随時更新:ファッションブランド読み方クイズ 世界最古のウオッチブランドから“アントワープシックス”、日本のブランドまで

1990年代から海外ブランドの上陸が相次ぎ2000年代、インターネットの普及はそれを加速させた。そこで発生したのが、「このブランド、なんて読むの?」。英語はそこそこ読めても、フランス語やイタリア語、ドイツ語などは至難の技!? グローバルで有名なこのブランド名、ファッション業界人なら知ってて当然?かもしれないが、ビューティやほかの業界の人には難解かも……。あなたは何問読めた? (ビューティブランド編はこちら

第1問

<LONGCHAMP>

答え「ロンシャン」
 ジャン・キャスグラン(Jean Cassegrain)が1948年にフランス・パリで創業した・レザーグッズブランド。現在ではブランドアイコンのナイロンバッグ「ル・プリアージュ(LE PLIAGE)」をはじめとしたバッグを中心にシューズなども展開する。2018年にはニューヨークでレディ・トゥ・ウエアのコレクションを発表した。

第2問

<ERMANNO SCERVINO>

答え「エルマンノ シェルヴィーノ」
 エルマンノ シェルヴィーノ(Ermanno Scervino)が2000年にフィレンツェで創業したウィメンズブランド。自社工場を持ち、伝統的なサルトリアと繊細な職人技を生かしたクチュールライクなクリエイションで知られる。創設以来“スポーツクチュール”をコンセプトに、日常着からイブニングドレスまで幅広くそろえている。14年春夏から17年秋冬まではコロネットが輸入販売していた。

第3問

<N°21>

答え「ヌメロ ヴェントゥーノ」
 アレッサンドロ・デラクア(Alessandro Dell’Acqua)が2009年に創業したファッションブランド。デラクアのシャープなテーラーリング、独特のセンシュアルさとフェミニニティーに、スポーティーさを加えたウエアが特徴。15秋冬からメンズラインをスタートした。

第4問

<ANN DEMEULEMEESTER>

答え「アン ドゥムルメステール」
 ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク(Walter Van Beirendonck)やドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)、マリナ・イー(Marina Yee)らと共に、“アントワープシックス”と呼ばれたアントワープ王立芸術アカデミー出身のアン・ドゥムルメステール(Ann Demeulemeester)が、1985年に設立したブランド。自身初のコレクションを88年秋冬シーズンからスタート。92年からはパリでショーを披露し、96年にはメンズラインを発表した。最近では2019年に、黒や赤の筆使いでキアロスクーロ(イタリア語で明暗の意味)のエフェクトを生み出したブランド「デ テーブルウエア(De Tableware)」を携えてホームウエア市場に参入している。

第5問

<BOUCHERON>

答え「ブシュロン」
 フレデリック・ブシュロン(Frederic Boucheron)が、1893年にフランス・パリのヴァンドーム広場にジュエラーとして初めて構えたブティックにルーツを持つハイジュエリーブランド

第6問

<VACHERON CONSTANTIN>

答え「ヴァシュロン・コンスタンタン」
 1755年にジャン=マルク・ヴァシュロン(Jean-Marc Vacheron )が創業した世界最古のウオッチブランド。創業者の孫息子ジャック・バルテルミー・ヴァシュロン(Jacques Barthelemy Vacheron )がフランソワ・コンスタンタン(Francois Constantin )を共同経営者に迎えたことにより、社名を “ヴァシュロン&コンスタンタン”に変更。その後に「カルティエ(CARTIER)」や「ピアジェ(PIAGET)」を擁するコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)傘下に。

第7問

<AUDEMARS PIGUET>

答え「オーデマ ピゲ」
 1875年にスイス・ジュネーブの北にあるジュラ山脈に囲まれたジュウ渓谷で、ジュール・ルイ・オーデマ(Jules-Louis Audemars)とエドワール・オーギュスト・ピゲ(Edward-Auguste Piguet)によって創設された時計ブランド。「パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)」と「ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)」と並び、“3大時計ブランド”と称されている。

第8問

<HERVE CHAPELIER>

答え「エルベシャプリエ」
 1976年、当時26歳のエルベ・シャプリエ(Herve Chapelier)がパリで創設した、自身の名前を冠したバッグブランド。グリップに車のシートベルトを使用した、オレンジや黄色、紫などの鮮やかなダッフルバッグやブランドを代表する舟型ナイロントートが話題を呼び注目を集める。日本でも一大ブームとなる。

第9問

<BRUNELLO CUCINELLI>

答え「ブルネロ クチネリ」
 「ブルネロ クチネリ」は1973年、イタリアで創業。“スポーツシック・ラグジュアリー”をコンセプトにメンズとウィメンズのトータルコレクションを発表する。ペルージャ近郊の小村、ソロメオ村に本社を構える。2013年秋に地元の職人技術を次世代へ継承することを目的とした「ソロメオ学校」を開校したり、最近では新型コロナウイルスの影響で休業した店舗で売れ残った商品を寄贈するプロジェクトを立ち上げたりと、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいる。

第10問

<AMI ALEXANDRE MATTIUSSI>

答え「アミ アレクサンドル マテュッシ」
アレクサンドル・マテュッシ(Alexandre Mattiussi)が2011年に創業したファッションブランド。アレクサンドル・マテュッシのイニシャルでもある、ブランド名の“AMI”はフランス語で“友人”を意味する。2019年9月、ウィメンズラインを発表した。

第11問

<ROKH>

答え「ロク」
 韓国と米テキサスで育ち、ロンドンのセント・マーチン美術大学でメンズウエアとウィメンズウエアを学んだ韓国人デザイナーロク・ファン(Rok Hwang)が手掛けるウィメンズブランド。フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)の「セリーヌ(CELINE)」を経て、2018年度の「LVMHプライズ」では特別賞を受賞。19年3月にパリで初のランウエイショーを開催した。

第12問

<SCHIAPARELLI>

答え「スキャパレリ」
 エルザ・スキャパレリ(Elsa Schiaparelli)が1927年に創設したファッションブランド。73年にフランス・パリで83歳で死去後、一度ブランドを休止するが、2013年にブランドは再スタートを切る。18年にウエアのラインを刷新したほか、初のハンドバッグを発表するなどブランド強化に取り組む。

第13問

<LOUIS GABRIEL NOUCHI>

答え「ルイ ガブリエル ヌイッチ」
 フランスを拠点とするデザイナー、ルイ ガブリエル ヌイッチ(Louis Gabriel Nouchi)が「ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)」などで経験を積んだ後、19年春夏シーズンより自身の名前を冠したブランドをスタート。

第14問

<COURREGES>

答え「クレージュ」
 「クレージュ」は1961年に創業。当時、革命的であったビニール生地を含むプラスチック素材をふんだんに使用したスタイルで話題を集めた。その後、2018年9月にパリ旗艦店で行った19年春夏コレクションで同素材の使用廃止を宣言し、ビニール生地の代わりにリネンや再生コットン、再生ナイロンといったサステナブル素材を用いたウエアやアクセサリーなどを使用する方向に転換した。

第15問

<BACCARAT>

答え「バカラ」
 1764年フランス・東部ロレーヌ地方のバカラ村で創業したクリスタルブランド。1890年代に香水瓶の制作を始め、高級香水ブランドやオートクチュールメゾンの装飾性の高い香水瓶を手掛け、香水産業の発展を支えてきた。バカラを象徴する"バカラレッド"は、溶解したクリスタルの原料に金粉を加え、540度まで熱することで生まれる特別なカラーを意味する。

第16問

<DEUXIEME CLASSE>

答え「ドゥーズィエム クラス」
 ベイクルーズが運営する“トラッドをベースに肩の力を抜いてファッションを楽しむ”をコンセプトとする日本のウィメンズブランド。 “モダン”や“ミニマル”、バランス”などをキーワードに、ベーシックなアイテムを自分らしく着こなすスタイルを提案する。

第17問

<ERMENEGILDO ZEGNA>

答え「エルメネジルド ゼニア」
 1910年に、北イタリアの町トリヴェーロでファブリックメーカーとして創業。その後レディ・トゥ・ウエアの分野に進出し、80年にはフランス・パリに初めてのブティックをオープン。現在は100カ国以上で500を超える店舗を展開している。2020年、ジェリー・ロレンゾ(Jerry Lorenzo)率いるLA発の「フィアー オブ ゴッド(FEAR OF GOD)」と協業した“フォー ハンデッド マン コレクション(Four-handed Man Collection)”を発表した。

The post 随時更新:ファッションブランド読み方クイズ 世界最古のウオッチブランドから“アントワープシックス”、日本のブランドまで appeared first on WWDJAPAN.com.

白スニーカーの次は白ブーツ! 秋冬コーデが軽やかな印象に

 白ブーツの人気がじわじわ広がっています。もはや“白スニーカー”の次といった感じで、この秋冬はさらに広がる気配。支持される理由は、今の時代に望まれる清潔感やフレッシュさを印象づけやすいのに加え、冬ルック特有の重たさを遠ざけられるから。今回は有力ブランドによる白ブーツの提案をスタイリング別に集めてみました。

 「レキサミ(REKISAMI)」は、カットワークレースのサックドレスに白ブーツを合わせてクラシック&フェミニンのコーディネートに。クールな白ブーツが芯の強さも感じさせます。白を生かせば、軽やかに見せたりパンツルックを格上げしたりとアレンジパターンが増やせそう。提案の豊作ぶりも白ブーツブームを証明しています。

ボリュームを削いで軽やかな印象に

 秋冬はレイヤードが楽しめるシーズン。重ね着でボリュームを出しつつもクリーンなムードを出したいときに、アイキャッチーな白ブーツはいい仕事をしてくれます。

 ロングシャツにニットポンチョを重ねた「アメリ(AMERI)」流のスーパーレイヤード。さらにワイドパンツも投入してボリュームを出しつつも、ポンチョやパンツとリンクした白ブーツのおかげで凛とした雰囲気に仕上がりました。

 白は膨張色といわれますが、靴に関して言えば、すっきり見せてくれるメリットのほうが大きそう。2枚目写真の「ジェーン スミス(JANE SMITH)」は、ロングスカートの上から羽織ったボアコートがコーデの主役。見るからにあたたかそうな風合いと着丈ですが、過剰にモコモコして見えないのは、白ブーツのお手柄です。

パンツルックの脱マンネリ

 防寒面からも冬はパンツの出番が増えます。スタイリッシュな印象を与えるうえでも、白ブーツは絶好の相棒です。

 アウターでかさばって見えがちなときに白ブーツを投入すれば、重たさを削ぐ効果が期待できそう。白ならではのピュア感や上品さが備わるのも魅力。ロング丈のパンツやスカートとのコンビネーションで、縦長イメージを強める使い方が効果的です。

 2枚目の写真「レンズ(LENZ)」は、どちらもベージュ系でそろえたシャツとパンツのセットアップ風ルックに白ブーツをスタイリング。パンツの裾下から白い爪先だけをチラ見せしています。白スニーカーに比べると、足元にシャープさを演出できるのも利点と言えます。

ロマンチック×ハンサム ブーツインですっきりしたレッグラインに

 パンツの裾をロングブーツにインすれば、さらに白ブーツの魅力を生かせる着こなしに。レッグラインがシャープに映るのに加え、ブーツの見える面積が広がることでホワイトの主張が際立ちます。

 「ポステレガント(POSTELEGANT)」は、白パンツ×白ロングブーツですがすがしい装いにまとめました。オールホワイトの着こなしですが、異素材ミックスで適度な“ずれ感”が生まれ、どこかロマンチックでハンサムなパンツコーデの出来上がり。

 2枚目の「ヨウヘイ オオノ(YOHEI OHNO)」はベージュ系のスリムパンツを白ブーツにイン。“細×細”の相乗効果が生きてスリム効果もアップ。パンツスーツを意外性のある着こなしにアップデートさせたいときにうってつけです。

 重ね着でふくれがちな冬コーデからかさばり感を削ぎ落としてくれる白ブーツは、これからのシーズンの重宝アイテム。今の時代に求められる清潔感も漂わせやすいので、手持ち服との相性を試してみてはいかが。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

The post 白スニーカーの次は白ブーツ! 秋冬コーデが軽やかな印象に appeared first on WWDJAPAN.com.

歩み続けて200年 スコッチウイスキー「ジョニーウォーカー」のアニバーサリーキャンペーンがスタート

スコッチウイスキーブランド「ジョニーウォーカー(JOHNNIE WALKER)」が、その200年の歴史を記念したキャンペーン”KEEP WALKING 200 YEARS“をスタートした。

気軽に味わえる
「ジョニーウォーカー ブラックラベル12年」

 アニバーサリーコンテンツの第一弾として、「ジョニーウォーカー」の代表的商品である「ジョニーウォーカー ブラックラベル12年」のミニボトル(200mL)1本とロゴ入りカップがセットになったオリジナルボックスが毎日最大200人に抽選で当たるツイッタープレゼント企画“KEEP WALKING 200 YEARSオリジナルギフトキャンペーン”を12月31日まで実施中だ。「ジョニーウォーカー ブラックラベル 12年」と氷をよく混ぜてからソーダを静かに注ぐのが、自宅で簡単にできるおすすめの“ジョニーハイボール”だという。

伝統のブレンディング技術から
生まれる深い味わいが魅力

 「ジョニーウォーカー」が保有する約800万樽というストックの中から厳選された12年以上熟成の原酒をブレンドしたのが「ジョニーウォーカー ブラックラベル 12年」だ。門外不出のブレンディング技術を使用し、29ものシングルモルトを丹念にブレンドして生み出されたスモーキーなフレーバー、バニラのような甘み、オレンジやレーズンなどのフルーティーな味わいが大きな特徴。1杯で複層的に味わえる奥深さが、世界で愛され続ける理由だ。

歩み続けるクリエイティブな
革新性

 「ジョニーウォーカー」は創業当初から先進的なイノベーターだった。その歴史は、1820年のスコットランドの南部キルマーノックから始まる。当時14歳だったジョン・ウォーカーが父親から受け継いだ農場を売却し、その資産を元手に食料雑貨店を開業。そこで販売していた紅茶やスパイスのブレンディングにヒントを得て、ウイスキーもブレンドするという画期的なアイデアに挑戦した。さらに複数のウイスキーをブレンドすることで深い味わいが生まれ、その評判は街中で瞬く間に広がったという。
ジョンの後を受け継いだ息子のアレキサンダーはウイスキーの大量生産に取り組み、大型船の船長に渡航先で広めるようにウイスキーを渡したことで海外市場への拡大が始まった。長い船旅でも破損しないようにと考案されたのが、「ジョニーウォーカー」の代名詞である四角い形のボトルだ。斜め24度に傾いたラベルは、ブランド名を確認しなくても「ジョニーウォーカー」と認識できるように考えられたコーポレートデザイン。そして、色で表現するラインアップは、効果的なブランディングに役立っている。この画期的でユニークな発想が、現在約200カ国で年間1億2000万本を売り上げる世界No.1のスコッチウイスキーブランド(「IMPACT DATABANK 2019」に基づく販売数量)に成長する原点になっている。1934年に英国王室御用達(ロイヤルワラント)として認められ、現在も英国王室に収められているほど品質に対する評価は高い。伝統のブレンディング技術に磨きをかけながら歩み続け、これまで6世代のマスターブレンダーが受け継いでいる。
 「ジョニーウォーカー」が200年の歴史に刻んだクリエイティブな革新性は、今も進化の歩を緩めていない。この伝統のスピリットを表現するため、ストリートカルチャーの世界で活躍する“KEEP WALKING”な著名人にスポットを当てたスペシャルインタビューを「ジョニーウォーカー」の公式サイトで公開中だ。ブームとなった塊根植物を手掛ける横町健「ボタナイズ(BOTANIZE)」オーナーと、通算5度にわたりBMXの世界タイトルを獲得しているトップライダー内野洋平が登場中で、このシリーズは今後も続く予定だ。

カジュアルに楽しみたい
プレミアムウイスキー

 「ジョニーウォーカー」は長い歴史に育まれた高級感のあるプレミアムウイスキーという印象が強いが、昨年、東京・渋谷にコンセプトバーを期間限定オープンするなど時代と共にライフスタイルに溶け込み、広く親しまれる身近な存在になった。”KEEP WALKING 200 YEARS“キャンペーンは、「ジョニーウォーカー」のカルチャーにカジュアルな気持ちで触れてみるチャンスだ。

問い合わせ先
キリンビールお客様相談室
(ウイスキー)
0120-111-560

The post 歩み続けて200年 スコッチウイスキー「ジョニーウォーカー」のアニバーサリーキャンペーンがスタート appeared first on WWDJAPAN.com.

韓国でブームのホームヘアカラー、2大人気はトップサロン「スンス」と「ジェニーハウス」のオリジナル 海外ビューティ通信韓国編

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」ではパリやニューヨーク、ソウル、シンガポールの4都市に住む美容通に最新ビューティ事業をリポートしてもらう。(キャプション中の円換算レート:1ウォン=0.092円)

 韓国ではホームトレーニングやデリバリーアプリケーション、ドライブスルーショッピングなど非対面時代に適した新しいトレンドが定着している。そしてビューティ市場では今、ホームヘアカラーがブームになっている。

 中でも人気を集めているのが、ソウルにあるヘアサロンのツートップといわれる「スンス(SOONSOO)」と「ジェニーハウス(JENN HOUSE)」がプロデュースしたヘアカラー剤だ。品質や色、質感に加えて初心者でも簡単にできる点が評判だ。両ブランドの製品とも、染毛剤と酸化剤を混ぜて振るとプリプリとしたジェル状に変わり、使い捨て手袋をして指でマッサージするようにして髪の毛の根元から毛先まで塗布し30分放置すると髪がまんべんなく染まる。液垂れすることもなく扱いやすい。

 アイドルやセレブリティーも通うヘアサロンの「スンス」は、トップヘアスタイリストのイ・スンチョルとメイクアップアーティストのイ・スギョンが経営する有名ヘアサロンだ。2014年に発売した“ザ⊡サロンカラー⊡ゴールドラベル”は、こだわりの20種のペプチド成分と20種のアミノ酸成分と独自の特許成分のトリュフオイルやキャビアオイル、ホワイトルフィンオイルを配合し、髪のダメージを補修しながら艶を与えカラーの持続力も実現した。CJホームショッピングのホームヘアカラー剤カテゴリーでリピート率1位のタイトルを獲得した。

 後発だが大きな人気を得ている「ジェニーハウス」の“サロンコードイルミネーションヘアカラー”は、60年以上の技術力を持つヘアカラー剤で有名なドンソン製薬とダオルコスメティックが提携して開発。18年に発売し1年間で470万個を売り上げた。コラーゲン含有量を高めて、グリセリルグルコシド、スクワラン、ヒアルロン酸の3種の保湿成分、7種の特許成分、10種のタンパク質、10種の植物エキス、10種の植物オイル成分で髪の油分と水分のバランスを整え、ダメージにアプローチする。室内照明と自然光の両方に映える豊かな色・質感と艶が評判で、19年の韓国品質満足度指数(KOREA QUALITY SATISFACTION INDEX)で1位、20年は韓国顧客満足度指数(KOREA SATISFACTION CONSUMER INDEX)で1位になった。

 両ブランドともアンモニアなどの有害成分無添加で、香りや頭皮への刺激を抑えた。ヘアカラー剤のほかカラーコーティング・トリートメントも注目を集めている。頭皮と髪を傷めずに手軽にヘアカラーチェンジができるほか、トリートメントと脱毛防止も期待できる一石二鳥の商品だ。

 品質の高いホームヘアカラーは、非対面時代のライフスタイルのニーズを満たし今後も需要が増えていくだろう。シーズンを重ねてさらに進化したヘアサロン発のヘアカラー剤に期待がかかる。

チョン・ジャキョン:フリーランスコーディネーター兼ライター。ソウル生まれ。アート関連会社と映画製作会社の演出部を経てメディアコーディネーターに転身。雑誌を中心にテレビ、広告、スポーツなど幅広い分野で活躍。携わった書籍は「ソウル美容完全ガイド」(講談社)など多数

The post 韓国でブームのホームヘアカラー、2大人気はトップサロン「スンス」と「ジェニーハウス」のオリジナル 海外ビューティ通信韓国編 appeared first on WWDJAPAN.com.

伊レザーブランド「ヴァレクストラ」がパトリシア・ウルキオラとコラボ 大理石を使ったバッグ

 イタリアの老舗レザーブランド「ヴァレクストラ(VALEXTRA)」は2021年春夏、ミラノを拠点にするスペイン人インテリアデザイナーのパトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiola)と、大理石を扱うイタリアメーカーのブドリ(BUDRI)とコラボレーションしたコレクション「MarVles」を披露した。これは今年「ヴァレクストラ」が開始したミラノブランドとのコラボレーションプロジェクト“エクストラ ミラノ(EXTRA MILANO)”の最終章として、12月中旬に発売する。

 「ヴァレクストラ」の代表的なハンドバッグ“イジィデ(ISIDE)”をモデルに、ブドリの持つ高い技術で加工された大理石を取り入れた3つのコレクションをそろえる。ラインアップは岩石層をイメージした有機的な曲線を取り入れたデザインシリーズの“フューズ(FUSE)”、プレイフルに色が交差するアーチ型の“ボウ(BOW)”、アールデコ調にとがった角が印象的な“エッジ(EDGE)”。ハンドルに大理石を施したバッグは100万円台、大理石を使ったクロージャーをのせたシリーズは70万円台、象がんのデザインをあしらったシリーズは50万円台になる予定だ。

バッグに込められた
“自然に敬意を払う重要さ”

 ヴァレクストラのサラ・フェレロ(Sara Ferrero)CEOは、ウルキオラと長年の友人であり、一緒に協業をしたいと願ってきた相手だったという。「パトリシアと取り組むことが決まり、特別でタイムレスで、未来につながるデザインにしたいと話し合った。大理石はイタリアの歴史と長く密接なもので、多くの歴史的建造物や芸術作品に使われてきている。重たく、固く、薄くすると壊れやすいという弱点があり、従来ファッショングッズに取り入れることは難しいが、ブドリの最先端の技術によって解消することができた」と説明。また「私たちがコロナ禍で感じた『力を合わせて協力し合うこと、自然をリスペクトすることの重要さ』をこのコレクションに反映させている」と語った。

 デザインを手掛けたウルキオラは、「“自然とのロマンス”と表現できる作品になった」と話す。「『ヴァレクストラ』のサラ、ブドリのアレクサンドラ・ブドリ(Alessandra Budri)、私の女性3人で約2カ月間でエネルギーを注ぎ込んで作り上げたもの。代表的な“イジィデ”にちょっと奇抜なハンドルを加えることでデザインを主張しながらも、全体的には洗練された印象を保っている。脆い大理石は、私たちがこの期間に実感した人間の脆弱さとリンクするところがあるが、テクノロジーの力が加われば改善することができという、ポジティブなメッセージが込められている」と言う。

 ブドリでアートディレクターを務めるアレクサンドラ・ブドリは、これまでもウルキオラとインテリア商品での協業を続けてきた人物。「私たちは軽量で極薄の大理石を加工できるパイオニアと自負している。薄い大理石を扱うことができるということは、無駄が少なく、サステナブルでもある。今回使用した大理石はイタリア、イラン、南アフリカ、ギリシャなど異なる国から採取したものを組み合わせていて、とても貴重であり、世界を結ぶような商品になった」とブドリは教えてくれた。

The post 伊レザーブランド「ヴァレクストラ」がパトリシア・ウルキオラとコラボ 大理石を使ったバッグ appeared first on WWDJAPAN.com.

メディコム・トイの「アカシック レコーズ」に70以上のブランドなどが参加 赤司社長の“超人的”なコラボ力に迫る

 メディコム・トイ(MEDICOM TOY)は11月3日まで、ジュンが運営する渋谷パルコ1階の「ポップ バイ ジュン(POP BY JUN)」で、ポップアップイベント「アカシック レコーズ(AKASHIC RECORDS)」を開催中だ。同イベントは、メディコム・トイの赤司竜彦社長が自ら全面的にキュレーション。ギャラリーに見立てた店内には、「ベアブリック(BE@RBRICK)」をはじめとするトイやファッションアイテム、雑貨、人の身長ほどある大型のフィギュアなど、多種多様なものが並ぶ。それもそのはずで、今回のイベントには総勢70近いアーティストやブランド、コンテンツが参加している。キービジュアルに書き示した「超人的な分裂家さ」という言葉が表すように、まさに“超人的”なコラボレーションを成し遂げる赤司社長の原動力とは?

WWD:なぜ70以上のブランドやアーティスト、コンテンツなどとコラボしようと思ったのか?

赤司竜彦メディコム・トイ社長(以下、赤司):ジュンさんからお話をいただき、やるならきちんと成功させたいという気持ちがあった。見せたいものを見せながら数字も作らなければならないというのがスタートの段階にあって、その数字の裏付けを一つのメガコンテンツで作るより、小さな数字を積み重ねていこうと思った。それで、自分自身が懇意にしている作家やカルチャーをリコメンドすることにした。

WWD:最初に思い浮かんだアイテムは?

赤司:最初に作りたいなと思ったのは、「ナグナグナグ(NAGNAGNAG)」の作品だ。彼はトイカルチャーにおいて、バンクシー(Banksy)の名前が広く知られるずっと前からバンクシーのような活動をしているアーティストで、表には一切出てこない。ただし、世界中のトイをベースにしたアーティストで、彼の影響を受けていない人は恐らくいないだろうと思う。幸いなことにこれまでもさまざまなプロジェクトをご一緒させてもらっている。

WWD:「ナグナグナグ」の作品は180cmほどもある大型のもの。280万円の価格についてはどう思う?

赤司:安いと思う。スタッフとももう少し高く値付けしてもよかったかな?と話したばかり。彼の作品は小さなサイズ(20~30cmほど)でも、セカンドマーケットで50~60万円はするので。

WWD:メディコム・トイの商品はセカンドマーケットでも定価以上で取引されているものが非常に多いが、セカンドマーケットを意識している?

赤司:結果的にそうなっているのは認識しているが、セカンドマーケットの人気を基準にすることはない。どういったモノがマーケットに求められているのかの物差しにはなるかも知れないが、だからといってたくさん作るということでもないので。

WWD:他に思い入れのある作品は?

赤司:実際にはどれも思い入れがあるが、今回のイベント全体の20%を占めるのがアン・ヴァレリー・デュポン(Anne Valerie Dupond)とのプロジェクト。アンとも繰り返しコミュニケーションをとったが、彼女が率先していろんなアイデアをくれたので、ありがたかった。

WWD:店内はギャラリーのような雰囲気がある。内装については?

赤司:本当は「ツイン・ピークス」のように床を真っ赤にして、カーテンを黒にしようと考えていた。でも最初の構想と予算がマッチせず、結果的に過度な演出ができなかったので、最終的には作品が生きるようなナチュラルな内装に振った。スタッフは「ツイン・ピークス」の執事をイメージしていたので、執事だけが残ってしまったという感じ(笑)。

WWD:店内に置いているものは全て売り物?

赤司:はい。基本的に並べているものは全て売りたいという気持ちがある。自分が買い物をしているときに欲しいなと思っても、“NOT FOR SALE”と書かれているととても残念で、そういうのにフラストレーションが溜まっていたから。だから非売品は作らない。いいモノが出来上がったら、誰かの手に渡って欲しいという気持ちが前提にあって、“売らないけど見せたい”という気持ちは全くない。売らないモノは見せないというのを基本にしている。

WWD:今回は「アモク(AMOK)」や「キディル(KIDDIL)」「ベッドフォード(BED J.W. FORD)」などファッションブランドとのコラボも多い。新興ブランドが目立つが、新しい情報はどのように仕入れている?

赤司:コラボレーションしたブランドは普段から私が実際に着ているブランドで、今回のイベントのことを話すととても面白がってくれた。新しいブランドは、常にチェックの対象というか、“オッ”と思うとすぐにコンタクトを取って、「何かしようよ」というパターンが多い。それはブランドもそうだし、アーティストや作家も。「ルームス(rooms)」とか「プロジェクト東京」とか「デザインフェスタ」とか、ほとんどの合同展示会やアートイベントに行っているし、そういうところで出合うことも多い。すごく感覚的だと思う。

WWD:有名無名も関係ない?

赤司:全く関係ない。今回の「アカシック レコーズ」のキービジュアルを描いてくれた茶獣君もまだ20代前半なので。彼のイラストをキービジュアルに使った理由も常に新しい才能と巡り合いたいということの裏返しだったりする。一番知られていない人をここで見せたかった。最高齢が82歳のつげ義春さんだったり、大御所もたくさん協力してくださっているので、「なにこれ?」と思った人もいると思うけど、実はすべての作品が並列の中にあって、その中から自分が気に入ったモノや感覚的に引っかかったモノを選んでほしいという思いだったりもする。ほぼ全世代のいろんなクリエイターやコンテンツを一堂に会せたのはよかった。

WWD:コラボレーションしようと思うときの良し悪しは何か?

赤司:全て感覚に過ぎない。悪いという思いもなく、面白いか何も感じないか。何も感じないモノはやっちゃいけないと思っているので。それは私一人のメガネじゃなくて、会社の中でもいろんな感性を持っている者がいるし、私的には「それどうなの?」と思っても「いやこれがスゲー面白いんだ」って言われると「じゃあやってみる?」という感じ。

WWD:イベントの狙いは?

赤司:開催させてもらうのが渋谷パルコであることもあり、私自身が過去の渋谷パルコからたくさんの影響を受けていて、たくさんのデザイナーや作家のクリエイティブを見てきた。当時、種だった私が発芽して今がある。それと同じように「アカシック レコーズ」が若い子に影響を与えられるようなイベントになればいいと思う。

The post メディコム・トイの「アカシック レコーズ」に70以上のブランドなどが参加 赤司社長の“超人的”なコラボ力に迫る appeared first on WWDJAPAN.com.

メディコム・トイの「アカシック レコーズ」に70以上のブランドなどが参加 赤司社長の“超人的”なコラボ力に迫る

 メディコム・トイ(MEDICOM TOY)は11月3日まで、ジュンが運営する渋谷パルコ1階の「ポップ バイ ジュン(POP BY JUN)」で、ポップアップイベント「アカシック レコーズ(AKASHIC RECORDS)」を開催中だ。同イベントは、メディコム・トイの赤司竜彦社長が自ら全面的にキュレーション。ギャラリーに見立てた店内には、「ベアブリック(BE@RBRICK)」をはじめとするトイやファッションアイテム、雑貨、人の身長ほどある大型のフィギュアなど、多種多様なものが並ぶ。それもそのはずで、今回のイベントには総勢70近いアーティストやブランド、コンテンツが参加している。キービジュアルに書き示した「超人的な分裂家さ」という言葉が表すように、まさに“超人的”なコラボレーションを成し遂げる赤司社長の原動力とは?

WWD:なぜ70以上のブランドやアーティスト、コンテンツなどとコラボしようと思ったのか?

赤司竜彦メディコム・トイ社長(以下、赤司):ジュンさんからお話をいただき、やるならきちんと成功させたいという気持ちがあった。見せたいものを見せながら数字も作らなければならないというのがスタートの段階にあって、その数字の裏付けを一つのメガコンテンツで作るより、小さな数字を積み重ねていこうと思った。それで、自分自身が懇意にしている作家やカルチャーをリコメンドすることにした。

WWD:最初に思い浮かんだアイテムは?

赤司:最初に作りたいなと思ったのは、「ナグナグナグ(NAGNAGNAG)」の作品だ。彼はトイカルチャーにおいて、バンクシー(Banksy)の名前が広く知られるずっと前からバンクシーのような活動をしているアーティストで、表には一切出てこない。ただし、世界中のトイをベースにしたアーティストで、彼の影響を受けていない人は恐らくいないだろうと思う。幸いなことにこれまでもさまざまなプロジェクトをご一緒させてもらっている。

WWD:「ナグナグナグ」の作品は180cmほどもある大型のもの。280万円の価格についてはどう思う?

赤司:安いと思う。スタッフとももう少し高く値付けしてもよかったかな?と話したばかり。彼の作品は小さなサイズ(20~30cmほど)でも、セカンドマーケットで50~60万円はするので。

WWD:メディコム・トイの商品はセカンドマーケットでも定価以上で取引されているものが非常に多いが、セカンドマーケットを意識している?

赤司:結果的にそうなっているのは認識しているが、セカンドマーケットの人気を基準にすることはない。どういったモノがマーケットに求められているのかの物差しにはなるかも知れないが、だからといってたくさん作るということでもないので。

WWD:他に思い入れのある作品は?

赤司:実際にはどれも思い入れがあるが、今回のイベント全体の20%を占めるのがアン・ヴァレリー・デュポン(Anne Valerie Dupond)とのプロジェクト。アンとも繰り返しコミュニケーションをとったが、彼女が率先していろんなアイデアをくれたので、ありがたかった。

WWD:店内はギャラリーのような雰囲気がある。内装については?

赤司:本当は「ツイン・ピークス」のように床を真っ赤にして、カーテンを黒にしようと考えていた。でも最初の構想と予算がマッチせず、結果的に過度な演出ができなかったので、最終的には作品が生きるようなナチュラルな内装に振った。スタッフは「ツイン・ピークス」の執事をイメージしていたので、執事だけが残ってしまったという感じ(笑)。

WWD:店内に置いているものは全て売り物?

赤司:はい。基本的に並べているものは全て売りたいという気持ちがある。自分が買い物をしているときに欲しいなと思っても、“NOT FOR SALE”と書かれているととても残念で、そういうのにフラストレーションが溜まっていたから。だから非売品は作らない。いいモノが出来上がったら、誰かの手に渡って欲しいという気持ちが前提にあって、“売らないけど見せたい”という気持ちは全くない。売らないモノは見せないというのを基本にしている。

WWD:今回は「アモク(AMOK)」や「キディル(KIDDIL)」「ベッドフォード(BED J.W. FORD)」などファッションブランドとのコラボも多い。新興ブランドが目立つが、新しい情報はどのように仕入れている?

赤司:コラボレーションしたブランドは普段から私が実際に着ているブランドで、今回のイベントのことを話すととても面白がってくれた。新しいブランドは、常にチェックの対象というか、“オッ”と思うとすぐにコンタクトを取って、「何かしようよ」というパターンが多い。それはブランドもそうだし、アーティストや作家も。「ルームス(rooms)」とか「プロジェクト東京」とか「デザインフェスタ」とか、ほとんどの合同展示会やアートイベントに行っているし、そういうところで出合うことも多い。すごく感覚的だと思う。

WWD:有名無名も関係ない?

赤司:全く関係ない。今回の「アカシック レコーズ」のキービジュアルを描いてくれた茶獣君もまだ20代前半なので。彼のイラストをキービジュアルに使った理由も常に新しい才能と巡り合いたいということの裏返しだったりする。一番知られていない人をここで見せたかった。最高齢が82歳のつげ義春さんだったり、大御所もたくさん協力してくださっているので、「なにこれ?」と思った人もいると思うけど、実はすべての作品が並列の中にあって、その中から自分が気に入ったモノや感覚的に引っかかったモノを選んでほしいという思いだったりもする。ほぼ全世代のいろんなクリエイターやコンテンツを一堂に会せたのはよかった。

WWD:コラボレーションしようと思うときの良し悪しは何か?

赤司:全て感覚に過ぎない。悪いという思いもなく、面白いか何も感じないか。何も感じないモノはやっちゃいけないと思っているので。それは私一人のメガネじゃなくて、会社の中でもいろんな感性を持っている者がいるし、私的には「それどうなの?」と思っても「いやこれがスゲー面白いんだ」って言われると「じゃあやってみる?」という感じ。

WWD:イベントの狙いは?

赤司:開催させてもらうのが渋谷パルコであることもあり、私自身が過去の渋谷パルコからたくさんの影響を受けていて、たくさんのデザイナーや作家のクリエイティブを見てきた。当時、種だった私が発芽して今がある。それと同じように「アカシック レコーズ」が若い子に影響を与えられるようなイベントになればいいと思う。

The post メディコム・トイの「アカシック レコーズ」に70以上のブランドなどが参加 赤司社長の“超人的”なコラボ力に迫る appeared first on WWDJAPAN.com.

ファッション記者の「ビューティのこと知らない」をビューティ記者が回答 美容家の定義や韓国コスメが人気の理由とは

 11月2日号の「WWDジャパン」では、ファッション業界を取材する記者からビューティに関する疑問を募集し、ビューティ記者が回答する「往復書簡」を実施した。ビューティ業界を熟知する記者でもハッとするような新鮮な疑問や質問が多く集まった。その中でもファッションとは切り離せないヘアメイクアップアーティストについてや、アルビオンの看板製品“スキコン”が売れ続ける理由などエンドユーザーに知ってほしい質問・回答をお届けする。

Q.1:アルビオンの“スキコン(薬用スキンコンディショナー)”は何故ずっと売れている?年間の売上高は?

A.1:国産ハトムギエキスなどの潤い成分が肌荒れや乾燥を防ぐなど肌実感の高い点が支持され続けている理由の一つだろう。3世代で使用している人も少なくないという。1974年の誕生から46年経った今でも、毎年新客が20%ほどいて20代から幅広い層まで支持を集める。外国人からも人気で、特に中国では“健康水”と呼ばれているほど製品への信頼度は高い。2017年ごろには年間300万本を生産しており、年間150億円以上(小売ベース)売り上げているのではないかと予測する。

Q.2:美容家の定義って何?どんな人がいるの?

A.2:「WWDビューティ」2018年10月18日号で「美容家とは何者か?」という特集を掲載したが、明確な定義づけがないのが現状だ。美容家と語る大半が、化粧品会社で長年勤務していたりファッション誌や美容誌のビューティ担当者だったりと、肌の構造や化粧品の知識が豊富であることが前提にある。代表的な人物としては、80歳を過ぎて今なお活躍されている小林照子さん(娘の小林ひろ美さんも美容家)や今年亡くなられた佐伯チズさん。最近目にする機会が多いのはドラマにも出演している神崎恵さんや、アイラッシュサロンの経営も行う石井美保さんなどがいる。美容家のほか、美容ジャーナリスト、美容愛好家、美容編集者、美容ディレクターなどといった肩書きもあり、どういった肩書きかは本人が決めている。

Q.3:今注目のヘアメイクアップアーティストは?

A.3:取材で多くの美容師と話をする中で名前が上がる、また日々ビューティ関連の広告を見ていて注目しているのは根本亜沙美ヘアメイクアップアーティスト。アートディレクターの吉田ユニとタッグを組むことも多く、刷新した「エテュセ(ETTUSAIS)」のビジュアルは記憶に新しい。

 また資生堂のメイクアップアカデミー&スタジオ「サブファ(SABFA)」の校長も務めた原田忠資生堂トップヘアメイクアーティストは、オタクとしても有名で、人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」や「テラフォーマーズ」などのキャラクターをヘアメイクで再現して話題に。最近では「ユニクロ(UNIQLO)」のグローバル旗艦店「ユニクロ トウキョウ」とコラボしてTシャツを作ったり、店頭のインスタレーションのマネキンのヘアを手掛けるなど自由なクリエイションが注目されている。

Q.4:なぜ男性を広告に起用してもその人自身がメイクしないの?

A.4:そもそもは男性タレントを起用することで、その男性タレントの女性ファンに買ってもらおうというのが狙い。なので、そのタレントがメイクをするというよりは、商品を使ったら「素敵だよ」と“彼”が思ってくれるということでの起用だった。ただ近年は男性タレントがリップまでつけて広告に登場することが多く、男性タレントは広告以外の仕事でもメイクをしているケースも増えている。女性ファンを囲い込む狙いはもちろんだが、今は男性へのアプローチの役割も大きい。

Q.5:今売れているメンズビューティ・ベスト3アイテムは?

A.5:メンズコスメ担当記者が、最近の取材の中で売り上げを伸ばしていると感じる3つのアイテム。まずは「乳液」。メンズのスキンケア事情として、「洗顔」はかなり普及しており、「化粧水」を使う男性も増えた。そこで「次のステップである『乳液』を使う男性が増えれば、本当にメンズコスメ市場は盛り上がる」と考えているメンズコスメ関係者も多い。それで意識的に「乳液」を推しているメーカーが多いこともあり、意識の高い男性の間で“化粧水よりも肌のベタつきを押さえられて潤いが長持ちする”という乳液の特徴に気付く人が増えた。乳液タイプのオールインワンアイテムも売れているようで、「乳液」には注目している。

 2つ目は「除毛クリーム」。ここ数年、夏になると売り上げを伸ばしているアイテムだが、今年は新型コロナの影響で海やプールに行く機会がなく、売り上げは落ちると思われていた。ところが、自粛期間中に自らの肌と向き合ってケアを始める男性が多かったらしく、ロフトや楽天市場でも売り上げを伸ばしているという。

 3つ目は、マスクにひと噴きして除菌・消臭・香りづけをする「マスクリフレッシャー」。マスクをつけたときに自分の口臭が気になる男性が多く、エチケットアイテムとして売り上げを伸ばしている。口臭ケアアイテムを使えばいいと思われがちだが、口臭ケアアイテムは自分でいい香りを感じられないが、マスクに振りかけるアイテムならば、いい香りを自身で感じられる、というメリットがあるようだ。

Q.6:ビューティ初心者の男性にオススメの入門ビューティグッズは?

A.6:上述のように「洗顔」はかなり普及しており、美容に興味を持ったばかりの男性にはまず化粧水をオススメする。皮脂の過剰分泌や髭剃り後など男性特有の肌トラブルも肌質に合わせて選ぶことで理想の肌に近づける。また一歩踏み出したい方は、視覚的に効果を実感しやすく、肌の悩みやトラブルをカバーしてくれるBBクリームがオススメだ。資生堂「ウーノ(UNO)」の“フェイスカラークリエイター”は、肌の色に合わせて毛穴やニキビ跡、ひげの青み、クマといった悩みをカバーし、補正する。

Q.7:化粧品メーカーの宣伝や女性誌などで、「肌をきたえる」「肌を甘やかす」というような表現を見かけますが、化粧品で本当にそのようなことは可能なの?

A.7:ひとつには薬機法(医薬品医療機器等法)ではっきりと「効く」と言えないことも大きいのではないか?それもあり、曖昧な表現も多くなっている。「きたえる」や「甘やかす」は、主観によるところが大きい。若い肌にはエイジングケアの高いクリームは必要ないだろうし、それを使ってしまうと「肌が甘やかされて、それじゃないと肌の調子はよくなさそう」と思う。逆に同じ化粧水でも異なるブランドを使うことで、肌はきたえられる、というのもあながち嘘ではないと、あるブランドの人から聞いたことがある。

Q.8:韓国コスメは何故に人気なの?

A.8:韓国アイドルやK-POPのブームが広がるとともに、韓国コスメも人気を集めている。低価格で美容成分を多く配合する画期的なアイテムが多く、斬新なパッケージが多いのも特徴だ。クッションファンデーションや眉ティントといったユニークなアイデアの商品も話題となり、注目を集めている。海外ビューティ企業による韓国企業の買収の動きも活発的で、ロレアル(L‘OREAL)は「3CE」などを展開するナンダ(NANDA)を買収、エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)は韓国のドクターズコスメ「ドクタージャルト(DR. JART+)」と「ドゥ ザ ライト シング(DO THE RIGHT THING)」を展開するハブ&ビー(HAVE & BE)を買収している。

Q.9:コスメは製造年月日より、使用期限を記載したほうが便利だと思うが、そうしない理由は?

A.9:医薬品や化粧品などの品質・有効性および安全性を確保することを目的とした法律である薬機法では、製造後3年以内で変質する化粧品を除いて使用期限を表示する必要がないとされているからだと考える。ちなみに未開封で3年、開封後は3〜6カ月で使い切るのが基本となっている。薬機法に基づき、自然由来原料を使用するオーガニック・ナチュラル化粧品は、使用期限が明記されているケースが大半。

The post ファッション記者の「ビューティのこと知らない」をビューティ記者が回答 美容家の定義や韓国コスメが人気の理由とは appeared first on WWDJAPAN.com.

ファッション記者の「ビューティのこと知らない」をビューティ記者が回答 美容家の定義や韓国コスメが人気の理由とは

 11月2日号の「WWDジャパン」では、ファッション業界を取材する記者からビューティに関する疑問を募集し、ビューティ記者が回答する「往復書簡」を実施した。ビューティ業界を熟知する記者でもハッとするような新鮮な疑問や質問が多く集まった。その中でもファッションとは切り離せないヘアメイクアップアーティストについてや、アルビオンの看板製品“スキコン”が売れ続ける理由などエンドユーザーに知ってほしい質問・回答をお届けする。

Q.1:アルビオンの“スキコン(薬用スキンコンディショナー)”は何故ずっと売れている?年間の売上高は?

A.1:国産ハトムギエキスなどの潤い成分が肌荒れや乾燥を防ぐなど肌実感の高い点が支持され続けている理由の一つだろう。3世代で使用している人も少なくないという。1974年の誕生から46年経った今でも、毎年新客が20%ほどいて20代から幅広い層まで支持を集める。外国人からも人気で、特に中国では“健康水”と呼ばれているほど製品への信頼度は高い。2017年ごろには年間300万本を生産しており、年間150億円以上(小売ベース)売り上げているのではないかと予測する。

Q.2:美容家の定義って何?どんな人がいるの?

A.2:「WWDビューティ」2018年10月18日号で「美容家とは何者か?」という特集を掲載したが、明確な定義づけがないのが現状だ。美容家と語る大半が、化粧品会社で長年勤務していたりファッション誌や美容誌のビューティ担当者だったりと、肌の構造や化粧品の知識が豊富であることが前提にある。代表的な人物としては、80歳を過ぎて今なお活躍されている小林照子さん(娘の小林ひろ美さんも美容家)や今年亡くなられた佐伯チズさん。最近目にする機会が多いのはドラマにも出演している神崎恵さんや、アイラッシュサロンの経営も行う石井美保さんなどがいる。美容家のほか、美容ジャーナリスト、美容愛好家、美容編集者、美容ディレクターなどといった肩書きもあり、どういった肩書きかは本人が決めている。

Q.3:今注目のヘアメイクアップアーティストは?

A.3:取材で多くの美容師と話をする中で名前が上がる、また日々ビューティ関連の広告を見ていて注目しているのは根本亜沙美ヘアメイクアップアーティスト。アートディレクターの吉田ユニとタッグを組むことも多く、刷新した「エテュセ(ETTUSAIS)」のビジュアルは記憶に新しい。

 また資生堂のメイクアップアカデミー&スタジオ「サブファ(SABFA)」の校長も務めた原田忠資生堂トップヘアメイクアーティストは、オタクとしても有名で、人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」や「テラフォーマーズ」などのキャラクターをヘアメイクで再現して話題に。最近では「ユニクロ(UNIQLO)」のグローバル旗艦店「ユニクロ トウキョウ」とコラボしてTシャツを作ったり、店頭のインスタレーションのマネキンのヘアを手掛けるなど自由なクリエイションが注目されている。

Q.4:なぜ男性を広告に起用してもその人自身がメイクしないの?

A.4:そもそもは男性タレントを起用することで、その男性タレントの女性ファンに買ってもらおうというのが狙い。なので、そのタレントがメイクをするというよりは、商品を使ったら「素敵だよ」と“彼”が思ってくれるということでの起用だった。ただ近年は男性タレントがリップまでつけて広告に登場することが多く、男性タレントは広告以外の仕事でもメイクをしているケースも増えている。女性ファンを囲い込む狙いはもちろんだが、今は男性へのアプローチの役割も大きい。

Q.5:今売れているメンズビューティ・ベスト3アイテムは?

A.5:メンズコスメ担当記者が、最近の取材の中で売り上げを伸ばしていると感じる3つのアイテム。まずは「乳液」。メンズのスキンケア事情として、「洗顔」はかなり普及しており、「化粧水」を使う男性も増えた。そこで「次のステップである『乳液』を使う男性が増えれば、本当にメンズコスメ市場は盛り上がる」と考えているメンズコスメ関係者も多い。それで意識的に「乳液」を推しているメーカーが多いこともあり、意識の高い男性の間で“化粧水よりも肌のベタつきを押さえられて潤いが長持ちする”という乳液の特徴に気付く人が増えた。乳液タイプのオールインワンアイテムも売れているようで、「乳液」には注目している。

 2つ目は「除毛クリーム」。ここ数年、夏になると売り上げを伸ばしているアイテムだが、今年は新型コロナの影響で海やプールに行く機会がなく、売り上げは落ちると思われていた。ところが、自粛期間中に自らの肌と向き合ってケアを始める男性が多かったらしく、ロフトや楽天市場でも売り上げを伸ばしているという。

 3つ目は、マスクにひと噴きして除菌・消臭・香りづけをする「マスクリフレッシャー」。マスクをつけたときに自分の口臭が気になる男性が多く、エチケットアイテムとして売り上げを伸ばしている。口臭ケアアイテムを使えばいいと思われがちだが、口臭ケアアイテムは自分でいい香りを感じられないが、マスクに振りかけるアイテムならば、いい香りを自身で感じられる、というメリットがあるようだ。

Q.6:ビューティ初心者の男性にオススメの入門ビューティグッズは?

A.6:上述のように「洗顔」はかなり普及しており、美容に興味を持ったばかりの男性にはまず化粧水をオススメする。皮脂の過剰分泌や髭剃り後など男性特有の肌トラブルも肌質に合わせて選ぶことで理想の肌に近づける。また一歩踏み出したい方は、視覚的に効果を実感しやすく、肌の悩みやトラブルをカバーしてくれるBBクリームがオススメだ。資生堂「ウーノ(UNO)」の“フェイスカラークリエイター”は、肌の色に合わせて毛穴やニキビ跡、ひげの青み、クマといった悩みをカバーし、補正する。

Q.7:化粧品メーカーの宣伝や女性誌などで、「肌をきたえる」「肌を甘やかす」というような表現を見かけますが、化粧品で本当にそのようなことは可能なの?

A.7:ひとつには薬機法(医薬品医療機器等法)ではっきりと「効く」と言えないことも大きいのではないか?それもあり、曖昧な表現も多くなっている。「きたえる」や「甘やかす」は、主観によるところが大きい。若い肌にはエイジングケアの高いクリームは必要ないだろうし、それを使ってしまうと「肌が甘やかされて、それじゃないと肌の調子はよくなさそう」と思う。逆に同じ化粧水でも異なるブランドを使うことで、肌はきたえられる、というのもあながち嘘ではないと、あるブランドの人から聞いたことがある。

Q.8:韓国コスメは何故に人気なの?

A.8:韓国アイドルやK-POPのブームが広がるとともに、韓国コスメも人気を集めている。低価格で美容成分を多く配合する画期的なアイテムが多く、斬新なパッケージが多いのも特徴だ。クッションファンデーションや眉ティントといったユニークなアイデアの商品も話題となり、注目を集めている。海外ビューティ企業による韓国企業の買収の動きも活発的で、ロレアル(L‘OREAL)は「3CE」などを展開するナンダ(NANDA)を買収、エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES)は韓国のドクターズコスメ「ドクタージャルト(DR. JART+)」と「ドゥ ザ ライト シング(DO THE RIGHT THING)」を展開するハブ&ビー(HAVE & BE)を買収している。

Q.9:コスメは製造年月日より、使用期限を記載したほうが便利だと思うが、そうしない理由は?

A.9:医薬品や化粧品などの品質・有効性および安全性を確保することを目的とした法律である薬機法では、製造後3年以内で変質する化粧品を除いて使用期限を表示する必要がないとされているからだと考える。ちなみに未開封で3年、開封後は3〜6カ月で使い切るのが基本となっている。薬機法に基づき、自然由来原料を使用するオーガニック・ナチュラル化粧品は、使用期限が明記されているケースが大半。

The post ファッション記者の「ビューティのこと知らない」をビューティ記者が回答 美容家の定義や韓国コスメが人気の理由とは appeared first on WWDJAPAN.com.

アナログ接客でコロナ禍でも前年クリア、オーガニックコットンのアバンティ

 アバンティ(AVANTI)は、オーガニックコットンの原綿を輸入し糸や生地を製造するほか、自社ブランド「プリスティン(PRISTINE)」では、ウエアや下着、ベビー服、ライフグッズなど幅広いアイテムをメード・イン・ジャパンにこだわって提案している。オーガニックコットンの認知やエシカル消費の啓蒙活動にも尽力してきた同社は、2020年7月期決算でコロナ禍にもかかわらず前年の売上高をクリアした。その要因は、ECに頼りすぎない心の通ったアナログ接客だという。その背景について奥森秀子アバンティ社長に聞いた。

――コロナ禍での前年クリアだが、その要因は?

奥森秀子アバンティ社長(以下、奥森):売上高が12億3200万円で昨年に比べて100万円だが上乗せすることができた。営業利益も5%増で直営店の売り上げ構成比が高くなっている。4月7日の緊急事態宣言発令後、ほとんどの店舗が休業する中、前年の売り上げをクリアすることを最大の目標としてスタッフ一丸となって頑張り結果が出せたことをうれしく思う。好調な要因は、ECの売り上げが4月は前年同月比137%増、5月は同190%増だったのに加え、路面店が健闘した。特に自由が丘店の5月の売り上げは、23日まで休業していたにも関わらず、前年同月比21%増を達成した。通常の営業日の3分1以下で前年の売り上げを超えるのは奇跡的だが、それを起こしたのは顧客だ。

――奇跡が起こった背景は?

奥森:新型コロナ感染が深刻化してきた3月下旬、店舗休業を見据えて急遽下着や布ナプキンなどの定番商品を掲載した10ページのカタログと最新の春夏コレクションを掲載した12ページのカタログを作った。製本まで外注すると納品が遅れるので製本は社内で行い、約500冊を完成させた。急いで作ったのでクオリティーが落ちたのは否めないが、必要だと判断し制作した。それを直営店に配布し、各スタッフが顧客1人1人に手書きの手紙を添えて送付。文面はスタッフが顧客の顔を思いながら書いたもので、不安な気持ちに寄り添い少しでも「プリスティン」が癒しになって欲しいという想いを綴った。それに先駆け、私も顔見知りの50人の顧客に「不安が募る日々ではあるけれど、共に乗り越え、元気にお会いしたい」という手紙を送付した。カタログにはFAX注文シートを添えると同時に、メールでも受注できるようにした。それらを店舗スタッフが回収して商品を発送。ECではないリアル店舗でのこのような小さな努力の積み重ねが売り上げを支えた。

――反響が大きかった理由は?

奥森:暮らしに寄り添うブランドだからこそ、顧客と心を通わせることができる。不安な時だから安心して使える癒される物を買いたい、誰かとつながりたい、支え合いたいという想いに響いたのだと思う。スタッフや私が送った手紙に多くの返事があり、胸が熱くなるような文面に感動した。6月に休業再開してからは、再開と再会を共に喜ぶ感謝の会を催した。その際に、過去に購入して古くなったアイテムを染め直したりリメイクしたりするサービス料金を無料にすることで喜んでもらえた。

――デジタルファーストが叫ばれる中、あえてアナログな販促を打つ理由は?

奥森:もちろんECの強化は不可欠で力を入れていく。ただ、偏りすぎないバランスが必要なのではないかと思う。今回カタログを送付したのは、ECを利用しない年配の顧客ばかりでなく20代や30代も多く含まれている。デジタル化が急速に進んでいるとはいえ、人の温もりや心のつながりは大切だ。

――社長に就任して2年が経つが、今後の目標は?

奥森:行動指針である、売り手良し、買い手良し、作り手良し、まわり良しの「四方良し」の精神をベースに社員全員が笑顔で幸せであることが第一だ。具体的な目標は、30年までに循環型のビジネスを確立させ、物を作るプロセスにおける“廃棄ゼロ・プラスチックゼロ”を目指す。1年先の目標は、種まきから収穫まで携わる日本で育てる綿を「プリスティン」の製品に使用するための一歩を踏み出すことだ。来年4月に、全国の約30の拠点で種まきをスタートし、収穫時には顧客も巻き込めればと考えている。オーガニックコットンに対する需要が高まり、環境問題に対する消費者の知識も深くなっている。その中で35年前からそれに携わるわれわれへの期待値は非常に高い。それに真摯に応えていきたい。

The post アナログ接客でコロナ禍でも前年クリア、オーガニックコットンのアバンティ appeared first on WWDJAPAN.com.

貝印とタイ発ナチュラルスキンケアブランド「THANN」がタッグ!クリーンで上質なライフスタイル

 日本の刃物メーカーの老舗である貝印が、世界のラグジュアリーホテルのアメニティにも採用されるタイ発のナチュラルスキンケアブランド「THANN(タン)」とコラボレーション。各公式サイト及び「タン」直営店で、こだわりが詰まったワンランク上の上質コフレを発売する。接点がなさそうに見える両社がタッグを組んだ理由とは?

技と気品が集結した
スペシャルコフレの概要は?

異色タッグに込められた
想いとこだわり

貝印が製品に込める、
自然と共にあるものづくり

齊藤淳一・貝印マーケティング本部広報宣伝部マネージャー

 「タン」は “植物の恵みと響き合う“トータルウエルネスを提唱しているが、当社も刀鍛冶や今に伝わる刃物文化が栄えた岐阜県関市に今でも工場があり、刀の焼き入れに使う土、燃料として使う松炭、刀を鍛える際に用いる水を刃物作りの大切な要素として、以前から大切にしてきた。互いに“自然との共生”を非常に重要なテーマとしているほか、自国の文化に向き合い製品づくりをしているところに共通点があると感じていたため、今回のコラボレーションを企画した。

 また、弊社は女性用使い捨てカミソリで日本トップシェアを誇っているが、カミソリは毛を剃るだけでなく、古い角質や毛穴汚れが取り除けたり、化粧水が肌になじみやすくなったりと、ある種スキンケアツールのような見方もあるため、スキンケアブランドとのコラボはとても親和性が高いと感じている。今回のコラボレーションではツールの機能を超えた上質なトータルウエルネスを提案し、上質なライフスタイルを楽しんでいただくきっかけになればと思う。

※インテージSRIデータ 女性使い捨てカミソリ市場 2017年9月~2019年9月累計販売金額
PHOTO: KAZUSHI TOYOTA

問い合わせ先
貝印 お客様相談室
0120-016-410

The post 貝印とタイ発ナチュラルスキンケアブランド「THANN」がタッグ!クリーンで上質なライフスタイル appeared first on WWDJAPAN.com.

#敦子スメ「新月・満月」ノート 五感を使って味わうインナーケアを おうし座の満月(10月31日)

 この連載では、新月・満月の流れを最大限に引き出すためのサポートをしてくれるコスメやインナーケアアイテムも紹介していきます。第22回は10月31日の満月とおすすめコスメについてお伝えします。

今回の満月(10月31日)はおうし座

 おうし座はもともと、五感を使って自分自身の感覚を確かめていく星座と言われています。対象を一つ一つかみ砕いて深く味わいながら自分の内側に問いかけていくようなそんな「実質的、ゆっくりだけれど着実なコミュニケーション」を通して自分の好きなものを味わい尽くす星座と伝えられています。物質的で形になっているものに縁深いとされ、“モノ”が好きな人が多いのも特徴です。季節的には食欲の秋のタイミングですね。

 ちょうど満月は収穫や実り、物事が形になって表面化するときとも言われています。今回は実りの秋におすすめのフードをテーマに紹介します。ちなみに火星や水星が同じ時期に逆行していて、たまった疲れが出てきたり、ちょっと小休止して自分の体を見直そうと感じたりしている人も多いのではないでしょうか。そういう意味でも体のメンテナンスとして取り入れたい、おいしいフードとドリンクのラインナップです。

今回の満月コスメ(フード)

 まずは基本のお米から。「結わえる」の“寝かせ玄米6個入りお試しセット”は、 “寝かせ玄米”という炊いてから4日間熟成させる柔らかくて、もっちもちな玄米ごはんが簡単に食べられるパックになっているセットです。はと麦や国産雑穀などがブレンドされた6種類の玄米がセットになっています。もっちりした寝かせ玄米はとても食べやすく、お腹にも満足感があります。ちょっと食べ過ぎが続いたタイミングなどに、このパックのごはんと簡単なお味噌汁などのシンプルなごはんに置き換えるだけで、体のプチリセットになる気がしてよく取り入れています。ちなみに素材の良さを楽しむ、というのもおうし座的です。


 そんなごはんにセットで食べたいのが「アコメヤ トウキョウ(AKOMEYA TOKYO)」の“じゃこオイル漬け 唐辛子味”。かつお節、さば節、昆布、ニンニクのうまみを独自製法で抽出した究極の香味オイル「だしオイル」をベースにしたごはんのおともです。化学調味料はもちろん、酵母エキス、たんぱく加水分解物なども使用していないシンプルだけど味わいが深くてとてもおいしい一品で、ごはんがすすみます。コンセプトになっている“素のもの、そのまま”というキーワードも、星占いに当てはめるとおうし座の満月にぴったり。シンプルだけど質の良いおうちごはんが楽しめます。


 最後にドリンクは、「アムリターラ(AMRITARA)」 の“自然栽培 モリンガティー”をご紹介。自然栽培で育てられた沖縄のモリンガでできたお茶は独特の深みと香ばしさがあり、冷えた体も内側から温めてくれます。モリンガは、ミラクルツリー(奇跡の木)とも呼ばれ、ビタミン類や亜鉛、 カルシウムやカリウム、食物繊維や必須アミノ酸などたくさんの栄養が詰まった植物だと伝えられており、免疫強化や抗酸化作用など今まさに取り入れたい成分がたっぷり含まれています。さらにモリンガは成長する際に大量のCO2を吸収すると言われており、気候変動も無視できない昨今、再度注目したい植物です。


福本敦子(ふくもと・あつこ)/フリーランスPR・美容コラムニスト:コスメキッチンに14年間勤務後、現在はフリーランスPRとして活動するかたわら、ビューティコラムニストとしてイベント、SNSなど多方面で活躍。オーガニックに精通した知識を武器に、ライフスタイルに寄り添った独自のオーガニック美容論が、著名人やエディターをはじめ各方面から大人気。「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と多くの反響を呼び、紹介した商品の欠品や完売も多数。2019年秋、初の書籍となる「今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by敦子スメ」を出版。発売前に増刷が決まるなど話題を呼んでいる。旅を愛し、占星術にも精通 instagram:@uoza_26

The post #敦子スメ「新月・満月」ノート 五感を使って味わうインナーケアを おうし座の満月(10月31日) appeared first on WWDJAPAN.com.

博報堂ケトルの大木秀晃氏がストリートオフィスを開設した理由とは? 音声座談会「蓉子の部屋」Vol.5

 「蓉子の部屋」は、川島蓉子・伊藤忠ファッションシステム取締役/ifs 未来研究所所長が、毎回ゲストを招き“未来”について考える音声番組です。未曾有の状況の中、業界にはこれからの“未来”について考えなければならない現実に直面しています。そんな中、少しでも業界人に役立つヒントやカケラを音声配信でお届けします。近所のスーパーに行く時や、通勤・通学時に気軽に聞いてください(笑)。

 第5回は、2018年に東急東横線の渋谷〜代官山間の線路跡地にストリートオフィス「トレイン トレイン トレイン(TRAIN TRAIN TRAIN以下、トレイン トレイン)」を開設した大木秀晃氏に迫りました。大木氏は05年に博報堂に入社以降、10年から博報堂ケトルに参加し、クリエイティブディレクターを務める。またアイスタイルのチーフクリエイティブオフィサーを務めるなど、幅広い分野で活躍されており、国内外問わずさまざまな賞を受賞。今年8月には自身の会社OOAAを設立した。音声座談会では、「トレイン トレイン」を立ち上げた理由、またその目的、「発想力だけでなく着地力も大事」と話すわけについても語ります。

川島蓉子:1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役。ifs未来研究所所長。ジャーナリスト。日経ビジネスオンラインや読売新聞で連載を持つ。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)、『すいません、ほぼ日の経営。』などがある。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている

The post 博報堂ケトルの大木秀晃氏がストリートオフィスを開設した理由とは? 音声座談会「蓉子の部屋」Vol.5 appeared first on WWDJAPAN.com.

随時更新:中国や韓国、フランスなど世界のビューティブランド読み方クイズ 「卡婷」はなんて読む?

 グローバルでのビジネスが普通になった現代社会では、多くの海外ブランドが日本に上陸。インターネットの普及はそれを加速させ、一気にブランドが増えた印象だ。そこで発生したのが、「このブランド、なんて読むの?」。英語はそこそこ読めても、フランス語やイタリア語、中国語などは至難の技!? グローバルで有名なこのブランド名、何問読めた?

第1問

<L'OCCITANE>

答え「ロクシタン」
 1976年に誕生した、ヘアケアやスキンケア製品などを展開する南フランス・プロヴァンス地方発祥のライフスタイルコスメティックブランド。植物原料とエッセンシャルオイルをベースにしたスキンケアやヘアケア、フレグランス製品などを展開する。

第2問

<CLARINS>

答え「クラランス」
 創業者のジャック・クルタン・クラランス(Jacques Courtin-Clarins)が1954年に、「美の治療センター」としてフランス・パリのトロンシェ通りに開業したエステティックサロン「アンスティテュクラランス」に由来して生まれたスパブランド。創業以来、肌と植物の可能性を研究し続け、製品を開発している。大きなグループに属さずファミリービジネスを中心に拡大する。

第3問

<GUERLAIN>

答え「ゲラン」
 1828年、ピエール・フランソワ・パスカル・ゲラン(Pierre Francois Pascal Guerlain)がフランス・パリで創業したコスメブランド。皇后ウジェニーに献上した香水「オー・デ・コロン・イムペリアル」により帝室御用達となる。30年にはワイン入りのリップクリームや40年代にはコールドクリームを発売するなど画期的な製品を多く誕生させている。現在は、フレグランス、スキンケア、メイクアップなどを中心に展開する。1994年からLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENESSEY LOUIS VUITTON)の傘下。

第4問

<KIEHL'S SINCE 1851>

答え「キールズ」
 1851年に「キールズ」の起源となる調剤薬局がニューヨークにオープン。94年に薬剤師だったジョン・キールが調剤薬局を買収しブランドが誕生。創業当初から世界中の植物を研究し、天然由来成分を多く配合したスキンケアやヘアケア製品などを展開する。

第5問

<LES MERVEILLEUSES LADUREE>

答え「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ」
 アルビオンが手掛けるコスメブランドで、フランス・パリの洋菓子屋「ラデュレ」をルーツに持つ。メイクからスキンケア、フレグランスまで幅広くラインアップする。

第6問

<CLE DE PEAU BEAUTE>

答え「クレ・ド・ポー ボーテ」
 資生堂のグローバルラグジュアリーブランド。独自のブレインスキン理論に基づき、生まれ持った輝きを保つための“肌の知性”を研究し、スキンケア製品に落とし込んでいる。ブランドを代表する製品は、美容液「ル・セラム」や、クリーム「ラ・クレーム」など。

第7問

<MISEEN SCENE>

答え「ミジャンセン」
 韓国の化粧品メーカー、アモーレパシフィックが2000年に立ち上げたヘアケアブランド。さまざまなスタイルや悩みに合わせたシャンプーやトリートメントを揃えるほか、スタリング剤や男性向けのスカルプケア製品なども展開する。

第8問

<LAURA MERCIER>

答え「ローラ メルシエ」
 ニューヨークとパリを拠点に活動するメイクアップアーティストのローラ・メルシエが創設したブランド。“すべての女性を美しく輝かせるメイク”をコンセプトに、ベースメイクを中心に約30の国と地域で展開している。資生堂ジャパンが日本代理店を務める。

第9問

<IOPE>

答え「アイオペ」
 韓国発の高機能スキンケアブランド。皮膚の状態や配合する成分を研究し、バイオ技術で植物由来成分を肌に届ける。4300人以上の女性の肌データに基づき、独自技術で開発したクッションファンデーションや美容液など中心に展開する。

第10問

<ZEESEA>

答え「ズーシー」
 中国発のコスメブランド。イギリスの大英博物館やパブロ・ピカソ(Pablo Picasso)などをモチーフにした鮮やかでユニークなパッケージがSNSで“バズ”るなどで人気に。 中国のインフルエンサーなど、まるでサイボーグのように完璧な美しさを持つ中国美女を指す“チャイボーグ”(チャイナとサイボーグを掛け合わせた造語)といった言葉が生まれるなど、「ズーシー」をはじめ中国ブランドに注目が集まっている。

第11問

<COFFRET D’OR>

答え「コフレドール」
 カネボウ化粧品が展開するメイクアップブランド。"BE PALYFUL"をコンセプトに本来の肌の良さを際立たせるベースメイクとそれを生かすポイントメイクを中心に展開する。

第12問

<CEZANNE>

答え「セザンヌ」
 1964年に誕生したコスメブランド。"ずっと安心、ずっとキレイ"をコンセプトに地球や肌への優しさをポリシーに、ピンレス容器を採用したり、全品無香料処方(ネイル製品を除く)にしたりと環境や人に配慮した製品を開発する。

第13問

<卡婷(CATKIN)>

答え「カトゥキン」
 1998年に誕生した中国発のコスメブランド。パッケージやリップの中華風のデザインがSNS映えもすることや、低価格で手に取りやすくいことも相まって若者中心に注目され、話題を呼んでいる。

第14問

<BYREDO>

答え「バイレード」
 スウェーデン・ストックホルム発のフレグランスブランド。ミニマリスティックなパッケージとシンプルながらもユニークな名称の香りが人気で、ファッショニスタからも支持を集める。元プロ・バスケットボール選手という経歴を持つ創業者ベン・ゴーラム(Ben Gorham)が2006年に設立した。10月には初のカラーメイクコレクションが登場した。

第15問

<OFFICINE UNIVERSELLE BULY>

答え「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」
 パリ発の総合美容専門店で、アルコールやエタノールを一切使用しない水性香水は大手セレクトショップでも取り扱われており、美容好きはもちろんファッショニスタの愛用者も多い。

第16問

<OFFICINA PROFUMO FARMACEUTICA DI SANTA MARIA NOVELLA>

答え「オフィチーナ・プロフーモ・ファルマチェウティカ・ディ・サンタ・マリア・ノヴェッラ」
 1221年にフィレンツェで創業した世界最古の薬局。現在は、昔ながらのパッケージが特徴的なフレグランスやスキンケア、ソープ、キャンドルなど600種類以上の製品を展開し、世界の約300店舗で販売している。

The post 随時更新:中国や韓国、フランスなど世界のビューティブランド読み方クイズ 「卡婷」はなんて読む? appeared first on WWDJAPAN.com.

スポーティな要素が加わったフレッシュな「セリーヌ」2021年春夏 異なる世代の記者が読み解く

 エディ・スリマン(Hedi Slimane)による「セリーヌ(CELINE)」は10月26日、2021年春夏コレクションを発表した。ショーはモナコのスタジアム、スタッド・ルイ・ドゥ(Stade Louis II)で撮影し配信。若い世代に希望をもってもらいたいというエディ・スリマンの思いから、コレクションはヤングジェネレーションをドキュメンタリーのように捉えた。エディ・スリマンのクリエーションを長年追いかけてきた向千鶴「WWDジャパン」編集長と、25歳の丸山瑠璃ソーシャルエディターの世代の異なる2人が対談し、それぞれの視点で今回のコレクションを読み解く。

向:ティザーでは「MONACO」の文字と併せてバレエダンサーが踊っていたり「HERMITAGE」の文字が一瞬見えたから「ん?ロシアのエルミタージュ美術館」と予測ましたが、無観客ショーの舞台はモナコ公国でしたね。

丸山:はい、会場はモナコのスタジアム、スタッド・ルイ・ドゥでした。21年春夏メンズコレクションでもF1のサーキットをランウエイにしていましたが、今回はトラックがランウエイ。青空が見える開けたロケーションは、スポーティな要素が加わったコレクションにぴったりでしたね。荘厳な建物の装飾を映したティザーから、引き続きブルジョワ的なコレクションかと思いきや、ヤングジェネレーションをドキュメンタリーのように捉えた、ということで若者にも照準を合わせたコレクションになっていて、いい意味で予想を裏切られました。

向:「HERMITAGE」はモナコの5つ星ホテルを意味していたのかな。ベルエポック様式の豪華なホテルから連想するスノッブでブルジョワなイメージは今シーズンも変わらず。そこにスポーティな要素を加えてとにかくフレッシュだった。丸山さんをはじめ、ウチの会社の20代の女子たちを見るようでした。私は“「エーランド(ALAND)」世代”(笑)と呼んでいます。お嬢様がママやパパから借りたきれいなジャケットやワンピースに、大好きな韓国ブランドやスポーツブランドを合わせているイメージです。

丸山:とてもフレッシュでしたよね!メンズではE-boysなどTikTokにいるユースにフォーカスして描写していましたが、今回はウィメンズはこれまでのブルジョワ的要素とスポーティーで健康的な西海岸ガール的要素が融合して若者から大人まで着れるような、良い落とし所を見つけてきた感じがしました。E-boysのウィメンズ版というとE-girlsですが、そこまで行き過ぎずこれまでのコレクションの流れと組み合わせても違和感のないユースのスタイルを選んでいたのがよかった。ティザーにもショーにも出ていたカイア・ガーバー(Kaia Gerber)の私服もまさにこのスタイル。カイアは本当に母でモデルのシンディ・クロフォード(Cindy Crawford)のワードローブを拝借してそうですね(笑)。

向:私はエディのクリエーションの魅力はワードローブの構成力だと思っている。ネイビーやプリンス・オブ・ウェールズのジャケット、ボウタイブラウス、クレリックシャツ、Vネックのセーターに、襟元に小さなフリルがついたワンピース。デニムとフレアパンツとプリーツスカート。そしてライダーズとトレンチコート。全部言いたくて長くなっちゃった(笑)。いつ店に行ってもこれらのスタンダードアイテムがそろっているから、ファンは少しずつ買い足してゆくイメージです。

丸山:今回はそこにジョガーパンツやアノラックなど新たなアイテムが加わっていましたね。さらにロゴ入りのキャップやバケットハット、スポーツブラ、スエットパンツなどは、若者のスタンダードアイテム。BLACKPINKのLISAのダンサー的なスタイルにもしっくりきそうです。今のユースはジャンルに縛られずヒップホップも聴くからか、BGMはプリンセス・ノキア(Princess Nokia)の「I Like Him」でした。

向:選ぶ曲は変わっても音楽の使い方は同じだね。同じ曲をループするから後半はすっかり洗脳されている(笑)。新しいアイテムでおもしろかったのがデニム。これまでデニムはスキニーかフレアーだったけど、今回は色あせた少しゆるいシルエットで「古着屋で見つけてきました!」という感じ。あえての野暮ったさがポイントかな。

丸山:私は肩からかけたストラップが短めのミニバッグが気になりました。この形のバッグは特に古着を好む海外の若者間でリバイバルしていて、ランウエイでも昨シーズンあたりからよく見かけるようになりましたね。

向:ホントよく知っているね(笑)。これまでと基本的には変わらないのにフレッシュに見える。何か違うのかな、と考えたら肌見せの仕方かな、と。“セクシー”の扱い方とも言い換えられます。ヨーロッパのブランドにとって“セクシー”は欠かせない、重要な要素。でも、胸の谷間やヒップラインの強調といったステレオタイプなセクシーの表現はもはや野暮ったい。胸の谷間ではなく、平らなお腹を見せちゃうところがエディは上手い。素足も出しているけれど健康的ですよね。

丸山:肌見せが露骨な感じではなく、とても自然でしたよね。合わせたシューズがスニーカー、ブーツ、ハイキングブーツまで全部フラットだったのも、ノンシャランに落とし込めていた要因かもしれません。ギャザーのミニドレスにもキャップとハイカットスニーカーを合わせていたり、頑張りすぎない感じ。

向:パーカーは8万円くらいになるのかな。高い(笑)。でもそこはロゴのパワーが効いている。ロゴが入ったスポーツブラは相当売れるんじゃない?

丸山:スポーツブラは絶対売れると思います!でも正直値段にもよりますよね。若者でも買えるようなエントリー価格になるといいのですが(笑)。

The post スポーティな要素が加わったフレッシュな「セリーヌ」2021年春夏 異なる世代の記者が読み解く appeared first on WWDJAPAN.com.

潜在意識が求める香りで心身を癒やす 「ラッシュ」初のパフュームを使ったスパを体験!

 英国発のナチュラルコスメブランド「ラッシュ(LUSH)」は、香りの瞑想を楽しむブランド初のパフュームを使ったスパトリートメント“ルネサンス”の提供を開始した。今回、“ルネサンス”を実際に体験。折り重なっていく香りに包まれながら、“瞑想”にも似た深いリラクゼーションに導かれるという感覚を味わった。

 “ルネサンス”はイタリア・ルネサンス期の医療の“四体液説”にインスピレーションを得た、香りと瞑想を取り入れたスパトリートメントだ。“四体液説”とは、体は4つの体液(血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁)からできているとする説。さらに世の中にある生きとし生けるものは全て熱・冷・乾・湿の4つの性質を有するとも考えられていて、この4つの性質のバランスがとれているときは健康でいられるが、どれかが過剰にあったり、欠乏したりしているときには病気になる、という当時の考え方がスパのベースとなっている。

 体験のスタートはコンサルテーションから。4つのスペース(血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁)に仕切られた円が描かれたシートが登場し、それぞれのスペースには“落ち着き”“嫉妬深い”“ぶれない”“遊び心がある”など多数の言葉が記してあった。担当してくれたスパセラピストのサエ氏から「この1週間の自分の感情を最も表した言葉を1つ選んでください」と言われ、記者は“忍耐強い”を選択。すると、4種類あるパフューム(“ネロ”“フランジパニ”“コンフェッティ”“サッポー”)の中から“ネロ”が差し出された。

 「香りをかいでパフュームを選んでしまうと、自分が好きだと信じている香りしか選ばない人が多い。そうではなく、自分の潜在意識が求めている香りを見つけることが重要で、ルネサンス期の4体液説の考え方を取り入れたコンサルテーションでそれを可能にした。お客さまからは『自分が思ってもいなかった香りと出合えた』などと好評で、選んだ香りを最初に嗅いだときはぴんとこなくても、施術を終えて帰る際にはそのパフュームを購入する人も多い」とサエ氏は話す。

 また、自分が選んだ言葉に合った香りは“今の自分の感情にバランスをもたらしてくれる香り”で、選んだ言葉の対角線上の言葉に合った香りは“今の自分に足りないものを補ってくれる香り”なので、そのどちらを使うことも可能(対角線上の香りを使ってバランスをとることを“逆療法”という)。実際に2つをかいでみて、施術に用いるパフュームを決める。

 トリートメントルームに入ると、選んだパフューム“ネロ”のベースノートの香りを、スパセラピストがトリートメントに使用するベッドに振りかける。続いて、ミドルノートの香りを取り入れたマッサージバーで、肩からデコルテをマッサージ。その際、施術内容に合わせて手を冷やしたり温めたりし、温度にまで気を配っていた。ラストには、トップノートの香りの温かなミストで部屋が満たされた。そして、最後に完成された香りが“ネロ”の香りなのだという。トリートメントルームを出たあとは、独自の演出が施されたティータイムがあり、スパは終了となった。

“旅する感覚”を求めて来店する顧客も

 トリートメントとして行われたマッサージは、“穏やかな振動”程度の軽いもの。あくまでもメインは香りで、“香りを道しるべに瞑想の世界へ”というコンセプトの通り、香りと振動、そしてルネサンス期の宮殿や教会でレコーディングした音楽で、休息や深いリラクゼーションをもたらす“異空間”へと導いてくれるスパだった。一般的にマッサージを主体としたスパが多い中、全く新しいリラクゼーション体験で、香りの可能性を最大限に感じさせてくれた一方、もう少し多くの種類の香りを体験したいとも思った。

 「“ルネサンス”に限らず、ラッシュスパのコンセプトは“あなたに贈る、特別な時間と空間”。旅をするかのように、日常の生活からエスケープするような体験を提供している。コロナ禍で海外旅行が制限される中、旅するような感覚を求めて来店するお客さまも多く、客数は昨年よりも増えている」という。

 「ラッシュ」には調香師がいて、パフュームの香りも自社で作っている。その中の一人、エマ調香師は「香りは音楽や本、旅や感情などからインスピレーションを得て開発している。“ルネサンス”に関しては、歴史学者のローズ・バイフリート氏が、ルネサンス期に関するたくさんの情報や本を持って私たちのラボを訪れたときから開発がスタート。そして半年間一緒に仕事をして開発に至った。開発した香りの中で、“ルネサンス”に使うパフュームは4種類。例えば“ネロ”は、花々と香水で編成した豪華な宴会で有名な皇帝ネロなどからインスピレーションを受けた、ネロリやベルガモットの香り。“フランジパニ”は、ルネサンス期に革製の手袋についたタンニンの香りを隠すためや、皮を柔らかくするために使われていたアーモンドオイルが含まれた、ライトでつけやすい香りとなっている」と話す。

The post 潜在意識が求める香りで心身を癒やす 「ラッシュ」初のパフュームを使ったスパを体験! appeared first on WWDJAPAN.com.

「ブルックス ブラザーズ」はパーソナルオーダーに光明 コートは前年同期比35%増

 米ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)が、チャプター11を申請して経営破たんしたのが今年7月8日。同社が株式の60%を持つブルックス ブラザーズ ジャパンが、日本における旗艦店青山店を閉店したのが8月30日。表参道店のオープンが9月4日と、激動の4カ月を過ごした「ブルックス ブラザーズ」。当然、これらを覆うようにコロナショックによる影響があり、コロナ以前から仕事着のカジュアル化が“スーツの「ブルックス ブラザーズ」”に暗い影を落としていた。表参道店の初速や好調だというパーソナルオーダーについて、大平洋一ブランドアンバサダーに聞いた。

WWD:逆風とも言える状況の中で、表参道店がオープンして約2カ月。初速は?

大平洋一「ブルックス ブラザーズ」ブランドアンバサダー(以下、大平):オープンからひと月ほど、1階入り口付近に“シャツラボ”という特設スペースを設けていたこともありシャツの売り上げがよかった。

WWD:取材を通じて日々“シャツは厳しい”と聞くが、「ブルックス ブラザーズ」では売れている?

大平:われわれが“ポロカラーシャツ”と呼ぶボタンダウンシャツは、「ブルックス ブラザーズ」が1896年に作ったものだ。「ブルックス ブラザーズ」にとってのアイコンであり、ここ2年ほどはポロカラーシャツや紺ブレなど、われわれのアイデンティティーと言えるアイテムを特にプロモーションしており、それが20代を中心とする若年層にも響いていると感じる。雑誌「ポパイ(POPEYE)」(マガジンハウス)や「ビギン(Begin)」(世界文化社)が、編集コンテンツとして取り上げてくれたことも大きい。また3年ほど前からはビームスやユナイテッドアローズなどへの卸にも力を入れており、これが新客の掘り起こしにつながっている。

WWD:ほかに売れているものは?

大平:日本上陸40周年を記念して2019年に明治神宮外苑で行ったランウエイショーで、ショーピースとして作ったベースボールキャップを表参道店オープンに合わせて商品化した。“B.B.”のロゴを大きくあしらったウール製で初回生産分はMade in USAだ。完売したカラーもあり、現在は日本製に切り替えて多色化展開している。税込みで9900円という価格から、“ファースト・ブルックス ブラザーズ”として購入される方も多い。

WWD:旗艦店機能を青山店から表参道店に移したことで客層も変わった?

大平:採光性の高いガラス張りの店構えによる入りやすさや、周りにアパレルショップが多い立地から気軽に入店される新客が増え、それが売り上げにつながっている。青山店は重厚感があり、通り沿いに他店もなく目的買いのリピーターが中心だったので。

WWD:スーツで9万9000円~のパーソナルオーダーも人気だと聞いた。

大平:毎年、秋冬シーズンの立ち上がり時に全国でパーソナルオーダーフェアを行っており、今年はコロナ禍にもかかわらず好調だった。仕事着のカジュアル化やリモートワークの常態化に伴い既製スーツの売り上げは落ちているが、ありがたいことにオーダー数は横ばいだ。特に、今年はカシミアなど高級生地を使った30万~60万円のオーダーが増えている。またコートの受けもよく、前年同期比35%増だ。スーツについては集計中だが、こちらも前年の数字をクリアする見込みだ。コロナ疲れを打破したいという消費マインドや、特別定額給付金の後ろ支えもあるものと見ている。

WWD:パーソナルオーダー利用客の顔ぶれは?

大平:中心は40〜50代のブランドファンで、パーソナルオーダーを5、6回経験しているリピーターが多い。仕事着のスーツは減っているが、“ここぞ!”の時のハレ着としてのスーツは健在な印象だ。そして「ブルックス ブラザーズ」は、そういう大人をこれからもつくっていかなければならないと思う。

WWD:ずばりパーソナルオーダーの魅力は?

大平:既製スーツの場合、“マディソン”“リージェント”“ミラノ”と主に3種類あるフィッティングを上下で変えることはできず、上下のサイズバランスも決まっている。パーソナルオーダーなら、これをアレンジ可能だ。例えば“マディソン”のパンツのウエストを1インチ上げて、一方でワタリ幅を狭くするなどのパーソナライズができる。

WWD:好調さキープのための次なる施策についても教えてほしい。

大平:オーダーにつきまとう敷居の高さを払拭して、より多くの方に体験してほしいとの思いから10月24日に多摩南大沢、入間、幕張のアウトレット3店舗でもパーソナルオーダーの受付を開始した。価格は思い切って50%オフにした。実は“アウトレットの「ブルックス ブラザーズ」にしか行ったことがない”という方も多く、ここにビジネスチャンスを感じている。またウィメンズには引き続き“ジャケット”のトレンドがあり、ここに紺ブレを提案したい。アラウンド管理職はもちろん、20代にもダッドジャケット的にオーバーサイズを勧めたい。カーディガン感覚で、紺ブレを肩掛けするスタイリングを想定する。

WWD:最後に、大平ブランドアンバサダーの見る「ブルックス ブラザーズ」のビジョンについて聞きたい。

大平:「ブルックス ブラザーズ」は200年を超える歴史を持つ。ポロカラーシャツや紺ブレのみならず、ナンバーワンサックスーツやレップタイなど今日のメンズ服の根幹をなすオリジナルも多く、こういった定番品は困難な状況に強いと思う。このストロングポイントを売り場からいっそう発信していきたい。

The post 「ブルックス ブラザーズ」はパーソナルオーダーに光明 コートは前年同期比35%増 appeared first on WWDJAPAN.com.

「美容室で服を売らない理由がない」 エザキヨシタカ「グリコ」代表が語るサロンの収益力アップ術

 人気ヘアサロン「グリコ(grico)」では、店内と独自のECサイト“グリコ クロージング”で服を販売している。売り上げは非常に好調で、サロンの収益性向上に大いに貢献しているという。ここではエザキヨシタカ代表に、服の販売の仕組みと可能性について聞いた。

WWD:取り扱う服はどうやって入手している?

エザキヨシタカ「グリコ」代表(以下、エザキ):服は、日本の若手デザイナーとコラボして制作したり、海外で買い付けたりしています。買い付けは、以前はイタリアやタイなどへも行っていましたが、最近は韓国で行うことが多いですね。

WWD:どのような服を仕入れている?

エザキ:「グリコ」が提供するヘアデザインに合わせ、モード系や“大人めストリート系”のデザインの服を多く仕入れています。1回の買い付けで100着くらい仕入れ、それが大抵1カ月~1カ月半で完売となります。価格帯は8000~4万円程度ですね。売り上げは非常に好調で、サロンの収益性向上に大いに貢献しています。

WWD:好調の秘訣は?

エザキ:好調の秘訣は“美容師ならではのバイイング”にあります。一人のお客さまをイメージし、「あの人に着てほしい」と思える服を買い付けます。実際にそのお客さまが購入してくれなくても、「グリコ」のヘアデザインを気に入って通ってくれている人の嗜好には共通点があるので、他のお客さまが購入してくれる可能性も高い。美容師はお客さまのライフスタイルを熟知しているので、例えば「来月から新生活が始まるのでこれまでとは違うテイストの服を」とか「旦那さんに似合いそう」とか、美容師ならではの提案もできるんです。また、ヘアサロンの最大の強みは、お客さまが平均して2時間近くも鏡の前に滞在してくれること。服を取り扱えばその分会話のネタも増えるし、結果的に会話が服の宣伝にもつながります。服を購入してくれたら、それに合わせたヘアアレンジを提案してあげることもできるんです。

WWD:「グリコ」で服の取り扱いを始めたきっかけは?

エザキ:2011年の東日本大震災がきっかけでした。美容師は技術職なので、体を動かさないと稼ぐことができません。そうである以上、思わぬ災害や病気で体を動かせなくなった時点で収入が絶たれてしまいます。スタッフが安心して働ける環境作りのためには物販の強化が必要で、最もビューティにマッチした商材としてファッションに目をつけたんです。

WWD:服は顧客以外にも販売している?

エザキ:現在は、仕入れた服を他のサロンにも卸していて、取り扱いサロンは増えつつあります。もちろん、どんなサロンでも取り扱えば成功するわけではありません。取り扱うには、ヘアサロンとして明確なヘアアデザインを打ち出せていることが重要。ヘアとファッションは一体なので、ヘアデザインのテイストにマッチした服を提案することができます。逆に言うと、それができていれば服を取り扱わない理由がなく、美容師にとってもファッション関係者にとっても、ビューティとファッションの融合には可能性しか感じないですね。

The post 「美容室で服を売らない理由がない」 エザキヨシタカ「グリコ」代表が語るサロンの収益力アップ術 appeared first on WWDJAPAN.com.

若手スタイリストが惚れる新生「ボッテガ・ヴェネタ」の魅力 髙田勇人編

 ダニエル・リー(Daniel Lee)が手掛ける「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」が注目を集めている。ダニエルは2018年に32歳の若さで、同ブランドのクリエイティブ・ディレクターに就任。ブランドのエレガンスを再解釈した斬新な提案が共感を呼び、幅広い年齢層に支持されている。

 彼と同世代であり、今業界から注目を浴びるのが若手スタイリストの髙田勇人だ。スタイリスト祐真朋樹に師事し、16年に独立。モード誌や広告、アーティストのスタイリングなどを中心に活躍する。「ダニエルとは同じ1990年代に青春を過ごしてきた者同士のシンパシーを感じる」と言う髙田に、「ボッテガ・ヴェネタ」を自由にスタイリングしてもらった。

スタイリスト髙田勇人が選ぶ
「ボッテガ・ヴェネタ」

 1コーディネート目はブラックのロングコートに、ラバー素材が特徴のアンクルブーツ“パドル ブーツ”と、アイコニックな“イントレチャート”をナイロン素材で再解釈したトートバッグを合わせた。「『ボッテガ・ヴェネタ』のアイテムは実際に袖を通してみて初めて発見する良さが隠れています。コートはアームホールが狭く、最初はタイトな印象でしたが、実際にじっくり着てみるととても着心地が良い。ここが細いのには意味があったんだなと納得させられます。それからどんなアイテムもスリットやボタンの使い方など遊び心があってワクワクします。『ボッテガ・ヴェネタ』ではバッグやシューズに注目が集まっていますが、僕がオススメしたいのはウエアです。他のブランドでは見つけることのできないシルエットなので、多くの人にぜひ着て試してほしいなと思います」。

 ダニエルは以前「WWD ジャパン」へのインタビューで、縦の長さを強調する自身の特徴的なシルエットを“エロンゲイト(縦に引き伸ばした)”と表現した。窮屈なイメージがある“スキニー”や“スリム”とは違う、着る人の存在感を損なわない拡張のイメージだと言うのだ。2ルック目に髙田が着用したショート丈のジャケットとハイウエストのパンツはまさにそのダニエルらしい斬新なシルエットの組み合わせだ。「それぞれ別々で見たときはどちらも極端だなと思いました。けれど着てみるとちゃんとバランスが取れるように計算されている。最初は自分っぽくラフにTシャツを出して着ようと思いましたが、ランウエイのルックみたいにタックインして着たら最終的にはそれがしっくりきましたね。着用したカーディガンもいろいろな着方が楽しめます」。

表参道店がプレオープン

 「ボッテガ・ヴェネタ」は10月30日に、新たな旗艦店を東京・表参道にプレオープンする。同店限定アイテムとして登場するのが、髙田も着用した“パドルブーツ”の限定色“デューン”と、ナイロン素材のトートバッグ“ザ・パデッド トート”だ。加えて同じくナイロン素材のクロスボディーバッグ“ザ・パデッド テック カセット”も登場する。バッグ2型の限定カラーは“キャンピング”と呼ばれるモスグリーン。

「ボッテガ・ヴェネタ」で人気を集めるがメゾンの築き上げてきた技術が際立つ革小物だ。表参道店限定で登場するのは“イントレチャート”の財布3型。カラーは“キャンピング”をそろえる。

INFORMATION
BOTTEGA VENETA OMOTESANDO FLAGSHIP

プレオープン日:10月30日
住所:東京都渋谷区神宮前5-1-5
営業時間:11:00~20:00
電話番号:03-5962-7630

PHOTOS(MODEL):YUTO KUDO
PHOTOS(WALLETS):KAZUSHI TOYOTA

問い合わせ先
ボッテガ・ヴェネタ ジャパン
0120-60-1966

The post 若手スタイリストが惚れる新生「ボッテガ・ヴェネタ」の魅力 髙田勇人編 appeared first on WWDJAPAN.com.

若手スタイリストが惚れる新生「ボッテガ・ヴェネタ」の魅力 髙田勇人編

 ダニエル・リー(Daniel Lee)が手掛ける「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」が注目を集めている。ダニエルは2018年に32歳の若さで、同ブランドのクリエイティブ・ディレクターに就任。ブランドのエレガンスを再解釈した斬新な提案が共感を呼び、幅広い年齢層に支持されている。

 彼と同世代であり、今業界から注目を浴びるのが若手スタイリストの髙田勇人だ。スタイリスト祐真朋樹に師事し、16年に独立。モード誌や広告、アーティストのスタイリングなどを中心に活躍する。「ダニエルとは同じ1990年代に青春を過ごしてきた者同士のシンパシーを感じる」と言う髙田に、「ボッテガ・ヴェネタ」を自由にスタイリングしてもらった。

スタイリスト髙田勇人が選ぶ
「ボッテガ・ヴェネタ」

 1コーディネート目はブラックのロングコートに、ラバー素材が特徴のアンクルブーツ“パドル ブーツ”と、アイコニックな“イントレチャート”をナイロン素材で再解釈したトートバッグを合わせた。「『ボッテガ・ヴェネタ』のアイテムは実際に袖を通してみて初めて発見する良さが隠れています。コートはアームホールが狭く、最初はタイトな印象でしたが、実際にじっくり着てみるととても着心地が良い。ここが細いのには意味があったんだなと納得させられます。それからどんなアイテムもスリットやボタンの使い方など遊び心があってワクワクします。『ボッテガ・ヴェネタ』ではバッグやシューズに注目が集まっていますが、僕がオススメしたいのはウエアです。他のブランドでは見つけることのできないシルエットなので、多くの人にぜひ着て試してほしいなと思います」。

 ダニエルは以前「WWD ジャパン」へのインタビューで、縦の長さを強調する自身の特徴的なシルエットを“エロンゲイト(縦に引き伸ばした)”と表現した。窮屈なイメージがある“スキニー”や“スリム”とは違う、着る人の存在感を損なわない拡張のイメージだと言うのだ。2ルック目に髙田が着用したショート丈のジャケットとハイウエストのパンツはまさにそのダニエルらしい斬新なシルエットの組み合わせだ。「それぞれ別々で見たときはどちらも極端だなと思いました。けれど着てみるとちゃんとバランスが取れるように計算されている。最初は自分っぽくラフにTシャツを出して着ようと思いましたが、ランウエイのルックみたいにタックインして着たら最終的にはそれがしっくりきましたね。着用したカーディガンもいろいろな着方が楽しめます」。

表参道店がプレオープン

 「ボッテガ・ヴェネタ」は10月30日に、新たな旗艦店を東京・表参道にプレオープンする。同店限定アイテムとして登場するのが、髙田も着用した“パドルブーツ”の限定色“デューン”と、ナイロン素材のトートバッグ“ザ・パデッド トート”だ。加えて同じくナイロン素材のクロスボディーバッグ“ザ・パデッド テック カセット”も登場する。バッグ2型の限定カラーは“キャンピング”と呼ばれるモスグリーン。

「ボッテガ・ヴェネタ」で人気を集めるがメゾンの築き上げてきた技術が際立つ革小物だ。表参道店限定で登場するのは“イントレチャート”の財布3型。カラーは“キャンピング”をそろえる。

INFORMATION
BOTTEGA VENETA OMOTESANDO FLAGSHIP

プレオープン日:10月30日
住所:東京都渋谷区神宮前5-1-5
営業時間:11:00~20:00
電話番号:03-5962-7630

PHOTOS(MODEL):YUTO KUDO
PHOTOS(WALLETS):KAZUSHI TOYOTA

問い合わせ先
ボッテガ・ヴェネタ ジャパン
0120-60-1966

The post 若手スタイリストが惚れる新生「ボッテガ・ヴェネタ」の魅力 髙田勇人編 appeared first on WWDJAPAN.com.

「ゾフ」と熊谷隆志がコラボレーションで追求する新しいアイウエアデザインとは?

 インターメスティックが手掛ける「ゾフ(Zoff)」と、スタイリストやフォトグラファーとして活動する熊谷隆志との協業によるプロジェクトが続いている。昨年、コラボレーションモデル「ゾフ×タカシ クマガイ(Zoff×Takashi Kumagai)」の発表に続いて、今年は熊谷がディレクターを務めるストリートウエアブランド「ウィンダンシ ー(WIND AND SEA)」とのサングラスを発売し、「ゾフ×タカシ クマガイ」の第二弾も販売中だ。「ゾフ」が熊谷とのコラボレーションで追求するアイウエアデザインとは?熊谷とインターメスティックの高島郷クリエイティブデザイン室プロデューサーに話を聞いた。

熊谷隆志はサングラス
300本以上を所有するコレクター

WWD:「ゾフ×タカシ クマガイ」スタートの経緯は?

高島郷インターメスティック クリエイティブデザイン室プロデューサー(以下、高島):「ゾフ」はTシャツのように気軽に着替えるアイウエアを低価格で提供することを目指して、2001年に東京・下北沢に1号をオープンしました。それ以来、アイウエアをファッションアイテムとして定着させて幅広い客層を獲得してきましたが、20~30代の男性の売り上げ構成比率が十分ではないことが分かりました。そこで、若者に絶大な支持がある熊谷氏にコラボレーションをお願いして、ファッション性が高い商品強化を図ることにしました。

WWD:アイウエアデザインを引き受けた理由は?

熊谷隆志(以下、熊谷):私の先輩を介して、「ゾフ」をご紹介いただきました。これまでアイウエアをデザインした経験はありますが、これほどの規模は初めてです。私はサーフィンに加えて最近ゴルフを始めたこともあって日常的にサングラスを愛用しており、300本以上を所有しているコレクターでもあります。スタイリストの仕事を始めたときからアイウエアにも興味を持っていたので、ぜひデザインしてみたいと思いました。

WWD:「ゾフ」にどんな印象を持っている?

熊谷:私が最初に「ゾフ」を掛けたのは、2年前に発表されたアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)がインスピレーション源の“アイム アンディ・ウォーホル(I’M ANDY WARHOL)”でした。そのとき感じたのは、この安い価格で、こんなに高いクオリティーのアイウエアができるのかという驚きでした。この価格なら、若者にも手が届く。そこが「ゾフ」の一番の魅力だと思います。

デザインのベースは
アメリカンクラシック

WWD:「ゾフ×タカシ クマガイ」のコンセプトは?

熊谷:基本的には、私が掛けたいと思う商品をデザインしています。テーマは“アメリカンクラシック”です。第二弾はブラックやブラウンなどの定番カラーだけではなく、ウッド調の仕様を加え、レンズはグリーンを基調に落ち着いたカラーで構成しました。インディーズ映画に影響を受けることがありますが、好きな建築家の一人であるル・コルビュジエ(Le Corbusier)が掛けていたラウンドタイプも加えました。

WWD:若者の客層は狙い通り増えている?

高島:想定以上の反応を得ています。熊谷氏のフレームのデザイン、色選びから、キービジュアルの製作までブランドの世界観を明確に表現できていることが大きいと思います。

WWD:今後、このコラボレーションをどう発展させたい?

熊谷:私が作りたい商品が、低価格で実現できています。アイウエアはトータルコーディネートの中で重要なアイテムです。今後は、さらにデザインの背景やクラフツマンシップを見せていきたいと思います。

高島:熊谷氏と今後の計画を話し合っていますが、サングラスに加えて、今後オプティカルフレームも拡大したいと思います。「ゾフ」は創業20周年を迎える2021年に向け、“アイ パフォーマンス(Eye Performance)”をコンセプトとしたリブランディングを始動しました。さらにファッション性が高い商品を作ることもミッションの1つです。熊谷氏と協力した真剣なモノ作りで、ライフスタイルを豊かにできる商品開発を続けたいと思います。

問い合わせ先
ゾフ・カスタマーサポート
0120-013-883

The post 「ゾフ」と熊谷隆志がコラボレーションで追求する新しいアイウエアデザインとは? appeared first on WWDJAPAN.com.

「ヴィクター&ロルフ ヴィジョン」が提案する モダン&ビンテージの新解釈

 オランダのファッションブランド「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR & ROLF)」のアイウエア「ヴィクター&ロルフ ヴィジョン(VIKTOR & ROLF VISION)」が2020年秋冬の新作を発表した。同ブランドは、福井県に本社を置くアイウエア企業の村井が2004年にスタートしたもので、同社のライセンスビジネスの柱だ。

高いデザイン性と
メード・イン・ジャパンの
クオリティーを融合

 デザインの特徴は、同ブランド独自の視点で解釈したクラシックとモダンの融合。そして、日本の高い技術力を駆使したオートクチュールブランドにふさわしいクオリティーを兼ね備えていることだ。

 2020年秋冬コレクションは、「ヴィクター&ロルフ ヴィジョン」らしい“モダン・ビンテージ”とは何かを改めて追求した。注目したいのは、異素材間のコントラストを鮮明にしたアセテートとメタルのコンビネーション、そしてビンテージ感のある落ち着いたカラーリングだ。

 ”70-0242・0243”モデルは、ビンテージテイストのシェイプのフロントに特殊なリムをナイロール式に取り付けたメタルとのコンビネーションフレームで、洗練されたデザインと快適な掛け心地を両立させた。また、一体成型のシートメタルのフロントに、上下に分かれたアセテートのパーツを組み合わせた”70-0244”モデルは、クラフツマンシップから生まれた造形美を感じる。そして、”70-0245”モデルは、靴ひもの先につけるおおいを意味する“アグレット”をイメージしたカラフルなモダン(耳あて)が、全体のバランスに変化を加えるアクセントだ。流行に左右されないシーズンレス、ジェンダーレスなデザインと、軽く快適な掛け心地を生み出す確かなモノ作りで幅広いファンを獲得している。価格は2万9000円。

新しい挑戦を始めた
デュオに注目

 「ヴィクター&ロルフ」のデザイナー、ヴィクター・ホスティン(Viktor Hosting)とロルフ・スノラン(Rolf Snoeren)の二人は共に1969年生まれで、オランダのアーネム・アカデミー・オブ・ファイン・アーツを卒業。93年の南フランス・イェールで行われた「ヨーロッパ新人デザイナーコンテスト」での受賞をきっかけに注目を集め、98年、オートクチュール・コレクションに招待メンバーとして参加したのに続き、2000-01年秋冬パリ・コレクションにデビュー、03-04年秋冬にメンズコレクションを発表した。「H&M」「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」「サムソナイト(SAMSONITE)」などとの多彩なコラボレーションは話題を集め、その後ブランドの高級化を目指してオートクチュールに専念したが、20年秋冬にメンズライン「ミスター・ミスター(MISTER MISTER)」をスタートした。

 新しい挑戦を始めた「ヴィクター&ロルフ」が独自の美意識を落とし込んだ「ヴィクター&ロルフ ヴィジョン」にも、さらに注目が集まりそうだ。

問い合わせ先
村井
0120-953-429

The post 「ヴィクター&ロルフ ヴィジョン」が提案する モダン&ビンテージの新解釈 appeared first on WWDJAPAN.com.

高田賢三が「マスナガ」に表現した日本の伝統工芸へのオマージュ

 デザイナー高田賢三がディレクターを務める増永眼鏡の「マスナガ デザインド バイ ケンゾータカダ(MASUNAGA DESIGNED BY KENZO TAKADA)」はスタートして今年で7年目を迎え、同社を象徴するコレクションとして確立している。高田は増永眼鏡のチームとのミーティングを繰り返しながら、アイウエアデザインに意欲的に取り組んできたが今月死去。生前に完成した今秋の新作は、彼がオマージュを捧げた日本の伝統工芸の要素を今まで以上に色濃く落とし込んでいる。

日本的デザインと
高い技術力を海外も評価

 発表した2型のうち花の名前から付けた“ボタン(BOTAN)”モデルは、べっ甲のかんざしから着想を得たオーバーサイズのラウンド型サングラス。フロントに高田家の家紋である桔梗の模様を切り抜いたメタルパーツを付け、テンプルのデザインは19世紀に流行した手持ち眼鏡“ローネット”の装飾性をモチーフとしたアラベスク模様を施した。高田らしい和と洋の融合だ。

 もう1つの“セドナ(SEDNA)”モデルは、厚さ3mmのチタンのシートメタルに、風防のためにデザインした厚さ10mmのプラスチックのパーツをインナーリムに組み込んだ立体的なフォームだ。ブリッジの上部にアラベスク模様の別パーツを付け、装飾性だけでなく強度にもこだわっている。テンプルとテンプルエンドのメタルパーツにも繊細な彫金を施して重厚感を出した。

 日本の眼鏡産業の祖として100年以上の歴史を持つ福井県の増永眼鏡の強みは、熟練の眼鏡職人による高い技術力だ。伝統の手仕事から生まれた機能性と、東洋と西洋を融合した高田ならではの美意識が絶妙にマッチした商品力は海外でも評価が高い。「マスナガ デザインド バイ ケンゾータカダ」は、2014年のデビュー作がシルモの“シルモ・ドール”賞を受賞して一気に注目を集めた。生前の高田が今回のモデルで表現したジャポニスムは注目を集めそうだ。

歴史の重みを感じる
「マスナガ」のオリジナルブランド

 増永眼鏡のオリジナルブランドはどれも歴史の重みを感じるストーリー性を持つ。その強みは伝統の技術力に裏打ちされた快適な掛け心地と、流行に左右されないタイムレスなデザイン性だ。2020年秋の最新作もクオリティーを高めたバリエーションが充実している。増永眼鏡の創業年を冠した「マスナガ シンス 1905 (MASUNAGA since 1905)」の最新作のポイントは、高い技術力から生まれた造形美。“ベイブリッジ”モデルは、0.6mmのベータチタンをベースに構築した立体的なブリッジとリムの二重構造がアクセントだ。

 「G.M.S.」シリーズのルーツは、1933年、昭和天皇が福井県を訪問した記念に献上された増永眼鏡の3本のラウンドフレーム。最新作は細いチタンとアセテート生地を組み合わせて、シンプルな上品さをデザインした。

 「光輝」シリーズは、1970年に開催された大阪万博の松下館の企画で使用された“カスタム72”の後継モデルとして誕生。フルアセテートの新型は、“コントラスト”をテーマにマスキュリンとフェミニン、クラシックとエレガンスを表現した。

 増永眼鏡は早期からグローバル化に着手し、ミラノのミド(MIDO)、パリのシルモ(SILMO)、ニューヨークのビジョンエキスポ(VISION EXPO)など海外の主要眼鏡展に出展するなどして販売網は30カ国に広がった。海外の売り上げが国内を上回っており、メード・イン・ジャパンの強みを世界で発揮している。

問い合わせ先
増永眼鏡
03-3403-1918

The post 高田賢三が「マスナガ」に表現した日本の伝統工芸へのオマージュ appeared first on WWDJAPAN.com.

「トニーセイム」がブランド設立10周年でベルギーの「テオ」とコラボレーション

 今年創業10周年を迎えた「トニーセイム(TONYSAME)」のアニバーサリーコンテンツは、「デザイナーズ・インビテーション・プロジェクト」の第二弾であるベルギーのアイウエアブランド「テオ(THEO)」とのコラボレーションだ。

“われわれは美しいデザインの
アイウェアを生み出す
パッションを共有している

 アジアとヨーロッパのアイウエアブランド同士の異例コラボレーションから生まれた特徴は、アート感覚溢れる「テオ」らしいフォームや大胆なカラーリングと、「トニーセイム」の高い技術力が融合していることだ。

 「昨年の第一弾が完売したことは、大きな自信となった。ある意味で『テオ』は『トニーセイム』の対極にあるブランドだ。デザインに全霊をささげる『テオ』のアート感覚と『トニーセイム』が得意なテクノロジーが融合して新しい価値観を生み出している」と細井礼トニーセイムジャパン社長。「『テオ』らしく考え抜かれたコンセプトで『トニーセイム』を表現してくれた。厚いチタンを切削したフロントのリムの立体的な構造や智元に組み込んだ独自のパーツ使いなど『トニーセイム』ならではの難度が高い技術力とミックスした面白いアプローチができた」と評した。テンプルには、“トニーセイム・ラブス・テオ”の文字が刻まれている。

 「テオ」は、デザイナーのパトリック・フート(Patrick Hoet)と、眼鏡店を営んでいたウィム・ソーメルス(Wim Somers)の二人が1987年にベルギーのアントワープで設立した。ブランド名の「THEO(テオ)」はフート(Hoet)の文字を入れ替えたもの。「テオ」の創業者の息子で、同プロジェクトを主導したトーン(TOON)は「このコラボレーションで最も興味深い点は、双方が限界に挑戦していることだ。お互いの強みを生かして、『テオ』のアイデンティティーであるメタル素材をフロント部分に使い、『トニーセイム』を象徴するチタンのヒンジとアセテートのテンプルを組み合わせた。『テオ』と『トニーセイム』は、美しいデザインのアイウエアを生み出すパッションを共有している」とコメントした。デザインは2型で、価格は各4万円。

「トニーセイム」の
メインコレクションも充実

 「トニーセイム」のメインコレクションも充実度を増している。「10年の積み重ねの中で構築した独特の“ジャパニーズ・ベーシック”のファンを獲得できた。それをさらに進化させた結果が、最新作のクオリティーにつながっている。強い存在感のあるデザインながら、どんな服にも合わせやすい。『トニーセイム』をエモーショナルに買い求めてほしい」と話した。

 香港本社と協力しながら次代を見据えたブランディングを主導する細井社長がテーマとしているのは“コネクト(つながる)”すること。「さまざまなモノ、コト、ヒトとつながることによってブランドを進化、成長させていくことを心掛けている。今回のコラボレーションもその一環だ」と説明する。

問い合わせ先
トニーセイムジャパン
03-6914-0008

The post 「トニーセイム」がブランド設立10周年でベルギーの「テオ」とコラボレーション appeared first on WWDJAPAN.com.

「ジンズ」が大人の女性向けカラーコンタクトレンズを発売 メイク感覚で楽しむ瞳のおしゃれ

 「ジンズ(JINS)」は、オリジナルコンタクトレンズ「ジンズ ワンデー(JINS 1DAY)」から、大人の女性向けカラーコンタクトレンズ「ジンズ ワンデー カラー(JINS 1DAY COLOR)」を10月22日に「ジンズ」オンラインショップと一部の「ジンズ」店舗で発売した。

へアメイクアップアーティストの
林由香里が監修

 特徴は、“カラコン=メイク”と定義し、へアメイクアップアーティストの林由香里の監修で商品開発を行ったこと。その日の気分に合わせて、メイク感覚で選べる色のバリエーションをそろえた。

 林由香里は「どれもすごくナチュラルで普段のメイクの邪魔をしません。目の存在感を主張するのではなく、メイクになじんでほかを引き立たせてくれます」とコメントしている。

 種類は、“ベースメイクアップ”と“ポイントメイクアップ”の2シリーズ。“ベースメイクアップ”は化粧の“ベースメイク”から着想を得ており、ありのままの瞳の美しさを引き立てるナチュラルカラー。“ポイントメイクアップ”は色を際立たせたアクセントカラーで、目の印象の変化を楽しむというものだ。それぞれグレー、ブラック、ブラウン、ベージュの4色展開で計8色ある。着色部分をレンズではさみ込むことで色素が直接目に触れることなく着用できる“サンドイッチ構造”を取り入れて品質を担保している。価格は1箱2枚入りが300円、1箱10枚入りが1500円。

年齢や生き方を表現する
「メイクアイテムに

 ジンズは「ジンズ ワンデー カラー」の発売にあたり、都市部在住の美容に興味がある25~39歳の大人女性150人に意識調査を実施した。それによると、全体の約9割が「目元の印象を変えてみたい」と思っていることが判明。また、過去にカラコンを卒業した大人女性の約8割、カラコン未経験の大人女性約5割が「カラコンを使用したい」と考えているものの、使用しない理由として「品質・衛生面に不安がある」(29.3%)、「若者のためのものだと思っているから」(20.0%)と回答するなど、カラコンに興味はあるものの、品質やデザインに懸念があることが分かった。「ジンズ ワンデー カラー」はこれらの悩みを解決し、自身の年齢や生き方にふさわしいアイテムとして着用できる安心・安全のカラーコンタクトレンズを目指した。新型コロナ禍でテレワークやオンライン化が定着する中、画面越しの顔の印象を変えるメイクアイテムの1つとなりそうだ。

 なお、「ジンズ」オンラインショップ限定の無料サンプリング(予定数量に達し次第終了)やインスタグラムでのバーチャル試着体験などのキャンペーンを行っているほか、美容系インフルエンサー10人が各自のインスタグラムアカウントでカラコンを使ったメイク術をライブ配信するチャレンジ企画を10月31日まで実施中だ。

問い合わせ先
ジンズ
0120-588-418

The post 「ジンズ」が大人の女性向けカラーコンタクトレンズを発売 メイク感覚で楽しむ瞳のおしゃれ appeared first on WWDJAPAN.com.

スキンケアでも注目される肌の常在菌「マイクロバイオーム」ってなぜ重要なの? 「ランコム」研究員が指南

 「ランコム(LANCOME)」は、全世界でベストセラーの看板製品“ジェニフィック”シリーズでも着目する肌の常在菌「マイクロバイオーム」研究に関するシンポジウムを開催した。近年、スキンケアでマイクロバイオームに注目した製品は増えており、その重要性は明らかだ。先駆者である「ランコム」の研究者らが、その効果とほかとの違いについて語った。

ーーそもそもなぜ、このタイミングでシンポジウムを開催したのか?

アニー・ブラック(Dr. Annie Black)=「ランコム」インターナショナル・サイエンティフィック・ディレクター(以下、ブラック):ここ数カ月で、私たちの生活や人との交流の仕方に大きな変化がありました。マスクの着用で肌に変化を感じている人も多いはずです。長期間使用すると、肌に刺激を与える可能性があり、さらに皮膚を閉塞します。マスクの下の皮膚は高温多湿な環境にさらされ、皮膚バリアの弱体化、乾燥、発疹、さらにはニキビにつながる可能性があります。そんな今だからこそ、肌のバリア機能を高めることが大切だと感じており、その役割の一つをはたすのがマイクロバイオームなのです。

ーー肌のバリア機能とは?
ブラック:私たちの体の最外層である皮膚は、外部刺激や乾燥から守ります。簡単に言えば、肌に良いものを入れたり、悪いものを入れないようにしたり機能します。このバリア機能には、健康なマイクロバイオームが不可欠なのです。

ーーマイクロバイオームとは?

ガブリエル・アーマッド・コードル(Dr. Gabriel Ahmad Khodr)=ロレアル アドバンスド リサーチ インターナショナル・マイクロバイオロジー・サイエンティスト(以下、コードル):人の体に存在する微生物のことを指します。皮膚の表面に存在するマイクロバイオームは私たちの皮膚の防御に大きな役割を果たし、体と環境の間の交換を調節します。マイクロバイオームを形成するさまざまな微生物間のバランスは、私たちの肌の健康と美しさに欠かせません。 しかし、このバランスは日常のさまざまな刺激や生活習慣により頻繁に脅かされます。

ーー日常にあるさまざまな刺激とは?

コードル:紫外線や大気汚染、加齢、喫煙、投薬、栄養不足、さらには心的ストレスなどが含まれます。基本的に肌は、私たちのライフスタイルを反映しています。また、洗顔やクレンジングも(良い菌を)攻撃する可能性もあるのです。これらの要因によりマイクロバイオーム内のバランスが崩れると、乾燥や感染症、湿疹、ニキビなどさまざまな皮膚障害を引き起こす可能性があります。つまり、マイクロバイオームのバランスを維持することは皮膚の健康のために非常に重要なのです。

ーーこのバランスを取り戻すには?

コードル:起こってしまった刺激のケアには、やはりスキンケアでいたわることが大切でしょう。ただし、上から塗布する化粧品だけでなく、生活習慣を見直したり、食事に気をつけたり、内側からのアプローチも同様に大切です。内臓のマイクロバイオームを健康に保つことは、肌のマイクロバイオームにも作用されるとも言われています。

ーー最近はマイクロバイオームに着目したスキンケアも多く見かけるが、“ジェニフィック”はほかと何が違うのか?

コードル:“ジェニフィック”の処方には、マイクロバイオームの“エサ”となるプレバイオティクスと、美容効果をもたらすプロバイオティクス由来成分を特許取得済みの方法でバランスよく配合しています。

ブラック:なお、全てのプレバイオティクス・プロバイオティクスが皮膚のマイクロバイオームに有益であるわけではありません。
「ランコム」は、何百もの組み合わせを研究して、皮膚のマイクロバイオームに作用するものはごくわずかであることを発見しました。私たちが厳選した7種のプレバイオティクス・プロバイオティクスは、肌を保護、制御、回復する能力をサポートするのに優れた組み合わせです。また、「マイクロバイオティックスが入っている」とうたう他社製品もありますが、本当はプロバイオティクスをそのまま入れようとすると、冷蔵保存する必要があるんです。われわれはバイオテクノロジーを生かし、常温保存できるようにマイクロバイオティクスを処理し、処方に配合することに成功しました。

 以前から内臓のマイクロバイオームについての研究は盛んに行われてきましたが、皮膚のマイクロバイオームを16年前から行ってきたわれわれはパイオニアと言えるでしょう。ただ、まだまだ明かされていないことも多く、日々進化している分野でもあります。だからこそ今回シンポジウムを開催しましたが、今後も多くの研究が生まれると思いますし、スキンケア分野において最もホットなトピックスの一つでもあると思います。

The post スキンケアでも注目される肌の常在菌「マイクロバイオーム」ってなぜ重要なの? 「ランコム」研究員が指南 appeared first on WWDJAPAN.com.

秋の夜長にオススメ、デリケートゾーンケアアイテム&ウエアを紹介 美容通の4人が座談会

 「第二の顔」とも言われるデリケートゾーン。最近では、バイオ療法と植物バイオメソドロジーを取り入れたライフケアブランド「ワフィト(WAPHYTO)」がデビューし、マッシュビューティーラボが主催するプレス向けイベント「ビープルフェス(BIOPLE FES)」でもデリケートゾーンにフォーカスしたフェムテックブースが出展されるなど、定番と化しているデリケートゾーンケア。そもそも、デリケートゾーンとは、膣周りを取り囲む大陰唇、小陰唇などを指し、近年では洗浄剤、保湿クリーム、オイル、サプリメントなどさまざまなアイテムが販売されている。どのようなアイテムが支持され、どういった効果が期待できるのか――。美容業界に従事する4人のプロたちに、愛用しているアイテム、ウエアを上げてもらい、選ぶ際に意識しているポイントを聞いた。

――:デリケートゾーンケアは、いつから始めた?

南上夕佳=植物療法士・ルボア フィトテラピースクール副代表(以下、南上):約10年前から。当時、日本では選択肢も少なく手軽に買うことができず、海外のネットショップなどで購入していました。日本では「アンティームオーガニック(INTIME ORGANIQUE)」が誕生した2013年以降、さまざまなブランドから商品が生まれて選べる時代になりうれしいです。

佐藤香菜フリーランスブランディングディレクター(以下、佐藤):コスメキッチン(COSME KITCHEN)の店頭で働いていた20代前半から。「アロメディカ(AROMEDICA)」の“フェミノール”(100mL、3000円)というデリケートゾーンケア用のオイルを取り扱っており、それを使ったことから始まりました。私にとって、オイルで洗う習慣を取り入れるキッカケとなったブランドです。

――:デリケートゾーンケアによって、どのような効果が期待できる?

南上:女性ホルモンバランスが整うので、生理不順が整うこと、月経痛が軽くなること、おりものが正常の範囲内で分泌するようになることや、ニオイ・ムレの解消が期待できます。プロダクトに入っている植物によって、香りによるリラックス効果、リフレッシュ効果、また普段はあまり見ることのない自身の大切な箇所をケアすることは、女性らしさの開花や自愛の心が持てて自身と向き合う時間にもなります。デリケートゾーンケアは、女性であることを喜び、自分を愛でるイメージです。また、プレ更年期や更年期ケアへのアプローチとしても注目を集めています。膣の乾燥を防ぎ、粘液を出しやすくすることもケアの役割と言えるでしょう。

谷口智美ビープル バイ コスメキッチン ディレクター(以下、谷口):私は7年前からケアを始めています。日々デリケートゾーンをケアすることで、自己愛が高まり、気分も明るくなれました。まず、ケアをスタートする前にVIOの脱毛をオススメします。毛がないと状態や状況が把握しやすくなり、それに合わせたケアが可能になります。具体的なケア方法ですが、まず専用のソープで洗い上げた後に保湿をします。するとフカフカでツヤツヤになるので、とても心地よい素肌に。乾燥から生成されるメラニンや、黒ずみが気になる方はケアするだけでワントーン明るいお肌に。また、ショーツで締め付けられる部分でもあるので、私は寝るときは履かずに、圧迫された血管や皮膚を解放しています。

――:実際に使用しているアイテムは?

佐藤:オススメは3つあります。「アロメディカ」の“フェミノール”、オイルタイプの洗浄料「リップ インティメイトケア(LIP INTIMATE CARE)」の “クレンジング モイスチャライジングオイル”(75mL、3200円)、月経カップの「フルムーンガール(FULLMOON GIRL」(4000~8000円)。6年ほど前から月経カップを使用しています。「フルムーンガール」は日本でも購入でき、初心者にオススメ。生理用品もデリケートゾーンケアの一環として捉え、こだわることで私はそれまでに感じていた生理痛や不快感が軽減されました。また、「リップ インティメイトケア」は、保湿も兼ねているのでとても使いやすい。体を保湿するように、デリケートゾーンも保湿が大切です。


谷口:私が推薦するのは、洗うアイテムと、潤すアイテム。洗うケアには、「ビオトゥルム (BIOTURM)」の“フェミニンウォッシュジェル”(250mL、2500円)、「ザ レディ(THE LADY.)」の“デリケート ローズプラセンタ ウォッシュ”(150g、2500円)を愛用中。潤すケアは、「アンティームオーガニック」の“ホワイトクリーム”(100g、2600円)、「イエス(YES)」の“インティメイト・オイルローション”(40mL、3500円)を使っています。


勝田小百合アムリターラ代表兼商品開発担当(以下、勝田):膣は、乳酸菌によってpH3.5~4.5の酸性に保たれているので、アルカリ性の石鹸では洗わず、お湯洗いにするようにしています。また、インナーから整えることを意識しています。「アムリターラ(AMRITARA)」“ヒマラヤ岩塩バスソルト”(520g、1800円)をお風呂に入れて42℃くらいのお湯に15分浸かってよく温まるようにしています。血流改善をうながすサプリ「アムリターラ」“スパイスフルビューティ”(3000円)も併用し内側からもアプローチしています。


南上:専用ソープは、「アンティームオーガニック」の“アンティーム フェミニン ウォッシュ”(120mL、2000円)を使用しています。イランイラン、オレンジの甘いけれどさわやかな香りで癒やされながらリフレッシュできます。女性ホルモン作用の植物も多くホルモンバランスが整うと感じますね。「ワフィト」の“インティメイトウォッシュ”(120mL、2500円)は、肌を美しく保つゴツコラやスギナなどを配合していて使い心地もいいです。保湿には、「ワフィト」の“インティメイトオイル”(30mL、8000円)。デリケートゾーン専用のマッサージオイルを使います。保湿クリームは、「アンティームオーガニック」の“ホワイトクリーム”は気になる、肌の黒ずみをケアしてくれる万能保湿クリームです。生理中などでスッキリと衛生的に保ちたいときには、流せるタイプのふき取りシート「アンティームオーガニック」の“ハイジーンシート”(1500円)がオススメです。

――:インナー・下着を選ぶ際にこだわっていることは?

勝田:静電気が起きやすい化繊をやめ、湿度を保ち静電気が起きにくい天然素材のものにしてから、トラブルもなく過ごせるようになりました。「マアル(MARRU)」の新月ショーツは、とてもいいです。オーガニックコットンで、鼠径部を締め付けないタイプのものを選ぶようにしてから、骨盤内の血流も良くなったと感じます。

南上:締め付け感なく適度にホールドされているもので、素材、女性らしい気持ちになれるかどうか、デザインなど総合的に見て選んでいます。シルク素材は着け心地もよくて使いやすいので、コットンシリーズもある「バサラ(BASARA)」「シュット! インティメイツ(CHUT! INTIMATES)」、そのほか「クリスティーズ(CHRISTIES)」や「リズシャルメル(LISE CHARMEL )」などインポートの繊細なレースの下着が好きです。

佐藤:「ハンキーパンキー(HANKY PANKY)」や「ホォアナデアルコ(JUANA DE ARCO)」。ゴムがきつくないものを選びます。あまりきついものだと、股関節の部分が擦れて黒ずみにつながってしまうので、肌あたりの優しいレースやコットンなどで負荷がかからないものを選びます。

谷口:「ムーンパンツ」“デイタイム ブラックレース”(4800円)がオススメ。漏れない、蒸れない、臭わない、履くだけでOKなサニタリーショーツ。20mLの液体を吸収するショーツで、薄く速乾性に優れていてとても使いやすいです。繰り返し使えるので環境に優しく、経済的。サニタリーには見えない、ヒップを美しく見せるレースデザインで気分もアップします。

 デリケートゾーンの「洗浄&保湿」は日常的に行っている人が多く、ケアの一貫として「サニタリーアイテム」を捉えている人が多いことも印象的だ。単なるボディーケアの延長というよりも、ポジティブに自分と向き合うためのケアとして、更年期へのアプローチとして、またパートナーへのエチケットなど、非常に多面的な役割があると感じる。さまざまな世代に関わりのあるトピックであり、これから、ますます“デイリーなルーティン”として受け入れられそうだ。

小竹美沙:1984年生まれ。女性誌やウェブマガジンで、ナチュラル&オーガニック&サステナブルなコト、モノ、人びとについて取材&発信中。2009年から恵比寿のファッションスクールのオフィシャルライターとして広報資料のライティングにも携わる

The post 秋の夜長にオススメ、デリケートゾーンケアアイテム&ウエアを紹介 美容通の4人が座談会 appeared first on WWDJAPAN.com.

ドームが目指す“お客さまと併走するOMO”とは?

 新型コロナウイルスの影響で店舗を訪れる顧客が減り、アパレル小売にとってオンラインとオフラインの融合させるOMO施策の重要性はこれまで以上に高まっている。米スポーツウエアブランド「アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)」日本総代理店のドームは、2018年10月にクラウド型アプリプラットフォーム「ヤプリ(YAPPLI)」を導入し、スマートフォンを利用したさまざまなOMO施策を実行している。施策の狙いや成果について、同社の阿部敏ドーム ブランドマーケティングDiv. ヘッドオブコンシューマーインサイトに聞いた。

EC売上高が前年比70%増
アプリ経由の販売も伸長

WWDジャパン(以下、WWD):コロナ禍において、「アンダーアーマー」のECの状況はどのように推移している?

阿部 敏ドーム ブランドマーケティングDiv. ヘッドオブコンシューマーインサイト(以下、阿部):3月以降、「アンダーアーマー」はEC単体で見ると非常に好調です。「アンダーアーマー」はグローバルでマスクの開発・販売を始め、非常に好調だったのですが、その分を抜いても日本のEC売り上げは前年比70%増くらいになりそうです。そのうちアプリ経由の売り上げは25%に達していて、大きく伸びています。

アプリに動画を保存
「接客の擬似体験を」

WWD:EC販売には以前から取り組んでいるが、どのような課題があった?

阿部:2018年にECサイトをグローバルののプラットフォームに統合しました。しかし使い勝手が日本のお客さまに合わず、コンバージョンレートが下がってしまったため、日本にローカライズすべくヤプリを使ったスマホ向けアプリの開発にも取り組みました。

WWD:OMO関連ではどのようなことに取り組んでいる?

阿部:アプリで会員登録していただいた方には割引をしています。直営店では5%、アウトレットでは10%以上の割引をしています。こうした施策により現在のアプリ会員は50万人弱で、ECの会員数を超えました。

WWD:アプリの開発・運用は?

阿部:今は新卒社員6人がアプリを運用しています。人的コストが少なくて済む点はありがたいですね。特別な知識や技術が無くても、簡単にアプリを作ったり、コンテンツを追加したりできるなどフレキシブルさにとても助かっています。「ヤプリ」の機能で一番活用しているのはバーコードリーダー。店舗に欲しいサイズや色が置いていなくても、商品のタグを読み込んでECで注文していただけます。また、スポーツウエアは機能が重視されるため、店舗スタッフがインスタのライブ配信で商品説明をします。アプリに動画をアーカイブし、店舗での接客が擬似体験できるような環境を整えようとしています。

在庫連携と無人レジを実現
「ブランドのファンを増やす」

WWD:アプリの機能として今後追加したいものはある?

阿部:ヤプリの店舗検索機能を利用し、アプリ上で店舗在庫を確認できるようにしたいです。新型コロナの影響で買い物に割く時間を減らし、店舗に「これが欲しい」と明確な目的を持っていらっしゃる方が増えました。せっかく足を運んでくださったお客さまをがっかりさせてしまうことがないよう、前もって在庫を確認できることはますます必要になると考えます。

WWD:思い描くOMOの形は?

阿部:最終的に目指しているのは、全ての決済をオンライン上で完結できるようにすること。お店からレジをなくし、スタッフが商品の機能性を説明することに専念できるような環境ができれば、より「アンダーアーマー」を好きになっていただくことにつながると考えています。

問い合わせ先
ヤプリ 広報
050-1745-4529

The post ドームが目指す“お客さまと併走するOMO”とは? appeared first on WWDJAPAN.com.

有力ブランドの多くが採用するアプリ開発サービス「メグリ」とは?

 新型コロナウイルスの影響でECやオムニチャネルの重要性が高まる中、ランチェスターが提供するアプリ開発プラットフォーム「メグリ(MGRe)」を導入する有名ブランドが増えている。同社が“コミュニケーションを通して顧客理解を深めるプラットフォーム”と位置付けるメグリにはどのような特徴があり、どのような効果が期待できるのだろうか。

アプリを複数の情報と
販売チャネルのハブに

コロナ禍を機に導入
 大きな成果も

 新型コロナウイルスの影響を受け、ECやアプリの重要性は今まで以上に増している。ランチェスターの田代健太郎代表取締役は「店舗への来店が減り、ECでの販売に頼らざるえない状況の中で、多くの企業が試行錯誤を続けています」と語る。こうした状況に適切に対応するためには、どのようなことが求められるのだろうか。田代氏は「店舗販売であれ、EC販売であれ、新規顧客との接点をきっかけに、いかにリピーターになってもらうかが重要です。このリピーターづくりにアプリが有用なツールなんです」。その上で、「もちろん、ただアプリがあればいいというわけではなく、どんなチャネルの接点でも一人ひとりをブランド側が認知できる仕組みを作り、顧客の特性などに合わせてコミュニケーションができるアプリの運用を目指すことが重要です」と田代氏。
 こうした取り組みを進める上で、有効な手段になり得るのが「メグリ」の活用だ。田代氏は「メグリで開発したアプリはリピーターを増やし、顧客エンゲージメントを高めるための非常に有効な武器になります。ECやオムニチャネルでお悩みの企業様は、ぜひ当社にご相談ください」。

問い合わせ先
ランチェスター
pr@lanches.co.jp

The post 有力ブランドの多くが採用するアプリ開発サービス「メグリ」とは? appeared first on WWDJAPAN.com.

ナイキの次世代物流拠点にも導入 コロナ禍で進化を続ける”ロボット倉庫”

 コロナ禍でデジタルシフトの波が、物流にも押し寄せている。その変化を先導するのが、アパレルECのフルフィルメント事業を手がけるアッカ・インターナショナル(以下、アッカ)だ。同社は独自開発の在庫管理システム(WMS)や、中国発の企業「ギークプラス(GEEK +)」が開発・提供するAI 物流ロボットなどを駆使し、倉庫の自動化・デジタル化を進めている。アッカはいかにして物流を作り替え、これからどこに向かうのか。同社がナイキ(NIKE)と共に作り上げた先端事例となる物流拠点「ザ・ダンク(THE DUNK)」の全貌と、キーマン2人の話から物流の未来を探る。

ナイキと協業して
作り上げた次世代の物流拠点

 2019年6月に稼働を開始したナイキの世界初のロボットオペレーションセンター「ザ・ダンク」は千葉県・市川市に位置し、国内のナイキ直営店と、ECサイト「NIKE.COM」用の商品を取り扱う。バスケットボールのゲームのあり方を変えた “ダンクシュート”に由来する施設名は、物流のあり方を変えるという意味も込められている。そんな思いを実現するべく、最先端の設備、技術が搭載された同センターは、次世代 の“ロボット倉庫”とも言える。センターには、中国の最大手 EC企業、アリババグループも採用する「ギークプラス」のAI 物流ロボットを200台以上導入。アッカの在庫管理システム(WMS)の指示のもと、ロボットが人のいるところまで商品棚を運び、省人化を実現している、さらには「ギークプラス」が今年、新たに立ち上げたコンサルティングチームとデータをもとに協議しつつ、日々施設の生産性向上のためのアップデートを重ねている。

 また、センター内の設備はアンカーを打つ等全て固定されておらず、柔軟性を担保しているのも特徴だ。WMSをはじめとするシステムも全てアッカによる自社構築のため、スピーディな改修が可能となっている。これらにより、ナイキのビジネスの形態や成長、一時的な物量の増減などへフレキシブルに対応できるようにしている。コロナ禍でビジネスの予測が立てづらくなった現在において、このフレキシビリティーがさらに重要性を増していることは想像に難くない。 ロボットの投入や、フレキシビリティーを重視したシステムと設備の設置が、「ザ・ダンク」の自動化・デジタル化を可能にした。通常300人は必要な施設の規模感でありながら、 70人ほどの人手で済むといった省人化に成功。コロナ禍で ECへの注文が爆発的に増えたにも関わらず、コロナ前の配送リードタイムを維持し続けることかが可能となっている。この施設がなければ、ナイキのビジネスは安定的な成長を保つことができなかったとも言える。“ロボット倉庫”は今後、日本を皮切りに世界でも稼働する見込みだ。

アッカが見据える
“ロボット倉庫”の過去・現在・未来

 アッカが「ギークプラス」のAI物流ロボットを導入したのが3年前。保守・メンテナンスの対応やアリババグループをはじめとする中国での導入実績などの観点から協業を開始した。以後、アッカは自社構築のシステムと 「ギークプラス」のロボットを連携させ、倉庫での安定的な出荷を実現していく。

 しかし「コロナで状況は一変した」とアッカの嶋田由香里取締役。「ECの需要が高まり、物量が圧倒的に増えた。しかし、例えば物量が10倍 になったからと言って、人手を10倍にすればいいいかというとそうでもない。人を収容する場所やオペレーションなどの問題があり、人員を増やすほど、生産性は低減していく。そんな中で、ロボットを最大限活用し、 出荷のキャパシティーを増やすことが必要になっている」と説明する。

 さらに3月には、「ギークプラス」が新事業としてコンサル事業を設立。企業のニーズのもと、ロボットの進化を推進している。その進化に拍車をかけているのがアッカだ。ナイキの「ザ・ダンク」はその集大成とも言える。「当社の3年間の倉庫の自動化の経験や『ギークプラス』のコンサルを通じて、在庫管理システム (WMS)からロボットへの最適なオーダーの仕方などを企業に合わせてカスタマイズできる。また、システムが自社構築であるため、企業のビジネス状況やニーズのもと、システムをフレキシブルかつスピーディに改善するなど、包括的なソリューションの提供が可能だ」と語る。

 今後については「フルフィルメントのクラウド化を進めていきたい。現状、多くの企業が倉庫を借りても、ビジネスが成長する度により大きな倉庫を借りたり、人員を手配したりしている。さまざまな倉庫や物流の設備、システムをクラウド上で管理できるようにすることで、いつでも、どの倉庫でも柔軟に物流・フ ルフィルメントのサービスの提供が可能となるはずだ」。

物流は”人がロボットを
使いこなす”時代へ

 中国発の「ギークプラス」は3年前に日本に上陸して以降、日本におけるAI物流ロボットのパイオニアとして、市場をけん引してきた。そんな同社は、これまでの物流ロボットの変遷をどのように見ているのか。「ギークプラス」 の小山翔プロジェクトマネージャーは「ロボットの導入が本格化した2017〜18年の当時は、アフターサービスの作り込みなどがニーズに中心だった。その後安定的な運用や、人とロボットを切り離して安全性を保つといったニーズが浮上した。コロナ禍ではさらに進み、 いかにロボットをカスタマイズして出荷のパワーを上げられるかといった要望が増えている」と振り返る。

 そのような導入企業のニーズの変化に対応すべく、同社は3月にコンサルティングチームを新事業として設立した。「解析してみると、導入企業の商品特性に応じたロボットのロジックの組み方が存在することが分かった。企業の需要に合わせてロボットをカスタマイズすることで、単にロボットを導入するのではなく、”人がロボットを使いこなす”レベルに到達できると考え、私を含め、戦略コンサル出身者やデータサイエンティストを入れてチームを立ち上げた」と説明する。

 コンサル事業を立ち上げ、新たなフェーズに入った「ギークプラス」。同社は今後、何を目指すのか。「大きく分けると2軸ある。1つは製品のラインアップの拡充。コロナ下でBtoBからBtoCの側面が強くなった物流業界では、安さと速さへのトレードオフが起きており、企業の要望のレベルも上がっている。われわれはそれらのニーズに合わせたソリューションを提供していかなければならない。もう一つが、コンサル事業をはじめとするサービスの作り込みだ。ロボットのシェアリングサービスなども検討しており、来年にかけていくつか新サービスを仕込んでいる。この2軸を通じて、物流界の新しいスタンダードを築いていきたい」。

PHOTO:SHUNICHI ODA

問い合わせ先
アッカ・インターナショナル
03-6452-6714

The post ナイキの次世代物流拠点にも導入 コロナ禍で進化を続ける”ロボット倉庫” appeared first on WWDJAPAN.com.

加速するDXの行く末とは? 「WWDジャパン」のデジタルコマース特集と連動した特別セミナーを開催

 「WWDジャパン」10月26日号の「デジタルコマース」特集では、さまざまなデジタル施策を行う企業・ブランドの最新事例や特別座談会を通じて、真のデジタルコマースとは何なのかを探りました。本特集の関連イベントとして、ファッション&ビューティ業界人向けのセミナーを11月9日に実施します。コロナ禍でDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速している中、ECやリアル店舗、そしてそれらに携わる人々の役割はどのように変わっていくのか。今回は”多様な未来を考える1週間”として、渋谷で行われる都市型イベント「ソーシャルイノベーションウィーク渋谷2020」内でセミナーを開催。業界をけん引するキーパーソンたちと共に加速するDXの行く末を探ります。

INFORMATION

ファッション&ビューティ業界における
DXの行く末とは?

日程:11月9日
時間:14:30〜19:30(14:00開場)
会場:渋谷ストリーム ホール
住所:東京都渋谷区渋谷3-21-3
対象者:主に百貨店、ファッションもしくはビューティ関連の小売企業、ブランド、メーカーの方
※①法人ではない個人の方(開業予定の方を含む)②弊社、及び協賛企業と同様の事業内容をお持ちの法人(EC関連サービス、アプリ開発、メディア運営等)③ホームページ・関連サイトにて、弊社と同様の事業内容を明記している法人及び個人に該当される方はご参加いただけません。予めご了承ください。
参加条件:「WWDジャパン10月26日号」1部購入につき、1名限定の聴講
※会場聴講は抽選で100名さま限定、オンライン聴講は人数無制限で参加いただけます。

問い合わせ先
「WWD ジャパン」デジタルコマース特集セミナー担当
dxseminar@infaspub.co.jp

The post 加速するDXの行く末とは? 「WWDジャパン」のデジタルコマース特集と連動した特別セミナーを開催 appeared first on WWDJAPAN.com.

インスタ×「ビジュモ」で実現 EC強化と動画接客を推進するDX

 インスタグラム上にはブランドの公式アカウントやスタッフ、消費者などユーザー投稿(UGC=ユーザー作成コンテンツ)があふれている。「ビジュモ(VISUMO)」は、このインスタグラム上 の写真・動画・IGTVといったUGCを自社ECで活用するためのツールだ。ECに掲載した写真や動画を商品ページのリンクを張って結びつけることで、閲覧から購買までのシームレスな導線を作り出し、サイトの回遊率・成約率向上が見込める。2017年のローンチから国内のアパレル企業(構成比の35%)、ビューティ企業(同25%)を中心に、取引先は約250社を数えるまでに成長した。

“映える”写真がECの核に
1割以上もアクセスが伸長

 「消費者がインターネット上でブランドや 商品について知る上で、文字情報の価値は 相対的に低下している。スマホネイティブ 世代(1996年以降の生まれ)だけでなくミレニアル世代(1981〜1995年生まれ)ですら、インスタグラムではハッシュタグ検索、グーグルではイメージ検索などビジュアルから情報収集を始めている」。そう話すのはビジュモ社取締役の井上純氏。「その画像検索をする感覚で、ECサイトでもより直感的な写真や動画から情報収集を始める方向へ消費者動向はシフトしている。“いいね”を押したくなるような“映える”写真が ECサイトに並ぶだけで、消費者の視線が集まる人気コンテンツを作ることができる」と語る。「ビジュモ」の活用によりクライアント企業の多くが、導入前から1割以上もアクセス数を伸ばしているという。

インスタ投稿の価値を最大化
「ビジュモ」が実現するDX

 自社スタッフのSNS投稿をECで活用する企業もあり、事例の一つが「シップス」だ。EC上の特集ページにも店舗スタッフが登場するなど、これまでリアル店舗や顧客とのコミュニケーションの販促の一環でしかなかった各店のインスタ投稿をデジタル上で生かしている(上図)。井上氏はこれを「デジタルトランスフォーメーション(DX)の一つの形だ」と表現する。「今後は、事業者が人材リソースをデジタル 上でも有効活用し、彼らのクリエイティブ を多様化させることが一層重要な時代になる」。「シップス」はコロナ禍で動画コマースも強化している。「ライブコマースも視聴されなければ無駄な作業に終わってしまう。『ビジュモ』を活用すれば、ECサイトの商品詳細ページなどに動画を掲載し、より多くの人にリーチできる」。

デジタルで人材資源を最大化
今冬に新サービスをローンチ

 井上氏はDXについて自らの考え方をこう語る。「(DXの)本質はいたってシンプルで、デジタルが社員の力を最大化できる環境を作ることだ。その力添えをしていきたい 」。今冬にはUGC活用ツールと並び、新たな柱となるサービスをローンチ予定だ。

問い合わせ先
visumoソリューションチーム
sales@visumo.co.jp

The post インスタ×「ビジュモ」で実現 EC強化と動画接客を推進するDX appeared first on WWDJAPAN.com.

BBFが手がけるファッションブランドのOMO推進「全方位サポート」

 BBFはファッションブランド向けのEC構築・運用支援、マーケティング支援を一気通貫で手がけ、多くのユーザー獲得に貢献している。事例の一つが、サザビーリーグが2018年に立ち上げたD2Cのジュエリーブランド「アルティーダ ウード(ARTIDA OUD)」だ。これまでEC販売に特化していたが、今年8月には東京・渋谷の松濤にショールームをオープンするなどOMO戦略にも力を注ぎ始めた。商品のカスタマイズやパーソナライズが可能なECを武器に、コロナ禍でも売り上げを拡大し続けている同ブランドの取り組みについて、同社の相川慎太郎営業統括WEB戦略部長 兼 ECブランド事業部長とBBFの安住祐一執行役員EC事業部長に聞いた。

体験価値にこだわるEC
リピート率は驚異の40%

WWDジャパン(以下、WWD):新型コロナウイルスの影響は?

相川慎太郎サザビーリーグ営業統括WEB戦略部長 兼 ECブランド事業部長(以下、相川):ECを主軸にビジネスを展開しているので、そこまで大きな影響はありませんでした。受注もほぼ落ちていません。

安住祐一ビービーエフ執行役員EC事業部長(以下、安住):コロナ禍でBtoCのECでも売り上げが大きく伸びているブランドもあれば、そうでないブランドもあります。「アルティーダ ウード」が好調なのは、BtoCで店舗を持たないブランドが広がる前から、ビジネスのあるべき姿を着想して取り組まれてきたことが大きいと思います。ジュエリーのカテゴリーはそもそもECでは難しい領域ですが、しかもそれを店舗なしでやるというのを初めて聞いた時は、かなりのチャレンジだと思いました。

相川:「リアル店舗と差別化できる」という確信がありました。我々はインドから直接商品を調達しているため、中間業者を通すコストが発生しません。また、ECを販路の主軸にしているので販管費も削れます。だからハイクオリティーな商品を、手が届くプライスで提供できる。こうしたメッセージ性やブランドパーパスはSNSやECの方が伝わりやすいので、うまく訴求できればブランドは成功すると考えました。

安住:ジュエリーはリアル店舗だと商品をたくさん陳列するため、全ての商品にフォーカスすることができません。しかし「アルティーダ ウード」のECは、一個一個のジュエリーにフォーカスするような仕組みを作り上げているんです。ECにある「ストーンカスタマイズ」というサービスです。

相川:お客さまがサイト上でジュエリーをカスタマイズし、出来上がりをシミュレーションしていただけます。唯一無二のカラーストーンの選択から、取り付ける角度、サイズなどを選ぶと、完成したジュエリーを着用しているモデルのイメージ画像を表示します。こういったことは店舗でも、大型ECモールでもできません。

安住:ブランド体験には本当にこだわられていますよね。ECサイト内の仕掛けにとどまらず、指輪のサイズを測るためのノべルティーを商品に同梱して送ったり、ジュエリーを梱包する資材に香水を吹きかけて送ったりとか。

相川:ECを販路の主軸にしているからこそ、商品が届いた瞬間のブランド体験はとても重要視しています。

安住:そういった取り組みの成果だと思うのですが、リピート率が40%と非常に高いですよね。

ブランド表現に寄り添い
バックシステムを構築

WWD:「ストーンカスタマイズ」の開発には苦労した?

安住:そうですね、システム面で最も苦労したところですね。

相川:「ブランドとしてはこう表現したい」「システムではどうしたら実現できるか」というせめぎ合いがありました。それを一つずつ解消していって。

安住:「人の指が映った画像は絶対必要」「全商品を撮影し、一個一個の石をシリアル管理する」といったことを実現するために、システム、物流の仕組みも含めてご要望にお応えするため、一つ一つ丁寧に作っていきました。

WWD:ショールームのシステムはどうなっている?

相川:ECを軸にブランドを立ち上げたので、店舗のバックオフィスも全てECにつないでいます。店舗を軸にしたブランドとは連携の仕方から違いますね。

安住:ショールームはOMOの象徴的な取り組みですよね。我々はポスレジとECの連携など様々な部分に関わらせていただきました。店舗なしのBtoCブランドがショールーミング型店舗を開くと、必ずしもうまくはいくとは限らない。今はコロナの影響もある中で、非常に挑戦的な取り組みだなと感じていました。

相川:今後はショールームを軸にいろいろとやっていきたいですね。店舗売り上げ予算はあるのですが、店舗でいくら売れたかといったことではなく、この店舗でブランドの世界観を認知していただいた方にECで継続購入いただけているか、といった視点で見ていきたいと思っています。

安住:店舗を予約来店型で月に10日だけやる、というのは単純な費用対効果では成り立たないはずなのでびっくりしました。よく社内で予算稟議が通ったなと(笑)。

相川:当社には「半歩先のライフスタイルを提案し、新たな価値を創造し続ける」というミッションがあり、テストマーケティングに力を入れています。ショールームはその一貫としてやっていますし、私は成功事例をサザビーリーグの中で横展開する役割もあるので、そうした兼ね合いで今回の事業を認めてもらっている部分もあります。

システム以外でも
踏み込んだ支援をしたい

WWD:今後の展望は?

安住:春先までに、人気がありながらコロナ禍でキャッシュフローが厳しくなるブランドが多くあると思います。そういったブランドはファッションのクリエイションは優れていても、ウェブやシステム、マーケケティング、ファイナンスの知識がある人がいないんです。BBFはそういったブランドをご支援したいなと考えています。相川さんのような方がいるブランドばかりではないので(笑)。仕組み作りからご一緒して、時にはシステム以外の部分でも「こういう風にやらないとうまくいかないですよ」と必要なことであればお伝えし、一緒に乗り越えていきたいと考えています。

相川:オンライン接客は各社さんが取り組まれていますが、まだまだこれからです。例えばライブコマースをやっても決済までつなげられず、紹介で止まっていたりします。いろいろ改善点がありますね。我々のブランドもまだ始まったばかりなので、BBF様にはオン・オフの両軸で助けていただきたいなと思っています。サザビーリーグとして今後オンラインのブランドを増やす機会があれば、今回の知見を踏まえてご協力いただきたいです。

TEXT:YOHEI YOSHIDA

問い合わせ先
ビービーエフ
03-5202-4702

The post BBFが手がけるファッションブランドのOMO推進「全方位サポート」 appeared first on WWDJAPAN.com.

オンライン接客で「ライブコール」が選ばれる理由

 新型コロナウイルスの影響で、ビデオ通話を利用したオンライン接客を始めるアパレルブランドが増えている。一般消費者に普及している無償のビデオ通話ツールでもオンライン接客は可能だが、スピンシェルが企業向けに提供するビデオ通話システム「ライブコール(LIVECALL)」を採用するブランドが急増しているという。「ライブコール」を使うメリットはどこにあるのか、実際に導入した企業はどのように使っているのか。

オンライン接客に最適な設計
“ビデオ通話ツール”に止まらない

Q:「ライブコール」はどのようなビデオ通話システムなのか?
A:オンライン接客に特化したさまざまな機能を有しています。同時に一連のマーケティングの“導線”を意識した作りになっており、ビデオ通話の前後で利用するさまざまな機能を用意していたり、他のサービスと連携したりといったことが可能です。接客予約の際は、お客さまが好みのスタッフの空き時間を確認し、接客を受けたい時間を選びます。その際、メールアドレスやSMSにURLが自動で送られて来ますから、ブランド側には手間が全く発生しません。通話はウェブブラウザを使うため、お客さまが事前に専用アプリをインストールする必要もありませんから、お客さまにお手間をかけず、離脱も防ぐことができます。「ライブコール」は「グーグルアナリティクス(GOOGLE ANALYTICS)」など他のアプリやソフトとの連携により、マーケティングに役立つさまざまなデータの分析・活用が可能で、成約率の向上などに役立てることができます。アパレルブランドの導入事例としてはスワロフスキーが10月1日から、「ライブコール」を利用したオンライン接客を銀座店で始められています。9月15日に導入したクロノスも、国内に5箇所ある“セイコーブティック”でお使いいただいています。導入にかかった期間はわずか2週間で、非常にスピーディーに進んだ案件でした。他にも、レリアンが遠隔での商品紹介、コーディネート提案に活用されています。アパレル企業からの引き合いは今年に入ってから一気に増えていて、全体のお問い合わせベースでは前年の数倍です。

ブランドの世界観を生かす
“マーケティング視点”のツール

Q:「ライブコール」で接客中に活用できる機能にはどんなものがある?
A:「ライブコール」は、以前あるアパレルブランド様のECサイトを構築・運用した経験を基に2015年に生まれたサービスです。「サイトに人を呼び込むには」「より購買につながりやすいサイト構成とは」といった、マーケティングの課題解決につながるツールであることを主眼に置き、開発しました。コロナ禍でビデオ接客はますます重要になっていますが、導入企業さまのフィードバックを元に時間をかけて改良を重ねてきたことで、他にはないツールに仕上がっていると自負しています。実際にお使いいただくと、ブランドの管理画面では各オペレーターの通話状況をリアルタイムで確認、予約状況を管理でき、サービスの効率化を実感いただけます。接客するオペレーターは、お客さまの属性表示、ファイルの送信、画面の共有などができ、事前アンケートの回答を元にした接客も可能です。顧客側に表示する画面は、ページタイトル、ロゴ、ヘッダーの色味、メニュー構成などが変更可能で、こういったブランドの世界観を保てるような仕様はアパレルブランドと好相性です。「事前アンケート機能」も備えており、通話前に回答を依頼しておけば接客に生かすことができます。また、最近リリースした「通話後アンケート機能」ではお客さまの感想を吸い上げ、接客品質向上やNPS(ネットプロモータースコア)の計測に生かすことが可能です。ほかにも、API連携でビデオ通話からスムーズにECサイトへ誘導して商品を買ってもらったり、企業のCRM(顧客関係管理)データと「ライブコール」をつなぎ、オペレーターが接客の際に閲覧できる顧客データを増やしたりといったことも可能。品質の高いビデオ通話のために、「ウェブRTC」という技術を使い、デスクトップ環境とモバイル環境の両方で高品質かつ軽快な動作を実現しています。この技術を使いこなすにはさまざまな工夫とチューニングが必要で、私たちはいわば最適なスープの配合のようなバランスを求めて開発とテストを繰り返し、デスクトップとモバイルの両環境において操作性の高いリアルタイムコミュニケーションを実現しました。

企業のOMOを後押し
 顧客との関係を強固に

Q:今後の展望は?
A:通話内容をテキストに変換して分析できるようにしたり、「ライブコール」上で商品の決済を行えるようにしたりといった、さまざまなアップデートを考えています。より柔軟にCRMに連携できるようにもしていきたいですね。「ライブコール」は優れたユーザー体験を生み出すためのツールであるということが全ての根幹にあると考えています。そのためには、機能を強化することと並行して、関連する全てのサービスを「点」ではなく「線」でつなぐことが必要になってくると思います。私たちは「ライブコール」を単なるビデオ接客ツールとは捉えていません。企業様が「ライブコール」を通じてOMOの構築を進め、より体験価値の高い接客サービスを提供することで、今まで以上に強固な信頼関係をお客さまと作っていくお手伝いをしたいと思っています。そしてゆくゆくは、時間や空間にしばられない「ニューノーマル時代の接客」を私たちの手で実現していきたい。そのためには枠組みにとらわれず、接客にまつわるさまざまなサービスのリモート化にチャレンジしていきたいと考えています。

問い合わせ先
スピンシェル 担当:五十嵐、能勢
press@spinshell.com

The post オンライン接客で「ライブコール」が選ばれる理由 appeared first on WWDJAPAN.com.

ブランドの“自走”を支援 専門家集団フラクタの新提案

 ECサイトを中心としたブランディングを行うブランディングエージェンシー、フラクタは10月から新たな受注形態をスタートする。価格の異なる三つのメニューがあり、ブランドの目的に合わせて最適なものを選んでもらう方式だ。新施策にはどのような狙いがあるのだろうか。

クリエイティブからトレーニングまで、
多彩な自走事例

ブランドの幅広いニーズを
カバーする3つの新プラン

問い合わせ先
フラクタ
contact_jp@fracta.co.jp

The post ブランドの“自走”を支援 専門家集団フラクタの新提案 appeared first on WWDJAPAN.com.

小売業界は”個売り”の時代へ トランスコスモスが提案する新たな顧客接点

 デジタルシフトが加速する中で、ECサイトにも新たな潮流が生まれている。その潮流をいち早く察知して動いているのが、ITアウトソーシング大手のトランスコスモスだ。同社はSNSやD2C、OMOといったキーワードのもと、海外発のサービスとの独占販売契約や、日本国内のサービスとの提携を推進。それらのサービスを組み合わせ、「新たな時代に対応する顧客接点」の創出に取り組んでいる。トランスコスモスの柏木又浩=常務執行役員兼DEC統括リテールコマース総括責任者へのインタビューと同社の施策を支えるさまざまなサービスから、トランスコスモスが考える「新たな顧客接点」を探った。

OMO 、SNS、アプリの
3つで新たなEC基盤を作る

 「小売り業界は今、“個売り”の時代に変わりつつある」。そう語るのは、トランスコスモスの柏木又浩=常務執行役員兼DEC統括リテールコマース総括責任者だ。柏木常務はTSIホールディングスでEC事業、DX戦略をけん引してきたという経歴の持ち主でもある。そんな彼は、“個売り”への変化の理由をどのように捉えているのか。「SNSで企業ではなく、個人が強くなった。D2Cの波が来ているのは必然のこと。今後は大企業がプラットフォーマーになっていき、中小企業はD2C化して、細かいブランドをたくさん持つようになると予想している。グローバルブランドを除いたミドルレンジは1ブランドで年商100億円ではなく、10億円のブランドを10抱えるような時代になる。トランスコスモスとしては、それらをしっかりとインキュベーションできるようにしていきたい」。それらのインキュベーションを支えるのが、トランスコスモスがパートナーを務めるEC構築プラットフォームである「ショッピファイ(SHOPIFY)」をはじめ、米発のバーチャルショッピングツール「ヒーロー(HERO)」、カナダ発のAIインスタ画像解析ツール「ダッシュ ハドソン(DASH HUDSON)」、そしてアプリプラットフォームである「LINEミニアプリ」と「ヤプリ」だ。

「ヒーロー」と「ダッシュ
ハドソン」の紹介ムービー

 米発のバーチャルショッピングツールである「ヒーロー」は、オンライン上でリアル店舗に近いショッピング体験を顧客に提供する。同ツールは顧客と、顧客の位置情報に近い店舗にいる、接客可能な販売員をつなぎ、チャットやライブでの接客を行うことができる。商品の画像や動画を登録できるカタログ機能を用いることで、店舗にはない商品の説明も可能だ。また、CRM連携によりロイヤル顧客リストを作成でき、ユーザーと販売員の継続的なコミュニケーションも可能にしている。これらの機能により、ECサイトのコンバージョンは平均10倍以上、コスメにおいては平均15倍以上を達成している。実際に、「ヒーロー」で接客を受けた3人に1人が来店し、客単価が40パーセントアップ、リピート率も15パーセントアップしている。

 また、販売員は自身が「ヒーロー」を通じて何人を接客し、どれだけ商品を売ったか、といったデータを確認することもできる。これにより、販売員のモチベーションのアップや、人事評価にもつなげることを可能にした。今後は、「ショッピファイ」との連携をはじめ、本国で実装されている機能やサービスを日本に順次導入していく予定だ。

「ダッシュハドソン」
「ヒーロー」の
UIイメージとCEO画像

 カナダ発の「ダッシュ ハドソン」は、アップルやアマゾンのほか、「コーチ(COACH)」、「エスティーローダー(ESTEE LAUDER)」、コンデナスト(CONDENAST)、そしてインフルエンサーマーケティングで有名な米国ファッションECモール「リボルヴ(REVOLVE)」なども導入している、インスタグラムなどの画像解析を武器としたSNS総合管理ツールだ。最大の特徴は、独自開発の画像解析AI。まずはブランドや企業のインスタアカウントと連携し、過去の全ての投稿のエンゲージメント評価を分析。競合他社や競合ブランドが使っている画像や、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の分析も可能だ。ファンとのコミュニティー形成を助けるための、投稿に対するコメントの管理や消費者の口コミなどの自動収集といった機能を備える。ピンタレストやツイッター、フェイスブックにも対応しており、投稿の一元管理を行うこともできる。

 また「ライクショップ(LIKE SHOP)」という、企業のECとの連携機能もポイントだ。インスタに投稿したコンテンツの集約ページの作成が可能であり、各投稿に最大25個のリンクを付けることができる。これらの機能により、インスタ等のフォロワー獲得やエンゲージメントの向上だけでなく、ソーシャルコマースの連携も行える。

ライト顧客からロイヤル顧客まで
一気通貫できるアプリ施策

 トランスコスモスのアプリ施策の中でもLINEの個人・法人向けのアカウントサービス「LINE公式アカウント」がスタートした当時から、、社内にLINE推進部を設け、一緒に市場を開拓してきた。そんな両社が、二人三脚で進めているのが「LINEミニアプリ」だ。LINEはプラットフォームを提供し、トランスコスモスがアプリの開発や「LINE@」を通じたユーザーとのコミュニケーションを担当している。

 「LINEミニアプリ」は、ダウンロードの必要がなく、シェアも簡単なため、ユーザーにとっては障壁が低い。店舗などでもQRコードに携帯をかざすだけでアプリの使用が可能だ。企業側もユーザー属性などのデータを取得できる。そのような「LINEミニアプリ」を起点にライト顧客を獲得した後、「ヤプリ」で開発したネイティブアプリによるロイヤル顧客の育成を行うのだ。ヤプリの庵原保文CEOは「あらゆる商品・体験のコモディティ化が飛躍的に速くなった今、ブランドのロイヤリティーを高めるためのアプリ活用は、ますます経営のコアな戦略になってきている」と語る。

問い合わせ先
トランスコスモス
0120-120-364

The post 小売業界は”個売り”の時代へ トランスコスモスが提案する新たな顧客接点 appeared first on WWDJAPAN.com.

求ム!世界市場を本気で勝ち抜きたい日本ブランド グローバルECプラットフォームのリングブル

 日本発のグローバルECプラットフォーム「リングブル」が、日本ブランドの新たなパートナーを探している。開発費やサイト構築費、固定費が基本無料で、14カ国語以上の多言語と100以上の決済手段に対応し、現地のスタッフによるチャット接客を軸にした「リングブル」のシステムは、“世界最強”の完成度の高さを誇る。日本市場が縮小する中で、日本のブランドにとって海外市場の開拓は最重要の経営課題。リングブルが目指す、日本企業のグローバル化戦略をひもとく。

リングブルを使う9つの理由

①グローバルECサイト:24時間365日稼働&メンテナンスのグローバルECサイト。国・地域や市場に応じてUI/UXを自動で変換。各市場ユーザーの95%が満足

②グローバルマーケティング支援:世界中で現地に、有力なパートナーを構築。地域ごとにフィットしたマーケティングサポートを提供

③マルチリンガル&チャット対応:サイトの言語はすでに14カ国語に対応。オプションでさらなる多言語も。顧客に“感動を与える対応”を目指した能動的なチャット接客など、顧客中心主義の設計。

④100以上の決済サービスに対応:決済は地域によって代引きや現金決済を好むなど、グローバルECの最大の難関の一つ。100以上の決済サービスに対応。為替手数料もリングブルが負担。

⑤グローバル物流&通関:配送だけでなくインボイスや通関などにも対応しており、ブランド側は国内発送とほぼ変わらない手間で海外配送が可能。しかも配送地域などに応じて配送手段をベストなものに自動切り替え。

⑥データ収集と分析:全世界規模での多彩なデータを蓄積・分析。オプションで四半期ごとに専門家が新戦略提案の入った詳細なレポートも。

⑦現地スタッフによる返品交換対応:顧客満足度の向上のため、現地スタッフによる返品交換マネジメントに対応。現地スタッフの判断で無料返品サポートなども実施。その結果70%がリピーターに。

⑧全世界統一マーケティング:在庫やマーケティング、プライシングの一元化で、投下したプロモーションや貴重なマーケティングデータを全世界単位で蓄積。複数の地域でのカニバリズムや現地法人との対立を避けられるだけでなく、そうした現地法人の後押しにも。

⑨経験豊富なグローバル経営陣:経験豊富な歴戦のビジネスパーソンが経営トップに参画し、日本には珍しいグローバル経営体制を構築。

LVMHから国内有力アパレル、
国産ジーンズの実力者たちが推薦

問い合わせ先
リングブル(担当:松本)
info@lingble.com

The post 求ム!世界市場を本気で勝ち抜きたい日本ブランド グローバルECプラットフォームのリングブル appeared first on WWDJAPAN.com.

マルチな才能を発揮する人気ラッパー、マシン・ガン・ケリー「友人と呼べる存在は全てヘッドホンの中にいた」

 192cmの高身長に端正な顔立ち、独自のスタイルを持ち、欧米の若者の間で人気を集めるラッパーのマシン・ガン・ケリー(Machine Gun Kelly以下、MGK)。この名は彼の早口なラップ・スタイルからファンが名付けたと言われている。ヒップホップ好きには名の知れた存在であるが、その名をメインストリームにまで広げた一曲がある。2016年10月にリリースした、カミラ・カベロ(Camila Cabello)をフィーチャーしたシングル「Bad Things」だ。同曲は、全米シングル・チャート最高4位という自身最大のヒットになったほか、ビルボードミュージックアワードで、グラミー賞 最優秀ラップ/サング・コラボレーション賞にノミネートされた。

 現在30歳の彼は、14年の映画「Beyond The Lights」や「ネットフリックス(NETFLIX)」で放送されたモトリー・クルー(Motley Crue)の伝記映画「ザ・ダート:モトリー・クルー自伝」でトミー・リー役を演じるなど、俳優としても活躍するマルチな才能を開花させている。また18年にはエミネム(Eminem)やG・イージーらとビーフ(楽曲を通してディスり合うこと)を繰り広げるなど、超攻撃的なMCとしての一面も持つ。

 昨年には「サマーソニック 2019(SUMMER SONIC 2019)」に出演したほか、今年8月30日に行われた世界最大級の音楽の祭典「2020 MTVビデオ・ミュージック・アワード(2020 MTV VIDEO MUSIC AWARDS以下、2020 VMA)」では「最優秀オルタナティブ・ビデオ賞(BEST ALTERNATIVE)」を受賞した。また9月25日に発売した最新アルバム「Tickets To My Downfall」(国内盤は11月13日発売)では自身初の全米アルバム・チャート1位を獲得するなど、輝かしい実績を持つMGK。彼に自身のターニングポイントや最新アルバムへの思い、ファッション観、「日本の観客は世界一だ」と話す理由について聞いた。

WWD:音楽にハマったきっかけは?

マシン・ガン・ケリー(以下、MGK):俺は子どもの頃、狭量な人間で「ルーザー(負け犬)」だった。だから友人と呼べる存在は全てヘッドホンの中にいた。

WWD:当時聞いていた音楽は?

MGK:ラッパーのDMX、バンドのリンキン・パーク(LINKIN PARK)、ブリンク-182(BLINK-182)、カニエ・ウェスト(Kanye West)のファースト・アルバム「ザ・カレッジ・ドロップアウト(THE COLLEGE DROPOUT)」を聞いていた。当時流行っていたメタル・バンドのリンプ・ビズキット(LIMP BIZKIT)も聞いていたよ。

WWD:ミュージシャンになろうと思ったのはなぜ?

MGK:普段からいつも叫んで世間に対する不満を爆発させていた。だったらマイクに向かって叫んでやろうと思ったのがきっかけだよ。

WWD:最初からソロで活動しようと決めていたのか。バンドをやろうとは思わなかった?

MGK:ラッパーになる前は、3人編成のパンク・バンドをやっていた。大勢の前で演奏したのは、誰かの家のガレージで友達が5人見に来てくれたときだけ。今でも、自分がフロントマンじゃなきゃ駄目だというわけではないんだ。たまたまそうなったというだけで、仲間と一緒にやっているという意識は常にある。だからマシン・ガン・ケリーという名前で活動しているけど、使う言葉は「俺たち」と決めている。

WWD:これまで数々の賞を受賞し、早くからその才能を認められてきたが、自身のターニングポイントとなったことは?

MGK:今年の「2020 VMA」で、「最優秀オルタナティブ・ビデオ賞」を受賞した時だと思う。アルバム5作目でようやく取れたからね。実際にグラミー賞や「VMA」の賞を取る夢を途中で諦めてしまう人も多い。俺もこれまで一度もノミネートされたことがなかった。それが活動を始めてから、これだけの日数を経てようやく受賞できて、新人にまた戻ったような気持ちになったよ。もともと、ファースト・アルバム「Lace Up」で成し遂げたかったことだったから。本当に嬉しかったよ。希望を捨てないことは必ず大きな力になる。

WWD:世界中で人気を博した、カミラ・カベロとの「Bad Things」は今振り返るとどうだった?

MGK:あれは俺が型にとらわれず、意外性のあることができることを証明できたよ。当時はまだハードコア・ラッパーとして認識されていたけれど、メインストリームのリスナーにも受け入れられる曲ができるということをね。ヒップホップのアルバム・チャートだけではなくて、ポップ・シングルのチャートでも1位を取れたことは、かなり常識破りだったと思うし、やって良かったと思う。

WWD:「いい意味で人の期待を裏切る」という姿勢は常にあるの?

MGK:もちろん。だってそうしていなかったら、今こうして君の取材に答えていることもなかっただろう。とっくに飽きられて、8年前のファースト・アルバムで終わっていた。あるいはアンテナに引っ掛からなくて、存在すら知ってもらえなかったかもしれない。実際に後から知ったというリスナーは多い。いつだって周りで起きていることに目を向けて、刺激を受けていかなければ、つまらないアーティストになるだけ。周りに無関心でつまらないほど最悪なことはない。アーティストは常に進化して、リスナーの思考や感情を刺激し続けなければいけないんだ。

「運命に委ねなかった時、それは裏目に出た」

WWD:最新アルバム「Tickets To My Downfall」ではどんなことを表現した?

MGK:運命の力に任せて、なすがままを表現したよ。というのも、「こういう作品を作るぞ」という明確なものがない状態でスタジオに入った。エグゼクティブ・プロデューサーに起用したトラヴィス・バーカー(Travis Barker)とは10年来の付き合いになるけど、今回初めて一緒に作品を作ることになった。そして口を開けて最初に出てきたのが「Bloody Valentine」だった。はっきりと手応えを感じたんだ。書き上げるのに1時間くらいしか掛からなかったよ。

WWD:その「Bloody Valentine」のMVには女優のミーガン・フォックスを迎え、現在ユーチューブで約4100万回再生を記録している。彼女を起用した背景は?

MGK:誰がその場を支配しているかという立場を逆転させるという発想に興味がある。実際にスターやヒーローといったアイコニックな存在が多大な影響力を持っている世の中だけど、彼らは金でできた彫刻のようなもの。だけど本人たちは大抵の場合、普通の人と変わらない。彼らを拝み倒し、崇拝する理由なんてないんだ。だからMVでは、朝起きたら、あるスターのファンがそのスターを支配していて、代わりに贅沢な生活を満喫しているという設定にしたんだ。そして皮肉を込めて、そのファンにミーガン・フォックスを起用した。笑えるはずだと思ってね(笑)。

WWD:最初から「彼女しかいない」と思ったの?

MGK:ああ、そうだ。このアルバムに関しては、全てを運命に導かれるがままに直感で決めた。皮肉なことに唯一直感で決めなかったのが、アルバム・ジャケットだった。そしたら見事に裏目に出たよ。ジャケットを手掛けたアーティストが、別の人の写真のイメージをパクったような形になってしまい、全てやり直さなきゃいけなくなったんだ(笑)。そのお陰で、一瞬だけ公開された元のジャケットが限定数しかないレア物になったわけ。それで一から新しいジャケットを作り直したけど、凄くいいものができたと思っているよ。

WWD:プロデューサーに起用したバーカーと知り合ったきっかけは?

MGK:19歳くらいの時に地元の米・オハイオ州のクリーブランドのコンサートで出会った。その後にLAで、彼らが10周年コンサートをしている時にゲスト・ボーカルとして参加させてもらったり、いろいろなイベントに呼んでもらったりした。もともと大ファンだったからね。俺も自分の音楽をやっていたけれど、彼とはとにかくお互いに馬が合ったんだ。だからようやくこうやって一緒に作品を作ることができて本当に嬉しい。

WWD:彼はどんな存在?

MGK:信頼できる相談相手なのは間違いない。レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)がアルバム「Blood Sugar Sex Magic」を作った時のリック・ルービン(Rick Rubin)がそうだったようにね。自分にとっては兄貴的存在だよ。

WWD:今年6月には二人で抗議運動「ブラック・ライブズ・マター」に参加していましたね。またその時の映像をMVに使用したレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの「Killing In The Name」のカバー曲も公開した。

MGK:メインストリームのメディアは、世の中の大衆が物事をどう見て・考えるかを左右する部分で大きな責任がある。だから間違ったことに対する抗議の姿勢を、バーカーや俺が先頭に経ち、メディアを通して模範を示すことが戦術として大事だと思ったんだ。火花を起こしたかった。そして世界中のどこにいようと、どんな問題に対してだろうと、みんな闘うべきなんだ。誰もが知っているような人たちは、何もせず高みの見物をしているわけではなく、こうして闘っている。声を上げないことが一番の罪だから。

WWD:なぜあの曲を選んだ?

MGK:俺が伝えたい事柄に当てはまると思った。あの曲を書いたザック・デ・ラ・ロッチャ(Zack de la Rocha)にとっては、ある特定の事象について書いた曲かもしれないけれど、曲のメッセージは俺たちが今闘っていることにも当てはまるし、今後出てくるであろう幾つもの闘いにもピッタリだと思う。人を高揚させるのには最高の曲だよ。

WWD:ロックダウン中に改めて気付かされたことはあった?

MGK:もし今回のロックダウンで強制的に一旦立ち止まらず、ペースを落とさなかったら、そのまま破滅の道にまっしぐらだったと思う。今回のアルバムのテーマがまさにそれで、俺はこれまで、とにかく生き急いでいた。大勢の人がきっと俺が転落していく様子を見て楽しんでいたと思う。「あいつこのまま行ったらヤバいんじゃないか。破滅するぞ。見ている分には面白い」とね。その時は俺も人生で一番多くの友達に囲まれていると感じていたのに、今思えば人生最悪の時でもあった。だから、こうして強制的に腰を落ち着かせて、自分の心と向き合い、問題と対峙することができたのは、不幸中の幸いだったと思う。ロックダウン前よりも、人間として成長したと感じるよ。

「ヘアスタイルで共感したのは日本のアニメの世界」

WWD:好きなスタイル・ブランドはある?

MGK:「リック・オウエンス(RICK OWENS以下、リック)」と「ヴィヴィアン・ウエストウッド(VIVIENNE WESTWOOD以下、ヴィヴィアン)」が好き。朝起きて、まず手に取るのが「リック」のTシャツやタンクトップ、パンツだね。俺の長身で細身の体型によく合うんだよ。「ヴィヴィアン」のパンツもよく穿くんだけど、昨日すれ違った男に「そのパンツ、超ファンキー・モンキーだな!」と言われたよ(笑)。俺は街を歩いていて、そういう反応がもらえる服を着たいと思っている。スニーカーは「ヴァンズ(VANS)」「コンバース(CONVERSE)」「ドクターマーチン(DR.MARTENS)」をはくよ。

WWD:フォーマルに決めたいときは?

MGK:「ディオール(DIOR)」と「サン・ローラン(SAINT LAURENT)」を良く着るね。あと「ジョン バルベイトス(JOHN VARVATOS)」でモデルの仕事をしたことがあるんだけど、同ブランドのようなロックなテイストの服も好きだよ。

WWD:ブランドとのコラボやキャンペーンビジュアルのモデルに興味はある?

MGK:モデルに興味はあるよ。自分が共感できるブランドとは是非やってみたい。あとは懐かしいブランドのリバイバルキャンペーンとかね。「十年くらい名前を聞かなかったブランドだけど、MGKのお陰でまた好きになった」と言われるようになりたい。

WWD:自身が参考にしているファッションアイコンはいるか?

MGK:「カウボーイビバップ」のスパイク・スピーゲル(即答)。

WWD:アニメの(笑)?

MGK:うん。

WWD:自身のSNSでは、日本の人気アニメ「ドラゴンボールZ」に登場する超サイヤ人化した“孫悟飯”のモノマネをしていたね(笑)。

MGK:孫悟飯は大好きだ!超サイヤ人の髪型をどうしてもやってみたかったんだ。というのも子どもの頃に日本のアニメを見て育ってきたから。アニメに出てくるキャラクターの髪型は全部好きだった。俺はいつも、ブロンドヘアで前髪を長く前に垂らした髪型をしていたんだ。他の連中はみんな必ずおでこ全開で、髪の毛を後ろに流していたよ。唯一共感できたのが日本のアニメの世界で、「俺と同じような髪型をしている奴らがいる」と初めて思えた。

WWD:どんなアニメを見て育った?

MGK:「ドラゴンボールZ」と「カウボーイビバップ」は鬼のように見た。あと、俺のお気に入りの映画の一つが「もののけ姫」だ。

WWD:ネイルにも自身のこだわりを感じるが。

MGK:アクセサリーが好きなんだ。俺は身に着けるものだけではなくて、ネイルもアクセサリーだと思っている。ギターの弦を抑える左手しかやらないんだけど、フェスで演奏していてカメラが手元のアップに寄った時に、「あのリングかっこいい」「あのネイル活かしてる」とファンが見て楽しめる要素が増える。「なんであのデザインにしているんだろう?」と思わせるのがかっこいいと思う。

WWD:2019年のサマソニのライブはどうだった?また日本の印象は?

MGK:大阪で一晩中歩き回ったのを覚えている。寿司屋の大将が俺たちのことを気に入らなくて追い出されたのもね(笑)。あとは東京のライブの観客が、スタートから熱く盛り上がってくれたのを覚えている。それは予想していなかったから。俺を目当てで来ている人は日本でまだ少ない中、その場にいた大勢の観客は「これを試しに見て、盛り上がるぞ」と、俺たちを受け入れてくれた。ライブが終わった後に、日本の観客は世界一だと思った。世界中を回ったけど、またすぐに戻りライブをやりたい。本当にまた早く行きたいよ。特に今作のアルバムは日本のロック・ファンにも受けると思うんだよね。

WWD:今日はどうもありがとう。また日本に来てくれるのを楽しみにしているよ!

MGK:俺も楽しみだよ。ありがとう!

The post マルチな才能を発揮する人気ラッパー、マシン・ガン・ケリー「友人と呼べる存在は全てヘッドホンの中にいた」 appeared first on WWDJAPAN.com.

玄人から若者にまで支持を広げる「フィル ザ ビル」の“ちょうどいい服”

 2012年にスタートした「フィル ザ ビル(FIIL THE BILL)」は、トレンド感を盛り込みながらも古着やビンテージを軸とした日常に馴染むクリエイションが人気のブランドだ。ブランドを手掛ける金田淳一デザイナーはかつてアパレルの企画・生産を手掛けていたこともあり、縫製や生地、パターンなどの品質の高さにも定評がある。現在はメンズで13、ウィメンズで16のアカウントに卸し、ユナイテッドアローズやエストネーションといった有力ショップでも扱われている。

 今年8月には15年から恵比寿に構えていた直営店を青山に移転オープンさせた。新型コロナウイルス感染症で不安定な状況が続く中で移転を決めた金田デザイナーに、リアル店舗にかける思いや服作りの変化などについて尋ねた。

WWD:青山への移転を決めた理由は?

金田淳一「フィル ザ ビル」デザイナー(以下、金田):この物件に「おっ!」と思ったから。これまでお店が恵比寿、事務所が白金台にあって、同じ場所に統合したいなと思いながら物件を探してたんですけど、ここが一番グッと来ました。そういう勘がすごく大事だと思っています。立地にこだわりはないですが、みんなが青山と聞いて連想するエリアから2本くらい裏通りなのは気に入ってますね。

WWD:内装のこだわりは?

金田:白を基調にゆったりした空間になってます。恵比寿のお店も白がベースだったし、什器も継続して使っているものがあるなど、昔のお客さんも楽しめる雰囲気です。ちなみに空間作りは内装業時代の先輩にお願いしていて、そういう繋がりも大事にした店舗です。

WWD:リアル店舗の運営をリスクだと考える人も少なくありません。

金田:移転の話を聞いた知り合いから「コロナだけど大丈夫?」って言われることもありました(笑)。たしかに時代と逆行してるかもしれませんが、僕はブランドにとってお店はマストだと思っているんです。買うのはECでも全然良いんですが、実際に手にとって着られる場所はそれ自体にすごく価値がある。あと直営店は世界観を伝えやすいので、卸メインでもブランドの核になる。初めてお店に来る理由は、インスタを見たからとか、友達に勧められたからとかが多いと思いますが、そういうお客さんがブランドの世界観に触れて、「なんかいいな」と感じてもらって、ブランドのファンになってもらえたらうれしいです。

WWD:ブランド立ち上げまでの流れを教えてください。

金田:東京モード学園を中退して、生地屋やプリント屋、内装屋、OEM会社などで働き、2012年にブランドをスタートさせました。最初はブランドなんて考えてなかったんですが、独立してからフリーでOEMをやってる時期に、商品サンプルを見た友人から「ブランドやったほうがいいよ」と言われたのがきっかけでした。

WWD:今はウィメンズが拡大している印象です。

金田:OEMでウィメンズを多くやっていたので、ブランドもそっちの方に興味がありました。途中から作り始めたらやっぱり楽しくて、今はウィメンズとメンズが3:2くらいの構成になるまで増えました。売り上げもメンズより拡大しています。

WWD:古着を軸とするものづくりの姿勢は変わらない?

金田:そうですね。古着は時代背景をストレートに反映しているので、それが面白いのかな。だた、服作りに関する考え方は少し変わりました。昔は古着があって、それをいかに今の時代にフィットさせるか、どんなパターンを作るかを考えていたんですが、今は時代とか関係なく、いかにオリジナルな商品に進化させるかにフォーカスしています。本当に微妙な違いなんですけど、お客さんの反応がけっこう違っていて、昔はベテランのバイヤーさんやビンテージ好きのお客さん気に入ってもらうような玄人好みな服だったのに、ここ2〜3年は20代のお客さんがかなり増えてます。インスタグラムのタグ付けを見ると、若い子たちにいろんなテイストをミックスして着ていて、それがすごく新鮮です。

WWD:ブランド名の由来は?

金田:“ちょうどいい料理を出す”という意味合いの料理人の褒め言葉らしくて、その感じが気に入りました。“世の中に適応しながら、バランスをとってやっていこう”という意味を込めてます。着てもらわなきゃ意味がないので、独りよがりの服を作らないという考えもあります。売れ線に寄せすぎてもダメですけど。

WWD:今、ジャンルレスな若者に支持されているのも“ちょうどいい”からかもしれませんね。

金田:そうですね(笑)。たまたまなのか、時代にフィットしたからなのかはわかりませんが、これまでより多くの人に楽しんでもらえてるのは純粋にうれしいです。

WWD:シーズンテーマを設けないことにもこだわりがある?

金田:たぶん、テーマを設けて服を作ることにハードルの高さを感じてるんです(笑)。ランウエイならテーマを設けた方がいいかもしれないけど、展示会とルックだけのウチが、シーズンテーマを明確に伝えるのってけっこう難しい。もちろんショーに興味がないわけではないんですが、今の体制のままじゃ“ショーがあるから作った”ような無理やりコレクションになっちゃう気がしていて。無理せず、マイペースに作るのが自分には合ってると思います。

WWD:ブランドの展望を教えてください。

金田:先ほど言ったように、マイペースにやれればいいのかな。発表の形式やブランド規模にとらわれず、作りたいものを愚直に作っていきたい。オリジナリティーを追求する服作りをもっと練習して、ほかにないブランドにしたいです。このアウトプットに慣れて、ワンシーズンにたくさんのアイデアがひらめくようになったら、ショーにチャレンジしても面白いかも。あ、こんなこと言うとやらなきゃいけない感じになっちゃいますかね(笑)。

The post 玄人から若者にまで支持を広げる「フィル ザ ビル」の“ちょうどいい服” appeared first on WWDJAPAN.com.

ヘルシーさが魅力のヨガインストラクター・栗山遥の輝く女性になるための“自分らしさと自信”

 仕事にプライベートに、いろんな選択肢があるからこそ、幸せのカタチだって人それぞれ。では本当の意味での“自分らしさ”ってなんだろう。今の自分に自信を持つためには、心身ともに毎日美しくいることが大前提。乾燥しがちな肌の保湿はもちろん、脱毛だって忘れてはいけない重要な課題の一つだ。ここでは自分らしく生きるための素敵なヒントを探るべく、毎日を豊かに輝く女性たちをフィーチャー。第2回は、ヨガインストラクターとして心と体のセルフケアを発信する栗山遥。彼女のヘルシーなライフスタイル、そして今後挑戦したい新たな目標とは?さらに、小麦色の健康的な肌を維持するために欠かせない“スムーズスキン ピュア”の使い心地や効果について聞いた。

“海は私が自然体で
いられる場所”

WWD:ヨガインストラクターとして、パーソナルトレーニングをはじめ、インスタグラムやユーチューブで自身のヘルシーなライフスタイルを発信されていますが、いそがしい毎日の中で栗山さんが自分らしくいられる時間とは?

栗山遥(以下、栗山):海にいるときですね。特に夏から秋にかけては週の半分くらいサーフィンをしています。自然を感じているときが一番自分らしくいられる時間です。

WWD:野外でのアクティブシーンは、季節を問わず紫外線による肌へのダメージが気になってしまいますが、特に気をつけていることはありますか?

栗山:やっぱりサーフィンが好きだと、日焼けは避けられないですからね。だからこそ、肌のケアを徹底的に心掛けています。日焼けをすると肌が乾燥しやすくなるので、初秋でも日差しをたっぷり浴びた日は、肌の保湿を忘れずにしています。あとお水をたくさん飲むことですね。

WWD:紫外線やその日の体調によって、肌ダメージが気になるときにおすすめな美容アイテムを教えてください。

栗山:ここ数年注目しているのはタマヌオイルです。ハワイやベトナム、タヒチなど暖かい地域で採れる植物の実で、現地では古くから薬として使われているのだそうです。乾燥肌はもちろん、シミ、シワ、たるみなどの肌老化を防ぐ抗酸化力がとても強く、肌の炎症を抑え、アンチエンジングケアにも最適です。

“心地良いアロマオイルの香りで心
身ともにリラックス”

WWD:次々に新しいトレンドが生まれる美容業界ですが、今一番のお気に入りアイテムを教えてください。

栗山:アロマオイルは私の日常に欠かせないアイテムです。お気に入りは、リトアニア産のオイルケアブランドのもの。東洋医学の“気”から着想を得たもので、植物から抽出したエッセンシャルオイルが心身ともにリラックスさせてくれます。シーンやその日の気分、体調に応じたプロダクトがそろっているので、パーソナルケアとして使えるのもうれしいですね。スポイトで1滴ほど手の平に落として香りを嗅ぎながら、首のリンパに伸ばしています。

ここ最近、注目しているのはCBDオイル(カンナビジオール)です。ストレスや不安を緩和し、睡眠不足や頭痛、肉体疲労をやわらげてくれます。まだ多くの人には親しみがないかもしれないけれど、天然由来の成分なので、品質の良いものを選ぶとより良いと思います。

WWD:オイルにもたくさん種類があるのですね。状態に応じて使い分けているのですか?

栗山:リフレッシュしたいときは、ミントの香りが心地良いオイルがおすすめ。ロールオンタイプなので肌に直接つけやすく、持ち運びにも便利! 仕事中など疲れたときには、こめかみや首、肩まわりに塗るとスッキリしますよ。

ヨガとアロマオイルはとても相性がよく、深いリラクセーションやリフレッシュ効果が得られます。私のヨガクラスでも、1回のレッスンでいろんな香りをストーリーのように使い分けているんです。でも、一番大事なのは自分が心地良い香りを選ぶことですね。

WWD:心と体のセルフケアを大事にされていますが、自身のコンディションと向き合うために必要なこととは?

栗山:毎日幸せでいるために、自分の心の声に耳を傾けることを心掛けています。“誰かがこう言っていた、みんながこうだから”ではなく、今自分がどうしたいかに従うことです。人と比べるのではなく、自分に対して愛情を注ぐことで、おのずと体の状態にも敏感になることができます。

WWD:自然の中で過ごすことが多い栗山さんですが、今興味のあることや新たな目標を教えてください。

栗山:サーフィンでビーチに通うようになってからは、プラスチックのゴミをよく目にするようになり、地球が抱えている環境問題について勉強するようになりました。美しい自然を守るために、これからどんどんエコなアプローチをしていきたいです。ヨガを通じてビーチクリーンのイベントを開催したり、私のライフスタイルを発信したりすることで、みんなと一緒に環境問題に取り組んでいければと思っています。

“肌がキレイだと心身ともに
ポジティブになれる”

WWD:趣味のサーフィンを楽しむうえで、小麦色のキメ細かな肌、デリケートゾーンを美しく保つ秘けつを教えてください。

栗山:無添加のオイルやボディークリームを必ず塗るようにしています。あと、ムダ毛のない肌を実現するために約1カ月以上“スムーズスキン ピュア”を使用してみました。難しい設定がいらず、コンセントを差したらすぐ使えるのが便利だし分かりやすい。ボタンを押すだけなので、説明書を見なくても簡単に操作できました。使用後の肌トラブルもなく、ムダ毛のない滑らかな肌を実感しています。

WWD:特に重点的にケアした部分は?部位によって痛みは感じませんでしたか?

栗山:全身まんべんなく使用しました。デリケートゾーンは、サロンで施術してもらうのがおっくうだったのですが、自宅でセルフケアできるのがうれしいですね。サーフィンで、水着になったときに見えやすい脇や腕を集中的にケアしました。痛みはほとんど感じませんでしたね。テレビや映画を観ながらケアできるのもとても楽でした。

WWD:最後に、ムダ毛のないキレイな肌を実感すると気持ちにどういった変化が生まれますか?

栗山:いつもよりさらにポジティブになれます。あと何をするにも自信が持てるような気がします!

 よりヘルシーな美肌を手に入れるなら、イギリス発の家庭用光脱毛美容器「スムーズスキン」の新モデル、“スムーズスキン ピュア”をぜひ試してみて。最先端テクノロジーを用いた同製品は、10段階のスキントーンセンサーを搭載しており、使う人の肌に合った最適なパワーで高い脱毛効果を実現してくれる。軽量で持ちやすいコンパクトな形状なので、凹凸のある部位も含めて高速照射で全身のケアがスムーズに行えるのもうれしい。ムダ毛のないキレイな素肌を保つことで、今までのコンプレックスを解消し、指の先まで自信に満ち溢れた新しい自分に出会えるはず。

PHOTOGRAPHS:MAYUMI HOSOKURA
TEXT:MEGUMI OTAKE

問い合わせ先
スムーズスキン カスタマーサポート
0120-791-355

The post ヘルシーさが魅力のヨガインストラクター・栗山遥の輝く女性になるための“自分らしさと自信” appeared first on WWDJAPAN.com.

ヘルシーさが魅力のヨガインストラクター・栗山遥の輝く女性になるための“自分らしさと自信”

 仕事にプライベートに、いろんな選択肢があるからこそ、幸せのカタチだって人それぞれ。では本当の意味での“自分らしさ”ってなんだろう。今の自分に自信を持つためには、心身ともに毎日美しくいることが大前提。乾燥しがちな肌の保湿はもちろん、脱毛だって忘れてはいけない重要な課題の一つだ。ここでは自分らしく生きるための素敵なヒントを探るべく、毎日を豊かに輝く女性たちをフィーチャー。第2回は、ヨガインストラクターとして心と体のセルフケアを発信する栗山遥。彼女のヘルシーなライフスタイル、そして今後挑戦したい新たな目標とは?さらに、小麦色の健康的な肌を維持するために欠かせない“スムーズスキン ピュア”の使い心地や効果について聞いた。

“海は私が自然体で
いられる場所”

WWD:ヨガインストラクターとして、パーソナルトレーニングをはじめ、インスタグラムやユーチューブで自身のヘルシーなライフスタイルを発信されていますが、いそがしい毎日の中で栗山さんが自分らしくいられる時間とは?

栗山遥(以下、栗山):海にいるときですね。特に夏から秋にかけては週の半分くらいサーフィンをしています。自然を感じているときが一番自分らしくいられる時間です。

WWD:野外でのアクティブシーンは、季節を問わず紫外線による肌へのダメージが気になってしまいますが、特に気をつけていることはありますか?

栗山:やっぱりサーフィンが好きだと、日焼けは避けられないですからね。だからこそ、肌のケアを徹底的に心掛けています。日焼けをすると肌が乾燥しやすくなるので、初秋でも日差しをたっぷり浴びた日は、肌の保湿を忘れずにしています。あとお水をたくさん飲むことですね。

WWD:紫外線やその日の体調によって、肌ダメージが気になるときにおすすめな美容アイテムを教えてください。

栗山:ここ数年注目しているのはタマヌオイルです。ハワイやベトナム、タヒチなど暖かい地域で採れる植物の実で、現地では古くから薬として使われているのだそうです。乾燥肌はもちろん、シミ、シワ、たるみなどの肌老化を防ぐ抗酸化力がとても強く、肌の炎症を抑え、アンチエンジングケアにも最適です。

“心地良いアロマオイルの香りで心
身ともにリラックス”

WWD:次々に新しいトレンドが生まれる美容業界ですが、今一番のお気に入りアイテムを教えてください。

栗山:アロマオイルは私の日常に欠かせないアイテムです。お気に入りは、リトアニア産のオイルケアブランドのもの。東洋医学の“気”から着想を得たもので、植物から抽出したエッセンシャルオイルが心身ともにリラックスさせてくれます。シーンやその日の気分、体調に応じたプロダクトがそろっているので、パーソナルケアとして使えるのもうれしいですね。スポイトで1滴ほど手の平に落として香りを嗅ぎながら、首のリンパに伸ばしています。

ここ最近、注目しているのはCBDオイル(カンナビジオール)です。ストレスや不安を緩和し、睡眠不足や頭痛、肉体疲労をやわらげてくれます。まだ多くの人には親しみがないかもしれないけれど、天然由来の成分なので、品質の良いものを選ぶとより良いと思います。

WWD:オイルにもたくさん種類があるのですね。状態に応じて使い分けているのですか?

栗山:リフレッシュしたいときは、ミントの香りが心地良いオイルがおすすめ。ロールオンタイプなので肌に直接つけやすく、持ち運びにも便利! 仕事中など疲れたときには、こめかみや首、肩まわりに塗るとスッキリしますよ。

ヨガとアロマオイルはとても相性がよく、深いリラクセーションやリフレッシュ効果が得られます。私のヨガクラスでも、1回のレッスンでいろんな香りをストーリーのように使い分けているんです。でも、一番大事なのは自分が心地良い香りを選ぶことですね。

WWD:心と体のセルフケアを大事にされていますが、自身のコンディションと向き合うために必要なこととは?

栗山:毎日幸せでいるために、自分の心の声に耳を傾けることを心掛けています。“誰かがこう言っていた、みんながこうだから”ではなく、今自分がどうしたいかに従うことです。人と比べるのではなく、自分に対して愛情を注ぐことで、おのずと体の状態にも敏感になることができます。

WWD:自然の中で過ごすことが多い栗山さんですが、今興味のあることや新たな目標を教えてください。

栗山:サーフィンでビーチに通うようになってからは、プラスチックのゴミをよく目にするようになり、地球が抱えている環境問題について勉強するようになりました。美しい自然を守るために、これからどんどんエコなアプローチをしていきたいです。ヨガを通じてビーチクリーンのイベントを開催したり、私のライフスタイルを発信したりすることで、みんなと一緒に環境問題に取り組んでいければと思っています。

“肌がキレイだと心身ともに
ポジティブになれる”

WWD:趣味のサーフィンを楽しむうえで、小麦色のキメ細かな肌、デリケートゾーンを美しく保つ秘けつを教えてください。

栗山:無添加のオイルやボディークリームを必ず塗るようにしています。あと、ムダ毛のない肌を実現するために約1カ月以上“スムーズスキン ピュア”を使用してみました。難しい設定がいらず、コンセントを差したらすぐ使えるのが便利だし分かりやすい。ボタンを押すだけなので、説明書を見なくても簡単に操作できました。使用後の肌トラブルもなく、ムダ毛のない滑らかな肌を実感しています。

WWD:特に重点的にケアした部分は?部位によって痛みは感じませんでしたか?

栗山:全身まんべんなく使用しました。デリケートゾーンは、サロンで施術してもらうのがおっくうだったのですが、自宅でセルフケアできるのがうれしいですね。サーフィンで、水着になったときに見えやすい脇や腕を集中的にケアしました。痛みはほとんど感じませんでしたね。テレビや映画を観ながらケアできるのもとても楽でした。

WWD:最後に、ムダ毛のないキレイな肌を実感すると気持ちにどういった変化が生まれますか?

栗山:いつもよりさらにポジティブになれます。あと何をするにも自信が持てるような気がします!

 よりヘルシーな美肌を手に入れるなら、イギリス発の家庭用光脱毛美容器「スムーズスキン」の新モデル、“スムーズスキン ピュア”をぜひ試してみて。最先端テクノロジーを用いた同製品は、10段階のスキントーンセンサーを搭載しており、使う人の肌に合った最適なパワーで高い脱毛効果を実現してくれる。軽量で持ちやすいコンパクトな形状なので、凹凸のある部位も含めて高速照射で全身のケアがスムーズに行えるのもうれしい。ムダ毛のないキレイな素肌を保つことで、今までのコンプレックスを解消し、指の先まで自信に満ち溢れた新しい自分に出会えるはず。

PHOTOGRAPHS:MAYUMI HOSOKURA
TEXT:MEGUMI OTAKE

問い合わせ先
スムーズスキン カスタマーサポート
0120-791-355

The post ヘルシーさが魅力のヨガインストラクター・栗山遥の輝く女性になるための“自分らしさと自信” appeared first on WWDJAPAN.com.

南アフリカ出身の新鋭デザイナーが語る 貧困問題・奴隷制の歴史から見るサステナビリティ

 南アフリカ出身でケープタウンを拠点とするデザイナー、シンディソ・クマロ(Sindiso Khumalo)は、自身の名を冠したブランドを通したサステナビリティへの取り組みについて語った。クマロは2月に2020年度「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE)」のファイナリストにも選ばれており、10月にもサステナブルなブランドに贈られる「グリーン・カーペット・ファッション・アワーズ(GREEN CARPET FASHION AWARDS)」で最優秀デザイナー賞を獲得した。

 クマロは、オーガニックコットンや麻といった素材で作られたテキスタイルを使用し、少量しか生産しない。さらにその取り組みを社会的な影響やエンパワーメントに焦点を当てたものに拡大している。「私が思うに、このトピックは主に欧米で環境問題について語られる一方通行的なものとなっている。それも本当に大切なことだと思うけれど、サステナビリティについて話すとき、私は貧困問題を解消するという側面から見るようにしている。ムンバイでもケープタウンでも、世界の貧しい地域を見てみると米ミシガン州フリントの水道汚染のような環境問題が常にある。私にとって環境問題と貧困問題は密接に関連しているもの」と述べた。

 「サステナブルでいるためには多くの方法がある」と彼女は語る。ミラノ・ファッション・ウイーク期間中の9月24日には、アメリカの奴隷解放運動家のハリエット・タブマン(Harriet Tubman)にあてた21年初春夏コレクションを同氏のニックネームから「ミンティ」と題してオンライン披露した。同コレクションでは、タブマンもその功績を称えられている黒人奴隷をひそかに逃がした地下鉄道の指導者の制服に見られるシルエットを使用したり、奴隷の多くがコットンのプランテーションのために連れられてきたことから全体に綿花をプリントしたドレスも制作した。

 「奴隷制度があった頃これらのプランテーションは美しく見え、女性は綺麗な洋服を着ていた。一方で、その美しさのそばでどれほど非人道的で暗いことが起こっていたかは誰もが直接認めなかった。私も綿花がプリントされた美しいドレスを通して同じような緊張感を作りたかった。この綿花は6歳の子どもが摘んでいたもの。私の息子は6歳で、息子が毎日綿花を摘んで鞭で打たれているのを想像したとき、それを表現したいと思った」。

 「黒人女性に対する暴力はタブマンの時代からずっと続いている。このトピックについて話すこと自体も重要だが、人々を引きつける説得力のある方法で話すことも大切。私たちが象徴的な黒人女性の話をしていかないと、忘れ去られてしまう。このような女性についての話しを通して教育し、ファッションを黒人の歴史と文化について伝えていくツールとして使用することが大切だ」と述べた。

 また、同コレクションではブルキナファソ(西アフリカの国)にあるブランドの工房で手織りしたダファニコットンを使用し、搾取的な性産業から逃れるのを支援するケープタウンのNGOを通して女性を雇用して、手編みのポケットや刺しゅうを施した。クマロは「セックスワーカーにトレーニングを提供しながら共に仕事し、性産業に戻らないようにすることは私にとってサステナビリティの一部。オーガニックコットンをたくさん使用することで、サステナブルなデザイナーになれるとは思わない。それ以上のことをしなければならないような気がする。素材に限ったことでなく、価値観や人に関連したものでなければならないことを理解する必要がある」と語った。

 クマロがサステナビリティについて深く考えることになった背景には人種における多様性と包括性も大きく関連しており、「他の黒人がサステナビリティについて話しているのを見るまで、自分がこの話題に含まれていると感じなかった」と言う。「私にインスピレーションを与えてくれたのはオーロラ・ジェームズ(Aurora James)だった。彼女が自身をサステナブルデザイナーと呼び始めたとき、『ああ、私もサステナブルデザイナーになれるわ』と思った」とコメント。

 アフリカの伝統や文化をインスピレーションとし、現地の技術を活かしたバッグやシューズを生産するブランド「ブラザー ベリーズ(BROTHER VELLIES)」の創業者であるオーロラは6月に「15パーセントプレッジ(15 Percent Pledge)」を立ち上げ、米国人の約15%を黒人が占めるとされていることから主要リテーラーに対し棚の15%を黒人所有の企業に与える誓約を呼びかけた。自身のブランドも参加したクマロは、「オーロラの働きかけで多くの人々が目覚め、有色人種のデザイナーを見つけるよう動き出した。ジョージ・フロイド(George Floyd)氏の白人警官による暴行死事件以降、現状を変え始めているポジティブな動きがたくさんあると本当に実感している」と述べた。

 クマロはファッション業界にあるサステナビリティへの課題に多角的な視点を加える存在だ。「ビジネスを成長させ、それと共に多くの人と一緒に成長していきたい」と言う。

The post 南アフリカ出身の新鋭デザイナーが語る 貧困問題・奴隷制の歴史から見るサステナビリティ appeared first on WWDJAPAN.com.

ファッショニスタに学ぶジャケット着こなし術 ポイントは“ずらし”ミックス

 紳士服に由来する本格仕立てのテーラードジャケットは、意外にも着こなしの幅が広いアイテムです。最近のおすすめはデイリーウエアとのミックス。コロナ禍で普段着とお仕事ルックの境目がなくなったこともあり、“カッチリ×リラックス”のムード違いのミックスコーデが試しやすくなりました。

 正統派ジャケットで合わせれば、パーカにもデニムにもきれいめなイメージや“きちんと感”が備わります。手持ちのウエアから別の表情を引き出せるので、“ジャケットオン”はメリット大。今回はカジュアルミックスの上手なジャケット術をファッショニスタの着こなしから探ってみました。

ミニワンピースと合わせても甘くなりすぎない

 

 ガーリーに見えがちなミニ丈ワンピースも品格ジャケットを重ねれば、大人顔に様変わり。かえって適度な“ずれ感”が生まれてウィットフルに着こなせます。

 ビビッドカラーのバルーンシルエットが目を引くミニワンピースにマニッシュなジャケットを羽織りました。若々しいミニワンピにジャケットを合わせることで品格が備わり、またオータムカラーが全体を落ち着いた雰囲気に。ノーブルなバッグと色鮮やかなパンプスも、甘さを抑える効果を発揮しています。

ロングワンピースをトラッド寄りの“フェミニン×マスキュリン”に

 小花モチーフをあしらった総柄のロングワンピースはロマンティックなムードが漂うアイテム。そこにメンズ風ジャケットを羽織れば、程よいスパイスが加わって“フェミニン×マスキュリン”のジェンダーミックスに仕上がります。

 着こなしのポイントは、ワンピース以外のアイテムで少しトラッド寄りのシックなモチーフを選ぶところ。チェック系の柄を選べば、お仕事ルックにも対応できそうな“柄×柄”コーデにまとまります。ジャケットの前を開けてワンピースをしっかり露出するのがこなれ感を印象づける上手な着方です。

パーカに合わせて、“きちんと感”をアップ

 カジュアル寄りの装いにもジャケットならではの正統派なイメージを合わせれば、“きちんと感”が備わります。絶好の相棒アイテムは、のどかな雰囲気が持ち味のスウェットパーカです。

 ストリート気分を宿したスウェットパーカの上にジャケットをオン。クラシックなたたずまいのジャケットとカジュアルの代表選手であるパーカがクロスオーバーして、モード感が高まります。フードをジャケットの上から出すと、バックショットもミックステイストに。またオーバーサイズのジャケットは、ボディラインを華奢見えさせる効果も発揮してくれます。

見慣れた“ジーンズ×スニーカー”を一気に格上げ

 ジャケットの投入で一気に雰囲気を変えやすいアイテムの筆頭はデニムパンツです。普段着のシンボル的な存在だからこそ、ジャケットが発揮する“ずらし”の効果が期待できます。

 スタイリングのコツは、ジャケットの本格感とパンツのユーズド感をぶつけるところにあります。見慣れたデニムパンツ×スニーカーのコンビネーションも、ジャケットをまとうだけで一気に格上げ。英国やイタリアの伝統的なテーラリングを生かしたタイプなら、トレンドのクラシックムードを呼び込めます。

スポーティーと好相性、“こなれジェンダーミックス”に変身

 本格ジャケットは、カジュアルのほかに“スポーティー”とも意外な好相性を発揮してくれます。ポロシャツのような軽快なアイテムに重ねてラフに着こなすのがおすすめ。ジャケットの出番を増やしやすいミックスコーデです。

 ポロシャツの上から、ウエストに絞りを利かせたスレンダーなジャケットをオン。ボウリングバッグを添えて、スポーツテイストをもう一段上乗せ。メンズライクなトラウザーをチョイスし、“こなれジェンダーミックス”の装いに仕上げました。

 ジャケットが品格をもたらしてくれる点を生かして、ワンマイルウエアやスポーティー、アウトドアなど、ムードが相反するアイテムと合わせるのがファッショニスタ流。カジュアル系を着ていても全体がゆるく映るのを防いでくれるので、この秋はジャケットの“1点投入”で着回し力をアップしてみては!

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

The post ファッショニスタに学ぶジャケット着こなし術 ポイントは“ずらし”ミックス appeared first on WWDJAPAN.com.

「ノワール ケイ ニノミヤ」の“気持ちを前に進める服作り” 狂気と可憐さが共存するリボンドレス

 二宮啓が手掛ける「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」は10月19日、2021年春夏コレクションを東京・南青山のコム デ ギャルソン本社で発表した。同日に同会場で開催された「コム デ ギャルソン」と同様に9〜10月に行われたパリ・ファッション・ウイークには参加せず、今季は東京での発表に切り替えた。

“手元にあるもので新しいものを生み出す”

 ファーストルックは、無数の黒いビーズを通したワイヤードレス。輪っか状の装飾が歩くたびに揺れ動く。その装飾はハーネスやチェーン、チュールを組み合わせて、次第に派手に、ボリューミーに、要素を増していく。

 中盤のルックからはリボンが主役になった。チュールのリボンをのせた立体的なドレスや、ファーのように無数のリボンを覆ったドレスなど、大胆に装飾を盛り込む。終盤にはピンクと白の半透明のビーズを編んだロングドレスや、ビーズがフリンジのように前に突き出すようにドレスなど華やかなピースも登場。そこには可憐さがありながらも、狂気さえも感じる力強さが共存する。

 「ノワール ケイ ニノミヤ」は、これまでレーザーカットや、生地の特殊加工などでテキスタイル開発も得意としてきたが、今回はそういった特殊な技術を用いずに手仕事に焦点を当てた。二宮デザイナーは「素材はコットンやウール、チュール、ビースなどありふれたものを使い、手元にあるもので新しいものを生み出すことを目指した」と説明する。

草木のヘッドピースで、生命のエネルギーを表現

 植物を使ったヘッドピースは、コラボレーションを継続しているフラワーアーティストの東信(あずままこと)によるもの。今季は、野山から摘んできた雑草や、草木を使用することで、生命のエネルギーを表現した。中には根っこがそのままついているものまであった。

 「今回はエネルギーを感じるもの、気持ちがポジティブになるものを意識して制作を進めた。コロナ禍でも変わらず、われわれが続けてきたモノ作りを継続していくということを示したかった」と二宮デザイナーが語るように、クリエイションへの情熱がダイレクトに伝わるショーであった。逆境に屈せず、見る人の気持ちを前に進めてくれる「ノワール ケイ ニノミヤ」の進化は止まらない。

The post 「ノワール ケイ ニノミヤ」の“気持ちを前に進める服作り” 狂気と可憐さが共存するリボンドレス appeared first on WWDJAPAN.com.

ナチュラルコスメの宝庫、ベルリンの自然派商品専門デパートメント「ナトゥーア・カウフ・ハウス」 海外ビューティ通信ベルリン編

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」ではパリやニューヨーク、ソウル、シンガポールの4都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。(本文中の円換算レート:1ドル=105円)

 ベルリンでは街の至るところにあるドラッグストアやスーパーでオーガニックコスメやナチュナルコスメを購入できるが種類は少ない。オーガニック専用のビオスーパーでも全種類そろっていることはまずない。ヘアコンディショナーやトリートメントがなくシャンプーしか置いていない、といった事態が日常茶飯事だ。

 そんな中、今年で25周年を迎えた自然派商品専門のデパートメントストア「ナトゥーア・カウフ・ハウス(NATURKAUHAUS)」は定番から話題のブランドまでをそろえ、主要ブランドについては全商品をそろえるほど充実している。売切れ以外、ほぼ全てのアイテムが入手可能といっても過言ではない。コスメ以外も含めて全商品にフェアトレードまたはエコマークが付いており、100%オーガニックではないが持続可能なモノ作りを行なっているブランドのみを取り扱っている。環境先進国といわれるドイツでも自然派商品だけを扱う専門デパートは「ナトゥーア・カウフ・ハウス」以外になく唯一無二の存在だ。

 同ストアはベルリン市内のシュテーグリッツ地区とベルナウ・バイ・ベルリンにも店舗を構える。ベルリンの一号店は4000平方メートルの敷地面積に建つガラス張りの5階ビルの中に衣料品、インテリア雑貨、食品、文具、本、コスメなどのカテゴリー別に8つの売り場に分かれている。4階のコスメ、スキンケア、ボディーケア、ヘアケア売り場はベルリン随一の豊富な品ぞろえを誇る。お世辞にも洗練されているとは言えない飾り気のないフロアの3分の2をコスメが占める。

 ドイツブランドはオーガニックコスメ認証機関「ネイトゥルー(NATRUE)」を共同設立した「ロゴナ(LOGONA)」「ラヴェーラ(LAVERA)」「ヴェレダ(WELEDA)」「サンタベルデ(SANTAVERDE)」「ドクターハウシュカ(DR.HAUSCHKA)」「プリマヴェーラ(PRIMAVERA)」といった定番の人気ブランドを筆頭に、「アンネマリー・ボーリンド(ANNEMARIE BORLIND)」「オーシャンウェル(OCEANWELL)」「スピンラド(SPINNRAD)」「ヒルデガルド・ブラウクマン(HILDEGARD BRAUKMAN)」といった有名ブランドが顔をそろえる。ドイツブランド以外ではイタリアの「レルボラリオ(L’ERBOLARIO)」や「ネスティ・ダンテ(NESTI DANTE)」、フランスの「ロクシタン(L’OCCITANE)」、デンマークの「ウルテクラム(URTEKRAM)」のほか、オーストリアやイギリスなどヨーロッパ各地のオーガニックコスメやナチュラルコスメを取り扱う。

 注目はヘアケア製品の民族的なグラフィックパターンのパッケージデザインが話題の「ビオトゥルム(BIOTURM)」で、ビオスーパーでも特設コーナーが設置されているほどの人気ブランドだ。ヘアケア製品はオイリーヘア、薄毛、ボリューム不足、ダメージヘアなど、髪質や用途別に9種類のシャンプーと6種類のトリートメントがある。そのほか日本でも注目を集めているデリケートゾーン専用のケア製品がウオッシュジェルやクリームなど10種類をそろえる。同ブランドはオーガニックの食品や化粧品に精通しているマルティン・エヴァース(Martin Evers)創設者によって2001年に設立。乾燥肌、アレルギー肌、神経皮膚炎、乾癬、ニキビなどの肌トラブルを抱える人たちに向けて、乳清から得られる有機ホエイを主成分に使った医療発想のオーガニックコスメを展開している。

宮沢香奈:フリーランスライター兼コラムニスト。プレス、ブランドディレクターなどを経て、フリーランスとしてPR事業をスタート。その後、ライターとして執筆活動を開始。2014年に東京からベルリンに拠点を移し、ヨーロッパを中心に現地情報を多数の媒体で執筆中

The post ナチュラルコスメの宝庫、ベルリンの自然派商品専門デパートメント「ナトゥーア・カウフ・ハウス」 海外ビューティ通信ベルリン編 appeared first on WWDJAPAN.com.

「バルミューダ」の掃除が楽しくなるクリーナー誕生秘話 社長自ら掃除好きに

 「バルミューダ(BALMUDA)」は11月17日、新製品“バルミューダ ザ・クリーナー(以下、クリーナー)”を発売する。同ブランドは予約受付を開始した10月15日に、東京・代官山で体験会を開催。新製品のプレゼンテーションは、いつも通り寺尾玄バルミューダ社長が行った。冒頭に寺尾社長は、「新型コロナウイルス感染拡大の中で、実際に発表会を行うことに対していろいろと考えたが、できるだけ予防をして経済活動をするべきだと思った」と語った。ベント開催を決定したのは9月中ごろ。まだ、対面の展示会や発表会は少ない時期だった。会場内の20人全スタッフはPCR検査を受けて陰性という結果を確認後にこのイベント開催に踏み切ったそうだ。

 このクリーナーが誕生するきっかけは社内スタッフの声から。今までの「バルミューダ」の製品は全て寺尾社長のアイデアから生まれた。 2003年にブランド設立後、空調、キッチン家電などジャンルを少しずつ増やしてきた。寺尾社長は「15年には、そろそろ次のジャンルへ移行しなければ」と考えていたそうだ。社内の声とは反対に、同社長は掃除に関しては、花王の“くるくるワイパー”派。さっと使えてしまえる便利さが理由だった。「自分が欲しいと思わないモノを開発するもどかしさもあり悩んだが、事業の都合上仕方ない。仕事だと割り切ってプロジェクトをスタートした」と言う。掃除機といえば、ロボット掃除機以外は、前後に動かしてゴミを吸い込むタイプがほとんど。可動域が前後という道具は掃除機くらい。しかも、掃除機は部屋の片隅にあると不自然なので、しまって出すという作業が必要。これらが、掃除が不便、面倒と思わせる理由だ」。同社長は、社内の開発チームと行きつけの蕎麦屋で作戦会議を開催し、3種類のプロトタイプが生まれた。悩みながらも寺尾社長が理想の掃除機としてイメージしたのはホバークラフト。雪、水などの上を浮かびながら移動する乗りものだ。「ホバークラフトは私にとってはユニコーンのような夢の存在。少し浮きながら滑るように動く掃除機があればいいなと思った」という。そこから、「バルミューダ」独自のホバーテクノロジーが開発された。

 通常の掃除機のブラシは1本だが、“クリーナー”には2本ブラシがあり、内側に回転し、床面から浮いている状態を可能にする。ヘッドは360度回転するスワイプ構造で、縦にも横にも斜めにも自由自在に動くようになっている。四隅にはローラーが付いており、壁の隅や階段などの狭いスペースの隅々まで吸いつくように掃除が可能だ。ハンディータイプとしても使え、サッシやソファなどの掃除にも使える。パーツは水洗いが可能なので清潔に保てる。デザインは立てかけられた1本のほうきのようにシンプル。「美しさをあえて追求せず、部屋の片隅や廊下にも自然に馴染むシンプルでクリーンなデザインにした」。

滑るように動く操作性抜群の“バルミューダ ザ・クリーナー”

 この“クリーナー”の開発にかかった期間は約2年。寺尾社長は、「自分が欲しいと思わず製品化したのは初めて。最初は悩んだが、事業における責務と思って取り組んだ。滑るように浮く掃除機だったら欲しいと思い、悩みから欲しさに変わった。欲しさにたどり着かなかったら製品化しなかった」と話す。「バルミューダ」としては初めてのクリーナー製品だが、クリーナー事業だけでゆくゆくは売り上げ100億円を目指すという。「掃除体験はこうあるべきということを考えて開発した製品だ。今まで開発してきたトースターなども同じコンセプト。時短とか効率とかスペックのようなものではなく、人々の生活において、どれだけ良質で楽しい体験を提供できるかということが一番重要だ」。トースターはいまだに最高出荷数を更新する製品になった。コロナの状況下においてもビジネスは予想以上に好調だという。「今まで変更せずやってきたことが正しかったと実感している。製品開発する基準は、基本、全て自分が欲しいモノ。開発は、スケジュールや予算など色々な制約があり辛いプロセスだ。しかし、今作れなくても、数年後には作れるようになるべきというもモチベーションに溢れている。開発においては、どれだけ夢を見られるかということが大切だ。一見無駄と思われる時間がそうじゃない場合もある」。試行錯誤しながら開発することにより大当たりが出ることがあるというのが寺尾社長の考えだ。5万4000円という価格設定に関しては、「自分が製品を試してこの価格だったら買うと思う値段にしている。他社製品の価格等は気にしない。大切なのは消費者がどう思うか、どう感じるかということだ」ときっぱり。来年には、想像を絶するようなノズルパッケージが登場するという。

 時代に左右されず、独自路線で邁進する「バルミューダ」。今後もファンはさらに増えていくことだろう。

The post 「バルミューダ」の掃除が楽しくなるクリーナー誕生秘話 社長自ら掃除好きに appeared first on WWDJAPAN.com.

H&Mが商品の生産国や工場を開示する理由 トレーサビリティー実現の先をサステナビリティ責任者が語る(前編)

 「H&M」は2013年からサプライヤーリストの公開をはじめ、19年から製品の素材や生産国、サプライヤー名のほか、製造工場名と所在地、従業員数などの情報の公開も始めた。オンラインで購入できる、ホームを含めたH&Mブランド全ての商品が対象だ。実店舗でも消費のタグをスキャンすればその場で情報が確認できるという消費者フレンドリーな仕組みでもある。システム構築まで3~4年かかったというが、なぜ、商品情報の開示に至ったのか。またそれを今後どのように発展させるのか。アナ・ゲッダ(Anna Gedda)=サステナビリティ責任者にオンラインインタビューを行った。

WWD:なぜ一つ一つの商品情報を開示しようと思い立ちましたか。

アナ・ゲッダ=サステナビリティ責任者(以下ゲッダ):理由は2つあります。1つ目は、透明性、そしてトレーサビリティー(追跡可能性)は私たちのサステナビリティへの取り組みの基盤になっているからです。責任を果たす企業でありたいならば、取り扱う製品がどこで、誰によって作られたかを知っておく必要があります。ファッション産業のサプライチェーンは複雑なので、「オーガニックコットンを使用している」や「良質なリサイクルポリエステルを使用している」といったことを保証するには、サプライチェーン内のトレーサビリティーは欠かせません。信頼性を保つためにはとても重要なのです。

2つ目は、多くのお客さまがサステナビリティへの高い関心を持っている中で、私たちは必要な情報を届けなければいけないと考えるからです。多くのお客さまは関心があるものの、どのようにサステナブルな選択を行えばいいのかが分かっていないのが現状です。それは世の中にはさまざまな企業や団体によるラベルや情報共有するためのモノが溢れ返っているからです。ゆえに、お客さまから信頼され、そしてお客さまにとって何が良い選択で何がそうでないのかを理解してもらうための唯一の方法は透明性を保持することだと私たちは考えます。

私たちも開発に関わっている環境負荷の計測ツールのヒグ・インデックス(Higg Index)もそうですが、多くの企業がそれぞれにサステナビリティに取り組んでいる中で、まずは業界全体の底上げを行いたいと私たちは考え、製品レベル、工場レベル、そしてブランドレベルで各々のサステナビリティのパフォーマンスを計測できる統一された基準があれば、お客さまにとっても第三者機関を通じての比較が可能で有益だと考えました。

WWD:情報を開示するにあたって重視した点は?

ゲッダ:私たちがトレーサビリティーに取り組む理由の一つにもつながりますが、私たちはお客様がより良い選択ができるようにしたいと思っています。そのためにはただデータを提供するのではなく、お客さまにとってわかりやすい形であることが重要です。その点に関して段階的に取り組みを進めています。

興味深いのは、お客さまが興味を持つトピックが市場や地域によって異なることです。例えば、北ヨーロッパに住むお客さまは社会問題についての関心がより高く、アジアのお客さまは環境問題、特に化学物質関連の問題について関心が高いということがわかっています。

この点は透明性の機能を築く際に重要視しました。今後さらに多くのデータを回収することができれば、現在開示している情報に加え、お客さまがそれぞれ知りたいと思うものに応じた情報を提供できるようになります。人によっては工場の労働環境や衣料品従事者にいくら賃金が支払われているかを知りたい人もいるでしょうし、一方でこの素材がどこから来たものか、安全な地域から調達したものなのかなどの点に興味がある人もいるでしょう。つまりお客さまが重要だと思うことや、知りたいことは人によってさまざまなのです。将来的には、より広範なデータをお客さまにわかりやすく提供することを目指しています。

WWD:製品がトレーサブルでないと売れない時代が来ると思いますか?どれくらいの消費者が実際にモノを選ぶ基準にしていると思いますか?

ゲッタ:お客さまのサステナビリティへの関心は確実に高まっており、特にこの2~3年で加速しています。ただ、関心が高いだけでなく、懐疑的であったり、好奇的であったりすることもあるので、信用性が非常に重要な要素となります。お客さまによって関心のレベルはさまざまなので、すべての人に当てはまるわけではありませんが、多くの人々が自分が買うものが安全であることを求めています。商品がどこで作られ、何が含まれていて、何が良く何が悪いのかについて開示することで、信用と信頼を提供することが大事だと思っています。

将来、製品がトレーサブルでないと消費者が実際に購入しないのかということは、現状ではわからないですが、サステナビリティとは何かを理解して、消費者として自分の行動がどう影響し、実際に何ができるかを考えることにつながればと思っています。

WWD:今までに製品がどこでどのように作られたかなどの問い合わせはありましたか?

ゲッタ:もちろんです。まさにお客さまの関心が高まっている良い例です。これまでにも社員への教育は行っていましたが、最近、新たに店舗の社員向けにサステナビリティに関するガイドブックを発行し、お客さまからのお問い合わせに答えられるようにしています。「この繊維の由来はどこか」「誰がこの製品を縫製したか」などについて非常に興味を持っている場合もあります。そのような中で、すべてではなくとも大多数の質問に答えられるように取り組んでいるところで、将来的にはトレーサビリティーについてもこの中に導入したいと思っています。

ちなみに、トレーサビリティーは、循環型へのシフトにおいても大きな役割を果たします。なぜなら製品のさまざまな部分で活用することができるからです。例えばとある製品をリサイクルする場合に、どのような素材がその製品に紐づけられているかを把握していれば、生産工程で取り除く必要のある化学物質はないか、どのように繊維をリサイクルするのが最適かなどを正確に判断することができます。そういった意味では透明性やトレーサビリティーは私たちのリサイクルへの取り組みの土台にもなっています。

WWD:トレーサビリティーのサービス構築の中で直面した困難は?

ゲッタ:システム構築よりも、サービスを提供するためのプロセスや、それをどう発展させるか、どういうサービスが適しているかを決定していくプロセスに時間がかかりました。特に難しかった点は、お客さまにとって重要なことは何か、お客さまは何を知りたいと思っているのかをいかに理解し、どのような情報を提供するのかを定めることが難しかったです。そして、実際にデータを集めることも難しかったです。社内で運用しているさまざまなシステムをどう連携させて、そこから得た情報をどのようにお客さまにとってわかりやすいものに転換させるかに時間がかかりました。

今後の課題としては、さらなるトレーサビリティーが挙げられます。サプライチェーンのさらに前の段階へとさかのぼり、原材料がどこで取れたものなのか、リサイクルポリエステルでは元のペットボトルがどこのどういうものなのかなど詳細な情報が必要になります。そこで私たちは各素材や製品のトレーサビリティーに取り組んでいるのですが、やはりサプライチェーンの複雑性を考えるとそれは簡単なことではありません。
WWD:実現するにはサプライヤーの協力が不可欠ですが、サプライヤーに対してどのようなサポートを提供していますか?

ゲッタ:私たちは1997年にサプライヤーの評価などに取り組み初めて以来、長年サプライヤーと協働してきました。サプライヤーからデータを集めるだけでなく、彼らのパフォーマンスを向上するためのサポートも長きに渡って取り組んできています。この透明性のサービスを提供するにあたっては、それらをどうお客さま視点につなげるか、どのように変換してお客さまにとってわかりやすいものにするか、という点に取り組みました。このように私たちはサプライヤーと長年かけてパートナーシップを構築しており、その多くと15~20年近く共に取り組んできています。その間共に成長し、発展していく中で、信頼も築きましたし、とても良いビジネスパートナシップを構築することができています。

The post H&Mが商品の生産国や工場を開示する理由 トレーサビリティー実現の先をサステナビリティ責任者が語る(前編) appeared first on WWDJAPAN.com.

「コム デ ギャルソン」が約40年ぶりの東京ショーで見せた 不協和音が生むポジティブなエネルギー

 「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」は10月19日、2021年春夏コレクションを東京・南青山の本社で発表した。7月にメンズの「コム デ ギャルソン・オム プリュス(COMME DES GARCONS HOMME PLUS)」のショーを同会場で開いたが、従来はパリで発表しているウィメンズの「コム デ ギャルソン」が東京でコレクションを披露するのは1981年のパリコレデビュー以降は初で、約40年ぶりのことだ。会場は赤いライトで照らされ、コンクリートのような囲いが建てられた空間。部屋に入ると、ソーシャル・ディスタンシングを取るために間隔を開けたパイプ椅子が並んでいる。
 

透明のウレタンで包まれた造形的なドレス群

 
 定刻の10時、ノイズ音とともに登場したファーストルックは「プレイ・コム デ ギャルソン(PLAY COMME DES GARCONS 以下、プレイ)」のアイコニックな目のモチーフをランダムにプリントしたAラインドレス。上からテーブルクロスに用いられる透明なウレタンで包み、ボリュームのある襟が可愛らしく装飾されている。
 
 その後も1ルックずつ、電車の通過する音、風の音など異なる生活音、ノイズが流れ、モデルがゆっくりとランウエイを歩く。優しいトーンの音に合わせて登場したのはバラの形をしたトップスに、波打つようなドレープが印象的なウレタンのスカート。それから、ドット柄のバルーンシルエットのスカートなど、造形的なシルエットが次々と登場する。モチーフは「プレイ」の目だけでなく、初期のコミック調のミッキーマウスや、カラフルなミニーマウス、モノトーンのベアブリック(BE@RBRICK)などのキャラクターをあしらったプリントを採用し、上からウレタンでラッピング。プリントの一部には、スプレーで描かれたグラフィティがのせられている。
 
 いずれもベースになっているのは、シルエットは正統派なクチュールドレスの形。そこに日常で目にするウレタンやレース、キャラクターたちのモチーフ、グラフィティなどの相反する要素を合わせて、不協和音を生み出した。それらの予想外のミックスは、新しい美しさを追求するポジティブなエネルギーを放っている。
 

“予想外のことが起こっても、後で心地よければ、それが理想”

 
 川久保玲デザイナーはショー後にプレス関係者の前に姿を見せて、今回のコレクションについて数分説明した。「相反する要素の不協和音がポジティブなパワーを生むということがテーマ」。「世の中には面白いことや、予想外のこと、悪いことも起こるが、終わったとき静かに考えて心地よかったと思えれば、それが理想です」と一言。新型コロナが与えた世の中への影響は計り知れないが、“必ずしも全てが悪いことではない。前を向いて、新しい日常で新しいものを生み出し続ける”―― そんなポジティブなメッセージを受け取った。

The post 「コム デ ギャルソン」が約40年ぶりの東京ショーで見せた 不協和音が生むポジティブなエネルギー appeared first on WWDJAPAN.com.

美容師が選ぶ「イノアカラー」が進化 さらに広がるトレンドカラー の表現力

 「イノアカラー」は、多くの人気美容師がSNSで仕上がりを投稿している話題のヘアカラーだ。オイル配合率約60%という独自のテクノロジーを採用した“オイルグロスカラー”で、艶感と奥深い透明感で高い支持を得ている。業界を代表する50サロンに「実際に使って最も良かった製品」を聞いた「WWDビューティ ヘアサロン版ベストコスメアワード2020」ではヘアカラー部門の第2位を受賞。10月には新色の「クリア」が登場し、さらに色表現の可能性が広がった。ここでは、トレンドセッターサロン「シャチュー(SHACHU)」のみやちのりよし最高経営責任者(CEO)が手掛けた、今秋のトレンドカラー“グレープグレージュ”と“マロンアッシュ”のルックを紹介する。

艶はもちろん、
色みがパキッと出て
黄色みもきれいに消せる

 “グレープグレージュ”は、「バイオレット」を使うことで最近多い寒色のハイトーンよりも暖色がかり、マイルドなハイトーンが求められる最近の傾向にマッチしている。“マロンアッシュ”は、カーキっぽいくすみ過ぎないマロンで、くすんだグレージュからさらなる進化が要求されはじめている今秋、ニーズに沿った提案となっている。また、新型コロナによりサロンに行けない期間を経験したお客さまは、色持ちのよさや褪色の仕方を気にする傾向にある。その点「イノアカラー」は色みを強く入れれば入れるほど持ちがよくなり、特に「バイオレット」のラインアップは黄色みやオレンジみが出ない落ち方をするので提案しやすい。

 「イノアカラー」といえばまず“艶”や“透明感”といった印象があるが、持ちのよさや発色の鮮やかさ、伸びやすいことによるカラーリング作業のしやすさ、そして最近ではカラーバリエーションの豊富さも大きな強み。10月に新色の「クリア」が登場し、髪の傷みを配慮しつつ明度のニュアンス変化がつけやすくなり、トレンドを発信する美容師にとってこれまで以上に色表現の可能性が広がった。

エッジーなハイトーンで魅せる
「グレープグレージュ」

くすみ過ぎない進化系アッシュ
「マロンアッシュ」

 「イノアカラー」には“オイルがもたらす艶感”“奥深い透明感”というキャッチーな特徴があるだけに、そうした特徴に関する話題が先行し、これまでカラーバリエーションに関しては多く語られてこなかった。しかし、今年3月に14色のハイリフトが、そして10月には「クリア」が登場し、ラインアップは全45色に進化。トレンドカラーの提案においても、ニュアンスに変化をつけてオリジナリティーを出すことが容易となり、美容師のインスタグラムには色表現の幅や仕上がりの発色を楽しむ投稿が増えている。アッシュ系の色みにおいてシャンプーを重ねても黄み・赤みを抑制でき、滑らかな手触り、長持ちする艶感へと導く先進のオイル・デリバリー・システムなどに加え、カラーバリエーションの充実という特徴が追加された。今の日本人がヘアカラーに求める要素が搭載される形となり、艶感が強く求められる秋冬に向けてさらなる躍進に注目が集まる。

MAKE-UP:(GRAPE GREIGE)MOMO
(MARRON ASH)FUKA(SHACHU)
STYLING:MARIE HIGUCHI(TRON)
PHOTOS:SOICHI ISHIDA
GRAPE GREIGE:ドレス 5万2000円/ウジョー(エム 03-3498-6633) ネックレス 14万4000円/オール ブルース(エドストローム オフィス 03-6427-5901)MARRON ASH:ジャケット 6万9000円 ブラウス 3万2000円/ ともにウジョー(エム)

問い合わせ先
ロレアル プロフェッショナル
03-6911-8321

The post 美容師が選ぶ「イノアカラー」が進化 さらに広がるトレンドカラー の表現力 appeared first on WWDJAPAN.com.

「ファセッタズム」が発信する“東京ファッションの明るい未来” 楽天支援で5年ぶりに東コレ帰還

 「ファセッタズム(FACETASM)」が楽天の支援プロジェクト「バイアール(by R)」の一環で、5年ぶりのファッションショーを東京で披露した。落合宏理デザイナーが「僕らは2011年の震災後に東コレデビューをしたころ、服の力を信じて自分たちのできることを模索していた。今回こうしてコロナ禍でショーを行うチャンスを得られて、東京のファッションの未来を見せられるようなショーを見せたかった」と語る通り、明るくポジティブなエネルギーに溢れたショーだった。

心を動かされた4歳の息子の絵

 会場は寺田倉庫のコンクリートに囲まれた無機質な空間。ライブ配信では趣向を凝らした演出を見せた。会場に設営した複数台のカメラの他に、客席の4人の協力を得てスマートフォンカメラでの撮影も行い、客席の目線に合わせたライブ感のある映像も取り入れた。

コレクションは、落合デザイナーが「心を動かされた」という4歳の息子の絵をグラフィックデザインとして採用している。「“レックレックアーヒーモンスター”っていう名前で(笑)。もうすぐ5歳になる今は仮面ライダーなどのヒーローを知ってしまったので、4歳のときにしか描けない絵だと思ったから」。フィナーレにはサンリオが作った“レックレックアーヒーモンスター”のぬいぐるみが登場した。また会場ではキャラクターが描かれたマスクを配布し、来場者たちが演出として着用した。ゆるいイラストで会場のみんなが笑顔になり、会場の一体感も生まれていた。

“+MORE”の大胆な力強さ

 発表したウエアは得意とする東京のストリートの要素を、異素材ミックスや装飾のハイパーミックスで誇張したスタイルだ。“More memories. SS21+MORE”と題して、20型ほどこの日のショーのために制作したショーピースを追加している。反射テープをランダムに貼り付けたファイヤーマンジャケット、タータン生地をミックスしたキルト、突き上がったハードチュールのブラトップなど、大胆な力強さが伝わってくる。

 落合デザイナーは「立ち上げから11年間はショーを行うという夢に向かって若さのままにつき進んでいたが、今は家族やスタッフを守るという責任がある。それでも今回はとにかく楽しくやりたいと思った」と語る。ブランドのステージも心境も変わった今、「人の気持ちも考え方も、変化していくけれど、積み重ねてきた記憶や思いを大切にしたい」という思いを刻んだショーだった。

The post 「ファセッタズム」が発信する“東京ファッションの明るい未来” 楽天支援で5年ぶりに東コレ帰還 appeared first on WWDJAPAN.com.

「ファセッタズム」が発信する“東京ファッションの明るい未来” 楽天支援で5年ぶりに東コレ帰還

 「ファセッタズム(FACETASM)」が楽天の支援プロジェクト「バイアール(by R)」の一環で、5年ぶりのファッションショーを東京で披露した。落合宏理デザイナーが「僕らは2011年の震災後に東コレデビューをしたころ、服の力を信じて自分たちのできることを模索していた。今回こうしてコロナ禍でショーを行うチャンスを得られて、東京のファッションの未来を見せられるようなショーを見せたかった」と語る通り、明るくポジティブなエネルギーに溢れたショーだった。

心を動かされた4歳の息子の絵

 会場は寺田倉庫のコンクリートに囲まれた無機質な空間。ライブ配信では趣向を凝らした演出を見せた。会場に設営した複数台のカメラの他に、客席の4人の協力を得てスマートフォンカメラでの撮影も行い、客席の目線に合わせたライブ感のある映像も取り入れた。

コレクションは、落合デザイナーが「心を動かされた」という4歳の息子の絵をグラフィックデザインとして採用している。「“レックレックアーヒーモンスター”っていう名前で(笑)。もうすぐ5歳になる今は仮面ライダーなどのヒーローを知ってしまったので、4歳のときにしか描けない絵だと思ったから」。フィナーレにはサンリオが作った“レックレックアーヒーモンスター”のぬいぐるみが登場した。また会場ではキャラクターが描かれたマスクを配布し、来場者たちが演出として着用した。ゆるいイラストで会場のみんなが笑顔になり、会場の一体感も生まれていた。

“+MORE”の大胆な力強さ

 発表したウエアは得意とする東京のストリートの要素を、異素材ミックスや装飾のハイパーミックスで誇張したスタイルだ。“More memories. SS21+MORE”と題して、20型ほどこの日のショーのために制作したショーピースを追加している。反射テープをランダムに貼り付けたファイヤーマンジャケット、タータン生地をミックスしたキルト、突き上がったハードチュールのブラトップなど、大胆な力強さが伝わってくる。

 落合デザイナーは「立ち上げから11年間はショーを行うという夢に向かって若さのままにつき進んでいたが、今は家族やスタッフを守るという責任がある。それでも今回はとにかく楽しくやりたいと思った」と語る。ブランドのステージも心境も変わった今、「人の気持ちも考え方も、変化していくけれど、積み重ねてきた記憶や思いを大切にしたい」という思いを刻んだショーだった。

The post 「ファセッタズム」が発信する“東京ファッションの明るい未来” 楽天支援で5年ぶりに東コレ帰還 appeared first on WWDJAPAN.com.

東コレに帰ってきた「ファセッタズム」とハイテクを駆使した「ケイタマルヤマ」がベスト 21年春夏・東コレトーク!後編

 6日間に渡って開催された2021年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が10月17日に閉幕しました。約40のブランドが、リアルショーやデジタルプレゼンテーションなど工夫を凝らして最新コレクションを披露。ここでは「RTFW」の取材班が“東コレトーク”と題して印象に残ったブランドをざっくりプレイバックします。参加するのは、東京ファッション・ウィークの取材経験者である2人の先輩記者と、今シーズンから取材班に加わった新米記者の計3人。今回は、4日目から最終日までをお届けします!

デザイナーの強さがにじむ「ヒロココシノ」

美濃島匡「WWDジャパン」記者:「RTFW」が幕を閉じました。今回は後半3日間の中から印象に残った3ブランドをあげて、ざっくり振り返っていきましょう!

大杉真心「WWDジャパン」記者:まず私が好感を持ったのは「ヒロココシノ(HIROKO KOSHINO)」です。ヒロコ先生が外出自粛期間に描いた“シュールな住人たち”という絵がモチーフとなったコレクションで、ファンタジーで優しく、少し滑稽な生き物たちが世界の圧力に屈しない物語をイメージしたそう。コロナ禍でもポジティブに“何事にも負けない”という先生の思いと、芸術的にブランドの世界観に盛り込むクリエイションが素敵でした。

大塚千践「WWDジャパン」ニュースデスク:アートをクリエイションに取り入れている姿勢がビンビン伝わってきたね。映像は10分という長尺だったけど、カメラの画質や撮り方を含めてコレクションを丁寧に見せたい姿勢は見て取れたな。

美濃島:厚底のサンダルやスイムショーツなど、スポーティなアイテムも用意していましたね。

大杉:コロナ禍での健康意識の高まりを反映しているのかもしれません。ヒロコ先生といえば、建築家の安藤忠雄が手掛けたアトリエで制作活動を続けてきましたが、映像でもコンクリートの壁が特徴的で、そのロケーションの選び方も先生らしさを感じました。

映像クオリティに度肝を抜かれた「ケイタマルヤマ」

美濃島:「ケイタマルヤマ(KEITA MARUYAMA)」は、マスクとファッションの融合を目指した“クチュールマスク”にフォーカスした映像。グリーンバックにCGを合成する最新技術を使って、デジタルでしか表現できない世界観を作り出すことに成功していました。

大塚:めっちゃよかったね。いい意味で予想を裏切られた。背景の合成は他ブランドでもあったけど、ここまで楽しく見られてハイクオリティーなものは無かったな。

大杉:映像としてもすごく面白いですし、「マスクを変えるだけでこれだけポジティブになれるんだよ」というメッセージも伝わって来ます。ブランドのファンタジーなムードとデジタル表現の相性がいいんでしょう。

美濃島:洋服はこれまでのアーカイブをリミックスしたもの。キャリアがあるのに新たなチャレンジから逃げず、むしろ若手以上にガンガン挑戦するスタンスが本当にすごいなと思いました。

大塚:「丸山邸」で実施された上映会には丸山敬太デザイナーとムービーに出演した福士リナさんが登壇したんだよね。

美濃島:はい。撮影の裏話を和やかな雰囲気で語ってくれました。作り手の話が聞ける場を設けるだけでもデジタルコンテンツの伝わり方は全然違いますね。

時代を超えて着想してしまう「アポクリファ」

大塚:「アポクリファ(APOCRUPHA.)」はレースをたっぷり使って、3シーズン目にして方向性をガラッと変えてきた。市場に受けるかどうかは未知数だけど、チャレンジしたシーズンだと思う。

美濃島:モノトーンなのでレースがかなり目立ってましたね。着るのに勇気がいるかもしれません。

大杉:ジェンダーを超えたレース使いの挑戦に共感しますが、使用していたのが女性のドレスや下着に使用されるような柄がはっきりしているラッセルレースだったので、フェミニンな印象が勝っていたように思います。もう少し柄が小さいものだったらニュートラルで、リアリティーを感じられかも。

大塚:面白いのは、着想源が1870年代にまで遡っていること。当時の服装はジェンダーレスで、そのムードをブランドの軸であるテーラリングに落とし込んでる。最近のメンズって1980年代のカルチャーや90年代のストリートウエアから着想するのが王道のやり方なのだけど、100年遡るっていうある種の文学的アプローチはほかではあまり見ない個性だね。

大杉:マスクを着けた一般人を映像として記録しているのも面白いと思います。時代をそのまま切り取ってるから、何年か後に見たとき、「そうそう、こんな感じだったよね」ってなりそう。ここも上映会を行ったんですよね?

大塚:そうそう。少人数を呼んで上映会を実施して、会場には洋服も用意されていたから実際に見ることもできた。そこまではよかったんだけど、上映後はあっさりと終了しっちゃったから、少し物足りなかった。その後が天王洲アイルで「ファセッタズム」のショーだったからというのもあったとは思うのだけど、「ケイタマルヤマ」みたいにデザイナーが少しでも思いを伝える時間をつくれば、わざわざ足を運んできた人たちの理解もより深まったのではないかな。

「タエ アシダ」は自然の美しさをデジタルに込める

大杉:「タエ アシダ(TAE ASHIDA)」の芦田多恵デザイナーは自粛期間中にアトリエが休業した際、クリエイティブな脳がストップしないように毎日散歩しながら、公園に咲く花や自宅周りの植物などを写真に収めていたそう。その中で、身近な自然の美しさに気が付いて、それを全面に押し出したクリエイションになっています。植物のフォトプリントは全て芦田デザイナー本人の撮影した写真なんです。自然の美しさに気づいたため、それを全面に押し出したクリエイションになっています。

美濃島:モデルを複製させたり、背景を変えたりとデジタルならではのギミックが光りますね。「ケイタマルヤマ」に通ずるものを感じます。

大塚:両者ともこのキャリアにして、変化を恐れない前のめりな姿勢が素晴らしいよね。服自体が強いから直球のショー形式の動画でも十分に伝わりそうなのに、あえて変化球で見せてる。モデルが5体ぐらいに分身するだけでも驚きなのに、終盤に登場したマットさんは9体に分裂して思わずのけぞりました(笑)。ユーモアを盛り込んでくれると動画も楽しく見られるね。

大杉:芦田デザイナーは、「無観客ショーを長々と映す映像は長くなってしまい、皆さんに飽きられるものは作りたくない」と、工夫されたと言います。動画はテレビCMやミュージックビデオなどを長年撮影されている武藤眞志監督との協業。短い時間で効果的に映像を見せることを特にするプロと一緒に取り組むことで、飽きずに41ルックを最後まで見ることができます。

「ファセッタ」でリアルショーの価値を再認識

大塚:「ファセッタズム(FACETASM)」のリアルショーが良かったね。ここ数シーズンは和やかなムードでの発表が続いてたんだけど、今回久しぶりにバッキバキなストリートが戻ってきた感じ。

大杉:パリコレデビュー前は、東コレの目玉ブランドとして”東京で最も勢いのあるブランド”というイメージでした。「WWDジャパン」でも毎シーズン表紙候補で、ベストブランドとして紹介することも多かったです。その時の興奮を今回のショーで感じました。

大塚:コレクションは6月のパリメンズに合わせて作られた映像で事前に公開されていたし、展示会にも行ったんだけど、モデルが着て実際に歩くところを見ると受ける印象がかなり違った。強い。段差を力強く踏みつけたり、ジャンプしたりする動線の面白さも良かった。リアルショーを全肯定するわけではないけど、現場ならではのエネルギーが一番伝わってきたブランドかも。
美濃島:僕はトレンチコートとかファイヤーマンジャケットとか、純粋にアイテムが格好良いなと思いました。冠スポンサーの楽天による支援プロジェクト「バイアール(by R)」のもとで発表したショーということも踏まえて、今シーズンのハイライトの一つです。

大塚:座席にはかわいいイラスト入りのマスクが置いてあってショーの演出として着用を促されたんだけど、業界の重鎮クラスまでちゃんと着けていて和みました。

東コレの幅を広げる「リコール」

大塚:「リコール(RE:QUAL≡)」は去年の「東京ファッションアワード 2020(TOKYO FASHION AWARD 2020)」に選出されたブランド。この賞ってビジネスの成功が審査基準の一つだったはずなんだけど、「リコール」はそこまで拡大してる印象が無かったから個人的に驚いたんだよね。世界観を突き詰めた洋服でショーにはハマりそうだなとは思ってたから、実際にショーが見られてうれしかった。こういうブランドが東コレに入ってくるのは大事だよね。

美濃島:絶対に着られないものばかりでしたが、後ろ身頃から肩へ布を引っ張って着たジャケットなど、個人的に着てみたいと思うアイテムも2〜3ありました。

大杉:私も「リコール」のように独自のクリエイションを強く押し出したブランドが東コレ出ることは賛成です。五感を使ってブランドの世界観をしっかり伝えられるのはショーの価値の一つ。例えば、「リトゥンアフターワーズ(WRITTENAFTERWARDS)」や「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」のように量産可能なアイテム以外の領域で勝負できるデザイナーは、企業とのコラボレーションを手掛けたり、美術館で作品が展示されるなど異なるフィールドで活躍しています。世界観を突き詰めて、世の中にメッセージを発信していくようなデザイナーの在り方も肯定したいです。

美濃島:なるほど。今までアートのような洋服を発表するだけのショーにあまり価値を見出せていなかったんですか、今やっと腑に落ちました。

大塚:ロンドンの有名校なんかはそこを前提に教育していると聞くよね。「服を綺麗に作るだけなら人を雇えばいい」という考え方が浸透してる。

大雨の中で野外ショー開催の「ミキオサカベ」

大杉:「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」は坂部三樹郎デザイナーが手掛ける透明ソールの「グラウンズ(GROUNDS)」というスニーカーを軸にしたコレクション。スカートに白いニーハイソックスを合わせたり、ギャザーを寄せたハーフパンツで下半身にボリュームを出すなど、足元に目がいくコーディネートを目指していました。デザインは極力削ぎ落とし、足元の色と調和するパステルカラーを基調にした透明感のある素材使いも美しかったです。坂部三樹郎デザイナーはこのシューズビジネスを軌道に乗せていく考えです。

美濃島:「宮下パーク」の屋上で野外ショーを実施しましたが、残念ながら雨でした。色が明るくてシューズのソールも半透明だから、晴天だったらかなり気持ちいいショーになっていたと思います。

大塚:東京は雨が多いから、東コレのショーを屋外でやるのはけっこう勇気がいるなと改めて。「ミキオサカベ」にしては服がシンプルでちょっとびっくり。でも大杉さんが言うように、靴を目立たせたいという意図を聞いて納得した。

大杉:「ナカ アキラ(NAKA AKIRA)」のナカアキラ・デザイナーも好んで履いてると聞きました。ナカさんはデザイナーズブランドのスニーカーを数多く試してきたそうですが、「グラウンズ」の履き心地とコストパフォーマスを高評価しています。2万円台でデザイナーズスニーカーに挑戦できるのはお手頃ですよね。

「パーミニット」がリアルクローズの可能性を見せた

美濃島:「パーミニット(PERMINUIT)」はこれまでお人形さんのようなルックが並ぶコレクションで、街で着るイメージが全く湧かなかったのですが、今回初めてリアルの近づいた気がしました。

大塚:僕は動画で見たけれど、リアルだとは感じなかった。これまでと比較しての感想だと思うけど、現時点ではまだファンタジーな世界だと思う。

大杉:実験的なアプローチはそのままですが、ウエストポーチやリュックなどリアリティーを感じるものがプラスされて、一歩先に行った印象を受けました。

美濃島:これまでショーピースをプレゼン形式で披露することが多く、ロケーションを踏まえた服作りはしてこなかったそう。今回は「ミキオサカベ」同様に「宮下パーク」での野外ショーで、渋谷という街をイメージしてナイロン素材を多用したと説明していて、この素材使いが僕の受け取ったリアルさのだったのかもしれません。

大塚:かなり強い雨だったから、サンプルの風合いが変わっちゃうんじゃないかと心配になりました。ショーはもちろん大事だけど、悪天候の場合のプランBも用意しておくといいかもね。

大トリ「シュープ」はラストルックも注目

美濃島:大トリを飾った「シュープ(SHOOP)」はストリートとテーラリングを組み合わせたいつも通りのクリエイションでしたが、マルチポケットや着脱可能なアームなどギア感のあるクリエイションもありました。

大塚:ワークやテーラリングというメンズの王道に、ギミックを加えたディテールで変化させる手法はロンドンっぽいクリエイションという印象でした。「リコール」と同じく「東京ファッションアワード」組なんだけど、「シュープ」はビジネスも意識したクリエイションという感じで対照的だったから面白かったな。

大杉:全体の20%にアーカイブのストック素材を使用しているとのことでした。古着リメイクはよく聞きますが、メンズでこのような情報を開示するブランドは少ないので、好感が持てます。「アシックス(ASICS)」とのコラボがあったり、トリを飾ってることからも注目度は高いんですね。

美濃島:ラッパーのIOさんや女優の小松菜奈さんが出てたりとキャスティングでも楽しませてくれました。あとはスモークを炊いた空間にゴリゴリのテクノミュージックというアングラな演出も良かったです。

大塚:ちなみにフィナーレの最後を歩いたのは、ブランドのセールス担当しているワンダーラストの茶原さん。「え!」って3度見しちゃいました。(笑)。

後半のベストルック&東コレへの思い

美濃島:僕の後半ベストは「ケイタマルヤマ」です。デジタル表現とその発表形式含め、すごく心に残りました。

大塚:僕は「ファセッタズム」だな。

大杉:私も「ファセッタズム」です。

美濃島:2度目の「RFWT」ですが、もっと盛り上げるためにどうなってほしいですか?

大塚:「バイアール」はぜひ続けてほしい。現場で松村さん(楽天の松村亮執行役員。同社のファッション事業を率いる)に聞いたけど、あくまで東コレの一つのコンテンツというのを意識しながら、かつ際立たせようとしている姿勢がよかった。「ファセッタズム」のショー終了後、いつも冷静な松村さんがシンプルに「かっこよかった」と感想を言ってくれたのもグッときたよ。今回は第1弾で試行錯誤だったはずだから、今後は楽天の強みであるECを絡めたり、デジタルでの発信をどう強化していくのか。ひとまず継続していただきつつ、今後は支援ブランドの枠をもっと増やせば「RFWT」自体の盛り上がりにつながるのではないでしょうか。

大杉:コロナ禍でしたが、今回はパリコレへの参加を見送った「サカイ」や「コム デ ギャルソン」が日本でショーを行うことになっていたので、もしこの「楽天ファッション・ウイーク」に巻き込むことができたら、もっと盛り上がりを感じたのかなと思いました。まだ「東コレがやっている」ということが、なかなか周知できていない課題がありますが、もしかしたらデジタルがその鍵になるかもしれません。

美濃島:今シーズンいろんなデジタル・ファッション・ウィークを取材しましたが、東京はデジタルとの相性がかなりいいと思いました。あとは、ベテラン勢の凄みをまざまざと見せつけられたシーズンだったと思います。

大塚:ベテランが思いの丈を正直に話していたのが印象的だったよね。2年ぶりにコレクションを製作した「ジン カトー(ZIN KATO)」は、フィナーレで「コロナで月間の過去最低売り上げを記録した」と赤裸々に明かした上で、「引退しようかと思っていたけど、コレクションをやりたくなった。きつかったけど完成させて本当によかった」と話してくれました。若手や中堅デザイナーってつい格好つけてきれいなだけの言葉を並べがちだけど、不器用でも正直な気持ちから出た言葉の方が共感できます。これだけ取材していると、本音と表層的なコメントの違いってやっぱり分かっちゃうので。後者だと心に響かないからね。

美濃島:あとは、全体を通してもっと若い人を巻き込んでいいと思います。取材する人もベテランばかりだし、客席も若い人が全然いない。それでは若年層にリーチするのは難しいですよね。

大塚:課題はまだまだあるけれど、未来につながるポイントも見つけられたシーズンだったと思います。皆さん、6日間お疲れ様でした!

The post 東コレに帰ってきた「ファセッタズム」とハイテクを駆使した「ケイタマルヤマ」がベスト 21年春夏・東コレトーク!後編 appeared first on WWDJAPAN.com.

ツイッターで活躍するメイクレシピプランナーちこえが支持される理由とは? 「メイクや美容がもっと自由になればいい」

 コロナ禍の影響で百貨店のコスメカウンターやバラエティーストアなど、店頭で製品を試すことが難しいなか、SNSやユーチューブなどで実際の使用感や発色、メイクアップ方法などを伝えるインフルエンサーの存在がこれまで以上に重要になっている。メイクレシピプランナーとしてツイッターを中心に活動しているちこえは、クオリティーの高いメイクと分かりやすい写真、トレンドやユーザーのニーズを捉えた投稿で人気を集めているインフルエンサーだ。フォロワーは12万を超え、熱心なファンも多い。数多くのインフルエンサー達の中で彼女はなぜ支持を集めているのか。その理由に迫る。

WWD:メイクレシピプランナーとして現在どういった情報を発信している?
ちこえ:主にメイクについて発信しています。そのほか、スキンケア、コスメ、メイク道具などについても投稿しています。

WWD:SNSでメイクの情報を発信するようになったきっかけは?
ちこえ:活動を始める前から化粧品やメイクに興味がありました。でもそれは、肌荒れを隠すためのものだったので、周りの人に言いづらかったのです。そのような中で唯一話せるのがコスメカウンターの美容部員さんでした。化粧品やメイクの話をする友人がいないと相談すると「SNSをやってみたら?同じ趣味の人とつながれると楽しいよ」とアドバイスを受けたのがSNSを始めたきっかけです。

WWD:メイクレシピプランナーという肩書きは珍しいですね。
ちこえ:最初は自分の悩みやスキンケアのことを中心に発信していたのですが、フォロワーが増えていく中で特に需要のあるメイクの情報に絞っていきました。そこで、何か肩書きがあったほうが初見の人にも伝わりやすいのでは?と考えました。でも私は美容家ではないし、メイクアップアーティストでもない……、私自身メイクを考えることが一番楽しくて、そのメイクで自分と皆さんの生活を少しでも明るく楽しくするお手伝いができたらいいなと思い、“メイクレシピプランナー”という肩書きを付けることにしました。SNSにおいて新しいポジションを築くことで、メイクや美容がもっと自由になればいいという思いもありました。

WWD:投稿を行う際に気を付けていること、意識していることは?
ちこえ:購入品でも企業からの提供品でも、手に取って使わなければわからないことを画像もしくは文章で入れることを意識しています。外装やパッケージなど、公式サイトを見れば分かることを投稿するのではなく、実際に買って封を切って、化粧品のふたを開けたところからの意見や感想が大切だと考えています。それが企業や見てくださっている方への誠意と答えだと思って取り組んでいます。

WWD:現在ツイッターのフォロワーは12万を超えているが、フォロワーが増えたきっかけは?WWD:投稿を行う際に気を付けていること、意識していることは?
ちこえ:2017年にツイッターを始めて、7カ月ほどで1万フォロワーになり、19年頃には5万フォロワーまで増えました。そこから一気にフォロワーが増えたきっかけは、青をメインにした夏のライブにおすすめのメイクを提案した投稿を指原莉乃さんが引用リツイートしてくださったことです。本当に忘れられないできごとになりました。このことをきっかけに私の代名詞とも言える「#推しメイク」が生まれました。

WWD:「#推しメイク」とは?
ちこえ:アイドルグループのメンバーカラーに限らず、芸能人やゲーム・アニメのキャラクターなど個々が自身のイメージカラーを持っていたり、ファンの人が思うイメージカラーが存在することが多いです。その中でも特に、推し(最も応援しているメンバー)の担当カラーをメインにしたメイクのことを「#推しメイク」と言います(諸説あり)。指原さんが引用リツイートしてくださった投稿をきっかけに、「自分の推しのカラーのメイクもやってほしい」などたくさんのリクエストや反響がありました。こんなチャンスは二度とないと思いリクエストを受けて13色分投稿し続けたことを覚えています。メイクを1日に何度もやり直したため目周りの皮膚は傷みましたが、こんなにもフォロワーさんが喜んでいると実感できたことがなかったので夢中になって「#推しメイク」をつくりました。

私自身長く応援しているアイドルがいてその人たちへの思いも込めて作ったのが良かったのかもしれません。コロナ禍でコンサートが次々と中止や延期になり推しメイクをしていく場所が激減したため、せめて手元を華やかにと企画した「#推しネイル」や「#ワンカラーネイルやさん」も好評です。

WWD:「#推しメイク」はもちろんですが、毎日豊富なバリエーションのメイクを紹介しているが、着想源や参考にしているものは?
ちこえ:いろいろな方のSNSを見たりはしますが、特に何かを意識したり、参考にしているということはないです。基本は私の毎日のメイクです。その中で季節やシーン、トレンド、メインのアイテムなどを決めて楽しんでいます。疲れが残る朝の簡単なメイクも考え方を変えれば“時短メイク”になります。想定とは違うメイクもあえて投稿します。そういうリアルが参考になると思いますし、メイクはうまくやる必要はないからです。きちんと完璧にしよう、ルールから外れないようにやろうという考えはメイクにおいては不要です。メイクに正解はないですし、もしあったとしてもそれは人の数だけあります。

WWD:コロナ禍の影響で、店頭でメイク製品を試しにくくなりSNSなどで製品のレビューを投稿しているアカウントの需要が高まっていると感じているが、ユーザーの反応の変化はあった?
ちこえ:緊急事態宣言解除後、私自身も何度か百貨店のコスメカウンターに行きました。テスターにカバーがかかっていたり、美容部員さんが全員マスクをしているなど、知らない場所になってしまったと感じるくらい様子が変わっていました。美容部員さんのリップに一目惚れしておそろいを購入することができなくなったのが寂しいですね。ユーザーの反応が変わったということはありませんでしたが、参考になるようにスウォッチ(化粧品の発色を手などで試した写真)を増やし、色や質感が伝わりやすいよう工夫しています。

コロナ禍で変化も 投稿に対するこだわり

WWD:企業からのPR案件などにも変化があった?
ちこえ:4〜5月は減りましたが、6月頃からまた増え始めました。案件の内容がガラリと変化したわけではありませんが、メイクの方法を詳しく紹介してほしいというリクエストは増えた印象です。

WWD:企業からのPRを行う際は、どういったことを意識、工夫している?
ちこえ:PR以外の投稿にも共通していますが、「買わなければ分からないことを画像もしくは文章でひとつは入れること」をPR投稿でも意識しています。店頭でパッケージを手に取り購入するか迷ったときの判断材料にしてほしいからです。購入前の商品を開けて手触りや香り、キャップの形状、プッシュ式かスポイト式か持ち運べるほどの重さなのか強度はあるのかを確認することはできないからです。また、美容部員さんを介してのタッチアップが難しいなかで、SNSで質感や色みを伝えることも私の役割だと考えます。

あと、この商品のPRを任されているのが私だけなのか複数のインフルエンサーが紹介しているのか分からないので、PR投稿を終えたあとはハッシュタグ等で検索し、必ずほかのインフルエンサーの投稿内容やRT数、いいね数を確認してフィードバックするようにしています。ひとりで作業していると自分本位な投稿になりがちなので、どのような投稿に皆さんが興味を持っているのかを見るようにしています。ほかのインフルエンサーの投稿は写真の撮り方や文章表現等、情報の宝庫なのでいつも学びがあります。

WWD:今後の目標は?
ちこえ:メイクをもっと自由にしたいです。たまには、らしくない色を使いたいですし、それが似合わなくてもいいと思います。この色(化粧品)が自分の感性で素敵だと思って購入しているので、似合う似合わない以前に化粧品を手に取って最初に感じたときめきを忘れたくないのです。化粧品を購入する人たちのそういう思いを存分にメイクで表現できるようなお手伝いがしたいです。この仕事は、企画はもちろん撮影も全て私一人で行っているためいつか限界がくるかもしれません。もちろん年齢も重ねていきます。ですが、そういう等身大の姿こそお会いしたことのないフォロワーさんの生活に寄り添えるのかもしれないと考えます。可能な限りメイクや美容に関する情報の発信をしていきたいです。

The post ツイッターで活躍するメイクレシピプランナーちこえが支持される理由とは? 「メイクや美容がもっと自由になればいい」 appeared first on WWDJAPAN.com.

国内縫製工場の労務問題は改善している? 人権団体ASSCに聞く人権問題に取り組む重要性

 昨今、持続可能な事業活動に向けてサステナビリティ戦略を打ち出す国内アパレル企業が増えてきた。リサイクル素材の活用など製品の環境負荷の軽減に向けて取り組む例が多いが、見落とされがちなのがサプライチェーンにおける労働人権問題だ。

 2017年に放送された「ガイアの夜明け」で、国内の縫製工場における外国人技能実習生の労務問題が大きく報道されたことなどをきっかけに、国内にも労働搾取の現状があることが広く認知された。

 特に日本のアパレルビジネスはサプライチェーンが細かく分断されており、商社が介在するケースも多いために現場の実態を把握することが難しいとされる。しかし、「商社に任せているから何も知らないというのではブランドホルダーとして失格だ」と話すのは、国内企業の労働人権問題に関する取り組みをサポートする一般社団法人ザ・グローバル・アライアンス・フォー・ サステイナブル・サプライチェーン(The Global Alliance for Sustainable Supply Chain、以下ASSC)の杉本泰樹シニア・オフィサーだ。現在アパレル業界ではファーストリテイリングやアシックス、帝人、アダストリア、三井物産アイファッションなどがASSCの会員となっている。自身も国内アパレル関連企業に20年以上務め、CSR調達(企業が調達先の選定や調達条件を設定する際に、社会的責任の観点から基準を設定すること。また、調達先に社会的責任を果たすよう要求すること)に従事してきた経歴を持つ杉本氏に日本のアパレルビジネスの労働人権問題について聞いた。

WWD:外国人技能実習生(以下、実習生)が国内縫製工場で最低賃金以下で長時間働かされていたり、狭い部屋で何人も暮らすような環境を強いられていたりといった問題がここ数年で広く知られるようになった。こうした労務問題はいつ頃からあったのか?

杉本泰樹シニア・オフィサー(以下、杉本):外国人技能実習生制度は1993年に制度化されました。2000年代以降、労働人権問題は発生していたと推測します。本来同制度は技術の海外移転を目的とし、実習生は技術を習得してお金を稼ぐことができ、人手不足の日本は労働力を確保できるというウィンウィンの関係が成り立つべきものでした。しかし、10年に法改正が行われ、それまでは3年間の実習期間のうち1年目は研修代として最低賃金を払う必要がなかった部分が1年目から最低賃金を払わなければいけなくなりました。それをうまく導入できなかったところから労務問題が起き始め、地方紙などでは当時からよく取り上げられていました。

WWD:具体的にどんな問題がある?

杉本:特に深刻なのが、実習生に入国の際に膨大な手数料を支払わせることによって起きる債務労働です。国を出る時の手数料や航空運賃が監理団体を経由することでどんどん大きくなっていき、実習生は来た時から借金を抱えた状態になるわけです。もともとは実習実施機関である日本の縫製工場だった企業が、監理団体を運営した方が手数料等でもうかるということで、縫製工場をやめて監理団体になったといった事例も聞きました。ただ、(縫製工場だけが悪いというのではなく)実習生の側が工場に最低賃金を払わなくても良いから土日も働きたいと申し出るケースもある。そのほか実習生が宿泊する寮の設備が整っていないなどの労働環境の問題もあります。

WWD:コロナ禍で実習生にはどんな影響があった?

杉本:出身国への帰国ができないなか、特別措置で延長して働くことは可能ですが、仕事がなくて寮で待機していたという可能性も考えられます。本来であればその際の日本での生活費は監理団体や受け入れ先工場が保証するべきですが、そうなっていたかどうかは分かりません。

WWD:実習生は農業や漁業、工業など他産業も受け入れているのに、特にアパレル分野で法令違反が多数報告されているのはなぜ?

杉本:アパレルは労働集約型産業であるということと、できるだけコストを抑えるコスト至上主義の体制が起因しているでしょう。工場は慢性的な人手不足や高齢化を抱えているのが実態で、苦しい胸の内を聞くこともよくあります。

WWD:問題が広く知られるようになって以降、状況は改善しているのか?

杉本:改善は見られます。企業によっては実習生が日本に来るために払う手数料を負担するところも出てきました。しかし、まだ一部の企業です。もちろん、当初からしっかりとした受け入れ体制をとっていた工場も存在します。実習生を受け入れるにあたり、寮の建て直しをしたり、1人部屋を設けたりしたといった工場の話も聞きました。ある工場では実習生の能力を適正に評価し、工場内で一番高い給料がその実習生に支払われていました。監理団体側も適正な運営を行うところが増えている印象です。

WWD:国際社会からは日本はどんな評価をされている?

杉本:日本でも実際に工場を視察して、労務問題の有無や実態を調査している企業があるにも関わらず、調査した内容をきちんと世の中に公表しているところが少ない。今年6月に米国務省が世界の人身売買防止への取り組みを評価した報告書を発表しましたが、日本は昨年から評価が1段階下がっています。その時も外国人の技能実習制度については「強制労働の告発が続いているにもかかわらず、人身取引事案を1件も認知しなかった」と指摘されています。調査した結果を公に出すことで信頼を得られるということの理解がまだまだ進んでいないようです。

WWD:アパレル産業は細かく分断されているという構造上、サプライチェーン全体の把握が難しいが企業はどんな対策を取るべきか?

杉本:問題が発覚した時に「あそこの工場のことは商社に任せています」という回答はブランドホルダーとして失格です。自分たちが消費者に対して商品を提供している以上、自社で工場を持っている企業はもちろん、下請け工場の現場にまで足を運ぶ必要があります。アパレルに限らず日本はESG(環境・社会・ガバナンス)のうち、環境に対する取り組みはできていても人権の部分が弱いと言われています。島国の日本では、欧米と比較して人権に関する意識が醸成されてこなかった。だからこそ、現場に行って労働者の声を聞く努力を怠ってはいけないと思います。

WWD:日本の縫製企業は日々工場を稼働させることに精一杯で、CSR調達まで手が回らないところも多い。

杉本:中小、もしくは零細企業こそCSR調達の重要性を理解することが大切です。例えば認定団体の監査に費用をかけるくらいなら、オーダーは取らなくて良いという工場もありますが、実際にはそういう監査を受けて正しい運用をすることが将来性につながります。CSR調達とは環境や社会問題を解決するだけでなく、生産計画、品質やコストの改善につながるものです。

WWD:経済的にもCSR調達に取り組むメリットは大きい?

杉本:はい。例えば中国であれば旧正月前にオーダーが集中し、現場では残業が出てきて残業代を払わなければいけない。繁忙期に重ならないように生産計画を組めば、実際には残業の割増賃金を払う必要がなくコストが落ち着く。きちんと管理された労働時間で適正な賃金をもらえれば、働く側も生活が安定し、良いものを作ろうというやる気が出て品質も上がる、という理論です。そこまで見据えて取り組めている企業はまだ少ない印象です。

WWD:ASSCではどんな取り組みを行っている?

杉本:アパレルのみならず幅広い業界の企業活動をサポートしています。サプライチェーンの労務問題についてASSC主催のウェビナーや会員企業用のセミナーなどを実施したり、会員企業が取り引きしている工場の実態調査も手伝います。また企業の意見交換を目的とした「外国人労働者ラウンドテーブル」はASSCの正会員に限らず参加が可能です。さらに11月16日に、ラウンドテーブルから発展して国際協力機構(JICA)とASSCが事務局となり「責任ある外国人労働者の受け入れプラットフォーム」を立ち上げます。そこでは行政や企業を巻き込んできちんとした情報提供をしていきます。改善には個別の企業だけでは難しいこともありますのでASSCの専門性を活かしながらNGOや市民団体とも連携して適正なサプライチェーンの構築のために活用してほしいです。

The post 国内縫製工場の労務問題は改善している? 人権団体ASSCに聞く人権問題に取り組む重要性 appeared first on WWDJAPAN.com.

クラウドファンディングで計4477万円を調達 渋谷区公認キャリー品ECサイト仕掛け人に聞く

 10月18日、“渋谷区公認のキャリー品ECサイト”として、「シブヤ・ファミリーセール」がスタートする。アーバンリサーチ、シップス、トゥモローランド、アダストリアなど有力セレクトショップ、SPA企業が参加予定で、今後も引き続き出店企業やブランドを募集。「2021年3月末までに100ブランド・店の出店を目指す」と、同企画のプロデューサーの一人である久保田夏彦・渋谷未来デザインプロジェクトデザイナーは話す。同ECはコロナ休業に苦しんだ事業者の支援という側面を持つが、キャリー品や売れ残り商品の大量廃棄は、コロナ禍以前からファッション業界で課題となっていた。同ECを手掛ける2人に、その目的を聞いた。

WWD:自治体公認のファッションECサイトというもの自体、非常に珍しい存在だ。どんな経緯で企画がスタートしたのか。
久保田夏彦・渋谷未来デザインプロジェクトデザイナー(以下、久保田):4~5月にコロナ禍による緊急事態宣言が出て、渋谷カルチャーを形作ってきた飲食、ファッション、エンタテインメントといった業種が苦境に立たされた。そうした事業者を渋谷区としてもサポートしたいという気持ちはあっても、区の予算は基本的に住民のために使うもの。住民以外で渋谷カルチャーを支えてきた事業者をサポートするために、「YOU MAKE SHIBUYAクラウドファンディング」を、渋谷区、渋谷区商店会連合会、渋谷区観光協会、渋谷未来デザインで7月に立ち上げた。9月までに約1300人から4470万円を集めたが、その一部と区の予算でECサイトを立ち上げている。

松井智則ワンオー社長(以下、松井):クラウドファンディングの動きとは別に、休業明けの6月に長谷部健・渋谷区長に面会して、ファッション業界の窮状を伝えていた。区長には、「(人が店に集まることが難しくなっている以上)ECなどで渋谷区のファッション事業者を盛り上げる手法を考えてほしい」と言われた。それで、(渋谷の産官学民連携組織である渋谷未来デザインでプロジェクトデザイナーを務めていて)ECに詳しい久保田さんと一緒に動くことになった。

WWD:ワンオーは「シブヤ・ファミリーセール」にどのような形で関わっているのか。
松井:われわれは渋谷区の街をあげたファッションイベントとして、「SHIBUYA HARAJUKU FASHION FESTIVAL(以下、シブハラフェス)」を前身イベントを含め10年近く行ってきた。今回のシブハラフェスではこれまでのように街に人を集めることができない。それで、渋谷の街のファッションを購入体験も含めてデジタル上で表現することを構想していたが、当初は自社で協賛を集めるなどして“街のEC”を行うことを模索していた。クラウドファンディングと連携することになったのは7月半ばだ。

久保田:クラウドファンディングで集まった資金の使途として、最初からファッションECという案はあった。しかし、そのために大手EC企業と組むのでは渋谷カルチャーを支えるファッション事業者から理解は得られないと思った。その点、ワンオーはこれまでのシブハラフェスで区内のファッション事業者と関係性を築いてきている。ECサイトへの出店には初期費用などはかからないが、正直煩雑な作業をお願いする部分は多い。立ち上げすぐは、売上高も大手のセレクトショップやSPAにとっては小さなものだと思う。それでも各社に協力してもらえたのは、シブハラフェスでの関係性があったからだと思う。

WWD:クラウドファンディングを立ち上げた当初は、コロナ禍で消失したインバウンド(訪日外国人客)消費を取り戻すべく、越境ECを行うことを目指していたが?
久保田:どういったECサイトにしていくか、そのコンセプトはファッション事業者にヒアリングをしながら、走りながら決めていった。“街のEC”をやるということと、渋谷区が掲げているSDGsの考え方の両方満たすものとして、(越境ECではなく)キャリー品のECという形に落ち着いた。ただ、僕自身もこれまでブランドビジネスをやってきた経験から、キャリー品をネットで売るというあまりイメージのよくない取り組みに、ブランドや企業がどこまで協力してくれるだろうかと不安に思う部分もあった。しかし、結果的には渋谷区公認のECサイトとして、「区がファッション事業者を支援したいと思っている」という点に共感いただけたんだと思う。

松井:毎回、シブハラフェスの開催前には協力いただいている大手セレクトショップなどの社長に挨拶して回っている。今回は「キャリー品をわれわれのサイトに回してください」と伝えなければいけなかったので、いつになく緊張した。大手セレクトショップやSPAは、自社ECサイトや「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」などで通常の商品を販売している。そこと差別化するために、「渋谷区は、捨てない」といった考え方を「シブヤ・ファミリーセール」では裏テーマにしているといったことを各社社長に伝えたら、非常に盛り上がった。実は1年前の19年10月のシブハラフェスでも、各社の在庫を少しずつ集めて、会場内で販売することも行っていた。考え方としては同様だ。

WWD:サイトで販売する商品は、4~5月の休業中に各社で膨らんだ20年春物の在庫がメインになるのか。
松井:10月18日にサイトをローンチするため、春夏物ではなく秋冬物が中心になる。つまり、19-20年秋冬物やそれ以前のアイテムだ。セレクトショップのオリジナルやSPAのアイテムだけでなく、一部インポートブランドなども含まれる予定だ。

久保田:もちろん、休業中の20年春物のキャリー品は多くの企業が抱えてはいる。ただ、大手企業は自社ECで消化を促したり、アウトレットにまわしたりといった策を取っていることもあり、「シブヤ・ファミリーセール」に立ち上げのタイミングで20年春物が大量に集まるという感じではない。

WWD:参加企業として現時点で名前があがっているのは、有力セレクトショップなど比較的大手の企業が中心だ。それらよりも、自社でECを整える体力のない中小のブランドの方が、問題は切実のようにも感じる。中小ブランドにはどうサポートを広げていくのか。
久保田:サイトが立ち上がっても、注目ブランドやショップが出店していなければ集客ができない。大手企業や有力ショップにまずは集客の目玉として参加していただき、今後徐々に中小のブランドにも出店していただければと思っている。渋谷区内に実店舗を持っているか、区内に本社がある、もしくは事業者が区内に住んでいるといった企業やブランドなら、どこでも出店いただくことが可能だ。

松井:現在、約650ブランド・店に出店の誘いをかけている。3~4カ月で50ブランド・店は出店していただけると見ているが、目標は100ブランド・店だ。

WWD:「シブヤ・ファミリーセール」とも通じる考え方のオフプライスストア業態は、コロナ禍以降、実店舗での催事でもEC上でも影響力を増している。それらとはどう差別化するのか。
松井:立ち上げに合わせて、中井彩乃さんなどのスタイリスト6人がブランドミックスで商品をスタイリングし、それらをセット売りする企画を考えている。もちろん、ブランドミックスで提案することは出店企業には事前に伝えている。ステイホーム期間中には、スタイリストやフリーランスのエディターなどからも仕事がなくなったという話をよく聞いた。彼らにも売り上げが循環するような仕組みにしていきたいと考えて組んだ企画だ。今後も、定期的に同様のスタイリスト企画は行っていきたい。

久保田:そういったさまざまなプレーヤーが関わって作ってきたのが渋谷のカルチャーだ。ブランドミックスで商品を提案できるという点が消費者にとっては他のECサイトとは異なる点だと思う。クラウドファンディングで集まった資金を充てていることで、初期出店費用がかからないことが出店者にとってはメリットだろう。

WWD:今後、このサイトをどのように育てていくのか。
久保田:初年度の取扱高は3億円を目標にしている。出店企業やブランドとは委託販売契約で、売り上げの一部をわれわれに手数料として支払っていただく形だ。このECサイトは期間限定で行うものではなく、通年で運営していこうと思っている。事業を持続可能にしていくために売り上げ実績を作って、既に出店している企業からはさらにキャリー品をまわしてもらえるようにしていきたいし、同時に新規の出店者も集めていきたい。

松井:不可能な理想論かもしれないが、数年後には(ファッション業界を取り巻く余剰在庫の問題がなくなって)こうしたサイト自体が不要になっていけばいいなと思っている。消費者が住んでいる場所の近くなどでは人出が戻っているという報道があるが、渋谷や原宿などの都心の店舗は引き続き客は少ない。地域で括ったファッションECサイトという考え方自体が他にはなかなかない。ファッションやカルチャーの街という、渋谷区ならではの特色があってこそ成り立つ企画だと思っている。

The post クラウドファンディングで計4477万円を調達 渋谷区公認キャリー品ECサイト仕掛け人に聞く appeared first on WWDJAPAN.com.

#敦子スメ「新月・満月」ノート 人間関係がテーマのてんびん座の新月(10月17日)

 この連載では、新月・満月の流れを最大限に引き出すためのサポートをしてくれるコスメやインナーケアアイテムも紹介していきます。第21回は10月17日の新月とおすすめコスメについてお伝えします。

今回の新月(10月17日)はてんびん座

 てんびん座のテーマはズバリ“人間関係”。私がいて、あなたがいて、2人の間には距離感があるけれども関係性を築いていきながら自分が成長する。相手がいるから“他者から見られる自分”や“客観性”の感覚が磨かれる。そんなストーリーをてんびん座は持っています。会社でいうならまさに人事部というイメージなのですが、他者とか変わる時に押し引きが上手なのもてんびん座の特徴です。バランス感覚に優れるといわれるのもここがゆえんなのかもしれません。

 てんびん座のキーワードとしてよく挙げられるのがセンス、バランス、美意識、などなど。てんびん座の考える美しさとは、“調和的である”という事がキーワードかなと思うのですが、今日はそんな事をテーマに新月コスメをご紹介したいと思います。

今回の新月コスメ

 てんびん座のキーワードでもあるバランス、という言葉から連想するのはやっぱり香りの調合。数種類の香りがブレンドされているアイテムなら、香りを嗅いだ時の気分や体調によって香りの感じ方が変わることもあれば、興奮しすぎた時には鎮静作用のある精油を、反対に体が重たいなと感じる時にはスパイスフルな香り……など、自分自身を整えるサポートをしてくれます。

 最近もたくさん優秀なアロマグッズが売られていますが秋の夜長ということで、夜に嗅ぎたい香りをセレクト。「ザ パブリック オーガニック(THE PUBLIC ORGANIC)」の睡眠ディフューザー“スーパーディープナイト ホリスティック精油ディフューザー フォールアスリープ”は、ヒノキやシダーウッドなどの樹木系の香りが特徴。秋も深まる夜長タイムに取り入れてもらうと、木の香りが落ち着きやスムーズな入眠をもたらします。


 もうひとつ、てんびん座のキーワードとして気にかけたいのが「笑顔」。人当たりの良さや印象づけにはやっぱり笑顔が一番の武器であり潤滑剤ですよね。相手に見せる自分の表情や空気感などもてんびん座には大切な要素です。そんな笑顔の底上げといえば歯のメンテナンス。今年、自粛期間の影響で思うようにクリニックに行けなかった方もいらっしゃるのでは、と思いますが「ニューパール(NUPEARL)」“ スターティングキット”は、自宅で簡単にできる歯のホームホワイトニングアイテムです。しかも、特許技術により99%以上ナチュラル&約92%オーガニック処方という画期的なプロダクト。専用の器具にジェルを塗布してLEDライトをあてるだけなので簡単で、朝晩10分のケアで手軽にメンテナンスができます。

 自分のメンテナンスも忘れずに外の世界ともうまくバランスを取っていきましょう!

福本敦子(ふくもと・あつこ)/フリーランスPR・美容コラムニスト:コスメキッチンに14年間勤務後、現在はフリーランスPRとして活動するかたわら、ビューティコラムニストとしてイベント、SNSなど多方面で活躍。オーガニックに精通した知識を武器に、ライフスタイルに寄り添った独自のオーガニック美容論が、著名人やエディターをはじめ各方面から大人気。「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と多くの反響を呼び、紹介した商品の欠品や完売も多数。2019年秋、初の書籍となる「今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by敦子スメ」を出版。発売前に増刷が決まるなど話題を呼んでいる。旅を愛し、占星術にも精通 instagram:@uoza_26

The post #敦子スメ「新月・満月」ノート 人間関係がテーマのてんびん座の新月(10月17日) appeared first on WWDJAPAN.com.

進化を続ける「ダブレット」 愛にまみれたゾンビの館へようこそ

 「0点か100点かぐらいに評価が分かれてもいい」――「ダブレット(DOUBLET)」の井野将之デザイナーがインタビューでそう語っていたのは、2017年の3月のこと。東京ファッション・ウイークで初めてランウエイショーを行う直前だった。その言葉通り、デビューショーの奇抜な演出に評価は賛否両論。実際に取材した当時の自分も、100点だとは正直思わなかった。それから約3年半が経った20年10月12日、「ダブレット」は東京で再びショーを行った。以前とはブランドを取り巻く状況も激変し、取り引き先のアカウントも国内39、海外27にまで拡大した。それでも井野デザイナーは本番前日にブログを更新し、「賛否両論の中間意見がなく、賛か否に分かれるショーになる」と控え目に綴った。

ショーは楽天の支援で

 「ダブレット」のショーは、東京ファッション・ウイークの冠スポンサーである楽天が今シーズンから立ち上げた日本発ブランドの支援プロジェクト「バイアール(by R)」の第1弾として、「映像による発表を行う」と関係者に通達されていた。しかし実はこれ、盛大なサプライズへの布石。「渋谷のハロウィンパーティーが中止になったから、自分たちなりのハロウィンパーティーを」というテーマで動画を制作し、“上映会”として招待した有力ファッションメディアの編集長ら約20人の前に動画のゾンビたちが実際に現れるというドッキリ企画だ。

 そんな子どものようなイタズラを真剣に実行すべく、20時の本番に向けて各業界のプロフェッショナルたちが朝一に集結。25人のモデルたちにホラー映画「シャイニング(The Shining)」「悪魔のいけにえ(The Texas Chain Saw Massacre)」「ミザリー(Misery)」などからオマージュしたゾンビメイクを次々に施していく。上映会当日に撮影から編集までを行う超強行スケジュールのためただでさえ時間の余裕はなく、メイクや演出の修正を繰り返すうちにスケジュールはさらに押していった。しかし(本当に間に合うのだろうか?)という部外者の心配をよそに、現場には笑顔が絶えない。血まみれのおどろおどろしいゾンビたちも談笑したり、互いを撮影し合ったりと和やかで、見た目とのギャップについ何度も吹き出してしまった。そして本番まで2時間を切ったころ、井野デザイナーの「セーフ」という安堵の声とともに9時間以上にも及んだ撮影は終了した。「井野さーん!」「井野さん確認お願いします!」と呼ばれて四方八方走り回るデザイナーとは離れた場所で、「ダブレット」を陰で支えるパタンナーである村上高士とニッターの嘉納絵里奈がギリギリまで服を手直ししている姿がチームの一体感を表していた。

ドッキリ大成功なるか

 そしていよいよ本番。会場となった東京・青山のレストラン「ロアラブッシュ(Leau a la bouche)」の周囲が徐々に騒々しくなり、招待客が続々と席に着く。テーブルに用意されたVRゴーグルを装着し、映像が終わって外すと目の前にゾンビたちが出現!「ぎゃー!」という期待通りのリアクションは残念ながらほぼ見られなかったものの、会場には笑顔が溢れた。招待客も、取材班も、モニター越しでしか見られなかった裏方スタッフも笑っている。動画配信で画面越しに見た視聴者の中にもクスッとした人はきっと多いだろう。ゾンビたちが着ているのは“なんでもない日を祝う”というメッセージのもとに作られた21年春夏コレクションが7割で、残り3割はアーカイブがミックスされている。“アンデッド”として甦ったウエアの中には量産されなかったアイテムも見られるなど、コレクションに対する愛情が感じられた。楽天による初の試み、リアルとデジタルの融合、早すぎるコレクションサイクルへの問題提起――今のファッション業界を象徴するさまざまなニュースが凝縮されているのに、ハッピーな「ダブレット」ワールドがその全て飲み込んだ。

進化を続ける理由

 思えば17年3月のショーで「100点」と言えなかったのは彼らの“服”が好きで、奇抜な演出がトゥーマッチに感じたからだ。でも、今は違う。リアルとデジタルを駆使してブランドの世界観を立体的に表現する術を物にしつつあり、ドッキリが成功したかどうかは微妙なところだが、今回の試みは「賛」の声が圧倒的多数だ。もちろん、「バイアール」による支援の効果も大きいのだろう。しかし人々を笑顔にさせたのは、井野デザイナーのファッションや人への愛情である。「人を楽しませたい」という思いはブランドの知名度やビジネスが広がっても変わらないし、デザイナーは苦労人だからこそその思いは人一倍強い。「類は友を呼ぶ」「スタンド使いはスタンド使いにひかれ合う」という言葉通り、その根底にある愛情が「ダブレット」というブランドに相応しい、真剣に悪ふざけができる仲間たちを呼び寄せているのだろう。ショー終了後はスタッフ同士やモデルが抱き合い涙する姿も見られた。その場に足を踏み入れた誰もがハッピーな気持ちになる、愛にまみれたゾンビの館だった。

The post 進化を続ける「ダブレット」 愛にまみれたゾンビの館へようこそ appeared first on WWDJAPAN.com.

島崎遥香が今、こだわることとは? コスメブランド「ミラー」でリップをディレクション

 元AKB48でタレントの島崎遥香がクリエイティブディレクターを務めるコスメブランド「ミラー(MIRROR)」が10月1日にデビューした。市場トレンドの艶感のあるセミマットではなく、マットリップをディレクション。最近ではユーチューブも開設し、メイク動画もアップする。島崎がマットリップにこだわる理由や、ターニングポイントは「今」と語るその心境についても聞いた。

元々マットが好き。流行っているのは嫌

WWD:今回、「ミラー」のリップスティック“マットリップシリーズ”(全3色、各1900円)のクリエイティブディレクターに就任した。その経緯は?

島崎遥香(以下、島崎):ブランドを手掛けるemy productsさんからお声掛けいただきました。そもそもですが、そこまで化粧品に詳しくなくて、こだわりもなかったんです。だから自分に何ができるんだろう?と思ったんですが、なんでもチャレンジだと思ってやることにしました。

WWD:コスメにこだわりがないということは、敏感肌ではないんですか?

島崎:いえ、敏感ではあるんです。新しいアイシャドウを使ったら痒くなったりとか……。

WWD:そうなんですね。今回のリップもそういったところも意識しつつだとは思いますが、どう作っていったのですか?

島崎:リップという商材は決まっていました。何百種類とかいただいて、ウル艶にするのか、マットにするのか。市場には無限にリップがあります。その中で、何が出せるか?と考えたんです。

まずはマットがいい、というのはすぐに決まりました。流行っているモノは嫌で。そもそもグロスが好きじゃなくて、すぐ飲み物に付いちゃうから。今だとマスクにも付いちゃうし。好きなように考えてくださいって言っていただいたので、自分で付けて気分が良いもの。香りもそうだし、塗り心地もそうですね。

WWD:大変だったところは?

島崎:私が理想とする塗り心地を再現するのは難しかったみたいで。理想は、サラッと付けられるマットで落ちにくいものだったんです。何度も何度も試して、半年以上時間を費やし、できる範囲で理想のリップが出来上がったと思います。

WWD:カラーの名前付けがとても印象的ですね。レッドが「あの子と違う日」、オレンジが「魔法が解けた日」、ベージュが「何かが変わる日」です。なぜこういった名前を付けたのですか?

島崎:以前、渡辺直美さんがカラーコンタクトのプロデュースをされていて、その商品の一つ一つに食べ物の名前が付けられていて、なおみさんらしいなあと思ったんです。いいなあって。私らしさが出せたらと思って提案しました。

WWD:なるほど。例えば「何かが変わる日」というのは、それを使ったら気分が変わる、上がるよ、というのがあればいいと思われたのですか?

島崎:それは逆で。私的には、「リップを付けたら、変わります」みたいな良くある謳い文句ではないリップにしたかったんです。

簡単にいうと、量産型女子ではない、みんな一緒じゃない、自分らしさがある。何に関してもですが、みんなと一緒というのはどうかなあ。せっかくコスメもファッションもヘアもですけど、自分らしさが出せるものが溢れているのに、みんな一緒なのはつまらないじゃないかなあ。

付けたことのなかったベージュが一番好きなカラーに

WWD:3色の中でもベージュが一番好きとか。なぜ?

島崎:今までベージュを付けたことがなくて……。オシャレ過ぎ、モード過ぎてるイメージだったんですけど、意外と使いやすくて嬉しかったんです。なじむというか。オススメしたい色です。

WWD:パッケージやビジュアルにも思入れがあると聞きました。

島崎:ブランド名「ミラー」をはじめ、「今なら、何色にもなれる。」といったタグライン。これが出ればいいなと思って。水色は好きで、水色を使ってうまく表現できていると思います。ビジュアルの衣装は、これまでもお付き合いのある、「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」さんにお願いしました。

WWD:普段のコスメについてお聞きしたいのですが。どんなコスメが好きですか?

島崎:韓国コスメが好きですね。美容成分がたっぷり入っていたり、肌に良さそうなイメージがあります。固定観念ですけど(笑)。普段はネットで買ったり、韓国で買ったりもします。ユーチューブでも多く紹介しています。チーク、シャドウも今は、オレンジブラウンが好きかなあ。メイクは、自己流ですね。ユーチューブは楽しいですし、これからも続けていきます。

WWD:コスメをテーマにしたドラマにも出演されていましたね。

島崎:お話いただいて嬉しかったです。今回の役はどこか自分に通じる部分があったんです。たとえば、それこそ今は艶感がでる肌が流行っているのに、ドラマの中の私は「セミマットでいく」というんです。

ただコスメのブランド名や商品名はカタカナが多いじゃないですか。それが大変でした。発音がうまくいかなくて……何度も言い直しました(笑)

ターニングポイントの「今」、なんでもやってみよう

WWD:人生における転機、ターニングポイントはありましたか?

島崎:“今”ですね。楽しくなってきました。少しずつ、自分がやりたいことだったり、いろんな興味がわいてきて。そのために勉強しよう!って。

WWD:例えば何を勉強されているのですか?

島崎:今、アジアの作品に出たくて、韓国語を勉強しています。独学で教科書を使っているんですが、集中して覚えたら、次は中国語を学びたい。時間とお金があれば、現地に行って覚えたいですね。

WWD:自分の中の信念はありますか?

島崎:仕事では、最近ですが楽しむようにしています。楽しむ90%、残りの10%が冒険です。これまで自分が、それはどうかなあ?と思うことに対しては後ろ向きで絶対できないと思っていたんです。でも、やってみる、経験する、勉強する、など、ちょっと勇気をだしてみようと。

元々自分の中で苦手意識があったことにも積極的に挑戦してみよう。せっかくお話いただいたんだから、やれることは全部やってみようと。昨年まではバラエティーもあまり出てなかったんですが、今年から挑戦しています。今回のコスメもその一つだと思います。

WWD:それは何か心境の変化があったのですか?

島崎:昨年1年間、自分は何がしたいのか、考える時間だったんです。(26歳という)年齢的にもこれから何をしていきたいのか自問自答していく中で、「アジア」というのはすぐにあったんですが、それ以外で、日本でというのが見当たらなくて……。ならば求められていること全部やってみて、それでさらに求められることをやれたらと。

WWD:なるほど。そういったやれることを続けていく中で、将来の夢は?

島崎:ネットフリックスとか映画、世界で見られるような作品に出たいなあと思っています。

The post 島崎遥香が今、こだわることとは? コスメブランド「ミラー」でリップをディレクション appeared first on WWDJAPAN.com.

ショーに熱狂した「ターク」とホラーな「ダブレット」がベスト 21年春夏・東コレトーク!前編

 2021年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が10月12日に開幕しました。17日までの6日間、約40のブランドがリアルショーやデジタルプレゼンテーションなど工夫を凝らした方法で最新コレクションを披露します。ここでは「RTFW」の取材班が“東コレトーク”と題して、印象に残ったブランドをざっくりプレイバック。東京ファッション・ウィークの取材経験者である2人の先輩記者と、今シーズンから取材班に加わった新米記者が、面白かったブランドについて語り合います。今回は初日から3日目までをお届け!

冬景色から真夏の海に切り替わる「タクタク」で爽快に

大塚千践「WWDジャパン」デスク:さあ、1年ぶりの東京ファッション・ウイークがいよいよ始まったよ。今回は10月12~14日の前半3日間を振り返りたいと思います。それぞれが印象に残った3ブランドを中心に話していましょうか。まずは僕から一つ。初日で開幕を飾った「タクタク(TAC:TAC)」がめちゃよくなかった?コレクションテーマと直結する演出で、爽やかな気分になる映像だった。

美濃島匡「WWDジャパン」記者:春夏なのに雪が降る冬景色にびっくりしましたが、パネルが外れて画面いっぱいに海が広がる演出が爽快でした。

大杉真心「WWDジャパン」記者:プレスノートには「Under the winter sky, everyone longed for their seaside」というタイトルがあり、“冬空の下では誰もが夏の海辺が恋しくなる”というようなメッセージが添えられていましたね。普段からレイヤードはベースにありますが、今シーズンはいつもと違う違和感を覚えました。なんでだろう?

大塚:重衣料に軽い素材を、逆に軽衣料に思い素材を使っていたのがその違和感の正体かも。このコートなんか重そうだけど、よく見るとスケスケだし。

大杉:なるほど!そうかもしれません。あとはグラデーションが綺麗だった。デニムかと思ったら先がどんどん薄くなっていくパンツなど、爽やかだけど、どこか冬の寂しさを連想させる洋服が好みでした。

「リト」は服よりも美術に目がいっちゃう?

大杉:表現の面白さで言えば「リト(RITO)」も印象的でした。白い背景に木のオブジェを置いたナチュラルなロケーションだけど、アクリル製のボックスなど人工的な美術もあって、アート感がにじんでいました。

大塚:そもそも木のオブジェがすごい存在感だったよね。ルックも同じシチュエーションで撮影されていたけど、オブジェの強さの方に目がいってしまうのもいくつかあった。

美濃島:映像は途中に白黒のシーンを織り交ぜるなど、細かいギミックも効いていました。尺は4分と長くないですが、ストーリー性が無い分こういった工夫が必要ですよね。

大塚:これはムービーありきのルックで連動性があったけど、逆に「ルックのおまけで撮影しました」って感じ映像って結構バレバレだよね。デジタル表現に慣れてきたから、視聴者の目も確実に肥えてきてる。今後もデジタル表現はある程度継続していくものだと思うけど、構想を練った映像でないと見てもらえないかも。

大杉:嶋川美也子デザイナーは、長年ラグジュアリーブランドに向けてテキスタイルデザインを手掛けてきた人。上質な素材へのこだわりが強く、映像からでも素材のよさ、軽やかさが伝わってきたました。

リアルショー1発目の「ターク」がすごかった

美濃島:僕が感動したのは「ターク(TAAKK)」です。初日の16時に、リアルショー1発目として新宿御苑の大温室でコレクションを披露したのですが、花のグラフィックやミントグレーのカラーリングなど、ボタニカルなモチーフが映える抜群のロケーションで、見ていてとても気分が上がりました。特に目立っていたユリのグラフィックは、外出自粛中に自宅のプリンターでプリントしたものだそうです。

大塚:「ターク」は20年春夏の“地球を着る”で手応えをつかんで、森川拓野デザイナーが環境を意識したクリエイションに独自のアプローチで取り組んでいるんだけど、花の転写プリントなんかはまさにそれだね。

大杉:すごくいいロケーションでしたよね。東京でも、こんな素敵な場所でショーが開けるんだ!という驚きがありました。森川デザイナーは前シーズンにも新宿御苑でショーを開きたいという思いがあったと聞いていたので実現して良かったですね。

大塚:音楽もディズニーランドのジャンクルクルーズっぽくて、場所にマッチしてた。森川デザイナーは自粛中にブランドの強さを改めて考えて、「素材こそが強みだ」と再認識したみたい。だけどこれ見よがしにアピールするんじゃなくて、見た目のインパクトだけに頼らず、よく見るとすごくヘンタイなバランスを重視してる。今回はそのバランスの良さが際立ったコレクションだったね。

弩級ロックにしびれた「リンシュウ」

美濃島:普段はパリ・メンズに参加する「リンシュウ(RYNSHU)」は初めて見ましたけど、超ロックなスタイルでインパクトありました。

大杉:タイトシルエットのテーラードジャケットやブルゾンをラメ入りのパイソン柄や黒いスパンコールなどで彩った洋服は、舞台衣装のようにキラキラでギラギラですね。

美濃島:でもその存在感に違和感はなくて、すんなり心に入ってくるんです。会場となった白金台の結婚式場「八芳園」の大広間という豪華なロケーションも良かったのかも。会場には20-21年秋冬で発表した香水“RYNSHU 1217”の香りが漂っていました。

大塚:衣装っぽいけど、それで一時代を築いてるからね。いつもと変わらず超ロックでシャープなスタイルなんだけど、少しカジュアルになったというか、ちょっと今っぽくなった印象でした。東京で見られるのは本当にレアだから、フロントローで見られた美濃島くんはいい経験をしたね。

「ダブレット」はゾンビだけじゃなくアーカイブも“復活”させていた

大塚:ホラー映画のような演出とルックで話題をさらった「ダブレット(DOUBLET)」も外せない。あの映像、実はその日に撮影・編集したもので鬼のスケジュールだったんだけど、特殊メイクや演出にこだわりすぎて、撮影も押せ押せだったんだよね(笑)。

美濃島:あれ当日に作られた映像だったんですね!現場はピリついたんじゃないですか?

大塚:むしろ、そのギリギリ感をスタッフ全員が楽しんでいて、モデルたちもずっと明るい表情だった。リアルイベントが久しぶりで、その喜びに浸っていたのかも。

大杉:どのルックもすごく怖かったんですが、メイクはどなたが担当されたんですか?

大塚:本格的なゾンビメイクも手掛ける特殊メイクチームが担当していました。「悪魔のいけにえ」や「シャイニング」、「ストレンジャーシングス」といったホラー映画や作品をオマージュしていたんだって。

大杉:コレクションでは、過去のシーズンのアイテムもリミックスしてましたよね?胸元にナプキンが入ったシャツは20年秋冬でも見たような気がします。あと韓国のブランド「ロク(ROKH)」とのコラボアイテムも出てて気になりました。

大塚:そうそう、よく気づいたね!コレクションを作るとき、「数シーズンで古くなっちゃうクリエイションって今っぽくないよね」ということで、新作を7割、アーカイブを3割組み合わせたコレクションになったそう。

美濃島:ゾンビとかけて、アーカイブもランウエイに“復活”させちゃったんですね!最後の井野将之デザイナーが襲われるシーンと、ブルーのシャツを着たモデルのやけにリアルな動きには少しギョっとしました。

大塚:ブルーのシャツの彼は唯一の役者さんで、その場にいたスタッフもそのときだけは笑顔がひきつるぐらい怖かったよ(笑)。

削ぎ落とされた上質さ 「ザ・リラクス」に変化

大杉:上質な素材と綺麗なシルエットが光る「ザ・リラクス(THE RERACS)」は、無観客ショーで洋服をストレートに見せる映像がよかったですね。

美濃島:アイテムのクオリティの低いブランドがこれをやると事故しちゃう危険性もありますが、「ザ・リラクス」にはぴったりのアプローチでしたね。海外コレクションでは「ルメール(LEMAIRE)」などがこの手法で披露していました。大杉さんと大塚さんは後日展示会にも行っていましたが、いかがでしたか?

大塚:ルックは削ぎ落とされすぎててプロダクトっぽい固さを感じたんだけど、展示会でみると1点1点に抜け感があって、柔らかい。そのギャップが面白かったです。

美濃島:へー。プロダクト感をスタイリングで打ち消した「ミーンズワイル」とは真逆ですね。いつもはブランドロゴをあしらったピンバッジが付いていますが、今回は見当たりませんでした。

大杉:実はこのシーズンからロゴを刷新して、服に付けてきたピンバッジもなくしたそうです。ブランド11年目に突入するということで、変化のシーズンなんです。裏テーマはトランスフォーメーションを意味する“X”になっているそう。バッグも初めて登場しました。

見せ方のセンスが光る「カイキ」

大杉:「カイキ(KAIKI)」は1分にも満たないムービーでしたが、すごく引き込まれました。ルックのついでに撮影したような裏舞台感を感じましたが、それもよかったです。

大塚:僕はしっかりと作り込んだ映像だなという印象を受けました。シャッターを切るシーンで始まったり、最後にロゴに寄って終わったり。ありがちかもしれないけど、テンポがよくてすごく楽しく見られた。

美濃島:ルックも含め、見せ方がうまいデザイナーさんですね。リアルショーへの意欲もあるとのことなので、開催する際はぜひ見てみたいです。

大杉:今シーズンは、これまでさまざまな理由で使用しなかった素材やアイデアを採用していて、一見プリーツにも見えるシワ加工や縮率の違う糸を使用して立体的にしたジャカードなど、クシャっとなる素材を多く使用したそう。デザイナーの飯尾開毅さんが自分自身で着たいと思うメンズを数型作っていて、彼の柔らかなキャラクターをそのまま投影した洋服に親近感を覚えました。

大塚:デザイナー自身が着たいと思う服って、やっぱりいいんだよね。今後のメンズの動向も気になります。

「ユウキハシモト」がDHLとの入念な仕掛けで魅せる

美濃島:「ユウキハシモト(YUKI HASHIMOTO)」は若い世代が好きそうなグラフィックやロゴ使いが光りました。DHLとコラボしていて、黄色と赤のコーポレートカラーを多用していたり、ロゴを効果的に差し込んだりしてよりキャッチーなコレクションになっていました。

大杉:大杉:ショーが行われたのは表参道ヒルズのイベントスペース「スペース オー」。ショーの運営スタッフがDHLとのコラボTシャツを着用していたり、ショー後には同じ館のショップでこのTシャツを販売したりと、立体的なプロモーションを行っていたのが面白かった。DHLデザイナーアワードを受賞していたそうで、3月に実現できなかった企画をこうして深みを出しているのがいいと思いました。DHLもデザイナーとの取り組みに柔軟に対応しているところが素晴らしい。

大塚:カルチャー好きな若い子がたくさん来場していて、そこにリーチできるのは強みだなと思った。でも、もうちょっと引き算を覚えたら、より洗練されていくポテンシャルはあるかも。

美濃島:大塚さんはどんなクリエイションを期待してるんですか?

大塚:例えばモチーフやディテール使いに今っぽさはあるんだけど、ややトゥーマッチかなと思った。デ全体的にミニマルな方向性が好きそうだから、余計にそこが際立ったのかも。もっと要素を絞ったクリエイションも見てみたいです。

美濃島:なるほど。さらなる進化に期待が高まりますね。

ショーの醍醐味が詰まった「ミーンズワイル」

大塚:3日目ラストの「ミーンズワイル(MEANSWHILE)」はアスレチックのようなセットとアーバンアウトドアなコレクションの空気感がぴったりで、地力の高さを感じた。

大杉:もともとアウトドアやミリタリーがベースのブランドですが、時代の空気を反映してかいつもよりプロテクト感が強かったです。“服は衣装ではなく、道具である”というブランドコンセプトの通り、部分使いできるアームウォーマーやレッグウォーマー、ポンチョのように着られるラグなど、ギア感のあるアイテムが目を引きました。

大塚:似たテイストのブランドって少なくないんだけど、服部昌孝さんのスタイリングの妙なのか、ルックがすごく格好良くて頭一つ抜けた感じがあった。トップスをスーパーレイヤードしてボリュームを出したり、インナーの絶妙な覗かせ方だったりと、よく見ないと気づかないような技がたくさん散りばめられてた。

美濃島:演出含めてかっこよかったのですが、個人的には色が暗いなと思いました。ルックも多かったですがほとんど無地だったので、色や柄で春夏らしい軽さを出してくれたらぐっと奥行きが生まれそうだなと思いました。

大塚:3月のショーが中止になったこともあって、秋冬のアイテムも混ぜてたのかもしれないね。セットにモデル、スタイリスト、音楽との合わせ技で、道具っぽい服とスタイルとして見せられるショーならではの醍醐味が詰まってました。

鼎談を終えて

美濃島:リアルからデジタルまで幅広いブランドが出ました。個人的なベストは「ターク」ですが、お二人はいかがですか?

大塚:僕は「ダブレット」かな。

大杉:私もその二つが強く残ってますね。

美濃島:ベストの意味がないじゃないですか(笑)。

大塚:あと「タクタク」もよかった。デジタルで短い映像なんだけど、リアルに負けない印象を与えてくれてたし、とにかく演出が気持ち良かった。

美濃島:難しく考えなくても「これ、いいな」と思える映像でしたね。その気持ち良さを喚起できるかどうかが重要で、リアルショーもデジタルもあくまでそのツール。そこに垣根はないんだなと痛感させられました。

大杉:リアルに固執するだけでは新しさを生み出せないし、デジタルも上手く活用すればリアル以上にメッセージを伝えられる。面白いですね。東コレ後半も、デジタルとリアル両方をカバーしながら取材を進めていきましょう!

The post ショーに熱狂した「ターク」とホラーな「ダブレット」がベスト 21年春夏・東コレトーク!前編 appeared first on WWDJAPAN.com.

ショーに熱狂した「ターク」とホラーな「ダブレット」がベスト 21年春夏・東コレトーク!前編

 2021年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が10月12日に開幕しました。17日までの6日間、約40のブランドがリアルショーやデジタルプレゼンテーションなど工夫を凝らした方法で最新コレクションを披露します。ここでは「RTFW」の取材班が“東コレトーク”と題して、印象に残ったブランドをざっくりプレイバック。東京ファッション・ウィークの取材経験者である2人の先輩記者と、今シーズンから取材班に加わった新米記者が、面白かったブランドについて語り合います。今回は初日から3日目までをお届け!

冬景色から真夏の海に切り替わる「タクタク」で爽快に

大塚千践「WWDジャパン」デスク:さあ、1年ぶりの東京ファッション・ウイークがいよいよ始まったよ。今回は10月12~14日の前半3日間を振り返りたいと思います。それぞれが印象に残った3ブランドを中心に話していましょうか。まずは僕から一つ。初日で開幕を飾った「タクタク(TAC:TAC)」がめちゃよくなかった?コレクションテーマと直結する演出で、爽やかな気分になる映像だった。

美濃島匡「WWDジャパン」記者:春夏なのに雪が降る冬景色にびっくりしましたが、パネルが外れて画面いっぱいに海が広がる演出が爽快でした。

大杉真心「WWDジャパン」記者:プレスノートには「Under the winter sky, everyone longed for their seaside」というタイトルがあり、“冬空の下では誰もが夏の海辺が恋しくなる”というようなメッセージが添えられていましたね。普段からレイヤードはベースにありますが、今シーズンはいつもと違う違和感を覚えました。なんでだろう?

大塚:重衣料に軽い素材を、逆に軽衣料に思い素材を使っていたのがその違和感の正体かも。このコートなんか重そうだけど、よく見るとスケスケだし。

大杉:なるほど!そうかもしれません。あとはグラデーションが綺麗だった。デニムかと思ったら先がどんどん薄くなっていくパンツなど、爽やかだけど、どこか冬の寂しさを連想させる洋服が好みでした。

「リト」は服よりも美術に目がいっちゃう?

大杉:表現の面白さで言えば「リト(RITO)」も印象的でした。白い背景に木のオブジェを置いたナチュラルなロケーションだけど、アクリル製のボックスなど人工的な美術もあって、アート感がにじんでいました。

大塚:そもそも木のオブジェがすごい存在感だったよね。ルックも同じシチュエーションで撮影されていたけど、オブジェの強さの方に目がいってしまうのもいくつかあった。

美濃島:映像は途中に白黒のシーンを織り交ぜるなど、細かいギミックも効いていました。尺は4分と長くないですが、ストーリー性が無い分こういった工夫が必要ですよね。

大塚:これはムービーありきのルックで連動性があったけど、逆に「ルックのおまけで撮影しました」って感じ映像って結構バレバレだよね。デジタル表現に慣れてきたから、視聴者の目も確実に肥えてきてる。今後もデジタル表現はある程度継続していくものだと思うけど、構想を練った映像でないと見てもらえないかも。

大杉:嶋川美也子デザイナーは、長年ラグジュアリーブランドに向けてテキスタイルデザインを手掛けてきた人。上質な素材へのこだわりが強く、映像からでも素材のよさ、軽やかさが伝わってきたました。

リアルショー1発目の「ターク」がすごかった

美濃島:僕が感動したのは「ターク(TAAKK)」です。初日の16時に、リアルショー1発目として新宿御苑の大温室でコレクションを披露したのですが、花のグラフィックやミントグレーのカラーリングなど、ボタニカルなモチーフが映える抜群のロケーションで、見ていてとても気分が上がりました。特に目立っていたユリのグラフィックは、外出自粛中に自宅のプリンターでプリントしたものだそうです。

大塚:「ターク」は20年春夏の“地球を着る”で手応えをつかんで、森川拓野デザイナーが環境を意識したクリエイションに独自のアプローチで取り組んでいるんだけど、花の転写プリントなんかはまさにそれだね。

大杉:すごくいいロケーションでしたよね。東京でも、こんな素敵な場所でショーが開けるんだ!という驚きがありました。森川デザイナーは前シーズンにも新宿御苑でショーを開きたいという思いがあったと聞いていたので実現して良かったですね。

大塚:音楽もディズニーランドのジャンクルクルーズっぽくて、場所にマッチしてた。森川デザイナーは自粛中にブランドの強さを改めて考えて、「素材こそが強みだ」と再認識したみたい。だけどこれ見よがしにアピールするんじゃなくて、見た目のインパクトだけに頼らず、よく見るとすごくヘンタイなバランスを重視してる。今回はそのバランスの良さが際立ったコレクションだったね。

弩級ロックにしびれた「リンシュウ」

美濃島:普段はパリ・メンズに参加する「リンシュウ(RYNSHU)」は初めて見ましたけど、超ロックなスタイルでインパクトありました。

大杉:タイトシルエットのテーラードジャケットやブルゾンをラメ入りのパイソン柄や黒いスパンコールなどで彩った洋服は、舞台衣装のようにキラキラでギラギラですね。

美濃島:でもその存在感に違和感はなくて、すんなり心に入ってくるんです。会場となった白金台の結婚式場「八芳園」の大広間という豪華なロケーションも良かったのかも。会場には20-21年秋冬で発表した香水“RYNSHU 1217”の香りが漂っていました。

大塚:衣装っぽいけど、それで一時代を築いてるからね。いつもと変わらず超ロックでシャープなスタイルなんだけど、少しカジュアルになったというか、ちょっと今っぽくなった印象でした。東京で見られるのは本当にレアだから、フロントローで見られた美濃島くんはいい経験をしたね。

「ダブレット」はゾンビだけじゃなくアーカイブも“復活”させていた

大塚:ホラー映画のような演出とルックで話題をさらった「ダブレット(DOUBLET)」も外せない。あの映像、実はその日に撮影・編集したもので鬼のスケジュールだったんだけど、特殊メイクや演出にこだわりすぎて、撮影も押せ押せだったんだよね(笑)。

美濃島:あれ当日に作られた映像だったんですね!現場はピリついたんじゃないですか?

大塚:むしろ、そのギリギリ感をスタッフ全員が楽しんでいて、モデルたちもずっと明るい表情だった。リアルイベントが久しぶりで、その喜びに浸っていたのかも。

大杉:どのルックもすごく怖かったんですが、メイクはどなたが担当されたんですか?

大塚:本格的なゾンビメイクも手掛ける特殊メイクチームが担当していました。「悪魔のいけにえ」や「シャイニング」、「ストレンジャーシングス」といったホラー映画や作品をオマージュしていたんだって。

大杉:コレクションでは、過去のシーズンのアイテムもリミックスしてましたよね?胸元にナプキンが入ったシャツは20年秋冬でも見たような気がします。あと韓国のブランド「ロク(ROKH)」とのコラボアイテムも出てて気になりました。

大塚:そうそう、よく気づいたね!コレクションを作るとき、「数シーズンで古くなっちゃうクリエイションって今っぽくないよね」ということで、新作を7割、アーカイブを3割組み合わせたコレクションになったそう。

美濃島:ゾンビとかけて、アーカイブもランウエイに“復活”させちゃったんですね!最後の井野将之デザイナーが襲われるシーンと、ブルーのシャツを着たモデルのやけにリアルな動きには少しギョっとしました。

大塚:ブルーのシャツの彼は唯一の役者さんで、その場にいたスタッフもそのときだけは笑顔がひきつるぐらい怖かったよ(笑)。

削ぎ落とされた上質さ 「ザ・リラクス」に変化

大杉:上質な素材と綺麗なシルエットが光る「ザ・リラクス(THE RERACS)」は、無観客ショーで洋服をストレートに見せる映像がよかったですね。

美濃島:アイテムのクオリティの低いブランドがこれをやると事故しちゃう危険性もありますが、「ザ・リラクス」にはぴったりのアプローチでしたね。海外コレクションでは「ルメール(LEMAIRE)」などがこの手法で披露していました。大杉さんと大塚さんは後日展示会にも行っていましたが、いかがでしたか?

大塚:ルックは削ぎ落とされすぎててプロダクトっぽい固さを感じたんだけど、展示会でみると1点1点に抜け感があって、柔らかい。そのギャップが面白かったです。

美濃島:へー。プロダクト感をスタイリングで打ち消した「ミーンズワイル」とは真逆ですね。いつもはブランドロゴをあしらったピンバッジが付いていますが、今回は見当たりませんでした。

大杉:実はこのシーズンからロゴを刷新して、服に付けてきたピンバッジもなくしたそうです。ブランド11年目に突入するということで、変化のシーズンなんです。裏テーマはトランスフォーメーションを意味する“X”になっているそう。バッグも初めて登場しました。

見せ方のセンスが光る「カイキ」

大杉:「カイキ(KAIKI)」は1分にも満たないムービーでしたが、すごく引き込まれました。ルックのついでに撮影したような裏舞台感を感じましたが、それもよかったです。

大塚:僕はしっかりと作り込んだ映像だなという印象を受けました。シャッターを切るシーンで始まったり、最後にロゴに寄って終わったり。ありがちかもしれないけど、テンポがよくてすごく楽しく見られた。

美濃島:ルックも含め、見せ方がうまいデザイナーさんですね。リアルショーへの意欲もあるとのことなので、開催する際はぜひ見てみたいです。

大杉:今シーズンは、これまでさまざまな理由で使用しなかった素材やアイデアを採用していて、一見プリーツにも見えるシワ加工や縮率の違う糸を使用して立体的にしたジャカードなど、クシャっとなる素材を多く使用したそう。デザイナーの飯尾開毅さんが自分自身で着たいと思うメンズを数型作っていて、彼の柔らかなキャラクターをそのまま投影した洋服に親近感を覚えました。

大塚:デザイナー自身が着たいと思う服って、やっぱりいいんだよね。今後のメンズの動向も気になります。

「ユウキハシモト」がDHLとの入念な仕掛けで魅せる

美濃島:「ユウキハシモト(YUKI HASHIMOTO)」は若い世代が好きそうなグラフィックやロゴ使いが光りました。DHLとコラボしていて、黄色と赤のコーポレートカラーを多用していたり、ロゴを効果的に差し込んだりしてよりキャッチーなコレクションになっていました。

大杉:大杉:ショーが行われたのは表参道ヒルズのイベントスペース「スペース オー」。ショーの運営スタッフがDHLとのコラボTシャツを着用していたり、ショー後には同じ館のショップでこのTシャツを販売したりと、立体的なプロモーションを行っていたのが面白かった。DHLデザイナーアワードを受賞していたそうで、3月に実現できなかった企画をこうして深みを出しているのがいいと思いました。DHLもデザイナーとの取り組みに柔軟に対応しているところが素晴らしい。

大塚:カルチャー好きな若い子がたくさん来場していて、そこにリーチできるのは強みだなと思った。でも、もうちょっと引き算を覚えたら、より洗練されていくポテンシャルはあるかも。

美濃島:大塚さんはどんなクリエイションを期待してるんですか?

大塚:例えばモチーフやディテール使いに今っぽさはあるんだけど、ややトゥーマッチかなと思った。デ全体的にミニマルな方向性が好きそうだから、余計にそこが際立ったのかも。もっと要素を絞ったクリエイションも見てみたいです。

美濃島:なるほど。さらなる進化に期待が高まりますね。

ショーの醍醐味が詰まった「ミーンズワイル」

大塚:3日目ラストの「ミーンズワイル(MEANSWHILE)」はアスレチックのようなセットとアーバンアウトドアなコレクションの空気感がぴったりで、地力の高さを感じた。

大杉:もともとアウトドアやミリタリーがベースのブランドですが、時代の空気を反映してかいつもよりプロテクト感が強かったです。“服は衣装ではなく、道具である”というブランドコンセプトの通り、部分使いできるアームウォーマーやレッグウォーマー、ポンチョのように着られるラグなど、ギア感のあるアイテムが目を引きました。

大塚:似たテイストのブランドって少なくないんだけど、服部昌孝さんのスタイリングの妙なのか、ルックがすごく格好良くて頭一つ抜けた感じがあった。トップスをスーパーレイヤードしてボリュームを出したり、インナーの絶妙な覗かせ方だったりと、よく見ないと気づかないような技がたくさん散りばめられてた。

美濃島:演出含めてかっこよかったのですが、個人的には色が暗いなと思いました。ルックも多かったですがほとんど無地だったので、色や柄で春夏らしい軽さを出してくれたらぐっと奥行きが生まれそうだなと思いました。

大塚:3月のショーが中止になったこともあって、秋冬のアイテムも混ぜてたのかもしれないね。セットにモデル、スタイリスト、音楽との合わせ技で、道具っぽい服とスタイルとして見せられるショーならではの醍醐味が詰まってました。

鼎談を終えて

美濃島:リアルからデジタルまで幅広いブランドが出ました。個人的なベストは「ターク」ですが、お二人はいかがですか?

大塚:僕は「ダブレット」かな。

大杉:私もその二つが強く残ってますね。

美濃島:ベストの意味がないじゃないですか(笑)。

大塚:あと「タクタク」もよかった。デジタルで短い映像なんだけど、リアルに負けない印象を与えてくれてたし、とにかく演出が気持ち良かった。

美濃島:難しく考えなくても「これ、いいな」と思える映像でしたね。その気持ち良さを喚起できるかどうかが重要で、リアルショーもデジタルもあくまでそのツール。そこに垣根はないんだなと痛感させられました。

大杉:リアルに固執するだけでは新しさを生み出せないし、デジタルも上手く活用すればリアル以上にメッセージを伝えられる。面白いですね。東コレ後半も、デジタルとリアル両方をカバーしながら取材を進めていきましょう!

The post ショーに熱狂した「ターク」とホラーな「ダブレット」がベスト 21年春夏・東コレトーク!前編 appeared first on WWDJAPAN.com.

ファムメディコが三越伊勢丹HDスタッフに向け女性疾患の知識を学ぶセミナー 「症状が出てからではもう手遅れ」

 現代女性の健康問題の解決を目的にする医療コンサルディング会社、ファムメディコ(FEMMES MEDICAUX)は10月10日、三越伊勢丹ホールディングスのスタッフに向けて、女性特有の疾患と検査について知識を高めるセミナーを行った。

 セミナーでは、ファムメディコが提唱する女性の疾患率・死亡率の高い子宮がん、大腸がん、乳がんの検診を備えた「YOU検診」の紹介をはじめ、細胞診専門医・医学博士の上坊敏子(相模野病院婦人科腫瘍センター顧問)が疾患の特徴と検査方法について解説した。オンライン会議ツールのZoomを使用し、伊勢丹新宿本店の社員とテナントスタッフを含む約50人が参加した。

 ファムメディコによると現代女性が最も気を付けるべき3つの疾患部位は、子宮・卵巣、大腸、乳房とされている。子宮内膜症は20~40代女性の10人に1人が、子宮筋腫は3人に1人が発症しており、内膜症や筋腫は不妊症に、卵巣嚢腫(のうしゅ)は卵巣がんに発展することもある。大腸がんは女性の死因の1位である、40〜50代に多く発症。乳がんは年間9万人が発症し、部位別では女性の罹患率1位になっている。30代から急増し、40代が発症のピークだ。

“取り返しがつかなくなる前に”
検診の重要さを伝える

 上坊博士は現在女性に増えている疾患の特徴や検査方法などを説明。月経痛とPMS(月経前症候群)については、「月経痛やPMSが辛かったら早めに鎮痛剤やピルの力を借りてください。飲むのは罪悪ではありません。これらはQOL(生活の質)の低下、社会的活動にも影響を及ぼします。月経痛は低容量ピル以外にも漢方薬なども処方できるので、婦人科の先生に相談してみてください。また月経痛に悩んでいる方には子宮内膜症や子宮線筋症という疾患が見つかる場合もあります」と話した。

 検診については「受けてこなかった人に理由を聞くと『時間がない、費用がかかるから』ということをいう方がいますが、症状が出てからではもう手遅れ。それから、どんなに時間とお金を使っても取り返しがつかないですよ」と検診の重要さを伝えた。

ピルの服用以外のPMSや生理痛対処法は?

 参加者との質疑応答では、「子宮筋腫がある人が食事や生活で気をつけたほうがいいことは?」という質問に「何を食べたから、何をしたからといって大きくなるということはありません。よく、『子宮筋腫は筋肉の腫瘍だからお肉を食べるとなりますか?』ということを聞く方もいますが絶対にありませんので、お肉は普通に食べていただいて大丈夫です。ただ、筋腫があると月経量が多くなり、貧血になりやすくなるため、鉄分が豊富な食事を摂取するように意識することは大事です」と回答。

 また「ピルの服用以外のPMSや生理痛対処法があれば教えてください」という質問については、「月経痛は漢方薬などピル以外のホルモン治療があります。特に子宮の中にホルモンを出すタイプのミレーナは体内に入れると5年間、生理がほとんどなくなり、非常に楽になったという声もあります。しかし、入れることができない人や、適していない方もいますので婦人科の先生に相談していただけたらと思います。PMSについてはピルが非常によく効くので、ピルを飲み続けられるのがいいと思います。しかし、妊娠を希望しているなどピルを辞めざるを得ない人は漢方薬を処方することもできます」と答えた。

 ファムメディコは薬剤師で、医療コンサルタントとしてのキャリアを持つ佐々木彩華社長が立ち上げた医療コンサルティング会社。現代女性の健康問題解決を目的に、企業を対象に社内で働く女性に向けたセミナーのほか、企業に向けた健康経営のサポート、クリニックへの医療コンサルティング、女性特有の疾患に向けた商品の企画開発、調査・研究サポートを行っている。2021年春には東京・丸の内にレディースクリニックを開く計画。11月からは三菱治所の「まるのうち保健室」と取り組み、丸の内で勤める女性たちに向けた研修を行っていく予定。今後も働く女性の環境や制度を整えて「YOU検診」を推進する参加企業を募っていく。

The post ファムメディコが三越伊勢丹HDスタッフに向け女性疾患の知識を学ぶセミナー 「症状が出てからではもう手遅れ」 appeared first on WWDJAPAN.com.

コロナ決算に見るオンワードと三陽商会の瀬戸際と再生 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。大手アパレルの2020年3〜8月期決算が発表された。コロナ禍で再建を進めるオンワードホールディングスと三陽商会に焦点をあてる。

 三陽商会は10月6日、オンワードホールディングス(HD)は9日、2021年2月期の中間(第2四半期)決算と通期見通しを発表したが、そこには軽視できない経営リスクが現れていた。レナウンなき後、大手アパレルが追い詰められ百貨店離れが加速すれば、百貨店の閉店も加速して百貨店業界も共倒れするという最悪のシナリオが現実味を帯びてきた。両社の中間決算と通期見通しを検証し、再生への道筋を投げかけてみたい。

四重苦ですり減ったオンワードの財力

 オンワードHDの2021年2月期第2四半期(3〜8月)決算はコロナ禍の百貨店長期休業と営業再開後の売り上げ回復の鈍さに直撃され、売り上げは805億8500万円と前年同期から32.0%減少して114億8700万円の営業赤字、151億8800万円の純損失を計上。純資産は20年2月期末の940億3600万円から677億8700万円と262億4900万円も減少し、ピークだった15年2月期の1853億1500万円の46.1%まで目減りしてしまった。

 純資産の減少要因は親会社株主に帰属する四半期純損失151億8800万円に加え、配当金32億4000万円、会計方針変更による期首剰余金の減少100億1100万円を有価証券評価差益の増加21億9100万円が相殺した結果と説明しているが、前期までの会計処理で持ち越された損失も加わったと推察される。

 決算書を見る限り、ピークの15年2月期から今中間期までに失われた純資産1175億2800万円のうちコロナ禍によるものは129億3000万円(営業損失114億8700万円+臨時休業損失32億5400万円−雇用調整助成金18億1100万円)ほどで、百貨店販路の衰退による営業損失と店舗撤退減損がその倍強、あとは「ジル サンダー(JIL SANDER)」など欧米アパレルの買収や投資に関わるのれんや投資有価証券の減損と営業損失、自己株式の評価損失だったと推察される。オンワードHDは百貨店が衰退する中も積極的な投資や営業活動で業績を維持してきたが、リスクの大きい海外投資で資産をすり減らした。
百貨店からECへの転身にしても、18年3月の機構改革で支店在庫を全廃してECと一体の関東支店に在庫を集中するなど、後戻り困難なルビコンを渡っており、良くも悪くも自ら退路を断つ大胆さが指摘される。その決断で地方百貨店の命運が決まったことを思うと、百貨店に対する衣の下の鎧の極端な裏表には驚くほかはない。

オンワードHDの通期見通しと課題

 コロナ禍の上期売り上げでは、中核子会社オンワード樫山の百貨店が57.8%も減少してシェアが35.3%に落ち、EC売り上げが44.2%も伸びて39.3%とシェアが逆転。国内事業全体でも38%伸びて196億円9400万円に達したECが28.6%を占めてSCその他店舗販売の28.1%を僅差で上回り、百貨店は24.4%まで落ちた。とりわけ第1四半期(3〜5月)では瞬間風速とはいえ、百貨店売り上げが前年同期から71%、SCや駅ビルの売り上げが40%も落ち込む中、ECは50%も伸びて全社売り上げの45%に達し、オンワード樫山単体では45.8%に達した。コロナ禍の特殊事態とはいえ、ECと百貨店のシェアが逆転し、まだ何年もかかると見ていた「半分はECで売る」という目標がほぼ実現したインパクトは大きかった。

 下期は国内売り上げが前年比83.8%まで回復して855億6000万円、通期は同76.6%の1497億9400万円を予想。営業利益も下期は85億8100万円の黒字、通期でも5億6500万円の黒字になると見込んでいる。しかるに海外売り上げは下期も前年比77.2%の213億5500万円、通期も同71.5%の377億0600万円と回復が鈍く、営業利益は下期も55億3100万円の赤字予想で、通期は赤字が86億5100万円(連結営業赤字の96.7%!)に肥大する。結果、国内・海外合わせての通期連結売り上げは前期比75.5%の1875億円、89億4500万円の営業損失、86億円の当期純損失を予想している。ならば、単純計算では純資産は591億8700万円と600億円を割り込むことになる。

 国内事業は営業黒字に浮上しても海外事業の営業赤字が足を引っ張って連結損益が営業赤字になるという構図で、地域の明暗はあっても海外事業が業績回復のネックになりそうだ。失われた純資産1175億2800万円の恐らく半分近くは海外事業に起因するもので、今後も減損が発生するリスクを否定できない。

 前期と今期で百貨店内ショップを中心に1400店舗を撤退し、不採算の「23区 オム」を休止、「CKカルバン・クライン(CK CALVIN KLEIN)」の契約を終了するが、オンワード樫山の百貨店売り上げ比率は09年2月期の74.7%から20年2月期でも62.3%と大きくは下がっておらず、ECだけで大量退店による百貨店売り上げの急激な減少を埋めきれるものではない。21年2月期通期の国内EC売り上げは500億円を予想しておりECへの転換が加速するだろうが、百貨店顧客のEC取り込みはいずれ一巡するから、D2C※1.ブランドやショールーミングサロンによる新規顧客の獲得が急がれる。

 下期から出店を始め22年2月期中に数十店舗を布陣するというEC連動のブランド複合店舗「オンワード・クローゼット」は、主力百貨店ブランドに加えてD2Cブランドもそろえ、「お取り寄せ・お試し・受け取り」のC&C※2.利便を提供するショールーミングサロン業態と推察される。ならば、店在庫引き当てや店出荷、修理加工も出来る迅速かつ低コストなローカル物流体制が問われることになる。

 支店物流を切り捨ててEC軸で関東に集約した物流拠点だけでは全国各地の顧客に迅速なC&Cサービスは提供できないし、主力ブランドもいずれD2Cプライス(百貨店ブランドと同品質で5〜6掛け)に切り替えないと郊外やローカルで顧客を広げることはできない。百貨店内ショップも「オンワード・クローゼット」に集約して定期借家契約に切り替えれば、賃料負担を半減してお値打ちなD2Cプライスに統一できる。顧客の側に立った柔軟なOMO※3.マーケティングとローカル物流の確立が急がれるのではないか。

※1.D2C(Direct to Consumer)…ブランドメーカーが店舗やネットの小売業者を通さず、自社のサイトやショールーム、ポップアップストアで直販する販売形態
※2.C&C(Click&Collect)…ECから店舗に取り寄せて試したり受け取ったりする顧客利便サービス。一括配送の店舗物流を使うから送料無料で、店在庫を引き当てれば倉庫から出荷するより受け取りも早くなる。売り手にとっては顧客利便と在庫効率を高め物流費を抑制するOMO(ネットと店舗の融合)戦略
※3.OMO(Online Merges with Offline)…ネットと店舗の垣根を越えた融合を意味し、スマートフォンをキーツールとしてウェブルーミングとショールーミングを駆使するニューリテール戦略

コロナ禍のダメージが大きかった三陽商会

 三陽商会の21年2月期上半期(3〜8月)の売り上げは153億2800万円と前年同期から48.5%も減少して57億1200万円の営業赤字、66億4800万円の純損失を計上。純資産は20年2月期末の388億2200万円から313億7900万円と74億4300万円も減少し、15年2月期の651億4700万円の48.2%まで目減りした。

 コロナ禍でEC・通販売り上げが18.4%伸び、全社売り上げにおけるシェアも前期の12.7%から24.4%に伸びたが百貨店売り上げの4掛け強に過ぎず、ECが38%も伸びてシェアが28.6%に達し百貨店売り上げ(24.4%)逆転したオンワード(国内)とは比較すべくもない。長期休業で売り上げが半減したにもかかわらず百貨店売り上げシェアも前期の62.3%から56.9%にしか落ちておらず、コロナ禍に振り回されただけで販路の再構築は進まなかった。

 第1四半期(3〜5月)は百貨店の長期休業に直撃されて在庫が積み上がり、棚資産回転が469日と壊滅的に悪化したが、通常店舗のセールに加えてアウトレット店舗を9店舗増やすなどして在庫処分を進め、第2四半期では251日まで改善した。下期は新規調達を抑えて旧品(持ち越し品)40%、新規品60%の品ぞろえとし、建値消化率を45%から55%に、総消化率を70%から85%に高めて在庫処分を進め、今期中に160の不採算売り場を撤退して販売員500人を削減する。

 前期では建値消化率45%、総消化率70%だったということになり、期末に期中投入商品の30%が売れ残ったと受け取れる。三陽商会のように単価の高い重衣料中心の百貨店アパレルでは異例とはいえず、紳士既製服では30%前後が期末に売れ残って持ち越すのが常態化している。今や「正価」対比原価率が20%を切った百貨店アパレル商品にはお値打ち感は期待すべくもなく、重衣料比率が高く原価率の切り下げを進める三陽商会の原価率はさらに低いはずで、半年前後も前からの計画生産がほとんどでは需給対応もできないから、消化率はそんなものだろう。そんな実態のまま新規品の生産・投入を抑えても、消化率が大きく改善できるとは到底思えない。

三陽商会の通期見通しと課題

 21年2月期の通期連結業績は売り上げを380億円(前期は14カ月変則で688億6800万円)、営業損益を85億円の赤字、経常損益を96億円の赤字と予想し、旗艦店「ギンザ・タイムレス・エイト」の売却益67億円を補填して純損失を35億円にとどめるとしているが、これで5期連続の営業・経常赤字決算となる。在庫処分も終わるわけではなく、22年2月期へも在庫を持ち越して旧品20%、新規品80%の構成とし、在庫処分を続ける。

 重衣料比率の高い三陽商会は18年12月期でも174日と棚資産回転が異様に遅く、運転資金回転日数も112日と長く、年間売り上げ590億円にして運転資金を181億円も要していた。それがコロナ禍の20年3〜8月期では棚資産回転が251日(第1四半期では469日)、運転資金回転日数も231日(同334日)に伸び、必要運転資金は192億4000万円(同208億8000万円)まで肥大。純資産対比運転資金比率が61%を超え、有利子負債を40億円積み増している。

 三陽商会はそこまで商品財務が逼迫しても、純資産対比負債比率は41.4%と財務はまだ健全な範囲にあり、オンワードHDの129.4%(20年3〜8月期)、ワールドの119.0%(20年4〜6月期)よりは格段にゆとりがある。ワールドの買掛債務回転日数など200日に迫るから過剰在庫の処分を急ぐしかないが、コロナ禍の過剰在庫下でも買掛債務回転日数を前期の76.4日から56.6日へ短縮した三陽商会がそんなに在庫処分を急ぐ必要があるのだろうか。

 三陽商会の財務的余裕が「バーバリー(BURBERRY)」を失った後の戦略を手緩いものにして今日の苦境を招いたにしても、コロナ禍で後がない瀬戸際まで追い詰められたのだから、ようやく必死の巻き返しに転ずるかもしれない。それには上から目線の数値管理ではなく、自社の顧客と流通・販売、調達・生産背景の赤裸々な実態をつぶさに掌握する必要がある。三陽商会の本当の資産は高品質な国内自社生産体制とこれまで評価してくれた寛大な顧客であり、負債は無策な経営陣とコストに見合わない百貨店販路だった。この資産と負債の関係をリセットすれば三陽商会の未来は開ける。

お値打ちの復活以外に生き残る策はない

 オンワードも三陽商会もいかにECを拡大しても、法外な割高価格のままベタープライスブランドを販売するのは限界があり、お値打ちなD2Cプライスを実現して顧客を広げるしか生き残る術はない。その方策はただ一つ、百貨店内ショップを全て自社ブランド複合の大型店に統合し、定期借家契約に切り替えて賃料負担を半減し、その分、価格を切り下げてお値打ちを取り戻すことだ。百貨店側とて、主要な大手アパレルブランドにことごとく退店されては、地方店はもちろん都心店も営業の継続が難しくなるから、「ハイブリッド化」の一環として受け入れるしかないはずだ。定期借家テナントなら販売も在庫運用も自在だから、EC連携のO2O※4.もC&Cも堂々と進められる。

 加えて、三陽商会は財務的にまだ余裕があるのだから在庫処分を焦ってたたき売らず、通常店舗の品ぞろえに旧シーズン品をそのまま組み込む、あるいはリメイクして組み込むアーカイブMDを常套化することを提案したい。三陽商会の国内自社工場製品(に限る)は世界に誇れるラグジュアリー級の品質だから旧品もアーカイブ価値があり、たたき売らなくても売り続けられる。ライセンス契約が終わって市場から消えた「サンヨーバーバリー」や「バーバリー ブルーレーベル」がユーズドショップで人気アーカイブ商品になっていることを三陽商会の経営陣は知っているのだろうか。

 百貨店アパレル流通が長年にわたってロスとコストを価格と品質に転化してお値打ちを損ね顧客に離反され、コロナ禍でとことん行き詰まったのだから、商売のやり方もものづくりも価格設定も全部、ご破算にして組み直すしかない。何もかもが崩れてしまうならゼロから新たな秩序を組み上げても良いはずで、大手アパレルも百貨店も焦土からの再生を決意すべきだ。

※4.O2O(Online to Offline)…ネットで店舗や商品を選んで取り置いたりしてから店舗に行くのがウェブルーミング。店舗で商品を見てネットで情報を調べたりECで購入するのがショールーミング。両方を行き来するショッピング行動をO2Oという

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

The post コロナ決算に見るオンワードと三陽商会の瀬戸際と再生 小島健輔リポート appeared first on WWDJAPAN.com.

ファッション通信簿Vol.58 ネットフリックスで話題!「ラチェッド」主演女優のレッドカーペットファッションを米「WWD」が辛口チェック!

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットに至るまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。評価を絵文字でお伝えするとともに、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第58回は、ネットフリックス(NETFLIX)の人気ドラマ「ラチェッド(Ratched)」で主演を務めるサラ・ポールソン(Sarah Paulson)が登場。スターのファッションに興味津々とあれば、パンデミックの影響でプレスツアーが行われないことを残念に感じているだろう。しかし、ポールソンの歴代レッドカーペット・ファッションは期待を裏切らない。どんなファッションも着こなしてしまうポールソンへの評価はいかに!?

The post ファッション通信簿Vol.58 ネットフリックスで話題!「ラチェッド」主演女優のレッドカーペットファッションを米「WWD」が辛口チェック! appeared first on WWDJAPAN.com.

美容家・石井美保がナビゲート GINZA SIXの珠玉スパ

 外出自粛等の影響で記憶に残る一年となった今年は、自分と向き合う時間が増えたという人も多いはず。出かけることがより特別になった今、足を運びたいビューティスポットを美容家の石井美保さんが紹介。心地よく癒されながらキレイをアップデートしてみては?

心身ほぐれる
オールハンドのトリートメント

 ギンザ シックス(GINZA SIX)館内にある「クラランス(CLARINS)」のエスティック サロン「クラランス スキン スパ」で体験できるのは、セラピストの手で行うオーダーメード感覚のトリートメント。「新型コロナウイルス感染症によるライフスタイルの変化で、知らず知らずのうちにストレスをため込みやすくなっていると思います。そんなときこそ、アロマの香りや温もりの力を借りたいところ。疲れをとりつつ、オールハンドによる独自のメソッド“クラランス タッチ”で凝りをきちんとほぐしてくれるのはうれしいですね」。

独自のメソッドで
“デジタル疲れ”をケア

 石井さんが注目したのは、デジタルによる疲れに着目した60分間のトリートメント。アーユルヴェーダのメソッドをもとに顔、首、肩〜肩甲骨、頭皮にアプローチし、緊張しやすい体のパーツのさまざまな巡りをよくする。さらにヘーゼルナッツ※1やマカデミアナッツ※2などの厳選した植物由来成分を含んだ人気の2相式乳液“プラントゴールド オイルーエマルジョン”やサロン用のプロ製品をふんだんに用いながら、肌にハリと艶感をチャージする。

 事前のカウンセリングでは施術内容の詳細についてだけなくその日に気になったカラーをヒアリングし、カラーに合わせてトリートメントルームの照明の色を調整してくれる。「在宅勤務などでPC画面を見る時間が増えて凝り固まった上半身だけでなく、心までリリースできますね。身を任せて香りと手のタッチを感じているだけなのに、施術の後は体が軽く感じられて肌トーンも上がります」。

※1 ヘーゼルナッツ種子油
※2 マカデミア種子油(保湿成分)

気持ちが高まるラグジュアリーな空間

 世界的なプロダクト&インテリアデザイナーのマルセル・ワンダース(Marcel Wanders)氏がデザインを手掛けた「コスメデコルテ(DECORTE)」のサロン「メゾンデコルテ」は、ラグジュアリー感満載。コンセプトの異なる完全個室制のトリートメントルーム3部屋が用意されている。「ドアノブ一つにもこだわりが感じられ、足を一歩踏み入れるだけで非日常的な空間を楽しめます。お部屋のコンセプトがそれぞれ違うので、気分に合わせて楽しめますね」。

憧れのスキンケアラインを堪能

 石井さんのお気に入りはブランド最高峰のスキンケアライン“AQ ミリオリティ”を堪能できる特別なトリートメント。「“AQ ミリオリティ”は『背伸びしてでも欲しい!』と手に取る若い女性も多いシリーズ。施術ではクレンジングから仕上げのクリームまで、たっぷりの量でトリートメントをしてくれます。自宅に全ラインアップをそろえることは難しくても、ここに来れば一通り試すことができるんです。製品の魅力を存分に味わえる場所でもありますね。

 スチームを当てながら丁寧にメイクをオフした後は、ミクロ単位にレーザーカットされた天然のダイヤモンドを使用した美容機器で肌を優しく磨き上げ、乳液と化粧水、クリームで整えていく。さらに頭皮、デコルテ〜背中、手先をほぐしながら透明感のある肌へと導く。「施術後の肌の触り心地や化粧ノリには驚くほど。普段のお手入れではたどり着けない肌に仕上がります」。

 「先の見えない不安やプレッシャーで、これまで以上に疲れを感じている人も多いかもしれません。そんなときこそ喧騒を離れて自分だけの時間を持つことで、心身ともにリフレッシュできると思います。2つのサロンは商業施設内にあることを忘れてしまうような、広々として落ち着いた空間。信頼のおけるテクニックと製品に安心して身を任せられる、とっておきの場所です。自分へのご褒美にもぴったりですね」。

INFORMATION
■クラランス スキン スパ

時間:10:30〜20:30

■メゾン デコルテ

時間:10:30〜20:30

※共に完全予約制
※営業状況には急きょ変更が生じる場合あり
場所:ギンザ シックス地下1階
住所:東京都中央区銀座6-10-1

PHOTOS:EMIKO TENNICHI
HAIR:TOMOKA OONO(AIR)

問い合わせ先
ギンザ シックス
03-6891-3390

The post 美容家・石井美保がナビゲート GINZA SIXの珠玉スパ appeared first on WWDJAPAN.com.

「フミエ タナカ」が演出振付家のMIKIKOとコラボ 2021年春夏イメージ動画を公開

 田中文江が手掛ける「フミエ タナカ(FUMIE TANAKA)」は、2021年春夏のイメージ動画を公開した。パフューム(Perfume)をはじめとするアーティストの演出振付家として知られるMIKIKO(ミキコ)がダンスを手掛け、音楽家の黒瀧節也がオリジナルの楽曲を制作した。

“雰囲気のいい、何度も見たくなるような表現”を模索

 今回振り付けを担当したMIKIKOは「フミエ タナカ」の前身である「ザ・ダラス(THE DALLAS)」から田中のデザインした服を愛用しており、2人はインスタグラム上でつながった。それから「MIKIKO先生と一緒に仕事をしたい」という田中の思いと、音楽を担当した黒瀧が個別にMIKIKOに連絡を取っていたという偶然が重なり、今回の協業が決まった。公開した1分間の映像では、6人のモデルたちがそれぞれ民族をイメージした異なる舞いを披露している。

 田中は「今だからこそ、デジタルの必要性を感じている。服を作って見てもらう、着てもらうということだけではなく、ワクワクできて、雰囲気のいい、何度も見たくなるような表現をブランドから発信したかった」と語る。「フミエ タナカ」は19年度「東京ファッションアワード」を受賞し、3月に東京でファッションショーを行う予定だったが、新型コロナウイルスの影響で開催を見送った。そのときから田中は「ファッションショー以外の表現で、見る人が笑顔になるような発表を行いたい」と発表方法について模索してきた。

“外に出るのが楽しみになる服”

 今季のコレクションは“源泉”を意味する「ザ ソース(The Source)」がテーマになった。アフリカや日本の民族から着想を得たオリジナルのバティックを使い、田中自身がコロナ禍の自粛明けに“外に出るときのことが楽しみになる服”をデザインした。「コロナ禍のモヤモヤを発散できるようなカラフルで大胆なデザインを思い描いた。ブランドイメージを濃厚に反映した“フミエ族”のような(笑)。着る人も、見る人も、楽しいと感じてもらえるような服を目指した」と説明する。今回披露したのはイメージルックで、このエッセンスを取り入れたコレクションを後日発表予定だ。

 ヘア&メイクは資生堂のトップヘアメイクアップアーティスト進藤郁子が担当。ヘアは日本髪からアフリカ民族のヘアスタイルをミックスし、“フミエ族”を表現した。江戸時代の“まげ”や大和時代の“みずら”のような非現実的なボリュームとシルエットを作り出しているほか、ダンスの動きを考慮してヘアは編み込んだ。メイクアップは筆で大胆にペイントした白やシルバーのアイシャドーがポイント。肌には洋服の柄をプリントしたタトゥーシールを施して民族のイメージを強めた。

The post 「フミエ タナカ」が演出振付家のMIKIKOとコラボ 2021年春夏イメージ動画を公開 appeared first on WWDJAPAN.com.

自然を愛し、多彩な活動を続けるモデル・NOMAの輝く女性になるための“自分らしさと自信”

 仕事にプライベートにいろんな選択肢があるからこそ、幸せのカタチだって人それぞれ。では本当の意味での“自分らしさ”ってなんだろう。今の自分に自信を持つためには、心身ともに毎日美しくいることが大前提。乾燥しがちな肌の保湿はもちろん、脱毛だって忘れてはいけない重要な課題の一つだ。ここでは自分らしく生きるための素敵なヒントを探るべく、毎日を豊かに輝く女性たちをフィーチャー。第1回は、モデルとして活躍するかたわら、独学で身につけた植物学や薬草学に加え、フィトテラピーやアロマテラピーに没頭するNOMAをゲストに迎え、彼女の美と輝きの秘けつについて聞いた。手軽に美肌へ導いてくれる家庭用光美容脱毛器“スムーズスキン ピュア”を使用した感想も必読。

“豊かな自然は私の
DNAの一部”

WWD:モデルとして活躍する一方で植物学や薬草学に没頭するなど、多彩な顔をお持ちですが、いそがしい毎日のなかで自分らしくいられる瞬間はどんなときですか?

NOMA:大自然を感じられる瞬間ですね。ニュートラルな状態に戻してくれるというのかな。佐賀県の自然豊かな場所で育ったので、その風景は今でも私のDNAの一部になっているのかも。いそがしすぎてちょっと休憩したいなというときは、自然の中に身を置くことを常に心掛けています。日々の植物とのたわむれやフィトテラピー(植物療法)の学びを通して香りの大切さに気づき、アロマブレンドデザインと言う香りに特化した資格も取得しました。

WWD:植物療法や香りがもたらすパワーは心身にどのような影響を与えますか?

NOMA:大事なのは、その人にとって心地よい香りかどうか。私の場合は、オリジナルで植物の精油を調合したものをオードトワレ感覚でつけています。自宅には100種類以上の精油をそろえているので、その日のコンディションによって使い分けることも。いそがしくて疲れがたまった日はリラックス効果が期待できるラベンダーだったり、日常に香りを取り入れることで心身の調律がよくなるのを感じます。浄化みたいな感じですね。

“一日の終わりに空を見上げる、
それは自分と向き合う大切な時間”

WWD:ライフワークとしてのヨガや植物療法に加え、執筆などさまざまな分野で活躍されていますが、オンオフの切り替えはどうされていますか?

NOMA:すべて好きでやっている仕事なので、あえて切り離す必要はないかなと思っています。だけどいそがしすぎて頭のなかがクルクルしちゃっているときは、公園でジョギングをしたり、そのまま芝生の上に寝転がったり(笑)。やはり自然に触れてリフレッシュすることが多いですね。

WWD:癒やされたいときに訪れるお気に入りのスポットはありますか?

NOMA:以前は旅に出ることが多かったのですが、今は緑豊かな公園でリラックスする日が増えました。木の上で自然を満喫すると心がリセットされていくのを感じます。都会の中でも、自然と触れ合うことができるって素敵なことですよね。東京・奥多摩周辺もお気に入りのスポットです。あきる野市にある「黒茶屋」の敷地沿いを流れる秋川渓谷を眺めながら、マイナスイオンを感じることができます。あと、1日の終わりに夕日や星空を眺めると心が落ち着きますね。空を見上げているときって、何も考えずにいられるんです。純粋にキレイだなって。思いきり旅に出るのもいいけれど、日常の中でふと空を見上げる瞬間こそが、自分と向き合っているときなんだなと思います。

WWD:今は気軽に旅行できない状況ではありますが、旅のエッセイ本を出すほど旅好きなNOMAさん。海外での癒やしスポットがあれば教えてください。

NOMA:ニューヨークの南東部に位置するロングアイランドです。沈む夕日を眺めながらカヌーをした光景は今でも忘れられません。プランティングフィールズ州立森林歴史公園もお気に入りの場所です。ここでヨガをしたり、ワークショップを開催したり、地元の方と情報をシェアできるのが何よりうれしい。ロングアイランドは文明社会と自然との調和が理想的だなと思いますね。国内なら沖縄の海も外せません。素潜りでけっこう深い場所まで行けるくらい、泳ぐのが大好きなんです。野生児なのかもしれないですね(笑)。

“ヘルシーな肌だからこそ自信を
持って輝き続けられる”

WWD:いそがしい毎日を送るなかで、美しく輝き続けるために欠かせないルーティンや、モチベーションを高めるために続けていることはありますか?

NOMA:自分のケアに充てる時間を大事にしています。半身浴のあとのボディーケアと精油を使ったマッサージ、そしてヨガは欠かせません。心身が健康だと美しくなれるし、なによりポジティブになれて、何をやっていても自信が持てますよね。ムダ毛のないヘルシーな肌も、自分が輝き続けられる秘けつだと思います。

WWD:“スムーズスキン ピュア”を使われてどうでしたか?

NOMA:使い始めて、ちょうど1カ月がたちました。1週間に1回の頻度なので、時間をかけずにケアできるのが楽でした。脱毛って痛いというイメージがあったのですが、ケアする部位や用途に合わせて3つのモードから選ぶことができるので安心して使用できましたし、サロンに行かず自宅で簡単にケアできるのもうれしいですね。

WWD:アクティブなNOMAさんだからこそ、海で水着になるシーンになることも多いと思いますが、重点的にケアした部位に変化は見られましたか?

NOMA:主に膝からふくらはぎにかけて使用しました。膝小僧ってカミソリだと摩擦が起きて切れやすいんです。そういった細かい部分まで安心して使用できましたね。なんといってもシンプルで軽くて使いやすい!メカに弱い私には、まさに運命の出合いです。特に旅先ではムダ毛の処理が難しいし、そもそも処理することすら考えたくない。ムダ毛のない肌でいる方が仕事もプライベートも集中できるはず。今のうちに処理を済ませて、思いっきり旅ができる日を楽しみにしています!

 よりヘルシーな美肌を手に入れるなら、イギリス発の家庭用光美容脱毛器「スムーズスキン」の新モデル、“スムーズスキン ピュア”をぜひ試してみて。最先端テクノロジーを用いた同製品は、10段階のスキントーンセンサーを搭載しており、使う人の肌に合った最適なパワーで高い脱毛効果を実現してくれる。軽量で持ちやすいコンパクトな形状なので、凹凸のある部位も含めて高速照射で全身のケアがスムーズに行えるのもうれしい。ムダ毛のないキレイな素肌を保つことで、今までのコンプレックスを解消し、指の先まで自信に満ち溢れた新しい自分に出会えるはず。

PHOTOGRAPHS:MAYUMI HOSOKURA
TEXT:MEGUMI OTAKE

問い合わせ先
スムーズスキン カスタマーサポート
0120-791-355

The post 自然を愛し、多彩な活動を続けるモデル・NOMAの輝く女性になるための“自分らしさと自信” appeared first on WWDJAPAN.com.

環境にいいデザインとは何か 循環型デザインを推進するティンバーランドに聞く(後編)

 サステナビリティ先進企業のティンバーランド(TIMBERLAND)は、2030年までに全ての製品作りにおいて自然から消費したもの以上に自然に還元する“ネット・ポジティブ”な製品作りを目指す。そのために鍵となるのが“循環型”のデザインだ。具体的にどのように推進していくのか。同社で環境に配慮した素材調達や製品作りの改革に取り組むザック・アンジェリーニ(Zack Angelini)環境スチュワードシップ マネジャーに聞く。

WWD:2030年までに全ての商品で“ネット・ポジティブ”になるという目標はとても意欲的だ。すでに取り組んでいる循環型デザインについて教えてほしい。

ザック・アンジェリーニ環境スチュワードシップ マネジャー(以下、アンジェリーニ):当社は長きにわたって再生材料を使ってきた歴史があり、循環型デザインに関するビジョンもそれに基づいている。今日に至るまで、「ティンバーランド」は3億8000万本相当のペットボトルをリサイクルし、アパレルやフットウエアとして生まれ変わらせた。今秋には初めてリサイクルレザーのブーツを発売するほか、再生コットンや再生ウールの使用もさらに拡大していく。完全な循環性を目指して、再生材料の使用を引き続き増やしていく予定だ。将来的には、当社の商品について完全な循環性を実現したいと考えており、そのために革新的な実験をしたり試作品作りを行ったりしている。

WWD:再生素材を用いることが循環型のデザインの一歩とすると、その先にあるのは?完全な循環性とは?

アンジェリーニ:再生材料を使うだけではなく、それらの循環性が維持されるように、商品にうまく組み込まれるようにデザインすることが重要だ。つまり再生材料+リサイクル可能=循環性、ということだ。そのためには、商品が長く愛用されてその役割を終えた後、分解できるように作られていなければならない。これは“分解可能なデザイン(Design for Disassembly以下、DFD)”と呼ばれている。

WWD:機能性を求められるアウトドア商品では難易度が高そうだ。

アンジェリーニ:荒天に耐えられるフットウエアという複雑な構造をした物を、強度や耐用性、機能性を維持しつつ、分解可能であるように作るのは難しい面もあったが実現できている。10年には「ティンバーランド」初となるDFDブーツ、“アースキーパーズ 2.0(Earthkeepers 2.0)”を発表した。当時は時代にやや先んじていた商品だったが、次世代の循環型商品を開発するに当たり、このブーツからは多くのことを学んでいる。

WWD:循環性を実現するときのデザインのポイントは?

アンジェリーニ:商品として長く使われた後にその材料を再びリサイクルできるように、容易に分解できるシンプルな素材を使うこと。そうすれば、ライフサイクルを終えた商品を分解し、それぞれリサイクルして再利用するべくサプライヤーに送り返すことができる。

今秋、「ティンバーランド」は初めてリサイクルレザーを使用した商品を発売するが、これは当ブランドと業界の両方にとって記念すべきマイルストーンだ。一般に、天然素材よりも合成素材のほうがリサイクルしやすい。しかし主に天然素材(レザー、コットン、天然ゴムなど)を使用するブランドとして、それらを大規模かつ効率的にリサイクルできるようにするのは非常に重要なことだった。

WWD:天然素材のリサイクルは耐久性が落ちるなどの問題点も多いと聞く。

アンジェリーニ:当社が手掛けたこの新たなリサイクルレザーは、当社が定める機能性や耐用性の高い基準を満たす、初めてのリサイクルレザー素材だ。「ティンバーランド」は多くの皮革製品を販売しているので、将来に向けて循環性のある商品をデザインするに当たってレザーがリサイクル可能であることは不可欠であり、この革新的な新リサイクルレザーのおかげでそれが可能となった。

「ティンバーランド」のアパレルで最も多く使用している素材はコットンなので、コットンをリサイクルする技術もさらに向上させたい。来春には、レンチング・グループ(LENZING GROUP)が提案する“リフィブラ(Refibra)”という持続可能なように管理された森林から供給された木材パルプと再生コットンを混ぜ合わせた素材を使用した、初めての商品を発表する。

また混紡素材(コットンとポリエステルの混紡など)はリサイクルが難しいのだが、それを可能にする開発初期段階の技術についても調査を進めている。

WWD:アウトドアのための機能素材は石油由来の合成繊維が多く、撥水などの加工も化学物質の使用は避けられない。環境負荷は高いといえるのではないか。ネット・ポジティブのために、現在開発している素材や加工は?

アンジェリーニ:「ティンバーランド」の全商品カテゴリーにおいて、最も多く使用されているのは天然素材(レザー、コットン、天然ゴムなど)だ。これらを環境再生型農業を通じて調達することで、環境にポジティブな影響を与えたいと考えている。

環境再生型農業には、輪換放牧、被覆栽培、間作、不耕起栽培などが含まれる。こうした手法は、CO2を大気中(CO2がないほうがよい場所)から吸収し、土壌(CO2があるべき場所)に蓄積するように設計されている。CO2が増加した土壌はより健康的なものとなるので、生物の多様性や水の循環性が向上し、結果として作物の収穫量も増加する。

「ティンバーランド」でも多少の合成素材を使っているが、できる限りリサイクルされたものを使用することで、石油への依存度を下げている。今日にいたるまで、「ティンバーランド」は3億8000万本相当のペットボトルをリサイクルしており、石油ベースのバージンプラスチック(再生されたものではない未使用のプラスチック)の代替として使っている。

耐久性のある撥水剤(Durable water repellants以下、DWR)について、当社は数年前からポリフッ素化合物(PFC)ベースのものを段階的に廃止している。19年には、アパレル製品の99%およびアクセサリー製品の100%がPFCベースではないDWRの使用に切り替わった。フットウエアも、17年(当社にある最新の資料)の段階ですでに91%が最終仕上げにPFSベースのDWRを使用していない。

まだPFCベースのDWRを使用している製品もあるが、それは特定の機能性(ワークウエア素材における撥油性など)が必要なもので、現在のところPFCベースの薬品でしかその効果を得られないからだ。同様の効果があり、そうした製品の機能性を損なわないPFCベースではない薬品を見つけるため、化学薬品のサプライヤーと提携して積極的に調査を行っている。

WWD:ネット・ポジティブを実現に向けて注目している素材やテクノロジーは?

アンジェリーニ:当社では循環性に関するイノベーションを通じて環境に対するマイナスの影響を削減し、最終的には影響ゼロ・廃棄物ゼロを目指している。この目標を達成することをサポートしてくれる素材や技術には、再生された天然素材(レザー、コットン、天然ゴム)、再生された合成素材(ポリエステルやナイロン)、混紡素材(コットンとポリエステルの混紡など)のリサイクルを可能にする画期的な技術、「ティンバーランド」の製品として役割を終えた後に素材としてリサイクルできるように分解が容易なデザインなどがある。

また、天然素材を環境再生型農業を通じて調達することも、ゼロ影響のさらに先、つまり環境に対してプラスの効果を生む“ネット・ポジティブ”につながるのではないか。

現在、地球環境は非常に悪化しているので、今日のまま維持するのではなく、改善する必要がある。当社は、環境再生型農業や循環性にはマイナスの影響を削減するだけでなく、実際に自然を癒やして回復させていく大きな機会があると確信している。自然とファッションが手を取り合い、ともに前進している感じだ。

WWD:生分解性素材が改めて注目を集めているが、素材の未来を見据えたときに、どうなっていくと思うか?

アンジェリーニ:現在、生分解性に関する技術については、研究不足だったり、その効果を測定する試験やその手順の基準が設けられていなかったりという問題がある。基本的に、当社としては廃棄すること(生分解性があるものを含む)より、製品や素材をできる限り長く使用することを優先すべきだと考えている。全ての製品や素材にはエネルギーがあるが、再利用やリサイクルされないとそれが失われてしまうからだ。

生分解性については今後も技術の進化を注視して、再利用、修理、リサイクルが可能ではない部分にのみ採用することを検討したい。もちろん、生分解性のない素材が埋め立て地に送られるよりはいいが、リサイクルすることでそもそも埋め立て地やごみ処理場に送られるものを減らすことが最良の選択肢だと思う。

WWD:環境再生型農業の推進を掲げているが、実現のために足かせになっていることは?

アンジェリーニ:当社が最も多く使用する天然素材のサプライチェーン内で、新たな環境再生型農業のサプライチェーンを実験的に行っている。小規模なものではあるが、いろいろと試して学ぶ機会にするという戦略だ。こうすることで、どうやってスケール化するかのカギを見つけ、将来的には主要な商品ラインに組み込んでいくことができる。

現在のところ、環境再生型農業によるサプライチェーンは、レザーについてはアメリカとオーストラリアで、天然ゴムはタイで、コットンはインドとハイチで、そしてサトウキビはブラジルで行っている。

新しく革新的なものが全てそうであるように、この新たなサプライチェーンにも多くの課題がある。そもそも、こうした環境再生型農業によるサプライチェーンはこれまでファッション業界にはなかったものなので、一から構築していかなければならない。例えば、アメリカでの環境再生型農業によるレザーについては、パートナー企業と共にこの手法をいち早く導入した牧場を探し集め、当社と提携している大規模なタナリーに紹介している。再生可能な農業を行っているサプライヤーの多くは小規模なので、彼らをまとめる方法を見つけ、スケール化することで効率性を高めることがカギとなる。

WWD:ネット・ポジティブを目指すと、さらなる投資が必要になるのではないか。商品の価格は高くなる可能性はあるか?

アンジェリーニ:新しく革新的なものや技術に伴うコストについては、当社が負担することが多い。そうした新たな素材や技術で作られた商品は製造コストがかかるので利益率に影響するが、環境保護を意識した商品の需要が高まるにつれて、より多くの商品にそうした素材や技術を使うなどスケール化できるようになり、コストは下がっていく。再生PETがそうだったように、いずれは従来の素材と同レベルのコストとなったり、再生ゴムのように従来よりもコストが低くなったりする。
環境再生型農業によって、農家はより利益を上げられるようになって逆境に強くなるが、それだけでなく素材の価格を下げられるようになる可能性がある。当初はコストがかかるかもしれないけれども、イノベーションのため、そして目標を達成するため、「ティンバーランド」はリーダーとしての役割を喜んで引き受ける。当社は、何かを始めるときにかかるコストを埋没費用(回収できないコスト)ではなく、未来への投資だと考えているからだ。

The post 環境にいいデザインとは何か 循環型デザインを推進するティンバーランドに聞く(後編) appeared first on WWDJAPAN.com.

環境にいいデザインとは何か 循環型デザインを推進するティンバーランドに聞く(後編)

 サステナビリティ先進企業のティンバーランド(TIMBERLAND)は、2030年までに全ての製品作りにおいて自然から消費したもの以上に自然に還元する“ネット・ポジティブ”な製品作りを目指す。そのために鍵となるのが“循環型”のデザインだ。具体的にどのように推進していくのか。同社で環境に配慮した素材調達や製品作りの改革に取り組むザック・アンジェリーニ(Zack Angelini)環境スチュワードシップ マネジャーに聞く。

WWD:2030年までに全ての商品で“ネット・ポジティブ”になるという目標はとても意欲的だ。すでに取り組んでいる循環型デザインについて教えてほしい。

ザック・アンジェリーニ環境スチュワードシップ マネジャー(以下、アンジェリーニ):当社は長きにわたって再生材料を使ってきた歴史があり、循環型デザインに関するビジョンもそれに基づいている。今日に至るまで、「ティンバーランド」は3億8000万本相当のペットボトルをリサイクルし、アパレルやフットウエアとして生まれ変わらせた。今秋には初めてリサイクルレザーのブーツを発売するほか、再生コットンや再生ウールの使用もさらに拡大していく。完全な循環性を目指して、再生材料の使用を引き続き増やしていく予定だ。将来的には、当社の商品について完全な循環性を実現したいと考えており、そのために革新的な実験をしたり試作品作りを行ったりしている。

WWD:再生素材を用いることが循環型のデザインの一歩とすると、その先にあるのは?完全な循環性とは?

アンジェリーニ:再生材料を使うだけではなく、それらの循環性が維持されるように、商品にうまく組み込まれるようにデザインすることが重要だ。つまり再生材料+リサイクル可能=循環性、ということだ。そのためには、商品が長く愛用されてその役割を終えた後、分解できるように作られていなければならない。これは“分解可能なデザイン(Design for Disassembly以下、DFD)”と呼ばれている。

WWD:機能性を求められるアウトドア商品では難易度が高そうだ。

アンジェリーニ:荒天に耐えられるフットウエアという複雑な構造をした物を、強度や耐用性、機能性を維持しつつ、分解可能であるように作るのは難しい面もあったが実現できている。10年には「ティンバーランド」初となるDFDブーツ、“アースキーパーズ 2.0(Earthkeepers 2.0)”を発表した。当時は時代にやや先んじていた商品だったが、次世代の循環型商品を開発するに当たり、このブーツからは多くのことを学んでいる。

WWD:循環性を実現するときのデザインのポイントは?

アンジェリーニ:商品として長く使われた後にその材料を再びリサイクルできるように、容易に分解できるシンプルな素材を使うこと。そうすれば、ライフサイクルを終えた商品を分解し、それぞれリサイクルして再利用するべくサプライヤーに送り返すことができる。

今秋、「ティンバーランド」は初めてリサイクルレザーを使用した商品を発売するが、これは当ブランドと業界の両方にとって記念すべきマイルストーンだ。一般に、天然素材よりも合成素材のほうがリサイクルしやすい。しかし主に天然素材(レザー、コットン、天然ゴムなど)を使用するブランドとして、それらを大規模かつ効率的にリサイクルできるようにするのは非常に重要なことだった。

WWD:天然素材のリサイクルは耐久性が落ちるなどの問題点も多いと聞く。

アンジェリーニ:当社が手掛けたこの新たなリサイクルレザーは、当社が定める機能性や耐用性の高い基準を満たす、初めてのリサイクルレザー素材だ。「ティンバーランド」は多くの皮革製品を販売しているので、将来に向けて循環性のある商品をデザインするに当たってレザーがリサイクル可能であることは不可欠であり、この革新的な新リサイクルレザーのおかげでそれが可能となった。

「ティンバーランド」のアパレルで最も多く使用している素材はコットンなので、コットンをリサイクルする技術もさらに向上させたい。来春には、レンチング・グループ(LENZING GROUP)が提案する“リフィブラ(Refibra)”という持続可能なように管理された森林から供給された木材パルプと再生コットンを混ぜ合わせた素材を使用した、初めての商品を発表する。

また混紡素材(コットンとポリエステルの混紡など)はリサイクルが難しいのだが、それを可能にする開発初期段階の技術についても調査を進めている。

WWD:アウトドアのための機能素材は石油由来の合成繊維が多く、撥水などの加工も化学物質の使用は避けられない。環境負荷は高いといえるのではないか。ネット・ポジティブのために、現在開発している素材や加工は?

アンジェリーニ:「ティンバーランド」の全商品カテゴリーにおいて、最も多く使用されているのは天然素材(レザー、コットン、天然ゴムなど)だ。これらを環境再生型農業を通じて調達することで、環境にポジティブな影響を与えたいと考えている。

環境再生型農業には、輪換放牧、被覆栽培、間作、不耕起栽培などが含まれる。こうした手法は、CO2を大気中(CO2がないほうがよい場所)から吸収し、土壌(CO2があるべき場所)に蓄積するように設計されている。CO2が増加した土壌はより健康的なものとなるので、生物の多様性や水の循環性が向上し、結果として作物の収穫量も増加する。

「ティンバーランド」でも多少の合成素材を使っているが、できる限りリサイクルされたものを使用することで、石油への依存度を下げている。今日にいたるまで、「ティンバーランド」は3億8000万本相当のペットボトルをリサイクルしており、石油ベースのバージンプラスチック(再生されたものではない未使用のプラスチック)の代替として使っている。

耐久性のある撥水剤(Durable water repellants以下、DWR)について、当社は数年前からポリフッ素化合物(PFC)ベースのものを段階的に廃止している。19年には、アパレル製品の99%およびアクセサリー製品の100%がPFCベースではないDWRの使用に切り替わった。フットウエアも、17年(当社にある最新の資料)の段階ですでに91%が最終仕上げにPFSベースのDWRを使用していない。

まだPFCベースのDWRを使用している製品もあるが、それは特定の機能性(ワークウエア素材における撥油性など)が必要なもので、現在のところPFCベースの薬品でしかその効果を得られないからだ。同様の効果があり、そうした製品の機能性を損なわないPFCベースではない薬品を見つけるため、化学薬品のサプライヤーと提携して積極的に調査を行っている。

WWD:ネット・ポジティブを実現に向けて注目している素材やテクノロジーは?

アンジェリーニ:当社では循環性に関するイノベーションを通じて環境に対するマイナスの影響を削減し、最終的には影響ゼロ・廃棄物ゼロを目指している。この目標を達成することをサポートしてくれる素材や技術には、再生された天然素材(レザー、コットン、天然ゴム)、再生された合成素材(ポリエステルやナイロン)、混紡素材(コットンとポリエステルの混紡など)のリサイクルを可能にする画期的な技術、「ティンバーランド」の製品として役割を終えた後に素材としてリサイクルできるように分解が容易なデザインなどがある。

また、天然素材を環境再生型農業を通じて調達することも、ゼロ影響のさらに先、つまり環境に対してプラスの効果を生む“ネット・ポジティブ”につながるのではないか。

現在、地球環境は非常に悪化しているので、今日のまま維持するのではなく、改善する必要がある。当社は、環境再生型農業や循環性にはマイナスの影響を削減するだけでなく、実際に自然を癒やして回復させていく大きな機会があると確信している。自然とファッションが手を取り合い、ともに前進している感じだ。

WWD:生分解性素材が改めて注目を集めているが、素材の未来を見据えたときに、どうなっていくと思うか?

アンジェリーニ:現在、生分解性に関する技術については、研究不足だったり、その効果を測定する試験やその手順の基準が設けられていなかったりという問題がある。基本的に、当社としては廃棄すること(生分解性があるものを含む)より、製品や素材をできる限り長く使用することを優先すべきだと考えている。全ての製品や素材にはエネルギーがあるが、再利用やリサイクルされないとそれが失われてしまうからだ。

生分解性については今後も技術の進化を注視して、再利用、修理、リサイクルが可能ではない部分にのみ採用することを検討したい。もちろん、生分解性のない素材が埋め立て地に送られるよりはいいが、リサイクルすることでそもそも埋め立て地やごみ処理場に送られるものを減らすことが最良の選択肢だと思う。

WWD:環境再生型農業の推進を掲げているが、実現のために足かせになっていることは?

アンジェリーニ:当社が最も多く使用する天然素材のサプライチェーン内で、新たな環境再生型農業のサプライチェーンを実験的に行っている。小規模なものではあるが、いろいろと試して学ぶ機会にするという戦略だ。こうすることで、どうやってスケール化するかのカギを見つけ、将来的には主要な商品ラインに組み込んでいくことができる。

現在のところ、環境再生型農業によるサプライチェーンは、レザーについてはアメリカとオーストラリアで、天然ゴムはタイで、コットンはインドとハイチで、そしてサトウキビはブラジルで行っている。

新しく革新的なものが全てそうであるように、この新たなサプライチェーンにも多くの課題がある。そもそも、こうした環境再生型農業によるサプライチェーンはこれまでファッション業界にはなかったものなので、一から構築していかなければならない。例えば、アメリカでの環境再生型農業によるレザーについては、パートナー企業と共にこの手法をいち早く導入した牧場を探し集め、当社と提携している大規模なタナリーに紹介している。再生可能な農業を行っているサプライヤーの多くは小規模なので、彼らをまとめる方法を見つけ、スケール化することで効率性を高めることがカギとなる。

WWD:ネット・ポジティブを目指すと、さらなる投資が必要になるのではないか。商品の価格は高くなる可能性はあるか?

アンジェリーニ:新しく革新的なものや技術に伴うコストについては、当社が負担することが多い。そうした新たな素材や技術で作られた商品は製造コストがかかるので利益率に影響するが、環境保護を意識した商品の需要が高まるにつれて、より多くの商品にそうした素材や技術を使うなどスケール化できるようになり、コストは下がっていく。再生PETがそうだったように、いずれは従来の素材と同レベルのコストとなったり、再生ゴムのように従来よりもコストが低くなったりする。
環境再生型農業によって、農家はより利益を上げられるようになって逆境に強くなるが、それだけでなく素材の価格を下げられるようになる可能性がある。当初はコストがかかるかもしれないけれども、イノベーションのため、そして目標を達成するため、「ティンバーランド」はリーダーとしての役割を喜んで引き受ける。当社は、何かを始めるときにかかるコストを埋没費用(回収できないコスト)ではなく、未来への投資だと考えているからだ。

The post 環境にいいデザインとは何か 循環型デザインを推進するティンバーランドに聞く(後編) appeared first on WWDJAPAN.com.

「シロ」のアールグレイの香りがSNSで話題に 今ビューティ業界で注目のキーワードは“紅茶”! 編集部が勝手に妄想

 

ビューティにまつわるニュースを編集部員が語り合う「WWDビューティポッドキャスト」は、「WWD JAPAN.com」の記事や、編集部で話題になったトピックスをピックアップし、解説と共にお届けします。

 今回は「シロ(SHIRO)」の限定フレグランス“アールグレイオードパルファン”がSNSを中心に話題になったことをはじめ、紅茶の香りのフレグランスが人気を集めている件について「WWD JAPAN.com」デジタルデスクの福崎明子と記者の澤田まり子、ソーシャルエディターの浅野ひかるが話します。そのほか、ビューティ業界で “紅茶”がバズるキーワードになっている件にも注目します。

The post 「シロ」のアールグレイの香りがSNSで話題に 今ビューティ業界で注目のキーワードは“紅茶”! 編集部が勝手に妄想 appeared first on WWDJAPAN.com.

爆裂!健康美容マニア道 美肌もダイエットも全部かなえる究極の温熱療法、米ぬか発酵風呂

 1日8食、ジャンクフード漬けの超不健康児から超健康優良児へと大変身を遂げたフリーアナウンサーの名越涼。およそ15年かけて自らの体で人体実験を繰り返してきた結果、“超絶良かったもの”だけをここで余すことなくお伝えする。今回は米ぬか発酵風呂について。

血液は全身を巡る美容液

 最近、思う。健康と美容の源は、つまるところ“血行”なのかもしれないと。そういえば昔、通っていたエステの店長(全身うる艶の美魔女)がよく言っていた。「血液は全身を巡る美容液。だから血行を良くすることが美への近道なのよ。ふふ♡」と。そう、そうなのだ。血液をサラサラにし、全身の隅々まで栄養を行きわたるようにすればただ生きているだけで、日々美しくなれるのだ。うん、それ最高すぎる。ということで、今回は“レッツ!体内de美容液まつり”。それをかなえてくれる究極の温熱療法「米ぬか発酵風呂」をご紹介しよう。

超絶・発汗!米ぬか発酵風呂とは?

 およそ70℃に自然発酵させた米ぬかの中に入る温熱療法。ほっかほかの米ぬかで全身を包むことで体が内側から温められ、頭のてっぺんから足の指先まで血行が促進される。全身に血が巡って新陳代謝が活性化、老廃物の排出も一気に促されるというまさにスーパーデトックス風呂。入酵時間はわずか15分ほどだが、2時間近く有酸素運動をした分のカロリーが消費でき、マラソン15㎞の運動量とほぼ同じくらいの発汗作用もあるのだそう。だから、汗の量が尋常じゃない。それは例えて言うなら「え?私の前世、ナイアガラの滝?」と思うほど(どんなこっちゃ)。このように体の反応はすぐに出るものの、発酵熱はゆったり吸収されるので負担なく自己治癒力を高めることが期待できる。それだけじゃない。米ぬかにはビタミンやミネラルが豊富に含まれているし、なにより酵素がたっぷり。入るだけで、全身しっとりつるつる。もうこれ知っちゃったら、入るしかないでしょ。

超イチオシ!ぬか職人のいる米ぬか発酵風呂

 愛知県・栄にあるホットスパブラン(HOT SPA BRAN)との出合いはおよそ10年前。驚くほどの発汗と全身の温まり、さらに肌のツルスベUPに感激。疲れで完全に酸化していた体に血液が巡り、顔色も改善。それから各地の酵素風呂を試したものの、やっぱり戻ってくるのはここ。ホットスパブランが、何においても断トツなのである。1番の違いはやはり米ぬかの質の良さ。米ぬかを自然発酵させるのはたくさんの微生物たち。つまりは生き物。その日の天気や湿度、乾燥など、わずかな変化でも米ぬかの状態は左右される。だからこそ、どんな時でも常に最適な自然発酵を促すことのできるプロのぬか職人が必要なのである。ホットスパブランには、ちゃんとその職人がそろっている。いつでも「最高!」と叫びたくなる米ぬか発酵風呂を提供してくれるから、出張の時には何が何でも行くし、しばらく行けなくなると、とてつもなく恋しくなるのだ。

 では、どんな風に入酵するのか見ていこう。まずは水分補給から(ちなみに、発汗を促してくれる水素水の飲み放題♡)。発酵風呂は一つ一つが個室のようになっていて、誰を気にすることもなく入れる嬉しさ。さっとシャワーで汗を流し、いざ入酵。紙ショーツや紙ブラ、シャワーキャップなども備え付けてあるが、私は基本全裸。全身に酵素や栄養をダイレクトに届けたいので、生まれたまんまの姿で米ぬか風呂へと沈んでいく(この日は急いでいたので時短を考えシャワーキャップを装着)。

 埋まった。プロのぬか職人がその日の体調などにあわせ、温度を調整しながら手でかけていってくれる。私は常に「激熱で!」とドヤっているので、希望通りの激熱をたっぷり体にのせてくれる。たまに「ぬあぁ・・☆△◎!!」と声が漏れ出るほどの時もあるが、その熱を体が自然に吸収してくれるので全くつらくない。全身にお灸を据えられている、この感じが気持ちいいのだ(ちなみにこの日は68℃のぬかが体にのりました♡)。


 目も奥まで温まってじーんわり。およそ15分前後入った後、シャワーを浴びて終了……しないのがここの素晴らしいところ。休憩スペースがあり、ここでゆっくり体温を下げながら「第2の発汗」をすることができるのだ。ダブルの発汗で体中の毒素をしっかり出し切ろう。


 どーん。「どんだけ冷えとんねん・・」と突っ込みたくなる足のこの感じ。しっかり芯まで温まり、入酵終了。前回の冷凍美容と真逆だが、どちらも共通しているのは「血の巡りを劇的に良く」すること。究極に冷やすか、究極に温めるか。ぜひ自分に最適な方法を見つけてほしい。

名越メモ
ホットスパブラン
〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄5-7-30
TEL 052-261-0260
入酵料金 3980円(1回)

名越涼/フリーアナウンサー。香港出身。福井と愛知のテレビ局アナウンサーを経て独立。司会やライター、セミナー講師、企画・プロデュースなど幅広く活躍するパラレルワーカー。趣味・特技は手作り発酵食、食文化研究、ヨガ(歴15年)eスポーツと農業にも精通

The post 爆裂!健康美容マニア道 美肌もダイエットも全部かなえる究極の温熱療法、米ぬか発酵風呂 appeared first on WWDJAPAN.com.

ユナイテッドアローズの“売ろうとしない”オウンドメディア「ヒトとモノとウツワ」とは?

 ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS、以下UA)のオウンドメディア「ヒトとモノとウツワ」が密かに話題を集めている。同メディアは、ヒト、モノ、ウツワの3つのカテゴリーを軸にUAの魅力を多角的に発信しており、PV数は非公開としながらも順調にファンを獲得。今では社内外から記事掲載・取材の売り込みを受けるほどだ。同業他社も似たようなオウンドメディアを持つが、それらとUAの「ヒトとモノとウツワ」の違いとはーー。同サイトの運営を担当する、玉井奈緒サステナビリティ推進部副部長、吉田淳志・経営企画部全社PR統括、永井美智子・同全社PRチームに話を聞いた。

 「ヒトとモノとウツワ」は同社のCSR事業を発信する目的で2015年に設立されて以来、月3本ペースで更新を続けている。玉井担当は「どうしても固い内容になりがちなCSRの取り組みを、わかりやすくユーモアや物語性を持たせて広く発信したいという思いで立ち上げました。UAがモノ作りを行う上で大切にしていることはたくさんあるので、コンテンツのアップペースは自然と維持できています」と話す。例えば同社が支援する乳がん検診の早期受診を推進するピンクリボンキャンペーンに合わせた記事では、乳がんのセルフケアの方法を具体的に紹介するなど、実用的なコンテンツに落とし込む。そのほか、副業制度を生かしてさまざまなフィールドで活躍する社員のライフストーリーなど、誰でも楽しめる身近な切り口が読者の共感を呼び、徐々に認知が拡大した。“売ろうとしないこと”を意識したシンプルで読みやすい構成が特徴だが、実は購買につながるケースも多い。

 また同メディアは、ビームスやベイクルーズ グループの販売員、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」の企画担当者など、横のつながりを生かし同業他社、ライバル社の人物が多く登場するのも特徴だ。吉田担当は「あくまで、われわれが取り扱っている商品に込められた思いや社の取り組みを伝えることが目的ですが、UAの活動に限らず読者にとってファッションそのものに興味を持つきっかけになってほしい」という。社内や社外といった枠を超え、業界全体の活性化も考えてのことだろう。

 そのほか例えば、老舗シューズメーカー「ハルタ」とUAの「オデット エ オディール(ODETTE E ODILE)」のシューズデザイナーによる対談など、担当者の思いがつながったコラボ事例も同サイトから発信する。永井担当は「『ハルタ』はこれまで他のブランドと別注などの取り組みはありましたが、デザインからのコラボは今回が初めてだったようなのでデザイナー2人にその背景を語っていただきました。『オデット エ オディール』のデザイナーが“普遍的なもの”をキーワードにより正統派な一足を改めてお客様に提案したいという思いから、お声かけさせていただき実現したものです。実際に『ハルタ』の現場を訪れ、丁寧なモノづくりを見ることができ大変貴重な経験でした」と振り返る。

 UAのさまざまな側面を語る同サイトは社員同士のコミュニケーションツールの役割も担う。「社員同士が同サイトの記事を読んでお互いに刺激しあったり、商品背景について学びを深めたりなど、メリットは多いです。自分が担当した商品を取り上げてくれてありがとうという反響をもらうこともあり、モチベーションにつながっています」と吉田担当。

 今後は今年開始した連載企画「PRODUCT」を筆頭にサステナビリティのテーマも強化していく。玉井担当は「ファッションのエモーショナルな部分と乖離させずに、今、社会全体で考えていくべき課題であるサステナビリティをいかに読者に自分ごと化してもらうかが課題です。お客さまに気持ちよく購入していただく語り方や表現を探っていきます」と語る。

The post ユナイテッドアローズの“売ろうとしない”オウンドメディア「ヒトとモノとウツワ」とは? appeared first on WWDJAPAN.com.

国産ナチュラルコスメ「エトヴォス」、コンシューマー業界特化型ファンドのLキャタルトンと事業拡大へ

 国産ミネラルコスメの先駆けとして2007年に誕生した「エトヴォス(ETVOS)」は、肌本来の力を高める皮膚科学に基づいて生まれるスキンケアとクレンジング不要のメイクアップを両軸に、ブランドファンを堅実に増やしてきた。このほどコンシューマー業界に特化した世界屈指のプライベートエクイティファンド、Lキャタルトンによる資本参画が実現し、新たな歩みを開始した。

 今年4月にLキャタルトンから投資を受けた「エトヴォス」は、同社創業者である尾川ひふみ会長、神田宏社長(今年6月に社長就任)および3名の社外取締役を加えた新体制のもと、同社の設立時より貫く「肌にとって、本当によいものを届けたい」という想いに更に磨きをかけ、今後も右肩上がりでの成長を目指していく。そして成長の実現にあたり、特に2つの重点施策に取り組む。1つはブランド認知度の向上。「知名度を高め、国内外にも通用するブランディングと製品開発を強化し、肌に優しくトレンドに敏感なブランドを確立したい」と神田社長。2つ目はブランディング。 同社は現在、百貨店とファッションビルに8店舗(2020年8月オープンのルミネ2新宿店を含む)の直営店を展開するが、今後はブランドの魅力を体現できる基地として直営店の出店を積極化、ユーザーとのタッチポイントを増やしていく。

 Lキャタルトンによる投資以降、同社清水を含めた3人の社外取締役が経営に参画し、事業拡大や経営体制強化にかかるさまざまな助言や支援を行う。ノルベール・ルレ社外取締役(写真右)は「日本を代表するビューティブランドとして、日本国内に加えてグローバルでも事業を拡大できるよう、私として最大限サポートしていきたい」と語る。また黒田眞稔社外取締役は、「今後リアル店舗とデジタルの両方においてブランディングを確立し、存在感をアピールすることで唯一無二のブランドにする」とコメントした。

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンと戦略的関係を持つLキャタルトンは1989年の創業以来、「成長加速を希望する企業への“成長投資”」(清水俊孝Lキャタルトン・ジャパン代表取締役パートナー)を基本方針とする投資ファンドだ。日本の化粧品ブランドに対する初めての投資が「エトヴォス」となったが、同社が属するナチュラル化粧品市場が高い成長率を期待されていることから実現した。「今後は実店舗ネットワークの強化・拡大、および店舗における美容部員のサービス提供力向上に注力」し、ブランド力を高めていくという。

 Lキャタルトンによる日本企業への投資第1号は、SPA型眼鏡チェーンのオンデーズ。日本のほかシンガポールや台湾、タイなど12の国と地域に350店舗以上を展開し、海外売り上げ比率は60%を越える。2019年1月の投資後、Lキャタルトンのネットワークも活用し店舗拡大を加速。年間出店数は投資以降50店舗超に増加している。その一方で、業界ネットワークを通じた人材紹介による採用支援や経営・財務管理の高度化を通じた経営体制の強化もサポート。20年2月期の売上高は、前期比約20%増の約200億円に達した。

問い合わせ先
エトヴォス/Lキャタルトン・ジャパン
0120-047-780/03-4577-8940

The post 国産ナチュラルコスメ「エトヴォス」、コンシューマー業界特化型ファンドのLキャタルトンと事業拡大へ appeared first on WWDJAPAN.com.

寒色カラーブームの中で暖色にこだわった投稿を貫きフォロワー急上昇 「ガーデン」椛沢柚希のインスタ活用術

 人気連載中の「インフルエンサー美容師」は、10月からコンセプトをリニューアル。これまで設けていた年齢や売り上げの制限を取り払い、“特徴あるSNSの使い方でフォロワーを伸ばしている美容師”を紹介していく。リニューアル第1回は、「ロラ ドットガーデン(lora. garden)」の椛沢柚希トップスタイリストをピックアップ。ヘアカラーで寒色ブームが続く中、暖色カラーに特化した投稿を続けることで、1年間でフォロワー数を3万近く増やしたという。そのこだわりの真相を聞いた。

WWD:“「ガーデン」グループ史上最速”でスタイリストデビューできた秘訣は?

椛沢柚希トップスタイリスト(以下、椛沢):私が入社した2017年は同期が少なく、新人が1店舗に1人くらいしかいなかったんです。だからいろいろ教えてくれる先輩を独り占めできたことが大きいですね。あと、カットやカラーをやらせてくれるモデルに苦労しなかった、という理由もあります。モデルの募集はインスタグラムで行っていて、インスタをやり始めた頃はあまり反応がなかったのですが、暖色を推し始めて、さらに自撮りを投稿し始めてから反応がよくなりました。

WWD:どんな自撮り?

椛沢:自分の髪を、お客さまに提案したい暖色にカラーリングして撮ったものです。以前はモデルやお客さまの仕上がりばかり投稿していたのですが、自撮りを投稿し始めてから「椛沢さんのような髪色にしてほしい」と連絡をくれるモデルや、私の自撮りを保存して持ってきてくれるお客さまが増えましたね。それで思い出したのですが、私も学生の頃、新規で担当してもらう美容師を決めるとき、美容師が提案しているスタイルを見て決めるというよりは、「この美容師さんに会いたい」と思った人を選んでいました。もちろん、私が美容学生だったということもあるのですが、一般の女性でも、そういう気持ちがあるのではないでしょうか。

WWD:ここ数年、ヘアカラーでは寒色ブームが続く中、暖色にこだわった理由は?

椛沢:まわりがみんな寒色系のスタイルを投稿していたので、同じことをやっても埋もれてしまうと思ったんです。それで、私がもともとオレンジなどの暖色カラーが好きだったこともあり、暖色にこだわった投稿を始めたんです。ちょうどその頃パーソナルカラーのブームが起きて、「イエベ」や「ブルベ」といった言葉が一般化してきて、“やりたい色より似合う色”を選ぶ傾向が強まりました。日本人には「イエベ」が多く、「イエベ」には寒色よりも暖色が似合うケースが多いので、それも追い風になりました。

WWD:フォロワー数も順調に伸びていった?

椛沢:はい。1年くらい前に投稿したスタイルの保存数が1万件以上になって、それから1年間で約3万フォロワー増えました。インスタからの集客も増えていって、今では新規のお客さまの大半はインスタの画像を持ってきてくれます。あとインスタに関しては、アクセス数を増やす工夫もしています。できるだけ暖色系のタグはつけているほか、「#暖色カラー」だけだとたくさんヒットしてしまうので、投稿には必ず「#暖色カラー_yuzu」とつけるようにしているんです。もう1000投稿以上しているので、「#暖色カラー」で検索すると、2番目に「#暖色カラー_yuzu」のタグが出てくるようになりました。

WWD:暖色カラーの魅力は?

椛沢:日本人の肌に合いやすいし、色持ちがいいし、艶が出るし、さらに夕日も味方につけられます。夕日はオレンジ色が強いので、グレージュなどの寒色は黄色っぽく見えてしまうことが多いけれど、暖色はより鮮やかにきれいに見えるんです。あと「職場のルールでヘアカラーは8トーンまでと決められている」というお客さまの場合、寒色だと発色させるのは難しいですが、暖色ならきれいに発色します。

WWD:今秋におすすめしている暖色カラーは?

椛沢:今秋はピンク系が気になっています。紫に寄せると寒色になってしまうので、
オレンジ寄りにして、ピンクをスモーキーな感じで見せたいと思っています。今の私(上記メインカット)の髪もそのカラーリングで、インスタにも自撮りを投稿しているので、その反応を見ながら提案していく感じですね。

WWD:サロンワークでこだわっていることは?

椛沢:髪を寒色から暖色に変えることで、眉やリップもガラッと変えないといけないので、メイクのアドバイスもしています。新規のお客さまの大半が私のインスタを見て、共感して指名してくれるので、好きなものやメイクの感じが私と似ているんです。だからアドバイスしやすいし、「眉に何使ってますか?」と聞かれて製品名を答えると、次回来店時に「買いました」なんて言ってもらえることもよくあります。でもメイクに関しては、ヘアと比べるとまだ分からないことも多いので、自分の課題だと思っています。

The post 寒色カラーブームの中で暖色にこだわった投稿を貫きフォロワー急上昇 「ガーデン」椛沢柚希のインスタ活用術 appeared first on WWDJAPAN.com.

マシューによる新生「ジバンシィ」公開、遠い未来から希望を届けた「トム ブラウン」 デジコレでドタバタ対談パリ7日目

 2021年春夏のコレクションサーキットのラストとなるパリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)も7日目となりました。パリからはベルリン在住のヨーロッパ通信員が現地取材の様子をお届けしますが、オンラインでも日本の記者たちが対談レビューという形で、“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は、今回はメンズ、ウィメンズともにこれまでも各都市のコレクションを取材してきた「WWD JAPAN.com」の村上要編集長とパリコレ取材3度目の丸山瑠璃ソーシャルエディターがリポートします。

リアリスティックな「スキャパレリ」ウーマン

丸山:「スキャパレリ(SCHIAPARELLI)」は、ダニエル・ローズベリー(Daniel Roseberry)がクリエイティブ・ディレクターに就任してプレタポルテをスタートしてからもう3シーズン目になるんですね。クチュールのイメージが強かったのですが、ウエアラブルなアイテムが予想外に多く驚きました。というのも、今季ローズベリーは現在も数十年後まで着られるエッセンシャルなコレクションを、クチュールのクオリティで作りたかったそうです。過去2シーズンのコレクションも見てみたのですが、ゴールドの装飾がちりばめられたクラシックなパンツスーツからツイストが加えられたイブニングドレスまで、確かに今後何年も使えそうなアイテムがそろいます。ベーシックではあるものの、創業者のエルザ・スキャパレリ(Elsa Schiaparelli)が好んで使っていたというゴールドのメジャーテープの装飾や南京錠、ロブスター、ゾウなどのアイコンが効いていますね。

村上:ダニエルさんは、「トム ブラウン(THOM BROWNE)」出身だけど、絵心あるクリエイティブ・ディレクターですね。ムービーでも、イラストの制作場面がなんども出てきます。スカーフのみならず、セットアップにまで本人直筆のイラストを用いているみたい。シュールレアリスムが信条のブランドが、アーティストのごときデザイナーを起用するのは、とても正しい選択な気がしました。正直にいうと復活以降、「難しいなぁ」って思って見ていたんです。オートクチュールとプレタポルテの中間“プレタ・クチュール”の確立を目指して再スタートを切ったけれど、シュールすぎて「お金とアートを愛でる心の双方がズバ抜けた、欧州のお金持ち以外にマーケットはあるのかな?」って思っていました。それがずっとリアルになって、それでもアートマインドは失わず、絶妙なバランスを模索しながら路線変更しつつある印象です。例えば寝転ぶと床と一体化した平面のように見えるジャケットは、もちろん実物はリアルウエア。でも写真に撮るとシュールに見えて、SNS全盛の今っぽい。マスクは販売するかわからないけれど、シュールの度合いが強い商品はアクセサリーに絞り込んでいるのも正解だと思います。

NYからパリにやって来た「ガブリエラ ハースト」

丸山:いつもニューヨークで発表している「ガブリエラ ハースト(GABRIELA HEARST)」は今季パリで発表しました。リアルなショーをライブ配信していましたが、映像ではランウエイだけでなくモノクロでバックステージの様子も見せていて、その緊張感が伝わってきました。ニューヨーク・ファッション・ウイークを取材している村上さんは「ガブリエラ ハースト」のクリエイションをこれまで見てきたと思いますが、彼女の強みは何なのでしょう?

村上:「ガブリエラ ハースト」の今季は編みや太めのコットン糸を用いたハンドステッチなどの手仕事を加えながら、オーガニックなムードを維持しながら、エキゾチックなスパイスを加える彼女らしさが発揮されていたと思います。シンプルなコットンワンピのショルダーストラップや、細い2連のベルトづかいも彼女らしい。ただ、そうそうたるブランドが集うパリだと、もうちょっとオリジナリティが欲しいのも事実。ニューヨークでは、他よりラグジュアリーな分、素材に人一倍こだわって独自性を保ってきたけれど、それだけじゃパリでも同様には輝けない。今後の進化に期待しましょう。

夜のパリをガツガツ歩く「バレンシアガ」

村上:「バレンシアガ(BALENCIAGA)」は、他のブランドよりも一足早く、21年プレ・フォール・コレクションに相当する21年サマー・コレクションを発表ですね。このブランドのサイクルは独特で、メインと次のプレで1つのストーリーが完成。つまり今回の21年プレ・フォールは、7月に発表したコレクションの続き、ですね。確かに、全体のシルエットは7月発表のコレクションよりも落ち着いている印象だけど、ボロボロのニットやロゴ入りのスエット、カラフルなトートバッグなど似たようなアイテムもチラホラ。モノすごく新しいとは思わなかったけれど、デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)らしいクリエイションですね。サステナブルへの取り組みを明言しているけれど、これまでの残反やアーカイブも使っているのかな?アイデアが枯渇しないためにも、考え自体も使い捨てず、次に繋げる考えは賛成です。気になったのは、BGMの「Sunglasses at Night」でしょうか?元々は、好きな女の子のウソを直視したくないから夜でもサングラスっていう男の子の歌だと思うんだけど、その曲を今、用いた理由はなんだろう?業界の悪しき慣習に対するアンチテーゼ??

丸山:音楽はコリー・ハート(Corey Hart)の1983年の曲「Sunglasses at Night」をデムナと長年組んでいるプロデューサー、BFRNDがカバーしたものでしたね。ちなみに最後に仲間と合流したラストルックのモデルがBFRNDです。映像では曲の通り夜なのにサングラスをしたモデルがパリの街をガツガツ歩きます。勝手に3Dを駆使したSFチックな映像が来るのではないかと想像して身構えていたので意外でした。でも、デムナは事前インタビューでこのコレクションでは2030年のファッションを思い描こうとしたと明かしています。2030年ですが「レトロフューチャリスティックなスタイルの提案ではなく、何が必要不可欠でサステナブルかということをより探求するということ」だそうで、見たこともない新しいものというより、デムナが10年後も残ると思うエッセンシャルなアイテムを集めたコレクションだったのではないでしょうか。1983年の曲を使ったのも、それが現代まで残っているからなのかなと思いました。ですがフーディーを着ずに頭からかけたり、イブニングドレスにスリッパを合わせたり、ティックトック(TikTok)のように歌詞に合わせてモデルが口パクする演出など、どこか違和感のある要素は健在でした。違和感というのは新しいものを初めて見るから生まれる感情でもあると思うのですが、昔からあるものを違う見せ方をしているので新しいように感じます。ちなみにユーチューブでは映像をずっとループさせて見せていて、かれこれ十数時間ライブしているのですがいつまでやるのでしょう?

遠い未来の宇宙からユーモアを届けた「トム ブラウン」

丸山:「トム ブラウン」はリアルのショーと同じようにデジタルでもユーモアたっぷりな映像を公開。まず設定から、22世紀の月で開かれたスポーツ大会「2132 LUNAR GAMES」の開会式の実況とぶっ飛んでます。会場は実在のスタジアム、ロサンゼルス・メモリアル・コロシアム(Los Angeles Memorial Coliseum)なのですが、実況者によれば過去のアーカイブから再現したものだそう。スタジアムを埋め尽くす観客は全員「トム ブラウン」を着用。オリンピックの開会式で選手が正装で入場してくるときのように、最新コレクションをまとった選手が、各競技を現したロゴが描かれた旗とともに入場してきます。最後はトム・ブラウンの愛犬ヘクターをモデルにした犬型の宇宙船がスタジアム上空に現れ、双子のスター選手が宇宙船から降りた後、「トム ブラウン」のライターで聖火を灯すという、ツッコミ満載な映像でした。コレクションは白を基調にしていましたが、これは希望を表しているそう。デジタルでも変わらないユーモアを希望とともに届けてくれたトム・ブラウンに感謝です。

村上:「トム ブラウン」は、112年後も燦然(さんぜん)と輝き、代表選手団のユニホームを手がけているのね(笑)。112年後のオリンピック的なスポーツの祭典は、まだスタジアムをメーン会場に行われているのかな?ナレーターによると、このスタジアムは「20世紀のロサンゼルスを再現している」みたいだけれど。その後ナレーターは、グレース(Grace)さんのリポートの後、「Amazing Grace」とのコメントを発していたね。「Amazing Grace」はアメリカで昔から歌われる賛美歌で、春には新型コロナウイルスと戦う医療関係者に向けて贈られました。舞台は2132年だけれど、随所に過去へのリスペクトが感じられます。心温まるストーリーですね。2132年も「トム ブラウン」が打ち出し続けるフォーマルに代表される古きと、
スペースエイジ時代に欠かせないミラーサングラスのような新しきが入り混じっている素敵な世界だといいなぁ、って思っちゃいますね。絶対生きてないけれど(笑)。

パリジャンに着想を得たリアルな「パコ ラバンヌ」

村上:「パコ ラバンヌ(PACO RABANNE)」は、正直、もうちょっと何かを期待してしまいましたね。終盤のシルバー&ゴールドのスパンコールドレスは、「まさに!!」と興奮しましたが比して前半は、それなりにメタルづかいは含まれているけれど、「『パコ ラバンヌ』で買わなくてもいいかもなぁ」というアイテムも多く。ただメタル使いとか、ラミネート加工を増やすと重さ、着心地、価格などの面でリアルから遠ざかってしまうし、難しいところですね。終盤は、とっても「パコ ラバンヌ」だけど、あくまでコレクションピースでしかないワケで……。そう考えると、「スキャパレリ」は上手な落とし所を見つけつつある印象です。

丸山:今季の「パコ ラバンヌ」は、ジュリアン・ドッセーナ(Julien Dossena)=クリエイティブ・ディレクターがロックダウン中に自宅の窓から近所を歩くパリジャンの服装を観察してそれに着想を得たとのことで、ジーンズやブラトップ、キャミソールなど日常使いできるリアルなアイテムが多かったですね。一部のモデルもドッセーナの友人のパリジャンを採用していたとか。さらに会場の扉は開け放たれていて、ショーを見に集まった群衆や通りを走る車が垣間見えます。モデルは会場の外を歩いてから会場に入ってくるという演出で、パリの日常からランウエイにそのままやってきたようでした。ただ前回のジャンヌダルクに着想を得たコレクションは強さもありながら神秘的な素晴らしいコレクションで、ドッセーナの本領は日常着よりも洗練されたファンタジックな表現の方が発揮されるのかなと思っていたので、個人的には少し残念ではありました。ただ、コロナ禍で消費者もファンタジックよりもリアルな方を好む消費傾向にあるので、それに合わせた結果でもあるのかなと思います。

ビーズを用いたドリーミーな「ビューティフルピープル」

村上:「ビューティフルピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」はバルーンシルエットを基調に、フリルやプリーツをプラスしたひざ丈のドレスの裾にマイクロビーズを封入。すると裾まわりのボリュームがさらに誇張されて、という仕掛けですね。ショーの前に届いた招待状も、マイクロビーズを詰め込んだハンドピローみたいな物体だったんだけど、実際、ビーズも販売するのかな?とても自宅で気軽に詰め込めるシロモノじゃないけれど、軽くて暖かそうではあります。招待状みたいなハンドピローを数個セットにして販売したり、ドレスとセットで売ったりするのかな?そば殻を詰め込んだ枕とフカフカの布団のように、軽くて、ドレスだけど「おうち時間」にも良さそうで、リラックスできるアイテムでした。

丸山:「ビューティフルピープル」は服の表である“Side-A”と裏である“Side-B”、表と裏の間に着目した仕立てのアイデア“Side-C”を以前から採用していましたが、今回はこの間を相互につなげてマイクロビーズを入れられるポケットを作ったんですね。公開した映像は、封入されたビーズが服からモデルの動きに合わせてドラマチックに落ちるという演出でした。ビーズが詰まったポケットに寄りかかればそれはビーズクッションやアームチェアに早変わり。そのまま寝れちゃう枕にインスパイアされたヘッドピースや、ベッドリネンやテーブルクロスのような生地など、家の中にあるものに着想を得たコレクションでしたが、「もしも洋服が住居として変化したら?もしも洋服が感情を揺さぶる存在として、精神を高揚させつつも、穏やかな居心地良さと安心を与えることができたとしたら?」というアイデアを由来としているそうです。

マシュー・ウィリアムズによる新生「ジバンシィ」

村上:新生「ジバンシィ(GIVENCHY)」、私たちはルックを見ただけですが、なんだか良さそうですね。クロコダイルのようにゴツゴツした質感のレザー、喜平のメタルチェーン、スキャンダラスなブラックミニドレスなど、メゾンらしい強さとモード感が漂います。前任クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)は、とっても優しいので、時に無理して力強い方向に振っていた印象もあるけれど、マシュー・ウィリアムズ(Matthew Williams)にとって、ブラックやモード、メタル使いに代表されるエッジーは、得意のフィールドだしね。詳しくは、ヨーロッパ通信員の藪野淳さんが現地でコレクションを見てリポートしてくれています。

丸山:やっぱりマシューの得意なアクセサリーは素晴らしかったですね。特にティーザーでも見せていた南京錠を用いたアイテムは売れそうです。しかもエントリー価格のアイテムも出すそうで、楽しみですね!「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」でも最近はテーラードを意識していましたが、メゾンの技術によりまた別格なクオリティに仕上がっていました。ちなみにキャップやヒールに採用した角などゴシックな要素は意外だったのですが、アレキサンダー・マックイーン(Alexander Mcqueen)期のアーカイブからと聞いて納得。

The post マシューによる新生「ジバンシィ」公開、遠い未来から希望を届けた「トム ブラウン」 デジコレでドタバタ対談パリ7日目 appeared first on WWD JAPAN.com.

マシューによる新生「ジバンシィ」公開、遠い未来から希望を届けた「トム ブラウン」 デジコレでドタバタ対談パリ7日目

 2021年春夏のコレクションサーキットのラストとなるパリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)も7日目となりました。パリからはベルリン在住のヨーロッパ通信員が現地取材の様子をお届けしますが、オンラインでも日本の記者たちが対談レビューという形で、“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は、今回はメンズ、ウィメンズともにこれまでも各都市のコレクションを取材してきた「WWD JAPAN.com」の村上要編集長とパリコレ取材3度目の丸山瑠璃ソーシャルエディターがリポートします。

リアリスティックな「スキャパレリ」ウーマン

丸山:「スキャパレリ(SCHIAPARELLI)」は、ダニエル・ローズベリー(Daniel Roseberry)がクリエイティブ・ディレクターに就任してプレタポルテをスタートしてからもう3シーズン目になるんですね。クチュールのイメージが強かったのですが、ウエアラブルなアイテムが予想外に多く驚きました。というのも、今季ローズベリーは現在も数十年後まで着られるエッセンシャルなコレクションを、クチュールのクオリティで作りたかったそうです。過去2シーズンのコレクションも見てみたのですが、ゴールドの装飾がちりばめられたクラシックなパンツスーツからツイストが加えられたイブニングドレスまで、確かに今後何年も使えそうなアイテムがそろいます。ベーシックではあるものの、創業者のエルザ・スキャパレリ(Elsa Schiaparelli)が好んで使っていたというゴールドのメジャーテープの装飾や南京錠、ロブスター、ゾウなどのアイコンが効いていますね。

村上:ダニエルさんは、「トム ブラウン(THOM BROWNE)」出身だけど、絵心あるクリエイティブ・ディレクターですね。ムービーでも、イラストの制作場面がなんども出てきます。スカーフのみならず、セットアップにまで本人直筆のイラストを用いているみたい。シュールレアリスムが信条のブランドが、アーティストのごときデザイナーを起用するのは、とても正しい選択な気がしました。正直にいうと復活以降、「難しいなぁ」って思って見ていたんです。オートクチュールとプレタポルテの中間“プレタ・クチュール”の確立を目指して再スタートを切ったけれど、シュールすぎて「お金とアートを愛でる心の双方がズバ抜けた、欧州のお金持ち以外にマーケットはあるのかな?」って思っていました。それがずっとリアルになって、それでもアートマインドは失わず、絶妙なバランスを模索しながら路線変更しつつある印象です。例えば寝転ぶと床と一体化した平面のように見えるジャケットは、もちろん実物はリアルウエア。でも写真に撮るとシュールに見えて、SNS全盛の今っぽい。マスクは販売するかわからないけれど、シュールの度合いが強い商品はアクセサリーに絞り込んでいるのも正解だと思います。

NYからパリにやって来た「ガブリエラ ハースト」

丸山:いつもニューヨークで発表している「ガブリエラ ハースト(GABRIELA HEARST)」は今季パリで発表しました。リアルなショーをライブ配信していましたが、映像ではランウエイだけでなくモノクロでバックステージの様子も見せていて、その緊張感が伝わってきました。ニューヨーク・ファッション・ウイークを取材している村上さんは「ガブリエラ ハースト」のクリエイションをこれまで見てきたと思いますが、彼女の強みは何なのでしょう?

村上:「ガブリエラ ハースト」の今季は編みや太めのコットン糸を用いたハンドステッチなどの手仕事を加えながら、オーガニックなムードを維持しながら、エキゾチックなスパイスを加える彼女らしさが発揮されていたと思います。シンプルなコットンワンピのショルダーストラップや、細い2連のベルトづかいも彼女らしい。ただ、そうそうたるブランドが集うパリだと、もうちょっとオリジナリティが欲しいのも事実。ニューヨークでは、他よりラグジュアリーな分、素材に人一倍こだわって独自性を保ってきたけれど、それだけじゃパリでも同様には輝けない。今後の進化に期待しましょう。

夜のパリをガツガツ歩く「バレンシアガ」

村上:「バレンシアガ(BALENCIAGA)」は、他のブランドよりも一足早く、21年プレ・フォール・コレクションに相当する21年サマー・コレクションを発表ですね。このブランドのサイクルは独特で、メインと次のプレで1つのストーリーが完成。つまり今回の21年プレ・フォールは、7月に発表したコレクションの続き、ですね。確かに、全体のシルエットは7月発表のコレクションよりも落ち着いている印象だけど、ボロボロのニットやロゴ入りのスエット、カラフルなトートバッグなど似たようなアイテムもチラホラ。モノすごく新しいとは思わなかったけれど、デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)らしいクリエイションですね。サステナブルへの取り組みを明言しているけれど、これまでの残反やアーカイブも使っているのかな?アイデアが枯渇しないためにも、考え自体も使い捨てず、次に繋げる考えは賛成です。気になったのは、BGMの「Sunglasses at Night」でしょうか?元々は、好きな女の子のウソを直視したくないから夜でもサングラスっていう男の子の歌だと思うんだけど、その曲を今、用いた理由はなんだろう?業界の悪しき慣習に対するアンチテーゼ??

丸山:音楽はコリー・ハート(Corey Hart)の1983年の曲「Sunglasses at Night」をデムナと長年組んでいるプロデューサー、BFRNDがカバーしたものでしたね。ちなみに最後に仲間と合流したラストルックのモデルがBFRNDです。映像では曲の通り夜なのにサングラスをしたモデルがパリの街をガツガツ歩きます。勝手に3Dを駆使したSFチックな映像が来るのではないかと想像して身構えていたので意外でした。でも、デムナは事前インタビューでこのコレクションでは2030年のファッションを思い描こうとしたと明かしています。2030年ですが「レトロフューチャリスティックなスタイルの提案ではなく、何が必要不可欠でサステナブルかということをより探求するということ」だそうで、見たこともない新しいものというより、デムナが10年後も残ると思うエッセンシャルなアイテムを集めたコレクションだったのではないでしょうか。1983年の曲を使ったのも、それが現代まで残っているからなのかなと思いました。ですがフーディーを着ずに頭からかけたり、イブニングドレスにスリッパを合わせたり、ティックトック(TikTok)のように歌詞に合わせてモデルが口パクする演出など、どこか違和感のある要素は健在でした。違和感というのは新しいものを初めて見るから生まれる感情でもあると思うのですが、昔からあるものを違う見せ方をしているので新しいように感じます。ちなみにユーチューブでは映像をずっとループさせて見せていて、かれこれ十数時間ライブしているのですがいつまでやるのでしょう?

遠い未来の宇宙からユーモアを届けた「トム ブラウン」

丸山:「トム ブラウン」はリアルのショーと同じようにデジタルでもユーモアたっぷりな映像を公開。まず設定から、22世紀の月で開かれたスポーツ大会「2132 LUNAR GAMES」の開会式の実況とぶっ飛んでます。会場は実在のスタジアム、ロサンゼルス・メモリアル・コロシアム(Los Angeles Memorial Coliseum)なのですが、実況者によれば過去のアーカイブから再現したものだそう。スタジアムを埋め尽くす観客は全員「トム ブラウン」を着用。オリンピックの開会式で選手が正装で入場してくるときのように、最新コレクションをまとった選手が、各競技を現したロゴが描かれた旗とともに入場してきます。最後はトム・ブラウンの愛犬ヘクターをモデルにした犬型の宇宙船がスタジアム上空に現れ、双子のスター選手が宇宙船から降りた後、「トム ブラウン」のライターで聖火を灯すという、ツッコミ満載な映像でした。コレクションは白を基調にしていましたが、これは希望を表しているそう。デジタルでも変わらないユーモアを希望とともに届けてくれたトム・ブラウンに感謝です。

村上:「トム ブラウン」は、112年後も燦然(さんぜん)と輝き、代表選手団のユニホームを手がけているのね(笑)。112年後のオリンピック的なスポーツの祭典は、まだスタジアムをメーン会場に行われているのかな?ナレーターによると、このスタジアムは「20世紀のロサンゼルスを再現している」みたいだけれど。その後ナレーターは、グレース(Grace)さんのリポートの後、「Amazing Grace」とのコメントを発していたね。「Amazing Grace」はアメリカで昔から歌われる賛美歌で、春には新型コロナウイルスと戦う医療関係者に向けて贈られました。舞台は2132年だけれど、随所に過去へのリスペクトが感じられます。心温まるストーリーですね。2132年も「トム ブラウン」が打ち出し続けるフォーマルに代表される古きと、
スペースエイジ時代に欠かせないミラーサングラスのような新しきが入り混じっている素敵な世界だといいなぁ、って思っちゃいますね。絶対生きてないけれど(笑)。

パリジャンに着想を得たリアルな「パコ ラバンヌ」

村上:「パコ ラバンヌ(PACO RABANNE)」は、正直、もうちょっと何かを期待してしまいましたね。終盤のシルバー&ゴールドのスパンコールドレスは、「まさに!!」と興奮しましたが比して前半は、それなりにメタルづかいは含まれているけれど、「『パコ ラバンヌ』で買わなくてもいいかもなぁ」というアイテムも多く。ただメタル使いとか、ラミネート加工を増やすと重さ、着心地、価格などの面でリアルから遠ざかってしまうし、難しいところですね。終盤は、とっても「パコ ラバンヌ」だけど、あくまでコレクションピースでしかないワケで……。そう考えると、「スキャパレリ」は上手な落とし所を見つけつつある印象です。

丸山:今季の「パコ ラバンヌ」は、ジュリアン・ドッセーナ(Julien Dossena)=クリエイティブ・ディレクターがロックダウン中に自宅の窓から近所を歩くパリジャンの服装を観察してそれに着想を得たとのことで、ジーンズやブラトップ、キャミソールなど日常使いできるリアルなアイテムが多かったですね。一部のモデルもドッセーナの友人のパリジャンを採用していたとか。さらに会場の扉は開け放たれていて、ショーを見に集まった群衆や通りを走る車が垣間見えます。モデルは会場の外を歩いてから会場に入ってくるという演出で、パリの日常からランウエイにそのままやってきたようでした。ただ前回のジャンヌダルクに着想を得たコレクションは強さもありながら神秘的な素晴らしいコレクションで、ドッセーナの本領は日常着よりも洗練されたファンタジックな表現の方が発揮されるのかなと思っていたので、個人的には少し残念ではありました。ただ、コロナ禍で消費者もファンタジックよりもリアルな方を好む消費傾向にあるので、それに合わせた結果でもあるのかなと思います。

ビーズを用いたドリーミーな「ビューティフルピープル」

村上:「ビューティフルピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」はバルーンシルエットを基調に、フリルやプリーツをプラスしたひざ丈のドレスの裾にマイクロビーズを封入。すると裾まわりのボリュームがさらに誇張されて、という仕掛けですね。ショーの前に届いた招待状も、マイクロビーズを詰め込んだハンドピローみたいな物体だったんだけど、実際、ビーズも販売するのかな?とても自宅で気軽に詰め込めるシロモノじゃないけれど、軽くて暖かそうではあります。招待状みたいなハンドピローを数個セットにして販売したり、ドレスとセットで売ったりするのかな?そば殻を詰め込んだ枕とフカフカの布団のように、軽くて、ドレスだけど「おうち時間」にも良さそうで、リラックスできるアイテムでした。

丸山:「ビューティフルピープル」は服の表である“Side-A”と裏である“Side-B”、表と裏の間に着目した仕立てのアイデア“Side-C”を以前から採用していましたが、今回はこの間を相互につなげてマイクロビーズを入れられるポケットを作ったんですね。公開した映像は、封入されたビーズが服からモデルの動きに合わせてドラマチックに落ちるという演出でした。ビーズが詰まったポケットに寄りかかればそれはビーズクッションやアームチェアに早変わり。そのまま寝れちゃう枕にインスパイアされたヘッドピースや、ベッドリネンやテーブルクロスのような生地など、家の中にあるものに着想を得たコレクションでしたが、「もしも洋服が住居として変化したら?もしも洋服が感情を揺さぶる存在として、精神を高揚させつつも、穏やかな居心地良さと安心を与えることができたとしたら?」というアイデアを由来としているそうです。

マシュー・ウィリアムズによる新生「ジバンシィ」

村上:新生「ジバンシィ(GIVENCHY)」、私たちはルックを見ただけですが、なんだか良さそうですね。クロコダイルのようにゴツゴツした質感のレザー、喜平のメタルチェーン、スキャンダラスなブラックミニドレスなど、メゾンらしい強さとモード感が漂います。前任クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)は、とっても優しいので、時に無理して力強い方向に振っていた印象もあるけれど、マシュー・ウィリアムズ(Matthew Williams)にとって、ブラックやモード、メタル使いに代表されるエッジーは、得意のフィールドだしね。詳しくは、ヨーロッパ通信員の藪野淳さんが現地でコレクションを見てリポートしてくれています。

丸山:やっぱりマシューの得意なアクセサリーは素晴らしかったですね。特にティーザーでも見せていた南京錠を用いたアイテムは売れそうです。しかもエントリー価格のアイテムも出すそうで、楽しみですね!「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」でも最近はテーラードを意識していましたが、メゾンの技術によりまた別格なクオリティに仕上がっていました。ちなみにキャップやヒールに採用した角などゴシックな要素は意外だったのですが、アレキサンダー・マックイーン(Alexander Mcqueen)期のアーカイブからと聞いて納得。

The post マシューによる新生「ジバンシィ」公開、遠い未来から希望を届けた「トム ブラウン」 デジコレでドタバタ対談パリ7日目 appeared first on WWD JAPAN.com.

メイクアップの歴史に特化した博物館がマンハッタンに開業 海外ビューティ通信ニューヨーク編

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」では、パリやニューヨーク、ソウル、シンガポールの4都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。(本文中の円換算レート:1ドル=105円)

 メイクアップに特化した世界初の“メイクアップ博物館(MAKEUP MUSEUM)”が、9月1日にニューヨークのミートパッキング地区にオープンした。化粧の歴史とそれが社会でどのような役割を果たしてきたのかを展示している。当初は5月にオープンする予定だったがコロナ禍で延期となっていた。

 共同設立者はビューティデータ会社を創設し経営するドリーン・ブロック(Doreen Bloch)、美容マーケティングを専門とするケイトリン・コリンズ(Caitlin Collins)、そして著名メイクアップアーティストのレイチェル・グッドウィン(Rachel Goodwin)の3人だ。同博物館長であるブロック共同創設者は「このような危機の中でもビューティと芸術、文化はなお人々にとって非常に大切なものです。ビューティに捧げる文化的施設を開館できることをうれしく思います」と語り、コリンズ共同創始者も「この数カ月間、多くの支援の言葉をもらいました。博物館を開けるための情熱とクリエイティビティー、喜びは決して途絶えることがありませんでした」と述べる。

 スポンサーにはアーノラズロ(ERNO LASZLO)社、コンエア社(CONAIR)、アルコン(ALCON)社、ジボダン(GIVAUDAN)社が名を連ねる。現在、コロナ対策のために時間制限を設け、入館人数を収容可能人数の16%に抑えて運営している。チケット(40ドル=約4200円)は事前にオンラインで購入でき、入館時には検温と常時マスク着用が求められる。

 同館初の特別展は「ピンク・ジャングル:アメリカの1950年代のメイクアップ(PINK JUNGLE 1959s Makeup in America)」と題して、50年代の化粧品や香水の数々やロシアからの移民としてハリウッドで活躍したメイクアップアーティストのマックス・ファクター(Max Factor)のメイクアップルームも再現している。そして当時のアイコンであるマリリン・モンロー(Marilyn Monroe)やグレタ・ガルボ(Greta Garbo)、ジャクリーヌ・ケネディ(Jacqueline Kennedy)が愛用したアーノラズロ(Erno Laszlo)博士によるスキンケア製品や肌診断のメソッドも見どころだ。

 エルジン(ELGIN)社製の小鳥の形をした手首につけられるコンパクトは、サルバドール・ダリ(Salvador Dali)のデザインによるものという稀少な品だ。またブラック層をターゲットにした雑誌「エボニー(EBONY)」(1945年創刊)と「ジェット(JET)」(1951年創刊)のコピーが常設展示してあり、メインストリームの雑誌では見えにくいブラック層のメイクアップの歴史を辿ることができる。そのほか細眉とリップライナー、光と影を駆使して立体感を出すコントゥアリングを広め、革新的なメイクテグ額で90年代に一斉を風靡したメイクアップアーティスト、故ケヴィン・オークイン(Kevyn Aucoin)の日記も7冊が展示してあり、夭逝した彼の内面が窺い知れて興味深い。

 館内にはセルフィーにぴったりの色別にわけられた一角があり、ギフトや化粧品の販売コーナーも設けている。またメイクアップの歴史や展示物をインタラクティブに検索できるアプリも用意されている。とても興味深く一見の価値がある博物館だ。

黒部エリ/ライター:東京都出身。雑誌ライター、ジュニア小説家を経て1994年からニューヨーク在住。ニューヨークのトレンドやビューティ情報を女性誌などで発信している。著書に「生にゅー 生のニューヨーク通信」(文藝春秋社) ブログ「黒部エリぞうのNY通信」

The post メイクアップの歴史に特化した博物館がマンハッタンに開業 海外ビューティ通信ニューヨーク編 appeared first on WWD JAPAN.com.

デジコレでドタバタ対談 パリ6日目 「コム デ ギャルソン」不在の土曜日、「エルメス」の“自由の再発見” 

2021年春夏のコレクションサーキットのラストとなるパリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)も6日目となりました。パリからはベルリン在住のヨーロッパ通信員が現地取材の様子をお届けしますが、オンラインでも日本の記者たちが対談レビューという形で、“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は、ウィメンズ・コレクションを長年取材している「WWDジャパン」の向千鶴編集長と、大杉真心記者がリポートします。

常連不在で、若手ブランドの発表続く

向:今日は土曜日。パリコレ中の土曜日は通称“ギャルソン・デー”で、朝一番に「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARCONS)」、昼には「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」、夕方には「コム デ ギャルソン」がショーを披露しています。今シーズンはでコム デ ギャルソン社の3ブランドに加えて同じく土曜日の常連「ハイダー アッカーマン(HAIDER ACKERMANN)」が不参加のため寂しい印象でした。空いたスロットに「エスター マニャス(ESTER MANAS)」「カルバン ルオ(CALVIN LUO)」といった初参加ブランドが組み込まれ、それはそれで楽しみだったけど正直心に響かず。とテンション低めでごめんなさい。

大杉:ギャルソン社3ブランドの穴は大きいですね。今回パリコレ初参加の「エスター マニャス」は今年のLVMHプライズのセミファイナリストで、サステナブルでインクルーシブなアプローチで注目を集めているベルギー発のブランドです。砂漠や海、宇宙をデジタルツアーで移動しながら、異なる体型、人種のモデルたちが同一のルックを着ることで、見え方の違いを表現しているのに好感が持てました。サイズはXXSからXXLまでそろえているそう。キャッチーなブランドロゴをのせたバッグのお披露目もありました。

「アルチュザラ」のドキュメンタリーに好印象

向:「アルチュザラ(ALTUZARRA)」はデザイナー本人がコレクションの説明をするシーンから始まりますが、生地を丁寧に触りながら「このリネンガーゼは大量のリサーチを経て決めたんだ」など実感のこもったコメントがよかった。その後もどうやってこういった形が生まれたか?について具体的なテクニックを丁寧に話していて引き込まれました。こういったことはショーを見るだけでは分からないし、展示会に行ってもデザイナー本人からここまで詳しく話を聞けるケースは少ない。モノ作りへの真摯な姿勢が伝わりましたね。取材陣だけじゃなく、ブランドのファンも嬉しいんじゃないかな。

大杉:オートクチュールの期間中に多かったドキュメンタリー形式の動画でしたね。デザイナーのジョセフ(Joseph Altuzarra)が描いていたデザイン画の服が、モデルが着用して出てきたときに「あの服だ!」と喜びがありました。軽やかな素材とアースカラーの色使いがとても優しい雰囲気でした。ボリューミーナドレープが美しいドレスは、スリットが深かったり、胸元や背中が空いていたりと、洗練された色っぽさがありましたね。

向:今シーズンのトレンドを凝縮したようなコレクションでしたね。綺麗な色、優しい質感、体を締め付けないボリュームあるフォーム。デザイナーの話を聞くと、ボリュームってただ単に布をたくさん使えばいいんじゃない、生地の質感とパターンの絶妙な掛け算で生まれるんだとわかります。ドレープをたっぷり寄せたイエローのドレスとジャケットのセットアップなど着たい服がたくさん見つかりました。

ヴィヴィアン本人が朗読する
「アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド」

向:「アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド(ANDREAS KRONTHALER FOR VIVIENNE WESTWOOD)」の最初に登場した緑のドレスの女性はまさか、とてもスリムになったヴィヴィアン・ウエストウッド本人!?白壁のスタジオで詩の朗読に合わせてモデルが一人一人ポージングをするのですが、服もモデル自身の個性もポージングも全てにインパクトがあり独特です。ファッションショーを見たときに受ける印象と全く同じですね。イエローのコートを着たグレイヘアーのヴィヴィアンのようなマダムもとてもきれいでこういう風に年齢を重ねられたら、と思いました。

大杉:ヴィヴィアン本人がモデルになって登場していましたね。ハイヒールを履いて、ボリュームのある髪型でいつもと雰囲気が違いました。イエローのコートを着たマダムもヴィヴィアン本人でした。中国版の「織姫と彦星」やウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare)の詩「ミツバチが蜜を吸うところで(Where the bee sucks)」などを朗読し、撮影はアンドレアス本人が行ったそうです。インスタグラムの情報によると、今回のコレクションはパンデミック前にデザインをした服で、存在感がある必須アイテムを目指したそう。花柄のブーツがコーディネートのポイントになっていましたね。

向:話はそれますが、先日発表された「アシックス(ASICS)」と「ヴィヴィアン・ウエストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)」は、新作コラボスニーカー“アシックス × ヴィヴィアン・ウエストウッド ゲルカヤノ26(ASICS × VIVIENNE WESTWOOD GEL-KAYANO 26)”のビジュアルもユーモアたっぷりで面白かったです。本当に自由な発想です。

“明るい未来”へのメッセージが込められた「エルメス」のリアルショー

向:リアルショーを行った「エルメス(HERMES)」はエレガントであることは変わらないのですが今シーズンは力強さ、決意のようなものを見てとりました。上質できれいな色のレザーやウール、シルクといった素材をシンプルに使いながらカッティングが直線的で大胆。背中が大きく開いて肌を見せるスタイルが多かったですよね。

大杉:露出が多いのにとても上品ですね。ジャケットやサロペットの下にバンドゥを合わせるスタイリングや、体にフィットしたシルエットにヘルシーで美しい。モノトーン、ブラウン、ベージュのベーシックカラーに朱赤やオレンジ、ライトブルーをポイントに入れた色使いも心地よく、フレッシュです。また、このコレクションには“自由の再発見”という思いが込められていると書かれていました。不自由なコロナ禍のロックダウンを経験し、「次の春夏こそ、マスクを付けずに外に出て楽しみたい」というような解放感があります。

向:デザイナーのナデージュ・ヴァンヘ・シビュルスキー(Nadege Vanhee-Cybulski)は、約 6 カ月をかけて、12人の親しいアーティストたちと一緒にスクラップブックを作ったそうです。会場でモデルの後ろに見えるビジュアルがそうですね。「自粛生活を余儀なくされる中で、自由と明るい未来に対する人々の願いや、女性として生きることをビジュアルで表現した」とのこと。複数のアーティストの思想や視点をコラージュしているということですね。この“思想や視点のコラージュ”は今季のパリコレのテーマの一つだと思う。分断されたカルチャーをつなぎ合わせ、離れて生活しながら知恵を寄せ合うことで互いに勇気付けよう、そんなメッセージを受け取ります。そしてハッとする発色のリップが良かった。大ヒット中の「ルージュ・エルメス(ROUGE HERMES)」ですね。

大杉:ナチュラルなベースメイクに合わせたリップカラーが際立っていましたね。マスクが必需品となり、口紅がなかなか楽しめない日々なので、早くマスクを取って思いっきりメイクを楽しめる日が待ち遠しいです。私は多彩なカラーで登場したショルダーバッグや、スタッズ使いが特徴的なローファ風のクロッグなどの新作アクセサリーも気になりました。

10シーズン分のアーカイブ素材を使った「アナイス ジョルダン」

向:個人的に好きなのよね、「アナイス ジョルダン(ANAIS JOURDEN)」の世界観。ガーリーでトゲがあり力強い。フワフワしたドットのドレスに「ナイキ(NIKE)」のスニーカーといったミックススタイルが印象的です。コレクションのタイトルは「WORLD OF REALMS(現実の世界)」で、撮影場所はおそらくデザイナーの故郷である香港でしょうか?インスタには「過去10シーズンのアーカイブの記憶を再訪し、真実とファンタジー、時間と空間の境界線を曖昧にした新しいコレクションを作った」とあります。

大杉:迫力のある映像でしたね。香港の滝や港、ビルの屋上などフォトジェニックな場所でありながらも、ちゃんと服に焦点が当たっていて、サクサクと次のルックへ切り替わっていくのも見やすかったです。“アップサイクルコレクション”と題して、これまでの10シーズンで使った素材で、デザイナーのアナイス・マック(Anais Mak)が気に入っているものを再利用したそうです。ブランドとしてサステナビリティへの考えを深めるべく、まずは“ローカルで作る”ことから始めて、素材の調達から仕立てまで全て香港と中国国内で行ったそう。

向:以前、別の香港デザイナーに話を聞いた時、彼は中国との関係について触れて「僕ら香港のクリエイターは頭の上にずっとガラスの天井がある世界で仕事をしている。突き破りたいけど壊したら傷つく。だからずっと同じ場所でグルグル回っている気分なんだ」と話していた。今の香港でアナイスが何を思うのか、話を聞いてみたいな。

セーヌ川沿いをランウエイにした「アミ アレクサンドル マテュッシ」

向:9年目にして初めてウィメンズのファッションウィークに参加した「アミ アレクサンドル マテュッシ(AMI ALEXANDRE MATTIUSSI)」はリアルショーで、セーヌ側沿いの遊歩道をランウェイに見立て男女のモデルが歩きました。セーヌ川沿いの道っていつも大渋滞しているけど、車道から一段下がったこの遊歩道は喧騒から外れて穏やかに過ごせる場所だよね。夜は怖くて一人では歩けないけど。

大杉:川がライトに反射してキラキラしていてとても素敵なロケーションでしたね。ただ暗闇の中モデルたちがサングラスかけて登場するので、川に落ちてしまわないか少しハラハラしました(笑)。モノトーン、ネイビー、ブラウンのシャツスタイル、セットアップなど、ハンサムなルックが多かったですね。

向:ネイビージャケット、白シャツ、ボーダーカットソー、デニムにプリーツスカート、キャメルのコートなどクローゼットのベースとなるアイテムを上質素材で丁寧に作る姿勢は変わらず。 私の中では「アー・ペー・セー(A.P.C.)」のデザイナー、ジャン・トゥイトゥ(Jean Touitou)やエディ・スリマン(Hedi Slimane)のスタイルと通じるものがある。ザ・パリジャン&パリジェンヌという意味でね。だから夜のセーヌ川はぴったりだと思う。「アンリアレイジ(ANREALAGE)」が富士山の前で撮影したのと同じで、ブランドのルーツが一瞬で理解できます。

The post デジコレでドタバタ対談 パリ6日目 「コム デ ギャルソン」不在の土曜日、「エルメス」の“自由の再発見”  appeared first on WWD JAPAN.com.

ファッションショーの乱入ハプニング8場面 ネコちゃんのリアル“キャットウォーク”から抗議運動まで

 9月29日にパリで行われた「ディオール(DIOR)」の2021年春夏コレクションのショーでは、“私たちはみなファッション・ヴィクティム(We Are All Fashion Victims)”と書かれた黄色いバナーを持った抗議者がランウエイを歩いた。同ブランドのマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)=アーティスティック・ディレクターは定期的にランウエイで社会的メッセージを伝えており、抗議者の登場が計画的だったのかどうか会場に困惑が広がったが、すぐにショーの一部でないことが判明した。

 今回のようにショーに登場して混乱をもたらすモデル以外の人物、いわゆる”ランウエイクラッシャー“はファッションショーにおいて珍しいものではない。突発的に奇抜な衣装で乱入したものから、メッセージ性を持った抗議運動まで、ここでは8つのハプニングを取り上げる。

1 「シャネル(CHANEL)」のフィナーレにユーチューバーが乱入

 パリで行われた「シャネル」20年春夏コレクションショーでは、グラン・パレ(Grand Palais)通りの屋上を再現したステージを歩くモデルの列に、ツイードのセットアップを着た観客が乱入した。

 乱入したのはインスタグラムで19万以上のフォロワーを持つユーチューバーでコメディアンのマリー・ベノリエル(Marie Benoliel)。ステージに上がりモデル同様ウォーキングするも、ショーのモデルを務めていたジジ・ハディッド(Gigi Hadid)に退場するようバックステージへと促された。

2 「グッチ(GUCCI)」にモデルのアイーシャ・タン・ジョーンズ(Ayesha Tan-Jones)がプロテスト

 いわゆる“ショークラッシャー”とは異なるが、「グッチ」20年春夏コレクションショーではモデルのアイーシャ・タン・ジョーンズが“メンタルヘルスはファッションじゃない(Mental health is not Fashion)”と書いた両手を掲げてランウエイを歩いた。イギリス出身のノンバイナリーモデルであるジョーンズは、「グッチ」が拘束衣のようなデザインを含むコレクションを、ベルトコンベアーを使って発表したことに対して抗議の意を表明した。

 ジョーンズはショーの後インスタグラムで、「メンタルヘルスをタブー視する風潮を終わらせるべきだと信じて抗議した。私を含めた多くのモデルもそうだと信じている。精神病患者を示唆するようなデザインを使うこと、そして食肉工場のようにベルトコンベアーで移動させることは悪趣味。この資本主義社会の中で人々の苦悩を洋服を売るための小道具として利用することは、メンタルヘルスに苦しむ世界中の何百人に対して想像力のかける行為であり、下品で侮辱的だ」と語った。

3 「ディオール(DIOR)」のキャットウォークにネコちゃん

 モロッコで行われた「ディオール」の20年プレ・スプリング(リゾート)では、モデルたちが行き交うランウエイのステージ、通称キャットウォークを本物の猫が歩いた。フィナーレを歩くモデルたちに混じって野良猫は、進行とは逆方向に闊歩した。

4 「プラバル・グルン(PRABAL GURUNG)」のショーに王冠をかぶった半裸の男性

 「プラバル・グルン」の14-15年秋冬コレクションショーでは、突然黒いトレンチコートに金の王冠、ヒョウ柄のビキニ、赤いソックスを身に付けた男性がランウエイに登場。すぐに警備員によって退場を促され、逮捕された。

 男性は後にウクライナ出身の記者だと判明し、ジジ・ハディッドやウィル・スミス(Will Smith)、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)、ブラッド・ピット(Brad Pitt)、ミランダ・カー(Miranda Kerr)らをはじめとする多くのセレブリティーに悪ふざけやわいせつ行為を行なっていた人物だとわかった。

5 トップレスの女性が「ニナ リッチ(NINA RICCI)」のショーにカットイン

 「ニナ リッチ」14年春夏コレクションショーではトップレスの女性2人がランウエイに割って入った。それぞれの体には“モデルは売春じゃない(Models don’t go to brothels)”“ファッションの独裁者(fashion dictaterror)”と書かれていた。

 両者はトップレスによる抗議行動で知られるウクライナの女性権利団体、フェメン(Femen)のメンバー。同団体は13年にも「ヴェルサーチェ(VERSACE)」のショーや、ハイディ・クルム(Heidi Klum)司会のドイツのトップモデル発掘ライブ番組でも抗議を行なった。

6 英コメディアンが珍衣装でショーをクラッシュ

 英俳優のサシャ・バロン・コーエン(Sacha Baron Cohen)は、09年に行われた「アガタ・ルイス・デ・ラ・プラダ(Agahta Ruiz de la Prada)」のショーにマジックテープでさまざまな布や靴を装着した奇抜な格好で乱入した。コーエンはコメディアンとしてアリ・G(Ali G)やブルーノ(Bruno)、ボラット(Borat)など複数のキャラクターを持っており、ショーではブルーノのキャラクターとしてランウエイを闊歩した。警部員に連れ出された。

 また英「ヴォーグ(VOGUE)」によると、翌週に行われた「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」のショーでもコーエンは、レザージャケットとジーンズを着用して赤いビキニが露出した格好でフロントローに登場し、会場を混乱させたという。

7 「ディオール(DIOR)」のショーに抗議団体ペタ(PETA)が押し入る

 動物の倫理的扱いを求める人々の会(People for the Ethical Treatment of Animals、PETA)は、たびたび毛皮の使用をめぐって抗議運動を行なってきた。そのうちの一つが「ディオール」の03-04年秋冬コレクションショーだ。抗議運動を行なったPETAメンバーは“ファー・シェイム(Fur Shame)”と書かれたバナーを掲げてランウエイに上がったが、すぐに警備員に降ろされた。

8 「ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA'S SECRET)」にもPETAが乱入

 02年に行われた「ヴィクトリアズ・シークレット」のショーでは、ブラジル出身のモデル、ジゼル・ブンチェン(Gisele Bundchen)を狙ってPETAメンバーが抗議運動を行なった。黒と赤のランジェリーに身を包んだジゼルがランウエイに登場するや否やPETAメンバー4人がバナーを持ちながら並んで歩いた。

 バナーには“ジゼル:ファーのクズ(Gisele: Fur Scum)”と書かれており、同モデルが毛皮の養殖会社ブラックグラマ(Blackglama)と契約を結んだことに抗議した。ジゼルは抗議者を無視して歩き続け、抗議者は警部員に取り押さえられた。

The post ファッションショーの乱入ハプニング8場面 ネコちゃんのリアル“キャットウォーク”から抗議運動まで appeared first on WWD JAPAN.com.

ベールを脱いだ新生「ジバンシィ」 クリーンなテーラリングにハードウエアや激しいテクスチャーをミックス

 「ジバンシィ(GIVENCHY)」は10月4日、マシュー・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)新クリエイティブ・ディレクターの手掛けた2021年春夏コレクションを発表した。これまでジョン・ガリアーノ(John Galliano)やアレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)、リカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)、クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)といった実力派デザイナーが率いてきた老舗クチュールメゾンに34歳で抜擢された彼のデビューコレクションは、今シーズンのパリコレ最大のトピックだ。しかし、コロナ禍でのランウエイショー開催は見送り、オンラインでウィメンズとメンズのルックを公開した。

 同日、パリ・モンテーニュ通りにあるショールームで行われたプレビューで、ウィリアムズは「コレクションに特定のテーマはない」と語り、プロダクト重視の考え方を明かす。それを最も象徴するのは、ハードウエアだ。コレクション発表に先駆けて公開したビジュアルも南京錠やチェーンなどにフォーカスしていたが、「自分にとってハードウエアはとても大切な要素であり、新しいプロジェクトに取り組むときは常にそこからスタートする」という。そして、それらを新たなブランドシグネチャーとして、アクセサリーだけでなくウエアやバッグ、シューズのデザインにも取り入れていく。自身のブランド「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」でもローラーコースターバックルで人気を確立し、「ディオール(DIOR)」のメンズコレクションのバックルデザインも手掛ける彼らしいアプローチと言えるだろう。

 ハードウエアに加えて、今シーズンのウエアの鍵となるのは、直線的なテーラリングとハードなテクスチャーやプリントだ。「今の時代、メンズとウィメンズは流動的がいい」という考えから、共通した素材やシルエットを採用したアイテムも多い。テーラードジャケットやコートはボクシーなシルエットで、ウィメンズでは“グラブ・スリーブ”と呼ぶ袖を浮かせたようなデザインを提案。一方、メンズは隠しボタンもしくはハードウエアの留め具で仕上げた。そのクリーンな印象と相反するように組み合わせるのは、溶岩やひび割れた地表のような荒々しいテクスチャーに加工したジーンズや型押しクロコダイルレザーのアイテム、タトゥーのようなグラフィック。オーバーサイズのスタンドカラージャケットやアノラックなど、カジュアルなアイテムもある。また、「アーカイブから創業者ユベール・ド・ジバンシィ(Hubert de Givenchy)の透け感のある素材使いや装飾を研究し、それをいかにモダンに表現できるかに取り組んだ」とウィリアムズが語るように、ウィメンズのイブニングでは、ビジューやパールを飾ったシアドレスや背中の大きく開いたニットドレスなどセンシュアリティーを探求した。

 バッグはアイコンの“アンティゴナ”を再解釈。マグネット開閉を採用した長細いハンドル付きの新デザインを提案する他、ゴツいチェーンでアレンジしたモデルや縦長のミニバッグ、ボディバッグなどもラインアップする。また、新しいアイコンとして、ユニセックスな“カットアウト”バッグも2サイズで打ち出す。やや猟奇的にも感じる角型のヒールやツノの付いたキャップは、アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)時代のアーカイブからヒントを得たもの。ゴールド&シルバーカラーのインパクトのあるアクセサリーに加え、厚底のスライドサンダルやエアソールのスニーカー、ストラップ付きiPhoneケース、ウォーターボトル、コンパクトに折り畳めるサングラスなど若い層でも手が届きそうなアイテムが豊富で、顧客の裾野を広げることにつながりそうだ。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

The post ベールを脱いだ新生「ジバンシィ」 クリーンなテーラリングにハードウエアや激しいテクスチャーをミックス appeared first on WWD JAPAN.com.

スーツが嗜好品になる日 エディターズレター(2020年8月5日配信分)

※この記事は2020年8月5日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

スーツが嗜好品になる日

 米ドラマ「SUITS」は世界中で人気を集め、日本でもリメークされたのでご覧になった人は多いでしょう。一流弁護士事務所を舞台にしたドラマのタイトルは、SUIT=訴訟と、パワーエリートの象徴であるSUIT=背広という二重の意味が込められています。ただ、現実のビジネスの世界ではIT企業を例に出すまでもなく、仕事着のカジュアル化が加速中です。最近ではウォール街の金融マンですら、スーツを着ない世代が増えているようです。

 米国最大の紳士服店であるテイラード・ブランズが8月3日、日本の民事再生法に相当する米連邦破産法第11条の適用を申請しました。「メンズ・ウエアハウス」「ジョス・エー・バンク」などの屋号でビジネススーツを販売。「スーツを2着買えば割引」などの安さを武器にした販売手法で全米に約1400店舗を展開し、売上高は約3400億円の規模でした。「米国の青山商事」と呼ぶ業界人もいます。

 米国ではブルックス ブラザーズが同様に米連邦破産法第11条の適用を申請したのも記憶に新しいところです。既製服のスーツを初めて作った老舗であり、歴代大統領をはじめとしたエスタブリシュメントに愛されてきた名門の破綻は衝撃を与えました。

 低価格のテイラード・ブランズも高価格のブルックス ブラザーズもコロナ以前から経営状況は悪化しており、コロナによる店舗休業がダメ押しになった格好です。コロナ以前の悪化についてはそれぞれ複合的な要因もあるでしょうが、大きな流れとして男性のスーツ離れが痛手になったことは間違いありません。

 日本においてもコロナ以前からスーツ離れが顕著になっています。青山商事、AOKI、コナカといった大手紳士服専門店は業績が悪化。百貨店向けの有力ブランド「ダーバン」を販売してきた総合アパレルのレナウンも経営破綻しました。コロナ禍で在宅勤務が広がりを見せる中、スーツにとって明るい材料はあまりありません。

 戦後の日本でスーツはホワイトカラーの男性の仕事着という位置付けで、大きなマーケットを形成してきました。しかし今やホワイトカラーが必ずしもスーツを着ない世の中になってきている。残念ながらマーケットの縮小は避けられないでしょう。

 「SUITS」の弁護士たち、あるいは今放送中の「半沢直樹」に登場する銀行マンや証券マンもスーツを脱ぐ時代がくるかもしれない。現に三井住友銀行は昨年から、本店の一部とはいえ服装の自由化に取り組んでいます。多くの男性にとって仕事の必需品だったスーツは、かつて和服がたどったような嗜好品への道をたどることになるのかもしれません。

MARKET VIEW:ファッション市場で日々発信されるホットなニュースを、「WWDジャパン」のビジネス担当記者がコンパクトに解説するメールマガジン。ニュースを読み解くヒントを提供します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post スーツが嗜好品になる日 エディターズレター(2020年8月5日配信分) appeared first on WWD JAPAN.com.

NY撤退後の「鎌倉シャツ」の課題 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。日本以上にコロナの影響が深刻な米国で、鎌倉シャツがニューヨークの店舗の閉鎖を決めた。当面はオンラインストアを受け皿にし、終息後の再出店の機会を伺う。日本ブランドの成功例といわれてきた同店の閉店は、コロナ下の米国小売業の厳しさを印象づけるものだった。

 メーカーズシャツ鎌倉(鎌倉シャツ)がニューヨークのマジソン・アベニュー店を年内で閉店すると発表した。2012年の進出以降、黒字を確保していたが、コロナによってマンハッタンの消費自体が壊滅的な影響を受ける中での決断だった。閉店の背景とコロナ後の課題を考えてみた。

NY撤退は避けられなかった

 鎌倉シャツは2012年10月30日にNYマジソン・アベニューに米国進出の1号店を開設した。続いて15年12月17日にはグラウンドゼロのブルックフィールドプレイスに2号店を開設したが、3年半後の19年9月15日に同店を閉店している。その段階で米国市場対応の難しさは見えていたはずで、コロナ禍による売り上げの激減で撤退を決断したと思われる。

 米国での鎌倉シャツの売り上げは、マジソンとブルックフィールドの2店舗体制だった19年5月期でも271万ドル(20%を占めるECも含む)に過ぎず、米国法人は投資に見合う収益には遠かったはずだ。コロナ禍のロックダウンで休業期間が4カ月にも及び、感染が収まらずリモートワークが定着してマンハッタンの人出は戻らず、売り上げは前年の10分の1という惨状だったから、撤退の決断はやむを得なかった。

 ではコロナ禍がなければ、いずれボストンやワシントンDCなど東海岸の諸都市にも店舗を広げ米国市場で一角を占める規模に成長できたかというと、それは難しかったのではないか。もしそんな勢いがあったならブルックフィールドの店舗を閉めてはいないし、進出から8年間もあったのだから3号店や4号店も出店していたはずだ。価格と品質のバランスを評価する手応えを感じても多店化するまでの勢いはなく、アウェイな米国事業を遠隔マネジメントする労力とコストは小さな会社には負担が大きかったと思われる。

 加えて、米国ビジネスウエア市場の変化も鎌倉シャツには逆風だった。ビジネスウエアのカジュアル化が加速してスーチング需要が激減しているのは日本と同様で、とりわけ伝統的な東部風ビジネススタイルに立脚するアパレル事業者の業績は近年、急速に悪化していた。そこにコロナ禍のロックダウンでわが国に倍する長期休業を強いられ、アメリカントラディショナルの大御所というべきブルックスブラザーズ(BROOKS BROTHERS)は7月8日、「米国の青山」ともいうべきテイラード・ブランズ(TAILORED BRANDS)も8月2日、連邦破産法11条を申請して破綻した。

ドレスシャツとワーキングシャツは違う

 米国のメンズウエア市場はわが国以上にカジュアル化が進んだ一方、階級意識もシリアスで、経営層の「スーツ」、中間管理職・現場監督層の「オフィサー」、労働者階級の「ワーカー」や「セールスマン」というビジネスウエアの階級区分がはっきりとある。「スーツ」はピッタリ仕立てのテーラードスーツと華奢なドレスシャツ、「オフィサー」はジャケットにタフなワーキングシャツとセンタープレス・スラックス、「ワーカー」はブルゾンやパーカにカジュアルパンツ、「セールスマン」は安手な吊るしの既製スーツ、というのが東海岸や中北部ではお約束になっている(自由な気風のカリフォルニアなどは異なる)。

 「スーツ」階級の着るテーラーメイドスーツは、ショーファー付きで汗して働くこともないから、ソフトな上質ウーステッド素材でかなりスリムに仕立てられている。合わせるテーラーメイドのドレスシャツも華奢な上質素材で、同様にスリムに仕立てられている。米国ドラマ「ホワイトカラー」の主人公、ニールのしなやかな着こなしを思い出してもらいたい。対して「セールスマン」の着る既製スーツは肉体労働も可能なようにフィットがややラフで、耐久力のある素材で手頃な値段に抑えてある。売っているところもロードサイドの「メンズ・ウエアハウス(MEN'S WEARHOUSE)」など、日本の青山商事やAOKIと変わらない。そんな「セールスマン」や「オフィサー」が着るのがワーキングシャツだ。

 テーラーメイドのドレスシャツに近い素材と造りの既製ドレスシャツとワーキングシャツは素材も造りも違う別物で、フィットも機能性も異なる。ドレスシャツは素材も華奢でしなやかだが胴回りや肩口、袖口などフィットがタイトで、体を動かして働く「オフィサー」や「セールスマン」には窮屈だ。「静」と「動」の違いといったら良いだろうか。

 鎌倉シャツはもとより「VAN」の血筋を引くトラッドマインドが通底しており、ノーネクタイでも着崩せる清潔感あるカジュアルさがあって、アイビースクール感覚が抜けないさわやかな大人を感じさせる。そこには「スーツ」や「オフィサー」「ワーカー」といった階級意識とは無縁のおおらかさがある。そんな鎌倉シャツにニューヨーカーたちはプレッピーの系譜を見たのかも知れないが、今日のシリアスな階級闘争を生きる「戦闘服」としては中途半端だったのかも知れない。「スーツ」階級のドレスシャツとしては華奢さが足りず、「オフィサー」のワーキングシャツとしてはタフさが足りない。前者にしては安価に過ぎ、後者にしては上質に過ぎたのだろう。

 わが国とはビジネスウエアの社会慣習が少なからず異なる米国市場では、品質と価格のバランスを評価する顧客は付いても、ビジネスウエアの社会慣習を変えるほどのインパクトはなかったと思われる。

日本の商品とビジネスにも負荷がかかった

 組織も資本も小さな鎌倉シャツにとって米国進出は夢ではあっても現実の経営は荷が重すぎ、日本の商品や経営にも負担が及んだのではないか。

 ニューヨーク進出直後から日本で展開する鎌倉シャツのフィットが微妙にスリムになり、米国事業の投資が嵩んでかベーシックシャツの価格が税別4900円から5900円になり、6900円とか7900円のベターラインが増えていった。創業間もない頃から愛顧してきた私など、これまで試着しなくてもおきまりのサイズを選べば済んでいたのが逐一、試着しないと買えなくなって戸惑った。ニューヨーカー風にスリムに着る若い顧客を取り込む効果はあったかも知れないが、馴染みの顧客は戸惑うばかりで、素材やデザインは目立って若返ることはなかったから疑問に思ったことを覚えている。

 日本のビジネスマンにとって既製ワイシャツは「コモディティ」であって、それぞれに買えるクラスは違っても、自分のご愛顧ブランドを決めて時々に好みの色柄を選び、値札も寸法も確かめることなくいつものサイズを買えば済むのが好ましい。忙しいときはECで済ましても良いし(鎌倉シャツは4分の1がEC売り上げ)、奥さんや秘書に代理購入してもらうのも容易だ。

 鎌倉シャツもグローバルなブランドになったのだから、フィットもニューヨーカー風にスリムになり、価格もブランドの付加価値(実際はコスト)が乗って多少は高くなっても仕方ないよね、と当時は思ったものだ。グローバルとローカル(実際は日本もNYもそれぞれローカル)のギャップやコストの上昇を解消しないまま、夢を追って19年11月7日に上海(上海は華南、北京は華北、2つのローカルがある)に進出して間もなく、コロナが襲ってさまざまな課題が露呈した。

コロナ禍のダメージと対策

 日本の鎌倉シャツの店舗はビジネス需要を狙ってターミナルやビジネス街に集中していたから、コロナ禍の直撃を受けた。緊急事態宣言下で1カ月半の休業を強いられ、リモートワークの定着もあって営業を再開しても顧客の戻りは限られた。ビジネスシャツの売り上げは3〜5月がピークなのに4月と5月の店舗売り上げがほぼゼロになり、メーカーズシャツ鎌倉の20年5月期売上は32億2900万円と前期の45億4700万円から29%も減少し、創業以来初めての減収となった。店舗スタッフを動員してのチャット接客で伸ばしたEC売り上げ※1、取り組み工場で急きょ作った布マスクの累計50万枚の売り上げはサダ・マーチャンダイジングリプリゼンタティブに計上されたから、両社合計の売り上げはそこまで落ち込まなかったと思われる。

 高齢で引退した創業者の両親に代わり2月に企画・生産・EC運営のサダ・マーチャンダイジングリプリゼンタティブ、5月に店舗販売のメーカーズシャツ鎌倉の代表取締役社長を引き継いだ長女の貞末奈名子氏は、両親の理念を受け継いで雇用と取引の継続に努め、店舗休業中の従業員給与を全額支給し、5月末の決算ボーナスも8月末との二分割にはなったが全額を支給。取り組み縫製工場に対しても布マスクの製造を発注して生産ラインの維持に尽力している。

 メーカーズシャツ鎌倉は営業外収益を計上して4割近い減益ながら4700万円の最終損益を確保し、決算が12月のサダ・マーチャンダイジングリプリゼンタティブ(前期売り上げは51億7000万円)もEC売り上げが下支えして黒字が見込めると奈名子社長は「繊研新聞」のインタビューに答えている。サダ・マーチャンダイジングリプリゼンタティブの売り上げの過半はメーカーズシャツ鎌倉への商品納入とEC販売の代行であって重複しているが(残りは外部のOEM受注)、両社の連結実態は開示されておらず推測の域を出ない。

※1.EC売り上げの計上はサダ・マーチャンダイジングリプリゼンタティブで、メーカーズシャツ鎌倉への売り上げ計上は不明。

浮上した4つの課題

 そんな課題を見据え、貞末奈名子新社長は以下の3つの改革を進めようとしているのだと推察する。

(1) 製販両社の一体化によるチームVMI※2の機動化効率化、店舗とEC一体のC&C顧客利便と在庫効率の向上

(2) 出店の抑制と適正店舗規模への回帰、店舗運営と接客プロセスの再確立

(3) 創業の地「鎌倉」へ回帰しての新創業と会社組織の再構築

 サダ・マーチャンダイジングリプリゼンタティブはメーカーズシャツ鎌倉への適時適品供給の一方、取り組み11工場の稼働率にも配慮して外部のOEM受注を確保するという両面対応を求められ、必ずしもメーカーズシャツ鎌倉へのVMI供給に徹していたわけではないし、ECも店在庫を引き当てての店受け取りや店出荷というC&Cまでは実現できていなかった。製販一体のようで二人羽織のような一面もあったのではないか。だからこそ、遠からずの組織一本化を考えているのだろう。

 出店立地や店舗規模、VMDや運営スタイルも再検討する必要がある。ターミナルやビジネス街に集中する出店はコロナで壁に当たり、郊外ターミナルなど生活圏立地に布陣する品ぞろえと店舗スタイルの確立が急務だし、少人数運営の小型店で後方ストックに多頻度に出入りする在庫運用は鎌倉シャツの原点から乖離している。鎌倉シャツの効率を実現したサイズ別ボックスVMDと店舗運営が崩れているという危機意識はないのだろうか。

 奈名子社長は米国事業も中国事業も担当して、商品でも物流でも店舗運営でもローカルギャップを痛感したはずから、「鎌倉」回帰は国内完結を志向したものという受け止め方もできる。上海の店舗は好調で撤退など考えないだろうし、ニューヨーク再進出の夢も捨ててはいないだろうが、多店化して一定の事業規模まで伸ばすつもりなら商品と物流のローカル対応は必須で、投資も手間もかさむ。コロナ禍のダメージの中、限られた資産や人材をどこに集中するかも問われよう。

 コロナ後を見据えるなら

(4) 需要の衰退が避けられないビジネスシャツをカバーする新アイテムの拡充

も急がれよう。それも取り組み工場の生産ラインで効率的に作れるものに限られるから、シャツの派生アイテムになる。単仕立てのシャツジャケットやシャツコート、パジャマやシャツガウン、ネルシャツやワークシャツ、夏場はアロハやカリユシ、ということになるのだろうか。それをシャツ同様の陳列・販売プロセスと製販一体のウィークリーVMIで回す仕組みを築き上げるとしたら、非効率な海外事業に時間も費用も割く余裕は到底ないはずだ、と思うのは外野の老婆心に過ぎるだろうか。

※2.VMI(Vendor Managed Inventory)……あらかじめ定めた陳列棚割と販売計画に基づいてベンダーに補給と在庫管理を委任する取引形態

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

The post NY撤退後の「鎌倉シャツ」の課題 小島健輔リポート appeared first on WWD JAPAN.com.

「マスク荒れ」によるニキビのケア ゴッドハンド山崎有香が教える1分間動画セルフエステVol.2

 スパ・エステティック業界で、卓越した手技や接客術を持ち話題を集めている“ゴッドハンド”が、1分間でできるセルフエステを動画でレクチャーする当連載。第2回は、昨年行なわれたエステ業界最大級のコンテスト「エステティックグランプリ」の顧客満足サロン部門でグランプリを受賞した山崎有香「メディカルサロン Dr.いろは」代表兼エステティシャンが、“マスク荒れ”により生じるニキビの簡単なケア方法を紹介する。

花粉症の人は特に注意が必要

 ビューティの観点からも最近注目されているのが“マスク荒れ”。山崎代表によると、秋には稲科の花粉が多く飛散する傾向にあるため、花粉症の人は特に注意が必要だという。「花粉のアレルギーで肌が敏感になり、バリア機能が低下してしまうため、マスクによる摩擦の影響を過度に受けてニキビができやすくなる。また、摩擦に加えてマスク内は蒸れて雑菌が発生しやすいので、ニキビが炎症を起こしてしまうケースも少なくない」。

絆創膏と“マキロン”で簡単ケア

 そこで、ごく簡単にできる“マスクニキビ”ケアとして、絆創膏と、洗浄・消毒ができる“マキロン”を使ったケアを提案。「絆創膏の傷口に当てる部分に“マキロン”を1滴だけ垂らし、それをニキビに当てて貼る。そうすることで摩擦や雑菌による炎症を抑えることができる。絆創膏にも雑菌を防ぐ効果はあるが、マスクの中だとそれだけでは不安なので、“マキロン”を使うとより効果的。絆創膏を貼っても、上からマクスをするので外からは見えない」と話す。

 

 山崎氏が代表を務める「メディカルサロン Dr.いろは」では“細胞教育フェイシャル”と呼ばれる、マッサージと化粧品と機器を組み合わせて、肌の活性化を導くメニューが一番人気。使用する化粧品には徹底的にこだわり、常により良い商材を探していて、現在は再生医療に関する医療技術の研究開発を行っているサイセイが提供する、幹細胞培養液を導入している。

■メディカルサロン Dr.いろは
住所:東京都港区麻布台3-2-8
営業時間:11:00~18:00
定休日:月曜日

The post 「マスク荒れ」によるニキビのケア ゴッドハンド山崎有香が教える1分間動画セルフエステVol.2 appeared first on WWD JAPAN.com.

パリコレ現地リポートVol.4 「ロエベ」に心を奪われ、「ヨウジヤマモト」に希望を感じた1日

 こんにちは、ヨーロッパ通信員の藪野です。この原稿を書いている3日の朝は久々に晴れました!天気がいいだけで、だいぶ気分が上がりますね。パリでの新型コロナウイルスの感染拡大状況は深刻化していて、週明け(5日)からレストランなどが閉鎖になるかもしれないと聞き、朝からスーパーに買い出しに行ってきました。いつもとは全く状況も雰囲気も異なるパリコレですが、早くも折り返し地点。「ロエベ(LOEWE)」や「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」を取材した5日目のダイジェストをお届けします!

10月2日(金)

14:00 今季も冴えていた「ロエベ」のクリエイション

 「ロエベ」はデジタルでコレクション発表を行いましたが、パリでもインスタレーションを開催しました。アーティストのアンシア・ハミルトン(Anthea Hamilton)が手掛けた柄の壁紙で飾られた空間に、新たな造形の探求に意欲的なジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)らしいコレクションを展示。コルセットやパニエに使うようなボーン(骨組み)とたっぷりのチュールで生み出す大胆なボリュームが印象的で、コットンやリネンといった素朴な印象の天然素材とのコントラストが際立っています。本音を言うと、実際にモデルが着て歩いているところを見たかったけれど、今季も素晴らしいコレクションでした。
 
 一方、イベントなど特別なオケージョンも少なく、家で過ごす時間が増える中、ちょっと今の現実とはかけ離れているなぁという気も。ただ、そんな心配は無用でした。地下に展示されていたコマーシャルピースには、コレクションピースの要素を取り入れつつもウエアラブルに仕上げたアイテムに加え、“おうち時間”にぴったりなダブルカシミアのフーディーやパンツをはじめ、シンプルなポロシャツ、タンクトップ、レザーのスリッパなどもありましたよ〜。
 
 また、個人的に大のバッグ&シューズ好きなのでついついそっちに目が行くのですが、きっと気になる方も多いはず!ということで、写真でたっぷりとご覧ください。
 

15:00コンパクトにまとめた「イッセイ ミヤケ」のコレクションがパリに到着

 「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」もデジタルでショー形式の映像を発表しましたが、パリのショールームでもインスタレーションを行うと聞きつけて行ってきました。今季のテーマは“UNPACK THE CONPACT”(「コンパクトにしたものを広げて」的な意味)なのですが、パリに小さく畳んだり丸めたりしてコンパクトにまとめたコレクションが到着。アートのように飾られていました。
 
 「イッセイ」のコレクションは毎回、楽しいアイデアやギミックが豊富です。丸めるとスポンジのような弾力があるニットのプリーツアイテムや、ポリエステルとフェルトを三層に重ねて立体的に成形したトップスなど、実際の服を見たり触ったりするのって大切だなと改めて感じました。ちなみに、プリントの柄は全てデザインチームのメンバーが手掛けたものだそう。
 

17:00 「オリヴィエ ティスケンス」は今回、アトリエで全てのアイテムを制作

 その後は、「オリヴィエ ティスケンス(OLIVIER THEYSKENS)」のアトリエ兼ショールームにお邪魔しました。今季は、オリヴィエ・ティスケンスが10代の多感な時期に自身の美意識に大きな影響を受けたという、歌手ミレーヌ・ファルメール(Mylene Farmer)へのオマージュ。ただ、「それぞれのルックのインスピレーションになった曲や写真が分かるのは、僕みたいな本当にコアなファンだけだと思うけどね」とオリヴィエは笑っていました。
 
 そして、このコレクションは新型コロナウイルスの影響により、パターンや裁断から縫製まで全てアトリエで行い、完成させたそうです。ちょっと驚いたのは、彼がコレクションのデッサンを全てiPadで描いていること。数年前にアントワープで開催されたオリヴィエの回顧展で紙のデッサンをいくつも見ていたので、時代の変化を感じました。
 

19:00 リアルショーを決行した「ヨウジヤマモト」 耀司さんにも直撃!

 暫定公式スケジュールが発表されたとき、今シーズンはパリでショーをやる日本ブランドはないだろうなと思っていました。しかし、「ヨウジヤマモト」が耀司さんも渡仏してリアルなショーを開くと判明。一気にテンション上がりました!これは何としてもコメントをもらわねば!!ということで、ショー後のバックステージでお話を聞いてきました。どんなことを語られたかは、ぜひこちらの記事をご覧ください。
 
 パリコレ取材を始めてから毎回ショーを拝見していますが、中でも今シーズンは個人的にかなり好みでした。もちろん黒を軸にしたカラーパレットやドレープを生かしたロングドレス、柔らかなテーラリングなどブランドの根幹は変わらないのですが、しっとりと心に響きました。特にワイヤーのクリノリンと花びらや葉のような有機的なフォルムを取り入れたブラックのドレスは、ドラマチックで儚さを感じる仕上がり。耀司さんは1年前のショーのフィナーレでは背中に「NO FUTURE」と書かれたコートを着ていましたが、今回のショーを真っ白で締めくくったところには未来への希望のようなものを受け取りました。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

 

The post パリコレ現地リポートVol.4 「ロエベ」に心を奪われ、「ヨウジヤマモト」に希望を感じた1日 appeared first on WWD JAPAN.com.

化粧品ってアディクトになっちゃいますね エディターズレター(2020年8月17日配信分)

※この記事は2020年8月17日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

 

化粧品ってアディクトになっちゃいますね

 「ジーユー」が発表したデータで、「約2万8000人中62%が服にかけるお金が減った」と答えたというのがありました。確かにそうよね、って思います。私自身、自粛期間中に家でリラックスできるトップスとボトムスをECで購入しましたが、いずれも1万円以下のモノです。春先になると、「何か服、買いたい〜」と思うものですが、家にずーっといるとそんな欲は湧きません。ママ友らに聞くと、減ったというより「何も買っていない」と答えるんです。「だってあるモノで十分だもん」という返事です。だから「ジーユー」の“着まわし提案”はちょっと気になります。

 ファッション業界の片隅に身を置くものとして、「服にお金をかけない」というのは危惧することなんですが、じゃあ、ママ友らは何を買ったの??ママだから子どものモノかな?って思ったのですが、それも違うって。ましてや旦那さんのモノでは決してありません(笑)。で、いろいろ探っていると買ったモノは「化粧品」なんですよね。

 化粧品、恐るべしです。私は仕事柄、化粧品サンプルをいただくことが多いため、実際に購入することがあまりなく……。この感覚が分かっていなかったのですが。化粧品って日用品であって、し好品なんですよね。特にスキンケアでは、何十年って売れ続けている銘品は数ありますが、それらは当たり前ですが何年も使い続けられる訳ではなく、だいたいが3カ月でなくなります。スキンケアを含め化粧って一度始めるとやめられないもので、肌はスキンケアを求めますし、カラーメイクはしないと落ち着かなくなる。だから、3カ月でなくなったら買いに行かないとダメなんです。そこが日用品です。

 一方で、化粧品って効果効能はもちろんですが、華やかだったりモードだったり製品によってこだわり抜かれたパッケージや、癒やされる香り、心地よいテクスチャーの追求が、気分を上げてくれます。手に取った時に高揚感を抱けるのです。そこがし好品なんですよね。ちょっとアディクト。やめられない、買い続けることになるということなんですよね。

 ママ友らから「今、どんな服が流行ってるの?」とは聞かれませんが、「今、何の化粧品がいいの?」ってよく聞かれるなあって思っていたのですが、そういうことなんですよね。やめられないんです。

 余談ですが、化粧品がいっぱいあるわが家。娘から「お化粧してみたい!」「アイシャドウ塗りたい!」「リップつけていい?」っておねだりされます。その時、私は「ダメ、8歳のその肌は、そのままで十分素敵。塗りだすと止まらなくなるよ」と使わせません。なのに先日、仕事から帰宅すると、娘の目の周りはきらっきらっしてるんです(笑)。やっぱり手を出さずにはいられなかったようで、早くも化粧品デビューしちゃいました。あ〜娘のこれからの長い年月、化粧品と共に、です。

HER OPINION:ママ、女性に関連するファッション&ビューティ業界の話題をお届けします。今、働くママを含めた社会進出が進む女性に関わる情報が増えてきました。彼女らにまつわるニュースをピックアップすることで、彼女らを支える彼らにも役立つニュースを紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post 化粧品ってアディクトになっちゃいますね エディターズレター(2020年8月17日配信分) appeared first on WWD JAPAN.com.

パリコレ現地リポートVol.3 「クロエ」と「ロジェ ヴィヴィエ」はリアルでもデジタルでも映え!

 
 こんにちは、ヨーロッパ通信員の藪野です。早いもので、もう10月に突入しちゃいましたね。フランスでは新型コロナウイルスの1日の新規感染者数1万人超えが続き、パリも雨が降ったり止んだりという天気でパッとしませんが、元気に取材を続けております。これからは毎日のショーの数は少なめですが、プレゼンや展示会を含めた4日目のダイジェストをお届けします!
 

10月1日(木)

13:00 黒人でゲイという“自分らしさ”を押し出した「ケニス イゼ」

 2019年度「LVMH賞」のファイナリストで、昨シーズンランウエイデビューも果たした「ケニス イゼ(KENNETH IZE)」のプレゼンテーションにやって来ました。デジタルではアーティストのマティ・ビエヨンダ(Maty Biayenda)がイラストを描く映像を公開しましたが、リアルでは彼女のライブペインティングが行われ、その前に一人ずつモデルが登場しました。今季もデザイナーの故郷ナイジェリアで織られた伝統的なマルチカラーストライプ生地を使ったテーラードアイテムが豊富。さらに同様の柄を表現した軽やかなニットやシャツも新たに提案しました。

 幼少期にオーストリアに移住したケネスですが、彼が目指しているのはアフリカのカルチャーを世界に伝えること。そして、今シーズンはBLMやトランスジェンダーの人々への暴行事件など世界で起こっていることから、黒人でゲイであるというアイデンティティーや自分のフェミニンな部分を押し出すことにしたそう。ケネス自身も男性モデルもカラーメイクとマネキュアを施していて、チャーミングでした。

14:00 「クロエ」ガールズはパリの日常からランウエイへ

 「クロエ(CHLOE)」のショー会場は、パレ・ド・トーキョーの中庭。屋外だし、広々とした席配置で、これまでで最も安心感のある会場でした。雨が降ったり止んだりの天気なのできちんと各席の下に大きな傘が用意されていたり、温かい飲み物が配られていたりと心づかいを感じます。

 パラついていた雨もタイミング良く止んで、ショーがスタートしました。今回は会場の周りのセーヌ川沿いや通りにモデルを配置して、パリの日常のような風景からランウエイへとモデルが歩いてくる演出。翌日、ナターシャ・ラムゼイ・レヴィ(Natacha Ramsay-Levi)=クリエイティブ・ディレクターにZoomでインタビューをしたのですが、「今回はリアルもデジタルも大事で、優先順位はない。それにパリに美しいオマージュを捧げたかった」と教えてくれました。そして、そこからはリアリティーも感じられて良かったですよね。そう伝えると、「『クロエ』にとって、アティチュードはとても重要な要素。リアルなストリートで女性たちがどう動くか、どのような仕草を見せるかということが大切」とナターシャ。デジタルでの配信も考慮してリアルショーに趣向を凝らした演出を用意しているブランドが今季はとても多いですが、「クロエ」のショーはリアルで見てもデジタルで見てもそんなメッセージが伝わるショーだったのではないでしょうか。

 コレクションについては「女性たちは今、そこまで新しいものを求めていないから、突飛なことをやる必要はない。だから斬新さを探求するのではなく、知っているものをいかに違うように見せるかに取り組んだ」とコメント。これまでに提案してきたデザインやシルエット、柄、そしてブランドらしさを生かして、今シーズンのクリエイションに臨んだといいます。その結果は、安らぎを求めている今にぴったりで好印象!優しいカラーパレットと軽やかな素材使いが印象的な心地よいコレクションに仕上がっていました。そこに加えたアーティストのコリータ・ケント(Corita Kent)による鮮やかな色のアートワークもアクセントが効いていましたよね。

 

16:00 映像でも店舗でもファンタジーを作り上げた「ロジェ ヴィヴィエ」

 いつも“ホテル ヴィヴィエ”と題した夢の世界のようなプレゼンテーションで楽しませてくれる「ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」も、今回はデジタルでの発表となりました。それを補完する展示会がパリに店舗であるということでお邪魔したのですが、いやぁ〜スゴかった!なんとショップの2階の一部を“プチ・ホテル・ヴィヴィエ”仕様に変えて、ゲストを迎えてくれました。地面には本物の土が敷かれ、植物が生い茂る中に新作が展示されていて、クリエイティブ・ディレクターであるゲラルド・フェローニ(Gherardo Felloni)の世界観が炸裂!発表されたシミュレーションゲームのような映像作品も妖しげな案内人のいる小さな試写室で拝見しました。

 今季の一押しは、ハンドペイントでフラワーモチーフが描かれたバッグやシューズ。イタリアの田舎で自然に囲まれてロックダウン中を過ごしたというゲラルドは、ブランドにとっても重要な要素である花に改めてフォーカスすることにしたそう。また、現在のライフスタイルを反映して“快適さ”を重視したフラットなサンダルを豊富に提案。手入れのしやすいパテントレザーのアイテムも増えています。ぜひ、写真でたっぷりとお楽しみください!
 

20:00 密なダンスにヒヤリ。超エネルギッシュな「イザベル マラン」

 「イザベル マラン(ISABEL MARANT)」は一言で言うと、とってもエネルギッシュ!パフォーマー集団「(LA)HORDE」の躍動的なダンスに圧倒されました。コレクションは、肩や袖にポイントを持ってきたデザインやウエスタン調のディテールをはじめ、同ブランドらしいアイテムがズラリ。今季は、パープルやピンク、赤、青などの鮮やかな色とそれらを薄めたようなパステルカラー、そしてメタリックなシルバーが中心になっています。

 ただ席がサイドだったのでモデルがパフォーマーの群れと同じトーンの服を着て一緒に歩いてくると、見落としそうになることも(汗)。正面の席だとモデルが中心にくる感じでよく見えたのだな〜と、オンラインで映像を見直して納得しました。終盤のペアが抱き合うダンスは、この時期にこの演出をやるのかとちょっとヒヤヒヤとしましたね……。

The post パリコレ現地リポートVol.3 「クロエ」と「ロジェ ヴィヴィエ」はリアルでもデジタルでも映え! appeared first on WWD JAPAN.com.

ビーガンファーと人工ファーって何が違うの?

 動物や地球環境に対する消費者の意識の変化から、多くのブランドは毛皮の使用を廃止する“ファーフリー”を宣言し、アメリカでは2018年に毛皮製品の販売を禁止した州もある。毛皮製品をめぐってはこれまでサステナビリティの観点から「毛皮か人工ファーどちらを選ぶべきか?」という議論が活発に行われてきた。

 しかし近年は人工ファーから、ビーガンファーに注目が集まっている。一般的にビーガンとは、肉や魚だけでなく卵や牛乳などを含む動物由来のものを一切口にしないことをいう。しかしこれを食だけに限定するのではなく、身の回りの製品から動物由来のものをできるだけ避ける考えもある。ビーガンファーはそんな考えのもとに動物由来の成分や素材を一切使用せずに作られたファーだというが、これまでの人工ファーとどう違うのだろうか。またこういった人工ファーは毛皮と比べて“サステナブルでクリーン”という印象を押し出すが、エコラベルの乱用や“グリーン・ウオッシュ”(見せかけの環境配慮)の企業も存在する。ここでは人工ファーとビーガンファーの2つの定義の違いや、環境負荷を考えてみる。

人工ファーとビーガンファーはそれぞれどういう意味?

 専門家によると、この2つの間に材料による大きさ差異はないという。しかしビーガンファーの方が、サステナビリティへの関心の高まり比例して消費者の共感を呼んでいる風潮があるという。高級人工ファーで知られる香港のエコペル(ECOPEL)のアルノー・ブリュノワーズ(Arnaud Brunois)=コミュニケーション・マネジャーは、「ビーガンファーと人工ファーの間に物質的な違いはない。どちらも動物から得た材料を含まないもの。“ビーガン”という名称は最近になってファッションブランドが取り入れたように感じる。開発当初のビーガンアイテムは、ビーガンを名乗る人のみに認められたミステリアスなものという印象が強かった。ビーガンファーという単語はZ世代にうまく浸透したと思う」とコメントする。

 一方で人工ファーとビーガンファーの違いはブランディングによることも多いが、ニュアンスの違いはある。非営利団体テキスタイル・エクスチェンジ(Textile Exchange)のリーズル・トラスコット(Liesl Truscott)は、「簡単に言うと“ビーガン”は動物に由来する材料を排除して動物実験を行わず開発された製品のことで、“人工”は自然に対しての人造や代替品を指す」と説明している。これらの定義を用いることで、同じ製品でも人工ファーまたは、ビーガンフレンドリーなものとして販売することができるという。

人工ファーは本当にサステナブルな素材なの?

 定義の違いで揺れる部分はあるもののビーガンファッションは関心を集め続けており、ファッションブランドも動物を原料とする毛皮の使用を避ける傾向にある。19年にイギリスの調査会社であるテクナビオ(TECHNAVIO)が行った調査によると、人工ファー市場は19年から23年の間に19%以上の年平均成長率が見込まれている。そして人工ファーをよりサステナブルな材料から生産できれば、さらに市場は成長していく可能性を持っているという。開発者やブランドは毛皮に“人工”と“ビーガン”のどちらのラベルを付けるかだけでなく、その環境負荷や影響の大きさも考えなければいけない。

 多くの人工ファーは石油に由来する合成繊維から作られており、生分解(微生物の働きによって無機物まで分解されること)もできないので、海洋環境で大きな問題となっているマイクロプラスチックが排出されるケースも多い。またトラスコットは「トウモロコシやサトウキビといった農産物から作られるバイオ系素材の繊維も、肥料や水、土地利用など作物を生産する過程で環境負荷を伴う可能性もある。この意味でバイオ系素材を使用する人工ファーは、生産者とサプライチェーンに大きく依存している。動物の権利問題に直接的な影響は持たないものの、化石燃料やバイオ系素材を使用する人工ファーはどちらもマイクロファイバーの排出や化学物質の使用を通じて生態系に悪影響を与える可能性がある」と指摘する。

完璧な素材は存在しない 人工ファーとビーガンファーの今後

 サステナビリティを中心に考えたとき、人工ファー生産にとって完璧な素材は確かに存在しないのかもしれない。しかしエコペルのような企業は少しでも改善できるよう新たな開発に取り組んでいる。例えば同社は、37%がトウモロコシの副産物に由来するバイオ素材を使用した人工ファー“KOBA”を開発した。これによりエネルギーは30%減、温室効果ガスの排出量は63%減での開発が可能になった。

 また「アパリス(APPARIS)」は女性が主導で運営するビーガンファッションブランドで、16年に発売したカラフルな人工ファーでカルト的人気を獲得した。この8月には300万ドル(約3億円)の資金調達をして、ブランドの発展とより環境に優しい人工ファーの使用拡大を狙う。またリサイクルされたポリエステル素材の生産にも取り組んでおり、今年発売するビーガンカシミアに加えて、21年の秋にはトウモロコシがベースの植物繊維を使用した人工ファーを販売する予定だという。

 「アパリス」は、動物由来の素材を含まない毛皮を“ビーガン”ではなく“人工”と名付けている。ブランドとしてその二つに大きな違いを持たせてはいないものの、共同創立者のローレン・ヌチ(Lauren Nouchi)は「ビーガンメッセージを使い過ぎない」ようにしているという。さらに「私たちの目標は、人工ファーとともに背景のメッセージを発信すること。人工ファーは最初の一歩だった。ビーガンファーや人工ファーなど言葉の選択によって印象も変わってくるが、私たちはリアルな毛皮の使用と闘っている。それこそが本当の問題だ」と語った。

The post ビーガンファーと人工ファーって何が違うの? appeared first on WWD JAPAN.com.

ファッション通信簿Vol.57 “ニューノーマル”スタイルで開催 2020年「エミー賞」授賞式を米「WWD」が辛口ジャッジ!

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。米「WWD」が絵文字で評価をお伝えするとともに、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第57回は、9月20日に米ロサンゼルスで開催された第72回「エミー賞(Emmy Awards)」授賞式からシーラ・ハース(Shira Haas)、ゼンデイヤ(Zendaya)、レジーナ・キング(Regina King)、トレーシー・エリス・ロス(Tracee Ellis Ross)、ヤーヤ・アブドゥル・マティーン2世(Yahya Abdul-Mateen II)、ジュリア・ガーナー(Julia Garner)、ダン・レヴィ(Dan Levy)、ビリー・ポーター(Billy Porter)が登場。例年の「エミー賞」はドレスアップしたスターたちがレッドカーペットに集う一大イベントだが、2020年は無観客の会場から候補者たちが中継で参加。「ステイホームの『エミー賞』にふさわしい究極のパジャマスタイル」から、普段通りにキメたレッドカーペットスタイルまで、スターたちのファッションから目が離せない。

The post ファッション通信簿Vol.57 “ニューノーマル”スタイルで開催 2020年「エミー賞」授賞式を米「WWD」が辛口ジャッジ! appeared first on WWD JAPAN.com.

現地ショーを行った「ヨウジヤマモト」に仕掛け満載の「イッセイ ミヤケ」、日本勢が活躍したパリ5日目 デジコレでドタバタ対談

 2021年春夏のコレクションサーキットのラストとなるパリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)も5日目となりました。パリからはベルリン在住のヨーロッパ通信員が現地取材の様子をお届けしますが、オンラインでも日本の記者たちが対談レビューという形で、“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は、今回はメンズ、ウィメンズともにこれまでも各都市のコレクションを取材してきた「WWD JAPAN.com」の村上要編集長とパリコレ取材3度目の丸山瑠璃ソーシャルエディターがリポートします。さらに、助っ人として各都市のメンズコレクションを取材してきた「WWDジャパン」の大塚千践デスクを呼び、佳境を迎えたパリ5日目を乗り切ります。

ボディコンドレスは健在な「エマニュエル ウンガロ」

村上:今日のトップバッターは、「エマニュエル ウンガロ(EMANUEL UNGARO)」ですね。最近は見かける機会が減って、創業デザイナーも昨年亡くなったけれど、バイアスカットのシルクやジャージーを使い、肩口のラッフルや深いスリットで彩ったボディコンシャスなドレスは健在でした。ムービーは、最新コレクションを着た女性を庭園で撮影という超オーソドックスなものでしたが、水玉模様のドレスを見て嬉しくなっちゃったのは、40代オーバーだからでしょうか(笑)?

丸山:「エマニュエル ウンガロ」は水玉模様がアイコンの一つなんですね。映像もそういったブランドヒストリーがわかるようなものにしたらよかったのに、と思ってしまいました。服をクロースアップで見たり質感をチェックしたい!というバイヤーやECサイトに掲載するのにはよさそうですが、他のブランドがコロナ禍を経て自らを振り返り、ブランドのヘリテージを打ち出すような映像やコレクションを見せている中で「エマニュエル ウンガロ」は素晴らしい創業者がいるにもかかわらずそうしたストーリーを読み取ることができなかったのは残念でした。パリコレの公式スケジュールに参加するのは数年ぶりとなるのですが、主催のフランスオートクチュール・プレタポルテ連合会(Federation de la Haute Couture et de la Mode、サンディカ)がパリコレを盛り上げるのに参加を頼みこんだのでしょうか。

「レオナール」

村上:お次の「レオナール(LEONARD)」は“Silky Wave”と題して、文字通りシルクドレスを波が打ち付ける浜辺に持ち込んでのシューティング。ムービーの後半に登場したマキシドレスやカフタンドレスの印象が強いブランドのせいか、前半のフーディや開襟タイプのシャツドレスが新しく見えました。極彩色のトロピカルモチーフも、若々しくてスキ。

丸山:ウェットスーツにビキニをはじめ、水着の上に着るキモノガウンやスエット、夕焼けのようなグラデーションのプリーツドレスなど、ビーチへのバケーションにぴったりなアイテムが多く登場しましたね。得意とする草花のプリントにヤシの木やハイビスカスが加わっていました。映像はビーチにやってきた女友達二人の一日をロードトリップ風に描いたようでしたが、2人がビーチで出会ったやたらサーフィンが上手な女の子は本当にプロのサーファーなんだとか。オケージョンがしっかりと描けたからか、何だかランウエイで見るよりも生き生きとしているように見えました。

「ロエベ」の等身大ポスターでショーを体感

村上:「ロエベ(LOEWE)」からはコレクション発表の直前、巨大な壁紙の上に貼り付ける、等身大のポスターが届いたんですよね。メッチャ重いの(笑)。ちなみにこの等身大のコレクションルックは今、渋谷パルコのショップのウインドーを彩っているんだよね?

丸山:そうなんです。あと、銀座の旗艦店のカサ ロエベ 東京、表参道店のウインドーにも貼られているそうです。ルックを等身大で体感できますし、一緒に写真を撮ったりしても楽しそう。コレクションのテーマは“Show-on-the-wall”で、ショーをリアルで見ることができない今、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)はどうしたら観客がショーに参加できるか、コレクションと関わりたくなる状況とは?と考えてこの等身大のポスターというアイデアに至ったそうです。ポスター同様特大サイズのキットにはハケやのりがついていて、今すぐ壁に貼り付けることができます。

村上:コレクションは、こんな時だからこそ「ファッションの芸術性を」と考えたジョナサンによる、ボリュームを誇張したドレスの目白押し。マリー・アントワネット(Marie-Antoinette)の世界のようでもあり、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」のファッションショーのようでもあり、という印象でした。パフスリーブも、フィット・アンド・フレアのドレスのスカートも巨大。そこに細かなラッフルや、メンズでも登場したレザーのバスケット編みなどのクラフツマンシップも加わり、アートピースのようでもありました。「実際、着れるか?」と問われるとなかなか難しいところも多いけれど、多くのブランドがストレスフリーを意識してシンプルを目指す中、シンプルを目指す中、こういうアプローチがあっても良いよね。「洋服どころじゃない」という人が、「洋服って、やっぱり素敵」と思ってくれたら、ジョナサン、とっても喜びそうです(笑)。

丸山:まさに再び夢を見させてくれるようなコレクションでした。ジョナサンは「たまには現実から洋服の世界に逃避するのも悪くない」とコレクション説明動画で話してましたね。服は職人の技術をとことんドリーミーに昇華したドレスが多かったですが、今季のバッグはジョナサンが「ブランドのクラシックなバッグを完成形により近づけた」と語っているだけあり、とても洗練されていました。長く使えるいいものが欲しいという需要がある今、売れそうだと感じました。特に“フラメンコ”バッグは無駄なものが一切なくて彫刻のような美しさがあり、見入ってしまいました。キットの中に入っていた巨大な壁紙は、アーティストのアンシア・ハミルトン(Anthea Hamilton)とのコラボレーションで、同じプリントのドレスもコレクションにありましたね。ジョナサンの動画と同時に、彼女のインタビュー動画を公開していましたが、2人とも仕事をするにあたり多くのリサーチを行っていて、だからこそ仕事に深みが出るのでしょうね。

コンパクトに畳める「イッセイ ミヤケ」

村上:「UNPACK THE COMPACT」と題した「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」のムービーが面白かった!パッカブルで小さなバッグに収納できるジャケットとか、クルクル丸められるプリーツウエアなど、コレクションは全部「コンパクト(COMPACT)」な形に収まるんだけど、ひとたび広げて、重ねて、合わせて、なんて作業をすると、どれもが素敵なドレスやトップス、パンツに早変わり!!でしたね。

丸山:服だけじゃなくてトルソーまで小さくなったときには「そこまでする!?」と驚きました(笑)。コンパクトに畳めるだけじゃなくて、パンツの紐をほどいて結び目を変えるとトップスになったり、ワンピースがリバーシブルだったりと、1つのアイテムを2通りで着ることができるのも感動。そして服を広げるとそれは「イッセイ ミヤケ」の根幹にあるアイデア“一枚の布”であることがわかります。そして最後に大きめのスーツケースサイズの箱に全ての服が収納されます。これ全部スーツケースに詰め込んだら旅先の服は全部カバーできちゃいますね。最後に箱に服を詰めた男性は、顔は見えずでしたが近藤悟史デザイナーとみました。

村上:こういう工夫は男子が大好きな気もするけれど、女性にも響くのかな?深読みかもしれないけれど、「おうち時間」が長くて、生活圏が「コンパクト」になっている今だからこそ、響くのかもしれません。遠くない将来、再び世界中を自由に行き来できるようになったら、それはまさに人類の「UNPACK THE COMPACT」。小さなバッグを広げると素敵に早変わりする「イッセイ」の洋服のように、僕らの未来も近いうちにまた素晴らしいものになるというメッセージを発信してくれたように感じます。それぞれの洋服の動きを収めたムービーも楽しかった。プリーツの入ったプルオーバーはクリオネみたいに見えたけれど、「あぁ、一枚の布って、ホントに命を持っているようだなぁ」と感じました。

丸山:女性でもこういうギミックが好きな人はいると思いますよ。少なくとも私は終始感嘆してました。2通りにも着ることができてサステナブルな上に、コンパクトで旅先にも持っていける。パンデミック以来、外に出る際は自分で洗える服を選ぶようになりましたが、「イッセイ ミヤケ」だから洗える商品も多そうですし、さまざまなニーズにオールインワンで応えることができるのが魅力ですよね。日本で撮影・キャスティングしているから当然といえば当然なのですが、福士リナさんや新井貴子さんをはじめ、中島沙希さん、AIKAさん、HANAKAさんなど活躍中のモデルさんが多く出演していたのもうれしかったです。

iPhoneの画面風の映像がユニークな「ニナ リッチ」

村上:ルシェミー・ボッター(Rushemy Botter)とリジー・ヘレブラー(Lisi Herrebrugh)による「ニナ リッチ(NINA RICCI)」は、風になびくシルクをたっぷり使ったコレクション。ジャケットの背面、ドレスのスリットの中からシルクを垂らし、歩いたり、風を受けたりするたびにドラマチックに揺れ動く洋服は、メゾンのアーカイブにインスピレーションを得つつも、ボッターの出身地、オランダ・キュラソー島のカルチャーにも刺激を受けたものみたいですね。

丸山:映像もユニークでかわいかったですよね。iPhoneのロック画面をオープンするところからスタートし、その後カメラロールに手が伸びます。検索したのは、キュラソー島のウィレムスタット(Willemstad)。キュラソー島はカリブ海に位置する美しい街並みの島なのですが、カメラロールでこのカラフルな色彩の街並みやカリブ海の海の色を振り返っていくとともに、画面が分割されてそれをレファレンスにしたルックが登場します。さらに着想源にした「ニナ リッチ」のアーカイブと2人が蘇らせたルックも対照に表示するのも、イメージソースがすごく分かりやすかった。またボッターがアントワープの王立芸術アカデミー出身だからこそ、アントワープが検索候補に出てきたり、「ニナ リッチ」の本店の住所“39 Avenue Montagne”が出てきたりと細かい仕掛けがたくさんで2秒に1回くらいのペースでスクショしてしまいました。

村上:とってもエレガントなのに、打ち込み音でガンガン進行しちゃう映像とのミスマッチがユニークでした。普通なら、クラシックとか流したくなっちゃうのにテクノ。さすが、新世代のデザイナーデュオです。

日本から唯一現地でショーを行った「ヨウジヤマモト」

丸山:「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」は日本ブランドで唯一、現地でリアルなショーを開催しました。この状況下でもショーを変わらず届ける姿勢が山本耀司デザイナーらしくてとても頼もしく、今回のパリコレでも特に楽しみにしていました。しかも今回はいつもはなかなか入ることができないバックステージにヨーロッパ通信員の藪野さんが入れることになり、耀司さんのインタビューができるとのことで、さらにわくわくして日本時間の夜2時まで待機。30分くらいスタートが遅れていますが目はギンギンです。が、流石にこの時間まで要さんは起きていらっしゃらないようですね……。

大塚:お疲れー!要さんが不在らしいから、メンズ担当の大塚が代打としてやって参りました(笑)。

丸山:大塚さん!こんばんは!ありがとうございます。大塚さんは「ヨウジヤマモト」のメンズのショーをいつも取材していらっしゃいますが、ウィメンズはどう思いましたか?

大塚:メンズのショーはここ数年続けて見させてもらっているけど、ウィメンズはルック写真で見ていたから新鮮でうれしい!写真で見ると伝わりきらない素材の動き方が分かるし、今回のショーでは「ヨウジヤマモト」の強みの一つはそこにあるのだなと改めて思ったよ。モチーフは控えめで、ミニマルなカラーリングや潔いシェイプのベースに凛とした美しさがあるコレクションだったね。ここは世界観が強烈だから街でもワンブランドコーデが最強という印象だったけど、今シーズンはいい意味での余白があるからほかとミックスしても面白そうだなと思ったよ。

丸山:そうですね。最近はアーティストとのコラボなどで色鮮やかなアイテムが登場するコレクションもあったのですが、今季はフォルムを大事にしたミニマルなコレクションでした。最後に出てきたワイヤーで形作ったクリノリンをベースにしたドレスは、凛とした強さもありながら脆さや儚さもあり、美しかったです。最後は百合の花びらのようなフォルムのオールホワイトのルック群がショーを締めくくりました。フィナーレに登場した耀司さんの背中には、“HEART OF GLASS(ガラスのハート)”とありました。ブロンディ(Blondie)を代表する曲でもありますよね。ただ、自分はショーの音楽を聴いて終始ドキドキしていました。というのも、「ヨウジヤマモト」のショーの音楽は耀司さんの歌声であることが多いのですが、今回は“This is the very last to sit this chair(この椅子に座るのはこれが本当に最後)”という歌詞が登場したり、“Sayonara”というフレーズを振り返して歌うので、「まさかこの後引退発表したらどうしよう」「だからショー後のバックステージ取材を受けてくれた?」「しかも耀司さんは今日が誕生日!これは偶然?」などあらゆる考えが頭をぐるぐる回ります。しかし、藪野さんによるバックステージ取材で完全に私の早とちりだったことが判明。ショーの曲は男女の別れを歌ったそうです。早とちりで本当によかった!

大塚:それは心中穏やかじゃなかったですね(笑)。というか耀司さん誕生日だったんですね!おめでとうございます。メンズのショーはいつもギュウギュウの会場でそのライブ感が楽しいのだけど、こうやってベッドの上で見る「ヨウジヤマモト」も新しい発見があって面白かったわ。と、いうことで代打の役割は果たしたので寝ます(笑)。残りも頑張れー。

丸山:代打ありがとうございました!おやすみなさい。引き続き頑張ります〜!

The post 現地ショーを行った「ヨウジヤマモト」に仕掛け満載の「イッセイ ミヤケ」、日本勢が活躍したパリ5日目 デジコレでドタバタ対談 appeared first on WWD JAPAN.com.

あぁジョン・ガリアーノ、全部見せてくれてありがとう エディターズレター(2020年8月4日配信分)

※この記事は2020年8月4日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

あぁジョン・ガリアーノ、全部見せてくれてありがとう

 17日にデジタルで発表された「メゾン マルジェラ」の2020-21年秋冬“アーティザナル コーエド コレクション”のことです。52分という長時間でしたが、その間椅子の上で膝を抱えてほぼ動かずというか、引き込まれて動くことができず、半分息を止めて見ました。これまで何度も「メゾン マルジェラ」のショーを見てきましたが、今回が一番感動したと言っても過言ではありません。

 前提としてジョン・ガリアーノが私のアイドルであるという理由があります。また「メゾン マルジェラ」が匿名性を特徴とするブランドであるにもかかわらず今回は制作過程をつまびらかにするというある意味究極の“奥の手”を使ったというのもあります。52分の間、BGMはほぼジョンの声。何にインスピレーションを受けて、何を作りたいのか、スタッフに情熱的に説明し打ち合わせをする様子が詳細に公開されました。

 ジョンがインスピレーション源であるダンスの映像を見て楽しそうに笑う表情、イントネーション、人との接し方、たばこの持ち方、きれいなおでこなどなど細部が気になります。なぜならアイドルだから(笑)。そしてコレクションの美しさは、彼自身の美意識からくると思うからです。

 私はファッションショーの取材がとても好きです。それは、何か新しいモノ、価値観が生まれるその瞬間に立ち会うことが好きだから。ファッションショーはデザイナーを中心にクリエイターのセッションで出来上がってゆく即興音楽のようなもの。それ故ショーの本番以上に緊張感漂うバックステージの取材が好きです。この映像はその“瞬間”が連続して52分続くような興奮がありました。

 一着の服が生まれるまでにはこれだけの知識があり、ソースがあり、アイデアがあり、技術がある。デザイナーズブランドが私たちの、少なくとも私の人生には必要だと改めて思いました。全部見せちゃったことで匿名性が薄れて価値が下がった?いえいえ、そんなことはありません。さらけ出してそのエネルギーを放出した姿を見て、次への期待感が高まりました。ありがとうジョン!

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

The post あぁジョン・ガリアーノ、全部見せてくれてありがとう エディターズレター(2020年8月4日配信分) appeared first on WWD JAPAN.com.

パスザバトンが企業と個人をつなぐマーケットを開催 「日本中の倉庫をカラにしたい」

 スープストックトーキョー(SOUP STOCK TOKYO)などを運営するスマイルズ(SMILES)が手がけるセレクトリサイクルショップのパスザバトン(PASS THE BATON)が、企業と個人をつなぐプラットフォームであるパスザバトン マーケット(以下、マーケット)をスタートさせた。
 
 パスザバトンは、使わなくなった思い出の品や愛用品を大切に使ってくれる人に販売しており、扱う商品は洋服からアクセサリー、テーブルウエアなどさまざまだ。各商品に持ち主の顔写真とプロフィール、品物にまつわるストーリーが添えられている。東京・丸の内、表参道、京都に直営店があり、公式オンラインショップではデッドストックやB級品をアップサイクルしたコラボレーション商品などを販売している。

 個人と個人をつなぐパスザバトンから発して企業と個人をつなぐマーケットを始めた理由やそれに込めた思いについて、キーマンである野崎亙スマイルズ取締役クリエイティブ本部長兼パスザバトン事業部長に話を聞いた。

WWD:マーケットをスタートさせた背景と目的は?

野崎亙スマイルズ取締役クリエイティブ本部長兼パスザバトン事業部長(以下、野崎):パスザバトンを始めたころは、まだ「メルカリ」などは存在していなかった。誰かの思いを品物と一緒に届けるのが主な目的だが、デッドストックや端材などをアップサイクルして光を当てなおす(リライト=relight)のもコンセプトの一つだ。一昨年に、表参道店で陶器のイベントを開催したらとても好評だった。販売したのは百貨店で取り扱ってくれないような昔の商品。それが、若い人にとっては目新しく、売り上げも好調だった。このイベントを通して品物自体の価値に光を当てる意味があることに気付いた。日本各地でモノ作りが行われていて、倉庫には売り先のない品物が大量に残っている。見せ方を変えることでそれらに新たな価値を与えることができる。思いを伝えるという意味で、事業者と消費者が直接コミュニケーションできるような環境をつくったらどうなるか――。そう考えて2019年11月に東京・京橋で初回マーケットを開催した。このイベントはバトン設立10周年を記念したもので、ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)やシューズのムーンスター(MOONSTAR)、家具の天童木工など22社が参加し、規格外品やアウトレット落ちの商品などを販売したが、想像以上に反響があった。

WWD:今年7月には第2回目「十勝“もったいない”大百貨店(以下、十勝百貨店)」をオンラインで開催したが、北海道と食品にフォーカスした理由は?

野崎:北海道では卸のビジネスが中心で、新型コロナの影響でモノが売れなくなり、卸の販路がなくなった。乳製品や野菜などの食品は生産を止めるわけにはいかず、店頭に並ばず廃棄される。小規模の農家やメーカーがせっかく作ったものをどうにかしたいと思って開催した。パンやチーズ、野菜、牛肉、クラフトビール、オーガニックコスメなど20社が参加した。彼らには自社ECがなく、マーケット開催後もわれわれのオンラインプラットフォームを使ってもらえるようにしている。

WWD:企業のデッドストックなどに商機があると思った理由は?モノだけでなく食や文化など幅広いカテゴリー設定にしたのは?

野崎:例えば、われわれが描く新橋のイメージは“おじさん”や“横丁”などだが、若い人にとっては目新しい魅力のある場所だ。同じ場所でも時代や年代が変われば価値が変わる。モノの見せ方やタイミングによって全く売れなかったものが急に売れることもある。インターネット社会になり、口コミよりも皆、自分の直感に頼るようになっている。“古い”“新しい”という固定観念がなくなり、それぞれの価値観で判断する時代になった。だから、思いや背景があるモノやあらゆることの見立てを変えて、消費者の目に触れる機会をつくりたい。

WWD:マーケットの仕組みは?出店者の募集や告知などは?年間に何回開催するか?

野崎:年間2回トライアルで開催するつもりだが、今後は毎月、さらには週一ベースで開催するのが目標だ。小さい企業が参加できるプラットフォームとして参加を募っていく。誰も知らなかったブランドの輪が広がり、つながるようなものにしたい。SNSで告知するが、京橋のマーケットではふらりと立ち寄る人が多かった。気軽な雰囲気でマーケットを開催することで、生産者と消費者をつなぎたい。現在マーケットはマージンビジネスだが、規模が大きくなれば出店料を設定するつもりだ。

WWD:今まで京橋でのリアルなマーケットとオンラインで「十勝百貨店」を開催したが、課題は?

野崎:オンラインで開催した「十勝百貨店」は、食品がメインであったということもあり、送料が高いのがネックだった。オンラインでマーケットを開催してリアルのよさに気付いた。「十勝百貨店」は19年に物産展として二子多摩川で開催したが、その際は現場の熱量や空気感のせいか大成功だった。リアルでは主催者、出店者、消費者全てが楽しくワクワクした気持ちを味わえる。だから、リアルとオンラインを連携させることで相乗効果を図りたい。

WWD:マーケットのコンセプトはどのように組み立てるか?

野崎:植栽など消費者が気付いていないモノを取り扱いたい。また、物販だけでなく地方創生のプラットフォームにもしていきたい。例えば、町おこしを目的に地方の商店街と消費者をつないだり、栃木・益子の陶器市のような生産者と消費者をつなぐイベントを日本中で行ってみたい。オンラインを切り口にテーマを明確に設定してマーケットを開催する方法もある。11月に開催する「マーケット-デッドストック 陶器市(九州編)」がその一例だ。九州の有田焼や波佐見焼、伊万里焼などの商社やメーカーが参加する。リアルではいろんなものを見ながら発見するワクワク感が大切だが、オンラインではテーマを絞り込んで奥行きを持たせることがアクセスにつながる。

WWD;今後開催してみたいマーケットのコンセプトとその理由は?

野崎:廃棄されるパンを夕方トラックで集めて、“夜更けのブレッド”と銘打って数時間のマーケットを開いてみたい。伸びすぎた植栽を扱うグリーンマーケットも開催したい。また、壊されるホテルの家具や調度品、ドアノブなどをリアルとオンライン両方で販売してみたい。ファッションにも関心がある。ブランドと消費者の立ち位置を変えることで、新たなコミュニケーションが生まれる。従来の売り方や買い方を変えていく必要があると思う。表面的でなくモノときちんと向き合うべきだ。

WWD:コロナ下で消費者の価値観がよりシビアになる中、どのようにデッドストックを販売するか?

野崎:コロナ以前から物が溢れていた。必要ではないが買いたくなるようなワクワクする購買体験を提供したい。なぜならそこに価値があるから。今までとは違うチャレンジが必要だ。

WWD:マーケットの現在の課題と対策は?今後の戦略は?

野崎:ポップアップショップの連続のような日本中で勃発する期間限定店舗にしたい。お客をワクワクさせるためにはお祭りのような雰囲気づくりや非日常的な仕掛けが大切。等身大の接客をすることで、顧客と新しい関係をつくっていく。従来の方法から離れて気づいたことを形にしていくことに意味がある。

The post パスザバトンが企業と個人をつなぐマーケットを開催 「日本中の倉庫をカラにしたい」 appeared first on WWD JAPAN.com.

デジコレでドタバタ対談 「クロエ」がカメラ何台で撮影したのか気になり、「Y/プロジェクト」のHOW TO動画で学んだパリ4日目

2021年春夏のコレクションサーキットのラストとなるパリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)も早4日目。パリからはベルリン在住のヨーロッパ通信員が現地取材の様子をお届けしていきますが、オンラインでも日本の記者たちが対談レビューという形で、“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は、長年コレクションを取材してきた「WWDジャパン」の向千鶴編集長と、コレクション対談初参戦の皆合友紀子がリポートします。

4分間のお絵かき動画に困惑した「ケネス イゼ」

皆合:「ケネス イゼ(KENNETH IZE)」といえば、織物の伝統を生かした華やかな色使いのイメージがありますが、4分間終始紫のマーカーで女性のお絵描きをしていましたね。あれはどう解釈すれば良いのでしょう?ラフの一部?インスピレーションか何か?紫がメインのコレクションがたくさん見られるのかなと予想したら、実際発表になったルックは鮮やかな色使いでした(笑)。

向:画面の下に「More digital content available soon」とありますね。こだわり過ぎて間に合わなかったのかな。とはいえ後日見に戻ってくる人は少ないだろうな。後からコンテンツを追加できるのがデジタルの強みだけど、リアルな締め切りがある方がクリエイティブを発揮しやすいのかも、などとデッサン動画を見ながら思いを馳せました。リアルのショーは時間を決めて告知したら開催しないと信用を失いますからね。注目のアフリカ勢だけに残念でした。

女子の妄想さく裂な映像に惹きつけられた「ディーチェ・カヤック」

皆合:今シーズン、デジタルで発表しているブランドは、映画のようにストーリー性のある作り込まれた映像が多く見られますね。「ディーチェ・カヤック(DICE KAYEK)」もそのひとつ。学校で物理の授業を受けながらうたた寝しかけている3人の女子生徒たちが、突然超能力を持ったスーパーガールに!スローモーションで浮遊したり、敵を追いかけながらアクションを起こすたびにルックが切り替わったりと、最後まで飽きずに見られました。ラストは先生に起こされ、あれは夢だったのか……というところで映像は終了。

向:女子の妄想がさく裂していました。実際高校生の頃ってこんな感じだったかも(笑)。リアルなショーは最近見ていなかったけれど、今回デジタルで見てカワイイと気がつきアンテナの張り方が鈍かった自分を反省。こういう再発見ができるのもデジタルコレクションの良いところですね。ショート丈のフレアスカートを軸としたプロポーションバランスは日本の女性に似合いそう。

皆合:今シーズンもリアルクローズとして着こなせそうなフェミニンでフォルムが美しいルックが多く見られましたね。個人的には裾部分にフリルがふんだんに重なったオレンジのバルーンワンピと、ビッグボウタイのブラウスが気になりました。前シーズンに引き続き、今シーズンもボウタイがちらほら見られますね。

街中から会場へ 一連の移動をコレクションにした「クロエ」

皆合:「クロエ(CHLOE)」はデジタルとリアルがミックスされたコレクションでしたね。映像では、パリ市街のあちこちに佇む最新コレクションをまとったモデルたちを遠くから隠し撮りのように撮影。そして彼女たちが街を歩きながらショー会場へと集結する演出でしたが、現地で参加していたゲストもモデルが会場に到着するまでは私たちと同じように映像で見ていたのですよね?

向:いったいカメラを何台用意したのだろう?画面が3分割されていて、3か所の映像が同時に流れてくる。最近思うのだけれど、我々は映像情報処理能力が日に日に向上していて、リアルなスピードで流れる単一動画ではすぐに飽きてしまう。こうやって多角的な動画を同時に見せられることで好奇心が刺激され、没入感も得られて思わず最後まで見ちゃう。パリの街を歩く等身大のモデルの笑顔を見ていると晴れてよかったね、と応援の気持ちも芽生えます。

皆合:カラーはペールトーンやグレイッシュトーンが主でしたね。繊細なタッチだったり大胆に太く描かれたものだったりと表現はさまざまでしたが、全体を通してフラワーモチーフも多かった印象です。また、“HOPE”と“GET IT”ぐらいしかハッキリとは読み取れませんでしたが、現在の私たちに向けたメッセージとも捉えられるロゴデザインも見られました。1つ1つ何と書かれているのか気になります。美佳さんも参加されていましたね!

向:シーズンタイトルはズバリ“A SEASON IN HOPE”。女性ならではの視点で世界情勢をシルクスクリーンアートに映し出すアーティスト、コリータ・ケント(Corita Kent)の作品を組み込んだそう。流れるようなシルエットやデニム使いなどが特徴の力強くしなやかな女性像には憧れます。フィナーレで、クリエイティブ・ディレクターのナターシャ・ラムゼイ=レヴィ(Natacha Ramsay Levi)がブーツにショートパンツで登場したのには驚いた。堂々としていて快活でした。

360度ディテールと着こなしを丁寧に見せた「Y/プロジェクト」

向:「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」のデジタルプレゼンテーションも画面を3分割で使用し情報量が多くて見ごたえがありました。終始無音で自分のスピーカーやイヤホンの問題かとあれこれチェックしてしまいましたが、どうやら元から無音なんだよね?

皆合:そうだと思います。「HOW TO WEAR」のタイトル通り、カメラを定位置で固定して、モデルが90度ずつ回転しながら1ルック1ルック丁寧に見せていたのが、見ている側に寄り添ってくれていて良かったです。360度ディテールがより伝わりました。1ルックにつき2パターンのスタイリングを提案していましたが、スタイリストがスタイリングを変更しているシーンも一部始終撮影することで、「あ、この服はこういうやって着ればいいのか」と参考になった人も多いはず。あの着せ替えシーンがなければ、とてもじゃないけれど一人では着こなせないルックもちらほら(笑)。

向:このままバイヤーのバイイングや店頭の接客ツールに使えますね。服作りを学ぶ学生さんにとっても最高の教科書かと。「Y/プロジェクト」の服は複雑で、ショーではその構造を解き明かすことを諦めていました(笑)。魅力は複雑だけれど奇をてらっているようには見えず、仕上がりはエレガント。サテンの素材使いやボリュームやドレープの作り方がそうさせているのだな、ということもよくわかりました。

マイルドな色と素材多用でいつもより優しいムードだった「リック・オウエンス」

皆合:今シーズンは、コレクションにマスクを取り入れたり現況を反映したブランドがちらほら見られますが、「リック・オウエンス(RICK OWENS)」も全ルックマスク着用でしたね。モードなルックにも馴染んでいて、リックが作るとマスクもこんなクールなアイテムになるのか!と感動しました。

向:ピンクバージョンが欲しいと思いました!リアルのショーを収録したデジタルコレクションは客席で見る感覚に非常に近かったです。カメラとモデルの距離があるため服の詳細は見えませんが、いつものように縦に非常に長いシルエットをベースにパワーショルダーや超ロングスリーブ、サイハイブーツなどでパンチを加えている。ただし、マイルドなピンク色や柔らかい生地を多用することでいつもより優しいムードをたたえていました。

皆合:テーマは2021年春夏メンズコレクションと同様、ダンテの『神曲』に登場する川「フレゲトン(PHLEGETHON)」。地獄の中心に向かう途中に出てくる川の1つを指しているとのことですが、コレクションも柔らかな素材を使い、繊細でありながらも力強く、パワフルな印象を受けましたね。構築的なシルエットが美しかったです。映画「スターウォーズ」シリーズの中に出てきても違和感なさそうだな、とも(笑)。あと余談ですが、時折画面に映る背中が完全に開いたデザインの服を着こなしているフォトグラファーの後ろ姿も気になりました(笑)。会場の雰囲気とマッチしていて格好良かった!

向:スタッフがノリノリなので爆音が流れていたのだろうと想像がつきます(笑)。「リック・オウエンス」のショー会場には服もヘアメイクもガッツリ「リック・オウエンス」スタイルの濃いファンが集まり、ファンミーティングの場の役割を果たしていました。彼らは今日も「リック・オウエンス」で盛装をしてデジタルコレクションを見ているのかな、などと想像しました。きっと「デジタルよりリアルに参加したい」と思っているだろうけれど。

ダンサーとモデルが絡みながら登場 ハッピームード全開の「イザベル・マラン」

向:会場はいつもと同じパリ1区のパレ・ロワイヤル。ただし、会場の使い方がいつもとは全く違いました。いつもは客席の間に狭くて長いランウエイを作り、そこをトップモデルたちが駆け抜けるように歩く。客とモデルの一体感で高揚感を生んでいました。今回は客席とモデルが歩く場所を切り離し、広いフロアをコンテンポラリーダンサーとモデルが絡みながら登場する。表現方法は違うけれど、いずれにしても「イザベル・マラン(ISABEL MARRANT)」がショーで大切にしていることはライブ感や躍動感であることがわかります。しかも後半はパフォーマー同士がしっかりと抱き合い、ソーシャルディスタンスの真逆の演出でしたね。

皆合:オープニングのパフォーマーたちのダンスで一気にテンションが上がりました。元気をもらいましたね。ハッピーなムード全開で何度でも見ていられそう。ルックは同系色でまとめながらも素材違いを組み合わせることで、メリハリとリズム感が生まれていました。

向:ハイウエストパンツにワンショルダー、パフスリーブのボディコンシャスなミニドレスと基本的にいつものスタイル。ただし、ピンク、赤、ブルー、シルバー、白と色で切り替えることでシーンを明確に展開していましたね。

The post デジコレでドタバタ対談 「クロエ」がカメラ何台で撮影したのか気になり、「Y/プロジェクト」のHOW TO動画で学んだパリ4日目 appeared first on WWD JAPAN.com.

【動画】ウオッチプラス ファッションウオッチを味方にすればコーディネートはもっと楽しくなる!

  •  「WWDジャパン」とハースト婦人画報社の時計デジタルメディア「ホディンキー・ジャパン(HODINKEE JAPAN)」による時計番組「ウオッチプラス」の今回のテーマは“ファッションウオッチ”です。ファッションブランドによる時計のことを指し、同時に3万円前後の手ごろな時計を言うこともあります。ただ「WWDジャパン」が考えるのは、“ファッションの世界観を多分に盛り込んだ時計”であること。時計の入り口として機能し、市場の裾野を広げる存在です。

     「グッチ(GUCCI)」は時計においてもクリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)らしさがあふれ、“時計も自由でいいんだ!”と感じさせてくれます。一方で、セイコーウオッチは「イッセイ ミヤケ ウオッチ(ISSEY MIYAKE WATCH)」と、シチズン時計は「マーガレット・ハウエル アイデア(MARGARET HOWELL IDEA)」と時計を作り、米時計大手のフォッシルグループ(FOSSIL GROUP)は「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」や「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」とプロフェッショナル同士のタッグによりブランドの世界観を具現化します。“着けず嫌い”はやめて、ファッションウオッチを味方に付けましょう。きっとファッションがもっと楽しくなるはず!

     出演は、関口優「ホディンキー・ジャパン」編集長、和田将治「ホディンキー・ジャパン」ウェブプロデューサー、村上要「WWDJAPAN.com」編集長、三澤和也「WWDジャパン」記者(時計担当)の4人。“四者四様”の時計観も見どころです。

    The post 【動画】ウオッチプラス ファッションウオッチを味方にすればコーディネートはもっと楽しくなる! appeared first on WWD JAPAN.com.

  • パリコレ現地リポートVol.2 豪華絢爛な「バルマン」のショーに世界からセレブや編集長が集結!?

     
     こんにちは、ヨーロッパ通信員の藪野です。今回のパリコレはデジタル発表が中心だし、ゆったりしたスケジュールかな〜と思いきや……スケジュール調整や日本とのやり取りからZoomでのデザイナー取材やショールームでのアポイントメントまで一人でカバーしているので、やっぱりバタバタしております。でも、今シーズンは“健康第一”ということで、毎日睡眠時間6時間以上と栄養のある食事(もちろん自炊)は死守します!それでは、「ケンゾー(KENZO)」や「バルマン(BALMAIN)」など、6つのリアルなショーやプレゼンテーションを取材した3日目のダイジェストをどうぞ!
     

    9月30日(水)

    10:30 「ケンゾー」はモードな養蜂家スタイル!?

     「ケンゾー」の会場は前回と同じ、ろう学校の庭園です。前回はビニール製のトンネルのようなテントの中に席がありましたが、今回は芝生の上に距離を置いて椅子を配置。全部で100席あるかないかという感じです。そして、席の上にはオリジナルの瓶入り蜂蜜。インビテーションにも養蜂家のような男性の写真とハチのモチーフが描かれていて、今シーズンの鍵になっています。
     
     フェリペ・オリヴェイラ・バティスタ(Felipe Oliveira Baptista)による新しい「ケンゾー」のキーワードと言えば、“プロテクション”と“ノマド感”。今回も養蜂家さながら顔や体がベールで包まれたルックがキースタイルとなり、前回とは別のベクトルで身を守っています。また、放浪の旅に欠かせない機能的なディテールも引き続き。ファスナー開閉でデザインやシルエットが変わるアイテムやいくつもポケットのついたハンズフリースタイルは健在です。
     
     そんなコレクションの背景にあるのは、新型コロナウイルスのパンデミック中にフェリペ自身が経験したことや感じたことだそう。リリースの一文には「世界は泣いている」と書かれていて、アーカイブから採用したフラワープリントも涙で滲んだようにぼやけています。こう書くと悲観的に感じますが、そんなことはなく、ショーからは前向きなエネルギーを受け取りましたよ!
     

    12:30 「ゴシェール」のスピリチュアルな儀式

     「ゴシェール(GAUCHERE)」のショーは、スピリチュアルな雰囲気を醸し出す女性がパロサント(香木)を燃やし、太鼓を叩きながら会場を歩く儀式的な演出でした。落ち着いたトーンで見せるオーバーサイズのスーツやワントーンスタイルも心地よく、なんだか穏やかな気分になれました。

     会場では、ティファニー・ゴドイさんを発見。これまでフランスと日本を行き来していた彼女ですが、コロナの影響で今はずっとパリにいるそうです。僕自身も一時帰国をずっと先延ばしにしていますが、早くまた自由に行き来できるようになるといいですね。


     

    14:00 「エルメス」のアートなハイジュエリーにうっとり

     「エルメス(HERMES)」は10月3日にウィメンズのランウエイショーを控えていますが、その前に新作ハイジュエリーのプレゼンテーションも開催しました。デザインしているのは、同ブランドのシューズも手掛けているピエール ・アルディ(Pierre Hardy)。グラフィカルなデザインで知られる彼ですが、ジュエリーでもその強さが発揮されていて、まるでモダンアートのよう。特にダイヤモンドやトルマリン、ヒスイなどを使い、さまざまな色とアシンメトリーなラインを組み合わせたイヤリングやネックレスが素敵でした。
     

    16:30 「Y/プロジェクト」のプレビューは急遽キャンセルに

     一度ホテルに帰って、「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」のグレン・マーティンス(Glenn Martens)とZoomでミーティング。もともとショールームでコレクションのプレビューをしてもらう予定だったのですが、グレンと一緒に食事した友達が新型コロナの陽性と発覚したらしく、アポはキャンセルに。友達も彼自身も特に症状はないとのことですが、検査の結果が出るまで自宅隔離しているそうです。こういうことがリアルに起こるんですよね。あらためて気を引き締めないと!
     
     今シーズンのコレクションはというと、コロナによるロックダウンを経て、原点回帰。ジョン・ガリアーノによる「ディオール(DIOR)」のショーに感銘を受けてデザイナーを志ざし、「Y/プロジェクト」を始めたときの気持ちを思い出したそうです。なので、着る人の個性や気分でさまざまな着こなしを楽しめるというブランドらしさを追求しています。いつもショーではデザインの構造が分からないアイテムも多いのですが、デジタルで発表された映像だといろんな着方ができることが非常に分かりやすいですね。
     

    17:00 とことん可愛いギョームの「パトゥ」

     「パトゥ(PATOU)」は今回もシテ島のアトリエでプレゼンテーションを開催しました。いつものような新作を着たモデルたちが自由に話したりポーズを決めたりという演出はなく、今回は新作を着せたトルソーが並べられていました。
     
     コレクションは、いつもよりドリーミーで大胆なシルエットが印象的。セーラー風の大きな襟や大きなパフスリーブをはじめ、バルーンスカートやドレス、オーストリッチの裾飾りがとってもラブリーです。大ぶりなゴールドのアクセサリーもハートモチーフで、やはり「パトゥ」には“可愛い”が詰まっています。
     

    19:00 “光”がポイントの「アクネ ストゥディオズ」

     久々にウィメンズのパリコレに参加する「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」は、ミニショー形式のプレゼンテーションでの発表でした。観客が4つの部屋を順に進みながら、それぞれでモデルのウオーキングを見るというスタイルです。30分ごとの入れ替え制になっていたので、次のショーに間に合うかヒヤヒヤしながら拝見しました。
     
     各部屋全く異なるライティングの中で披露されたコレクションは、基本オーバーサイズorタイトフィット。光を通す透け感のある生地もしくは光を反射するメタリックやホログラム素材が中心で、オーロラのようなプリントもありました。今シーズンは演出も含め、“光”がポイントのようです。そして個人的に気になったのは足元。他のブランドでもよく見るトング・サンダル(鼻緒の付いたサンダル)が、トレンドになりそうな予感です。
     

    20:00 仕掛け満載な「バルマン」のスペクタクル

     「アクネ ストゥディオズ」終了後、急いで向かったのは「バルマン」です。いつもはセレブリティーが来るので結構開始が遅れる印象なのですが、今回はセレブも観客も少ないだろうし早く始まるかも……と思い、焦りました。しかし、会場のパリ植物園に着いたら、エントランスにはコロナ禍とは思えない人だかり。セレブの到着を待っているような若者がたくさんいて、ショーは結構押しそうな気配。やっぱり「バルマン」は「バルマン」でした(笑)。
     
     まず会場に入って驚いたのは、ランウエイの両サイドにある客席の片側はフロントロウから3列目まで約60台のスクリーンが並べられていること。その一つ一つに名前が表示されていて、よく見ると、アナ・ウィンターやジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)、アッシャー(Usher)と今回パリに来られなかったセレブや著名業界人がズラリ。もしやショーが始まったら生中継!?と思ったのですが、事前に撮影したショーを見ているような映像が流れるという仕掛けでした。ちょっと残念でしたが、アイデア自体は面白いですよね。
     
     今シーズンの注目ポイントは、ウエアからバッグやシューズにまで幅広く用いられたモノグラムです。ブランド設立75周年を記念してピエール・バルマンが手掛けた1970年代のアーカイブデザインを復刻させたそう。ショーの冒頭には、フランク・シナトラ(Frank Sinatra)の「My Way」とピエール・バルマンの肉声をバックに、当時活躍していた往年のモデルたちがモノグラムのルックを着てウオーキングし、創業者へのオマージュを捧げました。その後も色や大きさを変え、さまざまなスタイルで使われていました。
     
     コレクションは、いつもながらパワフルで振り切ったデザイン。クリエイティブ・ディレクターであるオリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)は、華やかなファッションを心底楽しんでいるデザイナーだと思います。これでもかという煌びやかな世界がなぜか嫌味に感じないのは、そんな彼の少年のような素直さが垣間見えるからかも知れません。今回は彼自身の最近のお気に入りスタイルを反映したようなオーバーサイズのダブルブレストジャケットや、超ロング丈のタイトフレアパンツ、スキニーなショートパンツが印象的でした。一方、極端に肩の盛り上がったジャケットやドレス、ド派手なネオンカラーのワントーンルックは正直、目が点に。ただ、ヴィサージ(Visage)やデペッシュ・モード(Depeche Mode)の反復するリズムに乗りながら繰り返し見ていると、「バルマン」はこれで良いのだ!と思えてくるんですよね。フィナーレは、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)の「Life on Mars?」をバックに、オリヴィエと約100人のモデルがウオーキング。1日を締めくくるのにぴったりなエンターテインメントで、疲れも吹っ飛びました!

    The post パリコレ現地リポートVol.2 豪華絢爛な「バルマン」のショーに世界からセレブや編集長が集結!? appeared first on WWD JAPAN.com.

    “どれを選んでも失敗しない” 「ジーユー」のコスメ 「多すぎて選べない」の声から開発

     ファストファッションブランドの「ジーユー(GU)」はコスメブランド「フォーミーバイジーユー(#4ME BY GU)」をスタートさせ、化粧品事業に本格参入した。“コスメはもっと自由になれる”をコンセプトに、ベーシックとトレンドの両方を取り入れたラインアップでファッションとメイクのコーディネートを提案し、590~1490円と「ジーユー」価格で勝負する。ドラッグストアやバラエティーショップで高品質でありながら、同等の価格帯で売られるコスメが多数ある中で、なぜファションブランドの「ジーユー」が化粧品に手を出すのか。土上洋佑グローバル商品本部VCP部門グッズチームリーダー兼インナーチームリーダーに話を聞いた。

    WWD:直近ではユナイテッドアローズの「ジュース」など、ファッション企業の化粧品業界への参入が相次いでいるが、「ジーユー」はどういった意図で参入を決めたのか?

    土上洋佑グローバル商品本部VCP部門グッズチームリーダー兼インナーチームリーダー(以下、土上):「ジーユー」はファッションだけでなく、雑貨を含めたトータルファッションを提案していく中でコスメの展開を考えていました。具体的に計画を開始したのは1年ほど前からですが、それ以前から構想はありました。

    WWD:1年ほど前から開始したということだが、コロナ禍の影響はあった?

    土上:大きく影響はなかったのですが、コロナ禍によるマスクの着用でニーズの変化があり、方向修正のアジャストを行いました。もともと開発を進めていく中で品質にこだわっていましたが、より保湿に優れた成分を配合したり、目元のメイクのニーズの増加に合わせてアイメイクを強化しました。

    WWD:2015年にもコスメを販売していたが、今回との違いは?

    土上:2015年にも一部店舗でアイテム数を絞ってメイクグッズを販売していました。当時はアイテムによって売り上げの差も大きく、ブランドというよりはあくまで単品での販売だったため、なかなか全体を底上げするようなビジネスにならなかった。今回は「フォーミーバイジーユー」としてきちんとブランディングを行い、安定的に売り上げを伸ばしていけるものを目指している。そこが前回との大きな違いです。

    WWD:「フォーミーバイジーユー」の強みは?日本製や成分にもこだわっているが。

    土上:ファッションブランドだからこそできる、旬のファッションに合うメイクの提案とプチプラでありながら安心できる日本製の高い品質が「フォーミーバイジーユー」の強みだと考えています。また、洋服の考え方と同じで、たくさんの種類で迷わせるより、これさえあれば間違いないというカラーやアイテムを厳選し、メイクが得意ではない方にも使いやすく、失敗しないコスメを目指しました。尖っていて使いにくいトレンドではなく、万人が取り入れやすいトレンド。それが目指すところです。

    WWD:製品開発をする過程で消費者へのヒアリングなどは行ったのか?

    土上:トレンドの掴み方やカラー選びに関しては、商品サンプルの検討会には必ず店舗のスタッフにも参加してもらい、地方の店舗などにも試作品を送って意見を集めました。お客さまを招いての検討会なども複数回行い、リアルな声を商品開発に反映させました。お客さまの意見を聞く中で、「膨大にあるコスメの中でどれがいいのか分からない」「結局いつも同じ色になってしまう」という声がかなり多かった。そうした「多すぎて選べない」という悩みから「どれを選んでも失敗しない」というコンセプトにたどり着きました。

    また、プチプラコスメに関しては「パッケージが子どもっぽすぎると持ち歩きづらい」「実際に使うとき派手なものには抵抗がある」といった意見もあり、持つ人を選ばないシンプルなパッケージデザインにこだわり、プチプラコスメのカテゴリの中で差別化を図りました。

    WWD:今後の展望は?
    土上:まずは大型店など一部店舗とECでの販売ですが、今後の反応を見て取り扱い店の拡大も視野に入れていきたいと考えています。

    The post “どれを選んでも失敗しない” 「ジーユー」のコスメ 「多すぎて選べない」の声から開発 appeared first on WWD JAPAN.com.

    ナイキ、目指すはCO2排出量と廃棄物の2つのゼロ ゴミをデザインに組み込んだ商品発表

     ナイキ(NIKE)は9月25日、サステナビリティ戦略「MOVE TO ZERO」のグローバル記者懇談会をオンラインで開催した。同社は、気候変動を今の時代の最大の課題として、CO2排出量と廃棄物、2つのゼロを目標に掲げており、解決策の一つとしてデザインに“ゴミ”を取り入れた製品を強化する。ノエル・キンダー(Noel Kinder)=チーフ サステナビリティ オフィサーもまた、「ナイキの規模感を生かして、低炭素社会や循環型経済に貢献する。“スペースヒッピー”はわれわれの姿勢を示す素晴らしいプロダクトになった」という。

     ナイキ(NIKE)が8月に発売した廃棄物で作ったスニーカー“スペースヒッピー”は同社にとってエポックメーキングなプロダクトになった。ゴミを原材料として用いるだけでなく、デザインにも組み込んだからだ。「考え方を大胆に変えること――原材料にゴミを用いるという視点を持ったことから“スペースヒッピー”は生まれた。素材の選択はCO2排出量を減らし、廃棄物を減らすための鍵となる。環境への影響の70%以上は私たちが使用する素材によるものだから」――ナイキ(NIKE)のヴァージニア・ラスティーク・ペテニ(Virginia Rustique-Petteni)=グローバル サステナビリティ エンゲージメント シニア ディレクターは同イベントでこう語った。

     この“廃棄物をデザインに組み込む”という“スペースヒッピー”のコンセプトは、これから発売されるさまざまなプロダクトでも生かされる。「ゴミを見せることでストーリーを伝えたい」とラスティーク・ペテニ=シニア・ディレクターは言う。フルレングスのダウンパーカは、透けるデザインであえてリサイクルして作られた素材を“見える化”した。リサイクル繊維を100%使用したダウンの代替品と、透明なペットボトルとダークカラーのペットボトルをリサイクルした断熱素材を用いた。ジッパーやトグルにも消費廃棄物や産業廃棄物を再利用した素材を採用し、廃棄物を生まないパターンを用いている。

     「ナイキ」を象徴するプロダクトの一つ“エア フォース 1”も20%再生TPUを使用した再生フォームの裏材が見えるデザインで、10月1日に発売される。アウトソールの星のように見える模様も再利用素材“ナイキ グラインド”を15%含む素材によるものだ。

     11月2日に発売する“ナイキ ワッフル レーサー クレーター”は、再利用素材“ナイキ グラインド ラバー”を15%含むアウトソールと同素材を11%含むクレーターフォームのミッドソールを用いた。これまでナイロンを用いていたアッパーをリサイクルポリエステルに変更した。

     「私たちは名品をどう再考し、どうしたらよりよい形でクラシックな製品を再構築できるかを常に検討しています」とラスティーク・ペテニ=シニア・ディレクターは語る。

     ゴルナン・アーミン(Golnaz Armin)=シニア・マテリアル・デザインディレクターは「制約があるからこそクリエイティブになれるのです」と語った。

    The post ナイキ、目指すはCO2排出量と廃棄物の2つのゼロ ゴミをデザインに組み込んだ商品発表 appeared first on WWD JAPAN.com.

    ポーラ初の女性社長、及川美紀氏に聞く“企業を率いていく思い” 音声座談会「蓉子の部屋」Vol.4

     「蓉子の部屋」は、川島蓉子・伊藤忠ファッションシステム取締役/ifs 未来研究所所長が、毎回ゲストを招き“未来”について考える音声番組です。未曾有の状況の中、業界にはこれからの“未来”について考えなければならない現実に直面しています。そんな中、少しでも業界人に役立つヒントやカケラを音声配信でお届けします。近所のスーパーに行く時や、通勤・通学時に気軽に聞いてください(笑)。

     第4回は、今年1月にポーラ初の女性社長に就任した、及川美紀氏に迫りました。及川氏は1991年に入社し、ビューティディレクター(BD)に美容教育や販売促進などを行う営業部でキャリアをスタート。2009年には商品企画部長として本社勤務となり、「B.A」のブランド化を図るなど、同社を人一倍支えてきた人物だ。及川氏のこれまでの実績の背景には、社員からの「ポーラで働いていることは親戚にも誰にも伝えていないんですよね」という言葉があった。それを受けて、誰もが誇りを持てる会社づくりを徹底して行ってきた。音声座談会では、及川氏が考える“企業を率いていく思いや独自のリーダー像、これからの時代”について語ります。

    川島蓉子:1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役。ifs未来研究所所長。ジャーナリスト。日経ビジネスオンラインや読売新聞で連載を持つ。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)、『すいません、ほぼ日の経営。』などがある。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている

    The post ポーラ初の女性社長、及川美紀氏に聞く“企業を率いていく思い” 音声座談会「蓉子の部屋」Vol.4 appeared first on WWD JAPAN.com.

    「パトゥ」の可愛さにときめき、サイケな「ドリス」に一瞬ヒヤリとしたパリ3日目 デジコレでドタバタ対談 

     ミラノ・ファッション・ウイークが終了し、2021年春夏のコレクションサーキットもいよいよ最終章、パリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)も3日目。パリからはベルリン在住のヨーロッパ通信員が現地取材の様子をお届けしますが、オンラインでも日本の記者たちが対談レビューという形で、“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は、パリコレ取材3度目の丸山瑠璃ソーシャルエディターと今年からコレクション取材をスタートさせた「WWDジャパン」編集部の美濃島匡の若手2人がリポートします。

    ベールで身を守りながら2020年と対峙する「ケンゾー」

    丸山:フェリペ・オリヴェイラ・バティスタ(Felipe Oliveira Baptista)による2シーズン目の「ケンゾー(KENZO)」は、ソーシャルディスタンシングを意識した広い庭園がショー会場。コレクションで何より印象に残ったのは、養蜂家の服装からインスパイアされたという顔や体をすっぽり覆うメッシュのベール。ベールというより、帽子のヘムから垂れて、アウターやスカートと合体するタイプもあり、外の世界と内の世界を分かつ透明な防護服という感じ。オリヴェイラ・バティスタのファーストコレクションも、放浪の旅の中で自分を守ることをイメージしたもので、“プロテクション”がキーワードになっていました。今回はそれをアップデートしてきたように思います。

    美濃島:全体的にサファリな雰囲気でしたが、ベールが神秘的な雰囲気を加えていましたね。ゆったりとしたシルエットに大きなフードを付けたコートにも、ベールと同じく防護服の意味合いを感じとりました。ただ、防護服といっても、自立した女性が自らを守るために選択するような力強さがあり、ネガティブさはありません。ただ、花のグラフィックはどこか寂しげな印象でした。

    丸山:今季のために開発したフラワープリントは、ブランドのアーカイブのポピーとオルテンシアのプリントにデジタルで泣いているような効果を与えたそう。理由は、世界が泣いているから。その花から繭のように身を守るのがベールです。「ケンゾー」といえば、楽観的でどんな時も楽しむことを忘れない前向きなのがブランドらしさですが、今の世界の状況やさまざまな問題を棚に上げて「元気出して!前を向いて!」と言うのは不適切。オリヴェイラ・バティスタは、世界の深刻な状況ときちんと対峙しながらどうしたらファッションで人に希望を与えることができるか、考え抜いたんだと思んだよね。リリースにある「前向きな答えには一定の実用主義な考え方が伴う。では、ここからどうしたら良いのか?どうやって人々を助ける事が出来るのか?彼らに希望を与え同時に人生を促進させるには?」という文言から、その葛藤が読み取れるみたい。

    美濃島:「世界が泣いているから」――強いメッセージですね。丸山さんのおっしゃる通り、これまでの「ケンゾー」とは一線を画すシリアスさでしたが、僕はとても共感しました。手放しにポジティブな意見を発するよりも、どうしたらよいか悩むありのままの姿を見せてくれた気がします。

    “soon”っていつ!?な「ゴシェール」

    美濃島:「ケンゾー」から少し時間が空いて、パリコレの公式サイトに戻ってきたんですが、「ゴシェール(GAUCHERE)」は定刻になっても全然始りませんね……。“Digital available soon”の表記が出されたまま更新されず、次のショーの時刻になってしまいそうです。“soon(もうすぐ)”とは一体いつなんでしょう(笑)。リアルでもショーをしているはずなのですが、もしかしてその映像はライブ配信せず、編集したものを後日公開するのでしょうか?

    丸山:そうかも。ただリアルは予定通りスタートしていて、「WWDジャパン」ヨーロッパ通信員の藪野さんが現地で取材しているはずなので、この場はお任せしようか。藪野さんの現地レポは後日公開予定です!

    「リトコフツカヤ」で大自然に癒される

    丸山:ウクライナ発の「リトコフツカヤ(LITKOVSKAYA)」は、ブランドの“アーティザナル”ラインのコレクションをウクライナの大自然の映像とともに届けました。その合間にデザイナーのリリア・リトコフツカヤ(Lilia Litkovskaya)がコレクションに込めた想いやその過程を語る映像が差し込まれていて、背景やストーリーをスッと理解できたね。

    美濃島:デザイナーのパーソナリティーも見て取れる素敵な映像でしたね。無機質なドキュメンタリーではなく、どこか温もりのある映像になっていたのは木琴の音楽の鳥のさえずりなどの自然音のおかげでしょうか。ハンドメイド感あふれるボーダー柄がとても可愛かったし、生地を織る作り手の顔も見られるから買ったらいっそう愛着が湧きそうです。個人的には、工房のスタッフがユニホームとして着ていた、ブランド名が入った白いショップコートを商品化してほしいです。

    丸山:山に囲まれて育ったというリトコフツカヤは今回、ウクライナの自然が生んだ素材を使い、その服を着た都市で生きる人々に自然のエネルギーや人の手による温もりを伝えたかったんだって。「リトコフツカヤ」は過去にもパリでリアルのショーをしていたけど、地元の自然が着想源なら、こうして映像を見た方がすごく理解が深まるかも。着る人が自分のストーリーを描けるようにラストルックは毎回白い服にしているというエピソードもよかった。

    一瞬身構えた「ドリス ヴァン ノッテン」

    丸山:21年春夏メンズの「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」はモデルがサイケな背景の中でドラムを叩くだけの映像だったと聞いていたので、今回もサイケっぽい映像が流れたとき「まさか、ドラムの再来か!?」と思って一瞬身構えたよ(笑)。でも、今回はちゃんと服も見れてよかった。

    美濃島:前回の映像をリアルタイムで鑑賞し「何だコレ?」を全身全霊で感じた僕も、丸山さんと同様かなりヒヤっとしましたが、だいぶコレクションがイメージできる映像に進化していてホッとしました(笑)。

    丸山:見れたといっても、服に映像をプロジェクションしている演出だから、ちゃんと見えたかどうかと言われると微妙なんだけど(笑)。でもオンラインで発表するものは必ずしも服が見れなくてもよいとようやく割り切ることができるようになったかも。映像は極彩色や強いコントラストの作風で知られる写真家、ヴィヴィアン・サッセン(Viviane Sassen)が撮影していたね。プロジェクションされていた映像は、カメラを使わずフィルムに直接絵を描くテクニックで映画史に影響を与えたというレン・ライ(Len Lye)の映画でした。

    美濃島:丸山さん安心してください、ルックではちゃんと服が見れますよ!サッセンは「トーガ」の映像も手掛けてましたよね。コレクションは今季も染めのモチーフが健在で、コントラストの強いボーダーやタイダイなどが登場。力強い色彩はカラッとしたアフリカの大地を彷彿とさせます。ほかにも民族衣装のようなシャツもあって、アフリカンなイメージをさらに加速させますね。コートの襟元や袖などをくり抜く手法は他ブランドでも多く見られたので、次のトレンド候補かもしれません。

    「エリー サーブ」の強さを実感 キャスティングには違和感も

    丸山:ブライダルドレスやイブニングドレスを得意とする「エリー サーブ(ELIE SAAB)」の今季のテーマは“HYMNE A LA VIE(人生の賛歌)”。孤独から目覚め、人生を謳歌するエネルギーあふれる女性を描きました。「エリー サーブ」はレバノンのベイルート拠点で、アトリエも8月に起こった大爆発の被害に遭ってしまったんだけど、それを乗り越える気概を見せてくれるような強いテーマです。

    美濃島:火曜サスペンスのような岩波のロケーションときらびやかなドレスのギャップが面白かったです。効果音にもサスペンスチックなものを入れ込んでいて、きれいな雰囲気で終わらせず違和感を持たせていましたね。

    丸山:ランウエイでは序盤にデイリーウエアを、終盤でイブニングドレスを見せるのが王道だけど、「エリー サーブ」が公開した映像も徐々に空が暗くなって、ルックもより装飾的でフォーマルになっていったね。少し気になったのは、有色人種のモデルが少なく、カメラのフォーカスも全然当たっていなかったこと。ブランドから届いたリリースには、「not one woman is the same nor wants to be(女性は誰一人として同じではないし、同じになりたくもない)」というメッセージがあっただけに、違和感を感じたな。

    美濃島:中東系の人はところどころで見られましたが、アジアやアフリカ系はほとんどいませんでしたね。ただ、僕はそれほど気になりませんでした。「Behind The Scenes」と題して裏側を切り取った映像も同時公開していたのですが、モデルたちが移動の際に手を取り合ったり、和やかに会話していたりと、楽しそうな現場の雰囲気が伝わってきました。むしろこっちをメインにしたほうがコレクションの魅力を伝えられたのでは?と思ったほどです。

    とびきり可愛い「パトゥ」で心踊る

    丸山:「パトゥ(PATOU)」は相変わらずかわいかった〜。ギョーム・アンリ(Guillaume Henry)が20年春夏に再始動させて以来、「パトゥ」はパリのシテ島にアトリエを移したんだけど、窓の位置や椅子などからこの動画もアトリエで撮影されたとみた(笑)。コレクションは毎回このアトリエで発表しているんだけど、中に入るとアンリが来場者とフランクにお話ししていたり、スタッフが作業をしていたりとすごくアットホームな雰囲気で、まさにフレッシュでフレンドリーな今っぽさを体現しているような空間なんだよね。デジタルだからといってロケーションを変えず、いつもの場所から発信してくれたことに感動しました。

    美濃島:毎回アトリエで発表しているんですね!勉強不足でした。ロケーションを知っていると伝わって来る情報量が違いますね。自然光がたっぷり入る空間で、あえてボヤかした映像はホームビデオを見ているかのよう。温かい気持ちになりました。

    丸山:コレクションは、ドレスが増えたりパフスリーブや襟がより大振りになったりして、 “ドレスアップ”用にさせたよう。これで頑張れば買える価格帯だからうれしいです。

    美濃島:時折、「バルーンスリーブの付いたネイビーのメタリックなサテンドレス」などの説明が入るのも理解しやすかったですね。中世ヨーロッパの貴族が着ていたドレスをとびきり可愛くアレンジした洋服がたくさんあって、丸山さんのテンションが上がっているのも納得です。日本でももっと人気が出そうですね。

    ナチュラルとドレスで奥行きを見せた「アクネ ステュディオス」

    丸山:「アクネ ステュディオス(ACNE STUDIOS)」はグラン・パレ(Grand Palais)内にモダン美術館のような部屋を4つ作りました。映像はカメラが部屋を順に巡っていくもので、最初の部屋ではモデルたちが天井に吊らされている球体を見上げているんだけど、その後カメラはネオンライトが置かれた夕暮れのような色合いの部屋、最後に日没直後のような色の青いライトの部屋に移っていく。アイデアは「エリー サーブ」と似ていて、最初の部屋ではビックシルエットのジャケット、クロシェ編みのニットなどニュートラルなカラーのルックで、2つ目の部屋に移ると色を帯びたルックが最後の部屋ではグラデーションカラーのトップスやシルバーのドレスなどが登場しました。

    美濃島:クロシェ編みのショーツやビキニトップスがとってもかわいかったですね。洗いざらしのリネンのようなザラついた質感のドレスも気取らず着られる安心感がありました。最後の青いライトの演出は、服のきらめきはわかったのですが、そのほかのディテールが少し見えづらかったです。ピンポイントでクリアな光を当てればもっと伝わったのではないでしょうか。多数のルックが着用していたクリアメガネには、ベールで防護感を出した「ケンゾー」に近いものを感じました。

    セレブはリモートでも「バルマン」のフロントローを死守

    美濃島:こんな時代でも、尖ったクリエイションを期待するブランドはいくつかあって、「バルマン(BALMAIN)」もその一つ。最初に登場したゆったりシルエットのワントーンスタイルを見たときは「やっぱりニーズに合わせて来たか」と一瞬落胆したのですが、鮮やかすぎるネオンカラーのルックが立て続けに登場した時は「これこれ!」とテンションが爆上がりでした。

    丸山:創業者のピエール・バルマン(Pierre Balmain)の録音音声とともに幕開けしたね。今回のコレクションの鍵となるのはピエール・バルマンが70年代に使っていたモノグラム。このモノグラムを使ったパンツスーツにハイネックトップスなど、コロナ禍でベーシックで長く使えるものに投資するような消費傾向に応えるスタイルだったけど、ストロングショルダーのテーラードジャケットや同素材のサイクルパンツとピンヒールなど、これぞ「バルマン」!なアイテムも多かったね。最後は200万もの「スワロフスキー(SWAROWSKI)」クリスタルを使ったジャケットで、あまりのまばゆさで目が眩みそうだった。BGMのザ・ウィークエンド(The Weeknd)の「Blinding Lights」にぴったりだったね。

    丸山:フロントローをスクリーンが占拠してる図がシュールすぎて笑っちゃった。ライブでつないでいるのかと思いきや、事前に録画された動画を流していたんだって。スクリーンにはジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)やアッシャー(Usher)、クリス・ジェンナー(Kris Jenner)、カーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)がいて、本当に豪華!フロントローに誰が座っているかはブランドの勢いを知る一つの指標でもあり、すごく重要。特にオリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)はセレブからとても親しまれているデザイナーでゲストも毎回豪華なので、今回セレブをリアルで呼べなかったのは無念に違いない。でも、それを解決する奇想天外すぎる発想に脱帽だよ。

    美濃島:スクリーンによるフロントローの占領は、もはや事件です(笑)。一般席がかなり密だったのに、セレブはスクリーンで鑑賞って、なんだかディストピア映画のワンシーンみたいだなと思いましたが、映像は録画だったのですね。安心しました。

    丸山:最後に出てきたキッズモデルがリモコンでスクリーン消したのに気づいた?会場が暗転するのにスクリーンをつけたままでは画面が光っちゃうからね(笑)。最後までコミカルな演出でした。

    美濃島:キッズモデルはグレーのおそろいセットアップを着てましたね。あれ、商品化したら売れそうだな。

    The post 「パトゥ」の可愛さにときめき、サイケな「ドリス」に一瞬ヒヤリとしたパリ3日目 デジコレでドタバタ対談  appeared first on WWD JAPAN.com.

    ミラノコレ現地取材で明るい未来を見た 「プラダ」「トッズ」などリアル&デジタル融合の成果は上々

     9月22〜28日に開催された2021年春夏シーズンのミラノ・ファッション・ウイーク(以下、MFW)に参加してきました。私が暮らすフランスでは、新型コロナウイルスの1日の新規感染者数が過去最多の1万人を記録するなど、9月以降再び感染が拡大しており、イタリア政府はフランスからの渡航者に陰性診断書の提示を求める入国制限措置を23日に行いました。私は22日に到着したためスムーズに入国できましたが、渡伊予定だったフランスのプレスやバイヤーの多くはキャンセルしたそうです。街が正常通りに動き、バカンスを過ごし、気が緩んだところでの第二波……。なんだか先行きが不安なスタートとなりました。

     リアルとデジタルの両軸で開催された今季は、全てのショー開催ブランドは公的機関の勧告を順守していました。各ブランドから事前に健康状態の確認やマスク着用義務などの注意事項が伝えられ、ショー会場の入り口では申告書への署名や体温計測の徹底や、マスクが配布されていました。会場内の座席は1mの間隔を開けたソーシャル・ディスタンスを確保した配置で、来場者数は通常の3分の1かそれ以下という少なさでした。「フェンディ(FENDI)」に至っては招待客を通常の1割にまで制限したのだとか。アジアとアメリカからの渡航者は14日間の隔離期間が義務付けられていたため、私の知る限りそれら地域からMFWに参加した方はいません。ヨーロッパの隣国からでさえも、企業が国外渡航を禁止していたり、自己判断で不参加だったりという人も多かった印象です。日本のメディアは、ロンドン在住者と現地ミラノ在住のジャーナリスト合計5人と、ミラノにオフィスを持つ百貨店のバイヤー1人だけでした。会場外でスナップ撮影を行うストリート・フォトグラファーは意外に多く、例年の半分程度の人数といったところ。フォトグラファーはヨーロッパ在住者が多いことと、フリーランスのため自己判断で渡航できたことが大きいのではないでしょうか。ミラノのストリートでの様子については、下の関連記事で詳しくお伝えしています。

    ミラノ時間9月23日
    10:00 「サントーニ」

     私のミラノコレは、シューズブランド「サントーニ(SANTONI)」のプレゼンテーションからスタートしました。通常のプレゼンテーションは開催時間帯であればいつ訪れてもよいのですが、今季は会場内への入場に人数制限を設けており、どのブランドも事前のアポイントメントが必ず必要でした。日本人らしく時間ぴったりに到着すると、今季から数シーズンにわたって同ブランドのカプセルコレクションを手掛けるイタリア人シューデザイナー、アンドレア・レニエリ(Andrea Renieri)が迎えてくれました。「バリー(BALLY)」「コスチューム ナショナル(COSTUME NATIONAL)」「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」「フェンディ」「マルコ デ ヴィンチェンツオ(MARCO DE VICENZO)」で経験を積んだ彼は、「アートや建築からインスピレーションを得たんだ」と語ります。結び目を多用した彫刻的なデザインのドラッポ(Drappo)シリーズが彼の一番のお気に入りで、結び目が最も多いデザインにはナッパレザーを30mも使用しているのだとか!クラシックなイメージの強い同ブランドにコンテンポラリーなニュアンスが加味され、新鮮さを兼ね備えていました。

    16:00 「ヌメロ ヴェントゥーノ」

     「ヌメロ ヴェントゥーノ(N°21)」が私にとってのMFW初のショーです。フェザーやシルク、シフォン、エナメルなどの多彩な素材感を生かし、さまざまなテクスチャーをレイヤリングで遊ぶアイデアに心が弾みました。コレクションを擬音語で表現するなら、キラキラ、ピカピカ、フワフワ、ツルツルとたくさん出てきます。それにしても、フェザーがランウェイに登場すると必ずスローモーションで動画を撮りたくなるのは私だけ(笑)?

    16:30 「トッズ」

     「トッズ(TOD’S)」がデジタル発表前日に開いたプレス向けプレビューに参加しました。クリエイティブ・ディレクター、ヴァルター・キアッポーニ(Walter Chiapponi)がコレクションについて詳しく説明し、「今季は全ての女性に向けたラブレター」と素敵なひと言。さらに「マスキュランとフェミニンを共存させ、女性が自信を持てるような服を作りたかった。自信と知性を兼ね備え、内側からにじみ出るセンシュアリティ(官能的魅力)を表現した」と続けます。セクシュアリティ(性的魅力)ではなく、センシュアリティというのが重要で、優しい色彩を豊富に使って、若々しくも上品で麗しげな「トッズ」らしさを感じました。スポーツウエアやワークウエアの機能性も加えて、ミリタリーのペンシルスカートやカーゴパンツ、トラッキングシューズやバレエシューズなどが登場。ショートフィルムの制作に取り組んだキアッポーニは「最高に楽しかった」そうで、デジタル化されるショーについて「若手の小規模なブランドにとって、デジタルは現実的なコストで世界中とコミュニケーションをとれる素晴らしい機会」とポジティブに語っていました。

    18:00 「エトロ」

     ”イタリアの夏”がテーマの「エトロ(ETRO))」は、会場内にレモンの実がなる木を飾って南国ムード満載でした。1992年に制作された旗がモチーフのプリントを復刻させ、レトロで華やかさがあり、陽気なルックがランウエイを彩りました。リゾート感たっぷりなコレクションのフィナーレは、ビキニトップの上にシャツを羽織り、アイコンのペイズリー柄のショートパンツで統一されていました。ステイホームしている間に過ぎ去ってしまった夏ですが、「エトロ」のショーで少しだけ取り戻せた気分になりました。

    ミラノ時間9月25日
    街散策

     

     私は7月上旬「ジル サンダー(JIL SANDER)」のショールームに訪れるためミラノへ来ました。その時はロックダウン(都市封鎖)が明けてから1カ月ほど経過したころで、現地の人々は外出を控えていたため街は静かで寂しかったです。それから2カ月経過した今回は、旅行者こそ少ないものの、街は活気を取り戻しつつあります。私のお気に入りレストラン5つのうち2つは営業を再開していませんでしたが、食事時になるとどのレストランも人でいっぱいでした。ランチからワイン片手にパスタをほおばるイタリアの人々を見られて、なんだか嬉しかったです。

     ショップのリサーチのためディエチ コルソ コモ(10 CORSO COMO)やアントニオーリ(ANTONIOLI)、スラムジャム(SLAM JAM)を周りました。んん……アントニオーリとスラムジャムに関しては特筆することがありません。ブランドリストも店内の雰囲気も、いつ来ても大きく変わることはあまりなく、今回も相変わらず。ディエチコルソコモは商品数が半分程度にカットされていたのが大きな変化です。特にシューズコーナーとその奥のスペースは、展示品を並べるギャラリースペースとなっていました。デジタルとリアルなショーと同じように、ECと実店舗のあり方は今後ますます変わっていきそうです。

    ミラノ時間9月26日
    14:30 「プラダ」

     今季のMFWの目玉といえば、ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)とラフ・シモンズ(Raf Simons)が共同で手掛けた「プラダ(PRADA)」のファーストコレクションでしょう。デジタルでのショー終了後にミウッチャとラフが対談していたのも同じ会場内で、2人が座っていた席に着席するとなんだかソワソワしてミーハー心がうずきます!会場内はマネキンを使ったルックが並べられており、ショーには登場しなかったアクセサリーも見ることができました。詳しくは、下の関連記事でチェックしてみてください。

     コレクションは、ラフ好きの人には刺さるものだったのではないでしょうか。唯一気になるのは既存顧客の反応です。熱しやすく冷めやすいのもファッションがもつ側面なので、いい温度で成長していくことを期待しています。ホテルに戻る途中、大好物のジェラートをまだ食べていなかったことに気付いてプラダ傘下の老舗洋菓子店「パスティッチェリア・マルケージ(Pasticceria Marchesi)」へ。おいしくてニヤニヤしていたので、怪しい人に見えたかも(笑)。

    9月27日 14:00 「ヴァレンティノ」

     MFW最後のショーは「ヴァレンティノ(VALENTINO)」でした。インビテーションとともにミラノの老舗バー「ジンローザ(Ginrosa)」のリキュールが2本が届きました。日本でもカクテルによく使われるリキュールでチンザノとよく似た味ですが、アルコール度数25%とかなり高め!

     セレブリティの来場が多いこともあって、会場外に集まったフォトグラファーの数は今季のMFWで一番多かったです。会場の廃工場の建物の中には自然に生えたかのように植物が飾られていました。無機質な廃工場と緑鮮やかな植物のコントラストが素敵でした。困難な環境下で生きる強くたくましい生命を感じるようで、ショーが始まる前からうっとり。ショーとコレクション内容については、下の関連記事をご覧ください。

    苦しみの先に希望はあった

     MFWは無事に終了。連日雷雨に見舞われた5日間でしたが、今私の心はとても晴れやかです。飛行機に乗り、出張に出かけ、取材をし、ファッションを通してメッセージを受け取る――そして記事を通して読者と体験や感情を共有できること。これら全てが自分の幸せであり、情熱をかたむけられることなのだ改めて実感できたから。なによりいつもファッション・ウイーク中に顔を合わす友人や仕事関係者、ブランドなどファッション業界に携わる人々が明るい未来を見据えてポジティブで、この業界に身を置いていることに誇りを感じました。ロックダウン中は、気持ちが沈んだときに「大丈夫。苦しみの先には必ず希望がある」と自分自身に言い聞かせていた言葉は、ただのなぐさめではなかったのだと実感しました。ウイルス感染の脅威はまだまだ消えませんが、苦しみも喜びも分け合い、ファッションを通してつながれるこの世界は捨てたものではありません。改めて気を引き締め、パリのファッション・ウイークの取材も続けます!

    ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

    The post ミラノコレ現地取材で明るい未来を見た 「プラダ」「トッズ」などリアル&デジタル融合の成果は上々 appeared first on WWD JAPAN.com.

    #敦子スメ「新月・満月」ノート 活力と新しいものが生まれる力があるおひつじ座満月(10月2日)

     この連載では、新月・満月の流れを最大限に引き出すためのサポートをしてくれるコスメやインナーケアアイテムも紹介していきます。第20回は10月2日の満月とおすすめコスメについてお伝えします。

    今回の満月(10月2日)はおひつじ座

     おひつじ座は“スタート”“生まれる”“とりあえずやってみる”など、一番先頭に立って物事を起こしていく役割の星座です。実は今、11月半ばまで情熱や行動を示す火星が同じくおひつじ座で停滞中。本来ならおひつじ座のスタート力に火星の力も作用して新しいことやアイデア、前へ進む力が加速するはずが、この火星の逆行により11月半ばまでは物事が前に進みにくく、それよりも足踏みをすることによってやっていなかったことを終わらせたり、これからの方向性を考えたり、そんな時期に入っています。

     思い返すと今年はずっとそんな時期だったような気がします。計画が全然違うことになってしまったり、やろうと思っていたことが全てできた!という人は地球上どこにもいないのでは?そんな気すらしてきますよね。ただ、これが良いあれが悪いという判断は抜きにして何か新しいことが始まろうとしている、今までとこれからの時間の境目にいる、そんな感じがしてなりません。

     思い通りにいかない時代でも、新しく生まれたコスメにはなんだか特別な役割があるように感じます。本来おひつじ座は“生まれる”というエネルギーの強い星座。そして満月は“実る、形になる”タイミングーーということで、今回はこの秋生まれた2つのブランドを紹介します。

    今回の満月コスメ

     植物療法士の森田敦子さんが監修する新ブランド「ワフィト(WAPHYTO)」には、植物の持つ力を最大限に生かすことはもちろん、よりよい未来や社会、介護サポートまで視野に入れた女性のライフスタイルに向けたメッセージが込められているように思えてなりません。私のおすすめは化粧水“レジェナ トナー”と頭皮用ローション“スキャルプローション”です。

     9月に新しく生まれ変わった「アルジェラン(ARGELAN)」 は、ゴースト細胞に着目して肌の巡りを改善するスキンケアラインという目的に加えて、ジュース製造後に捨てられる予定だった原料を使用したり、環境負荷を低減した製法の原料を可能な限り採用したり、また容器や資材に配慮するなど、化粧品という日常的なアイテムを通して環境や社会に関するメッセージや姿勢も込められています。洗顔料“オーガニック 透肌フェイスウォッシュ”と化粧水“オーガニック認証 高保水化粧水”がおすすめです。

     この秋新しく生まれた、生まれ変わった上記の2つのブランドには、化粧品という枠を超えた素敵なメッセージが詰まっています。なかなか思うように進まなかったり、予想外だったりする中で目的や意識を持って生まれた2つのブランドをぜひチェックしてみてください。

    福本敦子(ふくもと・あつこ)/フリーランスPR・美容コラムニスト:コスメキッチンに14年間勤務後、現在はフリーランスPRとして活動するかたわら、ビューティコラムニストとしてイベント、SNSなど多方面で活躍。オーガニックに精通した知識を武器に、ライフスタイルに寄り添った独自のオーガニック美容論が、著名人やエディターをはじめ各方面から大人気。「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と多くの反響を呼び、紹介した商品の欠品や完売も多数。2019年秋、初の書籍となる「今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by敦子スメ」を出版。発売前に増刷が決まるなど話題を呼んでいる。旅を愛し、占星術にも精通 instagram:@uoza_26

    The post #敦子スメ「新月・満月」ノート 活力と新しいものが生まれる力があるおひつじ座満月(10月2日) appeared first on WWD JAPAN.com.

    ファッション、ビューティ、サステナビリティの旬なトレンドを体感 「ルームス」がリアル&オンラインで開催

     アッシュ・ペー・フランスが主催する合同展示会イベント「ルームス(rooms)」は、OMO(オンラインとオフラインの融合)サービスを導入し、初のリアル&オンライン融合型の展示会を開催する。リアルイベントは東京ファッション・ウイーク期間中の10月15~17日に、東京の新宿住友ビル三角広場で開催。一方、オンライン展示会は9月から12月まで長期開催し、出展希望者は会期途中からの参加も可能だ。日程や会場までの移動といった制限を受けにくいデジタルにも軸を置くことで、さらに活用しやすい魅力のあるイベントへと進化する。

    エシカルや次世代の
    クリエイティブが集結

     「ルームス 41」では “サステナビリティ”“自然との共生”“次世代育成”など、社会的にも注目が集まるキーワードをもとに、多彩なプロジェクトやインスタレーションを企画。さらにリアルイベントでのBtoC施策として雑貨や一点もののアートなどを購入できるマーケットイベントも予定し、SNS時代に、業界関係者だけでなく一般の来場者にもダイレクトにブランドの魅力を伝えられる場を設けている。

    新進気鋭のアーティストから
    世界的デザイナーまで
    注目の出展者をチェック

     イベントの目玉となるのは、2020年度の「LVMHプライズ」ファイナリストに選出された「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」の小泉智貴デザイナーによる、若手デザイナーの発掘・育成プロジェクト“SPOT LIGHTS by TOMO KOIZUMI”。世界で活躍できる可能性を持った次世代ブランドの作品を披露する。さらにラグジュアリーブランドで経験を積んだ実力派デザイナーデュオ「リブノブヒコ(RIV NOBUHIKO)」や一点ものジュエリーを制作する「ミャカレ ジュエリー(MYACALE JEWELRY)」、新しいガーデニングスタイルを提案する「ヴェクスセットジャパン(WEXTHUSET JAPAN)など、展示会には多彩なジャンルのブランドが出展する。

    “旬を学ぶ”
    セミナー&ワークショップ

     スペシャルトークショー「ルームスアカデミー」をルームス41会期である10月15~17日に開催。ファッションやエシカルなど各ジャンルを代表するプロフェッショナルを迎え、ゲストの頭の中をのぞき込むような対談を通して、クリエイションやビジネスのヒントを紹介する。オンライン展示会の登録者限定で、対談はアーカイブ配信(10月下旬から12月10日までの期間中)で視聴することも可能だ。

    オンライン化でさらに便利に!
    受注や商談も可能

     「ルームス」のオンライン化にあたり、デジタル展示会サービス「エグジブ(EXIV)」を導入。出展者は分析機能を使用して、よく見られている商品と実際にオーダーにつながった商品などを可視化することができる。一方で、来場者はオンライン商談を申し込んだり、会場で気になった商品を後日確認・注文したりするなど、さまざまな使い方が可能。今後も“日本最大級のクリエイティブの祭典”として、クリエイターとバイヤー双方がメリットを感じられるオン・オフライン一体型のプラットフォームを目指す。

    INFORMATION
    rooms 41

    期間:10月15~17日(17日は一般入場可能)
    時間:10:00~18:00
    会場:新宿住友ビル三角広場
    住所:東京都新宿区西新宿2-6-1
    業界関係者入場料:招待券持参者は無料(招待券がない場合は1500円)
    一般入場者 前売券:1000円、当日券:1500円

    rooms41 ONLINE TRADESHOW

    期間:9月10日~12月10日(業界関係者限定)

    TEXT:ANRI MURAKAMI

    問い合わせ先
    ルームス
    03-3499-0822

    The post ファッション、ビューティ、サステナビリティの旬なトレンドを体感 「ルームス」がリアル&オンラインで開催 appeared first on WWD JAPAN.com.