「シスター」 が 「フィフティーズ・プロジェクト」と共に国際女性デーに合わせた展示開催 メインビジュアルはシシヤマザキ

セレクトブティック「シスター(Sister)」は、国際女性デーに合わせ、3月7日から9日まで、政治分野でのジェンダーギャップ解消を目指して活動する「フィフティーズ・プロジェクト(FIFTYS PROJECT)」と共に、展覧会「FIFTYS PROJECT ジェンダー平等とわたしたち」を、渋谷パルコ 1階のポップアップスペース「GATE」で開催する。

会場では、展示を通して「フィフティーズ・プロジェクト」の活動を紹介するとともに、ジェンダーと政治にまつわるこれまでとこれからの歩みを概観する。メインビジュアルに採用したのは、NHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」のタイトルバックを手がけた、アーティストのシシヤマザキによるイラスト。同様のビジュアルをあしらったTシャツやフーディーなどの展覧会関連グッズのほか、三重県・尾鷲市に拠点を構える書店「トンガ坂文庫」が本展のために選書した書籍も販売する。なお、本展の売り上げの一部は、ジャンダー関連図書の購入にあて、自治体に寄贈する。

⚫︎国際女性デー2025 「FIFTYS PROJECT ジェンダー平等とわたしたち」
日程:2025年3月7日〜9日
時間:11:00〜21:00
場所:渋谷パルコ 1階 ポップアップスペース「GATE」
住所:東京都渋谷区宇田川町15-1

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「シスター」 が 「フィフティーズ・プロジェクト」と共に国際女性デーに合わせた展示開催 メインビジュアルはシシヤマザキ

セレクトブティック「シスター(Sister)」は、国際女性デーに合わせ、3月7日から9日まで、政治分野でのジェンダーギャップ解消を目指して活動する「フィフティーズ・プロジェクト(FIFTYS PROJECT)」と共に、展覧会「FIFTYS PROJECT ジェンダー平等とわたしたち」を、渋谷パルコ 1階のポップアップスペース「GATE」で開催する。

会場では、展示を通して「フィフティーズ・プロジェクト」の活動を紹介するとともに、ジェンダーと政治にまつわるこれまでとこれからの歩みを概観する。メインビジュアルに採用したのは、NHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」のタイトルバックを手がけた、アーティストのシシヤマザキによるイラスト。同様のビジュアルをあしらったTシャツやフーディーなどの展覧会関連グッズのほか、三重県・尾鷲市に拠点を構える書店「トンガ坂文庫」が本展のために選書した書籍も販売する。なお、本展の売り上げの一部は、ジャンダー関連図書の購入にあて、自治体に寄贈する。

⚫︎国際女性デー2025 「FIFTYS PROJECT ジェンダー平等とわたしたち」
日程:2025年3月7日〜9日
時間:11:00〜21:00
場所:渋谷パルコ 1階 ポップアップスペース「GATE」
住所:東京都渋谷区宇田川町15-1

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ファストリが東大とバングラデシュの女子大の教育交流支援 恒例インターンには5000人が応募

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は8月1日、「東京大学×アジア女子大学(以下、AUW) 教育交流プログラム」のセッションに登壇した。両大学の学生や矢口祐人 東京大学副学長らを前に、「自分の国以外で学ぶことは新しい発見の連続。そのように好奇心を持って一生学び続けること。夢は計画と準備によって実現できる。しかし、計画と準備をしただけではダメで、その上で即断・即決・即実行していくこと」などと話した。

ファーストリテイリンググループは2013年から、バングラデシュ・チッタゴンにあるAUWの学生のべ500人に奨学金を給付してきた。キャンパス新設に対して5億円の寄付も行っている。「われわれの生産地はアジアに多いが、現地は教育機会が行き届いていないことが多い。さまざまな国に進出してビジネスをしているが、その国で感謝されるような企業にならなければいけない。学びたいと思っている人の一助になれれば」と柳井会長。

08年に開学したAUWは、バングラデシュのほか、アフガニスタンやシリアなどの紛争国や難民出身の女子学生などを受け入れ、卒業生の約3割が欧米の有力大学院に進学している。ほか、政府系や国際機関やグローバル企業などにも就職していくという。AUWのそうした実績や多様性に東京大学も注目し、AUWとの教育交流プログラムを22年から実施し、ファーストリテイリンググループが支援している。両大学は昨年交換協定も結び、25年から交換留学も開始。東京大学にとって、南アジアの大学、女子大との交換協定の締結は初という。「東大ではこれまで学ぶことに苦労してきたという学生は少ないが、一方でAUWの学生は真逆の環境から来ている。一緒に学ぶことでお互いが変わる。若いうちから友達として異なる文化や環境で育った相手と関係を築いていくことが大切だと思っている」と、東京大学の矢口副学長。

今夏の教育交流プログラムは7月29〜8月8日に、東京大学で実施。ジェンダー平等や貧困、災害、紛争などについて議論を進めている。東大とAUWの学生各12人が参加し、加えてファーストリテイリング財団が支援する日本の大学で学ぶベトナム人留学生4人、柳井正財団の奨学生7人の計35人が参加している。

AUW支援財団理事メンバーでもあるキャシー松井ファーストリテイリング社外取締役も、セッションに来場。「アジアは成長性が大きく、日本の未来はアジアにある。アジアと日本の架け橋となる取り組みに投資することは、企業にとっても慈善事業ではない。女性への投資は家族や周囲にも波及し、非常にリターンが大きい。ファーストリテイリングだけでなく、他の企業もこうした取り組みに是非目を向けてほしい」などと語った。

夏休みに合わせ、ファーストリテイリングは世界19の国・地域から学生らが集まる6日間のインターンシッププログラム“グローバルマネジメントプログラム”も実施している。今年で6回目の開催で、5000以上の応募から選考された45人が参加している。

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東京エディション銀座と虎ノ門がプライド月間をドラァグクイーンと共に祝福

東京エディション銀座と東京エディション虎ノ門は、それぞれ6月のプライド月間を祝福するイベントを開催する。また、本イベントの売り上げの一部は、認定NPO法人リビット(REBIT)へ寄付する。

東京エディション銀座は、6月8日、14階の「ソフィー アット エディション(SOPHIE AT EDITION)」で東京のアイコニックなドラァグクイーン達を招いた“クイーンズ ブランチ(QUEEN’S BRUNCH)”を行う。ドリアン・ロロブリジーダによるライブパフォーマンスと、マドモアゼル・ユリアによるDJ、さらに豪華な賞品が当たる抽選会を行う予定だ。

■“クイーンズ ブランチ” 東京エディション銀座
開催日:6月8日
時間:12:00〜15:00
場所:東京エディション銀座 14階「ソフィー アット エディション」
住所:東京都中央区銀座 2-8-13
価格:7800円
乾杯ルイナール付き 1万円
ウェルカムカクテル付き 9800円
予約:「ソフィー アット エディション」オフィシャルサイト、03-6228-7400またはdiningreservation.ginza@editionhotels.com

東京エディション虎ノ門は、6月13日、31階の「ロビー バー(LOBBY BAR)」と1階の「ゴールド バー アット エディション(GOLD BAR AT EDITION)」で“ユニーク(UNIQUE)”と称したナイトパーティーを行う。「ロビー バー」では、DJが盛り上げる空間でドラァグクイーン・ヴィヴィアン佐藤によるオーラ似顔絵を、「ゴールド バー アット エディション」では、シン(SHIN)による恋占い、歌代ニーナのライブパフォーマンス、ペリ(PELI)とウノ フミ(UNO FUMI)のDJを楽しめる。

■“ユニーク” 東京エディション虎ノ門
開催日:6月13日
時間:19:00〜23:30
場所:東京エディション虎ノ門 31階「ロビー バー」1階「ゴールド バー アット エディション」
住所:東京都港区虎ノ門 4-1-1
予約:「ロビー バー」オフィシャルサイト/「ゴールド バー アット エディション」オフィシャルサイト、03-5422-1630 またはdiningreservations.tokyo@editionhotels.com

また、6月8〜30日の期間、東京エディション銀座14階の「ソフィー アット エディション」で“プライド カクテル オーバー ザ レインボー”(2500円、ノンアルは2200円)が、東京エディション虎ノ門31階の「ロビー バー」で“プライド カクテル サマー ルージュ”(2400円)が限定登場する。

さらに、プライド月間に合わせて両ホテルで、スイート ルームに宿泊のゲストにはレインボーカラーに彩られた“プライド ルームアメニティ レインボー クッキー”が提供される。期間は6月7~13日、24~30日。

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へラルボニーが日本初の快挙 「LVMHイノベーションアワード」で部門賞を獲得

ヘラルボニーが5月23日、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)主催の「LVMHイノベーションアワード 2024 (LVMH INNOVATION AWARD 2024)」を受賞した。同社が選出されたのは「従業員体験とダイバーシティ&インクルージョン(Employee Experience, Diversity & Inclusion)」部門で、日本企業の受賞は初めて。同アワードは今年は第8回となり、過去最多となる89カ国、1545社から応募があった。

受賞企業は、LVMHのイノベーション・インキュベーターであるメゾン・ド・スタートアップ(THE MAISON DE STARTUPS)の企業支援プログラムに参加し、同社および傘下75メゾンと連携しながら、個別メンター制度を受けることができる。

へラルボニーは2018年7月に岩手県でスタート。知的障がいのあるアーティストや福祉施設とのライセンス契約を結び、作品を商品化するブランド事業やライセンス事業を行っている。LVMHによると、アワードの受賞理由は「同社は企画から制作に至るまで、障害のあるアーティストと企業との質の高い協業を保証する。アーティストにビジネスチャンスが生まれるだけでなく、企業もDEI(ダイバーシティー・エクイティ&インクルージョン)を促進できる」という。

「LVMH イノベーションアワード」は、世界の有望なスタートアップ企業をたたえ、その成長を支援するプログラムとして2017年に設立した。応募対象は、評価額1億ドル未満、従業員数50人未満で過去5年間以内に創設された企業だ。グランプリに加え、へラルボニーが受賞した「従業員体験とダイバーシティ&インクルージョン」部門のほか、「オムニチャネル&リテール」「サステナビリティ&グリーンテック」などの6部門からなる。

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へラルボニーが日本初の快挙 「LVMHイノベーションアワード」で部門賞を獲得

ヘラルボニーが5月23日、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)主催の「LVMHイノベーションアワード 2024 (LVMH INNOVATION AWARD 2024)」を受賞した。同社が選出されたのは「従業員体験とダイバーシティ&インクルージョン(Employee Experience, Diversity & Inclusion)」部門で、日本企業の受賞は初めて。同アワードは今年は第8回となり、過去最多となる89カ国、1545社から応募があった。

受賞企業は、LVMHのイノベーション・インキュベーターであるメゾン・ド・スタートアップ(THE MAISON DE STARTUPS)の企業支援プログラムに参加し、同社および傘下75メゾンと連携しながら、個別メンター制度を受けることができる。

へラルボニーは2018年7月に岩手県でスタート。知的障がいのあるアーティストや福祉施設とのライセンス契約を結び、作品を商品化するブランド事業やライセンス事業を行っている。LVMHによると、アワードの受賞理由は「同社は企画から制作に至るまで、障害のあるアーティストと企業との質の高い協業を保証する。アーティストにビジネスチャンスが生まれるだけでなく、企業もDEI(ダイバーシティー・エクイティ&インクルージョン)を促進できる」という。

「LVMH イノベーションアワード」は、世界の有望なスタートアップ企業をたたえ、その成長を支援するプログラムとして2017年に設立した。応募対象は、評価額1億ドル未満、従業員数50人未満で過去5年間以内に創設された企業だ。グランプリに加え、へラルボニーが受賞した「従業員体験とダイバーシティ&インクルージョン」部門のほか、「オムニチャネル&リテール」「サステナビリティ&グリーンテック」などの6部門からなる。

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東京レインボープライドに初参加 LVMHジャパンが“自分らしく、美しく豊かに”生きる発信

PROFILE: 山内彩/LVMHジャパン ピープル&カルチャー シニア マネージャー

山内彩/LVMHジャパン ピープル&カルチャー シニア マネージャー
PROFILE: (やまのうち・あや)大学卒業後、婦人服製造販売ブランドでリテールを学んだ後に渡仏し、パリ第3大学を卒業。帰国し、ファッション企業向けのコーチングなどを手掛けた後、ケリングに入社。2018年LVMHに入社し、「ディオール」のリテール トレーニング マネージャーを経て、現職 PHOTO : YUKIE SUGANO

認定NPO法人の東京レインボープライドは4月20、21日、「東京レインボープライド2024(TOKYO RAINBOW PRIDE 2024以下、TRP)」を代々木公園で開催した。LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON JAPAN以下、LVMHジャパン)は同イベントに企業として初めて協賛し、同社のカルチャーやブランドの歴史、ダイバーシティー&インクルージョン(以下、D&I)の取り組みを紹介するブースを出展。20日には、同社が手掛ける「パルファム ジバンシイ(PARFUMS GIVENCHY)」と連携し、写真家のレスリー・キー(Leslie Kee)による一般来場者の撮影会を開催。21日のプライドパレードには、LVMHジャパンとグループブランドの社員と家族が250人規模で参加した。

また、TRPと連動した写真展「スーパーLVMH 〜 アール・ド・ヴィーヴル(SUPER LVMH 〜 ART DE VIVRE)」を5月19日まで原宿・キャットストリートの「クリエイティブ スペース アカデミア 21」で開催している。賛同する世界各国のセレブリティー30組とLVMHエグゼクティブ30人を、レスリー・キーが撮り下ろした。

LVMHジャパンで人材の育成と、人材を通したLVMHらしいカルチャーの醸成に取り組み、TRPへの出展に尽力した山内彩LVMHジャパン ピープル&カルチャー シニア マネージャーに、参加への経緯やD&Iの取り組みについて聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):TRP参加に至った経緯は?

山内彩LVMHジャパン ピープル&カルチャー シニア マネージャー(以下、山内):2019年、LGBTQ+当事者の同僚が「いつかLVMHでTRPに参加したい」と声を上げた。その後に、有志で集まった少人数でパレードを歩くことから始め、活動を徐々に広げた。22年、先行して出展した「パルファム ジバンシイ」からは刺激を受けた。同ブランドを率いる金山桃LVMHフレグランスブランズ ジェネラル マネージャー兼社長と話し、より大きなインパクトを出せるように、グループでも参加するべきではないかと考えた。

WWD:グループとして参加する上での苦労は?

山内:全ブランドの賛同を得ることはもちろん、確固たる目的を持ち、強いメッセージを発信する必要がある。簡単な道のりではなかった。各ブランドには、TRPへの参加は、グループミッションの“アール・ド・ヴィーヴル(美しく豊かに生きる喜び)”につながると説明した。“自分らしく生きる”ことこそ、“美しく豊かに生きる”ことと拡大解釈した。

WWD:TRP参加の意義とは?

山内:これほど多様な人材が集まる会社で、上からの命令ではなく各人が声を上げ、合意に至り、大きなプロジェクトを動かしたという体験は、社員にとって意義があった。このような過程を経て得た知識や経験は、さまざまなビジネスでも役に立つだろう。パレードへの参加は社員のモチベーションや帰属意識を高めるほか、表参道のけやき坂にフラッグを掲出することで社外にもメッセージを発信した。

最初は正直、グループでの参加は難しいと思っていた。しかし、そのような思い込みを覆すことに挑戦し、異なる意見を持った仲間と交流しながら共に未来を築いていく風土づくりにもつながる取り組みになった。

WWD:ブースを訪れた来場者へのメッセージは?

山内:ブースでは、LVMHジャパンのD&Iの取り組みを紹介するほか、レスリー・キーによる一般来場者の撮影会も開催。メイクアップは「パルファム ジバンシイ」のブースで行った。来場者には、アーティスティックな感覚を味わいながら、“新しい自分”や“本来の自分”を発見するきっかけにしてほしい。LVMHらしい“美しく豊かな”体験を通して、自己表現を広げられるような時間を提供したかった。

女性のセカンドキャリアを支援

WWD:TRP以外のD&Iに関する取り組みは?

山内:「メティエ・デクセロンス(METIERS D’EXCELLENCE以下、ME)」というプログラムを世界7カ国(フランス、スイス、イタリア、アメリカ、スペイン、日本、ドイツ)で実施しており、これまでに1400人以上が参加した。日本では21年にローンチし、販売員を育成するプログラムを通して女性のセカンドキャリアを支援している。

WWD:女性のセカンドキャリアに着目した経緯は?

山内:日本には、経験があるにも関わらず、出産やパートナーの転勤などでキャリアを離れ、10年やそれ以上のブランクを抱える女性が多くいる。正社員としての再就職も難しい状況だ。女性の活躍を促進したいという思いから、何らかの理由でキャリアを諦めざるを得なかった人や、転職を望む女性たちを対象にした。ファッションスクールでの学習や店頭での実技、マスタークラスでの研修という8カ月間のコースを無償で提供している。

WWD:プログラム参加者の反応は?

山内:日本では参加者の約8割が卒業し、約6割がLVMHジャパンに就職している。参加者からは、「このような機会がなければ、自分の可能性を広げることができなかった」「自分が本当に何をしたいのかに気づけた」などの声が届いている。

販売員は対人関係能力が必要で、継承が難しい職種だ。商品一つをとっても、多くの人が関わり、奥深い背景がある。顧客を理解し、ブランドや商品が持つ思いを届け、顧客の人生を豊かにできる販売員の育成に挑戦している。

WWD:日本におけるD&Iの課題は?

山内:D&Iに関しては人種や言語、宗教などさまざまな問題があり、それらは世界中どこにでも共通して存在すると思う。日本における課題は、多様性の見えづらさだ。日本は単一民族の国家なので、どうしても本来その人が持っているバックグラウンドや価値観、理念などが見えづらく、意識が向きにくい。日本でも、人間としてのより普遍的な多様性にもっと注目できるように取り組んでいきたい。

WWD:今後のビジョンは?

山内:グループミッションである“アール・ド・ヴィーヴル(自分らしく、美しく豊かに生きる)”を、社員が本当の意味で実感できる環境づくりを進めたい。学べる環境や、成長できるキャリアの機会を用意し、各人が自分らしさを持って活躍できる会社を目指している。さらに、それを世界にも発信しているという誇りを持てるように取り組みたい。1人1人が自分を大切にできるような環境をつくることで、他者への優しさが広がり、仕事においても全力を注げるようになると考えている。

■写真展「SUPER LVMH ~ ART DE VIVRE」Photographed by Leslie Kee
日程:4月19日〜5月19日
時間:11:00~19:00
会場:クリエイティブ スペース アカデミア 21
住所:東京都渋谷区神宮前5丁目27番7号 アルボーレ神宮前 1F/2F

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東京レインボープライドに連続参加「ジバンシイ」は社長のマイノリティーとしての過去からD&I推進

PROFILE: 金山桃/LVMHフレグランスブランズ ジェネラル マネージャー兼社長

金山桃/LVMHフレグランスブランズ ジェネラル マネージャー兼社長
PROFILE: (かなやま・もも)5歳でフランス・パリへ移住。ESSECビジネススクール卒業。2009年LVMHグループ会社のセフォラ、10年ロレアルに入社。18年に帰国し、日本ロレアルを経て22年2月にLVMHジャパンに入社。同年5月、LVMHフレグランスブランズに入社し現職

認定NPO法人の東京レインボープライドは4月20、21日、「東京レインボープライド2024(TOKYO RAINBOW PRIDE 2024以下、TRP)」を代々木公園で開催した。LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON JAPAN以下、LVMHジャパン)は同イベントに企業として初めて協賛し、同社のカルチャーやブランドの歴史、ダイバーシティー&インクルージョン(以下、D&I)の取り組みを紹介するブースを出展。傘下の「パルファム ジバンシイ(PARFUMS GIVENCHY)」は2年連続で出展し、メイクアップのタッチアップサービスやサンプル商品の配布のほか、TRPのために作ったレインボーカラーのロゴステッカーをプレゼントした。

「パルファム ジバンシイ」を率いる金山桃LVMHフレグランスブランズジェネラル マネージャー兼社長は日本で生まれた後、5歳でパリへ移住し、自身がマイノリティーであることを意識しながら育ったそう。こうしたバックグラウンドから、TRPの参加にも積極的だ。金山社長が目指すD&Iな企業とは?

WWDJAPAN(以下、WWD):改めて、TRPに参加した経緯は?

金山桃LVMHフレグランスブランズ ジェネラル マネージャー兼社長(以下、金山):22年に現職に就任した当時から、D&Iを強く意識したCSR(企業の社会的責任)ストラテジーを構築し、ブランドスビジネスとのシナジーを生み出すことを目指している。D&Iに関して特に日本では、LGBTQ+の基本的な権利や、それぞれがどのような人たちであるかの理解さえ、ほかの国々と比べて遅れていると感じていた。「パルファム ジバンシイ」として、日本の社会の前進に貢献したいという思いからTRPへの出展を決めた。

WWD:参加する意義をどう捉えている?

金山:TRPの参加は、始まりにすぎない。“LGBTQ+コミュニティーをサポートしている”というメッセージを公的に出すことは、“今後もLGBTQ+に関わる問題の解決に尽力していく”という決意表明でもあるから。

WWD:昨年の出展について、社員や顧客の反応は?

金山: 昨年のTRPには主にオフィススタッフが参加した。新たな才能を発揮した社員もいたし、全社員にとって新鮮で学びの多い経験になった。代々木公園のブースには、百貨店のカウンターには足を運びづらいという若者や男性含め、多様な人々が訪れた。TRPでの取り組みを見て、採用に応募してくれた人もいた。会社としてD&Iに真剣に取り組むことで、若い世代の共感を確実に得ているように感じる。

履歴書から性別欄や写真の添付を廃止

WWD:“恐れずに改革する(DARE TO REINVENT)”というスローガンを掲げ、どのような施策を行なっている?

金山:23年には認定NPO法人のりびっと(REBIT)と協業し、美容部員の定期的なトレーニングを開始した。例えば、男性がカウンターを訪れた際、「女性へのプレゼントですか?」と聞かないなどを学んでいる。D&Iの価値観がすれ違いやすい年配の社員含め、全員が啓発されるトレーニングを考えている。

WWD:社内の多様性を高めるための取り組みは?

金山:22年には履歴書から性別や婚姻状況、生年月日の欄を無くし、写真の添付も廃止した。応募する側の心理的不安を減らし、多様性を発揮して自分らしく働ける職場にしたい。インターンシップや再雇用、多国籍の採用なども始めた。もちろん“多様性”といっても、“何でも許容する”という意味ではない。「パルファム ジバンシイ」はエレガントなブランド。ブランドを長期的に継承するためにはイメージを守る必要があるので、バランスに留意しつつ、多様性を受け入れるインクルーシブな企業を目指している。

「5歳でパリへ移住し、白人ばかりの地区で唯一のアジア人として育った」

WWD:マイノリティーの一人として育ったバックグラウンドをどう振り返る?

金山:日本で生まれた後、5歳でパリへ移住した。白人ばかりの地区で唯一のアジア人として、肌の色はもちろん宗教や言語面でも、自身がマイノリティーであることを意識しながら育った。“自分がなぜここにいるのか”を常に正当化する必要があった。日本とフランス、2つの文化の中で成長した経験をポジティブに捉えられるようになったのは、帰国した18年以降。幼少期から多様な文化の中で教育を受けたことで、視野が広がり、自然とグローバルな感覚が備わった。

WWD:帰国後の経験は?

金山:日本に拠点を移した後も、まだ自分がマイノリティーであると感じている。7歳の娘がいるが、私は日本語の読み書きができないので、彼女の日本語の質問に答えられない。また、私が入社した当時、女性のジェネラル・マネジャーはLVMHジャパンでさえ少なかった。ビューティの中でもまだ数少ない。さらにグループ外から、かつラグジュアリーブランドの経験がないまま入社したので、孤独だった。こういった背景からも、D&Iは非常に重要だと考える。

WWD:今後の展望は?

金山:「パルファム ジバンシイ」は名前ばかりが大きくて、ビジネスのサイズはまだ小さい。これまでにやってきたことを続けていても成長できないので、多様な人材を雇用し、新たな挑戦を続けている。時には失敗をすることもあるけれど、挑戦を続けることが重要。その先に成功があるはずだ。

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東京を皮切りに世界中のレインボープライドに参加 LVMH本国トップが語る多様性への思い

PROFILE: ヴァネッサ・ムンガー/LVMH チーフ ダイバーシティ&インクルージョン オフィサー

ヴァネッサ・ムンガー/LVMH チーフ ダイバーシティ&インクルージョン オフィサー
PROFILE: チャドとフランスにルーツを持つ。フランスのアフリカ大統領評議会のメンバーとしてアフリカの社会変革に取り組むほか、パリ政治学院の客員教師も務める。2020年、「マダムフィガロ」誌により“ウーマン・オブ・ザ・イヤー”に選出された。21年、LVMHに入社し、現職

認定NPO法人の東京レインボープライドは4月20、21日、「東京レインボープライド2024(TOKYO RAINBOW PRIDE 2024以下、TRP)」を代々木公園で開催した。LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON JAPAN以下、LVMHジャパン)は同イベントに企業として初めて協賛し、同社のカルチャーやブランドの歴史、ダイバーシティー&インクルージョン(以下、D&I)の取り組みを紹介するブースを出展。20日には、同社が手掛ける「パルファム ジバンシイ(PARFUMS GIVENCHY)」と連携し、写真家のレスリー・キー(Leslie Kee)による一般来場者の撮影会を開催。21日のプライドパレードには、LVMHジャパンとグループブランドの社員と家族が250人規模で参加した。

また、TRPと連動した写真展「スーパーLVMH 〜 アール・ド・ヴィーヴル(SUPER LVMH 〜 ART DE VIVRE)」を5月19日まで原宿・キャットストリートの「クリエイティブ スペース アカデミア 21」で開催している。賛同する世界各国のセレブリティー30組とLVMHエグゼクティブ30人を、レスリー・キーが撮り下ろした。

LVMHでチーフ D&I オフィサーを務めるヴァネッサ・ムンガー(Vanessa Moungar)に、同社がTRPに参加する理由やD&Iを推進する重要性について聞いた。

「個性の尊重と平等、平和を謳うメッセージ」

WWDJAPAN(以下、WWD):LVMHグループとしてTRPに参画する理由は?

ヴァネッサ・ムンガーLVMH チーフ D&I オフィサー(以下、ムンガー):“人々が違いを生む”と強く信じているから。全ての個人が、国籍や性自認、性的指向などに関わらず、自分らしく働ける環境づくりに取り組んでいる。TRPへの参加を通して、LVMHの強いメッセージを社員全員に届けたい。

昨年は“有言実行”をテーマに掲げた。企業が、「D&Iを重視している」とか「多様性を受け入れる社風だ」と言うのは簡単だ。しかし、役職などに関係なく多くの社員がTRPのために時間を割いて参加するというLVMHジャパンのスタッフの行動そのものが、LVMHの理念を明確に示している。

WWD:LVMHジャパンの参加を認めた理由は?

ムンガー:レインボープライドへの参加は各国のグループ会社の意思に任せており、参加を望む声があれば、本社は全力で支援する。LVMHジャパンや各ブランドの社員らは、数年にわたり自発的にTRPに参加してきた。その活動が広がり、今年はグループとしての協賛に発展した。

WWD:本国含め、LVMHとしてレインボープライドに参加している国は?

ムンガー:今年は東京を皮切りに、ロサンゼルス、パリ、ロンドン、マドリード、台湾、香港と続く。局所的な取り組みではなく、全世界でレインボープライドに参加していることを誇りに思う。D&Iは、世界中のLVMH社員が関心を持って真剣に取り組んでいるトピックだということを示している。

WWD:TRPに参加する意義は?

ムンガー:LVMHにはさまざまな部門と総計75のブランドがある時点で、すでに多様といえる。しかしそれ以上に、1つ1つのチーム内にも多様性が存在している。皆が同じであれば、お互いを理解し合う苦労もなく、より簡単かもしれない。しかし異なる個性を持った個人が団結し、同じ目標へ向かって挑む時、社員と社会の双方に非常にパワフルでポジティブな影響をもたらしうる。それは、個性の尊重と平等、平和を謳うメッセージだ。TRPへの参加は、私たちがこの主張にコミットしているという紛れもない証拠だ。

WWD:そもそも、LVMHにおけるD&Iオフィサーの任務とは?

ムンガー:主な任務は、D&Iに関するビジョンと戦略をグローバルレベルで推進すること。人事から調達、サプライチェーン、マーケティングまで、さまざまな役割の人々と連携し、どうしたらよりインクルーシブな会社にできるかを考え、実践している。

WWD:LVMHという世界的なコングロマリットにおける、D&Iの重要性とは?

ムンガー:冒頭でも話した通り、“人々が違いを生む”と信じている。多様な人々を引きつけ、才能を開花させ、できるだけ長く勤めてもらうためにも、社員1人1人が受け入れられていると感じられ、グループの成長のために最善を尽くせる環境を保証したい。80カ国以上で75ブランドを展開しているため、一度グループに入れば、才能を伸ばす無限の可能性がある。人が最大の財産と考えるLVMHにおいて、D&Iは戦略の主軸だ。長期的には、D&Iがグループの成功と持続可能性の根源になるだろう。

WWD:各国におけるD&Iの課題は?

ムンガー:無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)など世界共通の課題はあるが、それ以外はどれも各市場に特有だ。したがって、われわれは各国・地域の同僚と連携し、それぞれの実情にあった支援をする。日本で優先的に取り組んでいるのは、企業における女性の参画だ。LVMHグループは全社員の約70%が女性で、管理職とマネジャーの約65%が女性だ。これは“女性対男性”ではなく、バランスや多様性の問題だと捉えている。世界中のあらゆる会社の多様性を推進するためにも、TRPを通してLGBTQ+コミュニティーへのサポートと、インクルーシブな社風を示したい。

■写真展「SUPER LVMH ~ ART DE VIVRE」Photographed by Leslie Kee
日程:4月19日〜5月19日
時間:11:00~19:00
会場:クリエイティブ スペース アカデミア 21
住所:東京都渋谷区神宮前5丁目27番7号 アルボーレ神宮前 1F/2F

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東京を皮切りに世界中のレインボープライドに参加 LVMH本国トップが語る多様性への思い

PROFILE: ヴァネッサ・ムンガー/LVMH チーフ ダイバーシティ&インクルージョン オフィサー

ヴァネッサ・ムンガー/LVMH チーフ ダイバーシティ&インクルージョン オフィサー
PROFILE: チャドとフランスにルーツを持つ。フランスのアフリカ大統領評議会のメンバーとしてアフリカの社会変革に取り組むほか、パリ政治学院の客員教師も務める。2020年、「マダムフィガロ」誌により“ウーマン・オブ・ザ・イヤー”に選出された。21年、LVMHに入社し、現職

認定NPO法人の東京レインボープライドは4月20、21日、「東京レインボープライド2024(TOKYO RAINBOW PRIDE 2024以下、TRP)」を代々木公園で開催した。LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON JAPAN以下、LVMHジャパン)は同イベントに企業として初めて協賛し、同社のカルチャーやブランドの歴史、ダイバーシティー&インクルージョン(以下、D&I)の取り組みを紹介するブースを出展。20日には、同社が手掛ける「パルファム ジバンシイ(PARFUMS GIVENCHY)」と連携し、写真家のレスリー・キー(Leslie Kee)による一般来場者の撮影会を開催。21日のプライドパレードには、LVMHジャパンとグループブランドの社員と家族が250人規模で参加した。

また、TRPと連動した写真展「スーパーLVMH 〜 アール・ド・ヴィーヴル(SUPER LVMH 〜 ART DE VIVRE)」を5月19日まで原宿・キャットストリートの「クリエイティブ スペース アカデミア 21」で開催している。賛同する世界各国のセレブリティー30組とLVMHエグゼクティブ30人を、レスリー・キーが撮り下ろした。

LVMHでチーフ D&I オフィサーを務めるヴァネッサ・ムンガー(Vanessa Moungar)に、同社がTRPに参加する理由やD&Iを推進する重要性について聞いた。

「個性の尊重と平等、平和を謳うメッセージ」

WWDJAPAN(以下、WWD):LVMHグループとしてTRPに参画する理由は?

ヴァネッサ・ムンガーLVMH チーフ D&I オフィサー(以下、ムンガー):“人々が違いを生む”と強く信じているから。全ての個人が、国籍や性自認、性的指向などに関わらず、自分らしく働ける環境づくりに取り組んでいる。TRPへの参加を通して、LVMHの強いメッセージを社員全員に届けたい。

昨年は“有言実行”をテーマに掲げた。企業が、「D&Iを重視している」とか「多様性を受け入れる社風だ」と言うのは簡単だ。しかし、役職などに関係なく多くの社員がTRPのために時間を割いて参加するというLVMHジャパンのスタッフの行動そのものが、LVMHの理念を明確に示している。

WWD:LVMHジャパンの参加を認めた理由は?

ムンガー:レインボープライドへの参加は各国のグループ会社の意思に任せており、参加を望む声があれば、本社は全力で支援する。LVMHジャパンや各ブランドの社員らは、数年にわたり自発的にTRPに参加してきた。その活動が広がり、今年はグループとしての協賛に発展した。

WWD:本国含め、LVMHとしてレインボープライドに参加している国は?

ムンガー:今年は東京を皮切りに、ロサンゼルス、パリ、ロンドン、マドリード、台湾、香港と続く。局所的な取り組みではなく、全世界でレインボープライドに参加していることを誇りに思う。D&Iは、世界中のLVMH社員が関心を持って真剣に取り組んでいるトピックだということを示している。

WWD:TRPに参加する意義は?

ムンガー:LVMHにはさまざまな部門と総計75のブランドがある時点で、すでに多様といえる。しかしそれ以上に、1つ1つのチーム内にも多様性が存在している。皆が同じであれば、お互いを理解し合う苦労もなく、より簡単かもしれない。しかし異なる個性を持った個人が団結し、同じ目標へ向かって挑む時、社員と社会の双方に非常にパワフルでポジティブな影響をもたらしうる。それは、個性の尊重と平等、平和を謳うメッセージだ。TRPへの参加は、私たちがこの主張にコミットしているという紛れもない証拠だ。

WWD:そもそも、LVMHにおけるD&Iオフィサーの任務とは?

ムンガー:主な任務は、D&Iに関するビジョンと戦略をグローバルレベルで推進すること。人事から調達、サプライチェーン、マーケティングまで、さまざまな役割の人々と連携し、どうしたらよりインクルーシブな会社にできるかを考え、実践している。

WWD:LVMHという世界的なコングロマリットにおける、D&Iの重要性とは?

ムンガー:冒頭でも話した通り、“人々が違いを生む”と信じている。多様な人々を引きつけ、才能を開花させ、できるだけ長く勤めてもらうためにも、社員1人1人が受け入れられていると感じられ、グループの成長のために最善を尽くせる環境を保証したい。80カ国以上で75ブランドを展開しているため、一度グループに入れば、才能を伸ばす無限の可能性がある。人が最大の財産と考えるLVMHにおいて、D&Iは戦略の主軸だ。長期的には、D&Iがグループの成功と持続可能性の根源になるだろう。

WWD:各国におけるD&Iの課題は?

ムンガー:無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)など世界共通の課題はあるが、それ以外はどれも各市場に特有だ。したがって、われわれは各国・地域の同僚と連携し、それぞれの実情にあった支援をする。日本で優先的に取り組んでいるのは、企業における女性の参画だ。LVMHグループは全社員の約70%が女性で、管理職とマネジャーの約65%が女性だ。これは“女性対男性”ではなく、バランスや多様性の問題だと捉えている。世界中のあらゆる会社の多様性を推進するためにも、TRPを通してLGBTQ+コミュニティーへのサポートと、インクルーシブな社風を示したい。

■写真展「SUPER LVMH ~ ART DE VIVRE」Photographed by Leslie Kee
日程:4月19日〜5月19日
時間:11:00~19:00
会場:クリエイティブ スペース アカデミア 21
住所:東京都渋谷区神宮前5丁目27番7号 アルボーレ神宮前 1F/2F

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児童養護施設の子どもら計1500人にスポーツ機会を提供 「バートン」創業者が始めたCHILL

スノーボードの「バートン(BURTON)」を手掛けるバートン ジャパンは、特定非営利活動法人CHILL Japanが主催する、児童養護施設やフリースクールの子どもたちを招いてのスノーボードプログラムに、ギアやウエアを提供しサポートしている。3月17、18日には、群馬・沼田のたんばらスキーパークに計70人の子どもたちを招待。CHILL Japanでは、阪神淡路大震災や東日本大震災などで被災した子どもたちも含め、これまで累計で1500人以上の子どもたちにボードスポーツの機会を提供してきたという。

家庭環境や経済環境の格差が、子どものスポーツ格差につながるといった指摘を聞く機会は少なくない。特にスノーボードなどのウィンタースポーツは、専用のギアが必要で、フィールドも市街地から離れていることが多いため、環境の差が体験格差につながりやすい。CHILLは、米バートン創業者の故ジェイク・バートン・カーペンターと現バートン会長でジェイクの妻のドナが1995年に立ち上げ、以来「より公平なアウトドアコミュニティーの育成と若者のキャリア構築」を目的に活動。「家庭的に困難で恵まれない子どもたちが、ボードスポーツを通じて現在置かれている状況を乗り越え、上達して自信を持つという経験を通して前向きに生きられるように勇気を与える」ことを目指している。

2003年にスタートしたCHILL Japanの代表理事を務めているのは、バートン ジャパン初代社長で、ジェイク夫妻とも親交が深かった小倉一男。「われわれの活動は、賛同していただける児童養護施設やフリースクールのほか、ギアメーカーや会場となるスキー場、現場をサポートしてくれるボランティアスタッフ、寄付をしていただいている方たちの連携によって初めて実現できる。これからも、子どもたちが自分自身の可能性に気づき、人生で成功していくチャンスを見つけるサポートをしていきたい」と小倉理事はコメントしている。

CHILL Japanでは今年、長野や兵庫でも招待プログラムを開催した。夏の期間はスケートボードなどで同様のプログラムを行なっている。

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「ピガール」のステファン・アシュプール、パリ五輪フランスチーム公式服を公開

「ピガール(PIGALLE)」の創設者兼デザイナーで、今年パリで開催する夏季オリンピック・パラリンピックのフランスチームのアーティスティック・ディレター兼シニア・デザイナーを務めるステファン・アシュプール(Stephane Ashpool)が、同チームの公式ウエアを公開した。

アシュプールは、同大会の公式サプライヤー「ルコックスポルティフ(LE COQ SPORTIF)」と共同開発。ファッションとエレガンスの象徴、華の都パリのきらめきに着想し、スポーツや文化を通じた“多様性”と“団結”をたたえるデザインが、アスリートたちの身体を彩る。

「国旗を壊したい」というアシュプールの意向を反映したグラデーションカラーは、フランスの多様性を表現。トリコロールの各色を線で区切らずシームレスに混ぜ合わせることで、玉虫色にも見えるブルーから深いレッドへと変化する鮮やかなグラデーションを作り出した。アシュプールはデザインについて、「イギリスなどと同様に、私たちは多様性に満ちている。この色味は、肌の色だけでなく、身体の多様性も表現している」と語っている。

こだわったのはウエアの現地生産
フランスの工業活性化への布石となるか

「ルコックスポルティフ」が同大会の公式サプライヤーとなったのは、アシュプールにとって最大の懸案事項だった「ウエアの現地生産」をブランドが約束したことが大きい。特殊なファブリックの生産に地元の工場を採用するのは大変だったが、生産管理の点からも利点は多く、再工業化を推し進める国の意向ともうまく合致した。

例えばフランスは、柔道競技で56個のメダルを獲得してきたが、道着をフランスで生産したことはなく、日本からの調達でまかなってきた。そこでアシュプールと彼のチームは、道着のパターン制作に取り組み、地元のスポーツチームとの試作を経て、オリンピックの公式仕様に合わせて生産した。

アシュプールは今回の事例が今後、他のブランドも生産拠点を国内に戻す刺激になることを期待している。「この仕事が成功すれば近い将来、ファッションの現地生産が可能になるだろう。すぐ近くに刺しゅう技術のある工場があれば、地球の裏側の工場に依頼しようとは思わないはずだ。私たちの産業をフランスに取り戻したい」とアシュプールは言う。

国内で存在感を高める
ステファン・アシュプールの今後は

オリンピックの準備のため「ピガール」は1年間休止しているが、「ピガール ショップ(PIGALLE SHOP)」は若いデザイナーズブランドを紹介すべく営業を続けてきた。そんな「ピガール ショップ」も現在は改装のため休業中で、オリンピック・パラリンピックの大会期間に合わせて再度オープン予定だ。

アシュプールは近年、「ピガール」のブランド名ではなく自身の名前を頻繁に使うようになっており、間もなく大手メゾンのサポートを受けることになるという。今年1月の時点で米「WWD」のインタビューに対し、「その発表は間もなく」と語っている。3月27日からパリの19Mギャラリーで開催されている展覧会「自由なかたち:ステファン・アシュプール(Figure Libre. Stéphane Ashpool)」では、そんなアシュプールの仕事が紹介されており、今後の活動からも目が離せない。

なお公開イメージの中には、各競技連盟と共同で開発した60種目以上のオリンピック・パラリンピック競技用ウエアのほか、アスリートたちが選手村や表彰台、開閉会式やメディア対応などで着用するウエアも含まれている。2年の歳月をかけて開発した選手村用のフリースウエアは、エコロジカル・フットプリントを大幅に削減するなど、環境に配慮している。これらのウエアはパリ五輪の公式ショップおよび「ルコックスポルティフ」のブティックで購入可能だ。

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「ピガール」のステファン・アシュプール、パリ五輪フランスチーム公式服を公開

「ピガール(PIGALLE)」の創設者兼デザイナーで、今年パリで開催する夏季オリンピック・パラリンピックのフランスチームのアーティスティック・ディレター兼シニア・デザイナーを務めるステファン・アシュプール(Stephane Ashpool)が、同チームの公式ウエアを公開した。

アシュプールは、同大会の公式サプライヤー「ルコックスポルティフ(LE COQ SPORTIF)」と共同開発。ファッションとエレガンスの象徴、華の都パリのきらめきに着想し、スポーツや文化を通じた“多様性”と“団結”をたたえるデザインが、アスリートたちの身体を彩る。

「国旗を壊したい」というアシュプールの意向を反映したグラデーションカラーは、フランスの多様性を表現。トリコロールの各色を線で区切らずシームレスに混ぜ合わせることで、玉虫色にも見えるブルーから深いレッドへと変化する鮮やかなグラデーションを作り出した。アシュプールはデザインについて、「イギリスなどと同様に、私たちは多様性に満ちている。この色味は、肌の色だけでなく、身体の多様性も表現している」と語っている。

こだわったのはウエアの現地生産
フランスの工業活性化への布石となるか

「ルコックスポルティフ」が同大会の公式サプライヤーとなったのは、アシュプールにとって最大の懸案事項だった「ウエアの現地生産」をブランドが約束したことが大きい。特殊なファブリックの生産に地元の工場を採用するのは大変だったが、生産管理の点からも利点は多く、再工業化を推し進める国の意向ともうまく合致した。

例えばフランスは、柔道競技で56個のメダルを獲得してきたが、道着をフランスで生産したことはなく、日本からの調達でまかなってきた。そこでアシュプールと彼のチームは、道着のパターン制作に取り組み、地元のスポーツチームとの試作を経て、オリンピックの公式仕様に合わせて生産した。

アシュプールは今回の事例が今後、他のブランドも生産拠点を国内に戻す刺激になることを期待している。「この仕事が成功すれば近い将来、ファッションの現地生産が可能になるだろう。すぐ近くに刺しゅう技術のある工場があれば、地球の裏側の工場に依頼しようとは思わないはずだ。私たちの産業をフランスに取り戻したい」とアシュプールは言う。

国内で存在感を高める
ステファン・アシュプールの今後は

オリンピックの準備のため「ピガール」は1年間休止しているが、「ピガール ショップ(PIGALLE SHOP)」は若いデザイナーズブランドを紹介すべく営業を続けてきた。そんな「ピガール ショップ」も現在は改装のため休業中で、オリンピック・パラリンピックの大会期間に合わせて再度オープン予定だ。

アシュプールは近年、「ピガール」のブランド名ではなく自身の名前を頻繁に使うようになっており、間もなく大手メゾンのサポートを受けることになるという。今年1月の時点で米「WWD」のインタビューに対し、「その発表は間もなく」と語っている。3月27日からパリの19Mギャラリーで開催されている展覧会「自由なかたち:ステファン・アシュプール(Figure Libre. Stéphane Ashpool)」では、そんなアシュプールの仕事が紹介されており、今後の活動からも目が離せない。

なお公開イメージの中には、各競技連盟と共同で開発した60種目以上のオリンピック・パラリンピック競技用ウエアのほか、アスリートたちが選手村や表彰台、開閉会式やメディア対応などで着用するウエアも含まれている。2年の歳月をかけて開発した選手村用のフリースウエアは、エコロジカル・フットプリントを大幅に削減するなど、環境に配慮している。これらのウエアはパリ五輪の公式ショップおよび「ルコックスポルティフ」のブティックで購入可能だ。

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「シロ」の今井浩恵会長が「受賞で全てが報われた」 「ヴーヴ・クリコ」が勇敢な女性起業家を称えるアワード

「ボールド ウーマン アワード」が決定

MHDモエ ヘネシー ディアジオ(MHD MOET HENNESSY DIAGEO)傘下のシャンパーニュメゾン「ヴーヴ・クリコ(VEUVE CLICQUOT)」はこのほど、「ヴーヴ・クリコ ボールド ウーマン アワード 2023(VEUVE CLICQUOT BOLD WOMAN AWARD 2023)」を麻布台ヒルズで開催した。1972年創立の同アワードは、「ヴーヴ・クリコ」を世界的ブランドに成長させた女性経営者のマダム・クリコのように、大胆な精神や独自の想像力、起業家精神を併せ持つ“bold”(勇敢)な女性リーダーを表彰するもの。これまでに世界27カ国で実施しており、約4年ぶりにリアルイベント開催となった日本では、コスメブランド「シロ(SHIRO)」を展開するシロの今井浩恵会長を選出した。

シロは、市場に流通する化粧品の製造方法や価格設定のずさんさに違和感を覚えた今井会長が、「自分が納得したものを作って社会課題を解決しよう」と考えたことから始まった。今井会長はジャン・マルク・ギャロ(Jean-Marc Gallot)=ヴーヴ・クリコCEOからトロフィーを受け取り、これまでの歩みを振り返った。「女性だから、北海道の砂川市という地方拠点だから、独立系ブランドだからと、ビジネスを成長させるにあたって3つの『無理』を人から言われてきた。それがこの受賞で全て報われ、頑張ってきてよかったと感じることができた」。

「ボールド ウーマン アワード」のほかに、次世代を切り開く女性起業家を称える「ボールド フューチャー アワード(BOLD FUTURE AWARD)」と、先進的な取り組みによって女性の活躍を支援する男性リーダーを称える「ボールド チャンピオン アワード(BOLD CHAMPION AWARD)」を発表した。「ボールド フューチャー アワード」を受賞したのは、女性のためのキャリアスクール「シーライクス(SHElikes)」を運営するシーの福田恵里社長。「人の可能性を爆発させたり解放させたりすることが、私たちのミッション」と話す福田社長は、「日本人女性は世界一自己肯定感が低いというデータがある。『私なんか』という自分にかけた呪いを解くことが大切」と次世代の女性に向けて価値観の改革を訴えた。

「ボールド チャンピオン アワード」は、ライフルの井上高志社長に決定した。ライフルは、不動産情報サービスの「ライフル ホームズ(LIFULL HOME’S)」や子育てをする女性の就労支援サービス「ライフル ファム(LIFULL FAM)」など約50の事業を展開する。「私たちは社会課題の解決に繋がることしか行わないと決めており、女性社員たちがその実績を作ってきてくれた」と井上社長。「女性のリーダーシップに対して男性がフォロワーシップを発揮することを伝えられたかもしれない」と受賞の意義に思いを馳せた。

祝福に駆け付けたゲストたち

「トモ コイズミ」(TOMO KOIZUMI)デザイナーの小泉智貴や、モデルの田丸麻紀、社会活動家でありモデルの長谷川ミラ、モデルでJDの井上ヤマトがゲストとして来場し、受賞者たちを祝福した。小泉デザイナーは、「世の中にはあらゆる場面でイノベーションを起こしている女性や、勇敢な彼女たちの活躍を知り、とてもインスパイアされた。私の妹や母は言いづらいけれど大切なことを、しばしば自分よりもはっきりと口にしてくれる。女性の勇敢さを日々感じている」と言葉を贈った。また、長谷川は「私の世代は幸いにして『女性だから』という制約をあまり受けたことがない。それはこれまでの女性たちが、現代では当たり前なことを当たり前と言えるように切り拓いてくれたから。リスペクトを覚える」とコメントした。

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「ボールド ウーマン アワード」が決定

MHDモエ ヘネシー ディアジオ(MHD MOET HENNESSY DIAGEO)傘下のシャンパーニュメゾン「ヴーヴ・クリコ(VEUVE CLICQUOT)」はこのほど、「ヴーヴ・クリコ ボールド ウーマン アワード 2023(VEUVE CLICQUOT BOLD WOMAN AWARD 2023)」を麻布台ヒルズで開催した。1972年創立の同アワードは、「ヴーヴ・クリコ」を世界的ブランドに成長させた女性経営者のマダム・クリコのように、大胆な精神や独自の想像力、起業家精神を併せ持つ“bold”(勇敢)な女性リーダーを表彰するもの。これまでに世界27カ国で実施しており、約4年ぶりにリアルイベント開催となった日本では、コスメブランド「シロ(SHIRO)」を展開するシロの今井浩恵会長を選出した。

シロは、市場に流通する化粧品の製造方法や価格設定のずさんさに違和感を覚えた今井会長が、「自分が納得したものを作って社会課題を解決しよう」と考えたことから始まった。今井会長はジャン・マルク・ギャロ(Jean-Marc Gallot)=ヴーヴ・クリコCEOからトロフィーを受け取り、これまでの歩みを振り返った。「女性だから、北海道の砂川市という地方拠点だから、独立系ブランドだからと、ビジネスを成長させるにあたって3つの『無理』を人から言われてきた。それがこの受賞で全て報われ、頑張ってきてよかったと感じることができた」。

「ボールド ウーマン アワード」のほかに、次世代を切り開く女性起業家を称える「ボールド フューチャー アワード(BOLD FUTURE AWARD)」と、先進的な取り組みによって女性の活躍を支援する男性リーダーを称える「ボールド チャンピオン アワード(BOLD CHAMPION AWARD)」を発表した。「ボールド フューチャー アワード」を受賞したのは、女性のためのキャリアスクール「シーライクス(SHElikes)」を運営するシーの福田恵里社長。「人の可能性を爆発させたり解放させたりすることが、私たちのミッション」と話す福田社長は、「日本人女性は世界一自己肯定感が低いというデータがある。『私なんか』という自分にかけた呪いを解くことが大切」と次世代の女性に向けて価値観の改革を訴えた。

「ボールド チャンピオン アワード」は、ライフルの井上高志社長に決定した。ライフルは、不動産情報サービスの「ライフル ホームズ(LIFULL HOME’S)」や子育てをする女性の就労支援サービス「ライフル ファム(LIFULL FAM)」など約50の事業を展開する。「私たちは社会課題の解決に繋がることしか行わないと決めており、女性社員たちがその実績を作ってきてくれた」と井上社長。「女性のリーダーシップに対して男性がフォロワーシップを発揮することを伝えられたかもしれない」と受賞の意義に思いを馳せた。

祝福に駆け付けたゲストたち

「トモ コイズミ」(TOMO KOIZUMI)デザイナーの小泉智貴や、モデルの田丸麻紀、社会活動家でありモデルの長谷川ミラ、モデルでJDの井上ヤマトがゲストとして来場し、受賞者たちを祝福した。小泉デザイナーは、「世の中にはあらゆる場面でイノベーションを起こしている女性や、勇敢な彼女たちの活躍を知り、とてもインスパイアされた。私の妹や母は言いづらいけれど大切なことを、しばしば自分よりもはっきりと口にしてくれる。女性の勇敢さを日々感じている」と言葉を贈った。また、長谷川は「私の世代は幸いにして『女性だから』という制約をあまり受けたことがない。それはこれまでの女性たちが、現代では当たり前なことを当たり前と言えるように切り拓いてくれたから。リスペクトを覚える」とコメントした。

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LGBTQ+の理解を深める オンラインセミナー受講受け付け開始!

WWDJAPAN Educationsは、「サステナビリティ・コネクト」と題し、より一層、企業の垣根をこえて、より広く強くつながりを持つための長期セミナー・ワークショップを開講しています。「環境」「社会問題」「流通」そして 「LGBTQ+」といった、より広義でのサステナビリティを考え、ファッション業界がサステナビリティにおける先進的な業界になることを目指します。

「サステナビリティ・コネクト」DAY5のテーマは、「LGBTQ+の理解を深める
」です。サステナビリティ×ファッションは大きく分けて「地球環境」と「人権・社会」の2つが関係してきます。ここでは後者の「人権・社会」、中でもジェンダーやセクシャリティの違い、LGBTQ+について理解を深めます。DAY5の講義パートのオンライン視聴を、人数限定で受け付けます。

このような人におすすめ

多様性の理解を深めたい
取り組みや実例を知りたい
「人権・社会」問題の課題を学びたい

申し込み▼


プログラム

2023年12月8日(金)16:00~17:00

LGBTQ+の理解を深める

ファッションは本来、「皆違って、皆良い」から輝くもの。ジェンダーやセクシャリティの違いは、体型、年齢、肌の色などと同じく一つの個性であり、輝きの源です。LGBTQ+当事者でもある講師が自身の体験を踏まえ、企業が「LGBTQ+」の理解を深めるためのアドバイスや実践例をお伝えします。

※講義内容は予告なく変更する場合がございます。
申し込み▼


講師紹介

松中権/
認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表/プライドハウス東京 アドバイザー・理事/公益社団法人Marrriage for All Japan -結婚の自由をすべての人に 理事/一般社団法人 金沢レインボープライド 共同代表/一般社団法人work with Pride 代表

PROFILE:1976年、金沢市生まれ。一橋大学法学部卒業後、電通に入社。海外研修制度で米国ニューヨークのNPO関連事業に携わった経験をもとに、2010年、NPO法人を仲間たちと設立。2016年、第7回若者力大賞「ユースリーダー賞」受賞。2017年6月末に16年間勤めた電通を退社し、二足のわらじからNPO専任代表に。LGBTと社会をつなぐ場づくりを中心とした活動に加え、全国のLGBTQ+のポートレートをLeslie Keeが撮影する「OUT IN JAPAN」や、2020年を起点としたプロジェクト「プライドハウス東京」等に取り組む。一般財団法人mudef理事も務める。NHKドキュメンタリー『カラフルファミリー』が話題に

インフォメーション

日時

2023年12月8日(金)16:00~17:00

実施方法

オンラインセミナー
※講義終了後、一定期間のアーカイブ配信をご案内いたします。
※視聴用URLは、受講前日17:00と当日9:00にお申し込み時に入力いただいたメールアドレスにお送りいたします。入力にお間違いないようご確認ください。メールが確認できない場合、迷惑メールフォルダなどもご確認ください。
※Vimeoでの配信を予定しています。視聴環境をご確認ください。

募集人数

オンライン:50名

受講料

スタンダードプラン:
11,550円 30%OFF
ライトプラン : 14,850円 10%OFF
一般価格 : 16,500円
※価格は税込です
申し込み▼


注意事項

※表示価格は全て1名様分となります。
※割引価格はクーポンをご利用時に適用となります。
※定期購読者で会員登録がお済みでない方はこちら
※本ページでのお支払いはクレジットカード払いのみとなります。コンビニ払いご希望の方はこちら
※お申し込みは12月8日(金)13時をもって、受け付け終了となります
問い合わせ先
株式会社INFASパブリケーションズ カスタマーサポート
お問い合わせフォームはこちら

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世界的コンペの覇者「ソリット!」が目指すオールインクルーシブなファッション

「グッチ(GUCCI)」などを擁するケリング(KERING)やIBM、ロンドン芸術大学、「ヴォーグ ビジネス(VOGUE BUSINESS)」が共同開発したグローバルなファッション・コンペティションの「ファッション・バリュー・チャレンジ(Fashion Values Challenge.以下、FVC)」はこのほど、オールインクルーシブを謳うファッションブランドの「ソリット!(SOLIT!)」にグランプリを授けた。「ソリット!」は、これからの未来に向けて、多様な人々はもちろん、自然や動物も取り残さない社会を目指し、2020年9月に設立。企画段階から商品や環境に課題を感じる当事者を巻き込むインクルーシブ・デザインの手法をもとに、必要とする人に、必要とされるものを、必要な分だけを製造することを目指す。障がいの有無やセクシャリティなどを超えて、自分の好みや体型にあわせて部位ごとに1600通り以上の組み合わせの中からカスタマイズが可能な、自分のために作れるファッションサービスも運営している。田中美咲代表に、コペンハーゲンで開かれた授賞式のあと、話を聞いた。
「ソリット!」は現在2024年4月のバンクーバー・ファッション・ウイークへの参加のためのクラウドファンディングを行っている。返礼品は、オンライン配信のチケットやメイキングのドキュメンタリー映画上映会チケットなど。あわせて今月末まで、新宿マルイにポップアップをオープン中だ。

田中美咲(たなか・みさき)SOLIT代表  プロフィール

社会起業家・ソーシャルデザイナー。1988年生まれ。立命館大学卒業後、東日本大震災をきっかけに福島県における県外避難者向けの情報支援事業を責任担当。2013年「防災をアップデートする」をモットーに「一般社団法人防災ガール」を設立して20年に事業継承。第32回 人間力大賞 経済大臣奨励賞 受賞。18年2月に社会課題解決に特化したPR会社であるmorning after cutting my hairを創設。20年「オール・インクルーシブ経済圏」を実現すべくSOLITを創設。同社が開発したインクルーシブファッションは、世界三大デザインアワード「iF DESIGN AWARD 2022」で最優秀賞GOLDを受賞

――FVCへの参加のきっかけは?グローバルコンペでは、他の地域のファイナリストにどんな印象を抱いた?
田中美咲「ソリット!」代表(以下、田中):FVCはSNSで知っていたのですが、応募するか迷っていました。でも複数の知り合いから「これ『ソリット!』に合っていそう」とのメッセージをもらい、エントリーを決めました。日本のファイナリスト(「ソリット!」を含めて3社)はそれぞれとても魅力的で、グローバルのファイナリストも素敵なデザインのファッションサービスばかりでした。NFTを活用したサービスもあれば、民族・文化的背景からの開発も多く、それぞれが「ファッション」をどのように捉えているのか?がアウトプットに表れていると思いました。

――今回は欧州だけでなく、世界中から数百以上のエントリーがあった。そんな中で勝ち取ったプログラムに期待することは?
田中:これから半年間、ケリングやIBM、「ヴォーグ ビジネス」からのサポートに期待しつつ、こちらからも「これをやりたい」と言いまくろうと思っています。例えば今「ソリット!」ではマーケティングとターゲティングをレビューしていますが、今のコアターゲットは障がいのある方とか、セクシャルマイノリティ、高齢者ら、既存のファッションに「選択肢が少ない」もしくは「選択肢が存在しない」と感じている方々です。今は世の中にサービスは生まれつつあるのに、当事者が選択肢を知らないなどの理由で、マーケットがそもそも生み出されない黎明期にあると思うんです。つまり人数はいるけれど、まだマーケットになっていないのが現状です。私たちがターゲットを変えて、カスタマイズやパーソナライゼーションを楽しんでくれそうな人にシフトする方法もあるけれど、収益のためだけにその意思決定はしたくない。あくまで必要な人のためにモノ作りしたいんです。でもこれって、一社だと市場にならないのでもっとプレイヤーを増やすか、それこそケリングのような先駆的存在が「ここに、ちゃんと市場があるよ」と世の中に発信するなど、光を当てる力のある人たちがもっと注目してくれるといいなと思っていて。今回のプログラムでも、そこを一緒に作っていけるのであれば、とてもありがたいです。

――黎明期のマーケットで起業して、今年で4期目。起業までの経緯は?非営利団体から社会課題解決に特化したPR会社を経て、アパレル業界で起業したのはなぜ?
田中:幼少期から正義感が強く、行動力がありましたが、東日本大震災は大きなトリガーとなりました。自分の人生における時間などのリソースを「社会課題を解決するためにつかう」ことを決めました。まず当時勤めていたサイバーエージェントを辞めて被災地に移住して活動する中で、復興も重要だけど、対処療法的解決ではなく、システムチェンジや根本解決のために「防災」を行うべきと考え、非営利団体の一般社団法人防災ガールを立ち上げ、8年活動しました。
さらに構造的に課題解決をするには、自然災害だけではなく、複合的かつ同時多発的に解決・改善していく必要があると考え、同じく異なる社会課題の解決に挑む社会起業家の仲間たちを支援するため、社会課題解決に特化したPR会社のmorning after cutting my hairを創業しました。
私は、アパレル会社を経営したかったわけでも、ファッションブランドを始めてみたかったわけでもなく、あくまで環境問題や人権侵害などの課題へのソリューションとして「ソリット!」を生み出しています。初めに起業した時から今まで、対象とする課題やアプローチ方法は変わったけれど、いかに本質的に解決をするのかを常に考え、意思決定を続けてきました。大学時代からのバックパッカーで世界を一周するなど、日本の一般的な既存のルールやキャリアパスにあまりとらわれていないことも関係していると思います。

――海外も含め多様性のあるメンバーが参画しているが、普段のコミュニケーションで気をつけていることは?
田中:基本的にはSNSで個別DMが届いたり、知り合いの繋がりで共感してくださった方が「私にも何かできないか?」と連絡をくれたりが多いです。メンバーはみんな気候変動やジェンダー、人権に関して何らか強い意志をもち、アクティビストとは言い切れないまでも自分と社会の距離がとても近いメンバーばかり。1人では解決しきれないので、チームで挑戦したいと考えた人が多いです。
今のメンバーは40人ほどです。できているのかちょっとわかりませんが、私自身結構マメなタイプなので、メンバーとのコミュニケーションは多く取るようにしています。あと私にしかできない業務量をできるだけ減らして分担してもらい、私はみんなに茶々を入れたり「元気?」みたいなことを言ったりして、それぞれが本当にやりたいことをできるように調整することを意識しています。成果が出しやすい・見えやすい環境も作っています。今回のようなアワードを取ったり、ちゃんと売り上げにつなげたり、イベントの参加者を予想以上に伸ばしたり、それぞれに成功体験を経験してもらい、自分達の行動が社会とどうつながっているのかを共有できることがとても嬉しいです。

――今後の展望は?
田中:国内でも少しずつ露出が増えていますが、今回の受賞を機にグローバルにどのように評価されたブランド・会社であることがもっと伝わったり、それがきっかけで私たちのプロダクトが必要とされている方にもっと届いたりするといいなと思っています。
私たちはミッションからスタートしたファッションブランドですが、衣食住や生活環境の中で、よりオールインクルーシブで多様な人にも動植物にも配慮されている選択肢がもっと増えたらいいなと思っています。全てがそんなプロダクトにならなくてもいいけれど、そんな選択肢が50%くらいあると、それぞれ自由に選べて、表現できる幅が増えて、自分がより自分らしくあれる可能性が生み出せる。見たい景色は、ファッショアイテムはもちろんのこと、例えばコンビニで売られているお菓子とか果物、文具も、50%はそういうものから選べる状態です。
まだまだ小さなスタートアップですが、ここからさらにたくさんの企業や自治体の方々と協力しながら、目指す社会を実現していきたいです。

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世界的コンペの覇者「ソリット!」が目指すオールインクルーシブなファッション

「グッチ(GUCCI)」などを擁するケリング(KERING)やIBM、ロンドン芸術大学、「ヴォーグ ビジネス(VOGUE BUSINESS)」が共同開発したグローバルなファッション・コンペティションの「ファッション・バリュー・チャレンジ(Fashion Values Challenge.以下、FVC)」はこのほど、オールインクルーシブを謳うファッションブランドの「ソリット!(SOLIT!)」にグランプリを授けた。「ソリット!」は、これからの未来に向けて、多様な人々はもちろん、自然や動物も取り残さない社会を目指し、2020年9月に設立。企画段階から商品や環境に課題を感じる当事者を巻き込むインクルーシブ・デザインの手法をもとに、必要とする人に、必要とされるものを、必要な分だけを製造することを目指す。障がいの有無やセクシャリティなどを超えて、自分の好みや体型にあわせて部位ごとに1600通り以上の組み合わせの中からカスタマイズが可能な、自分のために作れるファッションサービスも運営している。田中美咲代表に、コペンハーゲンで開かれた授賞式のあと、話を聞いた。
「ソリット!」は現在2024年4月のバンクーバー・ファッション・ウイークへの参加のためのクラウドファンディングを行っている。返礼品は、オンライン配信のチケットやメイキングのドキュメンタリー映画上映会チケットなど。あわせて今月末まで、新宿マルイにポップアップをオープン中だ。

田中美咲(たなか・みさき)SOLIT代表  プロフィール

社会起業家・ソーシャルデザイナー。1988年生まれ。立命館大学卒業後、東日本大震災をきっかけに福島県における県外避難者向けの情報支援事業を責任担当。2013年「防災をアップデートする」をモットーに「一般社団法人防災ガール」を設立して20年に事業継承。第32回 人間力大賞 経済大臣奨励賞 受賞。18年2月に社会課題解決に特化したPR会社であるmorning after cutting my hairを創設。20年「オール・インクルーシブ経済圏」を実現すべくSOLITを創設。同社が開発したインクルーシブファッションは、世界三大デザインアワード「iF DESIGN AWARD 2022」で最優秀賞GOLDを受賞

――FVCへの参加のきっかけは?グローバルコンペでは、他の地域のファイナリストにどんな印象を抱いた?
田中美咲「ソリット!」代表(以下、田中):FVCはSNSで知っていたのですが、応募するか迷っていました。でも複数の知り合いから「これ『ソリット!』に合っていそう」とのメッセージをもらい、エントリーを決めました。日本のファイナリスト(「ソリット!」を含めて3社)はそれぞれとても魅力的で、グローバルのファイナリストも素敵なデザインのファッションサービスばかりでした。NFTを活用したサービスもあれば、民族・文化的背景からの開発も多く、それぞれが「ファッション」をどのように捉えているのか?がアウトプットに表れていると思いました。

――今回は欧州だけでなく、世界中から数百以上のエントリーがあった。そんな中で勝ち取ったプログラムに期待することは?
田中:これから半年間、ケリングやIBM、「ヴォーグ ビジネス」からのサポートに期待しつつ、こちらからも「これをやりたい」と言いまくろうと思っています。例えば今「ソリット!」ではマーケティングとターゲティングをレビューしていますが、今のコアターゲットは障がいのある方とか、セクシャルマイノリティ、高齢者ら、既存のファッションに「選択肢が少ない」もしくは「選択肢が存在しない」と感じている方々です。今は世の中にサービスは生まれつつあるのに、当事者が選択肢を知らないなどの理由で、マーケットがそもそも生み出されない黎明期にあると思うんです。つまり人数はいるけれど、まだマーケットになっていないのが現状です。私たちがターゲットを変えて、カスタマイズやパーソナライゼーションを楽しんでくれそうな人にシフトする方法もあるけれど、収益のためだけにその意思決定はしたくない。あくまで必要な人のためにモノ作りしたいんです。でもこれって、一社だと市場にならないのでもっとプレイヤーを増やすか、それこそケリングのような先駆的存在が「ここに、ちゃんと市場があるよ」と世の中に発信するなど、光を当てる力のある人たちがもっと注目してくれるといいなと思っていて。今回のプログラムでも、そこを一緒に作っていけるのであれば、とてもありがたいです。

――黎明期のマーケットで起業して、今年で4期目。起業までの経緯は?非営利団体から社会課題解決に特化したPR会社を経て、アパレル業界で起業したのはなぜ?
田中:幼少期から正義感が強く、行動力がありましたが、東日本大震災は大きなトリガーとなりました。自分の人生における時間などのリソースを「社会課題を解決するためにつかう」ことを決めました。まず当時勤めていたサイバーエージェントを辞めて被災地に移住して活動する中で、復興も重要だけど、対処療法的解決ではなく、システムチェンジや根本解決のために「防災」を行うべきと考え、非営利団体の一般社団法人防災ガールを立ち上げ、8年活動しました。
さらに構造的に課題解決をするには、自然災害だけではなく、複合的かつ同時多発的に解決・改善していく必要があると考え、同じく異なる社会課題の解決に挑む社会起業家の仲間たちを支援するため、社会課題解決に特化したPR会社のmorning after cutting my hairを創業しました。
私は、アパレル会社を経営したかったわけでも、ファッションブランドを始めてみたかったわけでもなく、あくまで環境問題や人権侵害などの課題へのソリューションとして「ソリット!」を生み出しています。初めに起業した時から今まで、対象とする課題やアプローチ方法は変わったけれど、いかに本質的に解決をするのかを常に考え、意思決定を続けてきました。大学時代からのバックパッカーで世界を一周するなど、日本の一般的な既存のルールやキャリアパスにあまりとらわれていないことも関係していると思います。

――海外も含め多様性のあるメンバーが参画しているが、普段のコミュニケーションで気をつけていることは?
田中:基本的にはSNSで個別DMが届いたり、知り合いの繋がりで共感してくださった方が「私にも何かできないか?」と連絡をくれたりが多いです。メンバーはみんな気候変動やジェンダー、人権に関して何らか強い意志をもち、アクティビストとは言い切れないまでも自分と社会の距離がとても近いメンバーばかり。1人では解決しきれないので、チームで挑戦したいと考えた人が多いです。
今のメンバーは40人ほどです。できているのかちょっとわかりませんが、私自身結構マメなタイプなので、メンバーとのコミュニケーションは多く取るようにしています。あと私にしかできない業務量をできるだけ減らして分担してもらい、私はみんなに茶々を入れたり「元気?」みたいなことを言ったりして、それぞれが本当にやりたいことをできるように調整することを意識しています。成果が出しやすい・見えやすい環境も作っています。今回のようなアワードを取ったり、ちゃんと売り上げにつなげたり、イベントの参加者を予想以上に伸ばしたり、それぞれに成功体験を経験してもらい、自分達の行動が社会とどうつながっているのかを共有できることがとても嬉しいです。

――今後の展望は?
田中:国内でも少しずつ露出が増えていますが、今回の受賞を機にグローバルにどのように評価されたブランド・会社であることがもっと伝わったり、それがきっかけで私たちのプロダクトが必要とされている方にもっと届いたりするといいなと思っています。
私たちはミッションからスタートしたファッションブランドですが、衣食住や生活環境の中で、よりオールインクルーシブで多様な人にも動植物にも配慮されている選択肢がもっと増えたらいいなと思っています。全てがそんなプロダクトにならなくてもいいけれど、そんな選択肢が50%くらいあると、それぞれ自由に選べて、表現できる幅が増えて、自分がより自分らしくあれる可能性が生み出せる。見たい景色は、ファッショアイテムはもちろんのこと、例えばコンビニで売られているお菓子とか果物、文具も、50%はそういうものから選べる状態です。
まだまだ小さなスタートアップですが、ここからさらにたくさんの企業や自治体の方々と協力しながら、目指す社会を実現していきたいです。

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「キーン」が「ビッグイシュー」とコラボ、チャリティバッグ2種を販売

 米国発のアウトドア・フットウエアブランド「キーン(KEEN)」はこのほど、生活困難者の社会復帰をサポートする雑誌「ビッグイシュー(THE BIG ISSUE)」とのコラボレーションを発表した。サコッシュとトートバッグの二種類を販売している。

どちらのバッグも製品の製造過程で発生した端材を使用。「キーン」の店頭や公式オンラインストア、各取扱店で購入した場合、トートバッグは3,630円、サコッシュは4,620円。「ビッグイシュー」販売者から路上で購入すると、トートバッグは3,600円、サコッシュは4,600円(いずれも税込)。路上で購入した場合は定価の40%が販売者の収入となる。

ビッグイシューは、自社で編集から発行までを手がける雑誌。住居を持たずに生活するホームレスの人々が路上で販売することで、販売者に売り上げの一部が還元される。「キーン」は2008年から販売者向けにシューズを無償で提供するなどの支援を行っている。

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水原希子が「イロハ」と作る 女性が“セックス”や“性欲”を語れる未来

水原希子(みずはら・きこ)/俳優・モデル・デザイナー プロフィール

1990年10月15日生まれ、アメリカ出身。2010年に映画「ノルウェイの森」でスクリーンデビュー。「あの子は貴族」(2021年公開)で門脇麦とダブル主演で出演し、22年の高崎映画祭で最優秀助演女優賞を受賞する。モデル業として、ニューヨークやミラノ、パリのファッションウィークでランウエイを歩き、「コーチ(COACH)」や「モスキーノ(MOSCHINO)」などのショーに参加

IROHA(イロハ) ブランドプロフィール

TENGAが展開するフェムケアブランド 。“セルフプレジャーはセルフケアの一環”との理念を掲げ、2013年3月にスタート。女性が安心して使える設計を追求し、開発を全て女性スタッフが手掛ける。19年に旗艦店「iroha STORE ⼤丸梅⽥店」をオープン。23年、ブランド10周年を記念して女優・水原希子をアンバサダーに迎えた

モデル・女優の水原希子が3月、TENGAの女性向けブランド「イロハ(IROHA)」のアンバサダーに就任した。「イロハ」は6月、彼女がプロデュースする高性能バイブレーター“iroha mai RURI”を発売している。

「イロハ」は今年で10周年を迎えるが、セックストイの「テンガ(TENGA)」に代表されるように、セルフプレジャーアイテムにはまだまだ男性向けというイメージが強い。水原は女性の“セクシャルウエルネス”(性の健康)について積極的に発信し、若者世代のオピニオンリーダーとして支持されてきた。アンバサダー活動を通じ、「イロハ」は身体の自然な欲求に応える“セルフプレジャーアイテム”というポジティブなイメージを発信する。

「女性によるセックスや性欲の話をタブー視する風潮は根強い」と語る水原。彼女がコラボアイテムに込めた思いやセルフプレジャーの捉え方、今後の展望を聞いた。

WWD:今回のコラボアイテムはクジラをモチーフにしているとか。

水原:2年前に奄美大島の離島でホエールスイムをしたとき、偶然クジラの求愛の声を水中で聞いたんです。ものすごく大きな声が振動になって、私の身体中を響き渡るという衝撃的な体験でした。「すべては振動なんだ!」と思いましたね。人との会話など、何かを体感することの多くは振動から始まっています。目や耳では感じ取れない振動を通して、私たちはコミュニケーションしている。当時はコロナ禍で人と直接会えないこともあり、いつも以上にそう感じたのかもしれません。クジラから受けた感動をコラボアイテムに必ず込めたいと思ったんです。

WWD:日本人女性の“セクシャルウェルネス”について、何か思うことは?

水原:日本には、女性がセックスの話をすることをタブー視する風潮がいまだにありますよね。昔、お付き合いしていた男性にセックスについて話そうとしたとき、「女の子はそういう話をしない方がいいよ」と言われてしまって。自分が求めていた向き合い方をしてもらえず、少し辛かったことがあります。女性のあり方に関する固定観念が日本社会では根深いです。でも「だから日本人男性は……」とか、そういうことを言いたいのではなくて。性の話を持ち出した人は、“性欲が強い”とネガティブに捉えられる傾向にあります。そもそも性欲の度合いに良し悪しはないのに。すべての人間はホルモンの影響を受けて生きているので、互いのバイオリズムを理解し合えるといいと思います。

WWD:現在、水原さんにはアメリカ人のパートナーがいる。

水原:「僕はオープンな人間だから、なんでも話そうね!」と言ってくれています。とても対等な関係性を築けていると思いますね。彼とだったら今後何かあったとしてもコミュニケーションを取れるだろうし、女性の性についても理解があるから、安心感があります。私の知人はパートナーとのセックスレスに悩んだ結果、オープンリレーションシップ(※既婚・交際中でも互いの合意の上で他人とも関係を結ぶこと)を選択しました。それぞれの価値観を尊重した上でパートナーとは、日頃から正直に話し合うことが大切。そうすると傷つきすぎたり別れを選んだりする必要も無くなるし、関係性が深くなると思います。

WWD:「イロハ」のアンバサダー就任について周りからの反響はあった?

水原:以前に「イロハストア」大丸梅田店でファンの方々や「イロハ」ユーザーと交流したとき、おそらく婦人科系の女医の方が話してくれたことが印象に残っています。彼女によれば、膣やセルフプレジャーの話題になった途端、心をシャットダウンしてしまう患者さんが多いみたいで。「希子ちゃんがアンバサダーになったことで『イロハ』がおしゃれなイメージに変わり、手に取りやすくなるはずです!」とお声がけくださりました。これからアンバサダーとして頑張ろうと思いましたね。

WWD:欧米圏では、近年セレブリティによるセルフプレジャーグッズのプロデュース事例が増えている。

水原:海外の友人には「こっちでも発売しないの?」というポジティブな声を多く頂いていますね。

※2020年代に入り、欧米圏ではすでにセレブリティによるセルフプレジャーグッズ開発ラッシュが起こっている。例えば、モデルのカーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)はセクシャルウェルネス企業「ローラ・ディカルロ(LORA DICARLO)」の共同経営者兼クリエイティブディレクターに就任。歌手のリリー・アレン(Lily Allen)やデミ・ロバート(Demi Lovato)もグッズをプロデュースしている。

WWD:今後の活動は?

水原:性について対話できるプラットフォームを作りたいです。日本のジェンダーギャップ指数の順位が過去最低と知り、とてもショックでした(※世界経済フォーラムが発表した23年版「グローバルジェンダーギャップリポート」によれば日本は146カ国中125位。前年比9ランクダウン)。日本社会の女性に対する固定概念が根強いことの表れだと思います。人々が対話をすることで、この状況を少しずつ変えていけたらいいなと。セルフプレジャーを性的な切り口から語るだけでなく、女性ホルモンの活性化という健康面からも発信していきたいです。切り口やプラットフォームを増やし、色々な人と対談するなどして、地道な活動を積み上げていくことが大切だと思います。上の世代の方々にも「恥ずかしいなんて思わなくてよかったのかも」と感じてほしいですね。性に対するタブー観を取り払っていきたいです。

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7月29日は世界トラの日 WWFと上野動物園がAR折り紙で熱帯雨林や野生動物を守る体験会

世界自然保護基金ジャパン(以下 WWF ジャパン)は、世界熱帯雨林の日である6月22日から、熱帯林の急速な消失により年々増加している絶滅危惧種の野生動物の実態と、その森や動物を守るために毎日の暮らし中でできるアクションの共有を目的に、「ARでうごく!熱帯林の野生動物オリガミ」キャンペーンを展開している。その一環として7月29日(土)「世界トラの日」にあわせ、7月27日(木)9:30~11:30に、夏休み特別企画「ARでうごく!熱帯林の野生動物オリガミ 親子イベント」を上野動物園内で開催する。

本イベントでは、一般応募で集まった親子に、日本伝統の折り紙とARの拡張技術を活用した野生動物オリガミ(トラ)を体験を提供する。その後、実際のトラを観察しながら、トラの飼育担当およびWWFジャパンのスタッフから、普段のトラの飼育の様子や生息地の実態、その生息地を守るために人間の生活と認証マークが密接に関係していることなどを学ぶ予定だ。

■ARでうごく!熱帯林の野生動物オリガミ 親子イベント

日時: 2023年 7月27日(木)9:30~11:30 (受付開始:9:00~) ※小雨決行
会場: 上野動物園 西園管理事務所および東園トラ舎前(受付・集合場所:西園通用門)
〒110-8711 東京都台東区上野公園9-83
参加者:親子15組30名

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7月29日は世界トラの日 WWFと上野動物園がAR折り紙で熱帯雨林や野生動物を守る体験会

世界自然保護基金ジャパン(以下 WWF ジャパン)は、世界熱帯雨林の日である6月22日から、熱帯林の急速な消失により年々増加している絶滅危惧種の野生動物の実態と、その森や動物を守るために毎日の暮らし中でできるアクションの共有を目的に、「ARでうごく!熱帯林の野生動物オリガミ」キャンペーンを展開している。その一環として7月29日(土)「世界トラの日」にあわせ、7月27日(木)9:30~11:30に、夏休み特別企画「ARでうごく!熱帯林の野生動物オリガミ 親子イベント」を上野動物園内で開催する。

本イベントでは、一般応募で集まった親子に、日本伝統の折り紙とARの拡張技術を活用した野生動物オリガミ(トラ)を体験を提供する。その後、実際のトラを観察しながら、トラの飼育担当およびWWFジャパンのスタッフから、普段のトラの飼育の様子や生息地の実態、その生息地を守るために人間の生活と認証マークが密接に関係していることなどを学ぶ予定だ。

■ARでうごく!熱帯林の野生動物オリガミ 親子イベント

日時: 2023年 7月27日(木)9:30~11:30 (受付開始:9:00~) ※小雨決行
会場: 上野動物園 西園管理事務所および東園トラ舎前(受付・集合場所:西園通用門)
〒110-8711 東京都台東区上野公園9-83
参加者:親子15組30名

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ロレアル「髪色プロジェクト」発表会に高梨沙羅選手が登場 初めて髪を染めたのは……

ロレアル プロフェッショナルのヘアカラーブランド「イノア(INOA)」は5月15日、すべての人が自分らしい髪色で働ける社会を目指す「髪色プロジェクト」の発表会を行った。発表会には同プロジェクトのサポーターに就任したスキージャンプの高梨沙羅選手も登場した。

前日に「イノア」のアイコン的カラー剤“イノア カラー”でヘアカラーを行ったという高梨は「手触りが良くてつい触っちゃいます。後ろは自分では見えないんですけど、手触りだけで艶があるのがわかります」と笑顔。施術を行ったサンバレー(SUN VALLEY)の朝日光輝代表は「もとの髪が良かったので素材の良さを生かしてご本人の希望を聞きながら行いました」と語り、高梨は「すごく難しい注文をしたと思うんです。髪は明るくしたくないんですけど透明感がほしくて……」と恐縮し会場が笑いに包まれた。

ヘアカラー初体験は高校3年生の時で「遠征で海外にいくことがあったので、そのタイミングでやってみたいなと思って。その時は市販のカラー剤を使って髪を傷めてしまったんですが、テンションが上がったことを覚えています」と思い出を語り、「私の場合は自分のモチベーションを上げるというのもありますし、見せる競技でもあるので自分の個性を大切にしたいと思っています。髪を変えることで沈んでいた気持ちを切り替えられたり、新しいことを始める時にスイッチの切り替えになって、マインドとつながっているなと感じます」とヘアスタイルやヘアカラーへの思いを語った。

同プロジェクトは勤務先や職種の都合で好きなヘアカラーを楽しめない人が多い現状に対し、企業ブランドを尊重しつつもその人らしいスタイルや髪色で働くことができる社会の実現を目指すというもの。同社の調べによると、日本で髪色規定がある企業が約74%(8業種)にのぼるという。今後は賛同企業を募り“イノア カラー”でヘアカラーを行う福利厚生を提供するほか、自由な髪色で働ける環境作りに向け、企業・個人に対してさまざまな取り組みを行っていく。

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マッシュが「セサミストリート」の公式ストアを運営 11月、池袋サンシャインシティに1号店

 マッシュスタイルラボは、米国発の世界的な教育作品「セサミストリート(SESAME STREET)」の公式ストア「セサミストリートマーケット」の1号店を、東京・池袋のサンシャインシティに11月下旬オープンする。ライセンス代理店であるソニー・クリエイティブプロダクツを介し、番組を制作する非営利教育団体セサミワークショップとパートナーシップ契約を結び、店舗を運営する。物販にカフェやワークショップスペースなどを複合し、作品の世界観を表現する。「セサミストリートマーケット」事業単体で、2026年8月期までに売上高10億円を目指す。

 サンシャインシティの店舗は専門店街アルパ1階 。家族連れを中心に、平日で約8万人、休日で約10万人(コロナ禍前)が訪れる施設の集客力を生かす。店舗面積は約330平方メートル。物販スペースには、ぬいぐるみやバッグ、食物販、タンブラー、タオルなどの雑貨を中心に約200点が並ぶ。同社は「ジェラート ピケ(GELATO PIQUE)」でぬいぐるみなどの雑貨の企画ノウハウがある。「キャラクターモチーフの服や雑貨だけでなく、バッグやボディークリーム、日焼け止めが(店に)並んでいてもいい」と親会社マッシュホールディングスの近藤広幸社長。同社の強みであるアパレルや化粧品のリソースも生かす。併設するカフェでは、“エルモ”や“ビッグバード”“クッキーモンスター”などのキャラクターをモチーフにしたカラフルで、「子どもが食わず嫌いや苦手食材を克服できるような」(同社)フードやドリンクを提供する。

ダイバーシティを作品を通じ伝える

 小学生のときには「セサミストリート」のグラフィックが描かれたペンケースを使っていたという近藤社長。「原色のキャラクターは幼い自分にとって衝撃的で、今の自分にも影響を与えている」と語り、グラフィック作品としての魅力にも注目する。サンシャインシティの店舗では工作や絵画教室を実施し、「子ども だけでなく大人も楽しめるコンテンツ」を盛り込む。

 また、「セサミストリート」はバラエティー豊かなキャラクターを通じて、多様性の尊重・共存の大切さを子どもたちに伝えてきた。近藤社長は「私たちはウエルネス とサステナビリティを旗印として会社を運営してきた。ウエルネス とは『人の笑顔』であり、サステナビリティとは『未来の子どもの笑顔を守る』ことだ」とし、「私たちも“ファミリー”となり、作品の持つ魅力 やダイバーシティへの姿勢を多くの人々に伝えていけたら」と話した。

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ゲストは放送作家の野々村友紀子 タカラベルモントが国際女性デーにトークイベントを開催

 タカラベルモントは、国際女性デー前日の3月7日、「ワタシらしく生きていこう!」をテーマにトークイベント“タカラベルモント プレゼンツ ハッピーウーマントーク”をTB-SQUARE osakaで開催する。

 同イベントは“国際女性デー|HAPPY WOMAN FESTA OSAKA 2023”の取り組みの一環として、大阪の国際女性デーを盛り上げることを目的としたもの。ゲストに芸人・OL・主婦を経て、現在は放送作家として活躍中の野々村友紀子さん迎え、“ワタシらしく生きるヒント”を探る。なお今回は、同イベントに25組50人を入場無料で招待。詳細と申し込みは公式サイトのニュース一覧から(応募締切は2月17日)。

 タカラベルモントは、「女性のエンパワーメント推進と社会活性化」および「SDGs推進」を目的に、2020年から国際女性デーに取り組み、今年で3回目となる。今年は社内イベントにとどまらず、「創業地・大阪の地域の皆さまと共に、ジェンダー平等な社会を考える機会を作りたい」という思いから同イベントを企画した。

 なおイベントに関連し、大阪・ミナミのコミュニティFM局とタッグを組み、3月7日13~15時、リモートワークやブレイクタイムにぴったりな特別番組“タカラベルモント プレゼンツ ハッピーウーマンカフェ”をオンエアする。

 ゲストは産経新聞大阪本社 編集局経済部 次長の安田奈緒美さん、ヘアスタイリストの大森寛子さん、バクテリコ代表の菅沼名津季さんという、大阪や世界で活躍する3人の女性たち。「ワタシらしく生きていこう!」というテーマについて、自分らしく生きていくための秘訣や自分らしい生き方を考える。インターネット放送アプリ“エフエムプラプラ”で、エリアを問わず無料で視聴できる。

■タカラベルモント プレゼンツ ハッピーウーマントーク
日時:3月7日(火)18:30~19:00(受付開始:18:00~)
会場:タカラベルモント TB-SQUARE osaka 1階(大阪府大阪市中央区島之内2-13-22)
ゲスト:放送作家・野々村友紀子さん
定員:25組50人
​料金:無料

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ペルーの刑務所発ファッションブランド、在日大使館でポップアップ

 NPO法人コンフロントワールドはファッションブランド「ピエタ(Pietà)」のポップアップストアを都内の在日ペルー共和国大使館で開催する。期間は2月4日、5日の二日間。

 「ピエタ」はペルーの刑務所で服役中の受刑者らと、フランス人ファッションデザイナーのトーマス・Jacobによるブランド。刑務所内で働きたい、という声を聞いたJacobがブランドを立ち上げ、デザインを担当。首都リマにある3カ所の刑務所で、受刑者が生地の裁断から縫製までを行なっている。生地にはペルー産のコットンを100%使用している。

 日本国内ではクラウドファンディングから販売をスタート。昨年は二日間のポップアップを予定していたが初日で完売となった。

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α世代の美容リテラシーを調査 美容とジェンダー教育への取り組み【後編】

 2025年には、世界で約20億人に達するとされるα世代。10年代初頭から20年代中盤に誕生した、現在12歳以下の子どもたちである。前編では美容に触れる年代が低年齢化していることや、母親であるミレニアル世代の影響について言及した。後編では、未来を担う子供たちに「正しい美容リテラシー」を育むための、各社の取り組みを紹介する。また今後より重視されるであろう「ジェンダーのあり方」についても考えたい。

α世代と「リアルなつながり」を持つことの意義

 コーセーは今秋、3〜15歳までの子どもたちの職業・社会体験施設「キッザニア東京」(東京・豊洲)にパビリオンを出展した。子どもたちが楽しみながら体験できる、メイクアップ、ヘアスタイリング、調香という3つの仕事内容を用意する。同プロジェクトを担当した種田珠緒 コーセー サステナビリティ戦略室キッザニア担当は、「出展の背景に、今のお子さんたちはあらゆる情報に触れる機会が早いことがあげられます。ネットを介していろいろな情報が入ってくる前に、正しい美容の啓蒙も含め“リアルなつながりを持ちたい”と思いました」と述べる。

 確かにα世代は、小学生くらいからユーチューブやティックトックに触れる子が多く、キッザニアでもプログラムで使うタブレットを、誰に教えられることなく自在に操る子ばかりだった。そんなデジタルネイティブなα世代の母親に当たるのが、1980年~96年頃に誕生したミレニアル世代である。ネット環境の進化と共に成長した、情報感度の高い母親たちだ。

 「近年の母子を見ていると“コミュニケーションのあり方”が変わったことを実感します」と話すのは、警察病院に勤務経験のあるアヴェニュー六本木クリニックの寺島洋一院長だ。「(警察病院の)入院病棟にはキッズルームがあり、ひと昔前は子どもたちが集まって遊ぶ姿や、お母さん同士の交流が見られました。ところが最近は、キッズルームに誰もいない。どこにいるかというと、お子さんたちは自分のベッドでゲームをしていて、付き添いのお母さんも側で携帯を見ている印象です」。

 デジタルツールの普及と共に、コミュニケーションのあり方も変化するのは、当然のことといえるだろう。一方で、デジタルの世界にあふれる数多の情報は、「正しい」のか「個人の意見」に過ぎないのか、大人であっても見極めるのは難しい。「キッザニアのプログラムは、職業体験を通して“正しい美容情報”に触れ、遊びながら学べる絶好の機会であると考えています」(種田コーセー キッザニア担当)

女性だけのものではない「ビューティの多様性」

 「もう1つ重視したのは“多様性”です。先行きの不透明な時代において、子どもたちがさまざまな価値観に触れ、その多様性を受け入れながら“私はこう思う”と建設的に話しができるようになってほしい。そして何より“キレイは性別や年齢などのあらゆる垣根を越える存在である”ということを、プログラムを通して伝えたいと思いました」(種田コーセー キッザニア担当)

 前編で述べたように「外見」や「ジェンダー」に関する刷り込みは、今の環境下では、幼い頃から生じているのが現実だ。ポーラが朝日新聞と共に作成した冊子「10代のためのジェンダーの授業」によると、「男なのに・女だから」など、性別と関連づけて何か言われた経験のある中学生は74%にのぼる結果が出ている。

 「特に美容は、いまだに“女性のためのもの”という意識が一般的です。そこでキッザニアで最初に子どもたち全員で見る動画には、女性、男性、人種を問わず世界各国の人々を登場させました。中には高齢の人や、車椅子の人もいて、“キレイの形”はさまざまであるということを表現しています」。

 コーセーが目指す“キレイの形”は、見た目の美しさだけでなく、香りや色彩、そしてそれらがもたらす感情も含まれる。子どもたちのナビゲート役であるキッザニアのスーパーバイザーは、動画に添って「香りを嗅いでどんな表情をしている?」「うれしそうだね」と、感情に関して子どもたちとやり取りを重ねていくのが印象的だった。

「ジェンダーニュートラル」への徹底した配慮

 動画ののち、職業に分かれて体験がスタートするが、ここでも最もこだわったのは「ジェンダーニュートラル」である。メイクアップ体験を例にとろう。子どもたちはタブレットに表示された4つのイメージの中から、まず「なりたいイメージ」を選択する。「なりたいイメージの中には、“かっこいい”“大人っぽい”など、男の子でも挑戦しやすい選択肢をもうけました。使用するメイク製品も、“男の子でもトライしやすい色は何か”“特定のジェンダーを想起させないか”について、何度もディスカッションを重ねています」。

 各イメージに合ったメイク製品を使い、スーパーバイザーのナビゲートのもと、自身の顔にメイクを施していく。女の子に比べると少数だが男の子も体験しており、「人生で初めての経験なので、どうやって塗るのかなど興味津々の子が多い」とのこと。狙い通り、ジェンダーを越えた美容体験がなされているようだ。「そもそもの職業の設定にもこだわりました。メイクアップ、ヘアスタイリング、調香ともに、男女問わない仕事であり、男の子でも女の子でも挑戦しやすいと思います」。

子どもたちの美容&ジェンダーリテラシーに対する各社の取り組み

 コーセー以外にも、化粧品メーカー各社は、子どもたちの美容意識やジェンダーリテラシーについてさまざまな取り組みを行っている。その一例を紹介する。

■ポーラは「ジェンダー平等教育」を冊子でサポート

 ポーラは、朝日新聞社と共同で冊子「10代のためのジェンダーの授業」を作成し、全国の小・中学校約3万校に寄贈している。今の子どもたちが感じているジェンダー・バイアスの実態や、職業における男女格差を、分かりやすいグラフで紹介。また、家事分担について、子どもたちが自分で書き込みをしながら「家の家事分担が誰かに偏っていないか」を自身で考える工夫がなされている。寄贈先の教育機関からは「ジェンダーは大切だが、とても取り入れ方が難しい。冊子は言葉を丁寧に選んであり、使えると思った」(熊本県・美里町立中央中学校)、「学級文庫や進路選択の相談の際に、こういった冊子があればありがたい」(三重県・中学校)などの声が寄せられている。ポーラは継続的にこの取り組みを推進する方針で、現在23年版の制作が進んでいるという。

■資生堂は紫外線やスキンケアに対する啓蒙活動のパイオニア

 子どもたちに向けたスキンケアの啓蒙活動に、いち早く取り組んできたのが資生堂だ。07年頃からウェブサイト「キッズのためのキレイクラブ」を立ち上げ、正しいスキンケアや紫外線対策などの情報を発信。11年頃からは、小学校高学年を対象に社員を派遣する出張体験型の授業「資生堂こどもセミナー」を実施してきた。そして、18年からスタートしたのが「アネッサ(ANESSA)」の紫外線や日焼け止めへの理解を深める活動である。6~18歳を対象にしたワークショップの開催や、幼稚園や保育園に「アネッサ」のサンプルと紫外線教育用のガイドブックを配布。後者は授業などに取り入れられている。

 これらの活動は、これまでに計296の小学校、163の幼稚園・保育園において、延べ約5万7000人の児童に実施し、子どもたちからは「どうして日焼けするのかが分かってよかった」、教職員からは「子どもたちが生活の中で身につけた知識を、科学的に理解できる授業になったと思う」などの声が寄せられている。

 今回取材してみて、想像以上にα世代は美容に触れる機会が早いことに驚いた。この流れは今後、子どもたちの間でジェンダーを問わず広がっていくように思う。α世代に正しい美容知識やジェンダーリテラシーを伝える手法として、キッザニアの職業体験や学校の授業サポートなど、現在は各社ともに「リアルな体験」に注力しているが、α世代が「自主的に美容アイテムを選び」「自主的に美容情報を収集する」未来は、5~10年後確実にやってくる。そのときにデジタルを通じたどんな施策が登場し、子どもたちに何が支持されるのか注目したい。

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日本初上陸! 「イエーガーマイスター」がファッション、ミュージック、クィアがテーマの2日間限定ナイトイベントを開催

 ドイツのリキュールブランド「イエーガーマイスター(JAGERMEISTER)」は12月9日と10日、ナイトライフ文化の新たな方向性を探求するナイトイベント“ナイト・エンバシー(NIGHT EMBASSY)”を東京・渋谷で開催する。

 “ナイト・エンバシー”は、情熱のあるクリエイターを招聘し、ミュージックやファッション、アートなど、カルチャーがクロスオーバーする“自由な表現・発信の場”としてスタートした。クラブカルチャーの聖地であるドイツ・ベルリンをはじめ、フランス・パリ、ロシア・モスクワ、ブラジル・サンパウロ、南アフリカ・ヨハネスブルグなど、これまで世界各地で年齢やジェンダー、境遇などの垣根を超えたイベントを開催している。

 アジア初開催となる東京では、渋谷の新カルチャースポット、バイア(BAIA)を舞台に、ファッション、ミュージック、クィアカルチャーを軸にしたコンテンツをカルチャーマーケティングプラットフォーム“パワード・バイ・トーキョー(POWEREDBY.TOKYO)”と共に企画。各コミュニティーを代表する著名人を“クリエイティブボード”に指名し、さらに彼らが注目する次世代アーティストをアンバサダーに迎えて、多彩なコンテンツをラインアップする。

 参加クリエイターは、スタイリストの島田辰哉や、ヒップホップレーベル、イエンタウン(YENTOWN)のカズマ(kZm (De-void*))、振付師やMC、ヴォーギング・ダンサーとして活躍するコッピ・ミズラヒ(Koppi Mizrahi)、アートディレクターの村田実莉、関西発のヒップホップ・コレクティブのヘヴン(HEAVEN)、ドラァグクイーンや性科学会会員として活動するラビアナ・ジョロー(Labianna Joroe)ら。

 2日間のイベントでは、“ネイチャー×デジタルの融合”をコンセプトにした新感覚のファッションショーをメインに、インスタレーションや即興スタイリングショーを開催予定。ヒップホップの新たな形を目指すライブパフォーマンスやDJ、黒人やラテン系のLGBTQコミュニティーから誕生したヴォーギング・ダンスのコンペティションなども実施する。さらにドラァグクイーンたちのパフォーマンスやワークショップ、限定アイテムを販売するポップアップショップなど、盛りだくさんのコンテンツをそろえる。イベントの最新情報は、公式SNSで随時発信。

 1878年に創業した「イエーガーマイスター」は、厳選したハーブとスパイスをブレンドしたリキュールで、ほのかな苦みと甘さ、複雑な味わいが特徴だ。“イエーガー”を冷えたショットグラスに注ぐ“ICE COLD SHOT”は、世界中で愛飲されており、同ブランドもアーティストやクラブ、ライブハウス、バーなどの支援を通して、各国のナイトライフシーンやクラブカルチャーの発展に寄与している。

【ナイト・エンバシー】
開催日時:2022年12月9日(金)18:00〜、2022年12月10日(土)17:00〜
場所:BAIA Shibuya
所在地:東京都渋谷区宇田川町16-17 Fontis Bld.地下1階
料金:公式サイトから事前予約でエントランス&ドリンクチケット無料
※24:00以降に入場、事前予約なしの入場は、いずれもエントランス料3000円

問い合わせ先
パワードバイトウキョウ
info@night-embassy.jp

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「サステナブル」と「サステナビリティ」の違いとは? 本質的な理解を阻む曖昧な用法 【翻訳日記:今を読み解くキーワード 第4回】

 「WWDJAPAN」の翻訳担当による連載「翻訳日記:イマを読み解くキーワード」では、翻訳した米国版「WWD」のニュースを引用し、その言葉が日本語や英語でどのように使われているかなどを考察。注目のニュースから英語的な感覚を養い、物事を新たな角度から見るきっかけを提供する。連載を担当するのは、「WWDJAPAN」で翻訳を主に手掛ける先輩Kと後輩M。気づけば翻訳の道に入ってはや四半世紀の先輩Kと、入社3年目でミレニアルとZ世代の狭間を生きる日英バイリンガルの後輩Mが交換日記を交わすように話を深めていく。

 4回目は、国内セレクトショップなどのほか、サステナビリティにアンテナを張った記事コンテンツを多く手掛け、翻訳記事の執筆もする入社4年目の記者Aを招いて雑談。「サステナブル」「サステナビリティ」の文法的違いなどを起点に、サステナビリティにまつわるニュースの翻訳で気をつけていることなどの裏話を語る。

後輩M:自分自身もサステナビリティについてはまだまだ勉強中なので、ぜひ3人で同トピックの翻訳事情について考えていけたらと思います。私は「サステナブル」と「サステナビリティ」という言葉が混在している現状に違和感があります。曖昧な言葉の使用によってサステナビリティに対する理解が遠ざかってしまっている気がして……。

先輩K:「サステナブル(Sustainable)」は形容詞。直訳すると「持続可能な」という意味ですね。「サステナビリティ(Sustainability)」は名詞形なので、一般に「持続可能性」と訳します。日本では主に地球環境を保護する行動や取り組みに対して使いますが、本来はそれぞれ単に「持ちこたえられる」「持ちこたえる力」という広い意味を持つ言葉です。

後輩M:文法的には、「サステナブルに取り組む」は誤用で、正しくは「サステナビリティに取り組む」もしくは「サステナブルな取り組みをする」となりますよね。

先輩K:そうですね。日本語では「ラグジュアリー」も似たような感じで、本来は形容詞である「ラグジュアリアス」を使うべき場合でも名詞形の「ラグジュアリー」を使うという用法が定着してしまっていて、個人的には引っかかります……。

 話をサステナビリティに戻しますと、環境に関する話題も「サステナブル」の一言で片付けるのではなく、使っている素材や製造工程などを具体的に示し、「だからサステナブルなんだ、持続可能なんだ」と読者が分かるようにすることも大切ですね。

記者A:「WWDJAPAN」でも、「サステナブルと言わずにサステナビリティを語ること」を心がけています。「サステナブルな新製品」というと聞こえはいいですが、素材や働き方、売り方など、どういった要因で「サステナブルなのか」を明記しないといけないですよね。

後輩M:ビューティ雑誌の「アルーア(ALLURE)」は2021年4月以降、「地球に優しい」「エコフレンドリー」といった、定義が曖昧な言葉の使用をやめるという方針を固めています。同じメディアとして、刺激を受けました。

後輩M:サステナビリティは環境問題に加えて、持続可能な労働環境かどうかといったフィルターを通して、ジェンダーや人権の問題にも延長して考えることができます。確かに「サステナブルなパーカを発売」と聞いたり、見出しを書いたりしたときに、それがジェンダーに包括的なパーカーであると想像することは難しいし、英語圏でもそういう使い方はしません。ただ、自分で考えていけるような深い理解のためには環境の話に限定したものではないと認識は必須ですよね。

 南アフリカ出身でケープタウンを拠点とするデザイナー、シンディソ・クマロ(Sindiso Khumalo)は、「サステナビリティについて話すとき、私は貧困問題を解消するという側面から見るようにしている」と語っていて、実際2020年に発表したコレクションにはブルキナファソ(西アフリカの国)にあるブランドの工房で手織りしたダファニコットンを使用し、搾取的な性産業から逃れることを支援するケープタウンのNGOを通して女性を雇用して、手編みのポケットや刺しゅうを作品に施しています。クマロは「セックスワーカーにトレーニングを提供しながら共に仕事し、性産業に戻らないようにすることは私にとってサステナビリティの一部。オーガニックコットンをたくさん使用するだけでサステナブルなデザイナーになれるとは思わない。それ以上のことをしなければならないような気がする。素材に限ったことでなく、価値観や人に関連したものでなければならないと理解する必要がある」と言っていたことにすごく共感しました。

記者A:「WWDJAPAN」のウェブサイトにサステナビリティのタグを新設するときも、サステナビリティが何を含む言葉なのかについてたくさん議論しました。22年現在は個人のアイデンティティーや人権に関する問題などの一環として、LGBTQ+の話題もサステナビリティタグの中に含んでいます。

後輩M:環境に関する用語も、サステナビリティ、エコ、エコフレンドリー、エシカルなど多様なのでジャンル分けは難しいですよね。

記者A:「サステナビリティを担当しています」と言うと、「エシカル系ね」と言われることもあるんです。日本では今でいう“サステナブランド”はこれまではエシカルブランドと呼ばれていたように思います。エシカルとサステナビリティのニュアンスの違いも気になります。

先輩K:エシカルとサステナビリティの違いは、エシカルは環境や社会への配慮という意味の中でも、より倫理的かつ道義的な配慮が含まれていることです。似た文脈で使われることもありますが、サステナビリティが出てくる前からある言葉ですし、精神的な部分や語義的な意味で異なると思います。国や宗教、世代によってエシカルの概念も違うので一言では表しづらいですが、より人権問題を強く意識している感覚です。Aさんは他にも気をつけていることや、悩んでいることはありますか?

記者A:やっぱりサステナビリティに関する話題では、日本にない概念や新しい言葉が多いので言葉選びには苦労します。カタカナの方が伝わりやすいこともありますし、日本語に直すとしてもどう表すのが適切かとても悩みます。例えば、航空燃料を化石燃料ではなく、代替素材の燃料にするというニュースがありました。この代替素材の燃料は、サステナブル・アビエーション・フューアル(Sustainable aviation fuel)と呼ばれ、航空業界ではSAFという名称で浸透してます。しかし「WWDJAPAN」でこれをSAFと書いてもピンとくる人は少ないだろうし、カタカナで書いても伝わりづらい。結局、記事内では固有名詞は使わずに「化石燃料の代替を進める……」という風に言い換えました。

後輩M:概念が浸透してその言葉に慣れてきたらカタカナの方がわかりやすい時もありますし、読む人の知識量やバックグラウンドにも左右されますよね。

先輩K:私は概念が浸透する前のカタカナ語は使わないようにして、固定訳がないものでもなるべく漢字で説明して、カッコ書きをつけるようにしています。文章として見ると鬱陶しいんですが、文章の美しさよりは内容が伝わることを重視した方がいい。言葉の定義やイメージが曖昧になりがちなカタカナ語は、それが一般化するまでは日本人がイメージしやすい日本語に直して、正しい理解を促すことにしています。

記者A:本来のメッセージ性も併せて翻訳できれば良いのですが……。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が最新の報告書を発表した際、同団体は地球温暖化に関する危機感を“Now or Never”という強い言葉で表していたんです。Z世代の環境アクティビストの子たちは、「日本のメディアは訳が柔らかすぎる。全然危機感が伝わらない」と言っていました。私自身が翻訳をする際は「迅速な対応が必要だ」とコメントしているという形で記事を書いていたのですが、“Now or Never”を訳すのに最適な言葉はなんだったのだろうとモヤモヤしています。

先輩K:記事を書く側としては、仮にピッタリの和訳があっても、ニュース記事らしい言い回しやコンテクストを考慮すると使えないこともあります。“Now or Never”だったら、Aさんのような訳や、「今取り組まないと間に合わない」という感じになるでしょうね。訳として間違っていなくても元のメッセージが持つ言葉の力強さやキャッチーさが失われてしまうのは悩ましいところです。

後輩M:サステナビリティというトピックスは、そもそも難しい数字やデータだけでなく、NPO団体や新素材の固有名詞もたくさん登場しますし、アクティビストの多い分野なので一個人の思いも多く取り扱いますよね。「サステナブルな〜」と使いたくなったら「それは何を持ってサステナブルなのだろう」と待ったをかけていくことが大事なのだと思います。

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エストネーションから新ブランド「パッド」誕生 ジェンダーニュートラルなダウンアウターを展開

 サザビーリーグのエストネーション(ESTNATION)は、ジェンダーニュートラルなダウンアウターブランド「パッド(PADD)」を新たに立ち上げ、全国の店舗やオンラインショップで販売を開始した。

 アイテムは、スタイルや世代を超えて誰もが似合い、タイムレスでシェアできるようなデザインを目指した全11型。ブランドを代表するオーバーサイズジャケットは、旬なカラーリングを意識しているという。ドローコードの絞り方でさまざまなスタイルを楽しめるほか、スタンドカラーで首もとにボリュームを持たせ、防寒性にも優れている。価格は7万7000〜8万2500円(税込、以下同)。

 ほかにも、“誰にでも合うサイズ感”をテーマにしたショートダウン(7万7000円)や、ウエストのドローコードが特徴のオーバーサイズダウンベスト(6万500円)、MA-1ブルゾン(8万2500円)などをラインアップする。

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「ユニクロ」はドイツでどう受け止められている? ドイツ事業COOに聞く、売れ筋やリペアサービス、ローカルとの取り組み

 2014年4月、ドイツ・ベルリンの通称クーダム(西べルリンを代表する目抜き通り、クーアフュルステンダムを指す)エリアに、ドイツ初となる「ユニクロ(UNIQLO)」の店舗「ユニクロ タウエンツィーン店」がオープンした。広大な売り場面積(約2640平方メートル)と、階段に設置されたLED掲示板に世界の都市名が赤く光って流れる演出に圧倒されたことを覚えている。それから8年、ベルリン市内に6店舗、ハンブルク、ケルン、デュッセルドルフ、シュトゥットガルトとドイツ国内で10店舗展開を果たし、その勢いは今も続いている。ドイツで「ユニクロ」がここまで支持されるようになった理由は何なのだろうか。ユニクロドイツの桑原大和COO(最高執行責任者)を取材し、マーケット拡大の背景、エコ先進国といわれるドイツでのサステナビリティへの取り組み、今後の展望などを語ってもらった。

――ドイツにおける「ユニクロ」の売れ筋の傾向を教えてください。

桑原大和ユニクロドイツCOO(以下、桑原):グローバルで品ぞろえは同じなので、売れるものはどこの国でも売れています。ただ、その中でもドイツでは、商品のベネフィットを最重要視して購入されるお客さまが多い傾向があります。そのため、必然的に機能性の高いアイテムや高品質なものが売れます。分かりやすい事例をあげると、夏は“エアリズム”、冬は“ヒートテック”、ダウンジャケットです。特に、“ブロックテック”(ユニクロ独自の透湿・防風・はっ水・防風機能を備えた素材) のアウターは、軽量で、雨風を防ぐ機能性を兼ね備えているため非常に好評で、季節を問わず代表商品として認知されています。

 接客をしながら最も感じるのは、ドイツのお客さまはとにかくたくさん質問をするという点です。アイテム自体の価値や自分のライフスタイルにフィットするかなどを吟味し、納得するとファンになってくれます。また、見た目のデザイン性だけでなく、着たときに快適であるか、メンテナンスが楽かなども気にする人が多いです。“エアリズム”はインナーから始まり、現在はTシャツやレギンスなど幅広く展開していますが、汗をかいてもすぐに乾くといった機能性からスポーツやワークアウトに適したアイテムとして人気で、他のヨーロッパよりも売れています。

――売れ筋をもとにしたローカルMDの取り組みをしていますか。

桑原:基本的に、ドイツだけ、ヨーロッパだけといった商品展開は行っていません。「Made for All」という「ユニクロ」のコンセプトのもと、どんな人にでも着てもらえるモノ作りを目指しています。

真夏でもウールセーターが売れるドイツ

――日本とのニーズに違いはありますか。5月にローンチした「マルニ(MARNI)」との協業をはじめとする、デザイナーズブランドとのコラボレーションについても教えてください。

桑原:何年も事業を続けている中で、ニーズに違いがないことは、私自身も驚いています。日本で人気のアイテムはドイツでも同じように人気が高く、グローバルで見ても同様です。ただ、その中でもドイツでは、アウターとニットのニーズが最も高いです。夏でも寒い時にはダウンを着ますし、季節に関係なく、そのときに必要なアイテムを着ることがドイツ人にとっては普通のことです。日本やアジア諸国では、メリノウールのニットは冬の商品というイメージが定着していますが、ドイツでは年中通して需要があり、気温が40℃近くなった夏でも売れるため、トップセラーに入るほどです。洗濯ができるのでTシャツ感覚で着る人も多く、デザイン性から仕事にも着ていけるなどのベネフィットがあることもニーズの高さに繋がっています。

 コラボレーション商品に関しても基本的に変わりません。「ユニクロ アンド マルニ(UNIQLO AND MARNI)」に関しては、やはり本国のイタリアではかなり反響がありましたが、イタリアだけに限らず、他のヨーロッパ諸国や日本でも同じ反響があり、ニーズも同様です。「LifeWear」や「Made for All」といった弊社のコンセプトに共感してもらえるデザイナーや、同じような志を持っているブランドとタッグを組み、軸を崩さないことで世界共通のニーズを保てるのだと思います。

――真夏でもニットが売れるというのはドイツやヨーロッパならではですが、年中通して購入することが可能なのでしょうか。

桑原:可能です。季節に関係なく、そのときに必要なアイテムが購入できるように品ぞろえを考えています。「ユニクロ」は、そもそも毎シーズンデザインを変えて、そのシーズンが終わったら着なくなると言ったモノ作りはしていません。タイムレスであり、シーズンレスであることが基本理念です。

――ドイツの顧客の声やニーズは日本のヘッドクオーターにどのように伝えているのでしょうか。企画への反映などはありますか。

桑原:毎日毎週お客さまや売り場からの声、売れ筋、数字などについてグローバルで報告し合っています。ドイツで売れるからと言って直接企画に反映されるということはありませんが、アイデアは多数出ます。アウターの需要が高い欧米からのアイデアで、ロング丈のシームレスダウンが誕生しました。それまでショート丈が主流でしたが、やはり寒さが厳しい地域ではお尻の下まで隠れるロング丈のダウンコートが好まれます。“ウルトラライトダウン”のジャケットもインナーダウンとして活用されるのはヨーロッパの寒い地域ならではですよね。このように、アウターの深掘りやニーズの対応を行い、企画に反映させていますが、結果的にヨーロッパだけでなく他国でも売れるといった実績を残せています。

店頭で地元のイラストレーターと協業

――ドイツ、もしくは、ベルリン店舗のそれぞれの特徴を教えてください。単なるチェーン運営ではなく、各店舗それぞれで違った打ち出しをし、各店の個性を出していますよね。

桑原:ドイツ国内であっても都市によって街の雰囲気が全然違いますし、客層も需要も変わってきます。そのため地域に合った販売戦略を打ち出すことが重要になってきます。ベルリンの旗艦店(タウエンツィーン店)では、ローカルのアーティストとコラボレーションを行い、文化や考え方が分かるように伝えています。現在は、ベルリン拠点のイラストレーターLaura Breilingを起用し、階段の踊り場とフィッティングルームに彼女のイラストを展示しています。さまざまな年代、人種、スタイルを表現した彼女の作品は、「Made for All」の考えにもとてもよくフィットしています。他にも、「ユニクロ」は日本から来たブランドであるということを分かりやすく伝えるために浮世絵を用いたディスプレーを設置しています。

 ベルリンの壁の跡地に近いイーストサイドモール店では、フィッティングルームにベルリンの壁をイメージしたグラフィックアートを描いています。東ベルリンの中心地であり、若い客層が多いことも影響しています。ハッケシャマルクト店は規模こそ小さいですが、感度の高いお客さまが多く、ファッション性の高いアイテムの動きは早いです。そのため新作を早めに導入するなど、充実した品ぞろえに力を入れています。

――ベルリンではすでに6店舗展開しており、ドイツ全土において今後も広がりを見せていくと予想されますが、ここまで認知された理由は何だと思いますか。

桑原:ドイツ国内では現在10店運営していますが、ドイツ人の物の見方やベネフィットを重視する点、合理的な部分などが、ユニクロのやりたいことと合致していることが理由の一つだと思います。自分の持っている予算をどこで何に使うかを慎重に選ぶ国民性です。もちろん違う面もたくさんありますが、日本人と似ている部分も多数あると感じています。また、大きく宣伝すれば売れるということでは決してありませんし、店舗を増やせば良いということでもありません。接客時には、単に英語をドイツ語に直してマニュアル的に説明するのではなく、より丁寧に分かりやすく、求められているベネフィットをうまく伝える努力をしています。

ベルリンから広がったリペア&アップサイクリングサービス

――サステナビリティの一環として、タウエンツィーン店では独自のアップサイクリングサービスを実施しています。

桑原:リペアとアップサイクリングサービスはベルリン発信となりますが、もともとは不良箇所のある商品を直して、ホームレスの方たちに提供する活動をNGO団体とともに行っていたことがきっかけとなっています。その活動を実際に見てもらうためにタウエンツィーン店の一角に、ミシンや作業台を設置したリペアサービスのコーナーを設けたのが最初です。お客さまが着ていた衣類を店舗に持参し、お客さまご自身がミシンや作業台を使って無料で修理ができるサービスになりますが、この活動を通して、ドイツではいかに物を大事する人が多いかということに気づかされました。例えば、お母さんが着ていたお気に入りの服をサイズを直して娘さんに譲りたいという方がいました。「ユニクロ」は生地の良さや長持ちする縫製に誇りを持っています。そのため、破れたりサイズが合わなくなったりしても、少し手を加えることで捨てることなく、また着られるようになるのです。

 現在は、ダウンの穴開き、ジーンズの穴開き、シャツのボタンつけ、ニットのほころびのお直しがメリペアのインとなっていますが、臨機応変に対応しています。さらに、週末に限り、通常のサービスに加えてNGO団体とのコラボでワークショップを開催しています。店頭に陳列している中で汚れてしまい、販売できなくなった商品はバッグなどにリメークし、リセールすることも行っています。それが廃棄処分を減らすことにもつながっています。リペア&アップサイクリングサービスは今年の6月に本格スタートしたばかりなので、まだ認知は浅いですが、確実に手応えを感じています。リペア&アップサイクリングは、9月にオープンした英ロンドン・リージェントストリートの旗艦店にも広がっています。

――ユニクロは企業として難民支援活動にも長らく取り組んでいます。日本に比べ、難民問題がより身近と言ってもいいドイツでは、どのような活動をしていますか。

桑原:ドイツは国をあげて難民問題への取り組みに積極的です。ユニクロも同様の考えを持っており、重要な社会問題の一つだと捉えています。8年前のドイツ1号店オープン当初から難民の方をスタッフとして採用するシステムを行っていますが、難民としてドイツへやって来て、ビザを取得し、旗艦店で働きながら現在はスーパーバイザーにまで昇格したスタッフもいます。また、ベルリンは他都市に比べてパーソナルな部分を大事にする文化が強いですし、難民だけでなく、LGBTQ+に対する考え方もベルリンは進んでいます。そういった多様性にフィットした販促を行っていくことが大切だと考えています。

――ドイツでの今後の展望を教えてください。

桑原:売り上げを増やすことだけに専念するのではなく、お客様に尊敬される企業になることが大切だと思っています。なぜなら、それが結果的にビジネスが長く続く秘けつだからです。日本からやって来たブランドとして、商品が良いことは前提にありつつも、どんな背景で作られているのか、ユニクロとは一体どんな企業なのか、そういったことをもっと伝えていきたいです。特にヨーロッパでは、サステナビリティ、気候変動、人種、障がい者、貧困などの問題に対する社会活動に積極的に取り組むことがとても大切です。個店レベルでさまざまな活動や努力をしていますが、まだまだ足りないと感じています。商品だけでなく、店舗やソーシャルメディアから発信してお客さまに理解してもらう。そこでファンになってもらい、こういう企業が作った服だから大切に着たいと思ってもらえることを目指していきます。

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「ユニクロ」はドイツでどう受け止められている? ドイツ事業COOに聞く、売れ筋やリペアサービス、ローカルとの取り組み

 2014年4月、ドイツ・ベルリンの通称クーダム(西べルリンを代表する目抜き通り、クーアフュルステンダムを指す)エリアに、ドイツ初となる「ユニクロ(UNIQLO)」の店舗「ユニクロ タウエンツィーン店」がオープンした。広大な売り場面積(約2640平方メートル)と、階段に設置されたLED掲示板に世界の都市名が赤く光って流れる演出に圧倒されたことを覚えている。それから8年、ベルリン市内に6店舗、ハンブルク、ケルン、デュッセルドルフ、シュトゥットガルトとドイツ国内で10店舗展開を果たし、その勢いは今も続いている。ドイツで「ユニクロ」がここまで支持されるようになった理由は何なのだろうか。ユニクロドイツの桑原大和COO(最高執行責任者)を取材し、マーケット拡大の背景、エコ先進国といわれるドイツでのサステナビリティへの取り組み、今後の展望などを語ってもらった。

――ドイツにおける「ユニクロ」の売れ筋の傾向を教えてください。

桑原大和ユニクロドイツCOO(以下、桑原):グローバルで品ぞろえは同じなので、売れるものはどこの国でも売れています。ただ、その中でもドイツでは、商品のベネフィットを最重要視して購入されるお客さまが多い傾向があります。そのため、必然的に機能性の高いアイテムや高品質なものが売れます。分かりやすい事例をあげると、夏は“エアリズム”、冬は“ヒートテック”、ダウンジャケットです。特に、“ブロックテック”(ユニクロ独自の透湿・防風・はっ水・防風機能を備えた素材) のアウターは、軽量で、雨風を防ぐ機能性を兼ね備えているため非常に好評で、季節を問わず代表商品として認知されています。

 接客をしながら最も感じるのは、ドイツのお客さまはとにかくたくさん質問をするという点です。アイテム自体の価値や自分のライフスタイルにフィットするかなどを吟味し、納得するとファンになってくれます。また、見た目のデザイン性だけでなく、着たときに快適であるか、メンテナンスが楽かなども気にする人が多いです。“エアリズム”はインナーから始まり、現在はTシャツやレギンスなど幅広く展開していますが、汗をかいてもすぐに乾くといった機能性からスポーツやワークアウトに適したアイテムとして人気で、他のヨーロッパよりも売れています。

――売れ筋をもとにしたローカルMDの取り組みをしていますか。

桑原:基本的に、ドイツだけ、ヨーロッパだけといった商品展開は行っていません。「Made for All」という「ユニクロ」のコンセプトのもと、どんな人にでも着てもらえるモノ作りを目指しています。

真夏でもウールセーターが売れるドイツ

――日本とのニーズに違いはありますか。5月にローンチした「マルニ(MARNI)」との協業をはじめとする、デザイナーズブランドとのコラボレーションについても教えてください。

桑原:何年も事業を続けている中で、ニーズに違いがないことは、私自身も驚いています。日本で人気のアイテムはドイツでも同じように人気が高く、グローバルで見ても同様です。ただ、その中でもドイツでは、アウターとニットのニーズが最も高いです。夏でも寒い時にはダウンを着ますし、季節に関係なく、そのときに必要なアイテムを着ることがドイツ人にとっては普通のことです。日本やアジア諸国では、メリノウールのニットは冬の商品というイメージが定着していますが、ドイツでは年中通して需要があり、気温が40℃近くなった夏でも売れるため、トップセラーに入るほどです。洗濯ができるのでTシャツ感覚で着る人も多く、デザイン性から仕事にも着ていけるなどのベネフィットがあることもニーズの高さに繋がっています。

 コラボレーション商品に関しても基本的に変わりません。「ユニクロ アンド マルニ(UNIQLO AND MARNI)」に関しては、やはり本国のイタリアではかなり反響がありましたが、イタリアだけに限らず、他のヨーロッパ諸国や日本でも同じ反響があり、ニーズも同様です。「LifeWear」や「Made for All」といった弊社のコンセプトに共感してもらえるデザイナーや、同じような志を持っているブランドとタッグを組み、軸を崩さないことで世界共通のニーズを保てるのだと思います。

――真夏でもニットが売れるというのはドイツやヨーロッパならではですが、年中通して購入することが可能なのでしょうか。

桑原:可能です。季節に関係なく、そのときに必要なアイテムが購入できるように品ぞろえを考えています。「ユニクロ」は、そもそも毎シーズンデザインを変えて、そのシーズンが終わったら着なくなると言ったモノ作りはしていません。タイムレスであり、シーズンレスであることが基本理念です。

――ドイツの顧客の声やニーズは日本のヘッドクオーターにどのように伝えているのでしょうか。企画への反映などはありますか。

桑原:毎日毎週お客さまや売り場からの声、売れ筋、数字などについてグローバルで報告し合っています。ドイツで売れるからと言って直接企画に反映されるということはありませんが、アイデアは多数出ます。アウターの需要が高い欧米からのアイデアで、ロング丈のシームレスダウンが誕生しました。それまでショート丈が主流でしたが、やはり寒さが厳しい地域ではお尻の下まで隠れるロング丈のダウンコートが好まれます。“ウルトラライトダウン”のジャケットもインナーダウンとして活用されるのはヨーロッパの寒い地域ならではですよね。このように、アウターの深掘りやニーズの対応を行い、企画に反映させていますが、結果的にヨーロッパだけでなく他国でも売れるといった実績を残せています。

店頭で地元のイラストレーターと協業

――ドイツ、もしくは、ベルリン店舗のそれぞれの特徴を教えてください。単なるチェーン運営ではなく、各店舗それぞれで違った打ち出しをし、各店の個性を出していますよね。

桑原:ドイツ国内であっても都市によって街の雰囲気が全然違いますし、客層も需要も変わってきます。そのため地域に合った販売戦略を打ち出すことが重要になってきます。ベルリンの旗艦店(タウエンツィーン店)では、ローカルのアーティストとコラボレーションを行い、文化や考え方が分かるように伝えています。現在は、ベルリン拠点のイラストレーターLaura Breilingを起用し、階段の踊り場とフィッティングルームに彼女のイラストを展示しています。さまざまな年代、人種、スタイルを表現した彼女の作品は、「Made for All」の考えにもとてもよくフィットしています。他にも、「ユニクロ」は日本から来たブランドであるということを分かりやすく伝えるために浮世絵を用いたディスプレーを設置しています。

 ベルリンの壁の跡地に近いイーストサイドモール店では、フィッティングルームにベルリンの壁をイメージしたグラフィックアートを描いています。東ベルリンの中心地であり、若い客層が多いことも影響しています。ハッケシャマルクト店は規模こそ小さいですが、感度の高いお客さまが多く、ファッション性の高いアイテムの動きは早いです。そのため新作を早めに導入するなど、充実した品ぞろえに力を入れています。

――ベルリンではすでに6店舗展開しており、ドイツ全土において今後も広がりを見せていくと予想されますが、ここまで認知された理由は何だと思いますか。

桑原:ドイツ国内では現在10店運営していますが、ドイツ人の物の見方やベネフィットを重視する点、合理的な部分などが、ユニクロのやりたいことと合致していることが理由の一つだと思います。自分の持っている予算をどこで何に使うかを慎重に選ぶ国民性です。もちろん違う面もたくさんありますが、日本人と似ている部分も多数あると感じています。また、大きく宣伝すれば売れるということでは決してありませんし、店舗を増やせば良いということでもありません。接客時には、単に英語をドイツ語に直してマニュアル的に説明するのではなく、より丁寧に分かりやすく、求められているベネフィットをうまく伝える努力をしています。

ベルリンから広がったリペア&アップサイクリングサービス

――サステナビリティの一環として、タウエンツィーン店では独自のアップサイクリングサービスを実施しています。

桑原:リペアとアップサイクリングサービスはベルリン発信となりますが、もともとは不良箇所のある商品を直して、ホームレスの方たちに提供する活動をNGO団体とともに行っていたことがきっかけとなっています。その活動を実際に見てもらうためにタウエンツィーン店の一角に、ミシンや作業台を設置したリペアサービスのコーナーを設けたのが最初です。お客さまが着ていた衣類を店舗に持参し、お客さまご自身がミシンや作業台を使って無料で修理ができるサービスになりますが、この活動を通して、ドイツではいかに物を大事する人が多いかということに気づかされました。例えば、お母さんが着ていたお気に入りの服をサイズを直して娘さんに譲りたいという方がいました。「ユニクロ」は生地の良さや長持ちする縫製に誇りを持っています。そのため、破れたりサイズが合わなくなったりしても、少し手を加えることで捨てることなく、また着られるようになるのです。

 現在は、ダウンの穴開き、ジーンズの穴開き、シャツのボタンつけ、ニットのほころびのお直しがメリペアのインとなっていますが、臨機応変に対応しています。さらに、週末に限り、通常のサービスに加えてNGO団体とのコラボでワークショップを開催しています。店頭に陳列している中で汚れてしまい、販売できなくなった商品はバッグなどにリメークし、リセールすることも行っています。それが廃棄処分を減らすことにもつながっています。リペア&アップサイクリングサービスは今年の6月に本格スタートしたばかりなので、まだ認知は浅いですが、確実に手応えを感じています。リペア&アップサイクリングは、9月にオープンした英ロンドン・リージェントストリートの旗艦店にも広がっています。

――ユニクロは企業として難民支援活動にも長らく取り組んでいます。日本に比べ、難民問題がより身近と言ってもいいドイツでは、どのような活動をしていますか。

桑原:ドイツは国をあげて難民問題への取り組みに積極的です。ユニクロも同様の考えを持っており、重要な社会問題の一つだと捉えています。8年前のドイツ1号店オープン当初から難民の方をスタッフとして採用するシステムを行っていますが、難民としてドイツへやって来て、ビザを取得し、旗艦店で働きながら現在はスーパーバイザーにまで昇格したスタッフもいます。また、ベルリンは他都市に比べてパーソナルな部分を大事にする文化が強いですし、難民だけでなく、LGBTQ+に対する考え方もベルリンは進んでいます。そういった多様性にフィットした販促を行っていくことが大切だと考えています。

――ドイツでの今後の展望を教えてください。

桑原:売り上げを増やすことだけに専念するのではなく、お客様に尊敬される企業になることが大切だと思っています。なぜなら、それが結果的にビジネスが長く続く秘けつだからです。日本からやって来たブランドとして、商品が良いことは前提にありつつも、どんな背景で作られているのか、ユニクロとは一体どんな企業なのか、そういったことをもっと伝えていきたいです。特にヨーロッパでは、サステナビリティ、気候変動、人種、障がい者、貧困などの問題に対する社会活動に積極的に取り組むことがとても大切です。個店レベルでさまざまな活動や努力をしていますが、まだまだ足りないと感じています。商品だけでなく、店舗やソーシャルメディアから発信してお客さまに理解してもらう。そこでファンになってもらい、こういう企業が作った服だから大切に着たいと思ってもらえることを目指していきます。

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「ポーラ」“リンクルショット”シリーズの全顔用美容液がリニューアル プロテイン配合の美容液が登場

 ポーラは2023年1月1日、“リンクルショット”シリーズからプロテイン配合の美容液“リンクルショット ジオ セラム プロティアン”(40g、税込1万1000円/リフィル40g、税込1万450円)を発売する。同製品は20年に登場した潜在シワにアプローチする全顔用美容液“ジオ セラム”をリニューアルしたもので、新たに、肌におけるタンパク質の量「プロテイン密度」に着目。潤いのある“むっちり”とした肌に導く。

 同製品は、表情の動きによって肌に力がかかる「表情圧」によって、タンパク質の産生などを行う細胞器官の小胞体にストレスが起こり、タンパク質量が低下することを発見。そこで、表情圧がかかりにくく表情の動きにフィットすることを目指した業界初の処方“モーションフィットベール”を開発、採用した。シワを改善する薬用化粧品“メディカル セラム N”(1万3500円)との併用で相乗効果が生まれ、さらなるシワ改善が期待できるという。田中美帆リンクルショットプロダクトリーダーは、「体をメンテナンスするように、肌もプロテインで強力メンテナンスし、ベストコンディションに導く。新しい習慣として“プロテイン美容”を提案する」と話す。

 商品の外箱には、生物由来の資源(バイオマス)から成分を抽出したインクと森林認証紙を採用した。箱にはQRコードをデザイン。5言語(日本語、英語、繁体字、簡体字、タイ語)に対応したWEBパンフレットを導入し、紙のパンフレットを廃止する。

 製品は、「ポーラ ザ ビューティー」約590店を含む約3200店のポーラショップ、 旗艦店「ポーラ ギンザ」、百貨店の「ポーラ」コーナー、公式オンラインショップなどで販売するほか、中国、香港、台湾、マカオ、タイ、シンガポール、マレーシアの7つの国と地域、中国(海南島)、韓国、ベトナム、シンガポールの免税店で順次発売予定。

 同社独自のシワに対する医薬部外品有効成分「ニールワン」を配合した“リンクルショット メディカル セラム”は17年の発売以来(21年リニューアル)、体験人数約153万人、累計販売個数は約368万個を突破した(17年1月1日〜22年6月30日の販売実績)。田中リーダーは「シワ改善のパイオニアブランドとして、シワを改善するお手伝いをすることはもちろんだが、シワをケアすることで自信が湧き、感情のままに豊かな表情で過ごすことで、活発なコミュニケーションが生まれる社会の実現を目指す」と述べた。

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LVMHフレグランスブランズが採用時の性別記載や写真添付を廃止 グループのコスメブランドでは初

 「ジバンシイ(GIVENCHY)」「ケンゾー(KENZO)」を展開するLVMHフレグランスブランズは、採用活動のプロセスで応募者がエントリーする際に提出する履歴書などの書類において、性別、婚姻状況、生年月日の記載や写真の添付を求めない取り組みを9月から開始した。インクルーシブな雇用の強化が狙いで、LVMHグループのコスメティックブランドでは初めて。応募する側の心理的不安を減らし、アイデンティティーと多様性を尊重した採用プロセスを推進する。

 LVMHグループは2018年3月にグループ全体のダイバーシティとインクルージョンの取り組みを策定。「ジバンシイ」では2021年から2年連続でプライド月間におけるLGBTQIA +活動を支援しており、NFT(非代替性トークン)アート作品を制作し、売り上げをLGBTQIA +の若者(15〜30歳)を支援するフランスの団体「ル・マグジュン」に全額寄付している。日本でも「ジョブレインボーLGBT仕事博 2020」に出展するなど、ジェンダー平等やLGBTI +権利、多文化共生、障がい者雇用等、多様性を前提とする採用方針を発信している。

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多様性の促進を掲げる団体のファッション・アワード、LVMHと提携してヴァージルを称える賞を新設

 ファッション業界のダイバーシティ(多様性)の促進を掲げる団体ハーレム・ファッション・ロウ(Harlem’s Fashion Row)は、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の北米事業とのパートナーシップにより、15周年を記念したファッションショー&スタイルアワードを開催した。

 ファッション業界における多様性や平等など、ダイバーシティ&インクルージョンを支援することを目的とした同イベントの今年のテーマは「Future's Past(未来の過去)」。ファッションの未来を紹介するイベントをプライベートな空間で行った。

 さらに今回のイベントでは、昨年11月21日に死去した「ルイ・ヴィトン」のメンズ・アーティスティック・ディレクターで、「オフ-ホワイト ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」の創設者でもある故ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)氏の功績を称える賞をLVMHの提供で新設した。プレゼンターは妻であるシャノン・アブロー(Shannon Abloh)が務めた。同賞は文化、コミュニティー、イノベーションへの貢献を通じて、ヴァージルの精神、輝き、ビジョンを体現する個人を表彰するものだという。

 第1回ヴァージル・アブロー賞には女優兼作家・プロデューサーのイッサ・レイ(Issa Rae)、デザイナー・オブ・ザ・イヤーは「セルジオ・ハドソン」を率いるセルジオ・ハドソン(Sergio Hudson)、エディター・オブ・ザ・イヤーは「ワシントン・ポスト(The Washington Post)」紙のシニア・クリティック・アット・ラージのロビン・ギヴハン(Robin Givhan)、スタイリスト・オブ・ザ・イヤーはセレブリティーのスタイリングなどを手がけるアデ・サミュエル(Ade Samuel)、アイコン・オブ・ザ・イヤーをジャネット・ジャクソン(Janet Jackson)がそれぞれ受賞した。

 ブランディス・ダニエル=ハーレム・ファッション・ロウ創設者兼最高経営責任者は、「アフリカ系アメリカ人はファッションの分野で豊かな歴史を持っているが、彼らの貢献の多くは歴史の中に埋もれてしまい、認識されずにきた。 しかし、ハーレム・ファッション研究所やブラック・ファッション・ミュージアムを創設したロイス・アレクサンダー・レイン(Lois Alexander Lane)のような黒人デザイナーの活躍なくしては、ハーレム・ファッション・ロウは存在し得なかっただろう。アン・ロウ(Anne Lowe)やエリザベス・ケックリー(Elizabeth Keckley)、ユニス・ジョンソン(Eunice Johnson)といったパイオニアたちの仕事も然り。私たちは、過去にさかのぼって理解し、敬意を表し、過去から力を引き出すことで未来に向かって進んでいる」と語った。

 LMVHは、ハーレム・ファッション・ロウとの継続的なパートナーシップを通じて、ファッション業界がより多様性に富み、公平で包括的になることを目指す取り組みを続けている。例えば、同社の傘下ブランドのいくつかは、今回のファッションショーとスタイルアワードをサポートすることで貢献している。化粧品小売店のセフォラ(SEPHORA)は、ファッションデザイナーのオーロラ・ジェームズ(Aurora James)が設立した「15%プレッジ(15 Percent Pledge)」プログラム(黒人が所有するブランドに陳列棚の15%のスペースを提供するという取り組み)に参加しているアフリカ系ブランドの製品を、ショーに参加するブランドに提供。また、「ディオール ビューティー(DIOR BEAUTY)」はスキンケア、メイクアップアーティストチームのスポンサーとなったほか、「ティファニー(TIFFANY & CO.)」はイベント中のスタイルアワード受賞者とデザイナーにギフトを贈呈。モエ ヘネシーの米国事業はカクテルタイムのドリンクを提供した。

 アニッシュ・メルワニ(Anish Melwani)北米LVMH会長兼CEOは、「当社は多様性、公平性、包括性というレンズを通して、グループとメゾンの未来を見据えている。15周年を迎えたハーレム・ファッション・ロウとパートナーを組み、ハーレムコミュニティーの文化の豊かさと創造性にスポットライトを当てられることに興奮している」と述べ、「LVMHの各メゾンの成功は、世界中のクリエイティブな才能を発掘する能力に由来している。ハーレム出身の才能あるBIPOC(Black, Indigenous, and People of Colorの略で、黒人、先住民および有色人種の総称)デザイナー3人のニューヨーク・ファッション・ウィークでのデビューを支援できてうれしく思う」と続けた。なお、これにより今回デビューしたのは、メンズブランドの「コッテ ダルム(COTTE D’ARMES)」、ウィメンズの「ジョナサン ヘイデン(JOHNATHAN HAYDEN)」と「ニコル ベネフィールド(NICOLE BENEFIELD)」だった。

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10代に美の多様性をレクチャー 資生堂SABFAとインスタグラムがサポートする理由

 渋谷パルコを会場に、10代の若者がクリエイションの原点に出合える学びを提供するGAKU(ディレクターは、「リトゥンアフターワーズ(WRITTENAFTERWARDS)の山縣良和)は10月、美が持つ多様性を学ぶ「我美と作美(わびとさび)」を開講する。好評だった前回同様、資生堂のヘアメイクスクールSABFAの計良宏文校長がメーン講師を務め、インスタグラムも協力する。

 講師陣は、山縣デザイナーのほか、アーティストの下田昌克、写真家のKarinNoguchiら。美しさの多様性を学んだ後、メイクの技術を身につけ、撮影、それをSNSで発信するまでの一連を学ぶ全11回の講座だ。計良校長、フェイスブック ジャパン インスタグラム広報の市村怜子担当、そしてGAKUの武田悠太ファウンダーに、講座と、若い世代に学んでほしいことなどを聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):「我美と作美」が始まるまでの経緯は?

武田悠太GAKUファウンダー(以下、武田):GAKUは、10代が中心のクリエイションの学び舎。建築から音楽、ファッション、演劇、伝統工芸まで、幅広い領域のクリエイティブを一流、最前線で活躍しているクリエイターが直接教えている。いずれも、少数でリアル。講師陣のオーラや考え方、発する言葉などを直接感じてもらいたい。受講生は小学生じゃないから、自分たちが作るモノが、どんな評価やインパクトを生み出すのか?までを経験する場を設けている。ファッションの中でメイクがやりたいと、計良さんの力を借りることになった。

計良宏文SABFA校長(以下、計良):SAFBAのようなプロの学校ではないので、もう少しユルく、自由度の高い授業を考えた。例えば資生堂も加担しているのかもしれないが、唇には「上が1に対して、下は1.3が理想的」という黄金律が存在するが、そういうルールにとらわれない多様な美を考えたい。SAFBAの校長をしていて、プロになるには、プロに必要な感性の教育が重要と考えるようになった。将来に明るい希望を持っている人たちに対して、メイクに興味を持ってもらい、美について学ぶ機会を提供したい。自己表現の手法としてモノづくりする楽しさを伝えながら、「プロになるために、何をしたらいいのかわからない」子どもたちに基礎までを伝えられたらと思う。

WWDJAPAN:インスタグラムも「我美と作美」に協力するのは、なぜ?

武田:ちょうど前回は、インスタグラムをはじめとするSNSがアメリカのティーンエイジャーに良くない影響を与えているのでは?という懸念が生まれた頃だった。

市村怜子フェイスブック ジャパン インスタグラム広報担当(以下、市村):インスタグラムは、若い世代にたくさん使っていただくため、安全に使ってもらうため、例えばいじめに対するコメントにフィルター機能をかけたり、保護者に向けての啓発活動に取り組んだりしている。それでも、若い世代はSNSからの情報で価値観が作られたり、影響を強く受けたりする。実際、SNSで画一的な美しさにとらわれる懸念があることは認識しており、「何かできないだろうか?」と考えていた。

武田:本来インスタグラムは、周りにいろんな友達ができるポジティブなコミュニケーションのプラットフォーム。ただポジティブな側面が当たり前になりすぎて、当時はネガティブな一面が注目され始めたときだったと思う。

市村:ネガティブな一面は、あらゆるツールに存在する。ただインスタグラムがあったからこそ、新しいものに出合えたり、周囲に認めてもらいながら全然違う国の人と繋がれたりする。多様性や多様な美しさに、もっといい影響を与え、貢献したい。おかげさまで、インスタグラムはクリエイティブな人たちが使っている。発信することでビジネスにつながるというクリエイター支援の側面は、ここ数年で顕在化し、会社としてもフォーカスしている。GAKUのようにかなり特殊でクリエイティブな学校を見つけて、参加するほどの情熱がある人は、今後クリエイターになるかもしれない人。今後の活動に役立ててもらえるのでは?と考えた。

WWD:実際、どんな授業を行ない、前回はどんな子どもたちが参加した?

武田:前回はメイクが大好きですでにプロ級のモデルから、未経験の男の子まで、本当にいろんなタイプが集まった。日本の教育は、同じ部類、同じ年齢、同程度の技量の人が集まりがちだが、GAKUにはバラバラな子が集まる。現実の世の中は、そんなもの。本当の勝負になれば、ビューティの世界でもメイクアップアーティストだけと争うワケじゃない。さまざまな人と学ぶことは、今後の自身につながると考えている。

計良:前回、初日は「美」について語り合ったが、そこからすでに多様で面白かった。例えば14歳の子は「カルティエ(CARTIER)」のイベントでもらったカードのコピーの美しさに惹かれ、一方福祉施設で働く19歳は「人と人の心が通じ合った時の感覚、喜び、笑顔、時間に美しさを感じる」という。

武田:彼は福祉施設に住み込み、障がいがある人と一緒に生活している。なかなかコミュニケーションできなかった人とできるようになった時が「美しい」と思うのは、外見や内面、物事すべてに美しさを見出しているということ。衝撃とともに、嬉しさを覚えた。

計良:メイクは外見だけじゃなく、「らしさ」を表現することと常々伝えているが、外見を変えることで内面、内面が変わることで相手の印象が変わり、最終的には美意識までは変容する。前回は実技の授業が少なかったので、今回はもう少し幅広いテクニックを見せ、化粧品に触れられる時間を設けたい。

市村:インスタグラムが担うのは、ポートフォリオ的な作品集を作ること。完成度が高い写真を投稿するのは当たり前だが、それだけはSNSでもファンは生まれず、応援には繋がらない。駆け出しの時は、自分の発信が正しいか不安に思うこともあるだろう。それでも一生懸命投稿し続けると、ファンが生まれ、応援され、DMなどのコミュニケーションで支えてもらっていることを実感できるから、前向きになれる。インスタグラムは、そんな拠り所のような存在になれる。

計良:ありふれたものを発信するのではなく、新しい美を投げかけるようなチャレンジをしてほしい。自分が思う「美」については授業の中でもルーツを考え、突き詰めてもらう。その上で生み出した新しい「美」は、これまでの価値観を覆すものであるべき。そうじゃないと、新しい美は生まれない。そんな勇気まで、話し合いながら育んでいけたらと思う。

武田:前回参加した学生の中には、最終回でいきなり金髪になって現れた受講生がいた。本人の中で、既成概念が覆ったんだと思う。

計良:当初は、「カラーコンタクトに挑戦したいのにできない」くらい、周りから見れば些細だけれど、本人に取っては大きな問題で悩んでいたが、今インスタグラムを見るととっても楽しそう(笑)。

武田:計良さんが今なお覚えているなんて、本当にスゴいこと(笑)。今回も少人数で、一流の人と直接触れ合える機会を創出したい。

「我美と作美」開催概要
日時:2022年10月上旬~2023年3月上旬/全11回/原則水曜 17:00~19:00
会場:GAKU(渋谷区宇田川町15-1渋谷PARCO 9階)/SABFA(渋谷区神宮1-14-30 WITH HARAJUKU 2F)/Meta Tokyo office(港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー)
対象:10代 、10人程度(先着順)
受講料:3万8500円

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変化する美の価値観を知る60分 医師・教授・編集長による美容医療のトークイベント

 美容医療製品の開発や製造、販売を行うアラガン・ジャパン(ALLERGAN JAPAN K.K.)と「WWDJAPAN」はこのほど、美のD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)について語り合うトークイベント「美しさって何?——自分らしさと美容医療」をライブ配信した。ゲストに、古山登隆・医療法⼈社団喜美会⾃由が丘クリニック理事⻑(以下、古山医師)と、谷本奈穂・関西大学 総合情報学部教授(以下、谷本教授)を迎え、村上要「WWDJAPAN」編集長と共に、各自がそれぞれの視点で自分らしい美を自由に楽しむためのヒントや、美のあり方について語った。

 60分のトークイベントでは、昨今の美の多様化について登壇者が意見を交わし合った。 “自分を愛し、自分らしく生きよう”というメッセージが強まる現代において、美は社会と密接するテーマでもある。例えば、痩せすぎモデルの起用禁止や美容業界のジェンダーレス化なども一助となった“ありのままの自分を愛する”という多様性に関するムードの醸成、“ありのまま呪縛”といった多様性に関する偏った認識による矛盾など、内容は多岐にわたった。話題は美容医療に移り、現代の傾向について古山医師は、「美容医療というと外科手術のイメージが強いかもしれないが、最近はメスを使わない美容医療が主流になってきている」と分析した。その他、カミングアウトしにくい背景や美容医療がもたらす効果、承認品と未承認品の違いなど、さまざまなテーマについて話し合った。

 後半では、ライブ配信の視聴者からのコメントにも回答。「若い世代は男性のメイクに抵抗が少なく美の多様性が浸透しており、世代間のギャップを感じる。上の世代にどう伝えれば効果的か」という質問に対して、古山医師は「ビジネスのグローバル化によって、仕事内容はもちろん、外見への配慮も求められてきている。男性美容はエグゼクティブ層には確実に浸透してきている。外見への気配りはビジネス上のエチケット、という考えに徐々になっていくのではないか」とコメントした。谷本教授は、「個人が抵抗感を持つことも、持たないことも自由。ただ、メイクをしたりエステに行ったりする男性を『気持ち悪い』と排除するのはよくない。美容医療も美魔女もジェンダーレスに関しても、自分とは違う“他者”に対する寛容な心が重要。“他者を排除しない” “他者とインクルーシブに生きる”——その重要性を伝えていく以外にない」と回答した。

 ほかにも、医療・教育・メディアと異なる業界に身を置く登壇者3人による美のD&Iについて考える掛け合いは続き、配信は盛り上がった。

問い合わせ先
アラガン・ジャパン
お客様相談窓口
0120-404-100

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「マルニ」がNYで初コレクション ジェンダーの先へ。ボディとファッションの関係性を再構築

 夜の7時過ぎに日が落ちると、ニューヨークは一気にロマンチックになる。「マルニ(MARNI)」がニューヨーク初となるコレクションを発表するために選んだのは、ブルックリンのダンボ地区だ。インビテーションには建物ではなく、ストリートの名前だけを記載。会場は、ブルックリン・ブリッジのたもとだった。この時期のNYの夜を照らすワールドトレードセンターからのライティングも演出のよう。ランウエイの両脇には、統一したユニホームに身を包んだオーケストラがスタンバイ。荘厳かつドラマチックな雰囲気で、一瞬「ここはイタリア?オペラの上映が始まるの?」という錯覚にとらわれるスタートだ。

 静寂をやぶった最初のルックは、「マルニ」らしい色鮮やかなオレンジやレッド。そのあともイエローなど、ビビットなカラーラインナップが続く。いずれも「もう一枚の皮膚」のようにピッタリと体のラインや骨格を強調する。日本の“ボディコン”はワンレンのヘアスタイルとセットのようなイメージがあるから、「ネオ・ボディコンシャス」とでも呼ぶべきだろうか?「ネオ」と言いたくなるのはメンズ/ウィメンズに分かれず、モデルのジェンダーも男性や女性だけにカテゴライズされず、個々人のボディを尊重する崇高さがあるから。ニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)とバーグドルフ・グッドマン(BERGDORF GOODMAN)のブルース・パスク(Bruce Pask)ファッション・ディレクターは、「モデルのキャスティングが素晴らしかった。その人が男性なのか、女性なのか、はたまたトランスジェンダーなのかはわからないからこそ、ルックとボディラインが際立った」と感想を述べた。

 多様性が進むアメリカは、ボディポジティブのマインドにおいても先進国だ。マスキュリンでハンサムなボディの女性もいれば、筋肉質なのにカーヴィー(曲線的)なボディの男性もいる。それぞれが違って、だからそれぞれが美しい。そして自分のボディを知れば、ファッションはもっともっと楽しくなる。「マルニ」は美意識を総動員して、ジェンダーの垣根をエキサイティングに超えた。

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“デザイナー不在”の異色ブランド「カルネボレンテ」 セックスポジティブな世の中を目指して

 パリ発の「カルネボレンテ(CARNE BOLLENTE)」は、セックスをモチーフにした刺しゅうTシャツがソーシャルメディアを中心に話題になっているブランドだ。「アンダーカバー(UNDERCOVER)」「アニエスベー(AGNES B.)」とのコラボレーションも行い、東京の街で見かけることも増えた。

 同ブランドは、セックスやセクシュアリティーは恥ずかしいものではなく、健康で楽しいものだというマインド“セックスポジティブ”を体現している。ブランドにはデザイナーがおらず、パリを拠点にした多国籍の3人で構成する。創業から廃棄ゼロを継続するなど、異色ブランドの全貌を、チームの1人である日本人の遠藤聖に聞いた。

WWD:チーム3人の出会いとバックグラウンドは?

遠藤聖(以下、遠藤):ハンガリー出身フランス国籍のイラストレーターのアゴストン・パリンコ(Agoston Palinko)と、フランス出身のアートディレクターのテオドール・ファメリ(Theodore Famery)の2人はフランスの国立の美術大学に一緒に通っていた友人でした。そして、アゴストンは日本に交換留学していて、僕はグラインダー(Grindr、デートアプリ)で彼と知り合い、友達になったんです(笑)。自分は財閥系商社のサラリーマンを辞めた後、セレクトショップのバイヤーを経て、もっとファッションをやりたいと思い、フランスに飛んでブランドをローンチしたんです。

WWD:それぞれの役割は?コレクション発表まで3人でどうこなしているのか?

遠藤:役割を明確に決めてはいませんが、コンセプト作りや、ビジネス面、PRは自分が主に担当しています。商社マンとバイヤーの経験が生きているのかもしれませんね。ただ、コレクションのテーマは3人で決めます。イラストはアゴストンが担当し、自分がファッションのディレクションをします。それらをテオドールが取りまとめるといった流れで進めています。

WWD:なぜデザイナーがいないのか?

遠藤:いわゆるファッションデザイナーと呼べる人はこの中にいません。自分以外の2人もイラストやグラフィックデザインを学んでいましたし、誰もパターンを引けません。服作りにはもちろん真剣に向き合ってはいますが、これでデザイナーを名乗るのはファッションデザイナーさんに申し訳ないというか(笑)。

 「カルネボレンテ」がデザインしているのは、コンセプトだと考えています。たまたま表現のアウトプットがファッションなだけで、日本の文化祭のクラスTシャツを作るカルチャーに近いかもしれません。

WWD:なぜ“セックスポジティブ”を刺しゅうで表現しているのか?

遠藤:タブーとされているからこそ、性にオープンなことが当たり前になる社会にしたい。その考えにメンバー全員が一致しました。まずはそういった会話のきっかけになるアイテムを作りたかったんです。

 そこで、セックスをモチーフにし、ワンポイント刺しゅうのTシャツが最初に作ったアイテムでした。イラストではなく、刺しゅうを使うことで、他ブランドとの差別化ができるかなと考えたので。ブランドをローンチした2015年当時は、セルフィーブーム最盛期。インスタグラムで自撮りをアップした際に、胸元のワンポイントに見えるという効果を狙ったんです。自分たちの周りの人に着てもらうことからスタートし、今もPRはギフティングが中心です。

WWD:現在の販路や展開している国と地域は?

遠藤:卸売りがメインで、25~30カ国のショップに卸しています。卸先の約6割はヨーロッパで、最近は日本でも取り扱いがどんどんと増えています。オンラインでは、「エッセンス(SSENSE)」などでも取り扱っています。ヨーロッパと北米での知名度は高くなる一方で、日本を含むアジア地域ではまだ“フランスのセックスの刺しゅうのブランド”と知られているかどうかで、これからもっと頑張りたいです。

WWD:セクシュアルなデザインで販路に困ることは?

遠藤:ありますね。ヨーロッパと比べ、日本はセクシュアルすぎるかどうかを基準ににアイテムを選別するショップも多いです。一昔前に、女性蔑視的なセクシュアルなモチーフのアイテムを販売して批判されたセレクトショップもあるので、セクシュアルなもの全てをNGにしているケースもあります。

 日本と比べてもっと厳しいのはアメリカです。中絶禁止の議論など保守的な考えがまた強まっているのもあるんでしょうね。特に全国展開しているようなストアだと、ニューヨークやロサンゼルスなどに加え、さらに保守的な地域も考慮しなければいけないので。また中東など、国によっては通関もできないので、輸出が難しい場合もあります。

WWD:工場への発注の際にトラブルはなかった?

遠藤:アイテムは主にポルトガルで製造しているのですが、保守的なカトリックが多い国なので、最初に発注するときは緊張しました。嫌な思いさせたくないなと。でも実際に刺しゅうの工場を訪れてみると、みんなちょっとニコニコ、クスクスしながらこっちを見ていたんです。工場長に聞いたら、「次はどんな変なのが来るかな」とみんな楽しそうに仕事をしているって言われました。半分茶化されてるのかもしれないけど、うれしそうで良かったです(笑)。

WWD:サステナビリティにも取り組んでいる?

遠藤:2015年の創業から廃棄はゼロで、1枚も捨てたことがありません。自分が意外とデータが得意で、販売計画や在庫の持ち方などはすごく気にしています。チャリティーイベントで安く販売や寄付するなどして、無駄にならないようにしています。デザインから販売へのリードタイムが長いため、追加で発注などはせず、基本は1回のみ。

 また、サプライチェーンもほとんどヨーロッパに集約していて、ポルトガルのテキスタイル産業が盛んな地域ギマランイスで主に製造しています。現地のサプライヤーから素材を調達し、工場で生産した後に直接輸送しています。

WWD:ブランドとしてこれから挑戦したいことは?

遠藤:ファッションという枠組みから飛び出してみたい。例えば、オフラインでリアルなコミュニケーションが取れるイベントやスペースとか。クィアコミュニティーやセックスポジティビティーに関連するセーフスペースを作りたいです。

 それと、フェムテックブランドとのコラボにも興味がすごくあるし、次世代の若いアーティストを支援したいという気持ちもあります。自分たちも、ブランドとのコラボなど周りの人に支援してもらったので、それを還元したいんです。

 この先、世界にセックスポジティビティが広がれば「カルネボレンテ」の“特別感”もなくなり、アイテムが売れなくなるかもしれません。でも、それがブランドのゴールでもあるんです。

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スウェーデン発「イケア」の誰でも参加できるSDGs消費 地球、お財布、子どもにも優しいショッピング

 スウェーデン発ライフスタイルブランド「イケア(IKEA)」は8月30日、東京・原宿の「ウィズ・ハラジュク」でイベント“イケア ライフ アット ホーム:イケアと考える「より快適な家での暮らし」”を開催した。「イケア」は、2017年に自社EC、20年にはアプリをスタート。今年4月までのアプリのダウンロード数は280万以上だ。また、20年から、原宿、渋谷、新宿など都心への出店を加速し、郊外店とは違う若年層を中心とした顧客層を獲得。コロナによる“おうち時間”増加や“リモートワーク”などの消費者の“ニーズ” や“欲しい”に応えている。

 30日のイベントは単なる新作発表ではなく、イケアという企業の活動全体の発表の場だった。まず、朝山玉枝イケア・ジャパン カントリー ピープル&カルチャー マネジャーが登壇し、企業姿勢や今後の活動について発表。オムニチャネルをはじめ、異なる個性を持ったシティーショップ(都心店舗)出店について、「手ごろで環境・地球に優しい商品を好きな方法で購入してもらうのが目的だ」と話す。24年には、群馬・前橋に、最も環境に配慮した郊外型ショップが登場し、250人を新規採用予定だという。

社員1人1人のハッピーが消費者に喜びを与えられる

 イケアのモットーは、“平等” “インクルージョン” “仕事と生活のバランス”。「消費者に喜んでもらうには、社員がハッピーじゃないと無理」というのが根底にある。だから、国籍、性別、学歴などに左右されず働ける環境だ。朝山マネジャー自身が女性管理職だが、同社の女性管理職の割合は51.5%と高い。各社員のライフステージに応じて、誰もが活躍できる職場を目指した制度を採用している。イケアのキャリアパスの説明も興味深かった。通常の企業だと、図にすると横または上に行くのが当たり前と思われがちだが、同社では、ジャングルジムのようなキャリアパスを縦横自在に本人の意思により選べるようになっている。同マネジャーは、「人は、一人一人違う。あなたは、あなたのままでいい。いろいろな人が集まっているから、おもしろい企業文化ができる」と語る。同社に勤務して18年というベテランだが、「会社に行きたくなかった日はない。毎日が楽しい」とにこやかに話す姿が印象的だった。

 同社では、マタニティーに限らず、“パタニティー(父性)休暇”という制度があり、性別関係なく年間15日有給休暇を取れるようになっており、その消化率は100%だと言う。各社員のライフ&ワークバランスはイケアになくてはならないもののようだ。

循環型ビジネスへシフト

 イケアが目指すのは2030年までに再生可能素材またはリサイクル素材を100%使用した循環型ビジネスへのシフトだ。そのために、同社では、認証プログラムへの参加も積極的。現在の再生可能素材を使用した商品の割合は全体の55.8%、リサイクル素材を使用した商品は17.3%だ。アイコニックな「イケア」の青色の“フラクタ”などのバッグや人気のソフトトイ(ぬいぐるみ)などにもリサイクル素材が使用されているそうだ。

 平山絵梨イケア・ジャパン カントリー サステナブル マネジャーは、「イケアで使用する素材のほぼ全てが『FSC(持続可能な森林管理)』認証や『WWF(世界自然保全基金)』認証を受けている。また、アルカリ電池から1000回充電できる充電式電池“ラッダ”(税込499円)に切り替えた。プラスチック包装材も28年までに使用廃止を目指している」と話す。イケアは100%「WWF」認証のベターコットンを使用しているそうだ。17年に始めた「イケア」の家具買い取りサービスは、今まで約3万点を買い取って再販したという。「ダンボールはシュレッダーで緩衝材にしてお客さまへの配送に再利用しており、配送に関しても25年までに100%Co2ゼロエミッションを目指したい」。

提示するだけで子どもをサポートできる「イケア ファミリー」

 メンバーになると割引などが付くプログラム「イケア ファミリー」。「そのメリットはメンバーだけでなく、子どもにもある」と平山マネジャー。同プログラムでは、「子ども募金」という制度があり、会計時にカードを提示するたびに10円が積み立てられる仕組みになっているそうだ。この積立金は、各イケア周辺の自治体の「子ども食堂」をはじめ、教育機関、擁護施設などのサポートに使用される。ちなみに、21年度に集まった金額は約5470万円。10円という微々たるものだがメンバーによる認知と意識次第で、積立金が何倍にも急増する可能性がある。

 私はメンバーではなかったが、即メンバーになった。メンバーの得点というよりは、カード提示で自動的に子どもたちを少しでもサポートできるのが魅力だと思うから。これからはショッピングだけでなく、カフェや食事などでも「イケア」を活用して、「イケア ファミリー」カードを提示しようと思う。

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スウェーデン発「イケア」の誰でも参加できるSDGs消費 地球、お財布、子どもにも優しいショッピング

 スウェーデン発ライフスタイルブランド「イケア(IKEA)」は8月30日、東京・原宿の「ウィズ・ハラジュク」でイベント“イケア ライフ アット ホーム:イケアと考える「より快適な家での暮らし」”を開催した。「イケア」は、2017年に自社EC、20年にはアプリをスタート。今年4月までのアプリのダウンロード数は280万以上だ。また、20年から、原宿、渋谷、新宿など都心への出店を加速し、郊外店とは違う若年層を中心とした顧客層を獲得。コロナによる“おうち時間”増加や“リモートワーク”などの消費者の“ニーズ” や“欲しい”に応えている。

 30日のイベントは単なる新作発表ではなく、イケアという企業の活動全体の発表の場だった。まず、朝山玉枝イケア・ジャパン カントリー ピープル&カルチャー マネジャーが登壇し、企業姿勢や今後の活動について発表。オムニチャネルをはじめ、異なる個性を持ったシティーショップ(都心店舗)出店について、「手ごろで環境・地球に優しい商品を好きな方法で購入してもらうのが目的だ」と話す。24年には、群馬・前橋に、最も環境に配慮した郊外型ショップが登場し、250人を新規採用予定だという。

社員1人1人のハッピーが消費者に喜びを与えられる

 イケアのモットーは、“平等” “インクルージョン” “仕事と生活のバランス”。「消費者に喜んでもらうには、社員がハッピーじゃないと無理」というのが根底にある。だから、国籍、性別、学歴などに左右されず働ける環境だ。朝山マネジャー自身が女性管理職だが、同社の女性管理職の割合は51.5%と高い。各社員のライフステージに応じて、誰もが活躍できる職場を目指した制度を採用している。イケアのキャリアパスの説明も興味深かった。通常の企業だと、図にすると横または上に行くのが当たり前と思われがちだが、同社では、ジャングルジムのようなキャリアパスを縦横自在に本人の意思により選べるようになっている。同マネジャーは、「人は、一人一人違う。あなたは、あなたのままでいい。いろいろな人が集まっているから、おもしろい企業文化ができる」と語る。同社に勤務して18年というベテランだが、「会社に行きたくなかった日はない。毎日が楽しい」とにこやかに話す姿が印象的だった。

 同社では、マタニティーに限らず、“パタニティー(父性)休暇”という制度があり、性別関係なく年間15日有給休暇を取れるようになっており、その消化率は100%だと言う。各社員のライフ&ワークバランスはイケアになくてはならないもののようだ。

循環型ビジネスへシフト

 イケアが目指すのは2030年までに再生可能素材またはリサイクル素材を100%使用した循環型ビジネスへのシフトだ。そのために、同社では、認証プログラムへの参加も積極的。現在の再生可能素材を使用した商品の割合は全体の55.8%、リサイクル素材を使用した商品は17.3%だ。アイコニックな「イケア」の青色の“フラクタ”などのバッグや人気のソフトトイ(ぬいぐるみ)などにもリサイクル素材が使用されているそうだ。

 平山絵梨イケア・ジャパン カントリー サステナブル マネジャーは、「イケアで使用する素材のほぼ全てが『FSC(持続可能な森林管理)』認証や『WWF(世界自然保全基金)』認証を受けている。また、アルカリ電池から1000回充電できる充電式電池“ラッダ”(税込499円)に切り替えた。プラスチック包装材も28年までに使用廃止を目指している」と話す。イケアは100%「WWF」認証のベターコットンを使用しているそうだ。17年に始めた「イケア」の家具買い取りサービスは、今まで約3万点を買い取って再販したという。「ダンボールはシュレッダーで緩衝材にしてお客さまへの配送に再利用しており、配送に関しても25年までに100%Co2ゼロエミッションを目指したい」。

提示するだけで子どもをサポートできる「イケア ファミリー」

 メンバーになると割引などが付くプログラム「イケア ファミリー」。「そのメリットはメンバーだけでなく、子どもにもある」と平山マネジャー。同プログラムでは、「子ども募金」という制度があり、会計時にカードを提示するたびに10円が積み立てられる仕組みになっているそうだ。この積立金は、各イケア周辺の自治体の「子ども食堂」をはじめ、教育機関、擁護施設などのサポートに使用される。ちなみに、21年度に集まった金額は約5470万円。10円という微々たるものだがメンバーによる認知と意識次第で、積立金が何倍にも急増する可能性がある。

 私はメンバーではなかったが、即メンバーになった。メンバーの得点というよりは、カード提示で自動的に子どもたちを少しでもサポートできるのが魅力だと思うから。これからはショッピングだけでなく、カフェや食事などでも「イケア」を活用して、「イケア ファミリー」カードを提示しようと思う。

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改めて読み解く、井野デザイナーが「ダブレット」22-23年秋冬で成し遂げたこと

 2022年もすっかり後半に差し掛かった。ファッション業界では海外主要都市の2023年春夏シーズンのファッション・ウイークが終わり、8月末から「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」(通称、東コレ)が始まる。その前に、書き残したいことがあった。私もモデルとして参加した「ダブレット(DOUBLET)」22-23年秋冬コレクションのショーである。発表は1月だったが、店頭に並ぶのは8月のため、この記事を読んで興味を抱いた人は店頭で実物を見てもらえるとうれしい。

車椅子のファッションに
真剣に向き合ったアイテム

 東京2020オリンピック・パラリンピックをきっかけに、マイノリティーな体に関心を持った人は多い。「ダブレット」のデザイナー、井野将之さんもその一人だ。昨年の秋頃、井野さんから「車椅子の人に服を作りたい」と私のところへメッセージが届き、そこから私と「ダブレット」チームで試行錯誤が始まった。

 「アイテムは何がいいのか」「普段の生活で困っていることはないか」「何がほしいか」という対話からスタートし、「長袖は汚れてしまうから袖まくりをしている」「肩の可動域が狭いジャケットは脱着しづらいから選ばない」など、細かな悩みを打ち明けた。最初はそれら一つ一つを解決する方法も考えたが、最終的には「車椅子に乗っている人がかっこいいアイテムが一番だ」という結論に至った。

 そして完成したのが、車椅子に乗っていても肩がけできるライダースジャケットだ。ジャケットを肩がけしている車椅子の人はこれまで見たことがなく、井野さんらしいユニークな変化球だった。中に着たパーカには“WILD DRIVING”の文字と、私の車椅子の柄を刺しゅうした。これは、1980年代に流行したハーレーダビットソン(HARLEY-DAVIDSON)の宣伝用に作られたTシャツのパロディーだ。車椅子に向けた設計に、ブランドを象徴するパンクやY2Kの要素を取り入れて、幅広い人に受け入れられるジャケットになっている。衣服ではなく、ファッションとして提案したいという井野さんの思いを感じた。

人々が行き交う交差点が舞台
「何気ない日常に“多様性”はある」

 ショーの舞台は、渋谷スクランブル交差点を再現した「足利スクランブルシティスタジオ」だった。周りは平地で何もなく、風が強く吹いて強烈に寒かったことを覚えている。

 現場に着くとすぐリハーサルが始まり、ショーの肝であるバーチャルヒューマン“imma”のマスクと髪型にそろえて、コレクションルックに着替えた。緊張感とマスクの閉塞感などが相まって、少々孤独を感じていた。しかし、本番が近づくにつれ、「観客は『ダブレット』のショーに車椅子の私が出てくると想定していない」「私にとっても、ブランドにとっても、全てが初めての体験だ」ということを再認識した。孤独感は徐々に薄れ、高揚感へと変わっていき、本番は堂々とランウエイを歩いていた。

 ショーのフィナーレでモデルが一斉にマスクを脱ぐと、自然と笑みが溢れた。出演者との距離も不思議と縮まり、成功を労うようにハグもした。体に違いはあっても、「人との間をさまたげる」という意味の“障がい”は全く感じない。モデルそれぞれの個性に向き合ったファッションショーだからこそ生まれた、暖かな空気が流れていた。

 キャスティングに加えて、モデルたちが交差点をかき分けていく演出からも、「多様性は日常に潜んでいて、"特別"なものではない」という井野さんのメッセージが伝わってきた。そして、このショーがパリ・コレクションとして全世界へ発信されることに、胸が高鳴った。

考えを深めるきっかけとなった
学生団体との対話

 1月のショーから少し時間がたち、改めて多様性について考える機会があった。7月の上旬、学生服飾団体Keio Fashion Creator(ケイオウファッションクリエイター)からインタビューの依頼を受けたことだ。「ダブレット」のコレクションの一部を借り、実物を見ながら多様性について考えるインタビューとなった。

 まずはアイテムの設計から“衣服”における多様性を考えた。先ほど挙げた“肩がけライダース”は、アームホールが広くて丈が短い。これは車椅子を使っている私に合わせたものだ。ほかにもデニムパンツは、腰から裾にかけて長いダブルジップが2本付いており、ジップの開閉で前身頃が大きく開いて、体が動きにくい人も脱ぎ着しやすい。介助者にとっても履かせやすい設計だ。大きく伸び縮みする“有松絞り”を活用したアイテムも、着る人の体形を選ばない。

 これらの説明を受けて学生たちは、「かっこいいだけでなく、利便性も考えられているデザインに感動した」「車椅子の徳永さんに向けたデザインなのに、みんなが着たいと思えるものになっているがすごい」と感想をくれた。「私のコラム『1%から見るファッション』が伝えたいことはこれだ」と改めて実感し、うれしく思った。

改めて問う「多様性とは何か?」

 続いて学生は、“多様性”の本質についても投げかけてきた。「社会が多様性を推進する一方で、マイノリティへの差別が多くなっているのではないか」「多様性の押し売りになってはいないか」とシビアな意見をもらった。そしてこれらの意見には、私も同意する。言葉の本質を考えず、トレンドになってしまっていると危惧しているからだ。

 ファッション業界でも、既存のジェンダー観に縛られないルックだったり、黒人や有色人種のモデルのバランスを意識したりするブランドをよく見かけるようになった。もちろんこの意識は素晴らしい。その一方で、“偏り”も感じずにはいられない。人種やジェンダーばかりが注目され、身体的マイノリティーの登場が少ない点である。

 身体的マイノリティーをモデルに起用するブランドもある。例えば「モスキーノ(MOSCHIMO)」は22年春夏コレクションに車椅子の黒人トランスジェンダーのアーロン・フィリップ(Aaron Philip)を、「コリーナ ストラーダ(COLLINA STRADA)」は22年春夏コレクションにエミリー・バーカー(Emily Barker)を起用した。義足では、「ユイマ ナカザト(YUIMANAKAZATO)」が21年春夏コレクションのミューズとしてローレン・ワッサー(Lauren Wasser)を起用し、彼女はその後「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の23年クルーズ・コレクションにも出演した。「メゾン ミハラヤスヒロ(MAISON MIHARA YASUHIRO)」22-23年秋冬コレクションのランウエイには、車いすバスケットボール選手の鳥海連志が登場した。

 こう見ると多くのブランドが身体的マイノリティーを起用しているように感じるが、コレクションに参加しているブランド全体を考えるとまだまだ少ない。この多様性の偏りは、“トレンド”という言葉に置き換えられてしまわないだろうか。

発信力のあるブランドこそ、
マジョリティーとマイノリティーの分け隔てなく

 今回の「ダブレット」は、私以外にも低身長モデルのちびもえこと義足モデルのGIMICOを起用している。海外ブランドが実現できていないショーを、「ダブレット」はパリ・コレクションの公式スケジュールでさらっと成し遂げたのだ。

 そして、このショーを世界のファッション業界が見ていることも重要な点である。発信力のあるブランドが、体に障がいがある人を王道のランウエイ形式のショーに起用する。マジョリティーとマイノリティーの分け隔てなく、多様な一人として認知する。その意義は、とてつもなく大きい。

 全てのブランドにこの姿勢を望んでいるのではない。それは多様性の押し売りで、本質を見失うからだ。しかし、多様性がSDGsの課題なのであれば、トレンドでは終わらせてはならない。“多様性”をやみくもに目指すフェーズから、本質を見直す段階に入っている今だからこそ、この言葉の意味を考え、行動に移していきたい。

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「クィア」と「LGBTQ+」はどう違う? 考えたい言葉 vol.27

 「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズの連載「考えたい言葉」は、2週間に1回、同期の若手2人がファッション&ビューティ業界で当たり前に使われている言葉について対話します。担当する2人は普段から“当たり前”について疑問を持ち、深く考え、先輩たちからはきっと「めんどうくさい」と思われているだろうな……とビビりつつも、それでも「メディアでは、より良い社会のための言葉を使っていきたい」と思考を続けます。第27弾は、【クィア】をテーマに語り合いました。「WWDJAPAN.com」では、2人が対話して見出した言葉の意味を、あくまで1つの考えとして紹介します。

若手2人が考える【クィア】

 「クィア(Queer)」は、元々英語で「風変わり」「普通でない」という意味の言葉。19世紀頃から、ジェンダーやセクシュアリティーとしてのニュアンスが強まり、セクシュアルマイノリティーの人々への侮蔑語として使われていた。1990年代からは当事者たちが自らその言葉を使い、エンパワーメントのためにポジティブな言葉として再解釈する社会運動を行った。このような社会運動のプロセスは、“リアプロプリエーション(reappropriation、意味の取り戻し)”と呼ばれる。

 “リアプロプリエーション”を経て、現在ではセクシュアルマイノリティーを指す言葉としてメディアなどでも多用されているものの、軽蔑的に使用されていた頃の記憶から、年配者を中心に拒否反応を示す声が未だにあるのも事実だ。しかし、アルファベットを羅列したLGBTQ+などの用語よりも、「クィア」が好まれている理由もある。“L”は“レズビアン”のようにそれぞれのアルファベットが1つのアイデンティティーを意味しており、多様なセクシュアリティーとジェンダー全てをLGBTQ+という表現で網羅するのは難しいことから“+”が付けられている。対照的に「クィア」は語源から考えても、社会的に”普通”とされてこなかったマジョリティー以外のすべての人を含むことができる、いわゆる“定義しない定義”だといえる。LGBTQ+の“Q”は「クィア」とも解釈されることもあり、この2つが関連していることに違いはないが、ニュアンスや角度によって使い分けられている。

 「クィア」という言葉はファッションなどのスタイルとして使われることもある。もちろん「クィア」当事者のすること全てが「クィア」スタイルと解釈もできるが、最近ではある一定のスタイルとして確立されている。安全のために存在を隠すことの多かったセクシュアルマイノリティーが、その反動で色や形などを誇張し、過度に装飾をする“キャンプ(camp)”と呼ばれるスタイルがその代表格だ。また、「クィア」を冠するイベントや店なども増えており、例えば、ロンドンでは「クィア」デザイナーやモデルに焦点を当てた「ロンドン・クィア・ファッションショー(LONDON QUEER FASHION SHOW)」が開催されている。これらは、「クィア」という一定のスタイルを追求する目的ではなく、当事者たちが偏見などを気にせずに自分らしくいられるセーフスペースを提供するという意味合いが強い。

【ポッドキャスト】

「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズはSpotifyやApple Podcastsでもお聞きいただけます。

ポッドキャスト配信者

佐立武士(さだち・たけし):He/Him。ソーシャルエディター。幼少期をアメリカ・コネチカット州で過ごし、その後は日本とアメリカの高校に通う。早稲田大学国際教養学部を卒業し、新卒でINFASパブリケーションズに入社。在学中はジェンダーとポストコロニアリズムに焦点を置き、ロンドン大学・東洋アフリカ研究学院に留学。学業の傍ら、当事者としてLGBTQ+ウエブメディアでライターをしていた。現在は「WWDJAPAN」のソーシャルメディアとユース向けのコンテンツに注力する。ニックネームはディラン

ソーンマヤ:She/Her。翻訳担当。日本の高校を卒業後、オランダのライデン大学に進学して考古学を主専攻に、アムステルダム大学でジェンダー学を副専攻する。今ある社会のあり方を探求すべく勉強を開始したものの、「そもそもこれまで習ってきた歴史観は、どの視点から語られているものなのだろう?」と疑問を持ち、ジェンダー考古学をテーマに研究を進めた。「WWDJAPAN」では翻訳をメインに、メディアの力を通して物事を見る視点を増やせるような記事づくりに励む

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キンプトン新宿東京がバンタンとコラボレート 若⼿クリエイターが今思う「PEACE」を発信

 ラグジュアリーライフスタイルホテルのキンプトン新宿東京は、バンタンとコラボレートし、未来のクリエイターを⽀援するコミュニティイベントを企画。バンタンが運営するファッション・ヘアメイク・グラフィック・映像のスクール“バンタンデザイン研究所”と製菓・調理・カフェの専⾨校“レコールバンタン”の⽣徒とともに7月26日、ヘアメイクショーおよびアフターパーティー“Nu-Pro(NEW CREATIVE PROJECT)”を開催した。

 イベントのテーマは“PEACE”。ヘアメイクショーでは、監修講師にヘアスタイリストのKUNIO KOHZAKI⽒とATSUSHI TAKITA⽒、メイクアップアーティストのYUKA HIRAC⽒とCHACHA⽒を迎え、ヘアメイク業界のトップクリエイターやインフルエンサー約50人が来場。生徒たちは“PEACE”を“多様性の時代”や“虹”ととらえ、性別や国籍を超えてイメージしたモデル作品20体を発表した。

 イベントを⼿掛けたメンバーと、ショーの来場客が交流する場として開催したアフターパーティーでは、キンプトン新宿東京のエグゼクティブシェフの監修のもと、レコールバンタンの生徒がフードやスイーツ、ドリンクを考案。ショーと同様に“PEACE”をテーマとし、世界の連帯と平和の象徴をイメージした5⾊のフードや、虹⾊のスイーツなどを提供した。

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キンプトン新宿東京がバンタンとコラボレート 若⼿クリエイターが今思う「PEACE」を発信

 ラグジュアリーライフスタイルホテルのキンプトン新宿東京は、バンタンとコラボレートし、未来のクリエイターを⽀援するコミュニティイベントを企画。バンタンが運営するファッション・ヘアメイク・グラフィック・映像のスクール“バンタンデザイン研究所”と製菓・調理・カフェの専⾨校“レコールバンタン”の⽣徒とともに7月26日、ヘアメイクショーおよびアフターパーティー“Nu-Pro(NEW CREATIVE PROJECT)”を開催した。

 イベントのテーマは“PEACE”。ヘアメイクショーでは、監修講師にヘアスタイリストのKUNIO KOHZAKI⽒とATSUSHI TAKITA⽒、メイクアップアーティストのYUKA HIRAC⽒とCHACHA⽒を迎え、ヘアメイク業界のトップクリエイターやインフルエンサー約50人が来場。生徒たちは“PEACE”を“多様性の時代”や“虹”ととらえ、性別や国籍を超えてイメージしたモデル作品20体を発表した。

 イベントを⼿掛けたメンバーと、ショーの来場客が交流する場として開催したアフターパーティーでは、キンプトン新宿東京のエグゼクティブシェフの監修のもと、レコールバンタンの生徒がフードやスイーツ、ドリンクを考案。ショーと同様に“PEACE”をテーマとし、世界の連帯と平和の象徴をイメージした5⾊のフードや、虹⾊のスイーツなどを提供した。

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ポイ捨てがピアスに  “ハイヒールたば子”誕生のきっかけは地元のごみ拾いだった【海の危機、私たちはどう動く?】

 ポイ捨てタバコに人形の靴を履かせたピアス、その名も“ハイヒールたば子”。ウィットにとんだこのアクセサリーを制作したのは、アーティスト、カナコネヅ(KanakoNezzz)だ。地元の川で拾ったプラスチック片やポイ捨てたばこなどを素材にアクセサリーを制作・販売している。きっかけはコロナ下で仲間と始めたごみ拾いだという。

WWDJAPAN(以下、WWD):ブランド名の「境ジュエル(SAKAI JEWEL)」は、東京と神奈川の境を流れる境川に由来しているそうですが、活動のきっかけは?

カナコネヅ(以下、カナコ):近所の境川にゴミが落ちていることはずっと気になっていたけどなかなか一歩が踏み出せなかった。コロナが広がり始めた2020年3月に仲間と飲みながら環境問題を話すなかで「やろうか」となりました。タップダンスを教えていた私はコロナで仕事がなくなり、お金に余裕はないけど時間はあったから。毎朝6時から1時間、川の中でもソーシャルディスタンスをとって拾い始めたらせせらぎの音が気持ち良くて。しかもごみを拾っていると周囲から感謝されて「これは仕事になる」と思いました。

WWD:仕事になるとは?

カナコ:なるというか、する、でしょうか。私たちが拾っていることに気がついて応援してくれる人が増えました。中には「終わったら休憩してね」と、「コメダ珈琲」の回数券くれる方もいてこれは“投げ銭”だな、と。ボランディア精神だけでは続きにくい、でも、ごみ拾いをお金に換えられるなら継続できると考え「アースクロスオーバー」というチームを3人で作り、アクセサリー制作などの活動を始めました。

WWD:デザインは独学?

カナコ:「ユーチューブ」や「ピンタレスト」を見ながらの独学です。学生の頃から古着を材料にミシンを使ってリメイクするのが好きでした。3人兄弟で小遣いが少ないから欲しいものを見つけると「どうやって買おう」ではなく「どうやって作ろう」と考える習慣がついていて。古着という材料は無限にあり、発想次第で欲しいものが作れるから楽しいです。

WWD:それでアクセサリーのパーツとして、境川で拾ったごみを使い始めたと。

カナコ:そうです。川には陶器やガラスの破片が多いですね。雨で増水しているときは町田駅周辺など街でも拾いますが、街にはたばこのポイ捨てが多い。ポイ捨てシリーズのアクセサリーは、タバコの周囲に樹脂を少し塗っては乾かすことを繰り返し固め、人形の靴を履かせました。捨てた人の元へ帰ってね、という意味も込めて。

“2050”リングに込めた海への思い

WWD:どんな反響を得られた?

カナコ:ポイ捨てに関しては「おもしろい」と言ってもらったり、「人が吸っていたものは嫌」だったりとさまざまです。

WWD:リングの「2050」が意味することとは。

カナコ:境川は江ノ島辺りで相模湾へ流れ込みます。茅ヶ崎へビーチクリーンに行ったとき「2050年には海中のプラスチックの量が魚の量を超えるかもしれない」と聞き、そうなる前にアクションを起こそう、とういメッセージを込めました。

WWD:リングの中では男性カップルがキスをしていますね。

カナコ:そうですね。境川の名前でもある“ボーダー”はいろいろな意味があります。LGBTQ、世代、障がい、人種、信仰、人間と人間以外の動物など身近なボーダーを考え、差別をなくすきっかけになったら嬉しいです。

WWD:ごみ拾いは今も続いている?

カナコ:タップダンスの先生、グラフィックデザイナー、そして夜はスナックで働きながら続けています。ただ、最近ごみ拾いに参加する人が増えて、ごみが減ってきました。

WWD:それはすごい。飲み会から始まった輪が広がっている。

カナコ:はい、最近は「アースクロスオーバー」の活動が広がり、企業さんから「廃棄花を活用できないか?」といった相談を受けたりしています。

WWD:オンラインストアのほか、「エシカルコンビニ」などへの卸販売も始めている。アクセサリーを通じて伝えたいことは?

カナコ:この先も美しい地球であってほしい、そのために今を大切に生きる。それがボーダーレスという行動につながってゆくと思う。「境ジュエル」をきっかけに地球で起こっていることに関心が集まったら嬉しいです。


【WWDJAPAN Educations】

【第2期】サステナビリティ・ディレクター養成講座
2022年9月30日(金)開講

 昨年初めて開催し好評を得た「サステナビリティ・ディレクター養成講座」を今年も開講。サステナビリティはこれからの企業経営の支柱や根底となるものであり、実践が急がれる事業の課題である。この課題についてのビジョンを描くリーダーの育成を目的に、必要な思考力・牽引力を身につける全7回のワークショップとなる。前半は各回テーマに沿った第一線で活躍する講師を迎え、講義後にはディスカッションやワークショップを通して課題を明確化し、実践に向けたアクションプランに繋げていく。

 また、受講者だけが参加できるオンライン・コミュニティーでは、「WWDJAPAN」が取り上げるサステナビリティに関する最新ニュースや知っておくべき注目記事をチェックでき、更に講義内容をより深く理解するための情報を「WWDJAPAN」編集部が届ける、まさに“サステナ漬け”の3カ月となる。
講義のみが受講できるオンラインコースも同時に受け付けています。


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ポイ捨てがピアスに  “ハイヒールたば子”誕生のきっかけは地元のごみ拾いだった【海の危機、私たちはどう動く?】

 ポイ捨てタバコに人形の靴を履かせたピアス、その名も“ハイヒールたば子”。ウィットにとんだこのアクセサリーを制作したのは、アーティスト、カナコネヅ(KanakoNezzz)だ。地元の川で拾ったプラスチック片やポイ捨てたばこなどを素材にアクセサリーを制作・販売している。きっかけはコロナ下で仲間と始めたごみ拾いだという。

WWDJAPAN(以下、WWD):ブランド名の「境ジュエル(SAKAI JEWEL)」は、東京と神奈川の境を流れる境川に由来しているそうですが、活動のきっかけは?

カナコネヅ(以下、カナコ):近所の境川にゴミが落ちていることはずっと気になっていたけどなかなか一歩が踏み出せなかった。コロナが広がり始めた2020年3月に仲間と飲みながら環境問題を話すなかで「やろうか」となりました。タップダンスを教えていた私はコロナで仕事がなくなり、お金に余裕はないけど時間はあったから。毎朝6時から1時間、川の中でもソーシャルディスタンスをとって拾い始めたらせせらぎの音が気持ち良くて。しかもごみを拾っていると周囲から感謝されて「これは仕事になる」と思いました。

WWD:仕事になるとは?

カナコ:なるというか、する、でしょうか。私たちが拾っていることに気がついて応援してくれる人が増えました。中には「終わったら休憩してね」と、「コメダ珈琲」の回数券くれる方もいてこれは“投げ銭”だな、と。ボランディア精神だけでは続きにくい、でも、ごみ拾いをお金に換えられるなら継続できると考え「アースクロスオーバー」というチームを3人で作り、アクセサリー制作などの活動を始めました。

WWD:デザインは独学?

カナコ:「ユーチューブ」や「ピンタレスト」を見ながらの独学です。学生の頃から古着を材料にミシンを使ってリメイクするのが好きでした。3人兄弟で小遣いが少ないから欲しいものを見つけると「どうやって買おう」ではなく「どうやって作ろう」と考える習慣がついていて。古着という材料は無限にあり、発想次第で欲しいものが作れるから楽しいです。

WWD:それでアクセサリーのパーツとして、境川で拾ったごみを使い始めたと。

カナコ:そうです。川には陶器やガラスの破片が多いですね。雨で増水しているときは町田駅周辺など街でも拾いますが、街にはたばこのポイ捨てが多い。ポイ捨てシリーズのアクセサリーは、タバコの周囲に樹脂を少し塗っては乾かすことを繰り返し固め、人形の靴を履かせました。捨てた人の元へ帰ってね、という意味も込めて。

“2050”リングに込めた海への思い

WWD:どんな反響を得られた?

カナコ:ポイ捨てに関しては「おもしろい」と言ってもらったり、「人が吸っていたものは嫌」だったりとさまざまです。

WWD:リングの「2050」が意味することとは。

カナコ:境川は江ノ島辺りで相模湾へ流れ込みます。茅ヶ崎へビーチクリーンに行ったとき「2050年には海中のプラスチックの量が魚の量を超えるかもしれない」と聞き、そうなる前にアクションを起こそう、とういメッセージを込めました。

WWD:リングの中では男性カップルがキスをしていますね。

カナコ:そうですね。境川の名前でもある“ボーダー”はいろいろな意味があります。LGBTQ、世代、障がい、人種、信仰、人間と人間以外の動物など身近なボーダーを考え、差別をなくすきっかけになったら嬉しいです。

WWD:ごみ拾いは今も続いている?

カナコ:タップダンスの先生、グラフィックデザイナー、そして夜はスナックで働きながら続けています。ただ、最近ごみ拾いに参加する人が増えて、ごみが減ってきました。

WWD:それはすごい。飲み会から始まった輪が広がっている。

カナコ:はい、最近は「アースクロスオーバー」の活動が広がり、企業さんから「廃棄花を活用できないか?」といった相談を受けたりしています。

WWD:オンラインストアのほか、「エシカルコンビニ」などへの卸販売も始めている。アクセサリーを通じて伝えたいことは?

カナコ:この先も美しい地球であってほしい、そのために今を大切に生きる。それがボーダーレスという行動につながってゆくと思う。「境ジュエル」をきっかけに地球で起こっていることに関心が集まったら嬉しいです。


【WWDJAPAN Educations】

【第2期】サステナビリティ・ディレクター養成講座
2022年9月30日(金)開講

 昨年初めて開催し好評を得た「サステナビリティ・ディレクター養成講座」を今年も開講。サステナビリティはこれからの企業経営の支柱や根底となるものであり、実践が急がれる事業の課題である。この課題についてのビジョンを描くリーダーの育成を目的に、必要な思考力・牽引力を身につける全7回のワークショップとなる。前半は各回テーマに沿った第一線で活躍する講師を迎え、講義後にはディスカッションやワークショップを通して課題を明確化し、実践に向けたアクションプランに繋げていく。

 また、受講者だけが参加できるオンライン・コミュニティーでは、「WWDJAPAN」が取り上げるサステナビリティに関する最新ニュースや知っておくべき注目記事をチェックでき、更に講義内容をより深く理解するための情報を「WWDJAPAN」編集部が届ける、まさに“サステナ漬け”の3カ月となる。
講義のみが受講できるオンラインコースも同時に受け付けています。


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「アディダス」がテベ・マググとコラボ 南アフリカの伝統をスポーツウエアに

 「アディダス」は15日、南アフリカを拠点とするデザイナー、テベ・マググ(Thebe Magugu)とコラボレーションしたカプセルコレクションを発売する。サイズは4XLまで展開し、ジェンダーニュートラルなものや、ヒジャブが付属する露出を控えたスイムウエアなど、あらゆる人の着用を想定したアイテムをそろえる。製品には、ハイテクな機能性素材とともにリサイクル素材も使用している。

 自身の名を冠したブランドを持つマググは、2019年「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE)」のグランプリに輝いた実力者。南アフリカ製の素材や現地の生産背景を生かし、アフリカの伝統をモダンに解釈したウエアを得意とするほか、アイテムに生産のストーリーや情報を記載したタグを加えるなど、サステナブルなモノづくりが評価されている。22年4月には、故アルベール・エルバス(Alber Elbaz)氏が立ち上げた「AZファクトリー(AZ FACTORY)」のゲストデザイナーとして同ブランドのコレクションを手掛けた。

 今回のコラボレーションに際してマググは、「人生で出会ってきた女性たちのエネルギーと、私の母国のヘリテージに大きなインスピレーションを得ている。デザインを通して個人的なストーリーをまとめ、『アディダス』のアイコニックなパフォーマンスやライフスタイルウエアと融合させるのはとても楽しい作業だった。このコレクションは、私を取り巻くポジティブなものや、私にとって大切なコミュニティーの感覚を表現している。着用する人も同じような喜びを感じてくれるとうれしい」と語った。

 22年10月には、コラボコレクションの第二弾をするという。今回はランニングや水泳、トレーニング、テニスといったスポーツに加えて、カジュアルなライフスタイルウエアを手掛けたが、第二弾ではヨガウエアにも着手する予定だ。

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ロンハーマンがNYブランド「BY. ボニー ヤング」とチャリティー企画

 ロンハーマン(RON HERMAN)は、社会貢献活動「ファンデーション1976(Foundation1976)」の一環で、ニューヨーク発の「BY. ボニー ヤング(BY.BONNIE YOUNG)」による「プレイドプロジェクト」コレクションのオーダー会を実施する。ロンハーマン千駄ヶ谷店では7月30日に、ロンハーマン大阪店では8月11日に開始する。

 インド・カシミール地方の女性たちが手編みで作る100%アップサイクルカシミアの大判ショールを主要素材に用いて、コロナ禍で仕事と収入を失った現地の女性たちの雇用創出につなげる。また、ニューヨークで女性の路上生活者が急増していることを受け、ウィン・ファウンデーションを通じて1着につき1枚のブランケットを路上で生活する女性と子どもたちに寄付する。

 コレクションは、レースアップコルセット(23万1000円)とドレープスカート(24万2000円)、オーバーサイズのブラウス(13万2000円)、パンツ(12万1000円)、シャツドレス(29万7000円)をそろえる。

 デザイナーのボニー・ヤング(Bonnie Young)は、「ロンハーマンと一緒にこのプロジェクトに取り組むことで、『私たちはみんなつながっている』という信念を確認できた。国籍、人種、宗教、性別に関わらず、私たちはみんな人間で、基本的な生活必需品を手に入れる権利がある。私にとってよりよい未来とは、貧困を減らし、犯罪を減らし、戦争をなくし、政治的な信条や違いに関係なく、全ての国と政治家が一つの人類として力を合わせ、私たちの故郷である地球の再生に取り組んでいくことを意味する」とコメントを寄せた。

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ロンハーマンがNYブランド「BY. ボニー ヤング」とチャリティー企画

 ロンハーマン(RON HERMAN)は、社会貢献活動「ファンデーション1976(Foundation1976)」の一環で、ニューヨーク発の「BY. ボニー ヤング(BY.BONNIE YOUNG)」による「プレイドプロジェクト」コレクションのオーダー会を実施する。ロンハーマン千駄ヶ谷店では7月30日に、ロンハーマン大阪店では8月11日に開始する。

 インド・カシミール地方の女性たちが手編みで作る100%アップサイクルカシミアの大判ショールを主要素材に用いて、コロナ禍で仕事と収入を失った現地の女性たちの雇用創出につなげる。また、ニューヨークで女性の路上生活者が急増していることを受け、ウィン・ファウンデーションを通じて1着につき1枚のブランケットを路上で生活する女性と子どもたちに寄付する。

 コレクションは、レースアップコルセット(23万1000円)とドレープスカート(24万2000円)、オーバーサイズのブラウス(13万2000円)、パンツ(12万1000円)、シャツドレス(29万7000円)をそろえる。

 デザイナーのボニー・ヤング(Bonnie Young)は、「ロンハーマンと一緒にこのプロジェクトに取り組むことで、『私たちはみんなつながっている』という信念を確認できた。国籍、人種、宗教、性別に関わらず、私たちはみんな人間で、基本的な生活必需品を手に入れる権利がある。私にとってよりよい未来とは、貧困を減らし、犯罪を減らし、戦争をなくし、政治的な信条や違いに関係なく、全ての国と政治家が一つの人類として力を合わせ、私たちの故郷である地球の再生に取り組んでいくことを意味する」とコメントを寄せた。

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週末限定の予約制書店「ロンリネスブックス」が選ぶ、若者に読んで欲しい4冊【後編】

 今回は、若者に読んで欲しいに届けたい書籍を潟見オーナーに選んでもらった。LGBTQ+の社会的地位向上やフェミニズムなど運動が活発に行われているが、マイノリティをはじめ自分のアイデンティティや居場所に悩む若者は少なくない。連帯して解決する、自分のことを自分の言葉でみんなに伝えることがより一層重要になっている今、若者に読んでほしい4冊を紹介する。

前編はファッション&ビューティ業界人に贈る4冊を紹介>>>

“孤独”を感じる若者に読んで欲しい
LGBTQ+とフェミニズムがテーマの本4冊

【選書にあたって/あとがき】

 今回「若者に贈る4冊」を選ぶ際、たまに「ロンリネスブックス」にポツンと1人で来てくれる若い人をイメージしました。あんまり会話もなく、帰り際に「自分はゲイなんです」「人に初めて言いました」って言う方がたまにいて。周りに自分のことが話せず、孤独と感じている若者がたくさんいるんだと実感しました。ここに来るというだけでも少し勇気がいることですし、このような人が無数にいるのだと感じました。周りに親近感を持つこと、連帯して問題の解決に取り組むこと、人とつながって自分のアイデンティティーを肯定すること。これらをテーマにして選びました。

【ロンリネスブックスとは】

 潟見オーナーは、映画ポスターやパンフレットを手掛けるグラフィックデザイナーでもあり、自ら出版物を手掛けることもある。週に1回バーテンダーをしている新宿のバーで、毎週1〜2冊をピックアップして紹介したり、ブックショップを昼間に開催したりしている。クィアやジェンダーの出版物に興味が向いたのは、2011〜12年ごろ。LGBTQ+コミュニティーの定期創刊物のデザインの依頼や、周りの友人らと話していくうちに、自身でも制作しながらそれらに深く関わるようになっていった。社会問題や同性婚についての対話が増え、自身もLGBTQ+コミュニティーに属する当事者として、このトピックスにまつわる対話を増やしていきたいという願いで運営する。

 書店オープンのきっかけは、2019年に東京レインボーパレードにクィア当事者やクィアな事柄を扱うブースに知人らとともに出展したこと。もともと本やジンを集めるのが好きで、それを多くの人にも届けたいという思いで始めた。2015年ごろから韓国や台湾のクィアやジェンダーについて扱う書籍を現地で見たり、製作者らと交流したりし、東アジアのジェンダーやクィアの出版物をキーワードにそろえた。東アジアでは若い世代を中心に出版物を通じて幅広い表現が行われており、それに刺激を受けたという。その後、自宅兼事務所だった大久保のアパートの一室にロンリネスブックスを開いた。店内にはジェンダーだけでなく、アジアのカルチャーを扱う書籍も多い。多国籍な大久保ならではの空気を、ストアに凝縮したいと考えているそうだ。

 予約制にしたことで、安心感のある空間として好評だ。時間のスロットは約2時間。来店者は本を読んだり、友達と話したりして、たっぷり2時間を過ごすことがほとんど。予約者と同行する人のみ入店可能なので、ほかの客と会うことはない。「居心地が良く、ずっとここにいたい」という感想が多く寄せられるといい、書店の空間を活用して、プロジェクターを使った映画上映会も開催している。

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週末限定の予約制書店「ロンリネスブックス」が選ぶ、若者に読んで欲しい4冊【後編】

 今回は、若者に読んで欲しいに届けたい書籍を潟見オーナーに選んでもらった。LGBTQ+の社会的地位向上やフェミニズムなど運動が活発に行われているが、マイノリティをはじめ自分のアイデンティティや居場所に悩む若者は少なくない。連帯して解決する、自分のことを自分の言葉でみんなに伝えることがより一層重要になっている今、若者に読んでほしい4冊を紹介する。

前編はファッション&ビューティ業界人に贈る4冊を紹介>>>

“孤独”を感じる若者に読んで欲しい
LGBTQ+とフェミニズムがテーマの本4冊

【選書にあたって/あとがき】

 今回「若者に贈る4冊」を選ぶ際、たまに「ロンリネスブックス」にポツンと1人で来てくれる若い人をイメージしました。あんまり会話もなく、帰り際に「自分はゲイなんです」「人に初めて言いました」って言う方がたまにいて。周りに自分のことが話せず、孤独と感じている若者がたくさんいるんだと実感しました。ここに来るというだけでも少し勇気がいることですし、このような人が無数にいるのだと感じました。周りに親近感を持つこと、連帯して問題の解決に取り組むこと、人とつながって自分のアイデンティティーを肯定すること。これらをテーマにして選びました。

【ロンリネスブックスとは】

 潟見オーナーは、映画ポスターやパンフレットを手掛けるグラフィックデザイナーでもあり、自ら出版物を手掛けることもある。週に1回バーテンダーをしている新宿のバーで、毎週1〜2冊をピックアップして紹介したり、ブックショップを昼間に開催したりしている。クィアやジェンダーの出版物に興味が向いたのは、2011〜12年ごろ。LGBTQ+コミュニティーの定期創刊物のデザインの依頼や、周りの友人らと話していくうちに、自身でも制作しながらそれらに深く関わるようになっていった。社会問題や同性婚についての対話が増え、自身もLGBTQ+コミュニティーに属する当事者として、このトピックスにまつわる対話を増やしていきたいという願いで運営する。

 書店オープンのきっかけは、2019年に東京レインボーパレードにクィア当事者やクィアな事柄を扱うブースに知人らとともに出展したこと。もともと本やジンを集めるのが好きで、それを多くの人にも届けたいという思いで始めた。2015年ごろから韓国や台湾のクィアやジェンダーについて扱う書籍を現地で見たり、製作者らと交流したりし、東アジアのジェンダーやクィアの出版物をキーワードにそろえた。東アジアでは若い世代を中心に出版物を通じて幅広い表現が行われており、それに刺激を受けたという。その後、自宅兼事務所だった大久保のアパートの一室にロンリネスブックスを開いた。店内にはジェンダーだけでなく、アジアのカルチャーを扱う書籍も多い。多国籍な大久保ならではの空気を、ストアに凝縮したいと考えているそうだ。

 予約制にしたことで、安心感のある空間として好評だ。時間のスロットは約2時間。来店者は本を読んだり、友達と話したりして、たっぷり2時間を過ごすことがほとんど。予約者と同行する人のみ入店可能なので、ほかの客と会うことはない。「居心地が良く、ずっとここにいたい」という感想が多く寄せられるといい、書店の空間を活用して、プロジェクターを使った映画上映会も開催している。

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「クリニーク」が初のメタバースキャンペーンを展開 NFTメイクアップで多様性を尊重

 「クリニーク(CLINIQUE)」は、8888体の女性やノンバイナリーのアバターコレクションを集めたNFTコレクション「ノンファンジブルピープル(Non-Fungible People)」などを展開するDaz 3D社とパートナーシップを組み、ブランド初となるNFTメイクアップキャンペーン「メタバース モア ライク アス(A Metaverse More Like Us)」をメタバース上で展開する。メタバース上で多様性を尊重したコミュニティーを構築することで、“前向きな価値観を作り出すリーダー”としてブランドを位置付けていく。

 ブランドによると、メタバース上では女性のユーザーやクリエイターはわずか20%にしか満たず、女性のNFTアーティストにおいては16%以下という現状だという。また、有色人種や障害を持つアバターの価値は現段階ではほかと比べても低く、表現の多様性に向けての改善点は多い。「メタバース モア ライク アス」では、デジタルの世界でマイノリティなコミュニティーにもスポットを当てていく予定だ。

 さらにメイクアップキャンペーンでは、“リアルではない美の基準”に挑戦して個の美しさを表現するため、世界的なメイクアップアーティストのテス・デリ―、シーカ・デイリー、エミラ・ディ・スペインとコラボレーション。肌の色や顔の形、ヘアスタイルに合うように、それぞれ2種のメイクルックを用意する。これらNFTメイクアップルックは、ランダムに選ばれた各セット1968体の「ノンファンジブルピープル」アバター所有者に提供され、アバター所有者はメイクルックを自身のアバターに使用できる。1つ目のルックセットは7月13日にリリースされ、その後も8月から毎月新しいメイクルックをリリースする予定。

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“クィア“な書店「ロンリネスブックス」が選ぶ、ファッション&ビューティ業界人に読んで欲しい4冊【前編】

 東京・大久保のアパートの一室に構えるのが、週末限定の予約制ブックストア、ロンリネスブックス(Loneliness Books)だ。同店には、アジア各国からクィアやジェンダー、フェミニズム、孤独や連帯にまつわる本やジン、クィア映画のグッズやポスターなど、注目の新作から、中古や古本などの一点ものまでが並ぶ。室内は同店を運営する潟見陽オーナーの自宅も兼ねており、グラフィックデザインや映画に精通する同氏だからこそ作れる安心感のある空間だ。寂しさを意味する店名の“ロンリネス”は、友人の「潟見くんがやるならロンリネスじゃない?」の一言で決まった。「孤独だからこそ、それをかてにして誰かとつながろうとするから、ポジティブな意味もある」という。

 今回は、ファッション&ビューティ業界に届けたい書籍を潟見オーナーに選んでもらった。ファッション&ビューティ業界ではジェンダー規範を打ち破るような取り組みが見られ、マイノリティーが多くいる。だからこそジェンダーについてもっと理解が深まるものや、新たな知見となるもの、ファッション&ビューティに関連性が高く楽しめそうなもの、という観点から選んだ4冊を紹介する。

ファッション&ビューティ業界人に贈る!
ジェンダーとLGBTQ+の視点から社会問題を解き明かす本4冊

【選書にあたって/あとがき】

 今回「ファッション&ビューティ業界に贈る4冊」を選ぶ上で、欧米を起点にこの業界が政治的なアクションをやっているのは知っていたので、応援の気持ちを込めて選びました。日本で日常的に見る広告は未だルッキズムを強化するものが多く、悪影響を生んでいるのではないでしょうか。課題を抱えている部分はまだまだありす。今回の選書にはこの業界を目指す人や、業界人にとって政治的アクションを起こすきっかけ、違和感を感じていいんだと肯定される本が並びます。今のロンリネスブックスは書店兼ライブラリースペースですが、今後は店舗にしたいですね。

【ロンリネスブックスとは】

 潟見オーナーは、映画ポスターやパンフレットを手掛けるグラフィックデザイナーでもあり、自ら出版物を手掛けることもある。週に1回バーテンダーをしている新宿のバーで、毎週1〜2冊をピックアップして紹介したり、ブックショップを昼間に開催したりしている。クィアやジェンダーの出版物に興味が向いたのは、2011〜12年ごろ。LGBTQ+コミュニティーの定期創刊物のデザインの依頼や、周りの友人らと話していくうちに、自身でも制作しながらそれらに深く関わるようになっていった。社会問題や同性婚についての対話が増え、自身もLGBTQ+コミュニティーに属する当事者として、このトピックスにまつわる対話を増やしていきたいという願いで運営する。

 書店オープンのきっかけは、2019年に東京レインボーパレードにクィア当事者やクィアな事柄を扱うブースに知人らとともに出展したこと。もともと本やジンを集めるのが好きで、それを多くの人にも届けたいという思いで始めた。2015年ごろから韓国や台湾のクィアやジェンダーについて扱う書籍を現地で見たり、製作者らと交流したりし、東アジアのジェンダーやクィアの出版物をキーワードにそろえた。東アジアでは若い世代を中心に出版物を通じて幅広い表現が行われており、それに刺激を受けたという。その後、自宅兼事務所だった大久保のアパートの一室にロンリネスブックスを開いた。店内にはジェンダーだけでなく、アジアのカルチャーを扱う書籍も多い。多国籍な大久保ならではの空気を、ストアに凝縮したいと考えているそうだ。

 予約制にしたことで、安心感のある空間として好評だ。時間のスロットは約2時間。来店者は本を読んだり、友達と話したりして、たっぷり2時間を過ごすことがほとんど。予約者と同行する人のみ入店可能なので、ほかの客と会うことはない。「居心地が良く、ずっとここにいたい」という感想が多く寄せられるといい、書店の空間を活用して、プロジェクターを使った映画上映会も開催している。

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「ジバンシイ」ビューティがNFTアートの第二弾を発表 プライド月間を支援

 「パルファム ジバンシイ(PARFUMS GIVENCHY)」は、プライド月間を記念したNFT(Non Fungible Tokens/非代替性トークン。独自性と信頼性を確保する方法でエンコードされたデジタル作品)アートの新作を発表した。アート作品は29日(パリ時間)に「ジバンシィ ビューティ(GIVENCHY BEAUTY)」の公式インスタグラムアカウント(@givenchybeauty)で公開した。

 ロンドンのギャラリーオーナーで LGBTQ+活動家のアマール・シン(Amar Singh)、アーティストのリワインド・コレクティブ(Rewind Collective)と共同で、ブランドを代表するフェイスパウダー“プリズム・リーブル”シリーズのロゴやレインボーフラッグのカラーを取り入れた作品を手掛けた。販売期間は6月29日〜7月6日。モバイルファーストのデジタルコレクティブルズプラットホームのヴィヴィ(VeVe)で1952個の限定シリーズとして取り扱う。6月17日に公開した作品同様に、収益は全額、フランスのLGBTQ+支援組織のLe MAG Jeunes(Movement for the Assertion of Young Gay, Lesbian, Bi & Trans people)に寄付する。

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2022年のLGBTQ+「プライド月間」を祝うブランド15選 「アミ パリス」「ドクターマーチン」「バレンシアガ」など

 毎年6月の「プライド月間(Pride Month)」は、LGBTQ+コミュニティーや性の多様性を祝う月として、世界各国でイベントやオンライン上での情報発信が活発に行われる。ファッション&ビューティ業界でも、LGBTQ+コミュニティーへのサポートを表明するキャンペーンや、社内外で多様性と包括性を改善するための取り組みを見直すなどの動きが多くみられる。また、LGBTQ+コミュニティーを象徴するレインボーモチーフのアイテムを発売し、その利益をコミュニティーの支援に充てるなども定番となっている。この記事では、取り組みやキャンペーン、アイテムを2022年に発表した15ブランドを紹介する。

「プライド」「プライド月間」とは?

 「プライド」は、英語で"誇り"や"自尊心"を意味するが、英語圏では近年、「プライド」はLGBTQ+コミュニティーの"誇り"や"自尊心"を指すことが多い。西洋では特にキリスト教の影響で、同性愛が"罪"であり、"恥(シェイム、shame)"であるとされてきたことから、その反対である「プライド」という言葉を使って社会運動を始めたとされる。

 1年を通しLGBTQ+の社会的活動は行われているが、1969年6月28日にニューヨークのLGBTQ+のコミュニティーが集まるバー、ストーンウオール・イン(STONEWALL INN)の客が度重なる警察の踏み込み捜査と暴力に立ち向かい、デモを起こしたことから、6月に特に活発にマーチやパレードなどを行うようになった。近年では”映える”レインボーのグッズにばかり注目が集まりビジネスチャンスとしか見ない“レインボー資本主義”を危惧する声もあがっている。その売り上げが支援に使われているかどうか、企業がどのような取り組みを行なっているのか、判断することが求められていると言える。

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LGBTQ+「プライド月間」を祝うブランド15選

「アミ パリス」がトーマス・デーリー選手とのコラボニットをオークションで発表

 「アミ パリス(AMI PARIS)」が男子高飛び込みのトーマス・デーリー(Thomas Daley)選手とコラボした2種類のニットを発表。デーリー選手は編み物好きで知られ、1種類は本人が手編みしたロゴが施されている。アイテムはオンラインオークションで落札され、売り上げは慈善団体カレイドスコープ・トラスト(KALEIDOSCOPE TRUST)に100%寄付される。同団体はイギリスを拠点に2011年に設立され、LGBTQ+コミュニティーの人権のために活動している。デーリー選手はゲイであることをオープンに活動している。

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サンダルやバッグ、アパレルのプライドコレクションを発売した「アグ」

 「アグ(UGG)」は、 “オールジェンダープライドコレクション“を発表。サンダルをはじめ、アパレルとバッグも用意。米国ではトレバー・プロジェクト(THE TREVOR PROJECT)を、日本では東京レインボープライド(TOKYO RAINBOW PRIDE)を支援している。今年度は、トレバー・プロジェクトに12万5000ドル(約1687万5000円)を寄付したほか、2020年から継続支援している東京レインボープライドには同コレクションの一部売上金を寄付する。

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「ヴェルサーチェ」からLGBTQ+コミュニティーサポートするヴェルサーチェ財団が誕生

 「ヴェルサーチェ(VERSACE)」の親会社カプリ・ホールディングス(CAPRI HOLDINGS)は、6月のプライド月間に合わせてLGBTQ+コミュニティーの認知度向上と支援を目的としたヴェルサーチェ財団を創設し、財団の活動費用として1000万ドル(約13億5000万円)の寄付を約束。財団の具体的な活動内容は随時発表される予定だ。

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「H&M」が“家族”をテーマにしたキャンペーンを公開

 「H&M」は、“My Chosen Family(私が選んだ家族)”をテーマにしたキャンペーンページを公開。血縁や生物学的な結びつきにとらわれない、愛することを自ら選んだ人たちで構成される家族という概念に焦点を当てている。特に3つの家族に焦点を当て、彼らのストーリーを写真、動画やインタビューで紹介した。LGBTQ+コミュニティーの平等な権利と公正な扱いを支持する国連の“フリー・アンド・イコール・キャンペーン(FREE & EQUAL CAMPAIGN)”に10万ドル(約1350万円)の寄付を行う。

「ラッシュ」が同性婚法制化の“サイレントデモ”とキャンペーンを開催

 「ラッシュ(LUSH)」は6月28日、東京と大阪で同性婚の法制化に向けた街宣活動を開催した。「ラッシュ」のスタッフのほか、公益社団法人マリッジ・フォー・オール・ジャパン(Marriage For All Japan、結婚の自由をすべての人に)、LGBT支援団体、同性婚訴訟の一部原告らが参加し、婚姻の平等を訴えた。12人のクリエイターが婚姻の平等をテーマに制作したアートをポストカードやデータとして配布し、カジュアルに賛同の輪を広げていくという企画も行っている。

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「バートン」とコラボしてプライドコレクションを発表できるチャンス

 スノーボードブランド「バートン(BURTON)」は、プライドコレクションでコラボするアーティストを7月1日まで募集している。ポートフォリオやデザイン、Tシャツの絵型などで応募、当選した人は同ブランドのプロダクトチームと協業し、プライドコレクションをローンチできる。また、プライドを記念し、アウトドアを通じてLGBTQ+をサポートする団体ザ・ヴェンチャー・アウト・プロジェクト(THE VENTURE OUT PROJECT)に2万ドル(約270万円)を寄付する。

LGBTQ+の声を発信するプラットフォームを公開した「ドクターマーチン」

 「ドクターマーチン(DR.MARTENS)」は、動画を通じてLGBTQ+コミュニティーの声を発信するプラットフォーム“プライド ジェネレーションズ(PRIDE GENERATIONS)”を公開。最初の動画となるエピソード1では、有色人種のLGBTQ+コミュニティーのためのUK・ブラック・プライド(UK BLACK PRIDE)とトランジェンダーコミュニティーのためのロンドン・トランス・プライド(LONDON TRANS PRIDE)の創設者に焦点を置いた。これからもアーティストやクリエーターとのコラボも行い継続的に活動していく。また、同ブランドは認定特定非営利活動法人リビット(REBIT)を含む世界中のLGBTQ+団体に毎年20万ポンド(約3300万円)以上を寄付している。

プライドコレクションを発表した「バレンシアガ」

 「バレンシアガ(BALENCIAGA)」は、アパレルやジュエリーのシリーズ“バレンシアガ プライド 22(BALENCIAGA PRIDE 22)”を発表。売上の15%は、LGBTIQ+の⼈権擁護および推進を行うNPO団体アウトライト アクション インターナショナル(OUTRIGHT ACTION INTERNATIONAL)に寄付する。写真を中心としたキャンペーン“エニバディ イズ クィア(ANYBODY IS QUEER)”も公開した。

>>>>詳細はこちら

インタビューコンテンツでプライド月間を盛り上げる「ラルフ ローレン」

 30年以上にわたってLGBTQ+コミュニティーの継続的支援を行う「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」は、インタビューで構成した動画を公開。LGBTQ+ニュースやファッション、エンタメ、ライフスタイルなどを扱う「アウト(OUT)」マガジンの元編集長、フィリップ・ピカルディ(Phillip Picardi)らがプライドの歴史、“アメリカンドリーム”の考察、コミュニティーについてなどを語っている。合わせて、レインボーモチーフを取り入れたカシミアセーターやポロシャツ、スニーカーなどを発売。ストーンウォールコミュニティー財団(STONEWALL COMMUNITY FOUNDATION)と提携して寄付を行うほか、寄付活動を購入者に呼びかける。

米時計大手の「フォッシル」、レインボーとトランスジェンダーフラッグカラーのコレクションを発表

 米時計大手の「フォッシル(FOSSIL)」は、限定カプセルコレクションを発売。コレクションの売り上げ全額、最低でも10万ドル(約1350万円)をLGBTQ+コミュニティーの若い年代の自殺防止に働きかけるNPO団体、トレバー・プロジェクトに寄付する。

カーラ・デルヴィーニュらがデザインに関わったコレクションを発売した「プーマ」

 ブランドのアンバサダーを務めるカーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)とカラ・サイクス(Carra Sykes)がデザインに携わった“トゥギャザー フォーエバー(TOGETHER FOREVER)”コレクションを発売した「プーマ(PUMA)」。鮮やかなカラーやロゴを使ったTシャツやフーディー、ショートパンツ、ブラレット、レギンスなどをそろえた。コレクションの収益の20%、最低でも25万ドル(約3375万円)を中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟(GAY & LESBIAN ALLIANCE AGAINST DEFAMATION以下、GLAAD)に寄付する。

リアーナによる「サヴェージ x フェンティ」、第2弾となるプライドコレクションを発売

 リアーナ(Rihanna)によるランジェリーブランド「サヴェージ x フェンティ(SAVAGE X FENTY)」は、第2弾となるプライドコレクションを発売した。レースやラメ、メッシュ素材などを使ったカラフルな4シリーズを展開。ランジェリーに加えて、アパレルやガーターベルト、ストッキングなどのアクセサリーもそろえる。売り上げはGLAADに寄付するほか、2012年にリアーナが立ち上げた非営利団体のクラーラ・ライオネル・ファンデーション(CLARA LIONEL FOUNDATION)と協力して、黒人のトランスジェンダーを支援するフォー・ザ・ガールズ(FOR THE GWORLS)にも寄付する。

ビデオコンテンツと限定コレクションでLGBTQ+コミュニティーを支援する「ケイト・スペード ニューヨーク」

 “セレブレート ウィズ プライド(Celebrate with Pride)”キャンペーンを展開する「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」は、今年もトレバー・プロジェクトと提携。3年目となる今回は、パートナーシップの一環として同団体に15万ドル(約2025万円)を寄付する。プライドコレクションの売り上げの10%も同様に寄付する。ほかにも、プライド月間に関連したビデオコンテンツを作成し、ウェブサイトやSNSで公開した。

「キャロリーナ ヘレラ」はジュエリーの限定カプセルコレクションを発表

 「キャロリーナ ヘレラ(CAROLINA HERRERA)」は、クリスタルを使用したレインボーカラーのネックレスやイヤリングの限定カプセルコレクションを発売。売り上げの全額を、ニューヨークのLGBTQコミュニティーにヘルスケアなどを提供するヘルスセンター、キャレン・ロード(CALLEN-LORDE)に寄付する。

「クレージュ」、ザ・ウェブスターとコラボしてアーカイブアイテムをレインボーに再解釈

 マイアミ発ラグジュアリーセレクトショップ「ザ・ウェブスター(THE WEBSTER)」と「クレージュ(COURREGES)」は、プライド月間を祝うカプセルコレクションを発売。「クレージュ」のアーカイブと、アーカイブアイテムを再解釈した“リエディション コレクション(Reedition Collection)”のアイテムを、公式プライドフラッグに使用されるそれぞれのカラーを使ってアレンジ。ユニセックスのTシャツなどを展開した。収益の全額を、クィア文化のクリエイティビティーやコミュニティーの権利向上を推進するソーシャルプラットフォーム、ノードラマ(NO DRAMA)に寄付する。

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2022年のLGBTQ+「プライド月間」を祝うブランド15選 「アミ パリス」「ドクターマーチン」「バレンシアガ」など

 毎年6月の「プライド月間(Pride Month)」は、LGBTQ+コミュニティーや性の多様性を祝う月として、世界各国でイベントやオンライン上での情報発信が活発に行われる。ファッション&ビューティ業界でも、LGBTQ+コミュニティーへのサポートを表明するキャンペーンや、社内外で多様性と包括性を改善するための取り組みを見直すなどの動きが多くみられる。また、LGBTQ+コミュニティーを象徴するレインボーモチーフのアイテムを発売し、その利益をコミュニティーの支援に充てるなども定番となっている。この記事では、取り組みやキャンペーン、アイテムを2022年に発表した15ブランドを紹介する。

「プライド」「プライド月間」とは?

 「プライド」は、英語で"誇り"や"自尊心"を意味するが、英語圏では近年、「プライド」はLGBTQ+コミュニティーの"誇り"や"自尊心"を指すことが多い。西洋では特にキリスト教の影響で、同性愛が"罪"であり、"恥(シェイム、shame)"であるとされてきたことから、その反対である「プライド」という言葉を使って社会運動を始めたとされる。

 1年を通しLGBTQ+の社会的活動は行われているが、1969年6月28日にニューヨークのLGBTQ+のコミュニティーが集まるバー、ストーンウオール・イン(STONEWALL INN)の客が度重なる警察の踏み込み捜査と暴力に立ち向かい、デモを起こしたことから、6月に特に活発にマーチやパレードなどを行うようになった。近年では”映える”レインボーのグッズにばかり注目が集まりビジネスチャンスとしか見ない“レインボー資本主義”を危惧する声もあがっている。その売り上げが支援に使われているかどうか、企業がどのような取り組みを行なっているのか、判断することが求められていると言える。

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LGBTQ+「プライド月間」を祝うブランド15選

「アミ パリス」がトーマス・デーリー選手とのコラボニットをオークションで発表

 「アミ パリス(AMI PARIS)」が男子高飛び込みのトーマス・デーリー(Thomas Daley)選手とコラボした2種類のニットを発表。デーリー選手は編み物好きで知られ、1種類は本人が手編みしたロゴが施されている。アイテムはオンラインオークションで落札され、売り上げは慈善団体カレイドスコープ・トラスト(KALEIDOSCOPE TRUST)に100%寄付される。同団体はイギリスを拠点に2011年に設立され、LGBTQ+コミュニティーの人権のために活動している。デーリー選手はゲイであることをオープンに活動している。

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サンダルやバッグ、アパレルのプライドコレクションを発売した「アグ」

 「アグ(UGG)」は、 “オールジェンダープライドコレクション“を発表。サンダルをはじめ、アパレルとバッグも用意。米国ではトレバー・プロジェクト(THE TREVOR PROJECT)を、日本では東京レインボープライド(TOKYO RAINBOW PRIDE)を支援している。今年度は、トレバー・プロジェクトに12万5000ドル(約1687万5000円)を寄付したほか、2020年から継続支援している東京レインボープライドには同コレクションの一部売上金を寄付する。

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「ヴェルサーチェ」からLGBTQ+コミュニティーサポートするヴェルサーチェ財団が誕生

 「ヴェルサーチェ(VERSACE)」の親会社カプリ・ホールディングス(CAPRI HOLDINGS)は、6月のプライド月間に合わせてLGBTQ+コミュニティーの認知度向上と支援を目的としたヴェルサーチェ財団を創設し、財団の活動費用として1000万ドル(約13億5000万円)の寄付を約束。財団の具体的な活動内容は随時発表される予定だ。

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「H&M」が“家族”をテーマにしたキャンペーンを公開

 「H&M」は、“My Chosen Family(私が選んだ家族)”をテーマにしたキャンペーンページを公開。血縁や生物学的な結びつきにとらわれない、愛することを自ら選んだ人たちで構成される家族という概念に焦点を当てている。特に3つの家族に焦点を当て、彼らのストーリーを写真、動画やインタビューで紹介した。LGBTQ+コミュニティーの平等な権利と公正な扱いを支持する国連の“フリー・アンド・イコール・キャンペーン(FREE & EQUAL CAMPAIGN)”に10万ドル(約1350万円)の寄付を行う。

「ラッシュ」が同性婚法制化の“サイレントデモ”とキャンペーンを開催

 「ラッシュ(LUSH)」は6月28日、東京と大阪で同性婚の法制化に向けた街宣活動を開催した。「ラッシュ」のスタッフのほか、公益社団法人マリッジ・フォー・オール・ジャパン(Marriage For All Japan、結婚の自由をすべての人に)、LGBT支援団体、同性婚訴訟の一部原告らが参加し、婚姻の平等を訴えた。12人のクリエイターが婚姻の平等をテーマに制作したアートをポストカードやデータとして配布し、カジュアルに賛同の輪を広げていくという企画も行っている。

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「バートン」とコラボしてプライドコレクションを発表できるチャンス

 スノーボードブランド「バートン(BURTON)」は、プライドコレクションでコラボするアーティストを7月1日まで募集している。ポートフォリオやデザイン、Tシャツの絵型などで応募、当選した人は同ブランドのプロダクトチームと協業し、プライドコレクションをローンチできる。また、プライドを記念し、アウトドアを通じてLGBTQ+をサポートする団体ザ・ヴェンチャー・アウト・プロジェクト(THE VENTURE OUT PROJECT)に2万ドル(約270万円)を寄付する。

LGBTQ+の声を発信するプラットフォームを公開した「ドクターマーチン」

 「ドクターマーチン(DR.MARTENS)」は、動画を通じてLGBTQ+コミュニティーの声を発信するプラットフォーム“プライド ジェネレーションズ(PRIDE GENERATIONS)”を公開。最初の動画となるエピソード1では、有色人種のLGBTQ+コミュニティーのためのUK・ブラック・プライド(UK BLACK PRIDE)とトランジェンダーコミュニティーのためのロンドン・トランス・プライド(LONDON TRANS PRIDE)の創設者に焦点を置いた。これからもアーティストやクリエーターとのコラボも行い継続的に活動していく。また、同ブランドは認定特定非営利活動法人リビット(REBIT)を含む世界中のLGBTQ+団体に毎年20万ポンド(約3300万円)以上を寄付している。

プライドコレクションを発表した「バレンシアガ」

 「バレンシアガ(BALENCIAGA)」は、アパレルやジュエリーのシリーズ“バレンシアガ プライド 22(BALENCIAGA PRIDE 22)”を発表。売上の15%は、LGBTIQ+の⼈権擁護および推進を行うNPO団体アウトライト アクション インターナショナル(OUTRIGHT ACTION INTERNATIONAL)に寄付する。写真を中心としたキャンペーン“エニバディ イズ クィア(ANYBODY IS QUEER)”も公開した。

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インタビューコンテンツでプライド月間を盛り上げる「ラルフ ローレン」

 30年以上にわたってLGBTQ+コミュニティーの継続的支援を行う「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」は、インタビューで構成した動画を公開。LGBTQ+ニュースやファッション、エンタメ、ライフスタイルなどを扱う「アウト(OUT)」マガジンの元編集長、フィリップ・ピカルディ(Phillip Picardi)らがプライドの歴史、“アメリカンドリーム”の考察、コミュニティーについてなどを語っている。合わせて、レインボーモチーフを取り入れたカシミアセーターやポロシャツ、スニーカーなどを発売。ストーンウォールコミュニティー財団(STONEWALL COMMUNITY FOUNDATION)と提携して寄付を行うほか、寄付活動を購入者に呼びかける。

米時計大手の「フォッシル」、レインボーとトランスジェンダーフラッグカラーのコレクションを発表

 米時計大手の「フォッシル(FOSSIL)」は、限定カプセルコレクションを発売。コレクションの売り上げ全額、最低でも10万ドル(約1350万円)をLGBTQ+コミュニティーの若い年代の自殺防止に働きかけるNPO団体、トレバー・プロジェクトに寄付する。

カーラ・デルヴィーニュらがデザインに関わったコレクションを発売した「プーマ」

 ブランドのアンバサダーを務めるカーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)とカラ・サイクス(Carra Sykes)がデザインに携わった“トゥギャザー フォーエバー(TOGETHER FOREVER)”コレクションを発売した「プーマ(PUMA)」。鮮やかなカラーやロゴを使ったTシャツやフーディー、ショートパンツ、ブラレット、レギンスなどをそろえた。コレクションの収益の20%、最低でも25万ドル(約3375万円)を中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟(GAY & LESBIAN ALLIANCE AGAINST DEFAMATION以下、GLAAD)に寄付する。

リアーナによる「サヴェージ x フェンティ」、第2弾となるプライドコレクションを発売

 リアーナ(Rihanna)によるランジェリーブランド「サヴェージ x フェンティ(SAVAGE X FENTY)」は、第2弾となるプライドコレクションを発売した。レースやラメ、メッシュ素材などを使ったカラフルな4シリーズを展開。ランジェリーに加えて、アパレルやガーターベルト、ストッキングなどのアクセサリーもそろえる。売り上げはGLAADに寄付するほか、2012年にリアーナが立ち上げた非営利団体のクラーラ・ライオネル・ファンデーション(CLARA LIONEL FOUNDATION)と協力して、黒人のトランスジェンダーを支援するフォー・ザ・ガールズ(FOR THE GWORLS)にも寄付する。

ビデオコンテンツと限定コレクションでLGBTQ+コミュニティーを支援する「ケイト・スペード ニューヨーク」

 “セレブレート ウィズ プライド(Celebrate with Pride)”キャンペーンを展開する「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」は、今年もトレバー・プロジェクトと提携。3年目となる今回は、パートナーシップの一環として同団体に15万ドル(約2025万円)を寄付する。プライドコレクションの売り上げの10%も同様に寄付する。ほかにも、プライド月間に関連したビデオコンテンツを作成し、ウェブサイトやSNSで公開した。

「キャロリーナ ヘレラ」はジュエリーの限定カプセルコレクションを発表

 「キャロリーナ ヘレラ(CAROLINA HERRERA)」は、クリスタルを使用したレインボーカラーのネックレスやイヤリングの限定カプセルコレクションを発売。売り上げの全額を、ニューヨークのLGBTQコミュニティーにヘルスケアなどを提供するヘルスセンター、キャレン・ロード(CALLEN-LORDE)に寄付する。

「クレージュ」、ザ・ウェブスターとコラボしてアーカイブアイテムをレインボーに再解釈

 マイアミ発ラグジュアリーセレクトショップ「ザ・ウェブスター(THE WEBSTER)」と「クレージュ(COURREGES)」は、プライド月間を祝うカプセルコレクションを発売。「クレージュ」のアーカイブと、アーカイブアイテムを再解釈した“リエディション コレクション(Reedition Collection)”のアイテムを、公式プライドフラッグに使用されるそれぞれのカラーを使ってアレンジ。ユニセックスのTシャツなどを展開した。収益の全額を、クィア文化のクリエイティビティーやコミュニティーの権利向上を推進するソーシャルプラットフォーム、ノードラマ(NO DRAMA)に寄付する。

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「コーチ」がプライド月間を祝したスペシャルムービー公開 りゅうちぇるやギュテらが出演

 「コーチ(COACH)」は、LGBTQ+コミュニティーを支援する6月のプライド月間を記念して、同コミュニティーを讃えるメッセージ“Go All Out For Pride”を発表した。その一環として発売したオールジェンダーコレクションに続いて、スペシャルムービーも公開した。同ブランドの公式オンラインサイトで見ることが可能だ。

 ムービーには、タレントやモデルとして活動するりゅうちぇる(ryuchell)をはじめ、美容クリエイターのギュテ(GYUTAE)やジェンダーレスメイクアップアーティストのズッチ(Zutti)、ラッパーのヒヤダム(HIYADAM)が出演。“自分らしさ”をテーマに、彼らがありのままの自分について率直に語っている。

 同プロジェクトについてクリエイティブ・ディレクターのスチュアート・ヴィヴァース(Stuart Vevers)は、「プライド月間を祝うことは、ありのままの自分を表現するよう私たちをインスパイアすることであり、リアルな自分でいられることへのオマージュでもあります。『コーチ』は、誇りを持って全力で生きるすべての人々を讃えます」とコメントしている。

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変化したジェンダープロナウンの定義を説明できますか?【まだ、あなたが知らないニューヨーク最新トレンド】

 ニューヨークのファッション業界で活躍するクリエイティブ・ディレクター、メイ(May)と、仕事仲間でファッションエディターのスティービー(Stevie)による連載“You’d Better Be Handsome”の23回目。ファッションだけでなく、カルチャートレンドに詳しいレイチェルも加わって今回もトーク。毎年6月はプライド月間(Pride Month)としても知られる。LGBTQの権利を主張する活動やイベントが多く行われている中で、ジェンダーアイデンティティーを今どきどう解釈したらいいのか、LGBTQの活躍抜きでは語れないファッション業界で働く3人でさえ、頻繁にアップデートをしていかないとついていけない今どきのジェンダー代名詞、“プロナウン”について一緒に考えてみる。

 ノマド(NOMAD)、イレブンマジソン(ELEVEN MADISON)など、話題の高級店で経験を積み上げた注目シェフ、ジェームス・ケント(James Kent)による初のレストラン「クラウン シャイ(CROWN SHY)」 。2020年にアールデコのデザインで知られるビルの1階にオープンし、ミシュラン一つ星も獲得している。季節の素材を生かした前菜、味わい深いショートリブステーキなどが活気溢れるオープンキッチンから運ばれてくる。同じビルの63階にも、ジェームス・ケントによる「サガ(SAGA)」が昨年オープン。夜景を楽しみたいときはこちらがおすすめ。

CROWN SHY
70 Pine Street, New York, NY 10005
TEL 212. 517.1932

変化したジェンダープロナウンの定義

メイ:メールのやりとりの中で、自分の名前や肩書きの並びに、自分が呼んでほしい “プロナウン”を入れる人がちらほらいるよね?

スティービー:自分の周りでは特にフォトエージェントやモデルエージェントの男性に多い気がする。

レイチェル:生まれたときに割り当てられた性別とは別に、自分は自分のことをどう捉えているか、周りにはどう呼んでほしいか。それが女性ならばShe/Her、男性ならばHe/Him、ここまではシンプルなのだけど、どちらにも当てはまらない、またはニュートラルという場合はThey/Themを選択する人もいる。

メイ:単純にプロナウンを「彼、彼女」などの“代名詞”とした場合、1人の人で単数なのに、なんで複数形になるの?って思ってしまったりしたけど、これもすぐに慣れてくるもの。今は、この人はThey/Themなんだって一つの情報として認識する程度。

スティービー:複数とか単数とかが分かりづらい、Ze/HirやZe/Zirという選択肢もあるみたい。They/Themと同じで、ニュートラルなプロナウンになっている。周りで使っている人にはまだ会ったことはないけど。今どきの高校生や大学生だったら普通にいるのかもね。

レイチェル:そうそう。その関連の話になるとよく聞く、ジェンダーアイデンティティーやセクシャルアイデンティティーは、どちらも別のことを指すのにもかかわらず一緒にされがちで、さらにややこしくなっている気がする。

メイ:ジェンダーアイデンティティーは出生時に割り当てられた性別だけではなく、その後自身の本来のジェンダーに気づくことで決まってくるけれど、セクシャルアイデンティティーは、基本的に自分のパートナーに選ぶ人や自分が性的に求める人が男か女か、またはどちらもなのかなどで決まってくる。

スティービー:その性別が生まれたときに割り当てられる性別と違う場合には、受け入れてくれる環境がとても大切になってくるよね。

レイチェル:ニューヨークではそうやってメールに自分はこれって書くくらいオープンにはなってきているけれど、米国でも保守的な州ではトランスジェンダーの子どもにホルモン治療をしたら医者も親も罰せられたりとかなり差があるのも事実。

教育の場でも浸透しているプロナウン

レイチェル:最近では、高校生とかは新学期に先生が子どもたちに、どのジェンダープロナウンで呼んだらいいかを1人ずつ確認されるらしい。

メイ:以前からある名前を覚えるためのネームステッカーも、最近ではプロナウンを書く欄があったりする。

スティービー:例えば小学校や大学の受験票の記入の仕方も、数年前とはまったく違うんだよ。知ってた?900校以上の大学が参加しているコモン・アプリケーション(Common Application)というシステムがあるんだけど、そこでの願書上に、“どのプロナウンを使うか?”と、まるで誕生日や住所と同じレベルで書く欄がある。

レイチェル:He/Him, She/Her, They/Them、または“他の呼び名を入れる”という選択肢も。ちなみに性別の欄=ジェンダーでは、Female、 Male、 Non-binary、(ノンバイナリー)、Add Anotherという選択肢が。

メイ:ノンバイナリーは、男女の分け方には当てはまらないが、それ一つのジェンダーアイデンティティーとして認知されている。

スティービー:大学受験の際はそれくらいで済むけど、小学校や中学校に入学するときの書類はさらにもっと詳しい情報を聞かれる。まずはジェンダーアイデンティティー。僕が見たものでは、8つの選択肢があって、Girl, Boy、Trans Girl、Trans Boy、Non-binary、Gender Fluid(ジェンダーフルイド)、Prefer not to say、Prefer to self-describeとなっていた。

メイ:“ジェンダーフルイド”というのは、こういう公の場所でもジェンダーアイデンティティーとしてすでに認知されているものなんだね。2017年に、 モデルのジジ・ハディッド(Gigi Hadid)がパートナーのゼイン・マリック(Zayn Malik)と米「ヴォーグ(VOGUE)」のカバーを飾った際に、「ヴォーグ」のライターが彼女のスタイルを“ジェンダーフルイド”と表現したことで、かなり炎上していた記憶がある。

レイチェル:私も覚えてる。メンズっぽい服をジジが着たくらいで、気軽に彼女をジェンダーフルイドと呼ぶな、みたいな。おまけに、2人がジェンダーフルイドと書かれた時点で、実はこのリアルライフカップルはノンバイナリーということをカミングアウトしたのか、と勘違いした人たちも多かったらしい。

スティービー:そこにはジェネレーションギャプもあるね。ミレニアル世代にジェンダーフルイドというと、性を超えたり、変えたり、自分の気持ちに自由に生きているというイメージ。その上の世代、特にファッション誌でジェンダーフルイドというと、“アンドロジニー”とか“メンズライク”というスタイルを今っぽく表現してみた、みたいな。

メイ:例えば、ゼインと同様、ポップアイドルグループのワン・ダイレクション(One Direction)のハリー・スタイルズ(Harry Styles)も、よく「グッチ(GUCCI)」のフローラルプリントを着たり、ネイルカラーのブランドを作ったり、これまでの概念でいうところの女性っぽいファッションを楽しんでいるようだけど、あくまで性別は男性で、これまでのパートナーも私たちが知る限り全員女性。そういう人のことは“ジェンダーフルイド”とは呼ばず、あくまでファッションやスタイル、もしくは生き方がジェンダーフルイド、みたいな表現が合っているんだと思うけど、気をつけないと米「ヴォーグ」のときみたいに批判される。

スティービー:話を戻して、学校の書類だけれど、生まれたときの性別を聞く欄があって、そこでの選択は、Female、Male、Intersex(インターセックス)、Prefer not to sayだった。言わなくてもいいというのもすごいなと。

レイチェル:ちなみに“インターセックス”とは、染色体や性器など、生物学的に男女の線引きに使われる特徴が中間であったり、どちらにも一致しない人たちのこと。国連の資料によると世界人口の0.05-1.7%がインターセックスの特徴を持っているというデータも。これはジェンダーアイデンティティーや性的指向以前の身体的な話。

スティービー:モデルのハンネ・ギャビー・オディール(Hanne Gaby Odiele)がインターセックスとしてカミングアウトしたとき、それって一体なんだろう?って思ったのを覚えている。彼女みたいな一緒に仕事をしたことがあるモデルが声をあげたことで、僕もそれについて調べたり、知識を得たりすることができた。

メイ:社会全体の知識がついていかないと、一部の人たちにとって本来のジェンダーのまま生きていくのが大変な社会になってしまう。だけど、この学校のシステムを見ても、社会の意識が大きくシフトしているのを感じるね。


 

メイ/クリエイティブディレクター:ファッションやビューティの広告キャンペーンやブランドコンサルティングを手掛ける。トップクリエイティブエージェンシーで経験を積んだ後、独立。自分のエージェンシーを経営する。

スティービー/ファッションエディター:アメリカを代表する某ファッション誌の有名編集長の下でキャリアをスタート。ファッションおよびビューティエディトリアルのディレクションを行うほか、広告キャンペーンにも積極的に参加。

レイチェル/プロデューサー:PR会社およびキャスティングエージェンシーでの経験が買われ、プロデューサーとしてメイの運営するクリエイティブ・エージェンシーで働く。最新のイベントに繰り出し、ファッション、ビューティ、モデル、セレブゴシップなどさまざまなトレンドを収集するのが日課

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 ニューヨークのファッション業界で活躍するクリエイティブ・ディレクター、メイ(May)と、仕事仲間でファッションエディターのスティービー(Stevie)による連載“You’d Better Be Handsome”の23回目。ファッションだけでなく、カルチャートレンドに詳しいレイチェルも加わって今回もトーク。毎年6月はプライド月間(Pride Month)としても知られる。LGBTQの権利を主張する活動やイベントが多く行われている中で、ジェンダーアイデンティティーを今どきどう解釈したらいいのか、LGBTQの活躍抜きでは語れないファッション業界で働く3人でさえ、頻繁にアップデートをしていかないとついていけない今どきのジェンダー代名詞、“プロナウン”について一緒に考えてみる。

 ノマド(NOMAD)、イレブンマジソン(ELEVEN MADISON)など、話題の高級店で経験を積み上げた注目シェフ、ジェームス・ケント(James Kent)による初のレストラン「クラウン シャイ(CROWN SHY)」 。2020年にアールデコのデザインで知られるビルの1階にオープンし、ミシュラン一つ星も獲得している。季節の素材を生かした前菜、味わい深いショートリブステーキなどが活気溢れるオープンキッチンから運ばれてくる。同じビルの63階にも、ジェームス・ケントによる「サガ(SAGA)」が昨年オープン。夜景を楽しみたいときはこちらがおすすめ。

CROWN SHY
70 Pine Street, New York, NY 10005
TEL 212. 517.1932

変化したジェンダープロナウンの定義

メイ:メールのやりとりの中で、自分の名前や肩書きの並びに、自分が呼んでほしい “プロナウン”を入れる人がちらほらいるよね?

スティービー:自分の周りでは特にフォトエージェントやモデルエージェントの男性に多い気がする。

レイチェル:生まれたときに割り当てられた性別とは別に、自分は自分のことをどう捉えているか、周りにはどう呼んでほしいか。それが女性ならばShe/Her、男性ならばHe/Him、ここまではシンプルなのだけど、どちらにも当てはまらない、またはニュートラルという場合はThey/Themを選択する人もいる。

メイ:単純にプロナウンを「彼、彼女」などの“代名詞”とした場合、1人の人で単数なのに、なんで複数形になるの?って思ってしまったりしたけど、これもすぐに慣れてくるもの。今は、この人はThey/Themなんだって一つの情報として認識する程度。

スティービー:複数とか単数とかが分かりづらい、Ze/HirやZe/Zirという選択肢もあるみたい。They/Themと同じで、ニュートラルなプロナウンになっている。周りで使っている人にはまだ会ったことはないけど。今どきの高校生や大学生だったら普通にいるのかもね。

レイチェル:そうそう。その関連の話になるとよく聞く、ジェンダーアイデンティティーやセクシャルアイデンティティーは、どちらも別のことを指すのにもかかわらず一緒にされがちで、さらにややこしくなっている気がする。

メイ:ジェンダーアイデンティティーは出生時に割り当てられた性別だけではなく、その後自身の本来のジェンダーに気づくことで決まってくるけれど、セクシャルアイデンティティーは、基本的に自分のパートナーに選ぶ人や自分が性的に求める人が男か女か、またはどちらもなのかなどで決まってくる。

スティービー:その性別が生まれたときに割り当てられる性別と違う場合には、受け入れてくれる環境がとても大切になってくるよね。

レイチェル:ニューヨークではそうやってメールに自分はこれって書くくらいオープンにはなってきているけれど、米国でも保守的な州ではトランスジェンダーの子どもにホルモン治療をしたら医者も親も罰せられたりとかなり差があるのも事実。

教育の場でも浸透しているプロナウン

レイチェル:最近では、高校生とかは新学期に先生が子どもたちに、どのジェンダープロナウンで呼んだらいいかを1人ずつ確認されるらしい。

メイ:以前からある名前を覚えるためのネームステッカーも、最近ではプロナウンを書く欄があったりする。

スティービー:例えば小学校や大学の受験票の記入の仕方も、数年前とはまったく違うんだよ。知ってた?900校以上の大学が参加しているコモン・アプリケーション(Common Application)というシステムがあるんだけど、そこでの願書上に、“どのプロナウンを使うか?”と、まるで誕生日や住所と同じレベルで書く欄がある。

レイチェル:He/Him, She/Her, They/Them、または“他の呼び名を入れる”という選択肢も。ちなみに性別の欄=ジェンダーでは、Female、 Male、 Non-binary、(ノンバイナリー)、Add Anotherという選択肢が。

メイ:ノンバイナリーは、男女の分け方には当てはまらないが、それ一つのジェンダーアイデンティティーとして認知されている。

スティービー:大学受験の際はそれくらいで済むけど、小学校や中学校に入学するときの書類はさらにもっと詳しい情報を聞かれる。まずはジェンダーアイデンティティー。僕が見たものでは、8つの選択肢があって、Girl, Boy、Trans Girl、Trans Boy、Non-binary、Gender Fluid(ジェンダーフルイド)、Prefer not to say、Prefer to self-describeとなっていた。

メイ:“ジェンダーフルイド”というのは、こういう公の場所でもジェンダーアイデンティティーとしてすでに認知されているものなんだね。2017年に、 モデルのジジ・ハディッド(Gigi Hadid)がパートナーのゼイン・マリック(Zayn Malik)と米「ヴォーグ(VOGUE)」のカバーを飾った際に、「ヴォーグ」のライターが彼女のスタイルを“ジェンダーフルイド”と表現したことで、かなり炎上していた記憶がある。

レイチェル:私も覚えてる。メンズっぽい服をジジが着たくらいで、気軽に彼女をジェンダーフルイドと呼ぶな、みたいな。おまけに、2人がジェンダーフルイドと書かれた時点で、実はこのリアルライフカップルはノンバイナリーということをカミングアウトしたのか、と勘違いした人たちも多かったらしい。

スティービー:そこにはジェネレーションギャプもあるね。ミレニアル世代にジェンダーフルイドというと、性を超えたり、変えたり、自分の気持ちに自由に生きているというイメージ。その上の世代、特にファッション誌でジェンダーフルイドというと、“アンドロジニー”とか“メンズライク”というスタイルを今っぽく表現してみた、みたいな。

メイ:例えば、ゼインと同様、ポップアイドルグループのワン・ダイレクション(One Direction)のハリー・スタイルズ(Harry Styles)も、よく「グッチ(GUCCI)」のフローラルプリントを着たり、ネイルカラーのブランドを作ったり、これまでの概念でいうところの女性っぽいファッションを楽しんでいるようだけど、あくまで性別は男性で、これまでのパートナーも私たちが知る限り全員女性。そういう人のことは“ジェンダーフルイド”とは呼ばず、あくまでファッションやスタイル、もしくは生き方がジェンダーフルイド、みたいな表現が合っているんだと思うけど、気をつけないと米「ヴォーグ」のときみたいに批判される。

スティービー:話を戻して、学校の書類だけれど、生まれたときの性別を聞く欄があって、そこでの選択は、Female、Male、Intersex(インターセックス)、Prefer not to sayだった。言わなくてもいいというのもすごいなと。

レイチェル:ちなみに“インターセックス”とは、染色体や性器など、生物学的に男女の線引きに使われる特徴が中間であったり、どちらにも一致しない人たちのこと。国連の資料によると世界人口の0.05-1.7%がインターセックスの特徴を持っているというデータも。これはジェンダーアイデンティティーや性的指向以前の身体的な話。

スティービー:モデルのハンネ・ギャビー・オディール(Hanne Gaby Odiele)がインターセックスとしてカミングアウトしたとき、それって一体なんだろう?って思ったのを覚えている。彼女みたいな一緒に仕事をしたことがあるモデルが声をあげたことで、僕もそれについて調べたり、知識を得たりすることができた。

メイ:社会全体の知識がついていかないと、一部の人たちにとって本来のジェンダーのまま生きていくのが大変な社会になってしまう。だけど、この学校のシステムを見ても、社会の意識が大きくシフトしているのを感じるね。


 

メイ/クリエイティブディレクター:ファッションやビューティの広告キャンペーンやブランドコンサルティングを手掛ける。トップクリエイティブエージェンシーで経験を積んだ後、独立。自分のエージェンシーを経営する。

スティービー/ファッションエディター:アメリカを代表する某ファッション誌の有名編集長の下でキャリアをスタート。ファッションおよびビューティエディトリアルのディレクションを行うほか、広告キャンペーンにも積極的に参加。

レイチェル/プロデューサー:PR会社およびキャスティングエージェンシーでの経験が買われ、プロデューサーとしてメイの運営するクリエイティブ・エージェンシーで働く。最新のイベントに繰り出し、ファッション、ビューティ、モデル、セレブゴシップなどさまざまなトレンドを収集するのが日課

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トランスジェンダー当事者のサリー楓が多様性を謳歌する業界に伝えたいこと

 「“自分らしく自由に生きよう”といったメッセージの発信だけでは、皆が自分らしく生きられる世の中が実現しないという事実に真剣に向き合わないといけない」。トランスジェンダー当事者で、建築デザイナー、モデル・タレントとして活動するサリー楓(28)は、多様性を謳歌するファッションやビューティ企業に向けて問題提起する。

 同氏は男性として生まれたが、24歳の時に女性として生きることを決意した。その後、話題を集めた「パンテーン(PANTENE)」の“#PrideHair”プロジェクトの広告ビジュアルをはじめ、テレビ出演やビューティコンテストへの出場など、積極的に表舞台に立ち発信を続けている。同氏にファッション・ビューティ企業に伝えたいことを聞いた。

WWD:これまでのキャリアについて教えてほしい。

サリー楓(以下、楓):大学在学中は、LGBTQ+に関する講演を行ったり、メディアのインタビューを受けたりといった活動が中心でした。モデルとして活動するようになったきっかけは、2018年にレスリー・キーさんが撮影を手掛けるセクシュアルマイノリティーを可視化することを目的としたプロジェクト「OUT IN JAPAN」に参加したことでした。以降、ジェンダーフリーファッションを提案する「ブローレンヂ(BLURORANGE)」のランウエイショーを歩いたり、「パンテーン(PANTENE)」や美容室「TAYA」などの広告に出演したりしました。文化人してテレビやラジオ番組にも出演しています。

WWD:D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進に取り組む企業が増えている。こうした社会の流れについて思うことは?

楓:自分がカミングアウトした当時から“自分らしさ”というものが、ある意味バズワード的にポジティブなものとして使われていました。でも人は、「自分らしくしていいよ」「自由にしていいよ」では、自由に振る舞えないんです。自分の場合もそうでした。

WWD:というと?

楓:自分がファッションやメイクを楽しめるようになったのは、人前に出て発信するようになり、たくさんの人に「きれいだね」「おしゃれだね」と肯定されるようになってからです。それまでは周りの目を気にして洋服を選んでいたので、ファッションは自分のために楽しむものではなく、他人に気を使って取り組むものでした。日々さまざまな場面で、“自分らしく自由に生きよう”といったメッセージに触れますが、それだけでは皆が自分らしく生きられる世の中は実現しないという事実に真剣に向き合わないといけない。「自分らしく生きていいよ」から、「自分らしく生きるのがかっこいい」という段階に持っていくことが必要だと思います。自分はボーダーを飛び越えている姿をカッコいいと思ってもらえるように、発信を続けています。

ジェンダーを乗り越えていく強さや勇気を感じさせてくれるファッションに出合いたい

WWD:多様性を推進するファッション業界に伝えたいことは?

楓:自分の思い描いているジェンダーフリーの風景は、まだ出てきていない気がします。男女で同じ装いをするユニセックスや外見上の性別が曖昧なジェンダーレスモデルの起用などのアプローチは、男女の境界を曖昧にすることで逆にジェンダーに起因する問題を抽象化しているように感じます。自分の考えるジェンダーレスは、ジェンダーを感じさせないことではなくて、意識的にジェンダーを乗り越えていく強さや勇気を感じさせてくれるもの。その先には、自分らしさの延長で「男らしさ」や「女らしさ」も楽しめる時代が来てほしい。そうしたことに挑むファッションブランドや企業が出てきたら、ぜひ何か一緒に取り組みたいです。

WWD:19年にはトランスジェンダーのビューティコンテスト「ミス インターナショナル クイーン(Miss International Queen)2019」に出場している。画一的な基準で美を判断するコンテストへの参加は意外だった。

楓:正直コンテストの存在自体には、あまり前向きではありませんでした。1つの基準であなたはきれいだ、そうではないと格付けをすることや、それが極めて男性的な目線であることへの違和感はありました。あのときコンテストに参加したのはあくまで個人的な理由からでした。自分が24歳でカミングアウトしたときに、両親には就職活動や学生生活についてとても心配されたんです。トランスジェンダーというと、特に芸能や夜の世界のイメージが強く、大学に通ったり、会社で働いたりすることを諦めるのだと思われました。悪意や偏見があるのではなく、社会生活を送るトランスジェンダーへのイメージが不足していたからだと思いました。現役の大学生で、就活中の自分が挑戦することで、今までなかったトランスジェンダーのロールモデルを当事者を抱える家庭や間一般に供給できると考えて出場しました。

 現在もシングルマザーが出場するコンテストやボディコンプレックスを抱える人のコンテストに審査員として関わっています。これらは、一つの物差しの中で高みを目指すものではなく、これからの美の基準作ってくれるもの、物差し自体を発明して提示してくれる人たちを評価し、汲み取るためのコンテストです。世の中の規範的な美ではないけど、芯や強度がある美が今までの本流の美に合流することで生まれる化学反応を楽しみにしています。常識を変化させたり、偏見をなくしたりするためには、やはり美やファッションが必要で、新しい物差しをつくり、広めていく作業の繰り返しでしかないと思うんです。ファッションやビューティ企業とともに、そんな多様な物差しを広めていければと思います。

WWD:今後特に注力したい活動は?

楓:これまでは特に当事者がサバイブしていくための情報提供に力を入れてきました。それはそれで大切ですが、本人たちがさまざまな理不尽な場面でうまくやり過ごしてしまうことで、当事者が抱える問題が逆に見えにくくなってしまうことも懸念しています。例えば、LGBTQ+の職場環境を改善するためには、人事や経営者、「興味がない」「知る必要がない」と思っている多くの人々に勇気を持って語りかけなければいけません。そのために現在は、求人検索エンジンのIndeed Japanとライフスタイルマガジン「BE」を制作しています。LGBTQ+当事者が職場や仕事探しで抱える課題を顕在化させ、理解しようとする機会をつくることができる内容になっているのでぜひ皆さんに読んでもらいたい。日本にはまだまだ、自由に自分らしさを追求することが社会活動においてポジティブに働かない場面が多いと思いますが、これまでボーダーを超えてきた経験を活かして活動を続けます。

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“日本一急成長したティックトッカー”スタン・フカセ 「マーク・ジェイコブス」も注目する23歳

 “日本で最もティックトック(TikTok)のフォロワーが急増したインフルエンサー”として「ジャパン・タイムス(The Japan Times)」が報じた人物がスタン・フカセ(Stan Fukase)だ。「マーク・ジェイコブス(MARC JACOBS)」のソーシャルメディアキャンペーンに起用されるなどファッション業界でも注目を集めており、現在はユーチューブ(YouTube)を中心に活動し、チャンネル登録者数は50万を越える。

 フカセは日本が拠点ながら、英語での配信がメインのため、アメリカを中心とした海外での知名度の方が高い。特にZ世代には人気で、昨年は自身のファッションブランドも始動させた。幅広く活動する次世代のインフルエンサーに、ファッションのこだわりやキャリア、日本のLGBTQ+の現状について聞いた。

WWD:インフルエンサーになったきっかけは?

スタン・フカセ(以下、フカセ):計画していたわけではなく、たまたまでした。2020年に新型コロナウイルスのパンデミックに入ってすぐの頃に、暇だったので特に理由もなくティックトックを始めました。最初はみんなと同じように、ただ流行っているダンスなどを投稿して自由にやっていたら、「ジャパン・タイムス」に“日本で最もティックトックのフォロワーが急増したインフルエンサー”と報じられて、自分でもびっくり(笑)。それから少しづつドラァグについてや、海外と日本の生活を比較するティックトックなど、自分を表現するコンテンツを増やしました。

 その後、今のメインのプラットフォームでもあるユーチューブを始めました。現在はインスタグラム(instagram)も積極的に使っていて、ファッションも発信しています。最近では「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」の小泉智貴さんに2022-23年秋冬のショーに呼んでもらって、その時のスナップ写真が「WWDJAPAN」に載っているんですよ(笑)。ほかには、「マーク・ジェイコブス」のソーシャルメディアキャンペーンにも参加するなど、仕事の幅も広がっています。

WWD:英語で配信しているのはなぜ?

フカセ:ティックトックでは、当初は日本語で配信していました。でも自分がゲイでハーフであることから、「おかま」「外人」など差別的用語を使用した誹謗中傷がひどかったので、現在は英語だけで配信しています。日本語は母親と一緒に出演するときに使いますが、それでもタイトルや字幕は英語です。英語と日本語以外では、タガログ語とセブアノ語が話せて、中国語とスペイン語も勉強しました。

WWD:フォロワーや視聴者はどの国が多い?

フカセ:アメリカが一番多いです。そこにフィリピン、ブラジル、イギリスとオーストラリアが続く感じですね。日本は10番目ぐらいであまり多くはないです。仕事の案件などもアメリカが中心です。アメリカ・ロサンゼルスの事務所に所属しているのもそれが理由で、所属インフルエンサーで一番遠くにいると言われました(笑)

WWD:日本では街中で気付かれない?

フカセ:渋谷や原宿を歩けば声を掛けられますが、それ以外のエリアでは1日1回あるかな?くらい。土曜日の夜に新宿2丁目に飲みに行けば、10人以上に声を掛けられます。でも“ストロングゼロ”を持って酔っているときに視聴者に会うのはちょっと恥ずかしいですね(笑)。でもやっぱり、海外の方が気付かれることは多いです。旅行先のギリシャ、イタリアやオーストリアなどでも声を掛けられた時はびっくりしました。

止まらない“クロップトップ愛”とドラァグを通して辿り着いたジェンダーフリーなファッション

WWD:ファッションのインスピレーションやよく行くお店は?

フカセ:参考にしている人はエマ・チェンバレン(Emma Chamberlain)やベラ・ハディド(Bella Hadid)かな。ブランドなら「ヘブン バイ マーク ジェイコブス(HEAVEN BY MARC JACOBS)」や「ゴルフ ワン(GOLF WANG)」、オンラインストア「ユニフ(UNIF)」。

 あとは、親友と原宿の古着を見ることが定番で、安くて大きなキンジ(KINJI)で掘り出し物を探すこともあるし、1980~90年代のビンテージが中心のピンナップ(PIN-NAP)など、アイテムが厳選された店も好きです。

WWD:スタンさんといえばクロップトップのイメージがある

フカセ:冬でもクロップトップを着るくらい好き。

 12月に表参道のローソンに入ったら、店員さんが「いつもクロップトップ着ているお兄さんですよね?表参道歩いているのを見ています。寒くないんですか?」って言われました(笑)

 クロップトップが好きな理由の一つは、ジェンダーの規範を壊しているから。男性が着ることを“普通”とされてこなかったので。僕が着始めたのは、大学の友だちが黄色いクロップトップをプレゼントしてくれたのがきっかけです。すごく気に入って、もらってから1週間、毎日着ていました。気に入りすぎて、メルカリでミシンを買って、自分の持ってるTシャツを全部クロップトップにしちゃったくらい。これは裏ワザですが、キッズ用のトップスをクロップトップとして着ることもできますよ(笑)。

WWD:東京のファッションシーンについてどう思う?

フカセ:日本は海外と比べて“身だしなみ”のレベルが高いと思います。欧米ではオシャレな人と気にしていない人の差がすごくあるように感じるけど、日本ではより多くの人が身なりを気にしていると思います。「ユニクロ(UNIQLO)」のように低価格だけど素材や作りがいいベーシックアイテムが豊富だからかな。でも、だからこそ、“身だしなみ”のためではなくて、もっと個性のある楽しいファッションもしてほしい。

WWD:昨年、自身のブランド「バイ エクストラ(byEXTRA)」を始動した。どういうブランド?

フカセ:テーマは“clothes have no gender(服に性別はない)”。最初は、全てクロップトップのコレクションを発表し、今年に入ってアクセサリーのコレクションも制作しました。オンラインストアでも「メンズ」「ウィメンズ」などのカテゴリーはありません。

 ブランドを始めるにあたって、デザインを0から考えるのはもちろん、工場、配送センターなど全て自分で手配をし、ウエブサイトは兄に手伝ってもらいました。現在は、事務所が物流をサポートしてくれていますが、クリエイティブは自分で全て担っています。

 小さい頃から、服をデザインすることが夢でした。高校生の時にはTシャツなどのプリントオンデマンドサービスを使っただけの「ユニセックス(UNISX)」というブランドを作っていたくらいです。その時のブランド名も自分のジェンダー観を表していると思います。

WWD:「バイ スタン(bySTAN)」ではなくて「バイ エクストラ」の理由は?

フカセ:“エクストラ(Xtra)”は僕がドラァグをする際のステージネームです。そもそもドラァグをしようと思った理由は、“ウィメンズ”とされている服を楽しむ口実でした。男性が着ていると変な目で見られてしまうかもという不安があり、自分ではない女性のペルソナで着てみようと思ったんです。

 現在はドラァグをしなくても、着たい服をジェンダー関係なく着られていますが、それもエクストラのおかげだと感じています。このジェンダーフリーなブランドも彼女がいなかったら作ることはできなかったので、「バイ エクストラ」と命名しました。

LGBTQ+コミュニティーの1人として東京から発信を続ける

WWD:LGBTQ+に関するコンテンツも多く発信している。

フカセ:日本から英語で発信しているインフルエンサーは観光情報や伝統文化をメインにしていることが多いですが、僕はあくまで自分の日常を見せたいと思っています。なので、ゲイである自分の日常として、LGBTQ+当事者である僕から見た日本や東京を発信しています。

 LGBTQ+についての情報、日本に関する情報それぞれを英語で発信するインフルエンサーはいても、日本のLGBTQ+を発信するインフルエンサーは少ない。だからこそ、視聴者の興味も集まっているんだと思います。

WWD:日本のLGBTQ+の状況はどう思うか?

フカセ:視点によって捉え方が変わります。文化的にLGBTQ+の人々が生きやすいとは言えませんが、海外に比べて暴力的な犯罪などは少ない。LGBTQ+への暴力が少ない訳ではなく、全体的に少ない、というだけですが、犯罪が少ないことはそれ自体が利点です。

 とはいえ、僕もクロップトップを着て東京の電車に載った際、年配の男性にいきなりピアスを引っ張られ、顔を引っ掻かれて、「おかま」と叫ばれた経験があります。久しぶりに泣きましたね。でも、世界にはもっと頻繁に、もっと深刻な被害に合っている人がいるということも忘れないようにしています。目立たない格好をすれば安全なのかもしれません。でも、ありのままの自分でいることが、一種のプロテストなのだと気付きました。

 新宿2丁目のように、コミュニティが集まれる場所があるのもいいですよね。「世界で最も密集しているLGBTQ+エリア」だと聞いたこともありますよ。多くの人がLGBTQ+にフレンドリーであれば、密集したLGBTQ+エリアはそもそも必要ありません。実際に、欧米ではこういうエリアが少なくなってきているんです。でも、小さいけど賑わっている新宿2丁目はコミュニティ感が強くて素敵だなとも思います。

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“日本一急成長したティックトッカー”スタン・フカセ 「マーク・ジェイコブス」も注目する23歳

 “日本で最もティックトック(TikTok)のフォロワーが急増したインフルエンサー”として「ジャパン・タイムス(The Japan Times)」が報じた人物がスタン・フカセ(Stan Fukase)だ。「マーク・ジェイコブス(MARC JACOBS)」のソーシャルメディアキャンペーンに起用されるなどファッション業界でも注目を集めており、現在はユーチューブ(YouTube)を中心に活動し、チャンネル登録者数は50万を越える。

 フカセは日本が拠点ながら、英語での配信がメインのため、アメリカを中心とした海外での知名度の方が高い。特にZ世代には人気で、昨年は自身のファッションブランドも始動させた。幅広く活動する次世代のインフルエンサーに、ファッションのこだわりやキャリア、日本のLGBTQ+の現状について聞いた。

WWD:インフルエンサーになったきっかけは?

スタン・フカセ(以下、フカセ):計画していたわけではなく、たまたまでした。2020年に新型コロナウイルスのパンデミックに入ってすぐの頃に、暇だったので特に理由もなくティックトックを始めました。最初はみんなと同じように、ただ流行っているダンスなどを投稿して自由にやっていたら、「ジャパン・タイムス」に“日本で最もティックトックのフォロワーが急増したインフルエンサー”と報じられて、自分でもびっくり(笑)。それから少しづつドラァグについてや、海外と日本の生活を比較するティックトックなど、自分を表現するコンテンツを増やしました。

 その後、今のメインのプラットフォームでもあるユーチューブを始めました。現在はインスタグラム(instagram)も積極的に使っていて、ファッションも発信しています。最近では「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」の小泉智貴さんに2022-23年秋冬のショーに呼んでもらって、その時のスナップ写真が「WWDJAPAN」に載っているんですよ(笑)。ほかには、「マーク・ジェイコブス」のソーシャルメディアキャンペーンにも参加するなど、仕事の幅も広がっています。

WWD:英語で配信しているのはなぜ?

フカセ:ティックトックでは、当初は日本語で配信していました。でも自分がゲイでハーフであることから、「おかま」「外人」など差別的用語を使用した誹謗中傷がひどかったので、現在は英語だけで配信しています。日本語は母親と一緒に出演するときに使いますが、それでもタイトルや字幕は英語です。英語と日本語以外では、タガログ語とセブアノ語が話せて、中国語とスペイン語も勉強しました。

WWD:フォロワーや視聴者はどの国が多い?

フカセ:アメリカが一番多いです。そこにフィリピン、ブラジル、イギリスとオーストラリアが続く感じですね。日本は10番目ぐらいであまり多くはないです。仕事の案件などもアメリカが中心です。アメリカ・ロサンゼルスの事務所に所属しているのもそれが理由で、所属インフルエンサーで一番遠くにいると言われました(笑)

WWD:日本では街中で気付かれない?

フカセ:渋谷や原宿を歩けば声を掛けられますが、それ以外のエリアでは1日1回あるかな?くらい。土曜日の夜に新宿2丁目に飲みに行けば、10人以上に声を掛けられます。でも“ストロングゼロ”を持って酔っているときに視聴者に会うのはちょっと恥ずかしいですね(笑)。でもやっぱり、海外の方が気付かれることは多いです。旅行先のギリシャ、イタリアやオーストリアなどでも声を掛けられた時はびっくりしました。

止まらない“クロップトップ愛”とドラァグを通して辿り着いたジェンダーフリーなファッション

WWD:ファッションのインスピレーションやよく行くお店は?

フカセ:参考にしている人はエマ・チェンバレン(Emma Chamberlain)やベラ・ハディド(Bella Hadid)かな。ブランドなら「ヘブン バイ マーク ジェイコブス(HEAVEN BY MARC JACOBS)」や「ゴルフ ワン(GOLF WANG)」、オンラインストア「ユニフ(UNIF)」。

 あとは、親友と原宿の古着を見ることが定番で、安くて大きなキンジ(KINJI)で掘り出し物を探すこともあるし、1980~90年代のビンテージが中心のピンナップ(PIN-NAP)など、アイテムが厳選された店も好きです。

WWD:スタンさんといえばクロップトップのイメージがある

フカセ:冬でもクロップトップを着るくらい好き。

 12月に表参道のローソンに入ったら、店員さんが「いつもクロップトップ着ているお兄さんですよね?表参道歩いているのを見ています。寒くないんですか?」って言われました(笑)

 クロップトップが好きな理由の一つは、ジェンダーの規範を壊しているから。男性が着ることを“普通”とされてこなかったので。僕が着始めたのは、大学の友だちが黄色いクロップトップをプレゼントしてくれたのがきっかけです。すごく気に入って、もらってから1週間、毎日着ていました。気に入りすぎて、メルカリでミシンを買って、自分の持ってるTシャツを全部クロップトップにしちゃったくらい。これは裏ワザですが、キッズ用のトップスをクロップトップとして着ることもできますよ(笑)。

WWD:東京のファッションシーンについてどう思う?

フカセ:日本は海外と比べて“身だしなみ”のレベルが高いと思います。欧米ではオシャレな人と気にしていない人の差がすごくあるように感じるけど、日本ではより多くの人が身なりを気にしていると思います。「ユニクロ(UNIQLO)」のように低価格だけど素材や作りがいいベーシックアイテムが豊富だからかな。でも、だからこそ、“身だしなみ”のためではなくて、もっと個性のある楽しいファッションもしてほしい。

WWD:昨年、自身のブランド「バイ エクストラ(byEXTRA)」を始動した。どういうブランド?

フカセ:テーマは“clothes have no gender(服に性別はない)”。最初は、全てクロップトップのコレクションを発表し、今年に入ってアクセサリーのコレクションも制作しました。オンラインストアでも「メンズ」「ウィメンズ」などのカテゴリーはありません。

 ブランドを始めるにあたって、デザインを0から考えるのはもちろん、工場、配送センターなど全て自分で手配をし、ウエブサイトは兄に手伝ってもらいました。現在は、事務所が物流をサポートしてくれていますが、クリエイティブは自分で全て担っています。

 小さい頃から、服をデザインすることが夢でした。高校生の時にはTシャツなどのプリントオンデマンドサービスを使っただけの「ユニセックス(UNISX)」というブランドを作っていたくらいです。その時のブランド名も自分のジェンダー観を表していると思います。

WWD:「バイ スタン(bySTAN)」ではなくて「バイ エクストラ」の理由は?

フカセ:“エクストラ(Xtra)”は僕がドラァグをする際のステージネームです。そもそもドラァグをしようと思った理由は、“ウィメンズ”とされている服を楽しむ口実でした。男性が着ていると変な目で見られてしまうかもという不安があり、自分ではない女性のペルソナで着てみようと思ったんです。

 現在はドラァグをしなくても、着たい服をジェンダー関係なく着られていますが、それもエクストラのおかげだと感じています。このジェンダーフリーなブランドも彼女がいなかったら作ることはできなかったので、「バイ エクストラ」と命名しました。

LGBTQ+コミュニティーの1人として東京から発信を続ける

WWD:LGBTQ+に関するコンテンツも多く発信している。

フカセ:日本から英語で発信しているインフルエンサーは観光情報や伝統文化をメインにしていることが多いですが、僕はあくまで自分の日常を見せたいと思っています。なので、ゲイである自分の日常として、LGBTQ+当事者である僕から見た日本や東京を発信しています。

 LGBTQ+についての情報、日本に関する情報それぞれを英語で発信するインフルエンサーはいても、日本のLGBTQ+を発信するインフルエンサーは少ない。だからこそ、視聴者の興味も集まっているんだと思います。

WWD:日本のLGBTQ+の状況はどう思うか?

フカセ:視点によって捉え方が変わります。文化的にLGBTQ+の人々が生きやすいとは言えませんが、海外に比べて暴力的な犯罪などは少ない。LGBTQ+への暴力が少ない訳ではなく、全体的に少ない、というだけですが、犯罪が少ないことはそれ自体が利点です。

 とはいえ、僕もクロップトップを着て東京の電車に載った際、年配の男性にいきなりピアスを引っ張られ、顔を引っ掻かれて、「おかま」と叫ばれた経験があります。久しぶりに泣きましたね。でも、世界にはもっと頻繁に、もっと深刻な被害に合っている人がいるということも忘れないようにしています。目立たない格好をすれば安全なのかもしれません。でも、ありのままの自分でいることが、一種のプロテストなのだと気付きました。

 新宿2丁目のように、コミュニティが集まれる場所があるのもいいですよね。「世界で最も密集しているLGBTQ+エリア」だと聞いたこともありますよ。多くの人がLGBTQ+にフレンドリーであれば、密集したLGBTQ+エリアはそもそも必要ありません。実際に、欧米ではこういうエリアが少なくなってきているんです。でも、小さいけど賑わっている新宿2丁目はコミュニティ感が強くて素敵だなとも思います。

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いつでも、どこでも、「スープストック」の“フリーズドライ”と生のホップを使った “瓶ビール” オンライン試食会で触れる開発の思いと企業姿勢

 「スープストック トーキョー(SOUP STOCK TOKYO以下、スープストック)」から、“フリーズドライ”と“瓶のビール(酵母のピルスナー)”が登場した。自宅の冷凍室に「スープストック」のスープが入っているという人も多いだろう。こだわりの食材と製法でスープをメーンディッシュにした「スープストック」。そこからフリーズドライのスープが登場とは、ちょっと驚いた。同時期に、“瓶のビール”も発売ということで、オンライン試食会に参加した。

 「スープストック」が試食会をオンラインにした理由は、「コロナが回復に向かいつつも、試食が含まれるため安全性を考慮した」ため。試食会前に、新作の“フリーズドライ”と“瓶のビール”のサンプルが「スープストック」のギフトボックスに入って届いた。

 スープは、“オニオンスープ”“魚介のチャウダー”“とうもろこしとさつま芋のポタージュ”“5種類の野菜のミネストローネ”の4種類。カラフルなイラストのパッケージ入りで、中には2つのブロックが入っている。オンライン試食会では、“瓶のビール”を冷蔵庫から出し、“オニオンスープ”にお湯を注いで臨んだ。

“スープ・フォー・オール”を目指して

 試食会は、「スープストック」を運営するスマイルズについての説明からスタート。同社は2000年に創業。飲食業ではレストランの「100本のスプーン」やお弁当屋「刷毛じょうゆ 海苔弁 山登り」など、アパレルでは、ネクタイブランドの「ジラフ(GIRAFF)」の運営のほか、コンサルティング業務などを行なっている。「スープストック」は16年に別会社として分社化された。

 「スープストック」では、“スープ・フォー・オール”を目指し、0〜100歳のあらゆる人へのスープの提供を目指している。離乳食をはじめ、ベジタリアンやグルテンフリー、ハラール(イスラム法で合法の食事)、嚥下食(咀嚼配慮食)までさまざまだ。その一環として“いつでも、どこでも”食べられる“フリーズドライ”を開発。2つのブロックにした理由は、素材の風味を出すためだ。“オニオンスープ”は、ローストした玉ねぎの食感が感じられるリッチな味わい。どのスープも、2ブロックとたっぷりで、素材の食感とうまみが凝縮されている。各パッケージは風景画とポエムが添えられてあり、スープを用意する間にひと息ついてほしいという思いが込められている。

 価格は1個税込320~360円と、フリーズドライスープにしては高めだが、ちょっとしたプチギフトにぴったり。コーヒー1杯の感覚でこだわりのスープが気軽に楽しめる。「スープストック」の1部店舗とオンラインで販売中だ。

グラスに注がれるまで進化し続ける“瓶のビール”

 “瓶のビール”は、食事に寄り添えるビールを目指して開発。パートナー企業を探して、無濾過ビールにこだわった。ホップを使用して伝統的な製法“ドライ・ホッピング”で醸造。ビールの味を左右する水も源泉水にこだわり、黄金色のビールが完成した。醸造家は、静岡県・修善寺のベアード・ブルーイングで、代表のブライアン・ベアード(Brian Baird)は、「このビールは伝統的なドイツスタイルのピルスナー。ソフトで優しいホップのアロマが特徴。無濾過、瓶内二字発酵、熟成、自然発泡なので、グラスに注がれるまで進化している」とコメント。ラベルには、里山の動物が描かれている。

 価格は680円。「スープストック」ルミネ新宿店およびオンラインショップ以外の店舗で販売している。

“おいしい”の持続可能性&食のバリアフリー

 オンライン試食会では、松尾琴美「スープストック」バイヤーが登場。「スープストック」の、“もったいない”をなくす活動も紹介された。千葉で梨のB品がたくさん出ていると聞き、冬瓜を梨に置き換えるといった取り組みが行われているという。世の中の困りごとをビジネスに取り入れて消費者とつなぐ活動は、スマイルズならではだ。定期的に各社のデッドストックや正規販売できない商品を集めて販売する「バスザバトン マーケット」でも同様の取り組みが行われている。

 ここでちょっと、「スープストック」がさりげなく行なっている“食のバリアフリー”活動にも触れたい。先述した嚥下食および必要なカトラリーの提供を「スープストック」立川店で行っている(期間限定)。これは、心理カウンセラーである加藤さくらさんから、嚥下障害のある子どもと「スープストック」で食事ができたらという話があり、社内で検討を重ねて実現。「スープストック」では、「スープは、年齢、性別、国籍を超える存在。だから、”たった一人“が大切で見放せない。”食“という生活の楽しみの小さくて大きい壁を一つずつ取り除いていければ」とコメントしている。障害というとマイナスイメージが強く、他人ごとになりがち。それを、対話をしながら少しずつできることから実現する企業努力に共感せざるを得ない。

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南米1位の有名店「セントラル」が手掛けるレストラン「マス」が日本上陸

 レストラン経営や外食コンサルを行うグラナダ(GRANADA)は、南米ペルーの料理を提供するレストラン「マス(MAZ)」を、東京・紀尾井町の東京ガーデンテラス紀尾井町に7月1日にオープンする。同店は、ペルーを代表するレストラン「セントラル(Central)」のシェフ兼ディレクターであるヴィルヒリオ・マルティネス(Virgilio Martinez)と、彼が主宰する研究機関「マテル・イニシアティバ(Mater Iniciativa)」がデザインしたレストランだ。

 「セントラル」は、2021年に世界のベストレストラン50で4位、南米のベストレストランで1位を獲得した有名店。マルティネス=シェフは、料理を通じてペルーの文化や生物多様性、生態系の重要性を伝えてきた。同氏が13年に設立した調査機関「マテル・イニシアティバ」では、ペルーの食材と原産地を深く知るための研究や実験を行い、食でサステナビリティを推進している。「マス」のオープンには、これら全てを表現するため2年以上の準備期間を費やしたという。

 「マス」では、ペルーならではの標高の高低差が織りなす9つの風景と生態系を表現したコース料理“9つの異なる高度の旅(VERTICAL EXPERIENCE)”(税込2万4200円)と、“9つの異なる高度を持つ野菜のメニュー(VEGETARIAN VERTICAL EXPERIENCE)”(同2万4200円)を提供。料理に合わせて、ワインやノンアルコールのペアリングも用意する。ヘッドシェフは、「セントラル」でマルティネス・シェフの右腕として活躍した、サンティアゴ・フェルナンデス(Santiago Fernandez)が務める。

■MAZ
オープン日:7月1日
時間:17:00~23:00
住所:東京都千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス紀尾井町3F
定休日:火曜日
席数:20席

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カプリ・ホールディングスがヴェルサーチェ財団を創設 LGBTQコミュニティ支援

 「ヴェルサーチェ(VERSACE)」の親会社カプリ・ホールディングス(CAPRI HOLDINGS)は、6月のプライド月間に合わせてLGBTQコミュニティの認知度向上と支援を目的としたヴェルサーチェ財団を創設し、財団の活動費用として1000万ドル(約13億円)の寄付を約束した。

 具体的な活動内容は明らかにしていないが、慈善団体やコミュニティグループと協力し、LGBTQ文化と歴史の保存を支援し、LGBTQコミュニティの安全の向上や平等、ウェルネスの推進を図る予定だという。

 「ヴェルサーチェ」のチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)は、「『ヴェルサーチェ』はインクルーシブを重視するブランドとして長く認知されてきた。LGBTQIA+コミュニティにヴェルサーチェ財団が貢献できることを楽しみにしている」とコメント。「ヴェルサーチェ」はこれまでに、プライド月間に合わせてカプセルコレクションを発表し、売り上げを寄付する取り組みなどを実施してきた。

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カプリ・ホールディングスがヴェルサーチェ財団を創設 LGBTQコミュニティ支援

 「ヴェルサーチェ(VERSACE)」の親会社カプリ・ホールディングス(CAPRI HOLDINGS)は、6月のプライド月間に合わせてLGBTQコミュニティの認知度向上と支援を目的としたヴェルサーチェ財団を創設し、財団の活動費用として1000万ドル(約13億円)の寄付を約束した。

 具体的な活動内容は明らかにしていないが、慈善団体やコミュニティグループと協力し、LGBTQ文化と歴史の保存を支援し、LGBTQコミュニティの安全の向上や平等、ウェルネスの推進を図る予定だという。

 「ヴェルサーチェ」のチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)は、「『ヴェルサーチェ』はインクルーシブを重視するブランドとして長く認知されてきた。LGBTQIA+コミュニティにヴェルサーチェ財団が貢献できることを楽しみにしている」とコメント。「ヴェルサーチェ」はこれまでに、プライド月間に合わせてカプセルコレクションを発表し、売り上げを寄付する取り組みなどを実施してきた。

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「アグ」が「オールジェンダープライドコレクション」を発売 東京レインボープライドを支援

 「アグ(UGG)」はこのほど、6月のプライド月間に先立ち「オールジェンダープライドコレクション」を発売した。ブランドを象徴するシープスキンインソールに着想を得たサンダルをはじめ、アパレルとバッグも用意した。

 「アグ」では、LGBTQIA+の誰もが安心してメンタルヘルスの重要性について話し合うことができる世界の実現に貢献するため、「FEEL HEARD」キャンペーンをローンチ。米国ではトレバー・プロジェクト(The Trevor Project)を、日本では東京レインボープライド(TOKYO RAINBOW PRIDE)を支援している。今年度は、トレバー・プロジェクトに12万5000ドルを寄付したほか、2020年から継続支援している東京レインボープライドには「オールジェンダープライドコレクション」の一部売上金を寄付するという。

 同コレクションのキャンペーンには、日本ではモデルで日韓カップルのタイキ&ノアを、グローバルではパフォーマンスアーティストのALOKらを起用した。公式サイトでは、タイキ&ノアらのスペシャルインタビューを掲載中だ。

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リーバイス、初のDE&Iリポートを公開

 リーバイ・ストラウス(LEVI STRAUSS & CO.以下、リーバイス)はこのほど、多様性、公平性、包括性に関する報告書“ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン・インパクト・リポート 2021(DE&I Impact Report 2021)”を発表した。同社がこうしたリポートを公開するのは今回が初となる。

 同社は、チップ・バーグ(Chip Bergh)最高経営責任者(CEO)を含む全員参加型のアプローチでDE&Iを進める。実際にバーグCEOは、毎月全社員と座談会を開き、社員からのダイバーシティに関することを含めたさまざまな質問や意見に彼自身が透明性を持って回答する機会を設けている。報告書の冒頭でバーグCEOは、「DE&Iは、プラスアルファで取り組むものではなく、私たちの事業活動全体と直結するものである」と説明している。

 報告書によると、21年は前年と比較して経営層におけるラテン系の割合が5.3%から9.4%に急増、企業レベルでの黒人の割合は、5.6%から7.3%に増えた。米国内の従業員のうち黒人の割合は20年の18%から20.5%に、ラテン系は28%から36.8%に増えた。一方で経営層では白人が84.6%、アジア系が7.7%、ラテン系が7.7%、黒人は0%と大きな変化はなかった。女性の経営層の割合は、46.2%から61.5%となり、大きく進展した。また、隔年で実施する第三者機関の監査を経た結果「性別や民族による給与格差はない」と報告している。

 こうした結果にたどり着くための同社の戦略は非常にシンプルで、「複数年にわたる戦略を構築し、コミットする」「慣行、方針、文化を評価する」「現状に挑戦する」「(これらのことを)徹底して行う」という4つのステップで取り組む。エリザベス A・モリソン(Elizabeth A. Morrison)DE&Iチーフオフィサーは、「何か大がかりな計画や戦略があるわけではなく、従業員との関わり方や共感できるリーダーになる方法など、マネジメントの基本的なことをなるべくわかりやすく伝えている。大切なことは従業員の声に耳を傾け、声をあげる場所を作ることだ」と話す。

 モリソンDE&Iチーフオフィサーは、レポートを社員や社員支援グループと一緒に見直し、フィードバックを得たのち、経営幹部のアクションプラン作成に活用する。次年度に向けては、「引き続き、多様性の促進に努め、あらゆる人々にとって安心感や帰属意識を感じられる職場作りを目指す。そして今後より多くの従業員が会社全体のDE&Iに積極的に参加してくれることを期待する」という。

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腰や背中を温める“フェムテック 温活 スーツ”が「マクアケ」で発売

 ユニフォームの企画・製造を手がけるカーシーカシマは、“フェムテック温活スーツ”(5〜21号、税込1万9140円〜)をクラウドファンディングサイト「マクアケ(MAKUAKE)」で5月30日〜6月30日まで販売する。SDGsが掲げられ、女性の社会進出が増える昨今、仕事を頑張る女性に向けたスーツを提案。働く上で女性が抱える代表的な健康の悩みである生理痛や冷えをテクノロジーによって解決を目指す。

 “フェムテック温活スーツ”は、ヒートモジュールと呼ばれる温かくなるデバイスをジャケットやベストに入れることで腰や背中を温かくすることができる。Bluetoothでスマートフォンの専用アプリと連動し、温度調節が可能だ。温かくなる機能に加え、スーツを着た時に感じる窮屈感や肩こりを軽減するための機能、自宅で簡単にお手入れができる素材の採用など、ストレスフリーに着用できるように細部にまでこだわった。

 カーシーカシマは、ユニフォームアパレルメーカーとして未来のために何ができるのかを考え、サーキュラーエコノミーの実現に向けて人と人をつなぎ幸せの輪を循環できる集団を目指すべく、2020年から「Think Lab 0 プロジェクト」をスタート。そのプロジェクトの一環として、女性の社会進出を応援すべく“フェムテック 温活 スーツ”を開発した。長らく働く女性に向けた仕事服を作る中で培ってきたノウハウと技術を組み合わせ、企業理念「more beautiful」をかなえるべく、働く人や企業、全ての思いに寄り添ったユニフォームを提案する。

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腰や背中を温める“フェムテック 温活 スーツ”が「マクアケ」で発売

 ユニフォームの企画・製造を手がけるカーシーカシマは、“フェムテック温活スーツ”(5〜21号、税込1万9140円〜)をクラウドファンディングサイト「マクアケ(MAKUAKE)」で5月30日〜6月30日まで販売する。SDGsが掲げられ、女性の社会進出が増える昨今、仕事を頑張る女性に向けたスーツを提案。働く上で女性が抱える代表的な健康の悩みである生理痛や冷えをテクノロジーによって解決を目指す。

 “フェムテック温活スーツ”は、ヒートモジュールと呼ばれる温かくなるデバイスをジャケットやベストに入れることで腰や背中を温かくすることができる。Bluetoothでスマートフォンの専用アプリと連動し、温度調節が可能だ。温かくなる機能に加え、スーツを着た時に感じる窮屈感や肩こりを軽減するための機能、自宅で簡単にお手入れができる素材の採用など、ストレスフリーに着用できるように細部にまでこだわった。

 カーシーカシマは、ユニフォームアパレルメーカーとして未来のために何ができるのかを考え、サーキュラーエコノミーの実現に向けて人と人をつなぎ幸せの輪を循環できる集団を目指すべく、2020年から「Think Lab 0 プロジェクト」をスタート。そのプロジェクトの一環として、女性の社会進出を応援すべく“フェムテック 温活 スーツ”を開発した。長らく働く女性に向けた仕事服を作る中で培ってきたノウハウと技術を組み合わせ、企業理念「more beautiful」をかなえるべく、働く人や企業、全ての思いに寄り添ったユニフォームを提案する。

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経済産業省係長に聞く 「ファッション未来研究会」報告書の背景

 経済産業省は「これからのファッションを考える研究会 ~ファッション未来研究会~」をテーマに、2021年11〜12月に34人の有識者を集めて議論をし、このほど報告書としてホームページ上に公開した。ファッション産業の現状のデーターやインタビューなどを交え、雑誌のようにデザインされた報告書は100ページに近く、“卒論級”のボリュームと濃度だ。企画を舵取りしたのは経済産業省の若き担当者。「これは未来へ向かうための地図」と話す彼女にその背景を聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):行政が開く有識者会議には正直、何か政策を行うための、極端に言うと「予算確保準備」のための会議というイメージもありますが、今回は「結論ありき」の答え合わせではなかった。その分議論が壮大でしたね。

井上彩花経済産業省商務サービスグループクールジャパン政策課ファッション政策室係長(以下、井上):持っていきたかった筋書きがあったわけではもちろん、なく。ファッションの未来って何なのか?を、有識者としっかり議論をする中で導き出すことが非常に重要でした。ファッションを考えることは、人がどういう風に生活するのか、どんな生き方をするのかと全く同じなんだと思います。私は今6年目ですが、こんなプロジェクトは初めてで楽しかったです。

WWD:そもそも経済産業省はなぜこのプロジェクトを立ち上げたのでしょうか。

井上:前提としてファッション政策室ではファッションを衣服ではなく、文化やライフスタイル、時代ごとの人々の価値観や創造性を表す媒体だととらえています。生活文化に関連するモノ全体ですね。そう考えた時、ファッションには経済産業の視点でさまざまな意義があります。

WWD:意義とは?

井上:経済産業省なので外貨・外需をいかに獲得していくか?を常に考えていますが、ファッションはその重要な分野の一つです。例えばテキスタイルをはじめとする、各地に存在する伝統工芸や伝統技術が海外から需要され、金継ぎや襤褸(ぼろ)といった、昔からの生活の工夫が海外から改めて注目されています。少子高齢社会の日本にとって、ファッションは海外需要を獲得していくために高いポテンシャルのある領域だと思います。

 また、感性によるビジネス領域は、クリエイターがグローバル市場に一気にリーチできる可能性があり、グローバルで競争力を持つために長期的視点で重要な分野です。さらに研究会でも取り上げたバイオマテリアルやデジタルファッションなど、従来のファッションビジネスとは異なるスキルが求められていることを踏まえると、今後ファッションが新しい成長産業に変化する可能性も秘めています。

WWD:なるほど。サステナビリティも一つのポイントですね。

井上:サステナブルは不可欠です。ただ今回はその先、サステナブルを達成したその先に日本企業がどのように価値を創造し、外需をとっていくことかを議論する点がポイントでした。今起きている変化を整理した上で、世界に乗り遅れることなくむしろ日本企業がリードする “望ましいファッションの未来”を考えることを目的にしました。

WWD:34人の委員はどのような基準で選びましたか。

井上:未来を議論するために、専門分野、ジャンル、世代、国籍を越えた各領域のトップランナーの方々に集まり、議論をしていただきました。デジタル、バイオ・素材、デザイン、アート、ラグジュアリー、教育、評論、編集、経営、投資、研究など幅広い専門性からそれぞれファッションに向き合っている有識者です。

議論は白熱。得た答えの中から3つのポイント

WWD:会議は全てオンラインで全5回。チャットや共有ファイルを並行して活用し、誰かの発表と同タイミングでオンライン上で意見が飛び交うという、非常に活発な会議でした。どのような結論を得られましたか?

井上:具体的には大きく3つの方向性が議論されました。一つ目は人と自然に調和的で持続可能である状態です。サステナビリティの対応を行うことは一層不可欠なものとなるでしょう。障がいの有無や年齢、身体的差異やジェンダーなどに制限されることなく、自由にファッションを楽しむことが肯定されるようになっています。廃棄物が出ない、循環型システムの構築していくために、バイオマテリアルなどの素材開発も重要なポイントの一つです。

 これからは、消費を刺激して稼ぐのではなく、商品寿命を延ばして消費頻度を抑制してもビジネスが成立し、持続的に成長できるビジネスモデルへの転換が必要だと考えています。一つの方法が、ブロックチェーンなどのテクノロジーの活用です。製造工程から二次流通市場での取り引きも含めたトレーサビリティを担保し、二次流通の収益の一部をクリエイターに還元する新しい取引ルールを社会に提案し、根付かせていくことを考えています。

WWD:デジタルは大きな柱でしたね。議論ではクリエイターの新しい収益源との話題も出ています。

井上:はい。議論の二つ目の方向性がゲームを始めとする、デジタルファッション市場です。コミュニケーションの場が現実世界から仮想空間にも接続・拡張しつつあることで、自分自身のアバターを着飾ったり、表現するためのファッションが拡大したりしています。そこではこれまでのファッション産業とは異なるスキルが求められるため、世界を見ると、既存のファッション企業がデジタル産業との結びつきを進める動きが見られます。日本のゲーム産業は国際的にも存在感があリますから、連携をより深めることも重要です。

 デジタルファッション空間は、ファッションの楽しさをより多くの人が享受することのできる「平等な場」だという声もありました。デジタルツールの発展は単なる効率化だけではなくクリエイターの想像力を解放し、新しい創造が生まれるとしたら、それはとても楽しみな世界です。

 例えば、YouTubeの登場が映像作品の制作を一般の方にも解放したように、ファッションの分野でも、デジタルツールの発展によって、より多くの人が創造活動を行えるようになるのではないでしょうか。今後、クリエイターの新しい収益源として期待できる中、デジタルファッション市場への参入時に留意すべき論点、ファッションローなどをとりまとめるなど、国としても環境整備を行っていきます。

これは未来へ向かうための地図。官民で盛り上げたい

WWD:ラグジュアリーというキーワードもたびたび登場しました。

井上:三つ目のポイントは、突き抜けた個を支援し、経済・地域全体の成長に繋げること。その中で、「新しいラグジュアリーの概念」について議論しました。日本には長い歴史に積み重ねてきた伝統があります。各地域に存在するこうした伝統工芸や伝統技術が生み出すクオリティこそが、国際競争力の源泉であり、他国には真似することのできない独自性でしょう。

 また、日本は、これまで多くのクリエイターやアーティストが海外に挑戦し、海外の市場からも一定の評価を獲得しつつあります。とはいえ、こうしたクリエイターの中には、磐石な経営体制を伴わないままに海外市場にリーチしている、できてしまっているような場合もあり、まだまだ支援が必要だという指摘もあります。突き抜けた「個」を経済社会の発展に戦略的に取り込み、ローカルの持つ素晴らしい資源を世界の市場にリーチさせ、文化を次世代に向けてアップデートしていく仕組みを作っていくということにつなげる好循環を作りたい。

WWD:この取り組みをどう生かしますか?

井上:議論の内容をとりまとめた報告書を経済産業省のホームページ上に公開しました。ファッション業界に携わる方だけでなく業界の方や学生にもご覧いただき、目指す未来に向けて一緒に進んでいきたい。また、すでにいくつかのプロジェクトを進めているところですが、国としても、この未来に向かうための地図をもとに、必要な取り組みを行いたいと思います。報告書を読んだ方が自分の取り組みと結びつけて、さらに意見を寄せてくれると嬉しい。メールアドレスは表紙に書いてありますのでぜひ。官民で連携して、日本のファッションをますます盛り上げていくことができたら嬉しいです。

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「プライド」はなぜ”LGBTQ+用語”になったの? ポッドキャスト連載:考えたい言葉 vol.20

 「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズの連載「考えたい言葉」は、2週間に1回、同期の若手2人がファッション&ビューティ業界で当たり前に使われている言葉について対話します。担当する2人は普段から"当たり前"について疑問を持ち、深く考え、先輩たちからはきっと「めんどうくさい」と思われているだろうな……とビビりつつも、それでも「メディアでは、より良い社会のための言葉を使っていきたい」と思考を続けます。第21弾は、「東京レインボープライド」の取材を通して感じたことを含め、【プライド】をテーマに語り合いました。「WWDJAPAN.com」では、2人が対話して見出した言葉の意味を、あくまで1つの考えとして紹介します。

若手2人が考える【プライド】

 「プライド(pride)」は、英語で"誇り"や"自尊心"を意味し、日本語でも同様の意味で常用される。英語圏では近年、「プライド」はLGBTQ+コミュニティーの"誇り"や"自尊心"を指すことが多い。西洋では特にキリスト教の影響で、同性愛が"罪"であり、"恥(シェイム、shame)"であるとされてきたことから、その反対である「プライド」という言葉を使って社会運動を始めたとされる。

 派生して、LGBTQ+マーチやパレードなどのイベント自体を「プライド」と呼ぶこともある。この発祥は、1969年にLGBTQ+のコミュニティーが集まるバー、ストーンウオール・イン(Stonewall Inn)の客が度重なる警察の踏み込み捜査に立ち向かい、デモを起こしたこととされている。当時、アメリカでは同性間の性的交渉や"自身の性別に合った洋服や髪型"でないことを理由に逮捕されるなど、性的少数者は法的、社会的な抑圧を経験していた。現在では、LGBTQ+の人権や社会的地位の進歩に伴い、音楽と共にダンスをしながら行進し、派手なスタイルを楽しんだり、お酒を飲んだりと"祝い"のニュアンスが強くなった地域も少なくない。日本最大のプライドイベントである「東京レインボープライド」は、1994年にレズビアン&ゲイパレードとして始まり、現在では多くの企業や各国大使館が参加する規模にまで広がった。

【ポッドキャスト】

「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズはSpotifyやApple Podcastsでもお聞きいただけます。

ポッドキャスト配信者

佐立武士(さだち・たけし):He/Him。ソーシャルエディター。幼少期をアメリカ・コネチカット州で過ごし、その後は日本とアメリカの高校に通う。早稲田大学国際教養学部を卒業し、新卒でINFASパブリケーションズに入社。在学中はジェンダーとポストコロニアリズムに焦点を置き、ロンドン大学・東洋アフリカ研究学院に留学。学業の傍ら、当事者としてLGBTQ+ウエブメディアでライターをしていた。現在は「WWDJAPAN」のソーシャルメディアとユース向けのコンテンツに注力する。ニックネームはディラン

ソーンマヤ:She/Her。翻訳担当。日本の高校を卒業後、オランダのライデン大学に進学して考古学を主専攻に、アムステルダム大学でジェンダー学を副専攻する。今ある社会のあり方を探求すべく勉強を開始したものの、「そもそもこれまで習ってきた歴史観は、どの視点から語られているものなのだろう?」と疑問を持ち、ジェンダー考古学をテーマに研究を進めた。「WWDJAPAN」では翻訳をメインに、メディアの力を通して物事を見る視点を増やせるような記事づくりに励む

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ジェンダーレスファッション、“男性にドレスを着せる”の先にある世界とは

 フェアチャイルド・メディア(FAIRCHILD MEDIA)はこのほど、「ダイバーシティー・フォーラム(Diversity Forum)」を開催した。フォーラムでは、ファッションとジェンダー・アイデンティティーのつながりや、今日のジェンダーの流動性の概念がファッション業界に与える影響などに関するディスカッションが行われた。ジェンダーレスファッションといえば、「ユニセックス」と称した商品は長きにわたって市場に浸透している。“メンズから借りた”ファッションをウィメンズでも展開して「ユニセックス」として提案されることが多い中、近年は「ジェンダーレス」「ジェンダーニュートラル」と呼ばれる新製品も多く登場している。これからのジェンダーレスなアプローチとは。

 フォーラムで対談したのは、ジェンダーの流動性がまだファッション業界や社会で浸透していない頃からLGBTQ+コミュニティー内におけるジェンダー・ポジティブ運動の先駆者的存在として活躍しているデザイナーのルドヴィック・デ・サン・サーナン(Ludovic de Saint Sernin)と、モデルのテディ・クインリバン(Teddy Quinlivan)。自身の名を冠したブランドを持つデ・サン・サーナンは、色気やジェンダーの区別のない官能性(センシュアリティー)がファッション業界でトレンドとして復活するきっかけとなったと言われている。「本当の自分を表現しただけだったが、そこに確かな需要があることに気がついた。洋服を着る人が従来の選択肢に縛られてなくていいブランドを作ってみたところ、業界の反響は驚くべきものだった。私は一人ではないし、心を開いてこうしたコミュニティーの一員になりたいと願う人は世界中にいる」と語る。

 デ・サン・サーナンは最新のコレクションで自身もモデルとして登場し、“自分のミューズになる(be your own muse)”というテーマを体現した。2022年春夏コレクションの広告キャンペーンでも、商品を全く使用しないセンシュアルで斬新な手法を披露。スペインの新進気鋭のランウエイモデル、フェルナンド・リンデス(Fernando Lindez)を起用してインターネット上で大きな話題を集めた。センシュアリティーといえば、トム・フォード(Tom Ford)がデザイナーを務めた時代の「グッチ(GUCCI)」の挑発的で性的な広告や、ケイト・モス(Kate Moss)を起用した「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」のアイコニックなキャンペーンなど、官能的な魅力で大衆の心を掴んだケースは多く、ファッション業界にとって新しい概念ではない。しかし、デ・サン・サーナンはこれまでにない新しい側面に光を当ててインパクトの強いビジュアルを作るだけでなく、それが受け入れられるよう推進することを使命としている。

 「過去5年間に制作したキャンペーンでは、ファッションにおけるクィア(性的マイノリティーや、既存の性のカテゴリーに当てはまらない人々の総称)らしさやゲイ(同性愛、同性愛者)らしさ、セックスの表象を新たな面から可視化したため、大きな反響を呼んだ。私はゲイの男性だが、自分らしくあることや、このコミュニティーで私が私らしくあることの意味などを発見していった時に参照した資料が(広告制作などの際に)とても役立った。これまで、ロバート・メイプルソープ(Robert Mapplethorpe)やマドンナ(Madonna)といったポップアーティストなど、世界のクィア・アイコンに影響を受けた。彼らの多くは性とユニークな関係を持っていて、そうして性を堂々と表現する姿勢にインスパイアされてきた。だからこそ、洋服だけじゃなくて、ライフスタイル体験を提供しなければと考えた。現代のブランドとして、ただ服を作るだけではなく、メッセージ性を持ち、コミュニティーにとって意味のある何かを構築し、自分の意志を表現し、可視化する必要がある」。

 ジェンダー規範を問い直すことは、ファッション業界で今や当たり前になりつつあり、より“挑発的”になるために“型破り”なモデルのキャスティングをすることが増えてきている。トランスジェンダーモデルとして活躍するクインリバンは、「幸いなことに、業界ではジェンダーに関する多様な表現があり、従来のジェンダー規範が壊される場となっている。単に男性がスカートやドレスを着るのではなく、新しいクリエイティビティーが生まれている。ファッションはアートであり、デザイナーは自由にキャスティングできる。一方で、当事者の起用は搾取につながり、企業に利益をもたらすためだけにこれらの人々を利用するようになってしまう恐れがある。6月のプライド月間の商業化を見るに、残念ながらファッション業界のモデルたちも商業的に利用されていくのではないかと感じる」と意見を述べた。

 ジェンダー平等の世界的な動きは、コミュニティーのメンバーが恐れることなく自由にセクシュアリティーを表現し、楽しむことができる社会の構築に向けて、これまで以上に大きく前進している。「変化の中でたくさんの新しい声が聞こえていることに感激している。私たちが開けたドアもあるが、これまで道をつなげてきてくれた人たちのおかげで今がある」とデ・サン・サーナン。

 ファッション業界はさまざまな形で個人を肯定し、クリエイティビティーの発展に貢献してきたが、今度はより平等な世界の実現に向けてゆっくりと動き出している。自己表現におけるセックスアピールの役割を問い直し、ボディーシェイミング(人の見た目に意見を言ったり批判したりすること)を終わらせ、自己肯定心を育み、それぞれの方法で自身を受け入れることを導くような灯台となれるだろうか。

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米インナーウエアブランド、子どもと体についての対話を促す“マニュアル”を作成 「幼少期から自分の体を知って大切にする」

 ニューヨークを拠点とするインナーウエアブランド「オドボディー(ODDOBODY)」は、ジェンダーニュートラルなキッズラインを発売した。また、子育て中の人に向けて、子どもと体についての対話を促す“オドキッズ マニュアル”も併せて提供する。子どもと対話する際のコツやポイントのほか、セクシャリティーやジェンダーについて話す時に推奨される言葉、子どもが安心して話したり学んだりできる場の作り方などを紹介している。

 アビゲイル・ジェロー(Abigail Gerow)共同創業者は「自分の体を守り、大切にすることを通して人々をエンパワーしたいし、子どもの頃からそうしたことについて学び、対話することの重要性を伝えたい。子どもたちと自分の体やジェンダーについてどう話すべきかという情報が不足している。マニュアルがあれば、子育て中の親をそうした面でサポートできるのではないかと考えた」と述べる。

 共同創業者のシラ・ウィラー(Shira Wheeler)は、「ボディー・ポジティビティの概念が浸透して、多くのブランドが生理といったこれまでタブー視されていたトピックについて話すようになってきたことはとてもうれしい。一方で、幼少期から自分の体やジェンダーについて考えるようになるにもかかわらず、子ども向けにこれらが語られることは少ない」という。「体についての考えや知識量は、ティーン時代の体験など、成長していく上で大きな影響を与える。新しい製品やラインを販売するときは、体についても学べるようにしていきたい」と語った。

 マニュアルの作成には、心理療法士で作家のレイチェル・サイモン(Rachel Simon)も携わっている。ジェロー共同創業者は、専門家を起用することの重要性を説明。「私たちが専門家でないことは明確にするべきだ。私たちも一緒に学んでいるし、まだまだ知らないことばかり。この取り組みをきっかけに対話が増えるといいなと思っている」と言う。

 「オドボディー」は2019年創業。同時期に母親になったジェローとウィラー共同創業者が、サステナブルで女性の健康にフォーカスしたアイテムを作りたいとの思いで始めた。ジェロー共同創業者は、「妊娠中に、自分の体について実はよく知らないことに気づいて驚いた。視野が広がる体験だった」という。新作の子ども向けコレクションは、100%オーガニックのピーマコットンを使用。2〜9歳児を対象としており、3型のタンクトップとアンダーウエアを展開する。価格は18〜32ドル(約2200〜4000円)。自社ECのほか、アメリカのセレクトショップなどで販売する。

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3年ぶりの「東京レインボープライド」参加者は多様性を体現するそれぞれの“プライドファッション”

 「東京レインボープライド2022(Tokyo Rainbow Pride 2022) 」パレード&フェスティバルが、東京・渋谷区で4月22~24日で開催された。

 同イベントはLGBTQ+と性の多様性を祝い、差別や偏見へ反対のメッセージを発信するもので、リアルでの実施は3年ぶり。ブース出展やステージパフォーマンスを行うフェスティバルが代々木公園で4月22~24日に、渋谷の街を行進するパレードが24日に行われた。新型コロナウイルス感染拡大防止のための入場規制などで規模を縮小したものの、3日間で6万6949人が来場した。パレードにはモデルで俳優のカーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)の姿も見られ、大きな盛り上がりを見せた。

 パレードとフェスティバル参加者の“プライドファッション”は、“レインボーまみれ”から“オールブラック”までさまざま。グリッターなどを多用したメイクや、カラフルなヘアカラーにも注目だ。

※撮影時のみマスクを外しています
PHOTOS:MIRI SAITO

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ヘラルボニーが「ハイアット セントリック 銀座」の客室をデザイン 知的障がいを持つ作家13人のアート作品を活用

 ヘラルボニーは、東京・銀座のライフスタイルホテル「ハイアット セントリック 銀座 東京(HYATT CENTRIC GINZA TOKYO)」と協業し、期間限定のコンセプトルームを開発した。客室はスイート(税込6万1600円〜)とスタンダード(税込2万3100円〜)の2種類。それぞれコラボドリンクを楽しめる通常プランと、Tシャツなどのオリジナルグッズが手に入る特別プランを用意する。宿泊期間は5月2日〜7月31日で、現在予約を受け付け中だ。

 客室のテーマは“アートの力を体験する空間”だ。ヘラルボニーと契約する13人の作家にフォーカスし、彼らの作品を壁や床、鏡、ハンガーなどに落とし込んだ。水性ペンによる独特な色彩と、丸と四角を無数につなげる作風のフミエ・シマオカや、ブラシマーカーを使った大胆な色使いと構成が特徴の土屋康一らの作品を採用した。自社ブランド「ヘラルボニー(HERALBONY)」のソファやクッション、カップ、ハンカチなども内装に取り入れており、いくつかのアイテムはECなどで購入することができる。

 ヘラルボニーは障がいを“異彩”と捉え、知的障がいのある作家の作品を自社ブランドやライセンスに活用し、社会イメージのアップデートに挑んでいる。これまでも工事現場の仮囲いに同社のアートを活用するなど、公共空間の演出はいくつも手掛けてきたが、飲食や宿泊を伴う空間を手掛けるのは初めてだ。ヘラルボニーの松田崇弥代表は「いろいろな人と価値観、ライフスタイルが混じり合う空間を、“異彩”のアートが彩る。これは、われわれがずっと実現したかった景色だ」と語る。

 内山渡教「ハイアット セントリック 銀座 東京」総支配人は、「内装まで作り込むコンセプトルームの開発は今回が初めて。ヘラルボニーとともに、われわれが重んじる個性・多様性の大切さを届けたい。お客さまにとっては、新しい価値観と視野をもたらす空間になればうれしい」とコメントする。

 空間デザインと施工を担当した乃村工藝社の吉村峰人デザイナーは「ヘラルボニーと契約するアーティストの作品には、豊かな色彩と形の連続から、キャンバスを飛び出して拡張するような力を感じる。その“広がり”を体感できる空間に仕上げた。スカーフを使った棚の装飾など、日常で取り入れられるものもある。宿泊後もアートを楽しんでもらえたら」と話す。

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“ファミマソックス”からレインボーカラーの新色 LGBTQ+支援団体に売上の一部を寄付

 ファミリーマートは、性の多様性やLGBTQ+支援を意味するレインボーカラーのソックス(税込429円)を4月19日に発売する。全国のファミリーマート約1万6600店で取り扱い、売り上げの一部をLGBTQ+支援団体に寄付する。サイズは22~25cmと25~28cmの2型で、数量限定の販売だ。さらに、LGBTQ+支援の意志の表明として、4月22日からホットスナック“ファミチキ”の袋も数量限定でレインボーカラーを採用する。

 同アイテムは、落合宏理がデザイナーを務める、ファミリーマートのアパレルライン“コンビニエンスウェア”の一部。ファミリーマートのイメージカラーの青と緑のラインをデザインした通称“ファミマソックス”がSNSを中心に昨年話題になり、売り切れも続出した。

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渋谷パルコからダイバーシティーを発信! 多様性豊かなイベントが盛りだくさん

 渋谷パルコは4月15〜28日、“ダイバーシティー”をテーマにした初のイベント「パルコ プライド ウイーク(PARCO PRIDE WEEK)」を開催する。エントランスや館内ブランドの店頭にレインボーカラーのフラッグを立て、飲食店では限定メニューを提供。4階のアートスペース「パルコミュージアムトーキョー(PARCO MUSEUM TOKYO)」や10階のマーケット型飲食&イベントスペース「コミューン(ComMune)」など、館内各所から“ダイバーシティー”にまつわるさまざまなカルチャーを発信する。

 中でも注目すべきは、4月15日〜5月9日に開催するカルチャーフェスティバル「あいとあいまい」。性別や世代、地域、働き方など、さまざまな場面で生じる「こうでなくてはいけない」という“あいまいさが許容されない社会”に対して、“あいすることを正義に思い込みや線引き、誰かの決めたルールをあいまいにしていくことにチャレンジする”という企画。美輪明宏の「愛する権利」や坂本慎太郎の「ディスコって」など、今回のテーマを突く名曲の歌詞を1階西側の壁面「ART WALL」に掲載。ほかにも公開演劇「愛でる」の上演(4月21〜23日)やオールナイト開催の「日活ロマンポルノ入門講座」(4月23日23時30分〜翌5時30分予定)、クィア&フェミをメインテーマとするDJのパーティー「WAIFU」主催のオールナイトパーティー(4月23日19時〜翌5時予定)、カナイフユキによる個展(4月22日〜5月9日)などを実施する。

 4月15日〜5月9日には、パルコミュージアムトーキョーでスペイン人アーティスト、ココ・カピタン(Coco Capitan)の個展を開催。2020年にロンドンやアムステルダムを巡回した個展「ナイーヴィ(NAIVY)」を踏襲した日本初個展となる。カピタンの写真家としての活動を軸に50点の写真作品をカピタン自らが制作したさまざまなファウンド・オブジェとともに展示する。入場料は800円。

 カピタンは1992年、スペイン・セビリア生まれ。ロンドンとマヨルカ島を拠点に活動している。ファインアートとコマーシャルアートを股にかける彼女のアート作品は、写真や絵画、インスタレーション、散文などさまざま。過去には「グッチ(GUCCI)」や「アー・ぺー・セー(A.P.C.)」「ナイキ(NIKE)」「ディオール(DIOR)」などともコラボレーションしている。

 その他、4月22日19〜24時には、新宿2丁目発のMIXバー「Campy!bar」の女装パフォーマー、ブルボンヌとドラァグクイーンのオナン・スペルマーメイドが、9階スーパー ドミューン(SUPER DOMMUNE)で宇川直宏を聞き手にトークインベントを行う。また、4月24日16〜23時には、新宿2丁目を拠点に定期的に開催され、東京で最もカッティング・エッジなパーティーと称される「fancyHIM」が10階「コミューン」で豪華ゲストを迎えたスペシャルイベントを開催する(有料)。

 館内の各飲食店による特別メニューも豊富にそろう。クラフトビールが飲める「立ち飲みビールボーイ」では、イベントに合わせて色も味も楽しめる“自家製「シャリキン」”を用意。「シャリキン」とはキンミヤ焼酎を凍らせてシャーベット状にしたお酒のこと。さまざまなフルーツとシャリキンを割って、飲める。ジビエや昆虫料理が食べられる「米とサーカス」では、レインボーカラーの“MUSHIだんご”(930円)を用意。カイコ、ハチノコ、コオロギ、ミールワーム、イナゴ、マゴット(仕入れ状況により異なる)など、さまざまな昆虫を食べ比べできる。

■PARCO PRIDE WEEK
日程:4月15〜28日
場所:渋谷パルコ
住所:東京都渋谷区宇田川町15-1
※各企画・詳細は特設サイトをご覧ください

問い合わせ先
パルコ
03-3464-5111

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「フォトコピュー」が初のチャリティーTシャツ ジェンダーギャップを減らす活動を支援

 竹内美彩が手掛ける「フォトコピュー(PHOTOCOPIEU)」は、2022年春夏シーズンにブランド初となるチャリティーTシャツ(税込1万7600円)を発売した。これは、「ジェンダーギャップを減らしていきたい」というデザイナーの思いや、ブランドの今後のビジョンを具体的に形にしたアイテムだ。売り上げの10%は支援団体への寄付を予定しており、ジェンダーギャップを減らしていく活動を支援する費用に充てられる。

 Tシャツは、フランスを象徴する女性像で、時代を切り開く先導者として知られるマリアンヌ(Marianne)のイラストをバックプリントに入れた。“PHOTOCOPIEU”と記された旗と、“平和”の花言葉を持つオリーブの木を手にしたマリアンヌ、フランス語で「女性に平和と名誉を」を意味する“HONNEUR & PAIX AUX FEMMES”のロゴをのせている。フロントにも、ブランド名を入れた旗のプリントを施した。イラストは全て竹内デザイナーが手描きしたものだ。

 素材はオーガニックコットンを100%使用し、白と黒の2色をラインアップする。「ジェンダー平等について社会全体で考えてほしい」という思いから、ユニセックスで着用できるサイズとデザインにこだわった。

 販売店はセレクトショップのエディション(EDITION)、ザ トウキョウ(THE TOKYO)、ミッドウエスト、ロカレール(LOCALERS)、アルタミラ(Altamira)、メイデンズショップ(MAIDENS SHOP)で取扱中だ。

 竹内デザイナーは、「WWDJAPAN」がファッション業界の“ネクストリーダー”を紹介する企画「WWD NEXT LEADERS 2021」を受賞した。その際のインタビューで、将来の目標について「母子家庭で育った子どもや、恵まれない環境にいる女の子たちを支援する財団を立ち上げること」と語っていた。今回のチャリティーTシャツはその布石であり、今後も支援につながる企画を発信していくという。

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写真家レスリー・キーが見た「アカデミー賞」 自ら撮影した写真とともに語る

 ファッションシューティングやセレブリティのポートレートなどを多く手がける写真家レスリー・キーが、米国ロサンゼルスで3月27日(日本時間28日)に開催されたアカデミー賞授賞式に初出席した。そこで体感した興奮と感動、そして、時代を象徴するかのような受賞作や受賞者、ウィル・スミスのビンタ事件の瞬間などについて、現地のレスリーに話を聞いた。

――ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われたアカデミー賞授賞式に出席することになった経緯は?

レスリー・キー(以下、レスリー):アメリカのNetflixのトップから招待され、授賞式に出席するとともに、レッドカーペットや会場で数々の俳優や映画監督などセレブリティを間近に撮影する機会をもらった。実は今年、拠点をNYに移す計画をしていた。その前にロサンゼルスで行われたアカデミー賞授賞式と、ラスベガスで開催されたグラミー賞授賞式という、世界最高峰の映画祭と音楽祭に出席できた。アメリカに引き寄せられる何かがあったのだと思う。

――授賞式に出席するために渡米したわけだが、会場や街の雰囲気などで感じたことは?

レスリー:魔法の時間だった!映画もセレブリティも素晴らしかった。エンタメ界もコロナのパンデミックで2年間苦しい時間を過ごしたが、、ハリウッドがどのように業界を再建したかを知ることができる、忘れられない経験になった。本番前に、バックステージの撮影もしたが、随所に感動の場面があった。たまたまオスカーのステージを作ったスタッフの中に知り合いがいたのだが、コロナ禍ではスタッフも仕事がなくなり、不安を抱え、生活苦に脅かされる人々も少なくなかった。久しぶりにエンタメの仕事の現場に戻れたようで、一生懸命レッドカーペットを敷いたり、ステージやライティング、音響をセットしたりしている人々がみな嬉しそうだったのが印象的だった。

 参加者は事前にPCR検査をしっかり行っており(私の場合は5日前と2日前)。コロナの感染拡大防止の意味もあり、客席を半分に絞り込んでゆとりをもたせる一方、開催時間は4~6時間ぐらいだったものを2時間ちょっとに短縮したので、かなり凝縮されたものになっていた。

 NHKの「SWITCHインタビュー 達人達」でYOSHIKI(ヨシキ)と対談するために前回渡米した昨年9月には、マスクもワクチンパスも隔離も必要だった。それが今回は全部いらなくなっていた。人類の生活が正常に戻ってきていることを体感できた。人の顔や表情が見えるようになって、ハリウッドのブルバードや海などいろいろなところを黒人、白人、ヒスパニック、アジア人など多様な人々が歩いている姿は、嬉しいしあるべき姿だなと思った。アメリカを訪れる前にパリコレに行ったが、マスクをしている人は少ないし、街もカフェも人が溢れていて活気があった。比べることではないけど、日本はコロナからの回復が遅れていて、楽天ファッションウィークも見に行ったけれども盛り上がりきれていなかった。2年間の冬眠の時期は長すぎた。でも、復活の時がもうすぐ訪れるということを、業界の仲間たちに伝えたい。

――受賞作で特に印象に残ったのは?

レスリー:やはり、アカデミー賞作品賞(脚色賞、助演男優賞も)を獲得した「コーダ あいのうた」だ。日本の映画館で3回観て、3回とも泣いたくらい、ここ最近で一番好きな作品だった。名前が告げられた瞬間、セレブがみなスタンディングオベーションで讃えていて鳥肌が立った!また、助演男優賞を受賞したのは、主人公で耳の聞こえない父親役を演じたトロイ・コッツァーだ。彼自身がろうあ者であり、男性ろうあ者として初めてオスカーを獲得した。受賞の瞬間、みんなが彼に向けて手をひらひらと振りながら、声援を送っていたのは感動した。みんなにもぜひ観て欲しい。また、村上春樹さん原作の「ドライブ・マイ・カー」が国際長編映画賞を受賞したのは本当にうれしい。日本映画が世界的に認められたことも、名作として村上春樹さんの名前が世界に残ることも感無量!邦画界の励みにもなると思った。

――今回のアカデミー賞では、ダイバーシティ&インクルーシブにもスポットが当たっていた。

レスリー:ものすごく感動したのは、アリアナ・デボーズが「ウエスト・サイド・ストーリー」で助演女優賞を獲得したこと。 “クィアの有色人種”として歴史を塗り替えたといわれている。過去にジョディー・フォスターなども受賞しているが、カメラの前でも堂々とLGBTを公表している人物の受賞は初めて。真っ赤なドレスも素晴らしかった。また、94回の歴史の中で、初めて女性が司会を務めた。エイミー・シューマー、レジーナ・ホール、ワンダ・サイクスの3人で、以前からエイミーの番組を観ていたので親しみがもてた。映画界やアカデミー賞も、白人社会や男性社会、セクハラなどと戦ってきた。2022年はほぼ2年ぶりに、会場の半分ぐらいだったけれども観客も入れて、リアル開催した。この2年間は、いろいろな意味で「反省」の期間だったのかもしれないと思う。

 この数年、BLM(ブラック・ライブズ・マター)問題から、アジアンヘイトという大問題が起きる中で、20年の「パラサイト」(韓国)、21年の「ミナリ」(アメリカ製だが、韓国人・韓国語が主で韓国映画とみなされている)に続き、22年には「ドライブ・マイ・カー」(日本)とアジア映画がさまざまな部門で受賞したことも大きな意味を持つ。映画界、音楽界など、われわれクリエイターのプラットフォームとなる方々が、平和や愛、平等やダイバーシティのメッセージを込めていることが随所に現れていて、すごく攻めているなと思った。ダイバーシティ&インクルーシブは私の生活や活動のキーワードでもある。自分もクリエイターとして、アジア人として、アジアに活躍の場を与えたり脚光を浴びる機会を作ってくれたアカデミー賞のコミッティ(協会)に感謝したい。

 ちなみに、アジア系メディアの人に聞いた話だが、これまでアメリカメディア以外はなかなか取材がしにくい部分もあったようだが、今回は韓国、中国、フィリピン、タイなど、アジアのメディアもこれまでより多く入っているとのことだった。

――アカデミー賞授賞式では、さまざまな企画や仕掛けも注目されている。

レスリー:スノーボード界のレジェンドのショーン・ホワイトと、サーフィン界のレジェンド、ケリー・スレーター、そして、スケート界のレジェンド、トニー・ホークという、横ノリ系のレジェンド3人がプレゼンテーターとして登場し、60周年を迎えた「007」やジェームズ・ボンドへのオマージュが行われたシーンも良かった。もう一つ、50周年を迎えた「ゴッドファーザー」を讃えて、アル・パチーノ、フランシス・フォード・コッポラ、ロバート・デ・ニーロの3人が並んだシーンも忘れ難い。

――レッドカーペットで特に印象的だったのは?

レスリー:ニコール・キッドマンと、ペネロペ・クルスだ。入ってきた瞬間に周りの空気が一変した。ニコールは「愛すべき夫妻の秘密」で主演女優賞にノミネートされていたのだが、夫のキース・アーバンと登場。少しくすんだベビーブルーで、背中を大胆に開けつつ、長くリボンを垂らしたドレス姿はとても美しかった。テニス女王のセリーナ&ビーナス・ウィリアムズ姉妹も赤と白の対照的なカラーのドレスで際立っていた。その父を題材としたスポーツ映画「ドリームプラン」(原題は「KING RICHARD」)がノミネートされていたり、夫婦、姉妹など、今まで以上に明確にファミリーに対する意識の高まりを感じた。

――これはどうしても聞いておきたいのだが、「ドリームプラン」で主演男優賞を受賞したウィル・スミスが、プレゼンターのクリス・ロックを平手打ちした事件を目の当たりにしたわけだが、現場では何が起こっていたのか?

レスリー:あのハプニングはあまりにも突然すぎて……。わずか2分の出来事だったが、こんなに問題になり考えさせられることになるとは思わなかった。ウィル・スミスは撮影したこともあるし、彼の歴代出演してきた映画も好きで。今回の「ドリームプラン」は、スラム街から抜け出すために独学でテニスを学び、ビーナスとセリーナをテニス界の女王姉妹に育てた父、リチャード・ウィリアムズの生き方や家族の奇跡の物語。映画もウィル・スミスの演技も素晴らしかったし、受賞してもらいたいと思っていた。脱毛症で坊主頭にしていた妻のジェイダ・ピンケット・スミスに対して発した「ジェイダ、愛しているよ。『G.I.ジェーン2』で君を見るのが待ちきれない」と発言したクリス・ロックのシニカルなジョークには、会場も笑ったし、ウィル・スミスも一瞬笑っていたが、ジェイダはあきれたような傷ついたような顔をしていた。ウィル・スミスの平手打ちは暴力だったが、気持ちはわかる。ドキュメンタリー賞のプレゼンテーターとして登壇していたクリス・ロックは、アメリカでトップクラスのコメディアンで、映画監督や俳優業もしているが、日本で明石家さんまさんやビートたけしさん、マツコ・デラックスなどもアーティストを揶揄することはあるけれど、他人の妻、しかも、病気のことを知らずにちゃかしたり皮肉を言ったりすることはしてはいけないこと。芸能人として勉強不足だった。

――ウィル・スミスの行動を誰も止めることはできなかったのか?

レスリー:今回の来場者のうち、大御所俳優は、名誉賞を受賞してオスカー俳優となったサミュエル・L・ジャクソンと、アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ、ケビン・コスナーなどだったが、彼らは皆、シニア層。トップ俳優はといえば、オスカーの最有力と言われて6部門にノミネートされていた「ドリームプラン」に主演したウィル・スミスであり、主演男優賞の大本命だった。会場の一番前、ど真ん中に座っているのが彼だった。それだけステージに近かったので、誰が止めに行っても間に合わなかった。ABCテレビ局が、これはやばいと思って、テレビ放送では音を消したが、会場には感情的になったウィル・スミスのFワードと言われる放送禁止用語が響いてしまった。スポーツ界で尊敬される立派なお父さんのロールモデルを演じていたのに、輝かしい瞬間に、その映画や功績まで傷つけてしまった。主演男優賞の受賞コメントや終了後にSNSなどを通じて謝罪したり、アカデミー会員から脱退したりもしているが、とても残念。BLM問題が何年も続いているが、白人社会といわれているアカデミー賞やアメリカの様々なメディアも雑誌の表紙、映画の主役にも黒人が台頭している。「ブラックパンサー」の続編も年内に公開される予定で話題になっている。輝かしい場で、黒人2人がばかばかしいことをしてしまったのは、個人的に悔しかった。

――ちなみに、冒頭でNYに拠点を移すと言っていたが、その決意をしたのはなぜ?

レスリー:コロナ禍だったけれど、2020~2021年にかけて、写真家20周年の集大成として写真集を出すことと、多くのアーティストや関係者に参加してもらってチャリティイベントを兼ねた自分の結婚披露パーティを開くことができた。われわれクリエイターは、難しい状況の中でも、その時代や環境の中で、闘いながら、困難を乗り越え、自分が感じたものを表現し続けることが大切だ。立ち止まらず、それをその乗り越えたことで、「ギャップ(GAP)」のSDRs、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)のキャンペーンや、羽田空港でのD&I写真展なども経験させてもらった。2022年は日本にきて30年の節目の年。次はアメリカに拠点を移して活動したいと思った。

 実は歴史のある雑誌の日本版が今夏創刊される。撮影はこれからだが、しっかりとハリウッドの世界を日本の雑誌で届けるためのリサーチのために来た。これまでパリコレ、ミラノコレなど10年以上撮影してきたので、ファッションの世界はよくわかった。これからフォトグラファーとして、ハリウッドの情報を日本に届ける。4~7月まで、いろいろな俳優の撮影を予定している。ハリウッドのファッションを日本につなげる橋渡し役になりたい。楽しみにしていてほしい。

レスリーが選んだ、2022年オスカーのレッドカーペットに登場した22人のベスト・ハリウッドスターの豪華ドレス&スーツスタイル

レスリー・キー/フォトグラファー
PROFILE:シンガポール出身。1994年に来日。98年にフォトグラファーとしての活動を開始。ファッションや広告などの分野で、日本を始め、アジア各国やニューヨークなどで精力的に活動

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特異性は生まれ持った力 モデルTAIRAが語る「多様性という言葉が必要ない社会へ」

 ルミネと「WWDJAPAN」が「MOVE ON」プロジェクトの一環として3月2日に行ったイベント「Next Generations Forum 2022」には、 “ファッション&ビューティ業界の次代を担う存在”として、「WWDJAPAN」が2月14日号でネクストリーダーに選出していたモデルのTAIRAも登壇した。2021年春夏ウィメンズの「プラダ(PRADA)」で、鮮烈なデビュー果たしたTAIRA。ここでは、当日TAIRAがビデオメッセージで語った内容のダイジェストを紹介する。セッションの全容は、このページから登録すれば4月24日まで無料で視聴ができる。

WWD:かつてはジェンダー・ノンバイナリー(性自認が男女どちらにも当てはまらないこと)という1つの個性を、コンプレックスに思うことがあったか。

TAIRA:非常にセンシティブな子どもだったため、周りの友達と自分を比べて「なんで自分はこうじゃないんだろう」といったコンプレックスがあった。その中でモデルにスカウトされたことがきっかけとなり、自分の少し変わっている部分を力に変えることができるようになったし、今では生まれ持った力だと信じることができるようになっている。ファッション業界で特にモデルは、皆さまざまなコンプレックスを抱えている。「気にすることはない」と軽くあしらうのではなく、逆に寄り添って発言をするようにするなど、自分も気をつけている。コンプレックスは皆持っているもの。そこにフォーカスするのではなく、何が自分にとって武器なのか、何が強いのか、そちらに目を向けることのほうが大切だと感じている

WWD:今後、社会はどのように変わると思うか。

TAIRA:今は多様性という言葉がすごく盛んに使われることが多く、自分の強みとしても多様性でランウエイショーなどにキャスティングしていただくことも多いが、ゆくゆくは多様性という概念自体がない社会になってほしい。

問い合わせ先
ルミネ代表電話
03-5334-0550

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「東京レインボープライド」が3年ぶりにリアル開催へ りゅうちぇるやミラクルひかる、青山テルマらも登場

 LGBTQ+や性の多様性を祝うイベント「東京レインボープライド(TOKYO RAINBOW PRIDE)」のパレードとフェスティバルが、4月22日~24日に代々木公園で開催する。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2020年と21年はオンライン開催だったため、3年ぶりのリアル開催となる。22日をのぞいて、入場にはオンラインでの事前予約が必要だ。12日までの予約を受け付けており、状況に応じて早期終了または延長する可能がある。

 イベントには116の団体が出展するほか、代々木公園イベント広場と野外ステージでさまざまなライブやパフォーマンスを実施する。司会にはタレントのりゅうちぇるや女装パフォーマーのブルボンヌ、パフォーマンスにはミラクルひかるや青山テルマらが登場する。さらに国立国際医療研究所センター、エイズ治療・研究開発センター長の岡慎一を招いた感染症に関するシンポジウムや、研究者のロバート・キャンベルらを招いた法整備に関するシンポジウムも行う。

 24日には、「東京レインボープライド」のメインイベントであるパレードを開催する。代々木公園、渋谷と原宿周辺をフロート(山車)と共に歩き、「“性”と“生”の多様性」を祝福するという。

■「プライドフェスティバル」シンポジウム
日程:4月22日
時間:16:00~18:00
場所:代々木公園イベント広場&野外ステージ
入場料:無料

■「プライドフェスティバル」ライブ
開催期間:4月23~24日
時間:11:00~18:00
場所:代々木公園イベント広場&野外ステージ
入場料:無料、要予約

■「プライドパレード」
日程:4月24日
時間:13:00
場所:代々木公園、渋谷~原宿周辺
入場料:無料(観覧のみ、参加の予約は終了)

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渋谷モディがフロア改装 車いす対応の試着室、点字ブロック、トイレまでの距離表示など

 丸井グループは17日、渋谷モディの4階を障がいがある人でも買い物がしやすいフロアへと改装した。年齢や性別、高齢者、障がい、外国人、LGBTQなど、全ての人が楽しく安心して買い物できる商業施設を目指す。

 丸井グループは、全ての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブで豊かな社会を共に作る道筋として「ビジョン2050」を2019年に宣言している。それに基づき、これまでアニメ事業やスタートアップ支援などを行ってきた。今回の改装は渋谷区が掲げる基本構想「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」に共感したもの。資本業務提携するFABRIC TOKYOとヘラルボニーと協業し、4階フロアをインクルージョンなフロアに刷新した。

 昨年8月にオープンしたFABRIC TOKYOが運営するスーツ店「オールジェンダーストア」を移転。店内設計のアドバイザーにパラアイスホッケー元日本代表の上原大祐選手を迎え、車いすの人でも安心してオーダーメイドができるような空間とフィッティングルームを設置した。店内に2カ所ある試着室はどちらも車いすでもゆったり入れる広さがあるが、奥側のフィッティングには、普段は寝転がって服を着るという車いすユーザーに向けて天井を鏡張りにした。

 また、障がい者だけでなく誰でも使いやすい「みんなの試着室」も新設した。店内通路には点字ブロックを設置、トイレまでの距離表示看板を設置するなど、さまざまなユニバーサルデザインを取り入れた。

 「オールジェンダーストア」の隣接区画には、インクルーシブな取り組みを発信するイベントスペース(カレンダリウム)を新設した。第1弾としてヘラルボニーが運営する「HERALBONY CARAVAN in 渋谷」が、4月27日までの期間限定でオープン。FABRIC TOKYOとヘラルボニーのコラボアイテムを展開する。ヘラルボニーが契約する3人の作家が描いたアートを裏地に使用したジャケットを制作した。17日から先行予約を開始した。

 丸井グループは今後、グループ各館でもダイバーシティ&インクルーシブな取り組みを展開したいと考えている。

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「ディーゼル」の新デニムライン“ディーゼル ライブラリー”がローレン・サイら出演の広告ビジュアルを公開

 「ディーゼル(DIESEL)」は、2022年春夏シーズンにデビューするデニムライン“ディーゼル ライブラリー(DIESEL LIBRARY)”のキャンペーンビジュアルを公開した。同キャンペーンはクリエイティブ・ディレクター、グレン・マーティンス(Glenn Martens)による「ディーゼル」のお披露目ともなる。

 キャンペーンビジュアルは合成により1画面に本人が複数登場するもので、出演はモデル兼イラストレーターのローレン・サイ(Lauren Tsai)、歌手のトニー・ブラクストン(Toni Braxton)と息子のディーゼル・ブラクストン(Diezel Braxton)、デニム・ブラクストン(Denim Braxton)、俳優のアーロン・パイパー(Aron Piper)、「ディーゼル」のミューズでもあるモデルのエラ・スナイダー(Ella Snyder)、「ディーゼル」の創業者レンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)。

 “ディーゼル ライブラリー”はデザインコンセプトに“ジェンダーレス”を取り入れ、環境に配慮した素材を用いたり水や化学薬品の使用を制限したり、サステナビリティの追求にも重きを置く。

Photographer & Director : Frank Lebon
Stylist : Ursina Gysi
Art Director : Chris Simmonds
Digital Content Director : Rosie Marks
Production Designer : Jabez Bartlett

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「みんなのために」じゃないフェミニズム 出版社エトセトラブックス代表が語る日本のフェミニズムとファッション

 2018年12月に設立したエトセトラブックス(etc.books)は、フェミニズム本が専門の出版社だ。これまで聞かれてこなかった“エトセトラ(その他)”の声を発信することを目標に掲げている。同社の松尾亜紀子代表は、同名の店舗を東京・新代田に2021年1月にオープンし、企画や編集、販売、イベントの運営を通してフェミニズムを伝えている。今回、松尾代表にフェミニズム出版社としての想いやファッションとフェミニズムのつながり、自身のファッションについてを聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):エトセトラブックスを設立しようと思った理由は?

松尾亜紀子エトセトラブックス代表(以下、松尾):15年間編集者をした後、「ジェンダーやフェミニズムの本を出す出版社を作る」いう想いを胸に、18年に独立しました。独立への背中を押してくれたきっかけは二つ。一つは、2010年ごろからSNSを中心に日本の多くの女性たちがフェミニズムについての対話を始めたこと。当時、性暴力や職場での性差別について声を上げる人が増え、ジェンダーやフェミニズムに関連する本の感想がダイレクトに届くようになり、フェミニズムの動向も見えやすくなりました。もう一つは、独立系の出版社がたくさん登場したこと。独立した人たちが流通や経営の仕組みを構築して前例を築いてくれたので、フェミニズムだけの出版社を立ち上げて、より直接的に読者に届けたいという気持ちでスタートしました。

WWD:現在の事業は?

松尾:毎年2回発行するフェミマガジン「エトセトラ」は大体3000部から始めて、毎回増刷を重ねて6000部ほど作っています。毎月のイベントには、約60〜100人が集まります。21年1月に開いた新代田の店舗には、学生から70代のお客さままで、幅広い客層が来店しています。

WWD:仕事のやりがいは?

松尾:原稿を一番早く読める、というのは編集者として何より大きな喜び。フェミニズムを専門にしているので、出版のプロセス自体がフェミニズムの実践になります。こうして話を聞きにきてくれる人が増えていることに対しては、いまだに「私はただの一人の編集者ですが……」という気持ですが。

届けたい人がいるから、「みんなのため」にしない

WWD:エトセトラブックスが担う役割とは?

松尾:誰かのフェミニズムを、また別のフェミニストに伝えるのが使命です。書籍では、これまで聞こえなかった“エトセトラ”の声を届け、イベントではそれを読んだ人たちと一緒に理解を深めて思いを共有する。店頭では、自社の出版物だけでは伝えられないフェミニズムの多様さや葛藤を扱うことが目的です。「ここに来たら居場所がある」って思ってもらえるような場所を作りたいんです。

WWD:実際にはどんな反響が届く?

松尾:「お店で生きているフェミニストに会えてうれしい」と言ってもらえたことがありました。今はSNSでフェミニズムを実践する人が多いけれど、実態が見えづらい。だからスタッフやお客さまが、“生身のフェミニスト”として可視化できているのでしょうね。

WWD:ジェンダーやフェミニズムのトピックスを扱う上で工夫していることは?

松尾:私の話を聞いて、対話しようとしている目の前の人に向けて話すことです。広く漠然と「みんな」に向けてだと、本来届けたい層とは離れてしまう。マジョリティーのための、ジェンダーの話になってしまいます。

ずっと正しいわけではない。許してくれる仲間やシスターフッドがあった

WWD:日本では特にジェンダーやフェミニズムの話は敬遠されがちだ。発信を続けることに葛藤や恐怖はない?

松尾:恐怖はないですね。活動をする上で何をやりたいかも大事ですが、それ以上に「これはやらない」を決めるのがとても大事。やりたくないことを選ぶようになってから、フェミニストとして発信する葛藤はなくなりました。独立してからは、自分の発信したいことについて、誰かの顔色を気にしないようになれました。

WWD:間違えてしまうこともある?

松尾:私は編集者として本を作る過程でフェミニズムを知ってきたので、学問的・専門的には学んでいません。今でも間違えることはあるし、全然完成形じゃない。だからこそ何かを考えて実践する姿を見せていくことにも意味があると思っています。これから失敗するかもしれないし、迷うこともあるかもしれませんが、エトセトラブックスの成長や歩みはオープンにしていきたい。その過程を共有したいんです。

WWD:日本でフェミニズムを語る難しさとは?

松尾:前からのつながりや歴史について“共有する前提”が足りていないと感じます。例えば、ここ数年「フェミニズムの流れが来ている」「盛り上がっている」という風に言われることも多いですが、これまでずっと闘ってきて、社会を少しずつ変えてきた女性やフェミニストたちの存在があまり語られません。そういう人たちも、みんなが正しかった訳ではなく、間違うこともあった。でもそれを許してくれる仲間の存在やシスターフッドがあり、少しずつ積み上げられてきたものが今のフェミニズムを作っている。歴史への理解を深めることで、連帯がさらに生まれてくるはずです。

「洋服くらいは、自分の味方に」

WWD:ファッションとフェミニズムの関連性は?

松尾:1960年代にアメリカから広まったフェミニズム運動で、「個人的なことは政治的なこと」というスローガンがあります。この考えは、ファッションも同じだと思うんです。どんな装いを選ぶかは、それを社会的要因などによって選べない人がいるということも含めて、政治的ですよね。ファッションは自分らしさを表現する時のツールでもあるし、みんなで共有できる楽しさがある。ものを通して、フェミニストたちをつなぐものでもあると思います。

WWD:自身のファッションに対するポリシーは?

松尾:自分の好きなTシャツと、パンツ、黒い上着が基本の装いです。時々変えることがありますが、基本はこのスタイルが落ち着く。「したくないこと」を洋服に置き換えて選べるようになってから、楽しめたり、心地よく感じられるようになってきた気がします。Tシャツは、エトセトラブックスの店内でも売っているようなメッセージTシャツやスローガンTシャツをよく着ています。

WWD:なぜメッセージ性のあるTシャツを選んでいる?

松尾:フェミニズムTシャツが大好きなのは、気分的に勇ましくなれるし、何より自分がアガるから。誰かに見せるとか攻撃するためではなくて、洋服ぐらいは自分の味方で、自分にパワーを与えてくれるものであってほしい。フェミニストだと公表したら、周りに「もっと明るく、攻撃的ではない服を着た方いい」と指摘されることがありました。短い髪に、好きな革ジャンやパンツスタイルをすると、「いかにもフェミニストだね」と言われたこともあります。でもそういう人たちは結局、自分が思うフェニミストの型にはめようとしているだけなんだろうなと感じましたね。自分のプレジャーになるためのファッションが大事なのであって、お互い「こうでなくてはいけない」と主張し合うのは無駄なはず。

WWD:具体的には?

松尾:装いに関するところでは、女性に限った話ではないですが、就職活動のリクルートスーツが自分たちの世代よりもっと画一的になっていて驚きました。しかも衝撃だったのが、基本の装いであるスーツはガチガチにルールに縛られたままなのに、ピアスやヘアースタイルで“おしゃれ・個性をプラス”とうたう記事を見たこと。そのギャップに、鎖に繋がれた中の自由、そして「それで満足せよ」と若者に言っている社会の圧が詰まっている気がします。ファッションで何かを主張したい人はすればいいと思いますが、誰かにさせられているファッションなら早く脱いだ方がいい。“脱げる社会”をつくらないといけないと思いますね。

メッセージには、尊厳とプレジャーの視点が大事

WWD:当事者に寄り添う発信のつもりが、攻撃的なアウトプットになってしまうケースもある。どう気をつけていくべき?

松尾:女性を題材にして炎上するものは、とにかく尊厳がない。マイノリティーの尊厳とプレジャーを本当に大事にしているのか、気にかけなければいけません。キャンペーンや広告、アイテムのきれいな見かけが、メッセージの危うさを隠してしまうことがあります。

WWD:情報を見分けるには。

松尾:商業主義や新自由主義にまみれた“フェミニズムぶったもの”には注意が必要。女性の体を利用したビジネスが多くあります。脱毛や痩身などの広告や情報ばかりが増え、自分の体を守れなくなっていってしまうんですよね。フェムテックも、女性の身体を商業的に利用しているように見える会社もあります。例えば、ホームページにはきれいな言葉が並んでいても、役員は全員男性で、社外顧問というポジションだけに女性を据えるような組織の体制は信用できないですね。

出版のプロセスがフェミニズムであり、社会運動

WWD:エトセトラマガジンのトピックはどのように選んでいる?

松尾:長田杏奈さんが責任編集を務めた「エトセトラVOL.3 私の私による私のための身体」では、美容ライターとして活躍する長田さんの考えにフェミニズムを絡めて制作を依頼しました。「エトセトラVOL.4 韓国ドラマで私たちは強くなれる」は、自分や周囲の女性たちがコロナ禍で韓ドラにはまったことから始まりました。最新号の「エトセトラVOL.6 ジェンダーとスポーツ」は反オリンピックの運動の一環として、時事的なことをきっかけに発行しました。

WWD:マガジンの特徴的な表紙デザインはどういうアイデア?

松尾:この表紙がプラカードになるイメージで制作しています。2017年に参加したウィメンズマーチ(国際女性デーに世界各国で、ジェンダーに基づく暴力・差別に反対の意思を表明するデモ行進)で、現在デザインを手掛ける福岡南央子さんに出会いました。福岡さんが当時持っていた自作のプラカードのデザインに惹かれて、「絶対この人に頼もう」と決めていたんです。書店で表紙が並んだり、誰かが電車で読んだりしているときに、周囲には社会へのステートメントとして映るよう願いを込めています。

WWD:これからの目標は?

松尾:まずは続けることですね。5年、いや10年先も今やっていることを続けていきたい。ハリウッド発信で#MeTooが広がる前に、日本で伊藤詩織さんは声を上げていたし、石川優実さんの#KuTooも独自に広まっていきました。日本は海外ほどフェミニズムが広がらないとか、#MeTooが不完全燃焼とかよく言われますが、私自身も伊藤詩織さんに連帯を表明できなかった、応援しきれなかったという後悔があります。そういった後悔も共有しながら少しずつ進んでいるのが、今の日本のフェミニズムなのかもしれません。私が関わっているフラワーデモ(毎月11日に、性暴力根絶を目指して全国で同時に行われるデモ)は#MeTooの一つですが、まず寄り添うための#Withyouがないと、#Metooは発展しません。今は一緒に声を上げていく土俵として、#WithYouを創っているところなのだと思います。

松尾代表が選ぶおすすめの書籍3点

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「グッチ」によるジェンダー平等を願うプロジェクト スペシャルコンテンツを公開し、国際女性デーに東京タワーをライトアップ

 「グッチ(GUCCI)」は3月18日の18時に、スペシャルコンテンツ「グッチ・ジェンダー・キャンバス(GUCCI GENDER CANVAS)」を公開する。男女平等の声や訴えを一つに結集するグローバルキャンペーン「チャイム・フォー・チェンジ(CHIME FOR CHANGE)」に基づくもので、多様なゲストを迎えたトークセッションなどを配信する。同コンテンツを通じて、「ジェンダー格差が根強く残る日本において、中心地の東京から声を発信したい。性別の違いが夢の追求、実現の障壁になることがない、よりよい未来に向けて行動することを提起する」という。

 これに先立ち、国際女性デーの3月8日には、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)「グッチ」クリエイティブ・ディレクターが、「チャイム・フォー・チェンジ」をテーマにデザインしたカプセルコレクション“ジェネレーション イクオリティー(GENERATION EQUALITY)”を発売する。同コレクションはTシャツとキャップからなり、「グッチ」六本木と公式オンラインショップで販売する。

 また3月8日、18日、25日と3週にわたり、東京タワーを「グッチ」と「チャイム・フォー・チェンジ」を象徴するカラーにライトアップ。“ジェンダー格差のない未来へ”とのメッセージを発信する。3月7日から4月30日までの期間、「チャイム・フォー・チェンジ」の特設ページでは、東京タワーをテーマにしたAR(仮想現実)フィルターも提供する。アクセスしてスマートフォンのカメラを向けると、イタリアのアーティストMP5がデザインしたシンボルマークが画面に出現。「ジェンダー平等への願いと共に、家族や友人にシェアしてほしい」という。

 「チャイム・フォー・チェンジ」は2013年にスタート。世界中の女性主導の運動や組織への資金援助、意識向上キャンペーン、次世代のリーダー育成やジェンダー平等を求める女性の声を増幅させるための雑誌「チャイム」の発行などを行なってきた。特に資金援助では教育、保健、公正に焦点を当て、これまでに89カ国で179の非営利パートナーと457を超えるプロジェクトに1900万ドル(約21億円)以上を提供した。

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あらゆるボーダーを超越する「ミカゲシン」 22-23年秋冬は“常識を破るデザイン集団”に着想

 「ミカゲシン(MIKAGE SHIN)」が、2022-23年秋冬コレクションのショーを3日に開催した。会場は、東京・大久保のウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会。クラシカルな音楽が、徐々に1980年代をほうふつとさせるシンセサイザーの音に切り替わると、ショーが始まった。

自由で独立したデザイン集団に共鳴

 今シーズンのテーマは、“型破り”を意味する“Out of the Box”。80年代にポストモダンの工業デザインを提案したデザイン集団“メンフィス(Memphis)”に着想したコレクションだ。当時は機能的でミニマルなデザインが主流だったが、彼らは派手な色や幾何学柄を積極的に使い、デザインの本能的な楽しさやアート性を重視した。また、純粋な才能のつながりを求めて、女性や若手クリエイターを積極的に起用していた。「凝り固まった考えにとらわれず、自由で独立したクリエイションを追求する彼らに共感した」と進美影デザイナー。

 ウエアは、エレガントなスタイルを軸に、さまざまな国や年代からピックアップした柄とグラフィックを落とし込んだ。ブランドのシグチャーであり、メンフィスも好んで使った大理石柄やテラゾー(人工大理石)柄は、総柄のワンピースやシャツ、スカート、袖と身頃を切り替えたテーラードジャケットなどに採用。枯山水のような凹凸のある素材はチャイナジャケットやハイネックトップスに落とし込み、丸や三角などの記号は、襟のカッティングや肩や裾のくり抜き、Tシャツのグラフィックなどで表現した。カラーパレットは、青やベージュ、ブラウンがベース。メンフィスといえば赤や黄、紫などポップなカラーだが、「ブランドらしい落ち着いた色味はそのままにした」。多くのルックに合わせたグローブは、愛知・名古屋で江戸時代から親しまれている“有松絞り”を応用したもの。「このグローブは機能的には必要ない。でも、着用することで気分が高揚し、ファッションが持つ本来の力を感じられる思う」。

 昨シーズンに続いてサステナビリティも意識し、リサイクルウールを100%使ったコートや、リサイクルウールとアクリルを混ぜたニットなどが登場した。「ファッション性も楽しめるように」と、コートはダブル風の前立てと右身頃が飛び出したようなデザインに仕上げ、ニットは前後に斜めのカッティングを施した。

モデルもさまざまなボーダーを超越

 多様性を強調するキャスティングも目立った。ファーストルックには、バングラデシュにルーツを持つモデルのシャラ・ラジマを起用。髪を金に染め、青いカラコンを入れたルックスは、一つの国籍に限定されない魅力がある。その後も、ノンバイナリーを公言するモデルや白髪のシニアモデルらが登場。ボディーコンシャスなニットワンピースやベルスリーブのシャツなどを男性モデルに着せたのは、ジェンダーレスの表現ではなく、「純粋に一人一人に似合うスタイルを組み上げていったから」。

 同ブランドは過去2シーズンを「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、東コレ)」で披露していたが、今回はオフスケジュールに切り替えた。「東コレでともに盛り上がることも考えたが、グローバルの商機を逃さないよう、このタイミングを選んだ」。コレクションを本格始動して2年が経ち、世界を見据えている。

 フィナーレで登場した進デザイナーは、ロシア語で“戦争反対”と書かれた黒いTシャツを着ていた。「モデルにはロシアとウクライナ出身の人もいる。どちらも政権の問題に巻き込まれた被害者だ。最初は戸惑いもあっただろうが、リラックスして臨んでくれた」。

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英セント・マーチンが2年ぶりとなる卒業制作コレクションを発表 32人の学生らによるルック公開

 ロンドンの名門セント・マーチン美術大学は、2年ぶりに修士号(Central Saint Martins MA)の卒業制作コレクションを発表した。そこでは、メンズにおける体の多様性や、ジェンダー・アイデンティティー、サステナビリティなどを追求するファッションが多く見られた。

 「ロレアル プロフェッショナル クリエイティブ アワード(L’Oreal Professional Creative Award)」でグランプリに輝いたロンドン生まれのラテン系デザイナー、エドワード・メンドーサ(Edward Mendoza)は、アニメに登場するような、カラフルで遊び心あふれるラージサイズのメンズコレクションを発表。デザイナー自身もモデルとしてショーに登場し、ショー後、SNS等に挙がったコレクションには多く反響があった。

 ショーの後にはインスタグラムで、「われわれが表現したかったことがきちんと届いて、多くの方々に共感してもらえて本当にうれしい。ランウエイやキャンペーンで多様性のために使われるトークン(飾り)としての存在じゃなくて、業界の中でもっとプラスサイズの男性を称えていきたい。コレクションには、自分子ども時代を投影している。映画やファッションシーンで、自分と同じような体型を持ち、肯定的にとらえられている人々の存在が子どものころからもっとあったらよかったのにと思う。パワフルで共感できるような姿やボディー・ ポジティブなメッセージがあったら、もっと早く自分のありのままを受け入れて、好きになれていたはず」と語った。

 スペイン出身のブレイス・アルボー(Brais Albor)も、伝統的な“美の基準”から見てプラスサイズと表現されるモデルが登場したショーを展開。写真家、ヘルムート・ニュートン(Helmut Newton)にインスピレーションを受けたというジョー・ピアソン(Joe Pearson)のコレクションは、コルセットを取り入れたり、布を裸の体に巻き付けるようにしたり、挑戦的なスタイルが見られた。

 今回卒業制作コレクションを発表したのは32人。メンドーサと並んで同じくグランプリを受賞したのは、フィリピン出身のイエッセン・マクアータンガイ(Jessan Macatangay)だった。学士号(BA)の卒業コレクションで、カラフルなレイヤーが特徴のアイテムを発表して業界の関心を集めた同氏だが、今回はボリュームを抑え、ミニマルかつセクシーにインパクトのある作品を仕上げた。ほかにも、3Dプリントを取り入れたアクセサリーを使ったアーロン・エッシュ(Aeron Esh)、ウィメンズとして展開されてきたコルセットをメンズコレクションに取り入れたジュンテ・キム(Juntae Kim)、モデルの体に直接合わせながらパターンを作っていったアリッサ・フルーネフェルト(Alyssa Groeneveld)らにも注目が集まる。

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英セント・マーチンが2年ぶりとなる卒業制作コレクションを発表 32人の学生らによるルック公開

 ロンドンの名門セント・マーチン美術大学は、2年ぶりに修士号(Central Saint Martins MA)の卒業制作コレクションを発表した。そこでは、メンズにおける体の多様性や、ジェンダー・アイデンティティー、サステナビリティなどを追求するファッションが多く見られた。

 「ロレアル プロフェッショナル クリエイティブ アワード(L’Oreal Professional Creative Award)」でグランプリに輝いたロンドン生まれのラテン系デザイナー、エドワード・メンドーサ(Edward Mendoza)は、アニメに登場するような、カラフルで遊び心あふれるラージサイズのメンズコレクションを発表。デザイナー自身もモデルとしてショーに登場し、ショー後、SNS等に挙がったコレクションには多く反響があった。

 ショーの後にはインスタグラムで、「われわれが表現したかったことがきちんと届いて、多くの方々に共感してもらえて本当にうれしい。ランウエイやキャンペーンで多様性のために使われるトークン(飾り)としての存在じゃなくて、業界の中でもっとプラスサイズの男性を称えていきたい。コレクションには、自分子ども時代を投影している。映画やファッションシーンで、自分と同じような体型を持ち、肯定的にとらえられている人々の存在が子どものころからもっとあったらよかったのにと思う。パワフルで共感できるような姿やボディー・ ポジティブなメッセージがあったら、もっと早く自分のありのままを受け入れて、好きになれていたはず」と語った。

 スペイン出身のブレイス・アルボー(Brais Albor)も、伝統的な“美の基準”から見てプラスサイズと表現されるモデルが登場したショーを展開。写真家、ヘルムート・ニュートン(Helmut Newton)にインスピレーションを受けたというジョー・ピアソン(Joe Pearson)のコレクションは、コルセットを取り入れたり、布を裸の体に巻き付けるようにしたり、挑戦的なスタイルが見られた。

 今回卒業制作コレクションを発表したのは32人。メンドーサと並んで同じくグランプリを受賞したのは、フィリピン出身のイエッセン・マクアータンガイ(Jessan Macatangay)だった。学士号(BA)の卒業コレクションで、カラフルなレイヤーが特徴のアイテムを発表して業界の関心を集めた同氏だが、今回はボリュームを抑え、ミニマルかつセクシーにインパクトのある作品を仕上げた。ほかにも、3Dプリントを取り入れたアクセサリーを使ったアーロン・エッシュ(Aeron Esh)、ウィメンズとして展開されてきたコルセットをメンズコレクションに取り入れたジュンテ・キム(Juntae Kim)、モデルの体に直接合わせながらパターンを作っていったアリッサ・フルーネフェルト(Alyssa Groeneveld)らにも注目が集まる。

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「クロエ」が社会的影響の計測ツールを開発 2023年にはオープンソース化

 コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)傘下の「クロエ(CHLOE)」は、社会的影響の測定ツール「ソーシャルパフォーマンス&レバレッジ(Social Performance & Leverage、以下SP&L)」の開発に取り組む。2023年を目処に最終版をオープンソース化する予定だ。労働環境に関する具体的なデータを業界全体に提供し、各ブランドの素材調達や商品デザインの意思決定時に活用してもらう狙い。

 オード・ヴェルニ(Aude Vergne)=「クロエ」チーフ・サステナビリティ・オフィサーは米「WWD」の取材に対し、「ファッション業界が環境に与える影響は大きく、多くの企業がその課題に取り組んでいる。一方で、社会的な影響については後回しにしがちだ。しかし、世界の8人に1人がファッションおよびアパレル産業に従事しており、間違いなく重要なトピックである」と話す。

 「クロエ」は、フランス・モード研究所(Institut Francais de la Mode)とフランス国立工芸院(France’s Conservatoire National des Arts et Metiers)と共同で1年半前に「SP&L」の開発に着手した。環境損益計算(EP&L)と同様の設計で、ジェンダー平等、生活賃金、ダイバーシティー&インクルージョン、職業訓練、福祉、仕事の質の6つの指標で構成し、サプライチェーン全体で測定する。

 「クロエ」は昨年Bコープ認証を取得。また1年半前にサステナビリティ戦略を見直し、「より公平な未来のための、女性の前進(Women Forward. For a Fairer Future)」をミッションに掲げ、女性主導のフェアトレード企業へのシフトを進めている。

 例えば、ユニセフとは2019年に3年間のパートナーシップを結び、少女たちへの職業訓練の提供を目的としたプログラム「ガール フォーワード(Girls Forward)」に取り組む。「クロエ」と約15年間の付き合いがあるマダガスカル拠点のフェアトレード団体のアカンジョ(Akanjo)は昨年学校を設立し、地元の女性たちにクロシェ編みなどの職人技を教えた。「クロエ」2022年春夏コレクションでは、いくつかのルックで彼女たちの技術を採用した。

 ヴェルニ=チーフ・サステナビリティ・オフィサーは、「すでにコンプライアンスに関する厳格なシステムはあるが、こうしたポジティブな社会的影響を測定するツールがなかったので、自分たちで作ることを決めた。プロジェクトをはじめて以来、サプライヤーとのコミュニケーションの取り方が変化し、社内の意識向上に貢献している」という。

 現在、同ツールはコンサルティング企業のプライスウォーターハウスクーパース(PRICEWATERHOUSECOOPERS)による検証段階で、今後業界全体で試験的に導入される予定だ。ヴェルニ=チーフ・サステナビリティ・オフィサーは、「すでにいくつかのメゾンが興味を持っており、6〜8社と協力して改良を重ねていく」という。

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サプライチェーンの透明性を改めて発信 ファストリのサステナビリティ目標をどう読み解く?【後編】

 ファーストリテイリングの2030年度に向けたサステナビリティ目標とアクションプランを、「WWDJAPAN」サステナビリティ・ディレクターの向千鶴と共に詳しく見ていきます。前編では、目標の中の環境領域にフォーカスしました。後編となる今回は、人と社会領域に対して同社がどんな目標を掲げ、実行していくのかを見ていきます。


ファーストリテイリングの2030年度
サステナビリティ目標&アクションプラン
人&社会領域 要旨

【サプライチェーンの透明性】
サプライチェーンの透明性を向上させ、原材料レベルまでのトレーサビリティーを確立
17年から順次、主要縫製工場、素材工場を開示してきたが、22年3月をめどに全縫製工場を開示予定
素材の最上流までを含むサプライチェーン全体で人権デューデリジェンスを実施し、人権リスクを早期把握するため、21年7月にグローバルで100人規模のプロジェクトチームを立ち上げ済み

【社会貢献活動】
ファーストリテイリング、ファーストリテイリング財団、柳井正財団との協働で、社会貢献活動をグローバル規模で拡大
25年度までに100億円規模で社会貢献活動に投資。難民、社会的弱者、次世代、文化芸術、スポーツなどの領域で1000万人支援。衣料支援も年間1000万着に拡充

【ダイバーシティー&インクルージョン】
30年までにグローバルで全管理職の女性比率を50%に引き上げ
LGBTQ+の従業員や客に配慮した事業環境の実現



――人&社会領域では、サプライチェーンの透明性向上とトレーサビリティーの確立について改めて表明しています。21年春以降、中国の新疆綿を巡ってウイグル人の強制労働が世界的に問題になり、ファストリにも批判の声が集まったことは記憶に新しいです。それを受けて、再度透明性を強調している印象を受けます。

向千鶴「WWDJAPAN」編集統括兼サステナビリティ・ディレクター(以下、向):21年12月にファーストリテイリングが行なった、30年度に向けたサステナビリティ目標の発表会見では、「これまでありとあらゆる地域で、第三者機関による工場監査も交えながら、サプライチェーンに問題がないことを実証してきている」「監査の結果、20年度は“極めて悪質”とされる工場は0件だった」というコメントも出ましたね。素材の最上流までを含めた人権デューデリジェンスのために、21年7月に100人規模のプロジェクトチームを立ち上げたとも公表しています。この人海戦術がポイント。「その目で現場を見たのか」という問いに対して「見た」と言える体制をとったわけです。もう一つ注目したいのが、“トレーサビリティー”という言葉。“追跡可能性”というふわっとした意味ですが、“透明性”とならび、サステナビリティを語るときの最重要ワードです。アクションプランとは、現実をつまびらかにすることから始まり、つまびらかにし続けることで継続する。明言はされていませんが、ここには人海戦術のマンパワーと合わせて、ブロックチェーンなどのデジタルの最新技術も投資されているはずです。

――社会貢献活動についての目標もあります。ファーストリテイリングや柳井正会長兼社長個人、関連する財団として、20年には京都大学にがん免疫研究などの支援として100億円を寄付、21年夏の東京パラリンピックで金メダルを獲得した車イステニスの国枝慎吾選手に褒賞金を1億円、21年秋に竣工した早稲田大学の「村上春樹ライブラリー」の建築費用12億円を同大学に寄付といったように、既に動き出しています。

向:もう完璧ですね。アクションプラン全般がそうですが、突っ込まれどころがない優等生な内容です。……なんて、やや意地悪な表現をしましたが、先日、ファーストリテイリング財団が明治学院大学で開いた、「難民子女のための学習支援教室」を取材して実に地道で意義のある活動だと思いました。財団の理事長である柳井会長兼社長は「難民の方は好んで母国を出たわけではない。難民問題は全世界で取り組むべきだ」と発言しています。いろいろな国籍、年齢の子どもが支援を受けて学んでいて、実際に彼らと会って言葉を交わすと“アクションプラン”“LifeWear”という言葉が体温を帯びてきます。

記者側も常にアップデートが必要

――前編と合わせて、ファストリの30年度に向けたサステナビリティ目標とアクションプランをどう受け止めていますか。

向:全体として、世界のサステナビリティの潮流を非常にしっかりつかんでいると感じました。ここまでで既に語ってきましたが、そもそもアクションプランというものを発表したこと、“サステナブル素材”ではなく“リサイクル素材”で目標を設定したこと、循環型のビジョンの図を公開したことが私はポイントだったなと思っています。

――サステナビリティ目標を発表するために行われた会見が、普段の記者会見とはやや違う形を取っていたのも特徴的でした。既に発表していた内容が多かったので、「この会見で伝えたいことは何なのか?」とやや混乱してしまった部分もありましたが、改めて目標がまとまって見えたことに意義がありますね。

向:“対話”を目指して記者が車座になる配置の記者会見でしたが、実際にはバンバン対話するムードではなく、記者は演出の一部になっていたな、というのが本音。終わった後、登壇者の前にはいつものように名刺交換&個別質問の長い列ができていました。オープンな対話を重視することには大賛成ですし、サステナビリティはそうあるものだと思うので、次回は是非、公開された場での対話時間を3倍くらいに増やしてほしいですね。同時に、参加する記者側もその場で質問をするにはサステナビリティに関する世界の最新情報や視点のアップデートが常に必要です。

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「バレンタイン」は何を祝う日? “めんどくさい”新米2人によるポッドキャスト連載:考えたい言葉 vol.15

 「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズの連載「考えたい言葉」は、2週間に1回、同期の若手2人がファッション&ビューティ業界で当たり前に使われている言葉について対話します。担当する2人は普段から“当たり前”について疑問を持ち、深く考え、先輩たちからはきっと「めんどうくさい」と思われているだろうな……とビビりつつも、それでも「メディアでは、より良い社会のための言葉を使っていきたい」と思考を続けます。第15弾は、【バレンタイン】をテーマに語り合いました。「WWDJAPAN.com」では、2人が対話して見出した言葉の意味を、あくまで1つの考えとして紹介します。

ポッドキャスト配信者

佐立武士(さだち・たけし):He/Him。入社2年目、ソーシャルエディター。幼少期をアメリカ・コネチカット州で過ごし、その後は日本とアメリカの高校に通う。早稲田大学国際教養学部を卒業し、新卒でINFASパブリケーションズに入社。在学中はジェンダーとポストコロニアリズムに焦点を置き、ロンドン大学・東洋アフリカ研究学院に留学。学業の傍ら、当事者としてLGBTQ+ウエブメディアでライターをしていた。現在は「WWDJAPAN」のソーシャルメディアとユース向けのコンテンツに注力する。ニックネームはディラン

ソーンマヤ:She/Her。入社2年目の翻訳担当。日本の高校を卒業後、オランダのライデン大学に進学して考古学を主専攻に、アムステルダム大学でジェンダー学を副専攻する。今ある社会のあり方を探求すべく勉強を開始したものの、「そもそもこれまで習ってきた歴史観は、どの視点から語られているものなのだろう?」と疑問を持ち、ジェンダー考古学をテーマに研究を進めた。「WWDJAPAN」では翻訳をメインに、メディアの力を通して物事を見る視点を増やせるような記事づくりに励む

若手2人が考える【バレンタイン】

 バレンタインの起源は諸説ある。結婚を禁止されていたローマ帝国の兵のため、皇帝に内緒で式を開催したキリスト教司祭バレンティヌスの処刑が2月14日であったという逸話に加え、その日がそもそもキリスト教化される前の土着の宗教で家庭や結婚を祝う日であり、それが融合したというのが一般的な説だ。現代になり欧米を中心に愛や恋を祝う日として浸透し、日本にも伝わったとされる。欧米ではチョコレートに限らず、お菓子や花などを送ったり、パートナーとディナーを楽しんだりする風習がある。

 商業的イベントとしてもその存在は大きく、チョコレートなどの食品業界のみならず、毎年ファッションやビューティブランドもアイテムやキャンペーンを発表している。バレンタインを連想させるハートモチーフや赤色をメインにした服やメイクアップアイテムが主流だ。メディアでは、デート向きの“モテメイク“の指南や喜ばれるプレゼントを取り上げることも多い。

 このようにバレンタインの定着や普及に大きく貢献しているからこそ、企業やメディアはバレンタインをより多くの人が楽しめるようにする鍵を握っているとも言える。例えば、カップルや愛を祝うイベントであるからこそ、歴史的に男女のカップルのみがフィーチャーされてきたが、2017年に「ラッシュ(LUSH)」が北米でLGBTQ+インクルーシブなバレンタインのキャンペーンを発表し話題になった。

【ポッドキャスト】

「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズはSpotifyやApple Podcastsでもお聞きいただけます。

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2年ぶりに「イザ ピンククリスマス」開催 「すべての人の幸せを応援したい」という思いを形に

 セレクトショップのイザ(IZA)は12月21日、恒例のチャリティーイベント「イザ ピンククリスマス2021(IZA PINK CHRISTMAS 2021)」をザ・リッツ・カールトン大阪で開催した。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて昨年は中止を余儀なくされたため、2年ぶりの開催となる。07年に乳がんの啓蒙活動であるピンクリボン運動としてスタートしたイベントだが、支援の幅は年々拡大。14回目となる今年はロゴやコンテンツも刷新し、ピンクリボンだけでなく、災害支援や動物愛護、⼥性の命や健康を守る活動、LGBTQ、ダイバーシティ、サステナビリティなど広がる支援のメッセージを明確化するとともに、「すべての人の幸せを応援したい」という思いを表現した。

 イベントは、BENIのライブパフォーマンスで開幕。昨年リリースした「Beautiful」や、この季節にぴったりな「粉雪」の英語版などを披露し、優しくも力強い歌声で会場を包んだ。続いて行われた女優の杉本彩と田中タキ=イザ代表による「AyaTaki Live〜Another Editon〜」では、普段インスタグラムで配信しているライブトークを会場から配信。来場者や視聴者からの質問に答えながら、息ぴったりのトークを繰り広げた。“パワフルな秘訣”について聞かれると、杉本は「何かを変えたいという思いが湧いてきたときに、腹の底から力がみなぎる」とコメント。そして、10年以上続いている同イベントについては、「継続するには、本当の思いが必要。毎回これだけゴージャスなイベントを開催して、寄付を行うというのは、生半可な気持ちではできない」と話した。それに対して、田中代表は「ベースあるのは、恩返しをしたいという気持ち。何もないところから夫と一緒に商売を始めて、毎年パーティーを開けるということに感謝している。それを世の中に還したい」と答えた。

 ミラノやパリコレのファッションショーの感動を日本でも再現したいという願いから毎年取り組んでいるショーは、本場さながらの長いランウエイが印象的だ。今年は、冨永愛や平田かのんといったグローバルに活躍するモデルに加え、IMALUや奈良裕也、AMIAYA、マドモアゼル・ユリア、秋元剛ら、田中代表と親交のあるゲストもランウエイに登場。イザで取り扱う「ヌメロ ヴェントゥーノ(N21)」「ニナ リッチ(NINA RICCI)」「パトゥ(PATOU)」「セルフ-ポートレート(SELF-PORTRAIT)」「コート(CO|TE)」の新作を披露したほか、ビンテージアイテムに「ダミアーニ(DAMIANI)」のジュエリーを合わせて、「良いもの、好きなものを⻑く愛そう」というメッセージを発信した。

 そのほか、ステージにはランウエイモデルも務めたお笑い芸人のゆりやんレトリィバァが登場。自身が通っていた教習所の先生のモノマネなど独特のネタを披露し、会場を盛り上げた。一方、冨永は田中代表、向千鶴WWDJAPAN編集統括サステナビリティ・ディレクターと共に、「SDGs」をテーマにしたトークステージに登壇。「私は誰かのために何かをすることが、SDGsだと考えている。17のグローバル目標があって、そこから枝分かれし300以上の指標があるという難しいことを考えるよりも、誰かのためにここに集まるということこそがSDGs。その思いが、これからの地球や子どもたちの未来を支えていくのではないかと思う」と語った。

 会場では、ラグジュアリーブランドの豪華賞品が当たるチャリティーくじも販売。会費の⼀部とチャリティーくじの売上⾦全額を合わせた241万8472円を、公益財団法⼈⽇本対がん協会 乳がんをなくす「ほほえみ基⾦」、公益財団法⼈動物環境・福祉協会Eva、公益財団法⼈ジョイセフの3団体に寄付した。

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「ハーフ」ってなに? “めんどくさい”新米2人によるポッドキャスト連載:考えたい言葉 vol.11

 「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズの新連載「考えたい言葉」は、2週間に1回、同期の若手2人がファッション&ビューティ業界で当たり前に使われている言葉について対話します。担当する2人は普段から“当たり前”について疑問を持ち、深く考え、先輩たちからはきっと「めんどうくさい」と思われているだろうな……とビビりつつも、それでも「メディアでは、より良い社会のための言葉を使っていきたい」と思考を続けます。第11弾は、【ハーフ】をテーマに語り合いました。「WWDJAPAN.com」では、2人が対話して見出した言葉の意味を、あくまで1つの考えとして紹介します。

ポッドキャスト配信者

ソーンマヤ:She/Her。入社2年目の翻訳担当。日本の高校を卒業後、オランダのライデン大学に進学して考古学を主専攻に、アムステルダム大学でジェンダー学を副専攻する。今ある社会のあり方を探求すべく勉強を開始したものの、「そもそもこれまで習ってきた歴史観は、どの視点から語られているものなのだろう?」と疑問を持ち、ジェンダー考古学をテーマに研究を進めた。「WWDJAPAN」では翻訳をメインに、メディアの力を通して物事を見る視点を増やせるような記事づくりに励む

佐立武士(さだち・たけし):He/Him。入社2年目、ソーシャルエディター。幼少期をアメリカ・コネチカット州で過ごし、その後は日本とアメリカの高校に通う。早稲田大学国際教養学部を卒業し、新卒でINFASパブリケーションズに入社。在学中はジェンダーとポストコロニアリズムに焦点を置き、ロンドン大学・東洋アフリカ研究学院に留学。学業の傍ら、当事者としてLGBTQ+ウエブメディアでライターをしていた。現在は「WWDJAPAN」のソーシャルメディアとユース向けのコンテンツに注力する。ニックネームはディラン

若手2人が考える【ハーフ】

 日本社会で使われる「ハーフ」は、一般的に片親がいわいる「日本人」、そしてもう片方が「外国人(非日本人)」である人を指す。本人のルーツに関わらず、「英語が話せる」「容姿がいい」「グローバルに活躍する」「違った視点を持っている」「かっこいい」というイメージを持たれることが多い。実際にはルーツや国籍、見た目、生まれた場所、生活をした場所、家庭環境、習得言語まで多様な人々が存在するが、「ハーフ」という言葉で括られている。

 「ハーフ」に対するイメージは、メディア・レプリゼンテーション(メディアへの露出量、取り上げ方など)の影響が大きい。露出量だけでいうと、“ハーフタレント”や“ハーフモデル”は実際に日本で生活を営む人口に比べて、かなり多いと言える。しかしその容姿には西洋化された美の基準や白人至上主義の影響があり、それらの基準やイメージに当てはまらない人を指す“残念ハーフ”という言葉が存在してしまっている。

 ほかにも、ファッション・ビューティ業界で「ハーフ」はたびたび製品名に使われている。カラーコンタクトの“ハーフ系”や、“ハーフ顔メイク”といった表現は日常的にSNSやオンラインサイトで目にする。広告では、着物店のポスターに「ハーフの子を産みたい方に」というコピーが使用された事例もある。このように「ハーフ」アイデンティティーのアクセサリー化と、偏った“ハーフ像”が世間に浸透している。

 この流れを受け、近年は「ハーフ」という言葉の使用を避ける動きも出始めた。代わりに「ダブル(Double)」「ミックスド(Mixed)」「ミックスドレースド(Mixed race)」「バイレイシャル(Biracial)」「マルチレイシャル(Multiracial)」などが使われている。人種(レース)を基にした表現では、例えば東アジア人同士の「ハーフ」が含まれないといった声もある。家族のルーツや自身の居住経験など、複数の文化に触れて育った個人を、“第3の文化”を育む「サードカルチャーキッズ(Third Culture Kids)」と呼ぶこともある。

 「ハーフ」「外国人風」という言葉が使われる背景には、“その場所になじんでいるかどうか”という見た目の影響が大きいことは間違いない。そういった容姿の「ハーフ」は、日常的に「ハーフなんですか?」「日本語上手ですね」と頻繁に言われる。会話の入り口として他者のルーツについて話すことも多いため、当人にとって毎日のように言われるうちに「自分は何者なのか」「この社会に属していると感じられない」という気持ちが芽生え、自信・自立心を喪失するアイデンティティー・クライシスへのきっかけになっているという理解は必要だ。

【ポッドキャスト】

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「文化の盗用」って何を盗んでいるの? “めんどくさい”新米2人によるポッドキャスト連載:考えたい言葉 vol.7

 「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズの新連載「考えたい言葉」は、2週間に1回、同期の若手2人がファッション&ビューティ業界で当たり前に使われている言葉について対話します。担当する2人は普段から“当たり前”について疑問を持ち、深く考え、先輩たちからはきっと「めんどうくさい」と思われているだろうな……とビビりつつも、それでも「メディアでは、より良い社会のための言葉を使っていきたい」と思考を続けます。第7弾は、【文化の盗用】をテーマに語り合いました。「WWDJAPAN.com」では、2人が対話して見出した言葉の意味を、あくまで1つの考えとして紹介します。

ポッドキャスト配信者

ソーンマヤ:She/Her。入社2年目の翻訳担当。日本の高校を卒業後、オランダのライデン大学に進学して考古学を主専攻に、アムステルダム大学でジェンダー学を副専攻する。今ある社会のあり方を探求すべく勉強を開始したものの、「そもそもこれまで習ってきた歴史観は、どの視点から語られているものなのだろう?」と疑問を持ち、ジェンダー考古学をテーマに研究を進めた。「WWDJAPAN」では翻訳をメインに、メディアの力を通して物事を見る視点を増やせるような記事づくりに励む

佐立武士(さだち・たけし):He/Him。入社2年目、ソーシャルエディター。幼少期をアメリカ・コネチカット州で過ごし、その後は日本とアメリカの高校に通う。早稲田大学国際教養学部を卒業し、新卒でINFASパブリケーションズに入社。在学中はジェンダーとポストコロニアリズムに焦点を置き、ロンドン大学・東洋アフリカ研究学院に留学。学業の傍ら、当事者としてLGBTQ+ウエブメディアでライターをしていた。現在は「WWDJAPAN」のソーシャルメディアとユース向けのコンテンツに注力する。ニックネームはディラン

若手2人が考える【文化の盗用】

 欧米を始めとする支配的な立場にある文化が、マイノリティーの文化を使用し、“わが物化”してしまうこと。まず、欧米の先進国出身のデザイナーに比べて、アフリカやアジアのデザイナーは活躍の機会が少ない。だからこそ特定の文化を扱ったデザインは当事者がまず使用できる環境にあるべき、という考えが前提にある。文化の盗用になる原因が、1.文化の使用者と当事者の経済的・文化的パワーバランスが不均等であること、2.使用者のみに金銭的利益が生まれ、当事者が除外されていること、3.その文化を持つ人々や文化そのものを間違って表現していること、ステレオタイプを助長していること、など。つまり、さまざまな要因が重なり合って起こる社会課題である。

 英語では「カルチュラル・アプロプリエーション(Cultural Appropriation)」と呼ばれ、「アプロプリエート」は、時、場所、シチュエーションなどにふさわしい、すなわち「適応させる」という意味から派生し、公共物を“わが物化”することも指す。文化は国や地域から生まれるというイメージだが、特定のジェンダーやセクシュアリティー、障害のある人々の間など、さまざまなコミュニティーで存在する。

クリエイティビティーとの両立

 ファッション業界では、 インスピレーション源にあらゆる文化を使うことがたびたびあり、それが文化の盗用に当たると指摘される事例が増えている。そして文化の盗用に慎重になりすぎることで、クリエイティビティーが抑圧されてしまうと考える人も多い。新しいことや、唯一無二を常に求めるデザイナーやアーティストは、絵画の「オリエンタリズム(orientalism)」などの文化を引用してきた。これまでは、それらは異国的で真新しく見える「エキゾチシズム(exoticism)」があった。しかしデジタル・グローバル化が進んだ今、その“錯覚”は通用しなくなり、違和感を持つ人が増えた。ただ、つながる手段が増えたことでその文化の当事者への依頼や、協業が可能になった。

【ポッドキャスト】

下記にて、ポッドキャストで取り上げた事例を紹介します:

事例1 キム・カーダシアンの「キモノ」

 アメリカを拠点にするセレブリティ、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)が2019年に立ち上げた矯正下着ブランド名を「キモノ(KIMONO)」にしようとした。結果「スキムス ソリューションウエア(SKIMS SOLUTIONWEAR)」に決まったものの、「キモノ」という言葉を使うことが文化の盗用だという声が多く集まった。ここでの問題点は影響力のあるセレブリティーが、和服の着物とは明らかに異なる下着に「キモノ」という名前を使うことで、文化が上書きされてしまうことである。「下着に『キモノ』という名称を使うのは無礼」という批判もあったが、下着の呼称として問題なのではなく、商標登録によって英語圏で着物という言葉の意味が変わってしまうことが懸念された。

事例2 ハロウィンのコスチューム
 「名誉を傷つける・ステレオタイプを助長する」文化の盗用は、ハロウィンのコスプレに見られる。必ずしも明るい歴史だけではない伝統衣装や文化的装いを、“かわいい”“面白い”部分だけを抽出してコスプレし、さらにそれを“セクシー”にアレンジして着る行為は、当事者が性的対象と見られることを助長したり、文化の歴史を修正したりしてしまうことにつながりかねない。またハロウィンはお化けやキャラクターなど、“架空のもの”に仮装することを楽しむ行事でもあるので、リアルに生活をしている人物に“仮装”することはその人々を非人間化してしまうのではないだろうか。

事例3 「ザラ」のバッグがメキシコで炎上

 大手ファッションブランドの「ザラ(ZARA)」は、メキシコで日常的に使われているショッピングバッグ「メルカドバッグ」と類似した商品を発売し、文化の盗用と指摘された。ここでの問題点は、「ザラ」親会社のインディテックス(INDITEX)はスペインの会社であり、メキシコはスペインの植民地だった歴史があるため、経済的パワーバランスが大きく異なること。現地では40ペソ(約200円)で売られているのに対し、「ザラ」のバッグはその20倍以上の価格で売られている。しかし発祥地であるメキシコや、現地で暮らす人々には利益が一切発生していない。これに対して、メキシコのファッション史について詳しいダニエル・エランツ(Daniel Herranz)は「(オリジナルとされるバッグのデザインは)どこにも登録されていないし、保護も受けていない。ラテンアメリカだったらどこにでもあるバッグだ」と「ザラ」を擁護。しかし人々の思いや尊厳が関わるため、「法律的に間違っていないから大丈夫」で済む問題ではないと理解するのも大事だ。

事例4 バティック技法の発祥地

 原色の幾何学模様「アフリカンワックスプリント」は、多くの人がアフリカ風の柄としてイメージするはず。主に西アフリカの伝統衣装として普及しているが、実はインドネシアの伝統的なろうけつ染めのバティック(batik)に由来する。1800年代にインドネシアを統治していたオランダが大量生産し、インドネシアに輸出するも現地では受け入れられず、それをオランダ領のギニア海岸に再輸出したことが始まりだ。そのため、オランダの会社ブリスコ(VLISCO)がアフリカンワックスプリントを“所有”している背景がある。近年は、中国企業が生産したアフリカンワックスプリントがアフリカ市場で需要が増し、世界から批判の声が上がった。歴史的背景を考慮すると、アフリカンワックスプリントの文化をブリスコが所有できるのか明らかではなく、この問題は“文化の所有者”を考える難しさがある。

その他:事例のその後・社会ができる一例
 文化の盗用による炎上が、SNSで留まることなく、行政や企業を動かす事例もある。「キモノ」のケースでは、京都市の門川大作市長が公式に名称変更を訴える公式文書を発表した。メキシコのアレハンドラ・フラウスト・ゲレロ(Alejandra Frausto Guerrero)文化相も、ファッション業界が先住民の文化を尊重する重要性について、「『私たち抜きに、私たちのものを使うな(Nothing from us without us)』ということを推進したいと考えている」と明言。女性たちが育てた「フェムテック」も、男性中心の企業や体制を持つ業界が「今話題となっているから」と安易に利益につなげることも問題視されており、「当事者性」を考えなくてはいけない。

 文化の盗用の問題は、自分のマジョリティー性(どれだけ社会的に力を持っているか)を、またはマイノリティー性を自覚し、さまざまなコミュニティーへの考慮が必要となる。炎上を避けることがゴールではなく、よりインクルーシブ(包括的)な社会のために何ができるかを考える過程に過ぎない。ここまではOKでこれ以上はダメ、と形式的に理解して境界線を探るのではなく、社会にどのような影響があるのかを考える想像力と対話が求められる。

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ナイキが考える持続可能性をサステナビリティ責任者に聞く 複雑なサプライチェーンの対応策 【後編】

 ナイキ(NIKE)は、1990年代に企業活動におけるサステナビリティに取り組み始め、2000年代に入ると情報公開を始め、05年にはサプライチェーンを公開した。これには、90年代に同社が製造を委託する工場での児童労働が明らかになり、不買運動につながったという経緯がある。サプライチェーンを把握しておくことは企業の責任であると同時にリスクを回避することができるともいえる。複雑なサプライチェーンを把握するのは容易ではないが、ナイキはどのように対応してきたのか。ノエル・キンダー(Noel Kinder)チーフ・サステナビリティ・オフィサーに聞く。

WWD:アパレルやシューズのサプライチェーンの複雑さへの対応について教えてください。ナイキは透明性を確立していますが、どのように確立したのでしょうか。

ノエル・キンダー=チーフ・サステナビリティ・オフィサー(以下、キンダー):グローバル規模で非常に複雑なバリューチェーンの中で、私たちはシステムの変革に注力しています。そして、業界の中でも大手の企業として、より良いことをし、より良い規模で、そしてより良くなるために、自らの役割を果たすことを決意しています。透明性と説明責任から始まり、メーカーやサプライヤーのコンプライアンスを達成するために、一連の厳しい基準を策定しています。

 また、科学的根拠に基づく大胆な目標を設定し、25年までに私たちと業界全体がより持続可能なものへと移行することを目指しています。例えば、所有または運営している施設で再生可能エネルギーを100%使用することや、主要な事業においてエネルギー使用量とCO2排出量を単位当たり25%削減すること、デザインや業務効率の改善により製造、流通、本社、包装において廃棄物を単位当たり10%削減することなどが挙げられます。また、繊維の染色・加工における1kg当たりの淡水使用量を25%削減することを目標としています。当社の綿花サプライチェーン内の水不足に苦しむ生態系やコミュニティの長期的な回復力を支援する流域プロジェクトのポートフォリオを通じて、すでに130億リットルの水量が回復しています。

WWD:複雑なサプライチェーンの把握と改善に向けた取り組みは、一社だけではどうにもならない部分もあると感じます。

キンダー:ええ。政府間、業界間、地域のステークホルダーとの強力な連携と理解も大切で、私たちはこの分野でも提携しています。 20年5月、私たちはサプライヤー気候行動プログラム(SCAP)を開始しました。このプログラムに参加することで、サプライヤーはナイキ関連の生産以外でも排出量を削減することを約束し、業界全体の大幅な排出量削減に貢献することになります。

 私たちは、エシカルで責任ある製造を行い、製品を製造する全ての人々が尊重され、大切にされることに深くコミットしていることを忘れてはなりません。 そのために、25年までに、戦略的サプライヤーの100%が、製品を作る人々のために、世界水準の安全で健康的な職場を構築するという目標も設定しています。 また、サプライチェーンにおける女性の活躍の場をいかにして増やすかについても検討しています。 サプライヤーの施設で働く人々の約70%は女性ですが、その割合は職位が上がるにつれて減少します。そこで私たちは、2025年までに100%の戦略的サプライヤーが、施設で働く女性の就業機会へのアクセスと上昇志向を高めるという目標を設定しました。

WWD:ナイキが考える環境に配慮したプロダクトデザインとは。

キンダー:私たちの地球を守ることは、多様で革新的なチームが協力して解決策をまとめ、引き出すことから始まります。私たちには、よりサステナブルな新製品を生み出し、インパクトを与える責任があります。そのため、サステナビリティはデザインプロセス全体に組み込まれています。

 最初から廃棄物を出さないようにデザインし、廃材を新しい製品に変え、循環型のソリューションを拡大しています。また、業界をリードするマテリアル・サステナビリティ・インデックス(サステナブルアパレル連合が運用する環境負荷を評価するツール。ナイキはこれまでフットウエアサステナビリティインデックスを用いており、このインデックスは業界標準に遅れをとっていたことがわかったという。また以前は素材の種類や工程ごとに具体的な炭素削減目標を設定しておらず、サプライチェーンにまで目標が及ぶことはほとんどなかった)を使用し、デジタルツールを活用してチームを教育し、より持続可能な意思決定ができるようにしています。

WWD:現在重視していることは?

キンダー:スポーツはナイキの中核であり、私たちの活動全ての中心です。残念ながら、気候変動はスポーツにとって本質的な脅威です。だからこそ、サステナビリティは私たちのブランドとビジネスへの取り組み方の根幹にあるのです。 持続可能性は、大きな問題を提起することで革新的な解決策を導き出し、可能性を再定義するのに役立ちます。 しかし、これは単に「正しい」ことではなく、より効率的な戦略がナイキの成長を促進するため、長期的な価値を生み出します。

 今日、私たちは重要な瞬間を迎えています。2020年目標の章を閉じ、私たちがどこにいたか、どこで成功し、どこでつまずいたか(CO2削減目標は未達)を振り返ることで、次の章を開き、ゼロカーボン、ゼロウェイストの未来というビジョンを達成するために、新たな25年目標に向けて学び、進化していきます。この目標は、私たちの活動を支えるものであると同時に、私たちに責任を持たせ、私たちが達成できることを数値化するものでもあります。

WWD:ナイキはメッセージを生活者に伝えることに最も長けている企業の一つだと感じます。サステナビリティをどのように消費者に伝えていきますか?

キンダー:今、私が最も興奮しているのは、消費者がこの運動に参加し、変化の一部になりたいと思っていることです。私たちは、スポーツの力を使って世界を前進させることができると信じています。そのためには、持続可能性を実現し、真のインパクトを与えるためのハードワークを行うと同時に、製品やサービス、体験を通じて、消費者により責任ある選択をしてもらうこと、あるいは製品のライフサイクルの最後にある廃棄物の削減に貢献することが重要です。私たちは、人々が私たちのブランドに寄せる情熱と、私たちが地球、人々、コミュニティのために、より持続可能な未来を再構築し、創造することに貢献できる文化的影響を理解しています。

WWD:社内における多様性をどういう形で実現していますか?また、社員のモチベーション向上やスタッフとの意識共有や教育はどのように行っていますか

キンダー:私たちの社員は、ソリューションの創造と運用にとても情熱を持っています。19年には「Move to Zero Employee Challenge」を開始しました。これは、ナイキがスポーツの未来を守るためのアイデアを社員が提出し、そのアイデアを実現するための資金やメンターシップを獲得する機会です。製品作りから物流、リテールまで、さまざまな分野を対象にし、世界中から信じられないようなアイデアが寄せられました。私たちはそれらの多くを実行に移しています。例えば、余剰原材料のデータベースの作成、製品発売までの航空貨物への依存度の低減、ニューヨークオフィスの照明を調整するための占有センサーの設置などです。私たちは、無駄を省き、従業員を教育し、行動を促すことに注力しています。今後も、循環型社会、再利用、使い捨て廃棄物の排除を体現した空間を創造し、運営していきたいと考えています。

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ナイキが考える持続可能性をサステナビリティ責任者に聞く 複雑なサプライチェーンの対応策 【後編】

 ナイキ(NIKE)は、1990年代に企業活動におけるサステナビリティに取り組み始め、2000年代に入ると情報公開を始め、05年にはサプライチェーンを公開した。これには、90年代に同社が製造を委託する工場での児童労働が明らかになり、不買運動につながったという経緯がある。サプライチェーンを把握しておくことは企業の責任であると同時にリスクを回避することができるともいえる。複雑なサプライチェーンを把握するのは容易ではないが、ナイキはどのように対応してきたのか。ノエル・キンダー(Noel Kinder)チーフ・サステナビリティ・オフィサーに聞く。

WWD:アパレルやシューズのサプライチェーンの複雑さへの対応について教えてください。ナイキは透明性を確立していますが、どのように確立したのでしょうか。

ノエル・キンダー=チーフ・サステナビリティ・オフィサー(以下、キンダー):グローバル規模で非常に複雑なバリューチェーンの中で、私たちはシステムの変革に注力しています。そして、業界の中でも大手の企業として、より良いことをし、より良い規模で、そしてより良くなるために、自らの役割を果たすことを決意しています。透明性と説明責任から始まり、メーカーやサプライヤーのコンプライアンスを達成するために、一連の厳しい基準を策定しています。

 また、科学的根拠に基づく大胆な目標を設定し、25年までに私たちと業界全体がより持続可能なものへと移行することを目指しています。例えば、所有または運営している施設で再生可能エネルギーを100%使用することや、主要な事業においてエネルギー使用量とCO2排出量を単位当たり25%削減すること、デザインや業務効率の改善により製造、流通、本社、包装において廃棄物を単位当たり10%削減することなどが挙げられます。また、繊維の染色・加工における1kg当たりの淡水使用量を25%削減することを目標としています。当社の綿花サプライチェーン内の水不足に苦しむ生態系やコミュニティの長期的な回復力を支援する流域プロジェクトのポートフォリオを通じて、すでに130億リットルの水量が回復しています。

WWD:複雑なサプライチェーンの把握と改善に向けた取り組みは、一社だけではどうにもならない部分もあると感じます。

キンダー:ええ。政府間、業界間、地域のステークホルダーとの強力な連携と理解も大切で、私たちはこの分野でも提携しています。 20年5月、私たちはサプライヤー気候行動プログラム(SCAP)を開始しました。このプログラムに参加することで、サプライヤーはナイキ関連の生産以外でも排出量を削減することを約束し、業界全体の大幅な排出量削減に貢献することになります。

 私たちは、エシカルで責任ある製造を行い、製品を製造する全ての人々が尊重され、大切にされることに深くコミットしていることを忘れてはなりません。 そのために、25年までに、戦略的サプライヤーの100%が、製品を作る人々のために、世界水準の安全で健康的な職場を構築するという目標も設定しています。 また、サプライチェーンにおける女性の活躍の場をいかにして増やすかについても検討しています。 サプライヤーの施設で働く人々の約70%は女性ですが、その割合は職位が上がるにつれて減少します。そこで私たちは、2025年までに100%の戦略的サプライヤーが、施設で働く女性の就業機会へのアクセスと上昇志向を高めるという目標を設定しました。

WWD:ナイキが考える環境に配慮したプロダクトデザインとは。

キンダー:私たちの地球を守ることは、多様で革新的なチームが協力して解決策をまとめ、引き出すことから始まります。私たちには、よりサステナブルな新製品を生み出し、インパクトを与える責任があります。そのため、サステナビリティはデザインプロセス全体に組み込まれています。

 最初から廃棄物を出さないようにデザインし、廃材を新しい製品に変え、循環型のソリューションを拡大しています。また、業界をリードするマテリアル・サステナビリティ・インデックス(サステナブルアパレル連合が運用する環境負荷を評価するツール。ナイキはこれまでフットウエアサステナビリティインデックスを用いており、このインデックスは業界標準に遅れをとっていたことがわかったという。また以前は素材の種類や工程ごとに具体的な炭素削減目標を設定しておらず、サプライチェーンにまで目標が及ぶことはほとんどなかった)を使用し、デジタルツールを活用してチームを教育し、より持続可能な意思決定ができるようにしています。

WWD:現在重視していることは?

キンダー:スポーツはナイキの中核であり、私たちの活動全ての中心です。残念ながら、気候変動はスポーツにとって本質的な脅威です。だからこそ、サステナビリティは私たちのブランドとビジネスへの取り組み方の根幹にあるのです。 持続可能性は、大きな問題を提起することで革新的な解決策を導き出し、可能性を再定義するのに役立ちます。 しかし、これは単に「正しい」ことではなく、より効率的な戦略がナイキの成長を促進するため、長期的な価値を生み出します。

 今日、私たちは重要な瞬間を迎えています。2020年目標の章を閉じ、私たちがどこにいたか、どこで成功し、どこでつまずいたか(CO2削減目標は未達)を振り返ることで、次の章を開き、ゼロカーボン、ゼロウェイストの未来というビジョンを達成するために、新たな25年目標に向けて学び、進化していきます。この目標は、私たちの活動を支えるものであると同時に、私たちに責任を持たせ、私たちが達成できることを数値化するものでもあります。

WWD:ナイキはメッセージを生活者に伝えることに最も長けている企業の一つだと感じます。サステナビリティをどのように消費者に伝えていきますか?

キンダー:今、私が最も興奮しているのは、消費者がこの運動に参加し、変化の一部になりたいと思っていることです。私たちは、スポーツの力を使って世界を前進させることができると信じています。そのためには、持続可能性を実現し、真のインパクトを与えるためのハードワークを行うと同時に、製品やサービス、体験を通じて、消費者により責任ある選択をしてもらうこと、あるいは製品のライフサイクルの最後にある廃棄物の削減に貢献することが重要です。私たちは、人々が私たちのブランドに寄せる情熱と、私たちが地球、人々、コミュニティのために、より持続可能な未来を再構築し、創造することに貢献できる文化的影響を理解しています。

WWD:社内における多様性をどういう形で実現していますか?また、社員のモチベーション向上やスタッフとの意識共有や教育はどのように行っていますか

キンダー:私たちの社員は、ソリューションの創造と運用にとても情熱を持っています。19年には「Move to Zero Employee Challenge」を開始しました。これは、ナイキがスポーツの未来を守るためのアイデアを社員が提出し、そのアイデアを実現するための資金やメンターシップを獲得する機会です。製品作りから物流、リテールまで、さまざまな分野を対象にし、世界中から信じられないようなアイデアが寄せられました。私たちはそれらの多くを実行に移しています。例えば、余剰原材料のデータベースの作成、製品発売までの航空貨物への依存度の低減、ニューヨークオフィスの照明を調整するための占有センサーの設置などです。私たちは、無駄を省き、従業員を教育し、行動を促すことに注力しています。今後も、循環型社会、再利用、使い捨て廃棄物の排除を体現した空間を創造し、運営していきたいと考えています。

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「ジェンダーレス」とは? “めんどくさい”新米2人によるポッドキャスト連載:考えたい言葉 vol.4

 「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズの新連載「考えたい言葉」は、2週間に1回、同期の若手2人がファッション&ビューティ業界で当たり前に使われている言葉について対話します。担当する2人は普段から“当たり前”について疑問を持ち、深く考え、先輩たちからはきっと「めんどうくさい」と思われているだろうな……とビビりつつも、それでも「メディアでは、より良い社会のための言葉を使っていきたい」と思考を続けます。第4弾は、【ジェンダーレス(Genderless)】をテーマに語り合いました。関連する単語である「ジェンダーニュートラル(Gender-neutral)」「ジェンダーファッキング(Genderfucking)」「ジェンダーフルイド(Gender-fluid)」などとも比較しながら意味を探ります。「WWDJAPAN.com」では、2人が対話して見出した言葉の意味を、あくまで1つの考えとして紹介します。

ポッドキャスト配信者

佐立武士(さだち・たけし):He/Him。入社2年目、ソーシャルエディター。幼少期をアメリカ・コネチカット州で過ごし、その後は日本とアメリカの高校に通う。早稲田大学国際教養学部を卒業し、新卒でINFASパブリケーションズに入社。在学中はジェンダーとポストコロニアリズムに焦点を置き、ロンドン大学・東洋アフリカ研究学院に留学。学業の傍ら、当事者としてLGBTQ+ウエブメディアでライターをしていた。現在は「WWDJAPAN」のソーシャルメディアとユース向けのコンテンツに注力する。ニックネームはディラン

ソーンマヤ:She/Her。入社2年目の翻訳担当。日本の高校を卒業後、オランダのライデン大学に進学して考古学を主専攻に、アムステルダム大学でジェンダー学を副専攻する。今ある社会のあり方を探求すべく勉強を開始したものの、「そもそもこれまで習ってきた歴史観は、どの視点から語られているものなのだろう?」と疑問を持ち、ジェンダー考古学をテーマに研究を進めた。「WWDJAPAN」では翻訳をメインに、メディアの力を通して物事を見る視点を増やせるような記事づくりに励む

若手2人が考える【ジェンダーレス】と関連する単語

 「ジェンダーレス」と数ある関連した単語は、大まかに既存のジェンダー観に捉われないアイデンティティやファッション、ビューティなどのライフスタイルを意味する。日本のファッション&ビューティ業界において、「ジェンダーレス」は、自身の性と社会的に“逆”とされる要素を取り入れることでジェンダーを“打ち消す”印象を与えているケースが多い。自身の性に結び付けられたルールに従わず、メイクを楽しむ男性やメンズアイテムをまとう女性を“ジェンダーレス男子/女子”と呼ぶ風潮が見られる。実際、現状として“ジェンダーレス男子”がしていることを女性がした場合や“ジェンダーレス女子”のファッションを男性がした場合は「ジェンダーレス」ではなく世間的にも“普通”になることがほとんどである。

英語圏で多用される【ジェンダーニュートラル】

 対して英語圏でより頻繁に用いられる「ジェンダーニュートラル」は中立という言葉の通り、保守的なジェンダー観においてどの性の人が取り入れても“違和感”のないことを指す。そのため、「ジェンダーレス」がメンズ・ウィメンズにカテゴリー化された既存のアイテムを自由に使用するスタイルを指すのに対し、「ジェンダーニュートラル」はジェンダーのレッテルを意図的に外したアイテムを指すことが多い。しかし、「ジェンダーニュートラル」なアイテムはスカートやハイヒールなどではなく、オーバーサイズのTシャツやジーンズなどが主流。男女のカップルが“お揃いコーデ”をする際にウィメンズではなく、メンズ売り場にいくことが多いように、“中立”はメンズに傾いているのが現状だ。

攻めの姿勢を指す【ジェンダーファッキング】

 近年、英語圏で「ジェンダーファッキング」というパワフルな言葉がメディアで台頭。“ジェンダーなんかクソ食らえ”というニュアンスを持つこの言葉は、本質的に上記のスタイルと違うわけではなく、その当事者の“攻めの姿勢”を表す。ハリー・スタイルズ(Harry Styles)は「ヴォーグ(VOGUE)」の表紙でドレスを着用するなど印象的なファッションで知られ、自身のジェンダー観や多様性・包括性のトピックに関しても多く発言していることから「ジェンダーファッキング」のメンタリティが感じられる。一方で、ハリーはロックスターのようなスーツにオールバックヘアを合わせたスタイルを好むことでも知られ、伝統的なメンズファッションを楽しんでいることからスタイルは流動的とも言える。

流動性を表す【ジェンダーフルイド】

 ハリーのスーツが象徴するように、ジェンダー的に“逆”のことをしていないと、必ずしもその人がジェンダー観に捉われているというわけではない。そのような考えは「ジェンダーフルイド」という言葉で表される。元々は自身の性を定義せず、その時々によってさまざまなジェンダーを流動的に行き来するという考え。ファッションやビューティでは、ジェンダー的に幅広いスタイルをその時々に楽しむことを主に意味する。加えて、そもそもファッションなどが自身の性に関係あるものとして結びつけられていることに疑問を持ち、その固定を流動化したいという考えも含まれている。時にファッションは自身のジェンダーを表現する重要なツールでもあるが、ファッションとジェンダーの関連を切り離して考えようとする風潮も広がっているのだ。

どの言葉も根底には「自由」への思い

 「ジェンダーレス」「ジェンダーニュートラル」「ジェンダーファッキング」「ジェンダーフルイド」など表現の多様さに圧倒されてしまうかもしれないが、ジェンダーの解釈によるアプローチとメンタリティの違いであり、根底にあるのはより自由にファッションやビューティを楽しみたい思いだ。

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「標準色」とは? “めんどくさい“新米2人によるポッドキャスト連載:考えたい言葉 vol.2

 「WWDJAPAN」ポッドキャストシリーズの新連載「考えたい言葉」は、2週間に1回、同期の若手2人がファッション&ビューティ業界で当たり前に使われている言葉について対話します。担当する2人は普段から“当たり前”について疑問を持ち、深く考え、先輩たちからはきっと「めんどうくさい」と思われているだろうな……とビビりつつも、それでも「メディアでは、より良い社会のための言葉を使っていきたい」と思考を続けます。第2弾は、【標準色】をテーマに語り合いました。「WWDJAPAN.com」では、2人が対話して見出した言葉の意味を、あくまで1つの考えとして紹介します。

ポッドキャスト配信者

佐立武士(さだち・たけし):He/Him。入社2年目、ソーシャルエディター。幼少期をアメリカ・コネチカット州で過ごし、その後は日本とアメリカの高校に通う。早稲田大学国際教養学部を卒業し、新卒でINFASパブリケーションズに入社。在学中はジェンダーとポストコロニアリズムに焦点を置き、ロンドン大学・東洋アフリカ研究学院に留学。学業の傍ら、当事者としてLGBTQ+ウエブメディアでライターをしていた。現在は「WWDJAPAN」でソーシャルメディアとユース向けのコンテンツに注力する。ニックネームはディラン

ソーンマヤ:She/Her。入社2年目の翻訳担当。日本の高校を卒業後、オランダのライデン大学に進学して考古学を主専攻に、アムステルダム大学でジェンダー学を副専攻する。今ある社会のあり方を探求すべく勉強を開始したものの、「そもそもこれまで習ってきた歴史観は、どの視点から語られているものなのだろう?」と疑問を持ち、ジェンダー考古学をテーマに研究を進めた。「WWDJAPAN」では翻訳をメインに、メディアの力を通して物事を見る視点を増やせるような記事づくりに励む

若手2人が考える【標準色】

 ファンデーションやコンシーラーなど肌色の製品を選ぶ目安となる基準の色。日本のマーケットで最も“頻出“するとブランドが予測した色に設定されており、指標として色選びをすることができる。鉛筆の「肌色」という表記を改める動きがあったように、消費者の中でも肌色に基準を設けられることへの抵抗が生まれつつあり、「標準色」という表現を再考する風潮が高まっている。近年、「ブルーベース」「イエローベース」といったアンダートーンについての話題がSNSで急増したことで、消費者の間でも肌の明るさだけが色選びの留意点ではないという意識が浸透し、そもそもの「標準色」の有用性を問う機会が増えたとも考えられる。実際、多くのブランドが展開色自体を拡大し、多様な肌の色に対応しようとする動きが顕著になりつつある。さらに「ランコム(LANCOME)」などが肌の色を測定し色を調合し、“十人十色“を体現するカスタムファンデーションを発表。展開色の拡大で生まれる在庫や需要の偏りという問題の解消も期待できる上に、色選びで自身の肌の色を相対的に見る必要もなくなる“ポスト標準色時代“を権化するテクノロジーなのかもしれない。

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