「五感」と「出会い」のミュージアム。[大分県立美術館/大分県大分市]

夜の闇に浮かぶ大分県立美術館。切子細工や寄木細工を連想させる木材のスクリーンが印象的だ。©Hiroyuki Hirai

大分県立美術館開かれた空間が内包する大分から芸術を発信する次世代の文化基地。

大分県立美術館は、2015年に開館した新しい美術館です。大分には、芸術の発信地として長らく愛されてきた県立芸術会館がありました。しかし、開館から40年近くが経って老朽化が目立つように。そこで、いわばバトンを引き継ぐかたちで、大分県立美術館が新たに建設される運びになりました。

設計は坂 茂(ばん・しげる)が手掛け、話題になりました。大分県出身の世界的建築家である磯崎 新(いそざき・あらた)に師事し、建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞した気鋭の建築家です。坂は、閉じられた空間になりがちな美術館をもっと多くの人に楽しんでもらいたいと考え、設計に反映しました。そのコンセプトと設計は高く評価され、2015年度JIA日本建築大賞を受賞しています。

1階アトリウム。ガラスを多用し、特に道路側のファサードは開閉可能とし、オープンな外観を実現。道路を挟んで向かいにはiichiko総合文化センターもあり、ともに大分の新しい文化・芸術の発信地を担う。©Hiroyuki Hirai

ミュージアムショップやカフェは、展示室に入場せずとも誰もが日常的に利用できるつくりになっている。©Hiroyuki Hirai

ファサードのスクリーンと同じく、大分県産の木材を使った天井が印象的な3階ホワイエ。幾何学的な模様は別府名産の竹細工のようでもある。©Hiroyuki Hirai

大分県立美術館日本画の巨匠・髙山辰雄をはじめとする約5000点の至宝。

コレクションは、旧県立芸術会館が37年間かけて収集してきた作品や資料を引き継いだものです。その数は約5000点にのぼります。
大分は、江戸時代以降、数多くの美術家を輩出している土地でもあります。南画(文人画)の田能村竹田(たのむら・ちくでん)、日本画の福田平八郎や髙山辰雄、抽象画の宇治山哲平、彫刻の朝倉文夫、そして竹工芸で初の人間国宝になった生野祥雲齋(しょうの・しょううんさい)といった偉大な芸術家が、ここ大分の地から世界に名をとどろかせています。作品はコレクション展をはじめ、国内外の企画展でも紹介され続けています。

さまざまな「出会い」をテーマにした展覧会や事業を通して、大分県民のみならず、日本中、世界中の人々が五感で楽しみ、新たな発見や刺激をもたらす美術館を目指しています。

洋画のコレクション展示室。©Hiroyuki Hirai

エントランス。OPAMのネーミング、シンボルマークデザイン等のデザイン監修は、「コミュニケーションデザイン研究所」の平野敬子、工藤青石が手がけた。©Hiroyuki Hirai

住所: 大分県大分市寿町2-1 MAP
電話: 097-533-4500
開館時間: 10:00~19:00 ※金曜日・土曜日は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
休館日: 原則無休(館内点検等による臨時休館を除く)
観覧料: コレクション展 一般 300(250)円 大学生・高校生 200(150)円
※( )内は20名以上の団体料金
※中学生以下は無料
※高校生は土曜日に観覧する場合は無料
※県内の小学・中学・高校生(これらに準ずる者を含む)とその引率者が教育課程に基づく教育活動として観覧する場合は無料
※学生の方は入場の際、学生証をご提示ください。
※障がい者手帳等をご提示の方とその付添者(1名)は無料
※企画展は別料金
写真提供:大分県立美術館、写真AC
大分県立美術館(OPAM) HP:http://www.opam.jp/