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町に、人々の心に、癒しの灯りをともす。[たんころりんの夕涼み/愛知県豊田市]

8月の夜、足助(あすけ)の町は「たんころりん」の灯りで彩られる。

愛知県豊田市足助(あすけ)の夏の夜は、道行く先々に「たんころりん」。

「たんころりん」。なんだか可愛らしい、不思議な響きの言葉です。愛知県豊田市にある足助(あすけ)という町では、8月の夜、たくさんのたんころりんが道々を照らし、人々は外に出て夕涼みを楽しみます。たんころりんとは、いったい何なのでしょう。また、たんころりんの灯りが映し出す足助(あすけ)の町の魅力についても、ちょっと覗いてみましょう。

足助川沿いに塗籠(ぬりごめ)造りの町家が立ち並ぶ。

愛知県豊田市塩や物資を運んだ街道とともに栄えた町。

足助(あすけ)は人口1万人弱の小さな町で、物資や塩を信州に運んだ飯田街道とともに栄えました。現在も約2㎞ にわたって土蔵造りの塩問屋や商家が残り、愛知県初の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。3月には雛人形や土雛を玄関先や店内に飾る「中馬のおひなさん」が行われます。「中馬」とは江戸時代の信州の馬稼ぎ人たちがつくった同業者組合のことで、この「中馬」と呼ばれる人たちが行き来したことから飯田街道は「中馬街道」とも呼ばれているのだそうです。

足助(あすけ)には小路がたくさんある。中でも一番美しい「マンリン小路」。

愛知県豊田市「たんころりん」の不思議な語源は三河弁?

毎年8月上旬の日没~夜9時まで、宮町から田町の街道沿いで、『たんころりんの夕涼み』が行われます。たんころりんとは、竹かごと和紙で作った円筒形の行灯(あんどん)のこと。なぜこんな名前なのかというと、灯りのもとになる「油壺」が昔から「ひょうそく」と呼ばれ、この「ひょうそく」がひょうたんの形に似ていることから「ひょうたんころりん」「たんころ」→「たんころりん」に転じたそうです。ちなみにこの地方では「やりん」(やりなさい)「食べりん」(食べなさい)など、「りん」が語尾につく三河弁が使われています。

町には伊那・飯田街道と呼ばれた街道が通る。

愛知県豊田市飾ることよりも、作ることに意義がある。

たんころりん、一体誰が作っているのか? 実はそれがこのイベントの鍵となる部分です。これは住民たちが自分で作って、自分の家の前に置くというルールなのだそう。その理由を、「たんころりんの会」の河合康夫氏はこう話します。「誰かが作ったものをただ並べるだけでは意味がないんです。自分で一生懸命作るから愛着が湧くでしょう」。「たんころりんの会」では、5月から毎日、町内の公共施設でたんころりん作製講習会を開いています。竹を裂いた竹ひごを円筒状に編み、和紙を貼り、絵や文字を描き……。素人にはなかなか難しい作業です。しかし会のスタッフによる丁寧な手ほどきで、住人はおしゃべりしながら楽しく作ります。話に夢中になって今どこを編んでいるのか分からなくなることもしばしば。「あらやだ」と大笑い……。こうして町内の人が集まって語らうことが、たんころりんのイベントの本当の目的。「うちでエアコンつけてこもっているじゃなく、みんなでガヤガヤ喋っとりゃいいで」。今はあまり見られなくなった井戸端会議のような交流が生まれれば、というのが河合氏の願いなのです。

期間中、街角のあちこちでバンドや楽器演奏が。

愛知県豊田市見たい、来たい、出たい、たんころりん。

そうして作った約700基のたんころりんが並べられた中馬街道は、家々の格子窓から漏れる橙色の光も相まって、いっそう幻想的な風景を浮かび上がらせます。街角のあちこちから聴こえる三味線、歌謡、ギター、ハープなどの音色。『たんころりんの夕涼み』では、毎回20組ほどの演者による歌や音楽が道行く人々の心を癒します。河合氏は「せっかく見に来てくれるんやで、素人の発表会ではいけん」と、セミプロ、プロのミュージシャンに声をかけて集め、地元だけでなく遠方からも演奏者を招いているのだとか。今では、足助(あすけ)の町のノスタルジックな雰囲気に魅せられ、出演者の方から毎年「たんころりんに出たい」とラブコールがあるそう。また、いつも夜はひっそりしていた店々もこの日は明かりをつけ、昔の旅籠屋では外でビールを出したり、菓子屋では冷たい葛餅を売っていたりと、夜の足助(あすけ)に賑わいが生まれます。

祭囃子(まつりばやし)や三河相撲甚句などジャンルは多彩。

愛知県豊田市日本全国に、たんころりんを。

2002(平成14)年に町内有志が立ち上げたこのイベント、今では毎年恒例の風物詩となり、期間中は豊田市内外から1万5000~2万人もの見物客を集めているそうです。全国の町内会などからたんころりんを参考にしたいという声も多く、秋田など他の県にたんころりん作りを教えに行ったこともあるのだとか。足助(あすけ)のたんころりんは足助産の真竹と、地元の和紙など地域のものを有効活用して作られています。他の地域でも地元の素材を使って、町のカラーを出した「ご当地たんころりん」が街角を彩るーそんな風景が今後あちこちで見られるかもしれませんね。

たんころりんがきっかけで足助(あすけ)の虜になる人も多いという。

Data
たんころりんの夕涼み

開催期間:8月4日(土)~15日(水) 日没後から21:00まで
開催場所:足助重伝建の町並み周辺 
アクセス:
<公共交通機関>
●名鉄豊田線浄水駅下車、とよたおいでんバス「百年草」行き「香嵐渓」下車徒歩3分
●名鉄豊田線豊田市駅下車、名鉄バス矢並線「足助」行き「香嵐渓」下車徒歩3分
●名鉄東岡崎駅下車、名鉄バス「足助」行き「香嵐渓」下車徒歩3分(東岡崎駅までのお帰りのバスの便は18時50分以降はありませんので、ご注意ください)
<車>
■東海環状線豊田勘八IC下車、国道153号飯田方面へ15km(香嵐渓へ)
もしくは、
■猿投グリーンロード力石IC下車、国道153号飯田方面へ10km(香嵐渓へ)
香嵐渓周辺駐車場をご利用下さい
http://asuke.info/event/aug/entry-701.html
写真提供:足助観光協会