IRON HEART THE WORKS TOKYO限定フルジップパーカー

東京店限定パーカーが特別に当店でもご購入いただけます!!

  • アイアンハート定番の極厚裏起毛スウェットパーカ
  • 胸プリントはアイアンハート定番のベルロゴ
  • バックプリントには東京店限定の印である【TOKYO】の文字入り
  • ライディングの際にダボつかないようダブルジップ仕様です
  • グローブをしていても開閉しやすいようにジップには革タブを付けています
  • フロントポケット左側にはアイアンハートのネームが付きます
  • 4本針(フラットシーマ)での縫製で、ストレスのない着心地です

IHSW-46:サイズスペック

  着丈 肩巾 バスト 裾回り 袖丈 袖口
L-F 60.0 39.0 100.0 81.0 58.0 8.0
S 63.0 44.0 106.0 91.0 62.0 8.0
M 65.0 46.0 111.0 96.0 63.0 9.0
L 67.0 48.0 116.0 101.0 64.0 9.0
XL 69.0 50.0 121.0 106.0 65.0 10.0
XXL 71.0 52.0 126.0 111.0 66.0 10.0
  • 商品により多少の誤差が生じる場合がございます
  • 商品はワンウォッシュ済みです

素材

  • 綿:100%

能登に根差す若手料理人トップチーム「N-Terra」結成。能登の地に芽吹く、美食旅の最新形。[N-Terra お披露目イベント/石川県能登半島]

『N-Terra』のメンバー。『ラトリエ ドゥ ノト』の池端隼也氏(写真中央)、ジェラート店『MALGA GELATO』 の柴野大造氏(左端)、イタリア料理店『Villa della Pace』の平田明珠氏(左から二人目)、日本料理の料理人・川嶋享氏(右から二人目)、『ブロッサム』のシェフ・黒川恭平氏(右端)。

N-Terra お披露目イベントジャンルを超えたコラボが生む「能登の里山里海」フルコース。

2月のある晩、石川県輪島市にあるフランス料理店『ラトリエ ドゥ ノト』は、静かな熱気に満ちあふれていました。旅や食関連のジャーナリスト、有名旅館のオーナー、伝統工芸の作家らが続々と集まってきています。迎えるのは、同店のオーナーシェフ・池端隼也氏を筆頭に、能登町のジェラート店『MALGA GELATO』のジェラートマエストロ・柴野大造氏、七尾市のイタリア料理店『Villa della Pace』のオーナーシェフ・平田明珠氏、七尾市で割烹を開店準備中の料理人・川嶋享氏、七尾市の洋食店『ブロッサム』のシェフ・黒川恭平氏の5名。彼らは、料理人の力で能登の持続可能な地域社会を目指すネットワーク『N-Terra(エヌテラ)』を結成。そのお披露目イベントとして、夕食会が開かれようとしているのです。

“能登”の「N」にイタリア語で“大地”を意味する「Terra」を組み合わせたチーム名には、能登の地に根差して活動していくことへの強い思いが込められています。本州から北へ細長く突き出る能登半島は、外浦は暖流と寒流がちょうどぶつかる荒々しい海、内浦は“天然の生簀”とも称される穏やかな海の恵みを受け、山、平地、川、湾が複雑に入り組んだ自然豊かな地。魚介、肉、米、野菜、果物、山菜、ジビエ、調味料に至るまで実にバラエティ豊かで良質な食材に彩られています。さらに、古来、北前船の中継地であったことから、日本全国や大陸との交流によって、各地の技術を取り入れた食文化を発展させてきました。また、輪島塗や珠洲焼といった伝統工芸においても技術の洗練が追求されてきたことも特徴的です。

2011年には、農林漁業を中心に自然と調和した暮らしが継承されてきた「能登の里山里海」は世界農業遺産に認定。能登の自然環境と文化を、食を通じて広く発信したいという思いをひとつにして結成されたのがこの『N-Terra』なのです。

能登の5人の料理人がタッグを組んだ渾身のコースがいよいよスタートしました。

一品一品に対して、使われている素材の背景とコンセプトなど、皿に込められているストーリーの説明が。すべてに能登のワインや日本酒をペアリング。器やグラスにも能登の作家のものが使われている。

池端氏の締め鯖のクレープ。緑の大地を連想させる小松菜のクレープで魚とハーブをくるりと巻き、里山里海の恵みをひと口で味わえる。器は輪島塗工房『キリモト』製。

お碗の出汁は直前に鰹節を削る。日本料理の命である出汁を引く工程では、川嶋氏はひときわ気持ちが入る。

川嶋氏による“手仕事”を表現したお碗。加工に大変な手間ひまを要するなまこの卵巣の塩辛このわたと、胡麻を煎り、あたり(擦る)、手で練り上げる胡麻豆腐に、削りたての鰹節と3年熟成の昆布でとった香り高い一番出汁を張る。塩味はこのわたの塩分のみ。胡麻と磯の上品な香りが鼻に抜ける。ペアリングは中能登町の純米酒『池月』。

池端氏のサラダ。ガス海老、イカ、バイ貝、中能登町の無農薬・自然栽培の農園『あんがとう農園』のハーブとエディブルフラワー。ガス海老もイカもすぐに身がだれ変色してしまうものだが、鮮度抜群のものをシンプルに堪能できる、能登ならではの一品。ペアリングは輪島市の白藤酒造の希少な酒『奥能登の白菊 自然栽培米 純米酒』。

N-Terra お披露目イベント信頼できる生産者、最高の食材はすぐそばに。

この日の昼、生産者の元へ行く平田氏に同行させてもらいました。向かったのは七尾市能登島で有機栽培で多様な有機野菜を作る『高農園』。『N-Terra』のメンバー全員が懇意にしている生産者のひとつです。

代表の高利充氏は脱サラで農業を始めた新規就農者です。金沢出身で、福岡で営業職のサラリーマンをしていましたが、鹿児島出身の奥さんと出会ってから「ふたりで農業をやろう」と場所を探し、能登島に出合いました。土作りから始めてアルバイトをしながらイモ類やキャベツを育てていましたが、食べていくまでの収入にはつながりません。限界を感じた高氏は、買い叩かれない付加価値の高い少量多品種の野菜作りへのシフトを図ると同時に、消費の最前線である飲食店への直販ルートの開拓に努めます。

著名な料理人に採用されたことが口火となり、東京を中心に販路は着実に増えていきました。現在、直販先は約200カ所にのぼり、耕作面積は約20ha、年間を通じて300種類を栽培するまでになりました。
「能登島は赤土なのでミネラル豊富で、しっかりした味の野菜が育ちます。大切にしているのは、農薬も化学肥料も極力使わず、大地がもともと持っている力を借りて自然のままに育てること。愛情は全力で注いでいますけど」と高氏は話します。
「畑の周りではノビルやハコベなども採れます。これはタラの芽ですよ。作物以外にもいろんな食材が身近なところにあることを地元の方々に教わっています。結局、その土地で無理なく育ったものがいちばん美味しいということを学びました」と平田氏。時間をつくっては高氏を訪ねて、旬の野菜やハーブの様子を確認したり、新しい品種の情報などを仕入れるようにしています。高氏も平田氏のように直接料理人と話す時間を大切にしています。野菜を実際に調理する人の感想や味わった人の反応をつぶさに知ることができ、また野菜作りにフィードバックすることができるからです。

出荷に追われる高氏を引き留めてはいけないと、平田氏は採れたてのサンゴケールやちりめんキャベツ、日野菜蕪などを仕入れて農園を後にします。午前中まで土の中にいたこれらの野菜たちは、この日のディナーに登場しました。優れた食材が目と鼻の先にあり、すぐに調理できるという状況は、なんと贅沢なことでしょうか。食材がなんでも手に入るという能登では、料理人と生産者とのこのようなネットワークがごく自然なものとして存在しているのです。

うっすらと雪をかぶった『高農園』の畑にて代表の高氏と平田氏。高氏にとって料理人と話す時間は現場のニーズを知る大切な機会。平田氏にとっても畑を訪れるのは料理のインスピレーションを得るために、なくてはならない時間だ。

平田氏の原木しいたけ「のと115」のコンフィ。肉厚な能登のブランドしいたけ「のと115」のオイル漬けを金柑とカワハギと共にいただく。表面にはフキノトウの香り、ソースからはイカ墨と海藻の風味がふわりと漂う。周りにはシェフ自ら山で積んできた野苺や野草が。ペアリングには10年以上前に瓶詰めされた二羽鶴酒造『能登 三年酒』。

『高農園』と『あんがとう農園』の野菜を使った黒川氏のサラダ。シーザードレッシングは液体窒素で急冷しパウダー状に。人参とほうれん草はそれぞれの調理法で甘みを引き出し、雪の下で糖度を上げる畑を表現している。柴野氏のレタスのジェラートと共にいただく。ペアリングは羽咋市の御祖酒造『遊穂 おりがらみ』。

普段は各自の店でリーダーシップをとるシェフたち。プロフェッショナル同士のコラボレーションは、細かな説明がなくても呼吸が合うから不思議だ。

川嶋氏の蒸しかぶら寿司。本来のかぶら寿司はかぶらとブリを使って発酵させるなれずしだが、麹に漬けて4日熟成させたブリを香ばしく焼き上げ、もち米と合わせて握り寿司状に。そこにかぶら餡をたっぷりとかけている。輪島の伝統菓子「柚餅子(ゆべし)」へのオマージュにもなっている。ペアリングは中能登町のどぶろく。

平田氏のイノシシの煮込み。能登のじろ飴を塗ったイノシシをイノシシの骨でとったスープでじっくりトロトロに。付け合わせは、イノシシの大好物であるサツマイモを入れて野草茶で炊いたリゾット、春の山の味覚であるノビルのピクルスとセリのタプナード。さらに穴水町で伝統的に栽培されているカラシナ種、唐川菜のジェラートが添えられる。ペアリングは数馬酒造がジビエ専用に開発した『竹葉 ジビエ純米』。

N-Terra お披露目イベント能登を「スローツーリズム」を実現する世界最先端の田舎に。

ひとつの料理ジャンルの研究や振興を目的にした料理人ネットワークはたくさんありますが、『N-Terra』のように特定地域でジャンルを超えて結びつくネットワークはあまり聞きません。そもそもどのような経緯で生まれたのでしょうか。
池端氏が旗振り役となってメンバーを募ったと勝手に想像していましたが、結局のところメンバーのみなさんに聞いてもはっきりしたことはわかりませんでした。共通した話としては、互いの店へ食べに行って知り合い、付き合いのある生産者が同じだったり、おすすめの生産者を紹介したりする中で交流を深めてきたということ。そして、能登には素晴らしい食材があり、その存在を伝えるのは料理人の役目だと感じていたこと。どうやら志を同じくする彼ら5名が自然に結びついてコラボレーションするようになり、そのグループにあらためて名前がついた、というのが事の真相。出会うべくして出会った仲間と言えるでしょう。

彼らの描く未来には石川県の「スローツーリズム」の考え方がベースにあります。“食”を切り口に、その地域ならではの新しい価値観を創造し、来訪者に新たなライフスタイルを提案する旅。イタリアのスローフードやスローシティのコンセプトにも通じる、物事の本質を見つめる目でゆったりと能登の魅力を味わってほしいという思いがあるのです。

料理はなによりも雄弁です。コースが進んでいくにつれ、次は皿の上で能登のどんなストーリーが語られるのだろうかと期待がさらに膨らんでいきます。メンバーは調理の合間にサーブを手伝い、ゲストたちとしばし語らいます。彼らも次第に緊張がほぐれ、達成感に満たされていくのが伝わってきます。

ゲストのひとり、日本におけるスローフード運動をリードする島村菜津氏の言葉が印象的でした。
「日本の観光地を見てもそうでしょう、世界中でマスツーリズムが浸透していくにつれ、それまで地域ならではの個性を持っていた田舎は壊され、均質化し、中央の資本に利益を吸い取られて魅力を失っていきました。その教訓から、マスツーリズムの進出を食い止め、地元民の手によって地域の自然と文化を守りながら唯一無二の個性を磨いていくのが、世界の潮流になっています。能登には世界に誇れる文化と自然がある。文化と自然を守り、魅力を発信できる人々がいる。ここには最先端のツーリズムがあると言っても過言ではないでしょう」

『N-Terra』の取り組みは、ローカルがローカルであり続けながら本質的な豊かさを未来へとつなげていけるか。その試金石としても注目を集めていくはずです。

池端氏の魚料理、マフグのミキュイ(半生)。春菊のソースと共にたっぷりと注がれているのは、さまざまな骨や野菜の切れ端を材料に丁寧に抽出したスープ。厨房においてフードロスは微塵も発生させないという決意が表現されている。その上品かつ複雑なスープをまとったフグは、噛むほどに旨味があふれ出る。ペアリングは輪島市にあるハイディワイナリーの『セイベル ブラン』。

黒川氏による能登牛のハンバーグ。先人からの知恵や技術を受け継ぐ“承継”をテーマにした一品。穴水町にある能登ワインの赤ワインを使って煮込み、やはり洋食の定番であるマカロニグラタンを添えている。同時に柴野氏によるバゲットのジェラートをパン代わりにサーブ。ジェラートだけど確かにバゲットという摩訶不思議な美味しさ。冷温の共演も楽しいメインディッシュだ。ペアリングは能登ワインの『クオネス ヤマソーヴィニョン』。

デザートは柴野氏のジェラート盛り合わせ。モッツァレラ、桜、能登大納言小豆、どぶろく、ビターチョコレートなど。どれも甘さ控えめで、素材のフレッシュな風味が心地いい。口溶けがやさしく、喉ごしとキレが秀逸。いくらでも食べられる。

最後にスタッフ全員でご挨拶。やり切ったというスタッフと幸せそうなゲストの笑顔にその場は包まれた。