美しき藍色に染まる絶海の群島は、世界を震撼させた固有種の宝庫。[東京“真”宝島/東京都 父島]

東京"真"宝島OVERVIEW

竹芝桟橋から定期便の「おがさわら丸」に乗ること24時間。航路の途中は電波もほぼつながることがなく、旅の行きすがら、日常がいかに携帯電話に依存していたかを実感するところから小笠原諸島への旅路ははじまります。
午前11時の出港から、船内でランチを味わい、見渡す限り360度の海の青に染まる世界を貪り、さらには燃えるような夕日を眺め、それでも余りある時を過ごせる船の時間。レストランでの夕食の後、ほろ酔いで星空を観察する頃には、電波なんて気にしなくなっている自分に気がつきます。

日常とはかけ離れた時間旅行。小笠原諸島を目指す人は、そんな一瞬を求め、この島を目指すのかもしれません。

翌朝、朝日とともに身体が自然と目覚めると、島への上陸の準備は万端。小笠原の玄関口となる父島への旅が、いよいよ幕を開けるのです。

東京都に属しながらも、所在地は都心から南へ約1000kmの絶海の群島。かつて島を開拓したハワイや欧米系の人々が「無人(ぶにん)」を「ボニン」と発音したことからボニンアイランドの愛称で親しまれ、小笠原の象徴である息を呑むほどの美しい海の藍色は「ボニンブルー」と呼ばれてきました。

さらには島が歩んだ歴史も特筆。小笠原諸島は1543年にスペイン船により発見された後、日本人よりも先に欧米系やハワイ系の人々が定住していたと言われています。その後、日本では1593年(文禄2年)に、信州深志(松本)城主小笠原時長のひ孫、小笠原貞頼が発見したと伝えられています。

そして2011年には、その隔絶された環境により独自に進化を遂げた固有種の生態系が高く評価され、小笠原諸島は世界自然遺産に。生息する陸産貝類のうち約100種が固有種という驚異的な報告も世界を驚かせました。

行きづらい、だからこそ守られた自然と歴史に育まれた、固有種の宝庫。それこそが、美しい藍色に彩られたボニンブルーの島・父島なのです。

【関連記事】東京"真"宝島/見たことのない11の東京の姿。その真実に迫る、島旅の記録。

(supported by 東京宝島)

月と砂漠の先にある世界。僕は、まるで小惑星に降り立ったような錯覚を覚えた。[東京”真”宝島/東京都 大島]

高画質(4K Ultra HD)の映像は、こちらからご覧ください。
監督・撮影・編集:中野裕之
撮影:佐藤 宏 音楽:木下伸司

東京"真"宝島

日本唯一の砂漠。そこにはSF映画のような風景が広がっていた。

なぜ日本唯一なのか? そう思う人も少なくないでしょう。
その理由は地図にあります。国土地理院が発行する地図に唯一「砂漠」と記された場所が大島にあるのです。その1つである「裏砂漠」のことを、映像作家の中野裕之監督はこう言います。
「SF映画の惑星のような場所」。

初めて訪れたのは、22年前。その後、公私ともに幾度となく訪れた大島は、数々のミュージックビデオを手がける中野監督にとっては、「音」を感じる島でもあります。
「子供が小さい頃、一緒に三原山を登りました。そこに吹く風の音が何か原始的で。そんな自然音が印象的でした。仕事では、映画の撮影や日本を代表するあるアーティストのミュージックビデオの撮影で訪れたのですが、そのロケーションが裏砂漠でした。東側一帯は黒い火山岩で覆われ、歩く度に聞こえてくる“ジャッジャッ”という音がリズムを刻んで。今回も、あの岩の前であれを撮って、これを撮って……など、当時の音楽や撮影シーンが走馬灯のように思い出されました。また、(時期により)朝夕に霧が出るのですが、それが映像としてはとても幻想的。裏砂漠は低層ですが起伏の表情も豊か。SF映画の惑星のような場所でした」。

【関連記事】東京”真”宝島/映像作家・映画監督、中野裕之が撮る11島の11作品。それは未来に残したい日本の記録。

地球ではなく、まるで違う惑星の世界のような「裏砂漠」。

黒い火山で覆われた「三原山」の東側一帯に広がる「裏砂漠」。

夕刻の「三原山」もドラマティック。「ずっと眺めていると心まで浄化されるよう」。

島の面積は約91㎢。伊豆諸島北部に位置する最大の島であり、都心から最も近い島でもある。

東京"真"宝島「裏砂漠」へ向かう道。その美しい名に感じる浪漫。

「裏砂漠」へ向かう道は、大きく分けて3つ。東側の道から入って高台から向かう「月と砂漠ライン」、東側の道沿いにある入口からの道、そして北側から向かう「再生の一本道」です。
「今回、僕は『月と砂漠ライン』から裏砂漠へ向かいました。『月と砂漠ライン』は、208号線(大島一週道路)から入るのですが、看板がとにかく小さいです。そこから3kmほど山道を走り、行き止まりにある駐車場まで行き、更に徒歩で約10分かけてたどり着きます。裏砂漠自体の景色が良いのはもちろんですが、何が良いって、この道のネーミングが美しい」。
月と砂漠……。それはまるでバンド名のようでもあります。

そして、「再生の一本道」。この道は、「温泉ホテルルート」と呼ばれ、この温泉ホテルとは、「大島温泉ホテル」を指します。
「大島温泉ホテルは、何度も宿泊しました。ここの露天風呂は、目の前に原生林が広がり、その奥には三原山が望めるのですが、それが本当に絶景!遮るものが何もなく、温泉の癒しを感じながら大島を体中で体験できます!」。
その「温泉ホテルルート」は、約3km歩いて向かうハイキングコース。この道中では、この場所の過酷な自然環境を目にすることができるでしょう。溶岩の上から出す芽が、徐々に草原になる。その後、樹木が育ち、森を作る。裏砂漠への道は、風景ができるまでのプロセスを描く道でもあり、そんな「再生」の物語がここには形成されているのです。
「大地の上にゴツゴツとした溶岩石が転がっているので、植物が根を張るのはきっと困難な場所だと思います。しかし、そんな環境でも力強く、たくましく、何とか生きようとしている姿に心が打たれます。生命力のエネルギーがすごい。植物は偉大ですね」。

「裏砂漠」は、三原山のマグマのしぶきが大地を焼き、植物を燃やし、漆黒の世界を創造しています。強く吹く風も手伝い、植物が定着しにくい場所でもあるのです。「それでも所々、綺麗な緑がちゃんとあって。昔はもっと黒かったと思うのですが、ちょっとずつ、ちょっとずつ増え、きっと現在に至るのだと思います。また来た時には、もっと緑が増えているかもしれませんね」と、中野監督はしみじみ話します。
そんな希望も込めてなのか、「再生の一本道」の一部には、こんな名前も付けられています。
「いつか森になる道」。
通りの名前を見ているだけで浪漫を感じる島、それが大島なのです。

「裏砂漠」から見る「三原山」。黒く焼けた大地の中、自生する植物が少しずつその面積を広げる。

寒さの残る3月の早朝の「裏砂漠」では雪が積もり、白いベールを纏わせる。

漆黒の世界が広がる「裏砂漠」。左側にある細い道が、「月と砂漠ライン」。

長く続く一本の道は、「再生の道」。温泉ホテルルートと呼ばれるそれは、「三原山」まで約3km。

東京"真"宝島大島の神聖。耳を澄ませば聞こえてくる、自然のオーケストラ。

「大島でもうひとつ印象深かった場所、それは神社でした」と中野監督は話します。その場所は、「大宮神社」と「波知加麻(はじかま)神社」です。
「一の鳥居、二の鳥居、三の鳥居と、ゆっくり長い参道の階段を登り、その鳥居を潜る度に何か世界が開けた感じがしました。左右には巨木が幹を連ね、数百本はある椎の木は圧巻です。しかも、椎の木は神木でもあるので、その群生の画力たるや凄まじかったです」と、神社のことを振り返り、映像制作をする上で欠かせない音についても言葉を続けます。
「大宮神社は、まず風の流れが良かったです。風が流れれば音が生まれ、その風によって葉が擦れ、更に音が重なる。加えて、ここでは鳥もさえずり、心地良い音も奏でていました。鳥がいるということは、そこにはひとつの生態系ができている証拠だと思います。そんな環境もまた神々しい。それらが成す重層音は、まさに自然のオーケストラのようでした」。

そして、「波知加麻神社」。
「ここも印象的だったのは、参道です。大宮神社の椎の木に対して、波知加麻神社は杉。天高くそびえる杉の林立は、陽光を遮り、独特な隠の世界を作っています。その環境も手伝っているのだと思いますが、目線を下げれば生き生きと苔がむしています。それはまるで絨毯のように広がっていました」。

1939年(昭和14年)12月に東京都指定天然記念物に指定された「大宮神社」。

「大宮神社」の参道には、巨木が連なる。途中、手水舎や鎮座する狛犬もその姿を表す。

「波治加麻神社」は、三社ある大島の旧郷社の中のひとつ。残りのふたつは「大宮神社」と「波浮比咩命神社」。

波治加麻神社」の参道は、真っ直ぐに伸びる杉の古木に囲まれる。

東京"真"宝島切られた大島。1万5千年前と今をつなぐ、歴史の風景。

島の西側、208号線を元町港から波浮港へ走ると現れるのが「地層切断面」です。長さ約630m、高さ約24mのそれは、言葉を失うほど圧倒されます。
中野監督曰く、「大島最高のジオ」。

伊豆大島の火山は、世界的にも解明の進んだ火山として有名であり、噴火を表す木目のような単位層を辿ると約1万5千年前の年月を数えるものもあると言われています。
「そんな昔からこの断層はここにいたんだと思うと、今こうしてその歴史の一片を見ることができるのって奇跡ですよね」。
そして、この断面は島民からとても愛されてもいるのです。その証に最寄りのバス停には「地層切断面前」とあり、愛称はバームクーヘン!(バス停のサインもバームクーヘン型!)
もちろん、大切に保護管理もされています。

また、「切る」という意味では、「地層切断面」の真逆にある島の北側に位置する「泉津の切り通し」。まるで巨木がまっぷたつに切られたような道は、パワースポットとして知る人ぞ知る場所でもある。そして、数十万年前より太平洋の荒波に切り削られて現在のような形になったと言われる「筆島」も是非。「神の宿る岩」としても知られ、ここもまた神聖な場所として足を運ぶ人が多いと言います。

近くで見ると様々な表情を持つ地層が幾十にも重なっている。その数だけ時が経った証。

少し引いて見た「地層断面」。道路のサイズと比べれば分かるよう、巨大な地層がうねりを上げる。

「砂の浜」上空から見た「地層断面」。長い距離を保ってその断層が続いているのが分かる。

「三原山」の火口。この山の噴出物によって、「裏砂漠」の一面は黒く覆われている。

まるで異次元への誘いのような「泉津の切り通し」。両脇には根がむき出しになり、今にも動き出しそう。

手前にある突起した岩は、「筆島」。高さ30mほどのそれは、れっきとした島であり、小さな無人島。

「筆島」の裏手にある岩。一箇所だけ赤く焼け、まるでここだけ切り削られたような異彩を放つ。

東京"真"宝島都心から最も近い島へ。次の旅先の候補には是非、大島を!

高速船、フェリー、飛行機でのアクセスが可能な大島は、都心から最も近い島であり、例えば高速船であれば東京・竹芝から1時間45分で到着します。
「大島は都心から近いですし、まず島のビギナーの方にもお勧めです。是非、春には大島桜を見てもらいたいです。シーズンを迎える島内には、多くの大島桜が咲き誇ります。今回の映像や写真にも入れているのですが、大島桜はピンク寄りの色味ではなく、白に近く、それを再現するのがなかなか難しかったです。なので、是非、実際にその目で見てください!」。

島の御神火様であり、シンボルの「三原山」の登山をすれば、この島の鼓動を感じることもできます。
「標高は758mなので、登りやすい山だと思います。火口を周遊できる遊歩道も完備されていますし、散策コースとしても最適だと思います。もちろん景色も抜群!」。

また、海にも宇宙がありました。
「魚、ウミガメ、サンゴ……。どれも美しいですよね。世界に自慢できるようなサンゴに魚たち。海の中にも宇宙があるっていう感じですよね。僕は近頃はやっていないですがもう一度、本格的にダイビングを始めたくなってしまいました! 大島でダイビングにハマってしまうということをよく聞くのですが、その意味がわかりました。この水中撮影をした佐藤さんは若い頃に務めていた仕事を辞め、それを本業にまでしてしまいましたからね!」。

花と葉に香りがあることや花が大きいことが特徴とされる「大島桜」。例年、3月から4月が見頃。

開花時期を迎えると、島内には「大島桜」がそこかしこに点在している。

「三原山」の火口周辺には遊歩道が用意され、散策やハイキングも可能。

手付かずの自然が残る美しい海では、美しいサンゴを見ることができる。

ダイビングで更に潜れば、色とりどりの熱帯魚や魚群との出合いもあり、別世界が広がる。

優雅に泳ぐウミガメ。「都心から1時間45分でウミガメに会えるなんてすごくないですか!」と興奮する中野監督。

「三原山」周辺には、ほかの山も点在する。ここ「白石山」は、大島で2番目に高い山。ちなみに、中央の車が見えるところが「月と砂漠ライン」の駐車場。

「トウシキ遊泳場」は、溶岩に囲まれた自然のプールのよう。溶岩が波を遮り、穏やかではあるが深さがあるため、飛び込みも楽しめる。

島の最南端から臨む大島。黒潮の影響により、一年を通して温暖な気候に恵まれているため、オールシーズン心地が良い。

月と砂漠の先にある世界。僕は、まるで小惑星に降り立ったような錯覚を覚えた。[東京”真”宝島/東京都 大島]

高画質(4K Ultra HD)の映像は、こちらからご覧ください。
監督・撮影・編集:中野裕之
撮影:佐藤 宏 音楽:木下伸司

東京"真"宝島

日本唯一の砂漠。そこにはSF映画のような風景が広がっていた。

なぜ日本唯一なのか? そう思う人も少なくないでしょう。
その理由は地図にあります。国土地理院が発行する地図に唯一「砂漠」と記された場所が大島にあるのです。その1つである「裏砂漠」のことを、映像作家の中野裕之監督はこう言います。
「SF映画の惑星のような場所」。

初めて訪れたのは、22年前。その後、公私ともに幾度となく訪れた大島は、数々のミュージックビデオを手がける中野監督にとっては、「音」を感じる島でもあります。
「子供が小さい頃、一緒に三原山を登りました。そこに吹く風の音が何か原始的で。そんな自然音が印象的でした。仕事では、映画の撮影や日本を代表するあるアーティストのミュージックビデオの撮影で訪れたのですが、そのロケーションが裏砂漠でした。東側一帯は黒い火山岩で覆われ、歩く度に聞こえてくる“ジャッジャッ”という音がリズムを刻んで。今回も、あの岩の前であれを撮って、これを撮って……など、当時の音楽や撮影シーンが走馬灯のように思い出されました。また、(時期により)朝夕に霧が出るのですが、それが映像としてはとても幻想的。裏砂漠は低層ですが起伏の表情も豊か。SF映画の惑星のような場所でした」。

【関連記事】東京”真”宝島/映像作家・映画監督、中野裕之が撮る11島の11作品。それは未来に残したい日本の記録。

地球ではなく、まるで違う惑星の世界のような「裏砂漠」。

黒い火山で覆われた「三原山」の東側一帯に広がる「裏砂漠」。

夕刻の「三原山」もドラマティック。「ずっと眺めていると心まで浄化されるよう」。

島の面積は約91㎢。伊豆諸島北部に位置する最大の島であり、都心から最も近い島でもある。

東京"真"宝島「裏砂漠」へ向かう道。その美しい名に感じる浪漫。

「裏砂漠」へ向かう道は、大きく分けて3つ。東側の道から入って高台から向かう「月と砂漠ライン」、東側の道沿いにある入口からの道、そして北側から向かう「再生の一本道」です。
「今回、僕は『月と砂漠ライン』から裏砂漠へ向かいました。『月と砂漠ライン』は、208号線(大島一週道路)から入るのですが、看板がとにかく小さいです。そこから3kmほど山道を走り、行き止まりにある駐車場まで行き、更に徒歩で約10分かけてたどり着きます。裏砂漠自体の景色が良いのはもちろんですが、何が良いって、この道のネーミングが美しい」。
月と砂漠……。それはまるでバンド名のようでもあります。

そして、「再生の一本道」。この道は、「温泉ホテルルート」と呼ばれ、この温泉ホテルとは、「大島温泉ホテル」を指します。
「大島温泉ホテルは、何度も宿泊しました。ここの露天風呂は、目の前に原生林が広がり、その奥には三原山が望めるのですが、それが本当に絶景!遮るものが何もなく、温泉の癒しを感じながら大島を体中で体験できます!」。
その「温泉ホテルルート」は、約3km歩いて向かうハイキングコース。この道中では、この場所の過酷な自然環境を目にすることができるでしょう。溶岩の上から出す芽が、徐々に草原になる。その後、樹木が育ち、森を作る。裏砂漠への道は、風景ができるまでのプロセスを描く道でもあり、そんな「再生」の物語がここには形成されているのです。
「大地の上にゴツゴツとした溶岩石が転がっているので、植物が根を張るのはきっと困難な場所だと思います。しかし、そんな環境でも力強く、たくましく、何とか生きようとしている姿に心が打たれます。生命力のエネルギーがすごい。植物は偉大ですね」。

「裏砂漠」は、三原山のマグマのしぶきが大地を焼き、植物を燃やし、漆黒の世界を創造しています。強く吹く風も手伝い、植物が定着しにくい場所でもあるのです。「それでも所々、綺麗な緑がちゃんとあって。昔はもっと黒かったと思うのですが、ちょっとずつ、ちょっとずつ増え、きっと現在に至るのだと思います。また来た時には、もっと緑が増えているかもしれませんね」と、中野監督はしみじみ話します。
そんな希望も込めてなのか、「再生の一本道」の一部には、こんな名前も付けられています。
「いつか森になる道」。
通りの名前を見ているだけで浪漫を感じる島、それが大島なのです。

「裏砂漠」から見る「三原山」。黒く焼けた大地の中、自生する植物が少しずつその面積を広げる。

寒さの残る3月の早朝の「裏砂漠」では雪が積もり、白いベールを纏わせる。

漆黒の世界が広がる「裏砂漠」。左側にある細い道が、「月と砂漠ライン」。

長く続く一本の道は、「再生の道」。温泉ホテルルートと呼ばれるそれは、「三原山」まで約3km。

東京"真"宝島大島の神聖。耳を澄ませば聞こえてくる、自然のオーケストラ。

「大島でもうひとつ印象深かった場所、それは神社でした」と中野監督は話します。その場所は、「大宮神社」と「波知加麻(はじかま)神社」です。
「一の鳥居、二の鳥居、三の鳥居と、ゆっくり長い参道の階段を登り、その鳥居を潜る度に何か世界が開けた感じがしました。左右には巨木が幹を連ね、数百本はある椎の木は圧巻です。しかも、椎の木は神木でもあるので、その群生の画力たるや凄まじかったです」と、神社のことを振り返り、映像制作をする上で欠かせない音についても言葉を続けます。
「大宮神社は、まず風の流れが良かったです。風が流れれば音が生まれ、その風によって葉が擦れ、更に音が重なる。加えて、ここでは鳥もさえずり、心地良い音も奏でていました。鳥がいるということは、そこにはひとつの生態系ができている証拠だと思います。そんな環境もまた神々しい。それらが成す重層音は、まさに自然のオーケストラのようでした」。

そして、「波知加麻神社」。
「ここも印象的だったのは、参道です。大宮神社の椎の木に対して、波知加麻神社は杉。天高くそびえる杉の林立は、陽光を遮り、独特な隠の世界を作っています。その環境も手伝っているのだと思いますが、目線を下げれば生き生きと苔がむしています。それはまるで絨毯のように広がっていました」。

1939年(昭和14年)12月に東京都指定天然記念物に指定された「大宮神社」。

「大宮神社」の参道には、巨木が連なる。途中、手水舎や鎮座する狛犬もその姿を表す。

「波治加麻神社」は、三社ある大島の旧郷社の中のひとつ。残りのふたつは「大宮神社」と「波浮比咩命神社」。

波治加麻神社」の参道は、真っ直ぐに伸びる杉の古木に囲まれる。

東京"真"宝島切られた大島。1万5千年前と今をつなぐ、歴史の風景。

島の西側、208号線を元町港から波浮港へ走ると現れるのが「地層切断面」です。長さ約630m、高さ約24mのそれは、言葉を失うほど圧倒されます。
中野監督曰く、「大島最高のジオ」。

伊豆大島の火山は、世界的にも解明の進んだ火山として有名であり、噴火を表す木目のような単位層を辿ると約1万5千年前の年月を数えるものもあると言われています。
「そんな昔からこの断層はここにいたんだと思うと、今こうしてその歴史の一片を見ることができるのって奇跡ですよね」。
そして、この断面は島民からとても愛されてもいるのです。その証に最寄りのバス停には「地層切断面前」とあり、愛称はバームクーヘン!(バス停のサインもバームクーヘン型!)
もちろん、大切に保護管理もされています。

また、「切る」という意味では、「地層切断面」の真逆にある島の北側に位置する「泉津の切り通し」。まるで巨木がまっぷたつに切られたような道は、パワースポットとして知る人ぞ知る場所でもある。そして、数十万年前より太平洋の荒波に切り削られて現在のような形になったと言われる「筆島」も是非。「神の宿る岩」としても知られ、ここもまた神聖な場所として足を運ぶ人が多いと言います。

近くで見ると様々な表情を持つ地層が幾十にも重なっている。その数だけ時が経った証。

少し引いて見た「地層断面」。道路のサイズと比べれば分かるよう、巨大な地層がうねりを上げる。

「砂の浜」上空から見た「地層断面」。長い距離を保ってその断層が続いているのが分かる。

「三原山」の火口。この山の噴出物によって、「裏砂漠」の一面は黒く覆われている。

まるで異次元への誘いのような「泉津の切り通し」。両脇には根がむき出しになり、今にも動き出しそう。

手前にある突起した岩は、「筆島」。高さ30mほどのそれは、れっきとした島であり、小さな無人島。

「筆島」の裏手にある岩。一箇所だけ赤く焼け、まるでここだけ切り削られたような異彩を放つ。

東京"真"宝島都心から最も近い島へ。次の旅先の候補には是非、大島を!

高速船、フェリー、飛行機でのアクセスが可能な大島は、都心から最も近い島であり、例えば高速船であれば東京・竹芝から1時間45分で到着します。
「大島は都心から近いですし、まず島のビギナーの方にもお勧めです。是非、春には大島桜を見てもらいたいです。シーズンを迎える島内には、多くの大島桜が咲き誇ります。今回の映像や写真にも入れているのですが、大島桜はピンク寄りの色味ではなく、白に近く、それを再現するのがなかなか難しかったです。なので、是非、実際にその目で見てください!」。

島の御神火様であり、シンボルの「三原山」の登山をすれば、この島の鼓動を感じることもできます。
「標高は758mなので、登りやすい山だと思います。火口を周遊できる遊歩道も完備されていますし、散策コースとしても最適だと思います。もちろん景色も抜群!」。

また、海にも宇宙がありました。
「魚、ウミガメ、サンゴ……。どれも美しいですよね。世界に自慢できるようなサンゴに魚たち。海の中にも宇宙があるっていう感じですよね。僕は近頃はやっていないですがもう一度、本格的にダイビングを始めたくなってしまいました! 大島でダイビングにハマってしまうということをよく聞くのですが、その意味がわかりました。この水中撮影をした佐藤さんは若い頃に務めていた仕事を辞め、それを本業にまでしてしまいましたからね!」。

花と葉に香りがあることや花が大きいことが特徴とされる「大島桜」。例年、3月から4月が見頃。

開花時期を迎えると、島内には「大島桜」がそこかしこに点在している。

「三原山」の火口周辺には遊歩道が用意され、散策やハイキングも可能。

手付かずの自然が残る美しい海では、美しいサンゴを見ることができる。

ダイビングで更に潜れば、色とりどりの熱帯魚や魚群との出合いもあり、別世界が広がる。

優雅に泳ぐウミガメ。「都心から1時間45分でウミガメに会えるなんてすごくないですか!」と興奮する中野監督。

「三原山」周辺には、ほかの山も点在する。ここ「白石山」は、大島で2番目に高い山。ちなみに、中央の車が見えるところが「月と砂漠ライン」の駐車場。

「トウシキ遊泳場」は、溶岩に囲まれた自然のプールのよう。溶岩が波を遮り、穏やかではあるが深さがあるため、飛び込みも楽しめる。

島の最南端から臨む大島。黒潮の影響により、一年を通して温暖な気候に恵まれているため、オールシーズン心地が良い。

@sYNe9yfGlfKUp4j 橋本典子

野球ならヒットうつ 守備しっかりやる は基本ですね どちらも出来ないなら ベンチ阪神見てたら 定まらない。 パナソニックは強さ半端ない 阪神油断したらずるずる が目立つ違いがわかる。 なんか違う、パナみたいやないし。

@sYNe9yfGlfKUp4j 橋本典子

野球ならヒットうつ 守備しっかりやる は基本ですね どちらも出来ないなら ベンチ阪神見てたら 定まらない。 パナソニックは強さ半端ない 阪神油断したらずるずる が目立つ違いがわかる。 なんか違う、パナみたいやないし。