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Vol.1 春とシャンパーニュ。[NEW PAIRING OF CHAMPAGNE・茶禅華/東京都港区南麻布]
茶禅華 × 角田光代
ずっと前、わが家に友人たちを呼んでシャンパーニュ会をしたことがある。乾杯から最後の一杯までシャンパーニュを飲み続ける、というのが趣旨の集まり。難しかったのが料理だ。シャンパーニュに合う料理が何か、みんなわからなかったので、マリアージュなどと考えずに、ともかく持ち寄ったものをシャンパーニュを飲みながら食べた。シャンパーニュには何が合うのか、未だにわからない。
中国料理と、中国茶・お酒をペアリングして提供している『茶禅華』で、シャンパーニュ・メゾン「テタンジェ」に合う一品を作っていただくことになり、いったいどんな料理が登場するだろう? と思いながら、住宅街の一角にあるお店に向かう。
蛤とふきのとうの春巻だという。春巻がシャンパーニュに合うか否か考えたこともないが、それ以上に、蛤とふきのとうを春巻の具にしようと思いついたこともない。
【関連記事】NEW PAIRING OF CHAMPAGNE/作家・角田光代が体験する「食べるシャンパン。」の特別連載エッセイ!
茶禅華 × 角田光代
厨房に入れてもらって、春巻作りを見せてもらう。自家製の薄い皮の中央に、こまかく叩いて半ばペースト状にした蛤を置き、その両端に、ふきのとうのあんを置く。シェフの川田智也さんはまず下部分の皮を折り、左右両方を折り、くるりと巻く。もう一度巻くときに、本体と皮のあいだに少し空間を作ると、食感がさっくりするという。かんたんそうに言うけれど、実際やるとなると手の掛かる作業だ。一本の春巻をたっぷりの油に入れる。茶色ではなく、黄金色が理想的な春巻の色だと言われて、いつも自分の揚げる茶色い物体をつい思い浮かべてしまう。そうか、黄金色……。油から引き上げられた春巻きは、たしかに、うつくしい黄金色だ。
茶禅華 × 角田光代
薄い皮の歯応えも気持ちいい。あの隙間が本当に活きている! この軽やかさも「テタンジェ」に合う。蛤を咀嚼していると、奥から生姜の味と香りがピリッと効いて、味を引き締める……。
春巻の端っこを口に入れると、今度はふきのとうの香りとほろ苦さがひろがって、さっきの海の光景が野原に変わっていく。すごい。半分にカットされた春巻に、春の海と野、両方がある。「テタンジェ」を飲むと、ふきのとうのほろ苦さのせいか、辛口のシャンパーニュの上品な甘さが引き立つ。色だけでなく、味も呼応しあって変化していく。
茶禅華 × 角田光代
川田さんは、「テタンジェ」の味を「繊細で力強い」と言う。それはまさに川田さんが料理で目指していることだ。川田さんがいつも心に置いている「淡」——薄い、はかないという意味だけではなく、さんずいに炎という文字があらわすとおり、清らかさと力強さの同居——を、「テタンジェ」にも感じたとのこと。だから中国料理とシャンパーニュの可能性について考えるきっかけになった、と川田さんは話す。
料理と飲みもののマリアージュとは、ただ「合う」ことだと私は思っていた。川田さんによれば、マリアージュとは融合ではなくて、調和、とのこと。混ざり合うのではなく、バランスをとること。なるほど、私には難問すぎる。かつてのホームパーティで私が答えを見つけられなかったのも当然だ。
茶禅華 × 角田光代
シャンパーニュと春を包んだ春巻。たしかに、混ざり合い同化してしまったら、たがいがたがいを変化させることはない。川田さんの哲学に深く納得しつつ、でも、食べて飲む時間はただひたすらにおもしろかった。味の変化がこんなにたのしい食事って、はじめて体験したかもしれない。
住所:東京都港区南麻布4-7-5 MAP
電話:03-6874-0970
予約専用電話:050-3188-8819
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1967年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学第一文学部卒業。90年「幸福な遊戯」で第9回海燕新人文学賞を受賞し、デビュー。96年「まどろむ夜のUFO」で第18回野間文芸新人賞、98年「ぼくはきみのおにいさん」で第13回坪田譲治文学賞、「キッドナップ・ツアー」で99年第46回産経児童出版文学賞フジテレビ賞、2000年第22回路傍の石文学賞、03年「空中庭園」で第3回婦人公論文芸賞、05年「対岸の彼女」で第132回直木賞。06年「ロック母」で第32回川端康成文学賞、07年「八日目の蝉」で第2回中央公論文芸賞、11年「ツリーハウス」で第22回伊藤整文学賞、12年「紙の月」で第25回柴田錬三郎賞を受賞、「かなたの子」で泉鏡花文学賞受賞。14年「私の中の彼女」で河合隼雄物語賞を受賞。
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作家・角田光代が体験する「食べるシャンパン。」の特別連載エッセイ![NEW PAIRING OF CHAMPAGNE]
茶禅華 × 角田光代OVERVIEW
ファミリーの名をブランドに冠する今日では数少ない家族経営のシャンパーニュ・メゾン「テタンジェ」。
創業は1734年、長きにわたりテタンジェ家が培ってきた伝統と品質は、フランス大統領の主催する公式レセプションにも用いられるほどです。
そんな「テタンジェ」は、もちろん単体で飲むだけでもそのクラスを感じることをできますが、料理と合わせることによって、更にその味の奥行きやポテンシャルを発揮します。
今回は、「テタンジェ」の中でも至宝とも言えるトップキュヴェ「コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン」に合わせ、珠玉の逸品を5人のトップシェフが考案。
フレッシュで洗練された果実味、熟した果実の香り。そして、滑らかで生き生きとした躍動感……。グレープフルーツとスパイスのニュアンスを感じる洗練された味わいは、料理とペアリングことで、おいしさが何倍にも増幅します。
いわば「食べるシャンパン」。
今回は、それをあるひとりの人物に全て体験してもらいます。
日本を代表する作家・角田光代さんです。
直木賞を始め、数々の賞を受賞する角田さんには、5人のシェフのペアリングをどう感じるのでしょうか。
自ら足を運び、飲み、食べ、そしてシェフの思想に耳を傾け、それを自らの言葉で紡ぐ特別連載エッセイ(計5回)は、まるでひとつの物語のようでもあります。
ひとつでは完結しないシャンパーニュは、その相手次第で変幻自在に美食へと昇華します。
「合わせる」ことで生まれる「1+1=2」以上の可能性。
今回は、その魅力を角田光代さんと共に綴っていきたいと思います。
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1967年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学第一文学部卒業。90年「幸福な遊戯」で第9回海燕新人文学賞を受賞し、デビュー。1996年「まどろむ夜のUFO」で第18回野間文芸新人賞、1998年「ぼくはきみのおにいさん」で第13回坪田譲治文学賞、「キッドナップ・ツアー」で1999年第46回産経児童出版文学賞フジテレビ賞、2000年第22回路傍の石文学賞、2003年「空中庭園」で第3回婦人公論文芸賞、2005年「対岸の彼女」で第132回直木賞。2006年「ロック母」で第32回川端康成文学賞、2007年「八日目の蝉」で第2回中央公論文芸賞、2011年「ツリーハウス」で第22回伊藤整文学賞、2012年「紙の月」で第25回柴田錬三郎賞を受賞、「かなたの子」で泉鏡花文学賞受賞。2014年「私の中の彼女」で河合隼雄物語賞を受賞。