立体感の美しいペンダントトップ!
- グッドアートハリウッドとのコラボ製品です
- 表面にはアイアンハート定番のベルロゴを
- 裏面にはクリストファーがデザインされています
- 程よいサイズ感の為、単品でも重ね付けでも使えます
- バチカン部分はグッドアートハリウッドのネームが入り、細部まで抜かりのない高級な仕様になっています
- 厚みがあるので故躍動感・陰影がしっかりと表れております
サイズスペック
全長 | 幅 | 厚み |
---|---|---|
40mm | 250mm | 5mm |
素材
- シルバー925
永遠の藍染。
全長 | 幅 | 厚み |
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40mm | 250mm | 5mm |
全長 | 幅 | 厚み |
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40mm | 250mm | 5mm |
日光街道と会津西街道が交わる下今市の要所に、とても気になる建物がありました。ぴたりと閉じられた木戸の中央には茶室のにじり口のような入口があり、よく見ると「OPEN」と書かれた札が下がっています。実はここ、創業1868年の味噌蔵で、現在は県内よりすぐりの味噌や醤油、不動産を取り扱う『日野為商店』。ルーツは滋賀県近江の日野町です。創業150周年を機に2018年7月にコーヒーやスイーツが楽しめる『お休み処 叶』を併設し、10月には試験的に夜の営業を開始。その翌月には酒場として本格的に機能しはじめました。
屋号を染め抜いた半纏でにこやかに迎えてくださったのは店主の内田隆氏。この商店を営む社長の従兄にあたる方で料理からサービスまで担っています。ジャズが静かに流れる店内を見回していると、「そこにトロッコの跡があるでしょう?」。内田さんが指さす先を見てみると、店内の床にトロッコの跡が。当時はトロッコを使って運搬しなければならないほどの生産量だったのでしょう。この他にも、火鉢席を囲むようにして寒さ厳しい冬に着たのであろう熊の毛皮や明治期の荷札、重厚な旅行鞄に番傘など、明治の頃の貴重な生活用品や蔵出し品が並びます。
▶詳細は、NEW GENERATION HOPPING MINAMI AIZU/南会津の一年を密着取材! 春夏秋冬を作家と巡り、若き力を発掘する旅へ。
「店内のリフォームは社長の奥さん(福田暢子氏)と私とでほぼ手作業で仕上げました。このテーブルも手作りなんです」と内田氏。テーブル席にはあらかじめ七輪がセッティングされており、エイヒレにアタリメ、油揚げにアスパラなど、呑兵衛的にはたまらない肴を自分で炙っていただくスタイルです。「エイヒレはマヨネーズに七味をつけて。油揚げはこの再仕込み醤油で食べてみてください。九州系のたまりのように少しトロッとしていて美味しいですよ」。この他、自家製焼き味噌や巾着納豆、しょうが味噌でいただく地元の北野屋商店特製の杉並木ノンボイルこんにゃくなど、素朴だけど食べ飽きず、酒がすすむ肴が揃っています。特に、「叶一(かのーいち)」印の晃山味噌の美味しさは特筆もの。ブレンドやしょうが味噌も、この味噌を使わないと味が決まらないそうです。締めは裁ち蕎麦か温めんを。玉子あんかけにした温かな素麺が、酒を飲んだ胃に優しくすべりおりていきます。
日本人の琴線に触れるラインナップもあってか、客は若いカップルから80代のおじいちゃんまで。その横で、家族と一緒に来たお子さんが甘味に夢中になっていることもあるそうです。メニューもあってないようなもので、店主のきまぐれでまかないの激辛麻婆豆腐を出すこともあれば、「こんなものが食べたい」といったリクエストに応えることも。「とはいえ、特に料理の修業をしたことはないんです。とにかく飲むことが好きで、東京に居た頃は銀座、新橋、赤坂、六本木周辺をうろうろ。調理や盛り付けはそのときに目で見て覚えました(笑)」。日本酒は『渡邊佐平商店』の「清開」をはじめ、開当男山酒造のものを取り扱っています。実は男山酒造の当主は再従兄弟にあたる方だそう。以前は日光・鬼怒川・今市でも気軽に飲めた男山。現在、この地域では数軒の酒屋さんが扱うのみの希少なお酒となっており、ご年配のお客様のなかには「懐かしい」とちびちび飲む方も。内田氏はそんな言葉を聞くのが堪らなく嬉しいのだとか。
現在、店舗と飲食スペースからなる『日野為商店』ですが、味噌を作る工場として使われていた奥は現在使われておらず、覗かせていただくと京都のうなぎの寝床のように奥行きがありました。「ゆくゆくは、奥の10畳を貸し切りの個室として利用して、予約のみ受け付けようかと考えているんです。テーブル席の横にある小上がりはギャラリーとして使えたら。蔵を探っていると、まだまだ貴重なものがたくさん出てきますので」。まるで生き物のように変貌していく時が刻まれた建物と食べ飽きない肴と酒。初めてなのに、こんなに穏やかな気持ちにさせてくれる酒場は、なかなか見つかるものではありません。
住所:栃木県日光市今市473 MAP
電話: 0288-21-0014
定休日:水曜日
営業時間:10:00~17:00、18:00〜22:00
下今市からクルマで20分ほど走った山間地にある小来川。山里の深い緑と清流に包まれたこの一帯は、全国屈指の蕎麦どころでもあります。蕎麦農家も多く、初夏になると畑一面が白い花に包まれ、それは見事だそう。そんな長閑な山里で目を惹くのは、蕎麦処『小来川 山帰来(おころがわ さんきらい)』です。山帰来とは蔓性の落葉低木のこと。ハート型の葉が特徴で、晩秋に真っ赤な実をつけます。花言葉は「休息」「不屈の精神」。その名のとおり、天然鮎が獲れるほど清らかなせせらぎのほとりで蕎麦をいただけば、最高の休息になること請け合いです。
『小来川 山帰来』では、自家栽培した玄そばを別棟で保存し、その日使う分のみを自家製粉しています。手打ちにこだわった蕎麦は十割と二八の2種。存在感のある十割蕎麦をはんなりと上品なつゆにくぐらせて口に運べば、蕎麦の香りがぱっと口中に広がり、鼻腔をも満たします。可憐な薄紫色の辛味大根を使った「辛味大根おろし蕎麦」は、みずみずしい蕎麦の喉越しの後から爽やかな辛味が追いかけてくる一品。日光名物の新鮮な汲み上げゆばの刺身を二八蕎麦の上に乗せ、さらにゆばの天ぷらを乗せた「ゆば蕎麦」も人気です。そんな蕎麦の美味しさを倍増させてくれるのは、山帰来や桜など、山間地の樹木を象嵌の技法で表現した器たち。すべて、益子の陶芸家・佐伯守美氏によるオリジナル作品です。
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オーナーの星野光広さんは、地域資源の活用や野生鳥獣被害対策支援など、街づくりのコンサルタント的会社の代表を務める人物。未来に小来川の集落を残すべく「山帰来プロジェクト」を展開しています。そのコアな活動が、食を通して都心と里山を繋ぐ『小来川 山帰来』なのです。建物や粉挽き棟に使用されているのは、樹齢80年以上の地元の杉。切りだした杉160本をハンドカットし、組み上げたのは、現代ログハウスの神様、アラン・マッキーの薫陶を受けた日本屈指のログビルダーたちです。梁に丸太を使用しているので骨太な印象ですが、漆喰と組み合わせることでしっとりと落ち着いた空間に。「地域活性化を謳った論文や書籍は多いですが、実践してみないと説得力がありませんから」と星野さん。この他、『山帰来』では敷地内にひいた清流で山葵を育て、調理師免許を持つ地元の若者を雇用して蕎麦職人として育成。付近の耕作放棄地約3haで蕎麦を栽培するなど、地域活性化の一端を担っています。
もともとご実家は畜産農家だったという星野さん。周辺の農家が次々に廃業するなか農家に転業。『山帰来』で出している辛味大根もご実家で作っているものです。一方で、大きな悩みも抱えています。「この辺りは鹿が多く、食害が深刻です。対策として電気柵の導入に踏み切りましたが、保持していくにもお金がかかります。しかし、国の補助金が出るのは5年間だけ。ですから、ゆくゆくは自立した形で鳥獣対策ができるよう自分達で炭を作り、商品化のうえ販売を考えているんです」。店からクルマで5分ほどいった山のふもとに手造りの素朴な炭焼き小屋がありました。一帯に只ひとり炭を焼くことができる方がいたそうで、みんなで炭焼きを教わったそうです。試験的に焼いたというさまざまな樹種の炭を打ちならしてみると、キンと澄んだ音が響きました。「庭の手入れが出来ないと嘆いている高齢者の方も多いので、そんな方々のお手伝いをする代わりに、炭の材料になる枝をいただくような仕組みも考えているところです」。先人の知恵を継承し、活用先や調達先を自分達で作りだせば、無駄のないサイクルが生まれる――。星野さんが考える地元の再生は、あくまで自立が基本です。
今回、店内を取材させていただくなかで真っ先に目についたのは、温かな炎が揺れる薪ストーブでした。その話をすると、「では次は薪を切るところをご覧になりますか?」と星野さん。先の炭焼き小屋とは違う方角にクルマを走らせること数分。ついた先には大ぶりの丸太がごろごろと転がっています。「この辺りの間伐材を薪にしているんです。毎日、相当量を使いますので、とても買ってなんていられません。薪を割るのも自分達です(笑)。チェーンソーを使うところなんて、なかなか見る機会はないでしょう?」。刃に詰まったチェーンソーオイルを取り除き、混合燃料を注入してスイッチを入れれば、青空に勢いよくブルン、ブルン、チュイィィィンという音が響きます。大地に種をまき、採れた実から蕎麦を作る。それに付随する作業も全て自分達で行う。その知識を身につけている星野さんを見ていると、こういうことが真に豊かということでは?と思えてなりません。
住所:栃木県日光市 南小来川395-1 MAP
電話: 0288-63-2121
定休日:火曜日
営業時間:11:00~15:00
山帰来 HP:http://www.t-upc.com/sankirai/
冬の寒さが厳しい今市はスケートをはじめウインタースポーツが盛んな街。市街にある今市青少年スポーツセンターにはスケートリンクが併設されています。そのほど近く、畑沿いの未舗装路の先に、口コミでじわじわ人気を集めている『GRYPH』というイタリアンカフェがあります。靴を脱いで店内に入ると広い窓の向こうに雑木林が広がっており、思わず深呼吸したくなるほど。荻窪でレストランを経営しながら、縁もゆかりもなかったこの地に2店舗目をオープンさせたのはオーナーの渡辺圭太氏。1年前のオープン当初は日曜のみの営業でしたが、少しずつ体制が整い、現在は日、月、火の営業となっています。
「僕は茨城の出身で、日光には小学生の頃に修学旅行で来たことがあるぐらい。ところが大人になってきてみたらなぜかこの辺りが好きになってしまって、年に数度は訪れていたんですね。一方、荻窪のお店が落ち着いて余裕が出来てきたので、今後どうしようかなと思っていたタイミングで、もともと蕎麦屋だったという安くていい感じの物件を見つけたんです。すぐに電話して、次の日に見に行き、1週間後には契約していました」。とにかく即断即決の渡辺さん。見た瞬間、ウッドデッキを作りたいなあと、カウンター、エントランス、バードウォッチング用の櫓まで自分たちで作ってしまいました。荻窪のお店も築60年の古民家を仲間と一緒にリノベーションしたそうです。
「もともと飲食関係の仕事をしようと思っていた訳じゃないんです。学生時代に教員免許を取ったんですけど、卒業してもまだ“人様の子供を預かる”ということがピンとこなくて。子供の頃から絵が好きだったので、一度きちんと絵の勉強をしないと後々悔いが残るなと思って美術大学に入りなおしたんです。学費のためにアルバイトをしたのが飲食店で、美大を卒業してもまだ先生って気になれなかったのと、物件を紹介してもらったタイミングが重なって、独立しちゃいました。教員免許を3つ持っているので、まだ先生になることを諦めたわけではないんですけど(笑)」。
▶詳細は、NEW GENERATION HOPPING MINAMI AIZU/南会津の一年を密着取材! 春夏秋冬を作家と巡り、若き力を発掘する旅へ。
そんな渡辺氏が手がける料理はほっこり和めるイタリアン。現在はランチのみの営業で、ディナーは予約のみ受け付けています。ランチ時に供される大ぶりの前菜プレートにはさつまいものポタージュや白モツのトマト煮込み、キノコのマリネなど季節によって変わる7種ほどの前菜が盛り込まれており、ボリュームたっぷり。メインはお肉や魚、パスタなど5種ほどから選べるようになっています。使う野菜は地野菜をメインに、荻窪店で出している爽やかな辛みのルッコラなど武蔵野野菜も。逆にこの地で購入したものを荻窪でも出しているそうで、渡辺さんの2拠点生活を媒介に小さな循環が生まれています。
実は渡辺氏、今年の夏にはここでキャンプ場を開く予定なのだとか。「この物件を借りようと思った動機の50%は森もついてくるということ。物件を見に来た時、アウトドアウエディングを企画している仲間のことが思い浮かんで、この広い敷地を使えば何かしらできるかなと思ったんです。まずは1日1組限定で、キャンプ場とレストランと隣の小屋を使いたい放題のプランを作る予定です」。自分達で整備したというキャンプ場は直火が使えるため、薪が爆ぜる音を聞きながらお酒を飲むといった贅沢な時間を過ごすこともできます。さらにキャンプ場以外の事業も進行中なのだとか。「デザインの仕事も少しずつ始めていまして。うちのスタッフにパンやお菓子を作れる子がいるので、別のスタッフを知り合いのデザイナーのところに派遣して、勉強してもらっています。ゆくゆくは自社パッケージのお菓子を作れたらと」。
レストランも、キャンプ場も、デザインも。3つの事業を擁するとなるととても大変な印象ですが、渡辺氏にはそんながむしゃら感を感じません。「レストランだからとか、キャンプ場だからという風にジャンルで分けて考えたくなくて、人が生活する上でこれがあるといいなという事業を作っていきたいと思っているんです。自治会長も『まさか、東京から若い男がやってきて、店を開くなんて思いもしなかった。よく、こんな40世帯しかない田舎に店を出してくれた』と喜んでくださって」。自治会長からは、店の目の前に広がる大豆畑にも「来年は好きなものを植えていいよ」と言ってもらっているそうです。
この店で働く3人のスタッフも地元の方。渡辺氏が必然的に雇用を作りだしたことになります。「最初からここに興味を持ってくれて、一緒にお店作りをしてくださる方って募集したんです。ウッドデッキとかもみんなで作って、半分みなさんの店にしてくださいって。何千万円もかけられる予算もないし、僕にはそれしかやり方がありませんから」。商売に関してあまり貪欲ではなく、常にニュートラルな渡辺氏。最後に店名に込めた意味を聞いてみました。「GLYPHって“絵文字”という意味なんです。まだ文字がなかったころ、ラスコーの洞窟とかに残されている絵文字を最初に描いた人って、描かずにはいられなかったってことじゃないですか。僕もそういう純粋な気持ちで仕事をしていけたらと思っているんです」。
住所:栃木県日光市根室105 MAP
電話: 03-6383-5448(予約は荻窪店にて)
営業日:日曜・月曜・火曜 11:30〜L.O.14:30
今市地区の中心に位置する「道の駅 日光」。その裏手にある玉藻小路はドーナツ屋や花屋が居並ぶ味わい深い小路です。その最深部にあって、多くの人を惹きつけてやまないのが『日光珈琲 玉藻小路』です。木製サッシの窓から毀れる光、ノスタルジックな調度、穏やかな空間に流れるコーヒーの香り……オープンと同時に店内はこの空間を愛してやまない人々で満たされます。
この場所に惹かれ、自ら改装を手掛けたのは、県内で5店舗の『日光珈琲』を運営する風間教司氏。「僕は隣町の鹿沼出身なんですけど、今市に叔父がいて、ちょこちょこ遊びにきていたんです。昔は、ちょうど今お店がある裏手が飲み屋街で、子供心に『ここは大人の場所だ』と思っていました。その後、お店を1軒作ったあたりで、叔父から『あそこを駐車場にするために買ったから、建物を解体しようと思う。ついては建具やテーブルで欲しいものはあるか?』と連絡があったんです。その時、初めて中を見たんですけど、まるでお化け屋敷(笑)。どうやら昔は連れ込み宿だったらしい、なんてことを聞きながら辺りを物色していると、欄間にちょっとした飾りがついていたりして面白いんですよね。気が付いたら叔父に、『このまま貸してくれない?』と言っていました。それまで、もう1軒店を出すつもりもなければ、お金もなかったんですけど」
この日から3年間に及ぶセルフリノベーションが始まります。休日を使って埃を落とし、古い壁紙をはがし、床を張り替え……。「精神的にも肉体的にもしんどい時期はありましたが、発見のワクワク感が勝りました。例えば、ボロボロになった壁紙をはがすとその下から明治時代の荷札が出てきたりするんです。それが滋賀から日光へ届いた東照宮改修の道具だったりして」。そもそも今市は日光へ向かう日光街道、会津に至る会津西街道、中山道と繋がる日光例弊使街道と3つの街道が交わる交通の要所です。「今市は多くの旅人が交流を深めた宿場町。いろんな文化が融合してきた歴史を持っています。ですからここにもう一度、いろんな人が集い、交流する場所が作れたらという思いが芽生えてきたんです」
▶詳細は、NEW GENERATION HOPPING MINAMI AIZU/南会津の一年を密着取材! 春夏秋冬を作家と巡り、若き力を発掘する旅へ。
風間氏がこのお店を開いてから、次々に新しいコミュニティーが生まれています。「この小路にお店を出しているのは、別の場所でお店をやっていて、『2軒目を出すなら玉藻小路で』と言ってくれた元々の知り合いが多いんです。向かいの2階では僕より若い男の子がゲストハウスをやっていて、気付いたらウチのスタッフと仲良くなって、結婚していました(笑)。この場所がきっかけで、あとは自然発生的に繋がっていく。そういうのが面白いじゃないですか」
この日、店内奥の小部屋には「KENTA STORE」と書かれた黒板がさがっていました。なかには鹿児島の生醤油を使ったパスタソースや九州産の丸大豆を使った大豆バターなどが売られています。なぜ、栃木で鹿児島なのでしょう? 「この出張ストアを運営するヤマシタケンタさんは鹿児島の離島から鹿児島の美味しいものを発信している人。たまたまコミュニティーが広がっていく中で知りあいました。もちろんセレクトもいいし、人もいい。何より今市で鹿児島のものっていうのが面白いでしょう? 宿場ってもともとそういう機能があったのかなと思うし、現代においてもそういう部分を残していきたいんです」
▶詳細は、山下商店/食べたら島に行きたくなる、豆腐屋のバターとは。
目に見えるものも、見えないものも。今市が持つ歴史に目を向け、現代に残すべく尽力する風間氏ですが、その肩書は珈琲焙煎士。「高校生の頃から喫茶店に行くのが好きだったんです。年齢も職業も違う人同士が趣味の話で盛り上がっている。そういう話ができるのが大人だなって。その後、バックパッカーとして世界を回るなか、どの国にもカフェがあって、人が集って、情報拠点にもなっている。カフェって世界中で親しまれる場所なんだなと改めて思ったんです。大学卒業後は普通に就職したんですけど、面白くなくてやめてしまって。大学まで出してもらった親の手前、バイトばかりもしてられないし、自分で店を持てば冷たい目をむけられないですむかなと地元で喫茶店を始めたんです。最初はどこかで修行するでもなく、ただ買ってきた豆でコーヒーを入れていました。そうすると、味にうるさいおじさま方が色々と教えてくださるんです」
コーヒーに夢中になっていくなか、風間氏はあるブログと出会います。「コーヒーについて書かれたその人の文章がいちいちすっと腑に落ちるんです。『一度会ってみたい』と思って軽井沢まで会いに行くと、『そんなに色々考えているなら自分で焙煎してみたら?』と。それから、休日は軽井沢に通い始めました。コーヒーってワインと同じで、作り手によっても、ブレンドによっても味が変わるんです。そうすると、これは男体山のイメージだなとか、自分なりの味が出来てくるわけです」。時を経て、自分で焙煎した豆を「日光珈琲」というブランドにしようと決めた風間さん。今でもその師匠とはいい関係が続いています。
ブランドを作る──。大きな決意を胸に、向かった先は男体山でした。「日光といえば男体山。だったら自分で焙煎したコーヒーを頂上で飲んでみようと、男体山の水を詰めたペットボトルと豆と道具を持って男体山に登ったんです。そこで味わったコーヒーが本当に美味しくて。でも地上に降りてくると、そこまでではないんですよね。あれは何だったんだろう?と考えるうちに、標高で沸点が変わること、使った道具に起因していることに思い至るわけです」。一度気になったら研究を重ねずにはいられない性分は、メニュー開発にも及びます。「スープカレーを出そうと思った時は札幌に1週間滞在して50軒ほどスープカレーを食べ歩きました。先日はクラフトビールの醸造を学ぶため岩手まで。スタッフにはよく、『また社長は思いつきでどこかへ行って』って言われるんですけどね(笑)」。そんな日光珈琲のスタッフは半分が県外出身。栃木に面白い業態のカフェがあると聞きつけ、近県からこの地に移住してくるそうです。
今年11月、風間氏の新たな挑戦が始まります。「ありがたいことにお話をいただいて、日光に2軒ほどお店を出す予定です。そのひとつが甘味とお茶のお店。コーヒーをやっている人間からみた日本茶ということで、ブレンドも考えてみたいですね。違う分野のものが合わさった時にどんな化学反応が起きるかと考えるとワクワクします」順風満帆にみえる風間さんですが、全てが成功しているわけではないとおっしゃいます。「実は昨年、京都にお店を出す話があったんですけど、最終的にまとまらなかったんです。これはまだまだ地元の掘り下げが足りないということなのかなと。自分が出来る範囲は限られていますし、全てが叶う場所も存在しない。だったら僕が作るカフェが、人と場所を繋げるコネクターとして機能すればいいのかなと思っています」
住所:栃木県日光市今市754 MAP
電話: 0288-22-7242
営業時間:11:30〜20:00(LO./19:30)
定休日:月曜、第1.3火曜(祝日の際は翌日休み)
日光珈琲 HP:http://nikko-coffee.com/cafe