全国の名だたるシェフが登場! レクサスが贈る「DINING INSIDE」のレシピ動画、第二弾公開! part2

ダイニングインサイド各地の風土に想いを馳せて。名シェフの想いがこもるレシピ動画。

遠出が憚られ、積極的に外食ができない以前に比べ、少しずつですが外で食事をする機会も増えてきたのではないでしょうか。ただ、それでも以前と同じように「食」を楽しむには、まだまだ時間がかかるのは間違いありません。

しかし、その一方で、コロナ禍は自宅で楽しむ「食の時間」の大切さを改めて我々に教えてくれました。自分で料理を作る楽しさ、人に料理を振る舞うことの喜び、大切な人と食卓を囲むひと時……。今まで身近にあったはずの「食の時間」の豊かさに改めて気付かされたことでしょう。
そればかりでなく、オンラインを通して、自宅で楽しむ「食の時間」に新たなる魅力と可能性をも見出してくれたのです。

それを象徴するのが、モビリティ・ブランドであるレクサスが、日本各地の一流シェフと考案した本格レシピを発信するプロジェクト『
DINING INSIDE』です。
日本のどこかで数日間だけ開店する、プレミアムな野外レストラン『
DINING OUT』のパートナーとして、レクサスが全国の一流シェフや真摯な生産者とつながってきた経験。それを生かし、『DINING INSIDE』では、これまでに『DINING OUT』で腕をふるってきた4人のシェフによるオリジナルレシピを公開してきました。そして今回、『ONESTORY』ではこれまで未公開だったレシピ動画をリリースしたのです。しかも、それらを考案してくれたのは、これまで『ONESTORY』が取材で出会ってきた全国各地の11人のシェフというから、なんとも贅沢なレシピなのです。
生産者とつながり、その土地の食材や調味料を使い、シェフの想いまでをものせる。ただ美味しいだけではない、全国各地の土地へ想いを馳せることができる『
DINING INSIDE』のレシピは、きっと、自宅で楽しむ「食の時間」に新たな豊かさをもたらしてくれるでしょう。
※掲載しているレシピは、2020年6月に考案頂きました。


【関連記事】全国の名だたるシェフが登場! レクサスが贈る『DINING INSIDE』のレシピ動画、第二弾公開!part1

鶏肉の両面を焼き、漬け汁に5時間ほど漬けて完成。しっとりとした食感で、口の中に比内地鶏の旨味が広がる

ダイニングインサイド秋田県『日本料理たかむら』高村宏樹シェフの「比内地鶏の鶏ハム」

唯一の正統派江戸料理の継承者といわれ、秋田で江戸料理の魅力を発信し続ける『日本料理たかむら』の高村宏樹シェフ。今回は、店でも実際に出しているという、秋田を代表する食材、比内地鶏を使った鶏ハムのレシピを特別に公開して頂きました。調理自体は家庭でも簡単にできるレベルにありながら、アルミホイルの輻射熱を使いながら鶏肉に火入れしていくなど、さすがのテクニックを駆使。完成した鶏ハムは冷蔵保存で5日間ほどもつので常備菜にもぴったり。鶏ハムとしてそのまま食べられるだけでなく、漬け汁を煮玉子やチャーハンの味付けなどにも応用できる一品です。

讃岐うどんは、茹で終えて冷水で締める際によくもみ洗いをしてぬめりを取るのがポイント。食感が変わり、タレも絡みやすくなる。

ダイニングインサイド香川県『長江SORAE』長坂松夫シェフの「讃岐うどん冷やしタンタン」

かつて西麻布にあった『麻布長江』で一世を風靡した、中国料理界の重鎮ともいえる『長江SORAE』の長坂松夫シェフ。そんなスターシェフが考案してくれたレシピは、香川県のソウルフードでもある讃岐うどんを使い、長坂シェフ流に担担麺に仕立てた一品です。用意したのは長坂シェフもよく食べに行くという、『手打うどん 源内』という店のうどん。具材も鶏の胸肉やミニトマトなどで、特別な調味料を使うことなく家庭でも簡単に作れるようにアレンジしてくれています。気軽に作ることができるこちらの一品。そこには「料理の基本は家庭の中にある」という長坂シェフの思いも込められています

野菜は、種類によっては油で炒めてから混ぜることで、素材の香りや甘みを引き出している。

ダイニングインサイド新潟県『里山十帖』桑木野恵子シェフの「新潟 初夏の山と畑の白和え」

2020年7月に発行された『ミシュランガイド新潟』において、レッドパビリオンと一ツ星を獲得した宿『里山十帖』。その料理長を務める桑木野恵子シェフが考案してくれたレシピは、地の食材の魅力をナチュラルに、そしてストレートに表現する桑木野シェフらしい、地野菜の白和えです。野菜は、『里山十帖』の料理にも使われている『協同組合 人田畑』から届くもの。無肥料または微量な有機肥料のみを使ってじっくりと育てられるため、茎や皮までも味わえるのだそうです。塩と醤油で調えるだけの味付けも、シンプル極まりないですが、その分野菜の味わいをダイレクトに楽しめます。

手の込んだ鮮やかなグリーンのソースにはアサリの出汁とハーブの香り。味覚的にも視覚的にも奈良を感じられる。

ダイニングインサイド奈良県『アコルドゥ』川島 宙シェフの「景色と香り イツモソコニアルモノ。」

奈良の東大寺の旧境内跡地という絶好のロケーションでイノベーティブなモダンスパニッシュを提供する『アコルドゥ』。川島 宙シェフからは、味覚だけでなく、視覚でも奈良という土地に想いを馳せることができるレシピをお届けします。使用するのは、古くから粉ものの歴史と食文化が根づく奈良で、素麺の老舗として知られている『三輪山本』の手延べパスタめん。その麺に絡ませるのが、アサリの出汁と、ハーブやキュウリなどのピュレを合わせた鮮やかなグリーンのソースです。ソースを絡ませた麺をお皿にこんもりと盛れば、それはまさに山のよう。「お店から見える若草山をイメージしました」と川島シェフ。奈良を想起させるちょっとした遊び心が心憎い一品です。

濃厚な味わいの卵に、しっかりと魚介の出汁を含ませることでコクに奥行きをプラス。たっぷりの黒胡椒が味を引き締める

ダイニングインサイド鳥取県『AL MARE』飯田直史シェフの「魚介のカルボナーラ」

イタリア・ミラノで、ただひとりミシュランの星を持つ日本人の徳吉洋二シェフがプロデュースする『AL MARE』。ミラノでその徳吉シェフに師事した飯田直史シェフは、鳥取県の魅力を「魚介や種類豊富な農畜産物は、料理人にとって宝の山」と話します。そんな飯田シェフが作ってくれたのが、『大江ノ郷自然牧場』の天美卵という鶏卵を使ったカルボナーラです。海の目の前に店がある『AL MARE』らしく、具材はパンチェッタでなく魚介類。自家配合した飼料を与え、平飼いで育てた鶏の濃厚な旨味の卵に、魚介の出汁を合わせることで、いつものカルボナーラとは異なる深みのある味を楽しめます。

生産者の思いが詰まったソーセージと、化学肥料や農薬を使わずに育てた野菜が、栃木の魅力を伝えてくれる

ダイニングインサイド栃木県『Café&Bar Baum』水下佳巳シェフの「成澤菜園の初夏の野菜と白ソーセージのハニーマスタードソースがけ」

文化リゾートホテルの先駆けとして知られる『二期倶楽部』で料理長を務めた『Café&Bar Baum』のオーナー・水下佳巳シェフより提案頂いたのは、酪農王国・栃木の魅力が詰まったレシピです。その主役となるのが、『グルメミートワールド』の日光HIMITSU豚のふわふわソーセージ。日光連山の清らかな伏流水で育てられた臭みのない銘柄豚を使った、ドイツの朝食には欠かせない定番ソーセージ・ヴァイスブルストをイメージした白ソーセージは、肉の旨味とふわふわの食感が真骨頂。そのソーセージに『成澤菜園』の瑞々しくも力強い味わいの旬の野菜を合わせました。ハチミツとマスタードを使ったソースは、作り置きすれば様々な料理に使えます。

全国の名だたるシェフが登場! レクサスが贈る『DINING INSIDE』のレシピ動画、第二弾公開! part1

ダイニングインサイド各地の風土に想いを馳せて。名シェフの想いがこもるレシピ動画。

遠出が憚られ、積極的に外食ができない以前に比べ、少しずつですが外で食事をする機会も増えてきたのではないでしょうか。ただ、それでも以前と同じように“食”を楽しむには、まだまだ時間がかかるのは間違いありません。

しかし、その一方で、コロナ禍は自宅で楽しむ“食の時間”の大切さを改めてわれわれに教えてくれました。自分で料理をつくる楽しさ、人に料理をふるまうことの喜び、大切な人と食卓を囲むひととき……。いままで身近にあったはずの“食の時間”の豊かさを改めて気づかせてくれたことでしょう。
そればかりでなく、オンラインを通して、自宅で楽しむ食の時間に新たなる魅力と可能性をも見出してくれたのです。

それを象徴するのが、モビリティ・ブランドであるレクサスが、日本各地の一流シェフと考案した本格レシピを発信するプロジェクト「DINING INSIDE」です。
日本のどこかで数日間だけ開店する、 プレミアムな野外レストラン「DINING OUT」のパートナーとして、レクサスが全国の一流シェフや真摯な生産者とつながってきた経験。それを活かし、「DINING INSIDE」では、これまでに「DINING OUT」で腕をふるってきた4人のシェフによるオリジナルレシピを公開してきました。そして今回、ONESTORYではこれまで未公開だったレシピ動画をリリースしたのです。しかも、それらを考案してくれたのは、これまでONESTORYが取材で出会ってきた全国各地の11人のシェフというから、なんとも贅沢なレシピなのです。
生産者とつながり、その土地の食材や調味料を使い、シェフの思いまでをものせる。ただ美味しいだけではない、全国各地の土地へ想いを馳せることができる「DINING INSIDE」のレシピは、きっと、自宅で楽しむ “食の時間”に新たな豊かさをもたらしてくれるでしょう。
※掲載しているレシピは、2020年6月に考案頂きました。

【関連記事】全国の名だたるシェフが登場! レクサスが贈る「DINING INSIDE」のレシピ動画、第二弾公開! part2

洋の野菜やハーブなどで香りを加えた「玄米豚丼」。白米よりもさっぱりと味わえる。

ダイニングインサイド和歌山県『Villa AiDA』小林寛司シェフの「玄米豚丼」

自ら畑を耕し、種を蒔き、野菜を育て、収穫する。そんな畑で採れた野菜と、地元の食材をふんだんに使い感性溢れる料理を提供するレストラン『Villa AiDA』の小林寛司シェフが考案してくれたレシピが、この「玄米豚丼」。暑さが厳しく、食欲が落ちた夏には、シェフ自身もまかないとしてよく食べていたという一品です。この料理の味を支えるのが、『堀川屋野村』の三ツ星醤油と、香りのアクセントとして使う『かんじゃ山椒園』の手摘み臼挽き 粉山椒。レシピでは畑で採れたフェンネルシードを使うなど、ハーブを加えるあたりも『Villa AiDA』らしさ満載。小林シェフならではの一品をお楽しみください。

牛肉、野菜、中華麺を茹でるのもお鍋ひとつ。海の恵みを凝縮したXO醤が味の決め手に。

ダイニングインサイド宮城県『楽・食・健・美-KUROMORI-』黒森洋司シェフの「仙台牛と野菜のXO醤和え麺」

フカヒレ、干しアワビ、干しナマコといった海産物をはじめ、宮城県の海産物、農畜産物をふんだんに使った、ここでしか味わえない中華料理が信条。宮城県を代表するレストランとしてご登場頂いたのは、『楽・食・健・美-KUROMORI-』です。オーナーの黒森洋司シェフが考案してくれたのは、気仙沼『石渡商店』の「気仙沼旨味帆立とコラーゲンのXO醤」を使った、冷製中華和え麺。気仙沼産の帆立の貝柱や自家製ラー油など、天然素材の旨味を凝縮したXO醤をシンプルに生かした味わいは、まさに宮城の恵みを享受できる一品。麺を茹でる以外は、鍋ひとつで作れる手軽さもポイントです。

沖縄の食材だけでなく、食文化まで落とし込んだ琉球ガストロノミーを、家庭で気軽に再現。

ダイニングインサイド沖縄県『Restaurant État d'esprit』渡真利泰洋シェフの「宮古島のヤギのチーズを使ったサラダ」

沖縄の知られざる食材と食文化を、渡真利泰洋シェフの自由な感性で表現する琉球ガストロノミー『Restaurant État d'esprit』。今回、渡真利シェフが注目したのは、沖縄の食文化を語る上で欠かせないヤギです。ヤギ肉の料理はもちろん、沖縄ではかつてヤギのミルクを飲む習慣もあったことから、ヤギのチーズを使ったサラダを仕立ててくれました。合わせたのは鰹と、沖縄定番の常備菜であるニンジンしりしり。爽やかな酸味と甘味、さらっとした口溶けが特徴のヤギのチーズに、鰹、薬味的にニンジンしりしりをぶつけ合うあたりは、さすが琉球ガストロノミー。思わず泡盛と合わせたくなる一品です。

家庭では難しい低温調理も、電子ジャーを使うことで、手軽にチャレンジできる。

ダイニングインサイド神奈川県『季音-KINON-』村野敏和シェフの「鎌倉野菜とみやじ豚のカルパッチョ仕立て カカオビネガーのドレッシング」

サンフランシスコの三ツ星店(当時)『SAISON』にて薪火料理を学んだ村野敏和シェフが、その魅力を鎌倉から発信しようと2019年にオープンした『季音-KINON-』。「季節の野菜や相模湾の新鮮な魚介など、鎌倉エリアは食の宝庫」と話す村野シェフは、そんな食材の素晴らしさを伝えようと、家庭でも簡単にできる低温調理で、火入れが難しいとされる『株式会社みやじ豚』のブランド豚をカルパッチョ仕立てに。甘さ際立つ焼き野菜と、フレッシュ感溢れる生野菜を添え、『MAISON CACAO』のカカオビネガーを使ったドレッシングでまとめ上げました。家族や仲間で大皿を囲みたくなる一品です。

レシピでは下関の垢田のトマトを使用したが、市販されるトマトでも代用できる。

ダイニングインサイド山口県『レストラン高津』高津健一シェフの「菊川の糸と下関垢田のトマトの冷たい素麺」

劇場型のカウンターで、イノベーティブな料理を通して地の食材の魅力を伝える『レストラン高津』の高津健一シェフ。そんなレストランの味を家庭で気軽に味わえるとしたら? 実は、このメニューは「お店のコースでお肉のメインの後に実際にお出ししている料理」という一品。メインとなる食材は、下関市民なら誰もが知っているという素麺「菊川の糸」。今回は、小麦粉と塩水だけを使って生地を熟成、手延べで時間をかけて仕上げていく『加島製麺』の素麺を使用しています。合わせたのは、トマトウォーターの酸味と、セミドライトマトの甘味、そして大葉オイルの爽やかな香り。レストランの味を家庭で気軽に再現できます。

FRANCIACORTA(フランチャコルタ)&FARO(ファロ)、ふたつのFのコラボレーションがスタート。[東京都中央区/FARO]

イタリアを代表するスパークリング『FRANCIACORTA』と銀座『FARO』によるスペシャルな1ヶ月が開幕。

フランチャコルタ×ファロ ポップアップバー革新のイタリアワインと料理の邂逅イベントが銀座の名店で開催。

イタリアの文化やモードの発信地・ミラノから車で約1時間の距離にあるワイン産地の名、かつ同地において瓶内二次発酵製法で醸造するスパークリングワインの名称でもあるフランチャコルタ。イタリアワインの格付けの最高峰、統制保証原産地呼称(D.O.C.G)に認定された歴史は数多いイタリアワインの銘醸地と比べれば最近であり、その歴史は50年あまり。しかし現在、世界のワイン消費が鈍化する中で快進撃を続け、マーケットを広げている活気あるワインとして注目されています。一方、郷土料理、伝統料理というイメージの強いイタリア料理の枠を飛び出し、銀座からこれからの時代に求められる料理を、イタリア料理で培った知識と技術を土台に切り開こうと新たなガストロノミー料理を志向するリストランテが、イノベーティブイタリアン『ファロ』。イタリアの伝統をベースにしながら革新を目指すことで共通する両者が、2020年11月19日よりポップアップバーでタッグを組み、フリーフローや期間限定の特別コースメニューに挑みます。(期間:2020年11月19日(木)〜12月18日(金))。
このまたとない機会を楽しんでいただくべく、ONESTORYでは企画の注目のしどころをレポートさせていただきます。

ポップアップバーのフリーフローで供されるフランチャコルタはこちらの4種類。ロゼ、ドサッジョ・ゼロ(補糖ゼロ)、サテン、ミレジマートと、フランチャコルタのバリエーションを彩るラインナップ。

フランチャコルタ×ファロ ポップアップバー攻めすぎない泡とヴィーガン料理の可能性。

そもそもフランチャコルタとはどんなワインなのか、もう少し詳細に説明させていただきます。イタリアを代表する瓶内二次発酵スパークリングワインという枕詞で紹介されることの多いこのワインは、冷涼なアルプスから吹き下ろす冷たい風と温暖なイゼオ湖、北風と太陽に切磋琢磨されて健全に育つブドウ、氷河が削って運んだミネラル豊富な土壌に保水力の高い粘土質土壌、また、モンテオルファノという主要産地に陣取る山の麓には水はけの良い土地が広がり、小さいながらもモザイクのように豊かな微気候に恵まれています。よく比較されるところのシャンパーニュからすると生産規模は約1/20と非常に小さいのですが、近年イタリア国内消費も国外への輸出量も年々増加。

日本で人気となった理由は様々考えられますが、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵製法でありながら、泡のアタックが非常にソフトで自然な果実味があること、酸が強すぎずスムースな喉越しであるのは大きな特長で、広く日本人の好みにフィットしたと思われます。そもそもシャンパーニュは日照量が少ない冷涼な地域で、完熟しないブドウ果汁に糖を補って発酵を促し、酸化熟成などで風味を強めてその特色を確立。きめ細かく強いアタックの泡、強い酸、ドライ感が格式に繋がってきたのです。対して太陽に恵まれ、ブドウが自然に完熟する環境下のフランチャコルタは、丁寧な造りながらも緊張感を強いない、いい意味での隙があり、その緩やかさが今の時代の自然な風合いや軽さを求める料理に合っているのではないでしょうか。
こうしたフランチャコルタの特長を考えれば、『ファロ』のエグゼクティブシェフ、能田耕太郎さんが、自身が考案するヴィーガンメニューにフランチャコルタを合わせてみたいと考えたのは自然な流れなのかもしれません。能田さんは目下、日本でヴィーガンガストロノミー料理という分野のパイオニアとなることを自らに課してもいるのです。ファロのヴィーガン料理は、基本コースで提供されます。動物性食材を使用しない穏やかながら起伏あるコースにドリンクの構成はとても重要になります。期待したいのは、ワインと料理が互いを挑発することなく、しなやかな押し引きの中でバランスをとる関係性。今回は、19日にスタートするポップアップバーの企画と並行して提供されるヴィーガンコース料理(要予約制)を、いち早くフランチャコルタとのペアリングで体験させていただきました。

現在、ローマで料理長を務めるミシュラン一ツ星店『ビストロ64』と銀座のファロの二拠点で活躍する能田耕太郎シェフ。

フランチャコルタ×ファロ ポップアップバー多様な泡とヴィーガンのコース料理のマリアージュ。

今回のペアリングイベントのナビゲーターは、ワインジャーナリストの宮嶋勲さん。宮嶋さん自身もまた、クリエイティビティの高いヴィーガン料理コースを日本で体感するのは初めてということで、その反応もまた楽しみのひとつです。

ここからは今回の料理と合わせるフランチャコルタの一部をご紹介。
まずは、八寸×Brut Quadra “Green Vegan”。
八寸の皿はバジルのカゼッタ、切干し大根のタルト、ナスお米のチップス、菊芋のミルフィーユで構成。
日本料理の八寸からイメージしたアンティパストミスト(前菜の盛り合わせ)に、グリーン色のエチケット“Green Vegan”が、この日の食事の始まりを象徴的に物語ります。切干し大根や菊芋、日本の里山の冬を彷彿とさせる野菜が小さなポーションにぎゅっと詰まった八寸風前菜に、野菜のトーンのあるフランチャコルタが心地よく染み入るのです。

続いては、能田さんの名がイタリアの国内外で広く知られるきっかけとなったじゃがいものスパゲッティをヴィーガンバージョンで。通常は魚醤にアンチョビバターでコクを出すが、今回はセロリ醤油、甘みとコクにココナッツクリームを使用。歯ごたえを残してさっと炒めたじゃがいもは、エスニックな芳香を纏うとまた違う料理のような表情を見せます。合わせたフランチャコルタは補糖なしでドサッジョ・ゼロと表示されるタイプ。(同様に補糖しないフランチャコルタをNATUREと表示する場合も多い)

通常シャンパーニュなどでは、二次発酵時に酵母の餌となる糖を足して泡を醸成します。しかしフランチャコルタの場合、一次発酵を終えてなお完熟したブドウに糖が残っているため、そのまま糖をたすことなく瓶内で二次発酵が進むのです。ですから、近年このドサッジョ・ゼロは糖質のない健康的ワインとしても注目されているのです。キリッとしたドライなフランチャコルタが、味の複層的なじゃがいもパスタの輪郭をはっきりさせてくれます。

メインは肉厚な椎茸のファルス。椎茸の傘の中には干しゼンマイ、発酵ビーツ、ポルチーニ茸が詰められており、野菜由来の豊かな旨みに、熟成したフランチャコルタの厚み、伸びやかな酸が重なります。カ・デル・ボスコを代表するアンナマリア・クレメンティは、おそらくはシャンパーニュ好きも好むであろう、凛として重厚感のある、フランチャコルタにしては少々緊張感を強いるワイン。ミレジマートは、良年のみに造られて製造年度を記します。動物性の刺激のないところに、アンナマリア・クレメンティの良質でタフな泡が少し力強さを足す。メインで満足感をどう出すかがヴィーガンコースの難しさであり面白味と思いますが、そこにフランチャコルタの力を借りるというわけです。

また、デザートの面白さも特筆。
ファロをファロたらしめていのは料理だけではないのです。その一人が、菓子職人の加藤峰子さん。彼女が世界のベストレストラントップ50で何度も世界一位になり、殿堂入りを果たしたイタリア唯一のレストラン『オステリア・フランチェスカーナ』で菓子担当だったのはあまりに有名。素材の組み合わせに素晴らしいセンスを発揮する彼女の今回の提案は、紫蘇とアーモンドミルクのソルベ。チャーミングなフェルゲッティーナのロゼと一緒に味わえば、赤のニュアンスが増幅します。赤紫蘇は季節に収穫したものをシロップ(甜菜糖とメープル)に浸けて、横田農園のバラの香りとバジル、ラズベリーの香りが重ねられ、なんとも優雅な香り。さらに今回特別に事前注文できるアラカルトで、彼女のシグニチャーである花のタルトが登場しました。何度食べても毎回感動する花のタルトは、40数種もの花とハーブを一つ一つ、刺繍のように緻密に配した珠玉のタルト。農園の収穫次第で、少しずつ内容は変わり、お品書きに淡々と書き連ねられた花とハーブの名前は、読むだけでポエジーなのです。

ワインに関する圧倒的知識とユーモア溢れる話術で定評のある宮嶋勲さん。書いて、話して、笑わせてのご本人曰く「私のことをお笑いの人だと思っている人もいるかも」の自己紹介から会はスタートした。

日本料理の八寸からイメージしたアンティパストミスト(前菜の盛り合わせ)に、グリーン色のエチケット“Green Vegan”が、この日の食事の始まりを象徴的に物語る。

じゃがいものスパゲッティ×Dosaggio Zero Villa Crespia”Cisiolo”のペアリング。

フランチャコルタ×ファロ ポップアップバー感性を研ぎ澄ます料理とスパークリングの組み合わせ。

食事が終盤を迎えた頃、宮嶋さんがポソリ。「ヴィーガンのこれだけ洗練されたコース料理は初めていただきましたけれど、今日は赤ワインを飲もうという気には一切ならなかった。感性が研ぎ澄まされるような料理だったので、こういう料理には泡があうと思いました」
スパークリングワインは、開放的にもなるし、逆に内省的にもなるのかもしれません。繊細な味わいに自然と意識が集中するヴィーガン料理と一緒に味わえば、フランチャコルタの泡のサワサワとした川のせせらぎのようなかすかな刺激が1/fの揺らぎのごとく、食事しながらも私たちの心の奥深くをノックしてくるようなのです。

11 月19 日からスタートする『FF Pop-up Bar』では、記事で紹介した中の4種類のフランチャコルタ(なんと、カ・デル・ボスコのアンナマリア・クレメンティを含む)とフィンガーフードをフリーフローで楽しめるとともに、同時展開する4皿構成のショートのヴィーガンコース(ガストロノミーショートコースもあり)も、フリーフローのコースで楽しめます。今回紹介したメニューはあくまで一例で、ファロならではの日本各地の生産者ネットワークから届く素材で、まだまだ引き出しのあるヴィーガン料理が展開されるというから、一度コースで体験してみたい人にとっても、フランチャコルタのバリエーションを体感したい方にとっても良い機会になること請け合いです。

シェフパティシエの加藤峰子さん。イタリアで大学卒業後はヴォーグ・イタリアでアートディレクターを務めるが、菓子職人の道へ。

紫蘇とアーモンドのソルベ×Rose Brut Ferghettina 2015

1999年に渡伊。2007年までイタリアの名店で修業を積み、その後、現地でシェフとして活躍。2013年、「ノーマ」(コペンハーゲン)など最高峰の北欧料理店での研修を経て再びイタリアへ。自身が共同経営するローマの「bistrot64」では、ネオビストロのスタイルで人気を支える。2016年11月『ミシュランガイド・イタリア 2017』 にて二度目の一ツ星を獲得。イタリア料理のシェフとして二度の評価を得るに至った初の日本人となる。2017年には「テイスト・ザ・ワールド(アブダビ)」の最終コンペティションにローマ代表として出場し優勝。「ファロ」では、風情や旬を大切にする日本文化の中、イタリアで培ってきたことを東京・銀座で発揮し、自身の感性とチーム力で“お客さまが楽しむレストラン”を創り上げていく。

デザイン、美術、現代アートやモノづくりに興味を持ち、食の分野からパン・お菓子の道を選び進む。約10年間、「イル ルオゴ ディ アイモ エ ナディア」「イル・マルケジーノ」「マンダリンオリエンタルミラノ」(ミラノ)、「オステリア・フランチェスカーナ」(モデナ)など、イタリアの名立たるミシュラン星獲得店にてペイストリーシェフを勤める。「エノテカ・ピンキオーリ」(フィレンツェ)のチョコレート部門を経験。「ファロ」では、"旅するように特別な体験として脳裏に残るようなレストラン”を目指し、日本の自然や和のハーブをリスペクトしたデザートを提案。自家製酵母など原材料からこだわり、メニュー開発に取り組む。

住所:〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目8−3 東京銀座資生堂ビル10階 MAP
電話:03-3572-3911
https://faro.shiseido.co.jp/

期間:2020年11月19日(木)〜12月19日(土)
場所:FARO (東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル10F)
電話:0120-862-150(03-3572-3911)※予約受付時間 11:00〜22:00(営業日のみ)
時間:フリーフローはディナータイムのみの展開
   ディナー 18:00〜20:30(L.O)
定休日:日曜日、月曜日、祝日、年末年始
同期間で提供する特別ショートコース:
ヴィーガンショートコース 前菜、パスタ、メイン、デザート(税込6,000円 サービス料別途)※メニュー内容は、季節や仕入れ状況により変動する可能性があります。
ガストロノミーショートコース(税込7,000円 サービス料別途)※ご希望のアラカルトメニューは、必ず事前予約をお願いいたします。

Photographs:MASAKATSU IKEDA
Text:KAORI SHIBATA

NEW栃木レザーベルト ギャリソンタイプ

アイアンの定番ベルトがリニューアルして再登場

     
  • 旧ベルトから、皮も金具も作るところも新たにして再登場
  •  
  • ウェッジレザーズの平尾氏の手による職人仕立て!
  •  
  • カラーはブラック,ブラウン,タンの3色
  •  
  • 皮は栃木レザーのミシバクロップを採用。上質なステアハイドです。
  •  
  • 金具は旧タイプと比べ、少しボリュームアップ。特にピンはひとまわり太いものを使用してます。
  •  
  • 旧タイプのベルトは、ベルトの裏にもオイルを入れて色を濃くしてましたが、それが時にジーンズに色移りするなどのトラブルを招くこともあったため、今回はオイルつけ、色つけをしてません。
  •  
  • ホールの個数を7個から5個に。ホールの形は、ピンが寝やすいように梨型に改善しました。
  •  
  • いつの間にか外れて無くなりがちだったビスは、大型にして締まりを良くし、外れづらくなりました。

【ステアハイド】

  • 生後6ヶ月に去勢された革製品の為に育てられた牛の皮革のこと。
  • 丈夫な上に、使えば使うほど味が出やすいので、ベルト製品に非常に適した素材です。


【バックル側でのベルトサイズ調整方法】

用意するものはマイナスドライバーまたは10円玉。

ドライバーは、軸が短めで軸先のマイナス部分が厚く広いものがお勧めです。10円玉が一番使いやすいですが、力をかけすぎてコインを曲げないようご注意下さい。この時に手が滑ってベルトを傷つけないようにご注意下さい。

1.先ずはベルト裏にあるビスを外します。

ビスを外すと個々のパーツに分かれます。※ビスは無くなると大変なので、無くさないようくれぐれもご注意下さい。

2.ベルト本体の端をお好みの長さでカット。

カットした後の本体にはビス穴がないので穴の位置決めをしなくてはなりません。

3.バックルを挟み込んでいるパーツを本体に合わせてビス穴に印をつけてから穴開けをします。

穴開けは錐などの先の尖ったもので先穴をあけてから、金棒などで広げる感じで穴の大きさを調整する事をお勧めします。ビスがグラグラしないように、小さめの穴で少しキツいくらいがお薦めです。

4.パーツを元に戻し、ビスを付け直して、調整終了です!

(作業自体は簡単ですが、一度切ってしまうと元には戻りませんので慎重にカットして下さい。)

【IHB-06】サイズスペック

NEW栃木レザーベルト

アイアンの定番ベルトがリニューアルして再登場

     
  • 旧ベルトから、皮も金具も作るところも新たにして再登場
  •  
  • ウェッジレザーズの平尾氏の手による職人仕立て!
  •  
  • カラーはブラックとブラウンの2色
  •  
  • 皮は栃木レザーのミシバクロップを採用。上質なステアハイドです。
  •  
  • 金具は旧タイプと比べ、少しボリュームアップ。特にピンはひとまわり太いものを使用してます。
  •  
  • 旧タイプのベルトは、ベルトの裏にもオイルを入れて色を濃くしてましたが、それが時にジーンズに色移りするなどのトラブルを招くこともあったため、今回はオイルつけ、色つけをしてません。
  •  
  • ホールの個数を7個から5個に。ホールの形は、ピンが寝やすいように梨型に改善しました。
  •  
  • いつの間にか外れて無くなりがちだったビスは、大型にして締まりを良くし、外れづらくなりました。

【ステアハイド】

  • 生後6ヶ月に去勢された革製品の為に育てられた牛の皮革のこと。
  • 丈夫な上に、使えば使うほど味が出やすいので、ベルト製品に非常に適した素材です。


【バックル側でのベルトサイズ調整方法】

用意するものはマイナスドライバーまたは10円玉。

ドライバーは、軸が短めで軸先のマイナス部分が厚く広いものがお勧めです。10円玉が一番使いやすいですが、力をかけすぎてコインを曲げないようご注意下さい。この時に手が滑ってベルトを傷つけないようにご注意下さい。

1.先ずはベルト裏にあるビスを外します。

ビスを外すと個々のパーツに分かれます。※ビスは無くなると大変なので、無くさないようくれぐれもご注意下さい。

2.ベルト本体の端をお好みの長さでカット。

カットした後の本体にはビス穴がないので穴の位置決めをしなくてはなりません。

3.バックルを挟み込んでいるパーツを本体に合わせてビス穴に印をつけてから穴開けをします。

穴開けは錐などの先の尖ったもので先穴をあけてから、金棒などで広げる感じで穴の大きさを調整する事をお勧めします。ビスがグラグラしないように、小さめの穴で少しキツいくらいがお薦めです。

4.パーツを元に戻し、ビスを付け直して、調整終了です!

(作業自体は簡単ですが、一度切ってしまうと元には戻りませんので慎重にカットして下さい。)

【IHB-06】サイズスペック

「人間はどう生きていくのか。生き抜いていくのか。今一度、真剣に考えていきたい」とおの屋 要/佐々木要太郎

1981年生まれの佐々木氏は、21歳の若さで遠野に戻り、どぶろくの醸造からスタートさせる。

旅の再開は、再会の旅へ。今までが当たり前ではなかった。それを認識させてくれたのは、新型コロナウイルスがもたらした唯一の良点。

「和食ではない。でもフレンチやイタリアンベースでもない料理は唯一無二」。

東京の飲食店や酒販店、ワイン関係者までもが声を揃えてそう絶賛するお店が岩手県遠野市にあります。

『とおの屋 要(よう)』がそれです。

店主の佐々木要太郎氏は、民話の里・遠野に初めてできた『民宿 とおの』の4代目も担います。

佐々木氏は、高校卒業後、飲食とは全く関係のない職に従事していましたが、久方ぶりに帰った故郷・遠野で「何かできることはないか」と始めたのが自家栽培米を使ったどぶろく醸造でした。

「遠野の地に根ざして生きていく」。

そう覚悟を決めてから、先代の父とともに厨房に入り『民宿 とおの』を全国から客を集める名宿に育て上げます。

そこから「自分の力だけで勝負できる場を」と一念発起し、2011年、民宿に隣接する敷地に和のオーベルジュ『とおの屋 要』をオープン。地元の食材を使った発酵食品や自家製加工肉をふんだんに取り入れたユニークな料理とどぶろくとのマリアージュは、国内だけでなく、世界からも注目を集めています。

しかし、そんな宿の運営は窮地を迎えます。2020年4〜6月の予約は全てキャンセル。理由は新型コロナウイルスによって発生した緊急事態宣言によるものです。

「緊急事態宣言後は徐々にお客様も戻っており、今(2020年10月現在)では、ありがたいことに『とおの屋 要』としては依然と変わらずお客様にお越し頂いております。 本館の『民宿とおの』は2021年3月まで休館予定です。理由は、3密に当てはまる施設状況の為です。休館後、『民宿とおの』は、1日1組の宿泊施設に変わる予定でおり、1階部分をカフェにし、都心部との距離を縮める場作りをスタートさせます」。

経済活動を再開する施策は展開されど、施設やレストラン、お店など、空間構成によっては、必ずしもすぐに受け入れ体制が整っているわけではありません。『民宿とおの』のようにスタイルを変える必要が出てしまうことやそれに伴う資金繰りなど、苦渋の選択を迫らせることも多々あります。

「地元全体として見ても観光業や飲食業は苦戦を強いられていると思います。また、遠野に関しては、Go To トラベルキャンペーンの効果はあまりないという情報も伺います」。

国や政府が講じる地方活性の施策は、全てに適合しているわけではありません。効果的な部分のみ報じるメディアの存在は、時に錯覚さえ起こします。では、適合していないところを報じるところはあるのかと言えば、それは中々ありません。

果たして、真実はどこにあるのか。

そして、佐々木氏が一番想うこと。それは食に対しての見直しです。

「このような状況になってしまったからこそ、食についてもっと掘り下げて考えてみてはいかがでしょうか」。

それは、佐々木氏自身も含め、国民ひとり一人が向き合うべき問題でもあると思います。

「コロナ禍の最中ですが、改めて思うことは、今までが当たり前ではなかったのだということです。それを認識させてくれたのは、唯一良い機会だったと感じています。 文明はとてつもないスピードで進化してきました。その逆に人間の感覚や感性は退化した事は言うまでもありません。 目先の数字に操られ、“人間”都合で全てを決め、生産・廃棄・自然環境破壊・悪循環農業。 こういったことを我々人間が行ってきたのは事実です。そして、こういった問題も地球上で人間しか解決できないのだということもまた事実だと考えています。 今、こういった問題に気が付き指摘し、正そうとする人たちの割合が少ないことは大きな問題ではないでしょうか。今こそ、イノベーションを起こしていく必要性を感じております」。

大袈裟に言えば、人間は地球を支配し、全てを変える力さえ手に入れてしまったのです。自然の営みから外れた不可能を可能にし、時に環境に負荷をかけ、私欲を正義に見せることもしばしば。

「今回のこの新型コロナウイルスという問題を含め、この現代において人間はどう生きていくのか。生き抜いていくのかを今一度真剣に考えて行くべきだと思っています」。

『とおの屋 要』と言えばどぶろく。どぶろくと言えば『とおの屋 要』。その味に惚れ込むレストランは国内だけでなく、バスクの『ムガリッツ』など、世界に名をとどろかすトップレストランばかり。

イニングと宿泊客用のリビングは吹き抜けに。六間継ぎ目なしの太い梁や建具の装飾など、建築された当時の構造、意匠を可能な限り生かしている。

モダンなデザインながら古い建物にしっくりなじむ椅子は、長野県木曽の木工作家・般若芳行氏のもの。

人間工学に基づき設計されたドイツ『ヒュルスター』社のベッドを設えるゲストルーム。

『とおの屋 要』のエントランスは、石が敷かれたアプローチの先に。建物は紫波町(しわちょう)の豪農が所有していた米蔵を移築、リノベーションしたもの。

以前の取材時、田んぼを歩いている間中、「うちの田んぼは綺麗でしょう」と繰り返す佐々木氏。2017年から地域の米農家を支援する「どぶろくの丘プロジェクト」も始動。

住所:〒028-0521 岩手遠野市材木町2-17 MAP
電話:0198-62-7557
http://tonoya-yo.com/

住所:〒028-0521 岩手遠野市材木町2-17 MAP
電話:0198-62-4395
http://www.minshuku-tono.com

Text:YUICHI KURAMOCHI

羨ましい(〃ω〃)

雑貨館に

ラブラブのクマさんが(*'▽'*)



ブランコに乗った可愛いカップルです(о´∀`о)

雑貨館にお越しの際は是非見つけてあげてください(*゚∀゚*)

写真を撮ると恋愛成就のお守りになる!!

かも??笑

中村孝則さんを講師に迎える「オンライン料理教室」第2弾。抽選で限定5名が参加できるスペシャルイベント [NIIGATA PREMIUM LIVE KITCHEN vol.2/新潟県]

新潟中之島名産「大口れんこん」を収穫する中村孝則さん。極上のれんこんを手に入れてご満悦。

新潟プレミアムライブキッチン新潟の食の魅力を体感するオンライン料理教室

12月6日(日)、コラムニスト・中村孝則さんを講師に迎えたオンライン・クッキングイベント『NIIGATA PREMIUM LIVE KITCHEN vol.2』が開催されます。これは、新潟ウチごはんプレミアムとONESTORYのコラボレーションによって実現した特別企画。抽選を勝ち抜いた5名だけが参加を許される限定イベントです。
「新潟ウチごはんプレミアム」とは、新潟の食を支え育んできた生産者や料理人を通じて、全国の食卓に「新潟の食」を紹介するポータルサイトのこと。ONESTORYはフードカルチャーのトップランナーに新潟の食材を使ったレシピ開発を依頼し、新潟ウチごはんプレミアム」のオンライン料理教室を通じて、新潟の食の魅力を発信します。

講師を務める中村孝則さんは、ONESTORY『DINNING OUT』のディナーホスト役でもお馴染みの人気コラムニスト。「The World's 50 Best Restaurants」の日本評議委員長を務めるなど、フードカルチャーへの知見を生かしてワールドワイドに活動する一方、茶の湯の実践として茶事を定期的に催すなど、料理とおもてなしの研究に余念がありません。とりわけ、お酒との相性のいい料理の探究に情熱を傾けています。
今回、中村さんは、新たなレシピ作りのために、新潟へ食材探しの旅に出ました。自ら畑で土を掘り、沼に浸かって手に入れた食材たち。地元に連綿と受け継がれる食文化の一端にふれた中村さんは、一体どんな料理を教えてくれるのでしょうか?
ぜひ、イベントへふるってご参加ください。


【イベント概要】
ご自宅に届いた新潟の食材を使い、中村氏と一緒に調理を愉しむオンライン料理教室。事前に、レシピに使用される新潟の食材をご自宅に配送させていただきます。(調味料等ご自身でご用意頂くものは、当選者にご連絡させていただきます)

*日程
12月6日(日)19:00~20:30
*開催方法
オンラインイベント
お申し込み頂いた方の中から抽選で5名様に、イベント参加用のZOOMのURLをお送りいたします。
*定員
5名(主催者にて抽選)
*参加費
無料
*応募方法
下記ボタンより応募可能です。(パスワード:niigata)
*応募期限
11月28日(土)23:59

↑ボタンをクリック後、パスワード欄に"niigata"とご入力ください。

里芋は植え付けられた種芋(親芋)のまわりに子芋が実り、その子芋のまわりに孫芋が実る。一株には30個もの芋がついており、重さは5〜6kgにもなる。

新潟プレミアムライブキッチン知る人ぞ知るブランド里芋。五泉市の「帛乙女(きぬおとめ)」

新潟と言えば、コシヒカリ、日本酒、鮭、寒ブリ、ル レクチエ、おけさ柿、越後姫、雪下人参……名産品は枚挙にいとまがありません。そんな中、中村さんは冬においしくなるふたつの野菜に注目しました。里芋とれんこんです。新潟で里芋? れんこん? イメージできない人も多いでしょう。実は、新潟は里芋とれんこんの知る人ぞ知る名産地。極めて上質な里芋とれんこんが穫れるにもかかわらず、生産量がそれほど多くないためほとんどが県内消費。新潟県外の人にとっては、幻の逸品野菜となっているのです。

新潟県内でも里芋の産地として名高いのが五泉市。ここではブランド里芋、「帛乙女(きぬおとめ)」が栽培されています。折しも収穫の最盛期。中村さんは、芋掘り作業のお手伝いを買って出ました。
現在はトラクターで掘り起こし作業が軽減されるようになりましたが、今も変わらず手作業を要するのが、芋と芋の間に詰まった土を指でしごいて落とす“土はがし”作業。掘り起こした里芋の鮮度を保つためには適度に土が付いている状態が望ましく、土を洗い流すわけにいきません。芋を傷つけずに機械化する方法も確立されておらず、一株一株、丁寧に土はがしをしていくしかないのです。
「これはキツい! 想像以上に指先の力が必要で、ちょっとやっただけで腕がパンパン。普段剣道の稽古をしているから、握力には自信はある方なのだけど」と中村さん。「この土はがしさえなければ、里芋農家も後継者不足に悩まねえはずなんだけど」と笑いながらスピーディに作業していくJA新潟みらい 五泉園芸組織連絡協議会 野菜部会長・川口恵二さんの姿に目を丸くしています。

阿賀野川流域のこの地は、砂と壌土の中間の砂壌土に恵まれています。水はけのよい肥沃な土壌は、里芋の中でもひときわ美味とされる「帛乙女」を育む秘密です。ただし「帛乙女」は他の里芋同様に連作障害が厳しく、一度収穫した畑は3年間は他の作物を栽培することで土壌を改善する必要があります。そのため、人気があるからといって無闇に耕作地を広げることはできません。「帛乙女」が希少である根本原因はそこにあります。

JA新潟みらい 五泉園芸組織連絡協議会 野菜部会長・川口恵二さんに教わりながら、里芋の株の土はがし作業。体力と手間を要する重労働だ。

新潟プレミアムライブキッチン「大口(おおくち)れんこん」の驚愕の旨さ

延々と続く黄金色の田んぼ。長岡市中之島地区に入ると、その風景が一変しました。稲作の田んぼの代わりに、枯れた蓮に覆われた沼地がそこここに広がっています。「大口(おおくち)れんこん」のれんこん田です。
収穫期は8月上旬から翌年5月まで。栽培品種は早生品種の「エノモト」と晩成品種の「ダルマ」の2種で、「ダルマ」は中之島地区が全国唯一の産地となっています。

中村さんは「ダルマ」の掘り出し作業に挑戦しました。田んぼに入ると、長身の中村さんでも股近くまで水に浸かります。足元は重たい泥。その中にれんこんは横方向に伸びています。れんこん掘機が水圧で泥を吹き飛ばした場所を、手探りしてれんこんを収穫していきます。
見事に連なったれんこんを引き揚げた中村さんはニコニコ。泥まみれの笑顔です。
「何事も経験。れんこんがどんなふうになっていて、どうやって収穫されているか。それを身体で理解できるなんて。いやはや、歩くだけでも大変なのに、こともなげにやっている農家の皆さんは、本当にすごい。これぞプロフェッショナルです」

作業後、JAにいがた南蒲大口れんこん生産組合の事務所で、穫れたての「大口れんこん」を試食しました。腕をふるってくれたのは髙橋秀信組合長です。
「シンプルイズベストですよ。れんこんの料理というときんぴらを挙げる人が多いけど、れんこん自体が新鮮でおいしかったら、きんぴらにするのはちょっともったいないと思っちゃうね。刻んでドレッシングかけるとか、一夜漬けとか、ごくごくシンプルな方がれんこんの風味を楽しめる。特に、「大口れんこん」はシャキシャキした食感と、豊かな甘みが持ち味だから」

髙橋組合長が用意してくれた料理は、茹でた「大口れんこん」に醤油と七味をかけたもの、青じそドレッシングをかけたもの、そして「大口れんこん」をキムチの素で和えたもの、と至ってシンプルです。

中村さんは一口食べて、驚きの声を上げました。
「えっ、こんなに旨いものなの!? 甘みが上品で、食感も小気味よくて。醤油と七味だけだけなのに……れんこんのポテンシャルって、ここまで高かったのか。これを肴に日本酒がいくらでも飲めそう。キムチもいいなあ、こちらは泡盛が合いそうだ」と箸が止まりません。醤油を塗って焼いた熱々にかぶりついた時には、目をつむってしばし豊かな風味にひたっていました。

「大口れんこん」の収穫は8月に始まり、翌年の5月まで毎日続く。残暑の時期、厳冬期はとりわけ厳しい作業になる。

れんこん堀機が高圧の水を吹き付けた場所を手探りして、れんこんを取り込んでいく。深い泥の中を進み、かがむ作業は足腰への負担が尋常ではない。

焼いた「大口れんこん」は、中村さんが無言になってしまった旨さ。れんこんはビタミンCやポリフェノール、食物繊維が豊富な健康食。喉の保護や花粉症などにも効くという人も多いという。

JAにいがた南蒲大口れんこん生産組合・髙橋秀信組合長の収穫を分けてもらった。「れんこんの収穫はきついけど、それは早朝から昼まで。あとはお酒を飲んだり自由に過ごせるから、いい人生ですよ」と髙橋組合長。

新潟プレミアムライブキッチン新潟伝統の里芋料理「のっぺ」に感服

里芋を使った新潟の郷土料理と言えば、のっぺい汁(のっぺ)。五頭温泉郷・村杉温泉の宿「長生館」の荒木善行総料理長に、「帛乙女」を使ってのっぺを作ってもらいました。のっぺは里芋の他、人参やゴボウ 、椎茸、こんにゃくなどを醤油味のダシで煮る料理。お正月とお盆、冠婚葬祭に欠かせない行事食であり、冬は温かくして、夏は冷やして一年中食べる家庭料理として、新潟県民に親しまれています。「長生館」ののっぺは貝柱からとったダシを使い、灰汁をまわさないように丁寧に煮ることで澄み切った汁に仕上げています。

中村さんは唸ります。
「衝撃的な旨さ。帛乙女の品質の高さと調理技術がなせる究極の料理ですね。正直、里芋がここまで旨い食材だと思っていなかった。独特のヌメっとした歯応え、ダシのうまみをたっぷり吸ったコクのある甘味。まいったな、これを食べちゃったら、他に何を作っていいものやら」

「大口れんこん」を使ったれんこん蒸し、「帛乙女」を使った里芋まんじゅうもまた、里芋やれんこんの無骨なイメージを覆す、繊細な味わいです。
「荒木さんの料理は洗練の極み。とても参考になりました。僕は我が道を歩んで、レシピを練っていきます」

「長生館」荒木善行総料理長による「のっぺ」と「れんこん蒸し」。どちらも素材特有の食感とダシとの相性のよさを生かした洗練の味。

のっぺのあまりのおいしさに恍惚とする。結局、お代わりして平らげた。

「里芋がこう化けるとは」と中村さんが称賛した「里芋まんじゅう」。裏ごしした「帛乙女」を揚げ出している。

新潟プレミアムライブキッチン連綿と続く新潟の醸造文化の象徴「摂田屋」

新鮮な海山の幸に恵まれた新潟。素晴らしい食材の魅力を最大限に引き出す味噌や醤油、日本酒など伝統的な発酵食品の文化が根付く地域でもあります。中村さんは“醸造の町”として知られる長岡市「摂田屋」地区を散策しました。旧三国街道に面する交通の要衝に位置、上質な地下水に恵まれた摂田屋には、江戸時代から味噌、醤油、日本酒などを醸造する蔵元が集積し、醸造文化が栄えました。長岡市は戊辰戦争や第二次大戦の空襲などで甚大な被害を受けたものの、摂田屋は奇跡的に難を逃れ、歴史的建造物が立ち並ぶ、風情ある街並みを今に残しています。

今も醸造を続ける5つの蔵のひとつ「味噌星六」は、無農薬・有機栽培の大豆を使い、添加物を使わない古式製法の味噌造りを守っています。熟成させた2年物や3年物も人気で、店頭には真っ黒になった10年物も。店主の星野正夫さんは、熟成度合いによる味の違いを解説します。
「1年目の新味噌は人間で言えば10代、ピチピチとし若さが魅力です。2年物は20代、3年物は30代。人間は家庭を持つこの頃からまるくなってきますが、味噌も角がとれてまろやかになってきます。以降、人間は円熟味を増していくように、味噌も味わい深くなっていきますが、10年物までになるとかなりクセが出てきます。そのクセは好みが分かれるところ。頑固な年寄りに接しても、『このクソじじい』と怒る人もいれば、『味のあるじいさんだ』とおもしろがる人もいますよね」
そう笑う星野さんに、「僕はクセのある10年物、好みです。ちびりちびりなめるだけで、日本酒が止まらなくなって、楽しくなってくる」と中村さんは笑い返します。

創業470年、日本酒蔵として新潟県で最も歴史のある「吉乃川」では、酒蔵ならではの「米麹」を副原料としたクラフトビールを試飲し、摂田屋を後にしました。

古い醸造蔵など歴史的建造物が立ち並ぶ摂田屋地区。その多くが現役で使われており、時折、味噌や醤油の香りが漂ってくる。

「味噌星六」の店主・星野正夫さんに熟成した味噌の魅力をうかがう。「うちのお袋はいちばんの年代物で、106歳。まだかくしゃくとしているのも、味噌を食べているおかげかな」と星野さん。

日本酒蔵「吉乃川」を訪ねた中村さん。「すべては地下から汲み上げる信濃川の伏流水のおかげ。ミネラルをバランスよく含む清冽な軟水を仕込み水に使うことで、吉乃川の飲み飽きしない味わいが生み出されています」と蔵元の川上麻衣さん。

「吉乃川」の敷地内にある酒ミュージアム「醸蔵」にて。今年、新潟県内限定で蔵出しとなった発泡性純米酒「酒蔵の淡雪プレミアム」を試飲して、「まさに淡雪という印象の繊細なスパークリング。桃のような香りが心地いい」と中村さん。

移動中、業務用のダシや鰹節などを製造する「フタバ」の中央研究所へ立ち寄った。最新科学によって、謎に満ちていたうまみの世界は少しずつ解明されつつあるという。

フタバ中央研究所には、一般家庭向けのブランド「ON THE UMAMI」のショップが併設。鰹節や昆布など定番のダシの他、野菜4種のダシ、離乳食用など多彩な商品が揃う。

コーヒーのように、ハンドドリップで抽出したダシも味わえる。中村さんもスープとも違った新感覚のドリンクを堪能した。

新潟プレミアムライブキッチン入魂の中村孝則流料理術に、乞うご期待

充実したリサーチになったと満足する中村さん。オリジナルレシピの方向性も見えてきているようです。貴重な食材「帛乙女」と「大口れんこん」を堪能するスペシャルなオンライン・クッキングイベント『NIIGATA PREMIUM LIVE KITCHEN vol.2』。その参加資格を勝ち取って、中村孝則入魂の料理を一緒に楽しみましょう。
まずは、応募を。

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旅の中で登場した商品は、こちらから購入できます。

神奈川県葉山生まれ。ファッションやカルチャーやグルメ、旅やホテルなどラグジュアリー・ライフをテーマに、雑誌や新聞、テレビにて活躍中。2007年に、フランス・シャンパーニュ騎士団のシュバリエ(騎士爵位)の称号を受勲。2010年には、スペインよりカヴァ騎士(カヴァはスペインのスパークリングワインの呼称)の称号も受勲。2013年からは、世界のレストランの人気ランキングを決める「世界ベストレストラン50」の日本評議委員長も務める。剣道教士7段。大日本茶道学会茶道教授。主な著書に『名店レシピの巡礼修業』(世界文化社)がある。http://www.dandy-nakamura.com/

Photographs:KOH AKAZAWA
Text:KOH WATANABE

(supported by 新潟県観光協会)

『DINING OUT』から2年、琉球王朝時代からの聖地を舞台に地元スタッフだけでつくる幻のレストラン。[Sanctuary Dining/沖縄県南城市]

2018年に開催された「DINING OUT RYUKYU-NANJO」の感動が地元有志の力で蘇ります。

サンクチュアリ ダイニング「祈りの場」を舞台にしたレストラン、その感動を再び。

日本のどこかに数日間だけ現れるプレミアム野外レストラン『DININGOUT』。2018年11月に沖縄県南城市で開催された『DINING OUT RYUKYU-NANJO withLEXUS』は、琉球王朝創世の地を舞台に、『志摩観光ホテル』の総料理長・樋口宏江シェフが腕を振るい、参加したゲストを深い感動の渦に巻き込み、大盛況のうちに幕を閉じました。

15回目にして初めて女性シェフが厨房を預かることになったのは、琉球創世記の神話に登場する女神・アマミキヨにちなんでのこと。レセプションは五穀発祥の地で、沖縄県内でも最高の聖地といわれる久高島で行い、琉球王朝時代以前から続く拝所の一つ、知念城跡がメイン会場となりました。テーマは、「origin いのちへの感謝と祈り」。山羊やアグー豚、イラブー(ウミヘビの加工品)などの食材を、地元の食文化に寄り添う形で、まったく新しいフランス料理の一皿として表現。ライトアップされた知念城跡の幻想的な美しさ、神聖さとともに、土地の歴史と神秘性、豊かさを余すところなく伝え『DININGOUT』の歴史に新たな1ページを刻みました。

その感動から2年を経た2020年12月、再び南城市を舞台にした夢の野外レストランが『Sanctuary Dining』として蘇ります。主催は地元事業者を中心に設立されたSanctuary Dining in Nanjo実行委員会。開催にかける思いについて、2人のキーパーソンに話を聞きました。

県内最高の聖地として名高い久高島。カベール岬へ続く道は豊かな自然が、祈りの場として古くから形を変えずに残されている。

「DINING OUT RYUKYU-NANJO」で腕を振るった『志摩観光ホテル』総料理長の樋口シェフ。見事に地元の料理人をまとめあげた実績が、2年の時を経て繋がる。

沖縄の食文化を尊び、地元生産者、料理人すべての想いを一皿にした「ぬちぐすい」。

サンクチュアリ ダイニング次は地元から。食を通じた地域文化の発信・継承を、一回で終わらせないために。

キーパーソンの一人目は、南城市役所勤務の喜瀬斗志也氏。2018年の『DININGOUT RYUKYU NANJO with LEXUS』開催時は、主催地側の中心スタッフとして会場の提案、決定から開催までのあらゆることに尽力。琉球王国の歴史、神話、祭礼や伝統食文化について樋口シェフ、ホストを務めたコラムニストの中村孝則氏をはじめとする関係者にレクチャーし、二夜の宴を大成功に導いた影の功労者でもあります。

南城市には「琉球王朝のグスク及び関連遺産群」としてユネスコの世界文化遺産に指定されている斎場御嶽をはじめ、国が重要文化財に指定する史跡を6か所も有する南城市。『DININGOUT RYUKYU NANJO with LEXUS』の話が浮上したのは、それらの有効な活用方法についての議論が進んでいた時期だったといいます。
「歴史公園などにするのが一般的ですが、ハード面だけでなく、ソフト面も含め、文化を発信する場として活用したい。そんな風に考えていた我々にとって、地域の多くの人々が関ることができて、歴史、伝統、食文化を包括的に発信できる『DININGOUT』は非常に魅力的で“これだ!”と、開催地として名乗り出たのです」

二夜のレストランを経験し、ハード面の整備ありきで考えていた史跡活用法が、がらりと変わることに。このままで、ありのままの姿で、場の力を十分に伝えられる。そのカギが、自分たちの足元に無数に眠っていたことに気付いたのです。
「この経験を、一回限りで終わらせないために、自分たちの手で、等身大の形で続けていきたい。そんな思いからSanctuary Dining in Nanjo実行委員会を立ち上げました。『DININGOUT』の反省点もある。例えば、南城市には素晴らしい食材がまだまだたくさんあり、それらをしっかりプレゼンすることで、広く沖縄ではなく、よりこの南城という地にフォーカスする形にできたのではないか、というようなこと。Sanctuary Diningに限らず、今後の課題にしていきたいです」

もう一人のキーパーソンは、『Sanctuary Dining』の一日目と二日目に料理長を務める那覇市の郷土料理店『月桃庵』の屋比久保シェフ。『DININGOUT RYUKYU NANJO with LEXUS』開催時は、地元のキッチンスタッフを束ね、樋口シェフの右腕として活躍したベテラン料理人です。土地の食文化を伝える宮廷料理に取り組み、地元食材に関する知識も豊富な沖縄を代表するトップシェフ。

「『DININGOUT』と樋口シェフから学んだことの大きさは計り知れません。一番は食材からの発想力。イラブーの料理といえばイラブー汁と、地元の人間ほど固定概念にとらわれがちですが、予想もしない料理で、食材の素晴らしさとその背景を余すところなく伝えて下さった。スタッフ同士もほぼ初対面という“寄せ集め”チームをまとめ上げる厨房での統率力も、圧巻でした」

沖縄県内のホテル勤務を経て、2017年、『月桃庵』の料理長に就任して以来、伝統に即し、ときに創作を織り交ぜながら、より深く沖縄の食の魅力を発信し続けてきた屋比久シェフ。『Sanctuary Dining』の記念すべき第一回目は、やはり「宮廷料理で勝負したい」と話します。
「今回は、料理とあわせ、甕仕込みの古酒を含む泡盛とのペアリングをお楽しみ頂く予定です。琉球王朝時代、中国王朝への献上品としてつくられた琉球漆器の最高峰で、東道盆(トゥンダーブン)と呼ばれるお盆や、カラカラ、ちぶぐゎーといった伝統的な酒器をはじめ、器にもご期待下さい」

写真中央がキーパーソンの一人、南城市役所の喜瀬斗志也氏。裏方から地元スタッフ全員を支えたイベント成功の功労者。

重要文化財でありながら注目されて来なかった知念城跡も、演出の仕方で魅力的にできるという事を肌で感じた喜瀬氏。

写真右が屋比久シェフ。樋口シェフをフォローしつつ、自身もたくさんの学びがあったという。

沖縄の伝統食材・イラブーの生産者。『DININGOUT』の食材として、樋口シェフに紹介したのも喜瀬氏だった。

樋口シェフはイラブーをクロケット(コロッケ)にして提供。地元料理人の固定概念を覆した。

サンクチュアリ ダイニング「聖地×食×文化」が織りなす感動を南城から世界へ、『Sanctuary Dining』始動。

『Sanctuary Dining』は2020年12月11日(金)、12日(土)、13日(日)の3日間に渡り開催されます。会場は、『DININGOUT RYUKYU NANJO with LEXUS』と同じ知念城跡。『月桃庵』の料理長・屋比久保シェフと、山羊料理をメインにしたフレンチとして人気を博す『ビストロ ル・ボングー』の山口慎一シェフが厨房に立ち、ゲストを迎えます。ディナーの翌朝早くには、開場前の斎場御嶽を訪れ、黄金(くがに)色の朝日を拝む『Sanctuary Dining』参加者限定のオプショナルツアーも用意されています。

「守礼の邦=礼節を重んじる国」として、訪れる外国人をもてなしてきた琉球王国。特に中国皇帝から派遣された冊封使のもてなしに力を注ぎ、その歴史の中で育まれてきた宮廷料理や御用酒である泡盛、宴とともにあった芸能は、今も変わらず沖縄の人々の誇りであり続け、日常の中で親しまれています。王国時代から続く祈りの場を舞台に、個性豊かな沖縄食材の恵みや、神聖な琉球文化を体感できる『Sanctuary Dining』。琉球王朝神話における「はじまりの地」で、感謝や祈り、生命の起源にふれる特別なひとときは、単なる美食体験に終わらない特別な時間になるはずです。

Day1 : 12/11() 18:3021:15(琉球懐石料理,18時開場)
Day2 : 12/12() 18:3021:15(琉球懐石料理,18時開場)
Day3 : 12/13() 18:3021:15(琉球フレンチ,18時開場)
場所:知念城跡(沖縄県南城市知念字知念)
¥59,800(税込)/お一人様あたり
http://sanctuary-dining-nanjo.com/index.html#food

「本当の豊かさとは何か。今こそ、田舎に目を向けてもらいたい」pejite/仁平 透・君島北斗

「やりたいことをやる」という姿勢を貫いた仁平氏。「それができたのは、益子を始め、近隣の街に、やりたいことをやり、認められている良き先輩たちがいたからでした」。

旅の再開は、再会の旅へ。『pejite』同様、これからの未来に必要とされることは「リペア」の概念。

150年以上も前に生まれた益子焼を始め、様々な分野の作家が活動する栃木県芳賀郡益子町。

東京から車で2時間ほどの「田舎」ですが、年2回行われている「陶器市」や個性のあるショップ、カフェが話題となり、県外からも高感度な人たちが多く集まってきます。

そんな益子を代表するお店のひとつ『pejite』は、『仁平古家具店』を運営する仁平透氏が2014年にオープンしたセレクトショップです。築60年以上の大きな石蔵を舞台に、リペアした古家具のほか、陶器やアパレル、雑貨などが並んでいます。

『pejite』最大の特徴は、その空間を体感することにあり、「どこにいてもものが買える(売れる)時代だからこそ、実店舗に足を運ぶおもしろさを伝えようと努力してきました」と仁平氏は話します。

しかし、新型コロナウイルスによって生活は一変。人々は、旅を始めとした行動を奪われてしまいます。

「当店のある栃木県益子町は観光地でもありますが、新型コロナウイルスによって来客数が激減しました。4~5月は、特に辛い日々が続きました」と話すのは、スタッフの君島北斗氏。

人の動きが停止してしまったゆえ、インターネットとの共存は避けて通れません。通常であれば当たり前のことですが、店舗での体感を大切にしてきた『pejite』にとっては苦渋の決断でもありました。

「あくまで僕たちが大切な場所は実店舗であることに変わりはありませんが、今はインターネットの力も借りて、この先を乗り越えていこうと思います」と仁平氏。

一方、足を運べなくなったファンにとっては嬉しいことでもあり、「オンラインショップは、反応の高さを感じます。家での時間が増えたことによって、生活を見つめ直し、当店で取り扱っているような家具や器のようなインテリア全般が再注目されているように感じます。現在は以前より更にオンラインの更新に力を入れています」と君島氏。

益子は『pejite』同様、体感の街。前出の「益子陶器市」を始め、多くの来客を誇る人気イベントは軒並み中止になってしまいました。お盆を境に少しずつ人が戻ってきてはいるものの、不安な日々は続いています。

「益子は都心からもほどよい距離のため、日帰り旅行が可能な場所ということがとても恵まれていると思います。時間がゆっくりと流れ、少し車を走らせれば自然豊かな風景も広がります。新型コロナウイルスによるストレスを癒す場所としてもお勧めです。コロナ禍でも無理なく行ける場所として、これから更に注目される土地になると嬉しいです。まだまだ油断できない状況が続きますが、自分たちはできること(仕事)をするだけです。 暗い気持ちにもなりがちですが、この状況をプラスに変えられるように努めたいと思います」と君島氏。

「新型コロナウイルスの感染拡大によってリモートワークなどが当たり前になりつつ今、 これからは東京離れが視野に入る人も少なくないと感じています。 こんなときこそチャンスと考え、自分の住む町の魅力をどんどん発信し、 移住のきっかけになってくれたらと思っております。 本当の豊かさを改めて考え、東京だけではなく、田舎にも目を向けてもらえると嬉しいです」と仁平氏。

以前の取材時、仁平氏はこう語っていました。

「こだわったのは、インターネットという販路でなく、あえて店舗を持つこと」。

「やりたいことをやる」という姿勢を貫いてきた仁平氏が今やりたいこと、それは今も変わらず、実店舗にあります。

昨今、様々なテクノロジーや文明の進化は、地球や人類が生きるスピードを超えてしまったのかもしれません。

新型コロナウイルスによって立ち止まざるを得ない時間をあえて好転して捉えるのならば、『pejite』の古道具同様、環境のリペア。

丁寧にリペアされたものは新たな価値を生みます。

そんな未来を信じ、『pejite』は今日も前を向いています。

蔦(つた)にびっしりと覆われた趣のある建物。作家の手による古材を使った扉に、仁平氏らしいセンスが漂う『pejite』の外観。

店内には、明治から昭和初期にかけて作られたショーケースや棚など、大型の什器の数々が並ぶ。それらの存在も手伝い、空間を回遊すれば不思議とノスタルジックな気分に浸ってしまう。この感覚こそ、実店舗だからこそ得られる体感の醍醐味。

リペアされた家具は、インターネットでも販売されていますが、新型コロナウイルス収束後は、是非、直接見て、触り、その風合いの良さを感じてほしい」と仁平氏。

住所:栃木県芳賀郡益子町益子937-6 MAP
電話:0285-81-5494
http://pejite-mashiko.shop-pro.jp/

Text:YUICHI KURAMOCHI

「今でも必要としてくれるお客様がいる限り、私は小さな火を灯し続ける」nagaya./吉田絵美

「3〜4月ごろの暗澹たるムードは少し薄れ、 どうやって対策をしながら過ごすか、光明は見えてきている雰囲気はあります。日本の感染者や死亡率が少ないことも、何十年後かの科学が理由を解明してくれるのかもしれませんね」と吉田さん。

旅の再開は、再会の旅へ。「日々の生活を彩るものが、こんなに気持ちをホッとさせてくれるんですね」。そんなお客様の言葉に救われた。

徳島県徳島市沖浜町。JR徳島駅からふたつ目の二軒屋駅より歩いて10分ほどの何の変哲もない住宅街に『nagaya.』はあります。その舞台となるのは、その名の通り、築50年の「長屋」です。

オーナーの吉田絵美さんの祖父母が借家として長年使っていたというそこは、およそ10年間誰も住んでおらず、まもなくその役目を終えようとしていました。そんな時、吉田さんがここを『nagaya.』として蘇らせたのです。

紆余曲折ありながらも順調に歩みを進めていましたが、「まさかこんな世の中になるとは誰も予想できませんでした……」と吉田さん。理由はもちろん、新型コロナウイルスによるものです。

「3月ごろから新型コロナウイルスが騒がれ始め、お店ではマスクを着用し、感染拡大防止に気をつけながら営業を続けていましたが、4月からお客様が激減。緊急事態宣言下では店舗をお休みしていました。決まっていた展示会を延期したり、オンラインへ移行したりと毎日ニュースで状況を観察しながら、それに対してお店をどうするか考える日々。情報収集と意思決定、実行を続け、慌ただしく過ごしていました。6月には県内のお客様は戻り始め、常連のお客様とは近況報告をしながらお顔を見て話せる喜びを改めて実感しました。9月ごろからは県外のお客様も戻り始めて、マスクをつけて感染対策は万全にするという違った景色ではありますが、徐々に元の店の日常に戻りつつあります」。

『nagaya.』は、生活雑貨を扱うショップとカフェを併設するお店です。ショップでは焼き物を中心とした食器類を展開し、特筆すべきは作家と吉田さんの関係性が強く結ばれていること。ゆえに、以前の取材時にも「これはどんな作家さんの焼き物ですか?」と尋ねれば、「この作品を作った方は佐々木智也さんといって、実家が妙楽寺というお寺なんですよ。だから名前は妙楽窯。住職として後を継ぐ一方で、作家さんとしても活動しているんです。境内の横にある自宅の庭に窯があって、土も自分で持ってきて作品に使うなど、チャレンジ精神旺盛な方ですね。最近はモダンな形の作品が増えている気がします」と、丁寧に解説をしてくれたのは、今でも記憶に新しいです。

今回、『nagaya.』の難局を救ったのは、そんな「もの」たちでした。

「もしカフェのみであれば、緊急事態宣言中の売り上げはゼロでした。私は、作家さんが作ってくださったものに救われたのです。というのも、2020年4〜5月の緊急事態宣言ごろから、今まで細々とやっていたオンラインショップの売り上げが急に伸び始めたのです。現在は予約制を取り入れ、店舗も再開し、感染対策をしっかりしながら通常営業に戻しています。喫茶スペースは4月からしばらく閉めていたのですが10月から席を減らしメニューを限定して再開しています。ただ、飲食店だけの方々はまだまだ厳しい状況が続くと思います。今後も厳しい業界には引き続き補助金などの検討も視野に入れて頂ければと思います」。

そんな暮らしの変化は『nagaya.』だけではなく、街や地域も同様です。

「徳島県は7月ごろまで感染者が少なかったので、正直、県外の方に排他的なムードで息苦しさがありました。7月から数カ所でクラスターが発生し、8月の阿波踊りも中止になってしまいました。お盆は例年一番お客様が多い時期なのですが、2020年は寂しい夏でした。9月以降は県内外のお客様も戻ってきているので、徐々に感染対策をしながら暮らしていくという方法が浸透していっている雰囲気はあります。また、店舗でお客様の客単価が上がっているようにも感じました。徳島は唯一の百貨店が今年の夏撤退するくらい、神戸や高松で買い物をする方が多いのですが、なかなか外出ができないこともあり、県内の小売店でまとめて購入しているのだと思います。地元でのお買い物の良さが見直されているのではないかと感じています」。

前述にあった作家との関係性が最たる例ですが、吉田さんが大切にしていることは「普遍的な仕事」。以前は東京でもデザインやインテリアに携わるも「トレンドと普遍の溝を感じていた」と言います。

そんな葛藤をしていた時、祖母の訃報が届きます。更に難は容赦なく襲いかかり、帰郷するために徳島へ向かう羽田空港で起こったのが3.11の東日本大震災。人生を大きく変えた出来事であり、同時に徳島で一からスタートをしようと決意したきっかけにもなりました。

「今回の難局で一番顕著だと思ったことは、弱者がより辛い状況になるということ。学生さんやお年寄りが不自由な暮らしをしていると思います。学校は今までのように授業を受けられるよう、万全な運営をすることを一番優先して欲しいです」と話す吉田さんは二児の母でもあります。

当たり前は、当たり前ではない。自分以外の誰かのことを気遣い、日常に感謝する。これは、今こそ、ひとり一人が感じなければいけないことだと思います。

苦しい渦中、吉田さんの心を救ったのは、あるお客様から言われたひと言でした。

―――
コロナ禍でも日々の生活を彩るものが、こんなに気持ちをホッとさせてくれることもあるんですね。
―――

「心に染み入りました。不要不急と思われる弊店のような雑貨店でも、必要としてくださるお客様がいらっしゃるという喜び、感謝、そして、勇気を頂きました。徳島の片田舎ですが、小さな火を長く灯せるよう営業していますので、もしご興味湧きましたらお立ち寄りいただければ幸いです」。

長屋の面影を残すカフェスペース。趣のある店内は、つい長居してしまう居心地の良さがある。

丁寧に並ぶ作品の数々。「作家さんの展示会はしばらく並行してオンラインショップでも販売します。ぜひご覧いただければと思います」と吉田さん。

以前の取材時、文中にも引用した佐々木さんの作品。伝統的な器の形である輪花や八角が人気。釉薬の種類が豊富で色違いも。佐々木さんの作品は現在、店頭にて展示会を実施中。11月17日からはオンラインショップでも販売開始。

住所:徳島県徳島市沖浜町大木247番地 MAP
電話:088-635-8393
http://nagayaproject.com/

Text:YUICHI KURAMOCHI

「地域の結束力はより強固に。今もこれからも、瀬戸内の価値を信じている」瀬戸内リトリート青凪/吉成太一

「『瀬戸内リトリート青凪』だからこそ提供できる“非日常体験”に大きな価値があると信じています。皆様の再開の旅で、お目にかかれますよう、ホテルスタッフ一同、お待ち申し上げております」と総支配人の吉成氏。

旅の再開は、再会の旅へ。学びは忘れず、常に進化し続ける。それは難局の渦中にあっても変わらない。

標高450m、総面積3,500㎡に対し、客室はわずか7部屋。天然温泉も有するそこは、本館、別館から成り、その全てが規格外。

瀬戸内が持つ風光明媚を独占できる『瀬戸内リトリート青凪』を手がけたのは、日本を代表する建築家、安藤忠雄氏です。

『ONESTORY』が出会ったのは、遡ること2018年。その後、数々の快挙を成し遂げますが、新型コロナウイルスによって迎える試練は、例外なく訪れています。

2015年の開業から2020年にかけ、我々『瀬戸内リトリート青凪』はお客様と優秀なスタッフ、地域のサポーター様に恵まれ、順調に成長を重ねて参りました。(『ONESTORY』の)取材後の2018年には、国内系ホテル初のミシュラン最高評価やワールドホテルアワード3冠、40ヶ月連続売上増などの記録を得ることができました。しかしながら、新型コロナウイルスによって緊急事態宣言が発令され、我々も4月から2ヶ月の休業を余儀なくされてしまいました」と話すのは、総支配人の吉成太一氏です。

吉成氏は、以前の取材でこんな言葉を残しています。
「同価格クラスなら“良い宿”であることは当然。その中でいかに突出した宿になれるか」
「安藤忠雄建築だけではダメ。僕たちは安藤先生に勝ちたい」。

『瀬戸内リトリート青凪』は作品なのか、ホテルなのか。

もちろん答えは後者ですが、安藤建築はそれほどまでに圧倒的存在感を放ちます。

当時、「安藤忠雄建築を入り口として泊まりに来るゲストがほとんど。しかし大事なことは、その中でサービスがずば抜けている、あるいは料理が抜群に美味しいという理由でお客様にリピートしてもらうこと。安藤忠雄建築というウリ文句にあぐらをかいていては、決して“スペシャル”にはなり得ないのです」と吉成氏は話を続けていました。

ゆえに、休業中も努力の歩みは止めず、更に進化したスペシャルをお客様に提供できる日に備え、できることを一丸となってしてきました。

「新型コロナウイルスによって止むを得ず迎えた休業中は、チーム全体で毎日のようにオンライン研修で学びを深めてきました。 新しいマーケティングや財務スキルなど、普段はホテルオペーレーション以外で接する機会が少なかったことにも積極的に向き合い、知識を深めてきました」。

2020年5月に緊急事態宣言は解除。6月から再始動した『瀬戸内リトリート青凪』は、その力を存分に発揮します。

「スタッフ皆で得た学びを再オープンと同時にアウトプットし、アートイベントなどの新企画を多数スタートさせてまいりました。もともと3密が発生しない構造の『瀬戸内リトリート青凪』は、GoToトラベルのスタートと同時に非常に多くのお客様がお戻りになり、大変ありがたいことに8月以降は過去最高の稼働が続いています」と吉成氏。周囲の様子も訪ねると「インバウンドのお客様も多かった道後温泉や松山城など、主力の観光地は、例に漏れず一時ゴーストタウンのような状態と化してしまいました。しかしながら、ローカルのパワーと結束力は力を増し、今は多くの国内の観光客で賑わいを取り戻しています」と言葉を続けます。

しかし、終息を迎えたわけではありません。両手を上げて喜べない件もあり、表裏一体の日々。

「政府の施策により旅行者が多くなったことは喜ばしい反面、もしGoToトラベル起因によって我々のホテルで感染者が出てしまった場合どうしたら良いのか……という心配も抱えています。実際に瀬戸内内ホテルでも感染者が出てしまい、休業を余儀なくされてしまいました」。

経済の再開は必要とされるも、それによって新たに生まれる懸念への補償が約束されているかと言えば、そうではありません。注意深くするも目に見えない相手ゆえ、一刻も早く「日常」が戻る日を願うばかりですが、美点の「非日常」が広がるのが『瀬戸内リトリート青凪』の最大の魅力。

「我々は、ホテルが提供する“非日常体験”にこそ大きな価値があると信じています。コロナ禍において、我々の日常は大きく変化してしまいした。しかしながら『瀬戸内リトリート青凪』は、今もこれからも圧倒的な“非日常体験”をお客様にご提供できればと思っています。体験した全てのお客様が、この宿泊体験によって何かを感じ、それがその方の人生にとってより良いものとなれば、それに勝る喜びはありません。皆様の再開の旅で、お目にかかれますよう、ホテルスタッフ一同、お待ち申し上げております」。

森に突き出すように延びる『瀬戸内リトリート 青凪』の象徴的なデッキプール「INFINITY POOL」。時間帯により様々な表情を見せる。

瀬戸内リトリート 青凪』オリジナルの寝湯が備わる浴室。湯には天然温泉が引き湯される。

天井高約8m、広さ約170㎡を誇る『瀬戸内リトリート 青凪』最上級の客室「THE AONAGIスイート」。

住所: 〒799-2641 愛媛県松山市柳谷町794-1 MAP
電話: 089-977-9500
http://setouchi-aonagi.jp/

Text:YUICHI KURAMOCHI

Vol.4 料理とシャンパーニュの、果てのない可能性。[NEW PAIRING OF CHAMPAGNE・アルテレーゴ/東京都千代田区神田神保町]

本に生きる角田さんにとっては馴染みある街、神保町が今回の舞台。「アルテレーゴ」の平山シェフは、どんなペアリングで角田さんをおもてなしするのか!?

アルテレーゴ × 角田光代

 路地を入ると、杉玉の下がったお店がある。和食のお店だろうと通り過ぎようとして、「アルテレーゴ」の看板に気づいた。
 濃いグリーンの壁が印象的な、すっきりした店内だ。お店に入ってすぐ右手に大きな機械が置いてあり、私はてっきり飾りとしてミシンを置いているのかと思ったのだが、生ハムを切る器機だという。いろんなことがさりげなく意外なリストランテである。
 今日の料理は「ボタンエビのタルタル」。シェフの平山秀仁さんが冷蔵庫から取り出して見せたくれたのは、海老の昆布締めならぬ生ハム締め。薄く切られた淡い桃色の生ハムのなかに、これまた淡い桃色の海老が並んでいる。その海老を細かく叩く。なんという贅沢な料理だろう。
 鍋にだいだい色の粒と少量の水を入れ火にかける。「クスクスに見立てた乾燥にんじんです」と平山さん。戻した乾燥にんじんと、みじん切りにした落花生のコンフィをエビのタルタルに混ぜる。にんじんがとびっこに見える。そのタルタルを器に置き、レモンジェルを少々、それからラルドと呼ばれる塩漬けした豚の油をかぶせるように敷いていく。それを、軽く火であぶる。エビの桃色とにんじんのだいだい色が、溶けた油の下からふわっと浮かび上がる。フェンネルの花、にんじんの葉、粉末状の乾燥黒オリーブをかけて、完成。

【関連記事】NEW PAIRING OF CHAMPAGNE/作家・角田光代が体験する「食べるシャンパン。」の特別連載エッセイ!

今回、平山シェフが「コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン」とのペアリングのために考案した料理は、「ボタンエビのタルタル」。丁寧に時間をかけた仕事と高い技術から生まれた味わいは、そのシンプルな料理名では語りきれない。

「食材はイタリアのものが多いですが、調理法は和の技術を活かしています」と平山シェフ。

昆布締めの要領でボタンエビを生ハムで締め、旨味を移し、タルタルに。「生ハムを食材としてではなく、調味料として採用するチャレンジしたメニューでもあります」と平山シェフ。

ニンジンをクスクスに見立てるために薄くスライスし、乾燥させ、細かく刻む。更に水に戻すと食感まで似る。それをバターと一緒に火にかける。一口だけ頂いた角田さんは「甘い! そしてニンジンの味か濃い!」。

生落花生にゆっくりと火を入れ、ホクホクに。角が取れた食感は、ねっとりとしたエビのタルタルと相性抜群に。

豚のラルド(背脂)を塩漬けし、胡椒、にんにく、ローズマリーとともに熟成。今回の料理は、それを薄くスライスし、エビのタルタルと合わせる。「角田さんが豚の脂が好きだという情報を見つけて料理に取り入れてみました」と、はにかみながら話す平山シェフ。「バーナーで炙ってラルドを溶かし、甘みを感じやすくします」。

薄く切った豚のラルドは、手のひらの体温で徐々に溶けてゆくほど。豚の品種は、イタリアはトスカーナ、シエナ産のチンタセネーゼを使用。

上記、豚のラルドを一口食べた角田さんは、「うーん!! 美味しい!!」とにっこり。

イタリアンだが入口には杉玉が。料理同様、レストランの容姿にも和の要素を取り入れる。更に言えば、ここは以前、和食の名店『神保町 傳』跡地。様々な角度からイタリアと日本が交錯する。

アルテレーゴ × 角田光代

 完成した品はもちろんのこと、料理の工程すべてがすでにうつくしい、なんと手の込んだ一品だろう。食べるのに緊張してしまう。
 ラルドの上品な脂気、エビのねっとり感、生ハムの塩気とうまみ、にんじんのつぶつぶ、落花生の香ばしさとコリコリした食感、フェンネルの香り、レモンの爽快さ、ほのかにこっくりしたバター……、と、びっくりするほど一口の情報量が多いのだが、口をついて出る言葉は「おいしい!」の一言。よく知っているような気がするのに、食べたことのないおいしさだ。
 コントドシャンパーニュを飲む。エビのタルタルが力強くて繊細なことがよくわかる。そして、このシャンパーニュの味と風味が、じつにしっかりしていることがあらためてわかる。この一品はコントドシャンパーニュの味を消さずに引き立てて、料理の味も消えずに引き立てられる。
 テタンジェの特徴は力強さだと平山さんは言う。それに合わせる料理としてコントドシャンパーニュに負けないものは何かと考え、このタルタルを思いついたそうだ。素人の私からしてみれば、いったいどのようにボタンエビを思いつくのか、いや、思いついたとしても、なぜそれを生ハムで締めようと思いつくのか、なぜ乾燥にんじんを、なぜ落花生のコンフィをまぜこもうと思いつくのか、まったく発想のみなもとがわからない。思いついたものが、実際にこうしてコントドシャンパーニュの強さに負けず、たがいの魅力を引き立て合っているのだから、感嘆するほかない。

コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブランは柑橘系の味わいも感じるリッチな味わいなので、それに合わせてレモンのジュレを少しだけ料理には忍ばせています」と平山シェフ。

ニンジンのクスクスは、まるでボタエビの卵のような見た目で馴染む。薄く切った豚のラルドの上にはニンジンの葉とフェンネルの花を添える。黒いパウダーは黒オリーブを乾燥させたもの。

「コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン」はボリュームのある味わいなので、料理も力強く。「豚のラルドとエビのねっとりした味わいが相乗効果を生み、より深みを出しています」と平山シェフ。

「イタリアンはもっとシンプルな仕上げの印象ですが、平山シェフの料理は良い意味で複雑。それがまたコント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブランと良く合うと思います」と角田さん。

アルテレーゴ × 角田光代

 アルテレーゴは、ミラノで、はじめてミシュランの星を獲得した日本人シェフ、徳吉洋二さんの店である。ミラノの徳吉さんとともに働いた平山さんが、アルテレーゴのキッチンをまかされている。アルテレーゴは「分身」という意味だ。
 平山さんがいちばん重要視しているのは何かと訊くと、「調和、バランス」だという答えが返ってきた。一品としてのバランス、コース全体の流れを通してのバランス、店内の雰囲気を含めてのバランス。そして、お客さんに楽しんでもらえる空間作りに心を砕いているとも話す。食事はリラックスして楽しむもの、というのが平山さんの信念だ。そのためにはシェフもスタッフもその場を楽しまなければならない。緊張しているお客さんがいれば、その緊張をほぐす。ミラノのお店では厨房にいてお客さんの表情を見る機会はなかった。けれどここ、アルテレーゴはカウンター中心なので、お客さんの様子がよくわかる。それぞれの表情を見ながらやりとりをする。

「いわゆるラグジュアリーなレストランの良さもありますが、カウンターでお客様の表情を見ながら料理をしたかった」と平山シェフ。取材時も角田さんと会話がはずむ。

「一番大切にしていることは、エクィリーブリオ。イタリア語でバランスや調和という意味になります。食材同士の調和、料理とコント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブランの調和。それを意識して考案しました」と平山シェフ。それをメモする角田さん。

アルテレーゴ × 角田光代

 ふだんのアルテレーゴはコース料理中心で、しかも、各皿とともにスープが出るのだという。スープと料理のペアリングを楽しむというコンセプトだ。料理とスープ、あるいはごはんとおかずなど、異なるものを口に含み、口のなかで混ぜ合わせて味わうことを「口中調味」というのだと平山さんに教わった。これができるのは日本人だけなのだという。まさに料理とスープという構成は、口中調味をたのしむためにある。シャンパーニュと料理の、こんなに完璧な組み合わせを思いつく平山さんだから、スープと料理もきっと一筋縄ではいかないのだろう。ただ「合う」だけではなくて、足し算引き算、かけ算割り算と、味も香りも食感も、無限に楽しめるのに違いない。

「最初は、ミシンかと思いました!(笑)」と見まごう角田さん。薄く綺麗に切れる生ハムは香りも豊かで、皿に並んだそれを見てうっとり。

手際よく生ハムを切る平山シェフ。「この器具は、ベイケルというイタリア制の老舗ブランドです。スライサー界のフェラーリって言われてるんですよ!」。

「まず手にかけて、香りを嗅いだ後に……」と、平山シェフより本場の生ハムの食べ方を指南される角田さん。その生ハムは、24ヶ月熟成のパルマ産・ガローニ。ほど良く効いた塩味となめらかな味わいが特徴。

店名である「アルテレーゴ」の意味は、ラテン語で「分身」。ミラノに本店を構える「リストランテ・トクヨシ」の分身という位置付けであり、両店のキーカラーはグリーン。角田さんのファションもグリーンだったため、「ご存知でお召しになってきてくださったのですか?」という平山シェフに対して「偶然です(笑)」と角田さん。

住所:東京都千代田区神田神保町2-2-32 MAP
TEL:03-6380-9390(ご予約:050-3184-4001)
https://alterego.tokyo

1967年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学第一文学部卒業。1990年『幸福な遊戯』で第9回海燕新人文学賞を受賞し、デビュー。1996年『まどろむ夜のUFO』で第18回野間文芸新人賞、1998年『ぼくはきみのおにいさん』で第13回坪田譲治文学賞、『キッドナップ・ツアー』で1999年第46回産経児童出版文学賞フジテレビ賞、2000年第22回路傍の石文学賞、2003年『空中庭園』で第3回婦人公論文芸賞、2005年『対岸の彼女』で第132回直木賞。2006年『ロック母』で第32回川端康成文学賞、2007年『八日目の蝉』で第2回中央公論文芸賞、2011年『ツリーハウス』で第22回伊藤整文学賞、2012年『紙の月』で第25回柴田錬三郎賞、『かなたの子』で泉鏡花文学賞、2014年『私の中の彼女』で河合隼雄物語賞を受賞。

お問い合わせ:サッポロビール(株)お客様センター 0120-207-800
受付時間:9:00~17:00(土日祝日除く)
※内容を正確に承るため、お客様に電話番号の通知をお願いしております。電話機が非通知設定の場合は、恐れ入りますが電話番号の最初に「186」をつけておかけください。
お客様から頂きましたお電話は、内容確認のため録音させて頂いております。
http://www.sapporobeer.jp/wine/taittinger/

Photographs:KOH AKAZAWA

(supported by TAITTINGER)

川に可愛いお客様が

前に流れている倉敷川の川渡しに

森の可愛い仲間たちがいました(о´∀`о)


ハロウィン・・・は過ぎておりますが(´∀`*)


いや、中に人なんかいないんだ!!

森の愉快な仲間たちなんだ!(*゚▽゚*)

倉敷へ来ると今なら森の仲間に会えるかも・・・??


日本一の農産物に与えられる栄誉「天皇杯」に輝いた、行方市を代表する農産物。[NAMEGATA VEGETABLE KINGDOM・サツマイモ/茨城県行方市]

行方 ベジタブルキングダムOVERVIEW

年間60品目以上を生産し、通年新鮮な野菜を各地に出荷する行方市。そんな行方市を象徴する農産物をひとつだけ挙げるとしたら、サツマイモとなるでしょう。

なにしろサツマイモは『JAなめがたしおさい』の農業産出額およそ200億円のうち、実に約40億円を占めるほど。行方市では、多彩な品種を栽培し、そしてそれぞれの品種に合わせて熟成をかけることで、年間通じてサツマイモを出荷し続けているのです。

サツマイモは秋のもの、というかつての常識。しかし野菜王国・行方市が誇るサツマイモは、そんな歳時記さえも変えてしまうのです。
地元では甘藷(かんしょ)と呼ばれ、生産者の誇りでもあるサツマイモ。JAなめがたしおさい甘藷部会連絡会の現会長・高木雅雄氏の言葉をもとに、行方市のサツマイモの魅力に迫ってみましょう。

【関連記事】NAMEGATA VEGETABLE KINGDOM/温暖な気候、肥沃な大地、豊富な水。年間60種以上の野菜が育つ、日本屈指の野菜王国。

Photographs:TSUTOMU HARA
Text:NATSUKI SHIGIHARA

(supported by なめがたブランド戦略会議(茨城県行方市))

豊かな水資源に支えられ、多彩な米が育てられる行方市の多様性。[NAMEGATA VEGETABLE KINGDOM・愛鴨米/茨城県行方市]

行方 ベジタブルキングダムOVERVIEW

関東一の米どころ・茨城県。近年は米どころとしての認知度も定着し、コシヒカリ、あきたこまち、ミルキークイーンといった定番品種から、茨城県のブランド米であるゆめひたちや一番星、さらに古代米や餅米、加工用米など、多種多様な米が育てられています。

もちろん霞ヶ浦と北浦という2つの湖を擁し、肥沃な土壌に恵まれた行方市でも米栽培は盛ん。そして平野部が広く広大な耕作地が持てることから、他の地域ではないアプローチで農業が行われるのも、行方市らしさのひとつです。

通常よりも化学肥料や農薬の使用を半分以下に抑えた特別栽培で、『JAなめがたしおさい』が一丸となって研究して誕生した冷めてもおいしいと評判の「行方コシヒカリ」、そして農薬・化学肥料を使わずに育てられる愛鴨米。豊富なバリエーションは、行方の農業の底力と多様性をそのまま表しているのです。

日本の食卓になくてはならない米。今回は、食卓を彩るおいしい米の秘密を、行方市で探ります。

【関連記事】NAMEGATA VEGETABLE KINGDOM/温暖な気候、肥沃な大地、豊富な水。年間60種以上の野菜が育つ、日本屈指の野菜王国。

Photographs:TSUTOMU HARA
Text:NATSUKI SHIGIHARA

(supported by なめがたブランド戦略会議(茨城県行方市))

IRON HEART ハイカットスニーカー

バイカーにターゲットを絞ったアイアンハートならではのハイカットスニーカ!

  • ボデイに21ozのリアルブラックデニムと牛皮のブラックラフアウトをコンビネーションさせたバイク乗りに照準を合わせたスニーカー
  • ソールの圧着には昔ながらのバルカナイズ(加硫)製法を採用
  • 機械での強いプレスによる圧着と異なりソールやスニーカーの形をより繊細に崩さず仕上げられます
  • 基本的に、手作業で手間暇をかけて行うため、日本国内では3つの工場のみでしかできないこだわりの製法です
  • ハイカット上部にはインナーとアウターの間にスポンジを挟み込み、ズレないようにステッチで押さえた仕様で足首を守ります
  • スニーカー本体の脇部分には内側と外側の両方にアイアンハートのジーンズ同様のステッチを入れ込むことにより、本体の伸びを防ぐとともに、アイアンハートのデザインをしっかりアピールしています
  • ヒールパッチにはHOPPING SHOWER tetsu氏によるロゴと、メイドインジャパンのプリント入り
  • シューレースはクラシカルな平織コットンレースを採用
  • オールメイドインジャパンのしっかりとしたつくりです

サイズについて

  • 工場さんの金型の都合により、ハイカットスニーカーのサイズ展開は、7,8,9,10の4サイズとなります
  • 7が25.5cm、8が26.5cm,9が27.5cm,10が28.5cm
  • 【IHSN-01】ローカットスニーカーと比べて同じサイズの表記で5mmほど大きな寸法となって居ますのでご注意下さい。

「地方はすごい! 再びそう言ってもらえるよう、僕は新潟を思う存分表現してゆく」Restaurant UOZEN・井上和洋

必ず誰でもがまた普通に旅が出来る日が来ると思います。その時に“地方ってやっぱり良いね!”、“田舎ってすごいね!”と言ってもらえるような店になっていたいです」と井上氏。

旅の再開は、再会の旅へ。この地でお店を続ける覚悟。その意志は、コロナ禍によってより強固に。

「顔が見える生産者が育てる野菜で作る料理」。
「野菜がたっぷりの身体に重くないフレンチ」。

今ではスタンダードになりつつあるヘルスコンシャスな料理を10年以上前から提唱し話題を集めた池尻大橋『HOKU』。オーナーシェフを
務めるのは、井上和洋氏です。ところが開店から7年目、人気絶頂のさなかに突如、お店を閉め、東京から姿を消してしまいます。


2013年、井上氏がたどりついた新天地は、新潟県三条市でした。

しかもそのロケーションは田んぼの真ん中にポツン。

そんな『Restaurant UOZEN』は、地元の人に愛されながら、県外からもゲストを呼ぶ店として成熟。夏は自ら佐渡沖まで釣りに出かけ、猟が解禁になる秋から冬にかけては、毎日のように山に出かける日々。失敗と工夫を繰り返しながら、パーマカルチャーの理念に基づき、循環型のライフスタイルによる野菜作りにも挑戦しています。

しかし、そのライフスタイルは、新型コロナウイルスによって一変してしまいます。

「新型コロナウイルス前は県外のお客様が中心でした。自粛から緊急事態宣言の発令がされた時は、お店の営業を一時停止し、再開した後は県内のお客様が中心になっています。ですが、今回の難局によって大きく変化させたことは特にありませんでした。強いて言えば、おせちの全国配送を検討していることです。これまでのおせち料理は県内限定に行っていたのですが、今年は全国配送の予定をしています。理由は、営業休止中に全国配送メニューを試みたのですが、ありがたいことにそれが好評だったため、それならばおせち料理もやってみようと」。

旅はできなくても『Restaurant UOZEN』の料理を食べたい、井上氏の料理が食べたい。全国のファンは、会えなくてもつながっています。

2020年10月現在、「県外への旅行には慎重な方も多くいらっしゃいますが、 新潟県は比較的、元通りに戻ってきているように思います。残念なのは、年配の経営者の方はこれを機に廃業を決断された方もいらっしゃったことです」。

そこで思うのは、もう少し補助や支援の制度が早かったら……。

「当店が位置する新潟県三条市の新型コロナウイルス対策の補償などは、各地方に比べても手厚くスピーディーな方だと思います。国の補償は2020年冬にどうなるかによって、その時に早急に対応できるような体制であってほしいと思います」。

地域の判断と政府の判断……。規模も体制も制度も異なるため、双方を比べるのは難しいかもしれませんが、そのスピード感は、国民の生活を大きく左右します。

経営者であればなおのこと。月末は待ってくれません。

そう言った意味では、後手になった政府の対応をただ待つだけではない新潟県三条市の対応は、地域住民にとって、どんなに心強く感じたかは想像するに難しくありません。

以前、井上氏は『ONESTORY』の取材にて、「きちんとした食材を使い、その味を感じられる料理を提供したい。東京時代から抱き続けてきた想いに新潟で血肉を通わせてきました」と話しています。

井上氏は香川出身。ではなぜ新潟だったのか? それは、奥様の真理子さんにあります。真理子さんの両親は、この地で日本料理のお店を営んでいたのです。

しかし、真理子さんが20歳の時に父を亡くし、その10年後に跡を継ぐはずの兄も亡くしてしまいます。母親がひとりで細々と続けていたここを引き継ぎ、いつかカフェのようなお店ができないか……。そう考え、真理子さんは上京し、飲食店勤務を続けていたのです。井上氏との出会いは、『HOKU』にゲストとして訪れたのがきっかけです。

「本当のサスティナブルな形とはなんだろう?とずっと考えていました」と井上氏。ゲストから友人に、恋人に、夫婦になった真理子さんとの時間がその答えを導いていきます。

ふたりは東京を離れることを決意。夫婦で新潟県三条市へ移り、料理人・井上和洋氏の第2章が始まったのです。

「必ず誰でもがまた普通に旅が出来る日が来ると思います。その時に“地方ってやっぱり良いね!”、“田舎ってすごいね!”と言ってもらえるような店になっていたいです。世界中、誰しもが予想出来なかったこの状況。皆様にまた新潟に来ていただけるよう、更に自分自身が思う存分新潟を楽しみ、表現したいと思います。新潟県三条市にお越しいただけるのをお待ちしております!」。

自由に行き来できる旅は、いつ再開できるのか。それは知る人はまだ誰もいません。井上氏は、いつかのその日のために、今日もまた、ただただ、おいしい準備をしています。

最後に。

2020年、『Restaurant UOZEN』は、「ミシュランガイド新潟2020 特別版」で二つを獲得。

きっと、亡き真理子さんの父、兄も歓んでくれていると思います。

真理子さんのご両親が大切にしてきたこの地でお店を続ける意志は、コロナ禍によってより強固に。

Restaurant UOZEN』第3章の始まりです。

そして、今日もまた、いつもと変わらず、井上氏はキッチンに立ちます。

田んぼの真ん中にポツンとあるRestaurant UOZEN』のキッチンで。

真理子さんの父が営んでいた割烹料理店時代のままの姿をあえて残す外観。旧屋号『魚善』の看板もそのまま。

新潟県のほぼ真ん中、越後平野に位置する三条市。しかし、Restaurant UOZEN』が位置するのは、市街地から離れた田園地帯。美しい風景が広がる。

以前の取材にて訪れた長岡市小国町の富井貴志氏の工房にて。富井氏一家とは家族ぐるみの付き合い。写真の左側が富井ファミリー。右側が井上氏と真理子さん。「東京を離れるならば、知らない土地で料理をしてみたいと思いました。それから徐々に妻のルーツでもある土地に根ざしたいという思いも強くなっていき。不思議と迷いも恐れもありませんでした」と井上氏。

住所:〒955-0032 新潟県三条市東大崎1丁目10-69-8 MAP
電話:0256-38-4179
http://uozen.jp/

Text:YUICHI KURAMOCHI

「近くの本屋を気にかけてもらいたい。僕らも地元の人々に助けられた」BOOKS AND PRINTS・新村 亮

「本屋は自分にとってなくてはならない存在。『BOOKS AND PRINTS』も誰かにそう思われるお店になりたい」と若木氏。

「まだまだ様子を見つつの営業ですが、今の状況でも可能なかたちでイベントや展覧会を開催していきたいです」と店長の新村氏。

旅の再開は、再会の旅へ。ニューヨークやサンフランシスコに住んでいた時、近所に本屋が必ず3~4店はあった。日本にもそんな風景を残したい。

昔からその場所にあったように佇む『BOOKS AND PRINTS』は、写真家・若木信吾氏が運営する本屋です。

場所は、若木氏の故郷・静岡の浜松です。数々の著名人を撮り、その被写体をも虜にする若木氏の写真には、業界内外にファンは多い。ゆえに東京からの来訪が大半を占めていたが、自粛に緊急事態宣言、それ以降も控えるよう促された不要不急の外出も手伝い、ゲストは激減しました。

そんな時、お店を助けてくれたのが地元の人々だったのです。

元々遠方からのお客様が多かったので当然ご来店数は落ち込みましたが、 その分、地元の常連さんたちが気にかけて ご来店してくださっているのが大変ありがたいです」。
そう話すのは、店長の新村 亮氏です。

そして、インターネットの普及や今の時代だからこそできる試みも実施。中でも、今回、大きく活用されたサービスはクラウドファンデイングと言っていいでしょう。

一時期、通常営業がままならなくなった時、弊店も参加させていただいた「Bookstore AID」というクラウドファンディングのご支援ご協力がとても大きかったです。また、遠方からもオンラインショップをご利用いただき、本当にたくさんの方々に支えていただきました。そのおかげで今も変わらず店を続けることができています」。

Bookstore AID」とは、新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言が全国に発令され、出口のみえない外出自粛要請と休業要請の日々の中で、全国の書店・古書店を支援するため、有志で立ち上げたプロジェクトです。2020年5月29日終了時点、4476人の人々が支援し、47,548,000円もの金額が集まりました。

誰かのために何かしたい、支援したい、応援したい。しかし、どうやったらいいのか……。一昔前ならば、結局何もできずで終わっていたかもしれませんが、テクノロジーの進化によって誕生したクラウドファンディングによって救われた人は少なくないと思います。

「地域や業種に関わらず、これだけやっておけば大丈夫ということがまだないので難しいと思いますが、 できる限りの対策や工夫をして、何とか持ち堪えているといったお店が多いのではと思います。また、国や政府の対応に関しても、未曾有の事態ですし、全ての人に対して充分な補償や対策ができないのは仕方のないことだと思っています。同様の状況になったとき、政府も私たちも今回の経験を生かし、混乱せずしっかりと対応していけたらと思っています」。

日本を代表する建築家・安藤忠雄氏が手掛けたはじめての絵本「いたずらのすきなけんちくか」の一説にこんな言葉があります。
───
旅には2しゅるいあります。
ひとつは、遠くまで行って、ちがう場所の空気をすうふつうの旅。
もうひとつは、本を読んで想像のせかいをめぐる心の旅です。
───
今だからこそ、「本を読んで想像のせかいをめぐる旅」にでかけてみたい。

また安心して行き来ができるようになった時に皆様とお会いできるのを浜松で楽しみにお待ちしております。それまでは、ぜひお近くの本屋さんで本をたくさん手に取っていただけると嬉しいです」。
お近くの本屋……。それは、本屋が生活の一部になっていた若かりし頃の若木氏の生活体験でもあります。

「10代の終わりにニューヨークに留学した時も、サンフランシスコに住んでいた時もそうでしたが、近所に本屋が必ず3~4店はあったんです。暇な時は必ず本屋かレコードショップ通い。それが定番となっていました」と若木氏は言います。

海外と日本、異なる文化、時代の変化……。様々あれど、美しい街には本屋があります。いや、あると信じたい。

そんな風景を絶やさないためにも、ぜひお近くの本屋さんへ。

2017年の取材時、ある日のイベントのトークショーにオーディエンスとして参加していた若木氏の父・欣也氏。

訪れるお客さんは実に様々。本屋で過ごす時間をじっくりと楽しんでいく人も少なくない。

戦後に多く建てられた共同建築を象徴するKAGIYAビルの2階にお店は位置する。4階にはイベントスペースも構え、トークショーや展覧会も開かれる。

住所:静岡県浜松市中区田町229-13 KAGIYAビル201 MAP
電話:053-488-4160
http://booksandprints.net/

Text:YUICHI KURAMOCHI

「建築家として、人として。どこかのために、誰かのために、僕は生き続けたい」建築家・田根 剛

「自分が大切に思っていることは“場所”と“記憶”。世界中が迎えている難局の最中、その信念はより一層強くなりました」と田根氏。Photograph:Atelier Tsuyoshi Tane Architects

田根 剛 インタビュー0.1ミクロン以下のウイルスによって、パリは都市の機能を失い、村になった。

2020年3月、新型コロナウイルスによってパリはロックダウン。

「都会的な生活と都市機能は奪われました」。

そう話すのは、パリで活動する建築家・田根 剛氏です。

「当時、日常は一変してしまいました。ほとんどの移動手段は制限され、行動範囲も歩ける距離であり、生活の中心は家の中。“都市”だったパリは、まるで“村”のようでした」。

パリは大気汚染の問題が深刻化される街でもあり、ここ数年においても旧ディーゼル車の禁止や交通規制を設け、改善に取り組んでいます。途絶えた移動手段は、一時的に街の空気を好転させるも「これを続けなければ環境改善にはなりません」。

そんな田根氏の近作は、2020年4月に開業を迎えた『弘前れんが倉庫美術館』です。そのコンセプトは「記憶の継承」。2018年に『東京オペラシティ アートギャラリー』と『TOTOギャラリー・間』にて同時開催された大規模個展「未来の記憶|Archaeology of the Future」もしかり、両者に共通するのは「記憶」。

田根氏が最も大切にしている言葉であり、建築においては「場所の記憶」を徹底的に調べます。

「自分たちのプロジェクトは、場所が持つ記憶の発掘からコンセプトを考えていきます。ゆえに、この作業に時間と労力を一番かけています。建築を通して、この場所に意味を持てるか、記憶を持てるか。この場所のために何ができるのか、どんな可能性があるのか。そんなことを常々考えています」。

既存の場所に建物を作り、そこから新たに人の流れを生む。建物が土地の文脈に沿った過去になれれば、それは記憶として成立されます。記憶とは、過去と未来をつなぐ装置なのかもしれません。

しかし、新型コロナウイルスによって世界は暗い影を落とし、未来に目を向けられない人も少なくないでしょう。

「未来が見えなければ、僕は過去に遡ります。できるだけ遠い過去に」。

田根氏は、そう話します。

「原子や太古まで振り返り、そこから光を見出す。例えば、1万年前まで戻った時、きっと今を生きるための未来の手がかりがあると思うのです。しかし、何も答えが探せないこともあるでしょう。その時は、考え続けるのです。昨今、サスティナブルという言葉を耳にしますが、人類の誕生から受け継がれてきた記憶から得られる発見は、驚異的な持続性です。僕は、建築を通してその持続性を創造したい」。

じっくりと書籍や文献を読み、調べ、探求し、過去の旅へと脳内を巡らせる中、ある変化にたどり着きます。

それは、「自然と不自然の違い」です。

【関連記事】生きるを再び考える/RETHINK OF LIFE 特集・10人の生き方

田根氏が日本で初めて手がけた美術館建築『弘前れんが倉庫美術館』は、2020年に開業。長く市民に愛されてきた建物を美術館として再生、継承する。Photograph:DAICHI ANO

2018年に『東京オペラシティ アートギャラリー』と『TOTOギャラリー・間』にて開催された「未来の記憶|Archaeology of the Future」。「Search & Research」にもとづき、建築における思考と考察のプロセスを展開。Photograph:Nacása & Partners Inc.

田根 剛 インタビュー自然には摂理があり、不自然には無理がある。不自然は地球に残らない。

「新型コロナウイルス前と後、一番変化を感じたのは“自然”と“不自然”の違いでした」。

その見解について、田根氏はこう話を続けます。

「20世紀後半から21世紀にかけ、人類の進歩は急速に発展し、グローバル化もされました。しかし、それは不自然だったのではないかと思うのです。都市には、その面積に対して住めないくらい人の量が溢れ、電車も体積に対して乗車できないくらい人の量が押しかけ満員状態に。自分もそうですが、飛行機に乗って毎月のように国内外を行き来するなどの行為は、自然の流れではない時の経過であり、地球のエネルギーの中では極めて不自然」。

本来、自転と公転を繰り返しているのは地球ですが、不自然や無理な移動によって、太陽や月が動いているような錯覚に。地に足をつけていれば、自然がもたらす時間に太陽と月は訪れます。

新型コロナウイルスによって、長く自宅で過ごす日々の中、田根氏はそんなことを如実に感じたのです。

「当たり前のことなのですが、自宅にいると、ちゃんと朝が来て、陽が沈んで、月が出て、夜になって。眠る。自然にはちゃんと摂理があります。僕たちは今、地球の時間軸で生きている……。そう感じました」。

新型コロナウイルスもまた、グローバライゼーションによる不自然さから生まれたもの。

「あんな小さなウィルスが“不自然”な人類の活動の結果、瞬く間に世界中に広がってしまった」。

更に、そんな「自然と不自然の違いは、建築にもある」と田根氏は話します。
 

建築と大地を切り離してはいけない。不自然から生まれた無理な建築は短命に終わる。

「近代以前、建築はその土地のものを使って建物を建てるというのが基本的な考え方でした。よって、必然的に建材は運べる距離のものになりますし、そのほかの使える材料もまた土地のものになりなす。建材と建物は切り離せない関係、土地と建物も切り離せない関係でした」。

しかし、近代以降、流通を含めた様々な進化は効率化を促し、不自然を可能にしていきます。

「例えば、ドバイで建物を造るとします。その建材に石があったとしたら、その石を中国で切って、スペインで加工し、ドイツで組み上げ、またドバイに送るなどということが起きてしまう。最新の手法を駆使すれば、工期短縮な上、コスト面も含めて効率良くできてしまうのです。世界中のどこでも建てられるような技術を身につけてしまった反面、建築は大地から切り離されてしまった。しかし、それには無理があると思うのです。これは建設業界が考えなければならない大きな問題だと感じています。僕は、建築と大地を切り離さない。どうすれば大地の一部になれるか、大地に根付くことができるかを大切にしています」。

その好例は、『エストニア国立博物館』です。

負の遺産とも言われた軍事滑走路を再利用したそこに費やした歳月は、約10年。更に驚くべきことは、本作が田根氏にとってほぼ処女作だったということです。先述の通り、「場所が持つ記憶の発掘」から始まる作業に変わりはありませんが、完成後、建物は土地ともに過ごし、育ち、生き、大地の一部になったそこには様々な人が行き交う風景が形成されました。

―建築は未来を創造できるー

『エストニア国立博物館』のために捧げた10年は、田根氏がそれを感じるきかっけにもなったのです。

土地と建物の関係は、土地と植物の関係にも似るのかもしれません。温暖、寒気、熱帯、はたまた砂漠や高山……。正しい環境に正しく育つからこそ、植物は根を張り、長きにわたり命を宿し、大樹となります。

逆に言えば、植物を大地から切り離し、誤った土地との関係を持ってしまえば枯れてしまいます。

建築もまた、長く土地に根ざすからこそ記憶を増し、人の命よりも遥かに長く生き続け、歴史や文化の伝承者(物)となるのです。

2005年に開催された国際コンペを勝ち取り、2016年に完成した『エストニア国立博物館』は、約10年かけて建設。エストニア独立後初の国立博物館でもある。ソ連占領時に使用されていた軍用滑走路を活かし、それが延長するように建ち上がる。Photograph:Propapanda / image courtesy of DGT.

田根 剛 インタビュー
直す力が社会や文化を作り、持続性を形成する。建築もそうでなければならない。

パリで活動する田根氏の出身は、東京。古き良き街並みを持つパリとスクラップアンドビルドを繰り返す東京。相反する街をどう客観視するのか。

「パリは継続型。昔からパリのまま。建物の入口や窓の大きさなども条例に定められており、長い年月をかけて大切にその風景を守ってきました。それは、国や地域も一体となって取り組んできたからこそだと思います。一方、東京は開発型。作っては壊し、新しいものを積極的に取り入れる街。ゆえに世界でも稀なエキサイティングな都市だとは思います。但し、これが日本の地方の美しい風景や街並みをも、近代化の波によって壊され続ける……と危惧してしまうこともあります。日本は、新しいものを作ることに未来を見る国だと思います。それは、資本主義経済の流れに伴い、建設業が大きな力を持ってしまったことも要因のひとつかと考えます。東京の場合、特にそれが風景として顕著に表れており、人の一生よりも長くのこるはずの建築が、人の命よりも短命な建物が多くなってしまった。20世紀後半は建築界にとって大きな節目を迎えたと思います。急速に新しい建物が乱立するようになりましたが、建築の考え方は“作る”ではなく”直す”。直す力が社会や文化を作り、持続性を形成してきたのだと思います。近年は、直さずに壊してしまうものが多過ぎると感じています。その結果、スクラップアンドビルドという現象が起きてしまう。直せるものにこそ、価値がある」。

この思考は建物に限らず、様々なものも同様。伝統工芸にある金継ぎは、まさにそれです。

「本当に大切な建物や風景は、作ることではなく直し、使い続けることではないでしょうか」。
 

誰かのために尽くすことで大きな原動力が生まれる。自分の人生は、その役目を果たすためにある。

2020年、新型コロナウイルスの猛威は世界中を窮地に追い込み、未だ深刻な国は多いです。

「自分が建築家として一番大切にしていること、それは“場所と記憶”です。今回、より一層その想いが強くなりました」。

「僕たち人間は、すぐには変われないかもしれません。人間はそんなにちゃんとした生き物ではないのです。でも、改めて生きることとは何かを考え機会にはなったと思います。それは、自分も含め、世界中の人間ひとり一人に問われているのではないでしょうか。残された人生の時間をどう全うすべきか、子供たちや未来のために何ができるのか。亡くなった多くの方々がいる中で、幸運にも生かされた自分たちには何ができるのか、考え続けたいです。建築家は、ひとりでは何もできません。自分たちのアイデアを元に、様々な職種の人たちが人生を掛けて同じ目標に向かって全力を尽くす気持ちが大きな原動力を生みます。建築は、そんな役目を果たすためにあると思っています。建築家として、人として。どこかのために、誰かのために、僕は生き続けたい」。

建築家。1979年東京生まれ。Atelier Tsuyoshi Tane Architectsを設立、フランス・パリを拠点に活動。場所の記憶から建築をつくる「Archaeology of the Future」をコンセプトに、現在ヨーロッパと日本を中心に世界各地で多数のプロジェクトが進行中。主な作品に『エストニア国立博物館』(2016)、『新国立競技場・古墳スタジアム(案)』(2012)、『とらやパリ店』(2015)、『Todoroki House in Valley』(2018)、『弘前れんが倉庫美術館』(2020)など多数。フランス文化庁新進建築家賞、ミース・ファン・デル・ローエ欧州賞2017ノミネート、第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞、アーキテクト・オブ・ザ・イヤー2019など多数受賞 。著書に『未来の記憶|Archaeology of the Future』(TOTO出版)など。
www.at-ta.fr

Text:YUICHI KURAMOCHI

雑貨館に新しいお友達が

皆様こんにちは!

先月キャラ工房が閉店した事により

キャラ工房で扱っていた商品は現在雑貨館で取扱を行っております( ・∇・)



キャラ工房は12日にスヌーピーショコラとしてリニューアルオープン致します╰(*´︶`*)╯♡

以前までキャラ工房をご愛顧いただいておりましたお客様は是非雑貨館へ足をお運びください(´∀`*)