豊かな漁場と深い山を擁する食材の宝庫。国東半島を巡って出合った逸品たち。[DINING OUT KUNISAKI with LEXUS/大分県国東市]

メモを取りながら熱心に生産者の話を聞く川田シェフ。その姿勢は地元の人々の心も動かした。

大分県国東市

2018年5月26日(土)、27日(日)に開催される『DINING OUT KUNISAKI with LEXUS』。開催に先立ったある春の日、川田智也シェフが国東の地に降り立ちました。目的のひとつは、本番に使用する食材探し。「直接生産者の元を訪れて話を聞き、その思いを汲み取ることで、はじめてその食材を本当に活かしきることができる」――そんな思いが滞在中の川田シェフから溢れていました。

しかし今回の訪問の目的は食材探しだけではありません。その土地の空気に触れ、歴史を学び、そこに生きる人を知る。それこそが川田シェフのクリエーションの原動力なのです。大分県を初めて訪れたという川田シェフ。そこでどんな人に出会い、どんな思いを感じ取ったのでしょうか。

海と山の距離が近く、山海の幸に恵まれる国東半島。

大分県国東市国内に名を轟かせる漁場・伊予灘の魚が市場に集まる。

「本当に素晴らしい食材です。来てよかった」滞在中の川田シェフからは、度々そんな言葉が聞こえました。
もともと川田シェフは中華料理の道を志す過程において「日本の食材を使うからには、日本料理の技法を知らなくてはいけない」との思いで日本料理を学んだ人物。食材ひとつひとつと語り合い、その魅力を持てる技術を使って引き出す。そんな「和魂漢才」の精神の元、日本的な精神と中華の技術を融合した料理を信条としています。つまり食材探求への熱意は並々ならぬものがあるのです。そんな川田シェフが言う「素晴らしい食材」という言葉には、ずっしりと重みが感じられます。

たとえば早朝に訪れた日出町と安岐町の魚市場。ここでアテンドを引き受けてくれたのは、地元国東の人気店『国東食彩ZECCO』の中園彰三氏。自身も毎日通う勝手知ったる市場へ、川田シェフを案内します。

漁場から戻った船から下ろされたばかりの、まだセリにかけられる前の魚を、真剣な目で吟味する川田シェフ。盛んにメモを取りながら、中園氏や市場関係者にも積極的に質問を飛ばします。「気になったのはこの“ミシマフグ”という魚。フグという名前ですが、オコゼの仲間のようですね。オコゼ自体は頻繁に使用する魚ですので、これをどう料理できるか挑戦してみたい」そう決意を見せる川田シェフ。日頃物静かなシェフですが、このときばかりは「未知の魚も色々ありますね」と、子供のように目を輝かせていました。

漁船から揚がったばかりの魚を品定め。ケースごとに仲買人が競り落とし、その場で販売される。

地元の魚に詳しい料理人・中園氏からレクチャーを受ける川田シェフ。

川田シェフを驚かせたのは、この地の魚種の豊富さ。豊かな海であることを物語っている。

大分県国東市自然の恵みと人の営み。両者が融合することで、食材の幅はより厚く、深く。

名だたる漁場に囲まれた国東半島。川田シェフがふと「うらやましい」と呟くほど上質な海の幸に恵まれています。そんな自然の恵みが豊富なエリアですが、人間の努力と執念が生んだ極上の海産物にも出会いました。それが『ヤンマーマリンファーム』が手がける“くにさきOYSTER”です。

訪れた一団を、所長の加藤元一氏はウェットスーツ姿で出迎えてくれました。ダイバーやサーファーのようなその出で立ちですが、話すごとに加藤氏の“牡蠣愛”が伝わります。加藤氏は牡蠣養殖に携わって30年。自らを「牡蠣バカ」と称するほどの人物。そんな氏の経験と勘に、農業機械などで知られるヤンマーの技術の結晶である海水ろ過システムが加わり、生食のための牡蠣・くにさきOYSTERが誕生したのです。

小ぶりな身のなかに旨み、甘みが凝縮され、しかし独特の臭みはない。そして徹底した水質浄化により安心して生で食べられる。「これ以上の牡蠣は、どこ探したってないと思いますよ」と加藤氏が胸を張る極上の逸品に、川田シェフもかなり心惹かれた様子。生の牡蠣を試食すると即「いろいろとインスピレーションが湧いてきます」と不敵な笑みを浮かべます。生食用の牡蠣を、どんな形で楽しませてくれるのか。本番への期待は高まります。

『ヤンマーマリンファーム』所長の加藤氏の牡蠣講義に耳を傾ける川田シェフ。

形が整っていることがおいしさの証というくにさきoyster。

大分県国東市採れたて野菜の香りからインスピレーションが広がる。

海に近く、山にも距離が近い。それが国東半島の地理的特徴です。つまりこの地は、海の幸ばかりでなく、山にも無数の恵みが隠されているのです。ならば続いての食材探しは、畑に向かってみましょう。

国東で唯一の自然栽培を実践する『まるか三代目』の上平将義氏は東京からの移住組。4年前にこの地に移り、植物性の堆肥だけを使う完全自然栽培に乗り出しました。開始当初は試行錯誤の連続だったという仕事も少しずつ軌道に乗り、現在では60品目ほどの野菜を栽培しているのだとか。「土壌が良く、気候が良い。自然に助けられています」という畑の脇で、摘んだばかりの青菜を齧る川田シェフは、「味が濃いですね。そして何より香りが良いです」との感想。

食材探しの旅の途中で何度も目にしたのは、川田シェフがまず食材の香りを嗅ぐ姿。「僕の料理で、香りはとても大切な要素です。そこからイメージを膨らませてメニューになることも多いんです」

メモを取りながら生産者の話を真剣に聞き、香りを嗅ぎ、しっかりと噛みしめるように試食をする。そんな姿を見ているだけでも、川田シェフがどれほど食材を大切にしているかが伝わってきます。そしてその思いは生産者にも届くのでしょう。気づけば国東で出会った生産者の多くが、少々の無理を聞き入れ、本番には最高の食材を届けることを約束してくれたのです。

『まるか三代目』では採ったばかりの野菜を試食。その味と香りを確かめた。

新規就農から手探りで自然栽培に取り組んだ上平氏。『まるか』の屋号は奥様の実家である青果店に由来。

大分県国東市国内生産量の約50%を占める、日本一の椎茸産地。

国東半島で忘れてはならないのが椎茸。実はこの地は国内の乾し椎茸生産量の約50%を占める日本一の椎茸生産地なのです。

そんな国東で昔ながらのクヌギ原木栽培に取り組む『山や』。その自慢の逸品は、大ぶりかつ肉厚でありながら、ズームで見るとシルクのようにきめ細かい椎茸を見せてもらいました。ホダ場を案内する代表・山口勝治氏の言葉にも、原木椎茸への熱い想いが見え隠れします。「もちろん乾物は中華料理の重要な食材。全体の味を左右するものです」と、川田シェフの目線も真剣です。

ホダ場の見学後は、山口氏の奥様のしのぶさんが乾し椎茸料理を振る舞ってくれました。椎茸のみで取ったのに複雑で奥深い味の出汁、シンプルに焼いただけで味わえる弾力と甘み。「椎茸が品種によりこれほどの違いがあることも知りませんでした。勉強になることばかりです」勉強熱心な川田シェフは、ここでも何かの糸口を掴んだ様子です。

続いて訪れた国東の地で145年続く老舗酒蔵『萱島酒造』でも、熱心に話を聞き、酒を試飲する川田シェフ。料理の香りを大切にするからこそ、ペアリングのドリンクも細心の注意を払ってセレクトするのでしょう。とくに本醸造や古酒の味わい豊かな酒が印象に残ったようです。

「東京の『茶禅華』ではお茶とのペアリングも提供しています。これは DINING OUTでも、何らかの形で試したいと思っていること。香り豊かなドリンクは、料理をより引き立てる重要な存在。本番でどのようなものをお出しするか、楽しみにしていてください」そう笑う川田シェフの頭には、すでにいくつかのプランができあがっているのでしょう。

まず香りを確かめるのが、川田シェフの食材探しのスタイル。

原木椎茸について熱く語る『山や』の山口氏。その妥協なき職人気質が極上の椎茸を生む。

『萱島酒造』の酒蔵を巡り、その酒造りへの思いまでを汲み取る川田シェフ。

『萱島酒造』での試飲風景。酒造りの背後に潜む歴史や物語まで聞き出す川田シェフ。

大分県国東市食材だけでなく、土地の歴史や精神性も料理構築の足がかりに。

駆け足で食材巡りをした国東の旅。しかしそれだけではありません。生産者を訪ねる傍ら、国東の寺社を訪れ、歴史に触れ、土地の精神性までを深く感じ取った川田シェフ。そしてそれらもまた、シェフのインスピレーションの源となったのです。

両子寺で飲んだ岩肌から滲み出る清冽な水。文殊仙寺で受けた護摩焚き祈願。自らの足で岩山に登頂し、長い石段を踏みしめる。それらの経験のひとつひとつが、川田シェフの心に確かな印象を刻みます。
「すごい場所であることは想像していました。でもその想像を軽々と越えてきました」国東の旅を終えた川田シェフは、そう話しました。
「中国と日本を行き来してきた中で生まれた疑問や葛藤。この土地を訪れてクリアになったこともあります。古来から大切に守られた日本独自の価値観と、大陸伝来の仏教との融合というこの土地の精神性は、日本の食材を中華料理の技術で調理する僕の料理と一致する部分が多い。とにかく縁を感じる場所です」川田シェフは国東の視察をそう振り返りました。

そして頭の中で漠然と考えていた料理構成は、国東を訪れたことで若干の軌道修正に入るといいます。「たとえば火と水、あるいは岩。この土地を訪れて感動したことを、料理に落とし込みたい」
土地の食材を使い、その精神性までを踏まえた料理。それがどんな姿で卓に並ぶのか、今から期待は尽きません。

自ら山に登り体験したことで、この土地の精神性を体感したという。

心静かに祈り、その静寂に身を置くことで、新たな料理のアイデアに繋げる。

1982年栃木県生まれ。東京調理師専門学校卒。物心ついた頃から麻婆豆腐等の四川料理が好きで、幼稚園を卒園する頃には既に料理人になる夢を抱く。2000年~2010年麻布長江にて基礎となる技術を身につけ、2008年には副料理長を務める。その後日本食材を活かす技術を学ぶべく「日本料理龍吟」に入社。2011年~2013年の間研鑚を積んだ後、台湾の「祥雲龍吟」の立ち上げに参加、副料理長に就任し2016年に帰国。中国料理の大胆さに、日本料理の滋味や繊細さの表現が加わった独自の技術を習得する。2017年2月「茶禅華」オープン。わずか9カ月でミシュランガイド2つ星を獲得すると言う快挙を成し遂げる。和魂漢才という思想の元、日本の食材を活かした料理の本質を追求し続けている。

http://sazenka.com/

豊かな漁場と深い山を擁する食材の宝庫。国東半島を巡って出合った逸品たち。[DINING OUT KUNISAKI with LEXUS/大分県国東市]

メモを取りながら熱心に生産者の話を聞く川田シェフ。その姿勢は地元の人々の心も動かした。

大分県国東市

2018年5月26日(土)、27日(日)に開催される『DINING OUT KUNISAKI with LEXUS』。開催に先立ったある春の日、川田智也シェフが国東の地に降り立ちました。目的のひとつは、本番に使用する食材探し。「直接生産者の元を訪れて話を聞き、その思いを汲み取ることで、はじめてその食材を本当に活かしきることができる」――そんな思いが滞在中の川田シェフから溢れていました。

しかし今回の訪問の目的は食材探しだけではありません。その土地の空気に触れ、歴史を学び、そこに生きる人を知る。それこそが川田シェフのクリエーションの原動力なのです。大分県を初めて訪れたという川田シェフ。そこでどんな人に出会い、どんな思いを感じ取ったのでしょうか。

海と山の距離が近く、山海の幸に恵まれる国東半島。

大分県国東市国内に名を轟かせる漁場・伊予灘の魚が市場に集まる。

「本当に素晴らしい食材です。来てよかった」滞在中の川田シェフからは、度々そんな言葉が聞こえました。
もともと川田シェフは中華料理の道を志す過程において「日本の食材を使うからには、日本料理の技法を知らなくてはいけない」との思いで日本料理を学んだ人物。食材ひとつひとつと語り合い、その魅力を持てる技術を使って引き出す。そんな「和魂漢才」の精神の元、日本的な精神と中華の技術を融合した料理を信条としています。つまり食材探求への熱意は並々ならぬものがあるのです。そんな川田シェフが言う「素晴らしい食材」という言葉には、ずっしりと重みが感じられます。

たとえば早朝に訪れた日出町と安岐町の魚市場。ここでアテンドを引き受けてくれたのは、地元国東の人気店『国東食彩ZECCO』の中園彰三氏。自身も毎日通う勝手知ったる市場へ、川田シェフを案内します。

漁場から戻った船から下ろされたばかりの、まだセリにかけられる前の魚を、真剣な目で吟味する川田シェフ。盛んにメモを取りながら、中園氏や市場関係者にも積極的に質問を飛ばします。「気になったのはこの“ミシマフグ”という魚。フグという名前ですが、オコゼの仲間のようですね。オコゼ自体は頻繁に使用する魚ですので、これをどう料理できるか挑戦してみたい」そう決意を見せる川田シェフ。日頃物静かなシェフですが、このときばかりは「未知の魚も色々ありますね」と、子供のように目を輝かせていました。

漁船から揚がったばかりの魚を品定め。ケースごとに仲買人が競り落とし、その場で販売される。

地元の魚に詳しい料理人・中園氏からレクチャーを受ける川田シェフ。

川田シェフを驚かせたのは、この地の魚種の豊富さ。豊かな海であることを物語っている。

大分県国東市自然の恵みと人の営み。両者が融合することで、食材の幅はより厚く、深く。

名だたる漁場に囲まれた国東半島。川田シェフがふと「うらやましい」と呟くほど上質な海の幸に恵まれています。そんな自然の恵みが豊富なエリアですが、人間の努力と執念が生んだ極上の海産物にも出会いました。それが『ヤンマーマリンファーム』が手がける“くにさきOYSTER”です。

訪れた一団を、所長の加藤元一氏はウェットスーツ姿で出迎えてくれました。ダイバーやサーファーのようなその出で立ちですが、話すごとに加藤氏の“牡蠣愛”が伝わります。加藤氏は牡蠣養殖に携わって30年。自らを「牡蠣バカ」と称するほどの人物。そんな氏の経験と勘に、農業機械などで知られるヤンマーの技術の結晶である海水ろ過システムが加わり、生食のための牡蠣・くにさきOYSTERが誕生したのです。

小ぶりな身のなかに旨み、甘みが凝縮され、しかし独特の臭みはない。そして徹底した水質浄化により安心して生で食べられる。「これ以上の牡蠣は、どこ探したってないと思いますよ」と加藤氏が胸を張る極上の逸品に、川田シェフもかなり心惹かれた様子。生の牡蠣を試食すると即「いろいろとインスピレーションが湧いてきます」と不敵な笑みを浮かべます。生食用の牡蠣を、どんな形で楽しませてくれるのか。本番への期待は高まります。

『ヤンマーマリンファーム』所長の加藤氏の牡蠣講義に耳を傾ける川田シェフ。

形が整っていることがおいしさの証というくにさきoyster。

大分県国東市採れたて野菜の香りからインスピレーションが広がる。

海に近く、山にも距離が近い。それが国東半島の地理的特徴です。つまりこの地は、海の幸ばかりでなく、山にも無数の恵みが隠されているのです。ならば続いての食材探しは、畑に向かってみましょう。

国東で唯一の自然栽培を実践する『まるか三代目』の上平将義氏は東京からの移住組。4年前にこの地に移り、植物性の堆肥だけを使う完全自然栽培に乗り出しました。開始当初は試行錯誤の連続だったという仕事も少しずつ軌道に乗り、現在では60品目ほどの野菜を栽培しているのだとか。「土壌が良く、気候が良い。自然に助けられています」という畑の脇で、摘んだばかりの青菜を齧る川田シェフは、「味が濃いですね。そして何より香りが良いです」との感想。

食材探しの旅の途中で何度も目にしたのは、川田シェフがまず食材の香りを嗅ぐ姿。「僕の料理で、香りはとても大切な要素です。そこからイメージを膨らませてメニューになることも多いんです」

メモを取りながら生産者の話を真剣に聞き、香りを嗅ぎ、しっかりと噛みしめるように試食をする。そんな姿を見ているだけでも、川田シェフがどれほど食材を大切にしているかが伝わってきます。そしてその思いは生産者にも届くのでしょう。気づけば国東で出会った生産者の多くが、少々の無理を聞き入れ、本番には最高の食材を届けることを約束してくれたのです。

『まるか三代目』では採ったばかりの野菜を試食。その味と香りを確かめた。

新規就農から手探りで自然栽培に取り組んだ上平氏。『まるか』の屋号は奥様の実家である青果店に由来。

大分県国東市国内生産量の約50%を占める、日本一の椎茸産地。

国東半島で忘れてはならないのが椎茸。実はこの地は国内の乾し椎茸生産量の約50%を占める日本一の椎茸生産地なのです。

そんな国東で昔ながらのクヌギ原木栽培に取り組む『山や』。その自慢の逸品は、大ぶりかつ肉厚でありながら、ズームで見るとシルクのようにきめ細かい椎茸を見せてもらいました。ホダ場を案内する代表・山口勝治氏の言葉にも、原木椎茸への熱い想いが見え隠れします。「もちろん乾物は中華料理の重要な食材。全体の味を左右するものです」と、川田シェフの目線も真剣です。

ホダ場の見学後は、山口氏の奥様のしのぶさんが乾し椎茸料理を振る舞ってくれました。椎茸のみで取ったのに複雑で奥深い味の出汁、シンプルに焼いただけで味わえる弾力と甘み。「椎茸が品種によりこれほどの違いがあることも知りませんでした。勉強になることばかりです」勉強熱心な川田シェフは、ここでも何かの糸口を掴んだ様子です。

続いて訪れた国東の地で145年続く老舗酒蔵『萱島酒造』でも、熱心に話を聞き、酒を試飲する川田シェフ。料理の香りを大切にするからこそ、ペアリングのドリンクも細心の注意を払ってセレクトするのでしょう。とくに本醸造や古酒の味わい豊かな酒が印象に残ったようです。

「東京の『茶禅華』ではお茶とのペアリングも提供しています。これは DINING OUTでも、何らかの形で試したいと思っていること。香り豊かなドリンクは、料理をより引き立てる重要な存在。本番でどのようなものをお出しするか、楽しみにしていてください」そう笑う川田シェフの頭には、すでにいくつかのプランができあがっているのでしょう。

まず香りを確かめるのが、川田シェフの食材探しのスタイル。

原木椎茸について熱く語る『山や』の山口氏。その妥協なき職人気質が極上の椎茸を生む。

『萱島酒造』の酒蔵を巡り、その酒造りへの思いまでを汲み取る川田シェフ。

『萱島酒造』での試飲風景。酒造りの背後に潜む歴史や物語まで聞き出す川田シェフ。

大分県国東市食材だけでなく、土地の歴史や精神性も料理構築の足がかりに。

駆け足で食材巡りをした国東の旅。しかしそれだけではありません。生産者を訪ねる傍ら、国東の寺社を訪れ、歴史に触れ、土地の精神性までを深く感じ取った川田シェフ。そしてそれらもまた、シェフのインスピレーションの源となったのです。

両子寺で飲んだ岩肌から滲み出る清冽な水。文殊仙寺で受けた護摩焚き祈願。自らの足で岩山に登頂し、長い石段を踏みしめる。それらの経験のひとつひとつが、川田シェフの心に確かな印象を刻みます。
「すごい場所であることは想像していました。でもその想像を軽々と越えてきました」国東の旅を終えた川田シェフは、そう話しました。
「中国と日本を行き来してきた中で生まれた疑問や葛藤。この土地を訪れてクリアになったこともあります。古来から大切に守られた日本独自の価値観と、大陸伝来の仏教との融合というこの土地の精神性は、日本の食材を中華料理の技術で調理する僕の料理と一致する部分が多い。とにかく縁を感じる場所です」川田シェフは国東の視察をそう振り返りました。

そして頭の中で漠然と考えていた料理構成は、国東を訪れたことで若干の軌道修正に入るといいます。「たとえば火と水、あるいは岩。この土地を訪れて感動したことを、料理に落とし込みたい」
土地の食材を使い、その精神性までを踏まえた料理。それがどんな姿で卓に並ぶのか、今から期待は尽きません。

自ら山に登り体験したことで、この土地の精神性を体感したという。

心静かに祈り、その静寂に身を置くことで、新たな料理のアイデアに繋げる。

1982年栃木県生まれ。東京調理師専門学校卒。物心ついた頃から麻婆豆腐等の四川料理が好きで、幼稚園を卒園する頃には既に料理人になる夢を抱く。2000年~2010年麻布長江にて基礎となる技術を身につけ、2008年には副料理長を務める。その後日本食材を活かす技術を学ぶべく「日本料理龍吟」に入社。2011年~2013年の間研鑚を積んだ後、台湾の「祥雲龍吟」の立ち上げに参加、副料理長に就任し2016年に帰国。中国料理の大胆さに、日本料理の滋味や繊細さの表現が加わった独自の技術を習得する。2017年2月「茶禅華」オープン。わずか9カ月でミシュランガイド2つ星を獲得すると言う快挙を成し遂げる。和魂漢才という思想の元、日本の食材を活かした料理の本質を追求し続けている。

http://sazenka.com/

牧禎舎 藍染体験工房 (@makiteisha )

商工センター2Fのホールでの「陸王展」は5/6までの開催です。合わせてお楽しみください。商工センター駐車場は混み合う可能性もあります。満車の場合は、市役所南側にあるバスターミナル駐車場をご利用ください。まめや忍さんで一服しつつ駐車場へ戻るのも良いですね!

「同価格クラスなら“良い宿”であることは当然。その中でいかに突出した宿になれるか」。[瀬戸内リトリート 青凪/愛媛県松山市]

吉成氏は、『瀬戸内リトリート 青凪』のスタッフから総支配人へと上り詰めた人物。

愛媛県松山市ホスピタリティとおもてなしは似て非なるもの。

『瀬戸内リトリート 青凪』の魅力が、その贅沢な空間だけかといえばそうではありません。海外からも多くのゲストが訪れる人気の宿であるゆえんは、そのホスピタリティの高さにもあります。空間が贅沢すぎるゆえ、ひとつでも欠陥や不備があれば、それが余計目立ってしまうことも事実。「そこには細心の注意を払わなくてはなりません」と総支配人の吉成太一氏は話します。
「よくホスピタリティとサービスを混同する人がいますが、私は違う見解です。“おもてなし”をホスピタリティと考えている方は多いと思うのですが、おもてなしを受けたくない人たちからしたらそれはただの迷惑でしかありません。ほうっておいてほしい方をちゃんとほうっておけるおもてなしもあると思っています。そして、お客様が望まれた時には、すぐに対応し、しっかりとおもてなしができる。それがうちのサービススタンダードなんです。これだけの宿泊料を取るのに、『その程度!?』と思われたら、私たちにとって致命傷になりかねませんから」と吉成氏は続けます。

だからこそ、準備をしっかりすることがとても重要です。そして、確実に準備が整ったなら、実行に移します。更に、実行後、つまりお客様が帰った後の片付けまで行うのです。この3点を確実にしっかり行うことが、吉成氏が掲げるホテル業で最も重要なサイクルなのだそうです。それをプロフェッショナルの仕事としていかに完遂し、日々の業務の中で繰り返し実行することができるかが、大切なのです。

ウェルカムドリンクには、愛媛県産の高級柑橘として知られる「紅まどんな」を使ったジュースが登場。

本館2階にあるラウンジルーム。デザイン書や愛媛に関わる書物が置かれている。フリードリンクとして炭酸水などが用意されている。

愛媛県松山市贅沢な空間がゆえマニュアルどおりは通用しない。DIYのオペレーション。

とはいうものの、この宿のサービス、ホスピタリティに、一般的なホテルのマニュアルは通用しません。マニュアルを採用しようにも、その贅沢すぎる空間と総支配人の価値観ゆえ、当てはめることはできないのです。

空間が広大すぎるため、より多くのスタッフが必要になりますが、そもそも利益を出すことを目的としていないゲストハウスとして造られた建物ですから、それに合わせたスタッフ数を確保すると採算が合わなくなります。事実、吉成氏が2017年8月に総支配人に就任してからはシステムを変え、サービスというプロフェッショナルの仕事をスタッフに徹底させ、少しずつですが宿を変えてきたのだといいます。
「オペレーションなどはほとんどオリジナルですね。例えば、今はSNSなどを駆使しながら、スタッフ間でお客様の情報を瞬時に共有しているんです。リピートで来て下さるお客様の過去の情報は当然だとして、初めてのお客様の情報もそうして行き渡らせます。お客様に満足して頂けるかどうかは、お客様が到着してから帰られるまでのおよそ20時間で、そのお客様のことをどれほど知ることができるかにかかっていますから」と吉成氏。

続けて吉成氏は、「独自のオペレーションをつくらなければ、採算の合わない宿ですから」と話してくれました。

「独自のオペレーションをつくらなければ、採算の合わないホテルですから」と吉成氏は話す。

取材当日は晴天とはいかなかったものの、それでも安藤忠雄建築の美しさは際立っていた。

標高が高いがゆえの靄(もや)。市内で雨が降っていても、ここでは晴れていることも少なくない。

愛媛県松山市「安藤忠雄建築だけではダメ。僕たちは安藤先生に勝ちたい」。

「1泊6万円の宿泊料の宿はどこもスペシャルなんです。その宿に悪い所なんてあってはいけないんです。けれど、そのスペシャルな中でもいかに選ばれる宿になれるかを日々模索しています」と吉成氏は言います。

吉成氏が言うには、実際のところ、やはり安藤忠雄建築を入り口として泊まりに来るゲストがほとんど。しかし大事なことは、その中でサービスがずば抜けている、あるいは料理が抜群に美味しいという理由でお客様にリピートしてもらうこと。安藤忠雄建築というウリ文句にあぐらをかいていては、決して「スペシャル」にはなり得ないのです。
「だから、また来てくださるお客様がいると本当に嬉しいんです。そういったお客様はすでに安藤忠雄建築が目的ではなく、ここでの居心地の良さに魅力を感じて頂いていると思うんです。リピートしてくださるお客様の中にこんな方がいまして、初めてお越し頂いた時はご主人と奥様のおふたりだったんです。奥様は妊娠されていました。その次に来てくださったのは奥様が臨月の時、3回目はお子様が生まれて3人となり、4回目にはそのお子様がよちよち歩きになっていて……。なんだか、お子様の成長とともに、私たちも成長しているような気がしました。節目節目で泊まって頂けることに、ホテルマンとしての喜びを感じるんです」と吉成氏は話します。

スコンと澄み渡るような青空は見られなかったが、それでも十分すぎるほど美しい景色が広がっていた。

Data
瀬戸内リトリート 青凪

住所: 〒799-2641 愛媛県松山市柳谷町794-1 MAP
電話: 089-977-9500
http://setouchi-aonagi.jp/

圧倒的スケールと感嘆の建築美。日常を逸脱する安藤忠雄建築のスモールラグジュアリー。[瀬戸内リトリート 青凪/愛媛県松山市]

愛媛県松山市OVERVIEW

ホテルや旅館だけに限った話ではありませんが、メディアに登場するものが、その美しい部分だけを切り取られることは、少なからずあることです。例えば、雑誌に美しい写真が載っていた客室。しかし実際に訪れてみると、「なるほど、うまく撮っているな~」と、半分ガッカリ、半分合点がいったなどという経験もあることでしょう。

しかし、『瀬戸内リトリート 青凪』がゲストを落胆させることはありません。この宿ほど、工夫を凝らして撮影した写真を、目の前の現実が凌駕する宿は少ないのです。

かつて『エリエール美術館』として使用されていた建物は、言わずと知れた日本を代表する世界的な建築家・安藤忠雄氏が手がけ、隣接するゴルフ場などを所有する大王製紙が贅を尽くして造り上げたものです。そのそもそもの目的は「ホテル」ではなく、利益には目もくれず、言わば訪れたゲストをもてなすためのゲストハウスとして建てられました。そのため総床面積3500㎡という広さに対し、わずか7部屋のスイートルームをレイアウトしているだけ。そんな宿なのですから、その贅沢な空間を他の宿が真似しようにもできるはずがありません。

憧れの安藤忠雄建築で寛げる宿。世界中の人々がここに泊まるためにやって来ます。その魅力を『ONESTORY』取材班が目の当たりにしてきました。

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瀬戸内リトリート 青凪

住所: 〒799-2641 愛媛県松山市柳谷町794-1 MAP
電話: 089-977-9500
http://setouchi-aonagi.jp/

安藤忠雄建築だけとは言わせない。ゲストの記憶に刻む「瀬戸内のショーケース」を具現化する料理。[瀬戸内リトリート 青凪/愛媛県松山市]

フランク・ステラ氏の絵画が飾られているダイニングカウンター。目の前は吹き抜けで、その一面がガラス張りに。

愛媛県松山市地下1階、滝が流れ落ちる庭を眺めるダイニング空間。

吉成太一氏がサービスに注力する一方、安藤忠雄建築だけではない、この宿の大きな魅力のひとつとなるのが、やはり料理でしょう。それを味わう舞台となるのが、「DINING MINAGI」。建物の地下1階、目の前の一面がガラス張りになったダイニングカウンターからは、滝が流れ落ちる庭「Sunken Garden」を眺めることができます。サンクンとは建築用語で地下道を意味し、和訳では「沈んだ庭」の意味。無機質な空間に、流れる水の音が広がり、滝がライトアップされるディナータイムは、幻想的な雰囲気が漂います。対照的に朝食の時間は明るい陽光が差し込み、開放感溢れる雰囲気に。夜と朝で趣がガラリと変わるその姿も、安藤忠雄建築のマジックなのでしょうか。朝のんびりと朝食をとっていると、いつまでもこの空間に浸っていたいと思える心地よい空気に包まれるのです。

ただし、それは決して安藤忠雄建築の空間だけがそうさせるのではありません。
それは、料理長の伊藤公一氏が作る料理に対しての、ゲストの満足感の表れでもあります。
「瀬戸内のショーケース」は『瀬戸内リトリート 青凪』のコンセプトのひとつ。ゲストの舌から脳へと喜びを訴えかけるのです。

昼間とは異なり、ライトアップされた「Sunkun Garden」は幻想的な雰囲気に包まれる。

人数によってはカウンターではなくテーブル席も用意。カウンター同様、一面がガラス張りになった空間だ。

愛媛県松山市自分の仕事を最大限に引き出すことができる地の最高級の食材。

料理長の伊藤氏は、日本料理ひと筋40年以上になる職人。大阪、京都などで修業、そしてかつて白金台にあった高級料亭『般若苑』では4年半を過ごし、愛媛に帰郷。松山市内の老舗割烹で13年、更に道後温泉の高級旅館では10年以上料理長を務めてきました。そんな伊藤氏は、ここで料理を作れることに大きな喜びを感じているようで、「土地柄なのでしょう、松山は東京の価格感とは異なるので、料亭でやっていても、高級旅館でやっていても、価格面を考えると最高級の食材はなかなか使えないことが多かったんです。けれど、ここではそれができるんです。地の最高の食材が使えますから、自分のやりたい料理が作れるんです」と話してくれます。

例えば、「瀬戸内のショーケース」を謳うこの宿では、魚は地元瀬戸内で揚がった食材がふんだんに使われます。とりわけ今治市出身の伊藤氏にとって来島海峡の魚には強い思い入れもあるのだとか。
「タイは有名ですけど、オコゼだって美味しいし、これからの夏の季節は、高級魚のアコウ(キジハタ)が最高ですね。刺身はもちろんですが、あらいや、煮つけにしたって抜群なんです」と伊藤氏。

それだけでなく、松山市の西、佐田岬半島にある伊方町の三崎港からは、アジにサバ、伊勢海老など、伊藤氏が惚れ込む食材を仕入れます。
「水揚げされる港が違うためブランド名も当然違う。関サバ、関アジは名乗れませんが、正真正銘の豊予海峡でとれる魚ですから旨いのは当然です(笑)」と伊藤氏は話します。

この日の刺身は、サヨリ、来島ダイ、釣りアジ、赤貝。氷鉢で出されキュッと身が締まった切り身は、噛みしめると来島の急流のように押し寄せる旨味。瀬戸内の恵みの一端が垣間見えます。

もちろん、刺し身としてそのまま出すだけではなく、アブラメ(アイナメ)は骨切りにし、刻んだ木の芽とともに葛打ちにして椀種として使うなど、その食材に職人の仕事を施すこともこの道40年以上の伊藤氏の真骨頂。ディナーではそんな料理が緩急をつけて、時にちょっとした遊びも持たせてゲストの舌を楽しませてくれるのです。

この日のお造りには釣りアジ、赤貝。タイやタコのイメージが強い瀬戸内だが、豊穣の海であることを再認識。

「収穫祭」と名付けられた前菜。筍寿司、そら豆白和え、イイダコうま煮、海老水晶など瀬戸内の山海の幸をひと皿に表現。

吉成氏が総支配人へと就任したと同時に新たな料理長となった伊藤公一氏。和食ひと筋40年のベテラン職人。

愛媛県松山市和の真髄を大切にしながら攻めの姿勢も忘れない。

「瀬戸内のショーケース」は魚に限った話ではありません。例えば、伊予牛は伊藤氏が必ずといっていいほどコースの一品に取り入れる食材だといいます。
「2月は3人にひとりほどが海外ゲストだったくらい、国外からいらっしゃるお客様も多いので、肉はどうしても取り入れざるを得ないところもあるんです。宿の料理は、レストランのようにお客様がそれだけを目指してくるわけではありませんから、とがった料理ばかりは出せません。ですが、懐石料理といっても、そのあたりは柔軟に、アレンジも加えたりして献立は考えています」と伊藤氏は言います。

では、この日の肉料理はどのように出されたのでしょうか。伊藤氏は、「旬を迎えたばかりの焼いた新タケノコと相性が抜群ですから」と、中がミディアムレアになるよう伊予牛のロース肉をじっくりと火入れ。しかし、味つけは和食ゆえにシンプルに塩かと思えば、松山の名物である麦味噌を出汁でややのばしてソース代わりにしました。
「伊予牛は肉質が非常にきめ細かながら、黒毛和牛ならではの濃厚なサシも多い肉なんです。これが他の国産牛を使うと、どうしても麦味噌の味に肉が負けてしまうからできないんです」と伊藤氏。

麦味噌のソースが瀬戸内らしさを更に打ち出すととともに、伊予牛独特の肉の甘みを引き立ててくれるのです。伊予牛とタケノコ、麦味噌の三重奏。バランスを取りながらも、通り一遍の料理では終わりません。

地元のお客様もいれば、東京からも海外からも訪れるゲストがいる。更には宿の料理という立場もある。どこまで自分の色を出すか、その上でバランスも取らないといけない。「安藤忠雄建築の宿」がゲストにとって大きなウェイトを占める中で、伊藤氏の料理はゲストの心に確かな記憶を植えつけるに違いありません。

松山で味噌といえば麦味噌。麦ならではの甘みのある味わいが、肉の旨味や上品な脂と絡み合う。

地元ではアブラメと呼ばれるアイナメの椀物。春らしさを打ち出すため、タケノコをすり流した。

朝食ももちろん和の膳。サワラの焼き魚、海苔を巻いただし巻き、じゃこ天、ひじき丹、刺し身など海の幸が主役となった。

Data
瀬戸内リトリート 青凪

住所: 〒799-2641 愛媛県松山市柳谷町794-1 MAP
電話: 089-977-9500
http://setouchi-aonagi.jp/

総床面積3500㎡に対しわずか7部屋。本物の贅沢と非日常が潜む安藤忠雄建築の空間。[瀬戸内リトリート 青凪/愛媛県松山市]

本館「THE AONAGIスイート」からの眺望。取材時は瀬戸内ならではの春霞がかかっていたが、晴天時には松山の町並みと青い海が広がる。

愛媛県松山市標高450mの山の頂、森の中に突如現れた安藤忠雄建築。

松山市の中心地から車を走らせること、およそ30分。市街地を抜け、山間のワインディングロードを進んでいると、「果たしてこの道であっているのか?」と不安になる人もいるかもしれません。

取材当日は、陽が落ちきった夜に到着したこともあり、あたりは真っ暗で、その不安はいっそう大きなものになりました。道幅は徐々に狭くなり、街灯もまばらに。不安が募り始めた頃、道端に『エリエールゴルフ場』の案内看板を見つけることができました。ここまで来れば、目指す『瀬戸内リトリート 青凪』は、もうひと息。やがて街灯がいっさいなくなり、更に道を進むと、真っ暗な森の中に、ポワッと明かりが灯る建物が見えてきました。

駐車場に車を停め、入口へと向かうと、打ちっ放しのコンクリートの外壁に、ローマ字で『AONAGI』の文字が。自動扉が開き、奥へと続く無機質な回廊を進めば、夜の到着ということもあってか、どこか宇宙船のような雰囲気が漂います。その時点で、ここが現実世界から離れて非日常を味わう宿だということはすぐにわかりました。そして、その思いは宿の全貌が見えてくるほどに強くなり、やがて心も現実世界から離れていくのでした。

一帯には民家も街灯もない山の頂き。暗闇にポワッと浮かぶ、『瀬戸内リトリート 青凪』の明かり。

エントランスを抜けた先にある、『エリエール美術館』時代からの中庭は、愛媛県出身の庭師・小野 豊氏が作庭。

森に突き出すように延びる『瀬戸内リトリート 青凪』の象徴的なデッキプール「THE BLUE」。時間帯により様々な表情を見せる。

愛媛県松山市ゲストをもてなすゲストハウス用に造られた贅を尽くした空間。

安藤忠雄建築に宿泊できる。建築ファンならずとも一度は泊まってみたいと思うのではないでしょうか? しかも、この宿はただの「安藤忠雄建築のホテル」ではないのです。ここは愛媛に本社を持つ大王製紙が金に糸目をつけずに、訪れるゲストをもてなすために造られたゲストハウス。予算の上限は設けず、「この土地で一番の建物を造るから、日本一の建築家に頼む」と言って安藤忠雄氏に設計・建築を依頼したという建物なのです。

何せ本館、別館合わせて、総床面積は3500㎡。そこに7部屋のスイートルームが贅沢に配置されているだけというのですから、その数字からして桁違い。「スモールラグジュアリー」という謳い文句以上に、圧倒的な空間がゲストを魅了するのです。

その最たる部屋が、本館の最上階にある「THE AONAGIスイート」でしょう。天井高約8mのこの部屋は、リビング部分が吹き抜けになり、部屋の一面がガラス張りになっています。視線の先には、標高450mのロケーションから一望する瀬戸内のパノラミックな海が息を呑むほどの圧倒的なスケールでゲストを出迎えるのです。方角としては北西に窓があるため、その夕景を想像しただけで、心が満たされていくようです。しかも、スイッチひとつでそのガラス窓が開閉し、テラスで外の空気を吸い込むことができるので、身も心も瀬戸内の自然に溶け込んでいきます。

そして、リビングの階段を上った先にはシャワールームとベッドルームがあります。本館客室には温泉はありませんが、この宿には温泉に浸かっている時間すらもったいない、と思わせる魅力が息づいています。

天井高約8m、広さ約170㎡を誇る『瀬戸内リトリート 青凪』最上級の客室「THE AONAGIスイート」。

「THE AONAGIスイート」はメゾネットタイプ。階段を上がった先にベッドルームとジャグジー付きのシャワールームがある。

「THE AONAGIスイート」のベッドルーム。壁の一部が曇りガラスになっており、採光にも工夫を凝らした。

愛媛県松山市天然温泉を引き湯した、オリジナル寝湯を備えた別館の浴室。

本館の2室が瀬戸内の眺望を楽しむスイートルームであるのに対し、別館はフォレストビューとパノラマビューを楽しめる5室のスイートルーム。眺望こそ本館にはかなわないものの、本館にない楽しみが別館にはあります。それがゲストの温泉欲を満たしてくれる浴室です。そう、別館には、隣接する『エリエールゴルフ場』に湧き出る温泉を引き湯しているのです。湯は無色透明、サラリとした湯触りの単純弱放射能冷鉱泉。浴室はゆっくりと湯浴みを楽しめるよう、オリジナルのフルフラットスタイルの寝湯が備えられ、窓を開ければ半露天のような開放感も楽しめます。安藤忠雄建築という魅力に、湯浴みという癒しが加わり、本館にはない寛ぎのひと時を満喫することができます。

本館の最上階「THE AONAGIスイート」の広さが170㎡に対して、別館は、面積こそ狭くなるものの、それでも全5室が100㎡以上という十分すぎるスペースを確保しています。本館客室と同様、自動開閉式のガラス窓の向こうには森や庭園などの景色が広がり、緑に囲まれた癒しの時間を過ごすことができます。とりわけ、これからの時期は多くの野鳥が森を飛び交うシーズン。テラスに出て、野鳥のさえずりに耳を傾けるひと時も、また格別なのです。

『瀬戸内リトリート 青凪』オリジナルの寝湯が備わる浴室。湯には天然温泉が引き湯される。

フォレストビューが楽しめる別館の客室。高層階とは異なる開けた眺望ではないが、森に包まれるような心地よさ。

柔らかく肌触りと着心地の良いパジャマは、岡山産ベビーデニム製。

愛媛県松山市広大だからミニマル。充実したファシリティがホテルステイを贅沢に。

そして、ファシリティも特筆すべき点でしょう。「スモールラグジュアリー」を謳う宿ですが、実際に訪れてみると、この広い空間だからこそ「ミニマル」だと感じる部分が多々あります。

例えば、「THE AONAGIスイート」にはBluetooth対応のスピーカー、客室専用のタブレットが設置されています。それだけでなく、ソファやダイニングテーブルがあり、そこにはさり気なく置かれたデザイン書や写真集などアート関係の書物が。更にはフリードリンクの入った冷蔵庫があり、棚には自ら手で挽いて楽しめる地元松山の専門店が焙煎したコーヒー豆が用意され、ナイトウェアには岡山県産ベビーデニム製のパジャマ、室内履きには職人が1足1足丁寧に作った特注のオリジナルサンダルまであります。とにかく、その1点1点にこだわったアイテムからは、「ラグジュアリー」「瀬戸内」というこの宿のコンセプトの部分をしっかりと感じることができます。

客室が広いからこそ、一見「ミニマル」に思えますが、仮に50㎡の客室にこれらが揃っていると想像してみてください。それはもはや十分すぎる贅沢だといえるのではないでしょうか?

ライトアップの光を受けて、無機質なコンクリートに映し出される木々の影も安藤忠雄建築による演出のひとつか。

山道から見える宿の姿。暗闇に浮かぶ建物は、自然の中でその建築美が際立つ。

Data
瀬戸内リトリート 青凪

住所: 〒799-2641 愛媛県松山市柳谷町794-1 MAP
電話: 089-977-9500
http://setouchi-aonagi.jp/

ぶらっと♪ぎょうだ (@A3ajLVRV0jeg8Fs )

お茶づけのCMでもお馴染み が所属する の関係者の方から、大入り袋を頂きました。 を部屋に差入れして下さっている方がいて、関係者の方が来館してくれました。部屋の力士の皆さんが取組前に舐めてくれているそうです。皆様も勝負の前にお一つどうぞ👊

忍城おもてなし甲冑隊公式 (@oshi_omotenashi )

只今マチコミ放送中!大将は川越から中継!テーマは「GW何する?何した?」成田軍のGW前半は、行田PRのため岡崎遠征へ!後半は…? 3日(木)忍城出陣 4日(金)さきたま火祭り 5日(土)ふるさとコンサート『埼玉の風』へ出陣いたします! 皆様は何をしますか? あお

忍城おもてなし甲冑隊公式 (@oshi_omotenashi )

只今マチコミ放送中!大将は川越から中継!テーマは「GW何する?何した?」成田軍のGW前半は、行田PRのため岡崎遠征へ!後半は…? 3日(木)忍城出陣 4日(金)さきたま火祭り 5日(土)ふるさとコンサート『埼玉の風』へ出陣いたします! 皆様は何をしますか? あお

埼玉県庁 (@pref_saitama )

【行楽シーズン!武甲山の山開き】秩父のシンボルである武甲山が5月1日、山開きとなりました。標高1,304m。登山道も整備されていて、毎年多くの人で賑わいます。晴れた日の眺めは最高!でも、安全な登山への備えは欠かさずに。安全に楽しく山登りを楽しみましょう!

WOaW House (@woaw_house )

【休業日のお知らせ】 2018年5月3日(木)〜5月16日(水)は諸事情によりおやすみさせていただきます。 ご迷惑をお掛け致します。 WOaW House

@adidasfun

フリーキックが行なわれたのち、ゴールキーパーが触れるか、クロスバー・ゴールポストに当たるか、ボールがピッチ外へ出るまで、他のプレーヤーはボールに触ることができない。 #フットサル #サッカー #ユニフォーム

@adidasfun

フリーキックが行なわれたのち、ゴールキーパーが触れるか、クロスバー・ゴールポストに当たるか、ボールがピッチ外へ出るまで、他のプレーヤーはボールに触ることができない。 #フットサル #サッカー #ユニフォーム

ブックファン95 (@bookfun95 )

コットンの自然な色合いを残すため、あえて漂白や染色をしない。また自然な風合いをあえて残すため柔軟剤を使用しないようにしたタオル

ブックファン95 (@bookfun95 )

コットンの自然な色合いを残すため、あえて漂白や染色をしない。また自然な風合いをあえて残すため柔軟剤を使用しないようにしたタオル