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2019年夏季休業のお知らせ
平素は格別のお引き立てをいただき、厚く御礼申し上げます。
誠に勝手ながら、下記期間を夏季休業とさせていただきます。
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2019年8月11日(日)~15日(木)まで
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※ 2019年8月16日(金)より、通常業務を開始します。
※ 休暇中のお問い合わせにつきましては、2019年8月16日(金)以降に対応させていただきます。
大変ご迷惑をお掛けいたしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
母なる山に導かれて。津軽の人気ハンバーガー店が紡ぐ、奇跡のストーリー。[TSUGARU Le Bon Marché・ユイットデュボワ 八幡崎店/青森県平川市]
津軽ボンマルシェ・ユイットデュボワ材料はほぼ青森県産。毎日でも食べたい「田舎のハンバーガー」。
「『デュボワ』のハンバーガー食べた? めちゃくちゃ旨いよ」。私たち取材班にそう教えてくれたのは、2018年取材した『弘前シードル工房 kimori』の代表・高橋哲史氏。その後、私たちは津軽のあちこちでその店の名前を聞くことになりました。「他にはない味わいにハマった」、「オーナーのこだわりがすごい」。多くの人がそう絶賛するハンバーガーとはいったいどんなものなのでしょうか? 対面すべく向かった先は、弘前市中心部から車で15分ほどの平川市。田んぼが広がるのどかな景色の中、突然こじゃれたカフェが姿を現したのです。
ここ『ユイットデュボワ 八幡崎店』は、弘前市にある『カフェデュボワ 上白銀店』の姉妹店として、2019年2月にオープンしたばかり。青森県産牛100%のパティや青森県産の野菜、弘前市内のパン店に特別に注文したバンズを使用するなど、とことん「青森」にこだわったグルメバーガーの美味しさで、既に根強いファンを持っています。「グルメバーガーといっても、東京の人気店で出すようなリッチなタイプとは違うんです」と話すのは、オーナーの井上信平氏。曰く「目指すのは、僕がアメリカの地方都市に住んでいた頃毎日のように食べていた“田舎のハンバーガー”。シンプルであっさりしているから、もの足りないという人もいます。でもひとつ食べたら『しばらくいいや』と思うようなハンバーガーより、健康的だしホッとできる。食が細い人も、うちのハンバーガーはぺろっと食べてしまいますよ」。
津軽エリア内に2店舗を経営し、地元産食材にこだわる井上氏ですが、生まれも育ちも兵庫県の関西人。実はデザイン事務所の代表を務め、画家という顔も持っています。井上氏がなぜ津軽へ移り住み、活動を続けているのか。その話こそが、今回の記事のドラマチックな主題です。
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津軽ボンマルシェ・ユイットデュボワきっかけは、津軽の情熱的な色彩。夢をかなえるため北国へ。
井上氏が津軽と出合ったきっかけは、意外にも海外での出来事でした。高校卒業後、デザインを学ぶためアメリカに留学した井上氏。当時のアメリカはインターネット黎明期、とにかく色々なものをインターネットで検索するうちに、たまたま見つけた青森ねぶた祭の写真に衝撃を受けたといいます。「こんなにカラフルで独特な色合いが生まれる場所には、いったいどんな文化があるんだろう、いつか住みたいと青森に憧れを持ちました」と井上氏。しかし帰国後は地元企業に就職、結婚し子供にも恵まれ、いつしか年齢は20代後半に。「中学生の頃の夢は人間国宝(笑)。それはまだしも、20歳になってから決めた『青森に住む』という夢さえかなえていない。ふと、それまで何も成し遂げていない自分が嫌になったんです」と井上氏は話します。
そうして井上氏は一念発起し、津軽移住を決意。印刷会社のデザイン部門に就職が決まり、家族で弘前市へやってきた27歳の時、井上氏の人生に影響を及ぼすもうひとつの出合いがありました。「道の駅の駐車場に車を停めて視線を上げたら、大きな岩木山がドーン!と見えて。不思議と『ようこそ』と言われた気がしたんです。その瞬間、自分はずっとこの山に会いたかったんだと確信しました」と井上氏。
苦節8年、ようやく独立しデザイン会社を設立。そんなある日、井上氏は岩木山の絵を描き始めます。時に激しいエネルギーを感じさせる原色で、時に優しげな淡い色調で、自分の中の岩木山を無心に描く……。まるでミューズを見つけたアーティストのように創作意欲を爆発させた井上氏は、やがて岩木山だけを描く画家としても知られるようになります。
津軽ボンマルシェ・ユイットデュボワハンバーガーも絵も自己表現。表現の仕方を津軽が教えてくれた。
「それまではいくら絵を勉強したところで、絵が楽しいとも、自分から描きたいとも思えなかった。でも岩木山を描き始めたら気持ちががらりと変わって、とにかく描きたい時に描きたいだけ、作品を作るようになりました」。そう語る井上氏が、初めてのハンバーガー店『カフェデュボワ』をオープンしたのは2015年、移住から13年目のこと。長年広告デザインの仕事に携わる中、自分が店を経営すれば、より依頼者の気持ちに寄り添うことができると考えたのがその理由です。「例えば八百屋の店主が『旨い野菜を作っても売れない』と悩んでいたら、解決方法を一緒に考えるのがデザインの仕事。だったら自分が毎日食べ歩くほど好きだったハンバーガーでそれをやろうと思って」と井上氏。
デザインの仕事を生かす場として始めたハンバーガー店ですが、店作りの方向性や提供するハンバーガーについては「絵と同じ、自己表現」なのだと井上氏。「おかげさまで今は、絵を買いたいと言ってくださる方がたくさんいます。それって、『僕の捉える岩木山はこうですよ』という表現が、受け入れてもらえているということ。ハンバーガーも、4年も店が続いているのは、『僕はこういう食べものが好きなんです。あなたはどう?』という投げかけに、賛同してくれる人がいるからだと思っています」と続けます。
「津軽に来てわかったのは、感じたことをそのまま表現するのが大切だということ。住みたい所に住めばいいし、絵が描きたいなら描けばいい。なんだか、津軽に来てからすっかりスピリチュアルな感じになっちゃって(笑)。今、僕のライフワーク自体が自己表現なんです」。そう言い切る井上氏。津軽の地と岩木山に導かれ感性を開花させた井上氏には、少しの迷いも見えません。
津軽ボンマルシェ・ユイットデュボワ津軽に暮らし続けたい。その想いが地域貢献につながる。
ライフワーク=自己表現と語る井上氏ですが、その裏には常にひとつのテーマがあります。それが「青森の発展に寄与する」こと。青森県産食材を使うこともそのひとつですが、例えば『デュボワ』の2店舗では、働き口を見つけづらい子育て中の母親を積極的に採用。子持ちスタッフが多いことを考慮して夜営業は予約のみで受けつけるなど、働きやすい環境を整えています。また代表を務めるデザイン会社は、若手クリエイターの受け皿に。「働く場所があれば他県への人口流出も防げますし、県外からの移住者を助けることもできる。経営規模を大きくすることが、自分ができる地域貢献だと思います」と井上氏。
2019年『ユイットデュボワ 八幡崎店』を郊外の平川市に作ったのは、自身が弘前市から平川市に引っ越したことがきっかけ。もともと近所同士のつながりが非常に強い地域のため、「若い人を含め、もっと人が行き交える場所を」と2号店の出店を決意したそうです。オープン時には地元の人たちを招待し、今ではハンバーガーを楽しみに通う70代の常連客を持つなど、地域に愛される店となってきました。
地域に根差した理由を聞くと、「津軽の人口が減少して街がなくなるようなことになったら、岩木山のそばに住めなくなるじゃないですか」と笑う井上氏。しかし、その根底には、自身の生き方を変えてしまうほど強いエネルギーを持った、津軽への並々ならぬ愛情が感じられます。1枚の青森ねぶた祭の写真から動き出した、井上氏と津軽を巡る物語。画家活動、ハンバーガー店経営、そしてその次は? 岩木山に導かれ、勢いが止まりそうもない井上氏のこと、今後ますます肩書を増やしながら活躍を続けるに違いありません。
(supported by 東日本旅客鉄道株式会社)
住所:青森県平川市八幡崎松枝42-1 MAP
電話:0172-40-2838
ユイットデュボワ 八幡崎店 HP:https://8dubois.com/
住所:青森県弘前市上白銀町1-10 MAP
電話:0172-88-6812
カフェデュボワ 上白銀店 HP:http://dubois-cafe.com/