若き料理人が情熱を注いだ「ル・テタンジェ賞」2020日本大会、最終審査結果発表[厨BO!YOKOHAMA/神奈川県横浜市]

10月28日に行われた国際シグネチャーキュイジーヌコンクール「ル・テタンジェ賞」の日本大会最終審査を終えて。

テタンジェ料理コンクール 54年の歴史の中で、生まれ変わった「ル・テタンジェ賞」。

秋晴れの10月28日、正午過ぎに始まったのは、国際シグネチャーキュイジーヌコンクール「ル・テタンジェ賞」の日本大会。1967年に世界的なシャンパーニュ・メゾン「テタンジェ」のクロード・テタンジェが創設したこの賞は、若き料理人を顕彰し、フランスの美食文化を発展・継承していくことを主目的に設立され、ジョエル・ロブション氏、ミッシェル・ロスタン氏、ベルナール・ルプランス氏といった数多のスターシェフを輩出してきました。今年は世界中で猛威を振るった新型コロナウイルスにより世界中で社会的混乱が起き、一時は開催を危ぶむ声もありました。しかし、参加・受付の方法を見直し、例年のような授賞パーティーは取りやめるなど時世を踏まえた体制に改め、開催の運びとなったのです。

書類選考は10月7日に行われ、厳正なる審査によって3名のファイナリストが日本大会の最終審査にコマを進めました。横浜市中区にある東京ガス業務用テストキッチン「厨BO!YOKOHAMA」で行われた最終審査にて審査員を務めたのは、都下のフレンチ店で腕を振るう一流シェフや舌に覚えのある識者の計8名。

大会は、1984年にパリで開催された「ル・タンジェ国際料理賞コンクール・アンテルナショナル」にて日本人として初めてグラン・プリを獲得した『マンジュトゥー』の堀田大氏の挨拶から始まりました。今回、感染予防の観点から日本大会としては初めて、ファイナリストが下準備を整え、日本大会事務局が依頼した3名の料理人が仕上げの調理を担当。審査員は手元のルセットや調理風景をにらみつつ、各テーブルに配られた料理を試食審査しました。

【関連記事】テタンジェ/食べるシャンパン。それは、ひとりでは完結しないシャンパーニュ。

『リヨンドゥリヨン』オーナーのクリストフ・ポコ氏や『レストラン ラフィナージュ』オーナーの高良康之氏らに、毎日新聞社営業総本部補佐の山本修司氏や『料理通信』編集長の曽根清子氏らマスコミ人が加わり、計8名で試食審査を行った。

料理の仕上げは、ホテルオークラ東京『ヌーヴェル・エポック』料理長・髙橋哲治郎氏、同ホテル宴会調理副料理長・池田進一氏、『シェ・フルール横濱』総料理長・飯笹光男氏の3名が担当。

完成した皿の盛り付けをじっくり観察する『ジョエル・ロブション』総料理長のミカエル・ミカエリディス氏も審査員のひとり。

すみずみまで感染対策が施されたテストキッチンで、既定の時間内に調理を行う。若きシェフの今後がかかっているため、3名の代理料理人の目は真剣そのもの。

完成品をチェックした後、ディスタンスをとった場所で試食審査に移る。味はもちろん、見た目や全体の調和も重要な審査要素だ。

調理手順をチェックする審査員。パリ本選ではテーマと課題の2つのルセットを4時間以内に調理しなければならない。国内選考ではテーマに沿ったルセットを3時間以内で調理。

テタンジェ料理コンクール 思いのこもった皿が登場した試食審査。

今年のテーマは「牛肉(任意の部位/温製料理)」。合わせる食材に何を使うかは自由ですが、金額や調理時間に規定が設けられています。最初にお目見えしたのは、『東京會舘』神戸宏文シェフの「牛フィレ肉のウェリントン風 3本の人参」。東京オリンピックが開催された1964年にレイモン・オリヴェールが日本に伝えたウェリントンは、古き良きフランス料理。重たい古典料理というイメージを払拭すべく、全体的に軽い酸味を利かせ、スタイリッシュなウェリントンを目指して創作されたひと皿です。

次は『ひらまつ』石井友之シェフの「牛肉のアンクルート」。あえて和牛ではなく国産経産牛を使用したのは、独自の熟成方法によって使いづらい食材に付加価値をつけ、美味しくすることこそ料理人のあるべき姿なのでは?との思いから。また、海苔や柚子味噌を使用し、日本とフランスの食材の調和が取れるよう考えられています。

最後は、春菊や椎茸、紫蘇を使い、フランス料理に日本のエッセンスを取り入れた「パレスホテル」堀内亮シェフの「牛フィレのブリオッシュ」。センス溢れるルセット創作の経緯に、「フランスでの本選は冬の開催なので、その時、旬を迎える菊芋、トリュフ、ジャガイモなどを食材として選びました」とあり、世界大会を視野に入れた食材選びが印象に残りました。

3名のファイナリストが会場入りし、自ら考案した料理を前に結果発表を待った。参加資格は職歴5年以上、一般客が利用するレストランで働いている24~40歳までのプロの料理人。

審査はルセットの独創性30点、ルセットに使われる技能30点、ルセットのコンセプトと一貫性20点、盛り付けとプレゼンテーション20点とし、その合計点を算出する。

優勝した堀内シェフ(右から2番目)と審査委員長の堀田氏、審査員のクリストフ・ポコ氏、サッポロビール事業部部長の三上氏で記念撮影。

カップとディプロムを手にした堀内氏。1984年の堀田氏、2018年の『ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション』の関谷健一朗氏に続き、日本人で史上3人目の国際大会優勝に期待がかかる。

ディプロムと「テタンジェ ブリュット レゼルヴ ジェロボアム」を手にした2位の神戸シェフ。

3位の石井シェフ。コンクール参加がよい刺激となり、日本の料理界の活性化と料理芸術の発展に寄与することだろう。

ル・テタンジェ国際料理賞コンクール委員会主催で行われた日本大会も無事、閉幕。協力はシャンパーニュ・テタンジェ社およびサッポロビール株式会社。日本事務局はフランス文化を識る会。

日本大会を終えて、今大会への想いやコロナ禍によって厳しい状況下にあったガストロノミーと若いシェフを思いやった堀田氏。

テタンジェ料理コンクール 結果発表。パリ行きの切符を手にしたのは……。

ファイナリスト3名分の試食審査が終わり、採点に入りました。審査項目は、テクニック、デギスタシオン、ハーモニー、プレゼンテーションの4つで、各料理の最高点と最低点から平均点を算出し、その得点で順位を競います。審査員一同、己の感覚に全集中し、会場内には紙の上を鉛筆が走るサラサラという静かな音だけが響きました。どの料理も甲乙つけがたく、評価はバラけているようです。集計を出す間にファイナリストの3名が会場入りし、いよいよ結果発表となりました。

見事、最高得点を獲得し、来年1月に行われる「コンクール・アンテルナショナル」への出場権を得たのは堀内シェフ。サッポロビール事業部事業部長の三上氏より、第1位のカップとディプロム、「テタンジェ ブリュット レゼルヴ マチュザレム」、ファイナル準備金として2400€の小切手が贈られました。「自分では仕上げられなかった決勝戦でしたが、無事に勝つことが出来てよかったと思います。ここからが世界選に向けてのスタートだと思いますので、皆さま応援よろしくお願いいたします」と堀内シェフ。コンクールに出場すること自体が初めてだったそうで、最初から本選を意識していたのは「6年間フランスで修業をしてきましたが、日本のレベルは世界的にみても高水準なので、日本での優勝を目指すことイコール世界を目指すことと同義だ」と考えていたとのこと。この後、2位の神戸シェフ、3位の石井シェフにもそれぞれの順位のカップとディプロム、「テタンジェ ブリュット レゼルヴ ジェロボアム」が贈られました。

大会を終えた堀田氏に話を伺ったところ、「堀内シェフのソースが素晴らしく、メインも軽やかで、結果的に思ったとおりの順位になりました。今回、より審査の公平性を期すために点数制にして全審査員の前でひとりひとりの点数を発表する方式を取りましたが、皆さん自身の感性を信じて審査を行い、評価がバラけたのがよかったと思います。石井シェフと神戸シェフは惜しくも優勝を逃しましたが、この点数を励みに次回も頑張ってもらえたら」とのベストを尽くした3人にエールを送りました。

若きシェフの情熱と才能、フランスと日本の食材と調理法が美しく結実した料理を目の当たりにした日本大会。そこには、文化の壁を軽やかに越えていける今日の世界に必要な力が宿っていると感じました。彼らが創り出す料理は、今後もガストロノミーを通じて人々の心を動かし、新しい文化の礎となっていくことでしょう。


Photographs:JIRO OHTANI
Text:MAO YAMAWAKI

お問い合わせ:サッポロビール(株)お客様センター 0120-207-800
受付時間:9:00~17:00(土日祝日除く)
※内容を正確に承るため、お客様に電話番号の通知をお願いしております。電話機が非通知設定の場合は、恐れ入りますが電話番号の最初に「186」をつけておかけください。
お客様から頂きましたお電話は、内容確認のため録音させて頂いております。
http://www.sapporobeer.jp/wine/taittinger/

(supported by TAITTINGER)

若き料理人が情熱を注いだ「ル・テタンジェ賞」2020日本大会、最終審査結果発表[厨BO!YOKOHAMA/神奈川県横浜市]

10月28日に行われた国際シグネチャーキュイジーヌコンクール「ル・テタンジェ賞」の日本大会最終審査を終えて。

テタンジェ料理コンクール 54年の歴史の中で、生まれ変わった「ル・テタンジェ賞」。

秋晴れの10月28日、正午過ぎに始まったのは、国際シグネチャーキュイジーヌコンクール「ル・テタンジェ賞」の日本大会。1967年に世界的なシャンパーニュ・メゾン「テタンジェ」のクロード・テタンジェが創設したこの賞は、若き料理人を顕彰し、フランスの美食文化を発展・継承していくことを主目的に設立され、ジョエル・ロブション氏、ミッシェル・ロスタン氏、ベルナール・ルプランス氏といった数多のスターシェフを輩出してきました。今年は世界中で猛威を振るった新型コロナウイルスにより世界中で社会的混乱が起き、一時は開催を危ぶむ声もありました。しかし、参加・受付の方法を見直し、例年のような授賞パーティーは取りやめるなど時世を踏まえた体制に改め、開催の運びとなったのです。

書類選考は10月7日に行われ、厳正なる審査によって3名のファイナリストが日本大会の最終審査にコマを進めました。横浜市中区にある東京ガス業務用テストキッチン「厨BO!YOKOHAMA」で行われた最終審査にて審査員を務めたのは、都下のフレンチ店で腕を振るう一流シェフや舌に覚えのある識者の計8名。

大会は、1984年にパリで開催された「ル・タンジェ国際料理賞コンクール・アンテルナショナル」にて日本人として初めてグラン・プリを獲得した『マンジュトゥー』の堀田大氏の挨拶から始まりました。今回、感染予防の観点から日本大会としては初めて、ファイナリストが下準備を整え、日本大会事務局が依頼した3名の料理人が仕上げの調理を担当。審査員は手元のルセットや調理風景をにらみつつ、各テーブルに配られた料理を試食審査しました。

【関連記事】テタンジェ/食べるシャンパン。それは、ひとりでは完結しないシャンパーニュ。

『リヨンドゥリヨン』オーナーのクリストフ・ポコ氏や『レストラン ラフィナージュ』オーナーの高良康之氏らに、毎日新聞社営業総本部補佐の山本修司氏や『料理通信』編集長の曽根清子氏らマスコミ人が加わり、計8名で試食審査を行った。

料理の仕上げは、ホテルオークラ東京『ヌーヴェル・エポック』料理長・髙橋哲治郎氏、同ホテル宴会調理副料理長・池田進一氏、『シェ・フルール横濱』総料理長・飯笹光男氏の3名が担当。

完成した皿の盛り付けをじっくり観察する『ジョエル・ロブション』総料理長のミカエル・ミカエリディス氏も審査員のひとり。

すみずみまで感染対策が施されたテストキッチンで、既定の時間内に調理を行う。若きシェフの今後がかかっているため、3名の代理料理人の目は真剣そのもの。

完成品をチェックした後、ディスタンスをとった場所で試食審査に移る。味はもちろん、見た目や全体の調和も重要な審査要素だ。

調理手順をチェックする審査員。パリ本選ではテーマと課題の2つのルセットを4時間以内に調理しなければならない。国内選考ではテーマに沿ったルセットを3時間以内で調理。

テタンジェ料理コンクール 思いのこもった皿が登場した試食審査。

今年のテーマは「牛肉(任意の部位/温製料理)」。合わせる食材に何を使うかは自由ですが、金額や調理時間に規定が設けられています。最初にお目見えしたのは、『東京會舘』神戸宏文シェフの「牛フィレ肉のウェリントン風 3本の人参」。東京オリンピックが開催された1964年にレイモン・オリヴェールが日本に伝えたウェリントンは、古き良きフランス料理。重たい古典料理というイメージを払拭すべく、全体的に軽い酸味を利かせ、スタイリッシュなウェリントンを目指して創作されたひと皿です。

次は『ひらまつ』石井友之シェフの「牛肉のアンクルート」。あえて和牛ではなく国産経産牛を使用したのは、独自の熟成方法によって使いづらい食材に付加価値をつけ、美味しくすることこそ料理人のあるべき姿なのでは?との思いから。また、海苔や柚子味噌を使用し、日本とフランスの食材の調和が取れるよう考えられています。

最後は、春菊や椎茸、紫蘇を使い、フランス料理に日本のエッセンスを取り入れた「パレスホテル」堀内亮シェフの「牛フィレのブリオッシュ」。センス溢れるルセット創作の経緯に、「フランスでの本選は冬の開催なので、その時、旬を迎える菊芋、トリュフ、ジャガイモなどを食材として選びました」とあり、世界大会を視野に入れた食材選びが印象に残りました。

3名のファイナリストが会場入りし、自ら考案した料理を前に結果発表を待った。参加資格は職歴5年以上、一般客が利用するレストランで働いている24~40歳までのプロの料理人。

審査はルセットの独創性30点、ルセットに使われる技能30点、ルセットのコンセプトと一貫性20点、盛り付けとプレゼンテーション20点とし、その合計点を算出する。

優勝した堀内シェフ(右から2番目)と審査委員長の堀田氏、審査員のクリストフ・ポコ氏、サッポロビール事業部部長の三上氏で記念撮影。

カップとディプロムを手にした堀内氏。1984年の堀田氏、2018年の『ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション』の関谷健一朗氏に続き、日本人で史上3人目の国際大会優勝に期待がかかる。

ディプロムと「テタンジェ ブリュット レゼルヴ ジェロボアム」を手にした2位の神戸シェフ。

3位の石井シェフ。コンクール参加がよい刺激となり、日本の料理界の活性化と料理芸術の発展に寄与することだろう。

ル・テタンジェ国際料理賞コンクール委員会主催で行われた日本大会も無事、閉幕。協力はシャンパーニュ・テタンジェ社およびサッポロビール株式会社。日本事務局はフランス文化を識る会。

日本大会を終えて、今大会への想いやコロナ禍によって厳しい状況下にあったガストロノミーと若いシェフを思いやった堀田氏。

テタンジェ料理コンクール 結果発表。パリ行きの切符を手にしたのは……。

ファイナリスト3名分の試食審査が終わり、採点に入りました。審査項目は、テクニック、デギスタシオン、ハーモニー、プレゼンテーションの4つで、各料理の最高点と最低点から平均点を算出し、その得点で順位を競います。審査員一同、己の感覚に全集中し、会場内には紙の上を鉛筆が走るサラサラという静かな音だけが響きました。どの料理も甲乙つけがたく、評価はバラけているようです。集計を出す間にファイナリストの3名が会場入りし、いよいよ結果発表となりました。

見事、最高得点を獲得し、来年1月に行われる「コンクール・アンテルナショナル」への出場権を得たのは堀内シェフ。サッポロビール事業部事業部長の三上氏より、第1位のカップとディプロム、「テタンジェ ブリュット レゼルヴ マチュザレム」、ファイナル準備金として2400€の小切手が贈られました。「自分では仕上げられなかった決勝戦でしたが、無事に勝つことが出来てよかったと思います。ここからが世界選に向けてのスタートだと思いますので、皆さま応援よろしくお願いいたします」と堀内シェフ。コンクールに出場すること自体が初めてだったそうで、最初から本選を意識していたのは「6年間フランスで修業をしてきましたが、日本のレベルは世界的にみても高水準なので、日本での優勝を目指すことイコール世界を目指すことと同義だ」と考えていたとのこと。この後、2位の神戸シェフ、3位の石井シェフにもそれぞれの順位のカップとディプロム、「テタンジェ ブリュット レゼルヴ ジェロボアム」が贈られました。

大会を終えた堀田氏に話を伺ったところ、「堀内シェフのソースが素晴らしく、メインも軽やかで、結果的に思ったとおりの順位になりました。今回、より審査の公平性を期すために点数制にして全審査員の前でひとりひとりの点数を発表する方式を取りましたが、皆さん自身の感性を信じて審査を行い、評価がバラけたのがよかったと思います。石井シェフと神戸シェフは惜しくも優勝を逃しましたが、この点数を励みに次回も頑張ってもらえたら」とのベストを尽くした3人にエールを送りました。

若きシェフの情熱と才能、フランスと日本の食材と調理法が美しく結実した料理を目の当たりにした日本大会。そこには、文化の壁を軽やかに越えていける今日の世界に必要な力が宿っていると感じました。彼らが創り出す料理は、今後もガストロノミーを通じて人々の心を動かし、新しい文化の礎となっていくことでしょう。


Photographs:JIRO OHTANI
Text:MAO YAMAWAKI

お問い合わせ:サッポロビール(株)お客様センター 0120-207-800
受付時間:9:00~17:00(土日祝日除く)
※内容を正確に承るため、お客様に電話番号の通知をお願いしております。電話機が非通知設定の場合は、恐れ入りますが電話番号の最初に「186」をつけておかけください。
お客様から頂きましたお電話は、内容確認のため録音させて頂いております。
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12月26日、27日限定!パリの『MAISON』渥美創太シェフが銀座のフードトラックに登場![GEN GEN AN幻/東京都中央区]

パリのレストラン『MAISON』の渥美創太シェフ(左)と『GEN GEN AN 幻 in 銀座』を主宰する丸若裕俊氏(右)。2016年に開催された『DINING OUT ARITA & with LEXUS』以降、2回目となるコラボレーションは、2日間限定のフードトラック!

GEN GEN AN幻銀座からパリへ。料理を通して旅をする。

2020年12月、『銀座ソニーパーク』に10ヶ月限定でオープンした『GEN GEN AN 幻 in 銀座』。

「こんな時代だからこそ何かに挑戦したかった。自分も含め、実験的な場にしていきたい」と話すのは、主宰する丸若裕俊氏です。

その第一回となる実験、それがゲリラ的に登場するフードトラック『Taki-Dashi』。

腕を振るうのは、パリで活躍する『MAISON』の渥美創太シェフです。

2020年、『MAISON』は、フランスの「GUIDES LEBEY」にて肉料理部門・最優秀シェフベストレストランのダブル受賞を果たし、国内外で話題を呼んでいます。

「丸若さんとは10年以上前からのお付き合いなのですが、何か一緒にやりたいねってずっと話していて。ふたりの最初の仕事は、2016年に開催された『DINING OUT ARITA & with LEXUS』でした。今回の仕事は、2回目です」と渥美シェフ。

今回、『GEN GEN AN 幻 in 銀座』では、『MAISON』が新たに発足した『TOMETTE』名義にて参画し、主にアイスクリームやソルベなどのデザートや菓子などを開発します。

『MAISON』はレストランに対し、『TOMETTE』はプロジェクト。

「『MAISON』は、理屈抜きにお客様がおいしいと感じてもらいたい場所」と渥美シェフが言うも、その背景には溢れんばかりの想いが詰まっています。食材へのこだわり、生産者や農家とのつながりなどはその好例であり、「見える」キッチン以外にも、「見えない」多くの人、もの、ことが親和しているチームこそ『MAISON』なのです。

対する『TOMETTE』は、そんな見えない様々を可視化するプロジェクト。

伝えたい、共有したい、派生したい。

「おいしいを知る」とは、奥様の明子さんの言葉。『TOMETTE』のディレクターも担います。「日本でもフランスでも生産者さんや農家さんたちと一緒に『TOMETTE』を発信していければと思っています。まずは日本からスタートしたかったので、『GEN GEN AN 幻 in 銀座』が第一歩になります」と続けます。

前出の通り、店舗では、アイスクリームやソルベなどのデザートがメインですが、「Colony」と題したピタパンも用意。これは、新型コロナウイルスによってパリがロックダウンした際、渥美シェフが医療従事者やホームレスの方々へ食事提供を行うボランティアに参加した時に作った料理です。

パリには、ホームレスに無償で食事を提供しているレストランがあります。その発起人たちがスーパーの賞味期限が迫る食材を集める場所を郊外に作って、そこから仕入れるもので食事を作っていました。レストランと大きく違うところは、日々どんな食材が来るのかわからないことと食べ手が明確だということ。医療従事者は、エネルギーや神経を使うので、味を濃いめにしたり、どうすれば少しでも元気になってくれるのかを考えました。そこで作った料理のひとつがピタパンでした」。

与えられた食材で何が作れるか。今の環境に合ったもので何ができるか。どうすればおいしくなるか。毎日がライブなそれは、レストランとは違った思考であり、「シェフ・渥美創太」というよりも、「人間・渥美創太」という人格が現れた料理だったのかもしれません。

「今回、『GEN GEN AN 幻 in 銀座』で提供しているピタパンのパンは、『ブリコラージュ』さんにお願いしています。レシピを渡して作ってもらったのですが、ピタパンであればこっちの方がおいしくなるのでは?と、アレンジしたものも提案してくださり。小麦粉だったレシピから全粒粉に変えたのはそれなのですが、こっちの方が断然良かったです。実は、その考え方はパリでも同じで、発注が入ったものをそのまま提供するのではなく、より精度を上げられるためにはどうしたら良いかを各々が常に考えています。このピタパンもまた、みんなの想いが詰まった料理です」。

そして2020年末、様々な体験を経て臨む次なる舞台がフードトラック。

この日のために、渥美シェフは『MAISON』からパンやチーズ、エディブルフラワーなどのピクルス、鹿タンなどを持参。供される料理は、下記を予定しています。

「オープンサンド/栗粉の自家製薪窯パン 24ヶ月熟成コンテチーズ 春に漬けた花の酢漬け」(トリュフバージョンもあり)
「古代麦のリゾット/うなぎの出汁と茶」
「鹿タンと牡蠣のチレアンチョ煮込み」
「オニオンスープ ブルーチーズのせ」(トリュフバージョンもあり)
「ゴーフル」
(2020年12月25日現在も鋭意制作中のため、料理写真のご用意はありませんが、当日のお楽しみに!)

予定は未定の2日限りのステージ。しかし、唯一わかることがあります。

そこにはレストラン顔負けの本気の料理が待っています。

フードトラックだからといって侮るなかれ。どんなライブになるかは乞うご期待。

是非、銀座でパリを堪能いただきたい。

Photographs:JIRO OHTANI
Text:YUICHI KURAMOCHI

フードトラックでお腹を満たした後は、『TOMETTE』のアイスクリームやソルベが用意される地下の店舗へ是非。「Earth/玉緑茶」のアイスクリームは、茶葉の複雑かつ豊かな余韻が染み入るように広がる。球面はまるで惑星!

「本日の肉とハーブのピタパン&茶」。 この日のお肉はホロホロ鶏。是非、料理が生まれた背景も知り、おいしいを感じていただきたい。

ピタパンの具材もひとつ一つ丁寧に仕上げる。口に運ぶ度、おいしいだけでなく旅の情景が浮かぶのは、渥美シェフの想いが料理に宿るからなのか。

肉の食感、ハーブの香り、アクセントに効かせたスペインのビネガー・ペドロヒメネスの味わいをブリコラージュのパンがまとめ上げる。全粒粉ならではの食感と香りも見事に同調する。

フランスの「GUIDES LEBEY」にて肉料理部門・最優秀シェフとベストレストランをダブル受賞したパリのレストラン『MAISON』渥美シェフの料理をいただける貴重な2日間! 自由に旅ができない今だからこそ、この機会をお楽しみいただきたい。

住所:東京都中央区銀座5-3-1 Ginza Sony Park地上フロア MAP
期間:12月26日(土)・12月27日(日)
営業時間:11:00〜19:00 ※無くなり次第終了

住所:東京都中央区銀座5-3-1 Ginza Sony Park B1F MAP
https://www.ginzasonypark.jp/shop/06_2.html
https://en-tea.com/pages/gengenan

1986年千葉県生まれ。19歳で渡仏し「メゾン・トロワグロ」、「ステラ・マリス」、「ラボラトワール・ドゥ・ジョエル・ロブション」などを経て、26歳で「ヴィヴァン・ターブル」シェフに就任。2014年、100年以上続く「クラウン・バー」のリニューアルに伴いオープニング・シェフを勤め、2015年、フランスで最も人気のあるレストランガイド「ル・フーディング」の最優秀ビストロ賞を受賞。2019年、自身初となるオーナー・シェフを務めるレストラン「MAISON」を開業。2020年、フランスの「ガイド ルベイ」にて肉料理部門・最優秀シェフとベストレストランのダブル受賞。また、「ONESTORY」が主催するレストランイベント「DINING OUT」には、過去2回(「DINING OUT ONOMICHI」、「DINING OUT ARITA」)参加。
http://sotaatsumi.wixsite.com/mysite-1

12月26日、27日限定!パリの『MAISON』渥美創太シェフが銀座のフードトラックに登場![GEN GEN AN幻/東京都中央区]

パリのレストラン『MAISON』の渥美創太シェフ(左)と『GEN GEN AN 幻 in 銀座』を主宰する丸若裕俊氏(右)。2016年に開催された『DINING OUT ARITA & with LEXUS』以降、2回目となるコラボレーションは、2日間限定のフードトラック!

GEN GEN AN幻銀座からパリへ。料理を通して旅をする。

2020年12月、『銀座ソニーパーク』に10ヶ月限定でオープンした『GEN GEN AN 幻 in 銀座』。

「こんな時代だからこそ何かに挑戦したかった。自分も含め、実験的な場にしていきたい」と話すのは、主宰する丸若裕俊氏です。

その第一回となる実験、それがゲリラ的に登場するフードトラック『Taki-Dashi』。

腕を振るうのは、パリで活躍する『MAISON』の渥美創太シェフです。

2020年、『MAISON』は、フランスの「GUIDES LEBEY」にて肉料理部門・最優秀シェフベストレストランのダブル受賞を果たし、国内外で話題を呼んでいます。

「丸若さんとは10年以上前からのお付き合いなのですが、何か一緒にやりたいねってずっと話していて。ふたりの最初の仕事は、2016年に開催された『DINING OUT ARITA & with LEXUS』でした。今回の仕事は、2回目です」と渥美シェフ。

今回、『GEN GEN AN 幻 in 銀座』では、『MAISON』が新たに発足した『TOMETTE』名義にて参画し、主にアイスクリームやソルベなどのデザートや菓子などを開発します。

『MAISON』はレストランに対し、『TOMETTE』はプロジェクト。

「『MAISON』は、理屈抜きにお客様がおいしいと感じてもらいたい場所」と渥美シェフが言うも、その背景には溢れんばかりの想いが詰まっています。食材へのこだわり、生産者や農家とのつながりなどはその好例であり、「見える」キッチン以外にも、「見えない」多くの人、もの、ことが親和しているチームこそ『MAISON』なのです。

対する『TOMETTE』は、そんな見えない様々を可視化するプロジェクト。

伝えたい、共有したい、派生したい。

「おいしいを知る」とは、奥様の明子さんの言葉。『TOMETTE』のディレクターも担います。「日本でもフランスでも生産者さんや農家さんたちと一緒に『TOMETTE』を発信していければと思っています。まずは日本からスタートしたかったので、『GEN GEN AN 幻 in 銀座』が第一歩になります」と続けます。

前出の通り、店舗では、アイスクリームやソルベなどのデザートがメインですが、「Colony」と題したピタパンも用意。これは、新型コロナウイルスによってパリがロックダウンした際、渥美シェフが医療従事者やホームレスの方々へ食事提供を行うボランティアに参加した時に作った料理です。

パリには、ホームレスに無償で食事を提供しているレストランがあります。その発起人たちがスーパーの賞味期限が迫る食材を集める場所を郊外に作って、そこから仕入れるもので食事を作っていました。レストランと大きく違うところは、日々どんな食材が来るのかわからないことと食べ手が明確だということ。医療従事者は、エネルギーや神経を使うので、味を濃いめにしたり、どうすれば少しでも元気になってくれるのかを考えました。そこで作った料理のひとつがピタパンでした」。

与えられた食材で何が作れるか。今の環境に合ったもので何ができるか。どうすればおいしくなるか。毎日がライブなそれは、レストランとは違った思考であり、「シェフ・渥美創太」というよりも、「人間・渥美創太」という人格が現れた料理だったのかもしれません。

「今回、『GEN GEN AN 幻 in 銀座』で提供しているピタパンのパンは、『ブリコラージュ』さんにお願いしています。レシピを渡して作ってもらったのですが、ピタパンであればこっちの方がおいしくなるのでは?と、アレンジしたものも提案してくださり。小麦粉だったレシピから全粒粉に変えたのはそれなのですが、こっちの方が断然良かったです。実は、その考え方はパリでも同じで、発注が入ったものをそのまま提供するのではなく、より精度を上げられるためにはどうしたら良いかを各々が常に考えています。このピタパンもまた、みんなの想いが詰まった料理です」。

そして2020年末、様々な体験を経て臨む次なる舞台がフードトラック。

この日のために、渥美シェフは『MAISON』からパンやチーズ、エディブルフラワーなどのピクルス、鹿タンなどを持参。供される料理は、下記を予定しています。

「オープンサンド/栗粉の自家製薪窯パン 24ヶ月熟成コンテチーズ 春に漬けた花の酢漬け」(トリュフバージョンもあり)
「古代麦のリゾット/うなぎの出汁と茶」
「鹿タンと牡蠣のチレアンチョ煮込み」
「オニオンスープ ブルーチーズのせ」(トリュフバージョンもあり)
「ゴーフル」
(2020年12月25日現在も鋭意制作中のため、料理写真のご用意はありませんが、当日のお楽しみに!)

予定は未定の2日限りのステージ。しかし、唯一わかることがあります。

そこにはレストラン顔負けの本気の料理が待っています。

フードトラックだからといって侮るなかれ。どんなライブになるかは乞うご期待。

是非、銀座でパリを堪能いただきたい。

Photographs:JIRO OHTANI
Text:YUICHI KURAMOCHI

フードトラックでお腹を満たした後は、『TOMETTE』のアイスクリームやソルベが用意される地下の店舗へ是非。「Earth/玉緑茶」のアイスクリームは、茶葉の複雑かつ豊かな余韻が染み入るように広がる。球面はまるで惑星!

「本日の肉とハーブのピタパン&茶」。 この日のお肉はホロホロ鶏。是非、料理が生まれた背景も知り、おいしいを感じていただきたい。

ピタパンの具材もひとつ一つ丁寧に仕上げる。口に運ぶ度、おいしいだけでなく旅の情景が浮かぶのは、渥美シェフの想いが料理に宿るからなのか。

肉の食感、ハーブの香り、アクセントに効かせたスペインのビネガー・ペドロヒメネスの味わいをブリコラージュのパンがまとめ上げる。全粒粉ならではの食感と香りも見事に同調する。

フランスの「GUIDES LEBEY」にて肉料理部門・最優秀シェフとベストレストランをダブル受賞したパリのレストラン『MAISON』渥美シェフの料理をいただける貴重な2日間! 自由に旅ができない今だからこそ、この機会をお楽しみいただきたい。

住所:東京都中央区銀座5-3-1 Ginza Sony Park地上フロア MAP
期間:12月26日(土)・12月27日(日)
営業時間:11:00〜19:00 ※無くなり次第終了

住所:東京都中央区銀座5-3-1 Ginza Sony Park B1F MAP
https://www.ginzasonypark.jp/shop/06_2.html
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1986年千葉県生まれ。19歳で渡仏し「メゾン・トロワグロ」、「ステラ・マリス」、「ラボラトワール・ドゥ・ジョエル・ロブション」などを経て、26歳で「ヴィヴァン・ターブル」シェフに就任。2014年、100年以上続く「クラウン・バー」のリニューアルに伴いオープニング・シェフを勤め、2015年、フランスで最も人気のあるレストランガイド「ル・フーディング」の最優秀ビストロ賞を受賞。2019年、自身初となるオーナー・シェフを務めるレストラン「MAISON」を開業。2020年、フランスの「ガイド ルベイ」にて肉料理部門・最優秀シェフとベストレストランのダブル受賞。また、「ONESTORY」が主催するレストランイベント「DINING OUT」には、過去2回(「DINING OUT ONOMICHI」、「DINING OUT ARITA」)参加。
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