男性記者2人がミーハー対談 スポーツ各社イチ押しのランシューをはき比べてみた

 スポーツメーカー各社がランニングシューズ開発に熱を注いでいる。一口にランニングシューズといっても、記録更新を目指すトップランナー向けから、趣味として楽しむ市民ランナー向けまでさまざまなタイプがあり、機能とデザインは多種多様だ。そしてそれらは、実際に履いてみないと本当の価値を判断できない。そこで今回は、「WWDジャパン」でスポーツ分野を担当する2人の記者が、各社の新作ランニングシューズを履き比べてみた。ファンランナーとビギナーによる対談だが、「ナイキ(NIKE)」「アディダス(ADIDAS)」「ニューバランス(NEW BALANCE)」「アシックス(ASICS)」「プーマ(PUMA)」「ミズノ(MIZUNO)」の全6社のイチ推しがそろうため、今後のランニングシューズ選びの参考にしてもらえたら幸いだ。

【対談メンバー】
大塚千践:「WWDジャパン」ニュースデスク。37歳男性。ファンランナーとして週2〜3回ほど自宅近辺をランニングしていたが、夏とともになぜかラン熱が燃え盛る。8月は月間100km走破を達成した。

美濃島匡:入社3年目の「WWDジャパン」記者。24歳男性。半年に一度、急に思い立ちスニーカーで夜道を入る程度のビギナー。体を動かすことは好きでバスケットボール、剣道、空手の経験あり。

美濃島:まずは「ナイキ」が8月末に発売した“ナイキ エア ズーム テンポ ネクスト%(NIKE AIR ZOMM TEMPO NEXT%)”(2万4000円)。トップランナー向けのランニングシューズ“エア ズーム アルファフライ ネクスト%(AIR ZOOM ALPHAFLY NEXT%)以下、アルファフライ”をトレーニング向けにアップデートさせたシューズです。

大塚:トレーニングモデルとはいえ、前への推進力はまあまあ強めだと感じました。ゆっくり長く走りたい人というよりスピードトレーニングに向いているのかな。

美濃島:“アルファフライ”はカーボンプレートを搭載しているのですが、このモデルには柔らかな合成素材のプレートが組み込んで安定性を高めたそうですよ。

大塚:たしかに“アルファフライ”よりはコントロールしやすかったかも。前足部の“ズーム エア ポッド”は素人でも違いが明確にわかるぐらいクッション性があって、走ってて楽しい一足だね。少しクセがあって向き不向きは分かれそうだけど、デザインがとにかくカッコイイ。

美濃島:ファンランナーにはデザインのよさがモチベーション維持に直結するので、見た目から入りたい人にはいいかもしれませんね。

美濃島:「アディダス」が“1秒でも早く“をコンセプトに開発した“アディゼロ アディオス プロ(ADIZERO ADIOS PRO)”(2万5000円)は、今年6月に限られたアカウントでファーストモデルを販売し、即完売。9月14日にこのカラーリングで初めて一般販売されます。

大塚:すごい色だね。勝ちたいという思いがデザインから溢れてる。なんたってキャッチコピーが“爆速”でしょ?ビギナーの美濃島さんは履いてみてどうだった?

美濃島:本当に爆速でした。速く走ろうと思わなくても、足が勝手に前へ進む感じ。なんだかトップランナーに仲間入りした気分でした。

大塚:僕は「アディダス」が初めてカーボンプレートを入れた“アディゼロ プロ(ADIZERO PRO)”なら履いたことがあるけど、あれも勝手に前に進むから驚きました。その分、めちゃくちゃバテたけど。

美濃島:このシューズはカーボンを五本指状に形成していて、重心移動がよりスムーズになっているそう。今はカーボンプレートが市場を席巻していますが、“五本指カーボン”がスタンダードになる日も近いかもしれません。

大塚:“ウエーブ デュエル ネオ(WAVE DUEL NEO)”(2万4000円)は真っ白でミニマルなデザインが潔くて好き。最近は機能だけじゃなくてデザインも過剰になってきているから、逆に新鮮に感じます。はき心地も無駄を削ぎ落とした感じで、初めてランニングしたときから足になじんでいるのが実感できました。

美濃島:今年1月の箱根駅伝では、10区区間賞を獲得した創価大学の島津雄大選手がこのプロトタイプを着用していましたね。真っ白なカラーリングが話題となったため、ホワイトカラーも商品化したそうです。

大塚:ただ、今回はいたモデルの中ではダントツでタイトなフィット感だから、慣れるまではちょっと大変かも。僕は結構ズボラなので、スルッと履けてスルッと脱げるシューズを選びがちだから、いちいち気が引き締まります。

美濃島:僕はきつめのフィット感は好みでしたよ。いずれにせよ、「機能もデザインも変化球はいらない」という思いが伝わってくるシューズですね。

大塚:変化球はいらないと思ったら、“ザ ミズノ エナジー(THE MIZUNO ENERGY)”(2万5000円)はメジャーリーグ級の変化球でした。

美濃島:これは「ミズノ史上最高」という柔らかさと反発性が特徴の高反発素材“ミズノ エナジー”のコンセプトモデルとして発売されたシューズ。さきほど紹介した“ウエーブ デュエル ネオ”にも搭載されていますが、こっちは機能性をそのまま表現した斬新なデザインがポイントですね。

大塚:すれ違うランナーの視線は一番感じられるシューズだね。走り心地は反発力がすごくて走っていてもフワフワするからかなりクセはあるけど、新素材の機能性は存分に体感できました。

大塚:“フューエルセル プリズム(FUELCELL PRISM)”(1万3200円)は全モデルの中で一番バランスのとれたシューズという印象。反発性やフィット感、安定感など全部がちょうどいい。気合い入れて走らない日常のランニングにはぴったりかも。

美濃島:ランニング初心者からフルマラソン4時間切りを目指すランナー、大会上位に入るエリートランナーのトレーニングにまで対応するモデルなので、バランスの良さはピカイチです。ソールのつま先が巻き上がっていて、足運びがすごく楽でした。

大塚:ミッドソールの“フューエルセル”も反発性は感じるのだけど、いい意味でいつものランニングに劇的な変化がなく、それでいて快適さも感じられました。

美濃島:スピード感を表現したロゴデザインもいいですよね。

大塚:白黒ベースに赤いロゴが映えるよね。地味過ぎず派手過ぎない絶妙な見た目が好みです。

美濃島:“ノヴァブラスト(NOVABLAST)”(1万6000円)はタイムよりも楽しさを求めるランナーに向けたシューズ。“いつもの道をはずませよう”というコピーの通り、反発性のあるはき心地が魅力です。「アシックス」らしい安定感もありました。

大塚:スピードや反発性のわかりやすさを求めるなら他社でもいいんだけど、気がついたらはいているぐらいの安心感がファンランナーには重要だからね。いろいろはき比べたからこそ、よさが際立ってた。

美濃島:ブラックとグリーンの組み合わせも好きです。

大塚:「アシックス」は最近かっこいいモデルも多いし、底力を発揮しつつあるから今後も楽しみだね。

美濃島:ミッドソールをくり抜いて軽量化させた“ウルトラライド(ULTRARIDE)”(1万円)は、軽やかなはき心地と意外な安定性を備えています。私服に合わせられそうなキャッチーなデザインもよかったです。

大塚:爽やかなカラーリングがいいよね。ランニングでは他社よりもちょっと遅れをとっているけれど、Jリーグ世代としては応援したいブランド。サニブラウン・アブデル・ハキーム(Sani Brown Abdul Hakim)選手やウサイン・ボルト(Usain Bolt)も支えてきたのだから、そのうちとんでもないテクノロジーを発表してきそうな期待感はあるかも。

美濃島:先月は米マサチューセッツ・工科大学(MIT)と共同開発した新ソール“ゼティック(XETIC)”を発表していました。これからもルールにとらわれない独自のアプローチを続けてほしいです。

対談を終えて

美濃島:この夏からスポーツ担当になり、さまざまなシューズを取り上げてきましたが、こんなにたくさん試したのは初めてでした。企業ごとに注力する機能が違ったり、デザイン傾向も異なったりして面白かったです。コロナの影響で体を動かしたいなと思うことも増えたので、これを機に自分のペースでランニングにトライしようと思います!個人的には、「アシックス」の“ノヴァブラスト”をメインに使いながら、気分を上げたいときに「アディダス」の“アディゼロ アディオス プロ”をはいて爆走したいです。

大塚:素晴しい心意気!どんどん走ってください。あらためて各社の性格が見えて面白いよね。マーケティングに隙がなかったり、不器用だけど物作りは超一流だったり、本当にいろいろ。来年開催予定のオリンピックに向けて各社はスピードを追求するのか、安全性に舵を切るのかなど、裏の戦いにも注目したいね。

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渡辺直美からファッション&ビューティ業界へメッセージ 「人をワクワクさせたいゴールは同じ」

 「WWDジャパン」9月7日号は“ファッション×ビューティの可能性”をテーマに両業界を自在に行き来する業界人を特集する。表紙を飾ったのは両業界のアイコンとして活躍する渡辺直美だ。撮影後、ファッションもメイクも自由に楽しむ彼女にその秘訣を聞いた。

WWD:撮影を終えた感想は?

渡辺直美(以下、渡辺):「WWDジャパン」の表紙に登場できるなんてすごくうれしかったし、撮影も楽しかったです。緊張してメイクはバキバキに、細かく丁寧にやらせていただきました(笑)。

WWD:今回着用した「プニュズ(PUNYUS)」のポイントは?

渡辺:レオパード柄のトップスはパンツに合わせてもポップな印象で、秋口まで着られるアイテムです。Tシャツ以外の派手なトップスを増やしたくて作りました。

WWD:「プニュズ」のデザインで大切にしていることは?

渡辺:一番は「自分が着たいかどうか」です。ジャンルは絞らず、同じアイテムでもバリエーションを持たせています。大きいサイズのブランドがあまりなかった頃は、デザインではなく「これなら着られそうだから」とサイズを中心に洋服を選んでいました。「プニュズ」ではみんながたくさんの選択肢のなかで買い物を楽しんでほしいと思っています。

WWD:リップは、アンバサダーを務める「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」の新作「ルージュ アンリミテッドアンプリファイド」。つけ心地は?

渡辺:通常、崩れにくいリップは色素沈着しやすく落とすのも大変ですが、今回の「ルージュ アンリミテッドアンプリファイド」は発色もすごくきれいで、直すのも落とすのもラク。「ついにこんな素晴らしいリップができたか!」とびっくりしました。

WWD:「プニュズ」でもコスメも出したい?

渡辺:いつかオーガニックコスメを作ってみたいです。カバー力があり、発色がよいものでパッケージにもこだわりたいです。

ファッションとメイクは色の統一感が大切

WWD:ファッションもメイクも自由に楽しんでいるが、今のスタイルが確立したのはいつごろ?

渡辺:コントで赤いリップに挑戦したことが始まりでした。東京に出てきた頃はナチュラルメイクが主流で、リップをどれだけベージュに近づけるかの闘いでした。私も当時は周りに合わせて化粧を薄くしていたんですが、ベージュが似合わなかった。ある時、コントの仕事で赤いリップを塗ってみたら、派手な方が似合うことに気付きました。プライベートでも赤リップをつけると抵抗が薄れ、リップに合わせてシャドウ、洋服、髪にも色を取り入れるようになりました。

WWD:ファッションとメイクのバランスを取るコツは?

渡辺:全体的な色の統一感を大切にしています。例えば髪色を派手なオレンジにしたら、服にもメイクにもトーンを変えたオレンジを取り入れるなど。組み合わせて考えるのが好きなんです。

WWD:メイクとファッション、どちらからパワーをもらうことが多い?

渡辺:わぁ~、決められないな。どっちも好きですね。でもテンションが上がるのはファッションです。メイクでテンションが上がるのは、完成してうまくいった後。うまくいかなければ下がるし、メイクする前はめっちゃダルいです(笑)。洋服は「今日は会食があるからサンダルはやめよう」とか「今日は声だけの仕事だからジャージーでいっか」とかスケジュールに合わせて考えますが、たとえジャージーの日でも気分が上がるんですよね。そういうワクワクがあるのはファッションです。

WWD:駆け出しの頃はファッションとビューティ、どちらの業界で活躍したいと思っていた?

渡辺:どちらも全然想像していなかったですよ。「プニュズ」も自分が着られる服がないというニーズから生まれたので、「ファッション業界でかましてやるぜ」みたいな思いは全くなかったです。

コンプレックスを乗り越えて「渡辺直美」に会いに来てほしい

WWD:ファッション&ビューティ業界の印象は?

渡辺:日本のメイクさんたちは、繊細な人が多いですよね。イケイケなモノを作るけど、おとなしい印象。一方ファッション業界は、芸能界よりも怖いかも(笑)。ファッション系のパーティーはお腹痛くなりますね。でも、あの緊張感が逆にイケてると思います。

WWD:今号は“ファッション×ビューティの可能性”がテーマ。両業界に向けたメッセージを。

渡辺:ファッションショーでも服とメイク、両方ないと始まりません。私にとっても色や組み合わせを楽しんでこそファッションです。どちらも人をワクワクさせたいというゴールは同じですから、お互いの得意分野を生かして、一緒にそのゴールに向かっていきたいです。

WWD:両分野を代表するアイコンとして今後、世界にどんなメッセージを発信していきたい?

渡辺:ファッションはこれまで作る側が着る人を選んでいたような気がしますが、最近ではサイズなども含めて多様化しています。多様性の大切さをファッション&ビューティ業界の人たちと一緒に発信したい。私は今体形についてあまり意識しないんです。人は見た目の特徴でジャンル分けしがちですが、ファンの皆さまは「太った女芸人」ではなく、「渡辺直美」と認識してくれます。個性が尊重されるべき時代ですから、ジャンル分けは不要。多くの人にコンプレックスを乗り超えて「渡辺直美」に会いに来てほしい。ファッションもビューティも、業界の枠を超えて個性にフォーカスするべきでしょう。

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俳優ラミ・マレックが語る、「カルティエ」の新作時計“パシャ”と共鳴する「僕のエネルギー」

 映画「ボヘミアン・ラプソディ」でフレディ・マーキュリー(Freddie Mercury)役を熱演した俳優のラミ・マレック(Rami Malek)はこのほど、「カルティエ(CARTIER)」のセルフリバイバル時計“パシャ ドゥ カルティエ(PASHA DE CARTIER)”の新世代アンバサダーの5人のうち1人に選ばれた。メゾンはラミ起用の理由を「彼のエネルギーや多様性が、時計の既成概念を超える力強さや、画一性を脱したデザインと共鳴する」(アルノー・カレズ(Arnaud Carrez)=カルティエ インターナショナル マーケティング&コミュニケーションディレクター)と説明する。彼のエネルギーは、どこから生まれるのか?「WWD JAPAN.com」は7月中旬、ロンドンのラミにオンラインインタビューした。

WWD:世界は今大変な状況だが、何を考えている?

ラミ・マレック(以下、ラミ):世界は少しずつ落ち着きを取り戻し、僕自身の仕事も少しずつ再び歩み始めている。これまでのように働くのは難しい状況だけれど、少しずつ変わって、早く全力でパフォーマンスできる環境を取り戻したい。一番悲しかったのは、コロナ禍で偉大な俳優、数多くのベストワークに出演してきた先輩方が亡くなってしまったこと。とても悲しいことだ。でも、僕らはそれに向き合わなくちゃならない。今はアーティストとして、映画やテレビ、劇場作品に出演できることに感謝したいし、みんなには作品を心から楽しんで欲しいと思う。

WWD:偉大な俳優の跡を継ぎ、業界を先導したいという思いが芽生えている?

ラミ:「ボヘミアン・ラプソディ」の成功は自信に繋がり、以降、俳優としても、人間としても成長したと実感している。今だってより多くを学んで成長したいと思っているし、さらにはエンターテインメント産業の発展も考えるようになった。今は産業を代表する、より良い俳優になれたらと思う。演じることは、これからも大事。でもそれ以上に、この産業を守りたい。

WWD:そんなポジティブマインドの秘訣は?

ラミ:無数のアーティストやクリエイターが、それぞれのゴールに向かって一生懸命働いている姿を見続けてきた。今はなおさらだ。何かを始めようとするとき、年齢なんて関係ない。スタートには、早いも遅いもない。アーティストのチャレンジを見続け、心の底からそう思えるようになったんだ。そこに自分の成功が重なり、今はエネルギーに満ちている。ポジティブマインドの秘密は、1つじゃない。全てが複合的に影響しているんだ。

WWD:そのエネルギーが、“パシャ ドゥ カルティエ”のアンバサダーに選ばれた理由の1つだ。

ラミ:「カルティエ」は、タイムレスなのにパワフルでクール。クラフツマンシップに基づくエレガンスはそのままに、他のブランドより一歩先を歩もうとする勇敢な一面も兼ね備えている。僕を含む新世代の5人をアンバサダーに選んだのは、メゾンのマニフェスト。伝統を守りつつ、前に進もうとする姿勢の表現だ。そんな公約を宣誓できるブランドと働けて、とても嬉しいよ。偉大な公約を宣誓できるメゾンで働く人々は、同様に偉大。そして、彼らとの仕事も偉大だ。メゾン、人々、仕事との関係性に感謝したい。

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アングローバルが21年春夏に立ち上げる「キタン」 文脈重視の時代に求められる服作りとは?

 アングローバルは2021年春夏、新ブランド「キタン(QUITAN)」を立ち上げます。デザイナーは米シアトル生まれの宮田ヴィクトリア紗枝さん。アングローバルといえば、「マーガレット・ハウエル(MARGARET HOWELL)」「アンドワンダー(AND WANDER)」など、一家言あるブランドがそろう会社ですが、「キタン」もまさにその系譜。一着一着にぎっしりとストーリーが詰まっており、それを語る宮田さんはファッションデザイナーというよりも、どこか文化人類学などの学者のようです。「どうしてこれを作ったのか」「どのように作ったのか」といった文脈が、モノそのものとともに重視されるようになっている今の時代に、とても合ったブランドだと感じました。

 「QUITAN」というつづりから、ブランド名はフランス語かなとも感じますが、由来は「綺譚」なんだそう。永井荷風の「墨東綺譚」の綺譚だと気付いたあなたは鋭い。この熟語、「美しい物語」という意味の永井荷風の造語だといいます。この名前が、ブランドに詰まったストーリーのうちのまず1つです。

 商品は、全てオリジナルで作りこんでいるという素材がポイント。通常は毛織物を織っている尾州(愛知の尾州は毛織物の世界的な産地です)の工場で綿・ヘンプを綾織りに仕立てるなど、独特の表情を出すためのこだわりがハンパじゃない。宮田さんが仏語も堪能であることを生かして、仏のピレネー山脈のふもとにある工場で植物染めのリネンカットソーも作っています。このあたりの地域は、バスクシャツを含め昔からカットソー生産で有名です(ただし、「キタン」を生産している工場は厳密にはバスクではないということです)。

 インドのジャムダニやカディと呼ばれる織り地のドレスやブラウスも、デビューシーズンの目玉商品です。カディはガンジーがインド独立運動の時に掲げていた手紡ぎ・手織りの織物として知られますが、今も現地で少しずつ、少しずつ織られているそう。こんなふうに、「キタン」の商品をたどっていくと、国内外のさまざまな土地にどんな文化があって、どんな人が何を作っているのかを自然と追っていくことができます。

目指すのは「点と点をつないでいくような」服作り

 「(仏の文化人類学者の)レヴィ=ストロースが提唱した“ブリコラージュ”(≒多種多様なものを柔軟に取り入れていくこと)の考え方が好き。文化の交換のような、お互いの点と点を結んで線になっていくようなモノ作りがしたい」と宮田さん。「森羅万象すべてはつながっていて、今目の前で起きていることや世の中で問題になっていることも、みんなつながっていると思う。だからこそ、いろんなことを知ろうとすることが大事。モノ作りも、なぜその場所でそんなふうにモノが作られているか知ることで私も答えが出せるし、点と点をつないでいけると思う」。

 こうした宮田さんの感性やモノの作り方には、宮田さんのバックグラウンドが大きく影響しているんだと思います。探求心旺盛なのは、恐らく大学教授であるというお父様譲り。シアトル生まれであることは冒頭でご紹介しましたが、米国からの帰国後も「遊牧民のように転々と暮らしの場を変えつつ、のびのび育った」そう。同志社大学卒業後は、セレクトショップで人気の日本のこだわりデニムブランドで国内・海外営業を担当。ファッションのモノ作りに関する知識はその時代に企画担当者から吸収したといいます。前職を辞めて、モノ作りを志すか、民俗学を学ぶために大学に再入学するか迷っていたところ、縁あって20年にアングローバルに入社したそうです。

 デビューシーズンの21年春夏は、アングローバルの直営セレクト店のほか、有力セレクト店含む約10社への卸販売が決まりそう。「ずっとお付き合いできるような取引先で販売し、お世話になっている機屋さんにも恩返ししていけたら」。ファッションって、業界として半年ごとに異なるトレンドを打ち出していく仕組みを長らく取ってきたこともあって、どこか軽薄に受け取られることも多いジャンルですが、「キタン」の服作りは好奇心を刺激して新しい知識の扉を開けていくような感覚が魅力。知的な大人に響きそうなブランドです。

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田上ディレクターに聞く 「セルヴォーク」がファッショニスタに刺さる理由

 マッシュビューティーラボのオーガニックビューティブランド「セルヴォーク(CELVOKE)」は、“今っぽい顔になれる”コスメブランドとしてプロからインフルエンサーまで幅広い層から支持を得る。テラコッタに代表されるトレンド感のあるカラーリングやファッション性の強い世界観でオーガニックコスメの従来のイメージを刷新した。田上陽子クリエイティブ・ディレクター(以下、田上ディレクター)に戦略を聞いた。

WWD:なぜオーガニックコスメの世界へ?

田上ディレクター:以前はPR関係の仕事をしていました。7年勤めた代理店ではゲームやIT、銀行、消費財などさまざまな業界の仕事をしましたが、自分の専門領域を極めたくなったんです。そこで出合ったのがオーガニックコスメでした。消費者として癒やしや効果を実感すると同時に、日本のオーガニックコスメマーケットの狭さに違和感を覚えていました。ある時今の上司でコスメキッチンを創業した椋林裕貴マッシュビューティーラボ副社長と意見交換する機会があり、オーガニックコスメに対する思いを伝えると「じゃあ、うちでやってみない?」と声をかけられました。

WWD:当時のマーケットに足りなかったものとは?

田上ディレクター:世界観の打ち出し方に課題がありました。海外ではミランダ・カー(Miranda Kerr)のようなファッションアイコンがオーガニックコスメをプロデュースするなど一般に広がっていたのに対し、日本でオーガニックコスメはまだ素朴な印象で、ごく一部の層にしかリーチできていませんでした。そこで、2013年に立ち上げたスキンケアの「エッフェ オーガニック(F ORGANICS)」では、オーガニックコスメの間口を広げることを狙い、パッケージなどのデザイン面にファッション性を取り入れ、斬新なブランドとして受け止められました。

2大キーワードは“抜け感”と“こなれ感”

WWD:「セルヴォーク」もファッション性が強い。

田上ディレクター:おかげさまでそう言っていただくことが多くてうれしいです。「セルヴォーク」はメイクのプロと、発信力のあるファッショニスタをターゲットに据えました。従来のオーガニックコスメが獲得できていなかったユーザー層です。おしゃれなインフルエンサーなどからも支持を得て、そのイメージがブランドイメージにつながり相乗効果がありました。

WWD:ファッショニスタに刺さる工夫とは?

田上ディレクター:「セルヴォーク」の2大キーワードは“抜け感”と“こなれ感”。おしゃれな人は何を着てもこなしている感がありますよね。そこに着想を得て、服を着こなすように誰でもカッコよくつけこなせるコスメブランドを目指しました。こだわったのはカラーリングとテクスチャーです。マットだけどウエット感があるもの、濃い色でシアーな発色など、ファッションで言う「異素材ミックス」のような仕掛けを施しました。難しそうに見える色でも日本人の肌に合う色を計算し、誰でも簡単につけこなせます。

WWD:「セルヴォーク」は、アパレル企業傘下が手掛けるモノとしては特に好調だ。その差は?

田上ディレクター:「アパレル企業が出すコスメなんて」と絶対に思われたくなかったんです。最初にスキンケアを出したのは、本気度を見せるためでした。まず美容のプロが認める説得力のある製品で、美容理論の基盤を見せました。ファッション性を打ち出すことに振り切り、メイクもカラーバリエーションを出してブランドの世界観を伝えました。

ユーザーの半歩先を行くモードなブランドを目指す

WWD:今後ファッションブランドと挑戦したいことは?

田上ディレクター:「セルヴォーク」のオープニングパーティーでスタイリストの白幡啓さんとファッションショーをしました。ファッションとメイク、トータルで完成するステージはとても説得力がありました。かなり手応えを感じたので、今後もビジョンを共有するファッションブランドとは何か仕掛けたいですね。

WWD:ビューティ業界とファッション業界はもっと近付くべき?

田上ディレクター:ファッションとビューティは“人”を表現する手法という意味では切っても切り離せません。成分などの詳細に加えて、今後はストーリーや人間像の提案が重要になります。ファッションの力を借りてトータルで提案することで、ユーザーへの説得力も増します。これまでの垣根を超えた提案や発信が増えるとワクワクしますね。

WWD:「セルヴォーク」の今後の目標は?

田上:抜け感やテラコッタなど、「セルヴォーク」が発信してきた新しい考え方が定着してきたので、次のイメージを考えています。目標は、共感や等身大であることを忘れずにユーザーの半歩先を行くモードなブランドであること。常に進化し、お客さまに驚きを与えたいです。

※ファッション週刊紙「WWDジャパン」はこのほど、ビューティ・コンテンツも加えてパワーアップします。第1弾となる9月7日号では、「ファッション×ビューティの可能性」をテーマに両業界を自在に行き来する業界人を特集します。

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動画プレゼンで「エルメス 」勝利の理由 エディターズレター(2020年7月10日配信分)

※この記事は2020年7月10日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

動画プレゼンで「エルメス 」勝利の理由

 案の定、「エルメス」2021年春夏メンズのデジタル・プレゼンテーションは、なかなかでした。オートクチュールの動画配信はまだ全てを見てはいませんが、今のところ「エルメス 」がベスト。以前のメルマガでお伝えした通り、理由は「取捨選択」です。

 発表したルックは、全部で27。半年前が45、1年前も45ルックでしたから、すでにこの段階で取捨選択できています。そして映像は、あくまで僕の印象ですが、「キーアイテムを伝えよう」「ちょっとしたスタイリングで、気分まで変えられることを伝授しよう」「メゾンの雰囲気を表現しよう」そして「コンテンポラリーであることを伝えよう」の4つが目標(とみました。いかがでしょう、「エルメス 」さん?)。それらを、パンツインもできるシャツジャケット、ヴェロニク・ニシャニアンによるスタイリング、透明感ある画面、案外ロック&パンクな音楽、そして、会社という撮影場所などで表現しています。8分強のムービーで4つ、というのは、ちょうどいいボリュームです。

 というか、ちゃんと目標を決められたところがスゴいんですよね。私たちも動画を作ったり、ライブ配信に挑戦したりしていますが、油断すると「作ること」「無事配信を終えること」が目標になってしまい、「で、何のためにやってるんだっけ?」に陥りがち。ことブランドは現在、「デジタル・ファッション・ウイークに参加する」から「動画を作る」というマインドになりがちです。そこを突破しているだけで、日々動画やライブ配信のことを悶々と考える私からすると、大したモンであります(上から目線w)。

 弊社の場合、それに陥らないポイントは、「編集・記者が台本を書くこと」だと思っています。コレは「WWD JAPAN.com」編集部に異動してきた2年生に言い続けていますが、「台本を書くことは、記事を書くことと全く同じ。誰に、何を、どうやってを考えることが必要。手段は違うけれど、目的は同じ」なのであります。どうも弊社でも、「台本を書くのは、専門家」とか「私たちは、高尚な記事を書くエキスパートだから」という勘違いが存在するようで、危惧しております。

 印刷する記事を執筆する代わりに配信する動画の台本を書くことは、店頭で売る代わりにECで売ることと同じだなぁ、と感じています。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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ランジェリー業界のゲームチェンジャー vol.9 プレーヤーが増え多様性が広がることで業界の活性化に

 下着業界は、主力商品であるブラジャーは使用するパーツが多いためロットが大きく、幅広いサイズやカラー展開のため在庫管理が難しいといった理由から新規参入が難しい業界だ。しかも日本では、大手メーカーの寡占が長く新陳代謝が進まない印象だった。ところがここ数年、その下着業界に新風を吹き込む存在を感じて「ランジェリー業界のゲームチェンジャー」と題し8組の女性たちにインタビューを行った。そこから見えてきた業界の今、そして今後の行方をまとめる。

 インタビューの対象は、ランジェリーセレクトショップの代表やオンラインショップのオーナー、ランジェリーのプロを育成するカレッジの主宰者、デザイナーなどで、それぞれに仕事内容や活動の場が異なるが、全員に共通していたのが“ランジェリーがもたらす力”を信じていることだった。“その力をもっと知って、感じてほしい”という思いが、彼女たちが下着業界に参入したきっかけであり、パワフルに活動する原動力だ。ランジェリーが持つ力とはいわゆる体形の補整ではなく、どちらかというと感覚的な点であることも共通している。「このランジェリーを着けたら、コンプレックスだった自分の体がものすごく魅力的に見えた」(太田まゆみ「ラ グット シュクレ(LA GOUTTE SUCREE)」代表)、「きれいな下着を身に着けたら自分が存在する意味を感じた」(栗原菜緒「ナオランジェリー(NAO LINGERIE)」デザイナー)などといったコメントに見られる体験はランジェリーが持つ力をよく表している。

 “育乳“”盛れる““はみ肉寄せ”など、コンプレックスの解消を想起させる言葉が購買を促すのは分かるが、彼女たちはそのような機能性を前面に出すのではなく、まず、ありのままの自分の体を肯定するところからスタートする。そして、自分の体に合う美しいランジェリーを身に着けた高揚感が女性を輝かせ、そこから生まれる自信がエンパワーメントにつながると期待している。

日本ブランドvsインポートブランド、機能vs官能美は終結

 かつては、感性に訴えかけるランジェリーはインポートブランド、機能性を追求するなら国内ブランドという図式だったが、今回インタビューした「チヨノ・アン(CHIYONO ANN)」「ナオランジェリー」「マイミア(MAIMIA)」「リリピアーチェ(LILIPIACHE)」はその壁を超えて今の時代を象徴する日本のランジェリーブランドとして存在感を発揮している。「マイミア」は海外で受賞し、「リリピアーチェ」は「アンソロポロジー(ANTHOLOPOGY)」とのコラボ商品を発売するなど実績も伴っている。

 その流れはここ最近、急に始まったものではなく、2010年にデビューした「ランジェリーク(LINGELIQUE)」、14年に登場した「シュット!インティメイツ(CHUT! INTIMATES)」が布石になっていると考えられる。ともに分厚いパッドなどは使用しない軽い作りで、繊細なレースを使ったファッションとしてのランジェリーを提案し、日本のランジェリー業界における新たな流れを示した。そして「インポート物のデザインや着け心地が好きだけれど、サイズ感や価格は日本ブランドがいい」という需要の取り込みに成功して市場におけるポジションを築いた。

 17年ごろから、ワイヤー入りのブラジャーほど多くの材料を使わずSML展開できるブラレットが流行したことで、ブラジャーの生産に対するハードルが下がった。それを機にD2Cブランドが台頭。そして今も日本でも、ミレニアル世代デザイナーによるD2Cブランドが続々と登場している。

 こうした経緯を見ると、もはや、日本ブランドvsインポートブランド、機能性vs官能美という二者択一ではなく、さまざまな要素が混在する個性がひしめき合って市場を形成する時代になったと感じる。そして、今回インタビューをした女性たちは、さらに個性のあるプレーヤーが増えることを心から望んでいた。「さまざまな個性がそろうことで発信力も強まり、大きなパラダイムシフトになる」(イェガー 千代乃・アン「チヨノ・アン」デザイナー)、「多様性が下着市場やランジェリーカルチャーの広がり、そして夢のある売り場につながる」(早瀬芳子「リリピアーチェ」デザイナー)などの声があった。もちろん市場には、デザイン性や個性だけでなく機能性や価格を追求するブランドも必要。選択肢が多いことが業界全体を活性化するはずだ。

試着室の外で親密な関係性を築く時代へ

 インタビューを通じては顧客とのコミュニケーションにも変化を感じた。その代表は、実店舗を閉店して現在ではECとポップアップショップを運営する「イルフェリーノ(IL FELINO)」の北菜月ジェネラルマネジャーだ。実店舗での顧客との接点がなくなったこともあり、現在は新商品の発売時にデザイナーとインスタライブを積極的に行っている。そこでは商品の紹介だけでなくデザイナーのパーソナリティーやフェミニズムに対する考え方なども熱く語られ、それが共感を呼んで売り上げにもつながっている。ファッションや化粧品などと異なり他人の目に触れないランジェリーは、時に内面に響く生々しさやそれを共有する親密さが必要なのだろう。そして、顧客の共感を通じて冒頭で述べた“ランジェリーの力”が波及することになる。

 これまで、その親密な関係を築くのは試着室の中だったが、今回登場したゲームチェンジャーたちはSNSや動画配信、ラジオなどさまざまなツールを駆使して顧客との距離を縮めると同時に、新規客との接点をつくっている。コロナ禍下で直接体に触れる接客がままならない今は、そういったコミュニケーションツールを使うことで新たな消費者との関係を築くチャンスだ。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

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ジェフ・クーンズの風船を陶器で再現 アーティストから絶大な支持を得る磁器ブランドの展覧会が開催

 フランス発磁器ブランドの「ベルナルド(BERNARDAUD)」は、9月8日まで伊勢丹新宿本店(以下伊勢丹)本館5階のセンターパーク / ザ・ステージで「ベルナルドとアーティストたちの出会い」展を開催している。同ブランドは1863年、リモージュで創業。リモージュというと磁器の産地として知られる地域だが、今も一族経営であるのは「ベルナルド」だけだ。同ブランドがアーティストとコラボレーションを始めたのは1967年。同展では、マルク・シャガール(Marc Chagall)やホアン・ミロ(Joan Miro)などの近代作家をはじめ、ジェフ・クーンズ(Jeff Koons)やジェイアール(JR)などのコラボ作品が展示されている。

 6代目のアーサー・ベルナルド(Arthur Bernardaud)=ベルナルドジャパン社長にブランドの哲学やアーティストとのつながりなどについて聞いた。

WWD:「ベルナルドとアーティストたちの出会い」展の見どころは?これらは全て限定品か?

アーサー・ベルナルド=ベルナルドジャパン社長(以下、ベルナルド):コンテンポラリーアーティストだとクーンズやジェイアールの作品だ。クーンズとのプロジェクトは3年前にスタートした。このために工場内に鏡面仕上げをするための特別なスペースを作ったが企業秘密で誰にも見せられない。今後もコラボを継続し、アートピースとして販売する。ジェイアールからは、くしゃくしゃにした紙のテクスチャーを出したいと言われ、われわれにとっては、それを磁器で実現するのは大きなチャレンジだった。ただ、一番苦労したのはブラジルのデザインデュオであるカンパナ・ブラザーズ(THE COMPANA BROTHERS)の作品。ここで展示しているのは最後の1点だ。展示品には限定品もあれば、そうでないものもある。価格も2万5000~600万円と幅広いので、多くの人に見てもらいたい。

WWD:シャガールやミロとのコラボレーションは?

ベルナルド:シャガールが手掛けたパリのオペラ・ガルニエ(Opera Garnier)の天井作品の制作過程を表現したいと孫から提案があった。色出しに苦労したが夢のあるテーブルウエアに仕上がったと思う。われわれとシャガールのコラボを見たミロの孫から、ミロが手掛けた詩集の挿絵をテーブルセットにしたいと依頼があった。

WWD:これほど多くのアーティストからコラボの要望がある理由は?

ベルナルド:「ベルナルド」はリモージュで唯一残る家族経営の磁器ブランドだ。工場には磁器の美術館を併設している。プリントなど革新的な技術を積極的に取り入れつつ、アーティストとのコラボを通して、磁器で実現が難しいことへのチャレンジを続けている。職人はチャレンジが大好きだ。また、発色の良さもアーティストから支持されている。

WWD:2018年に日本に法人を設立したきっかけは?

ベルナルド:クリスタルの「バカラ(BACCARAT)」やシルバーウエアの「クリストフル(CHRISTOFLE)」などフランスのラグジュアリーブランドは昔から日本に法人があった。日本人は陶磁器が好きだし、われわれのビジネスの4割はホテルやレストラン相手だ。日本はミシュランの3つ星レストランが一番多い国だし、オリンピックに向けて多くのホテルが開業している。日本市場に大きな可能性を感じたからだ。

WWD:日本法人を設立してからの販売店舗数や売上高は?小売りと卸の割合は?

ベルナルド:代理店のときは20店舗で販売していた。現在では伊勢丹、高島屋日本橋店、高島屋玉川店、高島屋横浜店の4店舗に絞って販売している。初年度は厳しかったが、19年には小売りが前年の2.5倍、ホテルなどの卸が1.3倍になった。20年にはその2倍にするのが目標だ。グローバルでは小売りが7割、卸が3割。日本では、小売りが4割、卸が6割だ。20年にはそれを5割ずつにし、21年には小売りをグローバル同様7割まで持っていきたい。伊勢丹に大きなコーナーを持てたのでそれが信頼につながっていると思う。

WWD:伊勢丹に大きなコーナーが持てたきっかけは?

ベルナルド:以前から伊勢丹には小さいながらも「ベルナルド」のコーナーがあった。私はかつての代理店でインターンをしたことがあり、いい関係を築いていた。だから代理店は、日本法人をつくったときに伊勢丹に紹介してくれた。そして、ベルナルド本国の社長を務める私の叔父との友人である小川博バカラパシフィック会長がベルナルドジャパンの会長になってくれた。同会長に対する信頼が大きなコーナーを持てた理由だと思う。

WWD:「ベルナルド」がほかのリモージュのブランドと違う理由は?

ベルナルド:世界的な磁器のリーダーであるという点。また、年間12のコレクションを発売するなどファッションに近い感覚でモノ作りをしていること。革新的でクリエイティブ、そしてダイナミックである点。また、家族経営なので担当が頻繁に替わることもないため信頼されている。

WWD:ホテルやレストランで使用されている例は?

ベルナルド:ホテルやレストランへの卸のビジネスがスタートしたきっかけは、故ジョエル・ロブション(Joel Robuchon)だった。ロブションは私の叔父の友人で、約40年前にレストランにオリジナルのテーブルウエアを作ってほしいと言われたのがきっかけだ。アラン・デュカス(Alain Ducasse)も「ベルナルド」を使っているし、大阪・心斎橋のルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)御堂筋店内の「SUGARABO」でも、世界的プロダクトデザイナーの吉岡徳仁がデザインしたオリジナルのテーブルウエアが使われている。

WWD:今後の日本における戦略は?

ベルナルド:ベストセラーのキャンドルホルダーなどギフトを強化していきたい。また、日本のクリエイターとコラボレーションをしていきたい。そして、「ベルナルド」というブランドがどういうブランドか知ってもらうために積極的にコミュニケーションと販促を行うつもりだ。

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ジェフ・クーンズの風船を陶器で再現 アーティストから絶大な支持を得る磁器ブランドの展覧会が開催

 フランス発磁器ブランドの「ベルナルド(BERNARDAUD)」は、9月8日まで伊勢丹新宿本店(以下伊勢丹)本館5階のセンターパーク / ザ・ステージで「ベルナルドとアーティストたちの出会い」展を開催している。同ブランドは1863年、リモージュで創業。リモージュというと磁器の産地として知られる地域だが、今も一族経営であるのは「ベルナルド」だけだ。同ブランドがアーティストとコラボレーションを始めたのは1967年。同展では、マルク・シャガール(Marc Chagall)やホアン・ミロ(Joan Miro)などの近代作家をはじめ、ジェフ・クーンズ(Jeff Koons)やジェイアール(JR)などのコラボ作品が展示されている。

 6代目のアーサー・ベルナルド(Arthur Bernardaud)=ベルナルドジャパン社長にブランドの哲学やアーティストとのつながりなどについて聞いた。

WWD:「ベルナルドとアーティストたちの出会い」展の見どころは?これらは全て限定品か?

アーサー・ベルナルド=ベルナルドジャパン社長(以下、ベルナルド):コンテンポラリーアーティストだとクーンズやジェイアールの作品だ。クーンズとのプロジェクトは3年前にスタートした。このために工場内に鏡面仕上げをするための特別なスペースを作ったが企業秘密で誰にも見せられない。今後もコラボを継続し、アートピースとして販売する。ジェイアールからは、くしゃくしゃにした紙のテクスチャーを出したいと言われ、われわれにとっては、それを磁器で実現するのは大きなチャレンジだった。ただ、一番苦労したのはブラジルのデザインデュオであるカンパナ・ブラザーズ(THE COMPANA BROTHERS)の作品。ここで展示しているのは最後の1点だ。展示品には限定品もあれば、そうでないものもある。価格も2万5000~600万円と幅広いので、多くの人に見てもらいたい。

WWD:シャガールやミロとのコラボレーションは?

ベルナルド:シャガールが手掛けたパリのオペラ・ガルニエ(Opera Garnier)の天井作品の制作過程を表現したいと孫から提案があった。色出しに苦労したが夢のあるテーブルウエアに仕上がったと思う。われわれとシャガールのコラボを見たミロの孫から、ミロが手掛けた詩集の挿絵をテーブルセットにしたいと依頼があった。

WWD:これほど多くのアーティストからコラボの要望がある理由は?

ベルナルド:「ベルナルド」はリモージュで唯一残る家族経営の磁器ブランドだ。工場には磁器の美術館を併設している。プリントなど革新的な技術を積極的に取り入れつつ、アーティストとのコラボを通して、磁器で実現が難しいことへのチャレンジを続けている。職人はチャレンジが大好きだ。また、発色の良さもアーティストから支持されている。

WWD:2018年に日本に法人を設立したきっかけは?

ベルナルド:クリスタルの「バカラ(BACCARAT)」やシルバーウエアの「クリストフル(CHRISTOFLE)」などフランスのラグジュアリーブランドは昔から日本に法人があった。日本人は陶磁器が好きだし、われわれのビジネスの4割はホテルやレストラン相手だ。日本はミシュランの3つ星レストランが一番多い国だし、オリンピックに向けて多くのホテルが開業している。日本市場に大きな可能性を感じたからだ。

WWD:日本法人を設立してからの販売店舗数や売上高は?小売りと卸の割合は?

ベルナルド:代理店のときは20店舗で販売していた。現在では伊勢丹、高島屋日本橋店、高島屋玉川店、高島屋横浜店の4店舗に絞って販売している。初年度は厳しかったが、19年には小売りが前年の2.5倍、ホテルなどの卸が1.3倍になった。20年にはその2倍にするのが目標だ。グローバルでは小売りが7割、卸が3割。日本では、小売りが4割、卸が6割だ。20年にはそれを5割ずつにし、21年には小売りをグローバル同様7割まで持っていきたい。伊勢丹に大きなコーナーを持てたのでそれが信頼につながっていると思う。

WWD:伊勢丹に大きなコーナーが持てたきっかけは?

ベルナルド:以前から伊勢丹には小さいながらも「ベルナルド」のコーナーがあった。私はかつての代理店でインターンをしたことがあり、いい関係を築いていた。だから代理店は、日本法人をつくったときに伊勢丹に紹介してくれた。そして、ベルナルド本国の社長を務める私の叔父との友人である小川博バカラパシフィック会長がベルナルドジャパンの会長になってくれた。同会長に対する信頼が大きなコーナーを持てた理由だと思う。

WWD:「ベルナルド」がほかのリモージュのブランドと違う理由は?

ベルナルド:世界的な磁器のリーダーであるという点。また、年間12のコレクションを発売するなどファッションに近い感覚でモノ作りをしていること。革新的でクリエイティブ、そしてダイナミックである点。また、家族経営なので担当が頻繁に替わることもないため信頼されている。

WWD:ホテルやレストランで使用されている例は?

ベルナルド:ホテルやレストランへの卸のビジネスがスタートしたきっかけは、故ジョエル・ロブション(Joel Robuchon)だった。ロブションは私の叔父の友人で、約40年前にレストランにオリジナルのテーブルウエアを作ってほしいと言われたのがきっかけだ。アラン・デュカス(Alain Ducasse)も「ベルナルド」を使っているし、大阪・心斎橋のルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)御堂筋店内の「SUGARABO」でも、世界的プロダクトデザイナーの吉岡徳仁がデザインしたオリジナルのテーブルウエアが使われている。

WWD:今後の日本における戦略は?

ベルナルド:ベストセラーのキャンドルホルダーなどギフトを強化していきたい。また、日本のクリエイターとコラボレーションをしていきたい。そして、「ベルナルド」というブランドがどういうブランドか知ってもらうために積極的にコミュニケーションと販促を行うつもりだ。

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「THREE」のクリエイティブ・ディレクターが語るファッション×ビューティの可能性

 「THREE」と、派生するメンズメインの総合ブランド「ファイブイズム バイ スリー(FIVEISM × THREE)」は、既成概念にとらわれない“個性”や“美しさ”を提案してきた。そのブランドアイデンティティーを支えるのが、両ブランドのグローバル・クリエイティブ・ディレクターを務めるRIE OMOTOだ。メイクアップアーティストとしてモード界で活躍し、ファッションとビューティの枠を超えたクリエイティビティーを発信する。OMOTOディレクターに発想の原点やファッションとビューティの融合の可能性について聞いた。

WWD:2019年に「ファイブイズム バイ スリー」の新作発表会をファッションショー形式で行った。ファッションとの融合を図る狙いは?

OMOTOディレクター:「ファイブイズム」はインディビジュアリティー(個性)を表現するブランドです。個性の表現に体は欠かせません。トータルビューティで見せないと意味がない。ファッションとヘア&メイク、音楽を組み合わせて表現することでメッセージがより伝わり、印象にも残ると思ったんです。私はただ製品を見てほしいのではなく、人間像を提案したいんです。

WWD:今年7月には東京・渋谷、宮下公園の複合型商業施設ミヤシタパーク(MIYASHITA PARK)内のショップのオープンを記念してファッションブランド「ハイク(HYKE)」と「N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)」とコラボした。

OMOTOディレクター:「N.ハリウッド」の尾花大輔さんとはニューヨーク・コレクションなどでご一緒したことがありました。「ハイク」の吉原秀明さんとは面識がありませんでしたが、生き方を提案するブランドの哲学に共通点を感じていました。どちらのブランドも感覚が鋭い面がありながら、モノ作りの基礎もしっかりしている。「THREE」と「ファイブイズム」に通ずるところがあり、今回のコラボに至りました。クリエイティブな仕事をしているお互いが、良い刺激を与え合うことができました。

ファッションとビューティを
融合させる発想の原点

WWD:ファッションとビューティを融合させる発想はどこから?

OMOTOディレクター:大きなきっかけは、19歳で雑誌「i-D」に憧れてイギリスに渡ったことでしょう。メイクとヘア、洋服が一つになって“ファッション”なのだと教えられました。日本で美容師として働いていましたが、メイクとファッションがつながっていない、メイクとヘアさえ交わっていないことにずっと違和感を覚えていました。私自身は小さい頃からファッションも大好きだったので、美容室に来たお客さまと一緒にブティックに行って、髪型に合う洋服を一緒に選ぶなどもしていました。ファッションは“こうなりたい”というビジョンを大胆にドリーミーに表現できる一方、従来のメイクは“鼻を高く見せたい”とか、“目を大きく見せたい”など、自分のコンプレックスと向き合う現実的な作業でした。私は鼻が低いならそれをファッションの力を借りながらチャーミングに見せる方法を考えればよいと思う。常にファッションとしてバランスを取るべきだと考えています。

WWD:当時なぜ、ファッションではなくメイクの道を選択したのか?

OMOTOディレクター:ファッションデザイナーの道を考えたこともありました。渡英直後はコシノミチコさんのブティックで働かせてもらい、デザイナーのお仕事を見てきました。けれどメイクの仕事を通して、ブラシのワンストローク、ラインの1本で人が美しく変化した瞬間に、とりこになっていたんです。

WWD:モード誌の撮影などファッションの現場を多く経験しているが、そこでの経験は「THREE」「ファイブイズム」にどう生かされている?

OMOTOディレクター:ファッションシューティングの現場では、トータルビューティのつくり方を学びました。それは波乗りの感覚に似ています。モデルやスタイリスト、フォトグラファー、ネイリストといったスタジオのさまざまなところから湧き上がるウエーブをキャッチして、いかに皆と同じ表現に向かって一つの波に乗れるかということです。現場では「70年代のイメージで」という会話が交わされますが、誰かが教えてくれるわけではないので、自分で勉強していくことでファッションを通して時代の流れを察知する力も磨きました。ファッションの仕事に関わると、自分の殻を破って自由に表現する面白さに気付きます。日々自分への挑戦ですから、美意識を高めて自分磨きを怠らず、同時になんでも吸収できる柔らかい自分でいる姿勢も学びました。

ファッションとビューティを
掛け合わせて業界全体にウエーブを

WWD:今後ファッションブランドと挑戦したい企画などはあるか?

OMOTOディレクター:ファッションシューティングの現場を疑似体験できるようなコンセプトショップを作ってみたいです。ショップの名前は「HEAD-TO-TOE」などでもいいかもしれない。ファッション、ヘア、メイクアップ、スキンケア、ネイルそれぞれのプロフェッショナルがいて、そのスタイルに合った音楽やアートまでも提案してくれるような空間です。個性を磨く一つの体験として面白いのではないでしょうか。

WWD:業界全体を通してファッションとビューティが近付くには何が必要?

OMOTOディレクター:イベントやコラボなどを通してもっと深く関わってほしいですね。「パフュームを持っているファッションブランドとはコラボできない」といった業界の“政治”はもう不要です。お互いの価値を認め合っているブランド同士が積極的にコラボしあうことで、業界全体にウエーブを起こしたいです。

WWD:あらためて「THREE」「ファイブイズム」で今後成し遂げたいことは何か?

OMOTOディレクター:世界平和です。大げさに聞こえるかもしれませんが、自分がチャーミングになって褒められる経験は、人を幸せにします。自信がつくことで人は積極的に他人とつながろうとします。小さいけれど、美しさを通して人と人をつなげることは今すごく大切。人間はすごく単純な生き物で、考え方一つで見た目も変化します。だからこそ、「THREE」も「ファイブイズム」も美しく健康に楽しく生きられるマインドを磨くブランドでありたいと思います。

※ファッション週刊紙「WWDジャパン」はこのほど、ビューティ・コンテンツも加えてパワーアップします。第1弾となる9月7日号では、「ファッション×ビューティの可能性」をテーマに両業界を自在に行き来する業界人を特集します。

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なるか、日本一!?「低評価」店舗の「奇跡」最終章 元ファストリ上席執行役員の心に火をつけた“トーチング”回顧録 Vol.5

 ファーストリテイリンググループで社内改革を推進する「有明プロジェクト」をけん引し、史上最年少で上席執行役員に昇格した神保拓也はこのほど、人の「心に火をつける。」ことを目指し、株式会社トーチリレーを設立した。まず取り組む同社の主たる事業は、「心に火をつけることを主題に置きつつも、ティーチングやコーチングとは一線を画す」という「トーチング」。山に登るためのトーチ、登る山を見つけるためのトーチを提供する。ただ、その料金はタダだ。神保はなぜ、タダで「トーチング」を始めたのか?人の心に火が付くことで起こった、ファーストリテイリング時代の「ユニクロ(UNIQLO)」の「奇跡」をたどり、「トーチング」の魅力を考える(「トーチング」のビジネスモデルは、コチラから)。

(前回からの続き)

 連続の「低評価」から1ランクアップ、あっという間に郊外のロードサイド店が単月ながら日本一の「ユニクロ」に。店長とスタッフ、そしてスーパーバイザーの心に火をつけた神保“隊長”は、すでに別の地方店のサポート業務に移っていたが、「自走が可能な組織になった」ロードサイド店の奇跡はとどまることを知らなかった。

 そして神保“隊長”が最初に店舗を訪れてから1年半、離れてから10カ月。ロードサイド店のスタッフから、神保“隊長”のスマホにメッセージが届いた。半年間の総合成績で争う「U-1グランプリ」で表彰されることになり、全世界5000人の店長や本部社員、経営幹部が日本に集結する最重要イベントのコンベンションに、ロードサイド店の店長が招かれるという。すでに異動が決まっていた店長にとって、「U-1グランプリ」は文字通り最後の花道。初めての店舗朝礼で、「20代で執行役員になります。だからさっさと結果を出して、半年で、大きな店に異動します」と豪語し、スタッフに総スカンを食らってから2年。そのスタッフは、「店長がコンベンションの壇上で表彰されるのが、今から楽しみで楽しみで仕方ない。順位は当日発表。どんな結果かわからないが、2年間、彼を支えてきたことに悔いはない」と神保“隊長”に連絡してきたという。

 結果は、2位だった。

 連続の「低評価」を脱して、やっと1ランクアップしたあの時のように、スタッフは皆、悔しくて泣いた。

「日本制覇は叶わなかった。悔しくて、悔しくて、店長と泣いた」。

「私たちスタッフは、店長を日本一にさせてあげたくて、壇上に立たせてあげたくて、ただただみんな、そう思って頑張ってきた」。

「店長は、壇上で私たちスタッフに感謝の言葉を述べたかったみたい。でも壇上でスピーチができるのは、優勝店舗の店長だけ。2位だったことが悔しいのではなく、それができなくて泣いているのがわかった」。

「店長は、たくさんのことを教えてくれた。お客様のために前を向くこと、諦めないこと、そして勇気を出して変わること」。

「みんなにあれだけ愛された店長。『店長のために頑張ろう』と、みんなが思えた店長。人は、誰かのためにたくさん頑張れるんだ。それがチームなんだ。たくさんのスタッフ愛、上司愛を教えてくれた」。

 こんなメッセージが、神保“隊長”のもとに寄せられた。

 神保“隊長”は、「低評価」だった店舗が、これだけの短期間で、全国2位にまで躍進したこと、そして嬉し涙ではなく悔し涙を流すまでに成長したことに心底驚いた。そして「人の心に火をつけること」「チームの心に火をつけること」の大切さを改めて学ぶ。これが、今のビジネスに繋がっていることは、言うまでもない。

(次回に続く)


お知らせ:申し込み殺到中という神保“隊長”のトーチングを受けてみませんか?「WWD JAPAN.com」は取材させていただくことを条件(企業名や個人名は匿名でも構いません)に、トーチングを受けたいファッション&ビューティ業界の皆さまを募集します。トーチリレーの業務には、アナタの登る山を見つけたり山への登り方を一緒に考えたりするトーチングと、神保“隊長”の経験を語るグループ向けのセッションがあります。どちらでも構いません。ご興味がある方は、コチラまで簡単な自己紹介をお送りください。神保“隊長”と相談の上、ご返信差し上げます(お送りいただく情報は取材後、速やかに破棄します)。


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「LV」メンズ東京のショーは、アニメとの融合にアフリカンなブラックカルチャーをプラス

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は9月2日、間もなくオープンする東京の海の玄関、東京国際クルーズターミナルで2021年春夏コレクションのチャプター2を発表した。8月に中国・上海で発表したチャプター1の半分強を入れ替えた。メンズのアーティスティック・ディレクターを務めるヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)は、新型コロナウイルスのパンデミックを1つの契機として、シーズンに関係なくコレクションを発表することを表明。世界の各都市を巡回しながら、新作と、既に発表済みのコレクション、さらには過去のアーカイブのアップサイクルを一緒に見せるスタンスを表明している。

 上海で発表したコレクションは、メゾンが“ダミエ”と呼ぶ市松模様や原色などでインパクト絶大な構築的なフォーマルだ。ストリートの旗手ながら最近はエレガンスを舵を切るヴァージルらしい正統派のスタイルに、キャッチーな色柄が映える。そこに今期は、パリのメンズ・デジタル・ファッション・ウイークで発表したアニメキャラのZooomと、その仲間たちの“ぬいぐるみ”をプラスした。

 「ふざけている」と思う人もいるだろうか?だが、こうした遊び心は、今のファッションの世界に必要なものだ。特に男性、それも若い世代にはファッションとアニメの間に上下関係なんて存在しないし、「ベアブリック(BE@RBRICK)」などのオモチャは既にファッション界のスタンダード。それに今は、LINEのスタンプやオンラインMTGの背景など、ファッションを洋服以外に拡張すべき時だ。そんな姿勢を、「ルイ・ヴィトン」のような世界規模のメガメゾンがハッキリ示すことに意味がある。“ぬいぐるみ”がいっぱいのチェスターコートを着たモデル、“ぬいぐるみ”が顔を出している小さなボストンバッグを手に持つ男性は、こんなご時世だからか非常に愛らしいし、ファッションの新しい可能性を見せてくれる。アニメーションのようなキャラと色柄、そして誇張したシルエットで、ファッションがカルチャーと融合した。

 東京で新たに加えた新作で際立ったのは、アフリカに着想を得たカラフルなコレクションだ。上海で発表したフューシャピンクやオーシャンブルーは、他の色と混じり合い、アフリカ大陸の黒人のスタイルを思わせるカラフルなコレクションに進化する。「ルイ・ヴィトン」のロゴは、デビューシーズンとは異なる配色のレインボーカラーに彩られ、厚手のニットなどに描かれた。ブラウンをベージュとした落ち着いた色合いのフォーマルも、東京で加えた新作だろう。

 これから積極的に取り組むアップサイクルな洋服作りにおいては、特に19-20年秋冬のフランネル調のカシミヤを用いたプリーツスカートを含むフォーマルと、20-21年秋冬の青空にインスピレーションを得たコレクションに手を加えて付加価値をプラスした。例えば19-20年秋冬のプリーツスカートは、異素材とパッチワークしたり、そこに無数のクリスタルを縫い付けてロゴを描いたり。上述のアフリカンな七色のニットや、アップサイクルしたカシミヤのスカートは、春夏の商品とは呼び難いが、これもシーズンレス体制に移行した意思表明なのだろう。

 上海のコレクションは1500人を招いたのに対して、東京のショーのゲストはわずか180人。ゲストにはアップサイクルしたマスクカバーが招待状がわりに配られ、座席も左右が2m・前後が1mの感覚を開けたソーシャル・ディスタンシングな配置だ。パリで開かれていた、これまでの「LV」メンズのショーのような大熱狂は存在しない。しかし会場には、デジタル・ファッション・ウイークで発表したムービーに登場するコンテナが何段も積まれ、Zoooomなどのキャラクターのバルーンが踊り、ヴァージルの「アリガト」のメッセージの後には花火が上がるなど終始エモーショナル。ファッションショーの新しいあり方を提起する。

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「アミ」が“9周年”を大事にする理由 デザイナーに聞く9つの質問

 「アミ アレクサンドル マテュッシ(AMI ALEXANDRE MATTIUSSI以下、アミ)」は、ブランド創立9周年を記念して制作した2020-21年秋冬シーズンのキャンペーンビジュアルを発表した。撮影は、「ヴォーグ(VOGUE)」「i-D」「W マガジン(W MAGAZINE)」など名だたる雑誌で活動する写真家パオロ・ロヴェルシ(Paolo Roversi)が手掛けた。

 周年というと節目となる数字が一般的だが、デザイナーのアレクサンドル・マテュッシにとって“9”には特別な思いがあるという。彼はブランドのこれまでをどう振り返り、これからをどう展望するのか?なぜ9がラッキーナンバーなのか?これらを知るため、9つの質問をアレクサンドル=デザイナーに投げかけてみた。


WWD:なぜ「9」がラッキーナンバーなのか教えてください。

アレクサンドル・マテュッシ=「アミ」デザイナー(以下、アレクサンドル):9は私の人生の重要な場面でいつも登場する数字なんです。私は1980年9月18日生まれで、全ての数字を足すと9、また9の倍数になりますし、私の名前の「Alexandre」「Mattiussi」もそれぞれ9つの文字でできています。ほかにもいろいろありますが、きりがないのでこれくらいにしておきます(笑)。

WWD:9周年のキャンペーンビジュアルで特別にこだわったポイントは?

アレクサンドル:フォトグラファーの人選には特に思い入れがあります。撮影を手掛けたパオロの作品には以前から魅力を感じていて、一緒に仕事をしたいと思っていました。9周年という特別な節目に仕事をお願いできたのはとれもうれしかったですね。パリにある彼のスタジオで行った撮影の様子は、まるで魔法のようにワクワクするものでしたよ。この経験は、ブランドとしてもかけがえのない思い出になるでしょう。

WWD:ブランド立ち上げから9年間で最もハッピーだったエピソードは?

アレクサンドル:ファッションショーは私にとって最もエキサイティングなことのひとつです。モデルがランウエイを歩く瞬間はもちろん、ショー直前のドキドキ感や最後のルックが通り過ぎたときの満足感はほかにありません。

WWD:服作りについて、ブランド立ち上げから変わったことは?逆に変わらないことは?

アレクサンドル:あまり変化していないと言ったらおかしいでしょうか?メンズウエアブランドとして始まり、2年前にウィメンズのコレクションも作り始めたという点ではたしかに変化しています。しかし、「シンプルであると同時にエレガントな作品を作り続けたい」という私の願望は変わりません。きれいなカッティングのコートやシンプルなタートルネック、キャロットパンツなどをバージンウールやコーデュロイ、ポプリンコットンなどで仕上げるというクリエイションの姿勢はどのコレクションにも通じています。最新コレクションとデビューコレクションを比べても、類似点が見つかると思います。

WWD:コロナでファッションの考え方はどう変わった?

アレクサンドル:漠然とクリエイションを続けるのではなく、自分はなぜこれがやりたいのか、誰のためにどれだけの期間でやるべきかなど、多角的に分析をする必要があると気づきました。ファッションを含むさまざまな業界がコロナの影響を受け、それまでと異なる機能を求められることは明白です。それでも私は「ファッション業界はよりよくなる」という希望を持ち、ポジティブに活動していきます。

WWD:ハートのキャッチーなロゴにはどんな思いが込められている?

アレクサンドル:「Ami de Cœur」(ロゴの名称)を直訳すると「ハートのアミ」という意味になります。私は友達や家族にメッセージなどを贈る際に、自分のイニシャル「A」の上に控えめなハートを添えてサインしていて、これがロゴの原点です。お客さまに対するフレンドリーなアプローチを象徴するものでもありますね。

WWD::あなたにとって日本はどんな存在ですか?

アレクサンドル:日本は素晴らしい人々と文化が存在する魅力的な場所。特に東京は、絶え間ない刺激と素晴らしいクリエイティビティのあるほかにない街です。そんな日本で、長くブランドを支持してもらえているのはとてもうれしいこと。ブランド初の海外ブティックが東京だったのも偶然とは思えません。最後に日本に訪れたのは1年前で、ウィメンズウエアの発表記念パーティーのために東京で数日過ごしました。また早く東京に行きたいですね。

WWD:次の9年でどんなブランドに成長させたい?そのためにどんな仕掛けを考えている?

アレクサンドル: 「アミ」がより多くの国や街に届いているとうれしいですね。クリエイションではバッグや靴、ジュエリーなどのラインアップをもっと豊富にしたいし、美容やキッズラインなど全く新しいカテゴリーにも挑戦したいです。ただ、どのコレクションでもブランド立ち上げの際に掲げた「友情」「真実性」「包括性」というバリューはこれからも発信し続けますよ。それが一番大切なことです。

WWD:最後にファンへのメッセージをお願いします。

アレクサンドル:ブランド初期のころから「アミ」をサポートしてくれてとてもうれしく思います。物理的に離れていても、日本のファンが「アミ」をタグ付けしてインスタグラムに投稿してくれるたび、この国とつながっていることを実感しています。ありがとう、日本。

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下着売り場の概念を覆すワコールメゾンがギンザ シックスに登場 邸宅のような空間でショッピングが可能に

 ワコールはギンザ シックス(GINZA SIX)4階に8月26日、新業態「ワコールメゾン(WACOAL MAISON)」をオープンした。メゾン=家という名のとおり、254平方メートルの広々とした店舗は邸宅風の作りで、一見ランジェリーショップには見えない。エントランスには多くの観葉植物が置かれ、「ここは何のショップだろう」と思わず入りたくなるようなリラックス感がある。

 ショップに入ると、右手にライブラリー、左手にサンルームをイメージした空間がある。リビングルームを想定した中央の空間にはビンテージのワードローブが置かれ、ソファのある左右の売り場スペースと合わせるとまるで大きなウオークインクローゼットのようにも見える。その奥にはサロンがあり、左手にはゆったりしたフィッティングルーム、その奥のシャワールーム風の空間には3Dボディー スキャナーが置かれている。自分の体をさらさなければならないデジタル計測やフィッティングも、まるでシャワーを浴びてワードローブ選びをするような演出を施すなど、すみずみに気配りが感じられる。右手のVIPルームはさらに広々としており、自然光の入るプライベートな空間でゆったりとランジェリー選びができるようになっている。もちろんVIPルーム専用の3D ボディー スキャナーも設置されている。ワコールメゾンのビューティアドバイザーは、航空会社のファーストクラスのキャビンアテンダントと同レベルのホスピタリティートレーニングを受けており、VIP顧客の購入履歴などのデータをもとにVIPルームに顧客の好みに合いそうな商品をそろえて提案することも可能だという。

 ワコールメゾンで販売されるブランドはワコールのプレステージブランドが中心で、「ワコール ディア(WACOAL DIA)」「トレフル(TREFLE)」「サルート(SALUTE)」、インポートインナーの「ハンロ(HANRO)」のほか、一部「ストゥディオファイブ(STUDIO FIVE)」やカスタムオーダーの「デューブルベ(DUBELVE)」も取り扱う。サンルームは店舗の外から見える空間なのでプロモーション的な役割を果たし、今は「ワコール ディア」のブラックのランジェリーが展示されている。ライブラリーは、カップルや家族の来店者がゆったりくつろげるようにアートや下着関連の書籍が置かれているほか、メンズラインもある「ハンロ」のコーナーを設ける。リビングルームは、カラー別にブランドミックスで構成されている。百貨店の下着売り場に見られるボディーはサンルームの展示空間とワードローブ横に1体だけだ。

 ワコールメゾンのコンセプトに関して、ワコールの井上博文・執行役員 卸売り事業本部 販売統括一部長は、「世界中を旅した女性の邸宅がコンセプト。住みたくなるような空間、その日の気分でワードローブを選べるような雰囲気にした。基本的に家にないものは置かず、什器やインテリアにもこだわった。心地よく下着選びをしてもらえる空間になっている」と話す。通常なら狭いフィッティングルームもこの店舗では23平方メートルと広々としている。消費者が下着売り場やフィッティングルームの狭さに対して満足していないという仮説を立て、“メゾン=家”というコンセプトを打ち出したという。「ギンザ シックス内の他店舗との親和性も考えて空間を構成した。2年をめどに採算が取れるようにしたい。まずは、ワコールメゾンの顧客づくりからだ。ゆくゆくは多店舗化も視野に入れている」と井上執行役員。

 ギンザ シックス リテールマネジメント営業部の篠丸由紀氏は、「ギンザ シックスの顧客の7割が20~40代で富裕層が多く、リピート率も高い。テナントの半分が旗艦店ということもあり、空間の心地良さを体験してもらっている。今まで館内にランジェリーショップがなく問い合わせが多くあった。世界的ブランドである『ワコール』の出店が実現し、今後が楽しみだ」と言う。新型コロナウイルス感染拡大でインバウンド客が激減したとはいえ、都内や地方の富裕層の高い支持があるようだ。

 コロナ感染拡大でソーシャル・ディスタンシングが重要視される今、オンラインでのショッピングが増えているが、ワコールメゾンのラグジュアリーな空間で久々に実店舗におけるショッピングの高揚感を味わってみてはいかがだろう?

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オンライン発表会でもサプライズはほしい 製品を送る時の工夫で変わるかも? エディターズレター(2020年7月13日配信分)

※この記事は2020年7月13日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

オンライン発表会でもサプライズはほしい 製品を送る時の工夫で変わるかも?

 リモートワークが定着し、ここ数週間で一気に化粧品のオンライン発表会やファッションのオンライン展示会が増えました。「WWDビューティ」編集部に在籍する私も、スキンケアやメイクアップの新作発表会にいくつか参加しました。

 発表はZoomやマイクロソフトチームスなどの動画会議プラットフォームを用いることが多かったのですが、最近はユーチューブやインスタグラムを選ぶブランドも増え、形式も多岐にわたっています。いろいろ参加してみて思ったのは、発表するアイテムやコンテンツ、対象者に合わせて使い分けるのはやっぱり必要なこと。例えばメイクアップは色味や細かいハウツーを見せる必要があり、そうなると画質がきれいに映るユーチューブが断然よかったり、研究発表やプレゼンなどが必要なスキンケアなどはその場で質問が聞けるZoomがよかったり。

 化粧品の発表会ではよく新作をイメージしたスイーツや食事が提供されるのですが、そういった体験を自宅でも味わえるように、発表会の時間に合わせてウーバーイーツで食事を参加者に届けたブランドがあったとも聞きました。さすがにそれにはびっくりしましたが、同時に、ブランドにとっては発表会は本当に大事なイベントで、多くの時間とコストをかけていることを改めて感じました。発表会はただ新作の説明をするだけの場ではなく、参加者はその製品やブランドの世界観を“体験”し、それを発信できるように会場が作り込まれていることが多いです。

 ただ自宅だと、製品が手元に届いても、発表会会場と同様の体験を味わうことは正直難しいですね。発表会会場では製品が“映える”ような凝ったフォトスポットも必ず設けてありますが、自宅だとどうしてもきれいに製品が撮れないのも悩みポイントです。そこで、写真映えするようなボックスに入れて製品を送ったり、製品をその上に配置すればきれいに撮れるような“背景紙”を同封したりするのはいかがでしょうか?韓国ブランドの「ラカ」が韓国でプレスやインフルエンサーに向けて超(!)ミニサイズの新作を特別に作り、さらにそれをミニサイズの段ボール箱に入れて送り、SNSでかなり話題になりました。おもちゃみたいな見た目でとってもかわいかったです。あまりの反響で、数量限定で一般消費者にも提供し、SNSにはミニサイズの開封動画がたくさん上がりました。そのほかにも「ラネージュ」がビタミンC入りのクリームを発売したときに、わざわざビタミン剤大手メーカーとコラボしてビタミンCサプリのパロディーを作ったり、「ドクタージャルト+」は新作クリームの形をした犬猫用のおもちゃを同封してペット好きで話題になったり、やっぱりKビューティはそういうのが上手だなぁと思います。

 リアルな発表会が開催できない今は、いかに自宅やオフィスに同じような体験を届けられるかが一つの課題と感じました。製品を送るにも、思わず写真を撮りたくなるような仕掛けだったり、クスッとするようなユーモアを添えたり、何かサプライズがあるといいなぁと思いました。そしてそれがサステナブルだとなおさら良いですね。ここまで勝手な思い付きをいろいろ書いてきましたが(笑)、参加する側ももちろんいろいろ工夫したり、考えたりする必要もありますね。

#MILLENIALMIND:ミレニアル世代の記者が、普段の取材や、日頃から気になっているファッション&ビューティのニュースやトピックスをピックアップします。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在9種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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壁に当たった都心型ブランドとファッションシステム 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。小売店のコロナ禍からの回復は、立地や業態によって大きな差が生じている。その背景と今後を詳細に分析してみた。

 コロナ禍の長期休業が明けた6月はセールの前倒しと定額給付金効果で回復したアパレル消費も7月は一転して冷え込み、商品の性格や価格帯、店舗の立地で明暗が際立っている。明暗を分ける要素は何か、それは秋冬以降も続くのか、ファッションビジネスはどう変わるべきかを検証してみたい。

都心と地方や郊外の効率格差が急激に縮まった

 6月、7月の販売結果を見ると、大都市中心部の百貨店や駅ビル、ファッションビルの落ち込みが大きい一方、地方や郊外の百貨店やSC(ショッピングセンター)は回復が早かった。上場アパレル企業の売り上げを見ても、主力とする出店立地によって同様の傾向が見られる。まとまった傾向がはっきり見えるのが、日本ショッピングセンター協会(以下、SC協会)が発表している月次情報だ。

 SCテナント全体の売り上げが前年実績に比べて4月76.2%減、5月69.1%減、6月17.1%減、7月19.9%減と推移する中、大都市中心地域のテナントは4月85.2%減、5月82.6%減、6月30.5%減、7月32.5%減と落ち込みが大きい一方、周辺地域のテナントは4月74.3%減、5月64.5%減、6月12.4%減、7月15.0%減と落ち込みが小さく回復も早かった。結果、大都市中心地域テナントに対する周辺地域テナントの坪あたり販売効率の格差も、18年通年の46.7%、19年通年の47.9%から20年1〜7月は単純平均で57.9%まで縮まり、コロナ禍の3月以降に限れば62.8%まで接近している。

 同じくSC協会が毎年発表している「SC白書」20年版(19年集計)の物販テナント平均総合賃料(共益費なども含む)では、中心地域駅ビル(大都市と限っていない)の月坪5万968円に対して周辺地域商業ビル(主に郊外SC)は月坪1万3321円と大差があるから、販売効率の格差が縮まっていけば周辺地域施設の方が採算をとりやすくなる。

衣料消費は都心集中から生活圏へ分散

 企業別や施設別の売り上げを見ていくと、「都心」から「郊外」だけでなく、郊外でも「大型モール」から「生活センター」へ、「商業施設」から「フリースタンディング」へという消費の移行が見える。

 SC協会には「生活センター」という区分はなく、広域型の重装備な大規模モール(鉄骨鉄筋コンクリート建築で家賃も管理費も高くて客数も密)に対して、生活圏型の軽装備な中小規模ショッピングセンター(軽量鉄骨建築で家賃も管理費も安く客数は疎)を指して使ってみた。米国では前者を「クローズドモール」、後者を「オープンエアセンター」と区分しているが、空室率はコロナ前からクローズドモールの方が高かった。

 ロックダウン中もオープンエアセンターは食品スーパーやドラッグストアなど「エッセンシャルストア」(生活必需品店)の入居比率が高いこともあって営業を継続した施設が多く、ロックダウンで長期休業してテナントの退店が広がったクローズドモールとの格差は一段と広がった。エアロゾル感染リスクが低く3密回避のソーシャル・ディスタンシングも取りやすいオープンエアセンターの優位はロックダウン解除後も変わらず、ウイズコロナが長引く中、家賃の格段の安さと営業の自由度もあってクローズドモールからシフトするテナントチェーンが増えている。

 オープンエアセンターの多くは平面駐車場を多数の店舗が囲む「ストリップモール」でもあり、各店舗に直接に車を乗り付けられるから、カーブサイド・ピックアップ(ネットで注文・決済して店舗の駐車場で受け取るクリック&コレクトサービス)にも容易に対応できる。クローズドモールでは店舗がグラウンドフロアにあってダイレクトパーキングが可能でも、日本ではSCの出入り自体に大変な時間を要するから、設計段階からカーブサイド・ピックアップ用のバイパスレーンを設けないと実現は難しい。私はもう何年も前から大手SCデベロッパーに提言しているが、誰も聞き入れてはくれなかった。

 家賃※1.も格段に安く営業の自由度が高いのが生活道路沿いのフリースタンディングで、客数が限られ3密とは無縁だが、販売効率が低くても儲かる仕組みを作れば砂漠のサボテンのような強さを確立できる。ウイズコロナでも既存店が伸び続けるワークマンや西松屋、急浮上のファッションセンターしまむらがその典型で、ユニクロも90年代まではローカルのロードサイドに布陣していた。銀座で6月に開店した「ユニクロ トウキョウ」など過度な都心シフトはコスト体質をインフレさせる失策と危ぶまれる。

 コロナ前までは家賃が高くても集客してくれる「館」に依存するメリットがあったが、ウイズコロナで3密回避が続き生活圏への消費分散が進むと採算が取れなくなる。都心から郊外へ、大型モールから生活センターへ、究極は生活道路のフリースタンディングへと衣料消費の場が移り、販売効率と不動産コストのバランスも一変していく。

 ※1.ロードサイド店舗は、かつては15〜25年のリースバック(地主に保証金を入れて建ててもらう)が多かったが、借地借家法の改正以降は定期借地契約(借り手が借地に自分で建てる)が主流となった。定期借地契約の残存期間を転貸するケースも多く、割安に借りられる。

ライフスタイルもファッションも変わる

 衣料消費の場が生活圏に分散する契機は、緊急事態宣言下で都心の仕事軸から郊外の生活軸へライフスタイルが一変したことだが、コロナ以前から衣料品のカジュアル化とファッション離れはじりじりと進んでいた。

 ビジネスシーンでスーツが「ジャケット+スラックス」の“ビジカジ”になったかと思うまもなく「ブルゾン+カジュアルパンツ」の“カジビジ”やトラックスーツ同然の“アクティブスーツ”になり、今や非正規労働者の通勤着は「マンパ(マウンテンパーカ)+ジャージーパンツ」の“アスビジ”(アスレジャービジネス)となった感がある。それは革靴やパンプスからスニーカーへという通勤靴の劇的変化を見ても明らかだ。もはや革靴やパンプスの強要はパワハラと批判されかねない段階まできており、スーツや“ビジカジ”を要求するのも難しくなりつつある。

 カジュアル化と並行して進んだのが「服装マウンティング」の衰退であり、コロナ禍を契機に劇的な変化を見せている。

 都心の仕事社会やナイトシーンで所得と感性の服装マウンティングを競う必要は急激に薄れ、トレンドやクリエイションを追ってお洒落する意味もなくなりつつある。生活圏でライフスタイルを謳歌するのにマウンティングを競うおしゃれは不要で、シーンと仲間になじむ普段着のおしゃれや機能性が求められる。そんなアフターコロナ社会ではファッションの役割が一変し、高価なブランド服や服飾品(高級腕時計の売り上げは激減している)、仲間から浮いてしまうデザイナー服の需要は急速に細っていくだろう。

 ならば、都心の百貨店や駅ビル、ファッションビルに感染リスクを冒してまで出かける必要はないし、普段着のおしゃれならECや生活圏の店舗で充分だ。となれば、衣料品に使う費用も単価もこれまで以上に下がっていく。

価格の常識もコストも急速にデフレしていく

 アパレル商品の価格帯を、カジュアルパンツを例にざっくり分けてみると、以下のような7段階になるのではないか。

(A)ラグジュアリーブランド級……6万円〜
(B)ベターブランド級……2万5000〜4万5000円
(C)ナショナルブランド級……1万2000〜2万2000円
(D)駅ビルブランド級……5800〜9800円
(E)SCブランド級……2900〜4900円
(F)ホームセンターブランド級……1480〜1980円
(G)プライスライン オフプライスストア級……580〜980円

 今日のマスマーケットはユニクロに代表される(E)SCブランド級が主流で、これより上にはワンブランドで売り上げ1000億円以上のブランドは存在しない。(D)駅ビルブランド級はせいぜい200億円が限界で、法外に割高と認識されるようになった(B)ベターブランド級や(C)ナショナルブランド級は急速に市場がしぼんでいる。(A)ラグジュアリーブランド級とて、インバウンドが復活しない限り衰退は避けられない。

 アフターコロナ社会で新たなマスマーケットとなるのは、ユニクロが高すぎると感じる多くの顧客を吸収する(F)ホームセンターブランド級だ。ワークマンがその代表格だが現状ワーク&アウトドアに偏っており、今後はフェミニン&ナチュラル系など1000億円級のブランドがいくつか台頭するに違いない。
ホームセンターブランド級でも手が届かないという人々は(G)プライスライン・オフプライスストア級に流れるだろう。ホームセンター級ブランドを半額程度のオフプライスで売る業態で、西東京圏郊外に展開するタカハシが注目される。SCブランド級以上の名の知れたブランドを「正価」からのオフ率で訴求する一般のオフプライスストアとは根本的にニーズが異なり、ブランドではなくアイテムの絶対安価が求められる。

 コロナ禍で所得や雇用が脅かされた人々は社会保障への不信感もあって貯蓄性向を高めており、とりわけコロナ以前から消費性向が低下していた20〜30代の独身者に顕著だ。ファッション消費を支えてきた20〜30代が生活防衛でファッション離れし、普段着と低価格品(あるいは古着)にシフトしていけば、最も打撃を受けるのは(D)駅ビルブランド級だ。衣料消費が都心のターミナルから生活圏にシフトし、ワンランクあるいはツーランク下に移行するとすれば、アパレルビジネスのコストバランスは一変してしまう。

 価格帯が低くなる分、家賃などコストの安い立地に店舗を移し、ECと一体に店在庫を引き当てるクリッック&コレクトで顧客利便と在庫効率を高め、低価格でも期待以上の品質を確保すべく歩留まり率が高まるよう、調達ロットを小口化してリードタイムを短縮するか、スマートファクトリー軸のVMI※2.を仕組み、大ロット一括調達なら来シーズンも定価が通る定番に限定する。どちらにしても値引き販売でなくEDLP(常時低価格販売)に徹し、クリック&コレクトとテザリング※3.で在庫効率と物流効率を最大化するべきだ。

 駅ビルやSCで調達原価率を16〜27%に抑えて当初「正価」を割高に設定し、値引き販売が常態化しているようなアパレルチェーンがアフターコロナ時代に生き残る可能性は限りなくゼロに近い。抜本から禊いでコスト構造を変えるか、破綻して悲劇を広げる前に事業を手仕舞うべきだろう。

※2.VMI(Vendor Managed Inventory)…あらかじめ定めた棚割に基づいてベンダーに補給と在庫管理を委任する取引形態
※3.テザリング…店舗間で在庫を融通して在庫効率を高めるローカル・ディストリビューション手法で、修理加工の集約やC&Cの店出荷と連携される

「多産多死のインフレ・ファッションシステム」から「需給一致のデフレ・サステナブルシステム」へ

 コロナの終息が見えずウイズコロナの生活が長引く中、人々は都心の仕事軸から郊外の生活軸へと一変したライフスタイルを当分継続するしかない。そんな生活が続けば人間関係も社会関係も変わり、いずれ人生観まで変わっていくから、消費スタイルも根底から変わってしまう。

 その変化は「使い捨て大量消費のインフレ人生」から「エシカル消費のサステナブル人生」へといえるのではないだろうか。

 日本の経済も社会も青春期は1973年(石油ショック)までで、働き盛りも91年(バブル崩壊)で終わり、2008年(リーマンショック)で定年退職して年金生活に入るはずだったのが、少子高齢化で急速に老いていくのを無理押しインフレ政策で老体にむち打ったのがアベノミクスだった。コロナショックでそれも破綻し、雇用も生計も根底から脅かされ、財政も太平洋戦争敗戦時(国家負債はGDPの250%)まで悪化した。

 もはやこれ以上老体にむち打つのは困難で、無理せず雇用と生計と社会インフラを維持することに注力するしかない。となれば投資も消費も抑制し、ポスト・アポカリプスなリサイクル文明の構築を急ぐべきだろう。建前の美辞麗句でなく、社会と生活の根元からサステナビリティの実現が問われているのだ。

 ならばファッションビジネスも、付加価値を増幅し使い捨てをあおる時代錯誤な「多産多死インフレ・ファッションシステム」を卒業し、エシカル消費の「需給一致デフレ・サステナブルシステム」に転換するべきではないか。もはや付加価値をあおってもコストに見合わず、値引きと売れ残り在庫に苦しむだけだとしたら、抜本から思考を切り替えた方がよい。

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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挑戦を忘れない時計「ロンジン」の新作は“古くて新しい”

 世界最大の時計企業であるスウォッチ グループ(SWATCH GROUP)傘下のスイスブランド「ロンジン(LONGINES)」は、新作時計“ロンジン スピリット(LONGINES SPIRIT)”を9月5日に一部店舗で先行発売、10月5日に全国発売する。同モデルは、ハワード・ヒューズ(Howard Hughes)やアメリア・イアハート(Amelia Earhart)ら、陸・海・空を開拓した先駆者も信頼し愛用した「ロンジン」の時計や計器の意匠を受け継ぐもので、価格は40mmの3針カレンダーモデルが24万8000円、42mmのクロノグラフモデルが36万8000円。「ロンジン」は、「“ロンジン スピリット”は飛行家や探検家のパイオニア精神を具現化したモデルだ」と説明する。

「先駆者たちの傍らには、
いつも『ロンジン』があった」

 さらに、「『ロンジン』の時計や計器は高い精度と堅牢性、斬新な計測システムで数々の偉業達成を支えてきた。過酷な天候、荒れ狂う海、そして人類未踏の地であった空に足を踏み入れた先駆者たちの傍らには、いつも『ロンジン』があった。“ロンジン スピリット”は、『ロンジン』の歴史と最新の技術を掛け合わせたコレクションだ。大ぶりのりゅうずや文字盤上の数字のフォント、針の形状などに伝統を反映させるが、ディテールはブラッシュアップされている」と続ける。

文字盤の5スターは
最高評価の証

 技術面では、ムーブメントにシリコン製ヒゲゼンマイを使用した自動巻きキャリバーL888.4、L688.4を搭載する。64時間と60時間のパワーリザーブで、COSC(スイス公式クロノメーター検定機関)によるクロノメーター認定を得ている。文字盤上にある5つの星は、かつて「ロンジン」が搭載キャリバーのクオリティーを星の数で表した習慣に倣ったもので、5つ星は最高評価だ。その文字盤はマットブラック、グレイン加工したシルバー、サンレイ仕上げしたブルーの3色からなる。

先駆者の偉業と命を支えた
「ロンジン」

 先駆者との関係については、「『ロンジン』のクロノグラフを着用したアメリア・イアハートは女性として初めて大西洋単独横断飛行を成功させたし、2カ月におよぶマイナス40℃のグリーンランド探検において『ロンジン』のクロノメーターはポール・エミール・ヴィクトール(Paul Emile Victor)と彼の隊の命を助けた。1931年に高度3万2576フィート(9929m)という記録を達成したアメリカ人飛行家エリノア・スミス(Elinor Smith)の手にも『ロンジン』の時計があったし、ハワード・ヒューズの世界一周最速飛行も『ロンジン』が計測した」と話す。

これからも「ロンジン」は
歩みを止めない

 “翼の付いた砂時計”をロゴマークとする1832年創業の「ロンジン」は、“伝統”“エレガンス”“パフォーマンス”をテーマに時計を作り続けている。同時に、長年にわたって世界的なスポーツイベントのオフィシャルタイムキーパーや国際スポーツ連盟のパートナーを務め、スポーツの分野でも存在感を発揮している。またビジネスにおいては、日本を含む世界150カ国以上で販売されている。

問い合わせ先
ロンジン
03-6254-7350

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60周年を迎えた「ドクターマーチン」のアイコン “1460 8ホールブーツ”の歴史

 「ドクターマーチン(DR.MARTENS)」は今年、定番モデル“1460 8ホールブーツ”の発売から60周年を迎えた。シンプルなシルエットとタフで履き心地のよい機能性を備えたワークブーツとして誕生した、ブランドのファーストモデルだ。ロッカーズから思想家まで、反骨精神を持つ人々にとっての自己表現のアイテムとして、いつの時代にも愛されてきた。ここでは、そんなアイコニックなブーツの歴史をたどっていく。

HISTORY OF
“1460 8-Eye Boot”

 “1460 8ホールブーツ”が初めて生産ラインに乗ったのは、1960年4月1日のこと。最初の数年間は、2ポンドで買えるワークブーツとして、郵便配達員や工場労働者などイギリスの労働者階級に広まっていった。ドイツの最先端の技術と、英国ならではの伝統的な靴製造技術を融合させたエアクッションソールによる快適な歩行は、当時の靴業界に大きな衝撃をもたらした。

ストリートカルチャー&
ミュージシャンとの
切っても切れない深い関係

 60年代後半、イギリスの若者たちは頭をそり、ワークブーツをユニホームのように履きこなすようになった。ロックバンド、ザ・フー(The Who)のピート・タウンゼント(Pete Townshend)が「ドクターマーチン」を着用し始めたのもこの頃だ。労働者の枠を超え、ミュージシャンやサブカルチャーの世界でもこのブーツが愛用されるようになる。イエローステッチやグルービングソール、ヒールタブといった今も変わらないブランドの象徴的なディテールが、彼らスキンヘッズたちのファッションの足元を彩った。

職人の丁寧な手作業で
生み出される英国製のプライド

 クラシックなデザインと快適な履き心地、抜群の耐久性、そして履きこむほどに増す味わい。60年の年月を経ても変わらず同じ素材と同じプロセスによって製造されている。

 “MADE IN ENGLAND”コレクションが作られているのは、「革靴の聖地」とも呼ばれるブランド創業時から続く英・ノーサンプトンの工場。伝統的な靴作りを継承した職人たちの手作業によって、丁寧に仕立てられている。

世界中の老若男女に
愛されるアイコン

 2020年の現在も、「ドクターマーチン」はファッショニスタをはじめ国籍や年齢、カルチャーにとらわれることなく、多種多様なコミュニティーを形成している。60周年を迎えた今年は、数々の人気ブランドとの協業にも積極的だ。反骨精神の象徴としての普遍的価値を守りながら、変化を恐れず未来を見据えてチャレンジを続ける。

TEXT : CHIKAKO ICHINOI

問い合わせ先
ドクターマーチン・エアウエア ジャパン
03-6746-4860

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#敦子スメ「新月・満月」ノート うお座の満月(9月2日)は保湿たっぷり“染み込む”ケアを

 この連載では、新月・満月の流れを最大限に引き出すためのサポートをしてくれるコスメやインナーケアアイテムも紹介していきます。第18回は9月2日の満月とおすすめコスメについてお伝えします。

今回の満月(9月2日)はうお座

 今回の満月(9月2日)はうお座で起こります。うお座は、12星座の最後に位置する水の星座というカテゴリーに分けられます。“水”は占星術では感情や情感、目に見えないムードや人の心の結びつきを示します。そのほかの水の星座であるかに座やさそり座も同じく目に見えないものを大切にするといわれていますが、その中でもうお座という星はもっとも分け隔てなく、対象に染み込もうとするという特性を持っていると伝えられます。自分自身に無意識に染み込んでくるものとして音楽などもその一つですが、うお座のアーティストの作る音楽は、知らず知らずに多くの人の心に染み込むものが多いなと、個人的には感じています。

今回の満月コスメ

 今回の満月コスメは“染み込む”に注目。まだ暑い日が続いてはいても最近は空気に秋の訪れを感じる時節ですが、保湿成分を肌や髪に浸透させて夏の疲れを取りたくなるタイミングですよね。

 まずは「ファミュ(FEMMUE)」の「ローズソフトナー」から。ブースターとして使用するアイテムですが、ダマスクローズのふんわりと優しい香りが広がり、肌表面を滑らかに整えてくれて、使用すること自体に癒やしを感じる一品です。実はうお座のキーワードには“癒やし”も大切な要素だったりします。コスメを使う時間は自分と向き合う癒やしのとき。満月のエネルギーとともにしっかりセルフケアしたいですね。

 もう一つは、この秋生まれ変わる「ザ パブリック オーガニック(THE PUBLIC ORGANIC)の“スーパーポジティブ”シリーズです。上記のアイテム同様マインドにも明るさをもたらす香りの処方で有名ですが、新しいシリーズにはヘアケア製品としても新しい機能が加わりました。時間をかけて保湿成分がじわじわと髪に浸透していく処方がプラスされたそうです。髪を洗った直後だけでなく、時間ごとにじわじわ染み込む保湿成分、なんだか貯金をしているみたいでお得な気分です(笑)。うお座の満月に、肌にも髪にもしっとりと潤いを染み込ませ、自分をいたわってみませんか。

福本敦子(ふくもと・あつこ)/フリーランスPR・美容コラムニスト:コスメキッチンに14年間勤務後、現在はフリーランスPRとして活動するかたわら、ビューティコラムニストとしてイベント、SNSなど多方面で活躍。オーガニックに精通した知識を武器に、ライフスタイルに寄り添った独自のオーガニック美容論が、著名人やエディターをはじめ各方面から大人気。「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と多くの反響を呼び、紹介した商品の欠品や完売も多数。2019年秋、初の書籍となる「今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by敦子スメ」を出版。発売前に増刷が決まるなど話題を呼んでいる。旅を愛し、占星術にも精通 instagram:@uoza_26

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ヘアカラーのトレンドは“ベビ色” 新色ブルーとパープル追加で「キャラデコ」のベビーシリーズがパワーアップ

 中野製薬のヘアカラーブランド「キャラデコ(CARADECO)」から、昨年誕生した“ベビーシリーズ”。パステル系の柔らかな色味が人気の暖色系カラー「ベビーピンク」と「ベビーオレンジ」に加え、新色として寒色系の「ベビーパープル」と「ベビーブルー」が仲間入りした。淡くて柔らかな色調の中に、どこかスパイシーさも感じるこの2色相。シンプルで分かりやすく、美容師と顧客、双方のワクワク感を裏切らない発色を実現。定番人気の寒色系カラーにひときわ新鮮なニュアンスを与えてくれること間違いなし。

イマっぽカラーで
ミステリアスな表情に

ヌケ感のあるパープルヘアにシースルーバングでイマっぽさをプラス。

【カラーレシピ】
ベース:全体8レベル、インナーブリーチ2回
オンカラー:(トップ&バック)BPU/m-5:Apurple/a=1:1(3%)、(顔周り&ネープ)BPU/m-9(3%)、(サイド)BPU/m-11(3%)

透明感のある
ポップな攻めスタイル

ブルー×オレンジの補色使いでプレイフルなメイクが似合うオシャレガールに。

【カラーレシピ】
ベース:全体17レベル
オンカラー:(根元)BB/m-5:Ash/a=1:1(3%)、(中間)BB/m-5:BB/m-7:L/m-9=10:10:3(3%)、(毛先)BB/m-7:BB/m-9=1:1(3%)、(顔周り)BB/m-9:Ablue/a:BB/m-11=10:2:2(3%)

暖色系の「ベビーピンク」と
「ベビーオレンジ」で
イマドキの甘辛MIX&ヘルシーに

ベビーなパープルとブルーが
寒色系カラーに個性を与える

 人気ヘアサロン「マジコ(Magico)」と「ガーデン(GARDEN)」がコラボしたヘアサロン「ゲーム(GAME)」。ベビーシリーズの開発には同店の上原潤一郎オーナーと河野悌己プロデューサーが携わる。若い世代に人気の淡く明るい寒色系カラーは、とにかくアンダーのコントロールが難しい。上原オーナーは、「シンプルでわかりやすい操作性で、若いスタイリストでも狙った通りの色を出せること」を大切にしたと話す。グリーンに転びがちなブルーも、アンダーに黄色が残っているとグレーになってしまうパープルも、この「ベビーシリーズ」ならハイトーンベースへの施術であればブリーチ1回から色そのものを楽しめるようになった。河野プロデューサーが「従来の“寒色系”というひとくくりにするのではなく、『ベビーパープル』『ベビーブルー』として、色そのものを楽しんでほしい」と話すのがまさにその成果。青みにも赤みにも寄らない紫を叶えた「ベビーパープル」。淡い水色の中に、確かな彩度を感じる「ベビーブルー」は、艶やかな透明感で遊び心をくすぐる。SNSをはじめ、画面越しでのコミュニケーションが盛んな今だからこそ、ヘアカラーで、しかも人気の寒色系の中で個性を表現したいというニーズにこの2色相が応えてくれる。

PHOTOS : KENTARO KAMBE
TEXT : MAKIKO FUKUDA

問い合わせ先
中野製薬
0120-075570

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美容エディターの松本千登世も“ひと目ぼれ” 新オイルブランド「ウタウ」がデビュー

 化粧品メーカーのデミ コスメティクスから新たにオイルブランド「ウタウ(UTAU)」がデビューした。“歌うように、きれいに、暮らす”をコンセプトに、マルチ美容オイルやスキンケア感覚のスタイリング剤、ボディーセラム、シャンプー&トリートメントをラインアップする。全製品はサジーオイルをぜいたくに配合。スーパーフードとしても注目されるサジーから採取されたオイルには、200種類以上の成分が蓄えられており、高いエモリエント効果を発揮する。ヘアケアからスタイリング、ボディーケアまで幅広いニーズに応える「ウタウ」を、美容エディターの松本千登世氏は「オイル好きもオイル敬遠派も満足できる製品」と期待する。

“スタイリング剤が苦手な人でも
心地よく使える”

  今回、「リッチオイルセラム」と「メロウバーム」を使用してみて、まずはその香りのよさに“ひと目ぼれ”しました。やはり髪や肌につけるものなので、それが好きな香りかどうかはすごく重要です。このハーバルフローラルの香りは上品で多くの人に受け入れられます。使用感も、「オイル」は軽くて厚みも感じないのですが、しっかりとオイルの効果はあり、オイル美容好きの人はもちろん、オイルを敬遠してる人も満足できると思います。髪だけではなく、肌にも使え、使い方もさまざまで、まさに“万能オイル”。「バーム」もセット力が適度にあって、束感も出せるけど、すごく軽い仕上がりになります。私も髪を短くして、オールバックにすることもあるのですが、そんなときに使用すると固まり過ぎず、自然なオールバックになるので、使いやすい。「オイル」と「バーム」を混ぜて使用するのも、ほどよく束感と艶感も出ておすすめ。もともとスタイリング剤が苦手だった私みたいな人でも心地よく使えるアイテムだと思います。髪のキレイさは見た目の印象も大きく左右するので、こういった大人も満足できるヘア製品が出るのはうれしいです。

こだわりの植物由来オイル配合の
マルチオイル&バーム

 「ウタウ リッチオイルセラム」は肌と髪を滑らかに整える8種の植物オイルを配合し、さまざまなシチュエーションで使用できるマルチ美容オイル。軽い付け心地でスタイリングにもヘアケアにも使える。「同 メロウバーム」はヘアのスタイリングとしての使用はもちろん、ボディークリームとしても乾燥により硬くなってしまった角質も、継続して使用することで潤いを与え柔らかい肌に導く。

ヘアケアからボディーケアまで
さまざまな製品をラインアップ

人気美容師SAKURA
「コクーン」ディレクターも
おすすめ

  人気美容師のSAKURA「コクーン(COCOON)」ディレクターに「ウタウ」のおすすめポイントを聞いた。美容師ならではのヘアケアの使い心地とは?

問い合わせ先
デミ コスメティクス
0120-68-7968

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“マスク生活”に取り入れたい「スイサイ」の酵素洗顔パウダー

 気温も湿度も高いことに加えて、長引く“マスク生活”により肌のベタつきや毛穴汚れといった肌悩みを抱える人も多いはず。そんな今こそ、スキンケアを見直して快適に過ごしたいところ。カネボウ化粧品が手掛ける「スイサイ(SUISAI)」の「ビューティクリア パウダーウォッシュN」は、2つの酵素&アミノ酸系洗浄成分※1で、毛穴の黒ずみ汚れや角栓、ざらつき、古い角質をオフする洗顔パウダー。洗顔で、マスクが手放せない日々も快適な肌で過ごしたい。

※1 タンパク分解酵素(プロテアーゼ)、皮脂分解酵素(リパーゼ)、アミノ酸系洗浄成分(ラウロイルグルタミン酸Na、ミリストイルグルタミン酸Na)(全て洗浄成分として)

安定した酵素の働き

 「ビューティクリア パウダーウォッシュN」には、毛穴汚れの原因である古いタンパク質と過剰な皮脂を分解する“タンパク分解酵素”と“皮脂分解酵素”をダブルで配合。毛穴の黒ずみ汚れや角栓、ざらつき、古い角質といった肌悩みにアプローチする。また、湿気や高湿で働きが弱まってしまう酵素をコーティングして安定化。さらにパウダーを集めて顆粒状にし表面積を小さくすることによって、湿気に触れてもパウダー自体が濡れにくく、酵素の働きを持続させることができる。この特徴に加えて、こだわりの保湿成分※2により洗い上がりはすっきりしながら潤いを守り、洗うたび透明感がアップ。いつでもフレッシュに使用できる個包装タイプで持ち歩きにも重宝する。

※2 アクアグルコシド(エチルグルコシド)、ヒアルロン酸Na

マスターしたい洗い方のコツ

モデル・女優の紺野彩夏が実践する洗顔のコツ

 つるつるな素肌のために、洗い方のコツをマスターしたい。顔と手は濡らしておき、手のひらに1回分(1カプセル)のパウダーをとる。少量の水またはお湯を少しずつ加えながら、空気を含ませるように手か泡立てネットを使って泡立てるのがポイント。指ではなく作った泡で洗うようにして、毛穴汚れが気になる小鼻やTゾーンは念入りに。

 実際に編集部スタッフとライターが「ビューティクリア パウダーウォッシュN」をトライ。「最近は“マスク生活” で毛穴の黒ずみ汚れなどが気になっています。さっぱりとした洗い上がりが心地良いですね」(編集担当Y・Y)。「つっぱる感じがなく気に入っています。個包装でかさばらないので、旅行やジムにも便利ですね」(ライターT・A)。

 夜のクレンジング時はもちろん、朝の洗顔時に使用すればすっきりと滑らかな肌で一日をスタートできるはずだ。

TEXT:AYU TACHIBANA

問い合わせ先
カネボウ化粧品
0120-518-520

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老舗アパレルの「生存本能」 エディターズレター(2020年7月9日配信分)

※この記事は2020年7月9日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

老舗アパレルの「生存本能」

 ワールドの社長に6月23日付で就任したばかりの鈴木信輝氏を取材しました(記事は「WWDジャパン」7月6日号掲載)。鈴木氏は45歳。大手総合アパレルのサラリーマン社長としては異例の若さで、連結売上高2362億円、従業員数1万人のトップに立ったわけです。

 社長人事が発表された3月、鈴木氏を後継者に指名した前社長の上山健二会長の言葉が印象的でした。「45歳の力ある新社長に若返ることは、社内外問わず、あらゆる局面でポジティブなインパクトをもたらすと確信している」。

 記事でも少し触れましたが、この若返りに老舗企業のしたたかな「生存本能」を感じずにはいられません。時代の節目で若い改革者を抜擢し、ビジネスモデルを大転換させる。ワールドの過去を振り返ると、そうやって生き残ってきたことが分かります。

 ワールドの“中興の祖”である創業家出身の寺井秀藏シニアチェアマンは、1997年に48歳でワールドの社長に就任しました。寺井氏は93年にスタートした婦人服「オゾック」を手始めに、専門店への卸売メーカーだったワールドをSPA(製造小売り)企業に大転換させた立役者です。大店法の廃止によって2000年以降に日本中に作られたショッピングセンターで一気に業容を拡大します。

 しかし2010年代に入ると大量出店・大量生産の手法は行き詰まります。そこで社長に抜擢されたのが上山氏でした。当時49歳。住友銀行(現三井住友銀行)出身の上山氏は、中古車販売のジャック、スーパーの長崎屋などを再建した実績を買われて、業績が悪化していたワールドの構造改革を断行します。500店舗前後を閉鎖する荒療治でしたが、収益性を回復させ、18年には再上場を果たしました。さらにM&Aや提携などによってオフプライスストアやリユース、サブスクリプション、D2Cなどと既存事業を連携させる「ワールド・ファッション・エコシステム」の構築にも乗り出します。

 この間、上山氏の参謀役として構造改革や成長戦略のシナリオを書いてきたのが鈴木氏でした。2012年に入社する以前は、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)、ローランドベルガー、企業再生支援機構、ボストンコンサルティング・グループでキャリアを重ねてきました。デジタルに強く、自身でプログラミングを行える経営者です。

 「ワールドは時代に合わせて常に挑戦し続ける会社でなくてはならない」と話す鈴木氏。変化の激しい時代は、挑戦しないことが最大のリスクになる。老舗企業が生き抜くため本能なのです。

MARKET VIEW:ファッション市場で日々発信されるホットなニュースを、「WWDジャパン」のビジネス担当記者がコンパクトに解説するメールマガジン。ニュースを読み解くヒントを提供します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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新体制のスノーピーク アパレルを率いる29歳 “街で着るアウトドア”から次のステージへ

 スノーピークは3月に山井梨沙社長がトップに就く新体制となり、さまざまな事業の強化を推進している。山井社長はデザインをライフワークにしてきたため物作りへの思いはひときわ強く、商品開発の面でもあらゆる改革に取り組んでいる。2014年に自ら立ち上げたスノーピーク アパレルの事業は現在29歳の坂田智大に託し、商品開発に加えて、物を通じたライフスタイルの提案を目指す。アパレルを坂田が指揮することで、スノーピーク アパレルはどう変わるのか。また19年12月期には事業部単体で17億2000万円の売り上げ規模にまで成長した部門をどう拡大していくのか。新世代のリーダーに話を聞いた。

新体制でボーダーレスな組織に

WWDジャパン(以下、WWD):スノーピーク入社は2019年と社歴はまだ浅い。大きな事業をいきなり引き継ぐのに重圧があったのでは?

坂田智大エグゼクティブクリエイター(以下、坂田):もちろんプレッシャーはある。ただそれ以上に、自分が好きなキャンプという共通の趣味を持ったチームと仕事ができるので、重圧以上の楽しさややりがいを感じている。何より仕事として自然に触れることができるのがこの仕事の魅力だ。

WWD:ではファッション業界からスノーピークに転職したのはキャンプがきっかけ?

坂田:ただ漠然と「キャンプがしたい」と思い立って求人に応募した。服が大好きでファッション業界で働いてきたが、自分の中で物作りにこだわればこだわるほど、それが世の中にどう貢献しているのだろうと考えるようにもなり行き詰まっていた。そんなときに子どもが生まれて、家族でキャンプがしたいと強く思って自ら門をたたいた。それがたまたま山井社長がスノーピーク アパレルのデザイナーを退任する時期だった。

WWD:ファッション業界でのキャリアはどう生かしていきたい?

坂田:天然素材の知識や産地とのつながりを生かし、素材を通して自然を感じてもらえる商品を開発していく。手紡ぎや手織りの風合い、昔ながらの織機で織られたふっくらした素材感などから生活シーンを想像してもらえる服を提供したい。スノーピークのアパレルといえば機能素材のアウトドアウエアというイメージがまだまだ強く、海外ではほとんどそのイメージがしか持たれていない。都会から自然までをシームレスにつなぐ服という点はこれまでと同じだが、今後は商品を通じてライフスタイルの提案をしていきたい。

WWD:具体的に変わった点は?

坂田:アパレルを立ち上げた山井が社長になり、社内でもボーダーレス化を推進している。今までは尖った物作りの新潟のギア開発チームと、見せ方にたけた東京のアパレルチームは個別に商品開発していたが、今後はそれぞれの長所を融合させていきたい。事業の多角化が進む中で部署間の連係を強化し、製品開発につなげたい。売り方も、アパレルとギアを絡めた提案を増やしていく予定だ。アパレルとしては、“街で着るアウトドア”という第1フェーズは終わったと感じている。今後はスノーピークという企業を通じて、人々の生活を豊かにする段階に進まないといけない。そのために他部署との連係は必須で、横のつながりが企業としての強みになる。

“街で着るアウトドア”から生活になじむブランドへ

WWD:初めて手掛けた2020-21年秋冬のビジュアルが印象的だったが、どういう意図?

坂田:一番のぜいたくは自然で、当たり前のようにある日常こそが特別なんだというメッセージを伝えたかった。撮影したのは新型コロナウイルスの感染が拡大する前だったが、時代の流れとも偶然合致した。三重県の伊賀で自給自足している一家にモデルをお願いし、自然と暮らすリアルな姿をドキュメンタリータッチにすることで、スノーピークのアパレルは人と自然をつなげるという道具や手段だという意味も込めている。中には狩猟や肉の加工など強烈なカットもあるが、受け取り手が何かを感じてもらえたら、それは人と自然が一歩近づいたということだ。

WWD:新型コロナの影響は?

坂田:売り上げへの打撃は当然あるものの、世の中の自然に対する欲求は着実に高まっており、キャンプギアは好調だ。アパレルも、これまで以上に消費者の日常を意識した物作りを推進していく必要がある。今これが売れているから作るという商品開発ではなく、アイテムが作られた背景や思いに価値を感じてもらえる流れになっていて、作り手としてはやりがいがある。無駄な物は作りたくないから、21年春夏は20-21年秋冬よりも型数を6割程度に絞ってより厳選したラインアップにしている。

WWD:サステナビリティはアパレルでも取り入れていく?

坂田:昨年発表した、リサイクル事業を手掛ける日本環境設計との取り組みは引き続き推進していく。店舗で回収したテントやアパレルを日本環境設計の工場で糸に戻し、新潟の自社工場に導入したホールガーメントの編み機でニット製品を製造しており、今後はさらに製品クオリティーの向上を意識していきたい。アパレルのMDでも、将来的には定番品を増やして積み上げていき、トレンド品は3〜4素材で提案する流れをつくりたい。そのためには人々の生活にスノーピークがより深くなじんでいくことが必要不可欠だ。

WWD:国内外への出店攻勢が続いているが、アパレルの今後の事業計画は?

坂田:もちろん会社の急激な成長に合わせてアパレルも拡大していきたい気持ちはある。でも単体でというより、ほかの事業とともに成長していくのが理想だ。ギアとアパレルが相乗効果で売れる状態がスノーピークをより強くしていく。今は新体制になり、20代の若いメンバーも増えて感覚も共有しやすい。山井社長のリーダーシップのもと、新しいことにどんどんチャレンジしていきたい。

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音声座談会「蓉子の部屋」 Vol.3「エルメス」のウィンドーを手掛けたデザインスタジオ「we+」

 「蓉子の部屋」は、川島蓉子・伊藤忠ファッションシステム取締役/ifs 未来研究所所長が、毎回ゲストを招き“未来”について考える音声番組です。未曾有の状況の中、業界にはこれからの“未来”について考えなければならない現実に直面しています。そんな中、少しでも業界人に役立つヒントやカケラを音声配信でお届けします。近所のスーパーに行く時や、通勤・通学時に気軽に聞いてください(笑)。

 第3回は、コンテンポラリーデザインスタジオ「we+」の創業者である、林登志也氏と安藤北斗氏に迫りました。「we+」はこれまで、「エルメス(HERMES)」銀座店のウィンドーのほか、資生堂のインスタレーション「BEAUTY INNOVATION 2020」などを手掛けている。音声座談会では、「エルメス」のウィンドーの制作秘話から、自主制作にこだわる理由、新たなデザインを生み出すための試みまで、林氏と安藤氏が考える“これまでに無い物を生み出す価値や自分たちの原点”について語ります。

川島蓉子:1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役。ifs未来研究所所長。ジャーナリスト。日経ビジネスオンラインや読売新聞で連載を持つ。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)、『すいません、ほぼ日の経営。』などがある。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている。

「we+」:2013年に林登志也氏と安藤北斗氏により設立されたコンテンポラリーデザインスタジオ。リサーチと実験に立脚した独自の表現手法で、新たな視点と価値を形にする事に注力してきた。またミラノの「ロッサーノ・オルランディ(ROSSANA ORLANDI)」や、ニューヨークの「ギャラリーフィリア(GALERIE PHILIA)」などのデザインギャラリーに所属している。国内外で作品発表を行うほか、多様なバックグラウンドを持つメンバーそれぞれの強みと、日々の研究から得られた知見を生かし、空間デザインやインスタレーション、ブランディング、プロダクト開発、R&Dなど、さまざまな企業や組織のプロジェクトを手掛ける

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スパイバー傘下になった「ユイマ ナカザト」が “TV電話を使ったオートクチュール”を事業化

 中里唯馬が手掛ける「ユイマ ナカザト(YUIMA NAKAZATO)」は、ビデオ通話を利用した新しいオートクチュールのサービス“フェイス トゥ フェイス(Face to Face)”をスタートさせた。7月7日にオンラインで開催されたパリ・オートクチュール・ファッション・ウイークで発表したもので、7月末から一般向けへのサービス提供を開始。

 内容は、依頼者が自身のシャツを「ユイマ ナカザト」へ送り、ビデオ通話でデザイナーの中里との15分間の対話を行う。その後、依頼者のエピソードや要望をくみ取りながら、中里がそのシャツを新しいデザインへとリメイクするというもの。価格は1着30万円。オンラインストアから注文でき、3週間~1カ月で商品が完成する。“特別な1着を長く大切に着る価値観”を伝えるため、お直しなどのアフターサービスも受け付ける。

 ユイマナカザトは人工タンパク質素材の開発で知られるスタートアップ企業のスパイバーに株式の過半数を2月に売却し、同社の子会社になったばかり。新サービスに込めた思いや、スパイバー傘下入りについて中里に話を聞いた。

WWD:“フェイス トゥ フェイス”を始めた理由は?

中里唯馬(以下、中里):1月にパリでクチュールを発表した後、新型コロナウイルスの影響で普段通りのモノ作りをすることが難しくなり、3月末には7月開催のパリ・オートクチュール・ファッション・ウイークがリアルでの実施を中止するという話が出てきたんです。「私たちに何ができるだろう?」と考えていたときに、世界中でミュージシャンたちが自宅から世界へダイレクトに音楽を発信している姿に感動し、私たちにも何かできることがあるのではないかと希望が湧いてきました。オンラインでも私たちに何かできるのではないかと思ったんです。そこでまずはチャリティーという形で、オンライン上で募った25人の方への服作りを始めました。洋服がネットで注文してすぐ届く時代に、オンライン上でのオートクチュールに挑戦したいと思ったんです。

WWD:アイテムをシャツに限定した理由は?

中里:クチュールはオーダーメードなので、お客さまの採寸ができないのは致命的です。しかしシャツは、老若男女誰もが持っているアイテムで、シンプルな構造で、かつ体に沿った形をしているので、採寸ができない問題を解決できると思いました。依頼者の白シャツをお預かりして、丁寧に縫い目をほどいて、こちらで用意した白い生地を組み合わせながら新しい服に生まれ変わらせる作業を行いました。発表動画では白シャツに限定したのですが、今回事業化するにあたりシャツはどんな色柄でも、またTシャツもシャツの種類の一つなのでお受けしたいと思っています。

1週間で25件、最高月産50~100着の注文を受けることが可能

WWD:依頼者との対話からデザインを考えるプロセスはどのようなもの?

中里:15分間という時間を設けて、シンプルな質問をさせていただきます。どんな短い会話でも、そのシャツにまつわるエピソードが出てくるんです。お母さまから受け継がれたシャツをお送りくださった方がいましたし、安価なシャツだったとしても一人一人ユニークな思い出があって。私はそのビデオ通話が終わった後もその人のことを考えてデザインするので、15分間しかお話ししたことがない方ですが、デザインが終わった後には知り合いのような感覚になっていますね(笑)。依頼者の方に大変満足いただけて、成功体験になりましたし、個人的にはデジタル上でも温かみのある服が生まれるということを実感できました。

WWD:注文はどのくらい受けることができるのか?

中里:オートクチュール期間に発表した動画では、1カ月で25着を作ることができました。今後、内部のリソースを合理化し、チームとの連係がスムーズになれば1日4~5件、1週間で25件ほどお受けできるようになります。そうすれば最高月産50~100着の注文を受けることが可能です。

WWD:30万円という価格をつけた理由は?

中里:大量生産ではなく、クオリティーを担保しながら3週間~1カ月の時間をかけて1着をお作りします。一生大切にしたいと思っていただけるような服を生み出し、“高いものには理由がある”ということ体感していただけたらうれしいです。30万円には送料も含まれています。

スパイバーとの“新しい衣服の可能性を考える”という共通の価値観

WWD:スパイバーの傘下に入った理由は?

中里:共通の知人を介して2年前に山形にあるスパイバー本社に伺い、1年前にはコラボレーションが実現しました。スパイバーが開発した人工合成タンパク質「ブリュード・プロテイン(BREWED PROTEIN)」に初めて触ったときに、素材としてこんなに面白いものはないとわくわくしました。スパイバーのチームとは世代も近く、“新しい衣服の可能性を考える”という共通の価値観やビジョンを持っています。お互いをリスペクトし合いながら信頼関係を築き、一緒にいいものを作っていきたいという思いで一体化しようという決断になりました。

WWD:今後のコラボレーションは?

中里:19-20年秋冬では「ブリュード・プロテイン」を使って、立体的なテクスチャーを作ることができる素材「バイオ・スモッキング」を開発しました。原料を石油などの化石資源に頼らないサステナビリティの観点だけでなく、無駄を出さないオーダーメードのデザインと一緒に考えながら今後も研究開発することができれば、爆発力のあるものを生み出すことができると思います。長期的なパートナーシップを見据えて、僕も一員として新しい衣服の開発に携わっていきます。

WWD:今後もオートクチュール・ファッション・ウイークに参加していくのか?

中里:挑戦し続けたいと思っています。新型コロナや世界の状況を見ながら、その時に合ったベストなものを見せていきたいです。

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「ノア」創業者ブレンドンに聞いた「アディダス」とのコラボレーションで伝えたいこと

 「ノア(NOAH)」はこのほど、「アディダス オリジナルス(ADIDAS ORIGINALS、以下アディダス)」とのコラボコレクションを発売した。ランニングシューズとアパレル、雑貨などをラインアップする。シューズにプラスチック廃棄物をアップサイクルして作った「アディダス」の新素材“プライムブルー(PRIMEBLUE)”を使用するほか、ウエアも全てリサイクルポリエステル100%。アイコニックな三つ葉のアイコン、“トレフォイル”を貝殻に置き換えるなど、海洋プラスチック問題にも訴えるコレクションだ。「ノア」の創業者であるブレンドン・バベンジン(Brendon Babenzien)は、かねてより環境問題についても積極的に目を向けている。コラボコレクションについての思いを聞いた。なお、「アディダス」の公式オンラインストアでは、すでに一部商品が売り切れている。

WWD:コラボレーションに至った経緯は?

ブレンドン・バベンジン(以下、ブレンドン):かなり前の話になるけれど、クリエイティブ分野で活躍する人々に向けた海洋プラスチック問題の会議に招待された。そのイベントのメインスポンサーが「アディダス」で、リサイクル海洋プラスチックで製造されたスニーカーのプロトタイプを発表した。当時はまだ開発初期段階の素材だったけれど、とにかく素晴らしいアイデアだったから、将来、リサイクル海洋プラスチック素材を使って何かしたいと思った。そのときはまだ「ノア」を起業してなかったから、「アディダス」と取り組む手段がなかったんだけど、その数年後にチャンスが訪れた。

WWD:コレクションのコンセプトは?

ブレンドン:まず、海洋プラスチックに焦点を当てた。環境保全の話題に上がるようなシューズを作りたかったんだけど、それだけでは足りないと感じたんだ。僕自身がランナーということもあって、ランナー向きのシューズを作りたいと思ったんだけど、そのためにはもっと機能性が必要だった。今回発売したSLシリーズの初代モデル“SL72”にはクラシックスタイルに対する僕の愛と「アディダス」の伝統を、エントリーランナーに向けた超軽量ランニングシューズ“SL20”には僕のランニング愛とランニングにおける「アディダス」の姿勢をそれぞれ組み合わせている。

WWD:デザインに関しては?

ブレンドン:ほとんどの「ノア」の商品は比較的シンプルなんだ。その方が好きだからね。一番難しいのは、シンプルなアイテムでありながらそれ以外の意味を持たせることさ。だから“プライムブルー”を使うことが重要だった。そして誰でも手に取れるものにもしたかった。ランニングアパレルは見た目もよくて、機能性もしっかりあるものが欲しいと思ったけれど、僕はそこまで超高機能を求めていないから、昔のランニングスタイルからインスピレーションを得た。今使えるアパレル、そしてラン以外でも使えるものにしたかった。

WWD:グラフィックの貝殻に込めた思いは?

ブレンドン:まず、僕は(米NY州の)ロングアイランド出身だから、海の存在は僕のやること全てに影響を与えてきた。サーフィンや釣りは常に生活の一部だったよ。デザインする上で大事なのは色とグラフィックだから、(「アディダス」の)“トレフォイル”と似ていて、でも新しいものにしたいと思った。それにイメージは何かしら海とつながりを連想させるものじゃないといけない。そこから貝殻のデザインが“トレフォイル”の代わりになると考えた。貝類の漁業はロングアイランドのカルチャーにとって大事な役割を担ってきたし、ロングアイランドの人々は海の恵みによって経済を維持してきた。だけど1970~80年代から水質汚染と人口増加の被害を受けて、2019年10月の時点で、ロングアイランド東部におけるホタテは全滅してしまった。だけど、海や湾は非常に強い回復力を持っているから決して手遅れじゃない。海に対して敬意を示せば、生物は戻ってくることができるんだ。

WWD:今回のコラボレーションを生かして、自身のブランドでも取り組みたいことがあるとしたらどんな部分?

ブレンドン:僕たち大人がこれまで環境に与えてきた悪影響は計り知れない。だけど、今はそのダメージを少しでも改善できる立場にいる。「アディダス」は“プライムブルー”の開発に多くの労力を注いできて、僕たちもその素材を使ったシューズを開発することができた。コラボレーションによって行動に移すことができたし、その機会に本当に感謝しているよ。今後はブランドとしても小さなことを組み合わせて、海洋プラスチックの除去に取り組んでいきたいと思っているんだ。

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コロナ禍でも2カ月連続で売り上げは月215万円を達成 「アルバム」金内柊真のスター美容師への道 Vol.7

 ツイッターのフォロワー数14万超え、インスタグラムのフォロワー数11万超え、TikTokのフォロワー数9万超え、ユーチューブのチャンネル登録者数6万2000人超えの人気美容師・金内柊真。かつては芸能活動を行い、2018年8月にはアシスタントながら自身の著書「才能がなければその分努力すればいい」(KADOKAWA)を出版するなど、美容師の枠に収まらない存在として注目を集めている。昨年11月にスタイリストデビュー。今連載では、毎月の彼の売り上げの推移とともに、売り上げを伸ばすために何をやってきたか、また新人スタイリストならではの苦労などを紹介していく。今回は休業明けとなった6月と7月の話を聞いた。

WWD:今回は6月と7月の話を中心に聞いていきたい。まずは、売り上げはどうだった?

金内柊真(以下、金内):6月、7月共に月215万円で、お客さまの数は200人ほどでした。5月末までお店が休業していたこともあって、6月は待っていてくれたお客さまがたくさん来てくれました。来てくれたお客さまの中には「待っていてよかった」と言ってくれる人もいて、うれしかったです。その反動で7月はどうなるかなと少し心配していたんですが、ありがたいことに多くのお客さまが来てくれました。

WWD:数字的には満足のいく結果だった?

金内:そうですね。月200万円以上いけばいいと思っていたので満足です。最近はアシスタントも成長してしっかりとサポートしてくれるので、頼もしいです。

WWD:コロナの影響を感じることはある?

金内:僕自身は変わらないのですが、7月は6月と比べると店全体としてはさすがにお客さまの数は減ってきています。あと、7月中旬以降コロナの感染者数も増えてきて、お店全体が落ち着く時間は増えましたし、予約のキャンセルも多くなりました。それは仕方ないなと思っていて、お店としては感染対策をしっかりとやるだけです。来てくれたお客さまは満足してくれていて、他に行くところがない中で、美容室だけが唯一の楽しみと言ってくれる人も多いです。

WWD:7月は他のスタイリストが苦戦している中で、売り上げを維持できた要因は?

金内:6、7月は4月に上京してきた新社会人や新大学生で、ようやく美容室に来られたという人も多くて、ハイトーンカラーのメニューが人気でした。あとこれまでなかなか予約が取れなかったけどようやく取れたという新規のお客さまが多かったです。僕のように指名のお客さまが多いスタイリストはそこまで影響なかったですが、フリーの新客に頼っていた人は厳しそうです。

WWD:メニュー的には引き続きカラーが人気?

金内:夏という季節性もあって明るくする人は多く、カラーメニューは人気です。ハイトーンにする人も多いです。

WWD:マスクをするようになって、ヘアスタイルのニーズは変化している?

金内:前髪を短くする人は増えました。普段前髪をアイロンで巻いている人も「巻きがすぐ取れてしまうので、巻かなくていい長さにしたい」という人が増えました。あと、ばっさり切るよりも、暑いので首元をすっきりさせるために結べる長さにしておきたいという人は増えました。

WWD:8月は順調?

金内:ありがたいことに8月の予約は開始から1時間と最速で埋まりました。毎月15日に翌月の予約が開始されることが認知されてきた結果だと思います。

WWD:それだと売り上げについてはほぼ最大の状態?

金内:人数的にはマックスなので、あとはメニューの単価を上げていくか、店販の売り上げを伸ばしていくしかないです。ただ僕は店販を積極的におすすめしていなくて、お客さまから悩みを相談されたら提案するくらいで、店販比率は6〜9%くらいで推移しています。最近は家で過ごすことも多くなってきたので、ヘアケアに力を入れる人は増えています。あとドライヤーなど高単価な製品も売れていますね。

WWD:8月の目標は?

金内:有休などもあって出勤日数は少なくなるのですが、売り上げは200万円を目指したいです。そのためには1日あたりの売り上げを高めに設定して、それを達成できればと思います。

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「ロクシタン」の簡単にまとまるヘアミルク 広がりやうねりを抑えて“さら艶”髪に

 夏は日焼けやシミ・ソバカスを防ぐために、日焼け止めを塗るなど肌への紫外線対策を行う人は多いが、髪も同様に紫外線ダメージを受けている。紫外線ダメージや湿気で、うねったり広がったり思うように髪がまとまらず悩んでいる人も多いのではないだろうか。

 ヘアケアやスキンケア製品などを展開する南フランス・プロヴァンス地方発祥のライフスタイルコスメティックブランド「ロクシタン(L'OCCITANE)」から、そんな悩みにアプローチしたヘアミルクが登場した。

簡単に24時間まとまる髪へ

 まとまった健康な髪にはケアが不可欠だ。“ファイブハーブス リペアリング”シリーズから登場した「リペアリングヘアミルクセラム」(100mL、3900円)は、髪を内側からも外側からも補修しながら、湿気によるクセやうねりなどの広がりを抑えて、熱や日差しから保護し、指通りの良い髪に仕上げる1本3役のヘアミルクだ。タオルドライした髪に塗布するだけで、艶感と潤いを与え簡単にまとまる。時間のない朝のスタイリングにも最適で、加えて一日中効果が持続するという。その効果は、湿度75%の環境でもクセやうねりを抑え、230度の高温からも髪を保護する。また、環境に配慮したシリコンフリーで、98%自然由来成分配合の優しい処方も特徴だ。

厳選したヘアケア成分

  “ファイブハーブス リペアリング”はアンジェリカ、ゼラニウム、ラベンダー、イランイラン、スウィートオレンジの厳選した5種のハーブから抽出したエッセンシャルオイルが髪を補修する、ダメージケアに特化したシリーズ。シリーズ共通成分のブラックオーツエキス、ソイプロテクト、サンフラワーオイルを配合した「リペアリングリッチコンプレックス」が髪を内側からも外側からも集中補修する。髪のダメージをケアし、天然の保護膜が潤いを閉じ込めてうねりや広がりを抑えるほか、ドライヤーやアイロン、日差しなどの熱からも保護する。

「リペアリングヘアミルクセラム」
好評の声続出

ライブ配信で長井かおりが
使い方指南

 「ロクシタン」と「WWD JAPAN.com」は8月27日にライブ配信を行った。ヘア&メイクアップアーティストの長井かおりを招いて、「リペアリングヘアミルクセラム」の使い方を紹介した。長井は「ロクシタン」について、「植物の力を私たちに教えてくれる、歴史ある身近な存在のブランドです。誠実でサステナブルなブランドとして、業界を長くけん引していると思っています。加えて、店舗や製品パッケージは心躍る色やデザインです。入りたくなる店舗づくりや、人に贈りたくなるコスメブランドという印象も強いです」と語り、ブランドに信頼を寄せている。9月も日中はまだまだ厳しい日差しが続き、乾燥も気になり始める季節がやってくる。夏に受けたダメージをセラムで補修して秋のお洒落を楽しんでみては?

問い合わせ先
ロクシタン
0570-66-6940

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「オーバーコート」大丸デザイナーが語るNYの今とこれからのビジネス

 大丸隆平氏がニューヨークに渡ったのは2008年。現在、チャイナタウンにオフィスを構える大丸製作所2の代表として、ニューヨーク・ファッション・ウイークに参加するブランドをはじめとする多くのブランドのパターンメーカー、クリエイティブのコンサルタントを担い実力をつけてきた。15年には自身のブランド「オーバーコート(OVERCOAT)」を始動し、毎シーズンコレクションを発表。日本での卸も順調だった。そんな矢先に、新型コロナによって自身やニューヨーク自体のビジネスも大きな変更を余儀なくされたという。今回、日本で初めて開催する展示会のために一時帰国した大丸代表。多くサポートがあり開催実現に至ったという。ニューヨークの現状や自身を取り巻く状況について話を聞いた。

 「オーバーコート」はその名の通り、コートからスタートしたブランドだ。店の入り口などの日よけに使われているオーニング素材に注目し、「雨にも強いこの素材でグラフィカルな柄をコートにしてみたらどうだろうか」というアイデアからブランドの立ち上げにつながった。これまで培ってきたパタンナーとしての技術を生かし、プレタポルテでもオートクチュールのような着心地をブランドのコンセプトとしている。肩にプリーツを入れることで男女誰が着用してもフィットするパターンのコートは、そのデザイン哲学を反映させた代表的なデザインだ。

 現在、日本ではユナイテッドアローズ、トゥモローランドのエディション、ビオトープ、バーニーズ ニューヨーク、伊勢丹新宿本店、福岡のダイス&ダイス、名古屋のキンク、海外ではディエチ コルソ コモ(10 CORSO COMO)、パリのル・ボンマルシェ(LE BON MARCHE)百貨店などで販売されている。

 当初、6月にパリで「オーバーコート」メンズの2021年春夏コレクションとウィメンズのプレ・コレクション(リゾートコレクション)を発表する予定だったという。大丸代表は「しかし新型コロナの感染がニューヨークやパリであっという間に拡大し、パリでの発表は無理だなということになった。そうこうしているうちにニューヨークもロックダウンに入り、仕事も途中のままできなくなってしまった。パターンメーカーの仕事は、職種的にリモートではできない。ミシンや裁断の台をスタッフの家に交代に置くことも考えたが、住んでいる家もそれぞれなので、効率を考えたら無意味だった。ニューヨークが静まり返って、街自体のエネルギーがゼロになった瞬間があり、不思議な世界にいた」という。「当時は、スタッフのモチベーションを維持することを優先し、連絡をまめにするようにしていた。なんとか気分が落ち込まないように、簡単な仕事を無理やりつくって手を動かしてもらうようにしていた」。

ユナイテッドアローズの栗野氏が手を差し伸べてくれた

 パリで発表できず、今後の見通しがつかない中、手を差し伸べてくれた人たちがいた。その一人が、ずっと気にかけてくれていたという栗野宏文ユナイテッドアローズ上級顧問クリエイティブディレクション担当だった。「『ニューヨークもコロナで大変だろうから、ユナイテッドアローズのスペースを貸すから、日本で展示会を開催したらどうか』と提案してくれた。ユナイテッドアローズだけでなく他のセレクトショップのバイヤーも買い付けができる展示会場として、同社の場所を提供してくれた」という。

 それによって初めて日本で展示会を開いた。また西麻布のギャラリーのスペースを借りて、親しい友人や知り合いを招いた個人オーダー会も8月上旬に開催した。「受注会では驚くほどオーダーがあって多くの人が個人買いしてくれた。バイヤーのオーダーも付き、本当に感謝しかない。ファッション自体が衰退しているのかというとそうではなかった。江戸時代の呉服屋で着物を売っていた当時ときっと変わらないような、対面で話をしながら購入してもらうスタイル。来てくれた人がいろんな人に宣伝してくれて、また人がやって来るという状態だった。自分自身も皆さんにコレクションの説明をしたことで、より理解してもらいやすかった」。その結果、卸は昨対比で1割減にとどまり、個人オーダーは逆に5倍の数となった。

 「オーバーコート」の21年春夏コレクション自体製作はままならなかったが、実際に生地サンプルに触れられなくても、これまでの経験と勘でこうしたら面白くなるんじゃないかと想像を働かせながら制作に取り組んだという。「結果的にそれがよかった。面白くとらえられた」。生地においては、中伝毛織、小松マテーレ、宇仁繊維が生地を一部提供してくれるなど協賛してくれたという。

周りの助けがなければどうなっていたか分からない

 また、クリエイションにおいては、「オーバーコート」のロゴのデザインを手掛け、「セリーヌ(CELINE)」とも長年仕事をしているアートディレクター兼グラフィックデザイナーのピーター・マイルズ(Peter Miles)が手を差し伸べてくれて21年春夏コレクションでコラボが実現した。マイルズが制作した鮮やかなグラフィックが「オーバーコート」のコレクションに大胆に用いられている。ダイナミックで鮮やかな色使いが印象的だ。「普段から連絡をとっていて、ピーターにはマスクを作ってあげたりしていた。声をかけてくれて本当にうれしかった」。ニューヨークは9月からデジタルをメインとするファッション・ウイークを開催する流れになっているが、大丸代表は「デザイナーの間では実際のところは新作を作る状況ではないという声が大きい。また、パリは卸のシステム自体が崩壊している。そんな中、周りのサポ―トによって、コレクションを制作でき、日本で展示会、受注会を開催することができた。皆さんに生かされてここに来た。それがなければどうなっていたか分からない」。

 パターンやクリエイティブのコンサル業に関しては、「型数は少ないけれど一緒にやろうというニューヨークブランドやデザイナーもいる。プラバル・グルン(Prabal Gurung)もその一人だ。ロサンゼルスやロンドンといったニューヨーク以外からの発注も徐々に戻ってきている。ニューヨークはそもそもモノ作りの基盤があまりない街だが、さらに整っていない環境にいるデザイナーから依頼が増えたため、素材から量産まで全ての工程をこちらから提案して任せてもらうという事例が増えてきている。卸のビジネスが減ってきているから手のいい技術を持つ工場も減っている」と大丸代表。

 「オーバーコート」に関しては、「ただ従来通りの商品を作って卸すということだけでは売れない。「『提案する』に重点を置き、お客さまや店頭のスタッフの方にストーリーやモノ作りへのこだわりを伝え、変化するライフスタイルにも対応できる服作りを意識している。21年春夏コレクションでは、カジュアルな型にテーラリングの要素をプラスし、家でもリラックスして着られるけど、そのまま散歩にも行ける、または会社にも着ていけるよう、素材やパターンを工夫している」。

 「軸足はパタンナー。オートクチュールの着心地をプレタで着られる。そしていろんな人種の人にも合い、着る場所を選ばないような服を目指している。作者の思いがあっても、手が離れてからは着る人が主役。服はプロダクトだと思うから、作者の意図から離れたときにプロダクトの本質が伝わる。究極を言えば作者の思いはどうでもよい、だからきちんとモノ作りに真摯に向き合う。僕が今着ているパンダのTシャツも最初にデザインした人がいて、それをパクった人がいてチャイナタウンで売られている。その人の手から離れて遠いところにいる。それが面白い」。

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ワンピースの着回しポイントは足元にあり 決め手は“トレンド靴”

 暑さが残る時期に、体を締めつけないワンピースは頼りになるウエアです。組み合わせに頭を悩ませずにすむ点でも、重宝で楽ちん。そして、ありきたりを抜け出す着こなしの決め手となるのが“靴”。足元を替えるだけで、トレンド感がアップします。

 たとえば、ニューヨーク・ファッション・ウイークに登場したファッショニスタは、ロマンチックな花柄ワンピースのお供に、フリンジがどっさり付いたウエスタンブーツをチョイス。スタイリングの勘所は、フェミニンなワンピースをそのままの雰囲気で着ないで、別のテイストを靴で持ち込むところ。今回は2020年プレ・フォール・コレクションから、“知恵あり”なアレンジにフォーカスしてみました。

“スニーカー、スポサン”でストリートフェミニンに昇華

 ワンピース姿に軽快なムードを与えてくれるのは、やはり白のスニーカー。どんなワンピースにもフレッシュ感を加えてくれるから、“とりあえず白スニ”的な使い方が可能に。ヘルシーな雰囲気が添えられるのも健康意識を高めたい時代のムードにマッチします。

 「メゾン ミハラヤスヒロ(MAISON MIHARA YASUHIRO)」のワンピースはドッキングやアシンメトリーなど遊び心がたっぷり。足元に白スニーカーを選ぶことによって、ワンピースのデザイン性を生かしつつ、まとまりすぎるのを防ぐ好コーデに整いました。

 ここ最近、出番がぐっと広がってきたスポーツサンダル(スポサン)。ドレッシーな装いとのマッチを試すテクニックも登場してきました。見慣れたサンダルよりもワイルドな気分を取り込めます。

 「シー ニューヨーク(SEA NEWYORK)」のワンピースは、愛らしいパフスリーブがポイント。裾のティアードもたおやかな表情を生んでいます。その裾下に迎えたのは、やや武骨なスポサン。総柄のフェミニンワンピースとは真逆のスポサンで、タフネスにドレスダウンしてみせました。

“ローファー、ドレスシューズ”で、ハンサムフェミニンに味付け

 クラシックなテイストを帯びた「紳士×淑女」風のジェンダーミックスでも、靴がキーピースになります。ワンピースに紳士靴を合わせるコーデは大人女性向きです。

 「トリー バーチ(TORY BURCH)」が組み立てたのは、女っぽさとメンズ感が入り交じるミックスコーデ。斜めに流れ落ちるようなラッフルが印象的なワンピースに、トラッドの目印的なローファーを合わせて、ロマンチックと英国テイストを響き合わせました。

 ミニマルなワンピースと、王道メンズシューズのマッチングは、中性的な雰囲気を濃くします。全体をモノトーンでまとめれば、さらに“ジェンダーフリュイド”なたたずまいに。

 「ザ・ロウ(THE ROW)」のノースリーブワンピースは、オーソドックスに見えて、布の表情を引き出すディテールが繊細。内に秘めたセンシュアルなシルエットにあえてメンズ風革靴を迎えて、抑制的なムードを添わせました。

“ロングブーツ、ウエスタンブーツ”で、タフ&ドレッシーが共存

 2020年秋冬はロングブーツがカムバックの兆し。柔らかい素材のワンピースにクールなブーツをぶつけて、足元からニュアンスをずらすコーデを試せます。

 「ミントデザインズ(MINTDESIGNS)」のワンピースは、レイヤードのように見えるドッキング型。身頃を斜めに横切るジップ使いがアイキャッチーです。若干シースルーな裾に、ロングブーツを組み込んで硬質感をプラス。裾回りに複雑な雰囲気を醸し出しました。

 やや癖の強いブーツを取り入れれば、足元から装いのイメージをプロデュースできます。ブーツを生かしやすい秋冬は、ウエスタンブーツをはじめコンバットブーツ、乗馬ブーツ、ワークブーツなど、それぞれに異なるテイストを呼び込めます。

 「アリス アンド オリビア(ALICE + OLIVIA)」が打ち出したのは、1970年代ヒッピー風の装い。マルチカラーの総柄ワンピースは、フラワーチルドレンの奔放さを呼び覚ますかのよう。ベージュのウエスタンブーツを添えて、型にはまらない自由な雰囲気も印象づけ、さらにハットとのコンビネーションでウエスタン気分も強めました。

 残暑シーズンから秋口にかけても、風が通りやすいワンピースは出番が途切れません。秋以降は、アウターで隠れない靴の印象度がさらに増すので、今年らしいシューズを引き合わせて、ワンピースコーデのテクニックに磨きを掛けてみてください!

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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「シュウ ウエムラ」が“信頼できる”ヒーロー製品に注力 コロナ禍でも“市場平均を上回るパフォーマンス”を達成

 「アジアのマーケットをリードする日本発の最先端メイクアップアーティストブランド」を目指して近年リポジショニングを行ってきた「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」。中でもメイクアップにフォーカスし、24色展開でアジア人の肌ニーズに応えたベースメイク「アンリミテッド」シリーズや最新のメイクアップトレンドを反映し、アジア人の肌に映えるカラーをそろえるリップスティック「ルージュ アンリミテッド」シリーズが大ヒットし、2019年の売り上げは2年連続で前年比2ケタ増を達成した。

 20年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大といった類例のない状況の中で、ブランドを象徴するヒーロー製品にフォーカスした戦略を推進。これらヒーロー製品や、ロングセラー製品のクレンジングオイルなどのプロモーションに注力した。その理由に、3月に新事業部長に就任したルシアン・バラバン(Lucien Baraban)氏は「店頭で今までのように自由に製品が試せないことから、消費者はとにかく“信頼できる”製品を求めている。そのため、長年愛用されてきた製品には力がある」と話す。その結果、「メイクアップ市場全体が大きな打撃を受けていたにも関わらず、『シュウ ウエムラ』は市場平均を上回るパフォーマンスを保つことができた」と振り返る。狙い通りに、スキンケア効果が高い「アルティム8∞ スブリム ビューティ クレンジング オイル」や、マスクにも付きづらいと好評の「アンリミテッド ラスティング フルイド」がよく動いたという。

 また、7月7日に公式ECサイトをリニューアルしたことも奏功した。「バーチャルでメイクアップを試せるデジタルツールを追加するなど、CX(カスタマー体験)を大幅に向上させた。デジタル限定のサービスの充実もポイントだ」と話す。その例として「アンリミテッド ラスティング フルイド」のテスター3色、下地2色を送料の450円のみで提供する「トライアル サシェ セット」を提供したり、色が合わなかった場合に「アンリミテッド 」ファンデーションの色の変更サービスなどを行った。多色展開にこだわっているからこそ、これまでデジタルだと難しかった“色選び”のハードルを下げるのが狙い。またスキンケアでは配達サイクルや「アルティム8∞ スブリム ビューティ クレンジング オイル」をはじめとした、人気のクレンジング オイル4種から自由に選べるお得な「クレンジング オイル定期お届け便」をスタートし、リピーター獲得にも取り組んだ。

 秋以降も引き続きベースメイク、リップ、クレンジングオイルに注力する。8月19日に発売した艶タイプの「アンリミテッド グロー フルイド」に続き、9月1日にはゆずをはじめとする天然由来成分を91%配合し、初めて100%再生プラスチックで作られた容器を採用した自然派クレンジング オイル「ボタニック クレンジング オイル」、また16日には「ルージュ アンリミテッド アンプリファイド」シリーズがパッケージを刷新し、色も加えてリニューアル発売する。ビジュアルは、グローバルブランドアンバサダーとして渡辺直美を起用し、幅広い層へのリーチを目指す。「ニューノーマルの時代に、消費者の購買意識も変化しているが、『シュウ ウエムラ』は引き続きルーツであるメイクアップアーティストリーに軸をおき、またアジア人のニーズに応え続ける」。

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デトックス効果も期待 注目の「炭」を使ったビューティアイテムをセレクト

 スーパーフードとしても知られる“炭(チャコール)”。インド発祥の民間療法アーユルヴェーダでも重宝されてきた炭は、ミネラルを豊富に含んでいてデトックス効果が期待できる。また無数の細かな穴が開いた多孔質のため、強い吸着力を持つことでも知られている。ニオイが気になる頭皮ケアやフットケアに炭を配合した商品も注目を集める。そこで、炭を含むオススメのビューティアイテムをセレクトした。

大気の汚れ、頭皮汚れの浄化に ココナツ活性炭と火山灰配合の「ジョヴァンニ」シャンプー&コンディショナー

 ビバリーヒルズ発オーガニックヘアケアブランド「ジョヴァンニ(GIOVANNI)」のツーシックシリーズから、ココナツ活性炭と火山灰配合の「チャコール&アッシュ シャンプー」(250mL、2400円)、「同 コンディショナー」(250mL、2400円)が発売された。黄砂、花粉、排気ガスなどの大気中物質のほか、落ちにくいスタイリング料や毛穴の皮脂詰まりをココナツ活性炭と火山灰がクリーンに洗い上げる。

 ココナツ活性炭とはココナツの外殻を焼いた活性炭のことで、火山灰は韓国のチェジュ島のものを使用。どちらも無数の微細な穴が空いているので、皮脂や落ちにくいスタイリング材などさまざまな汚れを吸着してくれる。実際にシャンプーを使ってみると、洗い上がりは頭皮がサッパリとする印象。同シリーズのアサイーとゴジベリー配合のコンディショナーを併用することで、髪を乾かした後も潤いのあるふんわりとした仕上がりになる。平日は手持ちのシャンプーを使い、週末は「チャコール&アッシュ」シリーズで頭皮クレンズと、用途別に使い分けるのもいい。

むくみ対策、消臭にも 「スナオ」のクレンジングマッサージスクラブ

 防御機能ホメオスタシスの理論をスキンケアに適用したブランド「スナオ(SUNAO)」。「クロフットスクラブ」(250g、3800円)は天然成分のボディー&フットスクラブで、角質をやさしく除去してくれる。吸着力が高い紀州備長炭と、微細な粘土鉱物の沖縄産海泥がたまった汚れをクレンジング。天然マンナンを使用したソフトスクラブなので、肌にも環境にもやさしい。マッサージしながらスクラブを使うことで老廃物の排出を促し、むくみ改善も期待できる。殺菌・防菌の効果が期待できる柿タンニンを配合しているため、消臭対策にもオススメだ。

 製品名は「フット」スクラブだが全身に使用できるので、角質がたまりやすい肘や膝、かかとなどのパーツケアにもオススメ。

2種類の食べられる炭を配合 「アムリターラ」の“引き算”サプリメント

 「アムリターラ(AMRITARA)」の「ディープクリアブラック」(60粒、3600円)は、食べられる炭、食べられる土から作られたデトックスサプリメント。食べられる炭と土が、食品添加物、残留農薬、化学薬品、重金属、悪玉菌などの有害物質を吸着して排出することが期待できるという。サプリメントというと栄養を補助するものと思いがちだが、体内に蓄積した不要な物質を取り除く“引き算”発想というのが新しい。

 炭は2種類をブレンド。マツタケが生えることで有名な赤松と、ココヤシの木に実るココナツ果実の殻、ヤシ殻を焼き上げた食用活性炭を微細に粉砕。2種類をブレンドすることで、高い吸着能力が期待できる。これらの炭は遠赤外線を発するため、体を内側から温める働きもあるそうだ。

 食事の30分前、または食間に水と一緒に1粒飲むだけという手軽さもうれしい。現在1日1~2粒のペースで飲み続けているが、腸活にもよいと感じる。
PM2.5や黄砂、花粉、排気ガス、食品添加物、残留農薬、薬品……。肌の調子が優れないのは、こうしたものが知らず知らずのうちにたまってしまっているのが原因かもしれない。どんなに良質なヘアトリートメントも、ボディークリームも、栄養のある食事も、まずは不要なものを排出しなければ吸収することは難しい。美しく健やかであるために、意識的に、継続的にデトックスしてみてはいかが。

小竹美沙:1984年生まれ。女性誌やウェブマガジンで、ナチュラル&オーガニック&サステナブルなコト、モノ、人びとについて取材&発信中。2009年から恵比寿のファッションスクールのオフィシャルライターとして広報資料のライティングにも携わる

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「D2C」って、多分こういうコト エディターズレター(2020年7月9日配信分)

※この記事は2020年7月9日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「D2C」って、多分こういうコト

 下のリンク1本目で「フーフー」の高坂マールくんが話している「レガシーブランドの参入」のハナシ、D2Cに限らず、よくあるコトであります。マールくんが話している「芸能人のYouTube参入」はもちろん、私たちの世界で言えば「プリントメディアのウェブスタート」も、全く同じ現象です。ウェブの世界では数年前から、例えば「GQ」や「シュプール」が、いよいよ本気でオンラインメディアを拡充。さすが、圧倒的なブランド力と編集力、そして資金(たぶんw)で急成長して、2000年前後にウェブでスタートした新興メディアは、正直駆逐されかけています。

 とはいえ正直ワタクシ、マールくんの心配は杞憂だと思っています。いやね、なかなか出来ないですよ、アレは。D2Cをやろうと思っているアパレルブランドは、一度、彼のソーシャルをフォローしてみると良いでしょう。マメです。あんなにIGでライブ配信をして、ツイッターで購入者の投稿をリツイートしている人はいないでしょう。レガシーブランドの皆さん、アナタにその覚悟はありますか?

 彼が見据える、次のビジョンにも超共感です。コレは、リンク2本目にある「エヴァンジェリスト(伝道師)」の育成に似たビジョンだと思うのですが、コレに成功すると、ブランドは、勝手にドンドン広がります。ブランドの理念(そもそも、アナタが始めようと思っているD2Cには、社会的理念がありますか?ないと、マジで無理ですよ)に共感した伝道師が、マールくん同様にブランドを広める活動をスタートして、ユーザーの投稿を拡散。ユーザーの投稿はそもそもUGC(User Generated Content)だし、影響力のあるエヴァンジェリストが拡散・ブーストするからますます広がり、そのUserはハイ、もう次の伝道師いっちょ上がり‼︎ってコトですね。D2Cって、D2C2Cなんだと痛感させられます。

 コレだけソーシャルでのコミュニケーションを知り、ブランド発の一方的なコミュニケーション以外を設計できるブランドが、他にありましょうか?言っときますけどワタクシ、ここまで洋服そのもののハナシを全くしておりません。ファッションブランド「フーフー」は、洋服のコトを置いておいてもこんなに語れるほど、洋服以外の設計が見事なのです。無論彼のスゴさは、洋服作りでも発揮されていますが、洋服以外の事情にここまで明るく、それを洋服と結びつけられる人は、なかなかいないなぁ、と思っています。一方のレガシーブランドは、最初に洋服でしょうね。それで、マールくんに勝てるでしょうか?

 最近、いろんな方から「ビューティはD2Cが多いけれど、ファッションってどうですか?『フーフー』以外、ありますか?」と聞かれます。皆さん、なかなか鋭いですね。

SOCIAL & INFLUENTIAL:社会情勢によって変化するファッション&ビューティ業界を見つめます。インクルージョン(包摂性)&ダイバーシティー(多様性)な時代のファッション&ビューティから、社会に届けたい業界人のオピニオンまで。ジャーナリズムを重んじる「WWD JAPAN.com」ならではのメルマガです。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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旬のアイメイクを楽しむための24時間アイケアのすすめ 最新ケア製品5選

 “新しい日常”を生きる今、外出時のマスク着用が常識となった。この状況によってメイクアップのトレンドは大きく変化し、目元にフォーカスされている。リモートワークでパソコンに向かう時間は増え、このことで生じさせる弊害もあるだろう。その上メイクアップは、アイメイクに重きを置くのが今のムードだ。想像している以上に、目元を酷使しているかも知れない。

 そんな時代背景も後押ししていると思えるほど、今秋のアイケアアイテムは豊作だ。今回、ピックアップしたアイテム以外にも発表を控えているアイテムは多くあり、例えば9月4日に「マリコール(MARY COHR)」が目元用美容液を、10月16日には「ドクターフィルコスメティクス(DR.OHIL COSMETICS)」が針状ヒアルロン酸パッチをパワフルに進化させて発表する。

 「エイジングケアを考える上で、アイケアは絶対に外せないアイテム。これまでのアイケア製品は、乾燥小ジワ、クマなど、単に加齢によるものがメインだったように感じるが、デジタル化が進む昨今、若い人でも睡眠不足やブルーライトの影響を受けダメージを受けており、各世代のライフスタイルに合わせた製品づくりが必須になってきていると感じる」とスタービューティーの安藤睦エレミス事業部長は話す。

 確かに、これまでのアイケアは、エイジングケアの中の一つである印象が強かった。が今季のアイケア市場は少し違っているように見える。スキンケアにおいてのアイケアの役割もそうだが、メイクアップアイテムにおいても目元を美しく見せてくれる働きを持つアイケアの登場も今の潮流を感じさせる。

 クラランスの三宅 由佳マーケティング部 PRは、いつも女性の声を聞いて製品の開発をしているとした上で、「目元への意識が高まりニーズが多く、開発のきっかけになった。コロナの影響で目元を酷使していたり、マスクで目元周りの意識が高まって来ている背景を受け、9月に発売した」と述べた。

 目元の皮膚は、ティッシュ1枚分とも言われるデリケートなパーツであり、年齢が出やすい。そこに、PCやタブレットなどでの酷使が重く伸し掛かる。そんな今シーズンのアイケアについて考えたい。今シーズンのトレンドであるアイメイクをより楽しむために。

明るく美しい表情へと目元から導く

ITRIM

 2018年9月のデビュー以来、ベーシックライン「エレメンタリー」のアイテムを発表し続け、多くの人の注目を集めてきた「イトリン(ITRIM)」。しかし、今回発表する「クレセント アイ トリートメントクリーム」は、これまでのラインとは違い、新たなシリーズ「クレセント」での発売となる。「自然体で美しく年を重ねていくことを大切にしたいと考える「イトリン」が、大人の肌悩みの代表格である“シワ” について考えたプログラム。シワ1本にこだわるのではなく、シワとたるみは表裏一体であることに着想を得て、根本的なハリや弾力不足に取り組むために、“見た目印象”を左右する4つの部位にフォーカスした」(大山幸恵イトリン コミュニケーション・PR シニアマネージャー)シリーズを構成する4アイテムは、大人の女性の全身から与える印象を考慮して、顔の上下、体の上下の4つの部位に着目。新作のアイクリームは、この顔の上部が目元を含む“ゴーグルゾーン”に働きかけ、豊かな香りで包みながら透明感のある凛とした表情へと導く。「目元は、その人が持つ表情などの豊かさをあらわれであり、思いっきり笑ったり、微笑んだり、まなざしが凜としている女性は美しいと「イトリン」は考えている。丸みとシャープさを併せ持つ、三日月のような美しさ=クレセントで、大人の女性がさらに豊かな表情で過ごせるように思いを込めてつくった」と独自の見解を示す。

EPISTEME

 19年9月に発売された、ブランド人気NO.1アイクリーム「アイパーフェクトショットa」 。たくさんの栄誉ある賞にも輝いたアイテムの発売から一年のスピードで新作の目元美容液を発売する。その誕生の背景について、「目周り悩みとして常に上位にあがる、クマ・くすみへアプローチするべく研究を進めていた。クマ・くすみの原因が目周りの血流低下にあることから、血管強化アプローチをかなえる成分を開発し、製品化したのが、20年秋だった」(宮下侑子・ロート製薬 エピステームPR担当)。クマの原因は血流大きく関与し、その血流の改善には血管が健全な状態であることが肝要であるとの答えを出し、今回の新美容液は血管強化に重要な細胞ペリサイトに着目。よどみグマやくすみといった目の悩みに働きかけながら、塗った瞬間から表情に明るさを蘇らせる。「映える目元メイクのためには、肌そのものが健やかであることが何よりだと考える。目周りは最も皮膚が薄く、卵の薄皮程度しかなく、コラーゲンやエラスチンなども少ないため早期からエイジング症状が出やすい部位のため早めのケアが必要」

JURLIQUE

 オーガニックスキンケアブランドのパイオニア、「ジュリーク(JURLIQUE)」は目元用クリームを発売する。専用のアプリケーターを付け、ケアする喜びを感じさせてくれる新作について、「ジュリークの最高峰シリーズの中で、アイケアアイテムはまだなかった。顧客からも待望の声があった」(五耒千里ジュリーク PR マネージャー)ことから発売に至った、と説明する。そのアイケアについて、「ブランドとして大切にしている“ウェルビーイング”の考え方に沿い、肌だけでなく身体や心まで健やかに、そしてお手入れの時間が自己肯定になるような、心地いい至福の時間になるための商品を届けている」としたブランドとしての考えを示した上で「このアイケアもその基本的な考え方の元、自然由来のカプセルにオーガニック認証自社農園で育んだハリに特化した植物成分を入れ肌の奥に素早く届ける工夫をしている」と話す。自然由来のマイクロリポソームに6つの植物エキスを内包したパワフルな処方がデリケートな目元をソフトに働き、きめ細やかな美しさを呼び戻す。

CLARINS

 紫外線などの影響を受けやすい目の周りは、最もエイジングのサインが現れやすいパーツと考える「クラランス(CLARINS)」は、目元用美容液を発売する。「ほとんどの女性がフェイスケアをしている近年、とりわけパーツに注目し、その中でもエイジングサインが表れやすく、人からも注目されるのが目元。元気で若々しい印象を与える重要なパーツであるアイケアは、今後もさらに注目、必須アイテムになるのではと考えている」(三宅 由佳・クラランス マーケティング部 PR)と昨今の、アイゾーンケアへの注目度の高さを説く。今回の新製品には、スイートアカシアワックスとオーガニックハルンガナエキスの2つの植物エキスを配合することで、リフトアップとスムージングの2つの効果を付与。スピード時代に寄り添うように、わずか約60秒のケアでフレッシュな表情へ、目元からアプローチする。

ELEMIS

 ブランド理念である、自然由来成分と最新技術を融合させることを貫きながら、「さらに各年代に合わせて、“より簡単なケアで” 最大の結果を導くことが必要でこうしたことを意識した商品開発を行う、「エレミス(ELEMIS)」から目元用のマスクが登場する。「デジタル化が進むなか、ライフスタイルの変化やこれまで以上に目元のケアに対する悩みを持つ方が増えたことに加え、さまざまな技術的な進歩があり、今回の発売に至った」(安藤エレミス事業部長)パディナパボニカやブッシュクローバーなど、厳選の植物成分を配合して処方。保湿やハリに作用するマスクとしてはもちろんのこと、乾燥などによるダメージから肌を守るプライマーとしても使用可能。「暮らし方の変化により、若い方でも睡眠不足やブルーライトの影響など、各世代のライフスタイルに合わせた製品づくりが必須になってきている。今後もさまざまな人に寄り添う幅広い商品展開が必要と考えている。今秋(10月~11月) に発売を予定。ブランド最高技術を結集した「ウルトラスマート プロコラジェン」シリーズを正式にローンチ、アイケアアイテムとして、デイ&ナイト モイスチャライザー「ウルトラスマート プロコラジェン アイトリートメント Duo」を発売する予定だ。

メイク時にプラスしたい3アイテム

ETVOS

 オリジナルブレンドの植物オイルなどの独自の処方により、乾燥による小ジワにアプローチするハイライトバーム「ミネラルラディアントスキンバーム」を発売する「エトヴォス (ETVOS)」。目元を美しく見せたい場合、明るい目元で抜け感ある表情を作ることが大切と言い、その効果的な使い方は、「別売りのデュオタッチブラシを持ち、目の下から頬の高い位置まで『ミネラルラディアントスキンバーム』を塗り広げる」(栗原蒼エトヴォス PR) まずはこの基本的な使用法を試したい。また「気分に合わせて、ミネラルラディアントスキンバームを指の腹にとったら、目頭、目尻、それに鼻の起点(目と目の間)にトントンとのせ、目から下には塗布しないようにする」方法が、よりエレガントな印象を生む。さらに、艶の魔法をかけてよりヘルシーな印象にしたい場合は、ミネラルラディアントスキンバームをデュオタッチブラシのブラシ側にとり、ゴーグルゾーン=目の周りから頬の高い位置までのゴーグルで隠れる位置に広く入れると、明るく澄んだ眼差しを演出することができる。

ADDICTION

 「アディクション(ADDICTION)」から、目元はもとより口元やほお、デコルテなどにも活躍するマルチパーパスの「ザ グロウ スティック」が10月にお目見え。96%もの保湿成分を配合したことで、濡れたようなみずみずしい肌をかなえる「ザ グロウ スティック」。オリーブオイル、ホホバオイル、サフラワーオイル、セサミオイルの4種のオーガニック植物由来成分を配合したグロウタイプのスティックハイライターは、肌の内側から発光するような自然な艶を与えたいときに瞬時に効果を発揮する。目元に塗布することで、生き生きとしたフレッシュな印象を宿す。「目元はもちろん、チークボーンとアイブロウボーンにも繊細な輝きを加えることができるプロダクト。特に目元は、ウオーターラインを強調するようにインナーコーナーに塗布することで、より目周りの立体感を引き立てることができる」(國京寛一・ADDICTION メイクアップ アーティスト)グロウタイプのほかに、超微粒子のパールがみずみずしく仕上げるパールタイプ3種もラインアップ。

MIMC

 「エムアイエムシー(MIMC)」のロングセラー、多機能バームはローズヒップとエルダーベリーの2種の保湿成分を配合した限定品で登場。メイク時にも活躍する「エッセンスハーブバームクリーム(ローズヒップ&エルダーベリー)」は、「瞬きなど動きが多く乾きやすい目元をしっとりと潤わせ、化粧ノリもよくなる。エアコンや紫外線による乾燥で目元の小ジワが気になる夕方には、少量を指先にとり、メイクの上から目元に馴染ませることで乾燥による小じわが気にならなくなる」(川﨑愛子MIMC PRマネージャー)。更に、朝晩それぞれのスキンケア時の効果的な使い方としては、「朝のスキンケアの最後に、目元にやや多めにつける。手のひらの体温でハンドプレスを長めに行うこと。そして夜のスキンケアではお手入れの最後に、目元にやや多めにつけたら目頭の内側にあるツボ=くぼみやこめかみの部分をプッシュしながら軽くマッサージし、コリをほぐしていく。これが視野が広がり、目元がぱっちりと開かせる」とレクチャーする。“ビタミンCの爆弾”と称されるローズヒップはハリをもたらしながら、ローズヒップで肌にやわらさを与える新作はファンデーションの下地としても活躍。

渡部玲:女性誌編集部と美容専門の編集プロダクションに勤めた後、独立。2004年よりフリーランスの編集者・ライターとして雑誌やウェブなどの媒体を中心に活動。目下、朝晩のシートマスクを美容習慣にして肌状態の改善を目指している

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【動画】ウオッチプラス 2021年春夏メンズのトレンドにフィットする時計を提案!

 「WWDジャパン」とハースト婦人画報社の時計デジタルメディア「ホディンキー・ジャパン(HODINKEE JAPAN)」の時計番組「ウオッチプラス」の5回目は、「WWDジャパン」が選んだ2021年春夏メンズの4つのトレンド(“加速する3つのレス”“人間礼賛”“SNS映え再び”“プロテクション”)にフィットする時計を両メディアが提案します。

 出演は引き続き、関口優「ホディンキー・ジャパン」編集長、和田将治「ホディンキー・ジャパン」ウェブプロデューサー、村上要「WWD JAPAN.com」編集長、三澤和也「WWDジャパン」記者(時計担当)の4人。“四者四様”の時計観をお楽しみください!

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フォーシーズンズホテルがホテルリテールを改革 アデライデと組む理由

 9月1日に開業を迎える、「フォーシーズンズホテル東京大手町」。その最上階にセレクトショップのアデライデ(ADELAIDE)がキュレートするライフスタイルストア「ザ スパ ブティック バイ アデライデ(THE SPA BOUTIQIE BY ADELAIDE)」がオープンする。“豊かな文化の創造”をビジョンに掲げ次世代のラグジュアリー顧客層を見据えた売り場には、日本の伝統工芸や国内外のクリエイターが生み出した特別な品々がそろう。両者が目指す本物志向のライフスタイル提案と、新しいラグジュアリー体験とは?アンドリュー・デブリト(Andrew De Brito)リージョナル・バイスプレジデント兼 フォーシーズンズホテル大手町 東京 総支配人と、長谷川左希子アデライデ/アディッション アデライデ=ディレクターに話を聞いた。

 「開業計画を進めるにあたり、退屈なものとなっているホテルのリテールを改革したかった。次世代を見据えたこのホテルにはもっと現代のライフスタイルに寄り沿える売り場が必要だと感じていました」と話すデブリト総支配人。協力者となるリテーラー探しを始め、三井不動産を介してアデライデに行き着いたのは緊急事態宣言渦中の5月ごろだったという。「ちょうど、私たちも3年前からライフスタイル提案のプロジェクトを水面化で考えていましたから、とてもありがたいお話でした」と長谷川ディレクター。「アデライデの持つアパレル、リテールの知識などを全て包み隠さず伝えることから始めました」と、わずか4カ月という短期間ながらも互いの理念やビジョンに共通項を見出せたこと、そしてお互いが透明性を持って取り組めたことが信頼関係につながったようだ。

 丸の内に続き都内2軒目のフォーシーズンズが出店する大手町は、東京のグローバル企業が拠点を置くビジネス街であると同時に、皇居を中心に緑が広がるエリアだ。ライフスタイルショップを擁する39階からは、そういった絶景が360度見渡すことができる。ラウンジがある同フロアには、「ピニェート(PIGNETO)」や「エスト(est)」、「ヴェルテュ(VIRTU)」という 3軒のレストランと、ライフスタイルショップを併設したスパを一つのフロアに集めた。デブリト総支配人が“ソーシャルスペース”と銘打つフォーシーズンズにとっては革新的なこのフロアを通して、宿泊客だけではなく、来館者に向けてもシームレスな体験を提供していくという。

 スパはレストランスペースの喧騒を遮るような重厚な扉の奥に位置し、皇居を望む20mのプールやジム、リラクセーションルームをつなぐ中間の空間がライフスタイルショップとなる。キュレーションのテーマは“サステナブル・クラフツマンシップ/本物志向・エッセンシャル/希少価値・リミテッドエディション”。扉を開くとお香がかおる暗がりの長い通路が現れ、潮工房(神奈川)のガラスや田淵太郎さん(高松)の白磁といった日本の美意識を感じさせる工芸品や、「叢- Qusamura」(広島)による植栽などがまるでアートのようにディスプレーされている。

 「アデライデもそうですが、アンドリューさんの中に“ギャラリー”というイメージがあったようで、そこにもシナジーを感じました。工芸品のセレクションは自宅でそういうものをコレクションして集めてきた母(長谷川真美子クリエイティブ・ディレクター)が担当しています」。

 一方で、上質なものをよりすぐったという、アパレル、ジュエリー、コスメ&スキンケアなどは、長谷川ディレクターが中心となってそろえたという。「アデライデ」と縁のある「ヴェトモン(VETEMENTS)」や「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIRLA)」といったトップブランドとは限定商品を製作した。また、バスソルト「アマヨリ(AMAYORI)」や米デザインスタジオが手がけるインセンス「テネン(TENNEN)」など日本初上陸のブランドのほか、長谷川ディレクターと同世代のクリエイターにもスポットを当て、ロサンゼルスを拠点に活動するモデルのローラが手掛けるワークウエア「ストゥディオ アール330(STUDIO R330)」を国内では唯一常設で取り扱うほか、「チヨノ・アン(CHIYONO ANNE)」のランジェリーからも限定品がそろう。「宿泊者の方にだけではなく、オフィスで働く人たちのギフトショップになればと、ここでしか手に入らないものにこだわった」と、母娘の世代を超えたセレクションで他にはない空間を生み出した。

 27年間もの間、フォーシーズンズに身を置くデブリト総支配人は、「今の時代における“ラグジュアリー体験”ついてはたびたび社内でも議論されてきたが、その一つに“経験”がある。常に移動し続ける現代人にとっては、座って誰かと食事をしながら会話することや、アートに刺激されてクラフツマンシップに敬意を感じること、時間をぜいたくに過ごし、五感を刺激し、感情を揺さぶられる体験をすることにこそ豊かさはあるのではないか」と話す。実際に、今回のライフスタイルショップがそういった新しいラグジュアリー体験において挑戦的な取り組みでもあるということは、互いが店舗在庫をシェアするという運営体制からもうかがうことができる。「このビジネスモデルが成功したら国内の他の施設にも適用していきたいですし、海外に向けても新しいラグジュアリーのモデルケースになるはずです」と、今後にも期待をのぞかせた。

高村美緒(こうむら・みお)/ライター:大学卒業後、雑誌出版社を経て、ウェブメディア黎明期にファッションニュースメディアの初期メンバーとして参画。約10年にわたりパリやミラノ、ニューヨークや東京のコレクション取材のほか、コンテンツ開発などを経験し、2018年に独立。現在はデジタルメディア「リング オブ カラー(RIng Of Colour)」の編集長を務めるほか、京都精華大学非常勤講師やファッションエディター、ディレクターとしても活動している

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「ポメラート」から初のハイジュエリー シーンを選ばず着用できる現代のラグジュアリーを提案

 イタリア発ジュエラー「ポメラート(POMELLATO)」から初のハイジュエリーコレクションが登場した。コレクション名は“ラ・ジョイア”で、イタリア語で“喜び”のことだ。「ポメラート」らしい色石の組み合わせやボリューム、センシュアルなフォームが特徴。ブランドを象徴するチェーンをはじめ、アイコンの“ヌード”“サッビア”などのコレクションを、贅沢な色石使いとパヴェセッティングをはじめとする高度なクラフツマンシップで豪華なハイジュエリーに昇華している。“ラ・ジョイア”は全165点で、カラフルで生き生きとしたハイジュエリーはシーンを選ばず着用できるのが魅力だ。

DNAに基づいた大胆で
遊び心のあるデザイン

 ハイジュエリーというと通常はクラシックなデザインを想像しがちだが、“ラ・ジョイア”はジュエリーのプレタポルテを提唱する「ポメラート」のDNAに基づいた大胆で遊び心溢れるデザインが特徴だ。また、多くのハイジュエリーは一部の富裕層やコレクターを対象にしたものが多く、石の希少性やグレードと各メゾンが持つクラフツマンシップが融合して誕生する芸術品ともいえる存在で、日常で着用するというよりは、特別なオケージョンやコレクション目的で購入されることが多い。「ポメラート」のハイジュエリーへのアプローチは、それらとは少し異なる。素材へのこだわりと高度なクラフツマンシップの融合はもちろん同じだが、「ポメラート」のハイジュエリーは特別な機会はもちろん、日常でも着用して楽しむためのものだ。‟ジュエリーのプレタポルテ“の精神に基づき、よりゴージャスな現代のラグジュアリーを提案している。

色の喜びを表現する比類ない
プレシャスジュエリー

 「ブランド設立50年が過ぎてジュエラーとしても成熟し、ハイジュエリーを提案するときが来たと思った」と、「ポメラート」のクリエイティブ・ディレクターを務めるヴィンチェンツォ・カスタルド(Vincenzo Castaldo以下、カスタルド)は語る。“ラ・ジョイア”は『ポメラート』の哲学を踏襲しつつ、ダイナイックでエクスクルーシブ、カスタムメード感覚で顧客と作り上げるコレクションだ。カスタルドは、「パリ・ヴァンドーム広場のジュエラーとは違って『ポメラート』が提案するハイジュエリーは”プレタポルテ”の概念を裏切ることなくより洗練されプレシャスなものだが、気軽に日常に着けたくなるようなイージーなジュエリーなのだ」と強調する。「ポメラート」というと色石というイメージ通り、“ラ・ジョイア”ではありとあらゆる色石、色石の中でも希少な色合いのものを集め、全て自社の職人が手仕事で仕上げる。「『ポメラート』独自のハイジュエリーを表現する上で色は重要。“ラ・ジョイア”では色の喜びを表現しており、ブランドの伝統を祝福するものだ」。

卓越したクラフツマンシップが
可能にする輝き

 “ラ・ジョイア“は「ポメラート」の約100人の金細工職人のクラフツマンシップの集大成ともいえるコレクションだ。さまざまなトーンの何種類もの色石のカットからセッティングまでの全工程を職人が手仕事で行う。しなやかに首元や手首に沿うチェーンやメッシュなどのセンシュアルなボリューム感も「ポメラート」の職人技の真骨頂の一つだ。また、数千個にもおよぶダイヤモンドや色石をカーブを描く地金にセッティングする緻密なパヴェセッティングも「ポメラート」ならでは。中には制作に200時間を費やすものもある。宝石をはじめ、大胆でエッジの利いたデザインを輝かせるのはまさに「ポメラート」の卓越したクラフツマンシップなのだ。

問い合わせ先
ポメラートブティック 銀座店
03-3289-1967

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元「ヨウジ」&「サポートサーフェス」の実力派デュオ 新ブランドで伝える“皮肉的なエレガンス”

 2020-21年秋冬シーズンに東京を拠点とする新たなブランド「イレニサ(IRENISA)」がデビューした。「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」でパタンナーとして経験を積んだ小林祐と、「サポートサーフェス(SUPPORT SURFACE)」で企画から生産、デザインまでを担当した安倍悠治の実力派デュオが手掛けるメンズブランドだ。

技術とユーモアの調和

 ブランドコンセプトは“CHIC WITH SARCASM”。“皮肉のあるエレガンス”と解釈できるこのコンセプトには、「シックな服作りを基本としながら、それに止まらない面白さを発信したい」(小林デザイナー)という思いが込められている。「例えばナースコートは、コットンなどの軽い素材で作られるのが一般的。そこをヘビーなウールで仕上げることで新しい見え方を提案した。また付属のレザーも通常は裁断しただけのものを採用することが多いが、レザーブランドの『モト(MOTO)』に製作してもらったベジタブルタンニンなめしのコバ処理済みレザーを使った」と小林デザイナーは語る。安倍デザイナーは「真面目すぎる服って意外と飽きちゃう。ただのオーセンティックでなく、今の時代らしい意外性も加えたい」と説明する。

 ファーストシーズンは、前述したナースコートのほか、ショールカラーのゴージラインをくり抜いた襟と身頃のプリーツラインが特徴のジャケット、生地の折り込みでセンタープレス風に仕立てたパンツなど、全8型を用意。価格帯は3万円〜15万円ほどで、取り扱いは国内2店舗だが、「予約完売するアイテムもあり、上々な滑り出しだ」と小林デザイナーは語る。

 黒やカーキなどを基調としたデビューコレクションと異なり、2021年春夏シーズンは色と柄も使ってコレクションの幅を広げた。しかし、意外性のある素材選びは継続し、軽い装いでカジュアルなムードが加速する春夏でも上品さを忘れない。「ウール表面のスケール(キューティクル)を取り除く“スケールオフ加工”を施し、羊毛とは思えないなめらかなタッチとハリを生むオリジナル生地をはじめ、上品な風合いは秋冬以上に大切にした。柄やモチーフを使うとどうしても子どもっぽくなってしまうから、僕ら世代でもなじむような服にはこういった素材が必要不可欠」と安倍デザイナーは考える。

ブランド名の意外な由来

 ブランド名の「イレニサ」は、会社の設立日である10月23日から名付けたもので、特別な意味はない。「既存の言葉を用いると、どうしてもブランドにイメージを持たれてしまう。それを避けたかった。自分たちのブランドだからこそ、真っ白なところからスタートさせようと思った」(小林デザイナー)。

 小林デザイナーは大学卒業後、文化服装学院の夜間コースで服作りを学び、「ヨウジヤマモト」に入社。ウィメンズとメンズラインを5年ほど担当した。阿部デザイナーは「サポートサーフェス」で企画、生産、パターン、デザインとブランド運営にまつわる幅広い分野を担当した。「会社員である以上、ある程度の制約は付き物。一定のルールの下で服を作るのも楽しいけど、やっぱり自分のブランドを持ちたかった」と小林デザイナーはブランド立ち上げの経緯を振り返る。

 ウィメンズ畑でキャリアを積んだものの、メンズブランドに着手した理由を安倍デザイナーに聞くと、「ウィメンズは、どこか空想というか、“他人が着るもの”として作る側面がどうしても出てしまう。でもメンズは自分が本当に着たいと思えるものを作り込める。だから自分たちが本当に共感を呼べるものづくりはメンズではないかと考えた」と答える。

 2021年春夏の展示会は「このご時世ながらファーストシーズンより多くの人に来てもらっている」と手応えを感じる2人。“着て初めて本当の良さが分かる服”だと自負するから、「成長スピードは早くなくていい。店舗で実直に世界観を伝えて、ファンを増やしていきたい」と笑顔を見せる。

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「ダイヤモンド調達の透明性が購入動機に」 ティファニーCEOが語る今後の戦略

 ティファニー(TIFFANY & CO.)は、0.18カラット以上のダイヤモンドについてトレーサビリティーを開示すると発表した。その取り組みは「クラフトマンシップ ジャーニー」と名付けられ、産出地、仕分け、カットと研磨、グレーディング、セッティングが行われた全てのロケーションを証明するものだ。この取り組みは、ダイヤモンド(0.18カラット以上)に産出地証明を付けて販売するという2019年にスタートした動きの延長線にあるもので、ティファニーのダイヤモンド鑑定書に含まれる。これらの取り組みはティファニーのような大規模なジュエラーにおいては初めてだ。ジュエリー業界は、労働条件や持続性に関する宝石調達の不透明性について長年闘ってきた。特にエンゲージメントリングやブライダルリングを購入するミレニアル世代による要求の高まりにより、これまで以上に取り組みが盛んになっている。

 アレッサンドロ・ボリオーリ(Alessandro Bogliolo)=ティファニー最高経営責任者(CEO)は、「われわれはこの取り組みを20年前から始めているが、発表するのには今が最適なタイミングだ。この取り組みは私の前任者による決断で、消費者にわれわれが過去20年間取り組んできたことを提供できるのを幸運に思う」と話す。ティファニーは何年も前から垂直統合に投資してきたが、ダイヤモンドの原産地などの詳細を公表することはボリオーリCEOの新戦略における決定だ。この取り組みはティファニーのダイヤモンドの価格には影響しないという。「多くの投資と調査が必要なことなので、競合企業が簡単にまねできることではない」とボリオーリCEOはきっぱり。「この取り組みが、販売されるあらゆるダイヤモンドの原点と調達経路を知る権利があると消費者が考えるきっかけになればいいと思っている。たとえダイヤモンドが倫理的に不透明性を持つものであると思われても、正しい取り組みは可能だということを証明できる。この取り組みは、ジュエリー業界のスタンダードを根本から変えるはずだ」。

 ボリオーリCEOは、ティファニーのこの取り組みは特に若い消費者から反響があるという。「かつて両親がエンゲージメントリングを購入したとき、それは慣習だった。今は、個人がそれを購入するかしないか決断する時代だ。われわれのトレーサビリティーの取り組みに対する価値は絶大だ。なぜなら、それが購入動機になり得るから。トレーサビリティーは多くの顧客がダイヤモンドを購入する際の説得材料になるはずだ」。トレーサブルかつサステナブルに採掘された宝石の需要に関して、ボリオーリCEOは、「オーストラリアではジュエラーはより高いエシカル基準を要求される。中国市場でさえ最近はそれらに対する関心が高まっている。このような消費者の動向は中国やアジア市場で見られており、特に若年層はエシカルなものを購入することへの関心が高い」と話す。

 ティファニーのアニサ・カマドーリ・コスタ(Anisa Kamadoli Costa)=チーフ・サステナビリティ・オフィサーは、「ラフ(原石)からダイヤモンドを調達し自社で加工するということは、トレーサビリティーだけでなく、『ティファニー』のダイヤモンドの工程に携わるコミュニティーに良い影響を与えていることを表す」と話す。ティファニーがトレーサビリティーの取り組みを色石にも適用するかという点に関しては、カマドーリ・コスタは、「ダイヤモンドにビジネスチャンスがあるので、今はそれに注力する。約8割の色石は小さな鉱山から産出されるため、その原産地を知るのは困難であるというのが現実だ」と言う。

 ティファニーのトレーサビリティーの取り組みは、新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンで、より多くの消費者がジュエリーをECで購入するようになった動きに対するものでもある。ボリオーリCEOは、ロックダウン中の消費傾向について「ECにおけるエンゲージメントリングやマリッジリング、ダイヤモンドリングの購入が急速に伸びた。以前は、カップルで店舗に行って選んでいたが、それが不可能になったためだ。ありがたいことに95%の店舗の営業が再開した」と述べている。「一方で、ロックダウン中に購入せず店舗が再開してから購入する顧客もいた。これらの顧客は衝動買いではなく計画的に購入を考えている」。

 ティファニーはLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)による買収の途上にある。7月にLVMHのジャン・ジャック・ギヨニー(Jean Jacques Guiony)=チーフ・フィナンシャル・オフィサーは162億ドル(約1兆7000億円)を投じてのティファニー買収に関する進捗について、約6件の独占禁止法がらみでとん挫しているがどの国かに関しては言及しておらず、「前進しているがいつ成立するかは分からない」とコメントしている。

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ユナイテッドアローズがスキンケアを始めた理由とは? 「ファッションは洋服だけではない」

 ユナイテッドアローズ(以下、UA)が化粧品事業に本格参入した。ヤブ椿オイルを主軸にしたスキンケアブランド「ジュース(JUICE)」を立ち上げ、マルチオイルやリップ、ボディークリームなどをラインアップ。ファッションのトレンドを発信するセレクトショップのUAが、化粧品事業と聞けば普通、カラーメイクアップ製品ではないかと想像するが、実際は3年の歳月をかけて開発したこだわりのスキンケアだった。今なぜ、スキンケアなのか。開発を担当した第一事業本部 ウィメンズ商品部 レーベル推進課 STYLE for LIVING MDの西岡麗バイヤーに聞いた。

WWD:セレクトショップの先駆者としてライフスタイル提案を行ってきた「ユナイテッドアローズ」だが、約10年前の取材でも「ビューティはライフスタイルの一部」と話しており、ビューティ関連アイテムを取り扱ってきた。なぜ今、オリジナルでの化粧品開発なのか?

第一事業本部 ウィメンズ商品部 レーベル推進課 STYLE for LIVING MD西岡麗バイヤー(以下、西岡バイヤー):当社経営理念からも、美容はファッションの一部であり、トータルで提案するのが自然と考えていました。ただ、店頭でコスメをバイイングしていて興味はありましたが、お洋服屋さんですし自分たちで作るという発想は現実問題難しいと思っていて……。

そう思っていた約3年前に、弊社ファッションマーケティング部の調査で、「これまで以上にファッションは洋服のことだけではない時代になっている。ファッションと同様に化粧品もできないといけないのでは」と。同時にマーケの方でさまざまな出会いから「ヤブ椿オイル」には行き着いていました。業務として化粧品をバイイングしていた私に、「このオイル、どう思う?」って話が来たんです。最初はお手伝いって感じだったんですけど(笑)。

WWD:3年前と言えば、低迷するファッション業界を尻目に、ビューティ業界は右肩上がりで成長していた。そういった流れもあったのか?

西岡バイヤー:確かにビューティ関連の売り上げシェアはじわじわ高まっていました。でも、ファッションがダメだからビューティというのでは全くありません。ファッションもビューティも全部合わせて、それがおしゃれ。肌が整っていないと何を着ても気分はどんよりしてしまうんですよね。だからこそ開発したんです。

WWD:開発にあたり苦労した点は?

西岡バイヤー:ヤブ椿オイルに出合ったところから、この開発は始まっていたので、そこから広げていくのにはそんなに苦労はしませんでした。オイルはバイイングでもたくさん試していたし買い付けていました。私自身、オイルが大好きで、顔が足りないって思うぐらいです(笑)。このヤブ椿オイルを初めて使った時は、その浸透力など本当にすごいと思ったんです。このオイルに惚れ込みました。そこから結局、中心となって開発することになったんです。

WWD:チームに化粧品業界出身者はいるのか?自分たちでモノ作りをしているのか?

西岡バイヤー:業界出身者はいません。ナチュラル系コスメを得意とするOEMメーカーのオーラコスメティックスさんと作っています。苦労しなかったと言いましたが、いざモノ作りを始めて困ったのはテクスチャーでした。たくさんのオイルを触ってきていた経験からの感覚でメーカーさんには伝えるしかなくて。手振りでスーと入るとか、何度も伝えました。香りも同じで、リッチタイプでは最初は柑橘系で上がってきたんですが、もう少し爽やかにというか、甘すぎないというか。その微妙なバランスを伝えていくことで完成させることができました。

WWD:ナチュラル系の化粧品のパッケージはもっとナチュラルになりそうだが、濃いグリーンが印象的だ。

西岡バイヤー:チームに男性が入る前は、白のボトルでクリーンなイメージだったんです。でも女性、男性問わず話を進めていくうちに発想が変わってきました。これは何度もボツりましたね。ちゃんとストーリーが伝わるもの、ファッションの一部として伝えていこう。誰が持っても、置いてもおしゃれじゃなきゃ。その視点が大きかったと思います。ジェンダーフリーで使えるというのもコンセプトなんです。また、現在はコロナ禍で様相が変わっていますが、UAにはたくさんの外国からのお客さまもいらっしゃるので、ボトルに印字した表記は英字にしました。

リアルとオンラインで発表会開催

WWD:すでにUAの一部店舗と公式オンラインストアでは先行販売している。反響は?

西岡バイヤー:正直なところ、告知もせず店頭に置いているだけなので反響というほどではなく、興味を持っていただくというところで止まっています。ただ、このほどファッション・ビューティ業界の関係者(セレクトショップやメディア)を呼んでリアルとオンラインで発表会を開催しました。それにより取り扱ってもらえるショップも増えたらいいと思いますし、メディアへの露出も増えていると思います。

WWD:これまで御社では、洋服などを並べてメディアに見てもらうプレビューの開催が中心で、ビューティ業界が行なっている発表会という形式は珍しい。またリアルとオンラインと併用も大変だったのでは?

西岡バイヤー:初めてのことで手探りでした。オンラインだけでも良いのでは?という話にもなったのですが、実際に手で触って体感してほしい、リアルの対面で説明したい、聞きたいということもあり人数を制限して行いました。
オンラインでは、画面越しに観るというのは淡々と聞いているだけになりがちで集中力も切れる。だから、スライドを見せたり、スピーカーも代わりながら飽きさせない方法を考えました。台本も、話が長いと眠くなるとか、ジェンダーレスに使えるアイテムだから男性目線で使い方を入れた方がいいとか、テクスチャーは手を見せながらがいいよね、スライドの文字数はこれぐらい……とかなり時間をかけて練習しました(笑)。

WWD:やってみてどうだった?

西岡:オンラインは視聴者の表情が見えないので、実際どう伝わったのか……。リアルの方が表情も分かるし、うなずいてくれたり、メモしてくれていたりで分かりやすいなあと。ただ、こういう状況下でオンラインという手段で広められたのは良かったと思います。リアルだと会場を借りて作り込まないといけないとなると費用も嵩むというのもありますが、今回社内のプレスルームで開催したので抑えられました。費用より何より、プレスルームにはたくさんのお洋服が並んでいてその中を通った先に会場を作ったのですが、ビューティ関連のメディアの方からには「お洋服がこれだけある状況が新鮮」「見るだけで楽しい」など、ファッションのセレクトショップならではの雰囲気が出せたことは良かったと思います。

WWD:今後の展望は?

西岡:10月にはスクラブウオッシュとフォームウオッシュが発売になりますし、来年以降、新製品も展開していきます。個人的にはカラーアイテムも作りたいですね。9月下旬から一般販売も始まり、卸売などにも拡大したいと思っています。ポップアップを行ったり、ゆくゆくは単独店舗も持ちたいです。

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2006年生まれの14歳が菅付雅信&山縣良和に直撃「東京芸術中学って将来何の役に立ちますか?」

 編集者の菅付雅信は、「リトゥンアフターワーズ」デザイナーの山縣良和がディレクターを務める渋谷パルコの9階の教育スペース「GAKU」で、中学生に向けたアートスクール「東京芸術中学」を9月から開校する。ゲスト講師にはアーティストの会田誠、ダンサーの菅原小春、スタイリストの北村道子、音楽家の渋谷慶一郎、建築家の田根剛、「アンリアレイジ」デザイナーの森永邦彦などの豪華な顔ぶれが並び、授業料は30万円。対象は中学生ではあるものの、その分野のトップクリエイターたちを招聘した野心的なアートスクールだ。この「東京芸術中学」の1番目に申し込んだ中学生、瀧澤照英くん(インタビュー当時は13歳)が、菅付雅信&山縣良和に直撃した。「東京芸術中学って、なんの役に立つの?」。

瀧澤照英くん(以下、照英くん):本日はよろしくお願いいたします。僕は初音ミクが好きで、将来は音楽関係の仕事もしたいと思っています。いきなりですが、「東京芸術中学」って将来役に立ちますか?

菅付雅信(以下、菅付):僕自身は多摩美術大学で教えたり、下北沢の書店「B&B」で編集スパルタ塾というのを7年間やっていたりと、いろいろ教えるということをやってきました。そんなときにパルコ側から10代を教育する場をつくってほしいというオファーがあったんです。大学生や社会人は教えた。でも、もっと若い人を教えるとなると、それだったら中学生の頭をクリエイティブにすることを思いついたんです。大学生以上になると、アートやデザインの知識がそれなりにある人もいるけど、そうじゃない人もいる。でもクリエイティブの教育は早ければ早いほどいいんじゃないかとは感じていました。大学生からでは、アートやデザインに触れるのは遅すぎる。中学生くらいのスポンジのように柔らかい頭にクリエイティブなものをガンガン入れてしまった方がいいと思ったんです。

照英くん:もしアーティストやデザイナーを目指すなら、スタートが早い方がいいってことですか?

菅付:確率論的には、ということです。もしその人に才能やセンスがあったとしたら、できるだけ早い方がいい。

照英くん:なるほど。では夢をかなえるために必要なことはなんですか?

菅付:その前に僕のことを話させてください。僕は宮崎県出身で、宮崎県内では一番の進学校に入ったんだけど、落ちこぼれだったんです。どのくらい落ちこぼれかというと、450人中440番台。440番台の人たちとは落ちこぼれ同士でみんな友だちでしたが(笑)。不良ではなかったんですが、授業受けたくない、学校行きたくない。そんな高校生でした。その後法政大学に進学したものの大学も中退しちゃったんだけど、いま思えば学校にもいいところはたくさんあった。社会に出ると1人でなんでもできるわけではなくて、多くは共同作業なんです。その意味では、刺激を与えあって競争することを体験できる環境はいいんです。ただ、本来は一人ひとり個性を持った人間なのに、学校は同じカリキュラムと画一的な判断基準で、システマチックに判断されてしまう。本来は文化的な感性は個人差が大きいはずなのに。「東京芸術中学」は、少人数でもいいから、同じような感性や気持ちを持った人が集まって文化や芸術を学べる場であればいいと思っています。

山縣良和(以下、山縣):「東京芸術中学」には、文化やアートのいろんな分野のプロが来ます。文化やアートっていっても、ファッションや音楽、写真、演劇、ダンスなどいろいろな分野がある。そういった多分野のプロたちから熱中する種をもらえるというのがいい。中学生向けの学校ということに限らなくても、これだけのプロたちを見れる場は、そうそうないのではないか。

菅付:クリエイティブ教育で重要なのは、カリキュラムよりも人だと思うんです。つまり、教える人。なんだかわからなくても、非常に優れたアーティストが一生懸命、自分の分野の歴史やクリエイティブについて話している、その同じ場でやり取りできるってことは、どんなに優れた教科書よりも効果があると思っています。なぜなら人は人に感動したいから。リアルに、自分の目で耳で、目の前のすごい人の話に共感して、感動してほしい。15人の先生が、新しいものを生み出すために過去にこんなに苦しんだ、こんなことにすごく感動した、そういう話を聞くと、同じ人間なんだなあと思うじゃない。年の差があってもそれはわかる。同じ場にいることが大事なんだよね。

照英くん:サポート体制を教えてください。

菅付:かなりのスパルタ式です(ニヤリ)。毎回レクチャーがあって、レクチャーの最後に課題を出します。課題は1〜2カ月後に提出して、講師が講評します。講師はそれぞれの分野のトップクリエイターですが、例えば音楽家の人は曲を作らせよう、ダンサーの人はダンスを創作させようと考えています。そしてそれを彼ら/彼女らが講評するんです。すごい刺激にはなります。

照英くん:面白そうですね。視野が広くなる気がします。

山縣:モノ作りは独立した気持ちが大事です。どんどん講師に質問をしてほしい。ある意味で、講師や時間、場所を自由に使ってほしいけど、その方法はあえていいません。時間をどう使うか、先生からどう引っ張り出すか、それを自ら考えてくれたらいいなあと。

照英くん:生徒たちに期待することは?

菅付:先生の話に触発はされてほしいけど、うのみにはしないでほしいなあ。自分だったらこうするかなあとか、自分だったらそうはしないなあ、とか。自分の考えを押し殺さないほしい。「東京芸術中学」の授業数は、学校の授業に比べたら格段に少ない。その分、「東京芸術中学」は普通の中学校では与えられない大きな気づきを中学生に与えたい。ある種の感覚や才能への気づきを得てもらって、眠ってるものを引き出してほしい。これ好きかも、これいいかも、これ面白いかも。そんな気づきを触発できればと思っています。クリエイティブに限らず、プロになりたいかかどうかは早い段階で気付ければ、迷わず努力して、それを積み重ねて夢に近づけていける。それはすごく重要なことです。例えば20歳になってから、プロのサッカー選手になりたいと思っても難しいですよね。だからクリエイティブでも好きなジャンルがわかっていれば、勉強のスタートが早ければ成功する可能性が高くなるはずです。アートでも同じだと思うんです。気付きは早いほうがいい。そして好きだ、勉強したいと思ったら、その時点から一生懸命インプットしたほうがいい。照英くんはテニスをやっているそうだけど、スポーツでも大事なのは基礎体力。芸術も同じで、10代からやっていくべきなんです。音楽をたくさん聴いてみよう、聴いているだけじゃなくて曲を弾いてみようとなったら、関わり方が違ってくる。そうなると聴き方や見方が変わる。それが大事なんです。

照英くん:山縣さんはどう思います?

山縣:自分のことも他人のことも、あまり決めつけないほうがいいと思っています。自分はこれが苦手でできないんだって思い込みすぎちゃって、自分にレッテルをはるのはよくない。僕は何にでもなれる、何でもできると考え、そしてそこで出会った友だちにも影響を受けて、その変化を受け入れていくこと。僕も小学校、中学校で、ほんとびっくりするくらい勉強ができなかった。よくテストで「0点」も取ってました。でもそんな自分に「0点」のレッテルを貼ったりすると、それで終わり。僕はそれでも何かできるかもしれない、と思えたことが助けてくれた。リラックスして、自分は何でもできるかもしれない――そんな風になってくれればいいなあと。

山縣:照英くんは親御さんから「うちの子は変わってて」って言われてたけど自分でどう思ってる?

照英くん:うーん。そうは思ってないですね。

菅付:まあ、クリエイターなんてみんな変わっていて、品行方正な人なんて皆無だよ。自分が違うってことをエネルギーに変えていけばいい。むしろ違うってことが価値になる。学校の勉強できなくてもめちゃくちゃ映画に詳しいとか、なんでもいい。でもそれらの強いこだわりがその人の個性であり、教養になっていれば、クリエイティブの分野だと成功しやすい。「東京芸術中学」はこんな小さな空間だけど、それでもその少ない人数の中で人と違うってことを、良いエネルギーに変えてほしい。「東京芸術中学」で学んだ後には、ほかの人と違うってことが素晴らしい――そういった感覚を持ってほしいな。

照英くん:ところで菅付さんの編集者ってどんなお仕事なんですか?

菅付さん:辞書的な説明をすると、雑誌や本を作るってことなんだよね。でも半分は合ってるけど、半分は外れている。編集の本質は、企画を立て、人を集め、モノをつくること。昔はマスなメディア、つまりは大量に伝えるコミュニケーション手段が紙だったけど、今はメディアがすごく広がった。僕はいろんなメディアに編集が必要だろうと思っています。例えるならスマホのアプリを作ってる人も編集だと思っています。

照英くん:うーん。わかるようなわからないような。

菅付:アプリを作るのも、企画を立てて、人を集めて、モノをつくっているから編集だと思う。そして世の中には自分よりずっと才能がある人がいっぱいいます。だから何かを作りたかったら、自分にない才能を持つ人たちに頼めばいい。世の中にはまだない、全く新しいモノやコトを企画して、人を呼びかけて作る、それが編集者の仕事です。例えば、この篠山紀信さんの写真集「TOKYO ADDICT」(小学館)のときは、僕が誰をどこでいつ撮影するのかを決めて、被写体と篠山紀信さんのスケジュールを調整しました。

照英くん:編集者が、撮影する日時を決めたりするんですね。

菅付:うん。どういった撮影にするのか、例えば大型カメラで撮影するのか、どうしたらいい写真になるのか、なども相談しています。このパラパラダンスの写真は、当時パラパラダンスが流行っていたので、パラパラダンサー1000人に集まってもらって、このクラブの営業開始の6時間前に行って、セッティングして撮影しました。撮影するときには音を出せなかったけど、盛り上がっているようにするためにいろいろ準備しました。篠山紀信さんのような写真家のスーパースターと被写体の間にはいって、大変なことも本当に多い。それでもいい写真が撮れた、生み出せた、それができたら、苦労は報われたから、全部OK(笑)。写真を撮影するのは写真家だけど、編集者が企画して初めて世の中に生み出せる。それが編集者の醍醐味です。

照英くん:ファッションデザイナーはどんな仕事なんですか?

山縣:わかりやすく言うと、“人の装いを作る”ことです。服をデザインするだけじゃなくて、人の内面と向き合い、メイクや髪型、どんなスタイルにするのか、それをどうやって見せて伝えるか。僕の場合はファッションショーを重視することが多いのだけど、そのときには伝えたいメッセージやコンセプトを考えて、会場を選定して、服を作って、メイクや髪型、モデルを歩かせる順番などを考えて決めていきます。ショーを見てどう感じるかは人それぞれだけど、ショーを見たことで、人の意識や行動を変えるきっかけを与えたいと思っています。照英くんはどんなファッションが好きなの?

照英くん:好きなファッションというか、身だしなみはいつも整えたいとは思ってます。テニスをやっているので、ウエアも同じメーカーでそろえたい。やっぱりメーカーって一つのテーマで沿って服を作っているので、同じメーカーじゃないとちぐはぐになっちゃうので。

山縣:そうだよね。でも逆に、わざとちぐはぐにするからかっこいいという考え方もある。どっちもあるんだよね。あえて崩すことで見えることもある。いろいろな考え方があることを知ってほしいです。ファッションショーでは、これまで見たこともない服が出てきて、それが時代を変えることがある。ファッションは人間に一番近いメディアだから、それが可能。ファッションが新しい人間像を作って、世界が変わる――それが醍醐味です。

照英くん:いつも心がけていることはありますか?

菅付:誰もやってないことをやりたい、と思っています。嫌いなことは他の人がすでにやっていることをなぞること。誰かの後ろを歩くようなことはやりたくない。そのためにも他の人がやっていること、すでに他の人が歩いている道を知ることが重要です。オリジナルだと思っても、他の人がやっていることも多い。

山縣:わかります。「これ、誰かのまねだよね」って思われるほど嫌なことはない。もちろん似てしまうことはあるけど、ここだけはやってないんじゃないか、っていう小さくても何かを探して、ファッションをデザインしています。

菅付:どんなジャンルでも一生懸命、熱中してやっていれば、必ずその人らしさは出る。でもそれは個性であっても、オリジナルではないんだよね。だから探さないと見つからない。でも探せばきっとある。それを一生懸命続けることで、完成度が高くなって、自分だけの道を歩ける。本当の個性が出るんじゃないかな。

照英くん:個性を出すためには、やりたいことを一生懸命やればいいってことでしょうか?

山縣:大事なのは、自分が当たり前だと思っていること、普通だと思っていることを、もう一度見直してみることだと思います。自分が当たり前だと思っていることの裏側に個性のヒントがある。当たり前だけど、自分と他人が全く同じということはない。それこそ、置かれていた環境って十人十色なわけで。それをよく考えていくことで、自分らしさや個性のヒントがあると思っています。

照英くん:これまで手がてきた自分の作品とは、どんな存在ですか?

菅付:自分がつくったものはなかなか客観的に見れない。だから、いろんなことを言われるのは大事なこと。練習試合も大事だけど、本番試合をたくさんやったほうがいい。それが糧になる。編集者の場合は、それを記事にするなり、出版なり、世の中に出すこと。そうして社会からの評価を受ける。自分が編集した本のアマゾンのレビューなんかを読んでいると、めちゃくちゃ頭に来ることも多いよ。ろくに読んでないのに、低評価を付ける人だっている。でも、それを恐れていたら次のところに行けない。

山縣:同感です。作るってことは、覚悟を持つってことだと思います。覚悟を持って世の中に出す行為が作品なんだと思います。バリアしすぎちゃうと、大事なことが見えなくなる。一つ一つその繰り返しです。

照英くん:勇気が必要なんですね。

菅付:何かを出したら、いろんな人がいろんなことを言ってくる。でも何かを出したら、評価や代金などに加えて、知恵をくれることも、人を紹介してくれることだってある。世の中とのキャッチボールをどうするのかは、プロとして大切なことだと思います。万人から喜ばれることもあれば、少しだけ好きになってくれる人もいる。なんにせよ強い願いを込めて出すと、反応してくれる。そういった仲間をどれだけ増やせるかが大切なんだと思います。

照英くん:最後にメッセージをお願いします。

菅付:YOU ARE NOT ALONE。僕たちは一人ぼっちじゃない。共感するする人たちがいるってことを感じ合うことは大切です。クリエイティブな人たちの数はけっして多くない。時代の空気や価値観、新しいコトを作れる人は少ないけれども、そうした人が次の時代を作る。だから「東京芸術中学」は、そのいい空気を作っていきたい。空気を読めるヤツ、じゃなくて空気を作れるヤツのたまり場にしたいなあ。

山縣:世の中には変わった人たちがたくさんいます。さまざまな個性で出会えるカオス的な場になったらいいかな。

WWD:最後に照英くん、今日聞いて印象的だったフレーズは?

照英くん:「自分だけの道を探して歩く」です。これからの授業が楽しみです!

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夢はパリコレを歩く漫画家 ボン イマージュの新人モデル、ブライアン・リー

 来日5年目のカナダ人ブライアン・リー(Bryan Lee)は8月、大手事務所ボン・イマージュでモデルとしてのキャリアをスタートさせた。オーディションで毎日が忙しなく過ぎる中でも、「ペンを握らない日はないよ」と言う彼は、実は漫画家でもある。9月5日まで、自身6度目となる作品展が東京・下北沢のカフェ&ギャラリースペース「キャンドルカフェ」で開催されている。

 今回の展示作品「穴」は、将来を嘱望される自閉症の天才画家少年が、美術館に展示された自分の作品を盗み出すところからストーリーが始まる。16ページの短編は、ポップなタッチでありながら人間の汚さや純粋さとともに、自身の「周囲の期待に応えること」への反発を投影した。「僕はいつも思ってるんだ。大人はみんなが人生の大事なことを知っているわけじゃない。なのに僕にはこうするべきだ、こうなるべきだと勝手なことを言う」。20歳のブライアンには、ロシア、カナダ、インド、中国と4カ国の血が流れている。彼は作品制作を通じて、自分のナショナリティや人生と向き合い、そしてモデルと漫画家という2つの夢のはざまで「自分は何者になりたいのか?」と自問し続けている。

漫画漬けの日々も 先に決まったのはモデルデビュー

 生まれは台湾・台北。物心をついたときから人前に立つのが好きな少年だった。「振り返れば、その時からモデルになる素質はあったのかも(笑)」。だが夢中になったのは日本のアニメだった。「毎日弁当を食べながら『ヨルムンガンド』とか『男子高校生の日常』『けいおん!』みたいな日本の学校を題材にしたアニメを見て、日本に行きたいと思うようになったんだ」。中学卒業後は来日し、東京の日本語学校に入学。アニメの原作に触れる中で、作家が物語からキャラ設定、画まで一人で作り上げる漫画家という職業にひかれた。平凡な高校生が人気作家になるまでのリアルを描いた「バクマン」の主人公に自分を重ね、日本語の猛勉強をしながら1日8時間は筆を動かす毎日を過ごした。

 だが高校3年間では、手塚賞(集英社が主催する新人漫画家の登竜門)入選には届かず、その後漫画の専門学校へ進学するも「ペンを持つのが嫌になった時期があった」。そのときたまたま見つけたのが「メンズノンノ(MEN‘S NONNO)」のモデル募集。「結局(選考は)落ちたんだけど、それで自分の中に火がついたんだ」。それから1カ月で10キロ体重を落とし、専門学校の友人をたどってファッション関係のイベントに参加したことをきっかけに、モデル事務所への所属が決まる。

 「不思議だけど、モデルをやるようになって漫画を描く時間は減ったのに、自分でもはっきりと上手くなったのが分かる。単純に絵が上手になったんじゃない。『ドラゴンボール』なら鳥山明、『ワンピース』なら尾田栄一郎さんみたいな……。それは大げさだけど、でも『僕にしか描けない』っていう個性が線ににじむようになった」。撮影の現場ではプロのカメラマンやスタイリストなど一流のクリエイターと触れ合う中で、創作につながる様々な気づきが落ちている。「カメラマンに要求されるたたずまいだったり、スタイリストが着せてくれる自分自身でも気づかないような個性を表現してくれる洋服だったり。漫画にも生かせるヒントは現場にたくさん落ちているから、いつもメモを持ち歩いて書き留めるようにしているよ」。

2つの仕事が刺激を与え合う 「どちらも本気で極めたい」

 この夏、通っていた専門学校を辞めた。「モデルをやって、環境や周りの人間が一番自分を変えてくれるんだと気づいた。だから漫画家を目指すのも、プロのアシスタントになるのが近道だと思った。両親とか周りの大人には『学校は出た方がいい』って言われたけど、思い切ったよ。自分の人生に一番大事な選択は自分の意思でしたいし、今がそのタイミングだと直感したんだ」。

 しばらくはモデルで稼ぎながら、そのかたわら漫画を描く生活を続けるつもりだ。自分の将来については「モデルは26、7歳くらいまでが賞味期限って言われているけど、漫画は一生書けるから安心だね(笑)」と冗談交じりに話す。「結局僕は何になりたいのかって?うーん、『漫画が書けるモデル』はちょっと違う」。ブライアンにとって2つの仕事は互いにいい影響を与え合うもの。「だからこそどちらも本気で続けるし、極めたい。(『スラムダンク』の)井上雄彦みたいに美術館で展示されるくらいの作品を作りたいし、パリコレにも出たい。きっとその先に、自分だけにしかなれない表現者の姿があるはずだと思っている」。

■BRYAN LEE EXHIBITION 「穴」
日程:8月22日(土)〜9月5日(土)
時間:11:00〜29:00(日月祝は18:00〜)
場所:CANDLE CAFE & Laboratory △Ⅱ
住所:東京都世田谷区北沢2-37-3-2A

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ランジェリー業界のゲームチェンジャー vol.8 ニューヨークと日本をつなぐ「リリピアーチェ」の早瀬芳子・彩子

 サイズ展開の多さから在庫管理が煩雑であり、主力商品のブラジャーは使用する資材の種類が多いためロットが大きくなるなどの理由で、新規参入が難しいとされてきた下着業界。これまで大手ブランドやアパレルブランドの寡占が顕著だったが、ここ数年、30代の女性を中心に新ブランドを始めたり、SNSで情報発信したり新たな動きが見え始めている。そんな下着業界に新風を吹き込むゲームチェンジャーらにインタビューし、業界の今、そして今後の行方を探る。

 最終回となる第8回に登場するのは、2013年にニューヨークでブランドデビューした「リリピアーチェ(LILIPIACHE)」の早瀬芳子・彩子デザイナー。現地の有力店舗で取り扱われるほか、「アンソロポロジー(ANTHROPOLOGIE)」ともコラボするなどして注目され、翌年から逆輸入の形で、伊勢丹新宿本店をはじめ日本の百貨店でのポップアップストア展開がスタートした。18年8月からはその実績を踏まえ、阪急うめだ本店で商品を定期的に販売している。現在もニューヨークと日本をつなぎ、ブランドを運営している。

――ニューヨークでブランドをスタートさせた経緯は?

早瀬芳子「リリピアーチェ」デザイナー(以下、芳子): 2005年3月に妹の彩子と優子・ストークの3人で、上田安子服飾専門学校の卒業コレクションを作ったのがきっかけです。そのとき、「いつか一緒にブランドをやれたらいいね」と話していました。それぞれ就職した後も3人でたびたびニューヨークに旅し、エネルギーに溢れ、多種多様な文化や物が混在する街の雰囲気に魅了されて「ここに住みたい」と思うようになりました。どうせブランドを始めるならニューヨークでやろうと目標を決め、優子と私は09年に渡米。はじめは洋服のブランドを始めましたが、優子はランジェリーの、私には水着のパタンナーとデザイナーの経験があったのと、ニューヨークはランジェリーカルチャーも豊かで面白いショップも多かったので、13年にランジェリーブランド「リリピアーチェ」をスタートさせました。

――ブランドコンセプトは?

早瀬彩子「リリピアーチェ」デザイナー(以下、彩子):「リリピアーチェ」という名はデザイナー3人のイメージから生まれた花で、優雅なユリと、色彩も香りも豊かなイヴ・ピアジェというバラに由来しています。そんな美しい花が与える幸せを全ての女性に届けたいという思いを込めました。とくに自然の色からインスパイアされるカラー展開にこだわっていて、最初の色出しは自分たちで染めています。実は私、小さな頃は花屋さんになるのが夢で、ニューヨークでフローリストとして働いた経験もあります。未経験でもやりたいことを後押ししてくれる、ニューヨークはそんな街です。

多様性が下着市場の広がりとなり、夢のある売り場に

――いきなりニューヨークというのは思い切りましたね。

芳子:家も決めず渡米して、最初はゲストハウス暮らし。英語もあまりしゃべれませんでしたから、今思い返すと若さと勢いでしたね(笑)。コネクションも全くなく、生地の手配も工場探しも手探り。ニューヨークのガーメント地区の工場を一軒一軒回って縫ってくれるところを探しました。最初に頼んだ工場は、納期は守らないし縫製は粗いし修正も進まない。やっとできた商品を納品しても、今度は支払いが滞る店があったりと苦労もありました。その中で、中国人女性がオーナーの工場と出合い、やっと生産と品質が安定しました。母親くらいの年齢の彼女は「リリピアーチェ」を応援してくれて、お金がなかった私たちを自宅に呼んで食事を振る舞ってくれることもありました。彼女がいたから今の「リリピアーチェ」がある、ニューヨークの母ともいえる恩人です。14年に私が帰国して生産を全て日本に移行しましたが、その日本の工場でも縫い手にしかわからないことや縫製の難しさを教えてもらいながら、その知識をデザインやパターンに生かしています。

――国をまたいだ3人での運営だが、役割分担は?

彩子:デザイン、パターン、営業など役割分担は決めていず、それぞれがそのときできることをやっています。工場に出向くのは必然的に日本に住んでいる芳子の担当になりますが、コミュニケーションもオンラインで行うので問題ありません。

――ニューヨークの有力店舗との取引のきっかけは?

彩子:ニューヨークの専門店「ジョアネル(JOURNELLE)」も「アンソロポロジー」との出合いも、ランジェリーの見本市「カーブ(CURVE)」がきっかけです。「ジョアネル」のオーナーは、米国ブランドにはないフェミニンなテイストを気に入ってくれ、その場でオーダーしてくれました。たとえ無名でも良いと思ったら評価して決断する、それがニューヨークなんです。「アンソロポロジー」はブランドのテイストと「リリピアーチェ」の世界観がマッチして、コレクションのオーダー以外にコラボラインも15年にスタートしました。「アンソロポロジー」に並ぶことでわれわれの認知度も上がり、それを機に営業しなくても他店から取引依頼が来るようになったし、オーダー数も大きいので経営も安定しました。一番多いときで、米国内で20数店舗の専門店に卸していました。現在は中国のオンライン・ランジェリーセレクトショップ「オーツーブラ(O2Bra)」でも販売しています。

――2018年8月には阪急うめだ本店で常設になったが?

芳子:大手メーカーのブランドが並ぶ中に、私たちのような個人経営のブランドを常設するのは非常にリスキーだったと思います。それを決断してくださった阪急百貨店に本当に感謝しています。2年の間に新規顧客も増えて、スタッフ一丸となってまい進しています。

――これからチャレンジしたいことは?

彩子:最近はイベントもできず、目の前の業務に追われることが多かったので、国内外を問わずアーティストとのコラボレーションをしたいと思います。それを通じてお互いに刺激し合い、新しいクリエイションに挑戦したいと思っています。

――日本の下着業界はどうなってほしい?

芳子:もっと多様性が出るといいと思います。日本では、ランジェリーがなかなか日の目を見ないので、もっとオープンになってほしい。百貨店にも頑張っている日本ブランドがもっと並んでほしいし、その多様性が下着市場やランジェリーカルチャーの広がりと、そして夢のある売り場につながると思います。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

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フリーアナウンサー名越涼の爆裂!健康美容マニア道 この夏必須の神サプリを発表する

 1日8食、ジャンクフード三昧の超不健康児から超健康優良児へと大変身を遂げたフリーアナウンサーの名越涼。およそ15年かけて自らの体で人体実験を繰り返してきた結果、“超絶良かったもの”だけをここで余すことなく伝える。

 突然だが、みなさんはサプリを摂っているだろうか。かくいう名越はサプリ活用歴およそ15年。健康オタクとして3つの独自ルールを設け、さまざま試してきた。

・常に最善のものを探し続けること。
・いいなと感じたものは最低3カ月〜半年は続け、自分なりのエビデンスをとる。
・選抜サプリは入れ替え制。厳しい基準にクリアーしたものだけが「神3」となれる。(いや私、何様!)

 基本的には健康的な食事をとり、しっかり寝てストレスを溜めないことがきれいへの近道だ。それが一番だと分かっているけど、なかなか実現できないのが現代人の悩み。気が緩むとどこまでも錆びていくこの世の中で、サプリは心強い助っ人なのである。今回は上記ルールの中で選抜された“神3”を発表したいと思う。

1、ビタミンC界のゴッドマザー
「カムカム」

 とてつもなく大切な成分なのに体内で作り出すことができないビタミンC。シミ・シワ・そばかす対策をはじめ、風邪の予防や活性酸素の抑制まで幅広く活躍してくれる、なくてはならない存在。毎日新鮮なレモンにかぶりつきたいけど「酸っぱ!」ってしかめっ面した時にシワができそうで恐ろしい。(ガクブル)「カムカム?今さら?」そんな声も聞こえてきそうなほど一時期日本でブームになった果物だが、やはりビタミンC界のゴッドマザー。 栄養素が半端ない。100グラムあたりのビタミンCの含有量がレモンの60倍。ポリフェノールは赤ワインの7倍〜10倍も含まれている。水溶性なので吸収されやすく、摂取し過ぎてもおしっことして出ていってくれるので安心。名越のおすすめカムカムサプリは、米国パラダイスハーブス社のもの。品質にこだわった原材料が植物性のカプセルに充填されている。カムカム回帰組は声を大にして言おう。「ママー!ただいまー!」

2、鉄分の神様
「フローラディクス」

 生理前のいわゆるPMS症候群にとてつもなく悩まされている時期があった。そりゃもうひどいもので、湿疹にはじまり猛烈な眠気と食欲、頭痛に情緒不安定と、一言で表すなら大魔王。それが毎月やってくるからさあ大変(汗)。そんな時にすごーく助けられたのがドイツのフローラディクス社の鉄分ハーブドリンク。丁寧に収穫されたハーブをぜいたくに使った液体サプリなのだ。もうね、これ無しには生きていけません。PMS症候群の改善はもちろんのこと、疲労回復まで助けてくれる。意外と忘れがちな鉄分は重要なミネラル成分で、不足すると全身に酸素が十分に行き届かなくなり、身体機能そのものが低下してしまうのですよ。上手に摂取してヘトヘトから脱出しよう!

3、脱・乾燥肌のヒアルロン酸
「美潤」

 肌荒れの原因のおおもとってなんだかんだ乾燥である。若き日の潤いはいずこ、意識しないとカッサカサ地獄に。そんな乾燥肌に超絶おすすめなのが、ヒアルロン酸サプリの「美潤」。低分子化したヒアルロン酸にコラーゲンなどほかのタンパク質を結合させ、吸収力をUPさせた優れもの。これに出合ってから全身とぅるんとぅるん!名越はお尻から潤いました♡皮膚の保湿能力って真皮のヒアルロン酸の含有量で決まるそう。それは年齢と共に減少してしまうというのだから、とにかく根気よく摂り続けて年中うるうる女でいたいと思うのだ。

 ということで名越の現在の“神3サプリ”、いかがだっただろうか。

 この夏、絶好調に過ごしたい人はぜひお試しあれ。

【DATA】
・白血球の働きを強化し免疫を上げてくれるビタミンC。コロナ環境下、積極的に摂りたい栄養素だ。
・鉄分には「ヘム鉄」と「ノン・ヘム鉄」がある。ヘム鉄は肉や魚などの動物性食品に、ノン・ヘム鉄は野菜や穀類など植物性食品に多く含まれている。(フローラディクスはノン・ヘム鉄)

名越涼/フリーアナウンサー。香港出身。福井と愛知のテレビ局アナウンサーを経て独立。司会やライター、セミナー講師、企画・プロデュースなど幅広く活躍するパラレルワーカー。趣味・特技は手作り発酵食、食文化研究、ヨガ(歴15年)eスポーツと農業にも精通

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「ギャップ」が今秋冬から全商品を3~4割値下げ セール常態化を変革へ

 「ギャップ(GAP)」は今秋冬物から、日本の商品価格を全体的に3~4割下げる。看板商品のジーンズの中心価格は、従来の6990~7990円から3990~4990円となる。セールが常態化して価格が分かりづらくなっていたことを受けて、「フェアな価格を打ち出し、日本のお客さまにいつでも安心して購入してもらえるようにする」とマシュー・コリン(Matthew Corin)ギャップジャパン社長。19年11月に現職に就き、今年1月から日本に住んでいるというコリン社長に聞いた。

WWD:価格改定は、今秋冬からのアジア向けキャンペーン“Comfortable together 心地よさから、はじめよう”の一環だ。そもそも同キャンペーンの意図は何か。

マシュー・コリン ギャップジャパン社長(以下、コリン):「ギャップ」として、もう一度日本やアジアのお客さまにコミットし直すという意思表明だ。「ギャップ」には50年以上の歴史があるが、創業当時から人の多様性や包括性を尊重してきた。今回のキャンペーンで掲げているコンフォータブル(心地よい)とは、単に服の着心地がよいということだけではなく、個人のあり方としても心地よさを追求するという意味。コロナ禍で行動が制限されている今だからこそ、「ギャップ」の核にあるこうした考え方を改めて伝えていく。店でもデジタルでも心地よさを感じてもらえて、着心地もよく、さらにそれをフェアな価格で提供する。

WWD:セールが常態化していたことで、これまでは商品購入後に商品がすぐに値引きされているという、「フェアではない」と感じるケースもあった。

コリン:そうした事態はもう起こらない。値引きのプロモーションは今後は縮小する。今日も明日も同じ価格だ。お客さまには新しい価格になじんでもらって、値引きを心配することなくいつでも安心して商品を購入していただきたい。もちろん、シーズン末や大型連休などにはセールは行うが、これまでより縮小し、値引き幅も従来よりも狭める。広告も、値引きのパーセンテージを打ち出すのではなく、商品そのものについて語るものが中心になる。

価格改定に向けて売り上げデータも分析したし、お客さまの声も聞いた。実際のところはこれまでも適正価格は明確であり、それは競合ブランドの販売価格ともほぼ同じだった。しかし、以前はその価格がセールでの値引き後の価格だった。今後は最初からその価格を打ち出す。アイテムやカテゴリーによって値下げ幅は異なるが、全体的におおよそ3~4割値下げする。ジーンズの中心価格は、従来の6990~7990円から3990~4990円となる。実際にこれまでお客さまが払っていた価格に近いので、(売上高に)大きな違いはない。今回のキャンペーンはアジア向けであり、中国でも同様に価格は変えていく。

WWD:同キャンペーンでは価格改定のほかに、品質やコミュニケーション手法にも焦点を当てている。

コリン:品質面として、たとえば防水などの機能性はこれからも伝えていくが、それを単に機能として羅列するのではなく、エモーショナルに伝えていくことが重要だ。「ギャップ」はエモーショナルにブランドや商品を好きでいてくれるファンが多い。そうではないブランドは機能性だけを打ち出して勝負をするのかもしれないが、われわれは機能性とエモーショナルであることのバランスをとって伝えていきたい。

WWD:コロナ禍でデジタルでの表現の重要性が増している。

コリン:われわれには日本全国に約5000人の販売員がいるが、4~5月に実店舗を休業していた期間中、各販売員がSNSを通して自分たちの声でブランドを伝えてくれた。グローバルなキャンペーンと、こうしたローカルな活動とをつなげていきたいし、既にコロナ禍で一定の成果が出ている。日本のお客さまの中には、「『ギャップ』は自分のスタイルには合わない。だから店舗にも行かない」という人が多いかもしれないが、SNSでスタイリングを発信していけば、「ギャップ」にはそういう方にも合うスタイルがあると知っていただける。“モダン・アメリカン・オプティミスティック”は今までもこれからも変わらない「ギャップ」のキャラクターだが、日本のお客さまにより親しみやすいスタイリングでそれを表現したい。日本の販売員の着こなしをSNSで目にすれば、自分のスタイルにも合う服があると知ってもらえるはずだ。

WWD:今回のキャンペーンはコロナ禍を受けて計画したのか。

コリン:私のキャリアの中でギャップで働くのは今回で2度目。2019年11月にギャップに再入社し、20年1月から日本に住んでいる。その時から、今秋からこうした変革を行おうと思って計画してきた。ギャップジャパンで働く多くの人が「やっと改革ができる」と歓迎してくれたし、われわれが出店する日本のデベロッパーからも賛同を得ている。「ギャップ」が変わっていくことを広く伝えていきいからこそ、こうしてメディアのインタビューも受けている。お客さまには是非店にきてほしいし、オンラインも見てほしい。改めて「ギャップ」を知っていただけば、いかに日本の皆さんに沿ったブランドであるかが分かっていただけるはずだ。

WWD:そもそも、なぜ長年改革ができなかったのか。

コリン:いい質問だ。好調だった時はそういった変革の必要性はなかったし、この10年で考えても競合状況も世の中のプロモーション手法もかなり変わっている。そうした変化に、やっとわれわれは追い付いたのではないか。これから学ぶことは多い。日本市場にそったやり方に変えていくことで、かつての顧客にも戻ってきてほしいし、新しい顧客も獲得したい。ブランド自体の認知度は非常に高く、日本の90%の消費者が「ギャップ」を知っていると調査で出ている。しかしその人たちはお客さまではない。彼らをいかに取り込んでいくかが重要だ。

WWD:ECのあり方はどう変えて行くのか。

コリン:ECを強化していくために、将来的に新しいプラットフォームも考えていきたい。日本はアジアの一部であり、中国はデジタルコマースが非常に進んでいるので、中国の事例から学び、店舗に来ずともブランドを経験してもらえるようにしていく。たとえば中国のECモールの「Tモール」では、静止画ではなく動画やライブでの商品訴求が主になっている。デジタルも実店舗も、常にアップデートして今に追い付いていくことが私達のめざすところだ。

WWD:実店舗のあり方はどう変わっていくのか。

コリン:どこに店を持つかが変わっていく。コロナ禍で人が都心に外出しなくなっている。たとえば二子玉川に住んでいたら、わざわざ都心に出る必要はない。消費者が住み、活動しているところにわれわれも存在していなければならない。6カ月前とは実店舗でもECでも買い方は全く変わっている。休業期間を含むこの数カ月間で、「ギャップ」をECで初めて買ったという人は大幅に増えた。食料品さえオンラインで買うようになり、ECの利便性に多くの人が気付いたはず。消費行動が変わっているなら、当然実店舗のあるべき場所や役割は変わってくる。一方で、ブランドスピリットを表現できる都心の旗艦店も諦める気はない。デジタルでも実店舗でも、また、実店舗で立地に関わらず、どこでも一貫性のある接客を提供し、お客さまには心地よい経験をしてもらいたい。

休業中、EC売り上げは非常に好調だった。いくつかの実店舗は物流拠点代わりにし、店舗からEC購入分を配送していた。現在もEC売り上げの4割は実店舗から配送している。そういった点から言っても、実店舗とECを別では考えていない。客にとっては商品がどのようなルートで届こうが関係ない。客との接点はこの数カ月間でかなり変えている。SNSもその一つだ。(世界で初めてカフェを導入した新宿フラッグス店のように)実店舗の一部をSNS撮影のためのステーションに変えたら、実店舗がデジタルに直結し、デジタル上でブランドをどう表現していけるかを現場が考えていくようになる。今というこの移行期をできるだけ心地よく進めていきたい。

WWD:20年1月期の決算発表時点では、21年度1月期にグローバルで170店の閉鎖を発表していた。日本ではどの程度閉めるのか。

コリン:日本にはもともと「ギャップ」は約150店舗しかない。(閉店して)ECに置き換えるべきか、それともふさわしい場所に移転するべきかは、グローバルでも日本でも常に分析している。ニュースではセンセーショナルに「ギャップが大量閉店」などと報道するが、閉店ではなく移転というケースもある。お客さまに来ていただくためには、実店舗はお客さまの生活圏に近いところに出すべき。たとえば食料品なども売っているホームセンターのような施設の中で、キッズとベビーだけを扱う小型店があってもいい。全商品カテゴリーをそろえた2万平方メートルの店舗だけにしようとは思っていない。店舗数を縮小し、1店あたりを大型化するという考えではなく、市場に合わせて柔軟に取り組んでいく。

WWD:「ギャップ」はアメリカでの売り上げ比率が全売り上げの大部分を占める。アジア売り上げ(全体の7%)を、今回のキャンペーンでどれくらいまで高める考えか。

コリン:グローバルの売り上げの中で、いかに日本やアジアのシェアを高めるかという考え方はしていない。日本のファッション市場でわれわれのシェアは1%だ。それをいかに拡大するか。現在、われわれのCRM会員数は約600万人だが、日本の人口は1億2500万人。日本市場だけでも、まだまだ無尽蔵といえるほどに新規開拓のチャンスがあるはずだ。

WWD:アメリカ本国では、日本から撤退した「オールドネイビー(OLD NAVY)」や「アスリータ(ATHLETA)」といった同じグループのブランド群が、「ギャップ」よりも比較的好調だ。これらのブランドの日本展開の予定はあるか。

コリン:「ギャップ」の中でも、(インナーやルームウエア中心の)“ラブ バイ ギャップ(LOVE BY GAP)”など、日本でまだしっかり表現しきれていない商品がある。「ギャップ」の中でもまだまだ伝えられるものがあるので、「オールドネイビー」など他ブランドよりも、まずは「ギャップ」を強化していく。

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ヘアトレンドの変化でヘアオイルやバームが圧倒的支持 SNSで「ヘアスタイリング剤」アンケート調査

 「WWDビューティ」8月20日号は、ヘアスタイリング剤特集。ヘアトレンドの変化から、「スタイリング離れ」という言葉も聞かれるようになり、それまでのワックス主流の動きからナチュラルな質感のアイテムが人気となっている。そこで「WWD ビューティ」では「WWD JAPAN.com」の公式インスタグラム・ツイッターでフォロワーにヘアスタリング剤について意識調査を実施した。

 「ヘアスタイリングはしますか?」という質問に対してインスタグラムとツイッター共に約8割のユーザーが「する」と回答。インスタグラムでは「週5回~毎日」と仕事や外出時に使用するという回答が大半を占める中、「週1~ 2回」と週末や休日などに使用しているであろう声も目立った。また、「月に1、2回」とほとんど使用しないという意見も少数ながら見受けられた。

 また、ツイッターで行った「どのようなスタイリング剤を使用しますか?」という問いではオイル47.5%、ワックス34.2%、グリース11.7%、ムース 6.6%とオイルが全体の4割以上を占めた。ナチュラルヘアが主流になり、動きの出るスタリング剤から自然な毛流れや質感のアイテムにシフトしているのだろう。一方でクラシックなバーバースタイルが再燃している影響でグリースなどのセット力の強いスタイリング剤も人気だ。

 次にツイッターの「スタイリング剤の情報はどこから得ていますか?」という問いには、SNSが41%、サロンが31.8%と口コミから情報を知るという割合が大半を占めた。また、「どこでスタイリング剤を買っていますか?」という問いにはドラッグストア・バラエティーショップが50%と全体の半分を占めており、幅広い製品展開とリピート購入しやすい点から票を集めたようだ。

 インスタグラムの「どのメーカー・ブランドのスタイリング剤を使用していますか?」という問いにはヘアオイルやバームで有名な「エヌドット」を展開するナプラが圧倒的な支持を集めた。次いで全身に使えるヘアワックスが代名詞の「ザ・プロダクト」がランクイン。3位に「ミルボン」、4位に「ナカノ」と続き、5位にヘアケアブランドの「ダヴィネス」が続いた。このランキングだけでもどれだけヘアオイルやバームがトレンドなのかが見て取れる。またウェットヘアが引き続き人気な事もあり、「ナカノ」や「ミルボン」でもジェルやグリースなどの製品を使用しているという声も多く上がった

 なお、紙面ではインスタグラムアンケートで募集した「スタイリング剤について知りたいこと」に寄せられたユーザーの疑問にサロン向けヘアメーカーのミルボン開発本部商品開発部・瀬野恵介マネージャーと、河嶋希ヘア&メイクアップアーティストが答えてくれている。回答は「WWDビューティ」2020年8月20日をチェック!

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100人の人気ヘアスタイリストが認めたお米のヘアオイル「ヘアレシピ 『和の実』」 注目のスーパーフード“ライスオイル※1”は実は髪にこそよかった!

 P&Gは、髪のスーパーフード“ライスオイル※1”を配合した新しいヘアケアライン「ヘアレシピ『和の実』」を8月31日、全国のドラッグストアやオンラインストアで発売する(オンライン限定で先行販売を実施中)。

 米は古来より日本人の食生活に欠かせない食材であり、近年、米由来のライスオイル※1はその豊富な栄養素からスーパーフードとしても注目されている。米ぬかと米胚芽から抽出される、米1000粒からわずか1滴しか採れない貴重なオイルで、米に含まれる栄養素が濃縮されていることで、それぞれの栄養素が働きかけて髪本来の美しさを引き出す。

 これまでにない“お米のヘアオイル”で、オイルなのに高い浸透力を持ち、欧米人の約1.5倍ともいわれる日本人の太い髪や、硬くて厚いキューティクルにまでしっかり浸透。髪の内部まで潤って、内側から自然な輝きを放つ“すっぴんツヤ髪”へと導いてくれる。

 話題のヘアオイルということで、トレンドをけん引するトップヘアサロンの美容師100人が同オイルを評価。最大の特徴である“すっぴんツヤ髪”へと導く効果を98%の美容師が認める圧倒的な結果となった。

人気美容室の美容師100人が
「ヘアレシピ 『和の実』」
お米のヘアオイルを評価

人気美容師も
「ヘアレシピ 『和の実』」
お米のヘアオイルを評価

シャンプー&トリートメントも人気

 「ヘアレシピ『和の実』さらとろライスオイル」は、食べられるほど※2純度の高い100%国産のオイルで、シリコン・サルフェート・パラベン・着色料フリー。“さらとろ”の軽い感触で伸びがよく、洗い流さないトリートメントとしてはもちろん、ヘアスタイリングのほか、髪以外にもボディーやハンドケアなど1本でマルチに使用できる。より効果的な使い方として、まずは4滴から試してみることがおすすめ。そこから、不足していると感じた場合は量を足していく。手のひらに対して斜めにボトルの口を傾け、1滴ずつ出し、手のひらでオイルを温めてから毛先につけるとより伸び広がりやすくなる。

 また「ヘアレシピ『和の実』」ではオイルのほか、髪タイプと香りで選べるシャンプー&トリートメントも人気。優しく包み込む“ふんわりもちもち”の泡がしっかり髪を洗い上げ、ライスオイル※1が内側にしっかり浸透・補修する。ダメージを受けて傷んだ髪に適した、しょうがと檸檬の香りの「ヘアレシピ『和の実』 つるん」、乾燥してパサついた髪に適した、さくらとシナモンの香りの「同 しっとり」、ペタンとなりがちな髪に向けた、檸檬とかぼすの香りの「同 ふわふわ」の3種のラインアップとなっている。

 なお、現在SNSプレゼントキャンペーンを実施中。「@HairRecipe_Japan」をフォローし、「#お米のヘアオイル無敵説!?」」をつけてツイートした人の中から、抽選で500人に「ヘアレシピ『和の実』さらとろライスオイル」が当たる。詳しくは「ヘアレシピ『和の実』」公式ツイッターを参照のこと。応募期間は2020年9月9日まで。

※1:コメヌカ油(浸透性ツヤ成分)
※2:食用を目的とはしておりません

問い合わせ先
P&G お客様相談室
0120-021327

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なぜ、透明性が大切ですか?

 「WWDジャパン」8月24日号は「サステナビリティ特集2020 持続可能な企業への道」の第1弾として“透明性”に取り組む企業を特集している。環境負荷の測定や労働環境の把握など、サプライチェーンを透明化させていくことは決して容易ではないが、そこに取り組む意義を見いだし、業界全体に変化を生み出そうとしている企業も存在する。透明性を重視する11人に取り組む理由を聞いた。

森摂/「オルタナ」編集長

 企業はサプライチェーンにおけるネガティブな要素も目に見える形で説明する責任がある。それらをポジティブな要素に転換していくことこそが透明性に取り組む意義だろう。消費者の情報感度が上がっている昨今、企業の社会対応力が問われている。できていることもできていないことも透明性をもって開示することが結果的には信頼獲得のための最短距離となるはずだ。

レベッカ・マーモット/ユニリーバ チーフサステナビリティオフィサー

 世界最大級の消費財企業であるユニリーバにとって、事業活動を把握し、状況を共有することは非常に重要。だからこそ、何をしているのかをオープンにし、進捗状況を報告し、さらにやるべきことがあれば公表する。また、サステナビリティの目標を達成するためには、さまざまなパートナーとオープンに協力する必要がある。透明性を保つことは企業が政府やNGO、そのほかのパートナーと協働し、社会全体のシステムをよりサステナブルに変えていくための鍵だと考えている。

セバスチャン・コップ/ヴェジャ創業者

 ダフト・パンクのドキュメンタリーの中で、音楽プロデューサーのジョルジオ・モロダー(Giorgio Moroder)が、3つの異なるマイクを設置した部屋で彼らのアルバムを録音していた。古いもの、一般的なもの、そして未来的なもの。彼は一緒に作業をしていた技術者に「一般の人がマイクの音の違いに気付くと思う?」と聞くと、技術者は「いいえ。しかしダフト・パンクはそれらの違いを生み出すでしょう」と答えた。まさに私たちの哲学と重なると感じた。私たちはやるべきことを誰よりも先に行い、人々が私たちを探り出せば、その取り組みを理解するだろう。私たちが目指すのは、「地球と人に敬意を表するスニーカー」を作ることだ。

シダーサ・シュクラ/「セオリー」チーフブランドオフィサー、ウェンディ・ウォー/サステナビリティ&原材料担当シニアバイスプレジデント

 「セオリー(THEORY)」の服を作る人や着る人、地球に対して果たすべき責任へのコミットメントとして、2020年春に「Theory For Good」 をローンチした。25年までに全ての代表的な素材について、完全トレーサビリティーの実現を第一目標に、服作りの変革を進めている。ファッション産業が進化するためには、未来を考え、透明性を高め、一つ一つの素材に責任を持つべき。同じ志を持ったサプライヤーと共に進化を続けたい。

ティム・ブラウン/オールバーズ共同創業者

 私たちはカーボンフットプリントのゼロ化を実現することを目標に起業した。全商品にカーボンフットプリントを表示したのは企業として責任を持つためであり、また、あらゆる食品にカロリー表示がされているのと同じようにカーボンフットプリントを見て消費者が物を選ぶ時代が来ると信じているから。そうすれば一人一人の意識が変わり、行動も変わるはずだと思う。私たち人間がこの地球上に住み続けるには、ビジネスも社会もカーボンニュートラルに向けて、取り組む必要がある。

マイケル・プレイズマン/エバーレーン創業者

 透明性を追求することは信頼を築くことにつながる。私たちは商品の質やモノの真価を伝えるための情報を開示することで、消費者に賢い選択をするための力を与えたいと思っている。製造原価、労働環境、環境負荷全てにおいて透明性を追求することで、私たちは説明責任を果たすことができ、われわれのブランドに携わる人々とこの地球を守ることができる。

デイブ・マンツ/花王執行役員ESG部門統括

 透明性とはステークホルダーがわれわれを信頼のおけるパートナーとして、そして持続可能な社会の実現に欠かせない企業として受け入れるために知りたいと願うことによって定義付けられるものだ。今日においてはステークホルダーの信頼はどの企業、ブランドにとってもビジネスの成功の基本である。そのためわれわれは、透明性とは絶対的に欠くことができないものであると考える。情報開示にあたっては目標達成までの長い道のりのどの地点にいるのか、敬意と公正さを持って、誠実に説明することを何よりも重視している。

ハビエル・ゴジェネーチェ/エコアルフ創業者

 われわれが使用したいと考えるリサイクル素材はサプライヤーとの密接な協力があってようやく開発ができるもので、そもそも透明なサプライチェーンの構築が不可欠だった。そのため創業当初から透明性に取り組み、スペインで初めてB Corp認証を取得した。われわれは“Storytelling”ではなく、“Storydoing”のブランドだ。問題を発信するだけでなく、実際に行動して解決の一助になりたいと思っている。

福田稔/ローランド・ベルガー パートナー

 現在、世界でESG(環境・社会・ガバナンス)銘柄に対して投資が進んでいる。ESGにきちんと取りかかる企業は成長性が高く、利回りがよいということが分かってきているからだ。当然ESGは透明性を持って活動内容を把握し、公表していくことが前提となる。また、これまでの“ちょっとエコ”のような柔らかい打ち出し方では消費者に響かなくなってきているのが現実だ。企業はより本質的な活動が見られていくことを意識するべきだ。

ジェローム・ブリュア/日本ロレアル社長

 ロレアルでは、企業行動は経済的活動や製品の質などと同様に重要と考えている。世界的な模範企業になることを目指し、倫理をわれわれのビジネスの中核に根差している。当社の倫理規範は「誠実さ」「尊重」「勇気」「透明性」の4つ。透明性は私たちの価値観を形成するコアであり、企業文化を形成する重要な要素だ。私たちの行動や決定を正しいものとするために、常に誠実でいなければならない。そのために透明性は必要不可欠なものだ。

豊島半七/豊島社長

 透明性の要素の一つとしてトレーサビリティーが正確に取れることが挙げられる。この考えから昨年3月にオーガニック綿花農場から紡績工場までを運営するトルコのウチャクと日系向けのオーガニックコットン糸の独占販売契約を結んだ。綿花のトレーサビリティーを確保することは生産者の顔が見えるという新たな価値と同時に双方の責任を生み出す。世界へ発信する上で“TRUECOTTON”という名前をつけて販売することが、一般的には難しいと言われる綿花の透明性を高めると考える。

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「ダメパパ」にならないように︎ エディターズレター(2020年7月8日配信分)

※この記事は2020年7月8日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「ダメパパ」にならないように︎

 一昨日、「WWDビューティ」編集部の「WWD JAPAN.com」編集部への統合を発表し、その背景にある「ONE WWD JAPAN」という思いを綴らせていただきました。下のリンク、1本目をご覧ください。

 この宣言を書くに際しては、正直、少なからず躊躇しました。特に気にしたのは、「ファッションがビューティをナメている」そして「ビューティが、ナメられているように感じるから、ファッションを必要以上に敬遠している」の箇所。「長年の想いを、いよいよぶっちゃけて良いかしら?波風、立ちそうだけど(汗)」という躊躇です。無論、皆が皆、そうでないコトは分かっています。

 案の定、事前に原稿を見せたファッション側の同僚から、「確かに、私はビューティを知らない。社内は、週刊紙の『WWDビューティ』やウェブが、週刊紙の『WWDジャパン』から生まれた経緯もあるから、変な関係性があるかもしれない。でも、ナメてるつもりもない」とアドバイスをもらいました。きっと、彼女はそうなんでしょう。「熱量、こもってんなぁ」という私の原稿に、率直に、異なる意見を述べてくれた。良き同僚です。でも私は、「いや、コレはマジで、ビューティ業界の結構大勢が感じているのを知っている。だから書きます」くらい宣言し、そのまま世に送り出しました。ここまで言い切ったのは、編集部の統合に伴う「WWDビューティ」編集部との個人面談を通し、やっぱり多くのスタッフがファッション>ビューティ」という、少なくとも社内には存在するヒエラルキーや関係性を感じ取っており、正直、「そういうモンなんだよね」と割り切ろうとさえしていたコトを学んだからです。

 とは言え、この件については改めて、信頼するビューティジャーナリストに意見を求めました。念には念を入れて、ってヤツです。すると彼女は、「ナメられてると思ってますよー。そして、ファッションの人は気づかないですよ。それは多くのパパが、育児に悩むママの気持ちを理解しきっていないのと同じです」と背中を押してくれました。

 そして、自分が「ダメパパ」にならないように気をつけなくちゃ、と気を引き締めたのです。

 1本目のリンクの最後に書きましたが、今後収益の面において会社を支えるであろう、そして世界的にも、業界的にも、社内的にもますます存在感を増していくであろうウェブの特攻隊長として(笑)、最近「変わらない?変われない?」人たちを置き去りにしているかもしれない、と感じています。でもそれって、「ダメパパ」ですよね。バリバリ働いているからを大義名分に、育児で社会復帰できないママの気持ちに寄り添えないパパにはなりたくありません。「置き去り」、ダメです。

 ちょっと先にデジタルの世界に足を踏み入れた者として何ができるか?を考えつつ、「『みんな違って、それがいい』って言葉は、本当に素敵だなぁ」なんて思ったりする毎日です。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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ルルレモンが買収した“魔法の鏡”はウィズコロナ時代の備え 鈴木敏仁USリポート

 アメリカ在住30年の鈴木敏仁氏が、現地のファッション&ビューティの最新ニュースを詳しく解説する連載。今回は世界的に注目を集めるスポーツウエアのルルレモンを取り上げる。コロナの打撃を受ける中、5億ドルを投じた大型買収を実行した理由を探る。

 アメリカの各州が3月半ばごろから開始したロックダウンで、小売りや外食に営業休止要請が出たことはご存知のことだろう。生活に最低限必要なものを売るエッセンシャルと、そうではない非エッセンシャルに区分けして、営業を止められたのは非エッセンシャルである。エッセンシャルな小売りとは基本的に食品や雑貨、非エッセンシャルはそれ以外なので、ファッション系の小売企業が大打撃を受け、今もトンネルから抜け出せていない。

 米小売業は3月頃から会計年度が始まる企業が多い。そのためちょうど第1四半期からその影響が出ているのだが、業績の悪化ぶりはなかなかすさまじい。売上高を前年同期と比べるとメイシーズ(MACY'S)が45.2%減、ギャップ(GAP)が43.1%減、ノードストロム(NORDSTROM)が39.5%減、アバクロンビー&フィッチ(ABERCROMBIE & FITCH)が33.9%減、アメリカンイーグルアウトフィッターズ(AMERICAN EAGLE OUTFITTERS)が37.8%減と軒並み30%以上のマイナスを記録し、そしてこの5社全てが赤字を計上している。

 この期間にEC市場が急増しており、これらアパレル小売企業もその恩恵を被って、例えばメイシーズのEC売上高が42%伸びるなどネット通販は急増している。それでもリアルな売上減を埋めるには至っていない。

店舗の臨時休業でも黒字を確保する手堅さ

 ところがこういった状況下でケガが少なくすんでいる企業が存在する。高級スポーツウエアのルルレモン(LULULEMON)だ。第1四半期の業績は前年同期に比べて売上高16.7%減、営業利益74.6%減と減収減益ではあるが、赤字に陥る企業がほとんどなのに対して黒字を維持した。EC売上高は68%増で、他社と比較しても非常に高い伸びを記録している。

 この企業が全商品にRFIDタグ(無線電子タグ)を付けて在庫管理の精度向上に取り組み始めたのは2015年。業界に先駆けていることは本稿ですでに書いた(「コロナ禍の米ファッション小売業の生き残り策 鈴木敏仁リポート」)。ECからのオーダーを店頭で処理する仕組みに取り組んでいたときに、店頭在庫が正確に把握できていなかったため注文を受けながら店頭欠品していてユーザーに迷惑をかけることが多かった。これをRFID化することで解決することができたと当時の幹部が説明していたことを覚えている。

 今回の店舗営業停止という状況でも、店舗のダークストア化、ダークストアとセンターの商品在庫の最適化、さらには人員配置に至るまで、精密な管理体制の実現に対する投資が結果として功を奏した。コロナ下での黒字確保という結果がそれを如実に物語っている。

 さて、このようにルルレモンはECへしっかり投資してきた企業なのだが、その感度の高さが表れたと感じているのが7月に発表されたミラー(MIRROR)の買収である。

「デジタルな鏡」で自宅をジムに変える

 ミラーは大型のスマートミラーを利用し、セルフでワークアウトする技術と商品を開発したスタートアップ企業だ。買収総額は5億ドル(約525億円)。現在は手元資金の流動性を可能な限り確保しておくべき時期であり、投資に対する自信のほどがうかがえる。

 デバイスとしての鏡をネットに接続し、メニューからワークアウトを選択して、表示されるインストラクターと一緒に体を動かす。アーカイブされているメニューに加えてライブセッションもある。鏡の価格は1495ドル(約15万6975円)、サブスクリプション(定額利用料)は1カ月あたり39ドル(約4095円)。

 スポーツジムは非エッセンシャルとみなされて休業を余儀なくされ、ゴールドジム(GOLD'S GYM)、24Hフィットネスと立て続けに2社がすでに破綻している。いまは限定オープンを許可され始めた段階だが、人数制限のための予約制、マスク着用など足かせがいまだ多い。

 私は近所のスポーツジムのメンバーで、すでに営業再開されてはいるものの、この足かせが面倒でまだ行っていない。実は自宅でも十分にワークアウトできるということに気づいてしまったことも理由の一つで、次回のメンバーシップ更新はしないだろうと思っている。近隣に住んでいる同じジムのメンバーの知人はマシーンを購入していて、彼もスポーツジムに戻らないかもしれない。

 おそらく私のような人が全米に急増しているであろうことは想像に難くない。この自宅ワークアウト市場にぴったりマッチするのがミラーなのである。アメリカのスポーツジムはロー、ミドル、ハイと施設とサービスのクラスで3つに分化している。会員費を調べたところプラネットフィットネスは120.00ドル(約1万2600円)、24Hフィットネスは449.99ドル(約4万7248円)、イクイノックスは2,064.00ドル(約21万6720円)となっている(全て年額、ただし地域によって異なる)。ハイエンドに通っている高所得層ならミラーの方が安く、ミドルクラスの24Hフィットネスならば数年使えばミラーの方がお得といったところか。

 つまりミラーが対象としている所得層は中~高所得層ということになって、ルルレモンの市場と合致し、だからシナジー効果が見込まれることになる。

 アナリストによるとミラーの推定会員数は6万~7万人で、これが2023年までには10倍の60万人になると予測されている。サブスクだけで2億8000万ドル(約294億円)を売り上げて、デバイスと合わせて年商7億ドル(約735億円)というのがアナリストの予測数値である。

 実は同じコンセプトで先行しているのが、自転車に備え付けられた端末にインストラクターやリアルな景色を表示してペダルをこぐペロトン(PELOTON)だった。アナリストは5年前のペロトンに重ねてミラーの将来性を計算しているようだ。ちなみにペロトンは自転車2245ドル(約23万5725円)、サブスクリプションが1カ月39ドル(約4095円)である。

 ルルレモンはシカゴとニューヨークに、衣料品を売るフロアとフィットネススペースを併設した実験店舗をオープンさせている。概念的にいうと物販と経験(エクスペリアンス)の融合への挑戦ということになる。この“経験”市場(つまりジム)にコロナ渦によって縮小傾向が見えてきている中、逆に伸び始めている自宅フィットネスを取り込んだのが今回の買収といえる。いま表現としてはやっている“コロナによって変化した消費者嗜好”とか、“アパレル専門店チェーンによるDX(デジタルトランスフォーメーション)”といったキーワードにぴったりマッチする事例だ。

 優秀な小売業はコロナの被害を強い財務で吸収し、そして萎縮することなく次に向けての投資を怠らないのだということを実感している。

鈴木敏仁(すずき・としひと):東京都北区生まれ、早大法学部卒、西武百貨店を経て渡米、在米年数は30年以上。業界メディアへの執筆、流通企業やメーカーによる米国視察の企画、セミナー講演が主要業務。年間のべ店舗訪問数は600店舗超、製配販にわたる幅広い業界知識と現場の事実に基づいた分析による情報提供がモットー

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悩みのどん底にいたチームの奇跡が始まる 元ファストリ上席執行役員の心に火をつけた“トーチング”回顧録Vol.4

 ファーストリテイリンググループで社内改革を推進する「有明プロジェクト」をけん引し、史上最年少で上席執行役員に昇格した神保拓也はこのほど、人の「心に火をつける。」ことを目指し、株式会社トーチリレーを設立した。まず取り組む同社の主たる事業は、「心に火をつけることを主題に置きつつも、ティーチングやコーチングとは一線を画す」という「トーチング」。山に登るためのトーチ、登る山を見つけるためのトーチを提供する。ただ、その料金はタダだ。神保はなぜ、タダで「トーチング」を始めたのか?人の心に火が付くことで起こった、ファーストリテイリング時代の「ユニクロ(UNIQLO)」の「奇跡」をたどり、「トーチング」の魅力を考える(「トーチング」のビジネスモデルは、コチラから)。

(前回からの続き)

 店長とスーパーバイザー(以下、SV)、そしてスタッフ。それぞれが、それぞれのトーチングでのやり取りを知り、それぞれに悩みがあることを学ぶと、「最高のメンバー」は「最高のチーム」になって奇跡を起こした。

 奇跡の第一歩は、連続した「低評価」からの脱却。神保“隊長”が定期的に訪問・サポートしたロードサイドの「ユニクロ」は、ようやく「低評価」から1ランクアップ。しかし神保“隊長”には、「高評価」に至らなかった悔しさを滲ませたり、前面に押し出したりのメールが相次いだ。「残念ながら、目指していた評価ではなかった」ーー。その連絡について神保“隊長”は、「ビックリした。3カ月前は悩みのどん底にいたチームとは思えなかった」と振り返る。

 チームは、想像以上のペース、これまでとは全く異なるスピードで成長した。スタッフからは、「今回の結果は、SVのサポートや指導がなければ出せなかった。私たちのことを最優先に考え、行動してくださって本当に感謝している」との連絡。「本当に同じ人たちなのか?」。神保“隊長”は、ドラマが起き始めている予感を抱く。さらにスタッフは店長に対して、「挫折を味わったが、SVとの関係も大きく改善。今は戦える『チーム』になってきた」「だからこそ、早くこの店舗から異動して欲しい。もっと大きな店舗で活躍して欲しい。『20代で経営者になる』という彼の夢を叶えて欲しい。それが、部下として店長に示すことができる最大の愛」というメッセージ。互いに尊敬し合うからこそ「早く異動して欲しい」と言えるようになったチームワークを目の当たりにして、「自走が可能な組織になった」との実感を得たという。

 間もなく神保“隊長”はこのロードサイドの店舗を離れ、次の地方店舗のサポート業務をスタート。しかし、このロードサイド店の躍進は続く。

「着任当初は弱気だった店長が、勢いづいている」。

「やっぱり店長は生意気で、勢いがあって、ビッグマウスなくらいがちょうど良い」。

「店長を見て、苦労や挫折は自信になると学んだ」。

「店長から『モデル店舗に選ばれたい』という宣言があった。その思いに応えようと、一丸となって頑張っている」。

「たった1年で30数人のスタッフが、お客様と、25歳の2年生店長のために全力で、本当に全力で頑張るまでになった。『ユニクロ』が大切にする、『きれいな売り場にすること』の意味を思うと感極まる」。

「SVが売り場を見て、『皆さんの爆発力はスゴい……』との言葉をくださった。本当に嬉しい」。

「店舗運営やスタッフの統率は本当に大変。失敗と遠回りをたくさん経験したからこそ、応用力が生まれたり、何かに向かう時の力になった。25歳の店長が教えてくれた」。

「店長は『大きな店舗に異動する!』と言い張っているし、私は『早く出ていけ!!』と言っているが(笑)、残りの期間、スタッフ全員で店長からたくさん学びたい。自他ともに認めるチームワーク集団になった私たちは、必ず成果を出せる」。

 神保“隊長”が最初に店舗を訪れてから1年後。郊外のロードサイド店は単月ではあるものの、日本で一番の「ユニクロ」に選ばれた。ごくごく標準サイズの店舗はこの時、世界でもベスト10にランクイン。標準サイズの店舗でTOP10に選ばれたのは、このロードサイド店だけだった。神保“隊長”には、またまたスタッフから連絡が届いた。「どん底も経験したが、誰も『私たちなんて……』とは言わず、ひたすらに頑張って明るくやってきた」「本当に山あり、谷あり。心から泣いて、笑って。その繰り返しで、私たちはたくさんの出来事をパワーに変えてきた。それが私たちの誇りです」。

 そして、奇跡は終わらなかった。(次回に続く)


お知らせ:申し込み殺到中という神保“隊長”のトーチングを受けてみませんか?「WWD JAPAN.com」は取材させていただくことを条件(企業名や個人名は匿名でも構いません)に、トーチングを受けたいファッション&ビューティ業界の皆さまを募集します。トーチリレーの業務には、アナタの登る山を見つけたり山への登り方を一緒に考えたりするトーチングと、神保“隊長”の経験を語るグループ向けのセッションがあります。どちらでも構いません。ご興味がある方は、コチラまで簡単な自己紹介をお送りください。神保“隊長”と相談の上、ご返信差し上げます(お送りいただく情報は取材後、速やかに破棄します)。


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米副大統領候補カマラ・ハリスの姪がデザイナー メッセージTシャツで女性の権利向上を支援

 2020年11月に迫った米大統領選に民主党候補として挑むジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領が、副大統領候補としてカマラ・ハリス(Kamala Harris)上院議員を指名して大きな話題を呼んでいる。ハリス上院議員がジャマイカ系とインド系のルーツを持つ女性だからだ。

 米大統領選で女性が副大統領候補に選ばれるのは同氏で3人目だが、1984年のジェラルディン・フェラーロ(Geraldine Ferraro)元下院議員と2008年のサラ・ペイリン(Sarah Palin)元アラスカ州知事は白人なので、有色人種の女性としてはハリス上院議員が初めてである。

 民主党の正副大統領候補を正式に選出するため、8月19日に開催された民主党全国大会は、バラク・オバマ(Barack Obama)前大統領とミシェル・オバマ(Michelle Obama)同夫人が応援演説を行ったほか、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)元国務長官やナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長も登壇するなど、“ウィメンズパワー”が強く印象に残るものとなった。ハリス上院議員を紹介する動画には、同氏の継娘と妹、そして姪のミーナ・ハリス(Meena Harris)が登場。かつて検察官だったハリス上院議員と同じく法曹界に身を置く弁護士であり、人権活動家や絵本作家、そしてアパレルブランドの設立者として活躍するミーナに米「WWD」がインタビューを行った。

WWD:女性の権利向上を支援する運動「フェノミナル・ウーマン・アクション・キャンペーン(Phenomenal Woman Action Campaign)」を17年に立ち上げた際、そのスローガンをプリントしたTシャツなどを販売する同名のブランドを設立して話題となったが、以前からファッションに興味はあった?

ミーナ・ハリス(以下、ミーナ):ファッションは好きで興味もあったし、いいものを見分ける目はあると思うが、スタイリッシュなタイプではなかった。だから今でも自分をデザイナーだと称するのは気が引けるけれど、どういう配色や言葉を使えばメッセージが伝わり、世間の注目を集められるかというセンスには自信がある。私は起業家でもあるが、社会や男性から否定的な視線を向けられることなどによって自信を喪失し、なかなか「私は起業家だ」と言うことができなかった。しかし今では胸を張って言えるようになったので、いずれはデザイナーとしてもそうなりたいと思っている。

WWD:「フェノミナル・ウーマン」という名称は、活動家で詩人の黒人女性マヤ・アンジェロウ(Maya Angelou)による同名の作品に着想を得ているそうだが、ヒラリーが民主党の大統領候補だった16年の米大統領選にも影響を受けているか。

ミーナ:もちろん。16年の米大統領選では、私の母である弁護士のマヤ・ハリス(Maya Harris)がヒラリーのシニア・アドバイザーを務めていたこともあって大きな影響を受けている。当時、フェイスブック(FACEBOOK)にはヒラリーを支持する「パンツスーツ・ネーション(Pantsuit Nation)」というグループがあり、私はその運営に関わっていた。ヒラリーがよく着用していることから、同グループは女性の権利を象徴するものとしてパンツスーツを重視していたので、400万人以上いた参加メンバーの多くは応援の際にパンツスーツを着ていた。選挙後に、これを仕事の面接に行くための服がない低所得層の女性を支援する非営利団体ドレス・フォー・サクセス(Dress for Success)に寄付する運動を行ったが、「フェノミナル・ウーマン」はこうした経験に基づいて立ち上げた。

WWD:“フェノミナル・ウーマン”と胸にプリントしたTシャツで一躍注目を浴びたが、その経緯について。

ミーナ:女性の権利向上を啓発し、そうした問題に取り組んでいる団体に寄付をしたいと考えて作った。これはグレーのTシャツに黒い文字で“フェノミナル・ウーマン”と書かれているものだが、最初は色違いも作ってほしいという要望も多かった。私がフルタイムで働いていたため、在庫管理の面からも対応できなかったけれど、「グレーに黒字で書いてあったら『フェノミナル・ウーマン』のTシャツ」とブランドイメージが定着したので結果的によかったと思う。

WWD:女優のアメリカ・フェラーラ(America Ferrera)や、女優でプロデューサーのイッサ・レイ(Issa Rae)がブランドアンバサダーを務めているが、どうやって声をかけた?

ミーナ:イッサは大学時代からの友人で、アメリカとは活動家としての運動を通じて知り合った。彼女たちに「フェノミナル・ウーマン」のTシャツを着てほしいと打診したら快諾してくれた上に、ほかのセレブリティーにも紹介してくれた。

WWD:ここ数年で、企業の社会的な責任を意識するブランドも増えてきた。アイテムが売れるごとに寄付を行ったり、安全な水の供給事業をサポートしたりしているシューズブランド「トムス(TOMS)」などがそのはしりだが、こうした動きをどう思うか。

ミーナ:私も「トムス」のビジネスモデルに大きな影響を受けている。商品に社会的な影響を及ぼす役割があってもいいと思うし、それは消費者が求めていることでもある。「黒人の命は大切(Black Lives Matter)」運動でも明らかなように、最近の消費者は企業のトップがどういう考えの持ち主なのかを重視するようになっている。また労働者の権利は守られているのか、黒人の取締役はいるのかなど、口先だけでなく行動が伴っているのかも大切だ。「フェノミナル・ウーマン」はそうした人権を守る運動を支援しているが、ほかの企業もそうであるよう促すのが私のミッションの一つだ。

WWD:ファッションとフェミニズム、そして政治の関係は時に難しいことがある。ファッション誌である弊誌でも、ハリス上院議員の服装について取り上げるべきかどうかが議論されている。服装を政治的なツールとして活用することについてどう思うか。

ミーナ:女性のスピーチの内容でなく服装にばかりフォーカスするのはどうかと思うが、何を着るかも自己表現の一つであり、政治的なメッセージとなり得る。例えば、女性がパンツスーツを着ることは反体制的なことだと長らく考えられてきた。私がワシントンD.C.でロークラーク(判事の補佐役)として働いていた頃、女性のロークラークはスカートをはくべきだと言う判事がまだかなりいた。それに反対してパンツスーツを着るにしても、目立つような明るい色は避けて紺や黒にしておこうという気持ちにさせられることもある。(有色人種の女性である)アレクサンドラ・オカシオ・コルテス(Alexandria Ocasio-Cortez)下院議員は真っ赤な口紅と大きなフープ型イヤリングがトレードマークだが、政治家としての手腕とは関係なくそうした服装を攻撃されることも多い。これはとても差別的な行為だし、同じくカマラが真っ赤なパンツスーツと口紅を身に着けていたら人々がどう反応するかは容易に想像できる。そうした意味で、やるべきことはまだまだ多いと思う。

WWD:現在はマスクの着用など、これまでになく「何を身につけるか」が政治的な意味を持つようになっている。“フェノミナリー・ブラック(驚くほど素晴らしくブラック)”と胸にプリントされた「フェノミナル・ウーマン」のTシャツを校内で着用したカリフォルニア州の黒人女性教師ケイ・ジャクソン(Kei Jackson)が解雇されたことについてどう思うか。

ミーナ:私はアパレルブランドも政治的なことに関わるべきだと思う。ケイが解雇された件については、アメリカ自由人権協会(American Civil Liberties Union)や全米黒人地位向上協会/全米有色人種地位向上協会(National Association for the Advancement of Colored People)と連携して支援しているが、まだ対応が保留となっている。

WWD:大統領選が近づいているが、売り上げは増加している?

ミーナ:“フェノミナリー・アジアン(Phenomenally Asian)”や“黒人の命は大切”とプリントされたシリーズを販売していることもあり、売り上げは増加している。家にいる時間が増えたため、着心地のよいカジュアルウエアが人気であることも後押ししていると思う。

WWD:今後進出したい分野や、コラボレーションしたい相手は?

ミーナ:たくさんあるが、まずブラジャーを発売したい。ほかには女児用のアスレジャーアイテムも手掛けたいと考えている。男児用と同じような耐久性があって、ベーシックでキュートな商品があまりないから。今のところ、そうしたものは「アスレタ(ATHLETA)」などほんの数ブランドでしか見かけない。

WWD:ほかに展望はある?いつかパンツスーツを手掛けたいとか、大きなブランドになりたいと考えている?

ミーナ:もちろん。卸先を増やしたいと考えているし、パンツスーツについては将来的なパートナーを探しているところ。「フェノミナル・ウーマン」は社会正義の実現や市民の社会参加を促すブランドであり、今後もそうしたライフスタイルを支援していきたい。

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【動画】ウィズコロナ時代に大流行のキャンプをファッション&ビューティ目線で体験ルポ(前編)

 今回の「出張インタビュー」ではキャンプを体験します。「え、なんでWWDがキャンプ?」と思われるかもしれませんが、“モノが売れない”といわれる時代にキャンプ商品は売り上げを伸ばしており、「WWD JAPAN.com」内でも関連記事は人気です。またキャンプはウィズコロナ時代のレジャーとしても注目されています。ファッション&ビューティのビジネスメディアである「WWDジャパン」としては、ここにフォーカスしない手はない、というわけです。

 その道のプロであるキャンプライター兼スタイリストの山田昭一さん、「WWDビューティ」出身でママ目線、女性目線を持つ福崎明子デジタルデスク、そしてキャンプ超初心者の「WWDジャパン」編集部 三澤和也の3人が実際にキャンプをしながら、前編ではタープの設営や、アウトドアでも使えるビューティグッズなどを紹介します。

 近日公開予定の後編ではダッチオープンを使った“キャンプ飯”や、アウトドアでも人気の格安&機能的なワークマンプラスの服についても解説します。

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日本発 “世界最強グローバルEC”を率いる起業家・原田真帆人の挑戦

 「リングブル(LINGBLE)」という日本人起業家が立ち上げたグローバルECプラットフォームをご存知だろうか。14カ国語以上の多言語と世界の100以上の決済手段に対応し、しかも開発費や固定費は無料。カスタマーセントリック(顧客中心主義)の設計になっており、多くの地域でチャット接客が可能になっている(しかもチャットは35秒ほどで立ち上がる)。グローバルECサイトとしては、世界最強の高級ブランドECの「ファーフェッチ(FARFETCH)」すら上回る完成度の高さだ。

 リングブルの経営陣にはそうそうたる顔ぶれが並ぶ。最高執行責任者(COO)はニューヨーク大出身で世界的な法律事務所で企業弁護士を務めたアレハンドロ・バルガス(Alejandro Vargas)、最高技術責任者(CTO)はレーンクロフォード(LANE CROWFORD)でCTOを務めた香港出身のウィルソン・ラム(Wilson Lam)と、いずれも歴戦のプロフェッショナルで、極めつけは非常勤取締役で技術顧問のデイヴィッド・リンゼイ(David Lindsay)だ。リンゼイ氏は、欧州のラグジュアリーEC「ネッタポルテ(NET-A-PORTER)」の創業メンバーの1人で、同社のCTOを務めた後にファーフェッチに移って技術部門のトップを務め、直近ではLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)のEC技術責任者だった人物だ。リングブルはシンガポールに本社を置き、従業員は中国や香港、マレーシアなど15カ国・地域で50人が働く。

 にもかかわらず「リングブル」は、今はまだ世界でも日本でも知る人ぞ知る存在だ。「マウジー(MOUSSY)」「タトラス(TATRAS)」などの日本の有力ブランドに加え、欧州のラグジュアリーブランドも利用しているが、現時点では契約している企業数は決して多くない。謎多き次世代のグローバルECプラットフォーム「リングブル」とは?創業者でCEOを務める原田真帆人とは何者なのか。原田CEO本人に直撃した。

 39歳の原田CEOが、海外で豊富な経験を積んだ歴戦のビジネスパーソンであることは間違いない。高校卒業後に渡米し、米国のミネソタ大学で経営学を学んだ後、地元三重県の有力企業である自動車部品専門商社の扇港産業に入社し、アムステルダムや深センなどで海外駐在員を務めた。退社後はフルブライト奨学金を得て世界屈指の名門ビジネススクールIMDでMBAを取得。クックパッドに入社し、新規事業部門の責任者を務めたのち2014年に退職。その後は、日本製のデニムを海外に販売するECサイト「デニミオ(DENIMIO)」の運営を本格的に始めた。自力で海外70カ国以上に販売するグローバルECプラットフォーム「リングブル」を構築し、19年に「リングブル」だけをスピンアウトさせ、シンガポールでリングブル社を設立した。「日本製のデニムを売ろうとしたら、世界中で100人の中の3人を掘り当てる必要があった」と振り返る。「あるラグジュアリーブランドのトップに日本製のデニムと『ザラ』のデニムを見せて、どっちが300ユーロのデニムか、クイズをしたことがあった。彼は『一方はストレッチがきいていて手触りもなめらか。もう一方ははいたら血が出るほどゴワゴワしている。こっちに決まってるよ』とザラのデニムを手にとった。僕は笑いながら、『正解はこのゴワゴワしている方です。これを求めて僕の横浜のお店には世界中からお客が来るんだ』と言ったら、『信じられないよ』って驚いていた。でも、それがメード・イン・ジャパンのデニム。誰もが認めるものではなくて、コアなファンがとにかく好き。『リングブル』は、そうした世界のマニアを掘り起こし、彼ら/彼女らに売ることを追求した結果、完成したものなんだ」という。

 あるジーンズ好きのマレーシア人がクアラルンプールの自宅で日本製のデニムブランドの名前をグーグルに打ち込んだとしよう。そうすると、かなりの確率で「デニミオ」のECサイトにアクセスするはずだ。マレーシア語で書かれたやたらと詳しい日本デニムの記事を30秒ほど読んでいると、「なにをお探しですか?」というマレーシア語のチャットウィンドーが立ち上がる。このチャットには、本当に聞きたいことが聞ける。なぜなら自動応答のボットではなく、デニムに詳しい人間のオペレーターが待ち構えているからだ。

 信じ難いことに、「リングブル」はこうした仕組みを世界規模で実装している。クラウド化され、多言語対応するECプラットフォーム、100以上の決済手段(国や地域によっては現金や銀行送金が主流だったりする)、物流、返品・返金、トラッキング、通関、多言語でのカスタマーサポートまで、グローバルECに必要なことはすべてそろっている。「そろっているというか、泥水をすすりながらそろえていったというのが正しい表現だ(笑)」。

 経営陣や社員が多国籍化していったのも自然なことだったという。「日本でも、中国でも、インドネシアでも、マレーシアでも、売ろうと思ったらどこでもやるべきことは変わらない。サイトが現地の言葉で表示され、チャットを含めてスムーズにコミュニケーションが取れ、現地で当たり前の決済手段が使えて、できるだけ早く問題なく手元に商品が届く。その上、返金や返品の対応がスムーズ。それを実現するために、あらゆるコネクションを使って人材を集めていったら、自然と社員は15カ国に広がった。だから業務は完全なフルリモートで、リアルなオフィスは持たず、オフィスはある意味でオンラインのプロジェクト管理ツール『ベースキャンプ(Basecamp)』にある。シンガポールに本社を登記したのは、日本の会社法だと外国籍の人にストックオプションが使えなかったから」。日本の約40のデニムブランドを集めた「デニミオ」のECサイトは数年前に月商5000万円を達成し、そのうち海外売り上げが9割を占め、出荷先は70カ国以上に達している。

 しかしそれなら、なぜこうした苦労を重ねて開発した「リングブル」が、初期費用や月額固定費が無料なのか。原田はクックパッド出身者らしく、ビジネスを料理に例える。「僕らは自分たちをITの開発会社とは考えていない。あくまでもグローバルビジネスの進出をサポートするパートナーだと考えている。いわゆるこれまでのECビジネスやITベンダーは、おいしい料理を出すのが目的と言いながら、高性能な冷蔵庫や使い勝手のいい調理場、よく切れる包丁などを買わせて、あとは知らないという感じだった。でも料理するには当たり前だけど料理の腕を磨く必要があるし、新メニューだって考えないと。その意味では、『リングブル』は調理師学校。3年間でグローバルECに二人三脚で取り組み、美味しい料理を出すためのすべてを提供する。パートナーだからリスクも折半。売れない場合はわれわれも収入が得られない――そういう仕組みにした」。「リングブル」の契約者数が少ないのも単なるクラウド型のシステムではなく、グローバルECをブーストさせるためのサポート体制をセットで提供するためなのだ。

 リングブルは今後、何を目指すのか。「資金調達をしたのは、グローバル企業がクライアントに加わって、その対応が必要だったから。新たなラウンド(シリーズB)にも今は動いているが、現時点では上場を考えているわけではない」という。原田CEOには忘れられない光景がある。海外から来たラグジュアリーブランドのトップを、デニム産地の岡山や徳島に案内したときのことだ。「現地のデニム企業の社長は、そのトップエグゼクティブを当たり前のように自分の運転で、自分の行きつけの居酒屋に案内した。極めつけは『ワシらは自分たちのデニムを染めた排水を浄化して、その水を田んぼに使い、その米を食べてるんだ』という説明。サステナビリティの究極にわかりやすい説明をいとも自然に話した。ラグジュアリーのトップもその言葉に衝撃を受け、ラグジュアリーブランドと日本のデニムのビジネスが始まった。日本の産地には、計り知れないポテンシャルがある。その可能性をとことん広げたい」。

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怒濤の6月を振り返って エディターズレター(2020年7月2日配信分)

※この記事は2020年7月2日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

怒濤の6月を振り返って

 現地で起こっていることを伝えたい!と、6月はアメリカのBLM運動についての記事を重点的にピックアップしてお届けしました。

 BLM運動は、アメリカでは新型コロナによる生活の変化や経済的ダメージに勝るとも劣らぬ勢いで、価値観の見直しを迫るムーブメントになっています。

 そして今、多くの企業やブランドが「黒人の命は大切」というメッセージへの賛同に終わらず、「どうすれば、本心から差別に向き合っていると信じてもらえるか」に腐心しています。

 そんな企業やブランドに対して、米「WWD」と同じグループ傘下のメディア「ソーシングジャーナル」の黒人女性エディターは「行動あるのみ」と一喝。そして「意思決定の場に多様性を」と提言しています(最初のリンク参照)。

 こうした声はいろんな会社の内外から噴出しており、エスティ ローダーは社内メモで今後黒人の従業員の雇用率を上げると約束し、アディダスもアメリカ国内のすべてのポジションの30%を黒人とラテン系の人材にすることを目標に掲げました。決定権のあるポジションを白人が占め続ける限り、真のダイバーシティーにはなり得ません。それを推進するのは決定権のある白人でないとできないーーまさにそれに向き合うべき時が来ているのだと思います。

 元従業員による人種差別の告発が問題視され、サステナブルなファッションをうたうリフォメーションの創業者兼最高経営責任者(CEO)が退任に追い込まれるなど、トップの交代にもつながっています。透明性が売りのエバーレーンでも人種差別問題が持ち上がっているなど、スタートアップもこの問題の渦中にあります。

 そんな中、私が注目しているのがパタゴニアです。6月に女性CEOが突然退任して、後任が決まっていません。長年成長を支えてきた最高執行責任者が暫定的に指揮を取っているのですが、企業哲学も理解していて後任にふさわしいはずであるにもかかわらず、後任としては指名されていません。

 米「WWD」は、「退任と直接的な関連性はないものの」としながらも、元パタゴニアのスタッフなどが多様性の欠如を指摘していることを伝えています(2番目のリンク参照)。環境保護とビジネスを両立させるこの唯一無二の企業が、次のトップとするのはどんな人物なのか。なんらかの意志が見える人事になるだろうと注目しています。

 さて、6月は「プライド月間」でもありました。今年はBLM運動と融合して、より問題意識が強まった感があります。「プライド月間」の締めくくりにふさわしいインタビューをお届けしております。ハニー・ディジョンを知っていますか?(3番目のリンク参照)

 盛りだくさんで怒濤のような6月でしたが、7月も海外からのさまざまなニュースや声を、チーム一丸となってお伝えしていきたいと思います。

VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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ジャニーズが「美容クリニック行くんです」って言っちゃうんです エディターズレター(2020年7月6日配信分)

※この記事は2020年7月6日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

 

ジャニーズが「美容クリニック行くんです」って言っちゃうんです

 「メイベリン ニューヨーク」が元関ジャニ∞の錦戸亮をジャパン・ブランドサポーターに起用するというニュースが話題になりました。最近ではジャニーズの新星、Snow Manのラウールが「ディオール」のコスメとコラボしたり、「NARS」のビジュアルに俳優の横浜流星が登場したり。ひと昔前では化粧品の広告に男性の、しかもトップアイドルが出てくるというのは考えられないことでした。ダイバーシティ&インクルージョンが浸透してきているんだなあと感じますし、いよいよ、女性だから、男性だからという考え方をするのはおかしなことなんですよね。

 先日の「WWDビューティ」でも、小売店のメンズコスメニーズを取り上げましたが、男性もコロナを機にマスクが日常となる中で、肌荒れはもちろん、マスクによる日焼けを気にしてUVに興味を持ち始めているとか。さらには、長く過ごすことになったお家を香りで彩りたいって!なんか女性みたい、って思いましたが。いや、まさに、女性も男性も関係ないんですよね。気になることは一緒なんですよ〜。

 こんな記事を読んで、ふと思い出したことがあるんです。それは妊娠中の胎動なんですが……。上の男の子の時、ビジネス取材中にとにかく、お腹の中でグルグルグルグル動いていたんですよね。で、ウィメンズのお洋服の取材の時はピタッと動かない……。大丈夫!?って思ったぐらい。下の女の子の時は化粧品の取材中、「うるさい」って言っちゃうぐらい、お腹を蹴り続けていて、ビジネス取材の時は全く動かない。やっぱり、男の子、女の子で興味が違うんだなあ、なんて思ったんですが。もし次があるとしたら(絶対ないと言い切れますが、万が一あるとしたらw)マインドセットしなきゃ。男の子だから、女の子だからではなく、マインドをフラットに胎動を感じてみたいな。違う発見があるかしら、なんて思った次第です。マインドセット、今、すごく重要ですよね。化粧品の広告に続々男性が登場していることでも、そう思わされました。

 余談ですが、Snow Manのユーチューブ、娘の影響で見出したら面白いんです。個性豊かな9人組で、イケメン目黒くんが一推しです。関西出身のお笑い担当、向井康二も捨てがたいw。さらに、美容男子の渡辺翔太。「美容クリニックを梯子してます」ってジャニーズで、アイドルで言う人いなかったですよね。固定観念を覆してくれました。これもマインドセット。ジャニーズってこうよね、アイドルってこう。彼らを見てるとそれって違うなあって、深く考えることになりました。さらに余談ですが、それにかこつけて、渡辺くんに取材してみたい、なんて思ってます(笑)。

HER OPINION:ママ、女性に関連するファッション&ビューティ業界の話題をお届けします。今、働くママを含めた社会進出が進む女性に関わる情報が増えてきました。彼女らにまつわるニュースをピックアップすることで、彼女らを支える彼らにも役立つニュースを紹介します。

エディターズレターとは?
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“ニューノーマル”時代の売れ筋を探せ! 薄色レンズのサングラスとイヤカフがマスクとのコーデで浮上

 「WWDジャパン」では、毎シーズン恒例となっているビジネスリポート企画の2020年春夏版を、9月21日の発行予定で鋭意作成中です。百貨店など全国有力店にシーズンごとの商況を聞くこの企画ですが、今回はご存知の通りのコロナ禍、かなりのイレギュラーな状況となっております。4~5月は休業した施設がほとんどでしたが、6月以降、“リベンジ消費”が盛り上がった施設、一方でインバウンド(訪日外国人)消費の霧散により引き続き苦戦を強いられている施設といったように、店舗や売り場によって状況は激しく分かれています。

 コロナによって吹き飛んでしまった消費を嘆く声は強いですが、一方でコロナゆえに売り上げを伸ばしている商品も見えてきました。高島屋新宿店から、「実は今、これが売れているんです」と声があがったのは、薄色レンズのサングラス。「『サングラスは既に持っているが、買い換えたい』と話すお客さまが今年は非常に多かった」と、同店2階サングラス編集売り場の販売員さんは話していました。

 昨年までの売れ筋であった濃色レンズのサングラスでは、マスクとコーディネートした際に「怖いイメージになってしまう」というのが買い替え需要の背景です。マスクと合わせても優しく見える、薄いベージュやブルーといったレンズのサングラスや、そもそも通常の眼鏡のような小ぶりデザインのサングラスが売れ筋だそうで、価格は3~4万円台が中心といいます。

 入館客数自体が減っているため、「サングラスの売り上げが前年同期に比べて絶好調」といった話ではありませんが、来夏以降もマスクをする習慣が一定続くと考えれば、こうした売れ筋の芽の話は見逃せませんね。

 高島屋新宿店でもう一つ「売れている」と聞いたのが、アクセサリーのイヤカフです。実はイヤカフは、昨年のビジネスリポートでも売り上げ好調アイテムとしてご紹介しています。その際は、ピアスホールを開けていない人が増えていることでニーズが伸びていると背景をご説明しましたが、今春夏の伸長の背景はやはりマスク。それと、テレビ会議で“いかに映えるか”というニーズです。

 「マスクをしていると、垂れ下がるタイプのピアスなどをしているとヒモに絡んでしまって、気付かず落としてしまうといったケースがある。その点で耳たぶを挟むタイプのイヤカフが支持されている」と話すのは、同店2階の「エテビジュー(ETE BIJOUX)」の販売員さん。他に、「スタージュエリー(STAR JEWELRY)」や「ミスティ(MISTY)」といったブランドでもイヤカフを拡充しており、売れているそうです。イヤカフを筆頭に、テレビ会議でも画面に映る耳周りアイテムは総じて好調とのこと。一方で、手指のこまめな消毒が求められている今は、指輪類の消費はやや落ち込んでいるといいます。

 “ニューノーマル”の世の中で、今後売れるアイテムは何なのか、消費はどのように変わっていくのか。9月21日発行予定のビジネスリポート企画の20年春夏版では、そうした傾向を浮き彫りにできればと考えています。

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進化する幸せ産業(5)ワーケーション編 東京の旬を五感で味わう23区内のバカンス体験

 この夏にキーワードとなる“ワーケーション”とはワークとバケーションを組み合わせた造語。旅先のような環境で、バカンスを楽しみながら仕事を進めるスタイルだ。感染拡大防止の観点から考えると、遠方へ出向くべきか迷うが、せっかくならリラックスしたいし、刺激も受けたい。そこでこの夏、開業したばかりの「ウォーターズ竹芝(WATERS takeshiba)」内にできたホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション」で、東京の“今”を五感で感じるワーケーションを体験してきた。

 旅の醍醐味は、まず目的にたどり着くこと。「メズム東京、オートグラフ コレクション」はJR山手線・京浜東北線の浜松町駅から徒歩でわずか6分。ゆりかもめでは竹芝駅のすぐ近くだ。ホテルが位置する「ウォーターズ竹芝」の敷地内に新しく船着場もオープンし、浅草や両国、お台場などへの定期航路便も開通した。私は最近手に入れたクロスバイクに乗って、荻窪の自宅から向かうことに。

 目指すのは伊豆大島や小笠原諸島への出発点となる、竹芝桟橋にほど近い「ウォーターズ竹芝」だ。都内、飯田橋エリアでの用事を終え、六本木ヒルズ、東京タワーなど名所を通過しながら東京湾へと向かう。たどり着いたときにはもう、感無量。ホテルのある建物の先はすぐ海で、スカイツリーも望むことができるのだ。最終目的地としては申し分ない。

 1階エントランスで体温チェックや消毒を済ませ、16階のフロントへ。自転車は1階のエントランスで預かってくれるので、外出時にもすぐピックアップできる。都内近隣在住者にとって東京湾沿いにある「メズム東京、オートグラフ コレクション」は程よい距離の自転車旅になるだろう。健脚自慢なら事前に荷物を送り、ランニングで向かうのもチャレンジングかもしれない。(実際、そういう方も結構いるのだとか!)

視覚、聴覚、嗅覚…あらゆるアンテナでこの瞬間の東京をキャッチする高揚感

 さて、JR東日本グループの日本ホテルがマリオット・インターナショナルと初提携したホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション」とはどんなホテルなのだろう。16階のロビーで出迎えるのは正面の大開口部から望むスカイツリー。TOKYOの鼓動を繊細な糸で表現したアートワークと、ブランドイメージに合わせて調合した爽やかなフレグランス(春夏と秋冬で香りが変わるらしい!)に魅惑されながらロビーに向かうと、9mの開放的な空間が広がる。水面に揺らぐ光のような天井のアートや、波しぶきのようなオブジェ、耳に心地いいホテルオリジナルセレクトの音楽など、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚……あらゆる感覚を駆使して今この瞬間の東京を体感するのがコンセプトであり、その仕掛けが至る所に配されている。

 「スターサービスクルー」と呼ばれる接客スタッフのユニホームはヨージヤマモト社の「Y‘s BANG ON!」によるデザイン。メンズのパターンをベースにしたジェンダーレスなブランドだけに、一つのサイズでさまざまな体格の人にフィットし、それぞれの個性を引き出すスタイルだ。「ヘアスタイルやメイクは、クルー全員がメイクアップスクールのレッスンを受け、その人らしいモードなメイク法を個別に習得しました」と説明してくれたのは広報のジェーキンス沙織さん。このご時勢なので、みな黒のマスクを着けての接客だが、それも演出の一部であるかのようにスタイリッシュ。クルーはみな、右手を左胸あたりに添えるような所作で挨拶をする。劇団四季の劇場にも隣接していてエンターテインメントの空気が漂うこのエリアらしく、ホテル内をステージに見立てて、「メズム東京」の世界観を築いている。

 空間やサービスに統一感をもたらすブランディング――それをかなえるのが、この規模のホテルでは例を見ないであろうハウスデザイナーの存在だ。もともとファッションやコスメ業界のデザインの分野で活躍していた、まだ20代の小泉堅太郎氏が抜擢され、ブランディングを担当。そのデザインは多岐にわたり、オリジナルのカートまで作ってしまった。銅や人工大理石、レザーなど素材もラグジュアリーだが、透かし彫りや車輪が見えない細工など職人の技術も生かされている逸品だ。

 中でも小泉氏が力を注いだのは、各客室に備えられたブック型のアメニティーキット。大航海時代の冒険小説のようなボックスの表紙を開くと、歯ブラシやシャワーキャップなどのアメニティーが入った小さなボックスがパズルのように組み合わさっている。中身はもちろん持ち帰り可能。本をかたどったこのボックスを8000円で販売したところ、瞬く間に完売し、現在入荷待ちだという。この反響には「作りたいものを作りたいという思いで、自由にデザインしています」と語る小泉氏も驚いたという。ブランディングが強化されることで、タレント(メズム東京では従業員をそう呼ぶ)一人ひとりの中のイメージも膨らみ、胸に手を添える独特の挨拶や、オリジナルのウェルカムミュージックなど、さまざまなアイデアが寄せられて採用されたという。

ワーケーションの味方は快適環境と東京らしいビュー

 ワーケーションが効率よく進むよう客室の環境もサポートしてくれる。ガーデンビューの部屋にはバルコニーがあり、東京湾や浜離宮恩賜庭園、スカイツリーなど東京らしいビューを見渡せる。ハンドドリップでたのしむ猿田彦珈琲のオリジナルブレンド、茶せんで点てる本格的な抹茶など、ゆったりと過ごすためのアイテムもそろっている。また「メズム東京」では全客室にCASIOの電子ピアノを完備。気分転換に好きな曲を演奏したり、抹茶を点ててみたりと、室内で過ごす時間が娯楽になる環境だ。

 また、おこもりステイプラン「ザ・プライベート」では、チェックインも食事も部屋内ででき、外部との接触を最小限にした滞在も可能だ。また、目の前でソースをかけて仕上げるなど、インルームダイニングでもレストラン「シェフズ・シアター」のクリエィティブなフレンチを堪能できるのだ。バルコニーで潮風を感じながらいただくインルームの朝食も格別だ。

日常を持ち込む滞在だからこそ非日常での刺激が必要

 自分だけの空間で作業に没頭し、目標としていたノルマを達成できたので、16階のバー&ラウンジ「ウィスク」へ。ここはアーティストのアトリエをイメージしたミクソロジーバーで、ゴッホの「ひまわり」やモネの「睡蓮」、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」など、誰もが知る名画をモチーフに、その名を付けたオリジナルカクテルを提供している。あっと驚く斬新なプレゼンテーションばかりだが、見た目だけでなく素材や味にもこだわっている。奇をてらわず、バランスのいいカクテルなので、どれも試してみたくなり困る……!なにせメニューには18種類の名画が並んでいるのだから。フロアでは毎日、クラシックから長唄などの邦楽までジャンルを問わず「ショーケース」という無料イベントが開催され、その音が心地よく流れてくる。「ウィスク」はラストオーダーが2時30分と深夜まで営業しているので、残業後の自分へのご褒美にも最適だ。

 ワーケーション滞在とは、いつもの業務を進めつつ非日常的な空間で自分を解放すること。そのためにも、安らぎと刺激が両立する場がふさわしい。23区内の通勤圏内でありながら東京のトレンドを感じられる「メズム東京」は、そんな対極の望みをかなえてくれる。いつもの東京を別の角度から感じ、五感で楽しむ。海外やリゾート地までの交通費を考えるとすこし贅沢もできそうだ。ポストコロナは私たちに新しい休日の過ごし方を提案している。

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ドイツ発、老舗せっけんメーカーが作るオーガニックサンケア 海外ビューティ通信ベルリン編

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」では、パリやニューヨーク、ソウル、シンガポールなど、4都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。(本文中の円換算レート:1ユーロ=124円。この記事はWWDビューティ2020年8月20日号からの抜粋です)

 熱波の影響を受けて気温38度を記録する日もあった昨夏は、8月末でも連日35度を超える猛暑に見舞われた。今夏も昨年ほどの猛暑ではないが、8月に入り連日30度を記録している。梅雨がなく湿度も低いドイツの夏は、カラッとしていて過ごしやすい。“夏は小麦色の肌が美しい”という概念を持つドイツ人にとって、日光浴は欠かせない習慣となっている。しかしドイツは日差しが強くて日照時間も長く、紫外線による肌トラブルを防ぐために日焼け止めが必需品となっている。

 市販されている日焼け止め製品は、アボベンゾンやオキシベンゾン、オクトクリレン、ホモサレート、オクチサレート、オクチノキサートといった紫外線吸収剤を使用しているものが多く、これらの化学物質アレルギー症状を引き起こす原因とされている。また、これらの紫外線吸収剤は人体だけでなく、サンゴ礁などの海洋生物に影響があるとして問題視されている。

 そんな中ドイツの老舗せっけんメーカー、SPEICK(スパイク)が3月に画期的な日焼け止め製品を発表した。スパイクは南ドイツのバーデンヴュルテンベルク州エスリンゲンに拠点を構えるオーガニックせっけんメーカーで、創設者で人類学者のウォルター・ラウによって1862年に創業され、1928年に会社が設立された非常に長い歴史を誇る。せっけん以外にボディーケアやヘアケア製品を展開しており、全ての製品に、オーストリアのノックベルグ国立公園内に生息する野生の真正スパイクのエキスが配合されている。真正スパイクとは別名スパイクハーブと呼ばれ、中枢神経系に鎮静効果をもたらし栄養神経系を刺激する効果があるといわれている。真正スパイクは保護高山植物に指定されており、海抜約1800mの高さから専門農家が手作業で採取する。非常に希少価値の高い植物であるため、スパイクのみが独占使用許可を得ている。

 新製品の日焼け止めシリーズは「サンローションSPF20」「サンローションSPF30」「サンクリームSPF30」「サンクリームSPF50」(全てPA+++)、そして「アフターサンローション」の5種類をそろえる。日焼け防止に酸化亜鉛を使用し、ビート根、ザクロ、セイタカヨシの植物エキス複合成分と真正スパイクが肌を保湿する。同シリーズは香料、合成色素、石油系ミネラルオイル不使用、グルテンフリー、乳糖フリー、動物性原料を使用しないビーガン対応となっており、ドイツを含む欧州5カ国合同で策定した世界でも厳しいオーガニック基準であるコスモスオーガニック認証を取得している。

 ドイツを代表するオーガニックコスメメーカーでも残念ながら香料を使用していることがあり、子どもに使用できないブランドや製品もある。スパイクの日焼け止め製品は肌にも海にも優しい上に、ありがちな白浮き問題も心配ない。さらにウオータープルーフ処方もされており、試さない理由が見つからないほど秀逸で安心・安全な製品が誕生したのだ。

宮沢香奈:フリーランスライター兼コラムニスト。プレス、ブランドディレクターなどを経て、フリーランスとしてPR事業をスタート。その後、ライターとして執筆活動を開始。2014年に東京からベルリンへ拠点を移し、ヨーロッパを中心とした現地情報を多数の媒体で執筆中

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「メイベリン」が新作ファンデの発表会をオンラインとリアルで同時開催

 新型コロナウイルスの影響で大勢の人が集まるのが難しくなっている中、化粧品の新作発表会にも変化が訪れている。これまではイベント会場を貸し切って美容家や美容エディター、インフルエンサー、その他関係者を招待して新作を披露することが一般的だったが、現在はZoomやユーチューブなどを用いたオンライン発表会に切り替えるブランドがほとんどだ。しかしオンラインだと今までのようにダイレクトなコミュニケーションが取れない、また製品もSNSで発信してもらえない、通信の不具合によるシステムのトラブルが起こりやすいなど、オンライン発表会の難しさを感じているブランドも少なくないだろう。そんな中「メイベリン ニューヨーク(MAYBELLINE NEW YORK)」は7月30日に新作ファンデーション「フィットミー リキッドファンデーション R」の発表イベントを、リアルでは天王洲で開催し、オンラインではその様子をライブ配信した。リアルとオンラインの同時開催は、オンライン発表会が増えている化粧品業界でも稀だ。今回「WWD Japan.com」編集部は「メイベリン」のオンライン・オフライン発表会双方を取材し、企画の意図やそのこだわりとはーー。

リアル会場には徹底的な感染防止策を

 会場は、天王洲アイルに浮かぶ船「T-LOTUS M」。3階建てで広々としている会場もこだわった点の一つだそう。遠藤由貴「メイベリン ニューヨーク」シニアPRコーディネーターは「人のいる空間をしっかり分けて、“密”を避けられる会場にした」と説明する。検温や消毒、ソーシャルディスタンシング、マスクの着用を徹底したほか、ゲストには受付で感染対策のガイドラインを読むように指導。通常の発表会だとメイクアップアーティストが来場者に対してタッチアップすることも多いが、今回はタッチアップは行わずセルフで製品を触れるブースを設けた。またタブレットも配置し、製品を触りたくないゲストのためにバーチャルで試せるように配慮した。

メイクアップショーや実験をライブ配信

 今回発表した「フィットミー リキッドファンデーション R」(全15色、各1600円)は、「メイベリン」の中でもベストセラーとなっている「フィットミー」シリーズのマットタイプをリニューアルしたもの。ドラッグ・バラエティーストアブランドでは最多の15色展開で自分の肌にぴったりなシェードが見つかるというコンセプトでこれまで人気を集めており、その“ぴったりな色選び”のハウツーを、今回メイクアップデモンストレーションで行った。会場には複数台の動画カメラを用いてオンラインでもその様子を生配信し、質問などはチャットで投函できるようにした。また、パワーアップした処方はクレイ由来成分を配合し、油分をコントロールして崩れにくいのが特徴だ。この“崩れにくさ”を分かりやすく伝えるための実験も行い、研究開発担当をオンライン会議でつないで解説も添えた。遠藤・シニアPRコーディネーターは「プレゼンテーション中は画面の向こうで参加されている方にも話しかけるように心掛け、遠隔でもライブの臨場感を味わってもらえるように工夫を凝らした」という。
 
 「なかなか画面上だけだと製品やブランドの世界観をフルに伝えることが難しいことから、今までのようなオフラインでの発表会の開催を決めた。一方でこのような状況下で、オンラインで参加したい人もいると思い、会場の様子を生配信するといった、ハイブリッドでの発表会に挑戦した。オンライン、オフラインどちらの良さを生かし、結果的にはどちらにもバランスよく参加していただけた。『メイベリン』は世の中の女性にポジティブなエネルギーを与えるブランドとして、既存の考え方にとらわれず今後も新しいアイデアに挑戦し続けたい」と遠藤・シニアPRコーディネーター。

 新型コロナウイルスの影響で新作の発表会が急速にデジタルシフトしたが、同時にリアルなコミュニケーションの良さも改めて感じるきっかけにもなっていると言えるだろう。新型コロナウイルスの完全なる収束が見えない中、今後もうまくデジタルとリアルを活用するブランドが増えそうだ。

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夏の中だるみコーデに喝! “タイダイ柄”でマンネリ解消

 残暑の時期に入りましたが、夏の後半はコーディネートもマンネリ気味になりがちです。このあたりで中だるみに喝を入れるなら、絞り染めの“タイダイ柄”がおすすめ。サーファールックでおなじみのぼかし染めが夏気分をもう一度高めてくれます。さらに、勢いが続く70年代ヒッピーのトレンドも取り込めるので、マルチカラーやグラデーションなどを生かせば、サマールックにスパイスも加わりそうです。

 Tシャツでおなじみのタイダイ柄ですが、ウィメンズでは「イロジカケ(IROJIKAKE)」のような、フェミニンなワンピースにまでバリエーションが広がってきました。タイダイ柄の魅力はポジティブな気分と自由感。一枚で華やかに映るのも、薄着のサマーコーディネートではうれしいメリットです。そこで、今回は進化系のタイダイ・ルックをピックアップ。夏の後半戦にパンチを加える着こなしに役立ててみて。

タイダイ・ボトムスで気分を上げる スポーティーなトップスと好相性

 グラデーション風のタイダイが増えています。「アウラ アイラ(AULA AILA)」はデニムのブリーチを思わせるぼかしタイダイで、ロングスカートをエレガントな見え具合にアレンジ。スポーティーなメッシュトップスと合わせて甘さを抑えるのが、全体のバランスを整えるコツです。タイダイにはヒッピー感が伴いますが、あえて雰囲気の異なるアイテムを合わせると、こなれたミックスコーディネートにまとめられます。

 ヒッピーと縁が深いタイダイは、めくるめく色使いのサイケデリックカラーとも好相性。2枚目の「77 サーカ(77 CIRCA)」はマルチカラーのパンツにタイダイを生かしました。ナンバリングモチーフのスポーティーなトップスとのコンビネーションで、いっそうアメリカ西海岸風のムードに。気の滅入ることが多いご時世だからこそ、イエローやピンク、そしてタイダイで気持ちを盛り上げていきましょう。

リラックスワンピースにグラデーション染め ダイナミックな着映えに

 ワンピースにタイダイを迎えると、面積が広い分、ダイナミックな着映えに仕上がります。マルチカラーの帯状グラデーションが装いにリズミカルな動きを添えた「コンバース トウキョウ × ミュベール(CONVERSE TOKYO x MUVEIL)」のコラボレーションワンピースは、ハイカットスニーカーとも色を合わせて鮮やかに演出。リズミカルな動きを添えて、自然な落ち感も引き出すことに成功しています。

 逆に、ブルー系を使ったクールなタイダイ・ルックはまさに夏向きの装い。さわやかな印象を強めるなら白とのコンビネーションが効果的です。2枚目の「ミディウミソリッド(MIDIUMISOLID)」は、ブルーのタイダイが涼やかさいっぱい。裾広がりの伸びやかなシルエットは、ボディーに張り付かないゆったり感が見るからに心地よさげ。パートナー色の白が清潔感を印象づけると同時に、ブルーの深みを引き出しています。

タイダイTシャツで即効ヒッピースタイル ジェンダーレスな雰囲気もプラス

 真夏の主役アイテムであるTシャツは、タイダイとの相性が抜群。さっぱりして見えすぎるところのあるTシャツも、華やかな色のタイダイを生かせば、サマールックに程よい主張を呼び込んでくれます。「ハフ(HUF)」のオレンジ系タイダイTシャツは強めのメッセージプリント入りで、反骨ムードを匂わせています。さらに、切りっぱなしのデニムパンツを添えて、70年代ヒッピー感を演出。葉っぱモチーフのソックスも組み込んで、ありきたりを抜け出すコーディネートの出来上がり。

 トレンドが続いているレインボーカラーは、多様性のシンボル。Tシャツで取り入れると、一気にジェンダーレスな雰囲気が出ます。2枚目の「チャンピオン(CHAMPION)」のサイケデリック調の花柄風モチーフには、フラワーチルドレンのスピリットまで宿っているかのよう。レオパード柄のパンツは“柄×柄”コーデの決め手。装いにパワーも添えています。

 今年のタイダイ柄は、これまでに比べてバリエーションが多彩。薄着でマンネリ感が増しがちなサマールックにインパクトやサプライズを持ち込んでくれるので、“着こなし中だるみ”を打破する点で頼りになります。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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まだ、あなたが知らないニューヨーク最新トレンド ニューヨークの不動産事情を解剖 SHRINKING FASHION RETAIL SPACE

 ニューヨークのファッション業界で活躍するクリエイティブ・ディレクター、メイ(May)と、仕事仲間でファッションエディターのスティービー(Stevie)による連載第12回。ニューヨークの路上に出現した屋外レストランで、3月以来の対面ランチが実現。“You’d Better Be Handsome”では、トレンドに敏感なレイチェル(Rachel)も加えて、ニューヨークのトレンドや新常識について毎回トーク。今回のテーマは、激変するニューヨークの不動産事情について。コロナの前から閉店に追い込まれている百貨店とセレクトショップの厳しい現状を含めてリポートする。

 ソーホーのはずれ、素敵な雑貨店「ギルド(THE GUILD)」と花屋を併設するフレンチレストラン「ラ メルシエ(LA MERCIER)」。レストランのすぐ外に設置されたテーブルは、もともとある屋内にも増してパリにいるかのようなムード。屋内でのレストラン営業がまだNGのニューヨークでは、レストランの周りにテーブルが設置され、天気のいい日は気持ちよく食事ができる。6フィート(約1.8m)は離れていないといけないため、普段よりも広々と感じる。メニューはQRコードをスキャンする仕組み。これもニューノーマルの一部。La Mercier, 53 Howard Street, New York NY 10013 tel:212 852 9097

メイ:屋外のレストランは使い捨て食器やプラスチックのコップが多かったりするけれど、「ラ メルシエ」ではもちろんコップはガラスで、ナプキンも布で、シルバーウエアだし、なんだかとっても落ち着く。

スティービー:屋内も天井が高くて素敵な空間だったけど、隣のテーブルの会話が丸聞こえしてしまう距離感だったから、今の方がゆっくり会話を楽しみながら食事ができるね。

レイチェル:レストランには申し訳ないけど、そんなに混んでないし、一人ずつのスペースがたっぷりで贅沢な感じ。でも雨が降ったりすると営業できないわけだから飲食店は大変よね。

スティービー:冬が来る前に、レストランの屋内でも食事ができるようになるといいね。

歴史あるロード&テイラーの撤退

メイ:でも今回のコロナのことが後押しして、ニューヨークを撤退するチェーン店も増えている。家賃が高いし仕方ないけど。

スティービー:例えばどこ?

メイ:ブライアントパークの中にある「ブライアント パーク グリル(BRYANT PARK GRILL)」も、実は他に19店持つチェーンだったらしく、旗艦店という意味でニューヨークに店を構えていたけれど、シンボル的なことにお金を費やしている余裕はなくなったみたい。

スティービー:ブライアントパークといえば、その2ブロック南にあったロード&テイラー(LORD & TAYLOR)という百貨店がとうとうなくなってしまったよね。ロード&テイラーは、1826年に創業したアメリカでいちばん古い歴史を持つ百貨店だった。ニューヨークの旗艦店は2018年に閉めていたけれど、まだ地方都市のモールを中心に50近くあった店舗のうち、19店が閉店する。

レイチェル:アパレルレンタルのル・トート(LE TOTE)が昨年8月に、ハドソンベイカンパニー(HUDSON BAY COMPANY)からロード&テイラーを買収したばかりだったのに、今月2日に破産申告を申請している。

スティービー:ル・トートもロード&テイラーを買収しなければ、共倒れにならなかったかもしれないのに。一時はメイシーズ(MACY’S)を持つフェデレイテッド(FEDERATED)の傘下にあったロード&テイラーにはいろんな企業が挑戦したけどうまくいかず、終止符を打った。

レイチェル:ニューヨークの元ロード&テイラーの6万1300平方メートルの店舗だけど、シェアオフィスの最大手ウイワーク(WEWORK)が元CEOのアダム・ニューマン(Adam Newman)の下で17年に購入し、その後アマゾン(AMAZON)に売った。今年3月に9億7800万ドル(約1040億円)でね。

メイ:ニューヨーク本社の夢をアマゾンは諦めてなかったんだね。今年3月って、コロナでロックダウンがスタートした時。他の企業だったら、そんな大きな買い物をしてしまって気の毒にもなるけど、アマゾンはロックダウンで利益が大幅に伸びた組代表だからあのビルも安泰だね。

スティービー:最近のロード&テイラーは地味なブランドしか置いていない廃れた百貨店だったけれど、僕が子どもの頃はトップブランドが並ぶキラキラした百貨店だった。1階にはパイプオルガンが設置されていて、華やかだった記憶が鮮明に残っている。

レイチェル:パイプオルガン?

メイ:ブライアントパークでファッションショーがあった時代に、ときどきあそこのカフェで休憩したりした記憶があるな。けっこう昔のことだけれど。そのときもすでにいつでも空いていた。

スティービー:百貨店内にレストランをオープンしたのも、ロード&テイラーがいちばん最初だったはず。5番街にある旗艦店は20世紀初頭に建てられたランドマークだし。

メイ:百貨店が難しいといわれて久しいけれど、本当に次々に消えていくよね。ブルーミングデールズ(BLOOMINGDALE'S)やサックス・フィフス・アベニュー(SAKS FIFTH AVENUE)は大丈夫かな?

スティービー:ニーマン マーカス(NEIMAN MARCUS)が破産申告したのが5月。コロナが大きな要因にはなっているだろうけど、その前から苦労していた様子だった。

メイ:ニーマン マーカス グループ傘下の高級百貨店、ニューヨークの最高峰バーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)は大丈夫なのかな?

スティービー:バーグドルフは、別の経営チームが担当しているとかで、ニーマンの道連れにはならなさそうだけど、eコマースに強いわけでもなさそうだから大変だろうな、とは想像できる。

レイチェル:ニーマン・マーカスがバーグドルフを買収したときの条件として、バーグドルフは、同グループから競合百貨店をニューヨークにはつくらないことを提示したらしい。そのため、ずっとニーマン マーカスはニューヨークには出店しないできた。でも19年に大型高級ショッピングセンター、ハドソンヤーズ(HUDSON YARDS)がニューヨークに登場した際に晴れて出店したわけだけど、お客がそんなに入っているわけでもないし、正直いつまで持つのかなとみんな思っていたはず。

スティービー:ハドソンヤーズだけじゃないけど、コロナ時代に人がたくさん集まる、しかも室内のショッピングモールは危険とされているからつらいね。

メイ:「シャネル(CHANEL)」とか「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「ディオール(DIOR)」「フェンディ(FENDI)」まで入っているのにね。あの手の高級モールがワールドトレードセンターの近くにもあるけど、どうなっているのかしら?

レイチェル:ブルックフィールドプレイス(BROOKFIELD PLACE)とウエストフィールドワールドトレードセンター(WESTFIELD WORLD TRADE CENTER)のこと?ブルックフィールドには「グッチ(GUCCI)」や「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」が、ウエストフィールドにはアップルや「H&M」が入っていた。でもみんなまだコロナの影響で閉まっているみたい。これを機に撤退する店があっても驚かないな。

高い賃料に潰される百貨店

レイチェル:私が暮らすブルックリンのブッシュウィックエリアは家賃も下がっているし、いろんな物件が増えていて引っ越そうかといろいろ物色しているところ。普段なら、そもそも空いている物件が少なくて苦労するのに、現時点ではニューヨーク市全体で1万3000件の空き物件があるらしい。これは記録的。もちろん住居だけで。

スティービー:コロナが長引くし秋からの学校も主にオンラインだから、郊外に引っ越す人も増えていて、ニューヨーク州北部やニュージャージーなどは一軒家の価格が30%くらい上がっているところもあるらしい。実際の物件を見ないで買う人もいるって聞いた。

メイ:分かる分かる。前みたいに旅が気軽にはできなくなったいま、仕事もリラックスも学校も何でもかんでも家でしないといけないから、庭やテラスがないとつらい。

スティービー:「ニューヨーク タイムズ(The New York Times)」の5月の記事だけど、ニューヨーク市の人口の約5%にあたる42万人が、ロックダウンになってニューヨークから郊外や他州に逃げたというデータがある。ドライブで2〜3時間以内で行けるニューヨーク州北部のアップステートや、ハンプトンやコネチカットなどに別荘を持っている人たちも多いのも確か。

レイチェル:年内はオフィスに行かなくていい企業もたくさんあるしね。仕事のリモート化で、都会のど真ん中にいる必要がなくなった人たちも多いはず。そもそも、家賃が高過ぎるから。

スティービー:家賃が高いといえば、米国の「ムジ(MUJI)」も7月に破産宣申告をしたね。カリフォルニアの店舗は全店閉鎖するらしい。そういえばニューヨークのハドソンヤーズにも入っていたね。

レイチェル:高いところにばかり出店したのがあだになったみたいよ。

メイ:そうはいっても、みんないいところに出店したいよね?ただバランスの問題だと思うけど。

スティービー:バーニーズ ニューヨーク(BARNEY’S NEW YORK)が倒産したときに、あのビルが持ちビルでないと聞いてすごく驚いたのは僕だけじゃなかったはず。1993年から旗艦店を構えてきたから、てっきりバーニーズのビルだと信じ切っていた。2万1375平方メートルの面積を借りていたとは。

メイ:年間家賃が1600万ドル(約17億円)だったのが、19年1月に約倍の3000万ドル(32億円)になったというのも倒産の理由だったよね。1600万ドルだって十分に高い。高級品をたくさん売ったところでなかなかそんな利益は出ないって、素人の私でも計算できるのに。ヘンリベンデル(HENRI BENDEL)もワクワクさせられる素敵な店だったけど、なくなってしまった。実はバーニーズと同じ頃に静かに閉店したよね。

スティービー:ニューヨークに店を出すのは、以前は成功の証しだったかもしれないけど、もうそんなことを言っている場合ではなくなっているし、一等地に旗艦店をオープンすることがゴールということ自体がいまどきじゃない。

続々消えゆくセレクトショップ

メイ:オープニングセレモニー(OPENING CEREMONY)はある意味、いいときにビジネスを売ってラッキーだったと言える?コロナの前だったから。予定より早く店を閉めなくてはいけなかったとはいえ。

レイチェル:ディエチ・コルソコモ(10 CORSO COMO)もコロナになって、あっという間に閉まってしまった。18年9月にオープンして、結局2年持たなかった。場所も不便だったから、私は1度行ったきり。

スティービー:ディエチ・コルソコモのスーパーセールが7月にオンラインであって、普段は絶対にセールにならないようなブランドまで全て70%オフとかになったんだよ。ただ、すごいオーダーが殺到してパンクしたのか、全キャンセルになったらしい。前代未聞。

レイチェル:オンラインセールといえば、ニューヨークにお店もあったトトカエロ(TOTOKAELO)と、オンラインでセンスのいい服と雑貨を販売してきたニードサプライ(NEEDSUPPLY)。同じグループだけど、どちらも現在進行中のセールをもって閉店するらしいし。

スティービー:ニードサプライは、1996年にビンテージのリーバイス専門店としてバージニア州リッチモンドでオープンした。2008年から、オンラインも展開していて、僕も本や食器を買ったりしていたよ。

メイ:5月にはジェフリー(JEFFREY)も閉店したよね。1999年まだ血の匂いが漂うミートパッキング地区に高級セレクトショップをオープンし、その後2005年にノードストロム(NORDSTROM)が買収したのだけれど。

スティービー:あの頃旬なデザイナーブランドがすべて並んでいたし、メンズも充実していた。ジェフリーの出現で、ミートパッキングには続いて「ステラ・マッカートニー(STELLA MCCARTNEY)」や「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)」などのブティックが出来たし。

メイ:コロナがとどめを刺したのは確かかもしれないけれど、セレクトショップというコンセプトが次々に破綻してきている。バーニーズ、ヘンリベンデル、オープニングセレモニー、スティーブン・アラン(STEVEN ALAN)、ジェフリー、トトカエロ、もっと出てくるかも?

スティービー:センス(SSENSE)のように店を構えず、それゆえに一等地で高い賃料を払わなくてもいいところしかもはや生き残れないのかも?

メイ:結局はアマゾンだけが生き残る世の中しか待っていないのか?今はツーリストもいないし。

レイチェル:アマゾンといえば、郊外の閉店したモールを発送センターにする予定があるらしい。モールの経営では最大手のサイモン・プロパティ(SIMON PROPERTY)と交渉中だとか。シアーズ(SEARS)やJ.C.ペニー(J.C.PENNEY)だったところがアマゾンになるってこと。

メイ:ロックダウンの間も閉まらなかったターゲット(TARGET)やウォルマート(WALMART)とかの売り上げはすごく上がっているし。勝敗がはっきり出てきている。

スティービー:小売業の不動産物件が今後どうなるかは目が離せないね。店がどんどん閉店するだろうし。ニューヨークの魅力って、ショッピングであったことは確かだから、その魅力が消えないといいね。

メイ/クリエイティブディレクター : ファッションやビューティの広告キャンペーンやブランドコンサルティングを手掛ける。トップクリエイティブエージェンシーで経験を積んだ後、独立。自分のエージェンシーを経営する。仕事で海外、特にアジアに頻繁に足を運ぶ。オフィスから徒歩3分、トライベッカのロフトに暮らす

スティービー/ファッションエディター : アメリカを代表する某ファッション誌の有名編集長のもとでキャリアをスタート。ファッションおよびビューティエディトリアルのディレクションを行うほか、広告キャンペーンにも積極的に参加。10年前にチェルシーを引き上げ、現在はブルックリンのフォートグリーン在住

レイチェル/プロデューサー : PR会社およびキャスティングエージェンシーでの経験が買われ、プロデューサーとしてメイの運営するクリエイティブ・エージェンシーで働くようになって早3年。アーティストがこぞってスタジオを構えるヒップなブルックリンのブシュウィックに暮らし、最新のイベントに繰り出し、ファッション、ビューティ、モデル、セレブゴシップなどさまざまなトレンドを収集するのが日課

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約2倍成長をキープ サザビーリーグのD2Cジュエリーが継続成長するワケ

 サザビーリーグが2018年4月に立ち上げたD2Cジュエリーブランド「アルティ―ダ ウード(ARTIDA OUD)」が、継続的に売り上げを伸ばしている。EC中心で販売をしながら百貨店などでポップアップショップを開いてきたが、8月7日に東京・渋谷区松濤に多目的スペース、ジ アナザー ミュージアム(以下、ミュージアム)をオープンした。

 設立当時から、色石を使用したモード感溢れるジュエリーと手に取りやすい価格設定、パッケージ選びの楽しさやオリジナルのフレグランスで受け取る側の五感を刺激する演出など、独自のアプローチに注目されてきた。今でこそD2Cブランドがちまたに溢れているが、当時はジュエリーをECで売るというのはチャレンジだった。しかし同ブランドは、試着アプリやカスタマイズ機能を導入して、EC上でのショッピングの楽しさを消費者に提供してきた。手頃で魅力的な商品、消費者を楽しませるための考え抜かれた仕組みや工夫、効率的で新しいビジネスモデルに感心したものだ。

 ミュージアムの内覧会でブランドの立役者に会うことができた。ここでは、その人安部真理子サザビーリーグ 営業統括 ECブランド事業部 ディレクター&デザイナーに聞いたブランド設立の背景やビジネスモデルを紹介する。

WWD:18年のブランド設立以降の売上高の伸び率は?

安部真理子「アルティ―ダ ウード」ディレクター&デザイナー(以下、安部):昨年は初年度の売上高の1.8倍以上を売り上げた。ブランドを立ち上げて2年4カ月が経過したが、ほぼ同じペースで売り上げが伸びている。

WWD:継続して売り上げが伸びている理由は?

安部:EC中心の販売だったので、インスタグラムなどSNSでの発信に力を入れたのが認知度アップにつながった。ブランドの根底にある、手に届きやすいファインジュエリーを提供することで生産者と消費者の両方をハッピーにするという哲学に共感してくれる消費者が増えている。また、見た目と価格のギャップが好調の理由でもある。

WWD:ブランドを立ち上げた当時はまだD2Cブランドは少なく、特にジュエリーをECで買うというのは当時新しかったが?

安部:当時はまだショールーミングが中心だった。約3年前からアメリカのウェブサイトをリサーチし始めて、D2Cというビジネスモデルに出合った。中間マージンを排除することで高品質で低価格の商品を提供することができる。昨年9月に「アイ アム ドネーション」プロジェクトを立ち上げ、売上金の一部をインドに学校を建てるためのプロジェクトや国境なき医師団による「新型コロナウイルス感染症危機対応募金」などに寄付しており、それがインスタグラムなどのコメントを通して広がり共感を得ている。

WWD:EC販売で重要なことは?

安部:顧客を楽しませることが大切。また、顧客とのコミュニケーションで最大限の驚きや喜びを与えられるように工夫している。喜んでもらえるノベルティーの用意も効果的だ。

WWD:ターゲットは?

安部:年齢を問わず、インポートジュエリーを買い慣れている人が多い。ブランドのコンセプトの“ありのままの姿が放つきらめき(RAW SCENTS OF GLIMMER)”にあるように石そのものの美しさを生かしたジュエリーが多いので、石が好きな人にも支持されている。

WWD:売れ筋商材とその価格帯は?

安部:一点もののリングが好調だ。色石と10金を使用したもので3万円台、18金だと4万円台が中心。毎月2回発売しているが、完売するものもある。最近ではピアスの人気も高まっており、中心価格帯は2万円台。ヒエログリフやイニシャル、ラテン語の定型文のメッセージを刻印できるカスタマイズシリーズも好評だ。これらで使用する素材はリサイクルした地金を使用している

WWD:フレグランスの販売もしているが?

安部:当初はジュエリーを届ける際の香りだったが、販売したところ好調だった。今は4種類の香りがあり、顧客に好評でSNSで広がっている。完全にオーガニックで、生産はサステナビリティにこだわるイタリアの工場で行っている。このような状況なのでハンドジェルも製作した。

WWD:多目的スペースのミュージアムをオープンしたのは?

安部:非日常空間で、アポイントメント制でゆっくりジュエリーを選んでもらうと同時に、ネイルや占いなども提供するなど特別な体験の場にしたいと思った。ミュージアムでは新作と店舗限定品だけ販売し、ECとのすみ分けを図っている。

WWD:今後どのようにブランドを発展させていきたいか?

安部:エシカルでサステナブルなジュエリーブランドとして選んでもらえるようになりたい。パッケージもリニューアルして、フランス人のアーティストが手掛けたジュエリーポーチにしたが、パッケージなしを選ぶとポイントが付くような仕組みにしている。これからは、ECとリアル店舗両方で顧客とスタッフとともにブランドを作り上げていきたい。

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ピザ箱でワンピースを届ける「レルディ」 絵描きのリー・イズミダとのコラボコレクションを発表

 繊維商社の豊島による「レルディ(RELDI)」は2019年春にスタートしたワンピースブランドだ。“現代を強く生きる女性が、有意義な時間を手に入れることができるワンピース”をコンセプトに、1着でサマになり、何通りにも着こなしが楽しめるデザインを生み出している。ECを中心に販売し、「受け取ったときに気分が上がるものを」というデザイナーの山本雄矢の思いを込めて、ピザ箱をイメージしたパッケージで商品を届けているのも特徴だ。

 そのパッケージの絵を担当したのが、絵描きとして活動するリー・イズミダ(Lee Izumida)だ。アメリカで絵を学び、東京でビームスの「ピルグリム サーフ+サプライ(PILGRIM SURF+SUPPLY)」で販売員を経験し、昨年絵描きとしてのキャリアをスタート。デビューして間もないが、すでにルミネやパルコの広告をはじめ、「ピルグリム サーフ+サプライ」のビジュアルや、店舗のウインドーペイントなども手掛けている。

 ピザ箱風のパッケージでのコラボレーションを経て、「レルディ」は20-21年秋冬コレクションで再びリー・イズミダとコラボレーションを行った。イズミダによる手描きの花柄をのせた7型のアイテムを8月末〜10月末に順次発売していく。コラボを行ったデザイナーの山本とイズミダに、出会いやコラボの経緯について聞いた。

WWD:2人の出会いは?

山本雄矢「レルディ」デザイナー(以下、山本):東京・池尻にあるカフェでイズミダさんの絵が飾られているのを見て、「すてきだな」と思ったのがきっかけでした。

リー・イズミダ(以下、イズミダ):私はウェブで「レルディ」を知って、ワンピースを買って着ていたんです。もともと勤めていた「ピルグリム サーフ+サプライ」を辞めた後にいろんなテイストの服に挑戦したいと思い、購入したアイテムの一つだったんです。

山本:現在ブランドの店舗がなく、販路は99%が自社のオンラインストア。お客さまとのコミュニケーションツールとして、何かできないかなと考えたときに、発送用のパッケージをイズミダさんに依頼しました。デリバリーのピザ箱の形にして、届いたときに気分が上がるものにしたかったんです。それに僕、ピザ好きなんで(笑)。

イズミダ:私もピザ好き(笑)。やっぱりこのピザの箱は届いたときにテンションが上がります。箱が捨てられなくて重ねて飾っているんです。

山本:お客さまからもとてもいい反応をいただいています。イズミダさんのファンの方にもこのパッケージのコラボをきっかけでブランドを知っていただいて、アート作品を一つ手に入れる感覚で購入してくださっていますね。

ペルーの鮮やかな色彩を
秋冬に開花する花で表現

WWD:今回は洋服でのコラボレーションだが、どのように取り組んだのか?

山本:今季は ペルーをシーズンコンセプトにしています。世界遺産の遺跡であるマチュピチュがありながらも、“レインボーマウンテン”といわれる虹色の山、ビニクンカ山が“インスタ映え”スポットとしても人気だったり、歴史的なものと新しい流行を受け入れる文化が素晴らしいなと思ったんです。そのペルーの鮮やかな色彩をコレクションで表現しようと思ったときに、イズミダさんのアートと親和性が高いと思ってお誘いしたんです。モチーフは商品展開の時季(秋冬)に開花するマグノリア、クリスマスローズ、アネモネ、エリカを選びました。

イズミダ:私は「どんな洋服になるんだろう?」と考えながら、楽しんで描きました。アネモネ、エリカはこれまで描いたことがなかったので新鮮でしたし、チェックは寝起き一発で仕上げたんです。あんまり頭がちゃんと働いていないときに描いた方がいいものができる気がして(笑)。

WWD:イズミダさんの絵は花の印象が強いが、得意なモチーフなのか?

イズミダ:皆さんにはそのように思われていることが多いんですが、実は去年から描き始めたばかりなんです。飽きるまでずっと同じものを描き続けるタイプで、去年は花、カットフルーツを描いて、今年は魚とか昆虫を描いています。だから花は私にとっては新入りで(笑)。今回もそうなのですが、花を描くときはちゃんと生態を調べてます。色の種類、咲く時期だとか覚えちゃったり。散歩中に花を見たら写真を撮っておきます。昆虫とかも図鑑でじっくりながめるのも好きなんです。

WWD:コレクションに合わせてマスクも制作した。

山本:フラワーショップに寄付をしたいと思い作りました。南青山のロジ プランツ&フラワーズさん、代々木上原の終日フラワーさん、松陰神社前のドゥフトさんの3店舗にお届けして、店員さんにつけていただいたり、お店のノベルティとして配ってもらったりと使っていただく予定です。お花は今回のコレクションと連動していますし、僕も実は大好きなので。

イズミダ:偶然ですが、実はドゥフトのお店の方とは友人で、ロジ プランツ&フラワーズさんではクリスマスウインドーのペイントを担当したことがあるんですよ。

「レルディ」は販路拡大、
イズミダは絵を描き続けることを目標に

WWD:コロナ禍で何か変わったことは?

山本:緊急事態宣言が出たときには、時間がたっぷりあったのでインプットとアウトプットを繰り返せたと思います。特に写真家のスティーブン・ショア(Stephen Shore)の作品が気になって、写真集を買いあさったのですごく影響を受けそうです。

イズミダ:私はカッコつけるのをやめました。絵は年齢も性別も関係なく多くの人が楽しめるもので、もっと親しみやすく作品を楽しんでもらいたいといろいろ企画しました。インスタライブもカッコつけずに、とにかくやってみようという思いで、絵を描いているところを配信したり、作品のポスターを販売してみたりと挑戦して。昆虫を描き始めたのも子どもたちに喜んでもらえるかな?と思ったのがきっかけでした。

WWD:イズミダさんの肩書が“絵描き”なのはなぜ?

イズミダ:致命的なんですけど、パソコンが使えなくてイラストレーターにはなれないんです……。しかも、自分の色しか出せない。画家というのはちょっと偉大なイメージがあるし、ペインターと名乗ることもあるんですけど、“絵描き”が一番しっくりきています。

WWD:2人の今後の目標は?

山本:「レルディ」の販路の拡大です。現状ではリアルで試着できる場所がなく、問い合わせを多くいただいて、ウェブで購入してくださる方の不安を解消できたらと思っています。本当はこの秋冬シーズンからバイヤー向けの展示会を開きたいと思っていたんですが、コロナの影響でアプローチができませんでした。ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ(BEAUTY & YOUTH UNITED ARROWS)やレイビームス(RAY BEAMS)などのようなセレクトショップに扱ってもらうことが目標です。

イズミダ:もし店舗で扱われたら、私がウインドーに絵を描きに行きますよ!販売員だったんで店にも立って販売も手伝えます(笑)。私は個展がなかなかできない状況ですが、また気になった人に気軽に来ていただけるような個展を開きたいと思っています。子ども向けのワークショップもやってみたくて、傘に絵を描くような企画も考えていたんです。あとは絵本の挿絵やワインボトルのラベルも描いてみたい。ずっと思っていることなんですが、おばあちゃんになるまで絵を描き続けたいんです。

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企業活動の透明性評価3点 「ロンシャン」CEOが語った、絆を軸に据えたサステナビリティ施策

 いま企業にとって“透明性”がビジネスの要になっている。ファッション産業において透明性とは、「サプライチェーン、ビジネスの手法、それらが労働者・コミュニティー・環境に与える影響について、広く一般に情報公開していること。そしてそのデータは包括的で信頼性が高く、他企業と比較できるものであること」だ。これは英国のNPO団体ファッションレボリューション(Fashion Revolution)による定義だが、彼らはまた、ファッション企業が透明性をどのように追求すべきか、その指針を示している。ファッションレボリューションは、2013年に1000人超の死者を出したファッション史上最悪の事故、バングラデシュのダッカで起きたラナ・プラザ崩落事故をきっかけに発足。透明性に重きを置いたビジネスの重要性を訴えて続けている。17年からは「ファッション トランスペアレンシー インデックス(Fashion Transparency Index 以下、FTI)」を毎年発表し、220の指標をもとにファッションブランドが情報を開示しているかを調査し、スコア化している。

 同インデックスで、“透明性3%”の評価を下されたのが、日本でも根強い人気の“ル プリアージュ”シリーズのバッグでおなじみの「ロンシャン(LONGCHAMP)」だ。ジャン・キャスグラン(Jean Cassegrain)最高経営責任者(CEO)に今回の結果についての反論を求めたところ、同社が押し進めるサステナビリティ施策について語った。

WWD:ファッションレボリューションの「FTI」ではスコアが3%だった。透明性についてどのように考えているか。

ジャン・ギャスランCEO(以下、ギャスランCEO):70年以上におよぶ家族経営の中で、透明性を追求するために私たちが最初に取り組んだのが、サプライチェーンとの関係構築だ。「ロンシャン」は他のブランドと違い、小売業だけでなく製造業も営むメゾンだ。フランスやチュニジア、モーリシャスに8つのアトリエと1000人以上の職人を抱え、外部のアトリエとは50年以上、サプライヤーとも30年以上にわたり提携している。私は父が昔一緒に働いていた職人の子どもたちと仕事をしており、この何世代にもわたる家族のような絆が“メイド・バイ・ロンシャン”の品質を維持しているといえるだろう。

また、透明性を含む社会的責任に応えられる組織づくりを推進するため、商品開発部門と密に関わる「エンバイロンメンタル・コミッティー」を立ち上げた。担当者は品質管理部門も統括しており、生産で直面する環境問題を解決しながら、品質を最大限維持する道を探る業務にあたっている。

WWD:「エンバイロンメンタル・コミッティー」の具体的な活動例は?

ギャスランCEO:サプライチェーンや環境に関する方針「コード・オブ・グッド・プラクティス」を2019年に公式オンラインストア上で公開した。内容は、サプライチェーンの透明性をはじめ、レザーの仕入れ管理、廃棄物ならびにエネルギー消費の削減などだ。

また、「エンバイロンメンタル・コミッティー」は、日本では今年4月にローンチしたパーソナライゼーションサービス、“マイ プリアージュ シグネチャー”ラインの立ち上げにも携わっている。商品開発部門・品質管理部門と連携して、環境に配慮した再生ポリエステル繊維を100%使用したリサイクルボンディングキャンバスを素材に採用。さらに、提携しているなめし革工場も下水処理システムを見直し、排出する水が汚染されないよう作業工程の見直しを行った。

WWD:その他、サステナビリティに対してどのような取り組みをしているのか。

ギャスランCEO:私たちは、長く使い続けることができる耐久性に優れた製品を生み出すことを常に目指している。フランスのメーヌ・エ・ロワール県スグレにあるアトリエの修理サービス部門では、毎年4万点以上の製品を修理しており、購入してくれた顧客と、その次の世代にも愛されるもの作りを続けている。また、ブランドのサヴォアフェール(メゾン伝統の技術)を継承するため、スグレに職人を育成する学校も設立した。代々受け継がれてきた匠の技を持つ職人を育てることが、“メイド・バイ・ロンシャン”の品質と、そこにつながるサステナビリティを生み出す原動力となると信じている。

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生活を豊かにする逸品が集まる「ライフスタイルweek 関西」を9月に初開催 オンライン商談も導入

 リード エグジビション ジャパンは9月9~11日に、日常生活を豊かにする逸品が集結する商談展「ライフスタイル Week 関西」をインテックス大阪で開催する。9月2~4日に東京ビッグサイト(西展示棟)で行う「第15回 ライフスタイル Week夏」に続くもので、関西での実施は初めてだ。

 今展は、ファッション雑貨、雑貨、ヘルス&ビューティグッズ、インテリア雑貨の各EXPOと文具・紙製品展(ISOT)の5つの専門展示会で構成され、190社が出展。同時開催する販促EXPOと国際化粧品展を合わせると570社が参加する。毎年、トレンドの新製品が集まる商談の場として東京で開催されていた本展だが、業界関係者から「関西地域でも、ぜひ開催してほしい」と声が上がり初開催が実現した。

伝統の職人技が光る関西の企業に
注目

 関西で開かれる商談展としては最大規模で、西日本を中心に全国から出展する企業の、生活を彩る幅広いジャンルの商材に注目が集まる。特に大阪の出展企業は個性的だ。1951年に創業したオーエスケーはプラスチックの可能性を追求した日用品を得意としており、出品するオリジナルブランド「パーセント・プレート(%PLATE)」は食卓を楽しく彩る皿のカラーバリエーションが豊かで、国産の一点一点に職人気質を感じる。ムートン商品一筋24年のクラフトワークスは、京都西陣織の金襴生地とムートンで仕上げたゴージャスなバッグが自信作だ。

成長企業の
ビジネスパーソンによる
無料セミナーで新しいビジネスの
ヒントを見つける

 ポストコロナの新しいビジネスモデルは何か。そのヒントが見つかる、成長企業のビジネスパーソンによる無料セミナーにも注目したい。“子どもの可能性をクリエイトする”という新たな企業理念を掲げて、家族のライフスタイル提案型企業へと生まれ変わったファミリア、ナノ・ユニバースのEC戦略、リアル店舗の変革に取り組む「蔦屋家電+(プラス)」のプロデューサーが考えるニューリテールなど、次世代の新しいビジネス様式を知る機会にもなるだろう。

 また、「ライフスタイル Week 関西」の独自企画が、「文具ラバーズ・コレクション」の特別展示だ。ISOT文具PR委員が選んだユニークなアイテムを披露する。

 今展には、オンラインで来場、商談ができるシステムを初めて導入した。同展のサイトから事前登録(無料)して申し込むと、出展社のバーチャルブースを訪問し、ビデオ通話による個別の相談、チャット機能を使用した質問、ワンクリックで資料でのダウンロードなどができる。新型コロナ禍で出張規制がある会社の営業活動も可能にした。

 リード エグジビション ジャパンは、政府、自治体および展示会業界のガイドラインをもとに新型コロナウイルス感染防止対策を講じて、出展社、来場者の安全を確保し開催するとしている。

INFORMATION
第1回 ライフスタイル Week 関西

構成展示会:雑貨EXPO、ファッション雑貨EXPO、ヘルス&ビューティグッズEXPO、インテリア雑貨EXPO、文具・紙製品展(ISOT)
日程:2020年9月9日(水)~11日(金)
時間:10:00~17:00
会場:インテックス大阪
住所:大阪府大阪市住之江区南港北1-5-102
入場料:招待券持参者は無料(招待券がない場合は5000円)

問い合わせ先
ライフスタイル Week 事務局
リード エグジビション ジャパン
03-3349-8505

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ライブコマースがコロナ禍のファッション業界を救う? 市場規模約13兆円の中国に学ぶ

 ライブコマースは中国を中心にすでに大きな支持を得ているが、新型コロナウイルスのパンデミックによる影響でアメリカにおいてもその人気が高まっている。インフルエンサー・マーケティングやそのマネジメントを行うプラットフォームのトラッカー(TRAACKR)によると、この4〜5月のライブコマースのエンゲージメント率が389.6%も急上昇したといい、いくつかの専門企業はファッション業界の回復につながる可能性を示唆している。

 中国では過去数年間でライブストリーミングを活用する動きが広まっており、アリババ(ALIBABA)が中国の「独身の日(シングルデー)」に合わせて11月11日に実施する大規模なセールは、ライブコマースにおいても注目すべき成功例だ。19年度はアリババの「Tモール(Tmall)」に出店しているブランドの半数以上がライブストリーミングを活用して商品を販売し、売り上げは開始後9時間足らずで14億3000万ドル(約1516億円)に達した。広州のメディア監視会社のアイメディア リサーチ(IIMEDIA RESEARCH)の統計によると、中国におけるライブストリーミングの市場規模は2020年に1285億ドル(約13兆円)に到達し、グローバル市場は27年までに1843億ドル(約19兆円)に成長する見込みだという。

 新型コロナの影響で業績に打撃を受けた企業でライブストリーミングを活用し業績が好転した企業もある。中国のファストファッション販売業者のファスト フィッシュ(FAST FISH)は2400店舗以上が閉鎖に追い込まれたが、4月には売上減の約80%を回復し、さらに新しく20店舗をオープンした。業績回復の背景には、実店舗に代わる新たな販売方法として、10億人のアクティブユーザーを抱えるウィーチャット(微信、WeChat)でのライブコマースを可能にしたことがある。

 その施策は、最高経営責任者(CEO)や最高執行責任者なども含む全従業員に対してウィーチャット上で各自のストアを開設し商品を販促するように働きかけたことだ。そしてライブストリーミングでの売り上げを従業員のウィーチャットのアカウントにひも付けることで、従業員に手当が支給される仕組みを構築した。これにより商品の販売や在庫の余剰、店舗休業の影響で仕事がなくなった従業員の収入に関する問題も解消され、ライブストリーミングは同社の基盤的事業となった。

eコマースにおけるライブストリーミングの役割とは?

 ライブストリーミングでは、消費者が動画を配信するホストに向けてメッセージを送信することも可能で、より双方向型のコミュニケーションが取れる仕組みになっている。ファッション・ライブストリーミングのプラットフォーム、アンド・リュクス(AND LUXE)によると、eコマースと違って商品を映像で確認することのできるライブコマースは、アパレルに非常に適しているという。特にドレスなどはサイズ感に不安を覚える人が多いため、購入を避ける傾向にあるが、ライブストリーミングでは、気になる箇所のサイズ感について、ライブ中に質問でき、ブランドはその服のサイズが適切かどうかを判断し、直接アドバイスすることができる。これがライブコマースの最大の特徴とした。

 マーク・ユアン(Mark Yuan)共同創設者兼CEOは、「欧米ファッションブランドの多くは“ライブストリーミング”という言葉を表面的にはわかっているが、本来の意味やその仕組みをきちんと理解していない。フェイスブック(FACEBOOK)のライブと、テレビ放送のショッピングチャンネルのホーム・ショッピング・ネットワーク(Home Shopping Network)、そしてECサイトを一体化したものだと考えればいい。消費者はライブショーを視聴することで、ブランド側は商品をリアルタイムに、3次元の方法で紹介し、販売できる」とコメントした。米国のリテーラーがライブストリーミングを活用するためには、プラットフォーム側のサポートとともに、ライブショーのアプローチ方法などの理解を深める必要もある。

 さらに、ライブストリーミングのプラットフォームであり、フェイスブック ライブ(FACEBOOK LIVE)のソフトウエア・パートナーでもあるビーライブ(BELIVE)のダニエル・メイヤー(Daniel Mayer)創設者兼CEOは、「リテーラーは広告予算を確認し、現状で広告にどれだけの資金を費やしているかを知る必要がある」とアドバイスする。「ライブショーを行う際にかかるコストはゼロかもしれないし、相応の予算が必要になるかもしれないが、どちらにしても現在の広告費を下回ることは確かだ。ファッションはビーライブのプラットフォームにおいても最も需要のあるカテゴリーだ。新型コロナの影響により、リテーラーは販売の機会をすぐにでも得たい状況にある。私たちにとってはユーザー獲得のチャンスだ。厳しい状況の中で収益を増やすためには、新しくユニークな解決策が必要だ」。
 

理想のライブ配信時間は5〜7時間

 ライブストリーミングで収益を得るためには、顧客に対するエンゲージメントが欠かせない。米ロサンゼルスを拠点に日本のポップカルチャーを扱うジャパンLA(JAPAN LA)も、新型コロナの影響で実店舗を閉鎖したリテーラーの一つだ。オーナーのジェイミー・リバデネイラ(Jamie Rivadeneira)は、ライブコマースのプラットフォーム、ポップショップ ライブ(POPSHOP LIVE)で顧客の質問に答えながら5時間のライブ配信を行ったところ、売り上げがコロナ禍以前の実店舗および既存のオンライン販売を上回る結果となった。ダニエル・リー(Danielle Li)=ポップショップ ライブ創設者兼CEOは、「5〜7時間におよぶライブ配信が理想的だ。実店舗で同じ時間営業を行うよりも、ライブストリーミングで一度に多くの顧客と話をする方が効率的だ。また、ライブストリーミングで成功しているリテーラーは、少なくとも週に1回はライブショーを開催している」とコメントした。

 なおポップショップ ライブは、7月に300万ドル(約3億1800万円)の資金調達を発表し、合計450万ドル(約4億7700万円)を新規採用、設備投資、ライブコンテンツの拡充や、新規参入の売り手にオリエンテーションを行うなどの目的に投資している。

ゲームや音楽のライブストリーミングにも注目

 現在、ライブストリーミングにおいて存在感を放っているのがゲームコミュニティーだ。デジタル決済サービスなどを手がけるぺイオニア(PAYONEER)のデータによると、アマゾン(AMAZON)が運営するゲームに特化したライブ配信サービスを提供するツイッチ(TWITCH)でのライブストリーミング動画の視聴時間は、マーケット全体の73%にも上る。

 また7月31日には、ミュージックビデオに登場するアイテムをリアルタイムでクリックして購入できる、新たな形式のライブコマースを提供する「ドロップTV(DROPPTV)」がサービスを開始した。「ドロップTV」のプラットフォームは、独自の人工知能や機械学習、コンピュータービジョンのアルゴリズムを利用しており、ビデオコンテンツ内の商品を認識し、リアルタイムでタグ付けする。

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インフルエンサー名鑑Vol.2 ファッション愛を語る高島涼にオススメを聞く26の質問

 インスタグラムを筆頭とするSNSの普及で、「憧れの人」「なりたい人」が細分化している。今は誰もが、それぞれの「なりたい人」を持っている時代。ならば、そんな身の回りの人を改めて知るべきではないか?そこで「WWD JAPAN.com」は、ソーシャルリレーション マーケティング事業を手がけるリデルの協力を得て、身近な新世代インフルエンサー名鑑を作成する。

 今回は、インスタグラムではファッション誌風の投稿を確立、3つのアパレルブランドを手がけるほか、コミュニケーション・ディレクターとしても活躍する高島涼。素材感やシルエットを重視したスタイリングのほか、好きな洋服に袖を通すときの高揚感を表現する高島には、好きなブランドやコーディネイトのポイントのほか、将来にまつわる質問が数多く寄せられた。全ての質問と回答を一挙に公開する(2020年8月24日号の「WWDジャパン」には、彼にSNS運用などを聞いたインタビュー記事を掲載します)。

ファッションへの愛

Q.1:服は手頃に買える時代に、世間的に高い服を買う価値は?
A.1:僕は服を嗜好品として買っているので、安い・高いより、「かっこいいか?」「気分が高揚するか?」「ブランドのバックボーン」などで決めています。いい家具や陶器、アートを買う感覚に近いです。

Q.2:ファッションを仕事にしている上で、服を嫌いになったことはありますか?
A.2:あります。好きなことを仕事にしてるので、いろいろギャップはありました。でも、やめたいと思ったことは一度もありません。

Q.3:服を好きになったきっかけは?
A.3:高校生の時からです。本格的に好きになったのは21歳の時、お洒落な先輩の服装が好きで、真似して買ったのがきっかけです。

Q.4:どうしても欲しい服あるんですが、「貯まるまで我慢」か「無茶でも買う」、どっちがいいですか?
A.4:昔の僕なら「無茶でも買う」でした(笑)。

オススメのブランド

Q.5:学生にオススメのブランドは、ありますか?
A.5:「オーラリー(AURALEE)」や「グラフペーパー(GRAPHPAPER)」など、ベーシックなアイテムが多いから汎用性が高く、長く着られるブランドだと思います。

Q.6:オススメのニットは?
A.6:「シュタイン(STEIN)」の2020-21年秋冬のニットです。

Q.7:白のパンツのオススメ教えてください。
A.7:「スタジオ ニコルソン(STUDIO NICHOLSON)」のボリュームパンツ“BEN”。

Q.8:オススメのリュックってありますか?
A.8:「クードス(KUDOS)」のリュックが使いやすいです。

Q.9:プライベートでも着回せるようなセットアップが欲しいのですが、オススメのブランドはありますか?
A.9:「コモリ(COMOLI)」。

Q.10:オススメのサングラスはありますか?
A.10:「オリバーピープルズ(OLIVER PEOPLES)」を使っています。

Q.11:バケットハットのオススメは?
A.11:「キジマタカユキ(KIJIMATAKAYUKI)」

Q.12:オススメのスニーカー教えてください。
A.12:「ニューバランス(NEW BALANCE)」の「327」を履いてます。

Q.13:「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」のタビブーツは、ヒール何cmのものを履いていますか?
A.13:2~3cmのヒールです。

Q.14:今一番注目しているブランドは何でしょうか?
A.14:「エムエーエスユー(MASU)」です。

Q.15:20-21年秋冬は、どのブランドに目をつけていますか?
A.15:「イレニサ(IRENISA)」。

Q.16:買いたいものがいくつもあるときの、優先順位の決め方を教えて欲しいです。
A.16:使い勝手の良い物から買っています。

Q.17:「一緒に買い物するならこの人!」みたいな人はいますか?
A.17:買い物は基本一人がいいです。

Q.18:服を着るとき、自分の中でコンセプトは決めていますか?
A.18:その日の気分や、行くシーンに合わせて決めていますが、基本的にはあまり考えていません。

服作りのこと

Q.19:洋服を作る上で、どこから着想を得ていますか?
A.19:最近は、普段の生活からが多いです。時代が大きく変わった今、僕自身も服の買い方やあり方が少し変わったので考えるようになりました。今は機能性や汎用性など、生活に寄り添える服を考え、作っています。

Q.20:りょうさんが服を選ぶ、もしくは作り上げていく上で大切にしていることは何ですか?
A.20:仕事柄普段から私服の為、自分の気分やモチベーションを高めてくれる服を選んでいます。最近だと、自宅で過ごす時間も増え、着心地や機能面も気にするようになりました。

Q.21:ご自身のブランドは、デザインをメーンに携わっているのでしょうか?
A.21:はい。ラフ画程度しかできませんが、自分でデザインしてます。

これまでのこと、これからのこと

Q.22:「今までの努力が、今の仕事に役立っているな」と感じる時は、ありますか?
A.22:継続力です。インスタグラムに関しては6年前から今日まで、毎日投稿しています。「継続は力なり」は、その通りだと思います。

Q.23:モチベーションは?
A.23:応援してくれる皆さんの声が大きいです。

Q.24:今年中に挑戦したいことは何ですか?
A.24:セレクトショップのオープン。

Q.25:今後の目標を教えてください。
A.25:具体的ではありませんが、ファッション業界を盛り上げていけることに挑戦したいです。

Q.26:これからどんな高島涼になりたい?
A.26:いつまでもファッションの最前線で仕事していたいです。

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【動画】「思いはBCCじゃなくTOで届けたい」 「ターク」森川拓野が直筆手紙と映像に込めたデジタル時代への静かな反抗

 森川拓野デザイナーの「ターク(TAAKK)」は、2021年春夏コレクションを動画で発表した。メディアやバイヤーら関係者に向けて400通の直筆の手紙を送り、QRコードにアクセスすると動画冒頭に受け取り手の名前が表示されるという仕掛けから映像が始まる。「UNPOSTED」と題した約6分間のムービーも、手紙を軸にした男女のストーリーだ。アナログな手紙にこだわる背景には、デジタルでのコレクション発表や展示会が急速に浸透し合理化が進む中だからこそ「不特定多数よりも、大切な人には直接届けたい」という森川デザイナーの思いが込められていた。

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「ブルガリ」×「アンブッシュ」 Yoonが語るクリエイション「直感は筋肉のようなもの」

 「ブルガリ(BVLGARI)」は9月、「アンブッシュ(AMBUSH)」のクリエイティブ・ディレクターであるYOONとコラボレーションしたアクセサリーを発売する。同ブランドがアクセサリーで女性とコラボするのは初めてのこと。「ブルガリ」のアイコンである“セルペンティ”をモチーフにYOONがデザインしたバッグほかのアクセサリーは、ビビッドカラーに彩られたポップな印象だ。YOONに「ブルガリ」とのコラボやクリエイションなどについて聞いた。

WWD:「ブルガリ」とコラボした感想は?

YOON:女性では初ということで、光栄に思う。「ブルガリ(BVLGARI)」のアーカイブに触れる機会があり、そのすごさを実感した。アイデアの宝庫だと思った。

WWD:“セルペンティ”をモチーフにした理由は?アイコンの“セルペンティ”をどのようにデザインに落とし込んだか?

YOON:「ブルガリ」からの提案だった。もともと私は動物にあまり興味がなかったけど、“セルペンティ”を自分らしく表現するため、ヘビについていろいろリサーチをした。そして、南アジアに生息するパイソンの自然の色の美しさに感動した。デザインのための答えが自然に会って、その美しさをバッグやアクセサリーに落とし込んだ。パイソンのかわいさや軟らかさ、そしてしなやかさを表すために、わざと丸みを持たせたデザインにしている。“セルペンティ”を私自身の見方で解釈し、ヘビが持つシンボリズムや存在感を表現したつもりだ。

WWD:どのような人にコレクションを楽しんでほしいか?

YOON:特にない。私の役割はデザインして発信すること。どういう反応があるか楽しみだ。気分次第で2ウエイ、3ウエイと幾通りにも使えるのでコーディネートしやすい。それぞれの人がどのようにコーディネートをするか、SNSなどで見るのを今から楽しみにしている。

WWD:今回のコラボで苦労した点や楽しかった点は?

YOON:「ブルガリ」は私が表現したいことを理解してサポートしてくれた。もしかしたら、ブランドとして抵抗があったかもしれないようなことでも、「やってみないと分からない」と自由にデザインさせてもらったのでとても楽しかった。

WWD:いろいろなブランドやカテゴリーでコラボしているが、自分に向いていると思うコラボは?

YOON:コラボは全て違うし、全部楽しく取り組んでいる。いろんなことを試すのが楽しい。オファーがたくさん来るけど、明確に「これは、アリ」と思う人たちだけとコラボするようにしている。コラボの発信方法もさまざまで、そこからいろいろな方法が見えてくることもある。

WWD:自分のクリエイションの哲学は?

YOON:自分が欲しいと思うもの以外は作らない。「これは、アリ」と確信を持ったものだけ作るようにしている。自分の直感を信じている。直感はある意味筋肉のようなもので、鍛えれば強くなる。

WWD:これからのクリエイションに必要なことは?

YOON:機能や見た目も大事だけど、自分たちが生きている世の中の状況で、意味をなすもの、役割を持つものが重要だと思う。ブランドの規模に関係なく、ストーリーをきちんと伝えられることが大切。

WWD:新型コロナウイルス感染拡大で感じていることは?

YOON:状況が刻々と変化しているので、今までのやり方は通用しなくなってきている。ポジティブに新しいことをするべき。できることに集中していれば楽しくなってくるし、困難を乗り越えることができると信じている。

WWD:コロナで人々の価値観はどのように変わると思うか?

YOON:世界的に経済がスローダウンしていて、何が必要かを皆が考えているはず。それは人それぞれで違うかもしれない。個人的には、重要なことに時間とお金をかけるようになり、サステナビリティの重要性が高まると思う。大量生産・大量消費を変えていきたい。クオリティーにこだわり、本当に必要なもの、そして長く使えるものだけを作る世の中になればいいなと思う。

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米国屈指のESG先進企業ティンバーランドに聞く「サプライチェーンの透明性を実現するカギ」


 いま、企業にとってビジネスを行う上で極めて重要になっているのが“透明性”だ。その透明性が高い企業として評価されているのが米国のティバーランド(TIMBERLAND)だ。ファッション企業の透明性を評価してその通信簿的な役割を担っている「ファッション トランスペアレンシー インデックス(Fashion Transparency Index 以下、FTI)」でも、同社は上位にランクイン。FTIは英国のNPO団体ファッションレボリューション(Fashion Revolution以下、FR)が、220の指標についてファッション企業が開示しているかどうかを調査してスコア化しているものだ。

 ティンバーランドが初めてCSRリポートを発表したのは2000年のこと。08年からは四半期ごとにCSRリポートでサプライヤーの社名や所在地を完全に開示している。その後親会社のVFコーポレーション(11年に傘下入り)もこれを導入し、現在は全ての傘下ブランドで実施している。ティンバーランドは数年前から、代表的なアイテムや商品を追跡できるトレーサビリティーマップも公開し、追跡可能な商品は毎年増えている。コリーン・ヴィエン(Colleen Vien)=サステナビリティ・ディレクターに同社の取り組みを聞く。

WWD:ファッションレボリューション(FR)のFTIで上位にランクインした。FTIはどのような影響があるのか?

コリーン・ヴェイン=サステナビリティ・ディレクター(以下、ヴェイン):透明性はティンバーランドにとって新しいコンセプトではなく、この分野ですでに業界をけん引するリーダーであることを誇らしく思っています。FRの評価や、ブランドのサステナビリティに関する取り組みをランク付けするさまざまな指標は、ステークホルダーの期待に応えるためにどこを改善するべきなのかを知るために有用であることに加えて、消費者を啓発したり、ほかのアパレル企業やブランドにもサステナビリティに取り組むよう促したりするために役立つという意味でも重要なものです。

WWD:FTIの評価の中でも多くの企業はトレーサビリティー(追跡可能性)のスコアが低く苦戦している。ティンバーランドは評価が高かった。

ヴェイン:ティンバーランドは、世界中にいる25万人以上の従業員のために公平で安全、かつ差別的でない職場を確保するための取り組みを長きにわたって行っていて、1994年にはサプライヤーに対する行動規範を設けました。当社は2011年のVFコープの傘下入りを機に、VFコープが定める契約条件やコンプライアンス原則に則るようになりました。VFコープは生産に関わる全ての施設をモニタリングしており、これにはタナリー(皮なめし工場)、織物工場、カッティングや縫製工場、スクリーン印刷会社、刺しゅうアトリエ、製品洗い工場、梱包施設、完成品の生産工場などが含まれています。当ブランドの工場開示リストには、こうした全てのサプライヤーが記載されています。

WWD:サプライヤーとはどのようなコミュニケーションを取っているのか。

ヴェイン:当社と取引をする際には、この工場開示リストに情報を掲載することが絶対条件となっていて、例外はありません。労働条件や労働者の権利、職場環境、環境保護などに関して当社の基準を満たしている会社とのみ提携しています。最初の取引に先立ってこうした条件がクリアできているかどうかを確認し、その後も少なくとも年に1回は確認しています。こうして共に仕事をしているサプライチェーンの各社を誇らしく思っているし、彼らが責任ある製造会社として認知されることを願っています。また工場の情報を開示して協業すれば、共通の基準を設け、ソリューションの共有もできるはず。結果として、当ブランドと関わりのある世界中の全ての工場で人権がさらに尊重されるようになると確信しています。

WWD:二酸化炭素排出量に関しても早くから削減に取り組んでいる。

ヴェイン:二酸化炭素排出量は、グループ全体にわたって包括的に追跡しています。当社では、自社および運営している施設における温室効果ガスの排出量を06年の50%にするという目標を掲げていましたが、これを15年に達成しました。また15年までに再生可能エネルギーの使用率を30%にすること、そして25年までにはこれをVFコープと共に100%にするという目標も掲げています。素材や個別の商品における二酸化炭素排出量は、以前から「グリーンインデックス」という自社開発の指標で格付けしていましたが、アパレル業界のさまざまなブランドがこれを導入できるようにするため、アウトドア産業協会(Outdoor Industry Association)とサステナブル・アパレル連合(Sustainable Apparel Coalition)に提供しました。

WWD:サステナブルなプロダクトに関する戦略として“グリーンマテリアル”を掲げている。素材に関してのアプローチを教えてほしい。

ヴェイン:現在はリサイクル素材、オーガニック素材、再生可能素材の利用、そして有害な素材の廃止に注力しています。今後は再生可能資源を由来とする自然素材も使用していく予定です。今秋には、再生可能なレザーと再生レザーを使用した初めての商品を発表します。当社は、環境への影響を最小限にするだけではなく、人々や地球にプラスとなる“責任ある素材”を開発するために、ベンダーと協業して尽力しています。例えば、「ティンバーランド」のハイチ産コットンに関する取り組みは、環境的にも社会的にもポジティブな影響をもたらす責任ある素材を新たに作り出すことを支援しています。(編集部注:同社はハイチでコットン栽培のノウハウや物資の提供を行い、30年前に廃れたコットン産業を復活させて地元経済の復活にも貢献した)

レザーに関しては08年から、LWG(レザーワーキンググループ)環境監査においてシルバーもしくはゴールドと認定されたタナリーからのみ調達しています。当初、これはフットウエアのレザーにのみ適用していましたが、15年からはアパレルやアクセサリーも含めた全ての商品に適用しています。フットウエアに使用するレザーについては、その99.6%をシルバーもしくはゴールドと認定されたタナリーから調達しています。

全商品で見ると、同じく96%以上のレザーがシルバーもしくはゴールドと認定されたタナリーのもの。ライセンス製品やアクセサリーのパートナーに対しても、より多くのレザーをLWG認定されたタナリーで調達するよう働きかけています。少量しか使用しない場合や価格の問題で難しいこともありますが、当社とライセンス契約を結んでいる会社は責任ある素材をより多く使用することの重要性をよく理解していて、私たちの要求にできる限り応えようと努力してくれています。

コットンに関しては以前から、オーガニックコットンの使用量を毎年増やしていくという目標を掲げています。20年の目標は、アパレル、アクセサリー、ライセンス製品で使用するコットンの100%を、従来よりもサステナブルな方法で栽培されたコットンにすること。これには有機認証を受けたコットンのほか、再生されたもの、フェアトレードのもの、米国産のもの、もしくは非営利団体ベター・コットン・イニシアチブ(Better Cotton Initiative)を通じて調達したものが含まれます。19年には、当社のアパレル、アクセサリー、ライセンス製品で使用したコットンのおよそ80%がサステナブルなものでした。またライセンス品でないアパレルに限れば、99%のコットンがサステナブルなものでした。アクセサリーのライセンス契約先の中には、責任あるコットンを調達するのに苦労している会社もありますが、私たちと共に頑張っています。時間はかかるかもしれませんが、そうした会社も私たちの価値観やガイドラインに沿った商品を作ろうと努力しています。

WWD:社員を巻き込んだ社会貢献活動「パス・オブ・サービス(社会貢献への道)」を1992年から始めている。

ヴェイン:社会貢献は「ティンバーランド」のDNAに組み込まれています。コミュニティーを改善しよう、変革しようと努力する人々のパワーを信じることは、私たちの重要な価値観の一つです。世界をよりよい場所にするべく、一歩を踏み出して外に出ることや協力し合うことを促し、そうした人々が必要とする装備を提供することが私たちの目的です。このため、クリエイティブで勤勉、かつ献身的な従業員たちが社会貢献できるさまざまな方法を提供しています。「パス・オブ・サービス」では、地域コミュニティーでのボランティア活動ができるように、正社員には年間40時間、パートタイムの従業員には同20時間の有給休暇を認めています。こうしたボランティア活動の多くは、従業員だけではなく取引先や顧客、VFコープの従業員、そしてコミュニティーの人々も参加できるようになっています。19年には世界中で500以上のイベントを開催し、全従業員の70%が参加しました。これは時間にして延べ7万2000時間のボランティア活動を行ったことになります。これまでの累計では、およそ140万時間です。

WWD:とくに砂漠緑化活動に熱心だ。

ヴェイン:ティンバーランドは、“よりグリーンな未来がよりよい未来だ”という信念を持っています。これを実現する方法の一つとして、世界でも砂漠化が進む地域や都市部に木を植える活動をしていて、現在までに1080万本以上を植樹しました。19年の秋にはこの活動を拡大することを発表し、25年までにさらに5000万本の木を植えることを約束しました。

植樹に当たっては7つの組織と提携していますが、木を植えるだけではなく、空気の清浄化やコミュニティーの強化、そして経済的な機会の創出にも貢献して、希望、雇用、きれいな空気、人々の連帯を生み出しています。この植樹で世界をよりよい場所にしようという「プラント・ザ・チェンジ(Plant the Change)」活動に、消費者の皆さんにもぜひ参加してもらいたいと思っています。

また私たちは、9月1日にサステナビリティに関する大胆な目標を発表する予定です。これは当社の全ての商品に影響するもので、ビジネスの方法にも大きな変化があるでしょう。

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個々の悩みを知ると最高のチームになる 元ファストリ上席執行役員の心に火をつけた“トーチング”回顧録Vol.3

 ファーストリテイリンググループで社内改革を推進する「有明プロジェクト」をけん引し、史上最年少で上席執行役員に昇格した神保拓也はこのほど、人の「心に火をつける。」ことを目指し、株式会社トーチリレーを設立した。まず取り組む同社の主たる事業は、「心に火をつけることを主題に置きつつも、ティーチングやコーチングとは一線を画す」という「トーチング」。山に登るためのトーチ、登る山を見つけるためのトーチを提供する。ただ、その料金はタダだ。神保はなぜ、タダで「トーチング」を始めたのか?人の心に火が付くことで起こった、ファーストリテイリング時代のユニクロの「奇跡」をたどり、「トーチング」の魅力を考える(「トーチング」のビジネスモデルは、コチラから)。

(前回からの続き)

 店長には「『登りたい山』だけでなく、『登るべき山』に登る」、彼の上司のスーパーバイザー(以下、SV)には「人は変えられない。変わるもの。変わるきっかけを与え、その人の心に火をつけることに注力すべき」、そして両者の関係性を心配するスタッフには「矢印を自分に向けよう」と発信。さらには全員に「我以外皆我師」「相手を叱るな。『志』に叱らせろ」「仕組みを憎んで、人を憎まず」「人は、巻き込むのではなく、巻き込まれるもの」「whatではなく、whyをすり合わせる」「1つ上の視座で世界を見てみる」という6つをトーチングした神保“隊長”は、それぞれの面談内容をそれぞれに伝えたのが「大きかった」と振り返る。

 その狙いは、「相手の悩みを知ってもらうため」「相手の悩みを自分に置き換えてもらうため」そして「私(神保“隊長”)による相手の悩みに対するアドバイスから本人にも学んでもらうため」。つまり「皆が悩み、苦労し、それを乗り越えるために努力している過程」を共有することで、皆が誰かの悩みを自分に置き換え、相手を理解し、相手の悩みからも学び、成長できる環境を整えようと試みた。

 すると、お互いがお互いを深く理解するようになり、流れが変わった。そもそも店長やSV、スタッフは、「超努力家の最高のメンバー」。それぞれのトーチングでのやり取りをそれぞれが知ると、「最高のメンバー」は「最高のチーム」となり、団結した彼らは自力で奇跡を起こすまでに至った。以降神保“隊長”は、「私は、何もしていない」と話す。

 それぞれのトーチングでのやり取りを相手が知ることで、メンバーはチームとなり、奇跡が起こる。この経験が神保“隊長”が今、個々のトーチングを書き起こして1000円でサブスク配信する「トーチング日記」の原点になった。

 神保“隊長”は、「心に火をつける」ためにトーチングを実施しているが、大事なのは「私が、その人の心に火をつけること」以上に「その人が、自分で、自分の心に火をつけられること」。誰かに「つけてもらった」心の火は、いつかは消えてしまう。だから「心に火をつける」トーチングだけではなく、トーチングでのアドバイスや考え方、方法論などの「心に火がつくメカニズム」を、誰もが、自分のものとして使えるよう、エッセンスを抽出して永久保存版としてまとめた秘伝の書の必要性を感じるようになった。コレが「トーチング日記」。相談者がトーチングを通して、自分の「登る山」や「山の登り方」をどう見つけたのか?それを疑似体験できるよう、日記は臨場感たっぷりの、なまなましい対話形式でまとめている。

 「トーチング日記」を読んで「心に火がつくメカニズム」を学んだ人は、「自分で、自分の心に火をつけられる」のみならず、「人の心に火がつけられる人」になる。つまり誰かの悩みを自分に置き換えて考えることは、自分の成長はもちろん、人の成長に貢献できる人を増やすことなのだ。

 ロードサイドの「ユニクロ」でトーチングを実施してから約3カ月。ついに店舗は、連続で「低評価」に甘んじていた状況から脱却し、店舗監査で1ランクアップした。神保“隊長”は、その時スタッフからスマホに届いたコメントを読んで「店舗全体が、いい感じで変わってきている」という実感を得たという。(次回につづく)

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ロンハーマンの2020-21年秋冬 “無染色”や“自然界の色味”をまとう心地よさ

 ロンハーマン(RON HERMAN)の2020-21年秋冬は、ウールからカシミヤ、オーガニックコットンまで素材によって色味の異なる“無染色”のアイテムをベースにしたトーン・オン・トーンのスタイリングを8月末の立ち上がりから提案する。

 これらを軸に9月中旬には、藍染めやネイビーカラーで構成した“インディゴ”のアイテム群を投入。さらに10月には、アウターやワンピースなど明るい“ピンク”のアイテムを加えることで、シーズンを通してわくわく感と鮮度のあるMDを計画する。

 強化アイテムは、薄手から厚手までバリエーション豊富にそろえたニットとコート。特にニットは、19-20年秋冬から日本で独占販売しているオランダ発の「エクストリーム カシミア(EXTREME CASHMERE)」を強化。20-21年秋冬はカーディガンやパンツなど別注品7型をオーダーした。コートは「オーラリー(AURALEE)」「デミリー(DEMYLEE)」「エブール(EBURE)」など人気ブランドとの別注のほか、メキシカンパーカのみを扱う日本ブランド「メキパ(MEXIPA)」のウィメンズコレクションを独占販売する。

 また、今季からミンクを使用した商品の販売を中止する。サステナビリティへの取り組みをさらに強化していきたいというが、福田円バイヤーはあくまで「『素敵な商品を手に取ったら、実は動物や環境にも優しいものだった』という“押しつけがましくない”提案を大切にしていきたい」と語る。

 また新型コロナウイルスの影響に関しては、海外商材の納期遅れの可能性があるため「国内の商品を先に展開するなど、臨機応変に対応していきたい」と説明。ロンハーマンでは、緊急事態宣言が解除された直後の5月28日にオンラインストアを開設したが、「想像以上に新規のお客さまの獲得につながっている」と語る。当初は、実店舗の売上高減少の懸念もあったというが「店で気になった商品を週末にECでご購入されたり、事前にECで気になった商品を店舗に見にきてくださったりと、相乗効果を実感している」と手ごたえを感じている。

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母

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パーソナライズD2Cを強みにビジネスを拡大 「メデュラ」や「ホタル」のスパーティーが見据える未来

 “色気のある時代を創ろう”をビジョンに掲げ、2018年5月にD2Cパーソナライズヘアケア「メデュラ(MEDULLA)」をスタートさせたスパーティー(SPARTY)。19年12月に丸井グループ、Xテックベンチャーズ、アカツキ、ジンズホールディングスから約6億円の資金調達を実施。3月1日には有楽町マルイ1階に「メデュラ」の常設店舗をオープンし、5月にはパーソナライズスキンケア「ホタル パーソナライズド(HOTARU PERSONALIZED)」(以下、「ホタル」)をスタートした。さらに7月からはD2Cパーソナライズを支援する新たなサービスの提供も開始するなど、加速度的に成長を続けている。今回、あらためて深山陽介代表に話を聞いた。

WWD:昨年12月から有楽町マルイで期間限定で運営していた店舗を今年の3月から常設にした。リアル店舗を運営してみた実感は?

深山陽介代表(以下、深山):常設にした3月から新型コロナの感染が拡大し、ちょうど店舗スタッフの教育や運営も安定してきたところでマルイ自体が休館になってしまい、それから約2カ月間休館していました。そのため店舗運営に関しては、まだ改善していく必要がありますし、できていない施策も多い。そんな中で、館が営業を再開した6月は実際に来店するお客さまは減ったのですが、来店していただいた方の購入率が上がっています。ウェブで「メデュラ」のことを知って気になっていて、リアルで見ることで、安心感を持って買っていただくという行動が増えてきています。予想以上にリアルな体験が重要だと肌身で感じていて、今後はさらにリアル店舗ならではの体験を強化していきたいと考えています。

WWD:来店する人は「メデュラ」のことを知っている人が多い?

深山:そうですね。ブランドを認知していて、購入する目的で来店するお客さまが多いですが、一方で「このブランド見たことある」と立ち寄るお客さまもいます。またギフト用に購入される方もいらっしゃいます。

WWD:「メデュラ」はパーソナライズを打ち出す一方で、伊藤千晃さんやテリさん、ディズニーといったコラボアイテムも製作している。その意図は?

深山:ファンの心理として、「その人が選んだ処方と同じものを使いたい」というニーズはあるので、そのファンの人たちに買っていただけるように作っている。今後もコラボ製品は続けていく予定で、マイクロインフルエンサーなどでもできないかと考えています。

WWD:コロナ禍でECでの売り上げが全体的に上がっている。「メデュラ」の売り上げも伸びた?

深山:ECは予想以上に伸び、現在「メデュラ」だけで月商3億円ほどになりました。

WWD:1月のときは月商2億円ほどと言っていたので、かなり伸びている。実際、どんなウェブ施策を行った?

深山:特に一般向けに何かをしたという訳ではなく、新しいクリエイティブを試したくらいです。一方で美容室向けの施策で、初期費用無料、初回マージンの先払い、特別価格での提供などを行いました。3月末くらいから美容室、美容師から「厳しい」という声が聞こえてきて、何かサポートできないと思いこの施策を行いました。これはすごく反響があり、美容室、美容師からの取り扱いが増えました。

WWD:少し話は戻るが、昨年12月には丸井グループなどから約6億円の資金調達を行った。主に5月からスタートした「ホタル」に投資する?

深山:そうですね。丸井グループからは店舗運営に関して出向もしていただいていて、株主というよりはパートナーに近いです。

WWD:最近はコロナ禍で資金調達しにくいという話もあるが?

深山:既存株主に聞くと、資金調達の環境自体は全然悪くない。インバウンド関連など、コロナの影響を受けるところは厳しいと思いますが、そうじゃないところは、資金調達はしやすくなっているのでは。

D2Cパーソナライズスキンケアの可能性

WWD:5月にはD2Cパーソナライズスキンケア「ホタル」をスタートさせた。いつごろから構想していた?

深山:「メデュラ」をローンチしたときにはもう考えていました。ただ実際に動き出したのは19年4月くらいからです。

WWD:パーソナライズの仕組みを作るのは大変だった?

深山:「メデュラ」と同じチームでやっているので、パーソナライズのノウハウは持っていました。処方開発もデザイナーもすべて全く同じなので、意思疎通も取れていたこともあり、短時間でできました。ランアップも「ローション」と「モイスチャライザー」というのは早い段階で構想にありました。

WWD:カメラで肌分析する技術はどうしている?

深山:バーチャルメイクアプリ「ユーカムメイク(YOUCAM MAKEUP)」を展開するパーフェクトに依頼しています。もともと自社で開発しようと考えていたのですが、やはり費用も時間もかかってしまう。“パーソナライズ”自体は今後もどんどん出てくると思うので、最終的には性能だけでなく、精度も含めた体験設計全体でお客さまに選ばれると思っています。だからカメラの肌分析の精度はひとつのファクターでしかなく、中期的に見るとそこだけで優位性をつくれない。それならよりいい体験を提供することの方が大切だと考え、パーフェクトに依頼しました。

WWD:ローンチしてみて、ユーザーの反応は?

深山:反応は非常にいいですね。売り上げ的には計画以上で推移しています。驚きだったのは、僕たちが思っている以上に「メデュラ」ユーザーが「ホタル」も購入してくださっている。「自分に合ったものを選べない」というのは、ヘアケアもスキンケアも同じ課題があったんだなと実感しました。また、コロナの影響もあって、店頭での診断は気が進まないという人が「家で気軽に診断できて、自分に合ったものを提供してくれる」というので購入されているようです。今後は「メデュラ」と同じように、フィードバックをもらって改善していき、処方数も増やしていければと考えています。

WWD:注文のたびに処方も変えられるのがいい。

深山:季節的なこともあったりするので、そのときのお客さまに合ったものを提供できるようにと考えています。現状だと20代後半から30代がメイン。40〜50代の購入も比較的多いです。

WWD:店頭での展開は?

深山:これから店舗展開は考えていこうと思っています。ただコロナの影響がいつまで続くのか見えないので、どのタイミングで店舗をやっていくのかは悩んでいます。今後は「メデュラ」「ホタル」の上段の概念として“made to order store”というものを考えています。コンセプトとして“いいものより、合うものを”で、ここに行くと自分に合ったさまざまなパーソナライズ製品を提案してくれる、そんなお店も考えています。

WWD:7月にはパーソナライズD2Cを支援するサービスも始めた。その狙いは?

深山:パーソナライズをもっと広めていきたいと考えていて、他社と提携した方がさまざまなことができるからです。カートサービスを提供している企業と組んで、パーソナライズD2Cブランドに必要な全てのソリューションを提供していきます。

WWD:そうすると競合が増えるのでは?

深山:全く同じコンセプトのところへのサービスの提供は難しいですが、僕らとしては簡単に自分に合ったものを提供できる、そういう世界をつくっていきたい。スタートアップだけでなく、大手の企業でもお互いにいいと思えばやっていこうと思っています。さらに美容だけでなく、いろいろなカテゴリーでの協業を考えています。

WWD:D2Cブランドも今後さらに増えていきそう。

深山:スタートアップだけではなく大手企業も含めて、D2Cブランドは今後も増えていくと思います。特にコロナ禍でEC化率が上がっていることもあり、今後はさらにECで売ることが当たり前になります。とはいえECだけでは限界があるので、ECとリアルの融合を考えていかないといけない。それをビジネス的に成功させているところはまだ少ないので、その成功例や正解をどうつくっていくのかが、D2Cの先のテーマになっていくと思います。

僕らとしてはD2Cではあるが、それよりもパーソナライズに魅力があると思っています。パーソナライズのメリットは、データが全部とれるところですが、販路や価格、利益率のコントロールができるのも強み。僕らはそのパーソナライズの強みや仕組み的な面白さをもっと世の中に広めていきたいと思っています。

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“企業活動の透明性評価0点”に、スイスの「バリー」CEOが語った「サステナビリティ経営転換への覚悟」

 いま企業にとって“透明性”がビジネスを行う上で極めて重要になっている。ファッション産業において透明性とは、「サプライチェーン、ビジネスの手法、それらが労働者・コミュニティー・環境に与える影響について、広く一般に情報公開していること。そしてそのデータは包括的で信頼性が高く、他企業と比較できるものであること」だ。これは英国のNPO団体ファッションレボリューション(Fashion Revolution)が定義したもので、ファッション企業における理想的な“透明性”の在り方を示している。ファッションレボリューションは、2013年から透明性に重きを置いたビジネスへの転換を求めて活動をしており、生活者にはもちろん、今や有力企業にも影響力を持つようになっている。特に彼らが17年から毎年発表している「ファッション トランスペアレンシー インデックス(Fashion Transparency Index 以下、FTI)」のインパクトは大きい。これは、220の指標についてファッション企業が開示しているかどうかを調査してスコア化するもので、あいまいになりがちな透明性を数値化して“見える化”している。

 このインデックスで、“透明性0%”の評価が下されたのがシューズに強いスイスの「バリー(BALLY)」だ。ニコラ・ジロット(Nicolas Girotto)最高経営責任者(CEO)にこの結果に対しての反論を求めたところ、同CEOは同社のサステナビリティへの覚悟を語った。

WWD:ファッションレボリューションの「FTI」ではスコアが0%だった。

ニコラ・ジロットCEO(以下、ジロットCEO):私たちはファッションレボリューションから連絡を受けていなかったので(編集部注:ファッションレボリューションは調査対象企業のウェブサイトなどの情報だけでなくアンケートを送付して調査を行っている)、FITに正しい情報を提供するする機会がなかった。

私たちは20年1月にサステナビリティロードマップの中で定めた環境負荷の削減といったゴールに向けて、いっそうスピード感を持って積極的に取り組んでいるが、FTIはこの活動のいかんにかかわらず、外に向けて伝えていくことを重視している。そのため私たちは今年末までに当社初となるサステナビリティリポートの公表を予定しており、その中ではグローバル・リポーティング・イニシアチブ(Global Reporting Initiative)*の基準に沿って、FTIで概説されている多くの質問に答えることができるのではないかと考えている。
*サステナビリティ報告書のガイドラインを制定する国際的非営利団体で、本部はオランダのアムステルダムにある

WWD:“透明性”をどのように考えているか。

ジロットCEO:われわれは事業運営において透明性は常に基本としてきたことであり、当社の定めるサステナビリティロードマップにおける第一の柱に据えている。このサステナビリティロードマップは19年に行った広範囲に及ぶ基礎評価に続けて、20年1月に要旨を公式サイトに公開したものだ。

WWD:バリーは具体的にどのような活動を行っているか。

ジロットCEO:例えば環境への影響が少ない推奨素材リストの策定、プラスチックパッケージの削減、未販売在庫を減らすための予測分析、廃棄物を減らすための3Dデザイン、社内での再生可能エネルギーの使用促進など、全てのビジネス領域でサステナビリティのための方策をとっている。バリーは「ファッション協定(The Fashion Pact)」(関連記事入れてください:916608)にも調印した。私たちは業界のリーダーとして最新の動向を共有し、気候、生物多様性、海洋とういう3つの柱において、この地球を守るための新たな解決策を明確にしている。私たちは今秋、これらを報告する予定だ。

また、重要な活動課題や結果については追跡調査を行っており、それを反映させた指針なども今後公表予定だ。素材や廃棄量など、環境や社会への影響を分析したものになる予定だ。これらは次第に、会社とステークホルダーの評価決定に実質的な影響を与えるだろう。

サステナビリティは最重要課題であり積極的に取り組んでいく。1851年の創業以来、バリーは責任あるビジネス慣行への取り組みを尊重してきた。特にサプライチェーンや、調達する素材を向上させることを優先事項として透明性の向上に意欲的に取り組んでいる。例えば、私たちはサプライヤーの最低90%をマッピングする予定だ。また、22年までに製品ケアとリペアを目的としたプログラムを始める。25年までにレザーの75%を認証を受けたなめし工場から購入する予定だ。

イノベーションを鍵に、私たちは現在、コレクションの計画や各国の仕入れにおいて廃棄物削減を目指し、AIを用いた研究をしている。また、「バリー」を購入することが消費者にとってサステナブルな消費になるようさまざまなプロジェクトを進めている。

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わざわざ行く価値あり 世界の名品や民芸品がそろうイデー トーキョー

 インテリアブランド「イデー(IDEE)」は8月3日、JR東京駅構内にあるグランスタ東京の地下1階に新コンセプトストアのイデー トーキョー(IDEE TOKYO)をオープンした。“世界の名品”“民芸・工芸”“日常上質”“ニュークリエーション”“オリジナル&限定アイテム”という5つのテーマを掲げ、プロダクトデザイナーの深澤直人監修のもと、5人のバイヤーによるえりすぐりの食品やテーブル&キッチンウエア、ファッション、アクセサリー、雑貨、家具など幅広いラインアップをそろえる。モノトーンで統一された166平方メートルの店内のデザインは左右対称で、ミニマルで落ち着いた空間になっており、奥にはギャラリースペースがある。ギャラリーでは毎月テーマ―を替えて、独自の編集で国内外のクリエイターの展覧会などを開催。9月1日まで、陶芸家の黒田泰蔵による個展「不完全な完全」が開かれている。

 「イデー」のテーマは、“生活の探求、美意識のある暮らし”。それをさらに突き詰め、“見たことがなかったいいデザイン”や“気づいていなかったいいもの”集めたのがイデー トーキョーだ。永遠の定番ともいえるシェーカーボックスや機能美に溢れる木村硝子のグラスのような日用品から、コルクなどを使用したサステナブルなシューズ「ビルケンシュトック(BIRKENSTOK)」のサンダル、スイス発家具「ヴィトラ(VITRA)」のジャン・プルーヴェ(Jean Prouve)が手がけた名作チェアまで、商品の背景にあるストーリーや意味が明確なものばかりだ。店内ではスタッフが商品一つ一つの背景をていねいに説明してくれる。どこかで見たことのあるものばかりではない。1970年代の名作家具“ボビーワゴン”を手掛けたジョエ・コロンボ(Joe Colombo)がデザインした「スフェリコ(SFERICO)」のグラスなど新たな発見もある。中にはツゲのくしや耳かき、数珠といったものもあり、店内を見ていて飽きない。「イデー」は良品計画の一事業部であるため、「無印良品(MUJI)」の定番品の店舗オリジナル商品も販売している。お土産やギフトをはじめ、自身の生活を豊かにする厳選された品々がそろっている。

 多くの人が行き交うJR東京駅という場所柄か、グランスタ東京のテナントは飲食店がほとんどだ。そんな中で、イデー トーキョーは国内外のえりすぐりの“いいもの”に出合える場所として存在感を放っている。

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コペンハーゲンが示したファッション・ウイークの新たな可能性 世界に先駆けリアル&デジタルで開催

 北欧最大のファッション・ウィークとして知られるコペンハーゲン・ファッション・ウイーク(以下、CFW)が8月10〜12日に開催された。新型コロナウイルスの感染拡大により各都市のファッション・ウイークがリアルでの開催を断念する中、CFWは7月上旬にフィジカルとデジタルの両方での開催を発表。デンマークは欧州の中でも早くから国境を閉鎖し、在宅勤務に加えて商業施設や飲食店の閉鎖などを実施した。現在は欧州の他国に比べて厳しい外出制限はなく、筆者が住むフランスからデンマークへの入国が可能になったため、今季のCFWに参加することができた。

デジタル、フィジカル、
ハイブリッドの3種

 今季は3日間のスケジュールにデンマークを中心とする北欧の32ブランドが参加した。毎シーズン注目度の高いセシル・バンセン(Cecilie Bahnsen)は第1子出産を終えたばかりのため不参加だったが、イギリス発の「リクソー(RIXO)」が初参加したほか、「ガニー(GANNI)」「バイ マレーヌ ビルガー(BY MALENE BIRGER)」「マリメッコ(MARIMEKKO)」などの常連組はいつも通りに名を連ねた。発表形式はデジタル、フィジカル、ハイブリッドの3種類に分けられ、デジタルで参加した11ブランドは専用のオンラインプラットフォーム「cphfw72h」で2分前後のイメージ映像を公開した。映像の後には各都市のジャーナリストがホストを務めてデザイナーへのQ&Aライブや業界人のトークショーが配信されたが、特に目新しい試みは見られなかった。

実際のショーは6ブランドのみ

 フィジカルの形式でショーやプレゼンテーションを行ったのは6ブランド。予算削減とサステナビリティの観点からか、リアルの招待状を用意したのは「バウム ウンド ヘルガーテン(BAUM UND PFERDGARTEN)」のみだった。廃棄生地を使ったコレクションを制作する「デザイナーズ リミックス(DESIGNER REMIX)」は、かつて映画館だった照明工場兼ショールームでプレゼンテーションとランウエイ形式でコレクションを披露した。今季はアップサイクルの考えをさらに押し進め、使用した生地のほとんどはカーテンやベッドシーツなどの古布だった。地下のスペースでは、ミシンや手縫いで衣服を作るコレクションの制作背景が再現された。今シーズン最も話題となったのは、アートや映像、音楽との融合で表現する「ヘンリック ヴィブスコフ(HENRIK VIBSKOV)」だろう。会場の庭園内には、遊具のような乗り物に人形のようなパフォーマーが乗り込んでゆりかごのようにゆらゆらと揺らし、その前をモデルが闊歩した。大掛かりなセットで空想的な世界観をつくり出し、今季のCFWを締めくくるショーにふさわしい内容だった。

“ハイブリッド”はやや拍子抜け

 “ハイブリッド”はデジタルとフィジカルを組み合わせた内容だ。「ガニー」はコレクションを着用したモデルの全身パネルを飾り、別のスペースでは大きなスクリーンにイメージ映像を流した。世界的に急成長している注目ブランドなだけに、今季の見せ方はやや拍子抜けのように感じてしまった。2020年度の「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE)」のセミファイナリストにも選出された「ヘルムシュテット(HELMSTEDT)」は、中心街の路上でプレゼンテーションを行った。シグネチャーであるポップな色彩のプリントやオブジェはデザイナー自身が制作し、染色などを施している。まるで少女からのラブレターが届いたようなガーリッシュでメルヘンな一面と、どこかダークな不気味さも漂う独特の世界観だった。これはコペンハーゲン内にあるヒッピーの自治コミュニティー、クリスチャニアでの彼女の暮らしを反映しているのかもしれない。

メリットとデメリットは?

 今回のCFWでは、ウイルス対策としてフィジカルとハイブリッドの会場入り口には消毒液が置かれるとともにマスクが配られ、収容人数はデンマーク政府の方針に従って100人に制限された。ランウエイショー以外のブランドは、可能な限り密集を避けるため、来場者に時間を割り当てるなど独自の措置を取り入れた。通例であればCFWが招待するインターナショナルゲストは25名ほどだが今季は15名となり、空港とホテル間を送迎する移動車は予算削減のためになくなり、会期中の会場間の移動バスも予算削減と密集回避のために用意されなかった。その代わり、ハイブリッドとフィジカルの各会場は徒歩移動が可能な近距離でスケジュールが組まれており、移動に苦労することはなかった。デジタル形式であればオンラインで後からでも確認できるため、日中のスケジュールには余裕があり、ゲストはショーの合間に観光を楽しんだり、市内のハーバーやビーチで日光浴をしたりする姿も見られた。6〜7月のミラノやパリのメンズ・ファッション・ウイークがデジタル化されたことで、リアルを含んだファッションのイベントは約5カ月ぶりとなるため、ロックダウン期間を埋め合せるように多くのゲストは互いの再会を喜んでいた。

「現時点での最善策は
“フィジタル”である」

 9月にはロンドンやミラノ、パリのファッション・ウイークがCFWと同様にフィジカルとデジタルで開催される。主要都市に先行する形になったCFWの最高経営責任者(CEO)セシル・ソルスマルク(Cecilie Thorsmark)は、「開催については中止も含めて、多くのシナリオを用意していた」と明かす。さらに「ロックダウン解除後のデンマークはウイルスの感染状況が深刻化せず、社会も安定するのが早かったことからフィジカルでの開催も可能だと判断した。招待者も消毒液の使用やマスク着用、ハグをしないなどのライフスタイルにも慣れており、会場でも混乱は起きないと考えた。デジタルを取り入れたことに対しても参加ブランドやゲストからいい意見ももらっており、他都市のテストケースになるだろう」と手応えを感じている。リアルでの開催にこだわったのにも理由がある。「衣服もそれを着用する人間も2Dではない。3Dのフィジカルである。ファッションをリアルで伝えることには感情を呼び起こす作用があり、これは決してデジタルに置き換えることはできない。しかしデジタルにも全世界に発信できる強みがあり、若手デザイナーのチャンスを広げる可能性を秘めている。つまり現時点での最善策は“フィジタル”(フィジカルとデジタルを掛け合わせた造語)であり、次シーズン以降も続けていきたい」と語った。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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#敦子スメ「新月・満月」ノート 今回の新月(8月19日)は内側からいきいきと輝くためのインナーケアを

 この連載では、新月・満月の流れを最大限に引き出すためのサポートをしてくれるコスメやインナーケアアイテムも紹介していきます。第17回は8月19日の新月とおすすめコスメについてお伝えします。

今回の新月(8月19日)はしし座

 夏本番、今回の新月(8月19日)はしし座で起こります。もともとしし座は太陽に属する星座なのですが、それにしても暑い、今年の夏。太陽が明るく輝くのはしし座シーズンらしくてありがたいのですが。

 体へのケアも欠かさずしたいもの。新月は“リセット”“リフレッシュ”のタイミングとされていますが、今回は紫外線ダメージや夏の疲れを和らげるインナーケアを紹介します。

今回の新月コスメ

 体から失われやすいビタミンCは、この時期にとても必要な栄養素。ストレスの緩和や、傷の修復、美肌成分としても欠かせないビタミンです。「アムリターラ(AMRITARA)」の「ボタニカル ビタミンC」は、農薬・化学肥料不使用のアセロラやカムカムの栄養が手軽に取れる夏のおすすめサプリ。免疫力アップを目指す人にも知ってほしいアイテムです。毎日飲むと疲れにくい体へと導きます。

 生活様式の変化などによってストレスを感じる方には、「イースリーライブ(E3LIVE)」の「AFAパウダー」もチェックしてほしいアイテムです。35億年前に姿を現した地球最古の生物ともいわれる藍藻類シアノバクテリアをパウダー状にしたサプリメントで、水に溶かして朝一番で飲みます。天然のマルチ栄養食品として人工のサプリではなし得ない理想的なバランスで、一日に必要なビタミン・アミノ酸(人体に必要な20種類全て)、さらに数十種ものミネラルが含まれているとのこと。朝起きてすぐこれを飲むと、心身ともにフレッシュな一日が始められ、ストレス対策や消化力のアップに一役買ってくれそうです。

 しし座の本質は、自分らしくいきいきと輝いていくこと。でも、健康でないと自分らしさを発揮することもできません。まだまだ暑い日が続きそうですが、内側からのケアでフレッシュな新月を過ごしましょう。

福本敦子(ふくもと・あつこ)/フリーランスPR・美容コラムニスト:コスメキッチンに14年間勤務後、現在はフリーランスPRとして活動するかたわら、ビューティコラムニストとしてイベント、SNSなど多方面で活躍。オーガニックに精通した知識を武器に、ライフスタイルに寄り添った独自のオーガニック美容論が、著名人やエディターをはじめ各方面から大人気。「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と多くの反響を呼び、紹介した商品の欠品や完売も多数。2019年秋、初の書籍となる「今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by敦子スメ」を出版。発売前に増刷が決まるなど話題を呼んでいる。旅を愛し、占星術にも精通 instagram:@uoza_26

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「ニューバランス」の新たな歴史を刻む“327” ヒットの理由を解く3つの鍵

 「ニューバランス(NEW BALANCE)」が今年発表したライフスタイルの新モデル“327”が早くも話題を集めている。パリで注目を集める気鋭メンズブランド「カサブランカ(CASABLANCA)」とのコラボレーションモデルで、4月に初披露すると発売日当日に即完売。さらに5月に販売したインラインも瞬く間に売り切れるなど、予想以上のヒットとなっている。今後も新色やコラボレーション、サステナビリティを盛り込んだ無染色モデルも登場し、ますます勢いに乗る“327”。その魅力を歴史、デザイン、スタイルの3つのポイントから探る。

ヒットの理由1
3モデルの歴史が随所に息づく

 “327”のデザインには、「ニューバランス」が1970年代に発表した3つのモデル“320”“355”“スーパーコンプ(SUPER COMP)”のレガシーが込められている。爪先やかかと部分の巻き上がったソールをはじめ、ビッグサイズの“Nロゴ”などのデザインが目を引くものの、キャッチーさの背景には数々の歴史を刻んできた名作へのオマージュが捧げられている。新時代を切り開く“327”を語るうえで欠かせない、3つのランニングシューズを振り返る。

 “320”は「ニューバランス」のシグネチャーである“Nロゴ”を最初に採用した76年発売のモデルだ。発売された同年にはアメリカのランナー向け情報誌「ランナーズワールド(RUNNER’S WORLD)」で1位に選ばれ、最先端のシューズとして評価された。ヒール部分の安定性に加え、前足部の優れたクッション性や女性専用の靴型を初めて採用するなど、ランニング界でのブランドの存在感を飛躍的に高めた一足だ。爪先部分のディテールや“Nロゴ”を際立たせたデザインが“327”に受け継がれているのが分かる。

 “355”は77年に発売したトレイルランニングのファーストモデル。“327”でも採用されているハードなアウトソールをかかとまで巻き上げたデザインで、トラック以外のタフな道でも走れる高いグリップ力を実現させた。また耐摩耗性にも優れており、「ニューバランス」の元祖オフロードシューズとして語り継がれている。

 ロードレース用として77年に発売したレーシングシューズが“スーパー コンプ”だ。軽さにこだわりながらもクッション性やグリップ力は優れており、ブランドを代表するモデルとして今なお愛されている。高い機能性に加え、個性的なソールの構造や鮮やかな色使いがさまざまなランナーを魅了し、“327”にもそのDNAは受け継がれている。

ヒットの理由2
次世代デザイナーの軽やかなセンス

 3つの名作ランシューズを巧みなセンスで“327”へと生まれ変わらせたのには、英国人フットウエアデザイナーのシャーロット・リー(Charlotte Lee)の貢献が大きい。彼女は老舗シューズメーカーでの勤務を経て、2014年から「ニューバランス」のフットウエアデザインチームに加わるなどシューズ一筋の人。アーカイブに最大限の敬意を払いながら、大胆ながら軽やかなアップデートのセンスによって“327”が誕生した。完成に至るまでの苦労や、独特なデザインへのこだわりを、本人に聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):新鮮なデザインの“327”で「ニューバランス」らしさを表現したポイントは?

シャーロット・リー(以下、リー):大きく3つあって、大きな“Nロゴ”、牙のような爪先、アウトソールのパターンです。“327”で特にこだわったのは、新鮮で分かりやすいデザインでした。そのため「ニューバランス」の膨大なアーカイブの中から1970年代のランニングシューズに着想し、現代の美しいデザイン要素を加えることで“327”は誕生しました。確かに新鮮な見た目ではありますが、核となる3つのデザインディテールはアーカイブを継承したものなので、とても「ニューバランス」らしいとも言えます。

WWD: “327”で最大の挑戦だったアイデアは?

リー: “327”は愛され続けたヘリテージモデルにインスパイアされたデザインなので、古くからのファンから「オリジナルを台なしにされた」という声が届くことも覚悟していたんです。でも実際にはそんなことはなく、ポジティブに受け入れてもらえました。過去に歴史に新しさを加えることで、結果的にアーカイブが再び脚光を浴びることになりました。

WWD:大きな“Nロゴ”の意図は?

リー:大きくして足元に注目を集めることで、ブランディングの新しい手法に挑みたかったという背景があります。“Nロゴ”は1976年に発表された“320”で初めて登場し、その後は「ニューバランス」のアイコンになりました。その象徴である“N”を私なりに今の時代に合わせて解釈しました。

WWD:さまざまなシューズを手掛けているが、ほかに比べて苦労した点は?

リー:最初にコラボレーションした「カサブランカ」から、2020年1月に開く20-21年秋冬コレクションのランウエイショーで使用したいとリクエストがあったので、製作期間はタイトでしたね。でも、“327”自体が完成するまでの期間はほかのモデルとほぼ同じでした。ただ製作期間をあらためて振り返ると18年12月に初めてデザインに取り掛かっていたことが分かり、夢中になっているうちに相当な時間が経っていたのだなと自分でも驚いています(笑)。

WWD:シューズをデザインするうえで大切にしていることは?

リー:「ニューバランス」のような歴史あるブランドのデザイナーは、過去の成果やその背景を十分理解する必要があります。それと同時に、さらに進化させる方法を考えなければなりません。豊かな財産が身の回りにあるので、出発点は身近な貴重なアーカイブです。これは決して制約があるという意味ではありません。新しいモデルをデザインするには、ブランドやアーカイブのルーツを理解して関連づけることが重要です。しかしそれよりも大切なのが、既存モデルをはるかに超える美しさをつくり出すという意志なのです。

ヒットの理由3
あらゆるスタイルに
フィットする汎用性

 独特のフォルムと大きな“Nロゴ”、豊富なカラーリングでさまざまなファッションスタイルになじむ“327”は、その汎用性の高さから、ファッション・カルチャー業界ですでに多くのファンを獲得している。ここでは、感度の高い着こなしが人気の6人が、“327”を用いたオリジナルコーディネートを披露。エッジの効いたハイエンドな着こなしから、Tシャツにデニムといったカジュアルな装いまで、六人六様のスタイルをコメント付きで紹介する。

問い合わせ先
ニューバランス ジャパンお客様相談室
0120-85-0997

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渋谷センター街の老舗書店「大盛堂書店」がファッション誌販売にこだわり続けるワケ

 渋谷センター街の入り口にある「大盛堂書店」をご存知だろうか。かつてセンター街にたむろしていたギャル・ギャル男なら一度ならず雑誌を購入したことがあるだろうし、渋谷で働くファッション関係者なら白地に青い字の看板を目にしたことがあるはずだ。30坪に満たない1階の店舗には、ファッション雑誌と旬な書籍が立体的に織り交ぜて並んだ平台が目に入る。書店・出版関係者なら、よく考えられた配置で丁寧に雑誌が並んだ様子を見れば、どんな書店かを感じ取れるはずだ。

 渋谷にはかつて、「パルコブックセンター(旧リブロ&ロゴス)」「ブックファースト」「HMV(2010年に閉店後、「渋谷モディ」に15年に再オープン)」「山下書店」「タワーレコード」など、国内外の多種多彩なファッション雑誌やカルチャー誌の品ぞろえで人を集める書店やレコードショップがひしめく街だった。有力書店のほとんどは街から姿を消したものの、大盛堂書店は今も、店舗の顔である1階でファッション雑誌を打ち出し続けている。

 この大盛堂書店でファッション雑誌を売り続けてきたのが、1階主任で雑誌・芸術担当の吉田哉人氏だ。01年の「TOKYO文庫TOWER」オープンのときにアルバイトで入社。05年3月にファッション雑誌を中心の品ぞろえにリニューアルし、本店の閉店に伴い、その後店舗名も「大盛堂書店」に変わった。15年にわたって、センター街の入り口でファッション雑誌を売り続けてきた吉田主任に聞いた。

WWD:「大盛堂書店」の成り立ちを教えてください。

吉田哉人主任(以下、吉田):大盛堂書店はもともと渋谷を本拠にした大型書店で、渋谷西武の向かいの現在「ザラ」の店舗がある場所で、大盛堂書店本店(以下、旧本店)として最盛期には地下1階〜地上10階で営業していました。この「大盛堂書店」は2001年12月に文庫・新書の専門店「TOKYO文庫TOWER」としてオープンしましたが、旧本店が05年6月に閉店する前の同年3月のタイミングでファッション雑誌を中心にした品ぞろえにリニューアルし、その後店舗名も「大盛堂書店」に変えました。

WWD:なぜファッション誌の取り扱いを?

吉田:当時はセンター街のギャル・ギャル男の勢いがすごくて、「TOKYO文庫TOWER」時代にもしょっちゅうギャルから、店頭で「『Cawaii!』ありますか?」みたいなことを聞かれていました。現場の書店員からすると「(本が)ないです」と答えなければならないのがいちばんこたえる。そのストレスに耐えきれなかったという感じですね。実際05年にファッション雑誌を軸にした品ぞろえにリニューアルするとよく売れました。大成功でした。

WWD:「WWDジャパン」「ファッションニュース」などの専門紙・専門雑誌も扱った理由は?

吉田:当時のセンター街はとにかくギャル・ギャル男が多く、当然のことながら大盛堂のお客も彼女・彼らが多かった。当時のセンター街にはホストクラブもあって、ホストグランプリに合わせて「メンズユカイ」を大量に入荷するとよく売れてました。「Cawaii!」「エッグ(egg)」「ファイン」といったギャル・ギャル男に人気の雑誌から、「ヴィヴィ(ViVi)※4」「キャンキャン(CanCam)」「ノンノ(non-no)」「シュプール(SPUR)」、さらには「WWDジャパン」「ファッションニュース」「ギャッププレス(gap PRESS)」など、あらゆるジャンルのファッション雑誌や専門紙を扱うことで、この場所で自分なりにファッションを融合させたいと思ったんです。

WWD:当時渋谷には「HMV」「パルコブックセンター」などの雑誌に強い書店やレコードショップも多かったですよね。

吉田:05年当時、渋谷センター街周辺にはパルコにあった「リブロ」と洋書の「ロゴス」(12年に移転・統合して『パルコブックセンター』に)、「ブックファースト」「HMV」(10年に閉店、15年に「渋谷モディ」に復活)「タワーレコード」などファッション誌やカルチャー誌に強い大型書店やレコードショップがいくつもありました。なので大盛堂は駅前、センター街の入り口という立地を生かして、できることをやろうと。10年代前半までは版元と組んでフェアやイベントもたくさんやりました。3階にイベントスペースがあるので、そこで出版記念イベントもよくやりましたし、時には近くにあるショップやライブハウスでのイベントに出張販売のような形で雑誌を売ったこともあります。「TOKYO文庫TOWER」時代ではありますが、04年9月の「マキア(MAQUIA)」の創刊時には版元の集英社と組んで店舗内でフェアをやって、500冊近くを売りました。10年ごろまではセンター街の活気というかギャルとギャル男がすごくて、昔は店内でお客同士がケンカをしたり、なぜか店の前で別れ話をするカップルが多かったりと、いろんなことがありました(笑)。

WWD:イベントで印象深いのは?

吉田:駅前は昼夜問わず人通りが絶えなくて、ちょっとしたイベントでも野次馬が殺到して大変でした。センター街にはギャルが多かったので、「ポップティーン(Popteen)」のモデル時代の益若つばささんや舟山久美子さんを招いたイベントもやりました。中でも一番すごかったのは06年3月に行った亀田興毅さんの「エグいほど強いで!!」(竹書房)の出版記念イベントです。当時はまだテレビ露出もそんなに多くなかったので、よく知らずに店舗に「亀田興毅来店!」のような張り紙をしたらものすごい勢いで店の前に人だかりができて。それでも亀田さんが入れるように、まるで“モーゼの海割り”のように自然と店の入口に沿って花道スペースができました。まあでも、実際には亀田さんには裏口から入ってもらったのですが、近くの電信柱に登ってしまう人など、あまりにも野次馬が殺到しすぎて途中でイベントは中止し、店も閉めました。結局書籍も30〜40冊くらいしか売れず、店舗も途中で閉めたので赤字で大変でしたね。

WWD:今はどうでしょう?

吉田:08年のリーマンショック、11年の東日本大震災を機に変わっていきました。一番大きいのはスマホですね。版元と組んだフェアやイベントは激減しましたし、渋谷の書店やレコードショップもどんどん減っていきました。もちろん今でも継続しているイベントはあります。「ポップティーン」は今でも定期的にモデルとの撮影会などを3階のイベントスペースで開催していました。しかし3月以降はコロナで、そうしたイベントもほぼ休止か、あるいは趣向を変えて規模をかなり縮小しての開催になっています。

WWD:最近の売れ筋は?

吉田:最近はどのファッション誌もカルチャー雑誌化しているなと感じます。僕ら現場の書店員から見ても、ファッション雑誌が買われる理由は大きく変わりました。昔は理由もなくファッション雑誌だからという感じで購入するお客がほとんどでしたが、今は逆にそうしたお客はほとんどいません。雑誌を買うにも理由が必要というか。だから僕らも雑誌をただ並べているだけでは売れない。きちんとコンセプトみたいなものが必要になってきています。いろいろ試行錯誤もしていますが、成功している切り口の一つはアイドル。ここ数年だとK-POPグループのEXO(エクソ)を表紙にした「ヴィヴィ」や「ノンノ」がいずれも500冊以上売り上げるなど渋谷という土地柄とマッチさせた戦略的なもののヒットが群発しています。

WWD:なるほど。ちなみにいま一番人気のアイドルは?

吉田:いま一番売れるのはジャニーズのスノーマン(Snow Man)とストーンズ(SixTONES)です。表紙に出ている、あるいは表紙に文字が入っているだけで本の売れ行きが違います。1階入口正面の平台にも、一見しただけではわからないかもしれませんが、たとえば最近売れているスノーマンの向井康二さんなどの名前が表紙に入っている雑誌に特に注意を払っています。ファンの方々ならすぐにピンとくるはずです。

WWD:イベントができなくて寂しいですね。

吉田:寂しいと言えば寂しいですが、こればかりは僕ら書店員だけでできることじゃないので。今でも3階のイベントスペースでは、版元さんから要望があれば一緒にイベントを行っています。小学館とマガジンハウスからは新入社員の研修者を一週間ほど受け入れています。僕らも人の流動が少ない職場なので、刺激を受けています

WWD:最後に「WWDジャパン」で印象的だった号は?

吉田:「WWDジャパン」は毎週ざっくりと読ませていただいています。ファッション誌の動向を知るためには、やっぱりファッション業界全体の動向を知る必要があると思っていますから。その意味では業界外の人でも動向を知ることができるジャーナリズムの切り口は他の媒体にはないし、重宝しています。ちなみに個人的に好きなのは、3面のコラムです。

WWD:ありがとうございます!今後ともよろしくお願いいたします!

■大盛堂書店
創業:1912年
店舗面積:地下1階〜地上3階
営業時間:9:30〜21:00(現在はコロナの影響で10:00〜20:00)
休日:年末年始を除き無休
住所:東京都渋谷区宇田川町22-1
電話番号:03-5784-4900

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“ポスト石油”のランニングシューズに取り組む「ヴェジャ」のスニーカー哲学

 フランスのスニーカーブランド「ヴェジャ(VEJA)」は、デザイン性の高さに加えて、地球と人に配慮したビジネスでも注目を集めている。透明性とサステナビリティは今や持続可能なビジネスを目指すなら必須事項であり、資金調達や顧客獲得などステークホルダーに向けて取り組む企業は多い。もちろん正しい選択だ。しかし「ヴェジャ」の取り組みは一風変わっている。これまで「ヴェジャ」は投資家の力を借りずに成長し、生産者の生活向上に努める一方、新素材開発にも取り組む。あるメディアのインタビューで創業者のセバスチャン・コップ(Sebastien Kopp)とフランソワ・ギラン・モリィヨン(Francois Ghislain Morillion)は、「クライアントの85%は持続可能性への取り組みを知らないが、知っていても関心はないだろう。持続可能性で売り上げが大きく伸びることはない」と答えていたのも印象的だった。彼らの強い意志はどこから来るのか。「ヴェジャ」の哲学をセバスチャン・コップ(Sebastien Kopp)共同創業者に聞いた。

WWD:あるインタビューで「クライアントの85%は持続可能性への取り組みを知らないが、知っていても関心はないだろう。持続可能性で売り上げが大きく伸びることはない」と語っていたのが印象的だった。そう思っていてもサステナビリティに取り組み、中でも透明性を重視する理由は?

セバスチャン・コップ創業者(以下、コップ):ブランドを設立した2005年、靴の製造方法を気にする人はそれほど多くはなかった。私たちは自分たちが誇れる方法で、クールなスニーカーを作りたかった。自分たちが把握している原材料を用いて、すべての経済的なつながりを壊したいと考えた。だからこそ、私たちはキャンバス地を製造するために自ら畑へ赴き、ブラジルの東北部アトランティック海側で1~2エーカー(4046~8092平方メートル)の土地でオーガニックコットンを栽培している農家のグループに出合った。彼らは小さなコミュニティーで地元の支援団体の援助を受けながら生活をしていた。でも過去6年間の売り上げはゼロ。ブラジルでも地盤が乾燥していて農作物が育ちにくい地域で、彼らは有機栽培よりもさらにエコロジカルな農薬や肥料を使わない自然栽培でコットンを生産していた。この土地では「アグロエコロジー」と呼ばれる農法をすることで土壌を肥えさせていた。私たちはこのコミュニティーで数週間滞在して、彼らの日常や農業の手法、費用を学び、彼らから綿を直接買い付けることを決めた。最初の取引額は現地の通常取引額の2倍を提示した。彼らはワケがわからず私たちのことをおかしいと思ったようで、「クレイジーなフランス人」と呼ぶようになった。そしてキャンバス地を作り、スニーカーができ上がることを実感した。天然ゴムのソールも同様の手順で行った。

ダフト・パンク(Daft Punk、フランスの音楽デュオ)のドキュメンタリーを見ていたときのこと。ジョルジオ・モルダー(Giorgio Moroder、音楽プロデューサー)は3つの異なるマイク――古いもの、現在広く使われているもの、そして未来的なもの――を設置した部屋で彼らのアルバムを録音していた。彼は一緒に作業をしていた技術者にこう尋ねた――「一般の人がマイクの音の違いを気付くと思う?」。技術者はこう答えた。「いいえ。しかしダフト・パンクは違いを生み出すでしょう」。このやりとりはまさに私たちの哲学と重なると感じた。私たちはやるべきことを誰よりも先に行い、人々が興味を持ったときに私たちがどの程度の取り組みをしているかを理解するだろう。1年、5年、または10年かかることもあるかもしれないが、私たちには関係ない。私たちが求めているのは、私たちが用いる素材がどこから来ているのかを知ることだ。

WWD:次に透明にするものは何?

コップ:私たちは原料や素材のトレーサビリティはもちろん、スタッフの賃金、オーガニックコットンの購入額、男性と女性の違いまで、あらゆることに取り組んでいるが、時には失敗もある。現時点では、9月に公開する予定のCO2排出量の調査をしている。ブランドにはすべきことがたくさんある。エコロジーを本に例えるなら、スニーカーブランドは最初のページの一行目に書かれているんじゃないかな。

WWD:CO2排出量の公開は興味深い。その他、現在力を入れていることは?

コップ:私たちは、最初の“ポスト石油”のランニングシューズを作りたいと考えている。いま出回っているランニングシューズはプラスチックからできていて、そのプラスチックは石油から作られている。1年前に発売したランニングシューズは、バナナオイルとサトウキビを原料に使用して、石油を55%削減することができた。しかし残りはまだ石油。バナナオイルとサトウキビはまだ解明されていないことも多く、特にサトウキビには多くの問題があることも知っている。石油よりも優れているだろうけど……サトウキビへの取り組みが次の課題だ。

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大阪湾を一望できるグランピング施設 りんくうプレミアム・アウトレットに開業

 三菱地所・サイモンが大阪・泉佐野で運営する大型商業施設「りんくうプレミアム・アウトレット」の第5期増設エリアが8月12日に開業した。店舗面積約1万3200平方メートルには既存エリアから移転した14店舗を含む物販38店舗と飲食店10店舗の計48店舗が出店。施設全体の店舗数は約250店舗、店舗面積は約5万100平方メートルに拡大し、西日本最大規模のアウトレットモールになった。

隈研吾設計のモバイルハウスに宿泊

 今回増設したのは、2012年に開業したシーサイドエリアの南側区画、海沿いの広大な芝生広場「シーサイドパーク」、バスターミナルの3つのゾーン。大阪湾と関西国際空港を一望できる海沿いのロケーションを生かしたリゾート感あふれる設計が特徴だ。

 隣接する2つの府営公園をつなぐ約2万平方メートルのシーサイドパークには、アウトレットモール初のグランピング施設ができた。建築家・隈研吾氏とスノーピークが共同開発したモバイルハウス「住箱―JYUBAKO―」を5台設置し、焚き火やバーベキュー(BBQ)などのアウトドア体験を提供する。

 スノーピークが運営する住箱の宿泊施設は全国で5店舗目。ヒノキ合板を使い、木の柔らかな香りが漂う室内には、ベッドや冷蔵庫などがフル装備されており、大人2人と小学生以下の子供2人までの宿泊が可能だ。今回初めて1泊2食付きの宿泊プランを用意した。料金は1人2万4000円〜で、併設するレストラン「スノーピークイート」でのディナーコースか屋外でのBBQセットのどちらかを選べる。朝食にはスノーピークの調理器具を使って自分で作るホットサンドを味わえる。関西国際空港に近い立地を生かし、平日限定で1泊朝食付き(1万5000円)のビジネスプランも用意した。

 住箱に近接した区画にはキャンプ用品とアパレルを取りそろえた直営店「スノーピーク(SNOW PEAK)」大阪りんくう店を出店した。店舗面積は約441平方メートル。同店の藤坂香織マネージャーは「宿泊施設を併設した店舗は今回初めて。スノーピークがすすめるNOASOBIの体験価値をさらに高める基地ができた」と話す。シーサイドパーク内の特定エリアでは今後、手ぶらキャンプやテント設営体験などのイベントのほか、宿泊者限定の焚き火体験、焚き火ディナーなどのサービスを提供していく予定だ。

国内客の「近場消費」に期待

 もう一つの見所は、大型フードホール「りんくうダイニング」。カリフォルニア発のアメリカンチャイニーズレストラン「パンダエクスプレス」、「釜たけうどん」、お茶漬け専門店「こめらく」、「一風堂ラーメン エクスプレス」などが出店した。海側の大きな窓には日本の商業施設としては初となるスマート調光ガラス「ヘイリオ」が採用されており、逆光時にも大阪湾の眺めを堪能できる。

 ラグジュアリーブランドやインポートブランド、スポーツ・アウトドアブランドが集積するアウトレットゾーンには、「アレキサンダーワン(ALEXANDER WANG)」「アークテリクス(ARC' TERYX)」「ニューエラ(NEW ERA)」が関西のアウトレットモールに初出店した。今回の増設では中庭に屋外型の独立飲食店舗やアート感覚のイス、樹木などを配置して回遊性を高めたほか、バスターミナルを新設し、国内外の団体客の受け入れ体制を強化した。

 三菱地所・サイモンの山岸正紀社長は「今年は開業20周年を迎えるターニングポイントの年。ショッピングだけではなく、コト消費の要素を新たに取り入れることでこれまで足を運んでもらえなかった顧客にも広くアピールし、新たな客層を開拓していきたい」と話す。ただコロナ禍で客足が途絶えた訪日外国人客については「短期的な回復は難しい」という。外出自粛の影響で昨今伸びつつある国内の近場消費に期待しながら「質量ともに西日本を代表するアウトレットモールとして運営していきたい」と話している。

橋長初代(はしなが・はつよ)/流通ライター:同志社女子大学卒。ファッション専門誌の編集を経てフリーランスのライターに。関西を拠点に商業施設、百貨店、専門店、アパレル、消費トレンド、ホテル、海外進出などの動向を「WWD JAPAN.com」「日経クロストレンド」などに寄稿。取材では現場での直感と消費者目線を大事にしている。最近の関心事は“台湾”と“野菜づくり”と“コロナ後のファッションビジネス”。「リモート取材が浸透すれば、もっと取材先を広げていきたい」

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アナタに“チョイかじられる”覚悟はあるか? エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年7月6日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

アナタに“チョイかじられる”覚悟はあるか?

 先日、TikTokとマーケティングセミナーを開催させていただきました。「台頭するTikTokを、どう捉えればマーケティングに使えるの?」を考える3時間のオンライン。ご参加いただきました皆様、御聴講御礼申し上げます。

 セミナーではTikTokの方に、Z世代についてお話いただきました。Z世代が夢中のショートムービー・プラットフォームTikTokの皆さんが、彼ら・彼女たちをどう表現するか気になりますよね?一言で言えば、“かじる”世代だそう。“丸かじり”ではありません、“チョイかじり”、いや“試食”くらい「ほんの一口」な世代です。

 彼らは、不確実な時代を生きています。社会の主役になる数年~十数年先の世の中は、きっと、もっと不確実。だから1つに集中するのではなく、いろんなことに片足を突っ込み“保険”をかけたい世代だそうです。これには、ものすご~く納得。このメルマガで度々紹介しているyutoriの片石貴展CEO(Z世代よりチョイ上)は、古着テイストな洋服の製造・販売が軌道に乗ったら、今度はバーチャル・インフルエンサーの育成事業をスタート。2つの関連性は決して高くありません。「大きな、1つのボールに命をかける玉乗りピエロではなく、小さな、複数のボールを駆使するジャグラーみたいだな」と思った記憶がありますが、彼よりさらに若いZ世代はもっと小さく、たくさんのボールを同時に操っているのでしょう。だから“かじる”世代なのです。

 そこでTikTokの方から、キツ~い一言が飛び出しました。「みなさんには、“かじられる”心構えがありますか?」です。

 多くの業界人の答えは、きっとおそらく「NO」でしょう。私は、かろうじて「YES」(笑)。でも、「YES」と言えるようになったのは1年前くらい。サイトにアクセスしたら複数の記事を読んで欲しいし、できれば週刊紙の「WWDジャパン」や「WWDビューティ」も楽しんで欲しい。そのために、それぞれは一生懸命作らなくちゃならない。でも、インスタグラムのストーリーズで記事の抜粋を15秒だけ読んでお終いのユーザーも、私たちのお客さま。数多のメディアから、ウチを選んでくれるだけで有難いよね。今は、そう感じています。ちなみに、毎週挑戦しているYouTubeやインスタグラムのライブ配信(45~60分)の平均視聴時間は、弊社の場合、10分を越えれば「まずまず」です。これも“チョイかじり”が当たり前、という証拠ですよね?

 みなさんは、いかがでしょうか?“チョイかじり”や“試食”ではなく、“丸かじり”や“堪能”されるためにコンテンツを準備していませんか?そして、一生懸命作っているのに“丸かじり”されないから、その挑戦がイヤになっていませんか?

 これもメルマガでお話したと思いますが、例えば動画では「記憶・記録に残る映像」ではなく「消費される動画」を目指す心構えが大事です。4Kとか8Kじゃなくて大丈夫。スマホのカメラとリングライトで構いません。代わりに、たくさん撮って、いろんな編集に挑戦して、失敗しても「ま、そんなモンだよね」と割り切って次に進みましょう。そして私たちもオウンドメディア、インスタグラム、ツイッター、そしてTikTokと、いろんなコミュニケーションツールを“チョイかじり”感覚で試用・運用することが大事です。

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今や石けんもパーソナライズする時代! サステナブルな「キュウ」の石けんは夏休みの自由研究にもピッタリ

 個性を尊重する潮流と、1点モノの制作が容易・可能になった技術革新の結果、ファッション&ビューティ業界では「パーソナライズ」や「カスタマイズ」、いわゆる世界に(ほぼ)1つの品物を作るサービスを提供するブランドや企業が増えています。そこで「WWD JAPAN.com」は、トレンドや最新ムーブメントを知るからこそのアイデアを形にしてもらいながら、サービスの利便性や価格などを検証します。

 …というわけで、「WWD JAPAN.com」が不定期でお送りしている「パーソナライズに挑戦」企画。ジュエリー、バッグ、シャンプー、スキンケアなど、今やあらゆるものがパーソナライズされており、実際にジュエリーなどは星座や誕生石などのパーソナライズ商品がよく売れると聞きます。もはやちょっとやそっとのパーソナライズでは世間も私も驚きません。が、今回挑戦するのはなんと石けん!正直、体験する前は思っていました、「とうとう石けんまでパーソナライズする時代か……。そこまで必要なの?」と。しかし、体験してみるとこれが非常に楽しく、是非皆さまにもやってみていただきたい!コロナによる“ステイホーム”で料理やDIYが注目されていますが、マイ石けん作りももちろんご自宅で楽しめます。しかも、この時期ママやパパを悩ませるお子さまの夏休みの自由研究にもピッタリなのではと感じました!

 私が出合ったパーソナライズ石けんブランド、それは2019年11月にスタートしたという「キュウ(9.KYUU)」です。8月1日に開業した渋谷ミヤシタパークの「イコーランド シブヤ(EQUALAND SHIBUYA)」店頭で、ネコや惑星の形をした石けんが異彩を放っておりました。興味がわいたので代々木上原にあるアトリエを訪問。私はアトリエで石けん作りを体験しましたが、材料やキットを購入すれば、もちろん自宅での製作が可能です。

 注目したいのは、このブランドのプロデューサーがナチュラルコスメ界のヒットメーカー、菅野沙織さんだという点。菅野さんは明大農学部を卒業後、自然食品やオーガニック製品販売の日本での先駆け、ナチュラルハウスを経て、ナチュラルコスメやドクターズコスメのプロデュースやコンサルティングに十数年間携わってきたという人物です。名前は出せませんが、「あの店やこのブランドにも関わっていたのか!」という事例多数の、いわばヒット請負人。そんな人が作る石けんブランド、気になりますよね。

 さて、お邪魔したアトリエのテーブルに並んでいたのは、石けんのもとになる色とりどりのソープベースやアロマオイルに、鉱物を砕いたというキラキラ光る粉など。ビーカーもあって、気分はまるで理科の実験です。ソープベースは色合いによって配合成分が異なりますが、どれもハチミツやシアバター、アルガンオイルなど天然成分でできているそう。ピンクやパープル、ブルーなど鮮やかな色付き石けんも、コチニールなど天然色素で色出ししているといいます。天然素材でできているため、排水を川や海に流しても地球を汚さないサステナブルな石けん、というのが「キュウ」のコンセプトです。

 早速私も、看板商品であるネコ型石けんの製作にチャレンジしてみました。選んだソープベースは、ニンジン油、キュウリ種子油、アロエベラ汁配合の「さっぱりした洗い上がりが夏に向いている」という素材。ニンジンとキュウリからも油分って採れるんですね、とまずそこで学びが一つ。鼻と耳部分に使う色石けんにはピンク色を選び、配合するアロマオイルはスッキリ感が増しそうなペパーミントやユーカリを選びました。「キュウ」ではソープベース、色石けん、アロマオイルを各9種類扱っています。あ、ちなみに「キュウ」の石けんは、手や体だけでなく顔も洗える“美容石けん”だそうです。

 作り方は、電子レンジで溶かしたソープベースをシリコン製のネコ型に流し込む。それだけ!層ごとに冷蔵庫に数分入れて固める必要がありますが、ものの10分前後で固まります。レンジではなく、湯せんでソープベースを溶かすこともできるそうで、「チョコレートを作る時と一緒ですよ」と菅野さん。2色のソープベースを固まらないうちに混ぜてマーブル模様にすることも可能だし、絵筆を使って飼い猫の柄を再現することも可能といいます。センスが試される感じでドキドキ。

セーラームーン世代歓喜! 惑星型石けん作りにも挑戦

 驚くほどスピーディーにネコ型石けんが出来上がったので、次は新商品の惑星型石けんの製作にもチャレンジしてみました。こちら、水星から冥王星まで、太陽系の惑星9種のうちどれかが作れるというもの。「美少女戦士セーラームーン」で惑星に慣れ親しんだ世代には、実に胸アツな商品です!

 こういう時、自分の守護星を選ぶといいのでしょうが(セーラームーン世代には説明不要ですが、守護星というものは誕生日によって生まれつき決まっているのです)、残念ながら私の守護星・太陽はキットに存在しません。そこで、色合いが気に入った天王星を選びました。白、ブルー、イエローのソープベースを量り、細かく切り、それぞれ電子レンジにかけて溶かし、アロマオイルを混ぜるところまではネコ型石けんの時と同じ。今回はベルガモットやラベンダーなど、疲れを忘れさせてくれそうな香りのオイルを選び、配合しました。

 天王星はネコ石けんに比べて、自然な感じの地層(模様)を作り出すのに結構苦労しました。惑星感を高めるため、ラメのような鉱物の粉も一部に塗っています。この表現にセンスが問われますし、自分らしさが追求できる。こちら、キットを1つ買えば3つ作れるらしいので、初回は失敗しても、2回目、3回目にはうまくなるはず!また、家族や友人と2~3人で楽しむのにもいいと思います。

「社会性のある事業がしたい」がブランド立ち上げのきっかけ

 自分の個性が表現でき、あれこれ試行錯誤するのが楽しい「キュウ」の石けん作りでしたが、こちらのブランド、菅野さんが事業計画を練り、出資してくれる会社を自分で探してスタートしたんだとか。出資元は、ビークルーズ(BeeCruise)という越境EC支援企業だそうです。そもそも、ビューティビジネスに長年身を置いてきた菅野さんが、なぜ今石けんブランドを立ち上げたんでしょうか。英スティーブンソン社製の天然成分のソープベースに出合ったことが大きかったそうですが、「コスメブランドをいくつも立ち上げ、ヒットさせてというサイクルを長年続けてきて、なんだかこのままでいいのかなと感じていた」と菅野さん。「もっと社会性のあることをやっていくべきじゃないかと思うようになっていた」とも。今の時代感を象徴するような言葉で、とても印象的でした。

 社会性のある事業として注目したのが、石けんを通して環境問題や、SDGs(持続可能な開発目標)を伝えていく活動でした。菅野さんは数年前から、産業能率大学などでビューティビジネスについての講義を受け持っているそうですが、その中で「今の若い人は環境問題などへの意識が非常に高いことにも刺激を受けた」そう。

 そうした経緯から、「キュウ」では小中学校や地域のコミュニティー拠点(アトリエそばにある日本最大のモスク、東京ジャーミイなど)に出張して、石けん作りのワークショップを行いながら、モノが作られる過程や成分、環境問題などを伝える活動も行っています。私が冒頭で「『キュウ』の石けん作りは夏休みの自由研究にもピッタリ」と言ったのもまさにこの点。天然成分の石けんをきっかけに環境問題などについて調べていけば、実りある自由研究になりそうです。また、コロナが終息した後には、アトリエでのワークショップなども計画しているそうですよ。

 「キュウ」についてもう一つ面白いと感じたのが、石けんのOEM事業も行っている点でした。それだけ聞くと別によくある話ですが、有名なお寺や神社などからの石けん製作依頼を請け負っており、訪ねた際は試作の真っ最中。「何でもかんでもOEM生産を引き受けていたらキリがないので、地域活性化の役割を担っている団体や事業者など、理念に共感できる相手とだけ取り組んでいる」そう。お寺や神社はそうした考えにまさに当てはまるんだとか。というわけで、寺社仏閣巡りのお土産として、「キュウ」製の石けんを目にする日も近いかもしれません。

 というわけで、世界に1つだけの石けん作りを120%エンジョイした「キュウ」ですが、ネコ型石けん製作キット(ソープベース、色付き石けん、アロマオイル、シリコン型がセットになっており、材料は2回分)は6種各5000円。惑星型石けん製作キット(ソープベース、色付き石けん2種、アロマオイル、ラメ粉、シリコン型がセットになっており、材料は3回分)は9種各5500円。より本格的にパーソナライズしたい場合は、ソープベースや色付き石けん、アロマオイルを個別で購入することも可能です。既製品の石けんを買うのに比べたらもちろん割高ですが、自分で作るワクワクやこれをきっかけにSDGsなどにも興味関心が広がるならば、十二分にアリなんじゃないでしょうか!

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ファッション通信簿Vol.55 着こなしは進化する!? テイラー・スウィフトの歴代ファッションを米「WWD」が辛口ジャッジ!

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。A+、A、A-、B+、B、B-、C+、C、C-、D+、D、D-、そしてFAIL(失格)の13段階評価で格付けし、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第55回はテイラー・スウィフト(Taylor Swift)が登場。現在は最新アルバム「フォークロア(Folklore)」が全米アルバムチャート「ビルボード 200(Billboard 200)」の週間トップにランクインして絶好調だ。今回は、米「WWD」が選び抜いた過去およそ10年間のファッションを評価とともに振り返りたい。

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史上初のデジタル・パリコレ取材 そこに未来はありました エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年7月10日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

史上初のデジタル・パリコレ取材 そこに未来はありました

 パリのオートクチュールは7月6日から8日までの3日間、史上初めてデジタル上でファションウィークを開催しました。デジタル上でファション・ウイークだなんて何それ?ですよね。人が集まってこそのファション・ウイークがデジタルとは、なんか無理やりっぽい。でも文字通り、パリ時間朝10時から夜20時まで、1時間刻みで発表スケジュールが組まれ、実際にオンタイムになるとデジタル上で何かしらが発表されました。多くのブランドは、コレクションのコンセプトや世界観を伝えるムービーを発表しました。

 ムービーなので後から録画を見ることもできるのですが、あえてオンタイムにPC前に座って見たのは、初体験のデジタルコレクションに対して自分自身がどう反応するのか、客観的に観察したかったからです。以前こちらのレターに書きましたが、自分で決めたデジタルコレクションの良し悪しの基準は「それに興奮するか否か」。頭で理解したり、「すべし」論ではなく、体験した結果自分の中をアドレナリンが巡るか否かを大切にしました。だってファッションですから!

 で、結論。そこに未来はありました。良かった!

 玉石混合だし、まだ完璧じゃないけど、デジタル上でコレクションを見て興奮する局面はいくつもありました。キーワードを一つあげると、成否の決め手は「没入感」です。例えば「ディオール」は映画監督を起用してまるで映画のようなムービーを作り、おとぎの世界へ観るものを没入させました。それはパリのロダン美術館でショーを見ることで「ディオール」のおとぎの世界を楽しむ感覚と同じです。

 「没入感」は映像美がないと作れない訳ではありません。インスタライブでデザイナーと対話したりユーチューブのコメントを通じて世界中の人たちとコミュニケーションしながら一つのコレクションを見ていると、ブランドのコミュニティーの中に深く没入してゆく感があり、リアルでショーを見るのとは違うおもしろさがあります。

 もう一つ、取材そのものも新しい感覚を得ました。「WWDジャパン」の取材チームは、オンラインでつながりながら配信を同時に視聴したのですが、メンバーが定刻数分前になるとワラワラとオンライン上に集まるのはなんか楽しい。ドイツ在住のスタッフもいますが、自分との距離感は東京のスタッフと寸分違わず。で、終了後は「あの画像はこんな意味があったのでは?」「あの見せ方がおもしろかった」など感想を語り合って「それではまた1時間後に会いましょう〜」と別れるのです。

 離れているけどつながっている。コロナをきっかけに得たこの感覚はファッションを新しいステージに連れてゆくと確信しました。

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

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少数民族を撮り続けてきたヨシダナギが、ドラァグクイーンにカメラを向けた理由

 フォトグラファーのヨシダナギがドラァグクイーンを撮影した作品展「DRAG QUEEN -No Light, No Queen-」が8月13〜30日、西武渋谷店で開催されている。

 作品はパリとニューヨークを旅しながら、現地でドラァグクイーンをヘッドハンティングして撮影。計18人のモデルの風貌やバックグラウンドはさまざまで、日本のアニメのキャラクターをモチーフにしたメイクをしていたり、“昼の顔”はデータサイエンティストであったり。彼女たちの個性あふれるパーソナリティを一枚絵で切り取った作品47点が見るものを楽しませる。

 これまでアフリカ奥地などに赴いて少数民族を写真に収め、フォトグラファーとしてのキャリアを積んできたヨシダ氏。今回初めて異なるジャンル、それもドラァグクイーンの撮影になぜチャレンジしたのかを聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):個性豊かな作品ばかりですね。

ヨシダナギ(以下、ヨシダ):ありがとうございます。ドラァグクイーンを撮ると決めてから、「少数民族のカメラマンでしょ?」「ヨシダナギが撮る必要ある?」という声はきっとあるだろうし、実際そういう展示会になってしまったらどうしようという不安もありました。でも、実際蓋を開けてみると、ヨシダナギらしい、説得力のある作品展が出来上がったと自負しています。撮影では自由奔放なドラァグクイーンのドタキャンが相次いだりもして大変でしたが、一方で協力的なモデルたちの気遣いや器の大きさにも助けられ、なんとか形にできました。

WWD:ドラァグクイーンの撮影にチャレンジしようと思ったのはどうしてですか?

ヨシダ:これまでずっと少数民族を撮り続けてきて、それに安住したい気持ちがあったのは事実でした。一方で、ファンの皆さまからは「別のジャンルの作品を見てみたい」というお声もいただいていました。モヤモヤした気持ちが3年くらい続き、ふとドラァグクイーンのことが脳裏をよぎったのが2018年の夏ごろ。以前観た、ドラァグクイーンの旅を描いた映画「プリシラ」で彼女たちの華やかな衣装と、それに負けないくらい美しい生き様に心を強く揺さぶられたことを鮮明に思い出したのです。これだ!と撮影にむけて動き出しました。

WWD:ドラァグクイーンたちのどんなところが琴線に触れたのでしょう?

ヨシダ:「立ち姿が美しいこと」でしょうか。顔立ちの造型が綺麗な人はたくさんいるけれど、立っているだけで迫力あるのある人はそうそういません。その点、ドラァグクイーンたちには立ち姿に凛とした美しさがあって、今回は、その理由を探す旅でもありました。実際彼女たちに会ってみると、想像以上に美しく妖艶で、何より自由。ドラァグクイーンと一口に言ってもさまざまなカテゴリーやジェンダーがありますが、「自分がなりたい存在になる」という信念は共通していて、そのことがドラァグクイーンたらしめているのだと思います。これまで撮り続けてきた少数民族が、自分たちの文化や生活に誇りを持っている姿と重なる部分もあり、だからきっとかっこよく見えるのだと腑に落ちました。

WWD:新しいジャンルの撮影に踏み出して、成長はありましたか?

WWD:彼女たちとの対話の中で、“自分らしさ”を許容した人間から発せられる前向きなパワーをひしひしと感じ、それがしかも、私よりも若い人たちが持っていることに大いに刺激を受けました。パリで出会ったアリスというモデルは、ファッション系を本職としているクイーンが多い中で、データサイエンティストという理系クイーン。冷静で聞き上手な彼女には、日本に戻ってきてからもメッセージで悩み相談をしていたんですが、「しっかりしなさい!あんたならできる!」と肝っ玉母ちゃんのような言葉をもらいました(笑)。私は自分と違う人ほど美しく、かっこいいと感じるし、被写体として惹かれます。一方で私は自分の立ち姿に覇気がないことがコンプレックスだったんですが、「自分を認めること」「無理に枠にはまらなくてもいいこと」そして「もっと自由に生きていいこと」を教わりました。

WWD:新型コロナの影響で、作家たちを取り巻く環境も変化しています。

ヨシダ:今回の撮影を通じて、フォトグラファーとしてのヨシダナギらしさが「素晴らしい被写体選び」だと再確認することもできました。これまでは目の前の仕事に追われるばかりでしたが、(新型コロナの影響で)スケジュールが空きが生まれると、ふと「面白いものが撮れるだろうか」とナーバスな気持ちが顔を出すこともあります。そういう状況でこそ、自分らしさに立ち返り、それを大事にしながら活動していきたいですね。

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夏の暑さとマスク疲れに癒やし効果絶大!  ヘアサロン&スパ「シンシアリー」が展開の「シゲタ」ヘッドスパメニューを体験

 暑さのピークを迎えている8月、在宅と通勤を繰り返し慣れない環境での仕事や育児に追われる毎日が続いています。さまざまに考えることも多くて、頭はカチコチです。そこでオーガニックヘアサロン&スパ「シンシアリー(SINCERELY)」が8月13日からスタートした、パリ発のオーガニックコスメブランド「シゲタ(SHIGETA)」のブレンドエッセンシャルオイルを使用したヘッドスパメニュー「シゲタ バイタリティアロマヘッドスパ」(90分、1万6500円税込)を一足早く体験してきました!担当してくれたのは、施述歴約5年という中村桃子さん。まずはカウンセリングから始まり、施術はたっぷり1時間半強と幸せな時間が流れました。

STEP.1 カウンセリング

 アレルギーや体調などの確認のほか、首肩のマッサージで使用するブレンドエッセンシャルオイルを2種類から選びます。1つは、「リバーオブライフ」(1万7600円、税込)。サーキュレーション(循環)ブレンドオイル。巡りを促し、むくみの改善が期待できるサイプレス、アトラスシーダー、サンダルウッドに、筋肉をほぐすローズマリーカンファーやウィンターグリーンを配合しています。もう1つは、「ボディー・マインド・スピリット」(1万7600円、税込)。ハーモニーブレンドオイルで、ホーウッドやカモミール、サンダルウッドが、心と精神と体の調和を促します。

 個人的には「どちらもお願いします」と言いたいところでしたが、今回は「ボディー・マインド・スピリット」を選びました。フィジカルでもメンタルでもダメージがあることから、リラックスをかなえてくれそうなオイルです。

STEP.2 シャンプー・ヘアマスク

 「シゲタ」のワイルドグレースシャンプー(3740円、税込)・ワイルドグレースディープトリートメントヘアマスク(3850円、税込)を使用。フランキンセンスとシダーのフェミニンな香りが特徴のダメージ〜ディープダメージ用で、アルガンオイルやシアバターを配合し、カラーやパーマで傷んだ髪を補修、艶のあるしなやかな髪に導きます。

 香りの優しさがすーと心を落ち着かせれくれ、心地よい洗い心地でうっすら眠気も。洗い終わった後の頭皮はすっきり、さっぱり感が得られました。

STEP.3 ヘッドマッサージ(45分)

 ヘアマスクを髪につけたまま、スカルプブレンドオイル「ミッドナイトラスター」(1万4300円、税込)を頭皮に塗布し、マッサージ。「ミッドナイトラスター」は、ローズマリー、シダー、セージ、ケードなどのエッセンシャルオイルで、すこやかな頭皮と髪作りに導く。

 なんと、「ミッドナイトラスター」は50滴も頭皮に塗布!その後のしっかりした強めのマッサージでも、たっぷりのオイルが心地いい。目の疲れや顔まわりのむくみも流れたようでした。数日間、その香りがふわっと香っていて癒やし効果たっぷり。

STEP.4 首肩のマッサージ(15分)

 最初のカウンセリングで選んだ「ボディー・マインド・スピリット」オイルを使ってていねいに首、肩をマッサージ。頭が柔らかくなった後の首、肩のマッサージは指の先までリラックス。

 ちなみに、施術を受けた個室は、照明の調整でより心が落ち着く空間に。扉はないので密にもならないが、プライベートな時間が過ごせました。

STEP.5 ブロー&スタイリング

 最後の仕上げは、ブロー&スタイリング。オイル、トリートメントの効果が実感できる位上がり。頭、首、肩の凝りが緩和されて髪はサラサラで、真夏の疲れも吹き飛ぶ時間となりました。

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“黒パンツ”は平凡じゃない! ファッショニスタの逆転発想コーデ

 黒パンツは“地味で無個性”だと思い込んでいませんか。確かに出番やシーズンを選ばないオールマイティーなボトムスです。でも、実は着こなしマスター(達人)たちのお気に入りアイテム。なぜなら自分好みのトップスに合わせやすいから。要するに、黒パンツならではの“きちんと感”を頼りに、残りのピースで遊べるわけです。ファッショニスタの“やりたい放題”系アレンジは黒パンツの着回しバリエーションも増やしてくれます。

 スタイリングの軸は“上半身でプレイフルに”。たとえば、コペンハーゲン在住のファッションエディター、ジャネット・フリス・マドセン(Jeanette Friis Madsen)は、黒のワイドパンツに淡いイエローのスリット入りロングプルオーバーを重ねました。ほとんどワンピースに見えるドラマチックなトップスを、黒パンツがしっかり目立たせています。ロング丈のチュニックやベスト(ジレ)などと合わせても、似たような効果を期待できます。思い思いのアイデアを生かしたファッショニスタたちの着こなし技は、“黒パンツ=コンサバ、平凡”といった思い込みを、素敵に裏切ってくれます。

パフスリーブ、シアー素材のトレンドを印象づける

 プレーンな仕立ての黒パンツは、アイキャッチーなトップスを引き立て役に使って。ストリートファッションに強い人気スタイリストのエミリー・シンドレフ(Emili Sindlev)は、ロマンチックなパフスリーブのトップスでお出かけ。ボトムスはシンプルな黒パンツをチョイスして、パフの量感を際立たせました。あえてスニーカーで“はずす”のが足元コーデのコツ。甘いトップス、無個性パンツ、軽快スニーカーの3点セットでこなれミックスのでき上がりです。

 センタープレス(クリース)を利かせたスラックスは、メンズの代名詞的なボトムス。真逆のシアー素材を組み合わせれば、絶好のノイズ入りミックスに仕上がります。パリ在住のインフルエンサー、クセニア・アドンツ(Xenia Adonts)は、げた風サンダルを合わせて究極のイメージずらしを企てました。“きちんと×のどか”のアンバランスに、透けるトップスを添えて、今年らしいトレンドコーデに。オレンジのバケットハットも加えて、ヒッピー感も上乗せしています。

腹見せ・素肌見せを、シックに大人っぽく落ち着かせる

 夏らしい腹見せは、ルーズに見えすぎるのを避けるさじ加減が肝心。癖が強くない上に落ち着いて映る黒パンツは、腹見せルックに適度なブレーキをかけてくれます。ファッションコンサルタントのクロエ・アルシュ(Chloe Harrouche)は、水色の短め丈シャツでクールに腹見せ。黒のワイドパンツを合わせて、ウエスト位置を高く見せました。首に巻いたデコラティブなチョーカーが視線を引き寄せて、腹見せから目をそらせているのも巧みな小技です。

 素肌の露出に抵抗を感じる人も、オールブラックの装いであれば全体がシックに見えるから試しやすくなります。着こなしのコツはワンポイントだけ白を添えるところ。上海ファッション・ウイークに来場したファッショニスタは、黒のブラトップを主役に据えた大胆なコーデを披露。黒トップスを正面で結んで、隙間から広めに肌見せ。過剰に見えないのは、マニッシュなイージーパンツで合わせたから。パンツ裾はロールアップして白スニーカーを目立たせ、肌見せのイメージを和らげました。

ブルゾンの丸みを生かして、シルエットのめりはりアップ

 細身の黒パンツはシャープな脚線イメージを引き出してくれます。そのスリミング効果を際立たせる“格好のパートナー”がブルゾン。ややフォルムに丸みを帯びたふっくらタイプは、腰から下をいっそうスレンダーに演出します。ファッションディレクターのアーニャ・ジローヴァ(Anya Ziourova)は、ツータックのメンズライクな黒パンツでりりしい装い。黒革のボマージャケットを重ねて量感のめりはりを強調し、キャップとブーツがクールな雰囲気を加えています。

 メンズ風味を帯びたブルゾンと、やはりマニッシュな黒パンツのコンビネーションでは、残りのアイテムでフェミニン感を足すと、全体のバランスが整えやすくなります。キーアイテムは靴。「マリーン セル(MARINE SERRE)」のファッションショーに来場したファッショニスタは、ミリタリー風のブルゾンと黒パンツをマッチング。ショートヘアの印象も手伝って全体に男性的なコーデですが、足元のストラップヒールサンダルが女性らしさを宣言。素肌の露出が多いヌーディー靴で黒パンツの重さをクールダウンして。

 無難な選択だと思われがちな黒パンツですが、上級者たちの手にかかれば、むしろ残りのピースで遊ぶ余地の大きいボトムスです。黒パンツを格好のバイプレーヤー(脇役)にして、スリリングなコーデを試しています。黒パンツを相棒に自分好みのミックスコーデに磨きをかけてみませんか。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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「WWDビューティ」と「MERY」が1日限りのオンラインビューティイベントを開催

 国内外のビューティ最新ニュースを報道する「WWDビューティ」と、U-25の女性から圧倒的な支持を得る「MERY」が初タッグを組み、「ビューティ フェス 2020」と題した1日限りのオンラインイベントを8月21日に開催する。イベントテーマは“自分磨き”。豪華ゲストを招いてのトークセッションやスキンケアショーなどスペシャルなコンテンツを用意し、スキンケアやメイクなど、美容を楽しむヒントを提案する。

豪華ゲストを迎え、
スペシャルコンテンツを生配信

トークショー:“自分磨き”こそ、私らしさを知るということ
「WWD JAPAN.con」編集長の村上要が、女優やモデルとして活躍する内田理央さんを迎えたトークセッションを実施。イベントのテーマや“自分磨き”ヒストリーについて語る。
ゲスト:内田理央/女優・モデル

編集部対抗企画:クイズ!若者の“カワイイ”最前線 〜「MERY」編集部vs「WWDビューティ」編集部〜

プログラム:神崎恵さんに学ぶ夏の美肌づくりレッスン supported by 「スイサイ」
残暑やマスク生活下での肌悩みにフォーカス。神崎恵さん流の美肌をつくるコツを解説。
ゲスト:神崎恵/美容家、上西星来/東京パフォーマンスドールメンバー・「Ray」専属モデル

プログラム:まつ毛美容液って実際どうなの?まつ毛のプロに聞く、お悩み相談Q&A supported by「アンファー」
お悩みからケア方法まで。まつ毛にまつわるアレコレをQ&A方式でご紹介。
ゲスト:垣内綾子/目元プロデューサー、優津季/モデル 

視聴者には抽選で
人気コスメをプレゼント

 ライブ配信の視聴者にはスペシャルプレゼントが当たる特典を用意。スイサイ(SUISAI)「ビューティクリア パウダーウォッシュN」(洗顔料)と「ビューティクリア シェイククレンジング」(クレンジング料)をセットで10名に、スカルプD ボーテ「ピュアフリーアイラッシュセラム プレミアム」(まつ毛美容液)を3名に抽選でプレゼント。視聴者プレゼントは当ページの下部にあるリンクから、当日のライブ配信中に表示されるキーワードの入力により応募が可能。

当日の視聴はこちらから

INFORMATION
■「ビューティ フェス 2020」 by 「WWDビューティ」×「MERY」

日程:8月21日
時間:17:00〜20:30
WWDジャパン公式YouTubeチャンネルとInstagramアカウントから視聴可能

※ご注意
イベントのスケジュールや内容、登壇者は変更になることがございます。

ILLUSTRATION:MOE ITABA

問い合わせ先
「ビューティ フェス 2020」係 橙木(とうぼく)
03-5786-4007

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編集長は先月何した? 篠原ともえとラジオで語り、ミヤシタパークを静かに堪能、ティックトックで「セリーヌ」を見る

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向(むこう)です。昨年から毎週続けてきたこの連載の更新を5月以降は止めてしまいました。なぜなら日記の要素だったイベントや展示会の取材がピタッとなくなったから。「WWDジャパン」は変わらず毎週発行していますがほとんどがオンライン会議&取材のため、写真日記でお伝えする要素がほぼゼロなのです。もちろんそれは仕方なし。ですがそろそろ日記をつける行為が恋しくなってきました。という超エゴな発信欲求から不定期で再開させていただきます!

7月8日(水)
渋谷区長の一言に
元代理店マンの気づかいを見る

 渋谷区内のファッション、理美容、飲食、エンタメなどの事業者を支援するクラウドファンディング「YOU MAKE SHIBUYA」の取材に渋谷区役所へ。その内容は下記の記事からぜひご覧ください。原宿生まれで竹の子族を見て育ったという長谷部区長。わかりやすい言葉を使って話されます。最後に写真を撮らせてもらった時には「こうした方がいいですよね」と「WWDジャパン」の紙面がちゃんと見えるように置いてくれました。さすが元広告代理店マン(博報堂)!その気づかい、見習います。区長の仕事って渋谷の広告代理店業みたいなところがありますよね。

7月17日(金)
篠原ともえさんのラジオ番組で
星について語る

 東京FMで篠原ともえさんがDJを務めているラジオ番組に出演しました。きっかけはサステナ特集で私が書いた文章をデザイナーでもある篠原さんが読んでくれたから。嬉しいな~。番組名は「東京プラネタリー☆カフェ」です。「星とファッション!?そんなに話すことない!」と思ったけど始めたら自分でも驚くくらい出るわ出るわ…。デザイナーには信心深い人が多いことも関係してか、星とファッションってつながりが深いのですよね。夜空や星の話をしていると、コロナで縮んだ心が伸びてゆく感じがします。リクエストをした星にまつわる曲は、ビートたけし作詞の「嘲笑」。「いろんな人が見た星と、僕らが今見る星と、ほとんど変わりがない、それが嬉しい」という歌詞が本当にそうだと思うから。

7月18日(土)
ウールマークプライズの審査を
黙々と行う

 オンライン中心の仕事をしていると時々不思議な感覚に陥りませんか?たくさんの人と関わり盛んにチャットしているのに、一人で静かで無言。この日もそうでした。「インターナショナル・ウールマークプライズ (INTERNATIONAL WOOLMARK PRIZE)」の審議会のメンバーのひとりとして、ファイナル・ステージに進むデザイナーを選ぶという仕事です。世界中からエントリーしてきた若いデザイナーたちの経歴や技や思いなどが綴られた大量の資料をひたすら読んでいるとその場にいないデザイナーたちと対話をしているようですが、ここには私一人。シーーーン。やはり会って目を見て話したいよ!でも今は無理。想像力が試されますね。

7月20日(月)
「ビューティフル ピープル」の
ユーモアが好き

 「ビューティフル ピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」は基本超職人気質なブランドだと思いますが、その生真面目さの上に乗せてくるユーモアのさじ加減が好きです。展示会で見たこのチャリティーTシャツもそう。「ゴムで少し痛むかもしれないけど、われわれがコロナに対してできることのひとつである」と書いてあります。そして着ると実際にややキツイそう(笑)。「ややキツイけどマスクをすることが私たちができる最初のアクションだよね」というメッセージだそう。シャレています!

オープンおめでとう!
ミヤシタパーク

 「ミヤシタパーク(MIYASHITA PARK)」が静かに開業し、静かに視察に行ってきました。派手に盛り上げられないけど、関係者にお伝えしたい。「おめでとう!」。渋谷とは?宮下公園とは?について実によく考えられ、リーシングがされ、デザイン・設計された商業施設だと思いました。渋谷と原宿の間の明治通りは裏原とはまた違うストリート&カジュアルの源泉。それを壊すことなくアップデートしていたと思うから。

 コロナがなければ夏休みはストリートカルチャーが好きな国内外の若者でいっぱいだったはず、と思うと残念としか言いようがない。各店が新しい取り組みをしようと、いろいろな工夫をしていて見ごたえがありました。

7月26日(日)
日に日に部屋に緑が増えてゆく

 「ステイホームが始まってから日に日に緑が部屋に増えてゆくの~」という話をよく聞きますが、私もハイ、そのひとりです。部屋の中はややジャングル気味です。そして休日は新しい緑を求めて川崎の「ソルソファーム(SOLSO FARM)に足が向いてしまいます。園芸のお店はたくさんありますが、ここが最高なのはその空間演出!グリーンがつなぐ室内と室外の一体感はLAのイームズハウスに通じるものがあり憧れます。

7月28日(火)
毎日ファッション大賞の審査会

 毎日ファッション大賞の審査会は毎年、毎日新聞社本社で開かれてきましたが、今年は当然オンライン。したがって白熱した審査会当日の現場の写真はありません。でもホームページを見て思いました。そこには審査会でお会いした人たちのお顔がずらり。これはオンライン審査会のズームでずっと見ていた光景と限りなく同じだ!皆さん、お疲れさまでした。

7月29日(水)
人生初。TikTokで「セリーヌ」の
ショーを見る

 コロナの影響で何かと人生初の経験をしていますが、こちらも人生初です。ティックトック(TikTok)を通じてショーを見ました。「セリーヌ」2021年春夏コレクションがティックトック世代を意識してか、事前にティックトックを通じたプロモーションを仕掛けてきた(ことを弊社のソーシャルエディターが教えてくれた)ので積極的に乗っかってみた、という表現が正しいのですが(笑)。結果、ショーの画像の上に飛び交う真っ赤なリップマークなどで気分を上げつつ楽しく見ちゃいました。やはりエディーは凄い。永遠のユースカルチャーラバーであるエディ・スリマン(Hedi Slimane)についてゆけば、若者の心がわかること間違いなし、ですね。

7月29日(水)
繊維商社ヤギの
展示会がおもしろかった

 繊維商社の業務内容が多角化してきておもしろく、注目しています。ヤギもそのひとつ。でも説明は大変。だからぜひ1枚目の写真を拡大してみてください(ものぐさ・笑)。展示会場に展示されていたものです。「商社」ですから何かと何かをつなぐことが生業ですが“あーこういったつなぎ方が始まるのですね”と学びが多いです。こちらは東京ファッションテクノロジーラボとの提携で構想しているプロジェクトで、ベースにあるのは生地を3DCGで再現しその生地を製品にした状態をアバターで確認できるという新しいデジタルの技。実際の生地を使わないから素材から店頭までが同時に最新情報を共有できるというわけです。このプロジェクトはコロナで需要が一気に高まったそうです。未来だ~。

7月30日(木) 
7月発行号を振り返る&
在宅勤務のお供

 7月に発行した「WWDジャパン」を家のダイニングに並べて振り返りました。こういう振り返りの時間は会社より家の方がゆっくり持てます。7月6日号は「海外で奮闘するファッション業界の日本人」。7月13日号は「セール再考 変わるのは今だ!」で表紙のデザインはテプラを使ったアーティスト酒井いぶきさんの力を借りました。7月20日号は百貨店特集で各社社長さんをイラストに。かなり似ていると思うのですが。いかがでしょう?そして7月27日号は「雑誌・メディア」特集でたくさんの編集長が熱く語っています。別冊では繊維商社の特集も。まだ読んでない方はぜひポチってください。

 以前は日記のおまけで「今日のおやつ」を紹介していましたが、コロナ太りが危機的状況のため、「在宅のお供」に変更します。デスクに常備しているのは愛する旧ボトルの「アニック グタール(ANNICK GOUTAL)」の香水とオンライン会議前にサッと塗るリップ。「ルージュ・エルメス(ROUGE HERMES)」の口紅は眺めるだけでもカワイイです。

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ランジェリー業界のゲームチェンジャー vol.7 慶⼤院の仏⽂から転⾝ 中国でアワードも受賞した「マイミア」神成舞

 下着業界はファッション業界に比べるとメディア露出が少なく、またサイズの展開が多いため、在庫管理が複雑、生産工程で使用する資材が多い、生産ロットが大きいなどの理由から新規参入が難しいといわれてきた。大手の下着メーカーやアパレルメーカーによる市場の寡占によってなかなか新陳代謝が進まない印象だったが、ここ数年でD2Cブランドが増加している。また、異業職種からのデザイナー転身やSNSを通じたコミュニティーの活性化など、下着業界では30代の女性を中心に新たなムーブメントが起こっている。下着業界に新風を吹き込むゲームチェンジャーらにインタビューし、業界の今、そして今後の行方を探る。

 第7回に登場するのは、サテンとリバーレースを組み合わせた独自の世界観のランジェリーで注目を集める「マイミア(MAIMIA)」の神成舞・代表兼デザイナー。ブランドデビューからわずか1年半で上海のランジェリー資材見本市において「ヤングレーベルアワード」を受賞した後、自社ECをはじめ都内百貨店に常設コーナーができたり、地方の有力専門店で取り扱いが増えたりと販路を広げ、頭角を現している。

――コロナ禍の3〜7月に大きな変化があったそうですね。

神成舞代表兼デザイナー(以下、神成):これまでは自分をさらすことが苦手でしたが、外出自粛要請中はお客さまとの接点がなくなってしまったため、重い腰を上げてインスタライブを行いました。それを機に自社ECの売り上げが約10倍となり、届けたいところにダイレクトにアプローチできたと実感しています。ただ、地方のお客さまからは直接商品を見たいという声を多くいただきました。今後も私が地方に出向いてポップアップストアを開くことができない可能性が高いため、地方の専門店に営業をかけて福岡で2店舗、大阪で1店舗、取り扱いが決まりました。いずれもコロナに背中を押されたようなものですが、もっと早くやるべきだったと反省しています。都内では7月1日から西武渋谷店の、下旬からは西武池袋本店のランジェリー売り場に常設されるようになりました。

――自社EC、百貨店、地方の専門店で人気商品や客層に違いはあるか?

神成:百貨店のポップアップのお客さまは、95%がインスタグラムのフォロワーで、「気になっているあの商品を見たい」と来店してくださいますから、売れ筋は自社ECとほとんど変わりません。一方で地方の専門店は商品のセレクトや接客にオーナーさまの意向が色濃く反映されますから、それぞれ個性が出ます。私が獲得できない層へ広げていってくださるのでありがたいです。

――ランジェリーデザイナーを目指したきっかけは?

神成:エスモードジャポンでデザインの授業の通訳をしていたのですが、デザイナーのジョン・ガリアーノ(John Galliano)やステファノ・ピラーティ(Stephano Pilati)のチームで働いたことのあるフランス人講師の熱意と学生たちの情熱に囲まれて仕事をしているうちに、「自分もデザインをやりたい」と強く思うようになりました。今思うと、海外生活や旅で見聞きし感じたことを表現する場を欲していたのだと思います。洋服は自分の着たいものがあったけれど、ランジェリーにはなかった――それがランジェリーを選んだ理由です。

20代でも頑張れば買える“日常使いの最高峰”を目指したい

――ブランドを立ち上げた経緯は?

神成:エスモードジャポンの通訳をしながらバンタンデザイン研究所キャリアカレッジで1年間ランジェリーの基礎を学び、商品の開発に1年半費やしました。最も大変だったのは工場探しとブラジャーのパターンでした。電話とメールで日本中の工場に連絡し、やっとオーダーできる工場を見つけ、それからは工場長と二人三脚で「マイミア」のブラジャーのパターンを作り、インポートのような軽さでありながら華奢な日本人女性に合うブラジャーにすることを目指しました。28歳のとき、最初のコレクションが完成するタイミングで会社を設立し、エスモードジャポンの通訳は辞めました。そもそも起業したいとか、ブランドを立ち上げたいという気持ちはなかったのですが、自分が作りたいものを形にしようとしたところ、ブランド設立に至りました。副業という選択肢もあったかもしれませんが、ビジネスとして確立させる覚悟を決めて法人化しました。ブランドに専念したことでスピード感のある展開ができたと思います。

――ブランドコンセプトは?

神成:“服を着たあなたと裸のあなたの間の、もう一人のあなたをインスパイアしたい”というのがブランドコンセプトです。服は他人の視線がありますからどうしても社会性を帯びますが、人の目に触れないランジェリーにはそれがないし、裸以上になりたい自分になれる。身にまとう物により力を得て、今までとは違うことを感じられたり、行動できたりする力を得てほしいと思います。物作りにおいては“日常使いの最高峰”を目指しています。オートクチュールメゾンで使われているような最高品質のレースや素材を使って、品質も高いが20代でも頑張れば買えるランジェリーを提供したい。日常にある女性の人生の一瞬を演出してこそ「マイミア」のランジェリーの価値があると思っています。

――「ヤングレーベルアワード」を受賞して変化は?

神成:受賞はブランドを立ち上げてから1年半たったときでした。それまではデザインやクリエイションの仕事をした経験がなかったので、デザイナーとして表に出ることに引け目を感じて自信がもてませんでした。ただ、世界のブランドを見てきた審査員にデザインを評価されたことで、自分をデザイナーとして認められるようになりました。副賞で「パリ国際ランジェリー展」に出展でき、世界にアピールする場を提供されたのも大きいですね。最近、海外からの問い合わせも増えていますから、そのチャンスを生産的に生かさなければと思っています。

――これからの目標は?

神成:ブランドを立ち上げるときに目標にしていた、アクセスのよい百貨店での常設展開や

パリの展示会出展が迅速にかなうことになりました。次の目標は、さらなるステップアップのために会社のオペレーションの効率や精度を上げて強固なチームをつくっていくことです。大きな夢としては、海外の避暑地などでポップアップストアをやりたいですね。

――下着業界はどうなって欲しい?

神成:プレーヤーがどんどん増えて欲しいと思います。洋服と同じくらいランジェリーも選択肢が増えるといいですよね。ニーズを満たすもの、問題を解決するものばかりではなく、新しいライフスタイルや価値観を創出できる多様性に溢れたランジェリーが見たいし、私自身もそれを生み出せるように頑張ります。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

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“ホワイトグレー”を打ち出して月間最高売り上げ350万円 「シャチュー」のSHOKI店長の戦略とは?

 本連載では、月の売り上げ200万円以上で、30歳以下の次世代インフルエンサー美容師を紹介する。今回は、「シャチュー(SHACHU)」渋谷本店のSHOKI店長をピックアップ。グレー系のヘアカラーを得意とし、月の最高売り上げは356万円を達成。どのようにして売り上げを伸ばしたのか、その秘訣を聞いた。

WWD: まず、美容師を目指したきっかけは?

SHOKI:小さい頃からずっとサッカーをやっていて、高校までは本気でサッカーで食べていければと考えていたのですが、高校生のときにケガをしてしまって。それでサッカーは諦めて将来何をしようかと考えたときに、もともとファッションが好きだったのと、友だちの髪を切ったりしていたこともあって、美容師なら楽しく仕事ができるなと思って選びました。でも僕自身は高校時代ずっと坊主頭でした(笑)。そこから美容学校の入学を機に上京しました。

WWD:学生時代に特に力を入れたことは?

SHOKI:誰よりも早くスタイリストになりたいと思っていたので、週末は美容室でバイトをしていました。その美容室は住宅街にあるファミリー層向けの美容室だったんですが、専門学校卒業後はそこに就職して、2年10カ月ほど働きました。それで、いざスタイリストデビューするというタイミングで、「もっとトレンドの技術を学んでからスタイリストになった方がいいのでは」と考え、トレンドのハイトーンカラーを打ち出している「シャチュー」に入社しました。

WWD:実際「シャチュー」に入ってみてどうだった?

SHOKI:オーナーのみやち(のりよし)をはじめ、スタッフ全体のモチベーションが高く、僕の意識もすごく変わりました。それまではなんとなく美容師をやっていたというところもあったんですが、もっと本気でやっていこうと思うようになりました。

WWD:スタイリストデビューまではどれくらいかかった?

SHOKI:ある程度技術ができる状態で入ったので、1年半くらいでデビューしました。ただ「シャチュー」の場合はスタイリストデビューするにはアシスタントのうちからある程度売り上げが必要で、カラーのお客さまは担当できる仕組みした。僕の同期が売り上げ100万円を達成していたので「絶対に負けたくない」と思って100万円を目指したんですが、それは達成できました。

WWD:アシスタント時代から売り上げを伸ばすためにやったことは?

SHOKI:毎日、夜まで街で声がけをして、お客さまを増やしました。渋谷、原宿だけではなく地元でもチャンスがあれば声をかけるように意識しました。ただ、僕の見た目だと怖がられることも多くて、いかに信頼してもらえるか、ファーストコンタクトはかなり意識しました。その経験はスタイリストになってからの接客にも生かされています。

WWD:スタイリストになってからの売り上げは順調に伸びた?

SHOKI:そうですね。特に自分の強みである“ホワイトグレー”のヘアカラーをインスタグラムで打ち出すようにしてからは伸びました。グレー系って少し汚く見えてしまうこともあるのですが、僕の「ホワイトグレー」はかなりキレイに見える自信はあります。新規のお客さまは多いと月100人ほどで、月の最高売り上げは今年3月の356万円です。いかに美容室を楽しいと思ってもらえるかを考えて、会話の内容や話しやすい雰囲気作りなど、接客を意識しているので、その結果、友だちを紹介してくれたり、2人で来店するケースも多いです。

WWD:インスタグラムはどのように活用している?

SHOKI:基本的には実際のお客さまのリアルなスタイルをアップしています。基本的にお客さまのバックショットのみで、加工もほとんどしないので、お客さまからのオーダーがあっても再現しやすい。現在、フォロワー数は2万3000ほど。ただテクニカルにフォロワー数を増やそうと思わなくなって、本当にお客さまに提案したいヘアカタログの感じでやるようになってから、売り上げは伸びました。

WWD:ほかに売り上げを伸ばすためにしていることは?

SHOKI:僕はお客さま一人一人にオーダーメードのカラーを提案しようと思っていて、実際同じカラーレシピで行うことはほとんどありません。レシピも残さないので、毎回その髪と希望のオーダーを聞いて考えます。前回よりかわいくするのは当たり前で、毎回その人の“かわいい”を更新するように心掛けています。

WWD:「シャチュー」は新型コロナの影響で、4月から2カ月ほど休業していた。その間はどう過ごしていた?

SHOKI:今までいそがしくて自分のレッスンがあまりできなかったので、あらためてカットの技術を練習したり、アレンジはアシスタントに教えてもらったり、なるべくインプットを増やすように意識していました。6月からは席数を減らして密にならないようにしつつ、定休日も減らして、出勤もシフト制にするなどして対応しています。

WWD:最後に今後の目標は?

SHOKI:コロナ禍でどうなるかまだ先行きは不透明なのですが、売り上げは月400万円を目指したいです。あとはセミナーや撮影など外の仕事もやっていきたいです。

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【動画】「京大卒モデル一ノ瀬のモード飯~Cuisine à la mode~」Vol.0 “海鮮とお米のサラダ”

 「京大卒モデル一ノ瀬のモード飯~Cuisine à la mode~」は、モデル兼俳優の一ノ瀬遼による料理番組です。「オシャレな料理を作りたい!!」「たまにはお家でご飯を食べたい!!」という、多忙な業界人でも簡単に作れる料理を学びます。また京都大学薬学部出身の知識を生かした、料理にまつわるさまざまなウンチクや雑学もプラス。一ノ瀬についてもっと詳しく知りたい人は、下記の関連記事をチェック!!

 今回は、免疫力の向上をテーマに、タンパク質やビタミンA、ビタミンCを多く摂取することができる“海鮮とお米のサラダ”を学んでいきます。

レシピ
(2人分)
・米 0.5合
・エビ 4尾
・アサリ 7個
・イカ 1/3杯分
・ニンニク 1片
・赤パプリカ 1/4個
・ミニトマト 2、3個
・きゅうり 1/5個
・小きゅうりのピクルス(コルニッション) 1本
・ブラックオリーブ 4、5個
・白ワイン 30ml
・水 30ml
・塩 適量
・砂糖 適量
・お酢(穀物酢等で可) 適量
・マヨネーズ 小さじ1/2以下
・エクストラバージンオリーブオイル
・白胡椒(黒胡椒でも可) 適量

(トッピング)
・クリームタイプのバルサミコ酢 適量
・ディル 少量
・イタリアンパセリ 少量

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「服にかけるお金が減っている」と2万8000人中62%が回答 「ジーユー」が着回し提案を強化

 お盆シーズンを迎え、そろそろ秋物の本格的な立ち上がり時期となっていますが、「ジーユー(GU)」が2020-21年秋冬の展示会でとても気になるデータを発表していました。それは、「6月下旬にブランドの公式インスタグラム上でアンケートを行ったところ、約2万8000人中62%が服にかけるお金が減っていると答えた」というもの。コロナ禍を受けてそのようなことは想定していましたが、実際にデータとして突き付けられると、ファッション業界に身を置く自分としては心にズッシリきます。感染再拡大で不透明感は増しており、秋以降はよりいっそうの消費停滞もあり得るかもしれません。

 そんなアンケート結果を受け、「ジーユー」が“新しいおしゃれ”として打ち出していたのが「ONE2MANY WARDROBE」というキーワードでした。このキーワード、簡潔に言えば「気温の変化に応じて、何通りにも着回せるアイテムをそろえる」といった内容です。“着回し”は今やウィメンズファッションでは欠かせない要素になっていますが(多様な着回しが可能=コスパがいい、という表現、SNS上にも雑誌にもあふれていますよね)、実際に「ドゥーズィエム クラス(DEUXIEME CLASSE)」などの人気ブランドを取材すると、社内検討会などで着回しを徹底的に追求しています。その徹底ぶりには驚くほどです。

 「ジーユー」として、改めて多様な着回しが可能なアイテムを提案してコスパを高め、ファッションの楽しさを消費者に届けるということが狙いなのだと思いますが、分が悪いなと感じるのは、「ジーユー」はトレンドのアイテムが手頃な価格で買えるところが強みである点。正直、着回しの多様さって、ベーシックやシンプルが得意なブランドの方が表現しやすいですから。「ドゥーズィエム クラス」もどちらかというとベーシック寄りですし、消費の冷え込みを想定して、秋以降はシーズン問わず売れるベーシックな定番品を増やすという動きはファッション業界全体に広がっています。「『ONE2MANY WARDROBE』はベーシックでやるなら簡単。それを『ジーユー』はトレンドのアイテムでやろうとするから難しい」と「ジーユー」の担当者も話していました。

 というわけで、トレンド性と着回しをいかに両立させるかがカギである「ジーユー」の「ONE2MANY WARDROBE」ですが、20-21年秋冬のその答えはシアーシャツ、サロペットを含むイージースラックス、軽いアウターなどにあるようです。シアー(透ける素材の)シャツは今夏のトレンドアイテムとして街でもよく見かけますが、それを既に7月から店頭に投入している晩夏初秋物のコーナーで提案していたのはもちろんのこと、気温がより下がった時期の着回しとして、セーターやアウターのインナーとしてチラ見せするレイヤードスタイリングも提案していました。スラックスも、まだまだ暑い時期は半袖ブラウスと合わせて、よりシーズンが進んだらスエットトップスやセーターと合わせてといった具合です。軽いアウターもさまざまなレイヤードを提案していました。

 こんなに何通りにも着回せても、もちろん価格はシアーシャツが1490円、サロペットが2490円と、「ジーユー」プライス据え置き。また、1着を長い期間楽しめるということで、サステナビリティの面も「ジーユー」では意識しているようです。老婆心ながら、「1着でこんなにも着回せるとアピールしたら、シーズンを通した購入着数が従来よりも減ってしまわないんだろうか」などと私は思ったりもしましたが、コロナで消費者の財布のヒモが固くなっている中で(コロナを除いてもファッション消費への熱がやや停滞気味な時代ですし)ファッションの楽しさを感じてもらうためには、着回しによるコスパの打ち出しがこれまでよりもいっそう重要になってくるのかもしれません。同時に、トレンドと着回しの両立を「ジーユー」にやられてしまったら、手も足も出ないという中小アパレルメーカーの嘆きも、聞こえてきそうです。

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こじれた上司と部下の「心に火をつけた」言葉は? 元ファストリ上席執行役員の心に火をつけた“トーチング”回顧録Vol.2

 ファーストリテイリンググループで社内改革を推進する「有明プロジェクト」をけん引し、史上最年少で上席執行役員に昇格した神保拓也はこのほど、人の「心に火をつける。」ことを目指し、株式会社トーチリレーを設立した。まず取り組む同社の主たる事業は、「心に火をつけることを主題に置きつつも、ティーチングやコーチングとは一線を画す」という「トーチング」。山に登るためのトーチ、登る山を見つけるためのトーチを提供する。ただ、その料金はタダだ。神保はなぜ、タダで「トーチング」を始めたのか?人の心に火が付くことで起こった、ファーストリテイリング時代のユニクロの「奇跡」をたどり、「トーチング」の魅力を考える(「トーチング」のビジネスモデルは、コチラから)。

(前回からの続き)

 3者3様で「店舗を良くしたい」と思いながら、それぞれの「言動が、相手に誤解されていた」状況に対して、神保“隊長”が行なったトーチングは、こんな具合だ。

 まず「スーパーバイザーに認めてもらうには、自分の何が課題なのか?」を学ぶべき店長に伝えたのは、2つ。1つは、「『登りたい山』だけでなく、『登るべき山』に登ることも必要ということ」。神保“隊長”は、「『登るべき山』に登るための努力が、あなたを『登りたい山』に導く」と説いた。そして2つ目は、「信頼残高を積み上げろ」。例えばフィリピンへの語学研修は会社・店舗のためなのだが、こじれた関係性のせいでその「努力」は、上司のスーパーバイザー(以下、SV)や部下の店舗スタッフには「ワガママ」に映っている可能性があった。そこで神保“隊長は店長に、今はSV、スタッフ、ひいては店舗の利用客からも「信頼残高を失っている状態」と進言。「相手の自分への期待を超えることで『信頼残高』を積み上げ、その逆はしないことで『信頼残高』を減らさないよう」アドバイスをした。

 一方、店長に対する不信感が募っていたSVには、「人は変えられない。変わるもの。無理やり変えようとするのではなく、変わるきっかけを与えること、その人の心に火をつけることに注力すべき」とアドバイス。力技で変えようとするのではなく、変わる“きっかけ”を与えるのが上司の仕事と説いた。その上で必要なのは、「相手以上に相手を知ること」。特にダメな面ではなく良い面に興味を持ってほしいと考え、「『店長』として扱う前に、まず一人の『人間』として接し、相手にもっと興味・関心を持つべき」と主張。それができなければ、結局SV本人が一番望まない「店長が変わらない」に繋がってしまうと続けた。

 さらにスタッフには、「矢印を自分に向けよう」とのメッセージを発信した。店長とSVの関係性を心配する気持ちはわかるが、そんな中でも「自分たちにできることは、たくさんある」ハズ。「周囲の喧騒に惑わされず、矢印を自分に向け、お客様のために最善を尽くそう」とエールを送った。「店長とSVが……」「あの2人が……」と考え続けるのは、ツラいことだ。

 そして最後に全員には、以下の6つをトーチングした。

①「我以外皆我師」。自分以外の人や、起こった事象の全てから学ぼう。大変な状況は自分を耕す肥やしであり、それを意識すると見える景色が変わる。

②「相手を叱るな。『志』に叱らせろ」。相手の中にある「志」を見つけて、「あなたの『志』が泣いているよ」と諭してみよう。

③「仕組みを憎んで、人を憎まず」。人は、叱っても変わらない。だったらミスに繋がった環境や仕組みを責め、常にアップデートを繰り返す。特に「犯人探し」を始めてしまうと、事業はアップデートできない。「この店舗に必要な仕組みは?」「今の仕組みは、古くないか?」と知恵を振り絞ることが大事。

④「人は、巻き込むのではなく、巻き込まれるもの」。よく言われる「人を巻き込む」は、間違い。自分が圧倒的な努力をしていれば、周囲は自然と味方になる=「巻き込まれる」。「巻き込めないのは、自分の努力が足りないから」と考えたほうが、人生はずっと面白い。

⑤「whatではなく、whyをすり合わせる」。「what」で人を動かすのは、完全に命令。「what」でも人は動くけれど、心までは動かない。それは仕事ではなく、作業を依頼していること。「what」ではなく「why」、つまり「やる理由」「なぜアナタに、これをやってもらいたいか?」を伝えるべき。

⑥「1つ上の視座で世界を見てみる」。上司や、その上司には、今の状況や環境がどう見えているのか?を意識する。スタッフは店長、店長はSV、SVは部長、部長は社長の視点で、相手が見ている景色を理解しながら事業を営む。すると相手の「why」がわかり、“阿吽(あうん)”の呼吸が生まれる。「店長になってから、店長の視座を身に付ける」のは弱い組織。誰もが1つ上の視座に立って動いているのが、強い組織。そしてトップの社長がスタッフの視座で仕事できるのが、最強の組織。

 そして神保“隊長”は、それぞれに実施したトーチングの内容を、それぞれに伝えたという。つまり店長にはSVやスタッフへのトーチングを、SVには店長やスタッフへのトーチングを、そしてスタッフには店長やSVへのトーチングの内容を伝えた。今振り返ると、「これが大きかった」という。(次回につづく)

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日中韓からセルビアまで “越境カワイイ”を創造する「萌妹子」とは何か

 日韓台カナダなど世界のクリエイターをキュレーションするプロジェクト「萌妹子(メンメイズ)」が8月5〜11日、阪急うめだ本店3階でポップアップストアを開催した。先月には東京・ラフォーレ原宿で2度目のポップアップストアを開いたばかりで、過去にはビームス(BEAMS)やウィゴー(WEGO)、渋谷ツタヤ(SHIBUYA TSUTAYA)でもポップアップを開催した経験を持つ。

 「萌妹子」は中国語で“カワイイ女の子”を意味するスラングで、これまでの“カワイイ”をアップデートし、国境や性別、世代間も超える“越境カワイイカルチャー”を創造するプロジェクトだ。そのネオファンシーな雰囲気から、女子高生や女子大生などの若者を中心に話題を呼んでいる。現在はアパレルや雑貨を扱っているが、物を売るのはプロジェクトの一部分でしかないという。「萌妹子」が目指すプロジェクトの最終地点とはどのようなものなのか。

「若者は日本にネガティブ」逆輸入カワイイをキュレーション

 「萌妹子」はもともとカルチャー畑で育ち、長らくアイドルや可愛い女の子が好きだったという前田沙穂氏が立ち上げた。「キラキラ輝く女の子が好きで、その人を引き立たてるような、その人が考えるカワイイを表現できるようになれればいいなと思っていた。人を通じたプロジェクトの一つとして、先にアパレルや雑貨を扱うブランドをスタートさせた」という。

 このプロジェクトの中心にあるのが、日本が誇るカワイイカルチャーだ。原宿系ファッションに代表される文化で、日本から輸出されるカルチャーとしてはアニメに並ぶ大きな存在だ。アリアナ・グランデ(Ariana Grande)が猫耳をつけたり、レディ・ガガ(Lady Gaga)がカワイイカルチャーに影響を受けたと語ったりと、トップスターにも波及するものでありながら、一方で日本の若者たちは日本のカルチャーに悲観的だという。「日本の若者はK-POPや韓国ドラマ、欧米の音楽と比べて、日本のカルチャーはレベルが高くないとネガティブに捉えている。カワイイカルチャーを海外から逆輸入することで、日本の文化にもっと自信を持ってほしいという気持ちもある」と前田は語る。クリエイターはインスタグラムで探すといい、国内から韓国、台湾、カナダ、セルビアまで幅広い地域の人に呼びかけ、雑貨やイラストを集めている。またファッションやコンセプトには中国の要素が散りばめられており、日本的なカワイイカルチャーと世界のトレンドがクロスオーバーしている。

 プロジェクトがスタートしたのは2018年頃で、最初に行ったイベントがビームスジャパンでのポップアップだった。「その際はビジュアルのファンシーな雰囲気がSNSを通じて拡散され、学生など若い人が多く集まった。一方で、Night Tempoのアートワークを行っている日本の80年代レトロを取り入れたクリエイターが参加していたこともあって、40代やそれ以上の人も興味を持ってくれた」という。Night Tempoは韓国出身のアーティストで、日本の昭和歌謡をダンスミュージックにアップデートした“昭和グルーヴ”で人気を博している。若者には新鮮に映る文化だが、おじさま世代には懐かしい、そんな世代の越境も「萌妹子」が目指すところと通ずるものがある。ポップアップストアは女の子の部屋をイメージした内装が施され、ラフォーレと阪急うめだ本店では“CHILLHOP ROOM”をテーマにピンク色の空間を作り上げる。その空間の中にも国内外のクリエイターの作品にレトロな要素や中国っぽさが加わり、不思議な“ネオファンシー”の世界観を醸し出す。

令和の“カワイイ”とは何か 若者がアニメに惹かれる理由

 中国語をプロジェクト名にするなど、中国も「萌妹子」の一つの要素だ。プロジェクトがスタートした2018年は、TWICEやBTS、「スタイルナンダ(STYLENANDA)」や韓国コスメに代表される第3次韓国ブームが日本で広がった年だった。

 前田は「その頃、これまでは日本や韓国を追いかけていた中国カルチャーが一気にあか抜けした印象になった。また中国のトレンドが日本の1990年代に近く、日本の若者の中でも90年代をレトロだと憧れる層が出てきた。日本の若者にも、中国カルチャーは刺さるのではないかと考えたのも要素を取り入れたきっかけ」だという。実際、昨年から「チャイボーグ」と呼ばれる言葉が日本の若者の中で流行。赤リップにはっきりとしたアイライン、意志の強そうな「中華メイク」も新鮮だと注目を浴びたが、上の世代から見るとバブル期のメイクに見えるとの声もある。前田が語る通り、中国でも日本の90年代を取り入れたレトロブームがあり、通ずるところは多い。

 しかし日本の若者たちはなぜ、90年代に憧れを抱くのだろう。前田によると「若者たちには生まれる前の数十年のカルチャーが等しく同じに見えていて、親世代が見てきた90年代の『新世紀エヴァンゲリオン』も、2000年代の『池袋ウエストゲートパーク』も同じようにレトロ。若者にとって、SNS登場以前の作品はとても新鮮に映る」のだという。

 今の若者たちはデジタル世代であり、SNSと共に学生時代を暮らしてきたため、SNSがある故の生きづらさを抱えている。だからこそ、SNS以前に憧れを抱く。またバブル期や高度経済成長を知らず、その崩壊後に生きてきた世代でもあり、今の中国のバブルのような華やかさを物珍しく感じるようだ。またSNSをのぞくと、多くの若者がアニメをアカウントのアイコンにしている。そのアニメも「セーラームーン」「おジャ魔女どれみ」といった“SNS以前”のものが多く、「らんま1/2」「カードキャプターさくら」など中国の要素を持ったアニメも人気だ。「トレンドは20年周期というけれど、今がちょうど中国トレンドが回ってくる時期としては当てはまる」と前田は語る。だからこそ、アニメやレトロ、中国的な要素を持つ「萌妹子」は若者に刺さり、上の世代にも懐かしい存在なのだ。

音楽と人を通じてカワイイを発信 人々のサードプレイスに

 前述の通り、「萌妹子」にとって物を売るのは一つの側面でしかない。「プロジェクトは、“自分が思うカワイイになる”という世界観や価値観を共有するためのもの。たまたまオフラインのイベントからスタートしたが、今後はオンラインでもっと広げていきたい」という。

 世界観を広げる活動の一つが、パルコとPsychic VR Lab、ロフトワークの共同プロジェクト「ニュービュー(NEWVIEW)」のxRコンテンツアワード「ニュービューアワード2020」への参加だ。応募者へのインスピレーションとなるAR作品としてイラストレーターのジェニーカオリと作り上げた「東京女子絵巻-TOKYO GIRL STORY-」は、ロリータやギャル、キャバ嬢、カラス族などは80〜00年代を代表する女子の姿を表現している。

 こういったクリエイティブワークのほか、音楽も「萌妹子」の一つの要素だ。「萌妹子」のユーチューブアカウントではLo-Fiと呼ばれるジャンルの音楽を延々と流し続けるライブ配信を続けている。「こういった配信が海外で流行していて、はやっているライブ配信ではコメント欄がチャットのように使用されている」という。そういった配信は動画配信でありながら、一つの拠り所として国も性別も世代も超えたさまざまな人が会話する場となっており、「萌妹子」も今後は動画や配信を通じて世界観を発信するという。

 「私は島根に生まれて、東京と鳥取で育った。地方と都会の両極端を経験した中で、共通言語だったのはマンガや映画、音楽といったエンタメだった。このプロジェクトではカワイイという共通言語を作りたいので、ゆくゆくは音楽や人というエンタメを通じてカワイイを伝えて輸出していくようなことも考えている」。

 バブル崩壊後、日本ではいわゆるギャルが生まれた。渋谷の街に同じ思いを抱えた人が集まり、暗い時代の裏返しとも言えるほど輝く存在となった。新型コロナや不景気、SNSに渦巻く暗いニュースにさらされる今、若者たちがオンラインの中で集まり、新たなトレンドを起こすとすればそれは自然な流れに思える。「萌妹子」も若者が集まる場として、世界観や価値観を発信する存在なのだ。

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目指すのは“現代のコーヒーハウス” 「美味しいコーヒー」に魅せられたバリスタのあくなき挑戦

 17世紀半ばにイギリスで生まれた文化、コーヒーハウス。そこにはさまざまな階級や職業の人々が集まって議論を交わし、社会にも大きな影響を及ぼしたという。そんなコーヒーハウスの現代版を目指すのが、コーヒーの福利厚生サービス「ワーク(WORC)」だ。契約を結んだ法人のオフィスや従業員の自宅へ、手軽に美味しく飲めるコーヒーを毎日、日替わりで届ける仕組みを取っている。同サービスを始めたのは、吉祥寺や下北沢、渋谷PARCOに店舗を構えるコーヒー店「ライトアップコーヒー(LIGHT UP COFFEE)」のオーナー、川野優馬氏だ。カフェのオーナーはなぜ、対法人用のコーヒーサービスを始め、これからどのようにして“現代のコーヒーハウス”を作り上げるつもりなのか。川野氏に話を聞いた。

 「ワーク」スタートの理由は、2014年の「ライトアップコーヒー」創業にまで遡る。当時、川野氏は大学生。大手チェーンのカフェでアルバイトをしていた。「正直、当時は『コーヒーって苦いものなんだな』と思っていて、牛乳とかを入れないと飲めなかったんです。だからラテは好きだったんですけど、ブラックは苦手でした」と当時を振り返る。そんな彼の考えを変えたのが、趣味のカフェ巡りで見つけた一杯だ。「最初にラテを頼んだら、今まで飲んできたラテと全然味が違ったんです。なんだこれ?と驚いて、試しにブラックも頼んでみたら、全然苦くなく、むしろフルーティな味で美味しい。いろいろなカフェを巡っているうちに、そういったお店が何軒かありました。気になってスタッフの方達に話を聞いて行くうちに、僕も美味しいコーヒーを自分で作ってみたいと思うようになりました」。

 そこで川野氏はすぐに銀行で融資を受け、焙煎機を購入。ウェブショップを開設し、コーヒー豆を売り始める。さらには大学の長期休暇を利用して、自分で焼いた豆を持って、海外へ渡航。ノルウェーやロンドンに趣き、現地のコーヒーショップの店長らに試飲してもらってフィードバックを得つつ、コーヒービジネスの実態を知っていく。「もともと、飲食のビジネスには興味を持っていたのと同時に、自分が儲けた分、誰かが悲しむ商売はしたくないとも思っていました。そんな中で、生産者が頑張って作った美味しいコーヒーを提供すれば飲む人は喜んでくれるし、飲む人を増やせば流通量が増え、生産者にもお金が回る仕組みが作れる。ビジネスとしてやりがいを感じました」と川野氏。

 そうして川野氏は14年に、「ライトアップコーヒー」の1号店を吉祥寺にオープン。「美味しいコーヒーをより多くの人に届け、知ってもらいたい」という考えのもと、「飲み比べセット」といった独特なメニューの提供や、セミナーなどのイベントも実施。顧客を順調に獲得していき現在、3店舗を構えるまでになった。一見順調そうに見えるが、川野氏の中には焦りがあったという。「より多くの人に届けるためには、コーヒーを飲む機会が多いであろう、ビジネスマンたちにも訴求する必要がありました。でも、仕事で忙しくてカフェに行けない人も多い。その矛盾をどう解決するのかが、僕の中での課題でした」。

「ワーク」始動もコロナ禍に 対策は?

 川野氏のそんな思いから、「ワーク」はスタート。19年10月1日に法人化し、3000万円の資金調達を行なった。当初は注ぐだけで美味しいコーヒーが飲めるポットを導入先の企業へ毎日配達。導入先とはスラック(Slack)も連携し、お届け方法からコーヒー関連の情報、採用イベントとの協業に関する連絡までを行っている。「会社の中にコーヒーショップを作っているような感覚ですね。スラックの連携や、注ぐだけで簡単にコーヒーを楽しめるようにすることで、かつてのコーヒーハウスのように、気軽にさまざまな人が集まったり、会話をしたりする環境を整えたいと考えています」。簡単にコーヒーが飲める点や、味の点などで人気を博し、サービスローンチ後の初速は順調。当面は導入企業数3000社を目標にしつつ、配送拠点兼店舗をビジネス街へ出すことも視野に入れているという。

 しかし現在、予期せぬ事態が発生している。新型コロナウイルスだ。企業のテレワーク推進が進み、さまざまな面が不透明になった。導入先からも、「テレワークになるため配送は一旦ストップしてほしい」といった申し出があったという。そんな中で同社が始めたのが、「おうち福利厚生」だ。バリスタが抽出したエスプレッソを急速冷凍した“エスプレッソキューブ”や“コーヒーバッグ”を、契約先のオフィスはもちろん、従業員への自宅にまで届けるプランを新たにスタートした。「ワインと同じように、誰もが美味しいコーヒーを飲める・知っている状態にしたいんです。そのために、『ワーク』としても、『ライトアップコーヒー』としても美味しいコーヒーを楽しめる場所を圧倒的に増やしていきたい。コロナ禍で始めた施策も、冷凍や真空化などは基本的な技術の組み合わせですが、美味しい体験を作るための工夫。僕にはカフェやコーヒー農園を手がけ、研究してきた中で生み出してきた“美味しさ”には絶対的な自信がある。これからも多くの人に美味しいコーヒーを届けられるよう、努力を続けて行くつもりです」。

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アメリカ生活で思い出す「アジア人とゲイ」︎ エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年7月3日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

アメリカ生活で思い出す「アジア人とゲイ」︎

 アメリカにいた頃、「アジア人は、ゲイと同じ“くくり”なのか」という体験を度々経てきました。例えば私がトートバッグを持ってF.I.T.(ニューヨーク州立ファッション工科大学)に通えば、クラスメートは「トートバッグを持つ男の子は、ゲイがアジア人のどちらかよ!!」と驚きました。「へぇ、そうなんだ」と素直に驚き返し、以後しばらくトートバッグで通学し続けました(笑)。いちいち反応する彼女は、確か南部の田舎町出身で、妙に納得したのを覚えています。どちらもステレオタイプな先入観に縛られていた、という話です(苦笑)。

 ゲイ向けのライフスタイル誌「OUT」で下っ端として働いていた頃は、上司から度々「乱暴なくらいに言い切ってしまえば、アメリカでモードに興味がある男性は、ゲイかアジア人がほとんどだよ」と主張され、妙に納得した記憶があります。私も当時の上司同様乱暴に言い切れば、白人を中心としたアメリカ人には「マッチョ」なカルチャーが潜んでいます。「男らしくあれ」という価値観です。だから体を鍛えるし、スーパーボウルやNBA、大リーグなどのスポーツをビール片手に楽しむし、モードには興味のないフリをすべく「オールドネイビー」のTシャツを選ぶ(かなり乱暴に括っています)。比してアジア人とゲイは、そんなカルチャーにそこまで縛られておらず、モードに興味を持つ人が少なくない。それは、遠からず、です。

 とは言え、ゲイに似た傾向もある(かもしれない)アジア人が、ゲイと一緒に“くくられる”ことを潔しとはしないことを表明した“事件”もありました。これも私がアメリカにいた頃、男性向けのライフスタイル誌「DETAILS」(すでに休刊)が巻末に掲載した「Asian or Gay?」というページが大炎上したのです。この「~~ or ーー」というページは、「~~」と「ーー」にスタイル上の共通項を見出し、「こんなアイテムを持っている人は、~~かーーのどちらかかもね!?」とクスリと笑わせます(15年を経た今振り返るとアブナイ企画ですね)。そこで「こんなスタイルの人は、ゲイかアジア人かもね!?」と訴えたら、大炎上。「アジア人は、みんなゲイじゃない!!」という当然の反応から、「そもそも、どっちでも良くない?」という企画そのものをバッサリ切り捨てた意見までが噴出し、「DETAILS」のオフィスにはアジア人が集結。スタッフに卵を投げるなどの抗議活動は数日続いた記憶があります。結局「DETAILS」は、この人気企画を終了しました。アジア人の怒りの背景には、やっぱり人種で一般化された上で差別・区別されてきた経緯があるのでしょう。なのに再び、乱暴に一般化されたことにキレたのです。余談ですが、「DETAILS」のこの企画、タイトルは度々「~~ or Gay?」だったと記憶しています。今思えば、やっぱりモードへの興味が強いゲイを読者としたかったのでしょう。

 「OUT」で働く前にインターンしていた出版社では、直属のメンターがアジア人の女性でした。初日に「あなたの英語は、ネイティブの数段下。だから、記事を書けるなんて思わないで」というジャブを喰らい、以後もメッチャ厳しかったのを覚えています。何度もキレそうになりましたが、その彼女の上司から「アジア人の彼女が、出版社で編集者のポジションを獲得するのは大変だったハズ。虚勢を張らなきゃ、生きていけなかったんだよ」と教えてもらい、「なるほど」と思いました。BLM運動が社会を変えそうなムードですが、問題はBlackに限りません。Asianも、GayのLivesもMatterなのです。

 そう考えると、下のリンクで紹介する、GayとAsianの造語「Gaysian」は、考えざるを得ませんね。小柄なアジア人や柔和な人も多いゲイを、上述したアメリカならではの「マッチョ」なカルチャーという基準で差別・区別しています。リンク2本目の記事で黒人トランスジェンダーが語る通り、BLM運動があらゆる差別の解消につながればと願うし、その先陣に立つのは区別・差別してきた白人なのでしょう。

 日本の、こうした根深い問題って、なんでしょう?最近は、そんなことを考えます。

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