見るだけじゃなくて着ないと分からないと思いTシャツを購入しました。触るとふんわりと気持ちよいです。オススメしたいのがベビー服。着ている赤ちゃんも、抱っこするパパママも優しい気持ちになれそう。

 マッシュ王国と表現したくなるほど同社のブランドが数多く展開する新宿ルミネ2の2階では「スナイデル(SNIDEL)」がエコロジー&リサイクル素材を使って内装をリニューアルオープンしました。6枚目の写真に写っている什器のグリーンの素材は蛍光灯を再利用しているそうです。ほかにもブラウン管を再利用した什器や鉛を使っていない鏡、再生原料を50%以上使った床などなど。本気ですね。それに制作時にアイデアを出すのが楽しそう。作り手のポジティブな思考はお客さんにも伝わると思います。

8月28日(水)
WEGOが25周年って信じられる?

 今年9月に創業25周年を迎えるウィゴーが渋谷ストリームでイベントを開催しました。大阪のアメリカ村で創業したそうですが、ちょうどそのころ自分もアメ村でデニムを売ったり、古着を買ったりしていたからなんか勝手に感慨深いです。学園祭みたいなイベントには変わらないストリート感覚があふれていました。

 イベントの背骨となるのは、 “パッションフォー(PASSION FOR)”というメッセージで、FORの後ろにいろいろな言葉が続きます。例えば“PASSION FOR TiK
ToK”(今どき!)というブースがあるなど。渡辺直美さんがプロデュースするブランド「プニュズ(PUNYUS)」の前には“PASSION FOR FOOD”の看板が立っていましたよ!

 スタッフは全員FORの後ろがブランクになった赤いTシャツを着ていました。園田社長のTシャツのブランクがブランクのままだったので「なぜですか?」と尋ねると「書くまでもなく、WEGOだから」と笑顔。失礼しました!「プニュズ(PUNYUS)」の横で渡辺直美さんになれきれる場所があったのでトライしてみました。穴に顔を合わせるのが結構難しい。

8月28日(水)
ケイティ・ヒリヤーとご対面

 「J&M デヴィッドソン(J&M DAVIDSON)」の青山店のリニューアルオープンでクリエイティブ・ディレクターのケイティ・ヒリヤー(Katie Hillier)にご挨拶。お土産にと最初に受け取ったのはガラスのストローで、それを使ってドリンクをいただきました。きれいだしエコだし、良いアイデアですね。

 ケイティ一行はとってもフランクで陽気。クラフトアーティストのジェフリー・ウェスト(Jeffrey West)は自分で作った椅子に腰かけてポーズを取ってくれました。彼が着ていたのは「ディオール(DIOR)」で、突っ込むと「キム・ジョーンズ(Kim Jones)は友達だからね」と返ってきました。ロンドンのクリエイターたちのコミュニティーってなんかいいです。帰り際、店を出る一行が振り返りお店のスタッフの集合写真を撮っている様子にもほっこりしました。

8月28日(水)
伊勢丹新宿で靴&ジュエリーの
改装見物

 ベッドから這い出しメイクもそこそこに、朝8:45スタートのプレスプレビューに参加するため伊勢丹新宿本店へ。2階の婦人靴と4階のジュエリーの売り場が改装オープンしました。ジュエリーは「レポシ(REPOSSI)」の導入が個人的にも嬉しいニュース。簡単に言えば、ジュエリー界のフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)みたいな位置付けかな?シンプルで存在感がありモダンです。

 それから、ゴールド×白のゴージャスな扉の向こうに広がる上顧客向けのサロンスペースがすごかった!ここはホテルなの?!写真をぜひご覧ください。

 伊勢丹の靴売り場のコンセプトや品そろえには時代が反映されるから注目しています。今回は、サイズ計測のサービスが充実していました。靴の買い物ってこの先、自分の足に合う靴を探しに行くというより、自分の足に合わせて靴が向こうからやってくるイメージになりそう。「クリスチャン・ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)」の5.5センチヒールの登場もニュースです。

8月29日(木)
今週一、報道陣を本気にさせた会見

 見てください。記者会見での報道陣のカメラの向け方、腕の伸ばしっぷりを。檀上の方たちへの注目の高さが表れています。檀上の方たち、光っちゃっていますが手前が渡辺貴生ゴールドウイン副社長で奥が関山和秀スパイバー取締役兼代表執行役。そして真ん中の白いダウンが話題の “ムーン・パーカ”です。人工タンパク質を原料にしていると聞いても“何のこっちゃ??”だと思います。この一着がどれほど画期的かは、ぜひ記事リンクから見てください。

 サステイナブルの取材でいつも思うのは「いいこと」である以上に「ワクワクすること」だ、ということ。科学や化学や技術の進歩・進化が新しい価値を生み出すことは夢があるからです。この会場にもそんなワクワク感があったし、だから記者たちの熱量も高かったのだと思います。

8月29日(木)
三井不動産の社長会見で見た
日本橋の未来

 この写真の絵は20年後の日本橋の姿だそうです。2004年から日本橋の再開発を進めている三井不動産が会見を行い、菰田正信社長が現状報告と次なるステージを発表しました。来年着工する首都高の地下化を経て、今は高架下である日本橋川(という名前であることを初めて知りました)沿いを江戸時代にそうであったように活気ある交流の場と変えたい、と。昭和から平成にかけての価値観「もっと大きく、もっと上へ、壊してでも新しく」ではなく、「その土地が本来持っている強さと魅力を最大限に生かす」という考え方に賛成です。壮大な話ですが、街づくりはこうやって長い時間をかけて行うものなんですよね。

8月29日(木)
最新号「セレクトショップ特集」
校了と本日のおやつ

 9月2日号の特集は「セレクトショップの最新事情」です。先月のこの日記にも登場いただいた5社のネクストリーダー22人を通じて、各社の戦略を紹介しています。で、写真を拡大して見ていただきたいのが担当者が執念で作りあげたこの表紙です。この中にきっとあなたの知っている人もいるはずです。少なくとも5人は(笑)。

 本日のおやつは、「スナイデル」のオープニングでお土産にいただいたHIGASHIYAの最中です。ごちそうさまでした!

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LVMH傘下のジュエラー「フレッド」がグレース・ケリーも愛したコレクションを復活

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)傘下で1936年にパリで創業したジュエラー「フレッド(FRED)」が、伊勢丹新宿本店本館1階のザ・ステージでポップアップイベント「レ エスカール」を開催中だ。目玉は、グレース・ケリー(Grace Kelly)モナコ公国公妃も愛した“オンブル フェリーヌ(OMBRE FELINE)”の復活と、その日本における先行発売だ。創業者フレッド・サミュエル(Fred Samuel)の孫で、今回来日したフレッドの副社長兼アーティスティック・ディレクターのヴァレリー・サミュエル(Valerie Samuel)に“オンブル フェリーヌ”やブランド哲学について聞いた。

WWD:今回のポップアップを通じて日本のファンに伝えたいことは?

ヴァレリー・サミュエル=フレッド副社長兼アーティスティック・ディレクター(以下、サミュエル):イベントには2つのメッセージを込めた。まず第一に、日本先行発売するリニューアルコレクションの“オンブル フェリーヌ”を見てほしいこと。次に、パリを拠点に活躍するインテリアデザイナーのヴァンサン・ダレ(Vincent Darre)がプロデュースした“レ エスカール(寄港地)”の世界観を感じてほしいということ。この動画には私も出演しているが、こんな風に楽しく「フレッド」にタッチしてほしい。

WWD:“オンブル フェリーヌ”について教えてほしい。

サミュエル:1960年代に発売したコレクションを復刻した。ヒョウの前足をモチーフしたアイコニックなもので、10ピースで構成される。今年2月に新たな旗艦店がモナコ公国にオープンしたのだが、同国との絆に敬意を込めてリローンチした。

WWD:モナコ公国と“オンブル フェリーヌ”の関係は?

サミュエル:1976年、モナコ公国に初めてブティックをオープンした際、グレース公妃が主賓としてテープカットを行った。その際、彼女の指に輝いていたのが“オンブル フェリーヌ”のリングだった。

WWD:「フレッド」のアイコンといえば“フォース10”であり、同コレクションはカスタマイズに力を入れてきた。“オンブル フェリーヌ”もカスタマイズを行う?

サミュエル:2つのコレクションはまったく異なるもの。だから、それは考えていない。

WWD:“フォース10”のストーリーについて、あらためて聞きたい。

サミュエル:祖父は28歳で「フレッド」をスタートさせた。彼は根っからのスポーツマンで、それは父にも引き継がれた。父はマリンスポーツを愛し、62年にはヨットで欧州チャンピオンにもなった。父がヨットのステンレススチール製のケーブルと金の留め金で作ったブレスレットこそ“フォース10”の原型で、母へのプレゼントだった。世界に一つだけのブレスレットを着けた母のもとに、皆が「それは何?」「私もほしい」と詰め掛けた。これが商品化のきっかけとなった。母は今でも父の手作りのブレスレットを大切にしている。

WWD:他のジュエラーにはない「フレッド」の一番の強みとは?

サミュエル:祖父の哲学を引き継ぐ先見の明、クリエーションの大胆さ、モダニティー(現代性)だ。1930年代には「ミキモト(MIKIMOTO)」の養殖パールを取り入れたし、ヨットのケーブルとゴールドを組み合わせるアイデアは大胆そのもの。そして、われわれは常に時流と共にあることを強く意識して、生きる喜びと開放的な魅力をファンに届けたいと考えている。

WWD:現代においては、“フォース10”のインターチェンジブルシステムにそれが見られる。

サミュエル:ありがとう。2013年から導入している。カジュアルからシック、朝から夜まで自由に着せ替えができる。さらに17年からは、デジタル技術を使ったセミオーダーサービス“アトリエ フレッド”をスタートさせた。「フレッド」は今なお進化している。

WWD:日本のファンをどう見ている?

サミュエル:他国に比べて男性客が多いのが特徴だ。これはブランドの哲学がしっかり理解されている証拠だし、日本男性のファッション感度の高さを示すものだと思う。「フレッド」は90年代に、銀座に路面店をオープンした最初のラグジュアリーブランドだ。そこにも日本市場に対する重要性が表れているだろう。現在は日本に13の直営店を持つ。

■LES ESCALES
日程:8月28日〜9月3日
場所:伊勢丹新宿本店本館1階 ザ・ステージ
住所:東京都新宿区新宿3-14-1

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北欧で見つけた“売れる”ブランド バイヤーやインフルエンサーからも高評価

 2020年春夏シーズンのコペンハーゲン・ファッション・ウイーク(以下、CFW)が8月6〜9日に開催された。今季はストックホルム・ファッション・ウイークとオスロ・ランウエイが開催中止とあって、多くの北欧ブランドがCFWに参加する流れとなった。5月に来日した「セシル バンセン(CECILIE BAHNSEN)」やインフルエンサーからの支持が高い「ガンニ(GANNI)」など、デンマークを代表するブランドは世界的にも注目度が高まっている。彼らに続くアップカミングな北欧ブランドを発掘すべく51ブランドのショーやプレゼンテーションをチェックし、スウェーデン発の「ロジャー(RODEBJER)」と「リトル リフナー(LITTLE LIFFNER)」に目が留まった。

RODEBJER 安心と共感を与える心地よさ

 CFWに参加して4シーズン目となるウィメンズブランド「ロジャー」は、インフルエンサーから特に高い評価を受けた。創始者のカリン・ロジャー(Carin Rodebjer)はスウェーデンで生まれ育ち、ニューヨーク州立ファッション工科大学(Fashion Institute of Technology)を卒業して1999年にアメリカで同ブランドを始動した。スウェーデンで数々のファッションアワードを獲得し、現在はストックホルムとオスロに1店舗ずつ旗艦店を構えるほか、北欧の主要な百貨店など約20アカウントで販売する。

 「ロジャー」は既存の社会的規範にとらわれず自由に生きていきたいと願う女性に向けて、リラックスしたラグジュアリーウエアを提案する。モダンとクラシックを融合した洗練されたデザインで、日常の気分を高めてくれるような服をそろえる。今季は特に、体を締め付けないゆとりのあるサイズ感と、肌触りのいい素材にこだわったという。モロッコ・マラケシュの都市から着想を得て、ザクロやジャスミン、イチジクの葉など、アラビアの庭園に咲くボタニカル柄をプリントした。風に舞うドレーピングと地面にまでつく長いフリンジがなめらかに揺れて、リラックスムードを漂わせていた。価格帯はトップス250ユーロ(約3万円)〜、アウター700ユーロ(約8万4000円)〜。ショーを見たインフルエンサーのステファニー・ブルーク(Stephanie Broek)は、「ポップな色彩に満ちたブランドが多いCFWにおいて、タイムレスで落ち着いた『ロジャー』のコレクションは親しみが感じられた。価格帯も含め、実用性にも長けている」とコメントする。

LITTLE LIFFNER 働く女性のニーズに応える有望株

 今シーズンがCFW初参加の「リトル リフナー」は、次なる“IT”バッグを生み出しそうな有望株だ。CFWに参加した業界関係者のほか、街中でも同ブランドのバッグを持つ女性を頻繁に見かけた。すでに日本でも高島屋やトゥモローランド(TOMORROWLAND)、ラカグ(LA KAGU)など8アカウントで取り扱われている。

 ブランドを立ち上げたのは、雑誌編集者としてキャリアを積んだスウェーデン出身のポリーヌ・リフナー (Pauline Liffner)。北欧のシンプリシティーとイタリアの職人技を組み合わせ、機能性を重視したバッグを作ることに専念したという。ブランドのシグネチャーは、曲線美を生かしたミニマルなデザインだ。2012年にデビューして間もなく、ユークス ネッタポルテ(YOOX NET-A-PORTER)をはじめとするECサイトを中心に世界中にアカウントを増やしていった。CFWでのプレゼンテーションを見たプランタン百貨店のレオ・バード(Leo Bird)=ウィメンズバイヤーは「南フランス時代のアンリ・マティス(Henri Matisse)から着想を得たというコレクションは『ジャックムス(JACQUEMUS)』のようなフレッシュなカラーで、高品質なレザー製品がそろっていた。1シーズンしか見ていないけれど、デザイナーはいいストーリーテラーだと思う」とコメントした。スタイリストでインフルエンサーのデボラ・ローザ(Debora Rosa)は、自身で購入したという同ブランドのバッグを持ってプレゼンテーション会場に現れた。「リフナー自身にキャリアウーマンとしての経験があるからか、現代の働く女性が必要とするバッグのサイズ感や重さ、デザインなどを理解してくれている。『そうそう、こういうバッグが欲しかったの!』と、思わず声を上げたくなるようなバッグが多い。デザインがよく高機能なので出番が多く、私の周りではリピーター率も高い」とブランドに心酔している様子だった。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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ロン・ハーマンが明かす 事業の継承とこれから

 ロサンゼルス・メルローズ発のスペシャリティーストア、ロンハーマン(RON HERMAN)が日本に上陸して10年が経った。日本1号店の千駄ヶ谷店は8月29日、オープン10周年を記念したパーティーを開催。創業者であるロン・ハーマン氏も祝福に駆けつけた。米国事業をサザビーリーグに譲渡するという大きな決断を今年2月に下した同氏に、その経緯と今後の活動について聞いた。

WWD:今回の来日の目的は?

ロン・ハーマン(以下、ロン):2009年8月にオープンした日本1号店の10周年を祝いに来た。それからコウキ(三根弘毅サザビーリーグリトルリーグカンパニープレジデント)と彼のチームに会うためでもある。約2年ぶりの来日だ。

WWD:おめでとう。10周年を迎えた今年、サザビーリーグに商標と事業を売却したが、どのように決断したのか。

ロン:“売却”という言葉は使いたくないんだ。確かにテクニカルには商標と事業を売却したが、そうしたつもりはなくて、コウキは私たちにとって自然な後継者なんだ。1976年からずっと家族経営をしてきたが、この10年私と妻のキャロルはコウキと彼のチームを家族のように感じてきた。そして近年、日本の家族である彼らにビジネスを引き継ぎたいと考えるようになっていた。彼らは若く、そして経験も豊富だ。これは自然な流れだった。だから私とキャロルにとっては家族経営を続けている感覚だし、“拡大家族”という感じなんだ。

WWD:アメリカに後継者は現れなかった?

ロン:強調して言うが、他の会社に引き継ぐことはありえなかった。多くの企業を知っているが、ロンハーマンの原点とDNAを理解し継承できる会社は他にないし、今回の引き継ぎも対会社というよりは、本当にロンハーマンを愛してくれる人々の集まりに対して行なったという意識なんだ。

WWD:では、今後はどのようにロンハーマンに関わるのか。

ロン:“移行”に携わる。日本ではDNAを説明し、米国のショップ運営に携わる日本の人々に米国ならではの小売りについて指南している。カルチャーも顧客も顧客の期待も日本とはずいぶん異なる。スタッフも異なる。学ぶべきことたくさんがあり、学ぶには時間がかかる。そこで私にできることは何でもやるよ。43年の経験を伝授したいし、去るつもりはない。まだまだ“ロンハーマン”でいるよ(笑)。4人の娘のうち2人もショップで働いているが、ロンハーマンには強い愛着を持っている。コウキが継承してくれて本当にうれしいんだ。

WWD:娘たちは継承したがらなかった?

ロン:だいぶハードワークだからね(苦笑)。

スペシャリティーストアの可能性

WWD:バーニーズ ニューヨークが破綻したり、フレッド シーガルが過半数株式を売却したりと、EC全盛の今、米国のスペシャリティーストアが難しい局面にあるように感じるが、どのように見ている?

ロン:バーニーズはスペシャリティーストアとうたってはいるが、実際はデパートメントストアだ。実際、スペシャリティーストアは極めて好調だ。

WWD:例えば?

ロン:まずロンハーマンだ。

WWD:はい。

ロン:それからダラスのフォーティファイブ・テン(FORTY FIVE TEN)やオースティンのバイジョージ(BY GEORGE)、シアトルのマリオス(MARIOS)など、成功している店はたくさんある。ターゲット層が明確で、顧客とのつながりが非常に強いのが特徴だ。日本のロンハーマンも当てはまる。アマゾンやアリババがどれだけ多くの人にリーチしているかは知らないが、彼らは売り方が違う。ECは買い物のための情報源でしかない。消費者はひたすら比較して買う。われわれとは全く違うビジネスモデルだ。スペシャリティーストアは人々との関係によって成り立っている。顧客との関係、スタッフとの関係だ。だからこそ10周年のパーティーにはものすごく多くの人が祝いに来てくれる。顧客は私たちのテイストを愛し、信頼してくれる。こうした関係性を築けてこそスペシャリティーストアだし、他のビジネスが興ることで、われわれの個性はより際立つことになる。だから、今とても商機に富んでいると思っているよ。日本のビジネスに注力しながら、米国での商機をうかがっているところだ。

WWD:この先のロンハーマンについてのビジョンは?たとえば20年後は?

ロン:“時代に合う(relevant)”ことが大事だ。20年後であっても、ロンハーマンがそうあってほしい。これまでもスペシャリティーストアは常にたくさんオープンしている。「グッチ(GUCCI)」のニューヨークのショップもマックスフィールド(MAXFIELD)、シュプリーム(SUPREME)、キス(KITH)も素晴らしい店で、スペシャリティーストアと呼ぶにふさわしく成功している。「アップル(APPLE)」なんてまさにそうだ。だからスペシャリティーストアが不調だなんて思わないし、小売りにおいて明るい話は多数ある。もっとポジティブな局面に注目すべきだ。10周年に何千人もの人が祝いに来てくれる。10年前は数百人だった。20年後には数万人になって、スタジアムで盛り上がれるかもしれない。メディアにもぜひポジティブに伝えてもらいたい。生き残っていくためにはクリエイティブでスマート、思いやりがなければならない。コウキは全て兼ね備えている。

WWD:つまり三根氏と出会ったことが、日本で成功できた最大の要因ということか。

ロン:最初に会った時に分かった。頭で考え、腹で感じて、心で決めたんだ。心で決めることが大事だ。そして一度決めたらとことん信じること。全てを預けきることだ。海外企業が日本で成功できないのは条件で決めるからだ。ベストな取引でなく、ベストな人で決めるべきだ。

WWD:10年間、全く三根氏について疑うことがなかった?

ロン:なかった――というか43年間妻を疑ったこともなかったよ(笑)。私は決めたら疑わないんだ。ロンハーマンはトレンドではない。強いフィロソフィーと人との関係性がビジネスを支えているんだ。

三根氏のインタビューも含めた記事は「WWDジャパン」9月2日号に掲載。

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化粧品はAIなどデジタルの体験型で売上げ拡大 2019年春夏、百貨店で売れたものVol.5

 「WWDビューティ」8月29日号は、“百貨店で売れたもの”特集です。全国45社の百貨店へのアンケート調査&有力店、さらには好調メーカーへの直接取材によって、2019年上半期の売れたものを浮き上がらせました。詳細は本紙や定期購読特典(単独販売もしています)の「ビジネスリポート」に掲載していますが、ウェブでは担当記者による取材こぼれ話を座談会形式でお送りします。座談会最後を飾る第5回は、ビューティ編。これまで「ビジネス別冊」として発行していたアンケートを、「WWDジャパン」の「ビジネスリポート」に統合。好調ビューティは今季も順調だったのか。現状について語ってもらいました。

座談会参加者
中村慶二郎:「WWDビューティ」創刊時から編集部に所属するベテラン記者。「ビジネスリポート」(旧「ビジネス別冊」)では、主に百貨店バイヤーにインタビューを行ってきた。
中出若菜:国内メーカー担当記者。「ビジネスリポート」(旧「ビジネス別冊」) では、ビジネス担当として、百貨店バイヤーからメーカー担当者までを取材。
福崎明子:座談会取りまとめ担当デジタルデスク

福崎:3カ月に1度、購読者特典として発行してきた「ビジネス別冊」が、今回から、「WWDジャパン」の「ビジネスリポート」と統合し、半期に1度になりました。百貨店バイヤー、メーカーの反応はいかがでしたか?

中出:「ビジネス別冊」は、主要百貨店の商況に加え、好調メーカーの取材記事や商品も掲載していました。なので、「ちょっと残念」という声も聞きました。加えて、3カ月に1度から6カ月に1度になり、これまで「3カ月の季節ごとの施策をお伝えすれば良かったけど、半年となると、何をやったか思い出すのが大変」というコメントもあり、ちょっとネガティブなところもありました。

中村:でも、半年の方が話しやすいっていうバイヤーもいましたよ。ほぼ創刊当時から発行しているから、変更は戸惑うところもありますね。これまで3カ月に1度、取材に伺うと「この季節ですね〜」と言われていましたからねえ。

福崎:取材される側じゃなく、読者にとっては化粧品だけじゃなく、百貨店のファッションからジュエリー、時計まで、網羅されている情報はお得だと思います。本題に入りますが、商況について振り返っていかがでしたか?

中出:取材前に、中国の電子商取引法(EC法)の施行でインバウンド需要が減速しているという情報があったので、売り上げに影響しているんじゃないかと思ってアンケートを見てみると、意外にも全体の7割以上の百貨店が前年を越えて着地していました。

福崎:その理由はなんですか?

中出:いわゆる外国人のバイヤーが減ったことで、一般のお客にとっては訪日外国人ツーリスト、日本人共に回遊しやすく、買いやすい環境になって購入につながっているようです。外国人の方も美容感度の高い人が増えて、ゆっくりカウンセリングを受けて購入する、日本人と同じような買い方になってきているというのは、ここ1、2年言われていましたが、それがスキンケアだけでなく、ここへきてメイクアイテムでもそうなっているとか。

全体の売り上げだと、インバウンドに強い国産ブランドが相変わらず大きいですが、伸長率では外資系の方が断然伸びています。一方で、国産スキンケアが苦戦し始めているのが今季の特徴ですね。それはやっぱり、外国人バイヤーがこれまで国産スキンケアを大量に買い占めていたのがなくなったのが原因ですよね。

不動の「スキコン」が3位に陥落

福崎:これまで「ビジネス別冊」「ベストコスメ特集」でお伝えしてきた「百貨店での売り上げランキング」でも明らかに出ていますね。不動の1位だった、アルビオン(ALBION)の「薬用スキンコンディショナー エッセンシャル」が3位に落ちていたのは衝撃でした。

中出:インバウンドの影響ですね……。逆に1位になった資生堂(SHISEIDO)の「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」の化粧下地もインバウンドの好調が影響しているんですが。先ほどお伝えした、スキンケアよりメイクを購入するという傾向を裏付けているかと。

中村:インバウンド効果は、地域別で見ると関東よりも関西の方があります。福岡や東北の方も好調で、地方はまだまだ勢いがある。これは個人のツーリストだし、外国人バイヤーが多かった関東が苦戦しているのも納得。EC法の影響ですよね。

福崎:全体の7割が前年を上回っているとのことですが、実際数字を見ると、ここ数年は前年を割る百貨店はほぼなかったですし、上回っていた数字が2ケタ以上はあたりまえだったかと。それでいえば、3割が減、プラスでも1ケタ台が多い印象です。伸ばした百貨店はどこですか?

中出:ダントツであべのハルカス近鉄本店で、前年同期比40%増です。ここは外国人観光客と若年層が増えているようです。

中村:関空から出るときに一番買いやすい百貨店だから。

好調化粧品フロアの拡張が目立つ

福崎:9月4日に、化粧品フロアをこれまでの1.2倍に拡大リニューアルしますね。今、どの百貨店も化粧品の好調を受けて、売り場を拡大する傾向にあります。あべのハルカス以外でもたくさんありますね。

中出:伊勢丹新宿本店や、阪急うめだ本店、大丸心斎橋店、西武所沢店、ジェイアール京都伊勢丹、丸井今井本店、高島屋新宿店……。あ、改装ではありませんが、東急渋谷スクランブルスクエアの化粧品も充実しています。

中村:改装は昨年から続いていて、そごう横浜店は日本最大級になったんですが、こういった各社の改装は売り場の拡大で、それってどこかの売り場を縮小してだから、やっぱりファッションフロアに侵食していますよね。化粧品が売れているのはもちろんだけど、ファッションが売れてないのも拡大につながっているように思います。

京王百貨店新宿店は昨年、2階に訪日外国人向けコーナーを作って化粧品を2フロアで展開し、さらに7階に美容・理容室がありこの改装がうまくいっています。ビジネスリポートでの数字は、全体で昨年同期比21%増、免税売上高は同35%増。1〜2階になったことで混雑が解消され回遊につながっていると言われます。さらにここの特徴は、ターゲット層の50代をしっかり捉えているところでしょうね。

福崎:なるほどです。そういった外的要因も受け、ブランドではどこが好調ですか?びっくりしたのは「ヘレナ ルビンスタイン(HELENA RUBINSTEIN)」の伸びがすごい。

中出:40代後半〜50代をターゲットにして、しっかりアピールしたところかと。しかも、しっかりバブル世代を“スパークリング ブーマー”と名付けてて。このネーミング、バブル世代の人に響いたんじゃないですかねえ。

中村:今年2月に発売した、「プロディジー CELグロウ」がすごい好調のようですよ。まさにターゲット層に受けた。ターゲット層を絞って、はっきりした旗艦製品があるのが強み。これまで苦戦が続いていたから、この復活はすごいと思います。

福崎:相変わらず、メイクを強化するブランドも好調ですよね。

中村:「セルヴォーク(CELVOKE)」「ローラ メルシエ(LAURA MERCIER)」が若年層に支持されています。買える店が少ないというのもあるかも。どこでも買えるリップよりも、ちょっと希少性がある方がいいというか。インスタ効果もあると思います。インスタにアップしたら「それ何?」「どこで買えるの?」って。

あと、改めて感じたのが「体験型」にフォーカスして、それが奏功しているということですね。高島屋大阪店も9月1日に、「ティーズ ビューティベース」は、ブランドの枠を越えてデジタルコスメ体験ができるというスペースをオープンしましたし。

中出:それですごいのが「SK-Ⅱ」ですよ。AR技術取り入れたポップアップを百貨店で展開しています。それが、その場だけじゃなく、QRコードやチャットボットなどを通して、家でも体験の場を作る。ARを活用した肌測定、アイトラッキング、テスターバーとか。テクノロジーと人を組み合わせてスキンケア体験に注力していくようです。しかも、アイコン製品の「フェイシャルトリートメントエッセンス」の打ち出しで使っているんです。

福崎:これまで、化粧品とテクノロジーといえば、メイクが中心でした。バーチャルで、この色を使ったらどういった雰囲気になるか、という感じでしたが、そのテクノロジーが化粧水などスキンケアにも活用されているんですね。

中村:ブランドを横断して使えるというのも、これまではリップなどカラーアイテムを並べていたんだけど、今はヘアとかお手入れ系も多い印象。数年前まで百貨店に家電が入るというのはありえなかったですけど、「パナソニックビューティプレミアム(PANASONIC BEAUTY PREMIUN)」や「ダイソン(DYSON)」「リファ(REFA)」などが入り出してそのハードルが下がりましたね。最近では、サロンで大人気だった「リュミエリーナ(LUMIELINA)」も百貨店に進出していて。これらが体験に加っているのも面白いと思います。

福崎:ECの台頭がめざましくて、リアルの店舗ではファッションでも「体験」というのがキーワードですが、化粧品の方が一歩進んでますね。あと、SNSの活用も化粧品は上手だという印象です。

中出:SNSでいえば、「RMK」で面白い話を聞きました。ブランドで最近バズったアイテムがあり、なぜ人気になったのか追跡すると、有名インフルエンサーや芸能人からの発信ではなく、美容好きな普通の学生から拡散されていたみたいで。フォロワー数は3ケタの低い数字にも関わらず4万「いいね」くらいついたそうです。誰からどう発信されて広がるか分からないね、という話になりました。

福崎:これまでの“バブル”のような化粧品の売り上げが少し落ち着いてきて、インバウンドも今後は観光客がメインになります。今後はどうなると思いますか?

中村:海外でいえば、インバウンドの業者がいなくなってきて標準化してきています。これまでは、中国のインフルエンサーがアップしてくれて売れちゃったところがある。今後は、観光客がメインになるから戦略的にやらないとダメかもですね。高島屋もウェイボーだけじゃなく、ウィチャットペイにも広告出し始めましたし。当たり前だけど、戦略的な動きが大事だと思います。

中出:世界の政治的なことも関係してきますよね……。香港の暴動や、韓国との政治問題なども影響がないとは言い切れないです。ファッションでも問題になっていましたが、サイトの表記一つでも意識が必要になりますよね。

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「N.ハリウッド」と尾花大輔の19年 ルーツを貫き通すことでにじむ強さ

 LAで古着を買い付けていたことから“ミスターハリウッド”の愛称で親しまれた男が、東京・神宮前に同名の古着店を開いたのは2000年のこと。その2年後に立ち上げた自身のブランドには「N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)」と名付けた。尾花大輔が“ミスターハリウッド”を掲げて、来年20周年を迎える。10年からはコレクション発表の舞台を東京からニューヨークに移し、今ではニューヨーク・メンズ・コレクションで最も長く発表を続けているブランドとなった。18年に東京で行った凱旋ショーでは「N.ハリウッド」と古着をミックスしたスタイルで会場を沸かせ、強い存在感を示したのは記憶に新しいところである。さらに東京オリンピック・パラリンピック開催に先駆けて行われる聖火ランナーのユニホームのデザイン監修を担当するなど、ブランドとしても個人としても活動の幅を広げている。精力的な活動には何か理由があるのではないか--そんな思いから、尾花大輔を訪ねた。

「クリエイティブぶっていた」初期

 「N.ハリウッド」は現在、全国に直営店7店を構え、年間の売り上げも10億円を超える。社員は50人を抱え、日本を代表するメンズブランドの一つに成長したが、原点は東京・神宮前に手作りで開いた小さなショップだった。「店から始まったブランドだから、サービス業のマインドはいまだに抜けていない。コレクションでも独りよがりな服は作らず、自分の経験と新しく体験したことを組み合わせ続けているだけ。自分は学歴があるわけじゃないし、芸術家肌でもないから」と尾花デザイナー。しかし「N.ハリウッド」設立当初からそうだったわけではない。「ブランドを立ち上げてすぐのころは、ファッションデザイナーはシュールであるべきだと勝手に決めつけていた。あえて内向的になってみたり、事務所は朝から晩まで本当は聴きもしないバッハをずっと流したりしていた(笑)」。しかし、渋カジや古着に夢中になってファッションの世界に飛び込んだ尾花デザイナーにとって「クリエイティブぶることは自分らしくない」と、すぐに気がついた。「振り返ってみると、自分は与えられたチャンスを掴んできただけで、ずっと受け身だった。だからクリエイティブって何だろうと冷静に考えて、クリエイティブな人間を目指すことをやめた」。

注目ブランドとしての重圧

 「N.ハリウッド」は02年春夏シーズンの本格デビュー早々から若者を中心に話題となった。注目の東京ブランドとしてメディアでの露出も増えていった。急に注目度が高まったことに戸惑い、重圧を感じながらも、買ってくれる店や着てくれるファンを思い、手探りを続けた。「1回目のコレクションが売れて重圧がかかり、2回目は得意なシンプル路線にかじを切った。3回目でまた硬ければメディアは見てくれない。そういった風に、デザインというよりも気持ちで攻められるかが、毎シーズン自分との闘いだった。年に2回のコレクションに追われるのが嫌な時期もあったが、お客さんが待ってくれているから」。慎重で堅実な姿勢はビジネスにも表れている。「これまで、攻めた商売は一度もしたことがない。出店も全てオファーをいただいたことがきっかけ。今は伊勢丹新宿本店メンズ館にも出店しているが、立ち上げた当時は自分たちでコントロールできる直営店のみでやりたかった。結果的にビジネスのやり方から商品の品質まで、いろいろと教えてもらうきっかけになった」。尾花デザイナーが親しんだ古着は破れやほつれが当たり前で、それらがほかにはない“味”として受け入れられる。しかし百貨店では当然許されない。破れていてはいけない、洗えないといけないなど、百貨店での数多くのルールを学んだことが一つのきっかけとなり、ブランドの物作りが少しずつ安定していったのかもしれない。

 だが取材中に「安定感」という言葉を出すと、尾花デザイナーは少し苦い表情を見せた。なぜなら9年前に発表の場を東京から海外に移した理由の一つも「安定感」という評価を嫌ったからだった。「日本でショーを行っても、『さすがNハリ』『安定のNハリ』という評価ばかりで物足りなかった。もっといろいろな人から厳しい評価も聞きたかった。当時はまだ今ほどSNSは普及していなかったが、いずれSNSなどで世界のどこからでもショーが見られる時代は来るという予感はあったので、日本を離れる決意をした」。その後パリを経て現在でも発表を続けるニューヨークに舞台を移し、卸先も時間をかけて徐々に広がっていった。最近のニューヨーク・メンズ・ファッション・ウイークはバイヤーやメディアが重視せず、ビジネスの場としては厳しいという声もあるが「そうは思わない」と反論する。「最初は幕下のような扱いだったが、今ではニューヨーク・メンズで一番長く出続けているブランドになった。ここ2〜3年はアジア系の売り上げが伸びており、香港や韓国のバイヤーも“日本ブランド”ではなく、“外国ブランド”という感覚で買い付けてくれている。パリや東京など場所に関係なく、一度やると決めたことはやり続ける覚悟がないと成功はない」。

「ファッションは相手を楽しませないと」

 クリエイションでもビジネスでも、尾花デザイナーの決断や行動は大胆ではあるが、目標を達成するためのプロセスは緻密に組み立てる。「海外でのショーといっても、日本でやっていたころと比べて渡航費を含め予算は変わっていない。デザイナーは表現者ではあってもアーティストではないので、物事の方程式とお金の出入りの感覚は必要なこと」。また「N.ハリウッド」のデザイナー以外にも、個人として「無印良品」の“ムジラボ(MUJI Labo)”のデザイン・ディレクターやユナイテッドアローズとの協業などを行なっているが、「専門分野のスペシャリストたちをいかに循環させるかということを第一に考えている。途中でつまずくのが嫌いだから、下準備をするのが大好き。だって、真面目だから」と笑う。

 ブランドや自身の活動の先に、尾花デザイナーは何を見ているのか。「ファッション業界を盛り上げたいという気持ちまでは持っていない」と語るものの、自身の視点でファッション業界の未来を見る。「今、アパレルの循環が危機的状況なのは間違いない。このまま業界が衰退していっては本当に困る。自分に豊かな社会を作ることはできないけど、ファッションを通じて人の感情や表現力を豊かにし、楽しませることはできる。ファッションはただカッコつけるだけじゃなくて、相手を楽しまることを考えないと」。自身やブランドの将来についても大げさな夢は掲げず、慎重だ。「流行は常に変わるものだから、1年半先のことを考えるスタンスは今後も変わらない」。

精力的な活動には強い思いが

 今回の取材で繰り返していた「自分はクリエイティブじゃない」という言葉を素直に口にできるところに、尾花デザイナーと「N.ハリウッド」の強さを見た。自分自身を客観的に見ることができ、今の自分に何ができるかを考え、分析し、少しずつ歩みを進める。当たり前のことのようだが、“かっこいい”を保ちながら続けるのは誰もができることではない。古着、アメカジ、ショップ発という自身のルーツを愚直に貫き続けるからこそクリエイションに尾花大輔という男の生き方がにじみ、共感を生み出しているのだ。精力的な活動にも「全て『N.ハリウッド』のため」と言い切るブレない思いがあり、「ここ3シーズンは自身の体験や旅で得たイメージをコレクションでうまく表現できていて、僕にしかできないものを見せられている」と自信を見せる。尾花デザイナーの活動の幅が広がれば広がるほど、「N.ハリウッド」はこれからもどんどん進化する。

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「ファセッタズム」が選んだ異端の道 王道のパリで際立った存在感

 2019年6月にパリで行った「ファセッタズム(FACETASM)」2020年春夏シーズンのランウエイショーは、いつもと雰囲気が少し違った。ここ数シーズンは中規模の会場でショーを行っていたが、今回は一転して小さなイベントスペース。直前に行われた「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」のショーにはセレブリティーが多数来場する華々しい雰囲気だっただけに、異端のムードはより際立った。集客やスケジュールの問題などネガティブな想像も一瞬頭をよぎったが、そんな心配は無要だとすぐにわかった。施設内から顔を一瞬のぞかせた落合宏理デザイナーが、会場前に観客が大勢集ったカオスな様子を前に少し笑ったのが見えたからだ。予定不調和を楽しんでいるのだと、一気に期待感は膨らんだ。ショーでは「リーバイス(LEVI'S)」や「コカ・コーラ(COCA-COLA)」といったメジャーブランドとのコラボレーションが発表されたが、今シーズンもいつも通り、もしくはそれ以上に独特な力を帯びた「ファセッタズム」を見せた。趣向を変えた発表にはどのような狙いがあったのか。また、メジャーブランドとの協業に至った経緯とは?落合宏理デザイナーは今、変化の時を迎えている。

“服の音”を聞いてほしかった

WWD:ショーのやり方を大きく変えた理由は?

落合宏理「ファセッタズム」デザイナー(以下、落合):とても意味のあることができたと思う。パリでのショーも7回目。シーズンごとに客数も増えていき、相応しい会場を選んで規模は拡大していったけれど、そういう戦い方に意味はあるのか、パワーゲームで勝負するのが「ファセッタズム」なのかを、先シーズンのショーの後に立ち止まって考えていた。だから今回は正反対のことをやりたかった。歩いた時の“服の音”まで聞こえるぐらい近くで見てもらいたかったから、小さい会場を選んだ。

WWD:空間を含め、モデルやスタイリング、ヘアメイクも独特だったが?

落合:今回は演出も自分たちで考え、モデルのキャスティングもパリの友達に頼んだ。モデルの顔を隠すようなヘアメイクにして、男性モデルにワンピースを着せたり、女性モデルにライダースを着せたりし、「ファセッタズム」らしい自由な価値観をあらためて表現したかった。ストリートキャスティングしたモデルたちの個性と僕たちの服が融合したときに醸し出されるパワーは、小さな空間だったからこそ感じてもらえたはず。

WWD:会場から場外をのぞいていたときの笑顔が印象的だった。

落合:ただでさえ会場前の道幅が狭いのに、2日前に急に工事が入ってカオス感が増してしまって(笑)。でもビッグメゾンだけがパリじゃないし、発表する方法はたくさんあるなと感じた。今のパリメンズは参加ブランドも来る人も増えて、規模がどんどん大きくなっているからこそ、ほかと同じことをやっても大きな爪痕は残せない。

米メジャー企業とのサプライズコラボ

WWD:会場では「コカ・コーラ」との、ショーでは「リーバイス」とのコラボレーションをサプライズ発表していたが、それぞれの経緯は?

落合:両社ともにオファーをいただいたことがきっかけ。小さい頃からアメリカのカルチャーやワークスタイルから影響を受けてきた自分にとって、アメリカを代表する企業との立て続けのコラボレーションは光栄であり、不思議な感覚。実際に本社まで行ってアーカイブを見せてもらったのも貴重な経験だった。ブランドを立ち上げて12年になるので、自分たちが培った経験や価値が認められたのかなと、一つの節目を迎えている実感がある。

WWD:「リーバイス」はショーピースとして複数のルックで登場したが、当初からその予定で進めていた?

落合:アイテムが完成したときに決めた。しっかりとした舞台で見せたいと思えたので、パリでのショーで見せるのがベストかなと。「リーバイス」は自分にとって特別なブランドであるけれど、僕自身はオタクではない。だからこそ自由な発想で新しい価値や変化を加えられたし、今回ベースにした代表的アイテムの“501”やトラッカージャケット、ウエスタンシャツの膨大な資料をもとに、「リーバイス」からもステッチの配色などのアドバイスをもらいながら一緒に作ることができた。デザイン作業は2〜3カ月だったけれど、とても楽しかった。

WWD:来場者にコカ・コーラを振る舞うことでコラボを発表するという手法も面白かった。

落合:あれも会場が小さかったからこそできたこと。「コカ・コーラ」とのコレクションは、彼らのワークウエアやストライプの色が好きだったのでそこがベース。そこに資料室で見て学んだ彼らのルーツや考え方を盛り込んでクリエイションに生かした。“It’s the real thing”のスローガンをアイテムにプリントしたのも、その影響。昔の広告からしてすでにダイバーシティーを感じさせるもので、今の時代に重要視されていることをいち早く取り入れていた企業だと知ったことが面白かった。大企業であるだけに簡単なことばかりではなかったし彼らにとってもチャレンジだったはずだが、手厚いサポートで最終的には一緒になって面白がってくれた。

WWD:「コカ・コーラ」のアイテムはパリメンズの後すぐに発売したが、反響は?

落合:パリのレクレルール(L'ECLAIREUR)で開いたポップアップもにぎわっていたし、日本でも伊勢丹新宿本店メンズ館のウインドーをジャックしたり、銀座のザ・コンビニで限定アイテムを作ったりして、国内の感度の高い人から外国人までオールジャンルの客層にアピールできた。誰でも知っている「コカ・コーラ」と、さまざまなジャンルを行き来できる「ファセッタズム」の両方のいいところが出せた。

WWD:両社とのコラボレーションは継続する?

落合:今はまだわからない。まずは「リーバイス」とのアイテムはショーから半年後の発売でまだ時間があるので、どんないい見せ方ができるかを考えていきたい。

今のパリメンズに感じた疑問

WWD:16年のパリメンズデビューから3年経つが、以前と今とで変わったことは?

落合:少し前と違い、今のパリメンズは自分が影響を受けてきた裏原カルチャーの焼き直しが主流だ――ブランドのクリエイションにしても、コラボレーションするアーティストにしても。若い人には新鮮なのかもしれないけれど、内容としては何も新しくない。NIGOさんや高橋盾さんをはじめ、日本の先輩たちがやってきた面白いことを僕たちは目の当たりにしてきたから、同じようなことをそのままやっているような外国人のクリエイションを見ても熱い気持ちには全くなれない。何だか時代が戻っているとさえ感じてしまう。だから僕らやその下の世代が新しい価値を生み出さないといけないし、使命だとも感じている。特に日本の若いブランドは、今のパリメンズの主流とは違う戦い方をした方がいいと思う。

WWD:次のシーズンもパリでショーを行う?

落合:パリでやりたい。何をやるかはまだこれからだが、もっと自由にやるべきだなと。「ファセッタズム」は王道の中で戦ってこそ光るブランドなので、逃げずに勝負を挑みたい。各ブランドの表現方法はさまざまだが、メンズモードの最高の舞台であるパリで表現できることはファッションデザイナーにとって幸せなこと。とはいってもほかの国で、例えば東京で発表することもまた一つの正解だし、世界の国々に表現に挑めるような案件があるので、一つ一つにパワーを発揮できるようにやっていきたい。

WWD:現在のビジネスの状況は?

落合:海外のセールスを委託していたショールームのトゥモロー(TOMORROW)との契約が終了したので、これからは自分たちで開拓していかないといけない。卸先は一時期かなり広げ過ぎてしまったが、今は絞って海外は33アカウントで国内は40アカウント。神宮前の店が周辺エリアの開発で取り壊しになったので、面白い店を近々つくりたいと考えている。

WWD:渋谷の新しい商業施設から出店の誘いが届きそうだが?

落合:僕たちはそういう話題性のあるスポットに真っ直ぐ進まなくても、変わった場所を回りに回って自由にやるのが「ファセッタズム」らしい。たとえ渋谷に出店するとしても、すごく変な場所に出すと思う。みんなと同じことはやりたくないし、面白い場所があれば、雑居ビルでもいい。

WWD:バーサタイルとの資本提携から2年以上経ったが、何か変化は?

落合:クリエイションを信じてくれているパートナーなので、いろいろ助けられている。ビジネスとクリエイションというのは役割が違うし、どこかで切り分けないといけない。それを飛び越えて価値をわかってくれている人たちと一緒に仕事ができているのは本当にありがたい。一緒に世界で戦えてよかったなと思えるパートナーだ。

WWD:そこまで信頼できるパートナーとはなかなか出合えないのでは?

落合:本当に、今はポジティブなことしかない。資本が入ったからクリエイションが甘くなったという言い訳だけは絶対にしたくなかったので、新しいチャレンジに対しては結果にこだわり、信頼関係を築いてきた。ただ、自力で海外に挑戦するデザイナーの美学もすごくかっこいいし、応援したい。そういう覚悟を持ったクリエイションはまた別のかっこよさがあるし、引きつけられるものがある。いずれにせよ、たとえクリエイションで壁にぶち当たってもファッションデザイナーをやっている以上は関わってくれる周りの人を幸せにしたいから、「ファセッタズム」はこれからもチャレンジを続けていく。

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「エルメス」の“ラジオ局”が原宿に出現 聴いて、見て、触れるメンズの世界観を体験してみた

 「エルメス(HERMES)」がメンズの世界観をラジオを通じて表現するイベント「ラジオエルメス」が9月1日から始まります。9月29日までの期間中は、インターネットラジオでファッションからライフスタイルまでさまざまなジャンルの番組が放送されます。そして東京・原宿には、「ラジオエルメス」を体現した誰でも入場無料のラジオステーションがイベント期間中限定で“開局”します。オープン前日に行われたメディア向けの内覧会で、ひと足早く体験してきました。

 エントランスをくぐると、ドレスアップしたオブジェがお出迎え。会場内はレトロフューチャーな空間が広がり、すでに何だかワクワクします!壁にはヴェロニク・ニシャニアン(Veronique Nichanian)=アーティスティック・ディレクターが手掛けた2019-20年秋冬メンズのランウエイショーの映像が大きく映し出され、古いラジオのようなマシーンや実際に公開収録が行われる予定のセットが目に飛び込んできました。収録室にはネオンサインやブランドイニシャルの“H”があしらわれ、スクリーンにはネクタイの柄が映し出されるなど、どれも写真映えする素敵なスペース。誰でも中に入って撮影が可能なので、フォトスポットとしてもぴったりです。

 ひと際強いインパクトだったのが、アートのように山積みされたラジカセです。19-20年秋冬メンズ・コレクションのバッグが昔ながらのラジカセに混ざって飾られており、なかなかの迫力にぼーっと眺めていると……動くんです!ただの飾りではなく、実際に生きているんです。動き出す瞬間はなかなかびっくりするので、ゆっくり眺めるのがオススメ。

 ラジカセの反対側の壁には坂本龍一さんやRADWIMPSの野田洋次郎さん、仏バンドCamp Claudeらの写真がコラージュされています。これらはなんと全て日本で撮影されたのだとか。「エルメス」とアーティスト、そして日本ならではの景色が融合するビジュアルがかっこいい。その隣には、何やらレコードが視聴できそうなラックが設置されています。でもこれただの視聴コーナーではありませんでした!

 レコードカバーが全て「エルメス」のメンズのスカーフの柄になっており、好きな柄を選んで写真のようにセットするだけでランウエイショーで使用されたBGMが再生されるんです。僕はかわいいクマの柄を選んでみましたが、意外にもアップテンポなクール系でした。自分が選んだ柄がどのような音楽を奏でるのか、ぜひお試しあれ。

2階ではさらに驚きの体験が

 2階に上がると、メンズのコレクションで実際に使われた素材で作ったレコードカバーがあり、反対側の壁には何やら羽がついたスニーカーがディスプレーされています。「『ラジオエルメス』を日本から世界に発信しよう!」という意味の羽かなと思いきや……答えは同フロアで体験できるVR映像の中にありました。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、実際に体験してみてください。本当にオススメです。

 坂本龍一さんと三味線演奏家の本條秀慈郎さんによるセッションをVRで体験中の弊紙「WWDジャパン」編集長も、このリアクション。「編集長オーバーすぎ〜」と思ったそこのあなたにこそチャレンジしてほしい。こうなる気持ち、わかりますから。映像の内容は1週間ごとに替わり、野田洋次郎さんやCamp Claudeの臨場感があるライブも見られそうなので毎週来たい!

ディレクションしたYOSHIROTTENさんを直撃

 遊びどころや撮りどころがたくさんありすぎてついつい遊んでしまいましたが、会場でイベントのロゴやラジオステーションなどのアーティスティック・ディレクションを手掛けたYOSHIROTTENさんを発見!あわてて取材モードに切り替え、お話を聞きました。「今回の依頼をいただいてから『エルメス』のショーを見たり、イベントに行ったりしてモノ作りへのこだわりや歴史を深く知ることができたので、それを形にしたかった。創業から受け継がれきたものが未来へと向かっていくイメージで、フューチャリスティックなロゴやデザインを採用した」と語ります。YOSHIROTTENさんは今回の仕事を受ける前までは「30代の自分にとって『エルメス』は高級で緊張感があり、気軽に店に入れないイメージだった」とのことですが、ブランドについて知れば知るほど自身のカルチャーとの接点も見つかり、若者の街である原宿のストリートになじむ世界観を作り上げていけたそう。長い歴史と若い世代の感覚が融合した空間を見ると、納得です。「例えば、公開収録中にパーソナリティーが誰かを呼び、ゲストがこの会場に急遽駆けつけるといったこともあるかもしれない。リアルな場所だからこその体験を楽しんでほしい」とYOSHIROTTENさんは期待します。

 ちなみに、YOSHIROTTENさんは昔、深夜にFMラジオでパンクロックなどを聴いていたそうです。彼と同世代である僕もラジオが好きで、中学・高校生のころはAMラジオで関西の人気番組「ヤングタウン」などを両親に隠れて夜中にこっそり聴いていました。“ハガキ職人”を目指してギャグを書いたハガキを何通も応募し、1通も採用されなかったという苦い過去もあります(笑)。僕がラジオを好きな理由の一つは、耳で声や音楽を聴きながら、その先にいる人や光景を想像する楽しさがあったから。「ラジオエルメス」では、想像の世界を実際に見て、触って、感じることができました。世代を問わず、「エルメス」のメンズに普段あまりなじみがなくても、ブランドに対する想像の答え合わせができる場所です。それが正解でも不正解でも、きっと楽しめるはず。インターネットラジオとラジオステーションの両方を、ぜひ体験してみてください。

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300億円を集めるユニコーン寸前のスパイバー、“ムーン・パーカ”は「衣服革命ののろし」

 8月29日にゴールドウインと共同で、人工タンパク質素材を使った“ムーン・パーカ(MOON PARKA)”を発表したスパイバーは、日の出の勢いのバイオテックベンチャーだ。ゴールドウインの30億円の出資を筆頭に、ベンチャーキャピタルやクールジャパンファンド、繊維メーカー、政府系金融機関などから300億円以上の資金を集め、現在の企業評価額は897億円。日本のスタートアップとしては、異例の企業価値10億ドル(約1050億円)以上の未上場企業ユニコーンに最も近い企業でもある。

 “ムーン・パーカ”は世界で初めて人工タンパク質素材“ブリュード・プロテイン(BREWED PROTEIN)”を原料にした織物を表地に100%使用しているものの、スパイバーは大規模な商業生産をまだ開始しておらず、15万円の“ムーン・パーカ”は50着限定。それでもある大手繊維メーカーの幹部は「人工タンパク質素材は、間違いなく1953年に工業生産を開始したポリエステル以来の革命的な素材。本格的に普及することになれば、衣服の歴史に新しい1ページが加わることになる」と指摘する。

 一体、スパイバーとは何者なのか。人工タンパク質素材は何を変えるのか。スパイバーを率いる関山和秀・取締役代表執行役を直撃した。

 「今日は僕にとってスパイバーを創業してから、一番重要な日です」——スパイバーの関山和秀・取締役代表執行役はこう語り始めた。2015年10月にゴールドウインと共同で、人工合成クモの糸「クモノス」を使った“ムーン・パーカ”を発表してから4年。当初「翌年」としていた発売日は、どんどん遅れ続け、ようやく2019年8月29日の発表にこぎつけた。この日は6月20日に発表していた“ブリュード・プロテイン”を使った250枚限定のカットソーの発送日でもあった。「世界を変えようと、世界平和を実現しようと思って研究を始めて、それがようやく人の手に渡った。いくら自分たちで美味しいと思った作った料理も、食べてもらえなければ意味がない。この4年間、数百人の人たちの手を借りて、ようやく最初の一着をお届けてきた。まさに偉大なる第一歩を踏み出せた」。

 “ムーン・パーカ”は一見すると、これまでのナイロンやポリエステルといった合成繊維素材を使った高機能アウトドアウエアとあまり変わったところはない。アウトドアウエアに求められる透湿防水性やタフネス(強靭性)などの数値は明かさないものの、「ゴールドウインの最高レベルのウエアとほぼ同水準」(ゴールドウイン渡辺貴生副社長)という。ウエアとしての性能が従来の合繊素材と変わらないのであれば、何が画期的なのか。その理由は製法にある。石油を原料にしている合成繊維とは異なり、素材名の“ブリュード・プロテイン(発酵タンパク質)”という名の通り、スパイバーは地球上に豊富に存在するタンパク質を発酵させて糸やプラスチックを生産できるため、従来の石油化学プラントに比べて、著しくエネルギー消費量が少なく環境負荷が小さい。

 また人工タンパク質素材は、クモの糸のような高機能繊維からカシミヤのような超ソフトタッチの繊維、さらには炭素繊維に匹敵する軽量かつ強度の強い構造部材まで、多種多様な素材を遺伝子レベルで合成し、生産できるところにある。

 つまり、ありとあらゆる種類の素材を、石油などの化石燃料を使わずに、しかも非常に環境負荷の小さい形で生産できるのだ。「タンパク質のすごいところは組み合わせが無限大である点。人類がタンパク質を使いこなせるようになると、オプションが飛躍的に広がる。石油という枯渇資源に頼る必要がなくなるし、動物を殺す必要もなくなる」と語る。実際にスパイバーは自動車向けにも、この“ブリュード・プロテイン”素材を使って、炭素繊維複合材料や鉄などと同等、あるいはそれ以上の強度を持つ部材の開発を進めてきた。

 2015年10月から4年。“ムーン・パーカ”の発売こそずれこんだものの、スパイバーはその間、猛烈なスピードで、この人工タンパク質の研究開発を進めてきた。バイオインフォマティクスから遺伝子工学、合成生物学、分子生物学、発酵工学、有機化学、高分子化学、材料工学など幅広い分野にまたがる分野のトップレベルの研究者を、本社のある山形県鶴岡市に呼び集め、遺伝子レベルで合成し、発酵培養させることで、多彩な糸やプラスチックを生産するシステムを確立した。超収縮という従来の人工クモの糸の欠点を解決することになったのもこのシステムによるものだ。「数年前では考えられないスピードで、遺伝子レベルまでさかのぼって糸の物性を設計・検証・生産できるようになっている」。

 こうした生産システムのために取得した特許は出願中のものも含めると8月時点で220に達する。ライバルの米国ボルトスレッズ(BOLT THREADS)社が20数件にとどまっていることを考えると、圧倒的な差をつけている。関山代表はスパイバーについて、発酵プロセスで微生物を例に用いて、こう説明する。「培養している微生物は最初の数匹単位だと、外側からは全く変化が感じられない。それが1匹から2匹に、2匹から4匹に、4匹が16匹に、指数関数的に増えていくので、ある臨界点を超えると、ものすごいスピードで増殖する」。

 関山代表の最終的な目標は、人類平和だ。「これまでの化石燃料をベースにした大量消費社会は、いずれ破綻する。温暖化や食糧難はいずれ大きな問題になり、戦争の原因にもなる。そのパラダイムシフトのために、タンパク質を使いこなすことが人類にとって非常に重要になる」。スパイバーは現在タイで年間500〜600トンを生産できる原料プラントの建設を進めており、2021年の本格稼働を計画している。だが、それでも「目標にしている人類平和のための素材革命という意味では、まだまだ誤差みたいなもの」という。関山代表が目指しているのは、年間450万トンが生産されているナイロン繊維を超えることだ。「本当に世界を変えようと思ったら、スケール(規模)が必要になる。年間500〜600トンだと、ナイロン繊維から見たら誤差みたいなもの。このまま行けばあと20年である一定のスケール(化)はできる。それでも50万〜60万トンレベル。それをさらに10倍、100倍にしようと思ったら、また新しいことが必要になる。もちろん今からそのための準備も始めている」。

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憧れの「ダブレット」デザイナーに22歳新卒記者が一問一答 40の素朴な疑問をぶつけました

 「ダブレット(DOUBLET)」が一躍有名になったのは2018年6月のこと。LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が若手を支援するために創設した「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(以下、LVMHプライズ)」のグランプリに、同ブランドの井野将之デザイナーが選ばれたことがきっかけだ。この歓喜の瞬間をインスタグラムの生中継で見ていたファッション好きの大学生が、今年4月から「WWDジャパン」の新入社員になった。その新卒記者が「好きなデザイナーのことをいろいろ知りたい」という溢れる思いで、「LVMHプライズ」受賞後の変化からプライベートまで、40歳を目前に控えた井野デザイナーにちなんで40の素朴な質問をぶつけた。

新卒記者O(以下、新卒O):よろしくお願いします。

井野将之(以下、井野):何でも聞いてください。

新卒O:初めて自分で買ったデザイナーの洋服は?

井野:「マサキマツシマ(MASAKI MATSUSHIMA)」の前身頃が超ロングで縛ることができる白シャツです。

新卒O:好きな食べ物は?

井野:これ読者に需要あります(笑)?老舗喫茶店で出てくるナポリタンです。

新卒O:よく行く店は?

井野:東京・用賀のもつ焼き屋、芝浦です。

新卒O:一番好きなデザイナーは?

井野:国内なら三原康裕さん。海外ならマルタン・マルジェラ(Martin Margiela)とジェレミー・スコット(Jeremy Scott)。

新卒O:一番好きなドラマは?

井野:野島伸司の「未成年」と、最近はテレビ東京の「サ道」にハマっています。

新卒O:一番好きな男性俳優は?

井野:国内ならいしだ壱成、海外ならエドワート・ノートン(Edward Norton)。

新卒O:一番好きな女性芸能人は?

井野:持田香織。

新卒O:「LVMHプライズ」のグランプリ受賞時、エマ・ストーン(Emma Stone)の横に並んだ感想は?

井野:テンパりすぎて、彼女がVゾーンの深いジャケットを着ていたことぐらいしか覚えていません。

新卒O:一番好きな映画監督は?

井野:デビッド・フィンチャー(David Fincher)。

新卒O:一番好きな漫画は?

井野:「ジョジョの奇妙な冒険」……これ、本当に大丈夫ですか(笑)?

新卒O:大丈夫です。群馬ではどういう学生でした?

井野:高校は進学校でしたが、特に部活や勉強に打ち込んでいたわけではなく、ボウリング場「ジャンボ」でおでんを食べて時間を持て余していました。

新卒O:あだ名は?

井野:イノマーで、V6が出てからはイノッチ。

新卒O:ボウリング場「ジャンボ」でもお笑い担当でした?

井野:グループにはもっと面白い子がいたから、大笑いは持っていかれました。

新卒O:自分をお笑い芸人に例えると?

井野:松本人志さんになりたい。

新卒O:一番遊んだゲームは?

井野:アーケードの「ジョジョの奇妙な冒険」で、呪いのデーボを使っていました。

新卒O:奥様から仕事のアドバイスを受けることはありますか?

井野:あります。自然と会話が仕事の話題になるし、デザインで煮詰まってしまうときとかにアドバイスを受けます。

新卒O:では、奥様の一番好きなところは?

井野:ここだけはツッコんできますね(笑)。人に対する距離感の近さや場を和ませてくれる明るさです。

新卒O:2019-20年秋冬で一番好きなアイテムは?

井野:コート……の中に仕込んでいる別売り9000円の巨大な肩パッド。

新卒O:デザインのオマージュが得意ですが、これまでにトラブルは?

井野:ええ……あります。けど、全て解決済み!

新卒O:生まれ変わってもデザイナーをやりたい?

井野:やりたいです。モノやコトを作る人ではありたい。

新卒O:今までで一番苦労した仕事は?

井野:最近だと3泊5日のNYとLA格安ツアーのフライトです。まだまだ苦労が足りません。

新卒O:「ダブレット」を立ち上げてから一番うれしかったことは?

井野:やっぱり「LVMHプライズ」のグランプリ受賞です。周りの人たちも喜んでくれたことが一番うれしかったです。

新卒O:受賞から1年で変わったことは?

井野:周りの見方が変わり、海外でも国内でも知名度が飛躍的に上がりました。

新卒O:ご両親にはどのように伝えましたか?

井野:帰国してから伝えました。父が喜んでくれて、親戚以外の人たちにもたくさん電話したらしく、地元の群馬中に広がっていきました。ローカルの「上毛新聞」にまで掲載されて、父のテンションはさらに上がっていました(笑)。

新卒O:地元の新聞にまで掲載されると、帰省したときの反応も違ったのでは?

井野:同級生たちが、「すげー賞とったらしいじゃん、なんの賞か分かんないけど」と喜んでくれたのはうれしかったです(笑)。

新卒O:お祝いのパーティーにはどんな店を選びましたか?

井野:いつも通り、用賀の「ふるさと居酒屋 村さ来」です。

新卒O:賞金は何に使いましたか?

井野:次のステージへステップアップするための費用に使いました。良いプレゼンテーションができる環境になり、ブランドとして一段階上にステップアップできたと実感しています。

新卒O:LVMHのエキスパートからの指導で一番役立っていることは?

井野:やりたいことに対してのアドバイスや、人を紹介してくれたことです。

新卒O:LVMHエキスパートからのサポートは1年のはずだが、もう終了した?

井野:いいえ、今でも相談に乗ってもらっています。パリでも直接相談しています。

新卒O:次シーズンに向けての相談もしている?

井野:はい。9月に開催される2019年「LVMHプライズ」で、ファイナリスト「アンリアレイジ」森永邦彦さんの応援でパリに行くので、そのときに直接相談する予定です。

新卒O:注目されて、これまで関わりがなかった人も多数集まってきたと思うが、ストレスは?

井野:特にストレスはなかったです。自分のキャパシティーが狭くて応えきれず逆に申し訳なかった。

新卒O:最近はユニークなムービーでコレクション紹介しているのをよく見かけるが?

井野:ファッションをファッションっぽく見せるのも当然かっこいいんですけど、ファッションに日常感や懐かしさを加えるとまた別の見え方になって面白いからです。

新卒O:他のブランドからデザイナーのオファーはありましたか?

井野:んん……ないです(笑)。

新卒O:メゾン系ブランドからデザイナーのオファーがあったらどうしますか?

井野:もしオファーがあればありがたいですが、まずは第一に「ダブレット」が30~40年続くブランドにならないといけないので、状況次第です。

新卒O:国内外の取扱店によく足を運んでいる理由は?

井野:店に行けばみんなが喜んでくれるし、自分自身も輪の中に交ざりたいからです。僕らは店が注文してくれて納品してからがスタートです。こちら側から出来ることはたくさんあるし、それをしないとお客さままで届かないので役に立つなら僕のことを使ってもらいたいです。特に、今の時代に大事だと思うのが、インスタントな販売ができる中でもお店で直接買って欲しいなということです。

新卒O:デザインが模倣されることについて思うことは?

井野:模倣されて自分のデザインを超えてきたら悔しいですけど、今は何とも思っていません。海外の人たちからも「似ているアイテムがあったよ」と知らせてくれることもあり、世界的に知名度が上がっていると実感しています。でも、ただのコピー品は大嫌いです。

新卒O:転売についてはどう思う?

井野:知名度があるのはうれしいことですけど、本当に欲しい人が定価で買えないのは申し訳ないです。届くように作りすぎると飽和してしまうし、難しいですね。

新卒O:次のファッションショーはいつやる予定?

井野:2020-21年秋冬シーズンをパリでやる予定です。

新卒O:ブランドの次の目標は?

井野:来年1月のパリでショーをやり切ることです。何よりも周りの人に楽しんでほしい。

新卒O:井野さんにとってファッションとは?

井野:コミュニケーションツールです。

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パリコレ前に知っておきたい新ショップ事情 コレットの“遺志”を継ぐ「サンローラン」や「ヴェトモン」出身者のセレクト店など

  9月23日から開かれるパリ・ファッション・ウイークを前に、現地では注目のショップが続々オープンしている。今年最も注目を集めた新店の一つがシャンゼリゼ通りに3月に開いたギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE以下、ラファイエット)の新店だろう。オープンから約5カ月が経過し、バカンス期間である8月は観光客が多く集客は上々だったようだが、オープン前に期待されていたほど地元や業界での評判は高くないようだ。コンセプトが魅力的であっても「店内で観光客はたくさん見かけるが、ショッピングバッグを持っている人は少ない」と、競合の百貨店に勤める友人は口にしていた。

 しかしラファイエットほど規模は大きくないものの、独自のコンセプトを掲げるショップが注目を集めている。中でも個人的に気になった新店3つを紹介したい。

コレット跡地に建つ世界に一つの「サンローラン」

 コレット(COLETTE)跡地に6月にオープンした「サンローラン リヴ・ドロワット(SAINT LAUREN RIVE DROITE)」。ロサンゼルスとパリに2店舗を構える同店は通常店舗とは異なり、アンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vaccarello)=クリエイティブ・ディレクターのキュレーションによるアートや音楽、本、限定アイテムなどを豊富にそろえる。コレットの“遺志”を受け継ぐように、おみやげにもぴったりな雑貨も並ぶ。

 1階にはシューズコレクションのほかにスケートボードやゲーム機、ブックコーナー、筆記用具などが並ぶ。オープンから数カ月後に開かれた2階は、ウィメンズ・コレクションのフロアだ。地下は通常は立ち入り禁止となっており、映画上映やライブ、クラブなどのイベントのためのスペースとして使用する。筆者が訪れた日は顧客や観光客でにぎわっていた。日本人の販売員がいるためコミュニケーションも安心だ。

多様性を掲げ、新進気鋭ブランドがズラリ

 フランス語で“常識外れ”を意味する「ランセイン(L’INSANE)」は、多様性をコンセプトに掲げるセレクトショップ。創始者であり、キュレーターを務めるのはシリア生まれギリシャ育ちのリン・ゼイン(Lyne Zein)だ。パリのマランゴーニ学院(L’institut Marangoni)でファッションビジネス・マネジメントを学び、「ヴェトモン(VETEMENTS)」でインターン経験後に同店を立ち上げた。

 ターゲットはZ世代とミレニアル、LGBTQIA+といった、既存の価値観にとらわれない新時代の若者だ。「自分自身をさらけ出すことを恐れている人々にとって、平等や寛容を受け入れることはいまだに大きな問題だ。『ランセイン』を訪れて世界観に触れてくれた人々に、洋服のキュレーションを通じて自信と勇敢さを与えられるようなプラットフォームを構築したい」とゼイン。ブランドは「ヘルムート ラング(HELMUT LANG)」「ミュグレー(MUGLER)」「032c」「ザンダー ゾウ(XANDER ZHOU)」「コットワイラー(COTTWEILER)」「エコーズ ラッタ(ECKHAUS LATTA)」など、新進ブランドが数多く並ぶ。

定期的にがらりと変わるユニークな店内

 「ポール&ジョー(PAUL & JOE)」創始者兼クリエイティブ・ディレクターのソフィー・メシャリー(Sophie Mechaly)と、彼女のパートナーであるフェリックス・ベーム(Felix Boehm)が手掛けるセレクトショップ「BDC」が、パリ左岸のサンジェルマン・デ・プレ地区にオープンした。店名はロックバンド、ザ・キュアー(The Cure)の代表曲「Boys Don’t Cry」の頭文字を取って名付けたという。

 約60平方メートルの店内は、定期的にコンセプトを替えて刷新するという。6月のオープン時は“ロサンゼルス”をテーマに掲げ、海の絵画やサーフボードがディスプレーされた店内に「パーム エンジェルス(PALM ANGELES)」の商品を多く並べた。現在は“着る芸術”をコンセプトにしたキュレーション。イタリアの建築家チニ・ボエリ(Cini Boeri)やアメリカ人の双子アーティスト、ハース・ブラザーズ(The Haas Brothers)のインテリア、フランス人アーティストのクロード・レベック(Claude Leveque)によるネオンアート作品などを飾る。ブランドは「マルニ(MARNI)」「シエス マルジャン(SIES MARJAN)」「マッキントッシュ(MACKINTOSH)」「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」「イージー(YEEZY)」「ボーディ(BODE)」などストリートからベーシックまで、世代や毛色の異なるさまざまなブランドを扱う。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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週末お出掛けスポット 日本人初パリコレモデルの山口小夜子と写真家、横須賀功光のコラボ展などアート5選

 週末にオシャレして出掛けたいアートスポットをお届け。今週は、日本人初パリコレモデルの山口小夜子と写真家の横須賀功光のコラボ展覧会や文学の要素を色濃く反映する現代美術家6人によるグループ展など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(8月31、9月1日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【アート5選】

【開催中イベント】

そごう横浜店、ビューティフロアのリニューアルから1周年 「秋のBeauty祭」開催

「M・A・C」のビジュアルに超特急のカイが登場 本人来場のイベントも開催

ミキモトで「クラフツマンの感性」展 約1万個の真珠やジュエリーの数々を展示し制作の裏側を公開

「リーボック」が「レブロン」とフィットネス女子応援キャンペーンを実施

眼鏡「フォーナインズ」がフォトコンテスト開催 テーマは“アクティブな夏”

「ブルガリ」と「ドン ペリニヨン」のマリアージュ ブルガリ銀座タワーの最上階に

「リモワ」がストリート誌と企画展 過去のアーカイブからアーティストの作品まで

「MCM」がサステナをテーマに展示会開催 未使用バッグをドレスにアップサイクル

松屋銀座が「美しくなるビアガーデン」開催 今年もクロスフィットトレーナーAYAとコラボ

【開催中ポップアップ】

日本初上陸の英眼鏡「キュービッツ」がブリンク ベースでポップアップイベント開催

「クリスチャン ルブタン」が期間限定でリップカラーに刻印サービスを実施

ビートたけしプロデュースの「キタノブルー」が初ポップアップストアをオープン

眼鏡ブランド「アヤメ」が263日間のポップアップストア 直営店オープンの布石

オーガニックブランド「ラ・ブルケット」が関西で初のポップアップストア

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“カフェオレ色”で秋の装い おしゃれに見せるベージュ&ブラウンの取り入れ方

 ベージュやブラウンなど“カフェオレ”系の色は、ここ数シーズン人気が続いています。クリーンで穏やかな雰囲気を醸し出せるのが人気の理由。さまざまなシーンに着て行きやすいことに加え、エフォートレスやミリタリーといったテイストとも好相性。でも、程よく主張を強めていくのが2019-20年秋冬のトレンドだけに、味付けを見直したくなります。有力ブランドが提案したコーディネートをヒントにして、ベージュ&ブラウンの賢い取り入れかたを紹介していきます。

 素材の質感やディテールでスタイリングに起伏を持たせると、カフェオレ色に深みを与えられます。具体的な選択肢になるのは、プリーツやドレープ、フリンジ、リボンなど。「バナーバレット(BANNER BARRETT)」はフリンジ付きのニットトップスに、シフォン地のプリーツスカートをコーディネート。フリンジが動きを添え、プリーツのひだが印影を引き出しています。

◆ディテールで動きをプラス 濃淡・素材感をずらして

 ベージュ系で全身をまとめる場合、色味をそろえすぎると、かえって単調に見えてしまいがちです。「ユニクロ ユー(UNIQLO U)」はベージュのシャツにキャメル色アウター、ココア色パンツで、濃淡がリズミカルな“トーン・オン・トーン”に整えました。トップスよりもう一段濃い色をボトムスや靴に配すのが、全体を引き締めるコツです。

 グレーやカーキ系の色を取り入れて、ベージュ系のまとまりを少しだけ崩す“ずらし”のテクニックは、互いの色を引き立て合ってくれます。「ラグナムーン(LAGUNAMOON)」のパンツルックは、ココア色のワイドパンツを主役に、それより色が薄めのニットキャミソールとモッズ風コートを組み合わせています。それぞれに素材感も異なっているので、いっそうずれが生まれて、こなれた雰囲気に仕上がっています。

◆白シューズを引き立て役に 細身ボトムスとレイヤード

 カフェオレ系のアイテムを引き立てる脇役としては、白い靴がうってつけです。柔らかいムードを印象付けられるうえ、足元が軽やかな印象になります。「ジードット(G.)」はキャメルのニットトップスとラップ風スカートで、同系色のコンビネーションを組み立てました。服より濃い色のバッグを斜め掛けして、カフェオレ色を穏やかに演出。白のレザーシューズが品よくクリーンな雰囲気を足元に呼び込んでいます。

 「オトアー(OTOAA)」は、ニットワンピースの下に細身パンツを合わせたカフェオレトーンのレイヤードを提案。レイヤードによってパンツの細さが際立っています。厚みのあるアウターを重ねて、さらにリラックスした見え具合にアレンジしました。唯一の“非ベージュ系”である白シューズが爽やかさを添えています。

◆アイキャッチーなアニマル柄を投入 ブーツをスパイシーに

 優しげなイメージのフェオレ系トーンですが、着こなしのレパートリーを広げるなら、強めの柄とミックスするのが効果的なアレンジです。たとえば、19-20年秋冬に広がりそうなレオパード(ヒョウ)柄は、意外と好相性を発揮してくれます。「コンバース トウキョウ(CONVERSE TOKYO)」はレオパード柄トップスにチェック柄ワイドパンツと、ダブルで印象的なモチーフを取り入れました。攻め系のレオパードと正統派チェックという、ほとんど真逆の柄が装いに動きを出しています。

 レオパードなどの柄を服で取り入れるのは、目立ちすぎが気になるという方もいるでしょう。でも、小物なら取り入れやすいはず。19-20年秋冬のおすすめは、久々に注目のロングブーツです。この秋冬はパイソン柄もリバイバルの気配。「アイレネ(IRENE)」はクラシカルなツイードのセットアップに、パイソン柄のブーツをコーディネート。ベージュ~ブラウンの落ち着いた色味の服と、スパイシーなパイソンブーツが交差します。

 19-20年秋冬の“カフェオレ”色コーデは、配色のずらしや異素材のミックス、白シューズとのマッチング、トレンド柄の投入などが工夫のしどころ。落ち着いた色ならではの上品でソフトなテイストを大切にしつつ、自分なりの落とし込みを楽しんでみてはいかがでしょうか。

2019-20年秋冬トレンドをもっと見る

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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日本の若者の46%が模倣品購入経験あり 世界のZ世代はコピー商品をどう見る?

 “ニセモノ”の是非を問われれば否定的な声が大半を占めるだろう。それでも模倣品の数は減らないし、模倣品訴訟の数も減らない。2018年3月に東京税関が発表した資料によると、ファッション関連以外も含まれるが、「デザインを模倣した意匠権侵害物品の差し止め点数は前年比25倍で5万点超え」だという。

 これまでブランド側ばかりを取材対象としてきたが、消費者側はなぜ模倣品を購入するのかということに目を向けてみたい。“正規品”という触れ込みの商品を購入したら実はデッドコピー(注:許可なくそっくりそのままコピーした商品のこと)だったという場合もあるが、その一方で“〇〇風”といううたい文句で売られている商品が売れるということは、“正規品ではない”と理解した上で購入している消費者も存在するということだ。

世界のジェネレーションZの半数がコピー商品に「NO」

 国際商標協会(INTERNATIONAL TRADEMARK ASSOCIATION)が1995~2010年に生まれたいわゆるジェネレーションZ(以下、Z世代)を対象に実施したデッドコピーに対する意識調査が非常に興味深い。日本、米国、中国、ロシア、イタリア、インド、インドネシア、アルゼンチン、ナイジェリア、メキシコの10カ国で、18~23歳の男女延べ4500人を調査している。

 この報告書によると、全体の約半数(48%)がデッドコピーを購入することは「絶対によくないこと」または「たぶんよくないことだと思う」と回答している。「状況による」が39%、「全く問題ない」または「たぶん問題ない」と回答しているのは13%にとどまった。しかしその一方で、過去1年間にデッドコピーを購入したことがあると回答したのは全体の79%だった。つまり、「よくないことだとは理解しているが、購入している」若者が多いということだ。

 さらに、Z世代が購入したことのある商品のジャンルは、アパレルが1位(37%)、シューズ&アクセサリーが2位(34%)。体内に取り込んだり皮膚に触れたりするため危険性が高いと認識し、購入をためらう食料品・飲料(18%)やパーソナルケア商品(16%)と比べると、購入に対するハードルが低いことが分かる。

 ブランド名を重視するかという問いに対しては、全体の62%がブランド名は「とても重要」または「どちらかといえば重要」だと答えている。つまりZ世代にも、ブランド名は決定する上で重要なファクターであるということだ。特にインドは世界平均より+20%、中国は+11%、インドネシアは+10%高く、反対に米国は平均より-6%、日本は-10%、イタリアは-10%、ロシアは-14%と平均を下回った。しかしその一方で全体の81%が「ブランド名よりも自分が必要かどうかを重視する」と答えている。

 では、Z世代は「正しくない」と理解しているデッドコピーになぜ手を出すのか。世界平均を出したときのトップ3は「正規品よりコピー商品の方が簡単に手に入るから」(58%)、「金銭的にコピー商品しか購入できないから」(57%)、「支払った金銭が模倣品を売ることで生計を立てている人の役に立ってほしいから」(57%)だった。

日本のZ世代が気にするのは
「他人からの評価」か

 日本では男女各200人ずつを対象に調査を実施した。過去1年間でデッドコピーを購入したことがある日本のZ世代は46%と、国別に見ると格段に数値が低いことが特徴だ。日本だけを見たときにデッドコピーを購入する理由のトップは「金銭的にコピー商品しか購入できないから」(65%)。次いで「正規品よりコピー商品の方が簡単に手に入るから」(40%)、「使用していても誰も模倣品だと分からないから」(40%)と続き、金銭的な理由が高い比率を占めていることが分かる。

 日本のZ世代の69%が年間所得300万円以下と答えていることからも、金銭的な理由がトップに挙がるのも当然の結果と言えるだろう。米国は年間所得2万5000ドル(約262万5000円)未満と答えた人が38%、2万5000ドル以上と答えた人が全体の52%、そのうち10万ドル(約1050万円)以上と答えたのは全体の5%だ。日本では900万円以上が0%だったことを見ても、18~23歳という若年層でもすでに国ごとの格差が大きいことが分かる。

 もう一つ興味深い数字があった。Z世代の価値観を問う項目だ。彼らが最も大切だと考える価値観は“個性”だった。“個性”と答えたうちの92%が「自分の意思が大切」だと答え、75%が「他者と同調するより目立つことが重要」だという。これに対して日本のZ世代で「他者と同調するより目立つことが重要」と回答したのはたったの36%だった。日本人の同調志向が強いことは長く指摘されているが、Z世代でもその傾向は変わらないようだ。

 こうした数字から、「周りもブランド品を持っていないから、コピー商品を購入してまで所有する必要がない」「コピー商品を購入してでも目立ちたいという気持ちがない」という思考が読み取れ、コピー商品を購入したことがあると答えたZ世代が日本は断然少ないのにもうなずける。

「内心ひいた。ニセモノを買う友達に。」 特許庁の撲滅キャンペーン

 日本人特有の性質を利用したキャンペーンを打ち出しているといえるのが特許庁だ。同庁は18年、コピー商品撲滅キャンペーンのページを公式ウェブサイト内に開設している。そのページのキャッチコピーは「内心ひいた。ニセモノを買う友達に。」だ。さらに20代を対象に行った模倣品に対する意識調査の結果を公表しているが、質問は「友達がコピー商品を披露したら嫌な気がしますか?」「友達がニセモノを買っていたら注意しますか?」という内容で、焦点を当てているのは「他人からどう見られるか」という点だった。ちなみに回答は、「友達がコピー商品を披露したら嫌な気がしますか?」に対しては約8割が「YES」、「友達がニセモノを買っていたら注意しますか?」に対しては約7割が「NO」だった。「コピー商品を購入する=悪いこと→買わない」ではなく「コピー商品を購入する=友達に軽蔑される→買わない」という思考経路になっているのだ。

 模倣品問題だけに目を向ければ、日本人特有の気質が模倣品購入率の低さにつながったと言えるが、日本の将来を背負う若い世代が“他人からどう見られるか”に重きを置いて行動したり、意思決定をしたりしているという事実はやや残念だ。

 また、情熱とプライドを持って商品開発を行っているブランド側としても、そのヒストリーやこだわりを理解した上で「コピー商品を買わない」という選択をしてほしいと思っているに違いない。「エルメス(HERMES)」や「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」が合同でメディア向けの勉強会を開催してデザイン保護の重要性を訴えたり、「ナイキ(NIKE)」は8月からキッズ用シューズのサブスクリプションサービスを開始して、幼い頃からブランドに対するロイヤルティーを高めて将来の顧客層を獲得することを目指しているのも、全ては消費者に自社ブランドのことを理解してほしいからだ。

 模倣品の問題は業界全体の問題だ。悪貨は良貨を駆逐すると言うように、模倣品が増えれば正規品が少なからず売れなくなり、各社の業績に影響を与えかねないため、業界を守ることは自社を守ることにもつながる。消費者だけでなく、業界で働く人間の模倣に対する知識や理解を高めるために業界全体で教育を行っていく必要があるのではないだろうか。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中

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紳士服はスーツ受難の時代をどう乗り越える? 2019年春夏、百貨店で売れたものVol.4

 「WWDジャパン」8月26日号は、毎シーズン恒例の“百貨店で売れたもの”特集です。全国計50の百貨店へのアンケート調査&有力店への直接取材によって、2019年春夏の百貨店の各カテゴリーで売れたものを浮き上がらせました。詳細は本紙や定期購読特典(販売もしています!)の「ビジネスリポート」をご確認いただきたいですが、ウェブでは特集担当記者による取材こぼれ話を座談会形式でお届け。第4回は、婦人服&紳士服カテゴリーについてです。

座談会参加者
林芳樹:「WWDジャパン」デスク
大塚千践:メンズウエア、スポーツなどの担当記者
本橋涼介:ウィメンズウエア、百貨店などの担当記者
五十君花実:百貨店ビジネスリポート特集の取りまとめ担当

五十君:今回は婦人服と紳士服の担当記者のお二人と、ご意見番の林デスクに集まってもらいました。さて、婦人服はかつては百貨店の屋台骨と呼ぶべきカテゴリーでしたが、近年は苦戦が目立ち、売り場面積縮小の流れが顕著になっています。19年春夏の婦人服カテゴリーには、どんな動きがありましたか?

本橋:キャリアゾーンが厳しいという声は例年通りでした。ただ、今年は低温が続いたことで、ジャケットを含む羽織り物が売れたという声は多かったですね。ジャケットは単価が高いので、その点はよかったと思います。伸長率上位となったのは「23区」「バンヤードストーム(BARNYARDSTORM)」などでしたが、どちらも羽織り物が好調だったようです。「23区」では、晩夏初秋物の動きもいいそうですよ。

大塚:紳士服も苦戦しているんだろうなと思っていたんですが、意外と底打ち感がありましたね。気温要因は婦人服と同様で、低温でアウターが売れたから前年に対し微増になったという声はよく聞きました。ただ、問題はスーツです。既製品のスーツの売れ行きがよかったという百貨店はないんじゃないかな。スーツの落ち込みをカジュアルアイテムでカバーできた売り場やブランドが、前年実績を超えています。

五十君:今春は、伊勢丹新宿本店メンズ館と阪急メンズ東京が大規模リニューアルを行ったことも話題でした。各店の改装効果はどうだったんでしょう?

大塚:両館共に、調子のよいフロアもあれば不調なフロアもあるので一概には言えません。例えば伊勢丹で言えば、7階などは好調です。「ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」を7階に移設したことなどで、フロア全体の客層が狙い通り若返り、客数も増えているそうですよ。「ブルックス ブラザーズ」こそスーツのブランドじゃないかと思われるかもしれませんが、スーツだけでなくチノパンやカジュアルシャツ、セットアップなどもしっかりそろえているんです。19年春夏の紳士服を振り返ると、カジュアル化するニーズにいかに対応するかがシーズンのキーワードでした。

林:ビジネスシーンのカジュアル化というのは、05年に政府主導で打ち出された“クール・ビズ”以来ずっと言われていることではある。でも、19年春夏は段飛ばしでその傾向が強まった印象があるね。何年後かに振り返ると、19年は分岐点だったと言われるかもしれない。百貨店とは直接関係ないけど、青山商事やAOKIホールディングスなど、スーツの量販店の業績が4~6月期ではほとんど赤字になっている。大手企業がどんどんカジュアル通勤を推奨しているのがその理由で、例えば三井住友銀行もその一つ。丸の内系の企業(注:東京・丸の内にオフィスを構えるような、金融や商社、メーカーなどの大企業群)って、最もお堅いイメージの職場だったよね。大企業がカジュアル通勤を推奨し始めているということは、中小企業も今後一気にそっちの方向に流れる可能性は高い。スーツの「ダーバン(D’URBAN)」を擁するレナウンが先日150人の人員整理を発表したけど、黙って上質なスーツを売っていればいい時代は完全に去ったという感じ。

五十君:実際のところ、「ダーバン」は今回の紳士服伸長率ランキングでは3位に選ばれていますが、スーツが厳しい時代だということは間違いないですね。

大塚:小田急百貨店の売り場を取材したときにも、「近隣の大手銀行がカジュアル通勤を推奨していることで、売り上げにも影響が出ている」という話でした。

林:吊るしの既製スーツを買うなら、たとえ価格が高くてもパターンオーダーやメード・トゥー・オーダーのスーツが欲しいという声も増えているよね。

大塚:パターンオーダーやメード・トゥー・オーダーに関しては、百貨店側で強化の動きがここ2~3年で目立ち始めました。ただ、オーダーのコーナーがあるということが消費者まで伝わりきっていない売り場は多いようで、伸び率は比較的ゆっくりですね。とはいえ、アンケート回答でもオーダーが好調という声は都心・地方問わずあがってきています。

五十君:ビジネスシーンのカジュアル化は、紳士服だけでなく婦人服も同様です。百貨店の話とは直結しませんが、ここ1~2年ウィメンズが好調なユナイテッドアローズの竹田光広社長が、その好調理由について、「元来の強みであるトラッドテイストだけでなく、通勤のカジュアル化に対応してウィメンズでさまざまなラインを増やしているから」といったことを先日話していたのが印象的でした。

本橋:例えば、東武百貨店池袋店のヤング・キャリアゾーンでは、「ドレステリア(DRESSTERIOR)」が伸長率1位でした。ザ・百貨店キャリアというブランドではなく、「ドレステリア」のようにセレクト品も含めて幅広いシーンに対応できる品ぞろえの店が好まれているのは間違いないですね。

林:“キャリア”というゾーニングの言葉自体が、消費者の実態とはもはや乖離しているからね。かつてはザ・百貨店キャリアという雰囲気や品ぞろえだったブランドも、今はスーツやジャケットだけを売っているのではなく、リラックスしたスタイリングを増やしている。ただ、婦人服には紳士服のスーツみたいに従来の通勤シーンを象徴する分かりやすいアイテムがないから、センセーショナルにはなりづらい。

本橋:その通りだと思います。話は変わりますが、エイ・ネットが「ツモリチサト(TSUMORI CHISATO)」事業を終了するということで、駆け込み需要で同ブランドが売れたといった声がいくつかの百貨店からあがってきたことも、今期の婦人服の注目トピックスの一つでした。伊勢丹新宿本店4階コンテンポラリースタイル、阪急うめだ本店6階プレミアムで、「ツモリチサト」は伸長率1位になっています。濃いファンのいるブランドだったと思うので納得です。

五十君:婦人服、紳士服共に、今後の展望はどうですか?どんどん売り場面積が減って、現場のバイヤーや販売員たちの士気は下がっていないですか?

大塚:いや、やるべきことは明白なので、紳士服に悲壮感はないと思いますよ。個人的には、ここ数年続いたストリートブームの次がどうなるのかは気になっています。ストリートの流れが一気に廃れることはないですが、スニーカーの売れ行きは全般的に落ち着いてきています。予想よりも早く、ストリートの次のトレンドであるエレガンスのムードが来るような気がしています。ややこじつけになりますけど、ビジネスシーンのカジュアル化で単品ジャケットが売れるという動きと、エレガンスがトレンドになることでジャケットが売れるという流れに、もしかしたら交わる部分が生まれる……かも!?ただ、いくらエレガンスが来るとは言っても、スーツ専業、ドレスシャツ専業みたいなブランドはどんどん厳しくなっていくでしょうね。カジュアル化にも対応できるトータルブランドでないと難しい。「来年あたりには、専業ブランドは日本市場からいなくなるんじゃないか」なんて話すバイヤーもいました。

林:市場全体がラクな方、コンフォータブルな方に流れていて、ウィメンズではパンプスやストッキングが売れなくなっている。クリーニングに持って行かなきゃいけないドレスシャツや、手入れを含めて楽しむような革靴を好む層は今やおじさんだけだね。ジーンズさえ、硬くてはき心地が悪いから若い子には売れないと聞く。

本橋:ジーンズって、インスタ映えしにくいですからね。風になびく生地感やデザインの方が、写真や動画にした時に映えますから。

大塚:まさに、どこの百貨店に聞いても「ジーンズが売れない」って言ってました。老舗のデニムブランドでさえ「ジーンズが売れずにそれ以外の服が売れる」と言っていたのが衝撃的です。

本橋:婦人服の展望としては、プロパー販売強化の流れがいっそう強まるような気がします。「アプワイザー・リッシェ(APUWEISER-RICHE)」などセールを行わないブランドが増えている。消費者の価格に対する信頼を回復して、百貨店で婦人服を安心して買っていただこうという考え方なんだと思います。あと、僕個人としては、1年前に「WWDジャパン」の記者になって、今回の特集取材のために初めて阪急うめだ本店に足を踏み入れました。うめはん(注:阪急うめだ本店の愛称)ってスゴイですね。お盆真っ最中に取材したんですが、店内のエスカレーターは1段も飛ばさず人が並んでいるほど混んでいました。伊勢丹新宿本店はブランドごとの壁をなくす売り場の作り方ですよね。それも好きですが、うめはんは劇場型とでも言うのか、一つ一つのブランドの個性がよりはっきり立っている気がしました。フロア構成も、例えば3階は「バレンシアガ(BALENCIAGA)」とOL向けのリアルクローズブランドが同居していて、イベントスペースや「マルニ フラワー カフェ(MARNI FLOWER CAFE)」を挟んで回遊性を持たせているのが面白い。こんな風にいろんなものが詰まっている感じも、百貨がそろう百貨店ならではだなと感じました。

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「僕が提供したいのは『Wow(驚き)!』」 by ラムダン・トゥアミ

Ramdane Touhami「OFFICINE UNIVERSELLE BULY」アーティスティック・ディレクター

 僕が提供したいのは「Wow(驚き)!」。「素晴らしいサービス」「素晴らしい商品」「なんてすごい空間」––そう思ってほしい。家に帰って試して「Wow!なんていい香り!」「すごく肌の調子がいい!」とか、街ですれ違ったときやボーイフレンドと一緒に寝るときに「Wow!すごくいい香り!」と思ってほしい。僕らは役立たずで、僕らの会社が明日なくなったとしても誰も困らない。僕らが作っているのはただのお土産。でもせっかくのお土産なら、いいお土産になりたいと思っている。(2019年4月5日掲載、ファッション業界も注目するパリ発美容専門店「ビュリー」の仕掛け人 ラムダン・トゥアミの頭の中から)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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読者が注目した今週の新作 「フェンディ」 × 「ポーター」など(8月30〜9月5日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。「ファッション部門」と「ビューティ部門」は読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ファッション部門」では「フェンディ(FENDI)」 × 「ポーター(PORTER)」が最も注目され、「ビューティ部門」ではパナソニックのヘアドライヤー「ナノケア」の最上位機種が1位に輝いた。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


【スニーカー部門】

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「M・A・C」が20年以上日本で愛される理由 「全ての人種、全ての性別、全ての年齢のために」がモットー


 1984年にカナダ・トロントで創業した「M・A・C(メイクアップアートコスメティックス)」。メイクアップアーティスト兼フォトグラファーのフランク・トスカンとビューティサロン経営者のフランク・アンジェロが立ち上げた「M・A・C」は、多種多様なカラーやテクスチャーの製品を手掛け、「全ての人種、全ての性別、全ての年齢のために」を基本理念に掲げた。プロのアーティスト向けに次々と製品を開発し、91年に1号店をニューヨークにオープン。ファッションウイークのバックステージをサポートするほか、HIVとともに生きる人を支援するチャリティーなども行う。日本には98年に上陸し、現在は72店舗を展開。さらに、世界79カ国以上に進出し、世界中のアーティストをサポートしながら一般のお客にも高い支持を得ている。現在APAC(アジア環太平洋)地域のシニアアーティストを率いるリーガン・ラバナル=シニアマネージャー メイクアップアーティストリーに、「M・A・C」の魅力や、日本および世界中で愛され続ける理由などについて聞いた。


 「M・A・C」の魅力でもあり、一番の強みは基本理念でもある「全ての人種、全ての性別、全ての年齢のために」というコンセプト。年齢やジェンダー、人種にかかわらずあらゆる人を受け入れ、多種多様なニーズに応えている。そのため誰が「M・A・C」の店に行っても、自分好みのカラーやテクスチャーが見つかるはず。またバックステージから生まれたブランドとしてプロのアーティストリーが大きな柱となっている。それはバックステージから生まれるアイデアを製品開発に生かしたり、アーティスト一人一人の才能を引き出したりと、ブランドとしてはさまざまな方法で大切にしていると思う。アーティスト向けに製品を開発しているが、もちろん一般の人も自由にメイクアップを楽しめるように設計している。そして「M・A・C」の製品といえばブラックのパッケージが印象的だが、それは中にあるカラーを引き立たせるため。店頭に立つ私たちアーティストも、製品だけでなく自分たちの個性を引き立たせるためにブラックの衣装を身にまとっている。それも、さまざまな個性を受け入れるインクルーシビティーの一環だと思っている。

リーガンが日本人に
オススメするアイテム

「M・A・C」を代表する
アイコン製品6選


PHOTOS : SHUHEI SHINE
問い合わせ先
M・A・C(メイクアップ アート コスメティックス)お客様問い合わせ
0570-003-770

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ヒール靴が大苦戦、“ラクなものしか欲しくない”が加速 2019年春夏、百貨店で売れたものVol.3

 「WWDジャパン」8月26日号は、毎シーズン恒例の“百貨店で売れたもの”特集です。全国計50の百貨店へのアンケート調査&有力店への直接取材によって、2019年春夏の百貨店の各カテゴリーで売れたものを浮き上がらせました。詳細は本紙や定期購読特典(販売もしています!)の「ビジネスリポート」をご確認いただきたいですが、ウェブでは特集担当記者による取材こぼれ話を座談会形式でお送りします。座談会第3回は、シューズ、バッグ、ファッションジュエリーという、雑貨担当の記者に集まってもらいました。

座談会参加者
益成恭子:ジュエリー、ファッションジュエリー、インテリアなどの担当記者
大杉真心:バッグ、シューズ、デザイナーズブランドなどの担当記者
五十君花実:百貨店ビジネスリポート特集の取りまとめ担当デスク

五十君:市場をけん引するような大きなトレンドがなかったと言われる2019年春夏シーズンですが、ファッションジュエリー分野ではどんなニュースがありましたか?

益成:ファッションジュエリーはここ数シーズン、正直あまり動きがなかったんですが、19年春夏は令和改元による“令和婚”や“平成駆け込み婚”の効果で、ブライダルリングが売れました。10月の消費増税前の駆け込み需要で、「娘にネックレスを買ってあげたい」といったニーズも各店でありましたね。ただし、訪日外国人客が少数を吟味して買うという買い方に変わってきているので、売り上げ全体では微減という百貨店が少なくありませんでした。

五十君:今シーズンからバッグ・シューズ担当になった大杉さんは何が印象的でしたか?

大杉:バッグは前シーズンと同じ商品が売れ筋にランクインしていて、定番が根強く売れたシーズンだったと思います。ミニバッグとミニ財布、A4サイズ以上が入るレザー以外のバッグが引き続き好調で、誤解を恐れずに言えば、既視感のあるシーズンだった。伸長率1位は「ロンシャン(LONGCHAMP)」です。定番ナイロンバッグの“ル プリアージュ”がヒットしました。18-19年秋冬に“ル プリアージュ クラブ”というラインが出て、価格は1万2000円から。買いやすい価格も支持につながっています。

益成:私も“ル プリアージュ”は複数持っているので納得です。そういう女性、結構多いんじゃないでしょうか。

五十君:バッグのコンテンポラリーゾーンでは、「ロンシャン」の他「フルラ(FURLA)」「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」が長年人気でしたが、その2ブランドはどうでした?

大杉:両ブランドともこれまでは伸長率上位でご紹介することが多かったですが、今はレザーの通勤バッグが売にくくなっていることもあり、伸び悩んでいる印象です。「ケイト・スペード ニューヨーク」は新クリエイティブ・ディレクターのデビューシーズンで、客の入れ替わり時期でした。

益成:レザーバッグが売れにくい、という言葉が気になります。

大杉:通勤ではPCなどを持ち歩く人も増えており、レザーバッグでは重いし、雨の日に持ちづらい。「ラム革のバッグをじっくり使って育てよう」みたいな意識を持つ消費者は、少なくなっていると思います。それに、このところ服のトレンドもストリート寄りだったので、レザーバッグだと合わないんですよね。いいバッグはラグジュアリーブランドで買って、毎日使うバッグは使い勝手がよくてお手軽なタイプを求める、ということなんだと思います。

五十君:お手軽さ、ラクさを求める傾向はシューズ分野になるとより顕著でしたよね。ヒールパンプスの苦戦は衝撃的とも言えるレベルでした。シューズの概況も教えてください。

大杉:靴売り場を取材する中で、「スニーカーはブームではなく定番になった」という声を非常によく聞きました。この1年でスニーカーのデザインバリエーションは非常に増えて、レザー製やスパンコール装飾などのエレガントなデザインも増えています。それによって、かつてはパンプスを買っていた層もスニーカーを履くようになりました。厚底で、パンプスと同様にスタイルアップがかなうスニーカーも出ていますし。とは言え、単価はスニーカーの方がパンプスよりも低いので、悩ましいところです。これまでスニーカー特集などをあまり行ってこなかった赤文字系の雑誌でも、スニーカー掲載は増えています。今春「オッジ(oggi)」の塩谷薫編集長を取材した際にも、「スニーカー特集を掲載した2月号が完売した」という話でした。

五十君:「オッジ」といえばOL層の読者が多い雑誌。OLもパンプスではなく、スニーカーを履くようになったということですね。

大杉:もちろん、仕事や冠婚葬祭ニーズでパンプスを買う人は引き続きいます。そういう人はこれまで以上にフィッティングにこだわるようになっていますね。足を3D計測する機器やシューズコンシェルジュを導入する百貨店が非常に増えているのがその象徴です。

益成:そういう流れは理解できます。ただ、今年の夏にサンダルを買おうと思って探したら、欲しいデザインが全く見つからなかったんですよね。面白いデザインのパンプスやサンダルを、メーカーが作りづらくなっているように感じます。

五十君:ファッションジュエリーに話を移すと、売れ筋アイテムはピアスやイヤリングなどの耳周りのアイテムでした。あと、若い世代にピアスが売れないといった声も最近聞く機会が増えています。

益成:耳周りのアイテムが売れ筋というのは、この5年ほど変わらない傾向です。ネックレスだと5万円ぐらい、それがピアスやイヤカフだと1万円前後で楽しめるので、手軽なんだと思いますよ。あと、ネックレスは付けるのが面倒じゃないですか、服との組み合わせも耳周り以上に考えないといけないですから。ピアスが売れなくて、その代わりにピアリング(注:ピアスに見えるイヤリング)が売れるという話は店頭で非常によく聞きますよ。

大杉:ピアスは穴を開けるのが痛いから、嫌な思いをしてまで身に着けたくないという若い子は多いんだと思います。痛いパンプスを履きたくないという心理と根っこは一緒な気がする。

益成:そごう・西武のバイヤーが言っていたんですが、シールタイプのピアスが雑貨売り場で売れているそうです。ファッションジュエリーはなかなか売れない時代ですが、貼るピアスは売れている。アプローチ次第で、ファッションジュエリーもヒットが生み出せるんじゃないでしょうか。あと、ファッションジュエリーのカスタマイズやリフォームは引き続き好調です。誕生石や星座にちなんだお守りジュエリーも相変わらず引き合いが高いですね。験担ぎといいますか。

大杉:みんなあやかりたいんですよ。総括になりますが、ラクであること、頑張らないことがいっそう重視される世の中になっているって強く感じますね。

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「初めて、増税の重みに向き合います」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、様々な記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.4「消費増税 価格をめぐる『心理戦』」

読み解きポイント:「はじめての痛い増税」

ニュースのポイント

 10月1日の消費税増税を前に、各社が対応を迫られている。H&Mジャパンは増税後も価格を据え置き、値札についても現状の税込表示を維持。実質的には値下げになるため、競合他社との比較で価格競争力を高める。コストパフォーマンスを武器とするSPA各社の対応はさまざまで、増税の波を味方につけるのか固く守り抜くのか、消費者の購買心理をいかに掴むかの戦いになりそうだ。

AZUはこう読む!

 今回の価格据え置きは「長期的に日本で成長していくためのお客様への投資」と記事中でルーカス・セイファート(Lucas Seifert) H&Mジャパン社長は語っています。このH&Mジャパンの決断は、消費者としては嬉しいもの。そしておそらく、値札や表示を変更する手間を考えると、従業員さんにとっても混乱がなく安心の決断だったのではないでしょうか。この2%が後ほどどれだけ響くかは、まだ消費者もブランドも分かりませんが……。

 他SPA企業は本体価格+税表示を継続したり、値札が税込みのものは本体価格の値下げで増税分を相殺したり、一斉に新税込表示に切り替えたり、対応は各社さまざま。ちなみに私たちはプラットフォーマー側なので、各社の対応に合わせる形で表示価格を変更します(現在は税込価格表示)。一律で変われば良いのですが、例えばアイテムによって据え置きなのか税込なのかが異なってくると……(汗)。他ECサイトはどのような仕組みになっているかわかりませんが、10月以降の価格表示対応のクレーム等を考えると、今から冷や汗が出てきます。特に個人でECを運営しているところは確認漏れなどありそうなので、もし私が気づいたらこっそり連絡しようと思います。怒らず、優しく。

 2014年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられた時は、まだ大学4年生でした。実家暮らしでのびのび生きていたので個人の財布単位では大きな打撃を感じず、「バイト先のお店で値札を変えたなぁ」くらいの記憶しかありません。そりゃそうです。自分のお財布から出ていくお金なんて、せいぜい洋服代かおやつ代くらいだったんですから。

 時は経ち、令和元年。流れに流れた10%増税の壁と、いよいよ向き合う時がやってきました。トイレの洗剤から猫のエサまで各種生活費を自分で払うようになった今、この数%の重みをはじめて感じています。そして、この税金の使い道を決めるのも私たち自身だったのだと、先月行われた参院選に想いを馳せたり……。

 増税前に駆け込みショッピングをするつもりでしたが、パリ行きのチケットを買ってしまったので、この冬は30ユーロ(約3300円)くらいで買える古着のコートを楽しむつもりです。

19年春夏の百貨店では何が売れた? 好調ブランド、ヒット商品をリポート

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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美容医療はあり?なし?アンケートから見えた美への意識の変化

 「WWDビューティ」8月22日号は美容医療特集。

 これまで、美容医療と聞くと、 “整形”というイメージが強く、大きな声では言えないネガティブなイメージがついてまわるものでした。しかし昨今は美容雑誌で特集が組まれたり、SNSなどでも情報発信が盛んになったことで、美容医療に対するイメージは大きく変化し始めています。

 まず、「美容医療」について説明をしておきましょう。

 大きなくくりで言うと、肌や顔の造形に対する悩みを医療的技術によって改善する治療のことです。医療脱毛やニキビ・シミなどの肌悩みの改善から、鼻を高くする、目を大きくするといった、いわゆる整形も含まれます。そしてさらに分類すると、ボトックスやヒアルロン酸注入などの注射による施術や、レーザーによるシミ・ほくろの除去、ケミカルピーリング、などなど……メスによる切開を行わない非外科的施術と、鼻にプロテーゼを挿入したり、瞼を切開して二重にする、骨を削る、など切開を必要とする外科的施術の2つに分けられます。

 今回の特集では非外科的施術を取り上げています。日本での美容医療施術数は、外科的施術が約28万件に対し、非外科的施術は約1630万件と圧倒的に多いのが実情です(出典:日本美容外科学会「第1回全国美容医療実態調査」)。“整形”と言われる外科的施術はまだまだハードルが高いものですが、非外科的施術はダウンタイム(施術後の回復にかかる時間)が少なく、費用が手ごろなものが多いという事が理由の一つだと考えられます。また、鼻を少しだけ高くする、小顔にしたいなどプチ整形と呼ばれる範疇であれば、ボトックス注射やヒアルロン酸注入などの非外科的施術で可能ということも大きな理由でしょう。

 そこで、WWDの公式インスタグラム・ツイッターでフォロワーのみなさんにアンケートを実施しました。ツイッターでは、「美容医療に興味がありますか?」という質問で、4つの選択肢を設定。

1、興味がない(26%)

2、非外科的施術なら受けてみたい(注射・レーザーなど)(36%)

3、プチ整形くらいなら抵抗はない(二重整形など)(22%)

4、外科的整形手術にも興味がある(切開をともなう手術)(16%)

 結果は「非外科的施術なら受けてみたい(注射・レーザーなど)」が最も多く、36%。興味深いのは、プチ整形や外科的手術にも興味を示した人が合計で38%に上ったこと。顔の形を変える、メスを入れることの抵抗感や、かつてなら声を潜めていた美容医療や整形の“タブー”のイメージがずいぶんと薄れてきているのではないでしょうか。

 インスタグラムでは実際に美容医療(非外科的施術)を受けたことがある人にもアンケートを実施。実際に受けたことがあると回答した人は全体の21%と高い数字になりました。受けた施術について聞いたところ、シミ・ほくろ除去のレーザー治療受けたことがある人が目立ち、あわせて他の美肌治療も受けているという人が多く見受けられました。こういった肌に対する治療は、セルフケアでは改善が難しい悩みの解決策として、エステやスキンケアの延長線上にあるのではないかと考えられます。

 これまで美容医療は大きな声では言えない“ズル”といった印象があったように思います。しかし、“美しくなる手段”として受け入れられ始めているのではないでしょうか?美容について幅広い知識をもつ美容ジャーナリスト・近藤須雅子さんに昨今の美容医療を取り巻く意識の変化について伺いました。

 美容整形体験者の情報共有アプリが登場し、若い世代の美容医療体験者が増加しているという。それでも、よく耳にする「あのタレントは整形よね」という発言に根拠を問うと、「顔がつっぱっている」「目が大きくなった」など撮影方法や体調で左右される程度の薄弱さで、相変わらず根拠のない印象や中傷がほとんどだ。現実には美容医療に関する知識や偏見は20年前からほとんどアップデートされていない、と痛感している。それでも「美人はみんな整形している」という印象が一般化し、美容整形が“隠すべき黒歴史”から“リスクを伴う必殺技”“手を伸ばせば届く高額美容”へと意識が変化しているのも、また確か。この1カ月の間でも、50~70代の女性3人から手術などの相談を受け、腕利き医師の紹介を頼まれた。今後、こうしたアラフォーやシニア層の患者がさらに増加するのは間違いないだろう。(近藤須雅子/美容ジャーナリスト)

 SNSなどでも“整形アカウント”と呼ばれる整形や美容医療の情報を発信する人々や、美容整形の口コミアプリ「トリビュー」などの登場は衝撃的で、施術体験や経過報告などが赤裸々に語られています。そういった情報の拡散が整形や美容医療に興味を持つきっかけになったり、意識の変化に大きく影響していると思われます。そして、SNSやアプリの普及で若年層が注目されがちですが、美容医療に対する関心のシニア層への広がりも、今回取材を行う中で多く聞かれました。

 美容医療は特別なことではなく、美を求める人にとっての“たしなみ”として浸透しつつあるのかもしれません。

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伊勢丹シューズ売り場のここがスゴイ! ラグジュアリー靴の比較購買から3D計測まで改装をリポート

 伊勢丹新宿本店本館は8月28日、2階の婦人靴フロアを増床してリフレッシュオープンしました。7年ぶりの改装では、“おもてなし”と“デジタルの融合”をキーワードに、ラグジュアリーブランドのシューズの拡充をはじめ、足を計測してから商品を選ぶ新接客サービスなどを導入。世界中でも伊勢丹でしか購入できないアイテムもそろっています。ここでは5つにポイントを絞って、このリニューアルを紹介します。

1 ラグジュアリーシューズの比較購買がしやすくなった

 靴売り場の中心にあるプレステージゾーンは、ラグジュアリーブランドのシューズブティックが並ぶエリアです。今回のリニューアルで面積は1.2倍に拡大し、すでに館内に店舗を構えている「ディオール(DIOR)」「ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」がシューズ単独売り場を新たに出店しました。店の間にある壁を取り払うことで比較購買がしやすい売り場になっているのが特徴で、他店ではなかなか他のブランドと履き比べられない「ディオール」の周りには「プラダ(PRADA)」や「マノロ ブラニク(MANOLO BLAHNIK)」などが隣り合っています。

 プレステージゾーン内に編集スペース“イット シューズ”も新設されました。オープン時には、ラグジュアリーブランドの商品からトレンドのレオパード柄のシューズをピックアップして展示販売しています。また、「入学式用の靴が欲しい」「ウエディングシューズを探している」などの要望に合わせて、伊勢丹のスタイリストによるブランドの垣根を超えた接客サービスを受けることができます。

■プレステージゾーン ブランドリスト
SAINT LAURENT、DOLCE&GABBANA、CHLOE、GIUSEPPE ZANOTTI、FENDI、MIUMIU、CELINE、VALENTINO、TOD'S、CHURCH'S、PRADA、GIANVITO ROSSI、DIOR、MANOLO BLAHNIK、SERGIO ROSSI、ROGER VIVIER、CHRISTIAN LOUBOUTIN、GUCCI、JIMMY CHOO、SALVATORE FERRAGAMO

2 パンプスをアプリでマッチング!足を計測してから選ぶ

 「ペリーコ(PELLICO)」や「ファビオ ルスコーニ(FABIO RUSCONI)」などOL層に支持されるブランドが並ぶパンプス売り場のそばには、パーソナル接客を受けられる“フィッティングラボ”が新たに登場しました。最新の3D計測器を使って、足長、足囲、かかと幅などの9つの数値を計測。そのデータをもとに、店頭とECを連動したアプリ“ユア フィット 365(yourFIT 365)”を使ってぴったりな靴を見つけ出すもので、アプリに対応しているブランドの約1000種類のパンプスの中から最大で50足を紹介してもらえます。

 タブレット上でヒールの高さや色、素材別に表示され、店頭に在庫がないものは、約4週間で届くそうです。一度計測したら、専用アプリにマイサイズを登録することができ、ECからでも直接自分のサイズにあったシューズを購入可能。もし、おすすめされていなかったアイテムでも、アプリ上で自分の足形との相性を☆5段階評価で表示されるそう。サービスの対応ブランドは三越伊勢丹のPB「NT」や「ヨシト(YOSHITO)」「リーガル(REGAL)」など8ブランド。店内にいる30人のシューカウンセラーが丁寧に接客してくれます。

■パンプスゾーン ブランドリスト
PELLICO、RUCOLINE 、STUART WEITZMAN 、FABIO RUSCONI◎、SEVEN TWELVE THIRTY◎、SUCCESSWALK、NT◎、YOSHITO◎
◎…専用アプリ対応ブランド

3 世界初「エコー」のカスタマイズシューズ常設店 自分だけのミッドソールをその場で作る

 カジュアルシューズのコーナーでは、「レペット(REPETTO)」や「コール ハーン(COLE HAAN)」などのフラットシューズを中心にした品ぞろえが特徴です。中でも目玉は、デンマーク発シューズブランド「エコー(ECCO)」の3Dプリンターでシューズを作るサービス “クアントゥー(QUANT-U)” の世界初の常設店です。足を3D計測器で測り、専用のシューズを履いてトレッドミル(ウォーキングマシン)で歩行時の足の動きを解析。その結果をもとに3Dプリンターでミッドソールを作ることができます。約60分で計測・解析・製作までできてしまう革新的なシステムです。

「エコー」の3Dプリンターで作るカスタマイズシューズ 世界初の常設店が伊勢丹新宿本店にオープン

3Dプリンター使って60分で完成 「エコー」のカスタマイズ・シューズが世界初お披露目

■カジュアルシューズゾーン ブランドリスト
REPETTO 、CHATELLES 、TORY BURCH 、COLE HAAN、ECCO、GEOX、ARCHE、PAUL GREEN、MEPHISTO、T.INABA、GINZA YOSHINOYA、UGG、CAMPER

4 トレンドから定番化になった“オシャレスニーカー”のバリエーションが豊富

 伊勢丹新宿本店ではスニーカーコーナーも充実しています。「ナイキ」「アディダス」などのスポーツブランドから、「ノーネーム(NONAME)」「ドクターマーチン(DR.MARTENS)」などさまざまな種類がそろいます。またベルクロのフック&ループの仕組みでワッペンをカスタマイズできる「ニューニュー(NEWNEU.)」が百貨店初の常設店を開きました。オープン記念に「アグ(UGG)」とのコラボブーツを世界限定で取り扱っています。

■スニーカーゾーン ブランドリスト
ASH、NONAME、NEWNEU.、NIKE、ADIDAS ORIGINALS、NEW BALANCE、GLODEN GOOSE DELUXE BRAND、ONITSUKA TIGER、PATRICK、SUPERGA、DR.MARTENS

5 伊勢丹でしか手に入らない限定アイテム&サービス

 店内には、今回のリニューアルを記念した限定商品や先行販売アイテムが豊富にラインアップされているほか、さらに約10ブランドではカスタマイズサービスを提供します。ドレスシューズの「チャーチ」は9月4〜24日、ウィメンズで初のセミオーダーサービスを期間限定で実施。定番人気のウィングチップシューズ“バーウッド(BURWOOD)”のレザーのボディーを12色からバイカラーかフルカラーで組み合わせることができ、スタッズの色もシルバーとゴールドで選ぶことが可能だそうです。

 そのほか、「フェンディ」「パラブーツ(PARABOOT)」「サントーニ(SANTONI)」「シャテル(CHATELLES)」もカスタマイズ企画を用意しています。

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伊勢丹シューズ売り場のここがスゴイ! ラグジュアリー靴の比較購買から3D計測まで改装をリポート

 伊勢丹新宿本店本館は8月28日、2階の婦人靴フロアを増床してリフレッシュオープンしました。7年ぶりの改装では、“おもてなし”と“デジタルの融合”をキーワードに、ラグジュアリーブランドのシューズの拡充をはじめ、足を計測してから商品を選ぶ新接客サービスなどを導入。世界中でも伊勢丹でしか購入できないアイテムもそろっています。ここでは5つにポイントを絞って、このリニューアルを紹介します。

1 ラグジュアリーシューズの比較購買がしやすくなった

 靴売り場の中心にあるプレステージゾーンは、ラグジュアリーブランドのシューズブティックが並ぶエリアです。今回のリニューアルで面積は1.2倍に拡大し、すでに館内に店舗を構えている「ディオール(DIOR)」「ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」がシューズ単独売り場を新たに出店しました。店の間にある壁を取り払うことで比較購買がしやすい売り場になっているのが特徴で、他店ではなかなか他のブランドと履き比べられない「ディオール」の周りには「プラダ(PRADA)」や「マノロ ブラニク(MANOLO BLAHNIK)」などが隣り合っています。

 プレステージゾーン内に編集スペース“イット シューズ”も新設されました。オープン時には、ラグジュアリーブランドの商品からトレンドのレオパード柄のシューズをピックアップして展示販売しています。また、「入学式用の靴が欲しい」「ウエディングシューズを探している」などの要望に合わせて、伊勢丹のスタイリストによるブランドの垣根を超えた接客サービスを受けることができます。

■プレステージゾーン ブランドリスト
SAINT LAURENT、DOLCE&GABBANA、CHLOE、GIUSEPPE ZANOTTI、FENDI、MIUMIU、CELINE、VALENTINO、TOD'S、CHURCH'S、PRADA、GIANVITO ROSSI、DIOR、MANOLO BLAHNIK、SERGIO ROSSI、ROGER VIVIER、CHRISTIAN LOUBOUTIN、GUCCI、JIMMY CHOO、SALVATORE FERRAGAMO

2 パンプスをアプリでマッチング!足を計測してから選ぶ

 「ペリーコ(PELLICO)」や「ファビオ ルスコーニ(FABIO RUSCONI)」などOL層に支持されるブランドが並ぶパンプス売り場のそばには、パーソナル接客を受けられる“フィッティングラボ”が新たに登場しました。最新の3D計測器を使って、足長、足囲、かかと幅などの9つの数値を計測。そのデータをもとに、店頭とECを連動したアプリ“ユア フィット 365(yourFIT 365)”を使ってぴったりな靴を見つけ出すもので、アプリに対応しているブランドの約1000種類のパンプスの中から最大で50足を紹介してもらえます。

 タブレット上でヒールの高さや色、素材別に表示され、店頭に在庫がないものは、約4週間で届くそうです。一度計測したら、専用アプリにマイサイズを登録することができ、ECからでも直接自分のサイズにあったシューズを購入可能。もし、おすすめされていなかったアイテムでも、アプリ上で自分の足形との相性を☆5段階評価で表示されるそう。サービスの対応ブランドは三越伊勢丹のPB「NT」や「ヨシト(YOSHITO)」「リーガル(REGAL)」など8ブランド。店内にいる30人のシューカウンセラーが丁寧に接客してくれます。

■パンプスゾーン ブランドリスト
PELLICO、RUCOLINE 、STUART WEITZMAN 、FABIO RUSCONI◎、SEVEN TWELVE THIRTY◎、SUCCESSWALK、NT◎、YOSHITO◎
◎…専用アプリ対応ブランド

3 世界初「エコー」のカスタマイズシューズ常設店 自分だけのミッドソールをその場で作る

 カジュアルシューズのコーナーでは、「レペット(REPETTO)」や「コール ハーン(COLE HAAN)」などのフラットシューズを中心にした品ぞろえが特徴です。中でも目玉は、デンマーク発シューズブランド「エコー(ECCO)」の3Dプリンターでシューズを作るサービス “クアントゥー(QUANT-U)” の世界初の常設店です。足を3D計測器で測り、専用のシューズを履いてトレッドミル(ウォーキングマシン)で歩行時の足の動きを解析。その結果をもとに3Dプリンターでミッドソールを作ることができます。約60分で計測・解析・製作までできてしまう革新的なシステムです。

「エコー」の3Dプリンターで作るカスタマイズシューズ 世界初の常設店が伊勢丹新宿本店にオープン

3Dプリンター使って60分で完成 「エコー」のカスタマイズ・シューズが世界初お披露目

■カジュアルシューズゾーン ブランドリスト
REPETTO 、CHATELLES 、TORY BURCH 、COLE HAAN、ECCO、GEOX、ARCHE、PAUL GREEN、MEPHISTO、T.INABA、GINZA YOSHINOYA、UGG、CAMPER

4 トレンドから定番化になった“オシャレスニーカー”のバリエーションが豊富

 伊勢丹新宿本店ではスニーカーコーナーも充実しています。「ナイキ」「アディダス」などのスポーツブランドから、「ノーネーム(NONAME)」「ドクターマーチン(DR.MARTENS)」などさまざまな種類がそろいます。またベルクロのフック&ループの仕組みでワッペンをカスタマイズできる「ニューニュー(NEWNEU.)」が百貨店初の常設店を開きました。オープン記念に「アグ(UGG)」とのコラボブーツを世界限定で取り扱っています。

■スニーカーゾーン ブランドリスト
ASH、NONAME、NEWNEU.、NIKE、ADIDAS ORIGINALS、NEW BALANCE、GLODEN GOOSE DELUXE BRAND、ONITSUKA TIGER、PATRICK、SUPERGA、DR.MARTENS

5 伊勢丹でしか手に入らない限定アイテム&サービス

 店内には、今回のリニューアルを記念した限定商品や先行販売アイテムが豊富にラインアップされているほか、さらに約10ブランドではカスタマイズサービスを提供します。ドレスシューズの「チャーチ」は9月4〜24日、ウィメンズで初のセミオーダーサービスを期間限定で実施。定番人気のウィングチップシューズ“バーウッド(BURWOOD)”のレザーのボディーを12色からバイカラーかフルカラーで組み合わせることができ、スタッズの色もシルバーとゴールドで選ぶことが可能だそうです。

 そのほか、「フェンディ」「パラブーツ(PARABOOT)」「サントーニ(SANTONI)」「シャテル(CHATELLES)」もカスタマイズ企画を用意しています。

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伊藤忠がアパレルのD2Cブランドを立ち上げたワケ

 伊藤忠商事はこのほど、新ブランド「ジャメヴ(JAMAIS VU)」をスタートする。ブランドコンセプトはモデルでインフルエンサーのクリスウェブ佳子が作り、ファーストシーズンのメインビジュアルにはベッキーを起用した。“サイズレス・シーズンレス・エイジレス”を掲げ、ネット通販を中心にしたD2C(Direct to Consumer、顧客直結型)ブランドになる。運営は大手アパレルや小売り企業へのOEM(相手先ブランド生産)・ODM(相手先ブランドの企画生産)を手掛ける同社のファッションアパレル部門が行う。8月15日にティザーサイトを開設し、9月9日から販売を開始する。東京都内でインフルエンサーや関係者を招いた展示会を行った。かつてはご法度だったリテールビジネスに、商社自らが乗り出す。その狙いは何か?担当者を現地で直撃した。

 「ジャメヴ」を立ち上げた伊藤忠ファッションアパレル部門の長谷川徹氏は「最大の狙いは、主力事業であるOEM・ODMの“次世代化”。以前だったら直接消費者と接点を持つためには、自ら商品を企画し、在庫を抱えた上でリアル店舗を構える必要があり、多額の資金が必要だった。資金の回収のためにはビジネスを大きくする必要があり、取引先との競合だって覚悟する必要があった。D2Cなら資金的なハードルは低く、素材の調達から商品開発、プロモーションとマーケティング、販売まで一気通貫でできるため、ノウハウの吸収にはもってこい。当然のことながらリテールに参入なんていう気持ちはさらさらなく、主力の取引先とバッティングして迷惑をかけるなんて本末転倒だと考えている」と語る。

 伊藤忠は既存事業の“次世代化”を中長期的な経営戦略として掲げており、総合商社から繊維商社までがこぞって参入し競争が激化しているOEM・ODMのアップデートは、重要な課題の一つだった。「OEM・ODMといっても単に商品を供給するだけのビジネスは変わりつつある。原料までさかのぼって調達したり、経営支援を行ったりと、事業全体のパートナーになることだって増えてきた。取引先である大手アパレルやセレクトショップ自体が、ネット通販を成長分野として強化している上、当社自身もネット専業のアパレルや小売業者の取引先も増えつつあり、ネット通販のノウハウの構築は待ったなしの状況でもある」と長谷川氏。

 とはいえ、ゼロからの立ち上げは単独では難しい。同ブランドはECとマーケティング面ではEC事業支援のロゾパンサン(ROSEAU PENSANT)を、商品開発ではトゥモローランド(TOMMOROWLAND)のウイメンズMD出身の五味田渉氏をパートナーに迎えている。

 シーズンレスを掲げた同ブランドのファーストコレクションについて、長谷川氏はシーズンではなく“エディション”という言葉を使って説明する。「40SKUのファーストエディションの大半は秋冬ということもあり、伊藤忠が直接買い付けている上質なメリノウールである“メリノオプティモ(MERINO OPTIMO)と上質ラムウール“ハミルトンラムズウール(HAMILTON LAMBS WOOL)”を使用している。“メードバイ伊藤忠”で、もの作りに徹底的にこだわった」。価格帯はセーターが1万円台前半〜2万円台後半、ボトムス(スカート・パンツ)が1万7000〜2万3000円、ジャケットが4万円〜、コートが4万8000円と決して安くはないものの、「原価率はかなり高い。D2Cというビジネスを生かし、できるだけクオリティーを高めた。そうしたこだわりをきちんと伝えるためにも、サイトでは素材の丁寧な説明を筆頭に、着こなしの動画などできるだけリッチコンテンツ化することで、サイト接客につなげている」という。

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ワークマン「逆張りの大量出店」に勝算はあるか 仕掛け人・土屋専務に聞く

 「ワークマンプラス(WORKMAN PLUS)」の出店開始から丸1年。作業服専門店のワークマンは、低価格・高機能のアウトドアウエアで大きな躍進を遂げた。人気は既存の作業服の「ワークマン(WORKMAN)」にも波及し、2019年4〜6月期の既存店売上高は28.7%増。一部にはブームの反動を懸念する声もあるが、同社は強気を崩さない。キーマンである土屋哲雄専務取締役は現在の843店舗(6月末時点)を将来的には「1500から2000店舗まで拡大したい」という。

WWD:今期(20年3月期)の業績予想は、チェーン全店売上高が前期比11.2%増の1035億円と大台に乗ります。アパレル不況の中、好調ぶりをどう自己分析しますか。

土屋哲雄専務取締役(以下、土屋):ワークマンがファッションアパレルではないからでしょうね。当社とファッションアパレルとの違いは大きく3つあります。

一つ目は「定価販売」。原則として値引きしません。廃番にする際、残っているサイズやカラーを安くするくらいで、値引き販売率は2%です。

二つ目は「継続販売」。作業服には流行がほとんどなく、ファッションアパレルのように1シーズンで陳腐化しない。最低5年くらいは売れる。だからシーズン終盤に売れ残っても、値引きはせずに翌年も売り続ければいいのです。

三つ目は「共通製品」。この数年でプロ(建設・土木業などに従事)のお客さんが買う作業服と一般のお客さんが買うカジュアルウエアの境がなくなりました。一般の人向けで売れ残ってもプロの人が買ってくれる。作業服は消耗品でもあるので、プロのお客さんは月1回くらいの頻度で来店します。

WWD:大量生産した服が定価で売れずに、値引き販売が常態化しているファッションアパレルに比べてサステイナブルですね。

土屋:うちは大手SPA以上に大量生産です。一つの商品を何十万単位のロットで作るため、価格で他を圧倒できる。それを定価で年月をかけて売り切る。定価で買った服が翌月に値引きされるよりも、エブリデーロープライスの方がお客さんとの信頼関係ができ、長い目で見て得策です。作業服チェーンとして当社がやっていることは長年変わらないのに、図らずもサステイナブルといわれるようになったわけです。

WWD:これまで作業服の販売で築いてきた全国843店舗という店舗網のスケールメリットが、高機能・低価格の実現に武器になるわけですね。

土屋:当社でも初年度の生産量は少なめですよ。といっても5万点、10万点は作るので、他社からみれば大ロットでしょう。2年目には当社の統計チームが需要予測を導き出し、大量生産にゴーサインを出す。30万点、50万点、場合によっては100万点作る。このやり方も作業服で培ったもので、PB(プライベートブランド)のカジュアルウエアでも変わりません。需要予測は数年かけて磨いてきた当社の最大の強みです。競争先が数年かけても追いつけないダントツの製品を作り、たくさん作って定価で売り切る。

PB商品の原価率は現状63%。10月の消費増税でも価格は据え置きにして、増税分は当社で飲み込みます。原価率は65%に届く見通しです。ユニクロさんに比べてもだいぶ高いはずです。この65%は当社を追いかけようとする競合他社にとって「参入障壁」になるでしょう。

WWD:実際、追随する動きはありましたか。

土屋:ほとんどありませんでした。一部SPA(製造小売り)で似たような高機能を売りにしたパンツなどを出したようですが、機能性や価格面で当社とは勝負になりません。他社はリスクに慎重だし、思い切ったことできない。うちは5万点までだったら、商品部の社員が自分の判断で作ってしまう。上司もあまり口出ししません。たとえ失敗としても、先ほど話したように店舗の入り口付近におけば、いずれ売り切れます。

「有名ブランドしか通用しない」 アウトドア業界の常識はウソだった

WWD:昨年9月スタートの「ワークマンプラス」の人気は、既存の「ワークマン」にも飛び火し、19年4〜6月期の既存店売上高は28.7%増でした。

土屋:予想以上でした。これだけ支持を集められたのは、高機能・低価格のアウトドアウエアが空白マーケットだったからに他ありません。私たちが参入する前、業界関係者にヒアリングすると、アウトドアウエア市場は知られたブランドでなければ通用しないと言われましたが、そんな常識はウソでした。作業服から参入した私たちは、他社と競争している意識すらありません。

WWD:「ワークマンプラス」では、従来と異なりロードサイド以外にも出店していますね。

土屋:ショッピングセンター(SC)は初挑戦でした。中でもダントツに良いのは、3月に開いたららぽーと甲子園(兵庫県西宮市)の店舗です。近くの阪急西宮ガーデンズに「デカトロン」(フランス発の世界最大のスポーツ用品SPA。売上高は約1兆4000億円)の日本1号店が出店したので、メディアでたびたび比較されました。当社としても負けないように力を入れた店舗でしたが、注目を集めたことで相乗効果があったようです。

WWD:リピーターも多い?

土屋:まだ分析しきれていませんが、かなり多いと思います。カードで情報がとれるSCでは、約10%のお客さんが1カ月以内に再び買い物をしてくれました。SCを運営するデベロッパーからは(衣料品では)「ユニクロ」に次ぐリピート率だと言われます。ロードサイドのプロのお客さんは固定客で、ほぼ月1回の頻度で来店します。作業着や道具は消耗品ですからね。重要なのは私たちにはすでにプロの固定客の基盤があり、これに一般のお客さんが上乗せされたということです。一般のお客さんにも年3〜4回は買い物を楽しむ固定客になってほしい。一過性にしないために、どんどん仕掛けていくつもりです。

WWD:今期(20年3月期)の「ワークマンプラス」の出店計画を2倍に上方修正しました。ECへの移行で小売業が出店を抑制する中、異例といえます。

土屋:前期末(19年3月期)に計12店舗だった「ワークマンプラス」は、今期末には計167店舗になる予定です。今後の出店は全て「ワークマンプラス」の看板になるでしょう。先行する店舗の売れ行きに加えて、既存の「ワークマン」を手早く改装できる見通しがたったためです。売り場分離改装(部分改装)と呼んでいますが、要は売り場を一般向けとプロ向けの2つのゾーンに分け、内装や外装を最低限しかいじらない店舗です。全面改装に比べて、ずっと低コストで済みます。

WWD:どれくらい抑えられるのですか。

土屋:1店あたりの投資額としてショッピングセンター(SC)の新店が1500万〜2000万円、ロードサイドの新店が6000万円、既存店の全面改装が1500万円かかるのに対し、既存店の部分改装なら200万〜300万円です。埼玉県の2店舗で部分改装を実験したところ、売り上げがほぼ2倍になりました。全面改装した店舗と比べても遜色がありません。

今期末の「ワークマンプラス」計167店舗の内訳は、SCが8、ロードサイドの新店が42、既存店の全面改装が27、既存店の部分改装が90。東京や埼玉、千葉、愛知、大阪、福岡など人口の多いエリアであれば、部分改装で売り上げは倍にできると踏んでいます。

WWD:プロと一般の二毛作だから安定拡大が見込めると?

土屋:そうですね。プロのお客さまにも、一般のお客さまにも、置いてあるものが「自分たちのため商品」に見えることが肝心です。実は来年春に面白い試みを予定しています。埼玉県の大宮に作る「二枚看板店(仮)」。朝・夕は建設作業員などのプロのお客さん、昼はカジュアルウエア目当ての一般のお客さまに合わせて、時間帯によって店内演出を変更します。表の看板も「ワークマン」と「ワークマンプラス」の2つを切り替える。複数の大型デジタルスクリーンを配置して、同じジャケットであっても、スクリーンの映像が建設現場ならプロに、山なら一般のお客さん向けの商品に見えるという仕掛けです。照明や香りも時間帯で異なる。UX(ユーザーエクスペリエンス、顧客体験)をがらりと変えるのです。

遠方からわざわざ訪れてもらえる店にしたい。例えるなら、中目黒のスタバ(スターバックスリザーブロースタリー東京)のような観光スポットですね。いま、設計家やアーティストと準備を進めている最中です。

SNSだけで目玉商品を売り切る インフルエンサーの力

WWD:19-20年の秋冬商品を昨対比2.7倍、売上高にして300億円分作ると発表しました。

土屋:「ワークマンプラス」がデビューした昨年の秋冬は欠品が相次ぎ、せっかくお越しいただいたお客さんをがっかりさせてしまいました。2年目の今秋冬は欠品をさせない。余らせるくらいでいい。そのために各地に倉庫を10カ所ほど確保しました。生産と物流の体制を整えます。

WWD:RFID(無線電子タグ)による効率化などは考えていますか。

土屋:まだ考えていません。最後でよいと思っています。他社のお手並みを拝見してからでも遅くない。

WWD:アパレル業界はAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の導入が盛んですが。

土屋:順番が違うと思います。まず製品で勝つこと。次に店舗。最後にデジタル。重要性でいえば、製品6割、店舗3割、デジタルマーケティング1割といったところでしょうか。

一昨年はPBの強化で製品の力が向上したはずなのに、目論見ほど売り上げは伸びませんでした。一部のお客さまには届いたけれど、まだこんなものじゃない。作業服の印象が強い当社が新しいお客さんを呼び込むには、接点となる新しい店舗が必要だと考えました。それが昨年9月に立ち上げた「ワークマンプラス」であり、多店舗化のめどもつきました。来年はデジタルにマーケティングに本腰を入れます。極論をいえば、ネットの評判だけで売り切るようにしたい。

WWD:今SNSのフォロワーはどれくらい?

土屋:それが、まだ公式アカウントがないんです。先日、ある人からも「本当にSNSをやっていないんですか」と呆れられました。うちはいつも後追いなんです(笑)。デジタルマーケティングを掲げながら、お恥ずかしいかぎり。ツイッターもインスタグラムも9月から本格的に始めます。ひとまずフォロワー30万を目標にします。

WWD:とはいえ、SNS上では「#ワークマン女子」「#ワークマンコーデ」などのハッシュタグをつけた投稿がたくさんあります。

土屋:こちらが意図的に仕掛けたのではなく、影響力のあるインフルエンサーの方々が自発的に始めてくれました。本当にありがたいことです。彼ら彼女らの力は実に大きかった。建設作業用のレインウエアがオートバイに最適だと広めてくれたり、飲食店の厨房用に作った滑りにくい靴を妊婦さんに勧めてくれたりしたのも、インフルエンサーの皆さん。私たちが気づかないワークマンの価値を発見してくれた。

数シーズン前からインフルエンサーを展示会に招待して助言をもらっています。今後はさらに進めて、最初から商品企画に入ってもらいます。インフルエンサーにアウトソーシングする感じです。

WWD:インフルエンサー任せで大丈夫?

土屋:ワークマンは作業服の知見はあるけれど、それ以外は素人とあまり変わりありません。だって商品部のスタッフにはキャンプや山登りの経験者がほとんどいないんですから。だから詳しい方の意見に割と素直に従います。仮にすぐ売れなくても5万点くらいなら数シーズンで消化できます。

溶接用の作業服を応用して、バーベキューや焚き火の際に防火機能のあるアウトドアジャケットを作ったところ、「なんでペン差しがあるんだ」とお叱りを受けました。建設現場で図面をチェックするためにペンは必需品だから、クセが抜けずに残してしまったのです。別の頭から被るプルオーバージャケットは、女性はヘアスタイルがあるので前開きタイプを作ってほしいと言われて、それにも従いました。値段について2900円は高いという声が多かったため、2500円に変更したケースもあります。

アンバサダーはキャンプ、山登り、ツーリング、釣り、ランニングなどのそれぞれの趣味を極め、数万のフォロワーを持つ人たちです。現状15人前後ですが、50人に増やします。来年9月には、アンバサダーとのコラボ製品のみを集めたファッションショーも予定しています。

ネットで注文して店舗在庫を受け取る そのために小商圏で出店拡大

WWD:店舗のほとんどはフランチャイズ(FC)。別業界ですが、コンビニは長時間労働でオーナーが悲鳴をあげています。

土屋:加盟店の店長(FCオーナー)の負担を減らして、しっかり稼げる仕組みを作ってきたので、あまり心配していません。精緻なデータ分析に基づく需要予測システムによって、店長がレジ端末の「一括発注」のボタンを押すだけで納品される。閉店後の面倒なレジ精算も翌日14時でOK。開店時刻の5分前に来て、閉店時刻の5分後には帰る。セコムで確認すれば分かります。残業するくらいなら、仕事を先延ばしにしてもいいと伝えています。

実際、加盟店の店長の半数が自分の子供に継がせたいと答えています。子供さんの意思もあるので、みんなが受け継ぐわけではありませんが、一つの評価だと思います。5年ごとのFC契約も更新率は97%です。

WWD:EC化率はどれくらいですか。

土屋:1%台です。現時点ではECで勝負するつもりはありません。ただ、ネットで店舗在庫を公開して、お客さんが自宅近くの店舗で受け取れるようにしたい。そのためには店舗がもっと必要です。このペースでいけば、1000店舗はすぐに超える。お客さんの受け取りの拠点として機能するためには、1500〜2000店舗は必要になります。

WWD:オーバーストアになりませんか?

土屋:「ネットの脅威」とよく言うけれど、コンビニに「ネットの脅威」があるかといえば、ほとんどないでしょう。自宅で宅配便の到着を待つよりも、自宅近くのいつでも行ける場所に商品があるにこしたことはない。かつては人口10万人の商圏が出店の目安でしたが、「ワークマンプラス」なら5万人の商圏でも対応できると考えています。

現在の100坪の標準店舗は売上高2億円が物理的な限界です。作業服だけの時代に比べて当社のお客さまは大幅に増えており、加盟店の忙しさは限界に達しようとしています。「忙しすぎるので、同じ商圏に出店してほしい」との声まで届くようになりました。出店拡大には、お客さんの潜在需要だけでなく、加盟店の負担を軽くしたいという思いもあるのです。

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エディ就任後初シーズンの「セリーヌ」はどうだった? 2019年春夏、百貨店で売れたものVol.2

 「WWDジャパン」8月26日号は、毎シーズン恒例の“百貨店で売れたもの”特集です。特選、婦人服、紳士服、バッグ、シューズ、時計、ジュエリー、ファッションジュエリーの8カテゴリーにつき、全国計50の百貨店へのアンケート調査&有力店への直接取材によって、19年春夏の商況を浮き上がらせました。詳細は本紙や定期購読特典(単独販売もしています)の「ビジネスリポート」をご確認いただきたいですが、ウェブでは特集担当記者による取材こぼれ話を座談会形式でお送りします。ジュエリー、時計担当者を招いた第1回座談会に続き、第2回は特選カテゴリーについてです。

座談会参加者
三浦彰:「WWDジャパン」編集顧問
五十君花実:特選担当記者

五十君:「高額品が百貨店を救う!」ということで、ジュエリー、時計座談会に続いて今回は特選(注:いわゆるラグジュアリーブランド)です。百貨店では近年、苦戦が続く婦人服などの売り場を減らし、好調な特選や化粧品を拡大するという動きが目立ちます。そうした強化策もあって、今期も特選は堅調という百貨店が目立ちましたが、過去数シーズンに比べるとやや伸び率は落ち着いています。

三浦:国内富裕層による売り上げが堅調、訪日外国人による免税売り上げは定着といった感じだね。中国人客による猛烈な“爆買い”(注:中国人観光客による特需に沸いた2015年、彼らのその旺盛な消費をこう呼んだ)はなくなってきて、彼らも国内客と同じような購買の仕方に移行している。勢いがやや落ちて見えるのはそういう理由でしょう。国内富裕層が堅調というのは、百貨店側の外商営業強化と、ブランド側が上顧客向けイベントを強化してきたことのたまものですよ。

五十君:伸長率上位ブランドでは、ここ数シーズン市場をけん引してきた「グッチ(GUCCI)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」の二強は引き続き存在感を放ちつつも、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「シャネル(CHANEL)」「エルメス(HERMES)」といった大型ブランドの底堅い伸びが目立ったシーズンでもあります。

三浦:ブランドが主催する上顧客向けイベントにしても、そういったものが開催可能なのは資本力があるビッグブランドだよね。ビッグブランドに消費が集中してきているんじゃないかと感じる。大丸松坂屋百貨店では、「『ルイ・ヴィトン』で数百万円台のエキゾチックレザー(注:クロコダイルやパイソンなどの高級レザー)のバッグが売れるようになってきた」という話だったけど、「ルイ・ヴィトン」は本来そういった超高額品は比較的手薄だったブランド。富裕層向けの販売強化のために、超高額品を拡充しているということなんでしょう。

五十君:大丸松坂屋百貨店は、5月に初めて東京で外商向けのホテル催事を行って、大盛況だったようです。2日間の開催で、売り上げはジュエリーなどを含む特選カテゴリーだけで9億6000万円だったとか。他にも、百貨店各社は「松美会」(松屋)、「明美会」(小田急百貨店)といった、上位顧客向けの店頭催事やホテル催事に力を入れています。細かい話ですが、「〇美会」というネーミングが多いですね。昨年秋の松美会は、1日だけの開催で売り上げ9億円(特選以外も含む全館で)だったとか。今年は創業150周年記念もあって、2日間開催に拡大するそうですよ。こういう話を聞くと、日本ってお金持ちがたくさんいるんだな~ってしみじみ思います。貧困社会といったキーワードもウェブニュースではよく踊ってますけど。

三浦:新興富裕層が出てきて、すごい金額を買っているんでしょう。所得格差が広がって、中間層は減っているけれど富裕層の厚みは増している。百貨店は、世帯年収いくら以上が外商客としてのターゲットだといったことは明言しないけど、恐らく高いところだと2000万円以上なんじゃないの。思い返してみると、00年前後のITバブルの時にIT長者がグイグイきていたよね。今またそういう人が増えているんでしょう、憶測ですけど。

五十君:そのように富裕層の高額消費は手堅かった一方で、マーケット全体としてはいまいちヒット品番に欠けたシーズンだったように思います。「過去数年のストリートブームと、これからくるクラシック回帰との狭間だった」といった声が何社かから出ました。

三浦:そんな中で、「ディオール(DIOR)」の“ブック トート”が売れたと松屋や高島屋が言っていたことは印象的だったね。あとは「『サンローラン(SAINT LAUREN)』のバッグの価格MDが巧みでよく売れている」っていう話もよく聞いた。ラグジュアリーブランドのバッグの価格はこの15~20年くらいで確実に上がっているから、「サンローラン」はそのすき間を突くのがうまいっていうことなんじゃないの。

五十君:確かに、「サンローラン」には高額バッグもありますが、若い子にも買いやすい10万円台のバッグもしっかりそろえています。「ジル サンダー(JIL SANDER)」でバッグの“タングル”シリーズが売れたという話も非常によく聞きました。“タングル”も比較的買いやすい価格です。

三浦:「ジル サンダー」はこれからどんどん伸びるかもっていう感じはするね。シーズン前から、ポスト・フィービ―市場(注:フィービー・ファイロ=Phoebe Philoの「セリーヌ(CELINE)」退任により、ドル箱である大人の上質リアルクローズ市場のイスが空くのではないかという期待からこのような言葉が生まれた)の有力候補という触れ込みだったけれども。

五十君:ブランド側の広報によると、「ジル サンダー」の雑貨売り上げに占めるバッグやシューズの構成比は、今4割にまで達しているそうですよ。ヒットしてますね。ただ、「ウエアの価格設定が高額すぎて、雑貨を買っている若い子には買えない」といっていた百貨店も数店ありました。あと、ポスト・フィービー市場の話として気になったのは、「『セリーヌ』自体のウエアの売り上げが想像以上によかった」と、伊勢丹新宿本店や松屋が言っていたことです。18年春夏は、フィービー退任前の駆け込み需要で各社「セリーヌ」のバッグだけでなくウエアもかなり売っていたんですが、そこを超えるまでとはいわないけれども健闘している、という話でした。「ポスト・フィービー市場の本命は結局『セリーヌ』自身だった」と言っていた店もあったのが印象的です。メイン・コレクションではなく、フィービー時代に通じるリアルなプレ・コレクションが売れたそうです。もちろん、「セリーヌ」は苦戦したと言った百貨店もありましたが。

三浦:まあ、エディ・スリマン(Hedi Slimane)が就任してまだ最初のシーズンだし、「『セリーヌ』はメンズに期待」っていう声も多いですからね、いいんじゃないですか。9月20日にリニューアルオープンする大丸心斎橋店の目玉の一つも、メンズ・ウィメンズで導入する「セリーヌ」だって話でしたね。こういう風に話してくると、いろいろと話題になるブランドと、話にも出ないブランドっていうのが明確になってきたね。ブランドの勝ち負けがはっきりしてきた。「ソニア リキエル(SONIA RYKIEL)」とかいい例じゃない(注:買い手や提携先を探していたが見つからず、7月に清算が決定した)。1980年代には売り上げベスト10に必ず入るブランドだったのに。感慨深いですよ。

五十君:冒頭に出た、大型投資が可能なビッグブランドが勝つという話につながりますね。総括に入ります。百貨店は15年に“爆買い”特需に沸いて、翌16年は中国の法改正で免税売り上げがガクンと下がり、やれ「百貨店という前近代的ビジネスモデルの終わり」などと叩かれました。今期も免税売り上げの伸びは減速していて、状況としては16年と似ている部分もあります。でも、特選などの高級品を強化し、国内富裕層を堅実に増やしていけばまだまだいけるって感じですかね。

三浦:外商向け催事を毎月でもやればいいんじゃないの(笑)。とはいえ、それも商圏人口が一定以上の規模の都市の百貨店でしか通用しないモデルだと思うけどね。地方は大変だね。

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「生活導線に情報を置くべし」 ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.9「ビジネスシーンのカジュアル化が加速。汎用性の高い商品需要高まる」

読み解きポイント:情報伝達を工夫して潜在需要を獲得する

ニュースのポイント

 ビジネスとカジュアル兼用のジャケット、シャツの需要が増える一方、既製品スーツが苦戦。「グッチ(GUCCI)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「オフ-ホワイトc/o ヴァージル アブロー(OFF WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」などは伸長を続けるものの、ストリートブームは、やや沈静化。きれい目ベーシックな上質感のある「ジル サンダー(JIL SANDER)」「オーラリー(AURALEE)」といったブランドが好調。

CKRはこう読む!

 「1/3に減」。クールビズの結果、10年間で激減した国内のネクタイ生産量です。日本のメンズドレスは、外部要因によって大きく左右されます。

 カジュアル化の加速は、増加するリモートワーク、出張などという外部要因により、着心地よく、取り扱い容易な衣料品が求められていると言い換えられるのではないでしょうか。またオン・オフ「兼用」という点も見逃せません。メンズドレスに限らず、バッグでも「仕事・旅行兼用」「夫婦兼用」など、複数のシーンに対応できる商品に一定の需要が見受けられます。

 ここから分かることは、需要の変化に適応しなければ、淘汰されるということです。兼用になれば、2つのものが1つで事足りるようになります。伸縮性のないスーツは、敬遠されることも増えるでしょう。

 もちろん、クールビズが叫ばれたとしても「スーツ+ネクタイのスタイルは、バランスが良くて好き」という一定の需要は残っています。ただミクロでなく、マクロで見ると大きな需要変化が起こっていることも事実です。

 そこで重要なのは、「届いていない市場にしっかり届ける」という視点なのではないでしょうか。

 外部要因によって発生した需要は、本人の意思不在であることも多いです。「カジュアルOKなので、伸縮性のあるパンツを買いたいけれど、どこで、何を買えばよいのかわからない」。こんな情報難民が多数生まれている可能性があります。

 紳士服市場をさらに活性化させるためには、良いものを作ることにあわせ、人の生活導線の中に必要とされる情報を置くという、情報デリバリーの工夫も忘れてはなりません。

19年春夏の百貨店では何が売れた? 好調ブランド、ヒット商品をリポート

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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「200万円ダイヤで肩の力が抜けたラグジュアリーを知った」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週の(今回は先週のw)ファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャーに勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.8「『グッチ』も参入 渾身のハイジュエリーがパリに集結」

読み解きポイント:「ミレニアル世代のプリンセスは、どんなジュエリーを身につける?」

ニュースのポイント

 毎年7月にパリで開催されるオートクチュールウイークの期間中には、新作ハイジュエリーが数多く発表される。「グッチ(GUCCI)」がハイジュエリーに参入し、ハイジュエリーのメッカであるヴァンドーム広場に出店したことは今季一番のトピックスになった。各ブランドが趣向を凝らした発表会の様子や、至高のジュエリーの数々をレポートする。

Azuはこう読む!

 私のプロフィールに書いてある「渡仏」というのはフランス留学のことです。留学の理由は、ファッションを学ぶためでもフランス文化を知るためでもなく、ただパリに住みたかったから。そしてパリに住みたかった理由は、プリンセスになりたかったから(笑)。小さな頃からお姫様に憧れていて、着てきた洋服も「メゾピアノ(MEZZO PIANO)」「リズリサ(LIZ LISA)」「ロジータ(ROJITA)」など、同世代ならエモくなる王道ガーリー系です。もちろんパリに住んでもプリンセスにはなれず、代わりに大きな夢を持って帰国しました……。

 マリー・アントワネット(Marie Antoinette)も羨む優美なドレスを着て、生涯年収と同じくらいのハイジュエリーを身に纏うという典型的なプリンセスに未だ憧れているのですが、現実は誌面に踊る豪華絢爛なハイジュエリーを目の前に「日本では、どんな人が買うのだろう?」「日本だと、どこにつけていくのかな?」「資産運用という意味だと、石より金なのかな?」と現実的なことを考えてばかりです。

 先日、本連載4回目で触れた「自家需要ジュエリー」の記事に共感いただいた同世代のPRに、200万円を超えるダイヤモンドのネックレスを見せていただきました。遠目だとチェーンネックレスかなと思うのですが、よく見ると繋がっているのは小さなダイヤモンド。台座のない裸のダイヤモンドの両端にレーザーカットで穴を開け、金具でひとつひとつ繋ぎ合わせたそう。台座がない分一粒ずつの存在感は小さいですが、なんと合計94個(!)3.5ctのダイヤモンドを贅沢に使ったネックレスでした。

 「分かりやすい一点主義の宝石ではなくて、よく見たらダイヤモンドじゃん……!みたいな。自分だけが知っている贅沢のようなものです」というPRの言葉に、今っぽい肩の力が抜けたラグジュアリーの在り方を感じました。そのネックレスのユニセックスな風貌と華奢で飾らない豪華さは、まさに「現代のストリートプリンセス」にぴったり。気になる方は「ミラモア(MILAMORE)」のネイキッドダイヤネックレスで検索してみてください。

ハイジュエリー特集2019 ハイジュエリーの常識を揺さぶる「グッチ」の本気度

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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コペンハーゲンはパンがブーム! 注目5店の食べ歩きで食文化を体感

 8月6〜9日に開催された2020年春夏シーズンのコペンハーゲン・ファッション・ウィーク(以下、CFW)に参加してきました。過去3回訪れたのは全て極寒の真冬だったため、今回は初めて夏のコペンハーゲンです。デンマークは白夜が続く6月が真夏で、8月は日本よりひと足早く秋手前の感覚です。気温は毎日20度ほどでとても快適でした。今季のCFWには百貨店のプランタン(PRINTEMS)やギャラリー・ラファイエット(GALERIES LAFAYETTE)、ユークス・ネッタポルテ(YOOX NET-A-PORTER)のバイヤーをはじめ、米「WWD」や「ビジネス・オブ・ファッション(The Business of Fashion)」のジャーナリストら、世界各国からゲストが訪れていました。デンマークをはじめとする北欧諸国といえば、デザイン性と機能性を両立させたインテリア用品が豊富なことで有名。そして“世界一幸福な国”ランキングで常に上位を占めることや、環境保護を目的としたサステイナブルの取り組みでは世界をけん引するなど、ここ20年ほどで注目度は高まり続けています。中でもデンマークの首都であるコペンハーゲンが北欧の中でも抜きん出て活気があるのは、レストラン業界の発展が大きいのです。

 税金の高い北欧諸国に暮らす人々は、外食という文化自体がほとんどありませんでした。自宅に友人らを招いて食卓を囲むホームーパーティの方が経済的だし、ヒュッゲ(温かく居心地がよい)に感じられます。そんな概念に変革をもたらしたのが、03年にコペンハーゲンにオープンしたノルディック・レストラン「ノーマ(NOMA)」です。イギリスの飲食業界誌「レストラン・マガジン(Restaurant Magazine)」による世界のベストレストラン50で4度も1位に輝き、世界中からフードジャーナリストや美食家、観光客らを多く呼び込みました。同誌には「北欧だけでなく、世界の料理界に革命を起こした天才シェフが『ノーマ』のレネ・レゼピ(Rene Redzepi)」と記されています。北欧は気候的に収穫できる食材が限られていることから、調理方法を変えて食事を楽しむ工夫に長けています。レストラン業界は以前、地元の食材不足をカバーするために輸入食品に頼っていましたが、レゼピさんは欠点と特徴の両方を取り入れて、地産地消をコンセプトにした新たな食文化の構築に成功しました。本人に会ったことはないのですが、レゼピさんには大感謝しております!なぜなら、コペンハーゲンが美食の街として発展を続け、訪れるたびに食で感動する素晴らしい街にしてくれたから!北欧は何をするにも高額なイメージを持っている人も多いと思うので、今回は私が訪れたお店を価格とともにご紹介します。

現地は空前のパンブーム!

 食に目覚めたコペンハーゲンの人々が今最も熱狂しているのが、パンなんです。早朝から行列を作る話題店の出店ラッシュが続いています。高級住宅地フレデリクスベアにある「ハート・ベアリィ(HART BAGERI)」は、昨年秋にオープンした新店です。「ノーマ」にパンを卸していたことが口コミで広がり、オープン前から話題を呼んでいました。サンフランシスコの伝説的ベーカリー「タルティーヌ(TARTINE)」でヘッドベーカーだった、イギリス出身のリチャード・ハート(Richard Hart)がオーナーを務めています。プロレスラーのような体格と両腕のタトゥーで一見コワモテですが、彼の手で作られるシグネチャーのローフはどこか懐かしくて優しく、素朴でほっこりする味でした。デンマークの伝統的なパンであるデニッシュを、モダンにアップデートさせた甘いパンも多く並びます。アプリコットジャムと実がゴロっとのった酸味が効いたデニッシュや、季節の果実であるブルーベリーとレモンの組み合わせ、エッグタルトのような濃厚カスタードクリームがのったものなど数々の魅力的なパンを差し置いて、一番人気はカルダモン・デニッシュ。カルダモンはスウェーデン発祥のスイーツによく使われる、シナモンに似たスパイスです。外サクサク&中ふんわりのカルダモンを練り込んだデニッシュ生地にメープルシロップが染み込んでいて、かむたびに舌の上でジュワッと溢れ出す蜜とカルダモンの香りが絶品です!カルダモン・デニッシュとフィルターコーヒー1杯で53クローネ(約840円)でした。今年2月に同店を訪れてからすっかりとりこになり、今回はわざわざ同店の近くのホテルを選んで数回通い、店員さんともすっかり顔なじみになりました。パリに住んでいると美味しいパンは日頃からたくさん食べられますが、「ハート・ベアリィ」は常に新しいレシピを開発していて、ここでしか食べられない味があるのです!

フワフワ&もっちりの人気店

 街の北まで足を伸ばして、閑静な住宅地ウスタブロにある小さなお店「ジュノ・ザ・ベーカリー(JUNO THE BAKERY)」にも行きました。「ノーマ」で6年シェフを務めたエミール・グラセア(Emil Glaser)が17年秋にオープンしたベーカリーで、「今はコペンハーゲンで一二を争う人気店」だと地元の方からもお墨付き。平日10時に行くとすでに10人ほどが列をなしていました。この時はクロワッサン、パン・オ・ショコラ、デニッシュなどの甘い系と数種類のライ麦パンが店頭に並んでいましたが、私は行く前からカルダモン・バンにすると心に決めていました。なぜなら、カルダモンを使ったパンのブームの火付け役は同店と聞いたからです。デンマークではフワフワしたパン生地やカルダモンを使ったパンになじみがなく、スウェーデン出身のグラセアさんが母国の味を同店で発信したことから人気になりました。バンはフワフワ&もっちりで、食べた後も香り高いカルダモンが口の中にずっと余韻を残し、長く味に浸ることができました。一緒に行ったフランス人の友人は、フランスの国民食ともいえるパン・オ・ショコラを食べておいしいと感動していました。カルダモン・バンは33クローネ(約520円)でした。

揚げパンの人気店に行くも……

 かつて工場地帯として栄え、今は再開発で最もホットなエリアと呼ばれるレフスハルウーン地区には、「ノーマ」の弟分レストラン「108」の元副料理長イェスパー・グッツ(Jesper Gøtz)が手掛ける「リル・ベーカリー(LILLE BAKERY)」があります。倉庫のような外観の同店は工房とイートインスペースが隣り合わせで、とても開放的な空間でした。デンマークで主流の揚げパンをアレンジしたメニューやオープンサンドが人気だと聞いていたのですが、15時に訪れた時には全て売り切れ……残念。ちなみに、同地区に「ノーマ」が昨年2月に移転したことでも話題です。さらに元「ノーマ」のシェフ、マット・オーランド(Matt Orlando)が13年にオープンした人気レストラン「アマス(AMASS)」と、彼の新店のクラフトビールレストラン「ブローデン&ビルド(BROADEN & BUILD)」もこの地区にあります。元王立劇場の大道具用倉庫を改装した1400平方メートルの広い空間で、オリジナルのクラフトビールを製造しているそうです。以前「アマス」を訪れて忘れられない感動的な食体験をしたので、同シェフがB級グルメを提供する「ブローデン&ビルド」にも期待大です。今回は行くことができなかったので、「リル・ベーカリー」とともに次回のお楽しみにしておきます。

味わいたくなるタコス

 ベーカリー以外にも「ノーマ」のDNAを受け継ぐレストランはたくさんあります。私のお気に入りは、メキシカンレストラン「サンチェス(SANCHEZ)」。「ノーマ」でパティシエを務めたメキシコ系アメリカ人のロジオ・サンチェス(Rosio Sanchez)が手掛けたお店で、市内にはレストランとスタンドの2店舗を構えています。私はスタンドの方にしか行ったことがないのですが、メニューは豚のロースト、牛肉のグリル、じゃがいもとチーズという3種類のタコスと付け合わせ数種類です。3種類ともハラペーニョが効いた辛味に酸味・甘味・うま味がバランスよく楽しめる、刺激的な味!これまでタコスってB級グルメ的にジャンクな味を楽しむ印象でしたが、ここのタコスは一口一口をかみ締め味わいたくなるような、奥深い感じがするのです。本場メキシコにはまだ行ったことはありませんが、メキシコ系移民の多いカリフェルニアやニューヨークで食べたタコスよりも断トツでここが美味しいです。3種類のタコスとソフトドリンクで135クローネ(約2135円)でした。

うなるほど美味なタルタルステーキ

 「ノーマ」関連のお店はどこも信頼の置ける味だと分かったところで、地元の方に聞いたオススメ店「マンフレッズ(MANFREDS)」に初めて行ってみました。コペンハーゲン郊外にあるオーガニック農家と契約し、農場からキッチンまで40分以内に食材が届いて調理される“ファーム・トゥ・テーブル”をコンセプトに、新鮮な旬の野菜を使った料理が人気のタパスレストランです。平日13時のランチタイムは予約で満席でしたが、唯一空いていたカウンターの1席をゲット!私のオーダーはタルタルステーキと豆サラダです。タルタルステーキは生の牛肉にオリーブオイル、ケッパー、ピクルス、薬味などを混ぜたフランス料理の定番で、ユッケの洋風版のような味です。メニューに見つけたらほぼ必ずと頼むタルタルステーキ愛好家の私もうなるほど美味しくて、感激しました。パリのものとは違い、牛肉がかなり粗めのみじん切りでかみ応えが結構あり、薬味の味付けが薄い分、肉の味をしっかり感じられました。奥にはマヨネーズとサワークリームを合わせたようなソースが隠れていて、これがまた今まで食べたことのない絶妙な味わい!豆サラダには、柔らかいグリーンピースとほっくりしたソラ豆、ボールガード・スノーピーと呼ばれる皮が紫色のシャキシャキした豆(サヤエンドウの一種)が野菜の濃厚なブイヨンソースに絡む、食感と味を楽しめる一皿でした。タルタルステーキと豆サラダとミネラルウオーターで185クローネ(約2925円)でした。

 ファッション・ウィークの取材ということを忘れてしまいそうなほど食いしん坊な旅になってしまいましたが(笑)、個人的には大満足!味覚を刺激したり、他人と料理を共有して交流を深めたり、オシャレしてレストランへ出掛けたり。食べるという人間の自然の行動が、お腹を満たすためだけではなく人生を豊かにする一つの方法であるという新たな考え方が数十年間でこの地に根付いたことが、あらためてすごいと感じました。半年に1回訪れるたびに街が進化していて、まだまだ魅力を発掘できそうなコペンハーゲンです。私のグーグルマップには行きたいお店がたくさんピン付けされており、次シーズンも待ちきれません!でもまず今は、食べ過ぎた分ダイエットに励むことにします……。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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新米男性記者のためのビューティ講座 フェイスパウダー編

 新卒で入社して3年目、4月にWWDビューティ編集部に異動となり、メンズコスメを担当しています。ビューティ記者としての一歩を踏み出したものの、分からないことだらけで勉強の日々が続いているのですが、見かねたベテラン先輩記者が業界ビギナーの僕にビューティの基本を教える、そんな連載をスタートすることになりました。第1回目は、「フェイスパウダー」編です。なぜ「フェイスパウダー」かというと、どう使用するか全く分からなかったのもありますが、カネボウ化粧品の「ミラノコレクション」の売れ行きに驚いたからです。「フェイスパウダー」ってなんだろう?

カネボウ「ミラノコレクション」の記事はこちら

後輩K:先輩F、「ミラノコレクション」ってすごいんですね?フェイスパウダーだけのブランドがあるなんてびっくりしました。

先輩F:川井君、そもそもフェイスパウダーはいつ使うか分かってる?

後輩K:ファンデーション後の肌に使用する、仕上げのための物というのはなんとなく……どういった効果があるんですか?

先輩F:パウダーで皮脂を抑えて滑らかな肌にしたり、特に男性だとBBクリームを塗布した後に使うと油っぽさを抑えることができるよね

後輩K:なるほど。ファンデーション後の肌にプラスしてカバーするのがフェイスパウダーなんですね。

先輩F:特にリキッドファンデーションを使った後の肌はテカりやすいから、フェイスパウダー使うことが多いかな。

後輩K:メンズの肌質に合う製品もあるんですね。男性用だと皮脂などの症状が出た後に対処する商品はあっても事前に抑える物ってあまりない印象なので、こういったコスメで対応できるのは嬉しいですね。

先輩F:そうそう。「カネボウ」の「ミラノコレクション」はおしろい市場で10年以上売り上げ1位なんだよね。※(全国小売店パネル調査)

後輩K:ウェブ記事のアクセスもアップ後すぐに良かったし、その後も息が長く読まれてますよね。人気の度合いが見て取れましたね。

先輩F:ドラッグストアで予約販売している商品で、これだけ売れている商品ってほかにあまり聞いたことがないなあ。それがフェイスパウダーのジャンルっていうのも面白いよね。

後輩K:使用した印象は、パウダーの密度が凄く高いなって感じました。肌に乗せるというより吸い付くような感じも魅力なんでしょうか。

先輩F:予約販売で10年以上売り上げ1位ってすごいと思う。そしてこのパッケージにもファンがいて、毎年変わるデザインを楽しみにしているって聞くよ。

後輩K:価格も9000円と決して安くないのにすごいですね。

先輩F:この「ミラノコレクション」をきっかけに今、高級パウダー市場が盛んなの。一般的にはフェイスパウダーは3000円前後の価格帯なんだけど、「コスメデコルテ(DECORTE)」のフェイスパウダー(5000円)も『アットコスメ(@COSME)』の19年上半期ベストコスメに選ばれていたり。最後の仕上げとして使うものだから、実は一番重要なところ。パウダーの細かさはもちろんだけど、なりたい仕上がりにこだわると質も重要で値段もそれなりの価格になっちゃうのかも。

後輩K:安価なコスメでベースを作ってもパウダーが良いと仕上がりも変わってくるんですか?

先輩F:そうだね。違うんじゃないかと思う。もちろん、好みあると思うけど。パウダーもカットの仕方で光の反射が全く違ってくるから。

後輩K:ジュエリーみたいですね(笑)。コスメってファッションと違って質感や色など1つの商品でも種類が豊富ですよね。「ミラノコレクション」の提案する陶器肌を求める方だったらこういうのが良いってことなんですね

先輩F:「ミラノコレクション」は幅広い層から人気があるけど、どちらかというと大人の女性が買っているイメージ。フェイスパウダーって若い人ももちろんベースメイクの仕上げで使うのが普通だからパッケージも重要。たとえば最近、日本に初上陸したこの「トゥー フェイスド(TOO FACED)」のフェイスパウダーは若い人が好きそうなパッケージだよ。

後輩K:余談ですが、「トゥー フェイスド」9月に名古屋松坂屋、11月に開業する渋谷スクランブルスクエアにも入るようですが、ほかの百貨店にも広がるようですよ。編集部の20代の女性記者も上陸をすごく喜んでいました。話しは戻りますが基本的にフェイスパウダーは各ブランド展開しているんですか?

先輩F:そうだね。逆に下地やファンデーションなどのベースメイクをそろえるブランドにはフェイスパウダーは必ずあって、ベースメイクの1つという感じ。だからこそフェイスパウダーだけを展開するミラノコレクションは珍しいと思う。

後輩K:話を聞いてると男性もファンデーションやパウダーを使用した方が良いような気がするんですが、どうなんでしょう?

先輩F:一般的に皮脂の多い男性の肌には、ある意味女性より使用した方が良いんじゃないかな。メンズスキンケアブランドの「ファイブイズム バイ スリー(FIVEISM × THREE)」もフェイスパウダーを出すんだよね。こういった商品を男性がもっと使うようになればメンズコスメ市場も広がると思うよ。

後輩K:髭剃りで赤みがかった肌など男性特有の肌トラブルもカバーできそうですね。肌を綺麗に見せたいって気持ちは女性同様にありますし。フェイスパウダーだけ使っても大丈夫なんですか?

先輩F:まずは色が着かない下地や、パウダーから始めてみても良いかもしれないね。コンシーラーとフェイスパウダーでもいいかも。「ファイブイズム バイ スリー」もそうだけどさっき話に出た「コスメデコルテ」のフェイスパウダーは無色の00が大人気で、これだったら男性も使いやすいと思う。

後輩K:それだけでも肌は整うって感じですかね。でも、男性からすると1つ何千円のコスメをいくつもそろえるって大変だなあって思っちゃいます。リップやアイブロウなどさまざまなコスメをそろえてメイクが完成するわけですし。化粧品って高いなぁって改めて思いました。

先輩F:何カ月後にはなくなっちゃうわけだからね。女性は1シーズンで2万~3万円は使っている思う。

後輩K:高いですね……僕なら飲食代に使っちゃいそうです……。

後輩K:最近メンズコスメの体験取材をして思ったんですが、もっと男性にコスメが浸透しても良いと思うんです。肌の七難を隠すではないですけど肌荒れや皮脂、髭剃り後などもカバーできますし。実際、メンズコスメ体験後は自分の肌を見てウキウキしちゃいました(笑)。

先輩F:表面化していないだけで、実は男性のニーズって高いんじゃないかなって。色が着いたファンデーションを使うのはまだ抵抗があってもフェイスパウダーなら気にならないと思うし。スキンケアをする男性も昔より増えた印象ね。

後輩K:そうですね。スキンケアは10代から僕の年代(20代)の男性の間では特に浸透しているんじゃないでしょうか。

先輩F:スキンケアちゃんとしてる?

後輩K:してますよ。この前肌年齢診断を受けましたが、実年齢(26歳)に対して23歳でしたからね!ただ、自分のスキンケア方法が正しいのかはよく分かってなくて……。見よう見まねでやってる感じです。これは僕だけじゃなくて男性の悩みのような気がします。

先輩F:じゃあ次回はスキンケアについて話しましょうか。

後輩K:はい。よろしくお願い致します。

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「日本もそういう香りのある国にならなければ、『味のある国』を目指すことは不可能だ」 by 塚本幸一

塚本幸一ワコール会長

 フランスには、世界に通用するブランドがあり、フランスの香りがする文化がある。日本もそういう香りのある国にならなければ、「味のある国」を目指すことは不可能だ。(Vol.678 1994年10月10日号)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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岡本大陸、林陸也、Kotsu 同世代の東京ユースが作る音楽イベント「HUE」というコミュニティー

 夏も終わる8月30日、東京を拠点とする「ダイリク(DAIRIKU)」の岡本大陸デザイナーと「シュガーヒル(SUGARHILL)」の林陸也デザイナーによるオールナイト音楽イベント「HUE」が東京・渋谷のコンタクト トーキョー(Contact Tokyo)を会場に開催される。

 「HUE」は昨年10月に初開催され、今回が2回目と産声を上げたばかりのイベントだ。しかし、出演するのはサイケデリック・ロックバンドの踊ってばかりの国や、奈良発の気鋭ロックバンドAge Factory、シンガーソングライターでプロデューサーのNTsKi、森敦彦「ワコマリア(WACKO MARIA)」デザイナーがプロデュースするサウンドクルーKILLER TUNES BROADCAST、4人組のDJコレクティブCYKのKotsuなど、多様なジャンルから強力なラインアップ。聞けば、ブランドと密接な関係にあるアーティストとDJを中心に集めたという。

 今回、開催にあたり主催する岡本デザイナーと林デザイナーに加え、出演するKotsuの3人に話を聞いた。ごく感覚的な話ではあるが、94年から96年生まれにはセンスのある人たちが多い。何を隠そう岡本デザイナーは94年生まれ、林デザイナーとKotsuは95年生まれだ。彼ら同世代の東京ユースが見るリアルの先にあるという「HUE」の開催の意義とは?

WWD:まずは2人の出会いから教えてください。

岡本大陸:僕は奈良出身で3〜4年前に上京したんですけど、その頃から「僕の1つ下で『シュガーヒル』ってブランドをやっている子がいる」というのは友達から聞いていたんです。いつか会えるだろうと思っていて、知り合ったのは約2年半前ですね。

林陸也:プレス会社が同じということもあって僕も噂ではずっと聞いていました。でもいざ会おうとすると、展示会に来てくれたのに前日なくした携帯を買い直しに出ていたり、半年くらいすれ違いが続いて(笑)。18年3月頃に、受注会をやる場所と日程が近かったのでようやく大阪で初めて会いました。それから昨年9月に合同展示会を行うことになったタイミングでせっかくだから何かやろうと話が膨らみ、「HUE」の開催が決まったんです。

WWD:ひと昔前と比べてブランドが音楽イベントをオーガナイズすることが少なくなってきたいま、なぜ「HUE」の開催を決めたんでしょうか?

林:親父の趣味で昔から家にバンドセットがあったり、一瞬だけですがバンドを組んだり、音楽がずっと好きで生活の一部としてあったからですね。「シュガーヒル」もアイテムに暗喩的に歌詞が載っていたり、ミュージシャンのスタイルにデザイン面で影響を受けたり、音楽からインスピレーションを受けることが多いので。

岡本:僕は陸也ほどストレートに音楽に影響を受けてはいないんですけど、アメリカ古着やアメリカ映画から影響を受ける中で映画にはBGMとして音楽が使われていて、「空気感として、あの映画ではこういう音楽が流れていたから展示会でもこういう音楽を流したい」というのがあったんです。それで2人で、2つのブランドで何かをやるってなったとき、それぞれのコミュニティーが混ざっていくのが面白いかもしれないという発想から、音楽をきっかけにプラスアルファで何か違う広がり方をしたいと開催に至りました。

WWD:あくまでも2つのコミュニティーを混ぜたいからやる、という趣旨ではないですよね?

林:混ざればいいなくらいの願望で、演奏やDJを通してブランドと僕らの思いが伝わって結果的に面白いことが「HUE」をきっかけに起きればいいなと考えています。

WWD:イベント名の由来は?

林:僕らはバックボーンが本当に全然違うので、まとめようと思ってもまとまらない。だから会場で化学反応みたいに混じり合えればいいという思いから、英語で「色相」や「型」を意味する「HUE」と名付けました。

2ndアルバムのタイトルにもなっているAge Factoryの代表曲「GOLD」

WWD:初回はヒップホップ色が濃かったようですが、今回のバンドからDJまで多様なラインアップにした意図は?

岡本:今回は“自分たちとなんらかのつながりがある”という点が大きいですね。Age Factoryはボーカルの清水エイスケが高校の同級生で友人だし、めちゃくちゃかっこいいから絶対に出演してほしくて声をかけました。エイスケは繊細なセンサーを持っていて、バンドマンなんですけどヒップホップもK-POPも幅広く聴くしファッションにも興味があって、「こういうイベントがあるんだけど」って話をしたら「いつでも誘って!」って言ってくれたんです。エイスケだけじゃなく、ちょうどいまバンドシーンの人たちがファッション系の人と関わりたいっていうのがあるみたいですね。Kotsuは高校生の頃からツイッターで知っていたし、彼が所属しているCYKも聴いていた。(この関係について)掘って深い話があるかって聞かれると難しいんですけど、「この人は絶対に出てほしい」「ジャンルは違うけどこの先一緒に戦っていきたい」って気持ちがあるんです。

林:踊ってばかりの国は、ギターの丸山康太さんを「シュガーヒル」2019-20秋冬コレクションのモデルに起用させていただいたことがきっかけです。もともと僕が学生時代に毛皮のマリーズとドレスコーズの大ファンで、いつか一緒に仕事がしたいと思っている中でラブコールしたんです。そしたら撮影のときに「僕のことを好いてくれるのはうれしい、だけど僕がやってるバンドも素晴らしいからぜひ見てほしい」ってライブに呼んでもらって、ライブ終わりに「HUE」への出演を打診したんです。そのあと丸山さんから、バンドの皆さんがライングループで「ファッション系のイベントに出たことないからこのオファーはうれしいね!出よう!」みたいに「HUE」についてやり取りしてるのを見て、うるっときました(笑)。ほかにも「シュガーヒル」と「ダイリク」でそれぞれ出演してほしいアーティストやDJがいて、調整してくれる人として普段イベントをオーガナイズしているKotsuに声をかけたんです。

Kotsu:もともと初回も、大陸と知り合いたっだし世代も近いしってことで出演者として声をかけてもらっていたんですが、今回は出演と併せてDJのブッキングを手伝っています。クラブに通うようになってから、僕自身がナイトタイムで遊ぶクラブやパーティーをブランドが打ち出すみたいなのがずっといいと思っていて、事あるごとに全部行ってたんです。今回の「HUE」も昔の僕みたいにファッションという文脈があるからこそ行きやすいって人もいるだろうし、初めてクラブに来るって人がいると思う。そういう人たちに対して、今リアルなラインアップを体感してほしいという思いはあります。そういう意味では、僕と同い年のMayu Kakihataさんは同世代の中でもレコードディガーとして尊敬していますし、Little Dead GirlはVERDYさん主宰のWasted Youthとコラボでパーティーを敢行したばかりの注目コレクティブtokyovitaminのメンバー。なかなか共演はないラインアップではありつつも、何か似ているものを抱えた人たちかなと。

WWD:ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)もジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)もマシュー・M・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)も、いま一時代を築いているデザイナーは夜遊びがうまかったりDJをやっていたり、ナイトライフは大事ですよね。

Kotsu:僕にとっても大事だったタイミングが多々あるように、音楽やファッション以外の業種でもナイトライフでの出会いから仕事になったり、違う界隈の友達ができたりっていう経験は多くの人があると思います。2人から話をもらったときも、普段の活動だけを続けていたら築けない関係性が新しく生まれるイベントになるだろうなって。僕自身も初めて共演する人ばかりですし。実際に「HUE」で夜遊びすることで、そういうきっかけが生まれてほしい。そういうカルチャーをこの世代でつくるっていうのを僕はやりたいんで、いろんな人に来てほしいです。

WWD:出演陣の中に森「ワコマリア」デザイナーのKILLER TUNES BROADCASTの名前があったことが意外でした。

林:「ワコマリア」のブランドとしてのクルー感みたいなのにすごく憧れていて、世代としては完全に僕らの父親世代。“父親”にすがる思いで「一緒に遊んでくれませんか?」ってお願いしたところ快諾してくれました。僕らみたいな若手デザイナーのイベントに出演してくださるのがうれしいです。KILLER TUNES BROADCASTさんの出演が決まる前からですが、すでにジャンルレスでボーダーレスな感じだったんですけど、よりそれが濃くなりましたね。

Kotsu:全世界的に僕らの世代は、音楽とかファッションだけでなく何でも区切ることなくフラットに見ているんですよ。だからこそいろいろな壁を超えた「HUE」ってイベントが成り立っている。本末転倒になってしまうんですけど、今回のイベントについては探っても掘っても深い話は出てこないと思うんです。でもそれこそが僕らの世代のリアル。僕もDJとして本気で活動していますけど、ファッションやアートが気になるから情報を追うし、洋服も買う。本当に音楽だけが好きだったらボロッボロの洋服を着て、レコードだけ買ってればいい(笑)。でもいろいろな世界に興味があるんですよね。

WWD:みなさんの世代は、片手間で済ませるのとは違い興味があればとりあえずチャレンジするという意味合いで、物事にトライするハードルが低いですよね。

林:すごい自然な流れで「HUE」が出来上がっているんですよ。

Kotsu:この自然さが超リアルだなって。でも僕らからしたらここ(2人)を誘えないんですよね、実は。デザイナーに対するリスペクトもあるし、ブランディングもあるだろうから言えなくて。だから誘ってくれた時はうれしくて即答しました。

WWD:「HUE」ではみなさんのコミュニティー以外の人も巻き込みたいんでしょうか?

岡本:客層は僕らの周りの人、いわゆるファッション系の人たちが多いと思うんですけど、「このバンドめっちゃかっこいいじゃん」とか「あのDJいいね」みたいに広がっていったら、やった甲斐があるなって思います。「HUE」と「ダイリク」と「シュガーヒル」のそれぞれの違う入り口から知ってもらうのはいいことだと思うし、その逆も起きてほしいです。

林:僕らが本当にいいと思った人を集めたので、より広い層に届いてほしいし巻き込みたいですね。ボーダーレスに混じり合って、化学反応的に何かが起きるのを俯瞰で見ることを楽しみにしています。

岡本:とにかくファッションでも音楽でも、何かのきっかけになれればいいんです。僕が服を作るようになったきっかけは、大阪のアメ村のいろんなイベントに行って先輩と遊んでいたから。そこできっかけになる人と出会ったから今の俺がいる、みたいな。

WWD:2ブランドが主催するということは、出演者はブランドのアイテムを身につけて出演するんでしょうか?

岡本:それはないですね。僕とエイスケは同級生という関係性があるからこそ出演してもらっているので、コマーシャル目的で着てもらうという考えはありません。

林:僕は丸山さんに影響を受けてきたからこそ無理に着させたくないし、彼らのスタイルは触ったらいけないんです。偶像崇拝みたいなもので仏様と一緒です。丸山さんたちバンドメンバーの皆さんが自分の意思で着たいって言ってくれたらめちゃくちゃうれしいですけど(笑)。

WWD:今後、「HUE」は定期的に開催していくつもりですか?

岡本:陸也とは、同世代で頑張っている人たちと一緒にやれるのはすごい恵まれていると話していて、年に1回この世代でこういうことができればいいなと思っています。今回は夏の終わりに楽しいことがしたくて、8月30日の開催になりました。「HUE」で稼ぐつもりはないですけど、自分たちが打ち出したいものをちゃんと出せた上で利益が出たら素晴らしいとは思いますね。それこそ前回は赤字でしたけど、それでも今回またやる。だからこそ生まれるものがあると思っています。

林:今は“僕らのイベントにイケてる人たちを呼んでいる”って感覚なんですけど、将来的には“僕らのイベントに出ているからイケてる”みたいになってほしいんです。「HUE」に行けばイケてる音楽と出会える、みたいな。アーティストたちのプロップスになるようなイベントにもしていきたいですね。

■SUGARHILL & DAIRIKU presents HUE
日程:8月30日
時間:22:00〜
場所:Contact Tokyo
住所:東京都渋谷区道玄坂2-10-12 新大宗ビル4号館地下2階
入場料:3000円 / 前売り券 2500円 / 23歳以下 2000円
出演アーティスト:踊ってばかりの国、Age Factory、NTsKi feat. Yosuke Shimonaka、American Dream Express × MES、Kotsu、bungo、KILLER TUNES BROADCAST、Mayu Kakihata、LITTLE DEAD GIRL、Kohei Nishihara、Soichiro

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岡本大陸、林陸也、Kotsu 同世代の東京ユースが作る音楽イベント「HUE」というコミュニティー

 夏も終わる8月30日、東京を拠点とする「ダイリク(DAIRIKU)」の岡本大陸デザイナーと「シュガーヒル(SUGARHILL)」の林陸也デザイナーによるオールナイト音楽イベント「HUE」が東京・渋谷のコンタクト トーキョー(Contact Tokyo)を会場に開催される。

 「HUE」は昨年10月に初開催され、今回が2回目と産声を上げたばかりのイベントだ。しかし、出演するのはサイケデリック・ロックバンドの踊ってばかりの国や、奈良発の気鋭ロックバンドAge Factory、シンガーソングライターでプロデューサーのNTsKi、森敦彦「ワコマリア(WACKO MARIA)」デザイナーがプロデュースするサウンドクルーKILLER TUNES BROADCAST、4人組のDJコレクティブCYKのKotsuなど、多様なジャンルから強力なラインアップ。聞けば、ブランドと密接な関係にあるアーティストとDJを中心に集めたという。

 今回、開催にあたり主催する岡本デザイナーと林デザイナーに加え、出演するKotsuの3人に話を聞いた。ごく感覚的な話ではあるが、94年から96年生まれにはセンスのある人たちが多い。何を隠そう岡本デザイナーは94年生まれ、林デザイナーとKotsuは95年生まれだ。彼ら同世代の東京ユースが見るリアルの先にあるという「HUE」の開催の意義とは?

WWD:まずは2人の出会いから教えてください。

岡本大陸:僕は奈良出身で3〜4年前に上京したんですけど、その頃から「僕の1つ下で『シュガーヒル』ってブランドをやっている子がいる」というのは友達から聞いていたんです。いつか会えるだろうと思っていて、知り合ったのは約2年半前ですね。

林陸也:プレス会社が同じということもあって僕も噂ではずっと聞いていました。でもいざ会おうとすると、展示会に来てくれたのに前日なくした携帯を買い直しに出ていたり、半年くらいすれ違いが続いて(笑)。18年3月頃に、受注会をやる場所と日程が近かったのでようやく大阪で初めて会いました。それから昨年9月に合同展示会を行うことになったタイミングでせっかくだから何かやろうと話が膨らみ、「HUE」の開催が決まったんです。

WWD:ひと昔前と比べてブランドが音楽イベントをオーガナイズすることが少なくなってきたいま、なぜ「HUE」の開催を決めたんでしょうか?

林:親父の趣味で昔から家にバンドセットがあったり、一瞬だけですがバンドを組んだり、音楽がずっと好きで生活の一部としてあったからですね。「シュガーヒル」もアイテムに暗喩的に歌詞が載っていたり、ミュージシャンのスタイルにデザイン面で影響を受けたり、音楽からインスピレーションを受けることが多いので。

岡本:僕は陸也ほどストレートに音楽に影響を受けてはいないんですけど、アメリカ古着やアメリカ映画から影響を受ける中で映画にはBGMとして音楽が使われていて、「空気感として、あの映画ではこういう音楽が流れていたから展示会でもこういう音楽を流したい」というのがあったんです。それで2人で、2つのブランドで何かをやるってなったとき、それぞれのコミュニティーが混ざっていくのが面白いかもしれないという発想から、音楽をきっかけにプラスアルファで何か違う広がり方をしたいと開催に至りました。

WWD:あくまでも2つのコミュニティーを混ぜたいからやる、という趣旨ではないですよね?

林:混ざればいいなくらいの願望で、演奏やDJを通してブランドと僕らの思いが伝わって結果的に面白いことが「HUE」をきっかけに起きればいいなと考えています。

WWD:イベント名の由来は?

林:僕らはバックボーンが本当に全然違うので、まとめようと思ってもまとまらない。だから会場で化学反応みたいに混じり合えればいいという思いから、英語で「色相」や「型」を意味する「HUE」と名付けました。

2ndアルバムのタイトルにもなっているAge Factoryの代表曲「GOLD」

WWD:初回はヒップホップ色が濃かったようですが、今回のバンドからDJまで多様なラインアップにした意図は?

岡本:今回は“自分たちとなんらかのつながりがある”という点が大きいですね。Age Factoryはボーカルの清水エイスケが高校の同級生で友人だし、めちゃくちゃかっこいいから絶対に出演してほしくて声をかけました。エイスケは繊細なセンサーを持っていて、バンドマンなんですけどヒップホップもK-POPも幅広く聴くしファッションにも興味があって、「こういうイベントがあるんだけど」って話をしたら「いつでも誘って!」って言ってくれたんです。エイスケだけじゃなく、ちょうどいまバンドシーンの人たちがファッション系の人と関わりたいっていうのがあるみたいですね。Kotsuは高校生の頃からツイッターで知っていたし、彼が所属しているCYKも聴いていた。(この関係について)掘って深い話があるかって聞かれると難しいんですけど、「この人は絶対に出てほしい」「ジャンルは違うけどこの先一緒に戦っていきたい」って気持ちがあるんです。

林:踊ってばかりの国は、ギターの丸山康太さんを「シュガーヒル」2019-20秋冬コレクションのモデルに起用させていただいたことがきっかけです。もともと僕が学生時代に毛皮のマリーズとドレスコーズの大ファンで、いつか一緒に仕事がしたいと思っている中でラブコールしたんです。そしたら撮影のときに「僕のことを好いてくれるのはうれしい、だけど僕がやってるバンドも素晴らしいからぜひ見てほしい」ってライブに呼んでもらって、ライブ終わりに「HUE」への出演を打診したんです。そのあと丸山さんから、バンドの皆さんがライングループで「ファッション系のイベントに出たことないからこのオファーはうれしいね!出よう!」みたいに「HUE」についてやり取りしてるのを見て、うるっときました(笑)。ほかにも「シュガーヒル」と「ダイリク」でそれぞれ出演してほしいアーティストやDJがいて、調整してくれる人として普段イベントをオーガナイズしているKotsuに声をかけたんです。

Kotsu:もともと初回も、大陸と知り合いたっだし世代も近いしってことで出演者として声をかけてもらっていたんですが、今回は出演と併せてDJのブッキングを手伝っています。クラブに通うようになってから、僕自身がナイトタイムで遊ぶクラブやパーティーをブランドが打ち出すみたいなのがずっといいと思っていて、事あるごとに全部行ってたんです。今回の「HUE」も昔の僕みたいにファッションという文脈があるからこそ行きやすいって人もいるだろうし、初めてクラブに来るって人がいると思う。そういう人たちに対して、今リアルなラインアップを体感してほしいという思いはあります。そういう意味では、僕と同い年のMayu Kakihataさんは同世代の中でもレコードディガーとして尊敬していますし、Little Dead GirlはVERDYさん主宰のWasted Youthとコラボでパーティーを敢行したばかりの注目コレクティブtokyovitaminのメンバー。なかなか共演はないラインアップではありつつも、何か似ているものを抱えた人たちかなと。

WWD:ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)もジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)もマシュー・M・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)も、いま一時代を築いているデザイナーは夜遊びがうまかったりDJをやっていたり、ナイトライフは大事ですよね。

Kotsu:僕にとっても大事だったタイミングが多々あるように、音楽やファッション以外の業種でもナイトライフでの出会いから仕事になったり、違う界隈の友達ができたりっていう経験は多くの人があると思います。2人から話をもらったときも、普段の活動だけを続けていたら築けない関係性が新しく生まれるイベントになるだろうなって。僕自身も初めて共演する人ばかりですし。実際に「HUE」で夜遊びすることで、そういうきっかけが生まれてほしい。そういうカルチャーをこの世代でつくるっていうのを僕はやりたいんで、いろんな人に来てほしいです。

WWD:出演陣の中に森「ワコマリア」デザイナーのKILLER TUNES BROADCASTの名前があったことが意外でした。

林:「ワコマリア」のブランドとしてのクルー感みたいなのにすごく憧れていて、世代としては完全に僕らの父親世代。“父親”にすがる思いで「一緒に遊んでくれませんか?」ってお願いしたところ快諾してくれました。僕らみたいな若手デザイナーのイベントに出演してくださるのがうれしいです。KILLER TUNES BROADCASTさんの出演が決まる前からですが、すでにジャンルレスでボーダーレスな感じだったんですけど、よりそれが濃くなりましたね。

Kotsu:全世界的に僕らの世代は、音楽とかファッションだけでなく何でも区切ることなくフラットに見ているんですよ。だからこそいろいろな壁を超えた「HUE」ってイベントが成り立っている。本末転倒になってしまうんですけど、今回のイベントについては探っても掘っても深い話は出てこないと思うんです。でもそれこそが僕らの世代のリアル。僕もDJとして本気で活動していますけど、ファッションやアートが気になるから情報を追うし、洋服も買う。本当に音楽だけが好きだったらボロッボロの洋服を着て、レコードだけ買ってればいい(笑)。でもいろいろな世界に興味があるんですよね。

WWD:みなさんの世代は、片手間で済ませるのとは違い興味があればとりあえずチャレンジするという意味合いで、物事にトライするハードルが低いですよね。

林:すごい自然な流れで「HUE」が出来上がっているんですよ。

Kotsu:この自然さが超リアルだなって。でも僕らからしたらここ(2人)を誘えないんですよね、実は。デザイナーに対するリスペクトもあるし、ブランディングもあるだろうから言えなくて。だから誘ってくれた時はうれしくて即答しました。

WWD:「HUE」ではみなさんのコミュニティー以外の人も巻き込みたいんでしょうか?

岡本:客層は僕らの周りの人、いわゆるファッション系の人たちが多いと思うんですけど、「このバンドめっちゃかっこいいじゃん」とか「あのDJいいね」みたいに広がっていったら、やった甲斐があるなって思います。「HUE」と「ダイリク」と「シュガーヒル」のそれぞれの違う入り口から知ってもらうのはいいことだと思うし、その逆も起きてほしいです。

林:僕らが本当にいいと思った人を集めたので、より広い層に届いてほしいし巻き込みたいですね。ボーダーレスに混じり合って、化学反応的に何かが起きるのを俯瞰で見ることを楽しみにしています。

岡本:とにかくファッションでも音楽でも、何かのきっかけになれればいいんです。僕が服を作るようになったきっかけは、大阪のアメ村のいろんなイベントに行って先輩と遊んでいたから。そこできっかけになる人と出会ったから今の俺がいる、みたいな。

WWD:2ブランドが主催するということは、出演者はブランドのアイテムを身につけて出演するんでしょうか?

岡本:それはないですね。僕とエイスケは同級生という関係性があるからこそ出演してもらっているので、コマーシャル目的で着てもらうという考えはありません。

林:僕は丸山さんに影響を受けてきたからこそ無理に着させたくないし、彼らのスタイルは触ったらいけないんです。偶像崇拝みたいなもので仏様と一緒です。丸山さんたちバンドメンバーの皆さんが自分の意思で着たいって言ってくれたらめちゃくちゃうれしいですけど(笑)。

WWD:今後、「HUE」は定期的に開催していくつもりですか?

岡本:陸也とは、同世代で頑張っている人たちと一緒にやれるのはすごい恵まれていると話していて、年に1回この世代でこういうことができればいいなと思っています。今回は夏の終わりに楽しいことがしたくて、8月30日の開催になりました。「HUE」で稼ぐつもりはないですけど、自分たちが打ち出したいものをちゃんと出せた上で利益が出たら素晴らしいとは思いますね。それこそ前回は赤字でしたけど、それでも今回またやる。だからこそ生まれるものがあると思っています。

林:今は“僕らのイベントにイケてる人たちを呼んでいる”って感覚なんですけど、将来的には“僕らのイベントに出ているからイケてる”みたいになってほしいんです。「HUE」に行けばイケてる音楽と出会える、みたいな。アーティストたちのプロップスになるようなイベントにもしていきたいですね。

■SUGARHILL & DAIRIKU presents HUE
日程:8月30日
時間:22:00〜
場所:Contact Tokyo
住所:東京都渋谷区道玄坂2-10-12 新大宗ビル4号館地下2階
入場料:3000円 / 前売り券 2500円 / 23歳以下 2000円
出演アーティスト:踊ってばかりの国、Age Factory、NTsKi feat. Yosuke Shimonaka、American Dream Express × MES、Kotsu、bungo、KILLER TUNES BROADCAST、Mayu Kakihata、LITTLE DEAD GIRL、Kohei Nishihara、Soichiro

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お金持ちは百貨店でこんな商品を買っている! 2019年春夏、百貨店で売れたもの Vol.1

 「WWDジャパン」8月26日号は、毎シーズン恒例の“百貨店で売れたもの”特集です。2019年春夏シーズンは、全国で計50の百貨店にアンケートに協力いただき、特集を製作しました。さらに、これまで定期購読者特典だった「ビジネスリポート」(アンケート回答の詳細をまとめたデータ集)が、今回から単独購入できるようになりました!同特集では、百貨店の各カテゴリーの商況を報道していますが、ウェブでは特集担当記者による取材こぼれ話を座談会形式でお送りします!

座談会参加者
三浦彰:「WWDジャパン」編集顧問
益成恭子:ジュエリーやインテリア、インナーウエアの担当記者
三澤和也:時計やデニムの担当記者
五十君花実:百貨店ビジネスリポート特集の担当デスク

五十君:さて、座談会記事1本目は、時計、ジュエリーという高額品担当の記者に集まってもらいました。百貨店の近年の稼ぎ頭は、高額品、化粧品、食品なので、まずはこのカテゴリーがいいかなと思いまして。では三浦さん、19年春夏の市場の振り返りをお願いします。訪日外国人による免税売り上げが減速して、一方で国内富裕層による高額品消費は好調というシーズンでしたが。

三浦:富裕層の売り上げが好調なのは百貨店側の営業努力がすごいんだと思うよ。通常の外商営業と、あとはラグジュアリーブランドが行っている催事(注:近年、歴史的建造物などを借り切ってラグジュアリーブランドが大掛かりな顧客向けイベントを行うケースが激増している)に百貨店顧客を連れていくといった取り組みをすごくしている。もっとしゃかりきに努力すれば、まだまだ売れるとも思うけど。

三澤:毎年前年比をクリアしていくために、あえてしゃかりきにはなっていない、まだまだやれるってことですか?(笑)

三浦:今百貨店で売れているのは高額品と化粧品で、1月の中国の電子商務法施行の影響で、化粧品は打撃を受けたっていうじゃない(注:転売に制限をかける同法によって、それ以前のような大量買いが減った)。化粧品はこの5~6年絶好調だったわけだけど、天井が見えてきたのかな、という感じはする。だからやはり百貨店は時計やジュエリーみたいな高額品を売らなきゃいけないんですよ。

五十君:では具体的に、それぞれの分野ではどんな傾向があって、何が売れたんでしょう。まず時計からお願いします。

三澤:時計も絶好調を脱して、踊り場に達した印象です。販売価格、伸長率共にケタ外れだった「リシャール・ミル(RICHARD MILLE)」(注:平均単価2000万円強の超高級時計ブランド)や、高級時計ブームをけん引した「フランク ミュラー(FRANCK MULLER)」のような分りやすくてエッジの効いたトレンドは鳴りを潜めて、「ロレックス(ROLEX)」や「オメガ(OMEGA)」など憧れの定番ブランドが売れたシーズンでした。一方で、それ以外は売れないというメリハリが際立った。そして、それらの勝てるブランドを維持もしくは獲得するために、各百貨店は“売り場の増床リニューアル”や“直営店(ブティック)化”という甘い汁を差し出す構図。つまりはブランドの超売り手市場なんです。今回は地方の百貨店も取材したけど、都市部を離れれば離れただけその傾向が強まる印象。

五十君:確か「オメガ」はアニバーサリーイヤーでしたよね?

三澤:うん、今年がアポロ11号の月面着陸50周年(注:「オメガ」の“スピードマスター プロフェッショナル”は、NASAに採用されて史上初めて月面で時を刻んだ“ムーンウォッチ”として有名)で、来年が東京五輪(注:「オメガ」は東京オリンピック・パラリンピックの公式タイムキーパーを務める)と大きな山を続けて迎えるんだけど、こういう売らなきゃいけないタイミングでしっかり結果を残しているって当然といえば当然なんだろうけど、あらためてすごいな!って思いました。

五十君:確かに「ロレックス」は今若い男の子も買うようになっていますよね。一般男性に高級時計が売れるのって、キムタク効果で「ロレックス」“エクスプローラーⅠ”が売れた1990年代以来?

三澤:時間はスマホで見ればいいという時期が長かったけど、時計を身に着けるという当たり前がもう一度戻ってきていると思う。トレンドもストリートからクラシックに回帰しているから、その流れもあるんだろうね。様式美としての服装というか。今まで時計を買っていた人たちとは違う層が市場に入ってきているのは確かだと思う。その分、伸長ブランドには低〜中価格帯のものが目立ちました。

五十君:ジュエリーは19年春夏を振り返るとどんなシーズンでしたか?

益成:10月の消費増税前の駆け込み購入があったのと、本物志向が強まっているというのがトピックでした。好調なブランドは、30万~100万円の商品と、1000万円以上のハイジュエリーの二軸が売れています。10万円台とかのエントリー商品よりも、30万円以上の商品の方が動きがいい。

三浦:増税前の駆け込みって、あるかねぇ?あんまり感じないけど。ブライダルリングとかはあるだろうけど。

益成:ブライダルは間違いなく駆け込み需要があります。あと、“令和婚”効果でブライダルリングの売り上げがよかったという声もありました。それ以外にも、「ミキモト(MIKIMOTO)」のパールとか、“いつか買おうと思っていた定番アイテム”は増税前に売れるみたいですよ。

三澤:高級時計については、増税前の駆け込み需要って聞かないんだよね。14年の5%から8%への増税の時は“何でも売れる”ってバブル状態だったけど、その時に背伸びしていい時計を買った層は、5年後にまた高級時計を買おうとはならないのかも。

益成:外商顧客みたいなお金持ちには、2%の増税とかあんまり関係ないですしね。あと、ジュエリーの今シーズンの注目トピックは、竹内結子さんをはじめとした女優陣がドラマなど着用したアイテムが売れたという点ですね。竹内結子さんが出演したドラマ「スキャンダル専門弁護士QUEEN」で「ブシュロン(BOUCHERON)」の“キャトル”や“セルパンボエム”が売れたという声が多かった。

五十君:ドラマを見て女優が着ている服を買うっていう流れ、最近よくありますけど、30万円台のジュエリーがドラマ効果や女優効果で売れるってスゴイですね。

益成:「メルカリ(MERCARI)」が広がったことで、リセールの市場があるってことを消費者が認識しているから、どうせ買うなら本物志向になっているというのはあると思う。本当に「メルカリ」で売るかどうかは別にしても。

三澤:時計の世界に30代を中心とした国内新客が参入したように、高額ジュエリーも今まで買っていた人以外にも広がっているんじゃない?

五十君:ジュエリーのアンケートでは、令和改元記念小判とか、東京五輪記念小判とか、そういう金製品も売れ筋にあがっていましたよね。

三浦:金製品を買おうっていう富裕層の気持ちは分かるよね。今は株が上がるか下がるか分からない状況で買えない、為替相場も変化があり過ぎて怖くて手が出せない。となると投資の対象は金でしょう。私も買おうかなと思いますよ。高級時計やハイジュエリー買うのも、そういう投資モチベーションでしょう。

益成:希少性の高いカラーダイヤモンドが売れているのも、それに通じるモチベーションだと思います。アーガイル鉱山が閉山する(注:オーストラリアのダイヤモンド鉱山で、希少なピンク色のダイヤモンドの産出で有名。閉山するという話がある)ということで、百貨店が頑張ってピンクダイヤモンドをはじめとするカラーダイヤモンドを売っているんだと思いますよ。

五十君:希少なものを求めるお金持ちの欲望は尽きるところがないのですね…。百貨店はまだまだアプローチ次第で富裕層の消費をいくらでも深耕できそうですね。

益成:まさにそういった狙いで、伊勢丹新宿本店は4階ジュエリー売り場に、“トレジャーハント”というカスタマーデスクを設けるそうですよ。富裕層が求めるものを、スタッフが世界中を飛び回って探してくるんだとか。突拍子もない、ネットで検索しても絶対出てこないようなものを求める富裕層に対応するんだそうです。たとえばマンモスの牙とか。

三澤:要望がスゴ過ぎる……。求婚者に「世にも珍しい宝物を探してきて」って言った「かぐや姫」みたい(笑)

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編集長は先週何した? ビームス&UAの本部長を取材、哲学者鷲田清一氏に突撃、ラグビー界のスターとランチ!

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向(むこう)です。弊紙は言うなればファッション業界バラエティー紙。この世界にはおもしろい人がたくさんいるのでこの仕事が止められません。先週はセレクトショップ周りの方々を中心に会いましたよ!

8月9日(金)
ビームスの次世代リーダーを取材

 日本のファッションカルチャーを育ててきたのはセレクトショップであり、それを支えてきたのはオモシロイ人たちの目利きの力だと思います。ビームスの設楽洋社長はその代表ですが、こちらの会社にはオモシロイ人たちがほかにも大勢いて企画屋集団(はたまた動物園!?)みたいな感じです。ハイ。

 そんなビームスの次世代を担う、2人のキーパーソンを取材しました。短パンの山﨑さん(軽井沢在住)は元三井物産、ジャケットの池内さんは元電通(東京オリンピック招致にも関わり)というキャリアで、いずれも昨年入社しました。肩書きの「プロデューサー」から分かるように、お2人の仕事は仕入れや店頭というより、全国に散らばるユニークなビームス・ピープルの力を引き出してプロデュースし、そしてビジョンを策定&リードすることのようです。

 何といってもこだわり集団ですから、外から入って仕事をするのは大変かと思いきや、2人ともそれを楽しんでいるポジティブリーダーでした。そろってメディアの前に登場するのは、本邦初!?「WWDジャパン」9月2日号のセレクトショップ特集でインタビューをがっちり掲載します!

 ビームス本社のエレベーター周りがカワイイので取材ついでに写真を撮らせてもらいました。眺望もばっちり。ガラスがきれいで映り込みもばっちりです(笑)。

8月17日(土)
哲学者の鷲田清一氏へ会いに仙台へ

 ファッションを書くことを仕事にしている人なら一度は哲学者の鷲田清一さんの著書「モードの迷宮」や「ひとはなぜ服を着るのか」に触れてきたかと思います。最近はファッションに関して書かれることは少ないですが、新刊「生きながらえる術(すべ)」を読んで、改めて取材をさせていただきたいと思いました。そんな折、鷲田さんが館長を務めるせんだいメディアテークでトークイベントがあると知り夏休みの遊びを兼ねていざ、仙台へ。

 「正直」をテーマにしたトークの相手は、注目の若手建築家ユニットo+hのお二人です。いや~建築家って大変な仕事ですよね。クライアントや街の人、施工会社などリクエストも利害関係も異なる多くの人との対話の中でニーズを引き出しつつ、発注者が予想を超える提案をする仕事は対話の連続!!その中で「正直」であることの大切さと難しさを話してくれました。そして、鷲田さんの話の引き出し方、対話の中での思考の深め方がさすが。偉大な書き手は優秀な聞き手でありました。

 トークショーの終了後、鷲田さんに取材依頼のお手紙を手渡ししてきました。そこでいただいた言葉を公にすることは控えますが、心の栄養になりました。取材、すぐでなくてもいいからいつか叶うといいな。ちなみに、伊東豊雄さんが設計したせんだいメディアテークは杜の都の緑の存在感を空間に取り入れた素敵な建物です。

8月19日(月)
ラグビー界のスター、
ダン・カーターとランチ!

 自慢させてください!ラグビー界の大スター、ダン・カーター(Dan Carter)とランチをいただきました。「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のとあるプロジェクトでインタビューをする機会が得たのです。元ニュージーランド代表の背番号10番のダン・カーターです!とか言いながら正直、ラグビーは全然分かりませんが最強チーム、通称オールブラックスの存在はさすがに知っています。試合前に踊るマオリ族の伝統舞踊ハカは有名ですよね。取材前にダン・カーターの名プレーまとめを動画で見て鳥肌が立ちました。

 ソフトで実直でクレバーな受け答えとこの笑顔。かっこよかったです!!彼はきっとこの先、経営者などラグビー以外でも活躍するに違いありません。スポーツ担当とともに行ったインタビューの内容は近日公開予定でございます。

8月19日(月)
UAの次世代リーダーに取材

 「セレクトショップ特集」の取材のため、今日はユナイテッドアローズへ。竹田光広社長とともに同社をリードしている2人の若き常務に会いました。お一人が写真の松崎さん。主にトレンドマーケット向けの事業を統括する第一事業本部を束ねています。もう一人が、木村竜哉さん(写真を撮らせていただきそこねた……古着も好きなおしゃれ男子)で、「グリーンレーベル リラクシング」などが入る第二事業本部の本部長です。

 UAの年間売り上げは1500億円超え。2人の肩の上の重荷もどんだけ~、ですよね。そのあたりを読み解くためにも戦略を聞きました。セレクトショップにルーツを持ちつつ、今や大手SPA企業でもある同社のモノづくりの仕組みの戦略も、聞きました。そして分かったのはお2人の肩の上に載っているのは重荷ではなく、エンジンであるということでした。プレッシャーを重荷と思うようじゃあ、リーダーは務まりませんものね。

 ユナイテッドアローズ本社の待合スペースにはアート作品がいくつも。名和晃平さんの作品を10センチの距離で上から横からじっくり拝見しました。

8月20日(火)
GR8久保さんがおもしろすぎた


 今、日本で一番尖っているセレクトショップと言えば、原宿のGR8(グレイト)でしょう。品ぞろえも集客も売り上げもピカイチ。で、GR8と言えば久保光博オーナー・バイヤーです。

 弊紙は9月に「モードって何?(仮)」特集を予定しておりまして、このシンプルな問いに答えてくれそうな方を訪ね歩いている最中です。久保さんに申し込むと「ちょうどそんなことを考えていた」とのことで快諾いただき、ラフォーレ原宿2.5階にあるお店に向かいました。アツい!アツすぎる!!期待以上!!!の答えをもらったので特集でお伝えしますね。

 GR8を知ったのは10数年前。当時私が編集長を務めていたコレクションマガジン「ファッションニュース」で、全国のセレクトショップのバイヤー170人を紹介するという気合の入った特集を組んだのですが、着道楽の街である愛媛・松山のセレクトショップ、インセクトの柴田哲志社長を取材した際に、紹介してもらったのが同社出身の久保さんでした。当時インタビューで聞いた“俺がやるしかない”というフレーズ、今も記憶に刻まれています。

 なお、「モードって何?」に一家言ある方、ぜひ編集部まで一報くださいませ。

8月20日(火)
ECセミナーでお悩み相談会開催

 7月9日号「EC特集」は発行済みですが、プロジェクトはまだ終わってなかった。この日開催したセミナーが本当のゴールでした。ヤプリさんのおしゃれなオフィスをお借りして、紙面にも登場いただいた4人のプロを迎えて“お悩み相談会”的なトークイベントを開催しました。質問例は、「モールがありすぎてどれに出店していいか分からない」とか、「リアル店舗とEC、共通のKPIを設定するには?」とか。ぐぬぬ。リアル。

 アマゾン ペイやヤプリ、AMS、イーベイ・ジャパンなどEC関連企業が最新ビジネスを短い時間で紹介するコーナーも設けました。

 消費ビジネスに携わる人なら誰しもECに関する知識や活用する力が求められている時代。どんどん進化するからアップデートが大変ですよね。トークイベントの司会の勉強も大変だったので分かります……。だからこうやって実際に会って悩みを持つ人同士がつながり、相談できる場をもっと増やしたいね、と社内で話しております。

8月21日(水)
元伊勢丹社長、
小柴和正さんのお別れの会へ

 小柴和正・元伊勢丹社長のお別れの会にうかがいました。

 メーカーに勤務していた20代の頃、週末や繁忙期は百貨店や専門店で応援販売をしていました。一番緊張する売り場は伊勢丹新宿本店でした。とにかく忙しいし、指導係の方は厳しかったし、各メーカーが精鋭を派遣してくるから売り場の緊張感も高い。その分、皆誇り高く仕事をしているし、売り上げも大きいからやりがいがある。今思えば、あの頃の伊勢丹の社長が小柴さんでした。当時は小柴さんが打ち出された「ファッションの伊勢丹」という経営理念をまったく理解はできていませんでしたが、それを売り場を通じて体感できたことは今の仕事の財産となっています。

 心よりご冥福をお祈り申し上げます

8月21日(水)
「マルベリー」ナイトの熱気が
すごいことに

 8月一番の盛り上がりだったかもしれないイベントが、「マルベリー(MULBERRY)」が表参道で開催した体感型イベントのオープニングでした。ドラァグクイーンたちと遊べるゲームコーナーが特に人気で、ライブも大盛り上がり。床が抜けるんじゃない!?と心配になるほど、大勢の人が揺れておりました。

 パブ風の演出だからお酒もビールかシングルモルト。ボウモアを前にバーテンさんに「15年と18年、どちらがいいですか?」と聞かれたものの、こちらが答える前に一瞬にして「18年ですよな~」と振舞っていただけたのは、年の功かしら??おいしかったです。

 大好きなクリエイティブ・ディレクターのジョニー・コカ(Johnny Coca)とハグはできたけど、後で写真を撮らせてもらおうと探したものの人が多くてたどり着けず。そんなところもパーティーっぽくていいかな。DJで盛り上げていたのはマドモアゼル・ユリアちゃん。ブラボーです。

8月22日(木)
9/2号「19年春夏売れた物特集」
校了と本日のおやつ

 本日発売の8月26日号は百貨店の春夏売れ筋をまとめた特集です。そして定期購読の方には、記者ほぼ総出で作った渾身の別冊「ビジネスリポート」がつきます!全国50の百貨店、9つの分野(化粧品、特選、婦人服、紳士服、バッグ、シューズ、時計、ジュエリー、ファッションジュエリー)の売れ筋をまとめたデーターブックです。単品購入もできるようになりましたのでぜひ。そして本日のおやつは、集英社でお土産にいただいた「満月チップス」です。

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編集長は先週何した? ビームス&UAの本部長を取材、哲学者鷲田清一氏に突撃、ラグビー界のスターとランチ!

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向(むこう)です。弊紙は言うなればファッション業界バラエティー紙。この世界にはおもしろい人がたくさんいるのでこの仕事が止められません。先週はセレクトショップ周りの方々を中心に会いましたよ!

8月9日(金)
ビームスの次世代リーダーを取材

 日本のファッションカルチャーを育ててきたのはセレクトショップであり、それを支えてきたのはオモシロイ人たちの目利きの力だと思います。ビームスの設楽洋社長はその代表ですが、こちらの会社にはオモシロイ人たちがほかにも大勢いて企画屋集団(はたまた動物園!?)みたいな感じです。ハイ。

 そんなビームスの次世代を担う、2人のキーパーソンを取材しました。短パンの山﨑さん(軽井沢在住)は元三井物産、ジャケットの池内さんは元電通(東京オリンピック招致にも関わり)というキャリアで、いずれも昨年入社しました。肩書きの「プロデューサー」から分かるように、お2人の仕事は仕入れや店頭というより、全国に散らばるユニークなビームス・ピープルの力を引き出してプロデュースし、そしてビジョンを策定&リードすることのようです。

 何といってもこだわり集団ですから、外から入って仕事をするのは大変かと思いきや、2人ともそれを楽しんでいるポジティブリーダーでした。そろってメディアの前に登場するのは、本邦初!?「WWDジャパン」9月2日号のセレクトショップ特集でインタビューをがっちり掲載します!

 ビームス本社のエレベーター周りがカワイイので取材ついでに写真を撮らせてもらいました。眺望もばっちり。ガラスがきれいで映り込みもばっちりです(笑)。

8月17日(土)
哲学者の鷲田清一氏へ会いに仙台へ

 ファッションを書くことを仕事にしている人なら一度は哲学者の鷲田清一さんの著書「モードの迷宮」や「ひとはなぜ服を着るのか」に触れてきたかと思います。最近はファッションに関して書かれることは少ないですが、新刊「生きながらえる術(すべ)」を読んで、改めて取材をさせていただきたいと思いました。そんな折、鷲田さんが館長を務めるせんだいメディアテークでトークイベントがあると知り夏休みの遊びを兼ねていざ、仙台へ。

 「正直」をテーマにしたトークの相手は、注目の若手建築家ユニットo+hのお二人です。いや~建築家って大変な仕事ですよね。クライアントや街の人、施工会社などリクエストも利害関係も異なる多くの人との対話の中でニーズを引き出しつつ、発注者が予想を超える提案をする仕事は対話の連続!!その中で「正直」であることの大切さと難しさを話してくれました。そして、鷲田さんの話の引き出し方、対話の中での思考の深め方がさすが。偉大な書き手は優秀な聞き手でありました。

 トークショーの終了後、鷲田さんに取材依頼のお手紙を手渡ししてきました。そこでいただいた言葉を公にすることは控えますが、心の栄養になりました。取材、すぐでなくてもいいからいつか叶うといいな。ちなみに、伊東豊雄さんが設計したせんだいメディアテークは杜の都の緑の存在感を空間に取り入れた素敵な建物です。

8月19日(月)
ラグビー界のスター、
ダン・カーターとランチ!

 自慢させてください!ラグビー界の大スター、ダン・カーター(Dan Carter)とランチをいただきました。「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のとあるプロジェクトでインタビューをする機会が得たのです。元ニュージーランド代表の背番号10番のダン・カーターです!とか言いながら正直、ラグビーは全然分かりませんが最強チーム、通称オールブラックスの存在はさすがに知っています。試合前に踊るマオリ族の伝統舞踊ハカは有名ですよね。取材前にダン・カーターの名プレーまとめを動画で見て鳥肌が立ちました。

 ソフトで実直でクレバーな受け答えとこの笑顔。かっこよかったです!!彼はきっとこの先、経営者などラグビー以外でも活躍するに違いありません。スポーツ担当とともに行ったインタビューの内容は近日公開予定でございます。

8月19日(月)
UAの次世代リーダーに取材

 「セレクトショップ特集」の取材のため、今日はユナイテッドアローズへ。竹田光広社長とともに同社をリードしている2人の若き常務に会いました。お一人が写真の松崎さん。主にトレンドマーケット向けの事業を統括する第一事業本部を束ねています。もう一人が、木村竜哉さん(写真を撮らせていただきそこねた……古着も好きなおしゃれ男子)で、「グリーンレーベル リラクシング」などが入る第二事業本部の本部長です。

 UAの年間売り上げは1500億円超え。2人の肩の上の重荷もどんだけ~、ですよね。そのあたりを読み解くためにも戦略を聞きました。セレクトショップにルーツを持ちつつ、今や大手SPA企業でもある同社のモノづくりの仕組みの戦略も、聞きました。そして分かったのはお2人の肩の上に載っているのは重荷ではなく、エンジンであるということでした。プレッシャーを重荷と思うようじゃあ、リーダーは務まりませんものね。

 ユナイテッドアローズ本社の待合スペースにはアート作品がいくつも。名和晃平さんの作品を10センチの距離で上から横からじっくり拝見しました。

8月20日(火)
GR8久保さんがおもしろすぎた


 今、日本で一番尖っているセレクトショップと言えば、原宿のGR8(グレイト)でしょう。品ぞろえも集客も売り上げもピカイチ。で、GR8と言えば久保光博オーナー・バイヤーです。

 弊紙は9月に「モードって何?(仮)」特集を予定しておりまして、このシンプルな問いに答えてくれそうな方を訪ね歩いている最中です。久保さんに申し込むと「ちょうどそんなことを考えていた」とのことで快諾いただき、ラフォーレ原宿2.5階にあるお店に向かいました。アツい!アツすぎる!!期待以上!!!の答えをもらったので特集でお伝えしますね。

 GR8を知ったのは10数年前。当時私が編集長を務めていたコレクションマガジン「ファッションニュース」で、全国のセレクトショップのバイヤー170人を紹介するという気合の入った特集を組んだのですが、着道楽の街である愛媛・松山のセレクトショップ、インセクトの柴田哲志社長を取材した際に、紹介してもらったのが同社出身の久保さんでした。当時インタビューで聞いた“俺がやるしかない”というフレーズ、今も記憶に刻まれています。

 なお、「モードって何?」に一家言ある方、ぜひ編集部まで一報くださいませ。

8月20日(火)
ECセミナーでお悩み相談会開催

 7月9日号「EC特集」は発行済みですが、プロジェクトはまだ終わってなかった。この日開催したセミナーが本当のゴールでした。ヤプリさんのおしゃれなオフィスをお借りして、紙面にも登場いただいた4人のプロを迎えて“お悩み相談会”的なトークイベントを開催しました。質問例は、「モールがありすぎてどれに出店していいか分からない」とか、「リアル店舗とEC、共通のKPIを設定するには?」とか。ぐぬぬ。リアル。

 アマゾン ペイやヤプリ、AMS、イーベイ・ジャパンなどEC関連企業が最新ビジネスを短い時間で紹介するコーナーも設けました。

 消費ビジネスに携わる人なら誰しもECに関する知識や活用する力が求められている時代。どんどん進化するからアップデートが大変ですよね。トークイベントの司会の勉強も大変だったので分かります……。だからこうやって実際に会って悩みを持つ人同士がつながり、相談できる場をもっと増やしたいね、と社内で話しております。

8月21日(水)
元伊勢丹社長、
小柴和正さんのお別れの会へ

 小柴和正・元伊勢丹社長のお別れの会にうかがいました。

 メーカーに勤務していた20代の頃、週末や繁忙期は百貨店や専門店で応援販売をしていました。一番緊張する売り場は伊勢丹新宿本店でした。とにかく忙しいし、指導係の方は厳しかったし、各メーカーが精鋭を派遣してくるから売り場の緊張感も高い。その分、皆誇り高く仕事をしているし、売り上げも大きいからやりがいがある。今思えば、あの頃の伊勢丹の社長が小柴さんでした。当時は小柴さんが打ち出された「ファッションの伊勢丹」という経営理念をまったく理解はできていませんでしたが、それを売り場を通じて体感できたことは今の仕事の財産となっています。

 心よりご冥福をお祈り申し上げます

8月21日(水)
「マルベリー」ナイトの熱気が
すごいことに

 8月一番の盛り上がりだったかもしれないイベントが、「マルベリー(MULBERRY)」が表参道で開催した体感型イベントのオープニングでした。ドラァグクイーンたちと遊べるゲームコーナーが特に人気で、ライブも大盛り上がり。床が抜けるんじゃない!?と心配になるほど、大勢の人が揺れておりました。

 パブ風の演出だからお酒もビールかシングルモルト。ボウモアを前にバーテンさんに「15年と18年、どちらがいいですか?」と聞かれたものの、こちらが答える前に一瞬にして「18年ですよな~」と振舞っていただけたのは、年の功かしら??おいしかったです。

 大好きなクリエイティブ・ディレクターのジョニー・コカ(Johnny Coca)とハグはできたけど、後で写真を撮らせてもらおうと探したものの人が多くてたどり着けず。そんなところもパーティーっぽくていいかな。DJで盛り上げていたのはマドモアゼル・ユリアちゃん。ブラボーです。

8月22日(木)
9/2号「19年春夏売れた物特集」
校了と本日のおやつ

 本日発売の8月26日号は百貨店の春夏売れ筋をまとめた特集です。そして定期購読の方には、記者ほぼ総出で作った渾身の別冊「ビジネスリポート」がつきます!全国50の百貨店、9つの分野(化粧品、特選、婦人服、紳士服、バッグ、シューズ、時計、ジュエリー、ファッションジュエリー)の売れ筋をまとめたデーターブックです。単品購入もできるようになりましたのでぜひ。そして本日のおやつは、集英社でお土産にいただいた「満月チップス」です。

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攻撃的なライブを行うGEZANのマヒトゥ・ザ・ピーポーに見る、混乱をも愛する“優しさ”

 聴く人に挑むように、攻撃的とも言えるライブを行うバンドGEZAN。そのボーカルのマヒトゥ・ザ・ピーポー(以下、マヒト)は今年2枚のソロアルバムをリリースし、自身初の小説も発表するなど注目を集めている。また、GEZANが「フジロックフェスティバル’19」に出演した際にはマヒトの衣装を高橋盾「アンダーカバー(UNDERCOVER)」デザイナーが手掛けるなど、他業界からも注目される存在だ。そして9〜10月には、GEZAN主催の投げ銭式(無料)の音楽フェス「全感覚祭」を大阪と東京で開催するが、2014年から毎年開催している中で、今年は無謀とも言えるフードフリー(投げ銭式)に挑戦する。彼はなぜ生き急ぐように行動し、そして多くの人を引きつけるのか。既存の社会構造に中指を立てるようなマヒトの鋭い視線の裏には、この世界を生き抜くための“優しさ”がある。

WWD:今年はソロアルバムを2枚リリースしているが、制作においてGEZANとはどのような違いがあるのか?

マヒト:ソロはGEZANで走り終わった後に、呼吸を整える時間というか、一人でいるときのため息に近い感覚です。2枚出したのは、単純に曲がいっぱいできたからというのもありますね。

WWD:マヒトさんは平成元年生まれ。2作品を平成が終わるまでにリリースすることは意識したのか?

マヒト:そこまで意識してはいなかったんですが、きっかけにはなりました。きっかけがないと曲があっても表に出せないけど、自分を奮い立たせるためのフックにもなりましたし。でもあまりにも“平成の終わり”が騒がれてたから、途中から言いたくなくなりましたね。“平成最後”って1億回くらい聞きましたもん。

WWD:5月には初の小説「銀河で一番静かな革命」を出版した。小説を書いたきっかけは何だったのか?

マヒト:よくライブに来てくれる作家の吉本ばななさんが自分の言葉を褒めてくれたのもあって、書いてみようかなって。書きためていたこともなかったし、結局完成までに1年半くらいかかりました。でも毎日小説の世界と向き合う時間ができたことは新鮮でしたし、嫌じゃなかったです。普段の自分は朝起きる時間も場所も遊ぶ友だちもバラバラで軸がなくて、自分の生活の中で毎日同じように起きることがほとんどないので。

WWD:書く内容はすぐ決まった?

マヒト:そんなこともないかな。どういうゴールに向かっていくのかも想定せずに、最初の1章を書き始めました。こう書いていこうという主観的な感じよりは、全体を俯瞰しているというか。意図してストーリーを進めていくというよりは、登場人物が勝手に動いているのを書くのに近い感じです。

WWD:作品には特別な主人公がいるわけでもなく、登場人物は普通の人ばかりだったのが印象的だ。

マヒト:自分も含めてですけど、ほとんどの時間ってただの余白みたいなものじゃないですか。特別な時間の方が少ないし、全員自分の平凡さからは逃げられない。俺は基本的に自分から逃げたいんですよ。自分探しの旅をする人がいるけど、マジで分からない。だって24時間365日何10年もずっと自分とは一緒にいなきゃいけないわけだし。だから映画や音楽には、他人の視点に触れられる喜びがあると思うんですよ。人の目を借りて町を歩くと、救われる気持ちにもなる。今回の小説でも、自分と違う人生を集中して見たかったというのもありますね。

WWD:文章を書くことは、自分と向き合うことにもつながると思うが?

マヒト:向き合うというよりは、文章を書くことで自分を全部追い出したい気持ちの方が強いですね。自分の感覚やセンスみたいなものを使い切って、空っぽになりたい。(水曜日のカンパネラの)コムアイも、オリジナルになるよりも個性的なものを追い出して自分じゃない何者でもないものになりたいって、同じようなことを言ってたんですよ。だいたい“マヒトゥ・ザ・ピーポー”って自分じゃない感覚もあるし、褒められてもいまだに自分のことじゃないみたい。ある意味、戦隊ものの着ぐるみに近いんだと思う。

「全感覚祭」ではフードフリーに挑む

昨年大阪で開催された「全感覚祭」のライブ

WWD:今年は東京と大阪の2都市で「全感覚祭」を開催する。その「全感覚祭」についてマヒトさんは“自分たちの街”と表現しているが、そこにはどういう思いが込められている?

マヒト:自分は時代が求めている法律や常識、倫理観とかをすくい取れない感覚があるんですけど、それは“想像力”を駆使すれば補えるはず。例えばボールペンが自分の方に転がってきたら拾って手渡せるけど、それは“想像力”や“思いやり”でできることでどこのルールブックにも書いてない。どの空間でもある程度のケアができるわけじゃないですか。圧力的なルールで縛るんじゃなくて、もともとそういうものが用意されている“日本”とかとは違う、新しい場所という意味での“街”ですね。違う言い方をすれば自治区かな。

WWD:入場料だけでなくフードも無料の中で、参加者に求める最低限のことはあるのか?

マヒト:これもさっきの“想像力”と同じで、一つのハードルというか空気ができていると思う。だから遊びに来る理由がどうであれ、その場所で何も感じなかったらそれも正解。お客さんがポイ捨てしていいやと思ったら、それはポイ捨てしていい空気になったからだろうし、フードを食べてお金入れずに帰ろうとするなら、それもそういう空気だったという証明だと思う。その中で自分たちができることは、一つ一つのものに何が起きているかをクリアに見える状態にすること。

WWD:それは具体的にどういうことなのか?

マヒト:この前カルロス(GEZANのベース担当カルロス・尾崎・サンタナ)が周防大島に行って、農家をしている銀杏BOYZの元メンバーの中村明珍さんに「全感覚祭」のフードのために梅をもらってきたんだけど、その梅は勝手に湧いて出てきたものじゃなくて、作った人の生きた時間と集中力がかかっている。音楽も一緒で、完成するまでにアーティストの孤独の時間がある。お金が間に入ることで、半自動的に成立するとされていることがいっぱいあるんですよ。あらゆるものが当たり前のようにこの場所に来るんじゃないってことや、普段実感のないものを感じられる日になればいいと思います。それは食べ物だけじゃなくて、生き物に対してのリスペクトにもなる。かと言って自分たちだけでは実現できないので、ボランティアも募集しています。

WWD:普段意識されないものや、ないとされているものを扱うことはGEZANにも共通していると感じる。アルバム「Silence Will Speak」の「優陽」にも、「この気持ちにはまだ名前がついてない」という歌詞がある。

マヒト:本当は曖昧なものはたくさんあるんですけど、扱いにくいとか利益に転換しにくいとかでないものと蓋をされてしまう。感情でいえば喜怒哀楽のざっくり4つだけみたいな。だけどそれ以外の曖昧な感情を踏み倒されていては人間の稼働が止まっちゃうから、俺は喜怒哀楽以外の感情も同じように認めることが大事な気がしているんです。

これは少し次元の違う話になるけど、本当は人の個性にはめちゃくちゃ段階があって、一人一人の中にいろんな人格があるのに、それを「あいつはああいうやつだよな」ってカテゴリー分けすることはすごくアホらしい。それでは生き物とか存在することにリスペクトがあるとは言えない。自分の中にある“意味の分からなさ”とか曖昧さをちゃんと認めることが大事じゃないかな。そうすると混乱しますけど、そもそも生きていること自体が相当特殊なことじゃないですか。とにかく混乱を受け入れてそれも愛せることが、優しさに近づくことだという気がするな。

WWD:その中でGEZANはどのような立ち位置になるのか?

マヒト:自分たちだって達観しているわけじゃないし、明確なメッセージを発信しているというよりも、こういうサンプルもあるぞという気持ちが強い。あり得ないくらいの情報が飛び交う中で全てにピントを合わせるなんて絶対無理で、自分が気づいている範囲でしか動くことはできないじゃないですか。それにネットニュースとかは普段は響かないことが多いけど、友だちがその立場になった瞬間に自分の中に感情が湧き上がってくる。だからこそいろんな場所でいろんな友だちをつくることが重要だと思っていて、俺たちはその中の一つでしかない。だから信用すべきじゃないというか、「平気で間違えるからよろしく」って。

「NO GOD」のMV

WWD:「NO GOD」の歌詞「Make your new god by yourself」もそれに近いように感じる。

マヒト:圧倒的なカリスマや神様が象徴する時代は終わったと思っていて。そもそもみんな生きてきた年数とか見てきた景色も違うのに、“日本”とか“神様”と一括りにするのは無理がある。だからこそ人でも概念でも、自分自身で“神様”を見つける方がよっぽど重要な気がするんですよね。俺はコーヒーカップを集めるのが好きで、部屋は散らかってるんですけど、コーヒーカップを並べているゾーンだけはめっちゃきれいなんですよ。集めても何の得もないけど、コーヒーを飲むときくらいは好きなカップで飲みたいし、俺にとってきれいに並んでいる様子の方がよっぽど“神様”に近いんです。そういうものに出合うことでサバイブできるんじゃないかと思うし、今は「主人公は自分なんだ」と全員が思って、一人一人がオリジナルに生きていくのがいいんじゃないかな。

WWD:ちなみに音楽でもっと売れたいという気持ちはある?

マヒト:いやー、俺らの場合は全くイメージができないですね。Mステで何を演奏すればいいんですか(笑)。よく思うんですけど、ミュージシャンに今の音楽業界が最高かと聞いたら、「うーん」って顔するわけじゃないですか。でも、同時にその構造の中で評価されたいという願望も持っている。そういう環境に歩み寄らないといけない矛盾を、俺は気持ち悪いし、本当に嫌なら好きな仲間と好きな空気をつくればいいと思っているんですよ。もちろん自分よりも大切な人がいるとか、家族がいるからメジャーやめられないということもあるかもしれないけど、だからって言い訳にはならない。

WWD:GEZANが自主レーベル「十三月」をやっているのも、全部自分たちでやりたいという意思からか?

マヒト:そんなこともないけど、自分たちがやりたいことは自分たちが一番分かっているっていうシンプルな理由。もちろん大きい事務所とかレーベルの必要性も感じますけどね。「全感覚祭」みたいな、悩んだことを形にできる場があるのは幸せですよね。

WWD:一方でフォトグラファーやアーティストなど他業種とのつながりも多い。

マヒト:めちゃくちゃ遊んでますね、俺(笑)。毎日どこかしらへ遊びに行っているっていう……。どちらかが歩み寄るというよりかは、自然とつながっていく感じはあるかもしれないです。基本的に世の中の9割5分は闇で、嫌だなと思っていると一筋の光みたいな人がスーッと現れる。やっぱり何かを作っている人は、面白いものに飢えてるんじゃないかな。

ファッションへのこだわりは赤?

WWD:ファッションはとにかく赤のイメージが強いが、こだわりはある?

マヒト:別にこだわりはないんですけど、とにかく赤が好きなんですかね。気付いたときにはって感じかな。小さい頃から夕焼けとか好きで、小学校の職場見学とかも消防署行ったし、単純に引かれるんでしょうね。赤じゃない服着て街歩いていると、元気ないと自分で気付くときがあって。でもたぶんそれは赤い服を着ていないから元気がないんじゃなくて、元気がないから赤い服を着られないんだと思う。やっぱり赤って、人を駆り立てる強い色なんじゃないですか。

WWD:一方でタワーレコードの“NO MUSIC, NO LIFE.”のキャンペーンポスターで、高橋盾「アンダーカバー」デザイナーが即興で作ったという衣装は白だった。

マヒト:単純に白黒写真だから赤が伝わらないってのもあるけど(笑)、白も結構好きですよ。白の中に一点だけ赤い点あるとすごく際立つという意味でも好きですね。

WWD:インスタグラムの画像も赤いものが多いが、SNSはどのように使っているのか?

マヒト:何も考えてないな……。でも女の子のブレスレットとかイヤリングとかを入れる箱みたいに、赤いものを見たら収集しているという感じかもしれない。たまに見返して、「赤いな、キラキラしてるな……」って思うみたいな。

ただSNSはいい使い方をしないと、自分が壊れると思いますね。言葉は使い方次第でどこまでも人を追い詰めるし、無防備な状態でSNSを開いたら何かしらの争いが目に入って来る。それが自分に向けられていなくても、触れ続けるのは精神的にギリギリなことだし、相当異常なことじゃないですか。それに、そこにはもっと“いいね”されたいっていう、承認欲求を枯らさない構造がある。そういう欲求があることは理解できるけど、それが生活に侵食してきたらいつ休まるのと思うし、それって本当は生きていることと関係ないと思う。自分らしさとか言ってるなら、絶対SNSやめた方がいいと思いますよ。

WWD:最後に、12年に大阪から東京に活動拠点を移して7年が経過したが、生活スピードは速いと感じる?

マヒト:むしろちょうどいい。大阪は遅すぎて逆に合わなかったもん。大阪はいい意味でも悪い意味でもコミュニティーができやすいし、地元愛みたいなものもすごいあるから、その分だけなんか窮屈な面もあった。大阪に戻りたいとかもないかな。でも温泉好きだから、いつかは別府に引っ越したいな(笑)。

■「全感覚祭 19 -NEW AGE STEP-」
日程:9月21日
場所:堺ROUTE26周辺
住所:大阪府堺市堺区戎島町5-3

日程:10月12日
場所:印旛日本医大 HEAVY DUTY
住所:千葉県印西市鎌苅672-6

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日本の“東海岸”で探すアメリカ 杜の都のファッション戦線に異状あり!?

「WWDジャパン」8月26日号は、“2019年春夏に百貨店で売れたもの”を特集しています。今回は、北は北海道から南は鹿児島まで50百貨店に協力いただきました。さらに、これまで定期購読特典だったビジネスリポート(データ集)が単品販売で1万円で購入できるようになりました!僕は、創業200周年を迎えた仙台の藤崎を取材したのですが、せっかく仙台まで来たのだからと、百貨店以外の商況についても探ることにしました。

 7月に、ロサンゼルスで行われた全米最大級のビンテージフリーマーケット「ローズボウル(ROSE BOWL)」を取材しました。事前リサーチで“ローズボウル”と検索してヒットしたのが、仙台にあるアンティーク家具店の「ローズボールアンティークス」でした。実は数年前に「ローズボウル」に行く際にも検索の上位に挙がってきて、勝手に気になっていた存在でした(笑)。しかし仙台にとんと縁がなくて、今回の出張取材に伴い、ようやく訪問することができました。

 対応してくれたのはバイヤーの菊田豊さん。聞けば、もともとは「ローズボール」という古着店だったとか。「オープンは1984年。当時は仙台中心部の一番町にありました。古着店は2~3軒くらいしかなかったのですが、90年代後半をピークに一気に増えて100軒以上になりました。それが今は10軒ほど。こんなに浮き沈みがあるのって仙台くらいでは?」。う~ん、きれいめ志向な仙台っ子に古着ブームが伝播して、でもその熱が冷めてしまったということでしょうか。「『ローズボール』も業態を変更して、10年にアメリカのビンテージ家具などを扱うショップになりました」。さらに15年に仙台港近くの卸問屋街に移転しました。

 古着が流行った90年代後半の仙台っ子のファッションについて聞くと、「ビンテージのデニムウエア、ハワイアンシャツ、軍モノが人気でした」との答え。雑誌「メンズノンノ(MEN'S NON-NO)」(集英社)の全国スナップで見た、セレクトショップのオリジナルブランドを着るような、もしくは彼女のお母さんに気に入られそうなきれいめな格好をしている仙台っ子のイメージとはかけ離れた実像!僕の驚きをよそに、菊田バイヤーは「コテコテでしたよ(笑)。フライトジャケットの“A-2”も売れたなぁ」と続けます。ますます仙台っ子のイメージが崩壊……。

 とはいえそのブームは去り、今の仙台には僕の想像する通りのコンサバな装いがあふれていました。気になる業態変更後の「ローズボールアンティークス」のビジネスは、「いいですよ」とにこり。主な購買層は50代前後。それでいて同店の平均単価は1万~2万円、高くても30万円と値頃感があります。さらに個人客に加えて、全国のショップやカフェにショーケースなどの什器を卸しているそうです。「個人客向けには、ランタンなどアウトドアで使えるアイテムが売れています。ほかにも、木製の折り畳みアイロン台をテーブルに転用したり、お客さんの方が自由にアンティーク家具を遊んでくれています」。アメリカでの買い付けは年に3回。「それでも商品が足りない」ほど人気だと言います。

武骨なオーナーが服ではなくスタイルを売る

 「ローズボールアンティークス」を後にして訪れたのは、一番町にある古着店の「アントレー」です。ここではオーナーの大貫友也さんに話を聞きました。「ローズボールアンティークス」の菊田バイヤーの話の裏を取ろうと、もう一度90年代後半の仙台っ子のファッションについて質問しました。「『オーシャンパシフィック(OCEAN PACIFIC)』や『ライトニングボルト(LIGHTNING BOLT)』『ヴァンズ(VANS)』など、西海岸っぽいファッションが流行っていましたね。皆『リーバイス(LEVI’S)』のベルボトム“646”をはいていました」。こ、今度はサーフ!僕がこれまで信じて疑わなかった仙台っ子像はどこへ……。

 アントレーは09年のオープン。大貫オーナーが1人で切り盛りしています。軍モノが多いですが、大貫オーナーは「特にこだわってはいません。シンプルで機能的な服を集めた結果、軍モノ比率が高まりました」と言います。客層は10~40代が多く、99%が女性。売れ筋はコートで、「真夏でも売れます」。何だかつかみどころがありませんが(苦笑)、「わがままな店づくりも僕1人だからできること。スタッフを抱えていたら“売れるもの”を扱わなくてはならないので」と聞いて納得しました。「バーバリー(BURBERRY)」はオープン当初、つまりはブーム以前から買い付けており1960~70年代のアイテムが並びます。

 アントレーで古着の魅力にハマった客も多いそうで、それは若年層?と聞くと「いえ、40~50代が多いですね」。そのわけは、きっと大貫オーナーによるブログ。「インスタグラムなどSNSはやりません。マス向けだと思うし、あれって虚飾ですよね(笑)。文字数も短いのが推奨のようで、それだと書きたいことが書けません。だから僕はブログです」。毎日1投稿と決め、撮影に2時間、原稿に4時間かけるそうです。「写真は三脚を立てて自撮りしているし、原稿も接客しながらだからはかどらなくて」と謙遜しますが、半日がかりの作業には頭が下がります。

 夢について聞くと、「ショップも10年のひと区切り――だからブランドをやってみたいんです。ジャケットやパンツなどクラシックなものを作りたいです。もちろん大好きな古着店はやめません」と笑った。

 シンプルな機能服があったり、こだわりのビンテージがあったり、「やっぱり現地体験しなくちゃ分からないな」と仙台の奥深さを感じつつ、新幹線やまびこに乗って帰京しました。

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財布持たずに美容室に通える “ペイレス”システムを導入したヘアサロン「ピンチ」

 年中無休、24時間営業の完全予約制という業態で注目を集めている東京・赤坂の美容室「ピンチ(PINCH)」が、美容業界初の“ペイレス”システムを導入した南青山店を7月初旬にオープンした。ペイレスシステムは、クラウドコンサルテーションと構築・運用サービスを行うフィクサー(FIXER)と同サロンが共同で開発したもの。施術に関するカウンセリング後メニューが確定した段階で、あらかじめ同サロンのライン公式アカウントから登録した支払方法で決済を行う。いまだ現金派が多数を占めるヘアサロンの支払いシステムの中で、現金のやり取りが一切発生しないこのシステムは受け入れられているのか、ヨシダアキヒロ「ピンチ」代表に聞いた。

WWD:混同されることがあると思うのですが、ペイレスシステムとキャッシュレスの違いを教えてください。

ヨシダアキヒロ代表(以下、ヨシダ):キャッシュレスはクレジットカードや電子マネー、口座振替を利用して、紙幣・硬貨といった現金を使わずに支払いを行う決済方法ですが、カードやスマートフォンなどが必要になります。ペイレスシステムは事前に決済用のクレジットカード情報を登録しておくことで、支払いの際にそういったものが手元になくても決済が行えます。

WWD:支払いはどのような流れで行われるのですか。

ヨシダ:カウンセリング後、施術メニューが決まったら金額を確認します。その際にスタイリストがタブレットを操作して決済の確定を行うと、お客さまにラインでレシートが送信されます。

WWD:ではお客さまは一切操作をしないんですね。

ヨシダ:お客さまは何も触らず、決済画面も見ないので、「お金を払った感じがしない」と言われます。今までの固定観念では施術後にお金を払いますが、支払いという行為をすることでせっかくきれいになったのに現実に戻ってしまう。施術前に支払いが済んでいることで、施術前のワクワク感や仕上がりの喜びを損なわずに帰れるんです。

WWD:ペイレスシステムを導入するメリットは?

ヨシダ:支払いがなくなることによる施術体験の満足感向上はもちろん、お店にとっては現金のやり取りがないので、レジ締めの負担がなくなります。全てデータで管理されるので、間違いが起きたときに従業員を疑うことや追及することがなくなるので経営者としても楽ですね。

WWD:反対にデメリットは?

ヨシダ:現金派の人やカードを使いたくない人は当然対応できません。最初はスタッフも既存のお客さまで現金派の方がいると失客につながってしまうので、現金も取り入れたいという意見はありました。しかし、ペイレスシステムはこだわりでありコンセプトの一つなので、ブレずに現金には対応しないことにしています。お客さまに合わせるのもいいと思いますが、最先端のテクノロジーなのでお客さまを“教育”していく感覚もあります。僕が長年作りたかったシステムなので、魅力をしっかり伝えてすばらしさを体験してもらえるように促します。一度カードを登録して便利さを味わえば、次からはずっと使ってくれます。だから初めて利用するお客さまには予約時や来店前日に支払い方法について丁寧に説明をしますし、店内にはポップも用意しています。

WWD:サロンは朝6時オープン、週休2日制も規格外です。

ヨシダ:早朝に来店されるお客さまは赤坂店の顧客が多いですが、今後は新規のお客さまにもアピールしていきます。南青山店の周囲のショップは12時オープンなど開店時間が遅いところが多いので、そういったショップのスタッフには出勤前に気軽に立ち寄ってもらえると思います。テラスで朝食のサービスも行っていますので、朝活サロンとしての認知も進めていきたいですね。

WWD:オープンが早い分、閉店が19時というのも近隣サロンとの違いですね。

ヨシダ:スタッフの働き方も変化します。朝早く開店する分19時に閉店することで、仕事が終わってからご飯に行ったり遊びに行ったりすることができます。21時前はご飯を食べに行っても美容師がほとんどいないので、異業種の人とのつながりを持つきっかけになるはずです。モデルハントを街頭で行うときも、美容師があまり外にいない時間帯なのでいいモデルをつかまえやすいです。また、強制はしませんが19時に営業が終わってから3時間練習しても22時なので、練習もしやすいです。ペイレスシステムも朝6時オープンも、意外とスタッフの働き方の変化にもつながりました。

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アーティストが奇抜な衣装で大集合!米MTVによるミュージックビデオの祭典「VMA」 開催前に知っておきたいことを総ざらい

 8月26日(現地時間)、「2019 MTVビデオ・ミュージック・アワード(2019 MTV Video Music Awards以下、VMA)」が開催される。1984年に始まったVMAは米MTVが主催する一大ミュージックイベントだが、ファッションにおいても要注目だ。これまでもレディー・ガガ(Lady Gaga)が本物の肉を使用したドレスで登場するなど、ほかのイベントよりも奇抜なファッションで多くのセレブやアーティストが登場している。また、ブリトニー・スピアーズ(Britney Spears)とマドンナ(Madonna)がキスをするといった、ハプニング的な出来事が多いのもVMAの特徴だ。

 開催を目前に控えたVMAについて、知っておきたいポイントをまとめてお伝えする。

・いつ、どこで開催されるの?

 今年のVMAは8月26日20時(現地時間)から、ニュージャージー州ニューアークのプルデンシャル・センター(Prudential Center)で開催される。同州で開催されるのはこれが初めてで、ロサンゼルスもしくはニューヨークではない場所でVMAが開かれるのは2004年と05年のマイアミ、07年のラスベガスに続いて4度目だ。

・司会者は誰?

 米コメディアンのセバスチャン・マニスカルコ(Sebastian Maniscalco)が起用された。「ネットフリックス(NETFLIX)」で放送されている自身の番組、「セバスチャン・マニスカルコのハングリー精神でいこう(原題:Stay Hungry)」などで知られる彼がVMAの司会進行役を務めるのはこれが初めてだが、ハプニングが期待される同イベントの司会にはコメディアンが起用されることも多い。過去にはジミー・ファロン(Jimmy Fallon)、クリス・ロック(Chris Rock)、チェルシー・ハンドラー(Chelsea Handler)、ケヴィン・ハート(Kevin Hart)などがその大役を務めてイベントを盛り上げている。

・誰がノミネートされているの?

 アリアナ・グランデ(Ariana Grande)とテイラー・スウィフト(Taylor Swift)の2大歌姫がそれぞれ10部門と最多ノミネートされている。新星ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)は9部門、新鋭ラッパーのリル・ナズ・X(Lil Nas X)が8部門とそれに続く。これらのアーティストは全員、19年3月に再結成を果たしたジョナス・ブラザース(Jonas Brothers)と、ラッパーの21サベージ(21 Savage)と共に「最優秀ビデオ賞(VIDEO OF THE YEAR)」にノミネートされている。

 「最優秀アーティスト賞(ARTIST OF THE YEAR)」には、前述のアリアナ・グランデ、ビリー・アイリッシュ、ジョナス・ブラザーズのほか、カーディ・B(Cardi B)、ショーン・メンデス(Shawn Mendes)、ホールジー(Halsey)がノミネートされた。

 「最優秀新人賞(BEST NEW ARTIST)」には、ビリー・アイリッシュ、リル・ナズ・X、エイバ・マックス(Ava Max)、ハー(H.E.R.)、ロザリア(Rosalia)、リゾ(Lizzo)がノミネートされた。6人中5人が女性アーティストと、ここでもガールズパワーが際立っている。

・パフォーマンスを披露するのは?

 ジョナス・ブラザーズが11年ぶりにVMAのステージに登場する。開催地のニュージャージー州出身の彼らは、イベント会場近くのジャージー・ショアで演奏する予定で、その模様が生中継される。

 テイラー・スウィフトも4年ぶりにVMAでパフォーマンスを行う。8月23日に7枚目のアルバム「ラバー(Lover)」が発売され、その同日に「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」とのコラボコレクションが発売となるなど大きな話題が続いており、必見のステージとなるだろう。

 ほかにも、ショーン・メンデス、カミラ・カベロ(Camila Cabello)、バッド・バニー(Bad Bunny)、J.バルヴィン(J Balvin)、リゾ、リル・ナズ・X、ノーマニ(Normani)、ビッグ・ショーン(Big Sean)、エイサップ・ファーグ(A$AP Ferg)、ハー、オズナ(Ozuna)などが登場する予定だ。

・名誉賞や特別賞はある?

 グラミー賞を5度受賞し、斬新なミュージックビデオの数々を発表しているミッシー・エリオット(Missy Elliott)が、女性ラッパーとして初めて「ビデオ・ヴァンガード賞(VIDEO VANGUARD AWARD)」を受賞する。過去には、ビヨンセ(Beyonce)、ジャネット・ジャクソン(Janet Jackson)、マドンナ、ジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)、リアーナ(Rihanna)、カニエ・ウェスト(Kanye West)などのそうそうたるアーティストが受賞している栄誉ある賞だ。

 また、デザイナーのマーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)が今回から新設された「ファッション・トレイルブレイザー賞(FASHION TRAILBLAZER AWARD)」を受賞する。これはファッションと音楽業界の両方で活躍する先駆者に、MTVとアメリカファッション協議会(COUNCIL OF FASHION DESIGNERS OF AMERICA)が共同で贈るものだ。マークはキム・ゴードン(Kim Gordon)やコートニー・ラブ(Courtney Love)、リル・キム(Lil’ Kim)などの伝説的なミュージシャンを“ミューズ”だと発言しているほか、ミッシー・エリオット、フランシス・ビーン・コバーン(Frances Bean Cobain)、マリリン・マンソン(Marilyn Manson)、シェール(Cher)、マイリー・サイラス(Miley Cyrus)などをブランドのキャンペーンに起用している。

・プレゼンターは誰?

 今年のプレゼンターは、若手女優で歌手のヘイリー・スタインフェルド(Hailee Steinfeld)や、「ネットフリックス」の人気シリーズ「クィア・アイ(原題:Queer Eye)」で一躍有名になった美容師のジョナサン・ヴァン・ネス(Jonathan Van Ness)に加えて、米女子サッカー代表選手のアレックス・モーガン(Alex Morgan)、同アレクサンドラ・クリーガー(Alexandra Krieger)、同アシュリン・ハリス(Ashlyn Harris)、米アルペンスキー選手のリンゼイ・ボン(Lindsey Vonn)、カントリー歌手でマイリー・サイラスの父親としても知られているビリー・レイ・サイラス(Billy Ray Cyrus)、そしてジョン・トラボルタ(John Travolta)など、バラエティーに富んだ顔ぶれとなっている。

・レッドカーペットはある?

 VMAがスタートする1時間前の19時(現地時間)から、レッドカーペットの模様が放送される。テレンス・J(Terrence J)などが司会を務めるほか、エイバ・マックス、シーエヌシーオー(CNCO)、ミーガン・ジー・スタリオン(Megan Thee Stallion)がパフォーマンスを披露する。

・VMAはどこで見られるの?

 米MTVで放送されるほか、当日は公式サイトとアプリで生配信される。日本では、9月8日にMTVジャパン(MTV JAPAN)で当日の模様がオンエアされる予定だ。

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きれいめ志向の仙台っ子に「グラフペーパー」が人気 杜の都のファッション戦線に異状なし!

 「WWDジャパン」8月26日号は、“2019年春夏に百貨店で売れたもの”を特集しています。今回は、北は北海道から南は鹿児島まで50百貨店に協力いただきました。さらに、これまで定期購読特典だったビジネスリポート(データ集)が単品販売で1万円で購入できるようになりました!僕は、創業200周年を迎えた仙台の藤崎を取材したのですが、せっかく仙台まで来たのだからと、百貨店以外の商況についても探ることにしました。

 “探る”といっても個人的に仙台を訪れるのは人生で2度目で、ローカルの友人・知人もおらず……、そこで頼ったのが15年来の付き合いがあり全国津々浦々を行脚しているアルファ社長の南貴之さんでした。そして南社長から紹介してもらったのが仙台のアパレル企業、エニシングゴーズ社長の森義人さん。エニシングゴーズは「ノンネイティブ(NONNATIVE)」「エンダースキーマ(HENDER SCHEME)」などを扱うステアワイズや、「ファクトタム(FACTOTUM)」「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO」などを販売するダウンステアといったセレクトショップを運営しており、19年2月には「グラフペーパー(GRAPHPAPER)」を運営するアルファとフランチャイズ契約を結び、国内3店舗目となる「グラフペーパー」仙台をオープンしました。

 残念ながら別件がある森社長には会えなかったのですが、取締役兼マネージャーの古川正樹さんとスタッフの渡邊一弘さんが対応してくれました。「もともと『グラフペーパー』はステアワイズでセレクトしていたのですが特に人気が高く、スピンアウトする形で同店3階にオープンしました」と渡邊さん。そして古川取締役が「仙台っ子って、“シンプル、だけどこだわりのあるもの”が好きなんです。特に大人は攻めたファッションはしません。だけど“よいものは欲しい”というマインドはあります。そんな顧客に、和歌山の吊り編みTシャツや岡山のセルビッジジーンズ、1796年創業の英国のシャツメーカー『トーマスメイソン(THOMAS MASON)』の生地を使ったシャツなど、付加価値のある『グラフペーパー』の商品がうけています」と補足してくれました。30代後半から40代の会社経営者や医師にファンが多いとか。

 渡邊さんは「全身を『グラフペーパー』でそろえてくれる方も多いですし、『南さんがディレクションしたシンメトリーな内装を見たい』と、観光的に県外から来店した若年層がおみやげとしてTシャツなどを買ってくれるケースもあります」と言い、古川取締役も「19年春夏の売り上げは予算比をクリア。メンズは完売して、東京分の在庫を回してもらったくらいです」と教えてくれました。

 きれいめ志向の仙台っ子に、「シンプルで上質」な「グラフペーパー」が売れているのは納得。でも、「古着もアツいよ」という南社長の言葉が引っかかり、さらに取材を進めるのでした。

(後編に続く)

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「トモ コイズミ」、夢をリボンで結ぶ ケイティ・グランドらと再びタッグ

 トップスタイリストのケイティ・グランド(Katie Grand)に見いだされ、前回のニューヨーク・ファッション・ウイークでデビューショーを披露した「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」が再びニューヨーク・ファッション・ウイーク中にインスタレーションを行う。

 日時は9月6日19時。前回同様、場所は「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」の旗艦店で、スタイリングはケイティ・グランド、メイクはパット・マクグラス(Pat McGrath)、ヘアはグイド・パラウ(Guido Palau)が手掛ける。

 前回発表したオーガンジーのラッフルを幾重にも重ねた彫刻のような“売るつもりのない”ドレス群は、商業の街ニューヨークの地で業界関係者に夢のひとときを提供し、彼のコレクションは瞬く間にSNSで全世界に拡散された。

 小泉智貴デザイナーは、「前回のショーは夢のチームが協力してくれてギフトをもらったような気分だった。今回はそのお返しをしたい。“僕からのギフト”をコンセプトに見せる」と語る。鍵となるのは、福井の世界的リボン・テープメーカーのSHINDOのグログランのリボンだ。「ラッピングするイメージ」と小泉。「有機的なラインをイメージしながら箱のようなラインも表現する。ゴスロリやロココ、ガンダムの要素もミックスする」という。

 SHINDOのリボンは廃盤になったものを用いる。「次のコレクションも売るつもりがないから、廃盤になったリボンを美しく作り替えたいと考えた。また、用いる素材はオーガンジーだけではなく、新しい何かを用いたいという気持ちもあった。そうした時に、SHINDOの色が豊富なリボンを知る機会があり、色が重要な僕のドレスにも合うと考えた」。

作風の原点はジョン・ガリアーノのフリル使い、最初の仕事はパフュームの衣装

 小泉は、千葉大学在学中から独学で服作りに取り組んでいたという。「もともとはスタイリスト志望で、テストシューティング用に服を作っていた。必要ならば卒業後、専門学校で学ぼうと思っていた。けれど、作った服を友達に着せて出かけたらそれがスナップされて声がかかり、ブランド立ち上げにつながった」。

 特徴的なフリルやラッフルの作風の原点はジョン・ガリアーノ(John Galliano)が手掛けていた2003-04年秋冬の「クリスチャン ディオール(CHIRISTIAN DIOR)」のオートクチュール・コレクションだ。「ジョン・ガリアーノのクリエイションを初めて目にして、そのフリル使いに強く惹かれたし憧れた。その頃は今みたいにSNSもなかったから、ジョン・ガリアーノの作るものが見たくて毎回雑誌が出るのを楽しみにしていた」。

 コスチュームデザイナーとしての初めての仕事はパフューム(PERFUME)の衣装制作で、その後、さまざまに手掛けるようになった。そうして自身が作った衣装をインスタグラムでアップするようになり、それがケイティの目に留まった。ショーを行うと決まってから、ショーまで1カ月足らずだった。「これまでの蓄積していたものに加えて、(全27ルックのうち)半分を急ピッチで作った」という。そしてケイティの目に留まったドレスはデビューショーのラストルックを飾り、現在メトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art)で開催中の企画展「キャンプ」で展示されている。展示後は、パーマネントコレクションとして所蔵される予定だ。

 「インスタグラムがきっかけで今があるわけだけど、うまく付き合っていかないとあっという間に消費されてしまうとも感じている。消費されないためにもゆっくりと歩んで生きたい。売るための服を作るのも時間をかけたい。だから今回発表するコレクションも売るつもりはない」と慎重だ。前回は、ニューヨークの高級店バーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)や英国の有力百貨店セルフリッジズ(SELFRIDGES)、香港発セレクトショップのジョイス(JOYCE)などから購入したいと引き合いがあったという。

 今後販売するにあたっては「例えば、店ごとに売るアイテムを替えて少量を卸売りするのはいいかもしれない。コスチュームデザイナーだから、要望に応えてカスタムメイクすることには慣れている。あるいは、商業的なブランドと組んで一般の方に手の届くものを作ってみるものいいかも。スローに特別なことをできたら」。

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週末お出掛けスポット 日常で目にした場面から情景を描く作家のアジア初個展などアート5選

 週末にオシャレして出掛けたいアートスポットをお届け。今週は、日常で目にした場面から情景を描く作家のアジア初個展や藤井フミヤの16年ぶりの個展など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(8月24、25日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【開催中イベント】

そごう横浜店、ビューティフロアのリニューアルから1周年 「秋のBeauty祭」開催

「M・A・C」のビジュアルに超特急のカイが登場 本人来場のイベントも開催

「イザベル マラン」出身の日本人デザイナーによる新ブランド 伊勢丹とミッドウエストでイベント

ミキモトで「クラフツマンの感性」展 約1万個の真珠やジュエリーの数々を展示し制作の裏側を公開

野村訓市が企画した写真展がGYRE GALLERYで開催 20〜40代を代表するファッションフォトグラファーが参加

アーティストのジェームス・ジャービスが4年ぶりの新作展を開催

「リーボック」が「レブロン」とフィットネス女子応援キャンペーンを実施

眼鏡「フォーナインズ」がフォトコンテスト開催 テーマは“アクティブな夏”

「ブルガリ」と「ドン ペリニヨン」のマリアージュ ブルガリ銀座タワーの最上階に

「リモワ」がストリート誌と企画展 過去のアーカイブからアーティストの作品まで

「MCM」がサステナをテーマに展示会開催 未使用バッグをドレスにアップサイクル

松屋銀座が「美しくなるビアガーデン」開催 今年もクロスフィットトレーナーAYAとコラボ

【開催中ポップアップ】

日本初上陸の英眼鏡「キュービッツ」がブリンク ベースでポップアップイベント開催

「クリスチャン ルブタン」が期間限定でリップカラーに刻印サービスを実施

「アクリス」がバッグにフォーカスした期間限定店 空港をイメージした空間

ビートたけしプロデュースの「キタノブルー」が初ポップアップストアをオープン

眼鏡ブランド「アヤメ」が263日間のポップアップストア 直営店オープンの布石

オーガニックブランド「ラ・ブルケット」が関西で初のポップアップストア

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仏高級百貨店で日本の美容に特化したポップアップが盛況 反響の理由は欧州トレンドの変化

 パリの高級百貨店ボン・マルシェ(LE BON MARCHE)で日本の美容とライフスタイルをテーマにしたポップアップストア「ビジョ;(Bijo;)」が9月8日まで開催されている。フランスの百貨店では初めての“J-Beauty(日本の美容)”をテーマにした大掛かりなイベントだ。発起人は、パリで日本の美容ブランドの欧州市場進出をコンサルティングするデッシーニュ(Dessigns)の須山佳子代表だ。「ビジョ;」とは、Beaute (=美しさ)、Innovatrice(=革新的)、Japonaise (=日本)、Originale(=オリジナリティー)の頭文字を取った造語で、パリでのポップアップ開催は今回で4度目となる。

さまざまな分野で美を提案

 1階のメインステージには厳選された16ブランドが陳列されている。スキンケア部門では伝統的な和コスメ「まかないこすめ」や沖縄の月桃をメインにしたオーガニックコスメ「ルハク(RUHAKU)」、8種の和漢のハーブを発酵させたローション「オードキ(EAU DE KI)」、初披露となる熊本発の新シルクブランド「ココン ラボ(COKON LAB)」が参加した。さらに、以前から同百貨店で取り扱いのあるトータルビューティーサロン「ウカ(UKA)」のヘアとネイルケア商品を使ったヘッドマッサージやネイルイベントが週末に行われている。中でも特に須山代表が推すのは、今年5月にパリ市内にサロンをオープンした新ブランド「エン(EN)」だ。肌診断を行い、抹茶や米など80種類以上の原液を肌質に応じて組み合わせるパーソナライズのサービスを提供する。「手持ちの商品にプラスすることで効果を得られるという発想が、スキンケアライン一式を揃えることを勧める従来のブランドとは違う。フランスの女性にとって新鮮で、気軽に手に取りやすいようだ」と須山代表は述べる。

 香りの部門では、“秘める美”をテーマにし欧州ですでに人気が高い「トバリ(TOBALI)」や120年以上続く竹細工「公長齋小菅」のお香が並ぶ。美容ツールでは熊野から洗練されたフェイス&ボディブラシ「シャクダ(SHAQUDA)」と化粧筆「スイ トーキョー(SUI TOKYO)」、新潟の爪切り「スワダ(SUWADA)」をそろえる。ライフスタイル部門ではパリのウェルネスサロン「スイセン(SUISEN)」のオーガニック日本茶のほか、京都で1875年に創業した「開化堂」の美しい茶筒や「ビト(BITO)」のコケアート、そして会期の中盤からは「エデンワークス(EDENWORKS)」が加わり、色彩豊かなドライフワラーを販売する。

「日本の美容は伝統と革新が結びついている」

 ポップアップ開催から10日目を迎えた取材日、須山代表は期待以上の反響に大きな手応えを感じているようだった。「日本製の商品だけに着目されているのではなく、美容を含む“日本の生活様式”に関心を寄せる人が多い。例えばお風呂にゆっくり浸かる、美顔マッサージをするなど、日本女性にとってライフスタイルの中に含まれている美容法がフランス人女性にとって興味深いようだ。商品の使い方だけでなく、どのようなシチュエーションで、どういった流れで使うのかなど、興味津々に質問を投げかけ、じっくり話し込むお客さまが多い」。ボン・マルシェ百貨店ビューティ・ディレクターのアクセル・ロイェール(Axelle Royere)は「日本の美容は日本人の伝統を保ちながら革新的で現代性のある暮らしと結び付いているため、さまざまなライフスタイルプロダクトと混ぜることでより理解が高まる。日本の商品は説明がないとなかなか分かりづらいが、その奥深さと詩的なニュアンスをわれわれの顧客に伝えていきたい」と意欲を語った。週末には、フェイシャルマッサージやミニ香道講座などのあらゆる体験型イベントを開催し、行列をなすほどの盛況ぶりだった。「訪れるのは、同百貨店の顧客である中階級以上のフランス人マダムのほか、バカンスシーズンということもあってアメリカや中東からの観光客など20〜70代と幅広い。連日訪れたり、体験した結果大量購入したりと反響が大きい」と須山代表。

“K-Beauty”ブームから変化の兆し

 欧州ではかつて韓国、中国、日本をアジアのひとくくりとして認識され、5〜6年前からは韓国が一つ抜きん出て“K-Beauty(韓国の美容)”がビッグトレンドとなっていた。東日本大震災の影響で日本の輸出量が大幅に減少した数年間で韓国は美容部門の輸出量を2.5倍に伸ばし、パリの大手百貨店やブティックには韓国製の商品が数多く並ぶ状態だった。しかし昨年から“J-Beauty”も徐々に注目されはじめたという。須山代表は「即座に効果が出たり、ジャケット買いを促したり、SNSで若年層へのアプローチなどメディア戦略が上手い“K-Beauty”は流行した。しかし即席ではなく『本当の美とは何か』という考えも広がっており、時間をかけてケアし、化学と自然の融合で生まれた商品や未然に防ぐロングタームな日本の美容も注目されている。サステイナブルやスローライフといった市場の傾向も重なり、時間をかけて自分自身をケアすることに関心が高まりつつある」と分析する。同ポップアップを皮切りに欧州での“J-Beauty”が今後どのように変わっていくのか、引き続き注目したい。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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アメリカで無人トラックによる貨物輸送

 自動運転トラックを製造する米スタートアップ企業のスタースキー・ロボティクス(STARSKY ROBOTICS以下、スタースキー)は8月8日、インターネットで貨物仲介を行うロードスマート(LOADSMART)と共に、全ての過程において人の介入を一切必要としない無人トラックを貨物輸送のために派遣したと発表した。人工知能(AI)をベースにした価格設定システムと積載マッチング技術を駆使して、ロードスマートが貨物輸送業務の値付け、入札、予約を担当。今夏、業界初の完全無人トラックでの輸送テストをフロリダ州にある高速道路の閉鎖された区間で実施。スタースキーの自動運転トラックがその貨物をピックアップし、目的地へと運搬した。

 この画期的な取り組みの鍵となったのは、スタースキーが新たに実用化したアプリケーション間の連携を可能にするためのインターフェース「ハッチ(HUTCH)」だ。「ハッチ」では、提携する貨物仲介業者と主要な荷送人がスタースキーのオペレーションに直接アクセスすることが可能。電話などで問い合わせたり見積もりをとったりすることなく、同社のトラックの空いた貨物スペース利用を入札することができる。これにより、ロードスマートのプラットフォームとのシームレスな統合が可能になった。

 「われわれは送り手から受け手まで自動化された配送・物流サービスを提供するというビジョンを掲げている。その中で自動運転車は重要な役割を果たしている」とリカルド・サルガド(Ricardo Salgado)=ロードスマート最高経営責任者(CEO)。「スタースキーとの協業によって、われわれはサプライチェーンの効率化を可能にする最先端技術を顧客に提供する先進企業へと飛躍できる」と話す。

 一方、ステファン・セルツ・アクスマカー(Stefan Seltz-Axmacher)=スタースキーCEOは、「ライドシェアリング・サービスの優位性が初めてトラック輸送にまで適用された」とし、ロードスマートと成し遂げた完全にデジタル化されたプロセスを称賛。「従来のトラック運送会社において、1回分の貨物を積んだそれぞれのトラック派遣にフルタイムの従業員5人が携わっているというのは珍しい話ではない。ロードスマートのようなインターネットを駆使した貨物仲介業者(eブローカー)とタッグを組むことにより、われわれは無人トラックの安全性確保に注力しながらも、バックオフィスでの人の介在を全てなくし、発送プロセスをシームレスに変えることができる。スタースキーの『ハッチ』により、定期的に自動で積載された貨物を自動的に発送できるようになるだろう」と説明する。

テキサス州の高速道路が舞台

 さらに、テキサス州では無人トラック輸送が急拡大している。長距離に特化した無人トラック輸送技術を開発するスタートアップ企業のコディアック・ロボティクス(KODIAK ROBOTICS以下、コディアック)は8月7日、安全対策としてドライバーを乗車させた自動運転トラックでの商用配送を開始した。1年前にシリーズAラウンドで1000万ドル(約10億円)の資金を調達し、創業からわずか16カ月にして実際の道路での運用にこぎつけたことになる。“真の貨物運送会社”を掲げる同社はまた、ダラス・フォートワース地域に継続的な技術テストと貨物輸送のオペレーションをサポートする新たな施設を構える計画も発表した。

 自動運転トラック輸送を支持する人は、運送会社の従業員にとっても、同じ道路を利用する一般ドライバーにとっても、無人運転が同業界をより安全なものに変えると考えている。加えて、自動運転のセミトレーラーに関わるコスト上のメリットも指摘する。その点についてコディアックは、同社の技術が「貨物輸送のコスト、そして長距離の場合は輸送にかかる時間も削減するだろう。顧客に商品を早く届けたいブランドや小売店にとっては利点しかない」と主張する。

 また、輸送研究を行うテキサスA&Mトランスポーテーション・インスティチュートのアシスタント・エージェンシー・ディレクターであり、自動輸送戦略に詳しいクリストファー・ポー(Christopher Poe)博士は、「テキサスは、インターネットに接続された自動運転車両のテストと導入におけるリーダーだ。新たな技術の安全な配備を行うために学術機関や公的機関と共に取り組むコディアックの意欲は、われわれの輸送システムに大きな価値をもたらすだろう」と話す。

 市場調査会社のアライド・マーケット・リサーチ(Allied Market Research)によると、北アメリカを最大の市場とする世界の自動運転トラック輸送産業は、来年には10億400万ドル(約1064億円)に達すると予測されている。さらに、今後5年間は年平均成長率10.4 %で成長し、2025年までには16億6900万ドル(約1769億円)に達する見込みだという。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。

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福井発世界トップの“リボンの騎士”SHINDO、4万種が強み

 今年で創業50周年を迎える、福井県あわら市に拠点を置くSHINDOは、ラグジュアリーブランドからグローバルスポーツブランドまでリボンやテープを供給しており、ファッションデザイナーならなじみのあるブランドだ。しかし、そのユニークなビジネスモデルを知る人は少ない。

強みは多品種、小ロット対応、短納期

 同社はもともと、アパレルやスポーツメーカーからの受注生産を軸にビジネスを行っていたが、発注量に左右されることが多く安定的なビジネスを行うことが難しかった。そこで2000年に立ち上げたのが、オリジナルブランド「S.I.C.」だ。

 「S.I.C.」はプレーンな無地のテープ、意匠性のあるブレード、チロルテープ、ストレッチテープなどをそろえ、品番数は722点、色や幅を合計すると4万1069点にも及ぶ。その全製品の在庫を持ち、必要に応じて小ロット・短納期で対応できる点を強みにビジネスを拡大してきた。サンプル帳や写真をそろえるだけでなく、東京・原宿、フランス・パリ、アメリカ・ニューヨーク、そして中国は上海と香港にショールームを構え、それらを介して発注することができる。リボンやテープ4万種をそろえて即日出荷にも対応できるメーカーは世界的に見てもほかにはない。繊維事業を率いる堀健一・執行役員兼営業部門長は「通常は1反(通常は30mが多い)、サンプルカットなら1mの小ロットから対応できる点が強みだ。またメーカーであるわれわれは、糸を仕入れて、その後の編み、織り、染色、2次加工まですべて自社工場で行い、急な発注にも対応できる」と胸を張る。

海外戦略強化 売上高を25年に今の2倍に

 「S.I.C.」は特に海外市場が伸びており、中国ではアパレルの高級志向が始まって品質が重視されるようになり、13~18年は前期比約8%増をキープしている。欧州はこの2~3年が前期比5%増、米国も5~8%増の成長を続けている。国内が厳しいとはいえ、国内の繊維事業は4期連続で前期超えだった。19年は成長が鈍化しているが前年並みを維持している。

 今後はさらに海外戦略を強化する。欧州と米国の現地法人のトップも務める堀執行役員は「海外の売上高を25年には今の2倍、35年には今の3倍にする」と強気だ。その経緯を堀執行役員は「かつて海外のグローバルスポーツブランドはジャパン社が国内向けに国内でモノ作りをしていて、ジャパン社が服飾資材も購入していた。そのため、日本でもスポーツブランド向けのビジネスが大きかった。しかし、現在はグローバルに統括するようになり、日本でのモノ作りがなくなり、国内販売が落ち込んだ。そこから当社は海外の商圏を視野に入れたビジネスを展開し、それが形になってきた。日本市場は厳しいが、海外はハマるゾーンがあればまだまだ伸びる」と話す。

 海外戦略について、「宇宙に例えると、われわれはまだ太陽系しか見えていない。しかし、太陽系だけではなく、銀河系、アンドロメダ、さらにはブラックホールの先を見越すことが必要だと社内認識を共有している」という。競合企業については「今後は単品メーカーとの勝負になるだろう。十種競技は勝てる自信があるが、専門競技だと負ける可能性がある。そこをどう戦っていくかが肝になる」。SHINDOは自社で多くの織機や編み機を持ち、またそれらをアレンジして独自に設計できる点も強みである。

創業から50年間の転機は別事業と「S.I.C.」の立ち上げ

 SHINDOは繊維事業に加え、1991年に立ち上げたシリコーン事業、2004年に立ち上げた飛行機の部材などを扱う産業資材事業の3事業を柱にしている。18年7月期の売上高は121億円だった。

 「アパレルが厳しいときはスポーツ、繊維が厳しいときは産業資材やシリコーンで持ち返すといった具合にビジネスの安定化を図っている。また売上高の3~5%程度を先行投資したことも大きい」と堀執行役員は振り返る。例えば10年には、これまで9拠点だった繊維の生産部隊と工場、そしてインターチェンジ付近にあった物流センターを石塚工場に統合し、さらなる効率化を図った。リボンとテープのグローバルサプライヤーとして現在は「排水処理の徹底、太陽光発電、熱回収システムなど持続可能な生産を行っているが、それに加えて、リサイクル糸や和紙を用いた商品開発にも力を入れる」という。

 50年間の転機については、「1つ目は1989年の香港支店開設だろう。中国でコストを抑えた生産ができるようになった。2つ目は『S.I.C.』の立ち上げだ。われわれの強みは自己資本力91%でほぼ無借金経営という点だ。在庫をキープするにも資金力がないとできない」と語る。

 SHINDOはこれまでリストラによる雇用削減を行わずに成長を続けてきた。「“人がいるから会社がある”という企業理念のもと、雇用を守りながら事業を広げてビジネスを安定化した経緯がある」。AIやIoT技術を導入して作業の機械化にも取り組んでいるというが、それは雇用を減らすのではなく、働きやすい環境をつくるためだという。こうした人を軸にしたサステイナブル経営が同社の最大の強みだろう

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「デザイナー支援には、コレも含んで!!」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャーに勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.7「ワールドが若手デザイナーを支援する新施設」

読み解きポイント「包括的支援の中にビジネスは含まれるのか?」

ニュースのポイント

 ワールドが若手デザイナーの支援を目的としたワーキングスペースを表参道に開設。CAMPFIREの新会社bigが主催するファッションコンペ「ビッグ デザインアワード」受賞者と応募者15ブランドを対象に、施設を無償で提供する。選ばれたブランドは工業用ミシンやトルソー、社内のフォトスタジオ、プレスルームを利用できるなど、包括的な支援を受けることができる。

AZUはこう読む!

 日本にも歴史的なファッションアワードがいくつかありますが、「ビッグ デザインアワード」は次世代を担う新しい芽の発見から育成までを中長期的に見てくれる“ホーム”のような存在になってくれることを期待しています。ビジネスチャンスに疎く経験が浅い若手ブランドにとって、機材や技術指導などモノづくりのサポートだけではなく、PRや商品撮影、ECの開設といった販促面でのサポートまであるのは、とても心強いのではないでしょうか。

 全てをデザイナーが一人でこなすのは限界があるので、この先重要になるのは「誰と組むか」です。ベンチャーにいると特に肌で感じるのですが、規模の小さい組織だからこそ一人一人の役割は幅広く、さらに責任は重く(笑)。いくら資金があっても、結局は人で会社の未来は決まります。「無理言うなよ……」と日々焦りながら「でも、事業拡大のためなら」と奮闘しますが、本音をいうと専門分野は専門家に任せた方が良いんです。

 ブランドだってベンチャーと同じだと思うので、今後大きくしたいなら、デザイナーが自分の役割であるクリエイションに集中できるよう、ビジネス面でのパートナーやメンターをいち早く見つけることが重要です。CFO(最高財務責任者)的立場なのか、PRやマーケター、もしかしたらエンジニアなのか……?初速を最大化させるのに最も必要な役割はブランドによって異なると思いますが、「ビッグ デザインアワード」の包括的な支援の中に“ファッション・ビジネス・マッチング”なども含まれていたら素敵だなと思いました。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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「私が『サカイ』だし、『サカイ』が私。妥協なんてしない」 by 阿部千登勢

阿部千登勢「SACAI」デザイナー

 私が「サカイ」だし、「サカイ」が私。妥協なんてしない。もちろん、どうしても間に合わないから工夫したり、さまざまな方が携わっている分、私のワガママが通らなかったりもする。ただ、ベストは尽くします。自信があるわけではなく、悩み続けて常にアップデートしています。「私が見たい景色はこれだったんだ。じゃあ、次」というのを繰り返しています。知らない世界があると、経験してみたくなる。次の景色を見るために生きています。(2017年11月28日掲載、「サカイ」阿部千登勢が語るファッションの面白さから)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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読者が注目した今週の新作 「ステラ マッカートニー」 × テイラー・スウィフトなど(8月23〜29日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。「ファッション部門」と「ビューティ部門」は読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ファッション部門」では「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」 × テイラー・スウィフト(Taylor Swift)が最も注目され、「ビューティ部門」ではナチュラルスキンケア新ブランド「ドゥーナチュラル(DO NATURAL)」が1位に輝いた。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


【スニーカー部門】

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