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グロテスクで魅力的な縄文文化と、神秘的な原始林。アレックス・カーが見た北の温泉地・浅虫の魅力と課題。[DINING OUT AOMORI-ASAMUSHI with LEXUS/青森県青森市]
ダイニングアウト青森浅虫アートと温泉という視点から『DINING OUT』を振り返る。
2019年夏、『DINING OUT AOMORI-ASAMUSHI with LEXUS』が開催されたのは、青森市浅虫温泉。青森といえば三内丸山遺跡に代表される縄文文化から、近代版画の巨匠・棟方志功、現代アートの奈良美智まで、アートの感性が脈々と息づく土地。青森の象徴であるねぶたもそうです。だから今回の『DINING OUT』のテーマは「Journey of Aomori Artistic Soul」。今回、ホスト役を務めた東洋文化研究家のアレックス・カー氏は「このアートの在り方がひとつの鍵になったわけですね。」と語りました。
一方で浅虫温泉は、国内各地の温泉街と同様に、解決すべき課題を多く抱えた街です。『DINING OUT』を通して見えた魅力と課題、それらをどうこれからに活かしていくか。そのビジョンが大切になります。アートと温泉街、その両面から『DINING OUT AOMORI-ASAMUSHI with LEXUS』をアレックス氏に振り返って頂きます。
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ダイニングアウト青森浅虫誰しもの心の奥にある、縄文文化の影響。
実はかつての私は、縄文文化にさほど興味がありませんでした。それは弥生時代以降の繊細で行儀の良い文化と比べ、縄文の遺物が“キレイなもの”ではなかったからかもしれません。しかし最近、その文化になぜか心惹かれるのです。縄文文化は、いびつで、グロテスクで、そして神秘的で、かつ面白さがある。世界最古級の縄文土器が出土する青森を訪れて、その思いはいっそう確かになりました。
人間の歴史の中には、あるとき突然、飛び抜けたデザインが生まれることがあります。円空の木彫り仏、室町の茶碗や江戸時代の書も、安藤忠雄の建築もそうです。コム・デ・ギャルソンも同様です。そこに共通するのは、完成された美ではなく、不完全でアンバランスでグロテスクな美。そのアンバランスを愛でるのは日本人の美しい心であり、その源流は縄文文化に通じるのかもしれません。そのように歴史の中にポロッと生まれて世界を驚かせるアートの源流に縄文文化があるのであれば、その遺跡が生活圏にある青森は、やはりアートの感性を受け継いだ地といえるのではないでしょうか。青森生まれの成田亨が手掛けた「ウルトラマン」の怪獣デザインは、まさにグロテスクで突飛な縄文文化です。
そして私はこの縄文文化の痕跡が、誰しもの心の奥の方にあるものだと思っています。日本文化をひとつの「家」に例えるなら、縄文文化は最奥の部屋にいる座敷童子のようなもの。住んでいる人はなんとなくその存在を意識してはいても、直接的に見たり、考えたりするわけではない。心の片隅で意識しつつ、決して捨ててしまうことができない。それが縄文文化だと思うのです。三内丸山遺跡という素晴らしい遺跡を歩きながら、私はそんなことを考えていました。不気味な土偶からなぜか目が離せなくなるのは、そこに美しさだけでなく、ある種のシンパシーが感じられるからでしょう。
ダイニングアウト青森浅虫大自然の魂を宿した神秘的な巨木の存在。
そんな縄文の流れを汲む文化や原色のアートが目を引く青森にあって、浅虫温泉は少し雰囲気が違います。浅虫温泉を最初に訪れたとき、とくに印象的だったのは巨木です。『DINING OUT』の会場となった陸奥護国寺の裏山を登っていくと、アカマツの巨木があります。何万年も前から人間文化が受け継がれているのと同様、木の文化も同じ年月を受け継がれているのです。その時間の流れを象徴するのが、あのアカマツだったのです。
浅虫温泉に限らず、青森は多くの原始林を抱えた土地です。抱えるほどのマツや原始のままのブナ林があり、それが青森の当たり前の風景になっている。巨木には大自然の魂がありますから、その魅力をもっともっと打ち出しても良い。青森に住んでいる人には当たり前に思えても、都会や海外から来た人には新鮮に映るものがたくさんあります。陸奥湾の魚介だってそうですよね。そこを客観的に捉えて、発信することが、青森のこれからを切り開きます。
だから今回の『DINING OUT』はそのきっかけになるといいですね。東京からやってきたシェフが青森の素材を料理して、同じく遠方からのゲストがそれを味わう。凛とした冷たい空気や美しい星空にも、ゲストは感動していましたね。そういった地域の財産を、もう一度見つめ直すことに繋がるといいですね。
ダイニングアウト青森浅虫浅虫温泉がやがて周遊する街に変わるために。
素晴らしい魅力も持っている浅虫温泉ですが、課題も抱えています。それは観光客の滞在が各旅館内で完結してしまうことで、街を周遊する人口が増えないことです。その問題を端的に表しているのが、海と温泉街を分断する国道4号線です。たしかにかつて道路は経済発展の象徴でした。アクセスが便利なことが観光地の第一条件と考えられていたのですね。しかしその時代は終わりました。現在求められているのは、利便性よりも街そのものの魅力です。そしてその魅力は、街を歩くことでのみ伝わるのです。
たとえば京都の四条通りは車線を減らし歩道を拡張することで賑わいを取り戻しました。東京の銀座や谷中銀座も、歩行者の優遇によって街が活気づいていますね。温泉地でいえば城崎や有馬も成功例でしょう。海外に目を向ければさらに顕著です。スペインは300もの都市で旧市街から自動車をシャットアウトしていますし、イギリスでも同様の試みが急ピッチで進められています。ニューヨークでもブロードウェイのメイン交差点を数年前に閉鎖しました。これにより、マイナスの効果がどれほど出るでしょうか? 近辺までは自動車で十分に行けるのです。目的地の目の前まで自動車で行くのではなく、外縁部に停めて歩いて向かうだけでいい。それにより経済効果もありますし、街の個性も引き立ってきます。
浅虫温泉ならば、国道4号線を閉じて、そこに木を植えれば良い。海沿いの木、その向こうの湯の島。これは浅虫だけの素晴らしい景観になるはずです。あるいは海近くにアートを並べても良いかもしれません。アートと木という財産を持つ青森の温泉地なのですから、その魅力を最大限に伝えることが、この場所の活路です。不可能な話だと思いますか? しかし決して夢物語ではありません。サンフランシスコやシアトルは高速道路を撤去しましたが、目立った問題は報告されていません。幹線道路、産業道路の幻想を一度忘れ、たとえばイベントとして数日間でも周遊する街を生み出してみれば、その効果が見えてくるはずです。
今回の『DINING OUT』は、イベントとしてみれば文句なしの成功を収めました。完成度という点なら過去でベストかもしれません。しかし、本当の成功か否かは、浅虫のこれからにかかっています。この経験を地元の人がどう捉え、どう活かしていくのか。『DINING OUT』はひとつの問いかけです。それに浅虫温泉がどう答えるのか。期待を持って見守っていきたいと思います。
1952年アメリカで生まれ、1964年に初来日。イエール、オックスフォード両大学で日本学と中国学を専攻。1973年に徳島県東祖谷で茅葺き屋根の民家(屋号=ちいおり)を購入し、その後茅の吹き替え等を通して、地域の活性化に取り組む。1977年から京都府亀岡市に在住し、ちいおり有限会社設立。執筆、講演、コンサルティング等を開始。1993年、著書『美しき日本の残像』(新潮社刊)が外国人初の新潮学芸賞を受賞。2005年に徳島県三好市祖谷でNPO法人ちいおりトラストを共同で設立。2014年『ニッポン景観論』(集英社)を執筆。現在は、全国各地で地域活性化のコンサルティングを行っている。