自生する山野草を手摘みし、個性豊かなブレンドティーに。[tretre/高知県吾川郡仁淀川町]

『tretre(トレトレ)』の代表を務める竹内氏。

トレトレ

その美しさから「奇跡の清流」と謳われる『仁淀川』の源流域に位置し、自然豊かな山間に広がる高知県吾川郡仁淀川町。この地に自生する草木を中心に、大地の恵みを独自の感性で配合した『摘み草ブレンドティー』を生み出しているのが、竹内太郎氏が代表を務める『tretre(トレトレ)』です。前編では、自然と寄り添う『tretre』のものづくりに迫ります。

『tretre』オリジナルの『摘み草ブレンドティー』。

トレトレそれは、山の味わいがたっぷり詰まった、和のハーブティー。

高知県と愛媛県の県境に広がり、水質日本一と謳われる『仁淀川』の源流に近い、高知県吾川郡仁淀川町。この地に暮らす竹内氏が率いるブランド『tretre』では、土地の恵みを生かしたお茶、『摘み草ブレンドティー』を製造・販売しています。

素材のベースとなるのは、その名のとおり摘み草。昔から山の暮らしの中で使われ、人々に親しまれてきた山野草です。この土地は気候条件がとても良く、交通量の多い幹線道路からも離れていて、空気が綺麗な場所。「例えば、ビワの葉は排気ガスを吸収することで苦味が出てしまうのですが、ここではその心配はありません。その辺に生えているヨモギも、安心して摘めますね」と竹内氏は話します。

また、勾配のきついこの土地では、同じ種類の山野草でも標高によって味わいが大きく変わるそうです。そんな気候条件や標高など、環境の違いによる風味の差を熟知している竹内氏は、ブレンドごとに摘む場所、摘み時を見極め、使い分けているといいます。

更に、町内の数ヵ所に自社園を設け、和ハッカなどのハーブ類を栽培。もちろん無農薬で、限りなく自然に近い状態で育てられています。これらを山野草と混ぜ合わせることで甘味や旨味が増幅され、よりいっそう豊かな味わいのお茶となるのです。この自社園も標高別に設けられているだけではなく「ハーブは株ごとに香りや味わいが微妙に違います。そのため、色々比べて気に入った株を、1株ずつ分けて育てているんです」と竹内氏。細かいこだわりが光ります。

こうして、季節ごとに徹底的に吟味された自生の山野草と自家栽培のハーブ類などを組み合わせて生み出される、オリジナルブレンドのお茶の数々。それは「日本のハーブティー」と称され、人気を呼んでいます。

勾配のきつい土地。急斜面に家が点在している。

山野草それぞれの味の違い、旬などを把握している竹内氏。

のびのびと育つ和ハッカ。鮮やかな緑が眩しい。

摘んだ瞬間、スーッとフレッシュな香りが広がる。

トレトレ収穫からパッケージングまで全ての工程を手作業で行い、豊かな風味を実現。

『tretre』の工房があるのは、仁淀川町の集落の一角。工房らしからぬ佇まいや立地は、元保育園だった建物を活用しているためです。

お茶の主原料となる山野草を集める作業は、竹内氏を含めた『tretre』のスタッフ3名の手で行われるのはもちろん、その時々に応じて地域に住む人々も手伝ってくれています。各所から持ち寄られた山野草は、この工房で丁寧に洗い、干され、断裁されます。そして、ブレンドは0.1g単位で行われます。ほんの少しの誤差も見逃せないほど、『摘み草ブレンドティー』は繊細な味わいなのです。

驚くのは、この工程が手作業で行われていること。収穫から茶葉への加工、ブレンド、更にはティーバッグに詰めてパッケージングするところまで全てです。竹内氏曰く、「山野草から芳醇な風味を引き出すには、乾燥方法も都度工夫することが必要。葉っぱの断裁は機械に任せると画一的になり、味の出方が求めているものとは違うものになってしまいます。ブレンドは0.1g単位ですが、機械だと0.05~0.14gまで全て0.1gと認識されてしまう。数字で見るとわずかな差ですが、風味に与える影響は想像以上に大きいんです」と竹内氏は話します。理想を追い求めた結果、地道な手作業によるお茶づくりが確立されました。

民家の間に溶け込むように建つ『tretre』の工房。

フロアの一角ではシソが干され、良い香りが漂う。

ブレンド作業。0.1g単位で細かく量られる。

種類も大きさも様々な葉っぱが混ざり合っている。

驚くほどたっぷり葉が詰まったティーバッグ。

トレトレ真骨頂は、飲まれるシーンに合わせたオーダーメイド。

和洋約50種類もの素材を組み合わせ、四季折々に多彩なバリエーションを展開している『摘み草ブレンドティー』。ヨモギと釜炒り茶、レモングラス、ペパーミントをブレンドした『mogi(モギ)』、ゆずの皮、しょうが、ほうじ茶、レモングラスをブレンドした『yellow(イエロー)』など、個性豊かなお茶が揃います。

こうした定番ブレンドは、自社のオンラインショップをはじめ、高知県内はもとより関西、関東地域の取扱店で購入できます。しかし、実は世に出ている『摘み草ブレンドティー』の大半はオーダーメイドとのこと。料亭や旅館が食事の席で出すお茶であったり、雑貨店や企業などがオリジナル商品として販売するお茶であったりするのだそうです。多方面から様々な依頼を受け、それぞれ独自のブレンドティーを提供しているのです。
特に料亭や旅館の場合、そのオーダーはかなり具体的かつ高度なものに。「濃い味わいの料理と繊細な味わいの料理の間に、一旦リセットするために飲むお茶」、「会席料理の食後に、胃にもたれないようさっぱりするために飲むお茶」など、コース料理のひとつとして楽しめる、存在感のあるお茶が求められます。「一歩も二歩も踏み込んで、料理との相性やそれぞれのシーンに応じた『この場面、この味』というオーダーに合わせてブレンドする作業は、お客様と一緒に作っているという感覚が強いです。時には仁淀川町で取れる素材だけではなく、お客様の地域の素材もブレンドしながら、ぴったりの味を追い求めます」と語る竹内氏。

こうして生まれた唯一無二の美味しさを誇るお茶が、人々の心を掴まないはずはありません。その評判は人づてにどんどん広まり、『tretre』には全国から依頼が寄せられています。

定番ブレンドのひとつである『yellow(イエロー)』。

芳醇な味わい。じんわりと味が変化する2煎目以降も楽しみ。

口コミで評判が広まり、竹内氏のもとには依頼が後を絶たないそう。

トレトレ新たに発見した自然の産物で作る、和のリネンウォーター。

2014年3月に京都から仁淀川町に移り住み、2015年6月から『摘み草ブレンドティー』を作り始めた竹内氏。しかし、この町の魅力、『tretre』の生み出す商品は、お茶だけではありません。この土地の暮らしになじみ、地域の人々との交流も深まった2016年、竹内氏は新たな天然の宝を見つけます。それが、『ヒノキ蒸留水』です。

『ヒノキ蒸留水』は、町内の木材生産・加工会社である池川木材工業が作る『ヒノキオイル』の副産物。まず、製材時に出るヒノキの端材を燃料に、大きな釜で仁淀川の水を沸騰させ、出てきた水蒸気でヒノキチップを蒸します。すると、その水蒸気には、ヒノキの成分がたっぷりと含まれるのです。それをまた仁淀川の水で冷却すると上下に分離し、上にはオイル分、下にはヒノキの香りや成分が入った蒸留水が生まれるのです。

様々な用途がある『ヒノキオイル』は製品化されているものの、『ヒノキ蒸留水』は需要がなく、そのまま流されていました。ところがある日、そんな現場を目の当たりにした竹内氏は、ヒノキならではの良い香りがするこの水に、新たな可能性を感じます。早速、自宅である古民家に持ち帰り、スプレーボトルに入れて家の中でシュッシュッ。すると、それまで悩まされていた古民家独特の臭いが和らいだのだそうです。

「それから、ヒノキの良い香りを生かしつつ、もっと良くならないかと、いろんな精油を混ぜてみました。特に、このあたりでは5月になると、清々しい森の香りの中にふと、穏やかなミカンの花の香りが漂うんです。その感じがすごく好きなので、最終的には柑橘系に絞って。高知県産の文旦や小夏も試しましたが、一番良い香りだなと思えたベルガモットに落ち着きました」と竹内氏。そうして、竹内氏が「朝もやのたちこめる森林で、フッと甘い柑橘の香りが鼻先をかすめてスッと引くような心地よさをイメージした」と言う、なんとも自然な芳香のルームミストが生まれました。

当初は自分たちで使用するに留めていたものの、周囲の後押しもあり商品化を決意。そこからは厳しいテストを何度も繰り返す日々が2年ほど続きましたが、高知県立大学の協力のもとで成分を分析、財団法人日本食品分析センターでその高い消臭効果を実証され、2017年8月に『によどヒノキウォーター』の名で発売されました。

天然素材のみで作られる『によどヒノキウォーター』。

『ヒノキ蒸留水』は、清流『仁淀川』の産物のひとつ。

トレトレ土地の恵みに新たな価値を見出し、地域に新風を吹き込む。

『によどヒノキウォーター』は正真正銘、『ヒノキ蒸留水』と香りづけの精油のみでできたもの。竹内氏のこだわりで、通常なら入れることの多い安定剤、アルコール、着色料、保存料、合成香料などはいっさい使用されていません。ケミカルフリー、エタノールフリーなので、化学物質特有の嫌な感じがなく、子供にもペットにも安心安全。部屋にも衣類にも車内にも気にせずシュッとかけられますし、肌に直接かかってしまっても心配はありません。にも関わらず、消臭力は抜群というから驚きです。

「多くの消臭剤は、科学的に嫌な臭いを香りや成分で包み込む『マスキング』という消臭方法が取られますが、時間が経つと臭いが戻る場合も。それに比べて『によどヒノキウォーター』は、臭い成分そのものを分解することで消臭するのです」と竹内氏。アンモニアやトリメチルアミンといった代表的な臭いに効くことが実証されており、暮らしのあらゆる場面で活躍してくれます。

地元では、個人の家庭はもちろん、飲食店や宿泊施設、介護施設、病院などで幅広く採用されているそうです。竹内氏が見出した新たな町の産物が、地域の人々の暮らしを豊かにしているのです。

次回の後編では、『tretre』が拠点とする高知県吾川郡仁淀川町の魅力や、竹内氏がこの地へ移住し『摘み草ブレンドティー』を開発するまでの経緯、地元の人々との交流について掘り下げます。

住所:〒781-1741 高知県吾川郡仁淀川町名野川27-1 MAP
電話:0889-36-0133
http://tretre-niyodo.jp/

高知県出身。高校卒業後は京都の大学に進学し、そのまま京都の老舗麺料理店へ就職。20年弱勤めた後、2014年3月に退職し、高知県吾川郡仁淀川町に移り住んだ。2015年6月には『トレトレ株式会社』を立ち上げ、『tretre』のブランド名で『摘み草ブレンドティー』の製造・販売をスタート。自生する草木やハーブを使う独自の味わいは、多方面から厚い支持を受けている。2017年8月には、ヒノキの蒸留水で作るルームミスト『によどヒノキウォーター』を発売。

@adidasfun

スペインでは、フットサルは「フットボル・サラ」と呼ばれており、スペイン代表チームは2000年・2004年のFIFAフットサルワールドカップ、2005年のヨーロッパ選手権などで優勝した。 #フットサル #サッカー #ユニフォーム

@adidasfun

スペインでは、フットサルは「フットボル・サラ」と呼ばれており、スペイン代表チームは2000年・2004年のFIFAフットサルワールドカップ、2005年のヨーロッパ選手権などで優勝した。 #フットサル #サッカー #ユニフォーム

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1989年には初の世界大会をオランダで開催した。第2回の大会は香港で開催され、FIFAとFIFUSAによるルールの統一化が図られた。このときのルールの問題点を改正し、1994年より競技名を「フットサル (FUTSAL) 」と改められた。 #フットサル #サッカー #ユニフォーム

@adidasfun

サロンフットボールとは弾まないボールのことで、「サロンフットボール」は、1930年にウルグアイで考案された。また、ブラジルでも同様のものが考案された。 #フットサル #サッカー #ユニフォーム

@adidasfun

サロンフットボールとは弾まないボールのことで、「サロンフットボール」は、1930年にウルグアイで考案された。また、ブラジルでも同様のものが考案された。 #フットサル #サッカー #ユニフォーム

✨ インディゴ染めタオル ✨







皆さんこんにちは☺️

九月に入り朝と夜少しは過ごしやすくなった気もしますがまだまだ残暑厳しい九月です💧💧

キャラ工房からの商品のご案内です✨
音譜インディゴ染めタオル音譜

ジーンズ工場での一貫性工程で新たに開発されたタオルなんです。ニコニコ

このタオルの特徴は・・・

☆   なんといっても優しい肌触り✨
       ふっくらとしていてやらかいんですアップ
☆   デザインがお洒落✨
       デニムジーンズと同じステッチ縫製を両サイドに使用してします。アップ

☆   色落ちしにくい染色を使用✨
       インディゴ染めは本来色落ちするものです❗️
        しかし❗️タオルとして使用する為何回もブ
        リーチ洗濯を行いタオルとしての品質基準を
        clearしましたアップ

サイズとお色は・・目

デニム

ヒッコリー


 
タオルハンカチは使いやすく日常のおでかけにピッタリです。ニコニコ   430円

フェイスタオルは肩にもかけれて夏の汗拭き対策に今年の夏は大好評でした。✨  860円

バスタオルは大判で肌掛けにしたりおくるみにしたり・・ニコニコ     2700円



台風21号が明日に上陸します。(;゜0゜)
風雨も強まりますので皆さん充分にお気をつけください。💧💧

ダウンダウンお問い合わせダウンダウン

倉敷デニムストリートキャラ工房

倉敷市本町5の3

TEL  086  430  3255

アップアップお問い合わせアップアップ
     

ロマン漂う廊下を巡らせた、極楽浄土へと続く名刹。[長谷寺/奈良県桜井市]

長谷寺の総門で、三間一戸入母屋造本瓦葺の楼門「仁王門」。両脇には仁王像、楼上に釈迦三尊十六羅漢像を安置している。

長谷寺日本の建築構造の最高峰であり、傑作。

真言宗豊山派の総本山である、奈良県桜井市の「長谷寺」。古くから多くの文化人が訪れる名所であり、有名な観光地として広く知られています。しかし、違った観点に立つと新たな魅力が見えてくる。その観点とは「登廊(のぼりろう)」です。日本は雨が多い気候から、壁や看板など何にでも屋根をつける特徴があります。柱を立てて屋根をつければ、東屋が出来る。中国から伝来した木造建築で、石造りの建築には見られない構造です。日本の建築構造の歴史には、廊下を巡らすというひとつの伝統があります。建物Aから建物Bを繋ぐ構造もあり、場合によってはジグザグしていることも。廊下は雨をしのぐことができ、周囲の景色も眺められ優雅。何よりロマンがあります。京都なら「大覚寺」の村雨の廊下、奈良「東大寺 二月堂」、岡山の「吉備津神社」の全長360mにも及ぶ廻廊も素晴らしい。しかし、傑作と言えるのがこの「長谷寺」。重要文化財にも指定されています。

本堂へと続く直線的な廊下。天井に「長谷型」と呼ばれる丸い灯篭が吊るされている。

長谷寺極楽浄土へ導く、美しき「登廊」。

重厚な「仁王門」をくぐると、「登廊」は百八間、三九九段、上中下の三廊に分かれています。この「登廊」は長さ、大きさ、規模といい、造りといい、丁寧で実に美しいのです。階段を登りきると、そこには柱が見事な国宝の本堂が控えている。小初瀬山中腹の断崖絶壁に建つ、清水寺の舞台のような懸造りされた大殿堂で、遥か遠くの山の峰が見渡せます。本堂には高さ10mを超える国内最大級の本尊十一面観世音菩薩立像が安置されおり、威厳やパワーを感じさせます。例えば、「浄瑠璃寺」や「平等院」は「浄土」。「高野山」なら「須弥山」。「比叡山延暦寺」は「宇宙の中心」というように、寺や神社には色々な意味合いがあります。僕なりの解釈ですが、この「長谷寺」は古代の自然と深い信仰心とがひとつになった場所。登廊の長い階段を登り、本堂に立つと、観音様が待つ極楽浄土にたどり着いたように思える。外舞台から下界を見下ろすと、そこには完璧で純粋な世界が広がる。そう感じてならないのです。

本堂からせり出た外舞台からは、遠くの山々まで見晴らせる。奈良の古の自然と信仰心を感じてみたい。

小初瀬山中腹の断崖絶壁に懸造り(舞台造)された南面の大殿堂。見事な柱があり、陰影が印象的。

住所:奈良県桜井市初瀬731-1 MAP
電話:0744-47-7001
入山時間:8:30〜17:00(4月〜9月)、9:00〜17:00(10月〜11月、3月)、9:00〜16:30(12月〜2月)
http://www.hasedera.or.jp

1952 年生まれ。イエール大学で日本学を専攻。東洋文化研究家、作家。現在は京都府亀岡市の矢田天満宮境内に移築された400 年前の尼寺を改修して住居とし、そこを拠点に国内を回り、昔の美しさが残る景観を観光に役立てるためのプロデュースを行っている。著書に『美しき日本の残像』(新潮社)、『犬と鬼』(講談社)など。

生地そのものがデザインになる。伝統が最先端を奏でる。[小倉 縞縞 KOKURA SHIMA SHIMA/福岡県北九州市]

過去に隆盛を極めながらも途絶えてしまった『小倉織(こくらおり)』を、新時代のテキスタイルとして再生。

小倉 縞縞一度は途絶えた伝統技術を、染織家の情熱が蘇らせた。 

平面の写真からでもその風合いが伝わってくるかのような、なんとも繊細な縞模様の布地。

これは、江戸初期から豊前小倉藩(現在の福岡県北九州市)で袴(はかま)や帯などとして織られていた『小倉織(こくらおり)』を、現代のセンスと技術で復元・再生したブランド『小倉 縞縞 KOKURA SHIMA SHIMA』です。
多用した経糸(たていと)が色のリズムを奏でるかのように、立体感あふれるたて縞を描く木綿布。その美しさと心地良さから、かつては日本全国で珍重されていました。

明治時代には、文明開化の波に乗って男子学生服の生地にも採用されました。ですが、非常に手間のかかる製法と熟練の職人技を必要とする工程のため、昭和初期の戦時下に一度は途絶えてしまいました。
それを甦らせたのが、染織家の築城則子(ついき・のりこ)氏です。数十年間忘れ去られていた『小倉織』を、偶然出会った布の断片から復元。2年近くも試行錯誤を繰り返し、その独特の美と製法を再生したのです。(後編はコチラ)

「遊生(ゆう)染織工房」を主宰する染織家の築城氏。わずか10cm四方の布片から『小倉織』を復元した。

美しいたて縞と丈夫でしなやかな質感はそのままに、現代の生活とインテリアになじむテキスタイルとして再生。

小倉 縞縞わずか10cm四方の端切れとの運命の出会い。

大学で文学を学んでいた築城氏は、能舞台に充ちている色と音の世界に惹かれて染織の道に入りました。そして大学を辞めて紬織(つむぎおり)を学び、勉強のためにと骨董店に通って世界中の布を見ていたところ、今まで見たことのない色合いと、触れたことのない感触の布と出会ったのです。

それは、わずか10cm四方の端切れでした。まさしく、途絶えてしまっていた『小倉織』だったのです。
「普通、織物は触れた時の感触から絹や木綿などといった素材がわかるのですが、それはなめし皮のような不思議な感触で、とても驚きました」と築城氏は振り返ります。

立体感のある縞模様と、それでいて、凹凸を感じさせないなめらかな手触り。普通の木綿はざらりとした素朴な感触ですが、その端切れは木綿とは思えないほどスムーズに肌の上を滑りました。
「しかも、私が生まれ育った小倉が産地だったんです。そこで350年以上も名を馳せながら、生産が途絶えてしまったことも初めて知りました」と築城氏。木綿でありながら絹と見まがうような底光りと、くっきりと冴えた縞。その全てに魅了された築城氏は、「自分の手で創ってみたい!」と一念発起して試作を始めました。

そして2年余りの試行錯誤を経て、1984年に見事に復元。ですが、築城氏が手がけていた草木染めの手織りでは、多くの人に愛用してもらうための量産は困難でした。「使い込んでこそ独特のなめらかな手触りになるのが小倉織の神髄。それを多くの人々に堪能してもらうには、機械化による量産しかない」――そう判断した築城氏は、汎用品としての機械織の研究を始めました。そして2007年に、ついに『小倉 縞縞 KOKURA SHIMA SHIMA』を完成させたのです。

築城氏自らがテキスタイルデザイナーとなり、新しい時代のブランドとして誕生した『小倉 縞縞 KOKURA SHIMA SHIMA』。伝統を大切にしながらそれに捉われず、新たな縞のカラーリングやプロダクトの可能性を広げている。

小倉井筒屋店に併設された築城氏のギャラリー。築城氏のデザインワークスを直に見られる。

小倉 縞縞「美しい日常」を意識してもらうために、量産化できる機械織にした。 

「小倉織を復元するにあたって、特に苦労は感じませんでした」と語る築城氏。小倉織の復元・再生に注ぐ熱い情熱ゆえかもしれませんが、やはりその過程は並大抵ではありませんでした。

まずは当時は誰も作っていなかった織物のため、製法の手がかりとなるのは残存する布だけでした。そこで組織分解などをして、小倉織の組成や工程を研究。中でも一番困難だったのが、経糸(たていと)の色だけが表れる小倉織の仕組みの解明でした。普通の織物は経糸と緯糸(よこいと)が組み合わさった色になりますが、小倉織はなぜか経糸の色だけが表れる。その仕組みを理解して、さらに、美しく織り上げる方法を確立することが大変だったそうです。

最初に出会った小さな端切れの中に凝縮されていた、凛とした縞の美しさ。とても丈夫なのになめらかという、かつて見たことのない特性。それらを量産できるように、築城氏は試行錯誤を重ねました。

そうして確立した製法のプロデュースを請け負ってくれたのは、築城氏の妹の渡部英子(わたなべ・ひでこ)氏が社長を務める有限会社小倉クリエーションでした。糸を先染めしてから織る。その糸による美しい縞のグラデーションと、複雑極まる織りを再現できる機屋(はたや)を探す。非常に困難だったこれらを実現すべく奔走しました。

風呂敷、バッグ、カーテンなど、多彩なアイテムとカラーリングで展開。あらゆる用途に応用できる風呂敷は、2010年にグッドデザイン賞を受賞。

オリジナルアイテムの「シンプルBAG(エコバッグ)」も人気。

小倉 縞縞伝統を受け継ぎながら、新しい時代の織物として復元。

『小倉 縞縞 KOKURA SHIMA SHIMA』の美しい縞模様の秘密は、緯糸(よこいと)の3倍もの密度で使われている経糸(たていと)です。木綿らしからぬなめらかな手触りと、丈夫さとしなやかさも、この驚きの密度から生まれています。

普通の織物は経糸1:緯糸1の比率で織られていますが、『小倉 縞縞 KOKURA SHIMA SHIMA』は経糸3:緯糸1の比率。60双(ろくまるそう)という細めの木綿糸を使い、1cm四方に経糸を60本も敷き詰めています。「糸の本数が多い生地はほかにもありますが、それらは糸が柔らかすぎたり、織りあがった生地があまり丈夫でなかったりします。丈夫でなめらかで、かつ、これだけの密度で糸を使用している織物は、あまりありません」と築城氏は語ります。

さらに糸を先染めしているので、美しい縞模様が両面に表れます。片面しか楽しめない織物が多いなか、これも『小倉 縞縞 KOKURA SHIMA SHIMA』ならではの魅力となっています。

60双(ろくまるそう)という細めの糸を使っているため、機械化しても熟練の職人の手が欠かせない。

1本1本手作業で並べる。織りの工程で切れた糸も丁寧に手直し。

小倉 縞縞機械織とは言え簡単ではない。熟練の職人技がそのプロダクトを支える。

そんな『小倉 縞縞 KOKURA SHIMA SHIMA』の実現には、熟練の職人技も欠かせませんでした。
約8,000本強もの糸を、なんと手作業で並べてから織ります。美しい縞を出すために、数本単位でグラデーションに並べていくという途方もなさ。一口に「機械化」と言っても1~2ヶ月かかる気の遠くなるような工程を経て、ようやく生地を織ることができるそうです。

さらに、いざ織り始めても糸が細いため、1時間に1本程度は切れてしまうそうです。これを手直しするのも熟練の職人技。この工程を担当できるようになるまでに、何年もかかるそうです。

また、機械織によって実現したのは量産化だけではありませんでした。手織りでは難しかった「広巾(ひろはば)」も作れるようになり、それをカーテン・クッション・椅子張りなど多彩な用途に拡大。国内外のインテリア業界から高い評価を受けただけでなく、ファッションの分野でも、ほかにはない特性を持った高品質な木綿という点から非常に注目されています。
「手でしかできないことがあり、機械だからこそできることがあり、その双方の結びついた着地点を志高く目指して制作をしていきたいと思っています」と築城氏は語ります。今の時代に即した新たな伝統として、『小倉 縞縞 KOKURA SHIMA SHIMA』は生み出されたのです。

「無彩キュービック」「藍輪舞」 「光の尾」など、それぞれの色合いに応じた風情の香る名が付けられている。モノトーンでも色を感じる。

小倉 縞縞美しい縞模様に妥協はない。可能な限り自然な色合いを表現。 

そして『小倉 縞縞 KOKURA SHIMA SHIMA』の最大の魅力とも言える美しい縞のグラデーションにも、並々ならぬこだわりが秘められています。元となる築城氏の手織りは天然の染料で染められていますが、機械織りの色も、それに準じて染色職人が調合した染料を使用しています。「機械織りは自然の染料ではありませんが、可能な限り私の作品同様に自然の色に近づけてもらっています」と築城氏。機械化された量産品とはいえ、その色合いも風合いも、驚くほど手仕事の要素を再現しているのです。そうやって生み出された『小倉 縞縞 KOKURA SHIMA SHIMA』は、多彩なグラデーションが独特の美を描いています。

小倉織の技法を継承しながらも、より現代的な汎用品として生まれ変わった『小倉 縞縞 KOKURA SHIMA SHIMA』。その評価は、意外なところから広がっていきます。次回の後編では、インテリアやファッションなどの多方面で注目されながら、世界のクリエイターたちとのコラボレーションを進めていく様を追います。
(後編はコチラ)

有限会社 小倉クリエーション
住所 : 福岡県北九州市小倉北区大手町3-1-107 MAP
電話 : 093-561-0700
営業時間 : 10:00~18:00 (本店)
定休日 : 水曜
http://shima-shima.jp/
写真提供 : 有限会社 小倉クリエーション

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オーダーする際にはデザイン担当者と会って、詳細な打ち合わせをした方が出来上がってきたときにイメージと違ったようなトラブルにも巻き込まれることは少ない。 #フットサル #サッカー #ユニフォーム

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オーダーする際にはデザイン担当者と会って、詳細な打ち合わせをした方が出来上がってきたときにイメージと違ったようなトラブルにも巻き込まれることは少ない。 #フットサル #サッカー #ユニフォーム

眼前に広がる雄大な山々。おんせん県が誇る、国立公園内の絶景露天。[久住高原コテージ/大分県竹田市]

日本自然保護協会がネイチャー・インに認定した宿泊施設内の天然温泉。四季折々、美しい景色を見せてくれる絶景露天は足を伸ばしてでも訪れる価値あり。

久住高原コテージ爽快感抜群! 鮮やかな緑のパノラマ。

温泉の源泉数・湧出量ともに日本一を誇る、おんせん県大分。県内には多種多様な温泉施設がありますが、中でも竹田市は日本一と名高い炭酸泉や広大なロケーションに心震える露天風呂、さらに登山をしないと辿り着けない温泉など、バリエーション豊か。四季折々の景色を交えながら、竹田市自慢の温泉施設を紹介します。

竹田市の中心部から車で走ること30分。山道を通り抜けた先に待っていたのは、どこまでも続く緑の草原でした。熊本県との県境にある竹田市久住町は、「阿蘇くじゅう国立公園」を有する自然豊かな地域。開放感のある絶景に感動しながらゆっくり車を走らせていると、放牧された牛たちがお出迎えをしてくれます。美しくのどかな風景に心癒されたら、車を停めてゆっくりと深呼吸。両手を広げ、澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んで、目的地の宿へと向かいます。

国立公園内に佇む「久住高原コテージ」。周囲には山々と草原だけがどこまでも続いている。

草原の中に現れるコテージ。木のぬくもりあふれる宿でくつろぎのひと時を過ごせる。

道中で出会う、放牧された牛たち。

コテージの裏手には久住山がそびえる。温泉は写真の左手側。

久住高原コテージ訪れるものを楽しませてくれる自然の演出。

着いた先は日本百名山のくじゅう連山や阿蘇五岳に囲まれた場所にある「久住高原コテージ」です。360度の大パノラマを満喫できる贅沢な宿には、ここにしかないとっておきの露天風呂がありました。

大浴場の名前は、美しい眺望を想像させる「満天望温泉」。期待に胸を膨ませて中へ入ると、内湯の湯気で曇ったガラス窓の向こうにうっすらと緑の大草原が映っていました。露天風呂の扉を開けた瞬間、待っていたのは果てしなく続く大自然のパノラマビュー。褐色の湯には空の青が反射し、キラキラと輝きます。思わず感嘆の声を上げると、次々に露天風呂へと入ってくる人たちもまた同じように感嘆の声を上げるのでした。まさに絶景に浸かっているような贅沢なひととき。頰をかすめる心地よい風とぬるめのお湯は長湯にもってこいで、移ろいゆく景色をずっと眺めていられるのです。

どのくらい浸かっていたのか、そろそろ出ようとしていると「夕陽を見らんで出るなんかもったいない!」と地元のおばあちゃんが教えてくれました。夕刻に茜色に染まる空と山々を、湯に浸かりながら見ることこそが「満天望温泉」の醍醐味なのだそう。日が落ち始め、刻々と表情を変える空。幻想的な光景に時を忘れて浸かってしまいました。

新緑の時期に見ることができる、爽快なロケーション。

炭酸水素塩泉の湯は、神経痛、関節痛、慢性消化器病に効果があるほか、美肌効果も感じられるという。立ち寄り入浴も可能。

久住の夕焼け。山々を染める茜色のグラデーションが美しく、陽が沈むまでずっと眺めていたくなる。

久住高原コテージ九州屈指の星空露天。

「久住高原コテージ」の温泉をもっと楽しむならば、立ち寄りよりも宿泊がオススメなのだと支配人は話します。その理由は、深夜0時まで入浴ができる家族風呂があるからです。
大浴場に隣接する内湯と露天を備えた3つの家族湯。内湯と露天は続いていて、窓を開けるとひと続きで外に出ることができました。大浴場のにぎやかな雰囲気とは異なり、掛け流しのお湯が流れる音と虫たちの声しか聞こえない静かな空間。23時、夜の闇が深くなった久住の町には満天の星空がきらめいていました。

九州でも屈指の美しさと言われる星空の下で温泉に浸かる。これこそが宿泊した人だけが見ることができる特権なのです。時折流れる流れ星に歓喜しながら、あっという間の50分。記憶に残るひとときを過ごすことができました。

秋には紅葉とススキ、冬の早朝は雲海。季節はもちろん、朝昼晩と時間帯によっても様々な表情を見せてくれる久住の風景。訪れるたびに異なる景色を楽しめることから、「久住高原コテージ」には1万5000人ものリピーターがいるのだそう。その日その時間にしか出合えない、一期一会の入浴体験をぜひ。

露天風呂から望むことができる阿蘇の山々。

大浴場の「満天望温泉」と同じ眺望を楽しめる家族風呂。

久住にはいくつもの天体観測スポットが。都会では見ることができない、まばゆいほどに輝く星空を堪能して。

住所:大分県竹田市久住町久住高原天空の丘820 MAP
電話:0974-64-3111
営業時間:9:00〜18:00
入浴料:大人600円、小人400円、家族風呂1,600円(50分)
宿泊料:9,971円〜、テントサイトは3,780円〜
https://www.kujukogen.com