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自然体で料理を創り、自分自身を表現する。津軽の大地で開花した無限大の可能性。[TSUGARU Le Bon Marche・澱と葉/青森県北津軽郡鶴田町]
津軽ボンマルシェ・澱と葉土、蕾、花、水、草、実。エネルギーに満ちた自然を料理に置換。
それは、不思議な時間でした。
「土をつけたまま、お召し上がり下さい」
登場した茗荷のアミューズを見ると確かに土! 促されるまま口にすると、香ばしく炙った茗荷の鮮烈な香りが立ち上りました。シャキシャキの歯触りも快感。皿に塗られた土は各種野菜と魚介のドライパウダーを自家製味噌、米麹と合わせたペーストで、しっかりとした風味が茗荷の個性を際立たせています。ペーストの大地に可憐な彩りを添えているのはオイル漬けにした茗荷の花。
「茗荷は花が咲いてしまうと、普段、私たちが食べている蕾の本体はイガイガな味になってしまいますけど、花そのものは美味しいんです」
静かに、そして、柔らかいトーンで川口潤也氏が語りました。
ここ『澱と葉』は完全予約制で会員もしくは会員の紹介を受けた者だけに門戸を開く「茶寮」。主宰する料理人が川口氏で、お茶とお酒のペアリングを組み込んだ、おまかせコースが今、目の前で展開されています。
「ここにお客様がいらっしゃるのは月に1回、あるかないかですね。現状は知人の方だけって感じです」。これほどまで限定的な営業形態は東京でも稀。弘前から車で30分というのどかな鶴田町で、このスタイルを貫く事実にも驚きます。
町は以前、『ONESTORY』でも紹介した『KOMO』岡詩子氏の拠点。岡氏は『素のままproduct』で行動をともにするパートナーで、川口氏は販売する茶葉のセレクトやお惣菜の制作などを担当しています。
続く碗は卓上でスープを注いで完成。スープは昆布出汁に、大葉を漬け込んだ塩水、食べられる松ぼっくりを浸した塩水も加え、さらに煎茶の香味を移した日本酒で調えたもの。具材にホタテを使っていますが、主役はクレソン、ハルジオン、アザミなどの野草です。苦味や渋味、個性的な香りまで味方につけた清らかな一体感が見事。これまで食べたことがない、繊細でナイーブな美味しさに思わず吐息が漏れます。すると、また静かに川口氏が言いました。
「今朝、ご覧になった、あの風景を描いています」
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津軽ボンマルシェ・澱と葉今日も森の中へ分け入って。自生する“食材”の実力を確かめる。
それは、不思議な時間の始まる数時間前のこと。川口氏の姿は、岩木山麓で営まれる『おぐら農園』にありました。
「ここに来ると元気が貰えます」
そう言って、慣れた様子で畑の奥に広がる自然の森の中へズンズン入っていきます。手には網かご。
「始まるわね、変態クッキング(笑)」。『おぐら農園』の小倉加代子氏もまた、当たり前のように川口氏の背中を見送りました。
「私たちが食材と思えないようなものに目をつけていつも採っていくの。ジュンヤくんは食材ハンターよ」
そう、この森は川口氏にとって食材の宝庫。「安心して食べられる美味しい雑草を求めて、ここに辿り着いた」と優しく微笑みます。『おぐら農園』は農薬不使用でりんごと桃を育てる生産者。りんごも桃ももちろん購入しますが、川口氏にとって、それと同等の魅力が森にはあるのです。
「本当に自由に採らせて下さる。ご夫婦のお人柄も好きで、ありがたいです」
気になった植物は、とりあえず食べてみる。それがいつもの採取法。
「これはアザミ。葉や茎は山菜で食べますけど、今日は花も使ってみようかな」。口に含むと笑顔になります。「花にはやっぱり甘みがあります」。今度はハルジオン。やはり匂いを嗅いで、試食しました。こうして山中を歩き回ること1時間。今日の食材で網かごがいっぱいになってきました。
「料理はいつも食材ありきで考えます。この葉や花がどんなところで咲いているか、それを踏まえて考える。それは生産者が育てる農作物もそう。どういう土壌でどういう気持ちで育てているか、そこを理解しないと料理は創れません」
最後に立ち寄ったのは清水が流れる森の北東。たくさんのクレソンが自生していました。リズミカルに響く水の音、ひんやりと引き締まった初秋の空気、青臭くて懐かしい森の香り。そうして思い出したのです。クレソンのスープを口にして、ありありと甦っていたのは、まさに、この光景でした。
津軽ボンマルシェ・澱と葉無垢だから、気付いたこと。鶴田町だから、できたこと。
清らかな魂。川口氏と出逢って森へ行き、『澱と葉』に戻って料理を振る舞われる間、脳裏でずっと渦巻いていたのは、そんな言葉でした。私利私欲のためではなく、ましてや、料理人としての見栄や名誉、そんなものは遥かに超越して、川口氏は己の道を真っ直ぐに進んでいる。決して奇を衒っているわけではなく、森から受けたインスピレーションに従って、気負うことなく料理に仕立てている。
けれど、興奮するこちらを諌めるように、川口氏は言いました。
「私は料理人じゃないと思っています」
そして、真顔で続けます。
「だって、いろいろな人に合わせてちゃんと料理を出す、それが本当の料理人ですから。私はそういう料理人とはかけ離れたことをしている自覚があります」
青森市で生まれ、八戸市で育った川口氏が料理の道を志した理由は「イタリアの世界遺産を子供の頃に見て、イタリアに行きたいと思ったから(笑)」。東京のイタリアンレストランで働き始めました。しかし、慣れない大都会での新生活はいろいろな意味でストレスになったのでしょう。体調を崩して青森へ一旦、帰ります。今度は先輩の紹介で千葉のレストランへ。そこでも身体を壊してしまいました。
「本当は芸術系の勉強がしたかったんですけど、お金がなくて……ならば喰いっぱぐれないだろうと飲食に行ったというのもあります。そんな理由じゃダメになるに決まっていますよね(笑)」
事態が好転するのは千葉から戻ってすぐ。八戸の人気ビストロ『origo』を手伝い始めたことがきっかけでした。
「本当にお世話になりました。『origo』で料理の技術はもちろん、ワインやサービスに関してもしっかり学ぶことができました」
充実の3年間だったと振り返ります。しかし、そのうちに、「何か違うことにチャレンジしたくなって」独立を考えるようになっていきました。
独立するなら──普通のレストランやワインバーは自分に似合わない。自分らしさとは一体、何か──あれこれ模索する中で、価値観を一にする人に絞って、「私がいる」鶴田町が育んだ食材を提供する『澱と葉』のスタイルに行き着きました。『KOMO』岡氏の「食で表現する人になればいい」という声援にも背中を押されたと言います。
「鶴田町って本当に好き。何より、人があまりいないのが良い(笑)」
そうして『澱と葉』でこの一年とちょっと、料理を創り続けるうちに、「頭の中でいろいろ考えることが好き」な自分を再発見していったのでした。
「考えれば考えるほど、いろいろとやりたいことが湧いてくる。創作の楽しさに目覚めました」
そう聞いて、嬉々として森の草花と触れ合う川口氏の笑顔が思い返されました。
津軽ボンマルシェ・澱と葉環境と人に後押しされて辿り着いた、自由な表現者の境地。
川口氏は今、自分の料理をイベントでも積極的に披露しています。例えば、今年の春に東京で開かれた『食べる美術展 ─拾うと捨てる─』はそのひとつ。岡氏のほか、弘前のドライフラワー作家・草刈英花氏や、様々な“せかい”を食で表現する遠藤麻鈴氏といった若手クリエイターたちとタッグを組んで、循環をテーマに料理を手掛けました。ほかにも鶴田町初のワイナリー『WANOワイナリー』が主催した地元の津軽豚とワインの魅力を発信する野外ビュッフェイベント『ぶどう酒とぶた』でもケータリング料理を提供。川口氏のクリエイションを求めるファンも増え続けているのです。
さぁ、今日のコースも、いよいよメインです。
「主役は小倉さんのりんごです」
りんごの実を巻いた葉は『おぐら農園』の森で採取したサルナシ。じっくりと炭火で蒸し焼きにしています。りんごの枝をかたどった焼き菓子はりんごの皮をオイル漬けにした、そのオイルを練り込んでいます。皮の方は刻んでビネガーと合わせ、ソースに忍ばせました。添えたピュレはりんごの発酵エキス。発酵は「見知った人の違う側面を発見するようで好き」と昨今、多用する調理法のひとつ。本物のりんごの葉も飾られています。皿の上に、『おぐら農園』のりんごがすべて集約された印象。
「ジュンヤくんは将来も楽しみな存在なのよ。あるとき、りんごの枝が欲しいと言われて切り出したら、根元をチューチュー吸ってた(笑)。品種によって異なる枝の味がわかるみたい。そんなこと、凡人にはできないでしょ? 可能性を感じるから応援したくなるのよ」
小倉氏が言っていたように、その可能性は無限大です。そして、自然に恵まれた鶴田町という環境の効能を改めて知るのです。鶴田町があったから、川口潤也という個は、自分と向き合う楽しさを知り、自然体で表現する悦びを覚えた。
「最近、自分のことが少しわかってきたんですけど、自然が大好きなんですよね。中でも最近、心動かされるのは、ポツンとひとつある美学。りんごもそう。1個だけ落ちている、1個だけ木に残っている、そういうカッコ良さに惹かれます。自然界には、そういう光景って、ちょいちょいある」
清らかな魂は鶴田町の自然と暮らす人々からたくさんの栄養を貰い、ナイーブなままで、自由に楽しむ表現者となった。不思議な時間の終わりに、そんなことを思ったのです。
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