ついにベールを脱いだ奇跡の酒・『加温熟成解脱酒』。試飲会場を包んだ驚嘆の声の理由とは。[加温熟成解脱酒/秋田県秋田市]

パリの地で高い評価を得る加温熟成解脱酒が、いよいよ日本でも話題に。

加温熟成解脱酒フランスを席巻した酒が、いよいよ日本で本格展開。

高清水で知られる秋田の酒蔵『秋田酒類製造株式会社』が世に送り出した『加温熟成解脱酒』。それは熟成に伴う深い香りを持ちながら、同時にフレッシュな味わいも併せ持つ奇跡の酒。『ONESTORY』はそのポテンシャルに惹かれ、繰り返し記事でご紹介してきました。

数々のソムリエを虜にし、一足先に届けられたフランスでは名だたるスターシェフの称賛を浴びたこの酒が、日本でもついに本格展開が開始されました。

そしてそんな『加温熟成解脱酒』のポテンシャルをいち早く見抜いた人物がいました。その人物こそ、外苑前『An Di』のオーナーソムリエ・大越基裕氏。名店『銀座レカン』のソムリエとして活躍した後、フランスに渡り栽培と醸造を学び、帰国後はワインテイスター、ワインディレクターとしても活躍する、日本を代表するこのスーパーソムリエです。

「熟成酒特有のメイラード反応の甘やかさとフレッシュさの共存。これが第一印象です。香りは冷やすと弱まります。しかしこの酒は元の香りがしっかりしているため減退が少ない。また冷しても酸味は強くならず甘みと、いいバランスが保たれます。そしてピュアな香りはよりその個性を強調します。このような甘さ、香り、そして酸のバランスでできる世界観をお伝えしたい」と大越氏。

そうして『加温熟成解脱酒』に魅せられた大越氏が、その魅力を伝えるべく考えたのが、料理とのマリアージュを楽しむテイスティングイベント。そして去る2019年1月、都内の『An Di』にて、メディア関係者、フードジャーナリスト、フーディなどをゲストに迎えた試飲会が開催されました。その模様と、会場を包んだ歓声の理由を余すところなくお伝えします。

▶詳細は、加温熟成解脱酒/パリで話題! ベールを脱いだ『加温熟成解脱酒』という新たなる日本酒の挑戦。

『An Di』のソムリエ大越氏とシェフ内藤氏。細やかな計算で驚きのマリアージュを見せてくれた。

加温熟成解脱酒温度に着目し、酒のポテンシャルを引き出す。

イベントはナビ―ゲータを務める『An Di』シェフソムリエ・大越基裕氏の挨拶で幕を開けました。『An Di』のシェフ・内藤千博氏の料理3品と『加温熟成解脱酒』のマリアージュを楽しむこと、それが今回の試飲会の骨子です。しかし、ただ料理と酒を合わせるだけではありません。大越氏が着目したのは、酒の温度。温度帯により実に多様な表情を見せる『加温熟成解脱酒』の持ち味を、料理と合わせることでいっそう明確に際立てることを狙ったのです。

最初に届けられた『加温熟成解脱酒』は7度。ワイングラスに注がれた深い琥珀色の液体は、まごうことなき熟成酒に見えます。大越氏は料理と合わせる前に、まず一口、この酒を味わうことを勧めました。そして、しばしの沈黙。やがて会場にはざわめきが広がります。
見た目の印象、つまり熟成酒のずっしりとした重さとは無縁の、フレッシュで軽やかな味わい。しかし鼻に抜ける香りには、確かに熟成酒特有の複雑な深みが備わっているのです。

「従来のどんな日本酒とも違います」日本酒専門メディア『SAKETIMES』編集長・小池 潤氏は言いました。「一般的に酒は熟成すれば複雑味が増し、それにつれて重厚感が出るもの。しかしこの酒は複雑味がありながら、軽やかな飲みごたえ。つまり相反する要素が共存しているのです」

合わせてサーブされた料理は『An Di』の人気料理でもある生春巻き。今回は煮穴子やジャバラみかん、パイナップルなど多彩な要素を潜ませ、タマリンドのソースを合わせました。大越氏と内藤シェフが繰り返し話し合い、導き出した冷やの『加温熟成解脱酒』に合わせる最適解です。

「この酒は少し冷やすことで甘さのバランスがとても良く、フレッシュな味わいが楽しめますから野菜との相性は間違いありません。しかし元の香りがしっかりしているため、冷やしてもその香りは失われない。そこでフレッシュな野菜の中に穴子を加えることで、酒との距離感を縮めることを目指しました」大越氏の明快な解説により、料理と酒の相性もいっそう明らかになります。会場のあちこちから、このマリアージュを称賛する声があがりました。

「本当に日本酒なの?という印象。新しい味、新しいジャンル」とは『JAPAN CRAFT SAKE COMPANY』のレベッカ・ウィルソンライ氏の言葉。「素晴らしいお酒ですね。各国の料理と合わせるアイデアがいろいろ浮かびます」と、早くもその可能性を見出した様子でした。

経験豊かなソムリエの視点で、『加温熟成解脱酒』の魅力を伝えた大越氏。

「穴子の生春巻き」煮穴子の甘み、野菜のフレッシュ感などが冷やした解脱酒に寄り添った。

『SAKETIMES』の小池編集長の豊富な知見をして「未知なる酒」と言わしめた。

「ポテンシャルのあるお酒が飲めてうれしい!」と率直な感想を伝えてくれたレベッカ氏。

加温熟成解脱酒最高のバランスを持つ、『加温熟成解脱酒』の最適温度。

しかし驚くのはこれから。続いては36~38度のぬる燗の酒が登場しました。「単体で飲むならば、この温度が間違いなく一番」大越氏がそう言い切る、『加温熟成解脱酒』の最適温度です。「温度を上げると香りが際立ちますが、酸も立ちます。その香りと味わいのバランスがベストになるのが、この人肌の温度です」大越氏の言葉通り、キャラメルやハチミツのような香りと、口当たりの柔らかいテクスチャーが絶妙な塩梅で交差します。

そのテクスチャーを見抜いて内藤氏が仕立てたのは「イカのソテー」。繊細な包丁で柔らかく仕上げたアオリイカは酒と絶妙に共鳴し、添えられた柑橘の香りが酒の酸味に寄り添います。アクセントとして皿に散らしたアニス、キャラウェイの香りも、酒のフレーバーに呼応しました。「1皿目がフレッシュ感を軸に合わせたのに対し、この2皿目はテクスチャーで寄り添わせました」と大越氏。

単体で最高の飲み心地となる酒に、テクスチャー側から寄り添わせる料理。その緻密な計算にゲストは心奪われた様子。「不思議なお酒、という印象です。熟成香とフルーティさ、つまり現在と未来という時間が同時にある。タイムスリップを体験したような気持ちです」フリーアナウンサーの近藤淳子氏は、そんな素敵な言葉で感想を伝えてくれました。

フレンチとエスニックの要素が詰まった「イカのソテー」。ぬる燗の解脱酒とともに。

独特の観点で解脱酒の魅力を伝えたフリーアナウンサーの近藤氏。

会場には『加温熟成解脱酒』の開発者も訪れ、その様子を見守った。

加温熟成解脱酒上燗でいっそう際立つ、『加温熟成解脱酒』の香りと酸。

フレッシュ感とテクスチャー。異なる視点からマリアージュを提案した大越氏が最後の1皿で目指したのは「油と酸による呼応」。そう言って大越氏が準備した酒は45度ほどの上燗、そして料理は黒ニンニクを添えた「鴨胸肉のロースト」。「温度を上げることで出る強いキャラメル香、強い酸、そして深い香り。そこを後押しするために、構成要素を同じにする料理を合わせました」

「炭で皮目を焼ききった鴨の重厚感。添えた黒ニンニクは熟成させることで、臭みはなくフルーティな味わいに。周囲にハチミツ漬けのキンモクセイとベトナムのショウガの甘酢漬けを散らし、清涼感と複雑なニュアンスを加えています」フレンチ出身の内藤氏が醸す重層的な味わいが、複雑味のある『加温熟成解脱酒』と共鳴し、高め合ったのです。

鴨の脂を洗い流すようなしっかりとした酸。黒ニンニクにも負けない強い香り。複雑な料理の甘みと寄り添うキャラメル香。上燗にした『加温熟成解脱酒』の持つすべての要素を、ひとつひとつ塗りつぶすような料理。その緻密な計算により生まれた、圧巻の調和でした。

2018年『ミス日本酒』の須藤亜紗実氏も「従来の日本酒の概念に収まらない味」と驚きを隠せない様子。「温度の違い、合わせるお料理によって見せる表情の変化があまりに幅広く、印象的でした」と伝えてくれました。

「鴨胸肉のロースト」。温めた解脱酒が放つ明確な存在感に負けぬ重厚な味わい。

内藤氏はフレンチの名店『レフェルヴェソンス』出身。フランスとベトナムの接点を探り、独自の料理を生み出す。

香り、酸、味わい、甘み。温度により実に多彩な表情を見せる『加温熟成解脱酒』。

「日本酒の新たな可能性を感じることができました」とミス日本酒の須藤氏。

加温熟成解脱酒日本酒のこれからを担う、新たなジャンルの酒。

フレッシュな冷や、バランスの良いぬる燗、力強い上燗。異なる温度帯で、『加温熟成解脱酒』の可能性を味わい尽くした試飲会。「フレッシュだけどシンプルではない。ここまで味をクリーンにして、ここまでの香りを出せる日本酒はいままで見たことがありません。新しい味のスタイル、新しい世界観です」大越氏はこの酒を、そう総括しました。

参加したゲストも同様に、日本酒の新たなステージを感じた様子。「最初は酒精強化ワインに近いニュアンスかな、と感じました。しかし味わうほどに、より軽く、よりすっきりしている。日本酒という範疇を飛び越える、新しいジャンルのお酒だと思います」コラムニストの中村孝則氏はそう話しました。「新しい発見です。温度感による酸味のバリエーションが多彩。酸味の面からみても、さまざまな料理と合わせられるポテンシャルがありそうです」とは『ヒトサラ』編集長・小西克博氏。『料理通信』編集主幹・君島佐和子氏は「絶妙なバランスの上に成り立つ異なる要素の共存。技の酒、という印象です。シルクやカシミアのような、柔らかく滑らかで温かい、そんな感触が心地よかったです」と称賛を寄せました。

『秋田酒類製造株式会社』の平川順一社長も「このイベントを通して、日本酒の未来が見えてきました。本当にうれしく思います」と顔をほころばせました。複雑な深みとフレッシュ感。対極にある要素がバランスよく調和するまったく新たな酒。これからの日本酒の未来を切り拓く、見逃せない酒となることでしょう。


(supported by  秋田酒類製造株式会社)

「軽やかだけど、軽いわけではない。かなり高度な酒ですね」と『料理通信』君島氏。

海外の食事情にも詳しい『ヒトサラ』小西編集長は、『加温熟成解脱酒』と各国料理との相性にも大小判。

ワインに造詣が深いコラムニスト・中村氏は『加温熟成解脱酒』を「新たなジャンルの酒」と言い切った。

会場の熱気を肌で感じ「新たな世界の入り口に立った」と平川社長。『加温熟成解脱酒』のさらなる発展を目指す。

1976年、北海道生まれ。国際ソムリエ協会  インターナショナルA.S.Iソムリエ・ディプロマ。2013年6月、ワインテイスター/ワインディレクターとして独立。世界各国を回りながら、最新情報をもとにコンサルタント、講師や講演、執筆などもこなしてワインの本質を伝え続けている。ワインだけでなく、日本酒、焼酎にも精通しており、ワインと日本酒を組み合わせた食事とのマリアージュにも定評がある。

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