ユーグレナとネクストミーツが環境負荷の少ない“ユーグレナ配合代替肉”を共同開発

 ユーグレナとネクストミーツは、石垣島ユーグレナ(和名はミドリムシ。以下、ユーグレナ)とヤエヤマクロレラエキス(以下、クロレラエキス)入りの代替肉“NEXTユーグレナ焼肉EX”(444円 ※編集部調べ)を共同開発して発売した。

 代替肉とは、肉の味や食感を再現して作った、大豆などを原料とした植物ベースの食品。ユーグレナとネクストミーツは、サステナブルなライフスタイルをともに実現していくため、2020年12月に食品の共同開発契約を締結。“NEXTユーグレナ焼肉EX”は、共同開発商品の第1弾となる。

 同商品はユーグレナ500mg、クロレラエキス500mgを配合した代替肉で、動物性原料不使用のため地球環境に優しく、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素をバランス良く摂取できる。植物性タンパク質でコレステロールゼロの健康的な食品で、化学調味料などを使用せず肉の食感を再現しており、安心して食べることができる。

 畜産動物は、飼育に必要となる土地面積や飼料、用水の量の観点から、穀物や野菜などの植物性食品と比較して(タンパク質源の生産にあたって)必要となる資源量が多い。そのため環境負荷が大きいといわれており、代替肉はそうした側面からも注目を浴びている。

 なおネクストミーツは、豊富な栄養素を持つ“ユーグレナクッキー”をバングラデシュの子どもたちに無償で配布するプロジェクト“ユーグレナ GENKI プログラム”に賛同。“NEXTユーグレナ焼肉EX”の売り上げの一部を協賛金とする方針だ。

 同プロジェクトは14年4月にスタートし、多くの支援を受けて活動規模を拡大。20年9月末時点で66校、約1万人の子どもたちにユーグレナ入りクッキーを配布しており、配布数は累計1000万食を突破した。

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「アヴェダ」全製品がビーガンに ビーズワックスなどを植物由来の成分に置き換え

 自然由来成分を配合し、地球環境にも配慮したヘアケア製品を扱う「アヴェダ(AVEDA)」は、販売する全ての商品をビーガンにした。製品のほとんどに動物由来の成分は使ってこなかったが、一部リップケアの製品にハニーやビーズワックスを使用していた。それらは植物由来のバターやワックスをブレンドした成分に置き換える。

 また、モデルのアリゾナ・ミューズ(Arizona Muse)がブランドのサステナビリティへの取り組みを広く伝える役割を担う。同ブランドのバーバラ・デレーレ=グローバル・ブランド・プレジデントは、「ミューズは熱意のある気候変動活動家。環境責任について代表的な存在だ。彼女はわれわれの変化のために大きく力になったし、子どものころから『アヴェダ』を愛用している」とコメントした。

 「アヴェダ」は1978年の創業以来、“クルエルティフリー”を掲げ、商品や商品開発の過程で動物実験や殺傷を行わないという使命を貫いている。2012年から試験的にアメリカ・ミネソタにある本社の屋根に太陽光パネルを設置し、20年には本社敷地内の約1万4500平方メートルの広さに900キロワットの発電量を実現する地上設置型パネルも導入した。さらにアメリカ国内からオンラインで買い物した場合、発送に関わる温室効果ガス排出量をオフセット(相殺)する取り組みも開始した。

 デレーレ=グローバル・ブランド・プレジデントは21年の目標に、AR(拡張現実)とAIによるテクノロジーでエンゲージメントを高めている「アヴェダ」公式ウェブサイトのさらなる強化を掲げた。

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コロナ禍の女性労働者の苦境 衣類産業の労働力の80%を占める

 国際労働機関(International Labour Organization以下、ILO)よると、衣類産業で働く女性は、新型コロナウイルスの感染拡大で差別やハラスメントの増加、賃金格差の拡大、不平等な家事や育児、介護の強要に直面している。続けて新型コロナが収束したとしても、これらの格差が縮まる可能性は低いと報告している。効果的な改善措置がなされなければこのような不平等な待遇は拡大し、貧困問題解消とジェンダー平等におけるコロナ禍前の前進を無にする可能性がある。ILOはその一因に、コロナ対策の議論の場に圧倒的に女性の代表が不足していることを挙げている。

 ジョニ・シンプソン(Joni Simpson)ILOアジア太平洋地域シニア・ジェンダー・スペシャリストは、「女性は衣類産業の労働力の80%を占めているため、パンデミックによる大きな影響を当初から受けている。さらに職場だけでなく、家庭内での労働やジェンダーに基づく役割が課されている」と言う。女性がパンデミックで受ける短期的なものから長期にまで及ぶ課題に対処できるよう、ILOは意思決定の場にあるものが、さまざまな属性のニーズと現実問題に基づいてジェンダーを考慮した措置を施策していくことを推奨する。各国は金銭的援助活用の推進、性別にかかわらず利用できる社会的セーフティネットの設立と維持に焦点を当てるべきだと主張する。

 例えば衣服工場が運転再開をしたときに女性が安心して働けるよう、責任者は家事や介護における無償のケア労働の蔓延解消に取り組み、サポートを提供する必要がある。コロナ対策について考える際には、あらゆるジェンダーの人々が職場、家庭、自身のコミュニティーでどのように影響を受けるか想像するべきだという。中でも女性への暴力やハラスメントが増加していることから、レギュレーションやマネジメント、管理職のトレーニングなど、安全で尊厳のある職場環境を作る取り組みを増やすことが重要となる。ILOは職場のシステムや生産体制の変化が、女性には異なる安全上のリスクを起こす可能性があることに特に注意を払う必要があると述べた。

 また女性は介護や地域社会の一員としてコロナ対策の最前線にいることが多いため、政策決定の際に女性にしかるべき発言権があることが大事だと言う。ILOは、「女性が参加するために、ジェンダーに配慮された機会を提供するべきだ」との見解を示した。労働者や雇用主、バイヤー、政府などは、意思決定や話し合いの場などあらゆる局面における女性の関与が、新型コロナによってより一層厳しいものになっているという可能性を考慮しなければいけないと呼びかけている。

 ILOと世界銀行グループのメンバーの国際金融公社によるパートナーシッププログラムであるベターワーク(Better Work)のジェシカ・ワン(Jessica Wan)=ジェンダー・スペシャリストは、「政府や企業、ステークホルダーなどは、新型コロナによるパンデミックが女性や男性の労働者に及ぼす影響を多面的に理解するべき。それをもとにスマートで、サステナブルで、ジェンダーに包括的な政策を考えていくことが重要だ。新型コロナによる危機的状況では、すでにある格差がより広がる恐れがあり、衣類産業の社会的および経済的な環境の改善は進まないだろう」と語った。

 ILOの調査では、アジアの主要な衣料品生産国の衣服の輸入量は、パンデミックにより2020年上半期に70%急落したという。その結果工場での生産能力も低下し、労働者の解雇が急増した。アジア太平洋地域では、19年に約6500万人が衣類産業で雇用されており、これは世界全体で75%を占める。ILOは、衣類産業で働く人はパンデミック以降平均して2〜4週間分の仕事を失い、現在生産ラインに戻っているのは5人に3人だけだと見積もった。

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綿花農家の自殺問題に向き合う 創設者がオーガニックコットンプロジェクトの意義を語る

 持続可能なビジネスとは、そのビジネスに携わる全ての人々にとっても持続可能であることが条件だ。サプライチェーンが長く複雑なアパレルビジネスは、業界全体で手を取り合い、生産者の生活向上に貢献する方法を探る必要がある。そのアプローチの一つを実践するのが、インドの綿花農家の支援を行うピース バイ ピース コットンプロジェクト(以下、PBP)だ。

 PBPは2008年に通販大手のフェリシモの通販ブランド「ハコ!」の事業から立ち上がったプロジェクトだ。当時、世界最大の綿花の生産地であるインドでは綿花農家の高い自殺率が問題視されていた。農薬や化学肥料、遺伝子組み換えの種を買うために借金した農家が、それらを適切に使えなかったり、そもそも土地に合わなかったりなどの理由で収穫量が減り、借金を返せずに自殺してしまうという状況が生まれていたのだ。PBPはこの問題を解決するために、インド産のオーガニックコットンを使用した製品に基金をつけて販売し、その基金でインドの綿農家の有機農法への転換支援と、農家の子どもたちの就学・奨学金を支援する。20年3月時点で、総基金額は1億円を超え、有機農法へ転換した農家の件数は11の地域で1万5000世帯以上、復学した子どもの数は2064人、さらに高等教育に進んだ子どもの数は928人を達成した。PBPを立ち上げた葛西龍也一般財団法人PBP代表理事に話を聞いた。

WWD:PBPを立ち上げた背景は?

葛西龍也一般財団法人PBP代表理事(以下、葛西代表理事):最初は私的な動機だったんです。フェリシモの「ハコ!」の事務所を東京に構えるに当たって、家賃を支払うために原価の低い商品を探していて、偶然目に付いたのがホームセンターで売られていた軍手でした。軍手の原料は落ち綿で原料費が安く、右も左もないので効率的に大量生産されていました。これを1双1000円で売れたら家賃が払えるだろうと考え、手に着用するものなので手をつないでコミュニケーションが生まれるようなツールとしての軍手をコンセプトに、商品企画を進めました。加えて、フェリシモが01年の9.11をきっかけに開始したチャリティーTシャツ「ラブ&ピース プロジェクト」に着想を得て、軍手に子どもの未来を支援する基金を付けて販売するアイデアを思いつきました。

WWD:「ラブ&ピース プロジェクト」とは?

葛西代表理事:9.11が理由でニューヨークとアフガニスタンの親を亡くした子どもの支援を目的にしたものです。08年の時点で約20万着のTシャツを販売していました。そこで、フリーペーパー「ディクショナリー(DICTIONARY)」の創刊者で「Tシャツアズメディア」という活動をしていた桑原茂一さんに相談に行きました。桑原さんは僕の話をじーっと聞いた後に「それってオーガニックコットン?」と聞きました。「いや、違います」と答えると、「君は20万枚もTシャツ売って誰かを助けたって言っているけど、その裏でたくさんの農家の人々が死んでいるのを知っているか?」と言うんです。調べていくと、インドの綿農家では綿花を育てるための農薬や化学肥料、遺伝子組み換えの種を買うために借金し、それらが適切に使えなかったり、そもそも土地に合わなかったりして収穫量が減り、借金を返せないプレッシャーに負けて自殺してしまうという状況がありました。インド政府もこれを問題視し、自殺した家族に保証金を渡す制度などを作って対応にあたっていました。

WWD:そうした背景を知る人は少ないかもしれない。

葛西代表理事:補償金目当てに亡くなってしまう人もいて、年間3万人ほど亡くなっているというのです。僕はチャリティーTシャツを作って、どこかの誰かを救った気になっていたけど、その裏では原料を作る人を殺していたかもしれない。この頃は日本にファストファッションが上陸した年でもありました。これから安い服がたくさん販売されていく時代の流れと、農家の自殺問題を重ね合わせるとゾッとしましたね。何とかしなければ、と思いました。そこで、インドのオーガニックコットンを使った商品に基金を付けて販売し、農家の有機農法への転換を支援して、そこから取れるオーガニックコットンを使ってまた服を作る循環の仕組みを思い付きました。軍手を作るコンセプトは残っていたので、オーガニックコットンで日本製の軍手を作ることになりました。1000円で売りましたが、その頃には原価率の話はどこかに行っていましたね(笑)。

WWD:軍手はどのくらい売れた?

葛西代表理事:10年5月末の時点で1万8770双販売し、軍手以外のオーガニックコットン商品の販売も含めて660万円の基金が集まっていました。

サステナビリティは短期的な計画では取り組めない

WWD:現地の寄付先はどのように探した?

葛西代表理事:最初は集めた基金を、オーガニックコットンを販売する人に渡せば完結するだろうと安易に考えていました。しかし、アパレルビジネスは想像していたより複雑でした。農家の人々は綿花からタネを取り除く作業をするジン工場に綿花を持ち込んで現金を得ますが、当時はジン工場がお金を渡す代わりに農薬を渡すケースが多くありました。08年の10月に初めてインドに行き、現地のジン工場に話しに行くとサックスブルーのシャツを第三ボタンまで開けて金色のネックレス、金色のブレスレットをつけた明らかに怪しいインド人の男性たちが「俺らに任せてくれたら大丈夫」って言うんです。絶対嘘だと思いましたね(笑)。この頃になってやっと、サプライチェーンでは買う立場の人が売る立場の人より強いことに気が付きました。

WWD:つまり農家は一番弱い立場に置かれている。

葛西代表理事:そうです。綿を農家から買う立場の人に任せてはどうなるか分からないと思い、第三者機関を探そうとジャイカ(JICA)のインド事務所を尋ねると、有機栽培への支援に取り組むNPO団体の情報をくれました。その中の一つが現在のパートナーである現地NPOのチェトナ・オーガニックでした。チェトナ・オーガニックは元国連の食料政策事務局で働いていたインド人が母国の課題を解決したいという思いで立ち上げ、インド有数の貧困地帯であるオリッサ州の小規模農家の有機農法への転換を支援していました。どうせ支援するなら、一番困っているところにと思い、10年4月にはオリッサ州に視察に行き、契約締結を決めました。

WWD:有機農法の支援以外にも、農家の子どもたちの就学を支援しようと思った理由は?

葛西代表理事:ジャイカで話をしている時に、貧困地帯の農家では多くの場合、児童労働が行われていて、子どもたちが学校に行かずに働いていることを教えてもらいました。そこでプロジェクトの参加条件として児童労働を禁止すること、現地の子どもたちの奨学と復学支援、高等教育への奨学金を支援することを決めました。

WWD:17年には一般財団法人化した。現在の法人参加企業の数は?

葛西代表理事:豊島やヤギなど法人会員は6社です。19年に展示会を開催して以降、参加ブランドも増えています。この課題は僕たちだけで取り組むものではなく、参画企業それぞれができることを実践してもらいたい。ヤギはインド最大のオーガニックコットンの紡績工場であるナハール社と連携して、オーガニックコットンの原糸に基金をつけて購入する「ヤーンプロジェクト」や種の購入を支援する「シードプロジェクト」を提案してくれています。

サステナビリティとは人が良い未来を描ける環境

WWD:今後の目標は?

葛西代表理事:共感してくれるお客さんやブランドを増やすことです。基金の金額は100円から選べますが、店頭でほかの商品と並んで値段だけを見たときに100円の違いは大きいのだと思います。きちんと目的を伝えるための手段として、来年には購入者がアプリを通して支援先を選択できるシステムもローンチ予定です。昨今、サステナビリティやSDGsへの取り組みを開始する企業は多く見受けます。しかし、短期的な取り組みでは意味がありません。農家の支援も基本的には3年計画なので、「今年はサステナビリティに取り組むけど、来年は分かりません」と言うようなところと取り組むのは難しい。しっかりと腰を据えて頑張ろうとしている人たちと協力していきたいです。

WWD:これまでに1万5000世帯以上の有機農法への転換を支援してきた。この成果をどう見る?

葛西代表理事:振り返れば何もないところからよくやったなと思いますが、1万5000世帯を背負っているって重たいんです。これからどうやってアパレルや消費者の皆さまに伝えていくか――その課題の方が大きい。ただ、昨年現地に行った時にうれしいことがありました。僕に照れ臭そうに話しかけてくれたインド人の男性が、実はPBPの奨学金で大学へ行き、政治学を学び、今はオリッサ州政府の農業担当の役人として働いていると言うんです。実は奨学金を支援すると決断したときに、あなたは子どもが村から去ることを手伝っていると言われたこともありました。それでも、学びたいのに学べないのはおかしいと思って始めました。しかし、最近はちゃんと村に戻って来るケースがあるんです。その男性はきちんと勉強して、自分で物事を決められる立場になった。少なくともその人の人生には何か影響与えられたかもしれない。彼のように主体的に行動を起こしてくれている人が出てきたのは社会にとって大きな変化となります。サステナブルというと、さまざまな捉え方がありますが、僕は人を軸に考えます。変化を起こせるのは人だからです。人々が自分にとって良い未来を描ける環境を作っていくことが僕にとってのサステナビリティです。

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LVMH、フランスのDV被害女性用のホテル利用を支援

 LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は、女性に対する暴力を撲滅するための仏政府による民間への呼びかけに協力し、家庭内暴力(以下、DV)の被害女性と子どもたちによるシェルターとしてのホテル利用を支援する。具体的には、1000泊分のホテル宿泊資金をフランスの女性基金(Fondation des Femmes)に寄付する。

 国連は毎年11月25日を“女性に対する暴力撤廃の国際デー”に定めているが、新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウン措置の傍らでDVが増加しており、被害者向けのシェルターや電話相談サービスの利用も増加している。

 仏政府のエリザベス・モレノ(Elisabeth Moreno)男女平等・ダイバーシティー・機会均等担当大臣は共同声明で、「LVMHの支援によって非常に具体的で即時性のある解決策がもたらされる。女性に対する暴力の問題に社会全体で取り組んでいく」とコメントした。

 シャンタル・ガンペルレ(Chantal Gaemperle)LVMH人事・シナジー部門ディレクターは、「男女平等はLVMHの人事ポリシーの主軸だ。LVMHでは10年以上前にEllesVMHという女性の職能開発支援を目的としたネットワークを構築している。キャリアの推進のみならず社会的側面もカバーしており、長期的な取り組みを行うだけでなく緊急事態にも対応が可能だ」と語った。

 またアントワン・アルノー(Antoine Arnault)LVMHヘッド・オブ・コミュニケーション&イメージは、「女性や子どもたちの保護といった緊急事態においてサポートを行うのは優先事項だ」と述べた。

  LVMHグループが抱える16万3000人の従業員のうち、女性の割合は73%を占めており、同グループでは女性管理職を増やすための具体的な目標も設定している。またLVMHは、コロナ禍でマスクおよび殺菌ジェルの生産や、医療目的の寄付などを積極的に行ってきた。経済や社会の大混乱を伴う新型コロナ危機で、同社の企業としての責任ある行動に改めて注目が集まっている。

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「アディダス」の“スタンスミス”がビーガン設計に 2024年までに全てのバージンポリエステルの使用を廃止

 「アディダス オリジナルス(ADIDAS ORIGINALS)」は定番スニーカーの“スタンスミス”の全ての商品においてリサイクル素材を使用し、動物由来の素材を使用しないビーガン設計に切り替えることを発表した。アディダスはサステナビリティへの取り組みとして2024年までに「アディダス」の全ての製品においてバージンポリエステルの使用を廃止し、リサイクルポリエステルに切り替えることを目指す。

 “スタンスミス”のアイコニックなシルエットと価格はそのままに、高機能リサイクル素材“プライムグリーン”を採用し、アッパーにはレザーと同じ見た目と手触りの日本製のプレミアムPUコーティングを施したリサイクルポリエステルを使用した。アウトソールには、天然ラバーやリサイクルラバーを使用し、レース、ライニング、インソールなどのディテールにも全てリサイクル素材を使用した。

 アディダス オリジナルス フラッグシップストアや公式オンラインショップのほか、ABCマート各店、アトモス各店などの「アディダス オリジナルス」取り扱い店舗で販売する。

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教えて!パタゴニアさん 連載第4回 生産者の生活向上に貢献するために必要なこと

 サステナビリティ先進企業のパタゴニアの担当者にその取り組みを聞く連載第4回。今、全産業的に重視されているのが企業活動における“透明性”ですが、特にファッション産業では、2013年に縫製工場が多数入居するパングラデッシのラナ・プラザが崩落して1100人以上もの人々が犠牲になった事故をきっかけに、労働環境や労働条件などに対して生産者の配慮を求める声が強くなっています。そうはいってもほとんどの衣料メーカーは、製造工場を所有しておらず、製品のデザインや販売のみを行っています。パタゴニアも例外ではありません。では、どのようにして生産者の人権を守っているのでしょうか。第3回の「トレーサビリティーが大切な理由」に続いて、篠健司・環境社会部ブランド・レスポンシビリティ・マネージャーに聞きます。

WWD:パタゴニアはどのように生産者の人権を守っていますか?

篠健司・環境社会部ブランド・レスポンシビリティ・マネージャー(以下、篠):私たちは世界中の企業とパートナーシップを組み、集団として衣類の製造により派生する害を緩和すべく緊密に取り組んでいます。また、パタゴニアはサプライヤー、そして私たち自身に業界最高の環境的および社会的水準を課していて、この工程を管理するために業界にあるツールやスタンダードを活用して、厳格な水準が存在しない場合はそれを自社で作り上げています。

WWD:ラナ・プラザの崩壊事故により、改めて労働環境や労働条件などに対して問われるようになりました。

篠:「スウェットショップ(労働搾取工場)」とは、そもそもは19世紀に労働者が暑く混雑した、大気が循環しない劣悪な工場環境で長時間にわたって労働してもわずかな賃金しか受け取れない工場ことを指しています。1913年のニューヨークの衣料品工場の火災は146人の死者を出し、そのほとんどは若い女性で半分以上がユダヤ系の移民でした。この事故が改革の呼びかけの口火を切りました。それからちょうど100年後に起きたバングラデシュのラナ・プラザの崩壊は1100人以上の死者を出し、新たな改革の呼びかけが起こりました。

WWD:ラナ・プラザ事故の後も改善されていない工場はあると聞きます。

篠:世界にはいまだにひどい状況の下で長時間の低賃金労働をしている人々がいます。そうした工場で働く人々のほとんどが女性で、貧困で、教育を受ける機会や公民権を剥奪されているケースがあります。労働法(の確立および施行)では不十分な場合があり、労働者は弱みに付け込まれたり、差別的な待遇や嫌がらせを受けたり、あるいは労働組合を結成する権利を持っていなかったりします。脅迫されたり騙されたりすることもあります。

WWD:パタゴニアはいつからどのように取り組みを始めましたか?

篠:1990年代初頭、会社の成長に伴い、契約工場の作業プロセスの改善に着手しました。工場契約担当者と品質管理チームが、工場を品質および労働環境の両面で評価することを始めました。そのときに、訪問できない工場とは取引をしないことを決定しました。91年には、全ての契約工場を招いて初のサプライヤー会議を開催し、各工場のさまざまなパフォーマンスを格付けするスコアカードを導入しました。90年代半ばには、第三者監査機関による契約工場の訪問監査と、契約を検討中の新規工場の査定を始めました。

WWD:環境への取り組み同様に着手が早いですね。

篠:96年、人権保護団体がある米国ブランドの衣料品の下請け工場で児童労働が行われていたことを暴露したことがきっかけに、当時のクリントン大統領が主導した「ノー・スウェット・イニシアチブ」にパタゴニアは招待されました。そして、アパレル企業の責任ある労働慣行を監督する非営利団体「公正労働協会(FLA)」の創設会員になりました。

WWD:FLAの会員であることが意味することは何ですか?

篠:責任ある労働慣行に対する説明責任を負うことを意味します。FLA認定は、パタゴニアが達成していることや、改善が必要な項目ついての客観的な評価を保証していて、お客さまにもその情報を提供しています。会員の責務の一部として、工場監視プログラムの質を査定するためにサプライチェーンの一部の抜き打ち監査が行われ、改善の必要性を明示するとともに、監査結果はFLAのウェブサイトに掲載され一般にも公開されます。

WWD:このような取り組みを行うには専任のスタッフが必要になりそうですね。

篠:2002年、当社のサプライチェーン全体で社会的責任の順守を監視するため、ソーシャル・レスポンシビリティ・マネージャーを雇用して、契約工場とより密に協力してサプライチェーンについて知識を深め、かつ、サプライヤーとの関係の強化を始めました。その結果、透明性を高めるために取引する主要工場の数を50%削減しました。

10年には、工場レベルにおける社会的責任と環境的責任を一体化し、全ての下請け工場を識別し、ほぼ100%の裁断・縫製工場を監査するようになりました。13年、サプライチェーンの職場行動規範を強化して生活賃金の項目を加え、原価計算に生活賃金レートを考慮する方針を実行に移しました。これらの取り組みが、パタゴニアのサプライチェーンにおける公平な賃金という課題に対処する短・中・長期戦略の一部になりました。

WWD:フェアトレードの認証付きで多くの衣料品を販売しています。

篠:14-15年秋冬シーズンから、製品を作る全ての人の生活を改善できるよう、米国のフェアトレード認証団体Fair Trade USAとパートナーシップを組み、アウトドアウエア企業として初めて、フェアトレード認証製品を展開してきました。2014年に1工場10製品で始まったパタゴニアのフェアトレード・サーティファイド製品数は、17-18年秋冬シーズンには12工場440製品まで拡大しています。

作った人の手に直接支援金を届ける

WWD:具体的に何を行っていますか?

篠:「労働者の支援」「地域社会の強化」「強制労働の撲滅」「労働環境の安全確保」「児童労働の撲滅」のため、製造するフェアトレード製品ごとに、労働者が生活水準を改善するために使うことのできる賞与を支払っています。この賞与は工場の労働者に直接送られ、民主的に選出された労働者から構成されたフェアトレード委員会が、その用途を決定します。労働者はそれらをヘルスケアや託児所などの地域事業のために使用したり、あるいはラップトップ・コンピューターや電子レンジなどこれまで購入できなかったものを買ったり、ボーナスとして支給したりしてきました。またこのプログラムは、社会的かつ環境的順守だけでなく労働者の健康と安全を促進し、労働者と経営者の間の会話を促進します。

WWD:製品の売り上げの一部が直接労働者に渡るということですね。

篠:はい。お客さまがフェアトレード・サーティファイド製品を購入すると、その売り上げの一部が直接、その特定の製品に命を吹き込んだ人たちの手に渡るということになります。そしてそれは、私たちのグローバル経済においては非常にまれな、優れた価値観への一票となるのではないでしょうか。

WWD:現在の製品の何パーセントがフェアトレード・サーティファイド縫製ですか?

篠:76%です。このフェアトレード・プログラムにより6万6000人の労働者を支援しています。

WWD:現在、力を入れていることを教えてください。

篠:3つの大きなプロジェクトを進行しています。

1つ目は衣料製造に携わる労働者に対する生活賃金の指針を具体的に現実なものにするために、業界内で取り組みを進めています。主にはフェアトレード・サーティファイド・プログラムを拡張しています。またFLAのメンバーであるブランドとサプライヤーが各自のサプライチェーンにおいて生活賃金モデルを試験的に取り入れて履行する「公正な報酬」プロジェクトにも参加しています。

2つ目は裁断・縫製工場以外(繊維工場、染色工場など)のサプライチェーンにおける労働条件を向上させる努力の強化です。台湾の繊維工場における人身売買を撲滅させるための重要な手段を採用しました。15年6月から法律で定められている以上の斡旋手数料を払った外国人労働者へは返金し、外国人労働者を雇用するために工場(または斡旋業者)が手数料を課す慣行を停止することへの合意をサプライヤーから取り付けました。

3つ目はパタゴニアの契約工場の火災予防管理能力の向上を奨励する取り組みとして、13年にFLAの火災予防イニシアチブに参加して資金を提供しました。私たちは現在パタゴニアの契約工場全てに適用するためにこのプログラムを拡大しています。

目標は私たちのビジネスに関わる人々の人生に肯定的な恩恵をもたらすこと

WWD:パタゴニアが目指すことを教えてください。

篠:衣類産業の多くが社会的水準の視点に欠けていて、主に女性の労働者が差別にさらされながら、危険な労働環境の中、低賃金の長時間労働を強いられています。ファストファッションの絶え間ない要求は常にこの問題を悪化させています。しかし、これが一律というわけではありません。パタゴニアは長年、私たちのビジネスがサプライチェーンにおける労働者とそのコミュニティーに及ぼす影響を分析し、管理するための強固な社会的責任プログラムを構築してきました。私たちの目標は環境への悪影響を最小限にするだけではなく、私たちのビジネスに関わる人々の人生に肯定的な恩恵をもたらすことです。

答えてくれた人:篠健司(しの・けんじ)/環境社会部ブランド・レスポンシビリティ・マネージャー:東京生まれ。1988年、パタゴニア日本支社設立直後に入社。広報、店舗運営を経て99年に退職。2001年に再入社し、物流部門、環境担当を経て現在はサステナビリティ業務を担当。好きなアウトドアアクティビティは、美しい自然の中を走るトレイルランニング。日常的に可能な限りの脱プラに取り組む。10年以上、ペットボトル飲料は購入していない

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教えて!パタゴニアさん 連載第3回 トレーサビリティーが大切な理由

 サステナビリティ先進企業のパタゴニアの担当者にその取り組みを聞く連載第3回。今、全産業的に重視されているのが企業活動における“透明性”ですが、ファッション産業では特に、商品をトレーサブル(追跡可能)にすることが重視されています。とても複雑なサプライチェーンを、労働環境や環境への負荷を把握して透明化するのは至難の業。パタゴニアはこの難しいテーマにどう取り組んでいるのでしょうか。篠健司・環境社会部ブランド・レスポンシビリティ・マネージャーに聞きます。

WWD:なぜ衣料品はトレーサブル(追跡可能)であるべきなのでしょうか。

篠健司・環境社会部ブランド・レスポンシビリティ・マネージャー(以下、篠):トレーサビリティーは、複雑なサプライチェーンによって生産される製品に、当社が使用している環境的、社会的な責任を追及した素材・慣行が、実際に用いられていることを証明する最善の方法と言えます。

WWD:改めてサプライチェーンを整理すると。

篠:衣料品のサプライチェーンは、糸の原料となる作物の栽培や毛をとる動物の飼育から、生地を縫製して衣類を製造し、完成した製品を倉庫や店舗、そしてお客さまの玄関先に配送するまでの全ての行程を包括する言葉です。繊維の産地から製品の完成に至るまで、サプライチェーンは多くの関係者によって成立しています。当社の場合も、多くの製造工場、繊維工場、紡績工場、加工工場、リサイクル工場、農場に依存していて、とても複雑です。

WWD:生産過程で環境に負荷が大きくかかっています。

篠:アパレル生産は、あらゆる段階で自然資源に依存していて気候変動に関与しています。例えば、石油を原料とするポリエステル、化石燃料で稼働する機械による織物、化学染料を使った染色や防水処理、工場と倉庫、店舗間の製品輸送、プラスチック製梱包資材を使ったお客さまへの配送などを通じて温室効果ガスを排出しています。

WWD:そうした中でどのように環境や人権に配慮したモノ作りをしていますか?

篠:こうした環境的・社会的影響を最小限に抑えるために、当社は製品の大部分に、オーガニックコットン、トレーサブルダウン、レスポンシブル・ウール・スタンダードを満たしているウール、天然ラバー、あるいはその他のリサイクル素材を含む、環境的に最も持続可能な、あるいは動物福祉に配慮した素材を開発・採用しています。またその公正な労働を推進するためにフェアトレードに取り組んでいます。

WWD:そうした取り組みを証明するためにトレーサビリティーが有効だということですね。

篠:はい。当社では厳格な第三者機関認証を得るためにサプライヤーと協力してきました。第三者認証を受けたトレーサビリティーは、製品に使用している素材が選択したものであることを保証するだけでなく、最終製品に至るまでの多数の工程において、別素材の混在や代替が行われていないことを保証します。

パタゴニアが取り組むトレーサビリティー

WWD:そんな中で、パタゴニアは透明性、トレーサビリティーにどのように取り組んでいるのでしょう?
篠:07年に透明性を最大限にするためにサプライチェーン情報を提供するサイト「フットプリント・クロニクル」をローンチし、ウェブサイトに全ての契約工場のリストを公開しています。現在、弊社のオンラインショップでは、弊社製品が製造された工場の名前と所在地を含む社会的・環境的属性を掲載しており、お客さまが購入前に確認することが可能です。

WWD:具体的なトレーサビリティーへの取り組みを教えてください。

篠:全ての最終製品工場(一次サプライチェーン)に対して社会的・環境的監査を行っています。

・全ての縫製工場とその下請工場(スクリーンプリント、洗浄、刺繍工場など)を含む一次サプライヤーについては、公正な労働慣行、安全な就労環境および環境への責任を促進・維持するために、「サプライヤー職場行動規範」を適用して米国のNGOである公正労働協会(Fair Labor Association)による監査など数々の適正評価を実施しています。

・全ての新しい工場との契約前に、厳密な水準を満たすことのできないサプライヤーを除外する効果的なプロセスとして「4段階スクリーニング・アプローチ」と呼ぶ評価システムを導入しています。

主要原材料サプライヤー(二次サプライチェーン)も監視し、それらの工場に対しても一次サプライヤーに適用しているものと同等の監査/是正工程を採用しています。

・原材料の原産地情報は、品質と環境および社会面での影響を管理するために必要であり、サプライヤーには、調達アンケートとサプライチェーン・マッピング全ての提出を要求しています。

・生地や飾り付け部品に関しては、プロフィールシート、サプライチェーン追跡シート、関連する全ての第三者機関の認定書を要求しています。

・社会的責任プログラムについても、全ての生地と飾り付け部品のサプライヤーが、雇用慣行、従業員の苦情対処方法、リサイクル方針、その他の社会的・環境的の取り組みなどの主要な社会的責任に関する指標について工場の監査をすることを義務づけています。

現在、農場レベルまでのサプライチェーン・マッピングを開始しています。

・パタゴニアが使用する環境に配慮した素材には、オーガニックコットン、トレーサブルダウン、テンセル・リヨセル、ヘンプ、バイオラバーなどの農場に由来する素材を含んでいます。

・適用可能な場合には、NSFトレーサブル・ダウン・スダンダード、GOTS(Global Organic Textile Standard)、オーガニック・コットン・スタンダード、フェアトレードなどの認証を活用しています。

WWD:全てをトレーサブルにするための課題は何ですか?

篠:2007年に「フットプリント・クロニクル」を開始したときの当社の目標は、「全ての製品のサプライチェーンの全段階を示すこと」でした。当社のサプライチェーンは深く、複雑で、変化し続けています。そのためサプライヤーと強固な関係の構築に努めており、多くのサプライヤーが「フットプリント・クロニクル」に掲載されることを喜んでいます。しかし、さまざまな懸念から非公開を希望するサプライヤーもいるのが現状であり、当社はそうした要望を尊重しているため、全てのサプライヤーの所在地を開示することはできておらず、完全な透明性には至っていません。また、当社は、あらゆる場所で何が起こっているのかを瞬時に知ることはできませんが、定期的にサプライヤーを監査し、重要な発見を共有しています。

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スロバキアの自然派コスメブランド「マイロ」上陸

 スロバキア発のスニーカーブランド「ノヴェスタ(NOVESTA)」を展開するクラインシュタインはこのほど、スロバキア発のスキンケアブランド「ミロ(MYLO)」の取扱いをスタートする。12月10日から日本版公式サイトを公開し、17日からは東京・南青山のギャラリースペース「シュタインボックス(STEINBOX)」で展示会を行う。

 「ミロ」は、バルボラ・ガジョヴァ(Barbora Gazova)が2013年にスタートしたスキンケアブランドで、石鹸やオイル美容液、保湿クリーム、マッサージオイルなどを展開している。生産者の人権に配慮した原料を使用。パッケージは99%は再利用可能なリサイクル素材を使用したボトルと再生紙で構成するなど、環境に配慮し、生産から消費まで不必要な廃棄物を減らしているという。創業者のバルボラ・ガジョヴァは「自ら作り、使用し続けていく中で、純粋な自然由来の原料から作られたエシカルな化粧品は、ドラッグストアで購入できる市販製品よりもずっと肌にいいということを体感している」とコメントしている。

 12月17〜20日に実施する展示会では「ミロ」のシグネチャーであるオイル美容液「フローラ」「スビエジョスチュ」、マッサージオイルの「ネズノスチュ」、シアバター配合のボディ用保湿クリーム「トロイルジャ」、フットケア用の保湿クリーム「ノヒボセー」を紹介する。

■Mylo Slovakia POP-UP
日程:12月17〜20日
場所:STEINBOX(シュタイン・ボックス)
住所:東京都港区南青山4-24-4 TK HOUSE B1F
時間:13:00〜18:00(要事前予約)

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スロバキアの自然派コスメブランド「マイロ」上陸

 スロバキア発のスニーカーブランド「ノヴェスタ(NOVESTA)」を展開するクラインシュタインはこのほど、スロバキア発のスキンケアブランド「ミロ(MYLO)」の取扱いをスタートする。12月10日から日本版公式サイトを公開し、17日からは東京・南青山のギャラリースペース「シュタインボックス(STEINBOX)」で展示会を行う。

 「ミロ」は、バルボラ・ガジョヴァ(Barbora Gazova)が2013年にスタートしたスキンケアブランドで、石鹸やオイル美容液、保湿クリーム、マッサージオイルなどを展開している。生産者の人権に配慮した原料を使用。パッケージは99%は再利用可能なリサイクル素材を使用したボトルと再生紙で構成するなど、環境に配慮し、生産から消費まで不必要な廃棄物を減らしているという。創業者のバルボラ・ガジョヴァは「自ら作り、使用し続けていく中で、純粋な自然由来の原料から作られたエシカルな化粧品は、ドラッグストアで購入できる市販製品よりもずっと肌にいいということを体感している」とコメントしている。

 12月17〜20日に実施する展示会では「ミロ」のシグネチャーであるオイル美容液「フローラ」「スビエジョスチュ」、マッサージオイルの「ネズノスチュ」、シアバター配合のボディ用保湿クリーム「トロイルジャ」、フットケア用の保湿クリーム「ノヒボセー」を紹介する。

■Mylo Slovakia POP-UP
日程:12月17〜20日
場所:STEINBOX(シュタイン・ボックス)
住所:東京都港区南青山4-24-4 TK HOUSE B1F
時間:13:00〜18:00(要事前予約)

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婚約指輪のトレンドに変化あり 日常に寄り添うデザインにフォーカス

 婚約指輪に対する価値観は、男性が購入してプロポーズするのが当然というものから大きく変わり、給料3カ月分の予算という概念も薄れてきている。今では意思決定の場に女性の意見が大きく反映されるようになり、異性愛カップルのみならずあらゆる恋愛の形や予算に合う選択肢が用意され、購入の際にはサステナビリティが優先されることもある。

 中でも、若手ジュエリーブランドはオンラインサービスや、サステナビリティを重視してラボグロウン(合成)ダイヤモンドの取り入れなどに注力している。キャンペーンの内容もロマンチックなものから、朝刊を読んだり、ランチを食べたりする女性の手元など婚約指輪のある日常生活にフォーカスしたものが増えている。

 D2C(Direct to Consumerの略。オンラインを通じた直接販売)ブランドでエシカルに調達された宝石のみを扱う「フェントン(FENTON & CO.)」は、ブランドのミッションを“次世代に受け継がれる宝物”を作ることと掲げている。同ブランドのローラ・ランバート(Laura Lambert)最高経営責任者(CEO)は、1960年代にダイヤモンド業界によって生み出された婚約指輪に3カ月分の給料を費やす風潮について、婚約時に経済的プレッシャーを与えているようなもので「祝うどころか、重荷になっている」と主張する。

 「私たちはそのような先入観に対して働きかけ、ブライダル業界内で幅広い文化的背景や性的指向を持つ人々やカップルと対話を重ねてきた。愛や誓いといったトピックはまだまだ異性愛の視点のみで語られることが多く、その他の多くの人を排除してしまっている。婚約の主役は、婚約指輪ではなく、婚約する2人であるべきだ。しかしジュエリー業界の中には顧客に対する尊敬の気持ちが欠けているところがあると思う。今ある婚約指輪に対する価値観の多くは、マーケティングの産物であるに過ぎない。婚約当事者の考え方や気持ちが尊重されるべきだ」と述べた。

 ベルギー発のジュエリーブランド「キマイ(KIMAI)」は、コロナ禍における婚約指輪の需要の増加に合わせて、初のエンゲージメントリングコレクションを発表した。同コレクションは6つのタイプからなり、伝統的なダイヤモンドが施されたものもあれば、アシンメトリーなデザインで普段使いができる指輪もそろえてある。同ブランドはカジュアルなイメージの婚約指輪の広告も出しており、ジェシカ・ワーフ(Jessica Warch)共同創設者は「現代を生きる女性を描きたかった。広告に登場する女性は働いていたり、ジーンズやスニーカーを履いている。ドレスを着てパーティーに行くこともない。日常のカジュアルなシーンにあえてフォーカスした」と語る。

 同じくシドニー・ノイハウス(Sidney Neuhaus)共同創設者は、「指輪を身につける女性に焦点を合わせたかったし、婚約指輪に男性の給料の3カ月分を費やすというルールを取り除きたかった。婚約指輪は経済力の賜物ではなく、2人の愛や婚約の瞬間を祝うものだと思う。エゴや経済力を見せびらかすためのものではない」と述べた。

 「キマイ」はD2Cモデルを採用し、ラボグロウンダイヤモンドを使用することで、消費者の手にとりやすい価格設定に挑んでいる。宝石の品質は伝統的なジュエラーが提供するものに劣らないという。ワーフ共同創設者は「ラボグロウンダイヤモンドと、採掘されたダイヤモンドはどちらも同じ方法で鑑定を受け、等級がつけられる。この鑑定書により顧客との信頼関係が築けている」という。

 一方で、消費者の間でもラボグロウンダイヤモンドに対する需要が高まっているという。「キマイ」はそのコミュニティーをさらに活性化させ、パーソナライズされたサービスを提供することを目指している。「古い方法や伝統にとらわれている顧客を教育するつもりはないが、オープンマインドな顧客を啓蒙し、ダイヤモンドの採掘が及ぼす悪影響について認識してほしい」と述べた。

 ラボグロウンダイヤモンドを扱うブランド「ラーク&ベリー(LARK & BERRY)」も、“紛争に関与していないと保証され、地球への負荷が少ないダイヤモンドを求める倫理的な消費者”の増加を感じているという。ローラ・チャベス(Laura Chaves)創設者によると、「こういった消費者は従来の婚約指輪にありがちなものではないデザイン性の高いものを試している。だからブランドは、ブライダルコレクションを発展させるために、デザイン性の高いリングを次々と提案している」という。

 「婚約指輪がダイヤモンドでなければいけないというルールなんてものはない。私たちが今実感しているトレンドの1つは、アシンメトリーなデザインのクラスター(中央の石を中心に周りを一回り小さい石で囲む花のようなデザインの)リング。価格を抑えながらも、華やかさを演出することができる。従来のソリテール(一粒石の)デザインから大きく変わりつつある。オーダーメードの顧客には、指輪に隠された小さなディテールも人気だ」と語った。

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カラーコスメOEM国内シェアNO.1のトキワ サステナに取り組むスタートアップ企業を支援

 大手ビューティブランドのカラーコスメ受託製造を中核として事業展開を行うトキワは、スタートアップ企業やビューティに関わる幅広い分野の人を対象にした開発⽀援プログラム“アクセラレータープログラム”を実施。11月27日に最終審査を行い、支援していく3プロジェクトを決定した。

 トキワはカラーコスメのOEM市場で、国内シェア25%以上を占めているリーディングカンパニーだ。“アクセラレータープログラム”は、7月15日~9月14日の期間で、事業開始準備期から事業開始直後のビューティーケア関連事業のアイデアを募集。D2Cを含むビューティケアメーカーはもちろん、サービス事業者や流通業まで幅広い企業を対象としている。

 3回の審査を経て支援先として決定したプロジェクトには、トキワがパートナーとして協業し、⻑年培ってきたノウハウを元に研究開発から製造、販路開拓までを⼀気通貫でサポートする。具体的には、処⽅・容器開発・製造のノウハウのみならず、安全性や品質確認や薬事関連法への対処についてもサポート。最⼤3組までは、原材料・容器・実⽣産コストの全てを無償でサポート(1万個を上限などの諸条件あり)することで1000万円以上のキャッシュフローを創出し、事業開始時のリスク軽減、資⾦調達時の信⽤改善に貢献する。

 応募テーマは“∞ infinity”。具体的には、“より人々を笑顔にできる幸せを提供できる製品・サービス”のほか、“よりヒトを輝かせることができる機能と、人体・環境への配慮を両立することができる製品開発のコンビネーション”“ダイバーシティ&インクルージョンを推進することができる製品・サービス”“次世代に誇れる社会貢献と持続的な商業活動を両立できる製品・サービス”など、サステナビリティに関することが大きなテーマとなっている。

 “アクセラレータープログラム”の意義について、金井博之トキワ副社長は以下のように話す。「昨年、戦略的業務資本提携を経て第2創業を迎えたトキワは、グローバルマーケットで持続的に成長する道を選択した。世界の競合に伍して行くためには、トキワのみでは成し得ない革新と驚きをお客さまに提供し、サステナブルな企業へと変わる必要がある。オープンイノベーションを通じて、新たなパートナーとの共創ができることを期待して実施した。また、このプロジェクトの対象となるスタートアップ企業にとって、カラーコスメの商品販売はとても難しい分野。特にスキンケアとは異なり、世界各国の多様なお客さまのニーズに合わせた商品を提供するためには多色化対応力を確保する必要があり、開発から製造、物流にかかる費用負担も多くなる。そうしたカラーコスメでも、同分野に強みを持つトキワがパートナーとして協業することで、事業開始時のリスク軽減などに貢献できると考えている」。

 審査員は西村豊・元リシュモンジャパン社長、渡辺雄介カーライル・ジャパン・エルエルシーマネージング ディレクター、矢野貴久子アイスタイル「BeautyTech.jp」編集長、渡部賢ノインCEO、今田素子インフォバーングループ本社CEO、酒井里奈ファーメンステーション代表、金井博之トキワ副社長など著名なビジネスパーソンが担当。11月27日に行われた最終審査の結果、3つのプロジェクトが選ばれた。

ホローマイクロニードルを用いたビジネスプランなどが採択

 1つ目は、シンクランドの宮地邦男氏たちのプロジェクト。世界初のホローマイクロニードル(中空部分から薬剤の注入が可能なマイクロニードル)技術を用いたヘアケア・スキンケア製品の開発で、プラスチック由来ではない針を使用したマイクロニードルを使用することで、 クリーンビューティの要件を満たしている。

 2つ目は、インフォバーンの中村圭氏たちのプロジェクト。グリーンパッケージを使用し、中身を詰め替え式にすることでコスメロスを減らす化粧品ビジネスのアイデアだ。

 3つ目は特別サポートプログラムでの採択で、ユーブロームの柴田未央氏たちのプロジェクト。皮膚常在菌に着目したスキンケア商品の提供サービスで、皮膚常在菌の検査によって自分に合う化粧品を見つけることで、合わない化粧品の使用をやめ、コスメロスを減らすというビジネス案が選ばれた。

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“Toxic Positivity(有害なポジティブさ)”とは? 常に前向きじゃなくていい、ファッションも人に寄り添うものに

 “トキシック・ポジティビティ(Toxic Positivity)”という言葉を知っているだろうか。コロナ禍で先が見えない状況を反映して6月ごろから英語メディアを中心に見かけることが多くなった。日本語にすれば“有害なポジティブさ”で、米フロリダ州フォート・ローダーデール拠点のセラピストグループ、ザ・サイコロジー・グループ(THE PSYCHOLOGY GROUP)は「どんな状況下においても幸せで楽観的な状態でいることを過度かつ無益に一般化しすぎること。その結果純粋な感情を否定、矮小化、無効化すること」と定義している。

 同グループは同時に、怒りや悲しみなどネガティブな感情を抑圧し、言葉にしたり表情に出さないことで後に不安やうつ、身体的不調につながる可能性があることを警告している。例えば、落ち込んでいる時に無理やりポジティブに振る舞ったり、元気でないことに罪悪感を覚えてまた落ち込んだりと、元気な状態がデフォルトでなければならないと過度に断定してしまうと逆効果を生むというのである。

 また落ち込んでいる人に対して「元気出して!なんとかなるよ」「そのくらいで済んでよかった」「良いこともあるよ」などと励ますことも純粋な感情から目を逸らせるもので“トキシック・ポジティビティ”になり得るという。ザ・サイコロジー・グループはそのような言葉ではなく落ち込んでいる人を受け入れ、共感し、話を聞くことが大切だと説く。

 なぜ突然この言葉を紹介したかといえば、まず今年は常に元気でいること、そして常に大丈夫な状態であることがいかに難しいかを各々味わった年であるからだ。ファッション業界でいえば、国内の大手アパレル5社だけで3100店舗以上を閉店する見込みだ。そして閉店には人員解雇が伴う。そのような状況で、常に前向きで元気でいることははっきり言って無理だ。

 しかしながら、現実世界では“前向きであること・元気であること”が当然で推奨されるべきこととして扱われる。「頑張って」は元気がない人にとりあえずかける常套句であるし、自粛期間中には外に出られない分、新たなスキルを身につけたり、苦しい状況でも笑顔をたやさず頑張ることがもてはやされた。もちろんポジティブでいられるときにポジティブでいることは悪いことではない。ただ、ポジティブでいられないときの感情も認め、一般化する必要がある。ネガティブな日があるのは当然なこと。自分自身、また他の人に対しても無益にプレッシャーを与えていないか今一度確かめるべきだ。

ファッションができるアプローチとは

 ファッションといえば、人に元気を与えるものと認識されてきた。実際に新しい服やメイクに身を包むことで得られる高揚感は多くの人が経験したことがあるだろう。ただ、元気を与えるアプローチは独りよがりな“元気の押し売り”ではなく人の感情に寄り添い、安らぎや癒しをを与えるアプローチのほうが今は適切かもしれない。コロナ禍により予定より数カ月遅れてオープンしたミヤシタパーク近くのビルボード広告にソフ(SOPH.)が掲げた「まいったな2020」のコピーは多くの反響を呼んだが、これも共感を得たからだろう。

 「ファッションは時代を反映する」とはよく言われたものだが21年春夏シーズンは、華やかさや派手さで元気を与えるというものよりも、圧倒的に安らぎムードが席巻していた。ベージュや白など優しい色使い、ゆったりとしたシルエットや着心地の良い素材が多く登場し、「WWDジャパン」の21年春夏のトレンドブックの副題も“家でも外でも心地よさをまとう”になっている。時代の空気に敏感なデザイナーたちが提案したのは、ネガティブな日も人を優しく包み、無理なく寄り添うファッションだ。

 社会の規範に則れば人々にポジティブでいることを呼びかけるのは企業として当然のようなことのように思われる。もちろんブランドや企業によってはそうしたアプローチを求める顧客もいるかもしれない。しかし今は、いやこれからも、自分たちの顧客は何を求めているのか常に追求し、それに寄り添うアプローチをすべきだ。またファッション業界がもし自らに「常にポジティブなメッセージを発信しなければいけない、そのためには自らも常にポジティブでなければならない」という考えを課しているなら、その考えから自らを解放する必要がある。

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「モンクレール」がダウ・ジョーンズのサステナブル企業ランキングで首位

 モンクレール(MONCLER)が、ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(Dow Jones Sustainability Index以下、DJSI)のテキスタイル・アパレル・ラグジュアリーグッズ部門で「DJSI ワールド(DJSI WORLD)」と「DJSI ヨーロッパ(DJSI EUROPE)」のトップに輝いた。DJSIはサステナビリティ推進企業を、経済と環境、社会的責任からなる基準でランク付けする。調査は信用格付けプロバイダーであるS&Pグローバル(S&P GLOBAL)が行っている。

 モンクレールのレモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「われわれの会社の発展において、サステナビリティが戦略的資産であるということを証明している。ステークホルダーへの決意の表明であり、子ども達や未来への道徳的義務である。モンクレールでは人々や環境を反映して敬意を示し、守ることのできるビジネスモデルを構築するために日々取り組んでいる。次世代に確かなビジョンや新しいインスピレーション、希望を残していきたい」とコメントした。

 同社は10月、2025年までにサステナビリティへの取り組み強化計画として、気候変動対策、持続可能な循環型経済、公正な資源調達、多様性の強化、そして地域社会への還元という5つの戦略的要素を主軸とする「ボーン トゥ プロテクト サステナビリティ プラン(Born to Protect Sustainability Plan)」を発表した。また、「ナーチャー ジーニアス(Nurture Genius)」プロジェクトの一環として、21年1月までにダイバーシティー&インクルージョン協議会を発足し、社内外文化の改革にも取り組んでいる。

 これまでも製品パッケージの90%にサステナブルな素材を使用し、17〜19年には二酸化炭素排出量を30%削減してきた。同プランでは新たに21年までにカーボンニュートラルを世界的に実現し、23年までに100%再生可能なエネルギーを世界規模で採用するなどの目標を設定した。

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「サステナビリティは“エリート”じゃなくて良い」 デトロイトで活動する黒人女性デザイナーの取り組み

 アメリカ・デトロイトを拠点とするデザイナーのトレイシー・リース(Tracy Reese)は、自身のブランド「ホープ オブ フラワー(Hope of Flower)」の最新コレクションを通してサステナビリティに取り組んでいる。同コレクションは“イントゥー フォール(Into Fall)”と題し、秋の雰囲気を表現したスカートやドレスを中心に10アイテムをそろえた。アイテムの素材には、環境負担が少ないとされるリヨセル・テンセルや、オーガニックコットンとリネンを使用する。

 トレイシー・リースは自身の名を冠したブランドを1998年に設立。当時まだ大きな動きでなかった包括性や多様性を表現し、プリントデザインが特徴のエレガントなスタイルで人気を獲得した。18年からはコレクション活動を休止しているが、19年にサステナビリティーを中心に据えたブランド「ホープ オブ フラワー」を始動。サステナブルな素材の使用やエシカルな生産、手作りであることに重きをおいている。

 「新しいコレクションを制作する時に大切なことはこれまでのやり方に戻らないことだ」とリースは語る。「私たちの業界はあまりに未来や結果にフォーカスしすぎている。その道中に目を向けられていない。責任を持ってよりサステナブルなアイテムを作ることは、一日でできるものではない。今までやっていたことを全て学び直さなければいけない。サステナビリティはエリート志向で、みんなが行いやすいものではないと感じることが多い。それらを解体してもっとシンプルなものをそろえたい」。

 「ホープ オブ フラワー」は主に中国で生産しているが、3月からは地元コミュニティーとのパートナーシップ確保に取り組んでいる。デトロイト産を推進する背景には同地域の黒人の経済状況が大きく関係している。「デトロイトの街の振興プロジェクトが実施される中、同地域に住む黒人が公平に扱われていないということを実感した。デトロイトを新しい視点で見るようになり、取り組みの中で資金提供が最も必要とされる場所に行き届かないことに気がついた」という。

 また、「こういった取り組みに気がつくのは白人で教養のある人ということが多い。その人たちは助成金申請をして、何枚もの応募書類を作成することができるが、黒人コミュニティーはこれらの機会が存在することに気がつくのに時間がかかる。素晴らしい裁縫師で工芸家であった私の母や彼女の友人は、その才能を生かして経済的自立ができるということに気がついていなかったと思う」と語った。

 リースは地元支援のため、職人と材料をつないでクラフトマンシップを守り、経済的自立を促進するメーカーズ・ユナイテッド(Makers United)の非営利団体のネスト(NEST)と協業する。同団体はほかにも職場の多様性と包括性の向上を促進しながら事業拡大を支援する取り組みを行う。

 ネストを2006年に立ち上げたレベッカ・ファン・ベルヘン(Rebecca van Bergen)=エグゼクティブ・ディレクターは、「デトロイトは圧倒的に黒人が多く、移民人口も多い。そしてそれぞれのコミュニティーがそれぞれのクラフトやアート、芸術による社会活動などを次代へと引き継いでいる。しかし原材料がメーカーの手に正しく届かないことが多々ある。特に有色人種や移民の間でのやりとりでは」と言う。

 リースは取り組みを通して「有色人種の人々が実際に恩恵を受ける支援の一部になりたい。それがデトロイトでのネストの使命だ。私たちは同じ認識を共有しており、同じ対象にリーチしたいと考えている。黒人をはじめとする有色人種や先住民の声に焦点を当て、移民を支援したい」と語った。

 「ホープ オブ フラワー」はほかにも6月に立ち上げた公式ウェブサイトを通じて、若者たちへのアートの授業を無料で提供したり、大人向けワークショップを開催する。また今年中にアメリカのインテリアブランド「ポッタリーバーン(POTTERY BARN))とのコラボ予定もあるが、詳細は未定だ。

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「パトゥ」CEOが語るトレーサビリティーへの取り組み 「ブランドビジネスで重要なのは生産背景の共有」

 2020年春夏シーズンにギョーム・アンリ(Guillaume Henry)=アーティスティック・ディレクターによって復活を遂げた「パトゥ(PATOU)」は、サステビリティに力を入れている。コレクション全体の10%は、“エッセンシャル”と呼ぶ定番アイテムで構成。シーズンを超えて使用できるアイテムとして提案している。またショッピングバッグや商品タグ、店内設備も環境に配慮し、リサイクル材料もしくはリサイクル可能な材料を100%使用している。さらに、トレーサビリティーに特化した製品追跡アプリを独自に開発。商品タグのQRコードを読み取ると、衣服や原材料の詳細だけでなく、サプライヤーのショートインタビューを再生することもできる。

 本アプリについてソフィー・ブロカール(Sophie Brocart)=「パトゥ」最高経営責任者(以下、ブロカールCEO)は、「トレーサビリティーの認証システムは大事だが、それ以上にブランドの透明性と生産情報の共有に重きを置いている。特に注力しているのが生産背景の可視化だ。私たちは早い段階から職人による手仕事やクリエーションプロセスの公開と説明、デザイナー以外のクリエーションに関わる全ての人々への敬意など、生産背景を消費者に共有することはブランドビジネスにとって重要だと考えてきた」と語る。近年加速するデジタル化や新型コロナウイルスのパンデミックも重なり、ブランドとしてその意識はさらに強まっているという。

 また透明性を高めるために、サプライヤーの選定にも慎重だ。「サプライヤーの選択は、LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON、以下LVMH)グループの他のメゾン同様、品質や技術的専門知識、サプライヤーの経験に基づいて慎重に判断している。長期にわたり建設的で信頼できる関係を築けるサプライヤーが理想」とブロカールCEO。特に原材料においては、ラグジュアリーブランドが求める品質を提供できるサプライヤーは限られていて、「そのほとんどがごく一部のイタリアの機織り職人だ」と説明する。

 サプライヤーの条件については、「パトゥ」とLVMHグループ双方の条件を満たす必要があるという。「独立機関の専門的な見解を得ながら、各サプライヤーを労働環境や条件に加えて環境活動も含めて監査している。サプライヤーは、われわれと契約を結ぶ際、LVMHグループが掲げる厳格な倫理およびコンプライアンス行動規範にも署名する必要がある」と語る。「もちろん監査を行ってもリスクはあるので完璧とは言えない。だが、トレーサビリティーを推進する上でこれらはブランドが優先すべき事項。強い関心を持ちながら可能な限り取り組んでいる」と、積極的な姿勢を示した。

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「パトゥ」CEOが語るトレーサビリティーへの取り組み 「ブランドビジネスで重要なのは生産背景の共有」

 2020年春夏シーズンにギョーム・アンリ(Guillaume Henry)=アーティスティック・ディレクターによって復活を遂げた「パトゥ(PATOU)」は、サステビリティに力を入れている。コレクション全体の10%は、“エッセンシャル”と呼ぶ定番アイテムで構成。シーズンを超えて使用できるアイテムとして提案している。またショッピングバッグや商品タグ、店内設備も環境に配慮し、リサイクル材料もしくはリサイクル可能な材料を100%使用している。さらに、トレーサビリティーに特化した製品追跡アプリを独自に開発。商品タグのQRコードを読み取ると、衣服や原材料の詳細だけでなく、サプライヤーのショートインタビューを再生することもできる。

 本アプリについてソフィー・ブロカール(Sophie Brocart)=「パトゥ」最高経営責任者(以下、ブロカールCEO)は、「トレーサビリティーの認証システムは大事だが、それ以上にブランドの透明性と生産情報の共有に重きを置いている。特に注力しているのが生産背景の可視化だ。私たちは早い段階から職人による手仕事やクリエーションプロセスの公開と説明、デザイナー以外のクリエーションに関わる全ての人々への敬意など、生産背景を消費者に共有することはブランドビジネスにとって重要だと考えてきた」と語る。近年加速するデジタル化や新型コロナウイルスのパンデミックも重なり、ブランドとしてその意識はさらに強まっているという。

 また透明性を高めるために、サプライヤーの選定にも慎重だ。「サプライヤーの選択は、LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON、以下LVMH)グループの他のメゾン同様、品質や技術的専門知識、サプライヤーの経験に基づいて慎重に判断している。長期にわたり建設的で信頼できる関係を築けるサプライヤーが理想」とブロカールCEO。特に原材料においては、ラグジュアリーブランドが求める品質を提供できるサプライヤーは限られていて、「そのほとんどがごく一部のイタリアの機織り職人だ」と説明する。

 サプライヤーの条件については、「パトゥ」とLVMHグループ双方の条件を満たす必要があるという。「独立機関の専門的な見解を得ながら、各サプライヤーを労働環境や条件に加えて環境活動も含めて監査している。サプライヤーは、われわれと契約を結ぶ際、LVMHグループが掲げる厳格な倫理およびコンプライアンス行動規範にも署名する必要がある」と語る。「もちろん監査を行ってもリスクはあるので完璧とは言えない。だが、トレーサビリティーを推進する上でこれらはブランドが優先すべき事項。強い関心を持ちながら可能な限り取り組んでいる」と、積極的な姿勢を示した。

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YKKが2050年までに「気候中立」 サステナビリティの新ビジョン発表

 YKKは2050年までに「気候中立(climate neutral、実質排出ゼロ)」を達成するための「YKKサステナビリティビジョン2050」を策定した。同ビジョンは、19年に策定した「YKKグループ環境ビジョン2050」と10項目のSDGs(国連サミットによって採択された持続可能な開発目標)の達成に向けて5つのテーマで構成した。

 1つ目のテーマは「気候変動」。世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べ、1.5℃に抑える努力を追求するパリ協定の目的を支持し、ファスニング事業における温室効果ガスの削減に取り組む。

そのための取り組みは下記のとおり。
・18年と比べてScope1(自社の直接排出量)とScope 2( 電力など自社で消費したエネルギー起源の間接排出量)で50%削減、Scope3(サプライチェーン等その他の間接排出量)で30%削減を目指す。
・50年までに温室効果ガス排出ゼロ(カーボンニュートラル)を目指す。
・製造方法と設備の改良、オペレーションと各工程の効率化を追求し、エネルギー使用量を削減する
・19年以降石炭使用設備の新設を廃止する。30年までに全ての石炭使用設備を廃止する
・ファスニング事業拠点に再生可能エネルギー発電施設を可能な限り設置する
・Scope2の排出削減のために、可能な限り外部から再生可能エネルギーを購入する

 2つ目は「資源」。持続可能な資源の採用を増やす。ファスニング事業で製造される商品や使用される梱包材の材料の環境負荷を低減し、持続可能な素材へと移行することで商品のライフサイクルを通じて発生する廃棄物を削減、石油由来材料の使用を削減、および循環型社会の実現への貢献を目指す。

そのための取り組みは下記のとおり。
・30年までにファスニング商品の繊維材料を100%持続可能素材(リサイクル材、自然由来材料等)に変更する
・30年までに、ファスニング事業で使用する全てのビニール・プラスチック製梱包材を持続可能な素材や回収・再利用など持続可能な形態に変更する
・全ての製造拠点において埋め立て、あるいは焼却される廃棄物の排出量を削減する
・30年までに廃棄物の再資源化率を90%まで向上する

 3つ目は「水」。水の利用量の削減と排水管理を強化する。深刻な水資源の枯渇・劣化問題に対して、ファスニング事業において取水量の削減や排水の環境負荷低減等に取り組む。

そのための取り組みは下記のとおり。
・水資源問題が懸念される地域の製造拠点で、水使用の効率化・再利用などの取り組み強化し取水量を削減する
・政府の規制および、ZDHC(有害化学物質排出ゼロ)のような業界基準を基に制定した自社基準に従い、全ての製造拠点において排水管理を徹底する

 4つ目は「化学物質」。将来世代に豊かな生活を残すため、ファスニング事業に関わる化学物質による環境への影響・負荷を最小限にとどめる。

そのための取り組みは下記のとおり。
・ZDHCの製造時制限物質リスト(MRSL)などの業界基準を基に制定した自社基準に従い、商品製造における入口から出口までの化学物質使用を管理し、化学物質の使用削減をさらに進める
・安全な繊維製品の証明「スタンダード100(Standard 100 by OEKO-TEX)」のような業界基準を順守し、商品における規制物質の使用を廃止する
・有害化学物質を削減し排除するような新しい製造方法を開発する

 5つ目は「人権」。人権の尊重と公正で安全な労働環境の維持に努める。全ての人間の尊厳と権利を尊重するという世界共通の理念を重要視し、多様で持続可能な社会に貢献する。
そのための取り組みは下記のとおり。
・多様性を認めた包括的な人権の尊重と労働環境の整備の徹底により、一人ひとりが個性を活かして働ける安心安全な職場環境をサプライチェーン全体で形成し、健康で幸せに満ちた生活を支援する
・YKKの精神“善の巡環”とISO26000(企業における社会的責任に関する国際規約)に基づいたYGCC (YKK Global Criteria of Compliance)監査を全YKKグループの製造拠点を中心に実施し、第三者機関による定期的な監査も実施することで、透明性を維持しつつ持続可能な活動への更なる改善を行う

 大谷裕明社長は「当社は本業を通じた持続可能な社会の構築を常に追求し続けている。こうした企業活動全ての根幹にあるのが創業者の吉田忠雄による企業精神“善の巡環”だ。『他人の利益を図らずして自らの繁栄はない』という思想は社会や関連業界と共に栄え続けようとするYKKグループの企業精神を鮮明に表しており、サステナビリティに通ずる考え方であると捉えている。当社は“善の巡環”のもと、事業・商品を通じてサステナビリティの本質に向き合い、ソーシャルグッドな企業であり続けるためにチャレンジを続ける」とコメントを発表した。

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