阪急メンズ東京3階に「フランチャコルタ」の常設バー誕生

 都心の百貨店はどんどん高級化している。そのターゲットは世帯年収で1000万円をすでに大きく上回り1500万円に達している店舗もありそうだ。そうした店舗で求められるのは、やはり「贅沢なゆとり」を感じさせるムードや品ぞろえだろう。私がニューヨークの百貨店でシャンパンのサービスに驚いたのは1990年初頭だが、2013年に伊勢丹新宿本店本館2階にシャンパーニュバー「ザ スタンド(THE STAND)」が登場した時も驚いた。場所は2階の婦人服と日本一と言われる靴売り場をつなぐところ。あれから6年経っても、このバーがなかなか盛況なところを見ると、日本も変わったと思う。

 その二番煎じではないが、今年3月にリニューアルオープンして随時手を加えている阪急メンズ東京の3階に、イタリア製スパークリングワインの最高峰である「フランチャコルタ(FRANCIACORTA)」のバーが7月31日に登場した。伊勢丹新宿本店がフランスのシャンパーニュバーならば、阪急はイタリアのフランチャコルタという具合である。また伊勢丹新宿本店が婦人服フロアに構えているのに対して、こちらはメンズの館というのも対照的だ。北イタリアのフランチャコルタ地方で瓶内2次発酵によって生産されるフランチャコルタは、シャンパーニュに匹敵するクオリティで手頃な価格が威力だ。生産地名をスパークリングワインの呼称にすることが許されているのは、ほかにフランスのシャンパーニュとスペインのカバ(CAVA)があるだけだ。

 コンテンポラリーなスタイルのバーには、特別にセレクトされたフランチャコルタのさまざまなブランドの「ブリュット」「ロゼ」「サテン」「ドサージュ ゼロ」(補糖なしの醸造)「リゼルヴァ」などのカテゴリーを提供する。ソフトドリンク、フードもある。

 メニューはフランチャコルタ(グラス、ブリュット)1200円~、生ハムグリッシーニ1000円、クロスティーニ(リエットとドライトマトのせ)800円、ナッツ500円、チョコレート500円、カボスビール500円、コーヒー(菓子付き)800円、ブラッドオレンジジュース(菓子付き)800円、サンペレグリノ(小)500円(中)700円。

The post 阪急メンズ東京3階に「フランチャコルタ」の常設バー誕生 appeared first on WWD JAPAN.com.

読者が注目した今週の新作 「グラミチ」 × 「ワンピース」など(8月2〜8日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。「ファッション部門」と「ビューティ部門」は読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ファッション部門」では「グラミチ(GRAMICCI)」 × 「ワンピース(ONE PIECE)」が最も注目され、「ビューティ部門」では「ジルスチュアート(JILLSTUART)」2019年秋メイクアップが1位に輝いた。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


【スニーカー部門】

The post 読者が注目した今週の新作 「グラミチ」 × 「ワンピース」など(8月2〜8日) appeared first on WWD JAPAN.com.

スマホで肌診断して、自分に合った化粧品をおすすめ アプリ「ビューティ」の狙いは?

 スマートミラー「ノベラ(NOVERA)」の開発などを行っているノベラは、スマートフォンを使用しての肌診断と、自身の肌に合った化粧品をブランド横断で提案してくれるアプリ「ビューティ(VIEWTY)」を、9月頃をめどにリリースするが、本リリースを前にβ版の先行体験者の募集を開始した。今回なぜ「ビューティ」を開発したのか。「ビューティ」は何を目指すのか。その狙いを遠藤国忠ノベラCEOに聞いた。

WWD:アプリ「ビューティ」の名称の由来は?

遠藤国忠CEO(以下、遠藤):見るという意味の“view(ビュー)”と“Beauty”をかけて「viewty(ビューティ)」という名称にしました。

WWD:「ビューティ」ではどういったことができるのか?

遠藤:スマホを使った肌診断と、その肌に合った製品のパーソナルな提案です。「自分の肌に合った化粧品を知りたい」「多くの化粧品があって何を買ったらいいか分からない」といった悩みを持つ人も多く、それを解決できればと思っています。百貨店の化粧品カウンターだとそのブランドの製品しかすすめられませんが、この「ビューティ」ではさまざまなブランドから自分に合った製品を提案してくれます。

WWD:実際にはどう使用する?

遠藤:「ビューティ」のアプリを起動して自身の顔を映すと、その画像をもとに、美容のプロが顔や肌状態を見てくれているかのように、その人に最適な化粧品を提案してくれます。アプリに搭載している“肌検知AI”は、現場で活躍されている美容のプロ100人以上にさまざまな肌データを見ていただいた上で、どのような判断を行うかという視覚的な判断を学習させていて、化粧品カウンターで見てもらっているかのような体験を可能にしています。今後、多くの人がこのアプリを利用すればするほど、肌検知精度並びに提案の納得感がさらに向上します。また、光の加減による見え方の違いや使用するスマホによって差異が出ないようにも学習させ、肌測定の精度を向上させていきます。

WWD:製品を提案するにはその製品のデータが必要だと思うが、化粧品メーカーから提供してもらうのか?

遠藤:基本的には化粧品メーカーからいただいたものと、自分たちで集めた「こういう肌の人はこの製品を使ってよくなった」といったデータを集めて、それを総合的に判断しておすすめするような仕組みになっています。その人に合った製品と、同じ肌質の人がどんなものを使用しているかが分かるようになっています。

WWD:肌データは数値で見られる?

遠藤:6項目くらいに分けて、それぞれデータで見られます。今の肌がいい状態なのか、自分に近い年齢の人と比べるとどうなのかが分かります。自分では敏感肌だと思っていたけど、実際診断してみると違うといったケースも多いと思いので、自分の肌を知ることが重要です。

WWD:著名な声優もキャストとして起用している。

遠藤:梶裕貴さん、諏訪部順一さん、福山潤さん、鳥海浩輔さん、柿原徹也さんによるボイス肌測定が可能となっています。本リリース後は有料ですが、β版では無料で体験できます。また「ノベラ」の発表時に要望が多かった女性キャストには渡部紗弓さんを起用しています。

WWD:本リリースの前にまずβ版の先行体験者を募集している。

遠藤:8月23日11時59分まで先行体験者を1000人ほど募集し、実際に8月26日12時~9月2日11時59分の期間体験していただく予定です。そのデータをもとに、本リリースを9月中にできればと考えています。

WWD:そもそも昨年10月11日にスマートミラー「ノベラ」の予約を開始していたが、そのスマートミラーの発売より先にアプリをリリースする理由は?

遠藤:ご予約いただいた皆さまには、「ノベラ」の発売が延期になってしまい大変申し訳ないと思っています。先にアプリ「ビューティ」をリリースする経緯としては、「ノベラ」では初日から多くの予約をいただきましたが、その際に「自分は自分の顔について分かっているようで、全然分かっていない。周りから言われる言葉はお世辞に聞こえる。でもこの鏡であれば正直に答えてくれる」など、この「ノベラ」という鏡に対して客観性・公平性とともに、日常で気軽に利用できるデバイスとしての期待が多く寄せられました。この期待に応えるためにも、根幹を支える技術であるAIを活用した肌検知の精度、およびその技術をもとにした化粧品提案の納得感をより高いレベルにする必要があると判断しました。そこで、まず「ビューティ」を多くの人に利用してもらい、そのデータを「ノベラ」の開発に生かす方がよりよいものになるのではないかと考え、今回アプリ「ビューティ」を先にリリースし、裏側のAIやレコメンド技術をさらに強化していく決断をいたしました。

WWD:スマートミラー「ノベラ」はいつ頃の発売を考えている?

遠藤:「ビューティ」の利用状況を踏まえてデータに何が足りないかを検証し、「ノベラ」としての機能や体験設計を検討してあらためてご案内させていただきます。

The post スマホで肌診断して、自分に合った化粧品をおすすめ アプリ「ビューティ」の狙いは? appeared first on WWD JAPAN.com.

「EC、やらなきゃヤバい」で始めるのがヤバい ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャーに勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かし、「このニュースからはコレが見える」という切り口でさまざまな記事につぶやきを添えます。

今日のニュース「EC、実店舗 アナタの悩み解決します!」

読み解きポイント「消費者が求めているのは“どちらにも寄らない”体験」

ニュースのポイント

 毎年恒例のEC特集では“オムニチャネル”をテーマに掲げ、店舗とECの最適な関係を追求している。今年はアパレル企業のEC担当者にアンケートを実施し、システムの課題やオムニ時代の販売員の役割などについて、ECのスペシャリストたちが回答。担当者のリアルな悩みや各社の事例からは、自社のビジネスに役立つヒントが見つかるはずだ。

AZUはこう読む!

 O2Oに始まりOMO、さらにはニューリテール(消費者体験を中心としたデータ・ドリブンなリテールモデル)なんて言葉も出てきているので、EC担当は言葉を追うので精一杯ですよね。そんな私たちも「ニューリテールプラットフォーム」を運営しているので、ECやオムニ担当者と話す機会が多いのですが、この特集に書かれているお悩みは、本当によく聞きます(笑)。「社内でオムニ施策が浸透しない……」「館との取り決めが……」「評価軸をどうすれば……」「現場の士気が上がらない……」などなど。こんなさまざまな苦労と努力のおかげでオンラインとオフラインのシームレスな購買体験が可能になっているので、いち消費者としては感謝しかありません!

 と、ヨイショはこれくらいにしておき(笑)、「なぜ、こうしたお悩みが尽きないのか?」を考えました。会話の中で感じるのは、「なんでやるか」を明確に設定しきれていないということです。SNS運用に関してもそうですが、「やらなきゃヤバいらしい」という感覚で始めても、目標設定や社内でのECの立ち位置は曖昧のまま。「ECを使って売り上げを伸ばしたいのは当たり前だけど、それ以外に求めるものってなんですか?」と聞きたくなります。そもそも「EC化率◯%」を目標にする時点で、シームレスな考え方ができていないのでは?とも思うのです。

 日本は「店頭で物を売る」ことからスタートしたので、後発のリテールモデルであるECはどうしても「追う姿勢」になってしまいますが、本当に必要なのは、消費者が自由に購買体験を選択できる環境です。そのためには「自分のブランドにとって、店頭はどのような役割でECはどの立場か?」を明確にしなければと思います。

 そんなこと、言われなくてもわかってるよ!とお叱りを受けそうですが、ECをとにかく伸ばさなきゃと考えている方には、P.11の「ANAP」の事例に書いてある「CPA(Cost Per Action=一人当たりの顧客獲得単価)的に考えると、実はリアル店舗は非常に効率がいい」というのが、何かのヒントになるのかなと思います。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

The post 「EC、やらなきゃヤバい」で始めるのがヤバい ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく appeared first on WWD JAPAN.com.

「現在に生きるためには、過去を知るべきだし、未来が何であるかも探るべきだ」 by ジャンニ・ヴェルサーチ

ジャンニ・ヴェルサーチ

 現在に生きるためには、過去を知るべきだし、未来が何であるかも探るべきだ。そうしなければ時代は表現できない。(Vol.116 1983年8月29日)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

The post 「現在に生きるためには、過去を知るべきだし、未来が何であるかも探るべきだ」 by ジャンニ・ヴェルサーチ appeared first on WWD JAPAN.com.

ファッション通信簿Vol.25 パリ・クチュール・ウイークのセリーヌ・ディオンを米「WWD」がめった切り

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第25回は、2019-20年秋冬パリ・オートクチュール・ウイークから、セリーヌ・ディオン(Celine Dion)が数々のハイファッションで登場。クチュール・ウイークの話題をさらったセレブクイーンの評価はいかに!?

The post ファッション通信簿Vol.25 パリ・クチュール・ウイークのセリーヌ・ディオンを米「WWD」がめった切り appeared first on WWD JAPAN.com.

「“モノを作って売る”がネット前提になった」 「MERY」創業者の中川綾太郎がD2Cに商機を見る理由

 近年、ファッション業界外の人物たちによるアパレル参入が加速している。キュレーションメディア「メリー(MERY)」運営会社のペロリ創業者で個人投資家の中川綾太郎もその一人だ。中川氏は2017年に自身の会社newn(ニューン)を設立。身長155cm以下の女性がターゲットの「コヒナ(COHINA)」や、リングブランドの「エラー(ERR.404.OR)」など、複数のD2C(Direct to Consumer)ブランドを運営している。なぜ、中川代表はnewnを創業し、D2Cビジネスに参入したのか?その理由に迫る。

WWD:newn創業の経緯は?

中川綾太郎newn代表(以下、中川):ペロリ売却後は個人投資家として活動していましたが、もともとウェブサービスを含め、モノやプロダクトを作るのが個人的に好きだったことと、未経験の分野を手掛けてみたいと思っていたことから起業しました。創業当時、僕の周囲のいわゆる天才的な人たちはAIやブロックチェーン、フィンテックなどに興味を向けていましたが、個人的にはあまり興味がなくて。テクノロジーがレバレッジポイントにはなるけど、本質は違うことに挑戦したいなと考えていました。

WWD:newnの現在の事業内容は?

中川: D2C事業のほか、チャット小説の「チャットノベル(CHAT NOVEL)」や音声プラットフォームの「スタンド.FM(STAND.FM)」といったアプリ事業ですね。音声は僕がある程度関わっていますが、社長・CEO=プロダクト開発者という一般的なスタートアップ企業のイメージとは異なり、僕はどちらかというと裏方的な存在です。僕ができることはマーケティングの仕組みづくりと経営管理全般、そして採用で、商品企画やデザイン、ブランディングなどは個々の担当者たちが手掛けています。newnは株式を保有し、さまざまなブランドや事業のバリューアップを行っていく、スタートアップスタジオのようなものです。

WWD:なぜ、D2C事業に参入したのか?

中川:インスタグラムやユーチューブの登場で、マーケティングチャネルが大きく変わる中で、“モノを作って売る”こと全体がネットネイティブになるという個人的な考えが背景にあります。従来のアパレルやメーカーはリアルな販路を前提としたビジネスモデルで、例えば在庫に関しては、店舗に並べるためにある程度積まなければならなかった。一方で、いわゆるD2Cと呼ばれるネット前提のブランドであれば、ウェブ上で販売予測をしたうえでの在庫管理ができる。さらには、「来店客はどのような人で、なぜこの商品を買ったのか」といったデータの取得や分析もしやすい。販路や売り上げる数量の部分を自社でコントロールできる新しいビジネスモデルに変わりつつある。なので自分もやってみたいな、と。

D2Cブランドは「マーケットのポジショニングが重要」

WWD:ネット前提のビジネスモデルを採っても、なかなかうまくいかないブランドもある。その理由をどのように捉えている?

中川:投資家として数多くのブランドの立ち上げと成長を見てきましたが、「顧客の課題をどう解決するのか」というマーケットのポジショニングと、ユーザーのインサイトの半歩先を捉えることがD2Cでは重要だと考えています。例えば18年に設立した「コヒナ」は、“身長155cm以下の小柄な女性の服”という明確な課題解決のための商品を作り、適切に提案することで現在は月商約5000万円にまで成長しています。逆に考えると、課題と解決法をしっかりと見出せれば、アパレル業界外の人間でも成功するチャンスがあるとも言えます。モノづくりのマーケットが非常に大きいのに対し、デザイン軸以外でアプローチするブランドがあまりなかったので。

WWD:運営ブランド数を増やす予定はあるか?

中川:もう少し増やしたいですね。最近では、雑誌「JJ」(光文社)の表紙にも登場している女優・山賀琴子さんのジュエリーブランド「エネルシア(ENELSIA)」も始めました。今後はnewnの傘下に収めるか、協業的な形か、もしくは完全内製の3つの方法のいずれかで新たに1、2ブランドをスタートできればと思っています。個人で始めたブランドで、モノ自体はすごく良いのに管理コストなどの問題から大きくならないところもある。それをnewnグループ内で一定の品質を保ち、マーケティングのノウハウを各ブランドでレバレッジさせられればいいなと思っています。

WWD:今後新たにスタートしたいブランドはどのような分野?

中川:大まかにはコスメや家具などのライフスタイル分野ですね。アパレルにこだわっているわけではなく、あくまで新しいことに挑戦してみたいという気持ちが強いです。

WWD:newnグループのブランドで、今後どの程度の流通額を目指している?

中川:5年後には100億円くらいになればいいなと思っています。先ほども言ったようにモノづくりのマーケットは非常に大きい。持続的なブランド運営やM&Aといった選択肢もあるため、無限の可能性があるはずです。

The post 「“モノを作って売る”がネット前提になった」 「MERY」創業者の中川綾太郎がD2Cに商機を見る理由 appeared first on WWD JAPAN.com.

狙うはグローバル、伊発ラグジュアリーレンタル「ドレクスコード」とは

 近年の消費者意識の変化には所有意欲の低下とサステイナビリティーに対する関心向上という2つの大きなトレンドがある。不要な購入はせず衣服を長く愛用することに消費者の意識が向く中で、米国では「レント・ザ・ランウェイ(RENT THE RUNWAY)」、日本では「エアークローゼット(AIRCLOSET)」などのレンタルサービスが台頭してきている。イタリア発のラグジュアリーレンタル「ドレクスコード(DREXCODE)」もその1つだ。ヴァレリア・カンブリア(Valeria Cambrea)=ドレクスコード共同創設者兼セールス部門長は「レンタルは所有できないものを欲することではなく、賢い選択と捉えられている」と語る。

 ドレクスコードは2015年に、ネスレ(NESTLE)やダノン(DANONE)、クラフト(KRAFT)など幅広い企業でマーケティングと経営経験を積んだ、フェデリカ・ストラーチェ(Federica Storace)共同創設者兼最高経営責任者(CEO)とカンブリア=セールス部門長が共同で創設。現在サイトでは55のブランドを取り扱い、顧客は25万人、リピートオーダーは35%以上だ。同社は今年に入りイタリア・ラグジュアリー製品協会(ALTAGAMMA)のヤング・エンタープライズ賞も受賞している。

 「ドレクスコード」でユーザーは小売価格の10~15%の料金で、特別なオケージョンに合わせてラグジュアリードレスを4~8日間借りることができる。返却や洗濯、事前トライアル、代替サイズのレンタルは無料で、仕立ての変更やスタイリストのアドバイスには追加料金が発生する。利用可能なドレスは常時2000点ほどで、ミラノに倉庫と社内在庫品を有し、EU全域からのオーダーに対応する。売り上げの20%は開始当初からのカテゴリーであるイブニングドレスが占めるという。

 チャットや電話、eメールを通じた消費者とのダイレクトなコミュニケーションにも重きを置いており、ミラノの老舗百貨店ラ・リナシェンテ(LA RINASCENTE)にショールームストアを、ブレラ地区には一時的な店舗を構える。「サービスは私たちの強みだ」とカンブリア=セールス部門長は言う。

 「オンライン・ラグジュアリーが主流になりつつあると気づき、またウーバー(UBER)やカーシェアリング、エアビーアンドビー(AIRBNB)の登場で、イタリアでも消費者がシェアリング・エコノミーに向かっていることを実感していた」とストラーチェCEOは本社でのインタビューで語り、サイトはマーケットプレイスではなく、定期的にラグジュアリーブランドの最新コレクションから卸売価格で在庫を購入しており「購入はデータに基づいて判断している」とも説明した。

 同社にとってサイトは強力なマーケティングツールでもあり、顧客の31%が新たなブランドを試したいと回答した際は「モスキーノ(MOSCHINO)」や「ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)」「ヴィヴィアン・ウエストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)」など既に取り扱っている著名なブランドに代わる選択肢として「イリス・セルバン(IRIS SERBAN)」や「マリア・ルチア・ホーハン(MARIA LUCIA HOHAN)」といった知名度の低いブランドを追加した。

 同社によればスタイリストも含む同社の顧客の60%は“ファッションを理解している、いそがしい社交生活を送る”働く女性で、25~40歳の2500人を対象とした調査では78%が「2つの異なる特別なオケージョンで同じドレスを着ない」と回答した。「インスタグラムは人々の見え方や見せ方を変え、女性は今や2つの場で同じデザインを着て写真を撮られることを望まない」とカンブリア=セールス部門長は話す。

 最近ではミレニアル世代の顧客を引きつけるため、100ユーロ(約1万2100円)前後の料金のドレスも取り扱う。ストラーチェCEOは「今も特別なオケージョン需要を狙っているが、アペリティフタイムやディナー、それにガラやウェディングまで範囲を拡大している」とも言及した。
 
 「ドレクスコード」はミラノでの旗艦店オープンを見据える一方、は過去2年間で50%以上の成長が見られた国外事業の拡大を推進する。「昨年9月から今年の2月にかけて8000件のオーダーがあった」という。またロンドンでのポップアップ開催に照準を合わせると同時に、ファッション性とカスタマイズ性向上のためサイトをアップデートし、アクセサリーとカスタムジュエリーの取り扱いも拡大する。「私たちは機能的なニーズを満たすところから始まり、今は満足度の向上へとステップアップしている」とストラーチェCEOはコメントした。

大根田杏(Anzu Oneda):1992年東京生まれ。横浜国立大学在学中にスウェーデンへ1年交換留学、その後「WWD ジャパン」でインターンを経験し、ファッション系PR会社に入社。編集&PRコミュニケーションとして日本企業の海外PR戦略立案や編集・制作、海外ブランドの日本進出サポート、メディア事業の立ち上げ・取材・執筆などを担当。現在はフリーランスでファッション・ビューティ・ライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を行う。

The post 狙うはグローバル、伊発ラグジュアリーレンタル「ドレクスコード」とは appeared first on WWD JAPAN.com.

「信頼形成はオフライン」ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース「EC特集2019 EC、実店舗 アナタの悩み解決します」

読み解きポイント「オフラインこそ信頼形成の場」

ニュースのポイント

 店舗とECの補完・融合をどう進めるか。「WWDジャパン」がアパレル各社のEC担当に取材。顧客との関係強化、販売促進、効率的な在庫管理といった狙いに対する、2019年度の各社の取り組み、状況や課題をレポート。

CKRはこう読む!

 「1340万人」。記事にもある「MUJIパスポート」の国内会員数です。サービスを開始して9年。重みを感じる数字です。良品計画が今年注力するのは「オフライン」。ここにオムニコマースのヒントが隠されています。

 スマートフォンを持ち歩く生活は、常にオンラインの状態。だからこそ、オフラインであるリアルな場所が、企業と顧客、両者の信頼形成において重要なタッチポイントとなります。気分が落ち込んだとき、たまたま入ったカフェでコーヒーを頼んだら、「新作のチョコ始めました、お試しにいかがでしょうか?」と笑顔でプレゼントされて、ほっこり。こんな体験は、店舗でしかできません。

 投資の世界では、顧客との接点を持つ企業の価値がどんどん上がっています。すでにファンを抱えるアパレル企業は、大きな可能性を秘めているとも言えます。 

 あとはテクノロジーの使い方。評価のためにどんなデータを取得するのか?この設計が大切です。例えば、接客数だけを評価軸にすると、数をこなせばいいという雑な接客になってしまいます。そこに顧客一人あたりの対応時間を加えれば、質の高い顧客対応も可能です。

 それぞれの企業のビジョンにあった取り組みを楽しんでブラッシュアップしていくこと。これがオムニコマースで一番大事なポイントかもしれませんね。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中

The post 「信頼形成はオフライン」ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく appeared first on WWD JAPAN.com.

8セレクトショップが提案する2019-20年秋冬リアルトレンド “きっちり感”が鍵

 各セレクトショップが打ち出す2019-20年秋冬は、スポーツやストリートのムードが落ち着き、ぐっとクラシックでフェミニンなムードにシフトしている。ジャケットやセットアップ、ボウタイブラウスが充実しており、着崩すよりもキチンと着こなすレイヤードスタイルの提案が目立つ。色柄ではベージュからブラウンが基調、バリエーション豊かなチェックやヒョウ柄などの動物柄がよく見られた。8つのセレクトショップから、19-20年秋冬のトレンドを総括する。

トゥモローランド
透ける&揺れるアイテムで楽しむ

 強化アイテムは、コート、スカート、ワンピースで、“ドラマチックな日常”のためのアイテムをそろえる。コートは肩が落ちたゆったりとしたシルエットで、Aラインやドレープが生きるたっぷりとしたものをラインアップ。スカートはミディ丈を幅広くそろえ、ワンピースはデイリーからオケージョン対応までをそろえる。スタイリングは少々詰まった首元がポイントで、ハイネックのカットソーやニットにワンピースやブラウスを合わせたスタイルを提案する。

ロンハーマン
ニットは1.5倍に拡充

 セットアップやアウター、ハンドニット、別注品までニットのバリエーションを幅広くそろえる。アウターは、ポンチョやPコート、毛皮や人工ファーのブルゾンなどショート丈のアウターから、大人のためのダッフルコートまでを用意。ボトムスはプリーツスカートとオーバーオールをそろえる。コーディネートは、リブニット × スエット、セットアップ × ケープなどのレイヤードスタイルを提案。柄はチェックのバリエーション、ヒョウ柄や小花、タイダイを打ち出す。

イエナ
フレンチスタイルでアプローチ

 今季、クラシック傾向が強まったことを受けて「イエナ」が得意とするフレンチスタイルを見直す。秋冬でもキチンと着られるシャツや、ウールやレザーなどのセットアップをそろえ、ボウタイブラウスやベルトをキーアイテムに“着崩すのではなくキッチリ固める”スタイリングを提案する。キーカラーはベージュからブラウンをベースに差し色としてイエローを選択。素材は、レザー × ウール × レースといった異素材ミックスを、柄はチェックとペイズリーとの柄ON柄をそろえる。

インターナショナルギャラリー 
ビームス
ボリュームのある重ね着を提案

 チロリアンコートやチャイナコートなど伝統的な要素を控えめかつ現代的に表現したウエアがそろう。スタイリングは同業態としては久しぶりに重ね着を提案する。特にたっぷりとしたスカートなどボトムスのボリューム感がポイントだ。キーカラーは、くすみイエロー、ブルー、ブラウン。

エストネーション
“ニューアウター”を打ち出す

 “ノマディック”をテーマに、70年代や80年代のムーブメントや多様性を表現する。コートに移るまでのアウターを充実させ、とくにジャケットはシルエットや素材のバリエーションを広げ“ニューアウター”としてコートの前の羽織り物として打ち出す。また、ボウタイやスカーフなど首回りの装飾を提案し、温度調節ができるようなニットのレイヤードスタイルを紹介する。カラーパレットは、ベージュからブラウンを主軸に、イエローやテラコッタ、ロイヤルブルー、ピスタチオグリーンなど。柄はチェックやアニマルに加えてペイズリーを用意する。

ドゥーズィエム クラス
セレブの機内スタイルを表現

 3つのテーマで提案。1つ目のテーマは“ラグジュアリートリップ”で、セレブリティーの機内のリラックススタイルを表現する。ブルゾンやフード付きのムートンコートなど、カジュアルに着られるファーアイテムを強化する。2つ目のテーマは“Every day I like”。トラッドをベースにストリートウエアの要素を取り入れ、スポーティーにキレイに着こなせるコーディネートを提案する。3つ目は“ドゥーズィエム クラスのベーシック”。ダブルフェースのコートやニットなどベーシックなアイテムが並ぶが、素材の光沢感を生かして女性らしいつやっぽいアイテムに仕上げた。いずれもカラーパレットはベージュからブラウンが基調。

バーニーズ ニューヨーク
女性のための“勝負服”を用意

 女性が自分のパワーを表現するための“勝負服”を提案する。なかでもセットアップを強化。テーラードジャケットとトラウザー、ジャケットとドレス、シャツとパンツ、ニットなど幅広いセットアップをそろえる。アウターはブルゾンよりもコートをラインアップ。ファーアイテムを減らし、着丈が短めで早い段階から着られるコートを充実させる。

フリークス ストア
汎用性の高いアイテムを強化

 “ユニバーサリズム(UNIVERSALISM)”をテーマに、時代や地域、新しさと古さ、色や柄などをミックスしたスタイルを提案する。ウィメンズではオン・オフ両用の汎用性の高いワンピースや着回しが利くアイテムのバリエーションを強化。また、別注品の指示も高く、今季「ペンドルトン」とはウエアだけではなくソファや椅子まで幅広く取り組む。

The post 8セレクトショップが提案する2019-20年秋冬リアルトレンド “きっちり感”が鍵 appeared first on WWD JAPAN.com.

木村カエラがデビュー15周年を振り返る 「ポジティブであり続けるために未来しか見ない」

 2004年にデビューして今年15周年を迎える木村カエラ。7月31日には、全て新曲となるニューアルバム「いちご」を発売する。今回のアルバムでは、Charaやあいみょん、AAAMYYY(エイミー)といった女性ミュージシャンとコラボ。「常に新しい自分でありたい」と語る彼女に、この15年間の思いを語ってもらった。

WWD:デビューから15年。この15年は長かった? それとも短かった?

木村カエラ(以下、木村):短かったです。あっという間でした。

WWD:その中で一番思い出に残っていることは?

木村:デビューできたときはもちろんうれしかったですが、5周年のライブを横浜の赤レンガ倉庫でやったこと。ちょうど「Butterfly」をリリースした時期で、多くの人が集まってくれた光景は今でも忘れられないですね。周年ごとのライブは思い出に残っていて、やるたびにまた次もがんばろうとパワーをもらえます。

WWD:デビューしたときに、15年続けるというのは想像していた?

木村:デビューするときに周りの大人たちに「女性アーティストは10年続けるのは難しい」と言われて、それが悔しくて絶対に10年は続けてやると決意してスタートしたんですが、気が付けば15年たちました。

WWD:15周年のアルバム「いちご」を7月31日にリリースする。アルバムタイトルの「いちご」はすぐ決まった?

木村:すぐ決まりました。1と5で「いちご」。タイトルはだいぶ前から決まっていて、それに合わせて“カエラ姫”という新種のいちごを作ろうという話もあったんですが、そっちは全然進行しなかったです(笑)。

 

WWD:アルバムの表題曲でもある「いちご」は木村カエラさんが作詞作曲を手掛けた。その思いは?

木村:アルバム「いちご」は全てオリジナルの新曲なのですが、当初からタイトル曲は自分で作詞作曲をしようと考えていました。15年で成長できたことと感謝の気持ちをこの「いちご」という曲には込めました。

WWD:アルバムではCharaさんやあいみょんさんなどともコラボしている。どういう経緯でコラボが決まった?

木村:このアルバムを作るときに、“常に新しい自分でいたい”という気持ちからスタートしています。これまでに積み上げてきたものを一度なくして、また一から作り始めるといったイメージ。15年やっていると後輩もできるし、逆にずっと先を走っている先輩もいて、今回はリスペクトする後輩、先輩と一緒に作品を作って、新しく生まれ変わっていけたらいいなという思いでコラボしました。

WWD:Charaさんとは「ミモザ」と「曖昧 me」の2曲でコラボしているが、これは最初から2曲とお願いした?

木村:最初は1曲のつもりでした。Charaさんにははじめ、「ミモザ」という曲をやりたいと相談したんです。それで2人でいろいろと曲について話し合っていると、Charaさんからたくさんデモがあがってきて、その中に歌いたいなと思ったのが2曲あったので、「2曲使わせてもらっていいですか?」ってお願いをして、それで2曲コラボすることになりました。

WWD:あいみょんさんとは「Continue」という曲でコラボしている。

木村:彼女が生み出す歌とか言葉がすごく好きで、デビューしたときはすばらしいアーティストが出てきたなと思いました。女性が応援したくなるアーティストですよね。あいみょんちゃんは、これまではソロの女性アーティストには楽曲提供をしてこなかったみたいなんですが、「カエラさんなら書きます」と言ってもらえました。彼女は曲と詞を同時に書くので、私が伝えたいことを言って、歌詞に入れてもらいました。年を重ねていくこと、それが“おばさん”っていう言葉だったりするんですが、そういうことをポジティブに歌っていけたらいいなと2人で話しながら作っていきました。

WWD:ジャケットもアーティスト写真も、アートディレクションはとんだ林蘭さんが手掛けた。以前からお付き合いはあった?

木村:グッズのデザインをやってもらったり、ファンクラブ向けの会報誌ではコラボをしていました。個展にも行ったりしています。「いちご」って聞くとかわいらしいイメージになるので、少し毒っぽさが入った方がいいなと思って、アルバムのADはとんださんがいいなと思ってお願いしました。

WWD:このアルバムを通して伝えたいことは?

木村:「続けていくためには変わっていくことが必要」ということかな。自分が変わっていくことが、続けていくことにつながる――そんな思いが詰まっていると思います。

WWD:木村さん自身変わっていくことで、ファンが離れていく怖さは?

木村:全然ありますよ。でも結果としてそれでよくなればファンも増えていくと思うんです。でも変わっていくことが私にとってすごく大切なことだから、ファンの人にはそんな私にもついてきてほしいです。

楽しいことにたどりつくために、つらいことも乗り越えられる

WWD:15年でつらいこともあった?

木村:それはたくさんありました(笑)。楽しいことも、つらいこともありました。でも結局、楽しいことにたどりつくためにがんばっているんだと思う。つらいことも多いけど、それを乗り越えると楽しいことが待っているからやっていられる。その繰り返しですね。

WWD:カエラさんは常にポジティブなイメージ。

木村:それはよく言われます(笑)。先のことしか見ないようにしていて、終わったことは引きづらないようにしています。あとは後悔しないために一生懸命やること。常に未来を見ておけば先に進むしかないし、過去は変えられないけど、未来は自分で変えられる。変えられることしか見ないように心がけています。

WWD:少し話題を変えて、木村カエラさんといえば個性的なヘアスタイルとヘアカラーも特徴的だが、こだわりはある?

木村:そうですね。でも意外とこだわりはないですよ(笑)。

WWD:ヘアは気分によって変えている?

木村:ヘアカラーがすごく好きで、気分というよりは作品によって色を変えています。今回いちごで、いちごと言えば赤じゃないですか。だから最近はずっと赤髪です。例えばカミナリっぽいってなると、黄色とか。自分が作品から見えてきた色でヘアカラーも変えて、作品に関わっている期間はその色を続けています。

WWD:今までで一番気にいっている色は?

木村:赤っぽい色は気分が上がるから好きなんですが、前に真っ青にしたことがあって。やってみたらすごくしっくりときて、そのときの青髪が気に入っています。

WWD:モデルとしても活躍していたが、ファッションのこだわりは?

木村:あまり人と同じ格好をするのは好きじゃなくて、かぶらないファッションは心掛けています。古着が好きで、ブランドものと古着をミックスしてコーディネートすることが多い。あとは自分のサイズに合っていることも意識しています。

WWD:最後に15年前の自分にアドバイスするとしたら、何と伝える?

木村:15年前の私はすごく人見知りで、あいさつが全然できなかったんです。しかもモヒカンとかで、テレビ局では「あいさつができない生意気なやつ」で有名でした(笑)。本当に極度の人見知りで、目を見て話せないし、自分ではあいさつはしているつもりだったんですけど、テレビはたくさん初めましての方にお会いするので本当に苦手でしたね。だから「あいさつはしっかりしなさい」って伝えたいですね(笑)。

The post 木村カエラがデビュー15周年を振り返る 「ポジティブであり続けるために未来しか見ない」 appeared first on WWD JAPAN.com.

木村カエラがデビュー15周年を振り返る 「ポジティブであり続けるために未来しか見ない」

 2004年にデビューして今年15周年を迎える木村カエラ。7月31日には、全て新曲となるニューアルバム「いちご」を発売する。今回のアルバムでは、Charaやあいみょん、AAAMYYY(エイミー)といった女性ミュージシャンとコラボ。「常に新しい自分でありたい」と語る彼女に、この15年間の思いを語ってもらった。

WWD:デビューから15年。この15年は長かった? それとも短かった?

木村カエラ(以下、木村):短かったです。あっという間でした。

WWD:その中で一番思い出に残っていることは?

木村:デビューできたときはもちろんうれしかったですが、5周年のライブを横浜の赤レンガ倉庫でやったこと。ちょうど「Butterfly」をリリースした時期で、多くの人が集まってくれた光景は今でも忘れられないですね。周年ごとのライブは思い出に残っていて、やるたびにまた次もがんばろうとパワーをもらえます。

WWD:デビューしたときに、15年続けるというのは想像していた?

木村:デビューするときに周りの大人たちに「女性アーティストは10年続けるのは難しい」と言われて、それが悔しくて絶対に10年は続けてやると決意してスタートしたんですが、気が付けば15年たちました。

WWD:15周年のアルバム「いちご」を7月31日にリリースする。アルバムタイトルの「いちご」はすぐ決まった?

木村:すぐ決まりました。1と5で「いちご」。タイトルはだいぶ前から決まっていて、それに合わせて“カエラ姫”という新種のいちごを作ろうという話もあったんですが、そっちは全然進行しなかったです(笑)。

 

WWD:アルバムの表題曲でもある「いちご」は木村カエラさんが作詞作曲を手掛けた。その思いは?

木村:アルバム「いちご」は全てオリジナルの新曲なのですが、当初からタイトル曲は自分で作詞作曲をしようと考えていました。15年で成長できたことと感謝の気持ちをこの「いちご」という曲には込めました。

WWD:アルバムではCharaさんやあいみょんさんなどともコラボしている。どういう経緯でコラボが決まった?

木村:このアルバムを作るときに、“常に新しい自分でいたい”という気持ちからスタートしています。これまでに積み上げてきたものを一度なくして、また一から作り始めるといったイメージ。15年やっていると後輩もできるし、逆にずっと先を走っている先輩もいて、今回はリスペクトする後輩、先輩と一緒に作品を作って、新しく生まれ変わっていけたらいいなという思いでコラボしました。

WWD:Charaさんとは「ミモザ」と「曖昧 me」の2曲でコラボしているが、これは最初から2曲とお願いした?

木村:最初は1曲のつもりでした。Charaさんにははじめ、「ミモザ」という曲をやりたいと相談したんです。それで2人でいろいろと曲について話し合っていると、Charaさんからたくさんデモがあがってきて、その中に歌いたいなと思ったのが2曲あったので、「2曲使わせてもらっていいですか?」ってお願いをして、それで2曲コラボすることになりました。

WWD:あいみょんさんとは「Continue」という曲でコラボしている。

木村:彼女が生み出す歌とか言葉がすごく好きで、デビューしたときはすばらしいアーティストが出てきたなと思いました。女性が応援したくなるアーティストですよね。あいみょんちゃんは、これまではソロの女性アーティストには楽曲提供をしてこなかったみたいなんですが、「カエラさんなら書きます」と言ってもらえました。彼女は曲と詞を同時に書くので、私が伝えたいことを言って、歌詞に入れてもらいました。年を重ねていくこと、それが“おばさん”っていう言葉だったりするんですが、そういうことをポジティブに歌っていけたらいいなと2人で話しながら作っていきました。

WWD:ジャケットもアーティスト写真も、アートディレクションはとんだ林蘭さんが手掛けた。以前からお付き合いはあった?

木村:グッズのデザインをやってもらったり、ファンクラブ向けの会報誌ではコラボをしていました。個展にも行ったりしています。「いちご」って聞くとかわいらしいイメージになるので、少し毒っぽさが入った方がいいなと思って、アルバムのADはとんださんがいいなと思ってお願いしました。

WWD:このアルバムを通して伝えたいことは?

木村:「続けていくためには変わっていくことが必要」ということかな。自分が変わっていくことが、続けていくことにつながる――そんな思いが詰まっていると思います。

WWD:木村さん自身変わっていくことで、ファンが離れていく怖さは?

木村:全然ありますよ。でも結果としてそれでよくなればファンも増えていくと思うんです。でも変わっていくことが私にとってすごく大切なことだから、ファンの人にはそんな私にもついてきてほしいです。

楽しいことにたどりつくために、つらいことも乗り越えられる

WWD:15年でつらいこともあった?

木村:それはたくさんありました(笑)。楽しいことも、つらいこともありました。でも結局、楽しいことにたどりつくためにがんばっているんだと思う。つらいことも多いけど、それを乗り越えると楽しいことが待っているからやっていられる。その繰り返しですね。

WWD:カエラさんは常にポジティブなイメージ。

木村:それはよく言われます(笑)。先のことしか見ないようにしていて、終わったことは引きづらないようにしています。あとは後悔しないために一生懸命やること。常に未来を見ておけば先に進むしかないし、過去は変えられないけど、未来は自分で変えられる。変えられることしか見ないように心がけています。

WWD:少し話題を変えて、木村カエラさんといえば個性的なヘアスタイルとヘアカラーも特徴的だが、こだわりはある?

木村:そうですね。でも意外とこだわりはないですよ(笑)。

WWD:ヘアは気分によって変えている?

木村:ヘアカラーがすごく好きで、気分というよりは作品によって色を変えています。今回いちごで、いちごと言えば赤じゃないですか。だから最近はずっと赤髪です。例えばカミナリっぽいってなると、黄色とか。自分が作品から見えてきた色でヘアカラーも変えて、作品に関わっている期間はその色を続けています。

WWD:今までで一番気にいっている色は?

木村:赤っぽい色は気分が上がるから好きなんですが、前に真っ青にしたことがあって。やってみたらすごくしっくりときて、そのときの青髪が気に入っています。

WWD:モデルとしても活躍していたが、ファッションのこだわりは?

木村:あまり人と同じ格好をするのは好きじゃなくて、かぶらないファッションは心掛けています。古着が好きで、ブランドものと古着をミックスしてコーディネートすることが多い。あとは自分のサイズに合っていることも意識しています。

WWD:最後に15年前の自分にアドバイスするとしたら、何と伝える?

木村:15年前の私はすごく人見知りで、あいさつが全然できなかったんです。しかもモヒカンとかで、テレビ局では「あいさつができない生意気なやつ」で有名でした(笑)。本当に極度の人見知りで、目を見て話せないし、自分ではあいさつはしているつもりだったんですけど、テレビはたくさん初めましての方にお会いするので本当に苦手でしたね。だから「あいさつはしっかりしなさい」って伝えたいですね(笑)。

The post 木村カエラがデビュー15周年を振り返る 「ポジティブであり続けるために未来しか見ない」 appeared first on WWD JAPAN.com.

ドーバー銀座の本屋さん アート本とZINEが一緒に並ぶ“カオス空間”

 東京・銀座のセレクトショップ、ドーバー ストリート マーケット ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA 以下、DSMG)の新たな書籍スペース、ビブリオテカ(BIBLIOTECA)をのぞいてきました。7階のカフェ、ローズベーカリー(Rose Bakery)の正面にあったアート本のスペースを刷新。老舗のラグジュアリーブランドから若手デザイナーズブランド、ストリートブランドが一緒に並ぶDSMGらしく、有名アーティストによる写真集から、個人が衝動的に制作したZINEが一緒に並ぶミックス間のある書籍スペースになっています。

 1000円台のZINEや数万円の希少なアート本も一緒に置いてありますが、基本的には立ち読みもOK。29日に行われたレセプションでは、人気書店のような光景になっていました。

 キュレーターは人気のイベント「東京アートブックフェア(TOKYO ART BOOK FAIR)」の仕掛け人で、洋書のアートブックを中心に取り扱う書店ポスト(POST)の代表の中島佑介さんと、出版社のトゥエルブブックス(twelvebooks)の代表を務める濱中敦史さんの2人です。オープン直後は60以上の出版社から200種類近いアート本や写真集、「東京アートブックフェア」の出展ものから選ばれたZINEが並んでいます。

 中島さんはもともとDSMGの3階にあった書籍スペースの選定も担当しており、今回の移転リニューアルに伴って、書籍をテーマで選ぶのではなくたくさんのジャンルを置くことで「本の多様性を表現しようと考えました」と言います。「写真集でも、デザイン本とインテリア本でもあるような、ジャンルを超えているものが増えていて、また自費出版であるZINEの表現力が豊かになっています。あえてカテゴライズせずにアート本とZINEを並列に配置しながら、隣り合う本の関係性を見出せて、お互いに共鳴し合ってよく見えるようなせるようなディスプレーを心掛けています」と話します。

 濱中さんは本の選定について「中島さんに内容を伝えずに、バラバラに選んでいますが、あえて王道のファッションの写真集などは置かないように決めていました。DSMGはファッションが好きな人だけでなく、カルチャー全般が好きな人、アーティストまで世界中から多くの人が集まる場所です。特定の人気デザイナーの本は持っている人も多い。それならば、お客さまが見たことないもの、インスピレーションを得られるようなかっこいいビジュアルや、驚いたり、おもしろいと思ってもらえるような本を提案したい。今後も商品ラインアップは変わっていくため、来るたびに異なる作品を見つけられるようなスペースになっていきます」と語っていました。

 濱中さんが教えてくれたオススメの本は、ラフ・シモンズ(Raf Simons)との協働でも知られる現代美術家のスターリング・ルビー(Sterling Ruby)による作品集。表紙にブリーチした生地が貼られていて一つ一つ表情が異なるものから、1ページずつ異なる絵がシルクスクリーンで手刷りされているものまで、本自体が作品となっている希少な本が並びます。

 空間デザインは「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」の川久保玲デザイナーが手掛けています。クリアケースを積み上げた本棚は、大きさも形も個性もバラバラな本を境界線なく陳列でき、まるでDSMGの小宇宙。本が浮いているようにも見えます。

 また、ビブリオテカの側の下りエスカレーター正面には新たなビジュアル展示スペースが登場しました。初回の展示は1階のエレファントスペースにもいる象徴的なゾウの写真にロゴを載せているもの。撮影したら、中にゾウがいるように見えてビックリしましたが、これはポスターです。DSMG担当者いわく、「広告のようにビジュアルが変わっていく」ということなので、このビジュアルの変化も、同店を訪れたときの楽しみにしたいと思います。

The post ドーバー銀座の本屋さん アート本とZINEが一緒に並ぶ“カオス空間” appeared first on WWD JAPAN.com.

百貨店の弱点、ECを三越伊勢丹はどう強化する? 新宿のド真ん中に撮影スタジオ開設

 三越伊勢丹は、伊勢丹新宿本店から目と鼻の先にあるパークシティ伊勢丹1の1、2階を改装し、4月から“ささげ”(商品をECサイトに掲載するための撮影、採寸、原稿書き作業のこと)用の施設「イセタン スタジオ」として稼働している。通常はささげ施設というと、家賃の安い郊外のEC用物流倉庫などに併設されている場合が多いことを考えると、同スタジオは驚きの好立地だ。三越伊勢丹に限らず、百貨店は長らくECを中心としたデジタル対応の遅れを弱点として指摘されてきたが、新宿のど真ん中のスタジオを起点に、同社はどのように巻き返しを図るのか。

 6月下旬に「WWDジャパン」のインタビューに答えた杉江俊彦・三越伊勢丹ホールディングス社長は、「われわれの未来への答えは、恐らくここ(デジタル改革)にしかない」とデジタルへの注力を強調した。三越伊勢丹は“デジタルトランスフォーメーション”と呼ぶ改革をこの間急ピッチで進めている。2018年10月に改装オープンした三越日本橋本店では、コンシェルジュを大幅増員。従来は販売員が主に属人的に把握していた顧客情報を社内ツールで共有することで、売り場やフロアを超えて、きめ細かな接客ができるようにした。このように、デジタルの力を使って売り方そのものを変えていくのが同社の目指すデジタル改革だ。

20年3月期中に社員150人がスタジオに勤務する体制に

 デジタルを活用し、実店舗とオンラインでシームレスに顧客満足を高めるという点では、もちろんECの充実も欠かせない。杉江社長は5月に行われた19年3月期決算会見や、その半年前の19年3月期中間決算会見などで、「店頭にある全商品をECサイトに載せていく」ことを目標として繰り返し語ってきた。「イセタン スタジオ」はまさにそれを実現するための施設だ。

 新宿5丁目東交差点横のスタジオは、2フロア構成で作業面積は約750平方メートル。撮影する商品はまず2階に搬入され、検品、採寸、撮影と順次レーンをまわっていく。撮影のみが必要な商品(採寸や原稿作成はメーカー側が自社EC用に既に行っており、それを三越伊勢丹にも共有する場合など)は翌日には商品を返却。撮影、採寸、原稿作成のささげフルセットが必要な場合は5日間で返却するという。スタジオに搬入するタイミングは商品に合わせて細かく調整し、販売の機会ロスが起こらないよう努めている。

 一般的に、ささげ作業は専門業者に外注する小売り企業やメーカーが多い。実際、イセタン スタジオでも外部業者が働いているが、三越伊勢丹社員も約50人がささげ作業に携わっており、施設が本格稼働する20年3月期中にはさらに社員を100人増員する。19年秋以降に閉鎖する伊勢丹相模原店、府中店などの社員がその一部を占める予定だ。その頃には、作業面積も400平方メートル拡大する。

 「作業に慣れない社員がささげを行うことは非効率ではないか」「この立地をささげスタジオに充てることも、社員がささげを行うことも、高コスト体質を象徴している」といった厳しい意見もあるが、一方で「これまで店頭で接客をしてきた社員がささげを行うことで、接客のノウハウが写真やテキストで商品をどう伝えるかという意識として生かされている」と、スタジオを管轄する近藤詔太・三越伊勢丹MD統括部シームレス推進部部門長は強みを話す。増員後はスタジオをシフト制にして年中稼働させ、年間20万型の商品情報をウェブにアップしていくという。

「ECで売ることにはこだわらない」に軌道修正した理由は?

 ただし、決算会見で杉江社長が繰り返し語ってきた「店頭の全商品をECサイトに載せる」という目標は、現状は一旦保留状態のようだ。というのも、杉江社長は6月末のインタビューで、「今まではとにかくECで商品を売ろうと思っていたが、それでは労力ばかりがかかってきりがない。ECで売るということにはあまりこだわっていない」「今のお客さまは買い物の前にネットで情報検索する。現状は店頭の商品をウェブで見ることができず、検索しても出てこない。だからまずは、店頭と同等の商品情報をウェブに載せていく」との方針を話した。

 即座の全EC化は難しいと判断し、まずは商品情報のウェブ掲出へと軌道修正をした理由として考えられるのは、取引交渉の難航だ。三越伊勢丹の実店舗と取引があるアパレルメーカーの担当者いわく、「三越伊勢丹がメーカーに要求する売り上げ歩合が高く、交渉がまとまらないのでは。大手ECモールなどとは違ってECとしてどこまで集客が見込めるか分からない段階なのに、取引先にとっては納得できない歩合を提案している」。歩合の交渉は百貨店と取引先メーカーとの永遠の戦いとでも呼べるもの。そもそも、百貨店のEC化が遅れた要因の1つは在庫を自らが持たない消化仕入れの取引モデルゆえだが、デジタル強化に踏み切ろうとするとやはりそこがネックとなる。

 EC化には一旦はこだわらず、「店頭の全商品をカタログのようにウェブに載せ、まずは伊勢丹新宿本店の品ぞろえから“見える化”していく」(近藤部門長)という考えではあるものの、最終的に全てEC化できるならばそれに越したことはないはず。「ウェブに商品情報を掲載すれば、その中で商品検索が比較が行われるようになる。そうしたデータを取引先にも共有していく」(杉江社長)というメリットを提示することで、取引先の呼び込みを目指すようだ。

 三越伊勢丹の19年3月期のEC売上高は約160億円。その半分が食品中心の中元・歳暮が占める。「直近半年間のEC売上高は前年同期比20%増。ただし、店頭とECの両方を使っているお客さまはとても少ない。そこが課題」(近藤部門長)という。全商品の即座のEC化は難しくとも、まずはイセタン スタジオをフル稼働させてウェブ上の商品情報を増やすことで、徐々にEC対応の商品を増やしていく。

The post 百貨店の弱点、ECを三越伊勢丹はどう強化する? 新宿のド真ん中に撮影スタジオ開設 appeared first on WWD JAPAN.com.

「“自分の頑張り”を可視化する」ジュエリー業界の自家需要に納得 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャーに勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、様々な記事につぶやきを添えます。

今日のニュース「国内主要各社に聞くジュエリー市場の課題」

読み解きポイント「お守りは、“自分の頑張り”を可視化するジュエリー」

ニュースのポイント

 少子化やギフト需要の減少により日本のジュエリー市場は縮小しているかと思いきや、女性の自家需要の伸びとインバウンド消費などの影響で規模は拡大している。日本の主要企業4社にインタビューしたところ、EC強化やコスチュームジュエリー市場の再開拓、カスタマイズサービスなど、現状の課題や取り組みが見えてきた。

AZUはこう読む!

 社会人5年目女子、まんまと「自家需要」の担い手になっています。小さなベンチャー企業で働いているので「ボーナスでどどんとお買い物!」というのは夢のまた夢ですが、そろそろ大人の女性を名乗れる年齢に差し掛かってきたので、キラリ輝くジュエリーを「自分買い」したいお年頃。ざっくりいうと可処分所得の1/4程度を洋服代に費やしているのですが、ここ最近はジュエリーの割合が増加傾向です。その理由を考えたところ、身につけるものに「お守り」や「ご褒美」という意味を欲しているからでした。個人的な感覚で恐縮ですが、洋服は攻撃力、ジュエリーは守備力アップの装備なのです。

 記事にある通り「女性の自家需要」はどんどん増えると思います。私の周りにいるファッション業界「以外」の女子たちを見ていると、洋服にはそこまでお金をかけないけれど、ご褒美ジュエリーは定期的に買っている子もチラホラ。「ジュエリーは贈ってもらうもの」というマインドも昔ほど強くはないだろうし、D2Cブランドなどでは高品質でお手頃、トレンド性も備えたアイテムが揃うので、気軽に「自分買い」できる選択肢も増えてきました。自分で好きに買ったほうが、待つより早いのも本音です(笑)
仕事の責任が徐々に重くなってきたり、仕事と人生を天秤にかけなければいけない場面に出くわしたり、同世代女子と話していると、「やけ食いでは済ませられない、大きなストレスを抱えることが増えてきた」と感じます。「あーもうやんなっちゃった、」とインスタグラムのストーリーズに投稿したくなる衝動を抑えるには、ふとした瞬間目につく箇所に、「自分の頑張りを可視化した何か」を置いておく必要があるのです。それはタイピングする指元で輝くブルートパーズの指輪だったり、リップを直す時に見えるパールのイヤリングだったり。

 余談ですが最近自分買いしたのは「マザーハウス(MOTHERHOUSE)」と「アルティーダ ウード(ARTIDA OUD)」の天然石リング。前者は大きな任務が終わったご褒美として買ったのですが、いつも買う服の値段と変わらない価格だったのにもかかわらず購入まで3週間ほど悩み、「決心が必要な買い物をする」というのが今の私にとっての贅沢なのかもと思いました。毎日つけているのですが、見るたびにその時の奮闘を思いだして「あの時以上に頑張るぞ」と小さな輝きに鼓舞されます。

 ちなみに、次欲しいのは「シャルロット シェネ(CHARLOTTE CHESNAIS)」のピアス。将来頑張って手に入れたいのは「マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤック(MARIE HELENE DE TAILLAC)」と「タサキ(TASAKI)」です。値段を見るたびにケタを数え直すので、粛々とお仕事頑張ります。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

The post 「“自分の頑張り”を可視化する」ジュエリー業界の自家需要に納得 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく appeared first on WWD JAPAN.com.

記録的な低温、長雨の7月 セール真っただ中の百貨店・メーカーはどうしのいだ?

 気象庁は29日、関東地方の梅雨明けを発表した。昨年よりもちょうど1カ月遅く、平年よりも8日遅い梅雨明けだった。東京都心では6月27日から33日連続の降雨を記録、前半は33年ぶりに真夏日(30度以上の日)が一日もないなど、記録的な低温と長雨が続いた7月。セールまっただ中の百貨店、および百貨店ブランドはどう戦ったのか。

 そごう・西武は前半の長雨の影響により、例年この時期に動く婦人カットソーやサンダル、紳士半そでワイシャツのほか、スキンケア用品や帽子や日傘などのUVケアアイテムの動きが鈍かった。一方で低気温により婦人ジャケット・ニットは7月前半(1~14日)で前年同月比約10%増、紳士ジャケットは同約20%増。雨傘(同53%増)、レインシューズ(同84%増)も好調だった。後半は盛夏物セール第2弾「プレミアムサマーバザール」(24日~)をスタート。婦人ブラウスや紳士ワイシャツなどの再値引き品が、29日までの比較で前年同月比約30%増とようやく動き出している。

 大丸松坂屋百貨店の7月の売上高(1~29日)は前年同月比2%減にとどまった。客足の減少に伴ってボリュームの婦人服が同0.8%減で、食品・子供服も前年を下回ったのが響いた。好調の特選婦人服(同7.1%増)、化粧品(同11.3%増)は変わらず強さを見せた。

 アパレルメーカー側は、セール品が不調の一方で、ジャケットなどの羽織物やプロパーの盛夏物商品が健闘した。ワールドはセール品に頼りすぎず、晩夏物の展開を前倒しで強化。ワンピースやブラウスなど実需商品と並行して、秋カラーやトレンドを取り入れたアイテムをディスプレーで見せるなど店頭をテコ入れした。梅雨明けからはオリーブやブラックといった鮮度あるカラーで晩夏対応商品をさらに拡充する。

 三陽商会は、「長雨で外出意欲が削がれたことにより、特にミセスのゾーンでダメージが大きかった」(広報担当者)。特にセール品の半袖、ノースリーブの動きが悪かった。一方でメンズ・ウィメンズのジャケット全体の売れ行きは前年同月比15%増と好調。「ポール・スチュアート(PAUL STEWART)」ではジャケットの売り上げが同2倍。雨具も例年になく好調で、「マッキントッシュフィロソフィー(MACKINTOSH PHILOSOPHY)」では、メンズの定番レインブーツの週間売り上げ数量が6月第4週で前年比193%増、7月1週は同 46%増で推移した。紳士靴ブランド「三陽山長」はブランド初のレインシューズ“防水 友二郎”が5月末の発売から約1カ月で470足を販売した。

The post 記録的な低温、長雨の7月 セール真っただ中の百貨店・メーカーはどうしのいだ? appeared first on WWD JAPAN.com.

“EC軸のブランディング支援” フラクタが目指す新しいビジネスモデル

 ECサイトの構築を軸にしたブランディングエージェンシーのフラクタは、7月29日から新しい受注形態「One by One(ワン・バイ・ワン)」を開始する。人月による定額制で契約し、契約期間内であれば提供するサービス内容を柔軟に変更可能、という内容だ。これまでの受注形態とはどんな点が異なり、ユーザーにはどのようなメリットがあるのだろうか。サービスを考案した村中花梨ブランドストラテジックプランナーと入江功テクニカルディレクターに、その狙いを聞いた。

新形態の
“ワン・バイ・ワン”とは?

 「ワン・バイ・ワン」を利用する場合、まず「0.5人月×3カ月」といった形で人月と利用期間を決める。プロジェクトの最初の段階で、「店頭のビジュアルがいつも同じものになってしまう」といった解決すべき課題の共有は行うが、期間内に行う細かな作業について決める必要はない。村中氏は「プロジェクトの方向性が決まっていなくても構わない。“課題をどう解決するか?”から一緒に考えられるので、まずはご相談いただきたい。工数ベースの契約なので追加料金は発生しない」と語る。

 フラクタはディレクター、プランナー、アートディレクター、ブランディングディレクター、デザイナー、コピーライター、テクニカルディレクターといったさまざまな専門スキルを持った人材を抱えている。ワン・バイ・ワンでは全ての職種の人月単価を同一にしているので、ユーザーは契約した人月の範囲で、必要なスキルを持つ人材をプロジェクトに自由にアサインすることができる。

 以下ではこれまでフラクタが手掛けたブランドレギュレーションの策定からロゴ作成、商品の撮影といったクリエイティブ、ウェブサイト作成などのデジタル施策、それらをクライアントの社内で継続的に行っていくための社員教育など、多岐にわたる事例を振り返る。

Case1

「トラキチ」

 「TORAKICHI(トラキチ)」は、埼玉にある老舗和菓子店「梅林堂」の洋菓子の新ブランドだ。フラクタは「トラキチ」というブランド名と、大まかな商品の方向性しか決まっていなかった初期段階からブランディングをサポート。まずクライアントが持っていたイメージをディスカッションによって具体化し、「イメージボード」を作成。その後、ブランドロゴや包装紙のデザイン、ウェブサイト制作などを行った。また、今後クライアントの複数のデザイナーが自らデザインを行ってもブランドイメージがぶれないよう、ブランドレギュレーションの策定も。プロジェクト期間は約5カ月。フラクタからは、アートディレクター2名、ディレクター、ブランディングディレクター、サイトのコーダーの計5人が参加した。

Case2

「オブジェクツアイオー」

 レザー製品ブランド「OBJCTS.IO(オブジェクツアイオー)」のケースでは、ティザーサイトとサイトロゴ作成の依頼を受けたことからプロジェクトがスタート。その後、受注内容が拡大し、クライアントの持つコンセプトやイメージをもとにブランドレギュレーションを策定。クライアントがマーケティング戦略を決める一方、展示会ではフラクタがブランドの世界観を体験できるインスタレーションや動画を制作した。サイト構築後も、クライアントが制作会社にレギュレーションに沿ったクリエイティブを発注できるよう、社員教育も担当。社員教育は、90分の授業2コマを週2回、3カ月にわたって実施。プロジェクトにはディレクターとアートディレクター、1名ずつを中心にスポット的に必要な人材も加わった。

Case3

「グリローズ」

 土屋鞄製造所が2019年にスタートしたランドセルブランドの「GRIROSE(グリローズ)」では、「デジタルコミュニケーションを構築してほしい」という依頼を受け、まずはティザーサイトを構築。「グリローズ」のブランドディレクターがコンセプトや方向性を決め、フラクタはサイトやインスタグラムの掲載用にブランドイメージに沿った写真を一部撮影した。サイト構築後はカタログ配送の際の倉庫会社とのデータ連携や、ウェブでの広告運用などをサポート。人材教育も請け負い、デジタル周りをクライアントが自ら運営できるよう、コーディングなどをレクチャーした。プロジェクトの期間は6カ月程度で、ディレクター、アートディレクター、テクニカルディレクターの計3名が参加した。

TEXT:YOHEI YOSHIDA

問い合わせ先
フラクタ
contact_jp@fracta.co.jp

The post “EC軸のブランディング支援” フラクタが目指す新しいビジネスモデル appeared first on WWD JAPAN.com.

ウルキオラが語るクラフトの未来

 イタリア発インテリアブランド「カッシーナ(CASSINA)」のアートディレクターを務めるパトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiola)がロエベ財団(LOEWE FOUNDATION)主催の「インターナショナル クラフト プライズ 2019 (International Craft Prize 2019 以下、ロエベ クラフト プライズ)」の表彰式のために来日した。彼女は同プライズの審査員の一人で、カッシーナ・イクスシー(CASSINA IXC.)青山本店でもトークショーを開催。彼女に来日の目的や「カッシーナ」の方向性などについて話を聞いた。

WWD:「ロエベ クラフト プライズ」の表彰式に参加した感想は?

パトリシア・ウルキオラ(以下、ウルキオラ):29人のファイナリストの作品を草月会館のイサム・ノグチの石庭「天国」で見られるなんて最高ね。クラフトとモダニティーをどう結び付けるかを探るプロジェクトだけど、29人全員が東京に来て一緒に参加できたのもすごくよかった。とてもオープンでモダン、そしてハッピーな表彰式だったと思う。

WWD:ところで「カッシーナ」はトップが代わったばかりだが、どのような変化が起こっているか?

ウルキオラ:「カッシーナ」のブランディング強化を図っている。もっと幅広い人に向けてアピールできるブランドにしていく。それは私もずっとやりたかったこと。リサーチや新しいテクノロジー、サステイナビリティーなどは次のステップに進もうとしている。ル・コルビュジェ(Le Corbusier)に関する新しい部門ができるし、オフィスやアウトドアなどの商品も加わるから、今までとは違う消費者にもアピールできる。アーカイブと新しいデザイナーのデザインの対話が生まれるような環境にするつもりよ。

WWD:インテリアのブランドだけでなく、ギャラリーである「ニルファー(NILUFAR)」のニナ・ヤシャー(Nina Yasher)などとも協業している理由は?

ウルキオラ:ニナはリサーチに基づいて若いアーティストやデザイナー、キュレーターなどを起用し層の厚い高レベルの展示をしている。通常のデザインと違ってギャラリーは実験的なことができるので楽しいわ。

WWD:今、インテリア業界で起こっていることで気になることは?

ウルキオラ:デジタルや3Dプリンター、アルゴリズムなどテクノロジーの進化で、新しい時代へ移行しつつあることで、それはデザイナーにとってとてもチャレンジングなこと。未来を見ながら、オープンに考えるのが大切。最近ではラグのブランド「CCタピス(CC-TAPIS)」との協業がすごく楽しかった。以前は破棄していたフェルトの残りを使ってラグをデザインしたことは、素材について考え直すきっかけになった。以前はリサイクルとかリユースしたものには魅力がなかったけど、今は技術が進化してとても洗練された製品になり、それが価値を生んでいる。サステイナビリティーやサーキュラーエコノミーは誰もが考えるべきことであり、まだまだするべきことがたくさんある。

WWD:一番尊敬するデザイナーは?

ウルキオラ:アッキーレ・カスティリオーニ(Achille Castiglioni)。彼は私のメンターでインスピレーションを与えてくれる存在。彼の生誕100周年の展覧会のキュレーションをしたのは素晴らしい経験だった。通常の時系列の展示ではなく、彼の遊び心やアイデア、考えのエッセンスなどにフォーカスした展示になった。

WWD:一番好きな建築家は?

ウルキオラ:SANAAの妹島和世。彼女の建築は全てすばらしい。複雑な構造をあれほどシンプルに表現できるのには驚く。彼女の展覧会が開かれればいいのにと思う。

WWD:生まれた国や育った環境はクリエイションに影響するか?

ウルキオラ:生まれた国はあまり影響しないだろうけど、ルーツは影響するかも。私は北スペイン生まれだけど、長年ミラノに住んでいるからミラネーゼでもあり、その2つがミックスされていると思っている。100%スペイン人で、ミラネーゼでもあると思っている。その2つが作用して新しい何かが生まれることもある。

WWD:ダイバーシティーなどについてどのように考えるか?

ウルキオラ:性別の問題はまだまだ根深いし、ジェントリフィケーション(再開発による都市の高級化)などもダイバーシティーの一環だと思う。よりよい環境にするのはそう簡単ではないかもしれないけれど。また、シェア・エコノミーもとても関心がある。それぞれの人が全てを所有するのではなく部分的に所有する、それがシェアするという意味にもつながると思う。もっと考えることはあるわね。

The post ウルキオラが語るクラフトの未来 appeared first on WWD JAPAN.com.

女性を輝かせるジュエリー「ポメラート」の旗艦店が銀座・並木通りにオープン

 イタリア・ミラノ発のファインジュエラー「ポメラート(POMELLATO)」は7月19日、東京・銀座の並木通りに旗艦店をオープンした。同ブランドは1967年の創業以来、保守的なジュエリー業界に“プレタポルテ”という新風を吹き込み、カラフルで独創的なジュエリーを提供している。多様な色石をはじめダイヤモンドを使用した独特なシェイプのコンテンポラリーなジュエリーは自分のスタイルを持つ女性に人気が高い。ポメラートブティック銀座店(以下、ポメラート銀座店)では、ラグジュアリーな店内で幅広いラインアップをゆったりと試せるようになっている。オープン前日には、サビーナ・ベッリ(Sabina Belli)=ポメラート最高経営責任者(CEO)やブランドアンバサダーのキアラ・フェラーニ(Chiara Ferragni)が来日し、マリオ・マシア(Mario Mascia)=ポメラート・ジャパン代表兼北アジアゼネラルマネジャー(GM)とテープカットを行った。同日のイベントには、マギー(Maggie)や松島花、沙羅マリーらが来場し、DJのLicaxxxの音楽とともに会場を盛り上げた。

ポメラートカラーに彩られた
ラグジュアリーな店内

 ポメラート銀座店は、ミラノのデザインデュオであるディモーレ・スタジオ(DIMORE STUDIO)が内装を手掛けたミラノ・モンテナポレオーネ通りのブティックにインスピレーションを受けたラグジュアリーなしつらえだ。ブティックの正面はポメラートカラーで彩られ、店内にも見られるゴールドの六角形がアクセントになっている。店内の壁にはチェーンモチーフとラッカー塗装のパネルを配し、丸みのある什器やロイヤルブルーのソファが置かれた優雅な空間になっている。店内にはVIPルームもあり、ピンクの扉で仕切れば宝石箱のような秘密の小部屋になる仕組みだ。

現代女性を
輝かせるジュエリー

 「ポメラート」のジュエリーは、クリエイティブディレクターのヴィンチェンツォ・カスタルド(Vincenzo Castaldo)がデザインし、鋳型作りから石のカッティング、仕上げまで全てミラノ本社のアトリエで一貫して行われる。大胆かつ斬新なデザインでありながらなめらかな着け心地を可能にするのは、熟練の職人による確かなクラフツマンシップだ。ポメラート銀座店では、人気の“ヌード”や“サッビア”コレクションなどに加え、 “タンゴ”と“ブレラ”の特別アイテムを先行発売する。

国内で唯一の旗艦店となる
ポメラート銀座店

SHOP INFORMATION
ポメラートブティック 銀座店

ADDRESS:東京都中央区銀座7-6-19
HOURS:11:00~20:00(日・祝は11:00~19:00)
TEL:03-3289-1967


問い合わせ先
ポメラート
03-3289-1967

The post 女性を輝かせるジュエリー「ポメラート」の旗艦店が銀座・並木通りにオープン appeared first on WWD JAPAN.com.

編集長は先週何した? 東大で鮨、青山で瞑想、絶品マンゴーケーキ!

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向千鶴です。編集長の仕事って、弊社スタッフから見ても謎が多いようです。実際のところは毎日いろいろな人に会って、いろいろな服や店を見て、いろいろなものを食べているわけですが、それをきちんと記してゆけば時流的な何かが見えてくるかもしれない……。というわけで、日記形式の新連載スタートです。

7月17日(水)
隈研吾さんと東大でお鮨

 今日の夜は、東京大学本郷キャンパス内にあるカフェ「廚菓子くろぎ」前のスペースでお鮨をいただきました。なぜそこで鮨?(と一番思ったのは、テーブルの横を歩いて帰る東大生だったと思います)の理由は、「くろぎ」の建築を担当したのが東大で教授も務める隈研吾さんであり、隈さんは昨年「ヴァレクストラ(VALEXTRA)」とのコラボでインスタレーションを手掛けたから。人と人のつながりがこの一夜を作ったという訳です。情熱のCEO、サラがアートに造詣が深いことがその原点です。

 長テーブルにつき、銀座「鮨 石橋正和」のお鮨をいただきました。テーブルに仕立てた木材はインスタレーションの際に店内で使用したもので、確かに見覚えあり。使い捨てをしない考え方、賛成です。それにしてもこの梅雨の合間に半屋外にテーブルセッティングをするとはなんと大胆な!踏み切った理由についてプレスの細川麻里子さんいわく「私、晴れ女だから」って、その度胸リスペクトです。

7月18日(木)
青山で瞑想してみた

 リーダー研修などを実施している会社は多いと思いますが、会場はいつもホテルに缶詰め、じゃないですか?新しい発想を引き出す研修はできればクリエイティブな場所で行いたいですよね。そんな各社の人事部・教育担当者に朗報です。青山一丁目駅直結のビルにオープンした会員制スペース「青山ツリーハウス」がよさそうです。オフィス家具最大手のイトーキが主要株主だそうで、ほっこりした木材で統一された会議室などのスペースは山奥のリゾートホテルに来たような穏やかさです。

 注目は、瞑想のためのスペース。こちらはお寺に来たような穏やかな空間です。実際に短時間ながら座って目を閉じてみました。が、隣に座ったファッション・クリエイティブ・ディレクターである軍地彩弓さんの座禅姿があまりにりりしくて何度も目を開いて見入ってしまうという……。精進します。

 2階のレストラン「アルボア」ではフレンチ出身の入江誠シェフが日本の食材を使って腕を振い、その優しいお味に体の中がじんわり。お披露目ランチの席では“デザイン・シンキング”や“イノベーション”といった言葉が飛び交っていて、まさに最先端。村上隆さんの絵も飾られていましたよ。

7月19日(金)
ポメラート銀座店オープニング

 ミラノ発ジュエリー「ポメラート(POMELLATO)」が銀座・並木通りに新店をオープンしました。来日したサビーナ・ベッリ(Sabina Belli)CEOとのランチはショップのお向かいのフレンチ「ロオジエ(L'OSIER)」。「ジュエリーは、自分で買ったものを身に着けてこそ自信が持てると思う。『ポメラート』はそういうブランドでありたいの」という女性CEOの言葉、胸に刻みました。この日の盛り付けは、全てがジュエリー的。明石産真鯛の“瞬間”マリネが美味しゅうございました!

7月19日(金)
香取慎吾さんに再会


 2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の大会スタッフと都市ボランティアのユニホームの選考委員を務めた香取慎吾さんのところへ、選考の裏側について話を聞きに行きました。ファッション熱が高い香取さんの話を聞くのが大好き。だから取材の機会があると私自身が手を挙げて後輩たちのチャンスの芽を摘み続けています(笑)。

 香取さんはいつも質問に対してお仕着せじゃない自分の言葉で回答をくれます。今回も面白かった!慎吾ちゃんに会いたい後輩たちよ、私の背中を踏み超えてゆけ。それから会うたびに思いますが、テレビの印象より背が高くていらっしゃいます。

7月19日(金)
「エルメス」ハイジュエリー展示会

 一般公開される「エルメス(HERMES)」の第5作目のハイジュエリーコレクション“アンシェヌモン・リーブル”のお披露目に合わせたディナーは、銀座メゾンエルメスの8階で開かれました。シェフは大人気レストラン「エテ(ETE)」の庄司夏子さん。日本版「ヴォーグ(VOGUE)」のウェブのインタビューで、「Q.あなたを救う魔法の言葉を教えてください」に対して「A. こんなことでは死にはしない!」と答えていた(ギリギリまで追い詰められた時に自分を鼓舞する言葉と思われます)ど根性が座っているに違いない庄司さんはまだ20代です。

 優しいたたずまいから繰り出す料理、特にバラの花びらのテーブル装飾の中でいただくマンゴーのケーキが絶品!!でした。

7月23日(火)
毎日ファッション大賞審査会


 内容はお伝えすることができないのですが、ほぼ丸一日かけた審査会はかなり白熱し、隣に座っていた経済産業省の方がちょっと引いておりました。が、その分よい議論ができました。発表は秋です。

7月24日(水)
「コム デ ギャルソン」特集が
絶好調

 川久保さんの力は絶大です。最新号に関して販売部から「めちゃくちゃ売れてます!」とうれしい報告が入りました。目標をあっという間にクリアして今も数字を伸長中。書店にも販促にご協力をいただきました。写真は、渋谷の大盛堂書店、紀伊国屋新宿本店、青山ブックセンター本店です。ありがとうございます!

 多方面に影響力がある川久保さんですが、一貫しているのは「ビジネスこそクリエイティブ」という視点です。ビジネスという表現はともすれば“お金第一”なニュアンスでドライに受け取られますがそんなことはない、ということがインタビューを読むとよく分かります。新しいビジネスの成立とはすなわち新しい価値の創出であり、ビジネスとは人の心を動かし続ける仕組みを作ることである。メディアつくりも同じだから、御意!と何度も心の中で思いながら校正をしました。

7月25日(木)
オムニコマース特集校了


 「WWDジャパン」の校了は毎週木曜日のため、木曜日の夜はほぼ100%必死です。「オムニコマース」は毎夏恒例の大特集ですが、いやいや本当に!進化が著しい分野でついてゆくのが大変。確かに難しいけれど、同時にオムニコマースが関係ない分野・職種などもはやなく、勉強は不可欠かと。

 そこで、今年は4人の専門家に悩めるファッション関係者からの質問に紙面で答えていただきました。例えば「Q.オムニチャネルの概念が会社に浸透しません。どうしたらよいですか?」とか、「Q.他社の成功事例を参考に施策を打っても、うまくいきません」など。今「それわかる」とつぶやいた皆さま、ぜひ最新号を手に取ってくださいませ。

The post 編集長は先週何した? 東大で鮨、青山で瞑想、絶品マンゴーケーキ! appeared first on WWD JAPAN.com.

「『僕は僕なんだ』っていう一つの結論がここに来てはっきりわかった」 by 菊池武夫

菊池武夫

 モノ作りを突き詰めると、結局、昔僕自身が作っていたものに戻ってしまう。つまり、時代も流行も変わるけど、「僕は僕なんだ」っていう一つの結論がここに来てはっきりわかった。(Vol.396 1989年9月11日)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

The post 「『僕は僕なんだ』っていう一つの結論がここに来てはっきりわかった」 by 菊池武夫 appeared first on WWD JAPAN.com.

着るだけでこなれて見える! ほどほど目立ちの“アシンメトリー服”

 多くのブランドが手掛けるようになっているプレ・フォール・コレクション。秋冬シーズンのメイン商品に先立って、6月頃からお店に並ぶ商品群のことを指します。プレ・コレクションでは新しいトレンドのエッセンスを“先食い”できるので、おしゃれ好きの間でファンが広がっています。真夏はまだまだこれからですが、秋の新作ムードを早めに取り入れたい人には、夏物ともミックスできて使い勝手がいいプレ・フォール商品がおすすめです。

 今年のプレ・フォールで目立つのは、“不ぞろい”が持ち味のアシンメトリー服。しばらく前から日本でも人気のデザインですが、やり過ぎない“ほどほど目立ち”のアレンジが加わっている点が今年のアシンメトリーの特徴です。2019-20年秋冬はエレガント志向が強まるので、大人感や上品さを感じさせるアシンメトリーのこなしが重要になります。

 「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」の2019年プレ・フォール・コレクションではチュニックワンピースの襟と裾がアシンメトリー。全体が斜めに傾いたような、ウィットに富んだ見え具合です。1枚でワンピースとして着たり、写真のようにパンツに重ねたりして、落ち感のきれいなレイヤードにも仕上げられます。

◆モノトーンにも動きをプラス ジェンダーレスなゆったりルック

 国内ブランドのプレ・フォール・コレクションでも、1枚着るだけで様になるアシンメトリー服の提案が相次いでいました。進化形の不ぞろいルックを見ていきましょう。

 服の動きを印象付けやすいアシンメトリーデザインは、モノトーンの装いにも表情を加えてくれます。黒の表現に定評のある「ワイズ(Y’S)」は、2019年プレ・フォール・コレクションで、左右の見え方が大きく異なるシャツワンピースを企画しました。布をトリッキーに入り組ませた点がポイント。さらに前後の色も変えて、見る角度によって別の服にも映るようなマルチフェイスの装いに仕上げました。1枚のワンピースなのに、まるで何枚も重ね着しているかのようにも見えます。

 ジェンダーレスなストリートモード風の着こなしも、アシンメトリーデザインが効いています。黒のロングスカートは片側の裾だけにギャザーを寄せて立体感をプラス。ビッグラッフルのような布の起伏が黒の表情に深みを添えます。オーバーサイズのトップスと組み合わせて、“ロング&ロング”のコーデにまとめ、縦長イメージを強調。不ぞろいなスカートの裾も落ち感の演出に一役買っています。

◆定番とトリッキーをミックス ミニマルでも細部に遊び

 ボトムスの丈を前後や左右でずらすというのが従来からよくあるアシンメトリーの提案ですが、それに加えて、いたずらっぽい仕掛けも登場しています。切り替えやモチーフのポジションを左右で変えて、目を楽しませるという趣向です。「ビューティフルピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」の2019年プレ・フォール・コレクションでは、半袖トップスに別色の切り替えを施しました。あえてモチーフの配置をずらして、アートのような印象を引き出しています。ベーシックなトップスに忍び込ませた、これぐらいの遊びであれば、幅広い場面で楽しめそうです。

 水平や垂直といった、オーソドックスな直線的シルエットは時に堅苦しい印象を与えがち。しかし、少し斜めにアレンジするだけでも、こなれた雰囲気に仕上がります。ボーダートップスに合わせたラップ風スカートは打ち合わせが斜め。少しの“ずらし”ですが、気負わないムードを醸し出してくれます。よく見ると、フラップ付きのビッグポケットまで斜めに縫い付けられています。トップスのボーダー柄が横一直線なので、ボトムスの斜め演出が際立ちます。

◆レディーライクをアシメントリーで揺さぶる 静かなドラマを演出

 貴婦人や淑女を思わせるレディーライクな着こなしは、19-20年秋冬のビッグトレンドと期待されています。古風で正統派の装いですが、そこにアシンメトリーを盛り込めば古臭さを遠ざけることが可能です。「アキラ ナカ(AKIRA NAKA)」は2019年プレ・フォール・コレクションで、エレガントな装いに非対称の美を宿しました。ロング丈のボトムスでは、左右でプリーツの長さを変えることで脚を長く演出。ベルトも水平に巻かず、わざと斜めに垂らして落ち感を引き出しました。

 モチーフと切り替えを組み合わせると、ダイナミックな動きを演出できます。チェック柄のロングスカートは、直線的なはずの格子柄を、パッチワーク風に切り替えて、視線をさまよわせるかのような感覚に。不規則なチェック柄が交錯するおかげで、流れ落ちるようなシルエットが強調されています。トップスに縦の直線モチーフを配して、アシンメトリーを際立たせているのも巧みなスタイリングです。

 次のトレンドを一足早く取り入れられるのがプレ・フォール・コレクションの魅力。進化形アシンメトリーをはじめとするネクストトレンドを感じ取るうえでも、プレ・フォールは早めの秋冬支度に欠かせません。“レディーライク×アシンメトリー”のコーデは、ヒットを予感させる着こなしになっています。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

The post 着るだけでこなれて見える! ほどほど目立ちの“アシンメトリー服” appeared first on WWD JAPAN.com.

パリコレモデルはショーの前に何してる? 旬なイケメンモデルたちに直撃

 2020年春夏シーズンのパリ・メンズ・ファッション・ウイークが終わり、パリはすっかりバカンスモードに突入しています。ファッション・ウイークの後半は38度の猛暑日が続いたうえに、道路整備の多いこの時期は特に渋滞がひどく、いつも以上に体力を消耗しました……。バックステージ取材やショールーム回りに奔走した私は暑さにやられてしまいましたが、同時にデザイナーたちからたくさんパワーを受け取りました。そして何より私のエナジーチャージは、イケメンモデルたち(笑)。ファッション・ウイーク前に「WWD Japan.com」のインスタグラムで読者に「海外メンズコレクションで気になることは?」とリサーチした結果、モデルに関する質問が多数寄せられたこともあり、今季はバックステージでモデルたちにも取材を敢行!あまり表に出ることのない、モデルたちの素顔やショー前の舞台裏をのぞいてみました。

前シーズンに見つけたイケメンモデルの記事はコチラ

ショー前のモデルはこう過ごしている

 モデルのコールタイム(呼び出し時間)は、ショーが始まる4〜5時間前が通例です。ヘアやメイクアップに時間がかかるウィメンズの場合は、もっと早いこともあります。ショー当日は何が起こるか分からないので早めに呼び出されるのですが、モデルたちにとってそのほとんどが待ち時間。退屈な時間の過ごし方はさまざまですが、コールタイムが早朝6時だった「サカイ(SACAI)」のバックステージでは、仮眠をとるモデルがたくさんいました。レミントン(Remington)とクリスティン(Krystin)のように、女性モデルはガールズトークを楽しんでいる姿も見られました。活躍が続く日本人モデルのコウヘイ(Kohei)は「僕の場合はヘアのセットに時間がかからない分、他のモデルよりも1時間ほど遅いコールタイムです。待ち時間はずっとしゃべって過ごすことが多いですね」と、仲の良いモデル仲間と談笑してました。多くのランウエイを経験している分、友人も多いようです。「シャネル(CHANEL)」のキャンペーンに起用されたこともあるアデスワ(Adesuwa)は、チャームポイントであるドレッドヘアのセットに時間がかかっていたようで、他のモデルよりも鏡の前に長く座っていました。「ファッション・ウイークはモデルにとってサバイバル!体力勝負だし、体調を崩したら地獄だから、しっかり栄養のバランスがとれた食事を心がけているよ」と売れっ子モデルならではのコメントを残し、ケータリングの食事を楽しんでいました。どのブランドのバックステージでも一番多かったのは、スマートフォンでネットサーフィンやゲームをして一人で過ごす方法です。中には読書をしたり、イヤホンで音楽を聴きながらダンスをしたりする自由なモデルもいました。何かに集中していつの間にか何時間も経過していたときよりも、ひたすら待っているだけの1〜2時間の方が、意外と疲れますもんね。キャットウオークでスポットライトを浴びる1分足らずのために、何時間も準備と待ち時間を重ねるのがモデル業。華やかですが、決して楽な仕事ではありません。

今、旬のメンズモデルはこの2人

 最旬メンズモデルといえば、業界人は口をそろえてアルトン・メイソン(Alton Mason)の名を挙げるはず。18年の「モデルズドットコム(Models.com)」でモデル・オブ・ザ・イヤーに輝いた彼は、16年のデビュー以来「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「グッチ(GUCCI)」「H&M」など数々のキャンペーンに起用され、初の黒人男性モデルとして「シャネル」のランウエイも歩きました。今季のパリコレでも1日にいくつものランウエイをこなした彼を「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」のバックステージでキャッチしました!ジャマイカ人とガーナ人の両親のもと、アメリカで生まれ育った22歳のアルトン。ロサンゼルスのアメリカン・ミュージカル&ドラマ・アカデミー(Amerian Musical and Dramatic Academy)でダンスを学び、振付師ローリー・ギブソン(Laurie Gibson)のアシスタントとしてダンサーをしていた15年に、インスタグラムを通じてモデル事務所にスカウトされたのだとか。16年に「イージー(YEEZY)」のプレゼンテーションでデビューを飾ると、瞬く間に人気モデルへと駆け上がっていきました。恵まれた外見はもちろんのこと、ダンスで培ったしなやかな体を生かした表現力が強い武器です。アルトンは「インスタグラムのDMで連絡が来た時は、絶対に冗談だと思ったよ。モデルになることなんて想像もしていなかったけれど、人生は何があるか分からないものだね!」と目を輝かせます。インスタグラムの写真だけでモデルの素質を見出したスカウトの人もすごい!

 アルトン以外で「WWDジャパン」取材陣が今季注目したメンズモデルは、ジーヌ・マハデヴァン(Jeenu Mahadevan)です。ロンドンやミラノのショーで大活躍だった彼は、「キコ コスタディノフ(KIKO KOSTADINOV)」「チャラヤン(CHALAYAN)」「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」「フェンディ(FENDI)」など数々のランウエイで見かけました。南アジアか中東っぽい、国籍不明でエキゾチックな外見に目が引かれましたし、各ショーでも絶妙なスパイスを与える存在感のあるモデルでした。しかし今季のパリコレには2つのブランドのキャンペーン撮影と「ヴォーグ(VOGUE)」のエディトリアル撮影が重なって、ほとんど参加していなかったそうです。パリで見かけたら絶対取材したいと意気込んでいたので残念でしたが、メールでの取材に応じてくれました。気になっていた彼の国籍はノルウェーで、両親のルーツはスリランカだと教えてくれた20歳のジーヌ。地元オスロのバスの車内でスカウトされたことがきっかけで17年にモデルデビューを果たすと、すぐさま「ジバンシィ(GIVENCHY)」や「バーバリー(BURBERRY)」といったビッグネームの仕事が舞い込んできたのだとか。「将来の夢はファッションとは無関係な分野で、天体物理学者になること」ときっぱり言い切ります。アルトンやジーヌ、その他インフルエンサーなども、最近は本業とは別に人生の軸となる夢を持っている人が活躍しています。男女問わず、夢中になれるものを見つけて情熱を注いでいる人って、やっぱり魅力的ですよね。

おまちかね!バックステージでキャッチしたイケメン24連発

OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH / 将来有望な万能系イケメン

 ここからは、昨シーズン好評だったイケメンハントの続編をお届けします!まず、パリ・メンズの目玉の一つである「オフ-ホワイト」のバックステージで見かけたのは、将来有望な若手イケメン。全体的に年齢層は低く、18歳〜20代前半が大半でした。ランウエイではプロらしく堂々としたウオーキングを見せるため大人っぽく見えますが、バックステージではまだあどけない瞳で半分少年のような表情が見え隠れします。若手ということもあり、強い個性というよりも、ストリートからフォーマルまで幅広いスタイルが似合う、何色にでも染まれるようなイケメンぞろいでした。何でも似合うというのはモデルとしてはかなりの強みです!地毛のスパイラルヘアが特徴のナイジェルは「ロエベ(LOEWE)」「ジャックムス(JACQUEMUS)」に、目力の強いヘンリーは「ポール・スミス(PAUL SMITH)」「ベルルッティ(BERLUTI)」に、少女のようなかわいさを持つリオは「ルイ・ヴィトン」「アミ アレクサンドル マテュッシ(AMI ALEXANDRE MATTIUSSI)」に起用されていました。うれしかったのは、昨シーズンのイケメンハントでキャッチしたラトビア出身の19歳、エデュアードを今季のさまざまなショーで見かけたほか、「フェンディ」「サン ローラン(SAINT LAURENT)」のキャンペーン広告も飾っていたことです。一見クールで近寄りがたそうなのに、数日後に「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM以下、アリックス)」のバックステージで再会すると気さくに話しかけてくれて、私の中で好感度が急上昇!

1017 ALYX 9SM / プロアマ入り混じるちょいクセ系イケメン

 そんな「アリックス」のランウェイには、デザイナーのマシュー・ウィリアムズ(Matthew Williams)の友人や家族が大勢登場しました。写真6人のうち、何人がプロのモデルだと思いますか?正解は、アンドリューとアブドゥラエの2人がプロで、ほかの4人はアマチュアの一般人なのです!アンドリューの顔を見たことがある人は多いかもしれません。4年程度が平均というメンズモデル界で、9年という長いキャリアを持っており、最近ではアーティストとしてベルリンやニューヨークで個展を開いたり、ミュージシャンとして作曲も行ったりしているそうです。バックステージではマシューの娘アリクスちゃんを優しい表情であやしていました。アブドゥラエはアフリカにルーツを持つフランス出身の21歳で、モデル業をスタートしたばかりという新顔です。ジェイデンはニューヨーク在住のアーティストでウィリアムズの旧友、ほかの3人は全員「アリックス」で働く従業員で、コレクションがよく似合うのも納得です。アマチュアといっても長身のイケメンで、ランウエイではプロアマの見分けが難しいほど立派なウオーキングを披露していました。類は友を呼ぶと言うように、「アリックス」やマシューの周りにはイケメンが集まってくるみたいです。もしくは「アリックス」を着用するとイケメン度アップするのかも!?

SACAI / 奇抜ヘアだけどナチュラル系イケメン

 「サカイ(SACAI)」は今季、ヘアもメイクもかなりナチュラルで、各々が持つ素質をそのまま生かしているような印象でした。ルックの最終チェックでも、阿部千登勢デザイナーがわざと片方の襟を立てたり、袖を無造作にたくし上げたりと、キメ過ぎずナチュラルに見えるスタイリングの仕上げを加えていました。メンズモデルは甘い感じの正統派イケメンが多く目移りしましたが、私が注目したのは彼らのヘアスタイルです。ドレッドやスパイラル、天然パーマっぽいクルクル、男らしい坊主頭とこれだけ多様なヘアスタイルがそろうのはなかなか珍しいことです。全員のフィッティング時の写真(ヘアメイクを施さない普段の姿)と見比べると、ショー本番でもヘアは整える程度で全員が地毛を活かしていたようでした。もしも、コウヘイさんがアントワーヌのようなクルクルヘアで、ウィロウがトリスタンのようなドレッドだったら……。と勝手に妄想を楽しむという、イケメンハントならではの醍醐味(?)も見つけました。「サカイ」は数シーズン続けて同じモデルを起用することが多いため、どのイケメンも阿部デザイナーと親しく言葉を交わしていたのが印象的でした。男性も女性も売れっ子モデルぞろいですが、なかでもクリステルスは今季私が取材した全てのバックステージで見かけるという活躍ぶり!彼はラトビア出身の22歳で、先にモデルをしていた友人にインスタグラムでタグ付けされたことがきっかけでモデル事務所にスカウトされたのだとか。趣味を聞いてみると「普段は4歳の息子の子育てをしているよ」と、何とも驚きの回答です。

 モデルの流行り廃りはファッション同様にとても早いですが、個人の好みというのはなかなか変わらないものですね。私は今季もやっぱりラトビア出身男性のイケメンぶりに胸キュンの連続でした!

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

The post パリコレモデルはショーの前に何してる? 旬なイケメンモデルたちに直撃 appeared first on WWD JAPAN.com.

「エヌドット」と「オージュア」の強さが光った 「ヘアサロン版ベストコスメアワード2019」

VIDEOGRAPHER : YUKARI TAKATORI,VIDEODIRECTOR : LISA

 「WWDビューティ」で毎年の恒例企画として実施している、「ヘアサロン版ベストコスメアワード 2019」の結果が出そろった。東京都内の人気ヘアサロン50軒、131人の美容師に「2018年下半期~19年上半期に実際に使ってみて良かった商品」についてアンケート調査を実施。シャンプー部門、トリートメント部門、頭皮・育毛ケア部門など全11部門に分け、それぞれのカテゴリーで最も“良かった”商品を明らかにした。詳しくは「WWDビューティ」7月11日号を見てほしいが、ここでいくつかの部門の1位を紹介する。

 シャンプー部門の1位は、ミルボンの「オージュア イミュライズ シャンプー」だった。同シャンプーは今回で4連覇を達成。これは毛髪保護成分“CMADK”が、カラーやパーマによるダメージを抑制するシャンプー。“洗う”役割に加えて、補修効果も実感できる点が評価を集めたようだ。

 シャンプーは店販品の主力アイテムの1つで、毎年多数の新製品が発売されているが、未だに「オージュア イミュライズ シャンプー」を超えるアイテムは登場していないようだ。2位にはデミ コスメティクスの「フローディア シャンプー スリークモイスト」がランクインしたが、同製品は前回も2位だった。しかし、1位との得票数の差が前回と比較して大幅に縮まっていたので、次回は逆転ということもあるかも知れない。

 頭皮・育毛ケア部門の1位も、ミルボンの「オージュア」で、「グロウシブ グロウエッセンス」が獲得。前回まで8年間トップの座を維持するという快挙を達成していた資生堂プロフェッショナルの「アデノバイタル」が、ランクインしなかったことが大きなニュースとなった。

 昨今は30代後半から髪のやせや抜け毛を気にする女性が増えているという。頭皮環境の悩みは、男性だけでなく女性にとっても深刻であることが明らかになってきている。かつては言いにくい悩みであったが、きちんとケアをしたいと美容師に相談する人が増加。女性が使用しやすいアイテムとして、パッケージや香りのよさも評価されたアイテムが上位を占めた。

 スタイリング剤部門の1位は、ナプラの「エヌドット ポリッシュオイル」だった。同オイルは、昨年同様2位に大差をつけて1位に輝き連覇を達成。しかもヘアオイル部門でも連覇を達成しているため、“2部門2連覇”という快挙となった。「トレンドのウエット感と艶感を出せて、しかも軽い」という評価が大半を占め、セット力のあるスタイリング剤が苦戦を強いられる中で、セット力よりも仕上がりの髪の質感を重視する傾向が続いているようだ。

 ヘアカラー部門の1位は、ミルボンの「オルディーブ アディクシー」だった。前回2位だった「オルディーブ アディクシー」が躍進し、2位に大差をつけて1位に輝いた。1年かけて製品の魅力が徐々に広がっていった形で、まさに“実際に使ってみて良かった製品”といえる。評価の声としては圧倒的に“透明感”を挙げた回答が多く、ヘアカラーに透明感を求める傾向は継続中だ。また、「低明度にしたときの発色が良い」という回答も複数あった。

 また「ヘアサロン版ベストコスメアワード」では、アンケート項目に「今最もイケてるサロンモデルは?」という質問項目も設け、毎年サロンモデルNo.1を決定している。今回最も多くの票を集めたのは、サロンモデルの前田玲里だ。彼女を起用しているヘアサロンの1つ、「ユーレルム」で安達優生・店長と中川結スタイリストにヘア&メイクを担当してもらい、「ヘアサロン版ベストコスメアワード 2019」特集(7月11日)号の表紙撮影を行った。

The post 「エヌドット」と「オージュア」の強さが光った 「ヘアサロン版ベストコスメアワード2019」 appeared first on WWD JAPAN.com.

パリメンズに挑んだ日本ブランドのリアルな評価 海外メディアやバイヤーはこう見た

 6月18〜23日に開催された2020年春夏シーズンのパリ・メンズ・ファッション・ウイークの公式スケジュールには、前シーズンに続いて多くの日本ブランドが名を連ねた。パリという古い服飾文化が根付く場所にとって、日本ブランドは新しい風を吹き込むような存在である。彼らのコレクションを仏メディアがどのように評したのか、可能な限り多くのメディアに目を通した。しかし結論から言うと、残念なことに今季は日本ブランドへの関心は低かったようだ。実際に記事として掲載されたブランドは数えるほどだった。

最も高評価は「ソロイスト」

 そんな中、最も評価が高かったのは宮下貴裕が手掛ける「タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATHESOLOIST.以下、ソロイスト)」だろう。パリ大学医学部のキャンパス内にある回廊をキャットウオークに、ヴィクトリア調の紳士服ユニホームのパーツを切り取って合成されたデザインが、繊細でロマンティックな「ソロイスト」の独特な世界観へと見る者を引き込んだ。仏新聞「ル・モンド(Le Monde)」は「会場内に強い西日が差し込み描かれる陰影は、それだけでもすでに素晴らしく美しい。(文字プリントは)失読症にとっては悪夢だが、コレクションは詩を愛する人にとっての夢だ」と詩的なコレクションを称えた。「ル フィガロ(Le Figaro)」も「宮下デザイナーは、毎シーズン全く異なるコレクションを生み出す。テーマが何であっても共通しているのは、彼の創造性が極端に発揮されているということだ」と記した。刺しゅうやグラフィティー、アクセサリーなどにあしらわれたミッキーマウスについて記述するジャーナリストは多く、それは制服のコードを再構築したコレクションに甘いスパイスを与える役割として機能したようだ。

「タカヒロミヤシタザソロイスト.」2020年春夏パリ・メンズ・コレクション

「サカイ」は安定感に支持

 阿部千登勢が手掛ける「サカイ(SACAI)」は安定したコレクションを見せた。映画「ビッグ・リボウスキ(原題:THE BIG LEBOWSKI)」からインスピレーションを得て、フォーマルなテーラードからカジュアルなスポーティーまで、アイテムだけではなくスタイルもハイブリッド。プレスとバイヤーの両方から支持を得たようだ。米雑誌「エスクァイア(Esquire)」のジャーナリストはショー直後に「白黒のゼブラ柄、森林のタペストリー、境目があいまいなイブニングジャケットなど異なるスタイルが混在していたが、最終的にはまとまりがあり、新鮮さを感じる内容だった」とコメントした。英百貨店セルフリッジ(SELFRIDGES)のメンズバイヤーは「彼女のメンズとウィメンズに共通する明確なビジョンとディレクションがコレクションに表れていた。さまざまなテーマがミックスされた今季は『サカイ』ファンを満足させながら、新たな客層にもアプローチできそうなアイテムが並んでいた」と満足気に会場を後にした。

「サカイ」2020年春夏パリ・メンズ・コレクション

「アンダーカバー」は賛否分かれる

 ショーを見て、大きな賭けに出たと感じたのは高橋盾の「アンダーカバー(UNDERCOVER)」だ。ストーリー性のある趣向を凝らしたショー演出と、ストリートとモードの境界を行き来するようなスタイルを打ち出してきたが、今季は黒を基調としたスーツスタイルがルックの大半を占めた。真っ暗な会場内は、キャットウオークをライトが照らすだけのシンプルな演出で、落ち着いたクラシック風のBGMが流れる中ショーが行われた。19-20年秋冬コレクションは「ヴァレンティノ(VALENTINO)」とのコラボレーションが好評で、ラグジュアリーブランドの顧客にも「アンダーカバー」の名を広める機会となった。さらに新しい層の顧客を獲得するための賭けか、もしくは色や要素を削ぎ落としたごまかしの利かない服でも勝負できるという自信かは定かではないが、「アンダーカバー」が新たな方向へと舵を切ったことは確かだ。仏「ヴォーグ オム(Vogue Hommes)」のジャーナリストは「期待を裏切られた。長きにわたり築き上げてきた高橋デザイナーの印象は美しい形で崩壊し、全く新しい才能を見せつけられたのだから。今季のパリコレは全体的に多彩な柄と色が多いだけに、『アンダーカバー』の黒の印象が強く残る」と絶賛した。その他の仏メディアでもおおむね称賛する声が多かったが、バイヤーの視点は違ったようだ。匿名を希望したフランス人のバイヤーは「一つ一つ丁寧にデザインされた美しいコレクションだったが、数字に直結するかどうかは分からない。百貨店では売れるだろうが、一つの方向性を打ち出すコンセプトストアでは売るのが難しいかもしれない。展示会場でコマーシャルピースを見なければ何とも言えないが、今のところ私の店では誰が購入するかという明確なイメージが湧かない」と話した。

「アンダーカバー」2020年春夏パリ・メンズ・コレクション

 壮大な自然を取り入れた「フミト ガンリュウ(FUMITO GANRYU)」や「リーバイス(LEVI’S)」とのコラボレーションによってデニムの七変化を見せた「ファセッタズム(FACETASM)」、ウィメンズからメンズに発表の時期を早めた「オーラリー(AURALEE)」、パリで初めてショーに挑んだ「キディル(KIDILL)」、セーヌ川に浮かべた船の上でVRでの演出を行った「ヨシオ クボ(YOSHIO KUBO)」など、多くの日本ブランドが今季のパリで健闘した。

 筆者は、日本ブランドだからといって無条件に活躍してほしいという心情にはあまりならない。自らの創造性を磨き続け、ファッションに真摯に向き合いながら売り上げを伸ばすブランドは、国籍に関係なくきちんと評価されるべきだと考えている。しかし今季は、個人的に日本のブランドから触発されることが多々あった。その大きな要因は、彼らの挑戦する姿勢を目の当たりにしたことだ。コレクションやショーの良しあしではなく、彼らが奮闘する姿に純粋に心の底から尊敬の念が湧いてきた。日本ないしはアジアですでに地位を確立し、一定規模の売り上げがある日本ブランドは、国内にとどまっていればリスクを回避できるし、周囲からはある程度尊重されることもあるだろう。井の中の蛙のままでいる選択肢だってあったはずだ。しかし彼らは、そんな安楽な環境を飛び出して、異国の地で膨大なコストとリスクを抱えて挑戦している。インターネットなどの発達によって海外進出の障壁が下がったとはいえど、その壁を超えるには勇気と覚悟が必要だ。会社のトップも兼務するデザイナーであればなおさらだろう。ただ夢を語るだけの人と、実際に行動を起こす人の間には決定的な境界線があると改めて感じたし、筆者は後者でありたいと思う。「安楽な環境で惰性的になっていないか?」ーー彼らを見てそんなことを自問し続けた今季のパリ・メンズであった。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

The post パリメンズに挑んだ日本ブランドのリアルな評価 海外メディアやバイヤーはこう見た appeared first on WWD JAPAN.com.

気が付けば眠りの世界へ CBDオイルを使った「カキモトアームズ」のヘッドスパを体験!

 “CBD”をご存知ですか。大麻に含まれる成分カンナビジオールの略称で、抗炎症効果やリラックス効果が期待できるとして最近日本でも注目されています。中毒性があるとされる成分THC(テトラヒドロカンナビノール)とは異なりハイになることはなく、化粧品や食品に入れることが認められています。アメリカでは一部の州で医療・嗜好用マリファナが合法化され、2018年12月にはヘンプ(大麻の一種)の栽培が農業法により全米で合法化されるなど、CBD市場を後押しする動きが加速しています。CBDはヘンプの葉や茎、種から採取できますが、日本では葉の使用が禁じられているため、茎と種を使用した製品の販売ができます。

 そんな注目度の高いCBDを含有したオイルを使ったヘッドスパメニューをヘアサロン「カキモトアームズ(KAKIMOTO ARMS)」が9月30日まで行っているということで、新宿店へ行ってきました。その名も「マインドフルネス ヘッドスパ(MINDFULNESS HEADSPA)」。頭皮には頭皮状態に合わせた頭皮用オイルを、首、肩、デコルテにはCBDオイルを使った、頭皮と体の両方からアプローチするヘアサロンならではのヘッドスパメニューです。

 施術はヘッドスパスパ専門のセラピストが担当してくれます。まずは頭皮診断。記者は男子も驚く短髪ながらも、ヘアカラーはほぼ1カ月半に1回ペース。大好きなハイトーンカラーにするためブリーチも欠かせません。さらに毎日パソコンとにらめっこで、目の疲労や肩こりにも悩まされています。そんなことから、頭皮はやや黄みがかっていてところどころ赤みを帯びた部分も。健康な頭皮は青みがかっていて透き通っているということで、イエローカードが出されました(泣)。

 頭皮の状態を知ったところで、デコルテに使用するCBDオイルを選びます。素材そのものの香りのナチュラル、シナモンとミントから抽出したエキスを加えたシナミントフレーバー、カモミールとレモンの香りのカモミールレモンフレーバーの3種。ナチュラルは薬草っぽい香りでやや苦手、ミントの代謝促進効果に引かれながらも、一番リラックス効果があるというカモミールレモンに決めました。

 ヘッドスパは、ブラッシング、スキャルプトリートメントを経て、いよいよCBDオイルを使用したデコルテトリートメントに。首、肩、デコルテをマッサージしていただき、血行が良くなり体がポカポカとして、ついうとうと。スキャルプトリートメントの気持ち良さに、取材だからと言い聞かせ耐えたものの、CBDの効果でしょうか……。気が付けば最後のシャンプーとアフターケアの段階になっていました。ヘッドスパが終わると、セラピストの方からスタイリストに交代して、きちんとブローをしてくれるのでそのままお買い物へ出掛けるも良し。

 この「マインドフルネス ヘッドスパ」は、カキモトアームズ新宿店、銀座店、銀座二丁目店で受けることができます。プレス担当者によれば、CBDについて知識がある人も多く、スタートして2週間で100人ほどの予約が入っており、すでに注目度の高いメニューになっているそうです。店頭ではロールオンタイプのCBDオイル「エリクシノールレスキュー ロールオン」(1800円)も購入可能で、3週間で1店舗100本以上売れるとのことです。

 頭皮環境は心身の状態に大きく左右されます。夏の暑さでなんとなく疲れやだるさを感じるときや、いそがしく働く人には自身が思っている以上にストレスがかかっていることもあります。ヘアサロンに行くことは、カットやカラー、パーマで見た目を整えることと思いがちですが、素敵なデザインをするためには頭皮の健康は欠かせません。ヘッドスパをに行くってなんだか特別感があって、ハードルが高いと感じるかもしれませんが、そこは今話題のCBDの波に乗ってみてはいかがでしょうか。

The post 気が付けば眠りの世界へ CBDオイルを使った「カキモトアームズ」のヘッドスパを体験! appeared first on WWD JAPAN.com.

米国取材 その男“デニムハンター”につき

 “デニムハンター”という言葉を聞いたことがあるだろうか?炭鉱跡などに分け入り、時代とともに忘れ去られたビンテージデニムを探すのが彼らの仕事だ。カリフォルニア州南部のオレンジ郡に暮らすマイケル・アレン・ハリス(Michael Allen Harris)もその一人。謎多き生態に迫る。

WWD:あなたの仕事について聞きたい。

マイケル・アレン・ハリス(以下、ハリス):塗装業、養蜂業を営みながら“デニムハンター”を始めた。ほかにもデニムコレクター、時にデニムディーラーもしており、ビンテージデニムに関する「オールド・ジーンズ」「ワークウエア秘史」という2冊の本を上梓した。だから著述家でもある。2冊ともワールドフォトプレスから日本語訳が出版されている。

WWD:“デニムハンター”になったきっかけは?

ハリス:子どものころから宝探しが好きだった。近所のゴルフ場でロストボールを拾ってはゴルファーに売っていた(笑)。炭鉱跡で、欠損のないきれいな状態のジーンズを見つけたのは1996年のことだ。

WWD:主なハント場所は炭鉱跡である?

ハリス:そうだ。もともと鉱山には労働者が住む簡易宿舎があったが、暑さから彼らは鉱山内で暮らし始めた。暇つぶしにしていたトランプや生活ゴミに交じってデニムがある。

WWD:ハントの主な対象は?

ハリス:1870~90年のジーンズだ。まずは資料を当たり、鉱山をセレクトする。

WWD:サンフランシスコにあるリーバイ・ストラウス(LEVI STRAUSS)本社で、アーカイブルームを見せてもらったことがある。そこには2万点ものビンテージが収蔵されていたが、彼らから「買いたい」というリクエストはある?

ハリス:かつてはあった。それにコラボレーションしたこともある。

WWD:それはどんな形のコラボレーション?

ハリス:2010年から11年にかけて、僕の持つアーカイブを資料として渡した。彼らはそれを参考に、“リーバイス ビンテージ クロージング(LEVI'S VINTAGE CLOTHING)”でデニムシャツとバンダナを復刻した。ただ僕が最も実現したかったのは、1873年製のジーンズの復刻だ。

WWD:それは実現しなかった?

ハリス:リーバイ・ストラウスが所蔵する最古の「リーバイス」のジーンズは1879年製だが、僕は73年製を持っていた。今はサンフランシスコの友人に売ってしまったが、右裾がちぎれていたものの、ほぼ完全だった。縫製などから「リーバイス」と一目で分かるものだが、リーバイ・ストラウスのヒストリアンはそれを認めなかった。社名がプリントされているなどの確証がなかったからだ。ヒストリアンは現場を見ていない。でも僕は日々、鉱山で岩に埋もれたデニムと向き合っている。以前ヒストリアンだったリン・ダウニー(Lynn Downey)は、ある本の中で「リーバイス」について記述していたが、そこにはたくさんの誤りがあった。それを指摘し、僕が参考にしているカリフォルニア大学ロサンゼルス校にある資料の存在も教えた。リンは再考し、自著「Levi Strauss & Co.」の中でそれを修正していた。でもその本の中にも、また別の間違いがあった……。

WWD:あなた自身が、正しいと信じるリーバイ・ストラウスの歴史について書いては?

ハリス:まさに執筆中だ。すでに足掛け7年で、2020~21年頃に出版できればと思っている。

WWD:最後にデニム、そして“デニムハンター”の魅力について聞きたい。

ハリス:デニムには人生が刻まれる。そんな誰かの人生が刻まれたデニムが、誰にも気づかれず炭鉱跡で眠っている。それに照準を当てて、見つけたときの快感は何物にも代えられない。今発掘中の鉱山で1~2週間以内に大きな収穫がある予感がある。ぜひまた見に来てほしい。

The post 米国取材 その男“デニムハンター”につき appeared first on WWD JAPAN.com.

テラハ出身デザイナーのエビアン 全国5都市を巡回するポップアップで接客

 ハワイ発の天然ゴムを使ったビーチサンダルブランド「ハイアン(HAYN)」は8月13日まで、同じくハワイ発の水着ブランドの「イーラ スイム(ILA SWIM)」とファッションブランドの「ジグオンスミス(SIG ON SMITH)」とコラボレーションし、全国5都市を巡回するポップアップストアを開いている。

 「イーラ スイム」はネットフリックス(NETFLIX)のリアリティー番組「テラスハウス アロハステート(TERRACE HOUSE ALOHA STATE)」に出演したロコガール、エビアン・クー(Avian Ku)が2017年にスタートした。水着を主軸に、Tシャツやキャップなどのカジュアルアイテムをデザインしている。

 開催中のポップアップストアでは、日本限定のカプセルコレクションを発売するほか、エビアンが実際に店頭に立ち接客も行なっている。来日中のエビアンに自身のブランドをスタートしたきっかけやコラボレーションなどについて聞いた。

WWD: ブランドをスタートしたきっかけは?

エビアン・クー(以下、エビアン):ハワイでTシャツショップ「エイティーエイティーズ(88TEES)」を運営している両親の影響が大きいです。幼い頃からママの働く姿を見てきたので、自分も将来は洋服にまつわる仕事をしたいと思っていました。大学ではグラフィックデザインを勉強し、卒業後はそのまま就職することも考えていましたが、「テラスハウス」のハワイ編に出演することが決まり、同時にブランドもスタートさせる流れになりました。

WWD: ブランドの特徴は?

エビアン:水着やTシャツを中心にしたブランドですが、ハワイの女の子たちは1日中水着を着て生活をしているので、ビキニは洋服のようなデザインにしています。デニムショーツに合わせてトップスのように着用できるのがポイントで、そのまま海にも入れて、山登りにも行くことができます。特に今はオフショルダーのデザインやギンガムチェックのものが人気ですね。またTシャツは着心地のいい素材にこだわっていて、製作段階でサンプルを何度も着用してしっかり確かめています。

WWD:テラスハウスの影響は大きい?

エビアン:はい。まずは番組で私のことを知って、ブランドを見つけてくださった方は多く、インスタグラムのフォロワーさんは80〜90%は番組のきっかけで知ってくださっていると思います。世界中で配信されているネットフリックスなので、前にパリに行ったときにも道端で声をかけてもらいました。でも、収録から3年が経っているのでこれからは“テラスハウスの人”から“「イーラ スイム」の人”という認識に変わっていかないとと思っています(笑)。

WWD:今回のコラボレーションについて教えてください。

エビアン:「ハイアン」の創業者であるデイヴィッド・リン(David Lin)さんに誘っていただき、ハワイ出身の3ブランドでビーチウエアを中心としたサマーコレクションを作りました。ビビッドカラーのTシャツからベーシックなバッグ、キャップやビーチサンダルなどそろっています。サンダルなどに使用した柄は「ジグオンスミス」が得意とするハワイの植物柄にこだわっていて、実際に模様に取り入れる葉っぱをハワイ島に取りに行きました。「イーラ スイム」のグラフィックは私が担当しています。特に“TAKE GOOD CARE ” (大切にしてください)というロゴを入れたバッグやポーチがお気に入りです。クリアバッグはビーチにもフェスにも、普段使いにもオススメです。

WWD:コラボした「ハイアン」と「ジグオンスミス」の魅力は?

エビアン: 環境に配慮して天然由来の素材を使ったサンダルブランドです。ビーチだけでなく、ストリート、都会的なスタイルにも合わせることもできると思います。「ジグオンスミス」は、ファッションを通してハワイの伝統の文化を伝えているところが素晴らしい。

WWD:ハワイの人たちはサステイナビリティーへの意識が高い?

エビアン:ハワイには美しい自然があって、皆がそれを守ろうとしています。ハワイの気候は温かくカラッとして過ごしやすかったんですが、昨今の気候変動の影響から雨も多くてジメジメしている。私の家に冷房がないんですが、購入しようかと検討しています。日本も7月に梅雨続いていて変ですよね。簡単なことですが、エコバッグを持ち歩いたり、スーパーではレジ袋をもらわないようにするなど意識はしています。日焼け止めもサンゴ礁を守るために配慮された成分のものを選んでいます。

WWD:今ハワイで流行っているものは何?

エビアン:日本でも人気のあるボバティー(タピオカドリンク)は皆飲んでいます。またアヒポキ丼(醤油漬けのマグロやアボカド、トマトをご飯の上にのせたもの)やガーリック枝豆も毎週のように食べています。

WWD:ポップアップストアでは実際に接客もするが?

エビアン:京都と福岡は日程が重なってしまうところもありますが、それを除けば全日程お店に立ちます。ハワイの「エイティーエイティーズ」でもお店に立っていますが、いろんな方とお話しできる接客が大好きです。よく学生の子たちの相談にのることもありますが、自分自身もそういう経験があったなと共感しながら話を聞いています。購入の有無や年齢に関係なく、たくさんの方に店頭にチェックインしていただけたらうれしいです。

WWD:今後の目標は?

エビアン:まだブランドは始まったばかりなので、ブランドの認知度も高め、たくさんの人たちに手に取ってただけるようしっかりと成長させていきたいです。

■名古屋ポップアップストア
期間:7月11〜15日
会場:名古屋パルコ西館1階 ポップアップスペース

■東京ポップアップストア
期間:7月20~24日
会場:ラフォーレ原宿1階 エントランスポップアップスペース

■大阪ポップアップストア
期間:7月26日~8月1日
会場:ルクア イーレ 4階 イセタン クローゼット/ザ・ステージ

■福岡ポップアップストア
期間:8月3〜8日
会場:福岡六本松蔦屋書店 2階 ポップアップスペース

■京都ポップアップストア
期間:8月3〜13日
会場:京都藤井大丸2階 ポップアップスペース

The post テラハ出身デザイナーのエビアン 全国5都市を巡回するポップアップで接客 appeared first on WWD JAPAN.com.

“場所としてのレジ”が必要なキャッシュレスとは? ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャーに勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、様々な記事につぶやきを添えます。

今日のニュース「FASHION PATROL ジュンの縁日」

読み解きポイント:「キャッシュレス≠レジなし店舗」

ニュースのポイント

 7月12〜14日の3日間、東京・恵比寿のエビス303でコト消費型イベント「ジュンの縁日」が開催された。会場に設置された屋台にはグループ内の各ブランドの限定品・先行販売品などが並んだほか、お笑いライブ、フルーツボールすくいなど本物の縁日さながらの演出に。ジュンの本気の“3F”(ファッション・フード・フィットネス)を五感で体感できるイベントとなった。

AZUはこう読む!

 「ジュンの縁日」、私も遊びに行ってきました!お目当ては「ハーゲンダッツ(HAAGEN-DAZS)」と「アダム エ ロペ(ADAM ET ROPE)」の可愛いコラボTシャツ……ではなく、「キャッシュレス決済」を体験すること。ITベンチャーに勤める身として「キャッシュレス」「QRコード決済」といったワードには敏感なので、見逃せませんでした。

 みなさん、キャッシュレス決済と言って思い浮かぶのは何でしょうか?今は「◯◯ペイ」が乱立する戦国時代と化しているので、「QRコード」が頭によぎると思います。しかし以前、自社で「レジなし」ポップアップストアを開催した時は、QRコードへの反応が若干鈍かったのが実際……(笑)。「商品にQRコードをつける→スキャンしてもらう→ECに誘導→後日配送」という購買体験を設計したのですが、QRコードを見ても「で、どうすれば良いの?」という反応が多く、「QRコードの購買行動を想起させる力は、まだまだ弱いのだな」と感じました。一方、中国人観光客は説明しなくても読み取っていました。

 「ジュンの縁日」はというと、レジでの決済に近いカジュアルなキャッシュレス決済だったので、一般客にも馴染みやすかったのではないでしょうか。商品購入は何箇所かある決済スポット(レジ的な場所)で行うことができ、「キャッシュレス決済(交通系やアプリ系など各種ペイ対応)→商品引換券をもらう→ブランドのブースで商品と引き換え」という流れです。商品のQRコードからその場で決済ができたりECに誘導したりするわけではなく、あくまで「レジ的な場所でキャッシュレス決済をしてから」商品を受け取りに行くスタイル。なので、“レジはあるけどキャッシュレス”という感じです。

 キャッシュレス決済が普及している中国では「スマホtoスマホ」の送金が当たり前なので、極論レジすらいらないのですが、日本のように徐々にキャッシュレスに取り組むなら「場所としてのレジ」という概念がまだまだ欠かせません。だからレジ的な場所があった「ジュンの縁日」は、ユーザーに優しい設計だったのだなと思います。IT畑にいると「便利さを追求した結果、小難しくなってユーザーは置いてけぼり」という沼にハマりがちなので、次回は「ジュンの縁日」を見習って、手を差し伸べるような動線設計をしなければと反省しています……(笑)。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

The post “場所としてのレジ”が必要なキャッシュレスとは? ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく appeared first on WWD JAPAN.com.

週末お出掛けスポット 隈研吾 × サカナクション山口一郎 × 森永邦彦「アンリアレイジ」デザイナーの企画展などアート5選

 週末にオシャレして出掛けたいアートスポットをお届け。今週は、隈研吾 × サカナクション山口一郎 × 森永邦彦「アンリアレイジ(ANREALAGE)」デザイナーの企画展やデザインの新たな一面を虫から学ぶ展覧会など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(7月27、28日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【アートスポット5選】

【開催中イベント】

阪急うめだ本店で韓国ファッションの催事 デザイナーらの来店イベントも

アーティストのジェームス・ジャービスが4年ぶりの新作展を開催

「リーボック」が「レブロン」とフィットネス女子応援キャンペーンを実施

眼鏡「フォーナインズ」がフォトコンテスト開催 テーマは“アクティブな夏”

「ブルガリ」と「ドン ペリニヨン」のマリアージュ ブルガリ銀座タワーの最上階に

「リモワ」がストリート誌と企画展 過去のアーカイブからアーティストの作品まで

「MCM」がサステナをテーマに展示会開催 未使用バッグをドレスにアップサイクル

松屋銀座が「美しくなるビアガーデン」開催 今年もクロスフィットトレーナーAYAとコラボ

【開催中ポップアップ】

東京五輪まで1年 オフィシャルタイムキーパー「オメガ」が大丸東京にポップアップ

「アニヤ・ハインドマーチ」の新パーソナライズサービス 伊勢丹でポップアップストア

「フィラ」が冒険心をかきたてる新コレクション“フィラ エクスプロア”を発表

伊デニムブランド「リプレイ」が「バーニーズ」でポップアップ 槙野智章選手が来店

「ファセッタズム」が藤原ヒロシのザ・コンビニ&コカ・コーラとのトリプルコラボアイテム発売

西武池袋本店が水着センター開設 街中でも着られるドレス水着など発売

「ルイ・ヴィトン」がドーバー銀座でメンズのポップアップ 限定品やフューチュラの作品展示も

コンセプトショップ、ライラ トウキョウがECサイト開設を記念して「メゾン マルタン マルジェラ」のアーカイブピース200点を販売

ラブレス青山で古着のラグタグがポップアップ 佐々木拓真選りすぐりのビンテージウエアを販売

ビートたけしプロデュースの「キタノブルー」が初ポップアップストアをオープン

ハヤカワ五味が生理用品セレクトの期間限定ショップ 自由でおしゃれな選択肢を提案

伊勢丹の今夏の浴衣展開がスタート 西内まりやとのコラボ品と販促ムービーで多様な着用シーン喚起

眼鏡ブランド「アヤメ」が263日間のポップアップストア 直営店オープンの布石

オーガニックブランド「ラ・ブルケット」が関西で初のポップアップストア

The post 週末お出掛けスポット 隈研吾 × サカナクション山口一郎 × 森永邦彦「アンリアレイジ」デザイナーの企画展などアート5選 appeared first on WWD JAPAN.com.

キアラ・フェラーニに直撃 インフルエンサーの未来とは!?

 インフルエンサーのキアラ・フェラーニ(Chiara Ferragni)がアンバサダーを務めるファインジュエラー「ポメラート(POMELLATO)」の銀座旗艦店オープンのために来日した。フェラーニは世界的な影響力を持つインフルエンサーとしてトップを走り続けている。今回は家族で来日し、12日間滞在した。ポメラート銀座ブティックのイベントのほか、さまざまな仕事もこなしつつ観光やショッピングを楽しんだ。フェラーニにインフルエンサーの将来やトップでいられる理由などについて聞いた。

WWD:あなたのようなインフルエンサーになりたい若い人に対するアドバイスは?

キアラ・フェラーニ(以下、フェラーニ):自分の本能を信用すること。そして、常にポジティブな人や自分のことを信じてくれる人と一緒にいること。とにかく自分がやりたいことがあったら迷わず実行に移すことね。

WWD:この10年で確立されたインフルエンサーは今後どのように変化していくと思うか?

フェラーニ:中には消えていく人もいるだろうけど、もっとたくさんできることがあるはず。ウェブサイトを立ち上げたり、起業したり、テレビのプレゼンターとしてエンターテインメント業界で活躍したり。自分が心からやりたいことをやればいいだけ。

WWD:なぜトップのインフルエンサーであり続けられるのか?

フェラーニ:ファッション業界で活動するようになって今年10月で10年になるけど、今まで、私一人で常に何か新しいこと、他の人とは違うことをしてきたつもり。そして、常にそれらから学んできた。トップを走り続けられるのは成功に満足しないから。だから私は常に一歩先を行くために、超多忙な日々を送っているわ。

WWD:「ポメラート」の一番の魅力は?

フェラーニ:ミラノ発のブランドで私を含むイタリア女性に愛されている点ね。「ポメラート」は女性が自分のために買うジュエリーよ。ジュエリーを自分で買うって、すごく独立していると思う。

WWD:「ポメラート」のブランドアンバサダーとして重視していることは?

フェラーニ:アンバサダーになれて光栄よ。私自身がキャリアもプライベートも自分自身で切り開くモダンな女性の一人だと思っている。私はポメラート・ウーマンよ。

WWD:「ポメラート」と自身のブランドのコラボレーションの可能性は?あるとしたら、自分でデザインするか?

フェラーニ:お気に入りのブランドの一つ「ポメラート」でカプセル・コレクションを作ってみたいわ。もちろんインスピレーション源はたくさんあるから、自分でデザインするし、全過程に関わりたい。

WWD:経営者、アンバサダー、インフルエンサー、妻、母とさまざまな顔があるが、どうやってプライベートを確保しているか?

フェラーニ:ビジネスとプライベートのバランスをとるためには段取りが重要。私自身が段取り魔でいろいろなことに携わるし、会社のチームやプライベートのスタッフにも助けられている。とにかく何事にも集中することが大切ね。

WWD:新たなプロジェクトの予定は?

フェラーニ:この秋に私のドキュメンタリー映画ができるわ。私の生い立ちから起業までの道のりやどのようにSNSがラグジュアリー市場を変えたかなどが描かれている。イタリア人の女性監督とは気が合った。

WWD:今回の来日では何が楽しかったか?

フェラーニ:いろんなところに行って日本の文化に触れたわ。明治神宮やチームラボの展覧会にも行ったし、“セーラームーン”のコスチュームを着たり、ショッピングも楽しんだ。キモノやお守りも買ったし、日本にはすばらしいビンテージバッグがあるから、たくさん買った。夫(ミュージシャンのフェデス FEDEZ)は、ストリートウエアを買いこんでいたわ。

【エディターズ・チェック】
モデル並みのルックスのキアラ・フェラーニですが、彼女は時代を象徴する起業家でありビジネスウーマン。自身の直感を信じ、それを行動に移してビジネスにしている頭脳明晰で行動力のある女性という印象でした。仕事やプライベートでチームがいるが自己管理もちゃんとする。英語も堪能で自分の意見をしっかりと述べるし、ファンサービスもばっちりです。「ディオール」など多くのラグジュアリーブランドをクライアントに持つ彼女ですが、こびは売らず自分自身の考えでクライアントの要望に応える。日本で購入したものもビンテージのバッグや明治神宮のお守りと、庶民的で好印象でした。彼女がこれからどのように新たなステージを切り開いていくのか楽しみです。

The post キアラ・フェラーニに直撃 インフルエンサーの未来とは!? appeared first on WWD JAPAN.com.

「リーバイス」が公認する唯一のリメークブランド「リダン」をあらためて知る

 「リダン(RE/DONE)」は2014年にロサンゼルスでスタートした、「リーバイス(LEVI'S)」が唯一公認するリメークブランドだ。日本ではロンハーマン、ユナイテッドアアローズ、伊勢丹、阪急などで販売している。なぜ「リーバイス」は「リダン」にだけ公認を与えるのか。「リダン」ならではの特別性とは?2人の創業者、ショーン・バロン(Sean Barron)とジェイミー・マズール(Jamie Mazur)に聞いた。

WWD:なぜ「リーバイス」は「リダン」にのみ公認を与える?

ショーン・バロン(以下、バロン):初め僕らはリメークジーンズをセレブたちのために作っていた。それがパパラッチに写真を撮られたり口コミで広がったりして、そのうちに「リーバイス」側からアポが入った。

WWD:しかし「リーバイス」のリメークは他のブランドも行っている。

バロン:「リダン」はスケールが違った。最初からビジネスを考えていたし、「リーバイス」から声が掛かった時点で1万本以上を生産していた。ちょうど法人化しようというタイミングだったので、「リーバイス」もタッグを組みやすかったのではないか。

ジェイミー・マズール(以下、マズール):「リーバイス」は神様ともいえるブランド。恐れ多いことだったが、逆に「失敗できない」と覚悟した。

バロン:それに「リダン」の消化率の高さは「リーバイス」を安心させたと思う。

WWD:「リダン」の特別性は?

マズール:他のブランドのリメークは“ちょっといじる”レベルかもしれないが、われわれは文字通りバラバラに解体して、そこから再構築する。複雑だし、手が掛かっている。それにリメークに関しては全てメード・イン・ロサンゼルスだ。

WWD:「リダン」の日本での販売価格は?

バロン:「リーバイス」のリメークジーンズが4万円台、パッチワークなど手間が掛かったものだと7万円ほどだ。

WWD:ブランドデビュー時、素材となる「リーバイス」古着は1950~90年代のビンテージだった。今も変わらない?

マズール:今は1980~2000年代のものが多い。古さより、ヒゲなど経年変化の美しさに重きを置いている。

WWD:「リダン」にはリメーク以外のラインも存在する。

バロン:その通りだ。われわれは“リメーク”“オリジナル”と呼び分けている。“オリジナル”のジーンズは3万円台が中心だ。

WWD:ストレッチデニムは使わない?

マズール:“オリジナル”では使っている。一方で“リメーク”はノンストレッチのみにして、コットン100%のよさを伝えようと思っている。

WWD:“リメーク”と“オリジナル”、ビジネスとしてはどちらが大きい?

バロン:“オリジナル”の方が大きいが、“リメーク”はわれわれのアイデンティティーであり、大事にしている。卸先も厳選している。

WWD:「リダン」の購買層について教えてほしい。

バロン:今はウィメンズのみの展開で、アメリカでは中学生から問い合わせの電話があったり、70代のミセスが買ってくれたりと幅広い。日本だと20~30代が中心だ。

WWD:オリジネーターたる「リーバイス」もセルフリメークライン“リーバイス オーソライズド ビンテージ(LEVI'S AUTHORIZED VINTAGE)”をスタートさせた。どう思う?

マズール:非常にいいアイデアだと思う。応援したい。

WWD:「リーバイス」が「リダン」に古着を供給することはありえる?

バロン:ない。

WWD:今後の「リダン」の方向性について聞きたい。

バロン:われわれはジーンズカンパニーではない、ブランドだ。今後はTシャツ、ジャケット、ブーツなどデニム以外のコレクションを増やしていきたい。

マズール:日本の生産現場ともつながりたい。だから6月に岡山のデニム工場や和歌山のメリヤス工場を視察してきた。1日でも早く、彼らと協業したアイテムを届けたい。「リダン」は作り直すという意味を持つ。だから今後は、インテリアや家そのものをリノベーションするようなアクションもしたい。それこそサステイナブルだと思う。

バロン:数カ月前にイタリアに倉庫を造った。今後はヨーロッパ戦略も加速させたい。

The post 「リーバイス」が公認する唯一のリメークブランド「リダン」をあらためて知る appeared first on WWD JAPAN.com.

ファッション業界は今年こそ「コートどうする?」問題と決別できるか 注目アウターをチェック

 いまだ関東は梅雨が明けず、夏本番はまだかといった状況ですが、アパレル業界では既に2019-20年秋冬の展示会が一段落しています。各社の秋冬展示会で今年も最大のトピックとなっていたのが、「コートどうする?」問題でした。コートは単価が高いため、売れ行きが秋冬の業績に直結します。同時に、気温という不確定要素に動向が左右される部分が大きく、昨年は暖冬によって多数のコート在庫を残してしまったブランドやメーカーが続出しました。TSIホールディングスやオンワードホールディングスはそれによって業績予想を下方修正しましたし、「ユニクロ(UNIQLO)」のファーストリテイリングも暖冬で18-19年秋冬は奮わず、という結果でした。

 この業界では決算会見などで売り上げ不振を説明する際に、「いやー、暖冬だったのでコートが売れなくて…」といった話が非常によく出ます。秋冬シーズンだとほぼそれに終始するといってもいいくらいです。しかし数年前、ある中堅アパレルメーカーの社長が自嘲気味にこう話していたのが非常に印象に残っています。「天気が悪かったので業績不振でしたという言い訳が許されるのって、アパレル業界くらいですよね。他の業界だったら、天候リスクは最初から織り込んでおけって株主やアナリストから怒られますよ」。

 実際のところは、アパレル以外にも天候要因が業績に直結する業種はありますが(エアコンメーカーなど)、その社長は異業種からアパレルに参入した方なので、アパレル業界内で「まあこういうものだから仕方がないだろう」と長年なあなあで済まされてきたものに対して、「え!そんなんでいいわけ?」と感じる部分が多いのだと思います。私自身も、この社長の言葉によって目が開かれた部分は大きく、「確かに天候動向によって毎秋冬こんなにアタフタする業界って、産業としてどうなんだ?」と感じる部分は大きくなりました。

「ユニクロ」も「ジーユー」も「無印良品」も! みんな薄手アウター強化

 というわけで、暖冬だろうが厳冬だろうが関係なく、どんな天候下でも売れるMDをいかに組むかがアパレル業界の共通課題なわけですが、そうした中で、19-20年秋冬の展示会では薄手アウターの品ぞろえを充実させることが各社の流れとなっていました。暖冬でも着られて、厳冬だったとしても厚手コートのインナーとして着られるような商品です。「ユニクロ」が企画していたボアフリースのブルゾンやコート、「ジーユー(GU)」のシャツとジャケットの中間のような“シャケット”などがその代表例です。「無印良品」は軽量ダウンシリーズに注力していましたが、なかでもヒットが見込めそうなベストタイプは、従来よりも1000円値下げして2990円(税込)とし、強化品番にしていました。

 ただし、薄手アウター重視の流れは今年始まったものではなく、この10年ほどずっと続いているものではあります。とはいえ各社昨年の暖冬で背負った不良在庫の記憶が生々しいため、今年はこの2~3年の間では特に「薄手アウター!」「薄手アウター!!」という声が強かった印象を受けました。

フィービーが火付け役のダブルフェースコートは今年も健在

 薄手アウターというと、ボアやダウン、キルティングといったウール以外が必然的に主役になりますが、ウールやウール混の“正統派”コートが全く展示会に出ていなかったかというと、もちろんそんなことはありません。チェスターフィールドコートやPコートなどは、定番としていくつかのブランドが出していました。ですが、やはりウールメルトンなどの超地厚なコートはかなり少なく、ウールコートといってもカーディガン感覚で着られるタイプが中心。その代表が、ウールやウール混のダブルフェース素材を使った、裏地のないコートです。

 ルミネや百貨店などに出店し、おしゃれ好きのエレガント女子に人気のブランド「アルアバイル(ALLUREVILLE)」と「アナイ(ANAYI)」(どちらもファーイーストカンパニー)は、ダブルフェース素材のコートを推していました。「アルアバイル」の担当者いわく、「軽い着心地のダブルフェースのコートは、昨年の暖冬下でも好調だった」そう。それを受けて、今年は期待を込めて消費増税前に投入を早めるそうです。コートだけでなく、コート×ドレスやジャケット×スカートといったセットアップもダブルフェース素材で企画していました。

 ダブルフェース、ダブルフェースと連呼してきましたが、「そもそもダブルフェースって何?」という声が聞こえてきそうです。ファッション業界内でも、何をダブルフェースと呼ぶかは会社や個人によってやや異なっており、ちょっと分かりづらい状況になっています。せっかくの機会なので、素材の専門家である繊維専門商社、スタイレムの飯田悟司・事業本部ファブリック事業部副事業部長、富田洋司・同事業部第1部81課課長代理にダブルフェースについて聞いてきました。

 お二人によると、ダブルフェースとはその名が示す通り、表と裏で2枚の生地がくっ付いた構造になっている両面生地の総称のこと。「生地を二重にするには、二重織り、二重編み、ボンディング(貼り付け)などさまざまな手法があるが、いわゆる『ダブルフェースのコート』が指すダブルフェースは、生地を織る際に経糸で接結(2枚の布をくっ付けること)した二重織りのこと」だそう。

 ダブルフェースのコートは、ここ数年ウィメンズの市場で冬のウール系コートの主流となっています。火付け役はフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)時代の「セリーヌ(CELINE)」。フィービーが生んだコクーンシルエットの銘品ダブルフェースコート“クロンビー”は、フィービー退任前の最後のシーズンには飛ぶように売れて(カシミヤのダブルフェースで50万円超えという高価格にも関わらず!)話題になりました。その“クロンビー”にインスパイヤされて、多くのリアルクローズブランドがダブルフェースのコートをここ数年作り続けています。先ほど、「昨年の暖冬下でもダブルフェースのコートは売れた」という「アルアバイル」の声をご紹介しましたが、ダブルフェースは素材の特性上、裏地なしで仕立てることができて軽いんです。それが各社がダブルフェースコートを作り続ける理由、かつ今秋冬も期待品番にあがっている理由です。

「これは手縫いなんですよ」は本当なのか?

 蛇足ですが、ダブルフェースのコートを店頭で見ている際に、販売員さんに「これはミシンではなく手縫いで仕立てているんですよ(=それだけ高級ですよ)」と言われたことがある人もいるかもしれません。確かにダブルフェースは、二重織りをつなぐ糸(接結糸)に手作業でハサミを入れて、2枚にはがした生地の端を内側に織り込んで手でまつり縫いをして仕立てていきます。これを「リバー仕立て」「毛抜き合わせ」と呼びます。「リバー仕立て」に関しては、単にリバーシブルに仕立てる(表と裏をひっくり返して2ウェーで着られるように仕立てる)ことをそう呼んでいる人もいてややこしいのですが、「リバー仕立て」がもともと指すのは「毛抜き合わせ」のことです。

 でも私はここ数年、疑問に思っていました。これだけ世の中にリバー仕立てのダブルフェースコートがたくさん出ていて、その全てが本当に手まつり(手縫い)なのだろうかと。この疑問は、世の中にこれだけカシミヤ製品が大量に出ていて、その全てが本当に純カシミヤなのか、そんなにこの世にカシミヤヤギはいるのか、という問いにも通ずるものがあります(カシミヤの偽装表記は数年前に問題になりました)。スタイレムの飯田副事業部長、富田課長代理が、この疑問にも答えてくれました。いわく「ダブルフェースは基本的に、接結糸をはがすのも、まつり縫いも手作業で行うもの。ただし、一部工場はスライサーという接結糸をはがすカッターや、直線に限ってならばまつり縫いができるミシンを持っている」。

 お二人によれば、着心地をよくするために生地に縮絨をかけ、揉んでいく(それだけ手間をかける)と二重織りの接結がはがれにくくなるそうで、「そうした生地は手間がかかっている分生地自体の価格も高くなるし、スライサーでは生地をはがせないので工賃も高くなる」。ラグジュアリー・ブランドがカシミヤやカシミヤ混などの上質なダブルフェースを使い、リバー仕立てで作っているコートはまさにこういったもの。一方で、化繊混ウールのダブルフェースなど、接結をはがしやすい(はがす手間がかからないし、場合によってはスライサーも使用可能=工賃が下がる)タイプの生地もあり、ショッピングモール向けのやや安価なブランドなどは、そういった生地を求める傾向が強いそうです。

 徒然になってしまいましたが、19-20年秋冬も、各社気合いを入れて商品を企画していました。天候要因に限らずですが、「どうにもならないことだからしょうがない」「長年このやり方でやってきたからこれが当たり前」と思考停止するのではなく、そこを超えていく企画力なり発想力なりが求められている時代だなと、改めて強く思います。

The post ファッション業界は今年こそ「コートどうする?」問題と決別できるか 注目アウターをチェック appeared first on WWD JAPAN.com.

今年の「フジロック’19」のヘッドライナー、ザ・キュアーの写真展が開催 「アニエスべー」のギャラリーで

 1980年代のニュー・ウェイブを代表する英ロックバンド、ザ・キュアーの写真展「RICHARD BELLIA 写真展“THE CURE”」が9月8日まで東京・表参道のアニエスベー ギャラリー ブティック(AGNES B. Galerie Boutique)で開催されている。1980年から同バンドのライブツアーやテレビ収録、レコーディングなどに同行してきたフランス人写真家リシャール・ベリアが約40年間撮りためてきた中から、個性的なヘアスタイルとメイクがチャームポイントのフロントマンのロバート・スミス(Robert Smith)を中心に、ベリアがフィルムカメラで捉えた写真を展示している。

 ザ・キュアーは今年、6年ぶりに野外音楽フェス「フジロックフェスティバル ’19(FUJI ROCK FESTIVAL’19)」に出演することが決まっており、最終日の7月28日にヘッドライナーを務める予定だ。同展の写真家ベリアも同行してパフォーマンスを記録するという。

 24日に行われた同展のオープニングレセプションで初来日したべリアは、来場者に写真の説明をしたり、ランダムに選んだ来場者を被写体にゲリラシューティングをしたりと、コミュニケーションを楽しんでいた。ベリアにザ・キュアーのこと、ミュージシャン撮影の極意などを尋ねた。

WWD:今回の写真展について教えてほしい。

リシャール・ベリア(以下、ベリア):1980年からザ・キュアーをアナログ撮影にこだわってとらえてきた。バンドの魅力とフィルムカメラの魔法が合わさり、かっこいいイメージを生み出してきたと自負している。こうして日本に作品を持ってこれたことは本当にうれしい。「アニエスベー」とは2009年の夏からパリ、ロンドン、ニューヨークで一緒に写真展を開いてきた。そして今回が初めて東京での開催で、現在パリでも同じ内容で写真展を開催中だ。

WWD:ザ・キュアーの撮影はどのように行なっているのか?

ベリア:彼らの写真を撮るときは短時間にパシャパシャっとシャッターを切って終了する。ほんの2分間ぐらいだから、彼らは僕のことをジャマに思うこともない。そこにいたと思ったら知らぬ間に消えていて、2年後のライブで再開する感じだ(笑)。

WWD:ザ・キュアー以外にも多くのミュージシャンを撮影してきているが、アーティストを撮影するコツとは?

ベリア:ポートレート写真家を目指している人にアドバイスするならば、被写体の目力をとらえることを大事にしてほしいと伝えたい。重要なのはモデルの目の迫力だ。何度もシャッターを切りするぎるとモデルは疲れてくるし、いい写真は撮れない。だから私は短時間で集中して、表情の力強さを失う前に撮影を終わらせる。また、モデルに話をかけることもとても大切だ。どんな表情、ポーズがいいのか、悪いのか率直に伝えることでいい一枚に導いていける。

WWD:ロバート・スミスはどんな人?

ベリア:ザ・キュアーのメンバーは皆心やさしい人たちだが、特にロバートは正真正銘のナイスガイだ。バンドの指揮者として方向性を決めるのも彼で、強い責任感がある。今も私がバンド宛てにメールを送るとロバート本人から返信が来るんだ。今年の「フジロック」も「同行したい」と連絡したらすぐにロバートが返事をくれた。

WWD:ザ・キュアーの好きな曲は?

ベリア:ありすぎて選べない。一つを答えると、ほかのものを挙げ忘れてしまうので言わないでおく。

■RICHARD BELLIA 写真展“THE CURE”
会期:7月25日〜9月8日
時間:13:30〜18:30
休廊日:月曜日
場所:アニエスベー ギャラリー ブティック
住所:東京都港区南青山5-7-25 ラ・フルール南青山2階

The post 今年の「フジロック’19」のヘッドライナー、ザ・キュアーの写真展が開催 「アニエスべー」のギャラリーで appeared first on WWD JAPAN.com.

読者が注目した今週の新作 「コーチ」 × 水原希子第3弾など(7月26〜8月1日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。「ファッション部門」と「ビューティ部門」は読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ファッション部門」では「コーチ(COACH)」 × 水原希子の第3弾が最も注目され、「ビューティ部門」では「ディーゼル(DIESEL)」とネイマール(Neymar)のコラボ香水が1位に輝いた。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


【スニーカー部門】

The post 読者が注目した今週の新作 「コーチ」 × 水原希子第3弾など(7月26〜8月1日) appeared first on WWD JAPAN.com.

香取慎吾が語る2020年東京オリパラユニホーム選考 白熱の舞台裏

 2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が7月19日に開いたフィールドキャスト(大会スタッフ)とシティキャスト(都市ボランティア)のユニホーム発表会見に、香取慎吾が登壇した。選考委員の一人である香取はファッション通としても有名で、委員にはほかにも座長を務めるファッションジャーナリストの生駒芳子やデザイナーのコシノヒロコら、業界の“大物”も名を連ねる。選考は昨年の11月にキックオフ。白熱しながら何度も話し合いを重ねたという。何時になくファッション濃度高めで行われた選考の裏側を香取に聞いた。

WWD:今回発表されたユニホームの感想を改めて教えてください。

香取慎吾(以下、香取):着心地よし、暑さ対策よし、デザインもよしという感じです。しかし、発表の時に僕が着てステージに上がることになるとは思いませんでした(笑)。

WWD:似合ってます!デザインのどんなところに日本らしさを感じますか?

香取:グラデーションもそうですけど、清涼感のあるこの藍色でしょうか。こういった選考会に参加させてもらうのは初めてだったので、数型から「アナタはどれがいい?」ぐらいなのかなと思っていたんですが、もう全然違っていて。半年以上かけてとんでもない数から選んでいきました。

WWD:オリンピックとパラリンピックをファッションで盛り上げるには何が必要でしょう?

香取:このユニホームも、暑さ対策や着心地はもちろん、かっこいいやかわいい、おしゃれといった見た目の部分まで細かく話し合って、ファッション好きの僕としてはうれしかったですね。過去にボランティアに参加したことがある方々のお話を聞くと、「大会後にボランティアのユニホームをもらえることになっても、これは別に要らないかなと思うことも正直ある」とか、「最初にカッコ悪いなと思うと、人前で誘導したりするのも心引けちゃう」という意見を聞いて、欲しいと思ってもらえることも重要だったり、会場や街中でこのユニホームを着るわけですから、その時に胸を張れる誇らしさも大切なんだと。経験者からそういう気持ちもあると言ってもらえたことで、議会の意識も高まりました。

WWD:みんなの意見は分かれませんか?かっこいいやかわいいの基準がそれぞれだったり……。それとも、ある程度同じ方向は見えたのでしょうか?

香取:そこは座長の生駒さんとコシノさんがズバッと(笑)。話が上手くまとまらない日はもうやめにしようということもあったり。でも日程的に困る人もいるじゃないですか。それでも今度は、会議の日程が合わないからという理由で決めていいものなのか、という話し合いをしたり。そういうこだわりが僕は好きでした。

WWD:ファッションは自分の個性を表現するというところがありますが、ユニホームはみんなが同じモノを着ます。年代も、男女も、体格も違うみんなが同じモノを着るという目線と、誰かをイメージしてその人に似合うモノという目線。ファッションが好きな香取さんとしてはどう意識しました?

香取:そう言われてみると、いろんな人が同じモノを着るという目線で選んだかも知れないですね。今、「ヤンチェ_オンテンバール(JANTJE_ONTEMBAAR)」(スタイリストの祐真朋樹と共にディレクターを務めるショップ)をやっていますが、そっちは自分の好きな形や色、アートなどを落とし込んで、それを買ってくれる人がいたらいいなという目線だけど、今回に関しては11万人が着ると決まっているので、みんなが同じモノを着るという目線をすごく意識したと思います。

WWD:11万人が着るという汎用性を突き詰めていくと、凡庸なモノになっていくというか、かっこいいモノにしづらいなと思うことはなかったですか?

香取:それがこの委員会にはなかったんです。すごいですよ。だから本当はもっと早い日程で決まるはずだったのに、決まらなかったんだと思います。

WWD:妥協できなかったと。

香取:かなりファッション性を重視した議会だと思います。グラデーションの位置で透け感も変わってくるだとか、柄に用いたエンブレムの位置でスタイルの見え方も変わってくるだとか。かなり細かいところまで話し合って、本当にみんなで洋服のデザインをしている感じでした。ボランティアの方に対しての暑さ対策だけで話が進んでしまいそうですが、そうじゃなくて色もデザインも、体のラインの見え方も。その部分の方が時間を割いたかも知れません。

WWD:“今っぽさ”も大事ですか?

香取:うーん……。当然それは必要だと思うんですけど、例えば、実際にボランティア活動をしてもらう上で、この人がシティキャスト(都市ボランティア)でこの人がフィールドキャスト(大会スタッフ)ということが分かんなきゃいけないんですね(関連記事参照)。応援のためのユニホームを着てきている人もいるので、公共の場でスタジアムの場所を聞こうとしたときにどの人がシティキャストなのか、そういうことも気にしなきゃいけない。役割をはっきりさせなきゃいけないんですね。最後は(今回決まった)どちらのデザインがフィールドキャスト、シティキャストに適しているのかという議論にもなりました。もし逆だと、スタジアムの客席からスタンドエリアを見た時に競技と絡み過ぎるとか、街中で埋もれてしまうとか。

WWD:すごい。まずは機能面でのクレームが来ないように、というのが第一になりそうなイメージですが。

香取:機能と見た目、両方同じスタートで同じように進んでいったと思います。仮に機能の方に偏るとファッション的には違うんじゃないかとか。

WWD:ちなみに香取さん自身が興味のある競技は?

香取:そうだな……。オリンピックだとサッカーですかね。ワールドカップで日本代表を応援させてもらっていたりもしたので。パラリンピックだと卓球でしょうか。いろんな選手とお話させてもらっているのですが(香取は日本財団パラリンピックサポートセンターのスペシャルサポーターも務める)、実際に競技を体験させてもらう機会もあって。僕はスポーツをほとんどしないで育ったんですけど、卓球はなんとなくやったことがあるからすごさが分かる。特にパラリンピックとなると知らない競技もあったりするんですね。その中で卓球はほとんど変わらず、ルールも分かりやすいんです。

WWD:香取さんといえばアートにも積極的に取り組んでいますが、アートとスポーツの共通点はなんだと思いますか?

香取:僕は日本財団パラリンピックサポートセンターに壁画を描かせてもらっているのですが、それがパラリンピックとの出合いなんです。その時に「ロンドンのパラリンピックは盛り上がったけど、国によってはパラリンピックになると客席が埋まらないところもある。だから東京大会ではオリンピックと変わらないようにパラリンピックも盛り上げたい」と。そういう話を聞いた上で壁画を描き始めたんです。その思いを壁画に込めているし、パラリンピックのいろいろな活動を少しでもたくさんの人に知ってもらいたいと思っています。質問の答えとは少し違うかも知れませんが、個人的にはそういう思いがあります。

WWD:過去のインタビューで「SNSでパラリンピックの魅力をどんどん発信していく」と言われていましたが、大会を盛り上げるために香取さんなりに考えていることは?

香取:直近だとパラリンピックのチケット販売ですね。オリンピックのチケットは僕も応募しましたけど、全部外れました(笑)。あれだけチケットが完売しているニュースを見たので、パラリンピックのチケットも同じように話題になってほしいなと思います。自分の何かを宣伝するとき以上の勢いで、SNSを活用して応援しますよ。

The post 香取慎吾が語る2020年東京オリパラユニホーム選考 白熱の舞台裏 appeared first on WWD JAPAN.com.

反ファスト宣言の「ザラ」、実はこんなにもサステナ先進企業だった!

 企画デザインから店頭投入まで速いものでは2~3週間。トレンドを採り入れるのも速い。スペイン本国から出荷したものはEU圏内で36時間以内、日本を含むその他地域には48時間以内で到着。商品は週2回投入され、売り切り型の商品も多く、店頭には常に新しい商品が並んでいる。

 そんなファストな企画・生産・物流・販売サイクルを持つ「ザラ(ZARA)」は、「H&M」と伍するファストファッションブランドとして知られている。しかし、7月16日に行われた親会社のインディテックス(INDITEX)の株主総会では、「反ファストファッション宣言」(「われわれはファストファッションではない」とパブロ・イスラCEO)を行うとともに、新たなサステイナビリティー目標を掲げたことで、話題を呼んでいる。

 ただし、「ザラ」を擁するインディテックスは、いきなりサステイナビリティーを言い出したわけでも、“グリーン・ウォッシュ”(見せかけの環境配慮)でもない。むしろ、サステイナビリティー先進企業なのだ。

 その証拠に、ESG(環境、社会、ガバナンス)株価指数として知られる、「ダウ・ジョーンズ・サステイナビリティー・インデックス(DOW JONES SUSTAINABILITY INDEX)」では、2016~18年の3年連続で小売り業界のトップにランキング。

 ダボス会議(スイスのダボスで行われる世界経済フォーラムの年次総会)で発表される「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」2019でも、アパレル・小売関係の2位にインディテックス(全体の54位)がランクインしている。

 ちなみに、1位は「グッチ(GUCCI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」などを擁するケリング(KERING、全体の2位)。再生素材を活用した商品開発などで注目を集める、3位のアディダス(全体の84位)を上回る評価を受けているのだ。

 2001年に「国連グローバルコンパクト」に署名。その後、ベター・コットン・イニシアチブ(Better Cotton Initiative)、オーガニック・コットン・アクセレーター(Organic Cotton Accelerator)、サステイナブル・アパレル連合(Sustainable Apparel Coalition)、テキスタイル・エクスチェンジ(Textile Exchange)、森林を保護するキャノピー・スタイル(CanopyStyle)、水資源に関するCEOウォーター・マンデート(CEO Water Mandate)、ファー・フリー・アライアンス(Fur Free ALLIANCE)、労働者の生活賃金達成を促進するACT(Action, Collaboration, Transformation)、ベターワーク(Better Work)、カトリック教会の慈善団体、カリタス(Caritas)などとも連携している。

 近年強化してきたのは、サステイナブル素材を使用した商品群の発売や、省エネ・節水、そして、古着回収リサイクルだ。

 2015年には、環境配慮型ライン“ジョイン ライフ(JOIN LIFE)”をスタート。「オーガニックコットンや再生ポリエステル、再生セルロース繊維の一つであるテンセル、リヨセルなどの持続可能な素材を使用」したり、「生産工程における水やエネルギーの使用量の削減」を進めてきた。すでに、グループの全製品の約20%に持続可能な素材を使用中で、2020年に25%、25年までには100%達成を目指すという。

 実はこの「ジョイン・ライフ」ラインと、サステイナビリティーへの取り組みは、18年に六本木でポップアップストアでも打ち出されていた。ショールーミングストアとしてのデジタルを活用した実験的要素ばかりが取り上げられたが、コンセプトを明確に打ち出す情報発信型店舗としてのテストも行っていたのだ。

 並行して、15年には「ザラ」で古着回収プログラムをスタート。現在、日本を含む24市場・834店舗で実施中で、これまでに3万4000トンを回収したという。赤十字やカリタス(CARITAS)、オックスファム(OXFAM)などの非営利団体を通じて寄付したり、リサイクルされている。ECでの購入者向けの自宅引き取りサービスも、スペイン本国と中国(北京、上海)で開始している。

 脱プラスチックについても着手。「ザラ」「ザラ ホーム(ZARA HOME)」「マッシモ・ドゥッティ(MASSIMO DUTTI)」「ウテルケ(UTELQUE)」でプラスチック製レジ袋を紙製に切り替えはじめている。

 今後のサステイナビリティーの取り組みと進捗計画はおおよそ以下の通りだ。
▼2019年下期までに、EC購入者向けの自宅引き取りサービスを、ロンドン、パリ、ニューヨークに拡大。
▼2020年までに、サプライチェーンにおいて有害化学物質の排出ゼロにコミットメントする。デザイナー全員にサステイナビリティーの重要性を教育する。絶滅危惧の森林から生産される繊維を使用しない。
▼2020年までに、世界中の全店舗に回収ボックスを設置する。
▼2020年までに、「ベルシュカ(BELSHKA)」「ストラディバリウス(STRADIVARIUS)」「プル&ベア(PULL&BEAR)」を含めた全ブランドでプラスチックバッグを廃止。プラスチック包装材も紙製に変える。
▼2023年までに、使い捨てプラスチックの根絶。
▼2023年までに、責任あるビスコースのために、100%持続可能なセルロース系再生繊維を使用する。
▼2025年までに、綿、麻は100%サステイナブル素材に、ポリエステルは100%リサイクルポリエステルを使用
▼2025年までに、埋め立て廃棄物をゼロにする。
▼2025年までに、本社、物流センター、店舗のエネルギーの80%を再生エネルギーとする。(現在は44.9%)
▼2030年までに、GHG(温室効果ガス)排出量を30%削減する。
▼2050年までに、ファッション業界でゼロ・エミッションを達成する。

 売上高3兆円企業だからできることもあるが、逆に大きいからこそ実現が難しい部分もある。それでも、だからこそ、期限を決めて目標数値を明示しながら、有言実行していく。サステイナビリティーは、地球や人類が持続するためにはもちろんのこと、企業が生き残るためにも必要不可欠な取り組みである。ファッション業界でゼロ・エミッションを達成(サーキュラー・エコノミーの実現ともいえる)するために業界のリーディングカンパニーとして啓蒙活動にも取り組んでいく構えだ。

松下久美:ファッション週刊紙「WWDジャパン」のデスク、シニアエディター、「日本繊維新聞」の小売り・流通記者として、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)

The post 反ファスト宣言の「ザラ」、実はこんなにもサステナ先進企業だった! appeared first on WWD JAPAN.com.

有力ヘアスタイリストも体感、ひまわり舞う“うる艶髪”に導く「ロクシタン」新ヘアオイル誕生

「ファイブハーブス リペアリング
インテンシヴオイル」が登場

 南仏プロヴァンス発の「ロクシタン」は8月21日、ダメージケアで人気の“ファイブハーブス リペアリング”シリーズから、ひまわりの花びらが舞う新ヘアオイル「ファイブハーブス リペアリングインテンシヴオイル」を発売する。髪に瞬時に浸透する美容液のようなヘアオイルは、紫外線ダメージが気になる夏にも毛先まで潤った艶のある髪に導く品質の高さで、有力ヘアスタイリストからも賞賛のコメントが集まっている。自然体のハッピーオーラをまとう人気モデル・野崎萌香もこの夏注目するヘアオイルだ。

贅沢に配合した植物オイルと
エキスがもたらす“天使の輪”

  ボタニカルオイルを贅沢に配合した洗い流さないヘアオイル「ファイブハーブス リペアリングインテンシヴオイル」。シリコンフリーのサラっとしたオイルが髪内部まで浸透してダメージヘアを集中補修し、髪を柔らかく、まとまりやすくする。“ファイブハーブス リペアリング”シリーズの特徴である、5つのハーブのエッセンシャルオイルに加え、サンフラワーオイルをはじめとする5つの植物オイルと植物エキスをプラス。ダメージ毛や細い髪など、髪質を問わず自然で理想的な艶感をもたらす。さらに、シリーズで使えば“天使の輪”が輝く、毛先まで艶やかな髪へ導く。

人気モデル&有力ヘアスタイリストが
「ファイブハーブス リペアリング
インテンシヴオイル」を体験

 人気モデルの野崎萌香と、ヘアサロン業界を代表する有力ヘアスタイリストが「ファイブハーブス リペアリングインテンシヴオイル」を体験。ハイクオリティーのサロン専売品を使い慣れているヘアスタイリストが、率直に製品性能を評価してくれた。

ダメージケアで“艶髪”へ導く
「ファイブハーブス
リペアリング」シリーズ

 “天使のハーブ”と呼ばれ、髪に艶と潤いを与えるアンジェリカを中心に、さらさらの髪に仕上げるラベンダー、ダメージを補修するゼラニウム、頭皮を清潔に保つスウィートオレンジ、髪にしなやかさを与えるイランイランという5種の植物のエッセンシャルオイルをブレンドした“ファイブハーブス リペアリング”シリーズ。植物エッセンスが幾重にも香り立つアロマティックハーブの香りが心身にリラクゼーションを与える人気のシリーズだ。シリーズ最大の特徴は、髪の自然な艶感がもたらす“天使の輪”。創作的なヘアデザインよりもナチュラルで内側からの自然な艶感が求められる今、さらなる注目を集めている。

問い合わせ先
ロクシタンジャポン カスタマーサービス
0570-66-6940

The post 有力ヘアスタイリストも体感、ひまわり舞う“うる艶髪”に導く「ロクシタン」新ヘアオイル誕生 appeared first on WWD JAPAN.com.

「ギャルソンの50年は “あらゆるものの毎日”の積み重ね」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

今日のトピックス「川久保玲が語る『コム デ ギャルソン』の50年」

読み解きポイント:「その50年は、“日々の作業”と“あらゆるものの毎日”の積み重ね」

ニュースのポイント

 1969年に「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」が誕生し、今年で50年を迎える。クリエイションでもビジネスでも常に新しさを探求し、“これまで存在しなかった服”を生み出し続ける唯一無二の存在だ。コレクションの方向性の変化やブランドとしてのさらなる挑戦など、米「WWD」がイサム・ノグチ賞受賞式に出席した川久保玲にインタビューを行った。

AZUはこう読む!

 「毎日が同じことに取り組む新しい日の始まりなので、私には過去を振り返ったり数えたりする時間はないのだと思う」「ビジネスのために服を扱うとともに会社をデザインするという気持ちだけは持ち続けている」など、全4ページに渡る最新インタビューは至言の連続。ここで全てを書いたらネタバレになってしまうのと、断片的に発言を切り取るのは、このインタビューにおいては効果的ではないので、是非本紙を手に取っていただきたいです!

 きっとこの業界にいる人なら何らかの形で「コム デ ギャルソン」に触れてきたかと思いますが、私のファーストタッチはフランス留学前でした。「せっかくなら日本のブランドを着ていくぞ!」と意気込み、初めて青山店を訪れたのが大学3年の夏。それまでモードとは無縁のミーハーギャルだったので、初めて袖を通したときは正直、違和感しかありませんでした(笑)。

 でもその違和感が、右も左も分からずパリを歩く垢抜けない女の子の背筋を伸ばしてくれたのだと思います。そもそも自分自身がこの国においては「違和感」なのだから、違和感満載のチグハグな自分でちょうど良いんじゃないかと。それまでは「可愛い」「流行ってる」という基準で洋服を選ぶことが多かったのですが、その「違和感への擬態」に心地よさを感じた私。まさに私にとって“これまで存在しなかった服”に出合うことができたのです。

 そういえば留学中、暇さえあればコレット(COLETTE)に行って服を鑑賞しまくっていたのですが、一度だけ店内で彼女を見かけたことがあります。2階中央に並ぶマネキンに着せられていた「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」をチェックしながら、男性と何やら真剣に話している様子。「神も現場に降りるのだな。いや神だからこそか」なんて、緊張してしまって自分でも驚くほどつまらない感想を抱きました。インタビューの言葉を借りるなら、「仕事とは骨の折れるような日々の作業とあらゆるものの毎日の積み重ねから成り立っている」ということを目撃した瞬間でもあります。

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

The post 「ギャルソンの50年は “あらゆるものの毎日”の積み重ね」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく appeared first on WWD JAPAN.com.

2019-20年秋冬のトレンドは“クラシック”が本命 

 1年前に絶頂期を迎えたストリートブームは、2019-20年秋冬コレクションで終焉を迎えたといえる。それに代わり、同シーズンでは新たなトレンドがいくつか浮上した。その中で最大のトレンドといえるのが“クラシック”だ。また、“クラシック”と双璧をなす勢いで台頭してきた“ダーク”なムードにも注目したい。そこで、19-20年秋冬シーズンに押さえるべき5つのトレンドキーワードを取り上げる。

KEY1:クラシック

 19-20年秋冬シーズン最大のトレンドとして挙がった“クラシック”は、トレンドが定期的に巡るファッション業界において、“ストリートブームからの揺り戻し”と見ることもできる。一方で、従前から注目されてきた“女性の強さ”の一表現という見方や、世界的な情勢不安などをきっかけに“古き良き時代”に 希望を見いだした結果なのかもしれない。各ブランドが掲げる“クラシック進化論”をアイテム別に紹介する。

テーラードジャケット

 素材や色で遊ぶことで今年らしさをプラス。ボクシー&長丈が主だがクロップド丈も多く、ダボっとしたパンツと合わせることでバランスをとるスタイリングが目立つ。

トレンチコート

 定番アイテムのトレンチは素材に変化をつけて進化。ベースとなるトレンチコートの要素は残しつつ素材のミックスで新しさを加えるなどさまざまなアレンジが見られた。

ボウ・ボウタイ

 クラシックの定番ともいえるボウやボウタイの提案が豊作だった。フェミニンな要素が強いボウは、ブラウスやジャケットをショルダーコンシャスにすることでマスキュリンにも着こなすことができる。

セットアップ

 チェック柄やサテンなど光沢のある素材を用いたセットアップが豊富。深いブルーやフューシャピンク、オレンジといった鮮やかな色の提案も多かった。また、ベルトを使いウエストマークするスタイリングも目立った。

KEY2:ダークムード

 2019-20年秋冬のファッション・ウイークは、赤や黒、紫の色使いのウエアに、ホラー映画を思わせるおどろおどろしいメイクを施した演出が多出した。一見、難易度の高そうなスタイルだが、レースやチュールを用いながら、肌を透かしたり、スリットで肌見せしたりすることで、大人の女性が着こなすセンシュアルなムードも漂う。

KEY3:音楽カルチャー

 英ロックバンド、クイーンのフレディ・マーキュリー を題材にした映画「ボヘミアン・ラプソディ」の大ヒットも後押しし、1970〜90年代のロックスターやクラブカルチャーに影響を受けたブランドが多かった。「サンローラン」はビアンカ・ジャガーら70年代のファッションアイコンにオマージュを捧げた。「イザベル マラン」は80年代のトムボーイ、ボーホー、ディスコの要素を凝縮し、女性の力強さを演出した。90年代のグランジ・ファッションの代名詞、カート・コバーンを着想源にした「トッズ」は、ロック歌手を思わせる重ね着を提案した。

KEY4:ガーリー&フェミニン

 フェミニンを追求したクラシックでは、“ガーリー&フェミニン”が復活。トレンドを象徴するパフスリーブやショルダーコンシャスなシルエットにミニ丈のフレアスカートが登場した。プリントは小花柄が多く見られた。

KEY5:エフォートレスシック

 新たに浮上してきたものではないが、その洗練されたムードはオトナの女性からの支持が根強く、ミラノブランドを中心に安定した地位を築いている。アイテムとしてはスカートよりもパンツの提案が多く、ロング&リーンなシルエットが主流。追求するのは素材の上質さだ。

The post 2019-20年秋冬のトレンドは“クラシック”が本命  appeared first on WWD JAPAN.com.

「2カ国の伝統を継承できるとは、僕はつくづく幸運な男だ」 by ジャンフランコ・フェレ

ジャンフランコ・フェレ

 2カ国の伝統を継承できるとは、僕はつくづく幸運な男だ。(Vol.638 1993年12月6日号)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

The post 「2カ国の伝統を継承できるとは、僕はつくづく幸運な男だ」 by ジャンフランコ・フェレ appeared first on WWD JAPAN.com.

コワモテの米国人“ビンテージ伝道師”が見立てるデニムの今

 ジップ・スティーブンソン(Zip Stevenson)はスタッズベルトブランド「HTC」で一世を風靡したが、「ビジネスのメインはデニム」であり、古着を買い付けリペアして販売したり、共同デザイナーの多賀谷強守とデニムをキーアイテムとする「スティーブンソンオーバーオール(STEVENSON OVERALL)」を手掛けている。武骨で男くさいビンテージの世界に身を置くが、3年ほど前に異変を感じたという。

WWD:あなたが感じた異変とは?

ジップ・スティーブンソン(以下、スティーブンソン):アスレジャーファッションが隆盛となり、デニムの動きがぴたりと止まった。“プレミアムジーンズ”ブームをけん引した「トゥルー レリジョン(TRUE RELIGION)」が破産法適用を申請し、アスレチックウエアブランド「ルルレモン(LULULEMON)」が急成長したタイミングと重なる。その後もストリートファッションやスニーカーの影で、デニムは鳴りを潜めている。

WWD:確かにデニムはダウントレンドだが、その中でも注目しているブランドはある?

スティーブンソン:ロサンゼルスのデニムリメークブランド「リダン(RE/DONE)」は、業界の新たなリーダーだと思う。古着を再構築し、ライトカラーなデニムをスターダムに押し上げた。ウィメンズジーンズが完売しても、38インチのメンズを28インチのウィメンズにリメークした。その痕跡をデザインとして見せ、売り出した。このアイデアには驚いた。

WWD:では注目する企業は?

スティーブンソン:アメリカンイーグル(AMERICAN EAGLE)は世界一のデニムカンパニーだ。アバクロンビー&フィッチ(ABERCROMBIE & FITCH)が落ち込み、アメリカンイーグルがその穴を埋めた。中国製で価格は50~60ドル(約5400~6480円)。ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)の元スタッフが同社に入り、価格に比べてクオリティーが高いアイテムを作っている。

WWD:“ビンテージの伝道師”とも言えるあなたの口からアメリカンイーグルの名前が出たのは意外だ。

スティーブンソン:僕はビンテージの世界に長く生きているが、新たな挑戦は常に大事だ。例えば、この「レッドクラウド(RED CLOUD)」という中国ブランドは、メード・イン・チャイナだがアメリカのビンテージミシンを使ったステッチワークや色落ちがとてもいい。中国製ジーンズは30ドル(約3240円)で売られているものもあるが、これは195ドル(約2万1060円)で、その価値がある。生地にはヘンプを50%混紡している。ヘンプは成長が速く、栽培に必要な水はコットンの4分の1ほど。生命力が強いため生産も安定的で、つまりはサステイナブルだ。これからのデニム作りはサステイナビリティーなくしては考えられない。

WWD:あなたへのインタビューで“サステイナブル”というキーワードが出るとは思わなかった。

スティーブンソン:子どもの影響が大きい(笑)。上の娘は20歳で、大学で環境問題を勉強している。地球環境の変化は連日ニュースや新聞が伝えるところだし、残念ながらデニムは地球に大きなストレスを与えている。子や孫の世代に健康な地球を残すため、われわれは賢い選択をしなくてはならない。

WWD:最後にデニムの魅力について教えてほしい。

スティーブンソン:ずばりエイジングだ。例えばスラックスは十数年はいても変わらない。穴が開くくらいだろう。それにスーツは古く見せたくないもの。でもデニムは違う。自分のライフスタイルに合わせて育っていく。人生いろいろ、デニムもいろいろ。「リーバイス(LEVI’S)」の“501”も多くの進化を遂げた。これからはサステイナブルな素材をサステイナブルな製法でサステイナブルな客のニーズに合わせて作っていくだろう。

The post コワモテの米国人“ビンテージ伝道師”が見立てるデニムの今 appeared first on WWD JAPAN.com.

カウズとエスケイ・ラム、1枚のスケッチから生まれた巨大アートと熱狂

ニューヨークを拠点に活動するアーティスト、カウズ(KAWS)ことブライアン・ドネリー(Brian Donnelly)。ディズニーでアニメーターとして働いていたことが象徴するポップな色使いのグラフィティで早くからその名を知られ、1990年代から現在に至るまでストリートを代表するアーティストとして最前線をひた走ってきた。20年近く第一線で活躍する間、表現方法は平面的なものから彫刻やトイなどの立体物まで広がり、それに応じて扱う素材は絵の具やスプレーからブロンズ、ウッド、アルミニウムに、サイズも数十cmから数十mと多様になり、柔軟な発想力でさまざまな作品を生み出してきた。

そんな彼が先日日本で発表したのは、アクリル絵の具で描いたペインティングでもブロンズ製の彫刻でもない、全長40mを超す巨大なビニール製のバルーン作品だった。これは目が×印のカウズの代表的なキャラクター「コンパニオン(COMPANION)」の巨大作品が“世界中を旅する”というコンセプトのプロジェクト「カウズ:ホリデイ(KAWS: HOLIDAY)」の一環で、2018年7月に韓国・ソウルで初開催され、その後19年1月に台湾・台北、19年3月に中国・香港とアジア3都市で巨大コンパニオンを展示。そして、4都市目の開催地として静岡が選ばれた。仕掛けたのは、香港を拠点とするクリエイティブスタジオのオール ライツ リザーブド(All Rights Reserved以下、ARR)。ARRのクリエイティブ・ディレクターを務めるエスケイ・ラム(SK LAM)は、香港随一のプロデューサーとしてカウズをビジネス面で支える一方、長年の友人でもある。

展示初日の7月18日、開催地の「ふもとっぱらキャンプ場」でカウズとエスケイの2人に話を聞く機会を得ることができた。普段は多くを語りたがらないカウズだが、自然溢れる富士山の麓で気心知れたエスケイとのインタビューということもあってか、終始リラックスした状態で静岡での開催理由から、今後の「カウズ:ホリデイ」の展開、アートとファッションの関係までを語ってくれた。

WWD:まずは2人が一緒に仕事をするようになった経緯から教えてください。

カウズ:エスケイ、君が話してくれ。僕は覚えてないから(笑)。というのは冗談で、ずっと前からお互いに知っていてグループでプロジェクトを進めることはあったんだ。でも初めてちゃんと一緒に仕事をしたのは2010年10月に香港のハーバーシティーで行った展示「パッシング スルー(PassingThrough)」かな。

エスケイ:それから幾度となく仕事をしているけど、「パッシング スルー」はもう10年も前になるのか……光陰矢の如しだね。

WWD:長年ビジネスパートナーである中で、18年から「カウズ:ホリデイ」をスタートしたきっかけは?

エスケイ:たしか17年11月にカウズから、「興味ある?」ってメッセージと寝っ転がったコンパニオンのスケッチが急に送られてきたんだ。とにかくクレイジーなスケッチだったから驚いたんだけど、面白そうだったから協力することにした。それが「カウズ:ホリデイ」の始まりさ。そのスケッチは今じゃどこを探しても見つからないんだけどね……。

カウズ:2人で何か別のプロジェクトの話をしているときに何となく思いついた気がするけど、僕らのプロジェクトは全部こんな感じでスタートしているんだ。思いついたプロジェクトをとりあえずエスケイに投げておくと、彼はそれを形にしてくれるんだ。君も“エスケイ的な存在”をつくっておくといいよ(笑)。にしても初開催のソウルが1年前だなんて信じられないね。最近いそがし過ぎるせいか大昔に感じるよ。

WWD:なぜソウルを初開催の地に選んだのでしょうか?

エスケイ:特に計画していたわけじゃないんだけど7月に披露したいと思っていて、スペースやさまざまな条件で開催場所を絞っていたらソウルの関係者が興味を示してくれた。だから本当に意味はなくて自然な流れで決まったんだよ。

WWD:4都市目の開催地を東京ではなく静岡のキャンプ場に決めた理由は?

カウズ:エスケイと僕のチームとみんなで相談して、最初は富士山の麓でやる案を前提に、きれいだからって理由で山を背景にした湖にコンパニオンを浮かべることを構想していたんだ。でも現実的に厳しくて、代わりにキャンプ場でやるアイデアを思いついたんだ。キャンプ場であれば当初考えていた湖よりは東京から近いし、周りにキャンプする人がいた方が楽しくてつながりも感じられるかなって。

エスケイ:ソウル、台北、香港と回ってきた経験を生かしつつ他都市とは違う新鮮味がほしくて、人々がシリアスな気分になる都会的な場所よりもリラックスできる場所で開催したいと思ったのさ。

WWD:都会的な他3都市とは対照的な、言ってしまえば田舎の場所を選んだ理由が疑問だったのですっきりしました。

カウズ:前回の香港を筆頭に、テーマが“ホリデー”なのに開催期間中はめちゃくちゃいそがしくて疲れたんだ(笑)。だから意識的に自然の中で開催したいって気持ちがあったんだよ。

WWD:今回のコンパニオンは「カウズ:ホリデイ」としてだけでなく自身としても最大の作品ですね。

カウズ:これに関しては、エスケイと彼のチームが本気で魔法使いだと思っている。コンパニオンはそこまで複雑な作りのキャラクターでもないし、今回の作品は表面的にはすごくシンプルに作られているように見えるんだけど、シンプルなものこそ中身や過程が複雑で、そのすごさは全て裏側に隠されているんだ。素材はビニールで空気で膨らませるバルーンタイプなんだけど、ブロンズ像や木造に比べて移動や設置が楽なのがいいところ。でも風など自然環境にはめっぽう弱くて、それが予想できなくて難しかったね。

エスケイ:ソウルと香港の作品もバルーンタイプで、サイズはソウルが28mで香港が37m。今この2つは香港の倉庫で保管しているよ。

WWD:これまではアジア圏での開催でしたが、ほかの都市や地域での開催は計画していますか?

カウズ:「カウズ:ホリデイ」は「次はどうしよう、次もやらなくちゃ」ってプレッシャーを感じずにやることが目標みたいなものだから、もし機会があってそれが面白そうで、プロジェクトに新たな面を加えてくれるようなものだったら喜んで開催するよ。でもエスケイはしばらく休みたいと思っているんじゃないかな(笑)。

The post カウズとエスケイ・ラム、1枚のスケッチから生まれた巨大アートと熱狂 appeared first on WWD JAPAN.com.

パリコレ勝手にケータリングランキング! 1位は“おもてなし”100点満点の日本ブランド

 6月18~23日に開催された2020年春夏シーズンのパリ・メンズ・ファッション・ウイーク。連日熱気を帯びた今シーズンも、各ブランドが独自のクリエーションを世界に発信しました。コレクションに対して甲乙つけるのは難しいのですが、バックステージのケータリングには(ずうずうしくも)ランク付けさせていただきます!審査基準は食事の種類の豊富さや栄養バランス、味のクオリティー、そして私の独断です。バックステージでつまみ食いをしながら楽しく真剣に調査していると、新たな気付きがありました。前シーズンのベストケータリング賞「ジャックムス(JACQUEMUS)」に続くのは、どこのブランド?

“ベストケータリング賞”に輝くブランドは!? パリコレのバックステージでつまみ食い調査

最下位:1017 ALYX 9SM

ケチりすぎ!お菓子盛り合わせ

 残念ながら最下位は、迷わず「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM以下、アリックス)」です。用意されていたのは、フランスの大手スーパーのモノプリ(MONOPRIX)で購入したお菓子の盛り合わせとリンゴ、そして数種類のフルーツジュースでした。バックステージでモデルやスタッフらが準備が進めていたのは14時から19時ごろで、昼食と夕食の間の時間帯ということもあったからかもしれません。とはいっても、せめて一口サイズのサンドイッチやマフィンなど、もう少しお腹を満たせる軽食を用意して、バックステージで働く人々への配慮が感じられたらポイントが上がったのに……。そんなことを思いながら後日「アリックス」の展示会場に行くと、しっかりしたカフェスペースが設けられ、フィンガーフードやソフトドリンクが来場者に提供されているじゃないですか!決して配慮が足りないブランドではなさそうなので、次回以降のケータリングに期待します。

3位:OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH

ガッツリ系!種類は少なく減点

 「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」が用意したのはベーカリーレストラン、ル・パン・コティディアン(LE PAIN QUOTIDIEN)のパンやマフィンといったガッツリ系の炭水化物が中心でした。ヨーロッパの朝食らしいレパートリーで食べ応えがあり、味も悪くありません。ただ、前シーズン取材した「ベルルッティ(BERLUTI)」も同じレストランのケータリングを用意していて、フルーツにキッシュやタルティーヌと「オフ-ホワイト」よりも種類が豊富だったことを思い出すと……やや物足りないかも。

2位:KIDILL

等身大!でも思いやりある豊富さ

 パリでコレクションを発表するのは今シーズンで2度目の「キディル(KIDILL)」。出資のサポートはなく、自費で海外のショーを開催するということは予算に余裕は全くないはずです。でもケータリング代をケチることはせず、大手スーパーのモノプリやショー会場近くのブーランジェリーで購入したパン、フルーツ、サラダ、お菓子、ジュースがいろいろ並んでいました。ドカンと数種類のパン類だけが並んでいた「オフ-ホワイト」に対して、選択肢がいくつもある豊富なレパートリーは、バックステージで働いているスタッフらへの思いやりを感じます。

1位:SACAI

100点満点!完璧な“おもてなし”

 審査基準の全項目で満点を叩き出したのは「サカイ(SACAI)」でした。用意されていたのはパリにあるケータリング会社のテス・アン・キュイジーヌ(TESS EN CUISINE)によるオーガニック食材のみを使用した食事です。一口サイズのクラッカーの上に、野菜などのペーストがのったフィンガーフードが5種類ほどと、ヨーグルトやチョコブラウニーが並んでいました。同ケータリング会社は旬の食材を使った創作料理が評判で、「バルマン(BALMAIN)」や「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」なども顧客に抱えています。

 食事というのはどんな場面においても、提供する側の“おもてなし”の心が表れるものだとあらためて感じました。モデルやスタッフにとって、体力勝負であるファッション・ウイークの数日間に栄養バランスがとれた食事を取るのは重要なことです。高価か安価かは関係なく、購入先がたとえスーパーだとしても、ヘルシーで種類豊富な食事を用意した「キディル」には確かな“おもてなし”の心がありました。そして今季のベストケータリング賞は、食材と味と栄養バランスのクオリティーが高く、最高の“おもてなし”を感じた「サカイ」に贈らせていただきます!

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

The post パリコレ勝手にケータリングランキング! 1位は“おもてなし”100点満点の日本ブランド appeared first on WWD JAPAN.com.

パリコレ勝手にケータリングランキング! 1位は“おもてなし”100点満点の日本ブランド

 6月18~23日に開催された2020年春夏シーズンのパリ・メンズ・ファッション・ウイーク。連日熱気を帯びた今シーズンも、各ブランドが独自のクリエーションを世界に発信しました。コレクションに対して甲乙つけるのは難しいのですが、バックステージのケータリングには(ずうずうしくも)ランク付けさせていただきます!審査基準は食事の種類の豊富さや栄養バランス、味のクオリティー、そして私の独断です。バックステージでつまみ食いをしながら楽しく真剣に調査していると、新たな気付きがありました。前シーズンのベストケータリング賞「ジャックムス(JACQUEMUS)」に続くのは、どこのブランド?

“ベストケータリング賞”に輝くブランドは!? パリコレのバックステージでつまみ食い調査

最下位:1017 ALYX 9SM

ケチりすぎ!お菓子盛り合わせ

 残念ながら最下位は、迷わず「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM以下、アリックス)」です。用意されていたのは、フランスの大手スーパーのモノプリ(MONOPRIX)で購入したお菓子の盛り合わせとリンゴ、そして数種類のフルーツジュースでした。バックステージでモデルやスタッフらが準備が進めていたのは14時から19時ごろで、昼食と夕食の間の時間帯ということもあったからかもしれません。とはいっても、せめて一口サイズのサンドイッチやマフィンなど、もう少しお腹を満たせる軽食を用意して、バックステージで働く人々への配慮が感じられたらポイントが上がったのに……。そんなことを思いながら後日「アリックス」の展示会場に行くと、しっかりしたカフェスペースが設けられ、フィンガーフードやソフトドリンクが来場者に提供されているじゃないですか!決して配慮が足りないブランドではなさそうなので、次回以降のケータリングに期待します。

3位:OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH

ガッツリ系!種類は少なく減点

 「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」が用意したのはベーカリーレストラン、ル・パン・コティディアン(LE PAIN QUOTIDIEN)のパンやマフィンといったガッツリ系の炭水化物が中心でした。ヨーロッパの朝食らしいレパートリーで食べ応えがあり、味も悪くありません。ただ、前シーズン取材した「ベルルッティ(BERLUTI)」も同じレストランのケータリングを用意していて、フルーツにキッシュやタルティーヌと「オフ-ホワイト」よりも種類が豊富だったことを思い出すと……やや物足りないかも。

2位:KIDILL

等身大!でも思いやりある豊富さ

 パリでコレクションを発表するのは今シーズンで2度目の「キディル(KIDILL)」。出資のサポートはなく、自費で海外のショーを開催するということは予算に余裕は全くないはずです。でもケータリング代をケチることはせず、大手スーパーのモノプリやショー会場近くのブーランジェリーで購入したパン、フルーツ、サラダ、お菓子、ジュースがいろいろ並んでいました。ドカンと数種類のパン類だけが並んでいた「オフ-ホワイト」に対して、選択肢がいくつもある豊富なレパートリーは、バックステージで働いているスタッフらへの思いやりを感じます。

1位:SACAI

100点満点!完璧な“おもてなし”

 審査基準の全項目で満点を叩き出したのは「サカイ(SACAI)」でした。用意されていたのはパリにあるケータリング会社のテス・アン・キュイジーヌ(TESS EN CUISINE)によるオーガニック食材のみを使用した食事です。一口サイズのクラッカーの上に、野菜などのペーストがのったフィンガーフードが5種類ほどと、ヨーグルトやチョコブラウニーが並んでいました。同ケータリング会社は旬の食材を使った創作料理が評判で、「バルマン(BALMAIN)」や「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」なども顧客に抱えています。

 食事というのはどんな場面においても、提供する側の“おもてなし”の心が表れるものだとあらためて感じました。モデルやスタッフにとって、体力勝負であるファッション・ウイークの数日間に栄養バランスがとれた食事を取るのは重要なことです。高価か安価かは関係なく、購入先がたとえスーパーだとしても、ヘルシーで種類豊富な食事を用意した「キディル」には確かな“おもてなし”の心がありました。そして今季のベストケータリング賞は、食材と味と栄養バランスのクオリティーが高く、最高の“おもてなし”を感じた「サカイ」に贈らせていただきます!

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

The post パリコレ勝手にケータリングランキング! 1位は“おもてなし”100点満点の日本ブランド appeared first on WWD JAPAN.com.

見た目はギャル、中身は“優等生” 「ジェイダ」を支えるマジメなPDCAサイクル

 2011年にスタートしたマークスタイラーの「ジェイダ(GYDA)」は、全国13店舗と規模は小さいながらも10-20代前半の派手な服装を好む若い女性、いわゆる“ギャル”から厚い支持を得ている。ブランドの通信簿は同社の中でも超優等生。ブランド単体では15年2月期から4期連続の増収で、19年2月期の売上高は前期比40%増。月単位で見れば、41カ月連続で前年超えを達成した(19年5月末時点)。インスタグラムなどSNSからの流入による自社EC売上が15%~20%を占める一方、SHIBUYA109店の売り上げは館の中でも常に上位で、18年度下半期は館の優秀賞を受賞。心斎橋OPA店でも2年連続で館の最優秀店舗賞に選ばれるなど、リアル店舗も強さを見せる。

 ブランドとして打ち出しているコンセプトは、海外のセレブのファッションをイメージした“LAカジュアル”。だが肌見せの多い開放的なテイストがギャルの好みにマッチしているようで、弊紙「WWDジャパン」4月29日&5月6日合併号「令和へ持っていく平成ファッション」に登場した22歳の赤荻瞳「エッグ(egg)」編集長は、「『ジェイダ』は永遠に不滅」と崇拝する。

 継続的な好調のカギは、二人のキープレイヤーが握っている。生産・企画担当を経て12年から同ブランドを束ねる栗山慶太事業部長と、本部と店舗をつなぐ役割を担う井上瑞規エリアマネージャーだ。ギャルに人気を博している理由について尋ねると、「そもそも(ギャルは)ターゲットにしていたわけではないから、分からないというのが本音(笑)。アパレルブランドとして、当たり前のことをしっかりやっているだけ」と顔を見合わせる。

 カリスマ店員やプロデューサーがけん引した00年代のブームに比べれば、ギャル市場は活気を失っている。ギャル文化を象徴するSHIBUYA109の売り上げは08年度の280億円をピークに、15年度には161億円まで落ち込んだ。そのような逆風の中でも「ジェイダ」はPDCAを回し、コツコツと売り上げを積み重ねている。

企画・生産畑から異例の抜てき
 デニムの品質で勝負

 栗山事業部長は、「営業担当が事業部のトップを務めることが多い中、(自分の抜てきは)驚いた」と振り返る。当時は「事業をたたむかどうかという瀬戸際」に立たされていたが、そこから持ち直して成長軌道に乗せた。要因は「いたってシンプルで、モノ作りに立ち返ったこと」。不調の中でもファンから支持のあったデニムの強化に取り組んだ。

 また、栗山事業部長はかねてよりヤング向けブランドの、広告による販促に頼りがちな点に疑問をもっていたという。「目先の利益を求めた安易な手法に頼ってばかりでは、根強いファンは作れず、トレンドが去れば一緒にブランドが沈んでしまう。これは企画・生産出身者のプライドかもしれないが、自分たちもそうならないよう、デニムという“武器”を作っていこうと考えた」と語る。

 デニムは国内工場での製造により「百貨店で売っているブランドのデニムと比べても遜色ない品質」だといい、定番品とトレンド商材合わせて10-15型を平均1万円台で提供。ブランドにおけるデニムの売上構成比は30%近くを占める。「店にわざわざ来てくれたお客さまのワクワクを裏切らない」ためにも、デニムの在庫は常に切らさないよう「週末に入荷して、週明けには追加発注を決めている」というスピード感にこだわる。エッジィなデザインのものが特に売れ行きが良く、ヒップ、腿に大きなダメージが入ったデニムはそれぞれ累計3万本以上を販売している。「若いお客さまにとってうちの商品は決して安くない。だが丁寧なモノ作りは確実に響いていて、『高見えするよね』『カッコいいよね』と直感的に買っていただけている。こういうリアルなお客さまの反応は、現場の声を聞くことでしか分からない」。

 売れ筋のダメージデニムについては販売員の意見をもとに、ダメージ部分を破れにくい形に変えたり、位置を変えたりといった試行錯誤を重ねた末に今の形がある。現場から上がってきた意見は迅速に取り入れ、フィードバックも行うことを心掛けている。「彼女たちの意見にも当たり外れはある。でもそれを恐れていたら前に進まない。自分の意見で『ジェイダ』が良くなってお客さまからほめられたりしたら、ますます売ってやろうというモチベーションになる。すると、また意見が上がってくる。そういうポジティブな循環を作っていきたい」。

熱い販売員たちを束ね、
自分らしさを引き出す

 本部と現場のコミュニケーションを円滑に進めるために、重要な役割を果たしているのが井上瑞規エリアマネージャー。現在は関西エリア(大阪、京都、名古屋、福岡、広島、金沢)の計8店舗を管轄し、週の半分はホテル泊というスケジュールで各店舗を飛び回り、店長指導を行っている。「そう言うと店長を裏手に呼び出して叱りつけているみたいですけど、ちゃいます(笑)。私な仕事は、栗山さんが分析した店舗の課題を、現場の販売員がやるべき具体的なアクションに翻訳して伝えること」。

 事前に店員1人1人の売上金額や商材別の売れ行きといった数字をインプットして店舗に出向き、「新人の販売員をもっと売れるようする」「デニムをもっと打ち出す」といった大まかなテーマを決める。だが、具体的な改善方法は店長に考えさせ、自身は現場を観察した上でヒントを与える役に徹する。「うちのブランドが大事にしているのは自分らしさ。接客にマニュアルもなくて、お客さまも販売員のスタイルにあこがれてファンになってくれている。だから、どうやったら自分らしいやり方で売り上げを伸ばせるか考えさせることが大事」。

 売り上げ目標の80%程度しか届かなかった販売員に対し、試着室での接客方法を改善して120%にまで伸ばしたという好例もある。「14~17年に店長をしていた頃は、販売員一人ひとりにくっついて、やいやいとやかましく言っていました。でも月の売り上げが前年を割ったことはなかった。私のやり方が正しかったかは置いておいて(笑)、1人1人に向き合うことが大事なのだと信じています」。

 店長も販売員も、「皆『ジェイダ』が好きだから、頑固で熱くなってしまう」がゆえ苦労することもある。「結果が出ていなくても、改善策はなかなか聞いてもらえません。数字みたいなファクトベースで説明するだけではだめで、時には一緒に食事をして、わいわいやって心の距離を縮めることも必要。でも、納得してもらえたら、最後までとことんやってくれる子たちです」。

デニムをフックに大人の女性へ訴求

 「ジェイダ」はこの間、強みの商材であるデニムの打ち出しをさらに強化するため、はき込んだデニムをアート作品のように壁に掛けたり、照明を当てたりという「デニムバー」の導入を各店舗で始めている。今後はデニムをフックに、大人の女性にも裾野を広げていく。いままでにない客との接点を増やすため、今年は横浜・赤レンガの「グリーンルームフェスティバル」(5月25~26日)にも出店した。「店舗には親子で来られる10代のお客さまも多く、お母さまには素材やシルエットをほめてもらえることが多い」と井上エリアマネージャー。「デニムを入り口に、大人の女性にもさまざまなアイテムに興味をもってもらいたい」。

 ブランドのビジョンとしては、国内店舗は今後増やしても2~3店で、ゆくゆくは海外出店も視野に入れる。「よくばって広げ過ぎてブランドがブレたら本末転倒だ。あくまで今のお客さまにしっかり軸足を置きながら、じっくりとファンを広げていく」(栗山事業部長)。

The post 見た目はギャル、中身は“優等生” 「ジェイダ」を支えるマジメなPDCAサイクル appeared first on WWD JAPAN.com.

ビンテージバイヤー栗原道彦が語る ハードボイルドアメリカ買い付け物語

 23年のキャリアを持つフリーランスのビンテージバイヤー栗原道彦は、6週間サイクルで日本とアメリカを行き来している。アメリカではレンタカーでアリゾナ州からテキサス州までスリフトショップ(非営利のリサイクルショップ)を回る。1日30軒のペースで朝から晩まで。しかし「10軒以上何も買えないときもある」。夜、スリフトショップが閉まったら、7~8時間かけて次の州に移動する。宿泊は1泊45ドル~(約4860円~)の安モーテルで、「ドアの外では銃声やドラッグの取引」が日常だという。少しでも長く眠りたいときは「車中泊もある」ハードな道中だ。

WWD:ビンテージバイヤーの仕事とは?

栗原道彦バイヤー(以下、栗原):“フィルター”だと思う。どこまでさかのぼるかにもよるが、膨大な量の不用品の中から価値のあるもの見つけ出す作業は簡単ではない。それを代行するのが仕事だ。

WWD:買い付け先について聞きたい。

栗原:7~8年前からスリフトショップを回るようになった。スリフトショップへの古着の流入には大きく2つある。1つはドネーション(寄付)で、もう1つがエステートセール。家主が亡くなったり、引っ越しをする際に家中の一切合切を売る――これがエステートセールだ。Tシャツが50セント(約54円)、ジーンズが2ドル(約216円)、バンダナが塊で1ドル(約108円)など破格値で売られる。アメリカの家屋は広くてスペースがあるので、時間とともにため込まれたあれこれが放出される。

WWD:栗原バイヤーは23年のキャリアを持つ。買い付けるアイテムに変化はあった?

栗原:僕らの業界では、ビンテージデニムなどアメリカもので価値が体系付けられているものを“アメカジ古着”と呼び、1990年代や2000年代など時代が浅く、ただし一点モノとして価値が認められたものを“デザイン古着”と呼ぶ。後者はここ数年で需要が増え、スリフトショップで安く買えて利益率も高いので、ビンテージバイヤーの新たなそして重要な収入源となっている。

WWD:“アメカジ古着”はもう売れない?

栗原:そんなことはない。00年代はビンテージの価値が底を打った時代だが、その頃10万~20万円で売られていた「リーバス(LEVI’S)」のデニムジャケット“ファースト”が今や20~40万円、6万円前後だった“セカンド”が20万円弱まで高騰している。ただ、同時に“ファースト”や“セカンド”を「要らない」という若年層もいてビックリしている。着こなしにビンテージを組み込んだ人は“おっさん”なのだそうだ(笑)。

WWD:古着の価値観が変わった?

栗原:僕らが学生だった90年代は“1000円で買えるTシャツ”“3000円で買えるパンツ”といえば古着しかなかった。皆が古着を着ているから、古着の世界に入りやすかった。それがファストファッションの登場で大きく変わった。「新品がその値段で買えるなら」と“古着を選ばない人”が出始めた。インターネットの影響も大きく、情報が一気にあふれた。90年代は10代も40代も古着好きは同じ格好をしていたが、情報によってスタイルが多様化した。フィールドは広くなったが浅くなったとも言え、少なくとも深く掘る人が少なくなった。これは音楽や車にも言えることだと思う。ただ大きな変化はもっと別のところで起きた。

ネットとSNSによって到来した
“誰でもバイヤー時代”

WWD:大きな変化とは?

栗原:ネットオークションサイトの「イーベイ(eBay)」が急成長した00年代まで、ビンテージは日本でしか売れなかった。それが「イーベイ」を通じてアメリカやヨーロッパ、アジアで買われるようになり、さらにディーラーが客に直接売るようになった。ディーラー自体にも変化がある。90年代から付き合いがある“アメカジ古着”のディーラーは70代が中心で、亡くなった人もいる。一方で、非営利のリサイクルショップ「グッドウィル(GOODWILL)」のアウトレットには、10~20代のビギナーディーラーが張り付いている。穴が開いたり汚れた服が“ブルービン”と呼ばれる大きなカートに投げ込まれ、量り売りされている。彼らはインスタグラムの“#BLUEBIN”や“# GOODWILLFIND”といったタグを頼りに情報を集め、買い付けをしている。

WWD:新たな競合も増え、ビンテージバイヤーにとっては厳しい時代だ。

栗原:その通りだ。川上で価値に気付く人が増え、年々スリフトショップの値段も上がっている。ある意味で“アメリカにもうビンテージはない”とも言える。初めて渡米した若いバイヤーは「こんなに物がないとは思わなかった」と驚いていた。

WWD:そんな中で栗原バイヤーの秘策は?

栗原:僕は英語ができるので、スリフトショップでそれらしい人を見つけては声を掛け、スマホ写真や「イーベイ」やマーケットプレイスサイト「エッツィ(Etsy)」のページを見せてもらう。めぼしい商品があれば、彼らの家まで行って商品を買う。

WWD:一般客とバイヤーの違いが分かる?

栗原:商品の見方で分かる。競合が増え“玉数(アイテム数)”が減っているからこそ、自分で声を掛けざるをえない。

WWD:彼らが栗原バイヤーに売るメリットは?

栗原:手っ取り早く現金化できる。「イーベイ」や「エッツィ」のように手数料や税金も掛からない。ほかにも秘策ではないが、10年ほど前からダメージ古着をリメーク材料として「77 サーカ(77 CIRCA)」や「メゾン エウレカ(MAISON EUREKA)」に卸しており、大きなビジネスになっている。“アメカジ古着”もビームスなどセレクトショップ向けに卸をしたり、ポップアップを開催してもらったりしている。古着が好きだから、これからも仕事を続けたい。

The post ビンテージバイヤー栗原道彦が語る ハードボイルドアメリカ買い付け物語 appeared first on WWD JAPAN.com.

「ハーシェル」創設者が考える、新しい“モダントラベル”というカテゴリー

 カナダ発の「ハーシェル サプライ カンパニー(HERSCHEL SUPPLY CO.以下、ハーシェル)」が「ステューシー(STUSSY)」や「ハフ(HUF)」などを展開するジャックと日本における輸入代理店契約を結び1年半が経つ。それまで日本では、“バッグブランド”としてのイメージが強かったが、本来のコンセプトである“トラベル”を打ち出し奏功。ラゲージやアクセサリー、アパレルなどのラインアップを拡充し、中価格帯のラゲージとして競合と差別化を図っている。米LAで開催するストリートカルチャーの祭典「コンプレックスコン(COMPLEXCON)」への出店や、静岡県富士宮市で開催中の「カウズ:ホリデイ(KAWS:HOLIDAY)」にメインスポンサーとして協賛するなど、ストリートカルチャーのイベントにも積極的に参加する。「カウズ:ホリデイ」の為、来日中だった「ハーシェル」共同創設者、リンドン・コーマック(Lyndon Cormack)にビジネスの展望を聞いた。

WWD:今回「カウズ:ホリデイ」のメインスポンサーになった理由は?

リンドン・コーマック共同創設者(以下、リンドン):「カウズ:ホリデイ」を手掛けている香港のクリエイティブスタジオ、オール ライツ リザーブド(All Rights Reserved)の存在は元々知っていたんだけど、彼らから「(過去の「カウズ:ホリデイ」は)都心での開催が続いていたけど、次は富士山の麓で開催する。興味はないか?」というアプローチがあった。「ハーシェル」はトラベルやアドベンチャーを背景にしているブランドだし、アートや建築、ストリートカルチャーともつながりが深いから、街から自然の美しい場所に移動してイベントを開催することにとても共感したんだ。

WWD:実際の会場に行ってどうだった?

リンドン:レセプションイベントの日は土砂降りで天候は悪かったけど、晴れ間には辺り一面、霧がかかってとてもミステリアスで美しかった。

WWD:「ハーシェル」はポップアートとも相性がよく感じるが、それはなぜだと思う?

リンドン:アーティストには僕らのブランドの商品を大きなキャンバスとして見て欲しいし、そう思ってもらっているからだと思う。

WWD:カウズの他にブランドとして注目しているポップアーティストは?

リンドン:ブライアン(カウズの本名)とは今後も一緒に何かやっていければいいねと話している。注目しているアーティストはたくさんいるけど、直近だともうすぐバスキア(Basquiat)とのコラボアイテムをリリースするんだ。本物のバスキアを手に入れようとするとすごく高価なものだけど、ブランドを通してバスキアを体感してもらえればうれしいよ。

WWD:日本人で気になるアーティストは?

リンドン:村上隆と隈研吾だね。村上さんとは、過去に「コンプレックスコン(COMPLEXCON)」でコラボした。隈さんの建築はアートだし、日本ならではのスタイルだよね。

WWD:ファッションとアートの共通点は何だと思う?

リンドン:デザインとストーリーテリング。両方不可欠なものだから。

WWD:ジャックと輸入代理店契約を交わし1年半が経つが、現在のビジネスの状況は?

リンドン:日本での新たな展開として最も重要視していたのが、日本市場での経験豊富なエキスパートとパートナーシップを組むことだった。ブランドのストーリーや求めるモノを同じイメージで伝えてくれるパートナーを探していたんだ。ジャックと組むことによって、消費者からの意見をプロダクトに生かせるし、日本市場に求められるラインアップを追求できている。今はまだ日本のビジネスをもっと成長させるために試行錯誤しながら、今後の展開を模索中だよ。チャンスはたくさんあると思う。

WWD:「コンプレックスコン」や「カウズ:ホリデイ」など、今後もイベントに積極的に投資していく?

リンドン:続けていきたいと思っている。僕らは、イベントに協賛しているという気持ちではなく、コミュニティーに還元して、カルチャーを同じ立場で発信していくという思いを持っているから。

WWD:今後のビジネスの展望は?

リンドン:今、特にトラベルカテゴリーの市場では、16~30歳の顧客が気軽に持てるスーツケースブランドがない。お金を持っていれば「リモワ(RIMOWA)」を買うだろうけど、中価格帯で思い浮かぶブランドはないだろう?僕自身、すごくトラベルが好きなのにトラベルバッグの市場はすごくつまらない。だから僕たちは“モダントラベル”という新しいカテゴリーを作りたいんだ。トラベルバッグのブランドはどこも旅先に行くまでの過程のことしか考えていないから。要するにスーツケースはトラベルの入り口でしかないんだよ。だから僕らは旅先からのもっと先の、現地で持ち運べる小型バッグの展開であったりアメニティーであったり、変圧器まで、旅行中の経験をもっと楽しくできるような手助けしていきたいと思っている。スタイリッシュなデザインのトラベルグッズのラインアップをもっと拡充させていくよ。

The post 「ハーシェル」創設者が考える、新しい“モダントラベル”というカテゴリー appeared first on WWD JAPAN.com.

「今度はお店で買えるの?」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく

 1992年生まれのファッションフリーク女子が、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」気になったニュースを要約してお届け。渋谷のファッションベンチャー企業に勤める等身大OL、Azuのリアルな目線を生かした「このニュースからはコレが見える」という切り口で、様々な記事につぶやきを添えます。

今日のニュース「楽天が東コレの冠スポンサーへ」

読み解きポイント:「今度は“みんなを”売ってくれる?」

ニュースの要点

 6シーズンにわたって冠スポンサーを務めたアマゾン ファッションに代わり、楽天が東コレの冠スポンサーになるかもしれない。すでに日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)と話し合いを進めているよう。大手を中心に1100以上のショップが揃う「楽天ブランドアベニュー」は、ここ数年絶好調。東コレの冠スポンサーになることで、ファッションに強い企業のイメージをつけることが狙いか?

Azuはこう読む!

 学生時代から東コレを追っかけ、気がつけばストーカー歴早6年。メルセデス・ベンツ(MERCEDES_BENZ)、アマゾンときて「次はグーグル(GOOGLE)では!?」と勝手に予想していたのですが、見事に外れました……。グーグルは東コレのメーン会場、渋谷ヒカリエのご近所、渋谷ストリームに入居するし「Google Pixelでランウエイ撮っちゃおうキャンペーン」とか良いのでは!?という、超超安直な考えです(笑)。スタートアップ支援の取り組み「Google for Startups Campus」も開設予定だし、ベンチャーに身を置くものとしては小売なり生産なりデータ解析なり、イケてるスタートアップと若手ブランドが協業したら面白いのかもと思ったり。そもそもグーグルが、ファッション的なイメージを必要としているかはわかりませんが(笑)。

 アマゾンがスポンサーになったと発表された時は「参加ブランドの洋服がECで買えるのね!」と思ったのですが、結果はご存知の通り。「楽天ブランドアベニュー」で好調な楽天さんには、ぜひ出店の門戸を広げていただきたい。プラットフォームはどうであれ、より多くの参加ブランドにBtoCの施策を打つ機会を提供していただきたいなと思っています。

 消費者の立場からすると、「コレクションにでました」「どこどこに掲載されました」なんてただの補足情報でしかなく、買える場所がなければショーやルックを見て感じた熱も冷めてしまいます。SNSで東コレの発信をしていると「どこで買えますか?」と聞かれて返答に困ることが多々あるので、シンプルに「買えるファッションウイーク」が見てみたい!

Azu Satoh : 1992年生まれ。早稲田大学在学中に渡仏し、たまたま見たパリコレに衝撃を受けファッション業界を志す。セレクトショップで販売職を経験した後、2015年からファッションベンチャー企業スタイラーに参画。現在はデジタルマーケティング担当としてSNS運用などを行う。越境レディのためのSNSメディア「ROBE」(@robetokyo)を主催。趣味は、東京の可愛い若手ブランドを勝手に広めること。ご意見等はSNSまでお願いします。Twitter : @azunne

The post 「今度はお店で買えるの?」 ファッションフリークOL「WWDジャパン」最新号につぶやく appeared first on WWD JAPAN.com.

米「WWD」記者が綴る川久保玲への畏敬

 私がパリ・ファッション・ウイークを取材するようになって25年が経った今でもなお、川久保玲へのインタビューには畏敬がある。そして、これはまだ私にとって3回目でしかない。

 もう随分前に「WWD」の姉妹媒体である「Wマガジン」のために行った1回目は、彼女からチャーミングで打ち解けた印象を受けた。

 2回目は、2000年5月。彼女がハーバード大学デザイン大学院(HARVARD UNIVERSITY GRADUATE SCHOOL OF DESIGN)からの賞を受賞し、当時メトロポリタン美術館(METROPOLITAN MUSEUM OF ART)のコスチューム・インスティチュート(COSTUME INSTITUTE)の研究休暇中であったハロルド・コウダ(Harold Koda)によってオーガナイズされたイベントのためにマサチューセッツ州ケンブリッジを訪れた時だった。その時の彼女は1回目とは異なり、距離を置いた感じだった。

 そして今年5月、川久保は夫であり彼女の通訳も務めるエイドリアン・ジョフィー(Adrian Joffe)=コム デ ギャルソン インターナショナル最高経営責任者(CEO)兼ドーバー ストリート マーケットCEOとともに、ニューヨークにいた。今回の旅は、ノグチ美術館からの名誉ある受賞を中心としたもの。滞在中、美術館でのガラではブレット・リットマン(Brett Littman)館長との簡単な質疑応答セッションに参加し、さらに45分間と事前予告されたこのインタビューに応じた。自身のことを作品に語らせることで知られる彼女にしては珍しいことだ。

 ファッション業界内でさえ川久保のことを詳しく知っている人は少ないけれど、今回は彼女らしく素っ気なくも、とても親切かつ協力的だった。彼女は慎重に質問に答え、誤解を招かないようにジョフィが正確に訳したかどうかを何度か確認する場面があった。その中には、彼女のビジネスに対する姿勢にまつわる発言もあり、「私がビジネスを築く方法としてファッションを使ったのは偶然で、ファッションデザイナーになるという決意ではなかった。それは、ビジネスのための素材だった」や「念のため言っておくと、私のビジネスはクリエイション、製造、販売だ。もし販売するつもりがないのなら、商品を作るのは無駄なこと」と話した。

今年は「コム デ ギャルソン」設立50周年

 彼女が語るのは、自身を駆り立てるものや、小売店がリスク承知で勝負していた日々、1+1を見事な3に変える方法といったさまざまなこと。そして、そこには“仕事は骨の折れるような日々の作業である”という、皆との共通点がある。

 彼女のクリエイティビティーは、多様な美や幻想、不安、不協和音、そして時に醜ささえも感じさせ、しばしば混乱を招きつつも常に説得力を持った独創的かつ視覚的な驚きの中に現れる。ある意味抽象的で強い意志が込められたクリエイティビティーを刺激するものは何なのか?

 その現実離れした志向は、純粋な情熱のあるところから生まれることを前提としている。クリエイターは、自身の情熱的な表現を通してクリエイティビティーを形にせざるを得ないのだ。

 そうした前提は川久保との会話、そして彼女のアウトプットの根底にある。その優れた才能は、審美的インパクトがある作品全体だけでなく、革新的なアイデアを具現化し、ランウエイに落とし込むという卓越したスキルにおける、気が遠くなるほどに考え抜かれた彼女のアプローチに根ざしている。それゆえ、川久保はこの半世紀のあいだ、ファッションの愛好家たち、つまりファッションが理知的挑戦と心を揺さぶることができると信じる人々に世代を超えて畏敬の念を抱かせてきた。

 しかし、初期のジェンダーの探求からパンクやキャンプ、結婚、死に至るまで知的かつ芸術的な思考の全てにおいて、川久保は自身の創造の源泉を美化することを拒んでいる。

 若い頃、テキスタイルメーカーに就職したことがきっかけで、彼女はファッションビジネスの世界に入った。やがて、会社でスタイリングの仕事をするようになり、自分の求めるアイテムが見つからなかった時に服作りをスタート。その経験が、目的を伴ったクリエイティブな将来の道筋をもたらしたのだ。そして、その目的はただセンセーショナルな服を作ることでは決してなかった。最初からずっと川久保は独立を模索し、そのための道筋をファッションに見出した。彼女を導いたのは、“今まで見たことのない服”というニッチな手法だった。

 少なくとも川久保自身の見解としては完璧ではないが、それはうまくいった。主として取り組んでいる驚異的な作品制作のための尽きることのないような能力への畏敬によって大勢の人々から崇拝され、彼女は業界の頂点に登りつめたかもしれない。しかし、「それはビジネスのイメージでしかない」と川久保。「“今まで見たことがない服を作る”という中核的意味においては、たくさん売れるものではないから成功しているとは考えていない。もしメインである『コム デ ギャルソン』のコレクションだけに依存していたら、会社は倒産していたかもしれない」と明かした。

 そのプロセスは、時を経ても簡単になることはない。実際のところ、「新たなことに取り組めば取り組むほどに新しさを感じられるものは少なくなるので」、クリエイティブ面における計算式はより複雑になるだけだ。そのため、彼女は商品のみならず、小売りにおける戦略的イノベーションの発展をもクリエイティブに推し進めることに注力している。それは全て、驚くほど長く今なお続く道の一部だ。「コム デ ギャルソン」設立から50年を迎え、川久保はこれまでラルフ・ローレン(Ralph Lauren)のみだった半世紀を超えて活躍する創業デザイナーという偉業を成し遂げた。彼女はその事実を大して気にしていないと言うが、紛れもなく“唯一無二の存在”と称するにふさわしい人物だ。

 インタビューの全文は「WWDジャパン」7月22日号に掲載している。

The post 米「WWD」記者が綴る川久保玲への畏敬 appeared first on WWD JAPAN.com.

「百貨店の苦況のもとは、売り上げ至上主義にある」 by 山中鏆

山中鏆東武百貨店社長

 百貨店の苦況のもとは、売り上げ至上主義にある。その結果、バイヤーはゴルフがうまけりゃいいという風潮を生んだし、シャンデリアと大理石の売り場を作れば消費者は寄ってくると錯覚した。今後、もっと百貨店は近代化、システム化しなくてはならない。(Vol.596 1993年2月22日)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

The post 「百貨店の苦況のもとは、売り上げ至上主義にある」 by 山中鏆 appeared first on WWD JAPAN.com.

実は老舗、現代アート専門のオークションハウスに聞く日本と現代アート

 オークションハウスのフィリップス・オークショニアズ(PHILLIPS AUCTIONEERS以下、フィリップス)をご存知だろうか。サザビーズ(SOTHEBY‘S)やクリスティーズ(CHRISTIE’S)はよく耳にするが、フィリップスは初めてという人も多いだろう。フィリップスは1796年、クリスティーズの創業者であるジェームズ・クリスティー(James Christie)の下で働いていたハリー・フィリップス(Harry Phillips)がイギリス・ロンドンで設立。一時期LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)のベルナール・アルノー(Bernard Arnaud)会長兼最高経営責任者(CEO)がオーナーだったこともある。現在ではコンテンポラリーアートをメインにオークションハウスとして成長している。今年4月に、コンテンポラリーアートなどを扱うギャラリーが何件も入る東京・六本木のピラミデビルにオフィスを移転オープンした。「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」を運営するスタートトゥディの前澤友作・社長をはじめ経営者の間でもコンテンポラリーアートへの関心は高まっており、訪日観光客の多くが草間彌生などのアートがある香川県・直島を訪れるなどちょっとしたアートブームが起きている。そのような動きもあってか、フィリップスでも日本からの出品・落札作品が年々増加しているという。服部今日子フィリップス日本代表に、同オークションハウスや日本のアート事情について聞いた。

WWD:フィリップスの最大の強みとは?他のオークションハウスとどのように差別化を行っているか?

服部今日子フィリップス日本代表(以下、服部):歴史的にはサザビーズやクリスティーズと肩を並べているが、現在では“コンテンポラリー”をキーワードに特定分野に絞ってオークションを開催している。20 世紀およびコンテンポラリーアート、エディション(版画作品)、写真、デザイン(家具など)、時計、ジュエリーの6分野に特化することで専門性を高め、質の高いサービスを提供している。アートをより身近なものにすること、そして、新たな市場をつくることを目指している。

WWD:具体的にどのようなことを行っているか?

服部:新進アーティストの作品を最初にオークションに出し、セカンダリーマーケット(二次市場)の創出に積極的に取り組んでいる。アウル・エリック(Awol Erizku)やセレステ・デュピ・スペンサー(Celeste Dupy-Spencer)の作品を初めてオークションで取り扱った。5月に香港で開催したオークションでは、ダナ・シュッツ(Dana Schutz)の作品をアジアで初めて扱った。また、エディ・マルティネス(Eddie Martinez)による作品の落札価格の世界記録を1日3回更新した。また、フィリップスは2008年にカウズ(KAWS)の作品を初めてオークションに出した。

WWD:六本木にオフィスを移転した理由と目的は?

服部:アジア市場の開拓は戦略の中心だが、日本はなかでも、コレクターの洗練度や成長の可能性の両面で重要視している。六本木は、森美術館や国立新美術館だけでなく、世界的なギャラリーが多く、“コンテンポラリー”“アート”“カルチャー”という意味において最適なロケーションだからだ。

WWD:今後、オフィスではどのような活動を行うか?

服部:展示スペースを併設しているので、オークション参加窓口としてだけでなく、年間を通してプレビューやイベントを行い、日本のコレクターらと交流する場にしていきたい。また、ギャラリーやアーティスト、コレクターなどさまざまな人たちと合同でイベントなども開催したい。

WWD:フィリップスにおいて20世紀およびコンテンポラリーアート、時計、ジュエリー、家具などの占める割合は?

服部:割合は公表していないが、取り扱い総額が最も高いのは20世紀およびコンテンポラリーの分野で、その次が時計。

ニューヨークでは全ての分野のオークションを開催する。ロンドンでは20世紀およびコンテンポラリーアート、エディション、デザイン、写真のオークションを行う。香港では、アートとデザインを一つのオークションで扱うほか、時計とジュエリーのオークションを開催している。ジュネーブでは時計のオークションを行う。

WWD:オークションの入札時のエントリー価格は?

服部:カテゴリーごとに幅があるが、アートやジュエリーではオンラインオークションも開催しており、500ドル(約5万4000円)程度から入札できる作品もある。オークションというと敷居が高く難しそうと思うかもしれないが、一度経験してみると簡単だと分かるはず。東京オフィスでは入札のサポートを日本語で行っている。

WWD:落札時の手数料は?

服部:落札した際はハンマープライス(落札額)に加え、40万ドル(約4300万円)以下では25%、それ以上で400万ドル(約4億3000万円)までは20%、それ以上は13.5%。

WWD:デジタル戦略に力を入れているそうだが、オンライン入札の割合はどれくらいか?

服部:デジタル戦略にはかなり力を入れている。全てのカタログをオンラインで見ることもできるし、スマートフォンからも入札ができる。オークションでは、会場、電話、書面、オンラインで入札が可能だが、出品作品の60%以上に対してオンラインからの入札がある。1回のオークションに50カ国もの人々がオンライン参加することもある。

WWD:日本のコレクターに人気が高いコンテンポラリーアーティストは?

服部:日本人では、草間彌生、杉本博司、奈良美智、村上隆、五木田智央など。海外のアーティストでは、ゲルハルト・リヒター(Gerhard Richter)、ジャン・ミッシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat)、ジョージ・コンド(George Condo)、カウズ(KAWS)、ジョナス・ウッド(Jonas Wood)、ハロルド・アンカート(Harold Ancart)、シャラ・ヒューグ(Shara Hugues)など大御所から若手まで人気がある。

WWD:日本ではまだ成熟していないオークション文化をどのように広めていくか?

服部:できるだけ多くのコレクターと接点を持ち、オークションに限らずプライベートセールを含むコレクションのアドバイスや、海外市場の動向の情報提供などグローバルなプラットフォームを生かしたサービスを提供したい。フィリップスを通じて、アート、オークション、コレクションについて語れるコレクターの輪を広げていければと思う。オークションは一度参加するとリピートする率がとても高いので、多くの人に“最初の一歩”を経験してもらえるよう認知度アップを図る。

The post 実は老舗、現代アート専門のオークションハウスに聞く日本と現代アート appeared first on WWD JAPAN.com.

“スニーカー × 動物”のアートで話題 芸術家デイブ・ホワイトが語る動物愛とナイキ愛

 スニーカーショップのアトモス(ATMOS)はこのほど、トラ、ヒョウ、キリン柄のスニーカー、“アニマル パック3.0”の発売に合わせ、アトモス千駄ヶ谷店で英国出身のペインティングアーティスト、デイブ・ホワイト(Dave White)とコラボしたインスタレーションを行った。動物を中心とした自然界の創造物を描くホワイトは、過去に「ナイキ」とのコラボで、キツネやウサギのイラストを“エアマックス95”にペイントするなど、スニーカー界隈では広く知られる存在だ。このインスタレーションのために千駄ヶ谷店に併設されたギャラリースペースには、ホワイトが描いたトラやヒョウなどの動物の作品がズラリと並んだ。その作品を眺めながら、なぜ動物を描き続けるのか?また、なぜ「ナイキ」とのコラボが始まったのかなど、気になることを話してくれた。なお、“アニマル パック3.0”は既に完売している。

WWD:どうして動物にフォーカスした絵を描くのですか?

デイブ・ホワイト(以下、ホワイト):スニーカーには“レア”という言葉があるけど、動物も同じようにとても希少な存在だからね。僕は絶滅危惧種を描くことが多くて、動物の希少性と本当の美しさを伝えたいと思っている。それが動物を描く理由だね。

WWD:これまでどれぐらい動物を描いた?

ホワイト:10年前ぐらいから動物を描いているからもう何百という数字になるかな。数え切れないぐらい描いたよ。

WWD:今まで一番描いた動物は?

ホワイト:ホオジロザメと象かな。

WWD:なぜサメなのですか?

ホワイト:地球上でもっともレアな存在だと思うから。海の王者だし、力強いところも本当に美しいよ。

WWD:自然界の動物とファッションは一見相反する要素に思えるけど、最初に「ナイキ」とコラボレーションしたときのエピソードは?

ホワイト:“エアマックス95”の時かな?実はもともと動物の前は「ナイキ」のスニーカーを描いていたんだ。それがなぜか「ナイキ」のスニーカーに僕のアートを乗せることになった。本当に信じられなかったよ。そういうストーリーがあるから意外と相性はよかったんだ。今だに信じられない。

WWD:相当な“ナイキ愛”ですね。腕に“エアジョーダン5(AJ 5)”のタトゥーを入れているとも聞きました。

ホワイト:有名なタトゥー職人のビージェイ・ベッツ(B.J BETTS)に自分が大好きな“AJ 5”を描いてもらったんだ。“AJ 5”は第2次世界大戦当時の戦闘機からデザインのヒントを得ている。「ナイキ」のスニーカーデザインで、初めて3Dを取り入れていたり、とてもイノベーティブなんだ。初めて見た時、とても美しいフォームに感激したのを覚えているよ。

WWD:今でこそ「ナイキ」はグローバルなブランドですが、ヨーロッパ出身のあなたにとって、当時は「アディダス」や「プーマ」の方が身近だったのでは?なぜ「ナイキ」に興味を持ったのですか?

ホワイト:僕の子どもの頃は今みたいなストリートカルチャーはなかったから、スニーカーといえばサッカーから始まったんだ。「ナイキ」が急激にサッカーシーンに入ってきた時期があって、その時「なんだこの靴は?」って衝撃を受けた。それで周りの友だちもみんな「ナイキ」を履き始めたんだよ。とてもユニークでおもしろい存在だったからね。

WWD:初めて買った「ナイキ」のスニーカーを覚えていますか?

ホワイト:ブルースエードの“ブレザー”を父親に買ってもらった。よく覚えているよ。

WWD:まだ“ブレザー”とはコラボしていませんよね?

ホワイト:そうなんだ!早くコラボしたいよ(笑)。

WWD:「ナイキ」とコラボした“エア ジョーダン 1(AJ 1)”は動物のデザインではありませんでしたが、イメージソースは何ですか?

ホワイト:チャリティーオークションの為にデザインしたものだから、とにかく手にした人が王者である、というところにこだわった。ゴールドのアメリカ国旗で、履いている人が周りからすごいなって思ってもらえるようにね。

WWD:今リセール市場だと8000ドル(約86万円)を越えていますよね。それについてはどう思いますか?

ホワイト:23足しかなかったからね。チャリティーの為に作ったものだからリセール市場で売った人も本当はそれをチャリティーに寄付するべきだと思う。

WWD:その通りですね。アートもスニーカーのリセールも買い手が価値をつけるという意味では同じような感覚がありませんか?

ホワイト:そうだね。今のスニーカーのリセール市場は似ている所があるかも知れない。アートと一緒で価値を見出すのはお客さんと言うのは正しいけど、お金になるから買うというのはやめて欲しい。かっこいいからだとか、好きだからという気持ちで買って欲しい。スニーカーに関しても今はお金になるから買っておこうという人が多いよね。だから今回アトモスとコラボレーションして、もっとアートに触れやすい窓口を作ってみたいと思ったんだ。それで初めての試みとして、3万円で買えるプリント版を用意した。そういう風にスニーカーを1足買うぐらいの気持ちでアートに触れられるようにしたかった。

WWD:Tシャツにもアートをプリントしていますね。自分のアートをたくさんの人が着るということについてどう思う?

ホワイト:実はプリントではなく、全て刺しゅうになっているんだ。プリントすれば簡単なことだけど、それをあえて手間をかけて刺しゅうで表現してくれた。僕も絵を描くときに24金の素材を使ったりすることがあるんだけど、すごく自分のアートを理解してくれているようでうれしかった。自分の絵を知らない人がこのTシャツを通して自分のことを知ってくれることをとても楽しみにしているよ。

WWD:今回発売する“アニマルパック3.0”については?

ホワイト:すごくかっこよくて全部好きなんだけど、1つだけ選べと言われたらヒョウ柄かな?僕はトラも描くけど、ヒョウを描くことが一番多くて自分のアイデンティティーでもあるからね。

WWD:量もすごく少ないみたいですね。ヨーロッパやアメリカを見ていて、今のスニーカーカルチャーをどう思いますか?

ホワイト:今回は、自分もスニーカーカルチャーに参加させてもらっているという感覚なんだけど、「そのスニーカーかっこいいね」とか、スニーカーからコミュニケーションが始まることって素晴らしいよね。転売とかいろいろと叩かれている問題はあるけど、それで生活している人もいるから全てが悪いとは言えない。だからスニーカービジネスって面白いし、それに自分も参加できるのは幸せなことだね。

WWD:今後のプロジェクトについて教えてください。

ホワイト:今はゴリラの作品を描いているんだ。12月にはルワンダにゴリラに会いに行くんだけど、これからやっていきたいのは実寸サイズの絵を描くこと。象の実寸やシロナガスクジラの実寸を描くことだね。それを一生かけてやっていきたいと思っている。

The post “スニーカー × 動物”のアートで話題 芸術家デイブ・ホワイトが語る動物愛とナイキ愛 appeared first on WWD JAPAN.com.

インスタの活用で月間最高売り上げ416万円 「オブヘア」の人気美容師の戦略とは?

 美容室「オブヘア(Of HAIR)」銀座店に勤務する高橋英昇トップスタイリストは、インスタグラムのフォロワー数が6万7000超え、月の最高売り上げ416万円という人気美容師だ。アシスタント時代からインスタグラムで集客を行っていたという彼に、売り上げを伸ばすための戦略を聞いた。

WWD:高橋さんが「オブヘア」を志望した理由は?

高橋英昇(以下、高橋):美容専門学校の1年生のときに「オブヘア」の代表である古里(オサム代表)の特別授業を受けたのですが、そのストーリー性のある授業内容に感銘を受けたことと、「ここなら技術もしっかりと学べる」と思い志望しました。

WWD:スタイリストデビューまではどれくらいかかった?

高橋:5年目(2017年)の9月にデビューしました。ただその年の1月からはアシスタントをしつつお客さまに入らせてもらっていて、アシスタントながら月間の最高売り上げは83万円ありました。ちなみにスタイリストデビュー月は130万円でした。でも、そこからはなかなか売り上げが伸びなかったです。

WWD:アシスタント時代からどのように集客していた?

高橋:インスタグラムですね。3年目の3月から個人的にヘアの作品撮りをするようになって、それをインスタグラムにアップしていました。最初は1日3投稿と決めて数多く投稿をしていました。それを見た人たちからDMで「カットしてほしい」とメッセージが来て、それで代表に相談して、アシスタントながらお客さまをカットさせてもらえることになりました。インスタグラムは“自分のヘアカタログ”といったイメージで考えています。

WWD:インスタグラムのフォロワー数を増やすコツは?

高橋:これから人気になりそうなサロンモデルさんを見つけることですね。フォロワー数1000くらいの人を探して、それで一緒に作品撮りをしながら、お互いのフォロワー数を増やしていくといった感じです。あとはインスタグラムの見せ方ですね。最近はビフォー、アフターの画像に文字を入れるようにしています。インスタグラムにもトレンドがあるので、新しい見せ方がはやったら、しばらくそれを続けながら次の見せ方に挑戦するようにしています。常に新しい見せ方は意識しています。「オブヘア」にはインスタグラム部があって、どんな投稿がはやっているのかを部員で共有するようにしているので、そこでいろいろな情報を知ることができるのもいいですね。

WWD:インスタグラム以外で、売り上げを伸ばすために意識していることは?

高橋:やはり“お客さまにいかにリピートしてもらえるか”ですね。インスタを見て新規で来てくれるお客さまは多いのですが、最初の頃はリピート率が低くて、なかなか売り上げも伸びませんでした。だから、その人たちにいかにリピートしてもらえるかが重要で、「自分じゃなきゃダメだ」と思ってもらえるように、毎回新しい提案をするように心掛けています。あと、ロングの人だと印象を変えやすいのは顔周りなので、顔周りのデザインのバリエーションをたくさん持つようにしています。特に前髪は印象が大きく変わるので、毎回新しいデザイン提案をするようにしています。

WWD:今後の目標は?

高橋:現在月の最高売り上げが416万円なので、年内には月500万円を達成したいです。また人間的にも、後輩から憧れられるような存在でありたいです。

The post インスタの活用で月間最高売り上げ416万円 「オブヘア」の人気美容師の戦略とは? appeared first on WWD JAPAN.com.

東京発「キディル」のパリコレデビューに密着最終日 初のショーは満員御礼、巨額費用が必要でも海外挑戦を続ける理由

 「キディル(KIDILL)」がパリで初めて行なったショーの舞台裏に3日間密着し、取材はいよいよ最終日を迎えた。

東京発「キディル」のパリコレデビューに密着1日目 モデルオーディションは70人相手にてんやわんや

東京発「キディル」のパリコレデビューに密着2日目 本番前日に世界からスペシャリストが集結

 デザイナーの末安弘明とスタイリストの島田辰哉がタッグを組んで東京で10シーズン以上ショーを開催してきたとあって、異国の地パリでもここまでトラブルなく準備は進められてきた。初挑戦となった前季のプレゼンテーションでは主にバイヤーが来場したが、今季はプレスも加わり会場は満席だった。来場者の誘致に一役買ったパリの有力PR会社に広報を依頼した経緯とは?そして、ショーは無事に成功したのか?緊張感漂うバックステージで末安デザイナーを見守りながら取材した。

巨大モヒカンやゴスクイーンも合流

 ショーは午前10時30分開始予定で、コールタイムは7時。たっぷり時間があるようだが、末安デザイナーはほとんど息つく暇もなく動いていた。到着したモデルから順にヘアとメイクが施されていく。バックステージでは、モデルに洋服を着用させるためのフィッターと呼ばれるアシスタントたちに対して、島田がルックの細部や注意点について指示を出していた。

 今回のモデルで特に強烈な存在感を放っていたアドラ(Adora Bratbat)、ナース 3D(Nurse 3D)、パルマ・ハム(Parma Ham)の3人は、異なるゴスバンドに所属する本物のパンクスで、音楽をベースにする「キディル」の世界観に共鳴しているようだ。自前のメイクで会場入りした彼らは、他のモデルよりも遅れてショー開始1時間前に到着。彼らの地毛をヘアスタイリストの森元拓也が仕上げている間、会場にはバイヤーやプレスが入ってきた。全席が埋まり盛況だったのは、パリのPR会社「リチュアル プロジェクツ(Ritual Projects)」が協力しているからだろう。「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」」「ゲーエムベーハー(GMBH)」など気鋭ブランドを扱う同社にアプローチすると、ロックミュージックのファンだという代表ロビン・メイソン(Robin Meason)と意気投合して、「PRをやらせてほしい」とすんなり契約が決まったという。

大胆なコレクションに込めた細部へのこだわり

 「キディル」の20年春夏コレクションは、多様なコラボレーションが彩った。メインはイギリスのゴシックロックバンド、バウハウス(BAUHAUS)でフロントマンを務めたピーター・マーフィー(Peter Murphy)の作品だ。NYを拠点に活動するイラストレーターのエリ・ワキヤマ(Eri Wakiyama)のイラストや、ロンドンのバイクメーカーと共に制作したバイカージャケット、キャラクターの人形を合成したアクセサリーはグラフィックアーティストのコウスケ・シミズ(Kosuke Shimizu)との共作だ。彼らとのコラボレーションによる相乗効果もあり、パンク魂が宿るコレクションには、世間のトレンドに流されずクリエイションに打ち込む末安デザイナーのアイデアが光る。「スタイルについてのトレンドは気にしないが、素材については意識している。例えば、最近は重たい素材は敬遠されがちで、軽い素材がトレンド。僕は生地から作っているため、重いウールは使わず化学繊維を選ぶようになった」。糸から染色してその上にプリントを重ねたり、生地に釣り糸を交ぜて独特の光沢を持たせるなど、生地には末安デザイナーのこだわりが詰まっている。彼の服作りの基盤は、かつて暮らしていたロンドンでの生活にあるようだ。もともとファッションデザイナーになりたいという夢を持っていたが、「手に職をつけた方がいい」という親の勧めで美容師の道を選んだ。パンクミュージック好きが高じて本場ロンドンへ留学すると、古着を解体してリメイクしながら服作りを独学した。その頃に体験したロンドンのアンダーグラウンドなカルチャーシーンが投影される「キディル」の世界観は、多くのミュージシャンやアーティストが支持している。

 数カ月かけて作り上げたショーは、10分にも満たないランウエイと45分間のフィルムインスタレーションで無事に終わった。バックステージには通常キャットウオークを映すモニターが用意されることが多いが今回はなく、末安デザイナーがリアルタイムでショーの様子を見ることはできなかった。フィナーレの大喝采が彼の緊張の糸をほどいたようで、安堵の表情とともに少し涙を浮かべながらスタッフたちと喜び合っていた。ショー直後に声を掛けると「まぁ、ショーは見られなかったからどうだったのか分からないけど(笑)、とりあえず終わった!」と晴れ晴れしい笑顔を見せた。

自費での参加にこだわる理由

 昨今は、ショーという発表手法に疑問を投げかける業界人は少なくない。特にニューヨークでは数年前からファッションショー見直しの動きが強まって、多くのブランドが発表方法を模索している。巨額の費用がかかるわりにはバイヤーやエンドユーザーの消費に直結しにくく、旧来のショー構成にはかねてから疑問が呈されてきた。だが筆者の意見としては、ファッションショーが一概に難しいわけではなく、ブランドによっては有効な手段にもなると考えている。バイヤーや顧客と密な関係を築く方がブランディングにも売上にもつながるブランドもあれば、ショーで世界観を発信することで認知度を上げてコミュニティーを構築することが有効なブランドもある。強烈な個性を持つ「キディル」は後者である。密着初日に、出資者を探しているのかと末安デザイナーに尋ねると、「もちろん資金面でのサポートは欲しい。しかし、出資者をつけたことでクリエイションの面で自由が奪われることは避けたい、そういうブランドをたくさん見てきたから」と語っていた。2度のパリコレで結論を出すのはまだ早過ぎるが、自費で海外進出したブランドとして成功例になれば、若手ブランドにとっては希望となるはずだ。アカウント数だけでなく、売り上げや消化率といった数字も上がり、海外挑戦での成果が出たかどうかを、来シーズンのパリ・メンズで聞くのが早くも楽しみである。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

The post 東京発「キディル」のパリコレデビューに密着最終日 初のショーは満員御礼、巨額費用が必要でも海外挑戦を続ける理由 appeared first on WWD JAPAN.com.

東京発「キディル」のパリコレデビューに密着2日目 本番前日に世界からスペシャリストが集結

 東京のメンズブランド「キディル(KIDILL)」がパリで行なったショーの舞台裏に3日間密着した。1日目のキャスティングではモデルが決まり、ショーに携わる全ての人がそろった。

東京発「キディル」のパリコレデビューに密着1日目 モデルオーディションは70人相手にてんやわんや

 ショー前日となる2日目は、デザイナーの末安弘明とスタイリストの島田辰哉が数カ月にわたり構成を練った演出を実際に作り込んでいくために、会場の設営やヘアメイクのテストが行われる。ヘアスタイリストやメイクアップアーティスト、設営スタッフなど、異国の地でのショー開催にあたりどのようにチームを構成したのか?また会場を決めるまでの過程は?約1000万円という限られた予算の中でショーを実現させた、末安デザイナーの動きを追った。

日本人で結成した“チーム キディル”

 ショー会場に朝から「キディル」チームが集結した。末安デザイナーがパリ初のショー会場に選んだのは、マレ地区にあるギャラリー&イベントスペースのレオン・クール・マレ500(Leon Coeur Marais500)。大きな天窓から日差しが降り注ぐ、全面真っ白の明るい空間だ。会場費はショー前日と当日の2日間で約200万円。「モノトーンでミニマルな、何も無い“箱”のような場所を探していた」と話す末安デザイナー。パリ在住の知人に現場の写真撮影を依頼するなどし、会場選びにはさほど時間がかからなかったという。会場が決まると島田と演出について打ち合わせを重ね、数カ月かけてイメージを固めていった。

 そんな「キディル」のショーを具現化させるのは、日本人チームだ。ヘアスタイリストはロンドンを拠点にする森元拓也、メイクアップも同じくロンドンが拠点のメグミ・マツノ(Megumi Matsuno)。ブッキング済みのモデル一人一人の写真を見ながら、ヘアとメイクの細かな部分までを決める。実際にプロのモデル1人を使って本番さながらに施し、実際のキャットウオークをイメージしながら最終決定が下された。ロンドンチームと組むのは今回が初めてだったが、多くを語らずとも順調に打ち合わせは進んでいった。彼らとは、ロンドンに留学していた際のルームメイトの紹介で知り合ったという。

椅子を八の字状に配置した独特な空間演出

 末安デザイナーのショー演出にはこだわりがあった。八の字状に観客が座る椅子をセッティングし、2つの円の真ん中には1脚ずつ椅子を用意する。モデルは観客の前をウォーキングしたら、2脚の椅子に座ってそれぞれ4秒ずつポーズを取るといったものだ。ショーが終わると、奥のスペースにある壁を背に一列にモデルが並び、その上にプロジェクターで映像を映し出すフィルムインスタレーションを45分間行う。ショーのディレクションは日本のプロダクションのボン、ライティングを担当したのはアートブレーンカンパニーで、両社ともに以前から付き合いがある顔なじみだ。末安デザイナーが実際に動きながら演出について説明し、会場の設営が始まった。バックステージにもサンプルが運び込まれて段取りよく会場がセッティングされ、いよいよショー本番を迎える準備が整った。

ショー本番に観客は来てくれるのか?密着最終日の様子は7月20日(土)に公開予定

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

The post 東京発「キディル」のパリコレデビューに密着2日目 本番前日に世界からスペシャリストが集結 appeared first on WWD JAPAN.com.

週末お出掛けスポット 日本の“かわいい”文化に多大な影響を与えた原田治の展覧会などアート5選

 週末にオシャレして出掛けたいアートスポットをお届け。今週は、日本の“かわいい”文化に多大な影響を与えた原田治の全国巡回展や“日本人女性作家の色彩豊かな形態表現”をテーマにしたグループ展など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(7月20、21日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【アートスポット5選】

【開催中イベント】

村上隆 × ビリー・アイリッシュのイベントを一足先に関係者に披露

「リーボック」が「レブロン」とフィットネス女子応援キャンペーンを実施

「ループウィラー」がブランド20周年を記念したイベントをヒビヤ セントラル マーケットで開催

眼鏡「フォーナインズ」がフォトコンテスト開催 テーマは“アクティブな夏”

「ブルガリ」と「ドン ペリニヨン」のマリアージュ ブルガリ銀座タワーの最上階に

「リモワ」がストリート誌と企画展 過去のアーカイブからアーティストの作品まで

「MCM」がサステナをテーマに展示会開催 未使用バッグをドレスにアップサイクル

松屋銀座が「美しくなるビアガーデン」開催 今年もクロスフィットトレーナーAYAとコラボ

【開催中ポップアップ】

劣化したスニーカーを鉢代わりにして植物を飾る「シューツリー」のポップアップストアがオープン

「ルイ・ヴィトン」がドーバー銀座でメンズのポップアップ 限定品やフューチュラの作品展示も

コンセプトショップ、ライラ トウキョウがECサイト開設を記念して「メゾン マルタン マルジェラ」のアーカイブピース200点を販売

ベイクルーズ初メンズジュエリーブランド「ワールドリーワイズ」がポップアップイベントを開催

ラブレス青山で古着のラグタグがポップアップ 佐々木拓真選りすぐりのビンテージウエアを販売

「ゾフ」がサングラスのポップアップショップを高速道路のサービスエリアに初出店

ビートたけしプロデュースの「キタノブルー」が初ポップアップストアをオープン

ハヤカワ五味が生理用品セレクトの期間限定ショップ 自由でおしゃれな選択肢を提案

伊勢丹の今夏の浴衣展開がスタート 西内まりやとのコラボ品と販促ムービーで多様な着用シーン喚起

眼鏡ブランド「アヤメ」が263日間のポップアップストア 直営店オープンの布石

オーガニックブランド「ラ・ブルケット」が関西で初のポップアップストア

The post 週末お出掛けスポット 日本の“かわいい”文化に多大な影響を与えた原田治の展覧会などアート5選 appeared first on WWD JAPAN.com.

「モンクレール」初の24時間ハッカソン その中身は?体験した日本代表を直撃取材

 モンクレール(MONCLER)はこのほど、同社としては初めて、ファッション業界でも珍しい、イノベーションのためにアイデアを出し続けるイベント、ハッカソンを開催した。

モンクレールが24時間ブレスト合宿開催 その中身とは?

 “モンクレール・ハッカソン”は、今年最高デジタル責任者(CDO)として同社に加わったIT出身のパオラ・ペレッティ(Paola Peretti)が必要性を説き、レモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)会長兼最高経営責任者(CEO)が後押しして実現。ハッカソンとはソフトウエアの世界でエンジニアリングを意味する“ハック(Hack)”と“マラソン”を掛け合わせた米IT業界の造語で、もともとはプログラマーやデザイナーで構成した複数のチームが数時間から数日間をかけて、マラソンのように集中的に作業して技術開発などを競い合うイベントを指す。レモ会長兼CEOは、「『モンクレール』の戦略はユニーク。独自性のためには、強いアイデアや、それを後押しする仕事環境が求められる。ハッカソンは異なる経験やモノの捉え方を交換することで、素晴らしいアイデアを生み出す実証実験だ」などとコメントした。

 ファッション業界では馴染みの薄いハッカソンとは、どんなイベントなのか?そして、それを開く意味と効果とは?「WWDジャパン」は、日本から同イベントに出席したモンクレール・ジャパンのスタッフを直撃し、その真相を聞いた。

WWD:まず、“モンクレール・ハッカソン”は24時間にわたって開かれたと聞いたが、本当に本当に24時間ぶっ通しで行われたのか?

モンクレール・ジャパン(以下、モンクレール):本当だ。もちろん、寝たらダメ。ウトウトすると、サイレンホーンを手に持つシニアディレクターがやってきて、耳元で大音量をかき鳴らす(笑)。しかし、本当に良く考えられたプログラムだったと思う。出席したのは、各リージョンから10人ずつくらいと、本国イタリアのスタッフで総勢約450人。10人強ずつ計37チームに分かれ、9つのテーマを話し合った。

WWD:9つのテーマとは?

モンクレール:サステイナビリティーから店舗開発、ストアイベント、デジタル施策、それに未来のダウンジャケットまで多岐にわたる。いずれも既成概念を取り払い、未来を考えようというお題だ。私たちは「ダウンジャケット4.0」と名付けられたテーマから、未来のダウンを考えた。今より機能的な未来の素材を想像しながら、「モンクレール」らしいアイデアに落とし込んでいくのがミッション。突飛なアイデアも出てくるが、最後は3カ月後に発表できるプロトタイプも考えなければならない。散々風呂敷を広げた後、眼前に迫る3カ月後の“最初の一歩”に収束させた。ただ一連のアイデアを振り返れば、いずれの分野も3年後、5年後の未来をイメージできる。ディスカッションは始まるたびにカウントダウンが始まり、残り時間がゼロになったらハンズアップ(おしまい)。スピーディーだ。

WWD:ディスカッションは、どうやって進行する?

モンクレール:まず10人くらいのチームの中から、進行役を担うリーダー、書記、リスナー(聞き役)、整理係、写真係などを決めた。これに与えられた時間は、3分だ。時間を区切られると、ディスカッションも飽きない。しかもハッカソンだから、ディスカッションだけでなく情報を操ることも重要。ブレストと同時に、わからないことは即座に調べる作業も進む。昼の12時にスタートしたハッカソンは、朝5時までに意見を集約してファイルを提出すると、とりあえずひと段落。そのあとは、太極拳が待っていた(笑)。

WWD:会場の雰囲気や、食事は?

モンクレール:会場は薄暗いとも、薄明るいとも言える「時間を忘れるような空間」。定期的にスパゲティタイムやワインタイムが訪れ、スパゲティタイムではマンマがパスタを振舞ってくれたが、少量をこまめに食べる感覚だった。太極拳のほかには、ヨガの時間もあった。

WWD:各チームのアイデアは、どうやって評価する?

モンクレール:最後の3時間は、各チームのプレゼンテーション。イベント当日、幾つかのチームにアワードが贈られたほか、全社員の投票によって決まるアワードもある。ただアワードは、参加者のモチベーションのため。経営陣にとっては、各チームのアイデアをどう結びつけるのか、が大事だ。

WWD:初のハッカソンに参加して、率直な感想は?

モンクレール:かなり面白く、意義深いものだった。確かに海外からの参加者は、可哀想なケースだと当日イタリア入りしたから24時間どころが数十時間眠れない参加者もいたが、各国のブランチ(支社)としては、これまで発言できなかったことを取りまとめて表明する大きなチャンス。「言いたかったことを伝えよう」という、チャンスを掴む感覚で望んだ。モンクレール ジャパンも、店頭スタッフを含めると300人弱の大所帯。規模が大きくなれば、社内でのメッセージの共有は難しくなる。そんな中のハッカソン。ジャパン社は店舗からもメンバーを選び、どんな発表をしようか準備を重ねて臨んだ。トップダウンのイベントにボトムアップのアイデアを持参し、それを、皆で理解することの重要性を改めて学んだ。プロセスが見えると、全員が当事者として参加できるようになる。参加したメンバーは帰国後、ハッカソンで得たものを持ち帰り、未来のリーダーシップを担うことが大事。会社としては、皆が「このブランドは、私がけん引している」と実感することが重要だ。

WWD:多様性を求めさまざまなデザイナーとコラボレーションする「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」含め、モンクレール社には新しいものを受け入れる、創造しようとする風土が溢れている。その理由は?

モンクレール:その原動力は、レモ会長兼CEOとしか言いようがない。ハッカソンの仕掛け人となったパオラCDO含め、さまざまな人材を引っ張っているし、大企業からの転職者も多い。今、モンクレールには「変わること」「変えること」の面白さを体感している人が集まっている。その中心にいるのは、レモ会長兼CEOだ。パオラCDOも、入社して半年でハッカソンを実現させ、当日も24時間、本人がMCを担当した。パワーとパッションの人が、また新しく加わった。

The post 「モンクレール」初の24時間ハッカソン その中身は?体験した日本代表を直撃取材 appeared first on WWD JAPAN.com.

「父親との共通点?あえて言うならネクラなところ(笑)」 by 山本里美

山本里美 「LIMI FEU」デザイナー

 私からみる女性服と父親からみる女性服は全く違う。等身大というか、今の気分を感じて自分が自然に着られる服を私は作っていくつもり。父親との共通点?あえて言うならネクラなところ(笑)。(Vol.1013 2000年5月22日)山本耀司の長女、里美が東京コレクションでデビューした

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

【山本里美の手掛ける最新コレクションを知る】

-full wp-image-901129" />

「リミ フゥ」4年ぶりのショーで見せた、アートとファッションの交差

The post 「父親との共通点?あえて言うならネクラなところ(笑)」 by 山本里美 appeared first on WWD JAPAN.com.

東京発「キディル」のパリコレデビューに密着1日目 モデルオーディションは70人相手にてんやわんや

 末安弘明が手掛ける東京のメンズブランド「キディル(KIDILL)」は6月20日にパリで、2020年春夏コレクションをショー形式で発表した。東京のファッション・ウイークで数々のショーを開催してきた同ブランドだが、海外での発表は2回目。初挑戦は19年1月のパリ・メンズ期間中にオフスケジュール(公式スケジュール外)でプレゼンテーションを行い、2度目は満を持してのショー形式での発表だ。世界中からブランドが集まるパリ・メンズの公式スケジュールには新参者が入る隙は現在なかなかないうえに、タイトな予定のためオフスケジュールに足を運ぶ業界人は少ない。1月に初めてパリでプレゼンテーションを行う前に末安デザイナーは「おそらく、見に来てくれる人は少ないと思う」と笑いながらも、主にバイヤーに向けてパリでの発表に臨むと意気込んでいた。ショーにかかるコストも当然安くはなく、今回かかった費用は合計約1000万円。リスクも高いため、出資者やサポートもなく自費でパリ進出するブランドは少ない。しかし、「キディル 」は2シーズン続けて自費で挑戦した。パリで発表する意義や成果、そして異国の地で自己流にショーを作り上げる過程を見届けるため、末安デザイナーにショー当日までの3日間密着した。

15畳のアパート1室にモデル70人をキャスティング千本ノック

 「キディル」のショーはデザイナー末安弘明とスタイリスト島田辰哉の二人三脚で作られる。ショー本番2日前、島田が滞在するパリのマレ地区にあるアパートメントの一室でキャスティングが行われた。15畳ほどの部屋にはコレクションのサンプルが並べられ、朝から日が暮れるまで一日中モデルがひっきりなしにやって来る。モデルは部屋に入ったらすぐにコンポジットを末安デザイナーに手渡す。コンポジットとは、ポートレート、全身写真、3サイズとモデル事務所が書かれた、モデルにとって名刺代わりになるものだ。モデルの雰囲気、身長、体形、肌の色を考慮して、2人で試着するルックを検討する。ルックを着用したモデルを見ながら「この人の場合サングラスは無しの方がいいかも」「トップスを違う色に変えてみよう」などと二人で相談しながら、キャスティングの途中にも細かくルックを改善して、コレクションがどんどん磨かれていく。「今回のショーで採用したいモデルは、ストリートで見かける普通の男の子というよりも、顔立ちが整っていてどこか貴族っぽい、気品を感じるような男性を求めている。血の気がなく平気な顔して人を刺すような、不気味な感じにしたくて」と話す末安デザイナー。パリコレ会期中には、一流から駆け出しのモデルまでが世界中から大集結するとあって「狭いスペースにこんなに大勢が来るとは想定外だった」と反省しながらも、期待以上に質の高いモデルがキャスティングに来たことに満足気な様子だった。
 
 予算に余裕のあるブランドは、キャスティング時にルックを着用する手助けをしたり、サンプルを整理したりするためのアシスタントを雇うが、「キディル」は全て2人で進行した。また、モデルのブッキングはキャスティング会社に依頼することが多いものの、その部分もカットしたようだ。モデル1人のブッキング費用は700〜1200ユーロ(約8万5000〜15万円)が相場。エージェンシーによってはインスタグラムに掲載するか否かでさらに追加料金が発生した。今回のショーでは知人の紹介で本物のゴスバンドのミュージシャンや、海外コレクションでストリートスナップを行う日本人の服部恭平などをモデルとして起用したため、結果的にプロモデルは12人をブッキングした。数名のモデルは2ルック着用するなど、工夫を凝らして予算内に収めた。

「Tシャツが似合うモデルがいない」ピンチの中、救世主が現れる

 30度まで気温が上がったキャスティングの日、エアコンのない部屋(パリはほとんどのアパートメントにエアコンがない)に一日中こもって、約70人のモデルと対面した。「Tシャツが似合う人って意外となかなかいないな……」とこぼしながら英バンド、バウハウス(BAUHAUS)のピーター・マーフィー(Peter Murphy)をプリントしたTシャツのルックを着用するモデルを決めるのに最も苦戦したようだ。来るモデルほぼ全員にそのルックを着用させるも、なかなか決まらない。洋服のボタンを閉めたり靴紐を結んだり、立ったり座ったりを繰り返す作業は結構な重労働で、二人の集中力と体力は消耗していく。

 全ルックのモデルが決まったころ、ある1人のモデルが部屋に入ってきた瞬間に2人のテンションが露骨に上がった。「散々見てきて、グッときた」と末安デザイナーに数時間ぶりに笑みがこぼれ、スタイリスト・島田と顔を見合わせた。キャスティングの1日を終える頃、西日が差し込む部屋は少々散らかっていたが、二人の頭の中に描かれたショー当日のイメージはどんどん明確になっているようだった。

世界で活躍するスタッフがそろった密着2日目の様子は7月19日(金)に公開予定

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

The post 東京発「キディル」のパリコレデビューに密着1日目 モデルオーディションは70人相手にてんやわんや appeared first on WWD JAPAN.com.

読者が注目した今週の新作 村上隆 × 「ポーター」など(7月19〜25日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。「ファッション部門」では読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ファッション部門」では現代アーティストの村上隆 × 「ポーター(PORTER)」が1位に輝いた。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


【スニーカー部門】

The post 読者が注目した今週の新作 村上隆 × 「ポーター」など(7月19〜25日) appeared first on WWD JAPAN.com.

アベノミクスが百貨店にもたらした変化 

 2019年は全国で10以上の百貨店が閉店する。2ケタ台に乗るのは、リーマンショックの余波を受けた2010年以来だ。百貨店の市場規模はピークだった1991年の約9.7兆円から2018年は約5.8兆円へと4割も減った。「ユニクロ(UNIQLO)」「ザラ(ZARA)」のようなグローバルSPA(製造小売り)の勢い、「アマゾン(AMAZON)」「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」に代表されるECの革新性に比べると、百貨店は旧態依然とした印象が強い。

 ただ、百貨店を斜陽産業と片付けることは早計だ。最近の取材で痛感するのは、百貨店の中での明暗である。地方・郊外店は客離れに歯止めがかからないのに対し、大都市の旗艦店は好調な業績を残している。屋台骨である衣料品が振るわないのに対し、ラグジュアリーブランドや化粧品は売れに売れている。百貨店に何が起きているのか。

中間層の崩壊、衣料品の縮小

 「WWDJAPAN.COM」では毎月、百貨店大手5社(三越伊勢丹、高島屋、大丸松坂屋百貨店、そごう・西武、阪急阪神百貨店)の月別売上高を報じているが、この数年、記事の傾向はほとんど変わらない。多少の凸凹はあるものの、前年同月の実績に対して衣料品がマイナス、ラグジュアリーブランドや時計・宝飾、化粧品が2ケタのプラスといった状況が続く。衣料品は暖冬・冷夏などの影響があればマイナスとなるのは当たり前として、平年並みの天候でもマイナスという場合が多い。一方、ラグジュアリーブランドや時計・宝飾、化粧品は天候に関係なく売れる。

 百貨店における衣料品の売上高は08年に約2.7兆円だったが、18年には約1.7兆円に縮小した。百貨店が得意としてきた“中の上”の衣料品は、中間層の百貨店離れが打撃になって落ち込んでいる。主力だった団塊世代が高齢化し、それに代わる若い世代を呼び込めていないからだ。

 大丸松坂屋百貨店の好本達也社長は、衣料品頼みは限界だという。「(かつては)衣料品のフロアが一番もうかっていた。通常3〜5階にある婦人服や紳士服が店舗の収益の源泉だった。地下の食品や上層階のレストランのフロアは、にぎわっていても構造的に利益は少ない。だが、この十数年で稼ぎ頭だった衣料品がみるみる失速し、収益のバランスが崩れた。これは一時的な現象ではない。一方でラグジュアリーブランドや化粧品、時計のゾーンが成長を遂げている」。

 数年前から大丸松坂屋百貨店は婦人服売り場の3割縮小を打ち出し、全国の店舗で順次改装を実施している。

円安株高がもたらしたもの

 7月21日に投開票を控えた参議院選の争点の一つは、安倍内閣による経済政策「アベノミクス」に対する評価だ。6年半にわたるアベノミクスは消費市場にも影響を及ぼした。とりわけ百貨店業界に多大なインパクトを与えた。

 アベノミクスの柱は、大規模な金融緩和と財政出動による円安株高への誘導である。日経平均は継続的に2万円台を回復し、富裕層の金融資産を大きく底上げした。円安は00年代半ばから続いていたインバウンド(訪日客)増加に拍車をかける役割を果たした。現在の百貨店の売り上げは、中間層の百貨店離れを富裕層と訪日客による消費がカバーする構図になっている。

 百貨店のカード会員のデータでは、年間購入額50万円以下の顧客の売上高は減り続け、同100万円以上の顧客の売上高は伸び続けている。かつて百貨店の発展を支えていたのは、少し背伸びしても上質な商品が欲しいという中間層だった。所得の二極化が進み、日本市場の特徴だった購買力のある分厚い中間層が弱体化した。一方で、人口は少ないものの富裕層は増加している。野村総合研究所によると、純金融資産1億円以上の富裕層は2000年の約83万世帯から17年は約126万世帯になった。

 富裕層を対象にした外商は百貨店のお家芸だ。百貨店は江戸時代の呉服店をルーツにする老舗企業が多い。裕福な武家や商家を訪ねて御用聞きしてきた手法を継承し、現代では富裕層の衣食住はもちろん、呉服・宝飾品・美術品(“ごほうび”と呼ばれる)など資産価値を持つ高額品、ラグジュアリーブランドのほか、子会社を通じて旅行や保険も取り扱う。欧米のラグジュアリーブランドの関係者にも“GAISHOU”という日本語が定着しており、百貨店を通じて日本の富裕層へのアプローチを強めている。

 売上高に占める外商の比率は、大都市の旗艦店で20〜40%を占めるまでになった。中間層が離脱したため相対的に比率が拡大しただけでなく、百貨店自身も新規顧客の獲得に積極的に動いた結果だ。大丸松坂屋は19年2月期で新規口座を1万5000件以上増やした。

天からの恵みの雨になった訪日客

 富裕層への外商に比べて、百貨店にとってインバウンドは新しいビジネスといえる。18年の訪日客は08年に比べて約4倍の3119万人。日本とは反対に、経済発展によって中間層が爆発的に増加した中国の人々が押し寄せるようになった。

 18年の訪日客による百貨店の免税売上高は3396億円、客数は524万人。3年前と比べても免税売上高で1.7倍、客数で2倍になった。免税売上高が占める比率は三越銀座店の30%、大丸心斎橋店の35%など大都市の旗艦店で20〜30%に達するケースが少なくない。一時の爆買いは影を潜めたが、日本人に比べて客単価は圧倒的に高い。化粧品やラグジュアリーブランドは彼らの消費がけん引している。

 阪急阪神百貨店は16日、中国のITサービス大手の騰訊控股有限公司(テンセント・ホールディングス)が展開する中国最大のSNSアプリ「ウィーチャット(微信、WeChat)」を活用したサービスを提供する「ウィーチャットペイスマート旗艦百貨店」に、中国国外の百貨店として初めて認定されたと発表した。荒木直也社長は「全店400億円強ある免税売り上げの約8割が中国大陸からのお客さまで、快適で便利なショッピング環境を提供するのはわれわれにとって重要なテーマ。ウィーチャットは中国人顧客の日常生活に欠かせないツールになっている。今後はウィーチャットで得たビッグデータをもとにテンセント社と共同で新たなマーケティング活動を行い、世界一楽しい百貨店をめざす」と話す。

 このような取り組みは他社にも波及するだろう。20年の東京オリンピック・パラリンピック、25年の大阪万博なども控え、インバウンド市場を楽観的に見る関係者は多い。

 アベノミクス以前から所得の二極化は進んでいたし、訪日客も増加傾向にあった。地方の百貨店の閉店も今に始まったことではない。だが、円安株高の政策が富裕層と訪日客の消費に強力な追い風になったこと間違いない。その恩恵は地方経済には届かなかった。生き残りをかける百貨店は、今後も成長市場として富裕層と訪日客の獲得に経営資源を投じていくことなるだろう。

 一方で、ショッピングセンターやECに流出した中間層を呼び戻す課題は解決されてない。今は富裕層と訪日客による消費拡大が天からの恵みの雨のようになっているが、耐用年数を過ぎたビジネスモデルの革新という本質的な問題は積み残されたまただ。


 「WWDジャパン」7月15日号の百貨店特集では、岐路に立つ有力百貨店6社(三越伊勢丹ホールディングス、高島屋、大丸松坂屋百貨店、そごう・西武、阪急阪神百貨店、松屋)のトップインタビューを通じて業界の変化を浮き彫りにする。

The post アベノミクスが百貨店にもたらした変化  appeared first on WWD JAPAN.com.

「シェアリング」住宅、住みたい?住みたくない? 「イケア」の斬新アイデアに対する読者の反応は?

 「WWD JAPAN.com」は6月上旬、イケア(IKEA)が2020年にも日本と香港で実証実験を開始する、“新しい住居のカタチ”にまつわる記事をアップしました。

LDKをほかの誰かとシェアできる? 「イケア」が世界的宅地不足に新提案

 これは、世界的に深刻な都市部の宅地不足問題に対する新提案。提案は新たな都市構想とから狭小住宅向けのインテリアまで、さまざまなスケールの複数のアイデアから成り立っていますが、日本と香港で実証実験するのは、「シェアリング」をキーワードに据える新しい住宅。簡単にいえば、2つの家族が1つのダイニングキッチンをシェアする暮らしの提案です。

 イケアが提案する住居は2つの家族に向けたものですから、例えば玄関やリビングは2つずつ。それぞれの家族が、別々の玄関、そしてリビングを有します。しかし、そこから奥に進む中央のダイニングキッチンは、2家族で1つ。その分、小さなスペースでも2家族が住めるというアイデアです。ダイニングキッチンは2つの家族が共有するため、シンクを2つ備えています。仲良し家族なら、毎日がバーベキューパーティーみたいで楽しいでしょうか?それとも、やっぱりストレスが溜まるものでしょうか?

 そこで「WWD JAPAN.com」は、公式ツイッターとインスタグラムを通じて、フォロワーのみなさんに「『シェアリング』住宅、住んでみたい?住みたくない?」とアンケート。結果は、ツイッターでは8割強(84%)が「住みたくない」。一方、インスタグラムでは1/3(33%)が「住んでみたい」と回答し、「シェアリング」住宅の可能性をうかがわせます。ツイッターには、「独身だといいけれど、家族となると根付かないと思う。シェアが日本よりも一般的なイギリスでも家族を持つとシェアを卒業する人は多い。夕飯時に他の家族と重なるとストレスが溜まりそう」という意見が寄せられました。ツイッターと比べてインスタグラムに肯定派が多いのは、ユーザーが相対的に若いであろうことも関係していそうです。

 現状、いずれのSNSでも「シェアリング」住宅賛成派はマイノリティーだし、これがすぐ逆転するとは思えません。しかし取材した立場から発言すると、一企業にも関わらず世界的な問題に立ち向かい、とは言えもちろん単体では解決できないからそれに向けてベストパートナー(「シェアリング」住宅では、傘下のR&D集団や北欧のテック企業とタッグを組んでいます)を選定。まだまだ未完の段階からプロトタイプを公開しつつ、企業としての意志を表明したスタンスには強く共感しています。結果、「シェアリング」住宅という、正直に言えば突飛なアイデアさえ「革新的」と感じ、応援したくなっているのがホンネです。

 実証実験が成功するか否か、「シェアリング」住宅が根付くか否か、はイケアの意志の発信次第なのかもしれません。

The post 「シェアリング」住宅、住みたい?住みたくない? 「イケア」の斬新アイデアに対する読者の反応は? appeared first on WWD JAPAN.com.

「ザ レミー」 美容師・倉田聡子のショートヘアのすすめ

 ヘアサロン業界に関わっていると、周りを見渡せばみんなショートヘアなんていうことが多々ある。しかし、一般的な女性のショートヘアの割合は約20%(テスティー調べ)にとどまっている。ベリーショートに限定すれば全体の3.2%という少なさ。それでも東日本大震災以降、洗髪やスタイリングの簡単さからショートヘア人口は増え、最近では“おしゃれ”のためにショートヘアにする女性も増えている。これから夏本番に向けて、 “ショートヘア”デビューをしようと考えている人も多いだろう。インスタグラムでヘアスタイルやメイク方法を積極的に発信しているベリーショートがトレードマークの東京・原宿のヘアサロン「ザ レミー(THE REMMY)」の倉田聡子スタイリストのもとには、ショートヘアにしたいという女性や美容専門学校生が多く来店する。そこで倉田スタイリストにショートヘアの魅力を聞いた。

WWD:倉田さんの顧客はどんな方が多いですか。

倉田聡子(以下、倉田):インスタグラムを見て来店してくださるお客さまは多いです。最近は紹介も増え、家族や彼氏、彼女と一緒にということもあります。

WWD:若い女性や美容学生の方が多い印象がありました。

倉田:勉強のためにいろいろなサロンで施術を受ける学生さんも多く、カットはほかのサロンでやって、カラーは私がやるということも多いんです。そんな中でもここ1年は圧倒的にショートヘアにするお客さまが増えたと肌で感じています。

WWD:倉田さんのベリーショートも印象的ですね。

倉田:「レミー」で働き始めてからベリーショートにしました。今日は、私よりもちょっと長いぐらいのアーティスト系の仕事をされているお客さまがいらっしゃったんですけど、インスタグラムでベリーショートで検索をしたら私のアカウントが出てきたと言っていました。だいたい“ベリーショート”っていうと少年のようなイメージもあるので、やりたいと思っても実際にやってみるまで決断するのが難しいみたいです。

WWD:お客さまが切ろうと決めるきっかけは何でしょうか?

倉田:ベリーショートは一般的なイメージとして服も限られてくるし、今日いらっしゃった方は「なんだか今持っている洋服がフィットしなくなりそう」と言っていたぐらい。私は4年間ベリーショートで過ごしてきて、坊主にしていた時期もあります。ワンピースやスカートといった女性らしいスタイルもインスタグラムにアップしているのですが、意外とこういうのもありだなと思ってくれるみたいです。正解は分からないけど、自分なりのポイントがあるのでそれを伝えています。

WWD:それはどういうポイントですか。

倉田:まず、来店した時の服装を必ず見て、普段何を着るのか、また職業を伺っていきます。服装はもちろん、ショートヘアにも襟足を刈り上げたほうが似合う場合もあれば残したほうがよかったり、前髪は短すぎないほうがいいとか。髪形を探ります。その上で、ショートヘアと服装のバランスを考えるとフェミニンすぎると難しくなります。例えばレース系の洋服であれば色は黒にするなど、工夫は必要になります。

WWD:だからご自身がいろいろな髪形や服装を見せているんですね。

倉田:私は昔から服装でも特定のジャンルが好きっていうのがないんです。仕事上動きやすさは重視しますが、いろいろなことを感じて提案したいので、メイクもヘアも、髪色も服装もいろいろ見せます。髪の毛の色に対してメイクはどんな色味が合うかなど、私たちはプロなので言えないとだめですよね。それを表現しているんです。

WWD:ほかにショートヘアにしたいと思ったときに心掛けるべきことはありますか。

倉田:スタイリング剤をつけることは前提になってきますね。肩ぐらいの人がショートヘアにしたいというときは意外とスタイリング剤をつける習慣がないことも多いので、つけないとよく見せられないことを伝えて、オイルからでもつける練習をすることを勧めています。

WWD:スタイリングすることで、ファッションとの組み合わせを楽しめるんですね。

倉田:不思議ですよね。ショートヘアありきのファッションというか、ファッションが好きでショートにする人も多いです。髪形こそファッションの一部になるので、私が切ったことでその人の意識や価値観を変えてしまうことも往々にしてあるので、責任を感じています。だからメイクやファッションも含めて、伝えるようにしています。

The post 「ザ レミー」 美容師・倉田聡子のショートヘアのすすめ appeared first on WWD JAPAN.com.

ブドウの搾りかすから人工皮革 「ベントレー」が注目する伊ベンチャー

 イタリア・ミラノのベジェア(VEGEA)はブドウの絞りかすから人工皮革“ベジェア(VEGEA)”を作る注目のスタートアップ企業だ。7月9~11日に初出展したイタリア・ミラノで開催の素材見本市「ミラノ・ウニカ(MILANO UNICA)」で、初日と2日目に同社のブースを訪れたメーカーは600社以上。そのうち50社以上が試作品のために少量を買い付けたという。10日には、英国の高級車「ベントレー(BENLEY)」が100周年を祝してデザインしたコンセプトカーのシートに人工皮革を提供したことが発表された。

 ベジェアが注目を集めたのは、H&Mファウンデーション(H&M FOUNDATION)が主催するイノベーションコンペ「グローバルチェンジアワード(GLOBAL CHANGE AWARD以下、GCA)」の受賞がきっかけだ。

 設立は2016年。建築家やインテリアデザイナーとして13年働いていたジャンピエロ・テッシトーレ(Gianpiero Tessitore)が、大学で化学を学んだ友人フランチェスコ・メルリーノ(Francesco・Merlino)らと立ち上げた。なぜ、ブドウの搾りかすから人工皮革を作ろうと思ったのか。オーナーのジャンピエロ・テッシトーレに話を聞いた。

「家具用の素材を探していたときにサステイナブルなものがなかったから」

WWD:ブドウの搾りかすから人工皮革を作るというアイデアがとてもユニークだ。取り組むことになったきっかけは?

ジャンピエロ・テッシトーレ=オーナー(以下、テッシトーレ):仕事でソファの素材をリサーチしていた時に、サステイナブルなものがないことに気づいた。石油由来の人工皮革か動物の革――そのどちらでもないサステイナブルな素材が必要だと思い、それならば自分で作れないか、と3年前にミラノやフィレンツェの大学、国が運営するリサーチセンターなどと研究を始めた。でも当時はビジネスにしようとは思ってなかった。

WWD:突然、人工皮革は作れない。

テッシトーレ:共同経営者のフランチェスコが化学者で、さまざまな植物について研究していて理解が深かった。中でも彼はワイナリーで働いた経験があったのでブドウの特性、つまりセルロース繊維、木の繊維、オイルが入っていることをよく理解していた。それらに植物オイルを加えたらポリマーを作ることができた。

WWD:簡単そうに話しているけれど、ブドウの絞りかすからどう作るのか?

テッシトーレ:蒸留酒のグラッパを造る工程で出る絞りかすが原料。絞りかすはコラボレーションしている蒸留所から仕入れている。絞りかすを乾燥させて粉にして不純物を取り除き、そこにリネンのオイルとアセイヨウアブラナのオイルを加えて混ぜて液状にしたものをオーガニックコットンかリサイルコットン、リサイクルポリエステル製のベースに塗ると“ベジェア”ができる。物理的な処理はするけれど、化学的な処理はしない。

WWD:ゴミを資源として活用して動物を殺さず石油も使わない。環境への負荷が少なくサステイナブルだ。そうはいってもブドウの搾りかすから製品化するにあたり、強度や価格などの問題は?

テッシトーレ:強度、硬度、圧力、柔軟性などのテストを繰り返し、EUが定める基準はクリアしている。本革のような質感も再現できるし、厚さなどもいろいろできるようになった。ただし、価格はいわゆる一般的な人工皮革と比べると30%程度高くはなる。

WWD:「ミラノ・ウニカ」に出展するということはすでに量産化が可能ということ?

テッシトーレ:ついこのあいだ可能になったんだ。実は量産化はもっとも苦労した点。GCAの助成金30万ユーロ(約3660万円)でそのプラットフォームを整えることができた。

WWD:GCAの受賞から大きく動き出した。

テッシトーレ:量産化にこぎ着けることができたことだけではなく、受賞してから1年間、コンサルティングを受けたことも役立った。ファッション産業の仕組みもよく分かったし、誰に会いに行ったらいいかなど細かくアドバイスを受けた。大変だったことといえば、ファッションのスピードの速さに順応することかな。もともと家具用に始めたけれど、ファッションの方がインパクトが大きいし、宣伝効果も大きいと感じる。今日発表された「ベントレー」とのコラボレーションも、GCAで知ってアプローチしてくれたから。

WWD:「ベントレー」とのコラボレーションとは?

テッシトーレ:「ベントレー」の100周年を祝い、未来の車としてコンセプトカーを出したいと打診された。“ベジェア”はサステイナブルな素材でありながら、見た目にも美しい。ブドウはシャンパンやワインなどの原料だし、「ベントレー」のラグジュアリーなイメージとも合ってよかったみたい。

WWD:「ミラノ・ウニカ」の2日目を終わってメーカーの反応は?

テッシトーレ:約600社がブースに来てくれて、そのうち50社以上がサンプル用に2~5m程度の購入を決めた。そこからオーダーをもらって本格的な量産は9月から始める。量産のために、もともとある機械を改良したが、この“ベジェア”は機械を一から作らずに生産ができるのがポイント。今は1日500メートル(140cm幅)の生産が可能だ。

WWD:ライセンスビジネスもできそうだ。

テッシトーレ:ゆくゆくはね。でも今は、まずはしっかりと売っていきたい。また、技術革新もしたい。他の植物でも人工皮革を作りたい。

The post ブドウの搾りかすから人工皮革 「ベントレー」が注目する伊ベンチャー appeared first on WWD JAPAN.com.

次世代SNS「RED(小紅書)」にラグジュアリーブランドが続々と参加 中国インフルエンサービジネス最新事情

 中国版インスタグラムとしてユーザーが急増するSNS型ECアプリ「RED(小紅書)」のインフルエンサービジネスに注目が集まっている。

 REDはインスタグラムのように写真や動画、日記など自分のライフスタイルを他者と共有できるソーシャルのプラットフォームと、投稿内で紹介されている商品をアプリ内で購入できるマーケット機能を併せ持つ中国発のアプリだ。ファッションや美容、旅行などを楽しむ中国の若い女性たちからの圧倒的な支持があり、その人気はウェイボー(微博、Weibo)やウィーチャット(微信、WeChat)という従来のSNSをしのぐ勢いだ。

 リタ・ウォン(Rita Wang)は350万のフォロワー数を誇るREDのトップインフルエンサーだ。ロンドンのセント・マーチン美術大学(Central Saint Martins)でファッションの修士課程を修了し、「LVMHプライズ」のファイナリスト、ステファン・クック(Stefan Cooke)や「8ON8」のレオ・ゴン(Leo Gong)とは同級生である。彼女はREDでの成功はフォロワーとの嘘偽りのない関係によるものだとし、「日常の生活やその日の気分、自分のことを何でもポストすることで、フォロワーはリアルな私を受け止めてくれる」と語った。

 彼女はREDのほかにウェイボーやインスタグラム、動画配信サイトの「ビリビリ(哔哩哔哩、Bilibili)」などでも発信しているが、彼女のコンテンツは、ファッションを愛し国際的な視野を持つREDのユーザーである女性たちから支持され、最も親和性が高い。「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は今年の5月にラグジュアリーブランドとして初めて「RED」に参加し、バッグのプロモーションで彼女をインフルエンサーとして起用した。それに続くように「ディオール(DIOR)」「コーチ(COACH)」「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「MCM」「フェンディ(FENDI)」「ロエベ(LOEWE)」が「RED」の公式アカウントを開設した。

 多くのユーザーを獲得し影響力を増す一方で、REDにおけるインフルエンサービジネスにはいくつかの課題が残る。

 そのひとつは中国外でのREDの認知度だ。「プラダ(PRADA)」「フェンディ」「ロエベ」「クロエ(CHLOE)」「ヴァレンティノ(VALENTINO)」「シャネル(CHANEL)」などをクライアントに持つあるPRマネジャーは「ブランドの中国担当者が宣伝のためにREDのインフルエンサーをイベントに招待しようと躍起になっているが、本国はその人気や存在自体を把握していないのが現状だ」とコメントする。

 さらに、REDは不正な広告やコンテンツを排除するためのフィルタリングを導入していることがブランドのプロモーションの障壁となっている。ユーザーが広告コンテンツを投稿するには、運営サイドの許可を得ることが義務づけられており、インフルエンサーが投稿をちゅうちょする傾向にある。中国インフルエンサーマーケティングのプラットフォーム、パークル(PARKLU)のセールスマーケティング責任者であるイライジャ・ホエイリー(Elijah Whaley)は「REDのユーザーは過度にコマーシャルな投稿を好まない傾向があるため、ラグジュアリーブランドはプロモーションを成功させるためにブランドのイメージやアイデンティティーを柔軟に変えていく必要があるだろう」と語った。

The post 次世代SNS「RED(小紅書)」にラグジュアリーブランドが続々と参加 中国インフルエンサービジネス最新事情 appeared first on WWD JAPAN.com.

「感覚と言いながら自信がないから何かに頼ろうとする。それがDCだったんじゃないか」 by 石津謙介

石津謙介

 情報を横に見るだけで誰も縦に見ていない。本に出ていた、どこのブランド、誰のデザインとか、それだけ。それも感覚情報だけで着ている。感覚のいい人は感覚だけで選ぶ。しかし感覚は常に変わるものだろう。だからいつも追いかけていく。感覚と言いながら自信がないから何かに頼ろうとする。それがDCだったんじゃないか(Vol.344 1988年9月12日)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

The post 「感覚と言いながら自信がないから何かに頼ろうとする。それがDCだったんじゃないか」 by 石津謙介 appeared first on WWD JAPAN.com.

「アリックス」の2020年春夏はテーラリングで新境地 ブランドを進化させるコミュニティーの力

 パリ・メンズ・コレクション最終日の6月23日に「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM以下、アリックス)」がショーを開催した。創始者であるマシュー・M・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)はアメリカ・シカゴ出身の33歳。2012年にヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)らと立ち上げた「ビーントリル(BEEN TRILL)」を人気ブランドに育て上げ、15年に自身の娘の名を冠した「アリックス」(18年に現ブランド名に変更)を始動した。「モンクレール(MONCLER)」や「マッキントッシュ(MACKINTOSH)」「ナイキ(NIKE)」との協業に加え、キム・ジョーンズ(Kim Jones)率いる「ディオール(DIOR)」メンズ・コレクションではキャップやバッグのバックルをデザインするなどチームへの参加も後押ししてコミュニティーはますます広がり、それを自身のコレクションに還元している。今季のショーに携わったモデルや音楽プロデューサー、ヘアメイクアップなどは昔からの友人が大半を占めており、妻のジェニファー・ウィリアムズ(Jeniffer Williams)もモデルとしてランウエイに登場し大歓声を浴びていた。

 ショーの会場に選んだのは、19世紀に大手銀行の本社として使用されていた歴史的建築物のル セントリアル(Le Centorial)。テーラードコートをまとったウィリアムズはバックステージで、「テーラリングは若いブランドにとって非常に難易度が高い。『アリックス』なりの解釈でテーラーリングを再定義し、共通言語の一つにすることが僕にとっての新たな挑戦だ」と目を輝かせながら語る。ショーの前半はメンズ・ウィメンズ共に色気が香るテーラードのルックが続いた。ブランド設立当初から品質の高さにこだわってきたウィリアムズは現在、テーラードの本場であるイタリアを拠点にしている。ショーの中盤以降は再生皮革のコートやミリタリー風のベスト、バリスティックナイロン製のバッグなど、「アリックス」の代表的なアイテムがランウエイを飾った。ブランドのシグネチャーであるローラーコースターバックルはルックにニュアンスを加え、さらにシューズやジュエリーにも用いて装飾するなどバリエーションが広がっていた。仏新聞「ル フィガロ(LE FIGARO)」のジャーナリスト、ヴァレリー・グエドン(Valerie Guedon)は「非常に質の高いテーラーリングはラグジュアリーを印象付けるようだった。しかし、特筆するほどの新しい概念や楽しみ方の提案があったとは言い難い」とコメントを寄せた。

 全体的には非常に洗練されたコレクションだったが、本格的なテーラリングが、「アリックス」が得意とするストリートの要素にうまく融合しているようには感じなかった。決して反発はしていないものの、異質なもの同士がまだ溶け合っていないような状態だ。だが「アリックス」にとってはきっと筆者の見解よりも、コミュニティーの一員である顧客がテーラーリングにどのような反応を示すのかが重要であるはずだ。コミュニティーの中でクリエイションが磨かれていく「アリックス」には、今後も独自の進化と新たな提案を期待したい。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

The post 「アリックス」の2020年春夏はテーラリングで新境地 ブランドを進化させるコミュニティーの力 appeared first on WWD JAPAN.com.

“タピオカに並ぶ時代はもう古い” ブームの火付け役「春水堂」が考えるタピオカティーの未来

 タピオカティーブームの火付け役、台湾発の「春水堂(チュンスイタン)」はこのほど、銀座プレイスに国内14店舗目となる旗艦店、春水堂銀座店をオープンした。台湾全土で54店舗を出店する春水堂は、2013年に海外初店舗を東京・代官山にオープン。その後、続々と上陸してきた“台湾スイーツ”の先駆け的存在でもある。春水堂を日本で運営するオアシスライフスタイルグループの飲食事業を率いる木川瑞季社長は経営コンサルタント時代に台湾駐在を経験し、その時に出合った春水堂のタピオカミルクティーの美味しさに衝撃を受けた。その時、日本にお茶の文化を浸透させたいと思ったという。12日には、系列のテイクアウト専門店「TP TEA(ティーピーティー)」(台湾では250店舗を出店)の六本木ヒルズ店もオープンし、並ばずに飲めるウェブオーダーシステム「スマタピ」も本格スタートした。急成長するタピオカティー市場の未来を木川社長はどう描く?

WWD:春水堂を銀座に出店した理由は?

木川瑞季代取締役(以下、木川):私たちにとってこれまでの6年間は第1次タピオカティーブームを作るための準備期間でした。タピオカティーは、私たちが“アレンジティー”と呼ぶお茶の一種ですが、この第1次ブームは若いお客さまを中心に盛り上がっています。ですが、これからは大人のお客さまにも飲んでほしい。そうした思いから、日本の中心地である銀座に旗艦店を出すことが次のステップだと考えました。

WWD:6年前はここまでのブームを予想していた?

木川:手前味噌ですが、ブームを仕掛けた側だと思っています。最初は、台湾発祥のスイーツ店が表参道に続々と出店した15年に(春水堂も15年に表参道に出店)、メディアに向けて“台湾スイーツ”という言葉で訴求しました。それまで屋台などのB級グルメのイメージが強かったのですが、同時期にLCC(格安航空券)が台頭して台湾旅行が身近になったことで追い風となり、少しずつ台湾フードが受け入れられるようになりました。特にタピオカに関しては、台湾でも非常に市場が大きく、元々潜在性があったのだと思います。当然、1店舗だけでは盛り上がりませんが、大型の台湾ブランドが上陸してきたことで、パンケーキと同じように比較できるようになり、お客さまの中での熱が高まりました。

WWD:今後のブームをどう読む?

木川:タピオカをきっかけに、お茶を飲む文化が広がったことが大事なポイントです。これをただの一過性のブームにするのか、お茶の市場ができたと捉えるのかは私たち次第だと思っています。コーヒーもスターバックスやタリーズが日本に入ってきた20数年前に似たような現象になりましたが、結果的に大型チェーン店が残り、シアトル系のコーヒー市場が確立しました。今回も品質のいいブランドが伸びれば、アレンジティーの市場も伸びると思っています。決して、パンケーキやポップコーンのように一過性のブームにしてはいけません。

WWD:パンケーキやポップコーンが一過性のブームになってしまった原因は何か?

木川:リピート率だと思います。なぜお茶が残ると思うかというと、コーヒーと同様にリピート率が高く、なおかつ自分の為に買うから。ポップコーンのように手土産になると人に上げるタイミングでしか買わなくなるし、週に1回買うかと言われたら難しいのだと思います。

WWD:これまでお茶の市場が広がらなかった理由は?

木川:コーヒーに比べて圧倒的に生産量が少ないのが理由の一つです。品質のブレも大きく、発酵(コーヒーでいう焙煎にあたる)も安定させないといけないので、チェーン店には難しいとされてきました。1杯500円で出しているので決して安くはないですが、品質を落とすとお客さまが離れ、市場は成立しません。弊社は品質にこだわることで、安定的な茶葉を供給できるレベルになりました。

「もう行列に並ばせない」タピオカ界初のシステムでおじさんも飲める時代に!?

WWD:行列に関してはどう思う?

木川:行列を作りたいとは全く思っていません。行列をなくすために、テイクアウト専門店の「TP TEA」にウェブオーダーシステムを導入しました。タピオカティー=行列に並ばなければいけないというイメージを完全に壊したいと思っています。このシステムは、ウェブサイトから注文すれば、最短15分後から店頭で受け取れ、登録したクレジットカードで決済するので、レジも一切通しません。オフィスワーカーの多い丸ビル店で試験運用し、13日の六本木店オープンに合わせ、2店で本格的にスタートしました。既に多くの大人のお客さまから支持を得ています。

WWD:「タピオカティー専門店の厨房におじさんいるのが嫌」というツイートが話題になったが、これでおじさんもタピオカティーが飲める。

木川:今は潜在的に失っているお客さまがすごく多いと思います。ここ数年間、店舗に行ったけど買えなかったというご意見をたくさんいただきました。一度ネガティブな印象がつくと、元々好きでいてくださったお客さまも離れてしまいます。実はこのシステムを導入するのは、昨年上海でラッキンコーヒーのモバイルオーダーを体験して、衝撃を受けたことがきっかけです。「日本で行列に並ばせている時代じゃない。こんなことをしていたらいつかお客さまの心は離れてしまう」と。あくまで行列をなくしたいと言うのは表面的な言い方であって、一番大事なのはお客さまの購買体験だと思います。年に一度しか並ばないのであればワクワクする体験になるかも知れませんが、私たちは週に3回飲んでほしいですから。お茶を楽しんでもらえる時代を作るのが最終的な目標ですね。

The post “タピオカに並ぶ時代はもう古い” ブームの火付け役「春水堂」が考えるタピオカティーの未来 appeared first on WWD JAPAN.com.

20年目でもブレない「サカイ」 2020年春夏メンズは「世界に暮らす全ての人のために」

 「サカイ(SACAI)」は今年で設立20年目を迎えた。2009年にメンズラインをスタートし、11-12年秋冬コレクションから発表の場をパリに移し、今ではパリメンズの目玉ブランドの一つとして定着した。グラン・パレのギャラリー内を会場にショー形式で発表した2020年春夏メンズ・コレクションのショーにも、多くのセレブリティーやバイヤー、ジャーナリストらが駆け付けた。

「サカイ」2020年春夏メンズコレ来場者は「ナイキ」コラボばかり ベストスニーカーを華麗に履きこなす18人

 メンズとウィメンズに加え、母親としての顔も持つデザイナーの阿部千登勢は、どこからそんな力が生まれるのかと不思議に思うほど小柄で華奢な女性だ。最終リハーサルを終えるとハットのかぶり方やシューズの乱れなど、スタッフに的確に指示を出していた。「サカイ」の洋服に身を包むスタッフらは互いにルックの最終チェックをしたり、洋服にスチーマーをかけたりと手慣れた様子で本番までの時間を過ごす。ファーストルック(本番直前にバックステージで行われる撮影)では、阿部デザイナーが一人ひとりのモデルに笑顔で言葉をかけながら、ルックの最終チェックを行い、本番を迎えた。

「ナイキ」コラボの新色も登場

 今季の着想源となったのは、米映画「ビッグ・リボウスキ(原題:THE BIG LIBOWSKI)」だという。同映画は、 同姓同名の大金持ちと間違われて誘拐事件に巻き込まれる男の騒動を描いたコーエン兄弟製作によるコメディーだ。主人公の見解を引用しながら、阿部デザイナーは“結ぶ(Tie Together)”ことに着目した。大小の異なるシルエットのタキシードシャツは片方をステッチで結び、二重になったテーラードジャケットは内側に付属するベルトで前身頃を結んで絶妙なシルエットを生み出す。タキシードやグレースーツ、トレンチコードなどフォーマルなアイテムを「サカイ」流ハイブリッドの手法で進化させた今季は、ボウタイのディテールが多用された。「The rug really tied the room together(あのラグは部屋にすごく合っていた)」という劇中のセリフは、アートディレクターのファビアン・バロン(Fabien Baron)によるグラフィックでTシャツにプリントされた。アメリカのパンツブランド「グラミチ(GRAMICCI)」とのコラボレーションによるクライミングパンツは、“結ぶ”アイデアによって可動域を最大限にするよう設計されている。ショー終盤は、アロハシャツブランド「サン サーフ(SUN SURF)」とのコラボレーションによるトロピカルな柄のニットウエアやドレスが登場した。来場者らはルックの足元に多く集まり、「ナイキ(NIKE)」とのコラボスニーカーの新色に目を光らせていた。

 ショーを終えると、少し涙目になりながらスタッフらと抱き合い感謝を伝える阿部デザイナー。しかし、ほっと一息つく暇もなく、バックステージへとやって来た著名なジャーナリストらに囲まれて取材の対応に追われていた。「男女だとか国籍だとか何も分類せず、世界に暮らす全ての人に向けたコレクション。フォーマルやカジュアルとも意識しておらず、とにかく私が個人的に好きなアイテムを集めました」とコレクションについて語る。「ヴォーグ ランウェイ(VOGUE RUNWAY)」ジャーナリストのエイミー・ヴェルナー(Amy Verner)は「毎シーズン、彼女がどのように“サカイ化”させるのか、期待せずにはいられない。今季は、異なるアイテムを衝突させたハイブリッドではなく、MA-1やテイラードジャケット、ストライプシャツなどワードローブで見慣れたアイテムを結び付けており、彼女が口にした『全ての人に向けたコレクション』という言葉がとても理にかなっている」とコメントした。

 20年前にわずか5型のニットウエアでデビューした「サカイ」は今、さまざまなブランドからラブコールが絶えず、商品のバリエーションも幅広くなっている。拡大する会社の規模に伴い彼女を取り巻く環境が変わっても、「サカイ」のDNAがブレることはない。デザインの複雑さは増し、価格レンジも広がったが、全ての商品に“サカイらしさ”は宿っているのだ。チームや顧客との結び付きを強め、これからも「サカイ」の歴史は紡がれていく。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

The post 20年目でもブレない「サカイ」 2020年春夏メンズは「世界に暮らす全ての人のために」 appeared first on WWD JAPAN.com.

ステラ・マッカートニーが本音で語る 究極のサステナ世界と今日からできること

 “アディダス バイ ステラ マッカートニー(ADIDAS BY STELLA McCARTNEY)”は7月5日、2019-20年秋冬の新作を英国ロンドンのウィンブルドン近郊で発表した。そこには新作だけではなく、アパレル廃棄問題への解決策を示す試作品が展示されていた。ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)とアディダス(ADIDAS)はサステイナビリティー追求に積極的でその技術開発に力を入れていることでも知られるが、今回展示されたのは、人工クモの糸で知られる日本のスパイバーのライバルである、米国ボルトスレッズ(Bolt Threads)社の合成タンパク質“マイクロシルク(MICRO SILK)”を用いたテニスドレス、再生セルロースとオーガニックコットンで構成した100%リサイクル可能な“循環するフーディー”だ。いずれもサステイナビリティー追求においては最先端の技術を用いたもので、新たなサプライチェーンの構築が必要な挑戦的なアイテムでもある。

 サステイナビリティーとファッション性の追求において現在、ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)の右に出る者はいない。01年のブランド設立当初から毛皮やレザーを用いず、例えばラグジュアリーブランドの肝であるハンドバッグは人工皮革で提案した。アイコンバッグの“ファラベラ”は大ヒットし、新たなラグジュアリーバッグとして浸透した。また、毛皮の代替品として人工ファーの“ファー・フリー・ファー”、接着剤を用いずに作った100%リサイクル可能なスニーカー“ループ”など、これまでになかった新たなオプションを提示している。そんな彼女が今注目する技術とは?ステラにとっての究極のサステイナブルな世界とは?発表会会場で独占インタビューを行った。

「従来の古いやり方を新しく変えていくことが必要よ」

WWD:今回の新作や試作品で用いた技術のどこを重視している?

ステラ・マッカートニー(以下、ステラ):全ての技術を同じように重視しているわ。それぞれが異なる技術で、進んでいるものがあればそうでもないのもあるけれど。例えば、今回発表したフーディーは世界で初めての循環する服。(コラボした米企業の)エヴァニュー(EVRNU)とは13年から取り組んでいて、とてもエキサイティングな会社。もしファッション業界の無駄をなくせるのならば、地球を救えるだけじゃなくて、年間5000億ポンド(約67兆5000億円)規模の新しいビジネスが生まれる機会があるといわれている。それってすごいことよね。従来の古いやり方を新しく変えていくことが必要よ。

(人工クモの糸と呼ばれる合成タンパク質繊維の)ボルトスレッズもお気に入りの企業で、アメリカの研究所を何度も訪ねている。動物を殺さずにDNAを設計してラボで服を育てるような技術で、本当に素晴らしいと思う。ジェームズ・ボンドの映画に出てきそうよね。ファッションというよりは化学という点も好き。

ほかには(6月24日に発売されたテニスコレクションでも使用した)“ドープダイ・テクノロジー”。糸にする前のペレットの段階で染色することで節水できるの。(海洋環境保護団体の)パーレー・フォー・ジ・オーシャンズ(Parlay For The Oceans)と組んで、海に流入する前のプラスチック廃棄物を海岸や海沿いの地域で回収し、それをアップサイクルして生まれた糸を使った商品も気に入っているわ。50年には海洋生物よりもプラスチックが多くなるといわれているから、今重視しなければいけないのは海。実は、海は熱帯雨林より酸素を放出しているといわれていて、地球上の酸素の多くは海藻や海洋生物から生み出されているのよ。だからこそ何とかしなければいけない。

WWD:あなたが考える究極のサステイナブルな世界とは?

ステラ:第一に動物を殺さず、飼育せずにすみ、彼らを尊重できる世界。必要なら食べるけど、実はそんな必要はないのよ。食用の肉もラボで作られる時代も来るしね。感情的にもモラル的にもサステイナブルな視点でも、それが理想的。私たちの周りにいるすべての生き物、植物、もちろん人間も含めて調和して生きていけることに気付ければ素晴らしいと思う。なんだか私、ヒッピーみたいね。

というか、日本が再開した捕鯨をやめさせなきゃ!日本人はどう思っているの?まだそんなことをやっていると聞いて悲しい。その文化や慣習が古いことだと気付けたら、新しい方向に進めると気付けたら、動物に害を与えなくてすむと気付けたら、よりよいところにたどり着けるわ。環境はもちろん、心にもいい影響を及ぼしていいハーモニーが生まれる。クジラを殺すなんて本当に心が痛むし、気が滅入るわ。

私たちは歴史からまだ学んでいないのかもしれない。私たちは今、ヘンリー8世が何人もの妻の首を切って死刑にしたような、人間を残酷な方法で殺すことは間違いだと認識している。300~500年前の話よ。それが間違っていたと気付き、考え方が進歩するには時間がかかる。動物を殺す必要がないと気付ければ、動物だけでなく私たちにも有益だと思う。

食肉処理場を見る機会がないままに、どこかで何億頭もの動物を殺している事実を私たちは理解していないのよ。ファッション、ハンドバッグ、食のためにどれだけの動物が殺されているのか――私はこれが戦闘機や兵器なんかと同じ、とてつもなく大きな力を持つ闇産業だと思っているわ。ヒッピーの言葉のように聞こえるかもしれないけど、これは科学の話。(家畜の多くは抗菌物質や添加物、農薬、ホルモン剤などを与えられているため、生殖機能を乱すといわれているので、肉を食べるのをやめれば)私たちのホルモンやフェロモンはさらに機能を発揮するはずだから、私たちにとってもいいことだと思うわ。

「パーフェクトを目指さなくてもいい。みんなで少しずつ力を合わせたら大きな変化をもたらすことができる」

WWD:サステイナブルな世界を実現するために今日から私たちができるアクションは?

ステラ:10年前に父や姉と始めた(月曜は肉を食べるのをよそうという活動)“ミート・フリー・マンデー(Meat-free Mondays)”はとてもよいと思うわ。あと、服は全て「ステラ」か“アディダス バイ ステラ”を買って、それから靴はビーガン“スタンスミス”。(接着剤も)“ヴィ―ガンノリ”を使っているからこの“スタンスミス”は完全にビーガンよ。ていうか、靴に使用されている接着剤は動物や魚の骨を煮詰めて作られているのよ、知ってた?気持ち悪い!みんなの靴に用いられているのよ。

普通のスーパーマーケットに行くと、まずグルテンフリー、ビーガン、オーガニックのエリアを見つけなきゃいけない。これって結構努力が必要よ。プラネット・オーガニック(Planet Organic)やホールフーズ(Wholefoods)に行けば安心して買い物ができるように、「ステラ マッカートニー」に行けば全てが動物虐待フリーでサステイナブルないい商品が買える。友達が言ってくれたことがあるの。「ステラのいいところは信頼できるところで、リサーチの大半をしてくれるところ」だってね。

みんなが1週間のうち1日だけ肉を食べないだけで、大きなインパクトよ。パーフェクトを目指さなくてもいい。環境への効果は1週間の移動をやめるのと同じくらい大きな影響を与えられる。みんなで少しずつ力を合わせたら大きな変化をもたらすことができる。

私は自分がビーガンであるべきと思うけれど、実際にはビーガンじゃないから罪悪感がある。インタビューで認めたくないことだけどね。ビーガンだったらきっともっといい環境保護主義者になれるのに――今は週6日ビーガンで、1日だけチーズを食べるの。

「革を使わないこと、トレーサビリティーを確立すること」

WWD:ファッション企業が今日からできるアクションは?

ステラ:サステイナビリティー追求において最もインパクトが大きい革、そして(前述した)接着剤を使用しないこと。熱帯雨林の伐採を防ぐこと。革なめしなど化学物質を使用しないなどね。すぐにできて簡単なことは、革を使わないこと。もう一つは素材の調達方法を見直し、トレーサビリティーを確立すること。これもインパクトが大きいわよ。私たちの仕事の60%はトレーサビリティーの確立で、これは本当に難しい。スタートポイントとしては革や毛皮を使用しないことかしら。

それから一緒に働いている人と話をすること、パッケージのリサイクル、お店のプラスチック使用を減らす、よりよい素材を使用する、従業員に正しい賃金を支払う、風力で発電されたエネルギーを使用するなどね。

「人を怖がらせるのではなくて解決策を提供すること」

WWD:サステイナビリティーは消費者も巻き込んで成立するものでもあるけれど、どうコミュニケーションしている?

ステラ:デリケートな作業ね。私たちのコミュニケーションはかなり微妙なところがあって、例えば顧客の90%は、買っている服がビーガンだと気付かないことが好ましいの。それが、モダンでアクティビスト的な方法だと思う。みんなが欲しいと思える物をデザインして、それがオーガニックコットンだと気付かなかったという声はよく聞く。どうセクシーに見せるかがポイントね。

(ロンドンの)ボンドストリートや東京の店は、とてもサステイナブルな方法で作られているけれど、それを売り物にはしない。「もっと知りたい」という声も聞くけど、そのバランスをまだ探しているところね。ユーモアを交えて話すことも大切ね。人を怖がらせるのではなくて解決策を提供すること。

ある人はコミュニケーション不足だと言うけれど、私は人にお説教するつもりはないの。パーフェクトな人なんていないしね。パーフェクトぶっている人はいるけど、そういう人は嫌いだし、私はそうはなりたくない。

「なぜファッション業界は、変らなければいけない事実にそこまで驚くのか」

WWD:今、注目している技術は?

ステラ:どれも非常に興味があるけれどバイオテクノロジーね。早く見たいのは、ラボで作った肉や革。時間がかかっているみたいね。動物を傷つけないハンバーガーは世界を変えると思うわ。

私は農家と共に土壌の保護にも努めている。重視するのは、土壌の深さとその二酸化炭素ガス濃度など。農業は、私たちがどういう風に農家と関わるかが重要。

海洋プラスチック問題と、循環型の考え方は非常に重要ね。ゴミになったものをどうやってプロダクトに再導入するか――全てにおいて新しいアプローチが必要。面白いことに、私たちの世界自体がスピードはともかく変わってきていて、例えば自動車産業は電気を重視しているけど、それって産業を一から変えなければならないことでしょう?バッテリーが重要になっていて、世界の億万長者は今バッテリーに投資をしている。新しい技術だけど彼らは恐れていない。長い目で見れば利益になると知っているから。建設業界でも、例えば空気の循環システムなどがそう。

なぜファッション業界は、変らなければいけない事実にそこまで驚くのか――私たちがこれまでの200年間で使用した生地はたった10種類。世界で一番オールドファッションな産業よ。ファッションは未来を見ているはずなのに。私は今、1年半先の「アディダス」の仕事をしているけど、今変えないでどうするの?一晩で変われるものなんてないのだから、今行動を起こさなきゃ。もちろん難しいしお金もかかる。私は小さな会社で、一人で業界全体の荷物を背負っている気分だけど、力のある人についてきてもらわないといけないわ。だから、変わらなければいけないことを気付かせ、利益につながる生産性のあるビジネスだということを伝えなければいけないわ。

The post ステラ・マッカートニーが本音で語る 究極のサステナ世界と今日からできること appeared first on WWD JAPAN.com.

アディダスとステラが取り組むサステナ最前線 人工クモの糸の服と循環する服

 “アディダス バイ ステラ マッカートニー(ADIDAS BY STELLA McCARTNEY以下、AbySM)”は7月5日、2019-20年秋冬の新作を英国ロンドンのウィンブルドン近郊で披露した。そこには、新作だけでなくサステイナビリティー追求においての次のフェーズを示す試作品が展示され、アパレル廃棄問題への解決策を提示するとともに、サステイナビリティー追求をさらに推進することを示した。いずれもこれまでとは異なる全く新しいサプライチェーンの構築が必要なアイテムだ。

 テニスのウィンブルドン選手権大会開催中に発表したのは理由がある。ジェームズ・カーンズ(James Carnes)=アディダス戦略構築担当兼副社長は「142年の伝統があるウィンブルドン選手権大会の地で変化を起こしたいと考えた。今までにない技術を開発してスポーツウエアにおけるサステイナビリティーのゴールを提示した」と語る。

 ソリューションは、人工クモの糸と呼ばれる合成タンパク質主体の新素材を用いたテニスドレスと、古いコットンから再生したセルロースとオーガニックコットンで作った100%リサイクル可能な“循環するフーディー”の2つのアイテムで表現された。

 協業の相手は、米国カリフォルニア州エメリービル発のスタートアップ企業ボルトスレッズ(Bolt Threads)と、同じく米国シアトルに拠点を置き、半永久的なリサイクル繊維作りに取り組むエヴァニュー(EVRNU)だ。

新素材の量産化にはまだ課題も

 人工クモの糸の合成タンパク質素材といえば、日本では慶應義塾大学発のベンチャー企業スパイバー(SPIBER)が知られているが、ボルトスレッズはその米国版。酵母を用いて合成したタンパク質のシルク繊維“マイクロシルク(MICROSILK)”を開発して話題になった。17年にはステラ マッカートニー社と長期的なパートナーシップを発表しており、すでに“マイクロシルク”を用いたドレスのプロトタイプを製作するなどしていた。今回のテニスドレスはそのアップデート版で、“マイクロシルク”を30%、セルロースを70%用いた。テニスドレスは商品化の予定はないが、今最もサステイナブルであるとして注目を集める新しい素材、合成タンパク質の可能性を示した。この新素材は水、砂糖、イースト菌から合成しており生分解性である点もポイント。「“マイクロシルク”の量産に向けてパートナー企業と取り組んでいる」とジェイミー・バインブリッジ(Jamie Bainbridge)=ボルトスレッズ・バイスプレジデント・オブ・プロダクトディベロップメント)は言うが、まだ産業化には至っていない。

「困難と感じるのは、アパレル業界が保守的であること」

 エヴァニューと協業した循環するフーディー“インフィニート・フーディー(INFINITE HOODIE)”は、この4月に発表した循環するスニーカー“フューチャークラフト.ループ(FUTURECRAFT.LOOP)”に次ぐ100%リサイクル可能な製品で、20年に商品化を目指す。今回は50枚の試作品を作り、関係者やセレブリティーに配った。

 “インフィニート・フーディー”は、エヴァニューが開発した技術によって、コットン製の古い衣料品を分子レベルにまで分解して作る高品質の再生セルロース繊維“ニューサイクル(NUCYCL)”を用いたもの。ステイシー・フリン(Stacey Flinn)=エヴァニュー最高経営責任者(CEO)は、「私が知る限り、服を100%リサイクルできるのは当社だけだ」と胸を張る。今回の“インフィニート・フーディー”は“ニューサイクル”60%とオーガニックコットン40%で作られており、3~4回リサイクルしても高い品質と機能性を維持できる。「これは例えば一人のユーザーが使うとしても十分な回数。長持ちする高品質の商品を提供することも重要だ」とカーンズ=アディダス戦略構築担当兼副社長は付け加える。

 繊維を再生する場合にはその品質が低下することがネックの一つになっていた。今回のフーディーの場合は「リサイクルのたびにポリマーの約10%の鎖が減っていく」とフリンCEOは言うが、それでも十分な品質が維持できる点が画期的である。フリンCEOは「廃棄物の取り扱い業者や繊維メーカーとのライセンス化に時間がかかっている。最も大きな困難と感じるのは、アパレル業界が保守的であること。新しい技術やアイデアを持ち込んでも変化に対応してもらえないことが多い。でもアディダスとステラ・マッカートニーという強力なパートナーを得て前進している」と言う。

「次の挑戦は廃棄の概念をなくすこと」

 カーンズ=アディダス戦略構築担当兼副社長は「廃棄物削減に向け、当社はまずアップサイクルされたプラスチック廃棄物を用いた製品開発に取り組み、すでに海洋プラスチックゴミを利用して新しい商品を作るサプライチェーンを構築した。24年までにバージンポリエステルの使用は廃止することをすでに発表しており、これは“made with repurposed plastic(再利用プラスチック原料による生産)”というコンセプトに基づくもの。次の挑戦は廃棄の概念をなくすことだ。今回の発表は新たなコンセプト、“Made to be Made(再生を前提とした生産)”、“Made to Biodegrade(生分解性を踏まえた生産)”を示すものだ」。

 現在、ウィンブルドンの試合で選手が着用する“AbySM”はすべて海洋プラスチックゴミから作られたリサイクルポリエステルのウエアだ。一般消費者向けの“AbySM”のテニスアイテムも、95%に同じくリサイクルポリエステルが使われている。

The post アディダスとステラが取り組むサステナ最前線 人工クモの糸の服と循環する服 appeared first on WWD JAPAN.com.

日本各地の作家から絶大な支持を得る「雨晴」の金子憲一ディレクターが語る日常の輝き

 日本各地の作家の器や作品を集めたセレクトショップである雨晴(AMAHARE)の姉妹店が春に、六本木ヒルズ内ヒルサイドのgギフト アンド ライフスタイル(g GIFT AND LIFESTYLE)内にオープンした。インショップ名は「クロ 雨晴 フォー g(KURO AMAHARE for g以下、クロ雨晴)」で、その名の通り黒を中心にしたテーブルウエアや花器などを展示販売している。同店舗のプロデュースは雨晴の金子憲一店主兼ディレクターが担当。金子ディレクターが雨晴の商品の仕入れで築いた日本各地の作家とのネットワークを生かした店舗だ。最近、日本人の作家による作品を展示販売する店舗はたくさんあるが、各地の作家から信頼を得ている金子ディレクターが訪問すると、通常バイヤーに見せる場合よりも多くの作品を見せる作家もいるそうだ。彼に「クロ雨晴」のコンセプトや背景について聞いた。

WWD:「クロ雨晴」のコンセプトは?

金子憲一・雨晴店主兼ディレクター(以下、金子):六本木の街のイメージが黒だったので、黒を非日常に置き換え、“非日常があるから輝く日常”をコンセプトにした。黒があるから彩りが引き立つ。だから、定番品は黒でそろえ、差し色も加えていきたい。

WWD:この店舗のプロデュースをするに当たってどのように作家にアプローチしたか?

金子:黒が得意な作家(赤木明登、岩清水久生、岡さつき、シモオ・デザインの下尾和彦と下尾さおり、竹俣勇壱、辻野剛&フレスコ、矢野直人、吉田直嗣)に依頼した。黒を永遠のテーマにしている作家がいる。黒はいろいろなニュアンスがある色。だからこそ永遠のテーマになることもある。作家が目指す黒はとても哲学的だ。

WWD:このプロジェクトに費やした期間は?

金子:2018年の8~9月にスタートした。黒がテーマでなければ、プロデュースを受けていなかったかもしれない。なぜなら、作品がそろわなかっただろうから。

WWD:商品のラインアップや価格帯は?

金子:和食でも洋食でも使えるテーブルウエアやカトラリー、オブジェなど。中心価格帯は食器が1万円前後、オブジェが4万~5万円。アートも初めて取り扱っている。イギリス人フォトグラファーのショウヤ・グリッグ(Shouya Grigg)が撮影した北海道ニセコの風景写真で、シリアルナンバー付き。価格は20万~30万円だ。グリックの作品に出合ったのは、ニセコにある古民家を改造したギャラリー兼レストランのSOMOZAでだ。そこのアート作品に感銘を受けた。黒の無機質な作風がニセコの持つ自然の潤いを表現していると思った。SOMOZAも日本の美を凝縮したような素晴らしい場所で、それもグリックが手掛けている。

WWD:「クロ雨晴」の完成を見た感想は?

金子:作家による作品を並べて、目黒にある信頼している花店にアレンジメントをお願いした。真っ黒な作品に花が生けられて、黒という色の力を実感した。花の色がとても映える色だと思う。黒い器と花や植物などを組み合わせることで、日常に驚きを感じてもらえればうれしい。

The post 日本各地の作家から絶大な支持を得る「雨晴」の金子憲一ディレクターが語る日常の輝き appeared first on WWD JAPAN.com.

特撮オタク、ラッパー、漫才師……とさまざまな役に挑戦 注目の女優・小芝風花の魅力に迫る

 今年1~3月にNHKで放送されたドラマ「トクサツガガガ」で特撮オタクの仲村叶(かの)役がウェブを中心に話題となった女優の小芝風花。7月12日と13日にテレビ朝日系列で放送される「ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ」では主演を務めるほか、同じくテレビ朝日系で7月27日から毎週土曜日に放送されるドラマ「べしゃり暮らし」にも出演するなど、ますます活動を広げる。目標の一つとして挙げるのが「コスメ系のCMに出ること」という彼女の魅力に迫る。

WWD:小芝さんが芸能界に入ったきっかけは?

小芝風花(以下、小芝):私は小学校3年生から本格的にフィギュアスケートを習っていたのですが、中学2年生のときに浅田真央さんがCMに出ていたのを見て、「私もCMに出てみたいな」と発した言葉を姉が聞いて、オーデション雑誌を買ってきてくれたんです。そこに掲載されていた「ガールズオーディション2011」に応募してみたら思いがけずグランプリを獲得できて、それがきっかけです。

WWD:これまで多くの映画やドラマに出演しているが、印象に残っている作品は?

小芝:たくさんありますが、映画「魔女の宅急便」(キキ役)やNHK朝ドラの「あさが来た」(白岡千代役)、初の連続ドラマの主演をさせていただいた「トクサツガガガ」(仲村叶役)は、自分にとってはかなり影響の大きかった作品です。

WWD:「トクサツガガガ」はネットでもかなり話題になった。

小芝:そうなんですよ。うれしいことに業界内にも見てくださっている人が多くて、他の現場のスタッフさんからも「見たよ」って言ってもらえると、とてもうれしかったですね。

WWD:「トクサツガガガ」は特撮オタク役だったが、小芝さんのこれまでの清純派のイメージとは違って、新鮮だった。

小芝:そうですね。一度好きになるとかなりはまるタイプなので、スタッフさんからも「オタクの素質あるよ」って言われましたね(笑)。仕事を始めてから清純派とか優等生の役が多かったのですが、最近はありがたいことにいろいろな役をやらせていただけるようになって、私自身も楽しいです。

WWD:この夏、「ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ」ではラッパー役を、「べしゃり暮らし」では漫才師役と、さまざまな役に挑戦する。

小芝:どちらもとても難しい役です。「べしゃり暮らし」はボケもツッコミも担当しますが、間や言い方が大事で、何が正解か分からないこともありました。でも監督の劇団ひとりさんのアドバイスがすごく的確で、さすがだなって思いました。お笑いは好きでよく見ていて、漫才の演技も「大阪出身だからできるだろう」って言われるのですが、見るのとやるのとでは全然違うって言いたいです(笑)。

WWD:ラッパー役も難しそうだが。

小芝:ラップをした経験もないので、私も心配しています。ただ、そんなにうまくなくてもいいという設定なので、それが救いですね。基本的にこのドラマはコメディーなので、楽しく見ていただけると思います。

WWD:小芝さんの長所と短所は?

小芝:長所は一生懸命仕事をすること。短所は忘れやすいところですね。でも、同じ話を聞いても毎回新鮮なリアクションができるので、ある意味長所かもしれないですね(笑)。

WWD:美容に対してのこだわりは?

小芝:まだ勉強中で、スキンケアは何が自分に合っているのか分からなくて、ヘアメイクさんなどに聞いています。でも目標の一つがコスメ系の広告に出演することです。

WWD:ヘアはずっとロング?

小芝:顔が童顔なので、ロングの方が大人っぽく見られるかなと思って伸ばしています。役柄でできるのであれば、ショートや金髪などにも挑戦してみたいです。

WWD:今後の目標は?

小芝:女優としていろいろな役をやっていきたいですし、多くの人に演技が認められるようにがんばっていきたいです。

The post 特撮オタク、ラッパー、漫才師……とさまざまな役に挑戦 注目の女優・小芝風花の魅力に迫る appeared first on WWD JAPAN.com.

トップメゾンが認めた日本人ハットクリエイター 快挙の理由は“やりたい事”より“やるべき事”の追求

 一つの道を究めた者にしか見えない世界がある。卓越した技術を磨き続ける職人の、研ぎ澄まされた感覚や特異な観点にはたびたび感銘を受ける。パリを拠点にハットクリエイターとして活動する日爪ノブキは、まさにそうした一人だ。彼はフランスのラグジュアリーブランドと言われて誰もが思い浮かべるトップメゾンのハットや、ヘッドピースを制作するメーカーに約8年勤め、自身のメンズ帽子ブランド「 ヒヅメ(HIZUME)」を今年スタートさせた。彼を職人と呼ぶのは筆者だけではない。フランス文化の継承者にふさわしい高度な技術を持つ職人に授与される称号「フランス国家最優秀職人章(Meilleur Ouvrier de France以下、M.O.F.)」を受章した、フランスが認める正真正銘の職人というわけだ。「M.O.F.」は日本の重要無形文化財(通称、人間国宝)認定制度に相当するといわれており、3~4年ごとに行われる審査では、各部門の出場者が3年ほどの期間をかけて技術を競い合う。帽子職人部門での受章は日爪が日本人初となる。同氏は「最高のクリエイターは最高の職人であるべき、という信念を持っている。『M.O.F.』にエントリーしたのは、その信念が机上の空論ではないことを証明するため」と振り返る。最終的な夢が何かを問うと「ばかげていると思うかもしれないが、全人類に帽子をかぶせるという“人類帽子計画”の実現。それは、僕が作る帽子に限ってという意味ではなく、極論を言うと葉っぱだろうが何でもよくて、帽子をかぶる文化をもう一度取り戻すことが夢だ」。大それた野望に聞こえるが、いたって真剣である。彼のこれまでの軌跡と見据える世界を聞くと、それが不可能な夢ではないように思えた。

 ハットに人生を捧げる彼だが、当初の夢はファッションデザイナーだった。滋賀県で生まれ育ち、大阪の大学へ進学すると、大学4年時に上京して文化服装学院に入学した。「ウィメンズの洋服以外は、全て邪道だと思っていた」と語るように、ハットには見向きもせず、コンセプチュアルでユニークな作品を制作してはコンテストに応募し続けるという学生時代を過ごした。「装苑賞」への2度のノミネートや、その他多くのコンテストでの成果がきっかけでイタリアの雑誌にも掲載され、伊アンダーウエアメーカーから「自身のブランドをやらないか」とオファーが届いた。現地に渡って経験を積み、1年後にビザの関係で帰国が決まったものの、転機が訪れる。「帰国前日に、日本のプロデューサーから『ブロードウエイミージカルの日本公演のためにヘッドピース制作を担当してくれ』と依頼された。帰国後の明確な計画はなかったため、深く考えずにプロジェクトを引き受けた」。作品は本国アメリカではヒュー・ジャックマン(Hugh Jackman)が主演を務めて「トニー賞」を受賞したミュージカル「ボーイ・フロム・オズ(原題:THE BOY FROM OZ)」で、日本では坂本昌行主演で大ヒットとなった。ハットやヘッドピースの制作は初めてだったにもかかわらず、舞台に携わる一流のプロフェッショナル全員から作品を称賛されたという。周囲に才能を見いだされ、その後も舞台を中心にハットクリエイターとして活動を続けたが、本人はまだ洋服のデザイナーに未練があり、絶えないオファーとは裏腹に葛藤を抱えていた。

最大の転機は、恩師の涙

 そして、クリスタルメーカー「ホヤ クリスタル(HOYA CRYSTAL)」との出合いが人生を変えた。当時、同社のアートディレクターを務めていた恩師から「リブランディングに伴うコンセプチュアルストア開店のために、唯一無二の帽子を作ってほしい」という依頼を受けた。日爪は「デザインチェックのためにデザイン画を100枚以上提出するという過程を3度繰り返すも、全て却下された。最終の策として絵ではなく現物を作ってくるように言われ、3点の帽子を持参してプレゼンした。そうすると恩師はその作品に感動し、涙を流してくれた。この時、私は自身のクリエーションの世界観の原点を手に入れることができた」と、脳裏で鮮明に蘇るその瞬間を興奮気味に語る。さらに、「その経験以降、自分のことをハットクリエイターであると認められるようになった。人は人生において“やりたい事”と“やるべき事”には差異がある。それが偶然にも一致している者が、世に天才と呼ばれる。ほとんどの者は、それが一致しない事の方が多い、だから葛藤が生まれる。逆に考えると、“やるべき事”を追求していけば、後天的にでも人は天才になれるという持論が生まれた。僕にとって帽子作りが“やるべきこと”と気付けたのは、帽子制作のプロジェクトに携わる全ての人が幸せになってくれるという経験から。洋服を作っていた時は、どれだけ質の高い努力をして臨んでも理想には到達できなかった。帽子ではたとえ経験・時間・資金が不十分でも、皆が作品を認めてくれた」と続ける。

 “やるべきこと”を見つけた彼は、ハットクリエイターとしての道を堂々と歩み始めた。本場であるフランスで帽子作りの技術を磨くため、文化庁主催の新進芸術家海外研修制度で2009年に渡仏する。同制度は、日本の文化庁が芸術分野における新進芸術家に海外での実践的な研修に従事する機会を提供し、渡航費や滞在費を助成する制度だ。過去には狂言師の野村萬斎も同制度により渡英した。前の年まで8年間勤めていた帽子アトリエでは、トップメゾンのショーピースやパーソナルオーダーのハットを制作し続けた。日中はアトリエでの仕事をこなし、その後作品の制作や舞台・映画用の特注品の製作などに時間を割き、文字通り四六時中ハットに向き合う日々だったという。「人が見たことのないものを創るのが、真のクリエイションだ。それを実現するためには、クリエイターは現物を作れる職人であるべきだ。たとえPCの中でイメージを作ったとしても、最終的に人が求めるものは現物だから。『ホヤ クリスタル』でのプロジェクトで、現物の説得力を実感した。無意識のうちに時勢や環境の変化などを感じ取って変化する、人間の気まぐれな感覚ほど役に立つものはない」。無意識に感じ取ることができるのは、彼が熟練した職人であるという証しだろう。

壮大すぎる夢は
限界を超える糧になる

 夢に“人類帽子計画”を掲げるのには理由がある。「35歳前後で技術的に著しく伸び悩んだころ、圧倒的な夢を掲げるようになった。世界一のハットクリエイターになるのは目標で、“人類帽子計画”の実現は夢だ。全地球人70億人に帽子をかぶせるなんて少しファンタジーも含んでいるが、その夢に比べたら目標は小さなことに感じられて、道を外れずに限界を超えていく努力を続けられる」と笑顔交じりで真面目に語る。「多くの人に手に取ってもらい、帽子をかぶる楽しさを味わってほしい。ブランドとのコラボレーションなども積極的に取り組む予定。これからは、人生を彩ってくれた帽子に恩返しするような気持ちだ」。自分のエゴのためではなく“やるべき事”という使命感に突き動かされ、夢の実現に向けて「ヒヅメ」はスタートを切った。今後さまざまなところで見かけることになるだろう彼の帽子を通して、あなたもいつの間にか“人類帽子計画”の一員になる時が来るかもしれない。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

The post トップメゾンが認めた日本人ハットクリエイター 快挙の理由は“やりたい事”より“やるべき事”の追求 appeared first on WWD JAPAN.com.

無名の新人モデル佐藤凜汰朗が語る パリコレデビューの波乱万丈

 ツテもコネも実績もない全く無名の新人モデルが、念願のパリコレデビューを果たした。モデルの佐藤凜汰朗は、6月に行われた2020年春夏パリ・メンズ・コレクションで「メゾン キツネ(MAISON KITSUNE)」「リック・オウエンス(RICK OWENS)」「ヘド メイナー(HED MEYNER)」のショーに登場した。しかし、そこまでの道のりは険しく、東京ファッション・ウイークの参加ブランドに応募したモデルオーディションは全滅、モデル事務所も決まらず、5月に青山学院大学を休学してパリに人生で初めて乗り込み、背水の陣で臨んだモデル挑戦だった。苦境の中で、パリコレモデルの座をどのようにつかんだのか。佐藤に悪戦苦闘ぶりを聞いた。

WWD:モデルを目指したきっかけは?

佐藤凜汰朗(以下、佐藤):父(佐藤健二郎・旭化成パフォーマンスプロダクツ事業本部企画管理部繊維マーケティング室チーフコーディネーター)の影響で、小さいころからファッションに興味がありました。何かを教えられたわけではないですが、服にこだわりがある父のスタイルを近くで見ているうちに自然と関心を抱くようになりました。高校のころから海外コレクションの話題をファッション誌で読むようになり、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」と「イッセイ ミヤケ メン(ISSEY MIYAKE MEN)」にあこがれました。大学1年生のとき、渋谷ロフトの前で、東京ファッション・ウイークに参加している「アクオド バイ チャヌ(ACUOD BY CHANU)」の李燦雨(チャヌ)デザイナーに声をかけられ、モデルをやってみたらと言われたのです。それから東京ファッション・ウイークのモデルを目指して、モデル事務所のオーディションを受けましたが全滅。それでもあきらめずに、日本モデルエージェンシー協会のサポートを得て数ブランドのオーディションを受けましたが、声を掛けてくれた「アクオド バイ チャヌ」を含め、全て不合格でした。やっとモデル事務所は決まったものの仕事に恵まれず、気持ちばかりが焦る日々が続きました。

WWD:東京でのモデル経験を経ずにパリコレ挑戦を決めた理由は?

佐藤:フランスに以前からあこがれがありました。ファッションはもちろん、とりわけ映画が好きで、ジャン・ユスターシュ(Jean Eustache)とレオス・カラックス(Leos Carax)の作品に感銘を受け、いつかフランスに行き芸術や文化に触れたいと思っていました。

WWD:大学を休学したのは、フランスでのモデル活動をするため?

佐藤:それもありますが、大学3年生になったとき、就職活動の時期を迎える中で自分は何をやりたいのか今後に不安がよぎり、自分を見つめ直し、将来を考えるために違う世界を見てみたいと思ったのが休学の理由です。父に打ち明けたのは、パリに出発するわずか1週間前でした。

WWD:フランスのモデル事務所は、どのように探した?

佐藤:インターネットでヨーロッパのモデル事務所を探して、主だった事務所にはすべてオーディションを申し込みました。しかしレスポンスがなく、唯一返信が届いたのがドイツのモデル事務所。6月初旬、20年春夏パリ・メンズ・コレクションの時期が近づいてきたので、まずパリに向かい、ドイツのモデル事務所のオーディションを受けようと思ったのですが、飛行機のトランジットで降りた中国でメールを見ると、「不合格です」という断わりの連絡が届きました。パリに着いたものの、コネもアテもない状況です。街を歩いていたモデルの後ろにくっついて、いくつかのブランドのオーディション会場に潜り込みました。世界から集まったモデルたちの中だと私の身長(184cm)は低い方で、みんな私よりスタイルがよく、個性豊かで圧倒されましたが、一方で“私は私。落ち込むことはない。自分らしさを出して勝負するしかない。ベストを尽くしてダメなら仕方がない”と強い気持ちになりました。最初のオーディション会場で、ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries van Noten)に声を掛けられたことに勇気づけられ、“自分もできる”という自信につながりました。あらかじめリストアップしていたモデル事務所数カ所に飛び込み訪問を始めました。もともと所持金は航空チケット代も含めて30万円で、ダメならすぐ帰国しようと思っていましたが、その1軒目に向かったバナナモデルズ(BANANAS MODELS)が希望者が誰でもオーディションを受けられる“オープンコール”の日で、そこで思いがけず契約できました。複数のモデル事務所を回る覚悟だったので、1軒目で契約できたことは幸運でした。翌日からオーディションを受けまくって、6ブランドを訪問した日もあり、全部で30ブランドほど回りました。

WWD:ウオーキングなどモデルとしての訓練は?

佐藤;受けていません。ただ、これまでバレエ、水泳、サッカー、ボクシングなど、体を鍛えることとスポーツが得意だったことが役に立っています。

WWD:その結果、「メゾン キツネ」「リック・オウエンス」「ヘド メイナー」の3ブランドで採用が決まった。

佐藤:「ヘド メイナー」のファーストルックでデビューできたことは幸運でした。また、ショーのスタイリストの紹介で、パリのファッション誌「アンサンス・マガジン(ENCENS MAGAZINE)」の撮影にも起用され活動が広がりました。これまでメディアの情報でしか知らなかった華やかなファッションの舞台裏を体感できたのはいい経験でした。誰もが夢を必死で追いかけて、多くの人が苦労や情熱で乗り越えていることを知ることができました。

WWD:自分が合格できた理由は何だと思う?

佐藤:一つは、ロングのヘアスタイルかもしれません。最近のアジア人モデルは、坊主頭が多いので。

WWD:ちなみにギャラは?

佐藤:今回かかった渡航費などの費用約30万円を相殺できる程度。自分の所持金ですべてまかなうことができたので、両親にお金の迷惑をかけずにすみました。

WWD:今後の目標は?

佐藤:今回のパリ・メンズコレ後、ミラノのモデル事務所のオーディションを受けて契約できたので、来年1月の2020-21年秋冬シーズンはミラノ・メンズコレにも挑戦します。やれるだけモデルを続けたい。次の目標は、あこがれのブランドである「コム デ ギャルソン」と「イッセイ ミヤケ メン」のショーに出ること。来年は大学に復学します。将来は、映画監督を目指したいです。

The post 無名の新人モデル佐藤凜汰朗が語る パリコレデビューの波乱万丈 appeared first on WWD JAPAN.com.

「ボトルキャップ・チャレンジ」ベストSNS投稿7選 アレキサンダー・ワンが自慢のヘアでキャップ開けに挑戦

 この夏一番のホットなトレンドといえば「ボトルキャップ」だ。

 アレキサンダー・ワン(Alexander Wang)が7月11日、「ボトルキャップ・チャレンジ」の動画をインスタグラムに投稿した。「#ボトルキャップチャレンジ(#BottleCapChallenge)」は独創的な方法でボトルのキャップを開ける動画を人々が投稿するもので、通常はボトルをキックして開ける人が多い。しかしワンは一枚上手だった――クロアチア・ドブロブニクのアドリア海に浮かぶボートの上で、長い髪を360度振り回しながらドラマチックにキャップを開ける動画を投稿したのだ。

 ヘイリー・ビーバー(Hailey Bieber)、ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)、リゾ(Lizzo)など、数多くのモデルやセレブリティーたちがSNS上でこれにチャレンジしているが、ついにデザイナーのワンもそこに名を連ねた。ケンダル・ジェンナー(Kendall Jenner)は、ジェットスキーを走らせながらキックでボトルを開ける動画を投稿し、SNS上を騒がせた。

The post 「ボトルキャップ・チャレンジ」ベストSNS投稿7選 アレキサンダー・ワンが自慢のヘアでキャップ開けに挑戦 appeared first on WWD JAPAN.com.

「フジロック’19」を快適に過ごすための編集部的マストアイテム16選

 7月は1年でもっともお祭りが多い月だそうで、東京では隅田川花火大会、京都では祇園祭、新潟では「フジロックフェスティバル(FUJI ROCK FESTIVAL)」が開催される。今年の「フジロック」は26〜28日に開催されるが、北陸地方の梅雨明け予報は27日以降と、もともと悪天候で知られる「フジロック」だがすでに3日中2日の悪天候がほぼ決定。例年にも増してハードなシーンが想定される。そこで、例年参加の編集担当が「フジロック」を少しでも快適に乗り切るためのおすすめマストアイテムをセレクト。アウターからフットウエア、アクセサリーまでをレコメンドする。


ー OUTER ー
MAMMUT
3850 HS HOODED

 もはや撥水・防水性を備えないアウターを着ていくことは「フジロック」において“死”を意味するが、機能性を優先するとどうしてもスムーズな動きなど実用性は損なわれがち。そんな「雨に濡れたくないけど『フジロック』を全身で楽しみたい」というワガママでアクティブな方には、マンモスロゴでおなじみの「マムート(MAMMUT)」のハードシェルジャケット“3850 HSフーデッド(3850 HS HOODED)”がおすすめだ。アルパイン・クライミング用品ブランドとしてスイスで生まれたブランドだけあって動きを妨げないパターン設計になっており、肩周りのストレスが一切なく腕の上げ下げをスムーズに行えるのがポイント。「フジロック」に着用していく1人の愛用者として、ぜひ一度その快適さを実感してほしい。

PATAGONIA
TORRENTSHELL JACKET

 プラスチック製のゴミを再利用したアイテムを展開するなど、環境保護の観点からもアウトドアブランド界をけん引する「パタゴニア(PATAGONIA)」。この“トレントシェルジャケット(TORRENTSHELL JACKET)”もリサイクルナイロン素材を100%使用しており、“世界一クリーンなフェス”と呼ばれる「フジロック」にはピッタリのアウターだ。もちろん防水性・透湿性・防風性を搭載。メンズ11色・ウィメンズ9色と豊富なカラー展開で、ファッション好きが気にしがちな“かぶり”も避けられる。

NIKELAB ACG
PACKABLE HD JACKET

 “あらゆる環境に対応するギア(ALL CONDITIONS GEAR)”の頭文字を冠したナイキ(NIKE)が展開するアウトドアライン「ナイキラボ ACG(NIKELAB ACG)」は、昨年の旧ロゴ復活以来旬の要素と古き良き90年代のアウトドアシーンのデザイン性をいい塩梅にミックスしていると人気が再燃。“パッカブル HD ジャケット(PACKABLE HD JACKET)”は現代的シルエットだが、胸元のカラーブロックにどこか懐かしい雰囲気が感じられる。その名の通り折りたたんで収納でき、カラビナ付きなので持ち運びも便利。しかもカラビナは胸ポケット内に装着することができ、小物などの紛失が心配な方はカラビナに小物を取り付けることもできる。

VAINL ARCHIVE x MARMOT
MOUNTAIN PARKA

 数シーズン前から継続的にアイテムを発表している「ヴァイナル アーカイブ(VAINL ARCHIVE)」と「マーモット(MARMOT)」の人気コラボから、今シーズンは“ゴアテックス(GORE-TEX)”を用いたマウンテンパーカが登場。「マーモット」のスノージャケットをベースにシルエットは通常よりも余裕を持たせ、「ヴァイナル アーカイブ」のデザインエッセンスを落とし込むことで「フジロック」はもちろんタウンユースでもいける一着に。定番カラーの展開だが派手すぎない色味がうれしい。


ー PANTS ー
THE NORTH FACE
RAINTEX PLASMA

 近年ファッションカテゴリーで破竹の勢いを見せる「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」だが、やはりブランドのDNAはアウトドアにありーーということでパンツと合わせて本格的なアウトドアフィールド用のセットアップをご紹介。“ゴアテックス”の防水・透湿セットアップとは思えないほどコンパクトに畳めて、パンツは裾が大きく開くファスナー仕様となっているので、急な雨でもブーツやスニーカーを履いたまますぐに着用できる。「ザ・ノース・フェイス」の鉄板カラーリングの4色で展開され、最早着ているだけでかっこいい一品だ。

NEW BALANCE
WAIST TO TOE

 「ニューバランス(NEW BALANCE)」のスニーカーを美しく見せることをコンセプトに、今年誕生した5つのモデルからなるパンツコレクションが“ウエスト トゥ トウ(WAIST TO TOE)”。コンセプト通り5つのモデル(ストレイト、スキニー、スリムテーパード、ワイドテーパード、ワイド)はどれもスニーカーとの相性&バランスが抜群で、もちろん「ニューバランス」のスニーカーでなくてもシルエットは完璧。なおかつ撥水性とストレッチ性を併せ持つという神器レベルのパンツだ。都会的エッセンスを感じさせる“ウエスト トゥ トウ”で、「フジロック」をスマートに楽しんでみては?


ー TOPS ー
HANES
BEEFY-T

 パックTシャツといえばの「ヘインズ(HANES)」からは、ガシガシ着れるTシャツとして定番の“3枚パックTシャツ”ではなく“ビーフィーT(BEEFY-T)”を紹介したい。1500円という低価格ながらきれいなボックスシルエットの肉厚生地で、コットン100%なので肌なじみがよく、首元のリブはボディーよりも厚手の丈夫な作りになっていたりと“コスパ最強”。近年はカラー展開も豊富なので、1日1色で参戦してみては?

MAGIC STICK x FORCE A BETTER
CORDURA 2PACK T

 今野直隆率いる東京発ストリートブランド「マジックスティック(MAGIC STICK)」と、“プラスONE機能”をスローガンに掲げ今年スタートしたばかりの無地Tシャツブランド「フォースアベター(FORCE A BETTER)」から、“コーデュラ(CORDURA)”製の2枚組コラボパックTが登場。“コーデュラ”とはナイロンの7倍近い強度を持つ耐久性に優れた繊維で、今作は通常のコットン生地に“コーデュラ”を織り込むことで、摩擦や引き裂きに強いものに。また、パックTというと大抵シンプル&同一デザインだが、フロントに「マジックスティック」のロゴを配したものと、バックに“MAGIC STICK”と“CORDURA”の文字が大胆にプリントされた2モデルが1パックになっている。耐水性もあるので、担当編集は着用しての参戦を予定している。

KARRIMOR
2PACK T

 70年以上の歴史を持つイギリス発祥のアウトドアブランド「カリマー(KARRIMOR)」は、今年初めてブランド初のパックT“カリマー 2パックT(KARRIMOR 2PACK T)”を発売した。フラットシーマという継ぎ目が平らな縫製のため素肌との擦れが少なく、長時間着用してもストレスを感じず気持ちよく着られる。それでいて吸汗速乾性とストレッチ性を兼ね備えた素材を採用しており、「フジロック」のような長時間&悪天候というタフな環境にはもってこいのパックTだ。

ZEPTEPI
LONG SLEEVE TEE AN01

 キューベンファイバー素材のトートバッグなどユニークなアイテムを手掛ける、松倉領の「ゼプテピ(ZEPTEPI)」が展開する撥水加工を施したロングスリーブTシャツがとにかくすごい。この記事を企画した段階で紹介を決めていたアイテムで、ボディーはギルダン(GILDAN)のコットン100%Tシャツなのだが、全体に施された撥水加工が想像をはるかに超える。一見は百聞にしかず、上のギャラリーを右から左にスワイプして確認してほしい。


ー FOOTWEAR ー
KEEN
FUJIROCK MODEL

 2015年から「フジロック」のオフィシャルサポーターを務めている「キーン(KEEN)」が、「フジロック」とのコラボブーツ&サンダルを発売しているのはご存知だろうか。どちらも「フジロック」の“ロック(岩)”から着想したグレーパターンを採用し、気候変動の激しい「フジロック」のために水陸両用で随所に暗闇で光るリフレクターが配されるといった「フジロック」らしさ全開のモデル。「購入のタイミングがない!」と嘆く方には朗報ーー「キーン」は「フジロック」会場でブースを設けているので現地調達も可能だ。

SALOMON
OUTPATH PRO GORE-TEX

 ここ数年、野外フェスの足元をサポートするフットウエアとして急速に市民権を得ている「サロモン(SALOMON)」。その中でこの“アウトパス プロ ゴアテックス(OUTPATH PRO GORE-TEX)”はなじみがないかもしれないが、見て分かる通りアッパーが足首まであるつなぎ目のない構造なので、土や砂の侵入だけでなく足首の捻りも防ぐ。ハイキング用のハイカットモデルだが重さは約400gと、長時間歩き回る「フジロック」でも快適に過ごせる一足に。

NEW BALANCE
880G

 足場の悪い会場でもいつもと変わらない履き心地と防水性を求めるならば、“ゴアテックス”仕様の「ニューバランス」の“880G”はいかがだろうか。クッション性と安定性はさすが「ニューバランス」といったところで、ゴツめになりがちなフェスファッションの足元も“MW880”なら細身なのでスタイリッシュにしてくれる。“576”や“996”をはじめとした他モデルよりサイドの“N”が細身であることと、ヒール部分に“ゴアテックス”のタグがあしらわれているのがクールポイント。

GORDON MILLER
WATERPROOF BOOTS

 レインブーツは野外フェスの定番アイテムだが、いざ買うとなると“あの2大勢力”がどうしても頭に浮かびがち。そこに待ったをかけるのが、オートバックスセブン(AUTOBACS SEVEN)のガレージ・ライフスタイルブランド「ゴードン ミラー(GORDON MILLER)」だ。もともと洗車用品ブランドとして設立されたということもあり、防水はお手の物。2800円という良心的な価格も魅力だ。


ー ACCESSORIES ー
GOOD OL’ x PORTER
COLLABORATION ITEM

 福田健太郎が手掛ける「グッド オル(GOOD OL’)」と「ポーター(PORTER)」は数シーズンにわたりコラボアイテムを発表してきたが、今回紹介するコレクションはその集大成。なんでも「フジロック」のために作ったそうで、コインケース、チェストバッグ、ショルダーポーチ、ショルダーバッグは、全てベストに装着できるという男心をくすぐるギミックに。視認性の高いド派手な発色のネオンカラーも山中の「フジロック」ならむしろちょうどいい。もちろんそれぞれのアイテムは1つずつ使うことができる。

NIKE
ADJUSTABLE CAP

 悪天候や標高の高さからくる冷えにどうしても注意がいきがちな「フジロック」だが、開催時期が夏真っ盛りの7月下旬ということを忘れてはいけない。いくら悪天候の多い「フジロック」とはいえ、晴れた日は気温30度を超え、毎年日焼けに悩まされるほど紫外線も強い。「ナイキ(NIKE)」のネックフラップ付きキャップは顔と首をしっかりカバーでき、スポーツブランドのキャップということで速乾性とストレッチ性も◎。そして肝心のネックフラップは取り外すこともできる。先に紹介した“パッカブル HD ジャケット”と相性がいいので、合わせてチェックしてほしい。

The post 「フジロック’19」を快適に過ごすための編集部的マストアイテム16選 appeared first on WWD JAPAN.com.

「ジュンの縁日」が開幕 G20のワイン、グルメ、お化け屋敷でコト消費を満喫

 ジュンのコト消費型の販売イベントの第2弾「ジュンの縁日」(~14日)が12日、東京・恵比寿のエビス 303で開幕した。昨年11月に南青山で開催した「ジュンの文化祭」の夏バージョン。グループ内のブランドの限定品や先行販売商品の売り場やお笑いライブ、夏ならではのホラー企画などイベントてんこ盛りの一日を体験した。

 会場に到着したのは13時すぎ。お腹が空いていたのでフードコーナーへ直行し「グルーグルー リーファー(GLOU GLOU REEFER)」のローストビーフ丼(650円)をいただいた。食後は、大阪のG20でも振る舞われたシャトージュンのワイン、“甲州 2018”(グラスで400円)を初体験。洋ナシ、柑橘のフレーバーが特徴の辛口ワイン。ワインは数えるほどしか飲んだことがない記者でも、鼻を抜ける豊かな香りと適度な酸味で素直に「おいしい」と感じられた。

 ワインを片手に、アパレルの物販コーナーへ向かう。縁日の屋台を模した売り場では、女優の泉里香とコラボした「ビス(VIS)」のTシャツや16歳のDJ・ダンサーとして話題のSASUKEと「ジュンレッド(JUNRED)」のコラボグッズなど、ここでしか出に入らないアイテムがずらり。年内でブランドを終了する「メゾン ド リーファー(MAISON DE REEFUR)」のブースには、限定の“リンカチャンキーホルダー”を求める女性たちが長蛇の列を作っていた。

 屋台を抜けた先はエンターテイメントコーナー。夏ならではのお化け屋敷企画「針子のささやき」はヘッドホンを装着して薄暗い部屋に招かれる。この先は体験してみてのお楽しみだが、ホラーに耐性のある記者も思わず声を上げてしまったほどのクオリティだった。お化け屋敷を出ると、ステージではカレー好き芸人のロバート馬場裕之さんらによるトークショーが始まっていた。「スパイスは自分ですりつぶしている」「(スパイスの)カルダモンは香水にしたいくらい好き」というディープなカレートークで会場を置き去りにしていた。

 フードやエンタメなどを楽しんでいると、自然と気分も上がって購買意欲も高まるのは事実だ。実際、記者は芸人のハリウッドザコシショウさんの限定コラボTシャツを購入してしまった。3日目のソロライブも見に行きたい。ファッションの「かっこよさ」で訴求するのではなく、まず買い物体験を楽しんでもらうことを入り口にするジュンの手法に感服した。

 ジュンは、昨年11月に実施した第1回の「ジュンの文化祭」をあくまでプロモーションの一環として実施したが、好評を受けて小売りとエンタメを融合した「リテールテイメント事業部」を立ち上げ、収益化を目指している。佐々木進社長は「ファッションだから『かっこよくなきゃいけない』という業界の発想を変える」と意気込む。今回は手ぶらで買い物やエンタメコンテンツを思い切り楽しめるようキャッシュレス決済を導入してブラッシュアップした。今後は開催場所を増やしたり、趣旨を変えたりしながら規模を拡大し、「物販とコト提案型ビジネスの収益が半々になってもいい」と本気度を示す。「われわれが目指すのはいわばファッションの民主化。エンタメやフードなどのコト提案で接点を増やし、ファッションの魅力を興味のない人にも分かりやすく伝えていく」。

The post 「ジュンの縁日」が開幕 G20のワイン、グルメ、お化け屋敷でコト消費を満喫 appeared first on WWD JAPAN.com.

「ジュンの縁日」が開幕 G20のワイン、グルメ、お化け屋敷でコト消費を満喫

 ジュンのコト消費型の販売イベントの第2弾「ジュンの縁日」(~14日)が12日、東京・恵比寿のエビス 303で開幕した。昨年11月に南青山で開催した「ジュンの文化祭」の夏バージョン。グループ内のブランドの限定品や先行販売商品の売り場やお笑いライブ、夏ならではのホラー企画などイベントてんこ盛りの一日を体験した。

 会場に到着したのは13時すぎ。お腹が空いていたのでフードコーナーへ直行し「グルーグルー リーファー(GLOU GLOU REEFER)」のローストビーフ丼(650円)をいただいた。食後は、大阪のG20でも振る舞われたシャトージュンのワイン、“甲州 2018”(グラスで400円)を初体験。洋ナシ、柑橘のフレーバーが特徴の辛口ワイン。ワインは数えるほどしか飲んだことがない記者でも、鼻を抜ける豊かな香りと適度な酸味で素直に「おいしい」と感じられた。

 ワインを片手に、アパレルの物販コーナーへ向かう。縁日の屋台を模した売り場では、女優の泉里香とコラボした「ビス(VIS)」のTシャツや16歳のDJ・ダンサーとして話題のSASUKEと「ジュンレッド(JUNRED)」のコラボグッズなど、ここでしか出に入らないアイテムがずらり。年内でブランドを終了する「メゾン ド リーファー(MAISON DE REEFUR)」のブースには、限定の“リンカチャンキーホルダー”を求める女性たちが長蛇の列を作っていた。

 屋台を抜けた先はエンターテイメントコーナー。夏ならではのお化け屋敷企画「針子のささやき」はヘッドホンを装着して薄暗い部屋に招かれる。この先は体験してみてのお楽しみだが、ホラーに耐性のある記者も思わず声を上げてしまったほどのクオリティだった。お化け屋敷を出ると、ステージではカレー好き芸人のロバート馬場裕之さんらによるトークショーが始まっていた。「スパイスは自分ですりつぶしている」「(スパイスの)カルダモンは香水にしたいくらい好き」というディープなカレートークで会場を置き去りにしていた。

 フードやエンタメなどを楽しんでいると、自然と気分も上がって購買意欲も高まるのは事実だ。実際、記者は芸人のハリウッドザコシショウさんの限定コラボTシャツを購入してしまった。3日目のソロライブも見に行きたい。ファッションの「かっこよさ」で訴求するのではなく、まず買い物体験を楽しんでもらうことを入り口にするジュンの手法に感服した。

 ジュンは、昨年11月に実施した第1回の「ジュンの文化祭」をあくまでプロモーションの一環として実施したが、好評を受けて小売りとエンタメを融合した「リテールテイメント事業部」を立ち上げ、収益化を目指している。佐々木進社長は「ファッションだから『かっこよくなきゃいけない』という業界の発想を変える」と意気込む。今回は手ぶらで買い物やエンタメコンテンツを思い切り楽しめるようキャッシュレス決済を導入してブラッシュアップした。今後は開催場所を増やしたり、趣旨を変えたりしながら規模を拡大し、「物販とコト提案型ビジネスの収益が半々になってもいい」と本気度を示す。「われわれが目指すのはいわばファッションの民主化。エンタメやフードなどのコト提案で接点を増やし、ファッションの魅力を興味のない人にも分かりやすく伝えていく」。

The post 「ジュンの縁日」が開幕 G20のワイン、グルメ、お化け屋敷でコト消費を満喫 appeared first on WWD JAPAN.com.

週末お出掛けスポット 現代アーティスト田名網敬一の個展などアート5選

 週末にオシャレして出掛けたいアートスポットをお届け。今週は、現代アーティスト田名網敬一の個展やリアルな金魚を透明樹脂とアクリル絵具で描く深堀涼介の展示会など5つをラインアップ。また、「WWD JAPAN.com」の過去記事の中から今週末(7月13〜15日)に開催されるイベント情報やポップアップもまとめて紹介する。

【アートスポット5選】

【開催中イベント】

ジュンのコト消費型販売イベント第2弾が7月開催 芸人ライブや“お化け屋敷”も用意

「ループウィラー」がブランド20周年を記念したイベントをヒビヤ セントラル マーケットで開催

眼鏡「フォーナインズ」がフォトコンテスト開催 テーマは“アクティブな夏”

「ブルガリ」と「ドン ペリニヨン」のマリアージュ ブルガリ銀座タワーの最上階に

「AKIRA」の渋谷パルコ工事仮囲いなどで知られるアーティスト河村康輔のアーカイブ展開催

「リモワ」がストリート誌と企画展 過去のアーカイブからアーティストの作品まで

ファッション業界人に愛される写真家、小浪次郎が感じる東京の今

「MCM」がサステナをテーマに展示会開催 未使用バッグをドレスにアップサイクル

松屋銀座が「美しくなるビアガーデン」開催 今年もクロスフィットトレーナーAYAとコラボ

【開催中ポップアップ】

ベイクルーズ初メンズジュエリーブランド「ワールドリーワイズ」がポップアップイベントを開催

ラブレス青山で古着のラグタグがポップアップ 佐々木拓真選りすぐりのビンテージウエアを販売

「ゾフ」がサングラスのポップアップショップを高速道路のサービスエリアに初出店

ビートたけしプロデュースの「キタノブルー」が初ポップアップストアをオープン

資生堂が初のサブスク 8万通りから最適なスキンケアサービス提供

「ディプティック」が表参道ヒルズでポップアップ開催

ハヤカワ五味が生理用品セレクトの期間限定ショップ 自由でおしゃれな選択肢を提案

伊勢丹の今夏の浴衣展開がスタート 西内まりやとのコラボ品と販促ムービーで多様な着用シーン喚起

眼鏡ブランド「アヤメ」が263日間のポップアップストア 直営店オープンの布石

オーガニックブランド「ラ・ブルケット」が関西で初のポップアップストア

The post 週末お出掛けスポット 現代アーティスト田名網敬一の個展などアート5選 appeared first on WWD JAPAN.com.

「#KuToo」の署名活動を行う石川優実が語る ”ファッションからの提案も必要”

 職場でのパンプス・ヒール靴着用の強制に異議を唱えるハッシュタグ「#KuToo(クートゥー)」はこの半年間に、SNS上で広がったムーブメントだ。セクハラを告発する「#MeToo(ミートゥー)」に“靴”と“苦痛”を掛け合わせたこの言葉が発信され始めたのは今年の1月。グラビア女優でライターの石川優実が、当時務めていたアルバイト先でパンプス着用を義務付けられていたことについて、ツイッターでつぶやいたことがきっかけだった。

 マナーやルールとして、これまで当たり前になっていたことに疑問を呈して賛否両論を呼んでいるが、「私も」と賛同する人たちの署名をオンライン上で集めて、6月3日には1万8000人の署名を厚生労働省に提出した。そのインパクトは大きく、今もSNS上で議論が続いている。現在も署名活動を行い「#KuToo」を発信し続ける石川に話を聞いた。

WWD:最初に「#KuToo」を発信することになったきっかけは?

石川優実(以下、石川):今年の1月、葬儀場でアルバイトとして、連勤でいそがしく働いていたときでした。私は社内規定のパンプスを履いていたんですが、畳に上がる際に靴をそろえていたときに、男性社員の靴がスニーカー仕様の革靴でとても軽く、私もこれを履いて働くことができたら、負担も減り、動きやすくなると感じたんです。その日の夜、足の小指が少し出血していて、グチみたいな感じでそのことについてつぶやきました。そうしたらリツイートで広がっていきました。その時はハッシュダグ「#KuToo」は付けていなかったんですが、リツイートしてくださった方が作ってくれました。

WWD:そのツイートには共感してくれる人が多かった?

石川:本当にたくさんいました。「私も痛かったけど、当たり前だと思っていました」や「パンプスを履けないので、着用を義務付けている仕事は選択肢から外していました」「確かに仕事でパンプスを履かなければならない理由って何だろう」などコメントが上がってきたんです。

WWD:どんな職業が深刻に感じましたか?

石川: ホテルや航空会社、外回りの営業職、病院の受付、携帯ショップ、サービス業などではヒール靴が制服として指定されていることが多いです。私自身もホテルの専門学校に通っていたときに研修授業で1カ月間泊り込みのバイトを経験したのですが、パンプスで8時間立ちっぱなしは足が痛くて、つらかった。なぜ仕事ではないことで悩まなければならないんだろうと、辞めてしまいました。

WWD:署名活動をしようと思った経緯は?

石川:職場でのパンプスを強制されていることで困ってる人がいるということが可視化されたので、何か行動が起こせないかと考えました。その時に「週刊SPA!」の特集記事「ヤレる女子大学生RANKING」に対して抗議した山本和奈さんが、ウェブ上で署名を集めてオープンミーティングを行っていて、今はオンラインで署名を集められることを知りました。そこで署名を集めてどこに提出したらいいのだろう?とつぶやいたら、署名サイトの方が連絡くださり、相談しました。

自分の判断でいいと思わずに当事者の意見をちゃんと聞き入れてほしい

WWD:6月3日に厚生労働省に1万8000人の署名を提出しましたが、根本匠・大臣からは「ハイヒール、パンプスの強制を禁止することまでは現状考えておりません」という回答を得ました。これをどう受け止めていますか?

石川:根本大臣はハイヒールとパンプスについて、あまりよく理解されていないと思いました。実際どれぐらい負担が足にかかるのか、どういう人が履かされているかも把握してなかったのであの回答になったのだろうと思います。もう少しこちらの説明を聞いていただいてから今一度、どうお考えか聞きたいです。「社会通念」と話されていましたが、そもそもその社会通念について考えてほしいという要望だったので、噛み合っていない感じもありました。あと、「パワハラになりうる」という言葉も聞けましたが、もう実際にけがをしている人は多いので、現状でも十分パワハラになっていると思います。

WWD:内容を理解されていないと感じられた。

石川:根本大臣には悪気はないと思うんです。でも、自分の基準だけで語らずに当事者の意見をちゃんと聞き入れてほしい。これは男女限らずですが、自分の感覚や基準で判断してしまうとズレが出てきてしまいます。なので、いろんな他人の本心を聞き入れてほしい。今回、女性からも「合う靴を探せばいいじゃん」とか「オーダーメードにすれば解決する」などの意見が出てきましたが、オーダーメードでもダメだった人はいますし、使えるお金や、買いに行ける環境も人それぞれ異なります。他人と自分は一緒だと考えないでほしいと思います。

WWD:現在は3万人以上の署名が集まっていますが、次はどうアプローチする?

石川:これからは世の中の空気を変えていかないといけないと感じています。現在、スーツが並ぶ売り場の女性用の靴コーナーには、パンプスしか置いていないことが多い。パンプスを履かなくてもいい企業もあると聞いていますが、売り場にはフラットな革靴が置いてない。カタログや着用モデルのビジュアルも、スカートのスーツにフラットの革靴を合わせているコーディネートはあまり見たことがありません。雑誌やファッション関係者から新しい提案があれば、そのイメージは変わるはず。初めは違和感があっても、見慣れればかわいいと思います。

WWD:売り場や雑誌からのスタイル提案が変われば、市場も変わる。

石川:そうですね。フォーマルのスーツ売り場にもフラットシューズのコーナーを作ってほしいですね。簡単ではないと思いますが、フォーマルな行事に履いていけるおしゃれなフラットシューズがあったらうれしい。それと同時にストッキングをはく習慣も変わってほしいですね。ストッキングをはくとパンプスの中で滑るので痛いですし、消耗も激しいからお金もかかります。

WWD:職場でも就職活動でも“皆がハイヒールを履いているから、自分も履かなければならない”と思い込みがちだ。

石川:はい。私の職場でも、先輩たちが規定のパンプスを履いていたので自分だけ守らないということはできませんでした。葬儀場は畳に上がったりと脱ぎ履きが多い仕事で、確かにパンプスは効率はよかったです。そういう意味ではローファーもよいと思いました。私が欲しかったのは、「アシックス(ASICS)」のスニーカー仕様の革靴。職場の男性が履いているのを見て、靴屋さんに探しに行ったけれど女性サイズは見つかりませんでした。ウェブで調べれば購入できるのかもしれませんが……。

WWD:日本の文化には、フォーマルな場では“楽をしない”という美学がある。

石川:ありますね。日本人の美学として、苦労や我慢は美しいという価値観があると思います。だから、「葬儀に失礼な格好で行くつもりなのか?」と誤解されがちなのですが、スニーカーを推奨している訳でも、ハイヒールを否定している訳でもありません。足元はフラットでも、髪の毛をまとめるなど、身だしなみ次第で相手を不快にさせないことは可能だと思います。

WWD:中には “「#KuToo」=パンプス反対運動”のように捉えている人もいますね。

石川:はい、そういう人もいます。嗜好としてのヒールシューズは全く否定していません。職場が指定する足元の選択肢にフラットシューズも入れてほしいというだけなんです。また“ヒールシューズを履いてはいけない”という風に受け取ってしまっている人もいました。皆と一緒じゃないと不安に思う人もいるから、同調圧力が生まれているのかもしれません。

WWD:「#KuToo」は労働環境の改善の一つ。

石川:そうです。それと同時に、男女で異なる履物が義務付けていること知ってほしい。「男性だって革靴を義務付けられている」と反論されることがありますが、革靴とパンプスは明らかに違うものです。説明をしても全然わかってもらえないから、論文も引用しました。パンプスの方がフラットな革靴よりも足への負担と労災リスクが高いという内容です。それでも、わかろうとしない人はいます。受け取りたいようにしか受け取れない、話を聞く気もないと感じます。

WWD:ちなみに石川さんが個人的に好きなシューズは?

石川:最近はスニーカーばかりで、「ニューバランス(NEW BALANCE)」をよく履いています。軽くて初めて履いたときとても感動しました。

フェミニズムは“かっこいい”ものになっていってほしい

WWD:自身の思いをツイッターで発信するのようになったのはいつから?

石川:私は2017年末に「#MeToo」のムーブメントが日本にも来たときに、自分のグラビアや女優の仕事での性接待について告発したんです。そこから、世の中には性差別が多いことに気がついて、フェミニズムを勉強し始めました。そうしてジェンダーや男女の差についての問題を考えることになり、ツイッターでもつぶやくようになりました。それはもうグチのように。

WWD:石川さんはツイッターでの批判的なコメントにも返事をしていて、一人で戦っている感じがあります。

石川:今もグラビアの仕事をやっていますが、すごくバカにされて、下に見られることが多いです。10年間ぐらい、掲示板や「アマゾン(AMAZON)」のレビュー、ツイッターにひどいことを書かれてきました。こういう仕事柄、言われてもしょうがないと思ってずっと黙っていましたが、すごくストレスがたまるし、自分自身がみっともないなって感じていました。ツイッター上では言い返せるから、言い返した方がまだましなんです。すごいムカつくこと言われたら、黙ってなんていられないと。それにやりとりをパフォーマンス的に見せているところもあります。きっと、そういう人たちもストレスがたまっているんだなって思うんですよね。

WWD:今後の目標はありますか?

石川:「#KuToo」の活動を通して厚労省に署名を提出したことで、政治っぽいイメージが付いたと言われることがあります。周りの人から「出馬するんですか?」と聞かれることがありますが、まさかそのような考えはありませんし、そう思われたことにびっくりしました。私はフェミニズムをもっとファッションの方からもアピールできたらと思っています。活動することと声を上げることが“かっこいい”こととして扱われるような社会になったらと。日本では、政治の話をしない人が多いけれど、日常的に気軽に話ができたら世の中は変わっていくはず。エンターテインメントの世界でも、フェミニズムについてもっと扱ってほしいです。

WWD:エンターテインメントでも、フェミニズムがテーマになることは少ない。

石川: 日本の映画でもフェミニズムがテーマになった作品がもっと増えたらいいと思います。アメリカの最高齢女性最高裁判事のドキュメンタリー映画「RBG 最強の85才」を見たのですが、彼女が国民的アイコンで、アイドル的な扱いを受けていることを知って、日本ではこういう人いないなと感じました。例えば、社会学者の上野千鶴子さんも日本でそのような存在であってもいいと思いました。

The post 「#KuToo」の署名活動を行う石川優実が語る ”ファッションからの提案も必要” appeared first on WWD JAPAN.com.

「デザイナーになろうと思ったことはない」 by NIGO(R)

NIGO(R)「A BATHING APE(R)」プロデューサー(当時)

 デザイナーになろうと思ったことはない。僕が得意なのはディレクション。振り屋。ヒップホップの影響が大きいから、サンプリング手法と同じで、壊さず、そこに新しいものをつけて出す。(Vol.1164 2002年11月18日)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

The post 「デザイナーになろうと思ったことはない」 by NIGO(R) appeared first on WWD JAPAN.com.

読者が注目した今週の新作 「アディクション」初のフレグランスなど(7月12〜18日)

 「WWD JAPAN.com」が今週発売の新商品を「ファッション部門」「ビューティ部門」「スニーカー部門」別にまとめてお届け。「ビューティ部門」では読者の注目度(PV)から1〜3位までをランキング形式で紹介。今週の「ビューティ部門」では「アディクション(ADDICTION)」初のフレグランスが1位に輝いた。

【ファッション部門】


【ビューティ部門】


【スニーカー部門】

The post 読者が注目した今週の新作 「アディクション」初のフレグランスなど(7月12〜18日) appeared first on WWD JAPAN.com.

ラフ・シモンズが意味深なショーに込めた思い ひも解くカギは2本の映画

 ラフ・シモンズ(Raf Simons)は、2020年春夏コレクションでアメリカに対する復讐劇を開幕させた。会場に選んだのは、パリの郊外ノアジー・ル・グラン(Noisy-le-Grand)にあるエンジニアリングスクールのキャンパス内。淡い紫色に染まったフロアには、黒いビニールがグルグル巻きになったイスがいくつも並べられている。現場を汚したくない殺人鬼が犯行準備を整えたかのような不気味な雰囲気の会場内は、嵐の前の静けさを予感させた。

 アメリカに対する批判的なメッセージを読み上げるBGMでスタートしたショーには、「STONE(D) AMERICA」と「MY OWN PRIVATE ANTWERP」いうスローガンが並ぶアイテムがいくつも登場した。

怒れる「ラフ・シモンズ」、2020年春夏は「カルバン・クライン」へのメッセージなのか 取材記者2人のレビュー

 「MY OWN PRIVATE ANTWERP」の直訳は「私だけのアントワープ」だ。おそらく1991年公開の米映画「マイ プライベート アイダホ(原題:MY OWN PRAIVATE IDAHO)」から引用したと考えられる。同映画は男娼として働く二人の若者が、家族と自身のアイデンティティーを求めて旅するロードムービーだ。主人公が何度旅に出ても、結局アイダホの荒涼とした地にある一本道に戻ってきてしまうという内容が、ラフのファッション業界でのキャリアとどこか重なるようだった。ショーで使用されたBGMは、2014年公開の映画「アンダー・ザ・スキン 種の捕食(原題:UNDER THE SKIN)」でミカ・レヴィ(Mika Levi)が手掛けたサウンドトラックだ。同映画は起承転結がなく非常にアーティスティックな内容なのだが、筆者には「人間は物事を表面上で判断し過ぎている」というメッセージが感じ取れた。ラフが抱くアメリカ、もしくは「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」に対する感情が映画のメッセージと共鳴し、サウンドトラックがその思いを代弁してくれていると感じたのは、想像に難しくなかった。改めてもう一度同映画を観て、ラフの気持ちを考察してみたいと思う。

 白衣のようなラボコートや、危険な化学物質を扱う実験者のためのパッド入りゴム手袋とボクサーショーツは、コレクションに深い意味を含ませるかのように、ゾクゾクとさせる効果があった。ショー後にラフは何人もの人に囲まれていたが、基本的に取材はNGだったようだ。あるフランス人のジャーナリストへの質問には「自由を奪う“巻きつける”ものというイメージから着手したが、決して暗いだけの内容にはしたくなかった」と回答した。おそらく彼に巻きついていたものは解かれたはずだ。「カルバン・クライン」を去った今、彼は上司の顔色を伺う必要はない。自身のブランドで自由にクリエイションに打ち込めるという意志を、不気味で怒りに満ちた今季のコレクションが示している。

 ラフが「カルバン・クライン」を去ることが発表された際、スティーブ・シフマン(Steve Shiffman)=カルバン・クライン最高経営責任者(現在は退任)は以下のように述べていた。「チーフ・クリエイティブ・オフィサーのラフ・シモンズとは、方向性の違いにより、互いに別々の道に進むことを友好的に合意した。(中略)ラフの今後の活躍、そして彼のブランドのますますの発展を心より願っている」。今読むと、丁重で堅苦しい形式張ったコメントが少々不気味にも思える。見境なく感情を露わにする人間よりも、丁寧な言葉で繕って腹に一物を抱える仮面を被った人間の方が、残酷だったりするものだ。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

The post ラフ・シモンズが意味深なショーに込めた思い ひも解くカギは2本の映画 appeared first on WWD JAPAN.com.

イタリア服地業界のサステナ先導者に聞く 現在の課題と今日からできること

 イタリアの毛織物メーカー、レダ(REDA)のエルコレ・ボット・ポアーラ(Elcole Botto Poala以下、ポアーラ)社長はイタリア服地業界のキーマンの一人だ。ポアーラ社長は現在、ファッション素材見本市「ミラノ・ウニカ(MILANO UNICA)」の会長を務め、2年前にその経営の舵をサステイナビリティー追求に大きく切った。彼が旗振り役を務めて以来、素材メーカーの多くが具体的な一手を打ち始め、今サステイナビリティーの追求が大きなうねりになっている。

WWD:ファッション業界のサステイナビリティー追求において、さらに“循環型”の重要性が叫ばれるようになった。

ポアーラ社長兼「ミラノ・ウニカ」会長(以下、ポアーラ):確かに循環型は一つの解決策ではある。ただし、答えはただ一つではない。いろんな答えがある。例えば、効果的に生産すること、廃棄物を出さないこと、生産工程で出る廃棄物を再利用すること、生分解性のものを作ること、長く使えるものを作ること、そしてもちろん循環型のプロダクトを作ることなどがある。サステイナビリティー追求において、一つのことだけを見るのではだめだ。

WWD:「ミラノ・ウニカ」会長として今すぐ取り組むべきサステイナブルなアクションは何だと考えるか。

ポアーラ:生産工程で捨てるものを少なくすること。環境への負荷が小さいものを選ぶこと。従業員を教育すること、資源をうまく使うこと。昨日までは生産性を高めることばかりを考えていただろう。でも今日から、環境への負荷を少なくすることを考えること。なぜなら、高品質でクリエイティブな商品を作って適正価格で売り、納期がきちんとしているものが求められていたのが、それに加えて、これからはサステイナブルな商品であることが必要になるから。次の市場で勝つにはそれが必須になる。

WWD:そのために価格は上がる。

ポアーラ:そうなるだろう。環境に敬意を払う商品でなければならないと思う。

WWD:サステイナビリティーとラグジュアリーとは同義という考え方もある。

ポアーラ:ラグジュアリーという言葉は時代遅れだ。今、消費者が望んでいるのは貴重な商品だ。

「ウエルネスの追求は無駄が多い、その問題点に気付いた」

WWD:レダ社はサステイナブル経営で知られるがそもそも何から始めた?

ポアーラ:2000年代に中国に進出したときにいろいろ考えた。というのは、そのときにすでに豊かだった欧米や日本には7億人の消費者がいた。その7億人は無駄が多かった。ウエルネスと共に暮らすことは捨てるものが多いということ。将来は、ここ中国にも同じような消費者が生まれると思った。そうすると7億人が14億人になって、さらに無駄が増える。加えてインドでも同じことが起こるだろう。そうすると誰かが手を上げ、「ファッションは無駄が多い」と指摘して、「それをやめさせなければ」と言い始める人も出るだろう。だから、指摘される前に始めようと思った。すべてのことをすぐに改善するのは難しいし、その日から15年間、ずっとそのために仕事をしている。今はその予感が正しかったと感じる。

WWD:サステイナビリティー追求の初心者経営者がまず始められることは?

ポアーラ:会社の中で捨てるものをなくすこと。環境認証を取ること。われわれは、2005年にウールメーカーとして初めて環境管理監査制度のEMASを取得したが、2年ごとに改善しているかどうかについてのチェックが入り、年々改善している。

WWD:今、サプライチェーン自体が変わる人工クモの糸と呼ばれる合成タンパク質繊維など、まったく新しい技術が登場している。

ポアーラ:新しいものはどんどん開発され市場に入ってきている。リサイクルのもの、オーガニックのものなどはさまざまにあるが、その商品を作るのに、地球環境にどれだけの負荷があるかは誰もうたっていない。今、市場に出している言葉は、商品がサステイナブルかどうか。でもそれだけでは問題は解決しない。プロセス全てがサステイナブルでなければならない。例えば、プラスチックボトルを糸に変えて、その過程で二酸化炭素をたくさん排出したら、それはサステイナブルか?となる。その環境への負荷を誰も明確にしていない。環境負荷を数値化することが重要であり、そうすれば消費者が選べるようになる。

今は、まだ混乱していて、それぞれがさまざまに取り組んでいるが、おそらく近い将来、政府が規制を設けるはずだ。

WWD:ほかに感じる問題点は?

ポアーラ:ブランドの考え方が間違っていると感じる。彼らはエクスクルーシブであることを望み、サステイナビリティーもエクスクルーシブでありたいと思っているから。でも、サステイナビリティーは包括的なものでありみんなが取り組むべきことだ。サステイナビリティーがマーケティングになっているでしょう?

いろいろ言ったが、今は始まったばかりで楽観的に見なければいけない。何かを始めることが大切だ。

The post イタリア服地業界のサステナ先導者に聞く 現在の課題と今日からできること appeared first on WWD JAPAN.com.

2019-20年秋冬パリ・オートクチュール・ウイークのベストSNS投稿10選

 2019-20年秋冬パリ・オートクチュール・ウイークは終わったが、インスタグラム上ではいまも盛り上がりを見せている。

 セリーヌ・ディオン(Celine Dion)のハイセンスな装いがショーの話題をさらっていたが、とりわけ、グウィネス・パルトロウ(Gwyneth Paltrow)、ゼンデイヤ(Zendaya)、ニック・ジョナス(Nick Jonas)、プリヤンカ・チョープラー(Priyanka Chopra)、キーナン・シプカ(Kiernan Shipka)ら多くのセレブリティーたちも注目の的だった。「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR & ROLF)」のショーに現れたクリスティーナ・アギレラ(Christina Aguilera)は、同ブランドの前回のクチュール・ショーでインターネットミーム(インターネットを介して広がっていくネタ)からインスピレーションを受けた”F-k this I‘m going to Paris.”の文字が書かれたオーバーサイズのチュールドレスを着て注目を集めた。

 その他のセレブリティーたちも各自のインスタグラムアカウントでオートクチュール・ウイークのさまざまな瞬間をアップしていた。円形の図書館を模したステージで行われた「シャネル(CHANEL)」のクチュール・ショーは、ヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)がアーティスティック・ディレクターとなって初の披露であったし、「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のクリエイティブ・ディレクター、ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)が、アトリエで働くスタッフ全員に感謝の意を込めてお辞儀をしたショーのフィナーレでは、前列に座っていた創立者のヴァレンティノ・ガラヴァーニ(Valentino Garavani)に人々がハグやキスをする瞬間がアップされた。

 セリーヌ・ディオンは「アレクサンドル ボーティエ(ALEXANDRE VAUTHIER)」の2019年春夏コレクションの衣装を着て、同ブランドの2019-20年秋冬コレクションに出席した様子をアップした。ファッション業界で活躍するアメリカ人ジャーナリストのデレク・ブラスバーグ(Derek Blasberg)は「ヴァレンティノ(VALENTINO)」のオートクチュール・ショーを観覧している出席者たちの写真をアップし、「ショーのフィナーレでの感動的な瞬間は劇場以上だ。信じられないほど素晴らしいコレクションだった」とコメントした。

クチュール・ウイークのインスタグラム投稿:

1. クリスティーナ・アギレラのインスタグラム(@xtina)から「“F*this I’m going to #ParisFashionWeek”(パリのファッション・ウイークに行ってくるわ)」


2. 「ヴァレンティノ」創立者のひとりで名誉会長のジャンカルロ・ジャンメッティのインスタグラム(@giancarlogiammetti)から「この瞬間が永遠となる時……ヴァネッサ・フリードマン、ありがとう」

View this post on Instagram

When a moment is forever... thank you #vanessafriedman

A post shared by Privategg (@giancarlogiammetti) on


3. セリーヌ・ディオンのインスタグラム(@celinedion)から「私たちみんなの中にいる内なる女神とのチャネリング」


4. デレク・ブラスバーグのインスタグラム(@derekblasberg)から「昨日の『ヴァレンティノ』のコレクションは信じられないほど素晴らしかった。予期せぬ感動的な瞬間に、ブラボー!」


5. ゼンデイヤのインスタグラム(@zendaya)から「ローマにて」

View this post on Instagram

When in Rome

A post shared by Zendaya (@zendaya) on


6. ピエールパオロ・ピッチョーリのインスタグラム(@pppiccioli)から「ショーの前のアナとミランダ。『でもあなたが着ているその青い服には何百万ドルもの資金と数えきれないほどの仕事が詰まっている。そしてあなたはファッション業界に興味がないと言いながら、まさにここにいる私たちが流行らせた色のセーターを着ているなんてね。滑稽だわ』。映画『プラダを着た悪魔』のミランダ・プリーストリーのセリフを引用して」


7. キーナン・シプカのインスタグラム(@kiernanshipka)から「愛しのクリスチャン・コッポラ。フェンディ・クチュール、ザ ドーン オブ ロマニティ」


8. グウィネス・パルトロウのインスタグラム(@gwynethpaltrow)から「ありがとう、パリ。いつも来るのが楽しみです。『フォーシーズンズホテル ジョルジュサンク パリ』にて」


9. モデルで女優のオーストラリア人、フィービー・トンキンのインスタグラム(@phoebejtonkin)から「シャネル、そしてヴィルジニー・ヴィアール、なんて美しいコレクションなの」


10. カイア・ガーバーのインスタグラム(@kaiagerber)から「素晴らしいクチュールの終了」

View this post on Instagram

couture closing at its finest

A post shared by Kaia (@kaiagerber) on

The post 2019-20年秋冬パリ・オートクチュール・ウイークのベストSNS投稿10選 appeared first on WWD JAPAN.com.

2020-21年秋冬トレンドはエコでエロチック? ミラノの素材見本市が開幕

 イタリアのファッション素材見本市「ミラノ・ウニカ(MILANO UNICA)」が7月9日に開幕し、イタリアを中心とした欧州企業608社が2020-21年秋冬向けのテキスタイルと服飾雑貨を提案している。会期は11日まで。

 「ミラノ・ウニカ」はサステイナビリティー追求に舵を切って2年になるが、同見本市のサステイナビリティー・プロジェクトに参加する企業の数は前回に比べて22%増の150社になった。サステイナビリティーをテーマにしたインスタレーションに展示された製品数も同40%増の1004点を数え、多くの出展社を啓発しながら成長を続けている。

 トレンドエリアでは、“エコロティカ(ECOROTICA)”をテーマに、刺しゅうやダメージ加工など手の込んだディテールの素材が並んだ。ステファノ・ファッダ(Stefano Fadda)=アーティスティック・ディレクターは「現代を象徴する重要なテーマを融合した。地球の救いを渇望する“エコロジー”と、他者の関心を喚起したい、自分自身を好きになりたいという“エロチシズム”――2つの言葉を合わせて“エコロティカ”とした」と言う。加えて、「SNSの行動を観察することから始めた。“LIKE”の原理は、自分を見せることで自分を表現し、人から認められたい、評価されたいという欲求だと思う。それは自分自身に向かうエロチシズムのようでもある。SNSの中の彼らはワンショットのために生きていて、それにはドラマチックなもの、サーカスのようにシュールなもの、自然の中にいるものの3つが見受けられ、それらをキーワードにトレンドを分類した」と語る。

エコロティック・ドラマ

 デヴィッド・リンチ(David Lynch)やリドリー・スコット(Ridley Scott)、1920年代のサイレント映画やマン・レイ(Man Ray)などからインスピレーションを広げた。官能的で洗練されたクローンをイメージしており、光沢感の強いオーガンジー、レイヤードによるイヴニング用ブロケード、繊細なランジェリーディテールなどをポイントに素材をセレクトした。

エコロティック・サーカス

 リュック・ベッソン(Luc Besson)やティム・バートン(Tim Burton)の映画の世界をイメージしながら、同時に「クレイジーホース」や「シルク・ド・ソレイユ」の世界の雰囲気をミックスしたという。メンズウエアでは極めて薄いポプリンのレースや不釣り合いに大きな刺しゅうなどを用いるイメージ。

エコロティック・エデン

 キマイラやケンタウルス、食中植物、半分昆虫で半分人間のヒューマノイドなど、超自然の世界をイメージした。ここでのエロチシズムは、みずみずしい自然と完璧に共生するパワフルなアスリートの肉体だと言い、スティーブン・スピルバーグ(Steven Spielberg)や宮崎駿の世界からインスピレーションを広げたという。オーガニックなジャカード織り、羽根、ファーなどがキー素材だ。

「イタリア素材メーカーの生きる道はクリエイティビティーとサステイナビリティーを両立させること」

 「すべては強くてダークなものにつながっている。それはみんなどこかで守られたいと思っているからで、そういうときは暗い色を選ぶでしょう?実はそれってSNSの中にある、ある種偽物の世界とは対極にあるもの。写真を撮るための服ではなく、日常を生きるための服で、刺しゅうやダメージ加工など手を加えることで強さを添えるイメージだ。また、官能性は薄さや軽さ、透明感で表現している」という。しかし凝ったディテールを加えることで価格は高騰する。「むしろそれが狙いだ。われわれは中国の素材メーカーと価格競争をする気はさらさらない。イタリアの素材メーカーの生き残る道は、クリエイティビティーとサステイナビリティーを両立させることだ」と語気を強める。

 「実はシーズンが始まる前に出展社には、各社の定番生地に装飾や加工を加えることで新たな表現ができないか、と持ちかけた。今ある商品で、新しいものを作ること――これも今すぐできるサステイナブルな行動だと考えたから」と明かした。

The post 2020-21年秋冬トレンドはエコでエロチック? ミラノの素材見本市が開幕 appeared first on WWD JAPAN.com.

2020-21年秋冬トレンドはエコでエロチック? ミラノの素材見本市が開幕

 イタリアのファッション素材見本市「ミラノ・ウニカ(MILANO UNICA)」が7月9日に開幕し、イタリアを中心とした欧州企業608社が2020-21年秋冬向けのテキスタイルと服飾雑貨を提案している。会期は11日まで。

 「ミラノ・ウニカ」はサステイナビリティー追求に舵を切って2年になるが、同見本市のサステイナビリティー・プロジェクトに参加する企業の数は前回に比べて22%増の150社になった。サステイナビリティーをテーマにしたインスタレーションに展示された製品数も同40%増の1004点を数え、多くの出展社を啓発しながら成長を続けている。

 トレンドエリアでは、“エコロティカ(ECOROTICA)”をテーマに、刺しゅうやダメージ加工など手の込んだディテールの素材が並んだ。ステファノ・ファッダ(Stefano Fadda)=アーティスティック・ディレクターは「現代を象徴する重要なテーマを融合した。地球の救いを渇望する“エコロジー”と、他者の関心を喚起したい、自分自身を好きになりたいという“エロチシズム”――2つの言葉を合わせて“エコロティカ”とした」と言う。加えて、「SNSの行動を観察することから始めた。“LIKE”の原理は、自分を見せることで自分を表現し、人から認められたい、評価されたいという欲求だと思う。それは自分自身に向かうエロチシズムのようでもある。SNSの中の彼らはワンショットのために生きていて、それにはドラマチックなもの、サーカスのようにシュールなもの、自然の中にいるものの3つが見受けられ、それらをキーワードにトレンドを分類した」と語る。

エコロティック・ドラマ

 デヴィッド・リンチ(David Lynch)やリドリー・スコット(Ridley Scott)、1920年代のサイレント映画やマン・レイ(Man Ray)などからインスピレーションを広げた。官能的で洗練されたクローンをイメージしており、光沢感の強いオーガンジー、レイヤードによるイヴニング用ブロケード、繊細なランジェリーディテールなどをポイントに素材をセレクトした。

エコロティック・サーカス

 リュック・ベッソン(Luc Besson)やティム・バートン(Tim Burton)の映画の世界をイメージしながら、同時に「クレイジーホース」や「シルク・ド・ソレイユ」の世界の雰囲気をミックスしたという。メンズウエアでは極めて薄いポプリンのレースや不釣り合いに大きな刺しゅうなどを用いるイメージ。

エコロティック・エデン

 キマイラやケンタウルス、食中植物、半分昆虫で半分人間のヒューマノイドなど、超自然の世界をイメージした。ここでのエロチシズムは、みずみずしい自然と完璧に共生するパワフルなアスリートの肉体だと言い、スティーブン・スピルバーグ(Steven Spielberg)や宮崎駿の世界からインスピレーションを広げたという。オーガニックなジャカード織り、羽根、ファーなどがキー素材だ。

「イタリア素材メーカーの生きる道はクリエイティビティーとサステイナビリティーを両立させること」

 「すべては強くてダークなものにつながっている。それはみんなどこかで守られたいと思っているからで、そういうときは暗い色を選ぶでしょう?実はそれってSNSの中にある、ある種偽物の世界とは対極にあるもの。写真を撮るための服ではなく、日常を生きるための服で、刺しゅうやダメージ加工など手を加えることで強さを添えるイメージだ。また、官能性は薄さや軽さ、透明感で表現している」という。しかし凝ったディテールを加えることで価格は高騰する。「むしろそれが狙いだ。われわれは中国の素材メーカーと価格競争をする気はさらさらない。イタリアの素材メーカーの生き残る道は、クリエイティビティーとサステイナビリティーを両立させることだ」と語気を強める。

 「実はシーズンが始まる前に出展社には、各社の定番生地に装飾や加工を加えることで新たな表現ができないか、と持ちかけた。今ある商品で、新しいものを作ること――これも今すぐできるサステイナブルな行動だと考えたから」と明かした。

The post 2020-21年秋冬トレンドはエコでエロチック? ミラノの素材見本市が開幕 appeared first on WWD JAPAN.com.

「アディダス」とステラがサステナ素材開発企業とコラボ 古いコットン衣料を分子レベルで分解・再生

 サステイナブルな繊維素材を開発する米エヴァニュー(EVRNU)が、コットン製の古い衣料品を分子レベルで分解し、高品質な機能性素材として再生する技術「ニューサイクル(NUCYCL)」を発表した。同技術で作られた素材は再び分子レベルに分解することができるため、何度も再利用できるという。

 「ニューサイクル」技術や素材が実用的なものであることを示すため、同社はサステイナビリティーの推進に熱心なことで知られる「アディダス(ADIDAS)」と「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」のコラボコレクションである“アディダス バイ ステラ マッカートニー(ADIDAS BY STELLA McCARTNEY)”と組み、同素材60%とオーガニックコットン40%で作られたユニセックスのフーディーを50着限定で試験的に作った。「ステラ マッカートニー」がユニセックスなアイテムを作ったのはこれが初めてだ。

 こうした循環型経済に完全に組み込まれる素材を使用することで、アパレルブランドは水、土地、森林、空気などの環境に与える負荷を大幅に削減することができる。さまざまなブランドが「ニューサイクル」技術を活用できるように、エヴァニューはインターナショナルな繊維メーカーと提携し、ライセンスモデルを2020年に発表する予定だ。廃棄された衣料品を“原材料”としてよみがえらせる画期的な技術を生み出したエヴァニューの共同創設者兼最高経営責任者(CEO)であるステイシー・フリン(Stacy Flynn)に米WWDがインタビューした。

WWD:「ニューサイクル」は革命的な技術だが、アイデアはどのようにして思いついたのか。

ステイシー・フリン共同創設者兼CEO(以下、フリン):共同創設者のクリストファー・スタネフ(Christopher Stanev)と私は20~25年にわたって商業的なテキスタイル開発に携わってきたが、環境保護のためにもっとできることがあるのではないかと思い、サステイナビリティーに関する研究開発に集中することにした。物事を全く異なる視点から見ることで、今回の発明にたどり着いた。

世界中で毎年およそ5000万トンのテキスタイルが廃棄されているが、「ニューサイクル」技術はそうして廃棄された衣料品を分解し、肌触りや機能性などの面で新品と見劣りしない品質のテキスタイルとしてよみがえらせることに成功した。原材料や生産工程、どのようにリサイクルできるのかを気にする最近の消費者にも自信を持って薦めることができる。

WWD:「アディダス」およびステラ・マッカートニーとのコラボについて。

フリン:「アディダス」は本当に素晴らしい提携相手だ。初期のアイデアから何回か改善を加えているが、機能性に関する「アディダス」の高い要求に応えるべく尽力したし、彼らも何回もプロダクトテストを実施してくれた。ステラは素晴らしいデザイナーで、かつサステイナビリティーに熱心なので、夢のようなコラボ相手だった。こうして初の「ニューサイクル」製アパレルを発表することができて、とてもうれしく思う。

WWD:ファストファッションの成長とサステイナビリティーについての関心が同時に起こっていることについてどう思うか。

フリン:私がキャリアを積み始めた頃にちょうどファストファッションが台頭し始めたので、そのビジネスモデルはよく理解している。消費者の「何か買いたい」という欲求をベースとしたビジネスだが、最近の消費者は製品の生産工程やリサイクルについてなど、かつては意識しなかった事柄を気にするようになっている。現在、多くの製品は環境負荷などの要因を計算に入れていない価格で販売されているが、資源に限りがあることを考えるとそれは間違っていると思う。そうした要因を勘案した“真の価格”で売るべきだろう。

WWD:そうした“真の価格”によらない製品を選ぶ消費者をどう思うか。

フリン:“ギブアンドテイク”なビジネスモデルを構築する必要があると思う。「ニューサイクル」のような再生技術は素晴らしいものだが、低価格が全てといった価値観では、より大きな機会を失ってしまう。消費者は必ずしも多くのモノが欲しいわけではなく、仲間やコミュニティーとのつながり、地球とのつながりを求めているのではないか。そして、そうした価値観に沿った製品を求める時期にきていると思う。

WWD:エヴァニューの今後の展開について。

フリン:衣料品の再利用やリサイクルにはさまざまな方法がある。古着店に売ったりリメイクしたりといった従来の方法を促進しつつ、廃棄せざるを得ないものでも(原材料として使用されるなど)循環型経済の輪に組み込まれるようにコミュニティーなどとも連携していきたい。

アパレル業界はここ10年で大きな進化を遂げているが、衣料品のリサイクルをいっそう促進する技術がこれからの10年でさらにいろいろと出てくるだろう。当社は今後も先進的なブランドや企業と提携し、環境負荷を大幅に削減しながら、よりよい機能性素材を開発していく。“服自体がソリューション”となるようにしたい。

The post 「アディダス」とステラがサステナ素材開発企業とコラボ 古いコットン衣料を分子レベルで分解・再生 appeared first on WWD JAPAN.com.

「WWD JAPAN.com」読者が注目した6月のスニーカーベスト10

 「WWD JAPAN.com」読者のアクセス数(PV)が多かった6月掲載のスニーカー記事をランキング形式でお届け。6月に「WWD JAPAN.com」で紹介したスニーカー記事は14本。その中で上位10位にランクインしたスニーカー記事はこれだ!

The post 「WWD JAPAN.com」読者が注目した6月のスニーカーベスト10 appeared first on WWD JAPAN.com.

進化する“おなか見せ” 90年代アムラースタイルとはここが違う!

 1990年代風の装いが見直されていますが、ウエスト周りの素肌をのぞかせる“おなか見せ”にも復活の兆しがあります。“コーチェラ 2019 VIPパーティー”に姿を見せたエミリー・ラタコウスキー(Emily Ratajkowski)やヘイリー・ビーバー(Hailey Bieber)の着こなしを見ても分かります。

 おなか見せはこれまでも何度か流行しましたが、ミニスカートを合わせていた“アムラー”ファッションの時代(1995年頃)、ローライズジーンズとのコーディネートが広がった2000年代初めとは、今はボトムスのタイプが異なっています。写真からも分かるように、近年はハイウエスト(ハイライズ)のボトムスが主流です。

 主役のトップスにも変化が起きています。昔はピタピタの“チビT(シャツ)”がもてはやされました。しかし、今はそこまでタイトではないトップスも増え、むしろ、ゆるめシルエットを選んで、着痩せ効果を引き出すようなスタイリングも登場。いわゆる“腰ばき”が多かった以前と違って、露出するゾーンがおへそよりも上にシフトし、数センチ程度の露出にとどめるパターンが支持されているようです。

 “アスレジャー”スタイルの広がりを背景に、健康的なムードを大切にする意識が強まりました。素肌を見せることは、ボディーそのものを一番自然な“服”と考える感覚につながっているようです。世界の音楽フェスティバルやファッションイベントのおしゃれスナップから、新しいおなか見せコーディネートのコツをご紹介しましょう。

肌見せゾーンから視線を散らす
“ずらし”が肝心

 露出させた素肌を目立たせ過ぎないようにするには、別の部分に目線をそらすアレンジが効果的です。小物使いなどで立体感を引き出す装いは、視線を散らすことに加えて細さを引き出すメリットもあります。

 写真1枚目は、ショート丈のトップスにワークウエア系のパンツを合わせた、“アスレジャー×エンジニア”テイストのずらしコーデです。オーバーサイズ気味のアウターを肩を落として羽織って、量感を強調。さらにベルトを垂らし、ダッドスニーカーでボリュームをかさ上げしています。メリハリのおかげで、ウエストが一段とすっきり見える仕掛けです。脇に添えたミニバッグで、ボリュームの強弱を印象づけるバランス感もお見事。

 音楽フェスティバルの“コーチェラ 2019”では、バンダナやウエストバッグなど、小物類をうまく使った肌見せスタイルも目立ちました。写真2枚目は、赤のジャージー系パンツとバンダナで、白のショート丈タンクトップをサンドイッチ。胸元のバンダナとウエストポーチが程よいボリュームにつながっていて、おなか周りを華奢に演出します。このような複数の小物で動きを出す合わせ技は、両手を自由に使いたい野外イベントで参考になるでしょう。

露出スポットは上にシフト
 今はおへそより“肋骨下”がホット

 トップス以外に目を引くモチーフを加えると、露出したおなかに視線が向かいにくくなります。着るアイテム数が少なくなる夏にこそ、使いこなしたいテクニックです。

 5月に千葉で開かれたダンスミュージックのフェス“EDCジャパン 2019”では、パッと目を引くパイソン柄のパンツやバンダナ柄を主役にした大胆なコーディネートが目立っていました。ハイウエストのボトムスでおへそを隠し、もっと高い位置で素肌を露出。ボリュームサンダルで脚長効果は倍増です。ショート丈のトップスには、シースルーの長袖トップスを重ねて、肌見せのインパクトをやわらげました。

 モデルのステラ・マックスウェル(Stella Maxwell)は“コーチェラ2019”に、ハイライズのデニム姿で来場。肋骨(ろっこつ)の下あたりをチラ見せしていました。ハイウエストのボトムスでおなか見せをするといっそうレッグラインが伸びやかに映り、さりげなさやこなれ感も演出できます。プリント柄を散らしたレザーブルゾンで華やぎをプラス。視線を散らす効果もばっちりです。

大人のおなか見せはどうするのが
正解? 羽織り物で露出は控えめに

 カジュアルな装いと思われがちな、おなか見せコーデですが、近年は“きれいめ”の新アレンジが目立ちます。羽織り物を重ねたサマーレイヤードは、露出の印象を弱めてくれるので、着て行ける場面も増えそう。

 写真1枚目は、パリ・オートクチュール・コレクションの会場スナップから。挑発的な若さが売り物だった90年代のおなか見せスタイルと比べると、こちらはムードが様変わりです。ダブルブレストジャケットで露出をトーンダウンし、涼やかなストライプ柄ですっきり上品に。異なるストライプ柄のショートパンツを合わせて、無地のショートトップスは脇役のような存在に。小ぶりのチェーンバッグを斜め掛けして、リッチテイストを添えているのも上手な味付けです。

 2019-20年秋冬パリ・コレクションの「サカイ(SACAI)」のショー会場には、エレガントな“おなか出シスト”が出現。秋冬にヒットが見込まれるケープを使った、シーズンフリーの大技です。ボトムスはハイウエストのプリーツスカートをチョイスして、モード感の高いコーディネートに。大人っぽいおなか見せのお手本を示してくれました。

 おなか見せルックも時代とともにアップデートしています。昔と違い、今はトゥーマッチを避けながら、へそ上の“高めポジション”で決めるのが新たな方程式になりつつあるようです。一見難しく感じられそうですが、ロングカーディガンを羽織ったり、ハイウエストのボトムスを合わせたりといった工夫だけでも、使いこなしやすくなります。野外フェスやリゾートなど、夏のお出かけを手始めにアレンジを磨いていってもよさそうです。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

The post 進化する“おなか見せ” 90年代アムラースタイルとはここが違う! appeared first on WWD JAPAN.com.

「雑誌は世界とつながるツール」 「ハイアーマガジン」編集長、haru.が語る雑誌の可能性

 インディペンデント雑誌「ハイアーマガジン(HIGH(er)magazine以下、ハイアー)」は2015年の創刊以来、ファッションや音楽のみならず、政治や教育、社会情勢、セックスまで、実に多様なテーマを独自の切り口で発信し、若者を中心に支持を拡大してきた。東京藝術大学に入学してすぐに「ハイアー」を立ち上げたharu.(ハル)編集長は6月、アーティストのマネジメントとコンテンツプロデュースを行う会社HUG(ハグ)を設立し、新たな活動をスタートさせた。そんなハル編集長に今回、「ハイアー」創刊の経緯や雑誌の未来、自身の活動目標などについて話を聞いた。

WWD:「ハイアー」を創刊した経緯をおしえてください。

haru.:自分を表現するひとつの手段として創刊しました。小学校時代からドイツと日本を行き来していて、どちらの言語も満足に話せなかったから、話すこと以外で世界とつながる方法を模索していたんです。ドイツにいた17歳のころにZINEを作り始め、高校卒業の直前、クラスメートを巻き込んで1冊のZINEを作った時、「これなら世界とつながれる!」と思いました。そして大学に入学してすぐ、「雑誌作りを通して人とつながり、誌面に自分の考えを反映させることで世界ともつながる」という私の考えに共感してくれた人たちと一緒に、「ハイアー」を創刊しました。

WWD:政治や社会情勢なども積極的に扱っていますが、どのような意図があるのでしょうか?

haru.:「ハイアー」は私と世界がつながるためのツールなので、私の生活にまつわる全ての事柄がテーマになります。その時に関心があるモノ・コトを扱っているだけですが、「ハイアー」を手に取ることで読者の認識もアップデートされる、そんな作用があればいいなと思っています。

WWD:“認識のアップデート”とは?

haru.:新しい価値観や考え方に触れ、より高度な認識を持つことですね。私が尊敬するアーティストのヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys)は、「一人ひとりの認識が変われば、社会システムそのものも変えられる」と考え、それを“社会彫刻”と呼んでいました。私もそれを信じていて、「ハイアー」の延長にも“社会彫刻”があります。例えば、男女別で行われている性教育を変えること。「ハイアー」はセックスや生理についての記事も掲載していて、それは「自分の体の話をしようよ!」というとても自然な提案です。「性についてオープンに話していいんだ」という認識が拡大すれば、近い将来、性教育が男女合同で行われるようになるかもしれません。

WWD:近年、「ハイアー」以外にもフェミニズムや政治などを扱う媒体が増えてきた印象があります。

haru.:そうですね。特にフェミニズムを扱う媒体は多くて、一種のムーブメントになっています。「ハイアー」はあくまで個人の考えを反映した作品、いわばアートピースなので、本屋さんに置いてあって誰でもアクセスできる媒体がそういったトピックを扱うのはいい流れだと思います。でも、単なるムーブメントで終わらせたら意味がありません。当事者意識を持てる切り口で発信し、一人ひとりが身近なこととして受け取る必要があります

WWD:ハルさん自身もSNSで多くのフォロワーを抱え、大きな影響力を持っています。

haru.:「ハイアー」の認知度が徐々に広がった結果だと思います。私自身は大きな影響力や発言力を持ちたいとは思っていません。誰かに「右を見ろと」言われて右を見るような社会では意味がないからです。一人ひとりが意思を持って選択することが重要です。

WWD:読者はどのような人が多いのでしょうか?

haru.: 10代後半〜20代前半の女の子が多いですが、男の子にも読んでもらっています。「ハイアー」自体、読者を性別で分けようとは思っていないし、誌面にも男の子が頻繁に登場するので、それが反映されているのかも。制作チームも男女ごちゃ混ぜです。

WWD:雑誌不況といわれて久しいですが、今後も雑誌は残ると思いますか?

haru.:表層的なトレンドだけを追った雑誌は淘汰されていきますが、ひとつのテーマを深く掘り下げた雑誌は今後も存在し続けると思います。雑誌の面白さは、自分が属するコミュニティーにはないような新しい価値観・世界観を垣間見ることができること。SNSを用いて個人単位で情報を発信できる時代においても、雑誌には人の心を動かす力があると信じています。先日、ある雑誌の編集長を取材したときに、「単にトレンドを追うのではなく、考え方・生き方の選択肢を提示したい」とおっしゃっていて、強く共感しました。「ハイアー」も、ある集団の世界観を単純に切り取るのではなく、それを人生の選択肢として提示していきたいです。

WWD:ドイツにいたころにZINEを作り始めたとのことですが、いつから海外生活を始めたのでしょうか?

haru.:初めてドイツを訪れたのは小学生の頃です。父親の仕事の関係でドイツに移り、2年半暮らしました。そのあと、中学校を日本、高校をドイツで過ごして、大学進学のため再び日本に戻ってきました。

WWD:高校時代をまるまるドイツで過ごしたんですね。

haru.:そうです。日本の学校とは全然違いましたよ。政治への関心がすごく高くて、歴史の授業では自分がどの政党を応援しているかを平気で主張しちゃうし、気づいたら討論会みたいになっていました(笑)。過去にナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)が支配していた時代があるから、同じ過ちを繰り返さないようにしようという考えが浸透していて、当事者意識が強いんだと思います。私が政治を身近なことだと感じるのは、ドイツでの生活があったからかもしれません。

WWD:日本の若者は政治に無関心だといわれていますが、どう思いますか?

haru.:やばいです。無関心すぎる。でも、当事者意識があるかどうかは教育システムが大きく影響しているので、全てが本人の責任ではありません。日本の学校は、事実を淡々と教えるだけだから、身近に感じられないんだと思います。

WWD:どうして日本に戻られたのでしょうか?

haru.:日本のことをもっと知りたかったからです。どれだけドイツの生活になじんでも、見た目は日本人。学校でも日本の代表みたいに扱われて、「ハル、日本はどうなの?」って聞かれることがよくあったのですが、日本の事情を全く知らないから何も答えることができませんでした。そういう経験もあって、「私は日本人だし、日本のことをもっと知りたい」と、日本の大学に行くことに決めました。また、高校までの進路は家族に決定権を握られていた感覚があったため、大学は自分の意思で選択したいと思ってドイツを出ました。

WWD:東京藝術大学を選ばれた理由は何でしょうか?

haru.:「東京」「美大」と検索したら東京藝術大学が出てきたからです(笑)。芸術には興味があって、漠然と「美大に行きたい」と思っていましたが、日本の大学を全然知らなくて、ネットでいろいろと調べていました。その中で、ポートフォリオや論文を提出して受験する「先端芸術表現科」という学科を東京藝術大学に見つけ、作品を創る上での考え方を重視する姿勢に強く共感し、受けることにしました。藝大は両親の母校でもあるんですけど、それは意識せずに選びましたね。

WWD:今年3月に大学を卒業し、 6月にアーティストのマネジメントを行う新会社ハグを設立しました。「ハイアー」を中心にフリーで活動してきましたが、どのような経緯で会社設立に至ったのでしょうか?

haru.:私自身、ハグの親会社であるトリハダから1年ほど前からサポート受けていて、以前よりも制作活動に集中できるようになったことから「アーティストのマネジメントを行うプラットフォームを作ろう」と構想しました。「素晴らしいアーティストをもっと世の中に広めたい」という思いはずっと持っていて、サポートする立場からそれをかなえたいと思ったんです。私から話を持ちかけたところ、トリハダにも共感してもらうことができ、会社単位で取り組む運びとなりました。

新会社ハグの設立に際し、メッセージ動画を公開した

WWD:マネジメントのほか、どのような事業を行うのでしょうか?

haru.:制作事業です。アーティストを抱えたプラットフォームができるので、案件ごとにチームを編成し、クライアントのニーズに応えたコンテンツを企画・制作します。「顔の知れたメンバーで行う」というスタンスは「ハイアー」と変わりませんが、会社として取り組む以上、より社会への作用を念頭に置いて事業に取り組みます。

WWD:「ハイアー」は広告を入れずに制作するなど、商業的な制作物とは一定の距離を保ってきました。会社設立にあたって心境の変化があったのでしょうか?

haru.:「ハイアー」は表現を制限されることを避けるために広告を入れないだけで、広告自体が嫌いなわけではありません。むしろ、世の中に大きく貢献できる可能性を秘める広告は、ずっと作ってみたいと思っていました。そのほかの商業的な制作物も、クリエイターの想像力を生かしながら、本人たちの制作活動も知ってもらうきっかけになります。ただ、広告に限って言えば、もっと同世代を巻き込んで「あっ!」と思わせるものを作りたい。今、世の中に溢れる広告には、私たち世代の考えや生活が反映されていないから、つまんないと思っちゃうんですよね。

WWD:最後に、経営者として、また個人としての今後の目標を教えてください。

haru.:目の前のことにしか打ち込めないので、目標を立てるのは苦手ですが(笑)、経営者としては、周りにいる魅力的なアーティストをより多くの人に知ってもらえるように努めます。個人としては、いろんな人との交流を通じて自分の考えをアップデートすると同時に、その考えを発信することで、社会全体の認識もアップデートできたらいいなと思います。つまりは“社会彫刻”をしたいです。

The post 「雑誌は世界とつながるツール」 「ハイアーマガジン」編集長、haru.が語る雑誌の可能性 appeared first on WWD JAPAN.com.

「一番必要なのは、まず自分が服が好きか、モノが好きか、世の中を商品を通して変えてみたいと思うか」 by 藤巻幸大

藤巻幸大 エス・テ・ス取締役(当時)

 一番必要なのは、まず自分が服が好きか、モノが好きか、世の中を商品を通して変えてみたいと思うか。売れているものよりも売ってみたいものを探すバイヤーが時代を掴んでゆくことをお客さまは望んでいる。(Vol.1059 2001年2月19日)

The WORDS
ファッション業界人の残した名言を日々の糧に。デザイナーやバイヤー、社長、編集長らの心に響く言葉をお届け。

The post 「一番必要なのは、まず自分が服が好きか、モノが好きか、世の中を商品を通して変えてみたいと思うか」 by 藤巻幸大 appeared first on WWD JAPAN.com.

「ディオール」メゾンコード研究 第7回 室内装飾から生まれた“トワル ドゥ ジュイ”

 歴史あるブランドはアイコンと呼ばれるアイテムや意匠を持ち、引き継ぐ者はそれを時代に合わせて再解釈・デザインする。アイコン誕生の背景をひもとけば、才能ある作り手たちの頭の中をのぞき、歴史を知ることができる。この連載では1946年創業の「ディオール(DIOR)」が持つ数々のアイコンを一つずつひもといてゆく。奥が深いファッションの旅へようこそ!

 クリスチャン・ディオール(Christian Dior)は、たくさんの名言を残しているが、「自分自身の個性を反映しない家に住むことは、他人の服を着ているようなものだ」もまた、時代や国境を越えて人の心を打つ言葉である。ムッシュ・ディオールはこの考えをパリ・モンテーニュ通り30番地の「ディオール」初のブティックで有言実行し、自宅と同じように洗練された空間を作り上げた。

 ブティックは個人の邸宅を買い取り1946年12月16日に改装を始め、完成したのは47年2月12日の朝、初のショーの数分前のことだった。ムッシュとともに改装を手掛けた写真家・イラストレーターのヴィクトール・グランピエール(Victor Grandpierre)は室内装飾こそ未経験だったが、ムッシュのインスピレーションを具現化するパートナーとして大切な役割を果たした。ちなみに、そのグランピエールをムッシュに紹介したのは、友人で画家のクリスチャン・ベラール(Christian Bernard)だというから、いつの時代も大きな仕事の肝は美意識を共有する“人と人”であることを知る。

 コンセプトには、フランス語で小間物を意味する“コリフィシェ”を掲げ、ムッシュが愛する“18世紀の装身具店の伝統”を体現した。そこで、象徴的なのが、今回取り上げる柄“トワル ドゥ ジュイ(TOILE DE JOUY)”である。18世紀に誕生した“トワル ドゥ ジュイ”は、草花や神話などの風景が描かれた牧歌的なもの。当時のブティックの写真を見ると、壁や商品を並べる棚、椅子などにこの柄が使われていたことがわかる。ベラールいわく“無秩序に見えて、そこには人生が描かれている”このファブリックは、装飾的ではあるが単色故か不思議と空間に馴染み、ブティックの服に着替えた女性たちの魅力を引き立ててくれる。まさに「ブティックを出た女性が、すっかりドレスアップした装いで、手にはプレゼントも下げて......それが望みだった」と語ったムッシュの夢を実現する室内装飾だったのだ。

 “トワル ドゥ ジュイ”は代々のデザイナーに引き継がれ、マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)=アーティスティック・ディレクターは2019-20年秋冬コレクションでトロピカルな植物と食虫花のモチーフで再解釈した新作を発表し、キム・ジョーンズ(Kim Jones)=メンズ アーティスティック・ディレクターは、2019年春夏のデビューコレクションからコートやインナー、キャップで用いている。

 特筆したいのは、この“トワル ドゥ ジュイ”を用いた“ディオール メゾン(DIOR MAISON)”である。世界4店舗のみで取り扱いがあり、その中には東京のハウス オブ ディオール ギンザも含まれる。食器やホームリネン、ぬいぐるみ、ステーショナリーなどを展開しており、ギフトにも人気だという。まさに、ムッシュが言った「手にはプレゼントも下げて......」の姿が蘇るコレクションである。

The post 「ディオール」メゾンコード研究 第7回 室内装飾から生まれた“トワル ドゥ ジュイ” appeared first on WWD JAPAN.com.

もはや芸術 ローマで体感した「フェンディ」クチュールの凄さ

 「フェンディ(FENDI)」は7月4日、ローマ・パラティーノの丘で2019-20秋冬オートクチュール・コレクションの発表イベントを行った。同ブランドは年1回、パリでオートクチュールを発表しているが、今年は、長年同ブランドのクリエイティブ・ディレクションを手掛けた故カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)に捧げるショーを本拠地であるローマで開催。 “ザ・ドーン・オブ・ローマニティー(THE DAWN OF ROMANITY)”と名付けられた同コレクションでは、カールがメゾンと共に歩んだ54年間にちなむ54体を発表した。ショー後には盛大なガラディナーを開催し、54年間にわたるカールとの協業と「フェンディ」の未来を祝福した。また、同ブランドはこれを機に、ウエヌスとローマ神殿(TEMPLE OF VENUS AND ROME)の修復に250万ユーロ(約3億250万円)を拠出すると発表。15年に完成したトレビの泉の修復に続くローマの遺跡修復への資金提供になる。

 ショーではマッシュルームカットのモデルらが登場。1970年代をほうふつとさせるテーラーリングのパンツスーツやジオメトリックな切り替えを施したドレス、「フェンディ」が持つ職人技を駆使して軽やかに仕上げたファーコートなどを発表した。

 テーマは3つ。カールが生前にクリエイションを共にしたシルヴィア・フェンディ(Sylvia Fendi)=クリエイティブ・ディレクターに渡したという世紀末ウイーンの書籍、イタリア特有の大理石、そして自然だ。大理石の模様はプリントや染め、ファーの加工などさまざまな技法で表現。ドレスやコートに施された麦のモチーフは豊かな自然を表し、ウイーン世紀末の絵画に見られる強い描線をパッチワークのステッチで表した。花弁のようなディテールやモザイクのような刺しゅうなど複雑なデザインを、メイン素材のファーにタフタやシフォンをミックスし軽やかに仕上げている。

 通常重くなりがちな印象のファーを軽やかに見せる「フェンディ」の職人技を翌日、本社で行われたショーピースの展示会で目の当たりにした。ショーはカールへのオマージュだが、受注会を兼ねて1週間一般にも公開される同展は「フェンディ」の未来を象徴するものだ。54体の中には、本社にあったファーやレザーをアップサイクルしたものが3体あった。「フェンディ」では今後もこのような取り組みを継続していくようだ。会場ではファー職人をはじめ、刺しゅう職人などが実際に作業する姿も見られた。本社地下1階がファーとオートクチュールのアトリエになっており、約40人の職人がいるという。

 「フェンディ」が目指すのは、“ファーとファブリックの境界をなくす”こと。デザイナーの想像力とそれをウエアに落とし込む職人のクラフツマンシップの高さの両方がなければ実現できない。ショーピースを間近に見ると、その2つがどれだけ複雑で高度なものかを実感できる。モザイクのように組み合わせて模様を描いたり、紐状にカットして編みこんだり、チュールの上に縫い付けたり、その緻密さは想像を絶するほどだ。通常のウエア以上にデザインにも時間がかかるし、1着完成するのに相当な時間を要するのは明らかで、「フェンディ」のクチュールがハイジュエリーと同じ価格帯だというのも十分納得ができる。世界で一着の芸術品を手に入れたいという富裕層を魅了する「フェンディ」のクチュールの真髄は、カール亡き後もシルヴィア・フェンディと職人たちにより受け継がれていく。

The post もはや芸術 ローマで体感した「フェンディ」クチュールの凄さ appeared first on WWD JAPAN.com.

デザイナーは決まっていない 次世代ブランド「ナンバー」とは?

 「ナンバー(NO.)」は、2018年春夏シーズンからスタートしたユニセックスブランドだ。ドメスティックブランドで営業などを経験してきた一宮武史ディレクターが立ち上げた同ブランドは、ストリートテイストでありながら、どこかクリーンな印象を感じさせるアイテムを主軸にそろえている。

 「ナンバー」の最大の特徴は、デザイン体制の在り方だ。企業としてデザイナーを雇用するのではなく、毎シーズン、一宮ディレクターが設定したテーマに合わせて複数のデザイナーたちを招集。各々がテーマに沿った服を作り上げる。19-20年秋冬シーズンでは“ウエスタン”をテーマに、6人のデザイナーが参加した。「才能と意欲はあっても金銭的な理由などから自身のブランドを持てないデザイナーもいる。そういったデザイナーたちに資金を渡し、工場の選定やデザインなど、ブランドを運営する際に必要な業務を行ってもらっている。『ナンバー』としても、さまざまな意見が飛び交うことで常に鮮度がある提案が可能だ」と一宮ディレクター。同ブランドに参加しているデザイナーの中には、自身のブランドを立ち上げ、成功している者もいるという。

 同ブランドの“才能ある若手を育む”デザイン体制は、海外でも評価されている。2019年春夏シーズンには、コペンハーゲン・ファッションウイークの合同展示会に招待された。高機能なギアウエアが人気の北欧の中でも、「特に若い人たちを中心となって、ブランドのデザインに対するスタンスを支持してくれていた。ブランドを立ち上げるために努力はしてきても、金銭的な理由もあり、なかなかうまくいかないという若手デザイナーの悩みは海外でも同様だ。『ナンバー』が採用しているデザイン体制は多くの人たちに受け入れられるなと実感した」と一宮ディレクターは手ごたえを感じているようだ。

 アイテムの上代(小売価格)を決めていないことも「ナンバー」の特徴だ。同ブランドは卸値のみを設定し、上代は取り扱い店舗が決定する。「上代はブランド側が決めるという業界の暗黙のルールがあり、自分がブランドの営業をしていた際に苦労を感じたこともあった」と説明する。

 「ナンバー」の取り扱い店舗は地方の個店で数店舗と、まだまだ小規模だが、2020年春夏シーズンからは取り扱い先の拡大を目指す。「これまで関わってきたデザイナーの成長や、コペンハーゲンでの反響などを見て、さらにブランドを広げられると感じた。今後はこれからは積極的に営業をかけていき、大手セレクトショップなどにも販路を拡大していきたい」。

The post デザイナーは決まっていない 次世代ブランド「ナンバー」とは? appeared first on WWD JAPAN.com.

グレース・ケリーに捧げた“グレース”バッグも アメリカ老舗のバッグブランドがリブランディング

 「マーク クロス(MARK CROSS)」は1845年に創業したアメリカで老舗のバッグブランドだ。元女優でモナコ公妃として知られる故グレース・ケリー(Grace Kelly)にオマージュを捧げたバッグといえば、「エルメス(HERMES)」の“ケリー(Kelly)”が有名だが、「マーク クロス」にも1954年の映画「裏窓(Rear Window)」に出演するケリーのためにデザインした“グレース(GRACE)”があり、今もアイコンバッグとしてブランドの看板商品で、現在レディー・ガガ(Lady Gaga)をはじめとするセレブリティーにも愛用されている。

 現在、「マーク クロス」はリブランディングを進めており、今年から「シャネル(CHANEL)」や「エルメス」「カルティエ(CARTIER)」「セリーヌ(CELINE)」などで経験があるデザイナーのペギー・ウィンキン(Peggy Huyn Kinh)をクリエイティブ・ディレクター・コンサルタントとして迎えた。2020年春夏シーズンには新たなコンセプトを取り入れたコレクションを発表する。

 日本では2018年春夏からブルーベル・ジャパンが「マーク クロス」の独占輸入販売権を取得し、本国と共にビジネスプランを立てている。来日したウルリック・ガールデ・デュエ(Ulrik Garde Due)マーク クロスCEOにリブランディングやバッグ市場の傾向について聞いた。

WWD:ブランドの魅力は?

ウルリック・ガールデ・デュエ=マーク クロスCEO(以下、デュエ):1つ目はアメリカで最古のラグジュアリーアクセサリーであり、美しい歴史を持つこと。1845年の創業は、「エルメス」(1837年創業)の8年後、「ルイ・ヴィトン」(1854年創業)より10年前のことだ。1920~30年代はブランドの歴史の中で重要な時代で、経営者のジェラルド・マーフィー(Gerald Murphy)と妻のサラ(Sarah)はアメリカ人として初めて南仏・コートダジュールに移住した夫妻で、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)やアーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Hemingway)、フランシス・スコット・キー・フィッツジェラルド(Francis Scott Key Fitzgerald)といった一流のアーティストや文化人たちと交流していた。そうした人たちとのコネクションがブランドの歴史にも刻まれている。2つ目は、グレース・ケリーとの関係だ。54年に映画監督のアルフレッド・ヒッチコック(Alfred Hitchcock)から映画「裏窓」に主演するグレース・ケリーのためのバッグを作ってほしいと依頼され、“グレース”シリーズやボックスバッグが誕生した。

WWD:現在の顧客層とターゲットは?

デュエ:ラグジュアリーブランドにおけるターゲット層に年齢は関係なく、お客さまのライフスタイルによって区切られていると感じる。「マーク クロス」の顧客は、クラフツマンシップや品質の高さを重視し、タイムレスなスタイルや、美しく洗練されたものを好んでいる。特に重要なのが、オーセンティック(本物)であるということ。お客さまは製品がどこで生産されたのかということ、そしてブランドの世界観などを知りたいと思っている。「マーク クロス」の全商品がイタリア製で、卓越した職人技によって生み出されていることと、ブランドのストーリーや歴史を、現代のお客さまに合わせた方法で伝えなくてはならない。

WWD:リブランディングの計画を教えてほしい。

デュエ:社内にデザインチームがあるが、1月からクリエイティブ・ディレクター・コンサルタントとして、べギー・ウィンキンを起用している。代表的な“グレース”バッグもモダンなデザインで発表していく。また、ユニセックスのトラベル・コレクションも発表する予定だが、これは今後ブランドの重要な商品になっていくと思う。また、「マーク クロス」は紳士向けのカバンからスタートしたブランドなので、あらためてメンズバッグにも力を入れていきたい。

WWD:メンズバッグの強化策は?

デュエ:まだ2シーズン前にメンズを復活させたばかり。現状のビジネスは全体の10%も満たないが、この5年間で約40%に成長させたいと考えている。このリブランディングで現代の若い男性に向けた商品も拡充する。今のビジネスパーソンは、皆がオフィスで働いているわけではなく、ノマドワーカー(働く場所を自由に選べる人)もいる。それは10年前とは全く異なっていて、機能性が求められている。例えば、ジム用のスポーツウエアからデジタル機器までが全て収まるバッグが必要だ。

WWD:今後の出店計画は?

デュエ:9月にはニューヨーク・マディソン街に初の路面旗艦店を開く予定だ。バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)の向かいでとてもいいロケーション。内装は、バッグの裏地として使用している赤に加えて、緑をキーカラーにする。今後3〜5年間で、アメリカ、ヨーロッパ、アジアと新コンセプトを取り入れた店舗を出店していく。またポップアップストアも計画中だ。1920〜30年代にマーフィー一族がアート界と深いつながりがあったように、2020年らしい表現で「マーク クロス」とアートを融合させていく。実験的で面白い方法でお客さまにブランドの世界観を伝えてたい。9月にはアーティストコラボレーションの“アーティスト・イン・レジデンス”をスタートさせ、世界中のアーティストに協力していく。もちろん、日本のアーティストにも参加してもらいたいと考えている。

WWD:世界的にキャッシュレス化が進み、財布も小型化し、スモールバッグが売れていると聞くが、「マーク クロス」もそのような傾向はあるか?

デュエ:バッグの需要は両極化していると思う。スマートフォンと口紅がちょうど入るぐらいの小さなバッグか、パソコンやタブレットを入れられるワーキングバッグを求めている人が多くいる。それゆえ、その間の中途半端なサイズでは好まれない。20年春夏の最新コレクションでは、その両方のニーズに応えた新たな“グレース”シリーズとトラベルコレクションが登場するので、楽しみにしていてほしい。

The post グレース・ケリーに捧げた“グレース”バッグも アメリカ老舗のバッグブランドがリブランディング appeared first on WWD JAPAN.com.

世界40カ国で販売 日本生まれの快適ブラ「スロギー ゼロフィール」がヒットしたワケ

 “快適”をキーワードとするブラジャーが市場を席巻するようになって久しいが、その流れのきっかけを作り、市場を牽引してきたのが、トリンプ・インターナショナル・ジャパンが展開する「スロギー(SLOGGI)」と言える。同製品の「きもちよすぎースロギー」という印象的なコピーのCMを記憶の方も多いだろう。

 そもそも「スロギー」は1979年、快適なショーツブランドとしてドイツで誕生した。その後86年に日本に上陸し、2008年に伸縮性に優れた生地と接着技術を利用した、縫い目のないショーツを日本独自規格として発売。このショーツの技術をブラジャーに応用しようと研究開発を重ね、13年に接着面も伸びる特殊な製法を用いたハーフトップブラが完成。これが、累計620万枚(19年5月末現在)の大ヒットとなる「スロギー ゼロフィール(SLOGGI ZERO FEEL)」の誕生だ。その後3年で日本における「スロギー」の売り上げは約20倍に達し、16年以降は販路も拡大。18年の売上高は16年に比べて40%増を実現した。

 最近は「スロギー」同様に、伸縮性のある素材を使用し、接着技術で仕上げたハーフトップ&ショーツが数多く発売され、安価な類似製品も出回るようになった。そんな他社製品との違いについて、河野智美スロギー事業本部プロダクト&マーチャンダイジング部マネジャーは「切りっぱなしでもほつれたりカールしたりせず、縦横斜めに自在に伸びる生地のクオリティー、テープを使わない接着によるフラットな仕上がり、接着部分も生地と同じように伸縮する技術、それらには自信を持っている」と胸を張る。また、サイズ展開もブラサイズごとのフィッティングチェックを行ったり、新製品でアンダーを調整できる2段4列のフックアイを採用するなど、さらなる着用感の向上にも取り組んでいる。

 このようなコンフォートブラ市場の今後について、中井直スロギー事業本部長は「快適であることは最低条件であり心地よくて当たり前。今後は快適+αとなる“α”の提案が細分化していくだろう。価格競争が激化していることは承知しているが、われわれは価格ではなく革新性と技術力で勝負していく。お客さまが求める” α”に最初に応えるブランドでありたい」と語る。

 13年に日本で誕生した「スロギー ゼロフィール」は、18年3月にヨーロッパで発売開始され、現在約40カ国で販売されている。「ヨーロッパ、アジア共に発売後2カ月で一時品切れが出るなど想像を超える売れ行き。20年には日本以外の販売量が日本を超える見込みだ」(中井直スロギー事業本部長)。河野マネージャーはその状況を「世界中の人がこんなに“快適”を求めているとは想像していなかった。スロギー ゼロフィールはグローバル展開となったが、感性的にも技術的にも高いレベルで打ち出していくことに変わりはない」と、冷静に物作りを追求する。

 6月27日はスロギー公式オンラインストアがオープンし、今後は直営店のオープンやポップアップストアの展開も予定している。「デジタルのメディア戦略を強化し、20〜30代、さらに10代にもアプローチしたい。面白いと思ってもらえるコンテンツをそろえて仕掛けていく」と中井直スロギー事業本部長。日本の物作りの技術とマーケティング力でさらなる飛躍を狙う。

川原好恵(かわはらよしえ):ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルスの分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

The post 世界40カ国で販売 日本生まれの快適ブラ「スロギー ゼロフィール」がヒットしたワケ appeared first on WWD JAPAN.com.

文化学園新理事長が語る 2023年の創立100周年に向けた新しい学校像とは?

 1923年に創立されたファッション教育の伝統校である文化学園は文化ファッション大学院大学学長、文化学園大学学長などを務める濱田勝宏氏が4月1日に理事長に就任して、次代の学校像を構築中だ。濱田理事長は文化学園で約50年のキャリアがあり、特に大学の発展に尽力した。若者のファッション離れ、少子化などファッション教育機関が直面する難局にどう対応していくのか。文化学園が進む新時代への抱負を聞いた。

WWD:約50年の長いキャリアとともに文化学園の発展を見てきた濱田理事長は、全体を統括するトップとして適任のようだ。

濱田勝宏・文化学園理事長(以下、濱田):適任かどうかは分からないが、大沼淳・前理事長から役職引き継ぎのお話をいただき、熟慮の末、大役だが期待に応えて恩返しをしたいと思って引き受けた。私はこれまで大学運営に仕事の軸足を置いていたので、文化学園全体の動きについては十分把握していない点もある。理事長に就任以来、私の環境はそれまでと比べて大きくと変わった。今勉強中の部分もある。

WWD:文化学園の現状は?

濱田:少子化、若者のファッション離れ、ファッションに対する捉え方の移り変わりを実感している。現在の学生数は約8000人。ピーク時は1万人以上が在籍したこともあるが、この2~3年は横ばいから少し上向いてきた。一つの特徴は、外国人留学生が増加して全体の約20%に達していることで、40カ国以上から留学生を受け入れているが特に中国人の学生が多い。留学生の獲得に対して積極的なPRは行っていないが、卒業生が受ける高い評価が口コミで広がっているようだ。ファッション業界はグローバル化が拡大しており、国際的な人材確保が企業の活性化につながっている。日本と母国の架け橋となって活躍している卒業生が多く、グローバルな人材育成は今後も力を入れたい。

WWD:グローバリゼーションは、文化学園が掲げるキーワードの一つだ。

濱田:キーワードとして掲げるクリエイション、イノベーションと並んで、国際社会で認められる研究・教育環境を整えていくグローバリゼーションは一番の柱であり、このグローバル化時代の大きな潮流にどう対応するかは差し迫った課題だ。国際交流センターでは14カ国46校におよぶ海外提携校との学術・文化交流、留学生・留学希望者のサポートなど国際的な関係拡大を長年にわたり積み重ねており、国際ファッション工科大学連盟(IFFTI)の国内唯一の加盟校となっている。この多様性が文化学園を支えている。今後は、国際的に存在価値のある学校に発展しなくてはいけない。国内だけでなく、“世界の文化学園”と言われるように努力したい。

WWD:“世界の文化学園”になるための施策は?

濱田:これまで積み重ねてきた歴史を振り返り、未来を模索していくこと。その一つの節目としてターゲットにしているのが、文化学園が創立100周年を迎える2023年。文化学園の強みは、100年の重い歴史を乗り越えてきた英知の上に築かれている。創立100周年を単なるお祝い事で済ませることなく、文化学園の新しい歴史をつくる区切りの年としたい。まだ抽象的だが、時代にそぐわないしくみや制度があれば見直したい。大学と専門学校との連携、短期大学の独自の在り方、産業界とのつながりや社会貢献など、まだ議論の余地が残されていることがたくさんある。変化する時代の中で求められるのはどんな人材なのか。閉塞感があるファッション界や学校の環境を変えていくには相当な改革が必要だ。今の仕組みやプログラムを幅広く特色あるものに改善していくことが先決だと思う。制度を変えるのでなく、今持っているポテンシャルをどう引き出すかが重要だ。そして、文化学園全体の総合力を強めていくこと―それが私の使命だ。

The post 文化学園新理事長が語る 2023年の創立100周年に向けた新しい学校像とは? appeared first on WWD JAPAN.com.