世界を沸かせる徳吉シェフが故郷・鳥取に帰還。史上初となる「凱旋DINING OUT」を開催![DINING OUT TOTTORI-YAZU with LEXUS/鳥取県八頭町]
ダイニングアウト鳥取八頭昨年の『DINING OUT』を成功に導いた徳吉洋二シェフが、再び登場。
2018年9月8日(土)、9日(日)に開催される 14回目の『DINING OUT』の舞台は鳥取県八頭町。回を重ねてもなお、毎回“史上初”の新たな試みが取り入れられる『DINING OUT』ですが、今回もまた過去に例を見ない新たな『DINING OUT』をお見せすることができそうです。
今回の担当シェフは、イタリア・ミラノで活躍する徳吉洋二シェフ。記憶にある方もいることでしょう。そう、昨年開催された『DINING OUT NISEKO with LEXUS』を大成功に導いたあの徳吉シェフです。同じシェフが二度目の登場という初の試み。「公私にわたりいろいろありました」という1年を経て、徳吉シェフの料理はどう変わったのか。そして昨年の『DINING OUT』の経験を踏まえ、今回はどのような料理を作り上げてくれるのか。いまから期待が尽きません。
しかし「DINING OUT史上初」はそれだけではありません。実は徳吉シェフは開催地である鳥取県の出身。世界で活躍するシェフが生まれ育った故郷に戻り、地元の食材で料理を作る。つまり「凱旋DINING OUT」となるのです。シェフ自身が馴染みある食材、そして地元への思い。それらがどう表現されるのかという点も、今回のみどころとなりそうです。
ダイニングアウト鳥取八頭色を使って北海道の自然を描いた2017年の『DINING OUT』。
2017年7月。初の北海道開催となった『DINING OUT NISEKO』は、多くの方の記憶に残る回となりました。担当した徳吉洋二シェフは、ミラノ『Ristorante TOKUYOSHI』で日本人オーナーシェフ初のミシュラン星獲得を果たした人物。日本とイタリアの食文化を融合した「クチーナ・イタリア―ナ・コンタミナータ(混成されたイタリア料理)」は、世界の食通たちの注目を集めています。
もちろんニセコの地でも、その技は遺憾なく発揮されました。徳吉シェフの「混成された料理」の本質は、ただ日本の食材でイタリア料理を作るという表面的な「混成」ではありません。「その食材にどんな歴史があるのか」「どんな生産者がどんな思いで作っているのか」「地元ではどのように食べられているのか」といった食文化を掘り下げ、そして一度解体、それから再び自身のフィルターを通して再構築するのです。だからその料理は洗練されたイタリアンでありながら、地元の方にとってもどこか親しみ深い不思議な存在感を放つのです。
ニセコを沸かせた徳吉シェフの料理には、さらにもう一つテーマが設定されていました。それは「色」。鮮やかな花咲蟹で表現した赤、魚拓で描く静謐な白と黒、そして蝦夷鹿をラベンダーの色と香りが包んだ紫。「ニセコでまず印象に残ったのが自然の織りなす色でした。だからその感動を共有したかったんです」とは徳吉シェフの言葉。ときに食欲をそそる穏やかな色で、ときに意表をつく鮮やかな色で、ゲストの目を楽しませました。ホストを担当したコラムニスト・中村孝則氏をして「この料理は、モードです」と言わしめた、鋭い感性と個性、そして食材を活かしきる技が凝縮された素晴らしい料理の数々でした。
「土地の空気と料理が混じり合う、レストランでは絶対にできない体験」とニセコの経験を振り返った徳吉シェフ。ならば自身が生まれ育った今回の鳥取の“空気”が料理とどのように混じり合うのか。「おやつに蟹、喉が乾いたら梨という育ち方をしてきましたからね。鳥取は僕の中の大切な要素。もちろん、今回の料理にもそれは出てくると思います」そんな含みある言葉にも、さらに期待が募ります。
ダイニングアウト鳥取八頭古から八頭に満ちる「Energy」を辿る。そんな難解なテーマを料理に落とし込む。
舞台となる八頭は、天照大神が降臨した際に白兎が道案内を務めたという「白兎伝説」が残る地。白兎は豊穣と子孫繁栄の象徴とも伝えられることから、古くからの「パワースポット」といえる場所なのです。
そこで今回の『DINING OUT』に設定されたテーマは「Energy Flow―古からの記憶を辿る―」。八頭という地に残る自然と、そこに宿る生命力や神秘性を、この『DINING OUT』を通して体感して頂くことが狙いです。
時代を越えて受け継がれるエナジー。そんな難しいテーマへのヒントを探すために、徳吉シェフが久しぶりに鳥取に戻ってきました。八頭を象徴する自然の恵みを探し、あるいは郷土料理を紐解き、文字通り自然の「Energy」を感じ、テーマを料理に落とし込む緒を探す徳吉シェフ。生産者の元を訪れ、その思いに耳を傾ける。ときには道端に生えるヨモギを積んで鼻を寄せる。ときには懐かしい知人と再会し、思い出話に花が咲く。
とりわけ徳吉シェフの興味を惹いたのは、大自然の象徴たる鹿や鮎、そして大地の力を凝縮した米と卵。そこに見出した「Energy」を、徳吉シェフらしいフィルターを通してイタリア料理に昇華する。どのような形になるのかは、まだわかりません。しかし昨年ニセコで客席を沸かせた色とりどりの料理のように、きっとゲストを驚かせる料理が登場することでしょう。
「たとえばこんなに素晴らしい鹿肉があることを、地元の人はあまり知りません。野菜もそう。僕だって今回巡って、さまざまな新しい発見がありましたからね。だから、そういうものを取り込んで、地元の人に改めて“鳥取はすごい”と思ってもらえる何かを作ってみたい」そんな言葉が印象的でした。
ダイニングアウト鳥取八頭波乱万丈の1年を越えて、新たに生まれ変わった徳吉シェフ。
冗談が好きで、オープンマインドで、誰とでもすぐに打ち解ける。徳吉洋二という人物は、そこにいるだけで人を惹きつける魅力を持っています。しかしそのにこやかな笑顔からは想像しにくいのですが、2017年の『DINING OUT』から1年は、山あり谷ありの波乱万丈な日々だったといいます。
徳吉シェフは今年の初め、病気を患いました。一時期は料理人生命に関わるほどの大病でした。その病を乗り越えると、次には朗報が待っていました。5月に待望の第一子が誕生したのです。そして次は『Ristorante TOKUYOSHI』改装です。店舗を一時休業にして大規模リニューアル。目的はもちろん、現在を越える二ツ星、そして三ツ星の獲得。大きな変化が続けざまに起きた1年。料理人としての心持ちにも、少なからぬ変化があったことでしょう。昨年の『DINING OUT』の経験を踏まえ、さらにその生活のなかで変化した徳吉シェフの新しい料理を『DINING OUT TOTTORI-YAZU with LEXUS』では堪能することができるのです。
「鳥取らしさってなんだろう、というところを改めて考えてみたい。砂丘や大山だけじゃない、もっと内面的な鳥取らしさ。それを表現できればいいと思います」本番への意気込みを、徳吉シェフはそう語りました。この地で生まれ、この地の水と食べ物で育った徳吉シェフだからできる鳥取の表現。それがどのような形になるのかはまだわかりません。しかし、いつもの不敵な笑顔で「楽しみにしといてください」と笑う徳吉シェフの言葉には、本番への確かな手応えと自信が垣間見えました。
『Ristorante TOKUYOSHI』オーナーシェフ。鳥取県出身。2005年、イタリアの名店『オステリア・フランチェスカーナ』でスーシェフを務め、同店のミシュラン二ツ星、更には三ツ星獲得に大きく貢献し、NYで開催された『THE WORLD'S 50 BEST RESTAURANTS』では世界第1位を獲得。 2015年に独立し、ミラノで『Ristorante TOKUYOSHI』を開業。オープンからわずか10ヵ月で日本人初のイタリアのミシュラン一ツ星を獲得し、今、最も注目されているシェフのひとりである。
Ristorante TOKUYOSHI
http://www.ristorantetokuyoshi.com