スターシェフが揃い踏み!次々と繰り出される夢の料理に福岡の夜が湧いた![DREAM DUSK/福岡県福岡市]

写真左より、『La Maison de la Nature Goh』福山剛氏、『イチリンハナレ』齋藤宏文氏、『日本料理たかむら』高村宏樹氏、総合プロデューサー・本田直之氏、『初音鮨』中治勝氏、『FARO』能田耕太郎氏、『The SG Club』後閑信吾氏、ビバレッジディレクター・大橋直誉氏、『ザ・ルイガンズ.』ゼネラルマネージャー・水口丈史氏。

ドリームダスク夢に見た料理が、目の前でコースに!

福岡『La Maison de la Nature Goh』による鰻と胡瓜のガスパチョを皮切りに、お次は秋田『日本料理たかむら』の白海老と蕨のすりながしが喉を潤し、胃袋が少し刺激されたところに資生堂『FARO』のジャガイモのスパゲティキャビアのせが美酒とともに追い打ちを……。
仏、和、伊の異なる料理が連鎖していく味わったことのない体験。通常は相まみえることのない名作料理が協奏曲のように抑揚をつけながらコースを組み立てていく不思議。
合わせるのはこちらも既成概念にとらわれない斬新なペアリングばかり。2008年のドンペリでの乾杯に始まり、「Gravner 2007 Bianco Breg」が供されたかと思えば、「而今 純米吟醸」や「即墨老酒」などなど、料理に合わせ話題のレストランプロデューサー・大橋直誉氏が驚きのペアリングンを体験させてくれるのです。

この夢のような料理体験、フーディーがお腹をすかせて夢想でもしているのかと思いきや、すべては現実なのです。

世界を食べ歩くフーディーである本田直之氏が仕掛け人となり、氏が“名店をはしごできたら”という夢のような願望をひとつのコースとして実現してしまったのです。もともとは、本田氏とリゾートホテル『ザ・ルイガンズ.』のゼネラルマネージャー・水口丈史氏が「なにか一緒にできたら、いいね」というところから始まったという同イベント。であるなら、これまでにない食のイベントであり、海を前にした抜群のロケーションや立地を持つ『ザ・ルイガンズ.』だからこそ出来ることを。そんなどこにもないイベントとして産声を上げたといいます。毎年、発売するとまたたく間にソールドアウトしてしまうという、食の祭典“DREAM DUSK”。

福岡きってのリゾートホテル『ザ・ルイガンズ.』で催された令和初、第4回の“DREAM DUSK”を、ONESTORYでは編集部自らが体験し、その感動とともにレポートをお届けしたいと思います。

「横山さんの鰻と胡瓜のガスパチョ」。

ドリームチームの空気を盛り上げるムードメーカー。『La Maison de la Nature Goh』の福山剛氏。

「白海老に蕨擂りをのせて」。

チームの兄貴分的な存在。『日本料理たかむら』の高村宏樹氏。

「魚醤風味のジャガイモのスパゲティ キャビア載せ」。

ミラノ仕込み、緩急自在の独創的なアイデアで他を驚かせる『FARO』の能田耕太郎氏。

ドリームダスク終盤は幸福感と寂しさが織り交ざり、独特な熱気を帯びた。

6月初旬、福岡きってのリゾートホテル『ザ・ルイガンズ.』で催された食の祭典“DREAM DUSK”。前段では、そのさわりを紹介させていただいたのですが、夢ではないと書いたのは間違いかもしれません。そう、総合プロデューサーである本田直之氏が夢の料理体験を具現化したのですから、夢を現実にした食イベントといって差し支えないのです。

ミシュラン星付きレストランを始め、某グルメサイトで全国トップクラスに名を連ねる有名店、半年先まで予約困難な人気店まで、日本屈指の5名の料理人が一堂に介し、ひとつのコースを組み立てていくのです。

『La Maison de la Nature Goh』の福山剛氏、『日本料理たかむら』の高村宏樹氏、『FARO』の能田耕太郎氏と、出だしの3品を供した料理人の名を聞いただけでも、食にうるさい読者であるならば、このドリームチームは推して知るべしでしょう。
さらには鮨の名店・蒲田『初音鮨』の中治勝氏と、中華の概念を覆す『イチリンハナレ』の齋藤宏文氏。仏・和・伊のほか鮨に中華というジャンル違いのシェフで構成されたドリームチームが食膳を彩るのです。
さらにビバレッジディレクターとして大橋直誉氏がペアリングのドリンクを統括する他、World's 50 best bars Asia's 50 best barsにおいて上位に名を連ねるバーを複数展開する『The SG Club』の後閑信吾氏によるスペシャルカクテルや『而今』の蔵元杜氏・大西唯克氏による特別な日本酒の提供など、飲み物までが緻密な計算のもと、驚きと感動をもたらす構成に。

ちなみにコース中盤、『イチリンハナレ』齋藤氏によるよだれ鶏は、なんと三変化で提供。まずは四川ベースの辣の効いた蒸し鶏を味わったあとに、残ったタレに熱々の焼餃子を投入。仕上げには中華麺を絡め四川の真髄を楽しませてくれるのです。さらに続く『初音鮨』では謹製の本鮪三種丼が供され、大将の中治氏自らが壇上でシャリきりのパフォーマンスも披露。そのどれもがスペシャリテのような存在感を放ちながらも、コースの流れを意識する抑揚やボリュームは、まさに一流シェフの共演だからこそ成せる技なのかもしれません。

コースは折り返しを過ぎてもなお続く、怒涛のスペシャル料理ながら、食べ進むうち、その刹那、ふと寂しささえ沸き起こるのです。二度と巡り合うことのない、夢のコース。お腹が満たされ、幸福感に浸りながらも、今後この5人が再びキッチンを共有し、再び料理を供することは不可能に近いと気づいてしまったのです。

それほどまでに料理人、空間、食材、さらにはスタッフやゲストが一体となり、この幸せな時間は生み出されていたのです。150人前以上の料理を滞りなく供する厨房での連携然り、本田氏や各シェフによるトーク然り、それを盛り上げながらも次の料理を温かく心待ちにするゲスト然り、会場全体が熱気を帯びながらもある種、独特な仲間意識が芽生えていたのです。

満腹かつほろ酔い、そのすべてがスペシャルな料理とドリンクで構成された、幸福感に満たされた夜。日本各地から訪れたゲストたちは、食のイベントという範疇だけでははかりきれない体験を共有。そう、夢を具現化した食体験を密かに共にしたことで、背徳感さえ芽生える幸せを共有したのかもしれません。

「よだれ鶏 餃子 山椒麺」。

冷静沈着に物事を分析する『イチリンハナレ』の齋藤宏文氏。

「初音の本鮪三種丼 飯尾醸造 富士酢プレミアムのシャリ」。

ドリームチーム最年長のベテラン鮨職人、『初音鮨』の中治勝氏。

『FARO』のシェフパティシエ加藤峰子氏によるデザート「明浜みかんが忘れた色」。

ドリームダスクDREAM DUSKのもうひとつのお楽しみ、スペシャルランチも大盛況!

さらに二夜に渡り繰り広げられた、5人のシェフによる特別コースには続きがありました。ディナーとディナーの間となる2日目ランチには、海を目前にした『ザ・ルイガンズ.』の屋外スペースを使ってのスペシャルランチが用意されていたのです。こちらは一般入場も可能。屋台村感覚で、地元福岡の大人気店約10店舗が集結。まさに一気に人気店をハシゴするという、ここだけでしかあり得ない体験を用意していたのです。

『餃子のラスベガス』『三原豆富店』『秀ちゃんラーメン』『ピッツェリア・ダ・ガエターノ』『TADASHI』『藁焼 みかん』『めしや コヤマパーキング』『二◯加屋長介』『清喜』『大重食堂』『スナックアポロ』など、そのどれもが福岡きっての人気店であるのに、当日限りのスペシャル屋台メシを考案し、訪れる人を魅了。気軽に、楽しく、格安で“DREAM DUSK”を体感できる空間を用意していたのです。

はじめて会った者同士でも乾杯し、気軽に盛り上がれる。メインのディナーを供するシェフたちも仕込みの合間を見つけては、ふらりと訪れ、ゲストと交流し、そこかしこで笑い声や写真撮影が行われる。それは食を通して人と人がつながる瞬間。日本を代表するフーディー・本田直之氏による本気の遊び、手を抜かない大人の文化祭は、訪れる誰もを笑顔にしてしまう、そんな究極のランチイベントだったのです。

2日合計、過去最高約600人のゲストで盛り上がった今年度の“DREAM DUSK”。イベント終了後、総合プロデューサーの本田直之氏は自身のSNSにて、こう発表しました。

「同じことを続けるのではなく、常にリセットして、新たな事にチャレンジしていくのが僕の哲学。最高潮のときに最後にして、記憶に残る会にしたい」

そう、来年第5回の“DREAM DUSK”が最終回であることを明言したのです。夢を実現した究極の食イベント。2020年のプラチナチケットは争奪戦になることは必至。我こそは、究極の食いしん坊を自負するならば、この有終の美を見届けて欲しい。

芝生の広場の中に特設の屋台村が出現したランチ会場。

福岡を代表する人気店が一堂に集いランチメニューを提供。

焼き立てをすぐに提供してくれる、餃子のラスベガスにも行列が。

総合プロデューサーであり、イベントの仕掛け人・本田直之氏。

日米のベンチャー企業への投資育成事業を行いながら、年の5ヶ月をハワイ、3ヶ月を東京、2ヶ月を日本の地域、2ヶ月をヨーロッパを中心にオセアニア・アジア等の国々を旅し、仕事と遊びの垣根のないライフスタイルを送る。これまで訪れた国は61ヶ国220都市を超える。
毎日のように屋台・B級から三ツ星レストランまでの食を極め、著名シェフのコラボディナーなどのプロデュースも手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエでもある。
著書は累計300万部を突破し、韓国・台湾・香港・中国で翻訳版も発売。

1963年 東京蒲田に生まれる。
1984年 東京銀座の日本料理店に入社し5年で「煮方」まで昇格。
1994年 家業であった蒲田 初音鮨の4代目親方に就任。
2007年 女将の病をきっかけに、今までの献立を一新しカウンター8席、握りのみのコースの提供を開始。
2008年 ミシュラン東京の創刊で2つ星を獲得、以降11年連続で獲得中。
2015年 食べログ評価点数で全国2位に。
2018年 女将の病が再発し無期限休業に。
2019年 新生、蒲田 初音鮨を再開。8席のみのカウンターで全身全霊を込め鮨の感動体験を提供中。

1971年生まれ、47歳。高校卒業後、江戸料理の老舗・東京目白太古八にて修行し24歳で板長に。28歳で秋田にて独立。今年で20年。
食べログ2018,2019年、2年連続ゴールド受賞。
2017年農林水産省料理マスターズブロンズ受賞。
JR東日本トランスイート四季島にて料理担当。

1976年 静岡県に生まれる。
2008年 赤坂四川飯店にて12年修行後、株式会社ウェイブズ勤務。
2016年 総料理長に就任。
2013年3月 築地「東京チャイニーズ一凛」店主に就任。
2017年4月 鎌倉に一凛の離れである「イチリンハナレ」を開店に至る。

1999年に渡伊。2007年までイタリアの名店で修業を積み、その後、現地でシェフとして活躍。2013年、「ノーマ」(コペンハーゲン)など最高峰の北欧料理店での研修を経て再びイタリアへ。自身が共同経営するローマの「bistrot64」では、ネオビストロのスタイルで人気を支える。2016年11月『ミシュランガイド・イタリア 2017』 にて二度目の一ツ星を獲得。イタリア料理のシェフとして二度の評価を得るに至った初の日本人となる。2017年には「テイスト・ザ・ワールド(アブダビ)」の最終コンペティションにローマ代表として出場し優勝。「ファロ」では、風情や旬を大切にする日本文化の中、イタリアで培ってきたことを東京・銀座で発揮し、自身の感性とチーム力で“お客さまが楽しむレストラン”を創り上げていく。

1971年 2月26日生まれ。
1989年 高校卒業後 地元フランス料理店に就職。
2002年 福岡 西中洲「La Maison de la Nature Goh」開店。
2016,2018,2019年 アジアベストレストラン50 入賞。