そんなこと、言われなくてもわかってるよ!とお叱りを受けそうですが、ECをとにかく伸ばさなきゃと考えている方には、P.11の「ANAP」の事例に書いてある「CPA(Cost Per Action=一人当たりの顧客獲得単価)的に考えると、実はリアル店舗は非常に効率がいい」というのが、何かのヒントになるのかなと思います。
DAVID FISHER / SHUTTERSTOCK (c) FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
Celine Dion out and about in Vetements
素晴らしいユーモアのセンスを持ち併せた10代の女の子のような装いだ。このスタイルは彼女自身を引き立てているだけでなく、“I Love Paris Hilton”と書かれたTシャツと、あの“Heart of the Ocean”(映画・タイタニックに登場する“碧洋のハート”)のネックレスでコミカルな要素もプラスしている。完全にジョークのノリだ。
MOHAMMED MOSTEGHANEMI / SHUTTERSTOCK (c) FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
中川綾太郎 : 1988年生まれ、兵庫県出身。2012年にキュレーションメディア「メリー」運営会社のペロリを創業、14年にディー・エヌ・エーに事業を売却。投資家集団「Tokyo Founders Fund」に所属するなど、個人投資家としても活動。バルクオムやyutoriなど、国内約60社のほか、海外スタートアップ約20社に投資。17年にnewnを創業 PHOTO : YUTA KONO
近年、ファッション業界外の人物たちによるアパレル参入が加速している。キュレーションメディア「メリー(MERY)」運営会社のペロリ創業者で個人投資家の中川綾太郎もその一人だ。中川氏は2017年に自身の会社newn(ニューン)を設立。身長155cm以下の女性がターゲットの「コヒナ(COHINA)」や、リングブランドの「エラー(ERR.404.OR)」など、複数のD2C(Direct to Consumer)ブランドを運営している。なぜ、中川代表はnewnを創業し、D2Cビジネスに参入したのか?その理由に迫る。
近年の消費者意識の変化には所有意欲の低下とサステイナビリティーに対する関心向上という2つの大きなトレンドがある。不要な購入はせず衣服を長く愛用することに消費者の意識が向く中で、米国では「レント・ザ・ランウェイ(RENT THE RUNWAY)」、日本では「エアークローゼット(AIRCLOSET)」などのレンタルサービスが台頭してきている。イタリア発のラグジュアリーレンタル「ドレクスコード(DREXCODE)」もその1つだ。ヴァレリア・カンブリア(Valeria Cambrea)=ドレクスコード共同創設者兼セールス部門長は「レンタルは所有できないものを欲することではなく、賢い選択と捉えられている」と語る。
3つのテーマで提案。1つ目のテーマは“ラグジュアリートリップ”で、セレブリティーの機内のリラックススタイルを表現する。ブルゾンやフード付きのムートンコートなど、カジュアルに着られるファーアイテムを強化する。2つ目のテーマは“Every day I like”。トラッドをベースにストリートウエアの要素を取り入れ、スポーティーにキレイに着こなせるコーディネートを提案する。3つ目は“ドゥーズィエム クラスのベーシック”。ダブルフェースのコートやニットなどベーシックなアイテムが並ぶが、素材の光沢感を生かして女性らしいつやっぽいアイテムに仕上げた。いずれもカラーパレットはベージュからブラウンが基調。
キュレーターは人気のイベント「東京アートブックフェア(TOKYO ART BOOK FAIR)」の仕掛け人で、洋書のアートブックを中心に取り扱う書店ポスト(POST)の代表の中島佑介さんと、出版社のトゥエルブブックス(twelvebooks)の代表を務める濱中敦史さんの2人です。オープン直後は60以上の出版社から200種類近いアート本や写真集、「東京アートブックフェア」の出展ものから選ばれたZINEが並んでいます。
ちなみに、次欲しいのは「シャルロット シェネ(CHARLOTTE CHESNAIS)」のピアス。将来頑張って手に入れたいのは「マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤック(MARIE HELENE DE TAILLAC)」と「タサキ(TASAKI)」です。値段を見るたびにケタを数え直すので、粛々とお仕事頑張ります。
ECサイトの構築を軸にしたブランディングエージェンシーのフラクタは、7月29日から新しい受注形態「One by One(ワン・バイ・ワン)」を開始する。人月による定額制で契約し、契約期間内であれば提供するサービス内容を柔軟に変更可能、という内容だ。これまでの受注形態とはどんな点が異なり、ユーザーにはどのようなメリットがあるのだろうか。サービスを考案した村中花梨ブランドストラテジックプランナーと入江功テクニカルディレクターに、その狙いを聞いた。
「タカヒロミヤシタザソロイスト.」2020年春夏パリ・メンズ・コレクション PHOTO : KIM WESTON ARNOLD「タカヒロミヤシタザソロイスト.」2020年春夏パリ・メンズ・コレクション PHOTO : KIM WESTON ARNOLD「タカヒロミヤシタザソロイスト.」2020年春夏パリ・メンズ・コレクション PHOTO : KIM WESTON ARNOLD「タカヒロミヤシタザソロイスト.」2020年春夏パリ・メンズ・コレクション PHOTO : KIM WESTON ARNOLD
「サカイ」2020年春夏パリ・メンズ・コレクション PHOTO : KIM WESTON ARNOLD「サカイ」2020年春夏パリ・メンズ・コレクション PHOTO : KIM WESTON ARNOLD「サカイ」2020年春夏パリ・メンズ・コレクション PHOTO : KIM WESTON ARNOLD「サカイ」2020年春夏パリ・メンズ・コレクション PHOTO : KIM WESTON ARNOLD
阿部千登勢が手掛ける「サカイ(SACAI)」は安定したコレクションを見せた。映画「ビッグ・リボウスキ(原題:THE BIG LEBOWSKI)」からインスピレーションを得て、フォーマルなテーラードからカジュアルなスポーティーまで、アイテムだけではなくスタイルもハイブリッド。プレスとバイヤーの両方から支持を得たようだ。米雑誌「エスクァイア(Esquire)」のジャーナリストはショー直後に「白黒のゼブラ柄、森林のタペストリー、境目があいまいなイブニングジャケットなど異なるスタイルが混在していたが、最終的にはまとまりがあり、新鮮さを感じる内容だった」とコメントした。英百貨店セルフリッジ(SELFRIDGES)のメンズバイヤーは「彼女のメンズとウィメンズに共通する明確なビジョンとディレクションがコレクションに表れていた。さまざまなテーマがミックスされた今季は『サカイ』ファンを満足させながら、新たな客層にもアプローチできそうなアイテムが並んでいた」と満足気に会場を後にした。
ハワイ発の天然ゴムを使ったビーチサンダルブランド「ハイアン(HAYN)」は8月13日まで、同じくハワイ発の水着ブランドの「イーラ スイム(ILA SWIM)」とファッションブランドの「ジグオンスミス(SIG ON SMITH)」とコラボレーションし、全国5都市を巡回するポップアップストアを開いている。
「イーラ スイム」はネットフリックス(NETFLIX)のリアリティー番組「テラスハウス アロハステート(TERRACE HOUSE ALOHA STATE)」に出演したロコガール、エビアン・クー(Avian Ku)が2017年にスタートした。水着を主軸に、Tシャツやキャップなどのカジュアルアイテムをデザインしている。
エビアン:「ハイアン」の創業者であるデイヴィッド・リン(David Lin)さんに誘っていただき、ハワイ出身の3ブランドでビーチウエアを中心としたサマーコレクションを作りました。ビビッドカラーのTシャツからベーシックなバッグ、キャップやビーチサンダルなどそろっています。サンダルなどに使用した柄は「ジグオンスミス」が得意とするハワイの植物柄にこだわっていて、実際に模様に取り入れる葉っぱをハワイ島に取りに行きました。「イーラ スイム」のグラフィックは私が担当しています。特に“TAKE GOOD CARE ” (大切にしてください)というロゴを入れたバッグやポーチがお気に入りです。クリアバッグはビーチにもフェスにも、普段使いにもオススメです。
「ジュンの縁日」、私も遊びに行ってきました!お目当ては「ハーゲンダッツ(HAAGEN-DAZS)」と「アダム エ ロペ(ADAM ET ROPE)」の可愛いコラボTシャツ……ではなく、「キャッシュレス決済」を体験すること。ITベンチャーに勤める身として「キャッシュレス」「QRコード決済」といったワードには敏感なので、見逃せませんでした。
隈研吾がサカナクションの山口一郎と森永邦彦「アンリアレイジ(ANREALAGE)」デザイナーと協業した展覧会「more than Reason 隈研吾+山口一郎(NF/サカナクション)+森永邦彦 (ANREALAGE)展」が9月24日まで、東京都京橋LIXILギャラリーで開催されている。意味や解釈、理屈を超えた体験を作ることを目指した同展は、建築とファッションの融合した作品を展示している。さらに会場には、山口一郎が3人の紡ぎ出した言葉を偶然を利用した手法で俳句にし、それに紐付いた”建築””ファッション””音楽”の断片を切り抜いて制作した音源も用意する。
《アイリーン・グレイの家(ル・コルビュジエ設計とされていた) 》Eileen Grays haus (le Corbusier zugordnet)
2007 + 17.3.2019, oil on canvas, 70 × 92cm
(c) Miriam Cahn, courtesy WAKO WORKS OF ART
1969年に「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」が誕生し、今年で50年を迎える。クリエイションでもビジネスでも常に新しさを探求し、“これまで存在しなかった服”を生み出し続ける唯一無二の存在だ。コレクションの方向性の変化やブランドとしてのさらなる挑戦など、米「WWD」がイサム・ノグチ賞受賞式に出席した川久保玲にインタビューを行った。
カウズ:一切ないんだ。物事に対しては常にオープンマインドでいる必要があって、ある状況でいいものが別の状況でもいいとは限らないからね。面白いのは、君が言うように僕はこれまでブロンズやウッドをメインの素材にずっと制作してきたから、空気で膨らませるバルーンタイプの作品は“ズル”だと思っていた。でも、2012年に百貨店のメイシーズ(Maysy’s)が毎年行っている感謝祭パレードのためにバルーンタイプのコンパニオンを制作したとき、とても効果的な手法だと思ったし楽しかったんだ。その翌年にも、「MTVビデオ・ミュージック・アワード(MTV VIDEO MUSIC AWARDS)」で同様に18mのコンパニオンを手掛けたんだけど、一晩のイベントなのに設置がとにかく大変で、それだけで丸々2日もかかったにもかかわらず、利点のほうが多いと感じたのさ。
審査基準の全項目で満点を叩き出したのは「サカイ(SACAI)」でした。用意されていたのはパリにあるケータリング会社のテス・アン・キュイジーヌ(TESS EN CUISINE)によるオーガニック食材のみを使用した食事です。一口サイズのクラッカーの上に、野菜などのペーストがのったフィンガーフードが5種類ほどと、ヨーグルトやチョコブラウニーが並んでいました。同ケータリング会社は旬の食材を使った創作料理が評判で、「バルマン(BALMAIN)」や「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」なども顧客に抱えています。
審査基準の全項目で満点を叩き出したのは「サカイ(SACAI)」でした。用意されていたのはパリにあるケータリング会社のテス・アン・キュイジーヌ(TESS EN CUISINE)によるオーガニック食材のみを使用した食事です。一口サイズのクラッカーの上に、野菜などのペーストがのったフィンガーフードが5種類ほどと、ヨーグルトやチョコブラウニーが並んでいました。同ケータリング会社は旬の食材を使った創作料理が評判で、「バルマン(BALMAIN)」や「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」なども顧客に抱えています。
リンドン・コーマック共同創設者(以下、リンドン):「カウズ:ホリデイ」を手掛けている香港のクリエイティブスタジオ、オール ライツ リザーブド(All Rights Reserved)の存在は元々知っていたんだけど、彼らから「(過去の「カウズ:ホリデイ」は)都心での開催が続いていたけど、次は富士山の麓で開催する。興味はないか?」というアプローチがあった。「ハーシェル」はトラベルやアドベンチャーを背景にしているブランドだし、アートや建築、ストリートカルチャーともつながりが深いから、街から自然の美しい場所に移動してイベントを開催することにとても共感したんだ。
学生時代から東コレを追っかけ、気がつけばストーカー歴早6年。メルセデス・ベンツ(MERCEDES_BENZ)、アマゾンときて「次はグーグル(GOOGLE)では!?」と勝手に予想していたのですが、見事に外れました……。グーグルは東コレのメーン会場、渋谷ヒカリエのご近所、渋谷ストリームに入居するし「Google Pixelでランウエイ撮っちゃおうキャンペーン」とか良いのでは!?という、超超安直な考えです(笑)。スタートアップ支援の取り組み「Google for Startups Campus」も開設予定だし、ベンチャーに身を置くものとしては小売なり生産なりデータ解析なり、イケてるスタートアップと若手ブランドが協業したら面白いのかもと思ったり。そもそもグーグルが、ファッション的なイメージを必要としているかはわかりませんが(笑)。
2回目は、2000年5月。彼女がハーバード大学デザイン大学院(HARVARD UNIVERSITY GRADUATE SCHOOL OF DESIGN)からの賞を受賞し、当時メトロポリタン美術館(METROPOLITAN MUSEUM OF ART)のコスチューム・インスティチュート(COSTUME INSTITUTE)の研究休暇中であったハロルド・コウダ(Harold Koda)によってオーガナイズされたイベントのためにマサチューセッツ州ケンブリッジを訪れた時だった。その時の彼女は1回目とは異なり、距離を置いた感じだった。
東京・表参道のジャイル ギャラリー(GYRE GALLERY)はリニューアル第2弾のイベントとして編集者の野村訓市が企画した写真展「LOOKIN THROUGH THE WINDOW」を7月20日〜8月30日に開催する。同展のテーマは“20代、30代、40代の世代を代表する写真家が表現したファッションフォトの今”で、各世代を代表するファッションフォトグラファーが撮り下ろした作品を展示する。
■LOOKIN THROUGH THE WINDOW
日程 :7月20日〜8月30日
時間:11:00〜20 :00
場所:GYRE GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 3階
ほかには(6月24日に発売されたテニスコレクションでも使用した)“ドープダイ・テクノロジー”。糸にする前のペレットの段階で染色することで節水できるの。(海洋環境保護団体の)パーレー・フォー・ジ・オーシャンズ(Parlay For The Oceans)と組んで、海に流入する前のプラスチック廃棄物を海岸や海沿いの地域で回収し、それをアップサイクルして生まれた糸を使った商品も気に入っているわ。50年には海洋生物よりもプラスチックが多くなるといわれているから、今重視しなければいけないのは海。実は、海は熱帯雨林より酸素を放出しているといわれていて、地球上の酸素の多くは海藻や海洋生物から生み出されているのよ。だからこそ何とかしなければいけない。
カーンズ=アディダス戦略構築担当兼副社長は「廃棄物削減に向け、当社はまずアップサイクルされたプラスチック廃棄物を用いた製品開発に取り組み、すでに海洋プラスチックゴミを利用して新しい商品を作るサプライチェーンを構築した。24年までにバージンポリエステルの使用は廃止することをすでに発表しており、これは“made with repurposed plastic(再利用プラスチック原料による生産)”というコンセプトに基づくもの。次の挑戦は廃棄の概念をなくすことだ。今回の発表は新たなコンセプト、“Made to be Made(再生を前提とした生産)”、“Made to Biodegrade(生分解性を踏まえた生産)”を示すものだ」。
日本各地の作家の器や作品を集めたセレクトショップである雨晴(AMAHARE)の姉妹店が春に、六本木ヒルズ内ヒルサイドのgギフト アンド ライフスタイル(g GIFT AND LIFESTYLE)内にオープンした。インショップ名は「クロ 雨晴 フォー g(KURO AMAHARE for g以下、クロ雨晴)」で、その名の通り黒を中心にしたテーブルウエアや花器などを展示販売している。同店舗のプロデュースは雨晴の金子憲一店主兼ディレクターが担当。金子ディレクターが雨晴の商品の仕入れで築いた日本各地の作家とのネットワークを生かした店舗だ。最近、日本人の作家による作品を展示販売する店舗はたくさんあるが、各地の作家から信頼を得ている金子ディレクターが訪問すると、通常バイヤーに見せる場合よりも多くの作品を見せる作家もいるそうだ。彼に「クロ雨晴」のコンセプトや背景について聞いた。
一つの道を究めた者にしか見えない世界がある。卓越した技術を磨き続ける職人の、研ぎ澄まされた感覚や特異な観点にはたびたび感銘を受ける。パリを拠点にハットクリエイターとして活動する日爪ノブキは、まさにそうした一人だ。彼はフランスのラグジュアリーブランドと言われて誰もが思い浮かべるトップメゾンのハットや、ヘッドピースを制作するメーカーに約8年勤め、自身のメンズ帽子ブランド「 ヒヅメ(HIZUME)」を今年スタートさせた。彼を職人と呼ぶのは筆者だけではない。フランス文化の継承者にふさわしい高度な技術を持つ職人に授与される称号「フランス国家最優秀職人章(Meilleur Ouvrier de France以下、M.O.F.)」を受章した、フランスが認める正真正銘の職人というわけだ。「M.O.F.」は日本の重要無形文化財(通称、人間国宝)認定制度に相当するといわれており、3~4年ごとに行われる審査では、各部門の出場者が3年ほどの期間をかけて技術を競い合う。帽子職人部門での受章は日爪が日本人初となる。同氏は「最高のクリエイターは最高の職人であるべき、という信念を持っている。『M.O.F.』にエントリーしたのは、その信念が机上の空論ではないことを証明するため」と振り返る。最終的な夢が何かを問うと「ばかげていると思うかもしれないが、全人類に帽子をかぶせるという“人類帽子計画”の実現。それは、僕が作る帽子に限ってという意味ではなく、極論を言うと葉っぱだろうが何でもよくて、帽子をかぶる文化をもう一度取り戻すことが夢だ」。大それた野望に聞こえるが、いたって真剣である。彼のこれまでの軌跡と見据える世界を聞くと、それが不可能な夢ではないように思えた。
文化服装学院時代に装苑賞にノミネートした作品
ハットに人生を捧げる彼だが、当初の夢はファッションデザイナーだった。滋賀県で生まれ育ち、大阪の大学へ進学すると、大学4年時に上京して文化服装学院に入学した。「ウィメンズの洋服以外は、全て邪道だと思っていた」と語るように、ハットには見向きもせず、コンセプチュアルでユニークな作品を制作してはコンテストに応募し続けるという学生時代を過ごした。「装苑賞」への2度のノミネートや、その他多くのコンテストでの成果がきっかけでイタリアの雑誌にも掲載され、伊アンダーウエアメーカーから「自身のブランドをやらないか」とオファーが届いた。現地に渡って経験を積み、1年後にビザの関係で帰国が決まったものの、転機が訪れる。「帰国前日に、日本のプロデューサーから『ブロードウエイミージカルの日本公演のためにヘッドピース制作を担当してくれ』と依頼された。帰国後の明確な計画はなかったため、深く考えずにプロジェクトを引き受けた」。作品は本国アメリカではヒュー・ジャックマン(Hugh Jackman)が主演を務めて「トニー賞」を受賞したミュージカル「ボーイ・フロム・オズ(原題:THE BOY FROM OZ)」で、日本では坂本昌行主演で大ヒットとなった。ハットやヘッドピースの制作は初めてだったにもかかわらず、舞台に携わる一流のプロフェッショナル全員から作品を称賛されたという。周囲に才能を見いだされ、その後も舞台を中心にハットクリエイターとして活動を続けたが、本人はまだ洋服のデザイナーに未練があり、絶えないオファーとは裏腹に葛藤を抱えていた。
佐藤:インターネットでヨーロッパのモデル事務所を探して、主だった事務所にはすべてオーディションを申し込みました。しかしレスポンスがなく、唯一返信が届いたのがドイツのモデル事務所。6月初旬、20年春夏パリ・メンズ・コレクションの時期が近づいてきたので、まずパリに向かい、ドイツのモデル事務所のオーディションを受けようと思ったのですが、飛行機のトランジットで降りた中国でメールを見ると、「不合格です」という断わりの連絡が届きました。パリに着いたものの、コネもアテもない状況です。街を歩いていたモデルの後ろにくっついて、いくつかのブランドのオーディション会場に潜り込みました。世界から集まったモデルたちの中だと私の身長(184cm)は低い方で、みんな私よりスタイルがよく、個性豊かで圧倒されましたが、一方で“私は私。落ち込むことはない。自分らしさを出して勝負するしかない。ベストを尽くしてダメなら仕方がない”と強い気持ちになりました。最初のオーディション会場で、ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries van Noten)に声を掛けられたことに勇気づけられ、“自分もできる”という自信につながりました。あらかじめリストアップしていたモデル事務所数カ所に飛び込み訪問を始めました。もともと所持金は航空チケット代も含めて30万円で、ダメならすぐ帰国しようと思っていましたが、その1軒目に向かったバナナモデルズ(BANANAS MODELS)が希望者が誰でもオーディションを受けられる“オープンコール”の日で、そこで思いがけず契約できました。複数のモデル事務所を回る覚悟だったので、1軒目で契約できたことは幸運でした。翌日からオーディションを受けまくって、6ブランドを訪問した日もあり、全部で30ブランドほど回りました。
7月は1年でもっともお祭りが多い月だそうで、東京では隅田川花火大会、京都では祇園祭、新潟では「フジロックフェスティバル(FUJI ROCK FESTIVAL)」が開催される。今年の「フジロック」は26〜28日に開催されるが、北陸地方の梅雨明け予報は27日以降と、もともと悪天候で知られる「フジロック」だがすでに3日中2日の悪天候がほぼ決定。例年にも増してハードなシーンが想定される。そこで、例年参加の編集担当が「フジロック」を少しでも快適に乗り切るためのおすすめマストアイテムをセレクト。アウターからフットウエア、アクセサリーまでをレコメンドする。
“あらゆる環境に対応するギア(ALL CONDITIONS GEAR)”の頭文字を冠したナイキ(NIKE)が展開するアウトドアライン「ナイキラボ ACG(NIKELAB ACG)」は、昨年の旧ロゴ復活以来旬の要素と古き良き90年代のアウトドアシーンのデザイン性をいい塩梅にミックスしていると人気が再燃。“パッカブル HD ジャケット(PACKABLE HD JACKET)”は現代的シルエットだが、胸元のカラーブロックにどこか懐かしい雰囲気が感じられる。その名の通り折りたたんで収納でき、カラビナ付きなので持ち運びも便利。しかもカラビナは胸ポケット内に装着することができ、小物などの紛失が心配な方はカラビナに小物を取り付けることもできる。
近年ファッションカテゴリーで破竹の勢いを見せる「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」だが、やはりブランドのDNAはアウトドアにありーーということでパンツと合わせて本格的なアウトドアフィールド用のセットアップをご紹介。“ゴアテックス”の防水・透湿セットアップとは思えないほどコンパクトに畳めて、パンツは裾が大きく開くファスナー仕様となっているので、急な雨でもブーツやスニーカーを履いたまますぐに着用できる。「ザ・ノース・フェイス」の鉄板カラーリングの4色で展開され、最早着ているだけでかっこいい一品だ。
今野直隆率いる東京発ストリートブランド「マジックスティック(MAGIC STICK)」と、“プラスONE機能”をスローガンに掲げ今年スタートしたばかりの無地Tシャツブランド「フォースアベター(FORCE A BETTER)」から、“コーデュラ(CORDURA)”製の2枚組コラボパックTが登場。“コーデュラ”とはナイロンの7倍近い強度を持つ耐久性に優れた繊維で、今作は通常のコットン生地に“コーデュラ”を織り込むことで、摩擦や引き裂きに強いものに。また、パックTというと大抵シンプル&同一デザインだが、フロントに「マジックスティック」のロゴを配したものと、バックに“MAGIC STICK”と“CORDURA”の文字が大胆にプリントされた2モデルが1パックになっている。耐水性もあるので、担当編集は着用しての参戦を予定している。
ここ数年、野外フェスの足元をサポートするフットウエアとして急速に市民権を得ている「サロモン(SALOMON)」。その中でこの“アウトパス プロ ゴアテックス(OUTPATH PRO GORE-TEX)”はなじみがないかもしれないが、見て分かる通りアッパーが足首まであるつなぎ目のない構造なので、土や砂の侵入だけでなく足首の捻りも防ぐ。ハイキング用のハイカットモデルだが重さは約400gと、長時間歩き回る「フジロック」でも快適に過ごせる一足に。
悪天候や標高の高さからくる冷えにどうしても注意がいきがちな「フジロック」だが、開催時期が夏真っ盛りの7月下旬ということを忘れてはいけない。いくら悪天候の多い「フジロック」とはいえ、晴れた日は気温30度を超え、毎年日焼けに悩まされるほど紫外線も強い。「ナイキ(NIKE)」のネックフラップ付きキャップは顔と首をしっかりカバーでき、スポーツブランドのキャップということで速乾性とストレッチ性も◎。そして肝心のネックフラップは取り外すこともできる。先に紹介した“パッカブル HD ジャケット”と相性がいいので、合わせてチェックしてほしい。
ワインを片手に、アパレルの物販コーナーへ向かう。縁日の屋台を模した売り場では、女優の泉里香とコラボした「ビス(VIS)」のTシャツや16歳のDJ・ダンサーとして話題のSASUKEと「ジュンレッド(JUNRED)」のコラボグッズなど、ここでしか出に入らないアイテムがずらり。年内でブランドを終了する「メゾン ド リーファー(MAISON DE REEFUR)」のブースには、限定の“リンカチャンキーホルダー”を求める女性たちが長蛇の列を作っていた。
ワインを片手に、アパレルの物販コーナーへ向かう。縁日の屋台を模した売り場では、女優の泉里香とコラボした「ビス(VIS)」のTシャツや16歳のDJ・ダンサーとして話題のSASUKEと「ジュンレッド(JUNRED)」のコラボグッズなど、ここでしか出に入らないアイテムがずらり。年内でブランドを終了する「メゾン ド リーファー(MAISON DE REEFUR)」のブースには、限定の“リンカチャンキーホルダー”を求める女性たちが長蛇の列を作っていた。
現代芸術家の村上隆と、次世代のポップアイコンとして注目を浴びるアーティストのビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)が、コラボレーションイベントを開催する。会期は7月10〜23日で、場所は東京・中野の中野ブロードウェイ内にある「アニマンガ・ジンガロ(Animanga Zingaro)」。本イベントでは、「you should see me in a crown」のMV制作に使用されたアニメーションの原画や、ビリー・アイリッシュが3月に発表したデビューアルバム「WHEN WE FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?」のリリースイベントで使用された村上隆デザインの巨大フィギュアなどの展示に加え、細川雄太が手掛けるリメイクブランド「レディメイド(READYMADE)」と、“Girls Don't Cry”でおなじみのアーティストVERDYとのコラボグッズを販売している。
■The Making of Billie Eilish's "you should see me in a crown"
日程:7月10〜23日
時間:12:00〜19:00
場所:Animanga Zingaro
住所:東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ 2階
「MY OWN PRIVATE ANTWERP」の直訳は「私だけのアントワープ」だ。おそらく1991年公開の米映画「マイ プライベート アイダホ(原題:MY OWN PRAIVATE IDAHO)」から引用したと考えられる。同映画は男娼として働く二人の若者が、家族と自身のアイデンティティーを求めて旅するロードムービーだ。主人公が何度旅に出ても、結局アイダホの荒涼とした地にある一本道に戻ってきてしまうという内容が、ラフのファッション業界でのキャリアとどこか重なるようだった。ショーで使用されたBGMは、2014年公開の映画「アンダー・ザ・スキン 種の捕食(原題:UNDER THE SKIN)」でミカ・レヴィ(Mika Levi)が手掛けたサウンドトラックだ。同映画は起承転結がなく非常にアーティスティックな内容なのだが、筆者には「人間は物事を表面上で判断し過ぎている」というメッセージが感じ取れた。ラフが抱くアメリカ、もしくは「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」に対する感情が映画のメッセージと共鳴し、サウンドトラックがその思いを代弁してくれていると感じたのは、想像に難しくなかった。改めてもう一度同映画を観て、ラフの気持ちを考察してみたいと思う。
「フェンディ(FENDI)」は7月4日、ローマ・パラティーノの丘で2019-20秋冬オートクチュール・コレクションの発表イベントを行った。同ブランドは年1回、パリでオートクチュールを発表しているが、今年は、長年同ブランドのクリエイティブ・ディレクションを手掛けた故カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)に捧げるショーを本拠地であるローマで開催。 “ザ・ドーン・オブ・ローマニティー(THE DAWN OF ROMANITY)”と名付けられた同コレクションでは、カールがメゾンと共に歩んだ54年間にちなむ54体を発表した。ショー後には盛大なガラディナーを開催し、54年間にわたるカールとの協業と「フェンディ」の未来を祝福した。また、同ブランドはこれを機に、ウエヌスとローマ神殿(TEMPLE OF VENUS AND ROME)の修復に250万ユーロ(約3億250万円)を拠出すると発表。15年に完成したトレビの泉の修復に続くローマの遺跡修復への資金提供になる。
デュエ:9月にはニューヨーク・マディソン街に初の路面旗艦店を開く予定だ。バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)の向かいでとてもいいロケーション。内装は、バッグの裏地として使用している赤に加えて、緑をキーカラーにする。今後3〜5年間で、アメリカ、ヨーロッパ、アジアと新コンセプトを取り入れた店舗を出店していく。またポップアップストアも計画中だ。1920〜30年代にマーフィー一族がアート界と深いつながりがあったように、2020年らしい表現で「マーク クロス」とアートを融合させていく。実験的で面白い方法でお客さまにブランドの世界観を伝えてたい。9月にはアーティストコラボレーションの“アーティスト・イン・レジデンス”をスタートさせ、世界中のアーティストに協力していく。もちろん、日本のアーティストにも参加してもらいたいと考えている。
そもそも「スロギー」は1979年、快適なショーツブランドとしてドイツで誕生した。その後86年に日本に上陸し、2008年に伸縮性に優れた生地と接着技術を利用した、縫い目のないショーツを日本独自規格として発売。このショーツの技術をブラジャーに応用しようと研究開発を重ね、13年に接着面も伸びる特殊な製法を用いたハーフトップブラが完成。これが、累計620万枚(19年5月末現在)の大ヒットとなる「スロギー ゼロフィール(SLOGGI ZERO FEEL)」の誕生だ。その後3年で日本における「スロギー」の売り上げは約20倍に達し、16年以降は販路も拡大。18年の売上高は16年に比べて40%増を実現した。