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地銀×地域×自治体。地方創生の未来を拓く、新たな関係性。[DINING OUT AOMORI-ASAMUSHI with LEXUS/青森県青森市]
ダイニングアウト浅虫浅虫温泉で実現したかつてない『DINING OUT』の形。
地域に眠る魅力を掘り起こし、新たな価値を見出す――そんな思いの元、過去15回開催された『DINING OUT』。その音頭を取ったのは地域に根づく企業、あるいは自治体。そこに地元を愛する有志たちが集い、それぞれに魅力を持つ、その土地ならではの『DINING OUT』を開催してきました。
しかし16回目となる青森市浅虫温泉の『DINING OUT AOMORI-ASAMUSHI with LEXUS』は、少し違いました。地域と自治体、住民と地域、それらを繋ぐ橋渡しとして、まず青森の地方銀行の『みちのく銀行』が立ち上がったのです。そして地元の旅館がそこに賛同し、さらに青森市が影から支える。そんなかつてない形で実現したのが、今回の『DINING OUT』だったのです。そしてその成功から、地域創生の在り方、温泉街の活路、これからの地方銀行の重要性が見えてきました。
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ダイニングアウト浅虫町に溶け込む支店長が、銀行の取り組みの象徴。
北の温泉地・浅虫温泉に数日も滞在すると、必ずどこかで目にする人物がいます。地元住民とにこやかに挨拶を交わし、道路のゴミを拾い、日曜でもイベントとあれば真っ先に駆けつける。今回の『DINING OUT』でも率先して雑務をこなしていたその人物こそ、『みちのく銀行 浅虫支店』の支店長・工藤秀樹氏です。「浅虫のことなら、まず工藤さんに聞けば間違いない」地元住民が話すそんな言葉は、決して冗談ではありません。2016年に支店長として浅虫に入って3年、工藤支店長は地元に不可欠な存在になっていたのです。
もちろんそれは、工藤氏の明るい人柄による部分も少なくありません。しかし『みちのく銀行』のなかにあって、そんな工藤氏は決して「変わった人材」ではないのです。工藤氏の前任の浅虫支店長・鶴岡真治氏(現・地域創生部 参与)も、たびたび浅虫を訪れては住民たちと旧友のように語り合います。それはきっと『みちのく銀行』という地方銀行の在り方そのものが、地域とともに歩むことを目指しているから。銀行として資金面だけで地方を支えるのではなく、もっとも根本的な部分である人々の活気や熱意も下支えする。それが今回の『DINING OUT』の原動力となった『みちのく銀行』なのかもしれません。
ダイニングアウト浅虫若き頭取が語る、これからの地方銀行の在り方。
そんな予想を確かめ、そして浅虫での『DINING OUT』の開催の理由を探るため、『みちのく銀行』本店を訪ねました。出迎えてくれたのは若き頭取・藤澤貴之氏。朗らかでユーモアあるその人柄からも、この銀行の在り方が垣間見えます。
浅虫温泉に『DINING OUT』を招聘した理由を尋ねると「銀行はお金を預かり、貸す仕事。しかしそれだけではなく、地域のためにできることをして元気にしていきたいという思いがあります。とくに浅虫支店は90年以上前から続く当行で4番目に古い支店。それだけ長い付き合いのある温泉街が、果たしてこのままで良いのかという問題提起として『DINING OUT』の実現にこぎつけました。“主人公”はあくまでも地元。そこにサポートできることがあるか模索した結果です」との答え。その言葉にも、地元の発展を心から願う姿が垣間見えます。
さらに藤澤氏のそんな思いを、タイミングも後押ししました。「2017年、地域が抱える課題に金融機関のノウハウを活かして望む“地域創生プラットフォーム”を創設しました。ダイニングアウトの話が上がったのは、まさにその頃でした」。そして続けます、「これからの地方銀行の在り方は、もっと地域に入り込み、住民や商売を営む方々と共に街を元気にさせなければいけないと思っています」。
熱意とタイミングにより実現した『DINING OUT』。その結果について「地元の人が当たり前に受け入れていた浅虫の魅力に改めて気づかせてくれたイベントでした。これは外からの知見、目線があってはじめてわかったこと。大きな収穫だと思います。今後は近すぎて見えなかった魅力をどう育て、発信していくか。本番はこれからです」と藤澤氏。さらに「今回の浅虫をひとつのモデルとして、さまざまな場所に広げていきたいと思っています」との展望も語ってくれました。
ダイニングアウト浅虫地方銀行の思いに応える、地元の若き経営者たち。
藤澤氏が語った“タイミング”は、実は『みちのく銀行』内の話だけではありません。もっと広い視野で、青森市に革新のタイミングが訪れていたのです。それは、地方創生の中心となる人たちの若返りでした。藤澤氏が『みちのく銀行』代表取締役頭取となったのは2018年、52歳の頃。同じ頃、浅虫温泉の旅館組合や観光協会も、トップが若い世代に変わりました。さらに2016年に青森市長になった小野寺晃彦氏も現在44歳の若さ。こうして青森市や浅虫温泉の未来は、若い世代へと託されたのです。
2017年には浅虫温泉活性化に向けて浅虫温泉若手経営者の有志が「青森MOSPAプロジェクト」を始動。そこに小野寺市長も加わり、歯車が少しずつ動き始めました。「ピーク時は30万人以上の観光客が訪れ、“東北の熱海”とも呼ばれた浅虫温泉。映画館もあり、芸者さんもたくさんいました。しかし元に戻そうとは思っていません。今あるものを受け入れてどう活用するかを考えていきたい」とは「MOSPAプロジェクト」も主導する『ホテル秋田屋』の代表・佐藤方信氏。同じく「MOSPAプロジェクト」に参加する浅虫温泉辰巳館の戸嶋竜一常務も「当初は明確なビジョンがありませんでしたが、それが少しずつ変わってきました」といいます。
そんな折、『みちのく銀行』から『DINING OUT』を浅虫温泉で実施する話が持ち上がったのです。「最初に(ダイニングアウトの)話が来たのは2年前。当初は“やってみたいけど、お金はどうするの?”という段階でした。そこから毎月会議をして、みちのく銀行がサポートしてくれることとなり、実現に動き出しました」そう振り返る佐藤氏。「板前やサービススタッフが参加して、刺激を得られた。それだけでもやった価値は十分。浅虫の“食”のレベルがぐっと上がると思います」と『DINING OUT』の収穫を語ってくれました。戸嶋氏も「町が一丸となったことが、目に見えない最大の効果」と振り返ります。
地銀が音頭を取り、地域が動き、行政を巻き込んで町が再生する。これは今後、課題を抱える地方の創生におけるモデルケースとなるのかもしれません。