人気ヘアスタイリスト京里がサロンをオープン 地元京都で新たな挑戦

 東京、大阪、ロンドンなどで展開するヘアサロン 「リム(LIM)」で、売り上げナンバーワンになるなど若手女性美容師として注目を集めた京里が、今年3月に退社し9月26日にヘアサロン「オール(ore)」を京都市にオープンした。10月はすでに予約で埋まっているという。「東京に骨を埋めるつもりだった」と語る京里が、地元・京都に戻り、サロンをオープンした理由とは──。

 「オール」は、まるでギャラリーや美術館のようだ。店内は、英語で鉱石という意味のサロン名「オール」にちなんで、窓から入る光の分散や、壁の漆喰のグラデーション、床のエポキシ樹脂の艶感など、光の演出が絶妙だ。またワゴンやカット椅子は京都の金物屋「ボルツハードウェアストア」でオーダーメイドし、チェアもビンテージのアイテムを選ぶなど細部にまで京里のこだわりが詰まっている。

WWD:東京の「リム」で大活躍していた京里さんですが、なぜ京都に店を構えたのですか?

京里「オール」オーナー(以下、京里):「リム」時代、大阪の店舗から異動になった時に、関西に帰るという気持ちは全て捨てて東京に骨を埋める決意で上京しました。京都に帰省したいといった気持ちもなく、独立して自分のブランドを立ち上げる時も東京近辺でと考えていたぐらいです。

WWD:それなのになぜ?

京里:昨年帰省した際に友人に「京都で独立はないの?』と聞かれて……。即答で否定したものの、後から考えてみたらすごくワクワクしてきたんです。また新しい地で、自分の新しいブランドを作って挑戦したい。直感を信じて京都でオープンすることにしました。

WWD:京都の樋之口町にオープンした理由は?

京里:働く場所ってとても大切だと思うんです。「リム」もそうでしたが、周りにいるスタッフや空間、インテリア、ファッション、ライフスタイルの全てを含めて自分らしくしたい。最近は美容師自体にお客さまがつく時代になっているのでフリーランスはとても時代にあっていますが、自分がより自分らしくいれる空間で好きな美容をしたい!という思いでした。お客さまに空間ごと好きになってもらいたいです。

WWD:「オール」をどんなお店にしたいですか?

京里:お客さまにとって特別感のある場所でありながら、ヘアスタイルや来店していただくことも含めて日常や定期的な生活の一部になるような場所にしたいです。

■ヘアサロン 「オール」
時間:10:00〜19:00 ※日曜日は10:00〜18:00
定休日:月曜日
住所:京都府京都市中京区樋之口町461-1ヨシムラビル 2F

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デジコレでドタバタ対談 「ディオール」の荘厳さに心打たれ、実在のスパイが着想源の注目ブランド「テベ・マググ」に感嘆

 2021年春夏のコレクションサーキットもいよいよ最終章、パリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)に突入。パリからはベルリン在住のヨーロッパ通信員が現地取材の様子をお届けしていきますが、オンラインでも対談レビューという形で、引き続き“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は、パリコレ2日目(9月29日、現地時間)をリポート! 長年コレクションを取材してきた「WWDジャパン」の向千鶴編集長と、コレクション対談初参戦の皆合友紀子がリポートします。

まるでSF映画!な「マリーン セル」の映像でスタート

皆合:2日目のトップバッター「マリーン セル(MARINE SERRE)」はデジタルでの発表でしたが、キーキーと耳障りな不協和音とともに映像がスタート。真っ白な空間に全裸でオペ台の上に横たわる性別不明の人造(?)人間、その周りにゾロゾロと人々が集まり手術のような行為を始めるシーンは、SF映画のオープニングのようでした。

向:13分間目が離せなかった。環境問題か、コロナと生物多様性と人間か、メッセージが何であるかは映像を見るだけじゃわからないけれど、「マリーン セル」が作るものだからそういったことなのだろうと素直に受け止めつつ(笑)、それ以上に無条件で引き込まれる世界観です。リアルのショーでは作れない、映像だから表現できる内容ですね。で、どんなストーリーだったんだろう。

皆合:オープニングでオペ台の上に乗せられていた人物が、オン・オフのスイッチ代わり(?)のネックレスをつけられて命を吹き込まれ、実験室、自然界、水の世界とシーンを移動し、さまざまな出会いをしながら旅をするストーリーでした。最後はネックレスを外され、またオペ台の上に乗せられて終了。タイトルの「AMOR FATI」は、ラテン語で“運命を愛する“という意味だそうです。「人生におけるあらゆる喜びと逆境を取捨選択することなく、積極的に受け入れることへの“招待状”」とセルが言うように、現在のコロナ禍の状況や環境問題など、良いことも悪いことも全てを受け入れ、自分たちの運命を愛そうということなのかなと私も受け止めました。

向:ルックは、体を守るプロテクターの要素を組み込んだスポーティーなアイテムもいいけど、個人的には最初に登場した「改造する側の人間」が着ていた「マリーン セル」柄のレトロなセットアップが気になりました。「マリーン セル」の服は体を鍛えている人の方が似合うと思う。このセットアップも鍛えた体で着たらとてもカッコいいと思う。

皆合:確かに! 筋肉美の映えそうなフィット感のある細身のデザインが多かったですね。あと、忍者ルックも気になりました。どうやって着こなせばいいんだろう……?など思いながら見ていました(笑)。

原点回帰の「アンリアレイジ」 テーマは服と家をつなぐ“ホーム”

皆合:「アンリアレイジ(ANREALAGE)」は、“ホーム“というテーマのコレクションをデジタルで発表しました。◯△□のコレクションの延長線ということでしたが、今回はデザインの構成やパターンも3Dでシミュレーションを行いながらリモートで制作したとか。開放感のある富士山の麓の緑の中にカラフルな色使いのコレクションが映えていて、見ていて明るい気持ちになりました。

向:小さな家がそのまま服になるとは! 時代と共鳴したコレクションでしたね。「家が一番安心できる」や「一人っきりになれる家がほしい」は世界中の人が今抱いている心理だと思うから。「アンリアレイジ」のショーはコンセプチュアルなんだけど、ユーモアもあるから重いメッセージでも受け止めやすくて好き。「あ、家を2枚レイヤードしている」とか「あ、モデルが中で寝ちゃった」とか、映像に向かって突っ込みどころを残してくれるところがいいね。

皆合:三角錐のインビテーションもかわいかったです!ハリ感のある素材については、森永さんが「殺菌効果のある銅繊維をベースに、メディカル分野で用いられている抗ウイルス繊維と抗ウイルス加工を用いて、結界のような新しいテキスタイルを作った」と言っていて、こんなスタイリッシュな殺菌・抗ウイルス服とか喜んで着ちゃいます(笑)。

向:これらが実際に店で販売されるリアルクローズとしてどう落とし込まれるのかがカギですね。ヘッドピースならぬ“ヘッドアーキテクト”は建築家の隈研吾さんによるデザインで、インテリアのランプシェードにもなるとか。ニュースが盛りだくさんです。

皆合:映像の中でモデルが身につけていたアクリル樹脂の中にドライフラワーを閉じ込めたクリアなハンドルのバッグやネックレスなどのアクセサリーは、今シーズンデビューの新ブランド「アンエバー(AN EVER)」と発表がありましたね。「アンリアレイジ」しかりですが、今回も“A NEVER(一瞬)”と“AN EVER(永遠)”のワードの掛け合わせたとか、言葉選びのセンスが素敵すぎます。

生歌が響く中、“視覚的”な詩で魅せた「ディオール」

皆合:向さんは、パリに赴いている欧州通信員の藪野さんと中継でつないで、ライブ配信番組「着点」に出演しながら見ていましたね。現地の映像を見ていると、会場の内外共にやはり従来のガヤガヤにぎやかな感じはなく、とても静かでした。現地に赴かないパリコレは10年ぶりとのことですが、遠隔で見ていてどうでしたか?

向:薮野さんが「ショー会場では何を見るべきか」を分かっているので、彼のスマホを通じて見るライブ映像は視点が的確で満足度が高かったです。また、ユーチューブの視聴者がライブでコメントをくれるので一緒に見ている感があり楽しい!コレクションは黙って一人で見るより皆でワイワイ話しながら見る方が情報量も多くて盛り上がることが、デジタルコレクション取材を始めてよくわかりました。確かに現地での盛り上がりはいつもの数分の1だけど、デジタルの先でこうやって盛り上がっている人がこれまで以上にいるならそれは新しい一歩だと心底思うな。

皆合:真っ白な外観からは想像できない、ステンドグラスの大聖堂をほうふつとさせるショー会場が荘厳で素敵でした。一見厳かな雰囲気だけれど、近くで見ると実はKISS風メイクの女性がいたり、雑誌から構成されたステンドグラスであったりと、遊び心があるころもさすが粋だなぁと。イタリアのアバンギャルドな実験芸術を象徴するアーティスト、ルチア・マルクッチ(Lociana Marcucci)の作品に着想を得たとのことでしたが、なぜ大聖堂だったのでしょう?

向:一言で言えば、“愛”なんだと思う。ベタだけどこれ以上適切な言葉が見つからない(笑)。コロナにより分断されたカルチャーや人とのつながりを集めてつないだステンドグラスに私には見えました。ロマンチックすぎるかな?コレクションは、ヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf)やスーザン・ソンタグ(Susan Sontag)といった書くことを仕事とする女性たちがインスピレーションとのことで、彼女たちの写真を見てからルックを見ると“なるほど”と思います。メンズシャツのアレンジなどどこかキリリとしたスタイルが印象的です。

皆合:ルックにはオリエンタルな印象を受けました。色使いもナチュラルカラーや優しい色味のものが多かったですね。柔らかい素材で、体にフィットしないゆったりとリラックスしたデザインも目立ちました。

向:日本のためにデザインされた1957年秋冬コレクションのシルエットを再解釈したそうで、羽織のようにゆったりしたシルエットが多かったですね。

「コーシェ」はショー後の発信力の弱さが残念

向:「コーシェ(KOCHE)」はリアルのショーを開いたことを薮野通信員に聞いたけれど、パリコレ公式サイトには動画が上がっておらず、ブランドオフィシャルのホームページやインスタグラムにも動画はなし。インスタのストーリーにはスマホ撮影と思われる動画が数本上がっていたけど……せっかく人気ブランドが公式スケジュールでショーを開いたのに世界に伝えないのではもったいないなあ。ショーは公園を会場に、バグパイプの演奏がリードする形でモデルが歩いたみたい。いつものようにレース×スポーティー、そして得意の羽飾りも随所に。風に揺れる羽根がきれいだったんだろうな。デザイナーが囲み取材を受ける動画もストーリーに上がっていて、彼女がつけているレースのマスクがかわいかった。

自国の歴史を掘り下げた「テベ・マググ」 スパイの指紋が水玉柄に

皆合:「テベ・マググ(THEBE MAGUGU)」の短編フィルムはコンセプトが斬新でしたね! 何が始まったんだろう?と見入ってしまいました。今シーズンは、テベの出身国である南アフリカのスパイコミュニティーに触発されていて、南アフリカの旧アパルトヘイト政府に協力していたと自白した女性スパイに対して彼自身が行ったインタビューからヒントを得ているとか。

向:今シーズンは自分のルーツをたどって掘り下げるデザイナーが多いけれど、南アフリカ出身のテベが自国の歴史を掘り下げるとはこういうことなのだとハッとしました。実は最近、南アフリカの故ネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)元大統領の伝記を読んだばかりで。伝記にモデルの姿がオーバーラップしてモノクロ写真に急に色がついた感覚に陥りました。

皆合:映像内のナレーションはジャーナリスティックな内容だけれど、モデルがまとっている服はタイトなテーラードピースやフェミニンなドレスまでさまざま。でもそれが不思議とマッチしていましたね。こういうコレクションの見せ方もあるのか!と固くなった頭をなぐられた気分でした。

向:そうですよね。ベースのテーラードやドレスのラインがきれいだから、インスピレーションが効いている。ドレスの水玉柄は実在する自白したスパイの指紋をスキャンしたものなのでしょう?しかも本人がコレクションのためだけに指紋を提供してくれたとか。

皆合:すごい。最新コレクションだけでなく、自分のルーツである南アフリカについても知ってほしいという思いが込められているようにも感じました。個人的には、女性がプリントされたネクタイ付きシャツワンピ&ニーハイブーツのルックと、ドットのアシンメトリーなスカートが気になりました。

向:告白をする女性スパイを撮影した本物の映像を使ったプリントですよね。南アフリカ司法部がテベに提供したそう。リリースには女性スパイの言葉で「スパイは私たちの周りにいて、彼らは私たちの先生や家族や友人でもあるのです」とあります。何とも重い。激しい人権運動の中では何が正義で何が罪か、部外者にはわかりようもない複雑な人間関係も多いのでしょう。まさかパリコレをきっかけにこんなことを考えるなんて思いもしませんでした。

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パリコレ現地リポートVol.1 リアルでも開幕!「ディオール」の会場からは生中継

 皆さん、こんにちは。「WWDジャパン」ヨーロッパ通信員の藪野です。9月28日にパリ・ファッション・ウイークが開幕しましたね。新型コロナウイルスの影響によりデジタルとリアルを組み合わせて開催されている今回ですが、公式スケジュールの84ブランドのうち、リアルなショーで発表を行うのは18ブランド。その他、プレゼンテーションや展示会を開くブランドもあります。とは言っても、この状況下で日本から出張というのは難しいので、今回は私が現在暮らしているドイツ・ベルリンからパリにやって参りました(EU内での渡航はそんなに制限がないのです)。パリでは新型コロナの感染が再拡大しているので最大限自衛をしつつ、これから最終日の10月6日まで数回に分けて現地からのリポートをお届けしていきます。いつもミラノやパリは編集部チームと一緒に和気あいあいと取材しているので一人はちょっと寂しいのですが、少しでも“リアル”なパリコレを感じてもらえると幸いです!それでは、まずは1発目のリアルショーが開催された2日目のダイジェストをどうぞ。

9月29日(火)

11:30 初っ端から招待状届かず。執念で59階まで上って見た「コペルニ」

 今回のパリコレ1つ目のリアルなショーは、「クレージュ(COURREGES) 」の元クリエイティブ・ディレクターでもあるデザイナーデュオによる「コペルニ(COPERNI)」です。前々回はアップルストア、前回はインキュベーション施設とユニークな会場でコレクションを発表する彼らが今回選んだのはパリ南部にある高層ビル、トゥール・モンパルナス(Tour Montparnasse)の屋上。朝からテンション上がる〜と思っていたのですが、あれ??ホテルにインビテーションが届いていない……。最近はデジタルインビテーションも多いので、メールも確認したけれど来ていませんでした。しかし、“1発目のショーを見逃すわけにはいかない!”という執念で、とりあえず会場前まで行ってみることに。

 ビルの入り口でPRスタッフに説明したところ、やはり何かの手違いで席がないとのこと。いつもはそれでも交渉するのですが、今回はコロナ禍での開催なので衛生基準がかなり厳しく、スタンディングは基本なしで、席をちょっと詰めたりするのも難しいという話だったので、諦めムードに……。ただ、入り口にいたスタッフの一人が屋上にいる担当PRと連絡をとってくれて、スタートギリギリで来場していない人の席をゲットしてくれました。ありがとう、優しいお姉さん!!ということで、59階まで猛ダッシュ(実際には56階まではエレベーター)で上がったのですが、到着したころにはもうショーは中盤。ソーシャル・ディスタンシングを守りつつ、スタッフと一緒に立って拝見しました。

 コレクションは、今回もクリーン&モダンなデザイン。“衣服は身体の相棒である”という考えから、抗菌性やUVカット効果のあるオリジナルの新素材や伸縮性に優れた素材を使い、セカンドスキン(第二の皮膚)となるようなアイテムを提案しました。サイクリングパンツやトレンカ風レギンス、フロントジップなどで作るスポーティなムードが印象的です。ショーが終わって外を眺めると、あいにくのお天気でしたが、パリの街が一望できる絶好のロケーション。今度は晴れた時に来たいな〜と会場を後にしました。

12:30 「ビクトリア トマス」は新型コロナで服作りを一新

 お次は、夫婦デザイナーデュオによる「ビクトリア トマス(VICTORIA/TOMAS)」。ショーが始まると、モデルが2人ずつ並んで歩いてきます。勘がいい方はお気づきかもですが……そうです、今回から全てのウエアがリバーシブルになりました。片側はワークウエアや伝統的なメンズウエアから着想を得たデザイン、そしてもう片側は刺しゅうやギャザーでより装飾的なスタイルで仕上げられています。例えば、ストライプのスタンドカラーシャツは、裏返せば肩から背中にかけてたっぷりギャザーを入れたスカーフヘムのブラウスに。さらに今季から生産も100%フランス製に切り替えて生産時にかかる環境負荷の低減を目指すとともに、現在年4回発表しているコレクションも半分に減らします。

 その背景にあるのは、やはり新型コロナウイルスです。2人は外出自粛期間中に、ファッションへの向き合い方を考え直したそう。全部リバーシブルというのは手入れのことなどを考えると、正直どうだろう?と思いますが、生産やコレクション数に対する取り組みには賛成です。

14:30 「ディオール」には日本から着想を得た“バー”ジャケットが登場

 7月にイタリアで無観客ショーを行った「ディオール」ですが、今回は念願のゲストありでの開催です。ただ、いつもは1000人以上を収容する会場に今回は350人のみ。生の雰囲気を少しでも多くの方に味わってもらえるように、「WWDジャパン」のYouTube配信番組「着点(きてん)」でパリから生中継しましたので、まだの方はぜひアーカイブをご覧ください!

 会場は、先シーズンからチュイルリー公園になりました。巨大な白い箱のような会場に入ると、中はまるで大聖堂。真っ黒な空間の三面にステンドグラスが飾られているのですが、よく見るとアートに関する雑誌のコラージュになっています。こちらはアーティストのルチア・マルクッチ(Lucia Marcucci)の作品だそう。そしてショーは、12人の女性による合唱をバックにスタート。身近な人を亡くした悲しみや苦しみを表現した言葉や音が、教会さながら会場内に響き渡ります。

 コレクションで最も印象的だったのは、日本のためにデザインされたという1957年秋冬コレクションのシルエットを再解釈した、羽織のようなノーカラージャケット。レザーや共布のベルトを使うと、“バー”ジャケットのシルエットが仕上がります。そういえば、1年前にLVMH賞の取材でマリア・グラツィアを見かけた時に、彼女が着物をアウターのように羽織っていたことを思い出しました。

 そんなオリエンタルなムードはイカットや絞り染めのようなパターンにも見られる一方で、ビンテージの調度品やスカーフのような花柄やペイズリーも多出。プリントやニットをはじめ、刺しゅうやビーズで、ドレスやスカートを飾ります。また、新たな模様でアップデートされた人気バッグ“ブックトート”も数多く登場しました。いつもは強さを感じるマリア・グラツィアによるクリエイションですが、今シーズンは全体的に落ち着いたトーンやゆったりしたシルエットも手伝って、心地よさや優しさを感じるコレクションでした。他都市でも多く見られましたが、この不安渦巻く時代には“安らぎ”ムードが広がりそうです。

 フィナーレの後には、“WE ARE ALL FASHION VICTIMS”と書かれた布を広げて歩く抗議者の女性が乱入!関連記事でも上がっていますが、特に大きな騒ぎになることもなく、普通にランウエイを歩いて去ったので、あれ?今のはショーの一部⁇という感じで終わりました。

18:00 のどかな風景と音楽に癒された「コシェ」

 パリコレブランドの中でもいち早くリアルショーの開催を表明していた「コシェ(KOCHE)」の会場は、北東部のビュット=ショーモン公園。採石場の跡に作られた公園の中には湖があり、その真ん中にある高さ30mの島が象徴的です。湖の周りがランウエイだったのですが、カモも泳いでいて、のどかな風景に癒されました〜。ショーが始まると、バグパイプの音楽隊が「アメイジング・グレイス」や「ハレルヤ」を演奏。これまた癒しでした。

 コレクションの冒頭には、アウトドアブランド「エーグル(AIGLE)」とコラボしたカプセルコレクションを披露。来場者にも着ている人がいたので調べたところ、もう販売中のようです。ユニセックスのポンチョが可愛い!そして、モデルは全員ストリートキャスティングで選ばれたパリジャン&パリジェンヌで、個性が際立っています。写真を撮ろうと思ったら、生中継後に充電するのをすっかり忘れていて、まさかの電池切れ……(泣)。ショー終了後、急速充電器を車に取りに帰って、会場とバグパイプ隊のお兄さんだけギリギリ撮影できました。

20:00 大画面で見る「マリーン セル」のコレクション映像は迫力満点

 本日のラストにやって来たのは、街中にある映画館。今朝デジタルでコレクションを発表した「マリーン セル(MARINE SERRE)」の上映会でした。関係者とブランドのアイテムを着たオシャレな若者が集まっていて、中にはシグネチャーである三日月パターンのマスクをつけた来場者も発見しました!

 会場に入る際にはきちんと消毒を済ませ、お隣さんと一つ間隔を開けて着席。肝心の短編映画は、マリーンらしいミステリアスな世界観に引き込まれました。大画面で見ると一層映えますね!これからデジタルでの発表が増えるなら、家や会社にプロジェクターがあるともっと楽しめるかもしれません。

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今回はモデル級にカワイイゲーマーが登場 ゲームカルチャー解体新書Vol.3

 約15年にわたり、ファッションに軸足を置きながら、セールスやPR、企画立案の立場で国内外のブランドビジネスに関わらせていただいています。ファッション業界に携わる私が、ファッション業界をはじめ、ゲーム業界で活躍している方々、ゲーム好きのゲストとの対談を交えながら、「ファッション × ゲーム」の可能性や新しい価値を提供することができたら。そんな想いで新連載をスタートさせていただきました。

戸簾俊広(以下、戸簾):ゲストを迎えての第2回は、モデルの津島衣里です。よろしくお願いします。

津島衣里(以下、つしえり):よろしくお願いします。青森県出身の津島衣里、通称つしえりです。高校卒業と同時に就職で上京し、3年間はOLとして受付と総務のお仕事を兼務しました。その後、芸能事務所に所属し、広告モデルやタレント、またエヴァンゲリオン新劇場版とコラボしたレーシングチーム「エヴァンゲリオンレーシング」で、真希波・マリ・イラストリアス役を一年間務めさせていただきました。そのほかインドをはじめ、クアラルンプール、バンコク、プラハなど、いろいろな国でモデルのお仕事をさせていただきました。その後は、芸能活動を2年ほどお休みし、今後のことを考えたり悩んだりしながら、バイトと引きこもりの生活を繰り返していました。そして、ずっと言いたくても言い出せなかった「音楽をやりたい」とようやく口に出せるようになり8月から音楽事務所に所属しています。今後は、音楽活動をメインに、ゲーム配信やタレント活動などなど、マルチな才能を生かし、幅広く活動していきます。ユーチューブでのゲーム配信は2か月ほど前から始め、プレイステーション4のデビューと同時に「エイペックス(APEX)」をスタートしました。

戸簾:ゲームを始めたきっかけは?

つしえり:父の影響です。小さい頃から父や従兄弟、友達とよくやっていました。上京してからはいつの間にかやらなくなってしまいましたが……。去年の秋頃からボードゲーム会に行くようになり、仲良くなった友達と「コール オブ デューティ モバイル(CALL OF DUTY MOBILE)」というゲームを始めて、一緒にゲームをする楽しさを思い出しました。

戸簾:ユーチューブでゲーム配信をしようと思った理由は?

つしえり:「ゲームが下手な所や、つしえりのキャラクターを前面に出して配信したら?」という周りの声からです。小さい頃からゲーム好きで、特に音ゲーは得意なのですが、FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)は本当に下手で、プレイステーション4の操作もひどく、そちらのセンスがないようでして……(笑)。「エイペックス」は、1キル(相手を倒す)までに1カ月半も掛かりました。それもまぐれの撲殺で(笑)。でも、初めて1キル出来たときは本当に嬉しすぎて泣いちゃいました。その時の動画を編集してティックトックに載せたら、思った以上の反応で、優しいコメントも多数いただきました。ユーチューブの登録者数も150人ほど増えました。

戸簾:面白いですね!配信はどんなスタイルで?

つしえり:「エイペックス」は敵がどこにいるか見えていないといけないゲームなので、髪を結んで、メガネがほとんどです。気合いを入れて挑む時の勝負服!みたいな感覚で、ゲームとファッションを絡めたいと思います。グロスは少し濃いめの赤など、さり気なくこだわっているんですよ。

戸簾:つしえりさんはゲーマーとして、ゲームとファッションの繋がりを深くするために必要なことは何だと思いますか?

つしえり:例えば「エイペックス」であれば、ゲームをイメージしたブランドの設立、ブランドとのコラボアイテム、特定のキャラクターを意識した洋服を作るなんて、どうですかねえ……?自分の好きなキャラクターの洋服を着るのは面白いと思います。私は「エイペックス」の“ローバ”というキャラクターがお気に入り。ゲームのキャラクターに愛着が湧く人は、たくさんいると思います。需要ありそうですね。

戸簾:例えば、アバターに実在のファッションブランドの洋服が着せられたら、欲しくなりますか?

つしえり:なります!

戸簾:ファッションとコスプレの境界線は?

つしえり:私のイメージではありますが、コスプレはアニメやマンガ、ゲームのキャラクターの衣装を忠実に再現し、そのキャラクターになりきったり、コミックマーケットに参加したりがコスプレです。普段のスタイルに要素だけを落とし込んだら、それはファッションかなあと思います。

戸簾:スキンやアバターへの課金は、途中でもしたくなるもの?

つしえり:ゲーム内課金をする友人は多いですね。やっぱり友達が買ったりしていると、いいな〜って思っちゃいます。私は我慢していますが、現実の世界でお気に入りのキャラクターのグッズや洋服があるとついつい買ってしまいますね……(笑)。

戸簾:ゲームは既に1つのメディアで、プレイヤーはインフルエンサー。ファッションやビューティ業界でマーケティングを行う皆さんは、絶対に注目すべきですね。逆にゲーマーの皆さんも、ユーチューブが飽和しつつある中、コラボによる差別化には可能性があるように感じました。

つしえり:ファッションやビューティとのつながりが深いプレイヤーは、まだいないですね。Vチューバー(バーチャルユーチューバー)はすごく増えていますが、ファッションやビューティにこだわりを持ち発信する人は、私の知る限り見たことありません。

戸簾:是非、自分なりのこだわりメイクでゲーム配信をしてみてください。

つしえり:やってみます!

戸簾:最後にゲームの世界の魅力を含めて、他の業界が学ぶべき長所はありますか?

つしえり:抱えているコミュニティーの規模が大きいという事。例えば、ゲームをする時は、やり方や進め方、上達する方法など、ユーチューブでいろいろな人の動画を見て学びます。私もやってみて分からないことは、ユーチューブで勉強します。比例してチャンネル登録をする人も多いので、コミュニティーが拡大するんです。

戸簾:昨今、コミュニティーの時代・デジタルの時代と言われますが、その双方を手にしたゲーム業界の凄さを感じました。この業界からスターインフルエンサーが生まれる日は、そんなに遠くないんですね。

戸簾俊広: ジェムプロジェクター代表:2009年に国内外のファッション・ライフスタイルブランドのブランディング、PR、セールス、コンサルティングを手掛けるブランディングカンパニーGEM PROJECTORを設立。現在は、地方創生プロジェクトや会員予約制のテンポラリーレストランの立ち上げに向け奮闘する一方、「受信者から発信者へ」をテーマにしたオンラインサロンを運営

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随時更新:2020年クリスマスコフレまとめ 今年はコラボが充実

 今年もクリスマスコフレの季節が到来。人気漫画のコラボから豪華なアドベントカレンダーまで、注目必須のホリデーコレクションを発売順に随時更新でお届けする。
※すべて数量限定発売

シュウ ウエムラ

・10月15日(公式オンラインストア限定発売)、11月1日、11月15日発売
・今年は人気漫画「ワンピース」とコラボ
・人気アイテムの限定デザインが多数登場
「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」のホリデーコレクションをチェック

ジバンシイ

・10月16日(9月16日予約開始)、11月20日(10月20日予約開始)、12月4日発売(11月4日予約開始)
・“きらめくランウエイ”をエレガントに落とし込んだアイテム
・欲張りパレットも
「ジバンシイ(GIVENCHY)」のクリスマスコレクションをチェック

ランコム

・10月16日、11月6日、11月27日発売
・毎年人気の「ビューティーボックス」も登場
・サラ・シャキールとコラボしたアイテム
「ランコム(LANCOME)」のホリデーコレクションをチェック

クレ・ド・ポー ボーテ

・10月21日発売
・人気製品の限定パッケージも
・ミニリップのセットもそろえる
「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」のホリデーコレクションをチェック

イヴ・サンローラン

・10月23日、11月13日発売
(10月16日にECと表参道フラッグシップブティックで先行発売)
・“ドレスミーワイルド”がテーマ
・アドベントカレンダーも
「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」のホリデーコレクションをチェック

ロクシタン

・10月28日発売
・アールグレイが香る限定コレクション
・アドベントカレンダーも
「ロクシタン(L’OCCITANE)」のホリデーコレクションをチェック

アディクション

・10月30日発売
・グラマラスなアイテムが勢ぞろい
・定番アイテムの限定色も
「アディクション(ADDICTION)」のホリデーコレクションをチェック

ジルスチュアート

・10月30日、11月13日発売
・テーマは“ダズリングワンダーランド”
・星やダイヤのモチーフをあらった限定デザイン
「ジルスチュアート(JILLSTUART)」のホリデーコレクションをチェック

貝印

・10月30日発売
・タイのナチュラルスキンケアブランド「タン(THANN)」とコラボ
・両社の人気製品を詰め合わせた
貝印のホリデーコレクションをチェック

サボン

・10月30日発売(10月16日から予約開始)
・着想源はくるみ割り人形
・ホリデーシーズン限定“シュガー・プラム”の香り
「サボン(SABON)」のホリデーコレクションをチェック

コスメデコルテ

・11月1日発売(9月10日から予約開始)
・特別デザインを施した限定コレクション
・8色入りのアイカラーパレットに注目
「コスメデコルテ(DECORTE)」のホリデーコレクションをチェック

ポール & ジョー ボーテ

・11月1日発売(10月18日から予約開始)
・ドラえもん&ドラミちゃんとコラボ 
・“ドラえもんリップ”第2弾も
「ポール & ジョー ボーテ(PAUL & JOE BEAUTE)」のクリスマスコレクションをチェック

RMK

・11月1日発売(10月17日から予約開始)
・漫画家・桜沢エリカとのコラボポーチ付き
・赤をキーカラーにしたメイクアップキット
「RMK」のホリデーコレクションをチェック

SHISEIDO

・11月1日発売
・アーティストの舘鼻則孝(たてはな のりたか)氏とコラボレーション
・マットリップのミニサイズ3色セットも
「SHISEIDO」のホリデーコレクションをチェック

スック

・11月2日発売
・“綾羅錦繍(りょうらきんしゅう)”がテーマ
・8色セットのアイシャドウパレットに注目
「スック(SUQQU)」のホリデーコレクションをチェック

ルナソル

・11月6日、11月20日発売
・コレクションテーマは“マージング アディクト”
・人気アイシャドウパレットの限定色も
「ルナソル(LUNASOL)」のホリデーコレクションをチェック

シャネル

・11月6日発売
・ゴールドのチェーンと黒のレザーストラップが着想源
・限定デザインのフレグランスも
「シャネル(CHANEL)」のホリデーコレクションをチェック

THREE

・11月11日発売
・3アイテム11種をラインアップ
・“グラムロックのエモーション”がコンセプト
「THREE」のホリデーコレクションをチェック


2020年クリスマスコフレの最新情報はこちらから

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「パナソニック ビューティ」の人気ヘアードライヤー“ナノケア”がパワーアップして新登場

 美容家電をリードするブランド「パナソニック ビューティ」の人気製品ヘアードライヤー“ナノケア”がパワーアップして新登場する。髪の内部までうるおう高浸透「ナノイー」搭載で、従来よりも高いヘアケア効果をかなえる。さまざまな機能をそなえた高機能ドライヤーが多数登場する中で、なぜ“ナノケア”が支持されているのか。「パナソニック ビューティ」と「WWD JAPAN.com」が行ったライブ配信で、髪のプロである美容師と共に解説した。

ヘアサロン「ノラジャーニー」の
阿形聡美がライブ配信で
正しいドライヤーの使い方をレクチャー 
スペシャルゲストにGENKINGが登場

 「パナソニック ビューティ」と「WWD JAPAN.com」は9月18日にライブ配信を行った。ヘアサロン「ノラジャーニー」の阿形聡美プロモーションディレクターをゲストに迎え、髪のプロである美容師の視点でヘアードライヤー“ナノケア”を解説。昨今のハイトーンカラーの流行にも着目し、ブリーチやカラーリングでダメージを受けた髪にとってドライヤー選びも重要であると解説し、正しい髪の乾かし方などもレクチャーした。さらに、スペシャルゲストにGENKINGを迎え、“ナノケア”の魅力が語られた。GENKINGは以前から「パナソニック ビューティ」のドライヤーの愛用者で、「今までも愛用していましたが、新しい“ナノケア”はさらに髪のまとまりがよくなり、艶が出ます。本当におすすめです」とコメントした。

新“ナノケア”は高浸透「ナノイー」と
新構造でヘアケア効果がアップ

 「パナソニック ビューティ」の“ナノケア”シリーズのドライヤーは、一般的なマイナスイオンの約1000倍以上の水分を含む「ナノイー」を発生させることで髪にうるおいを与え、まとまりのある髪へ導くが、昨年登場した高浸透「ナノイー」搭載モデルは、従来の「ナノイー」の18倍※1の水分発生量を実現し、髪へのうるおいが1.9倍※2になった。10月1日発売の最新モデル“ナノケア EH-NA0E”は、高浸透「ナノイー」とミネラル※3を含む風を髪に届きやすくした新構造で、カラーリングした髪のダメージの抑制やヘアカラーの退色防止にも効果的だ。さらに、「パナソニックビューティ」ならではの速乾ノズルで毛束をほぐし、スピーディーに髪を乾かすことができるためオーバードライによる髪のダメージも防ぐ。

スタイリッシュな
カラーバリエーションにも注目

 今回新たにネイビー(-A)、グレージュ(-H)、コーラルピンク(-P)の3色で登場する。最近では美容家電のデザイン性も重要視しているという声も多く、インテリアとしてなじむスタイリッシュなカラーリングが好評を得ている。

愛用者続々!
“ヘアードライヤー ナノケア”の魅力

※1 「ナノイー」と高浸透「ナノイー」との比較(パナソニック調べ)
※2 従来品2019年発売EH-NA9Bとの比較(パナソニック調べ)
※3 亜鉛電極から発生されるミネラルマイナスイオン

問い合わせ先
パナソニック

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デジコレでドタバタ対談 「マメ」でパリコレ開幕!予想外の豊作ぞろいに感動した初日

 ミラノ・ファッション・ウイーク終了し、2021年春夏のコレクションサーキットもいよいよ最終章、パリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)が開幕しました。パリからはベルリン在住のヨーロッパ通信員が現地取材の様子をお届けして行きますが、オンラインでも対談レビューという形で、引き続き“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は、パリコレ1日目(9月28日、現地時間)をリポート!各都市のメンズコレクションを取材してきた「WWDジャパン」の大塚千践デスクとパリコレ取材3度目の丸山瑠璃ソーシャルエディターがリポートします。

パリコレ前に「JW アンダーソン」でほっこり

丸山:さて、いよいよパリコレがスタート!の前に、「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」がオフスケジュールで発表しました。前日には豪華なキットが編集部に到着。前回のメンズコレクション同様、“show in a box(箱の中のショー)”というアイデアで、箱の中から大きなバインダーが現れました。バインダーには、リリースのほか、さまざまな色の紙やルックや写真などが詰まっており、ルックを切り取ってみたり、展示したりと受け手が好きに「各々のインスタレーション」を作りコレクションと関わることができます。

大塚:メンズのときよりも動画に慣れたのか(笑)、ジョナサンのリラックスした語り口に癒されたわ。ボリュームの強弱を極端につけたシェイプに遊び心は感じるけれど、色使いも潔いし、基本的にはベーシックなウエアをベースにしている感じがする。メンズと同じく、長く愛される服作りに気持ちが移っているのかな。あとデザイナー自身の丁寧な解説を発信するのは、なんだかんだでバイヤーやジャーナリストに好評ですね。ジョナサンはメンズでき先陣を切っただけあって、ホスポタリティーが抜群でした。

丸山:「ジェイ ダブリュー アンダーソン」は今回、ティックトック(TikTok)でもライブ配信を実施していました。ティックトックで公開された動画は、ユーチューブなどで公開されたボックスの説明の動画の他にもアンダーソンによるコレクションの説明が差し込まれていました。ハリー・スタイルズ(Harry Styles)が着ていたカーディガンを作ってみようチャレンジでティックトックユーザーからの知名度を上げた「ジェイ ダブリュー アンダーソン」ですが、ティックトックのライブの性質上フォロワー以外のおすすめページにもランダムで表示されるので、わかりやすい説明を挿入したのは良い対応だったと思います。

国がサポートを強調

丸山:トップバッターの「マメ(MAME KUROGOUCHI)」を見ようとしてパリコレの公式サイトを開いたら、なんとその前にロズリーヌ・バシュロ(Roselyne Bachelot)仏文化大臣によるスピーチがありました。内容は、リアルイベントは衛生規定を守って行われることや、特に苦しい状況に置かれている新興ブランドへきちんとサポートを行うという宣言でした。フランスでは感染者数が増えていますが、この状況を省みて安全性を強調したのかもしれません。日本政府が東コレ開催前にこうしたスピーチを行うとはちょっと想像できないのですが、やはりフランスは国全体でファッションを盛り上げようという姿勢を感じました。その後、女優のシャロン・ストーン(Sharon Stone)が登場してパリコレ開幕を宣言しましたね!といいつつ、ちょっと自分はシャロン・ストーンがピンと来ずだったのですが(笑)、何か有名な映画に出演されてますか?

大塚:シャロン・ストーンといえば「氷の微笑」でしょ!って言っても昭和世代じゃないとわかんないか……。まだまだお若い姿を見られて、深夜だけど元気出ました。動画の画質はもうちょっと何とかならなかったのかと心の中でツッコミつつ、アンバサダーがパワフルでオシャレだとワクワクしてくるね。

丸山:自分のWi-Fi環境が悪いのかと思いましたが、やっぱり画質悪かったですよね(笑)。指を鳴らして開幕を宣言したのがキュートでした。

窓を通して記憶を辿る「マメ」

丸山:いよいよパリコレのオフィシャルスケジュールがスタート!トップバッターの「マメ」は写真家の奥山由之による映像を公開。窓から差し込む日差し、カーテン越しにうっすらと見えるドレスなどを曇りガラスを通して見ているような繊細で美しい映像なのですが、プロデューサーのSeihoによる音楽もあいまってちょっとゾクっとするような、冷たさもある仕上がりになっていました。

大塚:先ほどの「氷の微笑」ではないけれど、「マメ」も奥山由之による映像のもやっとした質感とムードに昭和の美を感じた。今は何でも鮮明に映し出される時代だからこそ、こういう奥ゆかしさを含んだ表現につい見入ってしまったよ。作家性が強いから、ルック写真とセットで見ないと全体像はつかめないけどね。世界を舞台に、堂々と和の創作で挑むスタンスがかっこよかった。世界の人がどう見たのか気になるね。

丸山:そうですね。パリコレの公式サイトもNYのように動画とルックがセットで見れるとうれしいんですが……。コレクションのテーマは“窓”で、すりガラスをイメージしたニットや格子柄のアイテムが登場しました。特に黒河内デザイナーはカーテンには住んでいる人の記憶や日差しの色が染み込み、その人らしさが出ると考えているそうで、レースカーテンのような刺しゅうを施したドレスや、日に焼けたカーテンのようなイエローがかったワンピースなどにその思考が反映されていました。リリースとは別に黒河内真衣子デザイナーからの手紙も入っていて、これがすごくよかった。黒河内さんがコレクションに至るまでの考えてきたことや見てきたものの回顧録のような内容なのですが、コレクションをスッと自然に理解することができましたし、一字一句に「マメ」らしさが反映されている美しい文章で、全文掲載したいくらいです(笑)。配信に先立ってアポイント制でメディアをアトリエに招いて黒河内さんがじっくりと製作背景を説明されたそうですよ!うらやましい!ちなみにそのリポートはこちらから読めます。

「ウェールズ ボナー」

丸山:「ウェールズ ボナー(WALES BONNER)」はデザイナーの父親の出身地でもあるジャマイカで撮影した映像を公開しました。映像では8人の若者が目的地にたどり着くまでの様子を表現したそうで、自然の中でスタートした映像は次第にカラフルなジャマイカの街に移ります。コレクションは、ジャマイカの名作映画「ロッカーズ(ROCKERS)」にインスパイアされたそうです。

大塚:「ウェールズ ボナー」の映像はかなりコンセプチュアルだけど、ルックで服を見ると一時期に比べて肩の力が抜けていい意味で“隙”ができたクリエイションを継続していた印象。私生活が順調なのも関係しているのかな。シャープなテーラードを主軸にしていたころはすごみがある一方、ストイックすぎてちょっととっつきづらかったんだよね。それが1月に発表した2020-21年秋冬にリラックスしたムードが強まって、今シーズンはスポーツウエア色が濃くなって快活さもプラスされていた。とはいえまだまだハードルが低い服ではないのだけど、昔ながらのデザイナー気質がある骨太な彼女の姿勢はいつか化けそうな気もするので、僕は応援したい!

「キムへキム」

丸山:「キムへキム(KIMHEKIM)」が公開した映像は、モデル同士がふざけあったりライトで遊んだりとルック撮影の現場の裏側のようでほっこり。コレクションテーマは“Dreams in the City”。眩い都市の中で自分自身を探す人に捧げたコレクションだそうです。ブランドはパリ拠点で生産はデザイナーのキミンテ・キムへキム(Kiminte Kimhekim)の出身の韓国で行っているのですが、キミンテはソウルでロックダウンを過ごし、自分を信じることや情熱を持つことの大切さを再確認したそう。そう考えるとテーマが“Dreams in the City”となったのも納得です。

大塚:さわやかなBGMとモデルたちの自然体な様子に対し、服はゴリッゴリにモードなのがちょっと笑っちゃった。フォーマルの脱構築的クリエイションは世に溢れているけれど、彼の強みって何なのでしょう?

丸山:2シーズン前にパリコレデビューした比較的若いブランドなのですが、大ぶりのパールでドレープを作ったデザインの“ヴィーナス(VENUS)”シリーズや、デザイナーの出身地である韓国の韓服にも使われるオーガンザを使ったアイテムなど、売れるアイコン商品をたくさん持っているのが強みだと思います。若手デザイナーっていろんなアイテムに挑戦しがちですが、彼はアイコン商品を育て、少しずつアップデートしていくのが上手。今回は自分自身を見つめ直す、という意味でパールではなく鏡を使ってたり、オーガンザも今回はシャープなテーラーリングに組み込んでいます。“ヴィーナス”シリーズはボッティチェッリ(Botticelli)の「ヴィーナスの誕生」に出てくる布のドレープを着想源にしているのですが、今回「ヴィーナスの誕生」が透け感のあるプリントで登場していました。かわいい。売れそうです。

大塚:なるほど。「マメ」や「ウェールズ ボナー」もそうだけど、自身のルーツや自国のカルチャーにまっすぐ向き合うことが、世界と戦う上では強い武器の一つになるのだね。

母国ジョージアの日常を映した「シチュエーショニスト」

丸山:パリコレ初参加の「シチュエーショニスト(SITUATIONIST)」は、デザイナーのイラクリ・ルザゼ(Irakli Rusadze)の母国、ジョージアの日常とともに最新コレクションを届けました。街ゆく人がストロングショルダーのスーツやペンシルスカートをまとったモデルたちを物珍しく見つめたり写真を撮ったりしているのが面白かった。ジョージアといえば「バレンシアガ」のデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)の出身国でもありますが、名前は知っていていもこういう日常までみる機会はなかなかないですよね。先ほどの「ウェールズ ボナー」しかり、パリコレなのに世界の様々な地の様子を垣間見ることができるのは面白い体験です。

大塚:「シチュエーショニスト」は母国ジョージアではそれなりに知名度があって、かつブランド立ち上げからはもう10年以上のキャリアがあるのだけど、映像はたぶんほぼゲリラ撮影のインディーズ感バリバリ。デムナ直系な強い色柄の服はもちろん、撮影の舞台となったジョージアの街並みも普段はなかなか見ることがないけれど、かなり個性豊かだったわ。故郷の街の様子を伝えたかったのかな。通行人のおじさんがジロジロ見ていたり、モデルがおばあちゃんの手を引いて道路を歩いていたりして微笑ましかったけど、要素が盛り盛りで迷子になりました。

瞽女に着想源を得た「セシル バンセン」

丸山:「セシル バンセン」といえばコペンハーゲン・ファッション・ウイークを代表するブランドの一つですが、今回はコペンハーゲンではなくパリで発表。コレクションは、1970年代の瞽女(ごぜ)の白黒写真にインスパイアされたそうです。瞽女は三味線を弾きながら全国を転々としながら盲人芸能者ですが、映像は閉塞的な雲が空を覆う北欧の草原から始まり、晴れ間が見える海岸へと移ります。最後ビーチに現れた巨大な鏡(?)にモデルが吸い込まれてる展開は突然でびっくりしましたが(笑)、美しい映像でした。デンマークのユトランド半島で撮影されたそうです。

大塚:生っぽい「シチュエーショニスト」から一転して、クリアな映像と抜けのロケーションが気持ちよかったですね。最近はガーリーとテーラードのバランス感をものにしてきた印象で、映像も2つのスタイルを表現しているように見えたよ。曇天の草原ではモノトーンのシックな服、ラストの日が差した砂浜ではカラフルなガーリーで、壮大な世界観ととも成長していきそうなさらに力をつけていきそうな予感がした。

「S.R. STUDIO. LA. CA.」

丸山:スターリング・ルビー(Sterling Ruby)による「S.R. STUDIO. LA. CA.」が配信したのは、“VEIL FLAG”と題し、米50州を表す星がない星条旗をまとったモデルが跪いた状態からゆっくりと立ち上がるという映像でした。音声は教えを叩き込むように男性一人が言った言葉をもう一人の男性が繰り返すというものでしたが、最後の“President of Grand Dragon”はドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領のことを揶揄しているのでしょう。“Grand Dragon”はKKK幹部の呼び名。プレジデントはこの場合は総統ではなく大統領ととらえられます。さらに“marching against leaderless leadership(リーダーなきリーダーシップに行進する)”という文言は、ホワイトハウスに向かって行進したBLM運動を想起させますね。白人至上主義と往々にして指摘されている現大統領を批判し、11月の選挙で退陣させることを呼びかけているのだと捉えました。

大塚:こりゃもう完全にアートですね。意味深な冒頭で何が起こるんだろうと凝視していたら、星条旗広げて終了しちゃった(笑)。コレクションの全貌はまだわからないけど、さすがアーティスト発のブランドという感じ。背景にちゃんと意味をもたせつつ、表現は振り切ってるわ。昨年のピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)でデビューショーを見たんだけど、震えるほどかっこよかったのです。一点一点が服というより“作品”という感覚で、見た目以上の強さがあるというか。その分、価格も非常にかっこいいのだけど。代名詞のブリーチ加工が施されている星条旗は650ドルでした。正真正銘のただの布なんだけど、なんか欲しくなるほど引かれてきた。

丸山:650ドル(約6万8000円)はなかなかの値段ですが、動画のクレジットにも出てきたアメリカ自由人権協会(ACLU)に、売り上げの一部が寄付されます。ACLUは、6月にBLMのデモ隊がホワイトハウスを囲った後、トランプ大統領が教会を訪れることを理由にデモ隊を武力で解散させたとして、大統領などを相手取って訴訟を起こした団体。そこに寄付されることも加味すればちょっとお安く感じるかも(!?)です。

大塚:ちなみに彼はラフ・シモンズ(Raf Simons)とあらゆる形で協業しているもの有名だよね。ラフの「プラダ(PRADA)」デビューは、盟友のピーター・デ・ポッター(Peter de Potter)のグラフィックを採用していたけれど、今後はスターリング・ルビーも絡んできたりして。ああ、妄想が勝手に膨らんでいく!ちょっと、今日面白くない?知名度でいうとまだまだこれからなブランドばかりで、個々で見るとクオリティーや方向性はバラバラなのに、続けて見るとアイデンティティーを強く打ち出そうとする姿勢が共通してる。しかも自分たちのルーツを発展させて表現しているから、ファッションを通じて異文化が競演する様が映像を通してでもわかるぐらい面白い。

丸山:そうですね。これまでは外の世界に着想源を得ていたけど、ロックダウンで外に出れず、また考える時間も多くなったからか自分自身のルーツや考えを反映したブランドが多かったですね。パリコレ1日目は若手ブランドや、初めてパリコレの公式スケジュールに加わるブランドが多いので、インディーズ感満載の映像を予想していましたが、いい意味で期待を裏切ってきたブランドが多く面白かったです!

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デジコレでドタバタ対談 ニューノーマルに対応する「エムエム6」に共感、約25分間の「マルニ」に戸惑い

 2021年春夏シーズンのミラノ・ファッション・ウイークが閉幕しました。ニューヨーク、ロンドンに続き、今回も“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は9月25〜27日(現地時間)に開催されたミラノ・ファッション・ウイークから、話題のブランドや編集部が面白いと思ったデザイナーをピックアップして紹介。今回はメンズ、ウィメンズともに各都市のコレクションを取材してきた「WWD JAPAN.com」の村上要編集長と大杉真心記者がリポートします。

テレビ会議風に見せた「トッズ」の心地いいコレクション

村上:「トッズ(TOD'S)」の新クリエイティブ・ディレクター、ヴァルター・キアッポーニ(Walter Chiapponi)のセカンド・コレクションは、前回以上に若々しくフレッシュになったね。まずデザインを“てんこ盛り”にするのではなく、パステルからネオンまでさまざまな色の力を借りて、定番になり得るベーシックなバッグ&シューズを今っぽくまとめた姿勢が好印象です。ムービーに登場するバッグは、ほとんどがミニサイズ。シューズはキトゥンヒールやウエッジソール、それにぺたんこシューズ。今の時代感を捉えているなぁ、と思います。ウエアも、柔らかなレザーを多用したシンプルデザイン。

大杉:心地いい色使いでしたね。テレビ会議のような設定の映像で、モデルが近くに寄って映るので、素材の風合いやステッチの色まで、伝わってきました。おっしゃる通り、バッグのサイズ感、シューズのヒールの高さに安心感がありました。特にホーボーバッグがエレガントで仕事からプライベートまでカバーするオンオフ兼用として売れそう。インフルエンサーや歌手が登場するなど、仕掛けも面白かったですね。

村上:Zoomっぽい画面構成だったけれど、撮影場所は1カ所。メンズのプレゼンテーション会場でおなじみの場所でした(笑)。インフルエンサー的な人たちは、正直、登場しなくてもよかった気がするけれど……。素敵なコレクションだったので洋服やアクセサリーだけに集中したかったけれど、一般消費者はやっぱりインフルエンサーを見たいのかな(笑)。

大杉:私はデジタルフロントローのようで、よいと思いました。オリヴィア・パレルモ(Olivia Palermo)やブライアン・ボーイ(Bryan Boy)、デレク・ブラスバーグ(Derek Blasberg)ら常連から、中国の俳優のリウ・ハオラン(劉昊然)、韓国の女優パク・ミニョン(Minyoung Park)まで世界中のインフルエンサーやセレブリティーが集合。終盤にかけてパーティーのような演出になり、「遠くにいてもデジタルでつながれるよ」というようなメッセージが伝わってきてきました。

長すぎる……!「マルニ」は世界中で撮影した約25分間の映像

村上:ん~、ワタクシ、日本でも有数のフランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)ファンを自認しておりますが、この24分52秒のムービーについては、彼をかばいきれないかもしれません(笑)。既存のランウエイのあり方を見直し、世界に住む、いろんな人の日常風景を切り取ろうとしているのは理解したつもり。でも、それは他のブランドもみんな同じ。で、他のブランドは限られた時間内に映像をコンパクトに収めているんだから、「マルニ(MARNI)」も頑張ろうよ!!というのが正直な感想です。

大杉:長かったですね……。ミラノ、ロンドン、ニューヨーク、パリ、シドニー、上海、東京、デトロイト、LAなど世界中から、ホームビデオのようなカジュアルな撮影の手法は素敵だったんですが、途中で手ブレに酔い、内容が詰め込まれすぎてコレクションに集中できなかったです。

村上:フランチェスコは、いろんなアイデアが次々に溢れ出るタイプだって分かっているけれど、不思議系の断片的な映像を25分繋げただけで、その多くを感じ取ってほしいというのは、なかなか難しい。日本語のパートさえ、「で、今は何が起こっているの!?」という感じでした。単純に、僕が読み取れないだけかもしれないけれど、カメラのアングルが定まらない前半部分を筆頭に、これを25分見続けるのは大変でした。

大杉:東京からはモデルのモトーラ世理奈ちゃんが、ボーイフレンドでありミュージシャンの佐藤緋美(Charaと浅野忠信の息子)の仕事現場にドッキリカメラ風で侵入するようなシーンがありましたね(笑)。こういった、地域ごとで分かる人にしか分からないシーンが多いのかもしれません。

モデルたちの自然な笑顔が溢れる、ハッピーな「MSGM」

村上:「マルニ」に比べ、「MSGM」の潔さ!同じように、いろんな世界に住む女の子のプチインタビュー集だけど、すっごく可愛かったし、ハッピーな気持ちになれた。ホルターネックのニットトップスにバルーンスカート、腰回りだけ布を寄せたコットンドレス、洗いざらしのコットンタンクにフレアパンツなど、いつもより少しシンプルだけど、まだまだ元気いっぱいな「MSGM」の洋服を着たら、こんなに素直に、自分のことを語れるようになるのかな?という想像を掻きたて、自分とブランドに対してポジティブになれるような気がします。

大杉:インタビューも「名前は由来は?」「最初に覚えたダンスステップは?」など、それぞれのルーツを引き出すパーソナルな質問で、見ている人が共感できるポイントが多かったですね。モデルたちの自然に生まれる笑顔も素敵でした。洋服も「MSGM」らしいカラフルな色と柄のゆったりとしたシルエットのドレスや、甘すぎないフリルスカートなどリラックス感があり、個性がありながらもチャレンジしやすい服がそろっていました。

ウィットを加えて、ニューノーマルに対応する「エムエム6 メゾン マルジェラ」

村上:「エムエム6 メゾン マルジェラ(MM6 MAISON MARGIELA)」がこの週末見た中で一番面白かった。脱構築、トロンプルイユ、ジェンダーレス、体と布の関係性など、なかなか説明しづらい「マルジェラ」のアイデンティティーを、すごくわかりやすく表現していたね。

大杉:はい、メゾンのトロンプルイユのテクニックをふんだんに使いながら、ニューノーマルの新たな需要を捉えていましたね。断ち切られたクロップドのシャツやジャケットなど、上半身を上品に見せるビデオ会議に対応したアイテムや、ウエストがゴムになったパンツやワンピースなどワンマイル感覚のものが印象的でした。

村上:例えば、横に切った2枚の写真を上下に貼り合わせた写真のムービーを1カット入れるだけで、その後続く脱構築ルックの特徴が一発でわかるようになっている。「メゾン マルジェラ」よりもクスリと笑えるユーモアも存在するブランドらしさも光っていました。個人的には、背中にスカーフを縫い付けたTシャツが秀逸!アレさえあれば、来年の春夏以降は、突発的なZoomミーティングもコワくないね。部屋が片付いていなくても、背中のスカーフを広げればバレない(笑)。

大杉:とても欲しいです!(笑)。おまけにドレスに早変わりする椅子のカバーまでありましたね。

ハリウッドで撮影した「モスキーノ」のパペットショー

大杉:「モスキーノ(MOSCHINO)」はドールハウスのランウエイを作り、ミニチュアサイズのコレクションを人形に着せてショーを披露しました。デザイナーのジェレミー・スコット(Jeremy Scott)はアメリカ・ロサンゼルス在住ということもあり、ハリウッドで撮影を行ったそうです。業界おなじみの米「ヴォーグ(VOGUE)」のアナ・ウィンター(Anna Wintour)編集長やヘイミッシュ・ボウルズ(Hamish Bowles)インターナショナル・エディター・アット・ラージ、英「ヴォーグ」のエドワード・エニンフル(Edward Enninful)編集長らもミニチュアサイズになってフロントローに座っていましたね。

村上:この週末のBEST 2です。ジェレミーが「パペットショーじゃないよ!ファッションショーだよ!」って言っていたけど、全編パペットショー。コレ、サンプルの生地代が抑えられて、サステナブルだね(笑)。確かに、デジタル上の洋服は、もはやモデルが着られる等身大じゃなくて良いのかも。大きなリボンと内臓コルセットが特徴のドレスは、いつもの「モスキーノ」よりずっとエレガント。ブロケードの素材をたっぷり(と言っても人形サイズだから、多分20cm四方あれば一着作れそうだけれど)使って、いつも以上にタイムレスな美しさを追求したのかな?ジェレミー・スコットは、実物よりスマートでした(笑)。

大杉: 1950年代のクチュールに着想を得たドレス群で、とてもクラシカルでしたね。従来はウエアにファンタジーの要素を詰め込んでいますが、今季は人形自体がファンタジーだったので、バランスが取れていたような気がします。過去にはバービーの洋服を原寸大にするコレクションがありましたが、その逆パターンというちょっとしたストーリー性も感じました。

シンプル・イズ・ベストの「ジョルジオ アルマーニ」

村上:ムービーで迷走しているブランドは、「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」で学んでいただきたい!「変に頑張るなら、シンプルに見せろ!!」「シンプルに見せられるくらい、いいものを作れ!!」。そんなアルマーニ御大の声が聞こえて着そうです。アルマーニファンなら誰もが欲しいライトグレーのセットアップで始まったコレクションは、シンプルにランウエイを見せるだけ。でもそれが、柔らかく揺れる布の生地感、刹那的な描写では判別しがたい繊細な模様、そして、「買おうか、買うまいか?」と悩むアクセサリーをじっくりチェックするにはちょうど良い。シンプル・イズ・ベストを再認識させてくれました。今シーズンは、今まで以上に着心地の良さそうな洋服がいっぱいだね。

大杉:まさに無観客ショーのお手本ですね。クレーンカメラで上から撮影するなど、多角的なアングルで服を見ることができ、テンポのいい画面の切り替えも見やすかったです。ウエアは目に優しいニュートラルなカラーパレットと柔らかい素材感で、上品なリラックス感がありました。

村上:ちょっぴりオーバーサイズのジャケットやカシュクール風のトップスなど、新しい提案も。ウィメンズに比べると登場回数が少なかった、メンズのガウチョパンツルックは、ちょっと可愛らしかった。終盤のセージ色のドレスルックは、ただただ美しかったね。オーガンジーのブラウスに葉っぱモチーフをプリントして、布の重なりで色の陰影を楽しむスタイルは、もはや癒しでした。最後にアルマーニさんが出てこなかったのは、ちょっと残念!

深海の「ヴェルサーチェ(VERSACE)」神殿(!?)

村上:深海の「ヴェルサーチェ(VERSACE)」神殿(!?)のセットだけを写す冒頭が1分以上に及んだのはナゾですが、その後はめくるめく「ヴェルサーチェ」ワールドでしたね。トロピカルを思わせる極彩色のカラーパレット、ヒトデのモチーフ、ネオプレンの素材遣い、ミニ丈のワンピやブラトップ、ホットパンツ!!深海の宮殿じゃなくて、地上の楽園を舞台にした方が、気分的には盛り上がったけれど。いつもはボディコン路線だけれど、今シーズンは伸縮するプリーツやネオプレン使いが多く、いつもより着心地も良さそう。このブランドもプラスサイズモデルを起用するなんて、時代はすっかり変わったんだと実感しました。

大杉:モデルの人数も従来のショーと変わらず大勢いて、パワフルなウォーキングも力強かったです。去年はジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)が登場するなど、セレブモデルの印象が強いですが、さすがに今回はビッグネームのモデルはいませんでしたね。ウエットスーツ風のドレスはヘルシーでセクシー。マルチストライプのリゾート着や、原色の水着など、次の夏が待ち遠しくなるワクワク感のあるウエアがそろっていました。

サスペンス調の「サルヴァトーレ フェラガモ」

村上:「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」は世界中がストレスを感じている今、サスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコック(Alfred Hitchcock)の作品にインスピレーション源を得るなんて大丈夫?と思ったけど、杞憂でした。暗めのBGMの代わりに、洋服はスカイブルーやクリームイエロー、ラベンダーなど、明るめの色使い。ポール・アンドリュー(Paul Andrew)はここ最近、シンプルに徹することで、いつでも、どこでも、誰でも着られる洋服を生み出して着た印象だけど、今回もラペルのないジャケット、デザイン的要素はスリットだけのレザースカートなど、汎用性の高い洋服がいっぱいです。サスペンス調だと、足元のクローズアップも違和感がないね(笑)。キトゥンヒールのサンダル、ポインテッドトウのバレエシューズ“ヴァラ(VARA)”の変形版とも言えるメリージェーン、柔らかなレザーを使ったブーティが、とにかく歩きまくるモデルたちの足元を彩っていました。

大杉:映像は、映画「Call Me By Your Name(君の名前で僕を呼んで)」などでファンの多い、ルカ・グァダニーノ(Luca Guadagnino)監督によるもので、ロケーションや構図にも強いこだわりを感じました。遠くから人を眺めたり、怪しい行動を追いかけたりと、ミステリアスで魅力的な人に惹かれる心理をうまく表現していましたね。このサスペンス調にしたのは、不透明な時代に生きる人々をヒロインにして、エールを送るというメッセージが込められているそう。明るい色使いからもエネルギーをもらえますね。

村上:それにしても、このドラマ仕立てムービーは、モデルの演技力が問われますね。みんなメイクが若干濃いめでしたが、なかなかの演技力でした。バッグ開けたら、アイコンモチーフ“ガンチーニ”をあしらった財布やカードケースがどっさり!!「え!?10分間のサスペンスは、殺人事件じゃなくて、万引きの話!?」ってズッコケました(笑)。

和のテイストを強めるも、「アツシ ナカシマ」らしさって何だっけ?

村上:メガブランドのショーの直前だったり、新型コロナウイルスに伴うロックダウンだったりで、ミラノ・コレクションを取材しつつも、なかなか見る機会に恵まれなかったのが「アツシ ナカシマ(ATSUSHI NAKASHIMA)」。「あれ~、こんなにニッポンだったっけ!?」というのが率直な印象です。イロイロ思うところがあったのかな?とはいえ、「これまでのシーズンとの連動性は?」とか「ここまでニッポンにしちゃうと、海外でどうなんだろう?」など思うこともありますが、長年見続けてきた大杉さんは、どう思う?

大杉:今回は日本で見せるということもあったのか、和のテイストを強く出してきましたね。ブランドのコンセプトは「モダンとクラシックの融合」だったと思うんですが、ここ数シーズンは毎回テイストがガラッと変わるので「アツシ ナカシマ」らしさって何だっけ?と分からなくなっている部分もあります。今回は東京都港区の大本山増上寺で無観客ショーを行い、モデルにはAMIAYAやノアとタイキらを起用。中には、ファッションプロデューサーのMBとのコラボウエアが含まれていて、さらに、初のビューティアイテムとしてアイライナーまで作ったそう。話題はたくさんあるのですが、「アツシ ナカシマ」の世界観とブランドイメージを今一度固めて欲しいと思います。

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楽天と東コレがデザイナー支援でいよいよ本格タッグ キーマン2人が目指すもの

 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)と楽天は、10月12日から開催する「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」で両者による取り組みを本格始動する。楽天が立ち上げた日本発ブランドの支援プロジェクト「バイアール(by R)」では、「ダブレット(DOUBLET)」と「ファセッタズム(FACETASM)」の「RFWT」でのファッションショー開催を支援する。

 両者は昨年8月に東京ファッション・ウイークの冠スポンサー契約を締結し、わずか2カ月後に「RFWT」が開催された。初回は準備期間がほとんどなかったため、2020年3月開催の第2回に向けて両者は取り組みの準備を水面下で進めていた。しかし新型コロナウイルスの世界的な感拡大を受けて中止を余儀なくされ、いよいよ今回が本格的な協業のスタートとなる。楽天のファッション事業を率いる松村亮執行役員とJFWOの今城薫ディレクターに、10月の「RFWT」にかける思いや今後目指す方向性について聞いた。

「日本のデザイナーの発信と支援を」

WWD:コロナ下で開催される10月の「RFWT」はどのような内容になる?

今城薫JFWOディレクター(以下、今城):昨年のようにリアルのショーを開けない状況のため、現状23ブランドがオンラインで、13ブランドがリアルでの発表を行う予定だ。オンラインでのコレクション配信やSNSの発信など、日本人ならではの丁寧なサポート力を生かしてデジタルを強化していきたい。

WWD:「バイアール」を立ち上げた狙いは?

松村亮・楽天執行役員(以下、松村):日本のデザイナーを応援するのが主たる目的で、物販につなげたいわけではない。具体的な支援内容は公表できないが、東京ファッション・ウイークのタイトルスポンサーとしてはもちろん、世界に出ていくブランドを「バイアール」を通して発信・支援していきたい。「ダブレット」と「ファセッタズム」は6月のパリでコレクションを発表するはずだったが、こういった状況でかなわなかった。今後もグローバルで活躍していくブランドなのにもったいないという観点から、今回はこの2ブランドに自然と決まった。

今城:2ブランドが東京で発表するのはひさしぶりだし、支援する背景も明確だ。ほかのスポンサーと組んで実施する取り組みもあるが、「バイアール」を10月の目玉企画としてアピールしていきたい。ファッション・ウイークの主役は参加ブランドであるべきだ。「バイアール」や8月に「楽天ファッション」内に開いた東コレ参加ブランドの商品を中心に扱う「E-POP UP STORE」など、ブランドを発信するコンテンツを徐々に充実させて強いファッション・ウイークにしていきたい。

「新しいステップに進むべき時期」

WWD:「E-POP UP STORE」の成果は?「バイアール」とともに今後も継続する予定?

松村:想定していた以上にページは見られているが、今後はさらにキュレートしていきたい。コアなファンだけでなく、まずは多くの人にブランドのことを知ってもらうことが次のチャレンジだ。そのためには作り手の思いや背景を伝えることが必要なので、メディア的な役割も担わないといけない。今のようにポップアップを継続するのか常設にするのかは要検討だが、続けるべきことだとは思っている。マスの消費者と「E-POP UP STORE」に出店しているブランドをつなぐことはわれわれのミッションだから。

WWD:JFWOと楽天で東コレをどのようなファッション・ウイークにしていきたい?

今城:ファッションは今や服だけではない。音楽やアート、車などカルチャーの全てがファッションだ。東京はカルチャーに強い街としてこれまでもファッション・ウイークでさまざまなイベントを仕掛けてきたが、スポットでしかなかった。これからはお互いに協力してさらに強化し、継続して色を強めていきたい。世界中でリアルでのファッション・ウイークが再開されているタイミングだからこそ、新しいステップに進むべき時期だと考えている。リアルでのイベント開催はまだ難しいかもしれないが、オンラインで何らかのかたちで表現したい。

松村:われわれもスポンサーとして成長できるサポートをしていきたい。今城さんの言う東京のカルチャーを強く発信していくためには、既存のBtoBの仕組みはベースとしつつも、エンドユーザーを巻き込むことが大事だ。われわれはユーザーとの広いつながりが強みなので、ECなどを通じたさまざまなアプローチでカルチャーを発信できると考えている。「楽天ファッション」は日本を拠点にファッションビジネスを行っているので、日本のファッション産業を成長させていかないといけない。デザイナーズファッションの領域において日本が有力なポジションを維持できるかどうかを考えて、ファッション・ウイークが掲げる理想を実現できるように支援したい。

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編集長は今月何した? マックイーンの新店で癒され、LVでアドレナリン、開店前の伊勢丹で秋物チェック

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向です。9月に入り、少しずつイベントが動き出しました。慎重に、でも盛り上げることを諦めず、ですね。そして週刊紙「WWDジャパン」は今月から“ファッション&ビューティ”のメディアにリニューアルしました!ここには書いていませんが連日、社内ではファッション×ビューティでいかに盛り上げるかの特集ミーティングが続いています。面白くなってきました。

9月1日(火)
マックィーン新旗艦店で
サラの包容力に触れる

 「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」と言えばいまだに黒くて強くてスカルでサディスティックだと思ってしまう方もいるでしょう。そんなファッションラバーのあなたはどうぞ一度、新コンセプトでオープンした表参道店に行ってみてください。サラ・バートン(Sarah Burton)の懐に包まれるような温かさを体感すると、リー・マックイーンの呪縛からゆるゆると解かれ、「時代は進んだのだ、そしてマックイーンというブランドはやはり力強い」と思えるハズ。力強さの理由のひとつは自然に敬意を払ったインテリアでしょう。本当に素晴らしい!店を訪れたらぜひ試着室に入ってその空間を体感してください。母の胎内にいるような(覚えてないけど)、不思議な気分になりますよ。

9月2日(水)
水曜日、開店前の伊勢丹新宿は
やる気に満ちていた

 8月末~9月頭の水曜日の朝、開店前の伊勢丹新宿本店の従業員通用口に立っていると、知り合いが次々と登場します。水曜日は伊勢丹のプロモーションの切り替えのタイミングで、業界関係者が設営や応援販売にくるからです。バイヤーも勢ぞろい。秋の立ち上がりのこの時期は皆さん気合が入っていて、こちらもアドレナリンが出ます。

 この日は本館1階にオープンした自主編集売り場「イセタン シード」などを見に来ました。全館から100ブランド約1300点を選んで並べてあり、広い百貨店をくまなく歩かずとも一押し商品をまとめて見ることができるというコンセプト。フロアごと、セクションごとに分断されがちな百貨店のMDをエイヤッと再編集しており“何かありそう”と思わせます。思い切りましたね~。待ち合わせ場所にも最適です。開店前の1時間に少しで多くの新しい売り場を見ようと走り回っていると、伊勢丹で応援販売をしていた時代を思い出します。新商品の立ち上がりってなんだかんだ店頭はテンションが上がるのですよね。

9月2日(水)
「ルイ・ヴィトン」のショーに
テンションうなぎのぼり

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」が、東京でドカンとやってくれました。2001年春夏メンズ・コレクションの会場に着くと久しぶりにテンションがうなぎのぼり。この時期にこの規模のイベントを開くことは決断だし、調整が山ほど必要だったはず。“ファッションを通じてワクワクを生み出して届けるのだ~”というヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)の情熱がビシバシ伝わってきます。最後に東京湾海上に花火が打ちあがったときはジワリと来ました。そして、デジタルコレクションがリアルのショーとは別の編集であり、なおかつリアルと同じくらいのインパクトがあるのがすごい。下の画像はリアルとデジタルのスクショを織り交ぜてみました。

9月15日(火)
今年も楽しんだ
「日本メガネ大賞」の審査会

 3年目となる「日本メガネ大賞」の審査会へ。在宅勤務が増えたことでコンタクト使用者がメガネ派へ転向するケースが増えていますよね。オンライン会議でほぼスッピン+メガネの女性の姿をよく見ます。メガネはもはやメイクの一部なのです。表情を決定づけるフレームの色やカタチ、質感は重要。そんなことを考えながらじっくり選ばせていただきました。

9月16日(水)
「アルペン」の会見は
“数字で語るデザイン”

 スポーツ専門店「アルペン」の自社ブランド「ティゴラ(TIGORA)」の事業説明会へ。おもしろかったのが、デザインの説明に数値がバンバン出てきたことです。ストレッチが効いたパンツの説明は「横に14%、縦に8.5%の伸縮率があります」となり、とても軽いコートのアピールは「540グラムです」。そしてとても保温性が高いアウターについては、「着ると体感温度は約5.9℃上がります」と超具体的でした。さすがスポーツが出自の会社ですね。見た目はシンプルなデザインが多いからこうやって数値で聞くと納得。接客もしがいがありそうです。

9月16日(水)
今秋一番の話題
「心斎橋パルコ」のオンライン会見

 この秋、商業施設の一番の話題は11月後半に開業する「心斎橋パルコ」でしょう。この日はオンラインで記者会見が開かれ出店テナントなどが発表されました。「サカイ(SACAI)」など人気ブランドがそろうデザイナーゾーンに加えて、1フロア丸ごとの「無印良品」や、8階のスポーツに新しい提案がありそう、と予想しています。

9月17日(木)
最新号と
在宅勤務のお供

 今月から「WWDジャパン」はファッション&ビューティの週間紙としてリニューアルしました。生活では服とメイクは切っても切れない関係ですが、“ファッション業界”と“ビューティ業界”となるとほぼ没交渉なのが現実。百貨店の売り場もきっちり分かれていますよね。掛け算をすればより豊かな提案ができるはずなのにもったいない!という訳で「WWDジャパン」は両方のビジネス情報を同時に得ることができる構成に変えました。特に今月は毎週、ファッション×ビューティをテーマにした特集を連打。私自身、これまでほぼ取材してこなかったビューティの話題がバンバン耳に入ってくるようになり刺激的です。

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編集長は今月何した? マックイーンの新店で癒され、LVでアドレナリン、開店前の伊勢丹で秋物チェック

 こんにちは。「WWDジャパン」編集長の向です。9月に入り、少しずつイベントが動き出しました。慎重に、でも盛り上げることを諦めず、ですね。そして週刊紙「WWDジャパン」は今月から“ファッション&ビューティ”のメディアにリニューアルしました!ここには書いていませんが連日、社内ではファッション×ビューティでいかに盛り上げるかの特集ミーティングが続いています。面白くなってきました。

9月1日(火)
マックィーン新旗艦店で
サラの包容力に触れる

 「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」と言えばいまだに黒くて強くてスカルでサディスティックだと思ってしまう方もいるでしょう。そんなファッションラバーのあなたはどうぞ一度、新コンセプトでオープンした表参道店に行ってみてください。サラ・バートン(Sarah Burton)の懐に包まれるような温かさを体感すると、リー・マックイーンの呪縛からゆるゆると解かれ、「時代は進んだのだ、そしてマックイーンというブランドはやはり力強い」と思えるハズ。力強さの理由のひとつは自然に敬意を払ったインテリアでしょう。本当に素晴らしい!店を訪れたらぜひ試着室に入ってその空間を体感してください。母の胎内にいるような(覚えてないけど)、不思議な気分になりますよ。

9月2日(水)
水曜日、開店前の伊勢丹新宿は
やる気に満ちていた

 8月末~9月頭の水曜日の朝、開店前の伊勢丹新宿本店の従業員通用口に立っていると、知り合いが次々と登場します。水曜日は伊勢丹のプロモーションの切り替えのタイミングで、業界関係者が設営や応援販売にくるからです。バイヤーも勢ぞろい。秋の立ち上がりのこの時期は皆さん気合が入っていて、こちらもアドレナリンが出ます。

 この日は本館1階にオープンした自主編集売り場「イセタン シード」などを見に来ました。全館から100ブランド約1300点を選んで並べてあり、広い百貨店をくまなく歩かずとも一押し商品をまとめて見ることができるというコンセプト。フロアごと、セクションごとに分断されがちな百貨店のMDをエイヤッと再編集しており“何かありそう”と思わせます。思い切りましたね~。待ち合わせ場所にも最適です。開店前の1時間に少しで多くの新しい売り場を見ようと走り回っていると、伊勢丹で応援販売をしていた時代を思い出します。新商品の立ち上がりってなんだかんだ店頭はテンションが上がるのですよね。

9月2日(水)
「ルイ・ヴィトン」のショーに
テンションうなぎのぼり

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」が、東京でドカンとやってくれました。2001年春夏メンズ・コレクションの会場に着くと久しぶりにテンションがうなぎのぼり。この時期にこの規模のイベントを開くことは決断だし、調整が山ほど必要だったはず。“ファッションを通じてワクワクを生み出して届けるのだ~”というヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)の情熱がビシバシ伝わってきます。最後に東京湾海上に花火が打ちあがったときはジワリと来ました。そして、デジタルコレクションがリアルのショーとは別の編集であり、なおかつリアルと同じくらいのインパクトがあるのがすごい。下の画像はリアルとデジタルのスクショを織り交ぜてみました。

9月15日(火)
今年も楽しんだ
「日本メガネ大賞」の審査会

 3年目となる「日本メガネ大賞」の審査会へ。在宅勤務が増えたことでコンタクト使用者がメガネ派へ転向するケースが増えていますよね。オンライン会議でほぼスッピン+メガネの女性の姿をよく見ます。メガネはもはやメイクの一部なのです。表情を決定づけるフレームの色やカタチ、質感は重要。そんなことを考えながらじっくり選ばせていただきました。

9月16日(水)
「アルペン」の会見は
“数字で語るデザイン”

 スポーツ専門店「アルペン」の自社ブランド「ティゴラ(TIGORA)」の事業説明会へ。おもしろかったのが、デザインの説明に数値がバンバン出てきたことです。ストレッチが効いたパンツの説明は「横に14%、縦に8.5%の伸縮率があります」となり、とても軽いコートのアピールは「540グラムです」。そしてとても保温性が高いアウターについては、「着ると体感温度は約5.9℃上がります」と超具体的でした。さすがスポーツが出自の会社ですね。見た目はシンプルなデザインが多いからこうやって数値で聞くと納得。接客もしがいがありそうです。

9月16日(水)
今秋一番の話題
「心斎橋パルコ」のオンライン会見

 この秋、商業施設の一番の話題は11月後半に開業する「心斎橋パルコ」でしょう。この日はオンラインで記者会見が開かれ出店テナントなどが発表されました。「サカイ(SACAI)」など人気ブランドがそろうデザイナーゾーンに加えて、1フロア丸ごとの「無印良品」や、8階のスポーツに新しい提案がありそう、と予想しています。

9月17日(木)
最新号と
在宅勤務のお供

 今月から「WWDジャパン」はファッション&ビューティの週間紙としてリニューアルしました。生活では服とメイクは切っても切れない関係ですが、“ファッション業界”と“ビューティ業界”となるとほぼ没交渉なのが現実。百貨店の売り場もきっちり分かれていますよね。掛け算をすればより豊かな提案ができるはずなのにもったいない!という訳で「WWDジャパン」は両方のビジネス情報を同時に得ることができる構成に変えました。特に今月は毎週、ファッション×ビューティをテーマにした特集を連打。私自身、これまでほぼ取材してこなかったビューティの話題がバンバン耳に入ってくるようになり刺激的です。

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「マメ」21年春夏は“窓”から広がる妄想の旅 21年春夏パリコレのトップバッターとして映像を配信

 黒河内真衣子がデザインする「マメ(MAME KUROGOUCHI)」が、2021年春夏コレクションをムービーとルック画像で発表した。デジタルとリアルを併用する形で9月28日にスタートした21年春夏パリ・ファッション・ウイーク公式スケジュールのトップバッターという位置付けで、現地時間の同日午後5時にムービー、写真を配信。配信に先立ち、アポイントメント制でメディアをアトリエに招いて黒河内がじっくりと製作背景を説明した。ステイホーム期間中、黒河内が考えていたことをたどるような、私的で詩的なコレクションだ。

 シーズンテーマは“窓”。「コロナ禍以前は、1週間の半分は日本各地の素材産地を訪ねる日々を送っていた。地方で撮りためた写真を見返してみると、なぜか窓が多い。四角い枠をどう使っているか、その窓をカーテンでどう隠しているかといったことが自分にとって面白いんだと思う」と黒河内。「新しい家に引っ越して一番最初に決めるのはカーテンだし、引っ越すときに置いていかれることが多いのもカーテン。窓にカーテンが吊るされたままの空き家に地方で出合うと、時間が生み出すテクスチャーによってなんとも言えない記憶の色をしている。こんな人が住んでいたのかな、隣の明かりが灯っている家にはどんな人が住んでいるんだろうと、妄想が広がっていく」と続く。

 もともと、多くの人が見落としているような日常生活の欠片を着想源に、たおやかな女性らしさを表現していくのが「マメ」の持ち味。今季もそれが十分発揮されている。一ついつもと違ったのは、コロナ禍で以前のようにさまざまな場所には行けなくなったことだ。「窓についてリサーチを始めたころ、コロナで外出ができなくなり、今度は家の中から窓を見つめることになった」。不安をかき立てるニュースも多い期間だったが、黒河内にとっては「モノ作りに向き合うことができ、すごく穏やかに過ごすことができた」時間だ。「家のカーテンを体に巻き付けてドレープを作って、そのボリューム感をスタッフに共有したりしていた。祖母の家でお洋服屋さんごっこをしていた少女の頃に戻ったかのような、とても愛おしい時間だった」。

風をはらむシルエット、光を通す透け感がポイント

 自宅にこもる中でも、スーパーなどに買い出しに行く際には、近所の家の窓を観察して後でスケッチにまとめるなどしていた。「近所にある町工場のカーテンの柄からイメージを広げて、図案をおこしたのがこれ」と、押し花などが挟まれたスケッチブックと共に見せてくれたのは、織り柄の凹凸感で花のモチーフを表現したエレガントなドレス。以前、繊細なメッシュのドレスについて「ゴミ置き場のカラスよけのネットから着想した」と明かされて驚いたこともあったが、黒河内の視線を通せば、見慣れた日常の風景もキラキラと輝いてくる。

 窓辺で揺れるレースのカーテンのように、透け感のある素材や、風をはらむシルエット、日に焼けたような生成りを含む白のグラデーションが今季の特徴だ。シルクにナイロンを混ぜることで、水面の反射のような光沢感を出したサックドレスや、窓辺に飾ったアイリスやユリの花を刺しゅうで表現したドレープたっぷりのドレスやブラウス。モデルに生地を当てて素材を選ぶことができなかったため、自宅の窓に生地を当てて質感を確認したというエピソードも面白い。作りこんだ素材は「マメ」の強みだが、産地を直接訪ねることができない今は、テレビ会議などで職人とコミュニケーションを取った。「産地に行けないことはとてももどかしかったが、『こんなこと初めてやるよ』と言いながら、職人さんたちがテレビ会議に対応してくれたのは嬉しかった。会議のセットアップには時間がかかって大変だったけれど、いつもとは違う形でコミュニケーションが深まった」。

MOVIE : YOSHIYUKI OKUYAMA

 写真家の奥山由之が撮影したムービーは、古いサスペンス映画のような、きれいなのに心がザワザワするような映像が特徴。「コレクション製作過程の、少女に戻ったような感覚の話や、田舎の夕暮れのセンチメンタルな感じといったことを伝えたら、8ミリビデオで撮ろうと提案された」のだという。ルック画像の撮影は野田祐一郎が担当。どちらも黒河内の出身地である長野で撮影している。「祖母の家に昔からかかっていた、私も、私の母親も祖母も気に入っているレースのカーテンを送ってもらって撮影の背景に生かしてもいる。そんなふうに、人の記憶がしみ込んでいるカーテンのように愛される服をどれだけ作ることができるかを大事にしたい」。

 「マメ」は10年にスタートし、今年で10周年。18-19年秋冬からはパリでプレゼンテーションやランウエイショーを行っている。20年春夏からパリ・コレクションの公式スケジュールに参加して、初日のオープニングショーを行っている。

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ファッション業界人も知るべきビューティ展望 アパレル企業のコスメ市場への参入その背景にある“消費額の変化”

 ファッションとビューティ、オフラインとオンラインを結びつける「WWDジャパン」がスタートするビューティ・インサイトは、「WWD JAPAN.com」のビューティニュースを起点に識者が業界の展望を語る。識者は、美容媒体の編集長やコンサルタント、エコノミスト、そしてサロンスタイリスト。ビューティ業界の半歩先は、ファッション業界の“道しるべ”にもなるだろう。今週はエコノミストによる「新規参入」と「流通」の話。(この記事はWWDジャパン2020年9月21日号からの抜粋です)

今週の識者 崔真淑/エコノミスト

識者が選んだ注目ニュース

「ジーユー」がコスメ市場に本格参入 日本製にこだわり環境にも配慮

 「ジーユー(GU)」は9月4日に新コスメブランド「フォーミーバイジーユー(#4me by GU)」をスタートさせ、コスメ市場に本格参入した。製品はリップ、リップグロス、クリームアイシャドウ、マルチパレットの4種をラインアップする。価格は590~1490円。“コスメはもっと自由になれる”をコンセプトに、服だけではなくメイクでもトレンド感を簡単に取り入れられるアイテムをそろえる。肌になじむ発色とテクスチャーが特徴で、ベーシックなカラーとトレンドカラーの両方を取り入れたラインアップでさまざまなメイクを楽しめる提案だ。「ジーユー」は2015年にリップグロスなどを発表していたが、今回は成分を含め全てを日本製にこだわり制作した。

オルビスが通販向け出荷ラインに無人搬送ロボットを導入

 ポーラ・オルビスグループのオルビスは、通販向け出荷作業の主要拠点であるオルビス東日本流通センターの通販用出荷ラインの刷新に伴い、集荷から方面別仕分けまでを独自に自動化した「ティーキャリーシステム」を新設し8月25日から本格稼働させた。また、これを機に同グループであるディセンシアの通販商品の出荷作業も統合し、9月14日から「ティーキャリーシステム」での出荷を開始。グループの中でもECを主軸に展開するオルビスとディセンシアの出荷作業を統合することで、物流のオートメーション化、スマート化のシナジー効果を発揮していく。「ティーキャリーシステム」とは、新たに採用した小型自動搬送ロボットを最大限活用した出荷システムだ。

 「ジーユー」が新コスメブランド「フォーミーバイジーユー(#4me by GU)」をスタートさせたが、最近はニトリやヤクルトなどの異業種がコスメ市場へ参入するケースが相次いでいる。特にサザビーリーグやユナイテッドアローズなどファッション関連からの参入が目立っているが、それにはいくつかの理由があるようだ。

 もちろん、一般的に化粧品は原価率が低いため、そこにビジネスの可能性を見いだしているという点はあるが、“女性の化粧品への支出額が景気や年齢に左右されにくい”という側面が大きい。下表の「婦人服と化粧品の消費額」を見れば分かるように、1990年には婦人用洋服に対して一世帯の女性は年間平均6万3574円支出していたが、約30年後の2019年には3万424円と半減している。一方、化粧品に対する支出額は1990年には2万9131円で、2019年には3万1257円とほとんど変わっていない。

30年経っても変わらないコスメへの支出額

 アパレルにおいてはユニクロのように大量供給できる企業が登場して単価が下がった。それに加え、日本の人口の高齢化もアパレルに対する支出額低下の要因の1つになっている。アパレルは数年間使える耐久財であり、10~20代は「トレンドを追いかけたい」「最新のファッションを身につけたい」という欲求もあるが、30代以降は以前に購入した服を着回したり、自分のライフスタイルに合ったファッションが定着して購入頻度が減るケースが多い。それに対して化粧品に関しては、年齢による購買意欲の低下がない。例えば20代は美白、30代はシミ・シワの予防、40代はエイジングケア、50代は健康など、年齢問わず一定の悩みがあり、加えて消耗品であるため安定した定期購入が期待できる点が大きな魅力となって新規参入を促している。

 しかし、参入するケースが増えているという状況とは裏腹に、コスメ事業に参入して成功したというニュースはあまり耳にしない。その点今回の「ジーユー」の参入はメイクアイテムをメインに据えているところがポイントで、アパレルという既存商品とのコ-ディネートを提案するというコンセプトがどう受け入れられるのか注目だ。

EC強化の次なるステップは?

 「オルビスが通販向け出荷ラインに無人搬送ロボットを導入」のニュースは、化粧品業界の流通へのIT投資が動き出したニュースとして注目している。

 化粧品業界は、他業界と比較して流通におけるIT投資が遅れている。流通に関しては、進化させるとなるとアウトソーシングで専門企業に委託するか、ポーラ・オルビスグループのように自社のシステムをIT化により強化していくかの2通りの道がある。大手企業はアウトソーシングしているところが多いが、シーボンのように比較的大きな企業でも、流通まで自前で手掛けているケースもある。それには顧客との情報共有、トラブルがあった際の柔軟な対応など、繊細な化粧品を扱う業種ならではのメリットもあり、一概にアウトソーシングした方が良いとは言えないが、いずれにしても進化の必要性に迫られているようだ。

 あくまで参考までのデータだが、レノボ・ジャパンによる「コロナ禍における働き方の変化と、在宅勤務へのテクノロジーの貢献に関する意識調査」によると、日本では「在宅勤務時の生産性がオフィスでの執務時に比べて低い」との回答が40%と、調査対象の10カ国平均の13%を大きく上回る。生産性の低さが日本での在宅勤務定着・拡大に向け克服すべき課題として明らかになった。日本で在宅勤務の生産性が低い理由として、自らの勤務先企業がテクノロジーに十分な投資を行っていないことを67%が挙げている。

 化粧品メーカーにおいても当てはまる部分はあり、ECやバーチャルメイクへのIT投資は進んできているものの、流通を含めそれ以外の分野へのIT投資は遅れている。

 化粧品業界では新型コロナの影響による自粛期間を経て、ECに対するIT投資の重要性を認識し、さらなる強化を図る動きも多く見られる。しかし、ECやライブコマースのチャネルに注力して販売力を向上させても、次のステップとして流通の壁に突き当たり、そこのIT化を強化していかなければデジタル戦略は続かない。オルビスのニュースはそれを見越した取り組みと見られ、今後他社の動向にも注目していきたい。

先週のビューティニュース アクセスランキング

(集計期間:9月7日~9月13日)

宝塚花組トップスターの柚香光がチャコットコスメのアイコンに

 オンワードグループのチャコットは、2020年秋からコスメブランド「チャコット フォープロフェッショナルズ」のイメージモデルに、宝塚歌劇団花組トップスターの柚香光を起用する。チャコットでは創業70周年を迎えた20年から「人生を、芯から美しく。」をブランドフィロソフィーに掲げ、新たなブランディングを開始。よりブランドを拡大し新市場を切り開くことを目指している。さらなる一般消費者との接点を拡大するためにチャコットのコスメにフォーカスし、コスメ単独としては初めての宣伝を行う。なおチャコットのコスメは、ステージ用ならではの落ちにくさや発色の良さ、安心して使える点などが高く支持されてる。

マンガでビューティを発信のカメダが36の質問に回答

 連載企画「インフルエンサー名鑑Vol.3」は、美大出身で漫画家を志したほどの画力によるイラスト、ほかのアカウントに負けないビューティなどの情報量、そして全ての投稿に漂うポジティブオーラで、瞬く間に頭角を現したカメダ。フォロワーからは、「カメダさんを変えたコスメは?」「今までで一番衝撃が走ったコスメは?」などビューティに関するさまざまな質問が届いたが、特に「ホントに、ホントの一番コスメ」への興味・関心が高かった。ポジティブマインドの秘訣を含め、質問と回答を一挙に公開する。

「YSL」の新作クッションファンデーションをJO1がお試し

 「イヴ・サンローラン」は9月4日、人気のクッションファンデーション“アンクル ド ポー ルクッション(全7色、各8000円)”をリニューアル発売した。素肌感をかなえる仕上がりはそのままに、フィット感などをパワーアップさせている。発売前日の3日にはイベントを開催し、グローバルボーイズグループのJO1が来場。全員黒のスーツ姿に“アンクル ド ポー ルクッション”をつけて登場した。

「シロ」の限定シリーズから“キンモクセイ”の香りが再び登場

 「シロ」は10月8日、限定フレグランスシリーズの“キンモクセイ”の香りから、香水とルームフレグランスをオンラインストアで発売する。今年の“キンモクセイ”シリーズは、上品な甘さの中に、ほのかに香り立つ洋酒のようなアクセントが特徴だ。「オードパルファン」(3800円)は、キンモクセイの香りを3段階で表現。洋酒を連想させる華やかでフルーティーな香りから、キンモクセイの甘く懐かしさを感じる香りなどを調香した。

永野芽郁が「雪肌精」新シリーズのミューズに就任

 コーセーは、「雪肌精」の“クリアウェルネス”シリーズのミューズに女優の永野芽郁を起用し、新CMを9月16日から放送している。「雪肌精」は、今年ブランド誕生35周年を機に、初めて全面的なリブランディングを実施。その一環として、“クリアウェルネス”を9月16日から販売。コアターゲットは20~30代前半で、製品は肌悩みや肌質に合わせた2タイプをそろえる。皮膚の酸化に着目して透明感を加速させる“効能タイプ”と、アルコールフリーで低刺激処方の“フリータイプ”を用意した。

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爆裂!健康美容マニア道 “-190℃”ウルトラアンチエイジングだとうさわのアレをやってみた結果

 1日8食、ジャンクフード漬けの超不健康児から超健康優良児へと大変身を遂げたフリーアナウンサーの名越涼。およそ15年かけて自らの体で人体実験を繰り返してきた結果、“超絶良かったもの”だけをここで余すことなくお伝えする。今回は“冷凍美容”について。

 みなさんは-190℃の世界を味わったことがあるだろうか。ここ最近、冷凍庫内を軽々超える極寒の中で、自分を冷やしている。ちょっと想像してみてほしい。食品が凍るのが、-18℃。凍ったバナナで釘を打てたり、濡れたタオルを振り回してカチンコチンに凍らせたりできる、テレビで見るあの光景は-40℃。そして地球上で最も寒い場所、南極はおよそ-100℃。-190℃がいかに突き抜けているか、お分かりいただけただろうか。そんな超絶危なそうな世界に己の身を突っ込むという、エキセントリックなことにすっかりハマってしまったのだ。いったい全体それは何のことかというと、こちら。

 その名も「クライオ・サウナ(CRYOSAUNA)」。クライオはギリシャ語で冷やすという意味。トップアスリートやハリウッドセレブが愛用していることでも話題の全身冷却療法なのだ(クライオセラピーとも呼ばれる)。ざっくり説明すると、気化させた液体窒素で-110℃〜-190℃をつくりだし、その超絶低温環境の中で1〜3分間己を冷やすというドM美容、もとい、冷却療法である。急激に体を冷やすことによって血管が収縮し、今度はその血管がもとに戻ろうと膨張して一気に血流が促進され、全身の細胞が活性化するという原理。その結果、代謝が上がり、なんと1回入るだけで最大800 kcalも消費するらしい。800 kcalを消費しようと思ったら、だいたい20kmくらい走らないといけない。それが、たったの1回、しかも3分。なんて素晴らしいんだ。

 「とはいえ、それ本当に大丈夫なの?」と心配な声も聞こえてきそうだが、欧米のスポーツ医学の現場ではすでに一般的な冷却療法で、医療分野においても病気や手術後の回復促進、皮膚病などの治療にも活用されているそうだ。

 一番心配なのは凍傷だろう。凍傷を防ぐため時計などの金属類は全て外し、冷えやすい末端部分には手袋とモコモコブーツを装着。スタッフも常時ついていて、こちらの様子を見ながら温度管理をしてくれるから安心だ。ちなみにパンツ以外の下着は全部脱ぐ。バスローブもカプセルに入ったあとは脱ぐ。つまり、ほぼ生まれたての状態で-190℃に包まれることになるのだ。それでは、レッツ、クールビューティー!


 液体窒素の噴出とともにどんどん温度が下がり、冷気が全身を覆う。-100℃に近づくにつれガチの寒さがやってくる。初めて入ったときは漫画みたいに歯がガチガチ音を立てて震えたのを覚えている。


 キターーーーーーー!-176℃の世界。ここまでくるともう、笑うしかない。というか、別のことを考えてテンションMAXにしていないと、やってられないのだよ。わっはっは。

 たかが3分。されど3分。これが慣れるまではなかなか長い。陽気なオーナーと談笑しながらなんとか乗り越え、キャビンから出るとカッチンコッチンになった全身から冷気が。まるでスーパーサイヤ人にでもなった気分だ。全身(特に太もも)はシャーベットのような“シャリシャリ感“があり、外気に触れることによってゆっくり解凍されていく体感は癖になるほど爽快。その後、冷えた体を温めようと全身がポカポカしてくる。手足まで血流が巡っているのが分かるほど。続けてみて驚いたのは、通常の体温が上がったこと。気をつけていないと35℃台になってしまう私の平熱が、なんと36度5分に……!新陳代謝がよくなった影響か、ここ数カ月コロナ禍で十分に運動できていなかったにもかかわらず、2カ月で2㎏、すんなり痩せた(驚)。とにかくこの体感と感動は、実際に試して味わってみてほしい。

 この世界を経験して、冷凍マグロの気持ちがよくわかった。全身を一気に凍らされる気持ち。氷河期を乗り越えてきた生き物たちって本当、すご過ぎだわ!(どんな締めやねん!)

メモ
名越が足しげく通う「クライオ・サウナ」はこちら。
陽気なオーナーが明るくサポートしてくれることでしょう!
〒106-0032 東京都港区六本木6-11-18 HOUビル5F
都営大江戸線 / 南北線「麻布十番駅」より徒歩5分

名越涼/フリーアナウンサー。香港出身。福井と愛知のテレビ局アナウンサーを経て独立。司会やライター、セミナー講師、企画・プロデュースなど幅広く活躍するパラレルワーカー。趣味・特技は手作り発酵食、食文化研究、ヨガ(歴15年)eスポーツと農業にも精通

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【動画】原宿で販売員ひと筋43年 町中華ならぬ“町服屋”を味わう

 今回の「出張インタビュー」は43年間店頭に立ち、目まぐるしく変わる原宿の街を見守り続ける、ある販売員の方への取材を通じて、町中華ならぬ“町服屋”の魅力に迫ってみたいと思います。

 主役は原宿キャシディの仕入れ販売担当、八木沢博幸さんです。経験に裏打ちされた知識とほっこり系のキャラで多くの世代に愛される八木沢さんに、43年間で変わったこと・変わらないこと、そして大先輩から若き販売員たちへのアドバイス、さらにこの秋のおすすめベスト3を聞きます。

 八木沢さんいわく「動画の取材は初めて」とのことで、買い物に行きたくても行けない状況の中、“動くヤギさん”でしっかり癒されてください!

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ウィズコロナで進化する幸せ産業 アウトドア編 手ぶらで来ても大丈夫!白馬で誰でもアウトドア

 大自然の中でのんびりと――それが真の贅沢になった今、アウトドアも多様化した。例えばグランピング。身一つで出かけても、テントも食事も全てセッティングしてくれ、グラマラスにキャンプを楽しめるアウトドアリゾートだ。グランピングという言葉が定着した今、全国各地にラグジュアリーなグランピング施設がオープンしている。

  一人で自然と向き合うソロキャンプもこの夏は話題になった。ネガティブな自虐ネタでブレイクした芸人ヒロシはたった一人で山にこもるソロキャンプの第一人者となり、自分の山まで購入したという。私が一番驚いたのが、ヴィクトリア系列のアウトドア専門店「エルブレス(L-BREATH)」の店内放送でソロキャンプを勧めていたことだ。一部の変わり者の酔狂な“修行”だったソロキャンプは、ちょっと哲学的な“趣味”へと進化した。

 自粛期間中は外の空気を求めて、庭やベランダなど自宅でアウトドアを楽しむベランピングも流行ったという。かくいう私も、この夏はインテリア誌の撮影用に購入した折り畳みチェアを置き、朝夕はキャンプ気分で猛暑をしのいだ。やっぱり自然の風に勝るものなし!ベランダで飲むビールは最高だ。朝のコーヒーも一味違う。そんなより身近になったアウトドアを、テントもギアもウエアも持たずに、身一つで満喫できるスポットが白馬にできたという。しかも車がなくても大丈夫。バーベキューもテント設営もいつも人任せだった私が、より進化したアウトドアを体験してきた。

手ぶらで行くというメリットを生かしバスや自転車やゴンドラで身軽に動く

 東京から長野県白馬村はかなり遠い。軽井沢あたりまでは日帰り圏内だが、日本海にも近いこのあたりは気軽には行けない。それでも特急あずさなら新宿から1本で白馬駅に。また北陸新幹線の長野駅からはバスでも1時間程度で着く。長距離バスで新宿から白馬の各キャンプ地に直行という選択肢もある。つまり電車やバスを使えば、現地まではラクにたどり着く。移動中には飲むのも眠るのも自由だ。

 さて、ご存じの通りアウトドアとは大自然の中で楽しむもの。現地に着いてからが問題だ。ところが白馬はスキーゲレンデを生かしているので、登山未経験者でもゴンドラやリフトで一気に山頂近くまで連れていってくれる。そこからのトレッキングなら初心者でも無理なく歩け、最近はSNSで発信したくなる“映えスポット”も次々とオープンしている。

 例えば白馬八方尾根ゲレンデの中腹にあるうさぎ平テラス。去年オープンした「白馬マウンテンビーチ(HAKUBA MOUNTAIN BEACH)」は山の上のビーチリゾートだ。白馬村を見渡すスタイリッシュなデッキがあり、ハンモックに揺られながらリフレッシュ。なんとジャクジーや、ゴンドラを再利用したサウナも!さらにリフトを乗り継げば標高2060mの神秘の池、八方池までのトレッキングコースなど。かなり険しい山道だが、往復約2時間、3.3㎞のルートなのでビギナーにも挑戦しやすい。ゴンドラでワープできるちゃっかり登山だ。

 隣のゲレンデ、白馬岩岳マウンテンリゾートに2018年にできたのが「白馬マウンテンハーバー(HAKUBA MOUNTAIN HARBOR)」。標高差1200m、目の前に北アルプスが迫る天空の「ザ シティベーカリー(THE CITY BAKERY)」やアウトドアブランド「スノーピーク(SNOW PEAK)」監修のマウンテンリゾート空間「イワタケ グリーン パーク(IWATAKE GREEN PARK)」など絶景スポットが各所にある。またWi-Fiや電源も完備の「森のオフィス」などもあり、合間に仕事を進めるワーケーションも可能。8月にオープンしたばかりのブランコ「ヤッホー!―スウィング」でハイジ体験もしてきた。ゴンドラは11月8日まで営業し、秋には山の頂の冠雪、中腹の紅葉、山麓の緑の三色の絶景「三段紅葉」が見られるという。ちなみにこのゴンドラには自転車が積めて、MTBで一気に下る初心者でも楽しめるコースもある。山頂にドッグランがあり、スキーゲレンデとして営業していない“グリーンシーズン”は愛犬とともにゴンドラに乗ることもできる。全ての層にフレンドリーなアウトドア空間なのだ。

 ちなみに各所への移動は白馬駅前の白馬山麓ツアーズで自転車をレンタル。電動アシスト自転車もあり、1時間から1日まで設定もさまざまなので、それぞれのプランに合わせて活用できる。エリア内にはシャトルバスも回っているので、荷物をコンパクトにすれば移動もラクだ。

駅から徒歩圏内の距離にオープンした「スノーピーク ランドステーション白馬」へGO!

 はっきり言ってここにいるだけでアウトドア欲求はすべてかなえられてしまうのでは?というほど充実した施設だったのが「スノーピーク ランドステーション白馬(SNOW PEAK LAND STATION HAKUBA)」。白馬駅から歩いて約10分のここは今年7月にグランドオープンしたばかりの、まさに山の駅。アウトドアをより身近に感じるための体験型複合施設だ。隈研吾設計の建物にはアウトドアブランド「スノーピーク」のショップ、地元の食材を堪能できる「レストラン 雪峰」、野遊び×コーヒーを楽しめる「スターバックス コーヒー(STARBUCKS COFFE)」や白馬観光局インフォメーションなどが入っている。広々としたイベントエリアにはテントやアウトドアチェアが並び、毎週末には地元の人と交流できるマルシェも開催。隈研吾氏と「スノーピーク」が共同開発したモバイルハウス「住箱―JYUBAKO」や、キャンプサイトでテントに宿泊できる野遊びエリアも奥にある。しかも敷地内には温泉「みみずくの湯」も!

 施設内のショップにはウエアやギア(食材からテントまで!)が全てそろう。「スノーピーク GO」という体験サービスではスノーピーク製品のレンタルに加えて、「レストラン 雪峰」の特製ランチや電動アシスト自転車、温泉入浴、リフト券等をパッケージにしたプランも。白馬の絶景を巡るポタリングなどもあり、自然と一体になる心地よさを全力でサポートしてくれる。ちなみに山岳リゾートとして世界的に人気を博してきた地だけに、駅前には「パタゴニア(PATAGONIA)」「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「好日山荘」などのショップもあり、なんでも現地調達できるので心強い。まさに身一つで行ける山なのだ。

テント宿泊からグランピングまで自然を感じる宿の選択肢も大

 山奥で、自分たちだけでテントを設営するのは不安だけれど、キャンプ気分は味わいたい。ならば、「スノーピーク ランドステーション白馬」内の宿泊プランを利用するのもいいだろう。キャンプの醍醐味であるたき火もできる。

 また非日常を体験するグランピングを体験するなら、2019年にできた白馬北尾根高原の「スノーピークフィールドスイート 白馬北尾根高原(SNOW PEAK FIELD SUITE HAKUBA KITAONE KOGEN)」へ。ここはなんと1泊一人7万円~の滞在費を想定して造られたというオーベルジュスタイルの全8室だけのリゾート。標高3000m級の北アルプスの前にテーブルを出し、星空を見上げながらのアウトドアレストランなど、この地ならではのグランピングは格別だ。

 白馬の里山を体感したいなら、白馬岩岳のゴンドラからほど近いせせらぎの里にある「ハルタ白馬(HALUTA HAKUBA)」がおすすめだ。北欧のビンテージ家具の輸入販売や住宅設計を、断熱と空調設計により、夏でも冬でもエアコン不要のサステナブル住宅を体感するのも宿の目的で、共有のリビングやキッチンも快適。“本来の自分に返る場所”がコンセプトだけに、日本の原風景のような里山で過ごしつつ、健やかな一日を過ごせる。

 オートキャンプも魅力的だが、思いついたらひょいと車なしでも行けて、キャンプ初心者だけでも安心なアウトドア施設が今増えている。各アウトドアブランドが参入し、新しい施設が次々とオープンしている白馬はその最たるエリアだ。

 このコロナ禍で自然と一体化する贅沢に皆が気付き、アウトドア人口も増加した。アウトドアの在り方も多様化し、野遊びのハードルは低くなってきている。その人気を支えているのはアウトドアブランドの新たな取り組みなのだ。

間庭典子(まにわ・のりこ)/フリーライター:婦人画報社(現ハースト婦人画報社)を退社後、ニューヨークへ渡る。現在は東京を拠点に各メディアに旅、グルメ、インテリア、ウエルネスなど幅広いテーマで執筆。著書に「ホントに美味しいNY10ドルグルメ」「走れば人生見えてくる」(共に講談社)など

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「ヴァレンティノ」2021年春夏は美しい技術で夢と日常をつなぐ 「リーバイス」とのコラボレーションも

 「ヴァレンティノ(VALENTINO)」は9月27日、ミラノ・ファッション・ウイークで2021年春夏コレクションを発表した。今季は新型コロナウイルスの影響で発表の場をパリからミラノに移し、ウィメンズとメンズの合同ショーを行った。会場に選んだのは、工場施設が多いエリアにある廃工場だ。無機質な建物内には、まるで自然と生えたかのように植物が飾られていた。最初に歌手3人とピアニストが登場し、生演奏とともにショーは幕を開けた。

異なる日常をつなぐテクニック

 コレクションは非常にバラエティに富んでいた。ファーストルックを飾ったのはショート丈のプレーンなブラックドレス。スモーキーアイのメイクアップと相まって、見ている側がが身構えてしまうほどの強いムードが感じられた。ルックでは夜遊びを楽しむ若い女性のようなスタイルもあれば、オフィスへ出勤するキャリアウーマンもいる。ほかにもリゾート地を満喫したり、「リーバイス(LEVI'S)」とコラボレーションしたジーンズで都会をさっそうと駆け抜けたりするなど、ルック毎に異なる人物像が浮かび上がる。彼女たちのさまざまな生活をブランドならではのクチュールテクニックによって一つにつなぎ、共存させていた。例えばレーザーカットのレースやレザーのドレス、わらをフィッシュネットのように編んだスカートはクチュールのテクニックが生かされた逸品だった。なかでも繊細なレースはアウターやシャツに用いられ、男女のルックに登場した。中盤には、目のさえる原色のロングドレスの上でフラワープリントが咲き乱れ、ヌードカラーへと徐々にシフトしていきながら優美なフリルが揺れ動く。終盤はシフォンの流動的なロングドレスのルックが続き、「ヴァレンティノ」らしいロマンティシズムで締めくくられた。

 幻想的なドレスやオフィスを連想するシャツ、セットアップ、日常着のジーンズといった、夢と現実を行き来するようなショーだった。各ルックは一人の人間の異なる側面を映し出しているようでもあり、全く別人のようでもある。いずれにせよ、ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)が世界中の人たちの表現の自由と、常に進化するアイデンティティーを後押ししているように感じられた。日常に美しさを少しでも取り入れるだけで、その瞬間は特別なものへと変わる――そんなメッセージが服や会場の演出から伝わってきた。それは結果的に、「ヴァレンティノ」が異なる価値観や思想、生活様式を持つ全ての人々に開かれた、包括的なブランドであると証明しているようでもあった。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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佐藤繊維と早坂香須子が同郷タッグでニットコラボ 余剰在庫をつくらない完全受注生産

 山形県寒河江(さがえ)市を拠点にする紡績・ニットメーカーで、地元でセレクトショップの「ギア(GEA)」を運営する佐藤繊維が新ブランド「コーン(KONE)」をスタートさせた。コラボプロジェクト第1弾として、佐藤正樹社長と同じ中学校出身のメイクアップアーティスト、早坂香須子氏とコラボレーションした。紡績とニット工場であることを生かし、中間業者を通さないことでコストを抑えながらクオリティーの高い国産ニットを目指した。9月23~30日に同社の自社EC「ギア」と「クロスイットオフ」のみで予約を受け付ける完全オーダー制で、業界の課題である余剰在庫をつくらない“factory to closet”を実現する。

WWD:2人も同じ寒河江市出身だが、知り合うきっかけは?

早坂香須子メイクアップアーティスト(以下、早坂):故郷の寒河江市に2015年に佐藤繊維のセレクトショップ、ギアがオープンして以来、帰省するたびに足を運んでいました。オーガニックのコスメなども販売しているのですが、自分がプロデュースしているオーガニックスキンケアブランド「ネロリラボタニカ(NEROLILA BOTANICA)」が置いていないのが悔しくて(笑)、自分からアプロ―チしたのがきっかけです。今はギアでも販売していただいています。

WWD:そこから今回のコラボレーションにどうつながっていった?

佐藤正樹・佐藤繊維社長(以下、佐藤):新ブランド「コーン」をスタートさせる際、マーケットのトレンドありきで売れているものを追いかけるモノ作りはしたくないと思ったんです。アパレルの仕事をしている、していないにかかわらず、ライフスタイル、生き方が素敵な人と一緒にモノ作りをしたら面白いなと考えていました。そんな中、早坂さんを思い浮かべたんです。しかも同じ寒河江市出身ですし(笑)。

早坂:最初は「お茶でもしませんか?」という軽いお誘いでした(笑)。佐藤社長の話はいつも面白いのでぜひと思いお会いしたら、新しい糸を見せてくれて。ウールのナチュラルカラーの希少な糸で、グレーやベージュ、ブラウンなどがミックスされたなんとも言えない色でした。6月に迎え入れた保護犬、ダンの毛色が常々ナチュラルで素晴らしいなと思っていたので、その糸を見た瞬間に「ダンちゃんの犬のセーターを作りたいです」って言ったら「できますよって」(笑)。織られたサンプルを見て、郷愁の思いや家族に迎え入れた保護犬のことなどいろんな思いがあふれて出て、作らせてもらえるならぜひやりたいという話になったんです。

WWD:愛犬の話から今回、ウールのタートルネックセーターやフレアパンツ、ストールやカシミヤのVネックセーター、ジョッパーズパンツなどの6型のデザインにどのように広がっていった?

早坂:最初はプロジェクトというより、私の欲しいものを作りましょうということでスタートしました。

佐藤:早坂さんが好きな世界観を大事にしたかったので、早坂さんが気に入って着ている服や写真、買ったものを見せてもらいました。

早坂:私はジョージア・オキーフ(Georgia O'Keeffe)の世界観がとても好きで、ニューメキシコ州にオキーフの家を見に行ったこともあって、こういった大人の女性が好きだということを伝えました。私は気に入ったものは色違いでそろえたりするのですが、大人の女性を表現する上で、Vネックのカシミヤのセーターを作ろうという話に広がっていったりしました。私の周りにはとにかく背中を出したいという大人の女性が多かったので大胆にカットしていますが、前後どちらでも着られたり、タンクトップを合わせて自由に着られるようにデザインしました。

佐藤:カシミヤのジョッパーズも早坂さんの好きなシルエットに落とし込んでいきました。

早坂:佐藤繊維のすごいところは、ただ私の好きなシルエットを作るだけではなく、例えばタートルニット(愛犬にちなんで通称“ダン”セーター)でも肩の落ち感、腕を上げてもお腹が見えない、首の後ろの立ち上がりが膨らまないようにといった細かいことを言わなくても、サンプルごとに修正して出てくるんです。仕上がりがきれいになった理由を聞くと、いろいろ細部にわたる微調整がなされているのにはびっくりしました。

WWD:今回の販売方法を受注生産にこだわった理由は?

佐藤:大量に作りセールを見越して価格を上げ、最終的に廃棄されるというファッション業界のこれまでのシステムには限界があるので、原価をもとに適正な価格で販売するべき。だからこそ今回は注文を受けてから生産する仕組みにしました。

早坂:私も「ネロリラボタニカ」でオーガニックコスメの製作側にまわったときに、流通でかかるコストや小売りの在り方を考えさせられました。ドイツでオーガニックやサステナブルを巡る旅をした際、学んだり感じたりすることがとても多かったんです。今回のような売り方ができるのも紡績とニットメーカー、小売りを全て手掛けている佐藤繊維だからこそだと思います。

佐藤:そういった意味で早坂さんと意見が合致していたので一緒にモノを作りやすかったですね。しかも早坂さんのライフスタイルにも合っているし。実は早坂さんの実家の隣がニット工場だったんですよ。

早坂:そうなんです。実家の隣に大きなニット工場があって、現在なくなってしまったのですが、寒河江市は、最盛期には50社くらいニット工場があったんです。

佐藤:今は10社くらいになってしまいましたね。実際に操業しているのは5社くらい。

早坂:自分の街の産業が廃れていくのはさみしい。だからこそ、今こんな形で携われるのはとてもうれしいですね。自分は美しいところで育っただなと年々感じるようになっています。サクランボやお蕎麦などおいしいものもたくさんありますし(笑)。故郷への思いが膨らんできたところだったので、このお仕事をさせていただけたのはいいタイミングだったと思います。メイクアップアーティストとしてこれまで仕事で海外を飛び回り、イタリアではニットをオシャレに着こなしているおじいちゃんやおばあちゃんが素敵だなと思い、ニットやカシミヤを買ったりしていい素材も見てきましたが、佐藤繊維の技術の高さは今だからこそ分かる。

WWD:反響もかなりあるようだが?

早坂:まだプロジェクトとして正式に走り出していないときからインスタグラムで工程を少しずつアップしていたら、周りの友人から「すごく欲しい。詳細が分かったら教えて」と連絡がたくさんありました。周りが盛り上がってくれたので、すごくうれしかったです。

佐藤:今回、何よりモノ作り自体がとても楽しかったですね。それが商品に落とし込まれ、良さとして伝わると思っています。2カ月前にできたばかりの最新の糸ですが、太いのにふわっとした糸というのはほかにない。その風合いの良さも楽しんでほしいです。

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証券マン、PR業からフェムテックブランド「レイ」を立ち上げた女性起業家の思いとは?

 女性向けのD2Cセルフケアブランド「レイ(WRAY)」が今秋デビューした。PMS(月経前症候群)などのホルモンバランスによる不調を整えることが期待できる化粧品などを提案する。第1弾として生理前から生理中に必要な栄養素を補完するサプリメント(定価8400円)、生理前の肌荒れを予防する美容液(定価8500円)、100%シルク製の腹巻き、シルクウオーマー(定価5800円)を公式ECサイトで発売した。

 「レイ」を立ち上げた谷内侑希子レイ代表は、ファッショ・ビューティ業界とは無縁のゴールドマン・サックスやメリルリンチ日本証券といった外資金融企業でキャリアをスタート。その後、オーガニックベビースキンケアブランド「アロベビー(ALOBABY)」のマーケティングや、PR会社のステディ・スタディで経営企画を担った。今年4月に起業し、7月にはマネ―フォワードベンチャーパートナーズが運営するアントレプレナーファンド「ヒラクファンド(HIRAC FUND)」、サニーサイドアップパートナーズ、個人投資家を引受先とする第三者割当増資により、総額約4500万円を資金調達した。2児の母でもある谷内代表に「ブランド」を立ち上げた思いや、戦略について聞いた。

WWD:「レイ」を立ち上げた経緯は?

谷内侑希子レイ代表(以下、谷内):母が経営者ということもあり、幼い頃から食卓で「原価」「卸値」の話が出るなど、商売の話を聞いて育ち、いつか自分も事業をやってみたいと思っていました。金融会社を経てマーケティング分野でキャリアを積むうちに商品開発の面白さに気付いたんです。「(商品を開発するなら)世の中に必要とされるものを自分で作りたい」とセルフケアブランドの立ち上げを決めました。

WWD:世の中に必要とされるセルフケアとは?

谷内:20代半ばから40代のキャリアを形成する時期に、女性は結婚、妊活、妊娠、育児、更年期、介護とさまざまな課題に直面します。しかし、これまであまり形にされてこなかったと思います。課題の多い女性をサポートする目的で、当初はキャリア支援などの人材会社も選択肢にありました。けれど私自身の経験から後回しになりがちなセルフケアをサポートしたいと思ったんです。金融企業に勤めていた頃はかなり忙しく、生理不順になりました。そこで婦人科に行ったんですが、「ストレスを溜めないようにしてください」と言われました。逆に自分のメンタルが弱いせいなんだと自己嫌悪に陥ってしまって……。悪循環でした。

マーケティング会社に移って、チームのトップに立ち、商品開発を任されるようになった時に妊活をはじめましたが、仕事をしながら婦人科に通う時間を作るのも大変だったのを覚えています。産後は体調が整わない日々が続いたり、この後更年期も来るんだよなと思うといつまで不調が続くんだろうと漠然とした不安があり……。女性の体で生きていくことは本当に大変だなと思って。だから、女性の課題に広く寄り添う商品を作ろうと思い立ちました。

WWD:どういった商品なのでしょうか?

谷内:PMSといってもその症状は人それぞれですから、幅広いラインアップを用意しました。第1弾のサプリメントと美容液、シルクウオーマーは、女性にとって重要なホルモンバランスや冷えに着目した商品で、女性の体を第一に考えて開発しました。

WWD:確かに出産や更年期などが人生に加わる女性は、心身と体のバランスを取ることが難しいと感じます。ECサイトには女性の働き方やPMSの症状を解説する記事などが掲載されていますね。

谷内:そうなんです。ECはメディア機能を持たせ、女性の健康やキャリアに関する情報発信にも力を入れます。PMSの記事では治療法の一つとして「レイ」では取り扱っていない漢方にも触れるなど、必要な情報を網羅的に取り上げました。体の不調に対して理解を深め、「もっとできることがあるんだ」と気付きを与えるブランドになれたらうれしいです。まずはEC専門ですが、今後は伊勢丹新宿本店のビューティアポセカリーのようなオーガニック・ナチュラルを取り扱う売り場や、ライフスタイル系のセレクトショップなどへの卸もできたらいいなと思っています。

WWD:ご自身のインスタのフォロワー数は2万と多いですよね。

谷内:ロイヤルカスタマーと距離が近いのは「レイ」の強みです。主婦で子持ちで資金調達した私のストーリーも、世の中のママたちにとってはよいニュースだと思っています。こういったことをしっかり伝えていきたい。DMで「私も新しいことに挑戦してみようと思った」といったようなメッセージをもらったとき、立ち上げてよかったなと感じます。キャリアに関する相談なども毎晩のように受けます。以前ブランクが10年あった方の復職の相談に乗りましたが、その方から「復職してすごく楽しいです」という連絡をもらい、背中を押してよかったなと思いました。

WWD:「レイ」には女性が多く働いていますね。

谷内:現在「レイ」のメンバーにはママが多いですが、彼女たちのタスク管理能力には驚かされます。幼稚園の説明会や子どものお迎えなど、仕事の途中で家事や育児などを挟むこともあるのですが、戻った時の切り替えが非常に早い。業務上問題はありません。彼女たちの働きぶりを見ていると世の中のママたちも勇気付けられると思います。

WWD:もし過去に「レイ」の商品があったら、谷内さんの人生はどう変わっていたと思いますか?

谷内:日々生活していると自分の体に向き合うことを忘れがちです。「レイ」が無料で提供するLINEの生理周期トラッキングサービスは、生理の3日前になると「カフェインは避けましょう」とかホルモンバランスに合わせたアドバイスが通知される仕組みです。当時これがあれば登録していたと思います。女性は体を温めた方が良いというのはほとんどの人が知っていると思いますが、腹巻きでは生活しづらい……。「レイ」のシルクウオーマーは温かいのに、下着の線が洋服に出ず重宝していたでしょう。体の状況を把握することで周りへの接し方も変化があったと思います。SNSにあげたくなるような可愛いパッケージにこだわったのも、「インスタであのパッケージ見た」のようなきっかけとなり、多くの人にセルフケアに取り組むきっかけにしてもらうためです。

女性起業家だからこそ埋もれていた課題を形にできる

WWD:フェムテックはフェミニズとも関係する分野だと思うのですが。

谷内:これまで性別などの枠にはめることで、声を上げられなかったり、できなかったりしたことがありました。しかし今は個人が尊重される時代です。フェミニストという言葉も一部の人をくくって批判するための言葉として使われていることに違和感を覚えます。フェミニストかどうかは関係なく、男性にも女性にも女性が抱える課題を認識してほしいと思います。

WWD:現在のフェムテック分野をどう見ていますか?

谷内:日本でもここ最近、一気にプレーヤーが増えていますね。上場する企業も出てくるのではないでしょうか。大企業もこの分野に参入して市場が広がり、フェムテックという言葉すら使われなくなるくらい女性のためのサービスが当たり前になったら良いなと思います。私が今回「レイ」を始めると、「こういうのを待っていました!」という声をSNSでたくさんいただきました。つまり女性たちが感じていた痛みや課題があったのにもかかわらず、問題の外に置いて来られていた。それを形にできるのはスタートアップや女性の起業家だと感じています。

WWD:中でも20〜30代の若いプレーヤーが増えていますね。

谷内:資金調達の状況を見ていると、投資家や大企業からの注目度の高さに気付きます。若い女性起業家がちゃんと資金を調達していることがメディアを通じて広まれば、私も挑戦してみようと思う人も増えるはずです。

WWD:「レイ」も総額約4500万円の資金を調達しました。

谷内:最大の引受先はマネ―フォワードベンチャーパートナーズの「ヒラク ファンド(HIRAC FUND)」です。元々マネ―フォワードの最高財務責任者(CFO)と知り合いで彼にサポートしてもらえればいいなくらいに思っていたのですが、「ヒラク」のハンズオン支援は人事、労務、経理などバッグオフィスの部分までしっかりサポートしてくれるので驚いています。そのほか個人投資家で1人は女性起業家、もう1人も金融に知見のある女性です。サニーサイドアップパートナーズはグループとして投資いただきPRの部門を手伝ってもらっています。資金は人材採用と商品開発に使う予定です。

WWD:日本では女性の働きやすい環境を整えることも社会課題の一つですね。

谷内:例えば時短だからといってその人の能力が落ちると考えるのは間違っていると思います。先ほど話したように、「レイ」には仕事のブランクがあったり、子育て中の方もいますが、オン・オフの切り替えが早く仕事のパフォーマンスも高いと感じています。能力次第で積極的に採用していきます。企業は性別ではなく、その人の実力を評価して具体的な企業努力をするべきでしょう。一方で女性側も意識改革が必要で、仕事をしている間に「自分にはこういう価値があります」と主張できるようにならないといけません。先日「レイ」のサイトで管理職として活躍する女性のストーリーを掲載しました。女性は管理職というと家庭内での責任の重さなどから敬遠されがちですが、管理職になると自分を含めたチームの時間をマネジメントでき、できることも増えるんです。女性同士の情報交換も積極的に行うべきだと思います。

WWD:今後のビジネス計画は?

谷内:お客さまの声を拾いながら、来年にかけてラインアップを増やしていく予定です。まずは日本で認知を広げていくのが目標ですが、海外も早々に考えています。上場も目指します。女性起業家としての成功例に自分がなることで、社会全体で女性の影響力が大きくなってほしい。また、キャリアとヘルスケアをテーマにしたセミナーなどもオフラインで実施したいです。売り上げの一部を女性の活躍支援に充てるなど女性の自立支援や医療との連携なども視野に入れながら、フェムテックだけに括られずライフスタイルブランドとして女性の課題を解決する商品を広く提供していきたいです。

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日本最大級の国際ファッション展示会「ファッション ワールド 東京」開催 リアルでつながる新たなビジネス

 日本最大級のファッション展示会「第11回ファッション ワールド 東京 秋」が10月27~29日に東京ビッグサイト 西展示棟で開催される。同展はアパレルやバッグ、シューズ、アクセサリーなどあらゆるファッション商材が世界各国から集まる総合展示会で、今回で11回目。同時開催展を含め 620社が出展(9月18日時点の数字)し、時代のニーズに対応したウイルス・感染対策ゾーンも特設する。

〜新時代のスタンダード〜
サステイナブルフェアを新設

 今回は同展示会初となるサステイナブルフェアを実施。自然素材から作った新素材やペットボトルを再利用したダウンなど、エシカルやエコ、リサイクルに関する製品・素材が多数出展する。環境や社会問題に貢献することが求められる中で、新時代のファッションビジネスに対応する商材と巡り合うチャンスだ。

注目のAI・
ファッションテック商材が集結

 今やECはファッションビジネスに必要不可欠なチャネルとなった。この市場の拡大やAI技術を活用したシステム開発の発展などを受け、アパレル業界向けのIT・テクノロジーを提案するゾーンも特設する。ブース内ではデモやプレゼンテーションが行われ、実際の利用方法を確認しながら商材を比較・検討できる。

ビジネスヒントが詰まった
充実の無料セミナー

 毎回好評の無料セミナーも開催。アパレル事業を立ち上げ、企業成長の立役者となったスノーピークの山井梨沙社長やH&M ヘネス・アンド・マウリッツ・ジャパンでサステイナブルなビジネス運営の一翼を担う山浦誉史サステイナビリティ・コーディネーターらが登壇する。新型コロナウイルス感染拡大という未曾有の状況下で手探りする企業・ブランドも多い中、ファッションビジネスはどのように変化し、どんなニーズが生まれるのかーーこれらのヒントが見つかるはずだ。

「ファッション ワールド 東京」
担当者が語る
リアル展示会の意義と挑戦

 コロナ禍でリアルイベントを避ける企業も少なくないが、リアルだからこそ生まれるビジネスもある。同展示会を担当するリード エグジビション ジャパンの菊池孝宏・事務局次長は、「ファッションは、見たり触ったりして初めて価値が分かる商材がたくさんある。また対面でのコミュニケーションも信頼関係を構築するのに重要な要素だ。リアル展示会から新規のビジネスが生まれ、大きく成長する企業をたくさん見てきた。その機会を失ってはいけない。感染症対策を万全にして、みなさまが安心して参加できる環境を整える」と語る。

 一方で、オンライン施策にも力を入れており、今回からウェブ上にブースを設けるオンライン来場・商談サービスをスタートさせる。「会場に来られない人でも、気になるブースをクリックして資料をダウンロードできるほか、会場の担当者とチャットでのやりとりも可能になる。デジタル面もアップデートし、より多くの人に商材を届けていきたい」。

INFORMATION
第11回 ファッション ワールド 東京 秋

構成展示会:アパレル EXPO、バッグ EXPO、シューズ EXPO、アクセサリー EXPO、生地・素材 EXPO、ファッションOEM EXPO
日程:2020年10月27日(火)~29日(木)
時間:10:00~17:00
会場:東京ビッグサイト(西展示棟)
住所:東京都江東区有明3-11-1

問い合わせ先
ファッションワールド事務局
0570-001-013

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きっかけは“有害なコットン” パタゴニアは90年代にサステナビリティを本格化

 サステナブルな企業への第一歩は自社の現状を知ることから始まる。例えば、アパレル製品を扱うあなたはそのコットンがどこでどのように栽培されているかご存じだろうか。綿花栽培には環境への悪影響や、生産者や自社スタッフの健康被害などのリスクがある。とはいえ、分業化が進むサプライチェーンの一工程を担いながらそれに気付くことは難しい。それはサステナビリティ先進企業、パタゴニア(PATAGONIA)でも同じだった。

 「1990年代初期に、ある店舗の倉庫に保管されていたコットン製品から揮発した有害物質によってスタッフが体調を崩したことがきっかけでした」――パタゴニアが環境負荷の計測を始めた理由を、日本支社の篠健司・環境社会部ブランド・レスポンシビリティ・マネジャーはこう語る。パタゴニアはこれを機に本格的に自社とサプライチェーンの環境負荷を測り始めることになる。今では独自の環境負荷削減を目的とする「サプライチェーン環境責任プログラム」があり、サステナブル・アパレル連合のヒグ・インデックス(HIGG INDEX)などの業界共有ツールを利用しサプライヤーに対しても計測を実施している。

 話を戻そう。環境負荷の計測でパタゴニアがまず取り組んだのはコットンのライフサイクルアセスメント(LCA:製品やサービスのライフサイクル全体〈資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル〉の環境負荷を定量的に評価する手法)だ。「それまでコットンは“ピュア”で“ナチュラル”な植物繊維だと思い込んでいました。しかし米国の農薬使用量の10%が農地全体の1%にすぎない綿花栽培に使用されていた。広範囲に化学肥料、土壌調整剤、枯葉剤、そのほかの化学物質が散布されて土や水、空気を汚染し、数多くの生物に対して多大な害を及ぼしていることを知りました」。

 96年春にパタゴニアは、100%オーガニック農法で栽培されたコットンの使用を決めた。「有毒な化学物質を使わずにコットンを栽培する農家は、大規模な農薬会社への依存を減らし、潜在的に有毒で発がん性のある化合物への危険性を削減することになります。オーガニックコットンは害虫を管理し、健全な土壌を作るために合成農薬、除草剤、脱脂剤、化学肥料、遺伝子組み替え種子を使用せず、天然由来の解決方法を用いています。これらは生物多様性と健全な生態系をサポートし、土壌の質を向上させ、水の使用量が少ない方法です。そして慣行農法に比べ、CO2e(二酸化炭素以外にも、メタン、一酸化窒素、パーフルオロカーボンなど複数ある温室効果ガスを統一的に扱うためにCO2に換算した数値)を45%削減し、水使用量を87%削減します」。

 その後コットンは“進化”し、2020年からパタゴニアはリジェネラティブ(環境再生型)オーガニック認証の移行段階のコットンを加えた。同認証は、パタゴニアと米国ブランドが作った最高水準のオーガニック基準だ。健康な土壌は多くの炭素を吸収するため、この農法が温室効果ガスを削減し、気候変動の抑制を助ける重要な手段になるという。それだけでなく、「収穫高も工業型農業と比較して6~8倍にもなり得る」とイヴォン・シュイナード(Yvon Chouinard)=パタゴニア創業者は取り組みを紹介する動画の中で語っている。そしてこの農法は、世界規模で増加する人口を支えるための食料対策にもなる。

 このように私たちに身近なコットンも生産背景や農法を知り選択することで、環境や人への悪い影響を軽減することができる。(「WWDジャパン」からの9月21日号の抜粋です)

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20代女子は高級化粧水使っている男子をかっこいいと思うみたいです エディターズレター(2020年8月3日配信分)

※この記事は2020年8月3日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

 

20代女子は高級化粧水使っている男子をかっこいいと思うみたいです

 もし旦那さんや彼氏が急に、眉の手入れを始めてさらにはアイブロウで足りないところなどを書き足したりしていたらどうでしょうか?結婚歴10年以上、40代のママ友は口をそろえて、「……それは気持ち悪い」と言いました(もちろん、私の周りだけのことですが)。私も同様に思うし、ちょっと誰に見せるの??って思ってしまいそうです(笑)。

 これまで化粧品ブランドからメンズラインが出たり、新たにメンズブランドが誕生したりして気になっていたのが、多くのブランドから早い段階でアイブロウアイテムが出ることです。確かに眉で顔の印象は大きく変わるので、男性も眉はきちんと整えた方がいいですよ、ということだと思いますが……。さらにはブランドからの説明として「パートナーにどうですか?」とお勧めするというのです。実際、購入して旦那に「眉、整えたらいいよ」と渡せるかな?とちょっと疑問がありました。

 でもやっぱり若い世代は違うんですよね。ビューティ関連の会社を経営しているママ友いわく、「新入社員面接に来る多くの男の子はファンデーションを塗っているし、眉もきちんとアイブロウしているよ」だそうです。男性の意識も変わったんだなあと思っていたのですが、あるテレビ番組を見ていたら、モデル・タレント・アーティスト・動画クリエイターのねおちゃんが、「高級な化粧水を使っていて、ちゃんとビューティに気を使っている男の子はかっこいい!」って言っていたんです。周りにいた人気インフルエンサーたちも大きく頷いていて……。だから、男性だけの意識ではなく、確実に女性の意識も変わっているんだと。

 40代女子(あえて女子)は「気持ち悪い」だけど、20代女子は「かっこいい」。これまで「メンズコスメが来る来る」と言われつつそこまでではなかったところからは抜け出している印象です。あと10年したら、だいぶん使用率は高まっているのではないでしょうか。ますます本当に勝機ありです。

 ちなみにですが、ねおちゃん(SNS総フォロワー480万人超え)ですが、小学3年の娘が、そのテレビを見て「あ、ねおちゃん!大好き。バズっていう事務所でね、ティックトックすごいの!」と興奮気味。事務所まで知ってるの?何がすごいの?と8歳児にびっくりなんですがw、8歳の女の子が虜になる20代女子が、「高級化粧水を使っている男子はかっこいい」と言うのだから、メンズコスメ、かなりいけると思います。

HER OPINION:ママ、女性に関連するファッション&ビューティ業界の話題をお届けします。今、働くママを含めた社会進出が進む女性に関わる情報が増えてきました。彼女らにまつわるニュースをピックアップすることで、彼女らを支える彼らにも役立つニュースを紹介します。

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定期購読のみで実売30万部超え シニア女性誌「ハルメク」急成長の秘けつ

 「ハルメク」という雑誌をご存知だろうか。同誌は1996年に「いきいき」として創刊して以降、50歳以上の女性に向けて生き方・暮らし方を発信している。販売部数は現在約34万部。書店には置かず、定期購読のみという販売スタイルでありながら、女性誌部門・シニア女性誌部門の販売部数トップを誇り(一般社団法人日本ABC協会調べ)、現在も部数を順調に伸ばしている。さらには雑誌のほかにも、通販事業やイベント事業を運営。雑誌と通販、イベントの3事業を主軸に、シニアビジネスを推進中だ。20年8月には「機動的かつ柔軟な意思決定を行える体制を構築する」として親会社のノーリツ鋼機からMBO(マネジメント・バイ・アウト=経営陣による経営権の買い取り)を実施。更なる成長の加速を目指している。同社のビジネスの“入り口”と位置づけられている雑誌事業を17年から統括して以降、販売部数を倍以上に導いた山岡朝子「ハルメク」編集長に、同誌成長の秘けつと今後を聞いた。

WWD:山岡編集長の就任以降、雑誌の販売部数は右肩上がりで伸びている。コンテンツ作りにおいて、変えたことはあったのか?

山岡朝子「ハルメク」編集長(以下、山岡):大きく分けると、雑誌のコンテンツの方向性と、イベントや通販といった他事業との連携方法の2つを変えてきました。方向性の点では、これまで“シニア雑誌”という位置づけだった「ハルメク」を、“女性誌”と定義し直し、コンテンツの幅を広げています。具体的には、年金や健康といったシニア雑誌的なコンテンツも作りつつ、ファッションや美容、片付け、料理などの特集を読者の方のニーズをもとに、60~70代の方に向けた切り口で作る、といった形ですね。他事業との連携の面では、私が入社した時点ではあまり連携していなかったのですが、もともと、通販やイベントは読者の要望を受けて立ち上がっているんです。規模が大きくなる中で各事業の連携が薄れてしまっていましたが、最初は連携すべくして生まれているはずで、それここそが自社の強みだとと考え直し、連携を強めていきました。

WWD:コンテンツ作りにおいて、どのようにしてシニア女性のニーズを把握しているのか?

山岡:「ご意見はがき」をはじめとする読者アンケートや、読者の方を5~10名ほど招いて行っている読者座談会を通じてヒアリングしています。特に座談会は、雑誌作り以外にもイベントのための座談会なども行っていて、全て含めると週に1回以上は行っています。

WWD:読者からの声は、どのようにコンテンツ作りに生きているのか?

山岡:いろいろあるのですが、代表的なものだと「スマホの使い方」という、これまでに何度か実施してきている人気の特集があります。前編集長時代に初めて実施した際は、確かにニーズがあり、定期購読の申し込みが多かった一方で、手探りで始めたこともあり、読んだ後の読者調査では「難しかった」といった声が多くて。私が編集長になって2度目の特集をやることになった際に、改めてスマホの何が分からないのかを調査してみたんです。読者の中でもスマホ初心者の方を集め、毎日いつスマホを使い、何にストレスを感じたか、何が嬉しかったか、といった日記をつけてもらい、回収して分析してみました。結果的に分かったのは、初回の特集では「スマホのオススメアプリ」といったコンテンツを作っていたのですが、そもそも文字が打ちづらい、であったり、画面が勝手に回転してしまう、勝手に暗くなってしまう、といった悩みが多いということ。そのレベルに合わせて特集作りをしたところ、記録的に定期購読の申し込みが伸びたんです。「ハルメク」は、読者の声を聞くことが特に大切な雑誌なんだな、と実感しました。

雑誌作りの本質を問われている感覚

WWD:読者と一緒に雑誌を作っているような感覚に近い?

山岡:そうですね。読者の方も定期購読をしているので、「ハルメク」の読者であるといった意識が強く、意見をたくさんいただきます。ご意見はがきも毎月、ぎっしりと書かれたものが2000枚ほど届いています。ただ一方で、緊張感もあります。定期購読のみというモデル上、1号だけ面白くても意味がない。年間を通じて期待を超え続け、安定して信頼できるコンテンツを作っていかなければ、読者は離れてしまいます。雑誌作りの本質を問われているような感覚がありますね。

WWD:「ハルメク」は定期購読のみの販売だが、書店での販売を考えたことはなかったのか?

山岡:私の知る限りはないですね。というのも、会社のビジネスモデルが、読者の方のご自宅に届けることで成り立っているからです。そこには2つの側面があります。1つ目は、自宅に届けることでカタログやイベントのお知らせなどを同封できるということ。社内では“ハルメクワールド”と呼んでいるのですが、雑誌を入り口に入ってきてもらい、その中で買い物やイベントを楽しめる世界を実現することが大切で、これが書店ではなかなか実現できない。もう一つは、読者の声やデータです。書店を介さず、直接読者の方とつながることで、どこの誰が買っているのか、1冊残らず知ることができる。雑誌を読んだ後のアンケートでも、70代の方には響いたが、購読歴の浅い方には響かなかったな、といった分析が可能です。

WWD:雑誌の販売部数は現在も伸び続けているようだが、新型コロナウイルスの影響は?

山岡:おっしゃる通り、雑誌の読者数はコロナ禍でも伸び続けています。一方で広告の売り上げは、旅行系を筆頭に一時的に減りました。ただ、部数が非常に伸びていた点と、自粛期間中、エンタメが減っていたことで雑誌が熟読されたこともあり、広告へのレスポンスが高かったようで、広告収入も思ったよりは減りませんでした。イベントに関してはコロナ前は年間で200本ほど実施していましたが、コロナを受けて旅行会社と組んで実施していた旅行系は全て中止にし、勉強会や読者座談会などはオンラインに切り替えていきました。

WWD:読者の年齢上、イベントをオンラインに切り替えるのは難しかったのでは?

山岡:確かに、最初は本当に難航しました(笑)。読者座談会も、10名ほどが参加予定だったのに、参加できたのはたったの2名だったこともあります。ただ、続けるうちに読者の方がどこでつまずいているのかが分かってきて、私たちとしてもしっかりとサポートできるようになりました。今ではリアルで参加できなかった遠方の方なども参加できるようになるなど、活況を呈しています。読者の方の心境的にも、最初は難しかったけれど、出来た時の達成感や楽しみが大きいみたいです。

WWD:シニア層のインサイトを知り尽くしている印象を受けるが、そういったインサイトを活用した新たなビジネスなどは考えているか?

山岡:実は既に、ハルメク・エイジマーケティングという関連会社を設立し、他社のシニアビジネスのコンサルティングなどを行っています。案件としては、メーカーさんがシニア部門を設立したり、商品をシニア向けに訴求したいと考えていたりする時に、ハルメクで培ったノウハウを使ってもらう、といったことが多いです、今年で3期目に入っていますが、急成長している分野ですね。

WWD:今後の目標は?

山岡:まずは「ハルメクWEB」を伸ばしていきたいです。現在も月間PV数が570万、UU数が324万とスタートしてから2年である程度育ってきていはいますが、さらに成長させていくつもりです。雑誌は今のところは好調で、この2~3年で読者数は倍以上になっていますが、長期的には紙媒体はダウントレンドにある。やはりウェブをしっかりと育て、何か困ったことがあったらとりあえず「ハルメクウェブ」で調べる、といったメディアにできたらなと思っています。コロナの影響で、シニアの方もオンラインに踏み出し始めている。私たちもそれに応えて、ウェブメディアはもちろん、オンラインの講座などのイベントもどんどん充実させていくつもりです。

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「チョイかじり」の覚悟をサムネイルで表そう エディターズレター(2020年7月22日配信分)

※この記事は2020年7月22日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「チョイかじり」の覚悟をサムネイルで表そう

 カネボウの「炎上」(という程ではないですかね?「騒動」くらいの表現で良いかもしれません)、私は正直、一部ユーザーの怒りの理由を共感しきれませんでした。炎上を知り、最初にHPで60秒という長尺のフルバージョンCMと、文言の全文を拝見したからでしょう。むしろ「ステキなCMだな」と、カネボウに共感したくらいです。下にリンクを貼りましたが、女性が「他者との競争」「自分の理想との競争」「他者が勝手に生み出した、自分の理想との競争」などから解放されることを願った「SK-Ⅱ」や、それぞれが独自の美しさを発見・発信することで画一的な価値基準からの解放を望む「ボビイ ブラウン」同様、大義を感じるステキなメッセージだと思っています。

 怒りの理由は、「生きるために、化粧をする」というメッセージを切り取った、サムネイルにあるのかな?と思っています。と言うより、「このサムネイルだけを見て、怒っている人も多いのでは?」と言うのが率直な印象です。確かにコレだけが急にタイムラインに現れたら、しかも誰かの否定的なコメントに付されていたら、印象は変わるかもしれません。先週のメルマガでは、「チョイかじり」が好きな若い世代の話をしました。メッセージを届けたい相手の、この特性が分かっていたら、違うアプローチがあったかもしれません。

 サムネイルについては、私たちも日々頭を悩ませております。ことYouTubeでライブ配信を本格化するようになってからは、この難しさに「ムムム~」と唸り続けています。そもそも「ようつべ」の世界のトンマナと「WWDジャパン」のそれは、正直けっこう乖離しており、「あちらの世界に寄せなければ、高パフォーマンスは期待できないのか?でも、私たちのイメージは?」なんて(古臭いのかもしれませんが)悩むこと多数。ことサムネは、定期的にアップする連載的コンテンツにおいてはイメージをそろえたいと思いつつ、とはいえ一瞬で、キャッチーに、「なんの動画か?」を分かるようにしなければならず、クリアするハードルがメチャクチャ多いのです。

 最近は、中身よりむしろサムネを考える時間の方が長いくらいです(笑)。改めて私たちの仕事は、何かを生み出すのみならず、それを届けることまで広がったことを痛感します。「そんなの、昔から変わんないよ」って言う方もいるでしょう。でも、絶対的な供給量が増えた今、「届ける」ことの重要性が増していることは間違いないでしょう。

 「届ける」にフォーカスするようになると、どうなるのか?「生み出す」コンテンツのクオリティーをこれまで通りにキープするのは難しくなるし、効率的に「届ける」には効率的に「届く」コンテンツに変えなければなりません。簡単なのは、マルチからモノへの転換です。考えればウェブ記事も「ようつべ」のコンテンツも、欲しい情報だけをコンパクトに届けるモノ・トピック型ですよね。そうなるとプリントメディアやリアル店舗は、マルチ・トピックス型になった方が生き残れそうな気がします。

 なんてコトを考えながら、今日もサムネに悪戦苦闘です。「チョイかじり」される覚悟を持ったら、まず頑張るのは、中身よりサムネなのかもしれません。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

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デジコレでドタバタ対談 新生「プラダ」が鮮烈デビューし、「GDCS」のアバターに困惑したミラノ2日目

 2021年春夏ロンドン・コレクションが終了し、早くもミラノ・ファッション・ウイークに突入です。引き続き、“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は、ミラノ・コレクションの幕開けとなった9月24日(現地時間)をリポート!各都市のコレクションを取材してきた「WWDジャパン」の向千鶴編集長と、今年からコレクション取材をスタートさせた「WWDジャパン」編集部の美濃島匡がミラノコレ2日目の様子をお届けします。

荘厳な宮殿にフォークソングが響きわたる「マックスマーラ」

美濃島:「マックスマーラ(MAX MARA)」は宮殿でリアル・ショーを実施し、その様子をライブ配信で世界中に届けました。BGMはアコースティックギターが中心のフォークロアミュージック。荘厳な会場の雰囲気を押し出さなかったのは、消費者の「ホッとしたい」というニーズに寄り添ったのでしょうね。

向:この会場のこの回廊は毎シーズン使っていて、トップモデルをそろえるキャスティングやキャメルを軸としたカラー展開もいつもと変わらないから、数年後に見たらコロナ前のショーとの区別はつかないと思う。

美濃島:なるほど。特別な演出はなかったですが、ディテールに寄ったり下から煽ったりとカメラワークが工夫されていて飽きずに見られました。日本からは美佳さんがモデルとして登場していましたね。

向:変わらないことに賛否はあると思うけど、私は「マックスマーラ」はこれでいい、と思う。なぜならこのショーは顧客やバイヤーのためであると同時に、世界中に2000店舗超ある直営店スタッフのためでもあると思うから。多国展開するグローバル企業にとってコロナ下の今は、「我々は何者であるか」といったアイデンティティーを離れて働くスタッフと共有することはとても大切。このショーはそれを再確認させてくれます。同じキャメルでもひねりを効かせていたしね。

美濃島:ベージュやカーキといった中間色のワントーンスタイルがメインでしたが、袖を異素材のパフスリーブに切り替えたり、トラックパンツのようなサイドテープを付けたりと、どこかにひねりを加えて新しい見せ方に挑戦していました。過度な装飾や派手さはないけどさらりと個性をアピールできる服は、大人な女性に人気が出そうです。ハニカム(六角形)をモチーフにしたキルティングトップスやバッグも可愛かったなあ。コートに次ぐ、新たなアイコンになりそうです。

「エンポリオ アルマーニ」は映画セットのような本社ビルに驚愕

美濃島:「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」は、アルマーニの本社が入るビルで撮影した映像を公開。SF映画のようなロケーションで、「これが本社なの!?」と驚きを隠せませんでした。コンクリート一色の禁欲的な世界観はスポーティなブランドイメージと合致。若手ダンサーや俳優たちを多数キャスティングしたようで、かなりお金がかかっていそうです。太陽のような物体がどんどん近づくというストーリー性のある映像でしたが、意味はよくわかりませんでした(笑)。

向:意味は確かにわからなかった(笑)。でも私はじわりときたわ~。いつもはこの建物の中でショーを見るのだけどこうやって建物をフルに使ったことで結果的にアルマーニの美意識を再確認することができたから。

美濃島:と言いますと?

向:構図と肉体、光と色を堪能する8分、だったかな、と。“テアトロ”と呼ばれる本社は安藤忠雄建築で幾何学的な要素が随所に見られます。そこを舞台にパフォーマンスするモデルたちの動きも統制が取れていて、言わば「動き続ける美しい構図を見るショー」。私、美しい構図って癒しの一種だと思うのです……。その統制を壊すように、俳優の無言の演技やパリオペラ座のジェルマン・ルーヴェ(Germain Louvet)によるバレエが挟み込まれ、そこにはイタリアならではの人間・肉体美賛歌を見ます。大げさな解釈かな(笑)。

美濃島:人間自体を肯定する意図は確かにあったかもしれません。洋服は透け透けのコートやミニドレスなど軽やかなものが多かった。テーラードジャケットにもシフォンドレスを合わせたり、膝丈のパンツで肌を露出したりして軽さを出していました。モノトーンのほか、ベージュや淡いブルーなどの柔らかな色合いも多かった。こういったニュアンスカラーは「マックスマーラ」にも登場しましたが、ニュー・ノーマルに欠かせない色合いなのかも。

向:確かにその軽さは「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」とは違う、「エンポリオ アルマーニ」ならでは。自然光の中で見る服の色は照明の下で見るより複雑で奥深いですね。「砂をすくってみれば、それは茶色ではなくたくさんの色の集合体だとわかる」と話していたアルマーニの言葉を思い出します。

ラフが手掛ける新生「プラダ」が鮮烈デビュー

向:21時からの「プラダ(PRADA)」は5分前からPCをフル画面でセットし、ちょっと緊張しながら待ちました。そしてよかった!プリーツスカートの制服を着た頭脳明晰な高校3年生の姉と、彼女を慕う中2の弟の対話を見るようなショーでした。「プラダ」の“ユニフォーム”や“スタンダード”が2人の対話を経てアップデートされたと思う。

美濃島:僕も、2日目の個人的なハイライトは「プラダ(PRADA)」。ラフ・シモンズ(Raf Simons)が手掛ける初のコレクションで、どんな服が見られるのかずっと楽しみにしていました。直線的なテーラリングや儚さを感じるグラフィック、オーバーなサイズ感はラフそのもので、とってもかっこよかったです。服やバッグ、靴、アクセサリーなど随所にあしらったトライアングルモチーフはインパクト抜群。でも、単にロゴをプリントするのではなく、アップリケとして配したり、イラストとして再構築したりしていて、ロゴブームが過ぎ去った今も可愛いと思える新鮮さがありました。ただし、あくまでラフ好きな僕からの視点。「プラダ」の顧客層にどう響くのかが気になるところです。

向:ナイス饒舌(笑)。細かく見ていますね。確かに「プラダ」のカワイイ部分を好む顧客層にとっては少々クールな仕上がりかも。私世代から見てミウッチャの「プラダ」の魅力のひとつは、“永遠の女子高校生感”。白いシャツやネイビーのセーター、プリーツスカートといった高校の制服を連想するアイテムがそれを象徴しており、今回はそれらのアイアムは強調されておらず、プラダのユニフォームの概念がアップデートされていたと思う。それこそミウッチャ自身が望んだことなんじゃないかな。そして同時に、可愛くてやや残虐な少女性もところどころに残している。絨毯に突き刺さるキトゥンヒールや、水玉柄と水玉を連想する穴の開いたニットなどがそうです。

美濃島:最後にミウッチャとラフの対話を見せたのもとても素敵でしたね。両者が良い関係を築けていることがひしひしと伝わって来ました。バイヤーやメディア関係者だけでなく、消費者もこういったパーソナルな部分に触れられるのはデジタルコレクションならではですね。

“変わらない強さ”に胸を打たれた「エトロ」

美濃島:「エトロ(ETRO)」はソーシャルディスタンシングを保ちながら屋内でリアル・ショーを開催。小麦色に焼けたモデルがビキニトップスとショートパンツに身を包んだルックでスタートし、その後もリゾート感満載のルックが続きます。アイコンである彩度の強い総柄は、こんなご時世だからこそ、見る人のテンションを高めますね。個人的には、旗やカーテンなどのイラストをそのまま柄に仕上げたパターンが好みでした。おもちゃをまとったような快活さに包まれそうです。

向:ホント、見ていてリラックスできるショーでした。リヴィエラがイメージだそうで、金曜日の夜にお酒を飲みながらゆったりとした気持ちで見るのが似合います。そこに強さを添えるのがスカーフプリントやゴールドのチェーンなどに見る90年代感。コロナを経て「変わらなきゃ」と思う一方で「心地よくありたい」と思う気持ちもどんどん高まっている。ファッションが提供できる価値観は後者も大きいよね、と改めて思いました。

美濃島:プラスサイズモデルが当たり前に登場するのも時代を感じますね。これを特別なこととしてメディアが取り上げること自体ナンセンスになりつつあるのかも。最後に登場したデザイナーのヴェロニカ・エトロ(Veronica Etro)の笑顔もよかった。ショーを開催できる喜びが現れているようで、胸を打たれました。

魚眼レンズ越しの不思議ワールド 「ヴィヴェッタ」のアイデアが光る

美濃島:「ヴィヴェッタ(VIVETTA)」は白いスタジオを魚眼レンズで写し、ところどころでモデルのシェイプを加工したユニークな映像でした。

向:今季のミラノのひとつのキーワードは“ガーデン”で、その極めつけみたいなコレクションでしたね。穴から覗き見るような不思議な撮影方法でした。会場やモデルにはあまりお金がかかってなさそう。お金をかけずにアイデアで勝ち!の良い例かと。

美濃島:ミラノ2日目はショーの様子を切り取った映像や世界観をわかりやすく表現したイメージムービーなど正統派な形式が多かったため、この実験的なアプローチは逆に目立ちましたね。服はいたってシンプルですが、フラワーモチーフのビジューでアクセントを加えていて、これを着てピクニックに行ったら楽しそうだなと勝手に想像しちゃいました。何も考えずに外出できる日が待ち遠しいです。

「アンテプリマ」の自然&ポエムでリラックスモードに

向:なんと、「アンテプリマ(ANTEPRIMA)」からは編集部にガーデニングキットが届きました!大杉記者はさっそく種をまいて育てているそう。コレクション映像も自然の中で撮影をされ、BGMはポエム。「アンテプリマ」の特徴である軽やかなニットの心地よさがしっかり伝わります。

美濃島:モデルが自然の中で自由に過ごすシーンと、詩を朗読するモノクロのシーンを組み合わせた映像でしたね。これを見たあとにベッドに入ればすぐに寝付けそうなくらいリラックスできる内容でした。肩肘張っていないけど気心地や仕立ての良さで訴求できるブランドは、ニュー・ノーマルでも存在感を発揮できそうです。

「GDCS」の超リアルアバターに少し困惑

美濃島:「GDCS」は、アニメの世界でファッションショーを表現。顔はアバター感満載なのにウオーキングが妙にリアルで、気味が悪く感じるほどでした。ここはハローキティやディズニーとコラボしたり、そもそもストリート色が強くどこかコスプレっぽさもあったので、アニメでの表現はぴったりでしたね。

向:アバターの精度の高さに目を見張るものがありましたね。フェイスマスクしたモデルが登場したり、観客はソーシャルディンスタンスを保っていたりと非リアルなのにリアル。ただ見終わって印象に残るのはデフォルメされた女性の乳房やヒップのラインばかり(笑)。モデルの肌の色は多様性があるのに乳房の形はみな同じなところに小さな違和感を覚えました。デジタルはリアルなショーより作り手の理想がもろに出るな、と思いました。この世界観が好きな人はより好きになり、違和感を覚える人は離れるきっかけになりそう。

美濃島:個人的にはクリエイターが理想を体現したというより、既存のショーへのアンチテーゼだったのかなと思いました。プラスサイズモデルを見かけることも多くなりましたが、ステレオタイプの美がはびこっているのも事実。アバターだからこそ出る違和感を上手く利用してメッセージを伝えたのかもしれません。そこまで考えられていたら恐ろしいですが。

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魔改造!? 夏を代表するパナマハットを秋素材でビスポーク

 今年もいつの間にか夏が終わってしまった。中学生の頃は、「トゥナイト2」(テレビ朝日系)の“夏の終わりのざんげ”的コーナーがあると、あぁ今年も夏が終わるなぁ……と思ったものだが、気候変動の影響か春と夏がなくなり、これでは“この服はこの月に着よう”という生真面目な僕の計算が崩れてしまい、大枚をはたいて手に入れた品の出番がないなんてこともしばしばだ……。

 例えば、夏素材のオプティモ(折り畳み可能なパナマハット)もその一つ。なかなかに特徴的なデザインでもあるので“いつもそれをかぶっている人”になるのは避けたく、“いざ”というときにと考えていたら、特別な夏にはその“いざ”がなかった……。悔やみ切れずに頼ったのは以前リモート取材させてもらった、2015年スタートの帽子ブランド「ザ エイチダブリュードッグアンドコー(THE H.W. DOG & CO.)」だ。デザイナーの弦巻史也さんは「カシラ(CA4LA)」のウィーブトシでキャリアを重ねた人物。“紳士的、だけど遊び心のあるモノ作り”が信条で、現在国内約60店舗、海外約40店舗に商品を卸している。

 弦巻さんの顔が浮かんだのは、「1900年製のクラシックなコンフォメーター(測定器)を使ったビスポーク(特別注文)サービスを秋にスタートさせる」と聞いていたからだ。僕の計画は、夏を代表する帽子オプティモをフェルト素材で秋仕様にしてしまおう!というもので、裏テーマは“俺の夏は終わらない!”(笑)。弦巻さんも「これまでにない発想。面白そう!」と乗ってくれた。

 ビスポークのファーストステップは計測。ここでコンフォメーターの登場となる。果たして目の前に現れたそれは、本当に120年前のもの?と思うほど状態がいい。3つのパーツからなり、「完品は珍しい」と弦巻さんが言う。4、5年ほど探して、ようやく海外のコミュニティーサイトで知り合ったマニアから約80万円で購入したそうだ。

 日本人男性の頭回りは58~58.5cmが多く、ゆえに帽子サイズは59cmが売れる。一方で頭が左右対称な人はほぼ皆無で、僕の場合も頭回りは58.3cmだがおでこが少し出ているとのことで、「通常であれば1cmアップの59.3cmを推奨する」が、コンフォメーターを使って最適化を図ったことで、あえて59cmにサイズダウン。これでフィッティングの向上が見込めるという。

 次は素材&ディテール選びだ。ラビットファーフェルト、ウールフェルトなどの中から、最高級のビーバーファーフェルトを選んだ。カラーはブラック、ブラウン、ネイビー、ベージュなどの中からオリーブを選択。リボンはオリーブの補色である赤も考えたが、少しあざとい?とオフホワイトにした。このつつましさが奏功したと信じている(笑)。ビスポークならではのアレンジとしては、ブリム(つば)幅を1cm広くした。

 ビスポークは10万円~と決して安くはないが、“自分で作ったもの”には既製品以上に愛着が湧くし、“自分専用フィッティング”でかぶり心地も申し分ないため長く愛用することができる。つまりサステナブルとも言える。「ザ エイチダブリュードッグアンドコー」のビスポーク品は、東京・原宿の店舗近くのアトリエで作られる。つまり“Made in HARAJUKU”だ。これも付加価値だと思う。弦巻デザイナー自ら製作に当たる。コンフォメーターで測定したデータをもとに木型を削るところから始め、納期は約2カ月。贅沢の極み……。

 さて、完成品をかぶってみる。さすがはビスポーク!というフィット感で、頭が大きく(と思い込んでいて)合うハットがなかった僕にとっては“これこれ!待ってました”という感じ。オリーブのハットを引き立てようと迷彩柄のジャケットを合わせてみた。コスプレチックにならないよう、インはタイドアップし、パンツもクリース入りを選んだ。弦巻さんは「フェルト素材のオプティモを作ったのは初めてで(笑)、“トップライン”(縦に走る線)の型を付けるのに最も苦心した。夏物のオプティモに裏地はないが、こちらには付けており、その付け方も悩んだ」と振り返り、ひと息。ソフトオープンしていたビスポークサービスは10月1日から本格始動する。

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デジタル・コレクション賛否両論 「ボッター」「コーシェ」などデザイナー4組が踏み出す新たな一歩

 2021年春夏シーズンのコレクションサーキットが開催されている中、参加するデザイナーたちはデジタルでの表現についてどう考えているのだろうか。またパンデミックを機に、ファッション業界のサプライチェーンと販売スケジュールを持続可能なものに見直すべきという声も上がっており、ファッションビジネスを取り巻く環境が劇的に変化しようとしている。しかし、大きな変化には予算とリクスが付き物でもある。「ボッター(BOTTER)」「ロク(ROKH)」「セシル バンセン(CECILIE BAHNSEN)」「コーシェ(KOCHE)」のデザイナー4組に、理想と現実を聞いた。

BOTTER
「リアルかデジタルかではなく時代に適応すること」

Q.6月のパリ・メンズに映像で参加していたが、デジタルでの発表をどう感じた?

ルシェミー・ボッター(Rushmey Botter以下、ルシュミー):新しい挑戦にはいつだって前向きだし、柔軟に対応していきたいとは思っている。けれど、やっぱりリアルのショーのパワーには及ばないと個人的には感じた。

リジ―・ヘレブラー(Lisi Herrebrugh以下、リジー):リアルかデジタルかという選択肢ではなく、時代に適応していくことが必要。バーチャルでのプレゼンテーション形式やこれから始めるデジタルショールームなどすべてが新しいことばかりで今は不安よりも期待の方が大きい。業界全体の新しいチャプターの始まりである時代を体験していることはとても貴重な経験だ。

Q.ロックダウン(都市封鎖)期間中に2人に変化は?

ルシェミー:ブランドをスタートさせてからの2年は、2人でシャボン玉の中にいるような感じだった。外の世界との交流が少なく、ファッションという枠の中でデザインに集中し、緊張感が張りつめていた。それは決して悪いことはないけれど、ロックダウン中の2カ月はそのシャボン玉を割って、もとの自分に復元できたように思う。実家のあるオランダに帰省し、お互いの家族と約2カ月間一緒にいた。たくさんスケッチを描き、これからの未来についてゲームプランを立てるようにワクワクしながら過ごせた。

Q.新しいファッションカレンダーには適応できる?

リジー:効率的でとても理に適っている。もし実現するならとてもポジティブな変化だし、過剰生産を抑える点については共感できる。私たちも適応できるだろう。制作チームや工場と密にコミュニケーションをとって構造を組み立て直す必要はあるが、私たちは大きいブランドではないからこそ柔軟に対応できる。約1年間は調整期間としてかつて以上の労力を要するだろうし、資金面でも苦しくなる可能性はあるけれど、世の中に求められるブランドであり続ければ生き残れる。逆にそうでなければ、どんなブランドも業界の変化に関係なく消えていくだけだ。ただ顧客がどのように受け入れるのはまだわからない。本気で実現するためには業界全体が一気に足並みをそろえないとだめだ。

ルシェミー:以前から在庫品を残すことには違和感を感じていた。「ボッター」は以前から過剰生産を回避するためにシーズンレスなデザインを進めたいと思っていたし、パンデミックを機にその思いは強くなった。環境問題を考慮して一着ずつの価値を上げるためにも、各商品の生産数は制限している。例えばコートなら32着しか生産せず、それぞれにシリアルナンバーを振っている。僕たちが提供したいのは“ワードローブになじむアートな服”であり、生産した服が在庫として眠るのではなく、誰かにとってかけがえのない一着になってほしいと願っている。

ROKH
「デジタルで新しい視点が生まれるはず」

Q.デジタルでの発表方法に可能性を見出している?

ロク・ファン(Rok Hwang以下、ロク):バーチャルのショーをリアルでの体験と完全に置き換えることはできない。それぐらいリアルでの体験は特別なものだから。会場や音、光、聴衆、動き、そしてモデルはとても素晴らしい体験を与えてくれる。ただ一方で、デジタルのプレゼンテーションも今後は非常にクリエイティブになっていくとも思う。そう遠くない未来に、多くのアイデアとテクノロジーによって私たちに新しい視点が生まれるはずだ。

Q.デジタルショールームではどのような施策を取った?

ロク:多くの準備が必要だったが、ブランドとして明確な視覚的情報を可能な限り取引先と共有したかった。バーチャルミーティングとショールームで予約のスケジュールを組み、ルックブックとともに360°のアングル写真、着用時の詳細写真、全身の動きをビデオで撮影した。服のフィット感を伝えるために、モデルとのバーチャルミーティングも毎日行った。リクエストに応じて、クライアントには生地と柄のサンプルをまとめて郵送もしている。とにかく関わる相手とのコミュニケーションを密にとり、つながりを維持することが大事だ。デジタルでもリアルでも、結局は人間同士のやりとりなのだから。

Q.新しいファッションカレンダーについてはどう思う?

ロク:賛成だ。顧客や消費者にとっても、季節や気候に合わせて商品を手に入るため理にかなっている。現実的だし、ファッションがより感情的に顧客に寄り添えるのではないか。セール期間を縮めることも、広い視野で見れば業界全体がもっとサステナブルになれる可能性を秘めている。ただし、ファッションのシステムやカレンダーが分断されてしまうことも考えられる。

Q.メリットとデメリットは何だと思う?

ロク:メリットの方が多いとは思う。アイテムの自由度は高まり、ブランドにとっては気候に合わせたデザインのアプローチができるようになる。欠点は、新たなスケジュールに変更になった場合に生産時期とバカンスシーズンが重複してしまう可能性がある点だ。ただ、事前に工場と連係して計画すればクリアできるとも確信している。パンデミックが起こった際もそうやって乗り越えてきたのだから。

CECILIE BAHNSEN
「ファッションは時代に合わせて発展し続けるから美しい」

Q.デジタルでの発表方法に可能性を見出している?

セシル・バンセン(Cecilie Bahnsen以下、セシル):デジタルとリアルの体験が同等になることは決してないが、デジタルは音と視覚を通してブランドの感情を示すことができる方法だ。デジタルでの発表は、私たち自身の解釈を通して時代に発信することができるので素晴らしいこと。受け取り手の想像力を膨らませて新しい価値観を生み出せそうな可能性を感じた。
 
Q.新しいファッションカレンダーが実行されたら、適応できる?

セシル:仕事のやり方を変えることは難しい部分もあるが、ファッションとは常に進化し、時代に合わせて発展し続けるもの。それがファッションの美しさの一つでもある。その過程で問題が生じても、サステナブルに機能するよりいい方法であれば、私たちは乗り越えないといけない。

Q.工場との連係などで懸念している点は?

セシル:懸念点はない。なぜならパンデミックの前から常に過剰生産の問題を意識してきたからだ。無駄のない生産方法を考えているし、工場とともに進化できるように常に研究と努力を重ねている。製品とファブリックの全てが廃棄されることなく利用されるために、これからも続けていきたい。

KOCHE
「リアルでのショーはお金で買えない貴重な財産」

Q.デジタルでの発表方法に可能性を見出している?

クリステル・コーシェ(Christelle Kocher以下、クリステル):ファッションは全てが実現可能だ!今後は多くの人を引きつけるデジタルフォーマットが出てくると確信している。でも正直なところ、6月のデジタル・ファッションウイークでは、本当に魅力的なプレゼンテーションは見つけられなかった。私にとってリアルのショーは、個人のビジョンを共有して感情をかき立て、異なるコミュニティーに招待する方法である。ブランド立ち上げ当初からショーはブランドの基盤になってきた。東京のファッション・ウイークでも2回ショーを行い、日本の人々とも関係を築くことができた。これはお金で買うことのできない貴重な財産である。私にとってコレクションを発表する最良の方法は間違いなくリアルであり、現時点ではテクノロジーに置き換えることはできない。リアルな衣服、リアルなモデル、リアルな職人によって成り立っているファッションは、“リアル”なのだから!

Q.デジタルショールームではどのような施策を取った?

クリステル:OTBグループと、初めてのデジタルショールーム「ハイパー リアル ルーム(HYPER REAL ROOM)」を開発した。これはバイヤーと私たちにとって全く新しい体験だった。重視したのは、デジタルツールに私のインスピレーションとコレクションの雰囲気を投影すること。これがかなり大変だった。デジタルショールは2つのフェーズに分かれている。ひとつは映像や音楽、芸術性に重きを置いた“感情面”。もうひとつは、価格やラインシートなどの必要事項を表示するもので、ビジネス的な使いやすさを重視している。生地に触れてサンプルの試着ができるリアルなショールームと同じとは言えないものの、結果にはとても満足している。

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地味マスクにサヨナラ! お手本はNYの最新マスクコーデ

 マスクをおしゃれなコーディネートに取り込む提案が増えてきました。2020-21年秋冬と21年春夏のニューヨーク・コレクションでは、マスクを積極的に生かしたルックが続々と登場。地味な無地のマスクは素っ気なく映りがちですが、カラフルな総柄タイプだと気分も少し軽やかに。取り入れ方のポイントは、服との“柄合わせ”です。

 日本でも人気の高いブランド「アリス アンド オリビア(ALICE + OLIVIA)」が提案した花柄マスクはパンツとおそろい。ボリューム袖のブラウスをはさんで、同じモチーフを響き合わせてセットアップ。マスクとのつきあいはまだしばらく続きそうなだけに、コーデの選択肢に加えたくなる“柄入りマスク使い”のお手本を、NYコレからピックアップして紹介します。

服と同じ柄でセットアップ 花柄やファンタジー柄でやさしげに

 マスクと服に同じ柄を迎えた“マスク・セットアップ”を組み立てる場合、モチーフがムードメーカーになります。花柄を選べば、一気にフェミニン濃度がアップ。ファンタジーな柄でドリーミングな気分を呼び込むこともできます。

 「アナ スイ(ANNA SUI)」はバケットハット、マスク、スカートを同じ柄でそろえて“
3点セットアップ“に仕上げました。フラワーモチーフが顔周りにソフトなイメージを添えています。3点を離れたポジションで上下に並べることで縦長イメージが強まりました。ピンクベースのファンシー柄をあしらって、全身で穏やかな雰囲気を醸し出しています。

 2枚目のキーピースはジャケット。マスクと同じ柄のジャケットを羽織って上半身の統一感を高めました。落ち着いた柄をマスクとジャケットに迎えると、顔周りをやさしげに演出できそう。ウエストポーチとスカートの裾にも同じモチーフを配してトータルコーデに整えたので、マスクが浮いて見えません。

アニマル柄でスパイスを投入 柄×柄コーデでこなれ感を演出

あえて服の色・柄とマスクの見え具合をずらすと、こなれた印象にまとまります。適度に主張を帯びたモチーフをマスクに取り入れるのには、役に立つコーデ技です。

 印象の強いゼブラ柄のマスクを取り入れたのは「レベッカ ミンコフ(REBECCA MINKOFF)」。ぼかしたチェック柄のシャツを合わせて、上半身で“柄×柄”のコーデを提案。赤ベースのゼブラ柄はかなり目立つモチーフですが、シャツの赤と合わせることで、なじみをよくしています。柄をずらしても色で共通点をこしらえるのは、マスクコーデの基本技です。

 2枚目はレオパード柄のマスクを選んだハードめのルック。黒革のライダースジャケットがタフ感を印象づけました。トップスにボーダー柄を迎えて、アニマル柄との柄ミックスを仕掛けています。テイストの異なるモチーフ同士が互いを引き立て合う演出。マスクは面積が小さくても、顔にかぶせるポジションなので見た目のインパクトは大。あしらう柄次第でムードの決め手になってくれます。

スカーフがマスク代わりの新発想 小顔効果も発揮

 有力ブランドが相次いで打ち出しているのは、“疑似マスク”としてのスカーフ使いです。鼻から下を覆う感じで巻いて、服との一体感を高める見せ方。マスクの上から重ねるという選択肢もあります。

 「アリス アンド オリビア」は、レインボーカラーの総柄ワンピースと同じ柄のスカーフを顔にも巻きました。マスクよりも隠れる面積が広い分、ミステリアスな雰囲気に。小顔効果も期待できます。マルチカラーのボーダー柄がボディになじんで、全体がすらりとして見える技ありスタイリングです。

 スカーフを含めた全アイテムを同じ柄で統一すれば、あでやかで華やかな装いにまとまります。スカーフはほとんど目立たなくなり、逆におしゃれ感が際立ちます。2枚目の写真は、抽象化した花柄で全身を埋め尽くしました。ポジティブ感が押し出されていて、スカーフで覆った顔にもむしろ自信が感じられる装いです。

 花柄でフェミニンに、アニマル柄でスパイシーになど、マスクの柄次第で自在に雰囲気を操れるので、柄マスクはコーデのキーピースに使えます。さらにスカーフやバンダナを使ったアレンジもバリエーションを広げてくれそう。素っ気ない無地マスクに飽きてきた今日この頃、柄マスクやスカーフを生かして気分を盛り上げてみてはいかがでしょう?

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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デジコレでドタバタ対談 優美な「フェンディ」に癒やされ、「ドルガバ」から元気をもらったミラノコレ初日

 2021年春夏ロンドン・コレクションが終了し、早くもミラノ・ファッション・ウイークに突入です。引き続き、“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は、ミラノ・コレクションの幕開けとなった9月23日(現地時間)をリポート!メンズ、ウィメンズともに各都市のコレクションを取材してきた「WWD Japan.com」の村上要編集長と、ランウエイだけでなくバックステージビューティの取材をしている北坂映梨ビューティデスクがミラノコレ初日の様子をお届けします。

北坂:ついにミラノ・コレクションが始まりましたね。現地にいないせいか?デジタルだからなのか?ファッション・ウイークがあっという間に過ぎていく気がするのは、私だけでしょうか……?!

村上:単純に日本で、いつもと変わらない仕事をしながらファッション・ウイークを取材しているからだと思うよ(笑)。今日は終日、とあるコンテストの審査員でした。これまでのファッション・ウイークだったら絶対に引き受けられないけど、それが出来ちゃうのは、いいことなのかもしれない(笑)。

発表時期や方法を変更した「ミッソーニ」から幕開け

北坂:トップバッターの「ミッソーニ(MISSONI)」は2021年春夏コレクションではなく、20-21年秋冬コレクションのキャンペーンムービーをライブ配信しました。今季から「インシーズン」モードを採用し、ファッションショーをコレクションを見せる商業的なものから、グローバルな顧客に対するイベントに変更するんだとか。21年春夏コレクションは、バイヤーには従来通りのスケジュールでお披露目・販売するものの、私たちへの発表は実際のシーズンに近いタイミングで発表するそうです。秋冬のキャンペーンムービーは、デザイナーのアンジェラ・ミッソーニ(Angela Missoni)が実際に住んでいたという北イタリアのヴァレーゼが舞台です。風情ある街中を2人の恋人が駆け回り、なんだかとてもセンチメンタルな雰囲気が漂います。リッチなカラーに染まった幾何学模様のニットやセットアップが、イタリアの夕焼けにマッチしています。

村上:ムービーの冒頭は、イタリアのファッション評論家アンジェラ・フラッカヴェント(Angelo Flaccavento)がアンジェラにインタビューする形式の「アンジェラ&アンジェロ」対談だったね(笑)。「ちょっぴり残念だなぁ」と思ったのは、家族や住まい、そして父親が旅先から送ってくれたポストカードなどの話が出てくるのに、そこで差し込まれる映像が20-21年秋冬キャンペーンの繰り返しだったこと。ステキに違いないミッソーニ家のインテリア、家族の写真、そして現物のポストカードなどを見ることができたら、コレクションにもっと共感できそうです。

「ディースクエアード」流の“アットホーム”を提案

北坂:「ディースクエアード(DSQUARED2)」はルックブックを動画風にアレンジ。テーラードスーツやカーゴパンツにレースやサテンのランジェリーを合わせたり、ボディーコンシャスなドレスの背中を大胆に開けたり、クールなセクシーさは健在でしたね。レザーのチョーカーやハーネスもあったりして、パンクっぽい。ちょっとフェティッシュぽい雰囲気も感じました。今季は“リラックス”“コンフォート”“アットホーム”のようなキーワードが浮かぶコレクションが多い印象ですが、そういうイメージとは少し違いますね。

村上:「パンク」「フェティッシュ」は、いずれも「ディースクエアード」の得意技だね。確かにコンパクトでシャープなテーラードやミニドレスが得意なブランドだけど、オーバーサイズのチェスターコートにランジェリーのようなスリップドレスのルックは、「ディースクエアード」流の“アットホーム”だと思うよ。ランウエイではド派手な演出や見せるためのスタイリングが多いけれど、ムービーはシンプルに徹したね。実際、このブランドにはフォーマルやブラックドレスが好きなコンサバ層も多いので、彼ら・彼女たちに届けたい洋服をちゃんと提案している印象です。でも、一方向に流れ続けるムービーは、見続けると目が回るね(笑)。“ぐるぐるバッド”みたいにクラクラした(笑)。

“ニューノーマル”における新たな洋服のあり方を探った「ア コールド ウォール」

北坂:ストリートウエアブランド「ア コールド ウォール(A-COLD-WALL)」は、3部構成のムービー。ニューノーマルの時代における、新しい洋服のあり方を探ったそうです。1部ではブラックやグレーを基調とした、パッド入りのベストやスエットなどが登場。正直、暗過ぎて洋服のディテールはそこまで見えず.......。2部になると急に鮮やかなイエローのアイテムが登場します。オーバーサイズのTシャツやバケツハット、ウィンドブレーカーなどストリートなムード全開です。最後は、スーツ姿の男性。スーツやシャツに終始登場したユーティリティーベスト、キャップなどを組み合わせて、フォーマルとストリートをミックスしています。在宅勤務が普及してスーツを着る機会はさらに減ったけれど、オフィスに戻る人は徐々に増えているはず。「フォーマルに完全に戻るのはイヤ」と思う、アフターコロナのマインドを表現しているのでしょうか?

村上:ん~、「何かから身を守りたい」とか「自然と共に暮らしたい」みたいな気分の現れでありつつ、「俺はスーツもできるんだぜ。ストリートブランドじゃないんだよ」というサミュエル・ロス(Samuel Ross)のメッセージでもある気がします。ストリート出身のブランドって、メジャーになって数年が経過すると、みんなスーツをやりたがるから。個人的に一番好きなのは、パート1。ブランドらしい人間工学的アプローチとストリートのムードが融合していて、「他のブランドと差別化するなら、ココだなぁ」って感じました。パート2は、男の子が一番熱狂しそうだけどね。パート3は、メゾンブランドの売れ筋を意識しまくったショルダーバッグが気になって仕方ありませんでした。「ダメ、絶対!!」レベルだった(ちょっと怒)。

エアリーな世界観を演出した「カルカテッラ」

北坂:14年にスタートした「カルカテッラ(CALCATERRA)」は、ボリューム感のシルエットや上質な素材にこだわっているブランドだそうです。今季のテーマは、「Ethereal(空気のような、優美な)」。純白やクリームなどをメインに軽やかな素材を重ねたアイテムからは、確かにエアリーな雰囲気を感じます。

村上:この手の「素朴な素材感重視」なブランドは、オンライン買い付けが当たり前の今、なかなか厳しそうですね。もうちょっとキャッチーとかハッピーのムードがないと、言い切ってしまえば「MUJI」でオーバーサイズの洋服を買って上手にスタイリングすれば、「カルカテッラ」のスタイルが完成しちゃいそう。

もうなんでもアリ!? 若年層に人気の「リデンプション」はハイパーミックスで勝負

北坂:最近インスタグラムでもよく見かける「リデンプション(REDEMPTION)」は、サステナビリティを謳っている若年層にも人気のブランドです。フェミニンでクラシカルなテイストに、ロックなツイストをコンセプトにしているそうですが、今季もお嬢さん(?)4人がゼブラ柄のジャケットや蛇柄のブーツ、切りっぱなしのデニムのショートパンツなど、なかなか派手な格好で登場します。BGMも、ガンガンのロックミュージック。そんなロックなアイテムの合間には、ものすごくクラシックなカクテルドレスなんかも登場したりして、少し迷走しているような......。なかなかパンチが効いていますが、日本では受け入れられるのでしょうか?

村上:なんだろう、もうなんでもアリですね。「ディースクエアード」的なデニムのホットパンツ、「ロベルト カヴァリ(ROBERTO CAVALLI)」的な肩パッド入りアニマルプリントドレス、「サンローラン(SAINT LAURENT)」的なブラックのミニドレスにオールドイタリアンなコットンブラウス使いを組み合わせ、ってカンジ?そのハイパーミックス感は、何にも決めつけない今の世代っぽいなぁと、微笑みながらムービーを鑑賞しちゃいました。バラが咲く庭園にデッキチェアを置いて、クリスタル付きのブラックのミニドレスで寝そべるって「どんなシーンよ⁉︎」とは思ったけれど、スキです。

「フェンディ」のドリーミーで幻想的な世界観にうっとり

北坂:お待ちかねの「フェンディ(FENDI)」!私はライブで観ましたが、とても清らかでドリーミーなコレクションでした。窓辺をイメージしたランウエイには、巨大なカーテンがそよ風に揺れるような演出。揺れ動くカーテンの合間をモデルたちが歩き、ライブ配信の映像には空や雲の映像が重なり、なんとも幻想的な絵でした。シースルー素材がヴェールのようにモデルの体を柔らかく包み、エアリーな雰囲気です。コートやスーツもリネンなど軽やかな素材で、画面越しからも着心地の良さが伝わります。アイコンバッグの“バゲット”も透かし模様を施し、超ミニサイズのバッグには刺しゅうを入れたシルクのヴェールがかけられ、細部まで軽やか。観ているだけで心が和らぎそうなコレクションは、不安が多い今の時代、まさに求められているものではないでしょうか?

村上:木漏れ日が淡いアイボリーのカーテンに映し出す、木々の陰影を描こうとする時点で、とってもオシャレでステキ。シンプルなタンクトップドレスに、陰影プリントのオーガンジーを合わせるなど、気取らないリラックスウエアにヴェールを重ねることでコレクションブランドのスタイルに昇華するアイデアも良いですね。ピュアホワイトを貴重に、アイボリーからグレー、パステル、そしてブラックへと続く構成も王道的で違和感なく、メンズとウィメンズの世界観もバッチリ融合。で、合間合間にシルヴィア・フェンディ(Silvia Fendi)が大好きなオールインワンとかサファリスタイルを差し込むのも忘れない(笑)。ドレスなどの刺しゅうは、お母さんがハンカチに施してくれた控えめなものから、お高い食器にあしらわれる大胆なものまでバリエーション豊かだけど、いずれもウエアと同じ色で控えめ。すっかり優しい気持ちになりました。ちょっとピリピリした時は、「フェンディ」のムービーを流すと場の雰囲気が和むかもしれません。今度、会社で試して見ます(笑)。

テクスチャーのレイヤリングが素敵だった「ヌメロ ヴェントゥーノ」

北坂:「ヌメロ ヴェントゥーノ(N21)」は、定番のフェザーや肌まで透けたエアリーなドレス、光沢のあるシャツ、滑らかなシルクスカートなど、シンプルだけど絶妙なテクスチャーのレイヤリングが素敵でした。また、パールやビジュー、ピンの装飾も、ちょっとした煌めきをプラスして可愛かったです。個人的には、片耳のパールピアス(「フェンディ」でも出てきました)も気になりました。余談ですが、目頭にパールのハイライトを入れた艶やかなメイクもフレッシュで、真似したくなりました。

村上:片耳のパールピアスは、僕も「TASAKI」の“デインジャー”を片耳に2つ重ねづけしているので、ぜひマネしてください(笑)。メンズ的には、アレッサンドロ・デラクア(Alessandro dell'Acqua)が大好きなグランジテイストのネルシャツ、大胆にカットオフしたフーディあたりが気になりました。たくさんマネされちゃうんだけど、こういうカジュアルアイテムを格上げするのが上手なブランドだなぁ、と改めて思います。今季は得意のヌードより、パープルの方がステキですね。

ロマンスと実用性を兼ね備えた「アルベルタ フェレッティ」

北坂:アルベルタ・フェレッティ(Alberta Ferretti)も、困難が多い今の時代を生きる女性に目を向けました。そんな女性が求める洋服を「ジェントルなファッション」と呼び、コレクションについて「ロマンチックでフェミニンでありながら、不安が多い今の時代を生き抜くためのプラクティカル(実用的)な洋服」と語っています。言葉通り、シアーなロングドレスやパフスリーブのシフォンブラウスなどのフェミニンなアイテムに、動きやすいフラットサンダルやパンツを合わせています。透け感のある素材は、今季トレンドとなりそうですね。

村上:正直、「フェレッティ」ってずっとこんなカンジですけれどね(笑)。他のブランドではコロナの前後で違いが顕著だけれど、「フェレッティ」は何が変わったのか分からなかった。まぁ、変わることが全てではないけれど……。でも変わらないと、イタリア国外のマーケットはもう大きくならない気がします。

思わず元気をもらった「ドルチェ&ガッバーナ」

北坂:「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE & GABBANA)」はシチリアのパッチワークが着想源で、鮮やかな色や柄を組み合わせたパッチワークをあらゆるアイテムに取り入れています。ランウエイも背景までパッチワークが施され、ちょっとクラクラしちゃうほどの派手さですね!バラの花モチーフなど、華やかなルックはそもそも多い印象ですが、今季はさらにボリュームアップした印象です。

村上:デーハー、炸裂!!ですね。笑っちゃうくらいパッチワークの嵐。こんな時なので、このブランドも見るだけで元気になります。パッチワークで使っている布は、アーカイブだったりするのかな?でもパッチワークって、昔ながらの手仕事だから「ドルチェ&ガッバーナ」の世界観にピッタリですね。ここまでやり切っちゃうカンジも、「D&G」時代のアイデンティティを盛り込み始めた、近年の「ドルチェ&ガッバーナ」らしい。ブラボーです。個人的には、ミラノ・ファッション・ウイークの主催団体のホームページから「ドルチェ&ガッバーナ」の配信ページにアクセスできることに、小さな感動を覚えてしまいました。ずっとケンカしてたから(笑)。にしても、この主催団体のホームページは、本当にユーザビリティが低いね。コレ、参加ブランドはちゃんと意見した方が良いと思う。このUXの悪さは、ブランドの配信にとって命取りだと思うけれど。

新デザイナーでイメージチェンジ?した「ブルマリン」

村上:「ブルマリン(BLUMARINE)」は、どうしたんでしょう?正直、ちょっと奇抜ですね。若々しさを狙ったんだろうけど、ローズプリントのシルクとヒョウ柄のミスマッチ、パステルとブラックの違和感、そして、フェティッシュな肌見せによる過剰なセクシーなど、安定感が低下したような……。フィナーレに登場した男性は、誰?

北坂:デザイナーのニコラ・ブロナーニョ(Nicolas Brognano)ですね。創業デザイナーアンナ・モリナーリ(Anna Molinari)に代わり、今季からクリエイティブ・ディレクターを務めています。「ジャンバティスタ・ヴァリ(GIAMBATTISTA VALLI)」や「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE & GABBANA)」で経験を積まれた方だそうです。「ブルマリン」はロマンチックでフェミニンなイメージでしたが、確かに今季は若年層を狙っているのかもしれないですが、少しエレガンスに欠ける印象ですね……。今後が気になります。

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「G-SHOCK」の上位シリーズ“MT-G”の最新作を買う理由

 “落としても壊れない丈夫な時計”という、時計業界にとって大きな課題を初代“DW-5000C”でクリアしたのは1983年のこと。以降、カシオ計算機の「G-SHOCK」は、軟らかいウレタン樹脂を使用することで耐衝撃性を確保してきた。しかし、約40年の時を経て11月に発売する“MTG-B2000”は、風格あるメタルにカーボンを“融合”することでタフネスを確保する。価格は11万~12万5000円。大人のための「G-SHOCK」ともいうべき最新作のデザインと機能を見ていこう。

「G-SHOCK」の優れた遺伝子を
“融合”する“MT-G”シリーズ

 「G-SHOCK」の上位シリーズである“MT-G”の開発は1997年に始まった。その前年には“大人が着けられる、フルメタルをまとった「G-SHOCK」”として“MR-G”シリーズも登場している。“MT-G”シリーズは、“大人に似合う「G-SHOCK」”というコンセプトを受け継ぎつつ、開発キーワードに“融合”を掲げた。初代“DW-5000C”に代表されるウレタンと、“MR-G”のキーマテリアルであるメタルとを組み合わせて、これまでにない「G-SHOCK」を生み出すのが狙いだった。

“デュアルコアガード構造”で
時計の心臓部を衝撃から守る

 “MTG-B2000”の高い耐衝撃性を実現するのが“デュアルコアガード構造”だ。ムーブメントはカーボン製ケースで守られ、さらにその周りをメタル製フレームで覆っている。時計の心臓部を二重(=デュアル)に保護する“デュアルコアガード構造”は、この“MTG-B2000”で初めて採用された。過去の“MT-G”シリーズがメタルとウレタンを“融合”したのに対して、“MTG-B2000”はメタルとカーボンを“融合”する。また“ガードレスボタン”を用いることで、ウレタン製のボタンガードが不要となり、側面までフルメタル化されているのも特徴だ。

ベゼルを独立パーツ化することで
カラーバリエーションも豊かに

 “MTG-B2000”は、メタルフレームとベゼルを別体にすることでカラー展開を容易にした。ベゼルの色とリンクさせたスモールセコンドと合わせて、美しい彩色でユーザーの感性に訴えかける。バンドは、青ベゼルの“MTG-B2000B-1A2JF”にはソフトウレタン製、黒ベゼルの“MTG-B2000D-1AJF”にはステンレススチール製、赤ベゼルの“MTG-B2000-1A4JF”には耐傷性、耐摩耗性を向上させるIP(イオンプレーティング)加工を施したステンレススチール製が付属する。

デザインにとどまらない
“MTG-B2000”の進化

 “MTG-B2000”の進化はデザインだけにとどまらない。従来モデルに比べてケース径は0.7mm小さく、重量も15%軽くなった。また、世界中どこにいても正確な時刻を得られるスマートフォンリンク機能や、充電効率の高い電波ソーラーも搭載する。

TEXT : KIYOTO KUNIRYO(NO-TECH)

問い合わせ先
カシオ計算機 お客様相談室
03-5334-4869

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ファッション業界人からヘアサロン「ジジ」と「フリューリ」が愛されるわけ

 「WWD ビューティ」の月刊化第1号となった9月号では、「ファッション業界人も通うヘアサロン」を特集し、「ジジ(Gigi)」(原宿)と「フリューリ(FLEURI)」の2サロンを取り上げた。特集では両サロンのこだわりや、なぜファッション業界人から人気を集めているのかについて解説しているが、ここではファッション業界人の顧客から寄せられた同サロンを選んだ理由を紹介する。ヘアスタイルのこだわり、ファッションとヘアのバランスなどを考えて選んでいるようだ。

「ジジ(Gigi)」

「フリューリ(FLEURI)」

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「新常態」への対応でファッション企業の明暗はっきり 鈴木敏仁USリポート

 アメリカ在住30年の鈴木敏仁氏が、現地のファッション&ビューティの最新ニュースを詳しく解説する連載。ファッション関連企業の上半期決算を見ると、コロナ禍の優勝劣敗が数字にはっきり表れている。明暗はどこで分かれるのだろうか。

 アメリカには古くなった服をガレージセールで売ったり寄付をしたりして、捨てずに活用する人が少なくない。ガレージセールは文化的な側面が強いが、寄付は税控除になるという金銭的なメリットがあることが大きい。個人だけではなく法人にも適用されるので、過剰在庫を寄付するとこれも税控除が認められる。

 わが家で整理をしたところ不必要な服がいっぱい出てきたのでサルベーションアーミー(The Salvation Army/救世軍)に寄付に行ったところ、1人1回につき袋2つまでと制限された。過去持ち込み制限されたことがなかったので少し面食らったのだが、過剰在庫が2次流通に大量に流入しているという情報を得ていたので、なるほどと合点がいったのだった。

 アメリカではこの半年ほどで衣料の売り上げが激減している。そのため製造、卸、小売りのそれぞれが膨大な過剰在庫を抱え、あふれ出たプロパー商品が2次流通にも大量に流入し、消費者が服を持ち込みづらい状況にさえなっているのである。サプライチェーン上の全在庫が適正化するには少なくともあと1年ぐらいはかかるのではないだろうか。

変化に強いルルレモン

 図表は衣料に主軸におく企業上位5社と、参考までに専門店チェーン2社の半期の業績を比較したものだが、苦戦の様子が見て取れる。

 最初に目を引くのは好調なルルレモン(LULULEMON)。前回も書いたがこの企業はダークストア(EC専用の物流センター)への切り替えが早かったことと、アスレジャー人気という市場の追い風もあってコロナの打撃を驚くほど受けていない。大手の衣料小売業界で黒字を計上している数少ない企業の一つである。在庫も他社のように減らさず増えているのは、年末にかけて売れることを想定してのことなのだろう。この企業の強さは季節の影響を受けない定番スタイルが多いことで、値下げして在庫をどうしても減らしておく必要が他社と比べて低いと考えることができる。

 一方、売上高は百貨店のノードストローム(NORDSTROM)が最も落として前年同期比46.6%減、その他も20~40%落ちている。規制解除が始まり、各社ともに落ち幅は第1四半期から第2四半期にかけて改善しているのだが、相殺するには第1四半期の落ち方が大きすぎた。最終利益はメイシーズ(MACY'S)が巨額の赤字を計上するなど、どの企業も赤字なのだが、ここでもルルレモンのみ黒字に終わっている。

 ディスカウント型のTJマックス(TJ MAX)は、店舗が主軸でECをやっておらず販売チャネルが完全に閉じてしまったため、赤字額が大きくなっている。第1四半期の時点では、まず自社在庫を売り切りして、それからあふれて出てきた過剰在庫の受け皿として機能させると強気だったのだが、想定ほど客数が戻ってきていないようで第2四半期も赤字で終わり、そのため半期でも赤字となっている。

 期末キャッシュを取り上げているのは、当面の運転資金を確認したいからである。ここでは取り上げていないが売り上げ上位の小売企業のほとんどはやはり手持ちの現金を増やしており、図表からは衣料チェーンも例外ではないことが分かる。みな社債の発行などで一斉に調達しているのだ。ノードストロームは第1四半期に202%増やしているのだが、第2四半期には3.7%増となり、使ってしまったことが見て取れる。バランスシートでは自己資本比率が1.8%となっており、財務的にはかなり厳しい状況に陥っている。

 ルルレモンは第1四半期に手持ちキャッシュを増やしているのだが、第2四半期に減っている。理由はスタートアップ企業のミラー(MIRROR)の買収である。期末在庫が増えていることを考え合わせると攻めに転じていることが分かる。
 
 この期末在庫、当然全社ともに減らしているのだが、ギャップ(GAP)は225店舗の閉鎖を発表しながら他社に比べると3.6%しか減らせていない。去年と同レベルの在庫を今も抱えているというのはやはり厳しい。

衣料のECシフトが加速

 このようにリアル店舗が閉じてしまい各社苦戦する中で、唯一開いていたのがECであることはもちろんご承知のことと思う。そもそもアメリカの衣料総売上高に占めるECの比率は、2017年29.9%、18年34.0%、19年38.6%と年々上昇している。衣料総市場の成長はECがけん引しているのが実情で、この傾向がさらに強まったことになる。

 3月12日から4月11日までのロックダウン直後のEC衣料売上高は34%増、最近の資料では8月9〜15日の週に66%増という数字があり、今年はさらにECのシェアが伸びるので、今年末には40~50%を占めることになるかもしれない。半分がネットという時代が来ているのである。

 さらにアマゾン(AMAZON)、ウォルマート(WALMART)、ターゲット(TARGET)の3社で衣料市場全体の26%を占めるのだが、ECだと31.3%になるという推計がある。本稿は衣料の専門業態に属する企業のみを取り上げているが、実際には総合業態の方が衣料を多く売っており、そしてECもその傾向に変わりはないのである。さらにサードパーティーも含めるとアマゾンだけでEC衣料市場の28.8%、全衣料市場の11.1%を占めるという推計もある。衣料がECへとシフトしていく中でメインプレーヤーは百貨店業態でなくなりつつあることは分かっていたことなのだが、コロナでECシフトが加速している中でさらにその傾向が強まっていくことだろう。

在宅勤務でリラックスできる服が成長

 もちろんコロナによるECシフトは全カテゴリーまんべんなくというわけではない。パジャマが143%伸びて、パンツ13%減、ジャケット33%減という数値がある。パジャマが急増したということは、リモートワークで一日パジャマを着て過ごす人が増えたということを意味しているのだろう。ヒールが売れなくなったという話も聞いている。

 また5月までの1年間の総アパレル売上高の28%をアスレジャーが占めているというデータがある(前年は24%)。別の調査会社によると、アスレジャーをメインで売っているEC大手23社を合わせると2019年の売り上げ増は19.1%で、ネット上で衣料を売っている企業1000社総合の13.7%増を大きく上回っている。この1000社を総市場としたときの23社の売り上げシェアは19.5%になるという。

 この2つのトレンドをまとめると、ゆったりとしたカジュアルウエアへの流れがコロナによって加速し、健康志向によるフィットネスなどの活動がリモートワークで増えて、高機能なアスレチックウエアを日常でも着るニーズも相変わらず根強いということになる。他人の目を気にしたファッションから、リラックスやウエルネスという自分を中心にしたファッションへと大きくシフトしている。

 ECへの突然のシフトとライフスタイルの急変に乗れたか乗れなかったかが、米衣料小売業界の明暗を分けているのだ。

鈴木敏仁(すずき・としひと):東京都北区生まれ、早大法学部卒、西武百貨店を経て渡米、在米年数は30年以上。業界メディアへの執筆、流通企業やメーカーによる米国視察の企画、セミナー講演が主要業務。年間のべ店舗訪問数は600店舗超、製配販にわたる幅広い業界知識と現場の事実に基づいた分析による情報提供がモットー

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「やっぱりサロンワークが好き」 ファッション業界人のファンも多いヘアサロン「フリューリ」誕生秘話

 「WWD ビューティ」の月刊化第1号となった9月号では、「ファッション業界人も通うヘアサロン」を特集した。取り上げた「フリューリ(FLEURI)」は、昨年9月にヘアメイクとしても活躍するSakieスタイリストが立ち上げたヘアサロンだ。特集内では、「フリューリ」のこだわり、なぜファッション業界人も通うサロンなのかについて解説しているが、そもそもなぜサロンをオープンしたのか?サロンから独立してフリーランス美容師として、ヘアメイクの仕事なども行う20代後半〜30代の若手美容師がここ数年増えている中で、あえてサロンをオープンした理由を聞いた。

WWD:まずこれまでの経歴を教えてください。

Sakieスタイリスト(以下、Sakie):専門学校卒業後、都内のサロンに就職しました。そのサロンは海外にも店舗展開をしていたので、自分が希望したことやタイミングもあって、ニューヨークでも2年間スタイリストとしてサロンワークをしました。ヘアメイクの仕事は前サロンのときからやっていて、自分のサロンをオープンした今でも月に5〜6件ほどヘアメイクの仕事をしています。

WWD:雑誌の撮影やアートワークの制作などヘアメイクとして精力的に活動しており、サロンをオープンしなくてもヘアメイクとしての道も選べたのでは?フリーランス美容師も最近ではどんどん増えていますよね。

Sakie:昨年、前サロンを離れることを決めたときにはヘアメイクとしての道も考えましたが、やっぱりサロンワークが大好きなんです。撮影やこういった取材もサロンのお客さまがきっかけとなってつながっていくことも多いですし、サロンでの会話から撮影が決まることもあります。モデルさんも、撮影のときに自分のサロンを持っていることを話すと来てくれることも多く、いろいろなつながりを持てます。撮影現場ではアレンジや毛流れを変えたりしてその瞬間でかわいいものをつくるという点が勉強になります。一方でサロンワークはカットやカラーをして1〜2カ月間はお客さまがそのヘアスタイルで過ごします。だからすごく大切な仕事だと思います。だからこそ美容師はすごく好きな仕事ですし、来てくれるお客さまもいたので、長い目で自分のビジョンを考えたときにヘアメイクだけをするよりはお店を立ち上げていろいろな交流を持ちたいと考えました。

WWD:この取材も「フリューリ」のお客だという、ファッション業界人への取材から実現したものですよね。しかし、お店を持つことはさまざまな苦労もつきものだと思いますが。

Sakie:物件探しから内装など、オープン準備期間は3カ月とかなり急ピッチで進めました。大変という気持ちよりも、待ってくださっているお客さまもいたのでできるだけ早く作ろうという気持ちでいっぱいでしたね。「(当時)27歳でお店を開くってすごいね」と言ってもらえることも多いんですけど、資金面は公的機関から融資を受けることもできますし、やりたいことや場所が明確に決まっていれば、みなさんが想像しているよりも意外と大変ではないと思います。また20代で始めれば軌道修正がいくらでもきくと思ったのも大きいです。

WWD:若い世代のオーナーの考え方はこれまでとは大きく変化してきたように思います。

Sakie:美容師の仕事は手に職の仕事ですし、自分で働いていくために技術を学んできたわけで、「ずっとうちのサロンで働いてくださいね」って言われるとお店の経営や金銭面のことだけを考えて言われているような気がしてしまって……。50代60代になってもスタイリストとしてサロンに立ち続けることができるかと考えたら、難しいかなと思いました。

WWD:「フリューリ」にはSakieさんのほかにスタイリストの方が2人所属しているんですね。

Sakie:メンバーとしていますが出勤時間もバラバラですし、お客さまの来店に合わせて出勤するのもありにしています。完全歩合制なのでフリーランスで「フリューリ」に所属しているようなイメージです。ヘアメイクとしても活動しているスタイリストとは1カ月会わないときもあるぐらいです。個々に取り組んでいる仕事について報告はしてもらっていますが、「フリューリ」を使って自分がなりたい将来のために動いてほしいという思いと、サロンをたくさんの人に知ってもらいたいのでお店の発信をしてもらうこととトレードしている感じです。スタッフには、チームではあるけれども自分のやりたいことに向かって自由に動ける時間として使ってほしいという思いが強いですね。

WWD:最後にそんな思いを抱えるSakieさんはどんな人と働きたい?

Sakie:常に採用募集をかけているわけではないのですが、うれしいことに新卒採用や中途採用について聞かれることも多いんです。美容が好きな気持ちが伝わってくると嬉しいですけど、将来的に夢をかなえるかかなえないかは別として、自立して目標がしっかりしていて、「フリューリ」のことを理解してくれる人であればできるだけ協力したいと考えています。

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コンセプトは “お客さまに感動を その先の快適さを” 「ジジ」がヘアサロン「チル」を渋谷にオープン

 「WWD ビューティ」の月刊化第1号となった9月号では、「ファッション業界人が通うヘアサロン」を特集した。取り上げた「ジジ」は、“お客さまに感動を、その先の快適さを”をコンセプトに、ヘアサロン以外にも多方面で事業を展開している。特集内ではファッション業界人から支持されている理由について解説したが、コロナ禍の中、今年9月末に渋谷に3店舗目となる「チル」をオープンした。その理由をここでは間島勇大オーナーにインタビュー。

 また、休業中にネットショップサービス「ベース(the base)」を活用して施術の前売りチケットやオンラインを活用したサロン向けセミナーチケットなどを販売し、独自の取り組みでも注目を集めた「ジジ」の新型コロナウイルスとの向き合い方とは──。間島勇大オーナーに聞いた。

WWD:新型コロナウイルス感染拡大の影響で4月は約1カ月間の休業を強いられましたが、その後顧客の戻りはどうでしょうか。

間島勇大オーナー(以下、間島):5、6、7月と売り上げが徐々に戻ってきて、8月は前年同月を上回る結果になりました。しかし密を避けるために予約の制限や席の間隔を空けるなどしているため、予約に対して席数が足りない状況に陥っていました。

WWD:コロナ下でのサロンの新規オープンはいつにも増して大きな決断だと思いますが。

間島:経営・資金面でのリスクはあるけれども、お客さまとスタッフのことを考え、箱を用意する、環境を整えるという意味合いが大きいですね。

WWD:原宿店ではビニールシートが席と席の間に設置されていますが、新店舗ではこういった感染症対策が当たり前になりますか。

間島:「チル」ではベースとして感染症対策を考慮した上で、空間にゆとりを持たせた設計にしていますし、予約数の制限もしながらスタートします。店舗が増えることでスタッフも移動するので、原宿店も渋谷店も空間をより広く使えるようになったと思います。

WWD:代表は原宿店で店長を務めていた豊島春華スタイリストが務めるのですね。

間島:はい。店舗名の「チル」も豊島が命名しました。人事やリクルートも基本的には任せています。原宿店でトップデザイナーを務めていた大園佳穂トップデザイナーがディレクターに就任することになりました。サポートはもちろんしますし、最終的な決定は僕が下しますが、基本的には意見を取り入れながら任せようと思います。スタッフの人数が増えれば僕一人で統括するのは難しくなるので、「ジジ」では代々木店もそうですが代表を設けて、各店舗ごとの査定によってスタッフの評価や成長に寄り添えるようにサポートしています。

WWD:「チル」の内装について、また今後の計画があれば教えてください。

間島:「ジジ」では“お客さまに感動を、その先の快適さを”をコンセプトに、ライフスタイルカンパニーとしてお客さまの一生に寄り添うためにインテリア事業やウエディング事業、不動産事業なども手掛けています。「チル」でもこのコンセプトに基づき、自社で内装も手掛け、豊島の意見を取り入れながら木材をふんだんに使った温かみのある店内に仕上げることができました。ライフワークカンパニーとして今後も新たなサロンの出店などを計画中です。

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高機能乳液は「マスク荒れ」した肌の救世主!? 大人の男女に今、取り入れてほしいこと

 2020年の秋から冬にかけて、肌の揺らぎやエイジングサインに悩む大人の女性が、例年より増加するのでは?と予想している。いや、もしかしたら男性も例外ではないのではないか。夏の猛暑下でマスクを着用する(冬場から考えると、約10カ月も着用し続けている)経験は、多くの人にとって過去になかったこと。前回「マスク荒れ」の記事で書いた通り、マスク内の蒸れやこすれ、着脱による急激な温度・湿度の変化が影響し、バリア機能を低下させている人が少なくないと思われるからだ。

 ここに秋冬の温度・湿度低下が加わると、当然バリア機能低下にも拍車がかかる。ただでさえ代謝が低下しがちな大人の肌に、コロナ禍後の秋冬は、どのようなお手入れをすべきなのか?個人的に推奨したいのは、断然「乳液」を取り入れることだ。美容液でもなくクリームでもない、実に基本的なアイテムだが、バリア機能に不可欠な「水」と「油」を、最も効率良く補給してくれるからである。

肌の構造上、「水」と「油」は
絶対に必要な存在

 本当に「そもそもの話し」ではあるけれど、肌の構造上、潤い保持には「水」と「油」の両方が絶対に必要になる。角質細胞同士の隙間を埋める細胞間脂質は「油」だし、肌表面を守る皮脂も「油」。水だけ与えても、構造的に保持することができないうえに、タンパク質である肌をしなやかに保つには「油」が必要だ(革製品を柔軟にするために、オイルやクリームが使われるのと同じ。水だけ与えても柔らかくならない)

 マスク荒れした肌がエイジングサインを表面化させる前に、まず必要なのはバリア機能の立て直しである。この点において、乳液は実に「いい仕事をする」存在なのだ。化粧水よりも油分をきちんと含み、クリームよりも浸透感に優れ「水」と「油」の両方を、角層全体に送り届けてくれる。

 化粧品に水と油を共存させるためには「乳化」という技術が必要だが、日本の乳化技術は実に高度かつ繊細なのだ。優れた浸透感や官能的な感触の乳液が数多く存在し、この秋も高機能乳液が続々登場するため「大人の肌にこれを使わないなんて、もったいない……!」と、心から思ってしまう。以下は少々マニアックに、日本が誇る乳化技術も含め新作の高機能乳液について記したい。

乳液の特性を知り尽くした
ブランドの最新作 アルビオン

 乳液の素晴らしさは、「アルビオン(ALBION)」なくしては語れない。「油の長所をいち早く見出し、アルビオンは1956年の創業時より“洗顔直後の肌に乳液をなじませる”という、乳液ファーストのスキンケアシステムを提案してきました。洗顔後の肌は、水分、油分、NMF(天然保湿成分)など、潤いの源一部が失われた無防備な状態です。アルビオンの乳液はパズルのピースを埋めるように、失われた潤いを一気に補充することを目的としています」とは、二階堂ゆきアルビオンPR担当。まさにバリア機能を立て直す機能を、64年も前から追求してきたことになる。

 アルビオンには現在、乳液だけで16種類が存在し、創業以来製品化された乳液処方は、約200レシピに及ぶという。肌質や目指す肌に合わせ、1品1品、感触や後肌実感が異なるというから驚きだ。そんな乳液のエキスパートであるアルビオンの技術力を結集したのが「エクシア ラディアンスリニュー リッチミルク」である。

 「これまでもエクシアシリーズは、肌親和性に優れた“リン脂質”や“オレイン酸系乳化成分”など最新の乳化成分を用いてきました。今回は新たに、微生物の発酵プロセスで得られる天然の乳化成分“アミノサイクロ”を採用。従来の乳化成分とは構造が異なり、7つのアミノ酸がリング状に連なった環状ペプチド構造をしています」。

 アミノサイクロによる高浸透乳化処方は、非常に高い浸透促進効果を発揮する。一見濃密でありながら塗布するとまろやかにとろけ、肌が飲み干すように浸透していく。内部をふっくら満たす実にリッチな使用感は、最高峰ラインにふさわしい満足度の高いスキンケア体験をかなえてくれるだろう。バリア機能の回復だけでなく、エイジングサインにも迫る、大人のための乳液だ。

緻密な市場調査から生まれた
「ベストオブベストの感触」 
SK-Ⅱ

 「高機能乳液」の先駆者といえば、「SK-Ⅱ」である。今から20年前の2000年に、初代美容乳液のサインズ トリートメントを市場に先駆けて発売。「当時は多忙な女性が増え、ライフスタイルの多様化が進んだ時代です。そこで『SK-Ⅱ』は、保湿だけでなく美容液の機能を合わせ持つ、高機能乳液を開発したいと考えました」と、遠山和美・SK-Ⅱ研究開発担当。美容成分を贅沢に配合した「美容乳液」はその後も進化を続け、7代目にあたるのが「スキンパワー エアリー」である。

 「歴代の美容乳液で最もこだわったのが“テクスチャーの開発”です。一般的にテクスチャーの開発は研究部門、商品開発部門が中心になって行われますが、『SK-Ⅱ』ではここに市場調査の専門家、官能評価の専門家、お客さまの好みを熟知する店舗担当者、さらに統計学の専門家などが加わり、さまざまな角度から検討を重ねます」。

 まずは完成品に近いテクスチャーで数百名単位の大規模調査を行い、その結果をもとに微調整と、さらなる市場調査を繰り返す。「どんな乳化剤をどう組み合わせるか、その結果どんなテクスチャーになるか。さらに、どのような手法でテストをすると有意な差が認められるかなどを分析していきます」。それは「心地良い」「使いたくなる」「満足度が高い」という、言葉では表現しにくい感覚を、統計学的手法を用いて数値化していく高度な作業だ。

 「これらの研究から判明したのは“お客さまが好む感触は時代と共に変化していく”という事実です。歴代の美容乳液は、当然全てテクスチャーが違います。微細な差を突き詰めた結果、2020年現在支持されるベストオブベストの感触が、スキンパワー エアリーの感触なのです」。

 そのベストな感触とは、カスタードクリームのようになめらかであり、肌の上でスッととろけ、角層と一体化するようなテクスチャー。もっちりとした弾力感を呼び覚まし、自然なツヤを宿した肌へと導く。「現在求められているのは、一言で表現するなら“万能感”でしょうか。濃密でありながら浸透感にすぐれ、何か一つに特化するのではなくあらゆる悩みに対し手応えがある。スキンパワー エアリーは、保湿を越えたラグジュアリーな肌感触をご体験頂けると思います」。

ベンチャー企業ならではの
革新的な乳化技術 美透花

 水と油を共存させる「乳化技術」に関して、一歩先を行くテクノロジーを採用しているのが、「美透花(BITOKA)」の「クリスタルクリーム」だ。実はこの製品、乳液ではなくクリームのカテゴリーなのだが、その感触のみずみずしさには驚くべきものがある。何より驚かされるのが「見た目が透明であること」だ。

 「一見ジェルのようですが、処方の上ではれっきとしたクリームです。水と油を共存させたエマルション粒子は白濁していることが多いのですが、『美透花』は“ナノエマルションテクノロジー”を採用し、通常の約25分の1まで粒子を極小化することで、かつてない透明なクリームの開発に成功しました」と話すのは、下村祐貴子BITOKAブランドディレクター。

 エマルション粒子が可視光領域のどの光の粒子よりも小さいため、人の目には「色のあるもの」として認知されず、透明に見えるという。またエマルション粒子が極小であるが故に、浸透感に優れているのも特徴だ。塗布するとぱしゃっとはじけ、化粧水のようにみずみずしく浸透し、使用後は“オイル感”を感じるという、なんとも不思議なテクスチャーである。乳液やクリーム特有のべたつきが苦手な方は心地良く使えるし、角層と一体化するような薄膜のベールで、バリア機能のサポートにも力を発揮する設計だ。

 「透明なクリーム」という革新的な製品が誕生した一方で、既存のクリームとはイメージが異なるだけに、ユーザーへの啓蒙が必要になるだろう。それでも、クリームの常識に挑戦し新境地を開拓した、ベンチャー企業ならでは製品といえる。

プチプラの世界にも
名品乳液が誕生 ナチュリエ

 ここまでご紹介してきたのは、いずれも高価格帯の製品だが、ドラッグストアなどで手に入るプチプラの製品にも、この秋は珠玉の乳液が登場する。「ナチュリエ(NATURIE)」の「ハトムギ浸透乳液」だ。同シリーズの「ハトムギ化粧水」は、累計出荷数が5100万本突破。続く「ハトムギ保湿ジェル」は累計出荷数1100万個を突破するという大ベストセラー。日本人好みのみずみずしい感触で成功してきた「ナチュリエ」が、なぜ今あえて「乳液」を開発したのだろう?

 「お客さまからのお声で最も多かったのが“乳液はないの?”というご意見でした。改めて調査すると、『ハトムギ化粧水』愛用者の約2人に1人は乳液を使用し“乳液は使用量が多いとべたつくが、量を減らすと保湿力が足りない”という保湿のジレンマを抱えていることが分かりました」(長島亜希子・ナチュリエPR担当)。

 このジレンマを解消するために、保湿性に優れたベタインを配合。さらに油溶性のシーリングオイルと水溶性のシーリングアクアが、肌表面で二層のベールを形成する処方を開発した。肌表面だけでなく内側にも水分を抱え込むことで、べたつくことなく、浸透感に優れた乳液を実現。何より230mLで1000円以下という、価格設定が素晴らしい。顔はもちろんボディーに惜しみなく使えるという意味でも、乾燥の季節に幅広く活躍してくれるだろう。

 高温多湿な日本の気候下では、油の持つ「ベタつき」が敬遠されやすい。さらに、肌の調子が優れない時ほど「美容液に頼りたい」という気持ちも、とても共感できる。その一方で、バリア機能が乱れた大人の肌には「水分」「油分」が絶対に必要であり、乳液は両者を効率良く肌に届けることに長けたアイテムでもある。

 日本の乳化技術は本当に素晴らしく、今回は(乳液愛に溢れて)マニアックに語ってしまったけれど、市場には高機能、かつ官能的な乳液が数多存在する。マスク荒れ、そしてエイジングサインに悩む大人にこそ、ぜひ1度手にとってみて欲しい。保湿以上の充実感をきっと体感できるはずだから。

宇野ナミコ:美容ライター。1972年静岡生まれ。日本大学芸術学部卒業後、女性誌の美容班アシスタントを経て独立。雑誌、広告、ウェブなどで美容の記事を執筆。スキンケアを中心に、メイクアップ、ヘアケア、フレグランス、美容医療まで担当分野は幅広く、美容のトレンドを発信する一方で丹念な取材をもとにしたインタビュー記事も手掛ける

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在宅勤務におすすめな“現代ストレスケア”コスメ ブルーライトや睡眠不足などにアプローチ

 在宅勤務やオンラインミーティングなどがすっかり定着した今日この頃。生活スタイルも大きく変わり、マスクの着用による肌の炎症だけでなく、画面を見つめる時間が大幅に増えたことによる“ブルーライト乾燥”、さらには心的ストレスによる肌の揺らぎなど、悩む人も多いはずだ。ここではそんな“ニューノーマル”時代におけるストレスにアプローチした化粧品を紹介する。

ブルーライト対応で乾燥から肌を守る

 在宅勤務により自宅でパソコンやスマホを見つめる時間が増え、さらに会議やアポもオンラインにシフトしている今はブルーライトによる目の疲れや肌の乾燥に悩む人が多いだろう。

 ファンケル(FANCL)が今年4月に刷新したスキンケアライン「アンドミライ」は、現代の生活に特徴的な肌ストレス要因に着目した製品を手掛けている。中でも売れ筋の“スキン アップ ジェルクリームEX”(90g、4300円)は寝不足やブルーライトによる乾燥にアプローチし、1本で乳液、美容液、パック、クリーム、メイク下地の役目を果たし現代女性からの支持が高い。そのほかのクレンジングや化粧水も、現代ストレスにより肌内部に溜まった老廃物が揺らぎの原因とし、肌に潤いを“めぐらせる”という発想のもとで開発している。
 
 ブルーライトをカットするアイテムでは、「ナチュラグラッセ(NATURAGLACE)」の“UVプロテクションベース”(SPF50+・PA+++、3200円)がおすすめ。肌にダメージを与える紫外線やブルーライト、近赤外線から強力に守りながら、植物由来の保湿成分で乾燥から守る。メイクをしたくない在宅勤務中でも、これさえ塗っておけば外的刺激から肌を守ることができ、さらにせっけんで落とせる優しい処方もうれしい。

 クリーンビューティのパイオニア、「ベアミネラル (BAREMINERALS)」の“CR ディフェンス モイスチャライザー(SPF30・PA+++)”(50mL、4800円)はデジタル機器による光ダメージに着目し、ブルーライトはもちろん、紫外線や大気中のほこりなどから肌を守る。プロテクション、保湿、下地を兼ね備えた多機能モイスチャライザーだ。ノーファンデでいたい在宅勤務の日にもぴったりだ。

ストレスによる揺らぎにアプローチ

 これまでのように外出できなかったり、新しい生活によってストレスを感じている人も多いはず。心的ストレスは肌にもさまざまな影響を及ぼすとされており、そんな内的要因にアプローチした製品もおすすめだ。

 クレンジングバームで有名な「デュオ(DUO)」を手掛けるプレミアムアンチエイジングが9月18日に発売した新ブランド「シトラナ(SITRANA)」は、アンチポリューションをキーコンセプトに、クレンジングや化粧水、フェイスマスクなどをそろえる。高い修復力と機能性、高品質な独自処方のアシアティカを配合し、敏感に傾いた肌のケアとエイジングケアをかなえる。肌荒れに関わる内的ストレスに着目し、リラックス効果があるとされるGABAの生産を促すストレスケア成分を配合。韓国でも人気のシカクリームもラインアップしており、ストレスで揺らいだ肌をケア。

 資生堂の“アルティミューン パワライジング コンセントレート N”(30mL、8000円/50mL、1万2000円)は肌の生まれ持った免疫力に着目し、彼や大気汚染、環境ストレス、心的ストレスなどの影響で低下しがちな免疫を高める美容液。さまざまなエイジングダメージに先回りし、肌悩みを生み出さない強い肌に導く。

 英オーガニックブランド「デ・マミエール(DE MAMIEL)」の“デューウィ フェイシャルミスト”(100mL、1万1500円)は毎日の環境ストレスにより受ける酸化ダメージから肌を保護し、肌本来の力を取り戻すアンチポリューション成分「スーパーオキシドスムターゼ」を配合したスプレー。そのほか厳選された天然美容成分を配合し、肌を健やかにする。また、安らぐ香りにもこだわり、心のストレスケアにもアプローチする。

大気汚染物質にも気をつかう時代

 新型コロナウイルスの影響でサステナビリティやエコに気を使う人が増えていると言われる中、環境汚染による肌の影響へ意識を向ける人も増えているようだ。そんなポリューションと向き合うコスメは近年スキンケアからメイク、ヘアにまで幅広く広がっている。

 「イハダ(IHADA)」の“アレルスクリーン EX”(90g、900円/100g、1600円 ともに編集部調べ価格)は資生堂の特許技術「微粒子吸着防止技術」を採用。特許技術の成分とブロック成分を配合した透明ベールが花粉やPM2.5、ウイルスなどの微粒子の付着を抑制。細かい霧の粒子が肌や髪にムラなく広がりブロック効果を発揮する。

 「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」の “A/O+ P.M. クリア ユースラディアント クレンジング オイル イン ウォーター”(290mL、5400円)はウオータープルーフのメイクアップだけでなく、肌に付着したPM2.5などの微小な汚染物質までもスッキリ落とすオイル入りクレンジングウオーター。99%自然由来成分を配合にもこだわっており、使うたびに透明感あふれる肌へ。

 ヘアケアではナプラ(NAPLA)の「ミーファ(MIEFA)」から人気のヘアフレグランスシリーズ“フレグランス UV スプレー”(SPF50+/PA++++ 全7種、各80g、各1200円)がおすすめ。スタリッシュな香りを楽しめつつ日本基準最高値の日焼け止め効果を持ち、中でも“フレッシュマンデーモーニング”“シェリーサボン”“シーソルト”の3つの香りは花粉やPM2.5、タバコの煙、黄砂などの付着を防ぐアンチポリューション効果も兼ね備える。

 まだ油断ができない日々が続く中、新たな生活様式によってこれまになかったようなストレスを感じるようになったり、それに伴う肌荒れにも悩まされたりすることも少なくないだろう。そんなストレスには、いろいろと制限がある中で生活リズムを整えたり、上記のような“現代ストレスケア”コスメを活用しながら、うまく付き合っていく必要がありそうだ。

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今さら聞けない中国の基礎知識 1線都市とは何を指す?今注目の都市とは

 一言に「中国」といっても、広大な中国本土では、内陸部と沿岸部で生活レベルが全く異なる。そのため中国では都市のレベルを区分する言葉(1〜5線)があり、その分け方も細かく、そして明確な基準があるのだ。これらの都市は頻出用語となっているので、各都市レベルのイメージや注目市場と共に紹介したい。

そもそも誰がランクを決めている?

 都市レベルは一般に「1線都市(または1級都市)」といった呼び方をし、1〜5線都市まで区分される。日本では人口に応じた政令指定都市などがあるが、中国の場合は主に、「第一財経」というメディアが毎年発表する「都市商業魅力ランキング」が参照される。

 これは人口の多さだけでなく、都市の生活レベルや商業資源、将来性などいくつかの項目から算出され、毎年ランクが上下する。その中でも1線都市に当たる北京、上海、深圳、成都は不動の存在だ。

1〜2線都市とは?

 
 都市レベルは5線都市まであるが、新1線都市(1.5線都市ともいう)という中階級があるため、6段階で分けられている。1線都市は先ほど紹介した大都市で、不動のトップ4だ。それに近からず遠からずなのが武漢や成都、重慶、西安など13の新1線都市で、この新1線都市には今年2都市が仲間入りし、15都市になった。

 1〜新1線都市は主に沿岸部に位置し、写真のように街自体も大きく発展している。中国の中でも商業が盛んで、国際的であり、テクノロジーが発達した「進化した中国」のイメージに近い。ホワイトカラーの労働者が多く、百貨店には海外化粧品ブランドが入り、ファッションへの出資も盛んだ。

 2線都市は寧波、廈門、大連、青島など30都市で、日本ではあまり知られていない都市名も増える。新1線までと比べると影響力の低い都市だが、地域ではトップの“地方都市”のイメージだ。

3線都市以下「下没市場」とは?

 3線都市以下は主に内陸部に位置し、農村や田舎のイメージで、日本では馴染みのない名前が多い。3線以下の都市はまとめて「下沈市場(シャアチェンシーチャン)」と呼ばれるが、この下沈市場は近年の注目市場とされている。

 3線都市には新疆ウイグル自治区の首府・烏魯木斉(ウルムチ)などが含まれ、レトロな地方都市のイメージだ。4〜5線都市までいくと、行政の中央には街がありつつも田園や山、川といった豊かな自然が広がり、1線都市とは別世界である。

なぜ中国の“田舎”が注目されているのか

 なぜ今、中国の“田舎”に当たる3線以下の都市が注目されるかといえば、その人口の多さと可処分所得の拡大が大きな理由だ。国泰君安証券の調査報告によると、3線以下の人口は約10億人で、アメリカの総人口の3倍以上にもなる。また中国全体のおよそ3分の2を占める6億以上のインターネット利用者がおり、オンライン消費が盛んだ。

 さらに3線都市以下の家賃は1線都市の10分の1、あるいはそれ以下であるのに対し、収入は少しずつ上昇してきている。中国の調査会社、アイリサーチコンサルティング(iResearch、艾瑞咨詢)によると、4〜5線都市の消費者の個々の支出額は1〜2線都市の消費者に比べて高くないものの、消費財の総売上高は徐々に近づいてきているという。

 収入増の要因の一つに副業の種類が増えたことがあり、ライブ配信や配車、配達サービスが広まっている。最近では農家も淘宝ライブ(TAOBAO LIVE)などを活用し、ライブコマースで農産物を販売している。アリババによると淘宝ライブを利用した湖北省農村部の茶農家は、1カ月の売り上げがライブのみで29万元(約435万円)に達したという。

 また3線都市以下では美容の需要も急増しており、ロレアル中国は昨年2月のコミュニケーションミーティングで、下沈都市の若者の存在を今後のトレンドとし、2018年の「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」の中国売り上げの48%は店舗のない都市、つまり田舎の消費者によるものだったと発表している。

 共同購入EC(多人数で購入することで製品をお得な価格で購入できるEC)や短時間動画なども、今後の伸び代が大きくユーザーの多い3線都市以下に目をつけており、多くのプロモーションが行われている。3線都市以下の成長には今後も注目が集まりそうだ。

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デジタルコレでドタバタ対談 ロンドンは素人モデルが活躍、「トーガ」×「スピード」コラボも

 2021年春夏シーズンのロンドン・ファッション・ウイークが終了しました。ニューヨークに続き、今回も“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は9月17〜22日(現地時間)に開催されたロンドン・ファッション・ウイークから、話題のブランドや編集部が面白いと思ったデザイナーをピックアップして紹介。メンズとウィメンズのロンドン・コレクションを取材している「WWDジャパン」の大塚千践デスクと大杉真心記者がデジタルもリポートします。

ドラァグクイーンの六変幻に釘付け

大塚:初日の「バーバリー(BURBERRY)」がすごかったですが、ロンドンは若手がたくさん参加してますね。6月のメンズの際にさんざん指摘されていたロンドン・ファッション・ウイークの公式サイトの使いづらさは、結局今回も改善されなかったですね。視覚的にスケジュールと連動してないので、ラインナップが一覧で見られないのがもったいない。でもスマートフォンで見たら、パソコンよりも使いやすくてちょっと驚きました。もともとスマホ仕様だったのか。

大杉:私も今回、ちゃんとサイトを使いこなせるようになりました。動画が再生できてかつ、簡単にプレスリリースもダウンロードできて便利だと思いました。これでルック画像も一括ダウンロードできたら最強なんですが……(笑)。でも、確かにスマホのほうが操作しやすい仕様になっていますね。ロンドン・ファッション・ウイークの公式インスタグラムも活発に更新されていて、ストーリーズを毎日異なるインフルエンサーがテイクオーバーする企画も面白かったです。特に5日目のドラァグクイーンのジジ・グード(Gigi Goode)がファッション・ウイークに参加するブランドの服に着替えていく回は思わず見入ってしまいました。

エッセンシャルワーカーをモデルに起用した「ハルパーン」

大杉:「ヴェルサーチェ(VERSACE)」で経験を積んだマイケル・ハルパーン(Michael Halpern)による「ハルパーン」はイブニングドレスに強いブランドです。今回は、地下鉄の運転手や病院スタッフなど、エッセンシャルワーカーや医療従事者をモデルに起用して動画を撮影しました。皆素敵に着こなしているんですが、インタビューもとても感動的で。彼女たちが「今回のパンデミックを経て、多くの方から感謝されることが増えて、自分たちの仕事に誇りを持つことができた」と話していたのが印象的でした。

大塚:元気になる動画でしたね!色や柄にあふれた服に袖を通すことで、みんなの表情が生き生きしていた。これがファッションの醍醐味ですよ。撮影もモデルのように決めポーズさせるのではなく、それぞれが思うがままに踊ったり談笑したりする自然な姿を撮っているのがよかった。最後にデザイナーのハルパーンが頭からペンキをかぶるドリフのコントみたいなオチで、終始笑顔になる映像でした。

「べサニー ウィリアムズ」は貧困層の母子家庭を支援するコレクション

大塚:「べサニー ウィリアムズ(BETHANY WILLIAMS)」も、「ハルパーン」と同じくプロのモデルが登場しない映像でしたね。

大杉:はい。環境問題や社会問題に取り組むブランドで知られていますが、今回は「べサニー ウィリアムズ」が支援を続けている、イギリスのホームレス・貧困層の母子家庭を支援する団体マグパイ プロジェクト(Magpie Project)と協業したコレクションでした。柄は子どもたちが描いた絵をアーティストがコラージュしたものだそう。コレクションの20%の収益が寄付される仕組みになるそう。モデルとして登場したママと子どもたちが出演して、笑顔でポーズを決めているのが微笑ましかったですね。

大塚:自然体なムードに彼女の服はなじむのかとちょっと心配していたけど、みんなにんな似合っていてめちゃ素敵でした。カラフルなモチーフをアートのように組み合わせるデザインのアプローチはデビューのころからあまり変わっていないけれど、最近はクオリティーがメキメキ上がってちゃんと“売れる服”になってきた印象。僕がロンドン・メンズで初めて見た頃はちょっと荒っぽいクラフト感が出てしまっていのだけど、今は洗練されています。子供服は日本でも普通に需要ありそう。

「トーガ」はヴィヴィアン・サッセン、「スピード」とのコラボ

大塚:「トーガ(TOGA)」も「べサニー ウィリアムズ」のような鮮やかな色使いで引き込まれましたねえ。今回の映像をディレクションしたオランダの写真家、ヴィヴィアン・サッセン(Viviane Sassen)らしい力のある色彩でしたし、服も彼女の作品をイメージしているんでしょうか?

大杉:確かにボールドな色使いがヴィヴィアン・サッセンらしいですね。コレクションは、“WHOLESOME, CUTTING, SPLITTING(健康、切断、分裂)”がキーワードになっているそう。断ち切りの袖や裾や、石のようなアクセサリーもポイントになっていて、荒々しさがありながらも、アーティスティックです。動画も全てを見せないように、断片的にイメージを出していく編集がかっこよくて、5回も再生しちゃいました。“健康”のキーワードでは、スイムウエアブランド「スピード(SPEEDO)」とのスポーツウエアやスイムウエアが登場しましたね。

大塚:「スピード」とのコラボは意外性がありました。日本で「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」を手掛けるゴールドウインが手掛けていますが、「スピード」はライフスタイル向けの提案をここ2、3年で強化していて、「トーガ」とのタッグでそのイメージをさらに訴求していきたいのでしょうね。にしてもロゴをドンと使っていたり、機能素材だったり、インラインというよりはカプセルコレクションのような提案になるんでしょうか。ちょっと欲しい。

大杉:私も欲しいです。私は泳げないので必要ないのですが、スイムキャップのスタイリングも魅力的に感じました。他にもバッグやコート、ショーツなどもチラっと見えて、早く全貌を知りたいです!

「ボラ アクス」は看護師として働いた若い貴族の女性たちが着想源

大塚:「ボラ アクス(BORA AKSU)」は、今シーズンのロンドンでは珍しいリアルのショーのライブ配信でしたね。横長のベンチに1人だけ座るというソーシャルディスタンシングで、いい天気とロマンチックなドレスが気持ちよかった。でもこれ、モデル全員がマスクしているということですかね?今までありそうでなかったかも。招待客はほぼほぼマスクしていないけども。

大杉:モデルたちが付けていたのは、オーガンジーを使ったシースルーマスクでしたね。マスク生活が続き、外出時はすっかり口紅を塗らなくなってしまったのですが、このマスクだったら口元も見えるのでメイクも楽しめそうです。コロナの感染予防にはならないかもしれませんが……(笑)。コレクション自体は第一次世界大戦中に看護師として戦場に送り込まれた若い貴族の女性たちが着想源になっているそう。確かに白でまとめたルックがナースらしい。現在の医療従事者へのリスペクトも感じられます。

大塚:音楽もムードがあって素敵でした。でも、画面左をダッシュで行ったり来たりしているカメラマンのお兄さんのファイトも気になりました(笑)。

シュールな笑いを誘う「ヒリヤー バートリー」

大杉:かつて、「マーク バイ マーク ジェイコブス(MARC BY MARC JACOBS)」のクリエイティブ・ディレクターを務めていたルエラ・バートリー(Luella Bartley)とケイティ・ヒリヤー(Katie Hillier)のデュオによる「ヒリヤー バートリー(HILLIER BARTLEY)」もファッション・ウイークに参加していましたね。コレクション発表ではなく、ショートフィルムの公開でした。今回のロンドンコレで一番ツボでした。

大塚:チープなインディーズ映画感がかわいくて最高。モデルの登場シーンは完全に「ターミネーター」のオマージュですね(笑)。T-800が未来からやってくる場面の再現だけど、モデルの演技がぎこちなくてそれもまたかわいい。ペーパークリップイヤリングにかなり焦点を当てたストーリーだったけど、ブランドのアイコンか何かなんですか?服はあまり出てこないですが、最後まで楽しんで見ちゃいました。

大杉:ペーパークリップイヤリングはブランドのアイコン的なジュエリーの一つです。タイトルが“Keep it together”でしたが、クリップで紙を「まとめる」という意味と、「落ち着いて」という意味のダブルミーニングになっていましたね。このご時世にぴったりなメッセージですし、シュールな笑いを提供してくれて後味がよかったです。

シリアスになりすぎてちょっとコワい「アートスクール」

大塚:ロンドン・メンズではよくも悪くも話題に上がる新鋭「アートスクール」は、今回は時期を遅らせてショー形式の動画を公開しました。年齢や性別、人種などあらゆる境界線を越えたクリエイションを表現するためのモデルの人選や演出というのは理解できるのですが、同じ手法を続けられるとさすがに食傷気味かも。

大杉:モデルのキャスティングはさすがだなと思って見ていました。ウエアはちょっとボロボロ感があり、メイクは血色ゼロで、モデルたちがゾンビのようになってしまっています……。これは狙っているんでしょうか?

大塚:狙ってるというより、狙いすぎですね。昔は笑い飛ばせるユーモアが込められていたのに、最近はシリアスになりすぎてちょっとコワいんです。約15分間の動画をフルで視聴するのは正直しんどかった。服はミリタリーとテーラリングベースで、肩やウエストのシェイプをアレンジして大人の服作りをしたい気概は理解したいのですけど、逆にプロダクションの荒っぽさが出てしまった印象です。ロンドン期待のデザイナーであることは間違いないので、そろそろ進化した姿が見たい。

新デザイナーの実力は?「カシミ」のウィメンズがデビュー

大塚:「カシミ(QASIMI)」は創業デザイナーのハリド・アル・カシミ(Khalid Al Qasimi)が昨年7月に急逝後、双子のフール・アル・カシミ(Hoor Al Qasimi)がクリエイティブ・ディレクターに就いて指揮する初のコレクションです。アートやデザインに造詣が深いキャリアですが、ファッションのデザインは未経験のはずなので、その手腕に注目して見ました。結果、その浅い経験が今回はプラスに作用したのではないでしょうか。ウィメンズもデビューしましたね。

大杉:フールの本格デビューコレクションなんですね。軽やかでクラフト感があり、知的さもある。ウィメンズも今まであったように自然です。

大塚:動画はライザップ(RIZAP)のCMのようにクルクル回るだけなんですけど、素材の上質さがはっきり伝わります。ハリドのころからラグジュアリーな素材にはこだわっていましたが、彼はそこにストリートウエアの要素を足すのが上手かった。一方でフールはデザインがシンプルな分、結果的にハリドの品質への思いをベストに近い形で継承したのではないでしょうか。モチーフの使い方ははもうちょっとキャッチーでもいいかなと思いましたが、ウィメンズの取り扱いがドバイの大型店で早速決まったようで、今後が楽しみです。

大きな期待を持ち過ぎてしまった「ザンダー ゾウ」

大塚:奇天烈隊長の「ザンダー ゾウ(XANDER ZHOU)」が動画で発表ときたら、絶対にフツーのことはしてこないはずだと思ってスタート前からドキドキしてました。が、いざ変なムービーから本編が始まると……普通のショー動画!意外でした。“真実的虚偽性”と題したコレクションは、いつものようにフューチャリスティック。体や服に付けたジュエルなどのパーツは、モーションキャプチャで役者が体に付ける機材のイメージでしょうか。

大杉:いつも変化球で楽しませてくれるブランドですが、特に大きなサプライズはなかったですね。私は粒々などが苦手なトライポフォビア(集合体恐怖症)なので、体にハトメを貼り付けたルックなどは直視できませんでした……。一目見ただけで、ずっと鳥肌立ちっぱなしです。

大塚:途中から仮面を付けたモデルが登場してテーマのストーリーをなぞるムードを出しつつ、終盤にかけては近未来のようなスポーツウエアにカラフルな色を用いて、ドットで龍を描いたり、マンダリンカラーを付けたりして母国中国のムードも加えました。コレクションは特に悪くなかったのですが、単調なショー動画を15分も見るのはやっぱり辛い。期待していただけに、ちょっと残念でした。

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OMOアプリ「フェイシー」のスタイラーが中国のテンセントと協業 「クラウド技術を生かしコロナで苦戦する日本の小売市場に新たな可能性を」

 ファッションのオンライン接客・購買サービスのアプリ「フェイシー(FACY)」をプロデュースするスタイラー(STYLA)はこのほど、中国のIT大手、テンセント(TENCENT)と協業することを発表した。スタイラーは「フェイシー」以外にも、オンラインとオフラインを融合させて豊かな購買体験を設計するOMO事業を手掛けており、今回はテンセントのクラウド事業部門であるテンセントクラウドと業務提携を行った。

 実店舗への集客が困難になりつつあるニューノーマルの時代において、スタイラーはテンセントクラウドの技術を活用し、日本の小売業者や商業施設のデジタルトランスフォメーション(DX)を目指す。ブランドや販売員によるライブ配信・ライブコマースのほか、店舗が閉店時でも営業を継続できる仕組みを提供する。また、商業施設に入ったときにスマホで館内マップなどを見られるロケーションサービスや、消費者が買い周りを避けて効率的に買い物できるようなサービスなども届ける。すでにOMOなど“ニューリテール”が発達している中国の技術を用いることで、日本の小売業界のDXを加速させる狙いだ。

 そんなスタイラーの小関翼代表取締役CEOに、今回の協業についてや、新型コロナウイルスの影響でさまざまな壁に直面している日本の小売業界について聞いた。

WWD: テンセントとタッグを組んだ理由は?

小関翼スタイラー代表取締役CEO(以下、小関): 弊社はユーザーと店舗をデジタルでマッチングするアプリ「フェイシー」を提供している。日本だとリアルな店舗を集約するようなものは珍しく、そのためアプリも年々成長してきた。そこで国内だけでなく海外事業にも挑戦すべく、台湾にも進出していたり、今は中国や東南アジアに新たに進出することにトライしている。その中で中国現地の巨大プレイヤーであるテンセントとつながったことがはじまり。テンセントは店頭のコミュニケーションや店頭の在庫のデジタル化に長けた技術を持っている一方で、われわれは小売り業や不動産開発業の接点が非常に多いので、その2つがコラボレートしたら日本の小売業界にも大きく変化できると感じた。

WWD:今回日本で提供する主なサービスとして発表したのは、ライブ配信やオンライン接客、ロケーションサービスなど。それ以外にはどのようなことを提供するのか?

小関:主に小売業や商業施設の開発に焦点を当てたことを発表したが、実はほかにも沢山ある。ECサイトのメッセージ機能、AIを使った画像の予測サービスの導入から、在庫管理などのバックエンドのサポートまでも可能だ。

WWD:提携の理由の一つに、新型コロナウイルスの影響でメーカーや商業施設から多くの問い合わせが寄せられたことを挙げていたが、具体的にどういった相談があったのか?

小関:よくある悩みは、消費者は商業施設に入れないのに、家賃は払わなければならないということ。店舗が閉店中も販売員を生かしたいという思いもあるだろうし、ライブ配信などをはじめたものの質が良くなかったりノウハウがなくて、思ったよりうまくいっていない。そんな相談を受けることが多い。

WWD:こういった新たなサービスを日本の小売業界に提供することで、一番期待することは?

小関:前提としてユーザーにとってベストなショッピング体験を提供すること。買い物体験が向上することで、苦戦する小売業が新型コロナから復活することをサポートしたい。ECは非常に重要なチャネルのひとつだが、小売り(実店舗)全体を賄えるようなチャネルでもない。今後も店舗には人は戻るとなると、店舗のコミュニケーション、接客のデジタル化、在庫のデジタル化など、店舗とデジタルを両立させたOMO戦略はますます必須になるだろう。今回の提携によって、売り上げの大半を占める実店舗でのショッピング体験を向上させることで、小売り業のコロナ対策と、小売り業の今後の活性化を考えている。

WWD:今回は中国のテンセントと協業したが、中国と日本はだいぶ状況が違うのでは?そのうち日本も中国のようになるのか?

小関:スマホ社会の中国では、パソコンを使わずに全てスマホで完結している。そもそもパソコンは職場で使うくらいで、家に持っていない人も多い。大学生はレポートを音声入力で、スマホで行うくらいだから。そうしてみると、オフラインの場でもスマートフォンが出てくるのは当たり前で、店に行く前も、店舗の中でも商品情報を調べたり、店頭で試して、その場でスマホを使ってECで買うというのも珍しくない。例えば百貨店の化粧品フロアに行ってほしいものがなければ、高確率で店員は「ウィーチャット交換しませんか?」という。つまり店頭の人がスマートフォンを使ったコミュニケーションをするのが標準になっている。日本の若い子も今はあらかじめスマホで調べてから物を買いに行ったりするので、いずれはそうなると思う。

WWD:今は当たり前になっているが、そもそもファッションやビューティなどのライフスタイルカテゴリーが、これまでECやデジタルの発達が進まなかった、その理由は?

小関:洋服やコスメは気分やムード、センスの世界。要は答えがない市場で、選択肢が多い。選択肢が多い中で、自分で選ぶのは面倒くさいし、難しいと感じる人も。だからやっぱり店頭の販売員による接客を求める傾向にある。また日本特有の問題があるとすれば、人材の流通。日本はあまり転職しないことが普通になっていて、業界を変える人も(海外に比べて)少ない。そうすると業界をクロスさせた知見をもっていない。ひとつの業界からすれば当たり前のことを、ほかの業界では気づいていない。新しい技術とか新しいトレンドにキャッチアップするのが遅れがちになる。そもそも硬直的な労働市場で、そもそも店舗のデジタル化、ECにチャンスを見出してもおかしくないけど、そこの人材が供給されない。

WWD:最後に今の日本のファッション、ビューティ、ライフスタイルの小売りの課題は?今後どのように変化していくと思うか?

小関:おそらく、ビジネスモデルの刷新が遅れている企業が多いのではないか。優秀な人材が流れ込みにくくなっていたり、さらに言うとオーナー企業が非常に多い。それらの会社の全盛期が40年前、50年前だとすると、ビジネスモデルの刷新やユーザー向けのサービスの向上が止まっているところも少なくないだろう。コロナは悪い話だが、考える機会を与えたとも思う。今までの考えだと、在庫の8〜9割を店舗で消化しないといけない。ただ店舗が閉まっているし、ECに在庫をあててみたけど思ったほど動かない。これがコロナでみんなが抱える問題。こんな状況下で改めて、ユーザーにどのような価値を提供できるのか、考えるきっかけになったと思う。

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「アレキサンダー・マックイーン」新コンセプト旗艦店はサラ・バートンのこだわり凝縮

 「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」は9月4日、新コンセプトを反映した国内初の旗艦店を東京・表参道にオープンした。クリエイティブ・ディレクターのサラ・バートン(Sarah Burton)と建築家のスミルハン・ラディック(Smiljan Radic)のコラボレーションによりデザインされた新店舗は、有機的で洗練された素材使いが特徴的だ。ブランドが大切にする“自然への敬意”をダイレクトに感じられる心地のよい空間が誕生した。

自然素材を不規則かつ
ダイナミックに

 表参道店は売り場面積262㎡。2フロア構成で1階はウィメンズのウエア&バッグ、2階はメンズとシューズを中心にスモールレザーグッズなどのアイテムも取り扱う。森の中にいるような外に広がる景色との一体感を感じる店内では、トーンの異なる木材をメインに自然素材を贅沢に使用。床や壁には、オークやウォルナット、さらにリサイクルコットンに石膏を混ぜたオリジナルの“コットンクリート”などを用いた。異なる素材を不規則かつダイナミックに配した内装からは、サラの曲線美や調和へのこだわりを感じることができる。

 インテリアや什器にも「全ての女性やコミュニティーを尊重したい」という、サラの理念が反映されている。天井から吊るされたマネキンは、さまざまな方向を向いていて、あらゆる角度から美しい服のシルエットを見ることが可能。まるで街行く人々が、日常で「アレキサンダー・マックイーン」の服を着ているのを眺めているような演出が意図的に施されている。

 店内にそびえ立つガラスシリンダーのフィッティングルームも目を引く。内側から吊るされた特注のタペストリーは、2018-19年秋冬コレクションに登場したバタフライや昆虫モチーフに由来するもの。中に入ると包まれているような安心感があり、ゆったりとした気持ちで試着を楽しめる。さらにアクセサリーを置くディスプレーとして「原石を探し出すのに約1年を費やした」という約1トンの巨大な大理石が店内に点在する。素材の粗さを残した加工からは、長い歳月をかけて形成された自然のエネルギーが感じられる。

クラフツマンシップに隠された
最新テクノロジー

 2階のメンズフロアへと続く螺旋状の階段は、照明をあえて少し暗くしてあり、2階に行くまでの時間も特別に感じられるような空間になっている。階段を上りきると、長いトンネルを抜けたような開放感と表参道のケヤキ並木の明るく爽やかな風景が目に飛び込む。

 表参道店のこだわりは、内外装で表現されるビジュアル部分だけではない。ブランド独自の取り組みとして、商品の動線や在庫管理ができるテクノロジーも導入。クラフツマンシップを感じる店舗とそこに隠された最先端のテクノロジーの対比からも、“コンテンポラリーと伝統”というブランドのアイデンティティーを感じることができる。一方で、ブランド全体では、19年から20年にかけて全世界で多数の店舗をオープン。その中でも、日本の高い接客レベルやストックルームの環境美化などは本国からも高い評価を受けている。2面性を併せ持ったブランドのDNAに敬意を表しながらも、サラのイメージを具現化させた「アレキサンダー・マックイーン」は、新コンセプトのストアとともにさらなる飛躍を目指す。

完売・追加入荷が続く人気アイテム

 表参道店では、ウエアからアクセサリーまでをフルラインアップで展開。中でもスニーカーとブーツがドッキングした“トレッド スリック”は、ティモシー・シャラメ(Timothée Chalamet)、BTSのジョングク(Jungkook)が愛用し、女優のエマ・ロバーツ(Emma Roberts)などが着用したことでさらに人気が高まり、即完売・追加入荷が続いている。同店では、メタルハンドルが付いたアイコンバッグ“ザ ストーリー”やショーのキールックとなったドレスなど、最新アイテムを順次チェックすることができる。


INFORMATION
「アレキサンダー・マックイーン」表参道店

オープン日:2020年9月4日
時間:11:00〜20:00
定休日:不定休
住所:東京都港区北青山3-6-1 オーク表参道

TEXT : ANRI MURAKAMI

問い合わせ先
アレキサンダー・マックイーン
03-5778-0786

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サテンの艶めきを普段使い 異素材ミックスで脱フォーマル

 艶めいたサテン生地はフォーマルドレスのイメージが強い素材ですが、日常の装いに生かすスタイリングが盛り上がってきました。パンツやフリースといった雰囲気の異なる素材・アイテムと合わせて普段の着こなしにシャイニー感を取り入れると、こなれた着映えに整えられます。春夏と比べるとかさばりやすい秋からの装いに、サテンならではの落ち感や気品を添えるミックスコーディネートは魅力がいっぱいです。

 「アンテプリマ(ANTEPRIMA)」は、ストライプのサテンシャツワンピースからスリップをチラ見せするコーデを披露。ゆったりしたピンクベージュのパンツを合わせて、気負わないエフォートレスな着こなしに。このようにメンズ系アイテムと合わせるとドレッシーに見えすぎないので、普段使いしやすくなります。今回は、相次いで提案されているサテンアイテムの今季流スタイリングのコツを探りました。

“脱エレガンス”なワンピースでこなれ感アップ

 艶めきを帯びたサテンワンピは見た目の印象が強いので、別のアイテムを合わせて全体のトーンを整えるコーディネートが効果的。ドレッシーになりすぎないよう加減すれば、着て行けるシーンが広がります。

 同系色のミリタリー風CPOジャケットを羽織ったスタイルを提案したのは、「アンスリード(UN3D.)」。ワンピースの上からオーバーサイズのジャケットを重ねて、のどかなたたずまいに。手まで隠れるロングスリーブとアシンメトリーな裾が動きを演出しています。

 2枚目写真の「ネーム(NAME.)」は、ワンピースの下にカジュアルなパンツをはいて、イメージを一新。ロング丈のワンピースとの相乗効果で、縦落ち感もアップ。どてっとした靴は意外性があって、クラシックなドレスにタフ感を添えました。

同系色の素材違いでムードを深く

 艶やかさが持ち味のサテンだけに、風合いの異なるアイテムとのミックスは光沢感を引き立てる効果があります。もふもふのフリースや柔和なニットは、サテンとの相性が抜群です。

 トレンドのラベンダーパープルでまとめたのは「ザ ケイジ(THE KEIJI)」。サテン地で仕立てたプリーツスカートにフリースジャケットを重ねて、異素材ミックスコーデに。ドレッシーなアイテムを適度にトーンダウンさせたい場合、フリースやブルゾンは重宝します。

 また、シャイニーな質感が特徴のサテンとマットな風合いのニットは、風合いの違いを際立たせるうえで絶好のパートナー。2枚目の「アメリ(AMERI)」は、全体の色味をワントーンで整えつつも上下で素材感をずらして、味わい深い装いに導きました。気品を漂わせるキーアイテムは、サテンが艶めきを放つワイドパンツ。あえてバルキー編みのニットセーターと合わせて量感の面でもめりはりを出しています。

ハンサムなパンツと合わせて、顔周りを“リモート映え”

 光を反射するサテンはトップスに迎えると顔周りがパッと明るくなるので、オンライン会議でも効果を発揮。“リモート映え”の切り札アイテムになってくれます。

 「セモー(SEMOH)」はシャイニーなブルーのシャツルックを提案。ダークカラーにまとまりがちな秋冬ルックにあでやかさを盛り込んでくれます。マットな質感の黒パンツと合わせれば、グラマラスとりりしさが交じり合うスタイリングの完成です。

 ドレープの陰影を深くしてくれるのもサテン生地のいいところ。2枚目の「マヌカンズジャポン(MANNEQUINS JAPON)」は、優美なシルエットのサテンブラウスでエレガンスを薫らせました。複雑に入り組んだドレープがレディーライク。ゆったり幅のワイドパンツに古風な帽子とネックウエアを添えて、レトロフューチャーな着こなしに導きました。

 サテン素材の上手な使い方は、ワンアイテムに絞ったピンポイント投入。残りのアイテムとの“ずれ感ミックス”が着こなしのムードを深くします。上品に華やぐ魅力を生かし、カジュアルなパンツやアウターと組み合わせるドレスダウンにも向いています。サテンウエアで艶めきをまとって、秋の着こなしのアップデートに役立ててみてください。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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今なぜ革靴ブランドをつくるのか? “日本発のアメリカ靴”「アーチケリー」の場合

 ビジネスウエアのカジュアル化やコロナショックによる自粛生活の長期化により、革靴の需要が減っている。そんな中にあって、今年7月にデビューした日本の革靴ブランドがある。名前は「アーチケリー(ARCH KERRY)」。既製品を作らず、全て受注生産する。価格は9万3000円~と決して安くはないが、清水川栄ディレクターは自信を見せる。今、革靴ブランドをスタートさせる意義、またその勝算について聞いた。

WWD:大逆風の中での船出となった。

清水川栄「アーチケリー」ディレクター(以下、清水川):もともと4月のデビューを目指していたが、コロナショックを受けて最初の展示受注会を7月に延期した。

WWD:「アーチケリー」は受注生産のみで、既製品の卸はしない?

清水川:ブランディング、生産力の2つの側面から現状では考えていない。前者は“一人一人に適正な靴を届けたい”という思いによるもので、東京・文京区にある事務所の階下のイベントスペースで定期的に展示受注会を開催している。次回は9月26、27日で、これが3回目となる。年内にあと3回は実施したい。後者は現状、納品が4カ月待ちになってしまっているので、これを半分の2カ月に短縮にすることが先決だと思っている。また、コロナ下で在庫を抱えることのリスクも考えた。そういった総合的な判断によるものだが、近い将来、百貨店やセレクトショップ、専門店でトランクショー(出張展示受注会)が開催できればと考えている。

WWD:世間にはあまたの革靴が存在しており、同時に市場は縮小している。そんな中でも光る「アーチケリー」の特別性とは?

清水川:約20年間、小売りの現場でたくさんの靴を見てきた。確かに市場には革靴があふれているが、ないものが一つあった。それが“1950~60年代風のアメリカンドレスシューズ”だ。アメリカ靴と聞くと武骨なイメージがあるが、一気に量産化が進む70年代以前の靴には繊細さと個性がある。「アーチケリー」の代表モデルであるパンチドキャップトウシューズは内羽根の7アイレット仕様だ。アイレットの数が増えるとレースステイが広くなり、結果としてキャップトウ(先端)部分が狭く、ドレッシーな印象になる。

目指したのは“繊細な美しさを持ち、履き心地のよいドレス靴”

WWD:実際どんな人がオーダーしている?

清水川:靴好き、ビンテージ好きの男性だ。インスタグラムを使って告知したこともあり、年代は30代が中心と若い。

WWD:オーダーの流れを教えてほしい。

清水川:まずはパンチドキャップトウ、Vチップ、Uウイング、ホールカットの4つから好みのデザインを、続いて国産カーフ、スエード、コードバンなどから革を選ぶ。そしてサイズサンプルを用いてフィッティングを行う。人間の体は左右が完全に対称ということはなく、スポーツ選手やケガをした方の場合、足のサイズが左右で異なることもある。そういった悩みにも対応できるのがオーダーメードだ。また甲高の日本人の足に合わせて、アッパーの調整も可能だ。カウンセリングを経て完成した仕様書は東京・浅草にある工房に送られる。そこで待っているのがビジネスパートナーの舘篤史マスターシューメーカーだ。舘を中心とする職人チームが一足ずつ手作業で生産し、これによって履き心地とフォームの美しさが向上する。

WWD:生産過程にも「アーチケリー」らしさがある?

清水川:特筆すべきは精緻なステッチワークだ。また革の縫い合わせ部分を薄くすいて、折り込んで縫い付ける“カールエッジ”と呼ばれる技法も用いる。靴底は全てレザーソールで、これらはいずれも50~60年代のアメリカ靴の特徴だ。こういったアイデンティティーを日本人のきめ細かな仕事で完成させる。“精緻な表情”こそ「アーチケリー」らしさと言える。

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卑弥呼の新社長はアルバイトから入社した30代 「オリエンタルトラフィック」成長の立役者

 婦人靴の卑弥呼が、新たな改革を進めている。5月1日付で婦人靴ブランド「オリエンタルトラフィック(ORIENTAL TRAFFIC)」を運営するダブルエーの子会社となり、新社長にはダブルエーの新井康代取締役(38)が就任した。

 2020-21年秋冬はこれまで展開してきた6ブランドを、「卑弥呼」「HIMIKO」「ウォーターマッサージ 卑弥呼(WATER MASSAGE HIMIKO)」の3ブランドに統合し、ロゴも一新。商品供給では型数を絞って売れ筋商品の在庫を確保し、店頭とECの在庫を連動させて欠品による買い逃しを減らす。また「オリエンタルトラフィック」でのノウハウを生かし、トレンド感を取り入れたデザインを増やすほか、ノベルティーフェアや、下取りサービスなどの顧客サービスも充実させる。

 新井新社長は「オリエンタルトラフィック」での顧客目線のモノ作りをはじめ、サービスの向上、ブランドイメージの確立に寄与してきた人物。下北沢1号店でのアルバイトを経て、新卒入社。店長やマネジャー、商品企画、取締役などを経験してきた。ファッション企業ではまれな30代の女性社長である同氏にこれまでのキャリアや今後の卑弥呼の戦略について聞いた。

WWD:簡単にこれまでの経歴を教えてほしい。

新井康代・卑弥呼社長(以下、新井):文化服装学院でシューズデザインを学んでいた2002年に、靴の勉強をしたいとアルバイトを始めたのが下北沢の「オリエンタルトラフィック」1号店でした。卒業後にはそのままダブルエーに新卒で入社し、販売員を経て、マネジャー、店舗統括、商品部部長、13年には商品部部長と兼任で取締役になりました。振り返れば、売り場から社長に意見を出すなど、とても生意気な社員だったと思うんですけど、「会社がよくなるために」と行動してきました。現状の下取りやサイズ調整、修理などの店頭サービスの導入に携わってきたほか、出店を加速したタイミングで、モデルを起用したカタログ制作などを始めるなどブランディングにも関わってきました。今もダブルエー取締役を兼任しているので、ダブルエーの恵比寿本社と卑弥呼の渋谷オフィスを半日ずつで行き来しています。

WWD:ダブルエーは女性リーダーが多い?

新井:たくさんいます。役員も社長以外は全員女性です。社長自身がやる気のある人の意見を尊重してくれるタイプなので、どんどん任せてもらってきました。社長はいつも「女性にはかなわない」と言っています(笑)。

WWD:卑弥呼社長に就いて、率直な感想は?

新井:「オリエンタルトラフィック」では合皮皮革を中心に使った海外生産のシューズを扱ってきたので、国産の革靴という新しいジャンルを勉強できるのも魅力に感じました。異なる百貨店の売り場の知識も広がると思って引き受けました(「オリエンタルトラフィック」はショッピングセンターなどが中心)。

課題は「定番頼りで、新しいデザインが少ない」

WWD:卑弥呼の印象は?

新井:強みはこだわりを持ってしっかりと商品を作っているところですね。長い歴史があるので、履き心地のいいラスト(木型)や、特許を取得している水様液を入れたインソールを使った「ウォーターマッサージ」など、戦っていけるブランドがあります。履き心地のいい定番が多く、顧客さまに人気の商品っていうのはたくさんある一方で、常に売り上げの上位が定番で、新しいデザインが少ないのが課題に感じました。

WWD:どのように改革を進める?

新井:新しいお客さまを取り込んでいくためにブランドを編成し直すことにしました。これまで6ブランド展開していたところを、分かりやすく「卑弥呼」「HIMIKO」「ウォーターマッサージ」の3ブランドに集約。漢字表記の「卑弥呼」は3年ぶりに復活させ、ロゴも少し女性らしさが出るように、線を細くしてデザインをリニューアルしました。「卑弥呼」は社を代表する定番商品を扱い、サイズ展開もしっかりそろえていき、ローマ字の「HIMIKO」では、トレンド感のある素材感、少し遊びを取り入れて新規のお客さまにもアプローチできるブランドにしていきます。「ウォーターマッサージ」はこれまでも独立したブランドでしたが、「ウォーターマッサージ卑弥呼」として、“卑弥呼”の名前を入れて打ち出していきます。

WWD:ブランドを絞ることで、在庫の持ち方も効率化する?

新井:在庫はしっかりと積んでいきたいと思っています。特に「卑弥呼」は通年で売っていく定番商品なので、型数を狭めることで1型当たりの発注数を増やすことができますし、より一点一点をヒット作につながるようにしていきたいと思っています。今後、型数は増やす可能性もありますが、吟味しながら対応していきたいです。

WWD:サービス面ではどのようなことを強化していくのか?

新井:販促面では、春夏からシューズボックスを一新しました。これまではすぐつぶれてしまうような箱だったのですが、厚みのある高級感を持たせた素材に変更し、保存袋も一緒にお付けしています。すでに好評をいただいており、秋冬も継続することに決めました。また、新たにノベルティーフェアを開催し、ティペットをプレゼントして他者と差別化を図ります。さらに、お客さまの不要になった靴を引き取って、金券に引き換える下取りサービスも取り入れたいと考えています。「オリエンタルトラフィック」でも行ってきたサービスですが、来店頻度も上がり、リピーターを増やすことができました。「卑弥呼」はすでに顧客、リピーターが多いので、買い替えの施策として取り入れたいと考えています。

他社も厳しい状況は逆にチャンス 
「私たちやる気あります!」とアピール

WWD:現在50店を出店しているが、店舗は増やしていくのか?減らしていくのか?

新井:経営状況を見て検討していく部分ですが、他社も厳しい状況にあるので逆にチャンスでもあると思っています。例えば、もっと売り場面積が広ければ売り上げを見込める店舗については、拡大を考えるなどアプローチをしたいですし、店舗開発も考えていきたいと思っています。百貨店関係者の方にも「在庫ありますよ!私たちやる気あります!」ということをお伝えして攻めているところなので、結果を出していきたいと思っています。

WWD:店頭とECとの連動を強化するオムニチャネルを進めている。

新井:店頭スタッフへのヒアリングを進めていると、「在庫がない」ということが一番の不満になっていました。サイズ欠けで売り逃すことも多く、取り寄せをしても1〜2週間先になってしまうため、せっかく接客をしてもお客さまにご提供できず、売り場のモチベーションも下がってしまう。その解決策として、ECに多く在庫を持ち、店頭で販売したい商品をECから発送できるようにしました。できるだけお客さまが“欲しい”と思ったものを購入できるような体制を作りたいと考えています。

WWD:ECの戦略については?

新井:現在のEC化率は約15%ですが、今後直近で20%くらいにしていきたいと思っています。「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」、マルイ、ロコンドなどのECモールにも出店していますが、自社ECが圧倒的に強いです。ECは成長の一つのエンジンだと思っているので、しっかりと在庫をそろえて店との連携も強化していきます。

WWD:職場のカジュアル化でのパンプス離れ、コロナ禍でリモートワークが進み通勤靴の売れ行きに変化がありそうだ。今後の提案は変わると考えている?

新井:通勤とプライベートとの併用が増えていくと思うので、「卑弥呼」では強みである履き心地は今後もアピールしていける部分だと思っています。きれいな形のパンプスやヒールシューズが定番でそろっているので、今後も履き心地には注力していきたいですね。また、ローマ字表記の「HIKIMO」では、トレンド感のあるデザインも取り入れていきます。シューズを履くときの高揚感というも大事ですので、お客さまにぴったり合う一足を提供していきたいです。

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デジタル・コレクションの賛否両論 海外ジャーナリスト6人が予想する今後のファッション・ウイーク

 6月に開催されたメンズのデジタル・ファッション・ウイークを海外のファッション業界人はどう見たのだろうか。パンデミックを機に、ファッションショーはデジタルという手法で世界中の人に開放された。ポジティブな面もある一方で、ファッションショーの目的やジャーナリストの役割にも変化が起きている今後のデジタル・コレクションの可能性や課題について、各国ジャーナリスト6人の見解を聞いた。

「犠牲はファッションに魅了されるための魔力」
アレキサンダー・フューリー/「フィナンシャル・タイムズ」「アナザー・マガジン」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

怒濤のスケジュールではあるがショーを見逃すことはなく、リンクをクリックするだけで全てがそこにある便利さは言うまでもない。しかし、直接取材できないことがこれらの長所を打ち消している。ジャーナリストとして、間接的に話すことの大変さに気付かされた。電話やZoomでの取材は対面のそれとは大きく異なり、効率的かもしれないが、妥協でもあると感じた。ファッションにはコミュニティーがあり、人々はそれを愛し、夢を見ているから。私はその感覚を恋しく感じた。 

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「ディオール(DIOR)」でのキム・ジョーンズ(Kim Jones)のフィルムとドキュメンタリーの組み合わせは、深みと豊かさをもたらせた。またオンラインとフィジカルを融合したジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)の能力の高さが「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」と「ロエベ(LOEWE)」の両方で際立っていたし、「プラダ(PRADA)」も、ブランドの精神を反映した5つの異なる見せ方で新たな可能性を示してくれてうれしかった。「エルメス(HERMES)」はパリのアトリエで撮影した美しい動画だった。クラフトを優先し、甘くエレガントで、服の軽やかさが画面でもはっきりと知ることができた。

Q.今後もデジタル・コレクションは継続してほしい?

デジタル・コレクションは私にとって有益なトレーニングになったと考えている。不満を言うことは控えたい。私たちは、狂気的なスケジュールや遠方への移動、長い日中と短い夜というリアルなファッション・ウイークでは当たり前の状況に嘆き、苦しんできた。でも「その犠牲はファッションに魅了されるための魔力」なのだと伝えたい。みんなが安全な状況で集まり、素晴らしく感動的で有意義なファッションショーを見ることができるようになるのを待ちきれない。私がファッションを愛する理由はそこにあるからだ。

「ショーの価値を再考する機会に」
カティ・チトラコーン/「ヴォーグ・ビジネス」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

ブランドがショーの価値を再考する機会になるだろう。消費者もよりイベントにアクセスしやすくなり、ファッション業界の排他性が低下して民主化が進むと考えている。ただ、デジタルのショーをフィジカルのイベントの感覚と置き換えることはほぼ不可能だ。一部のブランドは実際に服を見るのが難しく、消費者に役立つかどうかも疑問だった。ほとんどの大手ブランドはこの状況が落ち着くのを待って、ファッション・ウイークは再び通常通りに戻るのではないだろうか。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「エルメス」「ジェイ ダブリュー アンダーソン」「ロエベ」だ。「エルメス」はクラフト感を優先した映像で、甘くエレガント、かつ軽快で、画面で服をはっきりと見ることができた。通常は見られないアトリエの中が見られたのもよかった。「ロエベ」は、プレスやバイヤーにはエレメントを詰めたボックスを送り、消費者にはソーシャルメディアや公式サイトで24時間のストリーミングコンテンツを配信して、全方位を完璧に網羅していて感心した。

Q.デジタル・コレクションを体験して感じたメリットとデメリットは?

デジタルのショーは資源や関わる全ての人の時間を節約する。しかし、オンラインに格納されて急いで見る必要がなくなる分、インターネット上の全てのコンテンツが競合関係となる難しさもある。「ファッション・ウイークは誰のために開かれるもの?」という議論が、世界で加速していくだろう。ケリング(KERING)の「グッチ(GUCCI)」や「サンローラン(SAINT LAURENT)」は、秋のファッション・ウイーク参加を見送り、コレクションのスケジュールを再編する意向を表明しているものの、今後はほとんどのブランドが状況が落ち着くのを待ち、ファッション・ウイークは以前のように戻るのではないかと思う。

「デジタルに置き換えることはできる」
マキシム・ルテイヨ/「アンチドート」

Q.デジタルのショーやショールームは今後も継続してほしい?

リアルのファッション・ウイークはたくさんの人に出会うきっかけになるし、感情を揺さぶる力を持っているから大好きだ。でも、それらをデジタルに置き換えることだってできると考えている。フィジカルなショーには巨額の資金が必要で、若手デザイナーにはハードルが高い。でもデジタルであれば彼らのコレクションを多くの人に見てもらうチャンスが広がる。また環境に配慮した物作りを推進するならば、参加するイベントについても同様に考えるべきだ。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」は映像とショールームでのプレゼンテーションを活用した見事な対応だった。ビデオプレゼンテーションではデザイナーのグレン・マーティンスがスタイリングをいくつも披露してくれて、わかりやすかった。リアルのショーでここまでの奥行きを見せるのは不可能だと思う。

Q.従来のファッション・ウイークのあり方についてあらためて考えたことは?

まず、メンズとウィメンズは一つにまとめるべき。時代が変わっているので、別々に開催することの意味はますます薄れていくだろう。統合することで、世界のジャーナリストやバイヤー、インフルエンサーの移動も少なくなる。

「インフルエンサー頼みではなく本質を考えるきっかけに」
ロッティ・ホウ/中国版「フォーブス」「エル」「ヴォーグ」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

移動の労力と時間がかからず、ストレスが少なくてよかった。ブランドにとっても、自分たちがどこを目指すべきかを考えるきっかけになったのでは。インフルエンサーの目を引くだけではなく、新しい技術で本質をどう伝えるかを考えて取り組めたはずだ。一方で、ファッションは特権的であるともあらためて思った。全てがデジタル化し、世界中の誰もがファッション・ウイークに参加しても、大衆のマーケットがファッション業界を先導するとは思えないし、フィジカルなショーの魅力をバーチャルの便利さと置き換えることは私にはできなかった。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「エルメス」のショーはライブストリーミングの面白さがあった。チーム全体がどのように連係したか、スタイリストがモデルに服をどう着せたか、ディレクターがどう指揮しているのかなどを確認できた。とても興奮したし、緊張感もあった。

Q.デジタル・コレクションを体験して感じたメリットとデメリットは?

ファッション・ウイークのデジテル化は、ファッション業界に必要な革命だったと思う。予算が少ないブランドもチャンスが広がっただろう。ショールームにはさらに適している。バイヤーやジャーナリストは服を見られる機会がさらに増える。しかし現状はリアルと置き換えるものではなく、デジタルはあくまでリアルを補完するものである。次の革命が起こるまで、リアルとデジタルは共存していくだろう。

「ベッドの上で体験するクチュールには違和感」
キャサリン・コリングス/「フー・ワット・ウェア」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

世界中からでも誰でも参加できることは、明白なメリットだ。デザイナーがデジタル化に挑戦しているのもよかった。大きな変化は、独創性や新たな視点をさらに磨いてくれるから。ただリアルのショーでの魔法のような経験は、デジタルに置き換えられるものではない。ソーシャルメディアでは視聴者が集中して見られる時間は短い。私の拠点はアメリカ西海岸なので、時差も辛かった。ベッドの上でクチュールの美しさを体験するのは違和感があった。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「シャネル(CHANEL)」「バルマン(BALMAIN)」「ジャンバティスタ ヴァリ(GIAMBATTISTA VALLI)」は見事だった。「シャネル」はコレクションのムードと職人技に対する理解を深めるのに役立つ素晴らしい内容だったし、「バルマン」の映像からは強いエネルギーを感じた。セーヌ川を下るボートの上をランウエイにし、パリの人も喜んだのではないだろうか。デザイナーのオリヴィエ・ルスタンの若々しさも魅力的だった。「ジャンバティスタ ヴァリ」は催眠術のような映画仕立てで、ほかの多くのブランドよりも完成度は抜きんでていた。

「今後は服のデザインだけでは通用しない」
ユラ・オウ/韓国版「デイズド」

Q.デジタルのショーやショールームは今後も継続すると思う?

世界が大変な状況だが、それでもフィジカルなショーは続くと考えている。韓国・ソウルだと時差があり、就寝前にスマートフォンでコレクションを見ていた。一部のブランドは事前に契約を結んだり、承認が必要だったりで、アクセスが非常に困難だったため、混乱した。でも今後は、ブランドのクリエイティブ・ディレクターはデジタルコンテンツ制作を担う必要があると感じた。服のデザインだけでは通用せず、あらゆる表現方法をビジネスにどうつなげるかを考えなければならない。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「プラダ」は何十年にもわたってショーを行ってきたが、今回発表したムービーの最後に残した“The Show That Never Happened”という字幕が強烈だった。ミウッチャ・プラダがいつものショーのように挨拶に出てきたとき、彼女にまた会いたいと強く思わされた。5人のアーティストがそれぞれの解釈で異なる「プラダ」を表現したのも興味深かった。ほかにも「ジェイ ダブリュー アンダーソン」から届けられたキットにはデザイナー自身の誠意を感じたし、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」もよかった。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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デジタル・コレクションの賛否両論 海外ジャーナリスト6人が予想する今後のファッション・ウイーク

 6月に開催されたメンズのデジタル・ファッション・ウイークを海外のファッション業界人はどう見たのだろうか。パンデミックを機に、ファッションショーはデジタルという手法で世界中の人に開放された。ポジティブな面もある一方で、ファッションショーの目的やジャーナリストの役割にも変化が起きている今後のデジタル・コレクションの可能性や課題について、各国ジャーナリスト6人の見解を聞いた。

「犠牲はファッションに魅了されるための魔力」
アレキサンダー・フューリー/「フィナンシャル・タイムズ」「アナザー・マガジン」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

怒濤のスケジュールではあるがショーを見逃すことはなく、リンクをクリックするだけで全てがそこにある便利さは言うまでもない。しかし、直接取材できないことがこれらの長所を打ち消している。ジャーナリストとして、間接的に話すことの大変さに気付かされた。電話やZoomでの取材は対面のそれとは大きく異なり、効率的かもしれないが、妥協でもあると感じた。ファッションにはコミュニティーがあり、人々はそれを愛し、夢を見ているから。私はその感覚を恋しく感じた。 

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「ディオール(DIOR)」でのキム・ジョーンズ(Kim Jones)のフィルムとドキュメンタリーの組み合わせは、深みと豊かさをもたらせた。またオンラインとフィジカルを融合したジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)の能力の高さが「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」と「ロエベ(LOEWE)」の両方で際立っていたし、「プラダ(PRADA)」も、ブランドの精神を反映した5つの異なる見せ方で新たな可能性を示してくれてうれしかった。「エルメス(HERMES)」はパリのアトリエで撮影した美しい動画だった。クラフトを優先し、甘くエレガントで、服の軽やかさが画面でもはっきりと知ることができた。

Q.今後もデジタル・コレクションは継続してほしい?

デジタル・コレクションは私にとって有益なトレーニングになったと考えている。不満を言うことは控えたい。私たちは、狂気的なスケジュールや遠方への移動、長い日中と短い夜というリアルなファッション・ウイークでは当たり前の状況に嘆き、苦しんできた。でも「その犠牲はファッションに魅了されるための魔力」なのだと伝えたい。みんなが安全な状況で集まり、素晴らしく感動的で有意義なファッションショーを見ることができるようになるのを待ちきれない。私がファッションを愛する理由はそこにあるからだ。

「ショーの価値を再考する機会に」
カティ・チトラコーン/「ヴォーグ・ビジネス」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

ブランドがショーの価値を再考する機会になるだろう。消費者もよりイベントにアクセスしやすくなり、ファッション業界の排他性が低下して民主化が進むと考えている。ただ、デジタルのショーをフィジカルのイベントの感覚と置き換えることはほぼ不可能だ。一部のブランドは実際に服を見るのが難しく、消費者に役立つかどうかも疑問だった。ほとんどの大手ブランドはこの状況が落ち着くのを待って、ファッション・ウイークは再び通常通りに戻るのではないだろうか。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「エルメス」「ジェイ ダブリュー アンダーソン」「ロエベ」だ。「エルメス」はクラフト感を優先した映像で、甘くエレガント、かつ軽快で、画面で服をはっきりと見ることができた。通常は見られないアトリエの中が見られたのもよかった。「ロエベ」は、プレスやバイヤーにはエレメントを詰めたボックスを送り、消費者にはソーシャルメディアや公式サイトで24時間のストリーミングコンテンツを配信して、全方位を完璧に網羅していて感心した。

Q.デジタル・コレクションを体験して感じたメリットとデメリットは?

デジタルのショーは資源や関わる全ての人の時間を節約する。しかし、オンラインに格納されて急いで見る必要がなくなる分、インターネット上の全てのコンテンツが競合関係となる難しさもある。「ファッション・ウイークは誰のために開かれるもの?」という議論が、世界で加速していくだろう。ケリング(KERING)の「グッチ(GUCCI)」や「サンローラン(SAINT LAURENT)」は、秋のファッション・ウイーク参加を見送り、コレクションのスケジュールを再編する意向を表明しているものの、今後はほとんどのブランドが状況が落ち着くのを待ち、ファッション・ウイークは以前のように戻るのではないかと思う。

「デジタルに置き換えることはできる」
マキシム・ルテイヨ/「アンチドート」

Q.デジタルのショーやショールームは今後も継続してほしい?

リアルのファッション・ウイークはたくさんの人に出会うきっかけになるし、感情を揺さぶる力を持っているから大好きだ。でも、それらをデジタルに置き換えることだってできると考えている。フィジカルなショーには巨額の資金が必要で、若手デザイナーにはハードルが高い。でもデジタルであれば彼らのコレクションを多くの人に見てもらうチャンスが広がる。また環境に配慮した物作りを推進するならば、参加するイベントについても同様に考えるべきだ。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」は映像とショールームでのプレゼンテーションを活用した見事な対応だった。ビデオプレゼンテーションではデザイナーのグレン・マーティンスがスタイリングをいくつも披露してくれて、わかりやすかった。リアルのショーでここまでの奥行きを見せるのは不可能だと思う。

Q.従来のファッション・ウイークのあり方についてあらためて考えたことは?

まず、メンズとウィメンズは一つにまとめるべき。時代が変わっているので、別々に開催することの意味はますます薄れていくだろう。統合することで、世界のジャーナリストやバイヤー、インフルエンサーの移動も少なくなる。

「インフルエンサー頼みではなく本質を考えるきっかけに」
ロッティ・ホウ/中国版「フォーブス」「エル」「ヴォーグ」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

移動の労力と時間がかからず、ストレスが少なくてよかった。ブランドにとっても、自分たちがどこを目指すべきかを考えるきっかけになったのでは。インフルエンサーの目を引くだけではなく、新しい技術で本質をどう伝えるかを考えて取り組めたはずだ。一方で、ファッションは特権的であるともあらためて思った。全てがデジタル化し、世界中の誰もがファッション・ウイークに参加しても、大衆のマーケットがファッション業界を先導するとは思えないし、フィジカルなショーの魅力をバーチャルの便利さと置き換えることは私にはできなかった。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「エルメス」のショーはライブストリーミングの面白さがあった。チーム全体がどのように連係したか、スタイリストがモデルに服をどう着せたか、ディレクターがどう指揮しているのかなどを確認できた。とても興奮したし、緊張感もあった。

Q.デジタル・コレクションを体験して感じたメリットとデメリットは?

ファッション・ウイークのデジテル化は、ファッション業界に必要な革命だったと思う。予算が少ないブランドもチャンスが広がっただろう。ショールームにはさらに適している。バイヤーやジャーナリストは服を見られる機会がさらに増える。しかし現状はリアルと置き換えるものではなく、デジタルはあくまでリアルを補完するものである。次の革命が起こるまで、リアルとデジタルは共存していくだろう。

「ベッドの上で体験するクチュールには違和感」
キャサリン・コリングス/「フー・ワット・ウェア」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

世界中からでも誰でも参加できることは、明白なメリットだ。デザイナーがデジタル化に挑戦しているのもよかった。大きな変化は、独創性や新たな視点をさらに磨いてくれるから。ただリアルのショーでの魔法のような経験は、デジタルに置き換えられるものではない。ソーシャルメディアでは視聴者が集中して見られる時間は短い。私の拠点はアメリカ西海岸なので、時差も辛かった。ベッドの上でクチュールの美しさを体験するのは違和感があった。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「シャネル(CHANEL)」「バルマン(BALMAIN)」「ジャンバティスタ ヴァリ(GIAMBATTISTA VALLI)」は見事だった。「シャネル」はコレクションのムードと職人技に対する理解を深めるのに役立つ素晴らしい内容だったし、「バルマン」の映像からは強いエネルギーを感じた。セーヌ川を下るボートの上をランウエイにし、パリの人も喜んだのではないだろうか。デザイナーのオリヴィエ・ルスタンの若々しさも魅力的だった。「ジャンバティスタ ヴァリ」は催眠術のような映画仕立てで、ほかの多くのブランドよりも完成度は抜きんでていた。

「今後は服のデザインだけでは通用しない」
ユラ・オウ/韓国版「デイズド」

Q.デジタルのショーやショールームは今後も継続すると思う?

世界が大変な状況だが、それでもフィジカルなショーは続くと考えている。韓国・ソウルだと時差があり、就寝前にスマートフォンでコレクションを見ていた。一部のブランドは事前に契約を結んだり、承認が必要だったりで、アクセスが非常に困難だったため、混乱した。でも今後は、ブランドのクリエイティブ・ディレクターはデジタルコンテンツ制作を担う必要があると感じた。服のデザインだけでは通用せず、あらゆる表現方法をビジネスにどうつなげるかを考えなければならない。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「プラダ」は何十年にもわたってショーを行ってきたが、今回発表したムービーの最後に残した“The Show That Never Happened”という字幕が強烈だった。ミウッチャ・プラダがいつものショーのように挨拶に出てきたとき、彼女にまた会いたいと強く思わされた。5人のアーティストがそれぞれの解釈で異なる「プラダ」を表現したのも興味深かった。ほかにも「ジェイ ダブリュー アンダーソン」から届けられたキットにはデザイナー自身の誠意を感じたし、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」もよかった。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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小売業の熱気を伝える エディターズレター(2020年7月22日配信分)

※この記事は2020年7月22日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

小売業の熱気を伝える

 「セシルマクビー」の全店撤退を発表したジャパンイマジネーション・木村達央社長のインタビューを読んで、平成ギャルブームの熱気を思い出した。全盛期を振り返って次のように語っている。

 「地方に『セシル』をオープンすればかなりの行列ができ、救急車が出動するような事態もあった。セールや福袋の販売時もビックリするくらいお客さまに来ていただいて、渋谷109の福袋の販売では宮益坂まで行列が続いたこともあった」

 確かに全盛期のギャル系ブランドには凄まじい熱狂があった。渋谷109の店内は毎日がイベントのように賑わい、バックヤードから運ばれた服が奪い合いになるような場面も目撃した。人気ブランドのレジはすぐにお札でいっぱいになる。よく売れるというだけではない。10代の女子高生たちがお小遣いを握りしめて、折り畳まれた千円札を差し出すため、重ねるとかさばるのだった。

 記者としては、目の前で大きなうねりが起きている現場の取材が好きだ。マルキュー全盛期の熱狂だけでなく、日本初上陸ブランドのオープンや正月の初売りセールの行列もたくさん取材した。お客さんの興奮がこちらにも伝わる。あるいは長年親しまれた百貨店の最後の営業日には別れを惜しむ大勢の人が訪れ、インタビューすれば時には涙を流しながら思い出を話してくれる。現場で目にしたディテールを細かく描写し、読者が追体験できるような臨場感のあるリポートを心がけてきた。

 ところが、デジタルの時代になって、この消費の現場が見えづらくなった。消費の大きなうねりはリアルの売り場ではなく、スマホの中で起きている。企業が発表する数字やSNSのコメントは見ることができるが、消費者の熱狂や肉声を伝えることは難しくなった。

 スポーツ記者はアスリートにインタビュー取材するだけでなく、試合などのパフォーマンスの現場も取材しているはずだ。同じように小売業を取材する記者も、ショッピングの現場をつぶさに観察したい。インタビューはインタビューで発見が多いけれど、自分の目で出来るだけ物事が動く瞬間を見てみたい。

 コロナ禍においては、人々が集まって熱気を生むような売り場の取材は難しい。でも試行錯誤が続くデジタル上では、さまざまなドラマが起きているはずだ。売り場の取材とは違った方法で、携わる人たちの息づかいや熱気を伝える方法はないか。「セシルマクビー」の記事に時代の流れを感じつつ、そんなことを考えた。

MARKET VIEW:ファッション市場で日々発信されるホットなニュースを、「WWDジャパン」のビジネス担当記者がコンパクトに解説するメールマガジン。ニュースを読み解くヒントを提供します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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オンラインでのコレクション発表、見ましたか? エディターズレター(2020年7月30日配信分)

※この記事は2020年7月30日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

オンラインでのコレクション発表、見ましたか?

 これまでコレクションは現地に行く取材陣がカバーしてきましたが、オンラインで世界に平たく一斉発表となったこのコロナ禍。ランウエイの世界同時中継は行われてきていましたが、今回は発表形式も含めてどんなものが見られるのか分からないこともあり、興味津々ですよね。

 そして、米国版には主要なブランドのデザイナーやCEOのインタビューがバンバン上がってます。やはり現地に記者がいてがっつり食い込んでいる米国版強し!というわけで翻訳チーム、忙しく稼働しております!

 どうやらパリの14〜15時くらいが世界の主要都市がほぼ起きているゴールデンタイムなようです。日本は21〜22時で、家で見られる時間ということもあり、私もいくつか見てみました。

 リアルタイムで最初に見たのが「ルイ・ヴィトン」メンズ。夕飯を食べ終わって、夫とキッズ(6歳と4歳の女児)とでiPad鑑賞しました。服はほとんど出てこず、「これから旅に出るぞ!」的な楽しい動画であっという間に終了(1番目の記事参照)。

 「え、今ので終了??」と翻訳チームのスラックにコメントして、キッズを寝かせていたら「上海(でのショー)が本番なのでしょうね」と村上編集長からリアクションをいただきました(笑)。

 続いて「グッチ」です。こちらは12時間配信というので、スマホでショーの準備の様子をチラ見しながら夕飯作り。ちょうど食べ終わった頃にコレクション発表の時間になりました。うちのiPadは音がイマイチだわと、今回はMacBook Airで鑑賞。ショーの準備と並行してルックの説明が始まりました!しかし、待てど暮らせどショーは始まりません……。

 「始まらないね」とまたスラックにコメントして、キッズを寝かせた後に確認したら「あれで終わりらしいよw」とまた村上編集長から。「マジですか〜‼︎」とベルリン在住の藪野通信員と絶叫しました(苦笑)。

 ミケーレがイタリア語で話している内容が英語で表示されていたのですが、家族でワイワイ見てるので、あまり理解しておらず……。画面が小さかったり、ワイワイして音聞こえなかったりというのは良くないわね、と反省しました(2番目の記事参照)。

 「ヴァレンティノ」は22時スタートだったので、先にキッズを寝かしつけ、テレビ(32インチ)を接続して、万全の態勢で臨みました。会場はイタリア映画の故郷、チネチッタ。モデルたちが着る白いスーパーロングドレスに映像が映し出されたり、縦横無尽に動くカメラがさまざまな角度からドレスに迫ったりと、まさにニック・ナイトとのコラボレーション、ここに極まれり!これはランウエイ形式ではできなかったよねーーという幻想的な世界を作り上げていました(3番目の記事参照)。

 正直、これライブでやる必要はあるのかな〜とは思いましたが、やはり本番1回勝負の緊張感はあったと思います。そしてこういうのはVRとかで見て浸りたいよね〜とも。見る環境が本当に大事!今後ブランドは見せるための環境も用意するようになるかもしれませんね(いや、見る側が用意するのかな……汗)。

 誰でもオンラインで見られるようになったものの、発表形式がランウエイとは限らないこともあり、見ただけでは分からない情報や解説、分析を求められるのは、これまで以上になったのではないでしょうか。

 記事だけでなく、ライブ動画配信など、私たちもさまざまな手法で他にない情報や解説をお伝えしていきますので、どうぞチェックしてくださいね。

VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。

エディターズレターとは?
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ヴァーチャル接客はそこまで来ている。そして楽しそうだ! エディターズレター(2020年7月27日配信分)

※この記事は2020年7月27日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

ヴァーチャル接客はそこまで来ている。そして楽しそうだ!

 「百貨店顧客が仮想世界でアバターから買い物」なんて、話が現実味を帯びてきました。

 弊社は5月から最新号を紹介するYouTubeライブ配信を行っています(8月から内容を一新する予定です)。テーマに合わせてゲストをお招きしており、7月20日号の百貨店特集では、三越伊勢丹のチーフオフィサー室関連事業推進部の仲田朝彦氏をお迎えしました。そのお話がホントにおもしろくって!

 三越伊勢丹は、4月末から開催された世界最大級のバーチャルリアリティ(VR)イベント「バーチャルマーケット」に伊勢丹新宿本店として出店しましたが、担当したのが仲田さん。仲田さん自身もアバターになって接客したそうで、来場者数は想定の20倍だったとか!お客さんは20〜30代が中心で、多くのお客さんは海外から。中には人型ではなく犬や猫の姿で来店する人も多いそうです。海外から参加する犬の姿をしたお客さんに仲田さんが「いらっしゃいませ」と接客している姿を想像するとカワイくってワクワクしました。

 最後に仲田さんが「これは会社としてというより私自身が目指したいところ」と前置きしつつ教えてくれた夢は「リアルの世界の自分とアバターのもう一人の自分を使って自己実現するような世界を作ること」だそう。「リアル店で買ったものをアバターに着せるなどリアルと仮想の世界を行き来して新しい買い物体験を作り出したい」とは、なんて楽しそうな!コロナの影響でインバウンドの顧客を失い、イベントも開けないと悩んでいるお店は多いですが、その2つの悩みが仮想現実なら一気に解決できますよね。リアルとアバターで商品の幅も広がりますし。

 私自身はまだ仮想現実での買い物体験はないのですが、ドラクエで武器を買う感じ?とイメージしています。これだけ旅行ができない日々が続くと、仮想の世界で異国へ出かけるのもいいかも。近々、何かに化けて(というと怖いけど、ペットの亀の姿にでもなって)どこかに買い物に行こうと、思います。

 仲田さんのお話はぜひYouTubeの「Read More」をご覧ください。仲田さんのお話は25分くらいからです。チャンネル登録もぜひ!

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

エディターズレターとは?
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ヴァーチャル接客はそこまで来ている。そして楽しそうだ! エディターズレター(2020年7月27日配信分)

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ヴァーチャル接客はそこまで来ている。そして楽しそうだ!

 「百貨店顧客が仮想世界でアバターから買い物」なんて、話が現実味を帯びてきました。

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 三越伊勢丹は、4月末から開催された世界最大級のバーチャルリアリティ(VR)イベント「バーチャルマーケット」に伊勢丹新宿本店として出店しましたが、担当したのが仲田さん。仲田さん自身もアバターになって接客したそうで、来場者数は想定の20倍だったとか!お客さんは20〜30代が中心で、多くのお客さんは海外から。中には人型ではなく犬や猫の姿で来店する人も多いそうです。海外から参加する犬の姿をしたお客さんに仲田さんが「いらっしゃいませ」と接客している姿を想像するとカワイくってワクワクしました。

 最後に仲田さんが「これは会社としてというより私自身が目指したいところ」と前置きしつつ教えてくれた夢は「リアルの世界の自分とアバターのもう一人の自分を使って自己実現するような世界を作ること」だそう。「リアル店で買ったものをアバターに着せるなどリアルと仮想の世界を行き来して新しい買い物体験を作り出したい」とは、なんて楽しそうな!コロナの影響でインバウンドの顧客を失い、イベントも開けないと悩んでいるお店は多いですが、その2つの悩みが仮想現実なら一気に解決できますよね。リアルとアバターで商品の幅も広がりますし。

 私自身はまだ仮想現実での買い物体験はないのですが、ドラクエで武器を買う感じ?とイメージしています。これだけ旅行ができない日々が続くと、仮想の世界で異国へ出かけるのもいいかも。近々、何かに化けて(というと怖いけど、ペットの亀の姿にでもなって)どこかに買い物に行こうと、思います。

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ギリシャ美容に注目! オーガニックハーブで内外美容をかなえる新ブランド「ザ ナクソス アポテカリー」 海外ビューティ通信番外編

 世界に目を向けると、日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」ではパリやニューヨーク、ソウル、シンガポールの4都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。今回は番外編としてギリシャにフォーカス!(本文中の円換算レート:1ユーロ=123円)

 皆さん、最近ギリシャ美容が欧州でも注目されているのをご存知でしょうか?ギリシャといえばエーゲ海に浮かぶ美しい島々から産出する火山灰のソープや海綿スポンジ、大自然で育ったオリーブのソープやロバのミルククリーム、また固めた樹液が天然チューイングガムとして古くから親しまれてきたマスティハの樹脂水を使ったトニックウオーターなどがお土産として知られていますね。

 ギリシャの代表的なコスメブランドといえば同国最古のホメオパシー薬局をルーツに持つ「コレス(KORRES)」でしょう。日本にも上陸していますが、欧州のヘアケア市場ではなくてはならないブランドとして確固たる地位を確立し、高級デパートからスーパーまでさまざまな場所でボディーケアやカラーメイクなど幅広いアイテムを販売しています。

 その「コレス」の姉妹ブランドとして昨年10月にスタートした「ザ ナクソス アポテカリー(THE NAXOS APOTHECARY)」は、アテネ市内に巨大なショップ兼ラボをオープンし、ハーブとホメオパシーに基づく植物療法のブランドとして注目されています。ナクソスとは、ギリシャ神話の全知全能の神ゼウスが育った場所とされる伝説的な島の名前で、同ブランドの商品にはナクソス島に生育する香り高いオーガニックのハーブやフレッシュなシードオイルが使用されています。

 中心的な商品の香水、ソープ、シャワージェルは5種の香りで構成されています。価格は9~40ユーロ(約1100~4900円)。どれもギリシャの長い歴史が感じられる奥深い神聖な香りが特徴です。香水瓶には好みの色のひもを巻いてくれるサービスもあり、ギフトにもおすすめです。フェイスクリーム(60ユーロ、約7300円)で、5つのテクスチャー、3つの香り、4つの効能(アンチポリューション、毛穴引き締め、エイジング、保湿)の中から最も自分に適した組み合わせを選ぶことができます。

 店内のラボでは植物エッセンスを使いミニマム処方でハンド&フットクリーム(8ユーロ=約900円)が毎日作られ、できたての鮮度の高いクリームをその場で試すことができるのも魅力です。ペパーミントとローズマリーの精油入りクリームは足のむくみに効き、香り高いベルガモットとアルガンオイルとココナッツオイルのハンドクリームなど、普段使いできるさまざまなアイテムがそろいます。

 そのほかエッセンシャルオイルやハーブチンキ、プロポリススプレーなどインナーケアの品数も圧巻です。ギリシャの山でとれるマウンテンティー(3ユーロ、300円)は、滋養強壮と免疫力アップが期待できます。店内には「コレス」の全商品と、セレクトされたサプリメントや香水も置かれ充実しています。アテネを訪れた際は、ギリシャ美容が凝縮された新スポットにぜひ立ち寄ってみてください。

須山佳子(すやま・けいこ)/コンサルタント:2001年に渡仏しMBAを取得。ファッション業界で働き、09年に日本の美容ブランドを欧州市場へ売り込むコンサルティング会社設立。取引先は欧州の高級百貨店、美容ストア等。パリ市内でポップアップストア「Bijo;」主宰

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デジタル・ファッション・ウイークは英語が喋れないとツラい!? エディターズレター(2020年7月20日配信分)

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デジタル・ファッション・ウイークは英語が喋れないとツラい!?

 史上初のデジタル・ファッション・ウイークが終了しての率直な感想は、「英語、勉強しておいてヨカッタ~」でした。アレ、英語が分かんないとツラくないですか?デザイナーのインタビューに対して日本語字幕が付されるブランドは、「ディオール」くらい。ジョナサン・アンダーソンのインタビューを配信した「ロエベ」は、英語のインタビューに対して英語の字幕。そして日本のブランド「サルバム」も、デザイナー藤田哲平さんの英語のインタビューに対しては、、、やっぱり英語の字幕でした。まぁ、当然の選択かもしれません。

 先週は日本ブランドのショールームに足を運ぶと、どこでもZoomバイイングが行われていました。ブランド側は、商品を1つずつカメラの前に差し出して、その特徴を説明しています。モデルを用意しているブランドもありました。当然、Zoomでつながったパソコンの向こう側は海外の場合も多く、その際の説明はだいたい英語。バイヤーの目の前に洋服があれば、英語なんて分かんなくてもどうにかなりますが、今回はそうもいきません。語学堪能な営業は、時差の関係上、日本時間の夕方から早朝まで“引っぱりだこ”で大変そうです。「もっと英語を勉強しておけば良かった」と後悔する営業担当は、少なくないでしょう。

 同じことは、バイヤーにも言えますね。これまでなら、サンプルを見て、ラックに並べ、「最小ロットは?」「色違いは?」「納期は?」くらい喋れたら、どうにかなったかもしれません。でも今は、「後ろ側を見せて」や「歩いてみて」なんて簡単な言葉から、「素材感がわからないから、生地をクローズアップしてもらえる?」なんてフレーズまで喋れないと厳しいかも。無論、返答も理解できなくてはなりません。とまぁ今回のデジタル・ファッション・ウイークは、コミュニケーション手段が限定されているからこそ、双方の資質も問われています。

 この問題を克服することは、とにかく挑戦すること、しかないのでしょう。幸いブランド側に話を聞くと、「普段は30分しか時間がない」というバイヤーも「今回は1時間大丈夫」と耳を傾けてくれるそうです。ミラノやパリの街を激走し、渋滞にイライラなんてことがありませんからね。だとしたら上述するような英語から、もう喋って度胸をつけていくしかない!!のです。逆にコレが面倒だから、「やっぱり9、10月は現地で」なんてことになりませんように。

 そろそろ「WWDJAPAN ENGLISH」を復活させるタイミングかもしれません。リンク1本目のインバウンド消費に対応する放送回はしばらく需要がなさそうですが、「プレゼンテーション」と「買い付け」の回を収録したら皆さん、ご覧いただけますでしょうか(笑)?

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エディターズレターとは?
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デジタル・コレクション賛否両論 海外バイヤー&セールス5人の本音

 ウィメンズでは初となるリアルとデジタルを融合したファッション・ウイークが開催中だが、何ごとにもいい面と悪い面がある。6月に開催されたメンズのデジタル・ファッション・ウイークを海外のファッション業界人はどう見たのだろうか。通常であればバイイングのために現地に渡航し、サンプルを見たり触れたりするバイヤーにとって、実物を見ることのできないデジタルではどう機能したのか。各国のバイヤー4人とショールームのマネジャー1人に、デジタル・コレクションを体験した印象を聞いた。

フランス「プランタン」メンズ・ファッションディレクター兼オンラインビジネス開発ディレクター
「実物に触れられず物足りない」

Q.デジタルでのショーや買い付けの感想は?

製品に触れられないという物足りなさはあるものの、実用的なプロセスであったと思う。

Q.新型コロナは買い付けにどう影響しそう?

セレクトの傾向はクラシックなシェイプに加え、旅行の楽しさを思い出させるために旅を連想させる柄物や、長年大切に着られるタイムレスなピースを意識している。顧客の消費行動にこれまで以上に注意を払い、私たち自身を適応させていく必要がある。

イギリス「ブラウンズ」メンズウエアバイヤー
「新しいかたちでブランドと関われる」

Q.デジタルでのショーや買い付けはどうだった?

想像以上に難しかった。モデルに着せた状態でサンプルを見られないし、触れたり、感じたりできないことはバイヤーにとって大きなマイナスではある。でも、新しいかたちでブランドと関われるのは素晴らしいこと。オンラインは自分のタイミングで見られるのが便利なので個人的には楽しめている。フィジカルの体験とは異なるものだが、オンライン・プラットフォームであればいつでも再訪して繰り返し確認したりメモを取ったりできるので、ブランドの世界観に深く没入できる。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「アルワリア(AHLUWALIA)」が本の出版に合わせて行ったVR展示がよかった。デザイナーの作品の多くは自身のルーツであるナイジェリアの文化と遺産に紐づいたもので、アイデンティティーの探究に熱心だ。そんなデザイナーの魂と心が輝いているようで、最高の出来だった。「ロエベ(LOEWE)」の手法も気に入っている。物理的なオブジェクトを使い、ブランドと人々をデジタルでつなぎながら体験を生み出すことに成功していた。

香港「ジョイス」バイヤー
「強気なバイイングを心掛けた」

Q.デジタルでのショーや買い付けの感想は?

良かったのは、渡航のための時間と費用を削減できたこと。バイイングの期間でさえ、チームや友人、家族と過ごしながら仕事ができた。悪かった点は、コレクションや商品を解釈するのに、いつも以上に時間を要したこと。アポイント前に各ブランドから送られてきた生地サンプルやルックブックを用意してのぞんだか、触れることが許されず、世界観を完全に感じ取ることは難しかった。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」がよかった。ルックブックやインスピレーションに加え、アンダーソンからのメッセージが書かれたキットに世界観が表現されていた。また「アンダーカバー(UNDERCOVER)」も3Dでルックを見ることができてわかりやすかった。ズームして細部を確認できるといった配慮が明確で、助かった。

Q.今後もデジタル・コレクションは継続してほしい?

ショーは将来的にフィジカルとデジタルが融合していくだろう。しかし今は、フィジカルのショーがとても恋しく感じる。ランウエイで表現されるコレクションのムードや舞台、世界観を感じながら、生地を間近で見ることに意味があると思うから。

Q.今シーズンの買い付けにコロナの影響はどう出てきそう?

実際に生地に触れることができない分、セレクトにはより注意深くならなければならない。しかし、顧客のことを考えて強気なバイイングを心掛けており、挑戦的なピースも意識的にセレクトしている。

フランス「トム・グレイハウンド・パリ」バイヤー
「リアルに置き換えることはできない」

Q.デジタルでのショーや買い付けの感想は?

デジタルショールームはリアルを補足するために役立つが、置き換えることはできない。資料に目を通すだけで時間がかかるため、リアルよりも非効率だと感じている。実際にどんな商品が店に届くのかという不安もある。やはり写真は写真でしかなく、触れられない、着られないデメリットは大きい。セレクトした商品もほぼ記憶に残っておらず、驚きに満ちたシーズンになりそう。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

最もよかったのは「コモン スウェーデン(CMMN SWDN)」だ。ビデオやルックブックの見せ方がとても新しく、素晴らしいデジタル体験だった。数シーズン取り扱っているので世界観やメッセージも受け取りやすく、セレクトに困らなかった。ほかには「ジェイ ダブリュー アンダーソン」は専用プラットフォームに加え、ジョア(JOOR)で確認もできて便利だった。ジョアのアカウントを持っているとバイヤーは助かるため、ブランドは活用した方がいいと思う。逆に、手に触れないと理解できないような詰め込み過ぎなブランドは難しかった。

Q.今後もデジタル・コレクションは継続してほしい?

リアルなショーがもつ魔法の力を信じているから、デジタルの利点は見出せない。

ショールーム「トゥモロー」シニア・アジア地域エリアマネジャー
「デジタル・コレクションは絶対に継続して」

Q.デジタルでのショーや買い付けにどう対応した?

デジタルでの買い付けに対応するため、画像と動画を含む360度の多機能ショールームのプラットフォームを構築した。ビデオ会議でバイヤーを案内しながら、デジタルショールームでスムーズにサンプルを紹介できるように試みている。

Q.デジタル・コレクションを体験して感じたメリットとデメリットは?

次のアポイントメントを気にしてスケジュールに追われることがないため、急ぐ必要がないというのは利点だ。バイヤーは都合のいい時に繰り返しコレクションを見ることができ、柔軟性が高いと感じた。アジアとアメリカのバイヤーはヨーロッパ時間に合わせる必要もない。ただし環境によって画像の見え方が変わったり、黒い服はディテールを見せるのが難しかったりするなど課題はある。

Q.デジタル・コレクションを経験して気付いたことは?

リアルとデジタルが今後はより融合し共存していくのだろうと感じた。ラグジュアリーな体験を提供するメゾンはリアルを、新進ブランドや若年層をターゲットにするブランドはデジタルを活用してくのだろう。だからデジタル・コレクションは絶対に継続してほしい。デジタルのショールームは時間と予算に制限のある小規模なチームにとって非常に機能する。ファッション・ウイークの多忙なスケジュールを考慮すると、対面のアポイントメントよりも快適にオーダーを行えるのではないか。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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泉ピン子が語るファッション観 「キングリーマスク」とのコラボから見えためくるめく服遍歴

 女優の泉ピン子がファッションブランド「キングリーマスク(KINGLYMASK)」とコラボレーションした。メディアからは“シャネラー”と呼ばれていたし、泉自身も「世界中の洋服は着つくした」と豪語するほどの洋服好きで知られるが、意外にもファッションブランドとのコラボは初めて。細かい部分までこだわったというギンガムチェックシャツ(9980円)をはじめ、ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」で演じる小島五月のフォトTシャツ(4980円)や“PINKO IZUMI”と描かれたグラフィックTシャツ(3980円)、トートバッグ(2980円)、マスク(1980円)など、ユニークなアイテムをラインアップし、9月19日11時から「キングリーマスク」の公式オンラインショップで予約販売を開始する。コラボレーションの背景やファッション遍歴、そしてコロナ禍で変わってきたという価値観など、これまでほとんど語ってこられなかった泉ピン子のファッション観に迫る。

WWD:ファッションブランドとコラボした感想は?

泉ピン子(以下、泉):声がかかってびっくりしてますよ。原宿にある(「キングリーマスク」の)お店にも行かせてもらったんだけど、今はなかなか行かない場所じゃない。ちょうどコロナで人出は減っていたんだけど、おもしろかったわ。自分の名前を出すなら品質にもこだわりたいから、お店の商品を何点か買って帰ったの。最初は疑ってかかったんだけど、値段の割に洗濯してもヨレないし、色落ちもないので本当にいいわね。だから最近は「キングリーマスク」のTシャツばかり着て、犬の散歩とかしていますよ。

WWD:“シャネラー”とも言われていましたが、ピン子さんのファッション遍歴を教えてください。

泉:私ね、「ヴェルサーチ(VERSACE、現在はベルサーチェ)」を最初に日本に入れた女よ?(笑)東京プリンスホテルの地階に「ピサ(PISA)」(高級ブティック)ってお店があったの。そこのオーナーに「『ヴェルサーチ』入れてくれない?」って言ったのが最初。最初に買ったのは大小のチェックをミックスした2ピースね。若い頃からミラノに行ったときは「アルマーニ(ARMANI)」に行って自分のサイズに合う服は端から端まで買ったり、ほとんどのブランドのクロコダイルのバッグも買った。「プラダ(PRADA)」でナイロンバッグを買ったこともあるんだけど、それも当時は日本で持ってる人なんていなかったわね。若い頃、友達に「これは似合わないとかこれは着ないとか、そういうことを言い出したら老けた証拠よ」って言われたのが鮮明に頭に残ってるの。だからパッと見ていいなと思ったら今でも買ったうわね。本当にたくさんのブランドの洋服を着ていたから“シャネラー”とも言われたけど、「やめてよ、他にもたくさん着てるわよ」と思ってたわ(笑)。

WWD:コロナ禍でファッションの価値観は変わりましたか?

泉:そうですね。もう高いバッグや洋服は必要ないんじゃない?「ルイ・ヴィトン」も「シャネル」も閉まっているパリの様子を見てそう思いましたね。もう洋服にお金をかける時代は終わったのかも。だから、これを機に服やバッグの断捨離をはじめて、マネージャーの家族にあげたり、着物も全部坂本冬美にあげたの。それで残ったものを見たら全部“使い勝手がよいもの”だったんですよね。

WWD:コラボアイテムの仕上がりを見てどうですか?

泉:デザイナーの佐藤(秀樹)君のアイデアもあって、とても気に入っています。五月のTシャツ、最高でしょ?“PINKO IZUMI”って書いてあるTシャツなんて、逆さにしても“PINKO IZUMI”って読めるの。ナイスアイデアよね。

WWD:今着ているギンガムチェックのシャツもこだわったそうですね。

泉:若い頃からギンガムチェックが好きだったの。だからギンガムチェックの生地を使いたいとリクエストしました。ユニセックスで着てもらいたかったから丈の長さやボタンの位置にもこだわって。女の子は上まで閉じてもかわいいし、男の子にはオープンカラーで着てもらいたいわね。あとは、エコバッグも。レジ袋も有料になったし、エコバッグって大事じゃないかなと思って。

WWD:ファッションに関して、若い人にメッセージを送るとしたら?

泉:今しかないおしゃれをしなさいってことね。私の若い頃は髪の毛を染めたら怒られていたし、何センチじゃないとダメとか、そういう時代だったの。私もみゆき族だったから好きな格好をして、めちゃくちゃ怒られた。おしゃれのために丈の長い洋服を着て、真夏に長袖を着て歩いていたら、うちの親に「お前どうかしたのか?」って言われたから。今の若者は本当に好きな格好をした方がいいと思う。これじゃなきゃダメってのは全くないから。若くなきゃできないファッションもあると思うけど、おばさんだって好きな格好をすればいいと思う。老い先短いんだから大きなお世話じゃない(笑)。でも若者にはもっとおしゃれを楽しんでもらいたいわね。

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ツイッターに見る新型コロナ・パンデミック中のトレンドは?

 新型コロナウイルスの大流行により何百万人もの人が数カ月間にわたって家で過ごす状態が続いたため、ツイッター(Twitter)などソーシャルメディアの利用は急増し、新たなトレンドが生まれた。ツイッターは7月、2020年第2四半期の1日当たりのユーザーベースが前年同期比34%増の186万人になったことを発表。3月から9月までの使用状況に関する新たなリポートでは、パンデミック中に最も人気があったトピックスなどを明らかにした。ここでは、そのいくつかを紹介する。

使用された絵文字で分かるトレンド

 リポートによると、ツイッターで使用された絵文字の中で特に人気が高かったのは緑色の微生物マークで、パンデミックが会話の中心になったことにより使用率は17倍以上になった。トイレットペーパーの絵文字も、パンデミック初期の数カ月間に生活必需品が大幅に不足していたことを受けて、約6倍に増加。せっけんの絵文字も2倍になった。また、趣味として編み物などの人気の高まりも、ロックダウン初期のほぼ代名詞となったパン作りには及ばないものの、毛糸玉の絵文字の使用率が70%近く上昇していることから分かる。ちなみに、パンは食べ物のカテゴリーで2位。トップはチキンで、これはマクドナルド(McDONALD’S)がスパイシーなチキンナゲットを発売したことによるものだという。

配信された映画の人気作は?

 パンデミックの影響により数カ月間、人々は映画館に行くことができず、配給会社は夏に予定していた人気作品の公開を遅らせることにした。その一方で、ディズニー(DISNEY)が有料配信で公開したいくつかの映画は多くのツイートを集めた。ツイッターで1位になったのは「ブラックパンサー(Black Panther)」で、8月に主演のチャドウィック・ボスマン(Chadwick Boseman)が急逝したことを受けて急上昇。2位は、ディズニーのストリーミングサービスでのみで公開されたビヨンセ(Beyonce)のビジュアルアルバム「ブラック イズ キング(Black Is King)」だった。そのほか、ディズニーが7月に公開したブロードウェイミュージカルの映画版「ハミルトン(Hamilton)」が5位、新作の実写版「ムーラン(Mulan)」が7位にランクインした。

音楽はK-POPスターが席巻

 音楽はストリーミングに頼りつつも、歌手やラッパーがニューアルバムやシングルを通常通りリリースしていたため、新型コロナによる影響が少なかったカルチャーの一つだ。近年の傾向としてはK-POPスターがツイッターを席巻しており、ミュージシャン関連のツイートのトップ15のうち4組がK-POPグループという結果に。最も人気だったのはBTSで、カニエ・ウェスト(Kanye West)を上回った。そして、ビヨンセ、ドレイク(Drake)が続き、新進気鋭のラッパーであるミーガン・ジー・スタリオン(Megan Thee Stallion)が5位にランクインした。彼女に対する話題の大半はビヨンセをフィーチャリングしたシングル「サヴェージ(Savage)」に関するもの。しかし、彼女はカーディB(Cardi B)のシングル「WAP」にも参加しており、同作は公開時に全音楽ストリーミングチャートでトップを獲得するとともに、ツイッター独自の絵文字“ハッシュフラッグ”を使ってバズを起こした。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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今こそ「オタク」を愛しましょう︎︎ エディターズレター(2020年7月17日配信分)

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今こそ「オタク」を愛しましょう︎︎

 「オタク」と聞いて、「キモっ」って思う人は、そろそろ考えを改めるべきかと思います。現在私は「オタク」と聞くと、「わぁ♡」と思ってしまい、その後は、矢継ぎ早に“小学生レベル”の質問を繰り出す始末です。「どうして好きなんですか?(←多分、答えづらい)」「どのくらい好きなんですか?引くレベルのエピソードを是非お一つ(←多分、さらに答えづらい)」「最近、一番のビッグニュースは?(←これは答えてくれるけれど、半分も理解できないw)」あたりは、確実に聞いてしまう(笑)。そしてその答えは大抵、私の目を輝かせてくれるのです。

 「オタク」の価値を再考したのは数年前、時計担当を拝命した時でした。当時の私は、トゥールビヨンと言われても、「なんか~、高額な機構ですよね?」くらいのレベル(正直、今も大差ありませんがw)。ゆえにバーゼル・ワールドのような世界的見本市を取材しても、「時計ブランドって、こんなにいっぱいあるんですね」と思うばかりで、そんなブランドによる数多のプレゼンテーションは呪文のようでした。

 そこで出会ったのは、業界人に多い「パテック フィリップ」の熱烈信者、いわば「『パテック』オタク」です。同ブランドのカンファレンスで隣に座っていると、スクリーンに新作が投影されるたび、必ずボソリと一言呟きます。心踊りました。そして代表的時計“ノーチラス”の新作が投影された時は、「そう来るワケか」と言うんです。「どう来たんですか⁉︎教えて!!」。今すぐ聞きたい衝動を抑え、後で話を聞きましたが、その返答はもう覚えていません(笑)。記憶にあるのは「病的レベルの“ノーチラス”愛」と、「ゆえに賞賛と建設的批判が同時に溢れ出てきた」こと。「ブランドにとって、こういう意見って大事なんだろうな」と素直に思ったのです。その後時計ブランドからは、「愛好家=インフルエンサー」という話を度々耳にします。特定のブランド・特定のモデルを愛して収集する愛好家は、未来につながる賞賛と批判ができる人。その意見とコレクションは立派なコンテンツで、SNSの世界を中心に絶大なる影響力を放っています。ゆえに幾つかの時計ブランドは新製品、特に復刻シリーズの発売に際しては、そんな「時計オタク」にアドバイスを求めるそう。「オタク」との上手な付き合い方と言えるでしょう。

 愛すべき「オタク」は、ビューティ業界にも多数存在します。最近、「WWDビューティ」編集部員から話を聞いて興奮したのは、「アディクション」の人気製品“ザ アイシャドウ”のリニューアルで出動した「オタク」たち。全99色の大リニューアルはそれだけでも大きなニュースでしたが、私の心を震わせたのは、その「オタク」たちの動きです。彼女たちは「特定班」を名乗り、どの色がリニューアル後も残留し、どの色が残念ながら廃盤になるのか?を瞬時に特定。その情報と活躍自体がコンテンツとなり、SNSでバズりまくったのです。“特定班”、ゴイスー!!愛が凄まじい!!是非、「アディクション」のクリエイティブ・ディレクターのKANAKOさんに会ってほしい(笑)。弊社でつなぎたい!!そんな妄想を掻き立ててくれた逸材です。

 ブランド主導ではない、ユーザー主導のコンテンツ(UGC)の価値が高まっています。「オタク」を刺激してUGCにつなげるのは、一案ですね。基本的には「愛」に溢れる人たちです。ポジティブなUGCにつながる予感、しませんか?

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「バーバリー」2021年春夏を読み解く 森の中の無観客ショーで表現した”人魚とサメのラブストーリー”

 2021年春夏シーズンのロンドン・ファッション・ウイークが9月17日、開幕した。トップバッターはリカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)がチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)を務める「バーバリー(BURBERRY)」。アマゾンが提供するライブストリーミング配信プラットフォーム、ツイッチ(Twitch)を通して、イギリスの大自然の中で行なった無観客ショーを配信した。ここでは、「WWDジャパン」編集長の向千鶴と、ロンドン・ファッション・ウイークを取材する記者の大杉真心が対談し、それぞれの視点で今回のコレクションを読み解く。

向:さあ、21年春夏ロンドン・ファッション・ウィークが始まりましたね。皮切りは「バーバリー(BURBERRY)」。発表した日付は今回も17日。なぜなら17はリカルド・ティッシのラッキナンバーだからです。先シーズンまでは現地ロンドンを取材していた大杉さん、ヴァーチャルで見た「バーバリー」はどうでしたか?すごい情報量でしたよね。

大杉:驚きが満載でした!ライブストリーミング配信プラットフォーム、ツイッチを使った発表でしたが、私は昨日までツイッチの存在を知らず……(笑)。調べてみるとゲーム実況などで有名なツールなんですね。

向:ファッションショーをツイッチで見るのは初めて。正直最初はユーチューブでいいじゃない、と思ったけれどショーが始まってそのスケール感ある表現にびっくり。森の中に没入してゆく感を楽しめました。大杉さんはショーの前の4人のインフルエンサー対談から見たでしょ?どうでした?あの右上の占い師のような女性は誰? 

大杉:歌手のエリカ・バドゥ(Erykah Badu)です。モデルのベラ・ハディッド(Bella Hadid)、ロザリア(Rosalia)、ギタリストのスティーヴ・レイシー(Steve Lacy)の4人が前座のようなライブトークを行いました。皆、リカルドと繋がりがあって、彼との思い出話や、デザインの好きなところなどを語っていました。一緒にショーを見る前のワクワク感を共有できるのは、デジタルでもちょっとリアルな感覚でよかったです。

向:今改めて4人のトーク映像を見ながら話をしているけど、最初はちょっとぎこちない4人が段々と仲良くなっていく様子がリアルで親近感を覚えますね。ベラの部屋の壁が気になって仕方ない(笑)。そうこうしているうちにショー本番へと導かれるから、この“オープニングトーク”はプロモーションの観点から見ても有効だと思います。リアルのショーの場合は「誰がフロントローに座るのか」が一つの取材ポイントだったけど、今後は「ショー直前のトークイベントに誰が来るのか」が話題になるかもしれないですね。

アンネ・イムホフによる“秘密の儀式”のような演出

大杉:本題のショーはイギリスの大自然の中で無観客の配信を行うという内容でしたね。森の中でダンサーたちのパフォーマンスがあり、モデルが登場。レールカメラやドローンを使ったカメラワークが映画のようで、迫力がすごかったです。ドイツのアーティスト、アンネ・イムホフ(Anne Imhof)とのコラボレーションによる演出でしたが、向さんはどう感じましたか? 

向:それはいい質問(笑)。なぜならすごく意味深なショーで、それぞれに「どう解釈したか」を語りたくなるショーだからです。森林に突如現れたサークル状のスペース、その中で展開される戦いをほうふつとさせるアンネの無言のパフォーマンス、それを円形になって無言で見守る様々な肌の色・年齢のモデルたち。秘密の儀式を見るようでした。ツイッチだけにこういったストーリーのゲームがあるのかなと推察したけどちなみにプレスリリースにはなんとありますか?

大杉:リカルドは「深い海の中で繰り広げられる人魚とサメのラブストーリーを思い描き、ファッションの力を通して、感情を動かし喚起することを試んだ」とあります。なんと、人魚とサメのラブストーリーというファンタジーだったんですね……!続けて、「海は常に美しく、時に残酷で、ロマンチック。衣服にインスピレーションを与え、イギリスが持つ多面性と自由を表現している」と。演出については、「ファッションとアートの不一致を体現」したとのこと。「海岸に波が無作為に打ち上げられるかのように、モデルやパフォーマーの体の流れで、自然と人間の共存を讃えた」そうです。深いですね。

向:人魚とサメのラブストーリーか〜。なるほど〜。なんてね(笑)。全然わからなかったけど、自由に受け止めて楽しむのが正解だと思う。アンネは去年、ロンドンのテート・モダンのパフォーマンス・プログラムに参加して、そこでは孤独やテクノロジーといった現代人が持つ不安を表現していました。見る人を引き付けるのは、多くの人が漠然と持っている感情を掻き立てるからなんでしょうね。話は変わって肝心の洋服について。写真で見るとよくわかるけど、一つ一つのアイテムがかなり攻めてる。トレンチコートやデニム、ニットといったスタンダードな素材・アイテムをドッキングするアイデアが多くて、色々なスタイリングが楽しめそう。

大杉:トレンチコートといえば「バーバリー」の代名詞ですが、原型はイギリス陸軍が用いた防雨オーバーコートです。水を弾くトレンチの生地で有名なギャバジンは、ブランド創業者のトーマス・バーバリー(Thomas Burberry)が開発したもので、世界中に広まっています。今回のキーワードである“水”は「自由を象徴し、新しい命を花開かせることを意味している」そうです。水面をフォトプリントしたコートもアイコニックですが、私が驚いたのは、一見、幾何学模様に見えるこの柄。よく見るとサメの尾びれです!

向:なるほど!よく見つけましたね。“水”につながるタイダイの使い方も印象的。個人的には私はこのマリアカルラ・ボスコーノ (Mariacarla Boscono)のルックが好き。乳房の部分が丸く穴が空いている上に、レザーのベルトを飾ったフェティッシュなメンズのTシャツなど、リカルドらしいダークで強い世界観のルックも多かった。アクの強いプリントを使ったりして、どこかゲームのキャラクター的。自然の中では異質に映るデザインだけに、その非現実的感が記憶に残ります。

大杉:私リカルドの色使いがとてもタイプなんですが、今季はブルーの補色のオレンジがメンズのルックで多用されていました。救助用の浮き輪の色ですよね。“SWIM WITH THE GREAT BURBERRY AT YOUR OWN RISK(バーバリーと泳ぎましょう、自己責任で)”のメッセージがクスッと笑えます。リカルドがデザイナーに就いてから刷新したロゴも随所でウエアやバッグにあしらわれています。

「バーバリー」のメンズが好調! 若い男性にロゴ入りアイテムがヒット

向:「バーバリー」の強みはメンズとウィメンズ、若者と大人の全方位にリーチしている点。ここ数週間、百貨店特選売り場の取材を行って「バーバリー」のメンズが好調との声を多く聞きました。特に若い男性にロゴ入りアイテムが幅広く売れているそう。メンズとウィメンズを同じ売り場に展開している店が多いから、ウィメンズのアイテムを買う男性も多いそうです。ショーと売り方の考え方が連動しているのは強いね。

大杉:客層が広がっているんですね。目を引くアクセサリーもたくさんありました。私が気になったのはフィッシュネット風のベストとネットバッグ。ネットベストはシャツやコートの上に合わせたりとジュエリー感覚で着る提案が新鮮です。あと、帽子にミニポーチが付いているのも斬新!財布にもなっちゃいそうです(笑)。

向:細かいところをよく見ているね!最後に登場したスーツ軍団はなんだったのだろう?あれはシンプルなビジネススーツを強化するメッセージかしら?すぐビジネスに結びつけてショーを見ちゃうのは私の性だけど、若い男性が頑張って買う初めてのブランド物のスーツが「バーバリー」というアプローチは正解だと思う。

大杉:いいですね。「バーバリー」はサステナビリティに注力していて、過去2回のショーはショーの開催や、来場者の移動時などに発生する二酸化炭素をオフセットするための植樹などを行なっていました。今回のショーもカーボンニュートラル(二酸化炭素の排出量と吸収量を同じにすること)のイベントとして認定を受けているそうです。今年に入って、世界中で森林火災が多発し、コロナ禍に見舞われるなど、自然の偉大さを考えさせられることが多かったですが、今回の森の中というロケーションもサステナビリティ、自然へのメッセージが感じられましたね。 

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スナップ常連だったハイセンスな販売員が語る「仕事の醍醐味」 ケイスリー藤江莉紗子

 かつて「フルーツ」などのストリートスナップ誌の常連だった藤江莉紗子さんは現在、「ジーヴィージーヴィー(G.V.G.V.)」を展開するケイスリー(K3)が運営する、東京・表参道のセレクトショップ「グレープバイン ケイスリー(GRAPEVINE K3)」と同社のオリジナルブランド「ケイスリー(K3)」渋谷パルコ店の2店舗の店長を務めている。オリジナリティーあふれるスタイリングで個性豊かな雰囲気を醸し出していた藤江さんに、ファッションのこだわりやセンスの磨き方、個性派セレクトショップで働くことについて話を聞いた。

―ケイスリーがセレクトする服や「ジーヴィージーヴィー」が個人的に好きなのですが、藤江さんはケイスリーのここが好きってありますか?

藤江莉紗子さん(以下、藤江):そうですね。入社したての頃ならピュアに何でも言えたけど、恥ずかしいですね(笑)。でも、一貫して持っているテーマがあって、時代に流されず、フェミニンとマスキュリンの要素が同居する、その絶妙なバランス感覚が好きです。「ジーヴィージーヴィー」はデザイナーのMUGさんのその時の気分がよく表れていて、人間味のある素敵なブランドだと思います。直接、本人からデザインの意図を聞くことができるのですが、話を聞くほど「服が大好きなんだな」と感じます。着心地、素材、色味とかも緻密に考えられていて、そういった服をお客さまへ自信を持って紹介できるのはうれしいですね。俗にいう“売れ筋”は全くと行っていいほど意識していないので、それを潔く貫いているのもカッコいいです。それに共感するお客さまもたくさんいて、しかも皆さんおしゃれなので刺激があり、働いていて楽しいです。

―それは楽しそう!やりがいがありますか?

藤江:大きい会社ではない分、一人ひとりが関与する領域が大きいのでやりがいはあります。私の場合はショップスタッフであり、2店舗の店長というマネジメントの仕事もあり、それ以外にバイイングも任されているので、そういった幅広い仕事に携われるのはこの規模の会社ならではだと思います。

―お客さまのことを理解している販売経験者がバイイングするのは賛成です。

藤江:私もそう思います。この店の店長になった1年半前からバイイングも任されるようになったんですが、今はいろんなことを任されて何でも屋さんみたいです(笑)。

―そもそも、ケイスリーに入社した経緯は?

藤江:専門学校の同級生に「似合いそうじゃない?」と言われたのがきっかけです。当時、「ジーヴィージーヴィー」はすでに学生の間では人気もあったので、ブランドは知っていましたが、ショップのことはあまり知りませんでした。いろいろと調べてみたら、当時在籍していたスタッフにつながり、トランプルームで紹介してもらったんです。今考えればクラブでファッション関係者とつながるって、その当時らしい流れですよね。

―確かに(笑)。クラブカルチャーに勢いがあった頃の話ですね。子どものころからファッション業界には憧れていた?

藤江:実はそんなにファッション業界で働くことに強い興味があったわけではないんです。学生時代まで本当にやりたいことがなさ過ぎて……(笑)。ただ、両親が百貨店に勤めていたこともあって、ファッションだけでなくヘアメイクやインテリアなどいろいろなことに興味がありました。さらに美大出身の叔母もいて、音楽やアートなど色んなカルチャーを教えてくれたので、興味の幅が広がったんです。進学を決めたときも結局は消去法で「アパレルなら文化(文化服装学院)だよね」というくらいの軽い気持ちで選びました。

―実際に文化に進学してみてどうでした?

藤江:母が専門卒で「専門学校は楽しいよ」と聞いていたんです。それで大学生のようなキャンパスライフを想像していたら、授業や課題が毎日しっかりあって、高校と変わらない生活でビックリしました(笑)。でも、学校自体は楽しかったです。1年次は基礎課程で何着か服を作るのですが、このディテールを作るにはこの工程を経ないと作れないということが分かり、今の仕事にも生かされています。素材の授業は先生から「一番仕事に使うぞ」と言われつつ、覚えることが多くて苦手でしたね。今となっては先生の言葉を信じて、真面目に取り組んでおけばよかったと思います。

―確かに素材は覚えることが多いですもんね。

藤江:一番好きな授業は服装史でしたね。先生が面白い方で「映画からファッションを学ぼう」ということで、年代別に当時の服装が分かる映画を観るんです。紀元前レベルだと「グラディエーター」や「十戒」とか、80、90年代や近年の作品だと、スタンリー・キューブリック(Stanley Kuburick)の作品やゴルチエが衣装を手掛けた映画は勉強になりました。あと、音楽カルチャーとファッションのつながりを解説するために「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」や「ファクトリー・ガール」などのロックミュージカル映画、ニルヴァーナ(Nirvana)やジョイ・ディヴィジョン(Joy Division)のライブ映像など、色んな映像作品を観ました。元々、映画もすごい大好きなんで楽しかったです。

―それは楽しいそう!うらやましい。

藤江:画期的だったと思います。この時代を知るならこの映画を観ろ!という感じでした。
2年次からはコースが分かれて、私はモデルコースに進みました。これも特別な理由はなくて、当時ストリートスナップで写真を撮られることもあったので、役に立つかなと思ったくらい。ウオーキングやヘアメイクなどのモデルとしての授業もあるのですが、被写体になるという授業では自分の脚が一番細く見える角度を研究しようというものがあって、クラスメートとキャッキャッ言いながら研究していましたね。でも、これは今でも役に立っています。

―今はインスタ時代ですもんね。その後ケイスリーでアルバイトを始めますが、例えば他のショップで働こうという気持ちはなかったんですか?

藤江:声はかかっていましたけど、店に行って、商品などを見ていて「あぁ、この店では働きたくないな」と感じました。その店には申し訳ないのですが……。そこでいろいろなショップを見てまわり、自分にはセレクトショップが合うというのが分かりました。飽きっぽい性格なのと、自分が着たいと思ったものを着たいのでブランドやテイストで縛られると窮屈そうだなって(笑)。何より自分が着ていて楽しいと思う服を取り扱っているとことで働きたいと思いました。

―この仕事の醍醐味は?

藤江:販売は難しいけど、楽しいです。自分には向いていると思いますが、ずっと働いていろんなタイプのスタッフとも仕事をしてきて、正直感じるのは「向き・不向き」はあるなと。

―インスタでもそんな質問に答えられていましたね。

藤江:見てくれたんですね!ありがとうございます。コロナ禍で店が閉まる中、ケイスリーのECショップも今までで最高の売り上げをたたき出しているのを見たり、店が再開しても中々ショップに来られないという方が多いのを目の当たりにすると、ショップスタッフの役割や意義って、商品情報や知識を伝えること以上に、キャラクターが大事なのではないかと思ったんです。その商品の魅力を伝えるのは人にしかできない。そこに人柄や話の面白さ、雰囲気、外見、ファッションセンスなどなど、いろいろな要素が加わって、自分の個性を際立たせればおのずとファンがついてくる。そう思うようになりました。

―その考えに行きついたのは?

藤江:入社当初は「ドロップトーキョー」「フルーツ」などのストリートスナップに出してもらっていたので、私に会いに来てくれる方が多かったんですが、それも徐々に減っていきました。その後はおしゃべり好きなのと幅広い趣味のおかげで仕事は楽しくできましたが、その中でコミュニケーション能力が大事だと確信しました。そこであらためて「じゃあECサイトで買おうか」と思わなくなる接客とは?」などと考えるようになりました。

一斉休業することになって、あらためて店や販売員の存在、接客について、私も深く考えさせられました。

藤江:私は今の会社しか経験がないのですが、自分にはこの会社が合っていて、何でも挑戦できる規模感がよいと感じています。反面、何でもできるからこそ体力勝負、体育会系なところもあるので、店頭でキラキラ輝いているところだけを見て入社すると、先ほどの向き・不向きにつながるのではないかと思うのです。私は憧れや夢はそこまで持っていなかったのと、周囲にこの仕事をしていた人がいたから、現実的に捉えることができてよかったのかもしれません。

―改めて、どんな方がショップスタッフに向いていると思いますか?

藤江:まずは、おしゃべりが好きな方、服が好きな方にはおすすめします。ただし、服に詳しければいいってものでもないかな?と思います。私自身はオタク気質があって、小学生の頃は図鑑を持ち歩いて読む子でした。今でも漫画、映画、音楽、それ以外にも趣味が広く浅いのですが、そういった趣味で蓄積したことが100%生かせる仕事なんです、販売って。接客中の会話の引き出しの数を人より多く持ち、お客さまをよく見て、この方にはこの引き出しという選別をする。この選別する力は経験即もあるかもしれませんが、どの引き出しを開けるかの見極める訓練はしておいた方がいいです。

―それは同感です。いろいろなことに興味を持持っていると、会話が広がりますよね。

藤江:服に関しては究めた方がよいという人もいると思いますが、知らないことがあっても、それがお客さまの詳しいことであったら逆に教えてもらえばいいんです。これはお客さまに限らず、取引先の方や仕事相手でも同じで、会話が広がるきっかけになるので、これは若い方にやってほしいなと思います。あと、ファッションに関してはいろんなものを着てみることと、自分には似合わないと決めつけないこと。単純だけど、似合わなそうなものにトライしてみるとしっくりきたり、色の組み合わせも合わなそうなものを組み合わせると面白いことが起きるんです。そうやってトライしていると、周囲が「あの子ならやりそう」みたいな感じで一目置かれるようになるので、他人の目は気にせず試してみること。コンプレックスは隠そうとすると逆に目立ちます。

―びっくりするコーディネートでも自分のものにする感じですね。では最後にこれからやってみたいことは?

藤江:これは子どもの頃から思っていたことですが、自分が欲しいと思ったことが世の中にないことが多いので、企画的なことに携わってみたいです。でも、大々的に自分のブランドをつくりたいとか、独立したいとは思ってないですね(笑)。

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「ザ・プロダクト」のマルチバームに待望の新作登場 リラックス効果のあるネロリを配合

 自然由来原料だけを配合したサステナブルなヘアケアブランド「ザ・プロダクト(PRODUCT)」は今冬、代表製品の“ヘアワックス”シリーズの第3弾となる、ネロリエッセンシャルオイル配合の新作を発売する。価格は未定。同製品は2011年の発売以降、髪にも肌にも使えるマルチバームの人気の火付け役としてヘアスタイリング市場やオーガニックコスメ市場をけん引してきた。シグネチャー製品のタンジェリンオレンジの爽やかな香りは老若男女を問わず人気を博し、第2弾のダマスクローズも毎年数量限定で発売しファンを獲得している。今回発売する第3弾のネロリはダイダイの花から水蒸気蒸留によって得られる精油で、1年に1度、約5日間しか咲かないダイダイの花1kgから、わずか1gしか取れない希少原料をぜいたくに配合した。

リラックス効果のある
ネロリほか6種の原料のみ使用

ブランド哲学やサステナブルな
製造方法を紹介

 全46ブランドが集結して9月2日に開催されたオーガニック・ナチュラル化粧品・食品ブランドの合同展示会、第3回「マイ・オーガニック・フレンズ・フェス バイ サロン ド ラキャルプ」に「ザ・プロダクト」も出展。ブランドが誕生した背景やサステナビリティに配慮したモノ作りについて、村上要「WWD JAPAN.com」編集長を聞き役に「ザ・プロダクト」の阿部聖樹・販売ディビジョン ジェネラルマネージャーが紹介した。

問い合わせ先
ココバイ
03-6696-3547

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スタイリスト福田麻琴が語る“ニューノーマル”時代の服選び 

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、働き方や外出、コミュニケーションなど新しい生活様式を求められるようになった昨今—人々がファッションに求めるものにも変化が起こり始めている。日々ファッションに向き合う人気スタイリストの福田麻琴氏に、“ニューノーマル”時代のファッションに求めることや素材へのこだわりを聞いた。

“快適さ”と“本質性”が
大きなキーワードに

 「自粛期間を経てからの撮影では、ルームウエア兼お出掛けにもOKという切り口で、着心地がよくそのまま外に出ても恥ずかしくないようなワンピースやシャツなどがスタイリングの主役になりました」と福田氏。自身の服選びにおいても、“快適さ”と“本質性”が大きなキーワードになったという。「家にいる時間が増え、自分と向き合う時間ができました。これから年齢を重ねる上で何をクローゼットに置いておきたいか—など一つ一つのアイテムについて、より考えるようになりましたね」。

 そんな彼女が今注目している素材の一つに、旭化成の「ベンベルグ」がある。素材名はキュプラでコートやジャケットの裏地素材として有名だが、しなやかなドレープ性を持つことから表地として使用されることも多い。実際にベンベルグ素材のワンピースに腕を通して驚いたのは、“心地よいひんやり感”だったという。ベンベルグには接触冷感があり、肌に触れたときに涼しく感じられるのだ。また、衣服内のムレやベタつきを抑える“吸放湿性”にも優れ、サラサラとした着心地をかなえる。「快適さや機能性から服を選ぶという視点は、私個人にとっても新鮮です。結婚や子育てに限らず、新型コロナによってもライフスタイルが変化するとともにファッションも変わりますよね。自粛期間中、私はレギンス一辺倒でした。そのおかげでスポーティーなスタイルの良さを知りました。今は悲観的になりがちですが、その時その時のライフスタイルに合った “コスプレ”を楽しんでみるのもいいんじゃないかな」。

機能的なサステナブル素材
「ベンベルグ」への共感

 「ベンベルグ」は、本来は綿糸として使用されないコットンの種の外皮に生えている産毛(コットンリンター)を原料とするセルロース繊維だ。また、土に埋めると堆肥化するという生分解性を持つサステナブル素材としても注目されている。植物由来のセルロース繊維の中でも特に非晶部分を多く持ち染着スピードが速いため、深く鮮やかな色に染めやすいということも特徴だ。

 「最近はファッション性も兼ね備えた素材の洋服が増えてきたように思います。“無理をしないで着飾れる”というのはこれからの時代ますます求められること。『ベンベルグ』素材の服もまたその一つですね。例えば『ハート(HAAT)』のようなシワになりにくいボトムスは、在宅勤務時にも外出のシーンにも重宝しそう。上質な光沢感があるので、シックなコートにも合わせられますね」。服だけでなく、ランジェリーやソックスにも採用されている「ベンベルグ」。「下着選びでその日一日の気持ちが変わってきますから、こだわって選びたいところです。『ゴコチ(GOCOCI)』のハーフトップは、滑らかで薄手のニットなどトップスに響きにくいのもいいですね。ランジェリーもソックスも直接肌に触れるアイテム。『ベンベルグ』のように快適な素材のものなら、汗をかきやすい夏はもちろん、乾燥して肌が敏感になりやすい秋冬にもぴったりですね」。

ファッションとは
ライフスタイルを彩るもの

 「自粛期間中のリラクシング中心のファッションに加えて、ここ数年“カジュアル”がトレンドだったこともありますし、多くの人が楽であることに慣れてしまって『おしゃれってどうするんだっけ?』という声をよく耳にします。好きだったジャケットやシャツを見て、どうやって着るんだっけ?と、正直に言うと私自身も戸惑うことがありました。カジュアルなファッションが続いた反動なのか、この秋はデザインやカラーなど一つでも気持ちの上がるようなアイテムを添えたい気分です。自分にとっての心地よさとおしゃれのバランスを探っていきたいですね」。

 手にとったマスクに使用されているのも「ベンベルグ」素材のもの。快適な布タイプのマスクを追い求めていろいろ試してきたという福田氏。肌触りが優しく、呼吸がしやすいとお気に入りだ。「ファッションは生活の一部であり、その人のライフスタイルを彩るもの。マスクが必須アイテムになった今、洋服と同じように気に入ったものを身に着けて自分らしいファッションを楽しんでいけたらいいですね」。

MOVIE:NORICHIKA INOUE
PHOTOS:SHINJI YAGI
MOVIE PRODUCE:RYO MURAMATSU
HAIR & MAKEUP:RYO(ROI)

問い合わせ先
旭化成パフォーマンスプロダクツ事業本部
ベンベルグ事業部ベンベルグ第一営業部
06-7636-3360

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ファストリが見据えるサステナビリティ戦略のセカンドステップ

 「ユニクロ(UNIQULO)」などを擁するファーストリテイリング(FAST RETAILING)は、2020年度のESG-CSRの日本調査評価会社による「SASTAINA ESG AWARDS」の小売部門でゴールドを獲得し、「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(Dow Jones Sustainability index)」のスコアは41とランクを上げている。

 同社はこれまでサプライチェーンの人権問題など人に重点を置いてきたが、気候変動や循環型社会への関心の高まりから環境問題にも力を入れる。椹木秀作サステナビリティ部グローバル環境マネジメントチーム リーダーにファーストリテイリングのこれまでの環境への取り組みを聞く。

WWD:自社やサプライチェーンにおける環境負荷低減のための取り組みはいつから着手しましたか?

椹木秀作サステナビリティ部グローバル環境マネジメントチーム リーダー(以下、椹木):本格的な取り組みとして最初に着手したのは有害化学物質の排出削減です。アパレルの生産工程で使用される化学物質が工場周辺の水質汚染などの原因になっていると問題視されたことを受けて2013年に、商品や生産プロセスにおける有害化学物質の排出を20年までにゼロにする対策に取り掛かりました。

WWD:2013年以前の取り組みについては?

椹木:もちろん以前から、着用時の消費者安全の観点に立ち有害物質の基準を設けて管理をしてきましたが、13年にこの管理の範囲を、環境保護と労働安全を目的として生産工程と排水にまで拡大しました。制限物質リストの作成と公開、工場における定期的な排水検査など、法律を超える厳しい基準を採用して工場とともに取り組みを進めています。19年末時点で、継続的な取引のある全ての主要素材工場における排水基準の順守率99.8%を達成しています。

WWD:有害化学物質以外の取り組みは?

椹木:サプライチェーンのより広義な環境負荷を把握する目的で、16年から主要素材工場の一部を対象として水とエネルギー使用量の把握を始めました。工場からメーターの計測値を申告してもらう方法で使用状況の把握を進め、20年までの削減計画を策定しました。削減の余地が大きい工場に対しては、外部専門家と実地検証を行い、各工場の削減余地に応じた目標設定と削減施策を実施しています。排水の再利用率の向上、水の使用量が少ない設備への更新、サブメーターの導入による使用量の管理の向上などを通じて、主要素材工場における水使用量を20年末までに16年実績対比で15%削減する見込みです。また現在は、すべての主要素材工場と縫製工場を対象に、ヒグ・インデックスのファシリティー・エンバイロメンタル・モジュール(FEM)を導入しています。

WWD:店舗運営で行っていることはありますか?

椹木:自社で直接管理する店舗については、国内「ユニクロ」を対象に温室効果ガス排出量の把握を進めています。照明では9割以上の店舗にLEDを導入し、19年度末時点で13年度実績比(単位面積当たり)31.6%の消費電力削減を達成しました。並行して、店舗運営や商品の環境負荷低減の取り組みとして、使い捨てプラスチックの使用量削減を進めています。プラスチック製ショッピングバッグを環境に配慮した紙製に切り替えるとともに、一部商品のパッケージでも使い捨てプラスチックの撤廃や他素材への切り替えを進めています。

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デジタルコレでドタバタ対談 NYは過去に思いをはせる“ノスタルジア”が急浮上

 2021年春夏メンズ・コレクションに続き、ウィメンズのコレクションサーキットがスタートしました。メンズでは、主にメンズを担当する記者がリアルタイムにこだわって取材してきましたが、あまりのドタバタぶりから取材体制を再編。ウィメンズでは担当記者を増員し、“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。

 今回は、9月13〜16日(現地時間)に開催されたニューヨーク・ファッション・ウイークから、編集部が面白かったと思うブランドをピックアップして紹介。海外コレクション取材歴4年の北坂映梨「WWD Japan.com」編集部 ビューティデスクと、NYコレクション初取材の「WWDジャパン」編集部記者の美濃島匡が日常業務と並行しながらリポートします。

マスクやZoom映えを意識した「アナ スイ」にほっこり

美濃島:怒涛のメンズを終え、今度はウィメンズのコレクションサーキットが開幕。好評だった(?)ドタバタ対談は記者を増員して継続していきます!最初に紹介するのは、個人的に最も印象に残った「アナ スイ(ANNA SUI)」。子どものころの記憶を思い起こさせるノスタルジックなコレクションでした。

北坂:ドールハウスのような家を背景にモデルたちが1人ずつ登場したり、楽しそうにフルーツパイを食べたり、見ているだけでほっこりする映像だったね。手作り感満載のクロシェ編みのバッグやアイレットレース、小花柄などがノスタルジーを加速させたのかも。

美濃島:おうち時間が長くなっている中、デザイナーのアナ・スイ(Anna Sui)は「家とは何か」を改めて考えることからデザインを始めたそうです。1960年代の映画などが着想源の一つでもあるみたいだけれど、当時のフラワーチャイルドを連想させるデイジーのモチーフやタイダイも出てきました。

北坂:バッグやハットはTシャツのニット生地を再利用したり、サングラスは過去の「アナ スイ」のサングラスフレームをリサイクルして作ったりと、環境にも優しいコレクションだったみたい。ちなみにスウェットはZoomでも写るように意識したとか(笑)!今のニーズも取り入れているところも素敵だったよね。

美濃島:そうなんですね!洋服と同じ柄のマスクも出てきたり、時代を映したアイテムも見られましたね。日本ではファミマ限定のマスクを売っていたけれど、すぐに完売したそうですよ。今回登場したマスクも日本でも発売して欲しいです。

北坂:私もそれには期待!コンセプチュアルで難解なムービーはいつも以上に近寄りがたい状況だから、今回の「アナ スイ」くらいアットホームな感じがうれしいかも。

「トム フォード」が提案する“思わず笑顔になる洋服”

北坂:「トム フォード(TOM FORD)」はビビッドなパープルやブルー、ホットピンクなど色鮮やかなカラーにアニマルプリント祭り!見ているだけでも気分が上がるコレクションでした。トム本人のインタビュー映像も公開されて、コレクションを理解するのによかった。どのブランドもそうだけれど、今季はイタリアのアトリエやLAのオフィスがクローズした中で作ったみたいだから、大変だったみたい。自宅の(?)駐車場にテントを張ってコレクションを完成させたとか、そういう裏話も聞けて面白かった…!

美濃島:ロックダウン中は同じジーンズとTシャツを洗わずにずっと着ていたけど、久しぶりに友人とディナーに行った際にドレスアップしたらとても気分が上がったそうです。このエピソードから、今季はドレスアップすることの楽しみを表現しているんだとか。

北坂:トムは「今みんなが求めているのは、着るだけで思わず笑顔になる洋服」と言っていて、それには共感できました。セクシーでグラマラスなスタイルは健在だけれど、今の状況を踏まえて少しリラックスしたシルエットだったり、スウェットやカフタンなど着やすいアイテムが多かった印象です。

ジェンダーとスポーツの関係を探った「クロマット」

北坂:個人的にいつも楽しみにしている「クロマット(CHROMAT)」は、スイムウエアから始まったブランドだから今回もスポーツウエアがメインだった。デザイン性を求める感じではないんだけど、ダイバーシティーを強くうたうブランドでショーが毎回楽しいんだよね。

美濃島:さまざまなジェンダー、人種、年齢、体型のモデルがランウエイを歩くショーはいつもエネルギッシュですよね。今季はZoomでトランスジェンダーの人々にインタビューする内容で、いまだに「メンズ」「ウィメンズ」で括られる世界における悩みや苦労、強い思いを知りました。いろいろ考えさせられる映像でしたね。

北坂:「ニューヨーク・コレクションは縮小している」とか悲観的に言われることも少なくないけれど、こういう多様性を受け入れる姿勢はほかのどの都市よりも進んでいると思うし、NYならではの魅力もたくさんあるよね。

美濃島:映像の途中には広告風のバナーも登場し、男性ホルモンの値が先天的に高い女子選手が不当な扱いを受けていることを訴えていました。南アフリカのキャスター・セメンヤ選手がこの規定の撤回を求めていたんですが、つい先日スイスの連邦最高裁判所が「規定に問題はない」と発表して、彼女の主張は否決したことを受けて挿入したんでしょうか。

北坂:へー、そうなんだ。感慨深いね。服は前回のNYコレで発表したものと同じみたいだったけど、演出が違ったので新鮮に映りました。ちなみに前回はモデルたちが本気でサーキットトレーニングするという演出でした(笑)。

美濃島:明るさと暗さの振り幅がありますよね。でもその懐の深さがこのブランドの魅力なのでしょう。

「コウザブロウ」の考えるニューノーマルは宇宙?

美濃島:日本人の赤坂公三郎デザイナーが手掛ける「コウザブロウ(KOZABURO)」は実験的な映像でしたね。

北坂:360度カメラで撮影したアトリエに入り、部屋の中のオブジェクトをクリックしていくと、コレクションの着想源が見つかったり、音楽のプレイリストが再生されたりと面白い仕掛けがあって、すごくユニークだった。なんだかGoogleのストリートビューを見ているような気分になっちゃった。アトリエを離れて近未来的なドームの中に入ると、21年春夏の洋服を着用したバーチャルモデルが登場して、ベッドに寝ているモデルもいれば、園芸?にいそしむモデルもいたりして面白かったね。

美濃島:僕は「宇宙旅行に着て行く服」をイメージしたコレクションだと解釈しました。光線をモチーフにしたトラックジャケットなど直球のアイテムもあれば、タイベック素材を使ってフューチャリスティックさを押し出したセットアップもあったり、いろんなアプローチがあって引き出しの多さを感じました。

北坂:なるほど。ニューノーマルのキーワードとして快適さを挙げられることが多いけど、赤坂デザイナーのアンサーがこのコレクションだったのかもね。

美濃島:彼は17年のLVMHプライズで日本人初の特別賞を受賞しているので、メンズですが今後もぜひチェックしてください!

ミリタリーウエアの歴史を辿った「N.ハリウッド」

北坂:尾花大輔デザイナーの「N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)」は、スーツスタイルを軸とする“コンパイル”と、ミリタリーテイストを中心とする“エクスチェンジ サービス”の2ラインのコレクションを発表。ミリタリーウエアの歴史を辿る写真や資料と一緒に、今季のアイテムを見せていたね(ちなみに資料は本人の私物らしい)。

美濃島:爆弾や病院、兵隊などの資料をルックの合間にはさんだ意味深な映像でしたね。なぜ戦争に着想したのか気になりました。BGMがピアノの演奏に転換するところでは、坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」を連想しました。

北坂:いつもは旅に着想してコレクションラインも制作しているけど、このご時世で旅ができなかったからコレクションラインはスキップしたみたい。

美濃島:トム・フォードみたいにどんな状況でもコレクション制作を続けるデザイナーがいたり、アーカイブを利用するデザイナーがいたり、そもそもコレクション制作に着手しない人がいたりとクリエイターの姿勢にも違いがありますね。

都会の喧騒を忘れさせる「ウラ ジョンソン」にうっとり

北坂:美濃島くんと2人で「かわいい!」と意見が一致したブランドが「ウラ ジョンソン(ULLA JOHNSON)」。NYの街並みから始まり、マンハッタンの対岸にあるルーズヴェルト島に作ったランウエイをモデルが歩く映像は、たしかにNYなんだけど、都会の喧騒した感じは一切なく、時間がゆっくり過ぎている感じだった。新しい見せ方ではないけれど、洋服をいろいろなアングルから撮っていて、一着一着のディテールもしっかり見られるように工夫していたのがよかったよね。

美濃島:アコースティックギターに綺麗な歌声を乗せたBGMも、どこかゆったりしたムードの演出に一役買っていました。カメラのカットでアクセサリーやメイクまでしっかり見られたのもよかったですね。得意とするボヘミアンテイストは健在ですが、今季はフリルやパフスリーブも多く用いられていて、いつもに増してガーリーな雰囲気を感じました。

北坂:色もパステル調の柔らかなカラーばかりで、見るだけで癒されたなあ。色あせたポラロイドみたいな、ちょっとノスタルジックな雰囲気は「アナ スイ」にも通ずるものがあるね。不安が多い時代だからこそ、過去の良い記憶をさかのぼるような“ノスタルジア”が一つトレンドになるかもしれないね。

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【動画】「京大卒モデル一ノ瀬のモード飯~Cuisine à la mode~」Vol.1 “エルメス・オレンジのエスニックガスパチョ冷麺”

 「京大卒モデル一ノ瀬のモード飯~Cuisine à la mode~」は、モデル兼俳優の一ノ瀬遼による料理番組です。「オシャレな料理を作りたい!!」「たまにはお家でご飯を食べたい!!」という、多忙な業界人でも簡単に作れる料理を学びます。また京都大学薬学部出身の知識を生かした、料理にまつわるさまざまなウンチクや雑学もプラス。一ノ瀬についてもっと詳しく知りたい人は、下記の関連記事をチェック!!

 今回は、「エルメス(HERMES)」を代表する“エルメス・オレンジ”に着目した“エルメス・オレンジのエスニックガスパチョ冷麺”を学んでいきます。野菜と春雨、少量のパンと調味料のみを使用することで、ヘルシーかつビタミン豊富な料理に仕上げました。盛り付けは「エルメス」の箱をモチーフに、リボンにはクリームタイプのバルサミコ酢を使用して再現しました。

 動画下に同料理のレシピを掲載します。

レシピ

(約2人分)
・トマトホール缶 100g
・パプリカ赤 1/4個
・スイカ 約50g
・ビネガー 10g
・EVオリーブオイル 約25g
・パン 一欠片

(盛り付け用)
・きゅうり 少量
・オイスターソース 小さじ1/2
・ナンプラー 9g
・タバスコ 5滴(お好みで)
・コショウ 適量(お好みで)
・春雨 1食分
・パクチー 少量
・クリームタイプのバルサミコ酢

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ESG経営高評価のヒューゴ ボス、「ポイントは環境負荷をLCAで分析」

 ドイツのヒューゴ ボス(HUGO BOSS)はESG(環境、社会、ガバナンスの重視)経営で高い評価を得ている。「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(Dow Jones Sustainability index)」のスコア89で、アディダス(ADIDAS)、ケリング(KERING)、バーバリー(BURBERRY)に次いでテキスタイル、アパレル&ラグジュアリーグッズ部門で4位にラインクインしている。英国のNPO団体ファッションレボリューション(Fashion Revolution)の「ファッション トランスペアレンシー インデックス(Fashion Transparency Index)」では透明性41%と健闘(編集部注:1位のH&Mは73%で、多くのブランドが40%以下の低スコア)。また、毛皮使用の廃止や、レザーの代替品として注目されているパイナップル由来の人工皮革を採用するといったアクションも早く、サステナビリティ分野でも注目すべき企業である。アンドレアス・ストルービッグ(Andreas Streubig)=グローバル・サステナビリティ部門ディレクターに取り組みを始めたきっかけを聞く。

WWD:サステナビリティに取り組むときに何から始めましたか?

アンドレアス・ストルービッグ=ディレクター、グローバル・サステナビリティ(以下、ストルービッグ):早い段階から意識的に天然資源を使うことと、当社の事業活動が環境に与える負荷について取り組んできました。この分野で何が重要なのかを理解する必要がありました。だからこそ、株主の皆さまとの継続的な対話を確立したのです。

理解を深めるために2009年、全ての商品に対してLCA(ライフサイクルアセスメント:製品やサービスのライフサイクル全体〈資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル〉、またはその特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法)を開始しました。LCAを実施することによって、全体のバリューチェーンに沿った環境への影響を数値化することが可能になりました。できるだけ正確にわれわれの足跡をたどり理解するために、膨大なデータに取り組む必要がありました。また、さまざまな負荷を比較可能にするために、私たちは自然資本プロトコル(Natural Capital Protocol)を導入しました。これは二酸化炭素の排出や水消費量等の異なる影響を金銭的価値に変換するという標準化された枠組みで、私たちはこれを早い段階で導入したブランドの一つです。これにより局地的に何かの数値が高い部門や地域の割り出しや、その削減のために最適な、そして最も効果的な方法を決定するのに役立っています。結果はコーポレートウェブサイトにて公開しています。

WWD:環境負荷を知ったことによる変化や成果は?

ストルービッグ:私たちが割り出したホットスポットは主にサプライチェーンにあったので、ベター・コットン・イニシアチブ(Better Cotton Initiative)やレザーワーキンググループ(Leather Working Group)等の組織と連携して、より多くのサステナブルな原料を調達することを重視するようになりました。25年までに100%持続可能なコットンに切り替えるという目標も立てました。この目標は、例えば水消費量や生物学的多様性への負荷を減らすのに役立ちます。さらに、化学物質の管理過程についても、有害物質ゼロを目指すZDHC(Zero Discharge of Hazardous Chemicals)の「ロードマップ・トゥ・ゼロプログラム(Roadmap to Zero Program)」の枠組みのもとに、サプライヤーと共に危険有害化学物質の除去に努めています。この対策によって何よりも、サプライチェーンにおいて従業員の健康に与える負荷を最小限にします。私たちはまた、サプライヤーによるエネルギー利用などの改善を目指し、グローバル・ソーシャル・コンプライアンス・プログラム(Global Social Compliance Program:GSCP)に基づいた環境プログラムを導入しています。

WWD:他の取り組みは?

ストルービッグ:より環境負荷を減らすために、全ての領域で長期的な目標を設定しています。特に、サプライヤーと一緒に、有害危険物質の除去への取り組みに注力しています。また私たちは18年に、国連主導の「ファッション業界気候アクション憲章(Fashion Industry Charter for Climate Action)」に加入しました。これは50年までの気候中立(二酸化炭素排出の実質的なゼロ)を実現するべく、サプライチェーンを中心に気候変動への負荷を減らすことを目的としています。強固なネットワークで互いに協力し合わなくては達成できないことです。

WWD:それに向けて具体的に何をしていますか?

ストルービッグ:環境負荷を本当に減らすことができるのかを判断するために、私たちは常にそれぞれの対策を実行に移す前に査定します。例えば、新しい素材や梱包、またはプロセスを導入する前には、LCA上での環境負荷を分析します。そして現在私たちが使っている方法に基づいて比較し、負荷が本当に最小限に抑えられるかどうかを確認します。

さらに、私たちが直面する最大の挑戦として特に気候変動に焦点を当てています。この目的に向けて、私たちは温室効果ガス削減のためにScience Based Targets(SBT:科学的根拠に基づく目標)を策定し、SBTイニシアチブの認証を得ました。私たち独自のプロセスでの排出削減のための対策以外にも、現在、気候変動枠組条約(UNFCCC)と共に、私たちのサプライチェーンのための戦略や対策について取り組んでいます。ここでの焦点は、環境負荷や進歩を測れるように目標を策定することです。これらをサプライヤーが実行に移せるように支援するために、私たちは現在研修プログラムを開発中です。私たちはこれらの対策がサプライチェーンにおける二酸化炭素排出の削減に大きな影響を与えると確信しています。

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丸井グループはいかにしてESG経営先進企業になったのか

 日本の小売業界で、新しいビジネスモデルに挑戦する先進企業として知られる丸井グループ。これまで“売らない店舗”として従来の店舗から体験型ストアへの転換を推進するなど、新たな領域に参入してきた。その丸井グループはESG(環境、社会、ガバナンスを重視した会社運営)でも高い評価を得ている。ESGの格付けランキングとして知られる「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」でもスコア96と高得点をマークしている。

 丸井グループは2016年、環境への配慮、社会的課題の解決、ガバナンスの取り組みがビジネスと一体となった“共創サステナビリティ経営”を行うためにESG推進部を新設し、情報開示の強化・推進の体制を整えてきた。どのようにしてESG経営先進企業になったのか。そのきっかけを同グループの関崎陽子サステナビリティ部長に聞く。

WWD:サステナビリティの分野の先進企業にとって、そうなる契機は自社とサプライチェーンの環境負荷を知ったとき、と聞くことが多くあります。丸井グループのきっかけは何でしたか?

関崎陽子サステナビリティ部長(以下、関崎):丸井グループでは、以前より省エネ・省資源をはじめ環境保全に配慮した取り組みを進めてきましたが、大きなきっかけになったのは2005年のCSR推進部(17年4月サステナビリティ部に)発足でした。それを機に環境省が定める「環境会計ガイドライン」や「温室効果ガス排出量算定報告マニュアル」等を参考に、エネルギー使用量・CO2排出量、水資源使用量・排水量、廃棄物排出量等について経年で把握し、08年以降、CSRリポートやウェブサイトでのデータの開示・充実を図ってきました。

そして14年以降、私たちは丸井グループ自らの温室効果ガス排出量(Scope 1&2:1は事業者自らによる直接排出、2は他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)に加え、サプライチェーンにおける排出量Scope3の算定に着手しました。きっかけは、CDP(英国のNPOで、投資家、企業、国家、地域、都市が自らの環境影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運営)などの外部評価機関等のアンケート調査への対応でした。調査項目を確認する中で、たとえばScope3といった新たな概念が社会的要請として高まっていることを知ったのです。

この算出を通じて、丸井グループ内の環境負荷(Scope1&2)のみならず、原材料の調達から輸送や、お客さまご購入後の排出量(Scope 3)を含むサプライチェーン全体の排出量の見える化ができ、お客さま・社会と共に進める環境負荷低減という視点を持つきっかけになりました。

WWD:環境負荷を知ることによって何が変わりましたか?

関崎:自社排出の温室効果ガスの多くが電力に由来していることを知りました。その電力を再生可能エネルギーに切り替えることによって環境負荷低減に貢献しようと、18年にRE100(使用する電力の100%を再生可能エネルギーによる電力にすることに取り組む企業が加盟する、国際的な企業連合)に加盟し、30年までに再生可能エネルギー100%を達成するという目標を掲げることにつながりました。なお、2020年度は50%達成の見込みです。

WWD:廃棄物のリサイクルも強化しているとか。

関崎:はい。事業所での廃棄物を詳細に把握することが、リサイクル率向上の取り組みにつながっています。15年には59%だった資源リサイクル率は19年には63%に向上しました。現在、25年に75%以上を達成する目標を立てて、廃棄物置き場のエコファクトリー化を進めています。

WWD:エコファクトリーとは?

関崎:資源リサイクル率を高めるため、生ごみのリサイクルに重点的に取り組んでいます。マルイファミリー溝口では、ビル管理会社のみぞのくち新都市と共同で、19年にごみ処理施設のリニューアルを行い、「ノクティ エコファクトリー」と名称も変わりました。集積場のレイアウト変更や、テナントごとのごみ排出量の見える化などを実施しています。導入3カ月で生ごみのリサイクル率は100%に、資源ごみ全体のリサイクル率も30%以上向上し、76%となりました。今後は全店の資源リサイクル率を高め、さらなる環境負荷の低減をめざしています。

WWD:現状把握、目標設定、そして取り組みへの移行についてはどういうプロセスで行っていますか?

関崎:16年以降、丸井グループでは、ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(DJSI)やFTSE(株価指数の算出・管理や、関連する金融データの提供サービスを行う企業)、CDPをはじめとするESG評価機関やサステナビリティに関するさまざまな調査に対し、積極的に回答・開示を進めています。こうした調査は私たちにとって、企業が注目すべき点・対応が求められる環境項目などの気づきとなり、グローバル基準を知るきっかけにもなります。

毎年ESGデータブックとして開示する中で、環境項目についての不足点や開示を拡充する点がないかを考えるとき、こうした外部評価機関からの投げかけは大変貴重なものです。また、実態の把握や今後の取り組みを検討するためには社内の連係が欠かせず、それにより、事業戦略にサステナビリティ戦略が組み込まれていくことにつながると考えています。

WWD:環境負荷を減らしていくために、何を参考にしていますか?

関崎:SBT(SCIENCE BASED TARGETS:環境省の定義は「パリ協定の基準が求める水準と整合した5~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標」)やTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース:G20の要請を受け、金融安定理事会が気候関連の情報開示および金融機関の対応をどのように行うかを検討するため、マイケル・ブルームバーグ氏を委員長として設立。企業などに対して気候変動関連リスクの項目を開示することを推奨)といったイニシアチブにも積極的に参加しています。自社の環境負荷について現状を把握することによって課題が明確になり、環境負荷低減の取り組みの必要性と具体的目標が明確になります。

私たちは今後も、自社の環境負荷低減はもちろんのこと、ビジネスを通じて、環境という社会課題解決に向けて取り組みを推進していきたいと考えています。

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コスメのベストセラーの理由教えます! 「ラサーナ」編

 ドラッグストアやバラエティーショップで取り扱われているアイテムにはロングセラー商品が数多く存在する。なぜ安定した売り上げが続いているのか、何をきっかけに人気に火がついたのかなど、毎回、一つのブランドをピックアップ。ブランド誕生から現在までを振り返りながら、ブランドのターニングポイントとなった出来事について探っていく。

“洗い流さない”という手軽さでアウトバストリートメント市場をけん引

海藻にこだわったヘアケアを中心にスキンケア、アロマ、入浴剤など幅広いアイテムを展開するブランド「ラサーナ」。現在、全国のドラッグストアと一部バラエティショップの約1万7000店舗で取り扱っているが、実はブランド誕生の1979年当時は訪問販売と通信販売でスタートしていた。

 「化粧品メーカーとしてヤマサキを創業した当初は訪問販売から始めていたが、多くのお客さまと接するうちに、女性をより美しくする商品作りへのこだわりが日増しに強くなった。そこで、イタリア語で“健康的で美しい女性”という意味を持つ『ラサーナ』をブランド名にし、全ての女性に“健やかな美”を提供し続けたいという思いを形にするため、ブランドが誕生した」とヤマサキ・マーケティング部中村朝美氏は話す。また、“海藻コスメブランド”をうたうほど「ラサーナ」は海洋成分へのこだわりが強く、「昔から髪の毛に良いといわれ続けていた海藻に着目して開発した。中でもタラソテラピー発祥の地としても知られる、フランス・ブルターニュ産の海藻のエキスをブランド全商品に配合している」という。

 ブランド誕生時は女性をターゲットに「ラサーナ 海そう クリーム シャンプー&リンス」を発売したが、訪問販売と通信販売のみにもかかわらずこれまでの顧客を中心に支持を集め、約1億円を売り上げた。その後、84年にスキンケアへ参入して「ラサーナ クレンジング パウダー」を発売、94年にダメージヘアケア用のシャンプー&トリートメントを発売するなどしたが、98年の洗い流さないヘアトリートメント「ラサーナ 海藻 ヘア エッセンス」の登場が売り上げの転機となった。「当時は、“洗い流さないトリートメント市場”はまだ存在しておらず、当社が先駆けて発売。90年代は“茶髪ブーム”が到来していた影響で若年層を中心に、脱色などで明るいヘアカラーを楽しむ人が増えていた。そんな時代背景を踏まえ、“洗い流さない”という手軽に使えることに加えて、ダメージヘアケアの効果をすぐに感じられる使用感が人気となりブランド史上最大のヒット商品となった」。また、“実感品質”を掲げて無償の試供品サンプルを多く提供。「お客さまに納得してから商品を購入してもらう販売戦略の効果もヒット理由の一つ」と述べる。

 「ラサーナ 海藻 ヘア エッセンス」の発売後は、アウトバストリートメント市場を先駆けて作り上げ、売り上げも年々右肩上がりで伸長してアウトバストリートメント累計販売本数1800万本突破(2019年11月末時点)、今では国内売り上げ12年連続No.1(2008-2019年実績「化粧品マーケティング要覧2009-2020」、アウトバストリートメントにおいて、ラサーナブランドとして・富士経済調べ)を獲得している。今後についても、「市場をけん引し、市場全体を現在の270億円から300億円に伸ばしていきたい。さらに店舗展開についても、本社がある広島県はプロモーションや複数の売り場での展開など販売モデル店となっている店舗が多いため、同様の販売モデル店舗を全国にも広げていく」と意気込む。

ここがターニングポイント!

 “洗い流さないトリートメント”がほとんどない1998年に、いち早く「ラサーナ 海藻 ヘア エッセンス」を登場させた。発売後はその手軽さとその効果実感でたちまち人気に。また、これまでの「ラサーナ」の購買年代層は高めだったが、ドラッグストアの店頭販売やWEB販売も開始し比較的若年層にも購買層が広がった。

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ジュエリーを知り尽くしたバイヤーによるジュエリー「リューク」が登場

 セレクトショップのジュエリーバイヤーによるジュエリーブランド「リューク(RIEUK)」がデビューした。ディレクターの和田麻里子は、ジュエリーのセールスを経て約15年間セレクトショップのジュエリーバイヤーとして活躍。国内外でジュエリーの買い付けを行いながら、「自分が欲しいものを作りたい」という思いから「リューク」をスタートさせた。リューク」のコンセプトについて、また、ジュエリーの楽しみ方について和田に聞いた。

WWD:「リューク」を立ち上げたきっかけは?

和田麻里子「リューク」ディレクター(以下、和田):夫の仕事によりアメリカ在住で仕事をしていたが3年前に帰国し、何か新しいことをやりたいと思った。ジュエリーに関して知識はあるが作ったことがない。多くのジュエリーを見る中で、「こんなジュエリーがあったらいいな」という思いを形にしようと思った。

WWD:「リューク」という名前はどこから?

和田:ブランド名は世の中に存在しない言葉にしたかった。アール(R)の響きが好きで、日本語にない。あえて意味を持たない名前を音から選んで感覚的に作った。

WWD:「リューク」のブランドフィロソフィーは?

和田:ファッションを楽しむ感覚で、重ねづけして楽しむジュエリー。グラデーションになっているので、全てのジュエリーと合わせられるようになっている。大きいものから小さいものまで好きなバランスで組み合わせることが可能だ。重ねづけというときゃしゃなものが多いが、「リューク」では大き目でパンチの利いたものが多い。たとえば大ぶりなブラスのチェーンは2個つないで長くすることも可能だ。

WWD:展開アイテムとメーンの素材、中心価格帯は?

和田:イヤーカフ、ピアス、ネックレス、ブレスレット。長く使えるようシルバーにこだわった。それにゴールドメッキを施したタイプもある。大ぶりのネックレスの素材をブラスにしたのは、シルバーだと価格が高くなってしまうから。中心価格帯は3万円程度。

WWD:デザインはスケッチから?インスピレーション源は?

和田:ラフを書いて職人にサンプルを作ってもらい、バランスを調整している。インスピレーションは、自然から。オーガニックな形が好みだが、それを自分のフィルターに通して、あえて構築的であったり、機械的であったり、分かりやすい形で表現している。例えば、水の滴一つをとってもいろいろな表情があり形状が変化する。その一瞬をとらえて幾何学的に表現したりすることもある。私は宇宙が好きなので、軌道などをモチーフにしたジュエリーも。天体の軌道をはじめ、自然の現象はランダムではなく計算されていると思う。人間がつくったものではない自然の黄金比のようなものを形にして表現している。

WWD:今後のビジネス戦略は?

和田:セレクトショップへの卸を中心にブランドを育てていきたい。また、立ち上げたばかりなので、ゆっくり時間をかけてブランドを取引先に理解してもらった上で、ビジネスを広げていければと思う。現在は、トゥモローランド(TOMORROWLAND)をはじめとする4つのセレクトショップへの卸が決定している。

WWD:新型コロナがジュエリー業界や消費者のマインドに与える影響についてどう考えるか?

和田:緊急事態宣言が解除されてから、ジュエリーの売り上げは好調だ。自粛期間中は、家で心地よく過ごせるアイテムが売れていたと思うが、自分を幸せにしてくれるものも必要とされていると思う。それは、ずっと欲しかったもの、大切にしたいもの、一点ものだったり、人によりさまざまだと思うが、ジュエリーはそういった気持ちが反映されるものの一つだと思う。コロナをきっかけに、すっと欲しかったジュエリーを購入する人が増えているようだ。コロナ時代でも売れるものは売れるし、売れないものは売れない。中途半端なものは売れない世の中になってきていると感じる。コロナを機に、安易なモノ作りについて考えさせられるようになった。このような時代だが、人間には、「すてきなものは欲しい」という物欲はあるはずだ。

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ジュエリーを知り尽くしたバイヤーによるジュエリー「リューク」が登場

 セレクトショップのジュエリーバイヤーによるジュエリーブランド「リューク(RIEUK)」がデビューした。ディレクターの和田麻里子は、ジュエリーのセールスを経て約15年間セレクトショップのジュエリーバイヤーとして活躍。国内外でジュエリーの買い付けを行いながら、「自分が欲しいものを作りたい」という思いから「リューク」をスタートさせた。リューク」のコンセプトについて、また、ジュエリーの楽しみ方について和田に聞いた。

WWD:「リューク」を立ち上げたきっかけは?

和田麻里子「リューク」ディレクター(以下、和田):夫の仕事によりアメリカ在住で仕事をしていたが3年前に帰国し、何か新しいことをやりたいと思った。ジュエリーに関して知識はあるが作ったことがない。多くのジュエリーを見る中で、「こんなジュエリーがあったらいいな」という思いを形にしようと思った。

WWD:「リューク」という名前はどこから?

和田:ブランド名は世の中に存在しない言葉にしたかった。アール(R)の響きが好きで、日本語にない。あえて意味を持たない名前を音から選んで感覚的に作った。

WWD:「リューク」のブランドフィロソフィーは?

和田:ファッションを楽しむ感覚で、重ねづけして楽しむジュエリー。グラデーションになっているので、全てのジュエリーと合わせられるようになっている。大きいものから小さいものまで好きなバランスで組み合わせることが可能だ。重ねづけというときゃしゃなものが多いが、「リューク」では大き目でパンチの利いたものが多い。たとえば大ぶりなブラスのチェーンは2個つないで長くすることも可能だ。

WWD:展開アイテムとメーンの素材、中心価格帯は?

和田:イヤーカフ、ピアス、ネックレス、ブレスレット。長く使えるようシルバーにこだわった。それにゴールドメッキを施したタイプもある。大ぶりのネックレスの素材をブラスにしたのは、シルバーだと価格が高くなってしまうから。中心価格帯は3万円程度。

WWD:デザインはスケッチから?インスピレーション源は?

和田:ラフを書いて職人にサンプルを作ってもらい、バランスを調整している。インスピレーションは、自然から。オーガニックな形が好みだが、それを自分のフィルターに通して、あえて構築的であったり、機械的であったり、分かりやすい形で表現している。例えば、水の滴一つをとってもいろいろな表情があり形状が変化する。その一瞬をとらえて幾何学的に表現したりすることもある。私は宇宙が好きなので、軌道などをモチーフにしたジュエリーも。天体の軌道をはじめ、自然の現象はランダムではなく計算されていると思う。人間がつくったものではない自然の黄金比のようなものを形にして表現している。

WWD:今後のビジネス戦略は?

和田:セレクトショップへの卸を中心にブランドを育てていきたい。また、立ち上げたばかりなので、ゆっくり時間をかけてブランドを取引先に理解してもらった上で、ビジネスを広げていければと思う。現在は、トゥモローランド(TOMORROWLAND)をはじめとする4つのセレクトショップへの卸が決定している。

WWD:新型コロナがジュエリー業界や消費者のマインドに与える影響についてどう考えるか?

和田:緊急事態宣言が解除されてから、ジュエリーの売り上げは好調だ。自粛期間中は、家で心地よく過ごせるアイテムが売れていたと思うが、自分を幸せにしてくれるものも必要とされていると思う。それは、ずっと欲しかったもの、大切にしたいもの、一点ものだったり、人によりさまざまだと思うが、ジュエリーはそういった気持ちが反映されるものの一つだと思う。コロナをきっかけに、すっと欲しかったジュエリーを購入する人が増えているようだ。コロナ時代でも売れるものは売れるし、売れないものは売れない。中途半端なものは売れない世の中になってきていると感じる。コロナを機に、安易なモノ作りについて考えさせられるようになった。このような時代だが、人間には、「すてきなものは欲しい」という物欲はあるはずだ。

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#敦子スメ「新月・満月」ノート おとめ座新月(9月17日)から始めよう、パーツ美容とコツコツ毎日積み上げ美容

 この連載では、新月・満月の流れを最大限に引き出すためのサポートをしてくれるコスメやインナーケアアイテムも紹介していきます。第19回は9月17日の新月とおすすめコスメについてお伝えします。

今回の新月(9月17日)はおとめ座

 個人的には、おとめ座と美容って相性がいいのでは?と思っています。なぜかというと、おとめ座のキーワードとして“自己鍛錬”“コツコツ調整する”“きめこまやか”などの要素が挙げられます。12星座全体から見ると、おとめ座の役割は“細かく整え調整すること”“必要なものと不要なものを整理整頓すること”などです。

 おとめ座は12星座の中間くらいに位置しているのですが、中間決算というか中間報告で、これからこうしていこう、なんて予定を描くことがビジネスのシーンでもあると思います。おとめ座ってまさにそんなイメージです。見直して、整えて、コツコツ鍛えていく。そんな“ひとりの努力”を自然とやってしまう性質を持つと伝えられています。

今回の新月コスメ

 今回の新月コスメはその流れで細やかにパーツをケアできて、不要な角質をオフできるもの。そして毎日続けることで自分に貯金できるような“コツコツコスメ”を選びました。

 まず「コバコ(KOBAKO)」の“キューティクルリムーバー”は、自宅で簡単に爪表面の油分や甘皮をごっそりオフできるもの。“キューティクルプッシャー”を使って、少しずつ甘皮を処理していきます。“細かい作業を重ねてきれいに整える”のもおとめ座的要素。このリムーバーをたまに使っておくと爪自体の輪郭がハッキリして、セルフでネイルカラーを塗るときに爪の面積を広く感じて、カラーが塗りやすくなるといううれしいポイントも。

 「サラハップ(SARAHAPP)」の“リップスクラブ ブラウンシュガー”は、砂糖でできた唇用のスクラブです。週に1度程度ケアすることで、唇の色が一段明るくなります。お菓子のような香りも楽しいです。細部を整えることで全体を美しく見せる――おとめ座の新月はそんなふうに美容を楽しむのもいいかもしれません。

 細かいところといえば、「アネリアナチュラル(ANELIA NATURAL)」のまつ毛美容液“アイラッシュセラム”にも注目。できれば毎日続けたい蓄え系アイテムですよね。コツコツと毎日続けていくことで自分を鍛えていく――そんなコツコツ系の美容がおとめ座新月的。もちろん、部屋の散らかった場所の整理整頓もこの新月にはおすすめです。

福本敦子(ふくもと・あつこ)/フリーランスPR・美容コラムニスト:コスメキッチンに14年間勤務後、現在はフリーランスPRとして活動するかたわら、ビューティコラムニストとしてイベント、SNSなど多方面で活躍。オーガニックに精通した知識を武器に、ライフスタイルに寄り添った独自のオーガニック美容論が、著名人やエディターをはじめ各方面から大人気。「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と多くの反響を呼び、紹介した商品の欠品や完売も多数。2019年秋、初の書籍となる「今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by敦子スメ」を出版。発売前に増刷が決まるなど話題を呼んでいる。旅を愛し、占星術にも精通 instagram:@uoza_26

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ESG格付けランキング上位常連 H&Mが大切にしていること

 H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ)はESG(環境、社会、ガバナンスの重視)経営で高い評価を得ている。「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(Dow Jones Sustainability index)」(スコア97)や「世界で最も持続可能な100社(Global 100 Most Sustainable Corporations in the World)」(27位)などESG格付けランキングでも上位に常連の企業だ。英国のNPO団体ファッションレボリューション(Fashion Revolution)の「ファッション トランスペアレンシー インデックス(Fashion Transparency Index)」では、2020年度版で初めて1位となった。

 同社は、“ファッションとクオリティを最良の価格でサステナブルに提供する”というビジネスコンセプトのもとに事業を展開する。「技術とイノベーションを活用しながら、私たちの規模と影響力によって、公正・平等でありながら循環型、かつクライメット・ポジティブなファッションに向けて変化を導くというビジョンをもって取り組んでいる」と言う山浦誉史H&Mジャパン・サステナビリティ・コーディネーターに、どのようにして現在に至ったのか、そのきっかけを聞く。

WWD:サステナビリティの分野の先進企業に話を聞くと、そうなる契機は自社とサプライチェーンの環境負荷を知ったときと言われることが多くあります。きっかけは何でしたか?

山浦誉史サステナビリティ・コーディネーター(以下、山浦):1990年代に私たちは初めて行動規範を定め、そして化学物質に関する規制を始めました。変化を導くにあたってまず理解しなければならないのは、全ての段階でどの程度環境への負荷があるのか、そしてどの程度影響があるのかということです。デザインからお客さまによる消費に至るまで私たちのバリューチェーンの各段階において、私たちが行うすべての決断がポジティブな影響をもたらすポテンシャルがあるのです。特にファッション産業が直面する複雑かつ困難な問題において、ポジティブな変化をもたらすには、外部の専門機関との協業がとても重要であると私たちは考えます。例えば、水の使用に対する責任はWWF(世界自然保護基金)と協業したり、テキスタイルのリサイクル技術の開発に取り組む企業への投資や、循環型経済を推進するエレン・マッカーサー財団(Ellen MacArthur Foundation )とも密に連携しています。さらに繊維産業が抱える大きな問題や賃金についても、国連や衣料品従事者の国際労働組合と取り組んでいます。

WWD:H&Mは透明性が高い企業としての評価も高いですね。

山浦:私たちは長年、繊維産業による環境への負荷について認識しており、その中での自分たちの役割についても理解をしています。そしてその一環として、毎年発表するサステナビリティ・リポートを通して取り組みや実態を開示しています。その中で、バリューチェーンの各段階別に、社会、気候、そして水という分野において私たちが与える負荷、ならびに影響をマッピングしています。

WWD:マッピングするにあたり、環境負荷はどのように計測していますか。

山浦:H&Mでは外部専門機関による基準を主に用いています。例えば温室効果ガスおよびその他環境に害を及ぼす大気への排出に関する影響については、GHGプロトコルに沿って排出量を算定し、水資源への影響に関しては、AWS国際水管理標準に沿って行っています。

また、H&Mではすべてのサプライヤーを含むビジネスパートナーに対して、「サステナビリティ・コミットメント」への署名を義務付けており、私たちのサプライヤーも同様に、これらの基準に従って環境への負荷を計測し、その情報を私たちに提供するよう定めています。

私たちは自社が与える環境への負荷や影響をもとに、それぞれの分野においてKPI(重要業績評価指標)を設定して実行しており、取り組みや実態において毎年透明性をもってサステナビリティ・リポートとして開示しています。このリポートは、H&Mグループ内の各部門やサプライヤーなどの外部機関から収集したデータをもとに、GRI(サステナビリティに関する国際基準の策定を使命とする非営利団体)水準に沿って作成されています。毎年データやリポートを開示することによって、私たちの取り組みの進捗や、さらに注力が必要な分野を見極めることにつながります。

そしてこれらの取り組みがさまざまな外部機関によって認められ、CDP(Carbon Disclosure Project)の気候変動Aリストへの選定や、ファッションレボリューションによるファッション透明性インデックスでの1位認定など、多くの評価をいただけたことをとても光栄に思います。これまで同様、私たちは引き続き循環型ファッション業界へと変化を導くことを目指して、取り組みを進めていきます。

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ファッション通信簿Vol.56 コート上のファッショニスタが集結 大坂なおみ選手が優勝した全米オープンテニスを米「WWD」が辛口ジャッジ!

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。今回はいつもの13段階評価とは異なるスタイルでそれぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第56回は、8月31日〜9月13日に開催されたテニストーナメントの全米オープン(U.S. OPEN)から、ソフィア・ケニン(Sofia Kenin)、パブロ・カレーニョ・ブスタ(Pablo Carreno Busta)、ダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev)、フランシス・ティアフォー(Frances Tiafoe)、大坂なおみ、スローン・スティーブンス(Sloane Stephens)、セリーナ・ウィリアムズ(Serena Williams)、ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic)選手をピックアップ。今年は新型コロナウイルスの影響で無観客試合となったが、白熱するプレーと同様に選手たちのコート上でのファッションにも目を引くものがあった。今回2度目の優勝を果たした大坂なおみ選手のファッションにはぜひ注目したい。「優等生スタイルでもかんしゃくはとめられない」など、米「WWD」の痛烈コメントも健在だ。

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【動画】ウオッチプラス “で、「ロレックス」って何がすごいの?”

 「WWDジャパン」とハースト婦人画報社の時計デジタルメディア「ホディンキー・ジャパン(HODINKEE JAPAN)」の時計番組「ウオッチプラス」の第6回のテーマは、“で、「ロレックス(ROLEX)」って何がすごいの?”です。圧倒的な知名度と、時計ビジネスにおいて独占的なシェアを持つ“時計の王様”について、今さら聞けない(と思い込んでしまっている)あれやこれやを「WWDジャパン」が「ホディンキー・ジャパン」に聞きます。次々と語られる「ロレックス」のキングたるゆえんに、思わず「へー」を連発です。

 出演は、関口優「ホディンキー・ジャパン」編集長、和田将治「ホディンキー・ジャパン」ウェブプロデューサー、村上要「WWD JAPAN.com」編集長、三澤和也「WWDジャパン」記者(時計担当)の4人。“四者四様”の時計観も見どころです!

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【動画】ウオッチプラス “で、「ロレックス」って何がすごいの?”

 「WWDジャパン」とハースト婦人画報社の時計デジタルメディア「ホディンキー・ジャパン(HODINKEE JAPAN)」の時計番組「ウオッチプラス」の第6回のテーマは、“で、「ロレックス(ROLEX)」って何がすごいの?”です。圧倒的な知名度と、時計ビジネスにおいて独占的なシェアを持つ“時計の王様”について、今さら聞けない(と思い込んでしまっている)あれやこれやを「WWDジャパン」が「ホディンキー・ジャパン」に聞きます。次々と語られる「ロレックス」のキングたるゆえんに、思わず「へー」を連発です。

 出演は、関口優「ホディンキー・ジャパン」編集長、和田将治「ホディンキー・ジャパン」ウェブプロデューサー、村上要「WWD JAPAN.com」編集長、三澤和也「WWDジャパン」記者(時計担当)の4人。“四者四様”の時計観も見どころです!

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「ららぽーと愛知東郷」に見るアウトドア集中とオフプライスの違和感 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。コロナ禍によって商業施設も曲がり角を迎えている。名古屋郊外に新しくオープンした大型商業施設をつぶさに一周したリアルな印象を伝える。

 9月14日に開業した「ららぽーと愛知東郷」は今秋最大の新設郊外大型ショッピングセンター(SC)であると同時に、コロナ後のライフスタイルとSCのあり方を占う意味でも注目される。

ららぽーと愛知東郷はこんなところ

 場所は名古屋駅から東南東に約15km、電車だと地下鉄鶴舞線〜名鉄豊田線で豊田市に向かって45分ほどかかる郊外の新興住宅エリアだが、半径5km圏には22万人、10km圏には115万人が住む。北から東方向は未だ未線引きの丘陵地や農地、工場地が散在し、人口の4分の3は名古屋側の半円に集中している。40代以下の各世代が多い新興住宅地型の世代構成で所得水準も全国平均を2割前後上回るが、西半円と東半円で性格が大きく異なる。西側は名古屋の山の手系新興住宅地で女性軸の文化圏だが、東側は工場勤めの男性が多くローカル色も強まる。東京近郊でいえば、田園都市線と座間・厚木あたりの対比を想像してもらいたい。

 名古屋市東区から豊田市方面に延びる国道153号線から南東に分岐した片側一車線の県道218号線と東側の県道57号線に挟まれた8万9000平方メートルの敷地に店舗棟10万4900平方メートル、立体駐車場4棟計8万600平方メートルと容積率(200%)いっぱいにぎっしり建てて、店舗面積6万3900平方メートルと3750台(立体駐車場と屋上駐車場)を確保している。郊外のロードサイド立地とはいえ窓のほとんどない閉鎖的な巨大建築で、オープンエアな開放感は期待すべくもない。平面駐車スペースは2カ所に計90台しかなく、カーブサイド・ピックアップ用のバイパスレーンもない。店舗棟は近年のららぽーとの定石通り、両端に大型店を配した長方形の「日」型サーキットモールの3層鉄骨造建築で、ワンフロアで1万坪(3.3万平方メートル)を超える巨大な箱だ。

 一番近い名鉄豊田線日進駅でも2.2km、市営地下鉄鶴舞線赤池駅からは3.4kmもあり、車がないとアクセスできず、現段階ではバスターミナルもない(最寄りのバス停から徒歩5分)。商圏の世代構成が若いうちはよいが、成熟してリタイア世代が多くなると車を手放して不便になる。北関東の大型SCでは、それが現実になった例もある。

 北約8kmには16年12月開業のイオンモール長久手(賃貸面積5万9000平方メートル)があるが、両SC間は未線引き区域が多くて住宅地が途切れており、交通の便も悪く競合は薄い。東南東約3kmのアイモール三好(同4万800平方メートル)はイオン核の生活圏型SCでテナントのバラエティー(70店)が限られ、距離は近くても直接的には競合しない。真っ向から競合するのが北西約3kmの高密度住宅エリアに17年11月に開業したイトーヨーカドーのスーパーマーケットが核になったプライムツリー赤池」(同4万3600平方メートル)で、テナントも172店とバラエティーがある。高密度な足元に支えられて売り上げは好調だが、ららぽーと愛知東郷が開業すると売り上げが3割も落ちるという試算もある。

 ららぽーと愛知東郷は西側を向いて女性軸でテナント構成を組めば「プライムツリー赤池」からごっそり顧客を奪えるが、東側を向いて男性軸が強まると高密度な西側の商圏を取りきれず、売り上げが伸びない恐れがある。ではららぽーと愛知東郷はどっちを向いていただろうか。

アウトドア集中と大型店比率の高さ

 実際にSC内を一周してみて驚いたのがアウトドア関連の店舗の多さで、「アルペン・アウトドアーズ・フラッグシップ」(2層約4500平方メートル)、「コンプ・アス」(ムラサキスポーツのアウトドア新業態)、「コロンビア」「エルエルビーン」「マーモット」「アウトドアプロダクト」「ワークマン」と総店舗面積6万3900平方メートルの1割近くをアウトドア関連に割いているのは過熱気味で、そのあおりで欠落した業種も少なくない。

 アルペン・アウトドア」以外にも「ニトリエキスプレス」「ロフト」「ツタヤ」「コロニー2139」「ABCマート・グランステージ」「H&M」「スポーツデポ(アルペン)」「アカチャンホンポ」「エディオン」「ナムコ」と1000平方メートル超のサブ核、それにスーパーマーケットの「平和堂」(約3200平方メートル)に店舗面積の43%以上を割いており、6万3900平方メートルに201店(単純平均で318平方メートル)では必要な業種・業態のバラエティーを欠く。イオンスタイルが過大な面積を占めて専門店テナントのバラエティーが制約されるイオンモールに比べれば、スーパーマーケット核のららぽーとは専門店のバラエテイーがアドバンテージだったのに、これでは強みを放棄するようなものだ。

 プライムツリー赤池が172店をそろえるのに、店舗面積が1.5倍近いららぽーと愛知東郷が201店では1.17倍でしかなく、専門店のバラエティーで圧倒できていない。単位面積当たり家賃が一般専門店テナントに比べて格段に安い(半分から5分の1)大型店が大きな面積を占めては、一般専門店テナントの家賃がそのしわ寄せで割高になるのも問題だ。アウトドア系やインテリア系の大型店は販売効率が一般テナントの3分の1程度だから、売り上げでも家賃収入でも相当に苦しくなるのではないか。

 アウトドアに偏って男性軸の性格が強くなれば、つくばエクスプレスの男性軸ニューファミリーに偏って東武野田線の女性客を取り込めなかったららぽーと柏の葉(千葉県)のように、女性軸の西側商圏を取りこぼすリスクが出てくる。大型店に偏っては業種・業態の欠落が生じて足元占拠率が不安定になり、地元のサントムーン柿田川(静岡県)に押されるららぽーと沼津(静岡県)の二の舞も危ぶまれるから、年間売り上げ目標の300億円は厳しいかもしれない。

オフプライス店と高級ブランド店が同衾

 もう一つサプライズだったのが、ワールドが自社ブランド処分アウトレットの「ネクストドア」を500平方メートル級で2階のメイン区画(「トミーヒルフィガー」隣)に出店していたことで、「アンタイトル」や「インディヴィ」など自社百貨店ブランドの前シーズン品を6〜7割引で叩き売っていたのには正直驚いた。「コーチ」や「ラルフローレン」も1階の同じ並びに出店しているアップスケールなSCなのだから、違和感がすごかった。予定していたテナントのキャンセルで急きょ区画を埋めたのだろうが、三井不動産もよく許したものだ。ワールドも在庫を抱えて背に腹は変えられないのかも知れないが、名古屋の都心百貨店は激怒しているに違いない。

 「ネクストドア」と名付けても内装も陳列もオフプライスストアの「アンドブリッジ」で、ワールドにとっては一体の戦略なのだろう。ワールドは8月29日に浅草ロックス(東京都)に、9月5日にはイオンモール京都にも同様の都心型「アンドブリッジ」(百貨店・駅ビルブランド主体)を出店しており、オフプライスストア戦略というより自社在庫の処分を急いでいるように見える。こんなに都心SCや近郊SCで自社ブランドを処分してはプロパー展開への影響は避けられず、百貨店ブランドから撤退するつもりなのかとさえいぶかられる。

 「ネクストドア」のみならず、持ち越し在庫を大幅値引きで叩き売るアパレルテナントもいくつか目に付いたのは新規開業SCとしては異例で、コロナ禍を契機に郊外大型SCの価格感覚もホームセンターに近づいているかと思われた。

異分野大型店のアパレル拡大

 アパレル業界は需要に倍する過剰供給とオーバーストアにコロナ危機が加わって阿鼻叫喚の地獄絵図となっているのに、スポーツやインテリアの大型店はアパレルの取り扱いを急ピッチで拡大している。1200平方メートルを超える「ABCマート・グランステージ」はスニーカーに加えてスポーツブランドのアクティブウエアをそろえ、2000平方メートルを超える「スポーツデポ」はアクティブウエアのみならずタウンウエアまで大量にそろえ、4500平方メートルの巨艦店「アルペン・アウトドアーズ・フラッグシップ」はアウトドアスポーツウエアに加えてキッズウエアも充実していた。

 ららぽーと愛知東郷には出店していないが、アクタスはコンフォートナチュラルな自社開発ブランド「オーク」を各店で展開しているし、インテリア雑貨店の多くもワンマイルウエア的ロープライスアパレルを拡充している。ニトリの「N+(エヌプラス)」もららぽーとの富士見(埼玉県)と立川(東京都)、イオンレイクタウン(埼玉県)、テラスモール松戸(千葉県)と4店になり、年内に10店舗まで拡大するとアナウンスしているが、「ベルーナ」と似ていても商品力も価格も劣り、売り上げも今ひとつ勢いを欠くようだ。

 アパレル業界はそれなりに積み上げたノウハウがあっても苦戦しているのだからずいぶんとなめられたものだが、コロナを契機にお出かけ着の気負ったおしゃれから普段着の気負わないおしゃれに転ずる中、価格帯さえマッチすればインテリア店のアパレルは一つの勢力を確立する可能性がある。
 
 アパレル業界が考える「価格と品質」のバランスは長年のコスト積み上げで消費者感覚を逸脱しており、部屋着やワンマイルウエアの生産背景をベースに格段にこなれた価格で普段着のおしゃれを提案するなら、インテリア店のアパレルはコロナ後の新たなマーケットを確立できるかも知れない。百貨店から駅ビルへ、駅ビルからSCへとデフレが加速したアパレルの価格感覚は、いよいよホームセンター感覚になる。そこに異分野からの参入チャンスがあるのだろう。

 ららぽーと愛知東郷はさまざまな意味でコロナ後のSCのあり方を考えさせられる施設だから、ぜひとも自分の目で見て実感してもらいたい。

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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高級ブランドも注目する日本初の紙パック水、仕掛け人はマックイーン好きの元商社ウーマン

 「市場にないならやってみよう」――日本初の紙パック入りナチュラルウオーターの販売を始めたハバリーズ ジャパン(HAVERY’S JAPAN)が注目を集めている。環境保全や循環型社会が求められる中での日本初の紙パック入りナチュラルウオーターは、発売前から多くのメディアに掲載され、ラグジュアリーファッションブランドやラグジュアリーホテルなどから問い合わせが殺到しているという。脱プラが進む中で起業したのは27歳の矢野怜美社長だ。「ファッションが大好き。中でも『アレキサンダー マックイーン(ALEXSANDER McQUEEN)』のジャケットがお気に入りで5着持っている」という彼女。取材当日もお気に入りの「マックイーン」のセットアップに「足形がぴったりでハイヒールでも疲れない」という「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」のパンプスでさっそうと現れた。

WWD:ハバリーズ ジャパンを立ち上げたきっかけは?

矢野怜美ハバリーズ ジャパン社長(以下、矢野):大学卒業後に技術系商社に就職して海外を行き来する中で、意識が変わりました。というのは、欧州では紙パックがクールで、プラスチックだったとしても再生プラスチックが当たり前、バージンプラスチックは恥ずかしいという価値観を目の当たりにしたからです。見渡してみると日本には紙パックのミネラルウオーターがない。市場にないならやってみよう!と思い立ち、今年6月に会社を立ち上げました。家業がペットボトルのミネラルウオーター製造のOEM専門メーカーで、水業界の知識がありました。ペットボトルをはじめとしたプラスチックごみによる海洋汚染が広く知られるようになり、脱プラ製品への注目も集まっています。“1本の水から世界が変わる”というスローガンを掲げていますが、身近なことで社会や環境問題の解決に貢献したいという思いから立ち上げました。

WWD:紙の匂いが飲料に移るとして、水の紙パックは難しいというイメージが強いですが、どのような加工技術で実現しましたか?また環境負荷はペットボトルと比べて低いですか?

矢野:「どうせ臭いでしょ?」と考える方も多く、思い込みが大きいこともありますが、実際に「海外で紙パックの水飲んで臭かった」という体験をされている方もいます。臭いけど製品化されている現状もある。私たちは、日本テトラパック社が開発した紙パックを用いています。内面に薄いアルミをコーティングしていて、光を遮断して品質を保っています。飲んでいただくとわかりますが、匂いません(取材当日に冷やしたものを準備して差し出してくれた。飲むと無臭だった)。紙包材はFSC認証(責任ある森林管理の企画を満たした森林から生産されている証明)を得ていて、使用後はトイレットペーパーなどにリサイクルされる仕組みが確立されていました。キャップ部分はポリエチレンですが、他のものを現在開発中です。環境負荷に関しては、紙パックはライフサイクルアセスメント(LCA)評価でも製造工程や運搬においても環境負荷が低いという結果が出ています。

WWD:すでにディーン&デルーカ(DEAN & DELUCA)やナチュラルローソン、アマゾンや楽天での販売が決まり、外資系と国内のラグジュアリーホテルや外資系ラグジュアリーファッションブランド、大手航空会社でも導入を検討しているとか。

矢野:ええ。ありがたいことにメディアにも多く取り上げていただき反響がありました。紙パックを回収できるスキームまで備えているところにも支持をいただいています。10kg程度空のパックが貯まったら指定工場に着払いでお送りいただければ、紙部分はリサイクルすることでトイレットペーパーや紙ナプキンに生まれ変わります。アルミとキャップ部分のポリエチレンは熱回収されます。身近な水で循環型社会に貢献できるという点が強みです。また、1本につき1円が世界自然保護基金(WWF)に寄付される仕組みにしました。

WWD:ハバリーズという名前の由来は?

矢野:わかりにくいですよね(笑)。家業の水源地、大分県の羽馬礼(はばれい)からとっています。羽の生えた馬――すなわちペガサスを家業のコーポレートワークに使っていますがそれをアレンジしました。実は家業の新規事業として立ち上げることも検討しましたが、脱プラ廃プラを目指しているのできっちりと線引きして別会社にしました。

WWD:採水地も羽馬礼ですか?

矢野:いいえ、実は違うんです。提携先の佐賀の水源地です。

WWD:パッケージデザインに込めた思いは?

矢野:当初は、ハイブランドに向けてシンプルでスタイリッシュなデザインで進めていました。でも一部の人のためのものではなく、みんなに飲んでもらいたい、誰もが手に取りやすいようなものにしたいと考えが変わりました。親しみがあり、かわいらしくて共感が持てるもの――エコやビーガンを想起させるようなイメージではないことも意識しました。サステナビリティは、取り組む人とそうでない人とのギャップがありますが、そうでない人を呼び込むためには、“持ちたいデザイン”であることが重要だと考えました。ギャップに橋を架けるような存在になりたい。

WWD:ファッション業界へのアプローチを強化されていますが、なぜファッションだったのですか?

矢野:マーケティング会社とリサーチするなかで、最も可能性がありました。ファッション業界はヨーロッパの流れをくんでいるので、感度が高い。雑誌ひとつとってもサステナビリティ、環境、気候変動といった言葉が並んでいます。「ハバリーズ」を意識改革のツールとして展開したかったという思いもありました。持ちたい、格好いい、スタイリッシュというイメージが重要だったからです。

WWD:現在サイズは330mL一種類のみですが、サイズ展開の予定は?

矢野:0.5L、1リットルL、2Lも考えています。

WWD:日本では環境意識がまだまだ高いとはいえませんが、取引先や消費者とはどういうコミュニケーションを心がけていますか?

矢野:相手と場面に応じて変えています。それは自分自身の服装や話す内容も含めてです。もちろん、環境意識が高い方とはとことん本音で話しますが、ビジネスの場では環境問題の現実というよりは何がメリットかについてか伝えます。たとえば、身近なところでのサステナビリティをうたうことができます、需要があるからもうかります、役に立ちますといったように訴求しています。私自身のゴールは環境保全なので、プロセスよりも結果を重視しています。日々営業する中で、相手を見極めるためにも、まずは相手の話を聞き出すことが重要だと感じています。

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むくみケアだけじゃない!履くことで“できた”を増やす 本島彩帆里プロデュースのセルフケアブランド「イウミー」とは

 ダイエット美容家・本島彩帆里さんがプロデュースするセルフケアブランド「イウミー」が20代後半〜30代の女性を中心に人気を集めている。主力アイテムの「めぐりソックス」は、就寝時に心地よく履ける段階着圧と光電子®️繊維の遠赤外線効果でむくみと冷えをケアできるアイテム。ほかにも「はらまきパンツ」や「かかとソックス」などポイントケアアイテムを展開する。2017年に誕生した同ブランドは、ポイントケアながらも、2019年は前年比で223%の成長率、コロナ禍で消費が激しく落ち込んだ20年1〜8月も前年同期比で51%増と好調だ。新型コロナウイルスの感染拡大により在宅時間が増え自分を見つめ直す時間が増えた今、外的要因から身を守る、自分を大切にするという考え方がこれまで以上に浸透したことでセルフケア志向の高まりも追い風になっている。ブランドの立ち上げや製品に込めた思い、セルフケアアイテムとしての発信の背景などを本島さんに聞いた。

WWD:まずブランドを立ち上げた経緯を教えてください。

本島彩帆里・ダイエット美容家(以下、本島):私自身がかつて今よりも20kg以上太っていて、産後20kg痩せたという経験をインスタグラムで発信したり本を出版したりしてきました。エステサロンで働いていたこともありますが、どこかに行って何かをするだけではなかなか根本的な変化にはつながりにくいと感じました。特別な何かをすることが必要なときもありますが、それだけでなく生活習慣や日頃の自分との付き合い方、生き方そのものに寄り添うセルフケアが重要だと考えています。そういった考え方から情報やハウツーを伝える中で、実質的に生活に寄り添えるアイテムを作りたいと考えるようになりました。

WWD:「イウミー」の製品の特徴を教えてください。

本島:他社製品との大きな違いは光電子®️繊維です。もともと10年以上自分が愛用している素材で、エステサロンで勤務していたときにこの繊維を使った矯正下着を30万円ぐらいで販売していたことがありました。週に1回サロンに来て施術するだけのお客さまと、光電子®️繊維で毎日体を温めながら生活しているお客さまとでは施術の効果が全く違うんです。セルフケアをすることで、肉質の柔らかさや変わることが目に見えるようになりお客さま自身のモチベーションが上がって、いろいろなことに取り組めていく様子をサポートしながら間近で見ていたので、光電子®️繊維を使いたいという思いは強くありました。

WWD:ブランドを立ち上げた当時はまだセルフケアというキーワードは珍しかったのでは。

本島:ダイエットや美容はつい人と比べてしまったり、「今日はこれができなかった」と自分を責めてしまうこともすごく多いですよね。私は10年前から心理カウンセリングに通い、プロの元で心のセルフケアを行ってきました。不安を感じてもいいし落ち込んでもいいんです。何かにならなくてもいいんだということを感覚と共に学ぶことで自己効力感を育んできました。自己効力感というのは自分の可能性を認知していくことで、「できた」という感覚と共に育んでいくと、自信の種になっていきます。例えば、朝起きて水が飲めたから今度は白湯にしよう、白湯が飲めたからハーブティーにしようとか、一つずつステップアップしていけばいいんです。新型コロナウイルスの感染拡大によりセルフケア、寄り添うという言葉を以前よりよく聞くようになりましたが、どう寄り添えばいいのか答えが自分の中にある人ばかりではないと思います。そういった人に向けて自己理解の方法や、心と体に寄り添うこととはどういうことなのか、「イウミー」のアイテムと一緒に伝えていきます。商品との出合いが次の「できる」につながるような、自分との向き合うきっかけになったら嬉しいですね。

 こういった理由から「イウミー」では心に効くことも意識しています。「めぐりソックス」は着圧によって血行がよくなったり、光電子®️繊維による遠赤外線効果の働きで蒸れや冷えを防ぎ体を保温できる効果はもちろん、履くだけでできることが一つ増えたという感覚で履いて欲しいんです。自分の“できたが増える体験”を「めぐりソックス」をはじめとする製品を通じて届けています。

WWD:私個人の感覚でもありますが、着圧ソックスって履くのが大変で毎晩履いて寝るだけなのに意外と続かなかったりします(笑)

本島:分かります(笑)自分が変わることってすごく崇高なことをやらなければいけないと思いがちですけど、日常の些細な動作こそが習慣につながり、変化していくことができます。その一歩として「イウミー」の製品を負担なく身につけてもらいたいですね。「めぐりソックス」は光電子®️繊維をベースにしながら寝ている時も心地よく履いてもらえるように、おやすみ専用着圧設計というものを採用しています。段階着圧なので一般医療用機器にも認定されていますが、着圧しすぎずに柔らかく伸びが良くて締め付けられている感がないように意識して作っています。

WWD:今でははらまきやタイツ、アーム・レッグカバーなど商品ラインアップも広がりっていますね。

本島:「めぐりソックス」を発売したときにお客さまにすごく喜んでいただいて、いろいろな部分をケアできる物が欲しいという声をいただきました。インスタグラムやインスタライブで発信している中でもそういったコメントが多く、普段からお客さまとコミュニケーションをとりながらニーズを拾ったり、定期的にアンケートを取ったりもしています。

WWD:悩みの共有や製品への反映も体験の一つですね。

本島:インスタグラムをメインにブランドの思いや立ち上げた経緯、制作でこだわったことなどを発信することで、近い距離で製品の変化を見てくださっているお客さまも多く、一つの体験になっていると思います。「めぐりソックス」を発売した際も、インスタグラムでの発信のみで、オンラインショップで1000足を即時完売することができました。作っては売り切れを繰り返しながら在庫を整えて、リスクは少なくここまで来れましたね。

ECで成長し実店舗での展開も拡大
さらに消費者との接点を増やすには?

WWD:今年4月に本島さんがプロデュースしていた「サオリマルシェ」を「イウミー」のオンラインショップとしてリニューアルオープンしたのはなぜですか。

本島:SNSでオーガニック商品やナチュラルなアイテムなどを紹介しているけどなかなか買える場所がないという声を聞いて、16年に「サオリマルシェ」というオンラインショップ立ち上げました。ここ数年でうんと業界が成長し、そういった製品も一般的になり買える場所が増えました。「サオリマルシェ」がこれまで特別に担っていた役割は果たせたなと思い、SNSでの発信は続けながら注力すべき「イウミー」のオンラインショップとしてリニューアルをしました。

WWD:実店舗での取り扱いも増え、ブランド自体が浸透したことも一つの要因でしょうか。

本島:今では300店舗以上に卸させていただいていて、「いろんなところで見るよ」「買ってきたよ」というコメントももらうので身近になってきたなと思います。最初は知り合いに声を掛けるところから始まり、「ビープル バイ コスメキッチン」で販売できることになり、その反響の大きさが1つの実績になりました。その実績からコスメキッチンやロフト、東急ハンズ、伊勢丹というように徐々に増えていきました。お客さまには実際の店舗で見て買う体験をして欲しいという思いがあり、店舗限定のパッケージを作るなど特別感を出す取り組みも行っています。店頭での販売に力を入れているところではありますが、今は新型コロナウイルスの影響も大きくECでの販売が中心です。

WWD:最後に今後の展開を教えてください。

本島:シーンに合わせて出合える場所を増やしていきます。睡眠シーンに取り入れて欲しいので、睡眠や休息アイテムをそろえる「ズーランド(zzzLand)」やプレゼントシーンには「タンプ(TANP)」というギフト専用のECでも購入できるように進めています。これからは店頭でどんな体験ができるのかも鍵になると思うので、そこも力を入れていきたいです。また、企業に向けて福利厚生として使っていただけるようになったらいいなとも思います。メッセージ性もありますし、夜はちゃんと休んでコンディションを整える、女性社員の心と身体を大事にする一つのツールとして考えてもらいたいです。自己効力感を育むアイテムというのは唯一無二のアイテムだと思うので、そういうエッセンスを取り入れたいところとはコラボできると考えています。

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“ハミ出し者”「アズマ」の初のショーで起こった奇跡 雨上がりの新宿に響いたブルーハーツ

 東研吾が2015年に立ち上げたメンズブランド「アズマ(AZUMA.)」は、2021年春夏コレクションを新宿のスタジオアルタ屋上で9月12日に披露した。会場費からモデル、撮影費までの予算を合計100万円以内に抑えたという小さな規模とはいえ、ブランドにとって初のインスタレーション形式での発表となる。同時に動画も撮影し、後日公開するという。ブランド設立から5年目を迎え、東デザイナーは34歳。現在の卸先は9アカウントとビジネス面では決して順風満帆とはいえないため、今回にかけるは思いは相当なはずだ。しかし本番当日は午後から降水確率100%という最悪な予報で、準備を進める東デザイナーの表情は曇天の空のように終始さえなかった。

「アンダーカバー」出身の実力者

 東デザイナーは「ユリウス(JULIUS)」や「アンダーカバー(UNDERCOVER)」でパタンナーなどを経験した実力者で、服作りの地力は高い。18年には「Tokyo新人デザイナーファッション大賞プロ部門」に入賞しているのが何よりの証拠だろう。ただしブランド名が「アズマ」なのに本名は東(ひがし)というひねくれた性格ゆえに、難解なクリエイションに偏りがちな節がある。これまでテーマに選んできたのは“隠れキリシタン”“ドメスティック・バイオレンス”“アイヌ”“秘密結社”“ユダヤ教”などで、題材ゆえに数々のトラブルも経験した。ロックの文脈を受け継ぐスタイルにユーモアを盛り込むクリエイションは得意なのだが、いかんせん着想源がアクの強いものばかりで万人受けはしない。教室の隅っこでいつも突っ伏している“何となく話しかけづらい子”が、そのまま大人になったようなブランドである。

 だからこそ、今季のテーマとして選んだザ・ブルーハーツ(THE BLUE HEARTS)はストレートで意外だった。1985年から95年にかけて活動した日本の伝説的バンドである。会場で渡されたプレスリリースには「彼らの音楽は純粋で攻撃的だが優しさに溢れている。彼らの説明不要なかっこよさと強いメッセージを感じてください」とピュアなメッセージが綴られている。どうした、「アズマ」。さらにランウエイに目を向けると、白いカッターシャツをまとった純真無垢な学生12人が並んでいる。本当にどうした、「アズマ」。いよいよ丸くなったのだろうかと予感していると、定刻から12分遅れでショーが始まった。気がつけば、降り続けていた雨は奇跡的に上がっていた。

雨上がりの空に鳴り響いたブルーハーツ

 ショーが幕を開けると、学生たちは“ブルーハーツのテーマ”をコーラスし始め、その花道を不良っぽい出で立ちのモデルが歩くというコントラストを効かせた演出だった。服はバンド名にかけたブルーをキーカラーに、ロック調のテーラードと古着風のゆるさをミックスしたスタイルを軸に形成する。ザ・ブルーハーツの“マーシー”こと真島昌利をほうふつとさせるバンダナを取り入れたアイテムも多数見られた。ジャケットの裏地やセットアップのパンツの膝に切り込みを入れて中からバンダナをのぞかせるなど、キャッチーなディテールも加えた。またジャケットにハンドペイントしたバンドの曲“スクラップ”の歌詞や、アニメーターの山田遼志が手掛けた“青空”の歌詞をイメージしたイラストもポジティブなムードを添える。

 クリエイションがこれまでと大きく変わったわけではない。ただ自身のパーソナリティーを服を通して伝えたいという真摯な思いはいっそう強くにじんでいた。ザ・ブルーハーツから引用したスタイルを、動画やインスタレーションを交えて立体的に表現したのもそのためだ。学生を起用した演出も、不良のモデルに自分自身を投影し「“ハミ出し者”かもしれないけど、これが自分だから」という主張を込めた。学生には事前に自ら手紙を書き「歌で僕に力を貸してください」と伝えたといい、学生たちの懸命に歌う姿がコレクションをさらに引き立てていた。

“ハミ出し者”が見せた本音

 「別に、このショーを絶対に成功させたい!売れたい!みたいに意気込んではないんですよ」――ショー前にそう語っていたひねくれ者は、フィナーレを終えると目を潤ませて安堵の表情を見せていた。彼の言葉が本音なのか照れ隠しなのかどうかは、その表情が全てを物語っていた。個性が強い「アズマ」の服が今の時代に合っているかといわれれば、答えは「ノー」なのかもしれない。ビジネスのことだけを考えれば、クリエイションは肩の力をもっと抜いた方がいいのだろう。でも、東研吾は正々堂々と王道の正反対を行けばいいと思う。世界を変えてきたのは、いつだって“ハミ出し者”たちの真っ直ぐな思いなのだから。

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ビリー・アイリッシュの所属レーベルが推す次世代アーティスト、オリバー・マルコムとは何者か

 今年1月に史上最年少18歳で「第62回グラミー賞」の主要4部門受賞を含む5冠の快挙を成し遂げた、アーティストのビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)の存在は記憶に新しいだろう。その若き才能溢れるビリーを輩出したレーベルのダークルーム(Darkroom)が次に推す新人、オリバー・マルコム(Oliver Malcolm)をご存知だろうか?彼は元々、音楽プロデューサーとしてキャリアをスタートし、今年2月に「Switched Up」でアーティストとしてのデビューを飾った。作詞作曲から楽器演奏、MV製作まで、全てを自身でプロデュースする“100%マルコム産”のサウンドは、ユニークかつオリジナリティーに溢れており、一つのジャンルの型にとどまらない。そんな彼に音楽を始めたきっかけから、最新曲「The Machine」で表現したこと、ファッションのこだわりまでを聞いた。

WWD:音楽を始めたのはいつ?

オリバー・マルコム(以下、マルコム):12歳からDJを、13歳から楽曲プロデュースを始めた。初めて演奏した楽器はギターで、それからすぐにキーボードを弾くようになった。メインで演奏するのはキーボードだけど、ギターとベースも弾くよ。

WWD:プロデューサーからキャリアをスタートした後、アーティストとしてデビューしたきっかけは?

マルコム:スタジオでほかのアーティストと楽曲プロデュースをしていた時に、思考錯誤をして進める曲作りの過程を間近で見たことがきっかけだね。自分が子どもの頃から聞いてきたアーティストとの楽曲制作を通して、人間としても成長することができたし、自分のアーティスト性を表現していく自信を得たんだ。

WWD:作詞作曲からMV制作まで、全てを自身でプロデュースする理由は?

マルコム:僕は自分のビジョンを実現することに関しては、細かい所まで管理したいんだよね。自分で手掛けることで、頭の中に浮かんだものを確実な形にできるから。

WWD:影響を受けたアーティストは?

マルコム:エミネム(Eminem)、ドクター・ドレー(Dr. Dre)、50セント(50 Cent)。この3人は僕が音楽に夢中になる土台を作ってくれた。

WWD:最新曲「The Machine」のMVは、アップテンポの曲調に、ユーモア溢れるダンス・ステップが印象的でした。どんなことを表現した?

マルコム:僕にとって、ダンスは音楽同様にクリエイティブな表現の1つ。自分が何をやっているかではなくて、それをやっている時に自分がどう感じているかが重要。自分がいいと感じたら、それはいいってことだから。僕のダンス・ステップに気づいてくれて、ありがとう(笑)。

WWD:同MV内でも、全体に落書きのようなタッチでスケッチされた「バーバリー」のトレンチコートを身にまとっていたが、自身の好きなスタイルはある?

マルコム:その日の気分だとか、その時にインスピレーションを受けているものによってファッション・スタイルはいつも変えているよ。「バーバリー(BURBERRY)」のコートは、間違いなくジャン=ミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat)からインスピレーションを得ている。バスキアはトレンチ・コートに自分で絵を描いて着ていた。僕は服装のインスピレーションをさまざまな所から得るのが好きで、結局のところ、自分が目にした好きなものを組み合わせて着ている。


 
WWD:好きなブランドは?

マルコム:好きなブランドは特にないね。最近は古着屋で安い服を買うことに並行して、自分で洋服を作ることが増えてきた。

WWD:自身が参考にしているファッションアイコンはいるか?

マルコム:特にファッションアイコン的な人はいないけど、間違いなくミュージシャンや画家、クリエイター達から影響を受けてきた。特に、バスキア、ザ・クラッシュ(The Clash)、ボブ・ディラン(Bob Dylan)、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)からね。

WWD:今後、EPやアルバムを発売する予定はある?

マルコム:うん。EPをもうすぐ発売予定で、現在はデビュー・アルバムを制作中。

WWD:ライブ公演も視野に入れている?

マルコム:もちろん。世界一のライブを作り上げたい。

WWD:来日経験は?

マルコム:ないよ。近い将来ぜひ行ってみたいと思っている。

WWD:今後の目標は?

マルコム:愛、健康、幸福、そして世界平和。

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ママ友やパパ友の意見からSNS活用を考えてみました エディターズレター(2020年7月20日配信分)

※この記事は2020年7月20日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

 

ママ友やパパ友の意見からSNS活用を考えてみました

 「WWDJAPAN.com」で藤原ヒロシさんが登場すると必ずPVは跳ねます。藤原さんが展開する「フラグメント デザイン」とのコラボレーションアイテムの情報はいつも注目ですし、人物像が分かるようなコラムはもっと“跳ねます”。そして、昨年「WWDジャパン」で、藤原ヒロシさんを特集した号は完売でした。

 時々、ママ友やパパ友から、「どんなお仕事をしているの?」と聞かれることがあります。それで私はこう答えます。「ファッション・ビューティの業界紙で、『WWD』っていうの。パリコレやミラノコレとかのコレクションの情報から、百貨店で何が売れているかとかをお伝えしている感じかな」と。そうすると、ママ友・パパ友から「ふーん。例えばどんな記事?」って聞かれるので、「藤原ヒロシさんにフォーカスした時は、完売したよ〜。ほかにも『ルイ・ヴィトン』のヴァージル・アブローの特集したり」って答えました。どんな反応が返ってきたか……。

 「へ〜〜なんかすごいね〜」って言われつつも、なんか微妙な空気が流れたなあって思ったら、「藤原ヒロシさんって誰?何をやっている人?」「ヴァージル・アブローって???」といった答えが。それが、ママ友だけじゃなく、パパ友も、そこにいた10人ぐらい全員がです。私が接している人たちは、モードではないにしても、ファッションにもビューティにもそれなりに興味がある人たちだと思うんですが。それでも、なんと!天下の藤原ヒロシさんやヴァージル・アブローを知らない!!。これには驚きました。ファッション・ビューティの世界にいると、知ってて当然、なんなら知らないと怒られるかも、って思うことが、ちょっと“境界線”を超えたら、当たり前じゃない……。これって、そりゃそうよね、って思うことだけど、自分で実感してみて納得です。

 どちらかというと、マスの人たちだろう、ママ友やパパ友。この人たちをターゲットにしているブランドはたくさんありそうです。そういうブランドを展開する人たちが、こういった目線を持っているでしょうか?

 以前、とあるセレクトショップの人が、「自分のインスタのフィードに、自分のショップに関係している人やモノがたくさん上がってくるから、まあまあ人気があるんだなと思っていたけど……。それは自分がフォローしているのが自分に関係があるところだからだ」と言って反省していました。誰を見てブランドを作るのか。これまでも散々言われてきたことですが、今、SNSの時代になっても同じ、というかより気をつけないと、本質が見えなくなりそうだなあと思った次第です。

HER OPINION:ママ、女性に関連するファッション&ビューティ業界の話題をお届けします。今、働くママを含めた社会進出が進む女性に関わる情報が増えてきました。彼女らにまつわるニュースをピックアップすることで、彼女らを支える彼らにも役立つニュースを紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選びいただけます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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21年春夏ファッション・ウイークの見どころ デジタル活用でコレクション発表がより身近に

 9月13日開幕のNYコレクションを皮切りに、2021年春夏ウィメンズのコレクションサーキットが始まる。今年は新型コロナウイルスの感染防止のため、ファッションショーなどを行う場合は政府のガイドラインに沿った感染対策や人数制限、または無観客の屋内か屋外での開催を基準とする。またデジタル形式でのコレクション発表を推進するNYとロンドンではプラットフォームを作り、現地での取材や買い付けができないメディアやバイヤーに向け、ファッションショーだけでなく動画やルックブックの配信のほか、バイヤーのための個別アポイントメントを受け付けるなど、各都市での取り組みもさまざまだ。

 なおアジアでは、10月8日から「Tモール(T MALL)」と提携して初のオンライン開催を行う上海ファッション・ウイークが開幕後、東京は12〜17日、ソウルは20〜25日、中国(北京)は25日〜11月2日の開催を発表している。

ニューヨークは全てデジタル配信に。
イベント時は収容人数を制限し、屋内は観客なし

 ニューヨーク・ファッション・ウイーク(NYFW)を主催するアメリカファッション協議会(Council Of Fashion Designers Of America、CFDA)は今シーズン、9月13日から4日間に短縮してNYコレを開催する。今回はビジネスツールを兼ねた総合デジタル・プラットフォーム「ランウエイ360(RUNWAY360)」を導入し、ルックブックや動画の公開、ショーのライブストリーミング配信といった完全デジタル形式での発表を行う。参加ブランドは60で、うち15が新ブランド。ショーなどイベント開催の場合は、NY州の安全衛生のガイドラインに沿って屋外は最大50人まで、屋内はスペースに対して、スタッフやモデルなど50%までの収容人数に制限し、観客はなしとする。キックオフは、9月13日17時(現地時間)にスタート予定の「ジェイソン ウー(JASON WU)」によるライブファッションショーで、公式会場の「スプリング・スタジオ」屋上の会場に25〜30人の観客を招く。ラストは、16日19時に「トム フォード(TOM FORD)」がコレクション画像を投稿して発表する。なお、「レベッカミンコフ(REBECCA MINKOFF)」は20-21年秋冬を“SEE NOW, BUY NOW(見てすぐ買える)”で発表予定だ。

 なお、「プロエンザ スクーラー(PROENZA SCOULER)」や「ラルフ ローレン コレクション(RALPH LAUREN COLLECTION)」「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」「トリー バーチ(TORY BURCH)」は参加しない予定で、「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」は15日9時からSNSを使って独自でライブ配信する。また「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」については21年春夏コレクションは生産しない予定だという。

ロンドンは「JW」や「トーガ」など大半がデジタル形式の発表に。
「バーバリー」はライブストリーミングで動画を一般公開

 「ロンドン・ファッション・ウイーク セプテンバー2020」と題した今回のロンドンコレは9月17〜22日に、メンズとウィメンズそれぞれのショーや合同ショーなどを複合的に行う。80以上のブランドが参加し、50はデジタルのみの発表、21はプレゼンテーションも行い、7はリアルショーのみなど。リアルでショーを行うのは、「ボラ アクス(BORA AKSU)」や「マーク・ファスト(MARK FAST)」「プロナウンス(PRONOUNCE)」など。「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」や「トーガ(TOGA)」「ヴィヴィアン・ウエストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)」は動画配信のみ、「クリストファー ケイン(CHRISTOPHER KANE)」や「アーデム(ERDEM)」は動画配信と個別アポイントメント、「ヴィクトリア ベッカム(VICTORIA BECKHAM)」は動画配信とサロンプレゼンテーション、「ロクサンダ(ROKSANDA)」は個別アポイントメントのみ。動画は6月に立ち上がった公式のデジタルプラットフォームから配信される予定だ。キックオフは17日11時に、「バーバリー(BURBERRY)」が屋外でライブストリーミング動画を一般公開する。

「グッチ」なしのミラノに「ヴァレンティノ」が登場
ラフ参加の「プラダ」など28ブランドがリアルショーを開催

 9月22〜28日のミラノコレは、リアルなイベントとデジタルショーケースを織り交ぜて開催する。リアルなファッションショーを計画しているのは28ブランドで、「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」や「マックスマーラ(MAX MARA)」「エトロ(ETRO)」「トッズ(TOD’S)」「マルニ(MARNI)」「ヴェルサーチェ(VERSACE)「MSGM」「サルヴァトーレ・フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」など。23日には「フェンディ(FENDI)」が初のメンズ・ウィメンズの合同ショーを、26日には「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」が初めて現地のテレビ中継でショーを行い、「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」は「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」の小泉智貴デザイナーによるカプセルコレクションを披露する。

 「プラダ」は24日に、ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)とラフ・シモンズ(Raf Simons)が共同で手掛けた「プラダ(PRADA)」の初コレクションを発表する。東京やNY、パリ、ロンドンなど世界11都市でバーチャル・ビューイングを行う予定で、その際に使用するキットも用意し、事前に自宅に配送するという。27日には「ヴァレンティノ(VALENTINO)」がパリから発表の場を移してメンズ・ウィメンズの合同ショーを行う予定だ。一方で、「ディースクエアード(DSQUARED2)」や「ミッソーニ(MISSONI)」「GCDS」「アンテプリマ(ANTEPRIMA)」「アツシ ナカシマ(ATSUSHI NAKASHIMA)」はデジタル形式で発表する予定だ。なお、年2回のショー開催を決めた「グッチ(GUCCI)」は参加しない。

パリコレ主要ブランドの参加はどうなる?
「セリーヌ」や「ギャルソン」「オフ-ホワイト」などリストに名前なし

 9月28日開幕のパリコレの暫定スケジュール(4日発表)では88ブランドが参加を表明している。具体的に記されていないものの、「ディオール(DIOR)」や「ランバン(LANVIN)」「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」「ロエベ(LOEWE)」「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」「エルメス(HERMES)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」「シャネル(CHANEL)」「ミュウミュウ(MIU MIU)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」はリアルかデジタル形式で、ファッションショーまたはプレゼンテーションなどでの発表を予定している。キックオフは17時の「マメ(MAME KUROGOUCHI)」で、映像を発表する。

 一方で、スケジュールに名前がなかった「セリーヌ(CELINE)」や「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」などは未定。なお、「サカイ(SACAI)」も名前がないが、阿部千登勢デザイナーは「WWDジャパン」9月7日号のインタビューで、状況次第と前置きしつつ、「できればランウエイショーで見せたい」と話した。

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徳島県でごみ問題に取り組む23歳 ファッション留学を機に環境ビジネスの世界へ

 日本で初めてゼロ・ウェイスト宣言を行い、2020年までに焼却、埋め立てごみをゼロにする目標を掲げた徳島県上勝町。人口1500人、高齢化と過疎化が進むこの町にはごみ収集車も焼却炉もない。町民たちが自らゴミステーションにごみを運び、45分別することでごみの資源化に取り組んでいる。この17年間でリサイクル率80%を達成。残り20%の資源化をめざし、2020年5月30日に開業したのが「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」だ。同施設のリーダーとしてゼロ・ウェイストに取り組んでいるのが大塚桃奈さん。大学卒業したばかりの彼女が、なぜ上勝町でごみ問題に取り組むのか。

映画「ザ・トゥルー・コスト」を観て衝撃を受ける

――新卒でいきなり、地方のごみ関連施設で働くことになったわけですが、そもそも環境に関心を持ったのはどうしてですか。

大塚桃奈チーフ・エンバイロンメンタル・オフィサー(以下、大塚):もともとはファッションやデザインが大好きで、中学生のときにはデザインコンペに出品して賞をもらったりしていました。高校3年の夏休みにロンドン芸術大学に留学したときに、留学中に学んだことを社会にどう生かすのかを考える機会があり、ファッション業界が抱える課題を調べたのが、環境に興味を持ち始めたきっかけでした。服がどのように作られてどう消費されるのか。自分なりに服とどう向き合えばいいのかを考え、服を取り巻く社会や服と一緒にある生活、自然とのかかわりにも思いをはせるようになりました。デザインを学ぶのもいいけど、服がどのように社会のなかで関わっているのかをもっと知りたくて大学に進学したんです。

大学では環境工学を勉強し、大学2年のときにコスタリア、3年のときにスウェーデンに短期留学しました。環境先進国のコスタリアは、再生可能エネルギー100%に取り組んでいて、山奥にあるモンテベルデという町の風景が上勝町とオーバーラップしました。留学を通して自然に近い暮らしに触れ、モノを大量生産し、使った後に捨ててしまうというサイクルに疑問を感じるようになりました。

――大学で環境を学んだ大塚さんが、上勝町に移住することになった経緯は。

大塚:たまたま、ゼロ・ウェイストセンターの建築設計を担当されたNAP建築設計事務所の中村拓志さんが母の高校の同級生で、このプロジェクトに関わっておられることを聞き、上勝町のことを初めて知りました。上勝町はゼロ・ウェイスト宣言してから17年が経ちますが、活動を始めたのは1997年。自分が生まれた年に始まり、ずっと続いていることにも大きな衝撃を受けました。

大学1年生の冬休みに初めて上勝町を訪れ、翌年は、1週間上勝町に滞在しました。その後、スウェーデン留学中に現地コーディネートを依頼され、プロジェクトのメンバーの方たちとサーキュラーエコノミーの現場を見て回ったんです。そこで、環境循環型ビジネスには可能性があること、欧州では若い世代が取り組んでいることを知り、環境ビジネスにより関心を持つようになりました。

――ファッション業界はいろんな問題を抱えていますが、コロナ禍で一気に噴出し、業績悪化から倒産する企業も増えています。大塚さんは、ファッション業界のモノ作りに対して疑問を抱いていたんですね。

大塚:学生時代はファストファッションを楽しんでいましたが、ファッション業界の裏側を描いた映画「ザ・トゥルー・コスト」を観て衝撃を受けたこともきっかけのひとつでした。自分の着ている服の行き先やモノ作りの背景など、今まで考えたことがなかったことに気づかされました。そして、いろいろ調べていくなかで日本のフェアトレードやオーガニックコットン、地産地消を知り、これからはサステナビリティーやサーキュラーエコノミーがもっと大切な時代になるだろうと感じました。

ゼロ・ウェイストに取り組む企業とのコラボに期待

 「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」にはごみ回収・分別所のほかに、リユース推進のための「くるくるショップ」、町民交流や体験学習のための「コミュニティホール」、企業・研究機関向けに場所貸しする「ラボラトリー」、体験型宿泊施設「ゼロ・ウェイストアクションホテル HOTEL WHY」を併設している。

 ホテル宿泊者は、滞在中のごみを6分別し、チェックアウトの際にごみステーションで分別体験できるのがユニーク。自然豊かな山奥で、体験を通して快適な暮らし方やごみのない社会についてゆっくり考えるひとときを過ごすことができる。
「ごみから学ぶ」をコンセプトに、同施設では生産者と消費者、町内外の人が出会い、交流し、つながることを目的に、サーキュラーエコノミーのプラットフォームをめざしている。

――ここでの大塚さんの役割は。

大塚:私ができることは限られていますが、上勝町がずっと取り組んできたゼロ・ウェイストの取り組みを次の世代と世界中に広めてつないでいくことだと思っています。いま上勝町はリサイクル率80%ですが、100%をめざしています。紙おむつなどリサイクルできないものについては、企業や研究機関の力を借りながら新しい技術で資源化に取り組んでいきます。ファッション製品については、リユースできるものは「くるくるショップ」で販売できますが、汚れていたり、ほつれていたり、繊維が混雑しているとリサイクルできません。そういう課題を解決していくために、いま、一緒に取り組んでもらえる企業や研究機関を募集中です。

――消費者も生産者もごみに対する意識が変わると、行動やライフスタイル自体が大きく変わります。

大塚:ごみが出ないものを作ることも重要ですが、どのようにして回収、分別、リサイクルされるのかがとても重要です。生産過程で環境負荷を減らせたとしても、捨てた後が一貫していないとなんの意味もありません。だから、ゼロ・ウェイストはひとつの自治体でなし得ることではないと思っています。作る側、使う側、自治体のすべてが関わっているのです。例えば、レジ袋の有料化もなかなか進みませんでしたが、政府が号令をかけて7月からスタートすると、一気にエコバッグを使う人が増え、意識が高まりました。

生活者全員が意識を変えないと、ごみはゼロにならないのです。上勝町は町民と自治体の努力で80%までリサイクルできるようになりましたが、この方法が他の地域にも広がることを期待しています。どうすれば、ごみをゼロにできるのか、それを考えるきっかけの場にしていきたいですね。

――そのためにも、まずは上勝町に来てもらうことが大切です。人が集まるとにぎわいでき、町の活性化につながります。

大塚:わさわざでないと来ない場所なので、WHYで学べることや体験できること、町の魅力をいかに伝えるかが、今後の運営のカギになってきます。例えば、最初にこの施設を考えたときに、サスティナブルアカデミー(環境教室)をひとつの柱にしようという話がありました。広島、長崎が平和教育なので、環境教育といえば上勝町といわれるようになればいいなと思います。「交流ホール」はラーニングセンターの機能があり、ワークショップや講演会ができるように作られています。

また、上勝町は過疎化が進んでいるので、新しい拠点が誕生したのをきっかけに、町外から移住したり、ビジネスをしたり、体験しに来る人が増えることを願っています。ここのコンセプトが「ごみから学ぶ」なので、上勝町と一緒にゼロ・ウェイストに取り組んでもらえる企業とのコラボをたくさん生み出していきたいですね。

特に私が環境の世界に関心を持つきっかけとなったファッション業界の方との取り組みにはとても期待しています。

橋長初代(はしなが・はつよ)/流通ライター:同志社女子大学卒。ファッション専門誌の編集を経てフリーランスのライターに。関西を拠点に商業施設、百貨店、専門店、アパレル、消費トレンド、ホテル、海外進出などの動向を「WWD JAPAN.com」「日経クロストレンド」などに寄稿。取材では現場での直感と消費者目線を大事にしている。最近の関心事は“台湾”と“野菜づくり”と“コロナ後のファッションビジネス”。「リモート取材が浸透すれば、もっと取材先を広げていきたい」

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「グッチ」が新バッグ“ジャッキー 1961”を発売 アイコンをユニセックスにアップデート

 「グッチ(GUCCI)」は、アイコンの“ジャッキー バッグ”を再解釈した新作の“ジャッキー 1961”を発売した。1961年からブランドの代表作の一つとして親しまれてきたバッグを、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)=クリエイティブ・ディレクターが現代のライフスタイルにフィットする、モダンな3ウエイにアップデート。2020-21年秋冬コレクションで初披露し、話題を呼んだ。

2020-21FW COLLECTION

自由で遊び心ある子ども服に
着想した最新コレクション

 懐かしさを感じさせる子ども服や、お人形遊びの衣装に着想を得たドリーミーなコレクション。「子ども服は本当に自由。お人形は何にでもなれる」とアレッサンドロ・ミケーレが語るように、幾重にもフリルやラッフルを重ねたり、ガーリーなミニ丈で大胆に見せたり。1970’sレトロを基調に、目を引くカラーコントラストを織り交ぜながら、幼い頃の遊び心を感じさせる天真爛漫でピュアなムードを盛り込んだ。

アップデートされた
“ジャッキー 1961”

 そんなドラマチックでフェティッシュなショーの中で、モデルたちが携えていたのが新生“ジャッキー 1961”だ。かつての米大統領夫人、ジャクリーン・ケネディ(Jacqueline Kennedy)が愛用していたことからその名が付けられた、エレガントなハンドバッグ。正統派な佇まいはそのままに、よりボディーになじむ使い勝手のよいサイズにボリュームダウン。ミニ、スモール、ミディアムの3サイズに生まれ変わった。

 ダイバーシティー(多様性)を推し進める「グッチ」らしい、ユニセックスなデザインにも注目だ。ランウエイでは、メンズモデルも“ジャッキー 1961”を肩掛けする姿が印象的だった。バイハンド、肩掛け、クロスボディーと、3通りの使い方ができる汎用性の高さも特徴。ジェンダーレスで先進的な価値観を提案しながらも、アイテムは実にウエアラブルだ。

バラエティーに富んだ
魅力的なカラー

 丸みのあるホーボーシェイプに、クラシカルなピストン型クロージャーがアイコニック。正統派の見た目に対して、驚くほど軽いのもうれしいポイントだ。ブラックレザー、レッドレザー、“GGスプリーム キャンバス”に加えて、スモールとミニには、ライトブルーやライトピンクといったパステルカラーが仲間入りした。特におすすめなのがミニサイズ。携帯電話にジャストサイズなほどの小ぶりな大きさながら、カードフォルダーやコンパートメントなどもあり、確かな利便性を兼ね備えている。

TEXT : CHIKAKO ICHINOI
PRODUCED BY WWD JAPAN.com FOR GUCCI

問い合わせ先
グッチ ジャパン クライアントサービス
0120-99-2177

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“パジャマルック”の進化が止まらない! 着こなしの秘訣は細部にあり

 コーディネートを考えなくてもすむうえ、スーツより楽に過ごせるセットアップはメリットがいっぱいです。近ごろはさらにバリエーションが広がり、パジャマ風で着映えするアイテムも登場しています。その先駆けとなったのは、2013-14年秋冬のパリコレクションで発表された「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のショーでした。当時は斬新でしたが、“パジャマ風”は今や一つのジャンルとして定着しつつあるようです。

 たとえば、「マリメッコ(MARIMEKKO)」の2020-21年秋冬コレクションでは、艶めいたシルバー調のワントーンで、ゆるっと仕立てたパジャマ風のセットアップが披露されました。スカーフとミニトートショルダーバッグもコーディネートして、“ゆったり感”と“きちんと感”を兼ね備えました。シーンを選ばずに着こなしやすいパジャマ風セットアップは、さらに支持を広げていきそうな気配。2020-21年秋冬コレクションから魅力的なルックを集めてみました。

エキゾチックなヘッドアクセサリーで異国気分を演出

 パジャマ風セットアップを上手に着こなすポイントは、「いかにも寝間着っぽく見せない」というアレンジです。「ルリ(RURI.W)」のシャツとパンツのセットアップは、細かいチェック柄が一見パジャマにも見えがちですが、細かいディテールに遊びが利いていて、純粋なパジャマとは異なる印象。パンツの裾はくしゅっと絞ってあり、ジョガーパンツ風にアレンジされています。

 さらに、頭に巻いたヘッドアクセサリーがエキゾチックなムードを演出。ヘッドアクセの選び方次第で、装い全体の雰囲気を変えられます。通常、寝るときは頭につけないはずのキャップやカチューシャなどの意外性が強い小物を使うことで、手軽にイメージチェンジを図れます。

パールモチーフのネックレスでエレガントに格上げ

 エレガントな雰囲気を濃くすると、パジャマ風に見えにくくなり、活用できるシーンもランクアップします。「フミエ タナカ(FUMIE TANAKA)」はいかにも着心地がよさそうなプルオーバーとパンツのセットアップを提案しました。

 シンプルな装いに気品を添えているのは、何連にも重ねたパールモチーフのネックレス。ゆったりしたフォルムのセットアップとリュクスなネックレスという組み合わせが、ミニマルなセットアップをゴージャス感ある雰囲気に格上げしています。手軽に気分を上げられる“プラスワン”のスタイリングは試しがいがありそうです。

ジェンダーレスな装いに抜け感をプラス

 パジャマの特徴の一つが全身をくるむようなシルエット。体のラインを強調しない、ジェンダーレスなアイテムとも言えるでしょう。そこで適度に素肌を露出すると、くるまれ感が薄れて大人っぽくまとえます。「ローブス アンド コンフェクションズ(ROBES & CONFECTIONS)」のセットアップは、そのまま横になりたいほど、リラックス感が高いアイテムです。

 オーバーサイズのセットアップは、体を締め付けない着心地が部屋着にぴったり。でも、首元のジップ使いやパンツのワイド感など、細かいところに目配りが利いていてルーズに見えません。デコルテと足首でチラリと素肌をのぞかせ、控えめにフェミニンさも薫らせました。

レディーライクなボウタイ使いで“リモート映え”

 「ルプコ(RPKO)」のグリーン地セットアップは、トレンドの“ネイチャー”ルック。襟元にリボンをあしらい愛らしさをプラスして、“ボーイ・ミーツ・ガール”的なスタイリングに導きました。

 リボンをちゃんと結ぶだけで“きちんと感”が加わります。パンツ裾にはフリルが添えてあり、足を動かすたびに揺らめく仕掛け。パジャマ風コーデにリボンを生かすのは、“リモート映え”効果も見込める簡単テクニックです。

 シーズンレスやシーンフリーなど、服の“居場所”を固定しないトレンドが一段と浸透してきました。従来は部屋の中で、それも最もプライベートな寝室で着るパジャマは“門外不出”のウエアでしたが、近年は街着に出世。パジャマ風のセットアップなら、部屋の内外を着替えなしで自在に行き来できそう。リラックスとおしゃれがダブルでかなうから、“部屋ごもり”の流れを追い風に、“外パジャマ”を試してみる価値はありそうですね。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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アットコスメトーキョーで感じた化粧品小売りカテゴライズの崩壊 エディターズレター(2020年7月21日配信分)

※この記事は2020年7月21日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

アットコスメトーキョーで感じた化粧品小売りカテゴライズの崩壊

 先日遅ればせながら、初めて原宿駅前にできたアットコスメトーキョーに行きました。「行こう、行こう」と思いつつなかなか行けずにいたのですが、この間ようやく、表参道で髪を切った帰りに寄ることができました。率直に感想を言うと「楽しい!」の一言です。「こりゃ、若い子は行きたいと思うだろうなぁ」と思う仕掛けがたくさんありました。

 土日だったので店内はかなり混んでいて、入店する前から期待が高まりました(テスターが触り放題なのは少し懸念事項ではありますが、コロナ対策はしっかりしていました)。圧倒的なブランド数・製品数はもちろん、田中みな実さんが愛用するコスメや石井美保さんが推奨する“こすらない洗顔”にぴったりな洗顔料、さらにはクリーンビューティアイテムを集めたコーナーがあったりと、“バズりキーワード”をもとにアイテムをディスプレーしていたことにも、素直に「さすが!」と思っちゃいました。

 終始ワクワクしながら店内を楽しませてもらいましたが、帰りの電車では、変わりゆく化粧品リテールに対して頭の中がグルグル......。中でも思ったのは、化粧品の小売りによる“カテゴライズ化”ができなくなってしまっているということ。弊社の編集部もドラバラ(ドラッグストア・バラエティストア)担当、外資総合ブランド、国産総合ブランドと担当を分けていますが、アットコスメトーキョーではプチプラブランドと同じ売り場に百貨店ブランドがあり、美容機器、韓国コスメ、オーガニックコスメも全部ごちゃ混ぜで入っています。考えてみると私もそうですが、今の若い子はドラッグストアでもセミセルフでもコスメを買うし、いわゆる“バズり”コスメも中国コスメからオーガニックまで多岐にわたりますよね。

 そんな今は「プチプラコスメ=安くて使いやすい」「百貨店コスメ=おしゃれ、高級」というカテゴライズ化もできなくなるのではないでしょうか。正直、コスメにそこまで詳しくない人がアットコスメトーキョーに行ったら、どれが百貨店ブランド・ドラバラブランドで、さらにはどれが国産・外資なのかも分からないだろうな、と思いました。もちろん、百貨店やドラッグストアは存在し続ける限りはそういった特徴はあるとはいえ、若年層を筆頭に消費者にとっては、アットコスメトーキョーやECで全てが同列に扱われていると、“百貨店コスメ”といったくくりはもう関係ないなーーと。価格帯も、売られているところも、昔に比べて区別はないですよね。

 そうなるとブランドの個性だったり、製品の質、さらにプロモーション方法がますます重要になってくるのではないでしょうか。リテーラーの隔たりがなくなることによりある意味競争が激化した中で、各社は差別化を重要視すると同時に、苦心もするのではないかと思います。でも見方を変えると、みんな同じ“プレーイングフィールド(競争の場)”となるから、誰でもチャンスがあるのでは?ほかの業界ではなかなか見られない現象かと思いますが、だからこそ新たな発想や動きが生まれるのではと、楽しみでもあります。

#MILLENIALMIND:ミレニアル世代の記者が、普段の取材や、日頃から気になっているファッション&ビューティのニュースやトピックスをピックアップします。

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爆裂!健康美容マニア道 狂ったように炭酸にハマっています

 1日8食、ジャンクフード漬けの超不健康児から超健康優良児へと大変身を遂げたフリーアナウンサーの名越涼。およそ15年かけて自らの体で人体実験を繰り返してきた結果、“超絶良かったもの”だけをここで余すことなくお伝えする。今回は炭酸美容について。

 あらためてなのだが。炭酸ってすごい、をガチで感じている。ここ数カ月の私といえば炭酸で顔を洗い、体を洗い、炭酸風呂に浸かり、お手入れの最後は炭酸パックで仕上げるといった狂ったような炭酸ライフを送っている。思えば炭酸デビューは確か社会人3年目くらい。地方のテレビ局でアナウンサーをしていたとき、地元の人気タレントさんに炭酸ミストを教えてもらったのがきっかけだった。メイクルームで炭酸を顔に吹きかけてもらって「きゃ!本当だ!右側だけほっぺが上がったぁ〜」なんてきゃぴきゃぴはしゃいでいたあの頃が懐かしい。それからしばらく“炭酸”という言葉すら記憶の遥か彼方へ葬られていたのだが、再び炭酸熱に火がついたのは、友人に薦められたホットアルバム炭酸泉タブという企業の重炭酸タブレット「薬用ホットタブ重炭酸湯(HOT TAB)」がきっかけだった。

 お湯に3錠入れると、しゅわ〜っと炭酸ガスが発生し始め、10分も浸かっていると汗がだくだく噴出。その後も体がずっとぽっかぽかで、ふと鏡を見ると「こ、これは透明感じゃないか☆」とびっくり。しかもタブレットに含まれる重曹とクエン酸でお肌柔らか、つるすべになる。お湯に溶け出した重炭酸イオンによって血行が促進されるから冷え性や肩こり、筋肉痛の解消にいいし、自律神経の安定も期待できるのだそう。しかもヨーロッパでは、天然炭酸泉は“心臓の湯”と呼ばれ医療現場でも活用されているほど。すごいぞ、炭酸パワー。すっかりハマったので同社のタブレットを1錠ずつ入れられる即席炭酸シャワーヘッド「重炭酸Bioイオンシャワー」までゲットした。はっはっは。

すごいぞ即席炭酸シャワーヘッド

 これね、すごくいい。だって毎日できたての炭酸を直で浴びられるから。全身はもちろん、頭皮を洗っていると“キュッキュ”と音がする(感動)。頭皮にこびりついた汚れもするんって落としてくれるので、心なしか頭皮が白くなった気がする。どんなに好きでも頭皮から漂うおいにーがどいひー(訳:においがひどい)だったら100年の恋も興ざめだからな。(自分に言い聞かせる)これ、超絶おすすめだからぜひ使ってみてほしい。

手作り炭酸パックがコスパ最高

 さて、お風呂から出てお手入れの最後に登場するのが炭酸パック。この数カ月あれこれ試した結果、コスパが最高によいと感じたのは、なんと手作りの炭酸パックだった。正直、手作りって市販のものに比べると効果はそんなに期待できないと思っていたのだが、なかなかやりよる……!しっかりパチパチと刺激があるし、たっぷり顔にのせられるし、何より安い。毎日使えるという喜びの極み。そんな炭酸パック生活を始めて3カ月、明らかに変わってきたのは肌の明るさとキメ。そして柔らかさ。触ると、ふわふわって感じなのだ。顔がむくみにくくなり、目もちゃんと開くようになったからか、「痩せた?」と聞かれることも増えた。きゃっ♡(どんだけむくんでたんだよ)

 とにかく至れり尽くせりの炭酸ライフ。夏の疲れが肌や体に出やすいこの時期、炭酸でいったん自分リセットして気持ちよく秋を迎えたい。

健康メモ
レッツ手作り!炭酸パック
材料:キサンタンガム(2g)、グリセリン(10g)、精製水(40mL)、重曹(食用)(10g)、クエン酸(食用)(5g)

作り方
1、キサンタンガムとグリセリンを混ぜ、精製水を入れる。とろとろになるまで混ぜる
2、そこに重曹を入れ、均一になるまで混ぜる
3、最後にクエン酸を投入。すぐに炭酸ガスが発生するので、さくさく混ぜて手早く肌にのせる
4、20分ほど放置。ヘラなどでパックをとって、洗顔。いつものお手入れへ

一般的に1回1500円〜2000円する炭酸パックがなんと70円(!!)で作れてしまうのだ。

名越涼/フリーアナウンサー。香港出身。福井と愛知のテレビ局アナウンサーを経て独立。司会やライター、セミナー講師、企画・プロデュースなど幅広く活躍するパラレルワーカー。趣味・特技は手作り発酵食、食文化研究、ヨガ(歴15年)eスポーツと農業にも精通

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「消えてはならない心の火」のリレーを目指して 元ファストリ上席執行役員の心に火をつけた“トーチング”回顧録 Vol.6

 ファーストリテイリンググループで社内改革を推進する「有明プロジェクト」をけん引し、史上最年少で上席執行役員に昇格した神保拓也はこのほど、人の「心に火をつける。」ことを目指し、株式会社トーチリレーを設立した。まず取り組む同社の主たる事業は、「心に火をつけることを主題に置きつつも、ティーチングやコーチングとは一線を画す」という「トーチング」。山に登るためのトーチ、登る山を見つけるためのトーチを提供する。ただ、その料金はタダだ。神保はなぜ、タダで「トーチング」を始めたのか?人の心に火が付くことで起こった、ファーストリテイリング時代の「ユニクロ(UNIQLO)」の「奇跡」をたどり、「トーチング」の魅力を考える(「トーチング」のビジネスモデルは、コチラから)。

(前回からの続き)

 神保“隊長”は、「低評価」だった店舗が短期間で全国2位まで躍進したこと、なのに嬉し涙ではなく悔し涙を流すまでに成長したことに心底驚いた。その過程を目の当たりにして「心に火をつけること」とは、「相手のモチベーションが上がるようにアドバイスすること」だけではないこと、それは「心に火をつけること」の一部でしかないことに気づいたという。

 「心に火をつける」うえで一番大事なのは、相手の「“登る山”を一緒に見つけること」。

 「心に火をつける」とは、暗闇で“登る山”が見つけられない人には、たいまつを手渡し、周囲を明るく照らすことで一緒に見つけること。そして山に登り始めたけれど、途中で迷ったり、急な悪天候に襲われたりで目の前が真っ暗になった人にも、やっぱりたいまつを手渡し、勇気を持って前に進めるようサポートすること。山を見つけるため、山に登るため、そして心に火をつけるために必要なのは、たいまつ。そして「たいまつ」を意味する英単語の「torch」には、「たいまつの火で照らす」という動詞の意味もあるという。そこで神保“隊長は、「教えること」に主眼を置く「ティーチング」ではなく、「引き出すこと」に主眼を置く「コーチング」でもなく、「心に火をつけること」を主眼に置く「トーチング」への挑戦を決意した。

 社名のトーチリレーは、消えてはならないオリンピックの聖火に着想源を得た。聖火はギリシャのオリンピアで採火され、聖火ランナーが世界中を巡りながら、トーチをバトンのように手渡しながら開催地に届けていく。そんなランナーのリレー、つまり聖火リレーの別名は、トーチリレー。聖火同様、「消えてはならない火」である心の火も、ある人から別の人、さらにまた違う誰かへと、たいまつをバトンに広がっていけばーー。

 国を超え、時代を超える「心の聖火リレー」を目指し、社名とし、ファーストリテイリングに比べるとずっと小さな、でも、大きな可能性を秘めたビジネスがスタートした。

(終わり)


お知らせ:申し込み殺到中という神保“隊長”のトーチングを受けてみませんか?「WWD JAPAN.com」は取材させていただくことを条件(企業名や個人名は匿名でも構いません)に、トーチングを受けたいファッション&ビューティ業界の皆さまを募集します。トーチリレーの業務には、アナタの登る山を見つけたり山への登り方を一緒に考えたりするトーチングと、神保“隊長”の経験を語るグループ向けのセッションがあります。どちらでも構いません。ご興味がある方は、コチラまで簡単な自己紹介をお送りください。神保“隊長”と相談の上、ご返信差し上げます(お送りいただく情報は取材後、速やかに破棄します)。

さらにお知らせ:神保“隊長”の「ユニクロ」時代の回顧録は、今回で終了です。10月からはファッション&ビューティ業界の悩みを、神保“隊長”のトーチングで解決する連載として再開します。ご期待ください。


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マンガでビューティとポジティブを発信のカメダがフォロワーからの36の質問に回答 インフルエンサー名鑑Vol.3

 インスタグラムを筆頭とするSNSの普及で、「憧れの人」「なりたい人」が細分化している。今は誰もが、それぞれの「なりたい人」を持っている時代。ならば、そんな身の回りの人を改めて知るべきではないか?そこで「WWD JAPAN.com」は、ソーシャルリレーション マーケティング事業を手がけるリデルの協力を得て、身近な新世代インフルエンサー名鑑を作成する。

 今回は、美大出身で漫画家を志したほどの画力によるイラスト、他のアカウントに負けないビューティなどの情報量、そして全ての投稿に漂うポジティブオーラで、瞬く間に頭角を表したカメダ。フォロワーからは、ビューティに関するさまざまな質問が届いたが、特に「ホントに、ホントの一番コスメ」への興味・関心が高かった。ポジティブマインドの秘訣を含め、質問と回答を一挙に公開する(2020年9月14日号の「WWDジャパン」には、彼女に現在に至るまでの経緯などを聞いたインタビュー記事を掲載します)。

ホントにホントの一番コスメ、教えて!!

Q.1カメダさんを変えたコスメは?

A.1:「RMK」が2018-19年秋冬に発売した、ダブルエンドで色が違う「Wカラーマスカラ」ですかね。それまで自分の中ではブラウンメイクが主流だったので、「オレンジとカーキをまつげに塗ってもいいんだ!!」と驚きました。「ってことは、もっといろんなパーツにいろんな色のせてもいいってことですよね。私やりますよ!?」ってなりましたね。

Q.2:今までで一番衝撃が走ったコスメは?

A.2:コスメ始めたてのころに買った、「ジバンシイ(GIVENCHY)」の18年ホリデーコフレ「パレット・エクラ・ノクターン」です。パッケージの表面がミラーボールみたいにキラキラで、開けるとアイシャドウの形が星形なんです……。可愛くて可愛くて……!!“デパコス沼”に落ちたきっかけの一つだと思います。

Q.3:この冬オススメのコスメは?

A.3:「アンプリチュード(AMPLITUDE)」のクリスマスコフレを狙っています。9月11日に刷新した「アルジェラン(ARGELAN)」の高保水化粧水もコスパ最強でかなりおすすめ。乾燥の季節ですし!!

Q.4:もし、1つのブランドしか使えなくなるとしたら?

A.4:スキンケアとベースメイク、ポイントメイク、どれもバランスよく使ってきた馴染みの「RMK」かな~。

まだまだ続くコスメのお話

Q.5:カメダさんにとってのコスメとは?

A.5:朝顔の鉢にぶっ刺さってる支柱のような存在!!自己肯定感をすくすく育てるための足がかりであり、自己表現ツール。

Q.6メイクのお手本は?

A.6:不特定多数になっちゃうのですが、全国のカウンターにいらっしゃるBAさんや、アーティストのお姉様・お兄様方です。メイクを始めたての時は眉毛を描くのが本当に下手で、BAさんに「眉も直しちゃっていいですか~?」ってよく声かけてもらったな。すごく勉強になりました。

Q.7:どんな時にコスメを買いますか?

A.7:季節の変わり目と、心がしぼんだ時。

Q.7:コスメのアンテナはどんな風に張っていますか?

A.7:「ファッションプレス(FASHION PRESS)」の記事が見やすいのでフォローして、気になったものはスクショし、いつでも見返せるようにしています!すぐに忘れてしまうので。

Q.8:コスメの断捨離はどうしていますか?

A.8:どうもしてないかも!棚がいっぱいになったら考えます!!

Q.9:パーソナルカラーに関係なく、コスメを使いこなすコツは?

A.9:「パーソナルカラーは信じねぇ!」とは言いませんが、全部、自分で決めたいんです。つまり、「心が頑固オヤジ」なんですよね。ということで、頑固オヤジになることです。「ワシの感性しか認めん!!」とちゃぶ台をひっくり返してください。

Q.10:アイシャドウなどで似合わない色を使いこなす方法は?

A.10:「似合う・似合わない」は絶対的評価ではなく、自分の受け取り方次第だと思うので「私、似合うな~これ!!」って言いながら塗りましょう。

Q.11:メイク初心者に伝えたい、おすすめコスメは?

A.11:「ルナソル(LUNASOL)」のアイシャドウパレットがおすすめです。よくなじんで浮かないし、派手じゃないのに目の印象をしっかり強くしてくれる!カジュアルに使っても失敗知らず!!アイメイクは、肌より2段階くらい暗いブラウン系のクリームシャドウや、伸びのいいパウダータイプのアイシャドウをキレイにぼかすところから始めるといいかも!そして何事においても言えることですが、センスより回数がモノを言います。やればやるほど、確実にうまくなります!!

Q.12:気分が上がるネイル、おすすめネイルは?

A.12:「アガる」といえば、「オサジ(OSAJI)」の「アップリフト ネイルカラー」じゃないですか!?絶妙な色味、ラメづかい、物語を感じる色の名前……最高です!!

Q.13:お友達に化粧品のプレゼントを選ぶ時、ブルベ/イエベは気にしていますか?

A.13:「カメダに似合うと思って!」って買ってもらったものなら、どんな色だろうがチャレンジしたいし、似合わなくても愛しい。だから相手にもそうしています。パーソナルカラーをめっっちゃ気にする人には、きちんと気を遣うかな!!

Q.14:導入化粧水が気になっています。何個か使いましたか?

A.14:「導入」って響き、そそりますよね。仕事柄色々使いましたよ~。「ランコム(LANCOME)の「ジェニフィック」は肌のパラメータ全体を底上げしたい時、「ファミュ(FEMMUE)」は肌がゴワつく時にオススメ。肌が、ふわっと柔らかくなります。「ソフィーナ IP(ソフィーナ IP)」の土台美容液は、使い続けたら肌診断の結果もよくなったので信頼しています。炭酸泡の力で肌調子が上がる~!!疲れ切った時・時短したい時にもいいです。

Q.15:お洋服とカラーメイク、香水のコーディネートで大事にしていることは?

A.15:「カラーメイクやネイルと、小物の色をリンクさせると可愛いな~」と思ってユルっと意識しています。「合わせよう合わせよう!」と気張っちゃうと肩肘パンパンになるので、ユルっと。香水は、夕方~夜の自分を気遣うつもりで選んでいます。デートなら女っぷりを上げてくれる香り、日中バタバタで疲れそうならリラックスした香りというカンジです。

Q.16:コロナだからこそのファッションとメイクを教えて!

A.16:カラーライナーやカラーマスカラの登場率が多いですね。唇が外に見えない分、目周りに色をもってきて、ふと鏡を見たとき楽しめるようにしています。服は、楽だけど気分を上げてくれるものが活躍しました。イラストは4、5年前に買った「アー・ぺー・セー(A.P.C.)のワンピース!!ガシガシ洗濯できるのもいいところです。

Q.17:自分でプロデュースするなら、どんなコスメ?

A.17:マンガ付きコスメとかやってみたいですね~。個人的に収納に困っているので、コスメより収納とかブラシとか開発してみたいかも!

Q.18:これからチャレンジしてみたい美容(医療やエステ)はありますか?

A.18:念願の医療脱毛は気がすむまでやれたので、今はないかな!腸を切除しといてなんですが(編集部注:カメダは2017年、炎症性腸疾患のクローン病を患い入院・手術した)、医療系の施術にまだビビってます。知識もないしね。ボディメイク(ダイエットじゃなくて)はやってみたい。

Q.19:カメダさんのコスメの色の例え方が好きです!その表現力は、どうやって培ったのか気になります。

A.19:自信がない部分なので、褒めていただけて嬉しいです!子どものころ、小説が好きでいっぱい読んでいたので、言葉周りの影響はそこから来てると思います。

インスタのこと、イラストのこと

Q.20:今の仕事をやりたいと思った理由は?

A.20:「漫画家になりたい」「コスメで自己肯定感とうまく付き合っていく記録を残したい」「いろんな人に見てほしい」を続けていたら、こんな職業になっておりました。

Q.21:カメダさんの作るグラフィックや背景の歴史は?

A.21:元々美大では漫画家の夢を持ちつつも、エディトリアル・デザイナーを目指し勉強していたので、その影響があると思います。やたらとリボンを使うところとか。「フォトショップ」素材のまとめサイトなどをよく見ていて、おしゃれな素材をかき集めています。

Q.22:インスタに絵を投稿したきっかけは?

A.22:「今、一番ほしいものは?」というテレビのインタビューでギャルが「フォロワー」って言ってたから。

Q.23:1つのイラストに要する時間と過程は?

A.23:線画は1枚15~30分、着色が1枚30分~3時間(建物とか、登場人物多いと大変)。下書きなしで、構成は描きながら考えます。修正・移動・変形が楽なので、デジタル絵は便利!過程をうつすインスタライブとかしましょうかね?

Q.24:美大を卒業してよかったことは?

A.24:「自分が何者なのか?」を考える時間をいっぱいもらえたこと。自分の好きな物事を深掘りして、リサーチしたり習作を重ねたり悩みすぎて迷走した経験が、今の漫画制作を下支えしてくれています!

Q.25:お仕事では、どんなタッチの絵を描いてますか?

A.25:自分のやりたいことを伝えるための絵なので、すごくラフな感じです。

ポジティブマインドの秘訣

Q.26:落ち込んだ時とか、嫌なことがあった時、どうやって気持ちを切り替えていますか?

A.26:めちゃくちゃおいしいものや、お気に入りの音楽などでとにかく自分の機嫌をとります。お風呂や、丁寧なスキンケアもいい!!寝る前や帰り道とかふと時に思い出しそうになったら、「大丈夫大丈夫!」って唱えて、とりあえず遠ざけます。浮き沈みあるのが人間なので、「元気がないということは……私、ロボットじゃなくて人間だったっぽ~い!やったね!」って思って、何もしません。

Q.27:ポジティブの秘訣

A.27:心の中に歌姫(自分の理想像)を飼って、落ち込んだ時に喋らせます。言い換えが上手くなるのも大事。「〇〇しかできない」じゃなくて、「〇〇を極めている」みたいなね。

Q.28:好きなものを追求できるモチベーションはなんですか?

A.28:絵を続けられている理由は、「好きだから」以外にあんまりないのですが、強いて言うなら一つだけ手に職つけられるような特技が欲しかったんだと思います。昔は、自分に自信がなかったので!

Q.29:座右の銘は?

A.29:「継続は力なり」。

Q.30:緊張する時の対処法は?

A.30:心に余裕がないときは、わざとにっこり笑ってお顔(表情)に余裕を作ると、心がそれに引っ張られてなんかいい感じになります。

Q.31:人生のこだわりは?

A.31:一般論や周りの意見に流されないで、自分で判断して決めること。

Q.32:自分へのご褒美は?

A.32:おかんが年2くらいで買ってきてくれる「ロイズ(ROYCE’)」のいちごチョコをちびちび食べる。「ファミュ」か「ファミュ」×「トーン(TO/ONE)」のシートマスクを貼ります。

Q.33:カメダさんの将来の夢は?

A.33:SNSは形がないので、書籍化して本の重みを感じたい!

Q.34:カバンの中身がしりたいです。

A.34:財布とリップとお腹の薬(整腸剤と下痢止め)、後は最近買ったiPad!!

Q.35:カメダさんが理想とする人間像は?

A.35:自分の機嫌を自分で取れる人、美しさの評価軸が自分にある人、そして自己肯定感とうまく付き合える人です。

Q.36:美しさとは?

A.36:ひたむきさと思いやり。配られた手札で自分の人生を最大限楽しもうと努力する姿、他人に真摯に向き合っている姿に美しさを感じます。中身の美しさは絶対外側に滲んでくるから、私も大事にしていきたい!!

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「2回表」な状況下でのデジタル・ファッション・ウイーク︎︎ エディターズレター(2020年7月15日配信分)

※この記事は2020年7月15日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「2回表」な状況下でのデジタル・ファッション・ウイーク︎︎

 現在進行形のデジタル・ファッション・ウイーク、見せる側も、見る側も試行錯誤が続いています。例えば見せる側は、「ドリス ヴァン ノッテン」や「トム ブラウン」など、映像では1ルックしか見せてくれないブランドも多数。正直「で、なんだったんだ~⁉︎」と思うことも、なくはないのです(笑)。ただ実店舗とEC同様、もはやリアルなランウエイショーとデジタルプレゼンは比較するものではないでしょうから、「どうして、こうなったんだろうね⁉︎」とワクワク、時々モヤモヤしながら妄想するのが正解でしょう。

 見る側、まず私たちメディアのお話をすれば、「トレンドを見極めるのが難しい」問題が浮上しております。まぁトレンドなんて、もはや「あるようでないようである(苦笑)」程度のモノですが、上述の通り拝見するルックの数が激減する中、油断すると映像に目を奪われがちで、洋服をじっくり、を忘れています。トレンドを導くには、もう一回写真をじっくり見る時間が必要です。

 一番深刻なのは、バイヤーですね。素材感を筆頭に、買い付けの参考になる情報が少なすぎる‼︎私たちがLIVEでお送りしているコレクション振り返りプログラム「着点」でご苦労を伺っておりますが、実に大変そうです。Zoomで素材をアップにしてもらったり、PCやスマホでも分かる色やモチーフに主眼を置いたり(それは、ECシフトしていくであろう販売においても有効であろうという判断です)、試行錯誤は続きます。デジタルに不慣れ、だけど影響力のあるバイヤーさんは、「消費者はECで買った商品を返品できるんだから、私たちも買い付けた商品キャンセルできるのよね?」とブランドに迫っているそうで、「コワい‼︎」と慄きつつも、「確かに‼︎」とも思えます(笑)。いや、当事者の皆さんにとっては笑い事では済まされませんね)。

 現状、問題はすぐに解決しそうにありません。ただ新型コロナウイルスとの戦い(共存⁉︎)について、北海道大学の西浦博教授は、野球で例えるなら「2回の表でコロナウイルスが攻撃中」という状況と言います。リンク2本目の記事通り、朝日新聞社はミラノ・ファッション・ウイークの映像に関する独占配信を来年2月まで行うそうです。「みんながすぐ、海外に行けるようにはならないよね」という判断が働いているのでしょう。だとしたら、次回に向けて!ブランドの皆さん、まずは主要取引先には素材の見本を送りましょう。それがあるだけで、全然違うみたいです。

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「2回表」な状況下でのデジタル・ファッション・ウイーク︎︎

 現在進行形のデジタル・ファッション・ウイーク、見せる側も、見る側も試行錯誤が続いています。例えば見せる側は、「ドリス ヴァン ノッテン」や「トム ブラウン」など、映像では1ルックしか見せてくれないブランドも多数。正直「で、なんだったんだ~⁉︎」と思うことも、なくはないのです(笑)。ただ実店舗とEC同様、もはやリアルなランウエイショーとデジタルプレゼンは比較するものではないでしょうから、「どうして、こうなったんだろうね⁉︎」とワクワク、時々モヤモヤしながら妄想するのが正解でしょう。

 見る側、まず私たちメディアのお話をすれば、「トレンドを見極めるのが難しい」問題が浮上しております。まぁトレンドなんて、もはや「あるようでないようである(苦笑)」程度のモノですが、上述の通り拝見するルックの数が激減する中、油断すると映像に目を奪われがちで、洋服をじっくり、を忘れています。トレンドを導くには、もう一回写真をじっくり見る時間が必要です。

 一番深刻なのは、バイヤーですね。素材感を筆頭に、買い付けの参考になる情報が少なすぎる‼︎私たちがLIVEでお送りしているコレクション振り返りプログラム「着点」でご苦労を伺っておりますが、実に大変そうです。Zoomで素材をアップにしてもらったり、PCやスマホでも分かる色やモチーフに主眼を置いたり(それは、ECシフトしていくであろう販売においても有効であろうという判断です)、試行錯誤は続きます。デジタルに不慣れ、だけど影響力のあるバイヤーさんは、「消費者はECで買った商品を返品できるんだから、私たちも買い付けた商品キャンセルできるのよね?」とブランドに迫っているそうで、「コワい‼︎」と慄きつつも、「確かに‼︎」とも思えます(笑)。いや、当事者の皆さんにとっては笑い事では済まされませんね)。

 現状、問題はすぐに解決しそうにありません。ただ新型コロナウイルスとの戦い(共存⁉︎)について、北海道大学の西浦博教授は、野球で例えるなら「2回の表でコロナウイルスが攻撃中」という状況と言います。リンク2本目の記事通り、朝日新聞社はミラノ・ファッション・ウイークの映像に関する独占配信を来年2月まで行うそうです。「みんながすぐ、海外に行けるようにはならないよね」という判断が働いているのでしょう。だとしたら、次回に向けて!ブランドの皆さん、まずは主要取引先には素材の見本を送りましょう。それがあるだけで、全然違うみたいです。

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編集長は先月何した? 「エルメス」で馬を追いかけ、アデライデ母娘と弾丸トーク、「サカイ」阿部さんをインタビュー

 8月に入りイベント取材が少しずつ増えてきました。オンライン取材は落ち着いて話が聞けるし効率がよいから悪くない!と思っていたこの数カ月ですが、いざリアルに人に会って服を見て話を聞くと自分のボルテージの上り方がオンラインよりも断然速くて高くて、単純に楽しいです。人と会う回数は減ったけれど、その分1回ずつが濃密で味わい深いですね。最近の自分のテーマは「欲望」。今私たちはどんなもの・ことに欲望を喚起させるのか、そんなことを考えながら取材をしています。

8月7日(金)
「エルメス」丸の内店に
本物の馬が現れ、追いかける

 「エルメス(HERMES)」が1979年に日本初の店舗を構えたのは丸の内。その丸の内店がリニューアルオープンしました(当初の場所からは移転しています)。街路樹と石畳が特徴の丸の内仲通りは東京のど真ん中とは思えない穏やかな空気があり、店舗2階は避暑地のホテルの一室のようです。オープンを祝して店舗前に登場したのは美しい馬!花を摘んだ荷台を引いてゆっくり歩き通行人に花をプレゼントしていました。その凛々しい姿に惹きつけられてしばらく近辺をぐるぐる。「エルメス」独特のカルチャーには場の空気や時間の流れを一瞬にして豊かに変える力があります。

8月19日(水)
「サカイ」阿部さんを取材。
“仕事が好き”を再確認

 「サカイ(SACAI)」のコンセプトは21年前の創業以来変わらず「日常の上に成り立つデザイン」です。その日常が突然こんなに変わってしまった今、デザイナーの阿部千登勢さんは何を思い、「サカイ」をどうデザインをしているのでしょうか?と、いうことを直接聞きたくてインタビューに来ました。阿部さんと自分に共通点があるとしたら“仕事が好き”(笑)。そして尊敬する人の仕事を文字に残せるこの仕事が私は好きです。取材した内容は「WWDジャパン」9月7日号にたっぷり掲載したのでぜひお読みください!

8月25日(火)
高島屋、伊勢丹、西武。
百貨店特選は案外元気

 「何が売れましたか?」と聞いて回る定例の取材で高島屋、三越伊勢丹、そごう西武などをはしご。春夏は休業期間が長かったから厳しいだろうという予想に反して各社健闘でびっくりです。旅行に行けない分、日常の我慢を買い物で解消!している人が多いそうです。

 百貨店は元気がないとか、ファッションは元気ないとか言われがちだし、私たちも言いがちだけど必ずしもそんなこともなく、オンライン接客などあれこれ工夫をしてむしろ好調だったりしています。メディアはリモート取材が増えて売り場も見ずに語るケースが増えているのかも。イカン!ですね。対面取材はもちろん極力避けますが、売り場は開いているのだから極力自分の目で見に行こうと思います。

8月25日(火)
アデライデ長谷川家とのランチで
大切な時間を思い出す

 9月1日開業の「フォーシーズンズホテル東京大手町」の最上階に「アデライデ(ADELAIDE)」がキュレートするライフスタイルストア「ザ スパ ブティック バイ アデライデ(THE SPA BOUTIQUE BY ADELAIDE)」がオープンとのことで「アデライデ」の長谷川真美子・左希子母娘に会いに行きました。彼女たちとは定期的に弾丸トークをする仲ですが、今回もすごかった。ホテル内ショップの常識を覆す同ストアのいきさつや品そろえに関する話を聞けば、「このコロナ下の数カ月にそんな大変な仕事をしていたの!?」とあんぐり、です。

 ランチは同じく開業直前のフレンチ「エスト」。ラグジュアリーなホテルでの食事も久しぶりでこういった時間は大切!としみじみ思いました。天井が高く、良い香りがして、眺めがよくて静か。そんな空間に身を置けば遠くに行けずともリフレッシュはできますね。

8月26日(火)
紙パックの水「ハバリーズ」が
届き“おしゃれ”と思う

 「WWDジャパン」がサステナビリティの取材に力を入れていることを知ったPRの知り合いから紙パックのナチュラルウォーター「HAVARY`S(ハバリーズ)」が届きました。紙パックの水は日本では初だとか。まさに、いいね、です。

8月27日(水)
「パトゥ」のポップアップで
バイヤーの情熱に触れる

 この方は、「パトゥ(PATOU)」の日本の窓口であるイザの田中タキ代表です。彼女を見ているとインポーターの情熱ってこういうことだよね、と思います。デザイナーのギヨーム・アンリ(Gillaume Henry)の才能にほれ込み、ギョームが手掛けることになった「パトゥ」にほれ込み奔走。ほれ込んだ商品を日本の人に伝えたい、それがインポーターという仕事の原点でありすべてなんだと思います。メディアも一緒ですけどね!そして「パトゥ」は文句なしにカワイイです。

8月31日(月)
8月発行号を振り返る&
在宅勤務のお供

 今月はデニム、ジュエリー、サステナビリティなど、アイテム&テーマ特化型の特集が多いかな。「WWDジャパン」にはマニアックなまでに一分野を突き詰めるタイプの記者が多いのですが、その力を発揮しています。8月31日号からはファッション&ビューティを横断する特集がスタート。ぜひ読んでください!

 そして在宅勤務のお供は5枚目の写真です。フォトグラファー小田駿一さんが緊急事態宣言下の渋谷の飲食店を応援しようと立ち上げたクラウドファンディングに参加し、そのリターンとして選んだ写真が届きました。自宅の部屋で原稿が煮詰まると立ち上がって、6枚目の写真のほうき(?)でちょこっと掃除をして気分転換しています。

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編集長は先月何した? 「エルメス」で馬を追いかけ、アデライデ母娘と弾丸トーク、「サカイ」阿部さんをインタビュー

 8月に入りイベント取材が少しずつ増えてきました。オンライン取材は落ち着いて話が聞けるし効率がよいから悪くない!と思っていたこの数カ月ですが、いざリアルに人に会って服を見て話を聞くと自分のボルテージの上り方がオンラインよりも断然速くて高くて、単純に楽しいです。人と会う回数は減ったけれど、その分1回ずつが濃密で味わい深いですね。最近の自分のテーマは「欲望」。今私たちはどんなもの・ことに欲望を喚起させるのか、そんなことを考えながら取材をしています。

8月7日(金)
「エルメス」丸の内店に
本物の馬が現れ、追いかける

 「エルメス(HERMES)」が1979年に日本初の店舗を構えたのは丸の内。その丸の内店がリニューアルオープンしました(当初の場所からは移転しています)。街路樹と石畳が特徴の丸の内仲通りは東京のど真ん中とは思えない穏やかな空気があり、店舗2階は避暑地のホテルの一室のようです。オープンを祝して店舗前に登場したのは美しい馬!花を摘んだ荷台を引いてゆっくり歩き通行人に花をプレゼントしていました。その凛々しい姿に惹きつけられてしばらく近辺をぐるぐる。「エルメス」独特のカルチャーには場の空気や時間の流れを一瞬にして豊かに変える力があります。

8月19日(水)
「サカイ」阿部さんを取材。
“仕事が好き”を再確認

 「サカイ(SACAI)」のコンセプトは21年前の創業以来変わらず「日常の上に成り立つデザイン」です。その日常が突然こんなに変わってしまった今、デザイナーの阿部千登勢さんは何を思い、「サカイ」をどうデザインをしているのでしょうか?と、いうことを直接聞きたくてインタビューに来ました。阿部さんと自分に共通点があるとしたら“仕事が好き”(笑)。そして尊敬する人の仕事を文字に残せるこの仕事が私は好きです。取材した内容は「WWDジャパン」9月7日号にたっぷり掲載したのでぜひお読みください!

8月25日(火)
高島屋、伊勢丹、西武。
百貨店特選は案外元気

 「何が売れましたか?」と聞いて回る定例の取材で高島屋、三越伊勢丹、そごう西武などをはしご。春夏は休業期間が長かったから厳しいだろうという予想に反して各社健闘でびっくりです。旅行に行けない分、日常の我慢を買い物で解消!している人が多いそうです。

 百貨店は元気がないとか、ファッションは元気ないとか言われがちだし、私たちも言いがちだけど必ずしもそんなこともなく、オンライン接客などあれこれ工夫をしてむしろ好調だったりしています。メディアはリモート取材が増えて売り場も見ずに語るケースが増えているのかも。イカン!ですね。対面取材はもちろん極力避けますが、売り場は開いているのだから極力自分の目で見に行こうと思います。

8月25日(火)
アデライデ長谷川家とのランチで
大切な時間を思い出す

 9月1日開業の「フォーシーズンズホテル東京大手町」の最上階に「アデライデ(ADELAIDE)」がキュレートするライフスタイルストア「ザ スパ ブティック バイ アデライデ(THE SPA BOUTIQUE BY ADELAIDE)」がオープンとのことで「アデライデ」の長谷川真美子・左希子母娘に会いに行きました。彼女たちとは定期的に弾丸トークをする仲ですが、今回もすごかった。ホテル内ショップの常識を覆す同ストアのいきさつや品そろえに関する話を聞けば、「このコロナ下の数カ月にそんな大変な仕事をしていたの!?」とあんぐり、です。

 ランチは同じく開業直前のフレンチ「エスト」。ラグジュアリーなホテルでの食事も久しぶりでこういった時間は大切!としみじみ思いました。天井が高く、良い香りがして、眺めがよくて静か。そんな空間に身を置けば遠くに行けずともリフレッシュはできますね。

8月26日(火)
紙パックの水「ハバリーズ」が
届き“おしゃれ”と思う

 「WWDジャパン」がサステナビリティの取材に力を入れていることを知ったPRの知り合いから紙パックのナチュラルウォーター「HAVARY`S(ハバリーズ)」が届きました。紙パックの水は日本では初だとか。まさに、いいね、です。

8月27日(水)
「パトゥ」のポップアップで
バイヤーの情熱に触れる

 この方は、「パトゥ(PATOU)」の日本の窓口であるイザの田中タキ代表です。彼女を見ているとインポーターの情熱ってこういうことだよね、と思います。デザイナーのギヨーム・アンリ(Gillaume Henry)の才能にほれ込み、ギョームが手掛けることになった「パトゥ」にほれ込み奔走。ほれ込んだ商品を日本の人に伝えたい、それがインポーターという仕事の原点でありすべてなんだと思います。メディアも一緒ですけどね!そして「パトゥ」は文句なしにカワイイです。

8月31日(月)
8月発行号を振り返る&
在宅勤務のお供

 今月はデニム、ジュエリー、サステナビリティなど、アイテム&テーマ特化型の特集が多いかな。「WWDジャパン」にはマニアックなまでに一分野を突き詰めるタイプの記者が多いのですが、その力を発揮しています。8月31日号からはファッション&ビューティを横断する特集がスタート。ぜひ読んでください!

 そして在宅勤務のお供は5枚目の写真です。フォトグラファー小田駿一さんが緊急事態宣言下の渋谷の飲食店を応援しようと立ち上げたクラウドファンディングに参加し、そのリターンとして選んだ写真が届きました。自宅の部屋で原稿が煮詰まると立ち上がって、6枚目の写真のほうき(?)でちょこっと掃除をして気分転換しています。

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韓国ビューティのトップトレンドはビーガン 新ショップ「レディ・トゥ・ウェルネス」に注目!

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」では、パリやニューヨーク、ソウル、シンガポールの4都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。(写真キャプション中の円換算レート:1ウォン=0.09円)

 世界で注目を集めているウエルビーングのトレンドだが、韓国も例外ではなくウエルネスブームが吹き始めている。今年の夏、ソウル駅近くにある人気の複合文化施設ピクニック(PIKNIC)にウエルネスライフスタイルショップ「レディ・トゥ・ウェルネス(Ready to Wellness)」がオープンした。健康的なライフスタイルを追求するトレンドセッターでもあるリリー・ベック(Lily Baek)=レディ・トゥ・ウェルネス代表が企画した新ショップは、環境への社会的な影響を意識し、“倫理的でサステナブルな暮らし”のコンセプトのもとウエルネス商品やクリーンビューティ、ファッション、ホームケア用品、セルフケアグッズなど、心と体を磨くアイテムを販売している。国内外のブランドとオリジナル商品が並ぶ店内は、ピンク色の内装がエキゾチックな雰囲気を醸し出している。

 セレクトされているブランドは最先端のものが並ぶ。最近韓国のビューティ業界でトップトレンドともいえるのはビーガンだろう。さまざまなビーガンコスメブランドが生まれて注目度は日増しに上がっている。新ショップではビーガンコスメの代表的なブランドの一つである「メリキサー(MELIXIR)」を取り扱う。トナー、セラム、オイル、クリームのミニマルなスキンケアラインは男性からも評判が高い。発酵と精製を経たサトウキビ由来のスクワランオイルと、韓国の緑茶の産地である宝城(ポソン)のオーガニック緑茶葉の主な成分が、肌の保湿と炎症の鎮静に効果が期待できると評価されている。同ブランドはパッケージにもFSC認証取得の素材を使用している100%ビーガンコスメブランドだ。アイテムのラインアップはコスメだけでなく歯磨き粉やデリケートゾーンのクリーナー、さらにはコンドームなどもあって充実している。

 もう一つ注目すべきは「レディ・トゥ・ウェルネス」のオリジナル商品だ。韓国産の竹を使い天然成分でコーティングしたバンブー素材の歯ブラシ、フェイシャル&ボディーケア、ヘアケア、ペットケア、皿洗い用のプラスチックフリーのせっけんなど、ウエルネスの哲学を伝えるスマートな商品を提案しているのが特徴だ。

 そのほか多種多様なブランドのサプリメントやプロテインバー、お茶、書籍、お香、ファッションアイテム、器などウエルネスライフを楽しむさまざまなアイテムをそろえ、また陶芸作家とのコラボレーションアイテムを企画するなど新しいウエルネス提案を積極的に行っている。長期化する新型コロナウイルスの感染拡大の影響により現在の取り扱い商品は韓国ブランドが8割を占めるが、社会情勢を見ながら国外ブランドを含めて幅広いジャンルの商品を販売していく予定だ。

チャン・ジャキョン:フリーランスコーディネーター兼ライター。ソウル生まれ。アート関連会社と映画制作会社の演出部を経てメディアコーディネーターに転職。雑誌を中心にテレビ、広告、スポーツなど幅広い分野で活躍。携わった書籍は「ソウル美容完全ガイド」(講談社)など多数

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日本伝統の金継ぎをジュエリーで表現 「ミラモア」の稲木ジョージに聞くクリエイション

 ニューヨーク発、メード・イン・ジャパンのジュエリー「ミラモア(MILAMORE)」の最高経営責任者(CEO) 兼ブランドビジョニアの稲木ジョージ氏が、百貨店でのポップアップショップ開催のため一時帰国した。稲木CEOは「アメリカン アパレル(AMERICAN APPAREL)」のPRとして同ブランドの渋谷店の売り上げを世界一にした立役者だ。2014年に渡米しデジタルPRとして起業し、さまざまなブランドのイベントのコーディネートやインフルエンサーの起用などを手掛けている。そんな稲木CEOが19年、ジュエリーブランドを立ち上げた。祖母のニックネーム“ミラ”にちなんで「ミラモア」と名付けた自身のブランドに込めた思いを聞いた。

WWD:「ミラモア」を立ち上げたきっかけと目的は?

稲木ジョージCEO(以下、稲木):「ミラモア」設立のきっかけは、代々一族で宝石商を営んできた大和梓氏から企画書を受け取ったこと。日本の文化を取り入れた工芸品などはあるが、ジュエリーがないと思ったし、小学生のときからネックレスを、中高学年ではピアスなどジュエリーを着けることが好きだった。昔話に登場するツルやカメ、金魚などがモチーフのジュエリーはお守り的な意味も持つと思ったから。社会的な責任を持ちつつ、ジュエリー製造における日本の職人を支援していくのが目的だ。日本の文化を継承していきたいという強い思いがある。

WWD:「ミラモア」という名前は祖母のニックネームからだそうだが?

稲木:フィリピンで9歳まで祖母に育てられて、大好きな人だから。“ミラ”はイタリア語で目的という意味もある。ブランドのロゴマークは金魚だ。

WWD:金継ぎという技法に出合ったきっかけと、それをジュエリーで表現した理由は?

稲木:ユーチューブでタイ人の男の子が金継ぎの哲学を語っているのを見て面白いと思った。金継ぎは割れたものを漆でつなぐという技術。裕福だろうがそうでなかろうが、傷ついたことのない人はいない。ある意味、金継ぎは傷ついたことを乗り越える挑戦のように思えた。だから、それにフォーカスしてジュエリーにしてみたいと思った。壊れたものを直してそれを勲章として着ける。そうすることで、自分が完成するといった、新たな価値観の提案だ。

また、金継ぎおよび、それに関わる日本の職人技を後世に残したいという思いもある。

WWD:金継ぎをテーマにしたジュエリーはどのように作られるか?

稲木:共通の友人を通して知り合った輪島の漆職人の桐本滉平さんとコラボレーションで作っている。桐本さんは27歳で、地元の漆産業を担う若手職人だ。漆の歴史は1000年以上前にさかのぼる。縄文時代から魔除けとされていたし、茶道にも深い関係がある。なぜなら、陶器が割れたら漆を接着剤として使用し金粉をかぶせて金継ぎして使っていたから。金継ぎは日本のわびさびを象徴するものだと思う。マザー・オブ・パール(MOP)を使用したのは、中国から渡ってきた螺鈿(らでん)に着想を得た。また、私が育ったマニラは東洋の真珠と呼ばれている。MOPを割って漆で接着し,金粉を施すとマットなテクスチャーに仕上がる。

WWD:クリエイションの過程は?

稲木:物と情報が溢れた世界に生きているので、クリエイティビティーそのものより編集能力が評価される。デザインに関しては、全く新しいものを打ち出すのはほぼ不可能だ。私にとってデザインとはビジョンであり、それをどう語るのかが重要だと思う。PRをしていたこともあり、人にどう伝えられるかということを常に考えている。だから、フィロソフィーからクリエイションに入るようにしている。ニューヨークに7年間住んで、日本の文化についてあらためて考えた。歴史や文化について語れないと恥ずかしいということがよく分かった。

WWD:今後のコレクションの予定は?

稲木:金継ぎからインスパイアされたチェーンを出すつもりだ。チェーンと言えば円。円=縁を大切にしたいと思う。それはいいカルマも意味すると思うから。また、10月には星座のチャームも出す予定だ。

WWD:今後の目標は?

稲木:ただのジュエラーではなく、ジュエリーブランドとして確立したい。日本のブランドはグローバルブランドになりにくい。ゆくゆくは世界的なラグジュアリーのコングロマリットの傘下に入れたらいいと思う。今は外国のブランドばかりだけど、日本のブランドも入れたらいいなと思う。または、自分でジュエリーブランドのコングロマリットをつくるということも視野に入れている。こだわって作ったキャンドルをはじめとするフレグランスのビジネスも強化していきたい。ロックダウン中にECのオーダーに手応えを感じたので、デジタルの施策にも注力するつもりだ。

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おしゃれなあの人のビューティライフを拝見! 「トゥデイフル」デザイナー・船曳ひろみ編

 世界的な新型コロナウイルスの流行によって私たちの生活は一変し、今までにない習慣や行動を余儀なくされている。日々刻々と変わる状況の中でこれまでとは異なる“新たな日常”を理解し、共に過ごしていく毎日が始まっている。そんなガラリと変化した暮らしの中でも、ポジティブに自分らしい生活を心がけているファッション業界人のビューティ事情、ライフスタイルにフォーカス。

今回は、感度の高いファッションブランドとして多くの女性から支持を集める「トゥデイフル(TODAYFUL)」のデザイナー・船曳ひろみさん。トレンドの発信地である東京・代官山と中目黒を結ぶ鎗ヶ崎の交差点には同ブランドを扱うセレクトショップ「ライフズ(LIFE’s)」を構え、衣料品だけでなくグリーンや生活雑貨などライフスタイルアイテムも取り扱っている。そんな衣食住を横断したブランドのデザイナーとして活躍する彼女の美容ルーティンを教えてもらった。

【SKINCARE】

時短にして“ながら美容”が
美肌のカギ

【FOOD】

おうちごはんが楽しくなる
器とお取り寄せ品

 最近はコロナウイルスの影響もあって、以前より家で料理をすることが増えてきました。朝食はグラノーラなど簡単で栄養が取れるものをパパッと作る日も。そして、料理するのに欠かせないのは素敵な器。もともと器好きなこともあり、今回「菅原ガラス」さんとのコラボグッズとしてガラスの器を作っている最中なのでぜひお楽しみに。煮込み料理も大好きで、鍋は無水調理もできる「ストウブ(STAUB)」を愛用しています。また、先日取り寄せた「ハブ ア グッド スライス(HAVE A GOOD SLICE)」のピザは冷凍とは思えないおいしさで感動!実店舗は山形にあるのですが、味だけでなくNYをほうふつとさせるスタイリッシュな店内も素敵そうです。

【GOODS】

家でも外でも使いやすく、
着心地のよいものを

 「トゥデイフル」のインド製ドレスはすごく軽やかで着心地もよく、おうちで着ているだけでも思わずテンションが上がっちゃいます(笑)。いつかコロナウイルスが終息して旅行ができるようになったら、絶対にリゾートで着倒したい一着です。歩きやすさ、見た目のかわいさ、何もかもがパーフェクトな「メゾンマルジェラ(MAISON MARGIELA)」の足袋ブーツは3足目。もともとブラックとヌードは持っていたので、今度はホワイトの3cmヒールのものをチョイス。案の定、どんなスタイルにでも合わせやすいし、何より歩きやすいのがうれしい。海外通販サイトの「ファーフェッチ(FARFETCH)」で購入しました。

【BODY & SLEEP】

美容の秘訣は
頭皮ケアと質のよい睡眠

 自宅でPCを使い作業をしていると、とにかく頭皮がガチガチに凝ってしまうので、セルフでの頭皮ケアは必須。「ウカ(UKA)」のブラシは、まるでヘッドスパをしてもらったくらいに気持ちがよくてとても頭がスッキリします。また、頭皮が硬いと顔がたるむと聞いたことがあるので、お風呂上がりには「オッジィ オット(OGGI OTTO)」のスカルプミストを使いながらマッサージ。このミストは防腐剤が一切入っておらず、頭皮ケアだけでなく化粧水として全身にも使用できる優れものです。そして、今年の7月末に引っ越しをしたタイミングで寝具を一新しました。ベッドは「東京ベッド(TOKYO BED)」、マットレスは「フランスベッド(FRANCE BED)」のものを愛用。疲れを根本から取るためには睡眠が重要ということを日々実感しています。

【MAKEUP】

ナチュラルさの中に
“自分らしい”アクセントを

 もともとメイクアップの時間は短いほうだったのですが、この状況下になり、より短縮するようになりました。ベースを入れても、だいたい5分程度で完成です。特に最近はマスクを毎日しなければいけないこともあり、リップをすることがほとんどなくなりました。また、それに伴いアイメイクもなるべく薄くナチュラルな方向になった気がします。下地は「RMK」のものに、「ディオール(DIOR)」のファンデーションを。アイブロウには「MAC」のアイシャドウをブラシで軽くつけて、眉を整えています。全体的にナチュラルな仕上がりになるようマスカラもブラウンのものを使って、抜け感を大事にしています。

「WWD JAPAN.com」ビューティ担当からのコメント

朝のスキンケアで使われている「絹生活研究所」は、絹から抽出される保湿力が高いセリシンという成分が特徴です。絹を扱っている繊維メーカーもセリシンを配合した化粧品ブランドを扱っていて根強い人気を保っています。ボディーケアで使われている「ウカ」の“ケンザン ブラシ”は在宅勤務でパソコンに向かう時間が長くなった今、頭皮が凝り固まった人が増えてビューティ業界でも愛用者が増えています。マスク生活でカラーメイクの需要減は業界でも課題となっています。(E・M)

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【動画】元「スノーピーク」の“キャンプのプロ”も驚くワークマンプラスのすごさをキャンプ場で知る!

 動画「出張インタビュー」は前回に続き、“モノが売れない”時代にもかかわらず関連グッズが売り上げを伸ばし、ウィズコロナ時代のレジャーとしても再注目されているキャンプを取り上げます。「スノーピーク(SNOW PEAK)」の元スタッフでキャンプライター兼スタイリストの山田昭一さんに、格安&機能的なワークマンプラスのウエアをリースしてもらい、キャンプ場でそのすごさを再確認。また月間UU 620万、月間PV 5500万のキャンプ専門ウェブメディア「キャンプハック(CAMP HACK)」の濱松教道編集長に、キャンプブームを裏付ける3つの事象や、ファッションおよびビューティ企業が新規参入するためのヒントなどについて質問します。

 青空とタープの下、たき火とダッチオーブンで作った“キャンプ飯”に舌鼓を打ちつつ、「WWDビューティ」出身でママ目線、女性目線を持つ福崎明子デジタルデスクと、田舎育ちにもかかわらずキャンプ超初心者の「WWDジャパン」編集部 三澤和也が聞き役になります。アウトドアビューティ講座などを収録した前編と併せてご覧ください!

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どうなる? ブルックス ブラザーズ エディターズレター(2020年7月16日配信分)

※この記事は2020年7月16日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

どうなる? ブルックス ブラザーズ

 すでに予兆はありました。1818年創業のアメリカが誇るメード・イン・アメリカ、ブルックス ブラザーズが5月にアメリカの3つの工場を閉める計画を発表していました。いよいよ危ないのだなと思いました。

 続けてゴードン・ブラザーズから借り入れしたというニュース。同じブラザーズですが、こちらは動産会社。つまり在庫を引き取って処分したり、それを担保に融資する企業で、つい最近、破たんしたローラ アシュレイを買ったばかり。次はブルックス ブラザーズってことになるんじゃないかと思っておりましたが、やはり破たんしてしまいました……(1つ目の記事参照)。

 米国の破産法適用申請は、借金を帳消しにして再出発するための“リセットボタン”的なものといわれており、どのCEOも破たんしたのに「新たな未来に向かって成長するためのステップ!」みたいに語ります。しかし、本当にどこが買うか、誰が再生するかーーそれ次第です。

 買い手候補には、今回もオーセンティック・ブランズ・グループ(ABG)の名前が挙がっています。ABGは破たんした米バーニーズ ニューヨークを買収し、フォーエバー21も他の2社と合同で取得しています(2つ目の記事参照)。ブランドのライセンス展開で拡大している企業なのですが、ブルックス ブラザーズもこのラインアップに加わることになるのでしょうか……。

 米国外とECは伸びていたというし、202年の歴史は世界的に見てもプレミアムです。現代のブランドとして蘇らせてくれる新しいプレーヤーが現れてほしい!!!!!アメリカントラッドがアップデートされる機会にならないものでしょうか?

 新型コロナウイルス感染拡大の勢いが収まらない今、まだまだこうしたニュースは続きそうです。

 ニーマン・マーカスやJCペニー、J.クルーといった大企業のほか、ジースター ロゥや良品計画、サボンの米国現地法人も破産法適用申請しましたし、「シエス マルジャン」はブランド終了を発表しました。店舗閉店や人員削減のニュースはもはや日常化しております。

 英国でも、ローラ アシュレイ、キャス キッドソン、デベナズム、ルル・ギネスなどが管財手続きを申請しました。オールセインツは小売事業の再構築を行っており、未払い債務について家主などと交渉しています。そもそも経営難に陥っていたトップショップは大丈夫でしょうか。

 破たんからの再生ストーリーにも注目していきたいと思います。

VIEWS ON WWD U.S.:米「WWD」の翻訳記事から、注目すべきニュースの紹介や記事の面白さを解説するメールマガジン。「WWDジャパン」のライセンス元である米「WWD」は1910年から続くファッション業界専門紙。世界中のデザイナーや企業のトップと強く繋がっており、彼らの動向や考え、市場の動きをいち早く、詳しく業界で働く人々に届けています。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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支えるデジタルから、リアルに冒険のエールを!!︎ エディターズレター(2020年7月13日配信分)

※この記事は2020年7月13日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

支えるデジタルから、リアルに冒険のエールを!!︎

 チーム「ONE WWD JAPAN」の中でデジタルとビューティの特攻隊長を務めることになって、ワクワクもしていますが、ドキドキもしています。ドキドキの理由は、デジタルとビューティって、収益においては「ONE WWD JAPAN」の生命線だから。ファッションブランドのデジタルにおける広告出稿やタイアップと、ビューティブランドのデジタル&プリントにおけるそれの合算は、おそらく、従来の言葉で表現するところの広告売り上げのほとんどを占めそうです。無論、クライアントとのお仕事をもたらしてくれるのは、ビジネスプランニング部という別の部隊ですが、特攻隊長は「私たちは、その仕事をキチンとこなせるのだろうか?」とは少なからず思っており、ぶっちゃければプレッシャーです。余談ですが、「楽しそうね」とおっしゃっていただく、クライアントとのLIVE配信のMCは、その通りと~っても楽しいけれど、終わるとドッと疲れるんですよ(笑)。自分でも、「プレッシャーを感じていたんだなぁ」と気づかされます。

 と、INFASパブリケーションズという会社におけるマネタイズの責任が重くなるにつれて、自分の中で、ちょっとした感情の変化がありました。隣にいる「WWDジャパン」編集部に対する感情です。ぶっちゃけた話をすれば、上述の状況がハッキリする中、特に課せられた広告予算を比較しちゃうと、これまでは心中複雑でした。「予算のケタが違う(汗)」とか、「僕らは新しいことに、こんなに挑戦しているのに」とか、「自分まで晒して頑張ってるよ!!」なんて感情が芽生え、渦巻いていたのです。それがある時、隣にいるデジタルマーケティング部の部長が3年前に教えてくれた、そして、当時はそれを目指してひたすら頑張っていたフレーズを思い出し、一気に解消したんです。

 「『WWD JAPAN.com』のPVが1000万を超えると、多少冒険して失敗しても、パフォーマンスは激減しづらい。だから頑張りましょう!!」という一節です。確か、こんなカンジでした(笑)。

 3年くらい前の話なので、あらためて隣の部長に「どうして1000万PVだったの?」と、今、聞いてみました(笑)。いろ~んな理由があるそうなので割愛しますが、「母集団が大きくなると、1つの事象に左右されづらくなる」という統計学的事実から「ロイヤルユーザーが一定数確保できたことを意味するので、多少何かあっても戻ってくる」というエンゲージメント、さらには「検索エンジンが、信頼性のあるサイトと認識することによる検索時の上位表示」という都市伝説までイロイロあるそうです。まぁ、それは置いておいて、言いたかったのは、「それは、事実だった」ということ。PVが1000万を超えて以降、正直今だって「コンテンツが足りない!!」みたいな状況は時々訪れますが、確かに大スランプという事態はほとんど無くなりました。

 で、「今度はコレを、会社に当てはめてみよう」と思っています。「私たちが収益の面で頑張るから、プリントメディアは冒険してよ!!」と思っているのです。

 幸い、弊社の紙媒体は比較的順調ですが、無論、ウェブのような急成長は望めません。となると、紙媒体単体で考えちゃうと、冒険って、勇気が必要ですよね。特に取捨選択には、かなりの覚悟が問われます。それは、「自分が、紙媒体のトップだったら?」と想像すると、明らかです。向編集長、お疲れさまです(笑)!!でも会社全体で考えたら、「ウェブが下支えしてくれるから」と思ってもらえないかしら?仮に紙媒体がリニューアルして多少コケても、骨太なジャーナリズムというアイデンティティーさえ発信し続けてくれたら、収益においてはウェブが支えられると思うんです。デジタルマーケティング部の部長の言葉をもじれば、「『WWD JAPAN.com』が順調なら、『WWDジャパン』が多少冒険して失敗しても、「ONE WWD JAPAN』は傾かない。だから頑張りましょう!!」、そんな風に考えています。

 同じことは、小売りにも言えますよね。急成長しているデジタルの皆さん、ここまでの道程を考えると、かつての私のように心中穏やかじゃない時もあろうかと思います。それは、すっごく分かります(笑)。でも一緒に、「デジタルが支えるから」って、リアルにエールを送りませんか?コレも、組織内OMOかな?なんて思います。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

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「セフォラはブランドの味方だ」 競合との差別化や新型コロナ禍の戦略について米セフォラCEOが語る

 米セフォラ(SEPHORA AMERICAS)のジャン・アンドレ・ルージュ(Jean-Andre Rougeot)最高経営責任者(CEO)に、コロナ禍におけるビジネス戦略から黒人の人権を掲げた一連の抗議運動に対する取り組みに至るまで話を聞いた。ルージュCEOはメイクアップブランド「ベネフィット(BENEFIT)」で12年間のCEO経験もあり、ブランドとリテール双方でのビジネスを熟知している人物だ。

若手ブランドの投資で競合と差別化

 かつては米国で業界の一強であったセフォラだが、近年は化粧品専門店のウルタ(ULTA)がカイリー・ジェンナー(Kylie Jenner) の「カイリー・コスメティクス(KYLIE COSMETICS)」や「モルフィー(MORPHE)」といったZ世代に人気のあるブランドを扱うなど、競合他社が勢いを増している。ユーロモニター(EUROMONITOR)によると、ウルタは米国におけるマーケットシェアの26.7%を占めており業界1位、セフォラは2位の「バス&ボディワークス(BATH & BODY WORKS)」に次ぐ3位でシェアは14.9%だ。業界3位といえども、プレステージビューティにといては百貨店のメイシーズ(MACY’S)の上を行くセフォラの存在感の大きさに変わりはない。

 「われわれはDNAが確立しているユニークなブランドを取り扱うことで、ほかとの差別化を図っている。例えばリアーナ(Rihanna)の『フェンティ ビューティ バイ リアーナ(FENTY BEAUTY BY RIHANNA)』や『タチャ(TATCHA)』『ドランクエレファント(DRUNK ELEPHANT)』『オラプレックス(OLAPLEX)』『パット・マクグラス ラボ(PAT MCGRATH LABS)』などは売り上げ面だけでなくリピーターの獲得においても大きな原動力になっている」。

 セフォラは将来有望な若手ブランドの発掘や育成、支援にもたけており、次世代ブランドにもすでに目を向けている。米人気インフルエンサーのパトリック・スター(Patrick Starrr)による新ブランド「ワン/サイズ(ONE /SIZE)」や歌手のセレーナ・ゴメス(Selena Gomez)によるビューティブランド「レア ビューティ(RARE BEAUTY)」など、注目のブランドもいち早く導入している。

新型コロナ禍での戦略 ブランド支援やEC戦略に注力

 2019年にNYのタイムズスクエアにオープンした旗艦店ではメイクアップ製品が売り場の半分以上を占めているが、新型コロナウイルスによって4〜6月の米国でのメイクの売上高は前年比52%減の8億6900万ドル(約912億円)に落ち込んだ(NPD調べ)。一方で、スキンケアの売り上げが急伸しており、大きな可能性を見出しているという。中でも最近はクリーンスキンケアに注力している。「35歳以下をターゲットにした戦略として、4〜5年前にクリーンビューティの扱いを始めた。これまでスキンケアは比較的年齢層が高めの消費者からの需要が高かったが、最近は若者からの(スキンケアに対する)問い合わせが増えている。若者はクリーンスキンケアの環境に優しいパッケージや、使用方法等がわかりやすいところに興味を持っている。彼らはいくつもの高価なアイテムを求めているのではない」と説明する。

 また、セフォラは以前からEC事業にも力を入れてきたことも、新型コロナ禍で強みとなっている。パンデミック以前からEC化率は40%ほどとかなり高い水準だったが、今はその売り上げが70〜80%にまで高まっているという。「ウルタやメイシーズなど他社は新型コロナによる急速なEC需要の拡大に対応する用意ができていなかった。セフォラのサプライチェーンはパンク寸前だったが、(ECへの継続的な投資により)どうにか持ちこたえながら供給できた」という。

 そしてブランドと良好な関係を構築するために、コロナ禍では支払期日の順守など取り扱いブランドを支援している。「私たちはブランドとの約束を守り、30日以内に支払いを行った。多くのブランドの創設者たちは電話口で泣きながら『きちんと支払いをしてもらえたなんて信じられない』と言った。中には90日以上も支払いを引き延ばす小売店も存在するため、私たちが期日までに支払いを行うとは思ってもいなかったようだ。セフォラはブランドの味方だ。パンデミックのさなかでも強い企業であり続け、将来有望なブランドのサポートを適切に行うことで小売業界の模範となる」。

ダイバーシティーのために人員調整をはじめとした戦略

 セフォラが全ての人種にとって心地よく買い物ができる場所であるためには、改善すべき点もある。19年に黒人R&B歌手のシザ(SZA)がセフォラのスタッフに万引きを疑われ、警備員を呼ばれるに至った旨をツイートした騒動の後、セフォラは全店で1日休業し、従業員に対して偏見に関するトレーニングを実施した。セフォラでリーダーの役割を担う黒人はわずか6%に過ぎず、今後さらなる取り組みが必要とされている。

 また今年5月に黒人男性が白人警察に押さえつけられて窒息死した事件を受け、デザイナーのオーロラ・ジェームズ(Aurora James)が掲げる「15パーセント プレッジ(15 Percent Pledge)」イニシアチブに参加することを表明した。これは小売り店に対して黒人が手掛けるブランドを15%扱うように求めたもので、15%の数字は全米におけるおおよその黒人の割合に相当する。また21年には、新しいビューティブランドがビジネスのコツを学んで投資コミュニティーとの結び付きを得ることにもつながる「セフォラ・アクセレレート・プログラム」に、20〜25のBIPOC(black, indigenous and people of colorの略で、黒人、先住民および有色人種の総称)のブランド創設者を招き入れる予定だ。

 「全ての小売り店において偏見の問題は存在する。セフォラの顧客や従業員は多様性に富んでいるが、偏見が存在するのもまた事実だ。そのため、多様性に関するトレーニングやリーダーの多様化に向けた取り組みを全ての部署で行っている。ウェビナーを行い、有色人種の従業員の声に耳を傾けることで人種差別などの問題にも向き合っており、私も時々こっそりと話を聞いている。彼らのストーリーはとてもパワフルだ。ダイバーシティーに向けた今後のアクションを起こす上で大きなモチベーションになる」。

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目元に視線が集まる今取り入れたい、「スカルプD」のまつ毛美容液

 マスクが手放せない生活の中でも目元はメイクを楽しめるということもあり、これまで以上に目元ケアへの意識が高まっている。そんな今こそ「スカルプD」のまつ毛美容液に注目したい。健康的なまつ毛で“スッピン”を底上げすることで、前向きな気持ちで美容を楽しめるはずだ。

毛髪研究から生まれた独自設計

 「スカルプD」のまつ毛美容液は毛髪研究から誕生した。健康的なまつ毛へと導く独自成分をナノ化し、角層までの浸透をかなえる。「スカルプDのまつ毛美容液プレミアム」には通常品※1の2倍※2の美容成分に加えて、目元ケア成分※3を配合。美容成分であるアルジルリン※4やハマメリスエキス※5を配合し、まつ毛と目元を同時にケアすることができるのも特徴だ。さらに「色素沈着するという副作用の報告はなく、基本的に色素沈着の心配なくご使用いただけます※6」と話すのは、まつ毛美容液のPR担当。毎日安心して手に取ることができる一品となっている。

 使い方は簡単だ。一日1回を目安に、まつ毛の生え際にアイラインを引くイメージで塗布したら、根元から持ち上げるように毛先に向かってスッと引き上げる。下まつ毛にも塗布し、チップの先端を使いながらまつ毛の生え際や目尻にも丁寧に塗って、完了。まつ毛エクステやまつ毛パーマをしている目元にも使用することができる。

※1 「ピュアフリーアイラッシュセラムSSC2」
※2 オリゴペプチド-20、オクタペプチド-2、アセチルデカペプチド-3、サリチル酸シランジオール、オタネニンジン根エキス、ビオチノイルトリペプチド-1、パンテノール、グリセリン、ピロリジニルジアミノピリミジンオキシド(全て保湿成分として)、シスチン、グルタミン酸(全てハリコシ成分として)の配合量を「ピュアフリーアイラッシュセラムSSC2」と比較
※3 カプロオイルテトラペプチド-3、アセチルテトラペプチド-5、アセチルヘキサペプチド-8、ハマメリス葉エキス(全て整肌成分として)
※4 アセチルヘキサペプチド-8 (保湿成分)
※5 保湿成分
※6 アレルギー、スティンギングテスト済み

目元ケアのポイントを解説

 8月21日にオンラインで開催された「ビューティ フェス 2020」 by 「WWDビューティ」×「MERY」では、目元ケアや「スカルプDのまつ毛美容液プレミアム」の効果を最大限に引き出すための正しい使い方についてライブ配信が行われた(プレゼントキャンペーンの応募期間は終了)。

 まずは、メイク汚れをきちんと落とした清潔な状態の目元に使用することが基本。まつ毛美容液はスキンケアの最初のステップに取り入れることがポイントだ。顔全体の印象を左右するといわれる目元。自宅で気軽にケアをしてメイクアップを楽しみたい。

問い合わせ先
アンファー
0120-059-595

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「繊維製品の信頼性は透明性を最重視」、欧州繊維大手の9カ国9000人アンケートで判明

 「消費者の信頼と信用を得る鍵は“透明性”」――オーストリアの繊維大手レンチング・グループ(LENZING GROUP)が2020年上半期に世界9カ国9000人を対象に実施した、ファッションおよび家庭用繊維製品の原材料に関する消費者の意識調査で導き出した結論だ。同社は、市場調査会社ウェイクフィールドリサーチ(WAKEFIELD RESEARCH)を通じて中国、日本、韓国、インド、インドネシア、トルコ、ドイツ、イギリス、アメリカの9カ国の18~64歳を対象にオンラインで調査を実施。このほどそのレポートを発表した。

 9000人の回答者が特に好印象を持つ言葉として「環境に優しい」「生分解性」「天然素材」「リサイクル可能」を挙げ、製品にこうした言葉が使用されていればより購入意欲が高まると80%以上が回答したという。環境に優しい衣類の定義については、「人道的で環境に配慮した製造工程で処理または製造された製品や、天然素材、オーガニック素材、植物素材で作られた製品」が第一候補として挙がった。

 回答者の83%が成分を、82%が原材料を明らかにしているブランドを信頼できると考え、82%が製造工程、81%が環境に配慮した取り組み、82%が原材料の原産地を明らかにすることで信頼につながると回答。また、87%の回答者は購入を決定する際にブランドが環境に与える影響を知ることは非常に重要だと考えているという。
衣類、寝具、家庭用繊維製品の購入においては、70%の消費者が製造工程を調べることでサステナビリティの知識を得ており、85%の消費者が製品の品質表示タグを読んでいると回答。86%の回答者は、サステナブルな原材料で作られた衣類を購入することは環境に優しいライフスタイルを送るための重要な要素と考えており、サステナブルな原材料を80%が、リサイクル可能な素材を77%が積極的に選んでいると答えた。

 さらにほとんどの回答者は、サステナビリティを反映した表示のあるファッションや家庭用繊維製品に平均で40%上乗せして対価を払ってもいいと回答したという。

「WWDジャパン」の意識調査でも環境への影響や製造背景に高い関心

 「WWDジャパン」が8月4、5日の2日間にインスタグラムの公式アカウントから行った意識調査で約3000人から得られた回答でも同様の傾向がみられた。「自分が着ている服を誰が作ったのかを知りたい」の設問に対して89%が「はい」と回答。83%が「服の生産から廃棄までの環境に与える影響を知りたい」と考え、64%が服の製造背景について調べたことがあると回答した。これは弊紙が昨年11月に実施した同様のアンケートに比べて、生活者の環境や人権への意識が格段に高まっている結果となった。

 “透明性”を高めるには地味な積み重ねと大変な労力が必要だ。けれどこの先も「選ばれる企業」になるためには、いまから少しずつでも取り組むべきことである。「WWDジャパン」は8月24日発売号を皮切りに毎月1回、ステップを踏んで“透明性”について解説する特集を組む。持続可能な企業になるためのヒントにしていただければと思う。

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ビューティ×ファッション、ダイバーシティーを体現する リアーナの軌跡

 これまで9つのグラミー賞を受賞し、世界的影響力を持つ歌手兼実業家のリアーナ(Rihanna 本名:ロビン・リアーナ・フェンティ)は、自らのラストネームを冠したラグジュアリーブランド「フェンティ(FENTY)」を筆頭に、ビューティブランドなどを複数持つ。7月にはファン待望のスキンケアブランドを開始し、ビューティとファッションそれぞれの業界で切れ目なく活躍を続けている。

 リアーナは2005年に歌手としてデビューして以来ヒットソングを連発し、個性あふれるセンスからファッションアイコンとしても注目を集めてきた。ファッション業界でのキャリアは11年に「アルマーニ ジーンズ(ARMANI JEANS)」とのコラボレーションから始まっている。同ブランドとは限定コレクションを発表し、同年秋冬の広告キャンペーンにリアーナ自身も登場。さらに翌年は「ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA'S SECRET)」の名物であるファッションショーにゲスト出演し、パフォーマンスを行っている。

 デザイナーとしても活動を始めたリアーナは、13年にイギリスのファッションブランド「リバーアイランド(RIVER ISLAND)」と限定コレクションを発表し、ロンドン・ファッション・ウイークでデビュー。その活躍はスポーツブランド「プーマ(PUMA)」の目に留まり、クリエイティブ・ディレクター兼グローバルアンバサダーに就任することに。アメリカファッション協議会(Council of Fashion Designers of America、CFDA)が主催してファッション業界のデザイナー、ブランド、メディアを表彰するアワードである「CFDAファッションアワード」で同年、ファッション・アイコン賞を受賞した。

 さらに16年2月に「プーマ(PUMA)」とコラボレートした「フェンティ プーマ バイ リアーナ(FENTY PUMA BY RIHANNA)」のデビューコレクションを発表。ここではメンズとウィメンズウエア、アクセサリーを披露し、各メディアから絶賛されている。また、シューズ界のレジェント「マノロ ブラニク(MANOLO BLAHNIK)」との3度にわたるコラボレーションや、「ディオール(DIOR)」とのコラボレーションサングラスも同年に発表している。

 自身のブランドについては、17年に多様性と包括性の追求をミッションに据えたビューティブランド「フェンティ ビューティ バイ リアーナ(FENTY BEAUTY BY RIHANNA)」を設立。異例の色展開であらゆる肌の色に対応し、白人主義とされる業界に一石を投じた。続けて翌年ランジェリーブランド「サヴェージ×フェンティ(SAVAGE X FENTY)」を立ち上げた。19年9月にニューヨークで行ったショーではさまざまな人種や国籍、性自認のモデルや、妊婦モデルを起用して多様性を表現し、称賛を浴びた。

 19年5月には有色人種の女性として初めて、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)とパートナーシップを結んで「フェンティ」を立ち上げた。同グループがブランドを立ち上げるのは1987年の「クリスチャン ラクロワ(CHRISTIAN LACROIX)」以来2度目で、リアーナの名をファッションの歴史に刻むこととなった。その後12月には「ザ ファッション アワード 2019(The Fashion Awards 2019)」でアーバン・ルクス(Urban Luxe)賞を受賞。名実ともにファッション界での地位も不動のものとしている。今年7月には、高級EC「ファーフェッチ(FARFETCH)」で取り扱いを開始し、ブラジルや中東といったこれまで進出していなかった地域へのアプローチにも乗り出した。

 さらに7月末、2年以上の歳月をかけて開発した「フェンティ スキン(FENTY SKIN)」を発売。これまで多様性を表現し続けてきたリアーナだが、スキンケアブランドでは新たにジェンダーレスでさまざまな肌タイプを想定した商品の開発に取り組んでいる。

 ブランドの理念が消費者の購買意欲に大きな影響を与える時代に、リアーナは今やファッション・ビューティ業界をけん引する人物だ。多様性や包括性の実現に取り組みながら業界の新しいスタンダードを築いている。

※ファッション週刊紙「WWDジャパン」はこのほど、ビューティ・コンテンツも加えてパワーアップします。第1弾となる9月7日号では、「ファッション×ビューティの可能性」をテーマに両業界を自在に行き来する業界人を特集します。

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