南会津に生きる人、それぞれの内なる「時間」に映像表現で挑戦した、トリップムービー第3弾。[南会津ショートフィルム/福島県南会津郡]
南会津ショートフィルム美しい景色とともに紡がれる「人」と「時間」の物語。
四季折々の南会津の姿を、4人の映像作家の作品を通じて表現するプロジェクト「南会津ショートフィルム」。その3作目となる「パラレル タイム ジャーニー」は、南会津の山々が織りなす美しい紅葉の景色とともに紡がれる「時間」──過去・現在・未来──とともに歩む「人」にフォーカスした物語です。指揮を執るのは、子ども向けの番組からミュージックビデオ、ショートフィルムまで、様々な舞台で活躍中の映像作家・大金康平氏。栃木県北部に位置する大田原市で生まれ育ったという大金氏は隣接する福島県について、言葉訛りも近く身近な存在に思っていたといいます。
「今回のお話をいただいた時、元々感じていた親近感は持ち味としつつも、まだ訪れたことのなかった南会津ならではの日常や小さなドラマには敏感でいたいと思いました。敢えて下調べをし過ぎず、旅行のような気分のまま現地に飛び込みました」。取材のための3日間の滞在では、その中で一貫した何かが見つかるかどうかを気にしていたという大金氏。そうして見つけたテーマが「時間」でした。
「南会津には、過去・現在・未来という3軸の、もしくはそれ以上に細分化された沢山の時間が同時に流れていると感じました。例えばそれは、何億光年も昔から今に到達している星の光や、太古から伝わる会津田島の神話、長い年月をかけて育ってきた木々の存在といったものです。それらに敬意を払い、慈しみながら関わりを持つ南会津の人々の中には、それぞれの“時間”が流れていることに気がついたのです。会津田島の神話を表現した太鼓のパフォーマンスに取り組む「田島太鼓 龍巳会」の子供達や、南会津の木々や山々を次世代に伝えたいとする森の案内人、これから一斉に咲く花々の美しさを願い、桜を植える人々──そういった方達の営み、“時間”に立ち会うということは、まさに“パラレルタイムの旅”なのではないかと。この目に見えない時間感覚を映像で伝えられたら、これまでにない新たな南会津の魅力を提案できるのではないかと考えました」。
南会津ショートフィルム自然体な人の営みと向き合い見えた、理想の生き方。
大金氏が制作において大切にしていることは、モチーフは極力平凡で小さく、日常生活で手が届く範囲から面白いことや心動かされるものを探す、ということ。むやみな壮大さや非日常的な演出はとらず、誰もが感じたことがあるような、身近でささやかな体験や想いを具現化することを得意としています。「まだまだ模索中ではありますが、誰でも参加できる“あるある探し”といいますか、馴染みやすさという点はひとつの特徴かもしれません」と大金氏は語ります。
また視覚的に大きな特徴として挙げられるのが、フィルムのような質感や色彩です。フィルムが紡ぎ出す特有の世界観は、人の心の奥底に訴えかける力があると大金氏は考えています。「デジタルが主流の時代でフィルムに“近づける”というと退化的に聞こえるかもしれませんが、そこには数値では表せない色彩がありますし、唯一無二の“情緒”や“懐かしさ”を引き出せる重要なツールであると信じています。今や簡単に扱えないメディアであるからこそその魅力を再認識し、私なりの表現に挑戦していきたいと考えています」。
こうして撮影された「パラレル タイム ジャーニー」は、南会津の人々のありのままの姿や言葉を通じて、過去・現在・未来へと自由に行き来するかのような感覚へ、観る者を誘う作品となりました。
「撮影を通じてたくさんの地元の方にお会いしましたが、年代・性別を問わず共通して感じたのは“今を生き急いでいない”ということでした。“今持っているものに感謝をもって生きること”、“自然の時の流れに身を任せて”など、語る言葉は人により様々ですが、その地で与えられたものに順応する力と、その中で自分らしく生きる・表現する力が絶妙なバランスで両立している、理想の生き方だなと思います」。
作品の主役は当然、南会津の人々ですが、同時に南会津に流れる“時間たち”でもあります。皆が平等に与えられたはずの時間が、南会津ではこんなに色・形の違うものとして多数存在しているという事実は、観光名所として訪れるだけでは気づけないかもしれません。大金氏が表現する南会津の「時」が誘う旅。それを作品を通じて擬似体験すれば、南会津が、そこに生きる人々が、より身近で尊いものに感じられるはずです。
1992年生まれ。栃木県大田原市出身。日本大学藝術学部映画学科監督コース卒業。中学生の時より短編映画づくりに取り組み、大学在学中は役者として演劇芝居も経験。微小なモチーフとノスタルジックな色彩表現を得意とし、NHK/Eテレ『シャキーン!』をはじめ、子ども番組やミュージックビデオ、ショートフィルムの演出・撮影等、幅広く手がける。「映像作家100人 2018 / 2019」選出。
監督・撮影・編集 大金 康平
ドローン 植田 城維
コピーライター 西垣 強司
MA 鈴木 泰憲
音響効果 徳永 綸
プロデューサー 植田 城維
制作 原田 大誠
スチール nasatam
南会津コーディネーター 瀬田 恒夫
<撮影協力>
じね〜んの森ガイド 星 義道
十文字星見台 岸 正一
田島太鼓 龍巳会 渡部 久留美、メンバーのみなさん
サイクルツアー 野田 雅之、藤原 純
福島県立田島高等学校のみなさん
南会津町立桧沢小学校のみなさん
まちなか交流サロン 芳賀沼 順一、ご近所のみなさん
佐藤造林のみなさん
(supported by 東武鉄道)
@adidasfun アディダスファン
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@alaaehsan89 Alaa Ehsan
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