菊地成孔が体験する「食べるシャンパン。」 マリアージュのアプローチは「選曲」とも通じ合う。[NEW PAIRING OF CHAMPAGNE・アルドアック/東京都渋谷区]

カウンターを挟んで向き合う菊地成孔氏(右)と『アルドアック』酒井 涼氏。 

アルドアック×菊地成孔「食べるシャンパン。」料理とともにあるメゾンのスタイルを体現する試み。

『テタンジェ』を、料理とのペアリングで、ワンランク上の味わいに。「食べるシャンパン。」を検証すべく、代々木八幡のスペイン料理店『アルドアック』の酒井 涼氏に「コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン」に合う一品を提案してもらいました。この特別なマリアージュを体験するのは、音楽家であり作家の菊地成孔氏。ジャズミュージシャンとしての音楽活動に軸足を置きつつ、演奏、著述だけに止まらない多彩な活動を展開。食とお酒についても造詣が深く、無類のグルマンとしても知られています。

『テタンジェ』は、創業以来、ワインとガストロノミーに力を注いできたシャンパーニュメゾン。高品質な料理に対する深い理解と情熱をもとにそのスタイルが確立され、今に至るまで受け継がれています。「コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン」は、そんな同社の至宝ともいえるトップキュヴェ。フレッシュで洗練された果実味、熟した果実の香り。滑らかで、生き生きとした躍動感があり、グレープフルーツとスパイスのニュアンスを感じる洗練された味わいは、料理と合わせることで、おいしさが何倍にも増幅します。それが「食べるシャンパン。」たる所以。

『アルドアック』は、スペイン各地の伝統と日本の四季を盛り込んだガストロノミックな料理を楽しめるカウンター・スパニッシュ。コース料理に合わせたワインペアリングにも定評があります。料理とワインサービスを一人でこなすシェフと、音楽を軸にジャンル越境的表現活動を続けるミュージシャン。プレステージ・シャンパーニュの味わいを巡って、料理とお酒、お酒と音の話が白熱します。

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「鮎のピンチョス モホ・ベルデソース」。パクチーを使ったモホ・ベルデソースのほか、シェリーが香る肝のソース、鮎魚醤のソースを添えて。

普段からシャンパーニュに親しんでいる菊地氏。テイスティングコメントも明解。

オープンキッチンで腕を振るう酒井シェフ。

フィレは皮目をパリッと香ばしくソテーに。

ソテー、トウモロコシ粉を使った軽いフリット、頭の素揚げと、一尾丸ごとを、異なる仕立てで。

あさりダシで炊いた新たまねぎ、クレソンの新芽などを重ねて味を構築。

盛り付けは、新緑から徐々に緑が濃くなる初夏の風景をイメージ。フィレのソテーは、スパイシーなバナナブレッドを重ねてピンチョススタイルで。

菊地氏の「音と酒のマリアージュ論」に興味深く耳を傾ける酒井氏。

アルドアック×菊地成孔いきいきとした味わいから導き出した鮎とハーブソースのひと皿。

「お店で提供するワインはスペインワイン中心ですが、休日に楽しむワインはもっぱらフランスワイン。とりわけシャンパーニュが大好きです」と言う酒井氏。
「コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン」について、「プレステージ・シャンパーニュならではの厚みや複雑さ、ボリューム感はありつつ、グレープフルーツの香りや酸味がフレッシュ。思った以上にいきいきとした味わいだと感じました」と、その印象を語ります。
今回、提案してくれたのは「鮎のピンチョス モホ・ベルデソース」。鮎の身はソテーとフリットに、頭は素揚げに。肝とシェリーのソース、鮎魚醤のソース、そしてパクチーを使った爽やかなモホ・ベルデソースと、3種のソースを添えて仕上げています。

モホ・ベルデソースは、スペインの中でもアフリカ北西岸に浮かぶカナリア諸島に伝わるソース。
「私自身が着目したコント・ド・シャンパーニュの味わいの軸は“いきいきとしたフレッシュさ”。だから、鮎にはあえて炭の香りを付けず、ハーブを使って爽やかな余韻を相乗させました。和食と違い、部位ごとに異なる調理法で、一尾の鮎から味わいのバリエーションを引き出せるのがスペイン料理の強み。鮎のさまざまな調理法も、シャンパーニュの味わいの厚みや複雑さに呼応させています」。

まずは香りを楽しみ、確かめるようにそれぞれの部位を味わう菊地氏。

「コント・ド・シャンパーニュ」と料理のマリアージュに陶然とした表情。

菊地氏は、実は無類の鮎好き。素揚げの頭をうれしそうに手で口へ運ぶ。

「コント・ド・シャンパーニュ」とのマリアージュの感想を語る菊地氏。

アルドアック×菊地成孔食感、旨みの濃淡、香り。立体的なマリアージュの官能。

ライブの終演後は、シャンパーニュでの乾杯が「お約束」。音楽を離れても、シャンパーニュは「生活になくてはならないもの」と話す菊地氏。グラスサービスの行き届いたレストランでは2~3種類を味わい、時に食前、食中、食後までシャンパーニュで通すこともあるほどのシャンパーニュラヴァーだと言います。

「コント・ド・シャンパーニュは、まずこのボトルデザインに惹かれますよね。味わってみると、香りの複雑さ、凝縮感などテタンジェのスタンダード・キュヴェと共通する雰囲気、魅力を持ちながら、さらなる奥行、深みがある。何より驚いたのは、高めの温度でもしっかりとしたキレ、シャープネスがあり、ふくよかさと見事にバランスしていることです」。

テイスティングコメントにも、膨大な経験値と知見がにじみ出ます。
酒井氏が「鮎のピンチョス モホ・ベルデソース」の皿を差し出すと、「毎年、この時期になると自分で鮎ごはんを炊くほどの鮎好きなんですよ」と、表情をほころばせながら告白する菊地氏。ソテーしたフィレの部分から味わった瞬間「ううん、これは旨い!」と、唸るような声をもらしました。

「3つのソースがシャンパーニュとの最高の橋渡し役になっていますね。日本の鮎魚醤は初めて頂きましたが、ニョクマムなどと違って強い旨みがありながら後味が上品。ニンニクやクミンなど香りの強い食材を使ったモホ・ベルデソースも、シャンパーニュを口に含むことでフレッシュさがくっきり際立つ。いやぁ、楽しいひと皿でした」。

鮎の一皿に大満足の表情を見せる菊地氏。味わいの余韻にシャンパーニュを合わせる。

菊地氏の賛辞を控えめな受け答えをしながら、嬉しそうな酒井氏。

菊地氏。ひとつひとつの食材、ソースの香りを真剣に確かめながらマリアージュを楽しんだ。

アルドアック×菊地  成孔限りある時間を、より豊かなものにするための遊び心のある「足し算」。

「部位で異なる食感の繊細さ。凝縮感のある鮎魚醤や肝ソースからハーブソースまで、味わいの幅広いグラデーション。さまざまな要素を含みながら、まとまりがよく、非常に洗練されている。皿のあり様自体が、コント・ド・シャンパーニュというワインに通じるように感じましたね」。
味わいの余韻に浸りながら、菊地氏は話します。

「それは嬉しいですね。マリアージュの理論も大事だけれど、シンプルに“一緒に味わってより美味しかった”という食後感も大事に考えた料理ですから」。
そう話す酒井氏、実はひっそり、プレートも『有田焼 吉右衛門窯』の泡モチーフのものをセレクトしたのだと言います。それを聞いた菊地氏は、大いに納得という表情で言葉を重ねます。

「時は必ず過ぎゆき、終わりが来るけれど、ひと皿を味わう時間がどれだけ楽しいかを重要視する酒井シェフの姿勢には深い共感を覚えます。私も例えばライブで、同じ数曲を聴く時間をより豊かに過ごして頂くために、あれこれ考えるほうなので」と菊地氏は話します。

時に出演するジャズクラブの支配人やソムリエと相談し、プレイする曲と合わせて楽しんで欲しいワインを提案することも。こんな企てができるジャズミュージシャンは、菊地成孔氏を置いてほかにはいないはずです。

「元々、選曲の仕事もしているので、“シチュエーションに相応しい音”というテーマも常に頭の中にある。日本で食事をしていると、イタリアの大衆食堂風の店でオペラが流れていたり、フレンチレストランでちょっといいブルゴーニュを開けようと思ったときにミュゼット(フランスの地方の民族音楽)がかかっていたりで、興が冷めることがままあるんですが(笑)、良いレストランでここぞというグランヴァンを飲む時に、荘厳な交響曲などが流れているとバシッとハマる。国や料理ジャンルといったカテゴリーだけでなく、大衆的でフレンドリーなものか、はたまた高尚なものかという軸もあるわけで、そういう意味でも今日味わったコント・ド・シャンパーニュと鮎の一皿は、自分の頭の中で見事に共鳴し、気持ちを高揚させる組み合わせでした」。

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1963年千葉県生まれ。ジャズミュージシャンとしての活動に軸足を置きながら、選曲家、クラブDJ、映画やテレビドラマの音楽監督と幅広く活動。テレビ、ラジオ番組のナビゲーター、コメンテーターとしても、音楽のみならず映画、服飾、食文化、格闘技とジャンルを超えて独自の視点を貫いた批評、論説で人気を博す。文筆家でもあり、雑誌をはじめ数々のメディアに寄稿。

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