「海の京都」の食と文化を堪能。走るダイニングルーム。[丹後くろまつ号/京都府丹後地方]

ここでしか体験できない食と空間。丹後の魅力を味わい感じる列車。

丹後くろまつ号知られざる「海の京都」を走る。

「京都」と聞いて、あなたはいったいどんなものをイメージするでしょうか? 
由緒ある神社や仏閣、舞妓さんや着物姿の男女、千年以上もの昔から残る雅(みやび)な都の風景――。しかし、そんな「内陸の古都」のイメージとは違った側面も、京都は持っています。

日本海に面する「丹後地方」。起伏に富んだ地形とそれらが育む海と山の幸に恵まれた、自然と人情に溢れる「海の京都」です。

そんな「海の京都」の美しい風景の中を走り抜けるのが、『京都丹後鉄道』。「丹鉄(たんてつ)」の愛称で、丹後地方の人々のライフラインとして親しまれている鉄道会社ですが、2015年に「移動ソリューションを提供する」WILLER株式会社が、WILLER TRAINS株式会社として上下分離の形で経営と運営を引き継いだのをきっかけに、丹後地方の魅力を内外にPRする存在としても注目され始めました。

その象徴ともいえるのが、予約制(指定席)のレストラン列車『丹後くろまつ号』です。丹後の食と文化を堪能できるダイニング列車として人気を集めており、和モダンかつラグジュアリーな車両で、日本海の絶景や四季折々の風景を楽しめます。他にも予約制(自由席)のカフェ列車『丹後あかまつ号』や、予約不要(自由席)の『丹後あおまつ号』などがあり、「丹鉄の観光列車」として活躍しています。

「内地の古都」のイメージが強い京都だが、丹後地方にはまた違った絶景と文化が息づく。その多面性に浸りたい。

丹後の景観と絶妙に調和する3両。日本海の「白砂青松(はくしゃせいしょう=白い砂浜と青々とした松)」の風景を象徴する松をテーマとしている。

丹後くろまつ号「海の京都」との出会いが新鮮な驚きをもたらす。

「内陸の古都」のイメージがあまりにも強いため、京都府が海に面している事実はあまり知られていません。更に、京都市内の住人でも『京都丹後鉄道』の存在を知らないことが珍しくないそうです。そのため、日本三景の天橋立をはじめとする様々な景勝地と青々とした海とのコントラストは、新鮮な驚きをもって受け止められるそうです。他にも「奈具海岸」など奇岩の絶景スポットが多数あり、車窓から眺める風景は季節ごとに変化します。

何度乗っても印象が異なるため、足しげく乗車するリピーターも多数。走行コースも、季節ごとに変更したり、お客さんの要望を取り入れて絶景スポットで停車させたりと、こだわっています。
鉄橋としては西日本エリアで最長を誇る『由良川橋梁』。水面から6.2mの高さを徐行して走るので、まるで海の上を走っているような感覚が味わえます(コースによっては走行しない場合もあります)。

鉄橋としては西日本エリアで最長を誇る『由良川橋梁』。水面から6.2mの高さを徐行して走るので、まるで海の上を走っているような感覚が味わえる(コースにより走行しない場合もあります)。

トンネルを抜けるごとに新たな風景に出会える。

丹後くろまつ号タイムスリップしたかのようなラグジュアリーな調度。車体デザインも必見!

『丹後くろまつ号』の車体デザインは、JR九州のクルーズトレイン『ななつ星 in 九州』など、あまたの列車デザインで知られる水戸岡鋭治氏が担当。日本鉄道賞などの多数の受賞歴を誇る水戸岡氏のセンスは、さすがです。

まずは漆黒の車体にゴールドのラインという高級感のある外装が目を引きますが、随所に配された「松」をテーマとしたロゴデザインも、ほどよいアクセントを添えています。松は丹後地方でよく見られる木で、路線の風景との調和も意識されています。

内装には天然木を贅沢に使い、居心地の良さを重視しています。窓には京すだれ、壁にはやはり松のデザインがあしらわれており、明治の文明開化や大正浪漫の香りが漂います。地元の特産品なども展示されており、丹後の歴史と文化にゆったりと浸れます。車内では、アテンダントによる沿線の歴史や見所の案内、丹後くろまつ号限定商品の販売も実施されています。

落ち着いて寛げる和モダンな雰囲気。洗練された調度が上品。

のどかな田園から美しい海に移り変わる風景と、地元の食材をふんだんに使った料理が人気。

丹後くろまつ号コンセプトは「丹鉄FOOD EXPERIENCE」。食を通じて丹後の魅力を発見。

『京都丹後鉄道』の前身である『北近畿タンゴ鉄道』は、地元の人々に親しまれてきたローカル鉄道でした。WILLER TRAINS株式会社は、そこに観光の要素を加えて地域外の人々を呼び込み、地域の人々が誇れる存在にしていこうと様々な企画を行っています。
特に『丹後くろまつ号』をはじめとする観光列車群は、丹後の沿線地域の魅力を発信するツールとしておおいに活用されています。「食」という要素を通じて地域と地域外の人々をつなげることで、様々な交流や感動体験を生み出しているのです。

「食堂列車」は全国に多々ありますが、「食を通じて地域の魅力を発見できる」のが『丹後くろまつ号』の魅力。過去のツアーでは駅に停まって網焼きをしたり、駅で開催されているマルシェに参加したりといったイベントが行われました。
見て・体験して・地域の全てを味わう――地域に愛されている鉄道を、その地域の人々とともに体感する。ただ旅と食事を楽しむ以上の喜びがここにはあります。

ただの観光列車に留まらず、丹後の地域と人々とも密接に連携。「丹後地方のシンボルとしていきたい」という願いで運行されている。

丹後くろまつ号高クオリティの「食」と瀟洒(しょうしゃ)な車両が評判!

そんな『丹後くろまつ号』に乗った人々の感想は、とにかく「食事の質が高い!」という声が多いそう。
丹後の食材をふんだんに使って季節に応じて多彩なメニューを提供。魚・肉・野菜といったメインの食材のみならず、小麦粉や調味料といった目に留まりにくい食材までも丹後産にこだわっているそうです。

さらに車内に常駐するアテンダント達にも地元出身者を多く採用。それでいて、サービスは全国レベルの高い水準を徹底しています。そのためもあって、「また乗りたい!」と言うファンが着実に増えているそうです。
海外からの観光客も多く、そちらには特に車両のデザインが好評だそう。「こんなに面白い列車には初めて乗った!」「旅行が特別なものになった!」と喜ばれていて、結婚記念日などの特別な旅にも選ばれているそうです。

食材も料理も季節やコースごとに変更。地酒・地ワインとそれに合うおつまみを中心に、丹後の歴史に絡めた料理ツアーなども開催。

丹後の美しい海を望みながら「ほろ酔い」でめぐる列車の旅は現在予約受付中。丹後の地酒とおつまみを存分に味わえる。

丹後くろまつ号魅力あふれる「日本海縦断観光ルート」。今後の発展とPRに注目。

また、京都丹後鉄道は周辺の新潟市・敦賀市・舞鶴市・豊岡市と連携して『日本海縦断観光ルート・プロジェクト』という計画を推進しています。

これは京都丹後鉄道の沿線とそれを取り囲む広域エリアとをつなげて、太平洋側の『ゴールデンルート』に対抗する日本海側の観光ルートを開発およびアピールをしていこう、という試み。関西のみならず関東からも観光客を呼び込んで、日本海側の魅力的な「食」と「観光」を広げ、繋げていく――その魅力が十分に知られているとは言いがたい丹後から北陸地方の認知度を高め、その存在感を内外に示していきます。

10月からは、このプロジェクトの一環として『日本海SAKE-1グランプリ@丹後くろまつ号』を実施。日本海の地酒と食をテーマにしたグランプリを車内で開催し、乗客の投票によって栄冠を決めます。

『ランチコース(写真)』では地ワイン、『ほろ酔いコース』では地酒の飲み放題を実施。後者は丹後の酒蔵からこの時季で最も美味しい地酒を厳選して提供。

『スイーツコース』のメニュー。目にも美味しく彩り鮮やか。

丹後くろまつ号未来に向けてつながる、広がる。

『日本海縦断観光ルート・プロジェクト』の企画はこれだけに留まりません。他にも金沢市を起点とした3エリアを巡る食のバスツアー『日本海レストランバス』、金沢と舞鶴間で食と観光を楽しめる1DAYサイトシーイングバス『日本海縦断観光DELIライナー』、新潟ならではの食を堪能できるキャンプツアー『WILLERビークルで行く 新潟ブランドキャンプ』など、多彩な企画がラインナップされています(各企画の催行期間は販売サイトを参照)。

魅力的な食と地域を豊富に持ちながらも、それらを巡る交通がやや不便だった丹後と北陸。『丹後くろまつ号』と『京都丹後鉄道』、そして『日本海縦断観光ルート・プロジェクト』の展開によって、WILLER株式会社は観光による交流人口の増加と、日本海沿線の経済発展を目指していきます。

ご当地コーヒーの「丹鉄珈琲」をはじめとするお土産も楽しみ。

日本海縦断観光ルートプロジェクト
https://japansea.jp/
■ほろ酔いコース ・スペシャル 日本海 SAKE - 1グランプリ
■運行開始日:2018年10月5日(金)~
■運行コース※10月1日~のコース
①スイーツコース 5,200円(福知山駅10:03発→天橋立駅11:53着)
②ランチコース   10,800円(天橋立駅12:48発→西舞鶴駅14:50着)
③ほろ酔いコース 4,200円(西舞鶴駅15:30発→天橋立駅17:40着)
※価格は全て税込み
■運行日
定期運行:金曜・土曜・日曜・祝日
貸切運行:月曜・木曜