地元の産業を支え、新たな市場を開拓する若き経営者たちの挑戦 奈良・ニット、履き物編【下】

 前回の記事、地元の産業を支え、新たな市場を開拓する若き経営者たちの挑戦 奈良・靴下編【上】に続き、今回紹介するのは、髙井大介・髙井ニット代表取締役と川東宗時・川東履物商店代表の2人だ。ニット製品と履き物(サンダル)を経営する彼らは、昔からある古き良き商品をリファインして若い世代の視点からアプローチし、マーケットを開拓している。さらに今回も、これまで海外のラグジュアリービジネスに長らく携わり、昨年12月に中小企業向けコンサルティングとして奈良に赴任した小杉一人・広陵・高田ビジネスサポートセンターKoCo-Bizセンター長を交え、それぞれが描くビジネスの未来像を語る。

WWD:髙井ニットと川東履物商店の事業内容を聞きたい。

髙井大介・髙井ニット代表取締役(以下、髙井):奈良県大和高田市で横編みニットを製造しています。もともと大和高田市は、大和木綿を使った大和絣(やまとがずり)の産業があり、当社は1921年に創業しましたが機械化して衰退し、67年から横編みニットをスタートしました。創業からは私で5代目、横編みニット業から数えると3代目です。

川東宗時・川東履物商店代表(以下、川東):奈良県では1950年以前から大和高田市のみならず各地域で農業の合間に草履を作ってきた歴史があり、雪駄、畳草履などがお祭りでも使われてきました。それからゴム素材のヘップサンダルなどバリエーションも増え、地域によっては革靴を製造しているところもあります。私は家業としては1952年創業の4代目になります。

WWD:髙井ニットがオリジナルブランドを立ち上げた理由は?

高井:2015年に自社ブランド「コトユイ(COTOYUI)」をスタートさせました。OEM(他社ブランドの製品を製造すること)の場合、相手のリクエストに応えているだけで、社員はどういったブランドの何をやっているのかといった全体像が分からない。そこで自分たちが作りたい商品を作ろう。ブランドのキャラ、ロゴが目立つような商品ではなく、社員やパートさんも着たいと思えるような“最高の普段着”のニットを作ろうと思ったんです。

天然素材でホールガーメント、性別、年齢に関係なくユニセックスでシンプル、そして長く着られるもの。モノではなくコトを発信していくのが必要だと思い、コトを結びつけるという意味で「コトユイ(結い)」にしました。素材はオーガニックコットンで、染料はオーストラリアのエアーズロックの赤土やバリ島のバトゥール湖の黒褐色土といったような土を微粒子に分解し、その粒子で染めあげる技法「彩土(はに)染め」を用いています。

WWD:現在のOEMとオリジナルの比率は?

髙井: OEMが8割、オリジナルが2割。売り上げも同じくらいの比率です。将来的には同じくらいの比率くらいに持っていきたいです。

WWD:オリジナル商品を作って実際に販売することで、消費者の反響がダイレクトに伝わったり、小売りを学べたりするなど、B to B の点のビジネスから、より視野の広い視点でビジネスをデザインできるということか?

髙井:オリジナルブランドで学べることも多くありますが、一方でOEMを請け負ってきたからこそ、さまざまな要求に応えることで技術革新が進んだ側面もあります。OEMを止めてしまい、オリジナル商品のみに舵を切ったことで技術革新が止まった企業もあります。だからこそOEMも続けるべきだと思っています。

小杉一人広陵・高田ビジネスサポートセンターKoCo-Bizセンター長(以下、小杉):オリジナルのビジネスを創造していくことは良いことだと思いますし、そうしていかないと地域産業が衰退していくと感じます。ただし、全ての企業がそうできるとは限りません。センスやタイミングもありますし、事業承継の問題もあります。OEMは減少傾向とはいえ、日本企業が海外工場に発注する分を取り戻していく施策を1事業者単位ではなく、地域や企業連合で考えていく必要もあると思います。

川東:当社の場合、繊維商社を辞めて3年前に戻って来た際には、OEMは少なく、自社商品を作っていたのですが、名前とかアルファベットを入れただけの名ばかりのマークで本来の意味でのブランドにはなっていませんでした。生き残るにはどうすべきかと考え、オリジナルブランド「ヘップ(HEP)を立ち上げました。

当時の市場は厳しく、価格競争しか行われていなかったので、当然のことながら安くて大量に作れるところが勝ちますし、競合他社も同じ工場で製造を委託しているため、どんどん安さを求めれば疲弊していきます。一方でホームセンターや町の商店街で売っている市場はシュリンクしていく。

サンダルでブランディングした企業がこれまでなかったので、それをする一人目になろうと2020春に「ヘップ」をスタートしたんです。そもそも「ヘップサンダル」の「ヘップ」とは、1954年の映画「ローマの休日」でオードリー・ヘップバーン演じる王女アンが窮屈な生活から抜け出し、市場などで買い物を楽しんでいるシーンの中で、ヒールからサンダルに履き替える場面があり、それを国内のサンダル業界では「ヘップサンダル」と呼ぶようになったのですが、一般の人にはほとんど知られていません(笑)。

オリジナルブランド「ヘップ」は、年齢でセグメントを考えておらず、それほど安くなくても買いたくなるような、心のフックに触れる商品やビジュアルを意識しています。現在はジャーナルスタンダード、中川政七商店、アコメヤなどのショップや、湯河原にある旅館「THE RYOKAN TOKYO」、ホテル、高円寺にある老舗銭湯「小杉湯」などに御し、「ヘップ」を販売してもらうなど、競合他社がおらず、その店にサンダルでは自社のみ展開できるような流通で販売しています。当社は自社工場を持っておらず、だからこそ地域の工場と組んで一緒に作ることで、仕事や雇用を生み出していきたい。自分はプランナー、ディレクションといった動き方に近いと思います。それぞれの工場の得意とすることを生かして、さまざまな履き物を届けたいです。現在の卸と直販の売り上げは同じ比率くらいです。

WWD:今後、どのように地元の産業を盛り上げていきたいか。

高井:OEMでも一社ごとに別々で受注するのではなく、ニット、カットソー、布帛といった異業種がつながり、まとめて仕事を請け負えば、奈良で一貫したブランドを作れるのではと考えています。実際に話し合いはスタートしており、業種、同世代、父親世代といった垣根を越えて話せば、新しく見えてくることもあると思っています。一つ成功例を作れば広がっていけるのではないかと。

川東:私はこれまで単純にやっていることがカッコイイほうが良いと思っていました(笑)。3年前に地元に戻って父親と一緒に工場をまわってみると、賃金が低い中、職人が背中を丸くして作っている。そして人手不足で量をこなせないといった現状がありました。自分たちをやっていることに誇りを持ってほしい、そして誇りを持てる産業にしたい。自分たちがやっていることがテレビや雑誌で紹介され、作り手にもそれが伝わるようなことをしていきたいです。

WWD:オリジナルブランドをどのように販売、PR、ブランディングしていこうと考えているか?

高井:現在、20数社が出資して、松屋銀座と共同経営で7階に売り場を作っており、5人が運営メンバーで松屋銀座とやりとりをしています。常設店は松屋銀座のみですが、それが発信力となり、催事やポップアップの依頼も来ます。自社ECは3月にオープン予定で、そこでもさまざまな情報を発信していきたいです。

川東:サンダルの場合、「そろそろ春服が欲しい」はあるが、「サンダルが欲しい」にはなかなかならないので、買うなら「『ヘップ』で」となるように、SNSをメインに思い出してもらう回数を増やしていきたいです。ただ、ファッションのフィールドに足を踏み入れるとアウトドアやスポーツブランドなどライバルが多いので、サンダルが1足しかないような場所が欲しい。生活必需品であり、気楽に履ける、実際に届けるところまでをデザインしていきたい。コロナ禍では、ワンマイル需要の提案に舵を切り替えました。オンラインショップも4月に立ち上げたところ良かった。女性誌に取り上げられたことで、若い女性からの反響も大きかったです。

WWD:小杉氏とは今後どのような話し合いをしている?

高井:昨年からディズニーとライセンス契約でオーガニックタオル、ハンカチを製造することになり、ベビーに特化した授乳ケープ、フード付きポンチョ、ベビー腹巻きなどを百貨店の催事などで販売しています。何を作っているのか、どこで販売しているのかよく分からない従業員に対して、やりがいにもつながると思っています。小杉さんにはメディアにどう出したり進めていけばよいかなどを相談しています。

また、奈良県で自分たちがやっていることを発信するオープンファクトリーが3月にスタートします。繊維に限らず酒、鉄鋼、金属企業を含めた約20数社を見学できるものです。それにより、今の環境でよいのかを含めてのやりがい、意義、意味合いを見出してくれて、社員の意識が変わってくれればと期待しています。

川東:小杉さんのようなコンサルティングを担ってくれる人がいなければ、実際に表参道などを歩いてフィールドワークする以外に調べる手段はなかったと思います。東京に長く住んでいないともらえないような意見を聞くことができています。

WWD:小杉氏は普段、彼らとどのような頻度、内容でコンサルティングをしているのか?

小杉:昨年12月8日に開設し、これまで2、3回お会いしています。主にブランディングやSNSまわりの相談とで、新商品開発などはこれからの流れでサポートしていきたいと考えています。ブランディングは各社さまざまで、ファクトリーブランドの利点を生かした形で、特にデイリーウエアとしてブランドを確立させるために、どのような販路や広告活動を行えばいいのか、ディスカッションを重ねています。OEM企業特有のものは作れるが、自社のオリジナリティーを求められた時に、何が強みであるかを見極めることが難しいところもあります。

WWD:小杉氏は、それぞれのビジネスをどう見ているのか?

小杉:川東さんは昔からある古き良き商品をリファインしてアプローチし、新しいライフスタイルの領域に持っていこうとしているところが面白いですね。決して新しいモノ、マーケットではないですが、コロナもあり、周りも変わっていくタイミング。歴史やバックグランドもありながら、新たな領域に入っていくのが面白い。Z世代ならではの新しい視点で見みられていると思います。

髙井さんは、“最高の普段着”を目指しているのが今の時代の流れに合っています。そしてワンマイルウエアよりもクオリティーが高い。髙井さんはあえて自らが職人になる道を選ばず、経営者として“企業ブランディング”に注力しており、これまでの経営スタイルとは異なります。これまで紹介してきた3社はコンサルティングをする中でも特殊で目立っていました。このような経営スタイルや組織の在り方をITやテックベンチャーがトライすることはあっても、OEM企業がやるというのが画期的的だと思います。背負う歴史や慣習があるからこそ、実はゼロからスタートするより大変なんです。彼らたちが新しい商品、働き方をデザインし、アパレル業界を引っ張っていってほしいと思っています。

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ネット通販のアパレルは3割も 「返品が当たり前」のアメリカ 鈴木敏仁USリポート

 アメリカ在住30年の鈴木敏仁氏が、現地のファッション&ビューティの最新ニュースを詳しく解説する連載。米国と日本の消費文化の違いはたくさんあるが、代表的なものが返品に対する考え方だろう。デジタル化で変化する米国の返品事情を報告する。

 小売業界団体のNRF(全米小売業連盟)によると2020年の年末商戦の売り上げは、前年の同じ時期に比べて8.3%増と予想を超えて大きな伸びに終わったという。過去5年間の平均値は3.5%増、19年末は4%増だった。NRFの予想では3.6~5.2%増だったので、例年と予想を大きく上回った。パンデミックが始まって以来、大手小売企業は異常ともいえる増収増益を続けており、歳末もその延長で終わったことになる。

膨大な返品が頭痛のタネ

 失業率が急増し消費は冷え込むかと思いきや逆に振れているわけだが、原因はいくつかある。

 1つ目は規制がかかった外食やレジャーといった分野の支出がモノに流れたこと。2つ目は中小のローカル小売店は壊滅的となったが、チェーンストアはデジタルシフトなど息を継ぐために必要な資金力があり営業を継続できたこと。3つ目は株高に代表される資産バブルが起きて給料は減ったが金融資産は増えたという人が増えて財布の紐が緩んだこと。

 そしてこの8.3%という高い成長率を支えているのがネット通販だった。NRFによると、ネット通販の売り上げは24%増。別の調査機関によると32.2%増(Adobe Analytics)、45.2%増(Digital Commerce 360)。ECは調査機関によってバラツキがあり複数の数値が出てくるのだが、非常に高い成長率で終わったことは間違いない。

 アメリカでは例年の恒例行事といえるのが、年末商戦後の年明けにやってくる返品の山である。日本人には返品は失礼だという倫理観があるので大問題とはなりづらい。だが、アメリカ人には返品に対する罪悪感のようなものは皆無なので、小売企業にとって返品は大きな頭痛の種になる。

 返品政策は企業戦略や競合状況に左右される。百貨店のノードストローム(NORDSTROM)が無条件返品を謳っているのは有名だが、これは顧客に対する高いサービスの一貫である。一方を競合が激しいと返品政策が緩くなる傾向がある。ウォルマート(WALMART)が急成長している時期にノードスロームと同じ無条件返品としていたことがあるが、これは競合企業に対抗するためである。

 NRFによると20年の返品総額は全体の10.6%にあたる4280億ドルと試算されている。この10%前後という数値はおおよそ業界の標準数値と思って良いのだが、記事にあるようにオートパーツの19.4%、アパレル12.2%、そしてハウスウエアの11.5%と商材の特性によってバラツキがある。

年末商戦だけで7兆円超の返品

 これがネット通販(EC)になるとまた様相が異なってくる。昨年は大きなECシフトが起きたため売り上げが爆増しているのだが、ECの返品率はリアルのおよそ2倍の20%前後が業界標準なので、年末商戦後の返品ボリュームはさらに急増していると推定できる。さらにギフトが中心となる歳末は普段よりも返品率が高くなるので(およそ30%前後と言われる)、おそらく莫大な商品が返品フローへと逆流していることだろう。

 20年末の年末商戦返品額が700億ドルを超えると予測する調査会社があり、これは日本円にすると7兆円超という巨額な数字である。

 そしてこれもまたカテゴリーによって異なるのだが、EC市場における返品率は、アパレルが29%、家電16%、ホーム関連商品11%などで、アパレルがダントツで返品率が高い。届いた商品を試着して合わないから返品するという“買い方”に起因する理由だけではなくて、アマゾン(AMAZON)のプライムワードローブのように複数の商品を送り不必要なものを返品してもらうという“売り方”に起因する理由もあり、返品が増える要素が他のカテゴリーに比して多いのである。

 またECでは売りづらかった靴というカテゴリーで無料返品をうたい文句にして急成長したのがザッポス(ZAPPOS)で、この企業がパイオニアとなって業界標準を作ってしまったと考えている。消費者はもはや無料返品ポリシーを持っていないEC企業では買わなくなってしまっているのである。

鈴木敏仁(すずき・としひと):東京都北区生まれ、早大法学部卒、西武百貨店を経て渡米、在米年数は30年以上。業界メディアへの執筆、流通企業やメーカーによる米国視察の企画、セミナー講演が主要業務。年間のべ店舗訪問数は600店舗超、製配販にわたる幅広い業界知識と現場の事実に基づいた分析による情報提供がモットー

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メンズコレ最終日は「ジル サンダー」「Y/プロ」「アリックス」に一言 編集長&若手記者2人のパリメンズ5選

大澤錬「WWDJAPAN.com」記者(以下、大澤):連日の登場、失礼します(笑)。本日はパリメンズ最終日の厳選5ブランドを振り返ります。最終日まで僕らも一気に駆け抜けてきました!今シーズンもデジタルならではの試みや、限られた人数の中でのショーなど、発表の仕方はさまざま。前シーズンよりもアップデートが進みました。本日もよろしくお願いします。

村上要「WWDJAPAN.com」編集長(以下、村上):デジタルでも「あぁ、もう最終日なのか……。寂しいな」という気持ちは変わりませんね(笑)。そう思うのは、良いコレクションが多かった証拠です。

最終日トップバッターは「ジル サンダー」

村上:「ジル サンダー(JIL SANDER)」は、「ステキなコレクションなんだろうな」って思うけれど、「見せ方は、コレが正解?」とも考えました。暗がりや切り替え、クローズアップが多い“雰囲気系”のムービーだと、絶妙なプロポーションバランスや素材感、控えめなディテールは分かりづらいですね。起毛感の高いネルシャツ素材のブルゾンや、ハニカム構造が独特なニット、0.5サイズオーバーくらいのシャツドレスなど、「ちゃんと見たい!!」と言う欲求に駆られるアイテムが多いから尚更。感度が高く、自分を持っているから自由に解釈できるファンが多そうなブランドであることを考えると、シンプルに全容を見せて、「あとはご自由に判断してください」って任せちゃうくらいの見せ方で良かった気がします。そんなにデジタルが得意なブランドじゃないから、その辺りは少しずつ学んでいくのかな?

大澤:全体的に映像が暗く見づらいので、僕は食い入るように見てしまいました。個人的にはダブルフェイスのトレンチコート、パステルカラーのロングブーツがお気に入り。コートやニットに施されたポートレートは、1920年代にフローレンス・アンリ(Florence Henri)が撮影したバウハウスの女性アーティストやデザイナーたちだそうです。大胆に“MOTHER”と記したシルバーネックレスは、家族の重要性・大切さを表現しています。メニューの構成はさすがの一言ですね。

初のキッズウエアを発表

村上:さぁ、今シーズン一番難解なムービーですよ。「トム ブラウン(THOM BROWNE)」です。アイコニックなスーツを着たキッズたちが、仕事して、遊んで、ゴミを投げ捨てたり、牛乳を吹き出したりで終了という、全編モノクロ2分チョイのムービーでした。コレは一体、どう解釈したら良いのでしょうか(笑)?単純にキッズウエアのローンチをお知らせするものなのか?それとも、郷愁を誘うことも狙っていたのか?相変わらず、多くを語らないまま一石を投じるカンジ。キライじゃありません(笑)。

大澤:今回は初のキッズウエア(2〜10歳向け)を発表するためのムービーだそうです。クリエイションは大人向けのコレクションと変わらないようですね(笑)。「トム ブラウン」は直営店も含めて独自の世界観があり、面白いブランドと思っていますが、クリエイションの変化が少なく寂しさも感じます。ムービー自体は「キッザニア」で働くキッズたちを見ているようで、朗らかな気持ちになりました。日本でも「トム ブラウン」を身にまとった子どもたちを見られるといいですね。

「Y/プロ」が少しリアルクローズに

村上:「ディーゼル(DIESEL)」のクリエイションも手がけることになったグレン・マーティンス(Glenn Martens)の「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」は、もっとアバンギャルドになると思っていたけれど、むしろちょっぴりリアルになりました。極端なプロポーションは控えめ。もちろん、随所で生地をひねったり、穴を開けたりで“たわんだ洋服”が多いけれど、少なくとも「どう着たらいいのか?」はちゃんとわかる。小難しいのは疲れちゃう今のムードを感じたのかな?折り返すとウエスタンブーツ風のディテールが現れて、あたかも履いているように見えるデニムとか、面白かった。大胆でありながら、消費者を置いてきぼりにもしない。「ディーゼル」でも、上手いことやってくれそうな気がします。

大澤:今回は少しだけ落ち着いた「Y/プロ」でしたね。「着るのに一苦労」というのは少なそう。トータルで着こなすのはハードルが高いけど、一点一点のアイテムを入れ込むだけで、コーディネートはかなり変わりそうです。コロナ明けに、ストリートスナップを撮られたい人には「もってこい」(笑)。今シーズンは古着の要素が強かったように思います。作業着のようなナイロンのセットアップ、キルティングジャケット、ウオッシュ加工のストレートジーンズ、スタジャンなど。また「カナダグース(CANADA GOOSE)」とのコラボアイテムも引き続き発表していました。

「ユニクロ U」との差別化はいかに⁉︎

村上:「ルメール(LEMAIRE)」は、やっぱり秋冬の方がいいですね。ルックを構成するアイテムが増えてコーディネイトで見せられると、どうしても比較されてしまう「ユニクロ U(UNIQLO U)」との違いが際立ちます。ちょっとだけ肩パッドを入れたジャケットや、少しだけ贅沢に生地を使ったシャツドレス、部分的なファー使い、それにグラデーションなどの積み重ねが「ユニクロ U」との明確な差別化につながっていて、「あぁ、2つのブランドを続ける意味があるんだな」って実感できます。

大澤:僕には大人っぽすぎるので、普段あまり拝見することがないブランドでした。冒頭は「ユニクロ U」のイメージが強すぎるあまり、変化を感じなかったのが正直なところです。終盤に差し掛かると、グラデーションのコートやシャツ、マキシコート、ファーブルゾン、赤のセットアップなど、よりファッショナブルな印象へと変わりました。個人的には「ユニクロ U」との両立の難しさを感じました。カジュアルダウンしすぎても難しいし、大人の雰囲気を醸し出すと若い世代には刺さらない。ターゲット層が狭いのかなと感じてしまいました。

パリメンズ最後の砦は「1017 アリックス 9SM」

大澤:フィナーレを務めるのは「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」。期待が大きいからこそ、写真だけなのは残念に思いました。「ジバンシィ(GIVENCHY)」のトップに就任して以降、クリエイションの質がさらに上がったように思います。上質な日常着に、メタルバックルやカラーリングで少し遊び心を加え、良い意味で大人っぽさが滲み出ている。バッグやアクセサリーを強く打ち出している点も、「デザイナーが継続的に強く推していきたいアイテム」というのが伺えますね。ダンベルのような形をしたハンドバッグ、オールレッドのムートンも気になりました。

村上:パリメンズのフィナーレが写真だけなのはちょっぴり残念ですが、クリエイション自体は随分変えてきましたね。最初はメタルバックル付きのストリートから始まって、直近はブラックのフォーマル路線でしたが、今シーズンはその中間を突いてきたカンジ。シャープなカッティングながら、ベビーピンクやスカイブルーなどの可愛らしい色合いで、モードやストリート一辺倒でもありません。「ジバンシィ」とも明確に差別化できていて、素直に「良き新機軸に挑戦しているな」って思えます。

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ハリス米副大統領の継娘がオシャレと話題に 就任式ファッションのスタイリング裏話

 1月20日(現地時間)、第46代米大統領就任式がワシントンで行われ、ジョー・バイデン(Joe Biden)新大統領が正式に就任した。今後のアメリカを牽引する政治家や登壇者のファッションに関心が向けられる中、エラ・エムホフ(Ella Emhoff)の装いに注目が集まっている。

 エラはカマラ・ハリス(Kamala Harris)米副大統領の継娘であり、同氏を“ママラ”と呼んでいるという。パーソンズ美術大学(Parsons School of Design)で服飾を学ぶ22歳の学生で、ニットウエアのデザインを手掛ける。インスタグラムではたびたび自身のデザインを披露している。

 就任式では「ミュウミュウ(MIU MIU)」のロングコートを着用。襟元に装飾が施されたウエストマークが特徴のチェックコートと「バットシェヴァ(BATSHEVA)」のドレスに、黒いマスクと手袋を合わせた。就任式前日には「トム ブラウン(THOM BROWNE)」に身を包んだルックを披露。

 就任式に向けてエラは実母のカースティン・エムホフ(Kerstin Emhoff)と共に、スタイリストコンビのジル・リンカーン(Jill Lincoln)とジョーダン・ジョンソン(Jordan Johnson)と衣装を決めた。米「WWD」は、リンカーンとジョンソンに、エラのスタイリングについて聞いた。

WWD:カースティンとエラ母娘とはどのように知り合った?
リンカーン&ジョンソン:カースティンの共通の通人を通して知り合った。テキストメッセージを通して“出会い”、一週間後にはズームをする仲に。

WWD:就任式に向けてどのようにスタイリングに取り組んだ?当日のファッションについてエラとどのようなことを話したか?
リンカーン&ジョンソン:エラはドレスを希望し、就任式は外で行われるのでコートが重要な役割を持つと考えた。どのような雰囲気やルックにするかかなり共通の認識を持っていた。エラは彼女らしさを残しつつ、敬意を表したいと語っていた。

WWD:就任式前日の「トム ブラウン」のコーディネートと、当日の「ミュウミュウ」のコートに「バットシェヴァ」のドレスを合わせたスタイリングはどのように決まった?
リンカーン&ジョンソン:複数のデザイナーにアプローチをかけたが、この三ブランドは最初に声をかけて、すぐに返答をもらった。フィッティングも一番先に行ったブランドだ。“ファッションの神様”がいたようだった!出来立てほやほやの「ミュウミュウ」のコートを手に入れることができた。

 「トム ブラウン」は彼女のテイストにぴったりだった。想像した通りに完璧なスタイリングで同ブランドを着こなすクライアントを見ると、自分ごとのようにうれしい。赤や白、青を使用したこのルックはワシントン入りの際に絶対着用すると決めていた。

 「バットシェヴァ」のドレスは、「ミュウミュウ」のコートと間違いなく似合う組み合わせだった。またデザイナーのバットシェヴァ・ヘイ(Batsheva Hay)とエラも、いいペアだと感じた。うまく説明できないけれど、女の子とデザイナーの間に、不思議と最高に相性の良い関係が生まれることがある。

WWD:エラはファッションデザインに関する知識もあるし、関心も高い。スタイリングに何か影響は与えたか?
リンカーン&ジョンソン:彼女は自分のことをよく知っている。自己表現や芸術の一つとしてファッションを愛する人と仕事をするのはすごくたのしい。エラは彼女の雰囲気を伝えるために自身のインスタグラムを紹介してくれた。それを見て私たちはすぐ彼女のテイストを感じ取った。彼女が方向性を示してくれたので、どんな洋服で、誰が手掛けたものがマッチするかを考えてその詳細を詰めるだけだった。

WWD:今回の経験を通して、最も印象に残っていることは?
リンカーン&ジョンソン:希望に満ちた歴史的な日に、ほんの少しでも携わることができた。そして、その過程で2人の素晴らしい女性に出会うことができた。

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ハリス米副大統領の継娘がオシャレと話題に 就任式ファッションのスタイリング裏話

 1月20日(現地時間)、第46代米大統領就任式がワシントンで行われ、ジョー・バイデン(Joe Biden)新大統領が正式に就任した。今後のアメリカを牽引する政治家や登壇者のファッションに関心が向けられる中、エラ・エムホフ(Ella Emhoff)の装いに注目が集まっている。

 エラはカマラ・ハリス(Kamala Harris)米副大統領の継娘であり、同氏を“ママラ”と呼んでいるという。パーソンズ美術大学(Parsons School of Design)で服飾を学ぶ22歳の学生で、ニットウエアのデザインを手掛ける。インスタグラムではたびたび自身のデザインを披露している。

 就任式では「ミュウミュウ(MIU MIU)」のロングコートを着用。襟元に装飾が施されたウエストマークが特徴のチェックコートと「バットシェヴァ(BATSHEVA)」のドレスに、黒いマスクと手袋を合わせた。就任式前日には「トム ブラウン(THOM BROWNE)」に身を包んだルックを披露。

 就任式に向けてエラは実母のカースティン・エムホフ(Kerstin Emhoff)と共に、スタイリストコンビのジル・リンカーン(Jill Lincoln)とジョーダン・ジョンソン(Jordan Johnson)と衣装を決めた。米「WWD」は、リンカーンとジョンソンに、エラのスタイリングについて聞いた。

WWD:カースティンとエラ母娘とはどのように知り合った?
リンカーン&ジョンソン:カースティンの共通の通人を通して知り合った。テキストメッセージを通して“出会い”、一週間後にはズームをする仲に。

WWD:就任式に向けてどのようにスタイリングに取り組んだ?当日のファッションについてエラとどのようなことを話したか?
リンカーン&ジョンソン:エラはドレスを希望し、就任式は外で行われるのでコートが重要な役割を持つと考えた。どのような雰囲気やルックにするかかなり共通の認識を持っていた。エラは彼女らしさを残しつつ、敬意を表したいと語っていた。

WWD:就任式前日の「トム ブラウン」のコーディネートと、当日の「ミュウミュウ」のコートに「バットシェヴァ」のドレスを合わせたスタイリングはどのように決まった?
リンカーン&ジョンソン:複数のデザイナーにアプローチをかけたが、この三ブランドは最初に声をかけて、すぐに返答をもらった。フィッティングも一番先に行ったブランドだ。“ファッションの神様”がいたようだった!出来立てほやほやの「ミュウミュウ」のコートを手に入れることができた。

 「トム ブラウン」は彼女のテイストにぴったりだった。想像した通りに完璧なスタイリングで同ブランドを着こなすクライアントを見ると、自分ごとのようにうれしい。赤や白、青を使用したこのルックはワシントン入りの際に絶対着用すると決めていた。

 「バットシェヴァ」のドレスは、「ミュウミュウ」のコートと間違いなく似合う組み合わせだった。またデザイナーのバットシェヴァ・ヘイ(Batsheva Hay)とエラも、いいペアだと感じた。うまく説明できないけれど、女の子とデザイナーの間に、不思議と最高に相性の良い関係が生まれることがある。

WWD:エラはファッションデザインに関する知識もあるし、関心も高い。スタイリングに何か影響は与えたか?
リンカーン&ジョンソン:彼女は自分のことをよく知っている。自己表現や芸術の一つとしてファッションを愛する人と仕事をするのはすごくたのしい。エラは彼女の雰囲気を伝えるために自身のインスタグラムを紹介してくれた。それを見て私たちはすぐ彼女のテイストを感じ取った。彼女が方向性を示してくれたので、どんな洋服で、誰が手掛けたものがマッチするかを考えてその詳細を詰めるだけだった。

WWD:今回の経験を通して、最も印象に残っていることは?
リンカーン&ジョンソン:希望に満ちた歴史的な日に、ほんの少しでも携わることができた。そして、その過程で2人の素晴らしい女性に出会うことができた。

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目指せ、家族で免疫力アップ!冬を乗り越える食べ物とは? 働くママのざっくばらん“本音”トークVol.10 ビューティ編

 家族の健康管理はママたちの大事な仕事。温活、腸活、美活、など〇〇活を取り入れながら自分たち流のやり方で体を守るしかない!すっかり小6の長男に身長を越されてしまった三児の母と春から小学生になる男子一児の母がこの冬、コロナやインフルエンザといったウイルスにも負けない過ごし方を語ります。

家族でも、それぞれに体を温める方法が違った

野島一美(以下ひとみ):2カ月ぶりに会ったら、顎周りがずいぶんすっきりしたように見えるけど新たにダイエットを始めた?

髙田翔子(以下しょうこ):本当?前回聞いた14時間何も食べないで胃を休める、っていうひとみさんのお母さまの方法が取り入れやすくて続けたら、便秘解消!自然に腸活してた!少〜しずつ体重が落ちてきていて、たまに食べ過ぎたときも元に戻りやすいみたい。

ひとみ:いいな!外出自粛を強いられる中で手っ取り早くできそうな健康法は起き抜けの一杯の白湯というけど、これが苦手で。

しょうこ:そっか、私はむしろ欠かせない。代謝をよくしたいのと体を温めるために夫婦で就寝前に「養命酒」や広島の鞆の浦名産の「保命酒」をお湯割やミルク割にして飲んでる。体がポカポカになってよく眠れるの。

ひとみ:あら、仲良し!「養命酒」は飲んでないけど、子どもたちも舐められる養命酒製造の「のど飴黒蜜×ハーブ風味」と救心製薬の「のどにやさしい金銀花のど飴」は常備してる。

しょうこ:そういう手もあるね。

小学生がビネガーで健康意識?!

ひとみ:風邪予防には生活の木「ハーブコーディアルマヌカハニー」のお湯割りがわが家の定番。それに加えてお酢好き次男のお気に入りはビネガー系。森川健康堂の「ライプ100 グレープ」をヨーグルトにかけたり、お水と氷に混ぜて飲んでる。娘は「カゴメ野菜生活100グリーンスムージーMix」。こだわり派の長男には宅配専用の「明治プロビオヨーグルトR-1ドリンクタイプ」。夫はJAふらの「北海道まるごとにんじん100」が手放せなくて、うちのキッチンは常に大渋滞!

しょうこ:小学生男子がビネガー系っておしゃれ!

ひとみ:お酢の味が好きなだけで、本人の健康意識はゼロ!

しょうこ:冷え対策に首、手首、足首の三つの首を温めるといいから、家の中でも首巻きしたり、この時期は夏野菜を取らないっていうママ友がいる。

流行りのバターコーヒーにも挑戦

ひとみ:昨日公園で、朝ご飯をやめてグラスフェッドバターとMCTオイルを撹拌して混ぜたバターコーヒーを飲んで腸活してるママ友の話を聞いたばかり。コーヒーで目覚めるし、お昼までお腹が空かないんだって。でも一向に痩せないとも言ってた(笑)。

しょうこ:遊牧民をイメージしたモンゴルバターだ!

ひとみ:ファミマでなら忙しくても手軽に買えるから、早速飲んだらまろやかでくせになりそうな予感。バター紅茶もあったよ。

漢方指導で体質が改善!妊娠にも結びつく

しょうこ:群ようこさんが漢方を始めたら痩せて体調も良くなったとエッセイで書いているのを読んで、気になってた漢方内科に初めて行ったの。冷え性改善とダイエット、便秘改善も期待してね。漢方の指導で甘いものと乳製品をやめたら、1、2週間で甘いおやつがなくてもいられるし、市販のスイーツがすごく甘く感じられて食べられなくなったの。苦手なソイラテが今は普通のカフェラテより美味しく感じられるまでに変化。味覚や体質って変わるんだなあとびっくり。

ひとみ:私も20代の時は漢方薬を飲んでたな。他にも実践してることはある?

しょうこ:ペットの犬と息子がしょっちゅう汚す床の雑巾がけは、お金かからなくて家がきれいになって下半身も鍛えられるから、外出できない時におススメ。漢方は何を飲んでたの?

ひとみ:「婦宝当帰膠」。平熱が35度台で、妊活と温活のため。当時はそんな言葉なかったけどね。20代で2回流産をして、体温が低めなのが直接の原因ではないけど、まずは体を温めないと始まらないなって。あの頃は必死に基礎体温をつけてたけど、今や毎朝の検温が日常、3人も子どもを産んだし、世の中何が起こるかわからないね……。

しょうこ:そんなことがあったんだね。

ひとみ:なぜかね、今の平熱は36.2度。

しょうこ:いち早く温活を取り入れた成果?体質改善した?

ひとみ:そうなのかな?次男を妊娠中からお肉が食べられなくなって、7年ぶりの出産後にひょんなことで牛肉を食べたら体が元気になって以来、疲れたら迷わずステーキ!

しょうこ:豪勢!自分の体に合ったものが見つかるって嬉しいね。

マスク生活にはオーラルケアも忘れない

しょうこ:マスク生活で、口輪筋を動かさないから顔のコリが気になるの。資生堂の「エリクシール(ELIXIR)」“アドバンスドエステティックエッセンス”を頬や首筋に使ってるよ。アプリケーターにマッサージローラーがついているから、美容液を浸透させながら顔の筋肉も優しくほぐせる優れもの。「リンパ流れろ~」と念じながらコロコロしてる。

ひとみ:わかる。マスクの中って口が開いている状態が長いから口呼吸になって乾燥しやすい。

しょうこ:それそれ。もうひとつ、「メイド オブ オーガニクス(MADE OF ORGANICS)」の“マヌカハニー+カモミールスプレーオレンジ味”も愛用中。口内のタンパク質汚れが見えるマウスウォッシュ。プチプラ(1500円)だから5歳の息子と遊び感覚で使ってるよ。

ひとみ:口臭予防用のマウスウォッシュしか知らないよ(笑)。感染予防には唾液の抗生物質が重要っていうよね。よだれを大量に出す赤ちゃんは健康って聞くけど、うちの長男は明らかに周りと比べても、兄弟の中でもダントツに大量のよだれを出してた子で、いまだに一年中ほとんど風邪を引かないの。

しょうこ:関係ありそう!唾液量が増えることでウイルスに対抗できるなら、レモンや梅干しを食べたり、ガムを噛むのも効果ありそう。

ひとみ:サッカー活動がまた中止になったりして息子たちの運動量がぐっと減ったから、タンパク質を確保できる食事作りやヘンプシードで筋活にも励んでるよ。

しょうこ:スーパーフード!どうやって食べるの?

ひとみ:あんまり味にクセがないから、直接フルーツにかけたり、ヨーグルトやオートミールにも。お味噌汁におからパウダーをかける感覚に近いかな。

しょうこ:さすがアメリカ育ち!オートミールは正直今まで苦手だったんだ。

ひとみ:牛乳とお塩だけで作れちゃうから簡単。多めに食べても白米より罪悪感なし!

しょうこ:私は白米のほうが好きだけど(笑)試してみたい!

ひとみ:そうそう、麻炭パウダーも買ってみたの。歯磨き粉にちょっと混ぜてオーラルケアしたり、真っ黒になるから家族が入った後の寝る前のひとり風呂に入れると、お肌ツルツル、身体がホカホカ!しかもね、残り水を植物にかけたり、掃除用にも使えるからかなりお得感ある。

しょうこ:免疫力アップだけじゃなくて腸活もできるし、勉強になります!

髙田翔子(たかだしょうこ):1982年東京都東村山市生まれ。大学卒業後、ビジネス・実用書出版社勤務を経てフリーライターに。主に女性誌、書籍、WEBでインタビュー、読み物記事などを執筆。肌年齢だけは20代の診断。旅と読書とお酒が好き。電車好き1男の母

野島一美(のじまひとみ):1976年東京都杉並区生まれ。幼少期を香港、NYで過ごす。大学卒業後はテレビ制作会社で報道映像資料編集等に携わった後、東京大学生産技術研究所で教授秘書に。結婚後はフリーのライターとして雑誌VERY(光文社)で育児・早期教育について等執筆。和太鼓にはまる2男1女の母

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暗闇を照らす「コム デ ギャルソン・オム プリュス」のクリエイション 2021-22年秋冬を東京で発表

 「コム デ ギャルソン・オム プリュス(COMME DES GARCONS HOMME PLUS以下、オム プリュス)」は、2021-22年秋冬コレクションを東京・南青山の本社で発表した。前シーズンに続いてパリ・メンズ・コレクションには参加せず、招待客を限定してのフロアショーとなった。

真っ暗なショー会場

 今シーズンのテーマ“DARKROOM”に合わせて、会場には暗闇が広がる。視界がほぼゼロの状態で、地面を指すスポットライトに立ち止まってようやくコレクションの全貌が明らかになる演出だ。モデルはほぼ全てミニマルなモノトーンカラーに徹し、クラシックなムードのジャケットやコートをまとう。しかしアウターの素材はラメツイードやネップ、甘撚りの糸を用いてやわらかく織られたツイードなど実に多彩。さらにハウンドトゥースやグレンチェック、ストライプ、葉っぱやバナナ柄などの誇張されたパターンが、インサイドアウトのメリハリによってより強調される。またジャストショルダーのジャケットやチェスターのセンターは斜めにゆがみ、胸部には部分的に綿が詰めらて独自のシルエットを形成。重厚なアウターから覗くライナーにはフリンジがダラダラと垂れ下がったり、ポンポンが付いたり、ショーツやタイツ、ハイソックスなどのアクティブなボトムスで既存のクラシックを破壊していく。「クリエーションは、視覚のみならず、六つの感覚全てが重要な働きをする暗闇の中にこそ立ち上がる」というコンセプトの通り、暗闇だからこそ豊かなクリエーションはじわじわと存在感を強めていった。

ハイヒールのヘッドピースや
「ナイキ」コラボも登場

 今シーズンはアメリカのコンテンポラリーアーティスト、ウィリー・コール(Willie Cole)とのコラボレーションで、ハイヒール製のヘッドピースやハイヒール柄のシャツなどが登場。また「ナイキ(NIKE)」と協業したシューズも継続し、ボリュームのある“エア フォームポジット(AIR FOAMPOSITE)”などが披露された。

 フィナーレではモデルが全身黒で統一され、再び暗闇へと消えていった。「私たちは今、闇に包まれたこの世界で、新しいものを見つけ出さなければならない」――コレクションノートに記されたこの言葉には、先行き不透明な時代だからこそ新たな創造や発展が生まれ、人類は進歩するはずだという思いが込められている。モノトーンが軸のコレクションにどこか温かみを感じたのは、そのせいかもしれない。「オム プリュス」は、ファッションの力で暗闇を照らすことができると信じている。

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「セール廃止」「諦めない」 ロンハーマン流サステナビリティのすごみ

 ロンハーマン(RON HERMAN)がサステナビリティに本腰を入れる。商品、売り方、備品、エネルギー、廃棄ゼロを目指したモノ作りなど、現在さまざまなプロジェクトが進行中で、2021年春夏の店頭には、オーガニックコットンや草木染めのアイテム、“アップサイクル”をデザインコンセプトにしたデニムなどが並ぶ。小売業最大の課題である余剰在庫に関してもすでに動き出している。コロナ禍の2020年11月末時点のプロバー消化率は(20年2月~)73%をマークするなど、買い付け量とオリジナル品の生産量の最適化に注力。売上高も前年をキープしている。今後、さらに精度を上げてプロパー消化率80%を目指し、23年までに店舗でのセールを廃止する。 

「スピード感を持って進めるために」経営陣自らセミナーに参加

 根岸由香里・事業部長兼ウィメンズ・ディレクターが会社として本格的にサステナビリティに取り組む際まず行ったのは、ロンハーマンの運営会社リトルリーグカンパニーのトップの三根弘毅プレジデントと平井洋司カンパニーオフィサーへの働きかけだった。「1年半前に話した時点でも、三根も平井も本を読むなどしてSDGsなどの知識は得ていた」と根岸ディレクターは振り返る。その後、新型コロナウイルスの感染が拡大し、昨年4月には1度目の緊急事態宣言が発出された。緊急事態宣言発出後、「2人とのコミュニケーションは格段に増えた。お店を再開するとき、アフターコロナを見据えた未来の話をする中で、『サステナビリティに本気で取り組まない限りファッションに未来はない』という話をじっくりする機会を持てた」。

 根岸ディレクターがサステナビリティを加速するために取った行動のひとつが「より深い知識を付けること」。「経営側の私たちに知識がないと伝わらないし、スピード感を持って進められない。日本エシカル協会が主催するセミナーに参加しようと三根と平井に持ちかけ、もともと関心もあった二人は二つ返事で快諾。20年秋から3人でセミナーに参加している」。セミナー後には3人のグループラインでセミナーのテーマに対してロンハーマンとして取り組めそうなことなどを考えて意見交換しているという。

 20年3月からは、リトルリーグカンパニーの全セクションで資材や備品などの見直しを行った。「目標は廃棄ゼロ。その前段階としてゴミになるものを減らすために、資材やショッパーなどを見直した。廃止できるものは廃止して、必要なものは、価格が高くても最も環境負荷が低い素材に変更した。ショッパーは、それ自体を少なくするためにお客さまとのコミュニケーションも始めた」。再生可能エネルギーへのシフトにも注力している。「RE100(企業の自然エネルギー100%を推進する国際イニシアチブ)の加入を目指し、テナントが使用する電気を調べていろいろな方に働きかけている。再エネへの切り替えは、マンションは簡単だが、ファッションビルの店舗や路面店だと複雑でハードルが高い。いまは丁寧に対話を続けている段階」という。

 オリジナル商品の開発でも廃棄ゼロを目指す。「色見本や(サンプルセールにも出せないような)ファーストサンプル、これまでの生地の切れ端やパーツを分類して、再利用することに取り組んでいる。再利用が難しい素材もあるが、ウールとコットンに関しては、新しい糸にして生地にしたオリジナル商品も開発中」で、理想は「適正な量を仕入れて、私たちが考える適正な期間で販売し、プロパー消化率を高めること。その後、アウトレットでもどうしても売れなかったものは新しい糸や素材にして循環させること」だが、“売り切る”ことを目指す。「23年までにセールを無くす。シミュレーションの結果、プロパー消化率80%をクリアすれば、アウトレットを活用しながら売り切ることができることがわかった。商品値下げのタイミングは私たちの軸で決める。アウトレット店舗の役割自体も見直しているところ」だという。また、可能な限り、オリジナル品で使用する素材や買い付けるアイテムに関しても環境や人権に配慮したことを証明する認証を得た素材に切り替えていく。

 取引ブランドとの対話も始めた。サステナビリティに関してどのような取り組みをしているかを聞き、ロンハーマンのサステナビリティの考え方を伝えている。「以前に比べて聞いてもらえるところも増えた。ガラっとサステナビリティシフトしたブランドもある。メッセージをうまく受け取ってもらえないところもあるが、買い付けをすぐにやめてしまうのではなく、そのブランドらしいものをサステナブルな方法で作りませんか?と投げかけている」。ロンハーマンでは、ブランドとの別注品の人気が高く、毎シーズン即完売する商品が多い。

「知ることが結果的に全ての幸せにつながると思うから」

 サステナビリティは伝え方が難しく、消費者とのコミュニケーション設計がとても大切だ。ロンハーマンはどのようにサステナビリティを描くのか。「私自身、『このままでは未来真っ暗』ではなく『幸せは作れるし諦めなくていい』というポジティブな気持ちで捉えている。私たちロンハーマンはすてきな空間と商品を通じて、幸せ、楽しいという感情を提供したいと考えていて、それが一番であることは変わらない。例えば、これを買うと〇〇に貢献できるということが見えながら、その裏側にはこういう産業の問題点があるということをきちんと伝えられるようにしたいと考えている。“Today is beautiful”“Happiness is the goal”というメッセージを発信しているように、一貫して私たちのゴールは“幸せ”。知ることが結果的に全ての幸せにつながると思うから」。

 ロンハーマンは11年前に日本に上陸して、ライフスタイル型のスペシャリティストアという新しい価値観を創出し、業界に一石を投じた。「一度、価値観を変えることができたのであれば、今回も絶対にできると思っている。時代が加速したことによって、(悲観的ではなく)むしろ面白いと思えるようになった。やらなければいけないではなく、もっとこうした方がいいよね、とポジティブな気持ちで取り組めている。完璧を求めなくていい、真剣に取り組んでいるのであれば、小さくても恥ずかしがらなくてもいいと思うようになり、進められるようになった」。

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「エッセンシャルシフト」を急げ 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。先行きの見えないコロナ禍において、変革を怠れば多大なリスクになりかねない。小売業は新常態にどのように備えればよいのか。

 コロナ禍の出口が見えなくって緊急事態宣言が再発令され、よみがえりかけていた商業活動にも急ブレーキがかかり、東京オリンピックの開催も絶望的になる中、もはや「新常態」の深刻化と長期化を覚悟せざるを得ない。そんな現実の中でアパレル業や小売業に求められているのが「エッセンシャルシフト(生活必需品への入れ替え)」だ。

底割れ」長期化で見切り退店ラッシュ

 コロナ禍が深刻化する中、2020年12月の全国百貨店売り上げは前年同月比13.7%減と15カ月連続して減少し、外国人観光客が途絶えた免税売り上げは88.6%も減少した。20年通年では百貨店売り上げは25.7%、衣料品売り上げは31.1%、中でも婦人服売り上げは32.2%、化粧品売上は39.1%、免税売り上げは80.2%も激減した。1月の初売りは前年の半分にも届かず、緊急事態宣言が再発令された7日以降は一段と客足が遠のいているから、コロナ禍が長引けば都心百貨店さえ存続が危うくなる。

 それは都心の商業施設とて同様で、緊急事態宣言の再発令で見切りをつけたテナントの大量退店が始まっている。ギンザ シックスでは臨時休業中の3テナント(飲食)に加え、昨年12月27日から今年1月20日にかけてコスメブランドやアパレルショップ、カフェやレストランなど22店が閉店した。1月26日には40店の後継テナントが公表されるというが、膨大な損失覚悟で次々と退店するテナントの跡を埋めきれるのだろうか。インバウンド狙いに偏っていた銀座の商業施設はどこも似たような状況で、東急プラザ銀座でも12月から1月にかけてアパレルや装身具、コスメから名産品や茶房まで少なからぬテナントが閉店している。

 閉店ラッシュは銀座に限らず、六本木ヒルズではけやき坂の路面店に空き区画が目立ち、東京ミッドタウン(六本木)でも12月から1月にかけてアパレル店や服飾店の閉店が続き、表参道ヒルズでも空き区画が目立ち始めている。館側は入れ替え予定と説明するが、2月から3月にかけて退店はさらに増えると見る関係者が多い。

高家賃インフレ経営の終焉

 これら都心の商業施設は(1)インバウンドやラグジュアリーへの偏り、(2)テナント採算度外視の高家賃経営、が以前より指摘されており、コロナ禍の長期化でとうとう行き詰まってきた。

 インバウンドやラグジュアリーを狙って非日常の高額商品や外国人観光客好みの華美な商品に偏っていたことに加え、ブランド化粧品を拡大していたこともコロナ禍のマスク日常化とスキンケア接客の回避に直撃された。加えてギンザ シックスでは水商売関係者好みのブランドが少なくなかったことも指摘したい。

 15年以降、インバウンドが盛り上がる中で都心では商業施設に限らず路面店の家賃も高騰が続き、「旗艦店やイメージストアなのだから家賃は売り上げの半分までに収まればよい」という無茶な論理が横行していた。実際、銀座や表参道の路面旗艦店、メディアハウス路線(館全体をメディアと見て付加価値を増幅する)を採る高級商業施設のテナント店では半分を超えていた店もあった。

 家賃負担率が3割、4割という店舗は珍しくなかったから、コロナ禍の売り上げ急減で売り上げより家賃の方が高くなる店もあり、テナント店では館の売上預かり金では家賃が賄えなくなり、資金繰りに窮するテナントも出てきた。それでもコロナが収束して東京オリンピックが開催されるまで何とか持ち堪えようと出血に耐えてきたが、コロナ感染の再拡大で緊急事態宣言が再発令され、東京オリンピックの開催も絶望的になるに及び、見切りをつけた閉店が堰を切ったように広がり始めたのではないか。

 それは東京に限らずインバウンドに潤ってきた大阪や京都なども同様で、意思決定の遅れていた店も加わって雪崩打つように退店が広がると危惧される。館もテナントも、東京オリンピックという幻影に踊ったインバウンド頼みのインフレ経営は終焉したのだ。

商業施設もオフィスビルも流動化する

 大量閉店は都心の商業施設だけではない。郊外でも商圏を広げるべく過剰なアップスケール化を追った大型施設ほど、緊急事態宣言の再発令以降、大量閉店が広がっている。

 本来、足元商圏ニーズにきめ細かく対応するのが郊外立地商業施設のあり方だが、アベノミクスの無理押しインフレ政策下で広域商圏獲得を狙って背伸びしたテナントを増やした大型施設は足元ニーズと乖離し、コロナ禍の長期化による「エッセンシャルシフト」の直撃を受けていた。それでも家賃の減免などで現状を維持してきたが、長引くコロナ禍と緊急事態宣言再発令で見切りをつけたテナントの退店ラッシュに直面し、テナント構成の「エッセンシャルシフト」を迫られている。

 それは都心の商業施設とて同様だが、テナント構成の「エッセンシャルシフト」が進めば無理に乗せていた付加価値がはげ落ち、家賃収入は激減してしまう。投資利回りも急落するから、物件が流動化する。それはリモートワークで空室率が急上昇するオフィスビルとて同様だから、不動産の流動化が急進することになる。

エッセンシャルシフト」が不可避

 百貨店も20年は衣料品の売り上げ急落(シェアも27.0%に低下)でエッセンシャルカテゴリーたる食品が31.3%を占める最大売り上げ部門となったが、家庭用品も4.0%から4.2%とわずかながらシェアを伸ばした。衣料品も下着やナイティ、ホームウエア、アパレルも機能性カジュアルやライフスタイルウエアなどエッセンシャルアイテムにシフトせざるを得ない。その分、無理に乗せていた付加価値がはげ落ちるから、価格も流通コストも切り下げざるを得なくなる。高コストな販路や組織は切り捨て、低コストの販路と組織に乗り換える「エッセンシャルシフト」が急進して行く。

 「夢を売るビジネス」の頂点に君臨するのは芸能界だが、それさえ、ついにタレントの人員整理や本社の売却、事務所の都落ちに追い込まれ、あの電通さえ巨額赤字で本社売却に追い込まれ、CM激減に苦しむ民放も国民的批判にさらされるNHKもリストラを迫られている。零落したタレントやアーチストの窮状が伝えられる中、アパレル業界も「夢を売るビジネス」にしがみついてはいられない。

 最低限の食住衣が足りて、ようやくお洒落の出番があるのが現実で、ここまでコロナ禍が長引いて出口が見えなくなり、若年勤労者とりわけ非正規の女性勤労者が追い詰められ、生活に窮する人々が半端なく広がるに及んでは、過酷な現実を受け入れるしかない。「エッセンシャルシフト」はアパレルや小売業、飲食・サービス業、果ては商業不動産業まで、広範な業界に求められる今年最大の経営テーマとなるだろう。

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。著書に店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)、12月11日に出版した「アパレルの終焉と再生」(朝日新書)

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「ディオール」や「エルメス」、「ロエベ」のビッグメゾンが登場 編集長&若手記者2人のパリメンズ10選

大澤錬「WWDJAPAN.com」記者(以下、大澤):今回はパリメンズ4、5日目の厳選10ブランドを振り返ります。前シーズンのドタバタ対談に続き、デジタル・ファッション・ウイークでの要さんとの対談は3回目になります。あっという間に半年が経ち、今シーズンもラストスパートに突入してきました。本日はよろしくお願いします。

村上要「WWDJAPAN.com」編集長(以下、村上):よろしくお願いします。今シーズンは“リアタイ縛り”が無くなっただけで、40過ぎのオジさんとしては心軽やかです(笑)。

大人な「サルバム」に様変わり

大澤:最初は「サルバム(SULVAM)」からいってみましょう。今回はモデルがウォーキングし、コレクションの全てをきちんと見せようとする意気込みが伝わるムービーでした。カメラロールもさまざまだった前回とは異なり、シンプルで見やすい印象です。びっくりしたのは、冒頭からほとんどが全身黒のスタイリング。以前よりも素材やシルエット、ディテールで勝負を挑んでいるのが伺えました。

村上:黒と白、それに赤(ちょ~っとだけネイビー)という潔いカラーパレットでしたね。今シーズンはパターンワークに注目です。洋服を構成する「身ごろ」をそのままジャケットに貼り付けたり、球体のように独創的なパターンをトリミングで際立たせたり。粗っぽいカンジは随分薄れ、本質で勝負し始めた印象を受けます。シフトチェンジすると「既存のファンは?」という心配が芽生えますが、今の「サルバム」には杞憂な気がする。潔さが前面に現れた分、既存のファンが欲する「強さ」は顕著になっている印象です。

日本代表ベテラン組「メゾン ミハラヤスヒロ」

村上:お次は「メゾン ミハラヤスヒロ(MAISON MIHARA YASUHIRO)」。ものすごい早さで三原康裕さんの思いが字幕になって流れていたみたいだけど、全く読めなかったね(笑)。映像の切り替えやエフェクトも強めで全貌をしっかり理解するのは難しいけれど、今季も自由なコトはとってもよく分かった(笑)。MA-1、背中に袖は何本あったんだろう?そんなカンジ。テーマの「ベーシック・アンチノミー!」は、「二律背反なベーシック」。多分、「ベーシックなのに、ベーシックじゃない」って意味だと思うけれど、ネルシャツからパーカ、ブルゾンに至るまで、「ミハラ」流のハイブリッドが凄まじいから、もはや全然フツーの範疇に収まっていない(笑)。デザインはフツーじゃないのに、アイテム名で語ると「ネルシャツ」とか「パーカ」だからベーシックなのかもしれない。なんて考えると、「ん!?ベーシックって、なんだっけ?」。そんな風に考えちゃいますね。少なくとも、「ユニクロ(UNIQLO)」のベーシックとは全然違う。それでも「ユニクロ」も「ミハラ」も、同じ「ベーシック」という言葉で語れないワケじゃない。ムムム~って考えて3分後、「ま、いっか。ビール飲も」ってカンジになりました。知的好奇心が喚起されて楽しかった。

大澤:字幕は早すぎて僕も全然わかりませんでした。洋服メインというよりかムービーを使って、どんな面白いことを伝えるかに特化していましたね。カメラマン役で三原さんもこっそり出演していて、蜷川実花さんになりきっているそうです(笑)。アイテムは同ブランドらしい生地を切り貼りしたウエアのほか、クリーニング後のタグが付いたままのジャケット、ビリヤードの玉をヒールにしたパンプスなど面白い。100足ほどのスニーカーを一面に並べた映像は圧巻でした。靴の並べ方に三原さんのこだわりが炸裂したため、撮影が深夜まで及んだそうです。「視聴者を楽しませよう」という心意気が素晴らしく、僕自身も楽しませていただきました!

歴史に名を刻む、キム・ジョーンズ登場!

大澤:次の「ディオール(DIOR)」は、アーティストのピーター・ドイグ(Peter Doig)とのコラボレーションを発表しましたね。ドイグは今回のコレクションのために 2 つの動物をモチーフとしたエンブレムを特別に制作。クリスチャン・ディオール(Christian Dior)の愛犬のボビー、もうひとつはドイグの絵画のキャラクターと1949 年にピエール・カルダン(Pierre Cardin)がデザインした仮面舞踏会用コスチュームを彷彿とさせるライオン。フランス芸術アカデミーのコスチュームに着想を得た刺しゅうや装飾があしらわれたユニフォームは、「ディオール」のアーカイブの再解釈。くるみボタンはアイコニックな“「バー」ジャケット”から、金糸の刺しゅうは60年代のイブニングガウン“ロゼラ”から取り入れています。BGMはテクノポップの先駆者として知られるクラフトワーク(kraftwerk)やアン・クラーク(Anne Clark)の楽曲で構成。ジェンダーレスという言葉が世界に浸透しつつある今、ウィメンズのトレンドのロングブーツが男性の世界にもやってきました。「ディオール」ではクラシックな装いに、抜け感のある長靴のようなロングブーツを合わせていました。今シーズンのトレンドになりそうです。

村上:中世の貴族を思わせるスタイル、パープルやワインなどの高貴な色使い、ゴールドの装飾、そして映像でもわかる上質な生地使いと仕立ての良さ。なのに若々しい疾走感が漂う。今季もキム・ジョーンズ(Kim Jones)の「ディオール」らしさ、全開です。中盤、レモンイエローが出てくるパートに差し掛かると、ジャージーまで現れるんだけど、ちゃんと装飾付きのノーカラーコートとコーディネートして「優雅」っていうイメージに着地するんだから流石です。今シーズンは上からブルゾンやコートを羽織って、前立てだけがチラリと覗くノーカラーのジャケットやコートがキーアイテムの1つですね。そのほかはモコモコのモヘアニットと、やっぱり随所に勲章をあしらったナポレオンジャケットかな?1年前のロンググローブをワンポイントで取り入れたメンズフォーマルの時は、「ついに歴史上のフォーマルへの探求も始まるのね!」と思ったけれど、時代がさらに遡った(笑)。完全に中世のアイテムだけど、今っぽく見えるせいか、未来のバトルシップ(宇宙戦艦)の乗組員の制服みたいに見えてくる。カッコ良い。そしてフィナーレのキム!!ブロンドヘアに大変身でした。もうすぐ発表の「フェンディ(FENDI)」も楽しみだね。

レジェンドのもう一花に期待

村上:「ポール・スミス(PAUL SMITH)」もオリーブやワイン、ナスのような紺色など、秋冬らしい色使いで大人っぽかったね。そこにカラフルなボーダーやストライプ、花柄を差し込んでユーモアを忘れないのは、さすが。スタンドカラーのシャツブルゾンが、フォーマルウエアをちょっぴりカジュアルダウンさせてくれてイイカンジでしたね。今回のコレクションのようにジャストサイズのスーツとコーディネイトしてもカッコいいけれど、ちょっぴりオーバーサイズのジャケットとも合わせてみたい。タイダイなのかな?大きな花柄を描いたコートがとても素敵だった。あと、モデルがいちいちカメラ目線で微笑んでくれると、照れるね(笑)。

大澤:僕もまさにスタンドカラーのシャツブルゾンに見入ってしまいました。花柄やバンダナ柄、アロハ柄のようなもの、どれも気になりましたね。時計や財布、アクセサリー、バッグなどの小物類同様、コレクションラインも若者に浸透して欲しいです。レジェンドがもう一花咲かせるところ、見られるといいな。

スポーティになりすぎ危険⁉︎

村上:「イザベル マラン(ISABEL MARANT)」は、随分スポーティになりましたね。「ラコステ(LACOSTE)」みたいだった。このブランドはやっぱり民族調のムードを出さないと、「イザベルマラン」で買う理由にならないんじゃないかな?レトロなスポーツテイストはとっても可愛らしいけれど、もっともっと手頃なブランドがたくさんあるから。もう一つリクエストすれば、モデルじゃなくて、洋服が主役のムービーにして欲しいです。

大澤:かなりスポーティにしてきましたね。明るくアクティブなムービー、モデルも含めて、若い層をターゲットにしてきているのでしょうか。もしくはおうち時間が増える中で、動きやすくて着やすい洋服をテーマにしているのでしょうか。かなりキャッチーでカジュアルなアイテムが多いけれど、ライバルもたくさんですね。

面白い!楽しい!変わらない「ヴェトモン」

村上:写真で発表の「ヴェトモン(VETEMENTS)」、カオスすぎて面白かった。映像で見たかったなぁ。でもTシャツのモチーフになっていたみたいに「R指定」なスタイルも多いから、映像は難しいかな?ヌードカラーでビミョーに透けているボディコンスーツとかね(笑)。いつも通りのストリートあり、ゴスあり、電脳系テクノあり、なぜかプロレスラーみたいなコスチュームありで、カオスな「人類大図鑑」みたいなコレクション。でもそれが「ヴェトモン」だし、多様性がますます重要視されている今っぽくもありますね。

大澤:ムービーに慣れすぎていたところだったので、僕も思わず、「えっ!」ってなりました(笑)。おもしろ楽しいルックが勢ぞろいでしたね。コレクションはいつもと変わらぬラインアップ。上から吊るし上げられたような肩パッド入りアイテムの数々、大胆なロゴ使いに、過去の名作のアップデートなど。前任のデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)が去って以降も、ブランドの方針はさほど変わっていかない模様ですね。街中で着ている人はかなり減ったように思います。踏ん張りどころ、もしくは正念場といったところでしょうか。

どう着るの⁉︎教えて!ジョナサン先生

村上:「ロエベ(LOEWE)」の“着るアート”や“まとうカルチャー”感が加速しているね。「反復」というキーワードから着想した、背中にポロシャツを2、3枚重ねたポロシャツとかは「ジョナサン、マジですか!?」って思うけれど、それがウエアとして成立するのはラグジュアリーブランドのクラフツマンシップのおかげですね。巨大なパンジーモチーフのニットカーディガンや、バッグをキャンバスに見立てたアートなトートなど、素敵なアイテムはいっぱいあったけれど、一番気になったのはコラージュかな。世界が強制的に分断されている今、それでも「つながっていたい」とか「途切れるべきではない」と考えるデザイナーが積極的に挑戦しているアイデアですね。ジョナサンの場合は、ジョー・ブレイナード(Joe Brainard)のさまざまな時代のアートを1つに融合しているけれど、1枚のキャンバスと見立てて作風さえ違うアートを敷き詰めたコートは、「着る人が自由に解釈して良い洋服として素敵だな」と思いました。個々の絵画を好きになる人もいるだろうし、その集合体を好きになる人もいる。そしてもちろん、キャンバスとなった洋服の仕立てや素材で気にいる人もいるハズ。それで良いよね?

大澤:前コレクションのアートピースより日常的で着やすそうですね。ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が丁寧に説明してくれて、さらに日本語の字幕付きという有難すぎる映像でした。正直、三角形のテント型のトラウザーパンツは日本の某ブランドっぽさが否めない(笑)。背中にポロシャツを2、3枚重ねたシャツは「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」が行ってきた手法に似ています。ボンテージパンツはかなりハードですが、海外のロック・アーティストに人気が出そう。本人にZoomインタビューを行った川井さんはいかがでしたか?

川井康平「WWDJAPAN.com」記者:横から失礼します(笑)。今回協業したブレイナードの作品に見出した花やアートの“脆さ”について、ジョナサンは「確かに半年周期でコレクションは発表することに“脆さ”や“儚さ”を感じる。しかし服を作るという行為は未来を想像することだと思う。今回のコレクションで発表したパンジーなどの花のグラフィックは性別の垣根の曖昧さを表現している。これからの若い世代の為にもファッションを通してより良い世界を作りたい」と語りました。画面越しではありますが、学生時代からの憧れであったジョナサンに話を伺えたのは貴重な体験でした!

おうち時間にぴったりな洋服!とは「エルメス」のこと

村上:「オンライン会議でサイコーの洋服って何?」と聞かれたら、「『エルメス(HERMES)』の2021-22年秋冬だよ!!」と答えたいと思います。表に出ている洋服は、ジャケットのポケットが二つ重なっていたり、その様子を模したステッチワークが施されていたり。ラベンダーや淡い黄緑、スカイブルーなど、春夏っぽい色使いのインナーも素敵だし、大勢のモデルが身につけていたネックレスも「もっとアップで見せて!」とリクエストしたくなっちゃいそう(笑)。マドラスチェックのブルゾンを筆頭にゆとりあるシルエットで、ストレスフリーで一日過ごせそうだね。パンツはもちろん、ドローコードやキャロットシルエット。ランチを食べ過ぎても心配ご無用です(笑)。オンライン会議ではチェックされないだろうけど、インナーと同じパステルカラーを使ったスニーカーも目を引きました。前日の「ポール・スミス」もそうだったけど、今シーズンはシャツブルゾンをチェックしたいね。「エルメス」では、ブルゾンの下に着てタートルネックとの色合わせを楽しんだり、もちろんスカーフとコーディネイトしたりとバリエーション豊かでした。

大澤:「エルメス」と言えば?と問われると、答えは人それぞれ違うと思います。「レザーの質感」、「素材の良さ」、「ジュエリー」、「バッグ」など、そのほかも多数。それが世界最高峰のビッグメゾンたる所以だと僕は思っています。若者には手の届かない代物ばかりですが、ムービーを通してコレクションを見ることができるのもデジタルならではですね。個人的には、多くのモデルが着用していたシルバーのトグルネックレスが気になりました。ギリギリ買える値段だとうれしいなあ(笑)。

ポジティブさを追求するあまりToo Muchに…。

村上:それが真骨頂なのはわかっているけれど、今季の「カサブランカ(CASABLANCA)」はちょっとToo Much レトロだったかな。極彩色のボウタイ付きシルクブラウス、全面ダイヤモンド柄のニット、70’Sなロゴモチーフのバッグなど、ちょっとコスプレ感が強かったかも。でも今の時代に必要なポジティブさをギュギュっと詰め込んだのかな?「うわぁ」と歓声を上げてしまうようなムービーに仕上がっているのは確かです。

大澤:ブランドの強みが存分に味わえるムービーでしたね。上質な素材に鮮やかな色。昔の「マルボロ」のパッケージを模したプリントなどはとても美しく、世間にも浸透しつつあると思います。今回は全体的にバブリー感が強すぎるあまり、コスプレっぽく見えてしまうのは同意です(笑)。今の時代感に、あの洋服をマッチさせるから良さが引き立つのに、「勿体ないな」と思ってしまいました。個人的に注目しているブランドなので、今後も楽しみにしています。

素敵なオジさんに、美しい雪景色

村上:「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」は素敵なオジさんが勢ぞろいでしたね。それぞれの雪山の楽しみ方がカッコいい。ムービーで、「あぁ、相澤さんはこういう人たちの、こんなライフスタイルに取り入れて欲しいんだ」っていう想いも見えたし、コロナ時代のメッセージのようにも感じました。

大澤:都内では今年、雪を見る事ができませんでしたが、またスノーボードやスキーを楽しめる日常が戻ってきてほしいです。「ミズノ(MIZUNO)」とのコラボスニーカーも発表していました。モデルは“ウエーブ プロフェシー(WAVE PROPHECY)”シリーズですね。

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デジタル革新とオムニ推進で体をメンテするワコールに

 ワコール(WACOAL)は、2019年にスタートした3Dボディースキャナーによる身体計測とAI(人工知能)接客の「3Dスマート&トライ」サービスに続き、昨年はアバターを活用した接客「アバカウンセリング パルレ(以下、パルレ)」を導入するなど、デジタル革新を加速している。今後、デジタルデータを基にした新事業などを通してゆくゆくは下着という枠を超えて幅広い意味でのウエルネスをサポートする企業への成長を目指している。

WWDジャパン(以下、WWD):20年後のワコールの企業像とは?

伊東知康社長(以下、伊東):ワコール=下着のイメージだと思うが、20年後は“ウエルネス”のワコール“といわれるようになりたい。“女性の美をサポート”するという思いから始まった会社だが、今の時代に置き換えるなら”美”、”快適”、“健康”に加え、精神的にも生き生きといられる、広義の意味でのウエルネスをサポートする企業になるべきだと考える。また、「ワコールっていいよね」「ワコールがなければ困る」と言われるような魅力のある企業になりたい。ワコール人間科学研究所(以下、人科研)が1964年以降に蓄積してきたデータを活かしたモノ作りは継続しながら、“ボディーメイク”だけでなく”ボディーケア”という新しい価値を提供していく。商品だけでなく、研究データと「3Dスマート&トライ」のサービスによるデータなどのデジタルデータ両方を活用し、ウエルネスのためのプラットフォーム作りをしていくつもりだ。新事業や他社と協業して時代に合う新しい価値を提供したい。

リアル店舗は“商品を買う場所”
から“体をメンテする場所”に

WWD:20年後の企業像実現に必要な要素は?

伊東:消費者視点で、時代に合った商品やサービスを創造し提供できるようなクリエイティビティーのある組織であることが大切だ。「3Dスマート&トライ」などのデジタル施策で気付いたのは、リアル店舗は単に下着を買う場所ではないということ。消費者がわざわざ店舗に行く理由は、店舗でしか得られない情報や体験があるから。リアル店舗のコンセプトを、“商品を買う場所”から“体をメンテナンスする場所”へと変えて、より心地よい場所にするべきだ。下着屋のイメージを変えれば下着を買う価値も変わる。そのような価値のある店作りをしていくことが重要だ。店頭販売を担う約3500人のビューティアドバイザー(以下、BA)に求められる役割も変わり、商品紹介だけでなく、顧客一人一人に寄り添うコミュニケーション力や想像力が求められる。

垣根や既成概念を越えた価値作り

WWD:昨年10月末に「3Dスマート&トライ」表参道東急プラザ原宿店でアバター接客「パルレ」を始めたがその反響と今後の展開予定は?

伊東:「面白そう」「楽しそう」と興味を持って来店してもらっている。体の悩みはセンシティブで「アバターだから何でも気軽に相談できる」という声も多い。原宿という立地もあり来店者は20〜30代が多く、予約状況は1カ月先までほぼいっぱいだ。このサービスを他の「3Dスマート&トライ」店舗へ導入することも検討する。また、アバター接客を通じて販売員のリモートワークを可能にし、新しい働き方につなげたい。これらデジタルのサービスは人科研、BAなど部門を越えて出来上がった新しい価値。今後も新しい価値を作っていくには、部門の垣根や既成概念を越える必要がある。

WWD:ボディーケアという新しい価値を提案したが手応えは?

伊東:昼、夜、スポーツとシーン別に下着でできるバストケアを提案したところ、特に若い層からの関心が高く、睡眠時用の“ナイトアップブラ”が市場で定着しつつある。「CW-X」のスポーツブラも好調だ。ブラジャーの役割はバストの形を整えるだけでなくケアするものとして市場の開発を進めていく。

成長のためのブランド再編に着手

WWD:21年以降の具体的な戦略は?

伊東:保有する約300万人分の顧客データを見ると、約半数が1年以内に購入実績がある。今後は、顧客と“深く、広く、長く"つながることが成長の柱だと考える。前期はECの売り上げが全体の約15%を占め、25年3月期には約25%にまで伸ばす計画だが、オムニチャネル戦略の一環としてECだけでなくリアル店舗の価値作りも大きなポイントだ。一方でブランド再編も進めており、21-22年秋冬シーズンにはブランド数を56(19-20年秋冬)から約40に絞る。それにより必要なところに効率的な投資を行い、成長につなげていく。既存の仕事を80%の労力で成し遂げるにはどうすれば良いか知恵を絞り、残りの20%で新しいことに挑戦していきたい。

問い合わせ先
ワコールお客様センター
0120-307-056

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水原希子が地球に優しい活動を続ける理由 「私たち消費者も何に投資すべきか考えるとき」

 ファッションモデルとして第一線を走り続ける水原希子は、近年環境問題に熱心に取り組んでいることでも知られる。「私にできることはまず発信すること。一人でも多くの人に環境への意識を持ってほしい」と、SNSで自身の考えや活動を発信する。水原はなぜ環境問題やサステナビリティを意識するようになったのか。その理由と、今回参加した楽天「ラクマ」のプロジェクト「ラクマ エコフリーマーケット」への思いを聞いた。

“サステナブルな取り組みは
思っていたより難しくない”

WWD:水原さんはいつ頃から環境問題やサステナブルを意識するようになりましたか?

水原希子(以下、水原):本当に最近です。環境問題については世間でも長年取り上げられていたので、私も理解はしていました。ただ現実味がなく、「誰かが取り組んでいるだろう」ぐらいの感覚で具体的な行動にまでは至っていませんでした。でも夏の異常な暑さや自然災害の急増など、地球温暖化の影響を肌で感じるようになり、行動しなければまずいと危機感を抱いたのがきっかけです。

WWD:意識したことによってご自身の中で変わったことはありますか?

水原:何かを購入する際にそのアイテムの環境への負荷を意識したり、エコバッグも常に持ち歩くようになりました。最近運転免許を取得したのですが、車は電気自動車を購入し、家の電気も再生可能エネルギーを使った“みんな電力”に切り替えました。また個人的な趣味ですが、外出自粛期間中は青森の南部裂織(なんぶさきおり)の美しさに影響を受け、着なくなったTシャツをエコ染料で染めて糸にしてラグを作り、リメイクを楽しんでいました。多くの人が自分にできることを実践している姿を見て、サステナブルな取り組みは思っていたより難しくないと感じられたことも大きいですね。一人一人のできることが積み重なっていけば、大きな何かにつながるはずです。

“新しいファッションの形を
作って改善していくしかない”

WWD:ファッション産業は世界で2番目の環境汚染産業と指摘されています。この業界で長年活動されている水原さんは問題をどう捉えていますか?

水原:ファッション産業がいかに環境に深刻な影響を与えてきたか——。私もモデルとして業界に携わってきたので、今後は新しいファッションの形を作って改善していくしかない。従来のトレンドを追うだけのファッションではなく、新しい素材作りや環境破壊を軽減するものづくりを推進することは簡単ではありません。でも挑戦しがいはあるはずです。また、消費者である私たちも自分が何に投資すべきかを考えるときなのだと思います。私もまずは発信するのが自分にできることだと信じています。SNSを活用して人々のプラスになることを発信し、自分も吸収していきたいです。

WWD:ご自身も「OK」というブランドを手掛けています。

水原:自分の目が届かないところで環境や労働者を苦しめているものを作ったり宣伝したりしたくないという思いから、より慎重になりました。「OK」のメインアイテムの素材は今後、インドの綿農家の有機農法への転換支援と農家の子どもへの就学・奨学支援を行う「PBP(PEACE BY PEACE)コットンプロジェクト」によるオーガニックコットンにシフトする予定です。また、10月には繊維リサイクルを行う企業、ナカノとのコラボレーションが実現しました。彼らは回収した古着から紡績し直したリサイクル糸を使って軍手などの作業用品を主に作っており、今回は実験的にカーディガンと帽子、バッグを数量限定で一緒に制作しました。さらに古着回収の窓口は多い方がいいと考え、彼らと連携して「OK」でも古着回収システムを始めようと計画中です。地球に優しい活動をしていきたいです。

“ファッションが人の心に
もたらす影響は大きい”

WWD:今回楽天「ラクマ」の「ラクマ エコフリーマーケット」に参加した思いを教えてください。

水原:楽天「ラクマ」などのフリマアプリはもともとよく利用していました。私自身ビンテージや古着が好きで、デッドストックやアートピースといえるような昔のメゾンの服を集めています。服の好みは年齢やそのときの自分のムードでも変わりますよね。過去に大好きだったけれど着なくなったものを、今そのムードを持っている人にバトンタッチしてリユースすることは大切なこと。衣類をごみにせず循環させようという「ラクマ エコフリーマーケット」のテーマに共感し、参加を決めました。

WWD:どんなアイテムを出品しましたか?

水原:「オープニングセレモニー」と以前コラボレーションしたニットなど、ファッション性が高いアイテムをセレクトしました。ファッションが人の心にもたらす影響は大きいですよね。かわいいものや美しいものをまとうと気分が高揚したり、元気が出たり、違う自分を発見できたりします。こんなときだからこそ、おしゃれをしてリフレッシュする感覚を楽しんでもらえたらうれしいです。

著名人の私物を販売
サステナブルな消費の輪を広げる
「ラクマ エコフリーマーケット」

 楽天「ラクマ」は近年服が大量に廃棄されている問題を受け、“不用品をごみにしない社会”の実現をテーマに、「ラクマ エコフリーマーケット」を1月25日に「ラクマ」公式サイト上に立ち上げた。プロジェクトの発端は、楽天「ラクマ」スタッフが「今は使っていないけれど、捨てられないものが多くある」という著名人の声を聞いたこと。今回は水原希子、クリス-ウェブ佳子、植野有砂、ベイカー恵利沙、ヴィオレッタ・ポルト(Violetta Polt)が参加し、私物ファッションアイテムを1月27日から販売する。使わなくなったものを次に必要とする人につないで資源の循環をつくることで、よりサステナブルな消費の輪の広がりを目指す。売り上げは環境のための活動を行うUNEPサステナビリティアクションと日本自然保護協会へ寄付される。

 「ラクマ エコフリーマーケット」の特設ページでは、5人の参加者にエコに対する思いなどを聞いたインタビュー記事の公開や、繰り返し使える梱包袋「ラクマ リユースパック」のプレゼントキャンペーンも行われる。

PHOTOS : YUTA KONO

問い合わせ先
楽天「ラクマ」PR担当
rakuma-pr-team@mail.rakuten.com

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新手のブーツインはスラックスやゆる系パンツで! 着やせと引き締め効果にも期待

 この冬、本格的に着用率が高まってきたロングブーツ。防寒とおしゃれをダブルでかなえてくれる重宝アイテムです。以前「大本命ロングブーツの迎え方!」で紹介したように、フェミニンなスカートと合わせるスタイリングが広く支持されていますが、さらに一歩踏み込んだ着こなしと言えるのが、スーツをばらしたようなスラックスや、ゆったりした量感のパンツを使ったブーツインです。これまで一般的だった細身パンツに代わる新しいコーディネートです。

 メンズルックで見かけるようなスタイリングが、ウィメンズでもスリリングなアレンジを好むファッショニスタの間でじわじわと広がってきました。目新しいところでは、ゴツめのコンバットブーツやエンジニア風ブーツとの相性を試す動きが出ています。メンズ風パンツとロングブーツの組み合わせには、意外なケミストリーがありました。

ワーク系パンツをブーツイン たっぷりの量感で着やせ効果も

 1枚目は、シャツ×パンツのワーク系セットアップで、パンツの裾をロングブーツにインしたスタイル。オーバーサイズのスリーブレスジャケットを重ねて、タフに見えすぎないようなさじ加減にしています。爪先のとがったポインテッドトーと細いヒールでたおやかさとシャープな印象も引き出しました。パンツのゆとりとブーツのタイト具合の“落差”が着やせ効果を発揮しています。

 2枚目の写真は、ベージュのスラックス風パンツを、クリーム色のロングブーツに収めました。“きちんと感”が漂うセンタープレスのパンツに軽やかなライトアウターを重ね、羽織り物のゆるっとしたシルエットが程よい抜け感をまとわせています。ロングアウターを重ねることで、レッグラインをぼかしてくれる相乗効果も期待できます。

白パンツでさわやかさをアピール 全体をクールに引き締めて

 冬の装いはダークカラーが多くなりがちなだけに、白パンツを投入すれば、さわやかさが引き立ちます。きれいめに見えるので、大人世代にも人気です。白パンツとロングブーツを合わせれば、白の清らかさが一段と引き立ちます。

 これまでの細身パンツのブーツインでは、足全体に細さを印象づけるテクニックが基本でした。でも、たっぷりしたシルエットのパンツでは、膝上あたりを少したるませて、履き口にボリュームをこしらえるのがポイント。ムートンアウターでリラックスした雰囲気を帯びながらも、全体がクールに決まりました。

 2枚目の写真のボトムスは、ルームウエア風の楽ちんニットパンツ。ところが、パイソン柄のロングブーツを合わせると、このようにスパイシーでキリッと引き締まります。部屋着のまま外に出るときに使える着こなし術です。ハイネックとアウターも白でそろえて、コージーな雰囲気に。アクセントの赤バッグとパイソン柄のブーツの存在感を強調しています。

パンツスーツの堅さをオフ “はずし”技でデイリー仕様に

 パンツスーツは2020-21年秋冬シーズンのトレンドアイテムでしたが、パンツの裾をロングブーツにインすると、まとまりすぎのイメージを崩す効果が生まれます。おしゃれ上級者が好んで用いる“はずし”技です。目の覚めるようなブルースーツの正統派スタイリングにコンバットブーツを合わせることで、あえて違和感を持ち込みました。トップスも黒でタイトに見せつつ、ブーツと色を合わせました。同系色のブルーのバッグでさらに統一感を出して、スーツのカッチリとしたイメージを崩す巧みなアレンジです。

 2枚目の写真左側のパンツスーツがかしこまって見えないのは、パンツをインした白ロングブーツのおかげ。トップスもそろったスリーピースの装いは、全身をワントーンで整えたいときに便利なトレンドアイテムです。目を引く白ブーツとのコンビネーションは、スリーピースの“かっちり感”を薄めて、代わりにエレガントさを添えてくれます。

 これまでのブーツインは、細身のパンツが主流でしたが、ゆるめのパンツやスラックスとロングブーツを合わせれば、ブーツ主体で“ジェンダーぼかし”コーデを組み立てることができます。色や柄のバリエーションが一段と広がっているだけに、ブーツが主役のコーデを生かして、手持ちの服から別の表情を引き出しやすくなってきました。着やせ効果やムードずらしなどのメリットもあり、ブーツルックのバリエーションをさらに広げられそうです。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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ウィズコロナで進化する幸せ産業 「オン」が開始した100%リサイクル可能なシューズのサブスクって?

 2021年のキーワードは「共感」「共存」「共栄」になると思っている。所有する代わりに一定額を払って最新モデルをリースできる服やバッグのサブスクリプションサービスはすでにあったが、このコロナ禍で無制限に利用できる動画配信や雑誌購読、自由に受講できるオンラインレッスンのヨガなどのサブスクは急増した。在宅時間が増えたことで需要が高まったのだろう。

 月額1000円で毎日1個、好きな味のマカロンを選べるという「ダロワイヨ(DALLOYAU)」のサブスク「マイ マカ(MY MACA)」にもはっとした。お得という以上に日々の小さな幸せと、その都度の支払いが不要という気軽さがうれしい。体重を気にしなければ、すぐにでも申し込みたいくらいだ。ドリンクが飲み放題になるサブスクを導入した飲食店も増えている。客はなじみの店を応援する気分になれ、店にとっては一定の顧客をキープできるメリットがある。

 そんな中、ランニング業界初のシューズのサブスクも登場した。しかもそのシューズは機能に優れているだけでなく、100%リサイクル可能だというのだ。スイスのスポーツブランド「オン(ON)」が開発した持続可能なモデル“サイクロン(CYCLON)”が1カ月3380円で継続的に送られるサービスで、履きつぶしたシューズは焼却されず、常に循環していく。新しいシューズが届いたその箱で今まで履いたものを返却すると、その素材を使った新たな1足が製造され、誰かへと発送される。このモデルは常に自分の傍らにあるけれど、永遠に所有することはできないシューズなのだ。

 ランニングシューズ“サイクロン”は種子が食用油として活用されているトウゴマから得たバイオベース素材で、ソールは軽量かつ耐久性に優れている。幾何学模様の編み目のあるアッパー素材はオーガニックな無染色。かつ一枚の生地で作られているため縫製にも無駄がない。柔軟性や通気性など、ランニングシューズとしての機能性はもちろん、シンプルを極めた無駄のないデザインもまた、コーディネート自在でタウンユースしやすい。

 さらには「オン」は既存の流通が抱える問題にも挑んでいる。製造技術だけでなく流通でもサステナブルな循環を目指し、このサブスクでは基準を満たすまでは配送されないこともあると明記している。シューズの製造過程で発生する二酸化炭素(CO2)総排出量の2~5%が配送過程にあることから、最小需要量を満たす地域のみに発送し、コンテナの中にシューズが数足のみという事態を避ける。つまり、一定の需要がないと発送しないという選択に踏み切った。自分たちが住むエリアに賛同者が集まらないとスムーズな配送は見込めないのだ。

 かつ、21年秋のサブスクサービスのスタートに向けて、賛同者には進捗がシェアされる。このサービスを利用する人は消費者ではなく、このプロジェクトを共に推進させる協働者となる。サイトを見るとその迫力あるメッセージに、「共に改革を起こそうぞ!」という気概のようなものを感じる。

 2010年に「ランニングの世界を変える」という大きな目標を掲げ、スイス・チューリヒの一角でスタートしたスポーツブランド「オン」は、その成長も革新的だった。トップアスリートやエンジニア、それぞれの視点をもつ3人の共同創業者により開発されたシューズはトライアスリートやトレイルランナーなど、ハードな競技に挑むアスリートに支持され、16年のリオ五輪ではトライアスロン女子銀メダリストが着用。10年後の今では55カ国を超えるエリアで、700万人以上のランナーに愛されている。20年にはテニス選手、ロジャー・フェデラー(Roger Federer)も新製品の開発に参画した。

 15年にオン・ジャパンが設立され、ランナー仲間の間で浸透し始めたとき、私自身は、すぐにでも走り出せ、街でも浮かないモデル“クラウド(CLOUD)”をヘビロテするようになった。ブランドマークが目立つシューズしかなかった当時、全てブラックで統一し、小さな「オン」のロゴマークと5ミリ角くらいの小さなスイスの国旗だけが入ったミニマルなデザインは画期的だったのだ。

 裸足のような感覚で足の裏を自在に動かせる「オン」の“クラウド”は、なぜか空手や総合格闘技など格闘系アスリートにも支持されている。体と向き合う機会の多い層に響くのだろう。ちなみに駒田博紀オン・ジャパン代表もアイアンマンレースを完走するトライアスリートであり空手家だ。

 「共感」し、つながっていないけれど、緩やかにつながる誰かと「共存」し、共に「共栄」を目指す。リサイクル可能な循環を築く“サイクロン”のサブスクはそんなコミュニティーとなるのだろう。履くとスイッチが入るようなシューズ、というブランド名のごとく、共に一歩踏み出すことで、新しい世界へのスイッチが「オン」になることを願ってやまない。

間庭典子(まにわ・のりこ)/フリーライター:婦人画報社(現ハースト婦人画報社)を退社後、ニューヨークへ渡る。現在は東京を拠点に各メディアに旅、グルメ、インテリア、ウエルネスなど幅広いテーマで執筆。著書に「ホントに美味しいNY10ドルグルメ」「走れば人生見えてくる」(共に講談社)など

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「LV」や「オム プリッセ」、国内ショー初開催の「カラー」まで常連ブランドに感動 編集長&若手記者2人のパリメンズ10選

川井康平「WWDJAPAN.com」記者(以下、川井):ミラノ・メンズ・ファッション・ウィークに続き、パリメンズがスタートしました。70以上のブランドが新作を発表します。今回は、2、3日目の厳選10ブランドを振り返ります。僕は、初めての対談です。お手柔らかにお願い致します。

村上要「WWDJAPAN.com」編集長(以下、村上):川井さん、ようこそ!!リアルにパリメンズを取材していた時は、旅費などの都合もあって2人体制でした。それがデジタルシフトして前回は4人、そして今回は川井さんも加わって5人。着実に広がっていますね。みんなが参加できるのは、改めてデジタルの魅力なんだと感じます。

式典のような豪華な演出

川井:台湾人デザイナーのアンガス・チャンが2015年に開始したブランド「アンガス チャン(ANGUS CHIANG)」は、映画祭のようにファンやメディアが取り囲むレッドカーペットを舞台にショーを開催。それをデジタル配信しましたね。モデルは台湾の俳優やアーティストで、イベント感満載でした。中国語は分かりませんが、インタビュアーはセレブにルックの感想を聞いていたのでしょうか。計30分は、ちょっと長かったですね(笑)。

村上:確かに言葉の壁は大きかったけれど、アイデア賞!ってカンジ。もちろん英語の字幕があればベターでしたが、僕は案外、楽しく見続けることができました。映画祭の華やかさはファッションにも通じるし、「台湾では、こんな芸能人が活躍しているんだ」っていう発見も面白かった。とはいえ、舞台をレッドカーペットに設定しちゃうと、メンズはスーツ、ウィメンズはドレスばかりになっちゃうね。いつもはパーカやショートパンツ、スニーカーとかいっぱい出てくるのに(笑)。ネオンカラーのピカピカスーツにパールを加えたアクセサリー一辺倒になっちゃったのは、勿体無い。フィナーレに登場したデザイナーはGジャンにデニムだったけど、レッドカーペットの上でも違和感ありませんでした。音楽関係のセレブには、カジュアルウエアを着せちゃえばよかったのに。

デザイナー本人によるコレクション解説

川井:ジョナサン・アンダーソン本人がコレクションを手に取り、解説してくれました。デザイナー本人がインスピレーション源やディテール、新型コロナウイルスが世界的に蔓延している中での制作過程など、なかなか知る機会がないことを話してくれるのは嬉しいですね。ファッションフォトグラファーのユルゲン・テラー(Juergen Teller )が撮影した写真をポスターにしているのも印象的でした。

村上:ジェンダーの境界はほとんど消滅、タイムレスなジャケットやコートも増え、ジョナサンが目指す「普遍的なアイテムを、いろんな人間が着ることで、個性を表現する」というゴールに近づいている印象です。大昔、ロンドンメンズで“ちょうちんブルマー”のメンズを見た時は、衝撃的すぎて記憶に深く深く刻み込んだけれど、21-22年秋冬でパフスリーブのコットンジャージードレスを着たメンズモデルを見ても驚かなくなっている(笑)。自分の感覚も大きく変化しているんだな、って思いました。気になったキーワードは、「Reinforce Wardrobe」。直訳すれば「ワードローブを豊かにする」って意味かな?「自分の手持ちに最新コレクションを加えて、少しずつ自分らしいワードローブを作る」という感覚は、サステナブルという価値観が台頭する今、すごく共感できます。「ちょっとだけイマドキ」な洋服をプラスし続ける消費、は、今シーズンのキーワードになりそうです。

世界を目指す意気込みとエネルギーを体現

川井:「ヨシオ クボ(YOSHIO KUBO)」は、日本文化の美的理念の1つ“幽玄”がテーマでした。ショー会場は、国会議事堂など、日本を象徴する建築物の家具や室内装飾を手掛ける三越製作所。ファーストルックを飾ったモデルはTikTokで人気に火が付いた19歳の大平修蔵さんですね。ちなみに現在、フォロワーは300万人を超えています。音楽はDJのリカックス(Licaxxx)が手掛けていて、日本のブランドが世界を目指す意気込みやエネルギーを感じました。

村上:着物風なパターンで侘び寂びさえ感じさせるウエアと、リカックスさんの打ち込み系テクノ、モノづくりの現場という融合が「ヨシオ クボ」っぽいですね。トレンチコートの後ろに「MODERNITYSTIC&BLENDING YUGEN」っていうメッセージがありました。「幽玄にこだわりつつ、融合するのがモダニティ」って意味でしょうか?作務衣風のアウターをナイロンポケットや止水ファスナーなどでアップデートするなど、言葉通り、良さを活かしつつ少しだけ手を加えて今の時代に馴染むものに仕上げるというのは、三越製作所などが行ってきたモノづくりの理想形ですね。

「強さ」が滲み出るプリーツウエア

川井:個人的に「オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE)」は大好きなブランドですが、ルックはもちろん、映像も素晴らしかったです。冒頭に登場するプリーツ加工マシンの機械音をBGMにモノトーンのルックが交錯しながら歩いたり、躍動感たっぷりに踊りだったり、空気を含ませるとアイテムが映えますね。「Never Change, Ever Change(変わらないもの、変わるもの)」のテーマ通り、クラシックな装いの中に、プリーツ加工の短めのベストやジャケットなどひねりのあるアイテムを加えており、めちゃくちゃタイプでした。

村上:側から見る限り「この子のワードローブは、4割くらい『オム プリッセ』なんじゃないか?」と思わずにはいられない川井さんとしては、随分あっさりまとめましたね(笑)。もっと愛を語れば良いのに。簡潔にまとめるのが「オム プリッセ」らしいとも言えるけれど(笑)。「Never Change, Ever Change」というテーマは、プリーツそのもののハナシなんじゃないか?って思いました。あらゆる意味で機能的だからプリーツを探求する姿勢は「Never Change」だけれど、プリーツの入れ方とかは「Ever Change」みたいな。最近は全面プリーツ、じゃないアイテムも増えているしね。パリでのリアルの頃から、「オム プリッセ」の得意技と言えばカラフルなプリーツウエアをまとったモデルが表現する躍動感でしたが、今シーズンは見せ方を大きく変えてきましたね。「ポップ」な印象は薄れたけれど、「強さ」が滲みます。正直、洋服自体はそんなに大変身したワケじゃないのにね。改めて「オム プリッセ」やプリーツウエアの多面性を感じました。この服、本当に誰もが、自分らしく着られますよね。余談ですが、月刊誌「WWDビューティ」の2020年10月号の表紙を飾ってくれた「レコ」の内田聡一郎さんが、撮影の時「オム プリッセ」を着ていたんです。ご本人のほんわかした雰囲気とすごくマッチしていたのが印象的でした。なんとなく若い世代は、川井さんのように「オム プリッセ」のミニマルな感じを引き出すコーディネートが多い印象だったので、さすが内田さんって思ったのです。川井さんもたまには、モノトーン以外の「オム プリッセ」に挑戦すれば良いのに。

「コンバース」とのコラボスニーカー登場

川井:「リック・オウエンス(RICK OWENS)」は、ゴシックな会場と時折映る湖畔がダークかつリアルさを演出、さらにBGMのGOHSTMANE(ゴーストメイン)の“HELLRAP”が雰囲気を盛り上げていましたね。ルックの足元は「リック・オウエンス」のセカンドライン「ダークシャドウ(DRKSHDW)」と「コンバース(CONVERSE)」のコラボスニーカーが登場。「ダークシャドウ」だとキャンバススニーカーの“ラモーンズ (RAMONES)”が有名ですが、厚底にスクエアトーとトレンドの要素も取り入れた今作は、ブランドのファンではない僕も「欲しい!」と思いました。

村上:意地悪なくらい、横向きと背面しか見せてくれませんね(笑)。他のブランドは“ド正面”からクローズアップしてくれるのに、リック様のど正面ルックはまぁまぁ「引き」の画面で、何度か別のモデルに遮られてしまいます。でも、良きコレクションでした。いつも通りの迫力は損ねず、川井さんの欲しいモノリストに食い込んだスニーカーやサーマル風のニットタンク、リアルなレザー&ムートンと、ボリュームあるダウンは、みんなが「カッコいい」って感じそう。

民族衣装を取り入れて世界の文化を表現

川井:雪山でシンガーソングライターのソール・ウィリアムズ(Saul Williams)がまるで語り掛けるように、詩を朗読しながら歩いてくるシーンから始まった「ルイ・ヴィトン」。語勢は徐々に熱を帯び、それと同時に次々ルックが登場する演出でした。後半にはラッパーのヤシーンベイ(YASIIN BEY)が踊りながらラップを熱唱。音楽的視点で見てもただただ格好良くて、ドゥーラグを巻いたダンサーなどヒップホップの要素も強かったです。メゾンブランドのアプローチの手数や規模が顕著に表れますね。食い入るように見てしまいました。

村上:結構ギリギリまで「リアルショーを検討していた」と伝えられていますが、「構想数カ月」レベルの壮大な映像作品に仕上げましたね。規模感にも関わらずの、スピード感。さすがは「仕事が早い」、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)です。ここ数年、ヴァージルはフォーマルウエアを極めようとシフトチェンジしている印象ですが、今シーズンが一番スキかも。ドゥーラグを思わせるストール風リボンのハットやシンプルなスニーカーとのコーディネート、ちょっぴりキャッチーなストライプのシャツ&タイ、時折加えるプリーツスカートなど、王道のフォーマルにストリートの遊び心をちょっぴり加えた感じ。革命的な新しさではないけれど、誰もが頑張り過ぎずに楽しめる感じがします。2021年秋冬プレのテーマ、「ニューノーマル時代の適合性」を今シーズンも大切にしています。映像の主役が、クリアチェーン付きのモノグラムのトランクケースなのは、ヴァージルとメゾンの良好な関係を物語っているようでした。ショーピースでしょうがエンパイヤステートビルや凱旋門が“そのまんま”洋服になっていましたね(笑)。今シーズンの招待状は木製の飛行機で、それを収めた箱には「COCKPIT VOICE RECORDER」の言葉が記されていたのですが、納得です(笑)。こういうご時世だから着陸はできなかったかもしれないけれど、空から世界を一周して目に飛び込んでくる風景、湧き上がる感情をコレクションに詰め込んだのかな?チルデンニット風のファーのプルオーバーからデニムのセットアップ、カウボーイ風のゴツいベルトとウエスタンブーツ、サリーのように体に巻きつけたロングストールまで、今シーズンは世界の民族衣装的なスタイルも見え隠れしていました。個人的には、“モノグラム”の飛行機バッグに目が釘付けでした(笑)。

日常の中に感じる希望

川井:「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」はスマートフォンで視聴することを想定してか、縦長で動画を制作。動画自体はルックを見せるための動画内容はいたってシンプルでしたが、足元に溜まるワイドパンツやサックスブルーのオーバーサイズシャツ、ジャケットと同素材のニットのショート丈のパンツなど、アイテムの色味やレイヤードのバランス感がとても美しかったです。

村上:カメラがモデルを下からあおる場所に置かれていたせいか、全体のプロポーションバランスがちょっぴり分かりづらくて損している気がするね。その分、上半身のボリューム感と、ハイウエストパンツのスラッとした感じは印象に残ります。特に気に入ったのは、シャツかな。スエットを重ね着したシャツドレスや、スカーフをトロンプルイユしたオーバーサイズは、気負わずに楽しめそう。ドリスでは比較的珍しいパステルカラーのプルオーバーは、可愛らしい。背景は、朝から昼、夜に変わって、また朝を迎えてエンディング。こんな時代でも、新しい一日はやってくるのは変わらない。日常を感じさせつつ、希望も抱かせる、壮大ではないものの心地よいドリスらしい演出でした。

海洋問題をコレクションを通して発信

川井:「ボッター(BOTTER)」は今回、海洋問題に対する主張とカリブ海のサンゴ礁の保全活動からショーを始めました。ルアーを全体にあしらったコートや、フィッシングベストの要素を取り入れたジャケット、サンゴを模したネックレス、ブイ(浮き輪)のバッグなど随所に海に関するアイテムを盛り込んでいます。ファッション業界においてもサステナビリティは最重要課題の一つですが、コレクションを通じて社会問題を提起するのは、素晴らしい姿勢で姿勢ですよね。

村上:ルアー付きのジャケットは、なんだか“釣られちゃってる”感じで居心地が悪そうな気がします(苦笑)。それ以外を除くと、今シーズンは標榜していたクチュール的プレタポルテ感が薄れたかな?立ち位置の模索は続く、っていう感じかな?

初の国内ショーは持ち味を十二分に発揮

川井:「カラー(KOLOR)」がランウエイショーを行うのは、パリで開催した2017-18年秋冬コレクション以来、約4年振りです。今回のショーは日本国内での発表、しかも「カラー」にとって国内でのランウエイショーは初の試みです。僕はライブ配信を見ていましたが、かなりのルック数でした。要さんは現地でご覧になったんですよね?いかがでしたか?

村上:いやぁ〜、サイコー。今シーズンも欲しいものいっぱい(笑)。メンズは、生来の渋さと心地よさ、モード感が今シーズンもちょうど良いバランス。パリメンズでの発表会を展示会形式に改めた頃に“吹っ切れて、手に入れた”印象の迷いなきパッチワーク&ハイブリッドは今シーズンも潔く、ランウエイショーの迫力という意味ではパリメンズ時代より何倍もパワーアップしている印象です。ウィメンズなんか、ほとんど工作。DIYですよ(笑)。「阿部さんの頭の中は、こんな風にいろんなことが渦巻いているんだろうなぁ」なんて感じてしまいます。潔く、大胆な感じは、ここ数年の継続路線。だから去年や半年前の洋服も自然に加えることができそうです。ジョナサンが話していた「Reinforce Wardrobe」という言葉を思い出しました。来週の「カラー」の展示会で、僕も自分の「Reinforce Wardrobe」を考えたいと思います!

音楽的要素を感じるスタッズやベルト使い

川井:「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)は前回同様、モデルがランウエイを歩く様子をメインに、所々に商品説明の画像を差し込んだ映像でした。スタッズをあしらったレザージャケットやピタッとしたパンツ、たくさんのベルトを施したコートなど、どこか音楽的なムードを感じました。

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ラオックスが中国越境ライブコマース サロン専売品をどう売る?

 免税店大手のラオックス(LAOX)は昨年、新型コロナウイルス流行の影響を大きく受けた。渡航制限が続く中、2020年7月にはインバウンド事業を行う店舗の半数にあたる12店舗を閉店し、九州と沖縄エリアからは撤退を発表。一方で、インバウンド事業の主要顧客であった中国客に向けて越境ECを強化し、20年12月期第3四半期時点でのグローバル事業(対中貿易・EC事業)の売り上げは全体の23.4%まで拡大している。

 越境EC強化の取り組みの一つが、20年2月にスタートしたライブコマースだ。ラオックスは11年に中国のEC市場でシェア4位の中国・蘇寧易購(Suning)の連結子会社になり、中国本土に強力なネットワークを持つ。蘇寧易購は家電大手だが、近年成長する日用品分野は第2の柱だ。そこでラオックスは中国客に人気の高い、日本の美容製品や健康食品、衛生関連品などを販売。現在は中国と日本からライブコマースを実施しており、これまで中国で取り扱いのなかったブランドも手掛けている。

 テクノエイトが販売するサロン専売ヘアケアブランド「オッジィオット(OGGI OTTO)」もその一つだ。サロン専売という特性上、これまで中国で知名度はなかったというが、ラオックスと中国向けマーケティングを行うアライドアーキテクツが展開する中国向け販売パッケージを利用して、20年12月に中国向けに販売した。

 販売パッケージは、集客力があり蘇寧易購にEC旗艦店を持つラオックスと、中国SNSで口コミや話題作りを行うアライドアーキテクツが組み、一からの中国進出を支援するもの。テクノエイトは現時点で本格進出は計画していないというが、将来的な可能性も視野に、販売パッケージの利用を決めたという。販売に先駆けてSNSでの口コミを増やすため、アライドアーキテクツが抱える在日中国人コミュニティ「播日本(BoJapan)」を通じてサンプリングも行った。

企業トップ自らが登場するライブ配信

 ラオックスのライブコマースは日本から同社社員が配信しており、昨年6月には紹介企業の社長や責任者を迎えて配信する「ボスライブ」もスタートした。企業トップが配信に登場するのは中国ライブコマースのトレンドの一つで、ラオックス経営戦略本部の庄宇杰・副本部長は「実際に企業のトップや社員が登場することで、商品に関する深い情報やブランドストーリーを伝えられるだけでなく、日本の企業であるという信憑性も発信できる」と利点を語る。

 テクノエイトも12月12日のセールイベント「W12」でライブコマースに登場し、普段は国内のサロン向けに営業を担当する三浦晃平氏が出演した。テクノエイトの森武史社長は三浦氏の出演について「三浦は元々美容師で、サロンに向けた技術講習も行っている。美容師時代の経験を活かした内容がわかりやすいと評判が良かったため、今回のライブコマースでも、言葉の壁を超えて商品の良さを存分にアピールしてくれると考えた」と語る。

 ライブ配信は、三浦氏登場の1時間前にスタート。日本に関心のある層の集客を狙い、東京タワーなどの観光名所を紹介して回った。3万人ほどの視聴が集まると、スタジオからMCとアシスタント、三浦氏の3人で配信を開始。スタジオでも、まず掴みとして三浦氏の経歴やキャラクターを紹介したり、「オッジィオット」のミニサイズセットが当たる抽選会を実施したり、バラエティー番組のような要素を詰め込む。こういったエンタメ要素が目を引き、1時間の配信で10万8000視聴を集めた。

 また配信では日本とは異なる伝え方を工夫したという。三浦氏は「日本ではヘアケア製品に関して“インバス(浴室で使用)”と“アウトバス(浴室外で使用)”という表現を使うが、中国ではそういった概念がないと事前の打ち合わせで聞いた。そこで朝や夜、仕事終わりなどのシーン別の使用法で訴求した」と語る。また中国では使用後の結果を重視する傾向が強いため、インスタグラムの関連投稿を用いて製品使用後の髪の艶をアピールしたり、使用方法を実演で披露した。

ライブコマースの上手な活用法

 ライブコマースは売るだけでなく、宣伝の役割が大きい。庄副本部長によると、「ECとライブコマースは同時に回さなければ、ユーザーを他社に取られてしまう」という。ライブコマースの視聴者が増えた今、こういった考えから長時間のライブ配信や連日の配信を行うブランドや小売店が増えているのだ。

 一方で中国のライブコマースは値下げが付き物となっており、この日も「オッジィオット」の製品がセール価格で販売された。しかし値下げし続けることは、ブランド毀損にもなりかねない。庄副本部長は「『オッジィオット』は1線都市(北京、上海など)の高収入の女性や、30〜40代の富裕層がターゲットだ。客層が高収入のため、わざわざ値下げし続ける必要はないと考えている」と話す。セールはあくまで“お試し価格”であり、今後打ち出すリピート施策が重要なのだという。

 ラオックスとしてはコロナの流行によるインバウンド客の減少を機に始めたライブコマースだが、今後は渡航制限が解除されても継続するという。「越境ECはインバウンド客のリピート買いの場になる。今後も強化し続ける必要がある」と庄副本部長。ライブコマースとうまく付き合うことは、中国客と向き合う上で欠かせない要素となっている。

臼井杏奈:産経新聞社を経て、2017年から「WWDJAPAN.com」「WWDビューティ」編集記者として海外市場やビューティテックの取材を担当。現在はフリーライターとして活動。 日本美粧協会「チャイナコスメティックラボ」研究員

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オノマトペの魅力 エディターズレター(2020年10月21日配信分)

※この記事は2020年10月21日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

オノマトペの魅力

 言葉を生業とする人間ですから、「言葉にできない」なんてモノやコトは、あんまりないと思っています。でも「言葉より的確」な表現は、たくさんあります。

 「オノマトペ」です。

 どうやら私は、「オノマトペ」を多用する人間のようです。このお手紙でも頻繁に「ドキドキ」とか「ワクワク」「モヤモヤ」なんて擬声語を多用しているでしょう?言葉でメシを食う人間としては、未熟なのかもしれません。でもオノマトペを使うと、表現は人間味を帯びてきます。自分の気持ちを感情豊かに表現するために、そして皆さんにもっと近づくために、私はオノマトペに依存しがちなのでしょう。

 先日、2021年春夏コレクションを発表したばかりのコシノヒロコ先生を訪ねました。相変わらずメチャクチャお元気で、今シーズンは、コレクションの着想源となった抽象画をバリバリ制作。ハキハキと、そしてウキウキしながら、来年開催予定の展覧会の話を始め、こちらは写真をパチパチ撮りました(笑)。

 展覧会には、2000着に及ぶアーカイブから300着を厳選。それらをオノマトペに準じて並び替えるそうです。「フワフワ」のコーナーにはチュールやオーガンジーを使ったフワフワのワンピース、「キラキラ」のコーナーにはスパンコールがいっぱいのドレスが並ぶのでしょうか?下のリンクで紹介する21年春夏「ヒロココシノ」コレクションは、「ワクワク」とか「ユラユラ」なんてコーナーに並ぶのかな(笑)?そう考えるとヒロコ先生の洋服は、オノマトペで表現するのがピッタリ。情熱に素直だから、五感で感じたいコレクションなんです。ブルース・リーの言葉を借りれば、「Don’t think!! Feel!!(考えるな、感じろ!!)」ですね。

 そんなことを考えていたら、今こそ、オノマトペをいっぱい使うってアリなんじゃないか?と思うようになってきました。「フワフワ」「キラキラ」「ツルツル」「すべすべ」「サラサラ」などなど、いまのムードにふさわしいオノマトペは、いっぱいあります。頭で考えるよりも心で感じたいし、海外もご無沙汰だから「南仏のリゾート地を思い浮かべて~」なんて言われてもピンときません(笑)。それだった「キラキラの太陽と、サラサラの砂浜。そこでキャッキャと遊んだり、スヤスヤとまどろんだりするときの洋服です!ウキウキするでしょう!」って言ってくれた方が共感できます。海外進出もしやすいんじゃないかな?

 みなさん、普段の会話に積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか?

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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「キディル」や「ターク」などパリ公式初参加の日本勢が奮闘 先輩&後輩記者2人のミラノ・パリメンズ8選

大澤錬「WWD JAPAN.com」記者(以下、大澤):本日も2021-22年秋冬メンズ・コレクションレポート第2弾やっていきましょう。前回の「ドタバタ対談」では全ブランドをリアルタイムでリポートし、かなり苦戦を強いられましたが、今回はミラノ最終日、パリ初日で印象的だった8ブランドに厳選して振り返ります。大塚さん、よろしくお願いします。

大塚千践「WWDジャパン」デスク(以下、大塚):よろしく!リアルタイム縛りはなくしたものの、公開時間になるとなんだかんだとソワソワしない(笑)?真面目か!

急激なUターンにびっくり!

大塚:さて、まずは「ア コールド ウォール(A-COLD-WALL)」辺りからいきましょうか。ロンドンからミラノに発表の場を移した当時は意外だったけど、服もイタリアンモードみたいな装いにシフトしてきたね。クラシックかつスポーティーで、ミニマルな雰囲気。となると、「ここの個性や強みって何だっけ?」と動画見ながら考えちゃった。

大澤:当初のストリートスタイルから大きくシフトチェンジしてきましたね。最初は別のブランドを見ているかと思うぐらい、落ち着いていてびっくりしました。元々のファンにはパンチが少ないかもしれないですね。僕は「某ラグジュアリーブランドに似ている気がする」と思いながら見てしまいました(笑)。バケットハットやニットのチャームの付け方、洋服のシルエットなど……。

大塚:分かる!イタリアのあそことあそこが混ざった感じ。僕の経験上、急にクリーン路線やテーラリングを始めたデザイナーはラグジュアリーブランドへのアピールをしている説があるんだよね。サミュエル・ロス(Samuel Ross)も、もしかするとそういう座を狙っているのかも。個人的にはロンドンで発表していたころのインダストリアルなストリートウエアが好きだったので、もう少しその路線で振り切ってほしかった。

地上波完全アウトのハラハラドキドキムービー

大澤:「マリアーノ(MAGLIANO)」は、ルカ・マリアーノ(Luca Magliano)・デザイナーの25歳という若さ溢れるさまざまな要素が詰まったムービーでしたね。肝心の洋服が入ってこず、ドアップで股間を握るシーンや、白いブリーフをはいた謎の天使もツボでした。宮殿ではあまり見かけないようなメンツが勢揃いで、昭和の角刈りヤンキー風モデルがセンターを陣取り、タバコをふかしていましたね。

大塚:あの股間をまさぐる描写は地上波のテレビなら完全アウトだよ(笑)。最後は、ブリ天(ブリーフ天使)から「だめだこりゃ」って聞こえてきそうだった。1回目はコントを見ているようで服が全く入って来なかったけど、2回目を見ると服のクオリティーは着実に上がっているなと思った。一歩間違えるとコミカルに転びかねないテーラリングを、素材感やギリギリのシルエットでクラシックさを残しつつ、エロく仕立てている。コアな若いファン層がいるのも少し分かった気がする。

ミラノを走る!馬に乗った日本兵「ジエダ」見参

大澤:「ジエダ(JIEDA)」は、アメリカ人アーティストのリチャード・プリンス(Richard Prince)の写真集“カウボーイ(COWBOY)”がインスピレーション源でした。1970年代のアメリカで流行したブーツカットパンツやウエスタン調のテーラード、襟を大きめにしたシャツなどをタイトなシルエットにアップデート。若い世代に人気の同ブランドですが、今回の古着っぽいスタイルに新しさを加えて表現するセンスに、人気の要因がありそうです。

大塚:前シーズンのチンピラVシネマ風な映像からラグジュアリーブランドみたいな映像作品にガラリと変わっていて、一瞬ページを間違えたのかと思った(笑)。カウボーイのウエスタンの土っぽさを色や素材感でにじませつつ、きれいなジャケットやセットアップの提案も多くて、新しい方向にも目を向けていこうという感じ?こういう強いコンセプトの世界観が作れるのは意外だったから、日本代表としてもっともっと磨きをかけていってほしいよね。

ベテラン感漂う“さすが”の一言

大澤:続いての「ベルルッティ(BERLUTI)」は1分間のムービーで発表。前回の陶芸家のブライアン・ロシュフォール(Brian Rochefort)との対談形式も面白かったですが、今回は尺が短くシンプルで見やすかったです。モデルは3人でしたが、同ブランドらしい無骨さと、クリス・ヴァン・アッシュ(Kris Van Assche)の鮮やかな色使いのミックスで、良いところが凝縮していました。でもあまりにあっさりしすぎで、もしかしてこれはティーザー映像ですか?(笑)

大塚:正解。今回は3月の本発表に向けたティーザー映像なんだって。ビビッドカラーを差し込んだテーラリングと、染色技法“パティーヌ”を用いたアクセサリーという得意技のオンパレードだったね。前シーズンはアーティストとのコラボレーションでシーズン性を打ち出してきたけど、今季もアートのようなグラフィックが映ったよね?きれいな服とアートという好相性な組み合わせだから、どんな発表をしてくれるのか早くも楽しみになりました。

素材の魔術師「ターク」に驚愕

大塚:「ターク(TAAKK)」は今回からパリ・メンズの公式スケジュールに入ったんです。やはりデザイナーにとって公式に入るか否かはモチベーションが全然違うみたいで、本人もかなり気合いが入っていたよ。その証拠に、今回のキーファブリックの生地サンプルが入ったボックスが直前に届きました。今回もデザイナーからのメッセージ付きで、無機質なデジタルでいかにエモーショナルを届けるかで工夫しているのが分かるよね。

大澤:前回の東京で発表したコレクションも素晴らしかったですが、日本代表としてパリの舞台で戦うブランドが増えるのはうれしいですね。また手書きのメッセージや、生地サンプルを送る辺りも気合いの入り方が伝わってきますね!

大塚:その素材がヘンタイすぎて驚いた!ヘリンボーンがコットンのシャツ生地に変化したり、リップストップがナイロンツイルに変化したり、とにかく意味が分かんない。でも「ターク」は「素材で世界と戦うんだ」という明確な意志を最近は特に強く感じるし、正解だと思う。だからなおさらどんな映像か楽しみにしていて、日本時間0時スタートだったけど、リアルタイムで見ちゃったよ。

大澤:映像はバスに揺られて物件探しから始まり、学校や公園など、これまで当たり前に過ごしていた事柄が描かれたドラマ仕立てのストーリーでした。自分が名古屋から東京に出てきたときをなんとなく思い出した〜(涙)。個人的には背中にテーラードの型押しがされているグリーンのジャケットと、シースルーのアウターが気になりましたね。

大塚:その辺はキャッチーだったね。映像はムード重視で、スタッフも2021年春夏のムービー“UNPOSTED”とほぼ同じ。前シーズンはすれ違う男女の話だったから、もしかして続編?月9みたいにハッピーエンドくる?なんて期待してしまった。結局ストーリーはつながっていないように感じたけど、実は“UNPOSTED”の前の話だったということがデザイナー本人からの連絡により判明して、映像を見直したよね。服はこれまでの自慢の加工素材のオンパレードで、強いピースばかり。ただそれをきれいなスタイルで見せようとしているのが以前との違いで、世界を意識しているんだと思う。

メガシャキムービーに心はズタボロ

大塚:当初は参加予定だった「ファセッタズム(FACETASM)」が緊急事態宣言発令の影響で参加辞退になったので、別のブランドいきましょう。服はさておき、「ブルー マーブル(BLUE MARBLE)」のリアル&CG背景ミックスの映像はかなりキテたね。深夜に目が覚める感じで。背景の情報量多すぎて、服に全然目がいかなかった(笑)。ゴタ混ぜのストリートウエアということは理解したけど、一本調子でちょっとしんどかったなあ。

大澤:同ブランドは、デザイナーのアンソニー・アルバレスが2017年に設立。18年に「ブルーマーブル」に改名し活動を続ける仏の気鋭ブランドだそうです。洋服をきちんと見せようしている点は自分の立場を理解してコレクション発表をしていて良かったと思います。単なるロゴ使いや奇抜な柄、オーバーサイズのシルエットというクリエイションだけではライバルが多すぎる。自分たちの強みを見つけ、そこを伸ばさないことにはパリの場では余計に悪目立ちしてしまいそうですよね。これからの活躍に期待したいです!

進化が止まらない「キディル」登場

大塚:次の「キディル(KIDILL)」の公開時間は、日本時間深夜3時30分。いったん休憩して、5分前にアラームかけたわ。起きるのがマジで辛かった。でも起きた価値はあって、めちゃかっこよかった。ムービーカメラを8台使って撮影しているからアングルがバンバン変わり、5分間があっという間。実は1月15日にリアルのショーを開催してそれを撮影・編集したものなのだけど、シンプルなショーをドラマティックに見せるテクニックには素直に感心した。

大澤:今、日本の中でもかなり勢いのあるブランドだと個人的に注目しているのですが、今回も攻め攻めのグラフィックやディテールが詰まっていてかっこよかったです!ドメスティックブランドは守りに入るブランドが多い中、「キディル」は良い意味で日本のブランドらしくないところが若い世代の人気を集めている要因かと思います。いわゆる見ていて楽しい洋服。「なんじゃこれ」「どこに着ていくんだ」と思わせてくれる。そこがオシャレさんたちに刺さり「なら着こなしてやろうじゃないか」と奮起させているのではないでしょうか。世の中の皆さん、ファッションはまだまだ生きていますよ〜。夜露死苦(笑)。

大塚:出たよ、元ヤンキー魂。でも「キディル」はパンク魂で、“Desire(欲望)”をテーマに強いクリエイションにこだわったらしく、柄もディテールもいつも以上に盛り盛り。時折テーラリングも挟むんだけど、それもストロングな総柄。勢いに乗っている気持ちがそのまま服に反映されたハイテンションなコレクションだった。世界で戦うにはまだまだ引き出しは必要だと思うけど、個人やブランドとのコラボレーションを上手く活用しながら成長しているよね。今後がますます楽しみになりました。

エンスト続きで発進はまだ?

大塚:さあ、本日最後は「ルード(RHUDE)」でございます。まず15分がマジで長い。♪ニュ〜ヒ〜マハハナ〜フヒ〜ていう呪文のようなBGMが延々と流れて辛かったわ。しかも出てくるのは終始普通の服ばかりで。あ、でも大澤さんは車好きだから、セットにあったレースカーは気になったんじゃない?

大澤:セットにあったのは「マクラーレン・メルセデス」のF1ですね!サーキットにF1のセットで「おっ!何か面白いことが起きるのかな?」と期待したのですが、フォーミュラーカーは最後まで動かず……。洋服は変わらず普通の服で、音楽も不気味なものではなくF1にまつわる音楽などにして欲しかったですね。「マクラーレン(MCLAREN)」とのコラボアイテムも発表していましたが、単にロゴをプリントしたアイテムのみ。洋服、車共に好きな僕ですら興奮できませんでした。どうせなら、レーシングスーツ・シューズなどをベースにアレンジした、バチバチにストリート色の強いアイテムを発表してほしかったです。

大塚:さすが車好き。期待を裏切られたときの厳しさ半端ない。品質は良さそうだったけど、会話するポイントがあまりないというのも致命的だね。そしてデジタルでのコレクション発表も2シーズン目となると全体的にクオリティーは上がってくるものの、単調すぎても、奇をてらいすぎてもダメで、バランスが難しい。ルックを見れば服は分かるんだけど、導入として動画は十分機能しているのだなと改めて実感した。パリはまだまだ始まったばかりだけど、あと5日間、楽しんで取材しましょう。

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ドリス・ヴァン・ノッテンが語るクリエイション 「私たちは立ち止まってはいられない」

 30年以上コレクションをデザインしているドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)は、自身のコンフォートゾーンの外にあるアイデアや美学に挑戦し続けている。そこには最初のうちは反発しうるものも含まれ、初めてオリーブを食べるようなものだと表現する。「初めて食べてみたときには『あまりおいしくない』と言うかもしれない。しかし、だんだんとオリーブの味が分かるようになり、料理に混ぜて使えるといったような可能性が見えてくる」。そして、それはファッションも同じだとし、次のように語る。

 「私の周りにいる人々は、自分たちが面白いと思っている私の知らないことを教えてくれたり、見せてくれたりする。それを必ずしも好きになる必要はなく、『このアーティストは好きじゃない』や『このミュージシャンは自分には合わない』などと言うかもしれない。でも耳を傾け始めると、良さが分かるようになってくる。それが私にとって最も興味深いことであり、すなわち常に進化していく必要があるということだ。私たちは立ち止まってはいられない。常に驚きや新しさを加えなければならないし、それこそがファッションのエキサイティングなところだと思う」。

 さらに「私は自分のチームやクライアント、バイヤーを驚かさないといけないし、自分自身さえも驚かさないといけない。私が一番望まないのは、私のクリエイティブなプロセスがある種のごまかしやシステムになってしまうことだ。私たちが常に口にしていることではあるが、『ドリス ヴァン ノッテン』には"ごまかしを知ったら、魔法を失ってしまう"という黄金律がある」と続ける。
 

新型コロナのパンデミックがもたらしたもの

 20年5月にドリスが中心メンバーの一人となり立ち上げた、実際の季節に合ったスケジュールで商品を販売することなどを提言するウェブサイト「ファッション業界への公開書簡(Open Letter to the Fashion Industry)」は、ファッションサイクルのスローダウンに取り組む高級小売店の経営者やデザイナー数百人の署名を集めた。もともとドリスは長年、デザイナーを疲弊させるようなプレ・コレクションに反対し、(メンズ・ウィメンズそれぞれ)年2回のみコレクションを発表してきた。それでもなお、新型コロナウイルスのパンデミックによる強制的なスローダウンによって、シーズン提案を30〜35%縮小できたという。

 さらにパンデミックの影響により、広告キャンペーンを制作しない同ブランドにとって主なコミュニケーションツールであるランウエイショーも中止した。彼は当初、ショーなしで21年春夏コレクションを発表することにかなり困惑し、慣れていない新たな形式でどうやって感情を伝えるか心配したと打ち明けた。しかし、最終的にはそんな挑戦を受け入れ、ヴィヴィアン・サッセン(Viviane Sassen)と共に生み出したイメージと短編映像に対して好意的なフィードバックを得たという。

 21-22年秋冬に関してもおそらくショーを行わないことを明かし、「私たちは別の発表方法を見つけなければならない。制限があるとき、人はそれを問題視することもできるし、とてもポジティブに捉えて受け入れることもできる。それこそ、今の私たちが取り組んでいることだ」と話す。実際、ドリスは昨秋のファッション・ウイークで他のデザイナーたちが披露したクリエイティブな解決策の数々を称賛。「誰もが今、学んでいるところだ。そして自分のブランドに合うものを見極めて、それぞれの真実を見つけなければならない。来シーズンは、本当の意味でコレクション発表のための新たな機会を発見できるだろう。それは素晴らしい状況だと思う」と述べる。

 また、ドリスはパンデミックによってもたらされた変化を受け入れる必要があり、それは最終的にはファッションにとって良いものになるべきだと主張。ファッションにおける大きな変化に期待を寄せる。その解決策の一つは、ファッションの“本質”に立ち返って廃棄を減らすこと、そして「最終的な顧客にいかにファッションは美しいものであるかや、そこに注ぎ込まれた技術、そしてハイストリートブランド(大量生産型のブランド)との違いを説明することだ」という。

 ロイヤリティーの高い顧客基盤について聞かれたドリスは、そのことに感謝する一方で、常に新しい顧客を引きつける必要があることを強調する。そして、「コレクションと共に年齢を重ねるということを考えたことは一度もない」とし、「クリエイティブなプロセスの初期段階で、特に自分のためにデザインしていたこともあったメンズ・コレクションからは距離を置くようにしてきた」と説明する。一方、彼のクラフトへの情熱は少しも衰えておらず、独特な装飾は彼の美学のベースになっている。「画家が自分の絵の具を持っているように、私には自分の色や生地、プリントがある。ファッションはとても重要なコミュニケーションの手段であり、私たちの文化の一部だ。だから、私にとってはあらゆる文化的なものが大切だ」。

 尊敬しているデザイナーについては具体的な名前を挙げなかったが、「私はファッションの世界で起こっていることを追いかけている」とコメント。「私にとって、皆がいかに異なる方法で服にアプローチしているかを見るのは、とても刺激的で興味深いことだ」と語る。
 

プーチグループ傘下に入った理由とその後

 長年、ファッション業界を代表する独立ブランドの一つとして知られてきた「ドリス ヴァン ノッテン」は18年、スペインのフレグランス&ファッション企業プーチ(PUIG)に過半数の株式を売却し、業界を驚かせた。ドリスはこの決断の背景を「いろいろなことの組み合わせ」と表現したが、主な理由として60代に突入した彼の会社の将来を確かなものにしたいという思いがあったという。

 そして契約を結んだとき、「(ドリスも)他のデザイナーと同じようになってしまい、ロゴのようなものを多用し始めるかもしれない」とたくさんの人が考えたということを明かした。しかし、何も変わったことはなく、今でもリスク覚悟でコレクションに取り組んでいると強調した。その例の一つが、クリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)とコラボレーションした20年春夏コレクションだ。そして、昨年10月にオープンしたロサンゼルスのブティックでは過去のコレクションのアイテムも取り扱い、企画展示用スペースやミュージックルーム、トロピカルガーデンを備えている。「私は今でもとても自立していると感じているし、彼ら(プーチ)は私たちに自由を与えてくれている」とし、「プーチは大規模なインターナショナルビジネスでありながら、とても人間的なアプローチがあるファミリービジネスだ」と称賛した。

 最後に、ラクロワと取り組んだような大きなコラボレーションを考える可能性はあるかと尋ねられると、「絶対ないとは言えない。(先のことは)分からないから」と回答。「それこそがファッションの楽しさだろう。そこには常に次のステップがあり、それが感覚を研ぎ澄まし続けてくれる」と締めくくった。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

  

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「プラダ」のミウッチャとラフが学生たちと語り合ったことは? 21-22年秋冬メンズ発表後の対話を紹介

 「プラダ(PRADA)」は、ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)とラフ・シモンズ(Raf Simons)が共に手掛ける初のメンズとなる2021-22年秋冬メンズ・コレクションをデジタルで披露した後、ファッションや建築、哲学などを学ぶ世界の学生たちからの質問に答えた。これは、事前にインターネットで募集した質問に答えた21年春夏ウィメンズ・コレクション後の対話を発展させたもの。そこには、2人の教育の力と次世代のクリエーター育成の重要性に対する強い関心が垣間見える。

 まず、セント・マーチン美術大学でファッション・ジャーナリズムを学ぶ学生から「コラボレーションの中で意見の不一致が生じた場合、どのように解決するのか?」と聞かれ、ミウッチャは「私たちの意見が食い違うことは、あまりない」と回答。「どちらかが本当に嫌いなことはやらない。だから、それはとても明確なこと」だと続ける。ラフも「私たちはアイデアについての対話を絶えず続けている。だから、もし意見が合わないことがあればスキップして他のことに取り組むというのは、自然なことだ。意見が一致することの方がもっとたくさんあるからね」と話す。

 ただし、どちらかが説得された場合は例外だ。ミウッチャは、これまでずっとピンストライプが嫌いだったというが、今回のコレクションでは随所に取り入れた。そして、「マインドを変える可能性があるのは、いいことだと思う。私はいつでも話し合い、自分の意見を変えることにオープン。自分が持っていないアイデアを提示されることで、別の角度から考えることができる」とコメント。「私たちは自分たち自身でコラボレーションすることを決めたし、誰かに強いられたわけではない」とし、ラフとのアイデアの交換を楽しんでいるという。

 今回2人が対話を行ったのは、さまざまな色や質感の素材で飾られた複数の部屋からなるショーのセットだった。その中で、空間デザインの重要性について聞かれたラフは、新型コロナウイルスのパンデミックによる制限と移動の自由が失われたことを「私たちは想像もしなかったような状況に直面している」と表現。「対話の中で、私たちは絶えず自分たちのファッションを社会と結びつけて考えているから、大きな影響があった。そんな中で、このコレクションに対してストーリー性のある建築的文脈を生み出すことは重要ではなく、感情的文脈の方が大事だという結論に行き着いた」と説明する。
 一方、ミウッチャは「私たちはデザイナーとして、人々の生活に興味を持っている。服はそのほんの一部で、環境がもっと重要であることは間違いない。だから、人々の生活を定義するものが、ファッションにとって興味深いのは当然のこと。そして、建築は私たちが持っている感情やアイデアを表現し、伝えるのに役立つ」と語る。触感や官能性につながる素材を用いた屋外か室内か分からないような抽象的な今回のショー空間も「自分たちのメッセージを定義するために欠かせなかった」という。

 そして、文化服装学院でファッションデザインを学ぶ学生からは「前回の質疑応答で私たちの生活の中でのテクノロジーのインパクトの大きさについて話していたが、今回のコレクションではどのような技術革新が最も影響を与えたか?」と聞かれ、「正直なところ、このコレクションは主にテクノロジーとは別の側面と向き合った。人間の感情や私たちが今生きている世界と強く結び付いたコレクションだからね」とラフ。今シーズンは、テクノロジカルなものの反対にある感覚や触感、コントラストに目を向けたという。ミウッチャは人々とつながるための方法としてテクノロジーを捉え、その点で依存していることを認めつつ、「テクノロジーを私たちの感情やアイデアを可能な限りベストな方法で伝えるためにツールとして使わなければいけない」と述べる。

 続いて、話題に上がったのはロングジョン(ボディースーツ)だが、2人はそこに21年春夏ウィメンズのキー要素であった“ユニフォーム”としての意図はないことを強調した。そして、ラフはショー映像の中でロングジョン姿のモデルたちが踊っていたのは、もともと計画されていたものではなく自然発生的に起こったと明かし、「その空間にいる彼らがよころび、ワクワクしていることを感じられた」と話す。

 そんなラフにとって最も答えるのは難しかったのは、ハーバード大学デザイン大学院で建築を学ぶ学生からの「誰のためにデザインしているのか?」という質問だった。これに対し、彼は「自分のブランドでの最初の15年は大抵、誰かのことを念頭に置いてデザインしていた」と認めた。ただ、その後状況は変わって、「あまりに幅広くなった観客を定義することはますます難しくなってしまった」ことに気付き、「今は興味を抱いたり、つながりを感じたりする人のためにデザインしている。私は人々がどのように服を着こなすかに惹かれ、そこからインスピレーションを得ている」と説明する。

 一方、ミウッチャにとっては常にその反対だったとし、次のように語る。「私は常に服を物体として見ている。自分の好きなものや自分にふさわしいものをデザインしてきたけれど、誰が自分の顧客であるかなんて考えたことはない。要は、自分の理に叶うかだった。そして、その服を買った人々は、自分たちの着たいように着る。もし私の作った服が似合っていない人に対して腹を立てるかと彼らに聞かれても、決して服の着こなしで人を判断することはない。信じられないかもしれないけど、本当のこと。私が気付くのは、特にインスピレーションを与えてくれるようなものあったときだけ。それに、私はアイコンというアイデアが嫌いで、アイコンを持ったことがない。私がより世界に対してオープンな姿勢で、知的で、現実に接していれば、それは人々にとって理に叶うことだと思うから、(その服を)買ってくれると思う」。

 また、弘益大学高等研究国際デザイン学校の学生からの「どのように自分の好みと商業的な価値、現在のトレンドのバランスをとっているか?」という質問に対しては、次のように答えた。「たとえクリエイターであっても、私たちの仕事は服を売る商売。だから、私たちの仕事は、最大限クリエイティブであることと同じくらい、人々のニーズに応えることでもある。つまり、自分のアイデアに忠実でありながらも、人々が欲しくなるものを生み出すこと。それこそが最も重要なポイントで、ファッションデザイナーである限り、あらゆる面で表現の自由やクリエイティビティーとリアリティーの組み合わせに向き合うことになる」。

 そして、自分の好みとトレンドのどちらに従うすべきかと聞かれると、「常に自分自身に従うべき。私にとっては、それが極めて重要であり基本なことでもある」とキッパリ。「服はあなたのアイデアやパーソナリティーを表現するもの。かつて、どうすればエレガントになれるかと聞かれたことがあるけれど、重要なのは自分自身を知り、自分らしくあること。そうすれば、自分が本当に何を求めているか、何を必要としているかは分かる。自分自身を知ることはそんなに簡単ではないから、難しいと思う。でも、それはどんな人の生活においても基本となるもの。自分の仕事や考え、自分がどんな人間であるかを選ばなければいけないようにね。それができたら、ファッションを選ぶのは簡単。大切なのは “人”だけで、服はその人の生活に役立てるもの」だと続ける。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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フランスの新・美容トレンドは菓子感覚で食べられるグミサプリと石セラピー 海外ビューティ通信パリ編

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」では、パリやニューヨーク、ソウル、ベルリンの4都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。(本文中の円換算レート:1ユーロ=125円)

 フランスは昨年11月末に2回目のロックダウンが解除されたものの、飲食店をはじめ劇場や映画館などは引き続き閉鎖され、18時以降の夜間外出禁止令が継続中だ。そんな中、美容業界ではより“グリーン”かつ“クリーン”志向の美容人気が定着してきている。さらに自宅でのセルフケアが重視され、新たなブームが生まれている。

さまざまなブランドから目的別の美容グミが登場

 オシャレなサプリメントとして大ブームを巻き起こしている「エイム スキンケア(AIME SKINCARE)」に続き、新しいインナーケアブランドが続々と登場している。「エピキュール(EPICURE)」は、インターネットでカウンセリングを行いオーダーメイドの個人に合ったサプリメントを自宅に届けてくれるサービスだ。1カ月分29ユーロ(約3600円)で、ほかに3ヶ月と6ヶ月コースがある。ロックダウン中に一気に人気の火が付き話題を集めた。オーダーメイドサプリのほか、ストレスフリーや安眠、ダイエットなど目的別の美容グミ(24.9ユーロ=約3100円)や、アセロラ、亜鉛、セレン入りの免疫アップが期待できるタブレット(19ユーロ=約2300円)など豊富な商品をそろえ、1月からは老舗百貨店のル・ボン・マルシェ(LE BON MARCHE)での独占販売がスタートした。

 おいしく菓子感覚で楽しめる美容グミを扱うブランドで代表的なものは、グルテンフリー、着色料フリーにこだわり、髪や肌のケアとスリミング、デトックス、サンケアなどに特化した全9種(各25ユーロ=約3100円)を販売する「ラシレ(LASHILE)」、肌爪髪のケア用から、エネルギー補給、閉経後のケア、子ども用まで全8種(各20ユーロ=約2500円)をそろえる「レミラキュルーズ(LES MIRACULEUX)」などがある。さまざまなブランドが提案することで、新たな美容トレンドとなっている。

石の力で体の内外からアプローチするリトテラピー

 そしてこのところ、ホリスティックな美容の流れから、石を使ったリトテラピー(『リト』はギリシャ語で石、『テラピー』は治癒を意味する)がフランス人にとってより身近な存在になっている。石には肌を強化するさまざまな特性があり、血行促進やニキビ予防のほか、美容成分の浸透力を高め、肌のトーンを明るくするなどといわれているが、同時に精神を落ち着かせて自信を持たせるなど、さまざまな効果があると信じられているからだ。

 中でも「ロール オン ジャード(ROLL ON JADE)」は、ローズクオーツや翡翠を使ったさまざまな形状のカッサ(最近の人気はキノコ型!)や、ローズクオーツ入りのウオーターボトル(70ユーロ=約8700円)などを販売し、リトテラピーブームに火を付けた。ホリスティックブランド「センタラ(SENTARA)」は、同様のカッサやローラーのほか精神の浄化を目的にヘマタイト(赤鉄鉱)とクリスタルの粒を入れたエッセンシャルオイルのスプレー(ユーカリ、レモングラス、パロサントのブレンドオイルを使用)を発売し話題だ。

 年末年始のル・ボン・マルシェでは、ロンドンのセルフリッジを拠点とした占いの活動で知られる超能力姉妹、サイキックシスターズ(Psychic Sisters)が手掛けるプロダクトをコーナー展開で販売していた。ロールオンタイプのオイルやヒーリングミストなどだ。ロールオンは富や成功を呼ぶといわれる鉱石のカーネリアン(紅玉髄)や、ネガティブなエネルギーを除去するといわれるオブシディアン(黒曜石)を漬け込んでいるそうだ。フランス人は占いやスピリチュアルな世界をそれほど信用していない人が多いが、現在の不安な状況下では精神的な世界に頼りたい人が増えているのかもしれない。

須山佳子(すやま・けいこ)/コンサルタント:2001年に渡仏しMBAを取得。ファッション業界で働き、09年に日本の美容ブランドを欧州市場へ売り込むコンサルティング会社を設立。取引先は欧州の高級百貨店、美容ストア等。パリ市内でポップアップストア「Bijo;」主宰。インスタグラムアカウントは@bijo.paris

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TikTok 2021年版の活用術とは? キーワードは「興味から、ズドン」

 TikTok For Business Japanは、同プラットフォームのマーケティングの可能性を解説する無料オンラインセミナー「TikTok For Business Year-End Event 2020」を2020年12月16日に開催した。20年は新型コロナウイルスの影響で、人々の生活や働き方だけでなく、マーケティング界も大きく変化した。セミナーでは激動の1年を振り返り、新たな時代に流行を生み出して、ブランドビジネスに貢献するためのマーケテイングソリューションを約6時間、全14コマのボリュームで解説。多彩なゲストと切り口で、存在感を強めるTikTokへの出稿を検討する企業担当者の疑問や悩みに役立つ実践的な内容を届けた。

クライアント数274%!
幅広い年代に広がる「影響力」

 オープニングでは、西田真樹TikTok For Business Japan代表が登壇し、20年の実績とビジョンを発表した。今年一年を振り返り「自社にとって難局の1年だった」としながらも、TikTokの登録クライアント数成長率は19年末比274%と急伸した。アプリのダウンロード数は世界規模で20億を突破し、ユーザーの年齢分布は25歳以上が52.3%に広がった。1日の平均視聴時間も42分から56分に伸びている。日本においてはTikTok流行語大賞になった「きゅんです」や楽曲「香水」のヒットが記憶に新しく、幅広い世代の“流行発信基地”としての地位を築いた年になった。これらの背景を踏まえて、西田代表は「(1990年代中盤以降に生まれた)Z世代に何かを伝えるときには、まずコトがあった上でモノがついてくる」と説明する。21年は「興味との出会いが購買につながるプラットフォーム」をスローガンに、ECとの連動を強め、興味から購買までをダイレクトに促すオリジナルのマーケティングをブランドとともに推奨していく。

“まだ見ぬ好き”に
出会えるTikTok

 「WWDJAPAN.com」編集長の村上要をゲストに迎えた回では、ラグジュアリーブランドにおけるTikTok活用術とマーケティングの可能性を解説した。20年はコロナ禍におけるリアルイベント中止の影響から「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」のコスメキャンペーンを皮切りに、「ルイ ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」が20年春夏のファッションショーをTikTokで配信するなど、ハイブランドとの取り組みが加速した。クリエイターによる投稿でも画角トレンドは、バストアップから全身を写したストーリー性のあるものへと進化し、従来から人気の購入アイテム紹介動画では、商品がより高価格帯になっている。これらの変化やTikTok独自のアルゴリズムなどにより、興味のある人にダイレクトに情報が届き、投稿者もポジティブで活発な反応がもらえる好循環が生まれている。

 司会を務めた「TikTok For Business Japan」の廣谷亮ブランドストラテジーディレクターは、TikTokの魅力は「未知との出合い」とコメント。好きなアカウントをフォローしたり、キーワード検索をベースに情報を取得したりするのではなく、潜在と顕在どちらの興味にもリーチできるプッシュ型のTikTokでは、“まだ見ぬ自分の好き”に出会える可能性がアップする。

 Z世代を中心にしたTikTokは、ラグジュアリーブランドとの相性を懸念する担当者も多いが、訴求の目的は「憧れの醸成」とTikTok For Business Japanの中村千賀クライアント パートナーシップ アソシエート ディレクターは言う。商品を購入できる年齢になる以前から、ブランドの世界観を伝えることは、未来のロイヤルカスタマー化へとつながる。

 一方で、村上編集長は「ファッション&ビューティ業界のデジタルマーケティングは、まだブランドの“認知”に重きを置いている段階。“興味喚起”のステージに立てているブランドは少ないのでは」と疑問を投げかけた。

 本国主導のラグジュアリーブランドでは、ジャパン社独自のプロモーションを始動しにくい企業もある。しかし、中村アソシエート ディレクターは「インフルエンサーなら、日本で反響のある人物を起用してもいい、という案件が増えている」と補足。TikTokで活躍するクリエイターとのコラボレーションが「ローカライズの近道になるのでは」と言う。

Z世代には
「飾りすぎないリアル」が響く!

 ラグジュアリー&ビューティブランドのTikTok活用実例に関するセミナーの前後には、スペシャルゲストとして信州大学特任教授の原田曜平や、アカウント開設からわずか5カ月でフォロワー100万人を達成したTikTokクリエイターの修一朗が登壇した。

 最新の「TikTokユーザー白書」では、ユーザーの“比較・検討”を促す投稿よりも、その手前の“興味”に訴えかける投稿の方が、実は購買に結びつきやすい、という従来のマーケティング手法の動線を覆す仮説を立てている。原田は「興味から、ズドン」のキーワードで表現される「ユーザー白書」を解説し、SNSでの“映え疲れ”が叫ばれる中「飾りすぎない投稿が、Z世代には好意をもって受け入れら、逆にインパクトを与えられる」と説明した。

 さらに修一朗がTikTok投稿のコツを指南し、“修一朗スタイル”と呼ばれるユニークなテンポとナレーション付きの動画について解説。50万ユーザーの壁を超えるには「ファンの需要やトレンドを取り入れる必要がある」として、①「初めての視聴者にも伝わる内容に」②「音やカット割で視聴者を離脱させない工夫を」③「ツッコミどころを散りばめる」④「視聴者コメントで動画の個性をアップデート」をファン獲得のための要点として伝えた。

TEXT:ANRI MURAKAMI

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TikTok 2021年版の活用術とは? キーワードは「興味から、ズドン」

 TikTok For Business Japanは、同プラットフォームのマーケティングの可能性を解説する無料オンラインセミナー「TikTok For Business Year-End Event 2020」を2020年12月16日に開催した。20年は新型コロナウイルスの影響で、人々の生活や働き方だけでなく、マーケティング界も大きく変化した。セミナーでは激動の1年を振り返り、新たな時代に流行を生み出して、ブランドビジネスに貢献するためのマーケテイングソリューションを約6時間、全14コマのボリュームで解説。多彩なゲストと切り口で、存在感を強めるTikTokへの出稿を検討する企業担当者の疑問や悩みに役立つ実践的な内容を届けた。

クライアント数274%!
幅広い年代に広がる「影響力」

 オープニングでは、西田真樹TikTok For Business Japan代表が登壇し、20年の実績とビジョンを発表した。今年一年を振り返り「自社にとって難局の1年だった」としながらも、TikTokの登録クライアント数成長率は19年末比274%と急伸した。アプリのダウンロード数は世界規模で20億を突破し、ユーザーの年齢分布は25歳以上が52.3%に広がった。1日の平均視聴時間も42分から56分に伸びている。日本においてはTikTok流行語大賞になった「きゅんです」や楽曲「香水」のヒットが記憶に新しく、幅広い世代の“流行発信基地”としての地位を築いた年になった。これらの背景を踏まえて、西田代表は「(1990年代中盤以降に生まれた)Z世代に何かを伝えるときには、まずコトがあった上でモノがついてくる」と説明する。21年は「興味との出会いが購買につながるプラットフォーム」をスローガンに、ECとの連動を強め、興味から購買までをダイレクトに促すオリジナルのマーケティングをブランドとともに推奨していく。

“まだ見ぬ好き”に
出会えるTikTok

 「WWDJAPAN.com」編集長の村上要をゲストに迎えた回では、ラグジュアリーブランドにおけるTikTok活用術とマーケティングの可能性を解説した。20年はコロナ禍におけるリアルイベント中止の影響から「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」のコスメキャンペーンを皮切りに、「ルイ ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」が20年春夏のファッションショーをTikTokで配信するなど、ハイブランドとの取り組みが加速した。クリエイターによる投稿でも画角トレンドは、バストアップから全身を写したストーリー性のあるものへと進化し、従来から人気の購入アイテム紹介動画では、商品がより高価格帯になっている。これらの変化やTikTok独自のアルゴリズムなどにより、興味のある人にダイレクトに情報が届き、投稿者もポジティブで活発な反応がもらえる好循環が生まれている。

 司会を務めた「TikTok For Business Japan」の廣谷亮ブランドストラテジーディレクターは、TikTokの魅力は「未知との出合い」とコメント。好きなアカウントをフォローしたり、キーワード検索をベースに情報を取得したりするのではなく、潜在と顕在どちらの興味にもリーチできるプッシュ型のTikTokでは、“まだ見ぬ自分の好き”に出会える可能性がアップする。

 Z世代を中心にしたTikTokは、ラグジュアリーブランドとの相性を懸念する担当者も多いが、訴求の目的は「憧れの醸成」とTikTok For Business Japanの中村千賀クライアント パートナーシップ アソシエート ディレクターは言う。商品を購入できる年齢になる以前から、ブランドの世界観を伝えることは、未来のロイヤルカスタマー化へとつながる。

 一方で、村上編集長は「ファッション&ビューティ業界のデジタルマーケティングは、まだブランドの“認知”に重きを置いている段階。“興味喚起”のステージに立てているブランドは少ないのでは」と疑問を投げかけた。

 本国主導のラグジュアリーブランドでは、ジャパン社独自のプロモーションを始動しにくい企業もある。しかし、中村アソシエート ディレクターは「インフルエンサーなら、日本で反響のある人物を起用してもいい、という案件が増えている」と補足。TikTokで活躍するクリエイターとのコラボレーションが「ローカライズの近道になるのでは」と言う。

Z世代には
「飾りすぎないリアル」が響く!

 ラグジュアリー&ビューティブランドのTikTok活用実例に関するセミナーの前後には、スペシャルゲストとして信州大学特任教授の原田曜平や、アカウント開設からわずか5カ月でフォロワー100万人を達成したTikTokクリエイターの修一朗が登壇した。

 最新の「TikTokユーザー白書」では、ユーザーの“比較・検討”を促す投稿よりも、その手前の“興味”に訴えかける投稿の方が、実は購買に結びつきやすい、という従来のマーケティング手法の動線を覆す仮説を立てている。原田は「興味から、ズドン」のキーワードで表現される「ユーザー白書」を解説し、SNSでの“映え疲れ”が叫ばれる中「飾りすぎない投稿が、Z世代には好意をもって受け入れら、逆にインパクトを与えられる」と説明した。

 さらに修一朗がTikTok投稿のコツを指南し、“修一朗スタイル”と呼ばれるユニークなテンポとナレーション付きの動画について解説。50万ユーザーの壁を超えるには「ファンの需要やトレンドを取り入れる必要がある」として、①「初めての視聴者にも伝わる内容に」②「音やカット割で視聴者を離脱させない工夫を」③「ツッコミどころを散りばめる」④「視聴者コメントで動画の個性をアップデート」をファン獲得のための要点として伝えた。

TEXT:ANRI MURAKAMI

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ラフ初の「プラダ」メンズや「ゼニア」に興奮 先輩&後輩記者2人のミラノメンズ10選

美濃島:明けましておめでとうございます!今年も宜しくお願いします。正月気分からようやく抜け出せたと思ったら、2021-22年秋冬メンズ・コレクションが開幕しました。デジタル形式がメインとなりますので、今回もPCとにらめっこしてリポートしていきましょう。まずピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)とミラノ・メンズ・ファッション・ウイークから印象的だった10ブランドをざっくりとプレイバック。今年はピッティもデジタルプラットフォーム「ピッティ コネクト(PITTI CONNECT)」を整えてコレクションを発表しましたね。

大塚:いやーコレクションサーキットの開幕感がないですねえ(苦笑)。デジタルでの取材も2シーズン目となると、モチベーション維持もわれわれの使命ですな。そんな中でも主要都市に続き、ピッティもいよいよデジタル発表に本格参入したね。どう出るのか注目していたけれど、もうひたすらトーク。「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」は30分、「ヘルノ(HERNO)」は20分ほぼずっと話していました。それはそれでピッティのブースにいるようで臨場感はあるのだけど、全部集中して見るには相当な気合いが必要だったわ。後者は字幕なしのイタリア語オンリーで全然分かんなかったし。

30分におよぶ怒涛のトークセッション

美濃島:「ブルネロ クチネリ」では、ブルネロさんが「10カ月洋服に触れない時期を過ごした。人は実際に触り、着用したいという気持ちが強くなっている」とファッションの可能性を熱く語ってくれたほか、「ピッティ コネクト」を開設した理由やピッティの存在意義も説明してくれました。「思いを伝えよう!」という意気込みは伝わってきます。ただ、話しっぱなしで少しだけ疲れちゃいましたね(笑)。その流れで服の説明も聞きたかったな。

大塚:ウンブリア州ソロメオの本社からの中継だったね。マスクを付けたモデルが並んでいて、服の紹介はいつかな〜と待っていたらそのまま終了しちゃった。後日オンラインで紹介はあったけれど、ファブリックやコンセプトが毎回素敵で楽しみにしているからちょっと驚いたよね。テーマは“昨日と明日との統合”で、実際に見られる日が待ち遠しいです。ピッティとデジタルをどう融合していくかはまだまだ試行錯誤が必要だな。

ジャージでテーラリングを“リセット”

美濃島:ミラノのトップバッター「エルメネジルド ゼニア(ERMENEGILDO ZEGNA)」は、“THE (RE)SET”と題したコレクションでした。ニットやジャージ素材を用いたテーラードスタイルですが、リラックスしすぎず“しっかり感”があるところにアレッサンドロ・サルトリのセンスと技術力の高さを感じます。

大塚:めちゃかっこ良かったわ。服もよく見えるし、素材感も伝わるし、映像もコンセプチュアルで引き込まれた。テーマに合わせて、新状態のライフスタイルをコレクションで再定義するクリエイションでした。自分たちの強みをしっかり理解して映像を作っているよね。編集部には事前にこんなノートが届いたよ。

美濃島:そんなノートが届いていたんですね。絶賛リモート中の僕は明日の出社時に拝読しようっと。ジャケットやパンツだけでなくインナーもニットで統一するのが新鮮でした。

大塚:ラウンジウエアとフォーマルを融合した、インドアとアウトドアをつなぐシームレスなスタイルですね。きれいなテーラードにワークやスポーツを合体させるのはサルトリの得意技だから。素材はジャージー中心で基本はイージーフィットなのに、ショールカラーのローブやダブルカシミアのスーツ、トラックパンツはどれもエレガントで素敵だった。

美濃島:動画はウオーキングの映像とホテルで撮影したイメージ動画をミックス。前回に続き、「ゼニア」はクリエイションの伝え方が上手いですね。

大塚:15分の長尺って全部見るのはまあまあキツいのだけど、あっという間。映像終盤のサルトリさんの登場も渋すぎたわ。

オマージュ盛りだくさん(?)の気鋭ブランド

大塚:前シーズンはミラノの中堅・若手組の動画は見てられないぐらいクオリティーが低いものが多かったけど、今シーズンはみんな結構作り込んできたね。「フェデリコ チーナ(FEDERICO CINA)」はブリーフ一丁のモデルが登場したときは「きたきた」と嫌な予感がしましたが(笑)、そこから盛り返して、コレクションのムードに合ったかわいい動画に仕上がっていた。最後は「私はロランス」やんけ!だったけど。

美濃島:序盤は身構えちゃいましたが、終わってみたらなんとも言えない心地よさでした。手書きのレターモチーフをのせた白シャツやぶどうを表現したニットなど、キャッチーな洋服の世界観に合った映像でしたね。後半の男女が体を支え合うシーンは金八先生の「人という字は〜」を勝手に連想しました。

大塚:古っ。美濃島さん25歳だよね(笑)?

アウトドアストリートが今っぽい

美濃島:今シーズンのミラノはウオーキングだけの潔い映像も多いですね。「デヴィット カタラン(DAVID CATALAN)」は自然光が注ぐ気持ちいい建物を舞台にモデルが歩く動画でした。同ブランドは2012年にスタートし、ストリートウエアをベースにしたコレクションが持ち味。マウンテンパーカやサファリハットなどアウトドアアイテムがメインでしたが、インパクトのあるタイダイ柄などクセを加えていたのが好みでした。

大塚:きれい目カジュアルに、ワークやアウトドア由来のファンクショナル要素をプラスする今っぽいスタイルだね。タイドアップはやや蛇足だったかな。ラストにデザイナーがランウエイショーっぽく登場するのがかわいくて癒されました。しっかしミラノのサイトは見づらい!喝!

美濃島:サイトデザインを頑なに変えませんね(笑)。逆に愛おしくなってきました。

日本人ラッパーがミラノで大暴れ

大塚:ねえねえ、「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(CHILDREN OF THE DISCORDANCE)」すごくなかった?噂によると撮影が超ギリギリのスケジュールだったみたいなのだけど、どんな映像かと思ったら直球のPV仕立てでのけぞった。

美濃島:海外人気も高いラッパーのHideyoshiとRalphを起用したMVで、インパクト抜群でしたね。ゴリゴリのストリートの世界観に合うキャスティングだし、ブランド得意のバンダナモチーフもめちゃくちゃ似合ってました。ただHideyoshiは髪が長いイメージだったので、一瞬誰だかわかりませんでした(笑)。

大塚:なるほど。そこは一応海外を意識しているのかな。前回の15分間スケボー乗り倒しといい、世界観の発信にこだわっているよね。ただここのブランドの服って見た目の瞬間的な面白さと、ヘンタイ的な作り込みが武器でもあるから、もうちょっと服をしっかり見せてもよいなとは感じた。あと海外、特にミラノの人がこの動画を見てどう反応するか気になるかも。今度本人(志鎌英明デザイナー)に聞いてみよう。

美濃島:PVの見せ方に振り切ったブランドは他になかったので、存在感は示せたと思います。志鎌さんからの返答は僕にも聞かせてください!

“今の普通って何?” 「フェンディ」がやっぱり強かった

大塚:「フェンディ(FENDI)」はやっぱり面白かった!最初はネオンカラーのゲーム空間のようなセットで飛ばしていくのかなと思ったけれど、ガウンコートやパジャマルック、ざっくりリブ編みやルーズソックスなどラウンジウエアのリラックス感をテーラードとミックスしていたね。ディテールをデフォルメして違和感をちょっぴりプラスしつつ、キャッチーなバッグやFFロゴなどのモチーフも際立たせてくる辺りがさすがでした。

美濃島:ネオンの光が変化するにつれてルックのカラーブロックも切り替わる面白い演出でした。ラウンジウエアでニューノーマルの気分を反映させた一方、サイケなアートワークやBGMからは「落ち着いたムードだけじゃ楽しくないでしょ!」というメッセージを感じました。

大塚:そうそう、演出も面白かったね。BGMの「What is Normal Today?」という声はシルヴィア・フェンディ本人だったり、「FENDI」の文字を抽象化したグラフィックはロンドンのアーティスト、ノエル・フィールディング(Noel Fielding)が描いたりと、盛りだくさんでした。

美濃島:「FENDI」の文字を落書きっぽくアレンジしたアートワークはすごいかわいかったです。普通にロゴを載せるだけじゃ機械的すぎるけど、手仕事感のあるアートワークに昇華していて、ロゴブームが去った今でも受け入れられそう。バランスの良い遊び心が素敵です。

大塚:あと如実なのが、見た瞬間「これ絶対に着心地いいやつ」って分かる服が多く登場すること。これは「ゼニア」もしかりで、一時期のストリートブームで各ブランドがビッグロゴや派手なモチーフで“分かりやすいデザイン”が多く登場したけれど、今は“分かりやすい着心地”を、映像でいかにアピールするかに主要ブランドは結構こだわっている気がする。ラウンジ・フォーマルで着心地コンシャスは、この後も続いていきそうな予感。

美濃島:昨シーズンも「ルメール(LEMAIRE)」などが近いアプローチの映像表現をしていましたね。パリでもこの流れは強そうです。

ストリートに舵を切った「エトロ」

大塚:「エトロ」は思い切ってストリートに振ってきたなーというのが第一印象。ストリート全盛の頃も割とスタイルを崩さなかったのに、ここで来たかと。フーディーやイージーフィットのアウターはもちろん、ビッグロゴのキャップ、ボリューム感のスニーカーの打ち出し方とかからも若い世代を意識しているのだなというが感じられたわ。

美濃島:ロゴ入りパーカとキャップ、シャカシャカのブルゾン、バミューダショーツなどグッとストリートテイストになりました。モチーフは相変わらず柄を多用してアクセルを踏み込んできました。モデルたちが建物の中からストリートに飛び出していくフィナーレは見ていて気持ちが良かった。夕日が差し込んでるのかと思ったら外は昼間だったから、窓に色付きのフィルターを張っていたんですかね。

大塚:もともとはリアルでのショーを予定していたから、無観客での映像配信になって急遽用意した演出なのかも。

スキーがトレンド候補? 「MSGM」のストリート×アウトドア

美濃島:「MSGM」はスキージャケットやサイドラインパンツ、ネオンカラーなど、ウィンタースポーツに着想したストリートスタイル。雪が降る演出でコレクションのムードを上手く伝えました。スキーは昨年末に「ディオール(DIOR)」も取り上げましたし、スケボーとヒップホップに続くメンズ市場のトレンドになるかもしれませんね。

大塚:スキーは定期的にトレンドに浮上するし、アウトドアへの欲求は世界中で確実に高まっているもんね。コレクションは、1990年代に東京でも流行したストリートとアウトドアのミックススタイルでした。「カンゴール(KANGOL)」のバケットハットとかドンズバ。「スカルパ(SCARPA)」とのボリューミーなシューズもかわいくて、1930年代のポスターに着想したノスタルジックなグラフィックも好き。登山家のヴァルテル・ボナッティ(Walter Bonatti)の本を参考にし、リゾート地のポスターを参考にしたのだとか。「MSGM」はいつも変わらず明るくて安心するよ。

ラフ加入後、初のメンズを披露した「プラダ」

大塚:さて、お次はいよいよミラノ・メンズ最大の目玉である「プラダ(PRADA)」。ラフ・シモンズ(Raf Simons)が加わって初めてのメンズです。ラフ大好きな美濃島さんはどうだった?

美濃島:柄を多用しているのが新鮮でした。ラフは写真やグラフィックなどをよく使う一方、パターンにはあまり手を出してこなかったので勝手に苦手意識があるのかと思ってましたが、デジタル感のある総柄がめちゃくちゃ格好良かった。裏地が目立つボンバージャケットとニットの柄on柄の組み合わせは最高でしたね。トライアングルをあしらったもこもこグローブは冬の新定番として人気が出そうです。グラフィックが無いためか、9月に発表した21年春夏ウィメンズ・コレクションよりもラフ感は控えめ。少し物足りなさも感じました。

大塚:なるほどね。確かにピーター・サヴィル(Peter Saville)感はなかったけど、僕はめちゃくちゃラフだなと思ったけどな。ミウッチャとラフの個々のバランスをまだ探り合っている印象だけど、融合しようとしている試みている意図は感じました。あの複雑な柄は、自宅で過ごす時間が長くなりって自身の感情と向き合った結果なんだって。そしてここでも出ました!部屋着のようなニットのボディスーツ。ただこれは単なるリラックスとは違ってピッタピタ。コロナ太りしているようでは着られないよ(笑)。アウターは巨大なMA-1やVネックニットはまさにラフの代名詞という印象。ジャケットを二の腕までたくし上げてインナーを見せるスタイルは「ラフ シモンズ」21年春夏でも披露していたね。僕も挑戦したいけど、腕立て毎日100回やんないとな。

美濃島:僕はコロナで3kg太ったのでこういった服を着るために痩せます!!ラフとミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)に向けて服飾学生が質問を投げかけるトークセッションも実施されました。日本からは文化服装学院の生徒が出演し「どんな革新的な技術を取り入れた?」と質問していました。ファッションの面白さを後世に伝えようとするブランドの思いも伝わるし、学生も一生の思い出になる素晴らしい企画でした。

大塚:演出も独特で面白かったわ。音楽は21年春夏ウィメンズと同じく、プラスティックマン(Plastikman)名義のリーチー・ホウティン(Richie Hawtin)。「ゼニア」も「フェンディ」もだけど、服をがっつり見たいわれわれにとっては静かなテクノみたいな音楽が相性いいのかなとふと思った。ちょっとホドロフスキーチックな怪しいダンス(笑)は、ラフいわく「ポジティブで楽しい雰囲気を表現したかった」らしいよ。

美濃島:たしかに、静かなテクノは鑑賞の邪魔にならず洋服に集中できます。表現が自由すぎていろいろやりたくなりますが、「あくまで服が主役」という考えが根底にあるとバランスの良い演出に到達できるかもしれません。

ヒゲの接写&チープな格闘ゲームに苦笑

大塚:安定の変わり種は「スンネイ(SUNNEI)」。いつも「何かほかと違うことやってやろう感」がいいように作用することもあれば、イラっとすることもあるので(笑)、今回はどうかなと構えていたのだけど、動画が始まってビックリ。だって、ほぼ肌しか映らない超接写だったから。たまにヒゲ。

美濃島:新卒で入社した時は、コレクション取材でヒゲや脇毛のドアップを見せられる日が来るとは思ってませんでした。

大塚:「今シーズンは“イラっ”の方かな」と考えながら我慢して見ていたら、最終的にその肌とヒゲはデザイナーデュオのもので、特設サイトに案内するための案内動画だということが最終的に判明しまして。で、そのサイトにアクセスしてみたら、とんでもなく低いクオリティーの自作格闘風ゲームがプレイできるというね。キャラは最新コレクションを着ているのだろうけど、ゲームの意味が全く分からず「何すんねん(SUNNEN)」と思いながら適当に操作するうちに段々クセになってきちゃって、最終的には大笑いさせてもらいました。

美濃島:ゲームは最後まで意味不明でしたし、大塚さんの「何すんねん」もギリギリですよ……。でも新しいことに挑戦しようというブランドの勢いは伝わってきました。問題の服はジェダイっぽいコートや大判のダイヤ柄などゲームキャラらしいアイテムもありましたが、ダウンジャケットやタートルニットなどリアルクローズも多め。ゲーム表現と合わせて、もっと攻め攻めなクリエイションでも面白かったかもしれません。

大塚:唯我独尊すぎてゲーム×ファッションの時代に乗ってるんだかどうかは分かんないけど、人を楽しませようというマインドには好感が持てたね。

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森星の「今日からできるサステナビリティ」Vol.3 サステナブルなファッションと、モノづくりへの興味

 渋谷スクランブルスクエアで開催された新プロジェクト「シティ シェド(CITY SHED)」のポップアップストアで、事業者としてプロジェクトの立ち上げから商品MD、プロモーション、空間デザインまでを初めて指揮したモデルの森星(会期終了)。「都会のなかの循環のかたち」をテーマにした同ストアでは、彼女の愛用する約50のアイテムをセレクトし、販売した。全3回にわたるインタビューでは、「シティ シェド」発足の背景から具体的なアクションに至るまで、生活に取り入れられそうなヒントをお届け。最終回は、ファッションで実践しているサステナビリティと、モノづくりに興味を抱いたきっかっけを紹介する。

WWD:本業であるファッションでもサステナブルな取り組みをしている?

森星(以下、森): 母が使わなくなったジュエリーをライトスタンドの装飾にしたり、生地をインテリアに取り入れたりして再利用しているので、私もそこからヒントをもらっています。最近では、着なくなったレザーパンツとベルトを解体して自転車のサドル用バッグにリメイクしたり、フリンジの洋服を自転車用のキーチェーンと組み合わせて、肩からかけるアクセサリーのようなアイテムも作りました。私自身は不器用なので、制作はバッグ職人のナツカさんに依頼しました。

WWD:気になるブランドや職人はどのように見つける?

森:検索魔なので見つけるのは得意(笑)。1日中SNSで好きなモノを探していて、ナツカさんもインスタグラムで見つけて、ダイレクトメッセージから連絡を取りました。実は、「シティ シェド」で扱っている「スク(SUKU)」とのコラボレーションもインスタグラムがきっかけ。気になるモノがあれば、インスタグラムでダイレクトメッセージを送ることが多いです。

WWD:「シティシェド」や「エデン(EDAIN)」の取り組みと併せて、伝統工芸の職人を訪ねたりもしている。手仕事を感じるモノづくりの魅力は?

森:伝統工芸からは、消耗品とはかけ離れたエネルギーやパワーをもらうことができます。私たちは小腹が空けばすぐにコンビニでおにぎりを買えるし、寒くなったらリーズナブルな上着を手に取ることもできます。まだ上手く言葉にできないのですが、それが当たり前になると便利な日常に感謝することを忘れてしまい、逆に“豊かさ”からかけ離れていくような気もします。

私の祖母である森英恵は、戦時中のモノがない時代でも「おしゃれをしたい」という気持ちから、着物の切れ端を縫って洋服に仕立て、やがてそれがブランドになりました。そんな“洋服を着る”こと自体に感謝できていた時代を想うと、感覚の違いに驚かされるし、うらやましいと感じることも。モノに困らない時代に生まれたからこそのメリットとデメリットを考えてしまいます。

WWD:しかしながら、ファッションはトレンドやシーズン性と切っても切り離せない点がある。

森:私自身、これまで全てのモノを消耗品として捉えていた点を反省しています。ただ、消費される服を“悪”として描きたいわけではなく、心地よいと思うポイントが変化してきました。祖母が経験したモノがない時代の感覚や、一過性のことばかりではなく、10〜20年先を見据えたライフスタイルを送るような作り手の方たちを今は「もっと知りたい」と感じます。

SNSなどで日々情報を得ることで、世の中で起こっていることを知った気になってしまいがちですが、伝統工芸やパーマカルチャー(パーマネント<永続性>と農業<アグリカルチャー>、文化<カルチャー>を組み合わせた造語。人と自然が共存する、永続可能な社会を作るための暮らし方)などの時間をかけて作り上げるモノコトや、そこに従事する方たちの自立した価値観や生き方に、憧れ的な興味を持っています。

WWD:ゆくゆくは伝統工芸やパーマカルチャーの取り組みもしてみたい?

森:順序を追って、いつか取り組んでみたいです。私が急に伝統工芸を語るのも、パーマカルチャーに興味があるからと言って山籠もりして自給自足的な生活を送るのも少し違う。あくまでモデルとして、私が大好きなファッションの世界をベースに、やれることからやっていくのが役目だと思うし、それが自分自身にとっても楽しく意義あるかたちでプロジェクトを進められる方法だと思っています。

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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ヒットユニオン傘下の「ラベンハム」が世界NO.1市場の日本でECを本格化

 ヒットユニオン(東京都、田辺圭二社長)は、1995年に傘下に収めた英フレッドペリー(FRED PERRY)を通じて2013年に買収した英国ブランド「ラベンハム(LAVENHAM)」について、20-21年秋冬シーズンまで渡辺産業に委任していた日本向けのセールおよびPR機能を自社に移管、さらに日本市場でECを本格化する。

 「ラベンハム」は1969年に創業。今なお全ての製品を英国内の自社工場で生産しており、シグネチャーアイテムであるポリエステル製のダイヤモンド柄キルティングジャケット(3万円台後半~4万円台後半)はセレクトショップを中心に販売され、日本人ビジネスマンがスーツの上に羽織るアウターとして定着している。日本で新たなスタートを切る「ラベンハム」について、ジェイク・ウィルモア(Jake Willmore)ブランドマネジャーに話を聞いた。

WWD:国別の売り上げで日本と英国はそれぞれ何番手につける?

ジェイク・ウィルモア「ラベンハム」ブランドマネジャー(以下、ウィルモア):日本は長年にわたるナンバーワン市場だ。顧客といっそうダイレクトな関係を築くため、1月14日にウェブサイトをリニューアルしECを本格化する。日本には「ラベンハム」の直営実店舗がなく、“初めてのオンリーショップ”の位置付けとなる。日本のスタッフからは、全商品を無料発送し、メンバー登録したお客さまには丈詰めや修理などのアフターサービスも受けられるようにすると聞いている。日本向けの各種SNSチャンネルも新設し、ECとの相乗効果を狙う。そして第2の市場が英国だ。18年にロンドンにオープンした世界初の直営実店舗と、19年にリローンチしたECがけん引する形で成長している。もちろん卸先とも密にコミュニケーションし、ブランドストーリーをきちんと伝えるべくアクションしている。

WWD:新型コロナは、“日英ワンチーム”の「ラベンハム」にどんな影響を与えた?

ウィルモア:「ラベンハム」はブランドマネジャーである僕が英国に、ヘッドオブクリエイティブであるカズ(横塚和幸)さんが日本にいるユニークなチーム編成だが、コロナによる困難はわれわれの結束を強めた。ビデオ会議システムをはじめとするデジタルツールの活用や、日英が明確な目的を共有することなどにより、物理的な距離の隔たりは解消された。

WWD:キルティングジャケットに変わる新たなシグネチャーアイテムは登場する?

ウィルモア:キルティングベストに注目してほしい。日本では“「ラベンハム」=キルティングジャケット”の認知をいただいているが、「ラベンハム」の原点であるホースラグ(乗馬馬用のキルティングナイロン毛布)に続いて商品化されたキルティングベストはブランドの核とも言えるアイテムで、英国版ECでは20年に最高のパフォーマンスを発揮した。日本での販売価格は2万円台後半だ。

 ヒットユニオンは、49年に福井県で創業した田辺莫大小(メリヤス)製作所の企画・販売部門を分離・独立させる形で69年に誕生。自社ブランド「ジャックマン(JACKMAN)」などを手掛けるかたわら、「フレッドペリー」や「ラベンハム」を買収。国内では2016年に自転車ファッションの先駆け的ブランド「ナリフリ(NARIFURI)」、18年に帽子ブランド「カシラ(CA4LA)」を手掛けるウィーブトシを傘下に収めた。売上高は283億円(19年6月期/20年から決算期を12月に変更)。

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マッシュ近藤社長が語る「女性の24時間を幸せにする」マンション 三井不動産レジデンシャルとタッグ、両社トップに狙いを聞く

 「スナイデル」や「ジェラートピケ」「コスメキッチン」などで知られるマッシュホールディングスが、不動産業界最大手の三井不動産レジデンシャルとタッグを組み、女性向け賃貸マンションの監修に乗り出した。衣・食・美のジャンルで「女性の24時間を幸せにする」ことを目指してきたマッシュが生み出す住空間とは? 近藤広幸社長と、起用した三井不動産レジデンシャルの大澤久取締役常務執行役員にその狙いや目指すものを聞いた。

Q:今回手掛ける「パークアクシス吾妻橋」はどんな物件なのか?

大澤久・三井不動産レジデンシャル取締役常務執行役員(以下、大澤):「パークアクシス」は、分譲デベロッパーだった私たちが質の高い賃貸マンションを作りたいと2000年にスタートした賃貸マンションシリーズです。現在、東京を中心に100万都市などで約180棟、1万6000戸を供給しています。通常は全60戸ぐらいのものが多いのですが、今回は、浅草エリアの吾妻橋で、全24戸で提供します。賃料は1DKで13万円前後、40平方メートル強で21万円前後。単身者プラスアルファをターゲットとしています。土地が小さいのでプランニングがとても難しい物件でした。

Q:今回、両社がタッグを組んだ経緯は?

近藤広幸マッシュホールディングス社長(以下、近藤):もともとコンピュータを使ったグラフィックデザインが当社の原点で、創業時にお仕事をいただいていたのが三井不動産さんでした。2005年に「スナイデル」をデビューさせてファッションを始める前からのご縁になります。それから20年近く、今も都心の高級分譲マンションの広告の制作・デザインを手掛けさせていただいています。

大澤:うちには担当者から部長、そして現在常務になるまでずっとお付き合いをさせていただいている、マンション広告にこだわりが強い人間がおりまして。従来、7対3で男性の入居者が多いのですが、女性にさらに入居をいだけるようなマンションをつくりたいと話す中で、近藤社長のアイデアを賃貸マンションに生かしたらどうかということになり、2019年から具体的なプロジェクトとして協業を開始しました。

Q:家賃から考えると、ある程度キャリアのある女性がターゲットになりそう。働き方も住まいに対するニーズも変わる中で、どんな部分にこだわったのか?

大澤:これまでのコンセプトは“ホテルライク”“スタイリッシュ”というイメージで高級感を出して提供することが多かった。しかし今回はコンセプトをガラリと変えて、リラックスなど女性に対して新しい価値を提供できるようにしました。

近藤:7対3で男性のお客様が多かったのを、1対1、ないしは女性の感性にしっかりと刺さり、なおかつ人気がきちんと出るような賃貸マンションにするという命題のもとに監修させていただきました。かといって、色をピンクにするといったことではありません。デザインで一番大事にしたのは「ユニバーサルスペースデザイン」とマッシュのスローガンである「ウェルネスデザイン」で、モダニズム、クラフツマンシップ、サステナブルをキーワードにしました。

「ユニバーサルスペースデザイン」では、圧迫感を感じさせない広がりのある空間や、人に安心を与えたり穏やかな気持ちになる色味、圧迫感がないこと、人と人との快適な距離感を保つようなデザインであること。そして素材を1つ1つ考えて、ハイクオリティでシンプルな飽きの来ないデザインを目指しました。そこに「ウェルネスデザイン」の、気持ちよさやサステナブル、エコロジー素材を使用するなど、身近なことで気持ちが穏やかなるようにしました。共用の廊下も木を中心に温かいウォームカラーを採用し、緊張感をほぐすようなものにしています。室内は強い色や角張った家具を少なくして、ナチュラルカラーだけどインテリジェンスやトレンドを感じるようなものにしました。男性が見ても女性用マンションとは思わず、柔らかいイメージだと思ってもらえるような、「パークアクシス」のファンの方々や初めて住まう方々にとっては、柔らかくて居心地がいいと思ってもらうことを目指しました。

Q:一番力を入れたことや、工夫したディテールは?

近藤:空間では、エントランス周りと、エントランスを入ってからエレベーターまでのロビー部分、イメージとしては木を中心にトーン&マナーを統一することです。エントランスには大理石や御影石などは使わず、壁面にガラスを使うことで、自然光を感じられる明るい造りにしました。出かけるときにも視線が壁に遮られず、明るく前向きになれるような視覚効果も狙いました。ロビー部分は密室になりやすいメールボックスルームをなくし、壁面にボックスを配することで、安心感を高めるとともに、ゆったりした空間を生み出しました。トーン&マナーでは色の温度感を意識し、心に寄り添うこと、ナチュラルだけれどもダサくならないことなど、女性の心をキャッチアップしながら、もっと居心地よく心のゆとりや健康などが感じられるものを目指しました。モデルルーム内には、マッシュグループのベッドリネンやピローケースなどのホームファブリックやフレグランス、ルームウエア、コスメや洗剤、クローゼットには洋服も配させていただきました。家具以外の約90%は自社製品を使用しています。

大澤:これまでと全然違うものができましたね。24戸だと共用スペースも狭くなりがちなのですが、近藤社長の話を聞き、なぜこれだけ広く感じるものができたのかがよくわかりました。外で頑張って仕事をしたり着飾ったりハイヒールを履いていたものを脱ぎ、寛げたり疲れがとれたりリラックスできる、けれども、上質でコジィーな部屋ができ上がりました。

Q:近藤社長はこれまでも店舗の内装デザインを手掛けてきたが、商業空間と住宅との違いは?

近藤: 商環境は延べ1000店舗以上プロデュースしてきましたが、住宅は初めてのことで、使用する素材などにも違いがありました。三井不動産さんのさまざまな基準をクリアした適性素材の中から頭に思い描いた理想を具現化するには、バランスなど難しいところはありましたが、新しさの中にも柔らかさを出せたのではないかと思っています。

大澤:当社の安全基準や予算など、けっこう厳しいものがあったと思います。それをかいくぐりながらコンセプトを具現化していただき、ありがたいと思っています。

Q:子会社としてマッシュホームズを設立した。

近藤:「女性の24時間を幸せにする」というスローガンの下、2019年に設立しました。まずは当社の3000人以上いる女性社員のための暮らしのサポート、仲介、引っ越しのサポートからコツコツと事業を開始しました。これまで衣・美・食を扱い、最後に残っていたのが住に関する仕事でした。女性の24時間をサポートする中で、最後の砦に到達しました。

Q:今後の両社の協業のプランは?

大澤:これからも協力いただきたいと思っています。この協業でよりよい暮らし周りのサービスを提供していけるはず。(マンション設計の)デザイン以外の部分でもシナジーを探っていきたいですね。われわれは不動産業のトップランナーとして走ってきましたが、競合の参入も相次いでいます。常に変化をしていかないとトップを走れません。新しい基軸を打ち出し続けていく方針です。

近藤:ウェルネスデザイン監修などの部分でいろいろなプロジェクトに参加させていただければ幸いです。まずは「パークアクシス」で女性の賃貸マンションに対する研究やデザインでの参画など引き続き協業できたらと思っています。仲介業としてのビジネスチャンスもいただきました。1月から入居者を募集します。顧客を含めて、みなさんに自信をもってオススメできます。また、住んでいただいた女性たちに対するアフターサービス提供をマッシュグループで行っていきます。仲間を増やして他の企業とも連携して、マッシュの「MAカード」のサービス提供のメリットを増やしていきます。これからのお仕事は、そういったコツコツした努力の向こう側にあると思っています。

Q:アフターサービスの内容は?

近藤:「MAカード」はマッシュグループで年間50万円以上購入いただいた方と同等のゴールド会員ランク、ビューティカテゴリーの会員サービス「GO GREEN MEMBER’S」でもプラチナ会員ランクを入居と同時に付与します。各々5000ポイントずつプレゼントしますので、それを使ってモデルルームで気に入ったものを購入していただいたり、「コスメキッチン」や「ビープル バイ コスメキッチン」などでシャンプーや歯磨き粉、オーガニックなカップラーメン、もちろん、お洋服などもお得に買い物をしていただけるようにします。

大澤:私が一番期待しているのは、マッシュさんが単にとんがったデザインを提供するのではなく、ホームプロダクトを含めてすべてを提供し、入居後もオリジナリティのあるコンテンツを提供できるという点です。私たちの「パークアクシス」のターゲットも20~40代で、「三井のすまいLOOP」(会員制メンバーシップ・サービス)には24万人の会員がいます。クロスできる領域は広いので、暮らし周りでWIN-WINの関係を気付いてアフターサービスまで提供していただきたいですね。

Q:最後に、改めて近藤社長が目指した住まいにおけるデザインや、建築デザインをして気付いたことを聞きたい。

近藤:何年も住むものなので、流行は入れず、誰を連れてきても心地よく素敵だと感じてもらえるユニバーサルな世界を目指しました。万博のドイツ館としてバルセロナ・パビリオンを建築したミース・ファン・デル・ローエは「レス・イズ・モア」の言葉で知られていますが、ユニバサル・スペースの概念を提唱しました。勉強途中なので怖さも感じながら普遍的な価値、普遍的なデザインをさせていただきました。今回再確認したのは、ファッションやオーガニックコスメは、その女性をとにかくきれいにしたいとか、人生が変わったとか、人に褒められたとか、告白されたとか、その人のステージを高めるサポートをするためにデザインします。でも、建築の世界を見ると8割はエゴなんですね。特徴を出さないと依頼が来ないということもあるのですが、何を相手に与えたいのかを本気で思ったときに、心が喜ぶデザインを改めてしたいんだな、自分は、と感じました。

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外資アパレルの撤退ラッシュが再燃する 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。パンデミックは日本に進出している外資系アパレルチェーンの戦略にも変更を迫ることになる。日本における外資系の課題を点検してみた。

 コロナ前の2019年にはアメリカンイーグル、フォーエバー21(米国本社が破綻)が撤退して外資アパレルチェーンは総崩れかと商業施設デベロッパー業界は身構えたが、20年はコロナ禍が吹き荒れる中、外資アパレルチェーンの撤退は表面化しなかった。欧米本社の経営も非常事態でコロナ対策に注力するしかなかったが、一息ついた21年は各社が抜本的構造改革に乗り出すから、各国事業の採算性と将来性を見極めて大量閉店や撤退が断行されるのは間違いない。

外資アパレルは売れないし家賃貢献も低い

 商業施設デベロッパーにとってアパレル大型店のデファクト・スタンダード(事実上の基準)は「ユニクロ」であり、その集客力と販売効率、家賃貢献度を基準として外資アパレルも評価される。

 コロナ前の19年8月期で「ユニクロ」は平均955平方メートルの店舗を正社員換算31.0人で運営して9億6627万円、坪あたり336.9万円(月平均28.1万円)を売り上げ、コロナに直撃された20年8月期でも平均982平方メートルの店舗を正社員換算29.1人で運営して8億7875万円、坪あたり298.7万円(月平均24.9万円)を売り上げた。コロナで平均店舗売り上げは9.1%、坪あたり売り上げは11.3%減少したが、ショッピングモールの他アパレルチェーン、とりわけ外資アパレルチェーンに比べれば落ち込みは格段に浅かった。

 19年8月期を基準とすれば、「ユニクロ」は郊外ショッピングモールの平均的な店舗でも坪あたり280万円前後(月平均23万〜24万円)を売り上げ、その8%程度と推定される総合賃料でモールの経営に貢献していた。モールの準核を担う大型専門店でそこまで多額の賃料を払えるテナントは他になく、とりわけ外資アパレルチェーンは販売効率が「ユニクロ」の3〜6掛けに留まるのに家賃レートは似たようなものだから、売上貢献も賃料貢献も格段に落ちる。

外資アパレルチェーンは15年をピークに暗転

 日本上陸からしばらくは集客の目玉になったかもしれないが、全国の主要立地に一巡してしまえば販売効率も落ちて家賃貢献も水準を大きく割り込み、あるいは人気が出ずに多店化もできないままでは、モールの一等地に大きな面積を割き続けるわけにはいかなくなる。ゆえに定借賃貸契約の更新時には家賃レートや最低保障売り上げを切り上げるという話が必ず出てくるから、日本法人の損益をこれ以上悪化させるわけにはいかず、大量閉店や撤退という本社判断となりかねない。コロナ禍で本社のダメージも大きい以上、各国事業の損益にもシビアになるから、21年は再び外資アパレルチェーンの大量閉店や撤退が表面化すると危惧される。

 ふり返ってみれば外資アパレルチェーンの進出が盛んだったのは規制緩和の1990年代から2000年代、リーマンショック後の13年までで、少子高齢化で異次元資金供給と増税・社会負担増のアベノミクスが進み若年層の消費が冷え込んだ15年以降、一転して撤退ラッシュに転じている。大手5社(ギャップ、インデイテックス、H&M、イーグルリテイリング、フォーエバー21)合計売り上げのピークは15年の2626億円で、以降は既存店売り上げの減少や閉店、撤退でしぼみ続け、19年は2090億円まで減少したと推計される。フォーエバー21とアメリカンイーグルが脱落して3社になった20年は、コロナ禍もあって1500億円前後まで落ち込んだのではないか。

 グローバル化の中で一時は海外ブランドへの期待感みたいなものがあったのだろうが、ローカル回帰に転じた15年以降、若年層とりわけ非正規雇用が広がった女性の実収入の低迷はそんな余裕も押し潰し、コロナ禍では減収や雇い止め、失業が広がってお洒落どころではなくなった。

外資アパレルはローカル対応に本気じゃない

 外資アパレルチェーンが売れない理由は「ローカル対応に本気じゃない」に尽きる。アパレルは各国市場の人種的・民族的特性に左右されるローカル・ライフスタイル商品だから、異なる人種・民族のモードやフィットを押し付けても顧客は広がらない。

 世界のメジャーなアパレル市場はアングロサクソン系、ユーロラテン系、ヒスパニック系、ネグロイド系、アラブ系、華南系モンゴロイド、華北系モンゴロイドの7界からなり、ライフスタイルや服装規範、モード観やトレンド、体形やサイズはもちろん、スタイリングとフィットの文化が根本から異なる。華南系と華北系に分かれる中国や韓国とは異なり、日本市場はほぼ華南系(日本海側の一部には華北系の残滓が見られる)にまとまっている。「H&M」はアングロサクソン系、「ザラ」はユーロラテン系、「ユニクロ」はかつて華南系だったが近年は華北系へ移行しており、主力市場の移動を反映している。

 華南系は小柄な前かがみのずんぐり体形でフィットの好みが緩く、華北系は背が高くスラッとした体型でフィットの好みがタイトだ。欧米的なモード観では華南系のスタイルは冴えないが、ローカルなスタイリング価値からは“かわいい”“なごむ”と好まれ、華北系のスタイルを“イタい”“エロい”と敬遠する見方もある。ちなみにボディコンなチャイナドレスは華北系(満州族)の近代モードであって色味も鮮やかで、華南系(漢民族)の民族服はフィットの緩い「漢服」で色味も淡い。

 グローバルチェーンといっても商品開発には民族文化圏の特性が色濃く反映されるから、よほど本気でローカル対応しないと異なる市場には定着できない。人種のつるぼといわれる米国市場では地域どころかコミュニティーレベルでエスニック・ミックスが大きく異なるから、複数のエスニック企画やエスニック・フィットを用意するか、特定のエスニックに重点を置いた商品企画に割り切って出店立地を選ぶか、の選択になる。そこまではともかく、ローカル対応のポイントは(1)ローカルフィット&サイジング、(2)ローカルライフスタイル、(3)ローカルトレンド、(4)ローカルプライス、(5)ローカルMD&デリバリー、(6)ローカルマネジメント――以上の6点に他ならない。

フィットとサイジング、ライフスタイルの壁

 インディテックスはドレスアイテムのモノ作りやビジネスモデルは優れていてもローカル対応には消極的で、「ザラ」もローカルフィット&サイジングになっているわけではないから顧客の体形を選んでしまうし、「ストラディバリウス」はラテン系のローカルテイストが強く日本市場の嗜好とは乖離している。インテリアの「ザラホーム」も単品MDで日本式のトータルコーディネイトMD(同じ色柄でアイテムがそろう)になっていないし、フィットシーツは存在せず、コンフォーターカバーの内紐も付いていない。ホームデコレーションの文化が違うとはいえ、これでは顧客の広がりが限られるのもやむを得まい。

 日本市場でおおむね5000万ユーロ以上の市場を確保している欧州のモードブランドはジャパン(華南)フィット対応しているが、そこまで広がらないブランドはアングロサクソン系(またはユーロラテン系)フィットのままだから顧客は広がりようがない。ファクトリーブランドでも正規代理店契約のブランドはジャパンフィット別注しているが、百貨店やセレクトショップの直買付け品はユーロフィットのままが多く、顧客を選んでしまう。欧州のデッドストックを買い付けても、丈詰めなどをしないで我が国で販売するには無理があるアイテムが多い。

 欧州のモードブランドやファクトリーブランドが割高な値段になるのはロットの限られるジャパンフィット別注を要することも原因のひとつで、代理店が輸入している欧州ブランドを現地で試着すればフィットとサイジングの違いを痛感させられる。日本価格より割安でも、お直しの費用と期間に目を剥いて現地購入をあきらめる人が大半ではないか。逆にいえば日本のブランドが海外展開する場合も同じローカルフィットが求められるわけで、欧米でアングロサクソン系フィットやユーロラテン系フィットが求められるのはもちろん、中国市場や韓国市場を華南系一本と見るべきではない。ブランドのキャラクターで華南系か華北系に割り切り、出店地域を選択するべきだろう。

ローカルトレンドとローカルスタイリング

 アングロサクソン系やユーロラテン系のモード観で企画されるスタイリングは、華北系はともかく華南系のウエアリング感覚とは乖離しがちで、そのままではタイトに過ぎて緩さや崩しがなく好まれないことも多い。欧州モードに親しんだ百貨店客の中高年齢層はともかく、ローカルなストリートウエアリングが身に付いた若年層には不要にエロくてなごまないスタイリングに見えがちだ。

 華南系でも日本市場のウエアリングは独特の緩い崩しがあり、地域や客層によってかなりのローカルバリエーションがある。その背景は高校生時の制服と制服崩しにあり、私服通学で制服も制服崩しも経験しないままハイスクール時代を過ごす欧州の若者が着崩しセンスを身に付けないまま大人のモードに取り込まれて行くのに対し、制服に憧れ、あるいは強いられて自分なりのTPOで着崩す3年間を過ごす日本の若者は独特の着崩しセンスを身に付ける。コギャル風俗が台頭してJKが若者文化の主役となった95年頃を転機として、それ以降にJK期を体験した世代は独特の着崩しセンスを身に付け、欧州モードとは一線を画したローカルスタイルを形成するに至ったのではないか。その点は韓国市場と共通しており、若者が欧州モードより韓流トレンドに流れる要因の一つと考えられる。

 モードスタイリングをローカル対応させるには、華南系のややずんぐり前屈み姿勢のマネキンに、アウターは大きめサイズを衣紋抜き気味に緩く着せ付け、ボトムも大きめサイズを落とし気味にはかせ、レイヤードさせるのが基本だ。色柄の合わせも欧州ブランドの本部指示ではハーモニックになりがちで華南系の若年層には老けて見られるから、色相とトーンのコントラストを付け、柄のアイテムか小物をアクセントして立体感を盛る。南関東圏なら多少ハーモニックにまとめても違和感はないが、関西圏とりわけ南関西圏ではゴテゴテするほど柄物を盛る方がウケる。

 欧州の本部から指導に来るビジュアルマーチャンダイザーは目をむくだろうが、それがローカル対応だ。上陸直後の導入期なら上から目線で欧州モードを押し付けても通るかもしれないが、全国に数10店舗も布陣する段階に至ってはローカル対応が不可欠ではないか。

ローカルMD&デリバリーとローカルプライス

 各国ローカル市場でのMD展開とデリバリーにしても、グローバル統一のMDと生産のままデリバリーだけ微調整しても対応には限界がある。ローカルの各店が品番と色・サイズを選択し数量発注する「ザラ」にしても、MDはグローバル統一でデリバリーも北半球一斉だし(南半球対応は不明)、期中の店間移動は行われていない。

 比較的ローカル対応しているのが「ユニクロ」で、地域によってはローカル企画があるし、生産は一括でも生産地倉庫に備蓄してデリバリーのタイミングはローカル対応しているようだ。国内チェーンでも北から南までデリバリーのタイミングは異なるし、シーズン末期には大規模な店間移動が必要だから、グローバルチェーンの中途半端なローカル対応では需給ギャップが広がってしまう。

 ローカル市場では単品毎の需給状況でプライスポイントが週サイクルで動くが、国内チェーンでも売価変更のタイミングは難しいのに、POSデータに基づいての遠隔判断では自社在庫の消化状況に偏り、市場価格の変化に適切に対応するのは難しい。シーズン中の市場価格変化もともかく、何年かのうちにはローカル市場の経済状況や消費マインド、競合関係の変化でプライスポジションがズレてしまうこともある。進出時のマーケティングに基づくポジションのままでは「正価」販売が困難になり、値引き販売が常態化することもある。

 アウェイの海外マーケットでコストを積み上げると本国プライスより何割も高くなるから売り上げが伸びず、定着できずに撤退するケースも多い。ローカルプライスは中長期視点で戦略的に設定するべきだ。

要はローカルマネジメント

 そんなさまざまなローカル対応のズレを最小化するのがローカルマネジメントだ。出店戦略やマーケティングはもちろんシーズンのMD展開や営業対応まで、現地事情にうとい本社が仕切っては上手くいかないから、現地執行経営陣への権限委譲が必要だ。最終的には独資直営体制に移行するにしても、ローカル市場に定着するまでは現地企業へのライセンシングか合弁運営が合理的な選択となる。インディテックスも97年の日本進出時にはビギと合弁(インディテックス49%)でザラ・ジャパンを設立し、05年末に独資に切り替えている。

 ライセンスブランドを低く評価する見方もあるが、ローカル対応で市場規模を広げやすく、旧カネボウの「ディオール」は売り上げ500億円、三陽商会の「バーバリー」は600億円(小売規模1000億円)まで広がった。「ディオール」はライセンス契約を解消した後、その市場規模を回復するのに15年を要したし、「バーバリー」はもっと要するかも知れない。ライセンス展開の成否はライセンシーの選択次第で、三陽商会も旧カネボウもブランド側が当初に求めた水準を満たしていたが、グローバルなブランディングと流通政策の変化が蜜月を終わらせた。

 テクニカルなローカル対応もともかく、ローカルマネジメントで肝となるのは価格政策と出店政策だ。両者は表裏一体だから、価格政策と出店立地が噛み合わないとローカル展開は挫折してしまうし、本国価格とローカル価格が乖離すると通販サイトなどに転売ヤー商品があふれて正価販売が困難になる。

 ギャップ日本法人は、ローカルフィットやローカルデリバリーに注力してピークの16年1月期の売り上げは「ギャップ」「バナナリパブリック」「オールドネイビー」の3業態計1060億円まで到達したが、17年1月末の「オールドネイビー」撤退以降は急ピッチの売り上げ減少が続き、20年1月期はピークの半分まで落ち込んだと推計される。「ギャップ」の米国価格と乖離した割高な価格が値引き販売の常態化を招いたばかりか、実勢価格が「オールドネイビー」に接近してその存在意義を失わせ、短期での撤退に追いやったことが悔やまれる。

ハイリスク・レアリターンの海外進出

 アウエイの海外展開はそれほど難しく、本国展開よりコストがかさみ、割高な価格設定になって定着できず、短期で撤退するケースが絶えない。それはスーパーマーケットや量販店も同様で、外資でまともに定着できたのは会員制ディスカウントストアのコストコくらいだ。ましてやアパレルチェーンの定着がどれほど困難か想像に難くない。

 国内市場が衰退するわが国アパレルも海外進出が盛んだが、ローカル市場に定着して投下資本を回収できたケースは極めてまれで、膨大な損失が本体の経営を揺るがすケースさえある。夢を見るのは自由だが、現実に目を背けては悲惨な結末を招く。財務的な余裕とリスクへの覚悟、現地運営体制がない限り、海外進出は安易に行うべきものではない。そんな余裕があるならOMO※1とデジタルトランスフォーメーション(DX)※2に投資を集中するべきだ。

※1.OMO(Online Merges with Offline)…オンライン(EC)とオフライン(店舗販売)を融合するリテール戦略
※2.デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)…「デジタル技術による業務効率の革新」と定義され、デジタルで繋いで業務効率や事業モデルを革新する

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。著書に店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)、12月11日に出版した「アパレルの終焉と再生」(朝日新書)

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外資アパレルの撤退ラッシュが再燃する 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。パンデミックは日本に進出している外資系アパレルチェーンの戦略にも変更を迫ることになる。日本における外資系の課題を点検してみた。

 コロナ前の2019年にはアメリカンイーグル、フォーエバー21(米国本社が破綻)が撤退して外資アパレルチェーンは総崩れかと商業施設デベロッパー業界は身構えたが、20年はコロナ禍が吹き荒れる中、外資アパレルチェーンの撤退は表面化しなかった。欧米本社の経営も非常事態でコロナ対策に注力するしかなかったが、一息ついた21年は各社が抜本的構造改革に乗り出すから、各国事業の採算性と将来性を見極めて大量閉店や撤退が断行されるのは間違いない。

外資アパレルは売れないし家賃貢献も低い

 商業施設デベロッパーにとってアパレル大型店のデファクト・スタンダード(事実上の基準)は「ユニクロ」であり、その集客力と販売効率、家賃貢献度を基準として外資アパレルも評価される。

 コロナ前の19年8月期で「ユニクロ」は平均955平方メートルの店舗を正社員換算31.0人で運営して9億6627万円、坪あたり336.9万円(月平均28.1万円)を売り上げ、コロナに直撃された20年8月期でも平均982平方メートルの店舗を正社員換算29.1人で運営して8億7875万円、坪あたり298.7万円(月平均24.9万円)を売り上げた。コロナで平均店舗売り上げは9.1%、坪あたり売り上げは11.3%減少したが、ショッピングモールの他アパレルチェーン、とりわけ外資アパレルチェーンに比べれば落ち込みは格段に浅かった。

 19年8月期を基準とすれば、「ユニクロ」は郊外ショッピングモールの平均的な店舗でも坪あたり280万円前後(月平均23万〜24万円)を売り上げ、その8%程度と推定される総合賃料でモールの経営に貢献していた。モールの準核を担う大型専門店でそこまで多額の賃料を払えるテナントは他になく、とりわけ外資アパレルチェーンは販売効率が「ユニクロ」の3〜6掛けに留まるのに家賃レートは似たようなものだから、売上貢献も賃料貢献も格段に落ちる。

外資アパレルチェーンは15年をピークに暗転

 日本上陸からしばらくは集客の目玉になったかもしれないが、全国の主要立地に一巡してしまえば販売効率も落ちて家賃貢献も水準を大きく割り込み、あるいは人気が出ずに多店化もできないままでは、モールの一等地に大きな面積を割き続けるわけにはいかなくなる。ゆえに定借賃貸契約の更新時には家賃レートや最低保障売り上げを切り上げるという話が必ず出てくるから、日本法人の損益をこれ以上悪化させるわけにはいかず、大量閉店や撤退という本社判断となりかねない。コロナ禍で本社のダメージも大きい以上、各国事業の損益にもシビアになるから、21年は再び外資アパレルチェーンの大量閉店や撤退が表面化すると危惧される。

 ふり返ってみれば外資アパレルチェーンの進出が盛んだったのは規制緩和の1990年代から2000年代、リーマンショック後の13年までで、少子高齢化で異次元資金供給と増税・社会負担増のアベノミクスが進み若年層の消費が冷え込んだ15年以降、一転して撤退ラッシュに転じている。大手5社(ギャップ、インデイテックス、H&M、イーグルリテイリング、フォーエバー21)合計売り上げのピークは15年の2626億円で、以降は既存店売り上げの減少や閉店、撤退でしぼみ続け、19年は2090億円まで減少したと推計される。フォーエバー21とアメリカンイーグルが脱落して3社になった20年は、コロナ禍もあって1500億円前後まで落ち込んだのではないか。

 グローバル化の中で一時は海外ブランドへの期待感みたいなものがあったのだろうが、ローカル回帰に転じた15年以降、若年層とりわけ非正規雇用が広がった女性の実収入の低迷はそんな余裕も押し潰し、コロナ禍では減収や雇い止め、失業が広がってお洒落どころではなくなった。

外資アパレルはローカル対応に本気じゃない

 外資アパレルチェーンが売れない理由は「ローカル対応に本気じゃない」に尽きる。アパレルは各国市場の人種的・民族的特性に左右されるローカル・ライフスタイル商品だから、異なる人種・民族のモードやフィットを押し付けても顧客は広がらない。

 世界のメジャーなアパレル市場はアングロサクソン系、ユーロラテン系、ヒスパニック系、ネグロイド系、アラブ系、華南系モンゴロイド、華北系モンゴロイドの7界からなり、ライフスタイルや服装規範、モード観やトレンド、体形やサイズはもちろん、スタイリングとフィットの文化が根本から異なる。華南系と華北系に分かれる中国や韓国とは異なり、日本市場はほぼ華南系(日本海側の一部には華北系の残滓が見られる)にまとまっている。「H&M」はアングロサクソン系、「ザラ」はユーロラテン系、「ユニクロ」はかつて華南系だったが近年は華北系へ移行しており、主力市場の移動を反映している。

 華南系は小柄な前かがみのずんぐり体形でフィットの好みが緩く、華北系は背が高くスラッとした体型でフィットの好みがタイトだ。欧米的なモード観では華南系のスタイルは冴えないが、ローカルなスタイリング価値からは“かわいい”“なごむ”と好まれ、華北系のスタイルを“イタい”“エロい”と敬遠する見方もある。ちなみにボディコンなチャイナドレスは華北系(満州族)の近代モードであって色味も鮮やかで、華南系(漢民族)の民族服はフィットの緩い「漢服」で色味も淡い。

 グローバルチェーンといっても商品開発には民族文化圏の特性が色濃く反映されるから、よほど本気でローカル対応しないと異なる市場には定着できない。人種のつるぼといわれる米国市場では地域どころかコミュニティーレベルでエスニック・ミックスが大きく異なるから、複数のエスニック企画やエスニック・フィットを用意するか、特定のエスニックに重点を置いた商品企画に割り切って出店立地を選ぶか、の選択になる。そこまではともかく、ローカル対応のポイントは(1)ローカルフィット&サイジング、(2)ローカルライフスタイル、(3)ローカルトレンド、(4)ローカルプライス、(5)ローカルMD&デリバリー、(6)ローカルマネジメント――以上の6点に他ならない。

フィットとサイジング、ライフスタイルの壁

 インディテックスはドレスアイテムのモノ作りやビジネスモデルは優れていてもローカル対応には消極的で、「ザラ」もローカルフィット&サイジングになっているわけではないから顧客の体形を選んでしまうし、「ストラディバリウス」はラテン系のローカルテイストが強く日本市場の嗜好とは乖離している。インテリアの「ザラホーム」も単品MDで日本式のトータルコーディネイトMD(同じ色柄でアイテムがそろう)になっていないし、フィットシーツは存在せず、コンフォーターカバーの内紐も付いていない。ホームデコレーションの文化が違うとはいえ、これでは顧客の広がりが限られるのもやむを得まい。

 日本市場でおおむね5000万ユーロ以上の市場を確保している欧州のモードブランドはジャパン(華南)フィット対応しているが、そこまで広がらないブランドはアングロサクソン系(またはユーロラテン系)フィットのままだから顧客は広がりようがない。ファクトリーブランドでも正規代理店契約のブランドはジャパンフィット別注しているが、百貨店やセレクトショップの直買付け品はユーロフィットのままが多く、顧客を選んでしまう。欧州のデッドストックを買い付けても、丈詰めなどをしないで我が国で販売するには無理があるアイテムが多い。

 欧州のモードブランドやファクトリーブランドが割高な値段になるのはロットの限られるジャパンフィット別注を要することも原因のひとつで、代理店が輸入している欧州ブランドを現地で試着すればフィットとサイジングの違いを痛感させられる。日本価格より割安でも、お直しの費用と期間に目を剥いて現地購入をあきらめる人が大半ではないか。逆にいえば日本のブランドが海外展開する場合も同じローカルフィットが求められるわけで、欧米でアングロサクソン系フィットやユーロラテン系フィットが求められるのはもちろん、中国市場や韓国市場を華南系一本と見るべきではない。ブランドのキャラクターで華南系か華北系に割り切り、出店地域を選択するべきだろう。

ローカルトレンドとローカルスタイリング

 アングロサクソン系やユーロラテン系のモード観で企画されるスタイリングは、華北系はともかく華南系のウエアリング感覚とは乖離しがちで、そのままではタイトに過ぎて緩さや崩しがなく好まれないことも多い。欧州モードに親しんだ百貨店客の中高年齢層はともかく、ローカルなストリートウエアリングが身に付いた若年層には不要にエロくてなごまないスタイリングに見えがちだ。

 華南系でも日本市場のウエアリングは独特の緩い崩しがあり、地域や客層によってかなりのローカルバリエーションがある。その背景は高校生時の制服と制服崩しにあり、私服通学で制服も制服崩しも経験しないままハイスクール時代を過ごす欧州の若者が着崩しセンスを身に付けないまま大人のモードに取り込まれて行くのに対し、制服に憧れ、あるいは強いられて自分なりのTPOで着崩す3年間を過ごす日本の若者は独特の着崩しセンスを身に付ける。コギャル風俗が台頭してJKが若者文化の主役となった95年頃を転機として、それ以降にJK期を体験した世代は独特の着崩しセンスを身に付け、欧州モードとは一線を画したローカルスタイルを形成するに至ったのではないか。その点は韓国市場と共通しており、若者が欧州モードより韓流トレンドに流れる要因の一つと考えられる。

 モードスタイリングをローカル対応させるには、華南系のややずんぐり前屈み姿勢のマネキンに、アウターは大きめサイズを衣紋抜き気味に緩く着せ付け、ボトムも大きめサイズを落とし気味にはかせ、レイヤードさせるのが基本だ。色柄の合わせも欧州ブランドの本部指示ではハーモニックになりがちで華南系の若年層には老けて見られるから、色相とトーンのコントラストを付け、柄のアイテムか小物をアクセントして立体感を盛る。南関東圏なら多少ハーモニックにまとめても違和感はないが、関西圏とりわけ南関西圏ではゴテゴテするほど柄物を盛る方がウケる。

 欧州の本部から指導に来るビジュアルマーチャンダイザーは目をむくだろうが、それがローカル対応だ。上陸直後の導入期なら上から目線で欧州モードを押し付けても通るかもしれないが、全国に数10店舗も布陣する段階に至ってはローカル対応が不可欠ではないか。

ローカルMD&デリバリーとローカルプライス

 各国ローカル市場でのMD展開とデリバリーにしても、グローバル統一のMDと生産のままデリバリーだけ微調整しても対応には限界がある。ローカルの各店が品番と色・サイズを選択し数量発注する「ザラ」にしても、MDはグローバル統一でデリバリーも北半球一斉だし(南半球対応は不明)、期中の店間移動は行われていない。

 比較的ローカル対応しているのが「ユニクロ」で、地域によってはローカル企画があるし、生産は一括でも生産地倉庫に備蓄してデリバリーのタイミングはローカル対応しているようだ。国内チェーンでも北から南までデリバリーのタイミングは異なるし、シーズン末期には大規模な店間移動が必要だから、グローバルチェーンの中途半端なローカル対応では需給ギャップが広がってしまう。

 ローカル市場では単品毎の需給状況でプライスポイントが週サイクルで動くが、国内チェーンでも売価変更のタイミングは難しいのに、POSデータに基づいての遠隔判断では自社在庫の消化状況に偏り、市場価格の変化に適切に対応するのは難しい。シーズン中の市場価格変化もともかく、何年かのうちにはローカル市場の経済状況や消費マインド、競合関係の変化でプライスポジションがズレてしまうこともある。進出時のマーケティングに基づくポジションのままでは「正価」販売が困難になり、値引き販売が常態化することもある。

 アウェイの海外マーケットでコストを積み上げると本国プライスより何割も高くなるから売り上げが伸びず、定着できずに撤退するケースも多い。ローカルプライスは中長期視点で戦略的に設定するべきだ。

要はローカルマネジメント

 そんなさまざまなローカル対応のズレを最小化するのがローカルマネジメントだ。出店戦略やマーケティングはもちろんシーズンのMD展開や営業対応まで、現地事情にうとい本社が仕切っては上手くいかないから、現地執行経営陣への権限委譲が必要だ。最終的には独資直営体制に移行するにしても、ローカル市場に定着するまでは現地企業へのライセンシングか合弁運営が合理的な選択となる。インディテックスも97年の日本進出時にはビギと合弁(インディテックス49%)でザラ・ジャパンを設立し、05年末に独資に切り替えている。

 ライセンスブランドを低く評価する見方もあるが、ローカル対応で市場規模を広げやすく、旧カネボウの「ディオール」は売り上げ500億円、三陽商会の「バーバリー」は600億円(小売規模1000億円)まで広がった。「ディオール」はライセンス契約を解消した後、その市場規模を回復するのに15年を要したし、「バーバリー」はもっと要するかも知れない。ライセンス展開の成否はライセンシーの選択次第で、三陽商会も旧カネボウもブランド側が当初に求めた水準を満たしていたが、グローバルなブランディングと流通政策の変化が蜜月を終わらせた。

 テクニカルなローカル対応もともかく、ローカルマネジメントで肝となるのは価格政策と出店政策だ。両者は表裏一体だから、価格政策と出店立地が噛み合わないとローカル展開は挫折してしまうし、本国価格とローカル価格が乖離すると通販サイトなどに転売ヤー商品があふれて正価販売が困難になる。

 ギャップ日本法人は、ローカルフィットやローカルデリバリーに注力してピークの16年1月期の売り上げは「ギャップ」「バナナリパブリック」「オールドネイビー」の3業態計1060億円まで到達したが、17年1月末の「オールドネイビー」撤退以降は急ピッチの売り上げ減少が続き、20年1月期はピークの半分まで落ち込んだと推計される。「ギャップ」の米国価格と乖離した割高な価格が値引き販売の常態化を招いたばかりか、実勢価格が「オールドネイビー」に接近してその存在意義を失わせ、短期での撤退に追いやったことが悔やまれる。

ハイリスク・レアリターンの海外進出

 アウエイの海外展開はそれほど難しく、本国展開よりコストがかさみ、割高な価格設定になって定着できず、短期で撤退するケースが絶えない。それはスーパーマーケットや量販店も同様で、外資でまともに定着できたのは会員制ディスカウントストアのコストコくらいだ。ましてやアパレルチェーンの定着がどれほど困難か想像に難くない。

 国内市場が衰退するわが国アパレルも海外進出が盛んだが、ローカル市場に定着して投下資本を回収できたケースは極めてまれで、膨大な損失が本体の経営を揺るがすケースさえある。夢を見るのは自由だが、現実に目を背けては悲惨な結末を招く。財務的な余裕とリスクへの覚悟、現地運営体制がない限り、海外進出は安易に行うべきものではない。そんな余裕があるならOMO※1とデジタルトランスフォーメーション(DX)※2に投資を集中するべきだ。

※1.OMO(Online Merges with Offline)…オンライン(EC)とオフライン(店舗販売)を融合するリテール戦略
※2.デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)…「デジタル技術による業務効率の革新」と定義され、デジタルで繋いで業務効率や事業モデルを革新する

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。著書に店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)、12月11日に出版した「アパレルの終焉と再生」(朝日新書)

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「ナシード」春のテーマは“肌映え”カラー 全トーンくすまない3色「モノグレージュ」「スカイブルー」「オリピ」が登場

 プロフェッショナルヘアメーカー、ナプラのヘアカラー剤「ナシード(NASEED)」に2021年1月下旬、新たな3色が加わる。“モノグレージュ”“スカイブルー”“オリエンタルピンク”というフレッシュ感をかもす3色で、新たな節目となる春に、色で遊ぶ楽しさを表現する。ここでは人気美容室「アンアミ(Un ami)」「ローネス(Loness)」「フィルムス(FILMS)」のスタイリストが、“おすすめしやすい色”という新3色の特徴を生かし、それぞれサロンで提案する春のトレンドカラーを紹介する。

黄みを抑えて透け感と
シルバー感を表現できる
モノグレージュ

 新3色の1つ“モノグレージュ”は、ベージュの持つ深みと柔らかさに、グレーが持つ透け感や暗さのある落ち着きが加わったカラーだ。ナプラの原田健二郎ヘアカラー開発部部長は、「変わらず寒色ブームが続いているが、寒色の代表であるアッシュやマットを使うと、黄色く褪色していったり、ダメージして見えたりするケースも多い。そういったことを気にするお客さまや、コンサバなお客さまにもおすすめできるのが“モノグレージュ”だ。青紫の色みを含んだ染料構成なので、ハイライトの上にのせるとシルバー感を表現できる。そのためメンズのべースカラーや、ブリーチオンカラーなどにも提案しやすい」と話す。

 スタイルを作った小倉太郎「アンアミ」ジェネラルマネージャーは「顔周りに“モノグレージュ”を施して、春らしい軽やかさを表現した。サロンワークで、このままお客さまに提案できるスタイルに仕上がったと思う。レシピとしては、耳周りのインナーを中心に、顔周りの毛先をブリーチして10レベルの“モノグレージュ”を単品で入れた。単品でここまできれいに、黄みを抑えて、くすまずに発色するのでとても使いやすい。『ナシードカラー』は、トレンドカラーをタイムラグなく発売してくれることが多いので、常に今っぽい提案ができて助かっている」と話す。

“ブルーアッシュ”よりも
にごりにくく透明感が出せる
スカイブルー

 “スカイブルー”は、高彩度ブルーとヴェールピンクを掛け合わせたフレッシュなカラーだ。「既存の“ブルーアッシュ”と比べて、明るめのピンクの染料を含んでいるので、“ブルーアッシュ”の弱点である“沈み”や“くすみ”が抑えられ、透明感のあるブルーを表現できる。また、他のアッシュ系カラーと比べて、青みが強過ぎず潤いを感じられる仕上がりで、顔なじみがいいので、コンサバなお客さまにも合わせやすい」(原田部長)。

 スタイルを作った本田治彦「ローネス」代表兼ヘアデザイナーは「“スカイブルー”を全体的に施して仕上げた。ブルー系カラーは緑っぽく偏りがちだが、“スカイブルー”は赤みはちゃんと取れるのに、にごりにくく透明感が出て、緑っぽくならない。レシピとしては、全体的に8レベルの“スカイブルー”を使い、毛先には“モノグレージュ”を20%程入れた。仕上がりを自然光の下で見ると、一目で分かるくらいよりきれいに見えて驚いた。“スカイブルー”に限らず、『ナシードカラー』は全体的に、他ブランドよりも透明感を出しやすいと感じている」と話す。

他のピンクと比べて彩度が高く、
中・低明度でもきれいに発色
オリエンタルピンク

 “オリエンタルピンク”は、単品使用でのビビッドな表現から、他色とミックスしたピンクニュアンスの表現まで幅広く使いやすいカラー。「既存の“ピンク”は染料が淡い設計なので柔らかなかわいいテイストで、“ベリーピンク”は青みがあるので大人女性向けのシックな色み。対して新色の“オリエンタルピンク”はパープルが少し加わっている“高彩度設計の濃いピンク”だ。一般的なお客さまがイメージする“ピンク”に最も近い、ありそうでなかった“ど真ん中のピンク”で、単品でもしっかりと濃く出せるし、インナーカラーなどにも使いやすい色設計になっている」(原田部長)。

 スタイルを作った若林紀元「フィルムス ギンザ」代表は「今回のモデルのビフォーは黒髪ベースだったが、1回のカラーリングでここまで仕上がった。インナーだけブリーチをして、バング表面と全体は黒髪から入れた。スタイルとしては、バングの黒髪を残す部分を薄くして、髪を下ろしていたもピンク部分がよく見える点がポイントだ。ピンクは一般的に、中明度や低明度で入れるのは難しいとされるが“オリエンタルピンク”は他のピンクと比べて彩度がしっかりしているので、誰が使ってもきれいに色が出やすい。単色でもミックスでも扱いやすい」と話す。

ファッションカラー全107色の
豊富なラインアップを誇る
「ナシードカラー」

STYLING : MARIE HIGUCHI (TRON)
PHOTOS : TERUO HORIKOSHI(TRON)
MONO GREGE:ジャケット6万6000円/ヨウヘイ オオノ(エスティーム プレス 03-5428-0928)、シャツ3万5000円、パンツ3万3000円/ともにシュウ オム フェム
SKY BLUE:ジャケット7万9000円、パンツ3万3000円/ともにシュウ オム フェム、トップス4万2000円/エムエスジーエム(アオイ 03-3239-0341)
ORIENTAL PINK:ニットベスト4万7000円/シュウ オム フェム,シャツ、パンツ/ともにスタイリスト私物

問い合わせ先
ナプラ
0120-189-720

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“美容師あるある”で話題の美容師兼イラストレーターTAKUOに聞く19の質問 インフルエンサー名鑑Vol.7

 インスタグラムを筆頭とするSNSの普及で、「憧れの人」「なりたい人」が細分化している。今は誰もが、それぞれの「なりたい人」を持っている時代。ならば、そんな身の回りの人を改めて知るべきではないか?そこで「WWDJAPAN.com」は、ソーシャルリレーション マーケティング事業を手がけるリデルの協力を得て、身近な新世代インフルエンサー名鑑を作成する。

 今回は、インスタグラムで“美容師あるある”が話題の美容師兼イラストレーターのTAKUO。消費者さえ共感する“あるある”をシュールかつクオリティの高いイラストに落とし込むTAKUOには、美容師業や将来の展望、自信の持ち方など仕事や働くうえでの心構えに関する質問が数多く寄せられた。全ての質問と回答を一挙に公開する(2021年1月4&11日合併号の「WWDジャパン」には、彼が現在に至るまでの経緯やSNSの運用について聞いたインタビュー記事を掲載します)。

美容師業や「あるある」について

Q.1:美容師を目指したきっかけは?

A.1:高校3年生の夏までは音楽関係の道に進もうと思っていました。クラスメイトに美容師を目指している友達がいて、付き添いで行った美容学校のオープンキャンパスでカットの実習をさせてもらった時に、先生にベタ褒めされたのがきっかけです。もともと手先が器用だったので、高校生ながらカットもある程度できてしまいました。

Q.2:美容師になって良かったことは?

A.2:お客様の人生とともに成長できること。一番長いお客さんだと10年くらいのお付き合いがあり、就活や就職、転職、恋愛、結婚、出産など人生のイベントを美容師とお客様という絶妙な距離感で見守ることができました。友達でもなければ、血が繋がっているわけでもありませんが、月に一度来てくれて、さまざまな話ができるのは嬉しいです。

Q.3:美容師を辞めたいと思ったときは、どう乗り切った?

A.3 :本気で辞めようと思ったことは一度だけ。転職しようと思いましたが、お客様から「髪染めて!」「カットして!」というような声を頂き、お客さん様を裏切れないと思って踏みとどまりました。

Q.4:美容師には業界内での繋がりが一番大事?

A.4 :「一番大事か?」と聞かれると、そうではないですね。とにかく個性を大切にしてほしいと思います。個性でしか、この先勝つ方法はありません。9割の美容師がしていることはすべて、個性を潰す行為かなともったいなく感じています。

Q.5:自身のサロンを出す予定は?

A.5 :まったく考えていません。どちらかというと美容師と美容業界を支えていくような活動をしていきたい。もちろん、自分のお客様はこの先も担当したいです。

Q.6:フリーランスのメリットとデメリットは?

A.6 :メリットは、上下関係なく自由に活動できて、給料を自分で決められることです。現状、デメリットに感じていることはないですね。

Q.7:美容学生のうちにしておくべきことは?

A.7 :学生だけでなく、10~20代はとにかくたくさんの失敗を経験すること。つまり色んなことにチャレンジしてほしいです。人の目ばかり気にして挑戦することの大切さを失わないでほしい。そして、とにかく急がない。背伸びや、近道は絶対にしてはいけません。 “最年少なんとか”みたいな肩書きにも憧れないでください。

Q.8:“美容師あるある”は、先輩や後輩など周囲を含めた実体験に基づいている?

A.8 :99%僕の実体験です。中には女性美容師特有の“あるある”もあるので、そこは女性美容師のフォロワーさんに聞いています。実体験でないと、あそこまでの共感と説得力は出せません。

Q.9:なぜ登場人物は金髪のモヒカンなの?

A.9 :もともと髪の毛を描くのが苦手で、簡略化していったらだんだんモヒカン(お椀型)になっただけです(笑)。

働き方や心の持ち方

Q.10:後輩の意欲やモチベーションをあげる方法は?

A.10 :僕の経験上、モチベーションをあげるのはよくないことだと思っています。成功している人の話や、自己啓発本などでいくらでもモチベーションはあげられる。しかし、その急激にあがったモチベーションは天井まで来た時に急降下する。最近、僕のもとに話を聞きにくる人も増えましたが、やはりその数日後にモチベーションは急降下しています。結局、そのギャップで行動に移す事ができないんです。

Q.11:後輩指導で気を付けていることは?

A.11 :僕は長い間フリーランスで後輩がいません。なので、正直分かりません(笑)。

Q.12:どうしたら自分に自信が持てる?

A.12 :人と比べないこととインプットを止めることです。インプットこそ最強の勉強法というのが一般的だと思うのですが、僕の場合まったく逆です。インプットの割合が多くなると頭でっかちになって、結局なにをしていいのか分からなくなります。インプットすればするほど、自分の個性はなくなります。インプットの割合が少ないほど個性が出てくるので、自然と自信につながります。

Q.13:心が折れてしまったときはなにをする?

A.13 :なにもしない……ですかね。というより、最近は心が折れるほどのことがありません。人と比べることを止めたら、そんなに心は折れないですから。

Q.14:憧れの人はいる?

A.14 :1人もいません。憧れを作った時点で僕はその人を超えることはできないし、その人のコピーになる。オリジナルであるために、僕は自分の個性を大事にしています。

Q.15:悩みや不安はある?

A.15 :インプットをやめれば、悩みごとは消えていくので悩まないです。ただ不安はあります。不安があるから世の中面白い。難しいゲームほど燃えますからね。

過去・現在・未来について

Q.16:2020年の個人的ニュースベスト3は?

A.16 :1番目は書籍発売、2番目は共同経営で美容メーカーを立ち上げたこと、3番目は「WWDJAPAN.com」や「オリコンニュース」などの大きなメディアに取り上げていただいたことです。

Q.17:2020年にやり残したことは?

A.17 :ないです。1日を積み重ねた結果が今日だからです。「あの時ああしておけば……」なんていうパラレルワールドは存在しません。

Q.18:結婚に興味はある?

A.18 :一度、離婚経験があるのでなんとも言えないのですが、ご縁があればとは思います。

Q.19:10年後、20年後は何をしている?

A.19:未来設計や目標などを立てるのがすごく嫌い。限界を作ってしまう気がするんです。今、そしてこれからの時代は"激動の変化"に柔軟に対応する必要がある。明日、1週間後、1カ月後がいきなり変わる時代です。だから僕は今、この瞬間を生きています。

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韓国で加速するクリーンビューティトレンド、押さえておきたい3大人気ブランド 海外ビューティ通信ソウル編

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」ではパリやニューヨーク、ソウル、ベルリンの4都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。(キャプション中の円換算レート:1ウォン=0.09円)

 オーガニックやナチュラルビューティの範疇を超え、世界的なトレンドとなっているクリーンビューティ。韓国も例外ではなく多くの人気ブランドが生まれている。その中から注目の3ブランドを紹介する。

最注目は“高級レストランのシェフ”を意味する「クオカ」

 2019年10月設立のプレミアムスキンケアブランド「クオカ(KUOCA)」は、韓国で今最もホットなクリーンビューティブランドの一つだ。トリュフやアルガン、オリーブ、ローズヒップなどのエキスをローズマリーやラベンダー、フレンチウォーターに配合したスキンケアアイテムを展開し、イタリア語で「高級レストランのシェフ」を意味する「Cuoca」からインスピレーションを得て誕生した。肌を刺激する3大物質(化学防腐剤、人工色素、人工香料)とシリコンオイルを100%排除し、肌に無害な天然原料の中から優れた効能を持つ高品質な原料を選別。有効成分を肌に最大限に届けるため、独自配合技術である高保湿抗酸化複合体を開発した。

 「クオカ」ではファームトゥテーブル(Farm to table、2010年代に米国西海岸から広まった食に対する考え方)を取り入れ、低刺激な有効成分が新鮮な状態で最も優れた効果を発揮する点に着目し、製品を製造後30日以内に消費者の手に届ける販売システムが話題だ。それを実現するためにOEM委託ではなく自社生産にこだわり、需要に応じた生産量を予測し製造を行っている。肌を刺激する3大物質(合成防腐剤、着色料、合成香料)とシリコンオイルの100%排除、肌に無害な天然原料の中で優れた効能を持つ最上級原料を選別、原料の有効成分を肌に最大限に伝えるための独自配合技術として高保湿抗酸化複合体を開発した。主なユーザーは20~45歳の女性だが、全体の2割を男性が占め外見や身だしなみに気を配るグルーミング族の愛用者も多い。今年中の日本進出を目指している。

韓国最大の美容アプリ「ファへ」と提携する「ビープレーン」

 安らぎをコンセプトにした「ビープレーン(BEPLAIN)」は、18年10月に2種類のアンプルからスタートした。現在はトナーや乳液、シートマスク、クレンジングなど10種類以上をラインアップ。全製品が無香料で無着色。緑豆やよもぎ、竹の汁など韓国産の原料を使っていることが特徴だ。ブランドの成長の原動力は、韓国最大のモバイルビューティプラットフォームアプリ「ファへ(HWAHAE)」と提携し消費者のニーズをより客観的に把握してトレンドをリードしていることにある。生分解性素材を使用して分離型ラベルを採用した分別廃棄しやすいエコフレンドリーなパッケージと、アニマルフレンドリーな生産方法に加えて、海の生態系を脅かす成分を排除する“クリーンオーシャンキャンペーン”を展開している点でも支持を得ている。これまで日本を含む海外8カ国で発売。日本では「楽天市場」や「Qoo10(キューテン)」で購入できる。今後は欧州やメキシコなどへの進出を計画していて、グローバルビューティブランドとしての地位確立に向けて着実に歩みを進めている。

日本でも人気急上昇中の「ベージック」

 最後に、日本でも昨年デビューし認知度を上げつつあるビーガンコスメ「ベージック(BEIGIC)」も韓国のクリーンビューティカテゴリーに欠かせないブランドだ。「捨てて満たして防御する」という方法論で全ての肌タイプに効く3ステップソリューションを提案する。合成香料、合成着色料、シリコン、サルフェート、パラベン不使用を貫く。全製品に純粋なグリーンコーヒー豆エキスを配合し、肌の再生を促す必須アミノ酸や抗酸化物質とビタミンE、そして肌本来の治癒力を回復させる天然カフェインも含まれ、透明感のある明るい肌に仕上げると評判だ。美容雑誌「アルーア(ALLURE)」韓国版のベスト・オブ・ビューティ・アワードで、19年のベストビューティフェイシャルオイル部門1位を獲得し、20年はリピート率約34%を達成するなど新興ブランドとしては目覚ましい人気を得ている。日本のほかに英国、フランス、米国、シンガポールなど国外10カ国に進出しており、今年欧州と北欧でのローンチを目指している。

 韓国ビューティ業界はこれまでにBBクリームやティントリップなど多くのビューティトレンドを生んできた。クリーンビューティ領域でも成分や剤型など新しい提案が登場することに期待したい。

チョン・ジャキョン:フリーランスコーディネーター兼ライター。ソウル生まれ。アート関連会社と映画製作会社の演出部を経てメディアコーディネーターに転身。雑誌を中心にテレビ、広告、スポーツなど幅広い分野で活躍。携わった書籍は「ソウル美容完全ガイド」(講談社)など多数

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「ミッションはデジタル化推進」 好調「ランコム」のリー新事業部長にさらなる飛躍を聞く

 日本ロレアルが展開する「ランコム(LANCOME)」は、ロングセラー美容液“ジェニフィック アドバンスド N”や、2020年のベストコスメに名を連ねた化粧水“クラリフィック デュアル エッセンス ローション”の好調、さらには定期便の拡大など、コロナ禍でも存在感を見せつけた。7月1日付でランコム事業部長に就任したスー・ジョン・リー(Sue Jong Lee)氏は、「ビギナーズラック」と笑顔を見せる。日本ロレアルの中でも大きな売り上げを占める「ランコム」のさらなる飛躍は、リー事業部長の手腕に掛かっている。

WWD:これまでの簡単な経歴と、日本の事業部長としてのミッションを教えてください。

スー・ジョン・リー事業部長(以下、リー):ロレアルグループで約20年の実績があります。フランスで約10年、韓国、中国といったアジアで約10年、ビューティマーケットを見てきました。一昨年に今回のオファーがあったのですが、日本のマーケットは洗練されていて、お客さまとも距離も近い、密接な関係を築いている市場だと考えていたので、当時のミッションは、伝統的なことを重んじ店頭でのサービスに重きを置くものでした。ただ昨年のパンデミックによりミッションも変わりました。バーチャルな体験などデジタル化を進めていくことが私のミッションだと思っています。

WWD:具体的にデジタル化のミッションとは何ですか?

リー:伝統を取り入れながらスピーディーにデジタル化することです。たとえば昨年は初めてバーチャルイベントを実施しました。11月にパリのブティックを彷彿とさせるバーチャルショップを期間限定オープンし、プレス向けお披露目会には日本のミューズである女優の戸田恵梨香さんも参加してショップを体験してもらいました。今回のバーチャルショップは、パリ本社とも準備を進め、デジタルでもラグジュアリーで質の高いイノベーションを発信できたと思います。

WWD:バーチャルショップ以外にも面白い訴求を行なっていますね。

リー:たとえば、大型モニター付きのサンプリング専用ベンディングマシンを「ランコム」がコスメブランドで日本初導入(20年10月20日時点)したイベントを東京・原宿の「アットコスメトーキョー(@COSME TOKYO)」で行い、喜んでいただきました。

WWD:デジタル化への投資は進めますか?

リー:今、オフラインのお客さまもオンラインで検索しどちらでも買い物をする時代で、シームレスで境目がありません。19年は広告宣伝費としてオフライン、オンラインで半々でしたが、20年はオフライン3割、オンライン7割にシフトしました。プリントを減らしているというのではなく相対的に投資を拡大しており、よりよい環境を作っていきたいと思っています。パンデミックなど厳しい状況ですが今、チャンスではないでしょうか。デジタル化をミッションとしていますが、紙も大事ですしクオリティーが高いと感じでいます。今後はオンラインとか、オフラインとかを意識しない時代になると思っています。

WWD:今後の方針を教えてください。

リー:製品では、昨年の売り上げが前年比40%増と成長を続ける美容液“ジェニフィック アドバンスド N”から新製品が登場します。そのほか、最高峰ライン“アプソリュ”の強化、グローバルユーズのアマンダのビジュアルでメイクアップも発売します。またわれわれはビューティテックにおいてリーダーです。肌測定、ファンデーションの色などの測定体験を推進するなどでビッグデータを保有しており、お客さまに役立つ形で活用していきます。

WWD:最後に、リー事業部長にとって日本とはどんな存在ですか?

リー:実は以前から日本に来たいと思っていました。なので一昨年、ランチをしている時に日本へのオファーを受けたのですが、何の仕事かも聞かずに「イエス」と答えてたぐらいです(笑)。私は韓国出身ですが、祖父は日本の大学で勉強していましたし、祖母も日本で仕事をしていたようで、日本とはとても縁があります。日本に来れたことを大変嬉しく思っています。

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誕生5年目を迎える「エヌドット」がプロ用ブランドとして飛躍! 2021年はサロンメニューの幅広い展開に注目

 プロフェッショナルメーカー、ナプラのヘアブランドで、エンドユーザーからの認知度も高い「エヌドット(N.)」。2017年4月にスタイリングシリーズを発売して以来、ヘアカラーやカラーシャンプー、メンズラインなどを次々とローンチして話題を巻き起こしてきた。一般のファッション&ビューティ誌で取り上げられる機会も多いため、ホームケアアイテムの話題が先行しがちだが、実はヘアサロンで使用する業務用ラインも徐々にアイテム数を増やしてきた。ここでは、いよいよ充実した「エヌドット」のプロユース製品の概要を紹介する。
 
 美容師がサロンで使用するプロユースラインのスタートは、2018年7月に発売したヘアカラー剤。ヘアカラー剤はファッションカラーのほか、グレイカラーやクイックカラー、ヘアマニキュアとカテゴリーを広げ、「エヌドット」を代表するアイテムとなった。カラー剤以外にもカーリング剤、ブリーチ剤などを充実させていく中、20年3月に4浴式システムトリートメント“ケラリファイン”が登場し、サロンの売りとなるメニューのほぼ全てを「エヌドット」がサポートできるようになった。

年間提案から悩み別対応まで
メニュー提案の幅を広げる
「エヌドット」

 「エヌドット」はこれまで、一般消費者の間での認知度が高い一方で、意外にも業務用ラインにスポットライトが当たるケースが少なかった。しかし、19年後半から立て続けにアイテムをローンチし、メニュー提案の幅が飛躍的に進化した。「4浴式トリートメント“ケラリファイン”の登場により、髪をケアしながら他のメニューを行う“時短施術”が可能になったことは大きい。例えば“パーマ×ケラリファイン”のメニューでは、根元パーマと毛先のトリートメントの組み合わせにより『髪がふわっと立ち上がらない』『毛先が傷んでいる』という2つの悩みを同時に解決できるようになった。“クイックカラー×ケラリファイン”では、白髪の根元リタッチを行いつつ、毛先のダメージもケアする時短提案で、お客さまの高いニーズに応えられるようになった」と武田政彦専務は話す。

 これまでプロユースラインでは、SNS上でのヘアカラーデザインの話題が先行し、都心の“トレンドセッターサロンが使うブランド”というイメージが強かったが、地域密着サロンでニーズの高いメニューも顧客に合わせて提案できるようになり、その知名度は全国的にさらに高まりそうだ。

「エヌドット」の
主な業務用アイテムを紹介

大人女性向けのケアや
時短施術など
顧客に合わせた
メニュー提案の一例を紹介

PHOTO : HIROKI WATANABE

問い合わせ先
ナプラ
0120-189-720

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編集長は先月何した?「エルメス」「シロ」の展示会、「ファッション通信」出演、パルコで宇川さんと中2病トーク

 明けましておめでとうございます。本年も「WWDジャパン」をどうぞよろしくお願いします。昨年から続くリモート生活はそれなりに楽しいですが、新しい出会いは生まれにくいですよね。だから今年はかなり意識して新しい出会いを作り、この連載でも面白い人やことを紹介したいと思います。お付き合いください!

12月1日(火)
サステナビリティイベントを開催。
その時パリはロックダウンだった

 弊社主催のサステナビリティに関するオンラインイベントを実施しました。終了後、登壇者のひとりで企画の相談相手でもあった川崎さん(シンフラックス主宰)にお礼メールをしたら「向さんたちがシャカリキだったのでそれに応えるべく食いつきました」と返事をもらいました。シャカリキって(笑)、久しぶりに聞いた言葉です。確かにこの数カ月はシャカリキでした。登壇者の日程調整はパズルのごとしだし、政治や最新技術が絡む話は勉強が必須だし、ロックダウン中のフランスと同時通訳を介したオンライン対談の環境整備は不安だらけだし。でも喉元過ぎれば熱さを忘れるですね。多くの反響をもらいエネルギーチャージをしました。「WWDジャパン」はサステナビリティ抜きにファッションの未来はないと思っておりこれからもイベント企画をシャカリキで継続します。一緒に企画してくれる方募集中!

12月2日(水)

「エルメス」の展示会で写真を撮りまくる

 この連載で「エルメス(HERMES)」の登場頻度が高いのはそれだけ「エルメス」が展示会やイベントを開催しているから。それと商材の領域が広いから。この日の展示会でも家具からゲーム、ジュエリーなど幅広いアイテムを見ました。そしてどれも欲しくなってしまうんだな、これが。特に惹かれたのは冒険心を刺激される青い海洋儀です。たくさん写真を撮ったのでご覧ください。

12月9日(水)(水)
「veja」の子ども靴がカワイイ。
そして展示会は楽しい

 この週はインポートブランドの2021年春夏の展示会を連日訪れました。サンプルを海外から取り寄せるのは大変そう。その分、実物を見て触れる展示会は意味があるし記憶に残ります。そしてどこでも“サステナビリティ”がキーワード。ただしその表現方法はそれぞれで楽しいです。

12月10日(木)
「ファッション通信」の収録で
栗野さんと2020年を語り合う

 学生の頃から欠かさず見てきたテレビ番組「ファッション通信」に出演できるとは、自分も大人になったな~と感慨深い(笑)。「ファッションサミット2021」と題した討論番組で、お相手はユナイテッドアローズ上級顧問の栗野宏文さん。恐縮すぎる。制作チームがスゴイ本気でして(当たり前ですが)、「コロナによる消費者の価値観の変化は?」といったお題に必死に答えました。いつもは質問をする側ですが、こうやって質問を受けると深く考えるからいいですね。自分の仕事もこんな風に誰かの思考のきっかけになっているといいな。ということで皆さま、今週末9日(土)23時はテレビ東京「ファッション通信」へお越しください!

12月12日(土)
DOMMUNE宇川直宏氏と「ファセッタズム」落合氏と
中2病対談を繰り広げる

 心斎橋パルコのオープニング記念のトークイベントに出演しました。場所は心斎橋の予定でしたが、感染拡大中につき渋谷パルコのスーパー ドミューン(SUPER DOMMUNE)から。トークのお相手は“現在美術家”宇川直宏さんと「ファセッタズム(FACETASM)」の落合宏理さん。お題は最近のデジタルコレクションについて、です。デジタル上のファッション表現は黎明期なので失敗もたくさんあるけど、逆に面白さもたくさんあると私は思っています。実際に映像を観ながらデザイナーたちがデジタルコレクションを通じて伝えようとしていることを言語化したわけですが、これがめちゃくちゃディープで我ながら最高におもしろかったです。私が何となく「良い」と思ったことを映像の権化である宇川さんが解説&掘り下げてくれて、映像の作り手でもある落合さんがその苦労と面白さを実感を持って語ってくれる。それが嬉しくて正直視聴者の存在を忘れて弾丸トークしました。たとえるなら放課後の教室の陽だまりで好きなことを話し続ける感じ。中2病に罹るのってある種の癒しですね。

12月17日(木)
「SHIRO」の展示会で
ショウガや昆布に触れる

 
 コスメブランド「シロ(SHIRO)」の展示会は、リニューアルオープンした表参道本店で開催されました。で、これがすごかった!「シロ」が自然素材から生まれることは知っていましたが、売り場でその背景を赤裸々に伝えているのです。壁面にずらりと並ぶケースの中には昆布やあずき、オリーブ、サボテン、ひまわりの種、ヨモギ、ラベンダーなど約70種類の素材が展示されておりさながら漢方薬局。しかも日本全国の生産者の姿に始まり、とれたままの現物、砕いた姿など制作の工程も見える。コスメを買いに来てゴマの実をしげしげ見ることになるとは。これぞ“透明性”ですね。

 最近「ファッションやビューティは農業から始まる」と思うことが多いです。食品は手に取れば畑の映像が浮かぶけど、服になったコットンやウール、クリームも同じように畑や牧場から来ていることについては最近まで深くは考えませんでした。私は。だけどサステナビリティの取材を重ねることで意識が変わってきました。なんてことを思っていた矢先にこのお店を訪れたので興奮。お土産にいただいた生姜がピリリと辛くておいしかったです。

12月23日(水)
コロネット、オンワードHDへの
CEO取材で仕事納め

 1月25日号「CEO特集」に向けて、編集部総出で連日CEOを取材中です。この日に取材したのは七宮信幸コロネット社長。商品を生産はないインポーターのビジネスは“目利き”と情報が仕事の原点。メディアと近い部分がありますね。そして28日にはオンワードホールディングスの保元道宣社長への取材で仕事納め。デジタルに通じた保元さんが進めてきた新しいビジネスの形が2021年は色々形になりそう。ただし、以前のような大量生産・大量出店ではな機動力ある面白い小中規模ブランドがしかもデジタル上に増えそうだから取材する側もマメにチェックしないと、ついていけなくなりそうです。気合いだ~。

12月31日(木) 
12月発行号を振り返る
&在宅勤務のお供

 例年なら忘年会やクリスマスパーティーやらで12月の平日夜はほぼ全日が会食でした。今年は毎日自宅で夕食。なんて健康的なんでしょう!それなのになぜ体重が増えるのでしょう!そうか、晩酌をしてしまうからか!体重増加と戦いながら制作した3号がこちら。ぜひお手に取ってください。

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有名デザイナー33人に聞いた“本当は自分で発明したかった”ものとは?

 今日のファッションは、歴史の中のさまざまな時代に発明されたものであふれている。そして、できることならその生みの親になりたかったと考えるデザイナーも多いようだ。実際、イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)は晩年、ブルージーンズを生み出したかったとよく話し、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)も白Tシャツを発明したかったと語っていた。そこで、米「WWD」は現在業界の第一線で活躍するデザイナー33人に“本当は自分で発明したかった”アイテムについて質問。デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)やステラ・マッカートニー(Stella McCartney)が挙げたものとは?

アレッサンドロ・デラクア(Alessandro Dell'Acqua)/「ヌメロ ヴェントゥーノ(N°21)」ウィメンズ・クリエイティブ・ディレクター

ペンシルスカート。「ヌメロ ヴェントゥーノ」のアイコンとなっているものだから、自分で発明したかった。私にとってこのスカートは厳格なシルエットと極めてフェミニンな雰囲気のコントラストを演出しているアイテムで、フェミニンな素材でもマスキュリンな素材でもアレンジすることができる。いつの時代にもふさわしい着用シーンがあるので、全ての女性がワードローブに1着持っておくべき。

アナ・スイ(Anna Sui)/「アナ スイ」デザイナー

「リバティ(LIBERTY)」による“タナ コットン”。私の一番好きな生地とプリントと組み合わせだからね。プライベートで着る洋服にはこの生地を多用していて、コレクションでも多く使用してきた。

阿部千登勢/「サカイ(SACAI)」デザイナー

私は逆のアプローチをとっていて、すでに存在するものを使って全く別のものに変えるのが好き。例えば、スーツを作り変えたら、それはもはや昔ながらのスーツではなくなる。だから、この質問とは反対の考え方を持っている。

クリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)/「クリスチャン ラクロワ」デザイナー

「オシュコシュ(OSHKOSH)」のような作業着。とてもクレバーで実用的だ。自分でも愛用していて、もう40年以上着ている。

クリスチャン・ルブタン(Christian Louboutine)/「クリスチャン ルブタン」デザイナー

デニムとビーチサンダル。

デムナ・ヴァザリア/「バレンシアガ(BALENCIAGA)」アーティスティック・ディレクター

「黒」という色。なんでもファッショナブルに変える色だから。

ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)/「ドリス・ヴァン・ノッテン」デザイナー

自分のことを発明家だとは思っていないので、何かを開発する必要はない。私が取り組んでいるのは、何かをクリエイトすることだと考えている。(すでにある)たくさんの選択肢の中から何かを作るのはとても楽しいこと。私にとって色やプリントは画家にとっての絵具のように最も重要なツールで、そのアレンジを楽しんでいる。何か特定のアイテムと常に結び付けられてしまうことは、すごく制限されるように感じる。

ガブリエラ・ハースト(Gabriela Hearst)/「ガブリエラ ハースト」「クロエ(CHLOE)」クリエイティブ・ディレクター

“発明”されたかどうかは分からないけれど、エルザ・スキャパレリ(Elsa Schiaparelli)は芸術家のアルベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti)やサルバドール・ダリ(Salvador Dali)と一緒にブローチやジュエリーを作っていたし、私もそんなことができたらよかったのにと思う。

ヘロン・プレストン(Heron Preston)/「ヘロン・プレストン」デザイナー

もちろん、靴下。

ジャック・マッコロー(Jack McCollough)&ラザロ・ヘルナンデス(Lazaro Hernandez)/「プロエンザ スクーラー(PROENZA SCHOULER)」デザイナー

自分たちが生み出したかった!!!と思うのは、完璧な黒のクルーネックコットンTシャツ。私たちになくてはならないものの一つであり、今も実際に着ているしね。僕たちにとっては、永遠のクラシックアイテムだ。

ジェイソン・ウー(Jason Wu)/「ジェイソン ウー」デザイナー

スパンクス(補正下着)を発明したかった。本当に!

ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)/「ジャンポール・ゴルチエ」デザイナー

ジーンズ。それは、年を重ねるごとによくなっていく唯一の洋服。人のようにね。

ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)/「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」デザイナー

カシミヤのセーターだね。これ以上優れたものはない。

ジョン・ガリアーノ(John Galliano)/「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」クリエイティブ・ディレクター

トレンチコート。「メゾン マルジェラ」というメゾンやこの上ない品を象徴していると感じる。ダブルボタンのトレンチコートは私にたくさんのインスピレーションを与えてくれた。

ジュリアン・ドッセーナ(Julien Dossena)/「パコ ラバンヌ(PACO RABANNE)」クリエイティブ・ディレクター

スリップドレスを発明したかった。ある種の官能性とリラックスした心地よさを持ち合わせている素晴らしいアイテムだと思う。すごく繊細に作られていて、もともとは他の洋服の下に着るためのものだったけれど、今では一枚で着られるようになったところが気に入っている。

キム・ジョーンズ(Kim Jones)/「ディオール(DIOR)」メンズ・アーティスティック・ディレクター

白Tシャツか、ジーンズ。この2つは誰もが持っていなければいけない天才的なアイテムで、シンプルさと機能性を併せ持つデザインの頂点だと思う。実際に私も1905年の「リーバイス(LEVI’S)」のジーンズを持っているよ。

マーク・ジェイコブス(Marc Jabos)/「マーク ジェイコブス」デザイナー

最初に思い浮かんだTシャツとジーンズがすでに挙がっているので、スニーカーかな。

マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)/「ディオール」アーティスティック・ディレクター

間違いなく、デニムジーンズ。世界で最も民主的で実用的で、そして機能的なアイテムだから。

マッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Giorgetti)/「MSGM」クリエイティブ・ディレクター

クラシックなグレーのメランジフリースを使ったスエットのセットアップを発明したかった。

マシュー・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)/「ジバンシィ」「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」クリエイティブ・ディレクター

ピン、ファスナー、ハサミ。

マイケル・コース(Michael Kors)/「マイケル・コース」デザイナー

アビエーターサングラス。シックでクールだし、とてもセクシーだ。たとえ17歳でも77歳でも、誰にだって似合う。ブラッド・ピット(Brad Pitt)やゼンデイヤ(Zendaya)、ジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)、アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)が究極の代表例だが、ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領のようにぶっちぎりで似合う人はいないだろう。

ニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)/「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」ウィメンズ・アーティスティック・ディレクター

テーラードパンツ。

オリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)/「バルマン(BALMAIN)」クリエイティブ・ディレクター

外出時のワードローブで最もシックなアイテムだと思っているので、ダブルボタンのジャケット。

ポール・アンドリュー(Paul Andrew)/「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」クリエイティブ・ディレクター

白Tシャツ。何年にもわたって次第に私自身のパーソナルなスタイルの象徴になっていったからね。お気に入りは、「サンスペル(SUNSPEL)」のオーガニックコットンのクルーネック。このアイコニックなアイテムのカジュアルなエレガンスは、多くのかしこまったシーンで着るのにもふさわしい。

ポール・スミス(Paul Smith)/「ポール・スミス」デザイナー

発明したかったと思うものについては分からないけど、自分が成し遂げた中で最も誇りに思っているのは、100%ウールを使用したシワができないスーツを開発したこと。

フィリップ・リム(Phillip Lim)/「3.1 フィリップ リム(3.1 PHILLIP LIM)」デザイナー

スニーカーを発明したかった。誰もが持っているファッションアイテムだからね。私は目的のあるデザインを信じていて、スニーカーはまさにスタイルと機能性が完璧に融合したもの。

ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)/「ヴァレンティノ(VALENTINO)」=クリエィティブ・ディレクター

ジーンズ。いつだってデニムと「リーバイス」が好きだ。

リック・オウエンス(Rick Owens)/「リック オウエンス」デザイナー

プラットホーム。こんなバカげた何かを思いついていたらよかったのに。

ステラ・マッカートニー/「ステラ マッカートニー」デザイナー

ファスナー。ユーティリティーの要素があり、荒々しい要素もある。セクシーで激しく、力強い上に実用的。とても無垢でシンプルだけど、イケてる。なんて素晴らしいデザインなのだろう。ファスナーを必要としない人なんていないでしょう?

トリー・バーチ(Tory Burch)/「トリー バーチ」デザイナー

レトロでスポーティー、クール、実用的な70年代のトラックスーツを発明したかった。新型コロナウイルスの感染拡大以来、とても身近になったアイテム。

小泉智貴/「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」デザイナー

私からはバレエのチュチュスカートかな。とにかく可愛いから!

ヴェラ・ウォン(Vera Wang)/「ヴェラ・ウォン」デザイナー

すばり、レギンスだね。フィギュアスケートやバレエを楽しみ、週末はアスリートにもなる運動好きなファッションデザイナーとして、私のマインドやスタイル、生活に快適さは最も重要な要素。レギンスはいつも私のワードローブの基本にあって、素敵なアウターや繊細なトップス、テーラードアイテムを合わせられるし、下着としても着られる。それが娘たちを怖がらせてきたのは確かだけど、今となっては全世界の人々がレギンスやアスレジャーアイテムを中心に生きている。だから、本当は化学繊維のライクラをまず発明したかったとも言えるけれど、レギンスも間違いない!

ヴェロニカ・エトロ(Veronica Etro)/「エトロ」クリエイティブ・ディレクター

シャツはずっと発明したかったと思っていたアイテム。多くの場面で使用できるし、男性的でありながら女性的であり、エレガントでセクシー。フォーマルだけど、休暇に持っていくのにも適している。普遍的な衣服でありながら、何度もカスタマイズしたり再解釈したりもできる。

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「キジマ タカユキ」が業界を25年間走り続けられた理由とは? 木島隆幸デザイナー本人が語る

 卓越した技術と洗練されたデザインで人々を魅了し、日本が世界に誇る帽子ブランド「キジマ タカユキ(KIJIMA TAKAYUKI)」。デザイナーの木島隆幸は、帽子デザイナーの第一人者である平田暁夫氏のもとで、オートモード(オートクチュール)の技術を学びキャリアをスタートさせた。洋服とは違いコーディネートに必ず必要とはされない帽子だが、木島デザイナーはそれを物ともせずファッション業界を25年間走り続けてきた。その技術はファッションデザイナーにも大きな影響を与え、これまで「アンダーカバー(UNDERCOVER)」や「タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATHESOLOIST.)」、「オーラリー(AURALEE)」などとのコラボアイテムを製作。また1999年に初の直営店となる代官山店を、2019年には渋谷パルコ店をオープンするなど、経営者としての顔も併せ持つ。この業界で生き抜いてきた術や次世代への継承について本人に聞いた。

WWD:なぜ帽子を作ろうと思ったのか?

木島隆幸デザイナー(以下、木島デザイナー):10代の頃は帽子ではなく古着が大好きで、他の人が真似できないオリジナルのスタイルを追求していました。その後ヒップホップカルチャーに出合い、その格好良さに魅了されたと同時にパンクやロンドン・ファッションも好きになりました。20代の前半になると、それまで購入していた「ヴィヴィアン・ウエストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)」や古着を売却し、今度はスーツスタイルに路線を変更しました(笑)。それらの経験を通して、自分が洋服を作るとまとめることができないと感じたのです。でもファッション業界には携わりたかったので、コーディネートに付随する帽子を選びました。

そして後の師匠となる平田暁夫先生が主催する帽子教室に一年間通うことにしましたが、何も習得できずに時間だけが過ぎてしまいました。一年経った後、「就職先ありますか?」と教えて頂いていた先生に問うと、「あるわけないでしょ」と言われてしまいました。でもその先生が「平田先生のアトリエに空きがないか確認してみるよ」と手を差し伸べてくださいました。そして平田先生から「すぐにでも来てほしい」と返事をもらい、すごく幸運なことに入社することができました。私がアトリエに入った時は、ファッション自体の盛り上がりが最高潮で、ブランドのショーに対する投資額はすごいものでした。当時はデコラクティブなもので競い合っており、毎回苦労の連続。ミシンでは縫えないようなゴムやビニールを持ち込まれ発注を受けていました。この世界に飛び込んでからの経験が刺激的で、いつの間にか、帽子づくりに没頭していましたね。

WWD:「キジマタカユキ」の帽子の一つの特徴である“カバンの中にしまっても型が崩れない”。そこに行き着いた理由は?

木島デザイナー:私は平田先生のアトリエで5年ほど修行を積んだ後、独立しました。独立した当初はビジネスの仕方すらもわかりませんでした。そこで、修行を積んでいた際に通い詰めていたユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)の栗野宏文さんに「商品を見てください」と連絡しました。栗野さんに「物が良いのは分かるけど、この帽子を被るシチュエーションが私には分からない」と言われたことで、「洋服に合うものでなければ何の意味もない」ということを気付かされました。そこから“帽子単体ではなく、洋服とどれだけマッチできるか”ということを根本的に考え、帽子をかぶる際のデメリットを消していったなかの一つです。

WWD:さまざまなファッションデザイナーとのコラボを行なっているが狙いは?

木島デザイナー:一つの価値観だけで物事を考えてしまうと、自分の容量の中でしかデザインが生まれないし抜けだすことができなくなります。彼らは帽子に関しては素人なので、その発想はもの凄く面白いものや突拍子のないものがあり、刺激を受けることが多い。自分の中の枠を広げるには必ず必要なもので、欠かさず行うようにしています。

WWD:これまでに一番衝撃を受けたファッションデザイナーは?

木島デザイナー:「アンダーカバー」の高橋盾デザイナー。「『ボルサリーノ』のようなハットを少し凸凹させてほしい」と発注を受け、それを自分なりに解釈して作ったことがありました。それは今でも私の大好きなモデルの一つになっています。

「慢心せず、考え続けることが大切」

WWD:服とは違い無くても良いとされる中で、生き残ることができた要因は?

木島デザイナー:帽子という枠だけに留まらず、ファッションという大きな枠を意識してきたからだと思います。あとは「自分がまだまだ未熟者」と反省ばかりしていることかな。

WWD:経営者としての苦悩はあった?

木島デザイナー:本当に運だけです。自分たちだけでは絶対に続けることができなかったし、周りの人たちに支えていただきました。

WWD:ブランドを継続できる人とできない人の差をどう考える?

木島デザイナー:私は悪い意味で優柔不断。良い意味ではフレキシブルに色々なことへの対応ができました。ブランドの世界観は崩さず、それぞれの時代に合わせた商品を提案できるかどうかが大切だと思います。今は多様化の時代で、過去と比較することは難しいですが、短命では終わらないブランドづくりを常に意識し、自分からは一切営業をしないというやり方をしてきました。

WWD:理想とする帽子の被り方・合わせはあるか?

木島デザイナー:私は帽子が元々好きな人や似合う人には興味がありません(笑)。そういう人たちは自分が似合うものを知っているし面白くない。私は帽子が嫌い・似合わない人に対して「キジマ タカユキ」の帽子を勧めていきたいです。そういう人たちが喜んでくれるのが一番うれしい。100人いれば100通りの被り方があると思っています。

WWD:木島さんの技術・ノウハウを次の世代にどのように伝えていく?

木島デザイナー:私は手取り足取り教えることはしません。好きであったり興味があったりする人間は、見ている視点が違うので言わなくても出来るようになります。私は「作り方に正解はない」と考えています。率先して自分たちで「もっと良いものがないか」を模索していかなければ、彼らの成長は止まってしまいます。

WWD:コロナ後、コレクションの在り方は変わっていくと思う?

木島デザイナー:デジタルでは味わえない雰囲気や空気感は実際に行かないとわかりません。私はパリに行く度に、打ちのめされて帰ってきています。それが私の中ではとても重要だし肌で感じ取りたい。

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古着店「ラグタグ」の巨大倉庫に潜入 真贋、ささげ、保管、受注、発送などを一括

 品ぞろえと編集力で人気を集める古着店「ラグタグ(RAGTAG)」は、全国17店舗やウェブサイトを通じ、消費者から古着(靴やバッグを含む)を買い取って販売している。古着のため商品は一点ものばかり。その全ての商品が集まる東京都国立市の「国立商品センター」は、ブランド古着を循環させる「ラグタグ」の心臓といえる場所だ。膨大な数の一点ものの商品はどう管理されて、消費者に届くのか。

 国立市の郊外にある国立商品センターの建物は、3フロア構成で約1万平方メートル。全国の消費者から買い取った古着が1日平均2000点届き、真贋チェックやコンディション確認などを経て、最終的な価格が付けられる。店舗とECの在庫が一元化されているため、全商品のささげ(採寸、撮影、原稿)作業もここで行われる。常時30万〜40万点の古着を保管し、各店舗に出荷したり、ECを通じて消費者に配送したりする。約110人のスタッフが働く。

 「ラグタグ」の商品はブランド古着で、目の肥えた顧客の売り買いによって成り立っている。他のリユース店に比べて客単価も高い。同社ECの人気ブランドランキングのベスト3(12月29日時点)は、メンズが「コム デ ギャルソン・シャツ(COMME DES GARCONS SHIRT)」「エンジニアド ガーメンツ(ENGINEERED GARMENTS)」「ビームス(BEAMS)」、ウィメンズが「トリコ コム デ ギャルソン(TRICOT COMME DES GARCONOS)」「サカイ(SACAI)」「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」。

 独自の基準によって商品のコンディションを「新品同様」から「A」「B」「C」「D」の5段階に分類し、ダメージなども正直に記載することで信頼を築いてきた。メルカリに代表されるフリマアプリが浸透する中でも、ブランド古着の売り買いは「ラグタグ」で行いたいという人も少なくない。

偽物は絶対に入れない

 入荷した古着はまずモード、ストリート、カジュアル、ビジネス、アウトドアといったジャンル別に分けられた後、専門知識を持つスタッフが真贋を見極める。店舗で買い取る古着は店舗スタッフがその場で真贋チェックをしているが、さらに厳しい目で疑わしいものを弾く。

 上光治郎さんは店舗スタッフを経て、6年前から真贋のスペシャリストとして抜擢された。毎日、大量の商品を一つひとつチェックする。買い取られた店舗による値付けを修正したりするのも上光さんの仕事だ。

 アウターの裏側に縫い付けられた品質表示タグのある部分を指差し、「この◯◯◯は真正品では見られないものです」と教えてくれた。品質表示のほか、素材、縫製、ファスナーなどの付属。真贋を見極めるポイントはいくつかある。「(企業秘密なので)具体的には話せませんが、本物にたくさん触れて、その特徴を頭と目に焼き付けることが大切です」と話す。時間があれば、ブランドの直営店に出向き、最新の商品に触れる。経験を重ねると「注意深く見なくても、大量の商品の中から疑わしい商品は自然と浮かび上がってくるようになります」。

日々カイゼンを繰り返す「ささげ」

 真贋を通過した商品はささげに回る。

 フロアの設備で最も目立つのは、照明によって白い光を放つたくさんの撮影機材だ。商品を平置きにして撮影する設備が8台、ハンガーにかけて撮影する設備が15台、帽子や靴などの服飾雑貨を撮影する設備も数台ある。

 撮影は各設備で1人のスタッフが完結して行う。ハンガー撮影はマットレスを立てかけたような白い壁にシャツやワンピースを吊るす。スタッフはキャスターがついた椅子に座ったままで商品を整えたり、カメラを構えたり、パソコンで画像を確認したりする。「ラグタグ」を運営するティンパンアレイの桜庭邦洋ゼネラルマネージャーは「クオリティの高い画像が効率よく撮れるように、現場でたびたびカイゼンを重ねてきました。キャスター付きの椅子を使うのも、無駄な動きを減らしてスタッフの作業量を軽減するためです」と説明する。

 採寸は今のところ1点ずつ袖丈や身幅を手作業で行っている。だが、ティンパンアレイと同じワールドのグループ企業オムニスの自動採寸テクノロジーの試験導入が一部で始まっている。写真を撮影すれば、自動的に採寸してサイズを割り出す。本格的に導入されれば業務効率は飛躍的に上がる。

 商品情報の入力が終わった商品は保管フロアには移動する。広いフロアを埋め尽くす2段組のラックに、ハンガーにかけられた古着がぎっしり並ぶ光景は圧巻だ。30万〜40万点の古着がテイストやブランドごとに棚番号で整理されている。

 新品を売るチェーンストアとは違い、店舗ごとの顧客特性に合わせて選ばれた商品がここから毎日出荷される。例えば都心のモードに強い店と、地方都市のカジュアルが求められる店ではMDを変えている。ECで注文を受けた商品もここから消費者に発送する。ECが更新されるのは毎日17時。掘り出し物を探す常連顧客のアクセスが集中するのもこの時間帯だ。

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大人顔負けのスケーティングとファッションセンス 14歳スケーター三谷小虎って誰だ?

 大阪在住、14歳の三谷小虎君を知ってる?「アディダス スケートボーディング(ADIDAS SKATEBOARDING)」や「タイトブースプロダクション(TIGHTBOOTH PRODUCTION)」など数社がスポンサーにつくほど、スケート界(主に関西方面)ではすでに有名人の小虎君。そんな知る人ぞ知る彼を初めて生で見たのは、ロサンゼルス発のピザレストラン「ピザニスタ(PIZZANISTA!)」が東京・原宿にオープンした先月のこと。店前の坂道をものすごい勢いでくだっていく彼は、14歳とは思えない大人顔負けのスケートスタイルとファッションセンス、14歳らしいチャーミングな笑顔で輝いていた。これはインタビューせずにはいられないと、遠路はるばる大阪まで、小虎君に会ってきた。

WWD:名前の由来は?

三谷小虎(以下、小虎):よう分からんすけど、親父が歴史上の人物から付けたって言ってました。「群れずとも豪勇無双の虎のように己の道を切り開き流されずに強く歩んでいける男に」だそうです。

WWD:いつスケート始めたの?

小虎:2013年だから6~7歳ぐらいっすね。

WWD:始めたきっかけは?

小虎:お母さんが昔買った全然使ってない新品の板が家にあって、遊び道具として乗ってみたらかっこいいなーって感じっすかね。

WWD:家族もスケートしてるの?

小虎:家族は誰もやってないんす。

WWD:スケートを教わったのは?

小虎:周りの人とか自分で映像見て研究したりっすね。

WWD:周りの同級生もスケートしてるの?

小虎:昔はみんなで一緒に始めたんすけど、今はみんなやめちゃってやってないっすね。

WWD:ケガしたことは?

小虎:結構何回もやってます。脚の骨折とかもあるし、腰も交通事故ぐらいのやつやって今もときどき痛いっすね。

WWD:ケガしても続けるスケートの魅力ってなに?

小虎:やっぱ達成感とかっすかねー。かっこいい人が周りにいるから俺も頑張らなっていう刺激で動いてる感じっす。

WWD:リスペクトしてるスケーターは?

小虎:いっぱいいますよ。上野伸平君とか岡本元気君とか宮原聖美君とか上原耕一郎君とか南勝巳君とか。みんな憧れっすね。

WWD:年齢的には東京オリンピックにギリギリ出れないよね?

小虎:そうなんすよね。でも出たいと思ったことはないっすねー。競技とストリートは全然違うと思うんで。

WWD:得意なトリックは?

小虎:うーん…やっぱやってて好きなのはフリップ系のトリックっす。

WWD:かっこいいスケートってなに?

小虎:難しいけど、技術+スタイル。技術とスタイルは一緒ぐらい大事やと思います。誰かのマネとかは偽物なんで。

WWD:最近はどこで滑ってる?

小虎:パークで滑って、その後ストリートっすね。

WWD:毎日どれぐらい滑ってるの?

小虎:1日最低でも6~7時間は滑ってると思います。毎日終電で帰ってますね。

WWD:お気に入りのデッキは?

小虎:最近ちょっと大きくして、このサイズが一番調子いいっすね。

WWD:お気に入りのシューズは?

小虎:今日は“ブセニッツ(BUSENITZ)”なんすけど、一番調子いいのは「アディダス」の“キャンパス(CAMPUS)”っす。

WWD:今日のファッションは?

小虎:「エビセン(EVISEN)」のパーカとキャップにショッピングモールで買ったパンツ、「タイトブース」のシャツ風カバン、「アディダス」のシューズ“ブセニッツ”。

WWD:モヒカンだったよね?

小虎:モヒカンだったのを学校あかんから坊主にしたんすよ。そしたら髪質変わっちゃって天パになっちゃったっす……。

WWD:中学校を卒業したら?

小虎:東京行きたいっすね。東京の方がいっぱいチャンスあるし、師匠の上野さんの元にいたいって感じっすね。伸平君なら親も安心できるかなみたいな。

WWD:同級生に言いたいことがあれば。

小虎:それぞれ頑張って将来かまし合えるようになりたいね!とかっすかね。

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「まじめな経営者が会社をダメにする」 ワークマン土屋氏が初の著書で伝えたかったこと

 コロナ禍でも2ケタ成長を維持したワークマン。その仕掛け人である専務取締役の土屋哲雄氏が初の著書「ワークマン式『しない経営』」(ダイヤモンド社)を出版した。三井物産の商社マン時代に数々の新規事業で実績を作った土屋氏は、還暦直前にワークマンに入社。繊維ファッション分野の経験が全くなかった土屋氏が、どうやって作業服店の企業風土を変えたのかが詳細に書かれている。

WWD:昨年以上にメディアの露出が多い1年でした。

土屋哲雄専務(以下、土屋):特にテレビではたくさん取り上げてもらいました。1月から11月末まで東京のキー局だけで129番組。宣伝費に換算すると45億円に相当するらしいです。

WWD:過酷ファッションショーの開催(10月1日)と新業態「♯ワークマン女子」のオープン(10月16日)はニュース番組でも紹介されました。

土屋:ランウェイに雨や雪を降らせた過酷ファッショショーがテレビで取り上げられ、その興味の延長で「#ワークマン女子」に火がついたらラッキーだと考えていました。われわれが欲を出すと「とらぬ狸の皮算用」で終わることが多いのですが、今回は見事に当たりました。

WWD:土屋さん自身が時の人になり、10月20日には初の著書も出版しました。

土屋:お察しの通り、これも「#ワークマン女子」の出店のタイミングに合わせて書き始めました。ですから10月は過酷ファッションショー、「#ワークマン女子」のオープン、本の出版の3点セットで盛り上がりを作ろうとしたわけです。

WWD:どんな読者を想定して書きましたか?

土屋:特定の人を想定したわけではありませんが、しいていうなら世の管理職や経営者ですね。私が一番言いたかったのは、管理職や経営者は真面目すぎて会社をダメにしているということ。達成もできない中期経営計画を策定して、よせばいいのにそれを部署や社員にブレークダウンしてプレッシャーをかける。すると、優秀な社員ほど早くあきらめる。達成できるはずがないと分かるので、やっているふりをする。3年も経てば社長が変わってリセットされるので、それまで何とかやり過ごす。そんな空気が日本の企業には蔓延しています。

かくいう私も商社時代は経営企画室で中計を立案する側にいたこともあります。偉そうなことはいえません。この本に書いた「しない経営」は私の過去の反省に基づいたものなのです。

WWD:三井物産時代の経験はワークマンにつながっているのですか?

土屋:商社時代はさまざまな新規事業の立ち上げに関わりました。飽き性なので、すぐ新しいことをやりたくなってしまう。ただ私がやってきたのは、いずれも売上高100億円、利益10億円の規模。総合商社のモノサシでは小規模なビジネスに過ぎません。

対してワークマンは深掘り型の会社でした。私のように目移りせずに40年も作業服一筋でやってきた。入社して驚いたのは現場のスタッフのレベルの高さです。緻密な運用マニュアルや作業指示書などを若い社員が作っている。一つのことを愚直に深掘りする文化はすごいなと思いました。でも、これだけの仕事しているわりに給料は安い。ですから、年収の100万円のベースアップを5年でやると宣言し、そのために方針を発表しました。

WWD:本の大きなテーマである「データ経営」ですね。

土屋:私が入社した2012年の時点では、店舗在庫の数量データすらありませんでした。逆にいえば、深掘りのワークマンがデータを活用すれば、ものすごいことができるという予感があった。私をワークマンに呼んだ叔父の土屋嘉雄氏(当時ワークマン会長、ワークマンの親会社ベイシアの創業者)からは、「しばらくは何もするな」と言われました。小さいことをするな、商社時代のように100億円くらいの新事業を作られても迷惑だという意味だったのでしょう。ですから私は2年間ほとんど口出ししませんでした。

そのかわり社員の話をじっくり聞きました。(各エリアの店舗を統括する)スーパーバイザー(SV)の営業車に同乗し、1日3店舗くらいを回ります。私の目的は店舗の視察ではなく、助手席でSVと将来の目標や目下の課題について話すことでした。外から来た人間がいきなり劇薬のような改革を行なって現場はついてきません。まずデータ活用の効能を腹落ちしてもらうことが大切です。エクセルの勉強会から始めました。

WWD:AI(人工知能)やDX(デジタルトランスフォーメーション)が脚光を浴びる中、なぜエクセルなのですか。

土屋:AIはもっと安くて実用的になるのを待っても遅くありません。大事なのは立派なデータ分析ソフトを導入することではなく、データを活用して社員一人一人が自分の頭で考えること。AIでは相関関係は分かっても因果関係が分かりません。現場で困っている社員がデータを基に実験して、「なぜそうなるか」を発見するしかない。

例えば、ある社員が売れ筋なのに仕入れされていない製品を浮かび上がるツールを作りました。SVはこの結果を店長にみせればいい。エクセルなら習得すれば誰でも作れるし、更新できる。エクセルでかなりのことが出来るんですよ。外から傑出したデータサイエンティストを呼ぶよりも、全員がデータを土台に議論をすることがはるかに理にかなっています。

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「まじめな経営者が会社をダメにする」 ワークマン土屋氏が初の著書で伝えたかったこと

 コロナ禍でも2ケタ成長を維持したワークマン。その仕掛け人である専務取締役の土屋哲雄氏が初の著書「ワークマン式『しない経営』」(ダイヤモンド社)を出版した。三井物産の商社マン時代に数々の新規事業で実績を作った土屋氏は、還暦直前にワークマンに入社。繊維ファッション分野の経験が全くなかった土屋氏が、どうやって作業服店の企業風土を変えたのかが詳細に書かれている。

WWD:昨年以上にメディアの露出が多い1年でした。

土屋哲雄専務(以下、土屋):特にテレビではたくさん取り上げてもらいました。1月から11月末まで東京のキー局だけで129番組。宣伝費に換算すると45億円に相当するらしいです。

WWD:過酷ファッションショーの開催(10月1日)と新業態「♯ワークマン女子」のオープン(10月16日)はニュース番組でも紹介されました。

土屋:ランウェイに雨や雪を降らせた過酷ファッショショーがテレビで取り上げられ、その興味の延長で「#ワークマン女子」に火がついたらラッキーだと考えていました。われわれが欲を出すと「とらぬ狸の皮算用」で終わることが多いのですが、今回は見事に当たりました。

WWD:土屋さん自身が時の人になり、10月20日には初の著書も出版しました。

土屋:お察しの通り、これも「#ワークマン女子」の出店のタイミングに合わせて書き始めました。ですから10月は過酷ファッションショー、「#ワークマン女子」のオープン、本の出版の3点セットで盛り上がりを作ろうとしたわけです。

WWD:どんな読者を想定して書きましたか?

土屋:特定の人を想定したわけではありませんが、しいていうなら世の管理職や経営者ですね。私が一番言いたかったのは、管理職や経営者は真面目すぎて会社をダメにしているということ。達成もできない中期経営計画を策定して、よせばいいのにそれを部署や社員にブレークダウンしてプレッシャーをかける。すると、優秀な社員ほど早くあきらめる。達成できるはずがないと分かるので、やっているふりをする。3年も経てば社長が変わってリセットされるので、それまで何とかやり過ごす。そんな空気が日本の企業には蔓延しています。

かくいう私も商社時代は経営企画室で中計を立案する側にいたこともあります。偉そうなことはいえません。この本に書いた「しない経営」は私の過去の反省に基づいたものなのです。

WWD:三井物産時代の経験はワークマンにつながっているのですか?

土屋:商社時代はさまざまな新規事業の立ち上げに関わりました。飽き性なので、すぐ新しいことをやりたくなってしまう。ただ私がやってきたのは、いずれも売上高100億円、利益10億円の規模。総合商社のモノサシでは小規模なビジネスに過ぎません。

対してワークマンは深掘り型の会社でした。私のように目移りせずに40年も作業服一筋でやってきた。入社して驚いたのは現場のスタッフのレベルの高さです。緻密な運用マニュアルや作業指示書などを若い社員が作っている。一つのことを愚直に深掘りする文化はすごいなと思いました。でも、これだけの仕事しているわりに給料は安い。ですから、年収の100万円のベースアップを5年でやると宣言し、そのために方針を発表しました。

WWD:本の大きなテーマである「データ経営」ですね。

土屋:私が入社した2012年の時点では、店舗在庫の数量データすらありませんでした。逆にいえば、深掘りのワークマンがデータを活用すれば、ものすごいことができるという予感があった。私をワークマンに呼んだ叔父の土屋嘉雄氏(当時ワークマン会長、ワークマンの親会社ベイシアの創業者)からは、「しばらくは何もするな」と言われました。小さいことをするな、商社時代のように100億円くらいの新事業を作られても迷惑だという意味だったのでしょう。ですから私は2年間ほとんど口出ししませんでした。

そのかわり社員の話をじっくり聞きました。(各エリアの店舗を統括する)スーパーバイザー(SV)の営業車に同乗し、1日3店舗くらいを回ります。私の目的は店舗の視察ではなく、助手席でSVと将来の目標や目下の課題について話すことでした。外から来た人間がいきなり劇薬のような改革を行なって現場はついてきません。まずデータ活用の効能を腹落ちしてもらうことが大切です。エクセルの勉強会から始めました。

WWD:AI(人工知能)やDX(デジタルトランスフォーメーション)が脚光を浴びる中、なぜエクセルなのですか。

土屋:AIはもっと安くて実用的になるのを待っても遅くありません。大事なのは立派なデータ分析ソフトを導入することではなく、データを活用して社員一人一人が自分の頭で考えること。AIでは相関関係は分かっても因果関係が分かりません。現場で困っている社員がデータを基に実験して、「なぜそうなるか」を発見するしかない。

例えば、ある社員が売れ筋なのに仕入れされていない製品を浮かび上がるツールを作りました。SVはこの結果を店長にみせればいい。エクセルなら習得すれば誰でも作れるし、更新できる。エクセルでかなりのことが出来るんですよ。外から傑出したデータサイエンティストを呼ぶよりも、全員がデータを土台に議論をすることがはるかに理にかなっています。

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マツコ・デラックスが会長と対談? 伊藤忠のユニークな広報誌「星の商人」

 伊藤忠商事(以下、伊藤忠)は今年5月、70年の歴史を持つ月刊広報誌を季刊広報誌「星の商人」に刷新した。巻頭の対談企画に笑福亭鶴瓶やマツコ・デラックスが登場したり、海外駐在員がオススメフードを紹介したする全70ページで、広報誌の枠にとらわれないユニークな記事が並ぶ。

 同社はこれまで「伊藤忠マンスリー」という社内報を約70年発行してきた。グループ内で起こったニュースを社員に報告することを目的とし、「『いつこんなことが起きた』『今度こんなことをします』など小学校の壁新聞や学級新聞のようだった」と話すのは、「星の商人」発行責任者の小林文彦・代表取締役専務執行役員CAOだ。「メディアが発達し、社会のあり方がガラッと変わったのに、社内報は全く変わっていなかった。どうせ作るなら、しっかりと読者の心に刺さり、何度も読み返したくなるものを作りたい」と刷新の経緯を語る。

 創刊号では、落語家の笑福亭鶴瓶と岡藤正広伊藤忠商事会長がお好み焼き屋でざっくばらんに対談する巻頭企画を実施。続く2号目ではタレントのマツコ・デラックスを起用し、同社への印象ビジネスの醍醐味を聞いた。「業務報告で終わっては誰も手に取らないので、誰もが楽しめるコンテンツを作る」という強い姿勢が見て取れる。

 「星の商人」を手掛けるのは、「CBI(コーポレート ブランド イニシアティブ)」という新部署だ。今年1月に社内タスクフォースとして始まり、10月に実績が認められて正式な部署となった。メインメンバーは小林専務を含む3人。設立から間もないが、企業ブランドの拡大をミッションにさまざまな企画を走らせる。「普通に紙媒体を出しても面白くない。タイムリーな情報はオウンドメディアで掲載し、紙媒体にQRコードを差し込んだり、SNSへの出稿も積極的に行って若年層にもアプローチしたりしている。発行部数は3万だが、実質はもっと多くの読者がいる。『星の商人』を起点に、ワクワクする仕掛けを考えていきたい」。

 伊藤忠商事のようにBtoB事業を主軸にしている企業は、具体的な事業内容は知られていないことが多い。「われわれはここ数年で業績を大きく伸ばし、業界トップを争う商社に成長している。どんな仕事をしているか、どんな人が働いているかを明確に示すことは、社会的責任でもある」。

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中国の国民的スポーツブランド「リーニン」が抱く世界戦略

 中国発のスポーツアパレル、シューズブランド「リーニン(LI-NING)」は、9月に行われた2021年春夏パリ・ファッション・ウイーク(パリコレ)でデジタルショーを開催した。「リーニン」は中国で“体操王子”と親しまれてきた国民的体操選手、李寧(リー・ニン)が1990年に創業し、これまでに多くのアスリートの活躍を支えてきた。すでに中国では、1、2を争うスポーツブランドとして地位を確立している。18年には海外市場を視野に入れ、コレクションラインをスタート。同年、ニューヨーク・ファッション・ウイークに初参加した。コロナ禍でのパリコレは、中国の気鋭メディアアーティスト、ルー・ヤン(Lu Yang)とモーションキャプチャーを用いたムービーを制作。ショー前日には渋谷スクランブル交差点の大型ビジョンをジャックして、ティザームービーをゲリラ放映した。「リーニン」の潜浅ブランドディレクターにパリコレを振り返ってもらい、今後の展望について聞く。

WWD:ルー・ヤンとの協業の経緯は?

潜浅ブランドディレクター(以下、潜):2021年春夏シーズンは、スポーツとアートを包括的に考える“The Art of Movement”をテーマにした。私たちはアートをライフスタイルとスポーツを繋ぐ重要な要素として捉えており、このテーマにはアーティストとコラボレーションし、「アーティストの視点で作るスポーツ」という意味を込めている。ルー・ヤンは中国を代表するメディアアーティストの一人だし、人体の動きや身振り、所作について研究するとともに、これまでも中国カルチャーをテーマにした作品を制作してきた。それがコラボレーションをする上での決定的なポイントになった。

WWD:ブランドとアートの取り組みについて、詳しく教えてほしい。

潜:「リーニン」は中国発のプロスポーツブランドとして、中国文化の伝承を社会的な責任と考えている。近年はさまざまなアーティストやデザイナー、人気ファッションブランドとのコラボレーションを通して、若い世代とのコミュニケーションを重ねてきた。19年からはパリの美術館「ポンピドゥー・センター」と3年間の戦略的パートナーシップを結び、アート交流プロジェクトを立ち上げた。今やアートは、プロスポーツブランドにとっても欠かすことができないアイデアソースの一つだ。私たちは芸術作品を作るのと同じような気持ちでプロダクト生産に挑んでいる。

WWD:渋谷のスクランブル交差点でビデオを公開した理由は?

潜:日本はアジアにおける重要な市場の一つ。日本の消費者によりよい場所で、中国発のスポーツブランドへの理解が深まることを期待して、ファッションとカルチャーの発信地である渋谷を選んだ。

WWD:現在の中国国内のビジネスの状況は?

潜:「リーニン」は中国を代表するスポーツブランドとして、すでに多くの中国の消費者に認知されている。とりわけ、ミレニアル世代がわれわれのメインの消費者というのが強みで、このような状況は今後も中国国内市場において続くだろう。世界規模でさまざまなアーティストやデザイナー、ファッションブランドとのコラボレーションを行い、時代に合ったマーケティングモデルに転換していくことが、今後の成長のカギを握ると考えている。

WWD:海外のビジネスの状況は?

潜:18年に初めて参加した「ニューヨーク・ファッション・ウイーク」以降、インターナショナルなファッションショーや展覧会への参加、ハイファッションブランドとのコラボレーションを通して、「リーニン」の影響力は急激に高まったと実感している。19年秋冬コレクション以降は、日本やヨーロッパなどの有名ブティックやセレクトショップとのコラボレーションを行ってきた。その中には、「キス(KITH)」や「エッセンス(SSENSE)」「エンド(END)」「セルフリッジズ(SELFRIDGES)」といった世界的な知名度を誇る小売店もある。

WWD:日本市場をどう見ている?

潜:日本はファッションやトレンド、デザインの中心であり、そのマーケットは積極的で活発だ。長い間、潜在的なニーズのある日本市場への参入を望んでいた。中でもファションの動向や流行に関心の高い若い世代の消費者に、われわれのブランドをアピールしたい。これまでも「アトモスコン(ATOMOS CON)」(アトモスが主催するスニーカーコンベンション)への参加や日本のカルチャーシーンをけん引するブランド、デザイナー、小売店とコラボレーションしてきた。近い将来、このようなコラボレーションの機会はさらに増えるだろう。日本市場においても今後ますます期待してほしい。

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編集長は先月何した?TikTokスターと知り合い、バレンシアガの新店をくまなく歩き、小泉大臣に単独取材

 お久しぶりです。「って言われてもあなた誰?」という反応をもらっても仕方ないくらい本連載の更新をサボっておりました私、「WWDジャパン」編集長の向と申します。年内駆け込みで最近の仕事を振り返らせていただきます。今年は新型コロナ下で簡単には会えないからこそひとつひとつが記憶に残る取材となりました。家族や友人との時間も同じですよね。皆さま、どうぞ穏やかな年末年始をお迎えください。

10月16日(金)

「ファセッタズム」でTikTokスターたちをスナップ

 時を10月まで戻します。5年ぶりのファッションショーを東京で披露した「ファセッタズム(FACETASM)」へ向かうと会場である夜の寺田倉庫周辺で早速“イケてる”ザワツキを嗅ぎ取りました。ちょっと粋がった人(誉め言葉です)が集る場所には独特な空気があり私は好きです。路上で山本さん(詳細は割愛しますが頑張っている業界人のひとり)とすれ違うと「お!久しぶり!」に続く2言目で「彼、よろしくね」とモデルの大平修造さんを紹介してくれました。文句なしにカッコいいし「ファセッタズム」が似合っている!早速スナップさせてもらいました。ティックトック(TikTok)スターとは聞いていましたがそのフォロワー数はなんと290万(12月26日時点)!凄っ!大阪市の人口約270万より多いですよ。会場の中では話題のよしミチ姉弟もスナップ。弟のよしあきさんが着ているのは「ファセッタズム」のウィメンズのブラウスです。お似合い。

10月19日(月)

「ギャルソン」ファミリーのショー、動画3連発

 この日は東京・南青山のコム デ ギャルソン本社で「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」(動画上)、「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARCONS)」(動画中)、「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」(動画下)の3ブランドのショーとインスタレーションが一気に発表になりました。孤高であり同時に人間味溢れるギャルソンファミリーの生き様を見るようなショーを動画で撮りました。3連チャンでお楽しみください。

10月27日(火)

ファッション ワールドで篠原ともえさんとサステナビリティ対談

 東京ビッグサイトで開かれた「ファッション ワールド」でセミナーを2本担当しました。そのひとつが篠原ともえさんとの対談でテーマは「サステナビリティが広げるクリエイションの可能性」。1年前にこの内容で書いた私のコラムを読んだ篠原さんから声をかけてもらいました。篠原さんは衣装デザイナーとしても活躍しており、嵐の衣装も手掛けたそう。遠景写真で恐縮ですが、見てもらいたいのは篠原さんが着ているドレス。彼女自身がデザインした余剰生地を使った廃棄ゼロパターンの服です。美しい服でした。タレントの衣装は多くの人が目にしますからそこにサステナビリティの考え方を反映するのは影響力大でよいですね。

11月5日(木)

バレンシアガ表参道店 たとえるなら超おしゃれな“倉庫” 

 「バレンシアガ(BALENCIAGA)」青山店のリニューアルオープンの内覧会へ。何を隠そう私、間違えて1週間前に一度訪れておりその時はしっかりとした仮囲いで入口が見つからず(当たり前)、「さすが『バレンシアガ』、攻めるな」と思いましたが、単なる私のミスでした。それはさておき内覧と言っても感染対策から同時間に滞在するのは数人だけ。人気がない巨大な店舗でその魅力をズシリと体感しました。短く表現するなら「めちゃくちゃおしゃれな倉庫」です。

 デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)は大衆の日常を独自の視点で切り取りモードへ昇華するアーティスティック・ディレクターですが、そのセンスが店のサイズ、床、鏡、壁、階段、カーテン、照明、什器、椅子、服や靴の並べ方など店舗を構成するあらゆる点に反映されています。中でも面白いのは店外のアスファルトと店中の床がテレコの印象を受ける床のデザインです。言葉で説明しても混乱するだけなのでぜひ実物を見てほしい。デザインって面白いな、と思えるはず。

11月11日(水)

小泉進次郎大臣取材で環境省へ

 サステナビリティの取材で環境省へ。小泉進次郎環境大臣に単独インタビューをしました。インタビュー後に部屋の一画を即席のスタジオに。フォトグラファーの小田駿一さんが2分という超短時間で素晴らしいポートレートを撮影してくれました。私はポートレート撮影中はカメラマンと被写体のランデブーだと思っており、話しかけたり変に盛り上げたりせず2人の世界に入ってもらいます。信念がある人は目に力があり、信念があるフォトグラファーはそれを撮るのです。

11月18日(水)

今年唯一の紙焼き写真「毎日ファッション大賞」授賞式

 「毎日ファッション大賞」の審査員を務めており、この日は授賞式。いつもなら関係者が大勢集まり受賞者を称えますが、今年はもちろんパーティーなどはナシ。ミニマムかつアクリルボード越しの授賞式です。とはいえ、38年続く栄えある賞のトロフィーや賞状が授与される瞬間は重みがあります。後日、毎日新聞社から紙焼きの写真が届きました。この一年間で紙焼きで受け取った写真はこれ一枚。嬉しいです。大賞の「ビューティフルピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」のブラウスとスカートを着て行ってよかった。

11月19日(木)

オンライン授業のときセンセイは孤独なのです

 服飾専門学校の授業をいくつか担当しており、それも今年は基本オンライン。これがなかなかキツイ!セミナーや授業は一方的に話しているようで実はそうではなかったことを痛感します。顔さえ見えていれば無言の反応はともすれば言葉以上に雄弁です。話し手はそれを受け取り、言葉を重ねたり変えたり繰り返したりして伝わるよう努力をします。その反応が見えないものだからキツイのです。1時間半全力で話した後は脱力です。だからこの日、名古屋・知立の中部ファッション専門学校が学生さんの姿を含む様子をSNSでタグ付け投稿してくれたことがとても嬉しかった!「私、こんなにデッカク映っていたんだ」と驚き照れますが(笑)現場の空気が一気に届いてホッとしました。

11月24日(火)

銀座シックスで打ち合わせ

 打ち合わせをギンザ シックス(GINZA SIX)の「コヴァ(COVA)」で。これ、アイスコーヒーです。ということをお伝えしたいだけの一カットです。イタリアがとても恋しいです。

11月30日(月)

「シャネル」のファッション部門トップへオンライン取材

 この日はパリにいるシャネルのブルーノ・パブロフスキー(Bruno Pavlovsky)=ファッション部門プレジデント兼シャネルSASプレジデントにインタビューでした。で、改めて思ったのです。新型コロナにより世界が分断されて寂しいけれど、これを機に進んだことはたくさんあると。前回同氏にインタビューをしたのは約2年前、場所はパリの「シャネル」のオートクチュールのショー会場のバックステージでした。もちろんブランドの真髄であるオートクチュールの会場で取材できる価値は非常に大きいです。ただ、それを実現するにはパリまで飛行機で飛び、ホテルから会場向かい、ショーの直前という慌ただしい中で時間をもらう必要があります。それが!今やオンラインで互いにリラックスした環境の中で実現するのです。パンデミックにより分断されたけれど、ある意味人と人の距離は近くなったと思います。難点はこういった日記につける写真がない、ということですね(笑)。

12月1日(火)
11月発行号を振り返る
&在宅勤務のお供

 「WWDジャパン」は毎週月曜日発行の週刊紙です。11月に発行した5冊の特集をご紹介します。特集以外にも読み応えあるニュースや連載を掲載しています。電子版含み、今からでももちろん購入できます。気になる号があればぜひお手にとってください。

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キャサリン妃のファッションに注目 ロイヤル・トレインで巡る“サンキュー”ツアー

 イギリスのウィリアム王子(Prince William, Duke and Duchess of Cambridge)とケンブリッジ公爵夫人ケイト・ミドルトン(Duchess of Cambridge, Kate Middleton以下、キャサリン妃)は、パンデミックの渦中に最前線で働くエッセンシャルワーカーや地域の人びとを労うために、王室専用列車でスコットランド、ウェールズ、イングランドを巡る3日間の公務の旅に出かけた。

 ウィリアム王子とキャサリン妃は12月6日にロンドンのユーストン駅を出発し、翌7日にはスコットランドの救急サービスを視察するためにエディンバラを訪問、その後イングランドのベリック・アポン・ツイードのホーリー トリニティー チャーチ オブ イングランド ファースト スクール(Holy Trinity Church of England First School)を訪れて、生徒や教師たちとの会話を楽しんだ。

 3日目にはウェールズのカーディフとイングランドのバースやレディングを訪問し、カーディフ大学(Cardiff University)の学生たちとメンタルヘルスについて意見を交わしたり、高齢者施設の訪問やロイヤル バークシャー病院(Royal Berkshire Hospital)の医師、看護師たちに感謝の意を表した。その後最終目的地のウィンザーでエリザベス女王(Queen Elizabeth II)と合流し、ソーシャル・ディスタンスを保った上で地域のボランティアやエッセンシャルワーカーたちにも感謝が伝えられた。

 ファッションセンスに定評のあるキャサリン妃のツアー初日の装いは、2020年1月にも着用した「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」のグリーンのミリタリー調のコートだった。2日目には、18年にノルウェーを訪問した際に初めて着用した英国人デザイナーのキャサリン・ウォーカー(Catherine Walker)によるオーダーメードのブルーのコートを着用するなど、過去に披露したことのあるお気に入りのアイテムを取り入れたキャサリン妃らしいスタイルを見せた。そして最終日には、「アレキサンダー・マックイーン」の赤いコートにタータンチェックのマフラーを合わせたコーディネートで注目を集めた。

 しかし英国におけるロックダウン措置が緩和されたとはいえ、新型コロナウイルスの流行が未だ続く中でのロイヤル・トレイン・ツアーには疑問の声も上げられていた。

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ももクロ百田夏菜子が降臨!「バーチャルマーケット」のビームス店内でサプライズ接客

 100万人が訪れる世界最大級のバーチャルリアリティ(VR)上のイベント「バーチャルマーケット5(Vケット5)」が12月19日に幕を開け、ビームス店舗にももいろクローバーZのリーダー、百田夏菜子が登場した。ビームスは原宿店をモデルにしたVRショップを出店しており、スタッフがアバターを通してリアルさながらに接客する。百田が登場するのはスタッフに変わってVR接客をするため。初日の午後に、百田をイメージしたアバターが突然店舗に降臨した。とはいえ、いくつものパラレルワールドが存在する「Vケット」で、百田のサプライズ接客を受けるには運も必要。それでも“たまたま”出会えたファンは少しの時間、貴重な接客を楽しんだ。サプライズ接客を終えた百田に、体験して感じたVRの可能性を聞く。
 
 「Vケット5」は2021年1月10日まで。ビームスとももクロはコラボTシャツ(4500円)とロンT(6000円)を販売している。開催中にはももクロメンバーによるVR接客がお忍びで行われる予定だ。

WWD:「バーチャルマーケット」を体験した感想は?

百田夏菜子(以下、百田):こんな世界があるんだなぁって。ライブ映像をVRで撮影したこともあるんですが、こんな風に自分が別世界に入ってVR上で見ず知らずの人と会話をしたり、そういうのは初めての体験だったのでいろんな可能性を感じました。私たちのお仕事もVRでもっと幅が広がるんだろうなって思います。

WWD:この先、VRが「もっとこうなればいいな」と思ったことがあれば教えてください。

百田:今はパソコンですけど、これがスマホでもっともっと気軽に、電話ぐらいの感覚でアクセスしやすくなればいいなと思います。私が身に着けたゴーグルもだいぶ身軽ですけど、例えばそれがサングラスぐらいのサイズになったりとか。今はまだよく知らなかったり分からないことが多くてハードルが高いイメージがあるので、そのハードルが低くなったり、たくさんの人に知られるようになって、誰でもアクセスできるようになったらもっといろんなことができるんじゃないかな。

WWD:コロナ禍でVR空間での音楽ライブも話題になりましたね。

百田:そうですね。もっとそれが当たり前の世界になって、私じゃなくてもできるとしたら、もしかしたら自分たちのライブをアバターに任せて、自分たちでそのライブを見ることができるかも知れない。でもそれが自分の動きと連動していて、結局自分が踊ることになるなら自分で出る方がいいのかなとか(笑)。いろんな可能性を秘めているだろうし、面白そうだなと思います。

WWD:アバターにはどんな服を着せたいですか?

百田:そうだなぁ……、こんなファッションっていうのではないですけど、ライブだと早着替えがあって時間もかかるじゃないですか。それがもっと効率よく自分の衣装に着替えられるとしたら、“パッ”てやれば“パッ”て早着替えができるみたいな。セーラームーンみたいに憧れの早着替えができるかも知れませんよね。

WWD:VRイベントにまた参加してみたいですか?

百田:めちゃめちゃ参加してみたいですね。今は海外になかなか行けないですけど、実際の道をたどれる便利なマップがあるように、VRで海外旅行をしている気分になれるとか……。きっともうありますよね?海外に飛んで行きたいお店に入って、そこでショッピングとかもしてみたいです。実際に目で見て、手に取るような感覚で洋服を見つけることができたら、もっと海外での買い物も身近に感じられたりするのかな。私、海外旅行が大好きでよく一人で行くんですけど、その国の「ココに行きたい」ってお店があるんです。そこにVRで行けるようになったらもっと世界が広がりそうですよね。

WWD:近い将来、そんなことができるようになるかも知れませんね。

百田:そうですね。どれぐらいリアルかにもよると思うんですけど、私たちのライブ会場にも海外の人達が気軽に来られるようになるし。今はやっぱり配信に力を入れているんですが、皆さんが実際に会場に来られなくても会場にいるような気分になれる、本当にそういう可能性を秘めているものだと思ったので、将来が楽しみです。

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銀座の穴場「ザ・ゲート ホテル東京」宿泊リポート 高級ベッドで熟睡、こだわりの朝食に舌鼓

 不動産企業のヒューリックが手がけるホテルブランド「ザ・ゲート ホテル東京 バイ ヒューリック(THE GATE HOTEL TOKYO BY HULIC以下、ゲートホテル東京)」は、東京・銀座数寄屋橋交差点の複合施設ヒューリック スクエア東京内にある。同ホテルは12年に開業した「ザ・ゲート ホテル雷門 バイ ヒューリック」に続き18年12月にオープン。東京メトロ銀座駅や日比谷駅、JR有楽町駅から徒歩3分以内と駅近で、銀座のダイナミズムを感じながら、こだわりの空間と食が楽しめるようになっている。複合ビルに入っているため、外からは一見ホテルとは分からないが、4階ロビーに行くとゆったりとしたラウンジ、そして広々としたテラスが広がっている。銀座のど真ん中にありながら知る人ぞ知る存在の「ゲートホテル東京」の宿泊リポートをお届けする。

 自然光が降り注ぐ4階のロビーラウンジは天井が高く開放感たっぷりで、“バルセロナ チェア”や“LC-1”などの名作モダン家具が置かれている。広いオープンエアーのテラス席もあり数寄屋橋交差点を一望でき流。寒いにもかかわらず、テラスでミーティングをするビジネスマンの姿が見られた。ロビーの入り口にはドリンクをサービスするカウンターがあり、宿泊客でなくてもドリンクを楽しめるようになっている。ラウンジの右手にチェックインカウンターがあり、その奥にはオールデーダイニングの「アンカー東京(ANCHOR TOKYO以下、アンカー)」がある。「アンカー」の手前には宿泊客やレストランの利用客がくつろげるソファが置かれたスペースを設けるなど、細やかな気配りが感じられる。「ゲートホテル東京」のコンセプトは、“大人のためのホテル”。ホテルの楽しみ方を知る大人に楽しんでもらうのが目的だ。また、テラスを設けることにより、都心にいながら、自然の外気と街の喧騒を同時に楽しめるようになっている。

ジャグジーのあるテラス付きスイートや天蓋付きの客室も

 「ゲートホテル東京」は、施設内4〜13階で164室。“秘すれば花”をテーマに、銀座の“粋”や“華やかさ”を表現した6タイプの客室がある。約73平方メートルのスイート“ザ・ゲート”の目玉はテラスに置かれたジャグジー。汐留のビル郡を見ながらジャグジーでリラックスできるようになっている。また、都市型ホテルには珍しい天蓋付きベッドが置かれた“キャノピー”は天井高が高い客室ゆえの演出だ。一番の人気は、数寄屋橋交差点に面したコーナルームの“リュクス”で時間と共に変化する銀座の街並みを楽しめるようになっている。また、ビジネスユース用に「ヴィトラ(VITRA)」の昇降デスクを設置した“モデスト”などもあり、幅広い層にアピールするようになっている。正規価格は、“モデスト”が消費税、サービス料込みで3万2670円(1人使用)。その他は、消費税、サービス料込み、2人使用で5万5660〜9万750円、スイートは24万24万5630円だ。

 13階がプレミアムフロアで、客室およびテラス付きラウンジや日比谷公園を見渡せるフィットネスラウンジがある。また、宿泊客以外でも利用できる「鉄板焼やすま」では、厳選した和牛や魚介類をカウンターまたは、個室というプライベートな空間で味わうことができる。宿泊せずとも通う常連客がいるというから、味はお墨付きだ。

味わってみて分かる“こだわり”が散りばめられた「アンカー」

 オールデーダイニングの「アンカー」は、カウンター、テラス、テーブルとシーン別に楽しめるレストランだ。ここも天井が高く開放的で、シャンパンをイメージしたアートが華やかな雰囲気を醸し出している。私は、スタッフのおすすめの“シャルキュトリー ソムリエのおつまみ(以下、ソムリエのおつまみ)”や “市場直送本日の鮮魚”に定番の“ホタテのポワレ ブルギニョン風”を特別添えたものなどをいただいた。ボリュームたっぷりのハムやリエットの盛り合わせ“ソムリエのおつまみ”はボリューム感たっぷりでお酒がすすむこと間違いなしだ。パンは毎日、京都の老舗パン屋進々堂から取り寄せ。「一度は食べてみたい」と言われるモチモチのパンを東京で食べられるのはパン好きにはたまらない。メーンの魚とホタテも優しいクリームソースが上品な味わい。“サラダやスープなどもあり、“ゲートホテル カレー”や“和牛肉お茶漬け風”といったユニークなオリジナルメニューにも注目だ。

シンプルでエレガントな客室は文句なし、高級マットレスで朝まで熟睡

 私が宿泊したのは13階の“クラッシー”ツイン。ドアを開けると左手にクローゼットがあり、ベッドの奥の窓際のソファで銀座の風景を見ながらくつろげるようになっている。一見シンプルだが無駄がなくエレガント。洗面所には2つのシンクがあり、オリジナルのフード付きバスローブやアメニティーが置いてある。バスルームには、オケと椅子があり、日本風のお風呂、ユニットバス、いずれの使用もOK。「ネスプレッソ(NESPRESSO)」のコーヒーマシンはもちろんのこと、ミラーリング機能のついたテレビや「エムズシステム(M’S SYSTEM)」のオリジナルスピーカーなど備品にもこだわっている。だが、何と言ってもすばらしかったのは「シモンズ(SIMMONS)」のマットレスだ。その心地よさといったら、枕が変わると眠れないことが多い私でも朝まで熟睡。ホテル1階の同ブランドのショップを覗こうかと思うくらい心地良い眠りだった。

エッグベネディクトに「エシレ」バター、マーマレードはホームメード

 「アンカー」の朝食はセットでメーンをエッグベネディクトかフレンチトーストから選ぶようになっている。朝9時ごろに「アンカー」に行くと、ほぼ、満席。家族連れやカップル、ビジネスマンなどさまざまだ。メニューはサラダ、フルーツとヨーグルト、スープ、メーンと盛りだくさん。もちろん、これにコーヒーか紅茶が付く。朝食というよりは、ブランチというのが相応しい内容だ。パンは先述した京都の「進々堂」、バターは「エシレ(ECHIRE)」、マーマレードは自家製、オレンジジュースはしぼりたてと朝食もこだわりがたっぷり。これだけの皿数の朝食を提供するには、調理場もサービスする側も大変だ。どちらも、若いスタッフがキビキビと働いていたのが印象に残った。私も、あのようなエッグベネディクトを作れるように練習しようと決意して、自然光あふれるロビーを後にした。

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北海道民が作り北海道民が選ぶ、対真冬アウター「モシール」とは?

 こんなご時世なので冬のヨーロッパ展示会に行くこともなく、それどころか山梨の実家に帰省することもやめた。つまり東京より寒い土地に行く機会がなくなった。とはいえ(だからこそ?)“その時が来たら”と考えるようになった。当然、防寒着が必要だ。僕もギョーカイ人の端くれなので、そこにファッション性も欲しい。ならばと北国・北海道旭川市のセレクトショップ「ティル」の大谷俊介オーナーと、同じく帯広市のセレクトショップ「ダニー」の河合裕介オーナーに尋ねてみた。2人が異口同音に勧めたのは、帯広市出身の山﨑佳克デザイナーが作る「モシール(MOSSIR)」。そこで山﨑デザイナーにも声を掛け、東京と北海道をビデオ会議システムでつないで話を聞いた。

 ちなみにティルは、山﨑デザイナーが手掛けるレザージャケット専業ブランド「ファインクリークレザーズ(FINE CREEK LEATHERS)」やシルバーアクセサリーブランド「ウイングロック(WING ROCK)」、アメカジブランド「ジェラード(JELADO)」などを品ぞろえし、一方のダニーは帯広のセレクトショップ「カリフォルニアハーベスト」でキャリアを積んだ河合オーナーが独立して12月にECを先行オープン。1月中旬に実店舗を開店する。こちらはレザーウエアブランド「ファウンテンヘッドレザー(FOUNTAINHEAD LEATHER)」やインナーウエアブランド「ハイウェイナイン(HIGHWAY NINE)」をラインアップする。

WWD:「モシール」の優れた点とは?

大谷俊介ティル オーナー(以下、大谷):道民である山﨑さんが作っていることでしょうか。それゆえ道民も信頼ができ、実際セールストークにも生かせています。

河合裕介ダニー オーナー(以下、河合):このあたり、都内の方には想像が難しいかもしれないんですが、北国の家って入り口を二重にするなど気密性が高くて、また室温を高めに設定する傾向があって、外は大雪なのに部屋の中ではTシャツ・短パンでアイスクリームを食べているなんて光景があるあるなんです(笑)。

大谷:車文化でもあり家から車まで、また車から商業施設までのちょっとした間だけ防寒できればよくて、そういう北海道のリアルを知っている山﨑さんが作る服には説得力があります。

WWD:中でも2人のおすすめは?

大谷&河合:2020-21年秋冬シーズンの新作“イーサン(ETHAN)”です。

大谷:これも文化というか気質なんでしょうが道民ってインナーを重ね着しないので、1枚でしっかり暖かくて雨や雪を防いでくれ、かつ軽いアウターが重宝がられるんです。

河合:個人的に“イーサン”最大の魅力は、シルエットの美しさだと思っています。前職時代、「ホグロフス(HAGLOFS)」「マーモット(MARMOT)」「マウンテンイクィップメント(MOUNTAIN EQUIPMENT)」など、さまざまなアウトドアブランドのダウンウエアを販売し、自分でも着てきたんですが、野暮ったさがどうしてもぬぐえないんです……。その点“イーサン”はパターンが都会的で、高機能素材を使ったアウターとは思えないフォームに仕上がっています。それでいて「パタゴニア(PATAGONIA)」の“ダスパーカ”より暖かい。

大谷:ミドル丈でコーディネートしやすい点もポイントかと。さらに裾をドローコードで絞れて、保温性を高めることもできるんです。

WWD:文字通り“大絶賛”だが、山﨑デザイナーからあらためて「モシール」の自己紹介をお願いしたい。

山﨑佳克「モシール」デザイナー(以下、山﨑):デビューは19-20年秋冬シーズンで、“ハイテク素材を用いながら、ビンテージのディテールを取り入れること”にこだわっています。

WWD:2人からは“イーサン”を推す声が挙がったが、この新作についても教えてほしい。

山﨑:モチーフにしているのは米軍の寒冷地用アウター“エクワックス(ECWCS)”で、表地にリップストップナイロン、裏地に“パーテックス・クァンタム”と、いずれも軽量で強度のある素材を使っています。特に“パーテックス・クァンタム”は肌ざわり、腕の通りがよく、つまりストレスフリーで着られます。

WWD:河合オーナーからはパターンの巧さについても言及があった。

山﨑:ラグランスリーブなのでそもそもアクション性は高いんですが、腕の付け方を少し前振りにしていて腕を動かしやすくしています。また見た目より腕を細くしているので、それで都会的に見えているのかと。

WWD:暖かさの秘密については?

山﨑:80~130gで多い=温かいと言われる化繊綿(わた)“プリマロフト”を200g使用しています。それも上位素材の“プリマロフト・シルバー”を。また三層構造の中央に防水・透湿素材の“イーベント”を用いることで雨や雪、風を防ぎながら、一方で汗の蒸気を素早く外に逃がすようにしています。

大谷:これだけ機能、機能のオンパレードなのに、極めてシンプルなデザインだから、あくまでタウンユースできてしまうのも魅力。

河合:それに1着でハイスペックな防水・透湿性と保温性を併せ持つアウターって意外とないんですよ。

大谷:確かにハイテク素材のアウターって、蒸れてしまうのが難点。“イーサン”は、それも回避している。先日、ロンTの上に“イーサン”だけ着てマイナス10度の銀世界で2時間佇んでみたんです。

河合&山﨑:すごい実験(笑)!

大谷:全然過ごせてしまって、われながらビックリしました。旭川は真冬にはマイナス20度にもなるんですが、たぶんへっちゃらですね。せっかくの機会だから山﨑さんに聞きたいんですが、裾のドローコードの調整用スピンドルをサイドポケット内に収めているのって、雪が付いて凍ったり、手がかじかんで操作できないようにならないための仕様なんですか?

山﨑:はい、その通りです。

大谷&河合:さすがは道民!

 考えてみればデザイナーとバイヤーに一度に話を聞く機会は珍しく、前述の通り今冬は東京より寒い土地に行く予定はないのだが、それでも次第に“イーサン”が欲しくなってしまった……(笑)。

三層構造の中央に用いた防水・透湿素材の“イーベント”は耐水圧30000mm で、「3mの高さから1リットルの水を流しても一切浸透しません」(大谷オーナー)

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人気家電のバルミューダ創業者が語る 「上場は株主をワクワクさせるバスの運転」

 人気家電メーカーのバルミューダ(BALMUDA)が12月16日、東京証券取引所マザーズで上場した。同社は2003年に寺尾玄バルミューダ社長が一人で創業。LEDデスクライトや扇風機などの空調家電を製造販売後15年にキッチン家電分野に参入。今だにベストセラーであるスチームトースターをはじめ、電気ケトル、炊飯器、オーブンレンジなどを開発してきた。20年にはホバー式クリーナーを発売。日本の家電にはないデザイン性の高さと、実験に実験を重ねて開発した独自の機能が評価されて売り上げを伸ばしてきた。今では、社員は100人以上、20年12月期決算の売上高は123 億円を見込んでいる。開発や補償などハードルが高い家電業界で独自の路線を歩んできた同社を率いる寺尾社長に上場への思いを聞いた。

WWD:上場を視野に入れたのはいつ頃か?
寺尾玄バルミューダ社長(以下、寺尾):約5年前から。私一人で事業を立ち上げて小規模ながらも年商30億円まではスムーズに成長できた。在庫の問題など管理能力をつける必要があったし、他の上場企業と同じレベルの商品の品質向上が目的で上場した。資金調達の手段が多くあるため、われわれにとって大きなチャレンジだが、目指すべきスケールとのギャップを埋める方法だと考えている。
WWD:株式公開価格は当初の予想を大幅に上回ったが?また、上場セレモニーを行わなかった理由は?
寺尾:公開価格はコントロールするつもりだったが、ありがたい結果になった。上場セレモニーは、東証への敬意と従業員への感謝を込めて身内だけで一つの節目として厳かに行った。なぜなら、私は、上場=めでたいと思っていないから。株主から出資してもらい、彼らの資金を運用していかなければならない。上場すると経営の自由度が下がるという考え方もあるが、私は、むしろ、経営の難易度が上がると考えている。
WWD:調達した資金をどのように使うか?
寺尾:商品開発と人材確保などの組織増強に投資するのはもちろんだが、「バルミューダ」というブランドの価値観を伝えるための広告宣伝を積極的に行うつもりだ。それを通してブランドバリューのアップを図りたい。
WWD:上場における大きなチャレンジは何か?
寺尾:全てがチャレンジといってもいい。われわれの商品は開発から量産完了まで長い時間がかかる。また、一度発売したら6〜10年と販売期間が長い。だから他社以上に長期の品質管理や補償システムが必要になってくる。また、われわれが持つ独自の価値観をどのように消費者に伝えるのかというのが、大きなチャレンジだ。
WWD:バルミューダの一番の強みは何か?
寺尾:キレのある企業であること。われわれが信じる自由な発想やアイデアを形にできる。創業社長がいるので、経営判断のスピード感があり、責任を持ちつつ大きな変化を選べる点だ。
WWD:新型コロナウイルスのビジネスへの影響は?
寺尾:良い面、悪い面、両方ある。巣ごもり需要で、われわれの商品への関心度が高まったのは良かった。しかし、渡航禁止などで生産工場へ行くことができず、トースターのリニューアルやクリーナーの発売が遅れた。そういう意味でも年間販売数は減っている。
WWD:上場後の抱負は?
寺尾:今までは仲間と一緒に改造車を運転してきたが、これからは、株主というお客を載せたバスを運転するというイメージだ。だから、緊張感を持ちながら株主をワクワクさせながらバスを運転してすばらしい到着点へ向かいたい。

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【動画】「メゾン マルジェラ」定番バッグをイタリアの前菜料理で再現 「京大卒モデル一ノ瀬のモード飯~Cuisine à la mode~」Vol.2

 「京大卒モデル一ノ瀬のモード飯~Cuisine à la mode~」は、モデル兼俳優の一ノ瀬遼による料理番組です。「オシャレな料理を作りたい!!」「たまにはお家でご飯を食べたい!!」という、多忙な業界人でも簡単に作れる料理を学びます。また京都大学薬学部出身の知識を生かした、料理にまつわるさまざまなウンチクや雑学もプラス。一ノ瀬についてもっと詳しく知りたい人は、下記の関連記事をチェック!!

 今回は、「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」の定番の“5AC”バケットバッグを模したイタリアの前菜料理であるファゴッティーノを学んでいきます。ファゴッティーノは粉物の皮で具材を包み焼きにしたもの。食べるまで中身が見えないので、これからのパーティーシーズンのサプライズに作ってみてはいかがでしょう?同料理の具材は鱈、キノコ、じゃがいもを使用し、ソースにはキノコの旨味が凝縮したデュクセルソースを用いました。仕上げに「メゾン マルジェラ」のアイコニックな“四つタグ”を炙った金串で再現し完成です。

【レシピ】
・春巻きの皮(生)
・白味魚等の切り身(今回は鱈)
・キノコ(しめじ、舞茸、エリンギ)
・じゃがいも 1個
・イタリアンパセリ 適量
・ニンニク 一片
・塩、胡椒 適量
・ハーブ(お好みで)
・オリーブオイル 適量

(デュクセルソース)
・マッシュルーム 1パック
・玉ねぎ 1/8個
・バター 約10g
・白ワイン 15ml
・生クリーム 30〜40g

【衣装協力】
「タクタク」ロングシャツ(3万5000円)
「アンバー」パンツ(4万3000円)
(ともにスタジオ・ファブワーク)
「サバイ」タートルネックトップス(1万3000円)
(HEMT PR)
「ルノア」メガネ(3万7000円)
(グローブスペックス エージェント)
「ボイリーストア」エプロン(8500円)
(「ボイリーストア」)

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新型コロナ感染予防対策にドイツでシェアNo.1の除菌・消毒品ブランド「サグロタン」が活躍 海外ビューティ通信ベルリン編

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」ではパリやニューヨーク、ソウル、ベルリンの4都市に住む美容通に最新ビューティ事業をリポートしてもらう。(本文中の円換算レート:1ユーロ=126円)

 新型コロナウイルスの感染拡大により11月2日から来年の1月10日(暫定)まで2度目のロックダウンとなったドイツ。12月16日からはヘアサロンやショップ、学校なども閉鎖となり、1回目のロックダウンとなった3月同様、厳しい規制が設けられている。そんなドイツで、マスク着用と併せて日常的な習慣となったのが手洗いとうがい、手の消毒など感染予防のための対策である。

 ドイツ語ではまとめ買いすることを“ハムスター買い”を意味する「ハムスターカウフ(Hamsterkauf)」というが、3月のロックダウン時にはトイレットペーパーに続き、ハンドソープや除菌ジェルが多くの店舗で完売状態となった。中でも除菌・消毒製品に特化した老舗メーカーの「サグロタン(SAGROTAN)」の薬用ハンドソープが圧倒的な人気で、第2波が収まった現在も品薄状態の店舗が多くある。

 「サグロタン」は、1912年にハンブルクで設立。現在はドイツ南西部のハイデルバルクに拠点を置くレキットベンキーザー・ハイジーン・ホーム・ドイチュラント(RB Hygiene Home Deutschland GmbH)が製造・販売を行なっている。同ブランドは100年以上の長い歴史を誇るだけでなく、米市場調査会社ニールセン(Nielsen Holdings PLC)によると、2006年以降、ドイツの除菌・消毒製品市場でシェア1位を獲得している。

 「サグロタン」の薬用ハンドソープは、ポンプを押すとそのまま泡が出るタイプと液体ジェルタイプの2種類があり、ドイツの2大ドラッグストア「ディーエム(dm)」と「ロスマン(Rossmann)」で簡単に手に入れることができる。筆者のおすすめであり人気商品が泡タイプで、日本製品によく見られる弾力性のある泡ではなく、水気を多く含んだ緩やかな泡が特徴だ。

 泡タイプは液体ジェルタイプよりも化学成分が45%少なく、肌に優しい上に抗菌性があるサリチル酸が配合でバクテリア除去率は99.9%と高い。香りはバニラ&オーキット、シトラス&オレンジブロッサム、チェリーブロッサム&ローズの3種類があり、洗った後にいい香りが持続する。しっとりした肌になるのも人気の理由だ。ポンプを回してロックすれば、外出先にも持ち運ぶことが可能だ。

 優れた特性を持ちながら、ドラッグストア「ロスマン」での販売価格は250mLで1.95ユーロ(約240円)と安価に手に入れることができる。 詰め替えタイプは同じ容量を1.45ユーロ(約180円)で販売し、ドラッグストアでは前述の“ハムスター買い”に走る人が続出している。液体ジェルタイプもアロエ・ヴェラやアップル&ジャスミンなどの5つの香りがあり、泡タイプとほぼ同額で購入することができる。薬用ハンドソープ以外に洗濯除菌剤、消毒スプレー、消毒液、便座クリーナーなどといった除菌や消毒専用の製品を多数展開し、どの製品もバクテリア除菌率99.9%と表示している。

 100年以上に渡り家庭内の衛生を保つために尽力してきた同ブランドは、コロナ禍においてさらに活動を活発化することになる。7月にはハイデルベルクをはじめドイツ全土の学校を対象に、10万個以上の薬用ハンドソープを提供し社会貢献活動にも力を注いでいる。ドイツの除菌・消毒製品メーカーでは初の試みとなったが、薬用ハンドソープを使った手洗いは子どもを感染症から保護し、病気を避けるための適切な手指衛生として重要であると認識され、配布した学校の77%から非常に高い評価を得た。

 「サグロタン」のオフィシャルウェブサイトには、正しい手洗い方法が記されている。30秒から1分間手を洗うことによって、下痢、嘔吐、そのほかの感染症を引き起こす可能性のある有害な細菌の拡散を大幅に減らすことができるとある。改めて正しい手洗いや消毒方法を知ることで、感染拡大防止につながることを願わずにはいられない。

宮沢香奈(みやざわ・かな):フリーランスライター兼コラムニスト。プレス、ブランドディレクターなどを経て、フリーランスとしてPR事業をスタート。その後、ライターとして執筆活動を開始。2014年に東京からベルリンに拠点を移し、ヨーロッパを中心に現地情報を多数の媒体で執筆中

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カリスマ店員に憧れ、回転寿司のバイトからルミネエスト店の店長に エスペランサ高山亜樹

 マルキューブーム全盛期には、厚底ブーツの代名詞としてマルキューのカリスマ店員たちの足元を彩ったシューズブランド「エスペランサ(ESPERANZA)」。現在はトレンドからデイリーユースなシューズまで、幅広い層にシューズを展開している。中学生の頃にマルキューブームを体験した「エスペランサ」ルミネ エスト店の高山亜樹店長は、21歳のときに回転寿司のアルバイトから憧れの「エスペランサ」に一念発起して転職した。憧れを仕事にすることやアパレル接客の醍醐味を語ってくれた。

―高校1年生から21歳まで、ずいぶん長い期間、回転ずし店でアルバイトしていましたが、なぜ「エスペランサ」で働こうと?

高山亜樹さん(以下、高山):元々、オシャレをすることは大好きだったんです。それこそ小学生の頃から姉のコーディネートに「今日はちょっと変だよ!」とか口出ししていて、姉も出かける時には私にアドバイスを求めたりしていました (笑)。なので当時、そういうことを仕事にする人を何というのか気になって調べると『スタイリスト』という職業があるんだと知って、将来の夢にはしていたんです。ただ、高校生になったら飲食と接客にも興味が出てきて、回転ずし店でアルバイトを始めたんです。とはいえ、当時もファッション雑誌でトレンドチェックするのは欠かしませんでした。

―ある意味、子どもの頃の夢がかなったんですね!

高山:そうなんです!ショップに買い物へ行くと、そこで接客してくれるオシャレな店員さんと仲良くなれて、そのスタッフさんに会いに行っていたこともありました。好きなブランドのスタッフさんに会いに行って、「また来てくれたんですね!」と会話して、コーディネート提案してくれる。こんなにお客さまがたくさんいるのに、自分のことを覚えてくれていることに感激して、私もやっぱりこんな仕事がしたい!と思ったのが、転職のきっかけでした。

―私にもそんな思い出があります。

高山:一日中に何十人もの人を接客しているのに、それでも覚えていてくださって。それが嬉しかったし、ほかのお客さまも絶対そうだろうなと思って、私もこの世界に入りたくなったんです。

―その頃、接客を受けたスタッフさんで覚えている方はいますか?

高山:はい。中学生のときですが、ある日、特に買う予定がなかったのであるショップの前を素通りしたら、ショップの中から「え!なんで素通りするんですか?」と声を掛けられたんです(笑)。この方は本当にすごくて、いまでも覚えていますが、何度もその方にコーディネートを組んでもらっていました。ずっと前に買った商品まで覚えていてくれて、「前に買ったあの服と今日買ったものを合わせるといいよ!」とアドバイスしてくれたり、その記憶力もすごいですが、おしゃべりも楽しくて、1時間くらい入り浸っていたこともあります。結構強めなギャル系のブランドだったので、中学生の私は“敷居が高いブランドだな”と思っていたのですが、その方の接客でガラッとブランドの印象が変わりました。近寄りがたいスタッフさんかと思ったのですが、いざ話してみるとすごいフレンドリーで、色んなことを相談しました。

―こんなお姉さんになりたい!という感じですよね。それで、実際に働いてみてどうでしたか?

高山:大変でしたね。お客さまのことだけではなく、商品量は多いし、接客のためには覚えておかなくてはならない商品知識もたくさんあって…。その上で、お客さま一人ひとりに合った提案や接客方法を考える、本当に大変な仕事だと改めて知りました。でも、それ以上に楽しかったんです!子供の頃に姉にコーディネートしていた楽しい気持ちを思い出して、仕事という以上に喜びや楽しさのほうが大きかったですね。

―そうした中で、大変だったことは?

高山:やっぱり、接客の入り方です。前職が飲食だったので、どうアプローチしていけばいいか戸惑いました。

―確かに。飲食店は入店したら、お客の方からほぼ必ず注文するので、スタッフからアプローチすることはあまりないですもんね。

高山:そうなんです。自分から声を掛けていくので、今でも「このタイミングで良かったのかな?」と考えることがあります。とはいえ絶対の正解はないですし、自分だけではなく、お客さまありきのことなので、今でも勉強しています。次はこのタイミングで行こうかな、と常に考えていますね。

―声掛けのタイミングは、どんな販売員でも通る最初の壁ですよね。

高山:声掛けが上手くいかなくて、落ち込んじゃうとその気持ちがお客さまにも伝わるので、そこで躓いても、いかに楽しく自分らしく接客できるかが大事だと思います。

―逆にこの仕事の楽しいところは?

高山:仕事だけど趣味というか、自分の好きなことを仕事にしていられることですね。休日とかに洋服を買いに行くと、つい「この服にはうちのあの靴が似合いそうだな」って考えちゃんです(笑)。あと、街を歩いている人のコーディネートを見て、「うちのあの靴を合わせたらもっと可愛くなるのに!」とか…。逆にお客さまのコーディネートから学ぶことも多いです。

―ですが、最近は働き方が変わって、自宅で仕事する人も増えてきています。店頭から見ていて靴の需要はどうでしょうか?

高山:個人的な見方ですが、それでもカワイイ靴は絶対的に必要だと思っています。たとえ自粛期間中であっても、一歩も外に出ないということはありませんし。少し前までは「手持ちの靴がダメになったから買いに来ました」というお客さまも多かったのですが、最近は「こういう靴が欲しくて買いに来ました!」と目的を持って探しに来られるお客さまも増えているように感じます。

―そうなんですね!

高山:仕事が在宅になったからこそ、ちょっとしたお出かけが貴重になっているのかもしれません。以前にも増して、「こういうのが欲しい」というニーズをしっかり持って買い物に来られます。

―高山さんのお話しを聞いているとポジティブに変換するのが上手だなと思ったのですが、そう考える方法や秘訣ってあるんですか?

高山:元々は全然ポジティブではなかったんです。失敗したら本当にとことん落ち込むタイプでした。それこそエスペランサで働くようになってから変わったんです!上司や一緒に働くスタッフのお陰で、ポジティブに変換できるようになったんです。

―どうやって変わっていったのですか?

高山:それまでは、落ち込むときは底が見えないくらい、とことん落ち込むタイプだったんです。色々考えに考えて結局どうにもできずに当時の上司に相談をしたのですが、そこで「考えるより行動した方がいいよ」と言われて、ハッと気づきました。実はアドバイスをもらって気づいたのですが、考えるより思ったことはとりあえず行動に移すことの方が、自分の性格には合っていたんです。それからガラッと変わりました。パッと切り替えられる、ポジティブ思考になりました。

―ちなみに、当時はどんなことで悩まれていたんですか?

高山:この時は店長に昇格したばかりで、スタッフ教育に悪戦苦闘していました。「あの教え方で良かったのかな?」「あの教え方ではダメかな?」「どう教えたら覚えてもらえるかな?」とずっと悩んでいただけで、なかなか実践できていなかったんですね。そこで「行動してみたら」と言われ、実際に自分の考えてみたことをやってみたら道が開けてきて、次にやるべき課題が見えてきたんです。それ以来、悩んだときは即行動とシフトチェンジできるようになりました。

―全国のショップの店長さんが商業施設の休業期間に何をすればと悩まれたと思うのですが、高山さんはどうされていましたか?

高山:休業は仕方ないので、営業再開時に役立つことをしようと、スタッフにいろんな宿題を出していました。例えば「営業再開時に入荷予定の商品について、メリットを5つ考えて」と宿題を出し、スタッフが考えたメリットをみんなで共有して接客ロープレをしていました。商品知識の宿題について本部に相談したら、本部で資料も作ってくれたんですよ。これは本当に嬉しかったです。その新商品のポイントをまとめた資料はスタッフに「こんなの作ってくれたよ!これを参考に考えてきて」とラインで送りました。自粛期間を勉強のために使った結果、営業再開後にはルミネカードの獲得数で「エスペランサ」は群を抜いてトップを取れましたし、スタッフからも「宿題があって良かったです」「むしろ休業前よりレベルアップしました!」という感じで話してくれて、店長としてはやってよかったなと(笑)。

―すごい!学びの時間にして、実際に効果もあったとは。ルミネエストはもとはかなり人通りが多く、スタッフはいつも忙しそうにしていたので、この休業期間を利用して接客や商品知識を身につけたのは良かったかもしれません。

高山:スタッフたちも、すごい自信がついたみたいで、営業再開後はみんな楽しそうに仕事をしています。仕事って自信がついてくると楽しいんですよね。その仕事の本質を分からないでやっているより、ちゃんと勉強して理解した上で仕事していた方が絶対楽しいと思うのです。今回はそれができたんだと思いました。

―それでは最後に今後の目標を教えてください!

高山:今後は、店舗のことだけじゃなくて、お客さまのことを考えていろいろな行動ができるスタッフを増やしていきたいと思いってます。そして、販売の仕事は楽しいんだよ、接客は楽しんだよ、という風に思ってくれるスタッフを増やしたいですね。

苫米地香織:服が作れて、グラフィックデザインができて、写真が撮れるファッションビジネスライター。高校でインテリア、専門学校で服飾を学び、販売員として働き始める。その後、アパレル企画会社へ転職し、商品企画、デザイン、マーケティング、業界誌への執筆などに携わる。自他ともに認める“日本で一番アパレル販売員を取材しているライター”

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「ポルシェ」の魅力をアートとファッションで表現したポップアップイベントが原宿で開催

 ポルシェジャパンは、「ポルシェ(PORSCHE)」初のフル電動スポーツカー“タイカン(TAYCAN)”のポップアップストア「ポルシェタイカン ポップアップ原宿(PORSCHE TAYCAN POPUP HARAJUKU)」をJR原宿駅近くの商業施設「ジング(JING)」で12月8~19日に開催した。注目を集めたのは、サステナブルなスポーツモビリティーの未来を象徴する“ポルシェタイカン”だけでなく、「ポルシェ」ブランドの魅力をアートとファッションを融合して表現した新しい試みだ。

ファッション業界人が語る
「ポルシェ」愛

 カーマインレッドの“タイカン ターボS”とフローズンブルーメタリックの“タイカン4S”とともに会場で目を引いたのが、「ポルシェ」がアメリカの現代アーティストのダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)とコラボレートしたアート作品“クリスタル エローデッド ポルシェ911(CRYSTAL ERODED PORSCHE 911)”と、セレクトショップの「ツージー(2G)」による“アーシャム スタジオ×ポルシェ”のファッションアイテムの展示だ。このコラボレーションは、どのように実現したのか。「ポルシェ」と刺激し合うファッションとアートのつながりをテーマとしたトークイベントが12月10日に行われた。登壇したのは、ナビゲーターを務めた中道大輔キッチン & カンパニー代表取締役 マネージングダイレクター、ファッション・キュレーターの小木 “Poggy” 基史、石川涼せーの代表、前田謙一郎ポルシェジャパン執行役員マーケティング&CRM部の4人。

「ポルシェ」と
ダニエル・アーシャムの
世界観が融合

 アーシャムと親友で、「ツージー」のファッションディレクターを務める小木 は「アーシャムとは約7年前に出会い、日本における彼の初の個展もサポートした。『ポルシェ』のことを熱く語る彼を何度も見たことがある。今回の作品は、アートとファッションと車のカルチャーがうまく結びついている」「私はユナイテッドアローズに約20年在籍した。セレクトショップは、本物が好きだ。私が『ポルシェ』に引かれる点も、“走る”ことに全身全霊を傾けて本物を追求している姿勢だ」と話した。また、「ポルシェ」のオーナーである石川せーの代表は、「小学生のころ、父親に連れられて東京モーターショーで見た“ポルシェ911(964型)”の印象が今も心に強く残っている。『ポルシェ』の好きな点は、乗り心地が良いサイズ感と歴史。1つのモデルが進化を遂げながら、確固たるスタイルを構築している『ポルシェ』の歴史を尊敬している。試乗した“タイカン”は、まるで地面の上を滑っているような快適な乗り心地だった」と魅力を語った。

“タイカン”は
「『ポルシェ』の
新しい歴史に対する答え」

 「10年以上前から、『ポルシェ』に憧れていた」という中道大輔キッチン & カンパニー代表取締役 マネージングダイレクターは、約4年前から“ポルシェ993”のオーナー。“タイカン”を試乗した感想について、「電気自動車に乗っているという感覚はなく、ハンドリングなどレスポンスに優れていた。これほどの馬力を持った車で街中を走るのは快適だ。『ポルシェ』の強みは常にアイコニックな哲学を貫き、時が経っても変わらない価値を持ち続けていること。“タイカン”は、このDNAを象徴する『ポルシェ』の新しい時代に対する答えだと言える」と話した。「ポルシェ」の魅力は1931年の創業以来、走り続ける進化の歴史にあるようだ。

多様性を増す
「ポルシェ」カルチャー

 “アーシャム スタジオ×ポルシェ”コレクションは、アーシャムとのコラボレート作品“クリスタル エローデッド ポルシェ911“をイメージしたイラストや、エンジンからインテリアまで車体の内部を露出させた”ポルシェ 930A”のグラフィックを落とし込んだアパレルをラインアップした。価格はフーディー1万8000円、クルーネックのスエット1万6000円、長袖のTシャツ1万円、Tシャツ8000円で、渋谷パルコの「ツージートウキョウ」で販売中だ。「ツージー」は、アートトイなどを企画・販売するメディコム・トイ、アートギャラリー「ナンヅカ(NANZUKA)」、小木とデイトナ・インターナショナルによるセレクトショップが協業したスタジオで、11月に大阪・心斎橋パルコにもオープンした。
 「ポルシェ」はアーシャムのほか、今年ニューヨークのファッションブランド「エメ レオン ドレ(AIME LEON DORE)」やスポーツブランド「プーマ(PUMA)」と相次いでコラボレーションを発表し、多様な「ポルシェ」のカルチャーを創出している。1月に日本でも納車が開始される“タイカン”は、25年までにラインアップの半分の電動化を目指す「ポルシェ」の次世代に向けて重要な役割を担う。アイコン的な存在である“ポルシェ911”同様、サステナブルなスポーツカー“タイカン”は未来の「ポルシェ」を代表するモデルとして注目される。

問い合わせ先
ポルシェ コンタクト
0120-846-911

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先駆者“ヨネちゃん”が語る間違いだらけの中国戦略(前編)

 “近くて遠い”とは、まさにこの国のことを指す言葉だと思う。中国のことである。GDP14兆1700億ドル(約1459兆5100億円)の世界第2位の経済大国でありながら、時にテレビやユーチューブからもたらされる農村部の暮らしには愕然たる格差を感じる。同じ東アジアであるが当然、日本とは文化や思想は異なる。人口は日本の12倍近い約14億人で世界1位、多様性もつまり12倍近い。それゆえ“よく分からない”。そこで2009年から中国で活躍する編集者・フォトグラファーの米原康正に、中国のリアルについて聞いた。カルチャーのみならず政治・経済にまでフォーカスしたので、海外渡航に制限がかかる中で隣国を理解するための足掛かりにしてほしい。

WWD:リアルな中国とは?

米原康正(以下、米原):日本人の中には、中国をいまだに発展途上国と勘違いしている人も多い。自転車が町を占拠し、そこに暮らす人は人民服を着て……というイメージを持つ人がいるが、それは外国人が日本に抱く“フジヤマ・ゲイシャ”くらいに古い幻想だ。2019年の中国のGDPは日本(約537兆6600億円)の約2.7倍。日本人が受け取る情報には“創造”されたステレオタイプなものもあり、現実とは異なることが多い。例えば08年の北京オリンピックの際には、渋谷区ほどの土地を一気に都市化する動きを見せた。昨日まで畑だった場所に一夜でクラブができた、なんて話もあった。町ができれば、人が流れ込んでくる。新しい町には先進的な学校もできるから、そういった学校に子どもを入学させたい富裕層が貧民層から土地を買い上げ、結果として貧民層が成金に。そういった人たちが日本に爆買いツアーに来ていた図式だ。

WWD:中国国民の生活も大きく変わった?

米原:僕が中国で活動し始めた09年頃はまだ現金文化だったが、この10年でデジタル化が一気に進行した。このあたりは、さすがは一党独裁といった感じ。“クレジットカードも使えない”から、財布さえ持たない“スマホ決済”に飛躍した。数カ月ぶりに中国に行って売店で水を買おうとしたら、「現金は使えない」と言われて驚いたことを覚えている。

中国を理解しなければ中国では勝てない

WWD:コロナ禍でさまざまに自粛しなければならない今だからこそ、中国戦略を練り直したいと考える人も多いと思う。

米原:業態によって方法は変わってくるが、一つ言えるのは“日本で流行っているから中国でもウケる”という当たり前はないということ。日本に置き換えてみても、アメリカでウケているブランドが必ずしも日本で売れるわけではないのと同じだ。例えば、日本の某アパレル企業の20〜30代向けウィメンズブランドは中国でヒットしたが、同じ世代を狙ったルームウエアブランドは大コケした。これは中国人にとってOL向けブランドは新鮮だったが、ルームウエアは寝間着にしか映らなかったということ。この時に中国系の代理店なりが入って、売れるか否かの判断をしていれば結果は違ったのかもしれない。これって少々言葉はキツいが、民族の優位性みたいなところに根ざしている話で、“皆、日本製が好きでしょ?”というおごった考え方が元凶なのだと思う。

WWD:日本の方法論をそのまま持って行っても失敗すると?

米原:その通りだ。こんな例もある。10年にヤマト運輸が上海で宅急便事業を始めたとき、緑の帽子が原因でストが起こった。中国で緑の帽子は“妻を寝取られた男”を意味するためで、こんなユニホームは着られないとニュースにもなった。結局、帽子の色はベージュに変更されたが、最初から知っていれば、つまり“中国頭”があれば、時間もコストも無駄にならなかった。色に関して言えば、日本ではアースカラーがトレンドになっているが、中国人はブラウンを着ない。国土が乾燥していて大気が汚れているため、くすんだ色は人気がない。これを知っているか否かで大きな差がつく。

WWD:中国にはコピー商品問題もある。

米原:僕も商品をプロデュースしたりしていて最初はコピー商品に悩まされたが、中国人の友人から「それは中国人がヨネちゃん色に染まってきた証拠。本物が欲しくても買えない人が買うだけで、本物が欲しい人は案外、偽物がどれだけ出回っているかを人気のバロメーターとして見てから買う」と教えられて、目からうろこが落ちた。

中国人を尊重して共に歩む気持ちも大事

WWD:中国人とビジネスする上で気を付けるべきことは?

米原:中国人は面倒を嫌うので直接話をしたがる。彼らからすると、「なんでわざわざ代理店を通すの?」と疑問に思うそうだ。僕もよく「芸能人の○○さんを紹介して」と頼まれるのだが、日本であれば所属事務所を通してオファーをするのが普通だが、中国人は本人に直接「やるか否か」を聞けば済むと考える。本人が「YES」と答えれば交渉成立。中国人が日本人と仕事をしていて一番驚くことは、打ち合せ後に相手が「いったん持ち帰って上司と相談する」と言うこと。中国人からしたら「だったら、あなたの役目は?」「なぜ決定権のない人と話をしなくてはならないのか?」なわけで、「じゃあ、その上司と直接話をさせてくれ」となる。このスピード感ってとても大事で、日本人も肝に銘じないと世界の中でどんどん立ち遅れていくと思う。日本企業がダメになった原因って“現場感のなさ”にあると考えていて、こんな企画をしたい!と思い立っても企画書を書いて何人もにはんこをもらっている間に内容がどんどん変わってしまって……があるある。現場には決定権のない人が出てきて、一方で現場感のない人が決定のための会議をしている。こんなのって日本だけだと思う。

WWD:スピードオーバーで事故をする可能性はない?

米原:ある(笑)。だから中国人のスタイルが全部正しいと言っているわけではなくて、実際前のめり過ぎて、いざフタを開けてみたら何もできてないなんてこともあった。ここで注意すべきは中国人は面子を重んじるので、簡単に「できない」と言わないということ。「できる」「大丈夫」と返事はしても、うまく進んでいるか定期的に確認する必要がある。さらに“できなかった”ときのために、第2案を考えておくことも大事だ。

WWD:“できなかった”もありえる?

米原:当初は驚いて怒ることもあったが、今ではそれを想定して動いている。これで心が折れてしまうようでは中国では仕事ができない。面白いのは、日本だと「親族に不幸があって」と言い訳をする人が多いが、中国では「アシスタントの親がちょっと……」となる。これは言霊を信じていて、自分の親族を不幸にしたくないからとのこと(笑)。話を戻すと、できなかったのなら「一緒にやろう」と声を掛ければよくて、心根は真っ直ぐな人が多いからそれで動いてくれる。そういったアクションを重ねて、“この人について行けば「利」がある”と思わせたら勝ち。

ヨネちゃんが考える中国攻略のカギ、“利”とは?

WWD:“利”とは?

米原:自分にとって価値があるか否かということ。中国人を知る上で、この“利”ほど大事なものはないと考えている。その判断はとてもドライで、あなたよりあの人の方が“利”があるとなればそれまで。ところが、やっぱり僕の方に“利”があると感じれば戻ってくる(笑)。これって日本人からしたら裏切りにも見えるが、中国人はどちらに向かい合っているときも本気。だから、ずっと本気でいさせるためにどうすべきかを考えなくてはならない。でも、それってかなり大変(笑)。

WWD:中国で勝負するなら、中国人の気質を理解しなければならない?

米原:こびる必要はないが、その通りだ。例えば、中国の最大手EC企業アリババ(ALIBABA)が「独身の日」に合わせて11月11日まで開催した大規模なセールでは、コスメの売り上げが1番で中でも資生堂は圧倒的人気だった。2番目が家電、3番目がミルクやオムツといったベビー用品で、これらのカテゴリーで日本メーカーは厚い支持を得ている。中国では80年代後半から90年代中頃に生まれた世代のことを“新・新人類”と呼んでいて、子どもの頃から海外製品、こと日本製品に慣れ親しんでいる。日本メーカーによるベビー用品の好調は彼らが親世代になったからであり、こういったデータを踏まえてアパレル企業はどう戦うべきかを考えなくてはならない。

WWD:そのためにまずすべきことは?

米原:PRだと思う。コスメも家電もベビー用品も、前述の爆買いツアー層による口コミあっての高評価であり、日本人が仕掛けたからではない。中国でビジネスをするなら、中国人の目でものごとを見ることが重要。そうすれば今からでも入り込める余地はあるはず。

(後編は2020年12月25日に公開予定です)

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先駆者“ヨネちゃん”が語る間違いだらけの中国戦略(前編)

 “近くて遠い”とは、まさにこの国のことを指す言葉だと思う。中国のことである。GDP14兆1700億ドル(約1459兆5100億円)の世界第2位の経済大国でありながら、時にテレビやユーチューブからもたらされる農村部の暮らしには愕然たる格差を感じる。同じ東アジアであるが当然、日本とは文化や思想は異なる。人口は日本の12倍近い約14億人で世界1位、多様性もつまり12倍近い。それゆえ“よく分からない”。そこで2009年から中国で活躍する編集者・フォトグラファーの米原康正に、中国のリアルについて聞いた。カルチャーのみならず政治・経済にまでフォーカスしたので、海外渡航に制限がかかる中で隣国を理解するための足掛かりにしてほしい。

WWD:リアルな中国とは?

米原康正(以下、米原):日本人の中には、中国をいまだに発展途上国と勘違いしている人も多い。自転車が町を占拠し、そこに暮らす人は人民服を着て……というイメージを持つ人がいるが、それは外国人が日本に抱く“フジヤマ・ゲイシャ”くらいに古い幻想だ。2019年の中国のGDPは日本(約537兆6600億円)の約2.7倍。日本人が受け取る情報には“創造”されたステレオタイプなものもあり、現実とは異なることが多い。例えば08年の北京オリンピックの際には、渋谷区ほどの土地を一気に都市化する動きを見せた。昨日まで畑だった場所に一夜でクラブができた、なんて話もあった。町ができれば、人が流れ込んでくる。新しい町には先進的な学校もできるから、そういった学校に子どもを入学させたい富裕層が貧民層から土地を買い上げ、結果として貧民層が成金に。そういった人たちが日本に爆買いツアーに来ていた図式だ。

WWD:中国国民の生活も大きく変わった?

米原:僕が中国で活動し始めた09年頃はまだ現金文化だったが、この10年でデジタル化が一気に進行した。このあたりは、さすがは一党独裁といった感じ。“クレジットカードも使えない”から、財布さえ持たない“スマホ決済”に飛躍した。数カ月ぶりに中国に行って売店で水を買おうとしたら、「現金は使えない」と言われて驚いたことを覚えている。

中国を理解しなければ中国では勝てない

WWD:コロナ禍でさまざまに自粛しなければならない今だからこそ、中国戦略を練り直したいと考える人も多いと思う。

米原:業態によって方法は変わってくるが、一つ言えるのは“日本で流行っているから中国でもウケる”という当たり前はないということ。日本に置き換えてみても、アメリカでウケているブランドが必ずしも日本で売れるわけではないのと同じだ。例えば、日本の某アパレル企業の20〜30代向けウィメンズブランドは中国でヒットしたが、同じ世代を狙ったルームウエアブランドは大コケした。これは中国人にとってOL向けブランドは新鮮だったが、ルームウエアは寝間着にしか映らなかったということ。この時に中国系の代理店なりが入って、売れるか否かの判断をしていれば結果は違ったのかもしれない。これって少々言葉はキツいが、民族の優位性みたいなところに根ざしている話で、“皆、日本製が好きでしょ?”というおごった考え方が元凶なのだと思う。

WWD:日本の方法論をそのまま持って行っても失敗すると?

米原:その通りだ。こんな例もある。10年にヤマト運輸が上海で宅急便事業を始めたとき、緑の帽子が原因でストが起こった。中国で緑の帽子は“妻を寝取られた男”を意味するためで、こんなユニホームは着られないとニュースにもなった。結局、帽子の色はベージュに変更されたが、最初から知っていれば、つまり“中国頭”があれば、時間もコストも無駄にならなかった。色に関して言えば、日本ではアースカラーがトレンドになっているが、中国人はブラウンを着ない。国土が乾燥していて大気が汚れているため、くすんだ色は人気がない。これを知っているか否かで大きな差がつく。

WWD:中国にはコピー商品問題もある。

米原:僕も商品をプロデュースしたりしていて最初はコピー商品に悩まされたが、中国人の友人から「それは中国人がヨネちゃん色に染まってきた証拠。本物が欲しくても買えない人が買うだけで、本物が欲しい人は案外、偽物がどれだけ出回っているかを人気のバロメーターとして見てから買う」と教えられて、目からうろこが落ちた。

中国人を尊重して共に歩む気持ちも大事

WWD:中国人とビジネスする上で気を付けるべきことは?

米原:中国人は面倒を嫌うので直接話をしたがる。彼らからすると、「なんでわざわざ代理店を通すの?」と疑問に思うそうだ。僕もよく「芸能人の○○さんを紹介して」と頼まれるのだが、日本であれば所属事務所を通してオファーをするのが普通だが、中国人は本人に直接「やるか否か」を聞けば済むと考える。本人が「YES」と答えれば交渉成立。中国人が日本人と仕事をしていて一番驚くことは、打ち合せ後に相手が「いったん持ち帰って上司と相談する」と言うこと。中国人からしたら「だったら、あなたの役目は?」「なぜ決定権のない人と話をしなくてはならないのか?」なわけで、「じゃあ、その上司と直接話をさせてくれ」となる。このスピード感ってとても大事で、日本人も肝に銘じないと世界の中でどんどん立ち遅れていくと思う。日本企業がダメになった原因って“現場感のなさ”にあると考えていて、こんな企画をしたい!と思い立っても企画書を書いて何人もにはんこをもらっている間に内容がどんどん変わってしまって……があるある。現場には決定権のない人が出てきて、一方で現場感のない人が決定のための会議をしている。こんなのって日本だけだと思う。

WWD:スピードオーバーで事故をする可能性はない?

米原:ある(笑)。だから中国人のスタイルが全部正しいと言っているわけではなくて、実際前のめり過ぎて、いざフタを開けてみたら何もできてないなんてこともあった。ここで注意すべきは中国人は面子を重んじるので、簡単に「できない」と言わないということ。「できる」「大丈夫」と返事はしても、うまく進んでいるか定期的に確認する必要がある。さらに“できなかった”ときのために、第2案を考えておくことも大事だ。

WWD:“できなかった”もありえる?

米原:当初は驚いて怒ることもあったが、今ではそれを想定して動いている。これで心が折れてしまうようでは中国では仕事ができない。面白いのは、日本だと「親族に不幸があって」と言い訳をする人が多いが、中国では「アシスタントの親がちょっと……」となる。これは言霊を信じていて、自分の親族を不幸にしたくないからとのこと(笑)。話を戻すと、できなかったのなら「一緒にやろう」と声を掛ければよくて、心根は真っ直ぐな人が多いからそれで動いてくれる。そういったアクションを重ねて、“この人について行けば「利」がある”と思わせたら勝ち。

ヨネちゃんが考える中国攻略のカギ、“利”とは?

WWD:“利”とは?

米原:自分にとって価値があるか否かということ。中国人を知る上で、この“利”ほど大事なものはないと考えている。その判断はとてもドライで、あなたよりあの人の方が“利”があるとなればそれまで。ところが、やっぱり僕の方に“利”があると感じれば戻ってくる(笑)。これって日本人からしたら裏切りにも見えるが、中国人はどちらに向かい合っているときも本気。だから、ずっと本気でいさせるためにどうすべきかを考えなくてはならない。でも、それってかなり大変(笑)。

WWD:中国で勝負するなら、中国人の気質を理解しなければならない?

米原:こびる必要はないが、その通りだ。例えば、中国の最大手EC企業アリババ(ALIBABA)が「独身の日」に合わせて11月11日まで開催した大規模なセールでは、コスメの売り上げが1番で中でも資生堂は圧倒的人気だった。2番目が家電、3番目がミルクやオムツといったベビー用品で、これらのカテゴリーで日本メーカーは厚い支持を得ている。中国では80年代後半から90年代中頃に生まれた世代のことを“新・新人類”と呼んでいて、子どもの頃から海外製品、こと日本製品に慣れ親しんでいる。日本メーカーによるベビー用品の好調は彼らが親世代になったからであり、こういったデータを踏まえてアパレル企業はどう戦うべきかを考えなくてはならない。

WWD:そのためにまずすべきことは?

米原:PRだと思う。コスメも家電もベビー用品も、前述の爆買いツアー層による口コミあっての高評価であり、日本人が仕掛けたからではない。中国でビジネスをするなら、中国人の目でものごとを見ることが重要。そうすれば今からでも入り込める余地はあるはず。

(後編は2020年12月25日に公開予定です)

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「あまりのおいしさに衝撃」 ユナイテッドアローズが老舗酒蔵とコラボ酒発売でワクワクを提案

 ユナイテッドアローズ(UA)と栃木の酒蔵「仙禽」がコラボレーションした日本酒「仙禽 × UNITED ARROWS」に注目だ。仙禽は、江戸時代後期・文化3年(1806年)創業の、栃木県さくら市にある蔵元で、11代目蔵元の薄井一樹氏は、元ソムリエというユニークな経歴を持ち、日本酒のドメーヌ化や、いにしえの技法により実現した完全無添加の「ナチュール・シリーズ」など、新しい日本酒のスタイルを発信し国内外で高い評価を受ける。そんな酒蔵とのコラボ日本酒を10月に青山ウィメンズストア1階の「UA BAR AOYAMA」と、原宿本店1階「UA BAR」で販売し完売。12月24日に再販(グラス900円、ボトル2500円、税込)が決定した。ファッションのセレクトショップを軸とするUAが、なぜ日本酒を作ったのかーー。

WWD:「仙禽」に出合ったきっかけは?

鈴木貴至・第一事業本部運営支援部開発推進課所属(以下、鈴木):数年前に「仙禽」の日本酒を飲み、あまりのおいしさに衝撃を受け、私がファンになったのがきっかけです。1年前にオープンした「UA BAR AOYAMA」でも「仙禽」を提供し好評でした。それでオリジナルでも作ってみたいと思ったんです。

WWD:1年に渡って3度、酒蔵を訪ねたとのことですが。

鈴木:「仙禽」のおいしさに衝撃を受けた後、当社からお願いして仙禽さんとつながることができました。伝統的な技術をベースにしながらも、200年という歴史に安住せず、革新的な酒造りに挑戦し続ける姿勢にまたも感銘を受けました。

WWD:200年も続く酒蔵と聞くと、昔ながらの“がんこ者”で話を聞いてもらえないのではないか、というイメージもあります……

鈴木:いえ、最初から歓迎していただきました。仙禽の薄井さんは非常に柔軟な考えをお持ちで面白がってくださいました。酒蔵へは、1年の間に3度訪問し、うち一回は酒造りに参加させていただきました。(コロナ外出自粛中はもちろん行っておりません)。薄井さんとは同世代ということもあり、東京でもお会いするなど親交を深めています。

WWD:酒造りに参加してどうでしたか?

鈴木:一番は酒蔵の皆さんが自分たちの酒に誇りを持っていて、楽しそうに酒造りをされているのが印象的でした。特別に麴カビを蒸米に振る作業も体験させていただきましたが、緊張感もあり気持ちが凛として清々しかったです。

WWD:コラボ日本酒「仙禽 × UNITED ARROWS」の最大のこだわりは?

鈴木:だんだん寒くなってくる季節に飲んで美味しい、ということを心掛けました。また、アッサンブラージュに使用した仙禽の日本酒それぞれの良さが表現できるように注意を払いました。

WWD:味について教えてください。

鈴木:酒蔵の皆さんからは、大変ありがたいことに傑作とおっしゃっていただきました(笑)。甘味と酸味が絶妙なバランスで調和していると思います。温度を変えて飲んでも表情が変わってくるので面白いです。

WWD:酒造りから学んだことは?本業のファッションに影響がありますか?

鈴木:歴史・伝統をベースした本物だからこそ、革新的なことができるのだと学びました。それはファッションも同様だと思います。

WWD:UAがカフェやバーを経営していることは知っていますがなぜ今、日本酒、しかもコラボだったのですか?

鈴木:私自身、日本酒が大好きで昔からさまざまな日本酒を飲んできましたが、若い人を中心に飲まず嫌いな人が多いなと感じていました。単純にこのワクワクする世界をもっと紹介したいというのが動機です。そういったこともあり、「UA BAR AOYAMA」では日本酒をラインアップに入れています。ファッション同様に日本酒含めお酒などは、コロナ禍にあって不要不急のものであるかもしれません。しかし、し好品こそが生活に彩りを添え、困難を乗り越える活力になると信じています。

WWD:今後は何を作る?

鈴木:これまでもクラフトビールで4度コラボレーションをリリースしたことがあり、UAの運営する飲食店がある以上は、ファッション同様にワクワクすることを提案していきたいです。

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LGBTQ+フレンドリーなヘアサロンを全国に 「パンテーン」がサロン業界の意見を大募集

 P&Gのヘアケアブランド「パンテーン(PANTENE)」は、就職活動を経験したLGBTQ+の人たちと「自分を偽らず、自分らしさを表現できる就活」を考える“#PrideHair”プロジェクトに取り組んでいる。同ブランドはムーブメントをさらに広げるため、“#PrideHair・サロン”プロジェクトをスタート。

渡される雑誌、「週末は誰と?」
の質問がちょっと気まずくて
戸惑った

 ワークショップには10人の性的マイノリティの有識者と、4人のLGBTQ+フレンドリーなサロンスタイリストが参加した。ワークショップはまず、「LGBTQ+フレンドリーなヘアサロンとは?」の質問からスタート。すると参加者はまず、過去のちょっと気まずかったり、戸惑ったりした体験を語り出した。ゲイの男性は、「長年、美容室を転々とし、普段はおしゃべりなのに“コミュニケーションしたくないオーラ”を出していた」と語る。その理由は、サロンスタイリストから「今度の休日は何を?」と聞かれると、その次は「誰と?」の質問が続くから。スタイリストに悪気がなくても、「軽い偏見は、当事者には積もり積もってしまう。結果、『コミュニケーションしたくない』と思ってしまったのは、とても残念。でも、簡単に防げるハズ」と話した。トランスジェンダーの女性は、「当初はまだ『ロン毛のお兄さん』と思われ、席に着くと男性誌が配られた。しばらくは友達がヘアカット。女性誌が出てくるまで、大変だった」と語る。スタイリストにもカミングアウトしていたレズビアンの女性からは、「ショートにした時、『短くして男の子っぽくなったら、(隣のパートナーとの)バランスも良いね』と言われ、一気に信用できなくなった」という本音も飛び出した。

 一方美容師からは、今のサロン業界は「『メンズ専用クーポンを発行します!』などのプロモーションも多く、予約の段階から居心地が悪い」との指摘があった。

性別に縛られず
人間として受け入れ、
理想の髪型にしてくれると嬉しい

 FTMのトランスジェンダーの参加者は、現在はそれぞれ、お気に入りのヘアサロンを見つけているようだ。FTMのトランスジェンダーは、「長くてフワフワのパーマから、赤と黒の2ブロックに変えようと思ったとき、スタイリストが『めっちゃカッコいいですね。やりましょう!』と言って、理想通りに仕上げてくれた。過剰な対応ではなく、『そうなんだね』と受け入れ、理想の髪型してくれるのが嬉しい」。「お気に入りが見つかるまで、サロンではずっとウソをつき続け、『ごめん』って思っていた。お互いにハッピーじゃなかった」と言うレズビアンの女性も、「『できる女にしてください』と言うと、キャラも含めて、私と言う人間を掴んでくれる。美容師は、その能力に長けている。隠さず、楽にコミュニケーションできるのが心地よい」と続ける。男性や女性、LGBTQ+やストレートなどの「ラベル」は不要で、一人の人間として接する重要性を説いた。

 FTMのトランスジェンダーからの「どんなに『短く』とお願いしても、ボーイッシュな女の子のショートカットだった」という声を踏まえ、ゲイの男性は「『短い』というイメージは人それぞれだから、LGBTQ+の写真やイラストを集めてカタログ化するなど、写真やビジュアルでイメージを共有できるようにしたら?」とのアイデアを提案。さらには、隣の利用客の偏見に満ちたコメントにスタイリストが“乗っかって”しまい「今、ここでは絶対カミングアウトなんてできないな」と思った経験があるゲイの男性は、「LGBTQ+フレンドリーなサロンのスタンスを、お客さんにも表明できるようになれば」と願う。

宣誓・共感してくれるサロンを
増やしてLGBTQ+に情報提供

 ワークショップ2つ目のテーマは、プロジェクトをヘアサロン、そして当事者に知ってもらうための手段について。LGBTQ+フレンドリーなヘアサロンを増やす術について、先駆的なサロンスタイリストは「他の美容師の体験談を知ることができたら、接客は変わる。策定するガイドラインを解説するセミナーがあれば」とリクエスト。インクルーシブ(包摂・包括性。個々の違いを受け入れつつ、それを踏まえて仲間だと捉える考え方)なプロジェクトゆえ、チェックリストを設けて遵守できれば合格などとするのではなく、「ガイドラインを手に取り、読んで、深く理解したければ機会を設け、共感してくれたら賛同サロンと認定して良いのでは?」や「『これからLGBTQ+フレンドリーなサロンを目指すんだ』と宣誓してくれれば十分ではないか?」などの考えが多かった。
 
 賛同サロンが簡単に探せる情報提供は、LGBTQ+の当事者とヘアサロンの双方にとってメリットがあるという。情報の可視化についてのアイデアも飛び交った。

 またサロンに広げるには「LGBTQ+が人口の何パーセントに及ぶかを説明し、『ビジネスのためフレンドリーにならなくちゃ』と思わせる現実路線も必要」という意見、当事者に伝えるには「ドラァグクイーンがユーモアを交えてサロンに『ダメ出し』を連発して、改善し、LGBTQ+フレンドリーなサロンになるまでの動画をアップしたら?」などのユニークなアイデアも飛び出した。

トランスジェンダーが実体験語る
動画には当事者もアライも賛同

 「パンテーン」は、“#PrideHair”というハッシュタグのもと、実体験を伝えながら皆でより良い就活のあり方を考える活動をスタート。トランスジェンダーが就職活動の実体験を語る動画の再生回数は2000万回を超え、当事者のみならず、LGBTQ+をサポートしたいと願うアライの賛同も多かった。一方でジェンダーに対する誤解や思い込みは少なからず存在し、「知らなかった」「気づきを与えてくれてよかった」などの反響も届いたという。これを受け「パンテーン」は、ヘアサロンが「誰もが、自分らしい髪になれる場所」になることを目指し、ガイドラインの策定をスタート。今後は活動を広めて賛同サロンを増やし、ユーザーがLGBTQ+フレンドリーなヘアサロンを簡単に見つけられるような情報提供も考える。ガイドラインは、2021年の1月下旬に発表したい考えだ。同ブランドは「#PrideHair」と言うハッシュタグで、プロジェクトに賛同するヘアサロンや個人の声を募集している。

 P&Gでは、役員や人事部門、面接官に対してLGBTQ+をはじめ、多様性への理解を深める研修を実施している。面接を行う社員の先入観を少しでも排除するため、14年からはエントリーシートの写真欄を削除、19年には性別欄に“その他”という選択肢を設定した。21年には生年月日情報も削除することで、年齢による先入観も排除する。

問い合わせ先
パンテーン

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2021年はアパレル復興の年となるのか 「13のレス」と「5つの施策」 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を詳しく解説する。新型コロナウイルスによる大打撃に襲われた2020年の小売業界。あぶり出された課題と、21年にすべきことは何かを整理する。

 オリンピックとインバウンド期待から一転してコロナが世界を襲って鎖国状態となり、経済も生計も生活もシュリンクしてアパレル業界は壊滅的な打撃を受けた2020年だったが、ようやくワクチン接種も始まる2021年はアパレル復興の年となるのだろうか。

2020年は清算と破局の年だった

 コロナ禍に直撃された2020年は旅行・宿泊、エンタメ・イベント、飲食から百貨店やアパレルまで売り上げが激減し、閉店や人員整理、廃業や破綻が広がったが、その多くはコロナ前から問題を抱え、あるいは崖っぷちまで追い詰められていた業界や企業だった。コロナ禍でその清算を迫られ、廃業や破綻に至ったケースもあれば、事業や資産を切り売り店舗や従業員を整理して生き延びたケースもあったが、「それで清算は終わったのか」「復興への道筋は立ったのか」が問われざるを得ない。

 過去のツケを清算し切ったのなら21年は復興あるいは新創業に注力できるが、ツケを清算できず過去のしがらみを引きずったままでは悪戦苦闘の泥沼を抜けられない。資本蓄積の厚さゆえ事業が行き詰っても何年も生き延びるのはレナウンの例を見るまでもないが、それゆえ抜本的な転換に踏み切れず場当たり対応を続ければ阿鼻叫喚の終末を迎えることになる。21年も前半まではツケの清算を引き延ばした企業のリストラや破綻が続くのではなかろうか。

 ワクチン接種が順調に進んだとしても全国民に行き渡って日常が戻るのは夏近くになるだろうし、コロナ禍で加速したアパレル離れとカジュアル化・低価格化が早々に終わるとも思えない。緊急事態宣言下で販売機会がなく持ち越された大量の春物・初夏物在庫も新作の販売を圧迫するから、春物・初夏物に期待はかけられない。本格的な回復は夏物あるいは秋冬物からになるだろうが、そこに商機を仕掛けるなら後述する5項目を着々と推し進めておくべきだ。

2021年の13の「レス」

 2020年はコロナ禍で従来の販売方法や事業体制が行き詰まり、OMO(オンラインとオフラインの融合)とDX(デジタルトランスフォーメーション)が急進してさまざまな「レス」が広がったが、21年はその流れに拍車がかかり成否・優劣が明らかになる。

 日本フードサービス学会理事の白鳥和生氏(日本経済新聞社)は「7つの『レス』が加速する」と提じているが、その多くはアパレル業界にも通じるものだ。

(1)タッチレス(非接触経済、スキャン&ゴー)
(2)キャッシュレス(現金は触らない、ポイント経済)
(3)ストアレス(EC、レジレス、売らない店舗)
(4)ストレスレス(少ストレス購買チャネルへシフト)
(5)ペーパーレス(チラシ販促からアプリへ、EDLP※1
(6)ボーダーレス(業種・業態を超えた競争と融合)
(7)コードレス(規則や常識が変わる、なくなる)

※カッコ内の説明も白鳥和生氏による

 これをアパレル業界に置き換え、ストアレスはボーダレスに吸収し、新たに7つの「レス」を加えたい。20年はサックレス(レジ袋廃止)もあったし、これらにジェンダーレスを加えたい向きもあるだろう。

(1)タッチレス(非接触販売/フィッティング、非接触精算・決済※2
(2)キャッシュレス(ID・生体認証、二次元コード・近接通信決済)
(3)ペーパーレス(オンライン発注・検品・請求)
(4)ストレスレス(C&C顧客利便、接触回避)
(5)ボーダレス(ネットと店舗の融合、業種・業態を超えた競争と融合と協業)
(6)コードレス(規則や常識、TPOが変わる)
(7)オフィスレス(リモートワーク、痛勤レス)
(8)ワークレス(無駄な作業や手続きを無くす、自動化・オンライン化する)
(9)タイムレス(リードタイムや待ち時間を短縮する、なくす)
(10)ロスレス(値引きや残品のロスを減す、なくす)
(11)在庫レス(不要な在庫を持たない、C2M受注生産とVMI)
(12)コストレス(高コストな販路や物流から低コスト販路や物流へ)
(13)マウンティングレス(無意味な優越競争や序列意識と縁を切る)

※1.EDLP(Every Day Low Price)…セールに頼らずお値打ち品を常時低価格で販売する価格政策。セール依存のH&L(High & Low)価格政策と対比して使われる
※2.決済と精算…「決済」はID認証あるいは生体認証して登録決済口座と紐づければ済むが、「精算」はどの商品を何点購入したか確認する必要があり、ICタグセンサーや画像解析AIで照合する

アパレル再生の2021年にやるべきこと

 前を向いて具体的な手を打つ前に、まずは過去の「清算」を終わらせておくべきだ。壁に当たった販路や事業を無理やり引きずっては傷口が広がるばかりか、ヒトモノカネの企業資産が非効率事業に寝て前へ進めなくなる。思い切り清算したうえで、ヒト・モノ・カネを集中させるべきは以下の5項目ではないか。

(1)デジタル連携で分断無きサプライ流を創る
DX投資を契機に、力任せロット勝負の水平分業で在庫も利益もリスクも抱え込み企画〜生産〜販売の商流を分断する一括調達型SPAの愚行を一掃し、在庫を抱えずオンライン連携で分断無きサプライ流を創る。スマートファクトリー※3を軸としたパターンオーダーのC2M※4、定番的継続商品のVMI※5がその回答であることは言うまでもない。

(2)短サイクル小ロット高回転のバイイングSPAに徹する
ファストなトレンド商品はC2MやVMIには向かないから、短サイクル小ロット調達で高回転させるバイイングSPAに徹するべきだ。好立地の2〜3ダースまでの店舗展開なら調達リードタイムも販売消化も4週以内で回せるから値引きや残品のロスも限られ、一括大量調達より利幅は薄くても高交叉比率で高収益が期待できる。

(3)低コスト適正規模に徹して効率と「勝てる価格」を実現する
VMIはともかくC2MやバイイングSPAには市場規模と生産・調達効率が見合った適正規模があり、それを超えると効率が落ちて収益が圧迫されることが多い。勢いに乗って拡大するとロスとコストが肥大して「お値打ち価格」が維持できなくなり、競争力が落ちて守勢を余儀なくされる。拡大を望むなら、同じ仕組みで異なるカテゴリーか異なるマーケットを切り開くべきだ。

(4)ローカルOMOとテザリング※6でサプライの最適化と顧客利便の最大化を図る
OMOによる顧客利便の最大化は店舗在庫引き当てによるクリック&コレクト(C&C)※7(受け取りが速く物流費も格段に安い)であり、ローカルマーケティングとテザリング、ローカル宅配の仕組みが不可欠だ。それは同時にサプライの最適化と在庫効率の最大化を両立させるから、顧客利便の最大化(=売り上げの最大化)と合わせて“三方良し”が実現する。その構築にはECと店舗の在庫を受注に一元引き当てするデータプロセシングが必須だが、テザリングと店舗渡しや店舗出荷のアナログな仕組みと手順が実際の運営効率を大きく左右する。一元引き当てが一時間ごとのトランザクションなどバッチ段階でもテザリングはサプライと在庫効率を大きく改善するから、先行して体制を確立しておくのが正解だ。

(5)店舗運営の省人化と販売職のOMO多能職化で人時生産性を飛躍的に向上させる
アパレル販売のがんは店舗販売の人時生産性の低さであり、ECとは10倍も格差がある(ECの1人当たり年間売上額は億単位)。その解消には店舗の大型化やレイアウト改善に加え、決済・精算のセルフ化や在庫管理・マテハン作業の効率化が不可欠だが、RFIDタグを欠いては進めようがない。テザリングや店出荷のピッキングでも、RFIDタグがあれば手早くレーダー探索できる。タグ(正確にはインレイ)の単価も急速に下がっているから、何を置いても最速最優先で全面導入するべきだ。

 コロナ禍のECシフトで業務のOMO化(デジタル化・リモート化)が急進する販売職だが、デバイス(端末機器)やアプリが揃わないとスキルの習得も遅れる。もはや実験段階でなく全員OMO戦力段階だから、投資と熟練を急ぐべきだろう。

※3.スマートファクトリー…企画段階とデジタルに連携して短時間生産するCAD/CAM装備の工場で、消費地に近い場所に立地する
※4.C2M(Customer to Manufactory)…ネットやショールームで受注してからデジタル生産や3Dプリンタで素早く生産して“個客”に届けるパーソナル対応の無在庫販売手法
※5.VMI(Vendor Managed Inventory)…あらかじめ定めた陳列棚割と販売計画に基づいてベンダーに在庫管理と補給(補充生産も含む)を委任する取引形態
※6.テザリング…店舗間で在庫を融通して在庫効率を高めるローカル・ディストリビューション手法で、修理加工の集約やC&Cの店出荷と連携される
※7.クリック&コレクト(C&C、Click&Collect)…ECから店舗に取り寄せて試したり受け取ったりできること。一括配送の店舗物流を使うから送料無料で、店在庫を引き当てれば倉庫から出荷するより受け取りも早くなる。コロナ禍では食品スーパーなどのカーブサイド・ピックアップ(駐車場受け取り)も広がった。売り手にとっては顧客利便と在庫効率を高め物流費を抑制するOMO(ネットと店舗の融合)戦略

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。著書に店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)、12月11日に出版した「アパレルの終焉と再生」(朝日新書)

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アウトドアブームで変わること 中目黒で“街着のアウトドア”を22年続ける名店バンブーシュートの場合

 国内の登山・アウトドア市場は2018年に5000億円を突破し、さらなる拡大が見込まれる(出典:矢野経済研究所『アウトドア市場に関する調査』2019)一方で、オーバーストアや供給過多なども懸念されている。しかし各社は一過性のもので終わらせないために、流行の先を見据えてさまざまな事業を始めている。

 東京・中目黒のセレクトショップ「バンブーシュート(BAMBOO SHOOTS)」は、1998年の開店以降ファッションとアウトドアの融合を提案し続けてきた。25歳で同店を託され、現在は統括部長を務める甲斐一彦は、アウトドアが街着として定着していく過程を最前線で見てきた一人である。名物店長兼バイヤーとして活躍した同氏は、現在のブームや今後のアウトドアファッションについてどう考えているのだろうか。

「壊滅的に売れなかった」壁を乗り越えて

WWDジャパン(以下、WWD):アウトドアファッションに興味を持ったきっかけは?

甲斐一彦バンブーシュート統轄部長(以下、甲斐):僕はもともとアメカジ少年で、ビンテージの古着が大好きだったんです。でも18歳のころに防水透湿素材で知られる「ゴアテックス」を使ったマウンテンパーカとの衝撃的な出合いがあって、アウトドアの服に一気にのめり込んでいきました。価格が当時で10万円近だったので最初はめちゃ高くてびっくりしたんですけど、逆に(何がそんなにいいんだろう)と気になって調べていくうちに面白さに気づいたんですよね。

WWD:アウトドアウエアの面白さとは?

甲斐:僕の解釈なんですけど、ビンテージの服とアウトドアウエアって通じるものがあるんです。長いリブや着丈、パッチの付き方や年代によって作りが異なるところなど、調べれば調べるほど共通点があって面白かった。だからアウトドアの機能に引かれたというよりも、ビンテージの服を漁るのと同じ感覚でファッションとして服を買うことからスタートしました。

WWD:1998年にバンブーシュートをオープンしたころはすでに街でアウトドアウエアは流行していた?

甲斐:していましたね。原宿には「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」や「パタゴニア(PATAGONIA)」の服を着た若い人が多かったですし。その流行を意識して店を始めたので漠然とした自信があったのと、まだ若かったので「東京で一番いい店にしてやる」と意気込んでいたんですよ(笑)。実際に2年目までは売れたんですけど、デザイナーズブランドが徐々に流行して3年目で壊滅的に売れなくなっちゃった。

WWD:そのピンチはどう乗り越えた?

甲斐:オープン以来ファッションとしてアウトドアウエアを提案していたんですけど、それだけだと流行にどうしても左右されてしまう。生き残るためには、ギアとして本当に必要としている人に売る必要がありました。でもそこからですね、最高に楽しくなったのは。本気のアウトドアの人に買ってもらうために登山やキャンプにも行き、自分で機能を試しました。ギアを店に置き始めたのもそのころですね。ただ、やっぱり根はファッションの感覚なのでギアは普通じゃないものを選んだし、ただ外でかっこいい服を着たいからという欲求が最終的には勝つんですけどね(笑)。天気が悪いから着るというより、自分のお気に入りの服で外出して「雨降んねえかな」みたいな。

「アウトドアは今まで以上に定着していく」

(ここに写真02〜08)

WWD:アウトドアブームが落ち着いた後の市場の動向は?

甲斐:大体3年周期で売れたり売れなかったりする状態が続きましたけど、フェスブームは大きかったですね。「フジロックフェスティバル(FUJI ROCK FESTIVAL)」では、みんながビョーク(Bjork)やオアシス(Oasis)を雨の中でも見るために「ゴアテックス」製のウエアを当たり前のように着始めて、10年前ぐらいから徐々に浸透していった感覚です。それまで興味のなかった人たちがキャンプに行き始めたのもそのころでしたし。

WWD:今では競合の店や低価格のメーカも増えたが市場への影響は?

甲斐:確かにスポーツメーカーや他業種からの参入もあり、市場は大きく変わりました。でも特に思うことはないですね。僕らは昔と変わらず、意味のあるものを売り続けていくだけですから。それに僕は今、都会で自然を見つけて楽しもうという気分なんですよ。だから店の名前を付けたブランド「バンブーシュート」も21年春夏シーズンからリブランディングすることにしました。

WWD:リブランディングでどう変わった?

甲斐:“アウトドア生まれ、中目黒育ち”みたいな服です。アメカジベースの服にアウトドアのディテールを融合し、これまで以上に着やすさにこだわっています。アウトドアウエアでもベーシックなアメカジでもないものを目指して30型作りました。これまで店長やバイヤーは経験してきたけど、服をデザインしていたわけではないからまあまあ大変でした(笑)。あくまでショップオリジナルのブランドではなく、卸も積極的に広げていきたいですね。

WWD:アウトドアブームは今後も続くと思う?

甲斐:東京の一極集中が進めばブームは続くんじゃないですか。街がハイテク化すればするほど、人は自然が恋しくなるのが普通のことです。今回のブームを機に多くの人たちにアウトドアを楽しんでほしいし、一つの遊びとして今まで以上に定着していくと思います。最近は店に若い人も来るみたいですし、アウトドアを楽しむ層の世代交代も進んでいるんでしょうね。

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髪色もダメージケアも思いのまま 資生堂プロフェッショナルから新ブランド「アルティスト」登場

 資生堂プロフェッショナルはヘアカラーシリーズ「プリミエンス」から、新ブランド「アルティスト」を2021年2月22日に発売する。ヘアケア志向が高まる中で“美髪”や“髪質改善”というキーワードに注目が集まり、美容感度の高い若年層をはじめ好みの髪色にしたいけれどもダメージはしたくないという顧客の思いはますます強くなっている。ここではトレンド感のあるヘアデザインで支持を集める松下ひとみ「ミンクス」ディレクターと、野々口祐子「シアン」代表が、「アルティスト」を使用したおすすめのヘアデザインを提案し、その使い心地を語る。

髪の芯へとアプローチする
「アルティスト」
トリートメントも同時発売

 資生堂独自の3つのテクノロジーを搭載することでヘアカラーとケア効果を両立。タンパク変性を抑制して髪をダメージから守り、芯から強く柔らかく保つことで美しい髪色を何度でも楽しむための基盤を整える「スムースケアテクノロジー」、髪の芯から発色して揺るぎない美しい髪色へと導く「マイクロオイルイン処方」、髪の芯から艶やかな発色が持続する「ラスティングプロテクションベール」によって、美しく発色し艶のある髪色を保つことはもちろん、ヘアカラーを繰り返し楽しめるように髪への影響に配慮したシリーズだ。
 
 加えて艶やかな美しい髪色をさらに持続させ、毛髪強度をサポートする効果が期待できるトリートメント「エッセンスドロップ」も同時発売する。

髪のダメージを抑えながら
ヘアカラーを繰り返し楽しめる

 「『アルティスト』は、ニュートラルグレーベースによって敬遠されることの多いアジア人特有の黄みやブラウンみをコントロールして、彩度や色味の差をつけることもできるのでベージュの中でもニュアンスを出しやすい。ナチュラルや上質を求める顧客や、色の絶妙なニュアンスを求められたときに提案したい。また、美容師としても長くお客さまとお付き合いをする上で、一度傷ませてしまうと次のデザインも提案しにくくなってしまう。社会的に女性の平均年齢が上がっている中で、美容室の顧客の年齢のボリュームゾーンも上がり、エイジングや傷みによる扱いづらさを感じている人も多く、毛髪強度のサポート効果が期待できることで繰り返しヘアカラーを楽しんでもらうことができるのでおすすめしたい」(松下ひとみ「ミンクス」ディレクター)

顧客のヘアカラー履歴も
生かせてほどよくくすむ
抜け感カラー

 「『アルティスト』はすべての色味にグレーが入っているので、ほどよくくすんでよい透明感と柔らかさ、艶感が出る。白っぽくならずに薄い色でもきちんと色味がのるので、ブリーチ毛と相性がよく前回来店時にブリーチやハイライトを入れるなどヘアカラー履歴のある人や、ハイトーンのお客さまに提案しやすい。黄みや赤みも削りすぎてしまうと肌がくすみやすく似合わないことも多いが、日本人の肌のトーンにも合っていて自分に似合うヘアカラーを楽しみたいという声にも応えることができる。ハイトーンにする場合でもトリートメントは必須、ダメージしたら質感が落ちるということはお客さまも認知している。そういった面でも『アルティスト』のケア効果や、『エッセンスドロップ』は有効だ。カラーと合わせて提案しやすく、施術工程もシンプルなので、ケア意識の高まる中で選択肢を増やすことができる」(野々口祐子「シアン」代表)

厳選された7色相
全39色をラインアップ

  髪に立体感と陰影を与えて、美しい髪色に導く厳選された 7 色相、高明度から低明度まで全 39 色 をそろえる。黒髪のアンダートーンが持つ強い赤みや黄みのコントロール効果に 特化したニュートラルグレーベースを採用。ベースカラーがアンダートーンを補正し、根元 から毛先まで均一に発色する。褪色過程でもその補正効果が持続し、長く美しいヘアカラー が楽しめる。

問い合わせ先
資生堂プロフェッショナル
お客さま窓口
0120-81-4710

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ビームスも参加の「バーチャルマーケット5」 主催者に聞くビジネスの可能性

 バーチャルリアリティー(VR)空間上でさまざまな展示や体験、3Dアイテムやリアル商品の売買ができるイベント「バーチャルマーケット5」が12月19日から2021年1月10日まで開催される。

 「バーチャルマーケット(以下、Vケット)」は18年に初開催され、今回が5回目。前回は伊勢丹新宿本店が出店して、婦人靴のPB「エヌティー(NT)」やメンズブランド「ミノトール(MINOTAUR)」がアバター着せ替え用の3DCG素材を販売したり、伊勢丹のタータンチェックの紙袋の3Dデータを無料配布した。また、「ウイゴー(WEGO)」は実際のアイテムをもとにしたアバター用の衣装を販売。リモートワークでショップスタッフがアバターを操作して接客した。今回の「Vケット5」には東宝やタカラトミー、大丸松坂屋百貨店、ビームスなど73社が参加するほか、1100人超のクリエイターが出展する。

 世界から70万人以上の来場者が集まる、世界最大級のバーチャルイベントを主催するHIKKYの舟越靖代表取締役に「Vケット5」について聞いた。

WWD:ゴールデンウイークに行われた前回と今回の「Vケット5」とで進化した部分は?

舟越靖代表取締役(以下、舟越):今回はワールドワイドを意識しています。前回は「パラリアルトーキョー」という渋谷や秋葉原、東京のランドマークを集めた、バーチャルならではの街を作って、日本の文化とコロナ禍でバーチャルの中で生活したり商売したりしている人たちを日本の人たちに向けて盛り上げました。ところが、米「フォーブス」誌に「Vケット3」が取り上げられたり、SNSなどでどんどん拡散されていき、知らず知らずのうちに海外からの流入が増えて、来場者の半分近くになっていて。今回はそういう海外から来る人たちにも向けています。それが最大の違いです。

WWD:具体的には?

舟越:全世界をまさに寄せ集めて、時間とか距離の概念が曖昧になるような空間をイメージして設計しました。歩いていくと、象徴的なキャラクターがいたりとか、長い通路の中にいろんな演出があったりとかして、その高められたものからいろんなものを買ってもらったり楽しんでもらうという環境を目指しました。

 あとは英語対応ですね。出展企業はもちろん、個人のクリエーターさんたちにもまずは英語対応を促しています。今回は啓蒙レベルでしかできていないのですが、そのうち自動化したいです。せっかく世界からたくさんの人に見てもらえる、たくさん買ってもらえるかもしれないじゃないですか。弊社の方でも問い合わせなどに対応したり、英語で海外にもプレスリリースを配信したり、さまざまな策を細かく重ねています。

WWD:出展者にも海外からが増えている?

舟越:クリエイター出展で如実に増えています。英語での出展問い合わせも増えたので、きちんと体制を作って対応しました。コロナ禍での開催だったこともあり、前回は終了後2カ月で5000件ぐらいの問い合わせが来ました。その中には海外の企業や政府関係からのものもありました。

WWD:「Vケット4」で特に人気だったコンテンツは?

舟越:やはり「アウディ」がすごかったですね。高級自動車をバーチャル空間で体験させるってどういうこと?じゃないですか。彼らは車のデータをそのまんま僕らに託してくれました。それを動かせるように僕らがデータを作って、それをトップセールスマンのすごく上手なトーク共に試乗体験できるというのは画期的でしたね。日本全国や海外からお客さまがずっとアクセス待ちという状態でした。

 「アウディ」にとっては、試乗体験がお客さまとの一番のタッチポイントになるそうです。そこに来させるために、テレビCMを含めたいろんな導線が必要で費用がかかるんです。でもバーチャルだと、まず時間も距離もあまり関係なく、ひとまず体験させることができちゃうんですよ。そうすると今まで車とかに興味なかった人が、「え、かっこいいかも」ってなることもある。そこでリアルな試乗体験への申し込みが殺到するわけなんです。街を歩いていたら、なんかカッコいい車があって、すごく気軽に体験できて――ということはこれまでのチャネルではありえなかったですよね。ちょっと極端な例ですが、その場で欲しいという人も出てきたそうです。買おうと思ってたシリーズの最新作が出たけど、遠くにいるから見れなかったんだよね、でもこれだけちゃんと中を見られたら、「これは買いだわ」というふうに判断する人も別にいなくはないじゃないですか。しかも非常に良い接客とともに紹介されて、しかも試乗体験もできるとなると、決定打にもなるわけです。

WWD:ファッションにも繋がるものがある。

舟越:購入って、体験をベースに決めるケースが多いと思います。美味しそうとか、それ素敵とか。「ウィゴー」は若い女性向けの服の3Dアイテムを販売しましたが、実際の販売員がアバター接客してくれました。普通はゴーグル着けてVR空間で接客するのって慣れるのに時間がかかるのですが、驚くほど早く慣れて、楽しんでいましたね。ブースも人気でしたが、その販売員自身のSNSもすごくフォロワーが増えたりしていました。普段からあんまり固定概念なくって、楽しいものは楽しいというふうになる人は入りやすいようです。実際に商品も売れたので、バーチャル上の接客はすごく大事です。通常の動画配信よりも相手へのインパクトが強いので購入のきっかけには十分なりうると実感しました。

WWD:「ウィゴー」は「Vケット3」にも参加している。

舟越:109の実店舗とVR空間をつなげて接客するという試みでしたが、あれも画期的だったと思います。しかも働いてる人は体に障害があって歩けないが手は動かせるという方でした。病院から遠隔で憧れだったアパレルブランドの店員さんをやれて、ちゃんとみんな喜んで買ってってもらって、お給料ももらえた――これってSDGsへの1つの解決にもなっていますよね。「Vケット3」で手応えを感じて、「Vケット4」で本格的に物販にトライしたという感じでした。

WWD:今回はビームスが出展するが?

舟越:ビームスの設楽洋社長には昔からすごくよくしていただいていて、今回出展いただけました。複数の異業種同士のコラボレーションですから、とにかく大変だと思います。でもそこを頑張ってやっていただいています。彼らにはめちゃくちゃ情熱があって、それが特にこういうコンテンツとかクリエイティブにおいてはもう絶対です。

ファッション業界って、クリエイターやアーテイストを大事にするじゃないですか。ここに新しいチャネルがあって、その人たちに新しい環境をつくれるんだという意識のもと、この先商品やコンテンツをどういうふうに提供しようかを考えてもらえれば、僕らは企画屋でもあり制作屋でもあるので、一緒にいいものができると思っています。そして、彼らを発信源に、こういう使い方ができたとかこうやればもっと気軽にやれるよとか、大きな初期投資なく、ちゃんと売り上げにつながるような事例をつくっていきたいです。

WWD:すごく楽しみだ。新たなVR空間が次々と生まれているが、「Vケット」の最大の強みとは何か?

舟越:一番の魅力はとにかくクリエーターの作品です。今、ツールの進化でかなり簡易的に結構かわいいのが作れたり、工夫によってより良いものが作れるようになってきています。個人がそのツールを使い倒して、最近までコンビニでアルバイトをしていたり、公務員だったような人たちが趣味をベースに作ったものが、そのまま売れてしまう。3DCGをCtoCで販売できる初めての場が「Vケット」なんです。回を重ねるごとにスタープレーヤーがどんどん誕生していて、彼らの力によって「圧倒的な体験を提供している」と自負しています。また行きたくなる環境をつくるっていうものですね。ですから、クリエイターたちによって、思い出になったり、コミュニケーションのきっかけになるような環境を意識してつくっているという点が大きな違いだと思います。うちの社員たちは皆エンターテイナーです。ただ商売をするために効率的に物を作るというよりは、どう喜ばせるかとか、どう驚かせるかとかそういうことばかり考えています。

「Vケット5」については2021年1月18日号「WWDジャパン」で詳報予定だ。

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釣りの機能をファッションに盛り込む「ディーベック」に新デザイナー就任 21年春夏コレクションはバーチャルショーで魅せる

 釣り用品を製造・販売するグローブライドが手掛けるアパレルブランド「ディーベック(D-VEC)」は、ヨウジヤマモト社で経験を積んだ齊藤亮太を新デザイナーに起用した。齊藤は2021年春夏シーズンからデザインチームの指揮をとり、釣り具の機能を活かしたブランドとして価値向上と認知拡大を目指す。

釣り具のノウハウを
アパレルに活用

 運営会社のグローブライドは、「ダイワ(DAIWA)」の名称で知られる釣り用品メーカーだ。09年に創業50周年を迎えて企業理念を刷新しコーポレートドメインを「A Life time Sports company」と定義した。さらにファッション好きな消費者への認知拡大も目指し、「ダイワ」のクリエイティブディレクターに佐藤可士和を起用するなど新たな試みに着手。そして17年、ファッションに特化したブランドとして「ディーベック」を立ち上げた。

 同ブランドでは、釣り糸で使われている素材を編み込んで着心地のいい軽量生地を開発したり、釣り竿向けのしなやかで高強度なカーボンを傘に取り入れたりと、長年培ってきた釣りの技術と機能をファッションに盛り込んでいる。釣りと相性のいいアウトドアテイストを好む消費者から一定の評価を獲得しているが、「モードなデザインで感度の高い消費者をさらに呼び込み、プレミアムブランドとして飛躍したい」(小林謙一執行役員)と考え、齊藤デザイナーの起用に至った。

 齊藤ザイナーのデビューコレクションとなる21年春夏シーズンは、カッティングが幾重にも重なるテーラードジャケットやファスナーを多用したボリュームのあるトレンチコート、ウエストのギャザーとツートンカラーが特徴のドレスなど約50型がそろう。テーラードジャケットには生地端の始末が不要なレーザーカット裁断を採用し、生地は軽やかになびく。ドレスはポリエステル100%だが、繊維に撚りをかけないタスラン加工によりコットンのような風合いを持ち、撥水性能も備える。これまでの「ディーベック」は機能を全面に押し出したストイックな服がメインだったが、齊藤デザイナーのフィルターを通して遊び心が加わった。

新デザイナーが語る
ブランドの可能性
「釣りには
たくさんの宝が眠っている」

 アウトドア要素をファッションに組み込むブランドは少なくない。齊藤デザイナーも「アウトドア×ファッションのアプローチは、すでに完結しつつある」と考えたうえで、「ディーベック」に大きな可能性を見出す。「先駆的ブランドはあるが、“モード”にフォーカスしたブランドは少ない。また会社には世間に知られていない技術がたくさん眠っている。それらを掘り起こして、いかに現代のファッションと融合させるかが腕の見せ所だ。ロジカルなスキルやモチーフをコレクションに取り入れるのは個人的にも好きなアプローチなので、気負わず楽しんでデザインしていく」と齊藤デザイナーは語る。

 “異業種が手掛けるアパレル”という点も、齊藤デザイナーの振り切った服作りを後押ししているようだ。「パンデミックでアパレル業界は現在混沌としている。基盤が他にある我々が、ファッションシーンが停滞しないよう引っ張っていかなければならないと思う」。

最新技術を詰め込んだ
バーチャルショー

 「ディーベック」は過去に東京コレクションに参加するなど、業界向けのプロモーションにも注力している。2021年春夏シーズンはバーチャルショーケースとしてコレクションを発表する。“釣り糸”や“前進”をキーワードにストーリー仕立てでルックを流す映像と、3D空間で各アイテムの詳細を確認できるショールーム的な映像の2編で構成し、「これまでになかった表現になる。業界関係者はもちろん、一般ユーザーも『ディーベック』が変わったことを実感してもらえるはずだ」と担当者は意気込む。

問い合わせ先
グローブライド
042-475-2408

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「ディオール」が奏でるピンクのきらめき クリスマスを盛り上げるパウダーやミニ香水が登場

 「ミス ディオール(MISS DIOR)」から、クリスマスを彩る4つのミニチュアサイズのフレグランスがセットになって登場した。加えて、6月に限定発売し瞬く間に完売した“ミス ディオール ブルーミング ボディ パウダー”が再びホリデーを演出。この機会にしか手に入らない、「ミス ディオール」のミニチュアフレグランスは、自分へのご褒美として、大切な人へのプレゼントとしても最適だ。暖かで柔らかなクリスマスホリデーを「ディオール」がかなえる。

「ミス ディオール」の4つの香りを
楽しめるミニチュアコフレが誕生

 「ミス ディオール」から4つの香り“ローズ&ローズ”“ブルーミング ブーケ”“オードゥ トワレ”“オードゥ パルファム”をそれぞれ5mLサイズのミニチュアにしてセットにしたコフレが12月14日に発売になった。“ローズ&ローズ”は、グラース ローズの花びらが、みずみずしいベルガモットと融合し、フレッシュでカラフルなスパークリング フローラルな香りで、果てしなく広がる花畑の香りを再現する。“ブルーミング ブーケ”はピオニーとローズ ノートがカラブリアン ベルガモットと合わさり、ホワイト ムスクに包まれたテンダー フローラルな香り。“オードゥ トワレ”はチュールドレスのような軽やかなスズランと、グラース ローズがフレッシュに心誘う。“オードゥ パルファム”は、ローズウッドが織り込まれた、フレッシュなノートに包み込まれるモダンで自信に満ちたフェミニティが表現された香りだ。“ミス ディオール ミニチュア コフレ”(8400円)

フレグランス
「ミス ディオール」の香りの
パウダーが肌をやさしく包む

 フレッシュなブーケのようなフレグランス「ミス ディオール」から、再登場した“ミス ディオール ブルーミング ボディ パウダー”。センティフォリアローズのフレッシュで蜂蜜のようなノートが広がるさらさらのパウダーが、柔らかな香りと繊細なきらめきで肌に喜びをもたらす。さらに、フレグランス“ミス ディオール ブルーミング ブーケ”をまとうと、心地よいフレッシュ フローラルな香りが広がる。“ミス ディオール ブルーミング ボディ パウダー”(15g、5940円)、“ミス ディオール ブルーミング ブーケ”(30mL、6000円)

“ブルーミング ブーケ”とパリの
ブティックが
クリスマスの
夜をシアターに

 ホリデー限定のフレグランスボックス“ミス ディオール ブルーミング ブーケ〈プチ シアター〉”はシアターをイメージ。ボックスの扉を開くと、星降る夜にクリスマスを迎えるパリ・モンテーニュ アヴェニュー30番地のディオール ブティックがお目見え。アーティストのサフィア・ワレスが手掛けたデザインは、パリのクリスマスが目の前に広がるシアターを彷彿とさせる。部屋のアクセントとして飾ったり、付属のスター オーナメントをクリスマスツリーに吊したりして楽しめる。“ミス ディオール ブルーミング ブーケ〈プチ シアター〉”(100mL、1万6000円)

「ディオール
バックステージ」からリップと
アイシャドウの新カラー

 あらゆる肌の色にマッチし、プロの仕上がりをかなえるピーター・フィリップス=ディオール メイクアップ クリエイティブ&イメージ ディレクターが作り出す「ディオール バックステージ」からは、ホリデーシーズンを彩るリップとアイシャドウパレットが登場する。メゾンを象徴するカラーであるゴールドからインスピレーションを受けた、きらめくラメが美しい“ディオール アディクト リップ マキシマイザー”と、艶やかなグリッターが特徴の“ディオール バックステージ フェイス グロウ パレット”に、イエロー ゴールドに輝くピュア ゴールドと、ピンクのきらめきを閉じ込めたローズ ゴールド、さらに温かみのあるブロンズのようなコッパー ゴールドが加わった。

 “ディオール アディクト リップ マキシマイザー”は、ヒアルロン酸配合で、瞬時にふっくら潤うボリューム感をかなえると同時に長時間、唇をケア。高配合のピグメントが発色と輝きを増幅させ、ゴールドの光で唇の丸みを際立たせることで3Dエフェクトをもたらす。“ディオール バックステージ フェイス グロウ パレット”は、均一に肌になじむテクスチャーは、きらめく光を反射し繊細な艶を演出。ジェルベースに配合したパールピグメントが完成度を高めた。“ディオール アディクト リップ マキシマイザー”(新色3色〈全て数量限定〉、各3700円)、“ディオール バックステージ フェイス グロウ パレット”(新色3色〈うち1色数量限定〉、各4900円)

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27歳のファッションユーチューバーなかむは時計「ハミルトン」をどう見る?

 スイスの時計ブランド「ハミルトン(HAMILTON)」は、約10万円という本格派時計としては手頃といえるプライスレンジから、また2020年は特別定額給付金の後押しもあり、20~30代男性を中心に売り上げを伸ばした。同世代を代表する存在であり、現在チャンネル登録者数が12万7000人を数えるファッションユーチューバーのなかむに、リアルな「ハミルトン」感を聞いた。

なかむのお気に入りは
“ハミルトン PSR”

WWD:普段、時計は身に着ける?

なかむ:正直に答えていいんでしょうか(笑)?だとしたら、答えはNOです。学生時代はカジュアルなデジタル式の時計を着けていました。それが広告代理店に入社した際に会社NGになって、以降は“iPhoneでいいや”になってしまいました。でも、ちょうどラグジュアリー感のある時計を探していたんです、本当に。その点、「ハミルトン」は入門編としてピッタリですよね。

WWD:20代男子にとって時計とは、どのような存在?

なかむ:同世代の中には資産価値の高い高級時計を投資目的で買っている人もいますが、僕的にはあくまでアクセサリーですね。

WWD:今回用意した3本の時計の第一印象は?また自身が身に着ける場合、どんなコーディネートとシチュエーションを想定する?

なかむ:一番のお気に入りはデジタル表示の“ハミルトン PSR”です。アクセサリーはシルバー系を着けることが多いから、相性もよさそう。太めのカーゴパンツとかにカジュアルに合わせてみたいですね。“カーキ フィールド メカ”は、シンプルでどんなスタイルにもマッチしますね。だから奇をてらわず白シャツ×ジーンズの着こなしで。個性的な“ベンチュラ”はスーツやセットアップスタイルのはずしでしょうか。その際“ベンチュラ”に視線を集めたいので、ほかのアクセサリーは外します。

「時計はアクセサリー。
足し引きで見せたい」

WWD:自身でアクセサリーブランド「6:4(ブラス)」も手掛ける。時計とアクセサリーの関係性について聞きたい。

なかむ:重複になりますが、僕の中では時計もアクセサリーなんです。だから個性的な時計を着けるなら、ほかのアクセサリーは外すなどバランスを取りたいですね。

WWD:時計はステータスシンボルやアイデンティティーの表明として長い間、愛されてきた。今の20代男子にとってステータスシンボルやアイデンティティーとは?

なかむ:僕の場合はファッションです。それが高じて、現在は仕事にもなっているわけで。周りにも服好きが多く、生きがいにしている人も少なくないです。

WWD:なかむのファッションのこだわりとは?

なかむ:ラグジュアリーブランドを着る一方でアメリカ古着も好きで、つまり“着ず嫌い”はしないんですけど、僕らしさという点ではモードのマインドを着こなしに入れるようにしています。

なかむのワードローブに新たに
「ハミルトン」が?

WWD:「ハミルトン」の平均価格は10万円前後だ。20代男子にとってファッションにかける10万円とはどのような意味や価値を持つ?

なかむ:平均的な給与所得からしたら10万円はかなりの比率。僕が運営するセレクトショップのリューでも10万円以上のコートやジャケットの取り扱いがありますが、20代のお客さまは悩んで踏ん張って購入される印象です。夢や憧れを買うイメージでしょうか。

WWD:百貨店や時計専門店で20代の時計購入者が増えている。彼らに“時計をする当たり前”が戻ってきているのだと思うが、実感する?

なかむ:はい。アップルウォッチユーザーは多いし、「G-SHOCK」人気も健在です。

WWD:「ハミルトン」は自分へのご褒美を含むギフト需要も高い。なかむが今年一番頑張ったこととは?

なかむ:コロナショックに負けず、リューの売り上げを1.8倍にしたことですね。コロナ以前は店休日なしだったんですが、緊急事態宣言を受けて休業して7月に再開したときには土曜日を中心に週一のみのオープンに変更したんです。その代わりに、必ず僕が店頭に立つようにしました。お客さまと直接コミュニケーションすることで、売り上げを伸ばすことができました。

WWD:そんな自分へのご褒美は?

なかむ:現在の住まいが手狭になったので、年末に引っ越しを考えています。広さを倍以上にするつもりです。たたんで収納している服を全部ラック掛けしたいんです。

WWD:そのワードローブの中に新たに「ハミルトン」も入る?

なかむ:今回あらためて深く知ることができたし、「ハミルトン」はアクセサリー感覚で取り入れられる個性的なデザインがそろうから選択肢に加えたいです。

自転車スタイルには
“カーキ フィールド メカ”

 「リーダーバイク」の自転車はリューへの通勤用に購入。「“カーキ フィールド メカ”はテキスタイルストラップだから、スポーティーにも着けられますよね。女性受けもよさそう」となかむ。

PHOTO:NORIHITO SUZUKI

問い合わせ先
「ハミルトン」/スウォッチ グループ ジャパン
03-6254-7371

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アーティスト・真鍋大度も注目 “心地よく楽しい”「バルミューダ」のクリーナー

 シンプルかつスタイリッシュなデザインと画期的な機能にファンが多い「バルミューダ(BALMUDA)」から、かけやすさを極めた掃除機“バルミューダ ザ・クリーナー(BALMUDA The Cleaner)”が誕生した。Perfumeの映像演出や“リオ2016大会閉会式東京2020のフラッグハンドオーバーセレモニー”でプロジェクション映像のディレクターとテクニカルディレクターを務めるなど、国内外で数々のプロジェクトのディレクションや制作に携わるアーティストの真鍋大度さんも「バルミューダ」の物づくりに共感する1人だ。試行錯誤を繰り返しながら常に新たな挑戦を続ける真鍋さんに、家電選びへのこだわりや“バルミューダ ザ・クリーナー”について聞いた。

心引かれるのはデザインに
機能性が伴ったアイテム

 今回話を伺ったのは、真鍋さんご自身の作業場だ。ここで1人黙々とプログラミングを進める日もあれば、仕事仲間との打ち合わせや作業、Twitch※でのイベント配信なども行う。例年なら海外での仕事も多いが、今年は新型コロナウイルスの影響により自宅や作業場で過ごす時間が増えたという。「本を半分に減らしたり服を友人に譲ったりと、断捨離をしました。でもレコードだけは手放せなくて、ここには5000枚近くあると思います」と笑う。そんな真鍋さんの家電選びのこだわりは、デザインに機能性が伴ったもの。「ただ見た目が優れたものには興味を持てない。使ってみて初めて感じる心地よさや使い勝手、工夫が感じられるものは長く使いたくなるし、愛着が湧きますね」。
 多数のプロジェクトに関わる中で、100人を超えるチームで長期に渡る制作をすることもあれば、SNSなどを通して自身の企画を“実験的”に発信することもある。「プロジェクトによってさまざまな立場にならざるを得ないけれど、僕個人としては誰も思いつかなかったことを思いついた瞬間に心が躍ります。やってみると簡単にできるけれど、なぜか誰も思い浮かばなかった、というようなことを見つけたときが一番うれしいですね」。

※ Amazon.com が提供するライブストリーミング配信プラットフォーム

「バルミューダ」に共感する理由

 “バルミューダ ザ・クリーナー”の特徴の1つは、デュアルブラシヘッドが採用されていること。2つのブラシをそれぞれ内側に回転させることで床面との摩擦を軽減し、まるでクリーナー自体が浮いているかのような軽いかけ心地を実現した。ほうきのように両手で持ち、左右に大きく動かすことで、広いフローリングや畳なども力をかけずに素早く掃除することができる。「(“バルミューダ ザ・クリーナー”の)第一印象は、ロボットなどに使用される全方位に動くオムニホイール(全方向移動型車輪)。普段は“クイックルワイパー”で済ませることも多く、率先して掃除機をかけることはないんです。軽やかに動いてくれる” バルミューダ ザ・クリーナー”は、そんな僕でも使っていて気持ちがいいし楽しいですね。スティック上面のボタンで操作できるというシンプルさもいい。以前購入した海外製の掃除機は使い方が分からなくて、説明書を見返したことがあるんです」。インテリアになじむスタイリッシュなデザインも魅力だ。「家電っぽくないブラックカラーも気に入りました。そのまま置いておきたくなるから、掃除のたびに引っ張りだすというストレスがない。ハンディクリーナーとして機材やレコードの隙間も気軽に掃除できますね」。
 スペックで語られることの多い家電を、“どれだけ良質で素晴らしい体験を提供できるか”に重きを置いて開発される「バルミューダ」の製品。真鍋さんは、その姿勢に共感するという。「掃除機という今までも存在していたものに“体験”という新しい価値を添えていますよね。突飛じゃないのに新しい……。僕が生み出す作品も、そんな新鮮な驚きを提供できるのが理想です。でも、それって難しいんです。一足飛びに行ける近道や必勝法はないですし。新しいものを生み出すときは、これまでの研究者たちがどのようにアプローチしていたのかをリサーチする時間を大切にしています。コロナで先の読めない今は特に、未熟な作品でも個人の場で発表したりと、動き続けていたいという気持ちが強いです。それが10年後に作品になっている可能性だってあるし、プロトタイプのもの同士がくっついて新しいアイデアになるかもしれませんから」。

新しい掃除体験を提案

 ”バルミューダ ザ・クリーナー”の着想源は、ホバークラフト。独自の“ホバーテクノロジー”により、水面や地面を浮いて進むホバークラフトのように、まるで浮いているかのような軽いかけ心地と自由自在な動きを実現した。先述のデュアルブラシヘッドに加えて360度スワイプ構造を搭載したヘッドにより、前後、左右、斜めと自由自在にヘッドを動き、テーブルの下や家具の脚周りもスムーズにかけられる。ヘッドの四隅にはローラーが付いており、壁沿いやコーナーにぴたりと沿わせてそのままスライドすれば、隅々まで掃除が可能だ。付属のスタンドに本体を載せれば充電スタート。空間に調和するシンプルで美しいたたずまいは、「バルミューダ」ならでは。掃除が楽しくなるという新たな価値を提案する“バルミューダ ザ・クリーナー”。日常の掃除が変わる体験をぜひ味わいたい。

PHOTOS:KOUSUKE MATSUKI

問い合わせ先
バルミューダ
0120-686-717

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美容室業界のオリンピック「JHA」を制した内田聡一郎「レコ」代表 「一人のクリエイターとして自信が持てた」

 ヘアサロン業界最高峰のアワード“ジャパン ヘアドレッシング アワーズ(以下、JHA)”の授賞式が11月に開催され、31回目となった今年は、「レコ(LECO)」の内田聡一郎代表が“ジャパン ヘアドレッサー オブ ザ イヤー”大賞部門のグランプリを受賞した。「JHA」は1990年に発足し、年に1度優れた作品を作った美容師、ヘアメイクアップアーティストを表彰するアワードで、そのレベルの高さから“美容室業界のオリンピック”とも称される。ここでは、そのグランプリを制した“時の人”、内田代表に受賞の感想を聞いた。

WWD:グランプリ受賞が決まったときの感想は?

内田聡一郎(以下、内田):正直びっくりしました。準グランプリまで決まった段階で、「グランプリは絶対自分じゃない」と思ったんです。それは準グランプリを受賞した「カーニバル(CARNIVAL)」のkazuさんの作品が、“カットとカラーで魅せる”という点で自分と似たテイストだったから。これまでは毎年、ヘアメイクで魅せる作品やカットデザインで魅せる作品など、テイストの異なる作品がバランスよく受賞していたので、今回もグランプリは準グランプリとは違う系統の作品が受賞すると思っていました。

WWD:今回の受賞作品には“いかにもJHA”といったテイストの作品がある一方で、これまでの受賞作とは違ったタイプの作品もあった。

内田:そうですね。幅広いタイプの作品があって新しい風を感じました。

WWD:受賞したときの周囲の反応は?

内田:SNSでのお祝いメッセージがヤバかったです(笑)。私自身も今回が3回目のノミネートでのグランプリ受賞で、悲願だったのでうれしかったですね。

WWD:内田さんはファッションのフィールドでも活躍していて、JHAはある意味“業界ど真ん中”のアワード。だから“悲願”と考えていたというのは意外です。

内田:僕の理想は“ハイブリッド”で、ファッションもやるけど美容業界的な仕事にも注力する、という姿勢を見せたかったんです。ただ作品作りには“サロンワークとリンクした作品を作る”というこだわりがあって、そこでファッションと美容をつなげている感覚はありますね。こういうコンテストには、サロンワークとはかけ離れた、作り込んだクリエイティブ作品も多くて、それはそれでとても素晴らしいけれど、自分には作れない。自分たちのサロン「レコ」には、ファッションに合わせたエッジィなヘアデザインを求めるお客さまが多くて、そこで提案するスタイルの延長線上にある作品を作るようにしています。

WWD:今回のグランプリ受賞作品も、少し手直しすればサロンワークでも提案できそう。

内田:そうですね、サロンスタイルをブラッシュアップさせた作品です。カットのフォルムとカラーのコントラストで魅せたヘアデザインは、ストリートのパンクスタイルの女性からインスパイアしたもので、ジオメトリックなファッションも、ストリートで着ていてもイタくないと思います。

WWD:受賞したことで、自分の中で何か変わった?

内田:変わりましたね。僕はよくメディアに出させてもらっていることもあり、よく「オーナーとしてもうまくいっているし順風満帆だよね」とか言われるんです。“カリスマ美容師”や“有名美容師”でひとくくりにされて「あなたは特別だよね」みたいな……。自分でも挫折や苦労があったのに、そういう対応がコンプレックスだったのですが、匿名で選ばれるJHAで評価してもらったことで、一人のクリエイターとして自信が持てました。ただ受賞したからには、今後は評価され続けていく義務があると思っているので、そのプレッシャーはありますね。

WWD:今年はコロナ禍で大変な一年でしたが、その締めくくりにいいニュースになりました。

内田:そうですね。この状況下で「美容師にクリエイションて必要なの?」「何のためにクリエイションに取り組んでいるの?」といった議論もありましたが、不安に感じているスタッフに対しても、この受賞が一つのアンサーになればと思っています。

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国内外の最新コスメが集結する「国際化粧品展」開催 “オンライン映え”コスメや日本発ビーガンコスメも登場

 見本市主催最大手のリード エグジビション ジャパンは2021年1月13~15日、化粧品専門展「国際化粧品展(COSME TOKYO 2021)」を東京ビッグサイトで開催する。同イベントは、国内はもちろん世界各国の化粧品が一堂に集う日本最大の化粧品専門展。国内外の商社や小売店、サロンなどのバイヤーやディーラーが多数来場し、最新コスメの仕入れに関する商談が行われる“ビジネスの場”だ。9回目となる今回は、約500社の最新コスメ約2万点が集う。また、同時開催として初めて「エステ・美容医療EXPO」を開催するほか、「美容・健康食品EXPO(インナービューティEXPO)」「化粧品開発展」も開く。

※出展社数、製品数、製品情報およびセミナー講演数は、同時開催展を含む2020年10月2日時点での最終見込みであり、開催時には増減の可能性があります。/出展社数は出展契約企業に加え、共同出展する グループ企業・パートナー企業も含む。(同種の展示会との出展社数、製品展示面積の比較)

目玉は「アットコスメ」とコラボした
ベストコスメ コレクション

 「国際化粧品展」では毎回、企業の担当者や分野のスペシャリストを招いたセミナープログラムや展示企画などを用意しているが、今回の特別展示企画は日本最大のコスメ・美容サイト「アットコスメ」とコラボレートした“ベストコスメ コレクション”を開催。9月に大阪で行った化粧品専門展でも好評だった展示企画で、東京では初開催となる。「ベストコスメアワード2020」受賞アイテムが一堂に会し、“売れるコスメ”の共通点を解説する。

ウィズコロナ向けコスメや
日本発ビーガンコスメも登場

 今年の特徴として、ウィズコロナ時代を意識したコスメも続々と登場する。マスク着用による肌荒れを鎮静化するシカクリームをはじめ、“オンライン映え”するグリッターコスメ、“お家美容”の需要にぴったりな最新パックやマスクなどがラインアップ。そのほか、国産のビーガン・ハラル認証コスメ、CBD(カンナビジオール)アイテムといったトレンド製品もそろう。

「エステ・美容医療EXPO」も
初開催

 これまで「国際化粧品展」の中で訴求していたエステ・美容医療分野だが、年々需要が高まってきたことから、「エステ・美容医療EXPO」としてスピンアウトし初開催する。日本初上陸の痩身マシンや成分を肌の深部まで浸透させる最先端のエレクトロポレーションといった注目の美容機器が登場。さらに、併催セミナーでは 「美容医療トレンド」「サロン集客」などビジネスに役立つ全120講演を開催する。

INFORMATION
国際化粧品展(COSME TOKYO 2021)

期間:2021年1月13~15日
時間:10:00~18:00(最終日のみ17時終了)
会場:東京ビッグサイト
住所:東京都江東区有明3-11-1
入場料:招待券持参者は無料(招待券がない場合は5000円)


問い合わせ先
[国際] 化粧品展 東京 事務局
主催者 リード エグジビション ジャパン
03-3349-8587

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「内田理央、本気でTシャツビジネスに挑む」Vol.0 オタク時代に気づいたTシャツの魅力

 女優やモデルとして活躍する内田理央の普段着は、Tシャツやパーカなどカジュアルが多い。自身のグッズTシャツでは“普段着で着用できるファンT”をコンセプトに、ビキニ姿や虫眼鏡、目もと、幼少期の写真など、さまざまな要素を一つのイラストとして落とし込む。そこで本人が持つ独自の感性と個性を存分に生かしながら、ファッション性や売り方、ブランドの存在理由にまでこだわった「本気のTシャツビジネス」をスタート!「WWD JAPAN.com」が紹介する各界の先駆者にTシャツという商品や、プリントするイラスト、完成した洋服の売り方というビジネスについて学びながら、名前貸しとは全然違う、本気のTシャツビジネスを目指します。0回目は本人にTシャツの魅力について聞いた。

WWD:どうしてTシャツを作りたいと思った?

内田理央(以下、内田):今は女優・モデルを中心に活動していますが、学生時代はキャラクターTシャツを大量に所有するほどのオタクでした。当時は「オタク」と思われていたのに、モデルを始めて、ストリートテイストでキャラTを着こなすと「オシャレ」って言ってくれる。そこで「Tシャツが持つ力はすごいんじゃないか?」と思うようになりました。最近は、自分のグッズTシャツを販売しています。ファンの皆さんは楽しんで着用してくれますが、まだまだ「グッズ」。さらにTシャツの魅力・ビジネスについて知りたいと思いました。

WWD:これまでに製作したTシャツのデザインの着想源はどこから?

内田:コラージュを手掛けている友人に、自分が持つ色々なイメージを伝えて製作しています。親知らずを抜いた記念に製作したTシャツは、フロントに“OYASHIRAZU”を、バックには私が親知らずを抜いた時の写真をプリントしました。

WWD:それらを通して、Tシャツの可能性やデザインのポテンシャルを感じたんですね。

内田:新型コロナウイルスの影響で経営が厳しい企業や団体とコラボして、Tシャツを一枚でも多く販売することで少しでも社会貢献したいという思いも強いです。今年買った動物園のグッズTシャツは、普段着としてはなかなか着用しづらいものでした。みんなが購入して着用写真がSNSで広がれば、「動物園を救えるのに!」と勝手に悔しくなってしまいました。

WWD:Tシャツは奥が深く、生地やサイズ感、パターン、イラスト、売り方もさまざま。そのあたりを一緒に勉強する覚悟はある?

内田:知識のない人間がアパレル業界で実績を築くというのは、過去のタレントさんたちを見ても「大変な道のりだ」と覚悟しています。それでも今だからこそ、「Tシャツで世界を救いたい」と思っています。一から勉強したいです。

WWD: 3カ月〜半年ぐらいは“Tシャツ修行”を積まなければいけないかも。

内田:もちろんです!よろしくお願いします。

WWD:現段階でコラボしたい相手はいる?

内田:大好きな横浜中華街です(笑)。今年はなかなか行けなくて、落ち着いた時に小籠包だけ食べに行きました。私はずっと「小籠包のTシャツを自分で着たい」と憧れていて、特に応援したいと思っています。横浜中華街で働く人たちだけが着用するのではなく、ファッションが好きな人や若い人、中華街を知らない人など、いろいろな人が着用できるものを作りたいです。

WWD:今の夢は「老若男女が着用する小籠包Tシャツ」ですね(笑)。それが今後、どう変わるのか、乞うご期待ですね。

内田:それはとても難しいことですが、夢は大きく持ちたいと思います!

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男性2名が実践するファッションとしてのカラーメイク

 近年のメンズコスメ市場は、ベースメイクやカラーメイクを発表するブランドが相次ぎ、スキンケアだけでなく、BBクリームやファンデーション、さらにはカラーメイクを取り入れた男性も増加している。メイクを普通にしている韓国アーティストの台頭で中性的な“美”に憧れる若者が増加しているのに加え、ラッパーでファッションアイコンとしても人気を博すエイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)やポスト・マローン(Post Malone)はネイルをファッションの一部として取り入れていることなどから、街中でネイルをしている男性を見かけることも珍しくなくなった。今回、メイクをファッションの一部として、メイクを含めたトータルファッションを楽しむ男性2人を取材した。

アクセサリー感覚で楽しむメイクやネイル

 

WWD:メイクはいつごろから始めた?

野口:今年の初夏くらいからです。新型コロナウイルスの影響で、人と会いづらくなっていた状況だったので家にいる時間が長くなっていました。それを逆手にとって自宅でいろいろ試したり、研究したりして過ごしていました。始めるにはちょうど良いタイミングだったと思います。

WWD:きっかけは何だった?

野口:アクセサリーを着用するような感覚でネイルをしている男友達がいて、はじめはネイルに興味を持ちました。普段黒い服しか着ないので、体の一部に色があるのが新鮮で楽しかったです。メイクも目元にカラーがあってもいいかなとネイルの延長で始めました。ファッションに挿し色を加えるような感覚で、今では日々自分の好きなカラーを探していて、完全に“沼”にハマっています。

WWD:メイクを始めて気づいたことはあった?

野口:その日の気分は大きく変わります。先ほども言いましたが、黒い服しか着ないので、街中で目立たないようとどこか意識しています。でもメイクをしていると少し視線を感じるので、それが良い緊張感で生活にハリが生まれました。決して目立ちたいわけでないんですが(笑)

WWD:どのようにメイクの情報を得ているの?

野口:ユーチューブでも見るような韓国っぽい“メンズメイク”は、自分のしたいイメージとは異なっていたので、あまり参考にならないなと思っていました。ピンタレスト(PINTEREST)で探しているうちに、ネイルとメイクをしている海外のモデルを見つけて自分でも真似できそうだなと思って参考にしています。

WWD:メイクをする時の基準は?

野口:ネイルの色によって気分が変わるので、今日は(インタビューを受けるので)落ち着いた印象の緑を塗っています。目元には「ウズ(UZU)」のカーキのアイライナーやマスカラを引いています。「ウズ」は友人が使っていて興味を持ちました。気分を上げたいときは暖色系のコスメを使用して、オンオフ関係なく自由に楽しんでます。

WWD:メイクをするようになったら、周囲の人もメイクも気になるようになった?

野口:メイクを始めるまでは全く分からなかったんですが、自身で使用することで色んなブランドがあって、どういったメイクができるといった理解度も深まりました。街中の女性のメイクを見てどんな風に自分に落とし込めるか、どうすればファッションとして取り入れられるかを考えています。

WWD:ネイルや目元以外のメイクはしない?

野口:以前にBBクリームを試してみたんですが、肌を覆いつくすような印象だったので現状ネイルとアイメイク以外はしていないですね。ただ何かほかに楽しめるものがあれば取り入れたいなと思います。最近では眉ティントにも興味があります。ネイルと同じようにしばらく色が持つので、カラーが楽しめていいんじゃないかなと思います。

WWD:買い物は店頭?オンラインサイト?

野口:お店の雰囲気や店員さんと話すのは緊張するのでオンラインで買うことが多いです。ネイルをしている友人も買い物に行くときに「彼女さんにプレゼントですか?」と聞かれると話していて、まだ男性がメイクやネイルをすることに世の中は慣れていない、理解が追い付いていないのかなと感じています。

WWD:メイクをしたい男性に向けて何かアドバイスするとすれば?

野口:どの色やどんな物を使うのが正解と考える必要はないと思います。ブルーべース、イエローベースなど自分の肌に合ったパーソナルカラー診断もありますが、自分が楽しいと思うカラーを使えばいいと思いますし、ロジカルに考える必要はないって伝えたいです。

メイクも合わせたファッションを意識

 

WWD:メイクをはじめたきっかけは?

定岡:中学2年生のころにK-POPアーティストのビッグバン(BIGBANG)にハマり、男性がアイラインやリップなど、メイクをしていることに衝撃を受けたのがきっかけです。当時、周囲にはメイクをしている男性がおらず、化粧品の知識もなかったので、最初は軽くファンデーションをしたり、眉毛を描いたりと初歩的なことから始めました。

WWD:そこからどのようにメイクを覚えた?

定岡:"渋谷系メンズ"雑誌「メンズエッグ(men's egg)」がギャル男風メイクのファンデーションの塗り方や眉毛の整え方などが特集していて、それを参考にしていました。今でこそユーチューブなどでもメイクのハウツー動画が溢れていますが、当時はメンズ雑誌から情報を得るしかなかったんです。

WWD:女性向け雑誌は読んでいなかった?

定岡:当時、メンズ誌は肌や眉の整え方など身だしなみとしてのメイクしか載っていなかったので、次第に姉や妹が買っていた「セブンティーン(Seventeen)」(集英社)などを読み始めて、アイシャドウやリップの塗り方など徐々にカラーメイクの勉強をしていました。

WWD:どうやって自分に合うコスメを探していった?

定岡:以前、韓国コスメショップで働いていたほど韓国コスメが好きなんですが、成分にもこだわっているものも多い反面、ファンデーションなどはなかなか、肌に合うものを見つけられませんでした。なので百貨店で外資系ブランドのBAさんにアドバイスをもらったり、手につけて色味を確認したりして探しました。

WWD:店頭でタッチアップもしてもらう?

定岡:実は、今まで顔にタッチアップしてもらった経験がないんです。メンズメイクがどんどん普及すればいいなと思う反面、現状男性がタッチアップしている光景はまだまた珍しいですし、僕自身も少しタッチアップを受けるのに抵抗があります。韓国コスメショップで働いていた時に、店外で入りたそうにしていた男性のお客さんに声をかけると、「メイクの知識もなく女性しかいなくて恥ずかしくて……」と言っていて、僕と同じように周囲の目を気にしているんじゃないかと感じました。はやく世間の理解が深まればなと思います。

WWD:どれくらいの頻度でメイクしている?

定岡:毎日です。仕事の時は現場にメイクさんがいても自分でしちゃうくらいこだわりが強いですし、コンビニに行くときでさえメイクは欠かせないです。いつもメイク道具は持ち歩いていて特にUVカット効果の高い日焼け止めは欠かせません。

WWD:メイクにはどれくらい時間をかける?

定岡:大体1時間~1時間半です。仕事上、朝がとても早い時もありますがそれでも欠かさずメイクをします。メイク後の自分が好きだし、自信を与えてくれる。それが一日のモチベーションにもなるのでメイクをする時間は、僕にとってはすごく大切で楽しい瞬間です。

WWD:マスク生活を強いられる今、メイクにも何か変化はあった?

定岡:リップはマスクを外した時に塗るようにしています。顔の大部分が隠れているので見えている目元は、特に以前よりもメイクで遊ぶようになりました。これまで使ってこなかったマスカラを塗り始めたり、アイシャドウもピンクなどの明るい色を取り入れたりしています。マスカラは「ウズ(UZU)」を愛用していて、肌が暗めなので主張が強くなり過ぎないようにコッパー(ブロンズカラー)などのブラウン系を使っています。

WWD:こだわっているメイクのポイントは?

定岡:最近はホワイトのアイラインです。今まではブラウン系のアイシャドウは使っていましたが、「ウズ」ホワイトのアイラインを使うようになってから、カラーを引き立ててくれるオレンジやイエローなど原色系のアイシャドウを使うようになりました。これまでリップやアイブロウなどは使用していましたが、本格的にカラーメイクを始めたのは「ウズ」を使用し始めたのがきっかけです。

WWD:メイクを始める前後で何か変わったことは?

定岡:沖縄出身でよく日焼けしていたこともあり、肌が黒いのがコンプレックスでした。メイクはそういったコンプレックスをカバーしてくれて自信をくれるので、メイクをしている自分のほうが100倍くらい好きです。コンプレックスをなくしてくれる生活に欠かせない存在です。今はファッションの一部としても取り入れています。

WWD:どんな風に取り入れている?

定岡:アイラインって昔は黒系のカラーが多くて目を大きく見せたり、強調したりというイメージでした。今は目元にカラーを持ってきて、アクセサリー感覚でファッションに合わせたメイクにハマっています。例えば、今日の少しモードなコーディネートだと白いレザーのベストと刺し色のオレンジを目元にアイラインの色でリンクさせています。メイクも込みのファッションを意識しています。

WWD:どうすれば男性のメイクにもっと理解が深まると思う?

定岡:メイクをしている男性がもっと“自分”を発信していかなきゃいけないと思います。
どうすればメンズメイクが広まるのか、当たり前になるのかを僕も日々考えています。

WWD:メイクに一歩踏み出せない男性に言葉をかけるなら?

定岡:他人からどう見られるか、メイクをしている自分がどんな風に思われるか不安な気持ちになる男性も多いはずです。僕も昔はそうでした。自分のメイクが周囲にどう思われるか不安で、なるべく自然に見えるように気を使いましたし、不安で鏡ばかり見ていました。だけど今ではメイクをすることで自信も持てたし、今では「誰かの目を気にして躊躇する必要はない。もっと自分らしさを表現したほうがいい」と強く思います。

WWD:ダイバーシティの価値観が広まりつつある現在、“メンズメイク”という言葉に違和感を感じる?

定岡:女性が必ずメイクをしなければいけないという決まりはないし、逆に男性だからメイクをしちゃいけないという決まりもない。だから誰がしていてもおかしくない世の中になればいいなと思います。そういった意味では“メンズメイク”という言葉がなくなるほど寛容な社会になればなと思います。

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「モロッカンオイル」からカラートリートメントが登場 ヘアカラーの悩みをカバー

 アルガンオイル配合のヘアケア製品を展開する「モロッカンオイル(MOROCCANOIL)」から、カラーヘアマスク“モロッカンオイル カラー デポジティング マスク”が誕生した。髪を健康的に保つ「モロッカンオイル」ならではのヘアケア効果があり、トレンドに合わせたカラーリングやカラーした髪の色落ちやダメージなどの悩みをカバーできる全7色をラインアップする。一時的なカラーリングを手軽に楽しめるため、“おこもり美容”でホームカラーに挑戦する感度の高い層から注目を集めている。

色落ちしたカラーを
短時間でリフレッシュ

 ここでは、染める前の髪色がダークからライトブラウンまで対応する“ボルドー”を使用した髪のビフォー、アフターを紹介。ボルドーカラーは、肌なじみのよい暖色カラーとして幅広く支持されており、「モロッカンオイル」のヘアカラーでは、深みのある色を演出する。シャンプー後、タオルドライした髪にマスクを塗布し、5〜7分放置してすすぐだけで簡単にカラーチェンジが可能だ。また、毛先だけやインナーカラーを染めるなど、ポイントカラーを楽しむこともできる。

混ぜ合わせて
理想の色を作ることも可能

ヘアトリートメントとの
ダブル使いで潤い&艶をキープ

 “モロッカンオイル カラーデポジティングマスク”を使った後は、カラーした髪をさらに艶やかにキープする“モロッカンオイル トリートメント”のダブル使いがおすすめ。

 “モロッカンオイル カラー デポジティング マスク”は、アルガンオイルや美容成分を配合し、瞬時に髪に浸透しやすく、内側から艶のある髪に導く。べたつかない処方で、アウトバストリートメントからスタイリンまでマルチに活用できる。両アイテムとも「モロッカンオイル」ならではの、ほのかに甘く香る官能的な香りが特徴だ。

問い合わせ先
モロッカンオイル ジャパン
0120-440-237

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「ランボルギーニ」が東京の新拠点「ザ ラウンジ トウキョウ」で最新V10モデルを日本初披露

 イタリアのスーパースポーツカーブランド「アウトモビリ・ランボルギーニ(AUTOMOBILI LAMBORGHINI)」は、自然吸気V10エンジンを搭載した“ウラカン(HURACAN)”の最新モデル“ウラカンSTO”を発表した。11月18日のオンラインによる世界発表の後、20日に東京・六本木の「ランボルギーニ」の体感スペース「ザ ラウンジ トウキョウ(THE LOUNGE TOKYO)」で、世界で初めて実車が披露された。

レーシングテクノロジーが
注ぎ込まれたロードカー

 “ウラカンSTO”は、同一仕様のマシンで競うワンメイクレースに参戦している“ウラカン スーパートロフェオ(HURACAN SUPER TROFEO)EVO”と、2018、19、20年のデイトナ24時間レースを3連覇、セブリング12時間耐久レースを2連覇した“ウラカンGT3 EVO”のレーシングテクノロジーを活用して生まれたロードカーだ。この戦績を誇る高い技術力を注ぎ込まれた車両性能が、(数々のレースを勝ち抜いた)“実話に基づいている(BASED ON A TRUE STORY)”というモットーの由来となっている。

サーキットを走行しているような
エモーション

レース経験を生かした技術的ノウハウを有する“ウラカンSTO”は、まるでサーキットを走行しているような臨場感が得られる

 特筆すべき特徴は、レーシングマシンのテクノロジーから生まれたエアロダイナミクス(走行時の空気抵抗)、自在なステアリングと高性能ブレーキシステム、ボディーの75%以上にカーボンファイバーを使用して実現した軽量化だ。最高出力640hp(470kW)、最大トルク565Nm/6500rpmの自然吸気V10エンジンを搭載し、0-100km/hはわずか3.0秒、0-200km/hは9.0秒という加速力で最高速度は310km/hに到達する。レーシングカーさながらの高揚感とエモーションを体感できる。2021年春以降のデリバリー予定だ。

「ランボルギーニ」を体感できる
ラウンジがオープン

 “ウラカンSTO”日本初披露の会場となった「ザ ラウンジ トウキョウ」は、「ランボルギーニ」が運営する常設の施設としてアメリカ・ニューヨークに続く2拠点目で、運営はイタリア・ボローニャの本社が直接行う。地下1階、地上3階の建物で、1階はイベントスペース、2階はオーナーとのコミュニケーションフロア、3階はイタリア料理でもてなすホスピタリティーゾーンを設置した。注目点は、イタリア本社以外では初となる「ランボルギーニ」の個人オーダープログラム“アド・ペルソナム(Ad Personam)”専用スタジオを地下1階に常設していることだ。

 スタジオ内にはシートやホイール、内外装素材、ボディカラーなどの多彩なオプションが展示されており、それらのサンプルを見ながら3Dのコンフィギュレーションプログラムを用いて、細部までこだわった自分だけの1台をオーダーすることができる。その仕上がり具合は、VR(仮想現実)で確認することも可能だ。現在、日本で販売された「ランボルギーニ」の約80%が“アド・ペルソナム”で仕上げられているという。

 「ランボルギーニ」の情報発信拠点である「ザ ラウンジ トウキョウ」はオーナーが自由にくつろげるリラックスした空間で、「ランボルギーニ」のコアコンセプトである“インフォーマルなラグジュアリー”という世界観を表現した。また、オーナーだけでなく、一般向けのミーティングやイベント、展示会など幅広い目的で利用が可能だ。

 日本市場における「ランボルギーニ」のビジネスは成長を続けており、この勢いは新型コロナ禍においても衰えていない。独自のレーシングスピリットを象徴した渾身の新モデルの発表、ブランドのDNAやイタリア文化を発信する新しいコミュニケーションスペース「ザ ラウンジ トウキョウ」のオープンで、「ランボルギーニ」は身近な存在としてさらに注目を集めそうだ。

問い合わせ先
ランボルギーニ カスタマーセンター
0120-988-889

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百貨店の本当の“余命” 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。百貨店に関してネガディブな報道が飛び交っているが、中には首を傾げたくなる記事もある。じっくり検証してみた。

 コロナ禍が長引いて、またぞろアパレルや小売業の“余命”予測が流行りのようだが、安直な計算で無闇に不安をあおる記事が横行している。「プレジデント・オンライン」の「『三越伊勢丹の“余命”はあと2年強』経済アナリストが試算する百貨店社の末路」と銘打った記事など、あまりに経営の現実から乖離して不安をあおるだけの無責任な計算だ。不要な誤解が広がらないよう百貨店の経営実態に即した“余命”を真っ当に計算して提示することにした。

経済アナリストが計算した百貨店の“余命”

 「プレジデント・オンライン」の記事は経済アナリストの馬渕磨理子氏によるもので、各社の2020年2月期と同3月期の実績を基準に売上総利益が7掛け、販管費が8掛けになって営業赤字が続いたと仮定した損失が最新中間期末の現預金を食い潰すのに何カ月かかるかという計算だ。それによれば三越伊勢丹ホールディングス(HD)は28カ月、高島屋は170カ月、エイチ・ツー・オー リテイリング(H20)など19カ月しか“余命”がない。

 その計算では三越伊勢丹HDは毎月16億円、高島屋は7億円、H20は14億円の赤字を垂れ流して現預金を食い潰していくが、J.フロント リテイリング(JFR)は14億円の黒字になって永遠の“余命”となる。現預金はキャッシュフローの一端に過ぎず、借り入れを増やせば容易に増やせるものだから“余命”の計算に使うには不適切で、借り入れ能力の元となる純資産、あるいはそれに含み益を加えた実態株主資産を基準とするべきだ。

 あまりに経営の現実から乖離した安直な計算で、“余命”を宣告された3社がその期限に前後して破綻する可能性はゼロだから、3社もアホらしくて反論もしないようだ。執筆者も三越伊勢丹HDには土地・建物が約7000億円、H20にも同2500億円の資産があるから資産を売却すれば“余命”は伸ばせると最後に補足しているが、企業の“余命”を予測してメディアにさらすには安直に過ぎるのではないか。

大手百貨店企業の“余命”は意外に長い

 企業が破綻するのはキャッシュフローの突発的異変(黒字倒産)でもない限り「超過債務」状態に陥ってからで、信用ある大企業は純資産(株主資本)が大きくマイナスにならないと破綻しない。今日の過剰資金供給環境では大企業の黒字倒産はあり得ないし、例え決算書上で純資産がマイナスになっても、不動産や有価証券の含み益で追加融資を受けられるし、売却して益出しすることもできるから即破綻ということはないが、最も現実に近い“余命”は純資産を食い潰すまでの期間だ。

 各社の今中間期末の純資産を起点に、通期の予想純損失が今後も続くという最悪の事態を想定すれば「超過債務」に陥るのに何年かかるかという計算をしてみたが、最も短いH20でも10.92年、三越伊勢丹で11.33年、高島屋で11.71年、不動産業化するJFRは20.32年と各社とも当分、破綻しそうにない。

 純資産対比の運転資金比率は三越伊勢丹HDで11.5%、高島屋で9.3%、H20で10.0%と低く、余命に関わるほど財務上の負担を考慮する必要がない。不動産業化が進むJFRでは棚資産が前期から半減しており、買掛金と営業債務が一括されているため正確ではないが、預かり売上金で492億円余の回転差資金が生じている計算になる。不動産投資が嵩んで純資産対比借入金比率は115.4%と、H20の70.7%、高島屋の54.1%、三越伊勢丹HDの36.1%より頭抜けて高いが、この順に不動産業化が進んでいるということだ。

 今中間期のような異常事態が続くとは思えないから非現実的に厳しい計算方法だが、それでも最低10年は潰れそうもないという結果だったから、各社の膨大な含み益を考えれば“余命”は半永久的な域になる。この結果を見て「百貨店は永遠です!」と言いたくなるかもしれないが、残念ながら小売業態としての百貨店はすでに“死に体”で、ことアパレルの消化仕入れ販売に関しては「終わった」と言わざるを得ない。
大手百貨店各社は過去の資本蓄積が厚く、都心の一等地に構える店舗の不動産価値も高く、アパレルメーカーやテナント出店型アパレルチェーンのような財務のひっ迫はないが、大手4社を比較すると「脱百貨店」の進展度合いで業績や財務状態に少なからぬ格差が開いており、もはや「百貨店業」として比較する意味さえ疑われる状況になっている。

「脱百貨店」の進展による明暗

 かつて「百貨店」として最も成功していた三越伊勢丹HDが「脱百貨店」が遅れて業績が暗転する一方、高島屋は子会社の東神開発を軸とした商業施設事業とクレジット・金融事業に救われ、JFRは百貨店のハイブリッド化という不動産事業化とパルコ事業に救われているどころか、永遠不滅と言いたくなるほどキャッシュフローが改善されている。H2Oは関西圏に集中した百貨店事業が例外的に上手く行っており、コロナ禍で百貨店事業が暗転する一方で食品事業(阪急オアシスとイズミヤの食品スーパー部門)が急浮上するなど、多分野化が報われた感がある。

 三越伊勢丹は20年3月期で百貨店事業売り上げが94.9%も占めたがセグメント利益は15.9%に過ぎず、その割に資産の73.5%も使って資本効率が極めて悪い。クレジット・金融事業は、売り上げは2.1%に過ぎないがセグメント利益の41.0%を占め、使用資産も15.4%と資本効率が高い。不動産事業も売り上げは3.0%だがセグメント利益は43.1%を占めて最大で、使用資産も11.1%と資本効率が高い。

 今中間期では百貨店事業が212億9700万円の赤字に転落し、クレジット・金融事業が12億8500万円、不動産事業が29億9700万円の黒字を計上しても焼け石に水で合計170億1500万円の赤字に沈み、「脱百貨店」の遅れに直撃された。

 高島屋は20年2月期で百貨店事業売り上げが89.1%と三越伊勢丹HDよりは低いが、セグメント利益は29.5%に過ぎず、使用資産は66.1%も占めて資本効率が悪い。クレジット・金融事業は売り上げこそ2.0%に過ぎないが、セグメント利益は20.7%を占め、使用資産は9.6%と資本効率が極めて高い。商業開発事業は売り上では5.2%だがセグメント利益は42.2%も占めて最大で、使用資産も22.4%と資本効率が金融事業並みに高い。建装業は売り上げの3.8%、セグメント利益の7.6%を占め、受注事業ゆえ使用資産は1.8%と限られる。

 今中間期では百貨店事業が138億8800万円の赤字に転落したが、クレジット・金融事業が21億600万円、商業開発事業も郊外施設に救われて32億3800万円の黒字を計上し、合計赤字額を86億6500万円と三越伊勢丹HDのほぼ半分に押しとどめている(三越伊勢丹と高島屋は「事業」と言わず「業」としているが、他社とそろえて「事業」と表記した)。

 JFRは20年2月期で百貨店事業売り上げが66.1%まで落ちたが、ハイブリッド化で採算性が改善されてセグメント利益の47.5%と最大を占め、使用資産も40.7%と利益貢献に見合っている。次いでパルコ事業が売り上げの28.0%、セグメント利益の29.2%を占め、使用資産も29.7%と利益貢献に見合っているから、パルコの買収は成功だったと評価される。不動産事業は売り上げの4.2%にとどまるがセグメント利益は18.1%も占めて収益性が高く、使用資産も22.8%と利益貢献にほぼ見合っている。クレジット・金融事業は売り上げの1.7%、セグメント利益で5.1%、使用資産も6.8%と限られる。

 今中間期では百貨店事業が213億5700万円の赤字、パルコ事業も26億400万円の赤字に転落し、不動産事業が16億3400万円、クレジット・金融事業が4億5300万円の黒字を稼いでも焼け石に水で、合計赤字は218億7300万円と4社で最大となった。不動産事業の都心集中がコロナ禍では裏目に出たわけで、東神開発のような郊外対応が急がれよう。

 H2Oは20年3月期で百貨店事業売り上げが52.7%とJFRよりさらに低いが、セグメント利益は62.0%も占めるほど好調で、使用資産も19.8%と資本効率も突出して高い。食品事業(スーパーマーケット)は売り上げの39.5%、資産の13.3%を占めるが、14年に経営統合したイズミヤが不振でセグメント利益は25億300万円の赤字だった。不動産事業は売り上げの1.0%に過ぎないが、セグメント利益は22.3%も占め、使用資産も15.5%と資本効率が高い。

 今中間期では百貨店事業が34億5600万円の赤字に転落、不動産事業も3億1800万円、その他事業も14億2800万円の赤字に転落したが、イズミヤの食品スーパー部門を分割して阪急オアシスと運営を統合した食品部門がコロナ禍で急浮上して29億200万円のセグメント利益を稼ぎ、合計赤字は23億100万円と4社で最もダメージが浅かった。

会社は残るが「百貨店」も従業員も消えていく

 日本の大手百貨店企業は簡単には潰れないことが分かったと思うが、これまでの「百貨店業」が続けられるわけではない。3フロアも4フロアも埋めてきたアパレルは業績悪化で退店が加速し半分も維持できないし、インバウンドが潰えた化粧品もこれ以上は広がらない。

 ハイブリッド化して定借賃貸のテナントに切り替えるにしてもアパレル関連は半減するし、化粧品も広がらず、雑貨や飲食ばかりになるが、コロナが収束しない限り、飲食も当分は苦しい。D2CブランドやRaaS※1.のショールームストアも話題にはなるが広がりは限られるから、いずれ売り場は埋まらなくなるし、その前に家賃収入が目減りして旨味がなくなってしまう。上層階はいっそオフィスに切り替えたいが、リモートワークの定着でそれも難しくなってきた。

 ECに活路を求めるにしても、ECモール事業者に対するアドバンテージとなるC&C(クリック&コレクト)※2.利便を提供するには店舗数の桁が致命的に足らないし(米国のコールズやしまむら級の千店前後の店舗数が必要)、それ以前に受注引き当てシステムや物流システムの段階で行き詰まり、大半を外部に依存する“張子の虎”で終わりかねない。それらのほとんどを実現してEC比率が30%を超えたニーマンマーカス(NEIMAN MARCUS)やノードストローム(NORDSTROM)とてフルプライス(百貨店)部門の赤字を埋めきれなくなり、ニーマンマーカスは破綻し、ノードストロムも減収減益を止められなくなっている。唯一、突破口となりそうなのはコールズ(KOHL’S)がアマゾン(AMAZON)と提携し、中国の銀泰百貨店がアリババ傘下で再生したように、フロント・決済・物流を備えたプラットフォーマーと連携することだろう。

 不動産業への転換は資本効率を高め財務体質を強固なものにするかもしれないが、その過程で「百貨店業」に従事して来た人々の9割を振り落とすことになるし、投資利回りもじりじりと下がっていく。会社は永らく残るが、「百貨店業」は遠からず一部の都心旗艦店や郊外・地方のサテライトストアを残して消えていき、従業員も大半が離散していく。

 コロナを契機にライフスタイルも社会関係も消費行動も都心集中志向から生活圏分散志向に転じ、服装マウンティングの必要も薄れてお洒落を競う意味もなくなり、久しく元には戻らないだろうから、商業施設もアパレルも生活圏へシフトし、カジュアル化・低コスト化が加速する。百貨店企業は不動産業化と並行して郊外シフトと低コスト化を急ぐべきだろう。


※1. RaaS(Retail as a Service)…小売事業者が蓄積する顧客データや販売ノウハウに、テクノロジーを掛け合わせ、支援サービスを開発・提供すること
 
※2. クリック&コレクト(C&C)…EC受注に顧客の近隣店舗の在庫を引き当て、店渡しやローカル直行宅配で最速かつ送料なしで届けるローカルOMO(店舗とECの融合)体制 

 

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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「時短だから仕事少ない方がいいよね」は「余計なお世話」 バロック・ママ社員による新部署での挑戦

 バロックジャパンリミテッドは、CSR強化や社員へのサステナビリティの観点から、ママ・パパ世代の働きやすさを考慮した「Eコンテンツ開発部」を新設し、同部署から10月に既存ブランド「イム(Y/M)」をEC専業ブランドとして再始動した。従来からある「EC事業部」は既存ブランドの通販業務を担っているのに対し、「Eコンテンツ開発部」はコンテンツやブランド開発から一気通貫で担当する。これにより「アパレルのEコンテンツの最大化と事業化」を目指す。

 「Eコンテンツ開発部」には、現在4人のママ社員が在籍。全員が「スライ(SLY)」「マウジー(MOUSSY)」「ロデオクラウンズ(RODEO CROWNS」の店長やMD、営業などで活躍し、産休・育休から復帰した経験豊富な敏腕メンバーだ。中でも第1号メンバーの牛込里沙マネジャーは、組織から仕組み作りまでを任せられる同部署のキーマンでもある。

 そもそも発足のきっかけは、「20代から会社を支えてくれている社員のライフスタイルの変化を受けて」と熊川大輔・上席執行役員 営業統括本部 副本部長。「店舗管理やスタッフ同士のコミュニケーションは、時短勤務だと難しいこともある。決定力とパワーのある子たちを既存事業に復帰させたかったのが本音だが、これらの課題解決に挑戦する新たな部署を作ってみようと思った」と加える。以前からの構想を、新型コロナウイルスとベテラン社員たちの産後復帰が重なったことが後押した。

 現場では、MDと生産に関する業務をペアで取り組み、急な休みでも「その人しかできない」状況を回避。内装から手作りしたという本社の1フロアには、デスクから撮影スタジオまでが1カ所にまとめられ、「(定時に帰るには)社内の移動時間でさえもったいない」というママたちの意見が、作業動線にまで反映されている。

メリットは「子育てを軸にサポートしあえる“雰囲気”」

 ママ・パパ世代を集めて“部署化”する効果について「1番のメリットは、理解してカバーし合える環境にある。子どもが体調不良のとき、快く休ませてあげられる“雰囲気”が大切。たとえ相手が悪く思っていなくても、心苦しい環境はある」と牛込マネジャーは語る。「育休復帰後の業務内容」や「子育てと仕事の両立」は、アパレルに限らず全ての企業の課題だが、この“休みづらさ”が“子育てへの理解のなさ”と表現される場合も多い。一方で「仕事へのモチベーションはとても高い。1番、結果主義の部署かもしれない」と補足する。

 4人が手掛ける「イム」は、アパレルD2Cブランドのプラットフォーム事業「YOUR BRAND PROJECT Powered by ZOZO」の1ブランドとして10月21日に、「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」で先行発売。「ウェア(WEAR)」公式ユーザーのウェアリスタである社内外の6人をディレクターに迎えた商品は、当初の見込み売上に対して120%と好調なスタートを切っている。特にウェアリスタの1人である「Misatoさんとのコレクションが売れ筋」で、カフタンニットワンピースは、200枚が完売。今後はコラボメンバーを増やし、反響のあるコレクションは単体でのブランド化も検討する。

 発足間もない「Eコンテンツ開発部」だが、牛込マネジャーは「時短だからそんなに仕事を与えない方がいいよね、は余計なお世話(笑)。それも周囲の優しさだが、女子の気持ちをもっと繊細にくみ取る必要がある」。実は牛込マネジャー自身、育休開けにスピード感がゆるやかな部署に配属され、「今日与えられた仕事が1時間で終わった。物足りない」と、逆に熊川大輔・副本部長を呼び出したエピソードがあるという。

 それを受けて「時短だからと変に仕事量を減らすのではなく、きちんと役割を与えた方が生き生きと働いている。会社はノルマを定めて、ルールはスタッフが決める方が、今の時代に合っているのでは」と熊川大輔・副本部長。

 産休・育休復帰で不安を抱えるママ社員が、仕事の感覚を取り戻せる環境を作ることは、さまざまな内情を抱える社員の多様な働き方の後押しになり、会社全体の活性化につながる。

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無限ループも可能に!?フィンランド発スタートアップが仕掛ける“サステナブル繊維革命”

 フィンランドの名門研究所VTT(フィンランド技術研究センター)からスピンアウトしたスピノバ(SPINOVA)は、木材パルプや農業廃棄物の小麦や大麦、わらといった天然素材の繊維質からセルロース繊維を精製する技術を開発したスタートアップ企業だ。レーヨンなどのビスコース繊維の生産時に長らく課題となっていた有害物質も一切使わず、廃棄物も出さず、しかもそうして生産した繊維はリサイクル可能で、服から服へ循環する無限ループも可能になるという。この画期的技術は世界中から注目を集めており、欧州セルロース繊維大手のレンチング・グループ(LENZING GROUP)は2015年の創業当初から出資。また、世界最大のパルプ生産者の一つであるブラジルのスザノ・パペル・エル・ローサ(SUZANO PAPEL EL CELULOSA)からも資金を調達しており、現在の調達額は2500万ユーロ(約31億5000万円)。スザノ・パペル・エル・ローサとは合弁で商業生産に向けた工場設立を計画中だ。「世界一サステナブルな繊維を開発した」とうたうユハ・サルメラ(Juha Salmela)=スピノバ共同創業者兼チーフ・テクニカル・オフィサー(CTO)にオンラインインタビューを行った。

WWD:スピノバは“世界一サステナブルな繊維の生産技術を開発した”と打ち出しているが、具体的にどのような繊維なのか。

ユハ・サルメラ共同創業者兼CTO(以下、サルメラ):全てがナチュラルなセルロース繊維で、現在は原料を木材にしているが、将来的には農業廃棄物の小麦や大麦、わらやタンパク質を含む他の廃棄物の利用も可能になる。わらに関してはフィンランドのエネルギー会社と協業して、すでに小麦のわらを原料にしたドレスのプロトタイプも作った。

WWD:木材からセルロースをつくる際に、劇薬を使わずクリーンに製造できるとか。

サルメラ:はい。私たちは天然素材を分解するために、溶解性のある有害な化学物質は一切使用しない(溶剤は製紙ではよく使われる無害な流動性の添加物)。また、機械的に行うので、洗浄もなく、廃棄も出ない。それこそが他のビスコースやテンセル、モダールやリヨセルモダールなどの既存のビスコース繊維生産と異なる点だ。私たちは木材パルプやその他のセルロース繊維からマイクロフィブリル化(ミクロ化)したセルロースを精製し、その後、水とファイバーの懸濁液の流動性質を修正し、天然ファイバーを特別にデザインしたノズルを通して押し出している。クモが糸を出すのに少し似ている。このセルロースファイバーを非常に細いノズルに通すことができ、この技術もわれわれが開発した専門性の高い技術の一つだ。そして最後に、懸濁液から水分を蒸発させれば、ファイバーが完成する。

WWD:その際に使われる水の使用料も少ないとか。

サルメラ:はい。バリューチェーン全体でみると綿花栽培と加工に比べて99%削減できる。

WWD:原料がわらでも木材由来と同じものができる?

サルメラ:はい。手触りは非常に似たものになる。フィラメント(単繊維)のサイズ次第だ。重要なのは、木の種類やわらといった農業廃棄物の種類ではなく、生産するフィラメントの細かさで、なぜならそれが手触りに最大の違いをもたらすからだ。そして、とても重要な点は繊維をリサイクルできるという点で、私たちの作った繊維を精製工程に戻してリサイクルすることは非常に簡単で、品質も悪くならない。

WWD:コットンやセルロース繊維は服から服のリサイクルを行う際に、繊維が短くなり強度が落ちると聞いたことがあるが、スピノバの技術では強度は落ちないということ?

サルメラ:まさにその通りだ。それが鍵になっている。われわれはファイバーを化学的に分解しないので、繊維の長さは損なわれない。マイクロフィブリル化されたセルロースを機械的に精製し、再度つなぎ合わせている。そのため、品質は退化するのではなく、改善される。

WWD:それは分子レベルまでは戻さないということ?

サルメラ:そうだ。分子レベルのリサイクルではない。基本的には、生地を再び機械的に精製し、先ほど説明したのと同じサイクルをたどることになる。機械的精製後、押し出し、乾燥、そして新しいファイバーができる。

WWD:つまり繊維から繊維の無限ループが作れるということ?

サルメラ:そう願っている。これは理論的には実現可能で、科学者としてはこの仮説が有効かどうかを実験して確かめたいと思っている。今のところ、少なくとも数回のアップサイクル(品質を改善したリサイクル)が可能であることが分かっている。

WWD:他社の繊維と比較して、堅牢度、毛玉、コストなどはどうか?

サルメラ:われわれのファイバーは、ビスコースに似ている。乾燥した状態では綿の特質に近く、綿はぬれると強くなるが、われわれのファイバーの強度はぬれた状態ではビスコースに近い。でも、綿の強度にするのが目標だ。私たちの繊維の手触りは、他のどのセルロース繊維とも異なる。もっとナチュラルな手触りで、人工セルロースとは違って、麻や綿に近い。まだ、かなり粗いので肌に直接触れられるレベルではないため下着のようなものではなく、デニムやシャツ向けだが、現在改良に取り組んでいる。

WWD:価格については?

サルメラ:正確な価格は今はいえないが、商品になったときに、綿に対して競争力がなければ難しいと思っている。最初はもっと高額になってしまうだろうが。
WWD:現在の生産量と今後の見通しは?

サルメラ:今は年間3t程度だが、現在、商用向けの工場を設計している真っ只中で、2年後に完成する予定だ。そうすれば、商業規模になる。フル稼働で5万t程度の生産が可能になる。

ブレイクスルーは他分野の研究の融合

WWD:開発にあたり、ブレークスルーのポイントになったことは?

サルメラ:われわれのイノベーションは、紙パルプの研究とクモの巣紡績の研究の融合によって起きた。オックスフォード大学で開催されたカンファレンスで、クモの巣とタンパク質とナノセルロースの類似性を説明したクモ研究の第一人者のプレゼンテーションを聞いたとき、「この自然のプロセスと同じように木材繊維を紡績してテキスタイルにできないか」というアイデアがひらめいた。EUのプロジェクトの一環としてVTTで技術革新を推進し、このアイデアの特許を申請した。この技術がVTTのバイオマテリアル研究の責任者であるヤンネ・ポラネン(Janne Poranen)の目に留まり、事業がスピンアプトされることになった。VTTでは資金調達が難しかったので。適した人材を確保して、最高のチームを作った。最適な人材を得て、仕事に取り組むことが全てだからね。

WWD:チームは何人?

サルメラ:現在は40人。そして、もう一つ大事なことは、私たちの価値を分かり合える適切なパートナーを見つけ、工業規模までもっていくことだ。私たちには、工業生産規模にするための良いパートナーや良いオーナーたちがいる。良いチーム、良いオーナー、商用生産のための良いパートナーというコンビネーションが、これを可能にする。私たちには「マリメッコ(MARIMEKKO)」などブランドパートナーもいる。

WWD:「マリメッコ」とのコラボアイテムは今後販売される?

サルメラ:買えればよかったのだが、今はプロトタイプだ。生産できる繊維が少ないため、今はオーガニックコットンやリヨセルと混合している。

WWD:あなた自身、繊維が専門ではないのに、なぜ繊維に取り組もうと思ったのか?

サルメラ:イノベーションのためだ。クモが糸を紡ぐように、私もファイバーを紡げるのではないかと気付き、これが非常に大きな発見だった。なぜならテキスタイル業界をよりサステナブルにすることは明らかだったから。だから、必ずやり遂げようと決心した。

WWD:最後にあなたにとってサステナブルな素材とは?

サルメラ:本当にグリーンウォッシングが多いので、このトピックや言葉に関して嫌悪することがあるが、もしポリエステルで作っていてもその商品が25年持つというのであれば、ポリエステルでさえサステナブルになる。その商品のライフサイクル全体がサステナブルでなければならないと思う。

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「非常識な常識に目を向けて」 「ナイキ」の広告で描かれた差別やいじめから差別禁止法を考える 

 2020年は“差別”についての議論が多く交わされたのを肌で感じる一年だった。アメリカでは5月にアフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイド(George Floyd)氏が白人の警察官に押さえつけられて死亡した事件から、全世界で人種差別に対する抗議や意思表明が広がり、「#BlackLivesMatter(黒人の命は大切、以下BLM)」運動が活発化。世界各地でデモが行われ、企業が#BLMのハッシュタグを使った発信を行ったり、人種差別と闘う団体に寄付をしたりと、差別に向き合う動きが目立った。

 日本では11月末、「ナイキ(NIKE)」が差別やいじめを題材にした広告を発表し、大きな反響を呼んだ。動画ではアフリカ系日本人、在日コリアンらの若いサッカー選手の差別やいじめの実体験を描き、「動かしつづける。自分を。未来を。 The Future Isn't Waiting (未来は待ってくれない)」というメッセージを発信。SNSでは「感動した」という賛称がある一方で、差別を否定するようなネガティブなコメントも溢れた。

 人々が声を上げやすい社会を目指して活動する一般社団法人Voice Up Japan(ボイスアップジャパン)は12月10日の世界人権デーに合わせたトークイベントを行った。東京新聞社の望月衣塑子記者をゲストに招き、Voice Up Japanの山本和奈代表とともに日本における人種やジェンダーの差別、差別禁止法の必要性についてなどを対談形式で語り合った。そのトークの一部を紹介する。

“差別の問題意識が持てる人”と“持てない人”を分けるものとは?

「ナイキ」の広告で否定的な意見が上がったことについて、山本代表は「日本では差別の問題意識が低い」と指摘する。「日本でBLMのマーチに参加したときに、SNSを見ると多くの参加者が集まったということが分かったと同時に、『何でやっているの?』『日本人に対して差別はないでしょ』というような否定的な発言を目にした。女性に対する差別の話をすれば、『日本にはレディースデーがあるから、それは男性差別だ』というような揚げ足を取る人が出てくるなど、人によって差別に対する認識は異なる。日本では日常的に『我慢をしろ』と言われることが多くある。セクハラも『我慢できないんだったら、仕事できないよ』という自己責任としてとらえられることもある。(差別が起こるのは)日本社会で、理解や知識が足りないからではないか」と語った。

 望月記者は「『ナイキ』の広告に衝撃を受けた」と話す。「映像を手掛けたのは若いクリエイターだと聞いた。このような議題に問題意識が持てる人と持てない人を分けるのは、自分自身がどこかで差別を受けたり、知人がそのような経験をしていたりと、世の中に差別があることを実感できたかどうかだと思う。女性差別については、伊藤詩織さんのような方が声を上げたことで、それが個人的な問題ではなく、社会的な問題であることに目覚めた人もいたはず。差別を感じられるかどうかがこの問題に向き合えるかのきっかけになったと考える」と分析する。

 また「ナイキ」が過去にアメリカで、有色人種への差別に抗議をしたアメフト選手のコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)を広告に起用したことで賛否両論を受けた事例について、「差別にスポットが当たったことでアメリカでも不買運動や商品を燃やすような反発が出たというが、当時のインタビューに『ナイキ』の創業者の創業者フィル・ナイト(Phil Knight)は『十分な人たちがブランドを支持しているならば、どんなに多くの人がブランドを嫌いでもいい(It doesn't matter how many people hate your brand as long as enough people love it)』と答えていた。他企業だったら、“売れればいい”“稼げればいい”という経済至上主義のマインドが強いこともあるが、『ナイキ』はそうではない。企業の持っている価値や、世の中をどう変えていきたいかという考えを共有して商品を使ってもらって、ブランドを知って欲しいという思いがある。人権に対する包括的な法律ができていない日本で、この広告を出せばあらゆるヘイトや、反発が出ることは企業側も想定できていたはず。それでもこの広告を出した『ナイキ』姿勢に感銘を受けた」と望月記者。

「ナイキ」広告の背景に過去最多のいじめ件数

 この「ナイキ」の広告が作られた背景には、文科省が発表した日本でのいじめの認知件数の増加にあるという。「少子化が進む日本でこれだけ、“子どもを大切にする”という流れがあっても、今年10月に発表された2019年度のいじめ件数は過去最多だったという報告があった。『ナイキ』はいじめの問題に目を向けたときに、あのような人種差別や在日コリアンに対するいじめなどが浮き彫りになったそう。これだけいじめの件数が増えているということは、子どもたちはとても苦しんでいる。子どもたちに寄り添うためにはこういった問題は避けては通れない」と望月記者は話す。

 山本代表は「社会が目を反らしているのは差別だけに限らない。さまざまな社会問題、例えば環境問題も世間の意識が変わらないのであれば、政府が動かなければいけない。恵まれている人がもっと恵まれる環境を作るのではなく、社会的に立場が弱い人を擁護する社会福祉を与えなければいけない。組織が変わらなければならない」と付け足した。

約5人に1人の学生が校内セクハラを受けている

 話題は日本の性犯罪に関する法律の刑法改正についても広がった。望月記者は「今日本は国際連合に指摘されて、刑法改正案の議論が進んでいる。海外では不同意性行は罰則が付くが、日本では脅迫や威嚇などの厳しい要件がない限り罰則が付かない。有識者が指摘しているのは『海外に比べて日本は、不同意性行の社会的規範が希薄だ』ということ。伊藤詩織さんは『イギリスだと、紅茶を飲むときに“お茶に砂糖を入れるか、入れないか”聞くことと同じくらい性的同意を確認することが大事だということが話されている』と言っていた。刑法改正をするだけでなく、もっと社会、メディア、市民が性的同意について議論していかなければならない」という。また「今、校内セクハラについても多く話を聞く。慶應義塾大学はアンケート調査で実態を明らかにし、学生が団体を立ち上げて校内セクハラを無くそうと活動を行なっている」と述べた。

 山本代表も「ボイスアップジャパンでも、アカデミックハラスメント(校内セクハラ)についてのアンケートをとったところ、約5人に1人の学生が、教授、生徒、もしくはその両方からセクハラを受けているという調査結果が出た。しかし、大半が報告すらされていない。それは、声をあげることで“秩序を乱すな”というような空気があり、声をあげづらい環境にあるからだと思う。そこで我慢をすると次の世代にも『私たちも我慢してきたんだから、あなたたちも我慢しなさい』という風潮になる。長年続いている流れが文化の一部になっている。それを今変えていかないといけない」と意見を出した。

“差別禁止条例は社会の常識を変えるきっかけになる”

 最後に、日本で差別禁止法を作る意義について話し合った。望月記者は「川崎市では在日コリアンに対するヘイトが多く、自治体が先駆けて差別禁止条例を作った事例がある。法律を作ることによって、『差別はダメなんだ』という意識を広める影響は大きい。作るまでが大変だが、差別の場面に出くわしたときに法律を根拠に主張ができ、社会の常識を変えるきっかけになる。過去に見聞きしてきた“非常識な常識”に目を向けて、これからの子どもたちが暮らしやすい社会にしていかなければならない」と話した。山本代表も「差別禁止法は必要だ。差別禁止法があることで誰が損するのか?もちろんヘイトスピーチをする人には差別禁止法はないほうがいいが、そもそも日本は差別のない国を目指すべき。差別の問題は絶対にあってはならないことであり、もはやそれをディスカッションしているような段階ではない」と語った。

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「非常識な常識に目を向けて」 「ナイキ」の広告で描かれた差別やいじめから差別禁止法を考える 

 2020年は“差別”についての議論が多く交わされたのを肌で感じる一年だった。アメリカでは5月にアフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイド(George Floyd)氏が白人の警察官に押さえつけられて死亡した事件から、全世界で人種差別に対する抗議や意思表明が広がり、「#BlackLivesMatter(黒人の命は大切、以下BLM)」運動が活発化。世界各地でデモが行われ、企業が#BLMのハッシュタグを使った発信を行ったり、人種差別と闘う団体に寄付をしたりと、差別に向き合う動きが目立った。

 日本では11月末、「ナイキ(NIKE)」が差別やいじめを題材にした広告を発表し、大きな反響を呼んだ。動画ではアフリカ系日本人、在日コリアンらの若いサッカー選手の差別やいじめの実体験を描き、「動かしつづける。自分を。未来を。 The Future Isn't Waiting (未来は待ってくれない)」というメッセージを発信。SNSでは「感動した」という賛称がある一方で、差別を否定するようなネガティブなコメントも溢れた。

 人々が声を上げやすい社会を目指して活動する一般社団法人Voice Up Japan(ボイスアップジャパン)は12月10日の世界人権デーに合わせたトークイベントを行った。東京新聞社の望月衣塑子記者をゲストに招き、Voice Up Japanの山本和奈代表とともに日本における人種やジェンダーの差別、差別禁止法の必要性についてなどを対談形式で語り合った。そのトークの一部を紹介する。

“差別の問題意識が持てる人”と“持てない人”を分けるものとは?

「ナイキ」の広告で否定的な意見が上がったことについて、山本代表は「日本では差別の問題意識が低い」と指摘する。「日本でBLMのマーチに参加したときに、SNSを見ると多くの参加者が集まったということが分かったと同時に、『何でやっているの?』『日本人に対して差別はないでしょ』というような否定的な発言を目にした。女性に対する差別の話をすれば、『日本にはレディースデーがあるから、それは男性差別だ』というような揚げ足を取る人が出てくるなど、人によって差別に対する認識は異なる。日本では日常的に『我慢をしろ』と言われることが多くある。セクハラも『我慢できないんだったら、仕事できないよ』という自己責任としてとらえられることもある。(差別が起こるのは)日本社会で、理解や知識が足りないからではないか」と語った。

 望月記者は「『ナイキ』の広告に衝撃を受けた」と話す。「映像を手掛けたのは若いクリエイターだと聞いた。このような議題に問題意識が持てる人と持てない人を分けるのは、自分自身がどこかで差別を受けたり、知人がそのような経験をしていたりと、世の中に差別があることを実感できたかどうかだと思う。女性差別については、伊藤詩織さんのような方が声を上げたことで、それが個人的な問題ではなく、社会的な問題であることに目覚めた人もいたはず。差別を感じられるかどうかがこの問題に向き合えるかのきっかけになったと考える」と分析する。

 また「ナイキ」が過去にアメリカで、有色人種への差別に抗議をしたアメフト選手のコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)を広告に起用したことで賛否両論を受けた事例について、「差別にスポットが当たったことでアメリカでも不買運動や商品を燃やすような反発が出たというが、当時のインタビューに『ナイキ』の創業者の創業者フィル・ナイト(Phil Knight)は『十分な人たちがブランドを支持しているならば、どんなに多くの人がブランドを嫌いでもいい(It doesn't matter how many people hate your brand as long as enough people love it)』と答えていた。他企業だったら、“売れればいい”“稼げればいい”という経済至上主義のマインドが強いこともあるが、『ナイキ』はそうではない。企業の持っている価値や、世の中をどう変えていきたいかという考えを共有して商品を使ってもらって、ブランドを知って欲しいという思いがある。人権に対する包括的な法律ができていない日本で、この広告を出せばあらゆるヘイトや、反発が出ることは企業側も想定できていたはず。それでもこの広告を出した『ナイキ』姿勢に感銘を受けた」と望月記者。

「ナイキ」広告の背景に過去最多のいじめ件数

 この「ナイキ」の広告が作られた背景には、文科省が発表した日本でのいじめの認知件数の増加にあるという。「少子化が進む日本でこれだけ、“子どもを大切にする”という流れがあっても、今年10月に発表された2019年度のいじめ件数は過去最多だったという報告があった。『ナイキ』はいじめの問題に目を向けたときに、あのような人種差別や在日コリアンに対するいじめなどが浮き彫りになったそう。これだけいじめの件数が増えているということは、子どもたちはとても苦しんでいる。子どもたちに寄り添うためにはこういった問題は避けては通れない」と望月記者は話す。

 山本代表は「社会が目を反らしているのは差別だけに限らない。さまざまな社会問題、例えば環境問題も世間の意識が変わらないのであれば、政府が動かなければいけない。恵まれている人がもっと恵まれる環境を作るのではなく、社会的に立場が弱い人を擁護する社会福祉を与えなければいけない。組織が変わらなければならない」と付け足した。

約5人に1人の学生が校内セクハラを受けている

 話題は日本の性犯罪に関する法律の刑法改正についても広がった。望月記者は「今日本は国際連合に指摘されて、刑法改正案の議論が進んでいる。海外では不同意性行は罰則が付くが、日本では脅迫や威嚇などの厳しい要件がない限り罰則が付かない。有識者が指摘しているのは『海外に比べて日本は、不同意性行の社会的規範が希薄だ』ということ。伊藤詩織さんは『イギリスだと、紅茶を飲むときに“お茶に砂糖を入れるか、入れないか”聞くことと同じくらい性的同意を確認することが大事だということが話されている』と言っていた。刑法改正をするだけでなく、もっと社会、メディア、市民が性的同意について議論していかなければならない」という。また「今、校内セクハラについても多く話を聞く。慶應義塾大学はアンケート調査で実態を明らかにし、学生が団体を立ち上げて校内セクハラを無くそうと活動を行なっている」と述べた。

 山本代表も「ボイスアップジャパンでも、アカデミックハラスメント(校内セクハラ)についてのアンケートをとったところ、約5人に1人の学生が、教授、生徒、もしくはその両方からセクハラを受けているという調査結果が出た。しかし、大半が報告すらされていない。それは、声をあげることで“秩序を乱すな”というような空気があり、声をあげづらい環境にあるからだと思う。そこで我慢をすると次の世代にも『私たちも我慢してきたんだから、あなたたちも我慢しなさい』という風潮になる。長年続いている流れが文化の一部になっている。それを今変えていかないといけない」と意見を出した。

“差別禁止条例は社会の常識を変えるきっかけになる”

 最後に、日本で差別禁止法を作る意義について話し合った。望月記者は「川崎市では在日コリアンに対するヘイトが多く、自治体が先駆けて差別禁止条例を作った事例がある。法律を作ることによって、『差別はダメなんだ』という意識を広める影響は大きい。作るまでが大変だが、差別の場面に出くわしたときに法律を根拠に主張ができ、社会の常識を変えるきっかけになる。過去に見聞きしてきた“非常識な常識”に目を向けて、これからの子どもたちが暮らしやすい社会にしていかなければならない」と話した。山本代表も「差別禁止法は必要だ。差別禁止法があることで誰が損するのか?もちろんヘイトスピーチをする人には差別禁止法はないほうがいいが、そもそも日本は差別のない国を目指すべき。差別の問題は絶対にあってはならないことであり、もはやそれをディスカッションしているような段階ではない」と語った。

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【動画】ウオッチプラス “時計コングロマリット”を知れば時計はもっと楽しくなる!

 「WWDジャパン」とハースト婦人画報社の時計デジタルメディア「ホディンキー・ジャパン(HODINKEE JAPAN)」の時計番組「ウオッチプラス」の今回のテーマは、“時計コングロマリット”です。「オメガ(OMEGA)」や「ブレゲ(BREGUET)」などを擁する世界最大の時計企業スウォッチ グループ(SWATCH GROUP)をはじめ、ファッション関係者にもなじみ深いLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)、コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINACIERE RICHEMONT)、ケリング(KERING)の4グループを取り上げます。

 時計を知るために組織の勉強?と思うかもしれませんが、その時計がどんな背景から生まれたのか、そのストーリーを知ることでいっそう親近感がわきますし、ビジネス戦略的にどんな意味を持つのかを理解すれば、実用品や嗜好品とは別の顔が見えてくるはず。

 出演は、関口優「ホディンキー・ジャパン」編集長、和田将治「ホディンキー・ジャパン」ウェブプロデューサー、村上要「WWDJAPAN.com」編集長、三澤和也「WWDジャパン」記者(時計担当)の4人です。

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大切な人に贈りたい、香りの巨匠「セルジュ・ルタンス」のクリエイション

 フレグランス、メイクアップ、ヘア、映像、写真とさまざまな業界でマルチに活躍する唯一無二のクリエイター、セルジュ・ルタンス(Serge Lutens)。仏「ヴォーグ(VOGUE)」のクリエイションのほか、「ディオール(DIOR)」や資生堂のメイクアップやビジュアルを手掛け、さらに映像作品は国際映画祭でたたえられるなど、芸術界で幅広く活躍し“フランスの知性・哲人”と称されてきた。そんな彼の名を冠したブランド「セルジュ・ルタンス」のフレグランスやメイクアップは、彼の独自の美的感覚の結晶そのものだ。世界のメゾンのトップで活躍してきたルタンスが作るクリエイションは、大切な人にこそ贈りたいホリデーギフトにぴったりだ。

官能的と誘惑的な香り
2種が登場

 すでに50種類近くの香りを生み出してきたが、11月には、待望の新作2種が仲間入りした。「コレクションノワール」からは夜に激しく強い芳香を放つナイトジャスミンを主役に、イランイランやムスクが包み込むような濃厚で官能的な香りの“フィスドゥジョワ”(50mL、1万3000円/100mL、2万円)が登場。製品名は“娼婦”を意味するフランス語「フィーユドゥジョワ」にかけたもので、“喜びの申し子”に値する。親しみやすく温かみがあるとともに感情を揺さぶられる刺激的な印象を残す香りだ。プレミアムライン「グラットシエル」からは、新作“ぺリルーズマンヴォートル”(100mL、3万2000円)が誕生。“危ういあなたへ”を意味し、儚さの中にある強い意志や壮麗な生き方を賛美する香りだ。沈香(ウード)やダマスクローズオイル、アトラスシダーとセルジュ・ルタンスが愛してやまないノートをブレンドしている。

全5ラインのフレグランスを
ラインアップ

 そのほか既存のフレグランスは、全部で5つのラインを展開している。“ロー”(全1種、100mL、1万3000円)は過剰な香水の匂いに満ち溢れた世界への反発として生まれた香りで、“清潔さ”を体現。“コレクションポリテス”(全6種、1万3000円)はラベンダーや白檀、レモンの花、ヨモギなど自然の恵や風景からインスパイアされた柔らかな香りを6種類そろえる。“コレクションノワール”(全20種、50mL、1万3000円/100mL、2万円)は、さまざまなストーリーを描いたユニセックスな香りのファミリーだ。19世紀の英国で午後5時にお茶を楽しむティータイムをイメージした“ジンジャーが香る午後5時”やベルリンを舞台に、バラは棘があるから美しいのだとタキシード姿の少女とイメージを重ねた “ベルリンの少女”など、幻想的で独特な世界感の香りがそろう。“グラットシエル”(全12種、各100mL、各3万2000円)は“罪作りな月下香”“松林の女の子”“名づけえぬもの”など、どこかミステリアスで、ルタンスの芸術的感覚を注ぎ込んだ詩的な香りをラインアップする。最後に“セクションドール”(全8種、各50mL、各5万円)は「一番美しい素材を盛り込み、自分のために作った香り」と本人も称する最高峰ラインだ。

メイクアップの巨匠が作り上げる
最高級メイク

 メイクアップライン“ネセセールドゥボーテ”は、メイクアップの伝説とたたえられるルタンスの経験と才能を集結させたアイテム。“色の魔術師”と称されるルタンスがこだわり抜いた色、手のひらに収まる弾丸のようなデザインのリップスティックなどのリップアイテムに加え、ヴェールのようなパウダーに肌に溶け込むファンデーションやチークなどのベースメイクを展開。さらに、目元をシックに美しく飾るマスカラやアイシャドウなどのアイメイクもそろえる。全ての製品は塗る仕草の美しさまで追求したパッケージにもこだわり、まるでジュエリーのような存在感を放つ。

銀座店が誕生2周年

 なお、全ての製品が一同に集まるのは、銀座にある旗艦店だ。2018年11月にオープンした同店は、今年2周年を迎えた店内には日本の漆や金箔、折り紙をほうふつとさせるデザインに、アラビア文様などがあしらわれており、ルタンスの世界観を表現している。

INFORMATION
■セルジュ・ルタンス 銀座

住所:東京都中央区銀座5-9-15 B1F
営業時間:11:00〜19:00 不定休
電話番号:03-5537-7813

問い合わせ先
セルジュ・ルタンス 銀座
03-5537-7813

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」ボディーケア・新製品部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。ボディーケア・新製品部門は、世情を反映した製品がランクインした。百貨店・セミセルフ部門の1位は、「ロクシタン(L’OCCITANE)」の“ヴァーベナ クリーンハンドジェル”。定番部門のダブル受賞となるほど注目されたアイテムで、「コロナ禍による需要増」の声は定番同様に数多あった。2位は長く愛され続ける「イプサ」(IPSA)」の“ザ・タイムR アクアオイル”。3位は「ディオール(DIOR)」から限定発売された、“ミス ディオール ブルーミング ボディ パウダー”だった。バラエティー・ドラッグストア部門の1位は、「紫外線予報」 の“さらさらUVスティック”。「昨年からUVスティックに注目が集まっている中、国産UVでは認知度のあるブランドからの発売ですぐに完売した」という。2位はパッケージリニューアルした「クナイプ(KNEIPP)」の“クナイプビオ オイル”、3位は「ニベア(NIVEA)」から新登場の高価格帯シリーズの“ニベア ロイヤルブルー ボディミルク”という結果となった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “ヴァーベナ クリーンハンドジェル”

「ロクシタン」

 パンデミックの世情を反映した“ヴァーベナ クリーンハンドジェル”が総合部門に続き、新製品部門でも首位を獲得。すっきり爽やかなヴァーベナの香りのハンドジェルは、エタノール(溶剤・清涼剤)を70vol%以上配合の、高濃度アルコール製品。手洗いが難しい外出先でもさっぱりとした使い心地でフレッシュに保つ。保湿成分のグリセリンを配合することで、優しくいたわりながら手肌をガードし、清々しい香りが強張った心を解きほぐす。今年8月にはビッグボトルも登場した。(65mL、1400円 280mL、3900円)

2位 “ザ・タイムR アクアオイル”

「イプサ」

 2位の“ザ・タイムRアクアオイル”は、滑らかな肌へと導く、オイル状美容液。ロングセラー化粧水の“ザ・タイムRアクア”の使い心地の良さと保水力を全身ケア用に応用して開発されたアイテム。独自のアクアオイル技術と保湿成分を採用し、肌に必要な水分量をキープ。水分補給効果を全身にたっぷり与える。ボディーだけでなく髪や指先、爪などにも使用できるマルチパーパス設計。20年1月に限定で発売された際、多くの支持を集めた。(100mL、5000円)※数量限定品

3位 “ミス ディオール ブルーミング ボディ パウダー”

「ディオール」

 3位は「ディオール」の限定品、“ミス ディオール ブルーミング ボディ パウダー”。「ミス ディオール」は、「ディオール」のフェミニニティーを象徴するシリーズで、ブランドのフィロソフィーである、モダンで好奇心旺盛な新たなエレガンスを伝える。繊細に、しかし眩いほどの輝きを放つ。カラブリアンベルガモットがみずみずしい輝きで体を包み込みながら、ホワイトムスクがふわりと混じり合うフレッシュフローラルな香りが特徴。(16g、5400円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “さらさらUVスティック”

「紫外線予報」

 1位は、UVケアブランド「紫外線予報」の“サラサラUVスティック”。手を汚さす使えるスティックタイプは、塗った直後にピタッと密着してパワフルにガードする。紫外線防御は極めて高い数値にも関わらず、デリケートな肌にも優しい無色素で無香料、ノンパラベン、ノンアルコール。さらに、アルブチンやコラーゲンなどの配合で肌の潤いにも考慮した。ウオータープルーフなのに石鹸で簡単に落とせるのもポイント。さまざまな肌質や環境にマッチする。SPF50+・PA++++(15g、1700円)※数量限定品

2位 “クナイプビオ オイル”

「クナイプ」

 完治した傷痕やニキビ痕などの肌の悩みのほか、肌の乾燥をケアなどにも活躍する100%天然由来成分のオーガニック美容オイル“クナイプビオ オイル”が2位。サンフラワー油にオリーブ果実油、グレープフルーツ果皮油などを配合し、フェイスはもちろんボディー、ヘアケアとしてマルチに使える。キメの整った滑らかな肌へとアプローチし、妊娠線予防対策オイルとしても一役を買う。高い基準を課すことで知られる、オーガニック国際認証のネイトゥルー(NATRUE)を取得するオイルは2014年にデビュー、20年9月にパッケージをリニューアルした。(20mL、500円 100mL、1800円)

2位 “ニベア ロイヤルブルー ボディミルク”

「ニベア花王」

 「ニベア」の新ライン、ロイヤルブルーが3位に。“美容ケア”と“乾燥トラブルケア”の2種をラインアップする。角層を潤わせるためにセラミドEやコレステロール、イソステアリン酸コレステリル、グリセリンなどを共通成分として採用し配合した。手に取った瞬間からとろけるような濃厚さからもニベア史上最高の価格帯を感じさせる。“美容ケア”はハリと透明感ある肌に、“乾燥トラブルケア”はしっとりとした健やかな肌にそれぞれ導く。【医薬部外品】(各200g、各1600円 ※編集部調べ)

2位 “ボディキュット”

「アガリズム(AGARISM)」

2位 “ホットボディジェル”

「バンビウォーター(BAMBI WATER)」

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

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ビンテージを軽やかに操る「ボーディ」 ウールマークプライズ受賞で波に乗る新鋭デザイナーの物作り

 ザ・ウールマーク・カンパニー(THE WOOLMARK COMPANY)が主催する「2020 インターナショナル・ウールマークプライズ(IWP)」イノベーション部門のカール・ラガーフェルド賞に、エミリー・アダムス・ボーディ(Emily Adams Bode)のメンズブランド「ボーディ(BODE)」が選出された。同賞は独創性と革新性が評価されたデザイナーに贈られる賞で、昨年死去したカール・ラガーフェルド(Karl Lagarfeld)の名にちなんで新設され、受賞者には10万豪ドル(約750万円)が贈られる。

 ニューヨークを拠点にするアメリカ人のボーディは、パーソンズ美術大学(Parsons School of Design)でメンズファッションデザインと哲学を学び、「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS」と「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」で経験を積んだ後に自身のブランドを2016年に立ち上げた。「手仕事の美しさをリスペクトし、新しい命を与える」というコンセプトのもと、アンティークのテキスタイルや工場で集めた余剰素材を使ってストーリー性のある服作りを行っている。IWPを受賞したコレクションは19〜20世紀のキルトやシルク、デッドストックのワッペン、馬用のブランケット、1930年代に稼働を終えたニット工場のステッチサンプルから着想を得たトレーサブル(追跡可能)認証済みのメリノウール・ジャカードニットなどを使っている。日本ではザ・ウールマーク・カンパニーのネットワークを通じてユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)やフリークスストア(FREAK'S STORE)、フェイ(FAYE) 、リリー デル サローネ(LILLY DEL SALONE)、ユニオン トーキョー(UNION TOKYO)、メイデンズショップ(MAIDENS SHOP)、HNWストア(HNW Store)などで12月末〜21年1月に販売される予定だ。受賞時の喜びやコレクションへの思い、日本との関係性についてをボーディに聞いた。

「チームを大きくするよりいい商品を届けたい」

——IWPに応募したきっかけは?

エミリー・アダムス・ボーディ(以下、ボーディ):デザインを学んでいた学生時代から歴史あるIWPに憧れていたけれど、当時はどこか遠い存在のように感じていたわ。でもブランドを立ち上げてから数シーズンを経て自分がやってきたことに自信を持てるようになったし、取引先とも良好な関係を築けている今が挑戦するのにぴったりのタイミングだと思ったの。

——受賞が決まった時の率直な感想は?

ボーディ:とっても感動した!IWPはカール・ラガーフェルドら数多くの有名デザイナーの才能を早くから見出していたし、そんな素晴らしい受賞者と肩を並べられて魔法のような瞬間だった。チームとともにこれまで創作に熱心に取り組み、一生懸命積み重ねてきた努力が実を結んだと実感したわ。私たちが評価されたのは、生産過程の工程で異なる要素が相互的に構成されている点じゃないかしら。具体的には、素材の製造背景とトレーサビリティ、ビジネスの透明性、クラシックでありながらイノベーションの要素も備えている点ね。

——賞金はどのように使う?

ボーディ:素材面に投資してさらにいい商品を作りたいわ。例えばメリノウール100%にしたり、トレーサビリティがより明確な素材を使用したりするとかね。今年はロックダウンを経験して、ビジネスにおいて成功とは何を意味するのかや、「ボーディ」にとっての成功とは何かを塾考したの。私たちが目指すのはショーを行ってチームを大きくすることじゃなくていい商品を届けることだから、生産面に投資しようという結論に至ったのよ。

——IWPの審査に向けて2020-21年秋冬コレクションでメリノウールを使用して何か新しい発見はあった?

ボーディ:ウールの中でも最高品質なうえに、天然繊維のため生分解性で再生可能な繊維だという魅力をより多くの人に伝えたいと思ったわ。IWPを意識したことでほかの素材についても改めて考える機会になり、繊維がどこで生まれ、どのように製造され、どんな生産者を選ぶべきかなどね。メリノウールの製造背景がとても明確だからこそ、素材を見て選ぶだけではなく、より深く考えて選択するべきなのだと学んだわ。

「日本は関係性が最も早く深まった国」

——点物や少量生産のアイテムが多い中でビジネスとのバランスをどのようにとっている?

ボーディ:一点物の商品の売り上げは全体の半分くらい。あとはデッドストックやアンティークのテキスタイルを使ってニューヨークとインドで生産しているの。ニューヨークでは仕立て屋や100年の歴史がある工場と、インドでは家族経営や女性だけが働いている小さな工場に依頼しているわ。IWPを通じてインドのウールの製造業者とつながることができたから、これからもっと多く生産ができるはずよ。これまでも製造業者や工場、サプライヤーとの関係性を強くして生産数を徐々に増やし、ブランドを少しずつ成長させてきたから今後も続けたいわ。大量生産できないからこそ顧客に特別感持ってもらえるしね。

——「ボーディ」の服を女性が着用しているのをよく見かけるが、ウィメンズのコレクションを制作する予定は?

ボーディ:今の顧客の半分は女性なのよ。日本を含め世界のいくつかの小売店は、女性顧客に向けて買い付けてくれている。だから「ボーディ」がメンズブランドだとうたう必要はないと思っているわ。ウィメンズのコレクションを作る予定は今のところないけれど、市場に参入すべきタイミングだと感じたら可能性はあるかもしれないわね。

——日本ではデビュー時から卸先が決まるなど支持を集めているがなぜだと思う?

ボーディ:日本はファーストシーズンから3か4店舗の小さな店が買い付けてくれて、関係性が最も早く深まった国の一つなの。今もシーズンごとに成長を続けているのよ。初期のころは今よりもっと限られた生産数だったのに、私たちの物作りを深く理解し消費者に届けてくれた。一点物やビンテージに扱いに慣れていたのかしら。だってイギリスのブラウンズ(BROWNS)やECのマッチズ ファッション(MATCHES FASHION)、ミスターポーター(MR PORTER)などはどのように販売すべきかを最初の数シーズンは模索していたように見えたから。今では理解してくれているけどね。

——日本の顧客の印象は?

ボーディ:日本はクラフトやビンテージへの敬意を持っているし、時間をかけて物を大切に育てることや愛着を持つ意識が強いから、「ボーディ」の価値を見出してくれたんじゃないかしら。本当は3月に初めて日本に行く予定だったのにキャンセルになってしまったから、次の機会に期待しているわ。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」ヘアシャンプー・総合部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。ヘアシャンプー・総合部門の百貨店・セミセルフは香りも豊かな植物由来成分を配合したアイテムが並んだ。1位は、「ロクシタン(L’OCCITANE)」の“ファイブハーブス リペアリングシャンプー”。「香りだけでなく、さらっとした仕上がりも人気でリピーターが多い」という。2位に「ジョンマスターオーガニック(JOHN MASTERS ORGANICS)」の“イブニングPシャンプー N”、3位は、「アヴェダ(AVEDA)」の“インヴァティ アドバンス エクスフォリエイティング シャンプー”という結果だった。バラエティー・ドラッグストア部門では、「頭皮系シャンプー不動の人気商品」との声を受け、「スカルプD(SCALP D)」の“薬用スカルプシャンプー オイリー ”[脂性肌用] [医薬部外品]が首位。2位は、「ザ パブリック オーガニック(THE PUBLIC ORGANIC)」の“スーパーポジティブ ダメージリペア シャンプー”と、「ルメント(LE MENT)」の“スパークリングオイル クレンジング&シャンプー”がランクインした。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “ファイブハーブス リペアリングシャンプー”

「ロクシタン」

 熱や紫外線、乾燥などの環境による外的要因や、切れ毛や枝毛のダメージなどの悩みから救う“ファイブハーブス リペアリングシャンプー”が首位。従来の3倍にパワーアップした、独自の修復成分リペアリッチコンプレックスを新たに配合。豊かな泡が髪の内部に働きかけることで補正へと導く。ラベンダーにゼラニウム、スイートオレンジ、アンジェリカ、イランイランの5つのハーブをブレンドしたシャンプーは、洗うたびに潤いをプラスしながらダメージをケア。しなやかでさらさらの美しい髪をかなえる。(300mL、2600円 500mL、3800円)

2位 “イブニングPシャンプー N”

「ジョンマスターオーガニック」

 2位は、“イブニングPシャンプー N”。イランイランとゼラニウムが心地よく香る女性人気No.1で知られるシャンプーで、乾燥した髪と頭皮を潤すことに注力したリニューアル版。しっとりとした使用感で頭皮と髪の乾燥をケアする働きはそのままに、ココナツ由来などの洗浄成分を配合することで泡立ちがより豊かになった。ホホバ種子油やアボカド油、月見草油を配合した処方は地肌に優しく、しなやかで美しい髪へと導く。ハリとコシにも考慮してパワフルに進化した。(236mL、2900円 473mL 、4900円)

3位 “インヴァティ アドバンス エクスフォリエイティング シャンプー”

「アヴェダ」

 3位の“インヴァティ アドバンス エクスフォリエイティング シャンプー”は、アーユルヴェーダの知恵と先進の植物科学を融合して生まれたヘア&スカルプケアシリーズから、12年にデビューし、18年1月にリニューアルした「アヴェダ」のヒーロープロダクト。クリーンな頭皮にこそ健康な頭皮との考えをもとに作られたシャンプーにはウインターグリーン由来のサリチル酸やグルコサミンを配合した。汚れをしっかり除去しながら、頭皮の皮脂をコントロールする。(200mL、3300円 1000mL1万2375円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “薬用スカルプシャンプー オイリー”

「スカルプD」

 頭皮の健康こそ発毛の基本とするブランドフィロソフィーを体現する、“薬用スカルプシャンプー オイリー[脂性肌用] [医薬部外品]”が1位。19年に発売した14代目には、髪と頭皮の健康に導くゲットウ葉エキス、メリッサエキス、オオバクエキスのトリプル配合をメインに、湿潤剤である豆乳発酵液とカッコンエキスをプラス。頭皮環境を調整しながら、独自成分のアミノDウォッシュがパワフルに洗浄。頭皮が優しく潤う。(350mL、3612円)


2位 “スーパーポジティブ ダメージリペア シャンプー”

「ザ パブリック オーガニック」

 幸せホルモンに着目した“スーパーポジティブ ダメージリペア シャンプー”が2位。鍵を握るのは、独自にブレンドした3つの精油で、ソマリア産フランキンセンス精油、マダガスカル産イランイラン精油、グアテマラ産レモングラス精油をブレンドして配合。他者への愛情が増すホルモンのオキシトシンが大幅にアップする作用に加え、独自に配合した植物由来の濃密泡で外的ストレスからダメージを受けた髪を補修する。(480mL、1580円 詰替用 400mL、1180円)

2位 “”ルメント スパークリングオイル クレンジング&シャンプー”

「ルメント」

 販売本数はシリーズ累計160万本(2020年10月31日時点)を誇る“ルメント スパークリングオイル クレンジング&シャンプー”が同率2位。高濃度炭酸と希少価値の高いレアオイルと、厳選の美容成分を配合した濃密泡タイプのノンシリコーンシャンプー。3日に1度、いつものシャンプーに代えて使用することで艶やかで健康的な髪へと導く。高濃度炭酸で頭皮をしっかり洗浄しながら、低刺激のアミノ酸系成分で余分な油分だけを除去する。植物オイルや9種類の植物エキスが頭皮環境を整えながら、しなやかな髪とハリのある肌へと導く。
(200g、2400円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

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ガジェット好きに贈るテックギフト14選

 最新技術を備えたガジェット(電子小物など)は、年々新しい電化製品やアクセサリーが生み出されやすい分野でもあり、生活を便利に、そして豊かにするアイテムがそろう。使いこなせば、おうち時間の充実や仕事の効率アップを図ったり、スマートテクノロジーを活用して健康を管理したりすることもできる。バリエーションは、スマートフォンやイヤホンなどのデジタルデバイス向けの周辺アクセサリーからアプリと連動して使用する先進的なデジタルガジェットまで多彩だ。そんな中から、ソーシャルメディアを日常的に使いこなす人や、新しい電化製品や便利な道具が発売されるとすぐに試したくなる“ガジェット好き”が喜びそうなテックギフト14選をお届け!

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インフルエンサー名鑑Vol.6 プチプラファッションを発信する2児の母たいようがコーディネートやマイルール、子どものこと回答

 インスタグラムを筆頭とするSNSの普及で、「憧れの人」「なりたい人」が細分化している。今は、誰もが、それぞれの「なりたい人」を持っている時代。ならば、そんな身の回りの人を改めて知るべきではないか?そこで「WWDJAPAN.com」は、インフルエンサーをはじめとするソーシャルリレーション マーケティング事業を手がけるリデルの協力を得て、身近な新世代インフルエンサー名鑑を作成する。

 今回はプチプラブランドを中心に、アイテム情報やコーディネートなどを発信するたいよう。私生活では2児の母で、同世代のフォロワーを中心に支持を集める彼女には、コーディネートのポイントやアイテム選びのほか、インフルエンサー業と子育てについてなど私生活に関する質問も寄せられた。本人のパーソナルな考えも含めた質問と回答を一挙に公開する(2020年12月14日号の「WWDジャパン」には、彼女が現在に至るまでの経緯などを聞いたインタビュー記事を掲載します)。

プチプラファッションや着こなしについて

Q.:プチプラブランドを好きになったきっかけは?
A :インスタグラムで発信するようになってから、気付けば大好きになっていました。フォロワーさんとプチプラファッションの「可愛い!」を共感するのが本当に楽しいです。

Q.:一番洋服を買っているお店は?
A.:「しまむら」が一番多いです。宝探しみたいな感じで可愛いお洋服を見つけると、ついニヤニヤしてしまいます(笑)。

Q.:今年買ってよかったアイテムは?
A :しまむらで全色買いしたデニム。悩みだった下半身太りも、カバーしてくれて
テーパードデニムなので合わせやすい!このデニムに出会えて良かったです!

Q.:コーディネートを組む時のマイルールを教えてください。
A :カジュアルすぎない、フェミニンすぎないなど過度にならないことです。花柄スカートの場合、トップスをスエットにしたり、足元をスニーカーで外したり工夫します。デニムだったら、小物で女性らしさを加えて、コーディネートの中和を大切にしています。たまにすごくカジュアルなコーデをしたくなる時もありますが(笑)。あとは、小物を含め使う色は3色に抑えています。

Q.:コーディネートはどこから決めますか?
A.:まず始めにその日着たいアイテムを決めます。トップスだったり、ボトムスだったり、とくにアイテムに縛りはないです。アイテムが決まったら、カジュアルかフェミニンなどスタイルをイメージします。そして最後に小物でバランスを取る。小物使いがかなり重要です。

Q.:これは鉄板!というアイテムを教えてください。
A :ベージュのスニーカーです。基本どんなコーデにも合いますし、オールシーズン使えるので持っていて間違いなしです!

Q.:20代後半でもプチプラブランドを着こなすコツを教えて欲しい。
A :シンプルなコーディネートに、インパクトのあるアイテムを取り入れることです。例えば服も小物もシンプルだと、パッとしないコーディネートになってしまいがちなので、小物、または足元にインパクトのある物を取り入れるとグッと垢抜けます。

Q.:オシャレで防寒対策できるアイテムを教えてください。
「ユニクロ」の"ヒートテックコットンクルーネックT"がオススメです。今年は、レイヤードコーデがトレンドなので、ニットやパーカーなどのアイテムの中に着てお洒落を楽しんでいます。暖かいのですごく優秀です!私は、メンズのLサイズを購入しました。

Q.:よく買う色は?
A.:ベージュが多いです。何にでも合わせやすくて可愛いし、ついつい買ってしまいます。「あー、またベージュ買っちゃったよ」って後悔するときもあります(笑)。ベージュは大好きなので止められないです。

幸せな瞬間や子育て、人生の目標など

Q.:理想のデートは?
A :赤提灯系の焼き鳥屋でビールを飲むみたいなラフな感じが好きです。飾らなく自然体で楽しめるのが好きです。

Q.:好きな食べ物は?
A :カプリチョーザの"トマトとニンニクのパスタ"です!初めて食べた時は、衝撃的に美味しくて驚きました。最近は、中々食べに行けていないのでウズウズしています。

Q.:全身を自撮りするときのポイントを教えてください。
A :全身が入る距離で三脚で膝くらいの高さにカメラを置いて、スクエアで撮るとスッキリします。

Q.:インフルエンサーをしていて幸せを感じることは?
A :フォロワーさんに参考にしてもらえること。また温かいコメントやDMをいただけると、本当幸せだなぁと思います!いつも見てくださる皆様、ありがとうございます!

Q.:育児とインフルエンサー業というオンオフのバランスで気を付けていることは?
A :しっかり時間を決めて、オンとオフを明確にする。もし、時間内に終わらない時は、子どもが寝てからSNSの時間にするなど家族と過ごす時間を大事にしています。

Q.:座右の銘は?
A :イチローさんの言葉「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道」です。

Q.:今後の人生・仕事での目標は?
A :仕事での目標は、"身近でつい真似したくなるような着回しコーデ"を集約した本を出版することです!いつか実現出来て、誰かの身近な一冊になったらいいなと妄想しています。人生の目標は、子供との時間をたくさん作ること。子供の成長はあっという間なので、まだ「ママ〜!ママ〜!」な時期に、少しでもたくさん一緒

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」フレグランス・総合部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。フレグランス・総合の百貨店・セミセルフ部門はフレッシュな香りがそろった。1位は、「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」の“イングリッシュ ぺアー & フリージア コロン”。ブランド内でも揺るがない人気で、「SNSなどの口コミ」「リピート客、新客ともに多く、ギフト需要が高い」ことによる受賞となった。2位は「シロ(SHIRO)」の“サボン オードパルファン”、3位は「ディオール(DIOR)」の“ミス ディオール ヘアミスト”だった。バラエティー・ドラッグストア部門では日常に変化を与える、とりわけ「モテ」をキーワードにするアイテムが目立った。1位は、「フィアンセ(FIANCEE)」の“ボディミスト ピュアシャンプーの香り”。2位は「フェルナンダ」の“フレグランス ボディミスト(マリアリゲル)”、3位は「ジュテームH(JE T'AIME H)」の“オードトワレ”という結果だった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “イングリッシュ ぺアー & フリージア コロン”

「ジョー マローン ロンドン」

 「ジョー マローン ロンドン」のブランド内で不動の人気No.1を誇る“イングリッシュ ぺアー & フリージア コロン”がトップに輝いた。英国の果樹園で収穫したばかりの熟れた洋梨が持つ官能的なみずみずしさが香り立ち、白いフリージアのブーケで優しく包む。アンバーにパチョリの芳しくもパワーに満ちた香りに、エッジの効いたウッドが溶け出し、温かみをも感じさせる。その独創的でエレガントな香りはブランドフィロソフィーを具現化する。(30mL、8000円 50mL、1万1200円 100mL、1万6000円)


2位 “サボン オードパルファン”

「シロ」

 2位は、ミスト状香水“サボン オードパルファン”。時間とともに変わる香りを最大限に楽しめるように開発された一本。レモン、オレンジ、ブラックカラント、ライチのジューシーな色鮮やかなフルーツが重なり合いながら香り立つ。軽やか透明感のあるフレッシュな印象のトップノートから、ローズやジャスミン、スズラン、プラムを配したミドルへ。ベースのムスクやアンバーなどが力強く響かせ、柔らかくて深い香りで包み込む。(40mL、3800円)

3位 “ミス ディオール ヘアミスト”

「ディオール」

 「髪に香りを纏うことは、エレガントで心に響く所作。いにしえから続く、神秘的なフェミニティのサイン」と考える「ディオール」のフィロソフィーを具現化して誕生したヘアミストは、その魅惑的なエレガンスを投影。フレッシュな香りが長く持続させながら、髪を健やかに整えるための成分を配合した。髪の保護に有用な成分を含んだフォーミュラにほのかな香りを髪にプラス。上品に広がる香りでヘアからドレスアップする。(30mL、4500円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “ボディミスト ピュアシャンプーの香り”

「フィアンセ」

 1位の“ボディミスト ピュアシャンプーの香り”は、シャンプーを思わせる、ほのかに優しく広がる香り。シューとひと吹きした瞬間からお風呂上がりのような気分も与える香りは、場所やシーンを選ばず使えるカジュアルさが魅力。トップのグリーンアップルとレモンがフレッシュに香りながら、ミドルのジャスミンとミュゲの華々しさを引き出す。ムスクやウッディーが溶け出すラストにも清潔感を持たせた。(50mL、1200円)

2位 “フレグランス ボディミスト(マリアリゲル)”

「フェルナンダ」

 2位は、アクセサリー感覚でカジュアルに楽しめるボディミスト“フレグランス ボディミスト(マリアリゲル)”。「フェルナンダ」ブランド内の人気No.1のボディミストは、ヒアルロン酸などの保湿成分を配合。香りを楽しみながら美肌へとアプローチする。入浴後にひと吹きすれば、心身がリフレッシュ。ジャスミンと洋梨の甘やかな香りをベースに、すずらんのあたたかさで包み込む。ふわりと香る上品なウォータリーフレーバー。(100mL、1400円)

3位 “オードトワレ”

「ジュテームH 」

 「究極のモテ香水」の愛称で親しまれる、“ジュテームH オードトワレ”が3位にランクイン。キーとなるのはクレオパトラが愛し、いにしえより媚薬としても知られるジャスミン。そして、女性ホルモンの一つであるオスモフェリン。カシスやピーチの香りがみずみずしく弾け飛ぶ序章に、ジャスミンやムスクが華々しく混じり合うフローラルノート。「モテ」にフォーカスしたユニークなフレグランスは、フェロモンに着目して開発。(30mL、3000円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」フレグランス・新製品部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。フレグランス・新製品は、百貨店・セミセルフ部門で花々の芳しい香りの魅力に改めて気付かされるラインアップ。その首位に輝いたのは「ディオール(DIOR)」の“ミス ディオール ローズ&ローズ”で、「SNS効果もあり購入につながった」という。次ぐ2位は「シャネル(CHANEL)」の“ココ マドモアゼル ロー プリヴェ 〈ヘア&ボディ ミスト〉”、3位に「ティファニー(TIFFANY & CO.)」の“ティファニー & ラブ フォーハー オードパルファム”がランクインした。バラエティー・ドラッグストア部門の1位は「フィアンセ(FIANCEE)」の“パルファンラスティングスティック ピュアシャンプー”。「周りを気にせずどこでも付けられるのも人気の要因」との声があった。2位は、デビュー間もない「サンロクロク(366)」の“バースデーフレグランス”と、「ベキュアハニー(VECUA HONEY)」“ワンダーハニー ファンファントワレ ピュアキンモクセイ〈オードトワレ〉”などが上がった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “ミス ディオール ローズ&ローズ”

「ディオール」

 1位の“ミス ディオール ローズ&ローズ”は、明るいピンクの色調を香りでクリエイトした新作。ローズを色彩豊かな表情を持たせた「ディオール」パフューマー クリエイターのフランソワ・ドゥマシー(Francois Demachy)は、好奇心に溢れた新しいエレガンスを表現。摘み取ったばかりの香り高いローズに、ベルガモットとマンダリンのフルーティーでみずみずしい香りが鮮やかに弾ける。繊細で大胆に描かれた、カラフルなスパークリング フローラルが華麗に心を彩る。(50mL、9000円)

PHOTO : ©CHANEL

2位 “ココ マドモアゼル ロー プリヴェ 〈ヘア&ボディ ミスト〉”

「シャネル」

 「シャネル」初のナイト フレグランス“ココ マドモアゼル ロー プリヴェ 〈ヘア&ボディ ミスト〉”が2位。4代目の専属調香師を務めるオリヴィエ・ポルジュ(Olivier Polge)が手掛けた、この上なく柔らかでセンシュアルなオリエンタルフレッシュフルーティーの香りが眠りに就く前の時間を変える。ジャスミンとローズの花びらが繊細に調和しながら際立たせるのは、軽やかでセンシュアルなホワイトムスク。“ココ マドモアゼル”を軽やかで繊細に描いた新作が、肌やシーツに柔らかなベールをかける。(50mL、9800円 100mL、1万4500円)

3位 “ティファニー & ラブ フォーハー オードパルファム”

「ティファニー」

 3位は、フィルメニッヒ(FIRMENICH)を支える著名なパフューマーであるホノリン・ブランク(Honorine Blanc)とマリ・サラマーニュ(Marie Salamagne)の協働で調香した、“ティファニー & ラブ フォーハー オードパルファム”。ボタニカルなブルー バジルにジューシーなグレープフルーツがリズミカルに入り混じるトップ。そこにネロリやブルーセコイヤが調和しながら、温かみを与えたエピローグでフェミニンな色を残す。爽快でありながら豊潤な香りを内包する、モダンなフローラルウッディー。(50mL、1万3200円 90mL、1万8000円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “パルファンラスティングスティック ピュアシャンプー”

「フィアンセ」

 1位は、“パルファンラスティングスティック ピュアシャンプー”。人気作の同パルファンドトワレがスティックタイプになって登場。ヒアルロン酸Naとホホバ種子油の保湿成分を配合し、エタノールフリーの処方をかなえた。携帯に便利なスティック型の容器は、蒸着設計を採用。グリーンアップルとレモンが爽快にほとばしるトップノート。華やかさを添えるジャスミンとミュゲを、ベースのムスクとウッディーが柔らかくて深い香りで包む。やさしく寄り添うように、さりげなく芳香する。(3.5g、1350円)※数量限定発売

2位 “バースデーフレグランス”

「サンロクロク」

 年に一度の、自分だけの特別な日である誕生日に着目した新ブランドの“バースデーフレグランス”が2位。12種類のオイルと31種類のフレグランスを掛け合わせてクリエイトした366種をラインアップする。香りそれぞれに添えられたメッセージは、開封することで見ることができる。「わたしからあなたへ。あなたから大切な人へ」という幸せの連鎖が続くことを願い作られたフレグランスは親しい人へのプレゼントとしても一興。(全366種 各10mL、各2000円)

2位 “ワンダーハニー ファンファントワレ ピュアキンモクセイ〈オードトワレ〉”

「ベキュアハニー」

 2位は、“ワンダーハニー ファンファントワレ ピュアキンモクセイ〈オードトワレ〉”。胸を揺さぶるように芳香しながら、秋の訪れを告ぐ金木犀。咲きはじめた頃のピュアキンモクセイにベルガモットの爽やかさを与え、切なくも甘い記憶を蘇らせる。木々の葉の色付きが日増しに赤く染まるように、時間の経過とともに変化する香りを楽しめる。同シリーズは、フレグランスのほかにハンドクリーム、オールインワン保湿ジェル、浴用化粧料の4アイテムで構成。(13mL、1400円)※数量限定発売

2位 “ファンタジア オーデトワレ”

「アナ スイ(ANNA SUI)」

2位 “フレグランスヘアミスト ピカケ アウリィ”

「オハナ・マハロ(OHANA MAHAALO)」

2位 “ボディスプレー ウェディングデイ”

「ボディファンタジー(BODY FANTASIES)」

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」フレグランス・新製品部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。フレグランス・新製品は、百貨店・セミセルフ部門で花々の芳しい香りの魅力に改めて気付かされるラインアップ。その首位に輝いたのは「ディオール(DIOR)」の“ミス ディオール ローズ&ローズ”で、「SNS効果もあり購入につながった」という。次ぐ2位は「シャネル(CHANEL)」の“ココ マドモアゼル ロー プリヴェ 〈ヘア&ボディ ミスト〉”、3位に「ティファニー(TIFFANY & CO.)」の“ティファニー & ラブ フォーハー オードパルファム”がランクインした。バラエティー・ドラッグストア部門の1位は「フィアンセ(FIANCEE)」の“パルファンラスティングスティック ピュアシャンプー”。「周りを気にせずどこでも付けられるのも人気の要因」との声があった。2位は、デビュー間もない「サンロクロク(366)」の“バースデーフレグランス”と、「ベキュアハニー(VECUA HONEY)」“ワンダーハニー ファンファントワレ ピュアキンモクセイ〈オードトワレ〉”などが上がった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “ミス ディオール ローズ&ローズ”

「ディオール」

 1位の“ミス ディオール ローズ&ローズ”は、明るいピンクの色調を香りでクリエイトした新作。ローズを色彩豊かな表情を持たせた「ディオール」パフューマー クリエイターのフランソワ・ドゥマシー(Francois Demachy)は、好奇心に溢れた新しいエレガンスを表現。摘み取ったばかりの香り高いローズに、ベルガモットとマンダリンのフルーティーでみずみずしい香りが鮮やかに弾ける。繊細で大胆に描かれた、カラフルなスパークリング フローラルが華麗に心を彩る。(50mL、9000円)

PHOTO : ©CHANEL

2位 “ココ マドモアゼル ロー プリヴェ 〈ヘア&ボディ ミスト〉”

「シャネル」

 「シャネル」初のナイト フレグランス“ココ マドモアゼル ロー プリヴェ 〈ヘア&ボディ ミスト〉”が2位。4代目の専属調香師を務めるオリヴィエ・ポルジュ(Olivier Polge)が手掛けた、この上なく柔らかでセンシュアルなオリエンタルフレッシュフルーティーの香りが眠りに就く前の時間を変える。ジャスミンとローズの花びらが繊細に調和しながら際立たせるのは、軽やかでセンシュアルなホワイトムスク。“ココ マドモアゼル”を軽やかで繊細に描いた新作が、肌やシーツに柔らかなベールをかける。(50mL、9800円 100mL、1万4500円)

3位 “ティファニー & ラブ フォーハー オードパルファム”

「ティファニー」

 3位は、フィルメニッヒ(FIRMENICH)を支える著名なパフューマーであるホノリン・ブランク(Honorine Blanc)とマリ・サラマーニュ(Marie Salamagne)の協働で調香した、“ティファニー & ラブ フォーハー オードパルファム”。ボタニカルなブルー バジルにジューシーなグレープフルーツがリズミカルに入り混じるトップ。そこにネロリやブルーセコイヤが調和しながら、温かみを与えたエピローグでフェミニンな色を残す。爽快でありながら豊潤な香りを内包する、モダンなフローラルウッディー。(50mL、1万3200円 90mL、1万8000円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “パルファンラスティングスティック ピュアシャンプー”

「フィアンセ」

 1位は、“パルファンラスティングスティック ピュアシャンプー”。人気作の同パルファンドトワレがスティックタイプになって登場。ヒアルロン酸Naとホホバ種子油の保湿成分を配合し、エタノールフリーの処方をかなえた。携帯に便利なスティック型の容器は、蒸着設計を採用。グリーンアップルとレモンが爽快にほとばしるトップノート。華やかさを添えるジャスミンとミュゲを、ベースのムスクとウッディーが柔らかくて深い香りで包む。やさしく寄り添うように、さりげなく芳香する。(3.5g、1350円)※数量限定発売

2位 “バースデーフレグランス”

「サンロクロク」

 年に一度の、自分だけの特別な日である誕生日に着目した新ブランドの“バースデーフレグランス”が2位。12種類のオイルと31種類のフレグランスを掛け合わせてクリエイトした366種をラインアップする。香りそれぞれに添えられたメッセージは、開封することで見ることができる。「わたしからあなたへ。あなたから大切な人へ」という幸せの連鎖が続くことを願い作られたフレグランスは親しい人へのプレゼントとしても一興。(全366種 各10mL、各2000円)

2位 “ワンダーハニー ファンファントワレ ピュアキンモクセイ〈オードトワレ〉”

「ベキュアハニー」

 2位は、“ワンダーハニー ファンファントワレ ピュアキンモクセイ〈オードトワレ〉”。胸を揺さぶるように芳香しながら、秋の訪れを告ぐ金木犀。咲きはじめた頃のピュアキンモクセイにベルガモットの爽やかさを与え、切なくも甘い記憶を蘇らせる。木々の葉の色付きが日増しに赤く染まるように、時間の経過とともに変化する香りを楽しめる。同シリーズは、フレグランスのほかにハンドクリーム、オールインワン保湿ジェル、浴用化粧料の4アイテムで構成。(13mL、1400円)※数量限定発売

2位 “ファンタジア オーデトワレ”

「アナ スイ(ANNA SUI)」

2位 “フレグランスヘアミスト ピカケ アウリィ”

「オハナ・マハロ(OHANA MAHAALO)」

2位 “ボディスプレー ウェディングデイ”

「ボディファンタジー(BODY FANTASIES)」

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

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「コール ハーン」のイノベーションを体験する旗艦店 “グランドショップ”が原宿キャットストリートにオープン

 アメリカ発のパーフォンマンス・ライフスタイル・ブランド「コール ハーン(COLE HAAN)」は12月4日、新たなコンセプトストア、グランドショップ キャットストリートを東京・神宮前のキャットストリートにオープンした。機能性とデザイン性を備えた革新的なライフスタイル製品をそろえる同店は、デジタルサイネージやQRコードなどを使った商品ディスプレーで買い物を楽しむことができるOMO(Online Merges with Offline、オンラインとオフラインの融合)を取り入れた店舗だ。

  「コール ハーン」は1928年にアメリカ・シカゴの靴職人のトラフトン・コール(Trafton Cole)とエディ・ハーン(Eddie Haan)によって、タイムレスなデザインとクラフツマンシップを組み合わせたメンズのドレスシューズの会社として始まった。それから1世紀近くに渡り、ウィメンズフットウエアやライフスタイルグッズへも商品幅を拡大。2013年には心地よい履き心地を実現する独自に開発されたクッションシステムを搭載した、“オリジナルグランド”がデビューし、マーケットに不足していた汎用性高いデザイン、機能性が評価され大ヒット。ドレス、カジュアル、アウトドア、スポーツのどのようなシーンでも活躍するシューズが人気の理由だ。「コール ハーン」は“グランド360(Grand 360)デザイン&エンジニアリングシステム”をベースに新しいスタイルを開発し続けている。

リアルとデジタルを融合した
新しい買い物体験

 新店舗はブラックを基調にイエローをアクセントにした店舗デザインが目印だ。売り場面積約165平方メートル、2フロア構造の店内には3つのデジタルサイネージを設け、映像で商品やブランドメッセージを紹介する。各箇所にQRコードを掲示、スマートフォンで読み取ることでサイズ在庫や商品詳細を確認することができるほか、店舗在庫がない場合でもオンラインストアから商品を購入することが可能だ。

 正面ドアの “Find your future here (未来はココに)”のメッセージにはじまり、店内にはさまざまな楽観的なメッセージが散りばめられている。また、正面の吹き抜けの壁面は新進アーティストの作品を紹介するキャンバスが設けられ、定期的に新しい作品を公開していく予定。オープン時は、アーティストとのコラボーレーションプロジェクト「#WriteNewRules(ルールを書き換えよう)」で制作された、モデルやアーティストとして活動するローレン・サイ(Lauren Tsai)による作品を披露されている。店内には“アート”“インスピレーション”“コネクション”のキーワードで五感を満たすような演出が施されている。

 これまでの「コール ハーン」店舗とグランドショップの違いについてデイヴィッド・マードックス=コール ハーン ブランド プレジデントは「グランドショップは、お客さまとのつながりを重視し、テクノロジーを活用してブランドの世界観に没入できる設計を目指した。ストアコンセプトは『コール ハーン』の革新性を象徴するモデル“ゼログランド”に特化。デジタルとリアルのシームレスな体験をお客さまに提供するためのテクノロジーが店舗内に組み込まれている」と説明する。

「#WriteNewRules」……良い未来を構築したいという動機から生まれた、議論、変化、最終的には進歩を促すヒントをアーティストの視点から共有する2020年秋からはじまった、コール ハーンのプロジェクト

“「コール ハーン」の新たな
世界観を体感する入り口”

 キャットストリートは人通りが多く、表参道のハイファッションと原宿のストリートファッションの中間にある立ち位置。このエリアから「コール ハーン」の新たなコンセプトを発信するべく、この場所への出店の可能性を数年かけて探ってきた。

 グランドショップ キャットストリートは、ブランドの革新性を表現する旗艦店であり、商品ラインアップや、店内でのショッピング体験も従来の店舗とは差別化を図れるものになっている。デジタルサイネージでブランドの最新情報が得られ、各箇所に設置されたQRコードを読み取れば商品詳細を得られるほか、購入方法も選ぶことができる。将来「コール ハーン」店舗ではこのようなリアルとデジタルを融合したシームレスな店舗開発を目指しており、この旗艦店が「コール ハーン」の新たな世界観を体感する入り口となり、発信拠点となるだろう。

 ブランドを代表する“ゼログランド”シリーズが発売されてから6年がたった。今年の新作“4.ゼログランド”のオックスフォード、チェルシーブーツ、ハイカーブーツは、日本をはじめ、世界中でヒットしているベストセラーの商品。グランドショップ キャットストリートでは、フットウエアに加え、バッグやウエア、革小物など、デザインと機能性を融合したライフスタイル商品がラインアップする。美しく、快適な商品はまさにニューノーマルに対応する商品。この場所で新たなお客さまをお迎えし、最新の買い物体験を提供できることをうれしく思う。

 1階では、“ゼログランド”と“オリジナルグランド”同様に高密度の三層構造クッショニングのフォームでダイナミックな履き心地を実現する新作の“4.ゼログランド”をラインアップ。2階では、ゼログランド・パフォーマンス・ランニング・コレクション、超軽量のグランドプロシリーズが陳列されている。また、アメリカで活躍するコメディアンで作家のハサン・ミンハジ(Hasan Minhaj)とコラボレーションした限定店舗のみで販売する限定モデル、“コールハーン × ハサンミンハジ グランドプロラリー”もそろえる。

汎用性を表現したVRショーを体験

 「コール ハーン」はグランドショップ キャットストリートのオープンを記念して、メンバーシップの登録者先着200人に、VR映像で見る「コール ハーン グランド ショー」の体験をプレゼントする。同映像では、ブランドのクラフトマンシップ 、スタイル、 テクノロジーが融合された“グランドコレクションが、ドレス、カジュアル、アウトドア、スポーツの4つシーンで構成した躍動的なパフォーマンスを見ることができる。。

INFORMATION
COLE HAAN GRANDSHOP Cat Street

オープン:12月4日(金)
住所:東京都渋谷区神宮前6-1-2

営業時間:11:00~20:00

電話番号:03-6712-6616

PHOTO : KAZUO YOSHIDA

問い合わせ先
コール ハーン ジャパン
0120-56-0979

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ホリデーシーズン 大切な人に贈りたい「ポール・スミス」で選ぶギフト

 会いたい人にもなかなか会えなくなってしまった2020年も、気づくとホリデーシーズン。この時季は大切な人へ贈るギフトのチョイスに悩んでいる人も多いのでは!? クリスマスという季節に、1年間お世話になった方への感謝の気持ちを込めて贈るギフトたちを紹介する本企画。多種多様なシーンの最前線で活躍する方のギフトセレクト術とは? 窪塚洋介さん、浜辺美波さん、設楽統さんの3名が「ポール・スミス」のファッションアイテムやライフスタイルグッズから、贈り物を選んだ。

贈る相手のことを思う、
三者三様のギフトの選び方

 訪れたショップは「ポール・スミス」の六本木店と丸の内店。贈り物ということで、普段自身のショッピングではなかなか足を踏み入れることのない、メンズフロアからウィメンズフロア、アクセサリーやレザー小物のショーケースなどもじっくり吟味しながら回遊。数多くのアート作品が並べられたアートウォールを眺めたり、「ポール・スミス」ならではの世界観に包まれながらも、贈る相手を思い浮かべつつ真剣なまなざしでアイテムを見つめる姿は3人に共通していた。

家族、友人、仕事仲間……
贈る相手ごとにバリエーションに
富んだギフトの数々

 窪塚さん、浜辺さん、設楽さんの3人のギフトを選ぶときのマイルールもそれぞれ。しかし、贈る相手のことを思ってセレクトすることには変わりない。自分が好きなもの、使ってみてよかったものに、ちょっとは自分のわがままも加えてもいい。相手が買いたいけど自分では買わないようなアイテムを選ぶと、きっと喜んでもらえる。「ポール・スミス」のアイテムには、性別も世代も問わない多くのアイテムがそろっている。あなたの大切な人への贈り物を選びに行ってみてはいかが?

多種多様なシーンの最前線で
活躍するクリエイターが選ぶギフト

異なる職種ごとに垣間見える、
贈り物選びの特性

 「ポール・スミス」のオフィシャルサイトでは、クリエイティブな6名が選んだギフト、贈る相手、ギフトを選ぶ理由や方法を紹介している。選者の職種ならではの特性や、その人それぞれのパーソナルも感じ取ることができるギフトセレクト術に加え、バラエティー豊かなアイテムからきっと喜んでもらえるギフトが見つかるはず。ぜひ、のぞいてみてほしい。

PHOTOGRAPHS:YUHKI YAMAMOTO [MODEL], DAISUKE KUSAMA[STILL] STYLING:ARATA KOBAYASHI(UM)[YOSUKE KUBOZUKA & OSAMU SHITARA], KEIKO WATANABE (KIND)[MINAMI HAMABE], TAKUYA RAITA[STILL] HAIR & MAKEUP:TAKAHIRO HASHIMOTO [YOSUKE KUBOZUKA & MINAMI HAMABE], ERINA KATSUBE[OSAMU SHITARA]
TEXT:WATARU MATSUMOTO(PINEBOOKS INC.)
CREATED:TOKION

問い合わせ先
ポール・スミス リミテッド
info@paulsmith.co.jp

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教えて!パタゴニアさん 連載第3回 トレーサビリティーが大切な理由

 サステナビリティ先進企業のパタゴニアの担当者にその取り組みを聞く連載第3回。今、全産業的に重視されているのが企業活動における“透明性”ですが、ファッション産業では特に、商品をトレーサブル(追跡可能)にすることが重視されています。とても複雑なサプライチェーンを、労働環境や環境への負荷を把握して透明化するのは至難の業。パタゴニアはこの難しいテーマにどう取り組んでいるのでしょうか。篠健司・環境社会部ブランド・レスポンシビリティ・マネージャーに聞きます。

WWD:なぜ衣料品はトレーサブル(追跡可能)であるべきなのでしょうか。

篠健司・環境社会部ブランド・レスポンシビリティ・マネージャー(以下、篠):トレーサビリティーは、複雑なサプライチェーンによって生産される製品に、当社が使用している環境的、社会的な責任を追及した素材・慣行が、実際に用いられていることを証明する最善の方法と言えます。

WWD:改めてサプライチェーンを整理すると。

篠:衣料品のサプライチェーンは、糸の原料となる作物の栽培や毛をとる動物の飼育から、生地を縫製して衣類を製造し、完成した製品を倉庫や店舗、そしてお客さまの玄関先に配送するまでの全ての行程を包括する言葉です。繊維の産地から製品の完成に至るまで、サプライチェーンは多くの関係者によって成立しています。当社の場合も、多くの製造工場、繊維工場、紡績工場、加工工場、リサイクル工場、農場に依存していて、とても複雑です。

WWD:生産過程で環境に負荷が大きくかかっています。

篠:アパレル生産は、あらゆる段階で自然資源に依存していて気候変動に関与しています。例えば、石油を原料とするポリエステル、化石燃料で稼働する機械による織物、化学染料を使った染色や防水処理、工場と倉庫、店舗間の製品輸送、プラスチック製梱包資材を使ったお客さまへの配送などを通じて温室効果ガスを排出しています。

WWD:そうした中でどのように環境や人権に配慮したモノ作りをしていますか?

篠:こうした環境的・社会的影響を最小限に抑えるために、当社は製品の大部分に、オーガニックコットン、トレーサブルダウン、レスポンシブル・ウール・スタンダードを満たしているウール、天然ラバー、あるいはその他のリサイクル素材を含む、環境的に最も持続可能な、あるいは動物福祉に配慮した素材を開発・採用しています。またその公正な労働を推進するためにフェアトレードに取り組んでいます。

WWD:そうした取り組みを証明するためにトレーサビリティーが有効だということですね。

篠:はい。当社では厳格な第三者機関認証を得るためにサプライヤーと協力してきました。第三者認証を受けたトレーサビリティーは、製品に使用している素材が選択したものであることを保証するだけでなく、最終製品に至るまでの多数の工程において、別素材の混在や代替が行われていないことを保証します。

パタゴニアが取り組むトレーサビリティー

WWD:そんな中で、パタゴニアは透明性、トレーサビリティーにどのように取り組んでいるのでしょう?
篠:07年に透明性を最大限にするためにサプライチェーン情報を提供するサイト「フットプリント・クロニクル」をローンチし、ウェブサイトに全ての契約工場のリストを公開しています。現在、弊社のオンラインショップでは、弊社製品が製造された工場の名前と所在地を含む社会的・環境的属性を掲載しており、お客さまが購入前に確認することが可能です。

WWD:具体的なトレーサビリティーへの取り組みを教えてください。

篠:全ての最終製品工場(一次サプライチェーン)に対して社会的・環境的監査を行っています。

・全ての縫製工場とその下請工場(スクリーンプリント、洗浄、刺繍工場など)を含む一次サプライヤーについては、公正な労働慣行、安全な就労環境および環境への責任を促進・維持するために、「サプライヤー職場行動規範」を適用して米国のNGOである公正労働協会(Fair Labor Association)による監査など数々の適正評価を実施しています。

・全ての新しい工場との契約前に、厳密な水準を満たすことのできないサプライヤーを除外する効果的なプロセスとして「4段階スクリーニング・アプローチ」と呼ぶ評価システムを導入しています。

主要原材料サプライヤー(二次サプライチェーン)も監視し、それらの工場に対しても一次サプライヤーに適用しているものと同等の監査/是正工程を採用しています。

・原材料の原産地情報は、品質と環境および社会面での影響を管理するために必要であり、サプライヤーには、調達アンケートとサプライチェーン・マッピング全ての提出を要求しています。

・生地や飾り付け部品に関しては、プロフィールシート、サプライチェーン追跡シート、関連する全ての第三者機関の認定書を要求しています。

・社会的責任プログラムについても、全ての生地と飾り付け部品のサプライヤーが、雇用慣行、従業員の苦情対処方法、リサイクル方針、その他の社会的・環境的の取り組みなどの主要な社会的責任に関する指標について工場の監査をすることを義務づけています。

現在、農場レベルまでのサプライチェーン・マッピングを開始しています。

・パタゴニアが使用する環境に配慮した素材には、オーガニックコットン、トレーサブルダウン、テンセル・リヨセル、ヘンプ、バイオラバーなどの農場に由来する素材を含んでいます。

・適用可能な場合には、NSFトレーサブル・ダウン・スダンダード、GOTS(Global Organic Textile Standard)、オーガニック・コットン・スタンダード、フェアトレードなどの認証を活用しています。

WWD:全てをトレーサブルにするための課題は何ですか?

篠:2007年に「フットプリント・クロニクル」を開始したときの当社の目標は、「全ての製品のサプライチェーンの全段階を示すこと」でした。当社のサプライチェーンは深く、複雑で、変化し続けています。そのためサプライヤーと強固な関係の構築に努めており、多くのサプライヤーが「フットプリント・クロニクル」に掲載されることを喜んでいます。しかし、さまざまな懸念から非公開を希望するサプライヤーもいるのが現状であり、当社はそうした要望を尊重しているため、全てのサプライヤーの所在地を開示することはできておらず、完全な透明性には至っていません。また、当社は、あらゆる場所で何が起こっているのかを瞬時に知ることはできませんが、定期的にサプライヤーを監査し、重要な発見を共有しています。

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それでも、「欠品」はダメですか? エディターズレター(2020年9月14日配信分)

※この記事は2020年9月14日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

それでも、「欠品」はダメですか?

 ファーストリテイリングの上級執行役員だった神保さんの連載を担当して、店舗における「欠品」という“事態”の深刻さの一端を垣間見た気がします。店舗の評価に直結する重要なチェックポイントなんですね。

 「そんなコトも知らなかったのかよ!」と怒られてしまいそうですが、改めてボリュームゾーンでは「欠品=機会損失」という認識なのだと学びました。でもラグジュアリーでは「欠品=人気の証」でもありますよね(違いますか!?)。だとしたら、ボリュームゾーンでも「いやぁ、人気であっという間に売れちゃったんすよ」じゃダメでしょうか?甘っちょろいでしょうか?だとしたらファッション&ビューティ(カラーコスメ)の世界は、大変ですね。「欠品はダメ」、なのに「シーズン終わりに売れ残ってもダメ」なんて。僕なら「そんなの、ムリです!」って逃げ出してしまいそうです。

 やっぱり「甘い」と言われるかもしれませんが、もうちょっと続けさせてください。「欠品」で怒り狂う人って、そんなにいるのでしょうか?1分間想像してみましたが(余談ですが、この「1分間だけ真剣に想像する」、オススメです。1分だけ、でもあらゆる業務をストップして想像すると、何かが見える時って結構ありますよw)、百貨店のバイヤー以外、思い浮かびませんでした(笑)。確かにこの方々は、「欠品」に対してとってもシビア!でも、消費者はどうでしょう?そりゃ私も「え~、マジか」くらいは口からポロリと出ちゃうかもしれないくらいガッカリはしますが、美味しいご飯を1回食べれば忘れます(笑)。友人は常に「じゃあ、メルカリで探すか?」と“リセット上手”です。Twitterでは、「サーバが落ちた!」とか「カートには入れられたのに……」とか「いつか、買えるときが来るんだろうか?」なんて投稿を目にしますが、いずれも「怒り心頭!!」ではなく、むしろ投稿までの一連をエンターテインメントとして楽しんだ感さえあります。そんな投稿を見るたび、「売り切り御免」でいいんじゃない?って思うのです。

 もしくは「再販」でいいんじゃないですかね?「追加生産」・「追加入荷」だと「発売」したシーズンのセール期間が終わるまでに売り切るプレッシャーに駆られてしまいそうなので、「再販」で仕切り直すのはいかがでしょう?些細な違いなように思うかもしれませんが、「言霊」なんて言葉もある国です。言葉は心を、そして体を支配するほどの力を持っています。だから「追加生産」・「追加入荷」ではなく、「再販」。これが許されるブランドへの進化を遂げることができたら、「欠品」はだいぶコワくなくなるのでは?って思うのです。「フーフー」の高坂マールくんは、「買えなかった~」という投稿さえ結構リツイートしています。「欠品」は深刻なものではなく、「再販」への通過点と捉えているのかな?

 サステナブルなマインドが浸透し、私たちのビジネスは、3年前と大きく変わりました。3年前は「暗黙の了解」だった廃棄も、今は許されないムードです。ならば在庫というリスクと背中合わせの、「欠品」を必要以上に忌み嫌う感覚もアップデートすべきでは?と思います。それでも、「欠品」はダメですか?

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」美容機器&ツール・総合部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。美容機器&ツール・総合の、百貨店・セミセルフ部門の結果は、昨今のステイホームにおけるホームケアが注目されていることを思わせる結果に。1位の「リファ(REFA)」“リファモーションカラット”には「定番の型で全身に使用できる汎用性の高さが人気」の声が聞かれた。2位は「アヴェダ(AVEDA)」の“パドル ブラシ”、3位は「エスト(EST)」の話題作“バイオミメシス ヴェール”がランクインした。バラエティー・ドラッグストア部門はユニークなアイテムが目を引いた。1位に「アイプチ(R)(EYEPUTTI)」の“ひとえ・奥ぶたえ用カーラー”は、「ひとえや奥ぶたえの悩みを解消してくれる、ありそうでなかったカーラー」と斬新なアイデアでヒット。新見千晶ヘアメイクアップアーティストがプロデュースする「シュガーシービューティー(SUGAR.C BEAUTY)」の“クウォーツ フェイシャル ローラー”と、「リファ」の“リファカラット”が同率2位だった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “リファモーションカラット”

「リファ」

 “リファ プロ”と“リファ カラット”を発表してから約10年、美容機器メーカーのパイオニアはお客の声に応えて進化し続ける。1位に輝いた“リファモーションカラット”は体のどのパーツにもしっかりフィットしながらつまみ出し、より肌に優しい設計を実現。その秘密は独自に開発されたモーションローリングによるディープドレナージュ作用で、深く、広く、優しくアプローチすることを可能にした。プラチナムコートと防水構造を施し、時間や場所を選ぶことなく、フェイスからボディーまでケアできる。緩やかに可動するローラーが肌のあらゆるパーツの起状にフィットして捉えながらしなやかで美しく整える。(2万8500円)

2位 “パドル ブラシ”

「アヴェダ」

 どんな髪質でも使えるように考慮された、木製のヘアブラシが2位を獲得。長さ251mm×ブラシ幅86mmの広い面と優れたクッション性を備えているのが特徴。細部にわたるケアしやすい配慮で03年9月の発売以来、多くの支持を得ている。ブローやスタイリング時の髪や頭皮を優しくケアし、ダメージを緩和。さらに、ヘッドマッサージ用としても活躍するため、撮影現場で愛用するヘアメイクアップアーティストやモデルなど、美容のプロフェッショナルからの支持も高い。(3000円)

3位 “バイオミメシス ヴェール”

「エスト」

 センセーショナルに誕生した「花王」の“エスト バイオミメシス ヴェール”が3位にランクインした。最新の技術と研究の粋を集め、独自に開発した一本の糸。それを“バイオミメシス ディフューザー”から吹き付けて肌を透明のベールで包み込む。翌朝まで湿潤環境を維持しながら整え続けるというものだ。最初に専用美容液の“ヴェールエフェクター”を塗布した後、ディフューザーに“ヴェールポーション”をセットして肌に噴射する。叡智を結集した最先端のフェイスマスク。(バイオミメシス ヴェール ディフューザー 5万円 同ヴェールエフェクター 40g、1万2000円、同ヴェールポーション 9mL、8000円)

3位 “ヘアビューロン 4D Plus[ストレート]”

「バイオプログラミング(BIOPROGRAMMING)」

3位 “リファビューテック ドライヤー”

「リファ」


バラエティー&ドラッグストア部門

1位 “ひとえ・奥ぶたえ用カーラー”

「アイプチ(R)」

 日本人の眼球サイズとまぶたの厚みに着目した、“ひとえ・奥ぶたえ用カーラー”が首位を獲得。アイデアの斬新さだけでなく細部に至るまでこだわりの詰まった製品で、独自のカーブと山型に盛り上がったプレートを採用。まつげを残すことなく根本からキャッチして立ち上げる。まぶたを押し上げることで、隠れたまつげの生え際の引き出しやすさも考慮した設計だ。さらにまつげの負担を軽減しながらも簡単に、思い通りの仕上がりを可能にした。替えゴム2個付き。(1500円)

2位 “クウォーツ フェイシャル ローラー”

「シュガーシービューティー」

 大小、異なる大きさの天然石が血行を促しながら、すっきりとした表情に整える美顔ローラー“クウォーツ フェイシャル ローラー”が2位。メークアップアーティストがプロデュース。わずかな時間で肌のコンディションがアップし、フレッシュな印象へと導く。使い方は簡単で、メイク前に、またお風呂上がりに3分ほどころころと転がしてケアするだけ。ローラーに用いられているパワーストーンの天然石は全4種、直感で選ぶことを推奨。長さ140mm×幅大43mm×幅小24mm。(全4種、各3800円)

2位 “リファカラット”

「リファ」

 12年のデビュー以来、多くの支持を得続ける“リファカラット”が3位。360度マルチアングル構造の採用がエステティシャンのニーディング手技を再現。深くつまみ流す、複合的な動きは、搭載されているダブルドレナージュローラーとアークハンドルが可能にした。これらが血流やリンパに働きかけながら全身を美しく整える。マイクロカレントを発生する機能も備え、肌にハリと艶をもたらす。バスタブでもケアできる防水仕様で頼もしい一台。(2万3800円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

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「WWDビューティ ベストコスメ2020」美容機器&ツール・新製品部門

 「WWDビューティ ベストコスメ2020」は、百貨店・セミセルフショップ、バラエティー・ドラッグストアで今年もっとも売れた製品を発表。美容機器&ツール・新製品部門は美容意識の高まりや自分のために行うものとしてのケアを支えるアイテムが目立った。百貨店・セミセルフの1位と2位は「リファ(REFA)」で、 “リファビューテック ドライヤー”と“リファビューテック ストレートアイロン”がランクイン。1位のドライヤーには「髪に潤いを残しつつ、しっとりとした仕上がりに支持」などの声があった。3位は今年百貨店の全国展開がスタートした「エスト(EST)」の“バイオミメシス ヴェールディフューザー”。バラエティー・ドラッグストアは3製品が同率1位。「サロニア(SALONIA)」“スピーディーイオンドライヤー”は、「細身でカールもしやすく、コスパが高いと評判」の声。ほか、「アイプチ(R)(EYEPUTTI)」 “ひとえ・奥ぶたえ用カーラー”と、アテックスの新ブランド「ルルドスタイル(LOURDES STYLE)」の“EMSシート”が同率1位だった。

百貨店・セミセルフ部門

1位 “リファビューテック ドライヤー”

「リファ」

1位は、日本のプロフェッショナルの技を最新の技術で再現する「リファ」の新シリーズ、第一弾の“リファビューテック ドライヤー”。20社以上のサロンと協働開発したドライヤーが、サロンで仕上げた直後のような美しい髪を実現する。髪の温度を60度以下にキープできるようコントロールしながら、髪の水分量を高めるハイドロイオン機能を付与。しっとり、あるいはボリュームアップさせたいなどの好みの仕上がりによってモードも選択できる。(全2色、各3万3000円)

2位 “リファビューテック ストレートアイロン”

「リファ」

 1位に続き、2位も「リファ」の新シリーズがランクイン。“リファビューテック ストレートアイロン”はドライヤーと同時に発表、発売されたアイテムで、プロフェッショナルの技術を再現することに注力。独自のカーボンを搭載した3枚構造が、熱、圧、水による髪のダメージを軽減し、美しいストレートヘアに仕上げる。また「WWDビューティ」の2019年下半期ベストコスメ 美容機器・ツール部門でも“リファビューテック ドライヤー”とダブル受賞している。(1万8000円)

3位 “バイオミメシス ヴェールディフューザー”

「エスト」

 最新の技術と研究の粋を集め、ファインファイバーテクノロジーを応用して開発された一本の糸。それを“バイオミメシス ヴェールディフューザー”から吹き付け肌に透明のベールで包み込む。翌朝まで湿潤環境を維持しながら整え続ける。最初に専用美容液の“ヴェールエフェクター”を塗布した後、ディフューザーに“ヴェールポーション”をセットして肌に噴射。エポックメーキング的といえる、このアイテムが新たな美容の扉を開く。20年9月4日には“ヴェールエフェクター”、“ヴェールポーション”、“ヴェールアプリケーター”の4品セットのレンタルサービスも開始した。(5万円)


バラエティー・ドラッグストア部門

1位 “スピーディーイオンドライヤー”

「サロニア」

 大風量でスピーディに乾かしながら、髪の優しさに考慮したマイナスイオンを搭載した“スピーディーイオンドライヤー”。2.3平方メートル/分の大風量で、ドライ時間を大幅にカット(他サロニア製品比30%短縮)することでキューティクルのダメージを軽減した。折り畳み式の採用と軽量設計の優れたポータビリティー性は、外出先でのケアでも活躍する。ターボ、セット、クールの3モードの切り替えはシンプル。(全4色、各4980円)

1位 “ひとえ・奥ぶたえ用カーラー”

「アイプチ(R)」

 同率1位で、“ひとえ・奥ぶたえ用カーラー”がランクイン。日本人の眼球サイズとまぶたの厚みに着目した。アイデアの斬新さだけでなく細部に至るまでこだわりの詰まった製品で、独自のカーブと山型に盛り上がったプレートを採用。まつげを残すことなく根本からキャッチして立ち上げる。まぶたを押し上げることで、隠れたまつげの生え際の引き出しやすさも考慮した設計だ。さらにまつげの負担を軽減しながらも簡単に、思い通りの仕上がりを可能にした。替えゴム2個付き。(1500円)

1位 “EMSシート”

「ルルドスタイル」

 同率1位の“EMSシート” は、「自宅で手軽に、理想のカラダへ。」を惹句にする新ブランド「ルルドスタイル」の第一弾。光の方向によってオーロラ色に変化するユニークなデザインのシートはわずか1mmと薄く、シルバーのウェーブ柄をプリント。脚と腕にパワフルに働くEMSの機能をより効果的にする。水を入れて用いるアトマイザーも付属されている。また低、中、高周波の3つのモードと8段階の強弱調整も自在に設定できる。シートの上に乗った瞬間に、本格的なトレーニングがスタート。(5000円)

PHOTO : HIROKI WATANABE
TEXT : AKIRA WATANABE

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爆裂!健康美容マニア道 口コミで爆発的人気!元力士の小顔整体

 1日8食、ジャンクフード漬けの超不健康児から超健康優良児へと大変身を遂げたフリーアナウンサーの名越涼。およそ15年かけて自らの体で人体実験を繰り返してきた結果、“超絶良かったもの”だけをここで余すことなくお伝えする。今回は元力士が施術する小顔整体について。

 ゆるみ・たるみ・むくみ。これ、勘弁してほしい3大「◯◯み」であり、年齢と共に向き合わざるをえなくなってくる問題である。「いいの。私はたるんでいても、わ・た・し」と言える強さがあればいいんだけど、年々横と下に広がっていく自分の顔にガクブル。恐ろしいのは、この「◯◯み」を放っておくとパンパン顔が定着してしまうこと。そしてそうした自分の姿にハッと気付き、つぶやくのだ。「あぁ。小顔になりたい」と。しかし、今は違う。ゴッドハンドに出合ったのだ。かれこれ6年間も足しげく通っているのには、れっきとした理由がある。そう、それは圧倒的な結果。それが数字で見える化されるから「なんとなく、顔、小さくなったかも♡」ではなく「ほ、本当だ……!」と確信できる。今回は、ゴッドハンドを持つ元力士のすんごい小顔術をご紹介しよう。

確かな経験に基づいた小顔掌術

 来年4月で10周年を迎える酒井流整体。スポーツ選手や芸能関係者など健康美容のプロたちからも絶大なる信頼を得ているところである。もともと力士だった酒井政秀先生。20 歳で引退し、カナダで半年間カイロプラクティックを勉強、その後中国で経絡や漢方整体を学んだ。帰国後は山梨県を拠点に、ひどい腰痛や四十肩を専門に開業。偏頭痛の治療をしていたときに顔が小さくなるのが分かり、そこから研究を始め「酒井流整体」を確立。その後は、結果に驚いた人たちによる口コミで爆発的に広がっていったのだ。

 施術はまず、体の整体から始まる。気の流れやリンパの流れを整え、滞りをなくし、老廃物をきちんと出せるように整えていくのだそう。これが正直、叫ぶレベルで痛い。どんな整体に行ったって「強めでお願いします♡」ってオーダーする名越でも「うおお!」って声を放ったレベル。だって、体のツボというツボに真っ直ぐに向かってくる圧倒的なパワーのすごさっていったら。老廃物がたまりすぎてるブラックボックス的なところに「はいは〜い!悪いもの発見!」って容赦なくやってくるから、もうね、異次元の痛さなのですよ。

 老廃物の塊をやっつけられてぐったりしているところに「流しますね〜♡」と女神登場。奥様のゆりさんが悪いものを振動マシンで流して仕上げてくれる。そうして体を整えたら、いよいよ顔の施術が始まる。

下顎−2㎝弱の圧倒的な結果

 小顔掌術は基本1セット2回。頭をもみながらほぐし、ゆがみを指先で把握しながら調整していく。1回だけでも「あれ⁉︎顔が小さくなった⁉︎」と心躍るのだが、2回目が終わった時点でそれは確信に変わる。「これは、本物だ」と。酒井流整体では最初の施術前に顔の大きさを計測する。そう、ビフォー・アフターの違いが数字で分かるから、そのすごさを実感できるのだ。私自身、通い始めたころと今の顔の大きさを比べると、なんと頬骨は12.7㎝から11.6㎝に。下顎は11㎝から9.4㎝になっていた。顔という範囲の狭い中の1㎝縮小はとてつもなく大きい。「骨は呼吸と共に動く。ただ押せば小さくなるのではなく、骨の仕組みを分かっているかが大事」という酒井先生。骨へのアプローチだからこその圧倒的な結果。その後、サイズをキープできるかは生活習慣によって変わるため、定期的にメンテナンスするのがおすすめ。そうそう、月1回を4〜5カ月続ければ、大体の戻り幅と骨の性質が分かるそう。

 ちなみに、酒井先生がプロデュースした水も販売されている。DNAの修復作用があるとされる528Hzを含んでいる水で、細胞レベルからの回復が期待されるそう。なにそれ!健康マニア的に、たまらん!

酒井流整体
営業時間:11:00~20:00
定休日:水曜日・木曜日
電話番号:070-5024-4976
住所:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-7-5 青山セブンハイツ605

名越涼/フリーアナウンサー。香港出身。福井と愛知のテレビ局アナウンサーを経て独立。司会やライター、セミナー講師、企画・プロデュースなど幅広く活躍するパラレルワーカー。趣味・特技は手作り発酵食、食文化研究、ヨガ(歴15年)eスポーツと農業にも精通

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「オーシャントーキョー」の高木琢也代表 バズった「カリスマシール」の裏側を語る

 人気ヘアサロン「オーシャントーキョー(OCEAN TOKYO)」の高木琢也代表が10月に始めた“カリスマシール”の施策が話題を集めている。高木代表を含めた同サロンの9人の幹部のシールを作り、オリジナルヘアケア「オーシャントリコ アンサーシャンプー」か「同 トリートメント」を購入すると1枚付いてくるという企画で、シールが数量限定ということもありSNSで大いに“バズった”。ここではその背景や目的を、企画の発案者でもある高木代表に聞いた。

WWD:企画を思い付いたきっかけは?

高木代表(以下、高木):僕はいつもスタッフやメディアに「自分たちの仕事は髪をカッコよくするのは当たり前で、プラスアルファがないとだめ」と言っていて、考え方のベースは常にそこにあります。商品にしても、使って髪がきれいになるのは当たり前で、さらなるワクワク感を提供したいと考えていました。髪だけじゃなく心を動かすものを作りたかったんです。シールに関しては、僕自身も「ドラゴンボール」や「キングダム」の“どの種類が入っているか分からない”シールでワクワクした経験があるので、以前からうちでもやりたいと考えていました。そのうちにコロナ禍で世の中のムードが沈んでしまい、改めてお店に来てくれる人にはワクワクしてほしいという思いが強くなったので、このタイミングでスタートしました。

WWD:バズりましたね。

高木:狙い通りですね。バラエティーショップでも販売しているのですが、とある店舗では(シャンプーが)1カ月に400本売れれば大ヒットとされるところ、1日で400本売れたみたいです。

WWD:バズらせるためにこだわったポイントは?

高木:一番こだわったのは「キラシールじゃないとだめ!」ということ(笑)。普通のシールならもっと作りやすかったけど、キラキラしていないとアガらないですよね。あとディテールにもかなりこだわりました。例えば僕のシールは、ヘアコンテスト(業界最大級の「ホットペッパービューティー」主催のヘアコンテスト)で3連覇しているのでトロフィーが3つあって、背景が富士山で、天下を取った将軍がひれ伏しているんです(笑)。幹部たちのシールに関しても「いつも自分が着ているような服にしよう」と話したほか、例えばフェードスタイルが得意な七五三掛代表はバリカンを持っていたり、パーマが得意な森田店長のパーカのフードにロッドが入っていたりと、個性を出すためのアイデアは時間をかけて練りました。

WWD:確かに、見れば見るほどこだわりを感じる。

高木:そうですね。あとこれは仕事にも通じるところがあって、僕は「技術の細部へのこだわりが個性を生んで、その個性を打ち出せないとスタイリストとして売れない」と考えているんです。このシール作りを通してそのことが伝われば、という裏の狙いもあります。

WWD:シールになった幹部たちも絶対嬉しいと思う。

高木:幹部たちも喜んでくれたし、その下のスタッフたちも「自分も頑張ればシールになれる!」と夢を持ってくれたと思います。一人のスターがいる会社はたくさんあるけど、当社はそうではなく、全員にスターになってほしいと考えているんです。僕だけでなく、幹部たちのシールも作ったことで、その姿勢を表現したつもりです。幹部が9人いるので、よく最近の幹部会では「(人気漫画『鬼滅の刃』になぞらえて)自分を“柱”だと思ってそれぞれの店舗を盛り上げてほしい」と話しています。そうすると、幹部から「高木さんはどの“柱”ですか?」と言われてしまうんですか……。

WWD:どの“柱”ですか?

高木:いや、お館様(産屋敷耀哉)しかないでしょう(笑)。

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「プレゼントですか?」と言われないための脅迫を懺悔 エディターズレター(2020年9月11日配信分)

※この記事は2020年9月11日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「プレゼントですか?」と言われないための脅迫を懺悔

 脅迫罪の時効は、3年だそうです。ということで既に時効が成立しておりますので、本日は私の懺悔をお話します。気恥ずかしさゆえ迷走を極め、美容部員をビビらせていた買い物の話です。

 数年前は「イプサ」の化粧液、「ME」こと「メタボライザー」を愛用していました。この化粧液、肌実感はもちろん、価格と使いやすさ、そして男子の自宅にも溶け込むデザインで、ものすごく気に入っていたのです。最初は思い切って、横浜高島屋のカウンターで肌診断。自分の肌が、「ME」独自のマトリックスで「右上」のゾーンに位置することを知ると、次回以降はカウンターに行っても「『メタボライザー』の右上で、美白とかないヤツください」とだけ発声。「よろしかったら、コチラにどうぞ」とカウンターを勧められても「イヤ、急いでいるので」とだけ返し、「あ、でも青い石鹸のサンプルがあったらください」と付け加え、「クレンジング マリンケイク」の試供品はちゃっかりゲットしておりました。出張にちょうどいいんです、コレ(笑)。ちなみに、青い石鹸が「クレンジング マリンケイク」という名称なのは、知っていました。が、「男子なのに、製品名がスラスラ言えるなんて恥ずかしい」というナゾな自意識が働き、「青い石鹸」という言葉を繰り返したのです。

 そう、今思えば「気恥ずかしかった」のです。その気恥ずかしさは徐々にこじれ始め、ある時、「そうか。ビューティ業界の人を装えばいいんだ!」との考えに達し、以降は比較的通好みなビューティブランドのショッパーを持って「イプサ」のカウンターに向かう、という行為に発展します。当時愛用していたショッパーは、「ジョンマスターオーガニック」や「ウカ」。今思えば、こんなショッパー持っても美容部員さんはビューティ業界人とは思わず、「あぁ、本当にビューティ好きな男性なのね。うれしいわ」って考えるでしょうが(笑)、本人は業界人を装っています。ショッパーを持って、なんとなく眉間にシワを寄せながらカウンターに向かい、コルトンとかコフレをチェックして“業界人感”を表現し、最速で立ち去っていたのです。なんてプレッシャーな顧客でしょう。振り返れば「軽い脅迫?」と思いますが、男子は男子なりに大変なんですよ(笑)。横浜高島屋の皆様、ご迷惑をお掛けしました。ちなみに「キールズ」の「ナイト モイスチャー マスク」も愛用しておりましたので、季節に1回は全く同じことを「キールズ」のカウンターでも繰り返しておりました。重ねてお詫び申し上げます。

 ということで、しばらく前に話題になった「いちとせしをり」さん(Twitter検索をどうぞ!)が、「プレゼント用ですか?」と聞かれずにコスメが買えた喜びを語ったツイートには、大変共感した次第です。さすがに私は、もはやジェルネイルの指で伊勢丹新宿本店の地下2階でオーガニック&ナチュラルコスメを物色してもへっちゃらですが(美容部員さんは、尚も(さらに!?)ビビってるかもしれませんw)、「プレゼント用ですか?」に傷つく人は多いって言いますよね。私もいまだウィメンズのスポーツウエアを物色している時は、「プレゼントをお探しですか?」なんて話しかけられないよう、変なオーラを出しているフシがまだまだあります。「接客バリア」を発動しているのです。そう考えるともうこの言葉、ショップスタッフから発しなくても良いのかな?って思います。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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海外セレブも愛用するオーストラリア発「メゾン・ド・サブレ」のカスタマイズレザーグッズを体験

 個性を尊重する潮流と、1点モノの制作が容易・可能になった技術革新の結果、ファッション&ビューティ業界では「パーソナライズ」や「カスタマイズ」、いわゆる世界に(ほぼ)1つの品物を作るサービスを提供するブランドや企業が増えています。そこで「WWDJAPAN.com」は、トレンドや最新ムーブメントを知るからこそのアイデアを形にしてもらいながら、サービスの利便性や価格などを検証します。

 今回は、オーストラリア発のプレミアムレザーグッズブランド「メゾン・ド・サブレ(MAISON DE SABRE)」のカスタマイズを体験!実はこのブランド、iPhoneやAirPodsなどのガジェットケースのほか、財布やバッグなどのレザーグッズに名前やイニシャルを無料で入れられることを特徴としているD2Cブランドで、海外だけでなく日本でも最近SNSを発端に注目を集めています。また、シンディ・クロフォード(Cindy Crawford)の娘でトップモデルのカイア・ガーバー(Kaia Gerber)や、ネットフリックスドラマ「ストレンジャー・シングス」に出演する女優のミリー・ボビイ・ブラウン(Millie Bobbie Brown)らセレブからのラブコールも多いブランドです。ニュージーランド出身の兄弟オマー(Omar)とゼイン・サブレ(Zane Sabre)が2017年に立ち上げ、18年に日本上陸。現在131カ国以上で展開しています。

 ということで今回、私は最も人気というスマホケースを選びました。オーダーは、至って簡単。オンラインサイトからスマホのサイズを選び(私はiPhone XS Max)、そこから色と刻印する文字を選択するだけです。最高品質の牛革のみを使用して職人の手作業で丁寧に仕上げられています。内側にはベルベット製のスエードで仕上げられ本体をしっかり保護するほか、外側のレザーもペブルレザーで汚れや傷が目立ちません。ワイヤレス充電にも対応しています。私は日本のためだけに作ったという人気カラー“抹茶グリーン”をチョイス。落ち着いたソフトなグリーンで、ほかの人と被らないから良いと思ったのですが、記事執筆時にはあまりもの人気で売り切れていました……!名前の”ERI”を入力し、文字の色を選んで(ゴールドとシルバーから選べます)決済を済ませると、2日後に届きました(海外発送なのにすごい。)!

 配送のスピードもですが、届いた実物を手にすると想像以上の高級感にも驚きました。革製のスマホケースはほかにも買ったことありますが、「メゾン・ド・サブレ」のものはとっても革が柔らかいんです。このクオリティーで1万900円(送料無料)はなかなかだと思います。ほかにも名刺ケースやクラッチ、トートバッグなどいろいろなものをカスタマイズできるそうです。今年のホリデー、自分へのご褒美として、または大切な人に贈るのはいかがでしょうか?

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化粧品から食品、トイレットペーパーまで サブスクでSDGsな日用品を販売する急成長中D2Cブランド「パブリック・グッズ」 海外ビューティ通信ニューヨーク編

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」ではパリやニューヨーク、ソウル、ベルリンの4都市に住む美容通に最新ビューティ事業をリポートしてもらう。(本文中の円換算レート:1ドル=104円)

 新型コロナウイルスによって、2020年はニューヨーカーの暮らしぶりも激変した。物を大量に消費するより、SDGs(国連サミットで採択された持続可能な開発目標)に沿ったサステナブルな暮らしにシフトしている。バイデン次期大統領の得票に大きな力となったのがZ世代(1996年から2010年までに生まれた世代)といわれているが、彼らはサステナブルで、ノントキシック(毒性のない)、オーガニックな商品を好む世代だ。今や企業の商品開発においてSDGs へのコミットは欠かせず、巷には“サステナブル”をうたう商品が溢れている。

 その中で注目したいのが、D2Cブランドの「パブリック・グッズ(PUBLIC GOODS)」だ。16年に創業し、17年にはクラウドファンディングサイト「キックスターター(KICKSTARTER)」で68万6748ドル(約7142万円)を資金調達。ハウスホールド(家庭用品)とパーソナルケア(個人のグルーミング用品)商品から出発したブランドだが、19年には食品にもカテゴリーを広げ再びクラウドファンディングで41万6676ドル(約4333万円)を調達し事業を拡大した。

 特徴は、コストコ(COSTCO)のように59ドル(約6100円)の年会費を払った会員だけが商品を購入できるサブスクリプション(定額制)型のサービスである点だ。モーガン・ハーシュ(Morgan Hirsch)創業者は、故郷モントリオールで家業の皮革製造業にかかわったときに、製品が消費者に届くまでにいかに余計な中間コストがかかっているかを見て、商品を直接消費者に販売するD2C (Direst to Consumer)ビジネスを考えたという。そして良質でエコ、ミニマルな商品を打ち出そうとマイク・ファーチャック(Michael Ferchak)COOと共同で「パブリック・グッズ」を創設した。

商品数は250点以上、食品はオーガニック&フェアトレードが基本

 安定的な売り上げを見込めるサブスクにすることで、エコ商品は高いというイメージに反し、リーズナブルな価格でサステナブルな生活用品を販売している。公式サイトでは、「地球を守るためにスーパーヒーローになる必要はない。私たちの小さな選択が大きなインパクトをもたらす」「私たちが直面している問題は、使うことを選んだ商品による結果だ」などのメッセージを発信している。20年2月以降、新型コロナウイルスの影響もあり会員数は2倍に、売り上げは5倍に急増したという。

 圧巻なのは商品のラインアップで、取り扱う商品は250点に達する。ヘア&ボディー用品はパラベンや硫酸塩などの有害な化学物質を含まず、シャンプー(4.5ドル、約600円)、コンディショナー(4.5ドル)からボディーウォッシュ(4.5ドル)、ボディーローション(4.5ドル)、モイスチャライザー(4ドル、約500円)まで基本的なケア製品をそろえ詰め替え用のレフィルも豊富に用意する。エッセンシャルオイルはアロガンオイル(9.25ドル、約1200円)、ティーツリーオイル(7.75ドル、約1000円)など6種類がある。紙製品はトイレットペーパー(6個で6ドル)やキッチンペーパー(2個で6.5ドル、約900円)、ティッシュペーパー、さらには生理用ナプキンなどがあり、再生紙やバンブーを使用したツリーフリー(木から採取されるのではない)紙でできている。

 食品はオーガニック&フェアトレードを基本とし、小麦粉からパスタ、調味料、オイル、スープ、缶詰、スナックまでパントリーに必要なものを用意。エキストラバージンオリーブオイル(9ドル、約1200円)コーヒー豆(6.5ドル、約900円)パスタ(5ドル、約700円)などを手ごろな値段で提供している。ビタミンなどのサプリメントやペット用品なども扱い、全米に配送可能でワンストップ・ショッピング(さまざまな商品を1カ所で買い求めること)としても便利だ。インテリアの邪魔にならないミニマルなデザインも人気の秘密だ。

 17年に、同じくエコフレンドリーな商品を低価格で提供するECスタートアップ「ブランドレス(BRANDLESS)」がソフトバンクの出資を受けて立ちあがったが、こちらは資金繰りが続かず20年2月に廃業となった。全商品3ドル(約300円)の低価格戦略の失敗と、ポップアップストアなどに投資を行ったわりに売り上げが上がらなかったことが要因といわれている。コロナ時代のオンラインデリバリー特需の恩恵にあずかれなかったのもタイミングが悪かったのだろう。

 「パブリック・グッズ」は全米に展開する大手ドラッグストチェーン「CVS」と提携し、今年から一部店舗でテスト販売している。ECよりも実店舗で購入する方が高くなり、5.25ドル(約700円)のフェイシャルクレンザーは、CVSでは8ドル(約1100円)で販売する。手ごろに“SDGsな暮らし”を送るための手段として、「D2C×サブスク」でビジネスを展開する「パブリック・グッズ」の今後の成長に注目したい。

黒部エリ(くろべ・えり)/ライター:東京都出身。雑誌ライター、ジュニア小説家を経て1994年からニューヨーク在住。ニューヨークのトレンドやビューティ情報を女性誌などで発信している。著書に「生にゅー 生のニューヨーク通信」(文藝春秋社) ブログ「黒部エリぞうのNY通信」

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若い世代が行列を作るブランドを見て エディターズレター(2020年9月9日配信分)

※この記事は2020年9月9日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

若い世代が行列を作るブランドを見て

 リンク1本目にある「ディーゼル」 × GR8 × 東京ブランドというトリプルコラボの発表会に出掛け、面白い話を聞きました。「このご時世でも行列、特に若い世代が行列を作っているブランドって、どこだと思う?」と話を振られたのです。

 さて、どこでしょう?確かにインバウンドがほとんどゼロになって、ファッション&ビューティ業界では行列を見かける機会が減っています。そんな中でも行列を作るのは、そう、「ディーゼル」とGR8がコラボした東京のブランドたちです。石川涼社長をフォローしているせいか「#FR2」の行列はTwitterでよく見かけるし、「レディメイド」なんかは引き続きとんでもないことになっていますね。特に後者は小ロット生産で渇望感をかき立てまくっている感もありますが、いずれにしてもこのご時世、行列は海外のラグジュアリーから東京のストリートブランドにシフトしているのかもしれません。と言うより、後者の行列はまだまだ健在!!って感じでしょうか?前者の行列が少なくなった分、東京のストリートブランドの行列の存在感が際立ちます。「ディーゼル」に話を聞くと、そんなブランドと手を組むことで今なおファッション意欲旺盛な若い世代にリーチしないと「生き残れない」と明言します。なるほど。海外ブランドだけに肩入れしないフラットな世代の感覚を捉えようとするビジネスが本格化してきた印象です。

 若い世代は、特定のブランドの全てを愛するのではなく、TPOに応じ使い分けているとも聞きます。「好きなブランドは?」と聞かれて、「特になし」という回答が一番多い(ときに全体の6、7割を占めるときさえあると言います)のは、それも理由。「洋服に興味がない」のではなく、「どれか1つを挙げるほど、特定のブランドを偏愛していない」が正解なのです。

 それに対して、業界はどうでしょうか?こと古い世代は、未だヒエラルキーに縛られ、「もう、若い世代には通用しませんよ。その神通力」って思うことがあります。若い世代には、ラグジュアリーとかパリコレブランドとか、あんまり関係ありません。弊社の若手を見ていても、そう思います。パリコレブランドでも、ダメなものはダメ。盲目的ではありません。だから「まぁまぁ、相手が相手ですから」と、われわれ世代が“なだめる”ようなコミュニケーションは、本当に通じなくなっています。そこに依拠したコミュニケーションを続けていると、若い世代が業界をけん引する数年後には、「なんで威張ってんの、このブランド?」みたいなカンジで捉えられちゃうでしょう。ミヤシタパークの向かいにある「ディーゼル」の旗艦店で、オジさんは、そんなことを考えるのでした。

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エディターズレターとは?
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「バレンシアガ」がゲーム内で発表したコレクションを記者が体験リポート 2031年の世界で「NASA」や「PS5」とのコラボも

 「バレンシアガ(BALENCIAGA)」は6日、2021年秋コレクション(2021-22年秋冬シーズンに相当)を、オリジナルのビデオゲーム「アフターワールド:ザ・エージ・オブ・トゥモロー(Afterworld: The Age of Tomorrow」内で発表した。ゲームは一般向けにオンラインで公開され、「WWDJAPAN.com」の取材班も公開と同時にチャレンジ。また、編集部には米フェイスブックが開発したVRヘッドセット“オキュラス クエスト(OCULUS QUEST)”が届き、VRでショーを見られるという仕掛けも用意されていた。

 ここでは、ウィメンズ・ファッション・ウイーク取材担当の記者の大杉真心と、入社2年目の若手記者で普段からゲーマーでもある大澤錬の2人がゲームを体験。それぞれの視点から今回のコレクションを読み解く。

VRで360度で見渡せるショーに大興奮

大杉真心「WWDジャパン」記者(以下、大杉):ゲームの中で発表するって聞いて、数日前からこの日を楽しみにしていました。私はまずはスマホでプレイして、2回目はパソコンから操作してみたんですが、デバイスが変わるだけで見え方や表示画面が全然異なって驚き!パソコンの方が画面が大きいから迫力が出るし、最初にキャラクター選択画面のような動くルックが見られて興奮(笑)。これはスマホでは見れなかったです。大澤くんは会社に届いたヘッドセットでコレクションを見たんだよね? 

大澤錬「WWDJAPAN.com」記者(以下、大澤):始まる前から「わ!“オキュラス クエスト”だ。お高いものだから丁重に扱わないと」とちょっと緊張しました。ヘッドセットの調整をし、両手にはコントローラーを持ち、準備万端で22時のスタートと同時に自宅で見ました。始まると歓声と共にBGMが流れ始め、本当のショーのように、目の前のステージを原寸大のモデルがウオーキングして、360度で見渡せてとても興奮。ショー中にコントローラーを左右上下に振り回したときには何も反応せず…..でしたが、贅沢にもフロントローの中央の席でショーを見れたのは嬉しかったですね。ショー内の周りの観客は全てアバターで構成されていて、家の中で頭を左右に動かして横の人を確認したり、ランウエイの方に近づいてみたりしてました。

大杉:すごく近未来的!デジタルの中に入り込んだように没入できちゃうよね。フロントローでショーを見れるのも貴重な体験だね。ショーの音楽など演出はどうだった?

大澤:BGMは、2017年のメンズコレクションからデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)のショー音楽を手掛けているBFRNDことロイク・ゴメス(Loik Gomez)の「エージ・オブ・トゥモロー(The Age of Tomorrow)」が流れていました。

大杉:本題のゲームも「アフターワールド:ザ・エージ・オブ・トゥモロー」というタイトルでリンクしているね。操作は普段からゲームをしていない私には難しかったな。最初の10分間は進行方向に進むことすらできず、壁にぶつかってばっかりで四苦八苦(笑)。この時点で酔っちゃった人もいたみたい。モデルのアバターたちの間を通りながら進むと、途中で一輪のバラを持った男性が目の前に現れたり、手から火を出す男性の前でバスが宙に浮いたりとサプライズが待っていたよね。あと、アバターの中にはデーモン閣下みたいな白塗りに黒いアイメイクの人とか、口から血が垂れた流血メイクもシュールだった!スクリーンショットを撮りながら、ゆっくり進んでたらあっという間にゲームオーバーになっちゃって、最終面のゾーン5に行くまでに50分はかかったよ。普段からゲームに慣れている大澤くんには簡単だった?

大澤:操作方法としては単純で左側が進行方向キー、右側がカメラワークでしたね。僕はスマホでプレイしている時に一度落ちてしまい、最初からやり直しというハプニングが(笑)。恐らくゲームの性能・質が高すぎて、スマホでは耐えきれなかったのが原因かもしれません。僕はひたすら本気モードで、右上の時間制限なんか気にせず、楽勝でゴールまで駆け抜けました。各ステージは店舗から街並み、森林まで、さまざまなロケーションで楽しむことができました。最初は“ゲームあるある”で、アバターに近付くと何か喋ったり説明したりしてくれるのかと思いましたがそれはなく、360度でアイテムを見るための仕様でしたね。ヘッドセットでコレクションを見た最後のルックの騎士がゲームのエンディングでも登場してきました! 

2031年の世界を舞台にした未来の服

大杉:騎士はジャンヌ・ダルク(Jeanne d'Arc)のようでかっこよかったね!ゲームの世界は2031年が舞台になっていて、デムナは未来の服を想像しながら、何十年も着用できる洋服をデザインしたとのこと。実はテーラードスーツはジャージー素材で作られていて、ストーンウオッシュ加工で着古されたような仕上がりになっていたり、メッシュ裏地が付いたストレッチ素材のスーツは、パフォーマンスウエアのような着心地だったりと、こだわりが詰まっているんだって。ダッフルバッグにもなるパーカや、コートになったブランケットなど、変身しているアイテムも多かったね。そこに、ゲームキャラクターらしいアーマー風のブーツをあわせて、非日常的なデザインのバランスがよかった。あれ、400年前の本当の鎧の形を3Dプリンターで再現しつつ、鋼よりも軽い素材でできているらしい。日本での販売は未定だけど、ちゃんと商品化されるそう!

大澤:ゲームの世界で登場するようなウエアで出てきて面白かったです。また「ナサ(NASA)」や、先日発売された「プレイステーション5(PLAY STATION 5以下、PS5)」とのコラボアイテムも登場しましたね。「ナサ」とのコラボでは、宇宙服をほうふつとさせるアウターのほか、MA1やショルダーバッグなどがあり、特にバックパックは多くのモデルが着用していたのでイチ押しだということが分かりました。「PS5」とのコラボパーカは、ゲーマーの人たちがかなり欲しがるんじゃないでしょうか。フロントに「プレイステーション」のアイコニックなロゴと「PS5」の文字、アームには「バレンシアガ」のロゴも施されていてコーディネートに取り入れやすそうです。ゲームとファッションの融合が少し、現実味を帯びてきた気がします。

大杉:Tシャツのメッセージも目を引いて「If I am lost, take me to the Balenciaga store(私が迷子になったら、バレンシアガ店舗に連れてってください)」とクスッと笑えた。シャツには「When I am done with this shirt, I will donate(このシャツを着なくなったら、寄付します)」とあって、ユーモアを混ぜながら、循環型経済をちゃんと促しているのもさすがだなと思いました。これまでもWFP(国連世界食糧計画)などとのチャリティー商品もあったけど、こういう風にソーシャルグッドな発信を自然に取り入れているのはすごく共感できる。クリエイションの雰囲気は大きく変化はないけれど、毎回新しい取り組みや素材のアップデートがあって「バレンシアガ」はやはり先進的なブランドだと感じたな。

大澤:僕のようなZ世代は特に小さい時からゲームで遊ぶ環境があったので、やはり自然とワクワクしちゃいました。ファッション好きだけでない、幅広い層へ刺さるコレクションだったと思います。ゲームだけにフォーカスするのではなく、『バレンシアガ』らしさは残しつつ、さまざまな取り組みを同時に見せていくのは素晴らしいですね。異業種と掛け合わさることで、どんなハレーションが起きるのか今後も楽しみにしています!

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ファッション愛にまみれた「WWDジャパン」スタッフのベストバイ 「THE TEN」や「マルニ」、中国コスメなど

 ファッション業界で働く人たち、ファッション好きな人であれば、一度は聞いたことがあるであろう「アパレル不況」「潰れないと変われないのか」。心ない言葉が飛び交う度、あるいは業界に対するイメージで、希望のある若者は入社を拒み、両親から反対されるケースも少なくないでしょう。また新型コロナウイルスにより、“倒産”、“破綻”というニュースを見る機会も増えました。けれど業界で働く人たちは必死に毎日働き、周りから何を言われようと、見えない敵と戦い続けています。一番の理由は「ファッションが好きだから」。「WWDジャパン」のスタッフたちもアパレルの皆さん同様にファッション愛にまみれた、お気に入りのアイテムを一挙に紹介します。

世界で一番開くのを躊躇する雑誌

 ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)とコラボして制作された「ハイプビースト(HYPEBEAST)」の第20号。雑誌をカバーする袋には"DO NOT OPEN(開けるな)"の文字。買ったは良いものの、このメッセージのおかげで開けるのを躊躇し数カ月後に満を辞して開けました。レアものかどうかは分からないですが、きっと世界で一番開けるのを躊躇する雑誌です(笑)。開けずにはいられないからこそ"開けるな"という文字を置くところが、彼らしいユーモアです。

 雑誌が発行されたのはヴァージルが「ルイ ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のメンズ アーティスティック・ディレクターに就任する以前で、「ナイキ(NIKE)」とのコラボ「THE TEN」が話題になっていたころのインタビューが掲載されています。コラボというだけあり、ヴァージルの落書きが至る所にされています。本人による注釈によれば、自分について書かれた記事は絶対読まないそう。
(デジタルマーケティング部 丸山瑠璃)

「THE TEN」を自分だけの一足に

 ナイキ(NIKE)とヴァージル・アブローによる、ナイキのアイコニックなスニーカーを再構築するデザインプロジェクト「The Ten」の“エア ジョーダン 1(AIR JORDAN 1)”。恐らくこれを手にしたマニアたちは履かずに、大事に保管、観賞用にするのが大半だと思います。僕は履きまくっていますが(笑)。というのも、学生時代にパリに行った際、アパレル業界で働く外国人(恐らくどこかのバイヤーかな?)が、かなりの味が出ている同スニーカーを履いているのを見て、「カッコいい!」と思ったのがきっかけです。改めて、「スニーカーは履いてナンボや」というのを感じた瞬間でした!
(WWD JAPAN.com編集部 大澤錬)

手持ちコスメの中で最重量⁉︎中国コスメに一目惚れ

 韓国コスメの人気もさることながら、今熱いのは中国コスメ!パッケージデザインや世界観にこだわったブランドが多く、ユニークなアイテムと出合えます。今回自慢したいアイテムは、SNSパトロールをしていた際に一目惚れして即購入した中国のコスメブランドのアイシャドウパレット。木箱に入っていて、本体のケースはかなり重さがあります。(計量してみたところ、約1.5kgありました。)繊細な彫刻と立体の花のデザインが美しく、眺めているだけで幸せ……。もちろん中のアイシャドウも質が良く、しっとりとした粉質で高発色です。現在、中国コスメのほとんどは限られた通版でしか購入できないため、日本上陸が待ち遠しいです。
(デジタルマーケティング部 浅野ひかる)

命の重みを感じるきれいなハンティングジャケット

 

 古着屋をあてもなく見て回っている時に出合った老舗ハンティングウエアメーカー「ボブ アレン(BOB ALLENE)」のジャケットです。ハンティングジャケットは男臭いものや野暮ったいものが多い中で、ハリ感のある素材で、きれいなシルエットに惹かれました。前の所有者がハンティングしていた際に付いたであろう動物の血痕のようなシミがあり、命の重みを感じる1着です。
(デジタルマーケティング部 森川竜生)

思わず運命を感じてしまったハワイアンシャツ

 映画「ロミオ+ジュリエット(Romeo + Juliet)」のレオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)に憧れハワイアンシャツにハマっていた学生時代、たまたま見つけた「ポール・スミス(PAUL SMITH)」のシャツ。偶然にも大好きな絵本「かいじゅうたちのいるところ」を思わせるプリントに運命を感じました(笑)。「ポール・スミス」日本公式アカウントが、自分のインスタグラムにアップした着用写真をリポストしてくれた思い出もあって、今もお気に入りの一着です。
(デジタルマーケティング部 佐立武士)

新社会人、自分へのプレゼントに購入した財布と名刺入れ

 好きなブランドは特にない私ですが、色合いにひかれ、「マルニ(MARNI)」の財布と名刺入れを購入しました。長く使えるものをと思い、ついにブランド品デビュー。特に「マルニ」の財布は、手のひらサイズでポケットに入り、使い勝手がとても良いです。ゲットしてから半年が経ちますが、見る度にウキウキします!
(ビジネスプランニング部 笹谷南月)

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