フリーランス美容師向けのシェアサロンが2.6億円の資金調達 2022年秋までに100店舗を目指す

 2017年11月に東京・原宿に1号店をオープンしたフリーランス美容師向けのシェアサロン「ゴウトゥデイ シェア サロン(GO TODAY SHAiRE SALON)」(以下、「ゴウトゥデイ」)。今年に入り出店を加速させ、現在の店舗数は原宿、青山、銀座、福岡、神戸、大阪、広島など10店舗となっている。9月には神奈川県の横須賀、10月には名古屋への出店も決まっている。8月22日には新たに2億6000万円の資金調達を行い、累積資金調達額は3億2000万円。さらに店舗を増やし、22年秋ごろをめどに全国100店舗体制を目指すという。

 今年6月の時点で、「ゴウトゥデイ」10店舗の月間流通額は4500万円、月売上高は1468万円、来店者(決済者)数は4407人。月額で契約している美容師数は100人強、スポット利用(1回利用)を含めると300人以上が利用している。美容師のフリーランス化が話題となる中で、シェアサロンの役割とは。同社の経営を担当する大庭邦彦代表と、フリーランス美容師として現場を管理する大池基生取締役に話を聞いた。

WWD:今回はW venturesなどから2億6000万円の資金調達を行った。調達した資金はどう使っていく予定か?

大庭邦彦(以下、大庭):店舗出店とITへの投資です。今後は出店を加速させ、2022年秋ごろまでには100店舗を目指します。ITへの投資については、美容師とお客さまをつなぐ独自のアプリを開発中です。店舗で得られたデータを活用し、自社ECやPB(プライベートブランド)ヘアケアも展開していく予定です。

WWD:「ゴウトゥデイ」を利用する美容師は増えている?

大池基生(以下、大池):原宿、青山を中心に増えています。現在月額契約が100人強、スポットを含めると300人以上が利用してくれています。年齢層は21~60歳までと幅広く、男女の比率は6:4くらいです。美容師以外にもネイリストやアイリストの利用も徐々に増えてきています。

WWD:シェアサロンと面貸しサロンの違いは?

大池:面貸しサロンの場合は、個室ではなくサロンの1席を借りて施術するといった感じですが、「ゴウ トゥデイ」の場合は仕切られた個室となっているのが特徴です。美容師にとってもお客さまにとっても、面貸しサロンと比べると居心地がよく、しかも基本的にはマンツーマンで接客するので、満足度も高まります。24時間利用できるのも喜ばれています。

WWD:月額プランは3つ(そのうち1つは青山店のみ)あるがそれぞれの違いは?

大池:Aプランは月5万円+技術売り上げの25%、Bプランは月3万円+技術売り上げの30%となっていて、売り上げ40万円以上だとAプラン、それ以下だとBプランの方がおすすめです。青山店のみCプラン(月2万円+技術売上20%)を用意しています。またFC店舗である「センター北」店は別の料金体系となっています。月額プランの場合は、サロンの共通のレジを使用するので、一旦「ゴウトゥデイ」に入金され、そこから経費などを差し引いて個人の美容師にお支払いするといった流れです。

WWD:スポット利用のプランは?

大池:平日だと30分750円、土日・祝日だと30分1200円です。サロンにあるカラー剤などを使用する際は別に材料利用料が必要です。また10~21時以外の利用だと別途追加利用料をいただきます。スポット利用は、ヘアメイクさんや地方の美容師さんが東京に来たときに使用するといったケースが多いです。

WWD:業務委託サロンの場合、サロンが集客してくれるケースも多いが、「ゴウトゥデイ」の場合は自身で集客を行う?

大池:そうですね。基本的には美容師自身で集客してもらいます。ただ「ゴウトゥデイ」は駅前の好立地な場所を中心に出店しており、かつ個室なので、満足度の高い環境を提供できるようにしています。

WWD:売り上げの高い人だとどれくらい売り上げがあるのか?

大池:多い人だと月150万~160万円いく人もいます。ただカットやカラーといった技術売り上げだけだと、1人だと限界もあるので、今後発売されるPBなど店販で売り上げを上げられる仕組みも考えています。

WWD:フリーランスの美容師だと、将来が心配になったりするのでは?

大池:働き方を自分で決められる分、美容師以外の仕事もしたり、ある程度お金をためて自分のお店を出したりする人もいます。中には「ゴウトゥデイ」の社員になる人もいますね。普通の美容室に所属していると、拘束時間の割に給料が低いといったケースも多く、離職率も高い。フリーランスだと時間的な余裕ができるので、その余った時間でいろいろできると思います。女性美容師だと出産などで、美容師を辞めてしまうケースも多いですが、そうした人にはフリーランスとしてシェアサロンを利用してもらえればと思います。

WWD:「ゴウトゥデイ」を利用するメリットは?

大池:「ゴウトゥデイ」を利用することで、所属するフリーランス美容師のコミュニティーに参加でき、そこで情報交換できるのが強みです。ベテラン美容師が若手美容師に向けて有料でレッスンを行うなど、美容師同士でサポートしあえる仕組みもできています。各サロンにはコミュニケーションマネージャーがいるので、所属美容師が働きやすく、コミュニケーション取りやすいようにしています。

WWD:全国の主要都市への出店を進めているが、出店場所はどう決めている?

大庭:現在、多くの美容師から「私の地元にも出店してほしい」という要望をいただいています。その中から市場のニーズが高そうで、いい物件が見つかれば積極的に出店していきたいと考えています。

WWD:「ゴウトゥデイ」が目指すものは?

大庭:僕らはサロン版の「WeWORK」を目指しています。シェアサロンを作ることは、人と人がつながる場所をつくること。そこでコミュニティーが生まれ、新たなビジネスが誕生する可能性もあるので、楽しみです。

大池:「ゴウトゥデイ」を通じて、仲間を増やしていきたいです。シェアサロンというよりは、新しい働き方を広めていければと思っています。

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桐谷美玲、「ルージュ・ジバンシイ」の最新色でモードなレディに変身

 トレンドにあわせて服を選ぶように、リップだっていつもと同じじゃつまらない。オートクチュールブランド、「ジバンシィ」の美しいドレスの素材からインスパイアされた「ルージュ・ジバンシイ」は、まさにファッション感度の高い女性の強い味方だ。今シーズンは、新たにソフィスティケイトされた3つのラインがエントリー。ここでは女優の桐谷美玲を迎え、官能的な唇のドレスアップを披露するとともに、生まれ変わった「ルージュ・ジバンシイ」の魅力をひもといていく。

肌に馴染みやすいカラーで、
華やかな印象に

 全ての女性を美人にする“絶対効果”を備えた究極のリップスティック「ルージュ・ジバンシイ」。品格、洗練、ファッション性を備えたラインアップは、もはや口紅という枠を超え、クチュールアクセサリーさながらの存在感で女性の唇にパワーを宿してくれる。ファッションアイコンとして多くの女性から支持を得る桐谷美玲がこの日選んだのは、8月30日に発売される新ラインの中の3色だ。

 この日は、リュクスなブラックドレスに身を包み、リップカラーで彩るモードな佇まいを披露してくれた。豊富なラインアップの中から彼女が手にしたのは、花びらのように鮮やかな唇を描く「ルージュ・ジバンシイ」のランテルディと、深い光沢感を放つ「ルージュ・ジバンシイ・ベルベット」からローズ・ボワゼ、そして夜空のようなきらめきを演出する「ルージュ・ジバンシイ・ノワール」のナイト・イン・ライト。それぞれの使い心地や発色について聞いてみた。「赤系のリップって、難易度が高いイメージでしたが、ランテルディは日本人の肌にもなじみやすく、顔周りを華やかな印象にしてくれます。柔らかなテクスチャーなので、唇を潤いで整え、女っぷりを上げてくれるのがうれしい。シンプルなモノトーンコーデのワンポイントとして取り入れたいですね」。

※“絶対効果”とは、ジバンシイの考える「女性一人ひとりが持つ魅力」を最大限に生かし、美人に見せる効果のこと

リップの色を変えるだけで
新しい自分の魅力に出会える

 普段はカジュアルなスタイルが多いと語る彼女だが、パーティーなどでドレスアップする日は、リップ選びも慎重になるのだとか。「ルージュ・ジバンシイ・ベルベットはパウダリーマットな質感が特徴で、唇の曲線を美しく描いてくれます。レセプションや友達とレストランに行くときなど、フォーマルな装いの日に愛用したいですね。レッドカーペットをイメージした深紅のパッケージにも一目ぼれ。リップのお直しが毎回楽しみになりそう。モードに決めたいときは、ミステリアスなノワールがおすすめ! キラキラのパッケージがフォトジェニックで、自慢したくなるくらいすてきなデザイン。大人の遊び心が随所に散りばめられているので、持っているだけで気分が高揚します。エッジの効いた見た目とは異なり、ニュアンスカラーにもなるし、重ね塗りすればよりモードな表情にも変化してくれます。つけ方次第で変わるので、いろんなアレンジを試してみたいです」。

 女優、モデルとしてさまざまなことに挑戦し、活動の視野を広げる彼女は、時代や年齢、トレンドによってメイクの変化を楽しんでいるのだそう。「今の自分に何がマッチしているかを考えながら、ファッションとメイクの相乗効果を研究するのが好き。洋服だとトレンドを取り入れるのに勇気が必要だけれど、リップならチャレンジしやすいですよね。シンプルコーデでも唇のワンポイントだけで表情が変わるし、リップの色一つで新たな自分に出会えることも。『ジバンシイ』が打ち出す女性像は、いつだって自信に満ち溢れ、強さと優しさを兼ね備えているイメージ。私もそんな女性に成長していけたらいいなと思います」。その聡明なまなざしと輝きを放つオーラは、まさに“ジバンシイウーマン”そのものを体現しているかのようだ。

口紅を超えた
クチュール・アクセサリー

PHOTO : TERUO HORIKOSHI (TRON)
STYLING : MASUMI YAKUZAWA
HAIR & MAKEUP : SAKURA (MAKIURA OFFICE)
TEXT : MEGUMI OTAKE
ART DIRECTION : SHINJI MIZOGUCHI (LUSH)

問い合わせ先
パルファム ジバンシイ
[LVMHフレグランスブランズ]
03-3264-3941

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EC化率6割の元祖“安カワ”ブランドANAPから見た「リアルなOMO」

 1992年に創業し、90〜00年代にコギャルやギャルをターゲットに元祖ファストファッションとも言える“安カワ(安くてカワイイ)服”旋風を巻き起こしたANAPだが、現在は“ネット通販先進企業”として知られる。全社の売上高に占めるネット通販売り上げの割合(EC化率)は6割に達しているためだ。家髙利康社長の掛け声の下、不採算店舗を閉鎖する一方、ネット通販を徹底強化してきた。だがそのANAPが今年から針路を少し変更し、再びリアル店舗の出店に舵を切る。ネット通販発ブランドがリアル店舗を出店し、OMO(=Online Merges with Offline、ネットとリアルの融合型業態)化するブランドは少なくないが、リアル店舗からスタートし、それと同等の売り上げを稼ぎ、ネットとリアルを有機的に結合する、逆パターンのアパレルはほとんどない。アパレル業界では非常にユニークな“逆OMO”のANAPは、一つの答えを見出しつつあるようだ。ネット通販の担当役員である門倉清隆・取締役兼デジタル営業部長に話を聞いた。

 ANAPの2018年8月期の売上高は66億円、そのうちオンラインの売上高は36億円で、EC化率は58%。門倉取締役は「在庫の一元化やリアルとデジタルに分断されていた顧客情報の統合など、ネット通販でやるべきことはだいたいやった」という。ANAPがオンライン通販に本格的に取り組み始めた11年以降、ECとリアル店舗の在庫データの連携、ネット通販モール間での在庫のデータ連携、リアル店舗とEC在庫の一元管理、リアル店舗とネット通販の売り上げデータの連携、顧客データの一元管理まで、ファッションECで必要なことを一つ一つ完成させてきた。

 原動力になっているのは、家髙社長が “ITオタク”を自認するほど、ITシステムに詳しかったこと。ANAPはグループにシステム会社こそ抱えてはいないものの、家髙社長のネットワークで「システム関係はグループ会社のような形で開発したり、いじったりできる体制になっている」。ネット通販に関しては東証一部上場のアイルとタッグを組み、先進的なサービスを積極的に取り入れてきたが、社内にシステム関係の知見があるのが大きいようだ。

 ANAPは現在、公式通販ストア「ANAPオンラインストア」のほか「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」「ショップリスト(SHOPLIST)」「楽天市場」など14のネット通販モールに出店している。ネット通販モールだけで14店舗という出店数は異例の多さだが、「在庫を一元化しているだけでなく、管理も同様に一元管理できる仕組みを整えており、出店するモールを増やしてもコストや手間はほとんど変わらない。なので基本的には出せるところには全部出すというスタンス」という。

 公式通販ストアとネット通販モールの売り上げの割合はほぼ半々だが、ネット通販モール経由の売り上げは、「ゾゾタウン」「ショップリスト」「楽天市場」の上位3社でその8割を占めるという。「ブランドとの相性もあるが、売れるモールは顧客データやトラフィックの共有ができたり、一緒に販促イベントを立てられたりするところ。いずれにしろモールは(売り上げの)数字を稼ぐ場所と位置づけている」という。

 そもそもANAPがECを強化した背景には、08年に「H&M」、09年に「フォーエバー21」が日本に上陸し、ファストファッションが猛烈に勢力を伸ばしていたことがある。ピーク時には路面店やファッションビル、ショッピングセンターなどに約100店舗を出店していた元祖“安カワ”ブランドだったANAPだが、ファストファッション旋風のアオリを受け苦戦。2011年以降はネット通販を強化する一方で、不採算店舗の整理を進めてきた。直近の18年8月末には32店舗まで減らしている。

 そうしたANAPにとって、ブランドの世界観を伝えるのは公式通販サイト「ANAPオンラインストア」とリアル店舗。両者の売り上げと顧客情報を統合したことで、重要なポイントに気づいたという。「情報を分析すると、公式通販サイトの売り上げの8割はリピーターだが、リアル店舗だと7割が新規のお客だった。CPA(Cost Per Action=一人あたりの顧客獲得単価)的に考えると、実はリアル店舗は非常に効率がいい。リアル店舗はリピーターが3割しかないこともむしろチャンスで、6月末からアプリやメルマガを通じて、リアル店舗やECに誘導する新しい仕組みをスタートしている」という。

 出店再開も、こうしたリアル店舗とネット通販の双方のシナジーが数字で見られるようになったことが大きい。「店舗がないエリアは、ネット通販も伸びない。これまで店舗の採算性は売り上げと利益だけを見てきたが、それはナンセンス。そもそもリアル店舗を減らす一方で、ECを伸ばしてきたが、その一方で販促費の額はほとんど変わっていない。雑誌への出稿はほとんどなくなったが、その代りにリスティング広告などのネット広告費やコミュニケーションにかかる費用を同じくらい使っている。つまりECは思っているほど利益率はよくない。今後はそのエリアの新規顧客の獲得単価や顧客1人あたりの売上高の伸長率などを、リアルとECの2つの合算で見ていく。こんなことを言うと難しくも聞こえるが、分かりやすく言えば、出店のハードルはかなり低くなり、一方この数年でリアル店舗自体もかなり強くなった。そのことが数字で細かく把握できるようになったということ」。

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「H&M」は増税後も価格据え置き 日本法人社長に聞く今後の成長戦略

 10月1日からの消費増税を前に、H&Mジャパンが増税後も価格を据え置くと発表した。「H&M」の他、「無印良品」や「ファッションセンターしまむら」なども増税後の価格据え置きを発表している。ルーカス・セイファート(Lucas Seifert)H&Mジャパン社長は、価格据え置きを「長期的に日本で成長していくためのお客さまへの投資」と語る。セイファート社長に、価格に対する考え方や、上陸10年を越えた日本での成長戦略を聞いた。

WWD:増税後も価格を据え置くのはどんな意図から?

ルーカス・セイファート社長(以下、セイファート社長):今599円で販売しているものは10月1日以降も599円で販売する。現状の内税表示のままで、価格は上げない。これはお客さまへの投資だ。お客さまが「H&M」で買い物をする際、今後も低価格をベネフィットだと感じていただけるようにする。「H&M」が日本で消費増税に向き合うのは、2014年に続き今回で2回目。前回も価格は据え置いた。それに手応えを感じたので今回も同様の戦略を取るという面はもちろんある。ただ、前回の結果がどうだったかは別にして、買いやすい価格で販売することをお客さまが求めている。お客さまは価格に対して敏感で、それに応える。10月の単月売り上げを伸ばすために価格据え置きを実施するのではない。もっと長期的な視点だ。

WWD:実質値下げになるわけだが、コストをどう吸収しているのか?

セイファート社長:これは(コストを負担するというよりも)お客さまの要望に対する投資だ。価格を据え置くことは1年以上前に決め、実現のためにさまざまな分野で企業努力を進めてきた。どこか特定の分野でコストを圧縮したということではない。長期的な目で価格戦略を考え、据え置きを可能にした。昨日今日決めたことではない。

WWD:08年の上陸以来、今回に限らず価格帯は下げてきているのか。

セイファート社長:上陸後の10年間で、09年と12年に価格改定を行い、価格は段階的に下げてきた。上陸当時は日本市場を学ぶ段階だったが、学ぶ中で日本のお客さまは非常に価格に敏感だと気付いた。よい商品というだけでなく、低価格であるということが求められている。それで09年に価格を下げた。その後店舗が日本各地に広がると、地方都市のお客さまは都市圏のお客さまよりも価格に対する視点がよりシビアだと分かった。郊外のお客さまの要望にも対応するという形で、価格改定を決めた。

WWD:日本の消費者は他国に比べて価格志向が強いということか?

セイファート社長:これまで自分が働いたことがある国としか比較はできないが、日本のお客さまが価格重視型なのは間違いないと思う。ただ、買い物の際に最も重視しているのは商品が気に入るかどうかで、手に入る価格かどうかというのは二番目だ。それら以外にも、日本のお客さまは品質や商品がサステイナブルに作られているかどうかなど、さまざまな要素を考えながら商品を選んでいるし、知識も豊富だと感じる。また、日本を含め世界的に経済環境が厳しいため、以前と比べて価格は重要な要素いなっていると考えている。各国ごとに戦略があるため、あらゆる国で日本と同様に価格を下げるということはない。ただ、私が把握している限りでは、最近中国でも価格が下げられている。

WWD:2018年11月期の日本の売上高は、前期比2.3%増の45億7300万スウェーデンクローナ(約503億円)だった。かつてに比べると成長率はかなり鈍化している。

セイファート社長:日本のアパレル市場自体の規模が伸びていない中で、われわれはマーケットシェアを拡大しようとしている。われわれの売上高の伸びが小さいと感じるかもしれないが、確実にシェアを取っていきたいと考えて動いている。それに、店舗数が少ない時期は成長スピードが速く感じるものだ。ある程度まで成長した現状から、さらに拡大していくというのは難しい。われわれがかつてとは違う規模にあるということを理解してほしい。

WWD:現状の日本の店舗数は?

セイファート社長:94店舗で、11月に100店舗になる。以前のインタビューで、20年の東京五輪までに国内100店舗を達成すると話したが、それが前倒しで達成できた。また店舗がない都道府県があり、出店余地、成長余地は大きい。例えば富山県には、9月14日に初店舗をオープンする。東京に限っても、上野、池袋、吉祥寺などにはまだ店がない。ただ、出店は短距離走ではない。マラソンだと捉えている。EC売り上げも伸ばしていく中で、国内の実店舗数の上限を予測することは難しいが、150店はゆうに超えるだろう。しかし、何年までにそれが達成できるか断言はできない。繰り返しになるが、スピード優先で出店を進めるわけではない。

WWD:EC強化はH&Mのグローバルでも強化ポイントの一つだが、現状の日本のEC化率はどれくらいなのか。

セイファート社長:各国のEC化率は公表していないが、グローバルでは約13%だ。もちろん、日本でもグローバルでも、ECが非常に成長余地が大きいチャネルであるということは間違いない。日本では、間もなくラインショッピングでの販売が始まる。自社EC以外で日本では販売してこなかったので、純粋に拡張となる。物流の強化も行っているし、ECでオーダーして店頭で受け取るクリック&コレクトも日本ではまだ実施できていないので、それも順次導入していきたい。

WWD:08年の上陸時は、“ファストファッション”ブームをけん引した。ただ、日本の客も低価格のトレンド品というファストファッションのコンセプトには慣れてきている。今、客は何を求めているか。

セイファート社長:当時に比べて、求められるものは多岐に渡っている。買いやすい価格は変わらず期待されているし、スピード、品質への要望も高い。買い物をする時の環境の向上は実店舗でもECでも非常に求められるようになっており、ECでのカスタマーエクスペリエンスはわれわれも強化を進めてきた。同時に、商品そのものに対して求められることのレベルも上がってきている。それに応えるために、アジア人向けのアンダーウエアを開発した。アジア人の体形にあったフィッティングを採用した商品群だ。

WWD:グローバルSPAの基本は1プロダクト、1キャンペーン(世界共通商品、共通キャンペーン)だと思うが、国や地域別で異なるMDに注力するということか?

セイファート社長:ファッションはグローバルというわれわれの大枠の考えは変わらない。ただ、グローバルキャンペーンに追加する形で、日本のお客さまに親近感を持ってもらえるようなキャンペーンや商品企画は行っている。アジアフィッティングのアンダーウエアもそうだし、安室奈美恵さんを起用した昨年のキャンペーンもそう。今年の5月のキャンペーンでは黒柳徹子さんを起用した。いくつかの国・地域で同様のローカルが主導するキャンペーンを行っているが、全ての国で行っているわけではない。日本でこのように多数のローカルキャンペーンを行えていることは誇らしいし、こうした企画は楽しいものだ。

WWD:18年12月には、ショッピングバッグをプラスチックから紙袋に切り替えると発表した。その進捗は?

セイファート社長:紙袋への切り替えには2つの狙いがある。1つは、より環境に配慮した素材のショッピングバッグを使用するということ。そしてもう一つは、ショッピングバッグの使用総量自体を減らすこと。20年には、使用総量を従来の半分にまで削減することを目標として掲げた。19年11月期通期ではどうなるかは分からないが、現在までの時点では従来の半量に削減することができており、目標を達成している。

WWD:サステイナビリティーへの意識が高い企業の一つとしての認知も高まっている。サステイナビリティーについて今後計画していることは?

セイファート社長:サステイナビリティーは大きな取り組みであり、一言で説明できるようなものではない。プラスチックバッグの廃止は分かりやすいためニュースとしても広がりやすかったが、リサイクルコットンへの切り替えや、サステイナブルな新素材からコレクションを作ること、バリューチェーンを通した温室効果ガス排出量の削減、工場で働く人の労働環境の向上など、さまざまな面でのサステイナビリティーに向けた取り組みがある。これも短期で考えることではなく、長期で考えるものだ。

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ハイジュエリーの後発組「グッチ」の戦略は? ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.8-9「『グッチ』も参入 渾身のハイジュエリーがパリに集結」

読み解きポイント 後発「グッチ」は、ひねりを加えることで攻勢

<ニュースのポイント>

 パリ開催のオートクチュールウィークである7月に、各ジュエラーが新作ハイジュエリーを発表。VIP顧客の消費意欲を掻き立てるため、ヴィラや宮殿で、食事、エンターテインメントを交えたイベントを開催し、おもてなしを兼ねた発表を実施。聖地ヴァンドーム広場でも、各ブランドが顧客体験の充実に向けた改装を実施中。

<CKRはこう読む!>

 「200」。「グッチ(GUCCI)」がクチュールウィークで発表したハイジュエリー・コレクションの数です。その多さに驚かされますが、後発の「グッチ」がハイジュエリー市場でインパクトを与えるためには、必要な数字だったのかもしれません。

 「後発企業が新たなポジションを獲得する」。この戦略を実現できた秘密は、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)の考え方にある気がします。「古いものにツイストを加え、より新しく自由、クレイジーな表情を与える」。ストリートカルチャーにも理解のあるミケーレならではの考え方です。

 世の中にモノが溢れる中、全く新しい発明により、新たな「200」を生むのは困難です。一方すでにあるものに、ひねりを加えるアプローチなら「数」を獲得できます。しかもツイストにより、良い意味の「毒、個性、センス」を際立たせることも可能です。今回、ミケーレが、不ぞろいの石をセッティングしたことは「ツイスト」そのものですね。古いアーカイブにアクセスして、目利きをして、ひねりを加え、新しいモノを生み出す「グッチ」のアプローチは、アパレルに限らず多くの業界で、後発企業の戦略として非常に参考になります。

 また、テクノロジーの転換点に大きく参入することも、後発企業のアドバンテージになります。ITの世界では、パソコン向けに多額の投資を行っていた企業がスマホ対応に躊躇(ちゅうちょ)した中、後発企業がスマホ向けにアクセルを踏み大きく成長した事例がたくさんあるのです。

 「アーカイブにひねりを加えて新しいモノを生み出す」「テクノロジーの転換点を見極める」。ビジネスに新規参入する際、非常に重要なポイントですね。

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「セシル バンセン」が挑んだ“ロマンチック テーラード” 会場一帯を包んだ美しき白昼夢

 デンマーク・コペンハーゲン発の「セシル バンセン(CECILIE BAHNSEN)」は、2020年春夏コレクションを自国のコペンハーゲン・ファッション・ウイークで披露した。「ドレスで体を包んで覆い隠しながら女性らしさをあらわにし、官能性を醸し出す新たな方法を模索した」と、デザイナーのバンセンはショー前のバックステージで語った。今シーズンはニューヨーク在住の現代美術家クリスト(Christo)が、亡き妻と共にクリスト&ジャンヌ・クロード(Christo & Jeanne-Claude)として活動していたころに発表した作品から着想を得た。夫妻は景観や建築物を変貌させる大規模なプロジェクトを手掛けており、中でも2つの作品に強い影響を受けたという。1つ目はコロラド州ロッキー山脈の幅400メートルもある谷に巨大なカーテンを吊るした1970年発表の「ヴァレー・カーテン」、2つ目は1983年に2週間だけ存続したマイアミ付近の湾に浮かぶ11の島の周りにピンクのポリエチレン布を覆った「囲まれた島」だ。「美術評論家がこれらの作品を『隠すことで見せる』と評し、その言葉でひらめいた。今季が最もロマンティックになった」とバンセンは誇らしげだ。

 ショー会場はかつて工業地帯として栄え、現在は再開発が進んでいるレフスハルウーン(Refshaleoen)地区。船だまりをキャットウオークに見立てたが、本番当日は雲一つない晴天から一転して、ゲリラ豪雨に見舞われた。バックステージではスタッフたちが天候を心配しながら準備を進める。キルティングは全て手縫いで、ビーズや刺しゅうも一つ一つ手作業で施されるなどクチュールの要素も強く、ショー直前まで1人のスタッフが針を片手に最終の仕上げを行う。雨上がりの分厚い灰色の雲が広がる空の下、アール・スウェットシャツ(Earl Sweatshirt)の「チャム(Chum)」をBGMにショーがスタートした。

 バンセンのシグネチャーである彫刻のように構築的なラインを描くフェミニンなドレスは、ブラックやレモンイエロー、ブラッシュピンク、オフホワイトのカラーパレットでランウエイを飾る。ハリのあるコットンや手縫いのキルト、カットジャカードなど定番の生地に加え、イタリア・コモ地方に伝わる伝統的な技術を用いて3つの層を複雑に織り合わせたスモックジャカードも使用した。新たな生地は、ブランドとして初挑戦のテーラードスーツに仕立てられていた。マスキュリンなスーツをオーガンジーで覆うことによって素肌が官能的に見え隠れし、どこかはかなさを宿していた。塩で甘みを引き立てるスイーツのように、マスキュリンなスーツはコレクション全体のフェミニティーを際立たせる。ショー前に聞いた「隠すことで見せる」技法の意味が、ルックを見て納得できた。

 極めてロマンチックなコレクションは、物寂しい旧工場地帯で繰り広げられる美しい白昼夢のようであった。触れようとすると一瞬で消えてしまいそうなほど儚く無垢な服を、バンセンは“衣服の美しい幽霊”と形容する。これほどまでに創造的で豊かな感情を喚起する幽霊であれば、何度でも見たいものである。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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「弱いままでも生きていける世界を」 “政治”や“フェミニズム”を題材に制作する映像作家・石原海のリアリティー

 これまで「UMMMI.」名義で多くの映像作品を手掛けてきた映像作家の石原海。彼女にとって初の長編映画となる「ガーデンアパート」が6月に全国で劇場公開され、「ロッテルダム国際映画祭2019」にも出品された。7月21日の参議院選挙の同日には、投票を宣言する若手クリエイターたちが多数登場した動画「I AM A VOTER」を公開。また、7月に公開された「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズ・サングラスの新作コレクション“LVレインボー”の映像も手掛けた。フェミニズムや政治などを題材にエクスペリメンタルな作品を発表し続ける26歳の若き映画監督に、作品やインスピレーション源、思想などについて話を聞いた。

WWD:海さんが創作活動を始めたきっかけは何ですか?

石原海(以下、石原):小さな頃から小説を書いたり写真を撮ったりしていたんですけど、10代半ばのときにゴダール(Jean-Luc Godard)の「愛の世紀」を見て、自分でも映画が作れるかもしれないと思ったのが映像を作り始めたきっかけです。それを見て作った作品は、自分でハンディカムを回したりボイスオーバーをしたりという、ビデオアートみたいなもの。「愛の世紀」によって映画の概念が完全に崩れました。

WWD:「愛の世紀」は映像の倒置など前衛性の強い作品ですよね。

石原:それまでは、映画やドラマには脚本があって、役者がいて、演出があることが当たり前だと思っていたけど、「愛の世紀」は純粋にカメラでなにかを撮影したら映画になるという、いままで見てきた映画体験とはまったく違うスタイルで、本当にびっくりしました。そのあと、映像機能付きの安いデジカメを使って中学の同級生に出演してもらって10分くらいの短編映画を16歳のときに撮ったら「イメージフォーラム・フェスティバル2011」のヤングパースペクティブ部門に入選しました。作品を作ったらどこかで上映できたり、人に見てもらえるのだとその時に気付きました。

WWD:10代で影響を受けた作品は何ですか?

石原:いろいろと影響を受けていると思うので毎回違った作品ばかり挙げてしまうのですが、10代の半ばから後半にかけては日活ロマンポルノにハマってました。あとはVシネとか、ATG(日本アート・シアター・ギルド)とか。特にATGの映画は片っ端から見ていきました。 “ザ・日本”みたいな1960年代の日本映画ですね。

WWD:初期のATGは実験的な作品が多かったですね。

石原:当時、付き合っていた人に教えてもらって「愛の世紀」をシネマヴェーラで見たんですけど、シネマヴェーラはATGとか日活ロマンポルノ特集をやっていたこともあり、それで通うようになりました。文学が原作のものが多かったのも、ATGに惹かれた理由かもしれません……小さい頃から小説を読むのが好きだったので。

WWD:どんな小説を読んでいたんですか?

石原:小学生のときから中学生にかけては、三島(由紀夫)とか、太宰(治)とか、あとはショーペンハウアー(Arthur Schopenhauer)やカント(Immanuel Kant)、ニーチェ(Friedrich Nietzsche)などにもハマって読んでいました。いま思い返すとすごい青臭いラインアップですが。高校生になってからいままで揺るぎなく好きな作家は、マルグリット・デュラス(Marguerite Duras)、ヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf)、スーザン・ソンタグ(Susan Sontag)、あとはパヴェーゼ(Cesare Pavese)がとにかくすごく好き。

WWD:海さんの作品のすべてには文学が影響していると。

石原:自分のなかでは、言葉が一番大切だと思っています。言葉を書くために撮っているんじゃないかってたまに思ってしまうくらいです。ちなみに今年の夏は“詩人みたいに生きたい”と思っていて、無意味な時間の中でどれだけ自分が楽しめるか、あるいはぐちゃぐちゃになれるか……意識的に暇を持て余すように過ごしたいです。

WWD:現代美術は作品にどんな影響を与えていますか?

石原:現代美術は作家の生き方がストレートに作品に反映されるところがおもしろいなと思っています。自分の手の届く範囲で作品を作ることも不可能ではないし、ごくパーソナルな部分を保ったまま作品を作ることができる。その意味で現代美術は自分の中でずっと大切にしていきたい場所でもあります。

WWD:「ガーデンアパート」を制作したきっかけは何ですか?

石原:4年前に「山形国際ドキュメンタリー映画祭」に参加したときに、毎日4本くらい作品を見続けて、夜は飲んで映画について語り合うという毎日を1週間くらい繰り返したんですけど、その時に漠然と長編映画を撮りたいと思うようになりました。ビデオアートのような短編作品を撮り続けてもアタシが思い描いているところには近づけないんじゃないかと。でもドラマのような長編作品なら私のことを知らない人にも、分かりやすい“映画”っていうフォーマットを通じてつながれるかもしれないと思いました。一方で、 “長編映画を作らなければ自分の人生が進んでいかない”という強迫観念のような感情も同時に湧き上がってきて。3年前の夏は“大きくて長い何かを作る”っていうことがテーマだったのでどこか熱に浮かされて「ガーデンアパート」が出来上がったという感覚もあります。

WWD:「ガーデンアパート」の登場人物からは東京らしい乾いた感じや退廃的な雰囲気が伝わってきました。登場人物にはどんな思いを込めましたか?

石原:演者の実際の人生と登場人物のキャラクターが交差していくようにイメージしました。主人公のひかりが妊娠している設定も、実際にひかり役の篠宮由香里さんが妊娠していたのでそうしようとか。役者の人生をインタビューのように聞いて、物語とすり合わせながら作っていきました。パーソナルな空間で撮りたかったので、撮影場所も当時私が住んでいた家だったりして。当初はもっとドキュメンタリー要素が強いものを作りたいと思っていたと記憶しています。実際はまったく違ったものとなりましたが。

WWD:「ガーデンアパート」の制作から3年経って、いま思うことはありますか?

石原:とにかく早く次の作品を撮りたいです。コマーシャルの映像を作るときは大御所のクルーと仕事したり現場で学ぶことも多くて。この3年間で映画の撮り方とか技術的な面でも成長したように感じています。もちろん、自分の興味も3年間でぐるぐると変わっているし。「ガーデンアパート」は何もわからないまま手探りで撮ったので、キャストもクルーもほぼ友だち。そういう手作りの映画もいいけど、もっとやれることがあったなとも思っています。なので、これから作る新作で「ガーデンアパート」を見た人の気持ちを塗り替えたい。でも、それと同時に、現場の数を踏んで成長したからってきれいなものを撮ろうとか、分かりやすいものを撮ろうとするんじゃなくて、本当はもっと壊れたい、もっと変なものを撮りたいという気持ちもすごくあります。自分のことを分かってくれる人なんておそらくこの世に存在しないんだから、作品だってぐちゃぐちゃで意味不明のものでもいいだろうとか。ほんと、詩人のように軽やかに作品を作っていきたいです。

WWD:次回作の構想はあるんですか?

石原:あります。タイトルは「美しき自暴自棄」っていうんですけど、自暴自棄になるネガティブな人がたくさん出てきて、でもそれがすごく美しいという。もともと美しいものを見て美しいと感じるのではなく、美しくないものに美しさを見出す、そんな作品にしたいと思っています。

WWD:制作は進んでいますか?

石原:脚本は書き進めていて、イギリスと日本のプロダクションで制作する予定です。イギリスは決まったんですけど、日本はこれから。「ガーデンアパート」は、まったく予算がなかったので、次回作はある程度の予算をかけて制作したいです。そういえば、次作では亡くなってしまったショーケンに出てほしかったんですよ。「傷だらけの天使」が好きで、かっこいいなって思っていて。生き方が演技ににじみ出ていて、詩人らしいというか……まあ、本人を知らないので勝手な想像ですけど。

WWD:長編作品を撮影してから他のモノ作りへの影響はありましたか?

石原:友達のイギリス人の映画の現場にスタッフとして入ったとき、プロの役者を起用することに興味が湧きました。出演していた役者がラムダ(London Academy of Music & Dramatic Art)っていう世界有数の俳優養成所の生徒で、演技のメソッドとかをとうとうと話すんです。撮影後の食事で交わす演劇論を聞いて、こういうアプローチも楽しそうだなって。

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日本と海外のプチプラコスメ投稿を比べたら!? ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャーに勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.23「参考をビジュアル化」した文字入り写真は効果的?

読み解きポイント「インスタの雑誌化が止まらない!」

ニュースのポイント

 「WWD JAPAN.com」とリデルが共同で開設したアグリゲーション・アカウント @wwd_jp_byliddell の運用からインスタグラムの今を学ぶ連載「インスタグラム全盛期を攻略せよ」。今回は「参考をビジュアル化」した文字入り写真は効果的かどうかについて。

Azuはこう読む!

 文字入り画像がここ最近ぐっと増えているのは、インスタグラムを見ていれば一目瞭然。本紙にもある通り、特に情報量が多くなるビューティ系アカウントはまるで雑誌の一コマのような手の込んだ投稿が多く並んでいます。

 私もインスタグラムを運用しているので良くわかりますが、ファッションであれビューティであれフードであれ、フォロワーは1投稿からより多くの情報を得たいと思っているし、わからない場合はコメントやDMでどんどん聞いてきます。だから文字入り画像が保存数、エンゲージメント、インプレッション等々で他投稿より結果が良いのは想像に難くありません。

 私は正直ごちゃごちゃして見にくいのでこの手の投稿はスルーなのですが(笑)、「そういえばこの現象って日本だけかも?」と思い、わかりやすいのでコスメアカウントに絞ってさらっと海外アカウントも見てみました。やはり「POP化」は日本特有なのかもしれません。日本の「キャンメイク(CANMAKE)」、アメリカの「ウェット アンド ワイルド(WET N WILD)」という同じプチプラコスメの人気投稿で比べてみた写真が以下です。

 前者は手書きイラストや可愛い物撮り満載に対し、後者は使用感がわかる顔のアップ写真(キャプションに使用方法などを記載)、しかも目を引くアーティストメイクがてんこ盛り。何かを発信するときは、自分が目にしてきた広告を自然とお手本にするので、日頃囲まれているPOPやパッケージ、雑誌などの影響が少なからずこの結果に出ているのだと思います。

 文字入り画像のトレンドはもう少し続く気がしますが、ハッシュタグ検索をした時の「目立ったもん勝ちハック」の一つなので、こうしたアカウントがこれ以上増えてくると均質化が進み頭打ちが見えてくるのでは……と読んでいます(ところで「君の名はメイク」ってなんだろう……)。

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公爵のプロポーズを拒絶? あなたが知らないココ・シャネルの真実9選

 「シャネル(CHANEL)」といえば、そのアイコニックなツイードのスーツや香水の「ナンバー5(No. 5)」、モダンでエレガントな“リトルブラックドレス”などが思い浮かぶが、いずれも創業デザイナーのガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)が愛して定番となった品々だ。1883年8月19日にフランス西部の小さな町で生まれ、やがてココ・シャネル(Coco Chanel)としてモード界に君臨した彼女の生誕を記念し、“あなたが知らないココ・シャネルの真実9選”をお送りする。

1. ウェストミンスター公爵からのプロポーズを拒絶

 シャネルは英国の第2代ウェストミンスター公爵ヒュー・グローブナー(Hugh Grosvenor)と10年ほど交際していたが、公爵から結婚を申し込まれるとあっさり断ったという。シャネルが後に語ったところによれば、その理由は「公爵夫人はたくさんいるけれど、ココ・シャネルは私一人しかいないから」。

2. ほかのデザイナーにも容赦なく噛みつく

 シャネルは多くのデザイナーに影響を与えたが、それは自身もよく分かっていたようだ。イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)に対しても、「彼は素晴らしいセンスの持ち主ね。私をコピーすればするほど、どんどんセンスがよくなっていっているわ」ときつい皮肉を投げかけた。

 「バレンシアガ(BALENCIAGA)」の創業デザイナーであるクリストバル・バレンシアガ(Cristobal Balenciaga)とは仲がよかったが、後年に「彼はデザイナーを続けるには年を取りすぎた」とコメントしたことから仲違いしてしまったという。しかし、シャネルが死去した際の追悼記事でバレンシアガは、「(シャネルが亡くなって)とても悲しいし、私も本当に年を取ってしまったのだと感じる。強い影響力を持った類まれな存在が消えてしまった」と語り、その死を悼んだ。

3. 帽子デザイナーとしてキャリアをスタート

 シャネルのデザイナーとしてのキャリアは、1912年にフランスの海沿いにあるリゾート地、ドーヴィルに帽子の店を開いたところからスタートしている。そこでシャネルはトレンドセッターとなり、やがてアパレルへと手を広げていった。

4. 王室のリクエストを拒否

 シャネルはタダ働きを嫌がり、王室のためにデザインすることを拒否した。いわく、「全く、王女や公爵夫人たちときたら絶対にお金を払わないんだから。なぜ私が無償で何かあげないといけないの?私には、誰も何もくれなかったわ」。

5. 女性はメイクすべし

 女性が素顔でいることを、シャネルは好ましく思わなかった。彼女はアトリエに毎日出勤していたが、そろそろ到着するという知らせが入ると、モデルたちは慌ててメイクをしたという。シャネル自身も、「ベッドで隣に寝ている男性の気持ちを考えなさい。誰も起きてすぐに青白い顔の女性など見たくないでしょう?」とベッドサイドに頬紅を常備していた。

6. 歯に衣着せぬ物言いが注目の的

 相手が誰であれ、シャネルは思ったことをズバズバと遠慮なく言った。フランスの女優、ブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)を「金の亡者」だと評し、その豊満なバストについては「大きすぎる」とこき下ろした。ファッションエディターにも容赦はなく、「猿みたいな顔をしているし、口が悪すぎる」「これほど偉ぶった女性には会ったことがない」など、今日では物議を醸すような物言いで周囲を驚かせた。

7. ミニスカートは嫌い

 シャネルはミニスカートを「肉体を見せびらかすもの」だと言い、下品な服装だと酷評した。実用的なパンツルックを好み、女性もはくべきだと提唱して自らも着用していたが、そのことで第2次世界大戦中に成立した仏ヴィシー政権によって逮捕されている。

8. カメリアが大好き

 シャネルが一番好きな花だったカメリアは、「シャネル」のシンボル的な存在としてアパレルやアクセサリーによく使われている。92年に米「WWD」がアトリエを訪れた際も、オートクチュールのショーのため、カメリアを使用したさまざまなデザインのピンが作られていたという。

9. 最後もお気に入りのシャネルスーツで

 シャネル自身の希望により、最後はお気に入りのシャネルスーツをまとった姿で埋葬された。それはベージュと白のツイードで、アイコニックな金ボタンとブレードの縁取りが施されたものだった。

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公爵のプロポーズを拒絶? あなたが知らないココ・シャネルの真実9選

 「シャネル(CHANEL)」といえば、そのアイコニックなツイードのスーツや香水の「ナンバー5(No. 5)」、モダンでエレガントな“リトルブラックドレス”などが思い浮かぶが、いずれも創業デザイナーのガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)が愛して定番となった品々だ。1883年8月19日にフランス西部の小さな町で生まれ、やがてココ・シャネル(Coco Chanel)としてモード界に君臨した彼女の生誕を記念し、“あなたが知らないココ・シャネルの真実9選”をお送りする。

1. ウェストミンスター公爵からのプロポーズを拒絶

 シャネルは英国の第2代ウェストミンスター公爵ヒュー・グローブナー(Hugh Grosvenor)と10年ほど交際していたが、公爵から結婚を申し込まれるとあっさり断ったという。シャネルが後に語ったところによれば、その理由は「公爵夫人はたくさんいるけれど、ココ・シャネルは私一人しかいないから」。

2. ほかのデザイナーにも容赦なく噛みつく

 シャネルは多くのデザイナーに影響を与えたが、それは自身もよく分かっていたようだ。イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)に対しても、「彼は素晴らしいセンスの持ち主ね。私をコピーすればするほど、どんどんセンスがよくなっていっているわ」ときつい皮肉を投げかけた。

 「バレンシアガ(BALENCIAGA)」の創業デザイナーであるクリストバル・バレンシアガ(Cristobal Balenciaga)とは仲がよかったが、後年に「彼はデザイナーを続けるには年を取りすぎた」とコメントしたことから仲違いしてしまったという。しかし、シャネルが死去した際の追悼記事でバレンシアガは、「(シャネルが亡くなって)とても悲しいし、私も本当に年を取ってしまったのだと感じる。強い影響力を持った類まれな存在が消えてしまった」と語り、その死を悼んだ。

3. 帽子デザイナーとしてキャリアをスタート

 シャネルのデザイナーとしてのキャリアは、1912年にフランスの海沿いにあるリゾート地、ドーヴィルに帽子の店を開いたところからスタートしている。そこでシャネルはトレンドセッターとなり、やがてアパレルへと手を広げていった。

4. 王室のリクエストを拒否

 シャネルはタダ働きを嫌がり、王室のためにデザインすることを拒否した。いわく、「全く、王女や公爵夫人たちときたら絶対にお金を払わないんだから。なぜ私が無償で何かあげないといけないの?私には、誰も何もくれなかったわ」。

5. 女性はメイクすべし

 女性が素顔でいることを、シャネルは好ましく思わなかった。彼女はアトリエに毎日出勤していたが、そろそろ到着するという知らせが入ると、モデルたちは慌ててメイクをしたという。シャネル自身も、「ベッドで隣に寝ている男性の気持ちを考えなさい。誰も起きてすぐに青白い顔の女性など見たくないでしょう?」とベッドサイドに頬紅を常備していた。

6. 歯に衣着せぬ物言いが注目の的

 相手が誰であれ、シャネルは思ったことをズバズバと遠慮なく言った。フランスの女優、ブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)を「金の亡者」だと評し、その豊満なバストについては「大きすぎる」とこき下ろした。ファッションエディターにも容赦はなく、「猿みたいな顔をしているし、口が悪すぎる」「これほど偉ぶった女性には会ったことがない」など、今日では物議を醸すような物言いで周囲を驚かせた。

7. ミニスカートは嫌い

 シャネルはミニスカートを「肉体を見せびらかすもの」だと言い、下品な服装だと酷評した。実用的なパンツルックを好み、女性もはくべきだと提唱して自らも着用していたが、そのことで第2次世界大戦中に成立した仏ヴィシー政権によって逮捕されている。

8. カメリアが大好き

 シャネルが一番好きな花だったカメリアは、「シャネル」のシンボル的な存在としてアパレルやアクセサリーによく使われている。92年に米「WWD」がアトリエを訪れた際も、オートクチュールのショーのため、カメリアを使用したさまざまなデザインのピンが作られていたという。

9. 最後もお気に入りのシャネルスーツで

 シャネル自身の希望により、最後はお気に入りのシャネルスーツをまとった姿で埋葬された。それはベージュと白のツイードで、アイコニックな金ボタンとブレードの縁取りが施されたものだった。

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ファッション通信簿Vol.28 2019年「ティーン・チョイス・アワード」授賞式の出席者たちを米「WWD」がめった切り

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第28回は、ロサンゼルスで行われた2019年「ティーン・チョイス・アワード(Teen Choice Awards)」の授賞式から、KJ・アパ(KJ Apa)、マディー・ジーグラー(Maddie Ziegler)、ゼンデイヤ(Zendaya)、ノア・センティネオ(Noah Centineo)、テイラー・スウィフト(Taylor Swift)、クロエ・ベイリー(Chloe Bailey)とハレ・ベイリー(Halle Bailey)姉妹、グレッグ・サルキン(Gregg Sulkin)、ジョン・ステイモス(John Stamos)が登場。ティーン層からの支持を集める彼らに下された評価とは?!

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即完売続く“人生最高のチーズケーキ” シンデレラストーリーを駆け上がった先に目指すもの

 毎週日曜と月曜の朝10時にネット上で数量限定で販売し、即完売しているチーズケーキ「ミスターチーズケーキ(MR. CHEESECAKE)」の公式オンラインストアが8月4日にオープンした。これまではネットショップ作成サービス「ベイス(BASE)」で販売してきたが、「ショッピファイ(SHOPIFY)」に移行。サイトのデザインやビジュアルを一新した。

 “人生最高のチーズケーキ”とも一部で呼ばれる「ミスターチーズケーキ」を手掛けるのは、シェフの田村浩二氏だ。同氏は乃木坂「 レストラン フウ(RESTAURANT FEU)」にてキャリアをスタート。フランスで修業を積んだのち、2017年に世界最短でミシュランの星を獲得した東京・白金台のフレンチレストラン「ティルプス(TIRPSE)」のシェフに弱冠31歳で就任(現在は退任)。シェフとして活動するだけでなく、フード関連の事業を複数手掛ける実業家の顔も持つ。そんな田村氏がチーズケーキを作り始めたのは、フランス発レストランガイドの日本版「ゴーエミヨジャポン(Gault & Millau Japon)」で“期待の若手賞”を受賞したのがきっかけだという。「受賞前と後で個人的には何も変わらない一方で、来店客層は大きく変わった。お店にとって良いことでもあるが、僕個人の料理ではなく、賞を取ったシェフの料理ということが重視されているのではないか。そういった疑問から、賞を取るために変わった料理を作るというこれまでのスタンスから、誰が食べても美味しいと思うものを作るスタンスに変わり、子供のころ誕生日に母が作ってくれていたチーズケーキの試作を始めた」と語る。

 18年1月の試作開始から改良を重ね、4月に納得のいくものが完成。特徴はトンカ豆やバニラ、レモンを組み合わせた香りや小麦粉不使用の製法で仕上げた独特の食感、そして酸味と甘みのバランスの3つ。また、冷凍、半解凍、完全解凍それぞれの状態で食感や味が変わるのもポイントだ。そのケーキを田村氏が自身のインスタグラムに投稿したところ、レストランの来店客からの「食べてみたい」という声が多かったことから販売を開始した。「当時はシェフ業と並行して作っていたため、朝の4時に起床し、9時のレストラン開業までチーズケーキの制作や梱包、発送などを行っていた。作る数も最大で1日に32本が限界。販売数を減らすなどの方法もあったが、SNS上で届く『美味しかった』『食べてみたい』といった声がモチベーションとなり、一生懸命作った」と当時を振り返る。田村氏のチーズケーキは口コミで人気が広がっていき、販売数を増やした後も販売後は即完売。18年12月に法人化し、現在に至る。

 気軽な気持ちでインスタグラムに投稿し、法人化するまでに至った「ミスターチーズケーキ」で田村氏は何を目指すのか?「“時間を作る”ことと“シェアをする”ことの2つを大切にしたい。ケーキは冷凍保存の状態でお届けしているため、食べるまでに1時間~1時間半と時間がかかる。待っている間の誰と食べるのか、どこで食べるのか、どんな食器で、どんな飲み物と共に食べるのかを考えることから『ミスターチーズケーキ』は始まる。忙しい世の中において、食卓は大切な人と過ごす貴重な時間。その時間を見つめなおし、考えなおしてもらうことができればと思っている」。また、世界進出も目的の一つだ。EC構築のプラットフォームを越境ECに対応した「ショッピファイ」に変更したのも世界進出を視野に入れてだという。「かつて働いていた南フランスのレストラン『ミラズール(MIRAZUR)』がWorld's 50 Best Restaurants 2019の1位に選ばれたこともあり、タイミングとしては年内にパリに進出したい。今では仲間も増え、できることも増えてきた。サイトも新たにオープンし、世界観をより強く打ち出せるようになった。『ミスターチーズケーキ』“東京発のチーズケーキ”としてを世界に発信していきたい」。

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「WWDジャパン」が選んだ魅惑の新作ハイジュエリー12選

 毎年7月に開催されるパリ・オートクチュールウイークでは、新作ハイジュエリーの発表も行われる。この期間は世界中から富裕層がパリに集結し、クチュールやハイジュエリーの受注会がパリ各所で開催される。今年の話題は「グッチ(GUCCI)」のハイジュエリー参入だ。ジュエラーの聖地、ヴァンドーム広場にも「グッチ」はジュエリー専門のショップをオープンし、存在感をアピールした。他のジュエラーの作品も力作ぞろい。8月19日号の「WWDジャパン」ハイジュエリー特集2019で掲載できなかった各ジュエラーの作品を紹介する。

高度な職人技がモノを言う
動きのある流麗なデザイン

 カボションの宝石をつなげたり、パールやダイヤモンドをカスケード状に施すなど動きのある流麗なデザインが多く見られた今シーズン。「カルティエ(CARTIER)」の新作ネックレス“ウプサラ”は淡い色のカボションサファイアをタッセル状にした涼しげな作品。ルチルクオーツやイエローダイヤモンドなど意外な素材の組み合わせが見どころだ。藤の花をほうふつとさせる“ハード&アロー”イヤリングは「グッチ(GUCCI)」の作品。ルベライトとピンクサファイアのグラデーションが美しい華麗なデザインで仕上げている。ロシアがテーマの「シャネル(CHANEL)」の新作“サラファン”はダイヤモンドで描いたカメリアにパールを添えた荘厳なビブネックレス。襟を付ける感覚でまとう「シャネル」らしい逸品だ。

 庭に咲き誇るバラとアイアンワークを繊細なラインで表現した「ミキモト(MIKIMOTO)」のブローチは、パールとダイヤモンド、スピネルなどをリズミカルに組み合わせかれんに仕上げた。「ブシュロン(BOUCHERON)」のカボションのエメラルドを連ねた“ヴェリエール(ガラス天井)”ネックレスはグラン・パレがモチーフ。ブローチの部分は空から見たグラン・パレでドームの部分は緑の植物が生い茂る温室を表現している。流れるようなパールのイヤーカフは「アトリエ タサキ(ATELIER TASAKI)」の新作だ。“ウォーターフォール”と名付けられた、耳の形に添うようにデザインされたボリューム感あるイヤーカフは存在感たっぷり。

素材の魅力を最大限に引き出した
王道ハイジュエリー

 「ショーメ(CHAUMET)」は、ティアラで知られるハイジュエラーだ。天空をテーマにした新作コレクションでももちろんティアラが登場した。“ソレイユ グロリュー(栄光の太陽)”ティアラは、イエローダイヤモンドを太陽に見立て、荘厳な輝きを放っている。同じく、太陽をモチーフにした「ピアジェ(PIAGET)」の“ブレージング ライト”ネックレスはその名の通り、燃えるような太陽を極めて希少性の高いピジョンブラッドのルビーとダイヤモンドの対比で描いている。「ロミオとジュリエット」をテーマにした「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」の“フィオーレ”ブレスレットは2石合わせて100カラット以上のアクアマリンを使用。大きさ、クラリティー、色調全て完璧なまでに調和した素材調達の妙と、それらを大胆に組み合わせるアプローチは「ヴァン クリーフ&アーペル」ならでは。

 設立20周年を記念した「ディオール ファイン ジュエリー(DIOR HAUTE JOAILLERIE)」による“ジェム ディオール”は、まるで宝石のカクテルのようなコレクションだ。異なるカットを組み合わせた“ローズ ボンボン”リングは、22石計9.4カラットのピンクサファイアを使用している。「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、フランチェスカ・アムフィテアトロフ(Francesca Amfitheatrof)=ウォッチ&ジュエリー・アーティスティック・ディレクターが手掛けた初のハイジュエリーを発表。9石計152.83カラットのアクアマリンを使用した“ラ レーン”ネックレスは迫力たっぷりだ。アムフィテアトロフらしいエッジの利いたジオメトリックなデザインでシャープな印象に仕上がっている。イタリア・カプリ島で新作発表を行った「ブルガリ(BVLGARI)」は、色石が得意なジュエラーらしく色とりどりのゴージャスな作品をそろえた。サファイアを主役にエメラルドとダイヤモンドをレール留めで施し、さらにダイヤモンドをパヴェセッティングするなど凝ったデザインにも注目だ。

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クリエイターと協働するブランド「オンファッド」が若手写真家と示す“建築写真の可能性”

 クリエイティブ集団NEWPEACEが展開するプロダクトブランド「オンファッド(ONFADD)」は8月16日~21日、パリや東京で活動する写真家イリグチケンタとONFAdd Galleryで写真展を開催中だ。同展のテーマは“WALL(壁)”。イリグチが魅了された世界の建築物の“壁”にフォーカスした作品やコラージュアーティストのヤビク エンリケ ユウジ(Yabiku Henrique Yudi)が手掛けたインスタレーションも展示する。また、「オンファッド」とイリグチが共同制作したTシャツやバンダナなどのアイテムを販売する。

「オンファッド(ONFADD)」は、“Unleashed habit(解き放たれた習慣)“の価値観のもとに、クリエイターのためのプロダクトをさまざまな分野のクリエイターと共同制作している。これまでに雨や雪などの悪天候からスニーカーを守る靴用雨具「レインソックス(RAIN SOCKS)」や、寝袋にもなるバックパックなど、“移動”に重点を置いたプロダクトを展開している。19年6月、世界各地を移動するクリエイターであるフォトグラファーに特化し、展示を行うONFAdd Galleryを設けた

WWD:これまでファッションシューティングを中心に活動してきて、何故今回の写真展は“壁”をテーマに選んだんでしょう?

イリグチケンタ(以下、イリグチ):海外で活動していた時に壁に無数に貼られたポスターや企業広告に引かれたのが理由です。そこから壁”を主題とした建築写真の撮影をスタートしました。

WWD:今回の写真展に使用した壁や建築物を撮影する基準は?

イリグチ:一般的に壁は綺麗な平面をイメージしますが、建築物によって作り方はさまざまで、異なる素材を使用している点に着目しました。色味や劣化具合、建物物に差す光など全体のバランスを考えて撮影しています。

WWD:ヤビクさんが制作したインスタレーションのコンセプトは?

ヤビク エンリケ ユウジ:街中にある壁を自分なりに再現しています。作品の展示を順番に見ていった先にコンセプトの“壁”を再現したら面白いかなとイリグチさんと話し合って決めました。それで、見たことのないような特殊な壁ではなく日常生活になじみの深い壁を製作しました。

イリグチ:インスタレーションの壁も特殊な素材を使用して壁を表現しています。僕が引かれた広告のたくさん貼られた壁もヤビク君と一緒に製作しています。また、作品を展示するレイアウトも一貫したストーリーを持たせていて、空間演出もヤビク君がディレクションをしてくれました。床にも立体的な作品や写真を展示する予定です。

WWD:今回、「オンファッド」 のギャラリーを会場として提供した理由を教えてください。

川谷太一・「オンファッド」アートディレクター(以下、川谷):ウチのクルーと元々面識があったのと、先々月にこのギャラリーで開催した写真家の飯野匠紀(ENO)君の写真展にイリグチさんがいらっしゃっていて、そこでこちらからオファーさせていただきました。

早川和彦・同ブランドディレクター(以下、早川):ブランド名の「ONFAdd」はOf No Fixed Address(住所不定)を意味します。私たちは、移動が新しいクリエーションを生み出すと考え、その移動を後押しするようなプロダクトを作っているんですが、実際に各地を飛び回って作品を生み出し続けているのは誰だろうとイメージした時にフォトグラファーが思い浮んで依頼しました。

イリグチ:「ヌーヴェルトマガジン」(イリグチが運営に携わる、さまざまな若手クリエイターなどを取り上げるECサイトと連携したウェブマガジン)の立場で初めて「オンファッド」の方々に会いました。クルーの一人が、僕と地元が同じだったりそういったご縁もあって仲良くさせてもらってます。

WWD:今回発売するアパレルのデザインはどういったコンセプトなんですか?

川谷:イリグチ君の写真をそのままプリントして取り入れるのではなく、彼の普段のファッションのスタイルを聞いたりして私たち側からもいろいろな提案をして決めました。ただのコラボというわけではなく作品の1つとして捉えています。

早川:写真のアウトプットの方法も、必ずしも写真のプリントを展示するだけではないんじゃないかとイリグチ君から提案がありました。我々のギャラリーは展示発表するだけではなく共作する場でもあるのでテーマの“壁”を表現できるアイテムを製作しました。”

イリグチ:“Wearing Wall(着用できる壁)”をイメージしました。前回、写真集を製作した時も作品と一緒に、写真をプリントしたTシャツを同梱しましたが、写真をより身近に感じて欲しいという気持ちを込めて製作しています。

WWD:「オンファッド」でも使用する素材を使っていますか?

川谷: 今回の写真展の為に作ったエクスクルーシブなものになります。

WWD:東京に上京してきて1年が経ちましたが、活動拠点を変えて環境に変化はありましたか?

イリグチ:福岡にいた時は海外のクライアントしかいなかったんですが、東京に来て初めて日本の企業と仕事をしました。仕事も出会った人達が僕を繋いでくれて、運や人の力でここまでやってこられたという感じです。

WWD:2020年に向けてやりたいことは?

イリグチ;これまでファッションや人物を中心に撮ってきましたが、最近は、建築物に引かれています。僕はストリートスナップからキャリアをスタートしていますが、ある意味建築物もストリートにあるものなので、2020年に向けて日本の建築物をもっと世界に発信していきたいです。

ファッションスナップがバッグボーンにあるので、建築物も同じように格好良く撮れるフォトグラファーになりたいですね。

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伝説的デザイナーによる“元祖ストリートコラボ” パリのアライア展が語ること

 パリ・マレ地区にあるアズディン・アライア(Azzdine Alaia)財団で、アライアの回顧展「別の視点から見たファッション タチ コレクション(ANOTHER WAY TO LOOK AT FASHION TACHI COLLECTION)」が開催されている。6月30日から始まったパリ・オートクチュール前日に内覧会が行われた。同展は、アライアの1991年春夏コレクションにフォーカス。パリのディスカウントショップ「タチ(TATI)」のシンボルともいえるヴィシーチェックを採用したこのコレクションはまさに、ハイファッションとストリートの融合を象徴するものだ。今では「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」と「シュプリーム(SUPREME)」を筆頭に、「H&M」と「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」、「ユニクロ(UNIQLO)」と「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」などハイブランドとストリート、ファストファッション、量販店のコラボレーションは当たり前だが、アライアは今から約30年前にそれを試みている。アライアがこのコレクションを製作するきっかけとなったのが、アメリカの画家ジュリアン・シュナーベル(Julian Schnabel)との交友だ。シュナーベルが「タチ」のヴィシーチェックを使って絵を描きたいと言ったのがそもそもの始まりだった。

 「タチ」といえばピンクのヴィシーチェックのショッパーがトレードマークで、店内はいつもディスカウント商品をあさる人々であふれており、移民の多いパリの一面を感じるショップだ。チュニジア出身のアライアは帰省する際に、たくさん物を詰め込んだ「タチ」のバッグを携えたチュニジア人の姿を目にしており、彼にとって、ピンクのヴィシーチェックは平等主義を表すものであった。「タチ」にコラボレーションの話を持ち込んだアライアは創業者がチュニジア人だと知り、ピンクに加えブラックとブルーのヴィシーチェックをアライアの専用で追加注文し、「タチ」の店舗で販売するバッグとTシャツ、エスパドリーユを自分も製作すると告げた。アライアは、「ディスカウントショップの代表格である『タチ』に私の名前と、オートクチュールの世界を融合させるのはエキサイティングなこと。ファッショナブルな服を買えない『タチ』の顧客にクオリティーの良いものをデザインしたかった」と述べている。このコラボレーションは、アライアの温かい人柄と幅広い視野、革新的な思考力の現れだと言ってもいいだろう。

 アライア財団では2020年1月5日まで、同コレクション展とシュナーベルの絵画、そして、ファッションイラストレーターのティエリー・ペレズ(Thierry Perez)によるイラストなども展示している。

■AZZDINE ALAIA ANOTHER WAY TO LOOK AT FASHION THE TATI COLLECTION
日程 :7月1日~2020年1月5日
時間:11:00~19:00
場所:ASSOCIATION AZZEDINE ALAIA
住所:18, rue de la Verrerie, 75004 Paris

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「ファーフェッチの買収、本当の勝者は……」 ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:「ファーフェッチ」、株価44%ダウンの衝撃

読み解きポイント マーケットプレイスでなく自社商品を強化

ニュースの要約

 高級ブランドECの「ファーフェッチ(FARFETCH)」が、19年4-6月期決算報告に合わせ、ニューガーズグループ(NGG)の買収を発表(買収金額:715億円)。発表直後から株価は44%急落。営業損失拡大(前年同期▲39億円から▲101億円に拡大)と下半期7-12月期の流通総額の下方修正が懸念視されている。

CKRはこう読む

「17%」。ファーフェッチがEC上で取り扱う自社商品の流通総額の割合です。83%は、他社商品を販売しています。他社商品を販売する際、消費者とのマッチングを行い、その手数料がファーフェッチの売り上げとなります。ファーフェッチは、在庫を持たないマーケットプレイス型のプラットフォームビジネスが主軸であると言えます。

では、NGG買収は何を意味するのでしょうか。ファンドや市場から資金が集まり、次の一手を悩むなか、17%である自社商品強化を選択したということです。
元々、CEOのジョゼ・ネヴェス(Jose Neves)は、2001年に「B Store(ビー・ストア)」を設立し、新進気鋭ブランドをブティック店舗に販売するビジネスを行っていました。尖った元気のある新しいブランドを目利きし、自社商品としてラインアップすることに思い入れがあったのかもしれません。

マーケットプレイスを切り盛りするだけでなく、セレクトショップ的に先鋭的な商品を仕入れ、販売することでさらに魅力ある場所に仕立てたい。そうしたネヴェスの思いとは逆に、市場からのメッセージは、「膨らんでいる売り上げ原価や販売管理費を抑え、収益を改善して欲しい」「主軸であるマーケットプレイスを強化、流通総額を拡大し、新たな道筋、方向性を示して欲しい」といったことなのでしょう。

そんな中、今回の勝者は、NGG。2015年に設立、わずか4年で、700億円で評価され、売り抜けてしまいました。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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ユニクロが「国民服」になった背景を読み解く 米澤泉著「おしゃれ嫌い」

 フリースブームから20年。いまや「ユニクロ(UNIQLO)」は日本人にとって国民服ともいえる存在だ。エアリズム、ヒートテック、ブラトップ、ジーンズ、感動パンツ、カシミヤセーター、ウルトラライトダウン――。子供からお年寄りまで、よほど意識的に遠ざけない限り、誰でも数点のユニクロ製品を持っているだろう。

 ユニクロは単にビジネスとして成功しただけではない。日本人の服に対する価値観まで変えた。消費生活全般まで与えた影響は計り知れない。

 甲南女子大学教授の米澤泉氏による「おしゃれ嫌い−私たちがユニクロを選ぶ本当の理由−」(幻冬舎新書)は、平成不況の真っ只中に価格破壊者として登場したユニクロが、どのように日本人の生活インフラとして浸透していったかを丹念に分析している。

 ただ安いだけの服、機能的なだけの服なら国民服にはならない。創業者の柳井正ファーストリテイリング会長兼社長には、一般消費者が本当に望む服の姿が見えていた。それはファッション性やステータスをひけらかす服ではない。着るもので個性や感性まで判断される風潮に疲れた人々に寄り添う服、誰もが気兼ねなくお金も時間もかけずに購入できる服である。

 柳井氏は「ライフウエア」と表現する。同社ウェブサイトのステートメントでは下記のように説明される。

 「服に個性があるのではなく、着る人に個性がある。そうユニクロは信じています。私たちの服は、作り手ではなく、着る人の価値観から作られる服です」

 「私たちの服は、シンプルで、上質で、長く使えるという日本の価値観をもとに、時代の新しい息吹を取り込んで作られています。だからこそ私たちの服は、あなたらしいスタイルを形作る部品になれる、と信じています」

 本書ではこの20年の間で、消費者の価値観が、ユニクロが提唱する価値観にシンクロしていく様子が丁寧に紹介されている。とりわけ印象的なのは、ファッション誌とユニクロとの距離感だ。

 まだ「ユニバレ(ユニクロを着ているのがバレるのが恥ずかしい)」「ユニクロは画一的」と言われていた2000年代は、女性向けファッション誌にはほぼ黙殺されるか、ごく小さな扱いだった。それが10年代半ばになると、主役級の扱いを受けるようになる。大人女子をターゲットにした「アンドガール(and GIRL)」(15年9月号)では、表紙に「ユニクロでよくない?」と大きな見出しを打ち、28ページのユニクロ特集を組んだ。同じくらいのタイミングで「クラッシー(CLASSY.)」「ノンノ(non-no)」「ウィズ(with)」「JJ」「ヴェリィ(VERY)」などもユニクロをクローズアップするようになる。ついにはセレブ御用達誌「ヴァンサンカン(25ans)」(18年9月号)で「目が離せない!ユニクロのホットなコラボレーション」と銘打ったページが組まれるに至る。

 米澤氏は「ユニクロを追うことは、この30年の間に服を着ることの意味がどのように変わったのかを考えることになる」と書く。服飾史の枠を超えて、日本人の価値観の変化が伝わる好著だ。

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「何でもネットで買えてしまう時代だ。だからこそ、店に来た時にしかわからない隠し味が必要だ」 by 設楽洋

設楽洋ビームス社長

 「何でもネットで買えてしまう時代だ。だからこそ、店に来た時にしかわからない隠し味が必要だ。商品もマスのちょっとオシャレなものが中心だけれども、品揃えの中に通(ツウ)が唸る商品を必ず用意している。それがビームスがビームスたるゆえんだ」(Vol.1580 2010年5月24日号)ビームスの強みを聞かれて

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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全部見せます 「グッチ」初のレインボーカラーに彩られたハイジュエリー

 「グッチ(GUCCI)」は7月にパリで初のハイジュエリーおよびヴァンドーム広場のジュエリー専門ブティックの披露を行った。クリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)は約200点以上ものジュエリーをデザイン。「WWDジャパン」8月19日号、ハイジュエリー特集2019でも紹介しているコレクション名の“ホルトゥス デリキアルム”とは、ラテン語で“歓喜の庭”という意味だ。「グッチ」らしいライオンやヘビなどの動物や、フィレンツェを想起させる古典的なモチーフなどを使用している。ルビーやサファイア、エメラルドをはじめ、トパーズやトルマリン、オパールなどさまざまなカラーストーンを用いたジュエリーは全てメード・イン・イタリーだ。ピーコックブルーで彩られたヴァンドームのブティックはまるで小さな宝石箱のよう。ブティックの奥にはサロンもあり「グッチ」の世界観を体感できる空間になっている。
 
 ハイジュエリーの発表を記念してプティ・パレでガラディナーを開催されジュエリー・アンバサダーのフローレンス・ウェルチ(Florence Welch)のパフォーマンスやルイーズ・チェン(Louise Chen)のDJパフォーマンスが行われた。

 ここでは、「グッチ」初のハイジュエリーコレクションの数々を一気に紹介しよう。

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“攻め柄”の秋が来る!レオパード、パイソン、ゼブラの強力トリオ

 暑さの盛りですが、秋トレンドを占う2019-20年秋冬向け展示会では、あちこちでアニマル柄が提案されていました。今秋の3大モチーフはレオパード(ヒョウ)、パイソン、ゼブラという“攻め柄”トリオ。服だけではなく、バッグや靴にも登場しています。

 アニマル柄が盛り上がる背景には、1980~90年代ファッションの復活があります。この秋はクラシカルやエレガンスに加え、グラマラスも重要なムードに浮上。着こなし方も“きれいめ×グラマラス”といった、相反するテイストミックスが軸になりそう。クラシカルな雰囲気の服に、アニマル柄のアイテムを引き合わせるだけで、こなれたコーディネートが実現します。

 たとえば、トゥモローランド(TOMORROWLAND)はレオパード柄のワンピースの上から、クラシックな雰囲気のポンチョをオン。ベレー帽と大ぶりイヤリングでレディーな雰囲気を色濃く演出していました。強いイメージのレオパード柄を、シックに昇華するアレンジが今秋冬のトレンドです。

 足元にスパイスを添えるのが、パイソン柄のショートブーツ(写真2枚目)。足元にアニマル柄をワンポイントで迎えれば、ゆるっとした服やシンプル系ファッションでもりりしくキマリます。

 このように、人気セレクトショップで提案されているアニマル柄。セレクトショップ以外にも、さまざまなショップやブランドが展示会で打ち出していました。デザインのバリエーションも豊富なので、幅広い世代に受け入れらそう。なかでもレオパード柄はチェック柄や花柄のような定番モチーフの仲間入りを果たしそうな勢いです。今秋の傾向を早速、確かめていきましょう。

◆気張らないテイストミックスで“こなれ感”演出

 ロンハーマン(RON HERMAN)は、レオパード柄のフェイクファーコートとタイダイ柄カットソーを“柄オン柄”コーデ。切りっぱなしのデニムボトムスでこなれ感を出しています。足元をブーツにするのが今秋流の合わせ方です。

 同じくレオパード柄のフェイクファーコートを用意したのはフリークス ストア(FREAK'S STORE)。ボヘミアンやネイティブアメリカンのテイストミックスコーデです。レオパード柄のおかげでリッチでグラマラスな雰囲気に。

 エストネーション(ESTNATION)は、レオパード柄の大きさや模様が異なるアイテムをいくつも取りそろえました。ゼブラ柄も提案。アニマルモチーフを取り入れながらも、エレガンスに仕上げるアレンジが新鮮です。

◆モノトーン×アニマル柄で、シックにまとめる

 東京コレクション参加ブランドは、さらにひねりを加えています。色味を工夫すると、見慣れたアニマル柄が別の雰囲気を帯びます。たとえば、白と黒のシックなカラートーンを主体にすれば、落ち着きや大人っぽさがアップ。「チノ(CINOH)」はレオパード柄のタイトスカートに、黒ニットトップスと白シャツを引き合わせて、全体をスタイリッシュに見せています。

 「タエ アシダ(TAE ASHIDA)」のレオパード柄ファーコートは、黒のタイトスカートと合わせたことで、コートの量感が引き立ちました。ウエストをキュッと絞ったコートのシルエットもボディーラインのメリハリを際立たせます。足元は黒のショートブーツでエレガントに引き締めました。

◆スポーツやストリートに“アニマルスパイス”投入

 スポーティな服やカジュアルなアイテムにアニマル柄をミックスすれば、軽やかなスタイリングに落とし込むことができます。「ジーユー(GU)」はアニマル柄を“差し色”のような使い方で、アクティブな装いに見せる着こなしを提案しています。

 例えば、スポーツ系のナイロンブルゾンとレオパード柄のミニスカートをコーディネート。適度な“ずれ感”が見慣れたバランスを揺さぶっています。白のアウターを重ねて、全体のトーンを落ち着かせました。

 2枚目はヨガウエア風のスタイリングに、レオパード柄ストールを合わせました。黒と白のミニマルな色使いに、レオパード柄が加わって、一気に動きや華やぎが増しています。巻き物にレオパード柄を生かすと、手軽に秋冬のトレンドムードを取り入れることが可能です。

 アニマル柄は目を引くため、小ぶりサイズのアイテムでも装いのアクセントとしては十分です。パイソン柄のミニポシェットは、ストリートライクなデニムルックに合わせてスパイスを添えています。オーバーサイズ気味のゆるっとしたコーデですが、異彩を放つパイソン柄が全体にパワーを与えています。

 アニマル柄はそれ自体に存在感があるので、たった1点取り入れるだけで、装いに弾みがつきます。夏から秋への乗り換えタイミングで取り入れれば、一足先にトレンドを呼び込めそう。癖の強さが気になるなら、まずは小物から試してみましょう。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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「2030年アパレルの未来 日本企業が半分になる日」は本当にやって来るのか?

 8月1日に渋谷区神宮前のWeWork アイスバーグで開催された、廃棄在庫問題=衣服ロス問題について考え課題解決に取り組むプロジェクト「FOR FASHION FUTURE Project」の第1回イベントに参加してきました。アダストリアが音頭をとり、ファッション業界みんなで上記の課題に取り組むべきだということで集まった方たちが登壇し、この問題についてそれぞれのテーマで語り合っていました。

 第1部は「売るだけじゃない、エシカルなビジネスの可能性」、第2部は「利益追求型ビジネスの先へ。循環型ファッションの可能性」を巡るテーマで、今ファッション業界が考えなければならないトピックスです。スポーツメーカーやアパレル企業、メディアといったさまざまな分野の人たちが熱心に話を聞き、質問をしていました。アダストリアの高橋朗イノベーションラボ部長が話していたように1社ごとの取り組みだけではなく、横のつながりで皆が共に取り組み、業界全体で考えることが必要な時代に差し掛かっているのかもしれません。

 今回のイベント中でもローランド・ベルガー パートナーの福田稔氏と松島倫明「WIRED」日本版(コンデナスト・ジャパン)編集長による第3部の対談「10年後のファッションの満足はこう変わる。テクノロジーがファッション業界にもたらすもの」を特に楽しみにしていました。というのも、ドイツを本拠とする経営戦略コンサルタントの日本法人ローランド・ベルガー パートナーの福田稔氏による今話題の著書「2030年アパレルの未来 日本企業が半分になる日」(東洋経済新報社)を読んでいる最中だったからです。同書にはアパレルの現状、課題、未来像が明快に整理されています。

 福田氏は対談の中で、トレーサビリティー、いわゆる透明性においては、2009年にスタートしたロサンゼルス発「リフォーメーション(REFORMATION)」を一例に話をしていました。同書にも書かれていますが、同ブランドは“サステイナビリティー”をブランドコンセプトにし、商品にはデッドストックや環境に配慮した天然素材を使用し、ECサイトの各商品ページでは、水の使用量やCO2の排出量、原材料の破棄量など、商品ごとにどの程度環境に優しいのかを示した数字を見ることができるということです。商社やOEMメーカーなどの中間業者を介さず、企画、製造、販売、発送までを自社で行うSPA企業で、原材料調達から生産・販売まで一貫したトレーサビリティーを実現しているからこそ可能だとのこと。

 私もブランドができた当初、ニューヨークのショップを見に行ったことがあります。かわいい柄のドレスやシャツが並んでいたのですが、デットストックを使用していることもあり、当時は古着店のような雰囲気だなという印象でした。それからますます進化し、試着したい商品をタッチスクリーンから選択することで、店員と話さずとも気に入った商品を何度も試着できる環境を整えています。「“エシカル”と“テック”を掛け合わせている点が同社の独自性」であると福田氏。気持ちよくショッピングができる環境や商品をスマートに実現している印象です。

 リフォーメーションは7月には英投資ファンドのペルミラ(PERMIRA)に株式の過半数を売却しています。「今回の提携によって国内外の事業をいっそう拡大し、新たなカテゴリーを手掛けることが可能になる」と同社のアフラロ創業者兼CEOは語っています(「WWDJAPAN.com」7月12日の記事から抜粋)。リフォーメーションのような企業はますます注目され、今回のような提携や資金調達などによってさらに成長していくのでしょう。一方で取り残されていく企業も現実としては増えていくのだと思います。

 同書によると、高齢化や人口減少に加え、アパレル支出・単価を抑制するさまざまな要因が存在し、現在9.2兆円の市場は10年間で約1兆円減少し、2030年には8.2兆円というゆるやかな減少となり、人口減だけではなくアパレル支出額が毎年1%減少となる場合には約7.1兆円となり、毎年2%下落した場合は約6.2兆円まで縮小するとのこと。バブル期のピーク時に約15兆円あった国内市場は今9兆円を割り込もうとしているといいます。そうなれば、「日本企業が半分になる日」が来ないと言える理由はないということになります。

 福田氏は同書の中で企業やブランド側が独自性を確立し、さらに多様化する消費者の価値観をとらえ、「価値軸」を持つことの重要性を説いています。国内アパレル産業は今後どう変化し、何をすべきなのか、そして生き残るためのヒントや世界の最先端では何が起こっているのかといった内容まで幅広く触れられており、ここでは書ききれないので、ぜひ手に取ってほしい一冊です。同書や先のイベントを通してあらためて思うのは、環境問題やテクノロジー、AIの進化といった大きな波が国内アパレル企業や産業にもいよいよ押し寄せ、生き残りをかけた待ったなしの状況がやってくる、やってきているということです。

 例えば、マスカスタマイゼーションが進んだら在庫を減らせるかもしれないですが、これまで一定数の生産量を請け負ってきた川上の国内工場はどうなるだろうかなど、さまざまな問題や課題が出てきそうです。そのような業界全体の問題を話し合っていくことの必要性を感じ、またそれらの声を出し合うきっかけをメディアでも作っていかなくてはいけないと実感しました。

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マドンナも「ディオール」も熱視線 アフリカのファッションがアツい

 ビヨンセ(Beyonce)は新曲「スピリット(Spirit)」のMVでセネガルのブランド「トンゴロ(TONGORO)」を着用し、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)はナイジェリア・ラゴスで開催されたアライズ・ファッション・ウイークでキャットウオークを披露した。「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」では南アフリカのテーベ・マググ(Thebe Magugu)「テーベ マググ」デザイナーとナイジェリアのケネス・イズドンモウエン(Kenneth Izedonmwen)「ケネス イズ」デザイナーが2019年ファイナリストに選出された。今まさに、アフリカのファッションが国境を超えて脚光を浴びている。

 特に顕著な変化を見せているのがモロッコ中央部に位置する都市、マラケシュだ。17年にイヴ・サンローラン美術館が開館したこの地では、ファッションやアート、写真、ダンス、音楽をけん引する新たな世代のクリエイターが数多く登場し、ファッションに関するニュースも途切れることがない。

 昨年60歳の誕生日を迎えたマドンナ(Madonna)は自身のポートレートの撮影に、“マラケシュのアンディ・ウォーホル”として知られる芸術家のハッサン・ハッジャージュ(Hassan Hajjaj)とファッションデザイナーのアミーネ・ベンドリウィッチ(Amine Bendriouich)を起用した。07年にユニセックスブランドを立ち上げたベンドリウィッチは「当時は何もなかった。モロッコには4、5人のデザイナーしかおらず、彼らもクチュールか刺しゅうのどちらかの職人だった。どうやって生計を立てるのかとたびたび聞かれたものだった。それから今日になると、写真家、ブロガー、モデルとなる若い子が増えてきた。これはほんの始まりに過ぎないが、マラケシュに根付く美学は非常に力強いのだ」と話す。

 こういった現状にラグジュアリーブランドも注目し始めている。「ディオール(DIOR)」は今年4月に、マラケシュのエルバディ宮殿で20年プレ・スプリング・コレクションを発表した。飛行機2機をチャーターしてゲストを招待し合計110ルックを披露して、同時にアフリカのゲストデザイナーを招いた展示会も開催した。

 コレクションの中心となったのは、職人の技術を用いて伝統的なファブリックを生産するコートジボワールの工場、ユニワックス(UNIWAX)がデザインしたワックスパターンだ。同社のクリエイティブ・ディレクターであるアナベル・オリヴィエ(Annabel Olivier)は、「今回の『ディオール』のコレクションはわれわれがグローバルに販路を広げるチャンスとなった。現状ではアフリカでのみ販売しているが、新しいマシンに投資をし、オンライン販売のウェブサイトも開発している。今後は生地のカスタマイズにも応じられるようになり、これまで手が届かなかった多くの新しい市場が開拓できるだろう」と期待する。

 さらに「ディオール」の親会社であるLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は社内誌でアフリカに関する特集を組んだ。その中でコンサルタントのコラリー・オンバ(Coralie Omgba)は「17年に59億ドル(約6254億円)ほどだったアフリカ大陸のラグジュアリー市場は今後5年間で30%成長する」と予測している。

 「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」でファイナリストに選出された2人のデザイナーもアフリカの勢いに胸を踊らせる。テーべ・マググは3月のパリ・ファッション・ウイークで開催されたカクテルパーティーで、「これまでアフリカのファッションはちょっとしたスパイスを加えるものくらいに見過ごされてきた。しかし今はかなりエキサイティングでバブルのようなことが起きている」と話した。

 同時にファイナリストに選出された「ケネス イズ」のブースでは、ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者と長女のデルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)「ルイ・ヴィトン」エグゼクティブ・バイス・プレジデントが、コレクションで使用した伝統的な布地に興味を示して立ち止まったという。デザイナーのケネス・イズドンモウエンは「夢みたいだった」と語り、「私がドイツのウィーン応用美術大学に留学するという道を選んだのは、これまでアフリカのデザイナーを見たことがなかったからだ。少しずつグローバルなブランドになりつつありとてもうれしい。これが私のしたかったことだ」と続けた。

 「これらは間違いなく素敵な兆候だ」と、「アダマ パリス(ADAMA PARIS)」のデザイナーでありブラック・ファッション・ウイークとダカール・ファッション・ウイークの創始者であるアダマ・ンジャイ(Adama Ndiaye)は言う。「2つのファッション・ウイークのプラットフォームをつくってから17年の月日が経った。数年前までは業界の人に足を運んでもらうことでさえとても苦労していたが、今では全てがとても簡単になった。インターネットがアフリカを世界に開かせたのだ」と続ける。

 9月にパリで開催される次のブラック・ファッション・ウイークでは、南アフリカ、ナイジェリア、セネガル、コートジボワール、モザンビークのデザイナーをフィーチャーする。しかし、問題はまだまだ山積みだ。彼女はダカールに衣料品工場を開設するために投資家を探しているが、金銭的な助成が不十分だという。「私たちはデザイナーを援助するために小さなファンドを設立し、私個人も5万ユーロ(約590万円)を投資した。しかし私はマザー・テレサではない。金銭的な行き詰まりを感じることも多い。政府がインフラを支援し、推進する必要がある」と主張する。

 「ディオール」のショーに協力した西アフリカのブルキナファソ出身のデザイナー、パテオ(Pathe’O)もンジャイの意見を繰り返した。「受賞などを通して認められたデザイナーたちが活躍するために、生産体制を確保し政府の支援を受けることが重要である。そうすればアフリカがこの戦いを制する日は近いだろう」。

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期待の新人グローバルガールズグループ(G)I-DLEを直撃 「作曲から振り付けまで自分たちで行うのが強み」

 韓国のキューブ エンターテインメント(CUBE ENTERTAINMENT)に所属するガールズグループの(G)I-DLE(ジー・アイドゥル)は7月31日にJAPAN 1st mini album「LATATA」を発売し、日本デビューを果たした。また、23日にはショーケースを東京で行い、いち早く日本のファンに新曲を披露した。

 (G)I-DLEは2018年5月に韓国でデビュー。韓国では最多となる新人賞10冠に輝き、デビュー曲の「LATATA」はわずか20日で音楽番組1位を記録。さらに、「LATATA」のミュージックビデオのユーチューブ総再生回数は1億2000万回を記録するなど、デビュー早々から注目を集めてきた。その後、リリースした楽曲「HANN」「Senorita」「Uh-Oh」も1位に輝くなど一躍人気アーティストの仲間入りを果たした。また、ニューヨークでは街中で突然踊り出す演出方法のフラッシュモブを行い、話題に。リーダーのソヨンを中心に作詞や作曲をはじめ、ダンスの振り付けまでを自分たちで全て行う”セルフプロデュースアイドル”として、話題を集めている。そんな彼女たちに、日本デビューに対する思いなどについて聞いた。

WWD(以下、WWD):グループ名の由来とコンセプトは?

ソヨン:(G)I-DLEの名前の由来は、Iが英語のI(私)、韓国語で複数を意味するDLE(-達)を合わせた造語です。個性のある6人のI(私)DLE(達)が集まったという意味を込めています。

ミンニ:グループの強みは、作曲から振り付けまで自分たちで行う、“セルフプロデュース”グループであることです。また、一人一人が強い個性を持っていることもポイントです。

WWD:それではメンバーそれぞれの個性は?

ソヨン:みんなそれぞれの個性を表す言葉を掲げています。例えば私は「カリスマ」。

ミン二:私は「幻想的」。

ミヨン:「清純」。

シュファ:「シック」。

ウギ:「キュート」。

スジン:「セクシー」。

WWD:日本でのデビュー曲「LATATA」のコンセプトや曲に込めた思いは?

ソヨン:デビュー曲の「LATATA」は、皆さんが私たちに引き込まれて、愛さずにはいられないような呪文を唱えている、という内容で作りました。デビューの時の覚悟や意気込みを込めた曲でもあります。

WWD:韓国語バージョンと日本語バージョンではミュージックビデオの雰囲気が違ったが、変更した理由はある?

ソヨン:違いを作ったわけではなく、自然とそうなりました。韓国でミュージックビデオを撮影した時はデビューして間もなかった頃でした。日本語バージョンはそれから一年が経ったときに撮影したもの。私たちもその間変化してきましたし、成長した姿が自然と強調されていると思います。

WWD:カムバックする(曲を出す)たびに音楽スタイルが全く違うが、異なるジャンルに挑戦する理由は?

ソヨン:異なるジャンルを表現しているというよりも、これまで表現してきたもの全てが私たち(ジー・アイドゥル)というジャンルだと考えています。違う姿を見せているというよりは、少しずつ私たちの中にある姿を見せているという感じです。

スジン:これまでホットで情熱的な曲をやってきたのでクールな雰囲気の曲も歌ってみたいです。

WWD:1つの曲が出来上がるまでのプロセスは?

ソヨン:私が曲を書いていますが、その際にチームにプレゼンテーションをして、メンバーたちに意見をもらって一緒にコンセプトを作っています。ミュージックビデオや衣装に対する意見もそこでもらっています。

WWD:衣装やダンス、メイクにも自分たちの意見を入れる?

ソヨン:衣装についてはみんなでアイデアをたくさん出し合います。コンセプトを決める時に衣装はとても大事な役割になるので、そこはしっかり作っています。振付に関しては曲を作る段階でどんな雰囲気でどんなダンスにしたいのかというイメージを持った状態で作っています。メイクやネイルについてはメンバーのスジンから意見を多くもらいます。

スジン:私は美容全般に関心があって、とても好きなので。

WWD:ソヨンさんが作曲を担当しているが、どこからインスピレーションを受ける?

ソヨン:さまざまなところからインスピレーションを得るのですが、メンバーや日頃の出来事、周辺から受けることが多いです。例えば「LATATA」は、韓国のお笑い番組で流行っていた、「ラッタラッタアラッタ」とリズムに乗って言うギャグからインスピレーションを受けました。ほかにも街中を歩いているときなどいろいろな所から着想を得ています。

WWD:メイクやスキンケアのこだわりは?

スジン:リップが好きです。またオイリー肌なのでパウダー製品も必須ですね。

ウギ:チークが好きです。

ミヨン:私はつけまつげに関心があり、最近は下まつげにもしっかりつけています!チークも好きですね。

ミンニ:ステージ上ではメイクが濃いので普段はアイメイクはしません。スキンケアをしっかりしつつナチュラルなメイクが得意です。

ソヨン:私はアイメイクが濃い方ですが、家でもシャドウのパレットを広げてメイクをしています。リップは最近ヌードトーンの物にハマっています。

シュファ:メイクアップより化粧品はスキンケアが大切だと考えています。

WWD:シュファさんのスキンケアのこだわりは?

シュファ:化粧品やローション、パック、ミストを毎日使っています。中でもミストは必ず持ち歩いてますね。

WWD:ニューヨークでのフラッシュモブなど話題はつきないが、韓国でデビューして以来、世界からの反響は?

ソヨン:主に韓国でしかまだ活動していませんが、ありがたいことに世界各国から反響があり、皆さんに本当に感謝しています。NEVERLAND(ファンの総称)の皆さんにはほとんど韓国でしかお会いできておらず、早く世界各地のNEVERLANDたちの皆さんに会いたいです。中々直接お会いできずに申し訳なく思います。

WWD:今、世界的なK-POPブームで、たくさんのグループの中で勝ち抜くための意気込みや考えは?

ミヨン:いろいろなグループがいますが、私たちの持っている個性や、やりたい音楽をやり続ける意思を忘れないようにしています。ファンの方々はそんな姿を応援してくださっているのではないかと思っています。

WWD:デビューから約1年の間で皆さんがどのように成長した?

ソヨン:デビュー当時の緊張が少しほぐれ、ステージ上でも自然体で居られるようになりました。最初はファンの方にお会いしても少しぎこちなくて上手くコミュニケーションを取ることが出来ませんでした。応援にどのように受け止めて答えて良いかよく分かりませんでしたが、最近はより積極的にファンの方とコミュニケーションを取ることが出来るようになりました。

WWD:最後に日本デビューの意気込みを教えてください。

ソヨン:日本デビューすることで日本のNEVERLANDの方にお会いできるようになるわけですが、韓国にいる時も、日本のNEVERLANDの皆さんはファンサイン会に来てくださる方もいました。日本でも少しずつ私たちのことを好きになって頂けているんだなと実感しました。ようやく日本デビューすることが決まり、そのために一生懸命準備してきたので皆さんに良い姿をお見せできるように頑張ります。

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期待の新人グローバルガールズグループ(G)I-DLEを直撃 「作曲から振り付けまで自分たちで行うのが強み」

 韓国のキューブ エンターテインメント(CUBE ENTERTAINMENT)に所属するガールズグループの(G)I-DLE(ジー・アイドゥル)は7月31日にJAPAN 1st mini album「LATATA」を発売し、日本デビューを果たした。また、23日にはショーケースを東京で行い、いち早く日本のファンに新曲を披露した。

 (G)I-DLEは2018年5月に韓国でデビュー。韓国では最多となる新人賞10冠に輝き、デビュー曲の「LATATA」はわずか20日で音楽番組1位を記録。さらに、「LATATA」のミュージックビデオのユーチューブ総再生回数は1億2000万回を記録するなど、デビュー早々から注目を集めてきた。その後、リリースした楽曲「HANN」「Senorita」「Uh-Oh」も1位に輝くなど一躍人気アーティストの仲間入りを果たした。また、ニューヨークでは街中で突然踊り出す演出方法のフラッシュモブを行い、話題に。リーダーのソヨンを中心に作詞や作曲をはじめ、ダンスの振り付けまでを自分たちで全て行う”セルフプロデュースアイドル”として、話題を集めている。そんな彼女たちに、日本デビューに対する思いなどについて聞いた。

WWD(以下、WWD):グループ名の由来とコンセプトは?

ソヨン:(G)I-DLEの名前の由来は、Iが英語のI(私)、韓国語で複数を意味するDLE(-達)を合わせた造語です。個性のある6人のI(私)DLE(達)が集まったという意味を込めています。

ミンニ:グループの強みは、作曲から振り付けまで自分たちで行う、“セルフプロデュース”グループであることです。また、一人一人が強い個性を持っていることもポイントです。

WWD:それではメンバーそれぞれの個性は?

ソヨン:みんなそれぞれの個性を表す言葉を掲げています。例えば私は「カリスマ」。

ミン二:私は「幻想的」。

ミヨン:「清純」。

シュファ:「シック」。

ウギ:「キュート」。

スジン:「セクシー」。

WWD:日本でのデビュー曲「LATATA」のコンセプトや曲に込めた思いは?

ソヨン:デビュー曲の「LATATA」は、皆さんが私たちに引き込まれて、愛さずにはいられないような呪文を唱えている、という内容で作りました。デビューの時の覚悟や意気込みを込めた曲でもあります。

WWD:韓国語バージョンと日本語バージョンではミュージックビデオの雰囲気が違ったが、変更した理由はある?

ソヨン:違いを作ったわけではなく、自然とそうなりました。韓国でミュージックビデオを撮影した時はデビューして間もなかった頃でした。日本語バージョンはそれから一年が経ったときに撮影したもの。私たちもその間変化してきましたし、成長した姿が自然と強調されていると思います。

WWD:カムバックする(曲を出す)たびに音楽スタイルが全く違うが、異なるジャンルに挑戦する理由は?

ソヨン:異なるジャンルを表現しているというよりも、これまで表現してきたもの全てが私たち(ジー・アイドゥル)というジャンルだと考えています。違う姿を見せているというよりは、少しずつ私たちの中にある姿を見せているという感じです。

スジン:これまでホットで情熱的な曲をやってきたのでクールな雰囲気の曲も歌ってみたいです。

WWD:1つの曲が出来上がるまでのプロセスは?

ソヨン:私が曲を書いていますが、その際にチームにプレゼンテーションをして、メンバーたちに意見をもらって一緒にコンセプトを作っています。ミュージックビデオや衣装に対する意見もそこでもらっています。

WWD:衣装やダンス、メイクにも自分たちの意見を入れる?

ソヨン:衣装についてはみんなでアイデアをたくさん出し合います。コンセプトを決める時に衣装はとても大事な役割になるので、そこはしっかり作っています。振付に関しては曲を作る段階でどんな雰囲気でどんなダンスにしたいのかというイメージを持った状態で作っています。メイクやネイルについてはメンバーのスジンから意見を多くもらいます。

スジン:私は美容全般に関心があって、とても好きなので。

WWD:ソヨンさんが作曲を担当しているが、どこからインスピレーションを受ける?

ソヨン:さまざまなところからインスピレーションを得るのですが、メンバーや日頃の出来事、周辺から受けることが多いです。例えば「LATATA」は、韓国のお笑い番組で流行っていた、「ラッタラッタアラッタ」とリズムに乗って言うギャグからインスピレーションを受けました。ほかにも街中を歩いているときなどいろいろな所から着想を得ています。

WWD:メイクやスキンケアのこだわりは?

スジン:リップが好きです。またオイリー肌なのでパウダー製品も必須ですね。

ウギ:チークが好きです。

ミヨン:私はつけまつげに関心があり、最近は下まつげにもしっかりつけています!チークも好きですね。

ミンニ:ステージ上ではメイクが濃いので普段はアイメイクはしません。スキンケアをしっかりしつつナチュラルなメイクが得意です。

ソヨン:私はアイメイクが濃い方ですが、家でもシャドウのパレットを広げてメイクをしています。リップは最近ヌードトーンの物にハマっています。

シュファ:メイクアップより化粧品はスキンケアが大切だと考えています。

WWD:シュファさんのスキンケアのこだわりは?

シュファ:化粧品やローション、パック、ミストを毎日使っています。中でもミストは必ず持ち歩いてますね。

WWD:ニューヨークでのフラッシュモブなど話題はつきないが、韓国でデビューして以来、世界からの反響は?

ソヨン:主に韓国でしかまだ活動していませんが、ありがたいことに世界各国から反響があり、皆さんに本当に感謝しています。NEVERLAND(ファンの総称)の皆さんにはほとんど韓国でしかお会いできておらず、早く世界各地のNEVERLANDたちの皆さんに会いたいです。中々直接お会いできずに申し訳なく思います。

WWD:今、世界的なK-POPブームで、たくさんのグループの中で勝ち抜くための意気込みや考えは?

ミヨン:いろいろなグループがいますが、私たちの持っている個性や、やりたい音楽をやり続ける意思を忘れないようにしています。ファンの方々はそんな姿を応援してくださっているのではないかと思っています。

WWD:デビューから約1年の間で皆さんがどのように成長した?

ソヨン:デビュー当時の緊張が少しほぐれ、ステージ上でも自然体で居られるようになりました。最初はファンの方にお会いしても少しぎこちなくて上手くコミュニケーションを取ることが出来ませんでした。応援にどのように受け止めて答えて良いかよく分かりませんでしたが、最近はより積極的にファンの方とコミュニケーションを取ることが出来るようになりました。

WWD:最後に日本デビューの意気込みを教えてください。

ソヨン:日本デビューすることで日本のNEVERLANDの方にお会いできるようになるわけですが、韓国にいる時も、日本のNEVERLANDの皆さんはファンサイン会に来てくださる方もいました。日本でも少しずつ私たちのことを好きになって頂けているんだなと実感しました。ようやく日本デビューすることが決まり、そのために一生懸命準備してきたので皆さんに良い姿をお見せできるように頑張ります。

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15秒動画で見る2019-20年秋冬パリコレのハイライト 「ギャルソン」、「サカイ」、「アンリアレイジ」

 2019-20年秋冬ウィメンズ・コレクションの取材時にSNS用に撮影した15秒動画の中から、“いいね”をたくさんもらったものと、個人的に“これは見てほしい”ものを集めました。後編はパリから。

「コム デ ギャルソン」のショーはパリコレでも異質な時間

 「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」のショーには独特の張り詰めた空気があります。そして誤解を恐れつつお伝えすると、ショーが始まる直前の緊張感がピークに達する静寂の中で会場を見渡すと、微笑ましい気持ちになります。なぜなら、「大の大人が世界中から集まり、“フツウ”じゃない服を極めて真剣に見ようと居住まいを正している」から。とかくビジネス視点になりがちな最近のパリコレですが、この場では大人たちが自分の仕事の原点に立ち返り、川久保さんからのメッセージを受け取ろうと神経を研ぎ澄ませている……。大御所と呼ばれる客席の大人たちの表情に少年・少女の面影を見るから微笑ましく、うれしくなります。それはパリコレの中でも異質な時間なのです。

知ってもらいたいブランド
「Yプロジェクト」

 こちらは単純に見て知ってもらいたいブランドとしてピックアップしました。「Yプロジェクト(Y.PROJECT)」です。グレン・マーティンス(Glenn Martens)がデザインする服はクチュールやストリート、スポーツなどいろいろな要素が混在しています。建築をバックグラウンドに持つデザイナーだからか、アンバランスとギリギリのところでバランスをとっていると言いましょうか、絶対倒れない支柱がある感じが魅力です。

「アンリアレイジ」の森永デザイナー、アルノーCEOに説明をする

 「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」の2019年のファイナリストによる公開プレゼンテーションの場で、「アンリアレイジ(ANLEARAGE)」の森永邦彦デザイナーがベルナール・アルノーLVMH会長兼最高経営責任者(CEO)に説明をする様子です。後ろ姿の女性は、デルフィーヌ・アルノー=ルイ・ヴィトン エグゼクティブ・バイス・プレジデント。残念ながら映っていませんがその隣にはトッズ グループのディエゴ・デ・ラ・ヴァッレ会長兼CEOもいます。彼らは森永デザイナーの説明に納得した様子です。世界のより多くの人に自分のデザインを伝えるためには、いいモノを作って見せるだけではなく、それを英語で端的に説明できることが重要。それがよくわかるシーンです。

「ロエベ」の黒光りする
ヘリンボーンの床

 見ていただきたいのは、床です。この会場は「ロエベ(LOEWE)」がいつも使用するユネスコ本部で、ショーのためにヘリンボーン風に装飾しています。恐らくシートを張っているのでしょうが、あたかも最初からこの床であるかのようなリアルさです。ヨーロッパの古い肖像画に着想を得た今季の「ロエベ」のイメージに合っていますね。10数分間のショーのためにここまで徹底するの、さすがです。

「ヨウジヤマモト」の黒い服を着て歩く女性たち

 このショーを見た後、5月に放映されたNHK BSの「ヨウジヤマモト~時空を超える黒~」を見て驚きました。番組では1980年代前半の「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」のショーの映像が使われていたのですが、今季のシーンとそっくりなのです。ゆったり目の黒い服を着た手ぶらの女性が数人で歩いてくる、というシーンです。もちろん、素材もカッティングも進化をしているのでしょうが、軸となるスタイルは40年近い時を経ても変わらず今見ても新鮮です。正直その変わらなさが古びて見えた時期(約10年前)もあったけど、今はふたたび新鮮に見えます。その違いはどこからくるのか。服に吹き込まれるエネルギーとしか思えません。

「バレンシアガ」のとてつもなく
広いランウエイ

 ランウエイが広い、とてつもなく広い!ということを見ていただきたい「バレンシアガ(BALENCIAGA)」の動画です。贅沢にスペースを使いつつすがすがしいほど何もない空間です。とはいえ、このライティングには相当お金がかかっていそうですね。

「サカイ」でビヨンセがかかり、
テンションがアップ!

 「サカイ(SACAI)」のフィナーレでビヨンセ(Beyonce)の「クレイジー・イン・ラブ」がかかりテンションが上がりました。ビヨンセで思い出すのは、米国の名物司会者、オプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)の番組が2011年に終了する際に見せた「ラン・トゥ・ザ・ワールド」のステージです。ユーチューブで見られますのでぜひ。冒頭のビヨンセのメッセージにパワーをもらうこと間違いないです。そして女性を元気づける感じが「サカイ」の存在とつながります。

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「エルメス」出身の日本人デザイナーによる新ブランド「アルルナータ」 伝統工芸を織り込む“特別な日常着”

 装いを通して日本の伝統工芸の新たな価値を発信するブランドが誕生した。デザイナーの寺西俊輔(40)が立ち上げた「アルルナータ(ARLNATA)」だ。彼は京都大学建築学科を卒業後、「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」で生産管理やパタンナーを経てミラノへと渡った。代々受け継ぐ高いテーラーリング技術を背景に構築的なラインを作り出してきた「キャロル クリスチャン ポエル(CAROL CHRISTIAN POELL)」でチーフパタンナーを務め、「アニオナ(AGNONA)」でステファノ・ピラーティ(Stefano Pirati)専属の3Dデザイナー(立体的な形でデザインを描き、パタンナーとデザイナーを兼任するような職種)として経験を積んだ後、「エルメス(HERMES)」から声がかかった。パリへと移り、ウィメンズのプレタポルテの3Dデザイナーとして働いた後、2018年末に帰国して「アルルナータ」を始動した。

ひと目で心奪われた伝統美

 世界でもトップクラスの高級メゾンで経験を積んだ彼が行き着いたのは、日本の着物の世界だった。きっかけは、パリで開催されるファッション素材見本市「プルミエール・ヴィジョン(PREMIERE VISION、以下PV)」で出合った、紬織物の牛首紬(うしくびつむぎ)だという。「ひと目見て、並外れた色彩の美しさにほれ込んだ。『PV』に多くの出展者がいる中で、牛首紬のブースは色のセンスが抜群で目を引いた」と寺西デザイナーは振り返る。牛首紬は12世紀ごろに石川県の白山市で誕生した絹織物で、2匹の蚕によって生まれる希少な玉繭から紡がれる。彼は反物に特別親しみがあったわけではないが、一目ぼれした牛首紬について詳しく調べ始め、実際に石川の白山工房を訪れた。オリジナルの反物を作る段階で色見本を送り、後日工房から送られてきたサンプルは、一般の人が見ればほとんど色の違いを認識できないほど絶妙な色合いの4種類だったという。「牛首紬を作る職人は、類を見ない繊細な色彩感覚を持つ人々だと、サンプルを見た時に確信した。海外で『日本人は色使いがへた』と言われるが、決してそんなことはない。長きにわたり反物を作ってきた職人には、膨大なアーカイブとともに色彩感覚が養われ続けているから」と寺西デザイナー。

「伝統技術を未来に伝えたい」

 筆者は7月末に催された「アルルナータ」の2回目となる受注会へと足を運んだ。展示されたコレクションは、60万円~のエクスクルーシブなラインと、5~30万円のプレタポルテのラインに分かれている。寺西デザイナーは牛首紬だけでなく、鹿児島県奄美大島の伝統工芸品で、精緻な柄に泥染された絣糸を手織りする大島紬、真綿から手で糸を紡ぎ出して独特の柔らかさを引き出す、国の重要無形文化財に指定されている茨城県の結城紬といった、日本三大紬と称される反物を職人とともにオリジナルで制作したという。牛首紬で仕立てたコートは、実際に着用すると驚くほど軽い。エクスクルーシブの製品は特に“職人との共同作品”という思いから、タグにブランド名と工芸品名や産地、シリアルナンバーが刻まれる。「けっして気軽に購入できる価格帯ではないが、職人の手間暇や貴重性を考慮すると適正である。まずは多くの人に触れてもらい、『牛首紬って何だろう?』『大島ってどこ?』など興味を持ってもらうことが、最初のステップだと考えている」。襟裏や袖口に異なる生地を使ってデザインに特徴をつけたり、アームホールが真っ直ぐに見えるように裁断したりすることで着物のような直線的なシルエットを描くロングベストなど、寺西デザイナーが培ってきたパターンやデザインの技術もディテールに生かされている。

 プレタポルテのラインにも上質な伝統工芸の技が光る。手絣染めした糸を使う、丹後で伝承される工芸品の手絣リボン織りや、貝殻を糸として布地に織り込む螺鈿織り、しぼ取り板で手もみ作業により作り出される近江ちぢみ麻など数百年間伝承されてきた技法が日常着の中に織り上げられている。筆者が訪れたとき会場は盛況で、オーダーをする人やその場で購入する人も見られた。「“特別な日常着”として主に30~50代をターゲットにしている。どれも大量生産できる品ではないが、伝統技術を未来へ伝承し、認知されるようにしていくためにも売り上げを伸ばしていきたい」と寺西デザイナー。「伝統技術を現代のライフスタイルに合わせることで新たな価値を発信し、作り手・職人・消費者など『アルルナータ』に関わる全ての人々とともにブランドを育てていく」。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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ファッション通信簿Vol.27 2019年BETアワード授賞式の出席者たちを米「WWD」がぶった切る

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第27回は、ロサンゼルスで行われた2019年BETアワード授賞式からメアリー・J・ブライジ(Mary J. Blige)、リック・ロス(Rick Ross)、ブラック・チャイナ(Blac Chyna)、リル・ナズ・X(Lil Nas X)、オフセット(Offset)、アンダーソン・パーク(Anderson .Paak)、シアラ(Ciara)、ヤラ・シャヒディ(Yara Shahidi)の8人が登場。ブラックミュージックの祭典でのベスト評価は誰の手に?!

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週末お出掛けスポット ポーランド女性作家たちの映像表現に注目した展覧会などアート5選

 週末にオシャレして出掛けたいアートスポットをお届け。今週は、ポーランド女性作家たちの映像表現に注目した展覧会や卓球ができる「デパート卓球」展など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(8月17、18日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【開催中イベント】

「イザベル マラン」出身の日本人デザイナーによる新ブランド 伊勢丹とミッドウエストでイベント

テラハ出身デザイナーのエビアン 全国5都市を巡回するポップアップで接客

ミキモトで「クラフツマンの感性」展 約1万個の真珠やジュエリーの数々を展示し制作の裏側を公開

野村訓市が企画した写真展がGYRE GALLERYで開催 20〜40代を代表するファッションフォトグラファーが参加

アーティストのジェームス・ジャービスが4年ぶりの新作展を開催

「リーボック」が「レブロン」とフィットネス女子応援キャンペーンを実施

眼鏡「フォーナインズ」がフォトコンテスト開催 テーマは“アクティブな夏”

「ブルガリ」と「ドン ペリニヨン」のマリアージュ ブルガリ銀座タワーの最上階に

「リモワ」がストリート誌と企画展 過去のアーカイブからアーティストの作品まで

「MCM」がサステナをテーマに展示会開催 未使用バッグをドレスにアップサイクル

松屋銀座が「美しくなるビアガーデン」開催 今年もクロスフィットトレーナーAYAとコラボ

【開催中ポップアップ】

「アクリス」がバッグにフォーカスした期間限定店 空港をイメージした空間

ラブレス青山で古着のラグタグがポップアップ 佐々木拓真選りすぐりのビンテージウエアを販売

ビートたけしプロデュースの「キタノブルー」が初ポップアップストアをオープン

伊勢丹の今夏の浴衣展開がスタート 西内まりやとのコラボ品と販促ムービーで多様な着用シーン喚起

眼鏡ブランド「アヤメ」が263日間のポップアップストア 直営店オープンの布石

オーガニックブランド「ラ・ブルケット」が関西で初のポップアップストア

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東京とアフリカの架け橋に! 学生と社会人で作るファッションショーの現在地

 アフリカの魅力を、日本の若い女性にもっともっと知ってもらいたい――。そのような思いを胸に学生と社会人有志が地道に続けてきたファッションショー「東京アフリカコレクション(TOKYO AFRICA COLLECTION)」が、今年も東京・有楽町の有楽町朝日ホールで9月1日に開催される。

 2016年にスタートした同イベントは、ありのままのアフリカの衣装や音楽を見せるのではなく、現地の絶景をデザインに落とし込んだ服やアフリカ音楽をミックスしたBGMなど、全てオリジナルコンテンツで構成。人気読者モデルにランウエイを歩かせるなどキャッチーに訴求してきた。

 実行委員会は社会人・学生約100人。これまでの3回のショーで計1000人以上を動員し、ファンも着実についてきた。今年は女優の秋元才加をショーディレクターに迎え、ルワンダのファッションショー「キガリ ファッション ウィーク(KIGALI FASHION WEEK)」と連携してアフリカ各国の有力デザイナーも招聘するなど、さらに内容に磨きを掛けた。「キャッチーなコンテンツだけでなく、本物のアフリカンファッションも見せる。今回は本格的なファッションショーとして大きくスケールアップする」と菅生零王・東京アフリカコレクション実行委員長は自信を見せる。

 アフリカといえば飢餓や紛争といったイメージが先行するものの、近年は人口増や所得の向上を背景に経済成長を続け、アパレルビジネスにとって可能性に満ちた市場でもある。「このショーを東京、ゆくゆくはアジアとアフリカのアパレルビジネスをつなぐプラットフォームにしたい」という実行委の幹部3人に、将来の展望を聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):まず、東京アフリカコレクションの組織構成から教えて下さい。

菅生零王東京アフリカコレクション代表(以下、菅生):現在、実行委は社会人が10人程度、残りのほとんどを学生が占めています。代表の僕も、普段は外資系の消費財メーカーでシンガポール勤務の会社員として働いています。合間をぬってアフリカに赴き、現地のファッションの情報を得たりショーのスポンターを取り付けたりと、忙しく動き回っています。限られた時間の中でショーの会議に顔を出し、現地で見聞きした情報を日本の仲間にフィードバックしています。最近は、休みのほとんどをショーのために費していますね。

三瓶聖奈東京アフリカコレクション広報アドバイザー(以下、三瓶):同じく、私も社会人との二足のわらじを履いています。普段は人材系会社に勤務していて、こちらでは主にPRを担当しています。

立澤直也東京アフリカコレクション企画演出統括・早稲田大4年(以下、立澤):渉外は社会人の皆さんにお願いして、僕たち学生は等身大の若い女の子たちに訴求すべく、コンテンツ作りに専念しています。あれこれとアイデアを出し合い、社会人の知見も借りながら、きちんと訴求できるようショーとしてパッケージ化していきます。当日の運営も、僕たちが主体となって回しています。

WWD:「東京アフリカコレクション」がどのような経緯で生まれたのか教えて下さい。

菅生:政治や飢餓の問題などアカデミックなテーマを入り口に、アフリカ支援に興味を持った数人の大学生メンバーが集まったのが始まりです。研究を進めていくうち、大量生産・大量消費とは縁のないアフリカの国々には、面白い服飾文化も根付いていることが分かりました。たとえばルワンダという国には、着る服をテーラーで仕立ててもらうという習慣があります。最初はルワンダのテーラーと日本の若い女性をつなげて現地発のブランドを作ってみようというところから、「アフリカのファッションを日本に伝える場を設けられたらどうか」と話が広がり、「東京アフリカコレクション」の構想が立ち上がりました。

WWD:アフリカの服の魅力とは、どういったところでしょうか?

菅生:目につきやすいのは、やはりヨーロッパやアジアの服にはない独特な素材や色使いですよね。しかし、同じくらい注目してほしいと思うのは、服の背景にある深いストーリーです。アフリカでは、本当にさまざまなバックグラウンドを持っている方々に出会います。例えば内戦で片足を失ったデザイナーは、自身のブランドのモチーフを“盾”にして、「暴力に負けない」という強い意思を表現しています。ファーストルックには顔に大きなやけどを負ったファッションモデルを起用していて、モデル本人も決してそれを隠そうとはせず堂々としています。欧米のファッションシーンにおいても、多様な背景を持つモデルを起用するなどダイバーシティーが主流になってきています。ですが、アフリカで服作りをする人々にとっては自分ごとなのです。それが他にないバックボーンの強さを生み出しています。

WWD:アフリカの服にはそういった魅力があるにも関わらず、なぜ、自分たちで一から服を作っているのですか?

三瓶:アフリカへの知識があまりないまま実行委に入った私の目線だと、いくら思いが込もった服でも、第一印象で「かわいい」と思わなければ女の子は興味を持ってくれないと思ったんです。

菅生:そこで僕たちは、必ずしも初めからアフリカで作られた服を見せる必要はないと考えました。むしろ最初は、“最もアフリカらしくないアフリカ”を服で表現していこうと決めたのです。

“最もアフリカらしくないアフリカ”が出発点

WWD:“アフリカらしくない”というと?

立澤:記者さんはアフリカと言われて、まずどんな風景を思い浮かべますか?飢餓や貧困、内戦、混乱…。そういったネガティブなイメージではないでしょうか。この写真を見てください。

WWD:すごくキレイな景色ですね。まるでヨーロッパの町並みみたいです。

立澤:これは南アフリカの風景です。ボカーブという街では、かつて奴隷として連れてこられたマレー系の人々が、今は自分たちの自由の象徴として色鮮やかな街並みを作りだしています。ちなみに南アフリカはビーチもとてもきれいで、ヨーロッパの人々にはバカンスの滞在先としても親しまれているんですよ。

菅生:多面的に見れば、アフリカは他にもさまざまな魅力がある場所です。メディアを通じて多くの情報が手に入るようになった一方、相変わらずアフリカは限られた側面ばかりが切り取られ、日本人の間ではネガティブなイメージがますます強くなっています。そういった意味での“アフリカらしさ”をきれいさっぱり捨て、アフリカの美しい景色や絶景といったポジティブで「意外」な要素を服に落とし込むことで、興味を持ってもらえないかと考えました。

秋元才加がショーディレクション アフリカのデザイナーも招聘

WWD:2回目以降は、ショーをどのようにアップデートしたのですか?

菅生:次のステップは、日本の若い女の子に「着たい」と思ってもらうことでした。日本の美術学生や若いデザイナーに依頼して、日本の女の子の春服や女子高生の制服をアフリカのテキスタイルで作ったところ、新鮮なルックスがとても評判でした。合間には「アフリカ音楽×バブリーダンス」のような時流を捉えたコンテンツも取り入れ、ショーとして幅が出せてきました。

WWD:今年はどうする?

菅生:今までのようなキャッチーさに加えて、コンテンツに厚みを出し、観衆のアフリカへの興味を深堀りしていきます。目玉として、女優の秋元才加さんがディレクションするスペシャルショーがあります。秋元さんには実際にアフリカに足を運んでもらい、そこで五感で感じたものを着想源にショーのコンセプトを考えていただきました。

三瓶:ルワンダの首都キガリで開かれるファッションショー「キガリ ファッション ウィーク」との連携を取り付けることもできました。今回は現地のモデルが、現地のデザイナーの手掛けた服をまとって登場します。

WWD:今後の展望は?

三瓶:ショーのスケールアップに伴い、バックアップも必要になってきました。今年の始めには本気度を示すために実行委を法人化しました。年1回のショーだけでなく、アフリカの音楽を使った盆踊り大会のようなユニークな企画を仕掛け、タッチポイントを増やしてきました。今回のショーでは国際協力機構(JICA)、アフリカ各国の大使館に加えてエチオピア空港の後援もいただくことができました。

菅生:将来的には、アジアとアフリカをつなぐプラットフォームになりたいと思っています。僕らのショーを媒介に、双方のデザイナーや企業に新しいビジネスチャンスが芽生えればいい。足元では、僕らのショーで高評価を受けたデザイナーが、アフリカ最大のファッションショー「サウスアフリカン ファッション ウィーク(SOUTH AFRICAN FASHON WEEK)」へ出展できるパイプが構築されつつあります。ケニアの首都ナイロビで、僕たちのショーをやらないかという話も舞い込みました。さらに東南アジアの企業と組んで、東京とアフリカの魅力を掛け合わせた新事業を立ち上げるというプロジェクトも進行中です。そんな新しいシナジーをこれからも地道に作っていきたいと考えています。

立澤:とにかくまずは、9月1日のショーに来てほしい。僕たちがやっていることが学生感覚の延長ではない、本気のショーであることをその目で確かめていただきたいです。

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二つの悩みを同時に解決 手に取りやすさが魅力のヘアケア

「バランスケアライン」と
「スリークオイル」が誕生

 プロフェッショナルヘアメーカーのナプラはヘアケアシリーズ「ナシード」から、「バランスケアライン」と「スリークオイル」を8月下旬に発売する。「バランスケアライン」は天然由来成分配合で潤いのある髪へと導く、既存の「エイジングケアライン」と「カラーケアライン」両方の良い部分をバランスよく処方したシャンプーとトリートメントをそろえる。複合化する悩みに対して何を選んだらよいのかわかないという消費者の声に応えるためにカラーダメージにもエイジングヘアにも対応できるラインだ。洗い流さないオイルトリートメント「スリークオイル」は軟毛の人でも使いやすいテクスチャーが特徴だ。複数の悩みが1つのラインで解決できることで、消費者のニーズを満たすと同時に店販品(美容室で販売するヘアケアをはじめとする商品)としての提案のしやすさにも注目だ。

「バランスケアライン」の誕生で
ラインアップが増え
より提案しやすくなる

 「ナシード」を導入している田中衛「ノラ ヘアサロン(NORA HAIR SALON)」「ノラ ジャーニー(NORA JOURNEY)」総代表は次のように話す。「ヘアケアに関しては髪質に合ったものを長期的に継続して使ってもらいたい。一番髪質を分かっているのは美容師。髪の毛が傷んでいることをきちんと伝えることも美容師の大切な役目。担当するうえで、いつも使っているものよりもいいものを提案したい。美容師によるカウンセリングによって、自分に合ったヘアケアに出合うことができるのが店販品の魅力。「ナシード」の既存ラインはきちんと髪に有効な成分が配合されている上で価格帯も手に取りやすく薦めやすい。お試しセットを使った後、元のヘアケアに戻ったときにきちんと違いがわかる。今回『バランスケアライン』が発売となることで提案の幅が広がる。カラーにもエイジングにも対応し、デイリーに使うことができるので、店販品を使用したことがない人のきっかけとなることを期待している」

美容のスペシャリストの
「バランスケアライン」の使い心地は?

オジョンオイルやリンゴ幹細胞など
注目成分を配合

 「ナシード」シリーズの共通成分である2種類の植物シードオイルと7種類のオーガニックハーブエキスに加え「バランスケアライン」では、蓄積したダメージを補修して柔らかさと艶を与えるオジョンオイルや、ハリコシ、艶を与えるエルカラクトン、保湿効果のあるリンゴ幹細胞などを配合する。洗い流さないオイルトリートメント「スリークオイル」にもオジョンオイルを配合。水のようにサラッと軽く、軟毛の人でも使いやすいテクスチャーが特徴だ。

PHOTO : KOUICHI IMAI

問い合わせ先
ナプラ
0120-189-720

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15秒動画で見る2019-20年秋冬ミラノコレのハイライト 「グッチ」「フェンディ」「プラダ」ほか

 2019-20年秋冬ウィメンズ・コレクションの取材時にSNS用に撮影した15秒動画の中から、“いいね”をたくさんもらったものと、個人的に“これは見てほしい”ものを集めました。前編はミラノとロンドンからお届けします。

「グッチ」の中にはあなたの分身がきっと見つかる

 雑誌「ムー」的なタイトルになりましたが、これは本当です(笑)。「グッチ(GUCCI)」のフィナーレには、100人近いメンズとウィメンズのモデルが登場し、じっくり見ると“やだ、これ私だ”と思うルックが見つかります。現在の「グッチ」は派手なイメージがありますが、それはひとつの面にすぎないのです。メガネで表情を隠してうつむき加減に歩くモデル、生真面目な女学生みたいなモデルなど多種多様なプライドを持った人格が見つかります。手の届かない憧れの世界ではなく、自分を投影できる大きな器をつくっているのが今の「グッチ」なんですよね。あなたの分身、見つかりますか?

「フェンディ」で聴いたカールの声は優しかった

 「フェンディ(FENDI)」のエンディングで流れたのは、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)の優しい声でした。ショーが開かれたのは、カールの訃報から2日後のことです。2015年に「フェンディ」とカールのコラボレーション50年を祝して撮影されたものだそうです。1965年に初めて「フェンディ」に出社した日の自分の姿をデッサンで解説しています。後に“大帝”と呼ばれる人が30代前半で異国の地で仕事を始めた日のことです。自分は転職後の初日にどんな服をどんな理由で選んだのだっけ?カールの死から半年が過ぎた今、あらためてこの映像を見て考えました。ファッションは人生と密接ですね。そんなことも思い出させてくれたカール、ありがとう。

伊版キラキラ女子が集まる「MSGM」の最前列から
パワーをもらう

 「MSGM」のショーが始まる直前の様子です。ミラノコレの中で一番、“キラキラした”おしゃれな女子が集まるのがこのショーです。カラフルな服と髪の色!皆、自信に満ちていて、対面の客席までエネルギーが飛んできます。彼女たちのショーへの期待度が伝わってきますね。

じっくりと「プラダ」の一着を観察

 短い動画なので瞬きせずにご覧ください。「プラダ(PRADA)」のミラノの展示会で撮影しました。360°どの角度から見てもきれいなパターンやディテールだな、と思ったからです。有名ブランドを有名たらしめるのはショーや広告やSNSといったプロモーションの力だけではなく、こういったモノ作りにあるのですよね。と真面目に考え、顔を知らないパタンナーさんに心の中で敬服しました。

タイプライターの音だけが響き渡る奇妙な記者会見

 ニューヨークのメトロポリタン美術館が、現在開催中の展覧会「キャンプ:ファッションについてのノート(Camp: Notes on Fashion)」の記者会見をミラノのジェロラモ劇場で開きました。その冒頭の様子がこちらです。スクリーンに映し出されたのは、米国の批評家スーザン・ソンタグ(Susan Sontag)が1964年に発表したエッセイ「キャンプについてのノート」の一説。タイプの音が長時間鳴り響き、記者たちはスクリーンの文字をひたすら目で追うというシュールな時間でした。ある意味展覧会のテーマにぴったりな演出ですが、途中で “まさか、この無言の時間共有で会見は終わり!?”と不安に。もちろん続きはあり、同美術館の理事でもあるアナ・ウィンター(Anna Wintour)米「ヴォーグ(VOGUE)」編集長、「グッチ」のアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)=クリエイティブ・ディレクター、同美術館のアンドリュー・ボルトン(Andrew Bolton)衣装研究所キュレーターの3人が登場して話をしたのでした。

「モンクレール ジーニアス」の
プレゼンでローマに浸る

 ミラノの初日に大型のプレゼンテーションを行うのが定番となっている「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」。その中からこちらは「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli )が手掛ける“1 モンクレール ピエールパオロ・ピッチョーリ”。この音楽とともに見ていただきたくピックアップしました。ローマへトリップ!

ミーハーはファッションの基本と「モスキーノ」が教えてくれる

 日本の若いデザイナーはポップなものやメジャーなものを“ダサい”と遠ざけがちですが、その真逆のスタンスと言えるのが「モスキーノ(MOSCHINO)」です。多くの国に共通する要素(過去には洗車場など)を演出に入れてわかりやすく、ポップ&ミーハーなノリで、笑いをとりにくるサービス精神つきです。今回は通販番組をパロディー化した演出で、モデルは大きなターンテーブルの上で健康器具を使って運動を続けておりました。振り切っていて好きです。

おまけ 
ロンドンの“バンクシートンネル”で
頭が少し痺れる

 ロンドン・コレクションの最終日にフリータイムを1時間半得たのでグーグルマップに何とはなしに“バンクシー(Banksy)”と入れたらびっくり!バンクシーのグラフィティーが残る地点がいくつもヒットしました。結果、バスと徒歩で巡り4つ見ることができました。その中のひとつがこちらリーク・ストリートの通称“バンクシー・トンネル”です。ここにバンクシーの作品は今はもうないそうですが、そもそもはバンクシーがここに作品を描いたことがきっかけでこうなったそうです。圧巻できれい。常に誰かがスプレーで絵を描いているから少し頭がしびれた気がします。

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エッセイ集からデザイン書まで 2019年7月出版のファッション関連書籍

 2019年7月に出版されたファッション関連書籍の新刊情報を紹介する。7月出版のファッション関連書籍の中から、国内のファッション業界の現状を解説した書籍やファッションを含むさまざまな分野の先端事例を紹介したデザイン書など5冊を紹介する。それぞれの書籍ごとに関連するニュースやコラムを添えてあるので、紹介した書籍とあわせて読んでいただきたい。

「アパレルは死んだのか」
(たかぎこういち、総合法令出版)

 ファッション業界に危機感を訴える書籍は止まらない。東京モード学園ファッションビジネス学科で教鞭を執る著者が、アマゾン(AMAZON)、ZOZO、ユニクロ(UNIQLO)、ギャップ(GAP)などの事例とともに業界の現状を解説。古い商習慣にとらわれたままの国内企業を辛らつな筆致で批判しながらも、日本のモノ作りは世界に通用すると評価する。ほかにもトレンドワードでもあるサブスクリプションやキャッシュレスに言及するほか、業界を俯瞰した記述も多いため、近年出版されたアパレルビジネス書とあわせて読めばより理解が進むかもしれない。

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「おしゃれ嫌い 私たちがユニクロを選ぶ本当の理由」
(米澤泉、幻冬舎新書)

 “おしゃれ”に疲れた人々がたどり着いたのは「ユニクロ(UNIQLO)」だった。なぜ「ユニクロ」が選ばれるようになったのか?その消費者心理の変化を鋭い時代考察と雑誌分析などを通して読み解いていく。筆者は現代を豊かなライフスタイルを志向する「『くらし』の時代」だと言う。“ライフウエア”というコンセプトを掲げた「ユニクロ」はまさに時代の象徴といえるのだろう。今や日本に住んでいて「ユニクロ」を着たことがないという人は少ないかもしれない。「ユニクロ」を見れば現代の日本が見えてくるはず。

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「言葉の服 おしゃれと気づきの
哲学」
(堀畑裕之、トランスビュー)

 “日本の美意識が通底する新しい服の創造”をコンセプトとするブランド「マトウ(MATOHU)」。そのデザイナーの1人である堀畑裕之が日々の気づきからつづったエッセイ集で、ひとつの言葉から、歴史の中の日本人から、伝統の工芸から、日本の美を丁寧に見出していく。詩的な文章からは言葉に対する、そして日本の美に対する敬意が感じられる。終章では、日本におけるファッション論の立役者である哲学者の鷲田清一との対談を掲載。哲学博士を志したこともある筆者と鷲田による哲学談義は、日常から思索することの楽しみを読者に気づかせてくれるはず。「日々を哲学することから始めたい。それは終わりのない始まりであり、日々たどり着けるゴールなのだから」(P.171)。

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「AFFECTUS vol.5」
(新井茂晃、AFFECTUS)

 デザイナーの新井茂晃がファッションの言語化を目指してオンライン上で連載している「AFFECTUS(アフェクトゥス)」の書籍版最新号。書き下ろしの1編をあわせて再編した全9編からなるファッションエッセイ集で、2000年代の「コム デ ギャルソン(COMME DES GARGONS)」などについて独自の視点からエモーショナルにつづっていく。「モード」を「世界を前進させるための装置」(P.46)と論じた最終編など、ファッションへの考察は興味深い内容になっている。全49ページと文章量も多くはないの読み進めやすい。興味を持った人はぜひオンライン連載版も読んでみてほしい。

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「SPECULATIONS 人間中心主義のデザインをこえて」
(川崎和也 監修・編著、BNN新社)

 AI(人口知能)を活用したパターンメーキングシステム「アルゴリズミック・クチュール(ALGORITHMIC COUTURE)」を開発したシンフラックス(SYNFLUX)の川崎和也が代表編著者を務めたデザイン書。本書では複雑化する世界に現れた未知数の問題を9つのテーマに分け、それらに対応する「デザインリサーチ」の実例を紹介する。さまざまな視座から書かれた論考をあわせて、領域横断的な研究と実践が交錯する「デザインリサーチ」という分野への議論を開き、未来のデザインの可能性を探る。ファッション関連でいえば、アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)のDNAから再現した皮膚を用いたレザーアイテムコレクション“ピュア ヒューマン(PURE HUMAN)”など刺激的な事例がいくつか掲載されている。周辺領域の先端事例も数多く掲載されているため、次代のファッションの着想を得られるかもしれない。

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秋吉成紀(あきよしなるき):1994年生まれ。2018年1月から「WWDジャパン」でアルバイト中。

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高田一也・吉川ひなの兄妹がこだわりを詰め込んだサプリメント開発 きっかけは健康に恵まれなかった幼少期にあり

 結婚、妊娠をきっかけにアメリカ・ロサンゼルスでオーガニックライフを過ごしているモデルでタレントの吉川ひなの。病弱だった幼少期の経験を生かしてパーソナルトレーナーとして活躍する実兄の高田一也ワンステップスピリット社長。健康や美容の志向が高い兄妹が会社を立ち上げ、サプリメント「ミールドロップ(MEAL DROP)」を公式サイトで販売している。2人に健康や美容法、サプリメント開発の秘話などを聞いた。

WWD:病弱だった幼少期の経験がサプリメントの開発に結びついたとか。

高田一也ワンステップスピリット社長(以下、高田):もともと僕たち兄妹は健康に恵まれず、特に僕は運動を禁止されるほどでした。病弱なことを利用してビジュアル系バンドを組んでいた時代もありましたね(笑)。今、49歳なのですが昔から血行の悪さを感じていて、若いころから肩凝りがひどくて22歳の時には髪をポニーテールにしようとしたらそのままぎっくり腰になって3日間入院をしました。その時の担当医に「君は22歳だけれど、体の中は70歳だよ」と言われたほど。当時はロックをやっていたのであまり気にしませんでしたが、25歳くらいになってからその言葉が重くのしかかってきて、何かを始めなければという気持ちになりました。結局バンド活動は4年間で終えました。

吉川ひなの(以下、吉川):バンド活動ってそんなに短かったんだね。

高田:才能がなくて。バンドをやめてから体の弱さを克服するためにウエイトトレーニングを始めたんです。ウエイトトレーニングなら重さも自分で調整ができるし、動きも早くないので挑戦できるかなと思って。そしたら体がみるみる強くなっていきました。そんな姿を見ていた妹も僕の影響を受けて運動を始めました。しばらくは僕が指導をしていましたが、ヨガを始めるなど自分なりの健康法も見つけていきました。

吉川:お兄ちゃんは体が細くて弱かったけれど、昔から力だけは強かったんです。あとお兄ちゃんて、自分が憧れているものになっていく人なのかなって思っていました。ロックバンドに憧れていたらバンドマンになっちゃうし。お兄ちゃんが好きだった「北斗の拳」の映画に5歳のときに連れ行ってもらったんだけど、今はそういった体になってますしね。最近は2人でいるといつも健康の話になるんですよ。

WWD:長年、サプリメントを愛用していることも役立っている。

高田:こうと決めたらやり遂げないと気持ちが悪いタイプですね。サプリメントに関しては、21年ほど前にパーソナルトレーナーからいろいろな知識を教えてもらい、そのころからやっていることは変わっていないですね。

吉川:お兄ちゃんはこんなに日焼けをしているのに、ビタミンCを欠かさないのでシミが一つもないんです。それに肌がすべすべなんですよ(笑)。

高田:ビタミンCに加えてタンパク質の効果が高いんです。普通の食生活では特にビタミンCを必要量摂ることが難しいです。最近こそタンパク質が見直されてきていますが、まだ多くの人の摂取量が足りない。また摂れたとしてもタンパク質をうまく活用するためにビタミンCが必要になることを知らないと思います。僕は21年前に栄養について学んでから変わらずこの2つは積極的に摂るようにしています。ほかには1日6リットルくらいの水を飲むので、老廃物を早めに排出することができていると思います。これも21年間変わらずに続けています。

吉川:私は食生活に対してはそこまでストイックにはなれないけれど、血行や筋肉の大切さを学びました。普段から意識して必要な栄養素を摂るようにしていても食事で賄うのは限界があります。それを補うのにサプリメントを摂取しています。今はロサンゼルスでナチュラルなライフスタイルを送っていますが、そのきっかけは娘を妊娠したこと。妊娠中はハワイで過ごしていたのですが、とにかく子どもにとっていいことを優先するように過ごしたら自然とオーガニックを選ぶようになりました。子どもが本当にかわいくて(笑)。自宅では食べ物はもちろんですが身に着けるものなども気にするようになりましたね。ただ、外食をする時は割り切って、そのお店でおいしく食べるように意識しています。

私がお兄ちゃんの家に泊まりに行くときは、話が尽きなくていつも朝方まで起きているんです。そんな日でも変わらず早朝に起きてささみを茹でてコーヒーを淹れてくれるし、お弁当も必ず手作りで毎日持参してるんですよね。継続できるって本当にすごい。

WWD:多くのサプリメントが流通しそれらの良さも理解してそうだが、なぜサプリメントを開発したのか。

高田:妹と「健康は自分たちで作ることができるんだね」という話になってサプリメント「ミール ドロップ」の開発を始めたんです。それぞれが一番気になる要素を詰め込んだサプリメントを作りました。妹はオーガニックへのこだわりが強いので、市場にそこまでこだわったサプリメントがないことが気になっていたようでした。そこで完成したのが「スマイル」です。僕は自分がトレーナーを務めるジムに通ってくれている人の不調を見たり聞いたりする中で、その悩みに効果がある栄養素を考えて「ヴェイン」が完成しました。「ヴェイン」は、血行促進に着目したもので、どんな人にもその効果を実感してもらえると思います。デスクワークで肩が凝っている人にも取り入れてもらいたいですね。

吉川:「スマイル」は、地球の恵みを1つのカプセルにいいとこ取りで詰め込んだサプリメントです。ミネラルやビタミン、ブルーグリーンアルジーとか地球がもともと持っている栄養素をそのまま入れました。製造過程でブルーグリーンアルジーを入れることは難しいので、クロレラやスピルリナに代用してはどうかと言われましたが、培養できるものは地球の恵みとは違うので当初の思いを貫きました。わたしはとにかくこだわりが強くて。ホームページに掲載する日や発売日はこの日でなくちゃだめだとか製品名の画数とか(笑)。でも、お兄ちゃんはその全てに寄り添ってくれて。本当によく怒らないで付き合ってくれたと思います。

WWD:通常のもの作りのスパンよりも時間がかかったのでは。

高田:これまでもサプリメントの開発を何度かしてきて、配合を決めたら早ければ1週間ででき上がってくることもありました。今回はオーガニックにこだわったので、工場の態勢も気にしたりと半年以上かかりましたが、本当に妹のこだわりが詰まった製品になりました。

吉川:時間がかかり過ぎたのは反省すべき点ですが、妥協はしたくなかったんです。その分、本当に素晴らしい製品が完成したと胸を張って言えます!

WWD:サプリメントはどういうタイミングで摂ると効果的か。

高田:「ヴェイン」は朝食の後に摂ると、血行がよくなって体がぽかぽかするのを感じられると思います。「スマイル」は食事だけでは摂り切れないビタミン類やミネラル類が含まれているため、栄養面で気になったらその都度飲んでもらうといいですね。

WWD:これから他の製品を作る予定は。

高田:サプリメントの種類は増やしていきたいですね。ほかには僕自身が運動を指導していることもあり、自宅でできる運動をサポートできるようなものを開発できたらいいなと思っています。都心で生きていくなかで一番大切なのは血行で、その次が肝臓。皆さんお酒を飲む機会も多いでしょうから肝臓をいたわるサプリメントを作ろうと思っています。

吉川:私は腸の働きが重要だと感じているので、腸活を助けるサプリメントを考えています。

WWD:吉川さんはアイケア&メイクブランド「アネリアナチュラル(ANELIA NATURAL)」をプロデュースもしている。

吉川:マスカラとまつ毛美容液のほか、プロデュースというほどのものではないですがフレグランスを出させてもらいました。新製品が10月に発売予定です。ナチュラルな成分と使い心地にもこだわった製品で自信作です。

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読者が注目した今週の新作 「ブルックス ブラザーズ」 × 「ジュンヤ ワタナベ マン」など(8月16〜22日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。「ファッション部門」と「ビューティ部門」は読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ファッション部門」では「ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」 × 「アイ コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン(EYE COMME DES GARCONS JUNYA WATANABE MAN)」が最も注目され、「ビューティ部門」では「シャネル(CHANEL)」2019年秋冬メイクが1位に輝いた。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


【スニーカー部門】

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「フォロワー数だけでは売り上げにつながらない」 月間最高売り上げ517万円の人気美容師・大和卓未のインスタ集客法とは?

 東京・青山にあるヘアサロン「ザック ラフィネ(ZACC raffine)」に勤務する大和卓未スタイリストは、インスタグラムでは動画を中心に投稿し、フォロワー数も5万5000超えと人気美容師だ。月間最高売り上げは517万円。どのようにして売り上げを伸ばしたのか、その秘訣を聞いた。

WWD:「ザック」に入社後、スタイリストデビューにはどれくらいかかった?

大和卓未(以下、大和):4年半でスタイリストデビューしました。当時としては少し早い方でしたね。

WWD:デビュー初月から売り上げは高かった?

大和:全然です。初月は20万円くらいだったと思います。それでこのままだとやばいと思い、2カ月後くらいにインスタグラムを始めました。最初はどうすればフォロワーが増えるか考えていろいろな人の投稿を分析し、“保存したくなる投稿を多くすればフォローしてもらえる”と分かりました。それで最初に行ったのがアイロンを使用した巻き髪のスタイリング動画で、“3分で可愛い巻き方”シリーズとして投稿を始めました。その中でもオリジナルで考えた“スヌーピー巻き”がすごく人気になり、そこでフォロワー数が一気に増えて、2万~3万くらいまではすぐにいきました。

WWD:ヘアアレンジやスタイリング動画だと、フォロワー数は増えても直接の集客につながらないのでは?

大和:そうですね。フォロワー数だけでは売り上げに繋がらなくて、それは悩みました。それで次に前髪カットの投稿をしたんですが、そうすると前髪カットだけのお客さまが増えてしてまって、数は増えるけど、売り上げはそこまで伸びなかったんです。それで次にロングからミディアムやボブくらいに髪をバッサリとカットするリアルサロンワーク的な動画を投稿したんですが、そうすると「ばっさりとカットしてほしい」というお客さまが増えました。その後、もっとお客さまに来てもらうにはどうすればいいかを考えて、ビフォーアフターを見せて説得力のある投稿も増やしました。最近は “縮毛矯正トリートメント”をインスタグラムでも掲載していて、その投稿を見て来てくれるお客さまも多いです。

WWD:投稿に説明の文字を入れるのは昔からやっていた?

大和:そうですね。最近はキャプションを読まない人も多いので、画像だけで情報が分かるように工夫しています。あとは、言葉のキャッチーさは意識しています。僕のプロフィールにも“噂のやまとさん”“前髪の神様”“縮毛矯正の神様”などのキャッチフレーズを入れています。

WWD:売り上げは順調に伸びている?

大和:新規のお客さまが月200人ほど来てくださって、ここ半年ほどは毎月50万円ずつ売り上げが伸びています。月間の最高売り上げは今年の6月に達成した517万円です。

WWD:そういった新客をリピートさせるために心掛けていることは?

大和:かわいくすることは前提として、それに加えて悩みを解決することを心掛けています。インスタグラムを見て来てくれた人でも、「なぜこの画像がいいと思ったのか」をしっかりとカウンセリングして、そこから悩みを引き出すようにしています。

WWD:フィードへの投稿の頻度は?

大和:今は休日を使って作品撮りをしていて、投稿も休日である月火の週2回です。以前は月火水木の週4回でした。投稿も思いついたらアップするとかではなく、曜日や内容も決めて定番化するようにしていて、そうすることでファンも増えていくと思います。ストリーズは毎日アップしています。

WWD:インスタグラムの活用方法についてアドバイスは?

大和:「こういった投稿が当たるかな」と思ったら、とりあえずやってみること。自分で考えて発信したものが評価されるのはうれしいものです。トライ&エラーを繰り返していくうちに、何かヒットするものが出てくるはず。ある意味、ゲーム感覚で楽しめばいいのかなと。そのためにも過去の投稿でどんなものが人気だったかをインサイトでめっちゃチェックしています。

WWD:今後目標とする売り上げは?

大和:サロンの体制などもあってすぐには難しいかもしれませんが、月間売り上げ1000万円を目指してがんばりたいです。

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小野田史が見るスタイリストの新たな市場 美容室に通うようにプロのスタイリングを

 ファッションテックを利用したパーソナルスタイリングサービスの注目度が高まっている。スタイリストがコーディネートした服を借りられるファッションレンタルサービスの「エアークローゼット」は会員数が22万を突破した。大手ECサイトの「アマゾン(AMAZON)」もこのほど、新たな会員向けサービスとして「パーソナルショッパー バイ プライムワードローブ(Personal Shopper by Prime Wardrobe」を開始。一部のセレブたちが利用するものといったこれまでのパーソナルスタイリングのイメージは今、一般消費者が手の届くサービスとして変わり始めている。

 ファッションパートナー代表の小野田史は7月、プロのスタイリストによるパーソナルスタイリングが体験できるマッチングプラットフォーム「スタイリスト(STYLIST)」をスタートさせた。利用者の買い物をアテンドする“ショッピングアテンド”と、利用者の自宅のクローゼットをスタイリストが編集する“ワードローブエディット”の2つのサービスで、“一人に一人のスタイリスト”の実現を目指す。

 小野田がスタイリストとしてのキャリアをスタートさせたのは今から約18年前。当時から、ファッション誌やテレビなどの“to B”だけを相手にするスタイリストの活動の幅の狭さに疑問を感じていた。「一般消費者にとってヘアスタイリストは身近なのにどうしてファッションスタイリストはそうじゃないのか、どうやったら一般消費者、“to C”に価値が出せるのかという疑問が新たな市場ニーズの開拓のヒントとして漠然とあったんです」。

 さらに小野田は、一般消費者のクローゼットの稼働率の低さに注目した。「あるデータでは、北海道から沖縄までタンスに眠っている洋服が約7兆円分あるそうで、ワードローブで機能している割合は20%しかないそうなんです」。

 2014年、「エアークローゼット」の誕生などD2Cビジネスが主流になるにつれ、多くの人が課題を抱えている手持ち服のコーディネートにスタイリストが直接アプローチする上記の2つのサービスのアイディアが固まった。

 「ワードローブエディット」のサービスでは、ただやみくもに買い足しを進めるのでなく、今あるモノ、眠っているモノの活用や二次流通を利用した断捨離もサポートする。家庭でたまっている衣服をプロの知見に基づいて循環させることが、スタイリストのできる社会貢献の一つだと考えた。

 サービスローンチの約3カ月前に始めたクラウドファンディングでは達成率215%と予想以上の反響があった。「クラウドファンデイングは莫大な費用を集めようというのではなく、賛同してくれる人がいるのかどうかを見極めたかったからで、僕は一人でもいればやろうと思っていました。でも思った以上に支援が集まったのは、リターンに価値があったからだと思う。一般的にリターンがモノではなくサービスである場合、支援が集まらない傾向にあると言われています。でもわれわれが設定した“ワードローブエディット”のサービスに大きなニーズがあったんです。自分に合うスタイリストを探していた人や、手持ち服のコーディネートに困っている人がたくさんいることに驚きました」。クラウドファンディング上で反応があったのは20〜30代半前半のITやシステムエンジニア、若い起業家など時代に敏感な男性たちだった。「ファッションに対して強いこだわりはないけれどダサいと思われたくないとか、仕事上で必要などなんらかの課題を持っている人にニーズがありました」。

スタイリストを目指す若者が育つ場を目指して

 小野田はプラットフォームの安全性も重要視する。利用者は登録時に身分証の掲示が求められる。法律顧問には自身もスタイリストのキャリアを持つ海老澤美幸弁護士を迎えた。「スタイリストの多くはITや法務税務に関するリテラシーがそんなに強くないんです。サービス内で起こるトラブルはもちろん、個人事業主として困ったことがあれば海老澤先生を紹介できるシステムを作りました。おかげで、今まで個人でやっていたスタイリストさんたちがどんどん集まってきてくれています」。

 スタートから1カ月経った現在の会員数は100人弱で、スタイリストは約40人とまだ緒に就いたばかりだ。今後は百貨店や他企業との協業を通した無料スタイリングサービスや、企業の福利厚生を通して同サービスを広めていくことを視野に入れる。現在はトランジットジェネラルオフィスが主催する婚活パーティー「Just You!」と提携したスタイリングサービスを行っている。さらにショップ店員などアパレル企業に勤める人たちに、スキルが生かせる副業の一つとして提案していく。

 現在登録できるスタイリストはプロとしてのキャリアを持つ人に限定しているが、今後はスタイリストを目指す若い世代がスキルを磨く場として活用していきたいという。「私たちが若い人たちを育てる市場が“to B”しかないのがすごくさみしいと思ったんです。ヘアスタイリストさんは“to B”の仕事をしながらも自分のサロンでは“to C”にもサービスを提供している。私たちファッションスタイリストもこのサービス構造ができると思っています」。そして、“一人に一人のスタイリスト文化”が根付いた先には、「小さな子どもが、昔よくうちに来てくれたスタイリストさんのように私もなりたい、と夢を語ってくれる未来になっていけばいいなと思います」と語る。

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「ヴェルサーチェ」「コーチ」「ジバンシィ」の失敗に学べ 中国で炎上しないためには

 ラグジュアリーブランドが中国で相次いで炎上している。しかしTシャツに香港や台湾を独立した国のように表記して中国の主権を侵害していると批判され、8月11~12日にそれぞれの公式ウェイボー(微博、WEIBO)アカウント上で謝罪する事態となった「ヴェルサーチェ(VERSACE)」「コーチ(COACH)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」と、2018年11月に上海でのショーが中止となった「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」には大きな違いがある。それはタイミングと、地政学上の問題が関係しているかどうかだ。

 「ドルチェ&ガッバーナ」の場合、ステファノ・ガッバーナ(Stefano Gabbana)=デザイナーがインスタグラムのアカウントから中国を侮辱するメッセージを送信したことが暴露され、ショーが開催の数時間前に中止となった上に、中国内外の大手ECや百貨店で製品が取り扱い中止となった。これを受け、ステファノ・ガッバーナとドメニコ・ドルチェ(Domenico Dolce)創業者兼デザイナーデュオが謝罪動画を公開する騒ぎとなったものの、中国政府からの反応は特になかった。

 一方で、今回の「ヴェルサーチェ」と「コーチ」に対し、中国共産党中央委員会の機関紙である「人民日報」は、「彼らは非常に愚かな間違いをしでかした。中国人民の正当な怒りに火をつけたばかりではなく、中国市場におけるブランドの将来を暗いものにした。中国でビジネスをしたいのであれば、中国の法律に従わなければならない。中国の主権を侵害するこうした非難すべき多国籍企業に対して、われわれは警告を発するべきだ」と厳しく批判する記事を掲載した。

 中国政府がこれほど神経をとがらせている背景には、香港で犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを認める「逃亡犯条例」の改正案に反対するデモが激化していることがある。13日には香港国際空港を占拠してのデモ活動が行われ、150便以上が欠航となるなど混乱が続いている。これは“一つの中国”政策を掲げている中国政府にしてみれば由々しき事態だろう。国際法律事務所ガウリングWLG(GOWLING WLG)のアレクサンドラ・ブロティ(Alexandra Brodie)=パートナーは、「大手ブランドは多様性についてもっと学ぶ必要がある。こうした(地政学上の)間違いは調査さえしておけば簡単に避けられるが、一度間違いを犯してしまうとその被害は甚大だ」と述べた。

 中国でビジネスをするにあたり、政治的に注意が必要なのは香港や台湾だけではない。マカオ、チベット、新疆ウイグル自治区などの取り扱いにも慎重を要する。米コンサルタント会社マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKINSEY & COMPANY)の調査によれば、25年には世界のラグジュアリー関連支出の40%が中国によるものになるという。その巨大な市場を鑑み、中国人の女優やモデルをアンバサダーとして起用するブランドも増えているが、地政学上の問題が発生した際にはリスクが倍増することを頭に入れておくべきだろう。中国の芸能人は社会的なロールモデルであることを期待されており、愛国者らしいふるまいをしているかについて中国政府が厳しく監視しているからだ。実際、「ヴェルサーチェ」のアンバサダーを務める中国の女優ヤン・ミー(Yang Mi)は同ブランドとの契約を解除する声明を出しているほか、「コーチ」のアンバサダーを務める中国のトップモデル、リウ・ウェン(Liu Wen)と同女優クアン・シャオトン(Guan Xiaotong)もブランドと距離を置く姿勢を見せた。

 現在、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は中国人女優のチョン・チューシー(Chuxi Zhong)、同歌手のクリス・ウー(Kris Wu)、俳優のリウ・ハオラン(Liu Haoran)を、「プラダ(PRADA)」は歌手のカイ・シュクン(Cai Xukun)をアンバサダーに起用している。

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資生堂美容室の高級サロンで男性限定メニューを体験! お手入れでスッキリ顔に

 資生堂の100%子会社の資生堂美容室は今夏、創業の地である東京・銀座7丁目に初となるプレミアムサロン、資生堂パサージュ ボーテをオープンしました。AI開発企業とタッグを組んだカウンセリングツールを導入するなどさまざまなサービスを用意する中で、僕が気になったのは資生堂美容室初の男性限定メニューです。3種類のメニューを用意しており、市場が広がる男性に向けてアプローチしています。僕は緊張してしまうので美容室が苦手なのですが、あまりにラグジュアリーな店内と男性限定メニューに引かれ、体験してきました。

 今回、僕が受けた施術は90分のパーソナルトレーニングです。肌診断などカウンセリングを含んだスキンケアや頭皮、髪のケア方法、自宅での再現性を高めるヘアスタイリングレッスンなどをセットにしたパッケージメニューです。

 施術を担当してくれたのは男性美容師の金子さん。男性限定メニューを展開する同店らしく男性スタッフが多い印象です。まずは肌診断です。肌のTゾーン(額から鼻先にかけての皮脂分泌が多い部分)やUゾーン(皮脂の少ない、口の周辺やほほから顎にかけてのフェイスライン)を機器で計測してもらいました。毛穴の開きやしみ、シミ、ポルフィリン(これが多いとニキビができやすいとのこと)などを計測してもらい、それらを総合して僕は乾燥肌タイプということが分かりました。夏場は特にテカりがちな肌なので、てっきり僕はオイリー肌なのだと思っていましたが、この結果には驚きです!診断に基づいて本来の肌質に合ったスキンケア方法を教えてくれるって男性にはあまり機会がないのでこの時点でかなり満足度が高かったです。

 肌の状態が分かったところで次はスカルプケア・シャンプーレッスンです。僕はいつも40度ほどのお湯で洗髪していましたが、適温は37度と少しぬるめのようです。実際にシャンプーをしてもらいましたが、これで汚れが落ちるのかと不安になるほどでした。しかし、シャンプー前のお湯でしっかり髪を洗うことで汚れやワックスなども落ちて泡立ちも良くなるとのことでした。洗い方もゴシゴシ洗う必要はなく揉みこむように洗うのが良いそうです。男性だと力強く洗ってしまいがちですよね(笑)このメニューでは自宅でのケアを想定して、正しいシャンプー・頭皮ケア方法を教えてもらいました。

 その後、人生初のヘッドスパ・スキンパックを体験しました。まずはじめに、顔を覆うようにムース状のマスクを乗せていきます。ムースはひんやりしていて、特に夏場の火照った肌には気持ち良かったです。社内に戻った後も肌艶が違うと好評?の声も頂きました。パック後にヘッドスパをしたのですが、朝早くの取材だったのも相まってうとうとしていました。施術後は頭が軽くなった印象で、身も心もリフレッシュできました。

 頭皮がすっきりした後はヘアスタイリングレッスンです。実は、学生の頃は胸付近までのロングヘア―で、社会人になった今でもショートヘアのスタイリングに慣れていません。誰かに聞くのもどこか恥ずかしくて、日ごろは苦戦していたのですが、こうして細部までアドバイスがもらえるスタイリングレッスンがメニューに含まれているのは個人的にはありがたかったです。いつもはセンター分けでしたが今回は、普段とは異なるヘアスタイルに挑戦したかったので、思い切って前髪を上げたスタイルにしてもらいました。ドライの段階で癖づけることで、毛量のある僕の髪も上手くスタイリングできました。

 これらのほかにもパーソナルトレーニングメニューにはスキンケアレッスンや眉バランスアドバイスなどが含まれています。眉バランスアドバイスも受けましたが、学生時代、若気の至りで細くし過ぎた代償で生えてこなくなった眉をカバーしてくれて、施術後は顔全体が引き締まった印象です。スキンケアレッスンも洗顔方法から化粧水・乳液の付け方まで丁寧に教えてくれたので、日ごろのスキンケアと比較してみて間違っていないかを確認できます。1から男性のスキンケア方法を教えてくれる場はそうないのでこういったメニューはありがたいのじゃないでしょうか。

 男性の美容への意識が高まる中で、自分自身の肌質が分からなかったり、この方法で合ってるのかな?と見よう見真似でケアをしていたりする男性も多いんじゃないでしょうか。テレビ、CMなどのイメージが先行して、男性には高い洗浄力や清涼感のある商品が向いていると思いがちです。今回のパーソナルトレーニングメニューのようにカウンセリングを受けて自分自身の肌や髪に合ったケア方法を学ぶことで日々のお手入れの質を高めることができます。美容でお悩みの男性諸君!是非一度行ってみてはいかがでしょうか?

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「オフプライス業態が成り立つ業界のサステナって?」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャーに勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:P.4「日本にもオフプライスストアの波」

読み解きポイント「在庫捌けるし安く買えるし、ブランドも消費者もWin-Win?」

ニュースのポイント

 事業者が多数のブランドの余剰在庫を買い集めて値引き販売する「オフプライスストア」をワールドが展開する。米国では百貨店を凌ぐ巨大ビジネスに成長しているが、日本ではブランドイメージや既存流通への配慮、商習慣の違いなどが理由で開発が遅れていた。9月中旬さいたま市に1号店を開いたのち、都心近郊の駅周辺やECへの出店も視野に入れている。

Azuはこう読む!

 新品が安く買えるなんて、消費者にとっては嬉しいこと!余剰在庫をオフプライスストア事業者にまるっと買い取ってもらえるならアウトレットで自力で売る手間が省けて、ブランドやメーカーにとっても良い話ですよね。こりゃWin-Winだ……と消費者目線では喜べます。でも、「余剰在庫」というのが気になる。もう作ってしまったものを焼却処分するわけにはいかないから値引き販売は仕方ないかもしれないけれど、あっちもこっちも「サステイナブル!」「エシカル!」と叫ぶ中で余剰在庫販売が絶好調なんて。

 私はモノを作って売るビジネスをしていないので、在庫を積む難しさを肌で感じていないから気軽に言えるのかもしれませんが、このビジネスモデルを今後展開していけるほど余剰在庫って生まれてるんだ……と改めて驚きました。これが生まれる時点でアパレル業界の「サステイナブル」は、「持続可能性」という意味ではないのかなと思うほどです。

 「オフプライスストア」というビジネスモデルとサステイナビリティが直結しているとは言及されていませんが、「バーバリー(BURBERRY)」の在庫焼却事件以降、アパレルの余剰在庫について世界の目が厳しくなっているのは確かです。余った服を最終的に消費者の手に行き渡らせることが、どの立場に立つと正しく見えて、どこから見ると矛盾に映るのか。ファッション業界の片隅にいる身として、考えさせられるニュースでした。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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「本当のエレガンスとはシンプルなこと」 by マダム・グレ

Madame Gres

 本当のエレガンスとはシンプルなこと。華やかでありながらシンプルなこと。それは、ここまでで飾るのはやめておいた方がよいと知っている天性の資質。(Vol.118 1983年9月26日)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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世界一睡眠不足の日本人に 寝苦しい夏&秋の夜長の「睡眠美容」

 今年も猛暑が続き、寝苦しい夜を過ごしている人も多いのではないだろうか。そもそも日本人は、先進国の中で睡眠時間が少ないことで知られている。OECD(経済協力開発機構)の「2019 Gender Data Portal」によると、日本人(15~64歳)の平均睡眠時間は、7時間22分で世界ワースト1位。イギリスの8時間28分、フランスの8時間32分、アメリカの8時間47分に比べて1時間以上も短い結果に。厚生労働省の「2017年国民健康・栄養調査」によると、睡眠時間が6時間未満の割合は、男性36.1%、女性42.1%。元来生真面目で多忙な日本人が、睡眠時間を削って仕事や日常生活を送る姿が容易に想像され、「美容の世界において『睡眠美容』が流行するのも当然かな」と深く頷いてしまう。

 そんな社会的背景も追い風となり、秋以降もこの睡眠にフォーカスした「モノ・コト」が注目されそうだ。「THREE」からは、睡眠と美肌の関係に着目した「バランシング SQオイル R」が登場。独自の精油ブレンドで肌と心をリラックス状態へと導き、植物成分が夜間に肌細胞の生まれ変わりを促進。「シスレー(SISLEY)」から登場する「コンフォール ベルベット スリーピング マスク」は、抗酸化力に優れたサフランやタイムハニーが肌内部の炎症を鎮静し、同時に植物由来の脂質と水分をバランス良く補給して、日中の肌ダメージを睡眠中に効率良く修復する。また、「良質な睡眠」を体験するなら、2019年4月に開業した「レム東京京橋」とパラマウントベッドがとコラボレートした1日1室限定のプランもおすすめ。室内に設置した「Active Sleep Bed」は、寝ている人の睡眠状態を感知する、その名の通りスマートな寝具。入眠や起床に合った姿勢を自動的に調整し、利用者からは「いつ眠りに落ちたのか気づかない」「朝ゆったりと起きることができた」という声が寄せられているという。

 人は生涯の約3分の1を睡眠に費やすといわれ、寿命を80年と仮定すると、およそ26年にあたる。そして何より、睡眠は肌を始め全身の細胞を修復する大切な時間帯。そう考えると、「睡眠時間を使い効率良く美容する」のは、有効な時間の使い方といえるかもしれない。忙しい人ほど、寝苦しい夏の夜や秋の夜長に「睡眠美容」を取り入れてみてはどうだろうか?

THREE

 10月に誕生する「THREE」の「バランシング SQオイル R」は、ホリスティックな視点で睡眠と美肌の関係を見つめたオイル状美容液だ。深みのある芳香が印象的な独自の精油ブレンドで、心身をリラックス状態へと導いく。さらにオメガ3,6,9を豊富に含む植物オイルや抗酸化力に優れたハマナ葉エキスを配合し、睡眠中に日中のダメージを集中ケア。多忙な女性の心・からだ・肌に調和をもたらし、本来の艶感やハリ感を呼び覚ます。

シスレー(SISLEY)

 サフランの花を配合したコンフォールベルベットシリーズから、睡眠中に肌ダメージを効率良く修復する「コンフォール ベルベット スリーピング マスク」が登場。抗酸化力に優れたサフランやタイムハニーが肌内部の微弱炎症を鎮静し、植物由来の脂質や保湿成分が、乾いた肌に栄養をたっぷり補給。まろやかなクリーム状のテクスチャーと、ほんのり甘い香りで肌を包み、1日の緊張までも解放してくれそう。洗い流さずマスクをそのまま塗布して就寝した翌朝、イキイキとした艶感溢れる肌が実感できるはず。

レム東京京橋

 五感を通じて良質な眠りを実感するコンセプトの「レム東京京橋」では、パラマウントベッドの「Active Sleep Bed」を設置したユニバーサルルームを1日1室限定で提供中。「Active Sleep Bed」は睡眠の状態を自動的に感知し、入眠時は呼吸しやすいよう背面が起き上がり、熟睡時には寝返りしやすいようにフラットな状態となるなど、その人に合わせて入眠から起床までの姿勢をサポート。そのほかにも、全室に柔らかな水流が雨のように降り注ぐ「レインシャワー」や1日の緊張をほぐす「マッサージチェア」を導入し、上質な睡眠体験を約束してくれる。

宇野ナミコ:美容ライター。1972年静岡生まれ。日本大学芸術学部卒業後、女性誌の美容班アシスタントを経て独立。雑誌、広告、ウェブなどで美容の記事を執筆。スキンケアを中心に、メイクアップ、ヘアケア、フレグランス、美容医療まで担当分野は幅広く、美容のトレンドを発信する一方で丹念な取材をもとにしたインタビュー記事も手掛ける

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定番から激レアものまで! スタイリスト高橋毅の「AKIRA」Tシャツコレクションを公開

 大友克洋が1982~90年に「週刊ヤングマガジン」で連載していたマンガ「AKIRA」。その圧倒的な画力とストーリー性で、日本だけではなく世界中で熱狂的なファンを獲得し、88年にはアニメ映画も公開されるなど、日本を代表する作品だ。また「AKIRA」内で“2020年東京オリンピック”が予見されていたことも話題になった。「AKIRA」は19年の“ネオ東京”を舞台にしており、まさに今年は“AKIRAイヤー”ともいえる。そんな記念すべき年に、大の「AKIRA」好きで、Tシャツのコレクターである高橋毅スタイリストのコレクションを紹介してもらった。※Tシャツ画像のキャプションは全て高橋スタイリストによるもの。

WWD:「AKIRA」Tシャツを集めようと思ったきっかけは?

高橋毅(以下、高橋):連載当時から「AKIRA」を読んでいて、その絵の繊細な表現にすごく魅了されていました。ムサビ(武蔵野美術大学)に通い出したころから古着屋で「AKIRA」Tシャツを見つけては購入していましたが、当時は質の悪いブート(ブートレグの略。海賊版の意)もかなり出回っていて、特に知識もなかったのでそれも買っていましたね。後で知って悔しくて捨てましたけど(笑)。

WWD:現在は何枚ほど所有している?

高橋:おそらく40枚ほどです。

WWD:所有しているのは全てオフィシャル?

高橋:オフィシャルだけでなく、ブートもあります。正真正銘のオフィシャルは、「週刊ヤングマガジン」の応募者限定のもので、単行本の表紙がプリントされています。それと数は少ないですが「週刊ヤングマガジン」の懸賞のものもあります。公式にライセンスを取ったものでは「ファッションビクティム(FASHION VICTIM)」製が一番メジャーです。デザインの種類も多くかなり数は出まわっているはずで、いわゆる“「AKIRA」のTシャツといえば”で、よく見かけるものです。「シュプリーム(SUPREME)」のものは、これまでにないイラストのシリーズは買いました。ブートの中では「アナーキックアジャストメント(ANARCHIC ADJUSTMENT)」や「ダブファクトリー(DUB FACTORY)」「グラフィティ(GRAFFITI)」などは、マニアの中ではそのデザイン性や希少性もあってかなり人気となっています。

WWD:そういった人気のものと、質の悪いブートの見極め方は?

高橋:基本はTシャツのタグを見れば分かります。「ファッションビクティム」製はフルーツタグか「ファッションビクティム」の刺しゅうタグで、例外もありますが基本的にそれ以外はブートだと思います。あとは、売っている場所だったり、価格から判断します。ボディーが「ギルダン(GILDAN)」のものはブートの確率が高いですね。

WWD:そういった「AKIRA」Tシャツの情報はどこから入手するのか?

高橋:今はネットでもある程度は調べることができますが、昔は古着屋の店員さんに教えてもらっていました。でも「AKIRA」Tシャツは種類が多くて、いまだに新しいものを発見することもあります。

WWD:どこで購入している?

高橋:古着屋や「ヤフオク!」「メルカリ」です。以前は「AKIRA」Tシャツの人気も今ほど高くなかったので、「ヤフオク!」などでは1万円以下といった比較的手頃な価格で購入できていました。今は物によっては7万〜8万円とか高くなりすぎて、さすがに簡単には手が出せないですね。

WWD:購入したTシャツは実際に着ている?

高橋:がんがん着ます(笑)。鑑賞用ではないので。サイズ的に着ていないものもありますが、今日着ているロンTはお気に入りで、多いと3日に1回ほど着ている。撮影現場でもよく着ていて、スタイリングする人数が多い現場だと顔と名前を覚えてもらうより“「AKIRA」Tシャツの人”と覚えてもらうようにしています(笑)。今年は「AKIRA」イヤーなので、いっぱい「AKIRA」Tシャツを着たいですね。

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「ヘアドネーション」第一人者に聞いた 小学生でもできる社会貢献

 “ヘアドネーション”という活動について耳にすることが最近増えてきたと思いませんか。実は周りにもロングヘアをバッサリとカットした人が何人かいて、聞けばヘアドネーションをしたということでした。“ヘアドネーション”とは特別非営利活動法人ジャパン ヘアドネーション アンド チャリティー(ジャーダック)が2009年に始めた小児がんや先天性の脱毛症、不慮の事故などで頭髪を失った18歳以下の子供のために、寄付された髪の毛でフルオーダーのウイッグを作り無償で提供する活動のこと。開始当時は月1~2件の寄付だったのが、18年には1日200~300件の寄付数となり、過去10年間で増加し続けています。今では髪を寄付する人は20~40代の女性にとどまらず、小学生や中学生といった10代にまで広がっています。しかし、実際には“ヘアドネーション”とはどんな活動なのか、なぜ必要なのか、寄付した髪の毛がその後どのようにウイッグになるのかを知っている人は少ないのではないのでしょうか。そこでヘアドネーションの第一人者でジャーダックの代表を務める渡辺貴一さんにヘアドネーションが始まった経緯や注目されるようになったきっかけなどを聞きました。

WWD:ヘアドネーションとはどのような活動ですか。

渡辺貴一(以下、渡辺):ジャーダックでは18歳以下の子どもに、寄付された髪の毛だけでフルオーダーのウイッグを作り無償で提供しています。今、一般に販売されているウイッグの多くは手ごろな価格を実現するために少ないサイズ展開で大量生産され、そのほとんどが大人用です。小児用ウイッグもありますが種類が少なく、オーダーで作ったとしても成長によるサイズの変化などで買い換えを迫られ、治療と並行してその費用を捻出することは家計への重い負担になってしまうんです。

WWD:そもそもジャーダックを設立したきっかけは何だったのでしょうか。

渡辺:美容師として美容室で働いていたのですが、独立することを考えたとき、お金儲けではなく、せっかく独立するのだから自分たちができる何かをやりたいと考えたんです。自分たちが携わる美容を通じて何か行動を起こせればと独立した1年後にジャーダックを立ち上げて10年になります。けれどもすごく社会貢献を意識していたわけではありません。

WWD:では初めからヘアドネーションというわけではなかったんですね。

渡辺:お店を一緒に立ち上げたもう1人のパートナーと自分は海外で生活したことがあって、アメリカではヘアドネーションがあるけど日本にはないことに気がついたんです。美容師だから毎日髪を切るし、取り組むにはいいかなと軽い気持ちで始めました。美容師だからこそ、美容を通して何かできるんじゃないかっていう単純な発想です。

WWD:美容師だからこそできるという点でも広がっていますか。

渡辺:僕らが始める10年ほど前にアメリカでヘアドネーションは始まりました。チャリティーが根付いている国では美容室を介さずに個人で取り組みます。日本は少し特殊で、賛同店という形で美容室の協力の下行っています。美容業界では一緒に取り組もうという意識が高く、月100店ほどのペースで賛同店は増え、今では4000店に上っています。

WWD:日本でヘアドネーションを取り入れることにどんな困難がありましたか。

渡辺:何もない状態からスタートしたので、規定作りから始めました。最低でも31cmの長さを必要とするということも、ウイッグを作る企業と工場からのアドバイスによって決定しています。ジャーダックのウイッグは耐久性を上げるために、1本の髪の毛を折り返して植え付けるので、31cmあってもボブスタイルにできるぎりぎりの長さになります。髪の色や質を均一に整えるためにトリートメント処理が施されるため、31cm以上の長さがあれば、カラーやパーマ、グレイヘア、白髪、くせ毛、性別、国籍問わず寄付することが可能です。15cmという団体もありますが、その場合帽子に毛束を付けたものになります。このような団体ごとの違いや、フルウィッグが作れるのか、帽子になるのかはいろいろあるのですが、ヘアドネーションは新しい文化なのでイメージが独り歩きしてしまっている部分もあると思います。

WWD:ヘアドネーションの認知度が急激に上がったきっかけは何でしょうか。

渡辺:2015年の後半に女優の柴咲コウさんが髪を寄付したことですね。規模はそれまでの3倍になりました。ジャーダック設立当初は年間20体ほどのウイッグを手渡すことが精一杯でした。彼女のおかげでヘアドネーションの認知度は格段に上がり、20代のおしゃれな女性たちに広まりました。そんな女性たちが子育て世代となり、その子どもたちがヘアドネーションをするという流れもできてきています。最近では男の子が寄付することも話題になっていますね。

WWD:拡大した活動についてどのように思われますか。

渡辺:誰でも伸びる髪の毛だからこそ、参加のハードルが低いとも言えます。また10代の間に広まっているのは、お金の寄付を訴えているわけではないからだと思います。髪の毛の寄付であれば、自分にもできると思ってもらえます。始めた当初はこんな風に広がるなんて想像もしていませんでしたし、活動が広がり安定するためには、キャッチ―さやおしゃれさも必要です。ただ、ブームとしてもてはやされるのは違います。入り口はヘアドネーションであっても、なぜヘアドネーションという活動が必要なのか、脱毛症とはどんな症状なのか、髪の毛がないことが生活においてどんな苦労や困難があるのか。髪の毛があることが当たり前という常識に少し疑問を持ってほしいんです。

WWD:今後の活動をどのように考えていますか。

渡辺:以前に比べればたくさんの髪の毛が集まるようになってきてはいますが、年間で手渡せるウイッグの数はまだ少ないのが現状です。よほど資金が集まったり企業のバックアップが得られない限り、これ以上のペースアップは難しいと感じています。僕一人でやっていたときの年間20体から5倍の、現在の100体にするまで10年がかかりました。そんな中でウイッグを制作するペースを上げるとしたら、抗がん剤治療などで一時的に必要な人のためにフルオーダーではなく安価に作って、ジャーダックの毛を植えるというものも構想しています。

WWD:ウイッグの違いや置かれている状況によって求めるウイッグが違うことを知っている人は少ないでしょうね。

渡辺:日常的にウイッグが必要な脱毛症の人と、がんの治療の際に必要な人とは、求めるウイッグの質や手元に届くまで待てるのかなど条件が違います。ジャーダックのフルウィッグを待つのか、他の団体の帽子を待つのか、求めているものや用途は人によって全然違うんです。来月から抗がん剤治療が始まるからすぐにでも欲しいという人もいます。そういう方には子ども用サイズの規格物を素早く手渡せたら、それはそれで価値が生まれます。それにジャーダックへ寄付してもらった髪の毛を植え付けることで、ヘアドネーションとしての意味も出てくると思います。そういった提供実績といった面でも取り組んでいけたらと考えています。

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「アジアでは寄せる、欧州では上げる」 「アモスタイル」デザイナーが語る世界の下着事情

 トリンプ・インターナショナル・ジャパン(トリンプ)は8月8日、東京・表参道で「アモスタイル バイ トリンプ(AMO'S STYLE BY TRIUMPH以下、アモスタイル)」の2019-20年秋冬コレクション発表イベントを行った。ランウエイショーでは、新作を着用した19-20年秋冬のビジュアルキャンペーンに登場する福士リナが登場。クールビューティーと呼ばれる彼女だが、茶目っ気たっぷりにランジェリーとアウターをミックスしたスタイリングを披露した。「アモスタイル」は日本で誕生。昨年20周年を迎えたのを機に、グローバル展開のためリブランディングを行った。このイベントのために来日したヴィッキー・ウィルソン(Vikky Wilson)=アモスタイル グローバル ヘッド オブ デザイナーに、「アモスタイル」のブランドコンセプトやグローバルな下着事情などについて聞いた。

WWD:「アモスタイル」のブランドコンセプトは?

ヴィッキー・ウィルソン(以下、ウィルソン):洗練されていて、自由に自己表現したり、なりたい自分を目指す女性のためのブランド。自分らしく生きたい女性を応援したい。

WWD:グローバルなランジェリーブランドに必要なものは何か?

ウィルソン:あらゆる体形に合うフィッティングや手に取りやすい価格帯だと思う。「アモスタイル」ではダイバーシティーやインクルーシブといったことを目指しているので、全ての女性に満足してもらい、「アモスタイル」を着けることで自信を持ってもらえるような製品を提供したい。だから、サイズ展開はアンダーバストが65~85cm、カップサイズはA~Eと幅広い。

WWD:市場によって体形が異なるが、それにはどのように対応しているか?

ウィルソン:「アモスタイル」はアメリカ以外のヨーロッパ、アジア、日本で販売しているので、各地域の女性のフィッティングを行っている。ヨーロッパとアジアのサイズの測り方は違っていて、たとえば、アジアのサイズ75Bはヨーロッパでは75A。アジア人のバストは丸くしっかりしているので寄せる機能が必要とされるけど、ヨーロッパの女性のバストは下がり気味なので上げる機能が必要。以前はカップサイズの平均はBだったが、ライフスタイルの変化で今はDになっている。

WWD:ランジェリーのグローバルトレンドをどのように商品に反映させるか?

ウィルソン:下着の見本市はもちろんのこと、あらゆる市場で女性のライフスタイルのリサーチを行う。また、最近はSNSなどによるデジタルリサーチがとても重要になってきている。なぜなら、それがコミュニケーションの方法になっているから。オンラインマガジンやインフルエンサーなどをフォローすることで、いろいろな情報がアップデートされる。

WWD:「ユニクロ(UNIQLO)」の下着市場参入についてどう思うか?

ウィルソン:以前、下着は特別なカテゴリーと見られていたけど「ユニクロ」はライフスタイルの一部ととらえたところがすごいと思う。

WWD:ランジェリーとファッションの関係をどう思うか?

ウィルソン:ランジェリーは洋服の下に着るものだと思われていたが、ファッションの一部になりうる。日本人はTシャツの上にキャミソールやビスチエを重ねたり、ファッションとミックスするのがとてもうまい。そのような流れがヨーロッパでも広がってきている。

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SDGsをデザイン 70億人とコミュニケーションするために必要なことを開発者が語る

 SDGs(持続可能な開発目標)のロゴを目にする機会が増えた人も多いのではないだろうか。この親しみやすいデザインと色、単純明快な言葉とともに示されたロゴは、世界70億人がコミュニケーションできるものだが、実は、このデザインに至る前は、SDGsは難解な言葉でつづられた箇条書きだった。

 SDGsは2015年に国連で採択された「誰一人取り残さない」世界のための17の目標と169項目のターゲットで、30年までに達成を目指す世界共通の目標だ。持続可能な社会に向けて、国や企業、自治体、そして個人が自由な発想で取り組めるようにするもので、誰もが簡単に内容を理解できるものである必要があった。

「インフォメーションと
コミュニケーションは違う」

 SDGsのデザインとコミュニケーションを設計したヤーコブ・トロールベック(Jakob Tollback)=ザ・ニュー・ディヴィジョン(THE NEW DIVISION)代表の基調講演を6月に聞いた。彼が語った言葉の中でも特に印象的だったのは「インフォメーションとコミュニケーションは違う」ということ。当たり前のことのようだが、実はドキっとする人も多いのではないだろうか。

 スウェーデン出身のトロールベック氏はアップル(APPLE)やグーグル(GOOGLE)、MTVなどのデザインワークやブランディングを手掛け、数多くの実績と受賞経歴を持つ。そもそも彼が手掛けることになったきっかけは2004年12月に届いた1通のメールだったという。そこには難解な言葉で箇条書きになった17の目標と169項目のターゲットについて書かれていた。「当時は、『皆から理解されるものにはならないだろう』と言われていた。だからこそやりたいと思った」と名乗り出たという。

難解な言葉を人々が行動に移せる
アイコンに変換

 「難解な言葉を、人々が行動に移せるようなものにすること。よりポジティブに目標に向かえるような言葉に変換することが必要だった」――そのために彼がまず行ったのは、箇条書きをシンプルにすること。例えばゴール2の「End hunger, achieve food security and improved nutrition and promote sustainable agriculture(飢餓を終わらせ、食料安全保障および栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する)」は、「NO HUNGER(飢餓をゼロに)」とした。ゴール15の「Protect, restore and promote sustainable use of terrestrial ecosystems, sustainably manage forests, combat desertification, and half and reverse land degradation and halt biodiversity loss(陸上の生態系の保護と回復、持続可能な利用の促進、持続可能な森林の管理、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復および生物多様性の損失を阻止する)」は「LIFE ON LAND(陸の豊かさも守ろう)」とした。

人生の目標を
“買う”だけにしないこと

 次に行ったのは、言葉のビジュアル化。面白く、わかりやすい絵と色でコミュニケーションすることを目指した。「17の目標はすべてつながりがある。調和がとれていながら別々のデザインであることが必要だった」と振り返る。実は、この一つ一つのイラストにも試行錯誤があった。世界中の誰が見てもその目標を連想させる絵でなくてはならないからだ。

 次に各目標に対する具体的なターゲットを簡略化した。「目標に注目してもらうには何が必要か。何について取り組むべきかは示されているが、何をすべきかは述べられていない」とトロールベック氏。169もあるターゲットをどうわかりやく伝えるか。彼は、17の目標同様に、意味の曖昧なものを全てそぎ落とすことに取り組み、言葉を視覚化した。

 トロールベック氏は1999年に米国ニューヨークに設立したクリエイティブ・スタジオ、トロールベック+カンパニー( Trollbäck+Company)に加え、現在は、サステイナビリティー・コミュニケーションに特化したザ・ニュー・ディヴィジョン社をスウェーデン・ストックホルムで運営する。「正直、ニューヨークの会社の仕事はもうかる。サステイナビリティーのコミュニケーションに特化したストックホルムの会社で稼げる金額はケタが違う(少ない)。でも、自分が正しい方向に進んでいると思うし、活動に注目してもらえていると実感している」。これまでの商品を売るためのデザインやコミュニケーションから、持続可能な社会のためのコミュニケーションへ。

 「気候変動への対応策は緊急を要するけれど……バランスをとるのが難しい。価値観の基盤を変えることが重要だと感じる。消費を重視するのは過去のこと。人生の目標を“買う”だけにしないこと、愛情や友情で感じる幸福感にシフトしていくことが求められる。事業をすることで売り手と買い手が対話しながら、持続可能なビジネスを考える必要があるだろう」と語る一方で「学ぶことは簡単だけど、行動を起こすことは難しい」とも言う。

 しかし、SDGsの中にはより身近な問題についての目標もあることに言及する。「例えばターゲット5-4(公共のサービス、インフラ、および社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する)は夫婦関係に向けた内容。家事を有料化したり、たがいに分配したりするといった解決策がある」と語り、会場の空気をやわらげた。

 日本におけるSDGsの認知度は19%と、他国に比べると低い。しかし、環境にどれだけ貢献しているかが今後は企業価値を大きく左右すると考えられるため、多くの企業がSDGsを盛り込んだビジョンを発表している。

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この夏の旅を共に過ごしたい、香りのコスメ3選

 例えば、ホテルの部屋で、ベッド周りで、車の中で、ベランダで、あるいは飛行機の中で。この夏を共に過ごした香りがあれば、深く心に刻まれる。大脳に直接働く香りは記憶と結びつきやすいからだ。バケーションシーズン真っ只中の今、バッグに忍ばせて出かけたいのは、トラベルサイズの香り。すでに休暇を終えた人は、いつもの場所で楽しむのも一興。そんな3つの香りのアイテムを紹介する。

テキスタイルにマッチする「フェギア1833」

 パッケージを新たにした「フェギア1833(FUEGUIA1833)」のテキスタイル シリーズは、布や衣服などのワードローブに吹きかけて楽しむ香り。抗菌と抗ウィルスにも配慮し、それらに効果的に働く原料で構成されている。ラインアップされる5種の中でも、特に夏に選びたいのが「リノ(Lino)」。ナツメグやオレガノ、タイム、ペッパーなどのスパイスを基調とした香りにのぞかせるのは、ラベンダーとムスク。乾いた空気に降り注がれるかのような、その太陽のような香りを洗い立てのリネンのシーツやシャツに包みたい。

フランスの総合美容薬局「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(OFFICINE UNIVERSELLE BULY)」

 熱や蒸気を使わずに香りを瞬時に蒸発させる、「アラバストル」という提案。使い方は極めてシンプルで、白磁器=アラバストル ポースランに、微細な気泡構造のストーン=アラバストルピエールをセット。ここに、香りのエッセンス=アラバストルパルファン・コンサントレをストーンの上に数滴落とすだけ。部屋の広さを選ばず、その空間を香りで包み込んでくれるアイテムだ。全8種ある香りの中から、この夏は最新作のアンニバルを。クミンなどのスパイシーな香りにヒマラヤスギやパピルス、ジャスミンが溶け出し、柔らかでありながらセンシュアルな香り。 ラストはパチュリやレザーなどが混じり合い、温かみの中にも力強さをも感じさせてくれる。いつもの部屋で、書斎で楽しめば、香りには旅する力をもあることを教えくれるだろう。

旅をテーマに創作する、「アスティエ・ド・ヴィラット」

 世界の都市や場所の名を冠し、「香りの世界旅行」をテーマに作られる「アスティエ・ド・ヴィラット(ASTIER DE VILLATTE)」のインセンス。洗練のボックス(W152×D63×H19mm)に美しく収まったインセンスは、1本でおよそ15分から20分ほど持続。ブランド初の女性調香師の一人であるフランソワーズ·キャロンとの協働でクリエイトした香りだ。このイノセンスは、香りの生地を長時間かけて圧縮して加工。その中に香りを浸透させて作られる、一連の工程は日本の技術が支えている。最新作の「ポルト·デ·リラ」は、薄紫色のリラの花を主題に、薔薇とジャスミンが咲き乱れ、大胆で華やかなハーモニーを奏でる。その、静かに立ち上る香りと煙に包まれる夜があってもいい。

渡部玲:女性誌編集部と美容専門の編集プロダクションに勤めた後、独立。2004年よりフリーランスの編集者・ライターとして雑誌やウェブなどの媒体を中心に活動。目下、朝晩のシートマスクを美容習慣にして肌状態の改善を目指している

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「全体の15%の特許権出願を占めるアパレルが守るべきは?」 ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.6「“3本ライン”の商標取り消し アディダスのビジネスに与える影響とは?」

読み解きのポイント「信用保護としての商標権」

ニュースの要約

 「方向性/形を特定しない3本ライン」の商標取り消しを不服として、アディダス(ADIDAS)が異議を申し立て。欧州一般裁判所、欧州連合知的財産庁とも「訴え」を退けた。アディダスは、スニーカーやアウターの袖に用いる3本ラインを含む、その他商標を100以上登録しており、こちらは引き続き保護の対象。「商標登録取り消し」という報道により、3本ラインの商標権を一切行使できなくなったというミスリードも発生。今後の風評が懸念される。

CKRはこう読む

 「15%」 。 2016年度、特許庁に出願された全商標登録のうち、アパレル業界による出願の割合です。非常に多いと思いませんか?サービス、ブランドを大切にする業界であることが分かります。

 知的財産権の一つである商標権が守るものは、ブランド。また「早いもの勝ち」「サービスが存在してなくても出願できてしまう」「どんな領域で利用するかを指定する必要がある」という点も見逃せません。拒絶理由がなければ、商標は登録されることになります。

 つまりサービス名、ロゴマークなど、商標に値するものが生まれた時点で、まず出願。その後、対象サービスの事業準備というケースもあり得るのです。先日、カニエ・ウェスト(Kanye West)による「サンデーサービス(SUNDAY SERVICE):日曜礼拝」という商標出願が、新ブランド立ち上げという憶測を呼んだことは、記憶に新しいですね。

 とはいえ、いったん登録された商標に対して、取り消し請求することは可能です。訴えられた側が、事業での使用実態があることを証明できなかった場合などは、取り消されます。

 すでに100以上、商標登録しているアディダス。「EU全体」「同じ幅の3本平行ラインなら何でも」といった広範囲の商標権を取りにいこうとしたことが、今回の事態を招いたのかもしれません。

 一方、知的財産権の一つである特許権は、「新規性の高いアイデア」を保護するものです。そのため、「部品よりも仕組み全体といった広範囲の権利化」を狙いにいくことが多々あります。

 ブランドを保護する商標権において、大事なことは「信用」です。アイデアを保護する特許権とは違います。「自社やサービスの信用を確保する」という視点に立ったとき、本来取るべき行動は何か。この点は、事前にしっかりシュミレーションする必要がありそうです。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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「エレガントな女性というのはその足もとから生まれるものです」 「ディオール」メゾンコード研究第8回は靴 “ジャディオール”パンプス

 歴史あるブランドはアイコンと呼ばれるアイテムや意匠を持ち、引き継ぐ者はそれを時代に合わせて再解釈・デザインする。アイコン誕生の背景をひもとけば、才能ある作り手たちの頭の中をのぞき、歴史を知ることができる。この連載では1946年創業の「ディオール(DIOR)」が持つ数々のアイコンを一つずつひもといてゆく。奥が深いファッションの旅へようこそ!

 今回の主役は靴である。マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)=アーティスティック・ディレクターは、「ディオール」でのデビューを飾った2017年春夏コレクションで、写真のシューズ“ジャディオール”パンプスを発表し、今ではステートメントピースとしてベストセラーになっている。このシューズもまた、この連載で紹介してきた他のアイテムと同じく、メゾンのアイコンを今の時代に合わせてデザインし職人たちが手仕事で仕上げたものだ。

 ムッシュ・ディオールは靴について、次のような言葉を残している。「靴選びにはもっと慎重になるべきです。ほとんどの女性がそんなに重要なこととは思っていないようですが、エレガントな女性というのはその足もとから生まれるものです」。その言葉通り、ムッシュは1947年の“ニュールック”を完成させるためにも靴のデザインに非常にこだわっている。

 「ディオール」の靴について語るときに外せないのがシューズデザイナー、ロジェ・ヴィヴィエ(Roger Vivier)の存在だ。1953年から10年間は「ディオール」の靴のラベルにロジェ・ヴィヴィエの名前も表示されていたほどムッシュから信頼されていた。「友人のロジェ・ヴィヴィエのおかげで、女性の全身を『クリスチャン ディオール』で飾るという私の夢がかなった」とムッシュ。ヴィヴィエは、プリーツや刺しゅう、優美な模様のファブリックを用いた作品で、女性らしさを際立たせた。また、パンプスの形状を再考し、つま先を尖らせたり、多様な形のヒールを考案したことでも知られる。

 “ジャディオール”パンプスは6.5cmのヒールを中心に、1cmのフラットと、10cmのハイヒールもそろえる。オートクチュールを想起させる刺しゅうを施したリボン、後部のステッチといった高度なクラフトマンシップが特徴で、“J’ADIOR”のリボンの文字はなんと1文字ごとに糸を手作業で切断しているため7万5000以上の縫い目があるという。気の遠くなる話だが、同時に文字は1本の黒い糸のみを使用して描かれているため、つなぎ目で足がこすれる心配がないなど、履き心地への細かな配慮も見られる。「どんなときも履き心地がよくなければいけません。履き心地のよくないシューズは歩き方を悪くし、美しいお洋服をまとっても醜くなってしまいます」とムッシュも話したように、履き心地は靴の大切な要素だ。

 そして脚をほっそりと見せるポインテッドトーやスタイルを引き立てるローカットなど、足のラインが美しく見えることへも配慮されている。装飾もカッティングも履き心地も、すべては女性のエレガンスのために。その精神は今も脈々と引き継がれている。

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NBAのスター選手ラッセル・ウェストブルックに直撃 シグネチャーモデルから八村塁についてまでを聞く

 2008年にオクラホマシティ・サンダー(Oklahoma City Thunder)でデビューすると、これまでにNBAオールスターゲームに8度選出され、MVP、得点王、アシスト王を受賞するなど、NBAを代表する1人として10年以上活躍しているスター選手がラッセル・ウェストブルック(Russell Westbrook)だ。ここ数シーズンはオールラウンダー選手としてさらに勢いを増し、2シーズン連続で平均トリプル・ダブル(1試合で得点、リバウンド、アシスト、スティール、ブロックショットの5項目のうち3項目で2ケタを記録すること)を史上初めて達成するなど、長きにわたるNBAの歴史にその名を刻み続けている。

 そんな彼が8月、自身のシグネチャーモデル“ワイノット ゼロ2 SE(WHY NOT ZER0.2 SE)”(1万5500円)の発売に合わせて2度目となる来日を果たした。シグネチャーのモデル名にも使用されている座右の銘“Why not?(なぜやらない?)”や、同じく“ジョーダン ファミリー”となった八村塁選手についてなど、短い時間ではあったが話を聞いた。

WWD:2008年のNBAデビュー以来、これまで第一線で活躍し続けることができた理由は?

ウェストブルック:バスケットボールが大好きだからさ。好きなことをやるのは楽しいからね。それが大きなモチベーションだよ。

WWD:長年の座右の銘“Why not?”について教えてください。

ウェストブルック:これはバスケットボールやビジネスはもちろん、人生やスニーカーなど、日々の全ての事柄に関わっていて、俺はこのモットーに基づいて生きているんだ。ポジティブな考え方をポジティブな言葉で表現している。世界中の人々にも当てはまる言葉じゃないかな。

WWD:NBA随一のファッション好きとして知られ、会場入りの際にはスナップを撮られることもしばしばですが、その際のスタイリングとオフ時のスタイリングに違いはありますか?

ウェストブルック:ドレスコードがある関係で少しは違いがあるけど、基本的には自分の好きなものを着ているからあまり変わらないね。

WWD:スニーカー好きとしてこれまで数え切れないほどのスニーカーを保有してきたと思いますが、現在は何足ぐらい保有していますか?

ウェストブルック:自分でもいっぱいありすぎてわからないんだ(笑)。

WWD:その中でのお気に入りは、やはり自身のシグネチャー?

ウェストブルック:もちろんさ。

WWD:「ジョーダン ブランド(JORDAN BRAND)」からシグネチャーモデルを発表できると聞いたときの気持ちは?

ウェストブルック:とにかくびっくりしたよ。それと同時にとてもうれしかったし、感謝の気持ちでいっぱいだった。自分のシグネチャーシューズを持つことなんてこれまでの人生で考えたことがなかったし、それも「ジョーダン ブランド」から出せるなんて本当に幸せなことさ。

WWD:先日、18年に発売した2作目となるシグネチャーモデルを夏仕様のカラーリングにアップデートした“ワイノット ゼロ2 SE”が発売を迎えました。今作にかけた思いは?

ウェストブルック:“Own the Chaos(カオスを支配する)”と言われる俺のプレースタイルをテーマに、さまざまな色を使って奇抜なデザインにすることで自分らしさを表現しているんだ。本来内側にあるタグをシューズの底につけてみたり、世界中を旅するからロゴをタグ風に変えたりね。インスピレーションはいろいろあるけど、特に韓国・ソウルからが大きいよ。

WWD:最後に、現在日本では八村塁選手のNBA入りに湧いていますが、あなたから見て彼はどういった選手になりそうですか?また何かアドバイスがあれば。

ウェストブルック:日本や家族を代表していくというのは本当に特別なことだと思うし、そうしたモチベーションを保って楽しくプレーできればいいプレーヤーになると思う。同じ「ジョーダン ブランド」の選手としても応援しているよ。

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隈研吾×サカナクション山口×「アンリアレイジ」森永のコラボ展 “意味、解釈を超えた体験”

 建築家の隈研吾、サカナクションの山口一郎、「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の森永邦彦デザイナーの3者による「more than Reason 隈研吾+山口一郎(NF/サカナクション)+森永邦彦(ANREALAGE)展」が9月24日まで、東京・京橋のLIXILギャラリーで開催されている。入場は無料。

 同展はLIXILギャラリーが、隈やアートディレクターの清水敏男、金工作家の宮田亮平、建築家の伊東豊雄の4人を監修者に迎え、3カ月ごとの会期で開催する「クリエイションの未来展」の第19回目として隈が企画したもの。タイトルにある「more than Reason」が示すように、“意味や解釈、理屈を超えた体験を作ること”を目指して制作を進めた。

 企画は、隈が山口のラジオに出演し意気投合したことがきっかけとなり実現した。さらに山口が「アンリアレイジ」のショー音楽をディレクションしたり、森永がサカナクションのライブ衣装を手掛けたりするなど、2人はかねてから交流がある。

 ギャラリーには黒と白の部屋があり、プリーツドレスを着たマネキンがそれぞれ空間の中央に浮かぶ。森永が制作したドレスの上部は隈による天井、そして壁面のカーテンへとつながり、その境界は曖昧だ。展示空間には、山口が生活音や環境音をサンプリングした音楽が流れている。

 注目すべきはその制作過程だ。つながっているように見えるドレスと部屋は、全て同じ素材でできている。偶然にも森永と隈の事務所は徒歩数分の距離に位置しており、頻繁に打ち合わせを行ったという。隈研吾建築都市設計事務所の松長知宏設計室長は「建築と洋服にはとても近い部分がある。扱うもののスケールが違うだけで、今回それぞれの事務所では平面(シート)から立体(ドレス、空間)を作るという似た手順が踏まれていた」と語った。

 使用した素材は建築現場で使用される安価な養生シート。使用後は捨てられることが多く、主役となることはない。そんな素材をあえてドレスという上品なものに仕立てたところには、対極にあるものを交ぜ合わせる「アンリアレイジ」の手法がうかがえる。一方で隈が手掛けた天井やカーテン部分は手作業で仕上げられており、精巧なドレスから手の跡が感じられるカーテンまで、同一素材のコントラストも楽しむことができる。

 また来場者には俳句とQRコードが書かれたカードが入り口で配布される。俳句は上の句を山口が、中の句を森永が、下の句を隈が、それぞれ10〜20点ほど出したのものをランダムに選んで並べたもの。QRコードを読み込むと山口が手掛けた音楽を聴くことが可能だ。

 隈は建築、山口は音楽、森永はファッションと、異なる分野のクリエイターが互いの境界を曖昧にし偶然性を楽しんで制作した同展は、3者のコラボレーションのプロローグで“vol.0”という位置づけ。今後も同じタイトルで展開をしていく予定だという。

■more than Reason 隈研吾+山口一郎(NF/サカナクション)+森永邦彦(ANREALAGE)
日程:7月20日〜9月24日
時間:10:00〜18:00
場所:LIXILギャラリー
住所:東京都中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビル LIXIL:GINZA 2階
休館日:水曜日、8月10日〜15日、25日
入場料:無料

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「マルニ」出身トリオによる新ブランド リステアでインスタレーション

 「マルニ(MARNI)」創業デザイナーであるコンスエロ・カスティリオーニ(Consuelo Castiglioni)のもとで経験を積んだ3人によるウィメンズブランド「コルヴィル(COLVILLE)」は、8月16日まで東京・六本木のセレクトショップのリステア(RESTIR)でインスタレーションを開催している。

 2018年にスタートした「コルヴィル」は、英国版「ヴォーグ(VOGUE)」のファッション・ディレクターとして活躍し、「マルニ」のクリエイティブ・コンサルタントを務めてきたルシンダ・チェンバース(Lucinda Chambers)と、「マルニ」でウィメンズウエアの責任者を務めてきたモリー・モロイ(Molly Molloy)、そしてメンズウエアのデザイン・ディレクターを務めたクリスティン・フォルス(Kristin Forss)の3人が立ち上げた。デザインはカラフルで大胆なテキスタイルが特徴的。ドレスをはじめ、古着をアップサイクルしたアウターなど自立した女性に向けた日常着がそろう。

 リステアでのインスタレーションでは、ルシンダ、モリー、クリスティンそれぞれの個性をスタイリングで表現した展示と、ビンテージのラグやインスピレーション源となった映像なども見ることができる。特別な展示を行う3人にデザインのこだわりや今後の目標などを聞いた。

WWD:3人は「マルニ」を通して出会ったと聞いたが、お互いの第一印象は?

ルシンダ:モリーには会う前から、いろんな人から素敵なウワサを聞いていたわ。それで連絡を取って「一緒にお茶でもどうですか?」と誘ったの。会ってからは意気投合して、一緒に働きたいと思ったのを覚えている。

モリー: 2005年の話ね。ルシンダの家で紅茶をいただきながら、ポートフォリオを見てもらっていたら、「『マルニ』のウィメンズのデザインチームで働いたらどう?」と勧めてくれた。その瞬間が私たちの友情の始まりで、クリエイティブな共同作業の始まりでもあったと思う。その後、「マルニ」チームにあいさつするためにミラノを訪れた初日の夜にクリスティンと知り合ったわ。スパークリングワインを飲んで、酔っ払って、とても楽しい時間を過ごした。それ以来、私たちは友達であり、仕事仲間になったのよね。

ルシンダ:私もクリスティンと初めて会ったのはミラノだったわ。一目見て、素晴らしいファッションセンスの持ち主だと思ったの。エフォートレスでかっこよくて。今やクリスティンは私のオシャレのご意見番のような存在ね。

クリスティン:ルシンダは私が「マルニ」に入ったときから現場で活躍して、いつも刺激を与えてもらっていたわ。モリーとは「マルニ」で出会ってすぐに親友になったけど、今も一緒にいると笑いが絶えなくて、尊敬もし合える仲なの。

WWD:「コルヴィル」でのそれぞれの役割は?

ルシンダ&モリー&クリスティン(以下、LMK):全て共同作業と言えるわ。時と場合に応じて、それぞれが異なる能力を発揮し合うことがブランドの強みになっていると思う。友人と仕事をしているということも大きな特徴の一つ。ブランドでもあるけれど、「コルヴィル」というコミュニティーを作っているような感覚でもあるわ。

WWD:「コルヴィル」の名前は、画家のデイヴィッド・ホックニー(David Hockney)が1970年代に暮らしていた西ロンドンの通り、コルヴィル・テラスに由来するそうだが、なぜこの名前にしたのか?

LMK:私たちがコルヴィル・テラスのエリアが大好きで、ホックニーの大ファンでもあるから。それに3人とも“COLVILLE”の響きが気に入っていたのよ。

WWD:ブランドをスタートして1年を迎えた。すでに定番化した商品はある?

LMK:私たちは毎シーズン、アップサイクルを取り入れることを考えているなかで、最初の商品だった古着を用いて作ったボレロ“アップサイクルド スリーブ”が一番人気。どんな服にも合わせやすいところもおすすめよ。幸いなことにコレクションの中でも、打ち出したい象徴的なアイテムが好評でうれしいわ。

WWD:カラフルな色使いや柄が印象的だ。デザインのこだわりは?

LMK:鮮やかなプリントはブランドが大切にしている特徴の一つ。異なる色柄を合わせる色遊びなど、私たち3人が大好きな要素。また、何通りにも着回せることも意識しながらデザインしているのもこだわっていること。

WWD:今回のリステアで開催しているインスタレーションについて教えて。

LMK:3体のマネキンを使って、私たち3人を表現したわ。今季の商品の中からそれぞれが「私だったらこう着るよね」と各自のお気に入りのスタイリングを組んでいる。「コルヴィル」は3人の個性から成り立っているので、展示からブランドのエネルギーが感じられると思うわ。

WWD:今後メンズ・コレクションを発表する予定は?

LMK:今後発表を計画している。「マルニ」で優秀なメンズデザイナーを務めてきたクリスティンがメンバーにいるので、作らない理由はないもの。

WWD:今後の目標は?

LMK:「コルヴィル」は設立当初から独特な視点を持って、お客さまに提案したいと思っている。コラボレーションも積極的に行い、将来的に家具や食器などインテリアにも広げていきたい。

■Colville:Installation
会期:8月9〜16日
場所:リステア 2階
住所:東京都港区赤坂9-6-17

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カニエ・ウェストの元スタイリストが手掛ける「ダリル ブラウン」と「ミッドウエスト キッズ」とは?

 全米3位の人口を有するシカゴを筆頭としたアメリカの中西部、いわゆる“ミッドウエスト”は、カニエ・ウェスト(Kanye West)やヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)ら、現代のメンズ市場を動かす男たちの出身地として知られる。同じくミッドウエスト出身のダリル・ブラウン(Darryl Brown)は、自身の名を冠した「ダリル ブラウン(DARRYL BROWN)」と「ミッドウエスト キッズ(MIDWEST KIDS)」のデザイナーだ。彼を一躍有名にしたのが、カニエ・ウェスト(Kanye West)の元スタイリストという経歴で、4月に来日したカニエが“MIDWEST KIDS”と書かれたパーカを着ていたことは、ファンの間で記憶に新しい。ダリルはこのほど、バーニーズ ニューヨーク六本木店にイベントの為、来店。デザイナーとして本格的にキャリアをスタートしたダリルに、ブランドのことや自身のルーツのこと、スタイリスト時代のことなどを聞いた。

WWD:ファッション業界の前は鉄道会社に勤めていたとか。

ダリル・ブラウンデザイナー(以下、ブラウン):僕はオハイオ州の小さな街出身で、その街の鉄道会社で働いていたんだ。数年後に地元で友達がセレクトショップを始めたから、そこで働かせてもらうことにした。当時はストリートブランドの全盛期で、「ロックスミス(ROCK SMITH)」(日本人のDJ MASTER KEYが立ち上げたNYを拠点とするストリートブランド)を取り扱っていたんだけど、彼らが店に視察に来た時に「君はNYに来た方がいい。仕事は用意するから」と誘ってくれて、それがきっかけでNYに行くことにした。「ロックスミス」では7年間働いたんだけど、ラッパーのマシン・ガン・ケリー(Machine Gun Kelly)からスタイリングを頼まれて、スタイリストとしての活動をスタートした。最後のクライアントはカニエ・ウェストで、自分のブランドを立ち上げた去年までの4年間、カニエのスタイリストをしていたんだ。

WWD:ブランドを立ち上げた経緯は?

ダリル:「イージー(YEEZY)」(カニエの手掛けるブランド)の仕事で、レファレンスとなるモノを世界中から探していたから、僕もそのチームの一人として、世界中のいろんな都市に行っていた。でも最後の1~2年はもう買いたいモノが無くなってしまって……。それなら、自分たちが着たいモノを作った方がいいなと考えた。それがブランドを立ち上げたきっかけだね。

WWD:「ダリル ブラウン」と「ミッドウエスト キッズ」、それぞれのブランドコンセプトは?

ダリル:「ダリル ブラウン」は自分のクリエイションを反映したブランドで、ワークウエアがベースとなっている。コンセプトは、例えば「カーハート(CARHARTT)」や「ディッキーズ(DICKIES)」といった既存のワークブランドにはない、まるで「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」みたいなエレガントなワークウエア。一方で「ミッドウエスト キッズ」はセカンドラインという位置付けで、ストリートウエアとして発信している。アメリカだとミッドウエスト出身と言うと、まるで異国のような印象を持たれるけど、ミッドウエストの素晴らしさをメッセージとして伝えたかったんだ。20年かけて、誰でも気軽に着られる「チャンピオン(CHAMPION)」のようなブランドに育てたいと思っている。

WWD:スタイリストの経験が今の仕事に生かされていると思うことは?

ダリル:今僕がこうしているのは、スタイリストの経験がものすごく生きているけど、販売員だったり、ブランドのマーケティングマネジャーだったり、ストックルームで在庫を整理していたことでさえ、全てが大事な経験だよ。そういう経験がコレクションには反映されていて、それを感じてもらえたらいいなと思う。ラッパーは言葉で自分のメッセージを伝えるけど、僕は洋服を通して“自分はこんな人間なんだ”って伝えていきたいからね。

WWD:「ミッドウエスト キッズ」は4月に来日したカニエも着ていましたね。

ダリル:カニエとは、僕が自分のブランドを始めた時から別の道を歩むことになったんだけど、今でもいい関係は続いている。まるで兄や師匠のような存在だね。カニエと一緒に働くことで学校では学べないことをたくさん学んだ。カニエに「ミッドウエスト キッズ」のパーカを贈ったら着てくれたんだ。とても頭のいい人だから自分が着て外に出れば写真を撮られることだってもちろん分かっているけど、それを分かった上で着てくれた。今でも僕のことをサポートしてくれているということを実感しているよ。

WWD:カニエやカニエが輩出した人たちが今のメンズトレンドマーケットの中心にいることについてはどう思う?

ダリル:ヴァージル(・アブロー)とかドン・Cとか、“Ye大学”(カニエのニックネームである“イェー”を付けたチーム名)の出身者だよね。自分もそのうちの一人で、外から見たらトレンドって思われるかも知れないけど、みんなそれぞれ自分のストーリーを持っていて、そのメッセージを伝えることが何よりも大事だと思っている。ステレオタイプな言い方だけど、カニエやヴァージルは、子どもたちに「こうやってアメリカンドリームを掴むんだ」ってメッセージを発信しているんだよ。

WWD:今後のビジョンは?

ダリル:今のファッションシーンを例えるなら“沸騰したお湯”みたいなものだよ。お湯がこぼれると水を足さなければならないから、今は水を足すことが必要な変革期だと思う。僕のやっていることは、ちょっと先の事かも知れないけど、シルエットやシェイプ、色、生地にこだわったシンプルな洋服でロゴだけじゃない。「バレンシアガ」や「オフ-ホワイト」のロゴですら、6カ月後には“古い”って言われる中で、僕は5年後、10年後に着られるような服作りをしたいんだ。ファッションショーではみんな派手な洋服を作るけど、ショーの最後にデザイナーが登場した時は、すごくシンプルな格好だよね。僕はそれが最終的なファッションの答えなんじゃないかと思っている。シンプルで何も主張しないけどほかとは違う、そういうブランドを目指している。

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「口紅から甘い香り」 香水ブランド「キリアン」創設者に聞く、メイクアップ参入の狙い

 エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)傘下の仏ラグジュアリーパルファムブランド「キリアン(KILIAN)」は今秋、ブランド初のメイクアップ製品「ル ルージュ パルファム」(全12種、各6200円)を日本でも発売する。同製品は今年、北米、仏、英、露、中東などの旗艦店を中心に発売され、2カ月で7万個を完売(メーカー出荷ベース)したヒットアイテムだ。アジアでは、8月に韓国で先行発売し、今秋、満を持して日本で販売する。6月中旬に開催したプレスイベントに合わせて来日した創設者のキリアン・ヘネシー(Kilian Hennessy)に、メイクアップ製品投入の意図と今後の展望を聞いた。

WWD:昨年10月に日本初上陸を果たしてから、三越日本橋本店、日本橋高島屋、大阪高島屋、伊勢丹新宿本店メンズ館と順調に店舗を増やしています。プレスイベントのほかに、今回の来日の目的があれば教えてください。

キリアン・ヘネシー「キリアン」創設者(以下、ヘネシー):伊勢丹新宿本店本館への出店を予定しており、その調整を含めいくつか新店の話をしています。私は新規の市場に参入するときにいつも同じ手順を踏むのですが、まずローカルのチーム、日本の場合はELCジャパンに数カ月オペ―レーションを任せて、6カ月から9カ月経ったころに実際に足を運びます。そのときにプレス関係者、インフルエンサーや小売り関係者を招いて大きなローンチイベントを行います。この方法で結果が出ているので、それを踏襲しています。ブランドのDNAや真の価値をローカルスタッフが理解してこそ、最適なプロモーションができると考えているためです。ブランドとしての統一感(インテグレーション)にこだわると新規市場では準備が間に合わずバタつき、また、ローカルチームのブランドに対する知識や理解が及んでいないのでより結果が出ません。

WWD:新製品「ル ルージュ パルファム」はブランド初のメイクアップアイテムとなりますが、詳細を教えてください。

ヘネシー:「キリアン」ではルージュにもパルファムと同じ香料を使っています。パルファムの中で人気の「ラブ ドント ビー シャイ オード パルファム」という香りで、マシュマロからインスパイアされた、バニラやネロリなどどちらかというとスイート系の香りです。女性はバニラの香りが好きなので、口紅から甘い香りが漂うようにその香りをつけています。香水も口紅も、もの作りの過程は似ています。それがアロマキャンドルでもせっけんでもボディーローションでも、異なるアイテムに香りをつける工程はさほど変わりません。今後もいろいろなものに香りを乗せて何ができるか試行していきます。

WWD:「ル ルージュ パルファム」のデビューコレクションを“赤”だけにした理由は?

ヘネシー:一つは個人的に女性が赤い口紅をつけているところが好きだから。もう一つは、赤を好んでつける友人たちは一様に自分にとっての“完璧な赤”を追い求めているということを知ったからです。自分にとっての完璧な赤い口紅を求める旅は、完璧な香りを求める過程と同じだと思っています。双方とも女性にとってアイデンティティーを決定する強力な要素になります。

WWD:同じ色でサテンとマットの2つの質感を作った理由を教えてください?

ヘネシー:ほかのブランドでそうした展開をしているところがなかったからです。個人的にはマットな口紅が好きですが、全ての人にそれが似合うわけではない。若い時はマット系の口紅をつけている人でも、ある程度の年齢になると老けて見えることを恐れて「もうマットはつけられない」となる。そのようなときにサテンの質感を選べるのはいいと思ったのです。ただ、マットの方はテクスチャーに関してとてもこだわって作ったので、使用感がこれまでのマット系のリップとは全く違うと思います。マットが好きな人でも、見た目は好きだけど唇が渇いて使い心地が好きではないという人も多いようです。ですが、エスティ ローダー カンパニーズとも努力を重ねて、唇につけたときの使用感をとても快適に仕上げることに成功しています。マットは難しいと思っている人にも、あまり気負わずに使ってもらえるのではないでしょうか。

WWD:「ル ルージュ パルファム」をすでに発売している国を教えてください。

ヘネシー:北米とフランス、英国、ロシア、中東、それにヨーロッパ全域です。欧米市場では旗艦店を中心にバレンタインデーに向けて発売しましたが、2カ月で7万本を完売(メーカー出荷ベース)するほど好評でした。アジアでは8月に韓国の「新羅ホテル」内にあるブティックで先行発売する予定です。今後、生産も流通も規模拡大のスピードを上げていきます。

来春に新色を発売予定 
メイクアップライン拡充の計画も

WWD:「ル ルージュ パルファム」以外にも“香る”メイクアップ製品を拡充する構想はありますか?

ヘネシー:今後3年で「キリアン」のメイクアップラインを構築していく計画です。現状では「ル ルージュ パルファム」は赤だけの展開ですが、ラズベリーやブラウン系、ヌード系のカラーも開発中で、新たに10色を来年のバレンタインに合わせて発売する予定です(日本での発売時期は未定)。1つの色でサテンとマットの2つの質感で展開する手法も成功しているので、その戦略を続けていきます。

WWD:マーケティングに頼らない自由なクリエイションをブランド哲学に掲げていますが、ビジネスとしての成長戦略をどう考えていますか?

ヘネシー:ある意味で私は自分のことをコマーシャルデザイナーだと思っています。売れないものは作りたくないので、市場に出回っている商品を研究し尽くします。例えば今回の口紅ではそのカテゴリーを研究し尽くして、今市場にないものを作り出して消費者に喜んでもらおうという発想です。そうして新しい市場を作り出していく。新しいものを市場に出すにはリスクを伴います。今回の口紅には香りがついていますが、エスティ ローダー カンパニーズにとってもこうした製品を作ることには半信半疑でした。「ヨーロッパ市場ではうまく行くかもしれないが、他のエリアでは難しいのではないか」という意見が多かったのですが、アジア地域、そしてこの日本でも一足先に試した人はとても喜んでくれました。これからも今までにないユニークな製品を提供していきたいと思っています。

WWD:「キリアン」ブランドにとって、アジアでの大きなマーケットは?

ヘネシー:韓国、日本、タイ、ベトナムに進出していますが、売り上げの規模で一番大きいのは韓国です。「ル ルージュ パルファム」の販売も韓国からスタートします。「新羅ホテル」内のブティックで先行販売して、その後、百貨店での取り扱いが始まります。おそらくそのころには日本でも販売を開始しているでしょう。

WWD:今回開催したプレスイベントのプレゼンテーションでは、1985年から95年を香水のクリエイションにおける黄金時代と語っていましたが、現在の香水業界をどのように見ていますか?

ヘネシー:95年以降の10年は、その前の10年と比べると香水業界にとってはあまりいい時代ではなかったと思います。その結果として、ニッチ香水のクリエイションの必要性が生まれました。名前の通ったブランドがレベルの高いクリエイションをしてくれていればよかったのですが、そうではなかったので消費者側から原点回帰が起こり、ある意味で規模が小さい、名前は知られていないけれど確実なモノ作りをする人たちが求められるようになりました。

WWD:「偉大ではなかった」とはコマーシャルになりすぎたという意味でしょうか?

ヘネシー:そうとも言えます。そうした時代を経て、今は新しいブランドやプロジェクトが次々と生まれるようになり、調香師やメーカーにとって非常にエキサイティングな時代になっていると思います。日本でもニッチなメーカーやブランドが存在できるようになってきています。

WWD:日本の香水市場はまだまだ規模が小さいですが、どのようにビジネスを成長させていくか教えてください。

ヘネシー:日本では化粧品市場に占める香水の割合が3%程度ということは認識しています。より快適に、香りをまとう提案をしていきたいと思います。今回新たに投入する「ル ルージュ パルファム」は、顔のまわりに軽い香りが漂い、ほのかに香りに包まれるアイテム。香水初心者のスタートポイントとしてはいいのではないかととても期待しています。

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スニーカーが大人気 「ゴールデン グース」CEOが語る、売上高5年で9倍の裏にあるフィロソフィー

 ラグジュアリースニーカーの先駆け的存在であるイタリア・ベネチア発のブランド、「ゴールデン グース(GOLDEN GOOSE)」が今夏、東京・南青山に路面旗艦店をオープンした。同ブランドは2018年12月まで、トゥモローランドが日本での店舗運営を行っていたが、現在はジャパン社(浅井謙二社長)が事業を引き継いでいる。旗艦店のオープンに合わせて来日した本国のシルヴィオ・カンパラ(Silvio Campara)最高経営責任者(CEO)は、かつて日本に住んでいたこともあり、日本各地の伝統的なモノ作りに精通している。カンパラCEOに、ブランドのフィロソフィーや日本との関わりを聞いた。

WWD:日本のモノ作りにとても造詣が深いと聞いている。それはなぜ?

シルヴィオ・カンパラCEO(以下、カンパラCEO):僕と日本との縁は05年にさかのぼる。当時は「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」で働いていて、4年ほど日本に住んでいたんだ。日本とイタリアは共通点が多いこともあって、日本やその文化は大好き。両国とも国が狭いからか、ディテールへのこだわりが強いと思う。アメリカなどの広い国はより大きなものを見たがるのに対し、狭い国では細かなことに気付くからね。日本もイタリアも優れたクラフトマンシップがあるという点が共通しているので、日本にいた頃はレザーや木製品の小さなアトリエを北海道から九州まで訪ね歩いたし、ファッションのアトリエではないところにも行ったよ。「ゴールデン グース」と日本を結び付けているのは、そうしたディテールへのこだわりの強さだと思う。ブランドを立ち上げたとき、本国のイタリア以外でポジティブな反応をしてくれたのはアメリカと日本だったし、日本と「ゴールデン グース」の関係には長い歴史がある。スニーカーだけではなく、ブランドとしてね。

WWD:今回の旗艦店オープンのタイミングでは、日本の藍染め職人と組んだ限定商品のTシャツを作成。19-20年秋冬は北海道のアイヌ文化などに着想したコレクションを作っている。

カンパラCEO:どこかの国に進出した際には、本国の言葉や手法だけでなく、その国の言葉やフィーリングを織り交ぜて、顧客にメッセージを届けたいといつも考えている。これはとても重要なことで、われわれの戦略である“グローカル(グローバル&ローカル)”の一環だ。「ゴールデン グース」の商品は全てベネチアで作られていて、われわれが打ち出すクラフトマンシップは世界で一つ。職人による細かなモノ作りをとても大切にするところに、日本と当社の強い結びつきを感じるから、東京の店舗では日本の職人とコラボレーションしたコレクションを発売した。これこそ、インクルージョン(多様性を取り込んでいくこと)だと思う。この機会に、「ゴールデン グース」にとって“ファミリー”がとても大事だということもぜひお伝えしたい。“家族”という一般的な意味に加えて、“共生”という意味があるんだ。それは常にインクルーシブ(包括的)で、新しい文化や異なるアプローチに対してオープンであること。昨年、子会社としてジャパン社を立ち上げたけど、チームの皆を「ゴールデン グース」の一員として迎えることでできてとてもうれしいし、単にチームというのではなく、“ファミリー”の一員だと思っている。“ファミリー”には、一般的な家族という意味だけでなく、共生という意味もあるんだ。

WWD:以前はトゥモローランドが日本での販売権を持ち、店舗運営していた。体制を変更したのはどんな意図から?

カンパラCEO:佐々木さん(佐々木啓トゥモローランド創業者)をはじめとするトゥモローランドの人たちは、「ゴールデン グース」のビジネスだけでなく、カルチャーやブランドの背景にある考え方も日本に根付かせるサポートをしてくれた。それがあったからこそ、本腰を入れてブランドを展開し、事業を拡大しつつマネタイズしていこうとなった。今回は新旗艦店のオープンに合わせて来日したわけだけど、トゥモローランドの皆さんに感謝の気持ちも伝えたかったし、日本における「ゴールデン グース」のさらなる発展を心から願っている。

話題先行のコラボレーションは
“フェイク”

WWD:日本では今後、どのようにビジネスを拡げていく?その中で、今回オープンした旗艦店はどんな役割を担う?

カンパラCEO:方向性としてはジャパン社設立前と同じで、それをさらに拡大していく。青山の旗艦店で扱う製品の30%以上は、日本向けの限定品だ。「ゴールデン グース」の商品戦略は非常にユニークで、たぶん世界でも珍しいと思うんだけど、地域・国と販売チャネル(セレクトショップ向け、百貨店向け、直営路面店、EC)の両方で取り扱い商品を変えている。多くのブランドは地域別に異なる商品を出していても、販売チャネルごとに違ったりはしないからね。日本ではまずは直営路面店に注力し、あと2店ほどオープンしたい。でも、多くの消費者が「ゴールデン グース」での買い物体験を楽しめるように、百貨店内への出店も今後数年で15店ほど考えている。今回オープンした旗艦店を語るうえでは、“ラボ”の存在も重要だ。ベネチアのアトリエで学んだ職人が常駐していて、顧客一人一人の好みに合わせてスニーカーをカスタマイズするんだ。“ラボ”併設店舗は東京を含めてまだ世界で3店しかない。日本はそれだけ重要な市場で、日本の「ゴールデン グース」ファンに最高の体験を届けたいと思っている。“ラボ”は今後、百貨店内の店にも併設していきたい。

WWD:ここ数年、世界的にスニーカーがヒットして、ラグジュアリーブランドもこぞって作るようになった。「ゴールデン グース」の存在はそうした動きの先駆けだったようにも思う。

カンパラCEO:われわれは今や、世界的なスニーカーブランドの一つだ。うちが初めてラグジュアリースニーカーを作って、ラグジュアリーブランドが追随したんだ。うちは今でもハンドメイドでスニーカーを作っていて、そういった手法を守っているブランドは少ないと思う。ただ、忘れてほしくないのは、われわれはスニーカーブランドではなく、スニーカーも作っているブランドだということ。スニーカーは、「ゴールデン グース」の多様な世界の一つであり、顧客に何か特別なものを提供したいという思いを込めて職人が作っている。最近はブランドや企業同士のコラボレーションも多いけど、その多くはフェイク(偽物)だと感じる。消費者は馬鹿ではないから、偽物のコラボに意味なんてない。僕らはコラボを打ち出そうとは思わない。うちの商品は一人一人に合わせてカスタマイズすることで、顧客に寄り添うことができる。「私はこうしたい」と“ラボ”の職人に伝えてもらえれば、それが製品に反映される。イニシャルの刻印とか誕生月別のデザインとかではなく、個人の感情や思いに基づいてカスタマイズするんだ。もう一つ重要なのは、そうしてカスタマイズされた製品を、顧客自身が使っていくことでさらにカスタマイズされていくということ。「ゴールデン グース」のスニーカーを購入する人は、皆そのスニーカーと恋に落ちる。捨てたりせず、まるで家族であるかのように大事に取っておく。とても興味深い現象だよね。

ラグジュアリーとは、「永遠に残るものを作ろうとする大志」

WWD:「ゴールデン グース」は、“ベネチア発のラグジュアリーブランド”といった紹介の仕方をされることもある。しかし、話を聞いているとラグジュアリーの意味が一般的なラグジュアリーブランドとは違うようだ。

カンパラCEO:僕の考えでは、何かを永遠に残していこうという大志を抱いているブランドこそが、本物のラグジュアリーブランド。例えば50年前に作られた「シャネル(CHANEL)」のバッグは、今でもすばらしいよね。同様に、10年前に作られた「ゴールデン グース」のスニーカーも、今でもすばらしい。僕はこれをとても誇りに思っているし、この会社を経営する原動力になっている。ここ何年かで、ラグジュアリーに対する価値観が大きく変わったと思う。昔はラグジュアリーかどうかは値段によって判断されたけど、今は希少性がその基準になっている。例えば、われわれのスニーカーは一つとして同じものがないから、売れてしまえばもう二度と同じものが手に入らない。ラグジュアリーな存在であるためには、販売地域などが限られていることも重要だし、サステイナブルであることも欠かせない。つまりスローであること、ハンドメイドであること。これらは、永遠に残るものを作るのに欠かせないポイントでもある。すぐにコピー品が出回る商品や、世界中どこにでも売っている商品を作るのでは意味がないよね。皆が「シャネル」や「エルメス(HERMES)」に憧れるのは、そうしたブランドが絶対にファストなモノ作りをしなかったから。ファストなことは、ラグジュアリーじゃない。スローで、ハンドメイドで、忍耐強く、労力を持って作られたものがラグジュアリーだと思う。

WWD:米国の投資ファンド、カーライルグループからの出資を背景に、この5年間で年間売上高は2000万ユーロから1億8600万ユーロにまでなったと聞く。

カンパラCEO:多くの人は、投資家は投資した会社の売り上げを伸ばして、会社を売って大金を手にして、「はい、おしまい」というイメージを抱くが、今ファッション業界で行われていることはそうではない。ここ10年ほどで、金融機関のファッション業界に対する態度は変化した。単に売り上げを伸ばすことに尽力するのではなく、その会社のカルチャーやマインドセットを改善することが重要だと皆気付いている。僕がこの会社に関わり、売り上げを5年で約9倍にできたのは、会社全体のカルチャーとマインドセットを改善したから。それが最も難しいことだった。何もかもを解決する魔法なんてないから、一生懸命努力するしかない。そして、一人では何も成し遂げることはできない。チームが一丸となって取り組むしかないんだけど、共通言語がなければ、そもそもチームは成り立たない。だから、僕はまずカルチャーを育てることに尽力した。事業戦略自体は、さっきも言ったけど、とてもシンプルだよ(笑)一つの戦略、一つのチーム、一つのビジョンのもと、日々懸命に仕事をして、チームメンバーの言葉に耳を傾け、質問や疑問にしっかりと答えること。それが結果につながっている。

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「あるハズの選択の自由を奪わないで」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャーに勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース「『#KuToo』問題をファッションローの観点から考える」

読み解きポイント「良い・悪いではなく、“選択肢を増やす”運動」

ニュースのポイント

 毎月第1週の連載「ファッションロー相談所」。今月のテーマは議論続く「#KuToo」問題について。職場でのパンプス・ヒール靴着用の強制に異議を唱えるために生まれたハッシュタグだが、SNSで大きなムーブメントとなり、6月にはこの活動に賛同する1万8000人の署名が厚生労働省へ提出された。パンプスを職場で強制することは法的にどんな問題があるのか、海老澤美幸弁護士に聞いた。

Azuはこう読む!

 キャリアの初めからファッション業界のベンチャー企業にいる私は、この問題に直面してきませんでした。職場でヒールを強要されたことはないし、「女性だから」と身なりに関して指示された覚えもありません(もしかしたら、私が相当鈍感なだけかもしれませんが)。周りにいるベンチャー企業の女子たちを見ても、そういった制約を受けている子は見当たりません。でも、問題は自分を取り巻く環境ではなく、「#KuToo」が生まれる現実があるということ。「隣の世界の話」にしてはいけないのです。

 SNSの呟きが発端となり火がついたこの話題は、同じくSNSによってさまざまな誤解が生まれ、論点のずれた議論がなされてきました。記事中、海老澤弁護士は「この運動は“選択肢を増やす”運動」と語っています。私も、まさにその通りだと思っています。ヒールはダメ/フラットは良いという二元論ではなく、環境に応じて自分がベストだと思う選択ができることが望ましいはず。今回は「女性が性別を理由にヒールを強要されること」に対して声が上がりましたが、「女性だから」という話ではなく、本来あるはずの選択の自由を“不可避な条件”によって奪われてしまうことが問題なのだと思います。

 「#KuToo」運動があってから、スニーカーを制服に採用したり、フラットシューズを着用可にしたり、各社でさまざまな意識変化が見られます。これを「靴の問題」として終わらせないためには、いまある規則に対して「なんで決められているんだっけ?」と問い直す(ちょっとめんどくさい)姿勢が必要なのだなと、私自身襟を正しました。ちなみに私自身は滑って骨折したことが理由でスニーカー恐怖症なので、歩きやすい靴が苦手です(笑)。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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編集長は先週何した? 業界は夏休みムード、セレクト取材でトイレ拝見、代官山で愛される老舗フレンチ!

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向(むこう)です。先週会った人、見たもの、食べたものを記録してゆく日記形式の連載を先月から始めました。先週はギョーカイが夏休みモードでイベントはほぼなく、セミナー受講など勉強ウイークでした。週末には映画「天気の子」を鑑賞。RADWIMPSが歌う「愛にできることはまだあるかい」の一言が全てを語る、胸をえぐられる強烈に深い話でした。

8月1日(木)
ほどよくコンサバなバッグがこちら

 弊社から徒歩10数分の八木通商のオフィスへ。リブランディングした「J&M デヴィッドソン(J&M DAVIDSON)」のバッグを見てきました。ケイティ・ヒリヤー(Katie Hillier)がクリエイティブ・ディレクターに就任してからの「J&M デヴィッドソン」は、フツウより少し長いフリンジ、フツウより少し小さいスタッズなど、ほどよくコンサバかつフツウじゃないデザインが絶妙です。バッグのデザインは機能面がより重要である、レザーを多く使うという理由からプロダクトデザインに近いと言えるでしょう。だからデザイナーに求められる知識や発想が洋服とは少し異なり、活躍しているデザイナーの数も多くありません。ケイティは間違いなく活躍しているデザイナーのひとりです。そしてマーケティング&コミュニケーションの坂巻文香さんは今日も笑顔でした。

8月1日(木)
廃棄在庫問題について考える

 「For Fashion Future」と題したトークイベントに出席しました。アダストリアが音頭を取り、「廃棄在庫問題=衣服ロス問題について考え、課題解決に向けて取り組む」プロジェクトです。最近話題の本「2030年アパレルの未来」の著者であるローランド・ベルガーの福田稔さんをはじめ、7人が登壇しました。お題は、第1部「“買わない”ファッションの可能性」、第2部「利益追求型ビジネスのその先へ。循環型ファッションの可能性」、第3部「10年後のファッションの満足はこう変わる。テクノロジーが、ファッション業界にもたらすもの」……。おもしろそうでしょ?

 廃棄在庫問題を“おもしろそう”と表現するのは、能天気かもしれません。ただ、このファッションビジネスと地球の大ピンチをチャンスに変えようとしている行動には夢と未来があるし、やはりおもしろい。サステイナビリティーの話でいつも思うのは、「補完し合う」ことの大切さです。知識も仕組みも、一気に完成することなどあり得ず、「こうあるべきなんじゃないか」と考えて行動する人たちが手持ちの駒をオープンにして知恵を補完し合い、永遠に終わらないパズルを作り上げてゆく“しか”ないですよね。それをあらためて考えさせられる場であり、パズルをつなげるのが仕事であるメディアこそ行動せねば、と思った次第です。

8月2日(金)
ウールの奥深さを学ぶ

 私このたび、若手デザイナーの登竜門「2020 インターナショナル・ウールマーク・プライズ」の審議会のメンバーになりました。責任重大。ビジョンを持って臨む若手デザイナーたちの仕事と向き合うには、ウールについてもっと勉強しなくちゃ。せっかくだからこの機会に弊社スタッフも……と思い、日本のウールマークさんにセミナーを開いてもらいました。

 勉強になるわ~、の1時間半。最も印象的だったのは、ウールという素材の機能です。しかも、いろいろ矛盾を内包しているのですね。吸湿性があるから色が染まりやすいけど、細かな水分ははじくから汚れにくくて、さらに燃えにくい(それ故、阪急電車のシートは高級ウールだそう)などなど。この複雑な機能は天然繊維ならでは、なのでしょう。

 その場で、スケールという言葉を覚えました。毛の表皮のウロコのことです。ドライヤーのCMなどで見る、“キューティクルが閉じるとサラサラ~”なあれと近いかと。ウールのスケールが開閉することでさまざまな機能が生まれ、この世の矛盾に“毛”が自ら対応してくれるそうです(ざっくり)。ウールという馴染み深い素材の奥深さとサステナビリティーの可能性を学んだ時間でした。

8月6日(火)
ナノ・ユニバースのトイレがきれい!

 9月に予定しているセレクトショップ特集のため、連日セレクトショップのリーダーたちを取材しております。今日はナノ・ユニバースで濱田博人社長はじめ各部門長の皆さんに話を聞きました。その内容は特集で読んでいただくとして、注目は3月にオープンした同社の新社屋、の中でもテラスとトイレ!の中でも床のタイル!です。ショールームや事務スペースもきれいですが、洗面所のタイルや取っ手など細部までこだわっているところがいい!すごくいい!上階のフリースペースは多目的で、「トークイベントなどいろいろな人に使ってほしい」そうですよ。

8月6日(火)
古き良き代官山のフレンチへ

 とある商業施設を手掛ける方と代官山の一軒家フレンチレストラン「シェ・リュイ」へ。1975年創業だそうです。“ビギの国”(と勝手に思っています)、代官山の1970~80年代は本当におしゃれな人たちが集まっていたイメージがあります。昼は湘南で遊び、夜は代官山で飲む。そんな面影が感じられる、素敵なお店です。

8月7日(水)
ベイクルーズでたくさん笑う

 セレクトショップ特集の取材で渋谷キャストのベイクルーズグループ本社へ。女性の服を扱うファッション業界ですが、女性の特に管理職として働く女性の姿は驚くほど少なく、それはもう!大きな課題です。その中においてベイクルーズは現時点で女性役員は7人で、店長など管理職の数は2018年9月1日の時点で536人。もちろん、大事なのは数じゃないですよ。でも結果としての数はその企業の姿勢を物語りますよね。服が大好きでそれぞれの職に就きプレーヤーと管理職の両方を経験して思うこと、写真と服への愛情をたっぷり聞きました。

 そして翌日は、同社の飲食ビジネスをここまで成長させたリーダーである野田晋作副社長に刺激的な話を聞きました。その野田さんがなぜに窓際で口を開けて写真に収まっているのかは、特集で明らかにします。

 ちなみに、渋谷キャストの目の前では新宮下公園&商業施設の工事が着々と進んでいます。すごい迫力です。

8月8日(木)
文化学園大学で服飾史を学ぶ

 9月に計画しているもうひとつの特集「モードってつまるところ何?(仮)」の取材のため、文化学園大学へ。服装学部の北方晴子教授に、服飾の歴史についてレクチャーしていただきました……って壮大な話ですが、それをさすが先生は端的に分かりやすくださいました。新宿の街を見下ろす階段でポートレート撮影中です。そして帰りには同学園内の書店カルチャートキワへ、いつもお世話になっておりますのご挨拶をしました。

 来週は夏休みをいただくため、この連載は1週お休みし、次の掲載は8月26日(月)を予定しています。そして「WWDジャパン」の次の発行は8月19日(月)。石の知識も豊富なジュエリー担当記者によるハイジュエリー特集を予定しております。どうぞお楽しみに!

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「ITS」受賞の中国人デザイナーが語る着想源と野心

 「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)やピーター・ピロット(Peter Pilotto)など数多くの若手デザイナーを発掘してきたアワード「ITS(INTERNATIONAL TALENT SUPPORT、以下ITS)」が7月12日にイタリア・トリエステで開催された。今年のITS賞の受賞者は、中国のデザイナーのダオユアン・ディン(Daoyuan Ding)だ。

 ディンがトリエステで披露したコレクションはメンズのテーラーリングに焦点を当てており、ハイウエストでワイドレッグのパンツスーツで、細身のジャケットをインした独特のプロポーションを作り出した。千鳥格子やチェックなど異なるメンズの伝統柄を交ぜ合わせたカモフラージュデザインを用い、同じモチーフの幅広のコートはバッグにも変形が可能だ。

 「最初のインスピレーションは昼と夜を光によって無秩序にしたルネ・マグリット(Rene Magritte)の作品。すぐに自分がなじみのあるものと同時になじみのないものを作りたいのだと気づいた。夢なのか現実なのか定義するのが難しいグレーゾーンというのは常に存在する」とディンは語った。マグリットに加えてコレクションはサルバドール・ダリ(Salvador Dalí)やデヴィッド・リンチ(David Lynch)といった、シュルレアリスムの表現で知られる他のアーティストや映画監督からも影響を受けているという。彼はまたスタイルは男性的なものに寄っているが、自身のデザインが“パンセクシュアル(全性愛)”であることを強調し、ウィメンズの探求にも興味があると付け加えた。

 ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションの修士課程を修了したディンがファッションに興味を持ったのは22歳の時、ファッションデザインを通して自分のアイデンティティーを表現するミラノの学生とやりとりしたことがきっかけだった。「私自身、自らを創造することを決してやめないクリエイターだと自負している。将来の計画は多岐にわたり、ブランド設立の準備をする合間にデザインの仕事も探している。成熟したデザイナーになるためには経験が大事だと思う。良いデザインを作り、良いストーリーを表現する才能だけでは不十分だ。デザイナーは実際にサプライチェーンやビジネスモデル、それにプロモーション戦略を確立する必要がある。最大の挑戦はファッション業界の全ての要素を組み合わせてバランスをとり、国境を超えたキャラクターになることだ」。

 ディンは賞金1万5000ユーロ(約180万円)とピッティ・イマージネ(PITTI IMMAGINE)がサポートする12カ月間のメンターシップを受け取った。また、1月の「ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)」でコレクションも発表する。「『ITS』の全プロセスに参加し、経験できたことが最も重要なことだと思う。業界関係者とつながり、私の作品を公に見せる素晴らしい機会を得られた」とディン。彼はトゥモロー賞(Tomorrow Entrepreneurial Creativity Award)も受賞している。

大根田杏(Anzu Oneda):1992年東京生まれ。横浜国立大学在学中にスウェーデンへ1年交換留学、その後「WWD ジャパン」でインターンを経験し、ファッション系PR会社に入社。編集&PRコミュニケーションとして日本企業の海外PR戦略立案や編集・制作、海外ブランドの日本進出サポート、メディア事業の立ち上げ・取材・執筆などを担当。現在はフリーランスでファッション・ビューティ・ライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を行う。

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「販売員はブランドの最前線に立つ伝道師だ」 by 山田潤

山田潤ヴァンドームヤマダ社長

 1973年に父が創業した当時はSPAという言葉は一般的ではなかったが、物作りから販売まで一貫して行うという精神を引き継いでいる。一点一点真心を込めて作り、物作りに込めた“思い”を真摯に伝え、顧客に手渡ししている。販売員はブランドの最前線に立つ伝道師だ。だから、約600人の販売員はほぼ全員正社員だ。(2019年4月4日掲載、コスチュームジュエリーで逆転満塁ホームランを狙う 3代目社長が語る成長の秘訣
から)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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日本ジーンズと英国靴で完全武装! 徹頭徹尾アマノジャクなカリフォルニア支度

 「WWDジャパン」8月5&12日合併号は、デニム特集です。今年はジーンズの生まれ故郷であり、作業着からファッションへ生まれ変わった地でもあるアメリカ西海岸を取材しました。デニム特集を担当して3年。海外取材の必要性を訴え続けて、まさに念願かなった渡米となりました。当然、“装備品”選びにも熱が入ります。

 これまでに調光レンズ入りの跳ね上げ式眼鏡と、LAでしっかり傾(かぶ)くためのジャパンブランドのウエアを手に入れたわけですが、渡米最大の目的はジーンズの取材であり、デニム担当である僕としてはジーンズも新調せざるを得ません。濃厚なビンテージジーンズの世界にどっぷりつかった僕ですが、少しでも“今”の女子たちの気持ちを理解しようと助けを求めたのが、ビームス(BEAMS)やフリークス ストア(FREAK'S STORE)、伊勢丹新宿本店で取り扱いのある日本のジーンズブランド「ウエストオーバーオールズ(WESTOVERALLS)」の大貫達正デザイナーです。

 ひと目ぼれしたのがビンテージライクなライン“スターウエスト(STA-WEST'S)”の“デニム ランチ パンツ”(3万円)です。最大の特徴は抜染で表現したセンタークリースで、後ろ身頃にもあります。ウエスタンな仕様の太めのベルトループも特徴で、もちろんコーディネートは“今”っぽさを意識してTシャツをタックインしました。これって四十路男子にとってはなかなかに冒険ですが、カリフォルニアの素晴らしい天気が背中を押してくれました。ハイウエストパンツって個人的には初めてで、寄る年波とともに肥大化するおなかを意識せざるを得ず、ダイエットを実践するよいきっかけにもなりそうです……。

 パンツを新調したら、それに合わせるシューズも必要!というわけで、アマノジャク目線で選んだのはアメリカ西海岸とは真逆なポジショニングにも見える英国靴です。ずっと気になっていた「トリッカーズ(TRICKER'S)」の“チャーチルスリッパ”にしました。名前の通り本来は室内用の履き物ですが、ラバーソールを付けて外履きするスタイルがファッション関係者の間で人気となり、4月に東京・青山の骨董通りにオープンした「トリッカーズ」青山店は店舗別注としてデフォルトでラバーソールを付けた“チャーチルスリッパ”を発売していました(4万5000円)。トウの刺しゅうはスカル&ボーン、王冠、獅子など4パターンでしたが、さんざん迷った結果ロイヤルワラント(英国王室御用達の紋章)にしました。ロサンゼルスからサンフランシスコへと取材を続けましたが、ローカルたちの足元はほぼトングタイプのサンダルで、少なくとも英国製スリッパを履いている人はおらず、しっかりアマノジャク感を堪能できました。

 さてシューズつながりで番外編を。ベニスビーチ近くのアボット・キニーは、ロサンゼルスを代表するおしゃれエリアですが、数年ぶりに訪れるとすっかり様変わりし ていました。以前は小さいながらも個性的なショップが軒を連ねる印象でしたが、すっかりマスなブランドショップに宗旨替えしていました。現地に住むクリエイティブエージェンシー社長の友人に話を聞くと、「地価の上昇がハンパない。これじゃ先住者も出て行かざるを得ないね」とぽつり。そんな中でも気を吐いていて、ついうれしくなってしまったのがメンズセレクトショップのストロングホールド(THE STRONGHOLD)です。英国製のライダースジャケットで知られる「ルイスレザーズ(LEWIS LEATHERS)」や、1865年創業の米国のハットブランド「ステットソン(STETSON)」など武骨なアイテムをそろえており、およそビーチ近くの観光客向けのショップとは思えないたたずまいにアマノジャク精神をビンビン感じました。

 マイケル・パラダイス(Michael Paradise)=オーナーは相変わらず元気で、雑談している間も来店者は絶えず、商売もまずまずの様子。そんな中、僕以上に目を輝かせたのが、日本から同行してもらった鈴木規仁フォトグラファーでした。ずらりと並んだ米国靴「オールデン(ALDEN)」に興味津々。そのほとんどが別注品で、日本では見かけないものばかりでした。あまり熱心に見ているので、「履いてみたら?」とそそのかしました。彼が当初気になっていたのはグレインレザー製のグリーンのブーツでしたが、端から試し履きして、最後に決定したのはコードバン製のブラウンの短靴(795ドル、約8万4200円)。日本で買うのに比べて3割ほど安く、さらにちょっと“お勉強”してもらったみたいです。これが鈴木フォトグラファーにとって、“ファースト・「オールデン」”となりました。

 僕も鈴木フォトグラファーも妻子ある身。何かきっかけがないと、値の張る買い物はできません。そんな時、旅(今回は出張ですが)は有効だと思います。何より(アイテムによっては)一生モノの思い出になります。あれこれ書きましたが、これを読んでいるだろう妻への言い訳として筆を置きたいと思います。

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米リーバイス所蔵の“お宝ビンテージ”に見た「リーバイス」の現在地点

 ジーンズが売れない――そんな中で一社気を吐くのが「リーバイス(LEVI’S)」だ。米リーバイ・ストラウス(LEVI STRAUSS)の売上高は3年連続増収で、2018年11月期の売上高は前期比13.6%増の55億7500万ドル(約6076億円)だった。3月に再上場を果たして初値が公開価格を大幅に上回ったほか、18年12月~19年5月期も前年同期比6.1%増と好調が続いている。ジーンズが冬の時代に、なぜ独り勝ちできるのか?同ブランドのアーカイブを収集・検証・体系化するヒストリアンのトレイシー・パネク(Tracey Panek)の「アーカイブには全ての答えがある」とのコメントにヒントの一片があるのだが……、詳しくは「WWDジャパン」8月5&12日合併号をご覧いただきたい。ここでは印象的なこぼれ話を紹介する。

 サンフランシスコにあるリーバイ・ストラウス本社の1階には、2万点ものビンテージ「リーバイス」を収蔵するアーカイブルームがある。これらを管理するのがヒストリアンの仕事だ。1879年製の同社が持つ最古の「リーバイス」ジーンズも興味深いが、ここでは本紙で紹介しきれなかった2本に光を当てたい。

 まず1本目は、同社所蔵の最古の女性用「リーバイス」ジーンズだ。「現在販売するウィメンズジーンズ“701”の前身となる“401”というモデルで、1930年代前半に発売した。ハイウエストでフェミニンなフィットが特徴だ」とパネク=ヒストリアン。もとのオーナーは当時大学生だったバイオラ・ロングエーカー(Viola Longacre)で、「当時、女性がジーンズをはくのは型破りで進歩的なことだった。彼女はのちに英語の教師となるが、まさに自立した女性の先駆けといえる。そんな彼女が選んだのが『リーバイス』だった」。ロングエーカーは101歳で大往生し、遺品をリーバイ・ストラウスが買い取る形でアーカイブルームに収蔵された。

 もう1本は60年代のジーンズだ。「60年代は“カスタマイズの時代”。サンフランシスコはヒッピームーブメントの中心地であり、たくさんの若者がこの地に集まっ た」。ニューヨーク在住のメロディー・サバタッソ(Melody Sabatasso)もその一人で、FIT(ニューヨーク州立ファッション工科大学)に学んだが、ドロップアウトしてサンフランシスコにやって来た。「ある日友人の結婚式に招かれた彼女だが着て行く服がなく、『リーバイス』のジーンズをカスタマイズしてドレスを作った。これを見た友人や知人から『私の服も作ってほしい』と声が高まり、『ラブメロディー(LOVE, MELODY)』という名前でブランド化した」という。2019年の話を聞いているようだが、これは60年も前の出来事だ。「彼女はとても『リーバイス』ラブな人で、リメイクの際のステッチカラーもオリジナルと同色にするなどディテールにもこだわった」とパネク=ヒストリアンは解説してくれた。

 実は当時、リーバイ・ストラウスはサバタッソ=デザイナーの動きを規制したという。パネク=ヒストリアンは、「時間をかけて『リーバイス』は変わった。ブランドをより身近に感じてもらうために、それはとても大事なことだった。結果としてカスタマイズを受け付ける“テーラーショップ”や、世界に1本だけのジーンズをフルオーダーできる“ロット・ナンバーワン”、セルフリメイクラインである“リーバイス オーソライズド ビンテージ(LEVI'S AUTHORIZED VINTAGE)”につながった」と教えてくれた。

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元祖お守りジュエリー「イレアナ・マクリ」デザイナーの華麗なる人生

 ギリシャ人ジュエリーデザイナーのイレアナ・マクリ(Ileana Makri)が東京・ギンザ シックス内のブティック改装を機に来日した。「イレアナ・マクリ」は最近トレンドのお守りジュエリーの代表格である目やヘビのモチーフのジュエリーの元祖ともいえるブランド。繊細で遊び心のあるデザインは日本でも人気が高い。来日したマクリにインタビューするために、ギンザ シックスのブティックを訪ねた。約束の時間を少し過ぎて姿を現したマクリは、「ランチが終わらず遅れてごめんなさい。でも、本当にラッキーだったのよ」と話し始めた。親日家で美食家でもある彼女は、その日ミシュラン2つ星のフレンチレストラン「ナリサワ(NARISAWA)」でランチをしていたそうだ。マクリは「ランチは予約を取らないっていうから、オープン時間ちょうどに行ったのだけど満席だった。仕方ないから姉妹店『ビーズ バー バイ ナリサワ(BEES BAR BY NARISAWA)』でいきさつを話したら成澤(由浩)シェフの息子さんがすぐレストランに連絡してくれたの」と続ける。幸運なことにキャンセルが出てマクリは「ナリサワ」でランチすることになった。「彼の料理はまるで芸術のよう。10コース以上もあって、どれも素晴らしかったわ。約束の時間があるからデザートはあきらめたけれど」という。そんな彼女がジュエリーデザイナーになったのは偶然のこと。彼女自身が運を引き付ける人なのだ。

スタジオ54でウォーホルとも交流

 マクリはギリシャで結婚後、夫の仕事の都合で8年間ニューヨークに滞在する。2人の娘もニューヨークで生まれた。「私の親友の友人がクラブに行こうと連れてってくれたのがスタジオ54だった」。親友の友人とは、スタジオ54の共同オーナーのスティーブ・ルベル(Steve Rubell)だったのだ。「スティーブや彼の共同オーナーのイアン・シュレーガー(Ian Schlager)とスタジオ54にはよく行ったものよ。常連だったアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)と友だちにもなったわ」とマクリ。彼女は当時のニューヨークのクラブシーンにおけるセレブリティーだったのかと聞くと、「アンディはセレブだったけど、私は全然。ただの一般人よ」。彼女がジュエリーデザイナーとしてキャリアをスタートさせる以前の話だ。

友人に作ったリングがきっかけで1000万円のオーダーが舞い込む

 マクリは子どもの頃から石が大好きで、大きな箱に入ったコスチュームジュエリーで遊んでいたそうだ。彼女が最初にジュエリーを作ったのは13歳の時だった。ブランドのアイコンの一つである“スレッドバンド”で、細い糸のようなリングだ。「1週間そのリングをつけていたら壊れたから、壊れないようにどうしたらいいかいろいろ試した。今でもそのリングの半分を持っているわ」とマクリ。その“スレッドバンド”が彼女に幸運を呼び込んだ。1999年、マクリは友人に頼まれて“スレッドバンド”4~5本を携えてアメリカ・ニューヨークを訪れた。当時、彼女は親しい人だけにジュエリーを制作していた。マクリがニューヨークに滞在中に、そのリングをつけた友人をバーニーズ ニューヨーク(BARNEY’S NEWYORK以下、バーニーズ)の当時の社長だったジュディ・コリンソン(Judy Collinson)が目撃し、リングをどこで手に入れたかと尋ねた。友人はマクリがデザインしたと告げ、彼女は滞在中にコリンソンにリングを見せに行ったのだという。コリンソンは「私が探し続けていた人はあなただ」と言ったそうだ。数日後、マクリがホテルに帰るとフロントで鍵とバーニーズからのファクスを渡された。そのファクスはオーダーシートで、金額は13万5000ドル(約1431万円)。「それがバーニーズの最初のオーダーだった。ただし納期は2カ月。すぐにアテネのアトリエに電話して納期を守れるか確認したわ」とマクリ。今でもバーニーズは最初のコレクションをオーダーし続けているという。こうして、マクリのジュエリーデザイナーとしてのキャリアがスタートした。

人に見せるためではなく
自分のためにつけるジュエリー

 マクリのインスピレーション源は、海や山などの自然から古代の遺跡までさまざまだ。彼女のジュエリーは繊細でさりげないが、どこか強さを感じさせるものがある。マクリは、「私のジュエリーは一日中つけるためのもの。人に見せるものではなく、自分のためにつけるジュエリーよ。私自身の一部のようなもの。ジュエリーには価値があるだけでなく、それ以上の意味がある。シンボル的なものであり個人的な意味を持つもの」と話す。彼女のジュエリーを購入する女性は20~70代と幅広い。「仕事を持つ独立した女性で、インターナショナルな感覚を持った女性が多いわ」とマクリ。「ジュエリーは永遠の友になりうるものよ。リフォームすれば新しい命を吹き込むことができる。だから、デザインが古いと思ったらどんどんリフォームするべきね。私も友人に頼まれてデザインすることがあるわ」。

趣味はパトモスにある
別荘のデコレーション

 スタイリストのソニア・パーク(Sonya Park)が手掛ける「アーツ アンド サイエンス(ARTS & SCIENCE)」の洋服がお気に入りというマクリ。親日家で京都が大好きという彼女らしい選択だ。そんな彼女の趣味は、パトモス島にある別荘のデコレーションだという。「テラスからエーゲ海が見える素晴らしい場所。『デザイナーズ・ギルド(DESIGNERS GUILD)』のテキスタイルなどを使ってデコレーションしたの。とても気に入っているわ。友人や家族の皆が別荘で過ごすのが大好きよ」。そんな彼女だが最近、長年住み続けたアテネの生家を売り、ダウンタウンに引っ越した。長年住み続けた家を手放す決心をするのは簡単ではない。なぜそのような決断をしたのかと聞くと、「もちろん愛着もあるし、手放す決断するのは大変だった。両親はいないし、子どもたちも巣立っていった。私一人で大きな家に住んでも仕方ないと思ったから。ちょうどアクロポリスの丘が見える素敵な家が見つかったの。アトリエにも近いからとても便利よ」と話す。マクリは別荘や自宅に友人を招くのが好きだという。「アメリカ人の友人がギリシャに来るとき、私はまるでトラベルエージェントのようよ。どこで何をしたらいいかを教えて、滞在を楽しんでもらえるのがうれしいの」。

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やってはいけない美容法にハマっていませんか?

 毎日暑い日々が続くとメイクが崩れたり、室外と室内の寒暖差や冷房の効きすぎで肌が乾燥してしまったり体が冷えてしまったりと、夏はイベントや行事もあって楽しくもありますが、美容にとっては何かとハードな季節でもありますね。自分自身も冷房による冷え(特に露出している足首から冷えます)や肌の乾燥が年々気になっています。

 会話の流れで、隣の席の同僚が手に持っていた本「女医が教える、やってはいけない美容法33:実は老化を加速!」(小学館)を私に紹介してくれたのですが、最初は「ふーん」という軽い気持ちでパラパラとめくっていたものの、良いと思っていた美容法がことごとくNG(苦笑)。特に気になる項目を読み、気づいたらあっという間に読み終えていました。時間や労力、お金をかけてよかれと思って(必死で?)やっていたことが逆効果だったとしたら、なんと悲しいことでしょう。

 情報が溢れているので何を取捨選択してよいのか正直難しいですよね。著者の慶田朋子医学博士/銀座ケイスキンクリニック院長もあとがきで「食事などの生活習慣やスキンケアなどのお手入れには、情報の取捨選択が欠かせません。皮膚科学、栄養学、運動生理学などの正しい知識があれば、おのずとするべきこと、すべきではないことを選別できるでしょう」と書いています。「やってはいけない」ことの一例を紹介すると、「毎日コロコロローラーでたるみ加速」。このタイトルにはドキっとしました。実は3カ月前から遅ればせながらコロコロローラーを購入し、熱心に朝晩顔をコロコロしていたからです(笑)。
 

 慶田医師によると、「コロコロローラーのやりすぎは私が全力で止めたい残念な美容習慣のひとつ」だそうで(!)、加齢によってただでさえ弱くなったコラーゲン線維がいじめられ伸びたり切れたりしてしまい、やればやるほどたるみを加速させてしまうそうです。なんともおそろしいことですが、マッサージローラーは血流やリンパの流れを促す働きがあるため、顔のむくみは解消してくれるとのこと。朝起きてむくんでいるときなどに軽くコロコロと短時間、週2回くらいが限度だそうです。せっかく購入したので、全く無駄にはならなそうで良かったです。このほかにも「スクラブ洗顔で乾燥肌が悪化」「クレンジングマッサージできめ崩壊」「夜の丁寧スキンケアで不眠汚肌」「化粧水100回パッティングで敏感肌に」など、読み飛ばせない項目ばかりです。

 こんな風にこの本ではやってはいけない33の事例を紹介していますが、あとがきを読むと「女性が精神的に自立し、自信を持って生きる、それをサポートし寄り添いたい」という考えが伝わってきます。慶田医師は、写真を拝見するととても美しいのですが、小児期からアトピー性皮膚炎に悩み、思春期は湿疹で顔が赤くなり、高校生ではニキビが混ざり肌を見られるのが嫌でうつむいて歩いていた時期があったそうです。

 皮膚病や肌老化は内臓疾患と異なり、目に見えてしまう。一般的には軽視されがちな“見た目”が損なわれるとQOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)が低下し、自信をなくし、社会活動への意欲まで失われてしまうことを自分自身の経験や診療を通して実感してきたとのことです。

 最近、医療界で重要視されているのが“Beauty QOL” だそうです。「自分の外見に満足できる自分でいると自己評価が上がり、気分が上向きになります」と慶田医師。「そうなんだ、そんな前向きな気持ちになりたくて、私もこの事例にあるようなやってはいけないことも含め、いろんなことを試してきたんだ」と、とても納得したのでした。そんなことにあらためて気付かされる一冊でした。同じ努力なら、正しい方向で努力したいですね。やってはいけない項目にドキっとした方は、ぜひ手に取ってみてください。

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LAでキャッキャ言われたい! 徹頭徹尾アマノジャクなカリフォルニア支度

 「WWDジャパン」8月5&12日合併号は、デニム特集です。今年はジーンズの生まれ故郷であり、作業着からファッションへ生まれ変わった地でもあるアメリカ西海岸を取材しました。デニム特集を担当して3年。海外取材の必要性を訴え続けて、まさに念願かなった渡米となりました。当然、“装備品”選びにも熱が入ります。

 渡米に先駆けて、調光レンズ入りの跳ね上げ式眼鏡を手に入れたことはお伝えしました。次はウエアです。「アメリカに負けてたまるか!」「でもキャッキャ言われたい」という二律背反的な鼻息の荒さで選んだのは、浪速(なにわ)ブランドの「ブルーナボイン(BRU NA BOINNE)」です。インパクト十分なビジュアルと、辻マサヒロさんと德田直子さんの2人のデザイナーが恥ずかしがり屋でアマノジャクなため一切表に出てこない(!)うんちくが魅力です。

 降雨量が東京の4分の1ほどのロサンゼルスに行くのに、選んだのは“雨中竹虎”シリーズ。はい、ここアマノジャクポイントです。本当は開襟シャツ(2万6000円)が欲しかったんですが、すでに売り切れでTシャツ(1万6000円)を選びました。ハワイアンシャツの柄として知られる“竹虎”に雨を降らせたオリジナリティーもさることながら、後ろ裾のイエローの切り替えがアクセントになっています。

 新たな“相棒”に袖を通して意気揚々と向かったのは、ロサンゼルスのおしゃれエリア、シルバーレイクにあるセレクトショップのヴァージルノーマル(VIRGIL NORMAL)です。アーティストのVERDYさんや、東京ブランド「10匣(テンボックス、TENBOX)」のPiguさんこと大森憲一ディレクターから話を聞いていたのと、同店のオーナーであるチャーリー・ストーントン(Charlie Staunton)さんや奥さんでスタイリストのシャーリー・クラタ(Shirley Kurata)さんが来日した際に取材していて、絶対に行ってみたい店の一つでした。

 “遠足の準備に張り切り過ぎて、当日知恵熱が出ちゃうタイプ”だから、今回もあらためてあれこれ調べて「これを買おう!」と目星を付けていました。それが“VIRGIL NORMAL”とショップロゴが入ったビニールバッグ(75ドル、約7900円)です。娘のスイミングバッグと何が違うんだろう?と思いつつセレクトするあたり、アマノジャクでしょ(笑)?満面の笑みでの「くださいな」に対して、答えは「売り切れました」。ええ~っ、日本を発つほんの数日前まで売ってたのに~!!

 分かりやすくショックを受ける僕を見かねてチャーリーが、「まぁ、落ち込むなよ。実は今日、店でパーティーがあるんだ。楽しんでいきなよ」とひと言。日曜日ということもあって、ロサンゼルス中のヒップなやつらがヴァージルノーマルに集まり、予想外の異文化交流が楽しめました。もちろん“雨中竹虎”Tシャツは彼らに大人気で、キャッキャ言われました。

(完結編に続く)

期せずして体験できたロサンゼルスのリアルなパーティー MOVIE : NORIHITO SUZUKI

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デザイナー大貫達正 全米最大級のフリーマーケットで“アメリカ”を買う

 「WWDジャパン」8月5&12日合併号は、デニム特集だ。今年はジーンズの生まれ故郷であり、作業着からファッションへ生まれ変わった地でもあるアメリカ西海岸を取材した。渡米スケジュール作成の過程で、強く意識したのは7月14日。理由は、全米最大級のビンテージフリーマーケット「ローズボウル(ROSE BOWL)」が開催されるからだ。

 ローズボウルは、毎月第2日曜日にロサンゼルス郊外の街パサデナで開催されるビンテージのフリーマーケットだ。会場はアメフト用のスタジアム、ローズボウルの外周や駐車場で、2500以上のブースが出店し、一点モノとの出合いを求めて毎回約2万人が来場する。今回はビンテージ通として知られる、日本のジーンズブランド「ウエストオーバーオールズ」の大貫達正デザイナーがプライベートで買い物をすると聞き、水先案内人をお願いした。

 ビンテージバイヤーは夜明け前に出店者が開店準備中のところを狙うが、取材班は“控えめ”に朝6時半着とした。入場料は時間によって変わって、この時間だと最高値の25ドル(約2700円)。ローズボウルはざっと見るのでも2、3時間、しっかり吟味しようと思ったら半日は必要だ。古着以外に家具や食器、楽器も売られていて、いずれも日本ではちょっとお目にかかれない品ばかりなので、文字通り見るだけでも価値がある。

 大貫デザイナーのいで立ちは1950年代製の「リーバイス(LEVI’S)」のジャケット“ファースト”と30年代製のパンツ“501XX”という気合十分なもの。ならば、ぜひビンテージジーンズを買ってほしい!というデニム特集担当である僕の思いに反して掘り出し物はなく……、とはいえ瞬く間にハワイアンシャツを3枚購入。「コットンアロハを集めているんだ」と話し、太陽光直撃の30度超えの中、スタッズワークがアクセントのハラコベストも試着のうえ購入。目の端で捉えたネイティブアメリカンな小物もまとめ買いしていた。

 ローズボウル会場には陽を遮るものがほとんどないので、特に夏場は帽子が必携。大貫デザイナーは、英国王室御用達の帽子ブランド「ジェームスロック(JAMES LOCK)」のストローハットを準備していた。それでも暑いので、出店のビールで小休憩。ホットドッグで小腹も満たしたら、後半戦のスタートだ。

 向かうのは、入場時から「ここだけは見たい」と言っていたインディアンジュエリー専門店の「ウォーン オーバー タイム(WORN-OVER-TIME)」だ。真っ白なひげを三つ編みにしたオーナーのマーク・フォグウェル(Mark Fogwell)は、なかなかのビジネスパーソン。炎天下の値段交渉は30分ほど続き、バングル、リング、タイバーや珍しいしおりなどを3500ドル(約38万1500円)で買った。さぞかし満足と思いきや、「あろうことかクレジットカードを忘れてしまって、もっと買いたかったんだけど……」とぽつり。よほど悔しかったのか、数分後に「帰国したらすぐに返すので、ちょっと貸して」と取材班に借金をして、さらに550ドル(約5万9900円)分を追加購入。こんなに買ってどうするんだろう?と率直な疑問をぶつけると、「分からない(笑)。でも全部自分で身に着けるつもりだ」と答えた。

 結局この日、大貫デザイナーは4830ドル(約52万6400円)を散財。そしてスタジアムを後にする瞬間まで、「クレジットカードさえあれば……」と悔やんでいたのだった。

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「リーバイス」の神ワザがデニムジャケットをスーツに変えた!! オーダーメイドサービスに挑戦

 個性を尊重する潮流と、1点モノの制作が容易・可能になった技術革新の結果、ファッション&ビューティ業界では「パーソナライズ」や「カスタマイズ」、いわゆる世界に(ほぼ)1つの品物を作るサービスを提供するブランドや企業が増えています。そこで「WWD JAPAN.com」は、トレンドや最新ムーブメントを知るからこそのアイデアを形にしてもらいながら、サービスの利便性や価格、パソコンやスマホ使ったパーソナライズのユーザビリティーなどを検証します。

 さて、「パーソナライズ&カスタマイズ」企画、簡単に言えば「作ってみました!」連載(笑)の2回目は、「リーバイス(LEVI’S)」。原宿にオープンした旗艦店では、オーダーメードサービス“ロット・ナンバーワン”という新サービスまでスタートした、キング・オブ・デニム。日本に2人というマスターテーラーが、型紙製作から生地選び、裁断、縫製、仕上げまで、1点モノの制作にまつわる全工程を手作業で行ってくれるそうです。

好調リーバイス 原宿旗艦店は「カルチャー化で勝つ!」とチップ・バーグCEO

 そこで今回はスペシャルというコトで「リーバイス」のトラッカージャケットをベースとしながらも、マジで完全オリジナルな1点モノを制作する特別体験に挑戦。2人のマスターテーラーと、カスタマイズの可能性を探ります。結果、原型があるような無いような(苦笑)、スーパーオリジナルアイテムになりましたが、アイコニックゆえ揺るがない個性を持つ「リーバイス」のトラッカージャケットを驚くべき姿に変えられちゃうのも、マスターテーラーがなせるワザと言えましょう。

 さぁ、ということでまずはオーダー、スタートです。訪れたのは、芸能人やインフルエンサーが通うという、都内某所のアトリエ。2人のマスターテーラーは普段、ここでオーダーを受けたり、それを製作したりの作業に勤しんでいるそうです。アトリエには、過去製作したアイテムがずらり。なんだか見たことある洋服も並んでいるのは、きっと、2人が生み出した衣装を芸能人やアーティストがテレビやMV、ライブなんかで着用しているからでしょう。

 ゼロベースのオーダーは、「さぁ、何を作りましょう?」と尋ねられることから始まります。でもこう聞かれると、なかなか即答できないモノですね(笑)。アトリエに並ぶ“作品”を見ながら、「正直、大きなトレンドが無いデニムで何を?」とか「どんなアイテムなら今、袖を通したくなるか?」なんて考えていたら、1つのアイデアが浮かびました。

 それは、スーツです。

 ご存知の通り、2019-20年秋冬シーズンは、フォーマルが大復活。「ディオール(DIOR)」や「ドリス ヴァン ノッテン(DIRES VAN NOTEN )」を筆頭に、ストリートを経た男性に贈るリラックスマインドのスーツが復活しそうな気配です。「デニムで作ったリラックスシルエットのスーツがあったら、とってもストリートなフォーマルじゃん!!」。

 そう思ってイメージとして「ジル・サンダー(JIL SANDER)」の柔らかなフォーマルの写真をお見せしました。ソフトな生地感、リラックスシルエット、大ブームだったストリートとは異なるミニマルなムード、なのにヒップハングなパンツで馴染みやすいカジュアルマインドなど、まさに今のフォーマルです。

 「デニムで、こんなカンジのスーツをお願いします!!大きめのピークドラペルで!!」。トラッカージャケットの「リーバイス」にスーツを発注って、我ながら“向こう見ず”だと思いましたが、2人のマスターテーラーは動じません。「ジル・ サンダー」の写真を見ながら、「やっぱりダークトーンが良いですかね?」とか「丈が足りないから足しましょう」とか「ラペルは、この位置ですか?」など、職人らしく淡々と、でも次々とアイデアを提案してオーダーは一気に進みます。さすがはマスターテーラーです。

 その様を見ると学ぶことばかりなのですが、一方でマスターテーラーと「リーバイス」は、こんなやりとりを通じて、今ドキのスタイルやシルエット、丈感などの情報を収集し、それを次のオーダー、日本企画、ひいては世界企画に組み込んでいくそうです。なるほど!!このアトリエを訪れる芸能人やインフルエンサー、オープンした原宿旗艦店でゼロからのオーダーメードに挑戦する人は、絶対みんなオシャレさん。彼らの声が、ネクスト・トレンドにつながることは、間違いありませんからね。

 ボトムスは、32インチの“501”を腰ばきしたら何もせずとも「エエ感じ」。ということで、これには刺しゅうを加えてみましょう。自分の名前に媒体名(我ながら、呆れる媒体愛ですw)、それに「リーバイス」のロゴをプラスします。媒体名は、ダイバーシティーの時代を象徴するレインボーです(笑)。色のグラデーションも、細かく指定できました。

 そして待つこと1カ月。2020年春夏のメンズ・コレクション取材から帰国したら、デニムスーツが完成しておりました!

 なんということでしょう!デニムなのに(!)、いやデニムだから(!!)、実にリラックスしたスーツに仕上がっております。お気に入りはラペルの色と、プラスした丈の色がマッチしているところ。そしてデニムなのにエレガンスで、デニムだからカジュアルと相反する魅力を兼ね備えているところです。マスターテーラーさん、あんたらは神や〜(笑)。
 
 ということで、今回も大満足のパーソナライズ。特に今回は、「リーバイス」のスペシャリストとともに、「リーバイス」らしさを残すか?それとも「リーバイス」らしさを裏切ってしまうか?なんて迷いも楽しめる体験でした。

 今回のパーソナライズはスペシャルでしたが、原宿の旗艦店では、好きな位置にダメージ加工を施した上でデザイン性の高い当て布をプラスするなどのカスタマイズを楽しむことができます。ダメージ加工は3000円から。

 ちなみに、今週発売の「WWDジャパン」は、デニム特集。もちろん、「リーバイス」も登場しています。ぜひご覧ください〜。

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紫外線の国に調光レンズでいざ行こう 徹頭徹尾アマノジャクなカリフォルニア支度

 「WWDジャパン」8月5&12日合併号は、デニム特集です。今年はジーンズの生まれ故郷であり、作業着からファッションへ生まれ変わった地でもあるアメリカ西海岸を取材しました。デニム特集を担当して3年。海外取材の必要性を訴え続けて、まさに念願かなった渡米となりました。当然、“装備品”選びにも熱が入ります。

 まず最初に「新調しなくちゃ」と考えたのはサングラスです。カリフォルニアの太陽光に勝てるだけの機能を持ち、なおかつ僕にフィットして取材に集中できるもの――あれこれ考えて、日本のアイウエアブランド「エイチフュージョン(H-FUSION)」の跳ね上げ式モデル“902”のレンズを替えることにしました。向かったのは渋谷にあるアイウエアのセレクトショップ、ジービーガファス渋谷。長谷川永伍店長に相談して、調光レンズを入れることにしました。

 調光レンズは一見“素通し(クリア)”ですが、紫外線と気温に反応して色が付きます。「紫外線が強いほど濃くなり、気温が低いほど変化しやすくなります。だから雪山でも活躍してくれます」と長谷川店長。前にも書きましたが、日本ってサングラスに“カッコつけ”や“ビジネスに不向き”のレッテルを貼りがち。でも、調光レンズなら必要なときにだけ“サングラス化”してくれるんです。いちいち掛けたり外したりの必要がありません。僕が選んだのは「ニコン(NIKON)」製の調光レンズで2枚一組1万円。ブルーライトもカットしてくれるんですって。ちなみに「度入りレンズの場合は、レンズ代にプラス5000円」だそうです。

 そもそも跳ね上げ式って、色付きレンズを跳ね上げることで好きなときに“非サングラス化”できるもの。その跳ね上げ式に操作不要な調光レンズを入れる、って――このアマノジャクぶり、ちゃんと伝わっていますでしょうか!?

 肝心の「カリフォルニアで役に立ったか?」ですが、答えはYES!しっかり目を保護してくれて、発色するさまは掛けている本人が気付かないくらいスムーズなものでした。なるほど跳ね上げる必要はありませんでしたが(笑)、まぁ“能ある鷹は爪を隠す”というか“伝家の宝刀”というか。あるけど使わない機能って、とってもアマノジャクですよね。

(ウエア編に続く)

調光レンズがみるみる色付く。ロケ地/ロサンゼルス

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「職場のカジュアル化」が逆風 青山商事、AOKI、はるやまが最終赤字に

 紳士服専門店の業績にビジネスウエアの変化が影を落としている。9日までに決算が出そろった大手4社のうち、19年4〜6月期の青山商事、AOKIホールディングス、はるやまホールディングスの純損益が赤字だった。18年10月〜19年6月期のコナカは赤字こそ回避したものの、純利益は半減した。ホワイトカラーの男性のカジュアル化に拍車がかかり、従来のスーツやワイシャツの売れ行きが鈍っていることが原因だ。

 最大手の青山商事は売上高が前年同期比4.6%減の558億円、営業利益が同59.8%減の12億円、純損益は41億円の赤字(前年同期は17億円の黒字)だった。最終赤字に陥った最大の理由は「アメリカンイーグル アウトフィッターズ(AMERICAN EAGLE OUTFITTERS)」からの撤退に伴う特別損失56億円を計上したため。だが、主力である「洋服の青山」「ザ・スーツカンパニー(THE SUIT COMPANY)」のビジネスウエア事業も売上高が同6.6%減の389億円、営業利益が66.5%減の8億5900万円に失速したことも痛手となった。スーツの販売量は同9.3%減の約39万9000着で終わった。

 AOKIホールディングスは売上高が同3.9%減の433億円、営業利益が同66.1%減の2億2800万円、純損益が2億8800万円の赤字(前年同期は2億9600万円の赤字)だった。「アオキ(AOKI)」「オリヒカ(ORIHICA)」などファッション事業は、売上高が同6.5%減の241億円、営業損益が3億9500万円の赤字(同2億400万円の赤字)。この間「アオキ」では低収益や不採算の39店舗を閉鎖した。スーツだけでなく、例年ならこの時季に売れるはずのドレスシャツも不調だった。

 はるやまホールディングスは売上高が同6.6%減の117億円、営業損益が2億6800万円の赤字(前年同期は1億3300万円の赤字)、純損益が2億3600万円の赤字(同3億2200万円の赤字)に終わった。コナカは売上高が前年同期比6.5%減の495億円、営業利益が同27.4%減の17億円、純利益が同54.8%減の6億8300万円だった。

新規参入組にシェアを奪われる

 メンズスーツ市場の縮小は今に始まったことでなく、国内市場規模は1992年の約8000億円から2017年には2000億円台に縮小した。十数年にわたって百貨店や量販店が売り場を縮小する中、生き残った紳士服専門店が残存者利益を分け合う構図だった。製造工程が複雑なメンズスーツは、大手でなければ価格競争力で紳士服専門店に対抗できないため、参入障壁が高い業界だと言われてきた。

 だが、この数年で状況はかなり変わった。「カジュアル化・カスタマイズ化などで業界の参入障壁が低くなり、他業界からの参入が増えている」(青山商事)。カジュアルなビジネススタイルを求める若い男性は、セレクトショップなどに向かうようになった。オーダースーツの分野にはFABRIC TOKYOに代表されるスタートアップ企業の参入が相次ぎ、オンワードホールディングスのような老舗企業も巻き返しを図っている。守勢を余儀なくされている紳士服専門店は巻き返すことができるのか、正念場を迎えている。

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週末お出掛けスポット 宮廷服から「 ギャルソン」まで展示する展覧会などアート5選

 週末にオシャレして出掛けたいアートスポットをお届け。今週は、宮廷服や「 ギャルソン」から新たなドレス・コードを模索する展覧会やポーラ美術館初となる現代美術の作家たちに焦点をあてた展覧会など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(8月10〜12日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【アート5選】

【開催中イベント】

「イザベル マラン」出身の日本人デザイナーによる新ブランド 伊勢丹とミッドウエストでイベント

テラハ出身デザイナーのエビアン 全国5都市を巡回するポップアップで接客

PSGの公式ショップが“サマー フェスティバル 2019”をオープン 「ジョーダン ブランド」との新コラボを用意

とんだ林蘭やゴンズの限定ポラロイドが登場 ビンテージカメラをリデザイン

ミキモトで「クラフツマンの感性」展 約1万個の真珠やジュエリーの数々を展示し制作の裏側を公開

野村訓市が企画した写真展がGYRE GALLERYで開催 20〜40代を代表するファッションフォトグラファーが参加

アーティストのジェームス・ジャービスが4年ぶりの新作展を開催

「リーボック」が「レブロン」とフィットネス女子応援キャンペーンを実施

眼鏡「フォーナインズ」がフォトコンテスト開催 テーマは“アクティブな夏”

「ブルガリ」と「ドン ペリニヨン」のマリアージュ ブルガリ銀座タワーの最上階に

「リモワ」がストリート誌と企画展 過去のアーカイブからアーティストの作品まで

「MCM」がサステナをテーマに展示会開催 未使用バッグをドレスにアップサイクル

松屋銀座が「美しくなるビアガーデン」開催 今年もクロスフィットトレーナーAYAとコラボ

【開催中ポップアップ】

「グラミチ」が「ワンピース」アニメ放映20周年でコラボ 名作“Gショーツ”をはいたルフィが登場

伊デニムブランド「リプレイ」が「バーニーズ」でポップアップ 槙野智章選手が来店

「アクリス」がバッグにフォーカスした期間限定店 空港をイメージした空間

東京五輪まで1年 オフィシャルタイムキーパー「オメガ」が大丸東京にポップアップ

「フィラ」が冒険心をかきたてる新コレクション“フィラ エクスプロア”を発表

伊デニムブランド「リプレイ」が「バーニーズ」でポップアップ 槙野智章選手が来店

ラブレス青山で古着のラグタグがポップアップ 佐々木拓真選りすぐりのビンテージウエアを販売

ビートたけしプロデュースの「キタノブルー」が初ポップアップストアをオープン

伊勢丹の今夏の浴衣展開がスタート 西内まりやとのコラボ品と販促ムービーで多様な着用シーン喚起

眼鏡ブランド「アヤメ」が263日間のポップアップストア 直営店オープンの布石

オーガニックブランド「ラ・ブルケット」が関西で初のポップアップストア

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エドウインの新プロジェクト始動 「503」を刷新、東京でジーンズ製造の体感イベント開催


 1997年に誕生したエドウインの代表的デニム「503」シリーズがこの秋、大きく生まれ変わる。男性ファンの多いこのシリーズをリブランディングするという決断には一体どういった狙いがあるのか、「503」はどのような変化を遂げるのか−−。加えて同社はこの秋、新たな試みのレーベルの発売、ユニークな展示会など新プロジェクトが目白押しだ。2021年の創業60周年に向けて大きく動き出したエドウイン。ジーンズに新たな時代を告げる数々の取り組みを紹介する。

 「503」はミレニアル世代への訴求するため、マーケティング手法を大きく変える。パートナーとして、高橋盾率いるクリエイティブチーム「アンダーカバー プロダクション(UNDERCOVER PRODUCTION)」にブランディングからの参加を依頼。ロゴを刷新するとともに、フラッシャーなどの製品に関する付属品や販促物、若手写真家を起用したアートイベンドなど、全方位的に取り組む。東京と大阪ではポップアップイベントを開く予定だ。

「UN〈 〉ED」 多様性とともに
ジーンズの原点を提案

 8月20日に発売される「UN〈 〉ED(アンイーディー)」は、エドウインが “チープ・シック”を追求して送り出すレーベルだ。

 スタイリングへの取り入れ方、はき方、売り場の多様化によって、デニムのデザインが多種多様になる中、いつの間にかメンズとウイメンズにセグメントされてきたが、デニムは本来ユニセックスなパンツだった。「長く愛されるベーシックアイテムはいつの時代もユニセックスであり、普遍的でアイコニックなものだ」という考えから、シルエットや仕様に性差を作らない、“ボーダーレス”なデニムが完成した。

 大きな特徴は、着る人それぞれが好きなサイジングで自分らしく表現するためのデニムだという点だ。2月に行われたエドウイン展示会では、男女が同じデニムパンツをサイズ違いで着用しているビジュアルや、さまざまな人種のモデルがそれぞれの個性で同じアイテムを着こなしているビジュアルが発表され、このコンセプトを強く印象づけた。ジェンダーレスなファッションが一般的になり、価値観の多様性が強く認識される昨今の流れにも呼応しているが、だからこそ「アンイーディー」はジーンズの原点・本質を目指したものだといえる。「どうはきこなしたいか」という視点でサイズ選びをする楽しさも狙いだ。

工場をライブで見学 
ジーンズを体験するイベントを
都内で開催

 日本製であることはもちろん、素材やディテール、シルエットにもこだわったモノ作りを多くの人に感じてもらいたいという思いから、エドウインは8月28日からの3日間、ユニークな展示会を開催する。

 「The LIVE -MADE BY EDWIN-」と題されたこのイベントは、「MADE BY EDWIN(エドウイン製)」という自信とヘリテージを伝えることがコンセプト。エドウインのジーンズを生産している秋田ホーセ第2工場の一部を都内の会場に移設、実際に現場で働いている職人が、現場で使用しているミシンを使い、実際に目の前で縫製を行うのだ。普段は目にすることのできない職人たちの技術と、 “MADE IN TOKYO”のジーンズか出来上がっていく様子を間近で見ることができる。

武田双雲、SASUKE、
chelmicoらの
ライブやトークも企画

 「The LIVE -MADE BY EDWIN-」では、他にもさまざまなコンテンツを企画している。綿からジーンズになるまでの工程の展示や、「Discover Japan」とのコラボレーションで実現した日本の職人が作るプロダクトとジーンズによるインスタレーション、裁断クズを活用した環境配慮型新商品「CO:RE(コア)」の提案など、ジーンズをさまざまな角度から体感できる内容となっている。イベント会期中には、若手トラックメーカーのSASUKEや、tofubeats、chelmicoによるライブ、武田双雲のパフォーマンス、マリエのトークショーなどが予定されている。出演者はエドウイン公式サイトで追加発表される。

 通常の展示会は業界関係者向けだが、今回はエドウインが産学交流を行ったことがある文化服装学院や文化学園大学、杉野服飾大学などの学生や、クラウドファンディングに参加した一般の人も来場する。エドウインのモノ作りを業界内だけではなくもっとオープンに表明し、知ってもらいたいという考えからだ。

EVENT INFORMATION
THE LIVE -MADE BY EDWIN-

日時:8月28日(水)10:00〜17:00
29日(木)10:00〜19:00
30日(金)10:00〜18:00
会場:B&C HALL 寺田倉庫
住所:東京都品川区東品川2-1-3


問い合わせ先
エドウイン
0120-008-503

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楽天の三木谷会長、小山薫堂、佐藤可士和が語る「世界で戦うための日本型ブランド戦略」

 「欧米とは違う、日本ならではのブランド戦略があるはずだ」——7月31日~8月3日にパシフィコ横浜で開催された「楽天オプティミズム(Rakuten Optimism)2019」で、「世界を掴むブランド戦略」と題して楽天の三木谷浩史会長兼社長、放送作家の小山薫堂氏、サムライの佐藤可士和クリエイティブディレクター/アートディレクターが鼎談した。

 三木谷会長は「本日は日本を代表するクリエイターお二人に来ていただきました。お二人はお互いをどう評価されていますか。ライバル視していますか」と問いかけた。これに対し佐藤氏は「ライバルというか、あまりにもタイプが違うんですよね」と答え、小山氏は「僕はどちらかというとストーリーを作るタイプで、佐藤さんは形を作るタイプです」と応じた。

徹底管理の欧米型、ゆるい日本型

 小山氏は熊本県のPRキャラクター「くまモン」をプロデュースした経験を通して、「かえってブランドのことが分からなくなった」と自身の経験を振り返った。「普通ブランドって隙のないものを作り、それを上から降らせるような感じで展開するんです。欧米で言えば、まず教会を作って、そこでパイプオルガンを鳴らすような具合です。でもくまモンの第1号商品はなんと仏壇なんですよ。『著作権フリーで使ってください』とお知らせしたら、許諾の列に最初に並んだ人が仏具屋さんだった。その時に『このブランドは成功する訳がない』と思ったけど、結局は成功した(笑)」(小山氏)。

 佐藤氏は「小山さんがお話しされたように、欧米型は上から降らせて統一します。これまで楽天の仕事をする中で、三木谷さんとブランド戦略をどうするかという話をしてきたのですが、『欧米型とは違う、日本のやり方があるんじゃないか』という話題によくなります」と話した。そして「欧米型のブランド戦略が完全管理で完璧な仕組みの下でやるディズニー型なのに対し、ハローキティの取り組みが面白いと思ったんです。(ハローキティは)政治と暴力とエロだけは駄目だけどそれ以外はオッケーという方針なので、ご当地も使うしハイブランドにも使われています」(佐藤氏)と続けた。

 これに対し小山氏は「くまモンも一緒ですね。管理はゆるいです。くまモンとハローキティに共通するのは愛され力があることですね」と応じた。

 三木谷会長は「近年『ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)』が日本のデザインを使ったりするのを見ると、日本をチラ見しているのかなという感じがするんですよね」と指摘した。佐藤氏は「これまでラグジュアリーだったハイブランドが近年は思いっきりストリートに寄っています。八百万(やおろず)の神と言われるように日本はもともと多様性を持っていて、その多様性が欧米からは魅力的に映るのではないかと思います」と語った。

球団を持ってから知名度が跳ね上がった

 三木谷会長は佐藤氏に対し「これまで国際的な企業をいろいろ手がけられてきて、日本のブランドはどうあるべきだと感じていますか」と尋ねた。佐藤氏は「世界戦略を考えると、日本企業ならではのブランドの強みはどこにあるかを考えざるを得ません。どこの切り口から見たら世界の人は日本のブランドが魅力的に見えるんだろうか、と考えてきました。私は日本人は感性の解像度が凄く高くて、クオリティを肌で感じられる感性を持っていると思っているんです。楽天もユニクロもセブン(-イレブン)も、そういう日本のいいところが凝縮したブランドだと感じているので、そこをエッジィにして来ました」と答えた。

 三木谷会長は「僕らからすると、ブランドってサプライズが必要だと思うんです。楽天がFCバルセロナのメインスポンサーになったのもそれが理由です」と話した。

 小山氏は以前タクシーに乗った際の経験を振り返り、「運転手さんが『楽天が昨日勝って凄いね』と言っていたんです。それで『楽天で買い物をすることがありますか』って聞いたら『え、楽天て野球以外もやってるの?』って(笑)。その時に球団のようなファンがいる組織を持つことの深さを感じたんですよね。安心感が生まれたと思います」と話した。

 佐藤氏は「これまで長く楽天と一緒にお仕事をしてきましたが、すごくびっくりしたのが、三木谷さんから『野球やろうと思うんだけどどう思う?』と聞かれたときです。こんなにダイナミックに判断できるんだと、びっくりしました。その後はたった1年で知名度がぼーんと上がって」と語った。

 三木谷会長は「僕のブランドの考え方は、『ブランドのオーディエンスは大きく分けて3つ』というものです。エンドカスタマー、取引先、従業員の3者がオーディエンスで、エンドカスタマーに向けてのブランドは取引先と従業員に対するブランドがあって初めて成立するんじゃないかと考えています」と説明した。

プロモーションとブランディングは違う

 三木谷会長は「『楽天市場』には多くの店舗が出店しています。みんなブランディングについて悩んでいると思うのですが、小山さんから何かアドバイスをいただけませんか」と語った。小山氏は「本当にページの構成は上手だなと思います。ここでクリックする、といったことが分かりやすいですし。アイデアとしては、あれの真逆があってもいいのかなと思います。いまは消費者に対して“押し、押し、押し”という感じなので、あえて探すのを大変にして“引き、引き、引き”にするのも面白いと思います」と話した。

 三木谷会長は「機能性を追求したサイトよりも、小山さんがお話しされたようにストーリーを作るという考え方をするとユニークなサイトが出来るかもしれませんね」と語り、小山氏も「レストランでも、オーナーが食に対する考え方をサイトで語っていたりすると面白くて読んでしまうんですよね。そういう具合に、サイトがエンターテインメントになっていると面白いと思います」と話した。

 佐藤氏は「ブランディングって、やっぱりストーリーとか社会の中での佇まいがあるんです。だからプロモーションとブランディングをごっちゃにするとまずいことになります。プロモーションは“プッシュ”で、ブランディングは“プル”。そこを整理すると分かりやすいと思います」と語った。小山氏も「それがすごく大事です。ブランディングってお金がかかるのでついつい我慢しきれなくなってプッシュになってしまいがちです」と応じ、「三木谷さんは失敗されたことはありますか」と質問した。

 三木谷会長は「日々失敗しています。一時期、会員の方に電子メールを送りすぎているという問題があって、でもそれをやめると売り上げが落ちる、という問題がありました。結果的に長期的なブランディングを優先するために電子メールを減らしました。このように短期的な戦略と長期的なブランディングでどうバランスを取るか悩む場面はたくさんあります」と答えた。

みんながハッピーになれるプラットフォームを

 佐藤氏は「ブランドは、どういう理念を持つか、というストーリーを持つかが大事です。『デザインを先に』といったことを考えると本質からずれていきます。先ほどお話した通り、プロモーションとブランディングのバランスが大事です。みなさんのストーリーを作ってほしいと思います」と語った。

 小山氏は「日本で最初の天気予報が1884年に出されたんです。日本全国に対する予報で『全国一般風ノ向キハ定リナシ天気ハ変リ易シ但シ雨天勝チ』というものでした。これは今から見ると稚拙ですが、当時は一生懸命やってもこれくらいしかできなかった。でも新しいことをやるってこういうことだと思うんです。最初は稚拙かもしれないけど、遠い未来にすごくいいことが起きるんじゃないかと願ってやるものだと思います」と話した。

 三木谷会長は「楽天市場がスタートした当時、デジタルな名称を付けるのが全盛で「〜ドットコム」といった名前のサイトが多かったんですが、われわれはいかにも日本という名前を付けました。今後、5Gが普及したり、日中貿易戦争が始まったり、日韓関係が悪くなるなど、新しいことや不安要素がどんどん出てきます。その中において、われわれは日本社会の特性である“楽天主義”を実現して、みんながハッピーになれるプラットフォームを提供できればと思っています。また、技術がすさまじい勢いで進化しているので、そこでもいろいろやっていきたいと思っています」と語り、講演を締めくくった。

吉田洋平(よしだ・ようへい) : 出版社勤務後、フリーランスに。ビジネス、ITを中心に様々な雑誌、Web媒体、企業のオウンドメディアなどで記事を執筆

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「ああ、ちょっと真ん中を歩いているなと思ったら、はじを探し始めるの」 by 島田順子

島田順子

 ああ、ちょっと真ん中を歩いているなと思ったら、はじを探し始めるの。楽になった瞬間はものすごく恐ろしい。気楽でのんびりには耐えられないし、刺激があって緊張している時こそ、生きがいを感じる。(Vol.117 1983年9月12日)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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今週の新作 「エクストララージ」の「アラジン」Tシャツなど(8月9〜15日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。今週は「エクストララージ(XLARGE)」の「アラジン」Tシャツや「ビューティフルピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」の革ジャン要素を凝縮した新型“ライダースバッグ”などを紹介する。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


【スニーカー部門】

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「エージー」の自社工場は水の完全循環を実現!


 原料となる綿花の栽培、インディゴによる糸の染色、洗いによる加工と、ジーンズができるまでにはステップごとに大量の水が必要となる。2000年にロサンゼルスで誕生したジーンズブランドの「エージー(AG)」は、工場用水の再利用に取り組み、19年についに一貫生産の自社工場で完全循環のウオーターフィルタレーションシステムを完成させた。年間200万着のデニムウエアを製造する同ブランドの取り組みは、ジーンズ業界のサステイナブル化を大きくけん引するだろう。

2019年、ついに工場排水を
100%リサイクル

 「エージー」のアイコンといえば、08年に発表した“エイジド(AG-ed)”シリーズだ。洗い加工でリアルなビンテージ感を表現し、“プレミアムジーンズ”ブーム後も売り上げを維持した。「エージー」の先見性はそれにあぐらをかくことなく、09年には洗いに代わる加工技術としてレーザーを導入したことにある。さらに10年にはオゾン加工も採用し、水のみならず化学薬品の削減にもアプローチした。そして19年7月、ウオーターフィルタレーションシステムを本格始動した。1日38万ガロン(25 mプール4 杯分)の工場排水を飲める状態にまで浄化し、蒸発する15%を除く100%をリサイクルしている。ロサンゼルスの降雨量は東京の4分の1ほどで、水が貴重なこともあるが、とかく水を使うジーンズ業界に大きな一石を投じるアクションといえる。


ほかにも見つけた「エージー」
自社工場のここがスゴい!

 ユル・クー「エージー」最高経営責任者(以下、CEO)兼プレジデントは、「“プレミアムジーンズ”ブームに沸いた00年代もわれわれは自社工場でジーンズを一貫生産しており、それは当時アメリカで唯一の存在だった」と振り返る。現在の「エージー」のロサンゼルス工場は約3万1500平方メートルで、500人のスタッフが働く。さらにメキシコにこの1.5倍の工場を持ち、全商品の90%を自社生産する。

 工場の屋根にソーラーパネルを設置し工場の動力の25%をまかなったり、コストダウンのためレザーパッチなどの部材はもちろんブランドタグや社員の名刺まで内製していたりと驚くことはさまざまあったが、ブランドのアイデンティティーとも言えるエイジング加工や1日1500本を加工するレーザーマシンなど、特に気になったものを写真とともに解説したい。


サンプル作りのための
ぜいたくな空間

 デザインルームのすぐ隣には、サンプル作り専用の部屋がある。スタッフに話を聞くと、「デザイナーと隣接することでコミュニケーションが密に取れる」と答えた。実際に取材中も、サンプルを手に話をするデザイナーとサンプル師の姿が見られた。かつてOEM 用の縫製場だったためこの広さを持ち、さまざまなサンプルを1週間で形にする。

「エージー」を先導する
カリスマ経営者の存在

 「エージー」を率いるのは1951年、韓国・釜山生まれのクーCEOだ。75年にアメリカに移住し、縫製工場を設立。2000年に“デニムの神様”ことアドリアーノ・ゴールドシュミット(Adriano Goldschmied)と共に「エージー」をスタートさせた。04年、ゴールドシュミットがビジネスから退くと、「エージー」の商標権を取得した。

 クーCEOの下で23年間働くエベリン・ソン(Evelyn Song)=プロダクション・ディレクターは、「彼は単なる経営者ではなく、プレーングマネジャーだ。われわれと工場で食事をし、同じ時を過ごす。だから労働者の気持ちがよく分かる。それが“工場のプロ”であることだと思う」と述べ、ロン・バラットバット(Ron Balatbat)=デニムデザイン・ディレクターも「『エージー』のスペシャリティーは、クーCEOの多大なる経験とビジョンにある。ベストな素材、先進のテクノロジー、可能な限りのツールと機会を僕らデザイナーに与えてくれる」と話す。


PHOTOS : NORIHITO SUZUKI
問い合わせ先
エージージャパン
03-5946-8990

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ワンオーがD2Cブランド「イコーランド」立ち上げ ラグジュアリーブランドの残糸を使用

 PR事業などを手掛けるワンオー(松井智則社長)は、D2Cモデルのファッションブランド「イコーランド(EQUALAND)」を立ち上げ、8月9日から自社ECサイトで販売する。テーマとして掲げるのは“ファッションの信用”。ラグジュアリーブランドやスポーツブランドの残糸・残反(工場などに使われずに残っていた糸や生地)を使い、上質な商品を買いやすい価格で提供する。ただし、純粋にファッションブランドとして打ち出すというよりも、「コミュニティーを作り出して、その全体が潤っていくようなビジネスがしたい。われわれがD2C生産のプラットフォームを築き、それを若いデザイナーに開放するなどして社会に還元していきたい」(松井社長)と話す。ブランド開発はその最初の一歩だ。松井社長と、同ブランドのディレクターも務める古瀬伸一郎ワンオー取締役に聞いた。

WWD:クライアントからの依頼でPR業務やイベント制作をしたり、商業施設のコンサルティングをしたりというのが、現状のワンオーの主な事業だ。なぜ自分たちでブランドを立ち上げることにしたのか?

松井智則社長(以下、松井):プロジェクトが始まったのは約2年前。ワンオーがアッシュ・ペー・フランスから独立して半年経った頃です。僕らに出資してくれているベンチャーキャピタルのウィルとも、(クライアントから仕事を請けるだけでなく)これまで蓄積してきたノウハウを生かして、自分たちとして発信するようなことができればいいねと話していました。何をするか考えていた時にまず作ったのが小説です。「イコーランド」は、イコール(平等)とランド(島)を掛け合わせた造語なんですが、“平等な島”みたいな、価値あるものを適正な価格でちゃんと買えるコミュニティーを描いた小説です。そういうコミュニティーを作っていくためのプロジェクトの中の1つとして、ブランドを作ることにしました。

古瀬伸一郎ディレクター(以下、古瀬):「イコーランド」が商品をお客さんに届けることで、生産工場が元気になって、将来的には若いデザイナーがそれらの工場を束ねたD2C生産のプラットフォームが使えるような形になればと思っています。プラットフォームを整えていくためには、まずは自分たちでブランドを作ると分かりやすい。それで「イコーランド」を立ち上げることにしました。

WWD:コンセプトとして“ファッションの信用”という大きな言葉を掲げている。その意図は?

松井:サステイナブルとか、エシカルといったことを声高に打ち出すつもりはありません。いいものを作って、適正な価格で売るという意識だけ。地方の工場には、ビッグメゾンなどが使わずに余ってしまった糸や生地がたくさんあって、それを使っていきます。第1弾商品のTシャツは、和歌山のカットソー工場に余っていた、某ラグジュアリーブランドが使うはずだったオーガニック綿の糸で作りました。細番手の糸なので、本来は薄くて繊細な生地になるものでしたが、僕らはあえて細い糸を2本より合わせて、地厚な生地にしています。肌触りは繊細なのに、丈夫だし透けないというのがポイント。価格は6800円、草木染めだと8800円です。今後、スエットやムートンなども販売予定です。

古瀬:タグには、商品を作るのに関わった、綿花の栽培者や縫製工場、染色工場のスタッフの名前を入れています。最近は、やましい部分がないという意味で使用工場を公開する企業も増えてはいますが、そういう考えと僕らはちょっと違う。「やましい部分がない」ではなくて、もっとポジティブに、誇りを持って作っている人たちだから紹介する、という意識。映画のスタッフロールみたいな感覚です。

WWD:「エバーレーン(EVERLANE)」など、原価率まで消費者に明らかにしていくブランドも増えており、支持されている。

古瀬:「イコーランド」は基本的に卸販売はせず、自社ECのみで販売します。それは、卸では利益が出ないような原価率設定をしているから。具体的に原価率を明かしてもいいけど、その1点だけを声高に叫ぶようなことはしても意味がないと思います。あらゆる面で、(生産者と消費者双方にとって持続可能なビジネスのあり方を)自然に行っていきたい。

WWD:「将来的にはコミュニティーを作っていきたい」というが、具体的にどんな形を考えている?

松井;ブランドに共感してくれる賛同者を増やすことを考えています。特に異業種の賛同者を増やしたい。自動車のディーラーやラーメン屋さんがコミュニティーのメンバーになって、その制服を「イコーランド」が作ってもいいし、最近イベントに注力している通信機器メーカーと組んで「イコーランド」が一緒にイベントを作るという形でもいい。最初の小説に書いたように、「イコーランド」の住民が増えて、そこでエコシステムが生まれていくようなイメージです。

古瀬:パリのセレクトショップ「メルシー(MERCI)」も賛同者になってくれました。基本的に卸販売はしませんが、ブランド立ち上げに合わせて、「メルシー」では8月27日~9月21日にポップアップイベントを行います。これまでワンオーとして手掛けてきたショールーム事業で、同店とネットワークを築いてきたからこそ実現しました。他に、草木染めの原料となる果物などの搾りかすを提供してくれている、コールドプレスジュース専門店「サンシャインジュース(SUNSHINE JUICE)」も賛同してくれています。

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「情報の新陳代謝が早すぎる時代の、三陽商会の新ブランドにトキメキ」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャーに勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース「三陽商会が相次ぎ新事業『発信力』で黒字に大手」

読み解きポイント「その『発信力』は瞬間風速的なもの?」

ニュースのポイント

 4期ぶりの黒字化に挑む三陽商会は2019年下期、発信力に重きを置いた2つの新規事業を打ち出し攻勢に転じる。第一弾として20〜30代女性をターゲットにした新ブランド「キャスト:(CAST:)」を立ち上げた。同ブランドでは3人の女性像を立てターゲットを具体化し、3ラインに分けて展開することで発信力を高めていく。ファーストシーズンは女優の飯豊まりえ、モデルのemma、歌手の佐藤千亜妃がその3人を演じるオンライン映画を製作し、映画を見ながらECで衣装が買える「シネマコマース」を展開している。

AZUはこう読む!

 SNSを見渡すと若干懐疑的な意見が多かった「キャスト:」の「シネマコマース」という取り組み。確かに「映画見ながら服買いたくなる?」「ECを開いたら映画に集中できない」などには少し同意しますが、記事にもある通りこのブランドの狙いは映画ではなく「発信力」。マイナスな意見であれ、こうして話題にのぼることが「シネマコマース」の一つの目的であり、ある程度は狙っていた反応だったのかなと思います。

 実際、ファーストシーズンのテーマが「着る映画」ということで映画が制作されましたが、今後「シネマコマース」を継続するかは未定とのこと。せっかく登場人物ごとのSNSアカウントも開設しているのでもったいないなと思いつつ、OL /パティシエ/シンガーソングライターという3人のペルソナは踏襲されていくようなので、今回の女優さんたちに代わりバーチャルインフルエンサーが登場したら面白いなと思いました。でもさすがに盛り込み過ぎかな……?

 情報の新陳代謝が早すぎるこの時代、生き残るカギは「いかに継続して、話題にしてもらうか」。「キャスト:」の発信力が「シネマコマース」による瞬間風速的なものだったかどうかはPRや商品次第ですが、実際に渋谷の路面店で商品を見たとき素直に「欲しい」と思ったので、個人的には今後の展開を楽しみに見ていきたいと思います。

 以下余談ですが、「キャスト:」のターゲット層である私は「人生という物語を、演じるための服」というブランドコンセプトを聞いたとき、しっかりトキメキました。平日は仕事に夢中な自分を演じているし、旧友に合えば殻を破った自分を演じるし、一人でいるときですら多分何かを演じている。「演じる」はマイナスな表現かもしれないけれど、私たち世代にとっては普通のことだと思うんです。「個性」「個性」と言われ続けてきて、見つけた最適解が「自分が一人である必要はない」ということ。数いる自分を「演じるための服」は、確かに必要なのです。

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「WWD JAPAN.com」読者が注目した7月のスニーカーベスト10

 「WWD JAPAN.com」読者のアクセス数(PV)が多かった7月掲載のスニーカー記事をランキング形式でお届け。7月に「WWD JAPAN.com」で紹介したスニーカー記事は15本。その中で上位10位にランクインしたスニーカー記事はこれだ!

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「環境問題はビジネスで解決するしかない」 ヒット商品「米ぬか洗顔」の開発秘話

 ナチュラルコスメ「みんなでみらいを(MINNADE MIRAIO)」を手掛けるフロムファーイーストの阪口竜也代表は、気候変動などの環境や発展途上国の貧困といった社会問題をビジネスで解決することに挑戦している。「使えば使うほど健康にも環境にもいい」という「米ぬか酵素洗顔クレンジング」は、月2万本を売るヒット商品になり、一方で、カンボジアの荒地に植林して貧困をなくすプロジェクト「森の叡智プロジェクト」を立ち上げるなど、さまざまなビジネスを行う。彼はなぜ、サステイナブルなビジネスに取り組むことになったのか。

WWD:サステイナブルなビジネスを行おうと思ったきっかけは?

阪口竜也フロムファーイースト代表(以下、阪口):人生の時間はあと50年くらいかなと思っていたのが、14年前に子どもが産まれて、病院で子どもの顔を見た瞬間に、100年先を意識した。子どもの人生は自分の人生と重なっていくでしょう?それまでは正直、環境なんて興味がなかった。でもこのままだと100年先の地球に100%住めないと漠然と感じた。

WWD:そこからリサーチが始まった。

阪口:リサーチしている中でも一番衝撃を受けたのは1992年にブラジル・リオデジャネイロで行われた環境サミットで、当時12歳だったセヴァン・カリス・スズキ(Severn Cullis-Suzuki、“世界を5分間沈黙させた少女”としても知られる)が行ったスピーチ。“伝説のスピーチ”で検索すると出てきますよ。そこから人々の意識が環境に向き、エコやサステイナブルと言われるようになった。

僕がこのスピーチを見つけたのはそれから10年以上経ってからだけど、地球の環境は10年前より悪化していた。それで分かったのは、みんな言うだけで何もしないということ。環境をよくしようという事業は成り立たないと気づいた。これまでは経済発展すればするほど環境が悪化していったわけだけど、それを逆にできないかと考え始めた。つまり、モノを作れば作るほど環境が良くなり、使えば使うほど健康になる。廃棄することで環境がよくなって、事業が成功すればするほど環境がよくなるシステム――これが僕のビジネスの根幹にある。

WWD:そこからどうやって「米ぬか酵素洗顔クレンジング」が生まれた?

阪口:「米ぬか酵素洗顔クレンジング」は米のぬかと小麦ふすま(小麦の表皮の部分)しか入っていない。添加物も洗浄成分も入ってないけれど、不思議と泡立つし、ダブル洗顔はいらない。ウォータープルーフのマスカラなども落ちる。

なぜ汚れが落ちるかというと、米ぬかにはもともと米ぬか乳酸菌というものが含まれていて、その量を意図的に増やすことで、微生物の分解によって汚れが落ちるという仕組み。その排水で配管の中の汚れも分解してキレイにすることができるし、最後に川に流れて環境回復していく。こうした循環を生活消費財で作れば、生活するだけで環境がよくなる。

人間が地球を汚したわけだけど、これをもう一回キレイにしようと思うと、人間の力なんて大したことがないと感じる。なぜなら、自然界にはもともと浄化システムがあって、勝手にキレイになっていくから。その仕組みをうまく活用したいというのもビジネスの基礎にあり、その一つが米ぬかシリーズ。ほかにも過疎化が進む与論島との取り組みで、与論の海水からとれるミネラルが豊富なにがりを生かした化粧品を作っている。

WWD:化粧品の知識がない中でどのように開発し生産にこぎ着けたのか。

阪口:10年くらい奔走する中で、消費材でビジネスをしようと決めて、そこから自分でいろんなものを試すようになり、そういった製品の後ろにカタカナで書かれている物質を見るようになった。今ならインターネットで調べれば分かる。僕は化学を学んだわけじゃないけど、インターネットで調べた知識を蓄積して、それをベースにこういうものを作りたいといろんな人に話をする中で賛同者や協力者が出てきて、生産してくれるパートナー企業を紹介してもらったこともある――こうしてどんどんつながって商品ができた。

WWD:販売先にはどうアプローチした?

阪口:ナチュラル系の商品って百貨店でブランディングしてちょっと高い価格で売ることも考えられるけど、僕はそうはしたくなかった。コンセプトは“みんなでみらいを”。“誰もがいつでも買える場所”であることが重要だった。だからイオンから「取り扱いたい」とオファーがあったときはうれしかった。今の販路は、チェーンストアではユニー、バラエティーショップではロフトや東急ハンズ、そのほか、ドラッグストアや雑貨店、自然食品店や田舎の生果店みたいなところまで、僕たちのコンセプトに共感してくれたところで取り扱ってもらっている。

環境保全しながら経済発展する仕組みづくりを発展途上国で行う

WWD:カンボジアで「森の叡智プロジェクト」を行っている。

阪口:環境問題って、地域を限定して行っても解決しない。海も空気もつながっているから。そうして、僕の会社みたいな小さいところが大きなインパクトを与えたいと考えると、発展途上国だった。環境破壊を引き起こしたのは、アメリカ、ヨーロッパ、日本のようないわゆる先進国で、経済発展の代わりに環境を破壊してきた。

これからの問題は先進国よりも途上国にある。彼らがこれから発展して先進国と同じような経済力を持って消費活動を行うと、はっきり言って地球はアウトだから。でもそうした国の人々に発展するなとは言えない。先進国に生まれた僕は、そうじゃない発展――経済発展と環境破壊が比例するような発展とは異なる――方法を一緒につくる責任がある。つまり発展途上国で環境保全しながら経済発展できる仕組みをつくろうと思った。

WWD:カンボジアだった理由は?

阪口:カンボジアは東南アジアの中で最も森林の減少率が高い国。もともとはジャングルや森だったところが違法伐採されている。1日1ドルを稼げない人が、違法伐採した木が20ドルで売れるなら切ってしまうよね。

現地の人々と、伐採ではなくて収穫したものがお金に変わる森をつくろうと思った。木を育てて森を守りながら何かを収穫できる仕組みをつくりたいと考えた。そうは言ってもプランテーションにするつもりもないし、化粧品生産などで需要がある植物の種を持ち込んで植えるわけにもいかない。だから、現地に自生している植物の中で、何が使えるかという調査から始めた。例えばバナナ。バナナの茎は燃やして灰にして水に溶かして、その水を加熱するとカリウムができる。石臼で砕いた貝殻を燃やして消石灰にして、カリウムと混ぜると水酸化カリウムとなる。ヤシの木になっているココナッツを取って実をくり抜いて煮て2日間寝かすと、勝手に発酵してココナッツオイルができる。ココナッツオイルと水酸化カリウムと雨水を混ぜるとシャンプーができる。

こうした実験を繰り返し、植える植物を考える。雑草も生えてくるんだけど、それも抜かずに何かに使えないか考える。カンボジアは伝統医療がまだ盛んで、村の人々は切り傷の止血のために生えている草を取ってすりつぶして塗る。頭が痛くなったら生えているハーブを引っこ抜いて煎じて飲む。いわゆる薬草を生活の中に取り込んでいて、ハーブは生命力が強いしどんどん生えてくる。雑草すらお金に替わるということも伝えている。

WWD:どのくらいの広さの森を育てているのか?

阪口:現在、未整備の土地も含めると約13万8600平方メートル。でもそれを132万平方メートルまで広げたい。栽培している植物も自分のところだけでは使いきれなくなるだろうから、いろんな企業と組んでいきたい。

ある日、価値を逆転できることにはっと気づいた。例えば、僕が買ったカンボジアの土地はもともと荒地だったから値段も安い。そこに種から植えたら原料費はほぼかからない。村の人からも収穫したものを買うけれど、その金額は知れている。例えば、何かのオイルを買おうとすると、アフリカで作られたオイルは現地でそれを作る人がいて、現地の輸出業者がいる。日本には輸入業者がいてオイル問屋がある。そこから買うとしたらどれだけ値段が高くなるの?という話。カンボジアの田舎で土壌保全しながら無農薬・無肥料の自然栽培で育ったものは、そもそも土地が高い東京のど真ん中でオーガニックで育った植物よりも価値があるし、コストも低い。これが僕の言う価値の逆転。ビジネスだからもうからないと意味がない。そういった意味でこのプロジェクトも僕にとって挑戦すべきビジネスで、この仕組みは実は日本でもあてはまると気づいた。過疎化が進む鹿児島の与論島や、鳥取県とも取り組んでいる。

WWD:石川県羽咋市とも取り組んでいる。

阪口:米ぬかシリーズで美容オイルを作ろうと考えたときに、無農薬の米ぬかで作りたいと考えた。日本で米油っていろんな用途に使われているのに、無農薬の米油すら存在しない。米ぬか洗顔クレンジングは、微生物が入っているから残留農薬はゼロだけど、オイルに圧搾する過程で残薬は必ず出る。石川県羽咋市は日本で唯一農協が自然栽培を推進しているところで、ある程度の量をまとめて購入できる。自然栽培の聖地である羽咋市との事例をつくることができたら、今後いろんな人が新しい事業を起こすきっかけになるかもしれない。

WWD:少しずつだが、環境に対する人々の意識も変わってきていると感じる。

阪口:例えば、日本で何年か前に(世界で一番貧しい大統領として)ムヒカ大統領フィーバーが起きたでしょ?彼の言うことは変わらないのに、突然フィーバーが起こった。ということはみんなの意識が変わっているということ。世の中はものすごいスピードで変化していて、これからサステイナブルな方向に変わっていくと感じた。

僕が行うのはあくまで商売。だからマーケットがないと成立しない。でもこの変化から、今はまだマーケットが小さいけれどこれから大きくなると思った。みんなの中にこのままじゃヤバイという意識があって、その度合いは人それぞれだけど――「明日で地球が終わりです」と言われたら、みんな家族と過ごすし、あと10年と言われたら子どもは作らないでしょ?誰もそんなことを考えないということは、ずっとこの環境があるという前提でしか生きていないということ。

WWD:特にSDGsという共通言語ができたことで、より具体的になった。

阪口:国連が旗を振ってくれて加速している。企業も含めさまざまな団体から講演依頼があり、そこで伝えているのは、サステイナビリティーを追求した方がもうかるということ。僕の会社は5人しかいないけど、僕に協力してくれる人は本当にたくさんいる。例えば、化学成分を配合した化粧品を格好よくてオシャレに売っても、こんなに協力してもらえないと思う。サステイナビリティーに取り組んだら売り上げ増や利益とは逆になる、と思われているけど、違う。売り上げを伸ばしたいのであれば、社会貢献できることをする――今はそんな時代になっている。

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「機能を超越するストーリーをデニムに」 ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:低迷するジーンズ業界 突破の合言葉は「シンプル回帰」

読み解きポイント「誰もが語りたくなる」

ニュースの要約

 世界的にジーンズが売れない。そこで「WWDジャパン」は次なるトレンドを探すため、デニムの生まれ故郷であるアメリカ西海岸で取材。歴史あるリーバイ・ストラウス(LEVI STRAUSS)は、アーカイブの体系化による次期モデルのデザインや、レーザー加工で経年変化をカスタマイズすることに取り組んでいる。ファーストリテイリングは洗い加工の水を極限まで循環させサステイナブルを追求している。また、ビンテージ市場で何が動いているのかも調査。

CKRはこう読む

 「501」。誰もが知る「リーバイス(LEVI’S)」のロットナンバーです。製造工場やラインを特定する番号で、本来は売上管理などに使用します。ジーンズの世界では、愛称として親しまれているのが面白いです。

 “501”が誕生したのが1890年。19世紀のアメリカには当時のヨーロッパと違い、階級がありませんでした。製造業は、同じ品質の商品を大量に生産するようになります。規格化、標準化の始まりです。

 規格化されたジーンズを評価し、ちょっとした違いに目をつけたのが日本人です。「革パッチ」「ビッグE」「XX(ダブルエックス)」「V字ステッチ」「縦落ち」「フレアー」「スキニー」。ジーンズに大きな価値が生まれたヒントがここに隠されています。

「誰でも分かる見た目の部分で、何が良いかを一言で表現する」「誰もがジーンズを語り出す」。その結果、規格化された商品にストーリーが生まれます。そこに新しい価値が創造されるのです。

 ジーンズは決して機能的であるとは言えません。夏は暑いし、冬は寒いです。機能を超越するストーリーが存在するところが、ジーンズの強みなのではないでしょうか。誰もが語りたくなる、分かりやすい表現を生み出すことが、低迷するジーンズ業界を救うのかもしれません。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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抽象的な形がポップな色を呼ぶ NY拠点のアーティスト、ジョシュ・スパーリング

 ジョシュ・スパーリング(Josh Sperling)は、ニューヨークを拠点に活動する1984年生まれのアーティストだ。あのカウズ(KAWS)の下で働いていた過去も持つ彼は、1960~70年代のミニマルアートや家具デザインから強く影響を受けたシンプルでポップな色彩のスカルプチャー・ペインティングで知られている。8月10日まで日本初となる個展を東京・六本木の画廊、ペロタン東京(PERROTIN TOKYO)で開催中の彼に、アーティストを志したきっかけから抽象的で遊び心溢れる作品が生まれる過程まで話を聞いた。

WWD:アーティストを志したきっかけは?

ジョシュ・スパーリング:祖父と父がアーティストだから周りの人たちもアート関係の人が多く、アートが身近にあることが普通だったんだ。だからアーティストには「絶対になってやる!」って気持ちではなく気付いたら自然と目指していて、家族も応援してくれていたし環境が大きいね。大学では彫刻と陶芸を専攻して、その後、木材を使った家具職人、グラフィックデザイナー、カウズのスタジオのアシスタントなどを経て独立した。

WWD:切り出した立体的な木板にキャンバスを貼りつけて色をつけるスカルプチャー・ペインティングの作風は、家具職人の経験が大きいようですね。

スパーリング:一般的なアーティストよりも木材を扱う技術には長けていたから、木材を使用した作品を制作するようになるのは当然さ。

WWD:このような作風にたどり着いた理由は?

スパーリング:もともとは画家になりたかったんだ。ただ、画家のように長時間キャンバスを前に座って絵を描くことが苦手でね(笑)。もう少し身体的に動きがあるような制作プロセスがないかと考えて、画家のようにキャンバスに絵を描くことと自分がやりたいことの折衷案としてこの表現方法が生まれたんだ。

WWD:木材は機械で切り出してる?

スパーリング:コンピューターで図面を引いて機械で切り出し、手作業で色をつけているよ。

WWD:今回のメイン作品をはじめ、一つ一つのスカルプチャーの配置はどう決めている?

スパーリング:自分の中に思いついた形をストックする“形の図書館”があって、そこにたまったものを組み合わせることでメイン作品のようなものが生まれるんだ。配置に偶然性はなくて、これ以外ありえないというほど1mmの狂いもないよう計算して配置しているよ。

WWD:スカルプチャーが丸みを帯びている理由は?

スパーリング:有機的な感じを出すためさ。

WWD:色彩のインスピレーションは?

スパーリング:形が色を呼んでいるような感覚で、スカルプチャーの形が遊び心溢れるものだから色が自然と思いつくんだ。順番としてはスカルプチャーの形と配置の構図をフィックスさせてから色が思いつく。

WWD:今回の個展では丸みを帯びたメインスペースの作品と合わせて、サブスペースでは幾何学的な作品も展示しているが。

スパーリング:「これがあるから、あれがある」で、僕が制作に飽きないために異なるタイプの作品を作っているんだ。別室の作品は丸や四角といったメインモチーフは一緒だけど、色や組み合わせを変えることで違った印象を持つ作品に仕上げている。

WWD:ファッションブランドのデザイナーはアーティストにインスピレーションを得ることが多いが、逆にあなたが得ることは?

スパーリング:僕がインスピレーションを受けてきたのは、建築や80年代の家具。具体的にはフランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright、グッゲンハイム美術館や旧帝国ホテルなどを手掛けた米建築家)、エットーレ・ソットサス(Ettore Sottsass、建築家やデザイナーとして活躍した伊デザイン界の巨匠)、メンフィス・グループ(Memphis Group、エットーレ・ソットサスが中心となり結成されたポストモダンを代表するデザイナー集団)で、ファッションから色の合わせ方という点において影響を受けることはあるけど、デザインではないね(笑)。でもファッションブランドと立体的な何かをコラボして作ってみたいとは思っているよ。

■Summertime
日程:8月10日まで
時間:11:00~19:00
定休日:日・月・祝祭日
場所:PERROTIN TOKYO
住所:東京都港区六本木6-6-9
入場料:無料

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仕事が絶えないあの人の、“こうしてきたから、こうなった” WWD JAPAN.com編集長・村上要

 転職はもちろん、本業を持ちながら第二のキャリアを築くパラレルキャリアや副業も一般化し始め、働き方も多様化している現在。だからこそ働き方に関する悩みや課題は、就職を控える学生のみならず、社会人になっても人それぞれに持っているはず。

 そこでこの連載では、他業界から転身して活躍するファッション&ビューティ業界人にインタビュー。今に至るまでの道のりやエピソードの中に、これからの働き方へのヒントがある(?)かもしれません。

 まずは当社の転職者からスタート。第一回目は、国内外のファッションニュースをいち早く届ける「WWD JAPAN.com」の編集長・村上要が登場。自他ともに認めるファッショニスタは、「服そのものよりも、ファッションを取り巻く社会が好き」と自身の興味を分析します。

 記者という意味では同じですが、新聞社の事件記者からファッションの世界へ飛び込んだ村上編集長の仕事遍歴に耳に傾けました。

WWD:キャリアのスタートは、新聞記者だったのですね。

村上要WWD JAPAN.com編集長(以下、村上):仙台の大学を卒業後、地元の静岡新聞社に入社しました。「物書きになりたい」とは思っていたんですよね、漠然と。大学2年生の頃、新入生パンフレットを作ることになったんです。教授や先輩に話を聞く校内案内のほか、「夜遊びの達人に聞く!夜遊びスポット」みたいにふざけた企画も入れて。それをたまたま見たタウン誌の編集者が「うちで書いてみない?」と声を掛けてくれたのがきっかけで、1年半ほど連載を担当させてもらいました。

WWD:どのような内容だったのですか?

村上:東北出身ではないので、近所の地名さえよく知らなかったんです。だから、自分の足で歩いて、地域を紹介するページを作りたいと考えました。その回ごとに場所を決め、一日かけて歩いて、地域の人々に話を聞いて回りました。ハッキリ言ってお散歩ですね(笑)。取材文に写真や手描きのイラストを添えた2ページ構成の企画でした。取材すること自体も楽しかったし、実際に見てくれた人からの反応がうれしかったですね。その頃からファッションも好きだったので、「『メンズノンノ(MEN'S NON-NO)』(の編集部)とか、当然行きたいっしょ!」とは思ったものの、通っていた国立大の教育学部は当時、大学院に進むか、教員を含む公務員試験を受けるかの二択、というような世界。いわゆる“シューカツ”が根付いていない環境でした。気付いた頃には、出版社の新卒採用はほとんど終わっていたんです。仕方がないから(苦笑)、大きなくくりでは同じ「マスコミ」である新聞社の門を叩いてみることにしたんです。確か学部生の約80人中、一般企業に就職したのは3人だけだったと思います。

WWD:地元に戻り、新聞社に就職したのですね。

村上:事件記者として、事件や事故、災害、火事、裁判を取材していました。それが、想像以上につらかった。「暴力団が発砲事件を起こした。警察がガサ(家宅捜索)に入るから踏み込む瞬間の写真を撮ってこい」と言われ、訳も分からずカメラを持って現場に向かい、パシャパシャと撮るわけです。
すると、コワモテの組員たちに囲まれまして……。「今すぐ(写真を)消せ!」と。「おまわりさーん!」と必死に叫んで警察官に助けてもらいました。それが最初の記者仕事です。取材する相手は大半が警察官と検察官と裁判官。今と比べたら、比較的殺伐とした世界ですね(笑)。

事件記者ではあるけれど、相も変わらずファッションが好きだったので、社内ではだいぶ浮いていました。もちろん報道は必要なことではあるけれど、「自分は人の不幸でメシを食ってるんじゃないか」そんな悩みは日常で、最後の1年間は特につらかった。

会社では、「村上はいつまでたってもチャラいから、一度田舎の支局に赴任させて、世俗と離した方がいいのでは」。そんな話が上がっていたようです。「それは不幸せだな、お互い」。そう思い退職しました。25歳の時ですね。

事件記者からファッションの世界へ

WWD:心機一転、ファッションの道へ進むことになったのですね。

村上:服は大好きだけど、新聞記者だった自分がこのままファッションメディアの編集者になるのは難しいだろうと自覚していました。そこで、事件記者時代に少なからず意識していたジャーナリズムをファッションの世界で学び直すことができたら、それは自分の武器になるのかもしれない。そう思ったんです。そこでアメリカへ行き、ニューヨーク州立のF.I.T(ファッション工科大学/Fashion Institute Technology)※で、ジャーナリズムを含むファッション界のコミュニケーション論を学びました。

※パーソンズと並ぶ、NYの二大ファッションスクール。ビジネスマンのほかデザイナーのカルバン・クラインらを輩出

WWD:具体的にはどのようなことを学ぶのですか?

村上:雑誌はどう作るのか?ということから、ブランド側の立場から「伝えたいことはどう書けばメディアに取り上げてもらえるか?」というPR論まで、幅広く学ぶことができました。特定のターゲットに向けて、そこに刺さるためのクリエティブ手法を取るという、いわゆるマーケティング的な視点がファッションコミュニケーションの世界においても重要だと、実学を通してたたき込んでもらえたのは宝ですね。

卒業後は、ファッション誌で編集インターンとして働きました。3カ月経って編集者の下っ端に採用してもらえたのですが、そこはまさに「プラダを着た悪魔」の世界。「あんたなんて、本来必要ないの!」と毎日のようになじられるわ、温度をきっかり指定された編集長のラテを買いに1日2回スタバに行かされるわ……。結局、携わった雑誌は半年ほどで休刊になって、僕はクビになりました。

でも、運がよかった。今度は“ゲイ向けライフスタイルマガジン”「OUT」のファッションアシスタントとして働くことになりました。読者は男性カップルがメインで、多くの場合それぞれが稼いでいます。当然、可処分所得の多いファッションコンシャスな男性読者を多数抱えていますから、ファッション&ビューティブランドにとっては「超」がつくほどの優良雑誌です。ハイファッションから車、時計、フレグランス、そして保険の広告まで入り、正直ファッションコンテンツは「GQ」と大差ないんです。あるとき、編集者に聞いたことがありました。「じゃあ『GQ』とは何が違うんですか?」と。すると、「うーん、水着特集が年に3回あることかな」との答え。「OUT」は、春夏の立ち上がりである3月売り、夏前の5月売り、そして11月売りの号に大々的な水着特集を組むんです。11月売りは、ホリデー商戦対策なんですよね。高所得のゲイカップルは、感謝祭からクリスマスの時期にクルーザーとかで南の島へバカンスに出かけます。もう冬に差し掛かるという時期に、「水着100枚集めて!」と言われて……。片っ端からブランドへ電話をし、必死に集めたところで、「だめだよ、ビキニがないじゃないか!」「もっとカラフルなものはないの?」。そう言われました……。

WWD:その感覚は、思いつきませんでした。

村上:秋冬にそんな水着は借りられなくて、最後は僕だけマイアミのブティックを訪ね、面積少なめのカラフルな水着をかっさらいました。「水着というアイテムは同じでも、ターゲットに応じてコンテンツは変えていく」。それを実践で学ぶことができたわけです。いい経験ですね。4年弱のアメリカ生活を経て、日本に戻ってきました。

ファッションを取り巻く社会が好き

WWD:帰国後「WWDジャパン」へ入社されたのですよね。なぜ、「WWDジャパン」を選んだのでしょうか?

村上:アメリカ生まれの「WWD」は、現地ではファッション・バイブルとさえ呼ばれていて、F.I.Tでも「教材として毎日読め」と言われていました。やがてその日本版の「WWDジャパン」があることを知り、ファッションをニュースとして切り取るのは、新聞記者だった自分に向いているし、面白そうだと感じたんです。最初はタイアップコンテンツを制作する部署に配属され、それから1年ごとに部署や担当が変わっていきました。姉妹紙「WWDビューティ」の創刊に携わった時は、「コスメのことは分からない」と正直不安でした。そんなとき、当時の副編集長に言われたのは、「製品は詳しくなくていい。ビューティ業界のニュースを深掘りしてほしい」ということ。ブランドそれぞれに戦略が違うから、出てくるファンデーションも変わるんだ、と。そう気づいたら世界がぐっと広がって、製品を見るのも楽しくなったんです。いろいろな部署を経て今に至りますが、これまで「嫌だな」と思って仕事をしたことはほとんどないんです。もし、明日から「ネジ」の雑誌を作ることになったとしても、そこそこ楽しめそうな気さえするんですよね。「月刊 ネジ」とかいって、ものすごいオシャレな形のネジを特集したりね。

WWD:その後、「ファッションニュース(FASHION NEWS)」編集長などを経て、「WWD JAPAN.com」編集長として2年が経ちました。現在、「WWD JAPAN.com」では、より“顔の見える”コンテンツを増やしています。6月にスタートした「エディターズレター」や、村上編集長自ら行うエクササイズ連載※ などがそうですよね。

※「エディターズレター/FROM OUR INDUSTRY」は、業界の注目トピックスを村上編集長が解説する週3回配信のニュースレター。エクササイズ連載は、村上編集長がカラダを張って話題のエクササイズを体験、レビューするコンテンツ

村上:「WWD JAPAN.com」の役割は、ファッション&ビューティ業界の裾野を広げることだと思っています。ニュースサイトですから、もちろんスピードは大事。ただそれは、突き詰めれば突き詰めるほど「24時間働けますか?」という消耗戦になってしまう。「速さ」以外で他のニュースメディアに勝つには?と考えた時、事実を積み上げながらも、そこに記者のパーソナルな視点が見え隠れしたりエモーションが匂い立てば、と思うようになったんです。今はパーソナルなエモーションが、ニュースを差別化する唯一無二の武器なのかなと考えています。そのためにはまず、読者に「こんな人が書いている」と知ってもらうこと。そう思って、“やってみました”系の連載をこの1年の間にいくつかスタートさせたんです。

WWD:なるほど。手応えは感じていますか?

村上:そうですね。最近、「エディターズレター」の読者から「難しいと思っていたファッションのニュースを、立体的に理解できるように感じてきた」というメールをいただいたんです。うれしかったですね。エクササイズの連載に関しては「身体を鍛えることなら、この人に聞こう!」と認知され始めたのか、他の雑誌編集者から問い合わせをいただく機会も増えました。この連載がきっかけとなって、ファッションやビューティをエクササイズとつなぐことができたらうれしいですね。

これからの時代に大事なのは、コンテンツの集合体であるメディアという器をどうデザインするかです。記事自体のクオリティーや数だけでなく、生み出したコンテンツの届け方を模索していきたい。それこそが、デジタルマーケティングのスペシャリストとタッグを組んで進化している「WWD JAPAN.com」編集長としての僕の仕事だと思っています。

WWD:“畑”は変わっても変わらない、仕事をする上で大切にしているルールがあれば教えてください。

村上:この業界にいる僕らはマイノリティだということ。10万円のコートを買う、30万円以上の時計を買う。それって実は、世の中の人の数%にも満たないということを忘れてはならないと思います。特に、「しまむら」「ジーユー(GU)」から「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「セリーヌ(CELINE)」まで扱う媒体で働く僕らがその感覚を忘れてしまうのは、ヤバいことだと思っています。

そのためにも、いろんな人たちとのコミュニティーを持った方がいい。僕は週に1〜2回、学童保育から保護者が帰宅するまでの時間を障がいのある子どもと一緒に過ごす、という取り組みを続けています。1週間のうちのわずかな時間だけれど、そうするとお母さんたちのリアルなコミュニティーを垣間見ることができる。「30万円の時計を見て『お手頃!』とか言っている自分たちって?」と客観的になれるんです。「サカイ(SACAI)」や「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」などがブランドとして存在感を増した頃、何人ものバイヤーが「あの人たちは母であり、妻であり、仕事人であり女性。複数の『顔』を持っているからこそ、魅力的なアイテムを生み出すことができるのよ」と語っていました。「じゃあ、僕も家族の一員としての『顔』を持ってみよう」と思ったことがきっかけです。いろいろな世界を見ると、偏った感覚を軌道修正できるんじゃないかな。仕事でファッションにどっぷり浸かっているからこそ、プライベートの時間はできるだけそれだけではないコミュニティーに身を置きたい、と思っています。

WWD:夜は着飾ってパーティに繰り出す!というお話が出ると思っていました。

村上:パーティ、すごく苦手なんです……。行ったら行ったで楽しいんですけれどね。真っ先に挨拶すべき方とお話して、引き続き会場にいるかのような余韻を残しながら素早く立ち去るのは、特技になりました。

WWD:村上編集長にとって“仕事”とは何でしょうか?

村上:名刺一枚で会いたい人と会い、取材させてもらうことできる。そしてそれを、文字と写真、そしてこれからは動画の力で広く届けることができる。この喜びは、大学生の頃に新入生向けパンフレットやタウン誌で記事を書かせてもらっていた時と変わらないんです。最新のものを知りたい、会いたい。この情熱があるから、僕にとって取材はやめられないものなんです。むしろ取材にエネルギーを費やし過ぎてしまって、マネージメントがおろそかになっているかも?と反省することは多々あります。

WWD:最後に、これからファッション業界や出版社を目指す人にメッセージをお願いします。

村上:ひと昔前に比べたら、ファッション単体の勢いは確かに弱いかもしれない。けれどファッションって、とても美しい形で人の欲望をかき立てる力を持っている。だからこそ今度は、異業種とタッグを組んで彼らの商品やサービスを魅力的にプロモートできる。そこに面白さを感じてほしいですね。「ファッション系の仕事のために、これをやっておいたらいい」と気にするよりも、何か問いを投げかけられた時に自分の意見を言える人であってもらいたいなと思いますね。一つのことを極めるでも広く浅く、でもいいんです。「じゃあどうして、あなたはそれをしているの?」と聞かれた時に、「こう思っているから、こうなんです」と、意見を言える人が“強い”と思っています。

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国内大手で競争激化 シワ改善製品拡大で消費者の選択肢に広がり

 2019年、シワ改善市場が一気に拡大する。「ポーラ(POLA)」が17年1月に日本初のシワ改善美容液を発売して以降、同年6月に資生堂が、18年9月にコーセーが製品を投入して市場が形成されたが、花王傘下のカネボウ化粧品からも4ブランドがシワ改善美容液を発売することで、国内大手4社がそろい踏みとなる。ポーラ・オルビスグループの2ブランドからも新製品が発売され、これにより7月末時点でシワ改善製品の概要が明らかになっているのは全13ブランドに増加。価格帯、販路も幅広く、消費者の選択肢もより広がっていくことになる。

■シワ改善は各社注目・
重点ジャンル

 シワ改善美容液とは、“シワを改善する”という効果効能で厚労省の認可を受けた医薬部外品製品を指す。化粧品は薬機法(医薬品医療機器等法)により効果をうたうことができない。そのため、これまでシワ対策製品といえば“乾燥による小ジワを目立たなくする”という表現が精一杯だったが、医薬部外品として認可を受けることで“改善”という具体的な表現が可能になる点が特徴だ。

 これまでにもニキビや美白などで認可を受けている製品は多数あったが、シワ改善は製品評価ガイドラインが策定されたのは06年のこと。ポーラが独自成分で認可を受けたのが16年だ。シワ改善は発売からは3年に満たない発展途上のジャンルではあるが、各社が相次いで製品を開発・発売している点からも、化粧品業界にとって注目・重点ジャンルであることがうかがえる。

■機能から価格まで 
充実ラインアップで選択肢に幅

 消費者の視点でみても、各社がこぞって“シワ改善”製品を出すことで市場での認知が拡大し、選択肢が広がっていることは間違いない。後発となったカネボウ化粧品は一気に市場での存在感を示すべく、3週間でブランドの世界観や機能性、販売チャネルが異なる「KANEBO」「リサージ(LISSAGE)」「トワニー(TWANY)」「デュウ(DEW)」の4ブランドから立て続けに発売するが、自分の肌に合ったシワ改善効果やシワ以外へのアプローチ、価格帯など、さまざまなブランドから総合的に製品を選べる点は大きな魅力だ。

 価格帯別で見ると、1万円を超える製品を展開するのは「ポーラ」「SHISEIDO」「コスメデコルテ(DECORTE)」「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」「KANEBO」の4つで、すべて百貨店系のプレステージブランドだ。そのほかは5000円から1万円の間が多く、資生堂「エリクシール(ELIXIR)」とコーセーの「ワンバイ コーセー(ONE BY KOSE)」はドラッグストアで存在感を放っているほか、化粧品専門店や通信販売などの販路も拡大しており利便性が増している。

 また、製品特徴も多様な広がりを見せている。資生堂は純粋レチノールによるシワ改善認可に加え、「SHISEIDO」では美白の有効成分を、「ベネフィーク(BENEFIQUE)」ではシミ・ソバカスに対する成分を取り入れた。「オルビス(ORBIS)」は、これまでのシワ改善美容液が口元や目元などのパーツケアアイテムであることから、全顔用として設計。また、ひとつの有効成分でシワ改善と美白の厚労省認可を取り、5000円を切る価格で展開する。「トワニー」は大島桜をはじめとしたローズフローラルの香りを加え、機能性のほかに優雅な世界観でアピールする。敏感肌向けブランド「ディセンシア(DECENCIA)」は肌に負担の少ないオイルリキッド剤型の製品を発売し、肌が弱い消費者のシワ改善ニーズに応える。

 このように市場が活性化する一方で、シワ改善美容液を利用したことがある消費者は16%にとどまっていたというポーラ・オルビスグループの調査もある。加齢による肌の悩みはシワだけではなくシミやたるみ、くすみ、毛穴の開きなど複合的なものが多く、シワ改善以外へのアプローチも重要だ。資生堂2ブランドや「オルビス」のように、シワ以外のエイジング現象に対しても“改善”の表記ができるダブル認可美容液は今後ますます増えていくだろう。

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「都心型オフプライスストアは、スマホでSNSの感覚」 ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.4「日本にもオフプライスストアの波」

読み解きポイント「可処分時間をつかむ」

ニュースの要約

 大手アパレルのワールドがオフプライスストア事業に参入。ブランドやメーカーが抱える余剰在庫を買い取って正価の50-70%オフで販売する。シーズン終盤の値引き、ファミリーセール、アウトレットでは対応しきれない各企業の状況を見て、メーカーの枠を超え、再循環する仕組みを構築。先行する米国では、国の枠を超えて、世界中のブランドとの調達網が構築されている。

CKRはこう読む

 「495平方メートル」。ワールドが都心近郊に出店するオフプライスストアの広さです。バスケットボールのコートより、少し大きな広さといったところでしょうか。

 「イケア(IKEA)」も2020年春、初の都心型店舗を原宿駅前に構えます。米国のオフプライスストア「ロス(ROSS)」も、今ではワイキキのど真ん中にショップを構えています。

 店舗サイズも手頃。郊外型でなく都心型。商品構成も、さまざまなブランドの実用品からレアな残品まで幅広い。しかも毎日オフプライス。

 気合いを入れて期間限定のセール、遠方のアウトレットに出かけるスタイルとは対照的に、日々の生活動線の中で、ふらっと立ち寄り、宝探しを楽しむスタイル。

 隙間時間に、スマホでニュースやSNSを見る感覚に近いショッピング体験になるかもしれません。

 従来のアウトレットストアの来店頻度が「年1〜2回」のところを、ワールドは「年6〜8回」と想定しているようですが、場所によっては月1回以上の頻度を実現する店舗が出てくる可能性があります。

 「人の可処分時間をどれだけつかむことができるのか」という視点に立ったとき、衣料品、雑貨を取り扱う業界にとって、都心型オフプライスストアは、新しい答えの一つになるかもしれません。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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デルタ航空なら渡米の間にサステナできちゃう件

 「WWDジャパン」8月5&12日合併号は、デニム特集です。今年はジーンズの生まれ故郷であり、作業着からファッションへ生まれ変わった地でもあるアメリカ西海岸を取材しました。「せっかく渡米するなら羽田からアメリカ気分」でと選択したのはアメリカ系のデルタ航空。“プレエコ(プレミアムエコノミークラス)”にあたる“デルタ・プレミアムセレクト”クラスに搭乗です。

 皆さん、飛行機に乗って最初にやることってなんですか?僕はヘッドホンのテストです。これは以前、別の航空会社による欧州からの帰国便でエンターテインメントシステムに不具合があり、いっさい視聴できずに12時間を“お地蔵さん”のようになって過ごした苦い経験に基づくもの。今回も無意識にそれをやろうとすると、木製パーツを使ったグッドデザインなヘッドホンに目がとまります。これはロサンゼルスに本社を置くLSTN サウンド社による廃材を再利用したアイテムで、デルタ航空用に特別にノイズキャンセリング機能を持たせたものなんだとか。実は僕、“NO MUSIC, MY LIFE.”なもんでイヤホンやヘッドホンにほとんど触れた経験がなかったのですが、ノイズキャンセリング機能って本当にすごいんですね!周りの音が遮断され、映画にぐっと集中できました。しかもLSTN サウンドは、売り上げの一部を非営利団体スターキー・ヒアリング財団に寄付しており、同財団は難聴の方に補聴器を届ける活動を行っているんですって。

 音楽は聴かないものの映画は大好きなので、離陸前から着陸後のシートベルト着用サインが消える瞬間まで時間いっぱい映画を見ます。限られた機内スペースでも、映画にはできるだけリラックスした状態で没入したいもの。その点“デルタ・プレミアムセレクト”はゆったりシートで深くリクライニングできて、可動式のフットレストとレッグレストを調整すれば体を伸ばせるので、12時間の空の旅は快適です。映画も往復で12本見ました!

 1日の半分、きっちり機上の人となるわけで食事もやはり楽しみ。“デルタ・プレミアムセレクト”の食事はきれいに食器に盛り付けられ、メインディッシュはビジネスクラスの“デルタ・ワン”と同じものが供されます。特に和食メニューは、ミシュラン2つ星を獲得した大阪の和食店「⼀汁二菜うえの」の上野法男料理長が考案・監修したもの。カトラリーと食器は、イタリアの「アレッシィ(ALESSI)」がデザインしたオリジナルです。

 デルタ航空は2018年4月に国際線のメインキャビン(エコノミークラス)のカトラリー用ビニール包装を廃止したことを皮切りに、機内や空港ラウンジのストロー、マドラーなど使い捨てプラスチック製品のビニール包装や使用そのものを廃止する取り組みを続けています。これにより年間136t(ボーイングB757型機2機分の重さ!)以上のプラスチックごみを削減できるんですって。

 さらに空港ラウンジでは希望者に生分解性ストローを渡しており、食器類においても同様の代替品への移行を開始しています。機内でも順次、冷たい飲み物に付けられる赤いプラスチックストローを竹製マドラーに、温かい飲み物に付くプラスチック製マドラーを樺の木製のものに変更するとか。空港ラウンジと機内を合わせて、年間1億8300万本以上のプラスチックストローとマドラーが削減できるそうです。

 プラスチックごみ削減プロジェクトはまだまだあります。“デルタ・プレミアムセレクト”のアメニティーは「トゥミ(TUMI)」とコラボしたオリジナルポーチに、ニューヨークのスキンケアブランド「マリン&ゴッツ(MALIN+GOETZ)」のリップクリームやアイマスク、⻭磨きセット、靴下、ウエットティッシュが入ったものなんですが、このアメニティーのビニール包装も廃止して年間14万tのプラスチックごみ削減に成功しています。小さなことに見えても、デルタ航空の運航数は1日5000便、年間搭乗者数は約2億人なので結果は絶大です。

 さらにデルタ航空のホームページでは、自分の移動に伴う二酸化炭素排出量とそれを削減するための費用が計算でき、それを目安に自然保護団体ザ・ネイチャー・コンサーバンシーに寄付して森林保護プロジェクトを支援することができます。なるほど、サステイナブルな試みは多様です。

 優先チェックインや手荷物の優先受け取りなど“デルタ・プレミアムセレクト”の恩恵は地上でも受けられ、いそがしいビジネスパーソンにもうれしいはず。僕は短縮できた時間で、あらためて“サステイナブル”について考えてみました。なんといってもジーンズ業界最大の関心事は、この“サステイナブル”。特集では各社のさまざまな取り組みを伝えます。

 “デルタ・プレミアムセレクト”の話ばかりしてしまいましたが、全てのクラスで機内用スリッパやアイマスク、耳栓を提供していたり、スターバックス コーヒーやスパークリングワインをサービスしているのもデルタ航空の特徴です。

 アメリカ系のCAさんってベテランの方が多く、ちょっとぶっきらぼうにも見えますが、僕の細かな飲み物のオーダー(好み)を覚えてくれていて、お代わりでしっかり再現してくれたり、子ども用のおみやげが見えると「お嬢さんはおいくつ?」と声を掛けてきてくれたり、離発着ギリギリまでアメリカ気分でした。

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「カラコンはもはや内臓」 by 赤荻瞳

赤荻瞳「egg」編集長

 カラコン、もはや内臓。あとはヘソ出しファッション。冬でも出してるし。(2019年4月29日号掲載、ギャル&ギャル男は令和に生き残れるかから)令和に残るファッションについて尋ねられいわく

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

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楽天のキーマンが語る「ドローン発の物流革命」 “配達の全自動化”を本格化

 「物流業界では“宅配クライシス”が起きている。楽天はドローンなどを使った無人ソリューションでこの問題を解決し、新たな産業革命を起こしたい」——7月31日~8月3日にかけてパシフィコ横浜で開催されている楽天グループのイベント「楽天オプティミズム(Rakuten Optimism)2019」で、楽天の安藤公二・常務執行役員社長室長インベストメント&インキュベーションカンパニー シニアヴァイスプレジデントが「あなたの生活がどう変わる:ドローンと地上配送ロボット」と題した講演を行った。

 物流業界は「高齢化などによってドライバーが不足しているし、再配達が20%に達していて仕事の効率が非常に落ちている。これらの問題を解決するための本当に革新的なソリューションが求められている」(安藤常務)。楽天は問題解決の答えが無人ソリューションにあると考え、実証実験を重ねてきたという。

 その第1弾が2016年に5月に千葉県内のゴルフ場で行った「国内初のドローン配送サービス」(安藤常務)だ。ゴルフ場でプレーしている顧客が、アプリを通じてゴルフボールや飲み物などを注文すると、クラブハウスから指定の場所までドローンが商品を配送する。ドローンは完全自立走行で、荷物の切り離しも自動で行う。荷物を切り離した後も、自動でクラブハウスまで戻る。

 講演では「手ぶらでバーベキュー」をコンセプトにした新たなドローン活用事例も動画で紹介した。バーベキュー場でアプリから食材を注文すると、近隣のスーパーから食材をドローンが配送する、という内容だ。アプリの画面では「ドローンが今どこにいるのか」といった配送状況も確認出来る。安藤常務は「欲しい商品が空からすぐに届く。このような革新的なサービスを出来るだけ多くの人に体験して欲しい」と語った。

 利便性に加え、「物流困難なエリアの支援にも有用なのがドローンの特徴だ」(安藤常務)。過疎化した町や山間地、離島といった配送困難な地域で活用したり、運転免許を返納した高齢者の自宅に日用品を配送する、といった用途での利用が見込まれている。「こういった問題は喫緊に解決しなくてはいけないと考えている。そのために我々は日本全国の自治体と連携して様々な実証実験を進めている」(同)。

 2017年10月から約半年間、楽天はローソンと共同で東日本大震災で被災した福島県南相馬市でのドローン配送サービスを行ってきた。基本的にはローソンの移動販売車が南相馬市の集落に商品を販売に行くが、「移動販売車には約200種類の商品しか乗せられないため、それ以外の注文があった場合にリアルの店舗からドローンで配送を行った」(安藤常務)。ドローンの飛行時間は約10分。安藤常務は「地域の課題に対して新たな形で貢献出来たと思っている。寒いシーズンのサービス提供だったので、からあげクンや肉まん、あんまんがよく売れた」と振り返る。

 2019年6月からスタートし、9月末まで実施を予定しているのが神奈川県横須賀市の離島、猿島でのドローン配送サービスだ。楽天と西友が共同で取り組んでいるサービスで、「実際にお金をもらってドローンで配送するのは国内初」(安藤常務)という。猿島はバーベキューや海水浴などを目的として観光客で賑わっているが、これまで島にある商品は定期船で配送されるもののみであったため「バーベキュー中に食材が足りなくなってしまったような場合は買いに行ける場所が無かった」(同)。今回のサービスでは、楽天のドローン用アプリから数百商品を注文出来るようにし、注文が入ったら対岸にある西友のスーパーからドローンで商品を届ける、という形を採っている。

 安藤常務はドローンの実証実験について「まずは実現可能な地域から具体的なサービスを開始し、地域の課題に取り組みながらドローンの社会的な重要性を高めたい。その上で将来的には都市部でもサービスを実現して、ドローンを必要不可欠な存在にしたい」と語った。

 楽天がドローンと並んで2018年から開発に力をいれているのが「Unmanned Ground Vehicle(UGV)」と呼ぶ4輪を備えた地上配送ロボットを使った無人ソリューションだ。ドローンでは配送が難しい地域での活用を検討しているという。2019年5月には千葉県にある千葉大学のキャンパス内で実証実験を行った。学生が文房具や食べ物を注文すると、UGVが学生のいるところまで商品を届ける、という内容だ。

 安藤常務は「UGVは非常に未来を感じる配送方法だが、まだ公道を走ることが出来ない。政府と連携し、未来の宅配をいち早く実現するよう動いていきたい。海外では様々な無人ソリューションが実用化されてきているので、日本でもその流れは必ずやってくる」と話した。

 無人ソリューションと5Gの連携についても言及した。「ドローンもUGVも無人ソリューションなので、ネットワークとの連携が非常に大切だ。将来個体数が膨大になったときに、各拠点で制御・運用するのは負担が大きい。しかし5Gを活用すれば、遠隔から一カ所で制御・運用を行うことが可能になり、負担を大きく軽減出来る」(安藤常務)。

 5Gとの連携にはさらに別の恩恵もある。「現在のネットワークでは、ドローンにつけたカメラの画像をクラウド上に送って解析する、といったことが出来ない。そのため、ドローン側で画像情報を処理したり、カメラの画像を人が確認して安全を確保する、といったことをしている。だが5Gになれば、すべての画像をクラウド上のAIに送って処理をすることが出来るため、ドローンには処理能力が不要になって軽量化が出来るし、着陸場所の安全を自動で認識出来るようになる」(安藤常務)。実際に2018年に楽天生命パーク宮城で行った実証実験では、ドローンに設置したカメラによってスタジアムにいる観客の顔を正しく認識することに成功したという。

 安藤常務は「ドローンやUGVによって将来の配送は劇的に変わる。そこに5Gが加わると、これまで体験したことのないようなサービスが実現出来るので期待して欲しい」と語り、講演を締めくくった。

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虫刺されの“救世主”「キンカン」がファッション業界に宣戦布告⁉︎ その謎に迫る

 突如、「キンカン(第2類医薬品)」を販売する、創業93年を誇る老舗の金冠堂が“キンカン コレクション 2019(KINKAN SUMMER COLLECTION 2019)”を始動した。モデルがポージングするファッションブランドのようなポスターと動画を作成して渋谷の街に複数掲示した。これまで、ファッション業界とは無縁であった「キンカン」がなぜ?これはファッション業界に対する宣戦布告か?はたまた、ファッション業界の救世主となるのか?その謎に迫る。

WWD:ファッションブランドのようなポスターや動画を作ろうと思ったきっかけは?

横尾賢則・金冠堂広告宣伝課課長(以下、横尾):昨年から若者の認知度を上げる目的で東急エージェンシーに依頼して作成しました。昨年はウェブに動画をアップして好評をいただき、今年は昨年以上の成果を期待して今回の企画に至りました。

月足(つきあし)勇人・東急エージェンシー「座 -ZA-」(以下、月足):昨年から良い意味で世の中の若者の期待を裏切る事に注力してきました。今年はメディアを通して、「キンカン」の従来のイメージと洗練されたファッションのアンマッチにより、どのような化学反応が起きるかをテーマとして進めてきました。イメージ戦略として次の100年を意識する中で、若者の反響を得るのに一番良い企画だと判断しました。

興津(おきつ)隼人・東急エージェンシー統合ソリューション局(以下、興津):「キンカン」はブランドとしてコンサバなイメージを持たれていたが、黄色のボトルは色の配色が可愛いという見方もできます。そこで、可愛さを追い求めてハイブランドをイメージしてロゴを作り、Tシャツを作成してポスター貼りもしようというプランでした。そして、一番立体的に広がりそうだったのが今回の企画でした。

WWD:「キンカン」の認知度リサーチはしたか?

横尾:4月から8月までの期間、過去2年分の認知度データを取りました。データの傾向は、20代の認知度がとても低く、年齢層が上がると高くなりました。リサーチは、関東や関西で行いましたが、傾向的にエリアの差別はなかったです。若い子たちの所有率も非常に低く、コンビニやドラッグストアが近くにあるので必要な時に買いに行くという人が多かったです。

WWD:若者にもっと訴求していく狙いで渋谷にポスターを掲載した?

月足:元々は表参道に掲載する予定でした。ハイブランドの間に挟まれる形でポスターを掲載する予定でしたが、大人の事情で断念しました(笑)。夏休みが始まるタイミングで、多くの人に届ける狙いと、プロモーション動画のターゲットの年齢層がよく行く渋谷が良いのではと。渋谷で多面展開ができるプランを作成して、動画とポスターの両方にリンクする立体的な企画に仕上げました。

横尾:ポスターは7月26日まで掲載していました。たくさんの反響があり、テレビ局などにも取材されました。取材は、若者に渋谷で「キンカン」のポスターを見たときの反応、銀座ではご年配の方に対して使用している方のインタビューをしていただきました。東京以外の名古屋や大阪など地方のテレビ局にも取り上げられました。

WWD:今回作成したブランドロゴをパッケージに使用した商品は販売しない?

横尾:今回のキャンペーンのみになります。薬はメーカーの直販ではないので流通を通りドラッグストアで販売するため在庫の管理が難しいからです。

月足:ファッション業界に参入して潔く勝負をしたかったので、ロゴはこのキャンペーンだけに使用しました(笑)。

WWD:動画やポスターを作る上でハイブランド感を出すために意識したところは?

月足:起用するモデルのオーディションは、かなりの人数を見ました。実際にフォトグラファー、アートディレクターと一緒に選びました。モデルの経歴なども踏まえて3人のモデルをキャスティングし、統一感のあるブランドを表現するために顔のバランスを見たりもしました。そのほか、フォトグラファーとの相性を見るためにコミュニケーションを図り、外国人モデルは「キンカン」を見た事がないと思うので、呑み込みの早そうな感度の高いモデルを選びました。

WWD:モデルが着用しているウエアのブランドは?

月足:具体的なブランド名は言えないですが、国内ブランドとインポートブランドをミックスしてコーディネートしました。ウエアは実は蚊帳をイメージしたものやカラーはパッケージに合わせたイエローや、シューズは蚊の口をイメージしたデザインを採用したりしています。誰にも気づかれなくてもそこはこだわりたかったです(笑)。

WWD:オリジナルTシャツのデザインのこだわりは?

月足:ワンポイントのロゴを採用したウエアなど、全て蚊に通ずるアイテムを作成しました。Tシャツに付けるタグのデザインは、ブランドの象徴という事もあり特に時間をかけました。「キンカン」が誕生した年やアーカイブのパッケージのカラーリングを使用したんです。

WWD:キャンペーンの反響は?

横尾:現在、抽選で40人プレゼントに対して、応募総数が約4000人を超えています(笑)。キャンペーンを見た方が興味を示してウェブサイトまで訪れている事に対して手応えを感じています。

WWD:来年も継続して企画、仕掛けをする?

興津:若年層をターゲットに来年も挑戦したいと思っていますが、それがファッションかどうかは分かりません。毎年、トレンドが変わるので若者にどう訴求できるかを時代の傾向に合わせて試行錯誤していきたいと思っています。

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「店頭から館のSNS動線が弱すぎる!!」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週の(今回は先週のw)ファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャーに勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース:p24-25「プロが語る店舗デザイン 建築家ストア探訪』

読み解きポイント「“館の人格”をもっと伝えて!」

ニュースのポイント

 ファッション好きの二人の建築家がオープン、もしくはリニューアルした商業施設を探訪する不定期新連載がスタート。建築家ならではの目線で設計に基づく動線や回遊性、館全体のフロアコンセプトなどを考える。初回は今年3月に改装したばかりの東京の2大メンズ百貨店である、伊勢丹新宿本店メンズ館と阪急メンズ東京を訪れた。

AZUはこう読む!

 CKR Kondoさんと私の「こう読む!」連載が始まった理由のひとつでもありますが、同じものでも切り口を変えれば新鮮な発見があります。「建築家ストア探訪」連載もそのひとつ。商業施設を見るとき、私たちはつい商品や接客に注目してしまいますが、店舗設計やコンセプトを俯瞰してみると“館の人格”が見えてくると思っています。

 紙面には「振り切っていない印象を受けた」「今の時代にマッチしているとは思うけれど、強いコンセプトを打ち出すというレベルには到達できなかった」といった辛辣なコメントが並んでいます。きっと聞き手の「WWDジャパン」スタッフは冷や汗だったことでしょう(笑)。私はあまりメンズ館に行ったことがないので、この2館に関して何も言えませんが、「『今の若い子はこういうのが好きなんでしょ?』って言いながら、オジさんがやっている嘘っぽさを感じた」という記事中の言葉に、(他の施設を思い出して)こっそり共感しました。若干の“無理してる感”が伝わってくるとフロア全体のコンセプトがぶれて、「この前のアレってどこで買ったんだっけ?」と思わせてしまうほど、売り場としての存在感が薄くなるのだと思います。記事中には「百貨店なのに、その中の特定のブティックに行く感覚にさせてしまうことは本末転倒」と書いてありますが、まさにその通りですよね。

 偉そうに書きましたが、中高時代は趣味が「放課後の駅ビル徘徊」だったので商業施設は大好きです(笑)。最近はありがたいことに仕事でも関わりがあるので、ただの消費者目線ではなく店頭施策や期間限定イベントの内容、デジタルマーケティングへの取り組みなどを気にして見るようになりました。ということで、店舗デザインに関してデジマ担当から一言。どこも店頭からの館自体へのSNS動線が弱すぎます……!

 先日、リサーチも兼ねて主要な商業施設のインスタグラムアカウント22個を分析し、実際に何店舗か徘徊してみました。インスタグラム自体は各店館のターゲット層にリーチするような投稿内容で面白いのですが、残念なのは店頭にアカウント情報がほぼ掲示されていないこと。フォローキャンペーンなどでPOPがレジ横に置いてあったりはしますが、常時あるようなものは見当たらず館内の冊子にすら記載がなかったり、店頭で館のアカウントを知るきっかけがほぼ無い状態でした。

 (きっと外部に委託して高いお金をかけて……)せっかく綺麗に作り込んでいるインスタグラムアカウントも、お客さんに知ってもらえなければ意味がありません。前回のECの話にも繋がりますが、「それ、なんのためにやってるんですか?店頭への送客ですか?ブランディングですか?」と聞きたくなります(高頻度で投稿できているだけでも素晴らしいのですが)。SNSは新客獲得のみならず、来館客をさらにもてなすためにも活用すべきなので、館内からのフォロー動線は各店もっと厚くした方が良いはずなんです。

 SNSで発信すべきはテナントの情報だけではなく、店舗空間で感じるようなフロアコンセプトを体現した“館の人格”なのだと、リサーチをして感じました。それがはっきりしているところはSNSも面白く、「こんな人が訪れるんだ」と想像しやすい。表面的でも「この人なんか良いな」と思ったらもっとその人自身を知りたくなるのと同じで、“館の人格”がなんとなくわかると「次は何を見せてくれるかな?」と自然に館内を回遊したくなってきます。特定の店ではなく館全体に魅力を感じて来てもらうには、店舗、デジタルの両軸で“館の人格”をいかに上手く伝えるかが鍵になるのではないでしょうか。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

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編集長は先週何した? NHKから取材、思い立ち香港へ、京都で和パフェ!

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向(むこう)です。先週会った人、見たもの、食べたものを記録してゆく日記形式の連載を始めました。梅雨明けした東京は連日快晴。夏休み入りもして編集部がある六本木、特に六本木ヒルズは連日大混雑です。

7月24日(水)
NHKから取材を受け考える

 NHK BSの「ヨウジヤマモト~時空を超える黒~」を制作した酒井章行ディレクターから取材を受けました。5月2日に放送した同番組に新しい要素を加えて再編し海外へ配信するそうです。お題は「『ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)』が80年代にパリに与えた黒の衝撃とは?」&「なぜ『ヨウジヤマモト』は今再び若者に支持されているのか?」。難しいけれど改めて質問をもらうと脳が覚醒されるようで楽しい。うまく答えられたかな?

 酒井さんがこの番組を作るきっかけとなったのは2015年に広がった学生運動「シールズ」がプラカードを掲げる様子が、「シャネル」15年春夏コレクションのショー演出とそっくりだったから、だそうです。同コレクションは、フィナーレでモデルたちが男女平等や平和を訴えてプラカードを掲げて行進しましたが、改めて写真を見比べてみると確かにプラカードの使い方がそっくり!プラカードなのだから似て当たり前と思うかもしれませんが赤、青、白を中心とした配色やフォントなどがホントにそっくりです。そこからファッションが社会に与える影響について思いを巡らせたそうです。

 テレビでのファッションの扱いは“トレンドチェック”や“ビフォー&アフター”などステレオタイプなものが多く、影響力が大きいメディアだけに残念に思うというか、ほぼ諦めていました。ファッションと社会のつながりは太く経済そのもので考察に値するものなのに、と。だから酒井さんの話を聞いて嬉しくなったし負けていられないとも思ったのでした。

 

7月25日(木)
真珠のネックレスができてゆく!

 「ミキモト(MIKIMOTO)」銀座店では定期的に入場無料の展覧会が開かれています。今夏は職人の技と感性を伝える内容で、極細の筆でデザイン画を描いたり、顕微鏡を使って作り上げていったりする様を間近で見ることができます。目を奪われたのは真珠の選別を行う仕事。サイズや色を瞬時に見極めて高速でより分けています。一本のネックレスに使う真珠は色のトーンは統一だけど、サイズは首元と胸元で数ミリ違うそうです。凄!高速だけどしなやかで、ここは銀座なのに職人さんの背後に伊勢湾の穏やかな海が見えるようです。9月2日まで開催しています。

7月25日(木)
「ストレンジャー・シングス」の
コラボがカワイイ

 みんな大好き「ストレンジャー・シングス」、特に若者が大好き「ストレンジャー・シングス」。「リーバイス」とのコラボではこんな風になっていました。カワイイ……。

 この日はキャットストリートの入り口にオープンした「リーバイス」原宿旗艦店のお披露目でした。目玉はオーダーメードサービスで、世界に一つだけのジーンズを作ることができます。日本に2人しかいないというマスターテーラーのひとりが写真の女性。かっこいいです。

 キャットストリートを見下ろす機会はありそうでないと思うのですが、このお店の上階からはその蛇行する形もバッチリ見ることができて、ここが渋谷川遊歩道だった面影をしのびます。という訳で、屋上でPRの小神野直子さんと弊社の「リーバイス」担当を写真に収め、でっかいデニムのクラッチをいただいて帰りました。

7月27日(土)
思い立ち香港へ一人旅

 ニュースでデモの様子を繰り返して見て香港の今が気になっていたことに加えて現在追っかけ中の村上隆さんが香港で開催中の展覧会でトークショーを行うと聞き、気づいたら土曜日朝の香港便をポチっていました。「今後アジアのビジネスが益々重要になる」などと口では言っているものの、「アジアの何を知っているのだ?私?」と思う部分も多々ありジレンマ。公道を埋め尽くす香港のデモの様子をSNSで見ながら、今そこで何が起き、どんな価値変化が起きているのか、少しでも体感しようと思い立ちました。

 村上隆さんは、欧米のアートの文脈をとことん研究し勝ち上がってきた(自身のメッセージを届けることに成功し、作品が高額で売れている)方ですが、その村上さんが今の香港で香港の人たちに何を語るのか、非常に興味がありました。

 トークイベントには大勢の人が集まり、熱心に話を聞いていました。村上さんのフラワーの大ファンだという女性は、「この花を見ていると元気になるから」と語ってくれました。彼女が大切に持ってきていたのは、マーク・ジェイコブス時代の「ルイ・ヴィトン」とのコラボのスカーフ。「今日はサインをしてもらいたくて」と見せてくれました。

 そして街のあちこちに「レノン・ウォール」と呼ばれる付箋だらけの壁があり、香港の人たちが「逃亡犯条例」改正案に対する抗議の意思を示していました。職場などでは誰もこの話をしないそうです。香港生まれの人、メーンランド生まれの人、香港で生まれて一度海外に出て戻ってきた人、海外から香港へやってきて中国相手に商売をしている人。所得の2極化が進み、いろいろな立場の人がいる中で、言葉には出さず、メッセージを描いた付箋を黙って貼り、歩く。その静かな声の集合体が「レノン・ウォール」でした。

 23時間滞在の香港旅行でしたが行ってよかったです。この話を続けると10スクロール分位の長文を書いてしまいそうなのでこれで止めます。明日8月6日(火)配信のメルマガ「エディターズ レター」でもう少し書きますので、ご興味ある方はぜひメルマガ登録をお願いします。

 それにしても香港のエスカレーターのスピードはめちゃ速いですよね。地下鉄構内に「エスカレーター内歩くな危険」のユニークなポスターが貼られていましたが、危うくこうなりそうでした。

7月29日(月)
キレッキレの美容師たちとトーク

 ガモウ関西が主催する美容師のためのイベント「ファッションスコープ」に登壇するため京友禅の街、四条にある京都産業会館へ。第1部では私がキレッキレのトレンドセミナーを(冗談です。普通です)、第2部では3人の人気美容師さん(前列左からMaraisの山中周也さん、codaの西沙由里さん、Lewesの由良武志代表)がライブパフォーマンスを行いました。こちらは文字通り、目にも止まらぬハサミ使いがキレッキレでした。

 こちらのイベントには何度かおじゃましているのですが、ヘアショーで披露されるカットは昨年まではボブが多かったのに対して、今年は皆さんかなりハサミを入れていた印象。乾いた質感のウルフカットが新鮮でした。そしてこちらでも「ストレンジャー・シングス」に着想を得たという声を聞きその影響力を実感したのでした。

7月29日(月)
これは塗り絵です。
海外土産にオススメです

 京都・四条の本屋さん「大垣書店」は京都感が満載の品ぞろえが楽しく、そこで見つけたのがこの塗り絵です。絵の解説は全部英語です。業界関係者の皆さん、海外のデザイナーさんへのお土産にいかがでしょうか?

 からの~、書店の隣の和カフェで販売部長と京都らしく和パフェをいただきました。彼はきな粉が好きだそうです。長いつき合いになりますが知らなかったです。

7月30日(火)
高校生が編集部にやってきた

 「ファッション業界を目指したいので話を聞かせてください!」と、知り合い経由で17歳の高校生が編集部を訪ねてきました。小松菜奈さん似の彼女はまず「名刺がないので作ってきました」と似顔絵入りのカードをくれました。ほっこりします。ありがとうね。

 話し込むうちに、今彼女が関心あることは循環型のモノづくりであったり、韓国ファッションであったりといったことを知り、私も大変勉強になりました。「将来どういった形でファッションに関わるか悩み中だけどビジネスを知りたいから大学は法学部を目指す」そうです。頑張れ!ちなみに、好きなブランドは「買えないけれど『ヴァレンティノ』」だそうです。理由は「美しいから」。シンプルでよい理由です。そして同意です。

7月31日(水)
ビューティ編集部は頑張りました

 「WWDビューティ」編集部がイベントを開くとの情報をキャッチし偵察へ。嘘。応援へ。会場はなぜか美しい男女ばかりで一瞬焦り、慌ててリップを塗って若干整えて入場しました。大出編集長(余談ですが私と同じ高校出身)と北坂記者のトレンド解説に皆さん、熱心に耳を傾けていました。セミナーの後はメーカーさんのブースで新商品を試したり、サンプルをもらったりと大盛況。お疲れさまでした!

8月1日(木)
8/5&12号「デニム特集」の校了と本日のおやつ

 
 8月5&12日合併号は、「デニム特集」です。巻頭特集は、デニム担当がLA出張しリーバイスやファーストリテイリングのラボや、ビンテージのプロフェッショナルたちに取材をしてきました。特集内に「ラボによって絞り出された一滴をどうプロダクトアウトするのか」という記者の一言があり、これはオートクチュールとプレタポルテの関係性も同じ。デニムとドレスとアイテムは違えど、モノづくりの共通点を見ました。ぜひお読みください!

 今日のおやつは「フラグメント」のサンダーマーク入りのベビースターです。ピリ辛でした。

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天候に苦戦する大手百貨店 グラフで読む2019年上半期の動向

 百貨店大手5社(三越伊勢丹高島屋大丸松坂屋百貨店そごう・西武阪急阪神百貨店)の上半期(1〜6月)は、1月の中国電子商務法施行によるインバウンド購買の失速と4〜6月の低気温と悪天候による夏物の低調が売上高に影響を与えた。商品別売上高は、衣料品がマイナス、ラグジュアリーブランドや時計・宝飾、化粧品が2ケタのプラスで推移している。引き続き中間層の百貨店離れを富裕層と訪日客による消費がカバーする構図が鮮明になっている。各月の動きを振り返ってみよう。

各百貨店1~6月度の売上高(前年同月比)

既存店ベース

1月度は全5社がマイナス 中国の免税品規制とセール不振が響く

・中国人のまとめ買いが減る
・2回のクリアランスセールも効果は限定的
・阪急本店が26カ月ぶりに減収

 百貨店大手5社の1月度の売上高(既存店ベース)は、中国の電子商務法施行の影響や衣料品のクリアランスセールの不振によって全社が減収だった。三越伊勢丹が前年同月比3.8%減、高島屋が同2.8%減、そごう・西武が同4.0%減、大丸松坂屋百貨店が同2.1%減、阪急阪神百貨店が同2.9%減。長らく好調が続いていた阪急本店(阪急うめだ本店、阪急メンズ大阪)も26カ月ぶりに実績を下回った。衣料品の低迷だけでなく、これまで伸び続けてきたインバウンド(訪日客)の購買が失速している。

2月度は5社中3社が増収 インバウンドは復調

・高島屋、大丸松坂屋、阪急阪神が増収
・全5社が減収だった1月から回復
・バレンタイン効果も
 

 百貨店の2月度の売上高(既存店ベース)は、大手5社のうち3社が前年同月の実績を上回った。三越伊勢丹が前年同月比1.6%減、高島屋が同1.8%増、大丸松坂屋百貨店が同2.2%増、そごう・西武が同0.1%減、阪急阪神百貨店が同1.3%増となった。中国の免税品への規制開始によって1月は全5社がマイナスだったが、中国の大型連休である春節にあたる2月はおおむね免税売上高が復調し、都心店をけん引した。

3月度は5社中4社がプラス 改装したメンズ2館は予算超え

・復調したインバウンドがけん引
・ボリュームゾーンは引き続き苦戦
・メンズ2館は堅調に推移
 

 百貨店の3月度の売上高(既存店ベース)は、大手5社のうち4社が前年同月の実績を上回った。三越伊勢丹が前年同月比1.1%増、高島屋が同1.2%増、大丸松坂屋百貨店が同1.0%増、阪急阪神百貨店が同0.6%増、そごう・西武が同0.7%減だった。国内ボリュームゾーンの消費は引き続き難しさが続くものの、復調したインバウンドがけん引した。月半ばの大規模改装オープンで注目を集めた伊勢丹新宿本店メンズ館と阪急メンズ東京は、共に予算を上回っているという。

4月度は低温で初夏物が売れず 5社中3社がマイナス

・三越伊勢丹、高島屋、そごう・西武が減収
・ブラウスやカットソーが苦戦
・インバウンドは引き続き好調

 百貨店大手5社の4月度売上高(既存店ベース)は、低温による衣料品の不振が響いて3社が前年実績を下回った。三越伊勢丹が前年同月比3.0%減、高島屋が同1.2%減、そごう・西武が同1.3%減、大丸松坂屋百貨店が同0.9%増、阪急阪神百貨店が同1.0%増だった。インバウンド(訪日客)がけん引するラグジュアリーブランドや化粧品、10連休の帰省需要などに後押しされた食品は好調だったものの、本来この時期に売れるはずの初夏物の服が足を引っ張った。

5月度は初夏物の衣料品が苦戦 大型連休の効果は限定的

・三越伊勢丹と高島屋は減収
・後半からワンピースが動く
・インバウンドは堅調

 百貨店大手5社の5月度の売上高(既存店ベース)は、三越伊勢丹が前年同月比1.8%減、高島屋が同0.1%減、大丸松坂屋百貨店が同1.1%増、そごう・西武が前年同月並み、阪急阪神百貨店が同0.2%増だった。改元に伴う大型連休によって前年同月に比べて土日・祝日が2日多かったにも関わらず、低調で終わった。引き続きボリュームの衣料品が足を引っ張っており、前半の低温で初夏物の動きが鈍った。

6月度は5社中3社がプラス 低気温、悪天候で夏のクリアランスの出足は不調

・低気温で夏物が売れず
・セール初動で客数、売上1割減の百貨店も
・G20開催の影響は限定的

 百貨店大手5社の6月度の売上高(既存店ベース)は、三越伊勢丹が前年同月比3.0%減、高島屋が同0.7%増、大丸松坂屋百貨店が同0.2%増、そごう・西武が同2.7%減、阪急阪神百貨店が同1.9%増だった。阪急阪神百貨店以外の4社が28日開始で足並みをそろえた夏のクリアランスセールは、台風接近による悪天候予想で出足をくじかれた。衣料品のボリュームゾーンは実需傾向が強まる中で低気温により夏物が売れず、引き続き苦戦が続いている。免税売上高は、大阪で6月28~29日に主要20カ国・地域首脳会議(G20)が開催されたことよる宿泊費高騰などマイナス要素はあったものの影響は限定的で、引き続き堅調に伸びたという声が多い。

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「ユニクロ」のファストリが全ての人にジーンズを届けるために捨てたもの

 「WWDジャパン」8月5&12日合併号は、デニム特集だ。今年はジーンズの生まれ故郷であり、作業着からファッションへ生まれ変わった地でもあるアメリカ西海岸を取材した。取れ高満点ゆえアウトプット時に大いなる生みの苦しみを感じたのだが、印象的な取材について編集後記として紹介したい。

 10~20代に「好きなデニムブランドは?」と聞くと、返ってくる答えの筆頭は「ユニクロ(UNIQLO)」だ。同ブランドはいまやSPAの枠組みを飛び越え、いちデニムブランドとして認知されている。

 今回のデニム特集では、そんな「ユニクロ」の“生まれるところ”であるロサンゼルスの研究・開発施設「ジーンズイノベーションセンター(以下、JIC)」を取材した。JICの責任者である松原正明最高執行責任者(以下、COO)に同施設の特徴を聞くと、以下の3つを挙げた。

1.手こすりの廃止
2.ブリーチ剤など薬品スプレーの廃止
3.天然石を使ったウオッシュの廃止

 いずれも従来のデニム加工には欠かせないものだ。「1」には重労働が欠かせず、「2」は環境負荷が大きく、「3」については「天然石は削れて粉状になり、それを廃棄物として捨てなくてはならない。当然、新たな石も買わねばならず、そこでJICでは人工石を使うことにした。これなら半永久的に使える。実際、ここにある石はJICがスタートした2016年から使っているものだが、いまだ現役だ」と教えてくれた。

 「1」について、レーザー加工だけではのっぺりとした仕上がりになってしまうという声もあるが?と聞くと、「われわれがレーザーを使うのは、単に時間短縮や経費削減のためではない。JICでは日々レーザーのテストを行っており、リアルな経年変化感や濃淡による3D感を出すにはレーザーが最も適していると判断した。もちろん価値観の違いがあるので、われわれの答えだけが正解であるとは考えていない」とした。

■ファストリのLAジーンズ研究・開発施設が6月導入の水リサイクルシステムをメディアに初公開

 訪米前、最も聞きたかったのは驚きの低価格を実現するための秘訣だが、「当然コスト意識は高い。『ユニクロ』の場合、店頭に3990円で並ぶことから逆算して利益を出さなければ研究・開発は続けられない。SPAだからできるとも言えるし、このような施設と機会を与えてくれた柳井(正ファーストリテイリング)会長兼社長にも感謝している」と述べた。

 JICの今後については、「環境や労働者にとって“悪い”と感じつつも前進せざるをえなかったのがジーンズ作りの歴史だ。今考えれば褒められたことではないし、かつて僕もそちら側にいた。しかし、それがあったから強いこだわりが生まれたとも言える。とはいえ、時代は変わった。いいことはいいし、悪いことは悪い。JICとしてできることはやるし、できるのにやらないということはない。もちろん、やらなくていいことはやらない。全ての人にわれわれの作ったジーンズをはいてもらうため、“ライフウエア”としての可能性を模索したい」と結んだ。

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「ニート」の“なんてことないチノパン”に若者が行列を作る理由

 西野大士デザイナーのパンツブランド「ニート(NEAT)」は、米国製にこだわった新ライン“ニートUSA”の第1弾となるチノパンツ(4万円)を南青山にあるベイクルーズのセレクト業態レショップ(L’ECHOPPE)で7月中旬に発売した。発売日当日は店の前に20〜30代の若い男性客が100人近く列を作り、即日完売した。

 同ブランドは「ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」のプレス出身の西野氏らしく、米国のトラウザーズが着想源。深くとられた2つのインタックによる腰元のボリューム感と、国内外から取り寄せたユニークな生地使いが特徴だ。立ち上がりの2015年春夏以降、“ワイド”“テーパード”、腰元にアジャスターのついた“ベルトレス”とシルエットの異なる3型のみで展開してきた。

 今回発売した“ニートUSA”は通常品よりスッキリとした正統派なシルエットで、余計な装飾は取り除いた。「なんてことないチノパン」(西野氏)と言われれば、その通りかもしれないプレーンなルックスだ。

 ブランドは2019年7月末時点で卸先を30店まで広げており、毎シーズン消化率は100%近い。売り上げは初年度の50倍になった。毎シーズン、目新しさがないともいえる「ニート」が、なぜ若者の心を捉えるのか。

デザイナーの「好き」が凝縮

 「ニート」のパンツのこだわりについて西野氏は、「やはりこの深いツータック。インタックにすることで縦のラインがキレイに出て、野暮ったく見えないようにしている」と語る。ブランド名は英語で「きちんとした」の意。自身が思いを寄せる米国のトラウザーズをベースに、国内外から取り寄せた上質な生地使いにより洗練された印象を与えている。身長が低い日本人に合うようにも配慮し、「裾上げした時にもキレイなシルエットが出るよう工夫している」という。

 ブランドが若者を中心に浸透していく上で、取り扱い1号店であるレショップの存在が欠かせなかったと西野氏は言う。レショップの買い付けを担当する金子恵治コンセプターは、「ニート」の卸を始めた15年当時を「スラックスがビジネスウエアという呪縛から開放され、カジュアルにはけるものが求められるようになったころ」と振り返る。「色気がありすぎることはないが、誰でも似合って、はいていて心地いい。そんな理想の一本だった」と人気の理由を語る。

 だが、買い付けの決め手は別にあった。「ニート」のファーストシーズンは、「自分が好きなものを、はきたい人にはいてほしい」という西野氏の思いで、本来は個人向けの受注販売会という形で展示会を実施。招待者の中の一人だった金子氏は、デザイナーの個性が色濃く出たモノ作りに引かれ、卸の取り引きを願い出たという。「めちゃくちゃ大きなシアサッカー柄などラインアップはかなり攻めたものばかりだったが、本当に好きで作っていることが、熱心に説明する西野君を通じて伝わってきた。だからか、はいてみたいと思わせてくれる不思議な魅力があった」と金子氏。当時から服好きな若者のハブだったレショップで売れ筋となった「ニート」は、インスタグラムなどのSNSを通じて広がっていった。

若者たちから感じ始めた服への情熱

 レショップのMDは“背景のある服”に絞っており、その中で同ブランドも外せないラインアップの一つになっている。「うち(レショップ)はぱっと見、40代かそれ以上の人のための店に見えるかも知れない。でも実際の客層は20~30代が中心。たとえ手が届かなくてもデザイナーのこだわりを聞いてみたい、という熱心な方が足繁く通ってくださる」と話す。

 西野氏自身も地方の卸先に積極的に足を運んでブランドの語り部になり、「多くの若いお客さまが『ニート』のモノ作りに対し共感してくれる」と実感している。「かつては(故郷の)淡路島に帰ってパンツを作ろうと思ったこともあった。型紙さえあればどこにいたってできそうだから(笑)」と振り返る。「でも金子さんは、『それは違う』と。東京の街で自転車をこいで、納得いくまで生地屋さんを回って、その情熱がお客さんに伝わってるから『ニート』は売れているんだと。そう言われて、はっとした」。

 2人の間には、ファストファッションブームにより失われた服への情熱が、若者の間で蘇ってきているという肌感覚がある。「安かろうと高かろうと、つまらないものは買ってもらえない時代が来る。ちょっとの赤字よりも、お金のことを考えてばかりでブランドがつまらなくなることのほうが、よっぽど恐ろしい」(西野氏)と考えるようになった。

 「それならばお金のことは忘れて、自分たちで作りたいものを思い切り作ろうと意気投合した。サンプルが上がってから電卓を叩いて青ざめるくらいがちょうどいいんじゃないか、とアブないことを考えた」(金子氏)。“ニートUSA”は、そんな2人の“現実逃避”から始まったという。

「わざわざ米国で作る」ことの価値

 いかにも米国人がはいていそうなパンツを、米国の素材を使って、米国で作ろう――。コンセプトは固まったものの、実際の商品化には苦労がつきまとった。「2人で現地の工場に何度も足を運んだ。重いパターン紙を運び出すのには苦労した。生地を選ぼうにも、日本のアウトレット店で残っていそうな色ばかり。ボタン屋さんは頑固で言うことを聞いてくれなかったし……(笑)」。

 1年半の制作期間を経て完成した“ニートUSA”は、ツータックはそのままに、ピンループや持ち出しといったディテールも、「米国人が履いていそうなラフさ」を出すため一切排除。「結局、なんてことないチノパンになった」と2人は笑う。

 「パターンを外注して生地をリクエストすれば、ここにいても作れるようなものかもしれない。でも、自分たちで一つ一つのプロセスを踏んで、モノ作りのストーリーを組み立てることに意味があった」と西野氏。“ニートUSA”を求める長い客の列を見て、「僕がやるべき服作りは、“小説作り”だ」という確信を得たという。それを聞いた金子氏も、「売る側の僕らもモノ作りの背景を、小説を語るようにもっと面白く伝えられたらいい」と応じる。「そうすれば値段が高いものであっても100個、いや1000個だって売れるはずだ」。

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BIGBANGを擁する事務所の双子ダンサー・クォン兄弟 「これからは僕たちの番だ」

 Deukie&Donyは、BIGBANGやBLACKPINKなど大人気グループを多く世に送り出してきた韓国の大手芸能プロダクション、YG ENTERTAINMENTの専属ダンサーチームHITECHに所属する双子ダンサーだ。高いダンススキルと甘いマスクで、同社所属のアーティストに引けを取らないほどファンから注目されている。ダンサーのみならずモデルやデザイナーなど活動の場を広げている。このほど東京・大阪で開催したYG ENTERTAINMENTのダンス・ボーカルアカデミーX ACADEMYによるワークショップに参加した2人にファッションや今後の展望、多忙を極める彼らの美容法を聞いた。

WWD:日本で初めてのワークショップの感想は?

Deukie:初めての日本でのワークショップで不安もあったんですけど、当日はたくさんの方が参加してくれて楽しそうにしているのを見てすごく嬉しかったです。

WWD:参加者の中には2人のファンもいた?

Deukie:はい、たくさん参加してくれていました。

WWD:今回のようにファンと触れ合える機会は今までもあった?

Dony:今回のワークショップのように時間を設けてファンの方々と一緒にダンスしたりする機会は初めてでした。

韓国で初めて開催したワークショップの様子

WWD:韓国版「VOGUE」でもモデルとして起用されていたが、ダンサーでありながら表舞台で活動する事についてはどう考えている?

Deukie:自分達は後ろで踊る1ダンサーではなく、“アーティスト”だという意識を持ってやってきました。だから表舞台で活動している時も、常に気持ちは変わっていないです。やっと“僕たちの番が来た”って感じです。

WWD:ファッションブランドを立ち上げたが、今後はファッションにも活動の幅を広げる?

Dony:そうですね。今後もブランドは継続していく予定ですし、ブランド名の「_DIFFERENTBUTSAME(R)(ディファレントバットセイム)」も僕たち双子を表現したものなのでブランドを通してもっと自分たちを表現していきたいです。

WWD:ブランドを立ち上げたきっかけは?

Deukie:最初は二人ともファッションが好きで、プロジェクトの一環として始めました。続けていくうちに自分たちの色を見せられるようなブランドになったと思います。

WWD:服のデザインで意識していることは?

Dony:例えば最近流行っている物でも、その中で僕たちのアイデンティティーを見せたいとは常に意識しています。

WWD:デザイン面で音楽や人からインスピレーションを受けることはある?

Deukie:他のブランドから影響を受けることはあまりないです。ただ音楽に関しては曲それぞれに特徴があって、それをヒントにデザインすることがあります。

ダンサーでもさまざまなシーンで活躍できるんだってことを示したい

WWD:一緒に働くアーティストからはファッションに関する影響は受ける?

Deukie:アーティストのステージ衣装から学ぶことも多いですし、僕たちがファッション好きという事を知っているスタイリストさんにブランドに対する意見やアドバイスをもらうこともあります。

WWD:具体的にインスピレーションを受けたアーティストは?

Deukie&Dony:やっぱりみんな大好きなBIGBANGのG-DRAGONさんですね(笑)

Dony:幼い頃から彼らを見てきたのでたくさん勉強になりました。

WWD:G-DRAGONとファッションの話をすることもある?

Dony:具体的な服の細かいディテールの部分までは話したりはしないですが、コレはこう着たら可愛いよね、格好良いよねって話をします。

WWD:2人のファッションのこだわりは?

Deukie:(立ちあがってパンツを指さしながら)最近はシンプルなトップスに派手なパンツを履いてコーディネートにポイントをつける事です。

WWD:今日もPVC加工のパンツを履いてますね。

Dony:僕はストレス解消法の一つにコーディネートを考えるって事があるんですが、2時間くらい色んな組み合わせを試しています。ちょっと病的かなって自分でも思いますが(笑)その中で良い組み合わせを見つけるって感じです。

WWD:ダンサーやモデル、デザイナーと多忙な毎日を過ごす中での美容法は?

Dony:フェイスパックや保湿クリームは常に使っています。実際に買いに行った事はないんですけど化粧品専門店に行ってみたい気持ちもあるんです。見ていただくと分かるかと思うのですが男性の中では肌は綺麗な方だからそれは少し自慢です。

WWD:日本でも男性が化粧をすることが徐々に浸透してきたが、どう考えている?

Dony:時代が変わってきているし、自身を表現する一つの方法だと思います。僕達もBBクリームを塗ったりしているし、男性が化粧をすることはポジティブに考えています。

WWD:ヘアスタイルのこだわりは?

Dony:ファッションでその時着たい服装があるように、ヘアスタイルもその時の気分で変えたりします。さっき話した服選びに2時間掛かるっていうのはもちろん、帽子を選んだりヘアスタイルも含んだ時間です。

WWD:だから2時間なんですね。その中にスキンケアや化粧をする時間も含まれてる?

Dony:いえ、それは入ってないです(笑)

WWD:今後アーティストとして挑戦したいことは?

Deukie:これからは演技にも力を入れたいと思っています。そして、もっと色んな形でファンと触れ合う機会を増やしたいです。一番意識していることは、僕たちのようなダンサーが多くの場面で活躍できるんだってことを示すことです。まずはそのお手本になりたいし、これからもダンサーやデザイナーとしてだけでなくさまざまなシーンで活躍していきたいです。

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デジタルネイティブ世代の心つかむ 美容系動画クリエイター新希咲乃が持つ影響力

 10~20代のリアルなトレンドをとらえることで、“女子が憧れる女子”として美容系動画クリエイター新希咲乃が注目を集めている。ユーチューブのチャンネル登録数は26万人以上で、インスタグラムは6万8000フォロワー、ツイッターは5万3000フォロワー。それぞれのソーシャルプラットフォームの特徴を生かし効果的に情報を発信できるのは、彼女の大きな強みだ。5月にはライフスタイルブランド「ディーホリック(DHOLIC)」のオリジナルコスメライン“バビメロ(VAVI MELLO)”とコラボレーションした「ファーストコレクションアイズ&リップス」を発売しブランドビジネスにも参入した。ブランドも注目するほどの影響力と人気を得ている彼女に迫った。

WWD:動画クリエイターになったきっかけは?

新希:中学生のころから動画をよく観ていて、海外の同い年の動画クリエイター、ベサニー・モタが大好きだったんです。すごくおしゃれに日常を撮った動画を自分で編集して投稿していて、その子の動画が投稿されるのを毎日楽しみにしていました。それを自分もやりたいと思い、大好きな美容をテーマに動画にチャレンジしました。

WWD:動画のテーマはどうやって考えている?

新希:いろんな動画を参考にしているのですが、こうすれば反応がいいだろうな、観られるだろうなとかは考えずに、私が好きなことだけを発信しようと思ってやっています。「これは本当に私が好きなものだから、好きになってくれたら嬉しいな!」という気持ちですね。自分が一番楽しいと思えることをやっていたら、ファンの方にも伝わると思うので。

WWD:どんな動画が人気か?

新希:トレンドを意識したものよりは、崩れない前髪のセット方法などの実際に役立つ情報の反応がいいですね。あと、個人的に意外だったのは私の日常が見られる動画の反応が良かったことです。朝の準備をしている様子を撮った動画なんですけど、パーソナルな部分が見られうれしいっていうコメントも。意外な反応でした。

WWD:フォロワーの傾向は?

新希:10~20代のファッションやトレンドに敏感な女性が多いですね。SNSなどの情報発信にも積極的で、美容はもちろんですが、ファッションへの関心も高い人が多いです。そういったファン層の子たちに向けて“女の子が憧れるような女の子”になれたらいいな、と思って発信する情報も意識しています。今後は少しずつ年齢層の幅を広げていきたいなと思っているので、ユーザーの反応などを見ながらまた違った切り口の動画も増やしていく予定です。最初はやっぱりウケが悪いと思うんです。美容系の情報ばかりだった子が急に料理をしても見られないと思うし……。でも、少しずつでも続けることで一定数のファンが増えていくんじゃないかと思うので、頑張っていきたいなと思っています。

WWD:熱心なファンが多いですよね。やはりファンとの交流は重要?

新希:もちろん!大事にしています。コメントや反応が返ってくるとうれしいし、特別感があるじゃないですか。ファンの方はすごく時間を使って応援してくれたり情報を探してくれたりしているので、恩返しをしたいという気持ちです。コメントなどもポジティブな反応が多く、優しいファンが多いですね。

WWD:今注目しているトレンドキーワードは?

新希:私自身が得意だし好きっていうのもあるんですが、この夏はカラーメイクに注目していますね。カラフルなアイテムがたくさん発売される時期だし、カラーメイクを得意としているクリエイターは少ないので、それを武器にいろんなものをレビューしていろんなカラーメイクを提案していきたいです。
もちろんトレンドも意識しているんですけど、ほかにはない私らしい情報というのも大事にしています。

WWD:「バビメロ」とコラボしたアイテムがとても人気ですね。アイテムのこだわりは?

新希:パーソナルカラーを知ってメイクに生かすのも大切だと思うんですけど、最近はそれにとらわれすぎちゃってる人が多いと感じたんです。でも、やっぱり好きな色やメイクを自由に楽しんでほしくて、このアイシャドウパレットを作りました。紫やピンクなど鮮やかなカラーが多いのですが、実際使ってみたらすごく似合った、良かった、というコメントをいただきました。アイテムへのこだわりもそうなのですが、そういう情報を知ってもらいたくて、引用リツイートなどでフォロワーの方に共有したりしました。そうすることで「チャレンジしてみよう!」って手に取ってもらえればと思って。

WWD:アイテムのカラーネームも個性的ですよね。

新希:“祭”や“夜叉”など、漢字を使った名前にこだわりました。漢字から連想される日本ならではのイメージを込めたかったんです。例えばアイシャドウのパープルを“撫子”って名付けたんですけど、色だけじゃなくお花の美しさのイメージも伝わると思ったんです。

WWD:コラボアイテムの反響はどうだった?

新希:想像以上に反響がありました。ファンの方から始まって、みんなが自分なりの使い方や感想を発信してくれたところから、どんどん広がっていったように思います。あと、男性ファンの方も身近な女性の方におすすめしてくれたり……。一番身近にいるファンの方に自分なりのこだわりや思いを丁寧に伝えることが一番の宣伝かなと思っていて、そうすることで自然と拡散されていくものだと思っています。本当にファンの方の応援が熱くて、感謝しています。

WWD:今後どういった活動をしていきたいですか?

新希:これからも自分が好きなもの、かわいいと思ったものを発信していきたいです。今回はコラボでしたが、いつか自分のブランドを持つのが夢です。コスメはもちろんファッションも手掛けて、トータルビューティを提案でたらいいなと思っています。身に付けることで気分が上がるような、日々の生活の中でパワーが湧いてくるようなブランドをつくりたいです。

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ファッション通信簿Vol.26 映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」LAプレミアでのスターたちを米「WWD」がめった切り

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第26回は、映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のロサンゼルス・プレミアからマーゴット・ロビー(Margot Robbie)、オースティン・バトラー(Austin Butler)、ブラッド・ピット(Brad Pitt)、レオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)、ブリトニー・スピアーズ(Britney Spears)、マヤ・ホーク(Maya Hawke)、マーガレット・クワリー(Margaret Qualley)、クエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)ら豪華スターが登場。大物俳優たちのファッションにも容赦ない評価が下される!

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週末お出掛けスポット あいみょんのMVなどを手掛けた映像作家、山田智和の個展などアート5選

 週末にオシャレして出掛けたいアートスポットをお届け。今週は、あいみょんのMVなどを手掛けた映像作家、山田智和の個展やロシア現代アーティスト6人によるグループ展など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(8月3、4日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【アート5選】

【開催中イベント】

阪急うめだ本店で韓国ファッションの催事 デザイナーらの来店イベントも

アーティストのジェームス・ジャービスが4年ぶりの新作展を開催

「リーボック」が「レブロン」とフィットネス女子応援キャンペーンを実施

眼鏡「フォーナインズ」がフォトコンテスト開催 テーマは“アクティブな夏”

「ブルガリ」と「ドン ペリニヨン」のマリアージュ ブルガリ銀座タワーの最上階に

「リモワ」がストリート誌と企画展 過去のアーカイブからアーティストの作品まで

「MCM」がサステナをテーマに展示会開催 未使用バッグをドレスにアップサイクル

松屋銀座が「美しくなるビアガーデン」開催 今年もクロスフィットトレーナーAYAとコラボ

【開催中ポップアップ】

東京五輪まで1年 オフィシャルタイムキーパー「オメガ」が大丸東京にポップアップ

「アニヤ・ハインドマーチ」の新パーソナライズサービス 伊勢丹でポップアップストア

「フィラ」が冒険心をかきたてる新コレクション“フィラ エクスプロア”を発表

伊デニムブランド「リプレイ」が「バーニーズ」でポップアップ 槙野智章選手が来店

「ファセッタズム」が藤原ヒロシのザ・コンビニ&コカ・コーラとのトリプルコラボアイテム発売

西武池袋本店が水着センター開設 街中でも着られるドレス水着など発売

「ルイ・ヴィトン」がドーバー銀座でメンズのポップアップ 限定品やフューチュラの作品展示も

コンセプトショップ、ライラ トウキョウがECサイト開設を記念して「メゾン マルタン マルジェラ」のアーカイブピース200点を販売

ラブレス青山で古着のラグタグがポップアップ 佐々木拓真選りすぐりのビンテージウエアを販売

ビートたけしプロデュースの「キタノブルー」が初ポップアップストアをオープン

ハヤカワ五味が生理用品セレクトの期間限定ショップ 自由でおしゃれな選択肢を提案

伊勢丹の今夏の浴衣展開がスタート 西内まりやとのコラボ品と販促ムービーで多様な着用シーン喚起

眼鏡ブランド「アヤメ」が263日間のポップアップストア 直営店オープンの布石

オーガニックブランド「ラ・ブルケット」が関西で初のポップアップストア

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東大卒エンジニアが“ネット時代のアパレルビジネス”で目指すものとは?

 ファッションブランドを手掛けるインフルエンサーは今や数多くいる。PATRAは、そういったインフルエンサーブランドのためのプラットフォームを構築する企業だ。創業したのは、東京大学卒のエンジニアである海鋒健太代表取締役。2016年に女性向けの分散型メディア「パトラ マガジン」からスタートした同社は、18年1月に自社ブランド「メロウネオン バイ パトラ(MELLOWNEON BY PATRA)」を設立し、アパレル事業に参入。同年12月に販売プラットフォーム「パトラ マーケット(PATRA MARKET)」を始動させ、自社ブランドのほか、複数のインフルエンサーブランドの運営・販売を行っている。7月には既存株主のグローバルブレインのほか、AGキャピタルなどを引受先とした第三者割当増資を実施。今後も同調達ラウンドで追加クロージングを行い、1億5000万円を調達予定だ。「既存のアパレル、小売業界の属人性をテクノロジーで排除したい」と語る海鋒代表に、創業の経緯や今後の目標を聞いた。

WWD:PATRAの事業内容は?

海鋒健太PATRA代表取締役(以下、海鋒):女性向けの分散型メディア「パトラ マガジン」のほか、ファッションD2Cのプラットフォームを運営しています。ブランドを作りたいインフルエンサーに向け、自社ブランド立ち上げの際に築いたサプライチェーンを提供しています。

WWD:なぜ、アパレル事業に参入したのか?

海鋒:アパレルをやりたいというモチベーションよりは、マーケティングをする中で始めた、という感覚です。創業当時は流行に乗ってユーチューブとインスタグラムを使った分散型メディアからスタートしたのですが、ある時からメディアのマネタイズに限界を感じて。一方でメディアとして集客を手伝っていたブランドが売れる、という現象を見て「だったら自分でやった方が早いんじゃないか」と思ったのがきっかけですね。そこで自社ブランド「メロウネオン」とECを立ち上げました。現在は「メロウネオン」が年商2億円ほどで、全体売り上げの3~4割程度を占める主軸ブランドになっています。

WWD:自社ブランドの運営だけでなく、インフルエンサーブランドのプラットフォームを作ろうと思ったきっかけは?

海鋒:もともと「メロウネオン」でインフルエンサーとのコラボ商品を作っていたのですが、それが非常に売れていたんですよね。コラボ相手のインフルエンサーたちも従来のPRによる広告収入だけでは限界が来ると感じていたようで、ブランドもやってみたいという人が多かった。コラボ商品でも「売り上げの何%を上げますよ」と言ったら非常に喜んでくれて。だったらコラボじゃなくて、本人たちのブランドを始めてもいいだろうと。そこでまず、「あかねこ」さんというインフルエンサーのブランド「キャティーキトゥン(CATTY KITTEN)」を立ち上げたのですが、初月の売り上げが330万円と好調だった。インフルエンサーのブランドはある程度売れる、と確信しました。

インフルエンサーブランドを増やす中で
オペレーション効率化のためのシステムを構築

WWD:そこから徐々にインフルエンサーブランドを増やしていったと。

海鋒:はい。現在は自社が2ブランドと、インフルエンサーが8ブランドで、今後も増やしていく予定です。インフルエンサーブランドが売れるとはいえ、1ブランドの売り上げには限界がある。ブランド数を増やすことで事業を拡大しようと考えました。そこで重要なのがオペレーションの効率化。当時はブランドごとにドメインがバラバラでしたが、「パトラ マーケット」として1つのドメインに集約しました。ブランドの世界観は各々が自身のインスタグラムなどである程度作りこんでいるので、販売サイトは世界観よりも買いやすさを重視した設計になっています。

WWD:ドメインを1つに集約することで、どのような効率化が可能になった?

海鋒:MDや在庫などを一括管理できるのは大きいですね。また、月に30万人以上の人が訪れている「パトラ マーケット」のトップページや検索ロジックを変更することで在庫の消化率をコントロールすることもできます。当社はほぼ全てのシステムを内製しており、リアルタイムで在庫状況を把握しています。例えばアクセス数が悪くて売れ行きが思わしくない商品があれば閲覧数を増やすような施策を打つなど、スピーディーな対応が可能なので一般的なアパレル企業と比べ、在庫回転率は約2倍になっています。

WWD:7月には資金調達を実施した。使用用途は?

海鋒:韓国法人の設立と、リアル店舗の出店ですね。韓国法人は9月に設立予定で、現在PATRAの仕事をメインにしていた現地の工場を買収してサプライチェーンの最適化を行い、デザイン拠点も設ける予定です。この機能の一部を外部に解放して誰でも個人のインフルエンスで商品開発ができるOEM事業を展開していければと思っています。

WWD:リアル店舗はどのような店舗に?

海鋒:年内に出店する予定ですが、現状の方針としては少在庫で、オンラインとオフラインをシームレスにつなぐ方法を試したいです。既にオンラインとオフラインで顧客IDを統一するシステムを構築し、ポップアップストアなどでサイトのユーザーが来店しているか否かなどのトラッキングを行っています。究極的には、試着室の何番に入っているお客さまが過去にこのような商品を買っています、といった情報をもとにスタッフ接客ができるようになればいいなと思っています。

WWD:ネット上で規模を拡大する中で、リアル店舗を出店しようと思った理由は?

海鋒:どんなにEC化率が上がったとしても30%程度が限界だという僕個人の仮説が前提としてあります。デジタル化が進んでいる中国などを見てもそうなんですよね。つまり残りの70%がオフラインで、その大きなマーケットには着手すべきだろうと。また、ルミネエスト新宿などでポップアップを出店した際に、システムで「パトラ マーケット」のサイト会員について調査をしたところ、6割がサイトで買ったことがないお客さまでした。ネット通販だと商品への不信感やサイズ感などの問題もある。リアル店舗があれば、そういった問題も解決できるうえに、商品を知ってもらうことでオンラインの購入者も増えるだろうと考えています。

WWD:今後の目標は?

海鋒:韓国法人の設立や、リアル店舗の出店などもありますが、リテールの属人性の排除が大きな目標の1つです。アパレルは非常にレガシーな業界で、未だに納品書が複写式のものだったり、海外の工場へファックスで連絡をしなければならなかったりと、労働集約的な部分が多い。テクノロジーで塗り替えていける余地がかなりある。不合理や無駄をシステムでどれだけ解決できるのか、挑戦していきたいと思っています。

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生に挑み続ける現代美術家クリスチャン・ボルタンスキーの死者と魂の物語

 フランスのアーティスト、クリスチャン・ボルタンスキー(Christian Boltanski)の展覧会が東京都内の2カ所で開催されています。国立新美術館では9月2日まで回顧展「クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime」を、エスパス ルイ・ヴィトン東京(以下、エスパス ルイ・ヴィトン)では彼の2つの作品「アニミタス(ANIMITAS)Ⅱ」の展示を11月17日まで行っています。

 ボルタンスキーは現在、世界のアーティストの中で最も影響力を持つ一人で、最も知られている代表作は写真とフレームと照明で構成した「モニュメント」シリーズです。私はコンテンポラリーアートにはうとく、ボルタンスキーの作品に触れるのは初めてのことでした。回顧展には初日朝から老若男女が来場しており、私もその中に交ざって展示を見ることにしました。その同じ日の午後に、エスパス ルイ・ヴィトンでボルタンスキーのトークショーを取材することになっていたからです。

 予習のつもりでとにかく見てみようと来場したのですが、最初のビデオ作品「咳をする男」と「なめる男」を見てビビりました。延々と苦しそうに咳き込みながら血を吐く男と、等身大の人形をぺろぺろと舐める男の映像は、初心の私にとっては衝撃が強すぎたかもしれません。暗闇の展示室を進むと、天井に影絵のようなものが描かれていたり、心臓音が流れていたり、一面に古着が掛けられていたりと、私にとっては不思議な世界が広がっていました。日本語の“来世”の2文字を電球で描いたものもあり、私は頭の中に大きなクエスチョンマークを浮かべたまま会場を後にしました。

視覚、聴覚、嗅覚に訴えかける
インスタレーション

 エスパス ルイ・ヴィトンのトークショーでは、ボルタンスキーとドイツ人の美術評論家のハインツ・ぺーター・シュヴェルフェル(Heinz Peter Schwerfel)が登壇し、2つの展示作品「アニミタス(ささやきの森)」「アニミタス(死せる母たち)」をはじめ、アートやクリエイションについて語り合いました。

 これら2つの映像作品は、死者を祭る路傍の小さな祭壇へのオマージュとして日本の豊島(ささやきの森)とイスラエルの死海のほとり(死せる母たち)に設置されたインスタレーションの再現で、それぞれ大地に刺した細い棒の先に付けた300個の日本の風鈴が揺れるさまを日の出から日没までワンカットで連続撮影しています。

 これらの作品についてシュヴェルフェルが「作品で残るものは何か?時間と重ね合わせている意味とは?」と問うと、ボルタンスキーは「作品が置き去りにされるような場所をあえて選んだ。見た人の中に作品の跡、思い出が残ることを意図している。意思を持って消えるアートだ。一方で、豊島は小鳥のさえずりが聞こえる幸せな作品で現存していて広がっている」と答えました。他の場所での展示は、風や嵐によって破壊されているそうです。ボルタンスキーは、「『アニミタス』のライトモチーフは個人と集団。風鈴を生まれた星座のように置き、集団で祭壇を作るイメージだ」と続けます。彼がこのような空間と時間によって変化するアートを制作するのは、「作品の前ではなく中に入れるから。異なる要素を組み合わせたインスタレーションの方が長い時間いられる」のだそうです。

 エスパス ルイ・ヴィトンのインスタレーションは、東京の街を背景に豊島とイスラエルの死海の2つの映像が風鈴の音と共に流れ、床に敷き詰められた草花の絨毯が香り立つ、まさに視覚、聴覚、嗅覚に訴えかけるものです。その日の朝の展示を見てビビった私でしたが、このようなポエティックな作品もあるのだとホッとしたと同時に、コンテンポラリーアートの奥深さに触れた気がしました。

アートが巡礼地になるという神話を作りたい

 ボルタンスキーは国立新美術館の回顧展で展示されている作品についても言及しました。「心臓音」に関しては、「新しい神話が作りたかった。心臓音のアーカイブを作ったのは、人々がそれを作ったアーティストの名を忘れ、亡くなった大切な人の心臓音を聞きに来るような新しい巡礼地にしたいと思ったから」と話しています。

 そんな彼が最近究極の作品を作ったといいます。その作品とはアトリエでの彼の生活をカメラで撮影し続け、彼が死亡すると止まるというもの。「私が生きている間はずっと何万というデータが送られるようになっている。オーストラリア・タスマニア州のコレクターが購入した。彼とは私が10年後に死ぬという賭けをしている。アートにもユーモアは必要。彼を破産させるつもりだよ」といたずらっぽく話しました。自分の生活を記録したアートを作るアーティストもいれば、それを購入するコレクターもいるのだと、このことでもコンテンポラリーアートの多様性に驚かされました。彼は、「死は重要ではない。それは伝承であり続いていくことだから。アーティストにとって素晴らしいことは、物理的に離れていても、そして死後も人々の感情を掻き立てられるということだ」と言います。

 トークショーの話を聞くにつれ、私の頭の中のクエスチョンマークは徐々に消えていきました。アートはアーティストの人生の投影であり、強いメッセージが込められているもの。死や追悼、記憶といった哲学的な意味が込められたアートは一見難解ですが、第一印象で「理解できない」と退けてしまうと発見も感動もありません。ボルタンスキーのアートに込められた思いに触れることができたのは私にとって有意義な体験で、コンテンポラリーアートの扉が開いたような気になりました。

■CHRISTIAN BOLTANSKI ANIMITAS Ⅱ SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION
日程:6月13日~11月17日
場所:エスパス ルイ・ヴィトン東京
住所:東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7階
時間:12:00-20:00
入場料:無料

■クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime
日程:6月12日~9月2日
場所:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2 企画展示室2E
時間:10:00-18:00
休館日:毎週火曜日
入場料(税込):当日 一般1600円、大学生1200円、高校生800円 / 前売 / 団体 一般1400円、大学生1000円、高校生600円

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敏腕女性CEOが語る「ポメラート」との出合いと現代女性とジュエリーの関係

 イタリア・ミラノ発ジュエラー「ポメラート(POMELLATO)」の旗艦店が7月20日、東京・銀座にオープンした。同ブランドは“ジュエリーのプレタポルテ”をうたい、日々着用して楽しめるジュエリーを提案する。カラフルな色石を用いた「ポメラート」では創業50周年の2017年に「ポメラート・フォー・ウィメン(#PomellatoForWomen)」というキャンペーンをスタート。女性のエンパワーメントを目的とした同キャンペーンに登場するのはフォトグラファーやコンサルタント、DJなどさまざまな業界で活躍する女性だ。旗艦店のオープニングには、ブランドアンバサダーのキアラ・フェラーニ(Chiara Ferragni)が来日してテープカットを行った。フェラーニをはじめ、キャンペーンに登場する女性を起用したのはサビーナ・ベッリ(Sabina Belli)=ポメラート最高経営責任者(CEO)だ。同CEOにブランドの強みやキャンペーンについて聞いた。

WWD:このタイミングで東京・銀座に旗艦店をオープンした理由は?

サビーナ・ベッリ=ポメラートCEO(以下、ベッリ):銀座の並木通りは世界的なショッピングの目的地。何年も探していたがいい物件が見つからなかった。ところが急にふさわしい場所が見つかったからあわてて契約した。内装も急いでスピード出店にこぎつけた。並木通りに出店できて誇りに思っている。

WWD:旗艦店の役割は何だと思うか?

ベッリ:百貨店のコーナーでは伝えられないブランドの世界観を伝える場所。旗艦店は「ポメラート」の家のようなもの。だから、ソファやクッション、ミラーなどインテリアにはこだわった。ここで、ゆったりとジュエリーやクラフツマンシップ、石の魅力などを伝えることが大切。

WWD:日本における現在の直営店と卸先の数は?

ベッリ:直営店は旗艦店を含めて10店舗。卸は専門店が10店舗。パートナーは厳選している。

WWD:ベストセラーは?

ベッリ:“ヌード”よ。誕生してから25年になるけど圧倒的な人気がある。アメリカの顧客で12個“ヌード”を持っている人がいて、スペシャルボックスを作ったこともある。重ねづけしたり、いろいろな組み合わせが可能だから遊び感覚で楽しめるのよ。私も“ヌード”は全部欲しいくらいよ。私が初めて“ヌード”を買ったのは2004年。その後に仕事で昇格して2つ“ヌード”を買い足した。アメシストとアクアマリン、プラジオライトの3種類を持っているわ。以前は、ジュエリーは男性に買ってもらうものだった。ジュエリーを自分で買うということは、バッグやシューズを買うのとは違う。自分で選んで購入したジュエリーにはギフトよりも、そしてバッグやシューズよりも強い絆を感じるはず。現代女性は仕事を持ち、社交し、妻や母としての役割があるから超多忙でしょ。女性がジュエリーを自分のために購入するということは究極の自由を象徴していると思う。

WWD:「ポメラート」が他のジュエリーブランドと違う点は?

ベッリ:色がとても重要な要素を占めている。カラーのクリエイティビティーに長けていることと、クラフツマンシップによって仕上げられるセンシュアルなフォーム、イタリアらしい点。そして、日常的に朝から夜までつけられるファインジュエリーだという点。特別な時につけて、あとは金庫にしまっておくようなジュエリーではない。だから愛着も湧く。

WWD:さまざまなキャリアを持つ女性をキャンペーンに起用した理由は?

ベッリ:クラシックなモデルよりは、自分の人生を生きている女性の方が多くの女性から共感を得られるから。キアラはデジタル・アントレプレナーで、ポメラートウーマンを象徴する存在よ。

WWD:これからのラグジュアリービジネスに求められることは何か?

ベッリ:ミレニアル世代にとって、環境やサステイナビリティーは必須事項。その分野でラグジュアリー業界は重要な役割を担っていかなければならない。そういう意味でもケリング(KERING)の傘下であることはとても誇らしい。これからのラグジュアリーに必要なことは、その時代や世代にとって価値のあるものを提供できるかという点。15年前、ラグジュアリーは一部エリートのものだった。今は、若者が「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のスニーカーを履く時代。だから、商品と経験ともに新しい世代にアピールするものを作り出さなければならない。

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世界最大のファストファッション「ザラ」がもう一つ「早い」のは? ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース「インディテックスが2025年までにサステナ素材100%宣言」

読み解きポイント「変化への適応力」

ニュースのポイント

 「ザラ(ZARA)」を擁するインディテックス(INDITEX)社が株主総会で「ファストファッションと対極にある」と説明。サスティナビリティー推進を宣言。MIT大学などと提携し、2020年までに350万ドル(約3億7400万円)の研究開発費を投資。25年までに持続可能な素材を100%に引き上げる。

CKRはこう読む!

 「4週間」。「ザラ」の商品の平均販売期間です。月に一度お店を訪れる場合は、必ず新しい商品を目にすることになります。「欲しい」と思ったら、その場で買わないと同じ商品はなくなってしまいます。この新鮮さと枯渇感を醸成できていることが、今の「ザラ」の強みの一つです。

 ファストファションの定義を「最新の流行を採り入れ、低価格に抑えた衣料品を、短いサイクルで大量に生産・販売する」とした場合、「ザラ」は間違いなくファストファッション企業に分類されます。

 と同時に「サステイナブル」「ダイバーシティー」「インクルージョン」が時代の空気であることを読み取り、いち早く企業戦略を変え、行動を起こすファストなところも秀逸です。

 約40年の歴史を持つインディテックスの強みは、「変化への適応力」と「消費者が求め、売れるものをつくること」へのこだわり。創業50年である2025年、サステイナブルな企業と言えば、誰もがインディテックスをイメージするようになっているのか?今までにない購買体験をさせてくれるのか?楽しみです。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

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「ファッション」を捉えるために 2019年上半期出版のファッション関連書籍10選

 2019年上半期に出版されたファッション関連書籍から10冊を選んで紹介する。「ファッション」を多角的に捉えるために、ビジネスにおけるファッション、デザイナーから見たファッション、学問対象としてのファッションなど、あらゆる視座から書かれた書籍を分野を問わず取り上げる。

 それぞれの書籍ごとに、上半期に話題となったニュースやインタビューなどを中心に関連性のある記事を添えた。最新動向を追うことはもちろん大切だが、同時に大局を見渡すような視座も欠かしてはいけない。関連記事とあわせて、下記の10冊をお薦めしたい。

「アパレル・サバイバル」
(齊藤孝浩、日本経済新聞出版社)

 「ユニクロ対ZARA」(日本経済新聞出版社、2018)の著者である流通コンサルタントの齊藤孝浩氏が、10年後のファッション業界を描き出す。本書を最も特徴付けているのは、消費者のクローゼットが持つ可能性に注目した点。メルカリをはじめとする国内で躍進する企業は、クローゼットを最適化するサービスを展開することで消費者の購買行動を変えている。今後のファッション業界を生き残るためにも、書中で取り上げられたサービスを参考にしてもいいのかもしれない。強い主体性を発揮し始めた消費者に対してファッション業界は何ができるのか?その問いに対する答えを持てたなら、この業界で生き残れるのではないだろうか。

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アベノミクスが百貨店にもたらした変化
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「2030年アパレルの未来 : 日本企業が半分になる日」
(福田稔、東洋経済新報社)

 「誰がアパレルを殺すのか」( 杉原淳一、染原睦美、日経BP社、2017)にも通ずる刺激的な副題を持つ本書は、新テクノロジーを導入することによって起きうる変化を10項目に整理して解説する。イギリスのファッションビッグデータ解析サービスである「エディテッド(EDITED」やメンズスーツなどのカスタムオーダーを展開する中国の「衣邦人(YBREN.COM、イーバンレン)」、シンガポール発のファッションEC「ジリンゴ(ZILINGO)」など、テクノロジーを有効に活用して成功を収めている海外の新興企業の情報は必見。章末ごとにまとめられた要点は再読の際に助けになる。巻末には「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の森永邦彦デザイナーのインタビューも掲載している。

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ファッション業界に警鐘を鳴らす必読書「誰がアパレルを殺すのか」

「大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実」
(仲村和代・藤田さつき、光文社)

 「社会のありようを理解するには、『ごみ』を見るのが一番なのかもしれない」(P.123)。本書は昨今話題の大量廃棄問題について、食品とアパレルの2部構成で切り込んでいく。年間約10億着が捨てられているというファッション業界の現状を丁寧に掘り下げながら、飽和状態のリサイクル業者や外国人技能実習制度が抱える闇など周辺問題にも言及したジャーナリスティックな内容になっている。最終章では人々の消費行為に目を向け、消費者のモノとの関係性の築き方に議論を発展させる。衣・食の2つの観点から、この国で今起きている問題をこの本を通して直視してほしい。

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「アパレル素材企画 プロフェッショナルガイド」
(野末和志、繊研新聞社)

 アパレル素材の生産工程や流通形式、業界構造についてほぼ網羅的に解説する。これから業界に入りたいと考えている人や、すでに業界にいながらも知識不足を実感している人にとっては必携の1冊かもしれない。本書を読むと、衣服を作るには感性だけでなく知性も必要なのだとあらためて思い知らされる。縮小続く国内繊維業界や画一的な商品企画など、業界が抱える問題は山積みになっている。この1冊でアパレル生産に関する知識が完結するわけではないが、現状の課題に向き合うための糸口が見つかるかもしれない。もちろん業界の人間であるならば生産の現場に出向くことも肝要だ。

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「服を作る モードを超えて 増補新版」
(山本耀司・宮智泉、中央公論新社)

 「『僕は考えている』という服を作り続けなければ」(P.181)。本書は、山本耀司「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」デザイナーのクリエイションに対する哲学に迫っていく。2013年出版の内容に19年3月収録のインタビューなどを追加した増補版。100の質問や生い立ちから振り返るインタビューによって山本耀司の人間像を明らかにする。老いてますます盛んな山本耀司デザイナーの言葉はどれも刺激的で、特に新収録のインタビューは必読だ。山本耀司の変わらぬ思想の一端が見えてくるはず。「僕、まだやめられないです」(P.184)。

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NHKで山本耀司のドキュメンタリー 4カ月に渡り服作りの裏側を取材
ヨウジヤマモトの好調を支える主要20ブランド・ラインを大解剖

「“複雑なタイトルをここに”」
(ヴァージル・アブロー、倉田佳子・ダニエル・ゴンザレス 訳、アダチプレス)

 「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」のデザイナーであり、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」メンズ アーティスティック・ディレクターでもあるファッション界の最重要人物、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)がハーバード大学デザイン大学院で行なった特別講義の内容をまとめた1冊。理路整然としたヴァージルのデザイン論はファッションデザインにとどまらず、日常における思考法にもヒントを与えてくれる。ヴァージルの発言は右ページ、質問者の発言やスライドなどの画像は左ページにレイアウトされているため、読み進めやすい。

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「vanitas No.006」
(蘆田裕史+水野大二郎 責任編集、アダチプレス)

 ファッション批評理論の構築を目的としたファッション批評誌の約1年ぶりとなる最新刊。今号では「ファッションの教育・研究・批評」をテーマに、ファッション教育に携わる研究者やファッション批評の実践者へのインタビューなどを掲載している。そのほかにも、ファッションに関する論文やエッセイ、海外のファッション研究機関や展覧会を紹介するページなども充実している。10カテゴリーから選出されたファッション関連書籍のブックガイドは、未邦訳書籍なども数多く掲載されているため、これからファッション研究を志す人や世界の最新動向を知りたい人などにお薦め。

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「転生するモード デジタル時代のファッション(叢書セミオトポス14)」
(日本記号学会 編、新曜社)

 2017年に開催された日本記号学会のセッションをもとに編集された論集。雑誌媒体、ストリート、デジタルメディアにフォーカスした3部構成で、現代に至るまでの環境の変化とファッションの関係を読み解いていく。3部の大黒岳彦明治大学教授による流行構造の変化に関する指摘など、現在のファッションに対する理解の助けとなる内容も多い。学問的ではあるが専門的知識がなくとも読み通せる内容になっているため、学生だけでなく業界で働く人にも読んでほしい。

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「女性雑誌とファッションの歴史社会学 ビジュアル・ファッション誌の成立」
(坂本佳鶴恵、新曜社)

 雑誌は日本の女性にとってどのような意味があったのか。筆者は明治末期から1990年代までの女性雑誌の歴史的変遷とファッションの関係を追い、日本人女性に与えた影響を明らかにする。「アンアン(anan)」や「ノンノ(NON-NO)」に代表されるビジュアル・ファッション誌の登場は、女性が意識する役割や消費に対する認識の変化に少なからず関わっている。デジタルメディアの登場や購読者数の減少など、00年代以降の雑誌を取り巻く環境は大きく変わっているが、雑誌の歴史的意義を知ることで得られるものは多い。メディアや女性とファッションの関わりなどについて考える際の参考に。

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「『盛り』の誕生 女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識」
(久保友香、太田出版)

 日本独自の文化「盛り」。この遊戯的なビジュアルコミュニケーションは、常にビジュアル加工テクノロジーの進化とコミュニケーション手段の拡大とともにあった。1990年代の渋谷から雑誌、プリクラ、ブログ、インスタグラム、韓国コスメを巡り、筆者は「盛り」という現象を通して「日本人の美意識」に迫っていく。時代の当事者たちへのインタビューは当時の情景をありありと浮かび上がらせながら、本書の時代分析の精度を高めている。コミュニティーと「盛り」の関係についての考察など、これからの時代を見通す上でも欠かせない視点を多く提供してくれるはず。

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秋吉成紀(あきよしなるき):1994年生まれ。2018年1月から「WWDジャパン」でアルバイト中。

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