カウンターでレモンを1杯、が尾道の旅のスタンダードになる?[HOK STAND/広島県尾道市]

商店街の端に突如現れるスタイリッシュな空間。

ホック スタンドレトロな商店街に登場したのは、カフェ? バー?

尾道駅から国宝浄土寺に向かって1.2kmほど続く尾道本通り商店街。尾道市街を東西に貫く、ゆったりとした空気が流れるレトロな雰囲気の街並みです。銭湯や喫茶店、呉服店などが軒を連ねる通り沿いに、黒いファサードが目を引くスタイリッシュな店舗が現れます。ここは、6月30日にオープンした「HOK STAND」。瀬戸内レモンを使ったレモネードが楽しめるレモネードスタンドという、この界隈では珍しいお店です。

店内は、120年前の素材を生かしつつもインダストリアルな空間に。

ホック スタンド地元が誇る食材+デザインの力で街を元気に。

オーナーは尾道出身のグラフィックデザイナー櫻武千彰氏。高校卒業後は専門学校の進学とともに上京し、アパレルブランド「TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.」でデザインを担当するなど幅広く活躍していました。2013年の独立後、東京や横浜を拠点としながら「大好きな尾道で、地元食材とデザインで地元を活性化したい」という思いとともに、尾道にも事務所を構えました。商品ブランディングの相談に乗るなど、東京で見てきたものや経験したことを生かして、街をクリエイティブ面から元気にしようと活動。東京ではレモネードのブームが来ていましたが、「せっかくレモンの産地なのだから、その美味しさを伝える専門店を作ろう」とこのお店をオープン。観光客が尾道のレモンの魅力を知り、街の人も新しい文化を感じられる空間を目指しました。

櫻武氏がパッケージデザインを手がけた商品。他にもロゴデザインなど多数。

ホック スタンド古民家をリノベーション。新旧が交差する温かな空間。

建物は1894年(明治27年)築の古い商店をリノベーション。内装は「ユナイテッドアローズ」などの店舗デザインを手がけるSMALL CLONEの佐々木一也氏が担当しました。柱や梁などもともとの建材を生かしながらも、カウンターにはベルギーの旧邸館で使われていたアンティークパネルを用いるなど和と洋の素材を調和させ、木のぬくもりがありつつ現代的な店舗に仕上げました。

アンティークパネルの裏側を使ったカウンター。明治期の古民家にしっくりくる。

ホック スタンド農家のレモンに込めた想いも余すところなく、大事に搾って。

メニューは実にシンプルで、レモネードの他、コーヒーとビールのみ。ですが、このレモネードこそ櫻武氏が渾身の力を注いだ看板メニューなのです。使っているのは尾道市の向島(むかいしま)や瀬戸田の農家から直接仕入れるノンワックスの瀬戸内レモン。温暖な気候とたっぷりの太陽で育つ瀬戸内レモンは、他の産地のレモンに比べて香りが良く味に丸みがあるのが特徴です。何より、Non-wax (ノンワックス)、Non-GMO(遺伝子組み換えではない)が最大のポイント。その果汁に、複数の砂糖を配合した特製シロップとスパイスを加え、甘みを抑えてレモンの風味を最大限に生かしたオリジナルの味わいに。農家の丁寧な手仕事を大事にし、地場産品に誇りを持ち、その価値を地元の人や全国から訪れる観光客に伝える1杯です。

カップのデザインは櫻武氏が担当。テイクアウトもイートインも可。

ホック スタンドレモンの味とともに、こんなお土産もいかが?

ベーシックな「尾道レモネード」の他、ピリッと生姜が利いた「ジンジャーレモネード」、キウイの角切りが入った「キウイレモネード」など、レモネードにはバリエーションがあります。いずれも炭酸、水、お湯など割り方を選ぶことが可能です。またコーヒーは櫻武氏が東京で実際に飲んで吟味した「ONIBUS COFFEE」の豆を丁寧にハンドドリップで淹れます。

また、カップやショップカードの洗練されたデザインにも櫻武氏のセンスが表れています。スタッフが着用しているエプロンは「DRESSSEN」に特別注文したもの。店内でお土産として販売されています。

レモンの産地で味わう本格的なレモネード。尾道散策のおともや休憩の際に、ぜひ一度味わってみてください。

オーナーが好きな「When life gives you lemons, make lemonade」(災い転じて福となす)の言葉が入ったエプロン。販売も行っている。

住所:広島県尾道市久保1-2-24 MAP
電話:0848-29-9527
営業時間:11:00–17:00 
休日:木曜
料金:尾道レモネード450円、ジンジャーレモネード550円、キウイレモネード550円他
HOK STAND  HP:https://www.hokstand.com/
写真提供:HOK STAND