平野紗季子×長田佳子 抽選で限定5名が参加できる「オンライン料理教室」を開催 [NIIGATA PREMIUM LIVE KITCHEN vol.1/新潟県]

新潟名産「おけさ柿」の農園を訪ねた平野紗季子さん(左)と長田佳子さん(右)。色づく柿を実際に見ながら、レシピのアイデアをふくらませます。

新潟プレミアムライブキッチンオンライン料理教室で新潟の食の魅力を発信

11月7日(土)、フードエッセイスト・平野紗季子さんと菓子研究家・長田佳子さんによるオンライン・クッキングイベント『NIIGATA PREMIUM LIVE KITCHEN vol.1』が開催されます。これは、「新潟ウチごはんプレミアム」とONESTORYのコラボレーションによって実現した特別企画。抽選を勝ち抜いた限定5名が参加可能な、贅沢な料理教室です。
「新潟ウチごはんプレミアム」とは、新潟の食を支え育んできた生産者や料理人を通じて、全国の食卓に「新潟の食」を紹介するポータルサイトです。今回、ONESTORYはフードカルチャーのトップランナーに新潟の食材を使ったレシピ開発を依頼。「新潟ウチごはんプレミアム」のオンライン料理教室を通じて、新潟の食の魅力を発信します。

記念すべき第1回目を担当するのは、平野紗季子さん・長田佳子さんのコンビ。 平野紗季子さんといえば、小学生のころから食日記をつけ続ける人気フードエッセイスト。雑誌『Hanako』での連載をまとめた著書「私は散歩とごはんが好き(犬かよ)」では、コミカルなタッチで綴られる文章と写真が、同世代の女性読者から絶大な支持を得ています。 長田佳子さんはといえば、パティスリーやオーガニックレストラン勤務での経験を生かし、現在は「foodremedies」として活動。砂糖やお菓子が体に負担をかけるものではなく、人を癒すものになってほしいという願いのもと生産者に会うことを大切にし、素材を厳選したお菓子作りは、やはり全国にファンを持つ人気の菓子研究家。 そう、記念すべき初回は人気のフードエッセイストと、菓子研究家がこの日のためだけにスペシャルタッグを組んでくれたのです。

今回、ふたりはレシピ開発のために、あらためて新潟を訪れました。さまざまな食材の生産の現場を巡る中で、ふたりはどのようなインスピレーションを受けたのでしょう。そして、注目のレシピとは?

ぜひ、イベントへふるってご応募ください。

【イベント概要】
ご自宅に届いた新潟の食材を使い、平野氏・長田氏と一緒に調理を愉しむオンライン料理教室。
事前に、レシピに使用される新潟の食材をご自宅に配送させていただきます。
(調味料等ご自身でご用意頂くものは、当選者にご連絡させていただきます)

*日程
11月7日(土)15:00~16:30
*開催方法
オンラインイベント
お申し込み頂いた方の中から抽選で5名様に、イベント参加用のZOOMのURLをお送りいたします。
*定員
5名(主催者にて抽選)
*参加費
無料

食材を探すふたり旅は休憩時間も全力。ずっと行ってみたかった新潟市中央区のヴィーガンカフェ「mountain△grocery」で作戦会議。

新潟プレミアムライブキッチン「おけさ柿」の甘さのヒミツ、渋さのワケ

傘が要らない程度の心地よい秋雨が落ちる中、平野さんと長田さんのふたりは、新潟市の柿畑にいました。ここ秋葉区真木野の柿畑は広さ約8ヘクタール。推定1600本の「おけさ柿」が植えられています。ふたりがお菓子の食材として選んだのが、そう、この「おけさ柿」です。
新潟県のブランド柿として知られる「おけさ柿」は、実は品種名ではなく商標。品種としては、平核無柿(ひらたねなしがき)と、その早生品種である刀根早生(とねわせ)の2品種です。こちらの畑に並んでいるのは刀根早生で、果実は大きく四角に膨らみ、薄橙に色づいています。あと2〜3週間で本格的な収穫の時を迎えるそうです。
「甘いですか?」という平野さんに、「いやいや渋いですよ」と笑って答えるのは、JA新津さつきの田中宏樹さん。「おけさ柿」の2品種はどちらも渋柿。収穫後、渋抜きの加工を経て、甘い柿として出荷されています。田中さんは、渋抜きのメカニズムについて説明してくれます。
「柿の渋味の正体はタンニンという成分。渋抜きといっても、このタンニンが抜けるわけではなく、柿の中に残ったままです。タンニンは水に溶けやすい性質でして、水に溶けたタンニンが口の粘膜に付くと渋味になります。渋抜きはヘタにアルコールを染み込ませる方法が有名ですが、どの方法もタンニンが水に溶けない工夫をして、人間が渋味を感じないようにごまかす技術なんです」
こちらで収穫する柿は、室の中で炭酸ガスを吸わせる方法で渋抜きが行われています。柿を炭酸ガスで窒息状態にすると、柿の中にアセドアルデヒドが発生し、アルコールをしみ込ませたような効果が得られると言います。

「渋味を生かした食べ方もありますか?」という平野さんの質問に、「いやあ」と口ごもる田中さん。渋柿を食べたことがないというふたりは、何事も経験と、渋抜き前の柿を試食することに……。
「おぉーー、そういうことか。口の中が一瞬で砂漠化した! 渋いというレベルがイメージとまるで違っていました」と平野さん。「あ、口の中いっぱいに麩菓子を詰め込まれた感じ」と長田さんも目を丸くしています。
そして、晴れて、渋抜き後の甘い「おけさ柿」の試食したふたりは、「このやさしい甘味がなんともいえずいいですね」「香りも穏やかで上品」と幸せいっぱいです。

ところが、地元での柿を使った調理法についてリサーチを進めていくと、驚きの事実に直面してしまいました。「地元の各家庭で作られる郷土菓子のようなものはありますか?」と長田さんが質問すると、田中さんはまた渋い顔をして、「いやあ、聞かないですね。熱を加えると、また渋味が戻っちゃうんで。だからジャムなんかも、おけさ柿のものはないんですよ」とのこと。「えぇ〜っ!」と顔を見合わせる平野さんと長田さん。そして、「ふふふふふ」と笑い合います。ぜひ「おけさ柿」でお菓子を作りたいと意気込んでいたふたりですが、さて、一体どうするつもりなのでしょうか?

真木野地区の柿畑を管理するJ A新津の田中宏樹さん。37年前、池や湿地だったこの地区に、河川工事で発生した土を利用して干拓し、今の柿の木が植えられた。今は最も勢いよく実をつける年代に入っているという。

「おけさ柿」は種がなく、渋抜き後は甘柿よりも甘く濃厚な味わいになる。ポリフェノールやビタミンCが豊富で、古来「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われるほど、健康的な食べ物として知られる。

人生初の渋柿体験をした平野さんは、その激烈な渋味を「口が瞬時に砂漠化」と表現した。

炭酸ガスで柿の渋を抜く工場で、渋抜き後の「おけさ柿」を試食させてもらうふたり。渋味にやられた後の口を甘い柿で癒す。

「おけさ柿」のルーツとされる原木は、今も新潟市秋葉区にある。推定樹齢320年、樹高16メートル・幹周り2メートルにも及ぶ、柿の木としてはかなりの巨木。その強い樹勢は神秘的でさえある。

阿賀野市のブルワリー「スワンレイクビール」が運営する古民家レストラン「五十嵐邸ガーデン」にてランチ。そのデザートには柿が。隣のイチジクのコンポートにも負けない甘さに驚く。

おっとりとした雰囲気からは想像できないほど活動的な平野さんと長田さん。知り合いが新潟市中央区に開いたスープ・サンドイッチ・おやつの店「スズキ食堂車」へ、閉店間際に滑り込み。再会とお菓子の購入を果たしてご満悦。

新潟プレミアムライブキッチン知られざる酪農王国・新潟の逸品

平野さんと長田さんは、五頭連峰を間近に望む田園地帯にあるヤスダヨーグルトを訪ねました。33年前に、旧地名である安田町の酪農家9名が結束し、生乳の6次産業化を目指して加工場を作ったのが始まりです。看板商品であるドリンクタイプをはじめとするヨーグルト製品は、新潟県民にとっては今やお馴染み。身近なソウルフードです。
工場では、次々とボトル詰めされ、ラインを流れていくヨーグルトに釘づけのふたり。製法の解説に耳を傾けます。使用するのは新潟県下越地区の新鮮な生乳のみ。味わいで特徴的なのが、ヨーグルト特有の酸味と甘味の絶妙なバランス。これは、新潟特産の20世紀梨の糖度と、心地よい酸味をヒントにしているそうです。
新潟県産イチゴ「越後姫」や国産ミカンなどのフルーツを使ったヨーグルト製品にも注目した長田さんは、製品ラベルを確認して感心しています。
「どれも香料不使用なんですね。この手の商品で香料を使っていないのはとてもめずらしいですよね。生乳と果物本来のおいしさを大切にした自然でやさしい味わい。食材や生産者への想いも伝わってくるようなおいしさです」

工場で借りた傘を開いたら、思いがけず、かわいい牛柄。

ヤスダヨーグルトの工場見学に参加してテンションが上がるふたり。酵母のこと、発酵時間など質問も尽きない。

ほどよい酸味と生乳ならではの豊かな味わいを楽しめる飲むヨーグルト。新潟県民には定番の味。

新潟プレミアムライブキッチン希少品種・ガンジー牛の生産者も訪問。

クルマは一路、長岡市の山間にある加勢牧場へと向かいました。この牧場ではめずらしい「ガンジー牛乳」が搾られています。「ガンジー牛乳」とは、英仏海峡に浮かぶ島・ガンジー島原産の乳用種であるガンジー牛の乳。ガンジー牛は世界的に希少な品種で、日本では飼育頭数がわずか180頭ほどと推定されています。
牧場を案内してくれたのは、この地で牛たちと共に育ったという加勢健吾さん。
「この牧場は私の父がホルスタインの仔牛1頭から始めました。一時は飼育頭数を60頭まで増やしましたが、多忙を極めながらも収入が上がらないことに限界を感じ、付加価値の高い牛乳作りへの方向転換を図りました。今から20年前のことです。父がこだわったのは、何よりもおいしさでした。評判の牛乳を全国各地から取り寄せて飲み比べした結果、いちばんおいしかったのが栃木県・南ヶ丘牧場のガンジー牛乳だったのです。コクがあるのに後味がすっきりしていることがポイントだったそうです」
加勢さんのお父さんは、群馬県伊香保にある牧場に何度も通って頼み込み、ようやく1頭の仔牛「みちる」を譲ってもらいました。以来、地道に頭数を増やしながらホルスタインと入れ替えていき、現在はガンジー牛のみを16頭飼育しています。

ガンジー牛は、乳牛として品種改良が進んだホルスタインに比べるとかなり小柄で、やさしい顔立ちをしています。1日に搾れる乳は1頭あたり約15リットル。ホルスタインが1日30リットル前後というから、生産性は単純計算で半分程度です。しかし、規模を追わず、1頭1頭丹精込めて飼育している加勢牧場の「ガンジー牛乳」は、一般的な牛乳よりもはるかにおいしいとの評価を得ていて、高級牛乳として飛ぶように売れています。

「ゆったりとした牛舎で、こんなふうにリラックスして過ごしたら、牛乳だっておいしいはず」と長田さん。早速、牛乳と、牛乳をたっぷり使ったミルクプリンをいただきました。
「あ、おいしい。濃厚っていう印象ではないのに、牛乳らしい味わいが豊かでするっと入っていく感じ。後味もきれい。他の食材を引き立てながら調和してくれそうな牛乳です」と長田さんは話します。
ミルクプリンを一口食べた平野さんは、「これ、いきなりスイーツ!」と長田さんにも試食を促します。「ガンジー牛乳にバニラビーンズを入れたら、いきなりスイーツになっちゃったっていう味。こんなにおいしいミルクプリンがあるなんて」と平野さん。「ほんとだ」と長田さんも驚いた様子です。
「製法はまさに、お砂糖をほんの少し使っているだけで、ほとんどガンジー牛乳を固めたようなものです。できるだけシンプルに、ガンジー牛乳のおいしさを楽しんでいただきたいと思っているので」と加勢さん。ふたりは深く頷いていました。

つぶらな瞳がクリクリとかわいらしいガンジー牛に惹き込まれる。牛の方も平野さんのキラキラした目に興味津々。

放牧場で運動させるのも加勢牧場のこだわり。牧場には、“野良馬”の「小梅」や草刈り要員のヤギ「キラリ」もいる。生き物たちがのんびり暮らす楽園だ。

週500本だけ製造される加勢牧場の「ガンジー牛乳」。ネットショップで買えるとあって、全国にファンを抱えている。

平野さんの驚きとうれしさが入り混じる顔から、ミルクプリンのおいしさは推して知るべし。

新潟プレミアムライブキッチン旅から生まれた新潟「おけさ柿」オリジナルレシピとは?

充実した新潟の旅を終えた平野さんと長田さん。たくさんの魅力的な食材に出合い、心を込めて食材を生み出す人々の貴重な話を聞くことができました。この旅で得たインスピレーションは、オンライン・クッキングイベント『NIIGATA PREMIUM LIVE KITCHEN vol.1』で、どのように表現されるのでしょうか?
ぜひ、イベントへの参加にご応募ください。幸運な5名のひとりは、あなたかもしれません。

旅の中で登場した商品は、こちらから購入できます。

住所:〒950-0075 新潟県新潟市中央区沼垂東3-5-16 MAP
電話:090-6516-8626
https://www.instagram.com/mountaingrocery/

住所:〒956-0007 新潟県新潟市秋葉区小戸下組2224 MAP
電話:0250-25-1211
https://www.ja-satsuki.com/

住所:〒959-1944 新潟県阿賀野市金屋340-5 MAP
電話:0250-63-2100
https://www.swanlake.co.jp/main/ikarashi_info2.asp

住所:〒951-8126 新潟市中央区学校町通2-5299-3 MAP
電話:080-1140-2467
営業時間:10:00〜18:00
定休日:日・月曜日
http://www.suzukisyokudousya.com/

住所:〒959-2221 新潟県阿賀野市保田940 MAP
電話:0250-68-5028
http://www.yasuda-yogurt.co.jp/

 住所:〒949-4505 新潟県長岡市根小屋147 MAP
電話:0258-74-2863
https://www.kasebokujo.com/

1991年福岡県生まれ。小学生時代から食日記をつけ続け、大学生時代に日常の食にまつわる発見と感動を綴ったブログが話題になり文筆活動をスタート。雑誌等で多数連載を持つ他、イベントの企画運営・商品開発など、食を中心とした活動は多岐にわたる。著書に『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。最新作は『私は散歩とごはんが好き(犬かよ)。』(マガジンハウス)。Instagram:@sakikohirano

レストラン 、パティスリーなどでの修業を経て、現在は「foodremedies」(「レメディ」とは癒しや治療するという意味)という屋号で活動。ハーブやスパイスなどを使ったまるでアロマが広がるような、体に素直に響くお菓子を研究している。著書に『foodremediesのお菓子』『全粒粉が香る軽やかなお菓子』(文化出版局)などがある 。Instagram:@foodremedies.caco

Photographs:KOH AKAZAWA
Text:KOH WATANABE

(supported by 新潟県観光協会)