今の時代にも響く愉しさ。お茶と茶道の世界へようこそ。[茶論/ 奈良県奈良市]
奈良県奈良市奥深い茶道を気軽に体感。
お茶と茶道に親しむための入り口となるべく、“侘茶(わびちゃ)”の祖である村田珠光の出生地・奈良にオープンした『茶論(さろん)』。後編では、前編でご紹介したコンセプトと志をさらに掘り下げ、『茶論』で体験できる斬新かつ奥深いお茶の世界をうかがいます。
奈良県奈良市軽い気持ちでも大歓迎。あらゆる「お茶好き」に扉を開く。
「抹茶スイーツが好き」「緑茶や抹茶って健康にいいんでしょう?」「お茶の道具が家にあったらなんだか素敵だし、インテリアとしても映えそう」――何かに興味を持つきっかけは、そんな些細な好奇心のはず。とかく敷居が高く思われがちな『茶道』ですが、『茶論』はそんなライトな好奇心もやさしく受け入れてくれます。
その入り口となるのは、「喫茶」「見世」「稽古」という3つの業態。いずれも独自のセンスとコンセプトによるプロダクトを取り揃えており、『茶論』でしかできない体験が詰まっています。
奈良県奈良市多彩なお茶と和菓子が味わえる「喫茶」。
まずは「喫茶」。「本当に気軽に、普通の喫茶店のように訪れてください」とスタッフが語るように、明るくモダンな雰囲気が漂うお茶と甘味(かんみ)のお店です。ここで味わえるのは、スタッフが心をこめて供するお茶と、奈良の有名和菓子店『樫舎(かしや)』の和菓子。お茶は抹茶だけでなく煎茶やほうじ茶も用意しており、気分とお好みに合わせて愉しめます。
さらにあんみつ・かき氷・抹茶ラテなど、季節に合わせた甘味やドリンクも用意。メニューは季節ごとに変わるため、四季折々の風情を味わえます。
奥行きと格式ある建物は、『茶論』を創設した中川政七商店の会長・十三代 中川政七(なかがわ・まさしち)氏の生家でもあります。その古式ゆかしい建築と、店内から望める美しい庭園も必見です。
奈良県奈良市職人の手による普段使いもできる茶道具。
次は「見世(みせ)」。お茶を点てるときに使う茶道具を取り揃えていますが、「お茶席でしか使えないもの」ではなく、一般の家庭でも普段使いできる道具となっています。さらに近代的なインテリアにもなじむデザインとしているため、どんな部屋に置いてもしっくり馴染みます。
それでいて、伝統の職人技がきちんと生かされています。例えば『茶筅(ちゃせん)/お茶を点てる道具)』は、徳川幕府によって名字を与えられた茶筅師十三家のうち、現存する三家のひとつの20代目当主である谷村丹後氏によって作られています。
そして茶巾(ちゃきん)は、高級麻織物『奈良晒』の卸問屋である中川政七商店が代々守り伝えてきたもの。消耗品だからこそ本物であることを大切に、リデザインしています。
初めて茶道に触れる方でも使いやすい造りでありながら、長年茶道を習ってきた人の手にも馴染む本物。日常の道具としてもインテリアとしても活用できる「きちんとした茶道具」です。
奈良県奈良市もてなしの力量を上げて、日常を豊かに。
最後は「稽古」。初級・中級・上級の3つのコースがありますが、いずれもかしこまった雰囲気ではなく、テーブル席でカジュアルに行ないます。「美味しくお茶を点てられるようになりたい」「美しい所作を身に付けたい」などなど、茶道を習いたい人の動機は様々。それらの目的に合わせて、多彩な単科コースも用意しています。
また、茶道で最も大切な「もてなしの心」をはじめ、礼儀作法や点前(てまえ)といった『型』、茶道の歴史や決まりごとといった『知』を、バランスよく学ぶことができます。これらの学びを日常に生かすことで「もてなしの力量」が上がり、日常そのものが豊かになっていきます。
『稽古』のコースを監修しているのは、『芳心会』を主宰する茶人・木村宗慎(きむら・そうしん)氏。本物の道具に触れ、その歴史や背景を知り、お茶にまつわる知識を深めていく――木村氏直々の薫陶(くんとう)を受けたスタッフ達の「稽古」を受ければ、お茶を通じて美と技と知を探究する喜びが味わえます。
奈良県奈良市茶人の目利きによる良質な茶道具に触れる喜び。
『茶論』の大きな魅力は、こうしたカジュアルなスタイルでありながらも、茶人・木村宗慎氏の目利きによる「良質な茶道具」に触れられること。普段なかなか見られない『本物』と直に触れ合うことができます。
様々な作家や産地の茶碗に触れることで、器への興味や理解を深めてもらい、日々使う器にも自然と気を配るようになっていく。「本当に良いもの」を知ることで、ご自分で料理をされた時にも器の選び方や盛り付け方に気を配ったり、より良い器や道具を探してみたりと、暮らしに潤いがもたらされます。
このように、『茶論』の「稽古」を受けることで日常もより良く変わっていきます。
奈良県奈良市家庭で日常的にお茶を点ててもらいたい。
今までになく親しみやすい茶道を愉しめる『茶論』。「喫茶」や「見世」に訪れる人々にも、「稽古」を受ける人々にも、その気軽さに驚かれます。
「お茶に興味はあるけれど二の足を踏んでいた、という方々から『とても親しみやすい』というお声をいただいています」とはスタッフの言。特に「稽古」は「師匠と弟子」といったかしこまった関係ではなく、「講師と生徒」というフラットな関係としていることがポイント。また、一般的な「稽古」では師匠が話すことをメモするなどして覚える必要がありますが、『茶論』では、わかりやすいスライドを用意しています。これもまた好評だそうです。
さらに、茶道の歴史や道具に関する興味深い逸話も聞けるので、「利休ってそんな人だったんだ!」などという反響もあるといいます。まずは「体験稽古」を受けることを薦めていますが、それを受講した人達の本入会率が非常に高く、『茶論』が目指す方向性が支持されていることが伺えます。
これらのことから、『茶論』のスタッフ達は「茶道について思っていた以上に難しいイメージを持たれていた」という事を実感しているそう。でも、コーヒーや紅茶を日常的に嗜む人は多く、その産地や淹れ方、飲む際の器などにこだわる人もたくさんいます。「そういった感覚でお茶もぜひ愉しんでください」と『茶論』のスタッフは語ります。
例えば煎茶を熱湯で淹れてしまう人はとても多いですが、適温のお湯で丁寧に淹れたお茶は、味わいからして全く違います。いったん湯飲みにお湯を移し変え、そのお湯で淹れる。器や合わせるお菓子にもこだわる。そういった作法を学んで生かすだけで、まったく新しい世界が開けるのです。
奈良県奈良市お茶をきっかけに、文化や歴史への造詣をも深める。
『茶論』では、未入会でも参加できる『公開講座』を定期的に開いています。こちらの内容も非常に興味深いもので、先述の茶筅師の谷村丹後氏や、ブランドディレクターの木村宗慎氏ら外部講師を招いています。去る7月7日には、ブックディレクターとして多くの作家や読者に支持されている幅允孝氏を招いて、ブランドディレクターの木村宗慎氏と、『茶論』を立ち上げた中川政七商会長の十三代 中川政七氏との3名で、『以本論美(本を以て美を論ず)』という講座を開催しました。このように、文化的な知識と興味を深めることのできる催しも多彩に行なっています。
こうした『茶論』の取り組みに魅かれて、お茶業界を超えた様々な企業から商品開発やコラボレーションの企画が持ちかけられているそうです。すでに動き出している企画もあり、今後の展開が期待されます。
奈良県奈良市茶道をより親しみやすいものにするために、新たなステージへ。
2018年9月25日には、東京の日本橋高島屋S.C.に新店舗をオープンします。『茶論 奈良町店』と同じく「喫茶」「見世」「稽古」の3業態全てを展開。茶道文化の入り口をより広くするため、あえてショッピングセンター内のテナントとして出店したといい、お買い物のついでに気軽に訪れほしいそうです。
さらに「東海地方や東海や九州にも作って欲しい」というお客様からの要望が寄せられてるそうで、将来的には全国展開も視野に入れているそう。様々な土地で、その土地の文化や趣向と絡めながら、「茶道はこんなにも楽しい」という体験を提供していきます。
その最終的な理想は、「『茶論』の「稽古」を受けた人達がご自分流のもてなしを見出し、自らの『茶会』を開いて欲しい」というもの。日本人が古来より親しんできたお茶と茶道を、『茶論』が再びその暮らしに呼び戻そうとしています。
『茶論』オフィシャルサイト
https://salon-tea.jp/
「稽古」の予約、「喫茶」店舗情報、「見世」の道具オンライン販売
住所:『茶論 奈良町店』 MAP
奈良県奈良市元林院町31-1(『遊 中川』 本店奥)
電話:0742-93-8833
営業時間:
【稽古・見世】 10:00~18:30
【喫茶】 10:00~18:30 (LO 18:00)
定休日:毎月第2火曜(祝日の場合は翌日)
写真提供:『茶論』
今の時代にも響く愉しさ。お茶と茶道の世界へようこそ。[茶論/ 奈良県奈良市]
奈良県奈良市奥深い茶道を気軽に体感。
お茶と茶道に親しむための入り口となるべく、“侘茶(わびちゃ)”の祖である村田珠光の出生地・奈良にオープンした『茶論(さろん)』。後編では、前編でご紹介したコンセプトと志をさらに掘り下げ、『茶論』で体験できる斬新かつ奥深いお茶の世界をうかがいます。
奈良県奈良市軽い気持ちでも大歓迎。あらゆる「お茶好き」に扉を開く。
「抹茶スイーツが好き」「緑茶や抹茶って健康にいいんでしょう?」「お茶の道具が家にあったらなんだか素敵だし、インテリアとしても映えそう」――何かに興味を持つきっかけは、そんな些細な好奇心のはず。とかく敷居が高く思われがちな『茶道』ですが、『茶論』はそんなライトな好奇心もやさしく受け入れてくれます。
その入り口となるのは、「喫茶」「見世」「稽古」という3つの業態。いずれも独自のセンスとコンセプトによるプロダクトを取り揃えており、『茶論』でしかできない体験が詰まっています。
奈良県奈良市多彩なお茶と和菓子が味わえる「喫茶」。
まずは「喫茶」。「本当に気軽に、普通の喫茶店のように訪れてください」とスタッフが語るように、明るくモダンな雰囲気が漂うお茶と甘味(かんみ)のお店です。ここで味わえるのは、スタッフが心をこめて供するお茶と、奈良の有名和菓子店『樫舎(かしや)』の和菓子。お茶は抹茶だけでなく煎茶やほうじ茶も用意しており、気分とお好みに合わせて愉しめます。
さらにあんみつ・かき氷・抹茶ラテなど、季節に合わせた甘味やドリンクも用意。メニューは季節ごとに変わるため、四季折々の風情を味わえます。
奥行きと格式ある建物は、『茶論』を創設した中川政七商店の会長・十三代 中川政七(なかがわ・まさしち)氏の生家でもあります。その古式ゆかしい建築と、店内から望める美しい庭園も必見です。
奈良県奈良市職人の手による普段使いもできる茶道具。
次は「見世(みせ)」。お茶を点てるときに使う茶道具を取り揃えていますが、「お茶席でしか使えないもの」ではなく、一般の家庭でも普段使いできる道具となっています。さらに近代的なインテリアにもなじむデザインとしているため、どんな部屋に置いてもしっくり馴染みます。
それでいて、伝統の職人技がきちんと生かされています。例えば『茶筅(ちゃせん)/お茶を点てる道具)』は、徳川幕府によって名字を与えられた茶筅師十三家のうち、現存する三家のひとつの20代目当主である谷村丹後氏によって作られています。
そして茶巾(ちゃきん)は、高級麻織物『奈良晒』の卸問屋である中川政七商店が代々守り伝えてきたもの。消耗品だからこそ本物であることを大切に、リデザインしています。
初めて茶道に触れる方でも使いやすい造りでありながら、長年茶道を習ってきた人の手にも馴染む本物。日常の道具としてもインテリアとしても活用できる「きちんとした茶道具」です。
奈良県奈良市もてなしの力量を上げて、日常を豊かに。
最後は「稽古」。初級・中級・上級の3つのコースがありますが、いずれもかしこまった雰囲気ではなく、テーブル席でカジュアルに行ないます。「美味しくお茶を点てられるようになりたい」「美しい所作を身に付けたい」などなど、茶道を習いたい人の動機は様々。それらの目的に合わせて、多彩な単科コースも用意しています。
また、茶道で最も大切な「もてなしの心」をはじめ、礼儀作法や点前(てまえ)といった『型』、茶道の歴史や決まりごとといった『知』を、バランスよく学ぶことができます。これらの学びを日常に生かすことで「もてなしの力量」が上がり、日常そのものが豊かになっていきます。
『稽古』のコースを監修しているのは、『芳心会』を主宰する茶人・木村宗慎(きむら・そうしん)氏。本物の道具に触れ、その歴史や背景を知り、お茶にまつわる知識を深めていく――木村氏直々の薫陶(くんとう)を受けたスタッフ達の「稽古」を受ければ、お茶を通じて美と技と知を探究する喜びが味わえます。
奈良県奈良市茶人の目利きによる良質な茶道具に触れる喜び。
『茶論』の大きな魅力は、こうしたカジュアルなスタイルでありながらも、茶人・木村宗慎氏の目利きによる「良質な茶道具」に触れられること。普段なかなか見られない『本物』と直に触れ合うことができます。
様々な作家や産地の茶碗に触れることで、器への興味や理解を深めてもらい、日々使う器にも自然と気を配るようになっていく。「本当に良いもの」を知ることで、ご自分で料理をされた時にも器の選び方や盛り付け方に気を配ったり、より良い器や道具を探してみたりと、暮らしに潤いがもたらされます。
このように、『茶論』の「稽古」を受けることで日常もより良く変わっていきます。
奈良県奈良市家庭で日常的にお茶を点ててもらいたい。
今までになく親しみやすい茶道を愉しめる『茶論』。「喫茶」や「見世」に訪れる人々にも、「稽古」を受ける人々にも、その気軽さに驚かれます。
「お茶に興味はあるけれど二の足を踏んでいた、という方々から『とても親しみやすい』というお声をいただいています」とはスタッフの言。特に「稽古」は「師匠と弟子」といったかしこまった関係ではなく、「講師と生徒」というフラットな関係としていることがポイント。また、一般的な「稽古」では師匠が話すことをメモするなどして覚える必要がありますが、『茶論』では、わかりやすいスライドを用意しています。これもまた好評だそうです。
さらに、茶道の歴史や道具に関する興味深い逸話も聞けるので、「利休ってそんな人だったんだ!」などという反響もあるといいます。まずは「体験稽古」を受けることを薦めていますが、それを受講した人達の本入会率が非常に高く、『茶論』が目指す方向性が支持されていることが伺えます。
これらのことから、『茶論』のスタッフ達は「茶道について思っていた以上に難しいイメージを持たれていた」という事を実感しているそう。でも、コーヒーや紅茶を日常的に嗜む人は多く、その産地や淹れ方、飲む際の器などにこだわる人もたくさんいます。「そういった感覚でお茶もぜひ愉しんでください」と『茶論』のスタッフは語ります。
例えば煎茶を熱湯で淹れてしまう人はとても多いですが、適温のお湯で丁寧に淹れたお茶は、味わいからして全く違います。いったん湯飲みにお湯を移し変え、そのお湯で淹れる。器や合わせるお菓子にもこだわる。そういった作法を学んで生かすだけで、まったく新しい世界が開けるのです。
奈良県奈良市お茶をきっかけに、文化や歴史への造詣をも深める。
『茶論』では、未入会でも参加できる『公開講座』を定期的に開いています。こちらの内容も非常に興味深いもので、先述の茶筅師の谷村丹後氏や、ブランドディレクターの木村宗慎氏ら外部講師を招いています。去る7月7日には、ブックディレクターとして多くの作家や読者に支持されている幅允孝氏を招いて、ブランドディレクターの木村宗慎氏と、『茶論』を立ち上げた中川政七商会長の十三代 中川政七氏との3名で、『以本論美(本を以て美を論ず)』という講座を開催しました。このように、文化的な知識と興味を深めることのできる催しも多彩に行なっています。
こうした『茶論』の取り組みに魅かれて、お茶業界を超えた様々な企業から商品開発やコラボレーションの企画が持ちかけられているそうです。すでに動き出している企画もあり、今後の展開が期待されます。
奈良県奈良市茶道をより親しみやすいものにするために、新たなステージへ。
2018年9月25日には、東京の日本橋高島屋S.C.に新店舗をオープンします。『茶論 奈良町店』と同じく「喫茶」「見世」「稽古」の3業態全てを展開。茶道文化の入り口をより広くするため、あえてショッピングセンター内のテナントとして出店したといい、お買い物のついでに気軽に訪れほしいそうです。
さらに「東海地方や東海や九州にも作って欲しい」というお客様からの要望が寄せられてるそうで、将来的には全国展開も視野に入れているそう。様々な土地で、その土地の文化や趣向と絡めながら、「茶道はこんなにも楽しい」という体験を提供していきます。
その最終的な理想は、「『茶論』の「稽古」を受けた人達がご自分流のもてなしを見出し、自らの『茶会』を開いて欲しい」というもの。日本人が古来より親しんできたお茶と茶道を、『茶論』が再びその暮らしに呼び戻そうとしています。
『茶論』オフィシャルサイト
https://salon-tea.jp/
「稽古」の予約、「喫茶」店舗情報、「見世」の道具オンライン販売
住所:『茶論 奈良町店』 MAP
奈良県奈良市元林院町31-1(『遊 中川』 本店奥)
電話:0742-93-8833
営業時間:
【稽古・見世】 10:00~18:30
【喫茶】 10:00~18:30 (LO 18:00)
定休日:毎月第2火曜(祝日の場合は翌日)
写真提供:『茶論』
日本人の暮らしの中に、再びお茶の愉しみを。[茶論/ 奈良県奈良市]
奈良県奈良市茶道文化の入り口を広げて、日々の暮らしの中で愉しんでほしい。
『茶道』と聞いて、あなたは一体どんなイメージを思い浮かべるでしょうか?
「堅苦しい」「礼儀作法に厳しい」「軽い気持ちで習おうとしたら、先生に叱られてしまいそう…」そんな風に思って尻込みしている方が多いかもしれません。
ですが、『茶の湯の祖』と伝わる室山時代の茶人・村田珠光が創始した“侘茶(わびちゃ)”の本来は、簡素簡略かつ“もてなしの心”を重んじるもの。もちろん“わび・さび(侘・寂)”の言葉で表されるような趣(おもむき)ある茶道具に触れ、心地よくしつらえられた場にたたずむ喜びもありますが、心づくしのもてなしにくつろいで人や茶道具、菓子や季節の花々などとの一期一会を愉しむことが本意なのです。
そんな茶道にもっと気軽に触れて、愉しんで、ご自分の日常にも取り入れてほしい――そんな想いのもとに、気の置けない茶道のお店が奈良にオープンしました。
その名は『茶論(さろん)』。とかく敷居が高く思われがちな茶道の入り口を広げ、気軽に親しんでもらうことを目指しています。(後編記事はコチラ)
奈良県奈良市「お茶」ともっと身近に親しめる場を。
『茶論』を創設したのは、“侘茶”の祖である村田珠光の出生の地・奈良で、その様式を確立させた千利休が茶巾として愛した高級麻織物『奈良晒』の卸問屋として商いを始めた中川政七商店です。創業302年を迎えた現在も変わらず茶道具全般を扱い続けるなど、茶道とは深い関わりがあります。
ですが、茶道に親しむ人は、20年前と比べて約1/3にまで減ってしまいました。一方、様々なメディアで『お茶』の特集は日々組まれており、魅力的で奥深い「茶の湯の世界」が多々紹介されています。『お茶』と『茶道』への興味はとても高まっているのに、それを受け入れられる入り口が少ない――そんな危機感から『茶論』を企画したそうです。
奈良県奈良市「稽古」「喫茶」「見世」の3本柱で茶道への入口を広げる。
『茶論』の特徴は、茶道への興味に合わせて3つの入り口を用意していること。
まずは「喫茶」。伝統とモダンを両立させたしつらえの中で気軽に本物のお茶を愉しんでもらい、心に“閑”を持ってお茶への関心を深めてもらいます。次に「見世(みせ)」。目利きの茶人が選りすぐった茶道具や、『茶論』ならではのセンスとコンセプトで創られた新たな茶道具を手に入れることができます。最後に「稽古」。上記の2つで茶道により興味を持った人に、いよいよ茶道に取り組んでもらいます。と言っても、その敷居は高くはありません。畳の茶室ではなくテーブル席で行い、使う茶道具も日々の暮らしにまで生かせるモダンなデザインとなっています。それでいて、「お茶を通して”もてなし”の力量を上げる」ことを目標に掲げており、従来の茶道やお花の教室を経験した人々にも十分以上に興味深い内容となっています。
もちろん「見世」で取り揃えている茶道具も、「喫茶」で味わえるお茶やお菓子も、お茶に長年親しんでいる方々でも満足いただけるに違いない逸品。経験者の方々にもぜひ体験していただきたい、とのことです。
奈良県奈良市気軽な「入り口」でありながら一流を取り揃える。
そんな『茶論』のもうひとつの魅力は、こうして気軽に茶道に触れられる場でありながらも、一流のクリエイター達による一流の「知」やプロダクトを体感できること。
『茶論』そのものの柱であるクリエイティブディレクションは、数々の有名ブランドや著名キャラクターを手掛けた”good design company”の水野学(みずの・まなぶ)氏が担当。
自ら『茶論』を企画した中川政七商店代表取締役会長である十三代中川政七(なかがわ・まさしち)氏の考える『茶論』の「志」、中川政七商店がプロデュースする「理由」、目指す「イメージ」から、ディスカッションを重ね、その独自のポジションとイメージを確立し、コンセプトである“以茶論美(茶を以て美を論ず)”を考案しました。
「お茶(茶道)を通して、自身の美意識の物差しを磨いてほしい」というスタッフ一同の願いがこめられています。
また、ブランドディレクターは茶人であり『芳心会』を主宰している木村宗慎(きむら・そうしん)氏が担当。「稽古」のコースの監修を行なうと共に、『茶論』のスタッフにも月1回の「稽古」を行なっています。木村氏から学んだ様々な作法や「型」や「知」を、スタッフが『茶論』の「稽古」に取り入れ、それがコースの内容の元となるという流れ。「見世」の茶道具も監修しており、それらのクオリティも高めています。
また、「稽古」だけでなく日々の暮らしの中にも生かせるオリジナルの『茶道具箱』などのプロダクトデザインは、金沢美術工芸大学の客員教授で『HUBLOT DESIGN PRIZE 2016』において日本人初のファイナリストとなった“PRODUCT DESIGN CENTER”の鈴木啓太(すずき・けいた)氏が担当。既存の茶道具が日本独自の寸法である「一寸」をもとに構成されているものが多いことから、お茶道具全体の方向性として「一寸」をベースにプロポーションを決めています。
『茶道具箱』も同様に「一寸」の考え方を踏襲して正方形に形作られ、ひとつひとつがモジュールに沿って作られているため、中身を自由に組み合わせられます。
いずれのクリエイター達も、中川政七商店の会長である十三代 中川政七氏とは懇意な間柄だといいます。中川氏の茶道に対する熱い想いを汲み、『茶論』に深く携わっています。
奈良県奈良市お茶の世界の新たな扉を開く。
このように、『茶論』では気軽に本格的な茶道に触れることができます。さらに、そこで得た様々な「学び」をご自分のライフスタイルの中に取り入れ、暮らしをより豊かにすることができます。次回の後編では、『茶論』を通じて得られる斬新な体験や、独自のプロダクトの魅力、お茶の新たな愉しみ方などをご紹介します。
『茶論』オフィシャルサイト
https://salon-tea.jp/
「稽古」の予約、「喫茶」店舗情報、「見世」の道具オンライン販売
住所:『茶論 奈良町店』 MAP
奈良県奈良市元林院町31-1(遊 中川 本店奥)
電話:0742-93-8833
営業時間:
【稽古・見世】 10:00~18:30
【喫茶】 10:00~18:30 (LO 18:00)
定休日:毎月第2火曜(祝日の場合は翌日)
写真提供:茶論