「今、人としてどう生きるかを問われている。食がもたらす役割、そのひとつの体験をより大切にしたい」pesceco/井上稔浩・井上景子

穏やかな表情だが、内には強い覚悟を秘めている井上シェフ(左)。「今のような世の中だからこそ、“食”を通して人々の心身を“元気”にしたい」と夫婦で語る。Photograph:AZUSA SHIGENOBU

旅の再開は、再会の旅へ。自分にできることを自分の場所でやる。“食”を通して、おいしいだけではない“力”もご提供したい。

時を遡ること2018年8月。島原のレストラン『pesceco』は、大きく舵を切りました。

町の繁華街で3年9ヵ月営んだカジュアルなイタリアンレストランを閉め、海沿いの一軒家に店を移して、新たな拠点として再スタートしたのです。完全予約制で、料理は昼夜ともおまかせのコースのみに。

当時を知る人であれば、「敷居が高くなった」と足を遠ざける地元客も出てしまいましたが、その一方、「ここでしか食べられない料理がある」、「店での食事を目的に島原へ旅する価値がある」と、『pesceco』を目指して旅する人も少なくありません。

ここを担う井上稔浩(たかひろ)シェフは、島原生まれの島原育ち。県外に、いや世界に伝えたい島原の素晴らしいところも、他の地方都市同様に抱えている多くの地元の問題点についても、誰よりもよく知っています。その上で「島原が好きだから」と、この地に根を張る道を選びました。

愛する故郷のために、料理人だからできることがある。

店のあり方を大きく変えた移転リニューアルは、井上シェフの「覚悟」にほかなりません。

「大変ありがたいことに国内外を通してお客様に恵まれていましたが……」と言葉を詰まらせる理由は、新型コロナウイルスによる激動激変です。しかし井上シェフは「僕らのスタンスは変わらない」と覚悟を口にします。「これまでも、周りがどうだからとかでなく、"自分たちなら?"と問いながら変化してきました。だから今回も、自分たちらしく、変化し続けるだけで”自分たちなら?”が根本にある 精神は変わりません」。

『pesceco』 は、2020年3月初旬には5月末まで予約が埋まっていました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ほぼ全てそれは白紙に。緊急事態宣言発令時には、やむ得ずレストランを一時休業しました。

「もともと需要がないところからスタートしたので、予約が白紙になったことに危機感を抱くということはありませんでした。むしろ、開店当時の事を思い出し、"自分たちなら?"と今できることを冷静に考えることができました。店舗の再開時には1日2組に体制を変更し、昼、夜ともにおまかせコース一本にさせていただく決断をしました。今の状況下においても、心の安らぎを求めお越しくださるお客様に、より良い一皿を、より良い時間を安心して過ごして頂きたいと思っております。正直、営業すること自体、とても各々リスクがあり、シビアだということは理解しています。それでも粛々とやれることをやるしかない。感染対策を意識しながら営業をするスタンスを取っていました」。

新型コロナウイルスがもたらす地域の悲鳴は、テレビを始めとしたメディアでは取り上げられない現状が各々あります。

「島原は小さな観光土地でもあるのですが、緊急事態宣言が発令されてから夏のお盆ぐらいまで県外からの観光客はほぼいませんでした街は閑散としていました。9月ぐらいからは徐々に戻ってきたような感じはありましたが、それ以前から夜の街はは衰退の最中でしたので、昔ながらのお店が立て続けに店仕舞いを余儀なくされるところもありました」。

感染拡大の防止と経済の活動、一長一短であるため、その解決策は未だ見えません。

また、地域の場合、その土地に根ざした独特の距離感と手の取り合い方があると思います。レストランで言えば、地産地消がそれになります。地元の食材や生産者とのつながりが料理を支えており、ゆえに『pesceco』は、「田舎でしか食べられない料理」を表現できる場所に成長したと言えるでしょう。

「ひと皿を通し、お客様、地元の生産者、食材、自然をつなげることができると思います。その土地に根ざし、期待に応え続け、求められ続けることこそ、土地に存在し続けることの意義。それが『pesceco』の手の取り合い方なんです」と井上シェフは語ります。

それはメニューの最後に刻まれている「百姓」「漁師」「魚屋」「塩」が物語っています。

前回の取材時、「塩」は平戸市獅子町『塩炊き屋』の1軒で、他はそれぞれ2軒ずつ。「魚屋」の欄にはもちろん父・井上弘洋氏が営む『おさかないのうえ』の名も記されていました。最後は「自然」。自ら採取した野草、そして雲仙市西郷で汲む岩戸の湧き水。食材を茹でたり煮たり、出汁を取ったりする際に使う湧き水を汲みに行くことから井上シェフの一日は始まるのだと言います。

「これが全てです。逆に、この方々抜きでは、僕の料理、僕らの店は成立し得ない」。

今回の難局においては、食以外に関してもその手の取り合いを発揮しました。

「お店を守るため、資金集めに奔走していたこともありました。そんな時、色々な方々が親身にサポートの声をかけてくださいました。そんな優しさは、田舎ならではの距離感だと思います。日々のご縁や繋がりの有り難みに改めて感謝しています。また、島原に限っては、市を通して比較的早く、給付金などの手続きもしていただけました」。

どんなに辛いことがあろうとも、ここに残る理由は何か。それは前出の通り、「島原が好きだから」。そして、この渦中においても井上シェフは、冷静に言葉を続けます。

「今、このような世界をもたらしたのは、私たちの社会によるものです。つまり、人が生み出してしまったものだと思っています。新型コロナウイルスによって今までの当たり前や日常は奪われ、人としてどう生きていくのかを問われているのではないでしょうか。人間は自然の中で、地球の中で生かされています。このコロナ禍においては、直接会わなくとも画面越しに会話できるようになり、直接訪れなくとも物が届くようになりました。それが良い、悪い、とかではなく、私たち人間はそうしてお互いに繋がりながらでないと生きていけません。だからこそ今一度、人としての豊かさとは何なのか、人としてどう生きるべきなのかに向き合うべきだと思っています。自分は一料理人として、一人間として、"繋がりが見える料理"を作っていきたいし、食が心にもたらす役割を意識しながら、そのひとつ一つの体験をより大切にしていきたいです」。

2020年は、井上シェフに訪れた次なる「覚悟」の年になったことは間違いありません。それでも「レストランは人々の心身を豊かにすることを信じています」。レストランの語源でもある「レストレ」のごとく。

「世界中が未曾有の不幸に見舞われるという中、日々、レストランとしての存在意義と向き合っています。 少しでも自分たちと関わりがある人たちや来てくださるお客様が、“食事”を通して心身ともに元気になっていただければ嬉しく思います。“食”を通して、おいしいだけではなく、心のエネルギーになるような“力”もご提供したい。 そして、1日も早く心置きなく旅ができる日が戻ることを願います。まず、自分は自分の場所で、できることをしていきます。『pesceco』は、灯台のような存在でありたいと思います。また自由に旅が再開できた時、お客様とお会いできるのを楽しみにしています」。

淡いブルーグレーの建物が、海岸沿いの景色に溶け込む。店名はイタリア語で「魚」を意味する「ペッシェ(pesce)」と、景子さんの名前の「子(co)」を合体させた造語。

海をすぐそばに感じることができるレストラン。店内には余計な装飾はなく、真っ白なリネンが清々しい印象。

3人の子供を育てながら、店でサービスを担当する奥様の井上景子さん。井上シェフの大きな精神的支柱でもある。

住所:長崎県島原市新馬場町223-1 MAP
電話:0957-73-9014(完全予約制)
https://pesceco.com/

Text:YUICHI KURAMOCHI

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皆様こんにちは!

寒い日が続きますね:(;゙゚'ω゚'):

倉敷もすごく寒くて最近はお店の前の倉敷川も凍っていました


船渡しの船頭さんが氷を割って進まれていました



なかなか見られない光景です(・∀・)



さて、皆様は世の中に青い食べ物の存在を知っていますでしょうか?


青い食べ物といえば・・・そう、食欲がなくなる色ですΣ(゚д゚lll)

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