いよいよ謎多き解脱酒の本丸へ潜入。金の酒がベールを脱ぐ![加温熟成解脱酒/秋田県秋田市]

『加温熟成解脱酒』を造り出す蔵人たち。中央、白衣の紳士は社長の平川氏。

加温熟成解脱酒パリの熱気が冷めやらぬ内に、初秋の秋田へ。

パリでの取材を終えた、我々ONESTORY取材班は、10月中旬、パリで絶賛された不思議な日本酒の秘密を探るため一路、初秋の秋田へ。謎多き『加温熟成解脱酒』の本丸『秋田酒類製造株式会社』を訪れたのです。
詳しくは【日本人が知らない日本酒が、今、パリで話題!?】へ

『加温熟成解脱酒』とは、一体どんな酒なのですか?

インタビューは、ずばり直球勝負でスタートしました。
「その名の通り温度を加えて解脱を起こす酒なんです。日本中の酒蔵が、できたお酒をこぞって冷やす時代に、真逆の発想で生み出した酒。偶然と偶然の連鎖により生まれた酒でもあります」とは、『加温熟成解脱酒』の生みの親である古木吉孝生産本部長。

古木氏の放った解脱とは、日本酒を長く熟成させた際にできる澱のこと。澱の発生は完熟の証と言われ、一部の愛好家に間では非常に珍重されてきたそうなのです。

それを約半年という期間に、タブーとも言える酒を温めることにより熟成を促した酒こそが『加温熟成解脱酒』の正体だと笑います。
「最初は、スタッフが試験中の酒を持ってきたんです。普段めったにそのような状況はないのですが、『澱が出てます!確認してください』と言うんです。とっさに思ったのは、腐敗が起きているんじゃないかという不安。でもですね、見た目は腐敗のもとになる微生物の濁りではなかった」

大丈夫だとスタッフをたしなめつつ古木氏は、興味本位で味見をしたと言います。廃棄されてもおかしくない状況で、一転、美しく輝く黄金色の酒の味見をしたくなったと言います。

「これがとにかく美味かった。ですから、すぐに社長のところに持っていったんです」

澱の出た試験中の酒を飲んだ平川順一社長もまた、即決で開発を指示。すぐに開かれた取締役会を経て、約1ヶ月で開発チームは組織されたと言います。

「スタッフがチェックに持ってこなければ誕生はなかったですし、私が試飲しなければそのまま廃棄。さらに社長に試していただかなければこの短期間で、『加温熟成解脱酒』は生まれてこなかったと思います」と古木氏。

2016年4月の偶然を境に、なんと2017年1月には『加温熟成解脱酒』は、世に生み出されていたのです。

「シェリー酒が好きで、あの色を見たときに無性に味見をしたくなった」と古木氏。

こちらが加温することを可能にした熟成タンク。

「いい色なんですよ、味も驚きますよ」と笑顔の平川氏。

加温熟成解脱酒緻密な計算と、失敗を恐れない挑戦が美酒を生む。

「加温することで熟成はどんどん加速するのですが、普通にやるとまずは香りだけが熟成し始めます。ですから、味と香りのバランスを整えるために、冷やすのが常識なのです」

偶然、味わってしまった黄金色に輝く美酒を再現するため、温度と時間の反応速度を、何度も何度も繰り返し、まずは色と香りのメカニズムをコントロールし始めたと古木氏は言います。

「そうなると今度は味を追求したくなるんです。ここからは企業秘密にもなるのですが、酒質や酒米、酵母の違い、さらには温度と時間のコントロールを無数にこなすことで、いよいよ味、香り、色が交わってきたのです。そして解脱の瞬間は生まれた」

約半年の熟成であるのに10年古酒のような香りと色を放つ酒。であるのに味わいはまだまだ若々しいフレッシュさを併せ持ち、アルコール度数は12.5度と軽め。
「商品化にあたっては、解脱の証でもある澱はろ過することに決めました。だって黄金色が、とにかく美しいので」

穏やかな顔の古木氏は、約1時間のインタビューで『加温熟成解脱酒』の誕生について教えてくれました。日本酒を温めるというタブーに果敢に挑戦し、独自製法で生み出した不思議な酒を、ゆっくりと育てていきたいとも付け加えてくれました。

もしかしたら、数年後には加温熟成という新たな日本酒のカテゴリーは一般的になっているかもしれません。話を聞くたび、その可能性に期待で胸が膨らむほど、氏の挑戦は新たな酒の到来を予感させるのです。

秋田酒類製造株式会社の酒の指揮官・加藤均杜氏。

米粒ひとつ、美しい水が元になり、秋田の美酒は生まれていく。

加温熟成解脱酒酒の味のすべてを司る加藤杜氏へも直撃。

『加温熟成解脱酒』のもうひとりのキーマンがいると聞き、訪れたのはまさに仕込みが始まったばかりという酒蔵。待っていたのは杜氏の加藤均氏でした。

そう、『加温熟成解脱酒』といっても、熟成前は普通の純米吟醸酒。酒造りの指揮官に、その思いについても伺ったのです。

「麹菌はね、冬の10度とエアコンの10度は違いがわかるんです。不思議でしょ。だから、最後は人力。酒と会話しながらが大切なんです」

最新鋭の醸造設備を備える『秋田酒類製造株式会社』。24時間温度と湿度を調整できる酒蔵にあって加藤氏は、毎日必ず自らの握力で、蒸し上がった酒米の硬さを確認すると言います。
「機械化し合理化する部分はあっても、最後の最後は経験と勘。それが日本酒造り。だから面白いんですよ。解脱酒も、実は凡事を徹底することで生まれています」

日常を怠らない。清掃の行き届いたピカピカの酒蔵こそがウチの蔵の自慢と加藤氏は胸を張ります。
加温熟成させる前に、まずは旨い酒を造る。そんな基礎中の基礎に驚くほどの情熱と心血を注ぐ男がいる。それもまた、『加温熟成解脱酒』が旨さを増幅させる秘密なのかもしれません。

パリで話題になった黄金色に輝く『加温熟成解脱酒』。2019年いよいよ、日本でも飲める店は増えると言います。

まずは、先入観なく、飲んでみてください。

きっと今までの日本酒の概念は軽々と吹き飛びます。パリの地で、そして秋田で、我々取材班は、今秋、その奇跡の瞬間に何度も遭遇しているのですから。


(supported by  秋田酒類製造株式会社)

日本酒の概念を覆す『加温熟成解脱酒』は、いよいよ日本でも。

住所:〒010-0934 秋田県秋田市川元むつみ町4-12 MAP
電話:018-864-7331
http://www.takashimizu.co.jp/

@adidasfun

オーダーする際にはデザイン担当者と会って、詳細な打ち合わせをした方が出来上がってきたときにイメージと違ったようなトラブルにも巻き込まれることは少ない。 #フットサル #サッカー #ユニフォーム