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津軽のりんごに大きな価値を見出し、街の誇りと豊かな食文化を担う醸造酢に。[TSUGARU Le Bon Marché・カネショウ/青森県弘前市]

カネショウ株式会社の4代目・代表取締役社長の櫛引利貞氏。りんごの収穫期は猫の手も借りたいほどの忙しさ。

津軽ボンマルシェ桶屋から味噌醤油の醸造業、そしてりんご酢へ。

岩木山の麓、津軽平野は見渡す限り果てしなく、りんご畑が続きます。車で走っても走っても、広大な敷地に延々とりんごの木々が生い茂り、枝を広げています。カネショウの本社は、りんご畑からも程近い、弘前の郊外にあります。酢の醸造元としては本州最北端。ここで主に造られているのがりんご酢です。

以前「津軽ボンマルシェ」で紹介した「オステリア エノテカ ダ・サスィーノ」の笹森通彰氏は、ここのりんご酢を愛用しています。「お店でカネショウの『アップルヴィネガー』と『バルサミィアップル』を使っています。一般的なワインヴィネガーやバルサミコ酢と比べると少し価格は高いのですが、やはり品質がよいのです。何より顔の見える生産者さんと長く歩んでいきたいという思いがあり、好んで使っています」とのこと。「カネタ玉田酒造」の玉田宏造氏も「おすすめですよ。社長の櫛引さんとはとても仲良くさせてもらっています。人柄が良過ぎて怖いくらい」と笑いながら話します。津軽の食に携わる二人からも支持されるりんご酢とは、一体どんなお酢なのでしょう。

創業100年を超えるカネショウ尾上工場の玄関を上がると、まず目に付いたのが壁際にたくさん積み上げられた古い木桶。聞けば、カネショウの創業者、櫛引勝太郎はかつて桶屋を営んでいたそうです。職人を30人以上抱える大きな事業だったそうで、酒蔵などに木桶を収めていました。しかしやがて木桶産業にも曇りが見え始め、明治後期より醸造業に着目。1912(大正元)年に醸造所を構え、味噌・醤油の製造を開始しました。始めの頃は初代・勝太郎や2代目の長男・忠三が自らリアカーを引いて売り歩くなど、苦労して業績を伸ばしたようです。太平洋戦争後の1949(昭和24)年、櫛引食品工業株式会社を設立。高度経済成長に伴って、味噌、醤油は飛ぶように売れて行きましたが、忠三の長男である元三が3代目社長となった翌年の1973年、オイルショックが起こって売り上げが激減。スーパーマーケットの台頭などもあり、首都圏の大手企業が続々と地方に参入して、経営はさらに悪化しました。周りでも廃業や倒産が続く中、元三は「醤油味噌製造のみでの企業経営の範疇から脱却して、全食品界に眼を向け、そこに活路を見出すべく模索していた」(自著「元三のひとりごと」より)といいます。自分たちが長年培った発酵技術を使って、何か調味料が作れないだろうかと考えた末、津軽の産品といったらりんごであろう、と思い当たります。そこから試行錯誤を繰り返し、りんご酢を造るに至ったのでした。

【関連記事】TSUGARU Le Bon Marché/100年先の地域を創造するために。多彩で奥深い「つながる津軽」発掘プロジェクト!

カネショウ尾上工場。収穫されたりんごの洗浄から発酵、できあがったりんご酢の充填などがこの工場内で行われています。

積み上げられた古い木桶。酒屋が配達用に使っていた通い樽というものだそうです。カネショウを表す「正」の焼印が歴史を物語ります。

津軽ボンマルシェ苦戦の上に完成したりんご酢は、津軽を丸ごと味わえる調味料に。

工場を訪ねた12月はりんごの収穫もそろそろ終わりの頃。最後の仕込みが行われていました。ベルトコンベアーからは大量のりんごが運ばれ、冷たい水の中で洗浄されながら次々と流れていきます。りんごは全て津軽で採れたもぎ取りの完熟りんご。品種を定めず様々な種類がミックスされており、その方が味に複雑味が出て良いのだそうです。
「この作業は年に一度、生のりんごが収穫された今の時期に一気に行います。仕込み方はお酒と一緒。りんごは洗ってすすいで、再度洗いにかけて。少しでも痛んだり、腐ったりしたりんごはスタッフがチェックして取り除きます。発酵にはそんなに影響がないかもしれませんが、腐敗につながるような要因はできる限り取り除くのがうちの方針です」と現社長の櫛引利貞氏。ひとつひとつ手をかけた丁寧な仕事は、カネショウらしさでもあります。

洗浄が終わったりんごは、大きな専用の機械で丸ごとすり下ろします。皮も芯も全て一緒に!
「生のりんごを全部すり下ろして、そのまま発酵させるなんていうやり方は、世界中探してもたぶんうちしかやっていないんじゃないかな」とちょっと誇らしげに話す櫛引氏。カネショウでもりんご酢の発売当初は、一般的な造り方である、りんごジュースを発酵させて造っていましたが、それでは他の大手企業と横並びになってしまい、勝負になりません。りんご酢を主力商品にしても、競合が増えるばかりで苦戦が続きました。この土地だからできること、カネショウの強みは、冷涼な気候の青森で、採れたてのフレッシュなりんごがすぐ手に入ることでした。そうであれば、りんごの新鮮さを活かしてそのまま丸ごと発酵させることはできないか、ジュースとは違うものにならないだろうか…と必死で考え、何度も試作しては失敗を繰り返し、ようやく独自の技術である「すりおろし醸造」にたどり着き、現在のりんご酢が誕生したのでした。

並行して青森県産業技術センターと、すりおろし醸造のりんご酢の効能について、共同研究を始めました。酢は美容と健康に良い、という漠然としたイメージはありましたが、この実験データにより、他のりんご酢と比べても抗腫瘍効果(がんなどを抑える)がとても高いことが分かったのです。
「すりおろしたりんごの皮と実の際の成分が、発酵過程で変化し、抗腫瘍効果のある成分になることが分かりました。1998年にフィンランドで行われた世界食品学会で発表し、大きな価値を得ることできました」

次々と運ばれてくるりんごを洗浄するスタッフ。たくさんのりんごが延々流れてくる様子はなかなか迫力があります。

すり下ろしたりんごはタンクに注いでじっくり低温発酵させます。カネショウのりんご酢は、まずアルコール発酵でりんごのお酒を造り、それをさらに酢酸発酵させて酢にする、昔ながらの天然醸造です。一冬に100トン造るそうです。

津軽ボンマルシェ木樽でじっくり熟成。手間と時間をかけても本物を作ること。

続いて訪ねたのは、まるでワイン蔵かと思うような、オークの木樽がずらりと並ぶ広い倉庫でした。倉庫の周りは田畑が広がり、冬は白鳥がたくさん飛来してくるそうです。カネショウで造られたりんご酢は全て、最終的にこの木樽に詰めて3ヶ月以上ゆっくりと熟成させます。すると木の香りがほのかに移り、ツンとすることがなく、まろやかで奥ゆかしい味わいになるのだそうです。木樽に最初に行き当たったのは、イタリアの醸造酢、バルサミコ酢でした。
「酢のメーカーとして、世界で一番素晴らしい果実酢は?と考えたら、やっぱりバルサミコ酢ではないかと思ったのです。造り方を調べてみると、煮詰めた果汁を樽に詰めて長期熟成していました。そこで、ものは試しと搾ったりんご果汁を濃縮して酢を造り、一つの樽で熟成してみました。数年経って味をみてみるととてもマイルドないい味になっていたのです。正直あまり期待していなかったのですが、ああ、これが正に『酢角が取れる』という味わいなのだなと実感しました。これならりんごでもバルサミコ酢に負けない品質のものが造れるのではないか、と自信が湧いたのです」。
そうして2年間の熟成を経てできあがったのがバルサミコ酢のように濃厚なりんご酢「バルサミィアップル」でした。実際に味見をしてみると、その上品な味わいに驚きます。バルサミコ酢よりやや繊細で柔らかく、ふくよかでまあるい甘みがあります。オリーブオイルと塩を混ぜてパンにつけたり、サラダに和えたりしてもいいし、焼きりんごに添えたアイスクリームにかけても最高ですよ、と櫛引氏は嬉しそうに教えてくれました。

バルサミィアップルはもちろん、そもそも一般的に木樽で数ヶ月も熟成しているりんご酢など前代未聞であり、手間も時間もかかります。しかし、それがカネショウのキモだと、櫛引氏は語ります。
「私たちは手間をかけることが非常に大事だと思っています。大企業にとっては割に合わないことかもしれません。でもそこが私たちの生きる道です。津軽のりんごという圧倒的存在がすぐ近くにある。そのおかげで、私たちは一歩も二歩も先に行ける。そして結果的に良いものづくりができる。今の時代の流れを見ても、世の中が本質的なものを求めていることを感じています。そういう意味でも私たちのやってきたことは間違っていなかったと確信しています」

熟成用の木樽がずらりと並ぶ姿は圧巻。元々はウイスキーに使っていた希少なオーク樽を酒造会社から譲り受け、再利用しています。

試験的に寝かしてあるという19年もののりんご酢。蓋を開けると樽の中からはふわりと甘い香りが漂ってきました。

社長の甥っ子であり、取締役副社長兼、工場長の櫛引英揮氏。製造部門を一手に引き受けています。ちなみに社長も副社長も東京農大の醸造科出身。

津軽ボンマルシェ弘前大学と共同研究し、微生物まで全て青森産を目指す。

津軽の風土に基づいた、この地だからできるものづくりを、という思いはカネショウの商品開発のベースになっています。りんご酢は、青森そのものを表した商品。全て津軽産のりんごを使うことはもちろん、実は酵母もこの土地のもので、弘前大学が青森県南西部にまたがる白神山地から採取した「弘前大学白神酵母」を使っています。白神山地といえば、世界的にも最大級のブナの原生林が広がり、多種多様の貴重な生態系が保たれる、ユネスコ世界自然遺産の認定地でもあります。
「弘前大学で酵母研究をしている先生を紹介してもらい、一緒に研究開発を始めました。実は白神酵母自体は何十種類もあり、白神山地の樹皮や腐葉土から採取・分離された天然酵母で、その中からうちの醸造に適したものを探しました。香りや味わいなどを何度も試作して見極め、青森県内で初めて実用化にこぎつくことができました。私たちの活動をきっかけに、白神酵母が青森の産業の一つとして広まり、津軽のイメージアップにも繋がればと思っています」と櫛引氏。現在は酢酸菌についても、白神山地から採取したもので研究が進んでいるそうです。まだ試作中とのことですが、オール青森にすることが目下の目標。
「ものづくりは楽しいですね。新しいアイデアを具現化して商品になって、その評判がよく、お客様が喜んでくれるのならば、やっぱり作り手としては嬉しい。私たちはメーカーで良かったなと思っているんですよ。いろんなものをゼロから創造できるのはメーカーだからこそ。そういう楽しさがありますよね」。

ちなみに弘前大学が開発した素材には、さらにプロテオグリカンがあります。コラーゲンやヒアルロン酸に続く美容健康素材として以前より注目されていましたが、これまで抽出が難しく、1gで3000万円という大変高価なものだったため、なかなか商品化が実現できませんでした。同大学では鮭の鼻軟骨に高濃度のプロテオグリカンが存在することを突き止め、本来は廃棄物だったその骨から、安価で安全に高純度のプロテオグリカンを抽出する技術を確立し、高付加価値を付けることに成功。「あおもりPG」としてブランド化し、今後の躍進が期待されています。カネショウではバルサミィアップルの技術をベースに、木樽熟成の濃縮した黒りんご酢とプロテオグリカンをたっぷり配合した「女神の林檎」という美容飲料を開発。あおもりPGの広まりを後押ししています。

最後に、熱心に製造現場を取り仕切る、副社長で工場長の櫛引英揮氏ともちらりと会話ができたので、カネショウの今後のビジョンについて伺ってみると、こんな答えが返ってきました。
「醸造業は可能性があり過ぎると思っています。未知の部分がたくさんあって、まだまだ行けるなって思う。私たちのベースはやはりこの青森という恵まれた土地で、地域資源を有効に活用しながら、発酵・醸造技術の研鑽をしっかりと積んでいきたいです。でもこれちょっとよそ行きのコメントですかね。本当のところは従業員がそれぞれアイデアを出し合ってお互いに成長し、みんなが幸せに暮らしていける会社になっていければいいなと。それが根本にあった上で、時代を読みながら決断していきたいです」。
ここが想像を超えるような発酵・醸造の未来を醸し出す現場になるかもしれない。年月をかけて熟成された青森愛が底辺を流れるカネショウの今後に、ワクワクせずにはいられないことでしょう。

商品開発や検査などを行う研究室。スタッフは特に理化学系の大学出身ばかりではなく、「料理が好きで調味料開発に興味がある」ことが募集条件だったとか。

弘前大学白神酵母の菌株は、マイナス70℃の冷凍庫で大切に保管されています。

商品は、右の3つが料理にも便利な定番のりんご酢(赤いラベルがプレーン、隣はハチミツ入り、右端は甘さ控えめのライト)。左から3番目の黄色いラベルはハチミツ、生姜入りで飲みやすい「青森スウィッチェル」。その隣が「バルサミィアップル」。一番左端は話題のプロテオグリカンをたっぷり配合した「女神の林檎」。

津軽の呑兵衛の集合場所ともいえる弘前の「かだれ横丁」には、カネショウの各種りんご酢を使ったハイボールを飲める屋台がありました。「くしびきハイボール」などと名付けられ、街の人々に親しまれています。

https://www.ringosu.com/