列島の桜沖縄から北海道へ。南北に列島を旅する桜前線。
日本では少なくとも数百万年前から自生していたとされ、古くは万葉集にも記載があったとされる桜。平安時代には「花」といえば桜を指すことが多くなり、数多の文化人がその可憐な姿に思いを馳せ、時に自身の思いを重ね、後世に残る作品を創出してきました。また農業開始の指標としての活用や、老若男女、身分や立場を超えて楽しむ花見が春の風物詩として定着するなど、人の暮らしや歴史に寄り添う花として、愛され続けています。
南北の長さが約2,787kmあり、地域により大きく気候が異なるこの国では、桜の開花も南から北へ。例年1月下旬に開花を迎える沖縄を皮切りに、九州、四国、本州と桜前線は北上し(一部の早咲き品種の桜を除く)、北海道で見頃を迎える4月下旬まで、実に約3ヵ月もの間、日本中が桜色に染まります。古くより品種改良が盛んに行われ、その数は今では600種ともいわれる桜。現代では多くが江戸末期に出現した「ソメイヨシノ」ですが、約200種、3万本の桜を有する奈良県吉野郡『吉野山』の「シロヤマザクラ」や、沖縄県国頭郡の『今帰仁城跡(なきじんじょうあと)』に咲く「カンヒザクラ」に代表される古代種や原種も、まだまだ残されています。
▶詳細は、LANDSCAPE/約200種類、3万本。世界でも類を見ない「一目千本」の絶景。
▶詳細は、LANDSCAPE/やんばるの地を見守る城跡を背景に、南国の太陽に照らされた桜が輝く。
列島の桜人の暮らしに寄り添い、魅了する。日本を代表する桜「ソメイヨシノ」。
一方、日本の桜として一番にイメージするのは、やはり「ソメイヨシノ」です。気象庁が指定する、開花を知らせる標本木もこの品種であり、地域を問わず、公園や街路樹、河川敷などの広い範囲に植えられています。花見の名所は数あれど、人の暮らしに寄り添う桜の情景こそ、園芸品種として誕生した「ソメイヨシノ」の真骨頂。瀬戸内海に面した高台に咲く桜の先に、関門海峡や市街地が広がる山口県下関市の『火の山公園』や、土塁に沿うように植えられた桜が星形要塞の見事な形をいっそう浮かび上がらせる北海道函館市の『五稜郭公園』は、市街地にいながらスケールの大きな絶景が楽しめます。一方、人の手がつくり上げた絶景として圧倒的な存在感を放つのが、埼玉県幸手市の『幸手権現堂桜堤』。約1kmの間に約1000本の「ソメイヨシノ」が植樹され、堤の手前に広がる農地には、シーズンに合わせて作付けされた菜の花が咲き誇ります。(文中には諸説ある中の一説もございます)
▶詳細は、LANDSCAPE/穏やかな瀬戸内海や下関市内を眼下に、桜咲く圧巻のパノラマビュー。
▶詳細は、LANDSCAPE/春限定の美しさ。希少な星型要塞を桜色で彩る、約1,600本ものソメイヨシノ。
▶詳細は、LANDSCAPE/桜と菜の花、青空が三位一体となった、春爛漫の大パノラマ。