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1989年には初の世界大会をオランダで開催した。第2回の大会は香港で開催され、FIFAとFIFUSAによるルールの統一化が図られた。このときのルールの問題点を改正し、1994年より競技名を「フットサル (FUTSAL) 」と改められた。 #フットサル #サッカー #ユニフォーム

大自然の中での豊かな暮らしが、唯一無二の商品を生む。[tretre/高知県吾川郡仁淀川町]

仁淀川町に移住し『tretre(トレトレ)』を立ち上げた竹内氏。

トレトレ

その美しさから「奇跡の清流」と謳われる『仁淀川』の源流域に位置し、自然豊かな山間に広がる高知県吾川郡仁淀川町。この地に自生する草木を中心に、大地の恵みを独自の感性で配合した『摘み草ブレンドティー』を生み出しているのが、竹内太郎氏が代表を務める『tretre(トレトレ)』です。後編では、この土地の魅力や『tretre』の軌跡をたどります。(前編はコチラ)

『tretre』の拠点である、高知県吾川郡仁淀川町。

トレトレ鮮やかな緑と眩しい青のコントラストが美しい、大自然に彩られた山間の町。

四国山地西部、西日本最高峰の『石鎚山』に発し、長さ124kmもの流れを経て太平洋へと注ぐ『仁淀川』。深い川底まで透き通るコバルトブルーの清流は、この地で美しい風景を撮り続けてきた写真家・高橋宣之氏によって「仁淀ブルー」と名づけられました。

『tretre』が拠点としているのは、そんな『仁淀川』の源流域に位置する仁淀川町。勾配のきつい山間の土地で気候条件が良く、昔から日本茶の名産地となっています。メジャーなのは、緑茶の葉っぱから作る、煎茶や釜炒り茶。お茶農家が自分たちの茶畑で栽培するのはもちろん、山の斜面にはちらほらと野生の自然茶も見られるような環境です。

愛媛県から高知県を貫く、「仁淀ブルー」の清流。

全国の一級河川水質ランキングでも連年1位を記録。

『仁淀川』の源流に近く、昔の営みが残る仁淀川町。

山の斜面をよく見ると、自生するお茶の木がある。

トレトレ豊かな暮らしの営みを求め、京都のど真ん中から高知の山奥へ。

竹内氏が生まれ育ったのは、高知県の中心部である高知市内。高校卒業後は京都の大学に進学し、そのまま京都の老舗麺料理店に就職しました。店舗業務から外交販売などの本社業務まで多岐にわたり活躍した竹内氏。しかし、40歳を目前にした頃「もっと生活に根づいた仕事、実感のある暮らしの中から商品を生み出す仕事がしたい」という想いに駆られます。

「これから自分が欲しい商品って何だろう?と考えた時に、理屈ではなく、感覚に基づいた、手作り感のあるものが良いなと思って。それまでも、例えば器なら大量生産ではなく、産地の素材と作り手の感性が生きたものを好んで買っていましたし、書家や陶芸家などアーティストの友人も多く、彼らの仕事ぶりにも惹かれていました」と竹内氏は振り返ります。

そうなると、都会では思うような素材が見当たりません。しかし、自分のルーツをたどると、高知県は森林が県土の84%を占める天然素材の宝庫。森林の間を縫うように美しい川が流れ、三方が海に面しています。実家は団地の中にありましたが、少し離れれば豊かな自然に囲まれ、幼い頃はよく川や森で遊んでいました。

「でも、実は仁淀川町は訪れたことがなくて。京都時代に参加していた、高知県を拠点に活動するデザイナー・梅原 真さんが主宰する『84会議』の中で、この町のことを知りました。高知市在住の写真家・高橋宣之さんが撮影した『仁淀川』の美しさに、強く惹かれましたね」と竹内氏。

実際に訪れてみると、仁淀川町は高知市街地から車で1時間ほどの距離ながら、コンビニエンスストアは1軒だけ、大きな工場も水田もない町。民家が点在し、それぞれが庭の畑で自分たちが食べる分程度の作物を育てている、自給自足を楽しみで続けているような状態であり、「ここにはまだ昔ながらの暮らしが残っている」と思い、竹内氏は感動したといいます。そして「この町でなら、何か商品化できるかも」と可能性を感じ、移住を決意。2014年5月、奥様とともに京都を離れました。

豊かな自然と昔ながらの営みに惹かれたそう。

美しい光景は、今も竹内氏の心を強く打ちます。

トレトレお茶処の隠れた逸品、野草茶に大きな魅力と可能性を感じて。

「山の暮らしの中から生まれる商品で会社を興したい」という強い想いはあったものの、具体的なことは決めないまま、仁淀川町で暮らし始めた竹内氏。まずは、素材を探すことから始めました。

なんとなく「味に関わる仕事」をテーマにしつつ、大切にしたのは「変に飾りつけず、素材そのものが十分魅力的で、事実を並べただけで勝負できるもの」と「大都市や海外にも打って出られるもの」であること。「“田舎に引っ込んで細々”というような消極的なことではなく、“こんな田舎だからこそできる”という積極的なものづくりをしたいと思いました」と竹内氏は言います。

そして着目したのが、この土地で昔から飲まれてきたお茶。最盛期に比べ、お茶作りを生業として続けているお茶農家は格段に減っています。それでも、ここで暮らす人々にとって、お茶はとても身近な自然の恵み。野菜と同様に、家族分程度の量を自分たちで作り、大切に飲む習慣が残っているのです。

しかし、煎茶や釜炒り茶などスタンダードな日本茶では、すでに多くの人が取り組んでおりなかなか太刀打ちできません。そんな中で出合ったのが、自生する様々な山野草を摘み、乾燥させて作る野草茶。商品として確立されているポピュラーな煎茶や釜炒り茶に対して、こちらは大々的に売り出されているのではなく、各家庭で個人的に飲まれているようなお茶です。その存在を初めて知り、豊かな味わいに驚いた竹内氏。「マイナーでありながら美味しい野草茶の商品化こそ、取り組み甲斐のある仕事だ」と感じ、早速動き出しました。

あらゆる山野草を採集し、お茶にした時の味わいを、自らの舌でひとつずつ分析して記録。同じ山野草でも、標高や日当たりなどによって風味が変わるため、環境ごとの違いも事細かに記しました。更に、それらを正確に0.1g単位で配合。最適なブレンド具合を見つけていきました。

竹内氏曰く「ひとつの商品が出来上がるまでに、40~50回はブレンドを繰り返しました。風味はもちろん、山野草にはそれぞれ効能の違いもあって、ケンカしない組み合わせを考えることも大切でした」とのこと。気の遠くなるような作業は、半年以上にも及んだといいます。

そうして2015年6月に会社を立ち上げ、地道な研究の成果である『摘み草ブレンドティー』の販売を始めた竹内氏。ブランド名は、イタリア語で「3」を意味する「tre」を重ねて『tretre』。町を走っている国道33号線にちなみ、豊作(トレトレ )の願いも込められました。

自ら山野草を集め、地道に分析していきました。

山野草を摘むのも、もちろんひとつずつ手作業です。

風味の要、0.1グラム単位で行われるブレンド作業。

カップ一つがティーバッグひとつ分になります。

少しずつ色々な葉が混じり、豊かな香りが広がります。

トレトレ地域の素材と知恵の賜物、この土地でないと作れなかったお茶。

竹内氏の探究心と努力の結晶である『摘み草ブレンドティー』ですが、やはりひとりではここまでできなかったといいます。

「どこにどんな山野草が生えていて、それがどんな味で、摘み時はいつ、干し方はどうとか、地域の方には色々なことを教わりました。特に長年この地で生活する人生の先輩方からは、本当に学ぶことが多くて。暮らしの中から生まれたノウハウや、実体験に基づいたアドバイスは、何よりも貴重なものでした」と竹内氏。

また、竹内氏は「畑仕事をしている方からすると、場合によって山野草は作物の生育を邪魔する雑草であり、恵みどころか目の敵なんですよね(笑)。でも、自分のやりたいことを丁寧に説明することで、賛同を得られるようになりました。例えば、何々の葉を探していると相談すれば、『誰々さん家の裏に生えているよ』とか、『うちでちょっと育てているのがあるから持ってきてあげる』とか、自社農園で育てるために株分けしてくださった方もいて、有難かったです」とも話します。

こうした地域の方々のサポートは、『tretre』が軌道に乗った今現在も、変わらず続いています。日常の中でのやり取りもそうですが、主な交流の場となっているのが、定期的に行っている「ハッパカイギ」。地域に住み、『tretre』の活動に興味を持って協力しようという方々が参加しています。基本的にはお茶農家の集まりかと思いきや、むしろ逆。お茶農家の方はゼロで、専業農家の方もほぼおらず、小さな畑でちょっと作物を育てて暮らしているような方が大半です。

「ハッパカイギ」では、地域の山野草についての情報交換をしたり、色々な山野草をお茶にして試飲しては、より美味しく飲むための方法を思案したりします。「昔は切り傷ができたらヨモギの葉を薬代わりに使っていた」など、遠い記憶をたどって共有することもあります。「お茶にする以外の山野草の活用法も勉強になります。放っておくと誰にも受け継がれず、なくなっていくこうした知恵も、大切にしたいですね」と竹内氏は話します。そして、収穫の時期になれば、一部の摘み草集めを依頼。決して負担にならないよう、無理のない程度にお願いしているそうですが「皆さん、畑仕事のついでとかに、楽しみながら応じてくださっています」とのこと。こうして、竹内氏曰く「柔らかなつながり」でできたネットワークが、『tretre』のものづくりを支えているのです。

地域の恵みが結集した『摘み草ブレンドティー』。

商品パッケージやネーミングは、梅原氏に依頼。

『tretre』のメンバーは竹内氏と奥様、女性スタッフの3名。

トレトレ自然の中で生まれる、心地よい暮らしのためのものづくりをこれからも。

仁淀川町で暮らし始めて5年目。移住当初こそ、都市暮らしとのギャップに若干とまどったものの「不便さも楽しめたので、特に困らずにここまできました」と竹内氏は振り返ります。『tretre』の活動以外でも、普段からご近所同士で作物を分け合うのは当たり前。更に、祭りなどのイベントや町内会の役割を通して住民同士で交流する機会も多いため、早い段階で自然と溶け込み、関係性が築けたのも大きかったようです。

思い切った決断ながら、望んでいた暮らしを実現した竹内氏。「京都では旬を追っていましたが、ここでは旬に追いかけられる。その感覚も新鮮です」と話します。そして、現在オリジナルの『摘み草ブレンドティー』については、東京からの依頼が多いそうです。「山奥に来たことで、逆に京都にいる頃よりも東京が近くなりました」と笑います。

また、竹内氏は日課として1日1点、町内の自然風景を撮影してSNSに投稿しているのですが、意外と地元の方がよく見ているのだとか。『摘み草ブレンドティー』や、前編で紹介した『によどヒノキウォーター』も、地元で人気商品となっています。『tretre』の取り組みが、地元の魅力を再発見し、自分の町を誇りに思うきっかけにもなっているようです。

今後も『摘み草ブレンドティー』を軸に、自然の心地よさを感じられるものづくりに勤しむ『tretre』。新商品の『によどヒノキウォーター』も、更にブラッシュアップしていくそうです。今後もまだまだ楽しみは広がります。

住所:〒781-1741 高知県吾川郡仁淀川町名野川27-1 MAP
電話:0889-36-0133
http://tretre-niyodo.jp/

高知県出身。高校卒業後は京都の大学に進学し、そのまま京都の老舗麺料理店へ就職。20年弱勤めた後、2014年3月に退職し、高知県吾川郡仁淀川町に移り住んだ。2015年6月には『トレトレ株式会社』を立ち上げ、『tretre』のブランド名で『摘み草ブレンドティー』の製造・販売をスタート。自生する草木やハーブを使う独自の味わいは、多方面から厚い支持を受けている。2017年8月には、『ヒノキの蒸留水』で作るルームミスト『によどヒノキウォーター』を発売。