魅力はピースな一体感。どこにも似ていない夏フェス。[大宴会 in 南会津2018/福島県南会津郡]

今年で9年目を迎える「大宴会 in 南会津」。乾杯の音頭で、アーティスト、スタッフ、観客の境界線が消える。

福島県南会津郡

福島県の山間にある小さな町・南会津で、2010年に始まった『大宴会 in 南会津』。地元のボランティアが作り続けてきた手作りの夏フェスは、9年目を迎えた今年、チケットが前売りでソールドアウトするほどの人気となっています。

地元でカフェ「JI*MAMA」を営む発起人の五十嵐大輔氏が、時に「村祭り」と表現するそのスタイルは、他のどんなフェスにも似ていません。訪れる人たち、そしてフェスを作る人たちが、魅了されるのはなぜなのか。今年の大宴会を紐解けば、その物語が見えてくるかもしれません。

地元でカフェ「JI*MAMA」を営む発起人の五十嵐大輔氏のあいさつで始まった「大宴会 in 南会津2018」。

子供たちも一緒に楽しめる夏フェス、それが「大宴会 in 南会津」。

福島県南会津郡夏フェス『大宴会 in 南会津』。主役は音楽、そして地域愛。

緑深い「うさぎの森のキャンプ場」の一角に、響く「カンパーイ」の声。
ステージに立つのは「U-zhaan&環ROY&鎮座DOPENESS」のユニット。その音楽の合間の小休止に、フェス代表の五十嵐大輔氏がやにわに舞台に表れます。手にしているのは南会津伝統の手仕事「南郷刺し子」の半纏。おもむろに袖を通した鎮座氏、観客に「みんな、自分の飲み物、用意しました?」と声をかけ、冒頭の「カンパーイ」へつながります。小さなステージに集まる人たちと、文字通り手の届く距離にいるアーティスト、そしてスタッフたちの一体感――でもそれは「ギュッ」とした感じではなく、「ほんわか」とした、なんとも自由でピースな一体感です。

今年で9回目を迎えた、南会津の夏フェス『大宴会 in 南会津』。夏フェスですから主役はもちろん音楽なのですが、フェスの代表を務める五十嵐大輔氏は「普通の夏フェスと思ってきたら、ちょっと違うかもしれません」と言います。

チケットが完売御礼の今年ですが、このフェスに集まるお客さんたちはせいぜい1000人超えるくらい。ステージを取り巻く人たちの中には、小さなお子さんを抱っこしながら、一緒に身体を揺らすお父さんお母さんの姿もたくさんあります。その観客の外縁にはたくさんの色とりどりのテントが張られ、ゆったり寝転びながら音楽を聞く人もいれば、気持ちよくウトウトしている人も。そのさらに外縁には――なぜか鍛冶仕事に熱中する男の子と、独楽回しに苦戦する20代女子……?

ちょっと不思議な気もしますが、これこそ『大宴会 in 南会津』なんです。

乾杯に欠かせないのは、会津伝統の手仕事「南郷刺し子」の半纏。

「家族で楽しめる、のんびり感とユーモア」を意識してセレクトするアーティスト。そのものの存在である「ハンバートハンバート」は、2回目の出演。

今年のオープニングアクトを飾ったのは、地元の高校生シンガー、大竹涼華氏。

会津山村道場内には「ベビールーム」も用意。小さな子供連れにも好評。

音楽を遠くに聞きながら、ゆったりと寝転がって過ごせるのも、『大宴会 in 南会津』ならではの楽しさ。

「和釘づくり体験」のワークショップ。赤い鉄を叩くことで、形が作られていくことに
興味津々の子供たち。

福島県南会津郡それぞれのペースでのんびり楽しむ、居心地のいい夏フェス。

9年前に始まった『大宴会 in 南会津』。その始まりは、代表である五十嵐氏が自身の営むカフェ「JI*MAMA」で、ある音楽好きのお客さんと意気投合したこと。当然ながらフェスを企画するなんて初めてで、ノウハウも何もないまま初回は開催。予想外に好評だったのは、地元色の強い飲食やワークショップでした。そうしたスタートが、『大宴会』を、他のどんな夏フェスとも違う独自の路線へと進ませてゆきます。

例えば今回の『大宴会』でステージから一番離れた場所で展開していた、「森の幼稚園・こめらっこ」。猪苗代のお母さん仲間が運営する、子育てサークルによるワークショップです。小さなテントの中では南会津の木や草花、土を使った遊びが用意されていて、周辺ではたくさんの子供たちが裸足で走り回る賑わいです。

さらにそのすぐ横で行われているのは、地元のお爺ちゃんが教える「昔遊び」。木の枝や幹から作られた独楽回しを、「難しい!」と夢中になっているのは、むしろ大人たちのほうかもしれません。

スタッフの一人、今年で4回目の参加の加茂氏は言います。
「最初に聞いた時は“こんな山奥で、それも地元の人が手作りでやってるフェスなんて、面白いの?”と。でも“ちょっと覗いてすぐ帰る”くらいのつもりで遊びに行ったら、すごく楽しくて。結局最後まで残ってしまいました(笑)。それまでは、“音楽フェスって、ちょっと疲れる”と思っていたんですが、『大宴会』はみんながそれぞれのペースで、それぞれに楽しめる。それがすごく居心地がよかったんですよね」

毎年好評のワークショップ「森デコ体験」。草花を髪に飾る子供たちがかわいい。

南会津の木材の端材を積み木代わりに。自然の中には、工夫次第でたくさんの遊びを見つけることができる。

昔遊びを教えるおじいちゃん。独楽は、木の枝を短い円柱状にして、片方を尖らせただけの素朴なもので、ベーゴマ風にヒモを巻いて回す。

いわき出身で、大学時代は茨城で過ごしたという若手スタッフの加茂氏。南会津で就職したのをきっかけに、大宴会にかかわるように。

福島県南会津郡同じ思いを持つ人たちが、『大宴会』を通じてつながってゆく。

とはいうものの、そこには共通するテーマがあります。それこそ“南会津”。豊かな自然や歴史を持つこの地方で暮らす楽しさや価値を、様々な方法で掘り起こしてゆくことです。

もちろん、地元で評判になっているカフェや、名物料理を持つ店の出店も、そんな切り口のひとつ。その一方で、かつてコメの収穫時期に食べた郷土食“信五郎”(うるち米の団子に、特産の荏胡麻味噌を塗って焼いたもの)や、南会津の4つの酒蔵が出す地酒も忘れてはいけません。今年初登場の地ビールも飛ぶように売れています。

でもそうした出店者を南会津のみに限定しようとは、五十嵐氏は思っていません。
「この土地にある“自然に根差した暮らし”という部分に共鳴できるものがあれば、あとは人と人とのつながりの方が大切だなと。この9年間の間に、点として存在していた同じ思いを持つ人たちが、様々なところで繋がり、その友達がまた繋がって、最近では福島県内の範囲まで徐々に広がっています。そうやって繋がることこそが、これからの地方都市のいい在り方なんじゃないかなと」

うるち米の団子に、地元特産の”じゅうねん(えごま)”の味噌をつけて炭火で焼いた「信五郎」。農民が納めるべき新米を食べたいがため、米とバレないよう黒い味噌をつけた、という説も。

南会津にある4つの酒蔵の4種類の地酒を楽しめるブースも。

福島県内を中心に、飲食、物販、ワークショップなど、34の店舗が参加し、大宴会を盛り上げた。

福島県南会津郡頑張っているみんなが、世代を超えてひとつになれる場所。

初回の時に何の気なしに選んだ会場「会津山村農場」の存在も、そうしてみると、深い意味があるように思えてきます。五十嵐氏は続けます。
「ここは戦前から戦後にかけて、南会津の農業従事者を育てるための学校だったのですが、政策が農業から林業に転換してゆくにつれて使われなくなってしまったんです。それが再開発の話が持ち上がった時、地元の卒業生を中心に署名活動が起こり、補修して保存されることに。以前、90歳くらいのお婆ちゃんが見に来て、本当に当時のままだとおっしゃっていましたね」

そうして守られてきた歴史が、五十嵐氏たち30代半ばの世代に受け継がれていくように、『大宴会』の精神もまた、新たな歴史として若い世代に引き継がれてゆきます。初回に高校生ボランティアとして参加し、この数回の『大宴会』では若手の中心的役割を担う樋口聖也さんは言います。

「初回は高校生ボランティアとして参加したんですが、すごく刺激を受けました。小さな町でも、やろうと思えばこんなことができるんだな、って。自分が何かやろうと思った時には、大輔さんに相談に乗ってもらえる、そう思えるのも心強いです」

自分たちが住む町にある、歴史、魅力、刺激、信頼、自信。1年また1年と年を重ねることで、『大宴会』は南会津の人たちに様々なものを実感させているのかもしれません。前出の加茂氏は言います。
「正直準備している間はすごく大変で、直前まで胃がキリキリ痛むことも。でもこうしてたくさんの人たちが集まり喜んでくれること、1年に1度、同窓会みたいに仲間と集まれること、元気でやってた?と言いながら再会できることが、すごく嬉しい。『大宴会』は、地元でそれぞれ頑張っている人たちが、世代を超えてつながれる場所。フェスなんだけれど、“大宴会”っていう言葉がやっぱりふさわしいなって思います」


(supported by 東武鉄道

修復し次世代に引きつがれが「会津山村農場」は、この地に息づく「自然とともに生きる暮らし」のシンボルでもある。

若手スタッフの中心的役割を担う樋口聖也氏は、地元菓子店の跡継ぎ。東京で修業し、3年前に南会津に戻った。

大成功で幕を閉じた2018年の『大宴会 in 南会津』。終了後は、関係者の労をねぎらう大宴会が開かれた。

※2018年度のイベントは終了致しました。
住所:〒967-0014 福島県南会津郡南会津町糸沢字西沢山3692-20
会津山村道場うさぎの森オートキャンプ場 MAP
※最寄り駅:「会津山村道場駅」徒歩約10分
電話:0241-66-2108
http://daienkai.org/

日々

板締め絞りで染め分けた生地極がよーく見るとハッキリ染まらない独特のラインに染め上がります。 マニアックですが、この染まり方がなんとも心地よいんです♪ どこかで見た事あるなぁ 海と空の境界線 境界線に見えてるだけ ほんとは繋がってるんだけどな 繋がってるんだっけ、、 染め上がりをみて ぶつぶつ。。。

@adidasfun

「リーガ・ナシオナル」と呼ばれる全国リーグの他、各州でプロリーグが盛んに行われ、スペインやイタリアのフットサルチームに移籍する選手も多い。 #フットサル #サッカー #ユニフォーム

@adidasfun

「リーガ・ナシオナル」と呼ばれる全国リーグの他、各州でプロリーグが盛んに行われ、スペインやイタリアのフットサルチームに移籍する選手も多い。 #フットサル #サッカー #ユニフォーム