栃木レザー ダブルロールバングル

ボリュームたっぷりの肉厚2重巻きバングル!

  • 革は栃木レザーのミシバクロップを採用。上質なステアハイドです
  • 使い込むほどに奥の深いツヤが出て愛着の湧いていく革です
  • 革の表面にはアイアンのロゴ刻印が入ります
  • 金具部分は全て真鍮製
  • 丸カン部分の金具には「IRON HEART」の文字が刻印されています

【 IHG-076 】サイズ

  • FREE(内周約18cm)

栃木レザー レザーバングル

ボリュームたっぷりの肉厚2重巻きバングル!

  • 革は栃木レザーのミシバクロップを採用。上質なステアハイドです
  • 使い込むほどに奥の深いツヤが出て愛着の湧いていく革です
  • 革の表面にはアイアンのロゴ刻印が入ります
  • 金具部分は全て真鍮製
  • 丸カン部分の金具には「IRON HEART」の文字が刻印されています

【 IHG-076 】サイズ

  • FREE(内周約18cm)

飛騨が誇る2つの宿。宿をひとつの“場”として考え、新たな文化をつくる。 [飛騨/岐阜県]

飛騨高山にある『オーベルジュ飛騨の森』を営む中安俊之氏。高山に移住して3年。料理、農業、コミュニティなど様々なアプローチで、飛騨に新たな文化をつくる立役者のひとりだ。

岐阜県外国人からも注目を集める飛騨の魅力を発信する、2つの宿。

岐阜県の県北に位置する飛騨エリア。古い町並みに老舗の商家が軒を連ねる高山市、白壁の土蔵が今も残る一方で、手つかずの自然も多い飛騨市、日本三名泉のひとつを有する下呂市、合掌造りの集落など日本の原風景が広がる白川村の4市村で成り立っています。

最近は外国人を含めた観光客が増え、年々注目を集める飛騨。ここに、2つの特徴的な宿があります。明治3年創業、150年近い歴史を持ち飛騨古川の迎賓館と呼ばれる『蕪水亭(ぶすいてい)』。15年以上、海外で活躍した料理人が先代から引き継ぎリニューアルオープンさせた『オーベルジュ飛騨の森』。一見対照的に見える2つの宿ですが、飛騨というエリアに様々なアプローチで新たな風を送り込んでいます。

単にその土地を訪れるだけでなく「宿泊する」という体験は、その土地やそこに住む人たちのことをより深く知り、新たな魅力を発見する近道です。宿泊してみてこそ分かる飛騨の魅力———。2つの宿を通してお届けします。

飛騨古川にある『蕪水亭』。母屋は2004(平成16)年に水害に遭い水没したため、1835(天保6)年の古民家を移築した。元家主の親戚が訪れた時に、昔話に花が咲いたことが嬉しかったとオーナーは話す。

飛騨高山にある『オーベルジュ飛騨の森』。高山といえば古いまち並みが人気だが、中心地から車を15分も走らせればこれほどまでに眩い緑に出会える。

岐阜県ピンチをチャンスと捉え、災害から見事に再生。

どこか懐かしく、情緒あふれる雰囲気を持つJR高山本線・飛騨古川駅。5分ほど歩くと古い家々や白壁の土蔵が続く町並み、大きな鯉がゆったりと泳ぐ瀬戸川へ。観光地としての側面を持ちながらも、地元の人たちの普段の暮らしが垣間見える飛騨古川独特の景色が広がります。

今回訪ねた『蕪水亭』は、町並みを抜けた先、荒城川と宮川が合流する川岸にあります。荒城川は別名で蕪(かぶら)川ともいわれ、蕪水亭の名前はそこから付けられたそう。館内にもところどころに蕪をモチーフにした装飾が施されています。

ロビーに入ると、英国製の「デッカデコラ」から美しく響き渡るオペラの歌声。「まぁ、1杯どうぞ」と、手際よくドリップしたコーヒーで出迎えてくれたのは、音楽好きでコーヒーマイスターの資格も持つという料理人でありオーナーの北平嗣笥氏。お客様をもてなしたい、という素直な思いが伝わってきます。

蕪水亭は、母屋と全3室の客室から成る小さな宿。火災、水害と2度に渡る災害に見舞われたこともあり、母屋は築180年以上の古民家を移築したもの。また、客室のひとつも築110年の板蔵を移築したものだそう。建物を現代風に建て替えるのではなく、明治から続く蕪水亭の歴史に見合った建物を移築する。蕪水亭はそれまで、今よりも客室が多い一般的な旅館でしたが、移築を機に客室と寝室を完全に分ける空間設計に。お客様に、より快適に過ごしてもらえる環境づくりに努めたのです。

「一水の間」は北平氏の祖父が設計。窓から臨む外の景色が見事だ。作家の若山牧水、池波正太郎、遠藤周作ら多くの文化人や、皇族の方たちも利用されたそう。

「一水の間」のベッドルーム。客室と寝室を分けたつくりは客からの評判も高い。中部、関東、関西圏からはもちろん、毎年海外から訪れるリピーターもいるそう。

離れにある2階建ての「はごろもの間」。築110年の板蔵は総檜づくり。家具は職人技が光る飛騨家具を設える。テーブルは飛騨の一枚板を北平氏自ら磨いて仕上げた。

のれん、引き戸、柱など、蕪の装飾をあちらこちらで見かける。

岐阜県“薬草”というここにしかない地域の宝で、宿もまちも元気になる。

客室のリニューアルとともに、北平氏がこだわったのが宿で提供する料理。和食の料理人として35年、厨房に立ち続けてきた北平氏が注目したのが薬草を使った料理でした。きかっけは、薬草研究の第一人者である故・村上光太郎氏と出会ったことだと言います。村上氏は、飛騨古川には250種類を超える薬草が自生することを発見。飛騨市は薬草を活用したまちづくりを開始し、『薬草で飛騨を元気にする会』を設立。北平氏は、その会の理事長も務めています。
「薬草を摂取することは健康につながりますが、『苦い、渋い、えぐい』というイメージの薬草をおいしく、かつ見栄えよく調理するのは簡単なことではありませんでした」と北平氏。和食はアクや苦みを取り除き出汁で食べさせる文化である一方、薬草料理はアクや苦みが薬効の元であるゆえ、取り除くことができない。薬草料理をつくることは、長年やってきた和食の技術を根本から覆す必要があったのです。

試行錯誤の末、薬草料理は今では蕪水亭の看板メニューのひとつ。ここ数年は地域の人たちと協力をして栽培も始めているのだとか。自分たちで収穫や栽培をすることで薬草に詳しくなり、食するようにも。住民が元気になれば他の地域から人が来るようになり、まちも活性化するのではないかと考えているのです。

料理人でありオーナーの北平氏。『薬草で飛騨を元気にする会』の活動では、薬草についての講座や薬草茶のワークショップなども開催。若い世代にも薬草を取り入れてもらえるような活動を考えている。

薬草料理コースの一例。こしあぶら入り出し巻き玉子、あずき菜とえごま、うつぼぐさのお浸し、たんぽぽの豚肉巻きなど薬草があらゆる料理に使われている。食べにくさは全くなく、おいしい。

薬草の収穫や栽培をしている農家の田中良昭氏。子どもの頃、薬草を取った経験はあるが本格的に始めて14年ほど。知識が増え、新しい品種を発見することや育てることが楽しいと言う。

岐阜県東京が世界の一番ではなかった! イタリアで気がついた暮らしの価値観。

鬱蒼たる木立に取り囲まれるように建つ、緑色の屋根がかわいらしい『オーベルジュ飛騨の森』。オーナー兼シェフを務める中安俊之氏はオーストラリア、イタリアで15年以上に渡り研鑽を積んだ料理人で、3年前に帰国。ペンションを経営していた奥様の実家がある高山に移住し、先代から引き継ぐ形で2016年、宿をリニューアルオープンしました。

東京出身の中安氏ですが、「今は高山がおもしろくて、ここでやれることがたくさんある」と楽しそうに語ります。若い頃は東京が世界で一番だと思っていたそうで、イタリアに渡り、その思いはあっけなく崩れ去ったと言います。
「イタリアのある田舎に行った時、『うちのトマトが一番!』と家でも外でも毎日トマトソースを食べるのです。最初はそれほどでもと思っていたのですが、一緒に毎日食べるうちにおいしさが増していく。自分の土地を愛して、自分たちが作るものに誇りを持っているからこそのおいしさではないかと思いました」。

その土地で暮らす人の気持ちひとつで、いつものトマトがぐんと魅力的になる。そのできごとは中安氏の心を動かし、東京が一番だと思っていた思いはどこかへ。地方での暮らしに自然と目が向いていったのです。

「東京にずっといたら価値観は変わっていなかったと思う。価値観の多様性を理解できない東京は文化的に遅れている。高山は自然と共存し、自分たちらしい働き方や暮らし方を選択できる。それはみんなが幸せになれることだと思う」。

イタリアやオーストラリアのオーガニックワインを取り揃える。オーストラリアでは近年、オーガニックやエアルーム野菜の価値が高まっている。「日本もそうなれるよう、次の世代につなぐことが僕の役目」と中安氏。

ゲストルームは全7室。リニューアルの際、客室も改装。華美過ぎないシンプルでモダンなインテリアは、海外仕込みのオーナー夫妻のセンスが伺える。海外からのゲストが全体の9割を占めるのだとか。

岐阜県地元の良さを再確認してもらうことは、外から来たものの宿命なのか。

自分の土地に誇りを持ち、地元だからこそ忘れがちなその土地の良さに気がついてもらうことは、飛騨高山で中安氏が目指すことのひとつ。エアルーム野菜の栽培は、その活動の一端ともいえます。

エアルーム野菜とは50年継続して種を取り続けた野菜のこと。日本では在来種や伝統品種などと呼ばれることもあります。宿ではエアルーム野菜を使った料理を提供しようと考えましたが、周りは誰も知らず、それどころかネギやカブなど伝統野菜の栽培をする人が減少している現実を知ります。
「トマトやほうれん草の方が売れるから、伝統野菜をつくらなくなる。伝統野菜をつくることはお金だけでなく、文化を形成すること。エアルーム野菜が今はないとしても、これから50年つくり続ければそこに文化が生まれ、次の世代にもつながる。飛騨の若手農家を中心にエアルーム野菜の重要性を訴え、現在は仲間10人と情報を共有しながら飛騨ならではの野菜づくりに励んでいます」と、中安氏は嬉しそうに話してくれます。若い頃、イタリアで衝撃を受けたトマトとの出会いをまるで思い出すかのように……。

夕食時には飛騨の野菜(時期により異なる)を使ったイタリアンのフルコース、朝食では自家製パンや野菜たっぷりのサラダなどが提供される。飛騨トマトが一番おいしい時期は秋ごろ。

冬が長い飛騨では作物の収穫時期が限られ、春先はほとんど収穫をすることができない。今の時期は夏や収穫の全盛期を迎える秋に向けて土づくりに精を出す時だそう。

山があり水が豊かな高山は全国的にみても良い堆肥がつくれる土壌があると言う。エアルーム野菜は、たいていは化学肥料を使わず育てられるため生命力の強いものが多い。化学肥料なし育てられた野菜は根が真っ白!

「宿にとって一番重要なのはホスピタリティ。料理はコンテンツのひとつでしかなく、コミュニティや場をつくることが大切なこと。相手を幸せにすることは、結局自分に返ってくる」と中安氏は話す。

Data
オーベルジュ飛騨の森

住所:〒506-0035 岐阜県高山市新宮町3349-1 MAP
電話:0577-34-6575

蕪水亭

住所:〒509-4241 岐阜県飛騨市古川町向町3丁目8−1 MAP
電話:0577-73-2531