平野紗季子×長田佳子 抽選で限定5名が参加できる「オンライン料理教室」を開催 [NIIGATA PREMIUM LIVE KITCHEN vol.1/新潟県]

新潟名産「おけさ柿」の農園を訪ねた平野紗季子さん(左)と長田佳子さん(右)。色づく柿を実際に見ながら、レシピのアイデアをふくらませます。

新潟プレミアムライブキッチンオンライン料理教室で新潟の食の魅力を発信

11月7日(土)、フードエッセイスト・平野紗季子さんと菓子研究家・長田佳子さんによるオンライン・クッキングイベント『NIIGATA PREMIUM LIVE KITCHEN vol.1』が開催されます。これは、「新潟ウチごはんプレミアム」とONESTORYのコラボレーションによって実現した特別企画。抽選を勝ち抜いた限定5名が参加可能な、贅沢な料理教室です。
「新潟ウチごはんプレミアム」とは、新潟の食を支え育んできた生産者や料理人を通じて、全国の食卓に「新潟の食」を紹介するポータルサイトです。今回、ONESTORYはフードカルチャーのトップランナーに新潟の食材を使ったレシピ開発を依頼。「新潟ウチごはんプレミアム」のオンライン料理教室を通じて、新潟の食の魅力を発信します。

記念すべき第1回目を担当するのは、平野紗季子さん・長田佳子さんのコンビ。 平野紗季子さんといえば、小学生のころから食日記をつけ続ける人気フードエッセイスト。雑誌『Hanako』での連載をまとめた著書「私は散歩とごはんが好き(犬かよ)」では、コミカルなタッチで綴られる文章と写真が、同世代の女性読者から絶大な支持を得ています。 長田佳子さんはといえば、パティスリーやオーガニックレストラン勤務での経験を生かし、現在は「foodremedies」として活動。砂糖やお菓子が体に負担をかけるものではなく、人を癒すものになってほしいという願いのもと生産者に会うことを大切にし、素材を厳選したお菓子作りは、やはり全国にファンを持つ人気の菓子研究家。 そう、記念すべき初回は人気のフードエッセイストと、菓子研究家がこの日のためだけにスペシャルタッグを組んでくれたのです。

今回、ふたりはレシピ開発のために、あらためて新潟を訪れました。さまざまな食材の生産の現場を巡る中で、ふたりはどのようなインスピレーションを受けたのでしょう。そして、注目のレシピとは?

ぜひ、イベントへふるってご応募ください。

【イベント概要】
ご自宅に届いた新潟の食材を使い、平野氏・長田氏と一緒に調理を愉しむオンライン料理教室。
事前に、レシピに使用される新潟の食材をご自宅に配送させていただきます。
(調味料等ご自身でご用意頂くものは、当選者にご連絡させていただきます)

*日程
11月7日(土)15:00~16:30
*開催方法
オンラインイベント
お申し込み頂いた方の中から抽選で5名様に、イベント参加用のZOOMのURLをお送りいたします。
*定員
5名(主催者にて抽選)
*参加費
無料

食材を探すふたり旅は休憩時間も全力。ずっと行ってみたかった新潟市中央区のヴィーガンカフェ「mountain△grocery」で作戦会議。

新潟プレミアムライブキッチン「おけさ柿」の甘さのヒミツ、渋さのワケ

傘が要らない程度の心地よい秋雨が落ちる中、平野さんと長田さんのふたりは、新潟市の柿畑にいました。ここ秋葉区真木野の柿畑は広さ約8ヘクタール。推定1600本の「おけさ柿」が植えられています。ふたりがお菓子の食材として選んだのが、そう、この「おけさ柿」です。
新潟県のブランド柿として知られる「おけさ柿」は、実は品種名ではなく商標。品種としては、平核無柿(ひらたねなしがき)と、その早生品種である刀根早生(とねわせ)の2品種です。こちらの畑に並んでいるのは刀根早生で、果実は大きく四角に膨らみ、薄橙に色づいています。あと2〜3週間で本格的な収穫の時を迎えるそうです。
「甘いですか?」という平野さんに、「いやいや渋いですよ」と笑って答えるのは、JA新津さつきの田中宏樹さん。「おけさ柿」の2品種はどちらも渋柿。収穫後、渋抜きの加工を経て、甘い柿として出荷されています。田中さんは、渋抜きのメカニズムについて説明してくれます。
「柿の渋味の正体はタンニンという成分。渋抜きといっても、このタンニンが抜けるわけではなく、柿の中に残ったままです。タンニンは水に溶けやすい性質でして、水に溶けたタンニンが口の粘膜に付くと渋味になります。渋抜きはヘタにアルコールを染み込ませる方法が有名ですが、どの方法もタンニンが水に溶けない工夫をして、人間が渋味を感じないようにごまかす技術なんです」
こちらで収穫する柿は、室の中で炭酸ガスを吸わせる方法で渋抜きが行われています。柿を炭酸ガスで窒息状態にすると、柿の中にアセドアルデヒドが発生し、アルコールをしみ込ませたような効果が得られると言います。

「渋味を生かした食べ方もありますか?」という平野さんの質問に、「いやあ」と口ごもる田中さん。渋柿を食べたことがないというふたりは、何事も経験と、渋抜き前の柿を試食することに……。
「おぉーー、そういうことか。口の中が一瞬で砂漠化した! 渋いというレベルがイメージとまるで違っていました」と平野さん。「あ、口の中いっぱいに麩菓子を詰め込まれた感じ」と長田さんも目を丸くしています。
そして、晴れて、渋抜き後の甘い「おけさ柿」の試食したふたりは、「このやさしい甘味がなんともいえずいいですね」「香りも穏やかで上品」と幸せいっぱいです。

ところが、地元での柿を使った調理法についてリサーチを進めていくと、驚きの事実に直面してしまいました。「地元の各家庭で作られる郷土菓子のようなものはありますか?」と長田さんが質問すると、田中さんはまた渋い顔をして、「いやあ、聞かないですね。熱を加えると、また渋味が戻っちゃうんで。だからジャムなんかも、おけさ柿のものはないんですよ」とのこと。「えぇ〜っ!」と顔を見合わせる平野さんと長田さん。そして、「ふふふふふ」と笑い合います。ぜひ「おけさ柿」でお菓子を作りたいと意気込んでいたふたりですが、さて、一体どうするつもりなのでしょうか?

真木野地区の柿畑を管理するJ A新津の田中宏樹さん。37年前、池や湿地だったこの地区に、河川工事で発生した土を利用して干拓し、今の柿の木が植えられた。今は最も勢いよく実をつける年代に入っているという。

「おけさ柿」は種がなく、渋抜き後は甘柿よりも甘く濃厚な味わいになる。ポリフェノールやビタミンCが豊富で、古来「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われるほど、健康的な食べ物として知られる。

人生初の渋柿体験をした平野さんは、その激烈な渋味を「口が瞬時に砂漠化」と表現した。

炭酸ガスで柿の渋を抜く工場で、渋抜き後の「おけさ柿」を試食させてもらうふたり。渋味にやられた後の口を甘い柿で癒す。

「おけさ柿」のルーツとされる原木は、今も新潟市秋葉区にある。推定樹齢320年、樹高16メートル・幹周り2メートルにも及ぶ、柿の木としてはかなりの巨木。その強い樹勢は神秘的でさえある。

阿賀野市のブルワリー「スワンレイクビール」が運営する古民家レストラン「五十嵐邸ガーデン」にてランチ。そのデザートには柿が。隣のイチジクのコンポートにも負けない甘さに驚く。

おっとりとした雰囲気からは想像できないほど活動的な平野さんと長田さん。知り合いが新潟市中央区に開いたスープ・サンドイッチ・おやつの店「スズキ食堂車」へ、閉店間際に滑り込み。再会とお菓子の購入を果たしてご満悦。

新潟プレミアムライブキッチン知られざる酪農王国・新潟の逸品

平野さんと長田さんは、五頭連峰を間近に望む田園地帯にあるヤスダヨーグルトを訪ねました。33年前に、旧地名である安田町の酪農家9名が結束し、生乳の6次産業化を目指して加工場を作ったのが始まりです。看板商品であるドリンクタイプをはじめとするヨーグルト製品は、新潟県民にとっては今やお馴染み。身近なソウルフードです。
工場では、次々とボトル詰めされ、ラインを流れていくヨーグルトに釘づけのふたり。製法の解説に耳を傾けます。使用するのは新潟県下越地区の新鮮な生乳のみ。味わいで特徴的なのが、ヨーグルト特有の酸味と甘味の絶妙なバランス。これは、新潟特産の20世紀梨の糖度と、心地よい酸味をヒントにしているそうです。
新潟県産イチゴ「越後姫」や国産ミカンなどのフルーツを使ったヨーグルト製品にも注目した長田さんは、製品ラベルを確認して感心しています。
「どれも香料不使用なんですね。この手の商品で香料を使っていないのはとてもめずらしいですよね。生乳と果物本来のおいしさを大切にした自然でやさしい味わい。食材や生産者への想いも伝わってくるようなおいしさです」

工場で借りた傘を開いたら、思いがけず、かわいい牛柄。

ヤスダヨーグルトの工場見学に参加してテンションが上がるふたり。酵母のこと、発酵時間など質問も尽きない。

ほどよい酸味と生乳ならではの豊かな味わいを楽しめる飲むヨーグルト。新潟県民には定番の味。

新潟プレミアムライブキッチン希少品種・ガンジー牛の生産者も訪問。

クルマは一路、長岡市の山間にある加勢牧場へと向かいました。この牧場ではめずらしい「ガンジー牛乳」が搾られています。「ガンジー牛乳」とは、英仏海峡に浮かぶ島・ガンジー島原産の乳用種であるガンジー牛の乳。ガンジー牛は世界的に希少な品種で、日本では飼育頭数がわずか180頭ほどと推定されています。
牧場を案内してくれたのは、この地で牛たちと共に育ったという加勢健吾さん。
「この牧場は私の父がホルスタインの仔牛1頭から始めました。一時は飼育頭数を60頭まで増やしましたが、多忙を極めながらも収入が上がらないことに限界を感じ、付加価値の高い牛乳作りへの方向転換を図りました。今から20年前のことです。父がこだわったのは、何よりもおいしさでした。評判の牛乳を全国各地から取り寄せて飲み比べした結果、いちばんおいしかったのが栃木県・南ヶ丘牧場のガンジー牛乳だったのです。コクがあるのに後味がすっきりしていることがポイントだったそうです」
加勢さんのお父さんは、群馬県伊香保にある牧場に何度も通って頼み込み、ようやく1頭の仔牛「みちる」を譲ってもらいました。以来、地道に頭数を増やしながらホルスタインと入れ替えていき、現在はガンジー牛のみを16頭飼育しています。

ガンジー牛は、乳牛として品種改良が進んだホルスタインに比べるとかなり小柄で、やさしい顔立ちをしています。1日に搾れる乳は1頭あたり約15リットル。ホルスタインが1日30リットル前後というから、生産性は単純計算で半分程度です。しかし、規模を追わず、1頭1頭丹精込めて飼育している加勢牧場の「ガンジー牛乳」は、一般的な牛乳よりもはるかにおいしいとの評価を得ていて、高級牛乳として飛ぶように売れています。

「ゆったりとした牛舎で、こんなふうにリラックスして過ごしたら、牛乳だっておいしいはず」と長田さん。早速、牛乳と、牛乳をたっぷり使ったミルクプリンをいただきました。
「あ、おいしい。濃厚っていう印象ではないのに、牛乳らしい味わいが豊かでするっと入っていく感じ。後味もきれい。他の食材を引き立てながら調和してくれそうな牛乳です」と長田さんは話します。
ミルクプリンを一口食べた平野さんは、「これ、いきなりスイーツ!」と長田さんにも試食を促します。「ガンジー牛乳にバニラビーンズを入れたら、いきなりスイーツになっちゃったっていう味。こんなにおいしいミルクプリンがあるなんて」と平野さん。「ほんとだ」と長田さんも驚いた様子です。
「製法はまさに、お砂糖をほんの少し使っているだけで、ほとんどガンジー牛乳を固めたようなものです。できるだけシンプルに、ガンジー牛乳のおいしさを楽しんでいただきたいと思っているので」と加勢さん。ふたりは深く頷いていました。

つぶらな瞳がクリクリとかわいらしいガンジー牛に惹き込まれる。牛の方も平野さんのキラキラした目に興味津々。

放牧場で運動させるのも加勢牧場のこだわり。牧場には、“野良馬”の「小梅」や草刈り要員のヤギ「キラリ」もいる。生き物たちがのんびり暮らす楽園だ。

週500本だけ製造される加勢牧場の「ガンジー牛乳」。ネットショップで買えるとあって、全国にファンを抱えている。

平野さんの驚きとうれしさが入り混じる顔から、ミルクプリンのおいしさは推して知るべし。

新潟プレミアムライブキッチン旅から生まれた新潟「おけさ柿」オリジナルレシピとは?

充実した新潟の旅を終えた平野さんと長田さん。たくさんの魅力的な食材に出合い、心を込めて食材を生み出す人々の貴重な話を聞くことができました。この旅で得たインスピレーションは、オンライン・クッキングイベント『NIIGATA PREMIUM LIVE KITCHEN vol.1』で、どのように表現されるのでしょうか?
ぜひ、イベントへの参加にご応募ください。幸運な5名のひとりは、あなたかもしれません。

旅の中で登場した商品は、こちらから購入できます。

住所:〒950-0075 新潟県新潟市中央区沼垂東3-5-16 MAP
電話:090-6516-8626
https://www.instagram.com/mountaingrocery/

住所:〒956-0007 新潟県新潟市秋葉区小戸下組2224 MAP
電話:0250-25-1211
https://www.ja-satsuki.com/

住所:〒959-1944 新潟県阿賀野市金屋340-5 MAP
電話:0250-63-2100
https://www.swanlake.co.jp/main/ikarashi_info2.asp

住所:〒951-8126 新潟市中央区学校町通2-5299-3 MAP
電話:080-1140-2467
営業時間:10:00〜18:00
定休日:日・月曜日
http://www.suzukisyokudousya.com/

住所:〒959-2221 新潟県阿賀野市保田940 MAP
電話:0250-68-5028
http://www.yasuda-yogurt.co.jp/

 住所:〒949-4505 新潟県長岡市根小屋147 MAP
電話:0258-74-2863
https://www.kasebokujo.com/

1991年福岡県生まれ。小学生時代から食日記をつけ続け、大学生時代に日常の食にまつわる発見と感動を綴ったブログが話題になり文筆活動をスタート。雑誌等で多数連載を持つ他、イベントの企画運営・商品開発など、食を中心とした活動は多岐にわたる。著書に『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。最新作は『私は散歩とごはんが好き(犬かよ)。』(マガジンハウス)。Instagram:@sakikohirano

レストラン 、パティスリーなどでの修業を経て、現在は「foodremedies」(「レメディ」とは癒しや治療するという意味)という屋号で活動。ハーブやスパイスなどを使ったまるでアロマが広がるような、体に素直に響くお菓子を研究している。著書に『foodremediesのお菓子』『全粒粉が香る軽やかなお菓子』(文化出版局)などがある 。Instagram:@foodremedies.caco

Photographs:KOH AKAZAWA
Text:KOH WATANABE

(supported by 新潟県観光協会)

食を分かち合うことから持続可能な平和を考える「サステナブルピーステーブル」。

前列左より、佐藤さん、岩田さん、中井さん、クリスティーヌさん。後列左より、広瀬シェフ、山倉さん、西田氏、進行役を務めた小田部巧氏、青島氏。

サステナブルピーステーブル国際平和の日に、日本から。食を通じ平和を叶える未来へ。

「食卓を共にする」ことは、お互いの信頼と分かち合いの精神なしでは成立しないこと。持続可能な平和を未来へと繋ぐために、人々が分け隔てなくひとつの食卓を囲むことからできることを考える『Sustainable Peace Table(サステナブルピーステーブル)』が、国連の「国際平和デー」に定められた9月21日にキックオフミーティングを開催しました。

会場は、アジアのベストレストラン50で2018年に「サステナブルレストランアワード」を受賞したレストラン『レフェルヴェソンス』。参加者は「Sustainable Peace Table」の代表を務めるマリ・クリスティーヌさん、国際連合人口基金(UNFPA)東京事務所所長の佐藤摩利子さん、建築家の西田司氏、くらし研究家で新潟燕市を拠点に町づくりの活動を行う『Sync Board Inc.』代表取締役の山倉あゆみさん、東京女子大学の学生で「Sustainable Peace Plateコンテスト」を運営する中井遥さんと岩田万菜さん。会の冒頭の挨拶でクリスティーヌさんは、「COVID-19(新型コロナウイルス)感染予防対策から、大切な友人とすら食卓を囲むことが難しくなっている今こそ、活動を始める意義がある」と話します。

「レストランは”元気を回復させる”という意味を持つRestoreが語源になっています。食卓を囲み、食事を分かち合い、互いを敬い、対話することで、平和への願いを未来へ繋ぐ活動を、ここ、レストランから始められたらと思います」。

2020年で10周年を迎えた『レフェルヴェソンス』。食の世界で活躍する多くの人材を輩出している。

サステナブルピーステーブルはじまりは鐘の音から。世代や立場を超えて「食の可能性」を探る。

ミーティングは会場に響く鐘の音を合図に始まりました。会場に用意されたモニターにも、大きな鐘の映像が映し出されます。
大阪万博記念公園の「平和の鐘」は、ニューヨーク国連本部にある「平和の鐘」の姉妹鐘です。この二つの鐘は、日本の一国民の中川千代治氏の尽力で造られたものです。「国連平和の鐘を守る会」代表の髙瀨聖子さんが、大阪万博記念公園から東京のシンポジウム会場にメッセージを送ります。

「太平洋戦争のビルマ戦線に従軍し、部隊は全滅、ひとり生き残った中川千代治は平和の大切さを生涯を懸けて伝えることを決意しました。そして、二度と戦争が起きないように世界の平和を願う人々のコインを集め、平和の鐘を鋳造し、ニューヨーク国連本部の庭に設置したいと考えたのです。1951年第6回国連総会にオブザーバーとして参加した千代治は、国連事務次長の応援で、その意義を力説。60余ヵ国の加盟国から200のコインとその後多くの人々の協力で数千に及ぶ古貨幣を蒐集し鐘を鋳造、1954年国連本部に贈呈しました。1970年の大阪万国博覧会の折には、世界各国の来場者にその音を聞かせるべく、ウ・タント国連事務総長に申し入れ、国連の平和の鐘の里帰りもさせました。その間、国連の鐘楼が空になると気付いた千代治は、“戦時中武器に変えられた鐘は平和の象徴であり、鐘楼を空にしてはいけない”との思いから、国連の姉妹鐘を造り、大阪万博の期間中、留守番鐘として国連に設置。現在の大阪万博記念公園の平和の鐘がその鐘です」。

※「国連平和の鐘を守る会」代表の髙瀨聖子さんのメッセージ全編は、こちらよりご覧ください。


「Sustainable Peace Table」は、国連がサポートする食の活動としても大きな注目を集めています。2020年は国際連合創設75周年の節目の年。佐藤さんは「国連の設立目的、ミッションは、言うまでもなく平和と安全保障を実現すること。COVID-19は、人々の健康に被害を及ぼし、暮らしを破壊し、国際的緊張を高め、ただでさえ一筋縄ではいかない平和、安全の実現をさらに困難にしています。こんな時代だからこそ、平和をつくるために国や人種、世代を超えた対話が必要なのです」と、言葉に力を込めます。

代表のクリスティーヌさん。東京女子大学教授。2015年まで国連ハビタット親善大使を務めた経験を持つ。

東京女子大学の岩田さん。運営する「Sustainable Peace Plateコンテスト」の結果は11月に開催予定のVERA祭(大学祭)で発表予定。

23年間、国連に勤務する佐藤氏。幅広い経験から、フードセキュリティの重要性を強く訴える。

西田氏。料理をランドスケープに見立てるなど、建築家ならではの視点が生きた言葉が飛び出す。

中井さん。言葉を慎重に選びながらも、堂々と食と平和についての意見を述べた。

食を通じた地域創生に取り組む山倉さん。具体的な活動報告を交えた意見が注目を集めた。

父である中川千代治氏の意志を受け継ぎ「国連平和の鐘を守る会」の代表を務める高瀬さんは、ビデオメッセージで参加。

サステナブルピーステーブル『レフェルヴェソンス』による「Sustainable Peace Plate」を分かち合う。

続いて、『レフェルヴェソンス』による「Sustainable Peace」をテーマにした一皿がサーブされます。「本日はようこそお越し下さいました」という挨拶に続けて、まずはマネージャーの青島壮介氏から料理の説明があります。
「ご用意させて頂いたのは、『レフェルヴェソンス』のコースを構成する上で、非常に大事な一皿です。使われている40種以上の野菜の多くは、市場に出回らない、いわゆる規格外のもの。時季ごとに豊かな個性を見せてくれる野菜を、無駄なく使おうという、店のステイトメントに代わりであり、10年かけて築いてきた農家さんたちとの信頼関係があってこその一皿です」。

色とりどりの野菜が散りばめられた繊細な盛り付けに目を輝かせていた一同は、まずは青島氏の言葉を噛み締めるように聞き、続いて一口ずつ慈しむように、じっくりと味わいます。
「どんな料理か楽しみにしていたけれど、まさかのプレート。小さな未熟果には、旬の野菜とはまた一味違う、力強い生命力を感じます」と、山倉さん。
西田氏は「通常は表に出てこないものたちが主役になり、ハーモニーを奏でている。どんな野菜でも美しく盛り込む絵力のある皿です」と、感嘆の表情で語ります。

「土に見立てた昆布のパウダーで、野菜のフレッシュさが中心の味わいに旨みを加えています。この昆布も、一番だしを取った後の昆布にひと手間加えたもの。旨みとともに”最後まで無駄なく”という想いも添えています」とは、ヘッドシェフの広瀬隼人氏。
一皿を分かち合ったことで、対話はさらに熱を帯びていきます。
「生産者方々や、シェフの思いを知ることの大切さに改めて気付きました。知って食べることで、おいしいだけじゃない、何かを得られる」と、岩田氏。
中井氏もまた、「確かに、知ることで、意識が変わり、会話も生まれる。シェフという仕事、レストランという場は、生産者と消費者を繋いでくれる素晴らしい存在だと気付くことができました」と続けました。

『レフェルヴェソンス』では今年5月、厨房に新たに薪窯を導入しました。
「調理法として非常にプリミティブであること、加えて森を守り、林業従事者の方々の暮らしを守り、資源と経済のいいサイクルを生み出すことに微力ながら貢献できたらという想いがあります」。青島氏が経緯をそのように話してくれました。キックオフミーティングでの試食やディスカッションの様子を見て「レストランは、人に幸せを与える場であることを再認識しました」とも。

「コロナ禍での約2か月間の営業自粛は、私たちスタッフ一人ひとりが自分たちの仕事の意味を見つめなおす時間でもありました。そして今回、このようなイベントの会場として皆様にお越し頂いて改めて、レストランという場は、人に幸せを与える場であるという想いを強くしました。テイクアウトやデリバリーでもおいしい料理そのものを食べることはできますが、ご予約された日からその日を心待ちにし、ゆっくりと食事と、サービスをお楽しみ頂き、帰り道にご同伴者と余韻の対話を交わす。遠くに出掛けられない今、小さな旅のようなひとときをご体験頂ける場であるべきと」。

エグゼクティヴシェフの生江史伸氏が築いてきた、生産者との協働も、さらに深めていきたいと話します。
「レストランと生産者との協力が、食の環境を守ることにつながり、誰もが食の喜びを享受できることこそが、平和な世の中につながる。利己ではなく、利他の時代へ。この場でできることを、これからも続けていきます」。

『レフェルヴェソンス』のシグニチャーともいえる一皿「敬愛する素晴らしきArtisan(職人)たち」。

繊細な盛り付けは、その時季の自然、畑の風景を描き出すかのよう。広瀬シェフの表情も真剣だ。

未熟果や脇芽なども一皿に。ディナー営業時のメニューには、個々の野菜の生産者の名がすべて記されている。

青島氏。ゲストへの挨拶と変わらぬ言葉で参加者を迎え、料理の説明をする。

料理を味わった参加者からの質問一つひとつにに丁寧に答える広瀬シェフ。

2015年からヘッドシェフを務める広瀬氏。エグゼクティブシェフの生江史伸氏とともに、食を通じた様々な活動にも尽力する。

サステナブルピーステーブル誰もが心に抱く「食の素晴らしさ」。未来の平和のために「食」ができること。

これまでは生産者支援や環境保全の文脈で語られることが多かった食の「サステナビリティ」。それを「平和」という、人間の幸福の根幹と結びつけ、新たな視点を提示したのが「Sustainable Peace Table」。その目指すところは、2015年の国連サミットで採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」が掲げる「地球上の誰一人取り残さない」という宣誓にも重なります。2021年12月には日本政府がホスト役を務める「東京栄養サミット2021」の開催が予定されています。佐藤さんは言います。

「フードセキュリティは、国連の重要な課題でもあります。世界を見渡せば、フードロス(食糧廃棄)の問題がある一方で飢餓に苦しむ人がいる不平等が存在している。77億人の世界人口を、どうやったら地球が支えて行けるか。真剣に議論すべき時が来ているのです」。
佐藤さんの言葉を受けて、クリスティーヌさんは「現代は、幸せの基準が問われている時代」だと続けます。
「平和というと言葉は大きいですが、まずは身近な人と対話をすること、お隣の状況を知ることから、始められる何かがある。昔の日本の長屋や、隣組のようなコミュニティは、そういう意味で非常に有益だったように思います。私が日本に暮らし始めた1970年代は、”何か食べた?””お腹空いてない?”というのが、おもてなしの基本にあった。ところが時代の移り変わりとともに、そういったものがだんだん失われつつあります」。

食は、生命の持続に欠かせないものであると同時に、文明社会の根幹を成すものでもあります。
「食べ物は、毒を盛れば、命さえ奪えてしまう。だからこそ、食卓を囲むことが、敵味方がない状況を、つまりは平和を意味するわけです。奪い合うのではなく”分かち合う”、その行為も含めて。過去の戦争の多くは、地面の奪い合い。国土を失うことは、農地を、食糧を失うことになります。胃袋が満たされ体が癒されると、気持ちが元気になり、安心感や周囲への感謝の気持ちが満ちてくる。平和と食には、切っても切れない深い因果関係があります。日本には、世界に誇る食文化がたくさんあります。中川千代治さんが日本から、国連平和の鐘を通じ世界に訴えかけたことを、私たちは『Sustainable Peace Table』という食の活動を通じて受け継いで行けたら。今日参加してくれた若い世代と手を携えて。世界が、未来永劫、平和であれと」。

国連創設から75周年目の国際平和デーに、平和の鐘の音で始まった「Sustainable Peace Table」のキックオフミーティング。ここから、明日へ、その先の未来へ、平和への思いを繋いでいくのです。

アメリカ人の父と日本人の母を持つクリスティーヌさんは、東京に生まれ、欧米、中東、アジア各国で暮らした経験を持つ。国境や人種を超えた平和への思いは強い。
 

※「Sustainable Peace Table」ミーティングの総集編は、下記よりご覧ください。

https://sustainablepeacetable.com/

Photographs:KEI SASAKI
Text:YUJI KANNO

こんなところに、、、?!

 

 

 

 

ある日、お店に来た私は驚きました目!!

 

 

 

ソファーにクマさんが座っている、、、、くま!!

しかも、デニム穿いてる、、、可愛い、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こーんなに大きい!!!!(身長165センチのスタッフが抱っこしています)

 

 

 

 

デニムストリート店内のソファーに座っているので

一緒に記念撮影して楽しい思い出を残してくださいねくまラブラブ

 

 

 

 

 

 

HOPE TO MEET AGAIN/旅の再開は、再会の旅へ。

旅の再開は、再会の旅へ。OVERVIEW

様々なキャンペーンや施策が講じるも、自由に旅ができるかというと、それはまだ先になるかもしれません。

もし日常が戻った時、あなたはどんな旅をしてみたいですか?

広大な海を望む旅、堂々とそびえ立つ山々を愛でる旅、ゆっくりと湖畔で過ごす旅、温泉に癒される旅、アウトドアを堪能する旅、美食に興じる旅、はたまた海外……。

いつかに備え、想像を膨らませる日々かもしれませんが、『ONESTORY』は「再会の旅」をしたいと考えています。

皆が知る「再会」という言葉の意味を改めて認識したいと思います。
「長い間別れていた人同士が、再びあうこと」(広辞苑より)。

今回の難局は、世界的に見ても人と人が触れ合う環境を遮断され、引きこもりや孤立した生活を余儀なくされました。

そんな時に芽生えるのは、誰かを思う心。

見る、食べるよりも出会うことを目的にした旅は、より一層、絆を深めるでしょう。

ご無沙汰しています! お元気でしたか? またお会いできて嬉しいです! そんな何気ない会話は特別になり、握手やハグ、肩組みなどのコミュニケーションは、心の底から込み上げてくる何かを感じるに違いありません。

そんな旅は、人生において忘れがたい時間になるはずです。

今回は、再会の日を夢見て、これまで出会ってきた人たちの今の想いをお届けしたいと思います。

大切なことは、どこへ行くかではなく、誰に会いに行くか。

旅の再開は、再会の旅へ。
 

※日々の変化がめまぐるしい中、各所が取材に応じてくださっています。内容によっては、世の中の情勢と時間差があるものもございます。また、新型コロナウイルス収束後、自由に旅が再開できるようになった際には、本企画を予告なく終了する場合がございます。予めご了承ください。


Text:YUICHI KURAMOCHI

ホワイトハーツ×シルバー ビーズブレスレット

ビーズブレスがNEWカラーになり、更にグレードアップして新登場!

  • ビーズの真ん中部分に白いガラスを配しその周りに色ガラスを被せることで 赤の発色をより美しくさせるホワイトハーツと呼ばれるビーズを使用
  • メインとなるセンター部分にはシルバー925製ビーズを使用
  • 留め具部分には『IRON HEART』の文字が入ったシルバー925のチャームが付きます
  • チャーム裏側には『Dear Blossom SILVER』 のロゴ
  • サイズは留め具部分で調整可能 (17cm〜22cm) 留め具部分とシルバーのビーズは全てシルバー925です
  • ※ 天然素材の為、色味などは個体差があります。ご了承ください。

ホワイトハーツ×シルバー ビーズブレスレット

ビーズブレスがNEWカラーになり、更にグレードアップして新登場!

  • ビーズの真ん中部分に白いガラスを配しその周りに色ガラスを被せることで 赤の発色をより美しくさせるホワイトハーツと呼ばれるビーズを使用
  • メインとなるセンター部分にはシルバー925製ビーズを使用
  • 留め具部分には『IRON HEART』の文字が入ったシルバー925のチャームが付きます
  • チャーム裏側には『Dear Blossom SILVER』 のロゴ
  • サイズは留め具部分で調整可能 (17cm〜22cm) 留め具部分とシルバーのビーズは全てシルバー925です
  • ※ 天然素材の為、色味などは個体差があります。ご了承ください。

FTW柄フルジップパーカNewカラー

FTW柄にNEWカラー登場!

  • アイアンハート定番の極厚裏起毛スウェットパーカ
  • プリントはバイク乗りの定番FTW(Foever Two Wheels)柄
  • 左胸のワンポイントと大振りなバックプリントが入ります
  • ライディングの際にダボつかないようダブルジップ仕様です
  • グローブをしていても開閉しやすいようにジップには革タブを付けています
  • フロントポケット左側にはアイアンハートのネームが付きます
  • 4本針(フラットシーマ)での縫製で、ストレスのない着心地です

IHSW-46:サイズスペック

  着丈 肩巾 バスト 裾回り 袖丈 袖口
L-F 60.5 39.0 96.0 82.0 58.0 8.5
S 62.5 43.0 104.0 90.0 63.0 8.5
M 64.5 46.0 110.0 96.0 64.0 8.5
L 67.5 49.0 116.0 102.0 65.0 9.5
XL 69.5 52.0 120.0 106.0 66.0 9.5
XXL 71.5 55.0 124.0 110.0 67.0 9.5
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  • 商品はワンウォッシュ済みです

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  • 綿:100%

テイクアウトに新商品!

    皆様いかがお過ごしでしょうか??


   倉敷は暑い日が続くな〜と思っていたら一気に秋の気配が漂ってきました( ・∇・)

   さて、そんな中で本日テイクアウトコーナーから新商品が誕生しております(*´∀`*)


     
 デニムレモン酎ハイでございます╰(*´︶`*)╯♡

ライチの甘みとレモンのスッキリさがマッチしたお酒で、味は勿論のこと美味しいのですが

     物凄く写真映えします(≧∇≦)

アルコールは9%となっており、ほろ酔い気分で倉敷の美観地区観光なんてのも乙なものでございます♪( ´θ`)ノ


     美観地区は来られたからは是非テイクアウトコーナーでほろ酔い気分を味わってみてください( ・∇・)




Vol.3 シャンパーニュと無数の扉[NEW PAIRING OF CHAMPAGNE・オード/東京都渋谷区広尾]

「ただ“コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン”に合わせるだけでなく、今の気候も加味して今回は料理を考案しました」と話す生井祐介シェフ。猛暑の取材当日、「暑い日に頂く今回の逸品は、冷たくて嬉しい!」と角田光代さん。その料理の正体は、下記にてお楽しみを! 

オード × 角田光代

熱中症警戒アラートが発令されるくらい暑い日、できるだけ日陰をさがして移動しながらレストラン「オード」を目指す。グレーのカウンターがキッチンを囲むシンプルな店内。厨房への入り口に取りつけられた「オード」の提灯がチャーミングだ。キッチンに、見たことのあるようなないような機器が設置されている。あれはなんでしょうと、シェフの生井祐介氏に訊くと、かき氷製造機という意外な答えが返ってくる。フランス料理店にかき氷……デザート用?
「今日はガスパチョのかき氷をお出しします」と、これも想像のはるか上をいく答えが返ってくる。
その答えに驚きつつも、実は私は「やった!」と心の中でガッツポーズをとるくらい嬉しくなった。本当に暑くて、きーんと冷たいものを心底欲していたのである。
厨房でガスパチョの作りかたを見せて頂く。キュウリの芯をくりぬいて細切りにしたもの、ごく薄く切られた大葉、隠し味の梅干し、かすかに金色の液体が用意されている。この液体、なんと大量のトマトをミキサーにかけ、一晩かけて布濾ししたトマトウォーターなのだという。ひと口飲ませてもらうと、透明に近い液体から凝縮されたトマトの旨味が立ち上る。
キュウリと大葉をごま油でさっと炒め、梅干し、生姜汁とレモン汁、コニャックをひとたらし入れて、ミキサーで攪拌(かくはん)し、急速冷凍する。
料理の完成形にも驚かされる。エキストラバージンオイルをたらしたガスパチョのかき氷は、コリアンダーの花がちりばめられていて、まるでアーティフィシャルグリーンのようだ。一緒に供されるのは花束みたいなハーブ。コリアンダー、レモンバジル、ミントで、好きなものを好きなように摘んでガスパチョに散らして食す。

【関連記事】NEW PAIRING OF CHAMPAGNE/作家・角田光代が体験する「食べるシャンパン。」の特別連載エッセイ!

今回、生井シェフがテタンジェに合わせて用意した料理は、「胡瓜のガスパチョ」。キュウリをベースにしたそれは、これがガスパチョ?と思わせる容姿だが、それもそのはず。凍らせたスープをかき氷のようにして皿を覆い、ハーブを自ら摘んで一緒に頂く。芸術的な逸品である。

付け合わせのハーブは、コリアンダー、レモンバジル、ミントなど。盛り付けの妙も手伝い、架空の畑を彷彿とさせる。「バジルは、和歌山の『ヴィラ・アイーダ』さんから取り寄せたものになります」と生井シェフ。「食材は、できるだけ生産者さんから直接取るようにしています。市場に出るものも良いのですが、欲しいサイズや収穫時期など、阿吽の呼吸はコミュニケーションから生まれるので。いつかは自分も畑をやりたい」と続ける。

今回の料理に使用する主な食材は、上から時計回りにトマトウォーター、梅干し、キュウリ、大葉。全て、時間と手間のかかった仕込みがなされている。

トマトの種を丁寧に取り、ミキサーに。更に丸一日ゆっくり布濾しし、混ざっている個体を取り除くと、透明なトマトウォーターが完成。「え! これトマトなんですか!?」と角田さんも驚くほど、クリアな液体。生井シェフに勧められ、スプーンで口に運ぶと「わー! トマトだ!(笑)」。

「今回の料理ではキュウリの青臭さを消したいので、一度炒めます。風味とコクを出すためにごま油も加えます」と生井シェフ。フライパンからは火が立ち上り、その光景はまるで中華!? 「キュウリと油の相性は、とても良いんですよ」と生井シェフは話す。

炒めたキュウリと大葉に生姜汁とレモン汁、トマトウォーターと梅干しを加えてミキサーに。その後、隠し味にコニャックを加えるのがポイント。

上記をミキサーにかけた後、液状のものをひと口。「おー! すごい! 不思議な感覚だけど、ちゃんとキュウリの風味は残ってる! なんだこれは!」と角田さん。

バジルを利かせたアンズのアイスとハラペーニョ液に浸けた刻んだキュウリのピクルスを中に忍ばせ、食感のアクセントに。

中央のキッチンには、フランス料理店には似つかわしくないかき氷製造機が! 「不思議な光景ですね(笑)」と角田さん。更にその奥には、提灯が。店内に施された様々な遊び心にも生井シェフのセンスが垣間見える。

まるで苔庭のようなかき氷の表面にコリアンダーの花を丁寧に配し、料理を仕上げる生井シェフ。それを覗いていた角田さんは、カウンターから身を乗り出して「なんて綺麗なんでしょう!」とうっとりする姿も。

オード × 角田光代

まずはそのままスプーンで一口食べる。気持ちのいい冷たさとしゃくしゃくした感触が口に広がり、それからトマトの旨味やごま油のコクが、時間差で口に広がる。シャンパーニュを続けて飲むと、ふわっと味と香りが広がる。ハーブを散らして更に食べる。ガスパチョの下に何か隠れていて、味覚も食感も香りも変わる。
ハラペーニョとレモンのジュースでマリネしたキュウリとタマネギ、それからアンズのアイスがガスパチョの中に入っているという。それらに加えて、三種のハーブのどの部分(花か葉か)とガスパチョを食べるかで、ひと皿の味も食感も香りもくるくると変わっていく。更に、ガスパチョと一緒に口に含むようにしてシャンパーニュを飲むと、ふくよかさが倍増していく。無数の扉が次々と開かれていく感じ。

「何かドキドキします……」と、目の前に供された料理にやや緊張!?する角田さん。まるで観察するかのような眼差し。「僕も緊張してきた……(笑)」と生井シェフ。

「ガスパチョを口に含んだ後、ぜひ追いかけるように“コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン”を召し上がってください」という生井シェフのアドバイスのとおり、口にグラスを運ぶ角田さん。「味だけでなく、香りも複雑に混ざり合い、口の中が心地よいです」と角田さんは話す。

添えられたハーブは、好みに応じて自分で摘み、料理に合わせていく。「この作業もまた楽しい!」と角田さん。

「料理の味、食感、ペアリング、今まで経験したことのない提案をしたかった」と生井シェフ。「それぞれ単体でも美味しいですが、色々な組み合わせ次第でどんどん変化していくのが楽しい。どう食べるか、どれから口に含むかで全く表情が変わります!」と角田さん。

料理を食した後、記憶が鮮明なうちにメモを取る。「口内に残る余韻だけでも “コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン”を楽しめます」と角田さん。

オード × 角田光代

もともと音楽をやっていた生井さんが料理の世界に入ったのは25歳の時だという。レストラン「オード」を開いたのは3年前。この仕事で、生井さんが一番魅力を感じるのはどんなところかと訊いてみると、「スタッフみんなで準備し、下ごしらえしたものを、お客様のタイミングに合わせて、わっと組み立てていくこと」という答え。下ごしらえの段階では、なんの脈絡もなかった素材が様々に組み合わさってひとつの料理になる。とはいえ、シェフの気まぐれで、下ごしらえしていたものをぜんぶなしにして、急にあらたな調理を始めることもあるのだという。そうした変更の余地も少しは残しつつ、緊張感を持って準備から始めていく、それが面白いのだと生井さんは話す。
そして常に心に留めているのは「お客様に対して真正面を向いて料理を出しているか」ということ。「オード」で提供しているのはおまかせのコース料理だけれど、生井さんをはじめスタッフは、常にお客さんの反応を見て、ちょっとした会話のやりとりなどから、受け取れる範囲の情報を得て、一人ひとりへのカスタマイズをしているのだというから、びっくりしてしまう。

「氷に含まれる梅と忍ばせたアンズ。どちらも酸っぱい要素があるのですが、それぞれリズム良くその存在を覗かせるので、その変化が味わえます。どんな味の奥行きにも合う“コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン”もまたすごい」と角田さん。

「“コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン”に合わせる料理は、常温か冷たい前菜、もしくは温かい料理だと思います。今回のように“氷”とのペアリングは、なかなか見ないのではないでしょうか。その振り切ったところで勝負したかった。口の中で泡が弾ける時、氷の粒子がそれに反応し、双方のボリュームが増すところが今回の特徴だと思います」と生井シェフ。「後はライヴ感が大切!」と言葉を続ける。

オード × 角田光代

生井さんの話を聞いていたら、以前対談をさせて頂いたミュージシャンの話を思い出した。ライヴの日のために、私にすればおそろしいほどのストイックな準備をし、その日のためだけのテンションを作り上げていって、当日、ライヴが始まる。客席の反応を見ながら歌いかたや曲調の微細なところを、バンドメンバーとコンタクトをしつつ変えていく、とそのミュージシャンは話していた。それはそのまま生井さんの料理スタイルと重なると思ったのだ。
その日その瞬間の、最善を尽くす。不変の完璧を目指すのではなくて、対する人の、その日その瞬間の様子も見ながら臨機応変に、変化させていく。まさに生井さんが日々繰り広げているのは、食の世界のライヴなのだ。幾度も足を運んでも、きっとその日その瞬間だけの感動が、ここ「オード」にはあるのだろう。

「料理の話はもちろん、音楽の話まで、色々お話しできて楽しかったです」と角田さん。「話しすぎちゃったかな(笑)」と生井シェフ。会話に弾みをつけたのは、「これもまた“コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン”の力ですね」とふたり。

住所:東京都渋谷区広尾5-1-32 ST広尾2F MAP
TEL:03-6447-7480
https://restaurant-ode.com

1967年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学第一文学部卒業。90年「幸福な遊戯」で第9回海燕新人文学賞を受賞し、デビュー。96年「まどろむ夜のUFO」で第18回野間文芸新人賞、98年「ぼくはきみのおにいさん」で第13回坪田譲治文学賞を受賞。「キッドナップ・ツアー」では99年に第46回産経児童出版文学賞フジテレビ賞、2000年に第22回路傍の石文学賞を受賞。03年「空中庭園」で第3回婦人公論文芸賞、05年「対岸の彼女」で第132回直木賞を受賞。06年「ロック母」で第32回川端康成文学賞、07年「八日目の蝉」で第2回中央公論文芸賞、11年「ツリーハウス」で第22回伊藤整文学賞、12年「紙の月」で第25回柴田錬三郎賞を受賞、「かなたの子」で泉鏡花文学賞を受賞。14年「私のなかの彼女」で河合隼雄物語賞を受賞。

お問い合わせ:サッポロビール株式会社お客様センター 0120-207-800
受付時間:9:00~17:00(土日祝日除く)
※内容を正確に承るため、お客様に電話番号の通知をお願いしております。電話機が非通知設定の場合は、恐れ入りますが電話番号の最初に「186」をつけておかけください。
お客様から頂きましたお電話は、内容確認のため録音させて頂いております。
http://www.sapporobeer.jp/wine/taittinger/


Photographs:KOH AKAZAWA

(supported by TAITTINGER)

ヒッコリーワークシャツ

814: サイズスペック

  着丈 肩巾 バスト 裾回り 袖丈 袖口
L-S 61.5 36.0 90.0 88.0 58.0 9.5
L-M 64.5 39.0 94.0 92.0 59.5 10.0
XS 69.0 39.0 103.0 100.0 61.0 10.5
S 70.5 41.0 107.0 104.0 61.0 10.5
M 72.0 43.0 111.0 108.0 62.5 11.0
L 73.5 45.0 115.0 112.0 64.0 11.5
XL 75.0 47.0 119.0 116.0 65.5 12.0
XXL 76.5 49.0 123.0 120.0 67.0 12.5
XXXL 78.0 51.0 127.0 124.0 68.5 12.5
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花は限りある命を懸命に全うする。自分の生き方もそうありたい。

2016年よりスタートした「FLOWER SHOP KIBOU」は、世界中に足を運び、花を通して人々に希望を届けるプロジェクト。インドでは、レイを編み、現地住民に振る舞った。

東信 インタビュー芸術家として、花屋として、人として。再び命に向き合う。

世界的に活躍するフラワーアーティスト・東 信氏。その舞台は、日本よりも海外の比重が大きく、ニューヨーク、パリ、デュッセルドルフ、ミラノ、ベルギー、上海、メキシコ……。美術館からアートギャラリーまで、引く手数多です。

東氏の表現は、花が持つ美しさを芸術に昇華させ、更に価値化。そして、花に想像を超えた邂逅体験をさせる手法もまた、独自の世界観を生みます。宇宙へ飛び立つ「Exobiotanica - Botanical space flight -」や深海に沈む「Sephirothic flower : Diving Into the Unknown」はその好例です。

自身の創作以外では、ビッグメゾンとの取り組みも多く、「HERMES」や「FENDI」のウィンドー制作やインスタレーション、「DRIES VAN NOTEN」のショーでは「Iced Flower」が採用され、「YOHJI YAMAMOTO」のコレクションではフォトビジュアルを生地に転写。近年においては、「COMME des GARCONS」の川久保 玲さんに選ばれた逸材、「noir kei ninomiya」の二宮 啓氏と共に花のヘッドピースやマスク、ルックに生花を合わせるといった前衛的なコレクションを発表しています。

そんな東氏は、直近に予定されていた海外の活動延期を余儀なくされてしまいます。理由はもちろん、新型コロナウイルスによるものです。
「こんなに長い間、日本にいるのは久々かもしれません。良い意味で、自分と向き合う機会になりました」。

その時に浮かんだこと。それは、「何か違う」。

ここ数年、おぼろげながらに感じた心境の変化と対峙し、答えを探します。

【関連記事】生きるを再び考える/RETHINK OF LIFE 特集・10人の生き方

作品「Exobiotanica Ⅱ - Botanical space flight -」。その芸術性はもちろん、想像を超えた演出方法もまた、東氏の表現の特徴。

作品「Sephirothic flower : Diving Into the Unknown」。深海でも花の美しさは健在。植物も海も自然界のものゆえ、より生命力が溢れ出す。

東信 インタビュー本当に大切なものは何か。芸術家である前に人として何ができるのか。

遡ること2016年、新たなプロジェクトがスタートしました。それは、「FLOWER SHOP KIBOU」です。世界中に足を運び、ゲリラ的にショップをオープン。訪れた地の人々に花を贈り、希望を届けるための活動です。

──
フラワーショップ“希望”とは、世界中の様々な街に出現し、人々に希望という名の花を届ける花屋である。国籍や人種、言語、宗教問わず、花を贈る人間の心は万国共通である。憎悪や悲しみ、絶望の中で、かすかな希望を託すもの。我々は、人々に花を届け続ける。希望が必要な限り、花を届け続ける。
──

花には「希望」がある。改めてそう東氏が実感したのは、2011年。日本中に大きな衝撃を与えた「東日本大震災」の時でした。
「僕たちは、“JARDINS des FLEURS”というオートクチュールの花屋を2002年から始めています。注文に合わせてデッサンを起こし、花材を仕入れ、花束を作るお店です。今回、このコロナ禍で真っ先に花の業界は影響を受けると思っていたのですが、実際は想像と真逆でした。花をお買い求めになるお客様が非常に多かったのです。しかも、イエローやオレンジなど、ビタミンカラーの配色をご希望する方が多かったのも特徴のひとつでした。みなさん、誰かを元気付けたいと思っていたのです。“東日本大震災”の時にも同じ現象が起きていました」。

「JARDINS des FLEURS」は、特異な花屋です。まず、花屋なのに花がありません。理由は、前出の通り、オートクチュールにあります。誰にどんな用途でお花を届けたいのかという会話からオーダーはスタート。必要な分だけ花を仕入れ、各々に適した作品を提供しているため、通常の花屋に見る切花やブーケなどが陳列される風景がここにはないのです。
「自分も元々は花屋に勤めていました。しかし、そこでは売れるか分からない花が多分に並び、しおれてきてしまったら廃棄。場合によっては、古いものからお客様に提供するところも。そこに疑問を感じ、自分は必要な分だけ花を仕入れ、無駄をなくした花屋をやりたいと思ったのです」。
食材で言えば、賞味期限に似るのかもしれません。更には、それが生きる動物の品と考えれば想像するのは難しくないでしょう。

「命を無駄にしたくない」。

人々は、なぜ花を必要とするのか。届けたい先の見える化が形成されているのも「JARDINS des FLEURS」の大きな特徴です。
「これは、僕らが改めて“花の力”をお客様から学ばせて頂いたことなのですが、花は自分のために得るのではなく、誰かのために与える存在だということです。元気付けたい。励ましたい。勇気付けたい。それは依頼内容に如実に表れていました。やはり、花は生きる活力なのだと思いました」。

生活を豊かに彩るのも花ですが、苦しい時に光を見出してくれるのもまた花。冠婚葬祭、お見舞い、献花、お供え……。様々な場面において、花は常に寄り添い、相手の心を癒します。
この感受は、芸術家・東 信だけでなく、花屋・東 信も続けてきたからこそ得られた精神と言って良いでしょう。

先述の「何か違う」と思った答え、それは表現の先にある「希望」。
「果たして僕は、花を通して希望を与えられているのか」。

人から人へ、手から手へ、花を届ける「FLOWER SHOP KIBOU」。このコロナ禍により、改めて、そんな温もりの大切さを再確認させられる。

国や人種、年齢や性別に関係なく、花を渡すと人々は、皆、笑顔に。花には自然と人の心を豊かにする力があるのだ。

東信 インタビュー花は自分に希望を与えてくれた。次はその希望を誰かに届けたい。

「FLOWER SHOP KIBOU」は、コンゴ、アルジェリア、ドイツ、インド、ウルグアイ、アルゼンチン、ブラジル、ジャマイカ、中国、日本(福島、福岡、石垣島、青森)を巡ってきました。
「国も違えば、土地も文化も違う。正直、治安の悪いところもありましたが、全てにおいてひとつだけ共通していることがあったのです。それは、自分が得た花を自分だけのものにせず、その美しさを誰かと共有するということでした」。

お母さんにあげるんだ! 恋人にプレゼントするね! 友達にも見せてあげたい! お墓に手向けます! プロポーズしてくる!!

そして、花を受け取った人は、満面の笑顔でただ「ありがとう」。希望の連鎖です。

「この体験は、芸術活動では得られないと思います。なぜなら、美術館やギャラリーで開催される展覧会は鑑賞であり、わざわざ足を運んでくれた一部の人しか花を見ることができません。しかし、もっと身近な人たちに僕は花を感じて欲しかった。今度は、自分が足を運ぶ番だと思ったのです」。

花は人を無欲にし、人間そのものが持つ澄んだ心までも手繰り寄せるのかもしれません。

「ウルグアイに訪れた際、幸運にもホセ・ムヒカ元大統領とお会いする機会を頂きました。生きることは何かや命についてお話を伺ったのですが、こうおっしゃっていました。“約70億人が暮らすこの地球上では、争いが絶えません。国家間の対立やイデオロギーの衝突、個人で言えば、価値観の不一致が争いを招き、名も知れぬ人々の死を伝えるニュースは日常化してしまっています。私利私欲にまみれ、皆が好きなことをやってしまえば、世界はもちろん、地球すら崩壊してしまうかも知れません”」。

コロナ禍では、自粛やロックダウンによって排気ガスは低減され、空気は澄み、人が足を踏み入れなくなった大地や自然のみ、本来の力を再生させる機会となったのかもしれません。人間の活動停止による地球回復という皮肉な結果になったと言えるでしょう。
ムヒカ元大統領は、命や人生よりも大切なことはないと提唱し、「人生で一番大事なことは、成功することじゃない。歩むことだ」、「幸せに生きるには、目的意識を持つことだ」という言葉も残しています。

日本へ訪れた際には、日本人へのリスペクトとして広島へも足を運んだ過去も持ち、東氏もまた、毎年、原爆の日には献花を行っています。

はたして我々は、どう歩み、どんな目的意識を持つべきなのか。そして、これからどう生きるべきなのか。

「FLOWER SHOP KIBOU」は、テントのみで行うゲリラショップ。ショップと名打つも、花は無償で提供。それが人々の希望につながれば、と活動を続ける。

ブラジルでは、人々の日常にある街中にて展開。子供は花を手にし、「家族に見せたい!」、「友達にも分けてあげたい!」と、笑顔の連鎖を生む。

アルゼンチンでは、フフイに訪問。荒涼とする村には先住民も多く、色濃い文化も残るも、花の美しさは世界共通。異国民への警戒は開放され、感謝の心も生まれた。

アフリカはコンゴでも展開。広大な熱帯雨林が残り、生息する植物にも特徴がある。「FLOWER SHOP KIBOU」は、現地で花を仕入れるため、花を通して地域の環境を知ることもできる。

アフリカ、コンゴにて。観光客もあまり訪れない村では、異国からの訪問はすぐ噂に。子供たちは、不思議な花屋に興味津々。

インドではカラフルな花が多く、日常と密接につながる。仏教やヒンドゥー教発祥の地でもあるため、礼拝などにも手向けられ、神秘的な存在として扱われる。

インドではガンジス川のほとりでも展開。聖なる川として愛されるここでは祈りの儀式も行われ、神聖な場所でもある。

日本では、福島の某小学校に展開。震災以降、「FLOWER SHOP KIBOU」に限らず、花を通して夢や希望を与えられる活動を行なっている。

授業が終わり、チャイムが鳴ると、すぐさま校庭に。放課後には行列ができるほど子供たちは花に夢中になった。

花をもらった女の子は、東氏にお礼を伝え、すぐさま走り出す。その先には、クラスの友達に花を手渡す風景が。喜びや美しさを分かち合う心に導いてくれるのも、また花の力。

ラスタカラーが印象的な壁面での展開はジャマイカにて。常夏の地域、レゲエの聖地としても有名だが、ピースの文化も根付く。ここでも子供たちが花を求め、列を成した。

アルジェリアの首都、アルジェの旧市街カスバにて。カスバとは、アラビア語で要塞の意味。丘がつならなるそこは、その名の通り、壁に守られ、迷路のような階段状の路地が多い。

ウルグアイに訪問の際には、第40代大統領、ホセ・アルベルト・ムヒカ・コルダーノ氏と会談する機会も。これから人はどう生きるべきなのか、自然や地球の環境問題など、様々な議論を繰り広げた。

東信 インタビュー
僕たちは何かを失ったのではない。確実に何かを得たのだ。

2019年、東氏は「The New York Times」にて、各大陸を代表するフローリストとして選出され、更に世界中から注目を集めています。

「とても名誉なことではありますが、(冒頭の通り)今は、芸術力や演出力、表現力よりも人間力を磨くべきだと思っています。僕自身、花に生かされていますし、その花が生きる環境問題に目を向けられなければ花に携わる人間として資格。今、僕らのお店では、お花のバッグやブーケのケースも再利用できるものに全て変えました。それをご説明すると、みなさんは楽しそうにまた持ってきてくださって。自分たちにできることは些細な活動かも知れませんが、コツコツと積み重ねていくしかありません。もう一度、花屋を始めた初心に返り、再び命と向き合いたいと思っています」。

東氏のもとには、オーダーした花を提供するに終わらず、その後、お礼の連絡とともに花を渡した相手がどんな反応を示したかの便りが届くと言います。
「僕たちの手を離れた花がどんなふうに人を喜ばせ、命を全うできたかを知れるのは本当に嬉しいです。僕らが希望を与えたはずなのに、巡り巡って、結果、僕らに希望を与えてくれます」。

取材後、ある場所へ東氏が案内してくれました。そこにはユリが壮観に並び、数にして約3,000本。
「2020年7月、九州を襲った豪雨では、たくさんの方々が被害に見舞われましたが、その中には花を育てている生産者も少なくありませんでした。傷がついてしまったり、汚れてしまった花は、市場に出荷できないため、引取先がない場合は、破棄されてしまいます。それを僕らが買い取り、どうにか花の命を全うさせたいと思い」。
ひとつでも美しいユリですが、集積された美しさもまた圧巻。
「生産者の方々が丹精込めて育てた花の命を無駄にするわけにいきませんから」。

こうした創作活動は、コロナ禍も地道に続けており、その後の花の行き先は、医療従事者の方へのギフトとして贈っていました。
「コロナ禍によって失ったものは大きいかもしれませんが、そればかりではないはずです。我々は確実に何かを得たのだと思います。今こそ、自分たちがどういきるかを再び考えなければいけません」。

世界中に日常が戻ったとしても、後戻りはしてはいけません。回復した自然環境をより持続させ、そういった配慮を人間はしていくべきなのです。

「花に携わって約20年。表現者として、花屋として、人として、バラバラに歩んでいた道がひとつに重なってきた感があります。それは、つまり生き方。花は限りある命を懸命に全うし、誰かを幸せにし、笑顔にし、希望を与えてくれます。自分の生き方もそうありたい」。

人はいつか死を迎えます。花も同様ですが、人と大きく違うところは、植物は朽ちた後も大地に還り、次の命のためにその身を捧げます。

「自分が生きている間、誰かのために、花のために、自然のために、何ができるのか」。

その答えはすぐには見つからないかもしれません。いや、死ぬまで見つからないかもしれません。数多の花の命を見取ってきた東氏のこれからは、より植物に近い生き方を歩むのかもしれません。

「死期を迎えるその時まで、僕は花とともに希望を届けたい」。

様々な国や地域を訪れ、花を通して希望を届ける「FLOWER SHOP KIBOU」。「花を受け取った人々が得た希望は、きっと違う誰かにまた連鎖していく。花にはそんな力があると思います」と東氏。

九州の豪雨によって行き場をなくしたユリを招き入れ、作品を創作。傷を追ったものも多分にあるが、役割を与えられた花々は、より生き生きとした表情を見せる。力強い個の集積は、圧巻の生命力がみなぎる。

1976年生まれ。フラワーアーティスト・『JARDINS des FLEURS』主宰。2002年より、注文に合わせてデッサンを起こし、花材を仕入れ、花束を作るオートクチュールの花屋『JARDINS des FLEURS』を銀座に構える(現在の所在地は南青山)。2005年頃から、こうした花屋としての活動に加え、植物による表現の可能性を追求し、彫刻作品ともいえる造形表現=Botanical Sculptureを開始し、海外から注目を集め始める。ニューヨークでの個展を皮切りに、パリやデュッセルドルフなどで実験的な作品を数多く発表する他、2009年より実験的植物集団『東 信、花樹研究所 (AMKK)』を立ち上げ、欧米のみならずアジア、南米に至るまで様々な美術館やアートギャラリー、パブリックスペースで作品発表を重ねる。近年では自然界では存在し得ないような地球上の様々なシチュエーションで花を生ける創作を精力的に展開。独自の視点から植物の美を追求し続けている。また、2016年より世界各国を巡り、花の美しさや植物の存在価値を伝えるプロジェクト『FLOWER SHOP KIBOU』を始め、花と人との関係性を探る活動も展開する。
http://azumamakoto.com

Flower Art:MAKOTO AZUMA
Photographs:SHUNSUKE SHIINOKI & AMKK
Text:YUICHI KURAMOCHI

キャラ工房 閉店のお知らせ

 

 

 

大切なお知らせですお願い

 

 

 

倉敷デニムスきゃら工房が

9月11日をもちまして閉店致します

 

 

長らくご愛好頂きましてありがとうございました音譜ニコニコ

 

 

 

 

閉店売り尽くしとなっておりますので、

倉敷にお越しの方は是非お立ち寄り下さいキラキラ

 

 

 

 

 

倉敷デニムストリート本館は

引き続き営業しておりますのでお待ちしておりますルンルン