IRON HEART ポケットバッグ

IRON HEARTのポケットバッグ!

 
      
  • ナイロンのリップストップ(パラシュートクロス)で作った小型の軽くて丈夫なコバッグです
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  • たたんで収納できるミニケースが付属。
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  • ジーンズのポケットにすっぽり入るサイズです。
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  • バッグ本体の片面にはバイクマークのプリント、ミニケースのフラップにはピスネームを付けています。
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  • 男女ともにご使用頂ける使い易いシンプルなバッグです

素材

 
      
  • ポリエステル:100%
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初公開!! 長谷川在祐と川手寛康が託したふたり。新シェフと女将の挑戦。[でんくしふろり/東京都港区]

新たなシェフ・森田祐二氏(右)と女将・橋本恭子さん(左)。なぜ、ふたりが『でんくしふろり』に携わることになったのか、その真相に迫ります!

でんくしふろり『でんくしふろり』のシェフは誰なのか。遂に、その答えが明らかに。

『傳』の長谷川在祐氏と『フロリレージュ』の川手寛康氏が手がける新たなお店『でんくしふろり』。まだまだ謎は多く、未だその詳細は明らかにはなっていませんが、一番の注目は、誰がシェフを務めるのか。

ふたりは自店があるため、本プロジェクトのスタート時から「僕たちが立つお店にはしません」と公言。しかし、新シェフの存在については、これまでヴェールに包まれていました。
そのシェフは、『傳』や『フロリレージュ』からの人選ではありません。

名前は、森田祐二氏。北海道・札幌のイタリアン『トラットリア/ピッツェリア テルツィーナ』で研鑽を積んだ人物です。
そして、森田氏とともにお店を切り盛りするのは、『フロリレージュ』からの電撃移籍、マネージャーの橋本恭子さんです。

気になるのは、やはりプロセス。
ふたりは、どうゆう理由で『でんくしふろり』への切符を手にしたのでしょうか。

森田祐二・橋本恭子・でんくしふろり。そのつながりを紐解きたいと思います。

【関連記事】東京都港区/「でん」と「くし」と「ふろり」の関係。

『でんくしふろり』の名刺も完成! 裏面には川手氏作の「よっぱらいおじさん」を模した屋号が。橋本マネージャーは、遂に橋本女将に!

でんくしふろりきかっけは、田原諒悟。9:1で反対されたが、チャンスは今しかないと思った。

田原諒悟氏は、『フロリレージュ』の姉妹店、台湾『ロジー』を担うシェフです。「ミシュランガイド台北2020」では、2つ星を獲得。2018年のオープンから数えて半年も満たない期間で1つ星を経て、現在に至るスピード昇格です。そんな田原氏と森田氏は、前述の『トラットリア/ピッツェリア テルツィーナ』で約4年間、同じキッチンに立っていました。

「諒悟さんは、北海道で一緒に働いていた僕の先輩です。ひと足先に拠点を東京に移し、今では世界で活躍するシェフとして尊敬しています。一方、僕は、2020年に入ったくらいに今の店から独立しようか、他のジャンルのお店で料理の幅を広げようか悩んでいました。ちょうどその時、今回の件で一本の連絡を頂いたのです。長谷川さんと川手さんがふたりで始めるお店のシェフを探していると」。

当時は、まだ『でんくしふろり』という名前はおろか、物件も未定。海のものとも山のものともつかぬ状態ではありましたが、田原氏の誘いもあり、長谷川氏と川手氏に会うため、森田氏は一度上京します。
「お話しさせて頂き、正直、断る理由がありませんでした。チャンスしかないと思いました。イタリアンでは学べない技術や表現の自由度、自分の求めているステージがそこにはありました」。

しかし、唯一の懸念もありました。それは、新型コロナウイルスの問題です。都外からの上京は、必ずしも賛同を得られるわけではありません。
「9:1で反対されました。“今じゃなくてもいいんじゃないか”、“もう少し状況が落ち着いてからにしたらどうだ”など、その意見は様々でしたが、僕は今しかないと思いました。コロナを理由に諦めたくなかった」。
それらの声は、当然、森田氏を心配してのこと。しかし、自分のタイミングでチャンスはやってこないことを森田氏は分かっています。
来年であれば是非が通用すれば良いですが、それもまた難しい。逃せば手から滑り落ちてゆくかもしれません。更には、こんな絶好が再び訪れるとは限りません。

しかし、9:1の1。それは誰だったのでしょうか。
森田氏の師匠、『トラットリア/ピッツェリア テルツィーナ』の堀川秀樹氏です。

「“もうここでは学び尽くした”、“次のステージへ進め”、“絶対、行くべきだ”。堀川さんは、そうおっしゃってくれました」。しかし、こう言葉も続けます。
「“大切な人やお世話になった人、周囲の人への配慮を怠らず、真摯に説明をし、きちんと理解を得てから行きなさい”とも言われました」。

強力な1の味方によって、2020年9月14日に北海道を後にします。東京入りしてからは、『傳』と『フロリレージュ』のキッチンに入り、実際に同じ現場でシェフとしての時間をともにし、訓練の日々。それ以外は、メニュー作りに没頭します。
「料理のベースを長谷川さんと川手さんが作ってくださっているので、オープンまでにその精度をいかに上げられるかが自分の使命。ふたりに安心してお店を任せてもらえるように務めます!」。

『でんくしふろり』森田祐二シェフの誕生の瞬間です。

「今回、このようなチャンスをいただけた長谷川さんと川手さんには感謝しかありません。これからの人生を捧げるつもりで頑張ります!」と森田氏。

でんくしふろりマネージャーから女将へ。もう一度、ゼロからやってみたかった。

『でんくしふろり』の未来を担うもうひとりの重要人物、それが橋本恭子さんです。ご存知の方も多いとは思いますが、『フロリレージュ』のマネージャーを務めています。意外にも見えるこの移籍は、「自分が更に成長できる絶好の舞台!」と言います。今回に限らず、常に我が道を切り開いてきたようにも見える橋本さんの歩みを振り返ると「運だけでここまできました!」と豪快に笑います。

「もともとは全然飲食とは関係ない仕事をしていて、ひょんなことからお手伝いをすることになったのが約10年前。表参道にできる某飲食店の立ち上げでした。最初だけ……と思っていたのですが、気がつけば7年半(笑)。とても好きなお店だったので辞める理由はありませんでしたが、“このままでよいのか”、“次のステージに向かわなくてよいのか”など、様々な自問自答を繰り返していました。『フロリレージュ』はお客さんとして訪れていて、料理に感動したのは今でも記憶に新しいです。ある時、川手シェフとお話しする機会があり、“それならば一緒にやってみないか”と声をかけて頂き、満を持してお世話になることに」。

しかし、以前のカジュアルなお店と比べるとレストランでの接客やサービスは通用せず、「最初はひどいものでした……」と苦笑い。試行錯誤するも、中々うまくいかず、目指したこともなかった選択肢の挑戦は、そう甘くはありません。
「ある時、気づいたのです。語弊を恐れずに言えば、“私はレストランに憧れがないのかもしれない”と」。
この「憧れ」をもう少し噛み砕くと、「働き方の憧れ」、「体制の憧れ」を指します。
「例えば、レストランであれば、支配人がいて、マニュアルがあって。その絵図になぞろうとする自分がいたのですが、その憧れが弱かったので理想とはほど遠いサービスに。更には、圧倒的にレストランの経験値のなさを『フロリレージュ』で目の当たりにもしました。しかし、幸い自由度の効く場所だったので、そこで気持ちを切り替えたのです。私は私にできることをやろうと」。
今の橋本マネージャーのスタイルは、こうして形成されたのです。持ち前の明るさと元気、コミュニケーション能力の高さは発揮され、生き生きとカウンター内を笑顔で動き回ります。

そんな過去を振り返っていると「実は私、もともと台湾組だったんです(笑)」とも。
当時、前述の『ロジー』のオープンが控え、そのスタッフとして橋本さんは参画予定でしたが、紆余曲折あり、国内組に。現在は、『フロリレージュ』歴2年半、もう一度、挑戦したいと思った矢先に飛び込んできたのが『でんくしふろり』でした。

「実は、密かにもう一度、カジュアルなお店に興味が湧いてきていたのです。ですが、誰かのお店に情熱を注げる自信がありませんでした。それほど、最初にお世話になった表参道のお店と『フロリレージュ』の想いが特別だったから。そんな時に『でんくしふろり』の話を聞き、即立候補しました。もう一度、ゼロからやってみたかった」。

表参道のお店に始まり、川手氏との出会い、幻の『ロジー』!? 『フロリレージュ』、そして『でんくしふろり』……。決して楽しいことばかりではなく、時に「運」は試練も与えてきましたが、都度、自分らしく橋本さんは乗り越えてきました。

「『フロリレージュ』ではワイン中心のペアリングが主流ですが、『でんくしふろり』では日本酒や割りものをメインにするつもりです。割りものは特にこだわりたいと思っており、予想外の組み合わせや面白い品々の仕込みもしているので、ぜひお楽しみください! ワインやドリンクコースのご用意もする予定ですが、ワイワイ楽しんでいただければと思っています」。

規模は違えど、奇しくも凹字型のカウンターは『フロリレージュ』同様。オープンスタイルで繰り広げられる阿吽の呼吸、美しい動きでゲストを魅了する『フロリレージュ』が「劇場型」であれば、『でんくしふろり』は、声に出して賑やかに笑いさえも生む「小劇場型」か!?

その中心で一番声を張っているのは、橋本女将かもしれません。

「『傳』っぽさもありながら『フロリレージュ』っぽさもある。ふたつの良いところを『でんくしふろり』では表現したいです!」と橋本さん。高い目標は、早くも女将の貫禄が漂う!?

でんくしふろりここには、長谷川在祐も川手寛康もいない。チームで乗り切る。

取材を行った9月某日、森田氏と橋本さんは、会ってまだ4回目。
「森田さんはとにかく明るい! あとは声が大きいのが良い!」と橋本さん。
「いやいや、橋本さんの方が明るくて、声が大きい!」と森田氏。
「でも、声が大きいことは、『でんくしふろり』には絶対に重要!」とふたりは笑いながら声を揃えます。

「私は、お客さまとシェフとの間にいる中間地点、それをうまく中継してつなぎたいと思っています。スタッフのひとり一人にファンがいるようなお店を目指したいと思っています」と橋本さん。
「料理に関してベストを尽くすことはもちろん、サービスや細かいところも互いに支えられたらと思っています。例えば、キッチンとサービスでは、忙しい時と手が空く時のサイクルが異なります。そんな時は、どっちがどっちの仕事と区分するのではなく、お皿を下げたり、お会計をしたりと、みんながみんなの仕事に関心を持っていきたいと思っています」と森田氏。
「それを聞いて、今からそのような視点を持ってくれているのはとても嬉しかったですし、そんなシェフがチームにいることも心強いと思いました」と橋本氏が続きます。

社会で言えば縦割り、横割りですが、『でんくしふろり』流に言うならば、縦くし、横くし。その縦横を取り払い、縦横無尽にくしでつながることが、チームをより強くしてくれるのでしょう。

ご存知の通り、ここには長谷川氏も川手氏もいません。ある意味、スター選手不在の中、それでも勝算があるのは、個人競技ではなく、団体競技にあります。チーム戦だからこそ成せる技なのです。
「とはいえ、まだ上京してきたばかりの田舎者なので、東京に慣れるところから始めます!」と森田氏が言うも、「そのネタが使えるのは、最初の一ヶ月だけ!」と橋本さんの鋭いつっこみ。
「『傳』や『フロリレージュ』のお客様にも、『でんくしふろり』が好きだと言ってもらえるようになりたいです!」とふたりが言うも、すぐさま「とはいえ、お店を始める前からそんな図々しいこと言ってしまう性格も似てる(笑)」と言葉を続け、息もピッタリ。

『でんくしふろり』では、そんなシェフと女将のかけあいも一興か!?
人の出会いもご縁のつながり。ついに、演者は揃いました。

いよいよ、本格始動です!

※『でんくしふろり』の住所も公開! 予約も開始しました!

「まずは同じ価値観を皆で持つことが大事。時にぶつかることもあると思いますが、“どうしたらお客様が喜んでいただけるか”というゴールさえ同じであれば、常に議論してお店を成長させていきたい」とふたり。『でんくしふろり』はチーム戦。全員野球で望む。

Photographs:KENTA YOSHIZAWA
Text:YUICHI KURAMOCHI