サンクチュアリ ダイニング「祈りの場」を舞台にしたレストラン、その感動を再び。
日本のどこかに数日間だけ現れるプレミアム野外レストラン『DININGOUT』。2018年11月に沖縄県南城市で開催された『DINING OUT RYUKYU-NANJO withLEXUS』は、琉球王朝創世の地を舞台に、『志摩観光ホテル』の総料理長・樋口宏江シェフが腕を振るい、参加したゲストを深い感動の渦に巻き込み、大盛況のうちに幕を閉じました。
15回目にして初めて女性シェフが厨房を預かることになったのは、琉球創世記の神話に登場する女神・アマミキヨにちなんでのこと。レセプションは五穀発祥の地で、沖縄県内でも最高の聖地といわれる久高島で行い、琉球王朝時代以前から続く拝所の一つ、知念城跡がメイン会場となりました。テーマは、「origin いのちへの感謝と祈り」。山羊やアグー豚、イラブー(ウミヘビの加工品)などの食材を、地元の食文化に寄り添う形で、まったく新しいフランス料理の一皿として表現。ライトアップされた知念城跡の幻想的な美しさ、神聖さとともに、土地の歴史と神秘性、豊かさを余すところなく伝え『DININGOUT』の歴史に新たな1ページを刻みました。
その感動から2年を経た2020年12月、再び南城市を舞台にした夢の野外レストランが『Sanctuary Dining』として蘇ります。主催は地元事業者を中心に設立されたSanctuary Dining in Nanjo実行委員会。開催にかける思いについて、2人のキーパーソンに話を聞きました。
サンクチュアリ ダイニング次は地元から。食を通じた地域文化の発信・継承を、一回で終わらせないために。
キーパーソンの一人目は、南城市役所勤務の喜瀬斗志也氏。2018年の『DININGOUT RYUKYU NANJO with LEXUS』開催時は、主催地側の中心スタッフとして会場の提案、決定から開催までのあらゆることに尽力。琉球王国の歴史、神話、祭礼や伝統食文化について樋口シェフ、ホストを務めたコラムニストの中村孝則氏をはじめとする関係者にレクチャーし、二夜の宴を大成功に導いた影の功労者でもあります。
南城市には「琉球王朝のグスク及び関連遺産群」としてユネスコの世界文化遺産に指定されている斎場御嶽をはじめ、国が重要文化財に指定する史跡を6か所も有する南城市。『DININGOUT RYUKYU NANJO with LEXUS』の話が浮上したのは、それらの有効な活用方法についての議論が進んでいた時期だったといいます。
「歴史公園などにするのが一般的ですが、ハード面だけでなく、ソフト面も含め、文化を発信する場として活用したい。そんな風に考えていた我々にとって、地域の多くの人々が関ることができて、歴史、伝統、食文化を包括的に発信できる『DININGOUT』は非常に魅力的で“これだ!”と、開催地として名乗り出たのです」
二夜のレストランを経験し、ハード面の整備ありきで考えていた史跡活用法が、がらりと変わることに。このままで、ありのままの姿で、場の力を十分に伝えられる。そのカギが、自分たちの足元に無数に眠っていたことに気付いたのです。
「この経験を、一回限りで終わらせないために、自分たちの手で、等身大の形で続けていきたい。そんな思いからSanctuary Dining in Nanjo実行委員会を立ち上げました。『DININGOUT』の反省点もある。例えば、南城市には素晴らしい食材がまだまだたくさんあり、それらをしっかりプレゼンすることで、広く沖縄ではなく、よりこの南城という地にフォーカスする形にできたのではないか、というようなこと。Sanctuary Diningに限らず、今後の課題にしていきたいです」
もう一人のキーパーソンは、『Sanctuary Dining』の一日目と二日目に料理長を務める那覇市の郷土料理店『月桃庵』の屋比久保シェフ。『DININGOUT RYUKYU NANJO with LEXUS』開催時は、地元のキッチンスタッフを束ね、樋口シェフの右腕として活躍したベテラン料理人です。土地の食文化を伝える宮廷料理に取り組み、地元食材に関する知識も豊富な沖縄を代表するトップシェフ。
「『DININGOUT』と樋口シェフから学んだことの大きさは計り知れません。一番は食材からの発想力。イラブーの料理といえばイラブー汁と、地元の人間ほど固定概念にとらわれがちですが、予想もしない料理で、食材の素晴らしさとその背景を余すところなく伝えて下さった。スタッフ同士もほぼ初対面という“寄せ集め”チームをまとめ上げる厨房での統率力も、圧巻でした」
沖縄県内のホテル勤務を経て、2017年、『月桃庵』の料理長に就任して以来、伝統に即し、ときに創作を織り交ぜながら、より深く沖縄の食の魅力を発信し続けてきた屋比久シェフ。『Sanctuary Dining』の記念すべき第一回目は、やはり「宮廷料理で勝負したい」と話します。
「今回は、料理とあわせ、甕仕込みの古酒を含む泡盛とのペアリングをお楽しみ頂く予定です。琉球王朝時代、中国王朝への献上品としてつくられた琉球漆器の最高峰で、東道盆(トゥンダーブン)と呼ばれるお盆や、カラカラ、ちぶぐゎーといった伝統的な酒器をはじめ、器にもご期待下さい」
サンクチュアリ ダイニング「聖地×食×文化」が織りなす感動を南城から世界へ、『Sanctuary Dining』始動。
『Sanctuary Dining』は2020年12月11日(金)、12日(土)、13日(日)の3日間に渡り開催されます。会場は、『DININGOUT RYUKYU NANJO with LEXUS』と同じ知念城跡。『月桃庵』の料理長・屋比久保シェフと、山羊料理をメインにしたフレンチとして人気を博す『ビストロ ル・ボングー』の山口慎一シェフが厨房に立ち、ゲストを迎えます。ディナーの翌朝早くには、開場前の斎場御嶽を訪れ、黄金(くがに)色の朝日を拝む『Sanctuary Dining』参加者限定のオプショナルツアーも用意されています。
「守礼の邦=礼節を重んじる国」として、訪れる外国人をもてなしてきた琉球王国。特に中国皇帝から派遣された冊封使のもてなしに力を注ぎ、その歴史の中で育まれてきた宮廷料理や御用酒である泡盛、宴とともにあった芸能は、今も変わらず沖縄の人々の誇りであり続け、日常の中で親しまれています。王国時代から続く祈りの場を舞台に、個性豊かな沖縄食材の恵みや、神聖な琉球文化を体感できる『Sanctuary Dining』。琉球王朝神話における「はじまりの地」で、感謝や祈り、生命の起源にふれる特別なひとときは、単なる美食体験に終わらない特別な時間になるはずです。
Day1 : 12/11(金) 18:30~21:15(琉球懐石料理,18時開場)
Day2 : 12/12(土) 18:30~21:15(琉球懐石料理,18時開場)
Day3 : 12/13(日) 18:30~21:15(琉球フレンチ,18時開場)
場所:知念城跡(沖縄県南城市知念字知念)
¥59,800(税込)/お一人様あたり
http://sanctuary-dining-nanjo.com/index.html#food