建築・家具ラバーの隠れた聖地である讃岐。アーティスト、家具好きがひきもきらずに訪れる、”木匠”が残した偉大な足跡。[ジョージナカシマ記念館&桜製作所/香川県高松市]

ジョージナカシマ記念館&桜製作所OVERVIEW

香川県高松市は、現在にも大きな足跡を残す建築家やアーティストを数多く輩出した街です。その流れを決定づけたのは、「デザイン知事」「建築知事」と呼ばれることになる金子正則氏です。金子氏は、1950年から6期24年に渡り知事を勤めましたが、1958年に竣工した香川県庁舎の設計を建築界の巨人・丹下健三氏に依頼しました。また、高松市近郊で芸術村を構想するなど、文化面での功績がとても大きかった人です。

その金子知事らを世話人に、彫刻家・流政之氏が1963年に発足させたのが「讃岐民具連」という運動です。讃岐の伝統である、漆や建具、金工、石、指物、竹細工といった「民具」を時代に合う形でリデザインし、日本中に、さらには世界のマーケットに向けて売り出すという、デザイン運動と商品開発をハイブリッドさせたプロジェクトでした。

その発足メンバーに名を連ねるのが、今回伺った「ジョージ ナカシマ記念館」を運営する桜製作所なのです。ナカシマは日本人の父母の元、米国ワシントン州で生まれました。ワシントン大学で建築を学び首席で卒業。その後ハーヴァードの大学院に進み、さらにマサチューセッツ工科大学に移籍。アメリカの超一流の高等教育を受けた人物です。戦前から祖国日本とは縁の深かった彼を、戦後の1964年に讃岐に招いたのが、流政之でした。この地を訪れたナカシマは、桜製作所の素晴らしい技術を持った職人に感銘を受け、一緒に家具を作ることになったのでした。

そんなナカシマの代表作のひとつに「コノイドチェア」があります。上記写真の椅子は、第1回「ジョージ ナカシマ展」出品した漆塗りの特別バージョン。「ミングレンデスク」は、貴重なローズウッドを高松に運んで作った逸品です。

そんな美しい出会いから幾年月、桜製作所設立60年を記念して、2008年に完成したのが「ジョージ ナカシマ記念館」なのです。ギャラリーショップを併設したこの場所から、讃岐のアーティストを巡る旅を始めましょう。

住所:香川県高松市牟礼町大町1132-1 MAP
電話:087-870-1020
時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)
休館:日曜、祝祭日、年末年始、夏季休暇
入館料:一般550円 小・中学制220円
https://www.sakurashop.co.jp/memorial_hall/

住所:香川県高松市牟礼町大町1132-1 MAP
電話:087-845-2828
営業時間:8:30~17:00(日・祝・第2土曜は休み)