ホスト アレックス・カーと巡る輪島塗ツアー。オリジナルの輪島塗に込めた想いを隈研吾が語る。[DINING OUT WAJIMA with LEXUS/石川県輪島市]

『DINING OUT WAJIMA』翌日の輪島塗ツアーのホストを務めた、東洋文化研究家アレックス・カー氏。

ダイニングアウト輪島

日本に眠る伝統的なデザインに最先端のクリエイションを加えて、新しいものづくりをするプロジェクトDESIGNING OUTONESTORYと、雑誌Discover Japan、そして地域に知見のあるクリエイターがチームを組み、地域の文化や自然、歴史などを積極的に取り入れた新しいプロダクトを開発しています。
今回DESIGNING OUT vol.2』の舞台となったのは、石川県輪島市。世界で活躍する建築家の隈研吾氏をプロデューサーに迎え、国の重要無形文化財に指定されている「輪島塗」に新たな風を吹き込むプロジェクトが進行しました。

1年以上の準備・製作期間をかけて、出来あがった6つのオリジナルの輪島塗は、2019105日、6日に開催された『DINING OUT WAJIMA with LEXUS』でお披露目され、隈研吾氏だからできた輪島塗へのアプローチと、その意向をくみプロダクトに挑んだ輪島塗の職人たちの確かな技術に、惜しみない賛辞が贈られました。

さらに、ディナーの翌日には、東洋文化研究家で作家のアレックス・カー氏がツアーホストを務め、輪島塗ツアーを開催。ゲストたちは、江戸時代にその技術が確立した輪島塗の歴史と職人技に触れました。

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ディナー翌日、ゲストの宿の一つでもあった「能登の庄」にてオリエンテーションからツアーはスタート。

ダイニングアウト輪島輪島塗の製造工程を理解し、職人技に触れる。

ツアーは、アレックス・カー氏による輪島塗の説明からスタート。輪島塗の最大の特色は、木地づくりから塗り上げ、加飾までに100以上の工程があるといわれる丁寧な手仕事の積み重ねにあります。その製造過程は、高度に分業化が進んでおり、多くの職人の手から手へとめぐりながら商品が出来あがるわけです。ゲストたちは、パンフレットを見ながら説明を聞き、その流れについて理解を深めていきました。
説明の後は、三つの組に分かれ、それぞれさらに輪島塗を知るためのスポットまで移動しました。

その一つが、今回の「加飾の器」で「呂色」をほどこした輪島塗伝統工芸士の大橋清氏の工房です。「呂色は、多くの専門職人がいるなかで、最後の艶上げの作業です。マットな塗立仕上げに対して、凹凸をなくしてを出す呂色仕上げは、この後に『蒔絵』や『沈金』などの加飾の仕事で、漆と相性のよい金や銀を入れるためにも大切な仕事となってきます」と大橋氏。
呂色では、塗りあげで残った細かい刷毛目を、研ぎ炭を使って平滑にし、毛糸などを使って吹きあげていきます。さらに、最後は手を使って研いでいくのですが、大橋氏は呂色の仕事を実演してみせながら、「手は目の細かいペーパーのようなもの。漆は3050ミクロンの厚さなのですが、この薄い膜を手で感じながら仕事をしています。精密機械を扱うようなものですね。商品に傷をつけると売り物にならないため、とても神経を使います」と説明していました。

さらに、アレックス・カー氏も「呂色師は、艶上げ以外にも、梨地塗りや石目乾漆塗などの変わり塗も手がけます。漆塗りの商品に金、銀をいれて、さらに漆をかける技術は、日本人ならではの感性だと思います」と解説。ゲストたちは、興味深そうに大橋氏の作品を手にとって、熱心に説明に耳を傾けていました。

そしてゲストは、輪島塗の奥深さがわかるもう一つの場所へ。江戸後期から明治期にかけて建てられた「塗師の家」は、全国を行商してまわり、旅先で見聞きした文化や流行を輪島に持ち帰った“塗師文化”を伝えるためのスポット。間口に比べて奥ゆきが深く、シンプルな空間ながら木部には漆が施され、小粋な意匠が随所に盛り込まれています。ゲストたちは、展示されている歴代の漆塗の銘品を眺めたり、今回の『DESIGNING OUT Vol.2』で製作された器の説明を聞いたりしました。

パンフレットを見ながら、いかに輪島塗が多数の工程を経て作られるかを学んだゲスト達。

加飾の工程「呂色」を担当した大橋氏の工房では、ゲスト達の眼の前で一流の技を見せてもらった。

ダイニングアウト輪島輪島に残る「振り売り」の魚や地元米に舌鼓。

ゲスト一同が再び揃ったのは、創建1300年の歴史を持つ古社「重蔵神社」。同神社には、輪島市に現存する最古の漆工芸といわれる「本殿内陣の扉」があります。また、江戸時代初期、輪島塗に輪島の“地の粉”を使うようになった起源の場所であるとも伝えられています。
本殿で祈祷を受けたゲストたちは、境内の庭に出て、輪島の「振り売り」を体験しながらランチとなりました。

「振り売り」とは、江戸時代から輪島に伝わる行商文化で、女性たちが旬の魚介や日用品をリヤカーに積んで、地域に出向いて売り歩きます。「魚いらんかー」「今日はよかったわー(いらないわ)」などと声を掛け合う風景は、昔ながらの伝統。いまでも輪島には10軒の振り売りがあり、リヤカーで行商するところも3軒あるそうです。
この日、「振り売り」で用意されたのは、フグとノドグロの一夜干し、フグの湯引きとヒラマサの刺し身、そして、地元に伝わる米粉と寒天でつくった精進料理「すいぜん」。一夜干しは、ゲストが自らガスコンロを使ってその場で焼きます。輪島産の米を特別にブレンドしたごはんのおにぎりと、味噌汁は、焼きアゴのだしに、ダイコン菜、油揚げ、里芋。
地元感にあふれ、滋味豊かなメニューにゲストの晴れやかな笑顔が弾けました。

輪島の中心地に位置する「重蔵神社」には、最古の輪島塗と伝えられる朱色の扉が飾られている。

「振り売り」のおばちゃん達から魚の干物などの食材を受け取り、特別に作ってくれたみそ汁などと一緒にランチを楽しんだ。

「振り売り」でもらった食材は、卓上で焼きながら食した。

能登の加工品や、醤油など、朝市の雰囲気も味わってもらう為に特別に出店された。

ダイニングアウト輪島デザイニングアウトは第一歩。さらなる発展に期待。

DESIGNING OUT vol.2』のプロデューサーを務めた隈研吾氏に、『DESIGNING OUT vol.2』の感想を聞きました。

今回のDINING OUT WAJIMA with LEXUS』に、2日目に参加されたそうですね。まずは、全体のご感想を教えてください。
「日本の里山は、基本的に人間をすごくリラックスさせてくれる場所です。ですから、会場となった“金蔵の棚田”で食事ができたのは、とても素晴らしい経験でした。もともと日本の食べ物は里山の恵みですから、里山を感じながらの食事は理想的なことです。海外のリゾートホテルなどでは、上手に演出された屋外レストランで食事をしたこともありますが、日本の里山では初めてでした」。

『DESIGNING OUT vol.2』では、プロデューサーとして新たな6つの器を発表されました。
「もともと僕は漆が大好きなんです。日本の工芸はどこも同じなのですが、日本人は謙虚なためプロセスを自慢しません。僕はそれを歯がゆく思っていました。そこで、今回のプロジェクトでは、職人のプロセスの技を見せようと思いました。また、料理は最後の仕上がりだけでなく、食材や手順も大切です。同じように、輪島塗も製品にたどり着くまでのさまざまな“プロセス”が重要となります。普段は見えない輪島塗の出来あがる過程を、一連の食器としてデザインすることで、コースで出される食体験の時間軸と重ね合わせてプレゼンテーションすることができました」。

輪島の職人さんたちも、今回のプロジェクトには期待が大きかったと思います。「今までの輪島塗にはないデザイン、コンセプトだ」という職人さんたちからの声もありました。
「日本の伝統工芸は、とても丁寧な仕事をされているのだけど、ヘタをすると一本調子なところがあると思っています。そこで、絶えず新しい風を吹き入れることが必要なのです。たとえば、大正時代から昭和初期にかけて、柳宗悦、河井寛次郎、濱田庄司らによって提唱された“民藝運動”によって、工芸に新しい風が吹き入れられました。『DESIGNING OUT vol.2』も、現代における同様の刺激になれば、と思いました」。

職人さんをはじめ、輪島の地域の人々へメッセージをお願いします。
「“職人技のプロセス”を見せるというコンセプトで、職人さんたちが、自分の手跡が見えるということを喜んでもらえたら何よりも嬉しいです。職人さんをはじめ輪島の地域の方々には、いまの伝統を保ちながらも、世界に通用する新しい力を備えてほしいと思っています。具体的には、コミュニケーション能力でしょうか。例えば、料理の世界では、世界に伍する人がすでに出てきています。それが、漆芸という職人の世界でも表れてほしいですし、輪島にはその芽が出はじめていると感じました。今回の『DESIGNING OUT vol.2』『DINING OUT WAJIMA with LEXUS』は、そんな取り組みの第一歩だと思うので、これからも発展させてほしいです。僕もまた参加したいと思います」。

『DESIGNING OUT Vol.2』のクリエイティブプロデューサーを務めた隈研吾氏も、自身でデザインした器を確かめながら食事と共に体験した。

この日に購入希望された方には、その場で隈氏がサインを箱に入れてくれるサプライズも。

翌日ツアーのランチ後には、輪島が誇る漆の建築「塗師の家」も見学し、『DESIGNING OUT Vol.2』の器も展示された。

「輪島塗会館」では展示販売会が催され、購入者が続出した。今後もここで販売は継続する。

1952年アメリカで生まれ、1964年に初来日。イエール、オックスフォード両大学で日本学と中国学を専攻。1973年に徳島県東祖谷で茅葺き屋根の民家(屋号=ちいおり)を購入し、その後茅の葺き替え等を通して、地域の活性化に取り組む。1977年から京都府亀岡市に在住し、ちいおり有限会社を設立。執筆、講演、コンサルティング等を開始。1993年、著書『美しき日本の残像』(新潮社刊)が外国人初の新潮学芸賞を受賞。2005年に徳島県三好市祖谷でNPO法人ちいおりトラストを共同で設立。2014年『ニッポン景観論』(集英社)を執筆。現在は、全国各地で地域活性化のコンサルティングを行っている。

コードバン ラウンドジップウォレット

コードバンシリーズにニューアイテム!

  • アイアン初のジップタイプのウォレット
  • 表はコードバン、中は牛革(カーフ)を採用
  • 縫い糸は強度の高いシニュウ糸と呼ばれる動物の腱を細く裂いて糸状にしたものを使っており、少し色が付いた状態です
  • コードバンウォレットシリーズと同様に手縫いで縫い付けしています
  • ジッパーは信頼の高いYKK社製、細かい所ですが引手もコードバンで作ってあります
  • 【IHG-001】とサイズ感は似ていますが小銭入れをなくしあえて厚みが出すぎない作りにしています
  • 555や666などのスリムシルエットのバックポケットにもより入りやすく収まりがよくなっています

サイズスペック

  • 縦 約0cm
  • 横 約0cm
  • マチ(中身は空の状態) 約0cm

コードバン カードケース

コードバンシリーズにニューアイテム!

  • 全パーツコードバンを使用した贅沢なカードケース
  • シャツの胸ポケットなどにも収まるようあえてミニマムな作りにしています
  • 両面のカード入れに加えて更にカードを入れたりお札を折り畳んでいれられるよう間部分にもスペースを設けています
  • 縫い糸は強度の高いシニュウ糸と呼ばれる動物の腱を細く裂いて糸状にしたものを使っており、少し色が付いた状態です
  • コードバンウォレットシリーズと同様に手縫いで縫い付けしています

サイズスペック

  • 縦 約0cm
  • 横 約0cm